俺の13ヒーローアカデミア! (不審者γ)
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13使いの転生

やあ、俺だ。

あ?誰って?まあそれより、ここがどこかを教えてくれよ。あたり一面真っ白なんだが。

 

『こんにちは、』 

 

「っと、誰だ…?」

 

『私ですか?私は…神です。』

はい来たよこの展開。嫌な予感しかしない。

 

『はい、想像しているように、あなたは死んでしまいました。』

……おいこらァ…

 

「ちなみにだが、なんで俺死んだんだ?」

 

『あ、強盗です。』

返答が軽すぎんだろこの野郎。

 

『まあまあ、落ち着いてください。ここにあなたを呼び出したのは訳があるんです。元々、あなたの寿命自体、ここで終わりだったのです。』

 

「………は?」

ってことは、その強盗とやらは運命だったってことか?

 

『はい。…最初見たとき絶句しましたよ。病気でもないのに寿命が16年なんて目を疑う以外ありません。そこで、転生の機会を与えることにしました。』

 

「…………………マ?」

 

『マジです。そこで、転生する世界は教えられませんが、特別な能力を授けます。それの希望を聞きにここに来たのです。』

え、素直にやったー。

というか、神様マジとかいう言葉使うのな…

 

「何でもいいのか?」

 

『はい。アニメやゲームのキャラクターの能力だったり、漠然としたこういう感じの能力、みたいな感じでも問題ないです。』

 

「じゃあ…#コンパスっていうゲームの、13✝サーティーン✝っていうキャラクターの能力ってできるのか?」

 

『13✝サーティーン✝…ですか?少しお待ち下さいね…はい。確認できました。ですが、この種類のキャラクターを使う場合、カード、というシステムも決めなければいけません。リストを準備しますね…はい、この中から13枚まで選んでください。』

と、手の上に辞書みたいなものを出現させる神様。受け取って開くと、中には…

 

「うわ!マジもんじゃん!」

本当のカードが入っていた。見たことのあるカードも大量に。

 

「うわ、アバカンじゃん!フルカノも…全天もだ!すっげぇ…!この中から13枚っすか!?」

 

『ええ。ですが、発動時間やクールタイム、得意カードなるものもあるようなので、お気をつけください。』

あ、発動時間やらクールタイムやらもあるのね…よし、逆に、13枚も選べるんだから、じっくり選ぼう。…というか13枚…ネタか?それとも何らかの意図があってか?まあいい。まずはデッキ構成だ。

まずフルカノは入れとこうか。あと…アバカンとディバ全もか。あ、秘めたるも入れとこう。…あと半分…うーん…あ、アレクとか入れてみるか…?あと…カウンター、ジョバンニかな?あ、ちょっと待った、ここカノーネいるか?ダメカ張るやつなんかいないと思うから…カノーネ落として…始龍にしてみるか。うわ、赤少ねぇ、味方とかもいるかもだし、月夜叉とみみみ入れるか。あ、補助カードねぇな…イデアとかでいいか?あと1枚は…多脚要塞とかにしとくか。

 

「じゃあ…これで。」

結局選んだのは、フルーク、アバカン、始龍、多脚戦車、ディーバ、全天、秘めたる、アレクサンドラ、ジョバンニ、月夜叉、みみみ、そしてイデア。

 

『これでよろしいですか?』

 

「ああ。」

デバフなんかは一切なし。やられる前にやるデッキだ。ん?俺の使ってたデッキ?フル緑カノみみみディーバだが?

 

『了解です。向こうの世界と連携が取れました。それと、特別に転生特典を2つ授けました。それについて言う事はできませんので、ご自分でご確認ください。では、行ってらっしゃいませ。』

 

と同時に俺の視界は真っ白から真っ黒になった。

 

 

 

 

 

までは良かったんだけどなぁ…

 

この世界、どうやら僕のヒーローアカデミアっつーアニメの世界らしい。俺、あれの内容ほぼ知らねえんだなぁ…漫画は読んだこともないし、アニメも見たことない。まあ、言えば内容がわからないから無双できない。まあ無双しようとも思ってないんだが。そもそもこういうのは無双しようとしたら夢想に終わるのがオチだな。…なんつって。

だが、誰が容姿まで似せろと言った。普通でいいんだよ普通で。

なんで白髪で肌も真っ白、目は赤くて黒い服好みとかになってんだ。

 

ん?今の俺?3歳の少年だ。転生して既に3年経ってるわけじゃない。転生したら既に3歳児だった件、だ。まあ、そこはいい。名前…やばいぞ?

 

堕天(おちあま) 十三(じゅうぞう)

名前だけ見たらまんまサーティーンじゃねえか。もうこれ絶対親サーティーンの事知ってんだろ。名字はしょうがないとして名前。

 

で、この世界には個性っていう特殊能力を持ったやつが人口の8割以上で、それを犯罪に転用するのがヴィラン、ヴィランを退治するのがヒーロー、って所までは知ってんだなぁ…これ以上は知らない。何ならこのアニメの主人公が誰かすら知らない。

元々サブカルには疎かったんだよなぁ…

 

あ、ちなみにだが、俺は孤児らしい。俺、目が覚めたら警察署にいたんだよな。最初めっちゃパニクって脳が多分三十分ぐらいフリーズしてた。

そこから2日経ってここに来たわけだ。で、ここに来て今2日目だから転生してから計3日だな。

 

「…はぁ…」

やれやれ、これからどうなることやら。



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ヴィラン襲撃

おう、俺様、堕天 十三だ。

今の俺?あれから2年飛んで今5歳だ。

というか、これ5歳児のふりとかクソきついんだが。なんで脳内高2の俺が楽しくおままごとやんなきゃいけねえんだ。リリカかジャンヌに…おっと、電波が混線したな。違う違う。

 

「……」

って事で、俺はとりあえず孤児院の中では「ほぼ全く喋らないけどめっちゃ賢い子」みたいになってる。全く喋らないのは話を合わせるのが苦手なだけ。これは前世からだ。コミュ障だが何か?何か問題でも?

 

「十三ー!」

まあ、それでも一応友達はいる。あ?二人だけだよこの野郎。まあ、そのうちの一人が今声をかけてきたこいつ。

高坂(こうさか) 翔飛(しょうひ)。個性、「跳躍」。平凡に見えるじゃん?こいつ上に15mぐらい飛んできて落ちた衝撃で攻撃したりできるんだよ。やばいぜ?

 

「なんか面白いことでもあったか?」

 

「いーや、暇だから遊びに来た。」

暇て…ま、俺も暇だから本読んでんだが。

 

「つーかそんな難しそうな本よく読むよなー。天才は格が違うってか?お?」

 

「さぁ?少なくとも難しいとは捉えてないが…」

だって今読んでるのごく普通の小説だしな。難しい要素がない。…とは言いつつも、小説片手に友達と会話する5歳児ってどんな図だよ。とまあ、こいつはいい。問題は…

 

「!堕天君!」

こいつだ。

隠気(かくれぎ) 蔽夜(へいや)。個性、「気配を消す」。

何故か俺を特に可愛がる上、絶対にタメで話せと言ってきたやつ。しかも2歳年上の女子だぞ?この人。そしていっつも気配消して後ろから出てくるから正直心臓に悪い。いつかフルーク位なら使いそうで。

 

「…蔽夜、急に後ろから出てくるからのは止めてくれと何回言ったら…」

 

「はは、隠気さん、十三のこと気に入ってるもんなー。」

気に入るのはいいが急に出てくるなと思ってる。闇討ちでもされそうだ。

と、

 

ドがアァン!

