せかへい 外伝ストーリー (ピラフドリア )
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 第1話  【ハロウィンパーティ】

 せかへい 2021ハロウィン

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【ハロウィンパーティ】

 

 

 

 

 村ではハロウィンに向けて準備が行われていた。

 

 

 

「パトー!! これはこの辺に飾れば良いか?」

 

 

 

「ああ、そこで頼む!」

 

 

 

 村一番の慎重者ルンバは、パトに確認しながらカボチャの置物を村の広場に設置する。

 

 

 

 一年に一度あるハロウィンに向けて、村では大忙しで作業を進めていた。

 

 

 

 村の広場には顔のくり抜かれたカボチャの飾り物が並べられて、村人たちは夜行われるパーティに向けて架装を始めていた。

 

 

 

 パト達が準備を終えた時、エリスがやってきた。エリスの手には紙袋があり、仮装に使う服を買ってきたようだ。

 

 

 

「パト! 終わった?」

 

 

 

「おう、どうしたんだ?」

 

 

 

 するとエリスは紙袋をパトの方へ向ける。

 

 

 

「どうせ、準備が忙しくて仮装の準備できてないんでしょ? 私が買ってきたよ!」

 

 

 

 そしてパトに紙袋を渡した。

 

 

 

「ありがとう! エリス!!」

 

 

 

 パトが礼を言うと、エリスは「当たり前よ」っと言って腕を組んだ。

 

 

 

 やがて日が暮れ、パーティが始める。

 

 

 

 今夜は雲がなく月が綺麗に見える。そんな中、ハロウィンパーティが始まった。

 

 

 

 村人達は各々仮装をして村の中心に集まった。村の広場では屋台が開かれ、お祭りムードだ。

 

 

 

「お、おい、俺は狼男か……」

 

 

 

 エリスがパトに用意したのは、狼男の仮装である。

 

 

 

「そうよ! なかなか似合ってるじゃない。ペットにしたいくらいよ!」

 

 

 

「何言ってるんだよ」

 

 

 

 パトの仮装のおまけに首輪をつけようとしたエリスをパトは引き剥がす。

 

 

 

「てか、お前はなんだ? 制服じゃないがいつもの服装と違うな」

 

 

 

 エリスの服は王立魔法学園の制服ではないが、とんがり帽子を被っている。

 

 

 

「これは魔女の服よ!」

 

 

 

「それは仮装に入るのか!?」

 

 

 

「さぁ、ハロウィンは気持ちよ! 気持ち! 気持ちが大事なのよ!!」

 

 

 

 ハロウィンは収穫祭から始まったという言い伝えもある。だから仮装をそこまでこだわる必要はないのか?

 

 

 

「さ、今日は楽しむよ!」

 

 

 

 エリスはパトを連れて、村の広場へと向かった。村の中心では村人達が待っている。

 

 

 

 

「お、来たな! パト、それとエリス!!」

 

 

 

 すでに屋台で食べ物を売っていたパトの父親であるガオは、やってきた二人に声をかけて、売り物であった食べ物を渡した。

 

 

 

「え、お金は良いんですか?」

 

 

 

 エリスがそう聞くと、ガオは首を振る。

 

 

 

「良いんだよ。サービスだ。楽しんできな!!」

 

 

 

 ガオはそう言って二人を見送った。こうしてサージュ村のハロウィンパーティは進んでいくのであった。

 

 

 

 終わり

 

 

 

 



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 第1話  【秋のピクニック】

 せかへい 外伝1

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【秋のピクニック】

 

 

 

 サージュ村にある小さな丘。そこに一人の少年が向かう。

 

 

 

「おう、待たせたな!」

 

 

 

 彼の名はサージュ村の村長の息子パト・エイダーだ。

 茶髪で頭にはゴーグルをつけている。

 

 

 

「遅いぞ〜、パト」

 

 

 

 そう言ってパトに腹を優しく殴る。攻撃的な感じではなく、スキンシップのような感覚だ。

 

 

 

「いや、俺遅刻するかもって言っただろ」

 

 

 

「そうだったか?」

 

 

 

 パトの言葉に聞き覚えがない。彼はエス。村の門番だ。

 

 

 

「なぁ、ルンバは覚えてるか?」

 

 

 

「ん、覚えてるぞ。確か昨日の16時くらいにそんな話をしてた」

 

 

 

「そんな細かく!?」

 

 

 

 ルンバはエスと同じく村の門番だ。今日は休日が重なったということで集まろうということになった。

 

 

 

 パト達三人は年齢も近いこともあり、村では小さな頃からよく集まって遊んでいた。悪戯もしたこともあったが、それぞれが仕事をするようになり集まる機会も減っていった。

 

 

 

「じゃあ、行くか」

 

 

 

 パトがそう言うと、三人は出発した。

 

 

 

 村を出て少し先に紅葉樹の森がある。秋にはそこは燃え盛るように赤く染まる。

 

 

 

 三人はそこへ向かうことになった。

 

 

 

「ここに来るもの何年ぶりか……」

 

 

 

 エスは紅葉の景色を見ながら、懐かしむ。

 

 

 

「8年じゃないか? パトとはなかなか休みが合わないしな」

 

 

 

 ルンバはそう言うと、歩きを指さした。

 

 

 

「あの木を覚えてるか?」

 

 

 

「ん、あ、あれは」

 

 

 

 そこには小さな傷の付いた木があった。

 

 

 

 

 

 8年前、三人が同じように紅葉を見に行った時のことである。

 

 

 

 三人は談笑しながら歩いていると、目の前に一匹のモンスターが現れた。

 

 

 

 それはウサギのような見た目だが、頭にはツノがあり、尻尾がギザギザしているモンスター。

 

 

 

 決して強いモンスターではない。

 

 

 

 しかし、パト達三人はアマルの授業を抜け出して、ひっそりと遊びに来ていたのだ。

 

 

 

 外にはモンスターがいる。村からはさほど離れた場所ではない。こんな場所で現れるのは稀だ。

 

 

 

「ど、どうする!」

 

 

 

 エスはビビりながら何か対策がないか考える。

 

 

 

 そんな中、パトは二人を守るように前に出た。

 

 

 

「エス、ルンバ、お前達は逃げろ」

 

 

 

 授業を抜け出して気楽に来ただけだ。武器などは何ももっていない。

 

 

 

 うさぎのモンスターは一匹だが、武器なしの子供では倒すことはできない。

 

 

 

 エスとルンバは恐怖から動くことができなくなってしまう。

 

 

 

 ここはなんとかするしかない。

 

 

 

 パトは一人モンスターに立ち向かう体制になる。

 

 

 

 

 続く

 

 

 

 

 

 

 



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 第2話  【秋のピクニック 其の2】

 せかへい 外伝1

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第2話

 【秋のピクニック 其の2】

 

 

 

 パトはモンスターと対峙する。しかし、武器を持っているわけではない。

 

 

 

 だが、パトは自分から前に出て、モンスターの目を惹きつけた。それは後ろにいるエスとルンバに攻撃させないためだ。

 

 

 

 モンスターは一匹。うさぎのような見た目をしている。頭にあるツノで突進してくると聞いたことがある。

 

 

 

 パトはモンスターを惹きつけると走り出した。

 

 

 

 モンスターはパトを標的にすると、パト目掛けて頭突きを仕掛けてきた。

 

 

 

 しかし、パトはギリギリのところでモンスターの攻撃を躱す。パトは転けてその場で倒れてしまう。

 

 

 

 モンスターはツノが近くにあった木に刺さるが、すぐに抜け出して再びパトを標的にした。

 

 

 

「パトーー!!」

 

 

 

 エスとルンバが叫ぶ。それと同時にモンスターがパト目掛けて頭突きを仕掛ける。

 

 

 

 ここまでか、そう思った時、

 

 

 

 モンスターに炎の弾が直撃した。

 

 

 

「ふぅ、危なかった」

 

 

 

 そこに現れたのはアマルの父親であり、村の警備をしているマティルであった。

 マティルは授業中に姿を消した三人を探しにきていたのだ。

 

 

 

 こうしてモンスターによる被害は起こらず、無事に帰ることができた。

 

 

 

 

 

「そんなこともあったな〜」

 

 

 

 パト達は懐かしむ。

 

 

 

 木には昔モンスターが突っ込んだ跡が残っていた。しかし、昔よりも其の傷の位置が低く感じる。これはパト達が成長したからだろうか。

 

 

 

「お、着いたな」

 

 

 

 紅葉樹の森の先には小さな湖がある。赤や黄色の木に囲まれ、青いはずの湖は紅く揺れる。

 

 

 

 パト達は湖に映る自分たちの姿を見ながら、昔の姿を思い出しながら今の姿を比べる。

 

 

 

 成長した姿は昔に比べてどうなっているのか。良くなったことも悪くなったこともあるだろう。しかし、それを全て合わせて自分という存在になるのだ。

 

 

 

「んじゃ、そろそろ帰るか」

 

 

 

 パトがそう良い二人を連れて帰る。

 

 

 

「ああ、そうだな。俺このあと夜勤だし」

 

 

 

 エスはこの後の予定を言う。

 

 

 

 ほんのちょっとの休憩時間。しかし、それが彼らに休息を与えてくれた。そして過去に一瞬でも戻してくれた。

 

 

 

「そういえば、パトはこの後何をするんだ」

 

 

 

 ルンバはパトに聞く。

 

 

 

「ん、ああ、エリスにちょっと呼ばれててな。手伝って欲しいことがあるんだと」

 

 

 

 エスは頭の後ろで腕を組む。

 

 

 

「またあいつ帰ってきてるのか」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

「本当に王国の学校の学生か?」

 

 

 

「でも、エリスの凄さは知ってるだろ」

 

 

 

「ま、そうなんだけどよぉ」

 

 

 

 彼らは村に着いた。

 

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 



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 第1話  【温泉に行こう】

 せかへい 外伝2

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【温泉に行こう】

 

 

 

 今日は村にある人物がやってきていた。

 

 

 

「ねぇ、パト、まだ?」

 

 

 

 彼女の名前はエリス・グランツ。王立魔法学園に通う魔法使いであり、パトの幼馴染だ。

 

 

 

「あー、もう準備できるよ」

 

 

 

 今日は研究の手伝いをエリスに頼まれ、俺は隣の村に行くことになった。

 

 

 

「早く〜」

 

 

 

「だからもう終わるって!!」

 

 

 

 急かしてくるエリスにパトはもうすぐ終わると伝える。

 

 

 

 隣の村まで行き、研究をしてから帰る。1日で終わるはずがなく、数日滞在する予定になっている。

 

 

 

 パトは行く前にできるだけの仕事を終わらせておいて、残りは父親に任せようという形にした。

 

 

 

 そのためさっきまでずっと机で書類仕事を続けていた。

 

 

 

 やっと仕事も終わり、支度の準備を終わらせると、エリスと合流。隣の村へ向かうことになった。

 

 

 

「てか、なんで俺が着いていかなきゃなんないんだよ」

 

 

 

「あんたが着いてこなかったら、誰が私の世話をするのよ」

 

 

 

「どっかのお嬢様か!! てか、それで王国にいる間はどうやって生活してるんだよ」

 

 

 

「嫌だからちょくちょく帰ってくるんじゃない」

 

 

 

「おい」

 

 

 

 隣の村までは歩いて半日ほどかかる。

 

 

 

 今回は荷物も少ないし、経費なども問題もあり、徒歩で行くことになった。

 

 

 

 パト達は朝早くに村を出発する。問題がなければ、昼には隣の村のコット村に着くはずだ。

 

 

 

 村から村までの道のりは森を超えていくことになる。

 

 

 

 パト達は村を出て早速その村に入った。村は生い茂り、空を見上げても青空はなく緑のカーテンが空を覆う。

 

 

 

「なんか、モンスター出てきそうだなぁ」

 

 

 

 パトがボソリとそんなことを言うと、

 

 

 

「そう言うことを言ってると……」

 

 

 

 パト達の前に突如、草むらから何かが飛び出してくる。それは鋭い角を持ち、大きな花を持ったイノシシのようなモンスター。

 

 

 

 しかし、イノシシとの大きな違いは色が紫色という点だ。

 

 

 

「こうやってモンスターが現れるのよ」

 

 

 

 そう言い、エリスはモンスターに向かって杖を向ける。

 

 

 

 いつもめんどくさがり屋のエリスが、自分から戦闘をしようとするのは珍しい。

 何か邪魔をされたみたいな感じで、軽くモンスターに怒っているようにも感じる。

 

 

 

 しかし、モンスターは一体とはいえ、かなり興奮している。今にも突っ込んできそうな状況だ。

 

 

 

「エリス、どうする?」

 

 

 

 パトが聞くとエリスは杖を持って堂々と前に出た。

 

 

 

「あなたは下がってなさい。ここは私がやる。私がサクッと終わらせてあげる」

 

 

 

 エリスとモンスターの戦闘が始まった。

 

 

 

 

 



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 第2話  【温泉に行こう 其の2】

 せかへい 外伝2

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第2話

 【温泉に行こう 其の2】

 

 

 

 エリスはモンスターを楽々と倒し、パト達は隣の村のコット村に着いた。

 

 

 

「お、パトじゃないか」

 

 

 

 村に着くと、青髪に紫色のバンダナを巻いた女性と出会う。

 

 

 

「シルバさん!」

 

 

 

 彼女の名前はシルバ・マーキュリー。コット村の村長であり、パトに科学文明(アルシミー)について教えてくれた先生のような存在だ。

 

 

 

「どうしてこの村に?」

 

 

 

 シルバは首を傾げながら、パトに聞く。

 パトは親指でエリスを指す。

 

 

 

「エリスの研究に付き合って、この村に来たんだ」

 

 

 

 エリスは帽子を脱ぐと深々と頭を下げた。

 

 

 

「シルバさん、お久しぶりです」

 

 

 

「エリスちゃん、久しぶりね!」

 

 

 

 シルバとエリスは昔に面識がある。

 

 

 

 まだエリスが王立魔法学園に入学する前に、パト達について来てこの村にやって来たことがあるのだ。

 

 

 

 事情を説明したパト達はシルバに宿を紹介してもらい、2部屋を予約する。これでコット村で寝泊まりをすることができるようになった。

 

 

 

「じゃあ、私はパト、手伝ってね!」

 

 

 

 こうしてエリスの研究に付き合うことになった。

 

 

 

 まぁ、しかし、パトには何をやっているのかわからず。村をグルッと周り、見かけた村人に声をかけて色々質問して回っているだけだ。

 

 

 

 やがて日が暮れて、パト達は宿に戻る。

 

 

 

「はぁ、疲れた〜」

 

 

 

 エリスは二つの部屋を借りたのだが、パトの部屋のベッドまでやってきて倒れた。

 

 

 

「おい、自分の部屋で寝ろよ。俺だって疲れてるんだから」

 

 

 

「まだやることがあるの。寝そうになっても起こしてもらわないと」

 

 

 

「俺はお前の執事か」

 

 

 

 そんなやりとりをしていると、部屋の扉がノックされる。

 

 

 

「どうぞ〜」

 

 

 

 エリスは人が来たのを察知すると素早く姿勢を正す。

 

 

 

「いや、お前が言うなよ!」

 

 

 

 部屋の扉が開かれると、そこから現れたのはシルバだ。

 

 

 

「お、二人とも丁度いるね」

 

 

 

 すると、シルバは最近村に新しくできたと言う温泉を紹介してくれた。

 

 

 

「今日一日歩き回って疲れたでしょ。なら、丁度いいんじゃない」

 

 

 

 サージュ村には銭湯はあるが温泉はない。コット村では地下を掘っている最中に偶然掘り当てて、そこを開発したらしい。

 

 

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 

 

 パトが礼を言うと、シルバはニコニコして帰って行った。

 

 

 

 シルバはパトが父親のガオの次に尊敬する人物だ。

 

 

 

 彼女だって仕事で疲れているはずなのに、それだけを伝えるためにやって来てくれた。

 

 

 

「よし、エリス。せっかくだから行くか」

 

 

 

 パトが立ち上がり、行こうとエリスに言うとエリスは、

 

 

 

「まだ〜」

 

 

 

 すでに準備を終えていた。

 

 

 

「はや!!」

 

 

 

 

 

 

 

 



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 第3話  【温泉に行こう 其の3】

 せかへい 外伝2

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第3話

 【温泉に行こう 其の3】

 

 

 

 

 コット村の外れにある木造の建物。ここがコット村に新しくできた温泉だ。

 

 

 

「じゃあ、またな!」

 

 

 

 パトとエリスはそれぞれ男と女の暖簾を潜り、中に入る。

 

 

 

 脱衣所で服を脱ぎ温泉に行くと、そこは見上げると夜空の広がる温泉。

 壁は木造で囲まれているが、天井が空いていることで開放感がある。床はゴツゴツした岩が敷き詰められていて、少し痛い気もするがまたそれが気持ちいいような感じもする。

 

 

 

 パトは温泉に肩まで浸かり、ゆっくりと身体を休める。そうしていると木造の壁の反対側からエリスの声が聞こえる。

 

 

 

「パト〜、いる〜?」

 

 

 

「ん、いるぞー!」

 

 

 

「石鹸いる?」

 

 

 

 温泉には石鹸が設置されている。必要ないと感じたパトは、

 

 

 

「大丈夫だ」

 

 

 

 というが、エリスは続ける。

 

 

 

「王都で買った。ちょっと良い石鹸なの。あなたの匂いも少しマシになるかもよ」

 

 

 

「俺が臭いってか!!」

 

 

 

「そりゃ〜、あなたのお父さんの次に臭いよ!」

 

 

 

 それは結構傷つく。

 

 

 

「わーたよ。じゃあ、ちょっと貸してくれ!」

 

 

 

「はいはーい」

 

 

 

 壁の向こうから石鹸が飛んでくる。俺は頭上でキャッチしようとするが、うまくキャッチできず石鹸が手から滑ってしまい頭にぶつかる。

 

 

 

「痛っ!」

 

 

 

 そのあと、石鹸を使い身体を綺麗に洗う。

 

 

 

 言っていた通り、良い匂いのする石鹸だ。

 

