鮮血の堕天使†ブラッドリーエンジェル† (白ノ宮)
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鮮血1L 体の変化
なんだ?
この頭痛は...。
体調不良の心当たりが無くて寝起き最悪な状態で起き上がる。
部屋が暗い。
ベッドも何故か硬く、埃っぽい。
ここはどこだ?
少なくても私の部屋ではない。
拉致でもされたのだろうか。
こんな私を?何のために?
無理矢理脳を回転させて思考を整える。
ベッドから降りようとして床を見ると何かの機械部品がそこらに落ちていた。
なんとか足場を見つけて足を下ろすと自分の体の変化に気づいた。
まるで少女のような華奢で程よい肉感の脚だ。ローファーを履いていて、黒いソックスがふくらはぎまで伸びていた。
お腹の方を見ると黒系のミニスカートをはいていて、スパッツを履いているのがわかる。
上半身はフード付きパーカーこれも黒系。
下にワイシャツを着ていてネクタイは紺...?だろうか。胸に膨らみが少しある。
明らかにTSしているな、これは。
頭を触ってみると髪質が変わっている。
しなやかでサラサラな長髪。
立ち上がって、床の機械部品を足でどかしながら近くの扉のドアノブをひねって開ける。
開けた先から差し込んでくる急な光に咄嗟に目を瞑り、手で遮る。夕陽だ。
薄眼で辺りを見回すと組み上げ用の機械だろうか、錆びている機械が哀愁を漂わせている。
ここはどこかの廃工場なのだろうか。
「...?」
観察していてふと目についた飛行機の模型を見つけた。
なぜこんなところに模型が...。
すぐそばには空薬莢が落ちている。
この工場では何か物騒な事でも起きたのだろう。
あ、棚だ。
折角だから物色してみよう。
.....
...
.
何もなかった。
棚の上にあった写真たては埃をかぶっていてどんな写真かわからない。
手で埃を払って写真を再び見る。
2人の少女が笑顔でピースをしている夏景色といったところか。
しかし少女の髪色が自然でありながら不自然なのだ。
1人は桃色でもう1人は緑色だ。
現実世界であれば不自然に見える髪色なのだが、二次元キャラを認識するように自然に感じるのだ。
そして服装。
私の今の服装もそうだが、学生服っぽいのである。
桃色の髪の少女の上はセーラー服の上部分だろう。
しかしスカート部分が袴とスカートが一体化したような形状なのだ。
明らかに無駄といってもいいんじゃないかといった感じのスリットが入ったこのスカート、私には見覚えがあった。
艦これ-艦隊これくしょん−というソーシャルゲームのキャラの1人である工作艦明石だ。その名の通り戦闘にはほとんど向いてない艦で、主に修理の役割を持っている。
緑色の髪の子は夕張だろう。
夕張と聞いて真っ先に連想するのはメロンだろう。
とはいえメロン要素は髪色ぐらいだ。
この夕張は軽巡洋艦で武装実験艦として使用されていた。
軽巡洋艦なのに可能武装積載量が多いからか足が遅い。
とはいえガン積みした主砲の威力は期待できるものである。
一部の使用法としてはドラム缶フル装備というのがあるのだが、あれはどうやって装備しているのだろうか。紐でくくりつけているのか...?
まぁそんなことはどうでもいい、重要なことじゃない。
それにしても眩しい笑顔だ。
そしてこの場所がどういった場所か見当もついた。
先程から工場内に入ってくる潮風、人気が感じられない、作業用の機械が錆びている、艦載機の模型、空薬莢、これまでの情報からするとここは鎮守府跡の廃工廠なのだろう。
そしてこの世界は艦これの世界。
自分のこれはTSではなく、艦娘となったのだろう。
これでただのTSだったら笑い物だが。
つまりここは異世界。
恒例のあれも試して見ていいのではないだろうか。
『ステータス表示』
─────
夜天型戦艦壱番艦 夜天
種別:陸軍火力支援艦
HP100%
EN 100%
AM 100%
特型連装機銃 正常
142cm単装砲 正常
88cm3連撃砲 正常
52cm5連撃砲 正常
30mm拡散光線砲 正常
特殊能力《ショップ》
残りpt3000
─────
紛れもなく異世界だ。
ステータス表示を行なった瞬間に武装の展開方法や能力の使用方法が頭に流れ込んできた。
それにしても夜天か。
私が妄想してわざわざ軽い設定まで作った[ぼくのかんがえたさいきょーのせんかん]である。
まさかオリジナルの艦娘に憑依することになるとは思わなかったが、誰かの意識を消してまで憑依するようなことがなくてよかったと思うべきなのだろう。
そしてこの能力だ。
ショップといって、異世界ファンタジー小説でたまに見かけるアレである。
現実のものを取り込んで売却して専用通貨を入手してそれで欲しいものを買ったり、現実の通貨にも変換することができるといったチートに分類される能力である。
ステータス自体は最強をイメージして作った艦だから魚雷を受けようが主砲を受けようが殴られようが大した損害にはならないはずだ。