 

「!?」

 

「!ヴィラン!?」

 

「うっわマジか…!」

ヴィランが孤児院に来たらしい。

 

「……あー、面倒そうなのが…」

逃げながらこっそり少し様子を見に行ってみると中庭に、厳つい筋肉ダルマがいた。

しかも二人。

 

「…見た感じ強化系の個性だね…」

 

「あぁ……は?」

こいつ…また背中取りやがった…っと、筋肉ダルマの一人がこっち向いたな。

 

「…まずい、気づかれた。」

 

「え?」

 

「おー?坊っちゃんに嬢ちゃん。こんな所にいちゃ駄目じゃないかー。」

 

「っせ。言われなくともすぐ戻る。」

とりあえず蔽夜に後ろに下がってもらう。

 

「いやいや、危険なところに二人だけで来ちゃったら駄目なんだろー?こんな事になっちゃうかもだし…ね!」

と、殴りかかってきた。避けれんな。

 

「【ディーバ】!」

ガン!

よし、半透明の黄色いバリアに阻まれてパンチは全く喰らわなかった。というか相手の方が手ぇ痛そう。

 

「へへ…あ?」

 

「残念…でしたァ!【フルーク】!」

バゴオン!

その後、フルークで空高く打ち上げる。そして、腰から銃を二丁抜く。

 

「…2丁拳銃ってリロードどうすんだ?…まあいいか。」

言ってみただけだ。

 

「せっ、はっ、とォ!少し休むかァ?オラッ!」

いやーこれ、ちゃんとおもちゃじゃないからヤバイよね。まあ、この世界じゃただの銃じゃロクに太刀打ちできない奴までいるレベルみたいだが。

 

「ふん、ヌルい…な!」

一人がまた殴りかかってきたため…

 

「くらいやがれェ!」

バクショでよける。と同時にバクショは当てておき、怯ませる。と…

 

「かかったな?オラァ!」

後ろにもう一人いたらしく、殴りかかられる。ディーバはクールタイム中だし…あれか。

 

「【ジョバンニ】!」

 

「あ?」

ヒュッ!

 

「ちょっと失礼!…後ろからヤるのが好きなんだ。」

背後転移してキックを首にぶちかます。

 

「ぐはっ!?」

ふぅ、こんなもんか。と…

 

ダゴン!

「っつ!?」

 

「へへ…」

さっき怯んでたやつがしっかり横から殴ってきていた。当たった…痛え。

 

「ちっ…【みみみ】。」

回復…しきれてないな。30%回復でこれか…まあ、ガンナー状態じゃ防御力低いしな。それに、また殴りかかってきてる。

なら…

 

「堕天変貌!」

 

「あ?」

空に飛んで赤い大鎌を出す。神様特典か何かで、鎌は背負わなくても堕天変貌を使ったら手の中に出てくるようになってた。

 

「輪切りにして盛り付けてやるよ。」

 

「この!」

突っ込んでくる。それを軽くいなしてバランスを崩させ、後ろに突っ込ませる。そして…

 

「そぉい!」

 

「ガッ!?」「ギャバッ!」

鎌を構えて跳び、ぶん回す。そのまま二人とも全く同じ所にぶっ飛んでいった。

 

ちなみに、神様特典その2で人を殺すことはできなくなった代わり、倒したらナタデココになって好きな場所に転送できるようになった。んで…

 

「二人とも失せなぁ!【フルーク】!逝ィっちまいなァ!」

ドゴオン!

 

パパァン!

 

「はい残念俺様の勝ちィ!」

ふたりともナタデココになって消えた。どこに消えたって?警察署だよ。

…というか今更だがアバカンでも撃ってスタンさせときゃよかったかも。

 

「お、おおお堕天君!?ど、どんな個性…」

 

「まぁ…色々あるんだ。」

 

「と、とりあえずみんなの所に戻ろう。堕天君はともかく、私既に結構悪ガキ判定されてるから院長先生に見つかったときに…」

 

「あー、蔽夜、後ろ。」

あの…幽鬼が。

 

「………………\(^o^)/アッオワタ」

 

「隠気さん?堕天君?ここで何をしてるのかな?」

笑顔とは思えない威圧感を出しながら院長先生が、立ってた。こっわ。

 

「堕天君はヴィランを倒してました。わたしは…その…」

 

「…ヴィランを倒してた…?」

 

「はい。もうすごかったですよ!ムキムキの人二人を相手にして全く怯んだりもせずにバンバン攻撃して!ちょっとやられて、ヤバい!って思ったらなんか大きな鎌をだして、振り回してあっという間に二人とも倒しちゃったんです!」

うーん、勝手に言いふらさないでほしいなー。

 

「………そんなまさか…とりあえず、堕天君は今度個性検査を受けるべきね。…で、隠気さんは?」

 

「…………………」

まあ、流石にかわいそうだわな。

 

「ちょくちょく手助けしてもらってました。俺一人じゃ流石に太刀打ちできなかったっすけど、隠気さんが気配を消して援護してくれてました。」

ん?横からすごいキラキラした視線を感じるのは気のせいか?気のせいにしとこう。あと今だけは横向いたらいけない気がする。

 

「なるほどね…でも、今回は運良くいけたかもしれないけど!もう二度とこんな真似しちゃだめよ!」

 

「「はい…。」」

 

「とりあえず、戻るわよ。」

結論。どんな強い個性を持っていようと院長先生ほど強いものはいない。

ここテスト出るから覚えとけよー。



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緑谷出久とかいうやつが話しかけてきた

おう、俺様だ。

今?また3年経ったぜ。お?展開早すぎんだろって?主に言え。…ん?主ってなんだろうな?まあいいか。

俺はいま普通に小学生だ。小2。あと9年で実年齢(だったもの)に追いつくぜ。まあ、本当の実年齢は同じように増えるから絶対に追いつくことはないんだが。

ちなみに、同年代の友人は未だ翔飛だけだ。

 

「よ、十三!」

 

「おう、翔飛。」

 

「なあなあ、昨日のニュース見たか!?またオールマイトが活躍したらしいな!」

オールマイトってのはこの世界のトップヒーローの事だな。存在そのものがヴィランの発生を抑制しているとまで言われるレベルの言わば「平和の象徴」。

情勢に疎い俺でもそれぐらいは知ってる。あっちこっちにオールマイトオールマイト言ってる奴らがいるんだしな、個性もなんなのかわかってないのに。小物やらカードやらお菓子やらにオールマイト系統の物が出てきてる。

