新世界ウルトラヒーローズ (湯帝)
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第一次怪獣頻出期
プロローグ&登場人物紹介


サイドスペースの地球。

ウルトラマンベリアルはウルトラマンジードによって倒され、宇宙に再び平和が戻った。

しかし、宇宙に漂う暗黒物質の作用により、ベリアルはストルム星人こと伏井出ケイと共に蘇った。

ベリアル軍との戦いは様々な次元のウルトラ戦士や宇宙人をも巻き込み、ついには唯一、ウルトラマンが地球に現れておらず、テレビでしかウルトラマンが存在しない次元宇宙にも、その余波は押し寄せてきた。

それは、そんな次元の話だ。

作中世界は西暦2030年。(ただし前年の前置きからも含める)

 

 

 

登場人物紹介

 

綿部雄斗(めんぶゆうと)

この物語の主人公。25歳。

山梨県知事を代々務める綿部伯爵家の次子。

首相である嵯峨由蔵公爵の私設秘書を務めている。

JAPAN EDA東京本部に入隊後の初戦で瀕死の重傷を負うが、ウルトラマンゼロと一体化し、ことなきを得る。

 

瀬内美郷(せうちみさと)

この物語のヒロイン。25歳。

甲府市長を代々務める瀬内子爵家の令嬢。

雄斗とは、神奈川県内の私立五三光学園小学校からの友人で、正妻である。

JAPAN EDA東京本部に入隊後は、主にオペレーターを務める。

 

子二本春香(こにほんはるか)

25歳。

滅多に出てこないが、雄斗の第二夫人。

実家は神奈川県知事を代々務める小二本伯爵家。

雄斗とは、東京公立大学法学部日本政治学科で同期。

 

座野正順(ざのせいじゅん)

25歳。

雄斗たちの小学校時代からの同級生。

EDA入隊後、JAPAN EDA東京本部の隊長となる。

 

富畑憲三郎(とみはたけんざぶろう)

25歳。

雄斗たちの小学校時代からの同級生。

EDA入隊後、JAPAN EDA東京本部の副隊長となる。

 

白本李莉子(しらもとりりこ)

25歳。

雄斗たちの小学校時代からの同級生で、富畑の恋人。

JAPAN EDA東京本部に入隊。

 

神津勝子(かみつかつこ)

25歳。

雄斗たちの小学校時代からの同級生。

JAPAN EDA東京本部に入隊。

 

松屋加奈(まつやかな)

25歳。

雄斗たちの小学校時代からの同級生。

JAPAN EDA東京本部に入隊。

 

矢崎晴子(やざきはるこ)

24歳。

雄斗たちの小学校時代からの後輩。

JAPAN EDA東京本部に入隊、主にオペレーターを務める。

 

紅凱(クレナイガイ)

外見年齢40歳。

正体はウルトラマンオーブで、怪獣登場前の地球に警告のために現れ、そのままJAPAN EDA東京本部に入隊。

 

蛇倉正太(へびくらしょうた)

外見年齢40歳。

正体はジャグラスジャグラーで、蛇倉正太は地球での名前。

ガイと共に怪獣登場前の地球に警告のために現れ、そのままJAPAN EDA東京本部に入隊。

 

四竈光一(しかまこういち)

25歳。

雄斗たちの大学時代の同級生(東京公立大学経済学部日本経済学科)。

前首相宇部慎一公爵の私設秘書で、JAPAN EDA第3代総監。

 

小鞠海子(こまりかいこ)

25歳。

雄斗たちの大学時代の同級生(東京公立大学文学部日本文学科)。

JAPAN EDA副総監。

 

井伊隆信(いいたかのぶ)

25歳。

雄斗たちの大学時代の同級生(東京公立大学理学部地球物理学科)。

JAPAN EDA補佐官。

 

大中臣俊三(おおなかとみとしぞう)

25歳。

雄斗たちの大学時代の同級生(東京公立大学神学部神道学科)。

代々続く大中臣家の第50代当主で爵位は伯爵。

JAPAN EDA秘書官。

 

宇部慎一(うべしんいち)

76歳。公爵。

自国党第29代総裁にして日本国第97・98・99代内閣総理大臣。

JAPAN EDAの創設者で初代総監。

衆議院当選12回(小選挙区東京1区選出)。

党内最大派閥宇部派の領袖。東京国立大学法学部国際政治学科卒業。

 

嵯峨由三(さがよしぞう)

82歳。公爵。

自国党第30代総裁にして日本国第100代内閣総理大臣。

宇部内閣では、文部科学大臣や法務大臣、官房長官を歴任した中央政界の長老。

JAPAN EDA第2代総監。

衆議院当選11回(小選挙区神奈川1区選出)。

無派閥だが、嵯峨グループの実質的リーダー。私立法都大学法学部日本政治学科卒業。

 

七山米行(ななやまよねゆき)

54歳。衆議院議員で侯爵。政治家になる前は医師と弁護士そして教職の3つの免許を所持して活動していた。

自国党所属の国会議員で、雄斗の居住する地域の小選挙区選出(山梨1区)の議員。

雄斗とは、雄斗の高校時代、自身が毎朝、駅前で街頭演説している時に出会い、それが雄斗の国会議員になる夢へとさせた。

雄斗のことを弟子と認めている。

嵯峨の最側近で最終的な地位は法務大臣政務官。党内では筆頭副幹事長を務めている。

実は美郷の母方の従叔父。

衆議院当選5回。

無派閥だが、嵯峨グループの構成メンバーの1人。山梨県立大学政治経済学部日本政治経済学科卒業。

 

伏井出ケイ

外見年齢40歳。

正体はストルム星人で背中にあるストルム器官が戦力となる。

 

東園転鬼羅(ひがしぞのてきら)

25歳。

雄斗たちの大学時代の同級生(東京公立大学軍学部特殊戦闘部隊研究学科)。

本来なら、JAPAN EDA総監となるべき人物だったが、謎の失踪を遂げる。その後、ベリアルの元に出奔していたことが判明。

 

真田梓(さなだあずさ)

雄斗の同母妹。15歳。

幼少期に母方の実家真田家の真田義信(叔父)の養子となり、「真田グループホールディングス」次期社長。

大学入学とともに真田邸に住むようになった兄雄斗を一番信頼しており、雄斗の東京在住時には、グループ会社「真田不動産」が経営する住宅に住まわせたりしている。

自身の娘朝宮梨央改め真田梨央や梨央の弟朝宮優らが後に世間を揺るがす大事件の関係者となるのは、これより40数年後の未来のこと。

 

上皇

日本国第125代天皇。

80歳の時、第一皇子に譲位し、長らく宮中で院政を敷いていたが、怪獣出現の前年に100歳で崩御。

その後も精神体として日本の行く末を見守る。東京皇立大学帝王学部天皇学科卒業。

 

皇太后

上皇の正妻。

99歳。女性皇族の長老。東京皇立大学摂政学部皇后学科卒業。

 

天皇

日本国第126代天皇。

本名は嗣宮善成(つぐのみやよしなり)親王。

70歳。上皇の第一皇子。

JAPAN EDA創設に関わった人物。

首相の嵯峨公爵とは幼馴染。東京皇立大学帝王学部天皇学科卒業。

 

皇后

天皇の正妻。

本名は大平園優子(おおひらぞのゆうこ)。

69歳。

夫と共にJAPAN EDA創設に関わった。東京皇立大学摂政学部皇后学科卒業。

 

継宮森吉親王

天皇の第一皇子にして皇太子。45歳。

息子は雄斗の異母妹と許嫁の関係。東京皇立大学帝王学部天皇学科卒業。

 

その他皇族

100人程いると言われている。

 

 




真田梓いますけど、TBSドラマ「最愛」の登場人物の1人です。
ハーメルンオリジナルの「最愛」も今後お楽しみいただけたらなと思います。


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劇中用語

劇中用語紹介

 

地球防衛隊(Earth Defense Association:通称EDA)

2028年に創設された対怪獣特殊戦闘部隊。

アメリカ・ニューヨークに本部を置き、各国EDAがある。

隊員は10名。

 

EDA基地

EDAの隊員たちが拠点とする基地。

「ウルトラマンメビウス」に登場するフェニックスネスト同様、フライトモードにも変形可能。

異次元への突入も可能な他、別宇宙への移動も可能。

 

EDAガン

EDA隊員たちが使う光線銃。

かなりの威力があり、等身大の宇宙人や怪獣を一撃で倒すことが可能なほか、巨大宇宙人や巨大怪獣に関してもかなりのダメージを与えることが可能だが、市街地への被害を抑えるため、威力を10分の1程度に抑えて使用する。

 

 

EDAヘルメット

隊員たちが戦闘時に被るヘルメット。

衝撃を実際の10分の1に抑えることが可能。

 

メモリーディスプレイ

隊員たちが通信を行う際に使用。

 

EDAセイダー

「ウルトラマンメビウス」に登場するガンクルセイダーと同じ構造の戦闘機。

スペシウム弾頭弾を搭載。

 

EDAフェニックス

「ウルトラマンメビウス」に登場するGUYSガンフェニックスと同じ構造の戦闘機。

EDAウィンガーとEDAローダーに分離可能。

スペシウム弾頭弾やメテオールを搭載。

 

EDAブースター

「ウルトラマンメビウス」に登場するGUYSガンブースターと同じ構造の高速追跡戦闘機。

EDAフェニックスと合体可能でEDAフェニックストライカーとなる。

スペシウム弾頭弾やメテオールを搭載。

 

ウルトラゼロアイ

綿部雄斗がウルトラマンゼロと一体化した際に授かった変身アイテム。

 

ライザー&ニュージェネレーションカプセルα・β

雄斗がウルトラマンゼロと一体化した際に授かったもう一つの返信アイテム。

これでウルトラマンゼロビヨンドにネオ・フュージョンライズできる。

 

オーブカリバー

クレナイガイがO-50の戦士の頂で授かった聖剣。

ウルトラマンオーブ オーブオリジンに直接変身する際に使用。

 

オーブニカ

ガイの持つ、ハーモニカのような楽器。

 

オーブリング&ウルトラフュージョンカード

ガイが他のウルトラ戦士にフュージョンアップする際に使用するアイテム。

 

蛇心剣

蛇倉正太ことジャグラスジャグラーが持つ日本刀のような刀。

蛇心剣・新月斬波が必殺剣。

 

初代和泉守兼定

雄斗の実家に代々伝わる日本刀。

生身の姿で使えるが、ゼロやゼロビヨンドに変身する時にも使用可能。

その際は、光線も発射する。

 

怪獣カード

ジャグラーが超合体魔王獣ゼッパンドンに超合体する時に使うアイテム。

 

ジャグラーリング

ジャグラーがEDAラボで研究員たちと開発したオーブリングと同じ形状のアイテム。

このアイテムに怪獣カードをかざすことで、超合体魔王獣ゼッパンドンに超合体できる。

 

ベリアルアイ

東園がベリアルに変身する際に使用するアイテム。

 

ベリアルライザ-&怪獣カプセル

東園と伏井出ケイがベリアル融合獣にフュージョンライズする時などに使用するアイテム。

 

内閣制度

日本で200年近く続く制度。

 

皇室制度

日本で2000年近く続く制度。

女性皇族は結婚後も皇室に残り、女性宮家の当主として活動。

女性皇族にも皇位継承権があるが、男性皇族の皇族でない配偶者や女性皇族の皇族でない配偶者にはその権利はない。

 

自由国民党

略称は自国党で英語名はFreedom Peoples of Party。

1955年結党し、それ以降日本政治を牽引してきた。

 

華族制度

内閣制度と同時期にできた制度。

文化功労者や国内外の輝かしい賞を受賞した人物そして地方公務員や官僚らは本人一代限りの男爵又は女爵。

市区町村議会議員、市区町村長は現役及び引退した者も含めて世襲の子爵又は女子爵。(市区町村長自体は世襲なので爵位はそのまま受け継がれる)

都道府県議会議員、都道府県知事は現役及び引退した者も含めて世襲の伯爵又は女伯爵。(都道府県知事自体は世襲なので爵位はそのまま受け継がれる。

国会議員(衆議院・参議院)は現役及び引退した者も含めて世襲の侯爵又は女侯爵。

内閣総理大臣を含む閣僚は現職及び経験者も含めて世襲の公爵又は女公爵。

第二次世界大戦以前の旧華族や上層公家は先祖代々の爵位をあたえられている。

 

私立五三光学園

1964年創立の私立大学。

幼稚園(3年保育)、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院が併設。

 

東京公立大学

1949年創立の公立大学。

法学部、経済学部、商学部、社会学部、文学部、教養学部、外国語学部、神学部、教育学部、理学部、工学部、農学部、医学部、歯学部、IT学部、軍学部、看護学部、薬学部、経営学部、獣医学部を併設。

1954年には大学院も設置。

 

東京国立大学

1877年創立の国立大学。

法学部、経済学部、文学部、医学部、理学部、工学部、農学部、医学部、薬学部を併設。

1945には大学院も設置。

 

私立法都大学

1920年創立の私立大学。

法学部、社会学部、経済学部、工学部を併設。

1945年には大学院も設置。

 

山梨県立大学

1945年創立の公立大学。

法学部、経済学部、商学部、社会学部、文学部、教養学部、外国語学部、神学部、教育学部、理学部、工学部、農学部、医学部、歯学部、IT学部、軍学部、看護学部、薬学部、経営学部、獣医学部を併設。

1950年には大学院も設置。

 

東京皇立大学

1877年創立の皇立大学。

主に皇族や華族を対象とした大学のため、学部数が極端に少ない。

 

真田グループホールディングス

創立50年以上の有名企業。

梓や雄斗の母の実家。

銀行、不動産のほか、学校経営も行なっている。(もちろん老人ホーム経営や医薬品開発も)

真田ウェルネスが寄付金詐欺騒動の発端となるのは40数年後の未来の話。



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第1話 始まり

ウルトラ戦士や怪獣がテレビでしか知られていない次元宇宙。

 

ここでも大変な事件が起きようとしていた。

 

ここはM78星雲・ウルトラの星

 

宇宙警備隊本部でウルトラの父が何かを察したようだ。

 

?「お呼びですか?ウルトラの父」

 

父「ああ、タロウよ、別宇宙でベリアルに似たエネルギー反応を検知した。」

 

ウルトラの父がタロウと呼んだ自身によく似たウルトラマンに声をかける。

 

タロウ「ベリアルに似たエネルギー反応?まさか、奴がまた復活したとでも言うのですか?」

 

父「そういうことになる。ゾフィーよ、今すぐに宇宙警備隊の全隊員を呼んでくれ。」

 

ゾフィーと呼ばれた胸にスターマーク勲章をつけたウルトラマンが反応する。

 

ゾフィー「わかりました。」

 

そして、全隊員が集められ、ウルトラの父が口を開いた。

 

父「集まったな。皆、よく聞いてくれ。別宇宙でベリアルに似たエネルギー反応を観測した。そこでだ。誰か調査に向かって欲しい。」

 

当然のことながら、ベリアルと聞いて、誰も志願する者はいない。

 

その時、目つきの悪いウルトラマンが志願した。

 

?「俺が行く。俺はベリアルとの因縁があるからな。」

 

父「いいだろう。この件は次元を超える力を持つゼロに任せることにする。」

 

ゼロ「ああ、任せておけ。ウルティメイトフォースゼロのメンバーにも声をかける。」

 

父「何か情報を手に入れたらすぐに戻ってくること。その後の作戦に影響するからな。」

 

ゼロ「わかった。」

 

その時、カラータイマーがZのウルトラマンといかにも好青年風のウルトラマンが立ち上がった。」

 

?「ゼロ、私たちも行くます。万が一のためにもギャラクシーレスキューフォースの一員であるこのリブットもいなければならないと思うんです。」

 

??「ゼロ師匠、俺もハルキも行きたいです。ベリアルが関わっているのはウルトラやばいので。」

 

しばらくの間の後、ゼロが答えた。

 

ゼロ「リブット、Z、わかった。お前たちも同行させる。ただし、Z、お前の中には地球人がいる。無茶をするな。」

 

Z「わかってますって。」

 

その時、Zの中から、噂の人物の声が。

 

ハルキ「大丈夫っす。俺はZさんと一心同体っす。何がなんでも無茶しませんって。」

 

ゼロ「ハハハ、2人とも成長したな。じゃあ皆、行ってきます。」

 

ウルティメイトイージスを身に纏ったゼロは、かつて仲間たちと出会った次元宇宙でウルティメイトフォースゼロのメンバーと合流、その足でベリアルに似たエネルギー反応が観測された次元宇宙に移動した。

 

 

 

 

その次元宇宙の地球。

 

時は西暦2029年。

 

この地球にも多くの生命が存在していた。

 

ユーラシア大陸の東に位置する島国・日本では活発な生命活動が行われていた。

 

日本で一番高い山・富士山がある山梨県。

 

甲府市に県庁所在地を置く県庁では次期山梨県副知事と称される人物が慌ただしく動いていた。

 

綿部雄斗、この物語の主人公だ。

 

雄斗「休暇は終わり?嵯峨首相からすぐに帰京せよのお達し?わかりました師匠、すぐに向かいます。」

 

電話の相手は山梨1区選出の七山米行衆議院議員だった。雄斗が師匠と仰いでいて、将来の首相候補と評される人物だ。

 

そして、電話を切ると雄斗は父である綿部雄樹知事のいる知事執務室に赴いた。

 

雄斗「父上、今、七山先生から電話があり、至急、首相官邸に戻られよとのことです。」

 

雄樹は口髭を手で触りながら答えた。

 

雄樹「そうか、暫くはまた会えなくなるな。わかった。行ってこい。」

 

雄斗「はい!行ってきます。」

 

両親や県庁職員そして自身の妻や子供たちに見送られて、県庁を出発した雄斗は約3時間後、首相官邸に着いた。

 

首相官邸の首相執務室に入った雄斗はすぐさま嵯峨首相に声をかけた。

 

雄斗「総理、戻りました!」

 

嵯峨「おお、戻ってきたか。先程な、よくわからん電波を宇宙空間からキャッチした。聞いてみるか?」

 

雄斗「はい、聞いてみます。」

 

電波を聞いてみた雄斗は耳を疑った。

 

雄斗「これは日本語?」

 

オレサマハ、ウルトラマンベリアル。チキュウジンニツグ。コレカラオレサマハ、コノホシをシンリャクシテヤル。コノウチュウニハ、ジャマナウルトラマンドモハイナイカラナ。

 

ここで電波が途切れた。

 

雄斗たち嵯峨首相の秘書5人は困惑していた。

 

雄斗「ウルトラマンベリアル?あの空想の産物でしかなかった存在が別宇宙からやってきたのか?」

 

嵯峨首相の公設第一秘書鳩山幸三郎はすぐさま反応した。

 

幸三郎「信じがたいがそうとしか言えない。」

 

皇族でありながら公設第二秘書をしている春日宮憲仁王も反応した。

 

憲仁王「だがな、テレビでやっていた通りならば、必ず別宇宙の光の国からウルトラ戦士がやってくるはずだ。」

 

その時、政策秘書の徳川家春が叫んだ。

 

家春「先程、別の電波もキャッチしました。うん?これも日本語だ!」

 

オレハウルトラマンゼロ、ベツウチュウノヒカリノクニカラヤッテキタウルトラセンシダ。サキホド、オレノジョウシニアタルウルトラノチチガ、アクノウルトラマンデアルベリアルニニタエネルギーハンノウヲコノウチュウデキャッチシタ。オレタチガキタカラニハモウシンパイハイラナイ。

 

これでその謎の電波は終了した。

 

その時、電話が鳴り、古参の私設秘書である大山哲夫が総理に告げた。

 

哲夫「総理、ロバート・アデルトン米大統領から電話です。」

 

嵯峨「何!?大統領から?わかった。」

 

受話器を取った途端、米大統領の困惑した声が聞こえてきた。(以下日本語訳)

 

嵯峨「大統領、お久しぶりです。今日はどのようなご用件ですか?」

 

アデルトン「ミスター嵯峨、先程、このような電波をキャッチした。」

 

嵯峨「はい、そちらは英語なのですね。こちらは日本語でキャッチしました。」

 

アデルトン「そうなると相手は多言語を一度に発信できる能力を持っているということか。」

 

嵯峨「そうなると、他国の首脳陣にも届いているかもしれません。」

 

アデルトン「ああ、もう届いてるぞ。先程、G7の他の国々からも連絡がきて、G20の国々からもきた。」

 

嵯峨「そうなると緊急のテレビ会議をする必要がありますね。」

 

アデルトン「どっちにしろ全世界レベルの問題だ。国連で緊急集会を開き、場合によっては地球防衛隊の創設も議案にあがるだろう。」

 

嵯峨「そうですか。わかりました。」

 

 

 

嵯峨とアデルトンのオンライン会議が終了した同時刻の宇宙では、ベリアル軍団が月の近くに来ていた。

 

ベリアル「あれが地球だ。」

 

ベリアルの側にはダークネスファイブの面々であるメフィラス星人・魔導のスライ、ヒッポリト星人・地獄のジャタール、テンペラー星人・極悪

のヴィラニアス、デスレ星雲人・炎上のデスローグ、グローザ星系人・氷結のグロッケンとストルム星人伏井出ケイがいた。

 

スライ「あれが我が同胞が侵略しようとし幾度も失敗したという地球ですか。確かに侵略する価値がある。」

 

ジャタール「地球人どもをブロンズ像にしてやりたいものです。」

 

ヴィラニアス「邪魔なウルトラマンがいない、素晴らしいことです。」

 

デスローグ「グーガーゴー(その通りだ)。」

 

グロッケン「さあて、どうやって侵略しましょうか?」

 

ケイ「私とベリアル様が地球に降り立ち、この怪獣カプセルを使って地球を侵略します。」

 

ベリアル「ストルム星人の言う通りだ。行くぞお前らー。」

 

ベリアル以外「おー。」

 

その時、7本の光線が飛んできた。

 

ゼロ「ワイドゼロショット!」

 

Z/ハルキ/ベリアロク「デスシウムスラッシュ!」

 

リブット「ギャラクシウムブラスター!」

 

ミラーナイト「シルバークロス!」

 

グレンファイヤー「グレンスパーク!」

 

ジャンボット「ジャンミサイル発射!」

 

ジャンナイン「ジャンバスター!」

 

これには流石のベリアル軍団も驚いた。

 

ベリアル「来ないと思っていたのに来てしまったか。仕方ない、一旦撤退して1年後に侵略を開始する。」

 

そう言ってベリアルたちはどこかへと去っていった。

 

ゼロたちは元の宇宙に戻り、ウルトラの父に報告。至急、主だったウルトラ戦士が宇宙警備隊本部に集められた。

 

父「それでは、その地球に声明を送る。それから2人ほど先遣隊としてその地球に滞在してもらいたい。」

 

?「その役目、俺たちに任せてくれ。」

 

皆が声のしたところを見ると、2人の人間がいた。

 

Z/ハルキ「ヘビクラ隊長!それとあなたはオーブさん?」

 

ゼロ「全く、お前らは目立たないところにいやがって。わかった。オーブとジャグラーに任せたい。」

 

ジャグラーと呼ばれた人間は魔人態に姿を変えた。

 

ジャグラー「あのー俺、Zの世界で諸事情によって巨大化能力を失ってしまいました。自力で巨大化できないのですが。」

 

父「よし、プラズマスパークと力を利用しよう。今のジャグラーなら負荷に耐えられるかもしれない。」

 

その後、プラズマスパークタワーに行ったジャグラー、見事、巨大化能力が復活した。

 

オーブ「では、その地球に行ってきます。」

 

父「我々は、その地球に声明文を送る。先遣隊の役目を果たしてこい。」

 

オーブたちが光の国を去ったあと、宇宙警備隊は声明文の内容を考えていた。

 

メビウス「我々の宇宙にある地球には国際連合という組織がありました。おそらく、その次元宇宙の地球にもあるかと。」

 

ヒカリ「俺の中にはセリザワという人間がいる。彼に聞いてみた。そしたら、どこの宇宙の地球にもあると。」

 

ゼロ「ああ、俺のいた次元宇宙の地球にもあったぜ。」

 

父「わかった。では、完成したな。」

 

ワレワレハ、ソチラノジゲンウチュウトハコトナルウチュウニアルエムナナジュウハチセイウンウルトラノホシカラヤッテキタウルトラセンシダ。コノホシノモノニツグ。イチネンイナイニアクノウルトラセンシデアルウルトラマンベリアルがカイジュウヲツカッテチキュウヲシンリャクシハジメル。ソコデ、ワレワレハウルトラマンオーブデアルクレナイガイとジャグラスジャグラーデアルヘビクラショウタをセンケンタイトシテオクルコトニキメタ。

 

このメッセージは、ニューヨークの国連本部を通して世界各国の首脳たちに届けられた。

 

日本国・首相官邸

 

嵯峨総理は閣僚と共にメッセージを読んでいた。

 

嵯峨「これは、防衛省の案件かね。それとも外務省か?」

 

官房長官である雅希子参院議員が反応する。

 

雅「いや、国難と言いますか全世界レベルでの問題です。ですから、どの省庁も関係あります。」

 

その時、経済産業省の官僚で首相補佐官の藤原隆秀が入室してきた。

 

藤原「総理!クレナイガイとヘビクラショウタと名乗る人物がお見えです。」

 

雄斗「総理、ウルトラマンオーブの人間体とそのライバルの地球上での名前です。」

 

嵯峨「君のオタクっぷりには、感心したよ。お通ししなさい。」

 

官邸官僚に案内されて首相執務室に案内された2人。

 

ガイ「初めまして、紅凱と申します。ウルトラマンオーブやってます。」

 

ショウタ「初めまして、蛇蔵正太です。ジャグラスジャグラーやってます。」

 

嵯峨「君たちがウルトラマンオーブにジャグラスジャグラーか。私は、自国党第30代総裁で日本国第100代内閣総理大臣の嵯峨由三公爵だ。君たちの噂は聞いている。まあ、ここに掛けたまえ。」

 

ガイ「恐れ入ります。」

 

嵯峨の側近である山下由樹斎官房副長官が切り込む。

 

山下「何か、ご用件でもあるのですか。」

 

ガイ「単刀直入に申し上げます。この星に危機が迫っております。ウルトラマンベリアルが攻めてきます。」

 

的場哲朗防衛大臣も聞く。

 

的場「では、あの声明文は本当なんですね。」

 

ショウタ「ああ、本当だ。1年後にベリアルはこの地球を襲う。このまま何の対策のないままその日を迎えると大変なことになってしまう。だから俺たちが遣わされたんだ。」

 

嵯峨「理解しました。それで何をすればいいのですか?」

 

ガイ「各国で協力し、防衛チームを作る。」

 

鳩山「その前に法整備もしなければなりませんね。」

 

徳川「予算だけでも大変だと思いますよ。現在保持している兵器だと立ち向かえなくなる。」

 

その時、岸辺孝官房長官が入ってきた。

 

岸辺「今日中に国民に記者会見を開くべきでないでしょうか。世界各国がもう動き出しています。日本だけ遅れることになってしまう。」

 

嵯峨「わかった。」

 

数時間後、首相官邸内の記者会見場

 

岸辺「えー時間になりましたので、只今より、嵯峨由三内閣総理大臣による緊急の記者会見を始めさせていただきます。

 

嵯峨「国民の皆さん、こんばんは。今日は緊急の記者会見を行うことになりました。まず、初めに皆さんにお伝えしなければならないことがあります。本日正午頃、別次元の宇宙より使者が参りました。紅凱と名乗るウルトラマンオーブと蛇蔵正太と名乗るジャグラスジャグラーです。彼らは別次元の宇宙にあるM78星雲ウルトラの星から来ました。既に全世界の政府も知っていることですが、1年後にウルトラマンベリアルが率いるベリアル軍団がこの地球を侵略してくるとのことです。我々は法整備を急がなければなりません。先日、地球から1光年離れたところで謎の爆発があったと宇宙航行中のJAXAのフロンティア号から報告があったとお伝えしましたが、どうやらこのことのようです。我々は一致団結して、この国難の立ち向かっていく覚悟です。国民の皆さんの命と財産は我々政府が必ず絶対に守り抜きます。ですから、不安にならないで頂きたい。私からは以上です。」

 

その後、質疑応答が続き、雄斗たちが職務を終えたのは午後10時だった。

 

真田邸に戻ったのは午後11時の頃だった。

 

雄斗「ただいまー。」

 

「若旦那様、お帰りなさい。」と言ったのは住み込み女中のリーダー格曽根曽祢子だった。

 

雄斗「あれ、梓は?」

 

曽祢子「お嬢様ならもう寝ました。1年後に地球が侵略されるなんて聞いたら誰だって落ち込みますよ。」

 

雄斗「そっか、叔父さんと叔母さんは?」

 

曽祢子「今日は副総理兼財務大臣の吉岡成政先生のパーティーに参加すると言って帰りが遅くなるっておっしゃっていました。雄斗さまのこと、ご心配なさってましたよ。心配しすぎて山梨県知事に電話かけておりました。」

 

雄斗「そっか。あーあと叔父さんたちに言っておいてくれないか。明日から忙しくなるかもしれない、内閣府か首相公邸で寝泊まりするかもしれないって。」

 

曽祢子「承知しました。」

 

梓のいる寝室にそっと入る雄斗。

 

雄斗(早いよなー。梓が真田家の養女になって10年か。)

 

 

 

雄斗が回想する。

 

10年前の2020年

 

雄斗たちの母方の叔父真田義信と由紀子夫妻には子がいなかった。

 

そのため、血縁者から養子を選ぶ必要があったのだ。

 

そこで義信の妹麻里子の嫁ぎ先である山梨県知事綿部家に目が向けられた。

 

当主の綿部雄樹伯爵には当時、男子が4人しかおらず、女子が多数いた。

 

多数いる女子のうちで真田義信氏が気に入ったのが当時5歳の綿部梓だった。

 

当然のことながら、梓は抵抗、最終的には、歳の近い雄斗が1ヶ月に1度会いに行く、そして大学入学と山梨県副知事就任までの間、真田邸で生活するという妥協案でまとまったのであった。

 

真田義信氏は株式会社真田グループホールディングスの第2代社長で、創業者である真田幸信氏の長男だった。

 

弟たちに社長の座を譲りたくない、その一心で梓を養子としたのだった。

 

 

 

雄斗(真田グループの繁栄のために、この地球はベリアル軍団には、絶対に渡さない。絶対に守り抜く。)

 

そう決意した雄斗だった。

 

 

 

 

 

〈次回予告〉

遂に、衆参両院で怪獣・宇宙人災害対策特別措置法(仮称)の審議が始める。

 

そして、同時に進められていく世界規模での地球防衛隊(Earth Defense Association:通称EDA)創設。

 

中々進まない日本支部総監の選定。

 

行方不明となるかつての旧友。

 

第2話「選定」

 

次回もお楽しみに!

 

 

 




第1話、ざっとこんな感じで進めてみましたが、如何だったでしょうか。


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第2話 選定

第2話、スタート!


ベリアルの地球襲来予告から3日、第219回通常国会では、衆議院予算委員会が開かれていた。

 

各党党首の顔触れはこんな感じ

 

自由国民党総裁 嵯峨由三内閣総理大臣

 

国民公明党代表 正木圭一(まさきけいいち)

 

立憲国民党代表 中泉健太郎(なかいずみけんたろう)

 

国民党代表 王本禄三郎(おうもとろくさぶろう)

 

社会国民党党首 富久山富子(ふくやまとみこ)

 

共産国民党委員長 志木数一(しきかずいち)

 

令和国民党党首 林木次郎(りんきじろう)

 

委員会室に向かう途中、嵯峨は同行していた雄斗に声をかける。

 

嵯峨「雄斗君よお、年寄りには審議が堪えるノオ。」

 

雄斗「何言ってるんですか。まだまだ先が長いですよ。」

 

嵯峨「それもそうだな。」

 

齢82歳の嵯峨首相、日本史上最高齢の81歳で首相に就任したのだから激務が辛くないと言ったら嘘になる。

 

しかし、80代と言ってもまだマシな方、自国党には90歳を悠に超えたジジイが幹事長と副総裁のポストについているのだ。

 

閣僚では、副総理兼財務大臣の吉岡成政が95歳という年齢だった。

 

この国の世代交代は別次元の地球と比べるとかなり遅い、そう言ったのは地球に降り立った日の夜のジャグラーとガイだ。

 

彼らは、今、警護対象者として東京近郊にいる。

 

嵯峨に怪獣・宇宙人災害対策特別措置法(仮称)の制定を助言したのも彼らだった。

 

雄斗「憲政の神様尾崎行雄も90歳過ぎても現役でしたよ。」

 

嵯峨「そうだな。」

 

委員会室に嵯峨が入室したことにより、審議スタート。

 

2030年5月30日に始まったこの審議は6月6日に採決がかけられ、全会一致で可決、衆議院本会議で審議された。それも僅か半日で全会一致の可決に決まり、同日、参議院に送られた。

 

その夜、雄斗は秘書仲間と国会近くの銭湯に来ていた。

 

雄斗「いいお湯ー。」

 

全員賛同したが、人外の声が2つ。

 

雄斗「ん?なんだ?」

 

声のする方を向くと先客が2人。ガイとジャグラーだった。

 

ガイ「やはりお風呂はいいぞお!」

 

ジャグラー「そうだぞお!」

 

既にキャラ崩壊の2人、普段の彼らからは想像もつかない程のギャップ。

 

雄斗「お二人はお風呂が好きなんですね。」

 

ガイ「あー、そうだよ。前いた地球には数千年も滞在していたが、毎日お風呂に入ってた。」

 

ジャグラー「俺もな。」

 

雄斗「そうなんですね。」

 

ガイ「その後はいつもラムネ飲んでた。」

 

雄斗「お風呂上がりにラムネ、いいですね。僕はお風呂上がりは牛乳ですよ。」

 

思わぬ発言に爆笑する秘書仲間たち。ちなみに1ヶ月間その話題しかのぼらなかったそう。

 

 

 

 

場所が変わり、サイドスペースの地球。

 

ベリアルとウルトラマンジードの戦いが終わり、60年の月日が経っていた。ベリアル襲来は歴史の教科書に載るほど過去の出来事となっていた。その間に友好的な宇宙人との間で地球は同盟や条約が結ばれ、今まで地球上では秘匿されていたAIBの活動も公然化し、さらに宇宙連合にも加盟した。

 

かつてウルトラマンゼロと一体化した男性、伊賀栗レイトは、90歳となり、その命も尽きようとしていた。

 

病院にいるのは、AIBのシャドー星人ゼナとかつての相棒でAIBを引退した愛崎モア(85)、レイトと共に戦い地球を救ったウルトラマンジードこと朝倉リク(79)、鳥羽ライハ(79)、ペガッサ星人ペガだっった。

 

他にも長年付き添ってきたレイトの妻ルミナ(88)、一人娘のマユ(65)そしてレイトとルミナの孫とひ孫も見舞いに来ていた。

 

レイトがウルトラマンゼロと一体化してリクと共に地球を救ったことは、伊賀栗家とAIBそして協力していた星雲荘のメンバーだけの秘密とされていた。

 

老衰で死の直前となったレイトは意識も絶え絶えにかつての相棒の名前を呼んでいた。

 

レイト「…ゼロさん…ゼロさん…」

 

「レイト、俺はここにいるぞ。」

 

と言ったのは、ウルトラマンゼロ本人だった。

 

ゼロ「久しぶりだなレイト。」

 

レイト「ゼロさん、死ぬ前に会えてよかったです。」

 

ゼロ「マユやAIBの奴ら、それにリクが俺に連絡を寄越してくれたんだ。行かないわけにはいかないさ。」

 

ゼナ「すまない、ゼロ。ベリアル関連の事件に対処している最中に連絡をして。」

 

ゼロ「いいんだ。俺はランやタイガ・ノゾムといったかつての相棒たちと最期の別れが出来なかった。だから、せめてレイトだけでもって。」

 

レイト「ゼロさん、覚えていますか。僕たちが出会った日のことを。」

 

ゼロ「ああ、覚えているとも。」

 

レイト「あの頃が懐かしいです。」

 

その言葉を最後にレイトは息を引き取った。

 

ルミナ「レイトくん、66年間一緒にいてくれてありがとう。」

 

マユ「さよなら、お父さん。」

 

各人が自身の想いを述べる中、ゼロがリクに告げる。

 

ゼロ「リク、お前の気持ちもわかる。俺だって悲しいのは同じだ。ベリアルが復活した、別宇宙でだ。一緒に戦おう。」

 

リク「はい!」

 

そして葬儀を待たずして、ゼロとジードに変身したリクは地球を後にした。

 

ジード「レイトさん、すまない。これだけは許して下さい。」

 

ウルティメイトゼロになったゼロは時空に穴を開け、ジードと共にサイドスペースを後にした。

 

ジードがこれ以降サイドスペースに戻ることはなかったという。

 

ルミナは5年後に93歳で死去、その5年後にはモアが、更に10年後にはライハが、伊賀栗家ベリアル襲来を経験した唯一存命中のマユは、父レイトの死から34年後に死去した。

 

ゼナはAIB地球分署を離任、ペガは妻子の待つペガッサ星へ帰っていった。(そもそもレイトの死の直前に地球に一時的に戻ってきただけ)

 

誰もいなくなった星雲荘では、中央司令室に設置された報告管理システムであるレムが1人残されたが、ゼナが宇宙空間を移動する時用に用途を変更された。

 

 

 

 

再び、雄斗たちのいる次元宇宙。

 

6月7日に参議院予算委員会で怪獣・宇宙人災害対策特別措置法(仮称)が審議され、これも14日に採決がかけられ、全会一致で可決、参議院本会議で審議された。そして、僅か半日で全会一致の可決に決まり、法案は6月14日に施行、即日、官報で公布された。

 

正式に法案名が怪獣・宇宙人災害対策特別措置法と呼称された。

 

この出来事から数日後、地球防衛隊(EDA)日本支部を東京近郊に設置、EDA基地が建設開始された。

 

ウルトラの星の宇宙科学技術局の叡智が結集した構造だったが、そのほとんどがウルトラの星がある次元宇宙の地球に滞在していたウルトラマンメビウスのアイデアだった。

 

国会では雄斗が1人の男と話していた。

 

雄斗の東京公立大学時代の同級生で、今は、前首相宇部慎一公爵の私設秘書をしている四竈光一だ。

 

光一「ようやくここまで来たんだ。あとは隊員と日本支部総監などの選定だ。」

 

雄斗「ああ、そうだな。総監に適任の人物は見つかったか?」

 

光一「東園転鬼羅。」

 

雄斗「あいつが?」

 

光一「そうだ。だが、連絡がつかない。」

 

雄斗「連絡がつかない?」

 

光一「そうだ。家を訪れても、家にいない。」

 

雄斗「失踪した可能性が高いな。」

 

光一「その可能性が出てきた。雄斗、いいか?真田グループホールディングスの力でなんとか探せないか?」

 

雄斗「僕はいいけど、叔父さんがなんというか。」

 

幸いなことに真田義信氏は了承してくれた。

 

しかし、東園は見つからず2週間がすぎた。

 

首相執務室では、嵯峨が苛立っていた。

 

嵯峨「東園君は、まだ見つからんのか!!!。ア“。」

 

雄斗「申し訳ございません、まだ見つからないんです。」

 

嵯峨「何故いないんだ!徳川ー!」

 

徳川「私に言われても困ります。」

 

嵯峨「何故だ!」

 

徳川「だから私に聞かれてもー。」

 

その時、執務室に入ってきたのはガイとジャグラーだった。

 

ガイ「最悪の場合を考えるとだ。闇堕ちかベリアルさんの手下に連れ去られたのかもな。」

 

全員「な!」

 

ジャグラー「お前さんたちは何か勘違いしてないか。ベリアルが予告通りに来襲すると思うか?とある惑星を侵略する手始めに、その星の原住民を自らに側に1人置こうとして攫うのが奴の性格だ。」

 

嵯峨「ということは、東園君はもうこちら側の人間ではないと?」

 

ガイ「そう考えていいかと思います。」

 

嵯峨「で、どうするんだ。誰が臨時の総監を一時的に務めるんだ?」

 

「私がやろう。」

 

全員が声のするところを見ると前首相宇部慎一公爵が立っていた。

 

嵯峨「宇部先生、やってくださるのですか?」

 

宇部「ああ。総監に相応しい人物を決めるまではな。」

 

嵯峨「宜しくお願いします!」

 

こうして、EDA日本支部初代総監は宇部慎一に決定した。

 

 

 

 

2週間後、首相官邸。

 

宇部「まだ新総監決まりませんね。」

 

嵯峨「そうだな、私が2週間、総監に就任しよう。そうすれば決まるだろう。」

 

今度は嵯峨がEDA日本支部総監に就任した。二週間後には、第3代総監が正式に決定し、前首相宇部慎一公爵の私設秘書をしている四竈光一が総監に就任した。これを機に幹部が次々と決定した。

 

EDA日本支部名誉最高顧問 善成天皇

 

EDA日本支部名誉顧問 優子皇后

 

EDA日本支部副総監 小鞠海子

 

EDA日本支部補佐官 井伊隆信

 

EDA日本支部秘書官 大中臣俊三

 

何故か、皇族以外、雄斗や光一の大学時代の同級生だった。

 

雄斗は気になったが、偶然だよとの嵯峨の一言でまあいいやと思った。

 

嵯峨「じゃあ、隊員たちも選抜に入りますか。」

 

この一言で1ヶ月後には、隊員が決まった。

 

隊長 座野正順

 

副隊長 富畑憲三郎

 

隊員(オペレーター担当) 瀬内美郷、矢崎晴子

 

隊員(戦闘時出撃) 綿部雄斗、クレナイ・ガイ、ジャグラスジャグラー、白本李莉子、神津勝子、松屋加奈

 

雄斗はこれを見てまた実感した。隊員がガイとジャグラー以外、自分の小学校時代の同級生や後輩だと。

 

しかし、これも嵯峨が偶然だよと言ったことで終結した。

 

こうして5月27日のベリアル来襲予告から約3ヶ月経った8月14日にEDA日本支部は正式に始動したのだった。

 

 

 

 

〈次回予告〉

 

ベリアル来襲に備えて、遂にEDA日本支部が始動する。

 

各人が実家に帰って手に入れたものとは?

 

第3話「授かりし物」

 

次回もお楽しみに!




ジードファンの皆さん、申し訳ございません。


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第3話 授かりし物

第3話、スタート!


EDA日本支部の隊員に選ばれた雄斗と妻の美郷。

 

翌日には、雄斗の実父である雄樹に呼び出され、山梨県に戻ってきていた。

 

県庁の県知事執務室に入った2人を待ち構えていたのは、鞘に収まった刀を両手でうやうやしく持っていた雄樹だった。

 

雄樹「2人とお帰りなさい。さあ、こちらに掛けたまえ。」

 

雄斗「失礼します。」

 

美郷「失礼します。」

 

雄樹「2人に来てもらったのは他でもない。この刀を2人に預けようと思う。」

 

美郷「お義父さん、この刀って。」

 

雄樹「ああ、綿部家に代々伝わる初代和泉守兼定だ。」

 

雄斗「初代和泉守兼定!?。」

 

綿部家は平安時代末期に当時の甲斐国に根を下ろした清和源氏の源九郎右衛門雄義(みなもとのくろううえもんゆうよし)を祖としていた。戦国時代は甲斐国や信濃国に勢力を伸ばし、権勢を誇って、京に上って全国を統一しようとしたのだが、織田信長に妨害され、長篠の戦いで当主の綿部四郎右衛門雄三(めんぶしろううえもんゆうぞう)は敗れ、戦国武将としての綿部家は滅亡した。しかし、綿部本宗家は、江戸幕府で重職に就くなどなんとか生き延び、甲斐国だけを領地として貰い、明治維新と共に山梨県知事を務める麺部伯爵家として生まれ変わったのだ。第二次世界大戦の敗戦後は、当主で雄樹の祖父にあたる雄仁(ゆうじん)は公職追放の憂き目に遭い、一時期、知事の座を奪われたが、解除後は、知事の座に復帰、現在に至る。しかし、初代和泉守兼定だけは変わらず、綿部家に代々受け継がれているのだ。

 

 

雄斗も幼い頃から、その刀に慣れ親しんでおり、綿部家の人間は成人すると綿部一族の目の前で、その刀を使って刀剣乱舞をするのだ。雄斗も7年前にそれをした。

 

これらの中心にある初代和泉守兼定を雄斗と美郷に託すというのだ。驚くのも無理はない。

 

雄斗「この大事な刀をどうして?」

 

雄樹「来たるべき時に必要になる。」

 

美郷「来たるべき時?」

 

雄樹「この刀には、状況を覆す力がある。しかし、長篠合戦では使われなかった。今、この未曾有の状況下だからこそ、この刀でベリアル来襲時に戦う時が来たのだ。雄斗、美郷さん、受け取ってくれるかね。」

 

2人「はい!」

 

その足で雄斗は一族に挨拶回りをしていた。雄斗の一族は、山梨県議会や山梨県内の市区町村議会に多数の議席を持っていた。山梨県議会16人、県内の市区町村議会20人という有力者だ。一方で衆議院1議席、参議院2議席と国政では存在感が乏しい。

 

「あれ?雄斗?」と言ったのは、雄斗の第2夫人である子二本春香だった。

 

春香「あー美郷ちゃんも一緒じゃーん。」

 

美郷「春香ちゃん、久しぶりー。」

 

基本的に華族や皇族は一夫多妻が原則で妻同士、仲が悪い場合が多い。しかし、雄斗の妻たちはどういうわけか仲が良いのだ。

 

久しぶりに再会した2人はさておき、雄斗たちが次に向かったのは、美郷の実家である甲府市長を代々務める瀬内子爵家だった。ちなみに瀬内家は綿部一族の支流であり、雄斗の師匠である七山米行自国党筆頭副幹事長は瀬内家の傍流だ。つまり、綿部家と七山家は遠縁の親戚というわけだ。

 

当主の瀬内義隆氏が出迎えてくれて、客間に通された2人。目にしたのは、銃だった。

 

雄斗「お義父さん、これは?」

 

義隆「これか?これはな甲府市内に拠点を置く銃製造会社に頼んでもらった特注品だ。」

 

美郷「特注品?」

 

義隆「ああ、そうだ。この銃はな、ただの銃ではない。光線銃だ。」

 

雄斗「しかし、光線銃ならEDAでもう貸与されましたが。」

 

義隆「知ってるよ。これは宇宙での戦いで道に迷った時にだけ使いなさい。それ以外の目的で使用することは禁ずる。」

 

美郷「わかった。」

 

こうして雄斗たちは自身の家族から贈り物をもらって、EDA日本支部基地帰路に着いた。

 

 

 

 

同じ頃、総監に任命された光一は墓参りをしていた。

 

両親をとある事件で亡くし、親戚の家を転々としていた光一。大学入学後、都内で暮らし始めた光一は、ある人物に出会った。

 

それは、今は自身が秘書を務める、当時は首相の宇部慎一公爵だった。

 

 

話は6年前の5月上旬に遡る。

 

街を歩いていた光一は、突然何者かに襲われそうになった。

 

?「まだ、あの時の生き残りがいたとはな。目撃した者は抹殺する。」

 

光一「い、生き残りって。」

 

?「今から死ぬお前には関係ないがな。」

 

その時、銃声が響き、「犯人確保!」の声が。もうダメかと目を開けた光一が目にしたのは、自分を襲おうとした男が永田町風情の人間数名に麻酔銃を撃たれていたのだった。

 

そのうちの1人が光一に近づいてきた。

 

光一「あの、助けてくれてありがとうございます。」

 

男「礼には及ばんよ。光一君。」

 

光一「何故、僕の名前を?それにあなたはどなたですか?」

 

男「え?私を知らん?この自国党政調会長の宇部慎一を。」

 

光一「あ、そうなんですか?ところで、どうして僕の名前を知っているのですか?。」

 

宇部「それは、長くなるぞ。私は君のご両親と長い付き合いがあった。だが、あの事件で君のご両親は亡くなり、君は1人生き残った。」

 

光一「そんなことが…」

 

宇部「君を襲おうとした男はあの事件の最後の指名手配犯だった。」

 

光一「そうだったのですね。」

 

宇部「あの人のご子息である君がどうしているか、ずっと気になっていた。でも良かったよ。今日会えた。」

 

光一「お会いできて光栄です。」

 

宇部「私もだ。ところで、光一君、私の元で働く気はないかね。」

 

光一「はい!喜んで!」

 

 

これが政治家秘書四竃光一の軌跡であった。

 

それから6年の月日が経っていた。

 

その時のことを思い出していた光一は宇部の到着を墓参りの場で待っていた。

 

宇部「いやー待たせてすまないね。光一君、これを渡したかったのだよ。」

 

光一「これは?」

 

宇部「未確認生物探知機だ。これを君に渡したい。」

 

光一「ありがとうございます。ん?製造者は四竈公造?」

 

宇部「君のご両親が作った機械だ。君のご両親は地球外生命体研究のスペシャリストでね、早くから宇宙人による地球侵略を予言していた。だが、ある日…」

 

 

〜宇部回想〜

 

公造「よし!この機器は完成した。これで地球外生命体がどこにいるのかわかるはずだ。」

 

その時、公造の妻で光一の母である美紀子の声がした。

 

美紀子「とにかくですね、ここには来ないで下さいって何回言ったらわかるんですか?」

 

?「うるせえ!あんたらがな、おかしな機械を完成させて、それが原因で宇宙人が地球に攻め込んできたら、どう責任を取ってくれるんだ!

 

「そうだ!そうだ!」

 

公造「あんたら、うるさいよ!俺はな、政府からの許可を取って製造してるんだ!文句があるかよ!」

 

?「大有りだよ!者どもやっちまえ!」

 

公造「待ってくれ!妻と子には手を出さないでくれ!」

 

美紀子は家の奥にいた光一に未確認生物探知機を渡して言った。

 

美紀子「光一、よく聞いて、この機械を自転車に積んでおくから早く逃げて、それから、この近くに宇部慎一っていうお父さんとお母さんの友達がいるの。その人にこの機械を預けなさい。いい?」

 

光一「あの人たちは?」

 

美紀子「お父さんがなんとかしてくれる。だからあなただけでも生き延びて!」

 

光一「わかった。」

 

そして、光一は、宇部の自宅を訪れた。たまたま家にいた宇部は事情を察し、例の機器を預かり、光一の自宅に直行した。

 

しかし、宇部の目に飛び込んできたのは、血だらけになり、瀕死寸前の公造と美紀子だった。

 

宇部「おい、大丈夫か!公造!美紀子!今助けて呼ぶからな!」

 

公造「…宇部…先生…私は…もう…ダメ…です…」

 

宇部「何を言っているんだ!気を確かに持て!」

 

美紀子「…先生…光一を…息子を…よろしく…お願いします…」

 

宇部「わかった。ん?光一君、来ちゃだめだ!」

 

光一「え?父さん、母さん?うわーん。」

 

病院に運ばれた公造と美紀子はすぐに亡くなり、暴行を加えた運動家30名は1人を残して逮捕された。

 

宇部「光一君、今日起きたことは忘れて、これからの人生を歩みなさい。」

 

光一「はい…」

 

その後、大学生となるまでの12年間、孤児院で過ごしてきた光一は、大学生となると同時に東京で一人暮らしを始め、それからすぐの時期に襲撃事件に巻き込まれ、宇部に助けられたのだった。

 

 

光一「そんなことがあったのですね。」

 

宇部「ああ、暗示の力で君はその時のことを忘れた。私との家族ぐるみでの付き合いもね。」

 

光一「ところで、僕の両親を殺した運動家たちはどうなったのですか?」

 

宇部「彼らは無期懲役になったよ。」

 

光一「そうなんですね。」

 

宇部「今回のベリアル襲来予告は、あの機械とは何の関係もない。それが世間一般の考えだ。だが、彼らは獄中で、未確認生物探知機がベリアルを引き寄せたと声明している。そういう過激思考の人たちがいるのも事実だ。」

 

光一「でも、未確認生物探知機は全くの無意味ではないと思います。宇宙人が特定の人物に化けたりしたら、すぐに見破れると思います。」

 

宇部「確かにな。だが、ガイさんとジャグラー君の近くには置かない方が良いな。彼らの近くに置くと反応音がうるさいだろ。」

 

光一「ですよねえ。」

 

未確認生物探知機が威力を発揮するのはそう遠くない未来であるのをこの2人が知るのも無理はない。

 

各隊員や幹部が各々の親族から貰った物は次の通り

 

座野正順 携帯型レーザー機

 

富畑憲三郎 非常用持ち出し袋

 

白本李莉子 パワードスーツ

 

神津勝子 石化銃

 

松屋加奈 倍増光線銃

 

矢崎晴子 スピード靴

 

小鞠海子 防光線チョッキ

 

井伊隆信 筋肉増強スーツ

 

大中臣俊三 神鏡

 

ということになった。

 

そして、ベリアル来襲が近づいてきていた。

 

 

 

 

〈次回予告〉

 

遂に怪獣が世界各地へと侵攻を開始する。

 

最後に怪獣が現れるのは日本の東京。

 

絶体絶命になりかけた雄斗たちの前に現れたのは、光の巨人ウルトラマンゼロ!

 

第4話「光との対面」

 

次回もお楽しみに!