 

 

 

 

 

 身体を洗い、スッキリとする。ゆっくり温泉で休むことができた。

 

 

 

「いや〜、気持ちよかった」

 

 

 

 温泉を上がったあと、パト達は牛乳を飲む。

 

 

 

「美味しいなぁ」

 

 

 

 二人の口には牛乳がつく。

 

 

 

 こうして二人の休憩は終わった。そして次の日もこの日同様に、村をずっと歩き回った。

 そして夜はエリスはずっと書いたことをまとめて、三日後には研究を終えてエリス達はサージュ村に帰ることにした。

 

 

 

「ではシルバさん、また!」

 

 

 

「ああ、また来いよ!」

 

 

 

 エリス達は無事にサージュ村に帰ることができて、パトはすぐにガオと仕事を交代し、残っていた仕事を始める。

 エリスはコット村に行った時にまとめた資料をさらにまとめて、論文を書く。

 

 

 

 そして無事にパト達のちょっとした研究の旅は終わった。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

後書き

 

 

 今回は三話までの長い話になりました。短編集してこちらの作品は書いていきたいので、なるべく長くない話にはしたいのですが、気づいたらこのような形になってました。

 次回からもこのように話数が長い短編もあるだろうし、一話完結もあるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 



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 第1話  【読書をしよう】

 せかへい 外伝3

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【読書をしよう】

 

 

 

 

 サージュ村。ここは平和な村だ。

 

 

 

「パト、おはよ〜」

 

 

 

 村人の一人が茶髪の少年に声をかける。

 

 

 

 彼の名はパト・エイダー。サージュ村の村長の息子で、将来は村の村長になることを夢にしている。

 

 

 

 

「おう! エス!!」

 

 

 

 そしてパトに話しかけてきたのは、サージュ村で門番として働くエスだ。

 

 

 

 エスは槍を持っていて、門番の仕事を交代し、仕事を終えた後のようだ。

 

 

 

 

「あ、そうだ。パト」

 

 

 

 エスはパトを見て何かを思い出す。

 

 

 

「そういえば、本が欲しいって言ってたよな」

 

 

 

「ああ!」

 

 

 

 パトは頷く。すると、エスは、

 

 

 

「父が王都に行った時、新しい本を買ってきたんだ。で、また買った本が使いきれなくて余ってたりするんだ。よければいるか?」

 

 

 

「本当か!?」

 

 

 

 パトは嬉しそうに答える。

 

 

 

 エスの父は作家であり、王国では有名な作家だ。多くの作品を売り、作品を書くために王国から本を大量に買い込んでいる。

 

 

 

「是非くれ!」

 

 

 

 パトはエスから余り物の本をもらうことにした。

 

 

 

 パトがエスの家に行くと、エスの母が出迎えてくれる。

 

 

 

「パト君、いらっしゃい〜」

 

 

 

「あ、どうもです! お邪魔します!」

 

 

 

「ゆっくりしていってね」

 

 

 

 エスは家にある図書室にパトを案内する。エスの家はサージュ村で一番多くの本が置かれている。

 

 

 

 その中からエスは数冊の方を取り出す。

 

 

 

 

「一応要らないって言ってたのはこの辺なんだが……欲しいのはあるか?」

 

 

 

「うーん、そうだなぁ」

 

 

 

 エスの出した本は雑多であり、王国の歴史や、魔法についての本、文明文化についての本など多くのものがある。

 

 

 

「じゃあ、これもらって良いかな?」

 

 

 

 パトが手に取ったのは科学文明(アルシミー)についての本。

 

 

 

「ああ、良いぞ!!」

 

 

 

 エスはパトに科学文明(アルシミー)についての本を渡した。

 パトはウキウキで本を受け取る。

 

 

 

「ありがとう!!」

 

 

 

 パトは元気よく礼を言った。

 

 

 

 その後、パトはエスの家で談笑をした後、遊んでしばらくして家に帰った。

 

 

 

 パトはエスに貰った本を自分の家の本棚にしまう。パトの部屋の本棚にはいくつもの本が並んでいる。

 

 

 

 本棚には科学文明(アルシミー)に関する本が大量に保管されていた。

 

 

 

 パトは新しく増えた本を見ながら、満足そうに本棚を見つめる。

 

 

 

「これが将来的に役に立つと良いなぁ」

 

 

 

 パトはそう言いながら、部屋にある机で書類仕事を始めた。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 今回は1話完結でしたー!!

 

 

 村人達の職業や人間関係をどんどん公開できると嬉しいです。

 

 

 

 

 



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 第1話  【天使】

 せかへい 外伝4

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【天使】

 

 

 

 

 これは古代のお話。人々は作物を育て、裕福ではないにしろ。その時代を幸せに暮らしていた。

 

 

 

 そんなある日、一人の天使が人々の前に降り立った。天使は人々に知識や力を与え、生活を豊かにしていった。

 

 

 

 そんな中、天使と共に協力して人々を支えていたのが、二人の兄弟だ。

 

 

 

 二人の兄弟は天使に与えられた力を、それぞれのやり方で活用し、人々の生活を発展させていった。

 

 

 

 ある時、人類を嵐が襲う。嵐は人々に大きな被害をもたらした。しかし、これほどの大きな災害であったのに、誰一人死者が出ることはなかった。

 

 

 

 それは天使と二人の兄弟の協力により、人々を守ることができたからだ。

 

 

 

 

 

 だが、ここから悲劇が起こる。

 

 

 

 二人の兄弟は天使に恋をしていたのだ。

 

 

 

 それから二人の争いが始まった。

 

 

 

 最初は小さなことからだった。ちょっとした会話、ちょっとした仕事。それが徐々に大きくなり始めた。

 

 

 

 そして二人の力を使うようになった。お互いの得た力を行使して、天使にどれだけ自分の方がすごいのかそれを見せつけようとした。

 

 

 

 二人に協力するものも現れ、二人の争いはやがて個人のものではなくなった。

 

 

 

 二人は人々を動かし、戦争を始めた。二人はお互いの得た力を見せつけ合い、ぶつけ合った。その力は強大であり、大陸に大きな空洞を作った。

 

 

 

 やがて戦争が終わった。

 

 

 

 天使は戦争中に幽閉されていた。戦争が終わり、外に出ると待っていたのは一人であった。

 

 

 

「彼は……?」

 

 

 

 天使はそう尋ねた。しかし、兄弟の一人は答えることはなかった。

 

 

 

 人類は増え、人々は栄え始めた。そして天使と兄弟の一人は子を作った。その子はやがて、国を作った。

 

 

 

 国は発展し、時間の経過で人は寿命で死ぬ。しかし、天使は人の何梅もの寿命があり、国をずっと見守り続けた。それは何代にも続いた。

 

 

 

 終戦後。消えた残りの兄弟はどこに消えてしまったのか。彼は何を残したのか。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 後書き、

 

 

 

 今回はパト達のメインの話とは少し外れた話を書きました。しかし、本編には一番関係のある話であります。是非こちらの話も含めて、本編の「世界最強の兵器はここに!?」もご覧ください。

 

 次回は何を書くかまだ考えてませんが、今まで通りに短編シリーズを続けていく予定です。本編の方もストックの様子を見ながら、公開していくので、お楽しみに!!

 

 

 では、ご覧くださり、ありがとうございました!!

 

 

 

 

 

 

 

 



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 第1話  【反転世界】

 せかへい 外伝5

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【反転世界】

 

 

 

 

 王国から離れた地には反転した世界がある。そんな噂を聞いたことがある。

 

 

 

「エリス先輩ー!」

 

 

 

 シーヴ・レーベル。エリスを慕う王立魔法学園の後輩であり、エリスと同じく魔法の知識はかなり高い。

 

 

 

 シーヴは校内でエリスを見つけて、声をかける。

 

 

 

「ん、シーヴ。何か用?」

 

 

 

「用っていう用はないんですけど」

 

 

 

「じゃあ、また……」

 

 

 

「いや、ちょちょ待ってください!!」

 

 

 

「何よ」

 

 

 

 シーヴは立ち去ろうとするエリスを止める。

 

 

 

 しかし、止めたは良いが何を話せば良いのかわからない。迷って考えていると、

 

 

 

「用がないなら」

 

 

 

 再びエリスは立ち去ろうとする。

 

 

 

「ちょ、待ってくださいよぉ〜!! なんでそんな急いでるんですか!!」

 

 

 

「急いでないよ」

 

 

 

「じゃあなんで!」

 

 

 

「用がないから」

 

 

 

「あーもう!! あります!! ありますよ!!」

 

 

 

 シーヴはムキになってそう答えた。

 

 

 

 

 王立魔法学園には多くの設備が整っており、その中の一つに校内で学生や先生が休める場として、喫茶店が整備されている。

 

 

 

 授業の合間に友達と話す学生や課題を進める学生など多くの人たちがいる。

 

 

 

 そんな中、窓際の席で二人の生徒が座っていた。

 

 

 

 店内に入る時に注文は済ませているため、完成次第テーブルに注文した品が持って来られる。

 

 

 

 しかし、エリスは注文した品が届くよりも早く、話を始めた。

 

 

 

「それでなんなの?」

 

 

 

 ゆっくり話す機会が得られたかもと機会したシーヴであったが、エリスの態度にちょっとがっかりしながらも答えた。

 

 

 

「最近噂の反転村って知ってますか?」

 

 

 

 エリスは腕を組む。

 

 

 

「全てが反転してるって噂の?」

 

 

 

「さすがはエリス先輩情報が早い。そうです。その村です」

 

 

 

 最近生徒達の間で噂になっている都市伝説的な村の噂だ。

 

 

 

 村の敷地だけ重力が逆さになっていて、村が逆さに作られているという。住む住民も逆さになっていて、その敷地だけおかしな空間になっているという。

 

 

 

「少しだけ話を聞いたことがあるだけよ。でも、それがどうしたの?」

 

 

 

 シーヴはエリスの真似をして腕を組む。

 

 

 

「いえ、先程面白い話を聞きまして、本当にこの村があるかもしれない可能性が増したんです」

 

 

 

 エリスはシーヴが真似したのに気づいて、腕を組むのをやめる。

 

 

 

「それはどういうこと?」

 

 

 

 シーヴもエリスが腕を組むのをやめたので、真似をしてやめる。

 

 

 

「その反転村に行ったことがあるという人物が現れたんです!」

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 今回は反転している村についてのお話です。

 

 シーヴは本編にも登場するキャラです。

 

 

 

 

 

 



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 第2話  【反転世界 其の2】

 せかへい 外伝5

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第2話

 【反転世界 其の2】

 

 

 

 

 シーヴが言うには最近噂になっている反転村に行ったことがある人物がいるのだと言う。

 

 

 

 反転村とは全てのものが反転していると噂であり、とても人間の住めるような環境ではないはずなのに、そこに暮らす村人がいるというもの。

 

 

 

 だが、実際には噂の領域でおり、確証のある話ではない。

 

 

 

 ある話だと、その村の重力は天に向かって落ちており、その村から落ちると天界に行くことができるとも言われている。

 

 

 

「それでその村に行ったことがあるってのは誰なの?」

 

 

 

 エリスが聞くとシーヴはニヤニヤする。

 

 

 

「少し興味が湧きましたか?」

 

 

 

 しかし、エリスは冷たく一言で返す。

 

 

 

「……ええ、そうね」

 

 

 

 ちょっとシーヴは落ち込むが、すぐに立て直して説明を始める。

 

 

 

「それでですね! 一緒に調査しませんか!!」

 

 

 

 シーヴが勇気を出して、エリスに一緒に調査をしないかと聞いた。

 

 

 

 

 

 まずはその反転村に行ったという人物を探すところから始まった。

 

 

 

 生徒達に聞き込みをして、学校中を歩き回る。そしてしばらく探し回った末にやっとその人物を見つけることができた。

 

 

 

 その人物は新入生であり、まだ少し幼さが残る女の子。

 

 

 

 彼女の教室に行くと、すでにその子の周りには生徒達が集まり様々な話をしていた。

 

 

 

 エリスとシーヴはその輪を割って入り、その生徒の前に立つ。

 

 

 

「少し良いかしら?」

 

 

 

 エリスがそう聞くと、周りの生徒がエリスの顔を見る。そして衝撃を受ける。

 

 

 

「え、エリス先輩だ!!」

 

 

 

「ほ、本物!?」

 

 

 

 エリスは校内ではもう名前が十分に広がった大物だ。

 

 

 

 凄まじい魔法の才能と知識を見せつけて、この学校に入学した。

 それにそれだけではなく、すでに先生達を超えており、もう卒業できる実力を持ちながら学校に残っている理由は、先生達に授業をしているという噂がある。

 

 

 

 女性生徒は聞く。

 

 

 

「えっと、私に何か用ですか?」

 

 

 

 まさか、自分に話しかけてくるとは思っていなかったのか。少し驚いた様子だ。

 

 

 

「反転村について話を聞かせて欲しいの」

 

 

 

 

 

 

 エリス達は女性生徒を連れて、校内にある中庭に移動した。

 

 

 

 中庭は花や草木が整理されて育てられており、風水なども設置されている。

 

 

 

 エリス達は屋根付きの大理石で出来たベンチで座る。

 真ん中にはテーブルがあり、それを囲むように椅子が設置されている。

 

 

 

 早速エリスは本題を聞く。

 

 

 

「それであなたは本当に反転村に行ったの?」

 

 

 

 すると、女性生徒はゆっくりと口を開く。

 

 

 

「はい、一度だけですが、小さい頃に……」

 

 

 

 続く

 

 

 

 

 

 



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 第3話  【反転世界 其の3】

 せかへい 外伝5

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第3話

 【反転世界 其の3】

 

 

 

 

 反転村とは全てのものが反転している村であり、村の建築物や水流、人までもが反転している世界である。

 

 

 

 その村の上空は地下にあり、無限に続く地下であるとも言われている。それてその地下の先には地下の空洞と繋がっており、そこには世界を揺るがす大罪人が囚われているとも言われている。

 

 

 

 そんな村が本当に存在するのか。今までは噂でしかなかった村だ。しかし、最近その村に行ったことがあるという人物が、オーボエ王国の王立魔法学園に入学してきた。

 

 

 

 エリスとシーヴはその真実を確かめるべく、行動を起こすのであった。

 

 

 

「それで本当の話?」

 

 

 

 エリスが聞くと少女は答える。

 

 

 

「はい、本当です。小さな頃の話ですが……」

 

 

 

 

 

 

 私は行商人の家の娘で、父は取引のために多くの村を点々と旅をして取引をしてきました。

 ある時、私もその旅について行くことになり、馬車に乗って大陸の各地を移動しました。

 

 

 

 そんなある時です。

 

 

 

 私は父達が取引をしている間に、私は村の子供達と一緒に遊んでいました。でも、道に迷ってしまい、森の中に迷い込んでしまったんです。

 

 

 

 その時は誰も近くにいなくて、とても心細かったです。

 

 

 

 そんな時、見つけたんです。全てが逆さになっている村を!!

 

 

 

 

 村を囲うように円状に、おかしな空間が広がっており、そこだけ地面が逆さになってました。

 

 

 

 下は暗くずっと続く地下。でも、モノは下に落ちていくのではなく、上に上がっていく。

 本当に重力が逆さになってました。

 

 

 

 地面は空高く伸びていて、でも、少し前までそんな高いものは見えていなかったのに、突然現れたんです。

 

 

 

 そこには村人もいました。村の中に入ると、私も逆さになり、違和感はなかったです。

 

 

 

 村人達はとても優しくて、私に帰り道を教えてくれて、それで帰ることができました。

 

 

 

 

 少女の話を聞いたエリスは尋ねる。

 

 

 

「それはどこの村の近くなの?」

 

 

 

「それが記憶があやふやなんです。私だけじゃなくてその場にいた人間、誰もがです」

 

 

 

「それは……」

 

 

 

「おそらく行ってはいけない場所だったんです」

 

 

 

 少女は立ち上がる。

 

 

 

「先輩達もこの件に関してはほどほどにした方が良いですよ」

 

 

 

 そう言うと、少女は頭を下げて、この場から離れていった。

 

 

 

 記憶が残らない。

 

 

 

 少女の話が本当のことだとは思えない。重要な情報がないという点で、信憑性に欠ける。

 

 

 

 だが、それは少女の話を聞いただけだったらだ。エリスには少し思い当たることがあった。

 

 

 

 続く

 

 

 

 

 



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 第4話  【反転世界 其の4】

 せかへい 外伝5

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第4話

 【反転世界 其の4】

 

 

 

 シーヴは頭を下げる。

 

 

「すみません、エリス先輩!! なんの情報も得られなくて!!」

 

 

 

 しかし、エリスは首を振る。

 

 

 

「まだ諦めるには早いよ。付いてきて」

 

 

 

 そう言い、エリスはシーヴを連れて歩き出す。

 

 

 

 シーヴを連れてきたのは王立魔法学園にある図書館だ。

 

 

 

 そこには多くの本があり、王国で一番多く本が保管されている。

 

 

 

 本棚は人の三倍ほど積み上げられており、上の方に置いてある本を取るためには梯子を使うなどする必要がある。

 

 

 

「あそこにある本を取ってきてくれる?」

 

 

 

 エリスはそう言うと、一番上の方にある赤い本を指さす。

 

 

 

「俺?」

 

 

 

 シーヴは自分のことを指さす。

 

 

 

「あなた以外誰がいるのよ」

 

 

 

 シーヴは嬉しそうに「はい!!」と返事をすると、梯子を持ってきて上に登っていく。

 

 

 

「この本ですか?」

 

 

 

 シーヴはエリスが指した本を取ると、エリスに見せて確認する。

 

 

 

「そうよ」

 

 

 

 シーヴは梯子からジャンプして降りる。

 

 

 

 高さはかなりあるが、シーヴは余裕で着地した。

 

 

 

「どうぞ!!」

 

 

 

 シーヴはエリスに本を渡す。

 

 

 

 エリスは本を開くと、本の内容を確認する。

 

 

 

「これは私の仮説なんだけど……」

 

 

 

 そう言うと、エリスは自分の考えを話す。

 

 

 

 

 大陸には世界の始まりの木となった大樹があると言われている。

 

 

 

 それは不思議な力で守られており、通常ではたどり着くことも、見ることもできないと言う。

 

 

 

 その木は大陸の西側にあると言われており、木のある近くは魔素が集まりやすいと言う噂もあり、魔力を求めてオーボエ王国とフルート王国の間で戦争が起きたこともあった。

 

 

 

 エリスの仮説はその木が反転村なのではないか。と言うものである。

 

 

 

 その木は地界から天界まで繋がる巨大な大木であり、世界の柱となっている。

 

 

 

 もしも、反転村と神話に登場するその木が存在するのなら、その二つは関係性があるのかもしれない。

 

 

 

 大昔に王国を作ったと言われる人物達。王族や貴族は天族の子孫であると言われており、もしかしたらその木を伝って、この下界にやってきたのかもしれない。

 

 

 

 情報が少ない以上、これを調べる手段はこれ以上ない。

 

 

 

 しかし、この知識は今後、何かに使えるかもしれない。

 

 

 

 エリスはこの記憶を留めておくことにした。

 

 

 

「で? これ行けないんですか?」

 

 

 

「行ったでしょ。今の状況じゃ、行けないのよ」

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 今回はちょっと長めのストーリーでした。

 

 

 

 この短編はもしかしたら本編にも関係が出てくるかも!?