 

「俺もあんなやべー個性だったらかっこよかったのになー。」

 

「あれはあれで大変だと思うぞ?なんの代償もなしにあんなバカみたいな威力のダメージが叩き出せるとは思えん。多分それこそ実際に血がにじむ…どころかかなりの血を流して得た力だと思うぞ?」

 

「はー…お前の言うことは毎回難しいなぁ…そういや、十三の個性って何なんだ?結局俺、十三の個性知らない気がするんだが。」

 

「説明が難しいから毎回躱してるんだよ。ほれ、もう学校だぜ。クラスが違うんだ、残念だったな。」

毎回こうやってはぐらかしてる。だって俺の個性の説明きつくない?よく考えてみろよ。2丁拳銃使う、バクショで怯ませにかかる、姿が変われば大鎌でぶん回しにかかる、カードで攻撃する、しかもその内容が動きを封じる…スタンさせたりとか、殴りかかったりとかからビームみたいなの出る、回復する、相手の状態を全部元に戻す、挙げ句相手を殺せばナタデココになって好きな場所に飛ばせられる。うわー…説明ムズっ。言ってしまえば「#コンパスの13✝サーティーン✝の能力」なんだが、そんなの言ったところで通じない。ここコンパスなんてゲームねえもん。

 

「ぬぬぬ…」

 

「んじゃあな。また帰りに。」

 

「おう…あ、そういや隠気さんはどこにいるんだ?」

 

「蔽夜?あいつ生徒会長だぞ?」

 

「…え?」

こいつ、生徒会長の事も知らねえのか?いや待て、こいつの事だ、生徒会のシステムすらわかってない可能性だってあり得るか…?いや、ねえな。多分蔽夜が生徒会長って事が信じられんのだろ。

 

「ま、外面は真面目ないいやつだからな。」

外面は。ここ重要。

 

「ははは…まあ、孤児院でのあれはなかなかヤバかったな…」

ほぼ俺のストーカーになってたしな。行く先々にいるんだもん。怖いわ。なんであの人俺が行こうとしてる場所分かるんだろうか。

…まあ、それもちょっと前の話で、この間流石にやめろっつったら最近はしなくなったか。……たまに視線は感じるが。

というか、小4で生徒会長ってヤバいよな。何したんだろ、あの人。

 

「んじゃ、頑張れよー。」

 

「おー。」

成功。全く違う話題を少しして話をずれさせて帰す。別に翔飛が嫌いなわけではない。個性の説明が死ぬほど難しいからその話題からは避けてるだけだ。

 

 

 

さて、教室に入ると俺はボッチと化す。まあ、それで良いんだが。前世もそうだったが、休み時間とかは基本的に本を読むことにしている。外で遊んだりはそうしない。

と、いつもどおりそんな事になるはずだったのだが…

 

「ね、ねえ、お、堕天…君…だっけ…?」

ん?何だこの気弱そうな縮れ緑毛くんは。

あー、確か…うちのクラスの……

 

「お前は……緑谷。緑谷出久だ。」

 

「そ、そうだけど…」

っし当たった。

小さくガッツポーズをして、話を聞く。

 

「い、いつも一人だけど、な、何かあったの、かな…なんて…」

大丈夫かこいつ。最後の方声切れ切れになってんぞ。

 

「ああ、別段異常はねえよ。一人のほうが気楽かな、ってだけだ。ほれ、友達が呼んでるぜ。」

向こうで爆発頭の奴が緑谷を呼んでた。…いや、あれどちらかといえば威圧か?

なんか手の周りが爆発してるし。物理的に。どんな個性だよ…爆破とかか?

 

「あ、うん…」

何かチラチラ見られながら遠ざかっていった。なんだあいつ。妙なやつだな。

 

とまあ、基本的に学校生活は特筆するところはない。そんなこんなで2ヶ月経っただけだ。

で、問題はさっき起きた。

 

「あ、堕天くん!」

 

「、おう、緑谷。」

下校中、緑谷に合った。こいつも下校の方面は一緒だ。

という訳で毎日顔を合わせてると言葉のつまりもなくなってきて、普通に会話できるぐらいにはなっていた。つまり、優しいコミュ障だった訳か。俺とキャラ被ってるな。

 

「そういや明日体育のテストだな。嫌だなぁ…めんどい。」

 

「テスト…か…」

 

「そういや、緑谷って個性なんなんだ?何気に聞いてない気がするな。」

 

「あ、いや、その…」

…?なんだ?説明がめんどくさい感じか?俺と同じだ。

 

「説明が面倒な個性だったら別に言わなくていい。俺もそうだしな。一概に何ができる、とか言えない個性もあるからな。」

 

「あ、そうじゃなくて…僕、無個性なんだ…。」

…ん?無個性?ああ、個性が宿ってない型って奴か。

 

「なるほどな、そりゃあ体育が更に面倒になるわけだ。ハハッ。」

 

「…え?」

 

「あ?違ったか?もしかして体育は好きな方だったか?」

 

「あ、いやそうじゃなくて…馬鹿にしたりしないんだなーって…」

 

「俺がそんな野郎に見えるか?…まあ見えなくもないかもしれんが…別に個性が宿ってなかろうが、おんなじ人間に変わらんだろ?つまりそういう事だ。」

そんなつまらん事に使うために俺の頭はあるんじゃないんでね。…ん?なんのために使うのかって?そりゃあ…あれだよ。うん。

 

「…良かった。」

 

「へへ…あ、」

あ、やべ、道踏み外した。

この道は土手になっている。で、その上の道を歩いてるわけだが、踏み外せば右には石畳が、左には川がある。俺が踏み外したのは左。つまり…

 

「おわっ!」

ドボン。

うわ冷てえ。今5月だぞ。プール開きにゃまだ早い。

 

「お、堕天くん!大丈夫!?」

急いで走ってきた緑谷。が、結構斜面は急な訳で…

 

「わわわっ!」

ドボン。

 

「…クッ、…アッハッハハハハハ!」

 

「わ、笑うところ!?」

 

「あっ、あったりめえだろ!ヒヒッ…な、何助けに来ようとしてお前まで落ちてんだよっ!ッハッハハ…!」

 

「と、とりあえず大丈夫なの!?頭とか打ってない!?」

 

「ハハ。おう、心配すんな、首上げときゃ打ちはしねえ。…っと、いてて、」

あー、手足かなり打った上に擦りむいてんな。緑谷…も似たようなもんだな。打撲は知らんが擦りむいてはいるな。

 

「…月夜叉。」

全体回復なら緑谷も回復できるか…?

 

「わっ、傷が…」

お、良かった良かった。

 

「こ、これが個性…?」

 

「うーん…ちょっと微妙なところだな。ま、一部と捉えといてくれ。」

全部じゃないもんな。詳しくは話せん、って事だ。



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またヴィランか。

よっす、俺様だ。

あ?今度は何年経ったのかって?聞いて驚けなんと7年だ。主の計画のなさが目に見えるな。…ん?前も思ったが主ってなんなんだろうな?カタコトロボットとかか?