和泉守兼定についての詳細は、ネットとかで調べると詳しく載っています。

綿部家は現実世界の武田家をオマージュしています。


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第4話 光との対面

第4話スタート


始まりはとある国からだった。

 

2030年4月、アメリカ合衆国ルイジアナ州。

 

とある怪獣がその地に降り立った。

 

その日を境に世界各地で怪獣が出現し始めた。

 

名の知られていないウルトラ戦士たちが現地でEDA各国支部隊員の1名とそれぞれ一体化、局地的にその地を死守していた。

 

まだ怪獣が現れていない日本では雄斗たちEDA日本支部隊員たちが訓練をしていた。

 

それを近くで見ているEDA日本支部首脳陣。

 

光一「とうとう日本だけになってしまった。」

 

海子「怪獣が現れていない地がですか?」

 

光一「そうだ。」

 

隆信「嵯峨首相が警戒レベル発令と非常事態宣言の発出を視野に入れているそうです。」

 

光一「らしいね。専門家の見識によると、怪獣災害によって半封建社会は崩壊する可能性が高いとのことだ。」

 

俊三「ということは私の実家もそうなるってことですか?」

 

光一「ああ、2000年近くも続いた大中臣神祇伯家も没落するだろうよ。」

 

それだけではない、世界経済が停滞の一途を辿り、失業者で街は溢れていた。

 

華族はその人たちに衣食住を提供、このことにより半封建社会は、崩壊寸前にまで追いやられていた。

 

光一「都道府県知事や市区町村長の世襲もなくなるだろうな。こんなこと、雄斗には言えないよ。」

 

海子「そうですね。」

 

隆信「戦後、華族制度は形式的なものとはなったが、GHQの占領が終わってからは、戦前のように社会に影響を与えてきた。」

 

俊三「それが怪獣災害で今度こそ崩壊ですか。」

 

その時、警報装置が鳴り響いた。

 

『警戒レベル4発令、総員直ちに配置につけ。繰り返す。警戒レベル4発令、総員直ちに配置につけ』

 

司令室に戻った隊員たち、隊長である正順が指示を出した。

 

正順「美郷、晴子は状況を確認!雄斗、憲三郎、李莉子、勝子、加奈はいつでも出撃できるように準備しておけ!ガイさん、ジャグラーは、いつでも変身できるように!」

 

全員「了解!」

 

美郷「上空より3体の光、降下してきます!」

 

晴子「巨大生命反応確認!怪獣かと思われます。」

 

 

 

 

 

宇宙空間のとあるところ。

 

ウルトラマンゼロが何か察知していた。

 

ゼロ「まずい!このままでは日本までやられてしまう。待ってろよ、オーブそれにジャグラー。一刻も早く着かなくては!トゥインクルウェイ!」

 

地球へ向けて飛行速度を速めるゼロ。果たして間に合うのか!?

 

 

 

 

 

その頃、日本、首相官邸

 

嵯峨「何!?警戒レベル4発令!?」

 

七山「はい。ですから住民の避難を開始しています。」

 

嵯峨「我々はどうする。」

 

幸三郎「とりあえず、この官邸の地下壕に避難しましょう。」

 

嵯峨「記者たちはどうする?総理番の記者たちは?」

 

憲仁王「先に安全な場所に避難させました。」

 

嵯峨「わかった。」

 

 

 

 

 

TKBテレビでは西島まどかレポーターが中継をしていた。

 

西島「番組の途中ですが、速報です。先程、政府はEDA日本支部と共同で声明を発表しました。それによりますと、首都圏から半径30km圏内に警戒レベル4を発令したとのことです。怪獣襲来に警戒せよです。住民の皆さんも一刻も早く避難してください。繰り返します。先程、政府はEDA日本支部と共同で声明を発表しました。それによりますと、首都圏から半径30km圏内に警戒レベル4を発令したとのことです。怪獣襲来に警戒せよです。住民の皆さんも一刻も早く避難してください。」

 

カメラマン「まどかさん、ここにいては危険です!早く逃げましょう!」

 

西島「はい!」

 

 

 

 

 

皇居の吹上御所。

 

ここでも宮内省の職員が皇族に避難を促していた。

 

職員「陛下!防空壕に逃げますよ!」

 

天皇「わかっとるよ!」

 

皇后「嫌やわ、怪獣が日本にまで来るとは。」

 

皇太后「私はもう無理。」

 

森吉「何を言いますか。お祖母様。逃げますよ。」

 

精神体となった上皇も諭す。

 

上皇「逃げろ!」

 

皇太后「はい!」

 

 

 

 

 

引き続きEDA日本支部司令室。

 

正順「対怪獣ミサイル発射準備!」

 

憲三郎「発射!」

 

しかし、対怪獣ミサイル3発は、無効化してしまった。

 

李莉子「なんで!」

 

正順「やむをえん!雄斗、憲三郎、李莉子はEDAセイダーで出撃!」

 

雄斗&憲三郎&李莉子「了解!」

 

正順「勝子、加奈はバックアップ!」

 

勝子&加奈「了解!」

 

正順「ガイさんとジャグラーは現場周辺で待機!」

 

ガイ「ああ」

 

ジャグラー「わかった。」

 

その時、光一たちが入ってきた。

 

光一「これが初めての実戦だ。気を抜くなよ。」

 

全員「了解!」

 

正順「EDA日本支部、出動!」

 

全員「GIG!」

 

 

 

 

 

首相官邸地下壕

 

嵯峨「EDA基地からEDAセイダーが緊急出動?」

 

家春「はい、雄斗も乗っているそうです。」

 

嵯峨「そうか、引き続き情報収集に当たってくれ。」

 

家春「はい!」

 

 

 

 

 

そして、3つの光が着地、怪獣の姿が露わとなった。

 

ジャグラー「ガイ、あれは…」

 

ガイ「間違いない。宇宙斬鉄怪獣ディノゾール、宇宙凶険怪獣ケルビムそして…」

 

ジャグラー「凶暴宇宙鮫ゲネガーグだな。」

 

画面越しから正順が声を発する。

 

正順「知ってるのか?」

 

ジャグラー「ああ、前にいた地球で戦ったことがある。小惑星や怪獣をも飲み込んでしまう。」

 

美郷「小惑星や怪獣をも!?」

 

ガイ「デビルスプリンターの一騒動で光の国でも大暴れした怪獣だよな。」

 

ジャグラー「そんなこともあったな。」

 

正順「よし、総員攻撃開始だ!」

 

全員「了解!」

 

ガイはウルトラマンオーブに、ジャグラーは魔人態からの巨人化へと変身した。

 

インナースペースに入っていくガイ。

 

ガイ「まずはこれだ!」

 

ウルトラマンのカードを取り出し、

 

ガイ「ウルトラマンさん!」

 

[ウルトラマン]

 

次にティガのカードを取り出し、

 

ガイ「ティガさん!」

 

[ウルトラマンティガ]

 

ガイ「光の力、お借りします!」

 

[フュージョンアップ、ウルトラマンオーブスペシウムゼペリオン]

 

オーブ「俺の名はオーブ。闇を照らして悪を撃つ!」

 

ジャグラーはというと、魔人態になり、何やら謎の呪文を唱え始めた。

 

ジャグラー「星のまたたく狭間の闇よ、暗黒のパワーを我にもたらせ。光から闇へ、闇から光へー!」

 

どこからともなく溢れ出てくる光と闇が魔人態のジャグラーを包み込み、巨大化へと変貌させた。

 

正順「EDAセイダーで我々も攻撃だ!」

 

雄斗&憲三郎&李莉子「了解!」

 

雄斗「EDAセイダーα、宇宙斬鉄怪獣ディノゾールに攻撃を開始する!」

 

憲三郎「EDAセイダーβ、宇宙凶険怪獣ケルビムを攻撃しているウルトラマンオーブを援護する!」

 

李莉子「EDAセイダーγ、凶暴宇宙鮫ゲネガーグを攻撃しているジャグラスジャグラーを援護する!」

 

オーブは、ケルビムに近づこうとするが、尻尾で攻撃をしかけてくるため、なかなか近づけない。

 

オーブ「こうなったら、リスクを冒してでも。スペリオン光輪!」

 

スペリオン光輪でケルビムの尻尾を破壊した。

 

しかし、

 

憲三郎「どういうことだ!尻尾が生えてきてる!」

 

正順「迂闊には攻撃できないというわけか、同時に攻撃しろ!」

 

正順&オーブ「了解!」

 

正順「スペシウム弾頭弾発射!」

 

オーブ「スペリオン光輪!」

 

しかし、無傷のケルビム。

 

光一「こりゃ何者かに改造されてるぞ。」

 

一方、ディノゾールに苦戦している雄斗。

 

雄斗「スペシウム弾頭弾発射!」

 

しかし、一瞬で相殺された。

 

雄斗「え?嘘でしょ!」

 

美郷「よく分からないけど、超高速で動く舌があるみたいね。」

 

雄斗「そんなあ。」

 

 

ゲネガーグと交戦中の李莉子とジャグラー。

 

李莉子「超強力レーザー発射!」

 

ジャグラー「邪心剣新月斬波!」

 

しかし、ゲネガーグは無傷。

 

李莉子「そんな…」

 

ジャグラー「セレブロはいないはずだ。」

 

ディノゾールに苦戦している雄斗はあることに気づいていた。

 

雄斗「燃料が残りわずか…やるしかない。って逃げやがった。」

 

宇宙空間へと逃げる雄斗はディノゾールの前方に回り込み、集中砲火をし始めた。

 

しかし、警告音が鳴ったかと思うと、超高速の舌によって、両翼を切断され、大爆発、雄斗は宇宙空間へと放り出された。

 

雄斗「うわあー。」

 

晴子「EDAセイダーα応答せよ!EDAセイダーα応答せよ!雄斗先輩、応答してください!」

 

雄斗「こちら雄斗、EDAセイダーαは破壊され、僕は宇宙空間に放り出された。」

 

憲三郎「こちらEDAセイダーβ、オーブと共にケルビムを倒してから、お前を迎えに行く。なんとか持ち堪えてくれ!」

 

雄斗「了解!」

 

そして手にしていた光線銃でディノゾールを攻撃するが、びくともしない。

 

雄斗「ダメか、酸素ボンベの残量も残り少ない。どうすれば、いいんだ。」

 

その時、眩い光と共に声が聞こえた。

 

?「諦めるな!」

 

雄斗「あなたは?」

 

ゼロ「俺の名はゼロ、ウルトラマンゼロだ!」

 

この声は、地上にいる正順たちにも届いていた。

 

オーブ「ゼロさん!」

 

ジャグラー「遅いぞ!ウルトラマンゼロ!」

 

ゼロ「ヘっ、よく言うだろ。主役は遅れてくるってな!」

 

雄斗に向き直り、話続けるゼロ。

 

ゼロ「俺は名乗ったぜ、お前の名は?」

 

雄斗「綿部雄斗だ。」

 

ゼロ「雄斗、お前は酸素ボンベの残量が少なすぎて、もうすぐ死んでしまう。俺も宇宙を飛び回って、エネルギーが残り少ない。ウルティメイトブレスから供給されるエネルギーも残り僅かだ。そこでだ。一体化しよう。一体化すれば、ウィンウィンな関係になれるわけだ。」

 

雄斗「わかった。その話受けることにする。」

 

ゼロ「よし!」

 

雄斗は光に包まれ、目の前に物体が幾つか現れた。

 

雄斗「これは?」

 

ゼロ「俺に変身するためのウルトラゼロアイだ。普段はお前の腕に装着されるウルティメイトブレスに収納されて、戦闘時に出てくるが、初回だからな。そして、これはライザーとニュージェネレーションカプセルαとβ。ウルトラマンゼロビヨンドにネオフュージョンライズする時に使う。」

 

雄斗「わかった。ゼロ、変身だ!」

 

ゼロ「よし、行くぞ!雄斗!」

 

雄斗「ジュア!」

 

そして、地上で、眩い光と共にウルトラマンゼロが姿を現した。

 

正順「これがウルトラマンゼロ…」

 

勝子「目つき悪いわー。」

 

加奈「不良…」

 

海子「雄斗と一体化したの?」

 

美郷「雄斗なの?」

 

オーブ「ゼロさん!」

 

ジャグラー「ゼロ!」

 

ゼロ「さあみんな、反撃開始だ!」

 

全員「おー。」

 

インナースペースでガイの姿に戻ったオーブは新たな姿へと変えた。

 

ガイ「ギンガさん!」

 

[ウルトラマンギンガ!]

 

ガイ「ビクトリーさん!」

 

[ウルトラマンビクトリー!]

 

ガイ「エックスさん!」

 

[ウルトラマンエックス!]

 

ガイ「三つの光の力、お借りします!!オーブトリニティ!!!!」

 

[トリニティフュージョン!、ウルトラマンオーブ オーブトリニティ!]

 

オーブ「俺はオーブトリニティ。三つの光と絆を結び、今、立ち上がる!」

 

そして、ジャグラーも新たな姿へと変えようとしていた。

 

EDA対怪獣兵器研究所の研究員と開発したジャグラーリングと自身の記憶から作り出した怪獣カードを取り出し、

 

ジャグラー「ゼットンさん!」

 

[ゼットン!]

 

ジャグラー「パンドンさん!」

 

[パンドン!〕

 

ジャグラー「マガオロチ!」

 

[マガオロチ!」

 

ジャグラー「闇の力、再びお借りします!」

 

[超合体!ゼッパンドン!]

 

正順「総員、反撃開始!」

 

全員「了解!」

 

憲三郎「超強力磁気嵐!」

 

オーブ「トリニティウムシュート!」

 

李莉子「物質破壊レーダー!」

 

ジャグラー「ゼッパンドン撃炎弾!」

 

雄斗&ゼロ「ワイドゼロショット!」

 

ケルビム、ゲネガーグ、ディノゾールはこうして倒された。

 

美郷&加奈「ヤッター!」

 

元の姿に戻った雄斗は自分の中にいるゼロに話しかけた。

 

雄斗「ゼロ、初めてにしてはどうだった?」

 

ゼロ「ああ、素晴らしかったよ。これからもよろしくな、相棒。」

 

雄斗「ああ、よろしく。」

 

正順「おーい、雄斗ー!」

 

雄斗「隊長!それにみんな!」

 

ガイ「これでお前もウルトラマンだ。」

 

ジャグラー「お前はゼロで、ゼロはお前だ。」

 

雄斗「ああ。」

 

そして、みんなと帰っていく雄斗。

 

それを物陰で見つめていた2人の男がいた。

 

1人は行方不明のはずの東園転鬼羅だった。

 

転鬼羅「笑っているのも今のうちだぞ、雄斗。いや、ウルトラマンゼロ。」

 

もう1人の男、伏井出ケイもそばにいた。

 

ケイ「さあ、行きましょう。ベリアル様がお待ちです。」

 

二人は闇へと消えていった。

 

 

 

 

光の国。

 

ゼロの父であるウルトラセブンが別宇宙にいる息子の様子に感づいていた。

 

セブン「うん?」

 

傍にいるのはウルトラ兄弟やセブン一門でセブンの弟子でありゼロの師匠に当たるウルトラマンレオら。

 

レオ「どうしました?セブン。」

 

セブン「どうやらゼロはオーブやジャグラーと合流し、地球人の青年と一体化したようだ。」

 

ゾフィー「安否を確認できたな。」

 

マン「全宇宙で様々な強敵が蘇っている。」

 

ジャック「何ですって⁉︎」

 

エース「闇に堕ちる前のベリアルとトレギアの目撃情報がある。」

 

タロウ「まさか、アブソリューティアンまで復活したのか。」

 

80「そのようです。ユリアンら王族への警備態勢を最大限に引き上げます。」

 

アストラ「なんとか彼が頑張ってくれればいいのだが。」

 

メビウス「信じましょう、彼の力を。」

 

こうして宇宙全体を揺るがす大事件が始まろうとしていた。

 

 

 

 

[次回予告]

 

ゼロが地球に降り立ち1ヶ月。

 

地球では様々な怪獣が出現していた。

 

防衛の為に出動するEDA隊員たち。

 

そんな彼らの前に強敵が立ち向かう。

 

第5話「立ち向かう戦士たち」

 

次回もお楽しみに!

 




トゥインクルウェイは全ウルトラ戦士共通の技です。光のワームホールを作り、何万光年も離れた場所を移動することができます。

TKBテレビの西島まどかはウルトラマンオーブにも出てきましたね。


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第5話 立ち向かう戦士たち

数ヶ月ぶりの投稿です。


地球上に怪獣が現れない場所がなくなって1週間が経過しようとしていた。

 

首相官邸の怪獣対策特別本部では被害状況の報告が上がっていた。

 

嵯峨「では、吉岡副総理から経済的損失について報告していただきましょうか。」

 

吉岡「財務省といたしましても、今回の被害損額が1000億円を超える見通しがついております。直ちに補正予算を組むべきかと。」

 

嵯峨「なるほど。的場防衛大臣、防衛費だけでもどのくらいかかる?」

 

的場「低く見積もっても9000兆円です。」

 

嵯峨「そんなにかかるのか。」

 

吉岡「この未曾有の危機に際して、我々は1年前から対処してきました。この爺、政界を引退する気持ちを抑え今日まで頑張って参りました。ですが、もう限界のようです。辞表を提出させてください。」

 

嵯峨「内閣改造まで今しばらく待ってくれ。雅君も何か言ってくれ。」

 

雅「お義父様、官房長官として私からもお願いします。」

 

吉岡「わかった。希子さんがそういうのならもう少し続けよう。」

 

嵯峨「産業の方は経済産業省の方ではどうなっている?岸辺経済産業大臣よ。」

 

岸辺「現在、真田重工が兵器開発に力を注いでおり、他の産業分野には手がつけられていないのは事実です。」

 

嵯峨「戦時体制をほぼ同じだから仕方ないことか。」

 

1年前、官房長官は雅と岸辺の2人で輪番制のようなものだったが、戦時下ということもあり、党内の非主流派の立場にある岸辺は、兼任していた経済産業大臣ただ1職という扱いになっていた。

 

ベリアル襲来と共に経済的危機に全世界が襲われていたのは明らかだった。

 

 

 

一方、光の国がある次元宇宙では、ウルトラマンヒカリが科学技術局で新装置の開発を行なっていた。

 

局員の1人であるソラが声をかけていた。

 

ソラ「ヒカリ長官、これは?」

 

ヒカリ「ああ、これはね、物質を内部から動かして別宇宙に移動させる装置だよ。もはやこの宇宙では怪獣大災害が発生しなくなった。そこで宇宙警備隊大隊長であるウルトラの父と隊長のゾフィーの発案で、今、ゼロがいる次元宇宙に光の国を転送

させるという計画がスタートしたのさ。」

 

ソラ「そうなんですね。」

 

ヒカリ「まずはウルトラ戦士が修練に使うK76星を試験的にその次元宇宙の座標に転送させる。場所はK76星が存在する星雲と同じ場所だ。」

 

ソラ「新装置の完成を急がなくてはですね。」

 

ヒカリ「ああ。」

 

 

 

そして再び、ゼロが滞在している次元宇宙。

 

大マゼラン星雲のサレザー恒星系第4惑星には2連星があった。ガミラスとイスカンダルだ。

 

後のガミラス帝国の前身となるガミラス大公国もベリアル軍の襲来に遭っていた。

 

ベリアル軍はイスカンダルにも来襲したが、イスカンダルの持つ波動砲の圧倒的な力により敗北、不可侵条約が結ばれた。争いには無縁の立場にあるイスカンダルはベリアル軍との軍事同盟を拒否、戦争には中立的な立場を取った。

 

この戦いに巻き込まれるのを嫌ったイスカンダル人たちは、王都イスク・サン・アリアの地下にサンクテルという大記憶庫を作り、管理者である王族のみを残して、肉体を捨て、結晶の集合体となり、長き眠りに入った。

 

一方のガミラス大公国も有力貴族のデスラー家の当主であるエーリク・ヴァム・デスラーを中心にサレザー恒星系内でゲリラ戦を展開し、辛勝した。

 

この戦いで活躍したエーリク・ヴァム・デスラーは、それまでバラバラになっていたガミラス大公国を統一し、デスラー家が名実ともにガミラスの支配者となる礎を築いたのであった。

 

そのガミラスが地球と戦うことになるのは、150年後の未来になるのだが、そんなことは誰も知らない。

 

白色彗星帝国のガトランティス人たちもまた、ベリアル軍と戦っていたが、白銀の巫女と呼ばれるシファル・サーベラー丞相と大帝ズォーダーの決死の指揮により辛勝していた。

 

このようにベリアル軍に抵抗する勢力は、ザルツ人やジレル人、デザリアム人、ボラー連邦人など数多くの星人がいたのであった。

 

ところで、ベリアルはどこにいるのだろうか?

 

ベリアルは謎の空間に潜伏し、ダークネスファイブにストルム星人こと伏井出ケイそして地球人の東園転鬼羅と一緒にいた。

 

ベリアル「報告を聞こう。まずは魔導のスライからだ。」

 

スライ「申し上げます。我がスライ艦隊は、ガミラス軍と交戦し、敗北しておりますが、奴らの双子星イスカンダルとは不可侵条約を結びました。」

 

ベリアル「負けたのか。でもイスカンダルを仲間に引き入れたのは心強いな。」

 

スライ「ありがたきお言葉。」

 

口ではそう言いながらもスライは、地球だけ侵略すればいいのではと思っていた。

 

ベリアル「地獄のジャタールはどうだ?」

 

ジャタール「我がジャタール艦隊は、白色彗星帝国と交戦しましたが、奴ら、滅びの方舟とかいう物騒なモン持ってやらあ。迂闊には手を出せんのやわ。」

 

ベリアル「そんで負けたと。」

 

ジャタール「御意。」

 

ベリアル「まあいい。俺が欲しいのは地球だ。地球さえ手に入れれば邪魔なウルトラマンゼロを消すことができる。極悪のヴィラニアスの方はどうだ?」

ヴィラニアス「我がヴィラニアス艦隊は、ザルツ人やオルタリア人と交戦、これらに打ち勝ち、ザルツ星とオルタリア星を支配下に入れました。」

 

ベリアル「おおよくやった。して、炎上のデスローグの方は?」

 

デスローグ「グーガーゴー。」

 

グロッケン「我がデスローグ艦隊は、デザリアム軍と交戦、自動惑星ゴルバの力が強く敗北しました、だそうです。」

 

ベリアル「なるほど。氷結のグロッケン、お前はどうなんだ?」

 

グロッケン「我がグロッケン艦隊は、ジレル人と交戦しましたが、奴らの持つ精神感応波により多くの兵士が惑わされ、敗北しました。」

 

ベリアル「厄介だな。わかった。ジレル星は諦めろ。ストルム星人、お前はどうだ?」

 

ケイ「我が艦隊は、ボラー連邦と交戦、ボラー星を降伏させ、支配下に入れました。」

 

ベリアル「よくやったな。どうだ。地球人でありながら俺様の配下に加わった東園は?」

 

東園「我が艦隊は、ガルマン人と交戦し、ガルマン星を支配下に入れました。」

 

ベリアル「よくやったぞ。」

 

東園「ですが、興味深い話を手に入れました。」

 

ベリアル「なんだ。言ってみろ。」

 

東園「ガルマン人とガミラス人は共通の祖先を持つと言われているそうです。」

 

スライ「これは面白い。すぐ降伏したガルマン人が我が艦隊を打ち負かしたガミラス人と共通の祖先を持つとは笑止。」

 

ジャタール「全くだ。腑抜けの所業。ワッハハハハハ。」

 

東園「それだけではありません。テレザート星に立ち寄った時、集合意識生命体であるテレサからもとある情報を手に入れました。」

 

ベリアル「なんだ。言ってみろ。」

 

東園「この次元宇宙に存在する全ての知的生命は皆、古代アケーリアス文明の者どもの子孫だそうです。」

 

ヴィラニアス「ますます笑止。」

 

デスローグ「グーガーゴー。」

 

グロッケン「全くだ。共通の先祖を持つのに星系ごとに力も違うとは。」

 

ケイ「そうですな。地球さえ手に入れば、こっちのもんだ。」

 

このようにベリアル軍の最高幹部は大笑いしていた。

 

 

そして地球

 

JAPAN EDA本部では嵯峨総理による階級授与が行われていた。

 

嵯峨「各国EDAでは、本部以外の観測所や研究所の職員にも階級を授与している。日本もそうするべきだと考えている。」

 

官房長官である雅希子も言う。

 

雅「ただ陸海空軍どちらの階級にしようかと思いました。宇宙空間での作戦もありますからね。」

 

的場哲朗防衛大臣も続けた。

 

的場「防衛省の見解としては、EDAは対怪獣作戦の重要任務がある。どちらでもいいという見解になりました。」

 

嵯峨「そこで、総監を大将と決めました。」

 

四竈「私は大将ということですね。」

 

嵯峨「きっちりやってくれたまえ。」

 

四竈「はい!」

 

嵯峨の叙勲で隊員たちの階級が決まった。

 

総監 大将

副総監 中将

補佐官 少将

秘書官 大佐

隊長 中佐

副隊長 少佐

 

そして雄斗たち実務派隊員は大尉、美郷たち戦闘時の通信担当は中尉という扱いになった。

 

観測所や研究所の職員所謂文官は、所長が少尉、副所長が准尉、各部門リーダーが曹長、各部門サブリーダーが軍曹、一般職員は伍長、兵器などのメンテナンスを担当する者はリーダーが軍長、サブリーダーが上等兵、一般メンバーが一等兵ということになった。

 

来るべき時に備える訓練生や候補生は二等兵という位になった。

 

雄斗「これも統制の一つですよね。」

 

四竈「ああ、組織のあるべき姿だ。命令違反は、軽くて謹慎処分、重くて軍籍剥奪つまり除隊だ。そのための訓練生と候補生なんだ。」

 

雄斗「そうですね。ところでゼロの身分は?」

 

ゼロ「え?俺?」

 

四竈「お前は、雄斗と一心同体だから大尉だ。」

 

ゼロ「そんなー恨むぞー。宇宙警備隊でもウルティメイトフォースゼロでもそんな位になったことはないのにー。」

 

全員「アハハハハハー。」

 

 

 

その頃、別次元にある光の国では、

 

ソラ「ヤッター、大型物体別宇宙転送装置が完成した!」

 

ヒカリ「よし、よくやった。ウルトラの父に報告だ。」

 

この話はウルトラの父に届けられ、

 

父「完成したか。よし、K76星の試験転送を開始する。超特殊ディファレーター陽電子ビームをK76星に照射する。」

 

ゾフィー「照射10秒前、9、8、7、6、5、4、3、2、1、照射!」

 

マン「照射を確認、続けて、転送座標入力。」

 

セブン「転送座標、第27宇宙銀経−37、銀緯−73。」

 

ジャック「転送座標、我々の宇宙と同じ座標にある物体なしと確認。転送します。」

 

エース「転送開始!」

 

そして、別宇宙のその場所にいたタロウの部隊から通信が入った。

 

タロウ「K76星、確認できました。作戦成功です!」

 

父「本当か!よし、光の国と兄弟星に当たる多種族のウルトラ戦士の母星も照射開始だ!彼らにも了解を得ている。

 

母「光の国で最後ですね。」

 

レオ「そうです。これが成功すれば、ゼロとの通信もスムーズにいくはずです。」

 

その後、ウルトラ戦士の住む星全ての転送が完了した。

 

地球で夜空を見上げていた雄斗や美郷はなにやら話をしていた。

 

雄斗「ついに叙勲か。」

 

美郷「頑張りましょ。」

 

雄斗「ああ。」

 

そして、雄斗の目に飛び込んできたのは、見慣れる黄金に輝く文字だった。

 

雄斗「あれは何?」

 

美郷「え?何も見えないけど?」

 

ゼロ「当然だ。あれはウルトラサイン。ウルトラ一族と彼らと一体化している種族にしか見えないんだ。」

 

美郷「そうなんだ。それでなんて書いてあるの?」

 

ゼロ「『光の国とその関連する天体をこちらの宇宙に転送した。これからはスムーズに通信ができるだろう。』って書いてある。」

 

雄斗「おお。」

 

ゼロ「さあて、頑張りますか。」

 

雄斗&美郷「うん。」

 

それを物陰で見ていたのは東園だった。

 

東園「チェ。邪魔なウルトラ一族がこの宇宙に星丸ごとやってきたか。これはベリアル様に報告せねば。」

 

闇に消えていった。

 

 

 

 

〈次回予告〉

ついに暗躍を開始する東園。

 

その影響で現れる地底怪獣たち。

 

第6話「地底からのお客様。」

 

次回もお楽しみに!

 

 




斬新なアイデアを思いつきました。


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第6話 地底からのお客様

ウルトラマンデッカーにホッタのおっさんとメトロン星人マルゥルが久しぶりに登場しました。


相変わらずの謎の空間で、東園がベリアルに報告する。

 

東園「偉大なる皇帝陛下に申し上げます。別宇宙にあった光の国とその従属勢力が星丸ごとこの宇宙に転移してきました。」

 

ベリアル「それは本当か?」

 

東園「ええ。なので、地球の主な山々に怪獣を誘き寄せる時空波の発信装置を取り付けました。」

 

側にいた伏井出ケイが反応する。

 

ケイ「あの憎きウルトラマンどもめ。我々を滅ぼそうとするのなら他に対抗手段がある。しかし、どうすれば。」

 

?「手段ならあります。」

 

ダークネスファイブも含めた全員が声のした方向を振り向くと、黄金の鎧を纏った巨人がいた。

 

スライ「貴様誰か?」

 

?「我は究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロス。貴様らに協力してやろう。」

 

ジャタール「ふん、信用ならんな。」

 

タルタロス「信用ならん?我らアブソリューティアンの一族は時間や空間を飛び越えることができる。つまり過去にも未来にもそして様々な宇宙を跳躍することができる。」

 

ベリアル「そいつは面白え。これで空間を跳躍することだけができるゼロを倒すことができるな。」

 

タルタロス「ゼロ?ウルトラマンゼロのことか?」

 

ベリアル「そうよ。俺とあいつは因縁の相手だからな。」

 

タルタロス「ふん、奇遇だな。我らもあのゼロと因縁がある。」

 

ベリアル「そうか。だが、あいつには空間を跳躍する能力はあっても時間を跳躍する能力はないぞ。」

 

タルタロス「それがあるのだ。だが、両方とも使えるとなるとあの姿では長くは戦えないように見える。奴と戦う時、わざと挑発し、ナラクに引きずりこむ、そこで倒す。どうだ?」

 

ベリアル「面白い。なら協力してやろうじゃないか。」

 

タルタロス「アハハハハハハ、フハハハハハハ。」

 

そして全員が遥か遠くにある地球を見つめた。

 

 

 

その地球

 

光の国が同じ宇宙空間に存在するようになったためか、ゼロが本星と連絡をとりやすくなった。そしてウルトラセブンは雄斗とゼロに連絡を頻繁にしていた。

 

セブン「君が愚息と一体化している綿部雄斗くんか。」

 

雄斗「はい、そうです。」

 

ゼロ「おい、そこは否定しろ。」

 

雄斗「すまん。」

 

セブン「いや、いいよ事実だから。」

 

ゼロ「おい、親父まで。」

 

セブン「すまんね。2人とも仲良くやってくれて嬉しいよ。雄斗くん、ありがとうな。」

 

雄斗「あ、いえ、こちらこそありがとうございます。」

 

ゼロ「親父、今日は何の話だ?」

 

セブン「最近、アブソリューティアンの活動が活発になってきている。気をつけた方がいいぞ。」

 

ゼロ「やはり奴らは俺を消そうとしているのか。」

 

セブン「そうだ。お前だけじゃない。ノアの力を持つネクサス、そしてどんな強敵もかなわないウルトラマンキングだ。」

 

雄斗「なぜ彼らは狙うんです?」

 

ゼロ「キングの爺さんはただ目障り、ネクサスは空間跳躍ができるから、俺はウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロっていう形態になると時間も空間も跳躍する、そんな理由だと推測できる。」

 

雄斗「そうなのか。」

 

セブン「まあ今のゼロなら大丈夫だ。良い相棒も仲間も地球で見つけたしな。」

 

ゼロ「親父。」

 

セブン「じゃあな。また連絡するからな。しっかりやれよ、2人とも。」

 

雄斗「はい!」

 

通信終了

 

ゼロ「全く、親父は心配性だな。」

 

雄斗「まあいいじゃない。そういう家族がいて。」

 

ゼロ「ああ、そうだな。」

 

そして翌日。

 

ディレクションルームに全員が集まっていた。

 

正順「皆、これを見てくれ。」

 

スクリーンのないようを見せる。

 

美郷「これは?」

 

憲三郎「見たところ、地下のようですね。」

 

正順「そうだ。日本各地の一定の場所に熱源反応が感知された。」

 

李莉子「それが何かと関係あるの?」

 

ガイ「要するに熱源に巨大な生命反応があったから調査してほしいってことだろ?」

 

正順「そういうことだ。これから各地に散らばる。私も出動する。美郷と晴子も出動だ。」

 

美郷&晴子「はい!」

 

ジャグラー「ちょっと待て、基地には誰が残るんだ。」

 

光一「俺たちが残る。」

 

海子「留守は任せて。」

 

勝子「あのー大丈夫なんでしょうか。」

 

隆信「心配すんな。俺たちだって一応訓練受けてるわけだし。」

 

俊三「そうそう。非常時にも僕らだって戦いますよ。」

 

加奈「そういうわけね。」

 

正順「そういうわけだ。雄斗と美郷は北海道と東北地方を調査してくれ。」

 

雄斗&美郷「了解!」

 

正順「関東地方は総監直属のEDA JAPAN憲兵隊が監視するということなので、ガイさんと勝子は中部地方を調査。」

 

ガイ&勝子「了解!」

 

正順「ジャグラーと加奈は近畿地方を調査。」

 

ジャグラー&加奈「了解!」

 

正順「憲三郎と李莉子は中国・四国地方を調査。」

 

憲三郎&李莉子「了解!」

 

正順「私と晴子は九州・沖縄地方を調査だ。」

 

晴子「了解!」

 

正順「よし、EDA JAPAN出動!」

 

全員「GIG!」

 

そして格納庫へ。

 

雄斗「こちら、EDAセイダーα、発進します。 」

 

ガイ「こちら、EDAセイダーβ、発進します。」

 

ジャグラー「こちら、EDAセイダーγ、発進します。」

 

憲三郎「こちら、EDAセイダーδ、発信します。」

 

晴子「こちら、EDAセイダーε、発進します。」

 

正順「よし、全機、目的地に向け出発せよ。」

 

全員「了解!」

 

 

 

雄斗&美郷

 

まず北海道で巨大な熱源反応のある場所に向かった。

 

そこは利尻山、有珠山、北海道駒ヶ岳だった。

 

雄斗「ねえ、これって。」

 

美郷「火山に分類されてるよね。」

 

ゼロ「ってことは地底に棲み、マグマがエネルギー源の怪獣だな。」

 

美郷「もうちょっと、調査しよ。」

 

雄斗「うん。」

 

そして地震が発生し、しかも噴火まで発生した。

 

ゼロ「雄斗、俺に変われ!」

 

雄斗「えっ、うわ、わかった。」

 

美郷をお姫様抱っこして安全なところに着地した。

 

美郷「なんだったんだろう。」

 

雄斗「なんか噴火してるんだけど。」

 

ゼロ「今、何かが見えた。あれはバードンじゃないか。」

 

雄斗「こちらα、有珠山にて火山怪鳥バードンを発見した。」

 

正順「こちらε、やはり怪獣か。お前たちだけでもなんとかして防げ!俺たちは桜島にて宇宙礫岩怪獣グロマイトを発見、これと交戦中。」

 

美郷「なんだって!」

 

雄斗「しょうがない、EDAガン、発射!」

 

物陰から隠れてEDAガンを発射した。もちろん雄斗はウルトラゼロアイを銃に変形させて二刀流状態。

 

ゼロ「両端の毒袋の1点を狙え!そこを破壊すれば、奴は自分の毒を相手に流すことができるなくなる。」

 

雄斗「OK。」

 

 

 

一方、関東地方で調査してる総監直属の憲兵隊員たち。

 

四竈が指揮を取っており、現在は箱根の大涌谷に来ていた。

 

四竈「いいか、慌てず急いで正確に熱源がどこにあるか調査しろ。」

 

隊員A「わかりました。慌てず急いで正確にやるんですね。」

 

四 「そうだ。復唱よし!」

 

その時、急に地震が発生した。

 

四 「なんだありゃ。うお、怪獣だ!ひとまず退避!退避だ!」

 

現れたのは新種の怪獣だった。

 

隊員B「あいつ、硫黄を食ってやがる。」

 

四竈「しょうがない。仮称で呼ぶぞ。硫黄を常食としているから硫黄怪獣イオロンだ!」

 

隊員C「相変わらずネーミングセンスのない総監殿。」

 

その時、お土産屋の店主が出てきた。

 

店主「EDAの隊員さんたち、あの怪獣を倒して下さい。あの怪獣がいる限り黒たまごの味が落ちてしまう。お願いします。」

 

四竈「わかった。わかりましたから、あなたは早く避難してください。」

 

店主「は、はい。」

 

四竈「よし、お前ら、慌てず急いで正確に奴を攻撃しろ。」

 

隊員たち「了解!」

 

しかし、硫黄を含んだガスを吐き出す怪獣。

 

四竈「退避だ、退避。」

 

隊員D「防毒マスクつけりゃよかった。」

 

と言いつつも逃げながらEDAガンで攻撃していた。

 

 

 

こちらはガイ&勝子

 

御嶽山や富士山に行っていた。

 

ガイ「てか、ここら辺は火山関係じゃないか?」

 

勝子「そうね。」

 

その時、数メートル先で地割れが発生、怪獣が現れた。

 

ガイ「火炎骨獣グルジオボーンだ。」

 

勝子「ここってグルジオ様とかいう物の怪を信仰している地域じゃないでしょ?なのにどうして?」

 

ガイ「わからん。とにかく攻撃しながら退避だ!」

 

勝子「うん!」

 

 

ジャグラーと加奈はというと、

 

ジャグラー「ここってどこだっけ?」

 

加奈「何言ってるの比叡山よ。」

 

ジャグラー「みんなの無線聞いてるとほとんど火山だけど、ここって火山じゃないよね?」

 

加奈「確かに。でも座標ははっきりとここを示してる。」

 

ジャグラー「そうね。」

 

その時、彼らの横を炎が通り過ぎ、一帯を焼き払った。

 

加奈「今の何?」

 

ジャグラー「は!伏せろ!」

 

現れたのは双頭怪獣パンドンだった。

 

何もできず逃げ惑う加奈、隙あらば魔人態に変身して蛇心剣・新月斬波を連射するジャグラーという構図になってしまっていた。

 

加奈「もう!なんなのよ!」

 

ジャグラー「しょうがない。俺にしっかり捕まってろ!」

 

こんな感じで2人とも逃げる羽目に結局なった。

 

 

 

一方、憲三郎と李莉子は大山に来ていた。

 

憲三郎「ここって火山か?」

 

李莉子「一応そうなってる。」

 

しばらく歩くと

 

憲三郎「座標はちょうどここを示している。」

 

李莉子「油断ならないわね。」

 

その時、やはり地震が発生し、怪獣が2体も現れた。

 

憲三郎「これは!?」

 

李莉子「青色発泡怪獣アボラスと赤色火焔怪獣バニラ。」

 

憲三郎「青い悪魔と赤い悪魔じゃないか。下手に倒したら犠牲が増える。とにかく撤退しながら攻撃だ。」

 

李莉子「うん!」

 

 

 

雄斗との交信の数分前の正順と晴子。

 

正順「座標はこの位置だ。」

 

晴子「ここは桜島ですね。」

 

正順「お、早速地下から何かが上がってくるのが見えるぞ。」

 

晴子「宇宙礫岩怪獣グロマイトですね。」

 

正順「よし、攻撃だ!」

 

この最中に雄斗から通信が入ったのだった。

 

 

 

全員とも周りが見えず、逃げ回っていたため、崖ぷちに立たされてしまった。

 

正順「反撃開始だ!」

 

全員「了解!」

 

美郷「対怪獣白煙弾、発射!」

 

これは目くらまし。

 

雄斗「行こうゼロ!」

 

ゼロ「おう!」

 

雄斗「ジュア!」

 

バードンはゼロを見つけると腹部にくちばしを突き刺そうとした。

 

しかし、

 

美郷「思い通りにはさせない!対怪獣ミサイル発射!」

 

見事、バードンの両端の毒袋に命中した。

 

雄斗「やったー。」

 

逃げるバードン、それを追いかけるとゼロ。

 

ゼロ「逃すか!」

 

ゼロスラッガーを投げた。

 

ゼロスラッガーはバードンの翼に刺さり、バードンは地面に落下。

 

ゼロめがけて突進してくるが、簡単に跳ね飛ばされた。

 

ゼロ「翼のないお前はいとも簡単に倒せるのよ。」

 

この繰り返しである。

 

硫黄怪獣イオロン(仮)と戦ってる四竈たち

 

四竈「オラーいけ!野郎ども!」

 

隊員「ウオオオオ、武士道精神見せてやるぜえ!」

 

しかし、

 

隊員「あ、あれ?」

 

なんと充電切れ。

 

四竈「マジかよ。どうすんだよ。これ。って。え?うわ、もうダメだ。」

 

怪獣が目の前まで迫っていた。

 

そして、硫黄ガスを吐き出した。

 

その時

 

?「ジュア!」

 

ウルトラ戦士が現れた。

 

四竈「あれは?ウルトラマン!」

 

早く逃げろと言わんばかりにウルトラマンは首を縦に振った。

 

四竈「とにかく逃げるぞ!」

 

隊員「は、はい!」

 

ガイ「よし、やってやるか。」

 

インナースペースに突入し、最初からオーブオリジンに変身した。

 

オーブ「銀河の光が我を呼ぶ!」

 

グルジオボーンも炎を吐くが

 

オーブ「オーブフレイムカリバー!」

 

オーブフレイムカリバーの圧倒的な火力に無力化された。

 

ジャグラーは巨大化し、パンドンを滅多斬りにした。

 

ジャグラー「この蛇心剣に斬れないものはない。」

 

加奈「よく言うよ。ガイさんのこと斬れなかったくせに。」

 

ジャグラー「なんか言ったか?」

 

加奈「いいえ、何も。」

 

ジャグラー「そうか...」

 

憲三郎と李莉子はアボラスとバニラに囲まれてしまっていた。

 

憲三郎「右に逃げたら灼熱地獄。」

 

李莉子「左に逃げたら極寒地獄。」

 

憲三郎「よし、武士の情け、切腹しよう。」

 

李莉子「ちょっと、まじめに考えてるの?」

 

憲三郎「すみません。」

 

しかし、どこからか2本の光線が飛んできた。

 

憲三郎「あ、あれは。」

 

李莉子「まさか。」

 

超古代の光の巨人ウルトラマントリガーとリシュリア星人のイグニスがコピーして変身したトリガーダークだった。

 

トリガー「イグニス、アボラスは僕が。」

 

トリガーダーク「OK、そしたら俺はバニラだな。」

 

アボラスが吐いた炎はパワータイプにタイプチェンジしたトリガーのデラシウム光流によって無力化、逆に劣勢に立たされた。

 

バニラが吐いた氷はトリガーダークの闇によって無力化した。

 

トリガーダーク「どうした?ゴクジョーな戦いじゃねえな。」

 

正順たちはEDAセイダーからグロマイトを攻撃していた。

 

しかし、グロマイトの火球が機体に命中し、機内は警告アラームが鳴り響いた。

 

正順「何?どうした?」

 

晴子「メインエンジン出力低下、左翼大破、右翼損害軽微!」

 

正順「脱出孔はどうだ?」

 

晴子「ダメです。正常に機能しません。」

 

正順「何?このままでは地上に不時着する。晴子、不時着地点の予想範囲を割り出せるか?」

 

晴子「はい、あのタワーに激突します。」

 

正順「何だって!」

 

晴子「隊長!グロマイトがまた火球を放とうとしています。」

 

正順「何!?直撃すれば、機体は木っ端微塵、まず助からない。どうすれば...」

 

晴子「上空より、何かが急速接近!」

 

正順「よりにもよってこんな時に。」

 

しかし、現れたのはウルトラマンヒカリ。

 

不時着寸前のセイダーを掴むと地面に置き、グロマイトと肉弾戦を繰り広げた。

 

ヒカリはグロマイトの放った火球をキャッチするとそれをグロマイト本人に投げつけた。

 

まさかのアクシデントにグロマイトはなすすべもない。

 

正順「よし、総員、反撃開始!」

 

全員「了解!」

 

ゼロ「オラオラオラオラ、ワイドゼロショット!」

 

バードン爆散。

 

イオロン(仮)はというと、

 

マン「大自然を破壊する者よ、裁きを受けろ。スペシウム光線!」

 

爆散させ、人間体ハヤタシンの姿になって、憲兵たちを驚かせた。

 

インナースペースにてガイ

 

[解き放て!オーブの力!]

 

ガイ「オーブスプリームカリバー!」

 

あまりの強大なエネルギーにグルジオボーンはグルジオライデンに変異するまもなく爆散。

 

ジャグラーは人間体に戻ると

 

ジャグラー「ゼットンさん!」

 

[ゼットン!]

 

ジャグラー「パンドンさん!」

 

[パンドン!]

 

ジャグラー「闇の力、お借りします!」

 

[超合体、ゼッパンドン!]

 

ゼッパンドンの姿に恐れをなしたパンドンは逃げ出そうとする。

 

ジャグラー「このゼッパンドンはな、お前の同族の力も宿ってんだよ!」

 

ゼッパンドン撃炎弾でパンドンは爆散した。

 

ジャグラー「ああ、無駄に疲れた。」

 

人間体に戻って倒れてしまった。

 

加奈「ジャグラー!」

 

トリガーとトリガーダークは

 

トリガー「ゼペリオン光線!」

 

トリガーダーク「ダークゼペリオン光線!」

 

アボラスとバニラは爆散、しかし、有毒ガスが発生したため、担当を入れ替えた2人によって浄化した。

 

トリガーはマナカケンゴの姿にトリガーダークはイグニスの姿に戻った。

 

ケンゴ「大丈夫ですか?」

 

憲三郎「ああ、ありがとうございます。』

 

李莉子「ありがとうございます。」

 

憲三郎と李莉子の姿を見て、ケンゴが叫んだ。

 

ケンゴ「え?アキトにユナ?どうしてここに?」

 

憲三郎「え?僕、アキトじゃないです。憲三郎です。」

 

李莉子「え?私、ユナじゃないです。李莉子です。」

 

ケンゴ「あ、すみません。知り合いに似てたんでつい。」

 

イグニス「確かに似てるな。」

 

憲三郎「2人とも知り合いに似てるってよ。」

 

李莉子「そんな偶然あるのかな。」

 

イグニス「もしかしたら、お前さんたちは俺らの知り合いの別次元の同一人物なのかもな。」

 

ケンゴ「そうですよ。」

 

憲三郎「そりゃどうも。」

 

李莉子「は、はあ。」

 

ヒカリは、グロマイトの首を集中的に攻撃、見事に動きを封じた。

 

ヒカリ「ナイトシュート!」

 

グロマイトは爆散した。

 

人間体セリザワカズヤの姿になった。

 

セリザワ「1年ぶりですな、座野隊長。」

 

晴子「え?お知り合い?」

 

正順「そんな感じだ。1年前、彼とメビウスの協力があって、EDAの基本的設備が完成したんだ。」

 

晴子「そうだったんですね。」

 

セリザワ「あの機体はメビウスが近くで待機しているから後でメビウスに持ってこさせる。君たちは俺が送り届ける。」

 

晴子「ありがとうございます!」

 

正順「お言葉に甘えさせて頂きます。」

 

そして無線で全員に連絡をとった。

 

正順「こちら、座野。みんな、よくやった。これより帰投する。」

 

全員「はい!」

 

それを見つめる男が1人。

 

やはり東園であった。

 

東園「そろそろだな。」

 

そう言って闇に溶けこんだ。

 

 

〈次回予告〉

 

究極生命体アブソリューティアンが姿を現した。

 

彼らの目的は一体?

 

第7話「黄金の目的」

 

次回もお楽しみに!




富畑憲三郎→別次元のヒジリアキト、白本李莉子→別次元のシズマユナという設定でいきたいと思います。

超古代文明の巫女ユザレもいつか登場させたいです。


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第7話 黄金の目的

第7話スタート!