 

 

 

 ご覧くださり、ありがとうございました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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 第1話  【ハロウィン討伐】

 せかへい 外伝6

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【ハロウィン討伐】

 

 

 

 ハロウィンパーティーが始まり、村は大盛り上がり、そんな中、防壁では静かに時が過ぎていた。

 

 

 

「あ〜、あ〜、暇だなぁ」

 

 

 

 エスは槍を持ちながら、そんなことを言う。

 

 

 

「おい、あまりサボるなよ」

 

 

 

 そんなエスにマティルは言う。

 

 

 

 村の中心では祭りが行われているが、今日は二人が門の見張りをしている。

 

 

 

「ま、中では祭りの最中だしな」

 

 

 

 そう言い、マティルは腕を組んだ。

 

 

 

 そんな調子で門番をしていて、しばらく経った頃。

 

 

 

「ん、あれなんですか?」

 

 

 

 エスが防壁の外に何かを見つけた。

 

 

 

「なんだ?」

 

 

 

 それはオレンジ色の球体に下には緑色の何かがついている。

 

 

 

 しかし、草原の先にいるため、その正体がなんなのか遠くて見えない。

 

 

 

「エス、双眼鏡を持ってこい」

 

 

 

 マティルはそう、エスに指示をする。

 

 

 

「はい!」

 

 

 

 エスは急いで双眼鏡を倉庫から持ってくる。

 

 

 

 マティルはエスから双眼鏡を受け取ると、汗を流した。

 

 

 

「あれは…………」

 

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

 

 マティルはエスに双眼鏡を渡す。

 

 

 

「モンスターについて知識はあるか?」

 

 

 

「少しですが……」

 

 

 

 エスか双眼鏡を貰い、さっき遠くに見えた物を見てみると、

 

 

 

「あれは!?」

 

 

 

 顔のついたカボチャが三つほどあり、その下にはウネウネとうねる緑色の蔦。

 

 

 

「ランクBのモンスター、カボトレントだ」

 

 

 

 

 カボトレント。木に擬態するモンスターのカボチャバージョンであり、カボチャなどが大量に実る頃に、カボチャ畑などに隠れて、農家を襲う。

 

 

 

 基本的には収穫の前に冒険者を雇い、討伐をお願いするモンスターである。

 

 

 

 しかし、あの個体はどういう経緯で草原に現れたのかが不明だ。

 

 

 

 どこかで自然に実っているカボチャに擬態にて誕生したのか、それともどこかの村で討伐に失敗してここまでやってきたのか。

 

 

 

 だが、どちらにしろ。

 

 

 

「エス、武器を持て! 俺たちで討伐するぞ」

 

 

 

 マティルはそう言うと、腰にかけてある剣を抜く。

 

 

 

 村では祭りの最中だ。ここは門番である二人で討伐したい。

 

 

 

 それに奴がトレントと分かったからには、ここから離れるわけにはいかない。

 奴を一度でも見失えば、すぐに擬態してしまい、探すのが困難になってしまう。

 

 

 

 犠牲を出さないためにも、見えているうちに討伐するの一番だ。

 

 

 

「はい! やりましょう!!」

 

 

 

 エスも門の柱に横掛けに置いていた槍を手にする。

 

 

 

「俺たちで討伐する!!」

 

 

 

 二人はカボトレントに向かっていった。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 今回は村の門番であるエスとマティルのお話です。

 

 

 ハロウィンの話の続きになります。

 

 

 



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 第2話  【ハロウィン討伐 其の2】

 せかへい 外伝6

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第2話

 【ハロウィン討伐 其の2】

 

 

 

 

 エスとマティルはカボトレントの元に向かう。

 

 

 

 カボトレントは、カボチャの部分の大きさは通常のカボチャと変わらないが、根っこの部分が以上に長い。

 

 

 

 カボトレントの根っこは地面に埋まっていて、目視はできないが、最大で三メートルほど伸びると言われている。

 

 

 

「これ以上近づくな」

 

 

 

 マティルはカボトレントから其の最大サイズの倍の数、六メートルほど距離を取って止まった。

 

 

 

 カボトレントは、その根っこを地面から操作して攻撃してくる。

 そのため接近戦による戦闘はお勧めされない。

 

 

 

「ここから俺が魔法で攻撃する。何かあれば、そこから援護を頼む」

 

 

 

 マティルはそう、エスに告げる。

 

 

 

 マティルは昔は王都に暮らしていたこともあり、それに王立魔法学園を卒業している。

 

 

 

 エリスと比べると、魔法使いとしての腕は低く感じてしまうが、それでも一流の魔法使いだった。

 

 

 

「はい!」

 

 

 

 エスは槍を構えて、何があっても対処できるようにする。

 

 

 

「大丈夫。すぐに終わる!」

 

 

 

 マティルの手に魔法陣が現れると、魔法計算を行い、炎の弾が現れる。

 

 

 

「一撃で終わらせる! 炎の弾(パルフラム)!!」

 

 

 

 マティルはその弾をカボトレントに向けて放った。

 

 

 

 カボトレントは炎に包まれて、苦しむ。

 

 

 

 トレントには炎系の魔法が有効だ。植物に擬態することにより、より燃えやすい素材になっていることが多い。

 

 

 

 だが、カボトレントもこのままでは終わらない。

 

 

 

 カボトレントは根っこをうねうねと動かすと、自身の元に集める。そして、地面から飛び上がった。

 

 

 

 トレントは植物を元にモンスターとなった魔素の集合体だとされやすいが、正確には違う。

 

 

 

 魔素は近くにある動物の性質を元に形となりモンスターとなる。

 そのため、植物が元とされることはない。

 

 

 

 かなり形は変わっているが、トレントの元は虫である。

 

 

 

 草木に擬態する虫の特徴を受け継いだモンスターであり、その擬態するという点を強調して生成されたのがトレンドとなるのだ。

 

 

 

 そのため根っこは地面に埋まっているが、移動する際には地面から抜いて足になる。

 

 

 

 トレントは足を使って飛び上がったのだ。

 

 

 

「まだやるか」

 

 

 マティルは再び魔法計算を行う。

 

 

 

 マティルの得意魔法は炎と風である。そしてその両方を合わせた必殺技。

 

 

 

「なら、俺の十八番で終わらせる」

 

 

 

 魔法陣はカボトレントの真下にある地面にも現れる。そして魔法計算が終わると、

 

 

 

「くらえ! 風炎」

 

 

 

 カボトレントを包む炎の竜巻が現れた。

 

 

 

 炎の竜巻はカボトレントを完全に消滅させた。

 

 

 

「お疲れ様です、マティルさん」

 

 

 

「いやいや、俺はお前がいたからこんな大技を撃てたんだ。こいつは時間がかかる。俺一人だと隙が多すぎてできなかったよ」

 

 

 

 

 こうして村にひっそりと訪れていた脅威は去ったのであった。

 

 

 

 

 

 



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 第1話  【衣替え】

 せかへい 外伝7

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【衣替え】

 

 

 

 

 サージュ村も夏が終わり、秋になる。そして季節は寒い季節になってきた。

 

 

 

 村人達は寒さに備えるために、準備をしていた。

 

 

 

「おーい、パト」

 

 

 

 パトのことを呼ぶのは、父親であるガオだ。

 

 

 

 ガオは家にあるリビングで部屋の掃除をしていた。

 

 

 

 パトは自分の部屋で書類仕事をやっていたが、呼ばれたため部屋の扉を開けて顔を出す。

 

 

 

 全身を出すわけではなく、扉を少しだけ開けて顔だけを出している状況だ。

 

 

 

「どうしたの? 父ちゃん」

 

 

 

 パトがそう聞くと、ガオは掃除をしながら言う。

 

 

 

「そろそろ寒くなってきただろ。お前服は大丈夫か?」

 

 

 

「ああ……」

 

 

 

 パトの服は夏用の半袖短パンであった。それを見たガオが心配したのだ。

 

 

 

「そろそろ冬服出すよ!」

 

 

 

 パトはそう言うと、自分の部屋に戻る。

 

 

 

 パトの部屋にはアルシミーに関する本が大量に入れられた本棚と、書類の散らかっている机。そしてベットがある。

 

 

 

 普段着ている服はベッドの上にある壁にハンガーでかけており、そこには二枚の私服と、一枚の正装がかけられている。

 

 

 

 パトはベッドの下に手を伸ばすと、下から木製の箱を取り出す。横縦はベッドの半分程度の大きさの箱で、高さはベッドの下にギリギリ入る程度である。

 

 

 

「確かこの中に……」

 

 

 

 パトがその箱を開けると、中には長袖の服やズボン。または貰い物の服やその他、衣裳類が入っていた。

 

 

 

 パトはその中から必要な服を取り出すと、ベッドの上にある服と取り替える。

 

 

 

「よし、これで良いかな」

 

 

 

 パトは木製の箱をベッドの下にしまう。

 

 

 

 そして扉を開けて、父に報告した。

 

 

 

「一応、服を取り替えたよ」

 

 

 

 そう言ったパトのことをガオは見て一瞬考える。

 

 

 

 そしてゆっくり口を開けた。

 

 

 

「おい、パト」

 

 

 

「ん、なに?」

 

 

 

「お前が着てる服はどうするんだ?」

 

 

 

「…………あ」

 

 

 

 パトはまだ自分の服を変えていなかった。

 

 

 

 その後、パトは今日はそのままで仕事をして、洗い終わった後、もう一度箱を取り出して服をしまったのであった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 ご覧くださり、ありがとうございます!!

 

 

 今回は1話で終わる短編のお話でした。

 

 

 今回は意外とうっかりしていたパトの日常回でした。こういうこともあるかもですね!

 

 

 サージュ村は品物を全て生産できる力はなく。服などは王国から買ってきたものが中心になっています。

 

 

 しかし、王国までは距離があるため、誰かが買い出しに行った時に一緒に買ってくるという形ですね。

 

 

 

 実際に現実も寒くなってきましたね。皆さん、健康にはお気をつけください!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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 第1話  【裏か表か】

 せかへい 外伝8

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【裏か表か】

 

 

 

 エリスは王国にある宿でベッドに横になっていた。

 

 

 

 エリスはオーボエ王国にある王立魔法学園に通う学生である。普段はこの王国にある宿を借りて住んでいる。

 

 

 

 オーボエ王国は笛のように高い建物が並ぶ国であり、エリスが泊まっている宿も上に長い建物である。

 

 

 

 エリスはそんな宿の3階にある部屋に泊まっている。この宿は学園に徒歩5分で着ける便利な場所だ。

 

 

 

 王国の中心に近いということもあり、値段は結構高いがその分快適に暮らしている。

 

 

 

 そんなエリスに不満があるとすれば、ちょっと寂しいということくらいだ。

 

 

 

 今日はすでに授業を終えている。しかし、夕飯にはまだ時間があり、少し暇な時間でもあった。

 

 

 

 エリスが王国に来た理由は、あるものを手に入れるためである。しかし、そのための計画は順調に進んでいる。

 

 

 

 これ以上焦る必要もない。

 

 

 

 エリスは何かないかと、ベッドの上で手を伸ばす。

 

 

 

 すると、あるものがエリスの手に触れた。

 

 

 

 それはひんやりしていて硬い。手に取るとそれは平たく丸い、親指よりも少し大きい程度。

 

 

 

「あ〜、さっきのお釣りか」

 

 

 

 それはこの王国で通貨として使われている金貨である。

 

 

 

 夕食を購入した時のお釣りであり、帰ってきた時にその辺に置いていたのが、近くにあったのだ。

 

 

 

 エリスはそれを手に取ると、ベッドを椅子にして座る。

 

 

 

 そして金貨を見つめた。

 

 

 

 金貨には模様が彫られており、裏表で絵柄が違う。

 

 

 

 エリスはそれを手に持つと、手の甲を上にして指で器用に金貨を転がした。

 

 

 

「…………」

 

 

 

 エリスは一人無言で、そうやって金貨を転がした後、金貨を親指に持ってくる。

 

 

 

 

 

 ──私の望みは叶うか、ちょっとした占い──

 

 

 

 

 エリスはそんなことを思いながら、金貨を親指で弾いた。

 

 

 

 金貨は空中で回転し、やがてエリスの手に落ちてきた。

 

 

 

 エリスは左手の手の甲で金貨をキャッチすると、右手で押さえた。

 

 

 

 そしてゆっくりと右手をどかして、金貨ぎ裏か表か確かめる。

 

 

 

 その結果は…………

 

 

 

「…………」

 

 

 

 裏である。

 

 

 

 しかし、エリスは左手に金貨を乗せたまま、右手で金貨をひっくり返す。そして無理やり表にする。

 

 

 

 そうしてしばらく金貨を見つめた後、エリスは金貨を適当にその辺に捨てると、立ち上がった。

 

 

 

「よっ〜し、ご飯食べよ〜っと」

 

 

 

 そう言うと、エリスはリビングへと向かっていった。

 

 

 

 エリスが捨てた金貨はベッドの上でバウンドして、そのままベッドの壁の隙間に落ちる。

 

 

 

 そして地面に落ちて、音を立てながら回転した後、金貨は裏になってその場に落ちた。

 

 

 

 

 



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 第1話  【カボチャの討伐へ】

 せかへい 外伝9

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【カボチャの討伐へ】

 

 

 

「おーい、まだぁー?」

 

 

 

 ミエは両手を口元に持ってきて、大声を出した。

 

 

 

「ああ、もうちょっとー!!」

 

 

 

 宿の部屋から男の声が聞こえる。

 

 

 

 ミエの横ではダズが暇そうに頭を掻いている。

 

 

 

「まだっすかー?」

 

 

 

「まだー!」

 

 

 

 ダズも暇だったようで扉の奥にいるリトライダーに呼びかけるが、まだ終わらないと帰ってきた。

 

 

 

 ミエは腕を組む。

 

 

 

「てか、何やってるのよ?」

 

 

 

 そんなミエにダズが答える。

 

 

 

「朝食の卵で腹壊したみたいっすね」

 

 

 

「あー、あれね」

 

 

 

「そうっす。リトライダーが昨日一人で買ってきてたやつっす」

 

 

 

 ミエはため息を吐く。

 

 

 

「あれは……腹壊すよ」

 

 

 

 昨日この村に着いた時に、リトライダーは出店でブンブン鶏の卵を買った。しかし、ちょっと変色している部分もあり、明らかに腐っていた。

 

 

 

 話が聞こえたのか。部屋の中からリトライダーが喋る。

 

 

 

「しょうがねーだろ!! ブンブン鶏の卵といえば、そう簡単に食べられるものじゃない!! 高級食品なんだぞ!! だったら、腐っていても安ければ買うだろ!」

 

 

 

 そんな言葉を聞いたミエとダズはお互いに目を合わせる。

 

 

 

「バカね」

 

 

 

「バカっすね」

 

 

 

 ミエは木製の自分の魔法の杖で部屋の扉を開けて三回ほどノックする。

 

 

 

「それじゃ、ガーラ師匠も先に行ってるみたいだし、私たちも行ってるね」

 

 

 

「クエスト中に腹壊しても知らないっすよ〜」

 

 

 

 二人はそう言い、リトライダーの部屋の前から離れる。

 

 

 

「おい、ちょっと待てよ!! おい!! 待ってって!! もうすぐ終わるから!! あ、ちょっと、マジで待って、今気づいた!! トイレットペーパーがない!! ちょ、店主呼んできて! ちょ、あれ、いない? もう行っちゃった? 誰かー!! へループ!!」

 

 

 

 リトライダーの叫びが宿中に響いた。

 

 

 

 

 

 ギルドではガーラが掲示板に貼られたクエストを確認しながら、何をやろうか迷っていた。

 

 

 

「…………こいつは厳しいか」

 

 

 

 自分一人ならどうにかなるクエストもある。しかし、リトライダー、ミエ、ダズの三人がいる以上、あまり高難易度のクエストをやるべきではない。

 

 

 

 しかし、ちょうど良い難易度のクエストがなかなか見つからないのだ。

 

 

 

「どうするか……」

 

 

 

 そう悩んでいた時、ギルドの店員のお姉さんが話しかけてきた。

 

 

 

「えっと、ガーラさんですよね?」

 

 

 

「ああ、そうだ」

 

 

 

「あの水晶(クリスタル)の称号を持つガーラさんですか!! お会いできて光栄です!! 是非あなたに受けてもらいたいクエストがあるのですか!!」

 

 

 

 そう言うと、店員はある紙を差し出した。

 

 

 

続く

 



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 第2話  【カボチャの討伐へ 其の2】

 せかへい 外伝9

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第2話

 【カボチャの討伐へ 其の2】

 

 

 

 

 ミエとダズがギルドに到着すると、入り口でガーラが待っていた。

 

 

 

「あ、クエスト決まりましたか?」

 

 

 

「ああ、一応な」

 