まあ、ともあれ今、俺は中3生だ。高校受験も控えてる。緑谷とはまた別の中学校だが、翔飛がこっちに来た。ちなみにだが、どういう縁か蔽夜もこの中学だった。今は高校生だが。一ヶ月前に告白されたが断った。あいつ、まさかこの伏線回収のために延々付け回してたのか?恋愛には元々疎くてな、あんまり興味がないんだ。あいつは友人。それ以上でもそれ以下でもない。まあ、さておき、今は下校中なのだが…

 

「ふぁ〜…」

眠い。

昨日何故かなかなか寝付けずにほぼ徹ってたからな…反動が…ん?

 

「何だあれ?」

瓶…か?中に…なんか入ってるな。捨てとこう。中身紫だ。しかもジュースとかの液体じゃなくて、なんというか…粘性の低いスライム?みたいな感じだ。

 

「ほっ、」

ゴミ箱に向けて投げ入れると、ガコン、と音を立ててナイスシュートした。ゴミ箱と俺の間の距離、わずか1m。中で瓶が割れた音したけどま、大丈夫だろ。

と、

 

「は?」

 

「いいサイズの…隠れ蓑…!」

紫のあの粘性の低いスライムみたいなやつが出てきた。目もあるし歯もある。…あれヴィランだったんかーーい!

 

「っ、【ディー…グバっ!?」

と、体にヴィランが纏わりつく。同時に口も塞がれ、カードも発動できない。

 

「っーーーっー!」

くそっ、こいつ…液体状のくせにしっかり掴んでやがる…どうなってんだよこいつ!クソっ…息が…!

 

「まぁまぁ、そう暴れるな。苦しいのは大体45秒…すぐ楽になるさ。」

この野郎…乗っ取るつもりか…っ!?くそ、口さえ使えりゃディーバ張れるのに…!おまけに手が拘束されて銃も使えない上、堕天変貌もできない…!

 

「んグっ…!」

と、ヴィランはめちゃくちゃに暴れ始めた。

くっ…まず落ち着け落ち着け…クールに行け……こいつ…ぜェってぇぶっ殺す…!

 

「ガッ…!」

…ま、冗談が言えるぐらいならそれなりに落ち着いてるな…!とりあえずこの状況から脱出しねえと…!

 

「ッグェ…!」

ちっ…人はいるが誰も来ねえ…いや、近寄れねえのか。そりゃそうだ。こんな状況だからな…あ、やべ…流石に息が…!

と、

 

「堕天くん!」

 

「!?」

緑谷!?なんでここに!?

 

「ガハッ…緑谷!?何でここに来た!?」

 

「なんでって…足が勝手に…分かんないけど!でも…一つ言うなら…

 

 

君が、助けを求める顔してた…!」

 

「…へへ、やっぱお前、最高だ。【ディーバ】!」

 

「っ!?」

 

「っふう、やっと息ができるぜ。さて、やってくれたなァ、ヘドロ野郎…!」

 

「!ま、まて!」

 

「誰が待つかァ!【アバカン】!」

流動体にゃ電気はキツイだろ!

 

「ぐっ…!?」

 

「へっ、それ、個性なんだろ?任意発動なんだったら…【イデア】。」

が、液体のままのヴィラン。

 

「チッ、」

元々の体がヘドロか…変異系の個性だったか…

 

「なら、また乗っ取ればいいだけだろぉ!?」

やべ、どうする…?ジョバンニは意味ない、全天は多分間に合わない、回復系は意味ない…堕天変貌もやってたら緑谷が巻き込まれるな…

と、視界の端に金髪が見えた。

 

「DETROIT………SMASH!」

 

ナンバーワンヒーロー、オールマイトのお出ましだ。出てきたのはいいんだが…

 

「…雨…?」

「まさか、いまので上昇気流が…!?」

「おいおいおいおい!」

「すげえ…右手一本で天気を変えちまった…!これがオールマイト…!!」

エグいな、大熱狂だ。

 

その後、バラバラになったヘドロ野郎はヒーロー達に回収されていた。

 

「だから!君が危険を犯す必要はまったくなかったんだ!」

 

「は、はい…」

…にしても、なんで緑谷が説教食らってんだ?

 

「あー、ちょいと失礼?」

 

「ん?」

 

「あんた、さっきから色々言ってっけどさ、逆にあんたは何かしてくれたかよ?」

 

「…あ…?」

 

「あんたが見てるだけの中、緑谷は決死で俺を助けてようとしてくれた。それに対してあんたは何だ。ぼーっと突っ立って特別なにもアクションも起こさなかっただろ。その上偉そうにこいつに説教だ?オールマイトが言うならまだ分かるが、だ。お前と緑谷のどちらがヒーローに近いかなんて一目瞭然、圧倒的にこいつの方が俺にとってのヒーローなんだなァこれが。」

あーもうイライラする。フルークぐらいなら撃っていいか?駄目〜?

 

「っ……そう…だな…。」

 

「ふん、ほい、お前もいつまでコンクリの上で正座してるつもりだ。とっとと帰れよ。聞いたぜ?雄英志望なんだろ?こんなとこで油売ってる場合じゃねえだろ。」

雄英高校。国立の超エリート高校で、偏差値79とかいうふざけた高校。オールマイト始め、様々なヒーローがこの高校の卒業生であり、教師をしているのもまたヒーローという高校。

 

「頑張れよな。」

それだけ言って俺はその場から離れた。

今の俺、かっこ良かったんじゃないの?ってな。

 

さて…雄英高校…か…。俺も目指してみるかな。ヒーローってかっこいいし、それに…人の役に立つのも悪くない。それに、ライバルもできるわけだしな。それなりにやりがいってのを感じられるかもしれない。

っし、そうなりゃ俺もとっとと帰って雄英の事とか、調べといてみるか!



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雄英って…ヤバイな。(語彙力喪失)

よう、俺様だ。

ん?まさかまた何年も経ってないだろうなって?安心しろ、今回は何年も経ってないぜ。せいぜい20分程度だ。今、あれから孤児院に帰ってきた感じだ。

 

「雄英高校…っと、」

スマホでポチポチして調べる。おー、めっちゃ出てくる。

ふむふむ………おい、Googleの雄英高校総合評価星4.99ってどうなってんだ…バケモンじゃねえか。あとその0.01どうした。…ま、総合平均だから全員が全員5評価するなんて事になってたらそれはもう色々飛び抜けてヤバい、の一言だけだな。…ま、4.99もなかなかヤバいけどな。…あぁ、ボキャ貧が垣間見える…

 

「さてさて…」

入試情報…お、あった。…ああ、やっぱ偏差値79がトップに出てくるよなー…

他に…なになに、筆記試験のあと実技試験?実技試験って何だ?個性使ってバトルでもすんのか?まさかぁ。…いや、意外とありえるかもな…

ふんふん…他に…実技は毎年なかなか盛り上がって埋もれがちだが、筆記試験が死ぬほど難しい…と。どんなんだろ。ちょっと過去問とか見てみるか…あ、あったあった。さて、どれどれ…