EDAの本部ではディレクションルームにメンバーが集まっていた。

 

雄斗「戦艦大和を海底から引き上げる?」

 

美郷「これまた大層な計画ですね。」

 

どうやら総監である四竈がプレゼンを行なっているようだ。

 

四竈「そうだ。太平洋戦争の時に九州坊ノ岬沖で沈没した戦艦を引き上げる。」

 

海子「それを宇宙での実戦を想定して改造するんですよね。」

 

四竈「そうだ。乗組員の上限は1000人、兵装で艦首はディファレータ砲、主砲と副砲は対怪獣弾道弾及びメテオールを発射できる。」

 

晴子「でも、この基地は変形できて、宇宙での航海もできるんですよね?」

 

隆信「もちろんできる。」

 

俊三「できるが、作戦が外惑星を含めた場所だったら、この戦艦を使うしかない。」

 

そして、その場にいた研究者らしき1人が声を上げた。

 

研究者「地球の重力をふりきるエネルギーが必要なため、改造には時間がかかります。」

 

正順「どのくらいかかる?」

 

研究者「1ヶ月ほどです。」

 

正順「そうか。」

 

 

 

九州坊ノ岬沖。

 

計画の発表からすぐに戦艦大和が引き上げられた。

 

憲三郎「これが戦艦大和か。」

 

李莉子「これを全長333メートル、艦体幅43.6メートル、最大幅61.77メートル、艦体高94.54メートル、最大高99.47メートルの超弩級宇宙戦艦に改造するわけか。」

 

ガイ「人類史上初めての試みだ。」

 

ジャグラー「ああ。」

 

大和はその後、長崎の改造ドックに運ばれ、改造を開始した。

 

勝子「本当に1ヶ月で改造できるの?」

 

加奈「するらしいわよ。」

 

その様子を見ていた雄斗を突如、頭痛が襲い、あるイメージが浮かび上がった。

 

雄斗「これは...?」

 

美郷「どうしたの?」

 

雄斗「なんでもない。ちょっと休憩してくるよ。」

 

美郷「そっか、気をつけてね。」

 

雄斗「ああ。」

 

みんなから少し離れたところで自分の中にいるゼロに話しかける雄斗。

 

雄斗「ゼロ、お前も見たよな。」

 

ゼロ「ああ、見たぞ。」

 

雄斗が見たイメージとは、

 

それは、遥か遠い未来、自分に似た容姿の人間が、同じく自分の仲間たちとよく似た人間たちと共に、この戦艦に乗って、遥か遠い宇宙に船出するという夢であった。

 

雄斗(遠い未来、人類は今よりももっと遠い宇宙へ旅立つのか。)

 

その解釈は間違っていない。

 

間違ってはいないのだが、その航海が宇宙人による攻撃で滅びに瀕した地球を救う目的があること、乗組員の1人が自分の子孫であること、そして、一生のほとんどをゼロと一体化することで過ごし、その航海に自分も同行することを今の雄斗が知るよしもない。

 

 

それを謎の空間で見ていたのは、ベリアル軍団とアブソリューティアンの面々であった。

 

ベリアル「地球人め、何を作り出すのだ。」

 

スライ「彼らは未開人です。大したものを作れるはずがございません。」

 

ジャタール「そうです。」

 

タルタロス「奴らの兵器が完成次第、これを叩きます。」

 

ケイ「いいだろう。それがベリアル様のご意志だ。」

 

ヴィラニアス「しかし、あんな鉄屑を改造して地球人は何がしたいのでしょうか?」

 

デスローグ「グーガーゴー」

 

グロッケン「無力で小さな下等生物です。どうせベリアル様に壊されるだけですよ。」

 

タルタロス「破壊するのはベリアルではない。我らアブソリューティアンだ!」

 

タルタロスとは別のアブソリューティアンであるディアボロとティターンも反応する。

 

ディアボロ「貴様らベリアル軍団は黙っていてもらおう。」

 

ティターン「まずは我々に任せろ。」

 

しかし、食い下がらないのが東園である。

 

東園「貴様ら、抜け駆けは許さんぞ!私こそがベリアル様にウルトラマンゼロの首を献上するのだ!」

 

ディアボロ「何を!ベリアルから与えられた力がないと何もできない無力の地球人である貴様に言われたくない!」

 

ティターン「貴様は裏切り者とはいえ地球人、いつ表返るが信用できん!」

 

一触即発となってしまった。

 

タルタロス「三人とも無用な争いだぞ。口を慎め!」

 

ベリアル「そうだぞ。ここはアブソリューティアンに任せる。それでいいな。」

 

東園「はい...」

 

アブソリューティアンは去っていった。

 

そして別宇宙に転移して、本拠地ザ・キングダムに一時帰国するとベリアルとトレギアの並行同位体、更にはエンペラ星人、レイブラット星人、グア軍団などなどウルトラ戦士を幾度となく苦しめた強敵の並行同位体を呼び出した。もちろんトレギアは闇落ち前と闇落ち後の両方である。

 

一方、地球。

 

戦艦大和の大改造が相変わらず行われていた。

 

その現場を視察に訪れているのは、嵯峨総理、吉岡副総理兼財務大臣、雅官房長官、的場防衛大臣だった。

 

雄斗はEDAの隊員服のまま嵯峨の側にいた。

 

嵯峨「これが宇宙戦艦ヤマトか。吉岡くん、総工費だけでどのくらいかかった?」

 

吉岡「引き上げ費用で10億円、改造費は1000億円です。」

 

嵯峨「今は全世界が戦時体制に置かれている。地球防衛の要となるEDAのみが人類最後の希望なのだ。」

 

雄斗「はい。」

 

吉岡「雄斗くん、この戦いが終わったら私は政界を引退しようと思う。どうだね?私の地盤を継がんかね?」

 

雄斗「考えておきましょう。」

 

実は吉岡も綿部家傍流の血筋なのだ。まあ雅は関係ないが。

 

雅「それにしてもその隊員服、よく似合ってるわね。」

 

雄斗「ありがとうございます。」

 

しかし、怪獣が現れるのも当たり前。

 

美郷「長崎の改造ドック上空より高エネルギー反応!」

 

正順「何!現場近くにいるのは誰だ?」

 

晴子「雄斗先輩だけです。」

 

正順「わかった。後続隊に李莉子と憲三郎それに加奈、出動!」

 

3人「了解!」

 

雄斗のところにもすぐさま通信が入る。

 

正順「雄斗、周辺にいる人たちの避難誘導を指揮しろ!そっちに高エネルギー反応が近づいてるぞ!」

 

雄斗「わかりました。さあ嵯峨先生、避難を!」

 

嵯峨「わ、わかった!」

 

避難サイレンが鳴り響き、急いで避難して行く人たち。

 

ゼロ「まさか!」

 

雄斗「どうした?」

 

ゼロ「雄斗、伏せろ!」

 

雄斗「え?わかった!」

 

急いで伏せる雄斗、その頭上5メートルを黄金の光線がかすっていき、建物を破壊した。

 

その建物は、

 

雄斗「吉岡先生!雅先生!」

 

嵯峨とは別ルートで避難していた吉岡副総理兼財務大臣と雅官房長官らが避難していた建物だった。

 

多くの悲鳴が聞こえてきた。

 

そして黄金の空間から現れたのは、アブソリューティアンの戦士アブソリュートディアボロであった。

 

ディアボロ「ウルトラマンゼロ、どこだ。出てこい!ベリアルに首を献上してやる。うん?うおー。」

 

雄斗が反対方向に走りながらEDAガンで攻撃していたのだ。

 

ディアボロ「見つけたぞ!ウルトラマンゼロ!逃げるな我と戦え!」

 

雄斗「あんなこと言ってるけどどうする?」

 

ゼロ「人気の少ない場所に誘導する。」

 

雄斗「わかった。」

 

雄斗はそのまま通信していた。

 

雄斗「ポイント732地点にてアブソリューティアンが出現、負傷者多数。吉岡副総理と雅長官も巻き込まれた模様!至急救援に向かわれたし!」

 

李莉子「負傷者は私と加奈に任せて!」

 

憲三郎「おうよ!俺は避難誘導する。お前はあのバケモンを倒すことに集中しろ。」

 

雄斗「わかった!ゼロ!」

 

ゼロ「ああ!」

 

ウルティメイトブレスレットから出てきたウルトラゼロアイでゼロに変身する雄斗。

 

雄斗「ジュア!」

 

そしてゼロがディアボロの前に姿を現した。

 

ディアボロ「その首と戦艦大和を頂戴する。」

 

ゼロ「俺の首を取るなんざ、2万年早いぜ!」

 

雄斗「貴様だけは絶対に許さない!関係ない人を巻き込むな。そして戦艦大和も渡さない!」

 

睨み合う2体の巨人。

 

先に動いたのはディアボロだった。

 

ディアボロ「いざ参らん!」

 

ものすごい勢いでパンチとキックを浴びせてくる。

 

それを受け流すゼロ。

 

ディアボロ「どうした?貴様の力はそんなもんか?」

 

ゼロ「俺を、いや俺たちを甘く見るなよ。」

 

雄斗「ああ、そうだ。ウルトラゼロキック!」

 

それが当たり、思わず後退するディアボロ。

 

ディアボロ「ぬぬぬ。これでも食らえ!コスモ幻獣拳奥義・剛力破牛拳!」

 

そしてゼロに直撃、爆発音が鳴り響き、煙が充満した。

 

美郷「まさか!」

 

モニター越しに戦いを見ていた美郷たちに激震が走った。

 

ディアボロ「ぬはははは!我、ウルトラマンゼロを討ち取ったり!ぬはははは!ん?」

 

ディアボロの視線の先には初代和泉守兼定を手に持ったゼロの姿だった。

 

ディアボロ「そんな馬鹿な!我の攻撃で貴様が無傷な訳なかろう!」

 

ゼロ「偽装爆発だ。」

 

雄斗「この刀はなあ、状況を変える力を持っているんだ!」

 

その頃、李莉子たち後続隊が吉岡たちがいる場所に到着した。

 

憲三郎「誰かいませんか?」

 

李莉子「いたら返事して下さい!」

 

大臣付のボディガードが反応した。

 

ボディーガード「ここです!」

 

3人がその場に行くと致命傷を負い今にも意識が途切れそうな吉岡とかすり傷だけで軽傷の雅が他のボディガードたちに応急手当てを受けている姿だった。

 

加奈「大丈夫ですか?」

 

雅「私は大丈夫。でもお義父さまが。」

 

吉岡「希子...さん...無事...だな...?」

 

あの攻撃で建物が崩れた瞬間、吉岡はその老体で雅を庇ったのであった。

 

吉岡「みんな...そんな...顔を...するな...この戦いが...長引けば...同じ...ような...人が...多く...出て...くる...雄斗と...総理に...伝えて..くれ...」

 

雅「はい。」

 

吉岡「雄斗...地球を...再び...平和に...総理...日本を...この政権を...頼み...ました...ぞ...」

 

憲三郎「はい。」

 

李莉子「必ず、必ずお伝えします。」

 

吉岡「みんな...今...まで...ありが...とう...」

 

吉岡は息を引き取った。享年96歳、70年に及ぶ政治生活であった。

 

一方、ディアボロとゼロの戦い。

 

ディアボロはゼロの持つ刀により劣勢に追い込まれていた。

 

ディアボロ「ぬおおお!」

 

雄斗「これでトドメだ!」

 

ゼロ「ワイドゼロショット!」

 

ディアボロ「ぬおおお!我は、我は不死身だあああ!戦艦大和をベリアルに献上するまでは絶対に死なん!」

 

爆散し、雄斗たちには見えない場所にアブソリュートハートが落ちた。

 

ゼロ「やったぜ!」

 

人間の姿に戻った雄斗が見たのは、吉岡に手を合わせる人々の姿だった。

 

雄斗「そんな...」

 

その姿を見かけた仲間たちが声をかける。

 

嵯峨「そんな顔をするな。」

 

雅「吉岡先生が最後に遺した言葉を伝えます。地球を再び平和に。以上。」

 

嵯峨「EDAの諸君、いいな!」

 

4人「はい!」

 

それでも悲しいことは悲しい雄斗、人がいないところで泣き、今までの思い出を振り返っていた。

 

大学に行くために東京に出て、自国党本部でバイトをしていた時に声をかけたのが当時、副総裁だった吉岡だった。

 

吉岡「君、新しく入ってきたバイトの子だね。どこの議員付き?」

 

雄斗「嵯峨長官付です。」

 

吉岡「君か。綿部伯爵家の次子が嵯峨長官付って聞いたからびっくりしたよ。」

 

大学を卒業し、嵯峨が総理になり、自身も嵯峨の秘書になった時も

 

吉岡「君も秘書になったか。よろしくな。」

 

雄斗「はい!」

 

などなど色々な思い出が駆け巡った。

 

ゼロ「色々なことがあったんだな。」

 

雄斗「ああ。しかし、ベリアルはなぜ戦艦大和を欲しがっているのだ。」

 

ゼロ「わからんな。」

 

それを遠くから見ていたのは、東園だった。

 

東園「貴様に絶望というものを味わせてやる。大切な人が亡くなるのは今日だけじゃないぞ。」

 

闇に消えていった。

 

そしてディアボロのアブソリュートハートはというと、密かにタルタロスによって回収された。

 

タルタロス「このアブソリュートハートがある限り、お前は不死身だ。」

 

ディアボロ「ぬおおお!覚えてやがれウルトラマンゼロ!この無念晴らしてやる!」

 

 

 

<次回予告>

 

ついに雄斗たちの前に姿を現した東園がベリアル融合獣へとフュージョンライズし、たちはだかる。

 

そして伏井出ケイも現れ、町中がパニック状態になる。

 

第8話「ベリアルの手下、参上!」

 

次回もお楽しみに!」




戦艦大和がベリアル戦を予期して改造され、ベリアル戦が終わったと共に再び九州坊ノ岬沖に沈み、150年の時を経て対ガミラス戦のために改造されるという算段になっています。


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第8話 ベリアルの手下、参上!

アブソリューティアンの戦士アブソリュートディアボロとの戦いから1週間が過ぎた。

 

この日は犠牲となった吉岡副総理兼財務大臣の葬儀が東京で執り行われていた。

 

雄斗「もう1週間か。早いよなあ。」

 

雅「何度も言うけど、君のせいで死んだんじゃないからね。私を庇ってそれで致命傷を負って...」

 

的場「あーはいはい。あなたはあなたで1週間ずっとそんな感じですね。やめておきなさい。既に公務に支障が出ております。」

 

雅「すみません。」

 

正順「ただなあ、EDAの戦闘機がいつになったら活躍するんでしょうかね。結局は撃沈されて、最後にウルトラマンたちに助けられるんですよね。」

 

雄斗「とか言われてるよ、ゼロ。」

 

ゼロ「あーそれに関しては申し訳ございませんでした!」

 

一同、爆笑した。

 

久しぶりにみんなの笑顔が見れたなと、もはや存在が忘れられているウルトラマントリガー/マナカケンゴは思ったのであった。

 

謎の空間では、東園がディアボロに対して怒りをぶちまけていた。

 

東園「ウルトラマンゼロの首を手に入れることができなかったとはどういうことであるか!しかも関係のない人間も殺している。この責任はどうとる?」

 

ディアボロ「人間1人を殺してどうのとは心外だな。最終的にはベリアルが地球をいや全宇宙を征服する。その時には地球は滅亡する。

遅いか早いかなのだ。」

 

横から口を挟むのはベリアルだった。

 

ベリアル「その辺にしておけ。あの地球人はこいつが俺に仕える前に仕えていたんだよ。わかってやれ。」

 

ディアボロ「はいはい。」

 

ベリアルは東園に向き直り言い続ける。

 

ベリアル「おい、お前。地球に行って葬式に参列してやれ。お前だとバレないようにな。」

 

東園「バレたら?」

 

ベリアル「すっとぼけろ。」

 

東園「でもどうして葬式に行けだなんておっしゃるのですか?」

 

ケイ「ベリアル様はどんなことがあってもお前が地球人であり続けてほしいと思っている。例え、我々と運命を共にしてもだ。」

 

ベリアル「ああ、そうだ。」

 

東園「はい!ありがとうございます。」

 

 

 

そして吉岡の葬儀会場。

 

東園は変装して現れた。

 

まず気づいたのは雄斗であった。

 

雄斗(あれ?この人誰だっけ?)

 

疑問を持ち始めていた。

 

正順(こんな人、名簿に載ってたっけ?)

 

嵯峨(こんな人、吉岡先生のお知り合いにいたっけ?)

 

そして駆け寄るのは雅だった。

 

雅「あのーどちら様でしょうか?」

 

東園「私は20年前の一時期、吉岡先生に秘書として仕えていた者です。今まで旅をしておりましたが、その途中、吉岡先生の訃報を知り、急遽、ここに来た次第であります。」

 

雅「そうなんですね。ありがとうございます。」

 

その光景を見ててEDA隊員たちは違和感を感じていた。

 

正順「20年前だったら今は40代か50代だよな。それにしては若くないか?」

 

憲三郎「怪しいな。」

 

李莉子「第一、吉岡先生にそんな人がいたなんて聞いてないわよ。」

 

加奈「変装してる感じがする。」

 

晴子「そういえば、雄斗先輩たちは?」

 

美郷「例の人が来てすぐ、ガイさんやジャグラー共々どっか行ったわよ。」

 

勝子「何かに気付いたのね。あとで聞かせて貰おうと。」

 

彼らとは離れた場所に雄斗たちはいた。

 

ガイ「雄斗、お前どう思う?」

 

雄斗「どうって。変装している感じがしてすごく怪しい雰囲気でした。」

 

ガイ「ゼロさんは?」

 

ゼロ「ベリアルの匂いがした。」

 

ガイ「何ですって!てことはベリアルの手下か?」

 

ジャグラー「かもしれない。」

 

そして焼香が終わった東園はEDA隊員たちに近づいてきた。

 

東園「どうもどうも私、行商人をしております西田尚幸と申します。以後お見知り置きを。」

 

愛想笑いをしてその場をやり過ごす面々。

 

その後もペラペラを話し続け、相手をしているのは雄斗とガイそしてジャグラーだけだった。

 

そして東園は雄斗の耳元でこう囁いた。

 

東園「あなたが綿部雄斗さんですね。お話は伺っておりますよ。また会える日を楽しみにしています。」

 

耳の良いガイとジャグラーはその言葉を逃さず、警戒体制になった。

 

東園「おやおやそちらのお二方は妙に警戒しておられる。面白い人たちなんですね。ウフフフ。」

 

そのまま去っていった。

 

EDAのディレクションルームに戻って、一同はデータベースを検索していた。

 

美郷「行商人西田尚幸なる人物はいませんでした。」

 

正順「やはりな。」

 

勝子「ということは誰かが別人になりすましてるってこと?」

 

憲三郎「そういえば、去り際に雄斗に耳打ちしてなかったか?」

 

晴子「なんか言われたんですか?」

 

雄斗「『あなたが綿部雄斗さんですね。お話は伺っておりますよ。また会える日を楽しみにしています。』って言われた。」

 

加奈「なんか怪しい。」

 

李莉子「ガイさんとジャグラーはなんか掴めた?あの時、警戒している感じがしたから。」

 

ガイ「ベリアルの匂いがした。」

 

ジャグラー「地球人の匂いもしたがな。」

 

これには一同が驚愕してしまった。

 

四竈「となると東園の可能性が高いな。」

 

海子「可能性はなきにしもあらずね。」

 

隆信「国内では年間3万人が行方不明になってますからね。」

 

俊三「どうするべきかだな。」

 

 

 

その頃、街ではある男が徘徊して騒ぎを起こしていた。

 

その男は、伏井出ケイ、ストルム星人であった。

 

ケイ「うおおお!」

 

持っていたステッキを振り回し、通行人を斬りまくっていたのだ。

 

そこに通報を受けて駆けつけた警官が制止しようとしていた。

 

警官「止まれ!止まらなければ撃つぞ!」

 

止まる気配はない。

 

警官はやむを得ず、発砲した。

 

しかし、素手で弾丸を受け止め、無傷のままのケイであった。

 

警官「ヒー、バケモノだー!」

 

そして逃げ出す始末。

 

警官「こちら、警視庁第8交番勤務の巡査、宇宙人を発見。EDA憲兵隊の出動を乞う。宇宙人は多数の通行人を切りつけている模様。至急、応援_。」

 

ここで通信終了。

 

どうやらこの警官もやられてしまったようだ。

 

この通信はEDAのディレクションルームにも届けられた。

 

四竈はすぐに憲兵隊に無線連絡した。

 

四竈「君たちに特命を与える。重武装の上、任務につけ!」

 

憲兵隊「了解!」

 

憲兵たちが現場に着いた時、大勢の人が倒れていた。

 

憲兵隊隊長「こちらEDA憲兵隊、本部、応答願います。メディックを要請する。」

 

美郷「こちら本部。貴官らは総監直々の命令を遂行せよ。」

 

憲兵たちは暴れているケイを発見した。

 

憲兵「止まれ!それ以上動くな!」

 

それでもステッキを振り回している。

 

憲兵「やむをえん!発砲!」

 

しかし、ステッキで弾かれた。

 

憲兵「しょうがない。肉弾戦に移行する!総員、武器を捨てろ!」

 

そして肉弾戦に移行した。

 

しかし、重武装をしているとはいえ、相手は宇宙人。ケイの持つストルム星人特有の能力により、全員が100メートル後方に跳ね飛ばされた。

 

ケイ「そこで寝てろ。」

 

そのまま闇の中に消えていった。

 

それから1週間、同様の事件が立て続けに起きており、犠牲者は怪我人も含めて1000人を超えていた。

 

しかし、最近はというと

 

雅「被害者はほとんどが1人でいる女性、時間帯は夜になってきています。」

 

嵯峨「夜間外出禁止令を性別になく発令する。また、夜間は1人で出歩かないようにすること。警察、自衛隊、EDAといった治安部隊が見回りをせよ。」

 

これにより事件は大幅に減少してきたある日、雄斗は美郷たちと外出していた。

 

正順「こうして外に出るのもいいね。」

 

晴子「はい。」

 

美郷「たまにはいいよね。」

 

憲三郎「おい、あれ。」

 

憲三郎の視線の先には行商人西田尚幸なる人物を騙っている東園が近づいている姿だった。

 

李莉子「雄斗とガイさん、ジャグラーに任せようよ。」

 

勝子「そうね。」

 

彼らの前に来ると立ち止まった東園が声をかける。

 

東園「これはこれは、EDAの皆さん、先日はどうも。元気そうで何よりです。」

 

ガイ「お前は何者だ。行商人西田尚幸じゃないだろ。」

 

東園「もうご存知なのですか。そうです。私は行商人西田尚幸ではありません。行方不明になった人間東園転鬼羅です。」

 

変装を解き、東園の素顔が明らかになった。

 

雄斗「今まで何をしていた。」

 

東園「ウルトラマンベリアルの傘下に入りました。」

 

ジャグラー「目的はなんだ?」

 

東園「ベリアル様の大いなる目的のために地球を滅ぼす。」

 

ガイ「どういうことだ。」

 

東園「言葉通りですよ。地球だけじゃない。ベリアル様に従わない全宇宙の知的生命を滅ぼす。」

 

雄斗「どうして?なんのために。」

 

東園「雄斗いやウルトラマンゼロ、お前の首を頂戴する!では、今日はさらばだ。フハハハハハハ。」

 

そのまま闇に消えていった。

 

ジャグラー「もう奴は地球人ではない。身も心もベリアルに売っちまった。」

 

この情報は全宇宙を駆け巡り、光の国の宇宙警備隊本部にも届けられた。

 

ウルトラの父とウルトラの母はウルトラ兄弟と話をしていた。

 

父「知っての通り、地球人の1人がベリアルの側についている。」

 

母「今、全宇宙では、地球をはじめ、様々な星系が我々ウルトラ戦士とイスカンダルに救いを求めています。あなた方ウルトラ兄弟は各星々のレジスタントに協力するのです。」

 

ゾフィー「地球の守りはどうしますか?」

 

父「ゼロやオーブ、ジャグラーの他にトリガー、トリガーダーク、マン、ヒカリらが残っている。彼らの力で十分です。」

 

ゾフィー「わかりました。」

 

母「ユリアン王女は80を護衛につけて、イスカンダルのスターシャ女王、サーシャ皇女、ユリーシャ皇女と会談をしてきてください。」

 

ユリアン「先日、スターシャ女王が申し出た同盟を結ぶというお話ですね。」

 

母「ええ。この戦いの後、地球以外のどの星々もイスカンダルの持つコスモリバースシステムが必要になります。」

 

80「地球は?」

 

母「この戦いが終わってもゼロたちにはその地にしばらくの間、残っていただきます。我々ウルトラ一族にとって地球はかけがえのない星ですもの。」

 

80「承知したしました。」

 

ユリアンはイスカンダルを表敬訪問し、スターシャ女王と会談した。

 

この会談により光の国=イスカンダル平和友好条約が成立し、150年以上先の未来には、地球=ガミラス=イスカンダル=光の国4カ国同盟へと発展するのである。

 

80はというと、イスカンロイドと意見交換をしていたが、内心では、機械と情報交換すること以外につまらないことはないと感じていた。

 

 

 

そして再び地球。

 

雄斗たちがディレクションルームでくつろいでいた時、突然、映像が入ってきた。

 

正順「なんだ?」

 

そして映像に東園が映った。

 

東園「EDAの諸君、今から指定されている場所に来るのだ。」

 

憲三郎「これは罠かもしれない。だが、行くしかない。」

 

正順「よし、全員出撃!」

 

全員「了解!」

 

当然のことながら美郷と晴子、そして正順はディレクションルーム待機である。

 

指定された場所に雄斗たちが着くと、既に東園がいた。

 

東園「ようやく来たか。」

 

雄斗「何の用だ。」

 

東園「ふん!貴様らと戦う為だ!」

 

そのまま襲いかかってきた。

 

東園「ふん!は!」

 

雄斗に仕掛けてきたが、既にゼロの意識に切り替わっているため、軽く受け流された。

 

キックをしても片手で掴まれ、もう一方の足でキックしようとしても、もう片方の手で掴まれ、投げ飛ばされたが、離れたところに着地した。

 

ガイやジャグラーにも仕掛けてきたが、やはり受け流された。

 

東園「こうなったら!」

 

李莉子や勝子に襲いかかり、人質にしてしまった。

 

李莉子「キャー。」

 

勝子「助けてー!」

 

憲三郎「李莉子!勝子!」

 

雄斗「なんてことだ。迂闊に手出しができない。」

 

ジャグラー「卑怯だぞ!」

 

ガイ「彼女たちを離せ!」

 

そこに憲兵隊が駆けつけたが、やはり手が出せない状況であった。

 

東園「無駄な抵抗はよせ。要求通りに動いてくれたら生きて帰そう。」

 

そのまま姿を消した。

 

ディレクションルームに帰った一行。

 

正順「話はわかった。東園からのコンタクトを待つとしよう。」

 

その時、画面に東園が映った。

 

東園「EDAの諸君、この2人の女を助けたければ、指定された時刻に指定された座標に来い。その際、戦艦大和に取り付けようとしているディファレータ砲に取り付けるディファレータコアを渡せ。」

 

そして通信が途切れた。

 

正順「奴はなぜディファレータ砲のことを?」

 

雄斗「そういえば、アブソリューティアンもどういうわけか知っていた。」

 

憲三郎「どこから監視している者がいるのか、それとも内通者がEDAの内部にいるのか。」

 

ガイ「おそらく前者だ。」

 

ジャグラー「だが、ディファレータコアをすんなり渡すわけには…。」

 

晴子「私たちに考えがあります!」

 

どうやら美郷と晴子に考えがあるようだった。

 

 

 

そして、指定された座標の指定された時刻、東園はケイと共に現れた。

 

東園「武器を置け。」

 

ケイ「引き渡し人は、ゼロと一体化している綿部雄斗、貴様だ。」

 

雄斗「え?」

 

晴子「大丈夫です。私が事前に指示した通りにやってください。」

 

雄斗「ああ、わかった。」

 

正順「その前に1つ聞きたい。李莉子と勝子はどこにやった。」

 

東園「あそこだ。」

 

東園が指差した場所に目を移すと、2人がクレーン車の頂上付近からロープで吊るされていた。

 

ガイ「なんであんな場所に。」

 

ジャグラー「貴様ら、卑怯だぞ!」

 

ケイ「昔、光を裏切り闇の勢力に身を置いていたあなたに言われたくありません。」

 

ジャグラー「今は今、過去は過去だ。確かに俺が昔してきたことは許されないことだった。だが、これから誠実に生きていく。」

 

東園「ふん!偽善者め!おい、雄と、早くディファレータコアを渡せ!」

 

雄斗「ほらよ。」

 

その瞬間、〈時限爆弾、爆発まであと5分です。カウントダウンを開始します。」

 

ケイ「貴様ら!やっぱり最初からそのつもりだったのか!」

 

そして全員が光線銃を再び手にした。

 

東園「本当はやりたくなかったが、しょうがない。ふん!」

 

ケイと東園の手から紫色の光弾が発射され、それがクレーンの柄の部分に命中した。

 

李莉子「キャー。」

 

勝子「助けてー。」

 

今にも落ちそうな2人。

 

ガイ「ここは俺たちに任せろ!」

 

正順「頼む!」

 

2人を助けようと信じられないほど高くジャンプするガイとジャグラー。

 

ケイ「小癪な!」

 

再び2つの光弾がクレーンの柄の部分に当たり、クレーンは大きく崩れた。

 

美郷「李莉子!勝子!」

 

東園「ハハハハハハ!うん?」

 

視線の先には李莉子を抱えるガイと勝子を抱えるジャグラーの姿であった。

 

ガイ「なんとか間に合ったぜ。」

 

ジャグラー「俺と美郷、晴子は2人を連れて本部に戻る。」

 

ガイ「ああ、こっちは任せろ。」

 

そうしているうちに時限爆弾装置の時間が1分を切っていた。

 

東園「おのれ!」

 

正順「言っておくが、それはお前の手から離れないぞ。」

 

東園「よくも馬鹿にしやがったな。ウオオオオオ。」

 

東園はそのままベリアル融合獣スカルゴモラへとフュージョンライズした。

 

当然装置は破壊された。

 

憲三郎「爆発しなくてよかった。」

 

加奈「それよりもあの怪獣を叩くことが先決よ。」

 

しかし、ケイがそれを邪魔した。

 

ケイ「そうはさせない。」

 

自身もベリアル融合獣サンダーキラーにフュージョンライズした。

 

正順「開発されたばかりのEDAウィンガーとEDAローダーで迎撃だ!」

 

全員「GIG!」

 

EDAウィンガーには正順と加奈が、EDAローダーには憲三郎が乗り攻撃していた。

 

雄斗とガイは地上から攻撃していた。

 

EDAウィンガーと雄斗はスカルゴモラ、EDAローダーとガイはサンダーキラーを担当。

 

正順「スペシウム弾頭弾、発射!」

 

雄斗「EDAガン、出力最大!」

 

しかし、

 

東園「無駄だ。火炎弾ショッキングヘルボール!」

 

無力化してしまった。

 

憲三郎「ハイショックビーム!」

 

ガイ「電撃ビーム!」

 

しかし、

 

ケイ「無駄だ!キラーリバース!」

 

攻撃が全て跳ね返ってくることになるのだ。

 

憲三郎「急速転回!緊急回避!」

 

ガイ「とお!」

 

ジャンプして回避した。

 

東園「ちょこまかとうるさい。スカル振動波!」

 

これが避けられるはずもなく、EDAウィンガーは衝撃波をまともに受けてしまった。

 

〈警告!警告!制御不能、不時着します。速やかに脱出してください。〉

 

正順「くそ!加奈、脱出孔は開くか?」

 

加奈「無理よ!この落下スピードじゃ!」

 

正順「機体の性能は上がったのに!」

 

雄斗「いこう!ゼロ!」

 

ゼロ「ああ!」

 

雄斗「ジュワ!」

 

EDAウィンガーが地面に衝突寸前のところで受け止めた。

 

ケイ「おとなしくしてな!サンダーデスチャージ!」

 

まさかの電撃をEDAローダーまともに食らった。

 

〈警告!警告!計測器に異常発生!制御不能。〉

 

憲三郎「くそ!ここでやられてしまうのかよ!」

 

それを見ていたガイはオーブオリジンの姿にフュージョンアップし、EDAローダーを受け止めた。

 

東園「ようやく現れたか!ゼロ!」

 

ケイ「オーブよ、貴様は俺が倒す!」

 

雄斗「やってやりますか!ゼロ!ガイさん!」

 

ゼロ「ああ!ブラックホールが吹き荒れるぜ!」

 

オーブ「見せてやるぜ、俺たちの力!」

 

正順「よし!地上部隊、反撃開始だ!」

 

憲三郎&加奈「おー!」

 

正順、憲三郎、加奈はEDAガンで2体のベリアル融合獣を攻撃、ゼロはスカルゴモラを、オーブはサンダーキラーを攻撃した。

 

東園「ようやく、戦えるな。雄斗、いやウルトラマンゼロ!」

 

雄斗「ベリアルになにもかも受け渡したりしやがって!やってやるよ!」

 

そのまま取っ組み合いになっていた。

 

ケイ「フハハハハ、どうだ!貴様もベリアル様の力を使うか?ウルトラマンオーブ!」

 

ガイ「俺は、ベリアルさんの力は正義のために使う。貴様たちみたいに悪用はしない!」

 

ケイ「ふん!ならば貴様を倒すまでよ。」

 

そのまま突進していた。

 

雄斗「初代和泉守兼定!」

 

〔召喚!対怪獣聖剣和泉守兼定!]

 

ゼロ「どんどん力がみなぎってくる!覚悟しろ!東園!」

 

東園「いいねえ!いいねえ!そうこなくっちゃ!インフェルノ・マグマ!」

 

スカルゴモラの口から吐き出されるマグマ光線は和泉守兼定によって吸収された。

 

東園「何!?」

 

雄斗「反撃、100倍!」

 

[エネルギー増幅100倍!]

 

100倍になって返ってきたインフェルノ・マグマはスカルゴモラにもろに直撃した。

 

東園「熱い!熱い!やめろ!この野郎、ショッキングヘルボール!」

 

予想外の反撃に怒り狂った東園がショッキングヘルボールを高速連発、これには流石のゼロも避けきれず、直撃弾を食らってしまった。

 

ゼロ「うわ!」

 

東園「よくもいいようにしてくれたな!こうしてやる!」

 

スカルゴモラの尻尾がゼロに当たる。

 

ゼロ「怒らせすぎた。」

 

雄斗「トホホ...」

 

オーブ「オーブウォーターカリバー!」

 

ケイ「愚かな!サンダーテール!」

 

サンダーキラーの尻尾がオーブに巻きつき、オーブは感電。

 

オーブ「グアアアア!」

 

そのままカラータイマーが赤に点滅してしまった。

 

東園「もう終わりだ。その首、頂戴する。」

 

ケイ「これでエンドマークだ!」

 

正順「まだだ!まだ俺たちがいる!」

 

憲三郎「そうだ!EDAがいる限り、ウルトラマンは絶対に負けない!」

 

加奈「そうよ!これまでも!そして、これからも!だから、立ちなさい!雄斗、ゼロ、ガイさん!」

 

雄斗「3人とも...。いこうゼロ!」

 

ゼロ「ああ、ネオ・フュージョンライズだ!」

 

雄斗「ギンガ!オーブ!」

 

〈ウルトラマンギンガ、ウルトラマンオーブ〉

 

雄斗「ビクトリー!エックス!」

 

〈ウルトラマンビクトリー、ウルトラマンエックス〉

 

ゼロ「俺に限界はねえ!」

 

〈ネオ・フュージョンライズ!ウルトラマンゼロビヨンド〉

 

ゼロはネオ・フュージョンライズしてゼロビヨンドへと姿を変えた。

 

ゼロ「バルキーコーラス!」

 

インナースペースへと戻ったガイ。

 

〈解き放て!オーブの力!〉

 

ガイ「オーブスプリームカリバー!」

 

これにより、スカルゴモラとサンダーキラーは倒された。

 

正順「よくやった!」

 

憲三郎「やったぜ!」

 

加奈「ヤッター!」

 

元の姿に戻った雄斗とガイは3人に合流したのだが、

 

加奈「ねえ。あれ。」

 

加奈の視線には、東園とケイがいた。

 

東園「またな。」

 

ケイ「貴様ら、覚えてろよ。」

 

2人は闇へと消えていった。

 

正順「ひとまず、終わったな。」

 

憲三郎「ああ。」

 

正順「総員、帰還しよう!」

 

全員「おー!」

 

 

 

〈次回予告〉

 

危篤状態の雄斗の母方の祖父有明令から明かされる真実。

 

それは一体?

 

第9話「レイブラットの血を受け継ぐ者」

 

次回もお楽しみに!




次回、想像もつかない人物が登場します。
ウルトラマントリガーのシズマミツクニみたいな。


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第9話 レイブラッドの血を受け継ぐ者

第9話、スタート!


60年前のウルトラの星があった次元宇宙。

 

地球人のエキスパートチームZAP SPACYが宇宙で活躍していた時の話である。

 

大マゼラン星雲のある恒星系の惑星をスペースペンドラゴンが調査していた。

 

船長のヒュウガ・ヒロシ、副長のハルナ・ジュン、エンジニアのクマノ・マサヒコ、ルーキーのオキ・コウイチ、そして、地球人のレイオニクスであるレイの一行であった。

 

ヒュウガ「今回、調査する惑星はこの星だ。」

 

ハルナ「ここは地球から14万8000光年離れた場所にある惑星です。北半球と南半球では、生態系が著しく異なるわ。この星を地球連邦政府はガミラス・イスカンダル星と呼称しています。」

 

オキ「ということは、怪獣がいるってことなんすよね?」

 

クマノ「お前は、また怪獣怪獣ってうるさいな。もし、いてもレイが倒してくれる。なあ、レイ。」

 

レイ「ああ。」

 

この星は北半球は放射能が飛び交い、外見も醜い姿なのだが、南半球は空気が綺麗で、外見も美しい星という一風変わった星なのだ。

 

生態系は、というと、北半球には高濃度の放射能を浴びても丈夫な青い肌を持つ生物が南半球には一般的な地球人と変わらない容貌の人種が住んでいた。

 

クマノ「この星は地球よりも文明が発達しているな。」

 

ヒュウガ「だろ。これから我々は北半球を統治するアベルト・デスラー総統と南半球を統治するスターシャ女王と会談の約束がある。会談の場所へ行こう。」

 

オキ「どこなんですか?そこ?」

 

ハルナ「イスカンダルの王都イスク・サン・アリア、人口1000万人の大都市です。この惑星で科学力が一番優れている都市でもあります。」

 

クマノ「確か、惑星を再生させる能力を持つ装置とか惑星を破壊する能力を持つ装置を持っているとか。」

 

レイ「ガミラスはどうなんだ?」

 

クマノ「次元の狭間に意図的に潜り込むことができる船を持っている。」

 

ハルナ「ガミラスの帝都バレラス、人口は1億人の大都市です。この惑星で軍事力が一番盛んであります。」

 

レイ「すごいな。」

 

一行はイスカンダルの王都イスク・サン・アリアに到着し、両国の首脳陣から寛大なもてなしを受けた。

 

デスラー「ようこそ、地球人の諸君。我が大ガミラスとイスカンダルへ。」

 

スターシャ「私たちは、あなた方を歓迎いたします。」

 

ヒュウガ「お気遣いありがとうございます。私は地球の一組織のリーダーであり、本来ならば謁見できる身分ではないのかと思いまして。」

 

デスラー「謙遜はいらないよ。君たちはレイブラッド星人の後継者争いとウルトラマンベリアルによる混乱と荒廃から全宇宙を復興させた輝かしい功績があるからね。特にレイ君、君には本当に感謝をしているよ。」

 

レイ「ありがとうございます。」

 

スターシャ「これからもあなたの力は、この宇宙の平和を守るためだけに使ってくださいね。」

 

レイ「はい。レイオニクスの誇りにかけて、誓います。」

 

デスラーからは次元潜航艇をスターシャからはコスモリバースシステムと波動砲なるものを渡された一行は、別の惑星へと移動した。

 

その星は岩石だらけの惑星で僅かに点在する水源地にその星の人々が生活していた。

 

ヒュウガ「ここは地球人類も活動に適すると思わないか?」

 

ハルナ「怪獣も一度も現れてませんし。」

 

クマノ「早速、調査を始めましょうか。」

 

オキ「おー!」

 

その時、レイが何かを察知した。

 

レイ「危ない!伏せろ!」

 

現れたのは、四次元怪獣ブルトンだった。

 

オキ「ブルトン?どうしてここに?」

 

ヒュウガ「一斉射撃!」

 

ZAPガンで全員が攻撃したが変な方向に光弾が曲がるだけであった。

 

レイ「ここは、俺に任せろ!行け!ゴモラ!」

 

〈バトルナイザー、モンスロード!古代怪獣ゴモラ!〉

 

既に歴戦で手練れのレイにはブルトンは敵ではなかった。しかし、これが油断と後悔に繋がるとは、思ってもいなかった。

 

レイ「ゴモラ!超震動波だ!」

 

ゴモラの攻撃でブルトンは爆散した。

 

レイ「ゴモラ、よくやった。戻れ。」

 

レイの持つバトルナイザーに戻っていくゴモラ。

 

ヒュウガ「強くなったな。レイ。」

 

ハルナ「いつもありがとうね。」

 

クマノ「それでこそ俺たちの仲間だ。」

 

オキ「レイはやっぱり頼りになるな。」

 

レイ「ハハ、感謝する。」

 

しかし、突然、時空の歪みが発生し、レイが飲み込まれ、消えていった。

 

ヒュウガ「何があった?おい、レイ、応答しろ!応答するんだ!」

 

ハルナ「ブルトンはさっき倒されたはずじゃ?」

 

クマノ「これは。さっきのブルトンは爆発と同時に別次元に何か飛ばす能力を持っていたことが判明した。次元潜航艇も使えない。」

 

オキ「そんな、じゃあレイともう会えないってこと?」

 

ヒュウガ「悲しいが、そういうことになる。」

 

オキ「やだよ、レイ。もう一緒に旅ができないって。うわーん!」

 

オキが泣く声がこだますだけとなった惑星。

 

一方、レイは別次元の地球に飛ばされた。

 

レイ「ここは?地球?そうだ!ボスは、みんなは?」

 

レイは通信機で仲間達に通信を試みたが、エラーで終わった。

 

レイ「ここは、もしかして別次元の地球なのか。俺はもう帰れないのか。いや、もしかしたら俺のいた次元宇宙に俺だけ地球にワープしてしまったのかもしれない。」

 

レイは無人の小屋を見つけ、そこで一晩を過ごすことにした。

 

次の日、レイは調査を開始した。

 

しばらくすると、旅行する1人の男性に出会った。

 

男「なんだ、兄ちゃん。ZAP SPACYの制服着て。しかも君はあのレイにそっくりだな。厨二病にでもなったか?ハハハ。」

 

レイ「やはりここは地球なんですね。教えて下さい!今は何年何月何日なんですか?」

 

男「どうした兄ちゃん。その分だと長くなりそうな話だな。そうだ。立ち話を酷だし、近くでキャンプしよう。」

 

レイ「キャンプ?」

 

男「ああ。そこでお前さんの話を聞こうじゃないか。」

 

男は名前を圭といい、地球の日本にある山梨県のそこそこ名家の家柄だった。

 

圭はなぜ自分がZAP SPACYのことを知っているのか、レイに教えた。

 

この地球では、ウルトラマンに関する特撮番組が報道されていて、大変人気のあるものだと。

 

レイは、圭にだけ自分のことを教えた。

 

圭「話は大体わかった。つまり、お前は別宇宙の地球からこっちに飛ばされたんだ。そんで仲間とはぐれた。」

 

レイ「少しは信じてもらえたか?」

 

圭「うーん、あんまり信じられんな。」

 

レイ「しょうがない。このバトルナイザーでゴモラとリトラを召喚する。」

 

圭「おいおい、それもどうせおもちゃだろ。」

 

レイ「しょうがない。ゴモラ、リトラ出てこい!」

 

〈バトルナイザー、モンスロード!ゴモラ、リトラ!〉

 

圭「ハハーン、音までそっくり。って、えーマジかよ。本物!?わかった。どうやらお前の話は本当だな。わかったから早く戻せ。他の人に見られたら物騒だぞ。」

 

レイ「戻れだってさ。これで信じてもらえたか?」

 

圭「ああ、信じた。それとお前に伝えたいことがある。

 

圭がレイに伝えたこと。それは、この次元宇宙には知的生命を持つ惑星が多く存在し、怪獣も存在するということだった。だが、地球には一度も怪獣が現れたことがないそうなのだ。

 

圭「そうだ。お前、帰れないんだろ。だったら俺の家へ来い。ちょうどお前と同年齢の1人娘がいるんだ。俺の妻は早くに亡くなってしまって、広い家に俺と娘と従者だけなんだ。」

 

レイ「わかった。感謝する。」

 

その後、レイは圭の一人娘と結婚し、圭の婿養子となった。もちろん、家の者たちに自分の正体を告げた。得体のしれない自分に親切にしてくれた家の者のおかげでレイは地球人としての生活に満足していた。圭が亡くなってからもそれは変わらなかったのである。そう、ベリアルが再び、姿を現す時までは。

 

 

 

それから60年後の現在。

 

JAPAN EDA本部では、雄斗が休暇の手続きをしていた。

 

憲三郎「お前が休暇を取るなんて珍しいな。」

 

雄斗「母方の爺ちゃんが病気でさ。死ぬ前に最後に僕ら一族に話したいことがあるんだってさ。」

 

美郷「そうなのよ。私は行かないけど。」

 

正順「ああ、あのお前らの結婚式で独特な雰囲気を漂わせていた爺さんか。」

 

雄斗「そうそう。なんでも見抜くんだよな。」

 

美郷「うん。小さい頃、私が雄斗の家に遊びに行ったら、初対面でいきなり、『君たちは将来、結婚する』なんて言ってた。」

 

晴子「実際、そうなったわけですし。」

 

ガイ「なんか気になる。俺、ついていっていいか?」

 

ジャグラー「俺も。」

 

雄斗「美郷、来る?」

 

美郷「ガイさんたちが行くって言うからしょうがない。私も行く。」

 

李莉子「行ってらっしゃい。」

 

勝子「またねー。」

 

因みに加奈は、どういうわけか休暇で月の遊園地に行っているのである。

 

4人は山梨県のとある地区へと出発していった。

 

ゼロ「なあ雄斗、お前の爺ちゃん、どんな人なんだ?」

 

雄斗「数百メートル先にジャンプしても傷つかない人だ。」

 

ゼロ「何!?そんな人は、この地球でウルトラマンと一体化しているお前みたいな人たちだけだ。」

 

雄斗「どういうこと?」

 

ガイ「俺も気になっていたところではある。」

 

ジャグラー「だから、俺たちも同行するってわけだ。」

 

美郷「そうなのね。」

 

電車を降り、徒歩で山奥に行く一行。

 

ガイ「一体どこまで歩くんだ?」

 

雄斗「爺ちゃんは、今は隠居生活で山奥に数人の従者と住んでいる。」

 

ジャグラー「お前の一族もそこに集まっているのか?」

 

雄斗「ああ。」

 

2時間くらい歩いただろうか、目の前に山奥にはあるとは思えないほど立派なお屋敷が見えてきた。

 

美郷「着いたわ、ここよ。」

 

門番が2、3人いるというお屋敷である。

 

門番「雄斗さま、どうぞ。奥方とお仲間も。有明零主人がお待ちです。」

 

ゼロ「有明零って?」

 

雄斗「爺ちゃんの名前だ。」

 

ガイ「そうか。」

 

ジャグラー「なんか気になるのは俺だけか?」

 

ガイ「大丈夫だ。俺もゼロさんも気にしている。」

 

そして扉が開き、中に入っていくと、広々とした玄関になっていた。

 

住み込み女中の1人が4人に気付き、こちらですと案内する。

 

所々に写真が貼ってあるが、どれも同一人物のようだ。

 

ガイ「失礼ですが、あの写真はどなたですか?」

 

女中「この家の主人の有明零さまでございます。」

 

ゼロ(この写真、レイじゃないか。確か行方不明になっていたと聞く。だとすると、レイはこの世界に飛ばされて、はっ、雄斗はレイの孫。地球人のレイオニクスの血を受け継ぐ者。雄斗と一体化した時に感じた違和感の正体は、これだったのか?)

 

ガイ(レイでは?もしかして生きていたのか?あの時、行方不明になっていた。)

 

ジャグラー(地球人のレイオニクス。なぜ、気づかなかった。なぜ誰もわからなかった。)

 

進んでいくうちに深まる謎、写真の最後には、レイのZAP SPACYの隊員服とZAPガンが展示してあった。

 

そして寝室に入っていくと、老人と彼を囲むように一族がいた。

 

老人「久しぶりだな、雄斗、美郷。あら、そちらの2人は初めましてだな。」

 

ガイ「初めましてではないですよ。私とジャグラーは、あなたが若い頃、会っています。」

 

ジャグラー「ご老人、あなたはレイではないですか?ZAP SPACYの隊員で地球人のレイオニクスの。」

 

レイ「わしにはそういう名前があったな。だが、今は有明零という名前で生活している。もう60年にもなるかね。死ぬ前に私の本当の真実をここにいる一族の者に伝えようと思っていた。だが、ガイとジャグラーのおかげでそれも省ける。」

 

雄斗「お爺様、僕、ゼロといったいかしてるんです。話したいですよね?久しぶりにゼロと。」

 

レイ「ゼロか懐かしいな、ゼロとは共に戦ったよ。雄斗と一体化したって聞いた時はびっくりしたよ。どれ、話すとしようかのお。」

 

ゼロ「ひさしぶりだな、レイ。今まで何をしていたんだ。」

 

レイ「わしが時空の歪みに飲み込まれたって話は知ってるじゃろ。」

 

ゼロ「ああ、知っている。その後の話だ。」

 

レイ「あの後、この宇宙に飛ばされて、とある人に出会った。その人こそわしの妻の父じゃった。わしの話を全て信じてくれてな。今までこうして暮らしてきたのじゃ。」

 

ゼロ「そういうわけか。だが、ベリアルが襲来した時、再び戦おうって気持ちにならなかったのか?」

 

レイ「もうそんな気力がないんじゃ。」

 

ゼロ「そうか。」

 

その時、心電図が鳴り始めた。レイが最期の時を迎えようとしているのだ。

 

ゼロ「最期に言い残したことがあるか?」

 

レイ「ある。そのために雄斗を呼んだんだ。」

 

雄斗「なんでしょうか。」

 

レイは自分に残された最後の力を振り絞り、あのバトルナイザーを雄斗に渡した。

 

レイ「次のレイオニクスは君だ。必ず、ベリアルを倒せ。必ずレイモンへと覚醒するのだぞ。」

 

そのままレイは息を引き取ったが、同時にレイの体は光の粒子となって消滅した。

 

ガイ「この魂が元の宇宙に戻ることを願おう。」

 

ジャグラー「ああ。」

 

 

 

ZAP SPACYが存在する次元宇宙。

 

レイが行方不明になってから60年が経過していた。

 

ヒュウガたちは既に80歳を越えていたが、退役してもメンバーの絆は変わらず、レイが行方不明になった日が来るたびに集まっていた。

 

クマノ「レイの奴、今年も来ないかな。」

 

その時、家のインターホンが鳴った。

 

ハルナ「どちら様ですか?」

 

雄斗「綿部雄斗です。皆さんにお話があってきました。」

 

そう、別次元にいる雄斗が一体化しているゼロの力で一時的にZAP SPACYが存在する次元宇宙にきたのだ。

 

部屋に入ってきた雄斗にオキが質問する。

 

オキ「あのあなたは?」

 

雄斗「別次元の地球からきたJAPAN EDAの隊員である綿部雄斗です。」

 

ヒュウガ「EDA?」

 

雄斗「僕の地球はあなたがたの宇宙と同じように怪獣が頻発してウルトラマンベリアルが暗躍しているんです。それに対処するために結成されたのがEDAです。」

 

ハルナ「話はわかりました。でもどうしてあなたはこちらに来れるのです?」

 

雄斗「実は僕、ウルトラマンゼロと一体化しているんです。」

 

クマノ「そうなのか。」

 

雄斗「はい。それともう一つお伝えしなければならないことがあります。僕の祖父有明零が昨日死去したことをお伝えしにきました。」

 

オキ「誰ですか、その人?」

 

雄斗「ご存じない?あなた方の仲間だった地球人のレイオニクスであるレイですよ。」

 

ヒュウガ「レイ?君はレイの孫なのか?レイオニクスの血を受け継ぐ者なのか?」

 

雄斗「はい。」

 

レイがつい最近まで生存していた。そのことだけでもヒュウガたちは嬉しかったのである。

 

ハルナ「教えて、レイがどうしていたのか?」

 

雄斗「僕がいる宇宙に飛ばされた後、ある親切な人に助けられ、その人の婿養子になりました。」

 

クマノ「彼らに拒絶はされなかったのか?」

 

雄斗「されませんでした。僕のいる宇宙では、ウルトラマン関連は空想の産物としてテレビ放映されてましたが、怪獣は他の惑星に頻出していましたし。」

 

オキ「レイがどうしているのかそれだけが気がかりだった。でもよかった。君から話が聞けて。」

 

この話を終えて、雄斗は元の世界へと戻っていった。

 

 

 

〈次回予告〉

 

ウルトラマンとしてだけでなく、レイオニクスとしても戦うことになった雄斗。

 

レイモン2世となるまで厳しい特訓が続く。

 

第10話「レイモン2世への道」

 

次回もお楽しみに!




様々な番組のキャラクターが入り混じっていますが、お構いなくお願いします。


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第10話 レイモン2世への道

第10話スタート!