艦表面にバリアを張っているからダメージ軽減が発生する。
走行自体も硬いため、スパロボで例えるなら装甲3200で精神コマンドの鉄壁が発動しているような状態である。(鉄壁とはダメージを三分の一に抑えるコマンド)
はぇ〜すっごい。
さて、ショップを試したいところだがまずはこの鎮守府跡の探索を始めなければならないだろう。
工廠を出るとわかってはいたがそれでもなんともいえない光景が広がっていた。
簡単に言うと砲撃や爆撃にさらされてボロボロになった各施設だ。
「戦争してるんだよな...今はどうなのか分からないが終戦してるのだろうか。折角艦娘になったのだから戦闘を行ってみたいのもあるがこの光景を見ると平和であることを願ってしまう。...さて、探索を始めよう」
私は施設の残骸で一番近いところに向けて足を進めた。
チートほど失踪しやすいものはない
-白ノ宮-2021/10/07(木)
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鮮血2L 探索
大量出血だね。
施設の残骸で一番近いところに着いた。
3階建ての建物だ。
入り口と思われる場所には黒焦げの木の扉がある。
その横に鉄製の板があり、そこには駆逐艦寮と彫られていた。
ロリ...。
さて、入ろう。
黒焦げの木の扉を開けると留め具が外れて音を立てながら扉が寮の内部へと倒れていった。
「これって器物損壊罪になるのかね...?いや、そうだとしたらまず廃墟に許可なく立ち入っている時点でアウトか」
細かいことを脳の端に追いやって調査を開始する。
まずはエントランス。
ところどころ穴が空いていたり焦げていたりするが、そうなる前の様子が感じ取れるぐらいには建物としての形が残っていた。
入って右側には掲示板らしきものがあり、誰かが手書きで作ったものが印刷されている新聞のようなものが貼ってあったり、基地内で開催されるイベントを知らせる紙など学校っぽさを彷彿とさせるものが貼ってあった。
「なんか懐かしいな、この雰囲気は」
しかしそれだけであり、特に目ぼしいものはなかった。
できれば日付が書いてあるものがあればよかったのだが、月しか書かれておらず年と日がわからないものだった。
これらの紙でわかったことは、この基地は2月に壊滅、基地としての機能を失ったと言うことだろう。
掲示板から目を離して入り口から見て右のほうに続いている廊下を歩いてみる事にした。
一旦奥まで歩いて行き、幾つ扉があるか数えて見ることにする。
奥まで着いた。
扉の総数は5。廊下の右側に扉が付いて4つ、奥の突き当たりに1つとなっている。
さて、この部屋は何型の部屋なのだろうか。
〇〇の間と言ったような表記があるわけもなくノーヒントだったので少し残念な気持ちを感じつつ私は部屋へと侵入した。
部屋の作りは和風テイストで床が畳になっておりすぐそばで靴を脱ぐスペースがある。靴箱も存在しており機能性が良さそうだ。
部屋の中央には大きめのちゃぶ台があり、部屋の隅には敷布団が畳んで積まれている。
そのほかにはいくつかの棚や流し、洗面所や風呂もあって結構充実している気がする。テレビやソファなどもあって普通の生活部屋といった感じで特に厳しいしきたりを感じさせるものはなかった。
「ちょっと失礼しますよーっと」
しかし何がたかはわからないため制服がしまっていないか棚の中を物色することにした。
棚は三段の引き出しによって構成されていて、まずは上段からあけて見ることにする。
空だった。
次に中段。
明らかに制服とは違う質感の純白の布地や水色の縞々が目についた瞬間閉じた。
これ以上目にしてはいけないものなのかもしれない。
最後に下段。
何かの薬品と包帯とこれは...?
包帯にしては短いし、少し分厚いような...?形も楕円形と言えば良いのか、よくわからないな。それにこの紐の付いたカプセルのような形の綿はなんだろうか。
軍には一般人が想像もつかないような医薬品が存在するのだと思い知った。
せっかくなのでこの歪な包帯と紐付きの綿を一つずつ貰っていくことにしよう。
このぐらいなら許されるはずだ。傷を追ったときの止血に使えるかもしれないし。
あとは特に無いかな、よし次行こう。
他の部屋も行って見て思ったのだが、型を特定できるようなものが一切おいてなかったと言うのが気がかりだ。
せめて写真たてとかに部屋のメンバーの集合写真があってもおかしくは無いとは思うのだがそれすらも見当たらずそこだけが不自然に感じることなのだった。
下着が置いてあるのに制服が無いとは一体どう言うことだろうか。
空き巣?いや、だとしたら下着も持っていくはずだ。
結局何を考えてもわからずじまいでそろそろ完全に日が落ちてしまうので調査は一旦辞めることにした。
まだ二階があるが老朽化が怖いので調査するのはやめておこう。
とりあえず今いる洋風の部屋を仮の宿として使わせてもらおう。
この部屋の主の下着って紐系だったんだよな。総数も少ないし。
このウサミミもどきのカチューシャは...あっ!