 

 

《3時間後》

軽く数学、英語、国語を解いてみたが…一言。ヤバいな。数学系統は前世知識があるからまあ、良いだろうと思う。実際悪くはなかった。試験時間がどれぐらいかわからんが、一時間で82点はまあ、悪くないと思う。

問題は国語やらの思考力じゃないものと、そもそもの俺の苦手科目、英語。

特に英語、38点だ。もうちょい真面目に解けばまあ、45点ぐらいにはなる…と思うが。それでもだいぶ問題だ。ヤーバいな…

それに、他にも理科系統と社会系統があるだろ?一番問題は社会系統だ。なんせ俺はここの知識は全くと言っていいほど持ち合わせてなかったから、他の科目と同じようにうまくは行かない。

 

「こりゃまずいな…」

本気で雄英高校を目指すならとりあえず文系の点数を底上げしねえとやばい。

実技は…内容は知らんが、対人戦とかならもう、全天アバカンフルークとかである程度の勝負は付きそうだな。

 

「なら、先決は筆記だな…」

しかも、こうなりゃ徹底的に暗記ゲーだ、ともできない。去年の入試を見たところ、こっち側の意見を問う問題がかなり多かった。だから、確かに暗記ゲーでは点数はあまり取れないと考えたほうがいいかもしれない。

 

「ちっ、真面目にテス勉してこなかった弊害が…」

ともあれ、志望は雄英高校で決定だ。

こればっかりは、負けてくれねえか、とはできねえし、する気もない。やってやんよこんなニ回目の高校入試程度!

 

 

 

そして翌月の学校で…

「さあ!お前らはもうすでに受験生だ!本腰はとっくに入ってないと大変なことになるぞ!どこの高校を受験するのかにもよるが、この教室の中に!雄英高校志望が二人もいる!」

おい先生…そういうのは言わないもんなんですよ。

 

「二人…」「しかも雄英志望って…誰だ?」「偏差値79とかいう化け物校だろ!?」「倍率とか去年400%超えたらしいぞ!?」「オールマイトの出身校とかだろ!?」「筆記もだが、実技が毎年すげーらしいぞ!」

うわー自由にザワザワするなー…っておい4番目のやつ。何なんだ倍率400%って。集計者の頭のネジでも外れたんじゃねえか?

 

「どうするかなー?名前言ってもいいかなー?いいか!?お前ら!」

 

「「「「「是非!お願いします!」」」」」

なんでお前らはそんなに興味津々なんだ。人の受験背景とか知ったところでだろ…

 

「堕天と高坂だ!」

そしてためらいなく言うなお前(先生)

ってか高坂雄英志望だったのかよ!?

 

「お、堕天と高坂だと!?」「おいどういうことだ高坂!」「お前この頃妙に勉強始めやがってたなァ!?」「つーか堕天…?」「そういや堕天の個性ってどんなんだっけか…?」「誰も見てないよね。」「おい堕天!お前個性教えてくれよ!」「確かに頭はいいからな、堕天は。」

…本当なんなんだか、こいつら。

 

「つーか翔飛、お前も雄英高校志望だったのな。」

 

「ああ、そういう十三もな。お互いライバルだな、絶対負けないからなー?」

 

「おぅ、かかってこいやオラ。」

なんか、こういうノリってやった事無かったから新鮮だな。前世の高校入試とかも一人で寂しく受けてたし、ライベルと呼べるようなやつもいなかった。

あ?陰キャボッチだったからだよなんか悪いかア"ァン?

 

ちなみに、このあと十数人からお前の個性は何なんだとかお前の血は何色だとか聞かれながら追い回されて、必死に逃げてた。

つーか血は普通に赤だよこの野郎。ちゃんと人間だわ。

 

「ぜぇ…ぜぇ…」

 

「お疲れー。」

 

「なんで、悪乗りして、先生まで、追いかけ、回して、くんだよ……!」

うちの担任は体育教師だ。だからなまじ体力はある。しかも、学校への提出書類の中で個性の欄に「複雑過ぎて説明ができません」って書いて提出したのもあって先生も知らないんだよな、俺の個性。あ、でも学校長に呼び出されて話したから校長以外、だな。

 

「…まぁ、俺は前々からお前にいくら聞いても教えてくれなかったからあえて追いかけ回したりはしないけどよ、なんでそんなに隠すんだ?」

 

「隠してる訳じゃねえ、説明が出来ねえんだよ。できる事の統一性がなさすぎてな。」

 

「…よく分かんないけど分かった。」

分かってねえじゃねえか。

まあ、だがここで「こういう事だよ」なんて言って誘導されて個性使うほど俺は馬鹿じゃない。当人もそんな気はサラサラないみたいだしな。

 

…というかそういや、緑谷は実技試験どうするつもりなんだろうか。本人は無個性っつってたが。ま、あのヒーローオタクの事だ。なんか策があるんだろ。

だってすごい、と思ったヒーローの行動とかそれに対する感想、客観的評価、実用性とかの情報をノートに書き留めてってるぐらいだぞ?あいつやべーだろ。

さて、あいつにも負けねえように俺も修行すっかな。




短い。


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入試前話と導入

「っし、あと一月だなぁ…!」

よう、今日は会話文からの俺様だ。

 

あれから4月経って入試まであと一月ってところだ。いやー、二度目の高校入試、相変わらずキツイな!

またあの前世の五徹リピート地獄を味わわないように今めっちゃ頑張ってる。

五徹リピート地国って何かって?………五徹一日休み、また五徹して…ってやつの事だ。……控えめに言って地獄だった。

で、今雄英の模試五教科を解き終えたところだ。よし、

 

「点数は…」

採点してみたところ…お、なかなか良い線行ってんじゃねえか。理数系統は80点以上はマーク、国語、社会も死ぬ気で頑張って70ちょいちょいを取れるようになってきている。

…問題の英語だが…49点。うわー…ここまでやって49て…英語はやっぱ捨てだな。下手にやってたら他の点数まで落ちかねん。

 

「平均評価らしいから…理数を90取れれば行けるか…?」

今回の内訳は、

国語 78、数学 86、理科 92、社会 72、英語 49

 

「…………英語の疎外感パネェ。」

ヤバイな。唯一半分行ってねえ。

…さて、と。ちょっと気分転換に散歩でもしてくるか…ここのところ5時間ずっと座りっぱなしだ。

 

「〜〜〜♪」

現在お送りしておりますのは、鬱P様より、「天使だと思っていたのに」であります。

と、

 

「あ、ここ砂浜という名のゴミ捨て場だ。」

不法投棄やらなんやらがまかり通った最後、ゴミ捨て場になってる所だ。

…にしても、なんか向こう一区域だけゴミ減ってね?清掃の人がめっちゃ頑張ったのかな。それでもこの量まだあるってヤバいけどな。まじで。どれ…体力作りついでにちょっとゴミ掃除でもしますかな。

 

「あ、手袋ねえじゃん。」

…素手でいいか。この間知ったが、みみみを使えば傷同様に汚れも落ちるらしいし。ラッキー。

 

「…っと、どう処理したものか…そうだ。」

フルークをぶつけて粉々にする。砂と混ざれば分からんぐらいに。

 

「よし、じゃあこのテレビを…【フルーク】!」

バゴォーン!