タイトルと関係のない内容も出てきますが、ご了承ください。


太陽系第4惑星の火星。

 

人類移住計画のための準備がなされており、観測所の他に太陽系内の惑星を監視するEDA火星監視局が置かれていた。

 

この地には怪獣が現れてはいないものの、それでも万が一のために訓練が行われていた。

 

地球にあるEDAの下部組織怪獣研究所から週1で送られてくるデータからホログラムで怪獣を作成するのだ。

 

雄斗たちはそこを一時的な訓練所とし、火星を訪れた。

 

目的は訓練だが、雄斗が祖父のレイから受け継いだレイオニクスのとしての能力を高めることだった。

 

ジャグラー「まずはゼットン。」

 

〈ゼットン、アナライズ〉

 

ガイ「いきなりゼットンはダメだろ。」

 

そう言われ却下された。

 

〈ゼットン、バニッシュ〉

 

ゼロ「まずはミクラスだろ。」

 

正順「ゼロ、ミクラスはお前の親父のカプセル怪獣の1体だろ。却下。」

 

ゼロ「すまん。」

 

美郷「やっぱり、ベムラーよね。」

 

〈ベムラー、アナライズ〉

 

雄斗「行け、リトラ!」

 

〈バトルナイザーモンスロード!リトラ!〉

 

ベムラーが吐く青色の火球を飛びながら避けると、リトラは口から火球をはき一瞬でベムラーを倒した。

 

〈ベムラー、バニッシュ〉

 

李莉子「おー。」

 

雄斗「よくやった。次はゴモラ、いけ!」

 

〈バトルナイザーモンスロード!ゴモラ!〉

 

憲三郎「じゃあ、レッドキング入力。」

 

〈レッドキング、アナライズ〉

 

レッドキングがその場にあった岩をゴモラに投げつけた。

 

ゴモラは、その岩を尻尾で粉砕。

 

勝子「やるわね。」

 

単細胞な怪獣なのか、レッドキングは岩を投げつけてばかりなため、ゴモラが尻尾で岩を粉砕するといった繰り返しである。

 

加奈「出した怪獣、失敗だったかな。」

 

晴子「それはないと思います。でもちょっと勘弁してほしいです。」

 

しびれを切らしたのか雄斗がゴモラに指示する。

 

雄斗「手を狙え!」

 

ゴモラの尻尾がレッドキングの手に当たり、レッドキングは持っていた岩を手から離してしまった。

 

その岩がレッドキングの足に当たり、悶絶するレッドキングだったが、今度はゴモラの尻尾に捕まり、回され続け、それが10回越えたあたりで目が回ってしまっていた。

 

雄斗「ゴモラ、超振動波だ!」

 

超振動波がレッドキングに命中し、ゴモラが咆哮する。

 

〈レッドキング、バニッシュ〉

 

雄斗「よくやった、戻れ。」

 

ここで一旦休憩となった。

 

正順「やっと怪獣のコントールができるようになったんじゃないか?」

 

雄斗「ああ。」

 

李莉子「最初の時はすごかったもんね。」

 

 

 

火星滞在初日。

 

雄斗がバトルナイザーからリトラとゴモラを召喚し、ホログラムから作成した怪獣と戦わせようとしたが、2体とも無反応だった。

 

憲三郎「60年のブランクか?」

 

ガイ「いや、環境の変化に戸惑ってるんだろう。レイが亡くなり、孫が新たな主人だ。当然の反応じゃないか。」

 

ジャグラー「少し交流しようか。」

 

 

そして今に至る。

 

ガイ「次は雄斗、お前自身の特訓だ。」

 

雄斗「え?」

 

ジャグラー「そうだな。使用者の強さに比例して使役怪獣も強くなる。」

 

ゼロ「よし、雄斗。俺は一旦お前と分離して特殊なフィールドを作る。手荒な特訓になるかもしれん。覚悟しとけよ。」

 

雄斗「ああ。」

 

ゼロは雄斗から分離し、シャイニングメタフィールドを作り出し、その中に雄斗、ガイ、ジャグラー、ゼロがいる形になった。

 

一方の通常空間にいる美郷たち。

 

正順「一気に暇になった。」

 

憲三郎「かといって何もやることはない。」

 

美郷「そうね。」

 

シャイニングメタフィールド内は物凄い特訓が続いていた。

 

休む暇のない猛攻撃であった。

 

雄斗はゼロたちの攻撃を受け止めるだけで精一杯であった。

 

ガイ「そんなもんか。レイから受け継いだ力は。」

 

ジャグラー「己に秘める未知なる力を解き放て。」

 

ゼロ「覚醒しろ!雄斗!」

 

3人が蹴りを入れようとした瞬間、雄斗の中で何かが覚醒し、3人を吹き飛ばした。

 

そして、雄斗の身体は発光し、レイモンに似た姿へと変わった。

 

雄斗「これが僕の姿…」

 

そのまま気を失い、その場に倒れた。

 

ガイ「おい!雄斗、しっかりしろ!」

 

ゼロ「心配するな。覚醒状態が収まるまで待っていよう。」

 

こちらは雄斗の精神世界。

 

?「目覚めるのだ。雄斗よ。」

 

雄斗「ここはどこだ?そしてあなたは。」

 

?「私はケイト。あなたのおじいさんの姉よ。ここは生と死の間にある世界。」

 

雄斗「つまり僕は死んだと。」

 

ケイト「いいえ。生きています。しかし、ここは人間にはたどり着くことのできない世界。レイブラッドの血を受け継いだ上に崇高で正統なる後継者のみ。」

 

雄斗「じゃあ、おじいさまはどこに?」

 

ケイト「もう会えません。彼は人間有明零伯爵として生きる道を選びました。仕方のないことです。」

 

雄斗「そうか。しかし、亡くなった瞬間、身体は光の粒子となって消滅した。」

 

ケイト「亡くなった0.1ナノ秒で彼の遺体は原型を留められないため消滅したのでしょう。元々はこの世界の人間ではないのですから。」

 

雄斗は精神世界で大叔母ケイトと対面を果たした。

 

ケイト「さあ行きなさい。あなたの進むべき道へ!」

 

雄斗「はい!」

 

こうして意識が戻った雄斗であった。

 

ゼロ「気がついたか。」

 

雄斗「ああ。」

 

雄斗の姿は完全にレイモンであったが、少し違うのはカラータイマーのようなものが胸についていることと巨大化そして逆に縮小化することができることであった。

 

ガイ「強くなったな。」

 

雄斗「もう10年も修行させてもらってますから。」

 

ジャグラー「おい、ネオバトルナイザーが変化しているぞ!」

 

雄斗「え?」

 

視線をネオバトルナイザーに移すとネオバトルナイザーは赤く発光そして、ギガバトルナイザーに似ている形状だが、色は黄金へと変化した。

 

雄斗「これは?」

 

新たなバトルナイザーであるギガバトルナイザーNEOの誕生であった。

 

ゼロ「これさえあればベリアルと互角の、いやベリアルに圧倒する力を身につけられるかもしれん。」

 

ガイ「このバトルナイザーはノアやキングと同等の力を持つゼロさんの最終究極形態ウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロよりも強い力を持たせることができる。」

 

ジャグラー「しかし、使い方を間違えれば、地球はもちろん全宇宙を滅亡させる可能性が高い。」

 

そして、ゼロは雄斗と再び融合、通常空間に3人は戻ってきた。

 

美郷「あ、帰ってきた!」

 

通常空間に戻ってきた3人を仲間たちが出迎える。

 

そこへEDA火星監視局探査部地底調査課採掘班の1人が近づいてきた。

 

「ちょっと、これ見て下さい!」

 

そういって差し出したのはタブレット端末である。

 

正順「なんだ、これは?」

 

正順の声に皆がタブレットを覗き込み、驚愕する。

 

李莉子「何、この逆ピラミッド状のような建造物?」

 

勝子「火星の地下が空洞となっていて、しかも遺跡があるなんて。」

 

憲三郎「採掘班長、これはどういうわけか?」

 

憲三郎の問いかけに採掘班長が震える声で答えた。

 

採掘班長「放射線年代測定によると時期にして3000万年前のようです。そして逆ピラミッドの最下層には、巨大な人型のような石像があります。その他にも大昔の遺物が遺されており、3000万年前にそこで文明が発達していたかのような。それだけではありません。石板には絵と古代文字と思われるようなものが描かれており、当時の太陽系が詳しく記されていました。」

 

これを聞いて全員が驚いた。

 

3000万年前といえば、有史以前のことであり、まだ人類は誕生していないとされていた時期であった。

 

そこで疑問が浮かび上がる。

 

では、なぜそのような痕跡が地球では見つからなかったのかということだ。

 

加奈「この石板にどのようなことが書かれていましたか?」

 

加奈の問いに一瞬詰まりかけた採掘班長だったが、気を取り直して読み上げようとした。

 

採掘班長「これ昔の言葉であまりよくわからないんですよね。要約してみます。」

 

要約するとこのようなことになった。

 

『我らは太陽系第3惑星地球を住処としていた者たち。我らの時代より3500万前に地上を支配していた大怪物どもは天より落ちてきた真っ赤な巨大な石によって滅んだ。その石は山々を吹き飛ばし、水をふるえあがらせ、日の光を閉ざした。長き混沌が続いたが、これは我らの繁栄の道標となった。我らは我らと我らから進化した巨人族が手を携え、平和に暮らしてきた。しかし、今より10年前、巨人族のうちの4人が突然、闇の手の者となった。戦が勃発し、我らは巨人族の大半と地球星防衛団の団長で神の声を聞くことができる巫女由座玲と共に戦った。だが、闇の巨人彪銅鑼梦、堕阿餛、火留未螺、砥李蛾阿の強大な力には及ばす、様々な巨人族が死んでいった。しかし、突如として砥李蛾阿が光の巨人へと戻り、彪銅鑼梦、堕阿餛、火留未螺の3体を天の外へと追い出し、自らを火星の地底へと封印し長き眠りについた。我らも火星へと住処を移し、地球は荒廃した。この書は強大な闇の力を持ち世界を破滅へと導こうとする奥特慢當李亞留とその手の者が現れ、3体の闇の巨人が復活した時に対処できるよう後の世の者どもの為に書き記す。しかし、案ずることはない。奥特慢零とその仲間や別世界の砥李蛾阿がこの世界の砥李蛾阿を復活させ、この世を破滅から守るであろう。』

 

この難解なものを晴子は現代語訳した。

 

晴子「つまり、この石板に書いた者は3000万年前の地球人であること。大怪物は地上に君臨していた恐竜のことで6500万年前に隕石の衝突で地震と津波が発生し、塵が日光を遮り、人間とその他の小型生物のみが生き残った。その後は人間と人間から進化した巨人族が協力して平和に暮らしていたが、ある日突然、ヒュドラム、ダーゴン、カルミラ、トリガーの4体の巨人が闇堕ちして、戦争が発生した。防衛軍が結成され、隊長の巫女ユザレが光の巨人と共に戦ったが、多くの巨人が戦死した。しかし、トリガーが光の巨人に戻ったことで形成は逆転し、3体の巨人は大気圏外へ追放した。トリガーは火星の地下で長い眠りにつき、当時の地球人は地球を捨て火星に移住した。この書物は全宇宙の支配を目論むウルトラマンベリアルとその手下及び復活した3体の闇の巨人に対処できるよう残された。ウルトラマンゼロとその仲間及び別次元のトリガーがこの次元のトリガーを復活させ、宇宙崩壊から守るであろうから心配するな。と書かれています。」

 

雄斗「よくわかったな。」

 

雄斗をはじめ、皆が晴子に感心する。

 

実は晴子、神奈川国立大学文学部歴史学科古代文明研究コースの出身であった。

 

そのため、世界中の古代遺跡で見つかった古代文字を解読することができる。

 

今回も遥か大昔の超古代文明の遺跡で見つかった古代文字がそれらとかなり酷似していたことから読めたものだった。

 

ガイ「そうとなれば、この遺跡の最下層に行ける方法は見つかったか?」

 

晴子「はい。別次元のトリガーが来ることによってこの道は開くと。」

 

正順「ケンゴさんが今、地球にいるはずだ。今すぐ呼び出せ。」

 

ジャグラー「はい!」

 

 

そして、その頃、地球では。

 

ケンゴはJAPAN EDAの対怪獣兵器開発局で作業をしていた。

 

そこにジャグラーからの通信が来た。

 

ケンゴ「何でしょうか?」

 

ジャグラー「ケンゴ今すぐに来てくれ。座標はここだ。」

 

ケンゴ「わかった。すぐ行く。」

 

GUTSスパークレンスを取り出し、スカイタイプキーを装填すると、ウルトラマントリガー スカイタイプに変身し火星へと超高速飛行で出発した。

 

わずか2分ほどで指定された座標についたケンゴはメンバーと合流した。

 

ケンゴ「座野隊長、何でしょうか?」

 

正順「この遺跡の中に入りたい。」

 

ケンゴ「これは、見覚えがある。僕がいた次元宇宙の火星にもあった。」

 

そして、遺跡の扉を開ける準備をし始めた途端、遺跡が突然光りだし、扉が開いた。

 

遺跡の最下層を目指して、進んでいくと、途中で何かの墓標が立っていた。

 

雄斗「これは?」

 

美郷「『巫女由座玲此処に眠る』だって。」

 

その時、墓標が妖しく光り、何者かが霊体となって姿を現した。

 

?「私はユザレ。あなた方を待っていました。3000万年前からずっと。」

 

憲三郎「李莉子にそっくりじゃないか。」

 

ユザレ「李莉子、あなたは超古代の遺伝子を受け継ぐ私の末裔。」

 

李莉子「ということはケンゴさんが言っていたことは殆どあっていたということね。」

 

ユザレは更に続けた。

 

ユザレ「石像と化したトリガーを復活させるには、脳波が共鳴する人物でしかなし得ないことです。。さあ、遺跡の最下層に急ぐのです、」

 

ガイ「はい!」

 

そのまま一行は最下層へ進み、トリガーの石像を見つけた。

 

勝子「これがトリガー。」

 

加奈「ケンゴさんが変身するトリガーにそっくり。」

 

ジャグラー「みんな、危ない!避けろ!」

 

何者かが発射した光弾が当たりそうになったが、全員が避けた。

 

晴子「何者!?」

 

銃を構えた先に現れたのは、東園転鬼羅であった。

 

雄斗「何しに来た?」

 

東園「決まっている!この像を破壊する!」

 

ガイ「やめろ!」

 

東園「うるさい!」

 

そのまま光弾を色んなところに当てまくっていたため、全員が逃げ場を失った。

 

雄斗「やめろと言ったはずだ!うわああああ!」

 

雄斗はレイモンに変化し、東園に組みついた。

 

ジャグラー「俺も加勢する。ガイ、ケンゴお前たちはみんなを安全な場所へ!」

 

そう言って魔人態へと変化し、東園に襲いかかった。

 

ガイ「わかった。」

 

ケンゴ「皆さん、早くこっちへ!」

 

そのまま最上層まで逃げることを始めた。

 

東園「トリガーを復活させようというものなら、こいつを使うしかないな。」

 

そして、ライザーを取り出し、ゴルザとメルバの怪獣カプセルを装填した。

 

東園「ゴルザ!メルバ!これで、エンドマークだ!」

 

『フュージョンライズ!ゴルザ!メルバ!ウルトラマンベリアル!ゴルバー!』

 

ベリアル融合獣ゴルバーの誕生であった。

 

ゴルバーは地上に現れると暴れ始めた。

 

ケンゴ「あれは、ごルバー。でも僕が知ってるゴルバーとちょっと違う。胸に紫のカラータイマーが。」

 

ガイ「ベリアル融合獣...」

 

雄斗「許さない!うおお!」

 

その声に呼応するかのようにトリガーの石像が発光し、雄斗の手にカプセルとして収まった。

 

ジャグラー「ウルトラマントリガーのマルチタイプだ。」

 

雄斗「やってみる。ゼロ行くぞ!」

 

ゼロ「おう!フュージョンライズだ!」

 

インナースペースに入っていった。

 

雄斗「トリガーさん!」

 

『ウルトラマントリガー マルチタイプ!』

 

雄斗「未来を築く希望の光、お借りします!」

 

『フュージョンライズ!ウルトラマンゼロ マルチゼペリオン!』

 

憲三郎「わあ、もう終わりだ!うん?」

 

眩い光と共に現れたのはウルトラマンゼロ。

 

晴子「いつもと姿が違う。」

 

正順「あれはトリガーの力を宿している。」

 

ゴルバーは現れたゼロを見て敵だと認識し、襲いかかってきた。

 

しかし、ゴルザとメルバの力を併せ持つベリアル融合獣である。

 

火炎がゼロの体を襲う。

 

ゼロ「くっ、こいつはやべえな。」

 

雄斗「ああ。」

 

そんなことを言っているうちにゴルバーは飛翔し、大気圏に逃げようとする。

 

ゼロ「させるか!」

 

ゼロも飛翔し、ゼロスラッガーを投げつけるが、叩き落とされる始末。

 

しかし、EDAのメンバーも黙って見ているわけにはいかない。

 

火星監視局の局員と共に光線銃でゴルバー目掛けて攻撃し始めた。

 

正順「ゴルバーは火星で倒せ!地球に飛来させてはならん!」

 

憲三郎「総員、翼目掛けて撃て!出力通常モード!」

 

全員「了解!」

 

その攻撃でゴルバーの翼は破壊されたため、ゴルバーは落下するが、魔人態のまま遺跡の最下層から脱出してきたジャグラーに滅多斬りにされ、ゼロからは上下からキックされ、なす術もなくなった。

 

美郷「雄斗、今よ!」

 

雄斗「おう!」

 

ゼロ「これで決める!」

 

雄斗&ゼロ「ワイドゼペリオンショット!」

 

ゼロの放った光線がメルバーに命中し、ゴルバーは爆散した。

 

李莉子「ヤッター!」

 

正順「みんな、よくやってくれた。火星監視局の皆さんもありがとう。別れ!」

 

戦いは終わり、火星は普段通りの活動になった。

 

正順「雄斗もジャグラーも戻ってきたし、地球に戻るか。」

 

全員「はい!」

 

火星監視局の局員に見送られ、一同は地球へ帰還した。

 

それを遠くから眺める東園がいた。

 

東園「ゴルバーは破れはしたが、ゴルバーのカプセルは手に入った。」

 

そのまま宇宙の何処へと行き、一つの石像の前に来た。

 

東園「3000万年の長きに渡り、封印された闇の巨人よ、今こそ目覚めよ!」

 

ライザーでごるバーカプセルを起動させ、その力を石像に送り込んだ。

 

すると封印が解け、復活したのは闇の巨人の1人である俊敏策士ヒュドラム。

 

ヒュドラム「久しぶりの現世。うん?貴様、誰だ?」

 

東園「私は偉大なる皇帝ウルトラマンベリアルの家来である東園転鬼羅。ベリアル様のために地球をいや全宇宙を支配する。」

 

ヒュドラム「ふざけるな。全宇宙を支配するのは我ら闇の巨人だ。それに貴様はみたところ地球人。簡単に手を貸すわけにはいきませんねえ。」

 

東園「貴様の仲間を復活させたければ、黙って我らの主人に仕えよ。」

 

ヒュドラム「エクセレント!目的が同じだということなのでお味方しましょう。」

 

東園「良い心がけだ。フハハハハハ。」

 

闇に消えていった。

 

 

 

〈次回予告〉

 

地球そして全宇宙を支配するために手を組んだ東園とヒュドラム。

 

その思惑を理解したベリアル軍団は様々な星系に怪獣を送り込むことを決意する。

 

そして、闇の巨人も復活する羽目になり!?

 

第11話「妖麗戦士復活」

 

次回もお楽しみに!

 

 

 




闇の巨人の復活順番はトリガー本編を参考にしました。

ティガが様々な次元宇宙にいるようにトリガーもまた、様々な次元宇宙にいるという設定です。

ウルトラマンゼロ マルチゼペリオン
身長49メートル
体重4万5000トン
必殺技ワイドゼペリオンショット

トリガーの他の力を持つゼロも近々、紹介するのでよろしくお願いします。


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第11話 妖麗戦士復活

第11話、スタート!


太陽系にそう遠くない空間の狭間にあるベリアル軍団の拠点、通称ダークネス星。

 

この星はベリアル軍団が闇の力を結集して作り上げた人工惑星である。

 

その中心にはベリアル軍団の頂点に立つベリアルが棲家としているベリアルパレスがそびえ立っている。

 

そこにベリアルの配下の者やアブソリューティアンが集まっていた。

 

ベリアル「報告を聞こう。」

 

東園「申し上げます。火星にてウルトラマントリガーの石像を発見、これを攻撃しましたところ、ゼロの仲間に反撃をされました。しかし、私は、闇の3巨人の1人であるヒュドラムを復活させることに成功しました。」

 

当のヒュドラムがベリアルの前に進み出る。

 

ヒュドラム「闇の3巨人の1人、ヒュドラムでございます。3000万年の長きに渡る封印を解いて下さったベリアル様に深く感謝を申し上げます。」

 

ベリアル「まあ良い。貴様の仲間は、この俺の手下どもが復活させてやる。」

 

ヒュドラム「ありがとうございます。」

 

そのまま、ヒュドラムは続ける。

 

ヒュドラム「しかし、ユザレの末裔がいたとは。」

 

軍団がスクリーンに映し出された地球を眺める。

 

 

 

その地球。

 

雄斗たちは火星での古代遺跡を発見したすぐあと、地球にも同じ古代遺跡が発掘されたという知らせを聞いた。

 

その遺跡は放射性年代測定で3000万年前のものと判明した。

 

なぜ、今まで判明しなかったのかというと来たるべき時が来るまで、特殊なシールドで遺跡を覆うことによって発見を遅らせることであったらしい。

 

美郷「遺跡には予言書みたいなものもあったみたいよ。」

 

晴子「ええ。火星の古代遺跡で見つけた古代文字に似た文字が書かれていました。」

 

雄斗「ユザレのことやトリガーについても。」

 

李莉子「私は本当にユザレの末裔なの?」

 

憲三郎「ああ、本当だ。遺跡に残っていたユザレのものと思われるDNAとお前のDNAが一致した。」

 

勝子「でも肝心なのは、トリガーについて。」

 

雄斗「どういうことだ?」

 

美郷「復活すると予言されていながら、カプセルにトリガーの1形態だけが発現したってことよ。」

 

正順「別次元のトリガーはマルチ、スカイ、パワーの3つの形態をよく使っていたとケンゴさん本人から聞いた。」

 

雄斗「ということは3つのカプセルが揃ってトリガーが実体を現すっていうことなのか。」

 

ゼロ「そうなのかもな。」

 

雄斗「そういえば、ガイさんとジャグラーは?」

 

美郷「ケンゴさんや総監たちと地球にある遺跡に残ってます。」

 

雄斗「そうか。」

 

 

古代遺跡の発見現場。

 

規制線が貼られて考古学者や歴史研究家を除いて一般人はなかなか近づけないが、報道陣が世紀の大発見をスクープしていた。

 

その1人がやはりTKBテレビの西島まどかレポーターである。

 

西島「私は今、古代遺跡が発見された場所に来ています。朝から考古学者らがEDAの幹部たちと発掘作業を行なっております。この古代遺跡は3000万年前の祭祀場と思われ、これが事実だとすれば、人類史を大きく塗り替えることになります。現場からは以上です。」

 

少し離れた場所で光一たちが考古学者と話していた。

 

光一「この遺跡は3000万年前に作られたので間違いないのだな?」

 

「はい、間違いありません。」

 

海子「信じられない。四竈総監、この一帯をEDAの管轄下に置きますか?」

 

光一「しばらく考えようか。」

 

海子「なぜ?」

 

隆信「世界中でこれと似たような遺跡が発見されている。」

 

俊三「しかも、遺跡にあった古文書からはこの下にはエタニティーコアと呼ばれる高エネルギー体が存在しているみたいだ。」

 

総監以下4幹部が作業をしている場所からそう遠くないところにガイやジャグラーがケンゴと一緒にいた。

 

ケンゴ「世界中で同じような遺跡が見つかって、しかもエタニティーコアが存在する。僕がいた地球と同じだ。」

 

ガイ「どうなっているんだ。ジャグラー、例の物を。」

 

ジャグラーは何かを発掘していた。

 

ジャグラー「ケンゴ、お前が持っているスパークレンスと大差ないものが出てきた。」

 

ケンゴ「これは、エンシェントスパークレンス。古代の地球人はここで祭祀を行う際にこれを神器として使っていたのか。」

 

テレビやラジオで世紀の大発見としてこの出来事は大々的に報道され、遺跡に近づこうとしている者も多くいたが、半径2km圏内はEDAと文化庁の共同管轄下となり、立ち入りは制限された。

 

各国EDAはニューヨークのEDA総司令部のマックミラー総司令長官の下で初めてとなる総監緊急特別会合を実施、この件における作戦の指揮権をJAPAN EDAの四竈光一総監に委ねた。

 

マックミラー「ミスター四竈、この件は日本のEDAに委ねるとする。あとは頼んだ。」

 

光一「了解しました。各国EDAは至急捜査をお願いします。」

 

全総監「Yes sir!」

 

マックミラーに指揮権移譲された光一はすぐに政府に働きかけ、綿密な調査を開始した。

 

一方、雄斗たちは、

 

ジャグラー「対怪獣兵器研究所のメンバーにエンシェントスパークレンスの解析をお願いしている。」

 

雄斗「じゃあうまく行けば、トリガーに変身できるってことか?」

 

ゼロ「実現したら素晴らしいな。」

 

その時、警報が鳴り響き、正順と憲三郎が急いで入ってきた。

 

正順「なんだ?」

 

美郷「遺跡周辺に宇宙人が出現しました。」

 

憲三郎「宇宙人?」

 

モニターに映し出されていた存在を確認したケンゴにはそれが誰であるか瞬時に理解できた。

 

ケンゴ「闇の3巨人の1人であるヒュドラム。もう復活していたのか。」

 

李莉子「あの遺跡に書かれていた巨人と一致している。」

 

晴子「このままでは行けないわ。」

 

勝子「隊長、出撃許可を。」

 

ガイ「隊長!」

 

正順「よし、EDA出動!」

 

全員「了解!」

 

一方、遺跡では突然現れたヒュドラムに大混乱だった。

 

そこへ雄斗たちが駆けつけた。

 

雄斗「動くな!ヒュドラム!」

 

ヒュドラムはゆっくりと振り向き、笑みを浮かべたかのように感じられた。

 

そして、李莉子の存在に気づいた。

 

ヒュドラム「おや、そちらのお方は巫女ユザレの末裔ではないですか。」

 

李莉子「だったら何よ。」

 

ヒュドラム「ダーゴンとカルミラの復活の為に力づくで奪うまでです。」

 

そのまま、李莉子目がけて突進してきた。

 

雄斗「させるか!」

 

ジャグラー「おう!」

 

雄斗はレイモンにジャグラーは魔人態に変化し、すかさず応戦した。

 

レイモンのキックを受け止めるヒュドラムは、ジャグラーが振りかざした邪心剣も受け止めた。

 

ジャグラー「何!?」

 

レイモン「こうなったら、初代和泉守兼定!」

 

ヒュドラムもどこからか取り出した剣で立ちはだかる。

 

ヒュドラム「とお!」

 

剣から光線が飛び出たが、和泉守兼定に全てを吸収された。

 

ヒュドラム「小癪な!おい!トゲトゲ野郎、お前は見ていなさい!」

 

ジャグラー「地球の平和の為、そうはいかぬ。」

 

ヒュドラム「しょうがないですね。これでも食らいなさい!」

 

ヒュドラムが放ったヒュドエルボーがジャグラーに直撃、ジャグラーは吹っ飛ばされ、人間態に戻った。

 

ジャグラー「うっ!」

 

ガイ「ジャグラー!こうなったら俺もやるしかねえ!」

 

しかし、

 

ヒュドラム「そこで寝てな!」

 

レイモン以外全員がヒュドラムによって気絶させられた。

 

レイモン「よくも大切な仲間を!」

 

そのままヒュドラム目掛けて手あたり次第斬り始めた。

 

ヒュドラム「ウフフフフ、アハハハハ!全然当たってませんよ。」

 

レイモン「うるさい!」

 

ゼロ「落ち着け!」

 

そして、レイモンの身体は赤くなり、暴走状態《バーストモード》に移行した。

 

ヒュドラムに対して、ものすごい勢いで殴りつけた。

 

ヒュドラム「痛え!痛えなこの野郎!痛いんだよ!」

 

レイモン「ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!」

 

ゼロ「頼むから落ち着け!くそ!一体どうですれば。」

 

もう、こうなった以上、誰も止めることができない。

 

その時、李莉子の身体から憑依していたユザレが飛び出し、レイモンを落ち着かせようとした。

 

ユザレ「レイモン、あなたは怒りに身を任せてはいけない。」

 

超人的な能力を発揮し、レイモンを落ち着かせた。

 

レイモンは落ち着き、そのまま雄斗の姿に戻った。

 

雄斗「ユザレ?」

 

そのまま気を失った。

 

ゼロ「ほっ。やっと元に戻ったか。」

 

ヒュドラム「余計なことをしてくれましたね。」

 

ユザレ「ヒュドラム、立ち去りなさい。」

 

ユザレの超能力に苦しめられたヒュドラムは退散し、気絶した全員が意識を取り戻したのは、それから30分後のことであった。

 

雄斗「あれ?ヒュドラムはどこに行ったんだ?ちょっとみんな、起きてください!」

 

ゼロ(何も覚えてないんか、お前...)

 

全員が目を覚ましたところで、基地に帰投した。

 

その夜、遠く離れたダークネス星では。

 

ベリアル「ほう。地球人のレイオニクスであるレイの血を受け継ぐ者か。あの地球人とは戦ったことがある。」

 

ヒュドラム「カルミラとダーゴンの復活を頼みます。」

 

ベリアル「わかっておるわ。ゼロに痛い目に合わせてやりたいものだ。」

 

その場にいた全員が地球を見つめる。

 

 

そして、翌朝。

 

雄斗たちは遺跡の調査をしていた。

 

雄斗「預言書みたいなのはないのかね。」

 

美郷「そうねえ。」

 

ジャグラー「研究所によるエンシェントスパークレンスの複製はまだ完成しないのか。」

 

ケンゴ「すみません。まだです。」

 

各人が思い思いに調査しているところへ東園が現れた。

 

正順「貴様!」

 

李莉子「何しに来たの!」

 

東園は薄ら笑いで答えた。

 

東園「決まってるだろ。李莉子、貴様の持つ超古代の力をベリアル様に献上するためだ!」

 

そこにガイ、ジャグラー、雄斗が立ち塞がった。

 

ガイ「なら、ここを通すわけにはいかない。」

 

ジャグラー「その通りだ。」

 

雄斗「ああ。さあ来い!」

 

東園「ふん!やってやろうじゃないか。」

 

まず、雄斗が東園に殴りかかった。

 

それを東園は軽く受け流し、雄斗を蹴り飛ばした。

 

しかし、ゼロと一体化している雄斗であるため、火花を散らしながら華麗に着地した。

 

ガイの飛び蹴り、そしてジャグラーのパンチで東園は思わず、後ろに下がった。

 

そこへレイモンに変化した雄斗が羽交締めにして、ガイとジャグラーがサンドバッグにしようとしたその時、東園が瞬間移動して逃れた。

 

3人「何!?」

 

東園「オラー。」

 

どこからかキックしてきたその足をレイモンは掴み、遠くへ投げた。

 

東園「ふん!」

 

また戻ってきて、今度はレイモンの胸にパンチし、直撃した。

 

レイモン「うっ。」

 

そのまま雄斗の姿に戻り、座り込んだ。

 

憲三郎「雄斗!」

 

雄斗「大丈夫だ。」

 

美郷たちは銃で東園に応戦、しかし、全て手で弾かれた。

 

美郷「そんな。」

 

東園「そろそろやってやろうか。」

 

そして、ブルドンのカードを取り出した。

 

東園「4次元怪獣ブルドン、召喚!」

 

ゼロ「まずい!」

 

ブルドンが召喚され、暴れ出した。

 

正順「調査は中止だ。これよりブルドンを倒す。」

 

憲三郎「李莉子と勝子はEDAウィンガーで出撃。」

 

李莉子&勝子「了解!」

 

憲三郎「加奈と俺はEDAローダーで出撃だ。」

 

加奈「わかった。」

 

正順「後のみんなは地上から攻撃だ。なんとしても市街地に近づけるな。EDA出動!」

 

全員「了解!」

 

EDAウィンガーがブルドンを攻撃するが空間を捻じ曲げられ、EDAウィンガーに戻ってきたが、李莉子のテクニックでなんとか避けた。

 

李莉子「危なかった...」

 

続いて、EDAローダーも同様に攻撃したが、やはり捻じ曲げられ戻ってきたが、なんとか避けきれた。

 

憲三郎「なんなんだこの怪獣。」

 

地上部隊も攻撃するが、跳ね返り、目の前で炸裂、何人かは吹っ飛び、気絶した。

 

ガイ「雄斗、行け!」

 

ジャグラー「お前なら倒せる。」

 

雄斗「わかった。ゼロ!」

 

ゼロ「ああ!」

 

雄斗&ゼロ「ジュワ!」

 

ゼロに変身した。

 

ブルドンは、ゼロに気づくが、一向に動く気配がない。

 

雄斗「ゼロ、これは?」

 

ゼロ「なんだろう。」

 

困惑して思うように進まない。

 

東園「アハハハハハ。さあヒュドラムよ、ゼロを倒すのです。」

 

ヒュドラム「言われなくても。」

 

ヒュドラムまで出現した。

 

雄斗「こいつから片付ける。」

 

ゼロ「おう。」

 

ゼロはヒュドラムに向き合い、ファイティングポーズをとった。

 

そこへヒュドラムが剣を振り回すが、ゼロは避けた。

 

ゼロはヒュドラムに対して、パンチを繰り出すが、ヒュドラムは、その全てを避けた。

 

ゼロ「どうなってるんだ。」

 

和泉守兼定を召喚し、剣による攻撃に切り替えた2体の巨人。

 

ヒュドラム「いいですねえ。まさにベリアル様の因縁の相手。戦い甲斐がありますねえ。」

 

ゼロ「よく喋る。」

 

雄斗「ゼロツインソード!」

 

ゼロは2刀流に移行した。

 

そして、ヒュドラムに攻撃するとヒュドラムは怒り出した。

 

ヒュドラム「エクセレントじゃねえなあ!」

 

怒りに身を任せたヒュドラムは大暴れし始めた。

 

雄斗「ゼロ、これで決めよう。」

 

ゼロ「おう。ワイドゼロショット!」

 

光線はヒュドラムに直撃し、爆散、等身大の姿に戻った。

 

ヒュドラム「覚えてろ、ゼロ。今度戦う時は俺様が勝つ。貴様の首をベリアル様に必ず献上してやる。」

 

こう言って去っていった。

 

残りはブルドン1体のみ。

 

正順「総員、総攻撃だ!」

 

全員「了解!」

 

李莉子「EDAウィンガー、高圧ビームガン発射!」

 

加奈「EDAローダー、高性能次元間ミサイル発射!」

 

ガイはEDAガンにオーブオリジンの力を装填した。

 

ガイ「オリジウム光線発射!」

 

ジャグラー「邪心剣・新月斬波!」

 

正順&晴子&美郷「EDA高圧ショックガン発射!」

 

ゼロはウルティメイトゼロにモードチェンジした。

 

雄斗&ゼロ「ファイナルウルティメイトイージス!」

 

全ての攻撃が混じり、巨大な矢になってブルドンを攻撃した。

 

そして、ブルドンは爆散したが、巨大なワームホールが発生し、中から怪獣が出現した。

 

ゼロ「な!デザストロ!」

 

雄斗「デザストロ?」

 

ゼロ「ああ。東園の狙いはブルドンを隠れ蓑にしてデザストロを出現させることだったみたいだ。」

 

東園「その通り!さあデザストロ、ウルトラマンゼロを別の時間軸に飛ばすのです。」

 

デザストロはゼロに攻撃、ゼロもワイドゼロショットを放ち、デザストロは爆散した。

 

しかし、

 

ゼロ「わあー。」

 

雄斗「助けてくれー。」

 

ゼロと雄斗はワームホールに飲み込まれ、時空の彼方へと消えていった。

 

東園「デザストロには悪いが、これでカルミラは復活できる。ゼロと雄斗、お前たちはしばらく様々な時代を漂流するが良い。時代ごとに怪獣を出現させておいた。それらを倒すまで現代には帰れまい。フハハハハハハ!」

 

闇に消えていった。

 

あとに残されたEDA隊員たちは呆然としていた。

 

美郷「雄斗、嘘でしょ。」

 

正順「クソ!」

 

憲三郎「なんてことだ。」

 

晴子「先輩...」

 

李莉子、勝子、加奈は泣き崩れるばかりであった。

 

ガイ「ゼロさん、雄斗、無事でいてくれ。」

 

ジャグラー「なんてことだ。しかし、無事に帰ってこれるまで俺たちだけでなんとかしなくては。」

 

 

 

宇宙の何処かに行った東園とヒュドラムはとある石像の前まで来ていた。

 

ヒュドラム「さあ、カルミラよ復活しなさい。」

 

デサストロカプセルが起動し、カルミラの石像にその力が注ぎ込まれた。

 

カルミラ「トリガー、よくも私を石像に閉じ込めてくれたわね!うん?貴様らはヒュドラムと誰だ!」

 

東園「私は東園転鬼羅。偉大なる宇宙大皇帝ベリアル様の忠臣。ヒュドラムは既に我が配下に入った。貴様も加わるのだ。」

 

カルミラ「嫌だね。」

 

東園「されど我らの目的は同じ。共に宇宙征服を目指そうぞ。」

 

カルミラ「仕方ないねえ。あんたの主に会ってやるよ。」

 

ヒュドラム「残るはダーゴンの復活のみでございます。」

 

東園「ああ。しばらくは地球以外の惑星に集中攻撃をする。そう、ガミラス帝国に総攻撃を仕掛けるようベリアル様に進言しよう。」

 

3人はベリアルパレスへと戻っていった。

 

 

 

時空の何処かへと飛ばされたゼロと雄斗は、原始植物が多い所にいた。

 

雄斗「ゼロ、ここは?」

 

ゼロ「わからん。しかし、氷河期みたいな気候だな。」

 

しばらく歩いて行くと大型動物がいっぱいいた。

 

雄斗「うん?あれはゾウ?いやマンモスだ。」

 

ゼロ「嘘だろ。ってことはここは旧石器時代の地球ってことか?」

 

その時、声が聞こえた。

 

「マンモスを見つけたぞ!」

 

「いけ!捕まえろ!今日のご馳走はこいつらで決まりだ!」

 

雄斗「ゼロ、隠れるぞ。」

 

ゼロ「ああ。」

 

大勢の人がマンモスを狩り、何処かへと去っていった。

 

雄斗「わかった。ここは後期旧石器時代の地球だ。高度な石器が多様化されているようだし、人々は言語が明瞭だった。」

 

ゼロ「うむ。よくわからんがそうらしいな。しかし、これからどうする?」

 

雄斗「彼らの跡を追ってみる。集落があるはずだ。」

 

ゼロ「なるほど、そうしよう。」

 

雄斗とゼロの時間漂流はまだ始まったばかり、どんな困難が待ち受けているのであろうか。

 

 

 

〈次回予告〉

 

東園の策略にはめられ、後期旧石器時代に飛ばされてしまった雄斗とゼロ。

 

たどり着いた集落で住民たちと交流していくうちに年月が経っていく。

 

そんな暮らしに慣れたところへ怪獣が出現し、戦うことに。

 

果たして後期旧石器時代の人々を救うことができるのか。

 

第12話「後期旧石器時代の漂流記」

 

次回もお楽しみに!




デザストロってウルトラシリーズに名前だけ登場する正体不明の怪獣ですよね。

そんな怪獣を登場させてみました。

今度、様々な怪獣を各時代ごとに登場させていきたいと思います。

各時代ごとに登場させてほしい怪獣がいらっしゃいましたら、感想欄にてお気軽にご投稿お願いします。

よろしくお願いします。


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第12話 後期旧石器時代の漂流記

第12話スタート!


現代 ベリアルパレス

 

玉座の間において、ベリアルはカルミラと対面を果たした。

 

東園「ベリアル様、闇の3巨人の1人であるカルミラをお連れしました。」

 

ベリアル「ご苦労であった。下がって良いぞ。」

 

東園「は!」

 

東園は奥へ下がり、ヒュドラムとカルミラだけが取り残された。

 

ベリアル「貴様がカルミラか。よろしく頼んだ。」

 

ヒュドラム「ベリアル様は我らを大層信頼しておられるのです。」

 

カルミラ「ベリアル様、大いなる闇がこの世界を包み込むために力の限りを尽くします。」

 

ベリアル「貴様らの仲間であるダーゴンが復活することで我がベリアル軍団は宇宙最強となる。そして遥か昔に別宇宙で築いたベリアル銀河帝国を復興させ、この俺様が再び銀河の王になるのだ。」

 

ヒュドラム「その通りでございます。」

 

ベリアル「うむ。ストルム星人よ、前へ。」

 

ベリアルは伏井出ケイを呼び出した。

 

ケイ「なんでございましょうか。ベリアル様。」

 

ベリアル「ゼロとあのレイオニクスの小倅はどうなった?」

 

ケイ「1万年〜5万年前の世界に飛ばしてあります。」

 

ベリアル「そうか。邪魔なウルトラ戦士どもも宇宙の各地に散らばっている。どうだ?ガミラス帝国に最後の大攻撃を仕掛けないか?」

 

ケイ「了解しました。私にやらせてください。」

 

ベリアル「よろしい。これよりガミラス帝国を我が支配に降る総攻撃を命ずる。」

 

ベリアルによりガミラス帝国に対するかつてない大攻撃が始まった。

 

 

 

現代 光の国

 

宇宙警備隊本部はゼロ失踪の報で大混乱に陥っていた。

 

ベリアル軍団による攻撃から各星系に対する援軍で思うように戦力を欠くことができない、このことはウルトラの星の歴史上、初めてとなる出来事であった。

 

ウルトラマンキングやウルトラマンノアでさえも移動できない太古の歴史に飛ばされているため、どうすることもできないのだ。

 

市民の間では、ベリアルからプラズマスパークの光を奪還した英雄ウルトラマンゼロが過去に飛ばされたという話に悲観し、今度こそ光の国が滅亡するのではないかという不安説まで流れ始めた。

 

ウルトラの父は動揺する市民を落ち着かせるため、各方面での宇宙警備隊の戦況を毎日発信していた。

 

セブンは息子が無事でいるよう祈るばかりの日々が続き、宇宙警備隊の任務を休んでいた。

 

光の国はかつてないほど動揺しているのである。

 

 

 

現代 ガミラス帝国

 

帝都バレラスの総統府では、エーリク・ヴァム・デスラー大公が作戦会議を開いていた。

 

エーリク「先程、ベリアル軍より降伏せよとの文書が届いた。」

 

その時、レドフ・ヒスら文官が発言した。

 

ヒス「降伏なぞとんでもない。あくまで徹底抗戦すべきです。」

 

「そうですぞ!統一戦争の結果、我らはこの星を一つにまとめ上げた。」

 

「そうだ!アベルト様が閣下の跡を継ぐ頃にはこの星は更に強靭になっているべきなのです。」

 

武官からも発言があった。

 

「スターシャ女王猊下からの援軍がなくても我らは戦いまする。」

 

「そうだ!この誇り高い青い血を持つガミラス人として恥ずべきことはない。戦うのだ!」

 

徹底抗戦が多数を占めて会議は終了した。

 

エーリクは一族のところに赴いた。

 

甥であるアベルト・デスラーが聞いてくる。

 

アベルト「叔父様、この星はどうなるのですか?」

 

エーリク「案ずることはない。我らは徹底抗戦する。さあみんなも休め。この国は絶対に渡さん。」

 

そして、ガミラス軍はベリアル軍に降伏しない文書を送付した。

 

激怒した伏井出ケイは、総攻撃を仕掛けた。

 

戦いはこれまで以上に激化し、ガミラス側の被害は甚大なものになった。

 

ガミラス帝国はベリアル軍によって全土を占領され、デスラー一族は他の貴族や文官、一部の武官と共に国民の手で密かに脱出させられ、偶然近くを通りかかった光の国の救援部隊によって保護、その後、光の国のウルトラスペースポートの一角にある星間難民保護施設に亡命した。

 

ガミラスでは、その後もレジスタントによる抵抗がゲリラ的に発生したが、彼らが勝利するのはずっと後のことである。

 

 

 

後期旧石器時代 地球

 

雄斗は狩猟をしていた集団の跡を追って歩いていた。

 

そこへライオンのような動物が突然現れた。

 

雄斗「ちょっ、これどうしよう。そうだ!EDAガン!」

 

EDAガンを手にしてその動物を撃とうとした。

 

しかし、

 

ゼロ「ウルトラゼロランスがあるだろ。」

 

雄斗「そうだった。」

 

ゼロがかつて父であるセブンから貰った武器を投擲して、当てた。

 

すると、突き刺さった。

 

「やるなあ、そこの青年。」

 

後ろから声がしたので振り返るとさっきの集団の1人が立っていた。

 

雄斗「あ、ありがとうございます。」

 

「槍の投げ方が上手いな。しかし、あんたどっから来たんだ?見慣れない服装をしてるし見たことない顔だな。」

 

雄斗「どこからって言われても話すと長くなるし、きっと理解してもらえないでしょうけど。」

 

「なんか訳があるのか。どうだ?俺たちの集落に来ないか?」

 

雄斗「ありがとうございます。そうさせてもらいます。」

 

歩きながら、その男は続ける。

 

「しかし、あんた、空から落ちてきたといい、突然見慣れない塊を出したり、いきなり腕のところから槍を出すなんてすげえなあ。」

 

雄斗「見てたんですか?あんなに狩猟に没頭しているように見えたのに。」

 

「俺は狩猟には興味ないから後ろから仲間を追いかけながら見ていたんだ。」

 

雄斗「そうですか。」

 

「もしかして、あんた、神様の化身かい?」

 

雄斗「違いますけど。」

 

「なんだ違うのか。じゃあなんだい?」

 

雄斗「それはあんたの集落に着いてから話す。」

 

「わかった。」

 

雄斗は、男と一緒にその集落にいき、集落の長と対面した。

 

長「あんた、どこから来たんだい?」

 

雄斗「遥か数万年後の地球から来た漂流者です。」

 

長「なるほどな。数万年後の人々は、皆こんな格好をしているのかね?」

 

雄斗「いや、こんな格好をしているのは、数万年後の世界を悪い宇宙人から守るごく少数の人々です。」

 

長「悪い宇宙人?」

 

雄斗「はい。もちろん善良な宇宙人もいますよ。僕の中にもいます。」

 

長「ほう。お前さんの中にもいるのか。」

 

そして、ゼロが一時的に雄斗から分離して現れた。

 

人々から感嘆の息が漏れた。

 

ゼロ「それが、この俺だ。」

 

長「話はなんとなくわかった。これはオババの言う遥か昔の伝承と同じだ。」

 

雄斗「伝承?」

 

長「誰か、オババを呼んでこい!」

 

しばらくして、オババがやってきた。

 

オババ「遥か昔の伝承かい?『この世界に危機が迫る時、空から光の勇者が1人の怪獣使いの青年と一心同体で降りてくる。彼らは、同じように危機が迫った遥か未来より漂着した者であり、、必ず我らを救うであろう。』とな。」

 

長「なるほど。これも何かの縁。ゆっくりしていきな。」

 

雄斗「ありがとうございます。」

 

長は先程、雄斗を連れてきた青年に向き合った。

 

長「おい、ベク。お前が連れてきたんだ。お前の家に連れて帰れ。少しは我らの役に立ってくれ。」

 

ベク「はい。」

 

雄斗はベクに連れられ、ベクの家に着いた。

 

ベク「ここが俺の家だ。俺1人しかいない。まあ入れよ。」

 

雄斗「おう。僕は綿部雄斗だ。よろしく。」

 

ゼロ「そして、俺はウルトラマンゼロだ。よろしく。

 

ベク「改めて、俺はベク。こちらこそよろしくな。」

 

雄斗「ところで、この家に住んでいるのはお前だけか?」

 

ベク「ああ。俺は長の甥で跡を継ぐ必要がある。そのために1人で住まなくてはいけない。しかし、見ての通り狩猟には興味がないというより苦手なんだ。」

 

雄斗「そうなのか。」

 

ベク「そう。なあ雄斗、お前の投げ方で狩猟できるか?」

 

雄斗「わからん。怪獣を倒すには最適なんだが。」

 

ゼロ「まあな。」

 

ベクは集落の後継者にして、長の一族の中で唯一と言える男子である。強くなりたいのは本望であった。

 

雄斗はゼロと共にベクを特訓し、鍛え上げた。

 

その結果、ベクは男衆の中で一番狩猟の成果をあげ、見事、長の正式な後継者となった。

 

そんなある日のこと、オババが話があるということで集落の全員を集めた。

 

オババ「わしのまじないでは、近いうちに怪獣が現れると出た。皆の者、狩猟に行く時は十分気をつけるのじゃ。」

 

しかし、みんなの反応は違った。

 

「オババ、心配するな。俺らには、ベクと雄斗、それに光の勇者様がついている。」

 

「そうだ。何があっても安心だ!」

 

そこから数日後、異変が起きていた。

 

長「何?交易の為に一番近い集落に行ったら、周辺の集落の住民が押し寄せていた?」

 

既に周辺の集落は何が原因か、焼け跡となっているのである。

 

しかも、目撃者の証言では、翼が生えた化け物たちが集落を襲い、逃げ遅れた人たちは捕まったままだという。

 

奇跡的に生き残った彼らは、ベクの集落に光の勇者がいると聞いたことで、まもなく雄斗たちのところへ助けを請いに来るのだという。

 

オババ「伝承が現実になる。者ども、覚悟して対処せい。」

 

「は!」

 

周辺の集落に雄斗とベクが様子を見に行くこととなり、残りはもしもの時のために戦う準備をし始めた。

 

ベク「異様な形相って誰だろうな。」

 

雄斗「わからん。ただこの星の生物でないのは確かだろう。」

 

2人は一番近い集落に着くと、避難してきた人たちに聞き込みを開始した。

 

すると、様々な情報が得られた。

 

①その化け物は群れで行動し、人を襲う。

②襲った相手に尻尾を刺すと、刺された人はまるで操られたかのように動き出す。

③化け物には司令塔のような個体が存在し、刺される人が多くなる度に強くなる。

 

といったことである。

 

雄斗「ゼロ、わかるか?」

 

ゼロ「ああ。ガイがオーブの力を得た時にジャグラーと共に倒した怪獣に似ている。その名もベゼルブ。」

 

ベク「ベゼルブ?確か言い伝えの1つで聞いたことがある。襲われた際は毒を注入されないよう尻尾を攻撃しろって。」

 

雄斗「行くか?」

 

ベク「ああ。行ってやる。」

 

2人は襲われた集落へ向かうと、

 

ベク「奴らだ。」

 

雄斗「やってやろうじゃないか。ゼロ、今だけベクと一体化してくれ。」

 

ゼロ「わかった。お前はどうするんだ?」

 

雄斗「レイモンに変身する。」

 

ベクはゼロと一時的に一体化し、ゼロツインソードとウルトラゼロランスを使用、雄斗はレイモンに変化すると和泉守兼定を手にベゼルブと戦った。

 

2人はベゼルブの尻尾を攻撃して、倒していくが

 

ベク「くそ!倒してもキリがない。雄斗、ここは俺とゼロに任せて親玉を倒してくれ。」

 

レイモン「わかった!」

 

レイモンはリトラを召喚し、飛び回る。

 

そこへ上空から多数の小型ベゼルブが立ち塞がった。

 

レイモン「なるほど。親玉は大気圏外にいるってことだな。レイモンショット!」

 

リトラに乗りながら、レイモンは腕をクロスさせて光線を放った。

 

先代レイモンにはなかった技である。

 

これにより小型ベゼルブは全て消滅し、大気圏外に着いた頃には、1匹もいなかった。

 

レイモン「これが太古の地球の姿。」

 

現在の地球よりも緑が若干多い地球、そして遠くに見えるのは火星であった。

 

レイモン「うん?この時代の火星は荒廃しているんだな。そうか超古代文明の人々は火星に移住してすぐ滅亡したのか。」

 

そんなことをしているうちにどこからか禍々しい光線が飛んできた。

 

レイモン「うわ、あぶねえ。」

 

ベゼルブたちの親玉クイーンベゼルブの登場である。

 

レイモン「リトラ、戻れ!」

 

レイモンは巨大化し、クイーンと対峙した。

 

その頃、地上では、

 

ベク「ゼロ、あとどのくらいで倒せる?」

 

ゼロ「わからん。お前の実力次第だ。」

 

小型ベゼルブをレイモンに変化した雄斗が全滅させた今、ベクは中型ベゼルブや大型ベゼルブと戦っていた。

 

ゼロ「ベク、お前に負担がかかってしまうかもしれない。それでもいいか?」

 

ベク「俺はそれでも構わない。」

 

ゼロ「そうか。ブラックホールが吹き荒れるぜ!」

 

ゼロはワイルドバーストにタイプチェンジし、すぐにウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロに変化した。

 

遠くから見守っていたベクの集落の人々は、

 

オババ「これぞ、神の化身!」

 

長「ありがたや、ありがたや。」

 

あまりの眩しさに目を細める人が多くいた。

 

ゼロ「これで決める!」

 

ベク&ゼロ「ウルティメイトシャイニングワイドゼロショット!」

 

中型ベゼルブは完全に全滅し、大型ベゼルブのみ残った。

 

ベク「外の世界では雄斗が親玉と戦っているんだ。俺たちも頑張らなかったら、この世界はどうなる。」

 

ゼロ「そうだ。これでとどめだ!」

 

ベク&ゼロ「シャイニングウルティメイトゼロ!」

 

ファイナルウルティメイトゼロよりも威力のあるシャイニングウルティメイトゼロが大型ベゼルブを襲い、一瞬で消滅させた。

 

オババ「これは、伝承で聞いたノアの神と同じじゃ。ノアの神と同等の力を授かった者にのみ扱える力なのじゃ。」

 

長「とすると、あの青年はノアの神と同等の力を持つ光の勇者様と一心同体ってわけか。」

 

オババ「そうじゃよ。でも今は、ベクが光の勇者様と一心同体じゃ。」

 

長「じゃあ、あの青年はどこに?」

 

オババ「あの青年は怪獣使い。おそらく外の世界で自分が使役する怪獣と共に黒幕と戦っているのじゃよ。」

 

長「そうか。ベクは光の勇者様に認められたのか。」

 

オババ「感慨に耽っている場合かい?わしらは、ノアの神が眠っている場所へ早く向かわねばならんのじゃ。」

 

長「わかりました。」

 

長は集落の選りすぐり者たちを連れて、ノアの神が眠っていると言われる場所へ向かった。

 

再び、宇宙空間

 

レイモン「レイモンショット!」

 

クイーンベゼルブはなんとその攻撃を尻尾で弾いた。

 

レイモン「何!?しょうがない、これしかないか。」

 

レイモンは、そのままクイーンに突っ込み、2体はそのまま大気圏に突入した。

 

数分後、ノアの神が眠るという場所の近くにレイモンは落下、クイーンもそのそばに落下した。

 

ゼロ「雄斗!」

 

ベク「雄斗!大丈夫か!」

 

レイモン「なんとかな。」

 

レイモンはそのまま変身が解除され、雄斗の姿に戻った。

 

ゼロも変身を解き、ベクの姿に戻った。

 

ベク「これは返すぜ、雄斗!」

 

雄斗「ありがとう、ベク!やっぱりこれがあると落ち着くな。」

 

ゼロ「へ!お前に言われてこんなに嬉しいことなんて他にないぜ!」

 

そうしている間に、長の一行は到着し、クイーンは起き上がった。

 

雄斗「ゼロ、行こう!」

 

ゼロ「いや、無理だ。ここはお前の使役する怪獣に任せることにする。」

 

雄斗「わかった。ゴモラ、リトラ行け!」

 

[ギガバトルナイザーNEO、モンスロード!ゴモラ!リトラ!]

 

ゴモラとリトラが召喚され、クイーンに対峙する。

 

ベク「おお!」

 

長「今のうちにノアの神を覚醒させるぞ。」

 

「はい!」

 

雄斗がゴモラとリトラを使役しているうちに長たちはノアの神が眠る神殿に入っていった。

 

ゼロ(この時代にこんな立派な神殿なんてあったのか。)

 

ゴモラは突進してクイーンに立ち向かい、リトラは上空からクイーンめがけて火球を吐いた。

 

それを全てかわすクイーンは、尻尾をゴモラに突き刺した。

 

そして、クグツの毒がゴモラに回った。

 

ゼロ「いかん。ベク再び、お前に一体化する。」

 

ベク「は、はい。」

 

クグツの毒はゴモラを使役している雄斗にも影響を与えた。

 

雄斗「うっ!クソ、こんな時に。リトラ戻れ!」

 

最後の力を振り絞り、雄斗はリトラをギガバトルナイザーNEOの中に戻した。

 

クグツの毒に完全に支配されたため、ゴモラはレイオニクスバーストに、雄斗は自分の意思とは関係なしにレイモンに変化し、レイオニクスバーストの状態になった。

 

勝ち誇ったかのように鳴き叫ぶクイーンは去っていった。

 

周りで見ていた人間たちはおどおどし始めた。

 

「なんてことだ。雄斗が。」

 

「もうこの世は終わりだ。」

 

ゼロ「ベク、お前の身体借りるぞ。」

 

そして、ベクの目にウルトラゼロアイが装着された。

 

ベク「え?え?嘘だろ。まだ準備がー。あーれー。」

 

ゼロが等身大の姿になった。

 

ベク「巨大化は?」

 

ゼロ「今回はこれでいい。」

 

クグツの毒で苦しんでいるレイモンに近寄り

 

ゼロ「雄斗、今すぐ助けるからな。」

 

そう言うと後ろから抱きつき、かつてベリアルウィルスに冒されたミラーナイトにしたのと同じようにウルトラゼロレクターを編み出し、全身を発光させた。

 

これにより、レイモンとゴモラに回ったクグツの毒は浄化され、レイモンは雄斗の姿に戻り、ゴモラはギガバトルナイザーNEOの中に戻った。

 

ベク「よかったあ。」

 

ゼロ「サンキュー、ベク。俺は雄斗の中に戻る。」

 

周りで見ていた人たちも安心したその直後、ノアの神殿に入った長たちが戻ってきた。

 

長「ノアの神はクイーンが再び現れて、その戦いの最中に復活するだろう。」

 

「みんな、それまでの辛抱じゃ!」

 

「うおー!」

 

その時、クイーンが戻ってきた。

 

ベク「現れたか。」

 

オババ「さあ雄斗、行くのじゃ!」

 

雄斗「はい!さあゼロ。」

 

ゼロ「おう!」

 

雄斗&ゼロ「ジュワ!」

 

クイーンの前にゼロが現れ、2体は対峙する。

 

最初に仕掛けてきたのはクイーンだった。

 

クイーンは毒のある尻尾をゼロに突き刺そうとしたが、ゼロスラッガーで尻尾を切断され、さらには変身と同時に召喚されたリトラの火球によって、尻尾は爆発した。

 

その時、辺り一面が光輝き、ゼロとクイーンは通常空間から隔絶された。

 

雄斗「ここは?」

 

ゼロ「この感じ、前と一緒だ。ノアの神いやウルトラマンノアと対面できる空間だ。」

 

ゼロの目の前にノアが現れ、何かを伝えた。

 

ゼロは頷き、ノアも頷くと超空間は消え、気がつくと通常空間に戻った。

 

雄斗「理解した。クイーン、これ以上の争いは無用だ。」

 

クイーンは頷いた。

 

雄斗「この世界は平和にならなければいけない。本来、僕らがいてはいけない時代なのだ。」

 

クイーンは再び頷いた。

 

しかし、

 

ゼロ「いかん!こいつ、お前の考えを反響させているだけだ。」

 

雄斗「そんな!」

 

そして、クイーンはその本性を表した。

 

クイーン「私は子供たちを失ってしまった。しかし、私は諦めない。世界を平和にするということは世界を同じ考えのもと1つにすること。」

 

ゼロ「それは違う。」

 

雄斗「そんな世界は間違っている。死んでいるのと同じだ。」

 

ゼロ「そうだ。神聖なノアの意向を無視するとは良い度胸だ。」

 

クイーンが上空に飛翔し、巨大な光球で攻撃する準備を始めた。

 

雄斗「ゴモラ、リトラ攻撃せよ。」

 

EXゴモラNEOとなったゴモラが超振動波をEXリトラNEOになったリトラが火球を放った。

 

ゼロはセブンから預かった怪獣カプセルからウィンダムを召喚し、ビームを発射させた。

 

雄斗「これでとどめだ。」

 

雄斗&ゼロ「ファイナルウルティメイトゼロ!」

 

それぞれの攻撃が合体し、巨大なファイナルウルティメイトゼロになり、クイーンを飲み込んだ。

 

クイーン「世界を1つに。全てをひと...」

 

クイーンは爆発し、後期旧石器の地球に平和が戻った。

 

それと同時にワームホールが出現した。

 

ゼロ「お別れだな。」

 

雄斗「ああ。ベク、元気でな。」

 

ベク「お前もな。」

 

長「あなたたちのことは絶対に忘れませぬ。子々孫々と伝えて行きます。」

 

その言葉を聞くと雄斗とゼロは満足そうに頷き、時空の彼方へと消えていった。

 

その後、ベクたちは石板にゼロたちとの出会いを刻み込んだ。

 

その石板が見つかるのは、もちろん現代の地球である。

 

 

 

現代 地球

 

雄斗がゼロと共に時空の彼方に消え、3日が経過していた。

 

司令室の自席に美郷は1人座っていた。

 

美郷「雄斗...」

 

その時、何かを持った晴子が急いで部屋に飛び込んできた。

 

晴子「美郷先輩!これ見てください!」

 

美郷「これは?ゼロ?こんなものがどうしてここに。」

 

晴子「今朝、基地の周辺で古代遺跡に関連した遺物はないかって探してたら、こんなものが見つかりました。」

 

美郷「年代で言ったらどのくらい前?」

 

晴子「5万年から1万年くらい前の後期旧石器時代です。ゼロは大体6000歳くらい。もちろん生まれていません。」

 

美郷「ってことは今頃、過去の時代を漂流しながら怪獣と戦っているってこと?」

 

晴子「そういうことになりますね。」

 

美郷「そうか。よかったー。」

 

安心する美郷であった。

 

 

 

1万7000年前から2400年前 地球

 

ゼロは変身を解き、雄斗の姿に戻って、ワームホールのゲートから出てきた。

 

雄斗「ここは一体...」

 

ゼロ「子供の頃の修学旅行の時、光の国が元々あった宇宙の地球で修学旅行で行ったんだが、よく覚えている。ここは縄文時代の地球だ。」

 

雄斗「縄文時代...」

 

その時、どこからか矢が飛んできた。

 

「何者!?」

 

雄斗は必死に避けた。

 

「その動き、もしかして遥か昔からの伝承に聞く光の勇者様とそのお仲間でございますか?」

 

雄斗「そうですけど。」

 

「やはりそうなのですね。我々のご先祖は『世界が危機に瀕した時、天より光の勇者が現れる』と言い伝えられました。」

 

雄斗「もしかして、あなたは僕らが接触した一族の末裔?」

 

「はい。我ら一族はあの日以来、数万年の時を経て最強の一族となりました。さあ我らの集落をご覧に入れてあげましょう。」

 

(続く)

 

 

 

 

[次回予告]

 

縄文時代の世界にタイムスリップした雄斗とゼロ。

 

出迎えるのはかつての戦友の子孫たち。

 

そんな中でも怪獣が現れ、集落は大パニックに。

 

第13話「縄文時代の漂流記」

 

次回もお楽しみに!