 

 

 ガーラは一人足りないことに気づく。

 

 

 

「おい、リトライダーはどうした?」

 

 

 

「あ、奴なら腹痛っす」

 

 

 

「…………」

 

 

 

 しばらく経って、やっとリトライダーも合流した。

 

 

 

 顔を青くしたリトライダーにガーラは聞く。

 

 

 

「……おい」

 

 

 

「は、はい、大丈夫ですから、……一応」

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 こうして全員集まったということで、クエストを受けるために移動を始めた。

 

 

 

 向かうは村の外れにある畑だ。

 

 

 

「今回のクエストはなんですか?」

 

 

 

 ガーラは無言でミエ達に紙を見せる。

 

 

 

 それはクエスト内容の書かれた紙だ。

 

 

 

 

 

 [カボトレント討伐依頼]

   成功報酬30金貨。

 村のカケラーヌの管理する畑に現れたカボトレントを討伐する。

 

 

 

 

 

「カボトレントってあの!?」

 

 

 

 ミエが言うとガーラは頷く。

 

 

 

「ああ、あのカボトレントだ」

 

 

 

「カボトレントってなんですか?」

 

 

 

「…………知らないのかよ。なんだったんだ、さっきの反応は……」

 

 

 

 ガーラは説明を始める。

 

 

 

 カボトレントはカボチャの実る頃に現れるモンスターでカボチャに擬態するトレントだ。

 

 

 

 正確には虫型のモンスターであるが、モンスターランクはB。かなり強力なモンスターだ。

 

 

 

 ギルドはモンスターの危険性などからそれをランク付けしている。A〜Fランクまであり、その強さなどもそのランクから測ることができる。

 

 

 

 そのため、冒険者のどのモンスターがどのランクに該当しているのかを覚えており、自分の力量と照らし合わせながらクエストを選ぶ。

 

 

 

 しかし、そのランクは所詮は人間の作ったもの。状況などで強さは変化するため、あまり頼り過ぎも良くはない。

 

 

 

 

 

「Bランクモンスターっすか。俺たちでやれるっすかね?」

 

 

 

 ダズは心配そうに言う。ガーラはダズの方を向くことなく、後ろを振り向かず歩きながら答える。

 

 

 

「俺は何度か討伐したことある。ランクの割にはそこまで強いモンスターじゃない。どこにいるのかさえ、わかっていればな」

 

 

 

 そんな会話をしているうちに、ついにクエストの場所に辿り着いた。

 

 

 

 そこは小さな畑である。

 

 

 

 周りには実っている植物がいっぱいあるが、カボトレントの発生により収穫ができていないようだ。

 

 

 

「……良いか。奴はこの畑の中央にいる。無理に突っ込むなよ」

 

 

 

 ガーラは片手斧を持ち上げる。ミエは魔法の杖を、ダズはメリケンサックを腕につける。

 

 

 

「行くぞ!」

 

 

 

 続く

 

 



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 第3話  【カボチャの討伐へ 其の3】

 せかへい 外伝9

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第3話

 【カボチャの討伐へ 其の3】

 

 

 

 

 ガーラが斧でカボトレントの根っこを切り裂く。

 

 

 

「おい、だから突っ込むなって言っただろ!」

 

 

 

 それによりダズとミエがカボトレントから解放された。

 

 

 

「すまないっす」

 

 

 

「ごめんなさい」

 

 

 

 カボトレントはカボチャの頭が三つついており、その下に緑色の根っこが地面に埋まっている。

 本体はカボチャの部分であり、根っこを攻撃しても効果がない。

 

 

 

「一旦退け、体制を立て直すぜ」

 

 

 

「え、退くんすか?」

 

 

 

「カボトレントは移動できるモンスターであるが、基本的にはその場を動かない。近づいてきた敵を捕食するモンスターなんだ」

 

 

 

 ガーラはそう説明すると、二人を連れて少しだけ後ろに下がる。すると、カボトレントは追撃をやめて大人しくなる。

 

 

 

「……と、リトライダーは?」

 

 

 

 ふと気付いたミエが言う。

 

 

 

 そう、気づくとリトライダーがいない。

 

 

 

「またトイレっすね」

 

 

 

「あいつ……」

 

 

 

 ガーラはため息を吐く。そして再び、斧を構えた。

 

 

 

「リトライダーはいい。ここは俺たちでやるぞ。もう一度、今度は近づきすぎるなよ」

 

 

 

 ガーラの合図で再び戦闘が始まる。

 

 

 ミエは魔法で遠くからカボトレントに攻撃する。ミエの得意とする空気を固めて飛ばす魔法だが、カボトレントに効いている様子はない。

 

 

 

 ダズはミエに向かってくる根っこを弾いて、カボトレントの攻撃からミエを守る。

 

 

 

 そしてガーラは二人がカボトレントの気を引いているうちに、カボトレントの後ろへ回り込み、斧を投げてカボトレントの顔の部分を破壊した。

 

 

 

 顔の部分が壊れたことで、カボトレントは突然力がなくなったように動かなくなり、その後魔素になって蒸発して消えた。

 

 

 

「さすが、ガーラ師匠っす!!」

 

 

 

「一撃ね!」

 

 

 

 ミエとダズはガーラに近づいて、カボトレントを倒したことを喜ぶ。

 

 

 

「…………」

 

 

 

 ガーラは恥ずかしそうに後ろを向いた。

 

 

 

「お前達も手伝ってくれたからな」

 

 

 

 こうして、ガーラ達は無事にクエストをクリアすることができた。

 

 

 

 クエスト中にずっとトイレに篭っていたリトライダーは報酬を受け取ることができなかった。

 

 

 

 さらにその腹痛は3日ほど続くのであった。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 今回の話はポンコツ冒険者三人とガーラの物語です。

 

 

 

 本編の洞窟の話が終わった後あたりの話です。まだ本編の投稿が間に合ってないかもしれないですが、その場合はお許しください。

 

 

 

 今後もいろんなキャラの話を書く予定なので、よろしくお願いします!!

 

 

 



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 第1話  【メタルハート 1話(ギルド)】

 メタルハート 1

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【メタルハート 1話(ギルド)】

 

 

 

 

 とある村にあるギルド。その橋のテーブルに一人の女が座っていた。

 

 

 

 水色の髪を後ろに引っ張り結ぶポニーテールであり、銀色の鎧を着ている。年齢は20前後だろう。

 

 

 

 そんな女性の前に荒くれ者の冒険者達が寄ってきた。顔が赤いことから酔っているのだろう。

 ギルドでは酒類の提供はしていないため、外で飲んでここに来たという形だろうか。

 

 

 

「おい、姉ちゃん、人で何してるのぉ?」

 

 

 

 酔っ払いは女性の肩に手を乗せようとする。しかし、突然横から現れた男がそれを止めた。

 

 

 

「何してる?」

 

 

 

「あぁ?」

 

 

 

 黒髪に前髪が長く、左目が隠れている男。身長は男達より一回り大きく、体つきもかなり良い。

 

 

 

 男を見上げる形になった酔っ払い達は男にビビり、そそくさと逃げていった。

 

 

 

「ロウ。遅かったじゃない」

 

 

 

 黒髪の男に女性は話しかけた。

 

 

 

「アイサが早いんだぞ。これでも早めにきた方だ」

 

 

 

「遅刻してるやつが何言ってんだか……」

 

 

 

 アイサはやれやれと首を振る。

 

 

 

「それでもう依頼は決めたのか?」

 

 

 

 ロウはアイサの向かいの椅子に座る。

 

 

 

「えぇ、もう決めた」

 

 

 

 アイサはそう言うと紙を取り出して見せる。

 

 

 

「今日はこれをやるよ!!」

 

 

 

 

 

  [ゴブリンの討伐]

    5金貨

  森に住み着いたゴブリンの群れを討伐

 

 

 

 

「ゴブリンか」

 

 

 

「ま、これくらいが今の私たちにはちょうど良いんじゃないかしら…………」

 

 

 

 アイサはロウの耳元に口を近づけて、小声で言う。

 

 

 

「私たちは冒険者なんだし……」

 

 

 

 

 

 二人は装備を整えると、ギルドを出て依頼を受けにいった。

 

 

 

 

 向かうは村の西側にある森。そこにゴブリンの群れが住み着いていると言う。

 

 

 

 モンスターとは魔素を媒体に、集合して出来上がった物体であり、生物ではない。

 

 

 

 しかし、近くにいる動物の遺伝子を元に形を生成するため、その土地に適したモンスターが現れる。

 

 

 

 ゴブリンやオークは人間が住む土地に現れやすく。狼がいる地域には狼のようなモンスター、熊のいる地域には熊のようなモンスターが生息している。

 

 

 

 モンスターは魔力を持つ生物を襲う傾向があり、人間や動物はその標的になりやすい。

 

 

 

 そのため多くの動物達は工夫をして、モンスターから身を守りながら生息している。

 

 

 

 今回の討伐以来のゴブリンは森に住み着いた。その森には彼らにとって餌となる動物が生息しているということなのかもしれない。

 

 

 

 そうなると、ゴブリンだけではなく。別のモンスターの危険性も出てくる。人間だけではなく、他の動物も襲われている可能性があり、その動物を元に誕生したモンスターがいるかもしれないからだ。

 

 

 

 

 

 続く。

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 今回のように不定期で特定の人物に注目したエピソードが投稿されることもあるかもです。

 

 

 

 続きの場合はタイトルが同じものが使われる予定です。

 

 

 



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 第2話  【メタルハート 2話 森】

 メタルハート 2

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第2話

 【メタルハート 2話 森】

 

 

 

 

 

 今回の討伐目標はゴブリンである。しかし、別のモンスターにも警戒する必要もあると判断したロウ達は慎重に森を進んでいた。

 

 

 

 ロウは腰のベルトに剣を引っ掛けている。剣は片手剣であり、長さも短ければ、重くもない。

 そのため、ロウは全体的に軽装であり、重い鎧などは付けていない。

 剣士というよりは盗賊に近い格好である。

 

 

 

 隣を歩くアイサの格好は銀色プレートを付けているが、重いものではなく。軽めのものにはしている。それでも水バケツ一杯分の重さはあるので、それなりに重たいはずだ。しかし、アイサはこれを難なくと持ち歩いている。

 背中に二本の長剣を持ち、頭から腰下までの長さがある。

 

 

 

「あなたももう少し、しっかりした武器を持ちなさいよ」

 

 

 

 森を警戒しながらアイサがロウにそんなことを言う。

 ロウは頭を掻きながら返す。

 

 

 

「俺はこれで十分だよ。…………お前みたいなゴリラじゃないし」

 

 

 

 ロウはアイサに殴られる。ロウの頭には大きなタンコブが出来上がる。

 

 

 

「いってぇ〜」

 

 

 

 ロウは膨らんだ頭を撫でながら、辺りを見渡す。すると、何かを感じる。

 

 

 

「アイサ…………見つけたぞ」

 

 

 

 ロウの真面目な声にアイサは反応して、雰囲気が変わる。

 

 

 

「どこ?」

 

 

 

「このまま西の方へ進んで、その先に大きな岩か? があるな。そこから北の方へ進んで川を挟んだ先に5匹…………それに別個体もいるな」

 

 

 

 アイサは西の方を向くが、その先はずっと森が続いている。大きな岩もなければ、川も見えない。音すら聞こえない。

 

 

 

 しかし、アイサは迷わずに、

 

 

 

「じゃあ、進みましょう」

 

 

 

 ロウと共に西の方へと進んでいった。

 

 

 

 

 しばらく足を進めて、やっと大き岩を発見した。

 

 

 

「まだ同じ場所にいる?」

 

 

 

「ああ、動いた様子はない」

 

 

 

 大岩を超えたロウ達は今度は北の方へと進む。大岩に着いてもまだ川の音は聞こえなかったが、だいぶ歩いた先でやっと川の音が聞こえ始めた。

 

 

 

 

 そして、

 

 

 

「いたな」

 

 

 

 川を挟んだ先に、5匹のゴブリンの群れを見つけた。今は何をするでもなく、睡眠中のようだ。

 

 

 

「ゴブリンは川の向こうだな。だが、そこそこ深い。それに…………」

 

 

 

 ロウが喋ろうとしたところで、アイサが頷く。

 

 

 

「さっき行ってた別個体ね」

 

 

 

「…………ああ、おそらく魚類をベースにしたモンスターだ。水中戦だと流石にきつい」

 

 

 

 すると、アイサは重い鎧をその場に置く。

 

 

 

「なら、そっちは私に任せなさい。ロウ、あなたはゴブリンを頼むよ」

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 二人ともおそらくめっちゃ強いです。

 

 

 



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 第3話  【メタルハート 3話 圧倒】

 メタルハート 3

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第3話

 【メタルハート 3話 圧倒】

 

 

 

 

 二人は川の方へと走り出した。今まで茂みに隠れて、ゴブリンの様子を見ていたため、ゴブリン達には気付かれていなかったが、ここで気づかれる。

 

 

 

 ゴブリン達には木製の武器を持ち、二人を迎え撃とうとする。

 

 

 

 だが、両者を阻むのは巨大な川。

 

 

 

 ゴブリンもロウ達もお互いに川の方へと向かう。しかし、川の中心は深い。川の中で戦うことは避けたいのか。ゴブリン達には川には入らずに、川辺で待っている。

 

 

 

 そんな中、ロウは川に辿り着くと、走っていた勢いをそのままに飛び上がった。

 

 

 

 そのジャンプ力は高く。大きな川を飛び越えてしまうほどの高さだ。

 

 

 

 川の長さは馬車の5台分はある。そんな距離をロウは楽々と飛び越えようとした。

 

 

 

 しかし、川の中央を飛び越えているところで、川の中に黒い影が映る。それは大きく。ロウと六倍の大きさはある。

 

 

 

 その影はロウに近づくと、さらに大きくなり、水しぶきを飛び散らしながら川の中から大ジャンプしてきた。

 

 

 

 トゲトゲした鱗を持ち、人間の体すら貫通してしまいそうな巨大な歯を持つ魚系のモンスターだ。

 

 

 

 空中にいるロウには突然襲われたこの状況で対処することができない。だが、ロウは焦っていない。

 

 

 

 なぜならば、

 

 

 

 魚系のモンスターはロウに辿り着く前に、弾き返される。それはロウとは遅れてモンスターの襲撃を見てからジャンプしたアイサであった。

 

 

 

 アイサは両手で長剣を持つと、それで魚系モンスターを斬りつけたのだ。

 

 

 

 アイサが魚系モンスターと戦っているうちに、ロウは川を渡り切る。

 

 

 

 そして腰にある剣を手にすると、ゴブリン達に向けて、剣を向けた。

 

 

 

 ゴブリン達は木製の武器を手に襲いかかってくる。

 

 

 

 しかし、ロウは風のような速さで移動して、気がつけばゴブリン達の背後にいた。

 

 

 

 二匹のゴブリンがロウの奇襲でやられる。いつ攻撃したのか。ゴブリン達には理解できない速度であった。

 

 

 

 さらにそのままの勢いで三匹目、四匹目と仕留めていき、最後の一匹も簡単に倒した。

 

 

 

 ロウはハンカチで剣についた血を拭いていると、川の中から先程の魚系モンスターの死体が投げ飛ばされる。

 

 

 

 そして川の中からアイサが出てきた。

 

 

 

「そっちも終わったみたいね」

 

 

 

「ああ、どんな奴だろうと仕事だ。油断なく、全力でやらせてもらった」

 

 

 

 川から出てきたアイサにロウはタオルを投げた。

 

 

 

「戻るぞ。そろそろあっちの仕事も来てるはずだ」

 

 

 

 

 続く

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 魚系モンスターの名前って何が良いんだろ〜。

 

 



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 第4話  【メタルハート 4話 仕事】

 メタルハート 4

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第4話

 【メタルハート 4話 仕事】

 

 

 

 

 依頼を達成したことをギルドに報告したロウ達は、宿に戻っていた。

 

 

 

 ロウは先程の討伐でもらったお金をアイサに全て渡す。

 

 

 

 アイサはそれを受け取ると、

 

 

 

「良いの?」

 

 

 

 と不思議そうに聞いた。

 

 

 

 ロウは首を振る。

 

 

 

「ま、お前がいなければ危なかったわけだしな。それにそんなちっぽけな金は俺には必要ない」

 

 

 

 アイサはロウから受け取った金貨を財布にしまう。

 

 

 

「それでそろそろ指令書が届いてる頃だな」

 

 

 

 ロウはそう言うと、部屋にある窓の方へと向かった。

 

 

 

「お……」

 

 

 

 ロウが窓を開ける。すると宿の中に光が入ってきて、一気に明るくなる。

 

 

 

 古びた宿で冒険者に人気の宿ということで、ロウ達はここを借りている。それも冒険者であると周りに思わせるため。

 

 

 

 窓を開けたロウは一枚の小さな紙を持って、アイサの方へ振り返った。

 

 

 

 窓の隙間に紙が挟まっていたようだ。

 

 

 

「なんで書いてあるの?」

 

 

 

「今日の夜9時、酒場の裏の路地で待つ……らしいな」

 

 

 

 紙には通常の言葉ではなく。ロウやアイサ達にしか伝わらない暗号で書かれている。

 

 

 

 書いてある内容は待ち合わせの場所と時刻。その場所に今回の任務内容を知っている仲間がやってくる。

 

 

 

「まだ時間があるみたいね」

 

 

 

「ま、予想以上に早く依頼が終わって、まだ昼過ぎだしな」

 

 

 

 まだ冒険者としての依頼が終わってから、そんなに時間も経っていない。

 

 

 

 まだ待ち合わせの時間までは時間がある。ロウ達は時間を潰すことにした。

 

 

 

 ロウとアイサは村をふらふらと歩く。さっきまでの冒険者としての装備は宿に置いて、簡単な軽装でロウ達は村を探索した。

 

 

 

 村には多くの店があり、冒険者用のギルドがある村ということもあり、旅人用の店もいくつもある。

 

 

 

 冒険者としてこの村に潜伏してから、長いことこの村にはいたが、こうやって村を探索するのはあまりやっていなかった。

 

 