パラパラパラ…

 

「うわえっぐ。」

まじで塵しか無くなった。やばいねこれ。この世界じゃステの倍率は確かに力が1.25倍、防御が0.65(アタッカーだと1.2)倍、体力が0.9倍になるようになってるみたいだけど基本ステータスはカードのステータスじゃなくて本人の努力次第でステータスが変動するタイプみたいだから修行してたら普通に上がるんだよね。

その上、フルークって倍率380%じゃん?つまり、そういう事なのよ。

ちなみにだけど、カードの発動時間は13と同じく近距離が速く、周囲が並、遠距離と連続が遅い。なんでアバカン入れたんだろ。何なら号令とかワキンヤンとかの方が良かった気がする。

まあ、そんなことを言っても過去は変わらないため。

 

「っし、まだやるぜ?おら【始龍】!」

ズドォン!

 

「うほー…」

またもや電子レンジとオーブンが粉々に。

 

「これ人に向けたら駄目なやつか…?いや、捨てられてて脆くなってるからか。」

そうだ。言われてみればこれここに捨てられてもう何年も経ってるやつだわ。そりゃ脆くもなるから、粉々になるのも頷けるか。

 

「っし、続けるか…ん?」

トラックが走ってきてた。いや、それだけならいいんだけど、さっきからあのトラック、何回も行ったり来たりしてる。

そして、行く際には荷台に大量のゴミを載せていってる。なるほど、ボランティアの方かね。お疲れさまですなんか見たことのある金髪が見えたのは気のせいだと思いますはい。

 

「さて、もうちょいやるか。」

とりあえずアタッカーHAの強化をやってみるか。

あれ決まるとクソ強いからな。敵吹っ飛んでいくし。

 

ソォイ!ガァン!ソォイ!ドドォン!ソォイ!ズゴァン!

 

「ふぅ…ん、なんかチリっぽいのが大量に溜まったな…」

ま、そりゃそうか。延々と粗大ゴミ破壊しまくってるんだもんな。砂と同じ大きさになろうが塵は塵だしな。砂にはなれん。

よし、

 

「【多脚戦車】。」

周りの塵をとりあえず吹き飛ばす。…砂もかなり吹き飛ばされた。まあ、そのうち戻るだろ。風とかで。…というか、思いの外きれいになったな。俺のいるところのだいたい半径7m内にはゴミがなくなった。

あ?たった7メートルかって?お前なぁ、ゴミが高さ3、4メートル積み重なってるやつの半径7メートルだぞ?体積的に言えば最大196m³だぜ?だいぶやったと思うんだが。まあ、カード乱用してるしな。疲れたらみみみ、クールタイムが貯まれば即秘めたるorフルークor始龍だぞ?普通に秘めたる使った後のフルークやばかった。かなりでかい方の冷蔵庫が塵も残さず消し飛んだぜ?ヤバすぎんだろ。

…その分体力持っていかれたが。

カードは使うごとに疲労がたまるらしい。みみみとかで回復できるけど、みみみ自体もカードだから体力の回復が少し減る。アビリティとHSでなんとか回復はできるが、敵を倒さないと駄目、HSもクールタイム20秒ぐらいいるようだし、これも体力を使う。その上ここじゃ無敵タイムも無いから隙が…な。まあでも…

 

「…実技は問題ないっぽいな。うん。」

どちらかと言うと対人なら手加減が必要になるな。…カード使用は攻撃系はなし、とか。

 

 

そんなこんなをしながらテスト勉強をしつつ、実技のためにも特訓をして、当日を迎えた。

 

「よし、準備するものは…オーケー。」

持っていくものはとりあえず筆記用具、参考書、弁当、二丁拳銃。

うっわこの二丁拳銃の浮きようよ。

 

…まあ、それはいいとしよう。それより…

 

「院長先生、なんスかこの服装…?」

……黒のとんがったフードに黒ローブ…

…サーティーンやないかぁい…

 

「似合うと思って作ったのよ!うちから雄英志望者が二人も出るなんて夢みたいじゃない?だから堕天君にはこれ、高坂君にもまた別の服を作ってあげたわ!」

院長先生ぇ……

すごいな、というかもう絶対サーティーンの事知ってるっしょ…完全に13だもんな。なまじ顔が似てるから姿見で見たら仮面つけてないだけの13だぞ。

 

で、庭で高坂と合うと…

 

「よう十ぞu…お前の服は厨二病発症者か何かか?」

 

「…院長先生に聞いてくれ。」

高坂はまあ、普通っちゃ普通。ただ、靴がなんか凄いことになってる。スパイクにロケットらしきものが横に付いてる。そして服は俺と逆に白の普通の服だった。俺もあんなんで良かったんだけどなー…

 

「お前、見た目完全にヴィラン側だよな。」

 

「それを言うでない…院長先生にどやされんぞ。」

軽くアッパーカット位食らわされそう。と、

 

「さ、行ってらっしゃい!」

 

「「うおおあぁ!?」」

後ろから院長先生と蔽夜が出てきた。…なるほど、蔽夜の個性を使ったか。心臓に悪いわ。

 

「つか何で蔽夜がここにいるんだよ。お前今県外の高校の寮生活の筈だろ。」

 

「堕天君と高坂君が雄英高校を受けるってのに来ないわけに行かないでしょうよ。ねー、院長先生。」

 

「そうねー。まあでも、告白した瞬間に振るような、乙女心もわからない奴もいるのによく来るのね。」

 

「ぐ…」

しゃーねぇじゃん…恋愛経験は0、そもそもそういうのに興味が無いから、下手に長引かせて期待させるのもアレかなー、と俺なりに考えて即答えを出しただけなんたが…

 

「まだ諦めてませんからね。」

 

「本人の前でそれ言うのかよ。」

…よく分からん。

ちなみに、この後、散々翔飛にいじられた。

 

まあでも、とりあえずは入試だ。受かるところから始まるからな。やってやんよ。




謎の恋愛フラグみたいなの立ってますが、恋愛要素はないです。


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入試。やっぱレベルが違ぇな!

POLO ポロさん、V・X・Tさん、評価ありがとうございます。


「…雄英高校…こんなんなんだな。」

よう、電車に揺られて15分、雄英高校に到着した俺様だ。

つかデカすぎねえか?雄英。門の大きさからして規格外だぞ。

 

「…よし、入るか。」

 

「ああ。十三、俺は負ける気ないからな?」

 

「おう、俺もだ。まずは筆記だからな。」

教室は受験番号順のため、部屋は同じだった。

まあ、特筆することはなかった。強いて言えば結構できた、位だ。

英語は置いておくとして、数学、理科はうまく行けば満点行ったかもしれん。社会は…ま、70ぐらいか?国語は80は取れたはずだ。………英語……まあ……50…点は行ったかなー……

 

「ま、次の実技が重要だからな。翔飛、実技は大丈夫なのか?」

 

「ああ、問題ない。こう見えて俺、結構強いんだぞ?」

 

「それは知ってる。」

さて、説明は…お、あそこか。………この建物だけでうちの孤児院ぐらいの広さがあるんだが、どう思う?