修学旅行で地球を訪れたネタはウルトラマンタロウが修学旅行で太古の地球を訪れたという公式設定から引っ張り出しました。

少しストーリーが長くなってしまいましたが、ご了承ください。


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第13話 縄文時代の漂流記

第13話、スタート


現代 地球

 

JAPAN EDAの総監執務室では、最高幹部らが集まっていた。

 

光一「光の国の情報によれば、全宇宙でベリアル軍の攻撃が激しさを増しているようだ。」

 

海子「ガミラス帝国の帝都バレラスは陥落、大公一族は光の国に亡命したとか。」

 

隆信「未だ徹底抗戦を続けている星は太陽系とガトランティス、デザリアム、ジレルです。」

 

俊三「イスカンダルとテレザートは中立のままのようです。」

 

光一「なるほど。」

 

そこに隊長である正順もいた。

 

正順「ゼロと雄斗の行方もわかっていません。」

 

俊三「そうか、しかし、君の部下の話によれば、遥か数万年前の世界に飛ばされ、そこで怪獣と戦っているそうではないか。」

 

正順「確かにそうです。とある遺跡の発掘調査でそういうのが描かれた遺物が見つかってますし。」

 

海子「タイムパラドックスが生じないかしら。」

 

俊三「タイムパラドックス?」

 

海子「時間旅行者が過去の時間に行って、その影響によって歴史が変わってしまうってことよ。」

 

正順「しかし、彼らが過去の時代に介入することによって成し遂げられた歴史も存在するのでは?」

 

光一「例えば?」

 

正順「源頼朝鎌倉幕府設立、織田信長天下統一などなど。」

 

俊三「なるほど。では、こうしよう。これからは過去の遺跡で彼らに関する文献とかを見つけて、その都度教科書を見よう。そして、そこに書かれていることが我々が昔学んだ内容と違うということであれば、問題にするということで。」

 

隆信「名案だ。」

 

話はおかしな方へ進んでしまい結局は何を議論しているのかわからなくなってしまった。

 

そのようなことで会議は終了し、一行は解散した。

 

その頃、ガイとジャグラーは電波を調べていた。

 

電波を調べることでゼロと雄斗がどこにいるのかがわかるのではないだろうかと考えたのだ。

 

ガイ「しかし、これって本当に意味があるのかねえ。」

 

ジャグラー「空間移動光跡をトレースして探し出す、簡単なことではないか。」

 

ガイ「ってことで、ワープしようじゃないか。」

 

ジャグラー「は?」

 

ガイとジャグラーは開発されたばかりの恒星間瞬間移動戦闘機を使って、1万光年ごとに移動し始めた。

 

地球から1万光年付近

 

ジャグラー「言っておくけど、それ、若干の誤差があるぞ。」

 

ガイ「何でよ。」

 

ジャグラー「その時代に1年間滞在していたら誤差は生まれん。ゼロだってそんな長い間滞在できないだろ。」

 

ガイ「ってことは3ヶ月程度?」

 

ジャグラー「そうだ。」

 

地球から2万光年付近

 

ガイ「反応ねえな。」

 

ジャグラー「そりゃそうだ。」

 

地球から3万光年付近

 

ガイ「なんだこの電波。」

 

ジャグラー「EDAの通信機が発する電波じゃないか。」

 

ガイ「でも長くは続いていない。滞在していたのは数ヶ月程度ってとこだな。この時代は?」

 

ジャグラー「後期旧石器時代だ。」

 

ガイ「わかった。ってことはもう縄文時代に来たってことだな。」

 

ジャグラー「そういうことになる。あまりここには長居できん。ベリアル軍にいつ襲われてもおかしくない宙域だからな。」

 

ガイ「よし、帰還する。」

 

ガイとジャグラーは急いで離脱した。

 

しかし、機体がベリアル軍太陽系方面侵略作戦艦隊最高司令艦隊に太陽系を出る時からずっと監視されていたのには気づいていなかった。

 

ケイ「ほう。オーブにジャグラー。飛んで火にいる夏の虫とは貴様らのことよ。者ども行け!フハハハハハハ!」

 

ケイが率いるベリアル軍の一部隊が、ガイとジャグラーの乗った戦闘機を追跡する。

 

ガイたちの乗った戦闘機では、警告音が鳴り響いた。

 

ガイ「どうしたんだ?」

 

ジャグラー「おい、あれを見ろ。」

 

四方八方をベリアル軍に囲まれていた。

 

ガイ「くそ!もはやこれまでか。」

 

ジャグラー「ワープ!」

 

ワープを敢行した。

 

ケイ「ワープしても無駄よ無駄。到達予想地点で待ち伏せよ。」

 

「は!」

 

数分後、ガイたちは到達地点である太陽系外縁部にワープを完了した。

 

しかし、

 

ケイ「フハハハハ。お前たちはここで終わりだ。行け!」

 

ジャグラー「くそ!何か手はないのか。」

 

ガイ「あるだろ。お前、この前、魔王獣のカードを複製してただろ。」

 

ジャグラー「そうだった。行け!マガタノゾーア、マガゼットン、マガバッサー、マガグランドキング、マガジャッパ、マガパンドン、マガオロチ、マガタノオロチ、ゼッパンドン!」

 

[マガタノゾーア、マガゼットン、マガバッサー、マガグランドキング、マガジャッパ、マガパンドン、マガオロチ、マガタノオロチ、ゼッパンドン!]

 

9体の複製魔王獣が召喚され、ベリアル軍は大混乱に陥った。

 

マガパンドンとマガゼットンが目眩し用に各々、火炎や光球を放射し、マガバッサーが戦闘機に対して追い風を吹かしたため、ガイとジャグラーはその隙に離脱した。

 

他の魔王獣はベリアル軍の燃料を吸収するなどしてベリアル軍の戦力に大損害を与えた。

 

ケイ「くそ!逃げ足の速いやつらめ。追いかけるのはやめだ。」

 

ベリアル軍はこれ以上の追走は無意味と判断し、撤退した。

 

しかし、ケイは密かに再戦を心に抱いたのであった。

 

 

 

縄文時代 地球

 

ゼロは変身を解き、雄斗の姿に戻って、ワームホールのゲートから出てきた。

 

雄斗「ここは一体...」

 

ゼロ「子供の頃の修学旅行の時、光の国が元々あった宇宙の地球で修学旅行で行ったんだが、よく覚えている。ここは縄文時代の地球だ。」

 

雄斗「縄文時代...」

 

その時、どこからか矢が飛んできた。

 

「何者!?」

 

雄斗は必死に避けた。

 

「その動き、もしかして遥か昔からの伝承に聞く光の勇者様とそのお仲間でございますか?」

 

雄斗「そうですけど。」

 

「やはりそうなのですね。我々のご先祖は『世界が危機に瀕した時、天より光の勇者が現れる』と言い伝えられました。」

 

雄斗「もしかして、あなたは僕らが接触した一族の末裔?」

 

「はい。我ら一族はあの日以来、数万年の時を経て最強の一族となりました。さあ我らの集落をご覧に入れてあげましょう。」

 

雄斗は、その人と共に集落に向かった。

 

雄斗「ここが縄文時代の集落。」

 

「ここは集落の外れにあるゴミ捨て場とお墓です。」

 

雄斗「すごい。」

 

ゼロ「様々な次元宇宙の地球を見てきたが、時間旅行みたいなことをするのは今回が初めてだ。」

 

集落の中心部に着くと、ちょうど田植えの時期なのか、稲が植えられている最中であった。

 

しかも頭に怪我の跡がある人もいた。

 

雄斗「今の人は大丈夫なのか?」

 

「一応簡易的な手術です。あなたたちの時代の方が遥かに進んでいると思いますけど。」

 

ゼロ「犬もいるな。」

 

雄斗「ああ。しかも土器まで作られている。」

 

そして集落の長がいると思われる住居に到着した。

 

「長、入るぜ。」

 

長「おう、入れ。」

 

雄斗は、そこに入ると長の顔を見つめて呟いた。

 

雄斗「ベク...」

 

長「わしはベクではない。ベクというのは、言い伝えに残るわしのご先祖様じゃ。」

 

雄斗「そうですか。」

 

長「その方、もしかして、語り継がれている光の勇者様と一心同体の怪獣使いの青年ではないのかね。」

 

雄斗「いかにも。」

 

長「おお、ついに現れてくれたか。」

 

雄斗「ついに?」

 

長「『世界に大いなる災いが降りかかる時、天より光の勇者らが降臨する。』この地に何千年も何万年も伝わる伝説じゃ。」

 

長は雄斗を連れてきた青年に向き直るとこう続けた。

 

長「すぐに皆を集めよ。」

 

「は!」

 

そして、集落全員が集まると長は話し始めた。

 

長「皆の衆、よくぞ集まってくれた。今日は皆に話しておきたいことがある。まずはこちらの方を紹介しよう。」

 

全員が長が示した方向にいる雄斗を見つめた。

 

長「この方は、我らの先祖が宇宙悪魔ベゼルブの脅威にさらされた時、遥か未来の世界から降臨した光の勇者ウルトラマンゼロと一心同体であられる怪獣使いの青年綿部雄斗様じゃ。」

 

これを聞き、全員が雄斗に平伏する。

 

そして、長は続けた。

 

長「皆も知っているであろう。この地に古くから伝わる伝説を。闇の魔王獣マガタノゾーア、大魔王獣マガオロチ、超大魔王獣マガタノオロチが世界を闇で覆い尽くし、この世界を滅亡に追いやるという伝説じゃ。」

 

雄斗「僕らがいる世界ってどうなっているんだ。」

 

ゼロ「この世界のことがようやくわかった。ここはオーブの世界、トリガーの世界、怪獣はいるがウルトラマンが一度も現れたことのない世界などが1つに混じり合った時空の分岐点。」

 

雄斗「つまり?」

 

ゼロ「元々は存在しない次元宇宙だったが、それらの次元宇宙が隣同士にあり、共鳴度が高すぎたために発生した超特異的次元宇宙ってことだ。」

 

雄斗「そうなのか。」

 

ゼロ「かつてお前は言った。この世界ではウルトラ戦士を題材とした作品があるとな。」

 

雄斗「お祖父様がこの世界に辿り着いたのもある意味必然的な現象ってことか?」

 

ゼロ「そういうことだ。」

 

空想と現実が入り混じった超特異的次元宇宙、雄斗たちが存在する宇宙のことだ。

 

どの宇宙の影に隠れており、ベリアル軍が攻め入るまで、光の国のウルトラ戦士だけでなく、ノアを除きどの次元のウルトラ戦士も見つけられなかった幻の次元宇宙なのである。

 

2人だけの世界に入っている間にも長の説明は続く。

 

長「3体の魔王獣は、光の勇者様によって倒されるであろう。皆の者、安心するがよい。」

 

「うおー。」

 

長「これにて解散。」

 

そして、雄斗を連れてきた青年に向かって言った。

 

長「キョウよ。勇者様を連れて行け。」

 

キョウ「わかりました。さあ参りましょう。」

 

雄斗「はい。」

 

キョウの住居に到着した雄斗は、そこで過ごすことになった。

 

そんなある日のこと。

 

周辺の集落の長同士の会議で様々な情報交換が行われ、雄斗とゼロもキョウと共に長に同行することとなった。

 

長同士の情報交換は1ヶ月に1回行われることになっており、気になることがすぐに手に入るようになっていた。

 

開口一番、とある集落の長がとんでもないことを言い始めた。

 

「実は、我が集落で怪鳥のような生物を時々見かける。」

 

キョウ「何ですと!?」

 

雄斗「詳しく教えて下さい。」

 

「言い伝えによると、その怪鳥の出現は闇の魔王獣マガタノゾーア出現の予兆らしいのじゃ。」

 

ゼロ「それは危ない。」

 

「では、厳戒態勢を敷くおつもりか?」

 

「ああ。我らに同行している者は今すぐ集落に帰って、皆に伝えよ。『闇が来る。』とな。」

 

「は!」

 

そして、その長は続けた。

 

「しかし、どうすればいい。今の我らにはどうすることもできん。せめて光の勇者様の伝承が本当にあればなあ。」

 

雄斗が滞在している集落の長が続ける。

 

長「光の勇者様はわしの集落に数週間前から滞在しておる。何ならわしの隣に今おるわ。」

 

長全員が雄斗の方に注目した。

 

「確かに。」

 

「おるわ。」

 

雄斗「僕とゼロで例の場所に行きます。」

 

長「大丈夫か?」

 

雄斗「大丈夫です。」

 

ゼロ「俺たちが負けるのは2万年早いですから。」

 

長「そうか。生きてまた会おう。」

 

雄斗はその足で蛇昇村の長についていった。

 

蛇昇村長「いや、ありがたい。着いてきてもらって助かった。」

 

雄斗「お礼は大丈夫ですよ。」

 

そして、集落に着いたのだが、集落は人1人もいない廃墟となっていた。

 

雄斗「遅かったか。」

 

ゼロ「くそ!」

 

その時、先程まで冷静だった蛇昇村長の態度が一変した。

 

蛇昇村長「フハハハハハ。まんまと罠に引っかかってくれましたねえ。光の勇者様、いやウルトラマンゼロ!」

 

雄斗「あんた、何者だ!」

 

ゼロ「姿を現せ!」

 

蛇昇村長「こういう者ですが。」

 

そう言うと人間とは思えない姿に変化した。

 

雄斗とゼロは、その姿に見覚えがあった。

 

雄斗「ジャグラー!どうしてここに。」

 

ゼロ「お前、俺たちの仲間じゃなかったのかよ。」

 

蛇昇村長「俺はは貴様らの知っているジャグラーではない。貴様らの知っているジャグラーが光の勢力に舞い戻った際に、奴が無意識に抱える闇から無自覚に生まれたダークジャグラーよ。」

 

雄斗「この次元宇宙、この時代に来た理由を教えろ。」

 

闇ジャグ「全てはベリアル様のため。本物がどこかの次元宇宙に旅立ってしまい、途方に暮れていた私はベリアル様の配下であるストルム星人に拾われた。その時からベリアル様の為に尽くそうと思った。そしてもう1人の配下である地球人の青年によって、後期旧石器の時代に送り込まれた。そして、あらゆる怪獣を呼び出したのだよ。」

 

雄斗「ベゼルブを呼び出したのもお前か。」

 

闇ジャグ「そうよ。あの後、貴様らの前に姿を現そうとしたが、あの時代から飛び立った後だった。そこで私はこの集落の長になりかわり、数万年の長い間、待ち続けた。貴様らの為にな!」

 

雄斗「その伝承というのもお前が作り出したのか。」

 

闇ジャグ「そうよ。貴様らが来る保障はどこにもなかった。しかし、貴様らは現れた。今日、それを確信したよ。この村の住民全員をあの会議の前に始末しておいて本当に良かった。フハハハ、フハハハ、フハハハハ!」

 

雄斗「貴様!」

 

ゼロ「貴様だけは絶対に許さねえ!」

 

雄斗「怪鳥の出現も嘘だったのか。」

 

闇ジャグ「そうよ。そのようなことを聞けば、貴様がのこのこと着いてくる。そう感じたのよ。」

 

雄斗「くそ!」

 

ゼロ「なんて野郎だ。」

 

ダークジャグラーは何やら呪文を唱え、そして、

 

闇ジャグ「いでよ、闇の大魔王獣マガタノゾーア!」

 

魔王獣の1体であるマガタノゾーアが出現し、周囲の物体を闇で飲み込んでいった。

 

闇ジャグ「さらばだ!フハハハハ!」

 

雄斗「ゼロ、行こう!」

 

ゼロ「おう!」

 

ウルティメイトブレスレットからウルトラゼロアイを取り出した。

 

雄斗&ゼロ「ジュワ!」

 

マガタノゾーアから少し離れた場所にゼロは着地した。

 

周辺の集落はマガタノゾーアの出現で大パニックになっていた。

 

しかし、それよりもショッキングなことは、蛇昇村が既に壊滅しており、その長が全ての元凶だったことである。

 

「逃げるぞ!」

 

「この世は終わりじゃ!」

 

ゼロは周りに人がいなくなってから攻撃を始めた。

 

雄斗「ゼロ、まずあの闇をどうにかしよう。」

 

ゼロ「おう。ワイドゼロショット!」

 

しかし、ワイドゼロショットは闇の力によって、無力化してしまった。

 

雄斗「何!?」

 

ゼロ「こうなったら!」

 

ゼロはウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロへと姿を変えた。

 

ゼロ「シャイニングウルティメイトゼロ!」

 

巨大な光の矢がマガタノゾーアに突き刺さり、爆発した。

 

雄斗「よし!」

 

しかし、マガタノゾーアは闇を放出する力を失っただけで無傷だった。

 

雄斗「嘘だろ...」

 

ゼロ「想定内だ。」

 

通常形態に戻ったゼロはマガタノゾーアにキックやパンチを喰らわせた。

 

それでも動じないマガタノゾーアは、触手を伸ばし、ゼロを拘束、エネルギーを吸い取り始めた。

 

ゼロ「グワアー。」

 

悶え苦しむゼロ。

 

近くで見ていたダークジャグラーは勝鬨をあげたかのように笑っていた。

 

闇ジャグ「フハハハハ!ここで果てるがいい。ウルトラマンゼロ!フハハハ、ガハハハ、ウハハハハハ!」

 

雄斗「うわあー。」

 

ゼロと一体化している雄斗も苦しみ出した。

 

雄斗「でも、このままではいけない!」

 

インナースペース内でレイモンの姿になった雄斗は、ギガバトルナイザーNEOで対抗しようとした。

 

レイモン「行け!ゴモラ!リトラ!」

 

[ギガバトルナイザーNEO、モンスロード!EXゴモラNEO!EXリトラNEO!]

 

雄斗がレイモンになったことでゼロも姿を変えた。

 

通常形態の赤と青に黒と紫が混じった形態『ウルトラマンゼロ レイオニクスノーマル』である。

 

ゼロ「雄斗、感じるぜ。お前の力が、ベリアルとは違うレイオニクスの善なる力、レイより受け継いだ力が!」

 

闇ジャグ「なんだあれは。」

 

逃げている最中に振り返った人々も驚愕する

 

「あ、あれは。」

 

「神の力を持って悪魔の力を制御した聖なる姿じゃ。」

 

闇ジャグ「くそ!」

 

ゴモラとリトラの攻撃でゼロを拘束していた触手は切断され、まだゼロを拘束している触手にはレイオニクスノーマルの持つ強大なエネルギーが流れ込んだ。

 

マガタノゾーアには、このエネルギーが耐えられなかったのか、苦しみにも似た咆哮をあげ、ゼロを放した。

 

ゼロ「お返しと行きますか!ブラックホールが吹き荒れるぜ!」

 

レイモン「おう!」

 

通常形態よりも威力が強いキックやパンチがマガタノゾーアを襲い、その度に火花が散った。

 

闇ジャグ「このままでは、終われん!」

 

先程と同じ呪文を唱えると、

 

闇ジャグ「出よ、魔王獣の頂点に立つ大魔王獣マガオロチそして、超大魔王獣マガタノオロチよ!」

 

マガオロチとマガタノオロチが出現した。

 

レイモン「うわ!また怪獣!」

 

ゼロ「くそ!そういえば、地球に行く前に親父からカプセル怪獣を貰ったんだった。いけ!ウィンダム、ミクラス、アギラ!ゴモラとリトラに協力しろ!」

 

ゼロが密かに持っていた収納ボックスから3体のカプセル怪獣が召喚された。

 

「うわ、怪獣が増えたぞ!」

 

「よく見ろ!光の勇者様の配下の怪獣様よ!」

 

マガタノゾーアにはゼロとゴモラ、マガオロチにはリトラとミクラス、マガタノオロチにはウィンダムとアギラが対峙した。

 

闇ジャグ「この怪獣たちが倒されると、弥生時代と古墳時代は怪獣が現れない時代となってしまう。しまった!これは私の失態だあ!」

 

別に良くない?

 

マガタノゾーアに対し、ゼロはゼロスラッガーを投げ、ゴモラは尻尾で攻撃していた。

 

レイモン「これでとどめだ!ゴモラ、超振動波だ!」

 

ゼロ「ワイドレイオニクスゼロショット!」

 

ワイドレイオニクスゼロショットと超振動波が混じり合い、超振動ワイドレイオニクスゼロショットとなって、マガタノゾーアを飲み込み、マガタノゾーアは爆散した。

 

リトラは上空からマガオロチを攻撃し、怯んでいる所をミクラスが突進した。

 

しかし、長くは続かず、2体は吹き飛ばされた。

 

それでも起き上がると、リトラが口から吐いた火球とミクラスが口から発車した熱光線によりマガオロチは爆散した。

 

ウィンダムとアギラはマガタノオロチに苦戦を強いられていた。

 

そこへマガタノゾーアを倒したゼロとゴモラ、マガオロチを倒したリトラとミクラスが合流した。

 

闇ジャグ「マガタノオロチよ、地球を喰い尽くせ!」

 

ダークジャグラーの命令に応えるかのようにマガタノオロチは咆哮し、地球のエネルギーを吸い始めた。

 

その途端、雷が鳴り響き、地面が揺れ、全ての山が噴火するなど天変地異が発生した。

 

「この世は終わりじゃあ!」

 

人々は逃げ惑うばかりであった。

 

闇ジャグ「フハハ、フハハハハ、フハハハハハ!滅びよ!滅びよぉ!」

 

ゼロ「まだだ。まだ終わってなんかいねえ。」

 

レイモン「そうだ!ここはあんたらの星、あんたらが今いる時代だろ!諦めてどうする。諦めたら、未来の世代まで繋がんねえんだろがよ。だから諦めんな!」

 

2人の呼びかけに人々はハッとする。

 

「そうじゃな。」

 

「そうよ。」

 

「私たちは、」

 

「わしらは、」

 

「おいらたちは、」

 

「俺らは、」

 

「「絶対に諦めない!!」」

 

その時、彼らの言葉に応えるかのようにどこからか光が出現し、巨人の姿になった。

 

レイモン「あれは、」

 

ゼロ「ウルトラマンノア!」

 

人々もノアの姿を見て歓喜し、拝む者まで出てきた。

 

「ノアの神じゃあ。」

 

「ありがたや、ありがたや。」

 

ノアはゼロや5体の怪獣に頷くと、マガタノオロチに対峙した。

 

レイモン「みんな、行くぞ!最後の戦いだ。」

 

5体の怪獣も咆哮した。

 

ゼロは『レイオニクスノーマル』から『ウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロ レイオニクスノーマル』に姿を変えた。

 

この姿はウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロとどう違うのかというと光り輝く色、紫、黒に順番に変化する形態である。

 

つまり、ウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロの通常の色から順番に紫に変化し、その後、黒に変化し、それを順番に繰り返していく形態なのだ。

 

ゼロ「シャイニングウルティメイトゼロノーマル!」

 

ゴモラは超振動波、リトラは火球、ミクラスは熱光線、ウィンダムはレーザーショット、アギラは角からエネルギーを発射した。

 

肝心のノアはノア・インフェルノを放った。

 

これらの攻撃が合わさり、マガタノオロチに直撃、衝撃があまりにも大きかったため、マガタノオロチは大気圏外にまで吹き飛ばされ、全身から8匹の赤黒いヘビの形をした邪気を放出し、爆散した。

 

その邪気もノアが密かに放ったグラビティ・ノアで消滅した。

 

レイモン「やったな。」

 

ゼロ「ああ。」

 

ゴモラとリトラはギガバトルナイザーNEOに、ウィンダム、ミクラス、アギラはカプセルの収納ボックスに戻っていった。

 

ノアはいつの間にか消え去り、天変地異も収まった。

 

ダークジャグラーは邪気も消滅したため、呆然とした。

 

闇ジャグ「約3000年、あいつらの再来を待たなければいけないのか...これもベリアル様、ケイ、東園の為...トホホ...」

 

そのまま闇に消えていった。

 

集落に平和な雰囲気が戻り、雄斗は人々に別れを告げた。

 

雄斗「お世話になりました。ありがとうございました。」

 

キョウ「もう行ってしまうのか?」

 

雄斗「ああ。何千年後の遥か未来で怪獣が暴れている可能性がある。僕はその時代の人たちを助けながら、自分の時代へと戻っていく。」

 

長「あなたたちのことは絶対に忘れぬ。元気での。」

 

雄斗「はい。」

 

ワームホールが出現し、雄斗は、ゼロと共に入っていった。

 

 

 

現代 地球

 

晴子が遺跡からまた何かを発掘したようだ。

 

晴子「縄文時代の遺跡から見つかった遺物です。」

 

美郷「これが。」

 

憲三郎「なんて書いてあるんだ。」

 

晴子「『ある日、蛇昇村が壊滅し、闇の大魔王獣マガタノゾーア、大魔王獣マガオロチ、超大魔王獣マガタノオロチが現れた。しかし、未来から来たという青年がウルトラマンゼロに変身し、仲間の怪獣5体とノアの神と共に倒した。これ以降3000年に渡って、この地に怪獣が現れることはないということが保障された。』って書いてあります。」

 

李莉子「ってことはこれが書かれた年代は?」

 

晴子「縄文時代ってさっきから言ってますけど。後期あたりですかね。」

 

勝子「ってことは、次に怪獣が現れるのは飛鳥時代ってこと?」

 

晴子「そうなります。」

 

雄斗とゼロが時空の彼方に飛ばされて6日経った頃のことであった。

 

 

 

593年 地球

 

時代は飛鳥時代のことである。

 

雄斗とゼロは飛鳥豊浦宮郊外に到着した。

 

雄斗「ここは奈良県明日香村あたりだな。」

 

ゼロ「そうだな。しかし、どうするか。」

 

その時、後ろから声がした。

 

「待っておったぞ。遥か何万年も続くと言われる倭の伝説にのみ出てくる怪獣使いの青年と光の勇者様。」

 

雄斗「誰だ?」

 

声を発した者とは別の者が声を発する。

 

「無礼であるぞ。この御方を何と心得るか。恐れ多くも日嗣の皇子である上宮太子厩戸豊聰耳王さまであられるぞ。」

 

雄斗「は、はい?」

 

厩戸王「そなたのような後世の人間は、私をこう呼ぶ。『聖徳太子』又は「厩戸皇子』とな。」

 

雄斗&ゼロ「えー!?」

 

 

 

〈次回予告〉

 

飛鳥時代にタイムスリップした雄斗とゼロは、そこで聖徳太子として知られる厩戸王と対面する。

 

時は、推古朝の時代、推古天皇に仕えることになった雄斗は蘇我馬子や厩戸王と共に政治に参加することになる。

 

文官として活動しながら、武官として怪獣と戦うことになった雄斗。

 

果たして雄斗の運命は!?

 

第14話「飛鳥時代の漂流記〜聖徳太子伝説〜」

 

次回もお楽しみに!




如何だったでしょうか?

ジャグラーが無意識に持つ闇から無自覚に生まれたダークジャグラスジャグラー。

今後、物語にどのような影響を与えるのか楽しみにしていてください。

次回は史実を織り交ぜながら、進めていきます。

よろしくお願いします。




ウルトラマンゼロ レイオニクスノーマル
身長 ミクロ - 50m
体重 4万トン
必殺技 ワイドレイオニクスゼロショット

ウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロ レイオニクスノーマル
身長 50m(ウルティメイトイージスを含むと56m)
体重 6万トン
必殺技 ウルティメイトシャイニングワイドレイオニクスゼロショット


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第14話 飛鳥時代の漂流記〜聖徳太子伝説〜

第14話、スタート!


現代 地球

 

JAPAN EDA総監執務室に首相の嵯峨が来ていた。

 

嵯峨「どういうことかね。雄斗がゼロと共に時空の彼方に消えたというのか。」

 

光一「そうです。」

 

嵯峨「それで、どこにいるのかわかったのかね?」

 

海子「はい。ガイ大尉や晴子中尉の調査によれば、後期旧石器の時代に飛ばされたあと、縄文時代に辿り着き、今頃は飛鳥時代の推古朝にいると推測されます。」

 

嵯峨「そうか。しかし、聖徳太子の時代か。待てよ、教科書。」

 

総監執務室に置いてあった日本史の教科書を本棚から取り出した嵯峨は推古朝のページを開いた。

 

嵯峨「学生時代は推古天皇らの四頭政治なんて気にも留めていなかったが。待てよ、推古天皇、蘇我馬子、聖徳太子、あと1人は誰だっけ?」

 

隆信「もしかして、雄斗がその時代に関わっていると言うのですか?」

 

俊三「そういえば、俺も四頭政治かーって特別気にも留めていなかったな。」

 

一同は嵯峨が開いたページを読んだ。

 

そして、そこには、

 

『大連兼物怪退治将軍 綿部大連雄人(生年不詳、没年630年?) 綿部氏の祖。推古天皇の死後、政治の表舞台を去った。その後の動向は不明だが、物怪の出現が630年以降途絶えていることからその頃に死去したと思われる。子孫は代々、朝廷に仕え、一部の分家は平安時代末期に甲斐国に下り、戦国武将甲斐源氏綿部氏として台頭、江戸時代は譜代大名甲府藩の藩主として幕末まで続き、維新後は、山梨県知事を代々世襲する伯爵家となり、戦後の公職追放で途切れるが、独立回復後に復権。本家とほとんどの分家は摂関家や天皇家と結びつくが次第に力を失い、没落。同名の子孫と思われる人物が桓武天皇、藤原道長、北条義時、後醍醐天皇、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、徳川吉宗、徳川家斉に仕えている。』

 

全員「これだ!」

 

嵯峨「雄斗自身が綿部氏の祖。彼が今の日本を作ったのか。」

 

俊三「しかし、いくら何でも織豊政権と江戸幕府創設に関わっていたとは。甲府藩主の家柄から分かる通り、幕政にも寄与していたらしい。」

 

海子「鎌倉幕府の中枢にもいたみたい。義時死去後、引退したって書いてある。」

 

隆信「これ以降の記述はないのか?」

 

光一「人類にとって害となる怪獣は現れていません。1年前まで我々は怪獣と共存共栄していたわけです。」

 

嵯峨「ということは、過去の地球で怪獣が現れるよう細工した黒幕がいるのか。そうだ。私は海外の首脳たちと光の巨人伝説について調べる。そっちは任せた。」

 

隆信「はい!」

 

 

 

現代 ベリアルパレス

 

ベリアルのところに軍団幹部が集まっていた。

 

東園「ベリアル様、奴は現在、飛鳥時代にいるようです。」

 

ベリアル「その飛鳥時代というのがわからん。今から何年前だ。」

 

ケイ「1500年ほど前です。」

 

ベリアル「しかし、ストルム星人、お前も物好きよのお。」

 

ケイ「あやつのことでございましょうか。」

 

ベリアル「そうだ。光の勢力に表返ったやつから密かに分離した‘もう1人の‘ジャグラスジャグラー。あやつを拾ってきたことは真に素晴らしい。」

 

ケイ「ありがとうございます。」

 

ベリアル「が、それとこれとは別だ。何だね。あっさり負けておるではないか。」

 

ケイ「申し訳ございません。」

 

しかし、ベリアルの怒りは収まらなかった。

 

ベリアル「ストルム星人だけではないぞ。どいつもこいつも弛んでおる!ガミラス帝国の件もそうだ。あそこで大公一族を皆殺しにさえすれば、抵抗は続かなかった。」

 

東園「その大公一族は光の国に亡命しているようだ。」

 

ケイ「光の国のセキュリティシステムは激甘だ。私は彼らを拉致するために光の国へ侵入する。」

 

しかし、ベリアルはそれを止めた。

 

ベリアル「まあ待て。ここはアブソリューティアンに任せようではないか。のお。」

 

いつの間にか側にいたタルタロスが答える。

 

タルタロス「光の国に対してこう通告する。『すぐにガミラス帝国の大公一族を引き渡せ。拒否するならば、ユリアン王女を拉致して監禁し、光の国に対して総攻撃を仕掛ける。』と。」

 

しかし、ティターンがそれを否定した。

 

ティターン「それはどうでしょうか。ユリアン王女を誘拐などこれで何度目ですか。光の国もセキュリティシステムが強化され、ユリアン王女も光の国の外への外出の際には常に護衛が多くなっていると聞く。」

 

そこにディアボロが口を挟む。

 

ディアボロ「何を躊躇っておるか。邪魔なウルトラマンゼロは今は過去の世界に飛ばされている。我らに敵なし。」

 

そこへベリアルの雷が落ちた。

 

ベリアル「ごちゃごちゃとうるさい!この宇宙は今までの宇宙とは違うのだ!イスカンダルとテレザート。この2惑星は今は中立を保っているが、彼らを敵に回すとどうなる?成し遂げられるものも成し遂げられなくなる。今は我慢し、古代の地球に怪獣を送り込み、ウルトラマンゼロを消し去ることで地球を滅ぼすということが先決だ。」

 

全員「確かに。」

 

東園「では、手はず通りに。」

 

 

 

593年 地球

 

時代は飛鳥である。

 

雄斗とゼロは飛鳥豊浦宮郊外に到着した。

 

雄斗「ここは奈良県明日香村あたりだな。」

 

ゼロ「そうだな。しかし、どうするか。」

 

その時、後ろから声がした。

 

「待っておったぞ。遥か何万年も続くと言われる倭の伝説にのみ出てくる怪獣使いの青年と光の勇者様。」

 

雄斗「誰だ?」

 

声を発した者とは別の者が声を発する。

 

「無礼であるぞ。この御方を何と心得るか。恐れ多くも日嗣の皇子である上宮太子厩戸豊聰耳王さまであられるぞ。」

 

雄斗「は、はい?」

 

厩戸王「そなたのような後世の人間は、私をこう呼ぶ。『聖徳太子』又は「厩戸皇子』とな。」

 

雄斗&ゼロ「えー!?」

 

厩戸王「はっはっはっは。驚くのは無理もないだろう。私に着いてこい。蘇我大臣馬子と大王さまがお待ちだ。」

 

雄斗「はい。」

 

そして、雄斗は厩戸王に連れられ、蘇我馬子と推古天皇がいる邸宅に到着した。

 

厩戸王「馬子そして大王さま、光の勇者様をお連れいたしました。」

 

中から中年の男性と女性の声が返ってきた。

 

馬子「よく来てくれましたな。」

 

推古帝「お入りなさい。」

 

雄斗はそこで蘇我馬子と推古天皇に対面した。

 

馬子「あなたが1500年以上未来からやってきた怪獣使いの青年ですね。光の勇者様と一心同体であられる。」

 

雄斗「はい、そうです。」

 

推古帝「よくぞ、この倭の地に来てくれました。ご存知の通り、この国に怪獣が出現するという予言が遥か昔から伝わっております。」

 

厩戸王「そこでだ。我らはそなたにここでしばらくの間、暮らしてほしいと思うておる。よいか?」

 

雄斗「ゼロ、どうする?」

 

ゼロ「受ければいいじゃないか。」

 

雄斗「では、よろしくお願いします。」

 

この言葉に厩戸王は反応した。

 

厩戸王「では、大王さま、この者にはここで邸を用意し、妻子を帯同させ、飛鳥の豪族としての地位を与え、我ら3人と同等の力を認めさせることで宜しいですね。」

 

推古帝「よろしい。そなた、名はなんと申す?」

 

雄斗「綿部雄斗、爵位は子爵です。」

 

馬子「では、そなたの名は、この時代にいる限り、このように名乗るが良い。『綿部大連雄人』とな。そしてそなたはこれより、綿部氏の祖となるのだ。物部の奴らが滅んだ今、大連を称する者は不在。わしは大臣、そなたは大連として太子さまと大王さまを支えていこうぞ。」

 

雄斗「承知いたしました。」

 

こうして、雄斗は身なりを飛鳥の豪族風に改め、綿部大連雄人として生活していくことになったのである。

 

594年

 

豪族たちが集まる中、厩戸王はこれからの政治の方針を示した。

 

厩戸王「これからは、蘇我大臣馬子、綿部大連雄人、帝、そして摂政であるこの私が中心となって政を行う。異存はないな?」

 

「ははあ!」

 

推古帝「つきましては、最近、物怪の所業と思われる事件が起きていることで余がしたいことがございます。綿部大連を物怪退治将軍に任ず。」

 

雄斗「謹んでお受けいたします。」

 

邸に戻った雄斗は正室で馬子の娘である河上娘、側室で推古天皇の異母姉である笠縫皇女の迎えを受けた。

 

この時代は一夫多妻であるが、雄斗は現代に残してきた美郷や春香のことを思い、あえて多くの女性を娶らなかった。

 

河上娘「お帰りなさい、閣下。」

 

笠縫皇女「お帰りなさい。」

 

雄斗「ただいま。」

 

河上娘「閣下、私、もう少しであなた様の子が生まれそうですわ。もちろん笠縫皇女さまも。ねえ?」

 

笠縫皇女「ええ。」

 

雄斗「そうか。ゼロの予想では、2人とも双子を産む。それも男女2人ごとだ。」

 

河上娘「まあ光の勇者様がそのようなことをおっしゃったのですか。」

 

笠縫皇女「これは当たりそうですわ。」

 

雄斗「そうだな。」

 

そこへ雄斗配下の豪族で物部氏傍流の物部連盛国が姿を現した。

 

盛国「殿、少々お耳に入れて置きたいことがございます。」

 

雄斗「わかった。少し外す。」

 

河上娘「はい。」

 

笠縫皇女「わかりました。」

 

盛国は雄斗を連れて森へ向かった。

 

雄斗「一体、どこに連れて行こうとするのかね。」

 

盛国「あの森で小さくて赤い物怪が現れたという噂が侍女や家臣たちの間で流れております。殿は光の勇者様と一心同体でおられる。退治してもらえないかと?」

 

ゼロの意識になった雄斗が否定した。

 

ゼロ「それはできない。有害でない限り、怪獣は殺さん。」

 

盛国「そうですか。」

 

しばらく歩いて、2人は噂の場所に到着した。

 

すると、1匹の小型生物がカニ歩きをして通り過ぎた。

 

盛国「あ、あれですよ。早く捕まえましょう。」

 

雄斗「そうだな。追うぞ。」

 

2人は未確認生物を追いかけて捕まえた、しかし

 

「ピグ、ピグー!」

 

雄斗&ゼロ「ピグモンじゃないか!」

 

盛国「ぴ、ぴ...ぐ...もん?ご存じなのですか?」

 

雄斗「こいつは怪獣じゃない。珍獣だ。人類に友好的な稀有な存在。」

 

ゼロ「怖い思いをさせて悪かったな。すまんな、ピグモン。」

 

ピグモン「ピグ、ピグ!」

 

盛国「どうしましょう。連れて帰りますか?」

 

雄斗「まず、太子さまのところへ連れていく。」

 

雄斗はピグモンを厩戸王の邸に連れていったが、ピグモンも見るなり門番は気絶してしまった。

 

ゼロ「無理ねえか。」

 

そして偶然、外にいた厩戸王の妻である橘大郎女と刀自古郎女は、

 

「キャー。」

 

あまりの恐怖に絶叫してしまった。

 

騒ぎを聞きつけたのか、邸の中から厩戸王は出てきた。

 

厩戸王「なんだこの騒ぎは?うん?綿部大連と物部の小倅か。うん?物怪?」

 

雄斗「先程、捕まえたというかなんというか。」

 

厩戸王「そうか。とにかく入りなさい。」

 

邸の中で雄斗の話を聞いた厩戸王は全てを理解した。

 

厩戸王「そうか、このぴぐもんとやらは無害なのだな。」

 

雄斗「昔からこう言われております。突然のピグモン出現はもうすぐ怪獣が現れるから逃げろという知らせ。」

 

厩戸王「そうか。対処しよう。お前たち、怖くはないぞ。」

 

橘大郎女と刀自古郎女はおそるおそるピグモンに近づいた。

 

橘大郎女「まあ可愛い。ねえ太子さま、私たちがぴぐもんのお世話をして差し上げますわ。」

 

刀自古郎女「お願いします。太子さま。」

 

その時、門番が現れた。

 

門番「太子さま金ピカの変な怪獣が現れました。」

 

厩戸王「もう現れたのか。」

 

そして、行くと

 

「お金はどこ?お金を食べないと死んじゃうごん。」

 

厩戸王「なんじゃ、ありゃ。」

 

雄斗「カネゴンです。」

 

厩戸王「あれは悪い怪獣なのか?」

 

雄斗「微妙...」

 

ゼロ「この時代にお金なんてない。なんて不運なやつだ。」

 

カネゴン「あ、そこの人たち、お金持ってない?」

 

厩戸王「お金とはなんだね?そんなものは持ってない。」

 

雄斗「ごめんな、これくらいしかないんだ。ほれ3万円。」

 

ゼロ「お前、そんなに持ってたのかよ。」

 

雄斗「この時代は物々交換。使わないからな。」

 

カネゴン「わーい、お金だ。おいしい!」

 

盛国「なんていうバケモンや。」

 

あっという間に食べたカネゴンは更にお金が欲しくなったらしい。

 

カネゴン「ねえ、もっとない?欲しいよ。ないの?」

 

雄斗を追いかけはじめた。

 

雄斗「すまん、持っていないんだ。わあやめてくれー。」

 

雄斗が隠し持っていたヘソクリを全部食べてしまった。

 

雄斗「ああ...」

 

カネゴン「ありがとう!じゃあねえ。さよならー。」

 

雄斗「2度と来るな!」

 

ゼロ「あーダメだなこりゃ。」

 

盛国「なんていうバケモンや。」

 

ピグモンは、その後、雄斗の邸に引き取られることとなり、綿部家の癒し系の存在となった。

 

盛国「カネゴンと扱いが全く違いますな。」

 

うん、確かに。

 

その年の暮れ、河上娘は男子と女子の双子を産んだ。

 

綿部雄馬と名付けられた男子は妻が蘇我馬子の孫で蘇我入鹿の姉であったことから乙巳の変で蘇我方に立ち、一族諸共処刑されたため、雄馬系綿部氏の血統は絶え、綿鶴娘と名付けられた女子は厩戸王の息子山背大兄王に嫁ぐが、蘇我入鹿によって上宮王家が滅亡した際、山背大兄王らと共に自害し、綿鶴娘系綿部氏も絶えた。

 

その数ヶ月後の595年には、笠縫皇女が男子と女子の双子を産んだ。

 

綿部雄人を襲名することとなる男子は大化の改新でも活躍、以降この系統が古代や中世の政治史で活躍することになる。笠綿娘と名付けられた女子は後に舒明天皇の夫人となり、久下氏の祖とされる磯部皇子の母となり、この家系は戦国時代まで有力氏族として続くことになる。

 

その後、月日は流れ、603年には冠位十二階、翌年には十七条憲法が制定されるなど、大王・王族中心の国家体制が築かれた。

 

それから2年後の606年

 

厩戸王は雄斗と共に2人だけで外出していた。

 

厩戸王「雄斗、覚えているか。この丘を。」

 

雄斗「ええ。ここはタイムスリップした時、初めて太子さまにお会いした場所。太子さまはあの頃から相談があるとこの丘で2人きりで話をしたいとおっしゃる。しかもその時だけ、この私を本名で呼ぶ。」

 

ゼロ「2人きりではない。俺もいるぞ。」

 

厩戸王「はは。そうだな。光の勇者様をいるな。」

 

雄斗「では本題は?」

 

厩戸王「私は来年、隋に小野妹子を使者として送ろうと思う。お主らもついてきては行かぬか?」

 

雄斗「6年前に失敗し、今度こそ成功するでしょうか?」

 

厩戸王「心配はいらぬ。約1400年後の未来からやってきたお前なら我が倭とあの国がどういう関係を築いているか十分知っているはずだ。対等に付き合っておるのであろう。」

 

ゼロ(対等どころか周辺諸国の領土・領海・領空を毎日脅かして戦争寸前ですわ。)

 

雄斗「まあ、そんな感じです。」

 

ゼロ(そこは否定しろよ。)

 

厩戸王「それに向こうでも物怪が現れた場合、そなたの力は頼りになる。」

 

雄斗「わかりました。お引き受けします。」

 

このようなやりとりがあった翌年、雄斗は妹子と共に隋にむけて出発した。

 

旅の途中、妹子は雄斗と話していた。

 

妹子「綿部大連殿、そなたは、この時代の者ではないと聞くが本当か?」

 

雄斗「本当だ。私は1400年後の未来からやってきた。」

 

妹子「ならば教えてくれ。1400年後の倭はどうなっておる?」

 

雄斗「まず国の名前が倭ではなく日本となっています。これは今から100年も経たずしてそう呼ばれます。」

 

妹子「そうか。隋の国や他の国はどうなっておる。」

 

雄斗「何回か王朝が変わり、皇帝がいなくなります。戦争が世界を巻き込んで2度起こります。日本はその2回目の戦争で敗北します。」

 

妹子「本当か。大王はいるのかね?」

 

雄斗「大王は天皇という名称に変わりますが、政治的な実権は持たなくなります。国民から選ばれた者のみで政治を行うことになります。」

 

妹子「そうか。そなたは元の時代に帰りたいとは思わんのか?」

 

雄斗「帰りたくないと言えば嘘になります。しかし、私にはこの時代に現れるであろう怪獣を倒す使命があります。」

 

妹子「私も行ってみたいな。その令和という時代に。」

 

数ヶ月後、一行は隋の皇帝である煬帝の宮殿に到着した。

 

煬帝は手厚く迎えた。

 

煬帝「倭国の使者たちよ。ようこそ我が隋へ。」

 

妹子「我らは女帝推古より煬帝さまへの手紙を預かっております。」

 

そう言って妹子は煬帝に手紙を渡した。

 

煬帝「おー見事な心がけじゃ。どれどれ。『日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無きや...』なんじゃこの手紙は!倭国の王は朕を愚弄しておるのか!」

 

雄斗「どうかしましたか?」

 

煬帝「どうもこうもないわ!天子は世界においてただ1人。つまり、この煬帝ただ1人。それなのに、倭国の王は自らを天子と称しておる!無礼にも程があるわい!もうよい!倭国なんぞ滅ぼしてくれるわい!」

 

ゼロ(あのおばさん、やらかしたか。)

 

そして、煬帝は鴻臚卿の1人に命じた。

 

煬帝「よいか?このような無礼な書は今後朕には見せるな!」

 

「御意。」

 

しかし、別の鴻臚卿が声を上げた。

 

「陛下、お待ちください!倭国は遠い場所にある国、田舎ゆえに何も知らないのです。どうかお許しを。」

 

こう言われては煬帝も怒りを静めるほかなかった。

 

煬帝「わかった。近いうちに返書を渡そう。そして倭国に我が使者を送る。その前にこやつらをもてなせ。」

 

「は!」

 

宴会の席にて、雄斗は何人かの官僚と話していた。

 

「倭国には未来から来たという怪獣使いの青年がいて光の勇者さまと一心同体と聞くがそれは真か?」

 

雄斗「それは、私です。」

 

「ほう。それは失礼した。今度、皇帝陛下に個人的に会える機会を作っておこう。」

 

雄斗「それはなぜです?」

 

「皇帝陛下は、その話をひどく気に入られていつかその者に会ってみたいとおっしゃられていた。」

 

雄斗「そうですか。」

 

ゼロ(俺も有名になったもんだなあ。)

 

数日後、雄斗は煬帝に呼ばれた。

 

雄斗「参りました。」

 

煬帝「そなたが未来から来たという青年か。」

 

雄斗「はい。」

 

煬帝「未来から来たのならわかるであろう。わしの評判とこの国を末路やらを。」

 

雄斗「率直に申し上げます。臣民に重苦を押し付け、国を崩壊に導いた暴君だとか。そしてこの国は陛下の跡を継いだ御孫君の代で滅びます。」

 

煬帝「はっはっはっは。率直に言うそなたのことは気に入った。そうかわしの孫の代で滅びるのか。」

 

雄斗「そうです。」

 

その時、どこからか光弾が飛んできた。

 

雄斗「皇帝陛下、危ない!」

 

雄斗の言葉で煬帝は危険を回避し、雄斗は持っていた和泉守兼定で光弾を一刀両断し、2つに割れた光弾は後方で爆発した。

 

煬帝の護衛をしていた武人たちが警戒体制に入り、雄斗も一応警戒した。

 

雄斗「何者だ!」

 

ゼロ「雄斗、気をつけろ。この雰囲気どこかで。」

 

「ご名答。3000年ぶりだな。」

 

そう言ってダークジャグラーが姿を現した。

 

雄斗「ダークジャグラー!なんでこんなところに。」

 

闇ジャグ「貴様らを待っていた。貴様らがあの時代を去った後、俺は大陸を渡ってこの地に辿り着いた。そして、あの山に住んで久しいがウルトラマンやウルトラマンと一体化している知的生命体そして我々宇宙人は何十万年も生きる。それ故、いつしか俺は仙人と呼ばれるようになった。」

 

煬帝「貴様、この世界を滅ぼす分際で仙人と称し、余の民を手中に収めようとしたのか!」

 

闇ジャグ「ああ、そうよ。しかし、ここまでのようだ。出よ!風の魔王獣マガバッサー!」

 

煬帝「何じゃ、あの怪物は。」

 

宮中の者たちは逃げ惑うばかりであった。

 

雄斗「ここは私に任せてください。行こう、ゼロ!」

 

ゼロ「おう!」

 

雄斗&ゼロ「ジュワ!」

 

煬帝は1人で逃げ惑い、いつの間にかマガバッサーの下にいた。

 

闇ジャグ「いけ!マガバッサー。煬帝を踏み潰せ!」

 

ダークジャグラーの命令に応えるようにマガバッサーは鳴き、真下にいる煬帝を踏み潰そうと足をおろした。

 

煬帝「もはやこれまでか...」

 

その時、

 

ゼロ「ウルトラゼロキック!」

 

ゼロのキックでマガバッサーは吹き飛ばされた。

 

雄斗「皇帝陛下、ご無事ですか?」

 

煬帝「ああ、無事じゃ。」

 

人々は突然現れた巨人を目にして驚くばかりであった。

 

「あれは?」

 

「あれが倭国に現れたという光の勇者様。」

 

闇ジャグ「くそ!マガバッサーよ、ウルトラマンゼロを倒すのだ!」

 

ゼロ「貴様の思い通りにはさせん!」

 

雄斗「被害を少なくさせるために空中決戦だ!」

 

そのまま空を飛んだため、マガバッサーはついてきた。

 