 

「あ! あれ見て!」

 

 

 

「ん、なんだ?」

 

 

 

 ロウ達は昔を思い出すように、村での平和な時間を楽しんだ。

 

 

 

 あんな事件が起きる前の、平和だった村人の時代を思い出しながら……。

 

 

 

 やがて時間になり、夜飯を食べたロウ達は人目を避けながら、待ち合わせ場所に向かった。

 

 

 

 待ち合わせ場所には誰もいない。

 

 

 

 酒場の裏は狭い路地でゴミなどが溜まっており、先には木材で壁が作られていた。

 

 

 

 ロウとアイサは木材の壁に背中をつける。

 

 

 

 すると、壁の反対側から声が聞こえる。

 

 

 

「…………来たか。心鋼(シンコウ)」

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 二人は何者なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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 第5話  【メタルハート 5話 正体】

 メタルハート 5

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第5話

 【メタルハート 5話 正体】

 

 

 

 

 酒場の裏にある木造の壁は、あまり厚くないのか裏側の声が聞こえる。

 

 

 

 壁の反対側にも誰かおり、その人がロウとアイサに喋りかけてきた。

 

 

 

「剣」

 

 

 

 壁の向こうの男がそんなことを言う。

 

 

 

 アイサはそれに対して、

 

 

 

「鎧」

 

 

 

 と返した。これはこの組織での暗号。お互いが仲間であるという証明の方法である。

 

 

 

「心鋼(シンコウ)か。久しぶりだな」

 

 

 

 暗号で別人ではないことを確認した彼の向こうにいる人物は喋り出す。

 

 

 

 その声はしっかりとした真面目そうな女性の声。

 

 

 

「ええ、あなたも元気そうで良かった。ティン」

 

 

 

 アイサは腕を組みながらそう返す。

 

 

 

「あなたたち現場に比べれば楽なんだ。それとロウもそこにいるのか?」

 

 

 

 ティンはさっきから喋らないロウの存在が気になったようだ。

 

 

 

「ああ、いるぞ」

 

 

 

 ロウはめんどくさそうに返す。

 

 

 

 ロウの返しを聞いたティンは、

 

 

 

「相変わらずアイサ以外には心を開いてくれないか。まぁ、良い。早速だが、新情報だ」

 

 

 

 ティンはそう言うと、情報を伝え始めた。

 

 

 

「混沌の色(カオ・クルール)の獣狼(サンクディーモン)、その中でもトップクラスの要注意人物であるユウキ・ゴショウ。奴に動きがあった」

 

 

 

 混沌の色(カオ・クルール)とはオーボエ王国の闇の仕切る組織であり、殺人や麻薬、違法武器販売に、強盗など王国を悩ませる組織である。

 

 

 

 王国でも彼らを追っているが、かなりデカい組織であり、手を出せないのが現状だ。

 

 

 

 その中でも獣狼(サンクディーモン)とは組織の中心人物の数名であり、闇世界では有名な実力者である。

 

 

 

 組織を動かす力も凄いが、戦闘力は十聖にも及ぶと言われており、一人一人が危険人物として指名手配されている。その中でも最も危険と言われているのが、ユウキ・ゴショウだ。

 

 

 

 昔は王国の魔法使いでもあり、フルート王国とオーボエ王国の戦争にも参加したと言われているが、その実力は不明である。

 

 

 

 何よりも奴が立った戦場では、敵どころか、味方でさえ、誰一人立っていなかったと言われている。

 

 

 

 だが、獣狼(サンクディーモン)の面々は姿を消すのがうまく、闇に隠れる。情報を得るのでさえ、難しい。

 

 

 

 ティンは続ける。

 

 

 

「ええ、おそらくわざと、なんのためかは分からないが、私たちに情報を与えた」

 

 

 

 余裕か。それとも誘っているのか。どちらにしろ。ユウキは国家すら壊しかねない危険人物。それだけの人物が動いたとあれば……。

 

 

 

「増援は期待できないのね」

 

 

 

 アイサはため息を吐きながら言った。

 

 

 

「そういうことだ」

 

 

 

 

 

 

 

 続く

 

 

 



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 第6話  【メタルハート 6話 心鋼】

 メタルハート 6

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第6話

 【メタルハート 6話 心鋼】

 

 

 

 

 

「じゃあ、こっちの情報も伝えるわ」

 

 

 

 アイサは壁越しのティンに話しかける。

 

 

 

「雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)。奴らは予想通りこの村にいるらしい」

 

 

 

 アイサはティンにそう伝える。

 

 

 

「何か尻尾を掴んだのか?」

 

 

 

「ええ、奴らの拠点もここにある。もう見つけた」

 

 

 

「優秀だな。あなた達は……。分かった。増援入るか?」

 

 

 

「必要ない。あの人数なら私たちだけで制圧できる」

 

 

 

 アイサは自信満々に言う。しかし、ティンは一呼吸置いて忠告した。

 

 

 

「雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)のボスは不思議な技を使うと有名だ。油断はするなよ」

 

 

 

「当然」

 

 

 

 一通り、情報交換を終えたティンは気がつけば、その場から消えていた。

 

 

 

 ティンがいた場所に行くと、そこには布の包みに金貨が数枚入れられていた。

 

 

 

 今回の仕事での経費と給料の両方を含めての金貨だろう。

 

 

 

 ロウはアイサに金貨を渡す。

 

 

 

「少しは持っておきなさいよ」

 

 

 

「いらん」

 

 

 

 頑なに金貨を受け取らないロウに、アイサはやれやれと自分の財布に金貨をしまった。

 

 

 

 二人は一度宿に戻り、身体を休めることにした。

 

 

 

 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)にはロウ達の存在はバレていない。普通の冒険者だと思われているだろう。

 

 

 

 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)の拠点を制圧できれば、奴らと関係のある組織も一挙に掴まれることができるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)は闇の世界の武器屋である。違法に生産された武器を裏ルートで盗賊や反政府組織に販売している。

 

 

 

 主に販売している武器は、魔法を付与した特別な武器。魔道具と呼ばれるものだ。

 

 

 

 魔道具にはいくつか種類があり、魔石を使ったものから、魔法で武器に魔力を付与したものまで様々なものが存在する。

 

 

 

 魔道具は使い方によっては、日用品にも武器にもなる。王国では冷気を出す装置や、髪を乾かすために暖かい風を出すもの、お湯を簡単に沸かすものまで多くのものが存在する。

 

 

 

 そして武器であれば、爆発物を製造したり、通常の剣の切れ味をさらに上げたりと、用途によって大きく変化する。

 

 

 

 そんな魔道具を武器として違法に販売するのが、雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)である。

 

 

 

 アイサ達が雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)の拠点があると予想しているのは、村にある酒場である。

 

 

 

 通常では深夜を過ぎると店じまいをするが、深夜になっても数人の客が出て来なくなる。

 

 

 

 おそらくそこで取引が行われている。

 

 

 

 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)のボスらしき人物を見たという情報もある。

 

 

 

 

 ロウ達は潜入の日程を決めた。

 

 

 

 

 

 

 



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 第7話  【メタルハート 7話 潜入】

 メタルハート 7

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第7話

 【メタルハート 7話 潜入】

 

 

 

 

 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)のアジトがここの村にあると判断したロウ達は、その拠点のある酒場に潜入することになった。

 

 

 

 潜入は夜間で、通常の客がいない時間帯。

 

 

 

 取引のためにやってきた闇の取引人を一挙に捉えるべく。それらが完全に中に入ってから、ロウ達は潜入することにした。

 

 

 

 現在確認できるだけで四人が酒場から出てきていない。雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)の仲間か、それとも取引相手か分からないが、奴らを捕らえるチャンスである。

 

 

 

 ロウとアイサは軽装の装備で酒場に向かう。

 

 

 

 裏にある窓に小さな穴を開けて、鍵を開くとそこから侵入した。

 

 

 

 酒場はカウンター席とテーブル席がある小さな店であり、カウンターの奥には調理場と倉庫がある。

 

 

 

 この空間の中に何か取引する空間に繋がる場所があるはずだ。

 

 

 

 夜間であるため明かりはつけられず、手探りで手がかりを探す。

 

 

 

 すると、早速ロウが何かを見つけた。

 

 

 

「おい、これは?」

 

 

 

 それはテーブルの下にある取っ手だ。しかし、テーブルの下にあるため通常では気づくことはない。

 

 

 

「ナイスよ。ロウ!!」

 

 

 

 扉を開けるとそこには地下に続く階段があった。

 

 

 

「酒場にこんな地下室があったなんてね」

 

 

 

 アイサは驚く。

 

 

 

 おそらくこの下に武器の保管庫と取引場があるのだろう。

 

 

 

「もしかしたら別に出口があるのかもしれない。逃げられるのは困るね」

 

 

 

 ここで襲撃をしたとしても、侵入に気づかれて非常用の出口から出られては困る。

 

 

 

 しばらく考えた後、アイサは閃く。

 

 

 

「私は他に出口がないか調べるよ。ロウ、あなたはここから奇襲をかけて」

 

 

 

「了解……」

 

 

 

 ロウとアイサは二手に分かれることにした。

 

 

 

 アイサは外から他の出入り口がないか探す。奇襲をしたとしても、別の出口から逃げられたら、どうしようもないからだ。

 

 

 

 ロウは中に侵入し、状態を探りながら奇襲を仕掛ける。

 

 

 

 別に出口がない場合は、ロウの奇襲で全ての決着がつくだろう。

 

 

 

 ロウは石で出来た階段をゆっくりと降りる。

 

 

 

 階段は30段もあり、かなり下に降りることになった。

 

 

 

 下まで降り切ると、そこには狭い廊下が続いている。

 

 

 

 そして奥の方から人の声が聞こえる。だが、まだハッキリと聞き取れるわけではない。

 

 

 

 ロウは足音を立てないようにして、ゆっくりとその声の聞こえる方へと進んでいく。

 

 

 

 しばらく進むと、木製の扉があり、その奥で声が聞こえていることに気づく。

 

 

 

 声は数人の男たち。

 

 

 

「今日の取引はなかなかだったな」

 

 

 

「ああ、良いものが手に入った」

 

 

 

 続く

 

 

 

 



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 第8話  【メタルハート 8話 奇襲】

 メタルハート 8

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第8話

 【メタルハート 8話 奇襲】

 

 

 

 

 ロウは勢いよく扉を開く。

 

 

 

 すると、そこは少し開けた空間に三人の男たちがいた。

 

 

 

 薄汚れたフードを被った男達。

 

 

 

 男達はロウを見ると驚く。

 

 

 

「貴様、何者だ!?」

 

 

 

 ロウは腰から片手剣を抜くと、男達に向けた。

 

 

 

「俺はオーボエ王国騎士団。心鋼(シンコウ)の副団長ロウ・ブラウンだ!!」

 

 

 

 それを聞いた男達は驚く。

 

 

 

 心鋼(シンコウ)。それは王国騎士の中でも有名な騎士団である。

 

 

 

 最近現れた騎士団であり、犯罪組織を次々と壊滅させている。

 

 

 

「な、なんだと!!」

 

 

 

 フードを被った男達は剣を持ち、ロウに向かって襲いかかった。ロウは三人の剣を難なく避けて、剣で一人の剣を折ると、その男の顎に肘を当てて、気絶させる。

 

 

 

 一人やられても、諦めず襲ってくる男達。ロウは再び襲ってくる二人の剣を避けて、一人は剣を折り、もう一人の剣は吹っ飛ばした。

 

 

 

 飛んでいった剣は空中を舞うと、回転しながら天井に刺さる。

 

 

 

 剣を飛ばされた男は、剣の行方を目で追い、隙が生まれてしまい、その隙にロウは斬り伏せた。

 

 

 

 残った男は折れた剣を捨てると、慌てて通路の奥へと逃げていった。

 

 

 

 ロウは男を追って通路を走る。

 

 

 

 さらに地下の奥に進むと、通路の途中に扉があり、男はそこに入って行った。

 

 

 

 ロウは用心しながら扉に近づき、ゆっくりと扉を開ける。

 

 

 

 するとそこは武器庫らしく、オレンジ色の槍を持ち、男がそこで待っていた。

 

 

 

 

「クソー! このままやられてたまるかよ!」

 

 

 

 すると、男は槍を回転させてから構える。

 

 

 

 倉庫は狭いが、槍を振り回すと壁に穴が空き、壁に引っかかることはなく槍は回転した。

 

 

 

「これは今日俺が買った新武器、全てを貫く槍だ。騎士であっても、これさえあれば俺でも勝てる!!」

 

 

 

 男はその槍でロウに向かって月攻撃を仕掛けてくる。

 

 

 

 ロウはそれを避けるが、槍は空中で止まったというのに、その先にある穴に穴を開けた。

 

 

 

「こいつは空気でさえ切り裂く。カマイタチを作り出す。逃げ場はない!!」

 

 

 

 男は次々と槍でロウに攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 ロウはどうにか避け続けるが、地下であり通路が狭いことがあり、かなり危ない状況である。

 

 

 

 それに通路が狭く、相手は槍という長い武器を使っている。それに比べてロウは短剣であり、攻撃を届けるのが難しい。

 

 

 

 ロウはどうにか近づく手段がないか、考える。

 

 

 

「……っ!!」

 

 

 

 狭い中の攻撃で、ロウも徐々にダメージを受け始める。

 

 

 

「これでとどめだー!!」

 

 

 

 その時!!

 

 

 

  続く

 

 

 

 

 



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 第9話  【メタルハート 9話 戦闘】

 メタルハート 9

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第9話

 【メタルハート 9話 戦闘】

 

 

 

 

「これで終わりだー!!」

 

 

 

 男はロウに向けて、槍で攻撃する。

 

 

 

 この狭い空間、ロウは避けることができない。

 

 

 

 槍がロウに向かってくる。

 

 

 

「させるかァー!!」

 

 

 

 その時、壁が壊れて、その中から現れたのはアイサ。

 

 

 

 アイサは槍を弾くと、ロウを守るように前に立った

 

 

 

「アイサ!!」

 

 

 

「何ボサッとしてるよの!! あなたの死に場所はここじゃないでしょ!!」

 

 

 

 アイサが現れたことで、槍を持った男は少し後ろに下がる。

 

 

 

「貴様もそいつの仲間か」

 

 

 

「ええ、その武器、回収させてもらう!!」

 

 

 

 アイサは槍を弾いた短剣を持って、槍を持つ男に攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 男は槍を振り回し、攻撃を防ぐ。しかし、アイサはその槍をうまく回避して、懐に潜り込んだ。

 

 

 

「終わりよ」

 

 

 

 そして男を腹を切り裂いた。

 

 

 

「がハー!!」

 

 

 

 男の腹には右から左へ斜め下に向かって、切り傷ができて、そのまま地面に倒れた。

 

 

 

 槍は男の手から離れると、重力に従って地面に倒れていくが、途中で壁にぶつかるとその倒れた勢いで壁を切り裂いて、勢いがなくなると壁にめり込んだ状態で止まった。

 

 

 

「アイサ、無事だったか」

 

 

 

 ロウはアイサに近づく。

 

 

 

「ええ、あんたほど弱くないからね」

 

 

 

「それはどういうことだよ……」

 

 

 

 アイサの返しにロウは怒る。

 

 

 

「この程度の槍に苦戦するなんて、騎士失格よ」

 

 

 

「俺だってやろうと思えばやれたんだ!! お前が邪魔したんだよ!!」

 

 

 

「何よ!! 私が来なければ死んでたかもしれないのよ!!」

 

 

 

 二人は睨み合いながら喧嘩をしたが、今は任務中だ。

 

 

 

「まぁ、この件は後にして。他の入り口から逃げようとしていた者は捕らえたよ。でも、まだ奴が見つけられていない」

 

 

 

「奴って……」

 

 

 

「雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)のボス。ダードゥだ」

 

 

 

 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)のボス。ダードゥ。

 

 

 

 闇の武器商人であり、多くの裏組織に魔道具などを売買してきた。

 

 

 

 そのことから指名手配もされており、騎士だけではなく、冒険者からも狙われている。

 

 

 

 だが、奴は何年もの間捕まることはなかった。それは……。

 

 

 

「よく来たな。心鋼(シンコウ)」

 

 

 

 アイサ達が地下を探索していると、しばらくして広い場所に出た。

 

 

 

 そこは地下の中でも巨大な空間であり、家が一軒入ってしまいそうな巨大な倉庫。

 奥には木箱がいくつも積み上げられており、その上に男がいた。

 

 

 

 男はスーツ姿にハット帽を被った紳士的な格好をした老人。

 杖をついており、シワのある顔には立派な髭を生やしている。

 髭は鼻の下にありVを逆さにしたような形だった。

 

 

 

「さぁ、反撃と行こうか」

 

 

 

 続く

 

 

 

 

 

 



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 第10話  【メタルハート 10話 老人】

 メタルハート 10

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第10話

 【メタルハート 10話 老人】

 

 

 

 

 地下の奥にいたのは老人。その老人の名は……。

 

 

 

「私がダードゥだ」

 

 

 

 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)のボス。ダードゥ。

 

 

 

 闇世界の売買人であり、あらゆる武器を販売している。

 

 

 

 武器を購入するのは、犯罪組織や反乱軍。それにより多くの犠牲が生まれる。

 

 

 

「堂々と出て来るなんて、自信があるのね」

 

 

 

 アイサがそうダードゥを挑発する。

 

 

 

「ああ、君たちも聞いているだろう。私の実力を……」

 

 

 

 ダードゥは過去7年間。指名手配されていながら、一度も捕まったことがなかった。

 

 

 

 ダードゥは何度も目撃され、このように基地を襲撃されたことも何度もあった。

 

 

 

 十聖の百の兵を連れて、ダードゥの基地を占拠したこともある。しかし、どの時もダードゥは捕らえることができなかった。

 

 

 

 それはダードゥの力。単純な戦闘能力。

 

 

 

 十聖にも匹敵する戦闘センスを持っており、魔法も剣の腕前も、何においても最強クラスと言われる人物である。

 

 

 

 有名な冒険者が何人もダードゥの討伐に挑むが、決してダードゥには勝てない。

 