 

「席は…ここか。」

 

「受験番号が連番だと座る席も隣なのか。となると会場も同じだったり?」

ふと翔飛がそう言った。が、

 

「や、それは違うらしい。どうせ友人同士で協力はさせねえっつー訳だろ。」

俺と翔飛の会場は違うところだった。俺はFで翔飛はAだ。

 

と、金髪の、サングラスをかけてスピーカーのようなものをヘッドホンのように首にかけている人が前に出てきて、照明がちょっと暗くなる。同時に講堂内が静まる。

…それより、なんだあの人の格好。

 

「今日は俺のライヴへようこそ!エビバディセイヘイ!」

ファッ!?

あ、焦ったァ…急に大声出すな…あれは…プレゼントマイクだったっけか?

そして恐ろしいほど静まり返ってんぞ。翔飛は…驚いて固まってるな。大丈夫かー?

 

「こいつはシヴィー…これから実技試験の内容をサクッと説明するぜ!?アーユーレディー!?YEAHHH!」

 

シーーン!

 

………キツイな。

何というか…冷ややかな視線と無音の空間が相当痛いんだろうな、って思う。あんまり本人気にしてないっぽいけど。

 

それでそれで?ふむ、会場内に1P、2P、3Pの仮想ヴィランという名のロボットが設置されてるからそれを行動不能にさせるわけか。

破壊、じゃなくて行動不能。それなら戦闘系の個性じゃなくても雄英に入れるやつもいる訳か。

…ん?じゃあ回復系とか補助系のヒーローってどうやって入ったんだ…?まあ、良いか。

と、高坂とは逆の方向の横から手が上がった。

 

「質問よろしいでしょうか?」

ん?なんだこの真面目そうなメガネは。

 

「プリントには4種のヴィランが記載されています!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」

うわめっちゃ喋るやん。つかこの状況でよく言えるなそれ。おし、

 

「ちょいちょいお前、そういう質問は最後にするもんだろ。第一まだ説明は終わってねえんだからこの後に説明があるかも知んねえだろ?一回最後まで聞こうぜ?」

 

「ぬ、確かにそうだな…これは失礼しました!」

直角に腰を曲げて座るメガネ。何こいつめっちゃ行動がピシピシしとるやん。

 

「オーケーオーケー、受験番号君、ナイスなお便りありがとうなー!四種目のヴィランは0P!そいつは言わばお邪魔虫!レトロゲーの方のスーパーマリオブラザーズのドッスン見たいなもんさ!各会場に一体所狭しと大暴れしているギミックよ!」

0P…ね。

こいつも何らかありそうだな。

 

「これで俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校の“校訓”をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と!

 

 

 

Plus Ultra!!(更に向こうへ!!)

 

 

 

それでは皆良い受難を!!」

 

…よし、開始、か。

 

「じゃ、翔飛。頑張れよ。」

 

「ああ、十三もな。」

 

「おう!」

 

 

 

で、試験会場なんだが………

 

「広っ。」

まんま街じゃねえか。こんなもんが敷地内にいくつもあると考えると…雄英ってやっぱ規模が違うな…。

 

「さて、と……」

周りを見るに中々…何というか個性的なやつが多いな。いやマジで。多分個性に合わせた装備とかしてるんだろうが…いや個性的すぎ。

………さて、いつ始まるか…?

と、

 

「はい、スタートー。」

来た!

 

「せあぁっ!」

ヒュン!

 

「っと、……ん?」

ジャンプで跳んで入った。…が、誰も…来てない…?え、俺ミスった!?

 

『おい、何ボーッとしてんだよ?走れ走れ!塞は投げられてんだぞ!?』

っしゃ合ってた!と、

 

ドガアン!

 

『ピピッ標的補足!ブッ殺す!』

1Pか。よし、準備運動だ。

 

「くらいやがれェ!」

パァン!

 

『ガ…ピ…』

あ、思ったより脆い。ちなみにだが最初はなんでか強制的にガンナーモードから開始になるから、バクショで対処だ。

 

「ん、来たな…」

と、周りに1Pが2基、2Pと3Pが一基ずついた。

カモだ。

 

『ブッ殺す!』

 

「【多脚戦車】!」

ブオォドゴォン!

 

「あ、」

やべ、吹き飛ばしすぎた。ビルとかバンバン当たってるし。…まあ、ロボットもぶっ壊れたけど。

 

「…ここではできるだけ使用禁止…だな。」

こりゃ下手すりゃ普通の受験生も怪我するわ。

故意じゃないにせよ、そりゃ良くない。

 

まあ、そんなことをしながら残り2分30秒を切った。

堕天変貌も使って今はアタッカーモード。と、そのとき……

 

ドゴオォォォォン…!

 

「は?」

……何だ?影がかかっ…!

 

「危ない!逃げろ!」

なにかの影かと思えば、バカでかいロボットが腕(?)を振り上げていた。

 

「ちっ、オラァっ!」

その下に二人固まって動けないみたいだな。…ん?一人は倒れてるのか…怪我してるのか。…よし、

 

「早く逃げろ!下手すりゃ叩き潰されるぞ!」

 

「あ、あぁ…で、でも!!」

 

「…いいから!」

と、その人は倒れている一人を背負い、走る。

 

「で、でもこの人は…」

 

「大丈夫だ。【月夜叉】。」

味方、の定義があやふやだが、とりあえず味方だと思っとけば味方になるらしい。

とりあえず回復させておく。

 

…さて、あれは…どうすりゃいいんだ?

 

バカでかいロボット(0P)を前に、どうしたものか、と考える。と、

 

「危ない!」

 

「っ!」

叫ばれた声に反応して上を向くと、0Pの崩したビルの瓦礫が上を向いた俺の目の前に迫ってきていた。



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入試後、結果

「【ディーバ】!」

ドドォン…

 

よう、0Pとかいうふざけたロボットに潰されかけて、いきなりのディーバ宣告をぶちかました俺様だ。

いや危なすぎんだろ!?あとコンマ5秒でも遅れてたら冗談抜きで死んでたかもぞ!?

 

「大丈夫です…か…え?」

さっきのやつが走って近づいてきたが、俺は問題ない。が、

 

「ああ、心配してくれてサンキュ、だが、俺は無傷だぜ?…それよりあいつ…ぜェってぇぶっ殺す!」

あいつは殺す。マジで手加減無しでぶっ飛ばす。

 

という訳で…

 

「おらぁぁあ!【秘めたる】!」

秘めたる使って全力でジャンプ。で…

 

「…捉えたっ!【フルーク】!」

ドゴオォォォォォオオン!

 

「っしゃどうだこの鉄屑ァ!」

流石に壊れただろ。秘めたるフルーク舐めんなよ?顔面(?)の部分半分ぐらい無くなってるかもなァ?