そこへゼロがゼロスラッガーを投げたため、マガバッサーは飛翔能力を失い、落下した。

 

しかし、瞬時にゼロがゼロビヨンドにネオ・フュージョンライズして百烈キックしたため、マガバッサーはさらに上空までいった。

 

雄斗「とどめだ!」

 

ゼロ&雄斗「ワイドビヨンドショット!」

 

マガバッサーは爆散した。

 

地上では、煬帝が護衛の武人たちに守られながら、ダークジャグラーと対峙していた。

 

煬帝「似非仙人、覚悟せい!」

 

闇ジャグ「フハハハハハ、アハハハハハ!」

 

煬帝「何がおかしい。」

 

闇ジャグ「この俺を普通の人間だと思うなよ!」

 

そう言うと真のジャグラーとは異なる全身真っ黒の魔人態へと変化した。

 

煬帝「者ども、かかれ!」

 

「ウオー!」

 

闇ジャグ「無駄よ。」

 

そのまま武人たちは吹き飛ばされた。

 

煬帝「何!?」

 

闇ジャグ「隋帝陛下、お覚悟!」

 

そして、煬帝を斬りつけようとした瞬間、雄斗が戻ってきて和泉守兼定で応戦した。

 

闇ジャグ「もう戻ってきたのか。貴様との最終決戦はもうしばらくお預けだな。さらばだ。」

 

そう言うと闇に消えていった。

 

雄斗「皇帝陛下、大丈夫ですか?」

 

煬帝「大丈夫だ。」

 

それから数ヶ月後、遣隋使の一行は返使裴世清らの随行で倭国へ帰国した。

 

その頃から厩戸王らは留学生・留学僧を隋に留学させて、隋の文化を大いに取り入れて、国家の政治・文化の向上に努めた。

 

その出来事から13年後の620年

 

雄斗は厩戸王や蘇我馬子と「天皇記・国記、臣連伴造国造百八十部併公民等本記」を記した。

 

これをもとに統治がなされた。

 

しかし、その頃から厩戸王の体調は優れず、病床に伏す日々が続いた。

 

馬子「大連殿、ちょっとお話が。」

 

雄斗「何でしょうか?」

 

馬子「太子さまも先が長くないように思われる。次の大王はやはり御子の山背大兄王さまでいいだろうか?」

 

雄斗「良いと思います。」

 

馬子「話は変わるが、そなた、この前、大きな龍を倒したそうだな。」

 

雄斗「宇宙竜ナースのことですか?」

 

厩戸王が病気になる数日前、宇宙竜ナースが上空に現れた。

 

すぐにゼロによって倒されたが、都中の人々は良くないことが起きる前兆だと噂した。

 

馬子「そうじゃ。あれからだろ。太子さまがご病気になり、看病しておられたお妃もご病気になった。あの龍は凶となったのだな。」

 

雄斗「因果関係は不明です。」

 

馬子「杞憂で終わると良いのだが。」

 

それから数日後、厩戸王の妃である膳部菩岐々美郎女が亡くなった。

 

馬子「やはりあの龍は悪い前兆だ。太子さまも今晩が山場ではないのか。」

 

ゼロ「縁起でもないことはやめてくれ。」

 

翌日、厩戸王は危篤状態となり、雄斗は馬子と共に病床に呼び出された。

 

雄斗「太子さま、お気を確かに。」

 

厩戸王「大連殿、あなたに予言する。」

 

雄斗「なんでしょうか?」

 

厩戸王「物怪は大王さまの死去から2年を最後に200年近く現れなくなる。お主がこの時代にいられるのも残り9年ほどだ。」

 

雄斗「かしこまりました。」

 

厩戸王「馬子よ、そなたは残り5年の命、大切に生きよ。」

 

馬子「この爺、長く生きすぎました。十分でございます。」

 

厩戸王「そうか。」

 

それを最後に厩戸王は死去、多くの人々がその死を悲しんだ。

 

5年後、蘇我馬子が死去する。

 

その時もやはり怪獣が現れ、この時は火山怪鳥バードンであった。

 

2年後、女帝推古が崩御、その時は宇宙有翼怪獣アリゲラだった。

 

630年を最後に怪獣は現れなくなった。

 

雄斗はゼロと共に飛鳥時代を去る決意をした。

 

時の帝であった舒明天皇や馬子の息子である蝦夷、厩戸王の息子である山背大兄王らは雄斗を引き止めようとしたが、雄斗の一族の説得に応じ、最終的には雄斗の意思を認めた。

 

雄斗「では、お元気で。」

 

ゼロ「あばよ!」

 

ワームホールが出現し、雄斗は入っていった。

 

多くの豪族や官人たちが無言のまま、ワームホールが消滅するまで見送った。

 

 

 

現代 地球

 

綿部雄斗子爵邸では、第二夫人の春香がいた。

 

第一夫人である美郷から雄斗がゼロと共に時空の彼方に消え、過去の世界を放浪しているということを聞かされていた。

 

既に事件から9日が経過していた。

 

義父である雄樹伯爵と父である子二本春信伯爵が時折、心配して訪ねてくるくらいで何もすることがなかった。

 

自分には雄斗の無事を祈ることしかできないというのが事実であった。

 

そんな折、EDAから第一夫人である美郷が1人の使者を送ってきた。

 

EDA隊員でウルトラマンオーブの人間体であるクレナイガイだ。

 

ガイは心配する春香を案じて遥々、東京から来たのだ。

 

ガイ「春香さん、雄斗やゼロさんのことは心配いらない。だから安心してください。彼らは必ず無事に帰ってきます。」

 

春香「どうしてそんなことがわかるんですか?」

 

ガイ「俺は別の宇宙でゼロさんと戦ったことがある。俺が1人で戦っても勝てない怪獣を1人で簡単に倒してしまう。それで今までたくさんのウルトラ戦士を救った。もちろん光の国もです。あの人のおかげでベリアルの脅威から滅亡に瀕した光の国を復活させることができた。それに雄斗はレイの孫です。レイオニクスの血を受け継いでいる。普通の人間とは違います。だから春香さん、心配は入りません。」

 

春香「はい!」

 

ガイ「なんかあったら連絡してください。俺と美郷それにジャグラーがいつでも相談に乗りますから。」

 

春香「ありがとうございます。」

 

ガイは邸を出た後、1人で呟いた。

 

ガイ「雄斗、ゼロさん。早く帰ってきてくれ。みんな心配して待ってる。春香さんに美郷それにお前の親父さんもな。」

 

不意にジャグラーが現れた。

 

ジャグラー「帰るぞ。」

 

ガイ「おう。」

 

 

 

773年 地球

 

この時代は桓武天皇がまだ山部親王を名乗り皇太子の地位についたばかりの頃である。

 

雄斗は平城京の外れでワームホールから出てきた。

 

雄斗「さてと、ここは平城京か。あれ?髭がない。」

 

ゼロ「ほんとだ。ワームホールに入っている間に若返ったのか。」

 

雄斗が飛鳥時代にいた時間は37年、実質的には62歳になっていた。

 

しかし、ワームホールは若返りの作用があるのかどういうわけか元の25歳に戻っていたのである。

 

雄斗「しかし、この時代に怪獣が現れるのだろうか。」

 

すると、後ろから声がした。

 

「現れるさ。あんたと厩戸王さまが予言したんだぜ。そして今はそうなりそうな時期だ。都では不吉なことが立て続けに起こっている。あんたらの力が必要だ。」

 

雄斗「何者だ!?」

 

ゼロ「気をつけろ!」

 

「警戒されちゃ困るな。俺はあんたの子孫だよ。従三位綿部中納言雄人5世だ。つまりあんたの玄孫ってわけだ。よろしくな。」

 

雄斗&ゼロ「?」

 

雄人「ほれ、行きますよ。あんたを待っている人がいるんだ。俺が仕えている日嗣の御子山部親王さまがな。」

 

雄斗「か、か、か、桓武天皇!」

 

 

 

〈次回予告〉

 

雄斗とゼロが辿り着いたのは、奈良時代の終わり頃の世界。

 

自身の子孫の主君である後の桓武天皇に出会う。

 

異母弟で廃太子にされた他戸親王とその母である井上内親王が死去したことで起き始めた様々な現象にダークジャグラーが絡んでいることを直感した雄斗はゼロと共に戦う決意をする。

 

第15話「奈良時代末期から平安時代初期の漂流記〜平安遷都の章〜」

 

次回もお楽しみに!




如何だったでしょうか?

1つの時代を書くとこんなにも長くなってしまうものなのだと実感しました。

次回も更に長くなるかもしれません。

場合によっては事前の予告なしに前編・中編・後編などと分ける可能性も出てくるかもしれません。

あらかじめご了承ください。


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番外編① 光一、逮捕される⁉︎

突然ですが、番外編入ります。


雄斗がゼロと共に時空の彼方へ消え、過去の世界を彷徨うことになって10日後のことである。

 

嵯峨内閣で官房長官を務める雅希子参院議員が詐欺の容疑で突然逮捕された。

 

その後、事件に関係した与野党の政治家や官界や財界の要人が相次いで逮捕された。

 

そして、次に警察が目をつけたのは、JAPAN EDA総監の四竈光一であった。

 

警視庁捜査1課は光一をマークし、周辺を徹底的に洗い出すことにした。

 

そんなこととは裏腹に今日も暇なのが警察庁長官官房付特命係警視庁預かりが正式名称で警視庁特命係が通称のとある部署であるが、所謂、窓際部署すなわち閑職であることには間違いない。

 

そこに所属している警察職員は係長で警部の杉下右京と部下で巡査部長の亀山薫だ。

 

隣の部署は警視庁組織犯罪対策部薬物銃器対策課で、その課長である警視の角田六郎は今日も特命係の部屋に入り浸っていた。

 

角田「よ、暇か?」

 

お決まりのセリフで特命係の部屋に姿を現した角田は彼らにそう問いかける。

 

杉下「暇ですねえ。」

 

サスペンダー姿で紅茶を飲みながら杉下は、そう答えた。

 

亀山「何って言ったって俺たち、特命係なもんで。」

 

そして、隣にいるいかにも体育会系の男も答えた。

 

角田「いいねえ、暇な部署の人たちは。」

 

角田はいかにも皮肉たっぷりの言葉で返し、こう続けた。

 

角田「捜一の奴ら、なんでも大変らしいよ。例の事件で。」

 

杉下「そうですか。」

 

亀山「例の事件ってもしかして。」

 

角田「前官房長官雅希子公爵を中心とした政財官界の要人たちが巻き起こした怪獣災害特別支援金詐欺だ。なんでも捜一の奴ら、JAPAN EDA総監の四竈も絡んでいると睨んでいるわけだ。」

 

亀山「四竈ってあの?」

 

杉下「ええ、憲政史上最長の政権を率いた前首相宇部慎一公爵の私設秘書だ。」

 

角田「そう。そういえば、隊員の中にも政治家の秘書がいたな。」

 

杉下「山梨県知事綿部雄樹伯爵の次男である綿部雄斗子爵。首相である嵯峨由三公爵の私設秘書です。怪獣災害の時に現れたウルトラマンゼロと一体化したものの、10日前のデザストロ戦において、時空の彼方に消え、未だ行方不明。」

 

亀山「そ、そうなんですか?」

 

角田「なんだよ、ニュース観てないのかよ。あとで奥さんにでも聞いておけ。」

 

亀山「は、はい。」

 

角田「まあとりあえず、お前さんたちに話したからな。あとのことは俺は知らん。」

 

杉下「どうもありがとう。」

 

角田は部屋から出ていき、部屋を覗き見ていた部下である大木長十郎と小松真琴と何やら話し込み始めた。

 

杉下はハンガーにかけたあった背広を着ると部屋を出ようとした。

 

亀山「右京さん、どちらへ?」

 

杉下「亀山君、行きますよ。」

 

亀山「え?はい?どちらへ?」

 

杉下「四竈総監のところです。」

 

亀山「えー。」

 

杉下たちはJAPAN EDA本部に着くと、何のためらいもなしに建物の中に入っていった。

 

その様子を美郷が見て、彼らに近寄っていった。

 

美郷「あの!すみません!」

 

杉下「何でしょうか?」

 

美郷「ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ。」

 

杉下「失礼。」

 

と言って警察手帳を見せた。

 

杉下「警視庁特命係の杉下です。」

 

亀山「同じく亀山です。」

 

美郷「特命係?警察の方が何の用件ですか?」

 

杉下「四竈総監に用事があってきたのですが、あいにく迷ってしまって。総監執務室はどこに?」

 

美郷「ここは隊員たちの作戦室などがある棟です。一般職員や幹部の部屋があるのは、目の前にある建物。総監執務室は、その最上階です。」

 

杉下「どうもありがとう。ところであなたの名前を聞いてもよろしいでしょうか?」

 

美郷「瀬内美郷です。」

 

杉下「どうも。」

 

そのまま杉下と亀山は総監執務室に直行した。

 

亀山「あの女性ってEDAの隊員ですかね。」

 

杉下「そうですよ。甲府市長瀬内義隆子爵の令嬢瀬内美郷女爵。綿部雄斗の第一夫人です。自国党筆頭副幹事長で法務大臣政務官の七山米行衆院議員は従叔父にあたります。」

 

亀山「へえー。右京さんってなんでも知ってるんですね。」

 

杉下「細かいことが気になるのが僕の悪い癖。」

 

亀山「そ、そうですね。ハハ。」

 

杉下「君だってサルウィンから帰国して警視庁なんかに戻らずに実家に帰っていたら、子爵の地位を継いでいたかもしれませんよ。」

 

亀山「いきなり何ですか。右京さんと仕事をするのが俺の生きがいなんですよ。」

 

杉下「そうですか。君、着きましたよ。」

 

そんなことを言っている間に総監執務室の前に到着した。

 

杉下はドアをノックし、中から声が聞こえた。

 

光一「どうぞ。」

 

2人は部屋に入るとお辞儀をした。

 

光一「何者だ?」

 

杉下は警察手帳を見せるとお決まりのセリフを言った。

 

杉下「警視庁特命係の杉下です。」

 

亀山「同じく亀山です。」

 

途端に光一は怪訝な顔をした。

 

光一「特命係?警察の方が何の用ですか?」

 

杉下「先日、雅希子前官房長官が逮捕されたのはご存知ですよね?」

 

光一「知ってますけど、何か?私がこの件に関わっているとでも?」

 

亀山「いやーそうなんですよ。捜査線上にあなたの名前が浮かび上がってきたので、そうなんじゃないかと思いましてね。」

 

杉下「お心当たりはありませんか?」

 

光一は怒り出した。

 

光一「ふざけるな!私が首謀者とでも言いたいのか!出ていってくれ!不愉快だ!」

 

杉下「わかりました。」

 

そして、帰ろうとするが、何かを思い出したかのように戻ってきた。

 

杉下「ひとつ、よろしいですか?」

 

光一「まだ何か用ですか?こっちは忙しいんだ。」

 

亀山「お手間は煩わせません。」

 

杉下「この件にあなたが仕えている前首相宇部慎一侯爵は関わっているのでしょうか?」

 

光一「あの人は清廉潔白です。関わっていないです。」

 

杉下「そうですか。どうもありがとう。」

 

亀山「失礼しました。」

 

そのまま部屋から出ていった。

 

彼らが部屋から出ていった後、光一は誰かに電話した。

 

光一「もしもし、私だ。今、警視庁特命係の奴らが来た。うん?彼らに目をつけられると後々までしつこい?わかった。あとはそちらで対処してほしい。では失礼。」

 

部屋の外で杉下は亀山に話しかけた。

 

杉下「匂いますねえ。」

 

亀山「そうですね。って何がですか?」

 

杉下「まるで自分は関わっているかのような四竈総監の話し方。」

 

亀山「確かに。次はどちらへ?」

 

杉下「対怪獣兵器開発研究所ですよ。」

 

亀山「はい。」

 

杉下たちは同じ敷地内で基地から徒歩5分ほどの対怪獣兵器開発研究所に来た。

 

なお、この部署は、ほんの1ヶ月くらい前まで対怪獣兵器開発局の名称であったり、怪獣兵器開発研究所であったりした。

 

受付に入ると杉下は受付嬢に尋ねた。

 

杉下「すいません。警視庁特命係の杉下です。」

 

亀山「同じく亀山です。」

 

受付嬢「ご要件は何でしょうか?」

 

杉下「所長の芹沢和也さんに用があってきたのですが。」

 

受付嬢「すみません。所長は只今出張で明日まで帰ってきません。」

 

杉下「そうですか。では、副所長の眞仲健吾さんはいますか?」

 

受付嬢「ええ、いますよ。」

 

受付嬢は副所長室に電話し、程なくしてケンゴがやってきた。

 

杉下「初めまして、警視庁特命係の杉下です。」

 

亀山「同じく亀山です。」

 

ケンゴは持ち前の笑顔で答えた。

 

ケンゴ「こちらこそ、初めまして!対怪獣兵器開発研究所副所長のマナカケンゴです!さあ、こちらへ。」

 

応接室に案内した。

 

応接室に入り、杉下たちは椅子に腰を下ろした。

 

杉下「いきなりですが、眞仲副所長はこの世界の地球人ではないのですね。それにあの植物もこの世界の植物ではない。」

 

ケンゴ「そうです。所長もそうですが、この研究所の所員の半数は別次元から来たウルトラマンと一体化している人又はウルトラマン本人及び、光の勢力に身を置く宇宙人です。あと、あの植物の名前はルルイエです。僕がいた世界の火星にある土壌で育てた植物です。」

 

杉下「おや、火星の土ですごいですねえ。」

 

亀山「しかし、よくもまあ受け入れられましたね。ベリアル襲来を機に宇宙人とのコンタクトが増えましたが、一部の人間は宇宙人に反感を持っている。まあ俺は違いますけどね。」

 

ケンゴ「そうなんですね。最近、反宇宙人の考えを持った人たちが集まって『ウルトラ一族地球追放推進平和同盟機構』と『地球外生命抹殺同盟』っていう別々の組織を結成して、活動しているって聞いたことがあります。」

 

杉下「前者はあちこちでテロを起こしているテロリストの集団ですが、後者は反政府勢力です。公安課や公安調査庁、内調(内閣情報調査室)が彼らの監視に乗り出しています。」

 

亀山「右京さんの相棒だった人も公安調査庁の職員として監視していますね。あと土師っちの部署にいた人も内調で。」

 

ケンゴ「警察の方ってすごいですね。」

 

杉下「ええ。さて無駄話はこれくらいにして、本題に入ります。」

 

ケンゴ「はい、なんでしょぅ。」

 

杉下「この研究所で使われる研究費や開発費は、どこから回ってくるのでしょうか?」

 

ケンゴ「そりゃ議会が予算として回したり、EDA総本部から予算を頂いたりしています。あと民間有志からの寄付です。民間有志と言っても、ほとんどが資産家や財政界要人それに華族の方々からです。」

 

杉下「それとは別に悪い噂とかは聞いたことはないでしょうか?」

 

亀山「例えば、四竈総監が詐欺を働いてぶん取ったお金とか。」

 

ケンゴ「それはないかも。でも聞いたことがあるような気がします。よくわからない団体から寄付されたりとか。」

 

杉下「そうですか。どうもありがとう。」

 

ケンゴ「あの!僕が言ったこと誰かに言わないでくださいね。」

 

亀山「もちろんだ。君の身に何かあったら俺らが全力で守る。」

 

杉下「亀山君、彼はウルトラマンの1人です。自分の身は自分で守ります。」

 

亀山「アハハ。そうでしたね。」

 

2人は出ていったが、何かを思い出したのか杉下が戻ってきた。

 

杉下「もう1つだけ。」

 

ケンゴ「はい。」

 

杉下「所長はどこに行ったのでしょうか?先程受付で聞いたら出張で明日まで帰らないと言われたものですから。」

 

ケンゴ「あんまり言えないですけど。所長は光の国出身ですから、月に1回のペースで光の国に戻ります。光の国の科学技術局長官の仕事もありますから。」

 

杉下「そうですか。」

 

2人は帰り、ケンゴは誰にも聞こえない声で呟いた。

 

ケンゴ「アキトにユナ、それにみんな元気かな。」

 

その時、ケンゴがこの地球に来てからの通信機として使っていなかったGUTS-SELECTのiPadから一件のビデオチャット申請が来た。

 

そこには、

 

『GUTS-SELECT火星開発事業本部技術開発局 ヒジリ・アキト局長』

 

と表示されていた。

 

ケンゴ「アキト!」

 

ビデオチャットの申請を許可したケンゴは応答した。

 

アキト「久しぶりだな、ケンゴ。」

 

ユナ「ケンゴ!久しぶり!」

 

ケンゴ「そうだね、久しぶり!みんなもいるんだ。」

 

その時、やたらと熱苦しい男サクマ・テッシンが出た。

 

テッシン「おう、ケンゴ!やっぱりアキトはスゲえよな。別宇宙に通信できる装置まで開発したんだからよ。」

 

ケンゴ「そうなんですね。ところで、みんなどこにいるんですか?ユナもいるから。」

 

タツミ・セイヤが代わりに答えた。

 

タツミ「今、ミツクニ会長が火星を訪問中で秘書のシズマ隊員も同行しているんだ。」

 

「俺様もいるぜえ!」

 

そう答えたのは、メトロン星人マルゥルだった。

 

ケンゴ「マルゥル!地球にいるんじゃなかったの?」

 

マルゥル「ホッタのおっさんに少しくらい休めって言われて、そんで休暇もらって火星に旅行しに来たってわけだ。」

 

ホッタのおっさんとはTPU技術部特務3課の課長ホッタ・マサミチのことだ。

 

ウルトラマンデッカーとウルトラマンディナスの活躍によってトリガー世界に再び、平和が訪れた後、TPUは母体組織のシズマ財団の援助で宇宙に本格的に進出した。地球に怪獣が現れなくなったことで特務3課は暇となり、そこでホッタはマルゥルにかつての仲間に会えるよう色々と便宜を図った結果、マルゥルは休暇を取れたというわけだ。

 

そこに比較的大人しめのメガネをかけた女性隊員であるナナセ・ヒマリが加わる。

 

ヒマリ「そっちはどう?」

 

ケンゴ「はい!元気でやってます!ただ...」

 

ユナ「ただ?」

 

ケンゴ「こっちの世界色々と大変なんだ。主にこの日本で戦っているウルトラマンが一体化している人間と共に時空の彼方に消えて過去の世界を彷徨っているみたい。それにこの世界は僕がかつていた地球とそっくりだけど全然違う。」

 

アキト「なるほど。俺らのいる宇宙とケンゴが今いる宇宙の周波数を調べてみたんだが、40%の確率で周波数が重なっている。」

 

ケンゴ「やっぱりか。」

 

タツミ「マナカ隊員、何がやっぱりなんだ?」

 

ケンゴ「この宇宙にもトリガーがいる。3000万年前に超古代文明があり、ユザレや闇の巨人もいた。こっちの防衛隊の中にはユザレの子孫もいるし、アキトにそっくりな人もいた。イグニスも言っていたけど、この世界は様々な次元宇宙が誕生の過程で一部だけ混ざり合ったことで誕生した超特異的次元宇宙の可能性が高いみたい。」

 

アキト「超特異的次元宇宙か。前、トキオカさんに聞いたことがある。」

 

 

アキトはライラー事件や闇の3巨人が復活する前の出来事を思い出した。

 

トキオカ「アキト君、超特異的次元宇宙って言葉を知っているかい?」

 

アキト「超特異的次元宇宙ですか?聞いたことないです。」

 

トキオカ「とある次元宇宙があるとしてだ。その次元では様々な出来事が起こる。これらの出来事は不可解だ。しかし、この不可解な現象を起こす原因は周辺の様々な次元宇宙が誕生の過程でお互いに影響しあうことで、一部のみが混ざり合い誕生するというわけだ。」

 

アキト「そうなんですね。」

 

トキオカ「そうなんだよ。だからこの3000万年前の超古代文明、闇の3巨人、トリガーという存在もどこかの別宇宙で我々の次元と似たような出来事もあったのだろう。私は、そう考えている、」

 

アキト「もしかして、ミツクニさんがいた宇宙がそうなんですか?」

 

トキオカ「そうかもしれない。しかし、これは僕たち上層部しかわからん。」

 

 

この出来事をアキトはケンゴに伝えた。

 

ケンゴ「そうか、トキオカさんもそんなことを。」

 

アキト「過ぎたことだ。今更思い出しても仕方ないか。」

 

テッシン「っつうことで新しい筋トレメニュー考えて待ってるから、お前はそっちの地球で頑張ってくれ。その間に俺たちで火星を今よりもっと発展させてやる!ド根性!」

 

ヒマリ「また、そればっかり。でも待ってる。」

 

マルゥル「待ってるぜ!」

 

タツミ「マナカ隊員、君は我々の、いや、我々がいる次元宇宙の誇りだ。あとお土産もよろしく。」

 

思いがけないタツミのお茶目な姿にみんな笑い出した。

 

ケンゴ「みんな、ありがとう!スマイル、スマイル!」

 

アキト「うざ。」

 

ユナ「あ、うざいって言った!アキトね、ケンゴに連絡取れるまでうざいって言わないって願掛けしてたんだよねー。」

 

アキト「ちょっと、ユナ、それは言わない約束だろ。」

 

ユナ「えー、いいじゃん。」

 

ケンゴ「ハハハ、じゃあね。」

 

アキト「ああ、元気でな。あとイグニスにもよろしく。」

 

こうして通信が終了した。

 

 

一方、指令室。

 

隊員たちが話をしていた。

 

美郷「さっきね、警視庁特命係って部署の人が四竈総監はどこ?って聞いてきたんだよね。」

 

憲三郎「警視庁特命係か。俺は叔父が警察庁長官官房付の甲斐峯秋だからよく知っている。」

 

李莉子「それって実質的な警察庁ナンバー2よね。」

 

憲三郎「ああ。彼らは警視庁の身分だが警察庁に管轄権がある。叔父は彼らの実質的な上司なんだ。」

 

晴子「数年前、ダークナイト事件を起こした甲斐享は先輩の従兄弟なんですか?」

 

憲三郎「そうだ。俺はまだ高校生だった。ショックだったよ。母の兄の次男があんな事件を起こすなんて。」

 

加奈「そりゃそうよ。ねえ。」

 

勝子「でも総監はどうして彼らに目をつけられてるのかしら。」

 

その時、ドアが開いて正順が入ってきた。

 

正順「それは、怪獣災害特別支援金詐欺の疑いだね。」

 

ガイ「あー雅希子前官房長官を中心とし、与野党の政治家や財界や官僚を巻き込んだあの汚職事件か。」

 

ジャグラー「しかし、なんで総監が関与を疑われるんだ?」

 

正順「事件の首謀者だからではないのか?最近の総監は妙に金銭面の使い方が荒かった。それで俺はどうしてか問い詰めた。」

 

 

事件発覚5日前

 

正順は総監執務室を訪れていた。

 

光一「座野隊長、何の用だ?」

 

正順「最近の総監のご様子はおかしすぎます。妙に羽振りが良くなっている。」

 

光一「それがどうしたというのだね。」

 

正順「何かいけないこと、例えば、詐欺事件で巻き上げたお金で何かしているとか。」

 

光一「ハハハハハ、さすが勘が鋭いね、君は。そうだよ。私は怪獣災害で支援すると偽ってたくさんの人からお金を巻き上げたのさ。」

 

正順「なんてことを。他に共犯はいるのですか?」

 

光一「いるさ。表向きは雅官房長官が首謀者さ。私は裏にいるバレても捕まるのは、末端の政財界の要人だけだ。」

 

正順「人々の信頼をあなたは裏切った。この組織の一員としてあなたを許さない。警察に通報します。」

 

光一「そんなことをしたら、私は君をよくて2階級降格、悪くて懲戒免職及び軍籍剥奪だよ。」

 

正順「そんなことをしてもあなたがしたことは公表される。それに今はいなくてもいずれ帰ってくる雄斗がこのことを知ったら悲しむ。そうなる前に総監、お願いします!自首して下さい!そして世間に謝罪してください。自分が怪獣災害を口実に詐欺を働いたと。」

 

しかし、光一は怒り出した。

 

光一「黙れ!俺を誰だと思っている。俺は、前首相宇部慎一公爵の秘書だぞ!」

 

正順「前首相の側近がなんだ!あなたのしたことは前首相の顔に泥を塗ったも同然だ!」

 

光一「もう、いい!出ていけ!」

 

正順「わかりました。出ていきます。」

 

正順は総監執務室から退出したあと、その足で副総監執務室や補佐官執務室そして秘書官執務室に行き、海子たちに事のあらましを詳細に話した。

 

海子たちは全てを理解した。

 

隆信「座野隊長、君の話は理解した。私が責任を持って警察に通報する。私の叔父は警視庁刑事部参事官の中園照生だ。叔父は刑事部長の側近だから大体のことは通じるだろう。」

 

正順「ありがとうございます。」

 

俊三「座野隊長は、これ以上は動かないように。あとは我々だけで進めておきます。下がってよいぞ。」

 

正順「は!」

 

隆信の告発によって事件が発覚し、表向きの首謀者とされた雅希子官房長官が逮捕され、関係した政財界の要人も次々と逮捕された。

 

そして、これはつい先程の話

 

廊下で正順は光一に会った。

 

光一「やってくれたな。これで貴様の処分は警務部による聴取で決まる。近いうちにあるだろう。覚悟しておけ。」

 

正順「告発をしたのは私ではありません。あなたにもっと近い人物です。」

 

光一「今更、言い訳か。無駄なことだ。」

 

そのまま去っていった。

 

 

話を聞いて全員が驚いた。

 

美郷「でも、処分って。」

 

正順「大丈夫だ。いざとなったら、これがある。」

 

そう言って取り出したのは、録音機だった。

 

 

その頃、警視庁本部の副総監室

 

衣笠藤治副総監が内村完爾刑事部長を呼び出した。

 

衣笠「内村君、四竈総監だけは無罪にしてくれ。」

 

内村「ほう。それはなぜですか?」

 

衣笠「決まっているだろ。世界を怪獣災害から守る為にはEDAの力が必要なんだ。日本支部は四竈総監の力で成り立っている。今、彼を失えば、日本は滅びるぞ。それにEDAには我が警視庁の刑事が何人か出向している。出向先で彼らの居場所がなくなるのは君も辛いだろう?」

 

内村「喝っ!副総監自ら正義の心を忘れてはいけませんぞ。」

 

衣笠「君はもう少し物分かりがいいと思っていたが、どうやら思い違いだったようだ。残念だ。あと特命係の2人だが、四竈総監にしつこく付き纏っているようだ。君からも注意してやってくれ。」

 

内村「はい...」

 

 

特命係の部屋に杉下たちが戻ってきた時、部屋に3人の刑事が待っていた。

 

刑事部捜査第一課の伊丹憲一と芹沢慶二そして出雲麗音であった。

 

杉下「おや、来客ですか。」

 

伊丹「遅かったじゃねえか、この出戻り亀が!」

 

亀山「なんだと、この野郎!」

 

どうやらこの2人は犬猿の仲のようだ。

 

芹沢「それで、どこに行っていたんですか?」

 

杉下「JAPAN EDAの総監執務室です。」

 

伊丹「警部どの、それで四竈は事件に関わっていたのですか?」

 

杉下「ええ、自分が関わっているかいないかは言及しませんでしたが、あの感じでは間違いなくクロでしょう。」

 

出雲「その根拠は?」

 

亀山「右京さんが、『宇部前総理は関わっていますか?』って聞いた時、四竈総監は、はっきりと関わっていないと言ったんですよね。」

 

杉下「ええ。普通、自分が関わっていなかったら、誰がその事件に関わっているのかわからないはずですからねえ。もう自白したようなものでしょう。」

 

伊丹「なるほど。あの四竈っていう奴、相当ワルだぞ。前首相の秘書であることを肩書きに色々なことをしているって噂だ。」

 

亀山「そうか。」

 

その時、中園が入ってきたため、全員が直立不動の体勢になった。

 

中園「杉下と亀山。内村部長がお呼びだ。」

 

 

刑事部長室にて

 

内村「お前たち、四竈のことについて調べているようだな。どの辺までわかった?」

 

杉下「おおよそのことはなんとなく。もうほぼ自白したようなものでしょう。」

 

内村「そうか。わかった。」

 

亀山「あのーどこか不味かったでしょうか?」

 

中園「部長はこの事件をお前たち特命係の手で解決しろって言っている。あと私の可愛い甥っ子のために頼む!」

 

杉下「はい?」

 

内村「この事件を告発したのは、井伊隆信補佐官で中園の妹の息子なんだ。」

 

亀山「あーそれで俺たちに解決してほしいっておっしゃったのですね。」

 

中園「それだけではない。最初にこの事件を知ったのは、座野正順隊長だ。彼は告発すれば、軍籍剥奪も辞さないと脅されて、私の甥に相談したのだ。」

 

内村「お前たちに課せられら任務は伊丹や芹沢そして出雲たちと共に事件を解決するだけでなく、座野隊長の身の安全を確保することだ。」

 

杉下「わかりました。」

 

杉下たちが出ていった後、中園は内村にそっと伝えた。

 

中園「あれでよろしかったでしょうか?副総監のお怒りを買わなければいいのですが。」

 

内村「構わん。」

 

中園「はい。」

 

 

夜、家庭料理「こてまり」に杉下と亀山は亀山の妻である美和子と一緒に来ていた。

 

この店は赤坂で芸者をしていた小出茉梨が芸者を辞めたあと、開いたお店で杉下たちの行きつけのお店だった。

 

亀山「しかし、右京さん驚きましたねえ。参事官の甥っ子さんがJAPAN EDAの補佐官だったなんて。」

 

杉下「驚くのは、まだはやいですよ。甲斐さんの甥もそこに隊員としていますからねえ。」

 

亀山「そうなんですか。」

 

茉梨「あらあら2人とも、どんな話をしているのかしら。」

 

杉下「怪獣災害特別支援金詐欺事件の話です。」

 

そこに美和子が口を挟む。

 

美和子「あーあの事件ね。親しい記者の話だと四竈総監が首謀者で一部の華族も関わっているって聞いたことがあるのよ。」

 

亀山「そうなのか。」

 

杉下「副総監との関わりはありませんか?」

 

美和子「警視庁の?あーそれは聞いたことあるかもしれません。なんでも警視庁の刑事を何人か出向させて警務部に配属させているとか。」

 

杉下「繋がってきました。」

 

亀山「何がですか?」

 

美和子「座野隊長を規律違反かなんかで警務部で聴取して、最悪の場合軍籍剥奪させるってことよ。薫ちゃんはほんと鈍いんだから。」

 

亀山「美和子、そんなに言わなくても。」

 

茉梨「あらあら、もう一本入れますか?」

 

亀山「お願いします。」

 

 

その夜

 

JAPAN EDA総監執務室では、海子が光一に話していた。

 

海子「一連の事件、総監が関わっているのは明白です。自首して自らが犯した罪を認めてください。」

 

光一「あの件をリークしたのは、座野隊長だろう。私は彼を絶対に許さない。」

 

海子「いいえ、あの件をリークしたのは、隆信よ。」

 

光一「じゃあ、あいつを処分して済む話だ。」

 

海子「いいえ。あの人は、警視庁刑事部参事官の中園照生警視正をが叔父です。警視庁を敵に回すことになる。」

 

しかし、光一は否定した。

 

光一「それには心配はいらぬ。私は警視庁の衣笠藤治副総監と繋がりがあるからね。」

 

海子「それも無駄ね。」

 

光一「どうしてだ?」

 

海子「隊員たちはみんな、あなたのしたことを知っています。それに副隊長の富畑憲三郎少佐は警察庁長官官房付の甲斐峯秋警視監の甥です。いくら警視庁副総監とはいえ、警察庁ナンバー2の言うことには逆らえないでしょう。」

 

光一「くそ!」

 

海子「あ、そうそう。先程、この件を宇部前総理に話しましたら、先生は大層なお怒りでしたよ。『破門だ!』ってね。」

 

光一「私はどうすればいいんだ。」

 

海子「自首しなさい。自首して全ての責任を取る形でJAPAN EDA総監の職を辞しなさい。」

 

光一「しばらく1人にさせてくれ。」

 

海子「わかりました。」

 

海子は部屋から出てきて、光一は1人でしばらく考えた。

 

 

翌日

 

特命係の部屋にはサイバーセキュリティー課の土師太がいた。

 

杉下「おはようございます。」

 

土師「おはようございます。頼まれていた資料ご用意できました。」

 

杉下「どうもありがとう。」

 

土師「言っておきますがね。僕は青木の代わりじゃないですから。じゃあどうも。」

 

出ていこうとした時、ちょうど出勤してきた亀山とぶつかりそうになった。

 

亀山「右京さん、おはようございます。」

 

杉下「亀山君、おはようございます。」

 

そこへ、角田が急いでやってきた。

 

角田「おい、大変だぞ!」

 

亀山「どうしたんですか?課長。」

 

角田「四竈光一が自首したぞ。全ての責任を取る形でJAPAN EDA総監の職を辞するらしい。」

 

杉下「そうですか、やはり。」

 

これをもち、一連の怪獣災害特別支援金詐欺事件の捜査は終結した。

 

 

JAPAN EDA総監は光一が辞任したことで空白となり、海子が新総監に就任した。

 

副総監には隆信が、補佐官には俊三が就任した。

 

秘書官のポストには、防衛省大臣官房秘書課の野中進次郎課長補佐が出向といった形で就任した。

 

光一によって、警務部による事情聴取を脅されていた正順は何事もなく無事だった。

 

記者会見場での就任会見において、海子は声明を発表した。

 

海子「この度は、四竈光一前総監による不祥事により、国民の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。JAPAN EDAはこれを機に一層気を引き締め、極東地域を怪獣災害から守り抜く所存です。」

 

一方、宇部も釈明会見に追われていた。

 

自身の秘書が起こした事件を知らなかった責任を取り、彼は光一を自身の事務所から解雇した。更には、自身の給与2ヶ月分を返還した。

 

事件が社会に残した影響は計りし得なかった。




スペシャルゲストとして相棒のメンバーを出演させてみました。

それにしても、雄斗が帰ってくるのは、いつになるのやら。

この分だと7月もしくは8月にまでかかりそうです。


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第15話 奈良時代末期から平安時代初期の漂流記〜平安遷都の章①〜

久しぶりの本編第15話スタート!


現代 地球

 

一連の怪獣災害特別支援金詐欺事件によりJAPAN EDAの現職総監であった四竈光一が逮捕されたことは全世界のEDAに衝撃を与えた。

 

その数日後、EDAニューヨーク総司令部のマックミラー総司令長官が緊急来日し、新しくJAPAN EDA総監に就任した小鞠海子と会見し、こうしたことが2度と起こらないよう申し入れた。

 

その上で、しばらくの間、総司令部より派遣された査察官がJAPAN EDAを監視することとした。

 

査察官は合計で20名ほどで、トップである首席査察官は、外務省から出向している嵯峨由三の甥にあたる嵯峨利左衛門永吉であった。

 

また、Malaysia EDAはゼロがいない間の代わりとして、ウルトラマンリブットを日本に派遣した。

 

これは、ガイやジャグラーが双方とも戦いで敗れた場合を想定して決定したことだった。

 

しかし、これにはもうひとつの理由があり、Malaysia EDAの総監アブドラ・リムは、海子が小学生時代に海外で暮らしていた時からの友人であった。そのため、友人としての義理を優先した形となった。

 

一方、怪獣災害特別支援金詐欺事件の影響で支持率が大幅に下落した嵯峨内閣は、国民に人気の高い七山米行や大温退次郎、大勝太郎、砂勝枯らを入閣あるいは自国党の幹部に就かす形で再出発した。

 

この事件が与野党に大きな影響を与えたことから、関わった議員が除名あるいは辞職し、党籍も剥奪された。

 

あまりに多くの国会議員が辞職したことにより、国会運営が成り立たなくなる異常事態であった。

 

そのため、衆議院は解散し、参議院では補欠選挙が相次いだ。

 

選挙の結果、関与した人数が一番少なかった自国党が大勝し、第2次嵯峨由三内閣が発足した。

 

七山が官房長官兼法務大臣に、大温が怪獣対策特命担当大臣に就任した。

 

党内では、大勝が幹事長に、砂勝が総務会長になるなど党内の少数派閥出身者が入閣あるいは党役員として活動することになった。

 

また、党内最大派閥を率い、絶大な権力を誇り、国民からの支持が圧倒的に高い宇部を党副総裁に、内閣には副総理兼外務大臣として据え、支持率回復の繋ぎにした。

 

野党も党首全員が交代し、与党との協力関係を重視するなど、実質的な挙国一致体制を築き始めた。

 

財界や官界でも同じような動きが相次いだ。

 

華族も事件に関わった者たちは、爵位を返上し、一般市民となったが、慣れない生活に苦戦する一族が殆どであった。

 

この事件は、日本国内の社会構造を大きく変えてしまったのである。

 

 

 

773年 地球

 

この時代は桓武天皇がまだ山部親王を名乗り皇太子の地位についたばかりの頃である。

 

雄斗は平城京の外れでワームホールから出てきた。

 

雄斗「さてと、ここは平城京か。あれ?髭がない。」

 

ゼロ「ほんとだ。ワームホールに入っている間に若返ったのか。」

 

雄斗が飛鳥時代にいた時間は37年、実質的には62歳になっていた。

 

しかし、ワームホールは若返りの作用があるのかどういうわけか元の25歳に戻っていたのである。

 

雄斗「しかし、この時代に怪獣が現れるのだろうか。」

 

すると、後ろから声がした。

 

「現れるさ。あんたと厩戸王さまが予言したんだぜ。そして今はそうなりそうな時期だ。都では不吉なことが立て続けに起こっている。あんたらの力が必要だ。」

 

雄斗「何者だ!?」

 

ゼロ「気をつけろ!」

 

「警戒されちゃ困るな。俺はあんたの子孫だよ。従三位綿部中納言雄人5世だ。つまりあんたの玄孫ってわけだ。よろしくな。」

 

雄斗&ゼロ「?」

 

雄人「ほれ、行きますよ。あんたを待っている人がいるんだ。俺が仕えている日嗣の御子山部親王さまがな。」

 

雄斗「か、か、か、桓武天皇!」

 

雄人「かんむてんのう?なんだね、そりゃ?」

 

雄斗「いや、なんでもないです。」

 

ゼロ(なんでもないわけじゃないんだよなあ。)

 

雄人「まあいいや。さあ行きましょう。」

 

雄斗は自身の子孫に連れられて山部親王の御所に来た。

 

雄人「殿下、我が国に伝わる光の勇者の伝説は真でございます。私の横にいる男がそうでございます。」

 

山部親王「そこの人よ、近うよれ。」

 

雄斗「はい。」

 

山部親王「そなた、名はなんと申す?」

 

雄斗「綿部雄斗です。爵位は子爵にございます。」

 

山部親王「うん。聖徳太子さまの予言通りじゃ。どうだ?この時代にいる間、私に仕えぬか?」

 

雄斗「謹んでお受けいたします。」

 

こうして雄斗は山部親王に仕えることになり、自身の邸も与えられ、前の時代と同様に妻や妾も用意された。

 

山部親王「ところで、私の悩みを聞いてくれぬか?」

 

雄斗「いいでしょう。」

 

山部親王「私は皇族だが、母は渡来人の末裔であるが故に藤原氏の力なしでは皇太子にはなれなかった。それも異母弟である他戸親王を廃太子にさせてまで。しかし、その他戸親王が母親である井上内親王と共に幽閉先で急死して以降、私の周りで奇怪な現象ばかり起こるようになった。これは、あの2人の祟りに違いない。頼む、官位を授ける代わりにこの事件、そなたなら解決してくれよう。」

 

雄斗「任せてください。」

 

山部親王「うむ。」

 

雄斗は、その日に正三位と大納言兼征物怪大将軍の地位を授かった。

 

山部親王「では、調査に行ってくれるな?」

 

雄斗「では、行ってきます。」

 

1人で平城京の周辺を調査する為に出かけた雄斗であったが、遠く離れた場所で誰かに見られていることには気がつかなかった。

 

「フハハハハ、久しぶりだな、雄斗。今度こそ貴様に勝ち、この地球を無かったことにしてやる。」

 

そして、その人物は闇に消えた。

 

調査している雄斗はそのことに気づかなかったが、ウルティメイトブレスレットの中にいたゼロは何かを感じたようだ。

 

ゼロ「闇の力を感じる。」

 

雄斗「え?」

 

ゼロ「気をつけろ、雄斗。あの時に感じたのと同じ闇の力を感じる。」

 

雄斗「じゃあ、あいつがいるのか?」

 

ゼロ「そう考えていいだろう。」

 

その時、後ろから聞き慣れている忌々しい声が聞こえてきた。

 

「ご名答。久しぶりだな、ウルトラマンゼロ。」

 

雄斗「何者だ!」

 

闇ジャグ「俺だよ。ダークジャグラーだよ。」

 

雄斗「貴様!」

 

和泉守兼定を手にし、後ろを振り向こうとした。

 

闇ジャグ「おっと、いけない。振り向いたら貴様を斬るぞ。」

 

ゼロ「何!?」

 

闇ジャグ「フフ、ジョークだ。」

 

雄斗「貴様が言うとジョークには聞こえないんでね。」

 

そう言って、ダークジャグラーに刀を振りかざしたが、ダークジャグラーはいとも簡単に避けた。

 

闇ジャグ「無駄よ。もうじきこの国は魔王獣によって滅びる。」

 

雄斗「何!?」

 

闇ジャグ「光の魔王獣マガゼットンを出現させる。その為には、その欠片となる怪獣を貴様が倒すのだ。」

 

ゼロ「俺を利用してマガゼットンを出現させるというのか!なんて卑怯な。」

 

闇ジャグ「卑怯もラッキョウもありませんよ。全ては力ある者が勝つ。世の中の普遍心理よ。」

 

雄斗「貴様ァ!」

 

雄斗はダークジャグラーに殴りかかったが全て受け流された。

 

闇ジャグ「無駄だ。」

 

雄斗「教えてくれ。都で現在起きている現象は本当に他戸親王と井上内親王の祟りなのか。」

 

闇ジャグ「さあな。お前ならわかるはずだ、ウルトラマンゼロ。」

 

ゼロ「俺もわからん。」

 

ダークジャグラーはわざとらしく大袈裟にため息をつくと答えた。

 

闇ジャグ「お前たちの考えていることは半分正しい。俺が教えてやる。本当は何があったのかを。」

 

 

他戸親王と井上内親王が各々、皇太子と皇后の位を簒奪され、幽閉された先で半年ほど経った頃のことである。

 

牢に何者かが近づいてきた。

 

すぐさま見張り番が取り押さえようとしたが、全員気絶させられてしまった。

 

他戸親王「何者だ!?」

 

闇ジャグ「私の名前はダークジャグラー。」

 

井上内親王「だあくじゃぐらあ?」

 

闇ジャグ「太古の昔から、この国に潜む闇の者だ。」

 

他戸親王「なぜ、そのようなお前がここに来たのだ。」

 

闇ジャグ「貴様らは憎いだろう。自分たちから地位や名誉も取り上げられ、庶人の地位まで落とした藤原の奴らとその庇護を受けた山部親王を。」

 

他戸親王「ああ、憎いさ。兄上は渡来系氏族の末裔を母に持つ。皇族の中でも身分は低い。それなのに。父上の跡を継ぐのはあいつではない。私だ!」

 

闇ジャグ「貴様らには適量の闇が潜んでいる。これは利用しがいがある。」

 

そう言って、どこからかダークリングを取り出した。

 

井上内親王「何をする気ですか?」

 

闇ジャグ「決まっている。貴様らの中にある心の闇を俺が利用してやるよ。貴様らには扱えぬ強大な闇だ。それだったら俺にくれよ。」

 

他戸親王「それで何をするのだ。」

 

闇ジャグ「決まっている。貴様らが憎いと思っている奴らを俺が代わりに呪い殺してやる。」

 

井上内親王「本当ですか?」

 

闇シャグ「本当だ。」

 

そう言うと、ダークリングを高く掲げた。

 

闇ジャグ「人間共が抱える闇よ、今こそ我に力を与え給え。闇よ!大いなる闇よ!」

 

すると他戸親王と井上内親王から怨念ともいえる大量の邪気が溢れ出た。

 

闇ジャグ「フハハ、フハハハハ!ついに手に入れたぞ!うん?」

 

ダークジャグラーの視線の先には他戸親王と井上内親王が息絶えた姿だった。

 

闇ジャグ「耐えられなかったか。まあいい。この力が手に入ったから良しとしよう。」

 

他戸親王と井上内親王が、急死したことは光仁天皇の元にも届けられた。

 

光仁天皇「どうするかの。きちんと葬ってやりたいものだ。」

 

しかし、藤原式家の藤原種継や藤原百川らが反対した。

 

「彼らは帝を呪詛して帝位に就こうとしたのですぞ。丁重に扱う必要はございませぬ。」

 

こうして藤原氏の反対で、事は終わった。

 

しかし、それ以降、都では、不吉な現象ばかりが起きるようになった。

 

人々は他戸親王と井上内親王の怨霊のせいだと噂したが、実際には2人の怨念を邪気として利用し、怪獣を出現させようとしたダークジャグラーの仕業であった。

 

 

話を終えてダークジャグラーは薄気味悪く笑った。

 

闇ジャグ「どうだ。面白いだろ。」

 

雄斗「ふざけるな。関係のない人を利用してこの世界を滅ぼすとは!」

 

闇ジャグ「さて、そろそろ始めるかな。」

 

ゼロ「何をする気だ。」

 

闇ジャグ「決まっているだろ。出よ!宇宙恐竜ゼットン!」

 

そう言うとダークリングを取り出し、高く掲げた。

 

リングは妖しく光るとゼットンを召喚した。

 

ゼットンが現れ、都中が大騒ぎになった。

 

雄斗「厄介だな。」

 

闇ジャグ「ふん。ゼットン、EXゼットン、2体のハイパーゼットン、ファイヤーゼットン、そして宇宙恐魔人ゼットを倒すことで、光の魔王獣マガゼットンが誕生する。」

 

ゼロ「何!?」

 

闇ジャグ「勘違いしては困るが。ハイパーゼットンを倒しても怪獣は減らんぞ。」

 

雄斗「どういうことだ。」

 

闇ジャグ「ハイパーゼットンを倒したら、また新たな怪獣が現れるのだ。磁力怪獣アントラー、双頭怪獣キングパンドン、用心棒怪獣ブラックキング、ミサイル超獣ベロクロン、暴君怪獣タイラントがな。フハハハハハ。しかし、タイラントを倒してもまた怪獣が現れる。そしてこの世は地獄となる。」

 

ゼロ「まさか、竜巻怪獣シーゴラス、異次元宇宙人イカルス星人、宇宙大怪獣ベムスター、液汁超獣ハンザギラン、殺し屋超獣バラバ、どくろ怪獣レッドキング、大蟹超獣キングクラブが現れるというのか。」

 

雄斗「怪獣や超獣それに宇宙人が7体も。」

 

闇ジャグ「それほど、あの2人の怨念が強かったのだ。」

 

雄斗「でも、怨念がそんなに強くても怪獣が多く現れるとは限らない。」

 

闇ジャグ「甘いな。」

 

ゼロ「まさか!山部親王が帝位に就いた後にまた犠牲者が増えるというのか。」

 

闇ジャグ「その通り。そして、その怨念を利用して怪獣が出現するのだ。」

 

雄斗「そんなことは許さない。」

 

ゼロ「俺たちが、その野望、阻止してみせる!」

 

それを聞いてダークジャグラーは笑い出した。

 

闇ジャグ「ほう、面白い。やれるもんな〜ら〜や・って・み・ろ!」

 

まるで◯沢◯樹の大◯田常務みたいな喋り方であるのは気にしないでおこう。

 

雄斗「行こう、ゼロ!」

 

ゼロ「おう!」

 

雄斗&ゼロ「ジュワ!」

 

平城京の外れに現れたゼットンは宮殿めがけて前進を始めた。

 

人々は、あまりの恐怖に逃げることもできなくなっていた。

 

「祟りじゃ!他戸親王さまと井上内親王さまの祟りじゃあ!」

 

これもまた、『祟りじゃ!八◯◯村の祟りじゃあ!』と同じくらいのインパクトがある。

 

そして、ゼットンの視線には逃げ遅れた山部親王の姿があった。

 

闇ジャグ「見つけたぞ、桓武天皇いや皇太子山部親王!フハハハ、フハハハハ、フハハハハハ!いざ、焼却!」

 

ゼットンが1兆度の火球で山部親王を消し去ろうとした。

 

「皇太子さま!」

 

山部親王は思わず目をつぶったが、攻撃する気配がなかった。

 

恐る恐る目を開けると、

 

山部親王「!」

 

現れたウルトラマンゼロがウルトラゼロディフェンダーを手にして必死に防いでいる状態だった。

 

「光の巨人だ!」

 

「聖徳太子さまの予言通りじゃ!」

 

貴族たちは感激した様子だった。

 

雄斗「皇太子さま、早くお逃げください!」

 

山部親王「ああ。」

 

山部親王らが逃げたのを確認したゼロはゼットンに突進した。

 

そして、ゼットンを抱えこむと平城京からだいぶ離れた場所に着地した。

 

そして、攻撃しようとしたが、ゼットンは瞬間移動した。

 

雄斗「どこだ?」

 

ゼットンは後方に出現し、火球を発射、ゼロに直撃した。

 

ゼロ「うわ!」

 

急いで攻撃してきた場所を振り返ったが、何もいなかった。

 

雄斗「逃げ足が速いというかなんというか。」

 

ゼロ「これなら、どうだ。」

 

ゼロスラッガーを投げたが、虚空を回り続けるだけであった。

 

雄斗「これで本当にいけるのか?」

 

ゼロ「ああ、大丈夫だ。」

 

ゼロの後ろに再びゼットンが出現し、火球を放とうとした瞬間、ゼットンの前方と後方から2本のゼロスラッガーが直撃し、ゼットンはなす術をなくした。

 