 

 

 どんな騎士であっても、ダードゥを捕らえることはできなかった。

 

 

 

「二人か。ま、君たちの実力だと、下手な兵を集めた方が邪魔か」

 

 

 

 ダードゥはアイサとロウを見てそんなことを言う。

 

 

 

 ダードゥは木箱の上からジャンプして降りると、二人の前に立った。

 

 

 

「さ、私を捕まえてごらん」

 

 

 

 アイサとロウは短剣を手にダードゥに向かって走り出す。

 

 

 

 ダードゥは杖のフックの部分を腕にかけると、腕を動かして杖を回転させ始めた。

 

 

 

 二人の剣がダードゥに届こうとした時、二人の前からダードゥが消えた。

 

 

 

「私はね。つまらないのだよ……」

 

 

 

 気がつくと、二人の後ろにダードゥがいた。

 

 

 

 二人は再び剣を手にダードゥに斬りかかろうとするが、身体が動かない。

 

 

 

「私がなぜ武器を売り続けるか知っているか?」

 

 

 

 アイサとロウは不思議な感覚に陥る。それは床が自分に向かって迫って来るような感覚。

 

 

 

 世界が歪み、赤く染まる。

 

 

 

「孤独だった。私は寂しかったんだ」

 

 

 

 ダードゥは杖を地面に立てると、カンっという音が鳴る。

 

 

 

「強さとは孤独なのもだ」

 

 

 

 アイサとロウは地面に倒れていた。

 

 

 

「な、何が起きたの?」

 

 

 

 アイサは地面に突っ伏したまま、現状を知ろうとする。

 

 

 

 自分の倒れる床は赤く染まっていて、腹に痛みを感じる。

 

 

 

「まだ理解できないって顔だね。じゃあ見せてあげよう」

 

 

 

 そういうとダードゥは杖の少し上にあげる。すると、杖の手で持つ部分から、杖の部分が離れて、杖に刃物が見えた。

 

 

 

「仕込み刀。武器を持たない武器商人がどこにいる?」

 

 

 

 アイサは自分が斬られたという事実を知った。

 

 

 

 

 

 



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 第11話  【メタルハート 11話 記憶】

 メタルハート 11

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第11話

 【メタルハート 11話 記憶】

 

 

 

 

 アイサは自分が斬られたことを知った。

 

 

 

 身体が痛む。死の恐怖も感じる。だが、自分のことよりも……。

 

 

 

「ロウ!! ロウ!! 返事をしなさい!!」

 

 

 

 さっきから隣で倒れている。ロウに目が入った。

 

 

 

 倒れてから全く動かないロウを見て、ダードゥは言う。

 

 

 

「うーむ。手加減はしたつもりだったんだけどなぁ。まぁ、一人残ってれば情報は聞き出せるか」

 

 

 

 ダードゥは頬を掻いてやれやれという顔だ。

 

 

 

「ロウ!! ロウ!! 起きなさい!! ロウ!!」

 

 

 

 

 

 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 

 

 

 

 声が聞こえる。俺を呼ぶ声が……。

 

 

 

 懐かしい声だ……。

 

 

 

 

 

 緑生い茂る森の中、俺は倒れていた。

 

 

 

 何があったか分からない。だけど、左目が痛むのと、人々の悲鳴が頭の中に残っていた。

 

 

 

 気がつくと俺はベッドの上にいた。天井は木造で近くには窓がある。窓からは日差しが入ってきていて、鳥の囀りが微かに聞こえる。

 

 

 

 俺は立ち上がろうとしたが、身体が動かない。

 

 

 

 左目の痛みはないが、身体中が焼けるように痛かった。

 

 

 

 しばらくすると、部屋の扉が開かれて、そこから一人の少女が入ってきた。

 

 

 

 水色の長髪で薄汚れた黄緑色の服を着た村人の少女だ。

 

 

 

「あ!! 大丈夫?」

 

 

 

 少女は俺の姿を見て、すぐに近づいてきた。

 

 

 

 俺は動かない体を無理して動かそうとする。それは人を恐れるように。

 

 

 

「待って、動いちゃダメだよ」

 

 

 

 少女はベッドで暴れる俺を安心されるように手を握った。

 

 

 

「大丈夫。大丈夫だから」

 

 

 

 怯える俺を落ち着かせようと……。

 

 

 

 それからしばらく少女は俺の手を握って、落ち着くまで一緒にいてくれた。

 

 

 

 俺は少しずつ落ち着きを取り戻す。

 

 

 

「待ってて……。お父さん呼んでくるから」

 

 

 

 少女はそう言って俺から手を離す。そして父を呼ぶために部屋を出て行こうとする。

 

 

 

 俺はその少女が行ってしまったら、また一人になってしまう気がしてしまう。

 

 

 

 しかし、少女は俺の方を振り向くと、笑顔でこちらの方を向いた。

 

 

 

「大丈夫。すぐに戻って来るから」

 

 

 

 その言葉と表情が俺に安心を与えてくれた。

 

 

 

 それからその少女の父親がやってきて、それの症状を見た。

 

 

 

 俺は大きな怪我をしていたのか。身体中が包帯で巻かれており、父親が看病をしてくれている間、少女もずっと近くにいてくれた。

 

 

 

 それが彼女との出会いであった。

 

 

 

 

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 今回からちょっと過去編のエピソードになります。この出会いが何に繋がっているのか。

 

 

 

 



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 第12話  【メタルハート 12話 過去】

 メタルハート 12

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第12話

 【メタルハート 12話 過去】

 

 

 

 

 少女の家にやってきて数日が経ち、俺もこの家の住民と少しずつ話せるようになってきた。

 

 

 

 この家には父親であるシィアーと一人娘であるアイサという親子が二人で暮らしている。母親は昔に亡くなっており、今は村から少し離れたこの土地で畑仕事をして暮らしていた。

 

 

 

「ほら、ご飯持ってきたよ」

 

 

 

 アイサがご飯を運んできてくれた。

 

 

 

「……ありがとう」

 

 

 

 畑仕事で疲れているはずなのに、アイサはいつも俺が食べている時は一緒にいて話をしてくれた。

 

 

 

 俺が食べ終わるのが遅くても、ずっと一緒にいてくれた。

 

 

 

 そして俺は少しずつだが、アイサに心を開いていった。

 

 

 

 ある時アイサは聞いてきた。

 

 

 

「ねぇ、あなたはどこから来たの?」

 

 

 

 俺はそのことについて答えようとする。

 

 

 

 

 しかし、何も思い出せない。俺がどこから来て、何をしていたのか。何も思い出すことができなかった。

 

 

 

 

 アイサは俺が困っているのを気づくと、すぐに話題を変えた。

 

 

 

 しかし、それから俺は俺というものが何者なのか。その疑問をずっと抱き続けることになった。

 

 

 

 俺は何者なのか。俺はなんなのか。

 

 

 

 そんな疑問を抱きながらも数日が経過し、俺の怪我は治り始めて、やっと立ち上がることができるようになった。

 

 

 

 まだ足元はふらつくが、少しずつ歩くことができるようになっている。

 

 

 

 もう少し動けるようになったら、俺はアイサ達のために少しでも恩を返せるように、仕事を手伝いたいと思っていた。

 

 

 

 だから俺はひっそりと歩けるようになるために、トレーニングを行うようになった。

 

 

 

 基本的にはアイサか、その父がいる時に肩を貸してもらいながら歩く練習をした。

 

 

 

 だが、そんなペースではダメだと、壁に添いながらゆっくりと歩く練習をする。

 

 

 

 何度も倒れながらも歩ける距離を伸ばしていった。

 

 

 

 しかし、

 

 

 

 俺は二人がいない間に歩く練習のため部屋を歩く。そして一時的なゴールとして何歩か先にあるテーブルをゴールとした。

 

 

 

 俺がどうにかたどり着くと、そこには鏡がありふと自分の姿を見てしまった。

 

 

 

 そこには左目が黒い謎の物体に覆われて、紅瞳の少年がいた。

 両目で色が違う。いや、それどころじゃない。この左目は人間のものではない。

 

 

 

 俺は普通の人間ではない。

 

 

 

 自分の姿を見て、俺は気づいてしまった。俺という存在の正体に……。

 

 

 

 それから俺は動かない身体を無理に動かしながらも、家を出た。

 

 

 

 どこに向かうのかわからない。でも、現実から逃げるように。

 

 

 

 

 

 



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 第13話  【メタルハート 13話 瞳】

 メタルハート 13

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第13話

 【メタルハート 13話 瞳】

 

 

 

 自分の姿を見てしまった俺は逃げ出した。

 

 

 

 怖かった。自分が自分でなくなることが……。何も覚えていない。覚えていないはずなのに、声が聞こえてくる。

 

 

 

 悲鳴が……。怒りが……。

 

 

 

 ただ俺は何度も転びながらも森を走り続けた。

 

 

 

 やがて雨が降り始めて、身体は転んだ傷だけではなく、泥だらけになっていく。

 

 

 

 俺はそれでも走り続けた。

 

 

 

 怖かった。怖かったんだ。何か壊れてしまうのではないかと、そう思って怖くなってしまった。

 

 

 

 気がつけば雨も強くなり、辺りは暗かった。

 

 

 

 そんな中、

 

 

 

「ロウ……」

 

 

 

 そこに現れたのはアイサだった。

 

 

 

 アイサは俺よりも泥だらけで何度も転んでいたようで、綺麗な顔には泥と傷でいっぱいだった。

 

 

 

「アイサ、なんで……」

 

 

 

 俺が不思議そうにアイサのことを見上げると、

 

 

 

 アイサに頬を叩かれた。

 

 

 

 それと同時に今まで俺に聴こえていた不思議な声と一緒に、雨の音も聞こえなくなった。

 それは突然ノイズが聞こえなくなるように。いや、叩かれた音が耳に残ってそれらを全てかき消してしまった。

 

 

 

 それでもアイサの声だけは聞こえた。

 

 

 

 アイサは俺を守るように抱きつく。

 

 

 

「心配した……」

 

 

 

 アイサは小さな声で言った。

 

 

 

 

 それを聞いて俺は理解した。アイサは俺を追いかけてきてくれていたんだと……。

 

 

 

 こんな雨の中、森の中を駆け回り、俺を探して、何度も何度も転んでそれでも諦めずに俺を探し続けてくれていた。

 

 

 

「……ありがとう」

 

 

 

 俺は感謝を言っていた。

 

 

 

 雨は降っている。だから、どうだったのかはわからない。でも、俺は泣いていたと思う。

 

 

 

 俺も両目で……。

 

 

 

 怖かった。怖かった。それはアイサ達を失うことが怖かったんだ。

 

 

 

 この目を見て俺は自分を人間じゃないと判断した。

 

 

 

 アイサ達は俺の目のことについて既に知っていただろう。それでも一緒にいてくれたのだ。

 

 

 

 それでも……。

 

 

 

 俺は立ち上がると、アイサを置いて再び歩き出す。

 

 

 

「アイサ、ありがとう。親父さんにも礼を言っておいてくれ…………」

 

 

 

 俺は転びながらも前に進もうとする。

 

 

 

「お前達を危険に晒したくはない……。この目はきっと危険なもの……だから」

 

 

 

 俺が無視して進もうとしていると、アイサが横に来て支えてくれた。

 

 

 

「私たちなら大丈夫よ。その目……何かあるのは確かよ。でもね。だからって一人で背負い込まないで……」

 

 

 

 アイサは俺と一緒に前に進んで、

 

 

 

「一緒に進みましょう。……私たちを頼って。もう家族でしょ」

 

 

 

 

 



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 第14話  【メタルハート 14話 家族】

 メタルハート 14

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第14話

 【メタルハート 14話 家族】

 

 

 

 

 それから俺達は家に帰ると、俺はアイサの父に怒られた。

 

 

 

 でも、嬉しかった。初めてだったからだ。こんなに優しく怒られたのは、初めてだった。そう、記憶はないけど、こんなことはなかった。そう分かった。

 

 

 

 

 それから数日の間、俺とアイサは寝込んでいた。二人で雨を浴びて身体が冷えてしまったことで風邪をひいてしまったのだ。

 

 

 

 そんなこともありながらも、時間は少しずつ過ぎていき、俺はどうにか軽い畑仕事なら手伝えるようになっていた。

 

 

 

 身体が動くようになったことで、二人にも少し楽をさせられるのではないかと、そうやって手伝いを率先してやっていく。

 

 

 

 そんな中、家にある人物が訪ねてきた。

 

 

 

 

 それはオーボエ王国の騎士だ。

 数人の兵士を連れた男がやってきたのだ。

 

 

 

 

 男はアイサの父と知り合いらしく。古くからの友人らしい。

 

 

 

 二人で話していたが、しばらく経って俺とアイサが呼ばれた。

 

 

 

 アイサの父は娘と息子と紹介した。

 

 

 

 そして俺たちの話をしばらくした後、本題に入った。

 

 

 

 

「なぁ、お前に少し相談がある。この子の目についてだ」

 

 

 

 それは俺の目に関する話。俺の目をどうにかしてあげられないかと、その騎士に相談したのだ。

 

 

 

 しかし、その騎士にも俺の目の原因がわからなかったらしく、どうすることもできなかった。

 

 

 

 だが、ある可能性を教えてくれた。

 

 

 

「俺はその分野については専門外なんだが……王国の裏組織。そこで人体実験をしている連中がいると聞いたことがある」

 

 

 

 それは俺がその組織の実験体であり、逃げ出したか、それとも捨てられたか。それでここまでやってきたのではないかという。

 

 

 

 記憶がないのも、ショックによる記憶喪失か。それとも操作されているか。分からないが、記憶がないというもの繋がりがあるのではないかという考えになった。

 

 

 

 だが、一人として記憶を失っていることが嘘だと疑ったり、俺がその組織のスパイであるなどということは口にしなかった。

 

 

 

 それだけで嬉しかった。

 

 

 

 話した後、騎士は帰っていった。

 

 

 

 それから俺は考えた。もしもそんな組織と繋がりがあったなら、ここにいることで二人に危険に晒されることがあるかもしれない。

 

 

 

 なら……。

 

 

 

 俺はこの家を出ていくことを決意した。

 

 

 

 一応、この家を出た後の行くあてはさっきの騎士が用意してくれた。いや、というよりもその組織に逆に近づく方法だ。

 

 

 

 危険が迫るなら、その危険に立ち向かえば良い。

 

 

 

 騎士に紹介されたのは、その裏組織と専門に対峙する騎士団への紹介状だった。

 

 

 

 

 



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 第15話  【メタルハート 15話 騎士】

 メタルハート 15

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第15話

 【メタルハート 15話 騎士】

 

 

 

 

 翌朝、俺が家を出ようとするとそれよりも早く玄関には多く持つを持ったアイサがいた。

 

 

 

 二人とも顔を合わせると。

 

 

 

「え……」

 

 

 

 と間抜けな声を出した。

 

 

 

 二人はお互いに指を差し合う。

 

 

 

 そして同じように旅支度をしていることに気づいた。

 

 

 

「なんで…………」

 

 

 

 ロウが聞くと、アイサは答える。

 

 

 

「私が騎士になって、あなたがそうなった理由を突き止めて、そして元の身体にも出してあげる。だから待ってて」

 

 

 

 アイサはそう言い行こうとするが、俺は止める。

 

 

 

「なんで、これは俺の問題だ。俺がいく」

 

 

 

 そう、これは俺の問題なのだ。この家族を巻き込みたくはない。だから、俺一人で騎士になって原因を知るのだ。

 

 

 

 しかし、アイサに振り払われる。

 

 

 

「私がいく」

 

 

 

「いいや、俺だ」

 

 

 

「私だ!」

 

 

「俺だ!!」

 

 

 

 二人はどちらがいくかで喧嘩を始める。外はまだ朝早い。静かな森に二人の声が響く。

 

 

 

 俺には二人を巻き込みたくない。だから、ここにいて欲しい。そう思って行動をしているのに、なぜなんだ。なぜなんだろう。

 

 

 

 二人の口論は徐々に激しくなる。

 

 

 

 そんな中、リビングの扉が開いた。

 

 

 

 そこから現れたのは、アイサの父親だ。

 

 

 

 父は二人に布に包まれた弁当箱を渡す。

 

 

 

「二人で行け」

 

 

 

「「え?」」

 

 

 

 二人は再び間抜けな声を出した。

 

 

 

「一人ではどうしようもならないことがある。そんな時、二人なら乗り越えられる」

 

 

 

 父はそんなことを言って二人を一緒に外に出した。

 

 

 

「お前らは俺の大事な子供達だ。やることやって帰ってこいよ」

 

 

 

 そして理解した。この人は俺たちを行かせようとしている。だが、心配していないわけではない。

 

 

 

 我慢をしている。だが、それでも二人で生かせるべきだと考えて、このような行動をしたんだ。

 

 

 

 なら、この人のためにも、

 

 

 

「分かりました。俺はアイサを守ります」

 

 

 

「分かった。私がロウを守る」

 

 

 

 二人はそう伝えると、王国へ向けて歩き出した。

 

 

 

 その先にどんな困難があるかわからない。だが、きっとこの先に幸せがあると信じて。

 

 

 

 

 

 

「…………あ、着替えとか大丈夫か?」

 

 

 

「「……え」」

 

 

 

 見送ってくれたと思ったら、すぐに父は走って追いかけてきた。

 

 

 

「俺が見てないと心配でな。ほら、二人ともバックを見せろ」

 

 

 

 この後、お節介で色々持たされて大荷物で王国に向かうことになった。

 

 

 

 信用してくれてるんだか、それとも心配されてるんだか。でもそれでも、

 

 

 

 二人は目的のために歩き出した。

 

 

 



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 第16話  【メタルハート 16話 目の力】

 メタルハート 16

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第16話

 【メタルハート 16話 目の力】

 

 

 

 

 ロウはフラフラした身体で立ち上がる。

 

 

 

 アイサは立ち上がるロウの姿を見て驚いた。

 

 

 

 猛獣のような唸り声をあげて、ロウはダードゥを睨みつけている。

 

 

 