この部屋だけは特定できた。
まぁ、そのことは置いといとこう。
ソックスを脱いでベッドの上に上がる。
私は部屋では素足派なのである。
ここでもやっておくことはある。
ただ寝るだけでもいいのだが、特殊能力も試してみなければならない。
能力を発動することを願って目を瞑って念じて見る。
『ショップ』
目を開いて見ると半透明な板が空中で浮いており操作画面が表示されていた。
メニューをタッチして見ると購入と売却、倉庫と表示された。
そうことはなんだろうか。
《倉庫とは、ショップに付随する能力で異次元空間にあなた専用の領域が設けられ、あなたのレベルに応じた広さが使えるようになります。時間が停止されていて、液体を入れても他のものがそれに触れて汚れると行ったこともありませんので安心してお使いください。生物を入れることも可能ですが、その生物が場合によっては消滅してしまう可能性があるので殺せるものであれば殺してから入れるようにしましょう。尚、購入したものや売却したいものもこの倉庫に入るので使えそうなものがあればどんどん倉庫に入れてポイントを増やして生活に役立ててください》
実に反則的な能力だ。
これは実際に使って見るのが非常に楽しみだな。
まぁ、このあと使うんだけどね。
人の住居を漁るのは勇者の基本
by白ノ宮 2021/10/11
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3L ショップ機能
哀愁を漂わせる鎮守府跡の駆逐艦寮の誰かの部屋を借りてベッドの上で寛いでいる少女は誰でしょう、そうわt...(殴)。
はい、暗くなってきたので調査を切り上げてうさ耳をつけた艦娘の部屋をお借りしてベッドの上で寛いでます。
いまは何をしようとしているのかというと、特殊能力のショップを使おうとしています。
さっきからコンソールは開きっぱなしなので購入をタッチして商品一覧を開きます。
今の所並んでいる商品数が一ページ分しか無いので今後何かを条件として品揃えが良くなっていくのでしょう。
商品一覧
・謎食料 3食分 50pt
・謎飲料 3L 20pt
・謎燃料 10L 100pt
・爆裂弾 20発 100pt
・閃光手榴弾 5個 50pt
・着火装置 1個 10pt
・ガススプレー 20pt
なんだろう、この品揃えは。
謎の知識でわかっていることは、謎食料や謎飲料は謎燃料の代わりになる。しかしエネルギー変換効率が悪い。美味しいが、悪い。
味は表現し難い味だそうだ。
この世界の艦娘はどうやら食事か燃料かのどちらかを取るらしい。
漫画で空母がボーキサイトをムシャムシャしていたのはこの世界の真実を写していたのだな。
それで爆裂弾。
榴弾と何が違うかというと火薬の量だ、そして爆発の規模だ。
榴弾は火薬で敵の装甲をぶち破るが、爆裂弾は装甲ごと相手を焼き滅ぼすイメージだ。
頭に当てれば生半可な耐久を持った相手は一撃だ。
この弾はゲームでいう課金弾というものだ。
金はかかるが威力は保障出来る。
閃光手榴弾、これは目眩し。人間にも深海にも使える。
着火装置、これはチャッカ〇ンで所謂ライター。
ガススプレー、着火装置と合わせて使えばガスバーナーになりそう。火炎放射器としては...どうなんだろう。
今の所はこれぐらいだが、今後どんな品物が増えるか実に楽しみである。
そういえば倉庫にさっき仕舞った変な包帯と紐付きの綿の名前が表示されているはずだ。どんな名前をしているのだろうか。
所持品一覧
・生理用品×2
え....。
包帯じゃない...だと...!?
期待が外れて少しテンションが下がった。
でもまぁ止血には使えるだろうな、うん。
ていうかなんで気がつかなかったんだろう。
そういえばこの体ってそういうの必要なのかね。
...無いことを祈るとしよう。
次に現金変換のページを選んでみる。
レートは1pt=100円
まぁ、いまは必要ないかな。
明日は工廠に戻って落ちている機械や部品を端から倉庫に入れておこう。
役にたつかもしれない。
役に立たなかったら売却すればいいだけである。
「ふわぁぁぁ...おやしゅみぃ...」
我ながらかわいい欠伸をかましながら私は意識を睡眠に沈めた。
流石にアレを売ろうとはしない夜天は紳士(?)
by白ノ宮 2021/10/16
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