雄斗「ドンピシャ!」

 

ゼロ「ああ、ワイドゼロショット!」

 

ワイドゼロショットを放ったが、ゼットンが張ったバリアでそのまま跳ね返され、ゼロに直撃した。

 

雄斗&ゼロ「うわ!」

 

そして、ほとんどの場合、変わらないはずのカラータイマーが赤に変わった。

 

ゼロ「くそ!」

 

ゼットンに殴りかかったが、バリアが邪魔でバリアが手に当たってしまった。

 

ゼロ「うお!痛えな、コノヤロウ!」

 

その時、何かに気づいた雄斗が声を上げた。

 

雄斗「バリアだ!バリアの弱点を見つけた。」

 

ゼロ「どういうことだ。」

 

雄斗「その前に身体の主導権を僕に渡して。」

 

ゼロ「良いけど、この状態は初めてだぞ。」

 

雄斗「いいから、いいから。」

 

ゼロが身体の主導権を雄斗に渡すと雄斗は、どこを攻撃するか見極めた。

 

雄斗「そこだ!ファイヤー!」

 

そのままゼットンの頭上にキックした。

 

すると、バリアは解けゼットンはよろけた。

 

雄斗「ワイドゼロショット!」

 

なす術の無くなったゼットンは直立不動の体勢で後ろに倒れ、爆散した。

 

雄斗「ヤッター!」

 

ゼロ「すごいじゃないか。どうしてわかったんだ。」

 

雄斗「どんなに強い奴でも弱点は必ずある。そこで考えたんだ。ゼットンにも弱点はあるんじゃないかって。そしたらバリアを張る時、真上だけにバリアが張らなかった。そこが弱点だと思って攻撃したんだ。」

 

ゼロ「流石、俺の相棒だな。」

 

雄斗「そうだな。帰ろう。」

 

ゼロ「おう。」

 

そのまま山部親王の御所に戻っていった。

 

ゼットンが倒された後、ダークジャグラーはただ呆然と立っていた。

 

闇ジャグ「くそ!なんでだよ!なんなんだよ!一度くらい俺に勝たせろよ!ウルトラマンゼロ!ウアアア!」

 

その様子を通りかかった農民が見てしまい、恐怖のあまりものすごい速さで逃げたが、ダークジャグラーは気が付かなかった。

 

山部親王「雄斗、良くやってくれたな。」

 

雄斗「ええ。」

 

山部親王「陰陽師によると8年後くらいまで物怪は現れないそうだ。」

 

ゼロ「物怪というより怪獣なんすよね。」

 

山部親王「え?」

 

雄斗「あの怪獣は他戸親王と井上内親王の死後に現れましたが、黒幕がいるのです。彼らの怨念に見せかけて怪獣を出現させた輩が。」

 

山部親王「何!?」

 

まさかの真実に驚愕した様子だった。

 

 

8年後の781年

 

山部親王の父であった光仁天皇が崩御し、山部親王が桓武天皇として即位した。

 

桓武天皇「我が弟早良親王を皇太子とする。」

 

「ははあ!」

 

桓武天皇「雄斗よ、余の側近として変わらず仕えてくれ。」

 

雄斗「はい。」

 

その翌日、ダークジャグラーが平城京の外れに立っていた。

 

闇ジャグ「作戦を第2段階に移行する。」

 

そう言うとダークリングを上に掲げた。

 

闇ジャグ「出でよ!EXゼットン、ファイヤーゼットン、宇宙恐魔人ゼット!」

 

その途端、空が急に暗くなり雷が鳴り響いた。

 

人々は恐怖を感じてしまった。

 

「こ、これは、他戸親王さまと井上内親王さまの祟りではないのか。」

 

「まだ彼らの祟りは収まっていなかったのか。」

 

そして、EXゼットン、ファイヤーゼットン、宇宙恐魔人ゼットが現れた。

 

恐魔人ゼット「出てこい!ウルトラマンゼロ!我らと勝負だ!」

 

桓武天皇「雄斗、あんなことを言っておるが。」

 

雄斗「ここは私に任せてください!陛下は皆さんと一緒にお逃げを!」

 

桓武天皇「ああ!」

 

雄斗は、EDAガンを取り出すと、都の外れまで3体の怪獣を誘導した。

 

雄斗「こっちだ!」

 

雄斗の姿に気づいた恐魔人ゼットがEXゼットンとファイヤーゼットンを引き連れ、後を追いかけた。

 

恐魔人ゼット「見つけたぞ!ウルトラマンゼロ!我らと勝負だ!」

 

ゼロ「望むところだ!雄斗!」

 

雄斗「おう!」

 

ゼロ&雄斗「ジュワ!」

 

眩い光と共にウルトラマンゼロが現れた。

 

貴族たちはここぞとばかりに安心した。

 

「雄斗殿じゃ!」

 

「光の巨人じゃ!聖徳太子さまの予言は真であったか!」

 

しかし、とある農民が偶然雄斗がゼロになる瞬間を目撃してしまった。

 

「えらいことじゃ!人間が巨人に!か、母ちゃんに報告じゃあ!しかも、あのお召し物はお天道様のお側に仕えている偉い方しか着れんのじゃ!か、母ちゃんに報告じゃあ!」

 

と言って急いで帰ろうとするが、ダークジャグラーに出くわしてしまった。

 

闇ジャグ「そこの人、どちらに?」

 

「に、人間が巨人に!む、村に帰って、か、母ちゃんに報告するだ!そこをどいてくれえ!」

 

闇ジャグ「悪いが、そこを通すことはできん。真実を知ってしまった以上、お前を生かしておくことはできん。」

 

「なぜじゃ。」

 

闇ジャグ「なぜって俺もこういう者ですから。」

 

そう言うと魔人態に変化した。

 

その途端、農民は震え出した。

 

「も、物怪!いや、よ、妖怪!み、都は恐ろしいところじゃて。頼む!何も言わない!おらを村に帰してくれえ!」

 

ダークジャグラーは刀を取り出すと、その農民めがけて斬った。

 

「あ!」

 

生き絶えた。

 

闇ジャグ「馬鹿者めが。」

 

その頃、ゼロはEXゼットン、ファイヤーゼットン、恐魔人ゼットと対峙していたが、やや劣勢だった。

 

EXゼットンに蹴られると、すぐ後ろにいるファイヤーゼットンに羽交締めされ、恐魔人ゼットにパンチされるという状態である。

 

恐魔人ゼット「ヌハハ!ヌハハハハ!こんなものか?ウルトラマンゼロ!」

 

雄斗「くそ!何か手はないのか!」

 

ゼロ「こうなったら、エメリウムスラッシュ!」

 

不意打ちでEXゼットンは後退した。

 

そのおかげでゼロはファイヤーゼットンの拘束から逃れられることができた。

 

ゼロ「ブラックホールが吹き荒れるぜ!」

 

恐魔人ゼット「ほう。なかなかやるなあ。」

 

雄斗「俺たちが負けるなんて、」

 

ゼロ「2万年早いぜ!」

 

EXゼットンが100兆度の火球トリリオンメテオをファイヤーゼットンも火球を放ち、ゼロはそこに巻き込まれた。

 

人々は負けを覚悟した。

 

そして、本来、喜ぶであろうこの男には想定外だったのか

 

闇ジャグ「嘘だろ...」

 

しかし、恐魔人ゼットは、

 

恐魔人ゼット「ガハハ!ガハハハハハ!我、ウルトラマンゼロを討ち取ったり!うん?」

 

なんと、ストロングコロナゼロにモードチェンジしたゼロが無傷で立っていた。

 

恐魔人ゼット「そんな馬鹿な!貴様はあの爆発には耐えきれんはず。」

 

雄斗「俺たちを甘く見てもらっちゃ困るぜ。」

 

ゼロ「そうだぞ。なんて言ったって俺たちはウルトラマンなんだ!さあ、反撃開始だ!」

 

雄斗「おう!」

 

遠くで眺めていたダークジャグラーはご満悦の表情だった。

 

闇ジャグ「そうでなくては。こうならないと面白くないんでね。」

 

雄斗「ガルネイトバスター!」

 

EXゼットンにガルネイトバスターが直撃し、EXゼットンは直立不動の体勢で後ろに倒れ爆散した。

 

ゼロ「まだまだ!」

 

今度はルナミラクルゼロにモードチェンジし、

 

雄斗「ミラクルゼロスラッガー!」

 

無数のゼロスラッガーが宙を舞い、ファイヤーゼットンに突き刺さった。

 

ゼロ「からのレボリウムスマッシュ!」

 

あまりの衝撃波にファイヤーゼットンは耐えられず、吹き飛ばされた後に爆散した。

 

雄斗「残るはお前だけだ。恐魔人ゼット!」

 

ゼロ「俺の弟子と同じ名前しやがって。紛らわしいぞ、テメエ!」

 

雄斗「Zさんやハルキさんのこと弟子って認めてんのね。」

 

ゼロ「まだまだ三分の一人前だけどな。ってそんなことはどうでもよろしいがな。さっさと貴様を倒してやる。恐魔人ゼット!」

 

恐魔人ゼット「いざ勝負!」

 

2体の巨人が殴り合い、蹴り合い、宙に舞って刀と矛で戦うが、互角であった。

 

雄斗「ふん!おりゃあ!」

 

雄斗はインナースペース内でレイモンの姿になり、その影響でゼロもタイプチェンジし、レイオニクスノーマルになった。

 

これで形勢はゼロに若干有利となる。

 

ゼロ「これで決める!」

 

雄斗「ワイドレイオニクスゼロショット!」

 

逃げようとした恐魔人ゼットはワイドレイオニクスゼロショットに巻き込まれ、

 

恐魔人ゼット「うおお!我が、この我が負けるとは!ぐは!」

 

爆散した。

 

雄斗「ヤッター!」

 

ゼロ「帰るか。」

 

雄斗「ああ。」

 

桓武天皇の元へ帰っていった。

 

闇ジャグ「相変わらず俺を楽しませてくれますねえ。ウルトラマンゼロ!」

 

そのまま闇に消えた。

 

この年以降、寺院勢力が政治的発言力を増し、桓武天皇らを悩ませることになった。

 

彼らの言い分は、こうである。

 

「怪獣が相次いで現れるのは、御仏が帝の所業にお怒りのご様子だからだ。」

 

それを聞いて桓武天皇は雄斗らに言った。

 

桓武天皇「仏教勢力の力が及ばぬ所に遷都したいものだ。」

 

その時、藤原種継が声をあげた。

 

種継「そのお役目、この私にお任せください。必ずや帝のご期待に添えられますよう尽力いたしまする。」

 

桓武天皇「良きにはからえ。」

 

そして、何ヶ月か経ち、種継が戻ってきた。

 

桓武天皇「どうであったか?」

 

種継「山背国長岡が適当かと。」

 

桓武天皇「なるほど、そこにしよう。種継、そなたを造営の責任者に任命する。」

 

種継「御意。」

 

そして桓武天皇は雄斗に対して話しかけた。

 

桓武天皇「さて、山背国という名前は縁起が悪いな。」

 

雄斗「この際ですので、山城国に変えましょう。」

 

ゼロ「俺もそう思っていた。」

 

桓武天皇「わかった。そうしよう。」

 

こうして平城京から長岡京に遷都されることになった。

 

 

 

(続く)




次は②に入ります。

長岡京遷都あたりからスタートです。


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第16話 奈良時代末期から平安時代初期の漂流記〜平安遷都の章②〜

第16話スタート!


現代 地球

 

真田グループホールディングスは日本を代表する大企業のひとつである。

 

当主であり第2代社長の真田義信子爵は雄斗の母方の叔父にあたる人物だ。

 

真田家は元々は爵位を持たない家系であったが、義信の妹が山梨県知事綿部伯爵家に嫁ぐことにより男爵家に、そして義信の姪であった梓が義信の養子となったことで子爵家へと成長した。

 

今や日本有数の爵位を持つトップ企業になった真田グループホールディングスはJAPAN EDAの前総監四竈光一を中心に政財官界が巻き起こした怪獣災害特別支援金詐欺事件に関わらなかったため、損害を被ることはなく、健全な経営を続けている。

 

そんな真田グループホールディングスにJAPAN EDAが任したのは戦艦大和を改造し、宇宙空間での作戦時に使用できるようにすることである。

 

更には、ここにきて新たな要求がJAPAN EDAから提示された。

 

現在、時空の彼方に飛ばされ、過去の世界を彷徨っている雄斗とゼロを救出するための特殊な装置を改造中の戦艦大和に設置することであった。

 

いくらなんでもそれは無茶な要求だと誰もが感じていた。

 

しかし、ウルトラマンエックスこと大空大地の持つサイバーウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロカードとウルトラマンオーブことクレナイガイの持つウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロのフュージョンカード及びウルトラマンジードこと朝倉リクの持つウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロカプセルを解析することによって、その力の抽出が可能になることが明らかとなった。

 

ただ、初期段階で、往復1回のみ使用できるという制限があるため、成功するかはかなりの賭けである。

 

失敗した場合、戦艦が永遠に時空の狭間を彷徨うことになる。

 

また、雄斗たちがいる時代を空間航跡にトレースするため、若干の誤差が生じた場合、雄斗たちが既にその時代にいないという状況もありえる。

 

このような感じで1ミリのミスも許されないかなり細かい作業に工員たちは連日連夜集中した。

 

義信「私たち経営陣もこの作業を手伝う。工員たちの負担を少しでも減らすために。」

 

これには社員たちも驚いた。

 

会社のトップが傘下企業の下部組織人たちの職務を手伝うなど前代未聞のことであったからだ。

 

口には出さなかったが、工員たちは全員わかっていた。

 

義信がこれを手伝う理由は、甥を心配するあまりじっとして待っていることができないということ、そして実兄の帰りを日々待っている梓を不憫に思ってのことだと。

 

このことで義信が社員たちから慕われ、梓を事実上の後継者へと誰もが認める出来事になるのは、数年後のことになる。

 

 

 

785年 地球

 

この年、長岡京で新年の儀式が開催された。

 

雄斗「陛下、ようやく宮殿が完成いたしました。」

 

種継「陛下、おめでとうございます。」

 

桓武天皇「うむ。私は帝の家系だが、渡来人の末裔でもある。そのために雄斗や種継の地盤があるこの地で安定した政をしたいのじゃ。」

 

雄斗「寺院勢力とも距離を置けられますものね。」

 

桓武天皇「その通りじゃ。我が弟早良よ、よろしく頼むぞ。」

 

早良親王「はい。」

 

 

それから9ヶ月後のある夜のこと

 

藤原種継が従者たちを引き連れ、造営現場の見回りをしていた。

 

種継「ここは、こうか。」

 

「ええ、そのようですな。」

 

種継「わかった。よろしく頼むぞ。うっ!」

 

「種継殿、どうしましたか?種継殿?種継殿?うん?ギャー!」

 

藤原種継は頭を矢で射られ、即死の状態だった。

 

その頃、桓武天皇の寝所で雄斗は桓武天皇と話をしていた。

 

ゼロ「うん?なんか今叫び声が聞こえたような。」

 

雄斗「なんだろう。気のせいだろう。」

 

桓武天皇「どうしたのじゃ?」

 

雄斗「今、叫び声がしたような。」

 

桓武天皇「わしもじゃ。まあ気のせいだろう。」

 

しかし、急使の知らせでそれは気のせいでないことがわかった。

 

桓武天皇「何だと!もう一度申してみよ。」

 

「ですから、藤原種継殿、何者かに射殺された模様。」

 

桓武天皇「雄斗、あとは任せた。」

 

雄斗「御意。」

 

雄斗は、そのまま自身の邸に帰った。

 

正室で桓武天皇の異母妹である縄努摩内親王が出迎えた。

 

縄努摩内親王「あなた、お帰りなさい。今日はやけに帰りが早いですね。」

 

雄斗「ああ、ただいま。藤原種継殿が何者かに射殺された。これから私は首謀者らを捕まえる。」

 

縄努摩内親王「まあ、そんなことが...。お気をつけて。」

 

雄斗「気をつけるよ。」

 

そして、廊下を出ると側室で藤原種継の妹である藤原清子に会った。

 

清子「兄の身の上に何があったのですか?教えて下さい!」

 

雄斗「詳しいことは言えぬが、種継殿が暗殺された。」

 

清子「そんな。」

 

雄斗「私は首謀者らを捕まえる。だから安心せい。」

 

程なくして、藤原種継暗殺事件の実行犯及び中心人物らが捕まった。

 

その中には東大寺に関わる役人も複数おり、雄斗の子孫である世襲雄人5世もいた。

 

雄斗「まさか、お前まで関わっていたとは。」

 

雄人「うっ!申し訳ございませぬ!私はあのお方に指示されてやっただけです。信じてください。」

 

桓武天皇「誰が指示したのじゃ。言え!」

 

雄人「皇太子早良親王さまでございます。」

 

雄斗&桓武天皇「!?」

 

雄斗「すぐに早良親王さまを捕らえよ!陛下の弟君ではあるが、容赦するな!」

 

「は!」

 

そして早良親王は拘束され、乙訓寺に幽閉された。

 

早良親王「私はなぜ幽閉されるのだ。」

 

「藤原種継殿を暗殺した罪だ。」

 

早良親王「知らん!私は知らん!私はやっていない。兄上が私を疑っているのは何かの間違いだ。」

 

雄斗「見苦しいですぞ、皇太子さま。あなたがやったことは私の子孫である雄人5世が白状したぞ。」

 

早良親王「おのれ!許さんぞ!」

 

雄斗は早良親王が幽閉された乙訓寺を出て、御所に向かった。

 

その道中

 

ゼロ「本当に早良親王が首謀者なのか?もう1度調べ直してはどうだ?」

 

雄斗「必要ない。何度調べても首謀者は早良親王で間違いなかった。」

 

ゼロ「確かにな。逮捕された全員が早良親王が首謀者だと言っていた。」

 

雄斗「仮に早良親王が無罪だとしてだ、彼は誰かに恨まれる性格か?」

 

ゼロ「確かに誰かが彼を恨んでいるという噂は聞いたことがない。ということは彼が首謀者であることに間違いはない。」

 

雄斗とゼロは、そう結論付けた。

 

そして、御所にいる桓武天皇に上奏した。

 

雄斗「何度も調べましたが、皇太子さまが種継殿暗殺の首謀者に変わりはございませんでした。」

 

桓武天皇「そうか。臣下の者たちを集めてくれ。」

 

雄斗「は!」

 

貴族たちが集められ、桓武天皇は事件に関わった者たちの処分を告げた。

 

そして、最後に

 

桓武天皇「従三位綿部中納言雄人5世は都にて斬首す。皇太子早良親王は淡路国に配流とす。」

 

「は!」

 

早良親王は幽閉先の乙訓寺から出された。

 

早良親王「兄上は私を無実と認めてくれたのですね。」

 

雄斗「残念だが、あなたは廃太子とし、淡路国へ流罪とすることが決まった。」

 

早良親王「そんな!私は無実だ!それは兄上もご存じのはずだ!そうだ!雄人5世は?あんたの子孫がよく知ってるはずだ。彼は今どこにいるんだ。」

 

雄斗「残念だが、死罪になると決まった。。明日の正午、斬首される。執行人は皮肉にも私だ。」

 

早良親王「信じてくれ!私は首謀者ではない。確かに連座した者たちと共に行動はした。しかし、首謀者は私ではないのだ。首謀者は実行した従三位綿部中納言雄人5世だ。」

 

ゼロ「ほう。ようやく吐いたか。移送せよ。」

 

「は!」

 

早良親王は、その後も自分は首謀者ではないと叫びながら、淡路国へと移送された。

 

翌日の正午

 

「罪人、従三位綿部中納言雄人5世、何か言い残すことはないか?」

 

雄人「ありませぬ。」

 

「そうか。では執行人正三位綿部大納言兼征物怪大将軍雄斗殿、よろしいぞ。」

 

雄斗「はい...。ごめん!」

 

こうして雄人5世は処刑された。

 

雄斗の手には和泉守兼定で首を斬った感触がいつまでも残った。

 

雄斗(少し首が太かったかな。)

 

一方、移送された早良親王は、その後も自身はやっていないの一点張りで更に抗議の意思を示してか断食をした。

 

そして、2週間後、河内国高瀬橋付近で憤死した。

 

この知らせは桓武天皇にも届けられた。

 

桓武天皇「そうか。」

 

この件は終わった。

 

皇太子には桓武天皇の第一皇子である安殿親王が立てられた。

 

それからしばらくして、安殿親王は病気となり、その直前には変な生物の出現が相次いだ。

 

雄斗は目撃した貴族たちにその生物の特徴を聞いた。

 

「瞬間移動するのじゃ。」

 

雄斗「瞬間移動?」

 

「この前現れたゼットンっていう物怪を細くしたような物怪じゃったわ。」

 

ゼロ「ゼットンを細くしたような体型か。」

 

「のう、雄斗殿、そなたなら正体がわかったであろう?」

 

雄斗「ハイパーゼットンだな。それは。」

 

「そう言うのか。そうそう2体現れた。」

 

雄斗&ゼロ「2体!?」

 

「何をそんなに驚かれる。そなたなら倒せるであろう?」

 

雄斗「ハイパーゼットンは1体でも苦戦するゼットン種類の怪獣では最も恐ろしい。それを2体も相手にするとは流石に。」

 

「そんなに恐ろしいのか。」

 

雄斗「ええ。」

 

「のう雄斗殿、もうひとつだけよろしいか?これも中納言殿と早良親王さまの祟りではないのか?」

 

雄斗「考えられるのはただひとつです。怪獣襲来の黒幕が密かに彼らに接触し、怨念を吸い取った。早良親王さまが亡くなったのは断食が原因ではない。そいつに怨念を全て吸い取られ、吸収の反動に耐えきれずにお亡くなりになった。」

 

雄斗は今までの経験からそう言った。

 

その時、その場にいる貴族たちとは違う声が聞こえてきた。

 

「ご名答。全て俺が仕向けたことさ。」

 

雄斗「ダークジャグラー、やはり貴様か。」

 

闇ジャグ「12年ぶりだな。雄斗。」

 

そう、この事件もダークジャグラーが裏で糸を引いていたのだ。

 

突然の登場に貴族たちは酷く狼狽していた。

 

「ゆ、雄斗殿、だ、誰じゃ。こ、こやつは。」

 

雄斗「危ないので下がって下さい!こいつは、この時代に怪獣を呼び寄せてこの世界を滅ぼし、全宇宙からこの惑星を消滅させようと企てている者どもの一味。」

 

「なんと!逃げろ!」

 

他の貴族たちは全員逃げ、雄斗とダークジャグラーだけが残った。

 

雄斗「怨念をまた集めて、そんなにこの世界を滅ぼしたいのか。」

 

闇ジャグ「当たり前よ。これから桓武天皇の身近な人間どもが病気やら何やらで死ぬぞ。更には天変地異まで発生するだろうよ。」

 

ゼロ「何!?」

 

闇ジャグ「出でよ、ハイパーゼットン及びハイパーゼットンデスサイス!」

 

ダークジャグラーはハイパーゼットンとハイパーゼットンデスサイスを召喚した。

 

雄斗「くそ!」

 

闇ジャグ「お前にこいつらは倒せるかな?フハハハハ!さらばだ!」

 

ダークジャグラーは何処かへと走り去っていき、雄斗はそのあとを追おうとした。

 

ゼロ「待て、雄斗!こいつらを倒すのが先だ。」

 

雄斗「そうだな、ゼロ!」

 

雄斗&ゼロ「ジュワ!」

 

ウルティメイトブレスレットからウルトラゼロアイを取り出した。

 

実に12年ぶりの変身である。

 

都は、2体のハイパーゼットンの出現で大混乱に陥っていた。

 

そこにウルトラマンゼロが現れたため、貴族たちは全員安心した。

 

ゼロはまず、ハイパーゼットンに蹴りを入れようとしたが、瞬間移動されて逆に蹴られた。

 

さらにデスサイスにも蹴られ、最初から苦戦を強いられた。

 

そして、双方から火球を浴びせられ、ついには倒れてしまった。

 

闇ジャグ「フハハハハ!どうだ?苦しいだろう?ウルトラマンゼロ!」

 

雄斗「ダークジャグラー!ふざけるな!」

 

闇ジャグ「貴様らはハイパーゼットンには勝てん。潔く負けを認め、我が軍門に降れ。」

 

ゼロ「断る。俺たちはウルトラマンだ。闇を取り除き、光に変える。それが俺たちの役目だ!」

 

闇ジャグ「そうか残念だ。とどめを刺せ!ハイパーゼットン!」

 

ダークジャグラーの命令に応えるかのごとく2体のハイパーゼットンは暗黒火炎コラプサーオーラを放ち、ゼロを飲み込んだ。

 

闇ジャグ「フハハハハハ!ベリアル様に逆らう勢力は皆死ぬのみ!フハハハハ!うん?」

 

ゼロは飲み込まれる直前にネオ・フュージョンライズしたため、無事であった。

 

闇ジャグ「そんな馬鹿な!うっ!」

 

なんとダークジャグラーの腹部に矢が刺さっており貫通していた。

 

おそるおそる後ろを振り返ると1人の貴族が弓を放ったあとだった。

 

闇ジャグ「貴様ァ!」

 

「お前は囲まれている。大人しく投降するんだ。」

 

見ると、草むらに何人かの貴族が潜んでいたが、ダークジャグラーは笑い出した。

 

「何がおかしい。」

 

闇ジャグ「貴様は何もわかっていないな。俺は闇が多ければ多いほど死なん。例え、俺が捕まっても怪獣は現れ続ける。」

 

「その時は雄斗殿が倒してくれるさ。」

 

闇ジャグ「ふん!」

 

その貴族は動揺せず、ゼロに向かって話しかけた。

 

「雄斗殿、今ですぞ!」

 

雄斗「は!この声は!」

 

ゼロ「従者の廣松!」

 

雄斗はインナースペースから外の様子を見た。

 

すると、雄斗配下の下級貴族たちがダークジャグラーを取り囲んでおり、更にはダークジャグラーの腹部を矢が貫通して刺さっていた。

 

ゼロ「よし!ハイパーゼットンを倒してやる!」

 

2体のハイパーゼットンが再び暗黒火炎コラプサーオーラを放った。

 

雄斗「無駄だ。クワトロスラッガー!」

 

4本のスラッガーがハイパーゼットンに当たり、暗黒火炎コラプサーオーラを放てなくなったハイパーゼットンは後ろによろけた。

 

ゼロ「とどめだ!バルキーコーラス!」

 

2体のハイパーゼットンは直立不動の体勢のまま後ろに倒れ爆散した。

 

闇ジャグ「くそ!」

 

叫んだあと自信に突き刺さった矢を引き抜き、捨てた。

 

そして傷口から血が大量に流れたが、すぐに止血し、闇で傷口も覆われ元通りになった。

 

「ヒー!バケモノじゃ!」

 

廣松「臆するな!相手は1人。捕らえよ!」

 

闇ジャグ「舐められたもんだな、小僧!これであの世行きだ!」

 

そう言って、廣松に斬りかかろうとしたが、金縛りにあったかのように動けなくなった。

 

闇ジャグ「な、なんだ?」

 

背後から雄斗の声がした。

 

雄斗「ここまでだ。」

 

声は雄斗だが、身体の主導権はゼロでウルトラ念力でダークジャグラーの動きを制限していたのだ。

 

闇ジャグ「やめろ!やめてくれ!放せ、この野郎!」

 

雄斗「いいだろう。その刀を鞘に収めるのが条件だ。」

 

闇ジャグ「...。わかった。」

 

渋々同意し、刀を鞘に収めたあと雄斗に近づいた。

 

闇ジャグ「今回は負けたが、次こそは貴様の首を取って、ベリアル様に献上してやる。」

 

雄斗「それはどうかな。」

 

闇ジャグ「フフ。」

 

不気味に笑うとそのまま闇に消えて、その場に雄斗と廣松たちが残された。

 

廣松「嫌な奴。雄斗殿、さっきの奴は誰ですか?」

 

雄斗「早良親王の怨念を利用して怪獣を出現させた全ての黒幕だ。少なくともこの世界に数万年前から棲む闇の化身だ。」

 

廣松「闇の化身...。とりあえず無事で何よりです。さあ帰りましょう。」

 

雄斗「ああ。」

 

雄斗は桓武天皇の御所に戻った。

 

桓武天皇「怪獣退治、ご苦労であった。」

 

雄斗「はい。」

 

桓武天皇「うむ、あれをここへ。」

 

「は!」

 

すると安殿親王が召し出された。

 

雄斗「もう大丈夫なのですか?」

 

安殿親王「心配をかけてすまなかった。もう大丈夫じゃ。」

 

雄斗「そうですか。よかった。」

 

臣下たちは安心した。

 

しかし、不幸はこれだけではなかった。

 

桓武天皇の妃であった藤原旅子が788年に、藤原乙牟漏と坂上又子が790年に病死した。

 

更に同時期に桓武天皇の生母であった高野新笠が病死、都では疫病が流行ったり、天変地異が起きるなど不幸が相次いだ。

 

この時、アントラー・キングパンドン・ブラックキング・タイラント・シーゴラス・イカルス星人が同時に出現した。

 

雄斗は苦戦を強いられるであろうと予想したが、イカルス星人が突如として怪獣軍団から離反し、雄斗側についた。

 

イカルス星人には侵略の意思はなく、ダークジャグラーに言われた通りに地球に来ただけであった。

 

この戦いに勝利したイカルス星人は、雄斗配下の渡来系下級貴族斑鳩類洲として桓武天皇に仕えることになる。

 

(もちろん今後のストーリーにも欠かせない存在となる。)

 

一方、桓武天皇は一連の出来事を早良親王の祟りであると判断し、鎮魂の儀式を何度も行った。

 

800年には崇道天皇と追贈し、近衛少将兼春宮亮大伴是成が淡路国津名郡の山陵へ陰陽師や僧を派遣し、陳謝させたうえ墓守をおいた。

 

それでも怨霊への恐れを抱いていた桓武天皇は805年、早良親王の遺骸を大和国に移葬した。

 

それ以前の794年には都を移し、平安京を新しい都とした。

 

801年には3度目の蝦夷征討を実行するため、坂上田村麻呂を征夷大将軍に任命した。

 

雄斗と類洲は田村麻呂の補佐として同行した。

 

この人選がなされた時、雄斗と類洲は猛反対した。

 

自分たちは未来人であり、特にウルトラ戦士は一体化しているその星の知的生命体を含め、文明特にその星の政治体制に干渉してはいけないという暗黙のルールがあると伝えた。

 

しかし、桓武天皇は、君らは既にその掟を破っており、普通に暮らしている。それに最近の蝦夷勢力はどうもおかしい。巨大生物を使役し、外部から来た人たちを攻撃している。これは雄斗の言うダークジャグラーという人物が関わっているのではないだろうかと言った。そう言われたら雄斗たちも見過ごすわけにはいかない。田村麻呂の追討軍に副将軍級の幹部として従軍することにしたのであった。

 

出発し、雄斗は田村麻呂と話をしていた。

 

田村麻呂「雄斗殿、少しよろしいか?」

 

雄斗「なんでしょうか?」

 

田村麻呂「帝はそなたにダークジャグラーの件だけは伝えた。しかし、もうひとつあるのだ。」

 

雄斗「もうひとつ?」

 

田村麻呂「はい。あれは数日前のことでござった。」

 

 

蝦夷追討軍出発の数日前

 

田村麻呂は桓武天皇に呼ばれた。

 

田村麻呂「帝、御用件は?」

 

桓武天皇「うむ。この前、謎の人物のお告げを夢で見たのだ。」

 

田村麻呂「どのような夢で?」

 

桓武天皇「『復讐の時は来た。赤い雨が降る。それが我ら復活の前触れ。』というお告げじゃ。ダークジャグラーの他にも蝦夷の件に関っている邪悪な宇宙人がいるのではないかと思うのじゃ。」

 

田村麻呂「単なる夢だと良いのですが。」

 

桓武天皇「しかし、どうも気になる。」

 

田村麻呂「雄斗殿と類洲殿にはお伝えしますか?」

 

桓武天皇「彼らには出発した後、そなたの口から伝えてくれ。」

 

田村麻呂「御意。」

 

 

この話を聞いて驚いたのはゼロだった。

 

近くにいた類州にテレパシーを送った。

 

ゼロ(イカルス星人、聞こえるか?)

 

類州(そのテレパシーはウルトラマンゼロじゃなイカ。聞こえるぞ。要件はなんだ。)

 

ゼロ(蝦夷の件に関わっているのはダークジャグラーだけではない。)

 

類州(どういうことだ?)

 

ゼロ(俺たちが出発する前、帝はとあるお告げを聞いたそうだ。『復讐の時は来た。赤い雨が降る。それが我ら復活の前触れ。』というお告げだ。俺はヤプールがこの件に関わっていると思う。)

 

類州(そうじゃなイカ。ヤプールは復活するに違いないんじゃなイカ。)

 

ゼロ(チェ、しぶとい奴め。ヤプールはエースとゼットに倒されたはずだが。)

 

類州(『ヤプール死すとも超獣死なず。』『ウルトラ戦士共への怨念があれば我らは何度でも蘇る。』そう言っているのじゃなかったんじゃなイカ。)

 

ゼロ(ああ、そうだった。とりあえず、田村麻呂のおっさんには俺が伝えておく。)

 

類州(わかった。)

 

類州とのテレパシーが終了したゼロは今度は雄斗に話しかけた。

 

ゼロ「雄斗、ちょっとお前の身体借りるぞ。」

 

雄斗「え?今?」

 

ゼロ「ああ。今だ。」

 

雄斗「はい。」

 

そしてゼロは自身の意識で雄斗の声で田村麻呂に話しかけた。

 

ゼロ「おい、田村麻呂のおっさん。ちょっといいか?」

 

田村麻呂「その口調、ゼロ殿か?良いだろう。」

 

ゼロが雄斗の身体を介して田村麻呂と会話をするのはこれで数回目であるため、田村麻呂は驚きもしなかった。

 

田村麻呂がゼロと初めて話した時も別に驚かなかった。

 

というのも、主だった貴族が会議をする時、ゼロが雄斗の身体を介して発言をすることがよくあり、平安京の人々の間では有名だったのだ。

 

それを人づてに聞いていた田村麻呂は、雄斗と初めて会った時、ゼロも挨拶したため、噂はこういうことかと実感したのであった。

 

ゼロ「さっきのあんたの話、俺の経験からするとヤプールに違いない。」

 

田村麻呂「ヤプール?」

 

ゼロ「ああ、俺たちウルトラ戦士を何度も苦しめてきた異次元人ヤプールだ。全ての異次元人の頂点に立つ存在。超獣を操る。」

 

田村麻呂「そんな存在なのか。」

 

ゼロ「そうだ。しかし、ヤプールは俺の仲間が倒したはずだ。また復活するとは。」

 

田村麻呂「そんな厄介な存在なのか。」

 

その時、類洲が話に割り込んできた。

 

類州「奴らはウルトラ戦士への怨念がある限り復活するのです。」

 

田村麻呂「しかし、どうして蝦夷側につくと思われているのか。」

 

ゼロ「蝦夷はあんたら大和民族に対しての憎しみが大きいからだろう。過去2度の討伐でこちら側も蝦夷側も家族を失った人たちが多いからな。」

 

田村麻呂「そうだろうな。そこで帝は彼らの族長である阿弖流為なる人物を探し出して捕らえるよう第2の命令を私に下した。帝は阿弖流為さえ捕らえれば、蝦夷の戦力を削ぐことができるとお考えだからだ。」

 

類州「問題は阿弖流為にヤプールが憑依しているかじゃなイカ。」

 

田村麻呂「そうだな。だから帝はゼロ殿と類洲殿も同行させたのかもしれぬのう。」

 

ゼロ「危なくなったら、おっさん、俺が助けてやるよ。」

 

田村麻呂「ハハハハハ!ゼロ殿、期待しておるぞ!」

 

ゼロ「おう!任せておけ!」

 

そう言うと身体の主導権を雄斗に返した。

 

雄斗「と、まあそんな感じです。ゼロがこんな感じにすみません。」

 

田村麻呂「よいよい。気にしてはおらぬからの。」

 

と明るく進軍中の蝦夷追討軍であった。

 

 

一方、東北

 

やはりこの男が加勢しており、怪獣も出現させていた。

 

790年の怪獣大進撃事件以降、雄斗たちの調査で消息不明と判定されて以降、行方をくらましていたダークジャグラーは、東北地方に流れ着き、蝦夷の族長である阿弖流為に仕え始めた。

 

当時、蝦夷追討を目的とした中央政府と度々衝突していた蝦夷は、ダークジャグラーの存在をどこからか聞いていたのか暖かく迎え、共に力を合わせることに決めた。

 

それから11年経ち、中央政府が蝦夷追討のために坂上田村麻呂を総大将とし、その中に因縁の相手である雄斗とかつて自分の手駒でありながら裏切った類州がいると知ったダークジャグラーは、怪獣を召喚し、蝦夷勢力を守護することに決めたのであった。

 

闇ジャグ「阿弖流為さま、怪獣はレッドキングのみでございます。それでもよろしいですか?」

 

阿弖流為「いいぞ。そなたと私は種族は違うが、打倒ヤマトという意志は同じだ。しかし、そんなことをして良いのだろうか。」

 

闇ジャグ「何をおっしゃる。追討軍は阿弖流為さまのお身内やお仲間を殺したのですぞ。憎くはないのかね。」

 

阿弖流為「確かに憎い。怪獣よりももっと強い奴を頼む。あのお方にそう伝えてくれ。」

 

闇ジャグ「よくぞ申した。しばしお待ちを。」

 

そう言うと異空間へと消えていった。

 

その異空間でダークジャグラーは何者かに話しかけ始めた。

 

闇ジャグ「阿弖流為は自分の身内や仲間を殺した相手が憎いと言いました。とうとう吐きましたぞ。」

 

すると、姿は見えないが、禍々しい声が空間に響き渡った。

 

「そうか。奴の憎悪を利用して憎きウルトラマンゼロを誘き出すことができそうだな。」

 

闇ジャグ「そのようですな。」

 

「しかし、いいのか。貴様はベリアル配下の者の雑兵にすぎん。その程度の分際が異次元人の長に協力を仰ぎにくるなど懲罰の対象になりはしないのか。」

 

闇ジャグ「ベリアル様の邪魔となる存在は消し去る。そのためには志を一緒とする者たちと手を組むのは当たり前のことです。」

 

「そうか。貴様のおかげで余は完全復活できそうだ。怪獣を超えた生物である超獣をそなたに貸す。その間に余は阿弖流為に憑依し、この戦争に介入してやるわい。そして、我が一族の繁栄を取り戻す。」

 

闇ジャグ「了解。」

 

そう言うと通常空間に戻って、阿弖流為のところに報告した。

 

阿弖流為「あのお方はなんと?」

 

闇ジャグ「超獣を私に貸し与えてくれるそうだ。お主の力になってくれるだろう。」

 

阿弖流為「そうか。ありがたい。」

 

ダークジャグラーは気づかれない程度にそっと薄気味悪く笑った。

 

闇ジャグ(フッ。蝦夷の族長とはいえ愚かな。貴様はあのお方とウルトラマンゼロとの戦いで利用されるただの捨て駒よ。フハハハハハ)

 

一方、その存在は阿弖流為の心に語りかけた。

 

(お主、自分の家族を殺した相手を憎くはないか。)

 

その声は阿弖流為の心に響いてきた。

 

阿弖流為(誰だ?どこから話しかけてくる?)

 

(お前があのお方と呼ぶ存在だ。今はお前の心に直接語りかけている。)

 

阿弖流為(わかった。用件はなんだ。)

 

(お主は中央政府が憎いだろう。彼らに味方する者も。)

 

阿弖流為(ああ憎いさ。皆殺しにしてやりたくなるほどにな。)

 

(ならば、余がお前に力を与えてやろう。そうすれば、余も肉体が復活し、完全復活できる。)

 

阿弖流為(本当か!?わかった。頼む。)

 

(よかろう。)

 

そう言うとその存在は誰にも気づかれない程度に阿弖流為の中に入り込んだ。

 

(フフフ、ありがとうな。これで余は完全復活だ。フハハハハ!)

 

阿弖流為(貴様!私を騙したな!ウワアアアアアア!)

 

そのまま阿弖流為の意識を潰してしまった。

 

阿弖流為の姿だが阿弖流為の意識でないその存在は阿弖流為の仲間のところに行った。

 

彼らは偽物の阿弖流為だと気づいておらず、いつものように接した。

 

そこへその存在が阿弖流為の声で告げた。

 

阿弖流為「我が一族の仇を討ち、完全勝利を果たそうぞ!いざ出陣!」

 

「オー!」

 

蝦夷軍は続々と出陣し、追討軍の待ち伏せをした。

 

彼らの近くには怪獣を召喚する準備を始めたダークジャグラーが不敵な笑みを浮かべて立っていた。

 

阿弖流為(今度こそ終わりよ。地球もウルトラマンもな!)

 

 

 

(続く)




縄努摩内親王も藤原清子も架空の人物です。


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第17話 奈良時代末期から平安時代初期の漂流記〜平安遷都の章③〜

第17話スタート!

便宜上、しばらくの間、蝦夷勢力で登場するヤプールを「その存在」というふうに呼称しておきます。


現代 帝星ガトランティス

 

白色彗星帝国という別称もあるこの星間国家もまたベリアル軍の脅威にさらされていた。

 

ガミラスと同様に徹底抗戦していたガトランティスはガミラス軍敗北と同時期に劣勢に陥っていた。

 

大帝玉座の間では、これから200年ほど未来でガミラス・地球連合軍と戦う際にガイレーンを名乗るズォーダーが部下の報告を受けていた。

 

ズォーダー「ガミロンは敗北、他の星間国家もほとんどがベリアル軍の手中にあるのか。」

 

帝国機動艦隊総司令長官のゲーニッツが答える。

 

ゲーニッツ「そのようです。現在、中立的な位置にいるのはイスカンダルとテレザートです。抵抗しているのは、テロン、ジレル、デザリアムのみです。」

 

ズォーダー「そうか。しかし、聞くところによるとテロンには外宇宙からきたと言われるウルトランが多く駐在して怪獣と戦っているそうな。」

 

ゲーニッツ「そのようです。既にベリアル軍の手中にある星間国家にはレジスタントの援助にウルトランが混じっているそうです。」

 

ズォーダー「ああ、聞いているぞ。星間国家の王族や貴族たちはウルトランの星にある宇宙港に亡命しているそうだ。」

 

ゲーニッツ「しかし、大丈夫なのでしょうか?」

 

ズォーダー「何がだ?」

 

ゲーニッツ「ベリアル軍の首領である宇宙大皇帝ウルトラマンベリアルは闇に堕ちる前、ウルトランの星を出生地としていたそうです。故郷なら尚更、急所がわかるはずです。」

 

ズォーダー「確かにあの星のセキュリティシステムはガバガバだと聞く。しかし、過去2度に渡るベリアルの襲来にきちんと対処しているのは周知の事実だ。」

 

ゲーニッツ「ほう。どこからその情報を。」

 

ズォーダー「ウルトラマンキングからの情報だ。」

 

ゲーニッツ「あのお方からですか。」

 

なぜガトランティスがウルトラマンキングのことを知っているのかというとキングは様々な次元宇宙を繋げてしまうほどの伝説の超人である。

 

そのため、ノアと並び様々な次元宇宙で元から知られているのだ。

 

そして、この当時、キングはベリアル軍に占領されていない星間国家を渡り歩き、その星とトップと密談を重ねていた。

 

そのようなことからもズォーダーはキングから与えられた情報を知っていたのである。

 

それから数日後、ベリアル軍は帝星ガトランティスに最後の大攻撃を果敢し、占領してしまった。

 

ズォーダーと側近たちはベリアル軍に渡っては困る武器だけを持って光の国に亡命した。

 

これ以降、帝星ガトランティスはベリアル軍による圧政の中、レジスタントによるゲリラ戦が多発することになる。

 

彼らが勝利するのは、そう遠くない未来である。

 

 

 

801年 地球

 

とある存在が阿弖流為に憑依する前のことである。

 

進軍中の坂上田村麻呂率いる蝦夷追討軍はあと少しのところで蝦夷の本拠地に到着するところであった。

 

既に雲行きは怪しく、雨が降りそうな雰囲気であった。

 

田村麻呂「雨が降りそうだな。」

 

雄斗「そうですな。」

 

すると、本当に雨が降ってきたのだが、

 

「なんだこの雨は。赤いぞ!」

 

従軍している兵士たちが騒ぎはじめた。

 

ウルティメイトブレスレットの中から何かを感じたゼロは類洲にテレパシーで話しかけた。

 

ゼロ(この赤い雨、もしかして。)

 

類洲(ああ、ヤプールが復活したんじゃなイカ。)

 

ゼロ(これはまずいぞ。)

 

そう言うと、断りもいれずに雄斗から身体の主導権を奪うと、田村麻呂に話しかけた。

 

ゼロ「田村麻呂のおっさん、まずいことになった。」

 

田村麻呂「ヤプールが復活するのか?」

 

ゼロ「そのようだ。急がなくては。」

 

雄斗「よし、田村麻呂殿、行きますか。」

 

田村麻呂は雄斗に言われると決意を固めたかのように頷き、兵士たちに告げた。

 

田村麻呂「者共、目指すは阿弖流為の首ただひとつ!全軍突撃!」

 

「「お!」」

 

大勢の兵士たちのどよめきで追討軍の士気は上がり、その声は蝦夷たちのところにも届いていた。

 

阿弖流為に憑依していた異形の者は蝦夷たちに告げた。

 

偽阿弖流為「今こそ、憎きヤマトの者どもを 皆殺しにし、親兄弟親類縁者の仇を取ろうぞ!」

 

「「うおー!!」」

 

偽阿弖流為はダークジャグラーと無言で頷きあい、ダークジャグラーはその場を離れてダークリングを取り出すと、超獣を呼び出す準備をした。

 

そして追討軍と蝦夷軍は激突した。

 

雄斗「阿弖流為はどこだ。私があの男をヤプールの呪縛から救ってやる。」

 

類洲「私もお供します。」

 

ゼロ「わかった。行くぞ!」

 

雄斗&類洲「おー!」

 

2人は本軍から離れて、阿弖流為とダークジャグラーのいる敵本陣を目指した。

 

最高指揮官として前線で剣を振るっていた田村麻呂はそんな2人を見て、一部の兵士たちに呼びかけた。

 

田村麻呂「2人を援護するのじゃ!」

 

「「おー!」」

 

10数名ほどの兵士が雄斗たちに群がってくる蝦夷たちを斬っていき、道を開いていった。

 

廣松「雄斗殿、類洲殿、ゼロ殿あとは任せましたぞ!」

 

田村麻呂「生きて勝利を掴み取れ!必ずまた会おうぞ!ガハハ!ガハハハ!ガハハハハ!」

 

雄斗「おう!」

 

2人は猛スピードで本陣に向かった。

 

斬りかかろうとする蝦夷たちは皆、衝撃で吹き飛ばされた。

 

そして、遂に本陣に到着

 

護衛をしていた蝦夷たちは2人を取り囲んだ。

 

そこに偽阿弖流為とダークリングを持ったダークジャグラーが姿を現した。

 

闇ジャグ「誰かと思えば、ウルトラマンゼロにイカルス星人か。」

 

雄斗「阿弖流為いや阿弖流為の姿をしているヤプール!ダークジャグラーと手を組み、日本国内で争わせるつもりか。」

 

ヤプール「ふん!全てはベリアルのためだ。」

 

類洲「そのために中央政府に恨みを持つ阿弖流為の心に入り込み、利用したのか。」

 

ヤプール「そうだ。そしてそのまま地球を邪魔なウルトラの一族もろとも消し去ってやる。」

 

雄斗「そんなことはさせない!」

 

ヤプール「どうかな。」

 

そう言うと手を上げた。

 

すると、空が割れ、異次元空間が剥き出しになった。

 

闇ジャグ「星のまたたく狭間の闇よ、暗黒のパワーを我にもたらせ。光から闇へ、闇から闇へー!」

 

ダークリングから出てきた無数の邪悪な闇は異次元空間に入っていき、4つの邪気が実体となって地上に降り立った。

 

一方で、ダークジャグラーはベムスターも召喚した。

 

ミサイル超獣ベロクロン、液汁超獣ハンザギラン、殺し屋超獣バラバ、大蟹超獣キングクラブである。

 

ヤプール「さあ、お前たちならどうする?ウルトラマンゼロ、イカルス星人。」

 

雄斗は、ギガバトルナイザーNEOを取り出して、ゴモラ、リトラ、ウィンダム、アギラ、ミクラスを召喚した。

 

雄斗「超獣は俺が使役する怪獣たちだけで十分だ。」

 

類洲「ヤプールとダークジャグラーに告ぐ。私と雄斗と戦おうじゃなイカ。」

 

闇ジャグ「良い度胸だ。ここでくたばれ。」

 

雄斗はレイモンに変化すると阿弖流為に憑依したヤプールに、類洲は本来のイカルス星人の姿に戻ると魔人態の姿になったダークジャグラーに立ち向かった。

 

ベロクロンはミサイルを発射、しかし、ウィンダムが目から発射した小型ミサイルに全て破壊された。

 

ハンザギランは溶解液を吐き出したが、リトラの火球で全てを打ち消された。

 

バラバは色々なところから攻撃してきたが、ミクラスに妨害され、ダメージを与えることが難しい状況である。

 

キングクラブは長い尻尾でゴモラを絞殺しようとしたが、EXゴモラNEOに変化したゴモラの尻尾がキングクラブを拘束しようとするので、なかなかできない。

 

ベムスターは、アギラと交戦、これも互角の戦いであった。

 

一方の地上戦

 

レイモンは、ギガバトルナイザーNEOにシャイニングウルトラマンゼロのカードとイカルス星人のカードを読み込ませた。

 

[シャイニングメタフィールド四次元空間モード発動!]

 

シャイニングメタフィールドが四次元空間とつながり、レイモンたちの力が有利となった。

 

イカルス「これで俺たちの庭になるんじゃなイーカ!」

 

レイモン「ああ。ヤプール!阿弖流為を解放しろ!」

 

ヤプール「断固拒否しよう。」

 

そう言うとシャイニングメタフィールド四次元空間モードを無効化し、五分五分の戦況になった。

 

元から戦闘力が優れていないイカルス星人はダークジャグラーに斬られまくって何とか立っている状態であった。

 

イカルス「イカ、イカ、もうダメイカ。」

 

そのまま倒れた。

 

レイモン「よくも類洲を!ウオオオオオ!」

 

レイオニクスバーストモードに移行し、ヤプールを一方的に叩きのめした。

 

ヤプール「うお!やめてくれ!この身体は地球人から借りた姿なんだぞ!」

 

レイモン「黙れ!貴様は地球人を利用した!意識を食い潰し、貴様は完全復活した!今は自分の身体だろうが!」

 

ヤプール「ふん!地球人ごとき何になる。人間は何もできないちっぽけな生き物だ。」

 

そう言って、腕を振り上げ、レイモンは側に落とした剣をカラータイマー目がけて刺そうとしたが、

 

ヤプール「うん?」

 

途中でやめてしまった。

 

阿弖流為(やめろ!ヤメロォ!)

 

ヤプール「馬鹿な!貴様は確かに意識ごと潰したはず。」

 

いつの間にか通常モードに戻っていたレイモンが反応する。

 

レイモン「阿弖流為、頑張れ!」

 

ヤプール「小賢しい人間め!」

 

阿弖流為(人間を、人間を舐めるなぁ!)

 

ヤプール「貴様は中央の人間が憎くはないのか?」

 

阿弖流為(そりゃ憎い。だけどいつまでも憎み合って戦い続けるのは間違っている。)

 

ダークジャグラーとの一戦で瀕死の重傷を負った類洲が息も絶え絶えに反応する。

 

イカルス「...やっと...気付いたのか...。」

 

ヤプール「馬鹿な!我々の計画を貴様は邪魔するのか!」

 

阿弖流為(俺を騙して身体を乗っ取った奴が何を言う!この身体から出ていけぇ!うわぁぁぁぁぁ!)