 アイサは俯した状態のまま、そんなロウの姿に違和感を覚えた。

 

 

 

 ダードゥはロウを見て不思議そうな顔をする。

 

 

 

「ほぉ、生きていたか。しかし、なんだ、それは?」

 

 

 

 ロウは短剣を持ちながら、両手をフラフラとぶら下げながら揺らした。そしてそのまま全身も揺れだす。

 

 

 

「何をしてるのかね?」

 

 

 

 その姿はロウではなく。別もの。何か別の存在がロウの身体を動かしているような、そんな印象を受ける。

 

 

 

「まぁ良い。次はしっかり仕留めてあげよう」

 

 

 

 ダードゥは杖の仕込み刀を抜く。

 

 

 

 すると、そんなダードゥに向かってロウが走り出した。

 

 

 

 すごい速さだ。普段の数倍の速さ。そのスピードのまま、ダードゥを短剣で斬りつける。

 

 

 

 ダードゥはカードをしようとするが、ロウの速さには追いつくことができず、腹に大きな傷を負ってしまう。

 

 

 

「ぐは……。なん……だと、この私が……何が起こったんだ」

 

 

 

 ダードゥはロウの突然の変化についていくことができないようだ。しかし、それはアイサも同じだ。

 

 

 

「このガキがぁぁ!!」

 

 

 

 ダードゥはロウに向かって斬りかかる。一歩踏み込むと、そこには剣の通った後の二本の線が一瞬映る。しかし、それは一瞬のことでアイサには一度の攻撃だったようにしか見えなかった。

 

 

 

 だが、ロウはギリギリ後ろに下がり避けたようで、大きくダメージを喰らった様子はない。だが、ロウの服には新しく2回分の切り傷がついている。

 

 

 

「……私の剣を躱したか」

 

 

 

 先程まで怒っていたダードゥであったが、ロウが一度離れたことで少し呼吸を整える時間ができて、そこで冷静さを取り戻したようだ。

 

 

 

「倒れてからの覚醒。そこからの突然の進化。不思議な力だな、とても興味深い……だが、その力はなかなか危険だな。生捕は難しい」

 

 

 

 ダードゥは杖にある仕込み刀の刃を舐める。

 

 

 

「殺してから解剖するとしよう」

 

 

 

 ダードゥは本気だ。ダードゥならそれを行うだけの実力がある。

 

 

 

 アイサはロウに加勢しようと立ち上がろうとするが身体が動かない。

 

 

 

「ロウ!!」

 

 

 

 アイサの声はロウには届いていないようで、ロウは敵のことしか見えていない。

 

 

 

 ロウは再び両手をぶらりと下げる。

 

 

 

 ダードゥも杖を手に攻撃の構えを取った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 続く

 

 

 

 

 

 



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 第17話  【メタルハート 17話 狂気】

 メタルハート 17

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第17話

 【メタルハート 17話 狂気】

 

 

 

 ロウとダードゥは接近戦を行う。

 

 

 

 どちらも攻撃を避けて攻撃を繰り返す。二人の武器は宙を舞い、何かに衝突することは決してない。

 

 

 

 二人とも盾などの防御する道具は持っていない。それに軽装であり、一撃でも当たれば致命傷になる。

 二人の持つ武器も耐久力はない。そのためお互いの武器をぶつけ合いことはせず、隙があれば武器を破壊しようと考えている。

 

 

 

 武器が壊れるか、それとも攻撃が当たるか。それがこの戦いの決着になるだろう。

 

 

 

 二人の戦闘は短いようで長い。一撃一撃に集中する戦いの中。一回の攻撃が何分もの時間にも感じる。

 

 

 

 相手の攻撃を読み、相手の行動を理解する。この戦いの勝利はそこにある。

 

 

 

 だが、この状況でアイサはロウの方が不利だと感じた。

 

 

 

 それはいつもと様子の違う。ロウの様子である。戦い方は彼のままである。

 

 

 

 戦闘時の癖やリズム。全てにおいて彼のままである。だが、違うのは中にいるのがロウではないという点だ。

 

 

 

 戦っているのは、ロウであり、ロウではない。

 

 

 

 何か別の存在がこの身体を守ろうと、ロウの身体を操作しているように感じる。

 

 

 

 戦闘に関するセンスはロウ以上、だが、そこには信念がない。

 

 

 

 ロウは今や戦闘をするだけの意思のない存在。

 

 

 

「ロウ!!」

 

 

 

 その場で動くことのできないアイサはただロウの名前を叫ぶことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はどこにいるのか。

 

 

 

 気がつくとそこは真っ暗な何もない空間だった。

 

 

 

「…………ここは」

 

 

 

 

 俺はあたりを見渡して、出口がないか探す。

 

 

 

 しかし、出口は一向に見つからない。

 

 

 

「ここは一体……」

 

 

 

 そうしていると、目の前に赤い目の何かが現れる。

 

 

 

 それはモヤがかかったようにはっきりとは見ることができない。

 

 

 

 だが、赤い真紅の目だけが、光っておりその姿を確認することができる。

 

 

 

「…………お前は……」

 

 

 

 すると、赤い目の存在の後ろで何かが広がる。それはその存在の身体の一部。

 翼だ。

 

 

 

 赤い目に翼の生えた存在。

 

 

 

 大きさは俺と大差ないだろう。形は分からない。人なのか、そうでないのか。

 

 

 

 だが、赤い目と翼。それだけはなんとなく分かった。

 

 

 

 

 その存在はしばらく俺のことを見つめると、空を見上げた。

 

 

 

 俺も一緒になって空を見る。

 

 

 

 すると、そこにはシャボンのようなものが飛んでおり、外の様子が映し出されている。

 

 

 

 ダードゥと戦う俺、そしてその横で倒れるアイサの姿。

 

 

 

 その存在は指を指す。まるで戻りたいか聞くように……

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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 第18話  【メタルハート 18話 世界へ】

 メタルハート 18

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第18話

 【メタルハート 18話 世界へ】

 

 

 

 

 

 気づくと俺はダードゥと戦っていた。突然戦闘に放り込まれたことで動揺したが、どうにか立て直す。

 

 

 

 ロウはダードゥの攻撃を避けると、距離を取った。

 

 

 

「ん、どうした。突然人が変わったように」

 

 

 

 ダードゥは何か変化を感じ取ったようだ。しかし、その真相には辿り着いてはいない。

 

 

 

 ロウはダードゥを無視して、アイサの方を向く。

 

 

 

「アイサ! 無事か?」

 

 

 

 アイサはそう聞かれて、ロウが戻ってきたことに安堵した。

 

 

 

「えぇ、一応……ね。でも、加勢はできそうにない」

 

 

 

 アイサはダードゥの攻撃を喰らったことで身体が動かない。

 

 

 

 アイサの傷はかなり深い。一回の攻撃だったとはいえ、その一撃で身体がいうことを聞かなくなってしまった。

 

 

 

 しかし、アイサはダードゥの攻撃を喰らうほんの一瞬前に、その攻撃を見切り、少しだけ身を躱した。そのため、意識は保っている。

 だが、油断をしてしまえば、すぐにでも気を失ってしまう。

 

 

 

 ロウが頑張っている中、ここで気を失うわけにはいかない。

 

 

 

 アイサは目の前が少しずつ暗くなる視界の中、それでもロウの戦いを見守っていた。

 

 

 

 

 ロウは短剣を握った状態で警戒するように、ダードゥと距離をとりながら、その周りを右回転で回る。

 

 

 

 それはダードゥの力がまだ理解できていないからだ。

 

 

 

 最初の一撃は気づいた時には斬られていた。

 

 

 

 どんな攻撃なのか。

 

 

 

 騎士に入隊仕立ての時、同じような技を使う生徒と戦ったことがある。

 

 

 

 その彼もロウと同じく騎士見習いであったが、ロウは当時は彼になかなか勝つことができなかった。

 

 

 

 その時に聞いた技。それが居合い。

 

 

 

 剣を鞘にしまい構える。そして攻撃と同時に抜き、一撃で攻撃を終わらせる。

 

 

 

 武器をしまっていることから、不利に見えてしまうこの技。しかし、その構えこそが速さを生む秘策であった。

 

 

 

 

 

 ダードゥはそれと同じ技を使った。

 

 

 

 杖の仕込み刀を一瞬のうちに抜き、それで二人を斬りつけた。

 

 

 

 ダードゥの技は一流だ。それをロウに理解させる。それがあの技だった。

 

 

 

 だが、ロウにはうっすらと覚えているが、別の戦闘も覚えている。

 

 

 

 それは無意識のうちにダードゥと戦っている光景。

 

 

 

 自分の身体が自分の身体でないかのように。夢の世界の動きのように。制御のできない身体が、勝手に戦っていた光景。

 

 

 

 その光景を覚えていた。

 

 

 

 そしてその時の戦闘はダードゥと互角。ロウはダードゥと互角に戦っていたのだ。

 

 

 

 



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 第19話  【メタルハート 19話 居合い】

 メタルハート 19

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第19話

 【メタルハート 19話 居合い】

 

 

 

 

 ロウはダードゥと戦っていた。それも互角に張り合っていたのだ。

 

 

 

 ダードゥの最初の攻撃を喰らうまではロウは自分であると認識している。

 

 

 

 杖の仕込み刀による居合いの攻撃を喰らった後、ロウは倒れた。

 あの攻撃は確かにやばかった。死んでいてもおかしくない。いや、死んでいただろう攻撃だ。

 

 

 

 しかし、すぐに痛みはなくなった。それどころか血も止まり、傷口は塞がっている。

 

 

 

 そして何も分からない間に、ダードゥと戦っていた。なぜ、何が起きたのか。

 

 

 

 だが、ダードゥの攻撃を避けられていたのは確かだ。居合いではないとはいえ、ダードゥの攻撃のスピードは凄まじいほど速い。

 

 

 

 通常であれば剣の動きなど見ることができない。だが、ロウには見えていた。そしてそれを躱していた。

 

 

 

 どうしてそんなことができたのか。何が起きていたのか。自分でも理解できていない。

 

 

 

 しかし、ロウはその光景を思い出して、自分でもできるかもしれないと考えた。

 

 

 

 可能性はある。それは確かに自分の身体である。ダードゥと互角に戦っていた。剣の動き見えていたし、反撃もできていた。

 

 

 

 違うのは誰が戦っていたかだ。だが、その存在は何者かわからない。それにまわせるわけにはいかない。

 

 

 

 すぐ側には動けなくなったアイサがいる。彼女を巻き込むわけにはいかない。ならば、ここは自分の手で決着をつける。

 それも素早く。

 

 

 

 ロウはさっきの光景を真似するように、身体の力を抜いてゆっくりとダードゥに近づいてみる。

 

 

 

 なんとなくさっきの感覚に近づくように、見様見真似でやってみる。

 

 

 

 それを見たダードゥも警戒する。

 

 

 

 ゆっくりと歩き、ロウは間合いに入った。

 

 

 

 それと同時にダードゥの剣がロウに向かってくる。

 

 

 

 見えている。先程の光景のように剣は見える。

 

 

 

 だが、

 

 

 

 ロウは身体は後ろに吹き飛んだ。

 

 

 

 ダードゥの剣は頭を掠った。ダードゥの攻撃は見えたが、さっきのように接近戦での攻防戦はできなかった。ロウの判断が一瞬遅れてしまった。

 だが、それでも遅れたが体もついてきた。だから、後ろに飛んで攻撃をギリギリで避けた。

 

 

 

 顔には斜め線に傷がついている。

 

 

 

 そこから血が垂れてきて口の中に入り、血の味がする。

 

 

 

 さっきのように出血が止まることはない。

 

 

 

 だが、見えはした。あとは感覚を掴むだけ……。

 

 

 

 ロウは再びさっきの構えの真似をする。

 

 

 

 何度でも何度でもやってやる。これがダードゥに勝つことができる最善の手だ。

 

 

 

 

 



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 第20話  【メタルハート 20話 真似】

 メタルハート 20

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第20話

 【メタルハート 20話 真似】

 

 

 

 ロウは体の力を抜き、再びダードゥに向かって歩みを進めた。

 

 

 

 一回目は剣は見えていたが、少しビビってしまったことで後ろに下がってしまった。それにより反撃をすることができなかった。

 

 

 

 ならば、今度は……

 

 

 

「まだやるのか? 何度やっても同じことだ」

 

 

 

 再び間合いに入る。ダードゥの攻撃はロウに襲いかかる。

 

 

 

 だが、今度はロウは退かなかった。ロウの取った行動は、

 

 

 

 前に出たのである!!

 

 

 

 ダードゥの攻撃が見えたロウにはどこが危険でどこが安全かそれが見えている。危険なのはダードゥの刃が届く範囲。そして安全なのはダードゥの攻撃が届かない範囲。

 

 

 

 その安全地帯は離れた場所だけではない。ダードゥに最も近い場所。そう、さらにもう一歩踏み込むことでロウは安全地帯に踏み込んだ。

 

 

 

「……っ」

 

 

 

 ロウはダードゥの攻撃を躱すと、そのまま短剣で攻撃に出る。だが、大振りではなく、急所だけを狙うように素早くすぐに動きを切り替えられるように攻撃した。

 

 

 

 だが、それでもダードゥは倒せない。ダードゥもロウの攻撃を避ける。

 

 

 

 ダードゥもロウと同様にさらに一歩踏み込んで攻撃を躱す。そして反撃をする。

 

 

 

 これでロウの中にある。自分でない自分が戦っていたシーンと同様の攻防戦ができる。

 

 

 

 だが、これでは互角だ。ダードゥを倒すことはできない。だからここで行動に出る必要がある。

 

 

 

 攻防戦が繰り広げられる途中で、ロウは行動に出た。

 

 

 

 ロウはダードゥの攻撃を避けたタイミングで、ロウはダードゥに攻撃を仕掛けるのではなく、ダードゥの目の前で天高く剣を上に放り投げた。

 

 

 

 短剣は宙を舞い回転する。

 

 

 

 ダードゥは一瞬だけその剣に気を取られてしまった。

 

 

 

 すぐにこれは罠だと気づいた時、すでに遅かった。

 

 

 

 ロウはダードゥの顔に向かって手のひらを向けている。そしてニヤリと笑うと、そこには魔法陣が展開されていた。

 

 

 

「俺、騎士より魔法使いの方が向いてるって先生に言われてたんだよ」

 

 

 

 次の瞬間、ダードゥの視界は閃光で真っ白になる。

 

 

 

 何も見えない。目眩し……。

 

 

 

 だが、ダードゥはかなりの戦闘を切り抜けてきた感がある。視界を奪われた程度では動揺しない。

 

 

 

 ダードゥは視界が使えないのならば、他の感覚を頼りにする。嗅覚、感覚。

 

 

 

 そこからロウの行動を予測して、それに合わせてカウンターをする。

 

 

 

 宙を舞う剣。

 

 

 

 それは地上に向かって降りてくる。

 

 

 

 その剣は目の前で止まる。誰かが取った。それは目の前にいる少年。

 

 

 

 なら、その剣を使い、反撃してくる。それに合わせて、カウンターを!!

 

 

 

 

 



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 第21話  【メタルハート 21話 協力】

 メタルハート 21

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第21話

 【メタルハート 21話 協力】

 

 

 

 

 ダードゥはロウによる魔法で視界を奪われた。

 

 

 

 その魔法は洞窟探索の時や街の街灯などで使われている光の魔法を強化したものだろう。

 

 

 

 目が治るまではほんの数秒かかる。

 

 

 

 ロウの狙いは視界を奪い奇襲をすること。だが、ダードゥは何度の命を狙われてきた。その度に戦闘をして生き残ってきたのだ。

 

 

 

 視界を奪われた程度では負けない。

 

 

 

 他の感覚を頼りに、ロウの攻撃を予測する。そして先ほど投げられた剣が目の前で止まった。

 

 

 

 つまりそこに少年がいる。そしてそこから反撃をしてくる!!

 

 

 

 ダードゥは前にロウがいると予想してカウンターをしようとする。だが!!

 

 

 

 後ろからも足音?