 

ヤプール「やめろ!やめろぉぉ!」

 

ヤプールは強制的に阿弖流為の身体から追放され、阿弖流為はやっと自我を取り戻した。

 

既に超獣たちは雄斗が使役する怪獣たちによって倒された。

 

長らく阿弖流為に憑依していたヤプールは実体を取り戻し、ひとりの人間の姿になった。

 

闇ジャグ「ヤプール、ここは決死の覚悟で望みましょう。」

 

ヤプール「ああ。」

 

ダークジャグラーとヤプールは巨大化し、蝦夷の集落を襲い始めた。

 

女性や老人、子供たちが逃げ惑う声が聞こえてくる。

 

阿弖流為は自らの兵士たちに呼びかけた。

 

阿弖流為「みんな、もうやめよう。争いは結局憎しみしか産まない。武器を捨て、ヤマトに投降しよう。」

 

それを聞いた蝦夷の全軍は武器を捨て追討軍に投降した。

 

阿弖流為「田村麻呂殿、いくらでも罰は受けます。しかし、罪を受けるのはこの私だけで十分。一族は生かしてください。」

 

それを聞いた田村麻呂は感激した。

 

田村麻呂「阿弖流為殿、そなたのような漢を私は気に入ったぞ。私がそなたを死なせはしない。しかし、そなたをヤマトに連れ帰る前に、どうしてもやらねばならぬことがある。」

 

阿弖流為「ヤプールとその仲間を倒すことですな。」

 

田村麻呂「ああ。雄斗殿、任せましたぞ!」

 

雄斗「はい!行こう、ゼロ!」

 

ゼロ「おう!」

 

雄斗&ゼロ「ジュワ!」

 

雄斗はウルトラゼロアイを装着し、ゼロに変身し、ヤプールとダークジャグラーの行く手を遮った。

 

ゼロ「勝負だ!ヤプール!ダークジャグラー!」

 

ヤプール「望む所だ。」

 

闇ジャグ「ここでくたばれ。」

 

所詮は2対1、ゼロは圧倒的に不利な戦いを強いられた。

 

ダークジャグラーに羽交締めにされ、ヤプールからは鎌状の右腕で殴られる、その繰り返しである。

 

雄斗「何か手はないのか!」

 

ヤプール「大人しく死ね!」

 

ヤプールは鎌状の右腕から破壊光線を発射、ゼロに直撃した。

 

ゼロ「うっ!」

 

ダークジャグラーはここぞとばかりに殴り続けた。

 

その直後にはヤプールが念動力でゼロを自在に動かしはじめた。

 

ここまで、ヤプールとダークジャグラーの予想通りであったらしい。

 

一瞬の隙を突いて、ゼロが反撃に転じた。

 

ルナミラクルゼロにタイプチェンジしたゼロは地面に寝転がったまま技を繰り出していく。

 

ゼロ「ミラクルゼロスラッガー!」

 

無数のスラッガーが宙を舞い、ヤプールに突き刺さった。

 

ヤプール「何!?」

 

次にストロングコロナゼロにタイプチェンジしたゼロは座ったまま技を繰り出した。

 

ゼロ「ガルネイトバスター!」

 

高熱の火炎光線がヤプールを包み込んだ。

 

ヤプール「うわ!熱い!」

 

ゼロ「からのウルトラハリケーン!」

 

ヤプールとダークジャグラーはウルトラハリケーンに巻き込まれ、上空に飛ばされた。

 

ヤプール&ダークジャグラー「うわー!」

 

ゼロ「ほらよっと。」

 

すかさずゼロはウルトラゼロランスを投擲、これはヤプールを貫通した。

 

ヤプール「ぬおおおおお!ヤプール死すとも超獣死なず!」

 

ヤプールは最後にその言葉を言い残し、爆散した。

 

残されたダークジャグラーもワイドゼロショットが放たれた直後、これを剣で吸収して生き延びると何処かへと逃げていった。

 

等身大の姿になったゼロは瀕死の重傷を負った類洲と廣松を自らの能力で治癒させ、まもなく2人は回復した。

 

田村麻呂「いやーしかし、惜しかったですな。ヤプールは倒しましたが、ダークジャグラーは取り逃しましたなあ。」

 

雄斗「これからも奴との因縁は続きそうですな。」

 

田村麻呂「奴が予言した怪獣は何体現れましたかな。」

 

雄斗「17体ですな。」

 

田村麻呂「あと残り2体ですか。その2体を倒すと雄斗殿は別の時代に去っていくのか。」

 

廣松「寂しいですな。」

 

類洲「私はお供して良いことになっておる。ウルトラマンと同様、私は不老長寿なもので。」

 

廣松「言いおったな、こいつめ!」

 

田村麻呂「フハハハ!」

 

戦場に男たちの笑い声がいつまでも響いた。

 

数日後、田村麻呂は戦勝の報告を兼ねて阿弖流為ら捕虜を都に連行した。

 

帰京した田村麻呂は桓武天皇と謁見し、阿弖流為らの処刑を中止するよう申し出た。

 

桓武天皇「そなたたち3人はよくやってくれた。褒美にそなたらが今最も望むことを聞いてやろう。」

 

田村麻呂「陛下、あの男は殺すのに惜しい男、命だけはお助けください。」

 

桓武天皇「うーん。」

 

雄斗と類洲も懇願した。

 

雄斗「お願いします。彼はヤプールとダークジャグラーに利用されていただけなのです。」

 

類洲「私からもお願いします。」

 

桓武天皇「うーん。考えておこう。3人とも今日はゆっくり休め。あとのことは私が決める。」

 

田村麻呂「御意。」

 

3人は御所を退出、その間に桓武天皇は阿弖流為らの処遇を決めてしまった。

 

出てきた答えは、もちろん処刑であった。

 

このことは阿弖流為や田村麻呂の耳にも入った。

 

阿弖流為「私は処刑されるのですね。」

 

田村麻呂「私たち3人はそなたたちの助命を懇願した。しかし、無駄だった。」

 

阿弖流為「私は都に対する反逆者。これからの治世を考えると、反乱が起きても処刑されない者が出てくるのは色々と弊害が生じよう。仕方のないことだ。」

 

雄斗「怖くはないのですか?」

 

阿弖流為「我らは最後まで一生懸命に戦った。それだけでも誇りだ。」

 

類洲「最後に言い残すことはないか?」

 

阿弖流為「そなたたちに会うことができて私は幸せだ。これで本当にさらばだ。」

 

阿弖流為は処刑された。

 

この情報は東北にも伝わったが、不思議なことに反乱は起きなかった。

 

田村麻呂は処刑の報を聞き、人知れず泣いた。

 

田村麻呂「惜しい人を亡くしてしまった。」

 

彼は阿弖流為のことを思い出す度に言い続けた。

 

戦うことが宿命の武人貴族、彼もまた背負う物が雄斗や類洲と同じように大きかったのである。

 

 

 

804年

 

桓武天皇は最澄らに新しい仏教を学ばせるため唐に派遣した。

 

この時の大使は藤原葛野麻呂、副使は石川道益であった。

 

この遣唐使には雄斗と類洲も同行することになった。

 

桓武天皇「最近、余は自分が死ぬ夢を見る。もしかしたらそなたたちが帰ってくる頃にはこの世にはいないかもしれぬ。雄斗、そなたは未来から来たのじゃろう。余が死ぬのがいつかわかるはずじゃ。」

 

雄斗「2年後です。」

 

桓武天皇「2年後か。それまでに安殿が安心して政ができるよう取り組まなければいけないことがたくさんある。」

 

類洲「例えば?」

 

桓武天皇「都の造営や東北遠征じゃ。誰かに相談せねばのう。」

 

廣松「保守派の菅野真道、そして革新派の藤原緒嗣。この2人で議論させるのはいかがでしょう。道理に合っている方を採用するのです。」

 

桓武天皇「廣松とやら、素晴らしい考えじゃ。落ち着いたらこの2人を集めよう。」

 

廣松「御意。」

 

雄斗は廣松に告げた。

 

雄斗「私の屋敷の管理と一族の世話を頼んだ。」

 

廣松「わかりました。」

 

そして遣唐使の一行は出発した。

 

雄斗は最澄の乗った船と偶然同じだった。

 

最澄「雄斗殿、よろしくお願い申し上げます。」

 

雄斗「こちらこそよろしく。」

 

船は様々な苦難を乗り越え、到着した。

 

とはいうものの大使と空海らが乗った第1船、副使と菅原清公・最澄らが乗った第2船だけであった。

 

つまり、雄斗と類洲の乗った船は無事に到着したのである。

 

しかし、先に到着したのは第1船で、その次に到着したのは、第2船であった。

 

しかも福州の海岸に漂着した第1船は海賊ではないのかというあらぬ疑いをかけられ、50日以上、待機する羽目になった。

 

空海が疑惑を晴らしたため、一行は当時の皇帝であった徳宗に謁見した。

 

明州に到着した第2船は、最澄・義真らは天台山へ向かうために別れ、長安へ向かった一行は第1船の人員と合流し、805年1月の徳宗の崩御と順宗の即位式を見学した。

 

道益は明州で亡くなった。

 

遣唐使の一行は留学生の橘逸勢と空海を残して日本に帰った。

 

雄斗と類洲は、桓武天皇の要請と順宗からの強い要望で、しばらくの間、唐に留まることになった。

 

滞在中、平安京にいる坂上田村麻呂から手紙を唐をたびたび訪れる親しい商人から受け取っていた。

 

1通目

『雄斗殿、お久しぶりでございます。

 唐の生活には幾分慣れてきましたか?

 私は太政官符で音羽山清水寺の寺地を賜りました。

 また連絡します。』

 

2通目

『雄斗殿、お知らせです。

 本日、帝は藤原緒嗣殿と菅野真道殿の2人をお呼びになり、議論させました。

 その結果、帝は緒嗣殿の案を採用なさいました。

 平安京造営と東北遠征は今後なくなり、農民たちの負担も減ります。

 これで阿弖流為殿も浮かばれることでしょう。

 また連絡します。』

 

3通目

『雄斗殿、大変です。

 帝は、ご病気になり、このところ政務を取らない日が多くなりました。

 お隠れあそばされる前兆なのか怪獣が時々現れますがすぐに消えます。

 雄斗殿から教えられた怪獣の知識によると、その怪獣はレッドキングです。

 渡唐前に預からせていただいたゴモラをいつでも出せるようにしておきます。

 ちなみにゴモラは、時々スペアのギガバトルナイザーNEOから出させていますが、今では都の子供たちに人気です。

 それでは。』

 

3通目を読み終えた時、雄斗と類洲は吹き出してしまった。

 

雄斗「これはありか?」

 

類洲「ありじゃなイカ。」

 

 

 

その手紙が届いた直後の平安京

 

田村麻呂は子供たちと一緒に遊んでいた。

 

そこへ皇太子の安殿親王が走ってきた。

 

田村麻呂「これは皇太子さま、どうしましたか。」

 

安殿親王「父上が危篤状態じゃ。お主を名をしきりに呼んでおる。」

 

田村麻呂「なんですぞ。今行きます。」

 

安殿親王に連れられ、田村麻呂は桓武天皇がいる寝所にきた。

 

既に多くの臣下たちが集まって、桓武天皇の最期を看取ろうとしていた。

 

安殿親王「父上、田村麻呂殿が参りました。」

 

桓武天皇「おお、田村麻呂か。」

 

田村麻呂「帝、お気を確かに。」

 

桓武天皇「余の命はもう少しで尽きる。雄斗や類洲が予言していた通りじゃ。」

 

田村麻呂「ええ。」

 

桓武天皇「田村麻呂や。お主、彼らと度々連絡をとっているようじゃな。」

 

田村麻呂「そうですが。」

 

桓武天皇「余の亡き後、安殿が次の帝となる。余の葬儀が終わり次第、即刻彼らを呼び戻してほしい。唐の政治を学んできた彼らならまた役に立ってくれよう。」

 

田村麻呂「お気持ちはわかります。しかし、彼らはマガゼットンを倒したあとは元に時代に帰るか、それとも違う時代を漂流しながら怪獣を倒し続けなければならないのです。」

 

桓武天皇「わかっておる。ワームホールとやらが出現するまでの間じゃ。」

 

田村麻呂「はい。」

 

桓武天皇「田村麻呂、余は立場上、阿弖流為を処刑しなければならなかった。彼もそのことを理解していたように思う。」

 

田村麻呂「はい。」

 

桓武天皇「最後にお主に会えてよかった。」

 

田村麻呂「ありがたきお言葉。」

 

その言葉を聞いた桓武天皇は満足そうに息を引き取った。

 

宝算70歳、在位中、様々なことに翻弄された人生であった。

 

桓武天皇の崩御からしばらくして、レッドキングが出現したが、田村麻呂が使役したゴモラによって倒された。

 

田村麻呂は、同時に出現したダークジャグラーと剣で一騎討ちをしたが決着はつかなかった。

 

田村麻呂「ダークジャグラー、いつか会う日は貴様が死ぬ時よ。」

 

闇ジャグ「フハハハハハ!その時は貴様を含めて人類を滅ぼしてやる!フハハハハハ!」

 

 

 

数ヶ月の唐

 

雄斗「田村麻呂から手紙が届いた。」

 

ゼロ「どれどれ。」

 

類洲「見てみようじゃなイカ。」

 

『雄斗殿、類洲殿、この手紙が届いた数日後には朝廷より帰還命令が出されるでしょう。

 延暦25年3月17日、帝は平安宮正寝柏原大輔にて崩御し、安殿親王が新たに帝に即位しました。

 先帝の大喪儀は4月7日に執り行われました。

 元号は大同に変わり、即位礼は大同元年5月18日に行われました。

 雄斗殿の予言通り、レッドキングが出現しましたが、お借りしているゴモラが倒してくれました。

 それでは、帰国後お会いしましょう。』

 

雄斗「そうか。陛下はお亡くなりに。」

 

類洲「悲しいですな。」

 

その手紙が届いた数日後、雄斗が滞在していた憲宗の弟である郯王李経の邸に日本からの勅使が到着した。

 

雄斗と類洲は憲宗に別れを告げ、唐を去り、日本へ帰っていった。

 

 

 

帰国後

 

雄斗「ただいま。」

 

縄努摩内親王「お帰りなさい。」

 

清子「お帰りなさいませ。」

 

雄斗と類洲を一族が出迎えた。

 

そこに雄斗と清子の娘であり、もう30代となった雄美子が現れた。

 

雄美子「お父様、子供が生まれました。お父様にとっては孫です。私と廣松殿の子供です。」

 

廣松「申し訳ございませぬ。殿の御息女を娶るなどご無礼をいたしました。」

 

しかし、雄斗は笑って答えた。

 

雄斗「よいよい。良い婿殿をもらえた。どれ、帝からお呼び出しが来るまでしばらくは休もう。」

 

雄斗がこの時代に来て30年以上が経過していた。

 

孫も生まれるのは当然のことであろう。

 

 

数週間後、雄斗と類洲は安殿親王改め平城天皇に呼ばれた。

 

平城天皇「久しぶりだな、雄斗。」

 

雄斗「ご即位おめでとうございます。」

 

平城天皇「うむ。早速だが余は父上がやってきたこと全てを見直す。」

 

雄斗「と言いますと。」

 

平城天皇「藤原薬子を許し、その夫藤原縄主を太宰府に赴任させる。」

 

類洲「まさか、先帝が恐れていたことをまたしでかすのではなイカ。」

 

平城天皇「ふん。私は帝だ。文句を言ったらタダじゃおかない。」

 

呆れてた雄斗は一言だけ発した。

 

雄斗「はあ。ご勝手にどうぞ。」

 

その件があって、すぐに雄斗と類洲は引退し、家督も息子に譲った。

 

縄努摩内親王「何も引退までしなくても。」

 

清子「そうですよ。」

 

廣松「わかってないな義母上たちは。義父上たちは、帝に失望してやめたのですから。」

 

縄努摩内親王「それならわかるわ。」

 

清子「そうねえ。あの方じゃ付き合いきれないかもね。」

 

雄斗と類洲が引退したことで平城天皇は暴走を始めた。

 

薬子との不倫関係を公然化させ、薬子の兄である仲成を出世させた。

 

人々は、このことをよく思わなかった。

 

翌年には、観察使制度の設置され、縄主は大宰帥のまま西海道観察使にも任ぜられる。

 

既に引退していた雄斗は縄主から怒りとも取れる手紙を受け取った。

 

『雄斗殿。

 帝は私に帰ってくるなという意味で私をこの職にしたのでしょう。

 その隙に我が妻である薬子とよくない関係になっているのです。

 私はどうすることもできません。

 このようなことを引退したあなたに申し上げるのもだめでございましょう。

 それではまた。』

 

雄斗は、この手紙を田村麻呂に見せた。

 

田村麻呂「どうしようもないことじゃな。帝にたてつくことなど私にはできぬ。」

 

雄斗「でしょうな。」

 

田村麻呂「帝の弟君である神野親王さまがそなたたちに会いたいそうじゃ。」

 

類洲「会ってどうするつもりだろうか。」

 

田村麻呂「仕えてほしいのではないか。」

 

雄斗「しかし、今は慎重にすべき。いくら皇太弟さまであってもそれは。」

 

田村麻呂「そうだな。かわいそうだが今は保留にしておこう。」

 

そのまま月日は過ぎ去り、809年、平城天皇が病気のため突然譲位し、神野親王は嵯峨天皇として即位した。

 

皇太子は平城天皇の子で甥にあたる高岳親王となった。

 

ゼロ「俺のウルトラ念力が効いたぜ!」

 

田村麻呂「そ、そうか。」

 

雄斗と類洲は嵯峨天皇に請われて、政界に復帰した。

 

しかし、1年後、事件が起きた。

 

平城上皇が平城京に移り、復位しようとしたのである。

 

田村麻呂「上皇さまには困ったものだ。」

 

雄斗「ですな。」

 

そして、更に驚くべきことになった。

 

類洲「なんですと。都を平城京に戻せ?」

 

嵯峨天皇「そうじゃ。兄上は何を考えておるのだ。平安京を永遠の都にせよというのが父上の遺言なのに。」

 

田村麻呂「おそらくは仲成・薬子兄妹の入れ知恵かと思われまする。」

 

雄斗「最悪の事態に備えなければなるまい。」

 

嵯峨天皇「兄上があの2人に唆されて挙兵すると申すのか!?」

 

嵯峨天皇の一言に周囲の者はしばらく黙ってしまった。

 

しばらくして、田村麻呂が口を開いた。

 

田村麻呂「ここはあえて静観するというのはどうでしょうか。」

 

嵯峨天皇「静観して様子を見るのか?」

 

雄斗「左様にございます。」

 

田村麻呂「元はと言えば、事の発端は陛下が蔵人所を設置し、観察使を廃止して参議を復活させたことが上皇さまを刺激しました。」

 

雄斗「されど陛下は悪くございません。」

 

類洲「その通り!」

 

嵯峨天皇はため息をつくと、しばらくして命令を下した。

 

嵯峨天皇「余は兄上の様子を見て、あえて今は何もしないことに決めた!」

 

しかし、平城上皇は平城京への遷都の勅書を出したことに動揺が広がった。

 

そこで、嵯峨天皇は坂上田村麻呂・藤原冬嗣・紀田上らを造宮使に任命して、ひとまず勅書に従った。

 

 

一方、平城京にいる平城上皇たち

 

平城上皇「フハハハハ!お主らの言った通りじゃ。やはり神野は造営使を遣わすことに決めたそうじゃ。。」

 

薬子「何もかも、院さまの思い通りですわね。ホホホホホ。」

 

仲成「本当じゃのう。それもそなたのおかげよ。のう。」

 

仲成が側にいる男に声をかけた。

 

そう、その男こそ、今回の事件というより怪獣を出現させている黒幕ダークジャグラーである。

 

闇ジャグ「俺はウルトラマンゼロと共にいる輩が嫌いなだけだ。別に貴様らが好きで協力しているわけではない。」

 

仲成「ホホ。言うのう。ささ、もう1杯。」

 

闇ジャグ「ああ。」

 

平城上皇「このまま思い通りにいってくれると良いがのう。」

 

「薬子の変」、歴史上そう呼ばれる大事件がいよいよ始まろうとしていた。

 

 

 

(続く)




随分と長い尺になってしまいました。

申し訳ございません。


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第18話 奈良時代末期から平安時代初期の漂流記〜平安遷都の章④〜

第18話スタート!


現代 ベリアルパレス

 

ベリアル軍団の本拠地にベリアルを主君とする宇宙人たちが多く集まってきた。

 

そして、ベリアルはベリアル銀河帝国の再興を宣言した。

 

ベリアルは初代銀河帝国大皇帝に即位し、戴冠式を挙行した。

 

帝国の要職にはかつての銀河帝国の幹部が就任したほか、アブソリューティアンやダークネスファイブ、ストルム星人の伏井出ケイ、そして東園転鬼羅もその職にありついた。

 

また、その場にいないダークジャグラーにも要職が用意された。

 

銀河帝国の人事は以下の通りである。

ベリアル軍将軍 アイアロン2世

ベリアル軍参謀 ダークゴーネ2世

ベリアル軍首席隊長 ザウラー2世

銀河帝国首相 メフィラス星人・魔導のスライ

銀河帝国防衛長官 ヒッポリト星人・地獄のジャタール

銀河帝国司法長官 テンペラー星人・極悪のヴィラニアス

銀河帝国侍従長 デスレ星雲人・炎上のデスローグ

銀河帝国内務長官 グローザ星系人・氷結のグロッケン

植民惑星統治総督 ストルム星人・伏井出ケイ

全球侵略・併合艦隊最高司令長官兼天の川銀河方面侵略艦隊司令兼太陽系監視委員会委員長兼地球破壊活動推進部本部長 東園転鬼羅

ウルトラマンゼロ抹殺計画本部長 有幻闇魔人・ダークジャグラー

M78星雲光の国消滅計画本部長 アブソリュートタルタロス

M78星雲光の国消滅計画第一副本部長 アブソリュートディアボロ

M78星雲光の国消滅計画第二副本部長 アブソリュートティターン

 

この人事は魔導のスライの発案でベリアルが採用したのであった。

 

しかし、実際は人事とは名ばかりで、ベリアルとその側近による独裁体制であった。

 

スライ「我らはこれからも陛下のためにお命を捧げまする。」

 

ベリアル「うむ。特にジャタールよ。アイアロンたちの意を汲んで、量産型レギオノイド、量産型ダークロプスそして帝国戦列艦ブリガンテの製造を進めよ。」

 

ジャタール「御意。帝都要塞マレブランデスの建設や時空揚陸舟艇デルストの製造はどうしますか?」

 

ベリアル「それはストルム星人やグロッケンに任せる。」

 

ジャタール「は!」

 

ベリアルは伏井出ケイの方を向いて続けた。

 

ベリアル「ストルム星人、お前は植民惑星から連れてきた虜囚を使ってマレブランデスの建設計画を進めろ。」

 

ケイ「御意。」

 

そして、グロッケンの方を向くと

 

ベリアル「デルストの製造を頼む。」

 

グロッケン「別宇宙にもダークロプス軍団を送り込むのですか?」

 

ベリアル「それは、まだ実行しない。我々がこの宇宙の全てを制圧してからの話だ。」

 

グロッケン「わかりました。一応製造しておきましょう。」

 

ベリアル「うむ。お前ら全員、気を引き締めて事に取り掛かれよー。わかったな!」

 

全員「は!」

 

 

 

810年 地球

 

平城京になぜか居座ったダークジャグラー

 

そんな彼のところにも伏井出ケイの超時空光速思念通信によって、今回の人事案が通達された。

 

『有幻闇魔人・ダークジャグラー

 貴官をウルトラマンゼロ抹殺計画本部長に任命する。

 心して任務に取りかかれ。

 植民惑星統治総督 ストルム星人・伏井出ケイ』

 

闇ジャグ「そうか。これは何としても雄斗も含めて殺さなければな。待ってろよ。最後にお前の苦しむ姿を見てやる。ウルトラマンゼロ!」

 

そこへ仲成・薬子兄妹がやってきた。

 

仲成「準備ができたぞ。」

 

薬子「あとは上皇さまのご命令があり次第、いつでも挙兵できます。」

 

闇ジャグ「そうか。楽しみだ。」

 

 

一方、平安京では

 

雄斗が密かに放った間者の報告により、大体のことがわかってきた。

 

雄斗「一連の出来事、全てダークジャグラーが仕組んだことでございます。」

 

田村麻呂「やはりあの男か。」

 

類洲「それだけではございません。今朝、未来の世界から平城京に発せられた超時空光速思念通信が観測されました。」

 

嵯峨天皇「超時空光速思念通信?」

 

ゼロ「ベリアル軍が作戦時に使う通信手段です。」

 

類洲「その電波を傍受しましたところ、このような通信がなされていました。」

 

そう言うと類洲は通信内容を文字化した。

 

『有幻闇魔人・ダークジャグラー

 貴官をウルトラマンゼロ抹殺計画本部長に任命する。

 心して任務に取りかかれ。

 植民惑星統治総督 ストルム星人・伏井出ケイ』

 

ゼロ「これは...。」

 

類洲「そう。奴はあなた方を狙っているのだ。」

 

雄斗「しかし、なんでこのような人事を再編したのだろうか。」

 

類洲「ベリアル軍によるかつてのベリアル銀河帝国の再興を宣言し、全宇宙の支配をベリアル軍によるものであると正当化するのだろう。」

 

田村麻呂「陛下、ご決断を。」

 

嵯峨天皇は頷くとすぐに決断した。

 

嵯峨天皇「遷都は拒否する。直ちに伊勢国・近江国・美濃国の国府と関を固めよ。藤原仲成を捕らえて、薬子の官位を剥奪するのだ。」

 

「は!」

 

捕らえられた仲成は、右兵衛府に監禁の上で佐渡権守に左遷された。

 

嵯峨天皇は造宮使だった坂上田村麻呂を大納言に昇任させ、藤原冬嗣を式部大輔に、紀田上を尾張守に任じた。

 

翌日、嵯峨天皇は、密使を平城京に送り若干の大官を召致、藤原真夏や文室綿麻呂らが帰京するが、平城上皇派と見られた綿麻呂は左衛士府に禁錮された。

 

綿麻呂「私は無実だ!帝のお味方じゃ!信じてくれ!」

 

雄斗「すぐに疑いは晴れる。」

 

田村麻呂「帝は疑心暗鬼になられているだけじゃ。私が進言して拘束を解くように言ってみる。」

 

綿麻呂「ありがたや。」

 

 

平城京

 

一連の嵯峨天皇側の動向を知った平城上皇は激怒した。

 

平城上皇「何!?神野め、大人しく余の命に従うと思ったら、背きやがって。このなったら、余自らが東国に行き、挙兵する!」

 

しかし、藤原葛野麻呂ら群臣は反対した。

 

葛野麻呂「お待ちください。何も上皇さま御自ら出陣なさる必要はございません。」

 

平城上皇「それでも余は向かうぞ。ダークジャグラー、お前はどう思う。」

 

闇ジャグ「上皇さま自ら出陣なされば、士気も上がりましょう。」

 

平城上皇「そうか。薬子行くぞ!」

 

薬子「はい!」

 

彼らがいなくなったあと、ダークジャグラーは不気味な表情で笑った。

 

闇ジャグ(これで上皇も帝も消える。私はこのままウルトラマンゼロとイカルス星人を倒すためにマガゼットンを出現させるのみ。フハハハハ!)

 

側にいた貴族たちはダークジャグラーの様子を見て不審に思った。

 

「ダークジャグラー殿、どうして笑っているのですかな。」

 

闇ジャグ「これは失礼。笑っていましたか。」

 

「はい。」

 

闇ジャグ「この機に乗じて、帝を唆す蛮族ウルトラマンゼロを討ち取る。奴は従二位綿部内大臣兼征物怪大将軍雄斗殿に化けている。」

 

「本物は?」

 

闇ジャグ「本物は既に消された。」

 

すると、1人の貴族が口を開いた。

 

「変だなあ。従二位綿部内大臣兼征物怪大将軍雄斗殿はウルトラマンゼロと一心同体なんだけどなあ。」

 

聞いていた他の貴族たちも思い出したかのように口々に言い始めた。

 

「確かに。」

 

「そう言えば、帝や上皇さま、それに桓武天皇さまもそのことをおっしゃっていたぞ。」

 

「じゃあ、なぜ、そのようなことを言うのだろうか。」

 

そのことが延々と議論されたが、やがてひとつの結論に変わった。

 

「さてはお主、蝦夷戦争の時にいた男じゃないのか。」

 

「ああ、阿弖流為殿をけしかけて我らを滅ぼそうとした。」

 

「どうなんだ?答えてみよ。」

 

もう逃げ場はないと判断したダークジャグラーは真実を伝えた。

 

闇ジャグ「いかにも。私はこの世界を滅ぼすためにベリアル様によってこの時代にやってきた。」

 

「やはりな。雄斗殿から聞いた通りだ。噂は本当だったのか。」

 

闇ジャグ「何か質問はないのかね。」

 

「では聞こう。上皇さまもけしかけたのか?」

 

闇ジャグ「そうだ。仲成・薬子兄妹もじゃ。彼らが行動を起こして、双方とも滅びれば、この星をこの世界を滅びることができる。」

 

これには貴族たちも騒然となった。

 

「上皇さまと薬子殿は輿に乗って東へ向かわれてしまわれた。」

 

「どうしようもないではないか。」

 

「さすれば、こやつをここに捕らえておくのか。」

 

「ああ、そうするしかなかろう。」

 

そう言ってダークジャグラーに近づこうとした瞬間、身動きができなくなってしまった。

 

「な、何じゃ。」

 

「う、動けぬ。」

 

闇ジャグ「貴様たちは俺を捕まえようとした。しかし、真実を知ってしまった以上それはできぬ。しばらくそこでこのままにしておれ。さらばだ!フハハハハハハ!」

 

そのまま闇に消えていった。

 

彼らがやっと身動きができるようになったのは、それから1時間後のことであった。

 

 

再び、平安京

 

平城上皇と薬子が東へ向かったという情報が入ってきたことで、御所内では動きが慌ただしくなってきた。

 

そこで、嵯峨天皇は平城上皇の東向阻止を決定した。

 

嵯峨天皇「田村麻呂、雄斗、類洲は速やかに出発しろ。」

 

田村麻呂「その前に、ひとつお願いしたいことがございます。」

 

嵯峨天皇「申してみよ。」

 

雄斗「綿麻呂殿の禁錮を解いてくださいませ。あの方には何の罪もございません。」

 

類洲「彼は我らの蝦夷征討の時からの戦友です。お願いします。」

 

嵯峨天皇はしばらく考えて、口を開いた。

 

嵯峨天皇「わかった。文室綿麻呂を赦し、参議に命ずる。3人共、頑張ってくれ。」

 

3人「は!」

 

3人は平城上皇らの東向を阻止するべく進軍した。

 

一方、捕らえられた仲成は紀清成と住吉豊継の手により、その日の夜に射殺された。

 

 

大和国添上郡田村

 

平城上皇は、この付近で噂を聞いた。

 

平城上皇「何!?田村麻呂の軍が守りを固めているだと!?」

 

「そのようにございます。」

 

平城上皇「これでは、とても勝機はない。」

 

薬子「えー。何か方法はございませんの。」

 

平城上皇「方法は...ない...。」

 

薬子「そんな!それじゃ何のためにここまで来たのよ。兄上は処刑されたって聞くじゃない。」

 

平城上皇「我々は、というより余の側の者も弟の側の者も全てあの男の真の目的のためにあの男の手中で踊らされていただけだ。今気づいても遅いかもしれぬがの。」

 

薬子「あの男...。は!もしかしてダークジャグラーのこと?」

 

平城上皇「そうだ。忘れていた。父上や雄斗殿、それに類洲殿にあの男が現れてもあの男の話を聞いてはいけないと言われていたのに。」

 

薬子「私たち、騙されていたのね。」

 

平城上皇「そうだ。さあ平城京に帰ろう。」

 

薬子「はい...。」

 

一行は平城京に戻った。

 

彼らがいつまで経っても東向してこないのを疑問に思った田村麻呂は、人を使って調べさせると、一行が全てをあきらめ、平城京に帰ったというのがわかった。

 

その後、平城上皇は剃髪して、出家し、薬子は服毒自殺した。

 

嵯峨天皇は、ダークジャグラーがこの事件を裏で操っていると出家した平城上皇から聞かされ、事件に関係した者の処分を軽くした。

 

平城上皇の皇子で皇太子だった高岳親王は皇太子の地位を奪われ、上皇と天皇の弟である大伴親王が新しく皇太弟に立てられた。

 

事件に関わった他の皇族や貴族は地方に左遷され、全ては解決した。

 

嵯峨天皇「しかし、奴は消息不明じゃ。」

 

これは、年が明け、事件から半年が経った頃のことである。

 

雄斗「きっと何らかの接触はあるでしょう。その時まで待ちます。」

 

嵯峨天皇「そうしてくれ。そういえば、田村麻呂はどうしておる。最近見かけぬがの。」

 

類洲「病気になって邸で寝込んでおります。」

 

嵯峨天皇「回復する見込みは?」

 

綿麻呂「万に一つもございません。」

 

嵯峨天皇「田村麻呂がこの世を去るとき、マガゼットンが現れるのか。」

 

冬嗣「その時はその時です。雄斗殿が倒してくれます。」

 

しかし、類洲は否定的な見方をした。

 

類洲「マガゼットンはゼットン種の中では最強の力を持っています。正直、勝つかどうかわかりません。」

 

冬嗣「そうか。」

 

 

田村麻呂は、年が明けてから病気となり、このところ寝ている時間の方が多くなった。

 

ある日、雄斗は、いつものように田村麻呂の見舞いをし、昔の思い出話に花が咲いた。

 

田村麻呂「そういえば、雄斗殿は、この地に来て何年経ちましたかな。」

 

雄斗「38年になります。その間に孫も何人か生まれました。」

 

田村麻呂「そうでしたな。私の娘たちも嫁いだなあ。帝の父君やあなたの息子のところにも。」

 

雄斗「ええ。」

 

田村麻呂「その間に何人が亡くなったか。」

 

雄斗「井上内親王、他戸親王、光仁天皇、早良親王、高野新笠などなど覚えている限りで10人以上ですな。」

 

田村麻呂「阿弖流為殿が生きていたら、彼はどんな姿になっていただろうか。」

 

雄斗「最近はそればかり言いますな。」

 

ハハハと笑って田村麻呂は続けた。

 

田村麻呂「私はね、この頃、同じ夢を何回も見るんだよ。」

 

雄斗「どんな?」

 

田村麻呂「私が亡くなってすぐにマガゼットンが現れ、平安京の周りが焦土と化すが、雄斗殿は辛うじて勝つ。」

 

雄斗「そのような夢ですか。」

 

田村麻呂「ええ。」

 

雄斗「奴との邂逅ももうすぐか。」

 

ゼロ「そうだな。」

 

 

それから2ヶ月後のこと

 

雄斗は邸で休暇を楽しんでいた。

 

縄努摩内親王「もう35年になるのね。」

 

雄斗「初めて会った日からか?」

 

縄努摩内親王「ええ。あの頃は怪獣っていう言葉も存在も私は知らなかった。御所の外に出たこともなかった。でもあなたに出会ったことで色々と知ることができた。」

 

雄斗「そうかい。」

 

縄努摩内親王「父上や兄上から聞いていたけど、あなたが未来から来た人間でウルトラマンっていう巨大生物と一体化することで怪獣を倒している。でも、近いうちに怪獣はいなくなるんでしょ?」

 

雄斗「そうだよ。今日かもしれないし明日かもしれない。」

 

縄努摩内親王「私も清子も、いつかこういう日が来るかもしれないって理解してた。でも違う時代で同じように怪獣を倒すんでしょ?あなたがいた時代が滅びないためにも。」

 

雄斗「ああ、それが私の使命だからな。」

 

その時、田村麻呂の邸から使者が到着した。

 

雄斗「なんだ?」

 

「田村麻呂殿が危篤状態です。至急、邸にお越しください。」

 

雄斗「わかった。」

 

雄斗が田村麻呂の邸に到着した頃には、多くの貴族が集まっていた。

 

田村麻呂「雄斗殿はおるか?」

 

雄斗「私はいますよ。」

 

田村麻呂「これからも帝のお側にいてくだされ。マガゼットンを倒し、この都を守るのがそなたの役目じゃ。」

 

雄斗「必ず、約束します。」

 

田村麻呂「達者でな。」

 

そう言うと満足そうな顔で息を引き取った。

 

54歳であった。

 

訃報を知った嵯峨天皇は、その日を一日中政務の取らない日にした。

 

孫が皇族であり、また国家に忠誠を尽くした功績により田村麻呂の葬儀は盛大に行われた。

 

 

それから1ヶ月後

 

雄斗はいつものように宮中に参内して、政務を取り仕切っていた。

 

その時、1人の貴族がふとつぶやいた。

 

「内大臣殿、都の外れが大変なことになっております。」

 

雄斗「何!?」

 

よく見ると都の外れが気味悪いほど不吉な感じになっていた。

 

類洲「悪い予感がする。」

 

廣松「すまないが、我らは抜ける。」

 

「わかり申した。」

 

3人は他の貴族たちの了解を取り付けると、宮殿を飛び出し、真っ先に都の外れへと走り出した。

 

多数の通行人が、その現象を目の当たりにし、怖がっている様子であった。

 

ゼロ(彼らには正確な情報が回っていない。怪獣が現れるのは知っているが、それを災いによるものだと考えている。真実を知ったら、今以上に怖がる。そう桓武天皇はおっしゃって貴族や官人それに口の硬い行商人にしか教えなかった。)

 

都の外れに到着すると、待っていたかのようにダークジャグラーが立ち上がった。

 

闇ジャグ「遅かったじゃないか。待っていたぞ。」

 

雄斗「ダークジャグラー!やはり貴様か。」

 

闇ジャグ「ウルトラマンゼロ、今度こそお前を倒す。」

 

ダークリングを掲げると、ゼロが今まで倒した怪獣のカードを通した。

 

類洲「まさか!」

 

闇ジャグ「そう、マガゼットンを出現させるのだ。」

 

そう言うと18枚のカードを通した。

 

[ゼットン、EXゼットン、ハイパーゼットン、ハイパーゼットン デスサイス、ファイヤーゼットン、宇宙恐魔人ゼット]

 

廣松「させるか!」

 

廣松はダークジャグラーに斬りかかろうとするが、ダークジャグラーに抑え込まれた。

 

闇ジャグ「ただの地球人は引っ込んでろ!」

 

そのまま少し離れた場所まで吹き飛ばされた。

 

廣松「う、あ...。」

 

類洲「廣松!廣松!しっかりしろ!しっかりするんだ!」

 

廣松「私は無事です。」

 

その間にも怪獣カードは挿入されていく。

 

[アントラー、キングパンドン、ブラックキング、ベロクロン、タイラント、シーゴラス、ベムスター、ハンザギラン、バラバ、レッドキング、キングクラブ]

 

闇ジャグ「うーん、1枚足りない。そうか、あいつの力が足りないのか。」

 

何かに気づいたダークジャグラーは類洲めがけて、エネルギー吸収の電撃を放った。

 

雄斗「類洲、危ない!避けて!」

 

ゼロ「イカルス星人、今すぐ避けるんだ!」

 

しかし、彼らの声に気づくのが遅れた類洲は、電撃に襲われ、悶え苦しんだ。」

 

類洲「うっ、あ!ぐああああああ!」

 

闇ジャグ「フハハハハハ!」

 

[イカルス星人]

 

闇ジャグ「これぞ、光の魔王獣マガゼットンの襲来である!」

 

辺りは暗くなり、19枚のカードが合成され、マガゼットンが出現した。

 

類洲「すまん、私のせいだ。私が早く逃げていれば、こんなことにはならなかった。」

 

雄斗「そんなことを言うな。どっちにしろマガゼットンは現れた。だったら、倒すまでよ。」

 

類洲「頼もしいな。うっ!あ!」

 

雄斗「廣松!」

 

廣松「はい!」

 

雄斗「私はあいつを倒す。お前は類洲を連れて邸に戻れ。」

 

廣松「はい!ご武運を!」

 

雄斗「おう!」

 

類洲は、廣松に背負われ、これから戦地となる所を脱出した。

 

雄斗「さあ、やってやろうか、ゼロ!」

 

ゼロ「おう!ブラックホールが吹き荒れるぜ!」

 

雄斗は、いつものようにウルトラゼロアイを取り出すと変身した。

 

雄斗&ゼロ「ジュア!」

 

神々しい光が辺りに漏れ、ウルトラマンゼロが降臨した。

 

ゼロ「俺は、ゼロ!ウルトラマンゼロ!」

 

マガゼットンはゼロに気づくと、まっすぐ向かってきた。

 

ゼロ「おりゃー」

 

パンチをしようと拳を突き出したが、ゼットンバリアで防がれた。

 

ゼロ「痛えな!」

 

雄斗「まずは、あのバリアを破壊するしかなさそうだ。」

 

ゼロ「そうだな。ウルトラゼロショット!」

 

ウルトラゼロショットを腕から発射したが、マガゼットンは瞬時にテレポートし、回避した。

 

ゼロ「何!?」

 

闇ジャグ「ふっ。馬鹿め。散々、様々なゼットンと戦っていたくせにもう方法を忘れたのか。まあ40年近くもこの時代に暮らして痛そうなるか。でも、こちらとしては好都合。十分に楽しめそうだ。」

 

ゼロ「こうなったら、これしかない!」

 

ウルティメイトブレスレットを変形させ、エネルギーを溜めてファイナイルウルティメイトゼロを放とうとした。

 

ゼロ「これで、決める!」

 

対するマガゼットンもエネルギーを溜めて、巨大な光弾を放とうとした。

 

ゼロ「ファイナイルウルティメイトゼロ!」

 

ゼロがファイナイルウルティメイトゼロを放った瞬間、マガゼットンも巨大な光弾を放った。

 

2つの強大なエネルギーはぶつかり、大爆発を起こし、周囲を巻き込んだ。

 

雄斗&ゼロ「うわああああ!」

 

闇ジャグ「危ねえ。」

 

ダークジャグラーはその場を離脱した。

 

マガゼットンはファイナイルウルティメイトゼロの直撃を食らい、しばらくの間、機能停止となった。

 

ゼロも光弾直撃を食らい、雄斗は変身を解除され、地面に投げ出され気を失った。

 

相当なダメージを食らったせいかウルティメイトブレスレットは石化した。

 

 

戦いの様子を政務を中断して嵯峨天皇は、遠くから戦闘の様子を見ていた。

 

嵯峨天皇「やったか!?」

 

爆風が晴れると機能を停止したマガゼットンと地面に倒れこみ、ゼロへの変身を解除される雄斗の姿を発見した。

 

驚いたものの、すぐに我に帰った嵯峨天皇は、その場にいた貴族たちの命令した。

 

嵯峨天皇「すぐに雄斗とゼロを救出せよ!。そして、邸に運ぶのだ。」

 

「は!」

 

気を失った雄斗はすぐに邸に運び込まれた。

 

縄努摩内親王「あなた!しっかりして!」

 

清子「あなた!私たちの声が聞こえる?」

 

あまりにも慌てふためく2人の様子を見て、類洲がなだめた。

 

類洲「大丈夫です。彼は生きています。でも、ゼロが。」

 

嵯峨天皇「ゼロがどうしたのだ。」

 

いつの間にか嵯峨天皇が邸の中に入ってきていた。

 

廣松「ウルティメイトブレスレットが石化しています。」

 

嵯峨天皇「どういうことだ。」

 

縄努摩内親王「私たちには、もう希望は残されていないってことよ...。」

 

清子「縁起でもないこと言わないでよ!」

 

縄努摩内親王「ごめん。」

 

その時、類洲が何かを思い出したかのように声を発した。

 

類洲「そうだ!ギガバトルナイザーNEOは無事か?」

 

廣松「無事でした!」

 

嵯峨天皇「そうか!その手があったか。しかし、使いこなせるのは雄斗と田村麻呂のみ。雄斗は意識不明、田村麻呂は既に亡くなっている。」

 

類洲「ならば私が出る。私が本来の姿に戻って、マガゼットンを倒す。」

 

しかし、冬嗣が静止した。

 

冬嗣「雄斗殿が意識不明の中、類洲殿まであの化け物に負けたらこの世界はどうなる?今やるべきことは雄斗殿とゼロ殿の回復だろ?祈祷するしかあるまい。」

 

廣松「それしかございません、陛下!」

 

嵯峨天皇は頷いた。

 

嵯峨天皇「わかった。国中の坊主どもを呼んで祈祷させるのだ。」

 

「は!」

 

雄斗の寝室の外には多数の僧が集まり、護摩を焚き、回復するためのお経を唱え始めた。

 

側には縄努摩内親王と清子が座り、一緒になって唱えていた。

 

 

雄斗の精神世界

 

「起きろ、起きろ。」

 

聞き慣れた声に雄斗は目を覚ました。

 

雄斗「うん?あなたは田村麻呂殿!ということは私は死んだのか?」

 

田村麻呂は否定した。

 

田村麻呂「そなたはまだ死んではおらぬ。マガゼットンとの戦いで負けて意識を失ったが、死んではいない。」

 

雄斗「そうか。ゼロは?ゼロはどうなったの?」

 

見るとウルティメイトブレスレットが石化していた。

 

田村麻呂「莫大なエネルギーが直撃してダメージを負い、ウルティメイトブレスレットは石化した。だが、ゼロ殿は無事じゃ。生きておる。耳を澄ましてごらんなされ。」

 

すると弱々しい声が微かに聞こえた。

 

ゼロ(雄斗、俺は無事だ。)

 

雄斗「ほんとだ!無事だ!」

 

田村麻呂「ゼロ殿を引き戻すのです、雄斗殿!そして、マガゼットンを倒すのです。帝を民を、この都をそしてこの世界を守るのです。さあ、行きなさい!光の勇者よ!」

 

雄斗「はい!」

 

 

夜が明けた頃、雄斗は目を覚ました。

 

両隣を見ると、疲れたのか手を握ったまま寝落ちしてしまった縄努摩内親王と清子がいた。

 

雄斗「2人ともずっと側にいてくれたんだ。ありがとう。」

 

その時、様子を見にきた廣松と目が合った。

 

雄斗「廣松...。」

 

廣松「雄斗殿!誰か、誰か来て!雄斗殿が目を覚ましたぞ!」

 

騒ぎを聞きつけて、多くの人が雄斗の無事を確認した。

 

やがて目を覚ました縄努摩内親王と清子も安堵し、知らせを受けてやってきた類洲、冬嗣、嵯峨天皇も笑みを浮かべた。

 

雄斗「皆さん、心配をおかけしました。」

 

縄努摩内親王「もう、これ以上心配させないでよー。」

 

清子「そうですよー。」

 

雄斗「すまない。」

 

そこへ嵯峨天皇が咳払いした。

 

嵯峨天皇「夫婦3人でお取込み中、失礼するが、雄斗、もう身体は大丈夫なのか?」

 

雄斗「生死を彷徨いましたが、田村麻呂殿に助けられ、ここまでやって参りました。」

 

冬嗣「そうか、田村麻呂殿に。あのお方もあの世から助けてくれたのですな。」

 

雄斗「ええ。」

 

類洲「雄斗殿、予想では今日の日没頃にマガゼットンは全回復します。それまで休息を。そして必ず勝利しましょうぞ。」

 

雄斗「おう!」

 

力強い返事に、その場にいる誰もが笑った。

 

 

その日の午後

 

平安京の外れにダークジャグラーが立っていた。

 

闇ジャグ「ほう、回復のスピードが早いな。この分だと日没前には回復するだろう。奴はウルトラマンにはなれない。レイブラッドの力だけで、どこまで勝てるかな。」

 

更に1時間後、マガゼットンは回復した。

 

雄斗は邸で休んでいたが、類洲が突然入ってきた。

 

雄斗「なんだ?どうした?」

 

類洲「大変です!マガゼットンが動き出しました。まっすぐこちらに向かってきます。」

 

そのことに全員が驚いた。

 

縄努摩内親王「回復するにはまだ先だったんじゃないの?」

 

清子「まさか、予想よりも早いスピードで回復したってこと?」

 

類洲「そうです。ですが、既に周辺の民衆の避難は完了しております。」

 

雄斗「じゃあ、今度こそ行くしかないな。」

 

廣松「ご武運を。」

 

雄斗「ああ。」

 

縄努摩内親王「約束して。」

 

清子「必ず帰ってくるって。」

 

雄斗「約束するよ。私は必ず帰ってくる。」

 

そして、まっすぐマガゼットンを見据えた。

 

雄斗「必ずお前を倒してやる。」

 

今度はウルティメイトブレスレットを見て、語りかけた。

 

雄斗「ゼロ、もう1度一緒に戦おう。一緒にこの世界を守るんだ。それとも僕には2万年早すぎますか?」

 

ウルティメイトブレスレットの石化が解け、元に戻った。

 

ゼロ「遅えよ。俺の相棒だったら、もう30分早くしろ。」

 

雄斗「ゼロ!」

 

ゼロ「俺が死ぬのはな、2万年早えんだよ!行くぞ!雄斗!ネオ・フュージョンライズだ!」

 

雄斗「おう!」

 

目の前にライザーとニュージェネレーションカプセルα・βが出現した。

 

雄斗「ギンガ、オーブ!」

 

[ニュージェネレーションカプセルα!]

 

ゼロ「ビクトリー、エックス!」

 

[ニュージェネレーションカプセルβ!]

 

雄斗&ゼロ「俺たちに限界はねえ!」

 

[ネオ・フュージョンライズ!ウルトラマンゼロビヨンド!]

 

ゼロはマガゼットンの通り道に立ち塞がった。

 

その様子にダークジャグラーは驚いた。

 

闇ジャグ「お前は、再起不能のはず!」

 

ゼロ「ベリアルの下僕にわかるはずもないだろうな。俺は不死身のゼロ様だぞ!」

 

雄斗「自分で言うかね、自分で。」

 

ゼロ「そうだな。行くぜ!」

 

ゼロはマガゼットンにパンチした。

 

マガゼットンはバリアを張ったが、強烈なパンチであったため、バリアは破壊され、後ろに吹き飛んだ。

 

闇ジャグ「くそ!」

 

ゼロ「まだまだ!」

 

そのままキックすると、マガゼットンは上空に飛ばされた。

 

それを上からキックして下に落としたり、下からキックして上に浮上させたりと繰り返したため、大気圏外まで行った。

 

雄斗「とどめだ!」

 

ゼロ「バルキーコーラス!」

 

マガゼットンは、またバリアを張ったが、強烈なバルキーコーラスに耐えきれず、直撃を喰らい、爆散した。

 

地上でもマガゼットンの爆散が確認され、人々は歓喜した。

 

ダークジャグラーはよほど悔しかったのか発狂して、闇の中に消えていった。

 

雄斗の目の前に田村麻呂が霊体となって現れたが、微笑んだ様子を見せてすぐに消えた。

 

変身を解き、地上に戻った雄斗を多くの人が出迎えた。

 

縄努摩内親王「お帰りなさい。」

 

清子「おかえり。」

 

雄斗「ああ、ただいま。」

 

嵯峨天皇「ご苦労だったな。」

 

雄斗「ええ。」

 

廣松「お疲れ様でした。」

 

雄斗「ありがとう。」

 

そして、類洲が近づいてきて告げた。

 

類洲「観測の結果、ワームホールが出現するのは1週間後であることがわかった。私も一緒にワームホールに入ることができるが、2人とも同じ時代に行くことができない。だからしばしの間の別れとなる。」

 

雄斗「どういうことだ?」

 

類洲「伏井出ケイと東園転鬼羅はウルトラ戦士を過去の世界に追放する際、そのワームホールに入れるのはウルトラ戦士のみと想定していた。だから私が彼らを裏切るとは想定していなかったようだ。私は一足先にEDAが存在する時代に帰り、君の無事を君の仲間たちに伝えるつもりだ。おそらく、何らかの形で私はEDAの下部組織に関わることになるだろう。君が帰ってきたらまた会おう。」

 

雄斗「ああ、達者でな。」

 

ゼロ「頼んだぜ、イカルス星人。」

 

 

1週間後

 

類洲の観測通り、ワームホールが出現した。

 

雄斗と類洲は人々に別れを告げ、ワームホールに入っていった。

 

そのワームホールに入った瞬間、雄斗と類洲がいるところが分かれ、2人は次第に離れていった。

 

類洲「しばしの別れだ。また会おう。」

 

雄斗「さよならー。」

 

ゼロ「イカルス星人、元気でなー。」

 

類洲は、見えなくなるまでEDA式の敬礼をした。

 

 

 

現代 地球

 

雄斗が時空の彼方に消えて、21日が経過していた。

 

美郷たちはディレクションルームにいてくつろいでいた。

 

そこへ警報が鳴り響き、異常事態が発生したことを知らせた。

 

正順「なんだ?」

 

画面を確認した美郷が声を上げた。

 

美郷「EDA基地上空に巨大なワームホールが出現した模様。」

 

晴子「このワームホールは811年の世界から来た模様です。」

 

憲三郎「雄斗だ。雄斗とゼロが戻ってきたんだ!」

 

李莉子「決めつけるのはまだ早いわ。そうでしょ隊長。」

 

正順「念の為、重武装して、対応にあたれ!」

 

全員「了解!」

 

全員が重武装して、ワームホールから人が出てくるのを待った。

 

すると、ワームホールから光が飛び出して、着地し、人の形になった。

 

類洲「あらよっと。どうも皆さんこんにちはー。斑鳩類洲でぇーす!」

 

あまりのチャラさに全員が逆に警戒した。

 

勝子「あんた何者?」

 

類洲「私、こういう者ですが。」

 

そう言って、イカルス星人の姿になった。

 

ガイ「イカルス星人!」

 

ジャグラー「貴様、何しにきた!」

 

あまりの剣幕に人間の姿になった類洲は慌てた。

 

類洲「私、雄斗殿と一緒にあの時代にいました。」

 

美郷「そうなの?」

 

類洲「そうなんです。私は元々、東園によって、あの時代に送り込まれましたが、私は闇の勢力には身を置きたくない。そのために奴等を裏切り、雄斗殿やゼロ殿を裏から支えました。」

 

ジャグラー「嘘をついているようには思えん。こいつは本当のことを言っている。」

 

正順「雄斗は無事なのか。」

 

類洲「無事です。彼は今頃、藤原道長のいる時代に来ているはずです。」

 

憲三郎「そうか。」

 

その後、類洲は真田グループホールディングスの傘下である真田造船に再就職することになり、身の安全を保障された。

 

類洲(さて、雄斗とゼロを救出するために船に新機能を搭載しますか。)

 

なんと、戦艦大和の改造を任されたのである。

 

 

 

985年 地球

 

この年は藤原道長が初叙されて、5年が経過した頃のことである。

 

ワームホールから出てきた雄斗は170年余りの時代を感じた。

 

雄斗「なんかまた元の年齢に戻ったようだ。」

 

ゼロ「マジか。しかし、たった170年でこんなにも変わるんだな。」

 

雄斗「そうだな。」

 

すると、後ろから声が聞こえてきた。

 

「待っていたぞ、光の勇者さま。」

 

雄斗「どちらさまですか?」

 

「私は従五位下藤原右兵衛権佐道長だ。よろしく。」

 

雄斗「よ、よろしく。」

 

 

 

[次回予告]

 

平安時代中期の摂関政治最盛期にタイムスリップした雄斗とゼロ。

 

彼らはそこで藤原氏の全盛期を誇らすことになる藤原道長に出会う。

 

この時代で雄斗は何を思うのか。

 

第19話「平安時代中期の漂流記〜摂関政治全盛期〜」

 

次回もお楽しみに!

 




雄斗とゼロの初めての敗北シーンも挿入しました。

次回も1話にまとめられなかったら、前編・中編・後編というふうにします。


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