 

 

 

 前後の両方から気配がする。

 

 

 

 だが、ダードゥはすでにカウンターのつもりで前方に攻撃をしてしまう。

 

 

 

 ダードゥの攻撃は当たった。前にロウはいたのだ。

 

 

 

 だが、ダードゥの攻撃はロウに一瞬掠るが、

 

 

 

 後ろから奇襲を仕掛けていたアイサの攻撃を受けたことにより、途中で力が抜けてしまい、ロウにダメージを負わせることができなかった。

 

 

 

 ダードゥはそのまま倒れる。

 

 

 

「な、なぜだ。さっきまで動けていなかったはず……」

 

 

 

 ダードゥは倒れた状態でアイサの方を見る。

 

 

 

 アイサは完璧とはいえないが、少しだけ傷が治っていた。

 

 

 

 不思議そうなダードゥにロウが答える。

 

 

 

「俺の魔法だ。俺の魔法でアイサの傷を塞いだ」

 

 

 

 ロウはダードゥと戦っている間に魔法計算を行い、アイサの傷を癒していたのだ。

 

 

 

「あの間に……か」

 

 

 

 ダードゥは悔しそうに言った。

 

 

 

「俺も歳を取った。そんなことにも気づかないとはな……」

 

 

 

「さぁ、ダードゥ、あなたを王国に連行する」

 

 

 

 アイサはそう言い、ダードゥを縄で縛ろうとするが、アイサの身体はぶらりとふらつく。

 

 

 

 それを咄嗟にロウが支えた。

 

 

 

「俺の魔法は応急処置だ。無理はするな。あとは俺がやる」

 

 

 

 ロウはそう言うと、アイサを休ませてダードゥを縄で縛る。

 

 

 

 ダードゥは諦めたのか大人しくロウに縛られる。

 そんな中、ダードゥはロウの顔を見て、髪に隠れた左目をみつけた。

 

 

 

 

「紅瞳……」

 

 

 

 それにいち早く反応したのはアイサだった。

 

 

 

「何か知ってるの!?」

 

 

 

 ダードゥは縄に縛られながら答えた。

 

 

 

「ああ、噂程度だがな」

 

 

 

「なんでも良い。手がかりを探してるの」

 

 

 

 ダードゥはしばらく考える。そして、

 

 

 

「俺は商人だ。客については教えない。だが、君たちは俺を倒した。だから、それを代金として、情報を提供しよう」

 

 

 

 



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 第22話  【メタルハート 22話 情報】

 メタルハート 22

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第22話

 【メタルハート 22話 情報】

 

 

 

 

 

 王国に存在する裏組織。その中の一つにモンスターの実験をする組織があると言う。

 

 

 

 我々人類にはモンスターは手懐けることはできない。モンスターは生き物ではなく物質である。魔素の集合体が周囲の動物を再現し、形を成したもの。それがモンスターだ。

 

 

 

 そのためモンスターを戦力にしようてしてもそれは不可能である。

 それにモンスターを捕らえたとしても、魔素を得ることができなければ衰弱し、魔素に戻ってしまう。

 

 

 

 だが、モンスターではなく、モンスターになった人間ならどうだろうか。

 

 

 

 人間にとっては魔素は有害な毒である。

 

 

 

 自然界では植物が魔素を吸収して成長する。その植物を動物や動物が食べる。そしてその動物が魔力を持つ。その動物が魔法を使うことで魔素が発生する。その巡回がこの世界の基本である。

 

 

 

 だが、魔素は一定以上を超えると、動物にとっては毒となり、体に害を与える。そのうちの一つの症状が、身体がモンスターのようになるというものである。

 

 

 

 事例としては、大量の魔素を浴びた人間が、骨だけの人間になってしまったり、鱗のある魚人になってしまったり、いくつかの存在する。

 

 

 

 それは人間にとって悪い状態であり、健康の害となる状態だ。

 しかし、モンスターの身体というものは通常の人間よりも優れた点もあり、耐久性、持久性、破壊力、多くの点で強力な武器となる。

 

 

 

 それを人工的に作り出そうとしたのが、神聖(サクレ)と呼ばれる組織である。

 

 

 

 サクレは各地から子供を攫ってきて、実験材料とした。

 

 

 

 大量の魔素を浴びさせて、副作用を起こさせて、それによる効果を試したのだ。

 

 

 

 多くの者は死んでしまう。しかし、そんな中で奇跡的に生き残った者はモンスターの力を手に入れた。

 

 

 

 モンスターの身体は強力な力となり、その者たちはその力を得ただけで一流の武器として売りに出された。

 

 

 

 ある者は暗殺を行い、ある者は闇組織の護衛を行い、ある者はテロの道具として、購入者次第でその人物に対する対応は違うが、ほとんどのものが使い捨てと考えていただろう。

 

 

 

 そして組織はさらに強力な兵士を作ろうと、研究を続けた。さらに上位のモンスターの能力を人間に宿す。実験の成功率は下がったが、適合者は一人で人部隊の戦力となるほどの実力となる。

 

 

 

 それだけ強力な力。

 

 

 

 

 

 ダードゥは言う。そのサクレはある時、世界で最も危険とされるモンスターとの適合者を見つけた。

 

 

 

 それは暗黒龍(ダークドラゴン)。

 

 

 



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 第23話  【メタルハート 23話 ドラゴン】

 メタルハート 23

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第23話

 【メタルハート 23話 ドラゴン】

 

 

 

 

「俺もその適合者を見たわけじゃない。だが、そいつが脱走したというのと……ダークドラゴンの特徴である紅瞳……そこからその可能性がある」

 

 

 

 

 ダードゥの話を聞いたロウは左目に髪の上から手を当てる。

 

 

 

 それを見たダードゥは言う。

 

 

 

「復讐とかを考えてるのか。なら残念だがそれはできない」

 

 

 

「なぜだ?」

 

 

 

「奴らはすでに王国の騎士によって捕まっている。モンスターにされた子供たちも保護されているはずだ」

 

 

 

「そうか。でも俺たち目的は復讐ってわけじゃない……」

 

 

 

 

 

 

 

 その後、ロウたちは騎士の応援を呼び、無事にダードゥたちを捕らえた。

 

 

 

 ダードゥたちは王国にある監獄に投獄されることになった。

 

 

 

 ロウの傷はほとんど治っていたが、アイサは応急処置をしただけだったので王国の病院に入院することになった。

 

 

 

 ロウと応急処置により、命の危険もなく。傷も目立つところには残らないようだ。

 数ヶ月もすれば退院できるだろう。

 

 

 

 ロウはアイサの病室に果物を持ってお見舞いに行く。

 

 

 

 病室は個室であり、広い部屋に大きなベッドが置かれている。

 ロウが入ると、アイサは窓を開けて外を見ていた。

 

 

 

 窓の外はオーボエ王国の特徴的な笛のような建物が並んでいる。

 

 

 

 病室はかなりの高い場所であり、病室には風が入ってくる。

 

 

 

「ねぇロウ……」

 

 

 

「なんだ?」

 

 

 

 アイサはロウの方を向かずに聞く。

 

 

 

「サクレの幹部は牢獄に捕らえられてるらしいよ。事情を話せば、対話させてもらえるんじゃない?」

 

 

 

「そうだなぁ〜でも…………お前が退院してからだな」

 

 

 

 そうだ。二人が騎士になったのは復讐のためじゃない。

 元の身体になるためだ。

 

 

 

 だが、ずっと二人でやってきたことだ。ここまで来たら一人で先には進まない。

 

 

 

「何事も二人でいた方が、解決の手段を見つけられるかもしれない。俺たちは二人で一人だ」

 

 

 

「えぇ、そうね。なら早く傷を治さないと」

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 ということで、今回のメタルハートはここで終わりたいと思います。

 

 

 

 今回のエピソードはダードゥを捕らえる話。そして二人の出会いの話でした。メタルハートは本編にどのように関わってくるのか。

 そして今後どうなるのか。お楽しみに!!

 

 

 

 そしてもしかしたら続きがあったりするかも?

 今回の話だけではなく、別の形でもこの二人のエピソードを書くことがあるかもですので、その時もよろしくお願いします。

 

 

 

 今後もいろんな外伝も書いていくので、よろしくです!!

 

 

 

 

 

 

 



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 第1話  【ダズのダイエット 其の1】

 せかへい 外伝10

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【ダズのダイエット 其の1】

 

 

 

 

 冒険者であるダズ・ボーラル。新人冒険者としてガーラの後ろをリトライダー、ミエと共に追いかけている。

 

 

 

 ダズの体型はぽっちゃりである。全てが脂肪ということではないが、お腹がぽっこりと出ていた。

 

 

 

「なぁ、ダズ……お前、最近太ったか?」

 

 

 

 リトライダー、ミエ、ダズの三人で宿の一階にある食堂で食事をしていると、リトライダーがそんなことを言ってきた。

 

 

 

「そんなことないっすよ」

 

 

 

 ダズは手を振って否定するが、ミエは蕎麦を啜りながらダズの方を見る。

 

 

 

「いや、たしかに太ったみたいね」

 

 

 

「いやいや、いつも通りっすよ」

 

 

 

「じゃあ、そのメニューは何?」

 

 

 

 ミエは蕎麦。リトライダーは定食。

 

 

 

 それに比べて、ダズはうどんの大盛りに天ぷらとコロッケ。横にはリトライダーと同じ定食を食べている。

 さらに食後にはいつもデザートを頼む。

 

 

 

「流石にそれは食べ過ぎよ」

 

 

 

「…………」

 

 

 

 自分のメニューと二人のメニューを見比べたダズは、その量の違いを理解した。

 だが、腹が減ってしまっているものはしょうがない。しかし、このまま太り続ければ、冒険者としての職業にも支障が出るだろう。

 

 

 

「よし! 決めた!! 俺ダイエットするっす!!」

 

 

 

 

 こうしてダズのダイエット計画が始まった。

 

 

 

 まずは食事から見直す。

 

 

 

 普段は三食全てを腹一杯食べていたが、腹八分目で終わらせるようにする。

 それも食事の前にはサラダを食べるようにして、腹を満たすようにしてから食事をする。

 

 

 

 食事も好きなものを食べるようにするのではなく、栄養バランスを考えたものを食べるようにした。

 

 

 

 運動も欠かさず行うよにして、朝起きたら村を一周まわるようにして、少しでも運動をするように。

 

 

 

 仕事も冒険者であり、身体を動かすものであるため、疲れすぎない程度に適度に休憩をしながらランニングを続ける。

 

 

 

 外に出る時はリトライダーかミエが付き添い、何か誘惑に負けて食べてしまわないように、工夫をした。

 

 

 

 そして一ヶ月経ち、ダズの体型は変化して、今ではリトライダーと同じくらいに痩せて、筋肉もついているのでかなりの筋肉マッチョになった。

 

 

 

「やったね!」

 

 

 

 三人は喜んだ。

 

 

 

 そしてその晩、お祝いパーティーを開くことにした。

 

 

 

 そうして数日後には二人の体型は元の体型と同じものになっていた。

 

 

 

 

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 ダイエットって難しいですよね。

 

 無理せず続けられるものをやるのが一番ですね!

 

 

 



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 第1話  【慎重者の進捗日記 其の1】

 せかへい 外伝11

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【慎重者の進捗日記 其の1】

 

 

 

 村一番の慎重者、ルンバ。彼の慎重さは異常である。

 

 

 

 石の橋であっても渡る時には必ず叩く。新品の本を買うときでも必ずページ抜けや汚れがないか確認する。自分で作った食べ物であっても必ず毒味をする。

 

 

 

 それがこのルンバという男だ。

 

 

 

 彼の一日の始まりは朝起きて、時間を確認することから始まる。部屋には魔道具である目覚まし時計が三つほど置かれているが、それが鳴る5分前に起きて全ての目覚ましを止める。

 

 

 

 布団から降りる時は部屋の床が抜けないか、確認してから布団から降りる。

 

 

 

 朝食は自分で作るが、全て製造元がわかるものであり、袋で舗装されているものを使う。

 

 

 

 作り終わった朝食は毒が入っていないか、魔法で確認してから食べることにしている。

 

 

 

 調理で使った火は、絶対にしっかり消えたのを確認してから、離れるようにしている。

 

 

 

 家の鍵は三重ロックであり、玄関だけでなく窓も厳重に閉められている。

 

 

 

 ルンバの仕事は村の警備である。門の周囲を見張り、外にモンスターがいないかを確認する。それと外から入ってくる者の身元を確認する仕事も行う。

 

 

 

 仕事で使う槍は使うことがなければ、布に包み危険のないようにしている。しかし、何があっても持ち運ぶようにしており、危険があればすぐに対応できるように準備している。

 

 

 

 昼ごはんは村のお弁当屋で買ったものが上司であるマティルから渡された。ルンバはそれを全て調べてから食べた。

 

 

 

 何事もなく仕事を終えると帰宅する。帰っている途中で銭湯により汗を流す。

 使う石鹸は自分で持ってきたものだ。銭湯に常備されているものは使わない。

 

 

 

 風呂から出たら、自分で持ってきた牛乳を飲む。そこで売られている牛乳は買わず。自前のものだけで済ます。

 

 

 

 帰宅すると、夕食を食べる。夕食も自分で作り、全て毒がないか、確認してから食べる。

 そのため、家族の中で一番遅く食べ終わる。

 

 

 

 最後に食べ終わったものが片付けをするというルールなので、食器洗いは毎日洗っている。

 

 

 

 夕食を食べ終えると、今日の仕事の内容に日記に記す。ノートには誰とどのような内容を何時ごろ話したのか。細かいところまで全ての情報を書く。

 

 

 

 

 書き終えたルンバは寝る準備をする。寝巻きに着替えて、布団が抜けて地面に落ちないか、確認してから寝っ転がった。

 

 

 

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 今回は村人の一人であるルンバというキャラの話を書きました〜。

 

 

 

 

 



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 第1話  【村の三人の少年 其の1】

 せかへい 外伝12

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第1話

 【村の三人の少年 其の1】

 

 

 

 サージュ村。そこにある一軒の家に二人の人物が集まっていた。

 

 

 

「おーい、パト、いるか?」

 

 

 

 エスとルンバである。呼ばれたパトは扉を開けて出てくる。

 

 

 

「どうしたんだ? 今日は仕事じゃなかったのか?」

 

 

 

 パトがそう言うと、エスは首を振る。

 

 

 

「いやな、それがマティルさんが仕事の配分を間違えてたみたいで、俺たち今日休みになったんだ」

 

 

 

 エスとルンバは門番の仕事をしている。しかし、今回は急遽休みになってしまったようだ。だが、やることもないので今日は休日だったはずのパトのところに遊びに来たのだ。

 

 

 

「っで、お前も休みだろ。せっかくだから訓練一緒にやらないか?」

 

 

 

 エスはそう言って、槍を持ち上げる。

 

 

 

 訓練とは槍などの武器の特訓だ。二人は門番として村の防衛の仕事をしている。そのため時間がある時にはこうして戦闘の練習をしているのだ。

 

 

 

 パトもガオに体術から武器の使用まで様々なことを教わっており、戦闘能力では二人と互角くらいの力はある。

 そのため練習相手として誘いに来たのだ。

 

 

 

「おう良いぜ!!」

 

 

 

 こうして三人は特訓を行うことになった。

 

 

 

 特訓に使うのは村の東側にある草原だ。

 

 

 

 村の防壁の外ではあるが、結界もすぐに近くにあるためモンスターは寄ってこない。それに結界にびびらないモンスターであったとしても、村まで逃げればどうにかなる。

 

 

 

 まぁ、こちらには武器もあるし、三人がかりで戦えばある程度のモンスターには対応できる。

 

 

 

 まずは基礎的な運動から始める。三人は掛け声を出しながら、草原を走る。

 

 

 

「よし、誰が早く十周できるか勝負しようぜ」

 

 

 

 走っている途中でエスがそんな提案をしてくる。

 

 

 

「お、たのしそうだな。やるか!」

 

 

 

 パトはそう答える。

 

 

 

「俺も良いぜ」

 

 

 

 ルンバも賛同した。

 

 

 

「よし、じゃあスタートだ!!」

 

 

 

 エスがスピードを上げる。最初から二人との差を開く作戦のようだ。

 

 

 

「ははは〜! これでどうだぁぁ、はぁはぁ」

 

 

 

 エスが自信満々に後ろを振り向く。

 

 

 

 しかし、

 

 

 

「負けるかー!!」

 

 

 

 パトが踏ん張ってついてきていた。

 

 

 

「なにぃ!?」

 

 

 

 二人は負けまいと全力で走る。しかし、五周したところで体力に限界が来てしまい、二人はヘトヘトになってしまう。

 

 

 

 そんな二人をルンバはあっさりと抜かした。

 

 

 

「「な!?」」

 

 

 

 二人はルンバを抜かし返そうとするが、ルンバはペースを乱さず走り続ける。

 

 

 

 そしてこの勝負に勝ったのはルンバだった。

 

 

 

「負けたー」

 

 

 

「勝った」

 

 

 

 ルンバはドヤ顔していた。

 

 

 

 

 



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 第2話  【村の三人の少年 其の2】

 せかへい 外伝12

 

 

 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria

 

 

 第2話

 【村の三人の少年 其の2】

 

 

 

 ランニングを終えたパト達は今度はストレッチを始める。筋肉をほぐして、身体を痛めることがないようにする。

 

 

 

「あ、そうだルンバ後ろから押してくれ」

 

 

 

 前屈をしている最中に、エスがルンバに後ろから押すように頼む。

 

 

 

 ルンバはやりすぎないようにでも、なるべく力を入れて押す。

 

 

 

「いててててて〜」

 

 

 

 エスは口では痛がっているが、まだ大丈夫そうだ。

 

 

 

 ルンバはもう少し力を入れて押してみる。

 

 

 

「あ、良い!! もっと!! もっとぉぉぉ!!」

 

 

 

 ルンバは気持ち悪くて、押すのをやめた。

 

 

 

 準備運動を終えた三人は今度は武器を使っても素振りを始める。

 

 

 

 門番が基本的に使うのは槍だ。そのため三人とも今回は槍の訓練をする。

 

 

 

 槍での突きの練習などいくつか終わった後、三人は模擬戦を行うことにした。

 

 

 

 ルールは簡単だ。槍を使って戦う。相手を傷つけることはなく、ギリギリのところで槍を止める。

 一応先端が尖っていないものを使うが、怪我には気をつけて、それでも実戦に近い形で練習をする。

 

 

 

 まずは最初に、ルンバとエスが戦う。

 

 

 

「では始め!!」

 

 

 

 パトの合図で二人の戦闘が始まる。

 

 

 

 ルンバは一歩後ろに退いて様子見を行う体制だ。逆にエスは真正面から突っ込む。

 

 

 

 エスはルンバに何度も突きの攻撃を仕掛けるが、ルンバは上手くそれを防ぐ。

 

 

 

 エスは瞬発力があり、勢いで攻めるのを得意とする。三人の中では一番運動能力も高い。戦闘のセンスも一番高いだろう。

 

 

 

 しかし、攻め方が単純だ。

 

 

 

 ルンバは分析能力に長けている。エスのような特攻力はないが、距離をとって攻め方を探る。

 相手の癖や行動パターンを分析する。さらにその日の体調や疲れも読み取り、同じ人物でもその状況にあった攻略法を見つける。

 

 

 

 そのためルンバは何度も練習しているエスであっても、分析する時間が必要となる。だが、相手のペースを掴めば、ルンバの方が有利となる。

 

 

 

 エスは短期決戦を狙い、ルンバは情報を読み取ってからの反撃を狙う。

 

 

 

 時間を稼ぐことができれば、ルンバの勝利となる。だが、ルンバの防御をエスは無理矢理突破した!!

 

 

 

「勝負有り!!」

 

 

 

 エスの勝利である。あとほんの数秒だっただろう。しかし、今回はエスが勝利した。

 

 

 

「よーし、じゃあ、次はパト、やろうぜ。このまま連勝してやる」

 

 

 

 エスはルンバに勝ったことで調子付いてパトに連戦を申し込む。

 

 

 

「ほう、良いだろう」

 

 

 

 パトはその勝負を受けた。

 

 

 

 

 



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