と…

 

「……は?」

顔の部分が上半分ひび割れて凹んだだけで生きてました。

どうしてくれようかこの野郎。

 

「あぁ!?嘘だろよく生きてたなこいつ!」

えぇ?どうするよこれ。何かあれを大破させれる物無いか………つか秘めたるフルークで駄目とかどんな材料でできてんだあれ。やっぱ鉄とかになんかの個性でもかけてんのか?

 

………あ、

 

「…そうだ、くだらねぇ事思いついた…よっと。」

で、着地して、歩いてロボに近付く。

 

「ちょ…」

 

「被害を出さずに最小限でこいつを倒す。…ミソなのは「破壊」じゃなくて「行動不能」。…良く出来てるな。」

 

そうだ、ぶっ壊す必要なんてない。あるじゃねえかよ、近付かずに壊せるやつがよ!

さあ、そのカードはなんだろうな?1秒間れっつしんきんぐ。

 

「って事で【アレク】。」

そう、スタン罠である。当たったかな?

…まあともかく、勝ったわこれ。硬い機械に対していちいち殴ってたらきりねえからショートさせりゃあ勝ちじゃん。

…ん?アバカン使えって?あれ13の発動「遅」の上に発動時間「短」じゃん?そんなもん待ってたらその間にあれに潰されそうだしさ。つーかなんでアバカン選んだんだろ。他にあっただろ。それならまだカノーネとかブレドラとかワキンヤンのほうがマシだったわ。

 

「ほらこっち来いよ!」

まあそんなことを言っても何も始まんねえし。

アレクがちゃんと発動してるのを確認して0Pを誘導する。ちょっと注目させて走るだけで簡単についてくるんだな、あいつ。チョロイな…よしよし…!

そして、

 

バチバチバチバチッ!

 

「ゴ!?」

 

「っしかかった!」

 

「ピ…ズシュゥン…」

…動かなくなった。5秒経ったが、動く気配はない。…となると…

 

「ふぅ…!ぶっつけ本番でいけたか…。」

成功したぞ!

…さて、残り時間は…あと20秒。…あそこの3P倒して終わりにすっか。

と…

 

「!瓦礫が!」

0Pが停止したときに当たったビルが倒壊しかけていた。

いや、正確には崩れて落ちてきていた。

しかも、その下には人、人、人。いやまずくね!?

 

「オラァ!【多脚戦車】!」

本気でダッシュし、ジャンプ。で、多脚要塞で瓦礫を吹き飛ばしつつ粉々にしておいたところで…

 

「ピピーー!終ー了ー!」

 

「ふぃー…」

疲れた。その一言に尽きる。よし、帰って即寝よう。うん。

カードの乱用のおかげで体力がゴリゴリ削られて眠気がエグいんよ。もうこんな体験はこりごりだが…そうは言ってられないよなぁ。

 

 

 

で、一週間後…

 

「堕天くーん!高坂くーん!お手紙来てるわよー!」

 

「お、雄英からかな?」

一週間後っつってたから多分そうだろうな。

 

「……?なんじゃこりゃ?」

で、封筒を開けるも、よくわからない機械が一つだけ入っていた。…まじでなんじゃこりゃ?

 

「あー、投影機械みたいなやつじゃね?」

 

「あー、な。」

とりあえず起動させりゃ分かるだろ、と電源を入れると…

 

「……?」

何かのマスコット?が投影された。…これこそマジでなんじゃこりゃ。

 

『私が投影されたのさ!』

キエェェェシャァァヴェェェッタアァァァァァ!?

 

『ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は…校長さ!』

…あ、

 

「これ校長先生なのな。」

 

「みたいだな。…つかネズミなのか犬なのか熊なのかって…熊ではねえだろ。」

 

「それには同意できるな。」

うんうん、と頷いて話を聞く。

 

『さてさて、早速だけど結果を報告していくよ。まず高坂 翔飛くん。』

 

「っ………」

 

『筆記テストは平均57点程と、まあ、悪くはなかったよ。だけど…実技試験内のポイントは15P、少し少なかったのさ。そして、我々がもう一つ測っていたレスキューポイント、これが12P、合計27Pとなったのさ。惜しい所まで行っていたんだけど、残念ながら、今回は不合格という事になったのさ。』

 

「……」

 

『だが、君が強いことは確かなのさ。きっと雄英高校でなくともヒーローになれることは間違いないのさ!』

 

「あー…やっぱそうかー。無理だったかー…ワンチャン行ったかもと思ったんだがなぁ…」

 

『次に、堕天 十三くん。』

さあ来た。…どうなった…

 

『君の成績は素晴らしかった!筆記テストでは平均75点程と高得点、実技ではヴィランポイント51P、レスキューポイント25Pと計76Pだったのさ!つまり、君は合格…なんだけど、少し気になる点があってね…三日後、雄英高校に来てほしいのさ。特に準備物は無いけれど、気持ちの準備をしておいておくれ。』

…ん?

 

「?…合格…って事でいいんだよな?」

 

「そう言われてただろ?すげえじゃねえか!」

 

「いやなんか呼び出し食らったんだが…」

え、何で?俺なんかした?ぬぬぬ…そんな覚えは無い…え、じゃあ何で俺呼び出し食らった?

まさか合格っつったけどやっぱ不合格でー…とかはならねえよな?二次試験的な面接とかか?え、そんなん紹介にあったか?筆記試験と実技試験だけだったような…?

 

「院長先生ー!堕天が雄英受かったってー!!」

 

「えぇ!?本当に!?」

 

「あ、おいこら翔飛!」

とりあえずその日は若干のお祭り騒ぎだった、とだけ言っておこうかね。



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呼び出し

遅れましたが、時計のようなものさん、評価ありがとうございます。


で、なんやかんやの騒ぎのあと、寝た…んだが、

 

「………」

…なんやここ。

…おっと、自己紹介を忘れてたな。目が覚めたら真っ白な空間にいた俺様だ。

いやそれよりここどこ。と、目の前に腕組みをして仁王立ち状態の女の人が出てきた。ちなみにめっちゃ美人。

 

『、来ましたか。』

…ん?この声は聞き覚えあるぞ…?どこだったっけ…どこだ…思い出せ…あっ!(ピコーン!

 

「あぁ、んだ神か。」

 

『おっとバレましたか。姿は見せていなかったはずなのですが?』

 

「声で大体分かるわ、あんな転生とかいう衝撃的すぎる事になってたからな。で、なんの用だ?」

呼び出しでもされたんかね。そういうの漫画とかじゃ結構あった気がするし。…あくまで気がするだけだ。前にも言った気がするが、俺はサブカルには結構疎い方だった。

…まあ、ただの夢って線もあるしな。…雄英に呼び出しを食らい、神に呼び出しを食らい、俺なんか呼び出されてばっかじゃね?

 

『残念ながらただの夢ではないですよ。…まあでも、あなたの個性について呼び出しをしたのは同じですかね。』

 

「ああ、読まれてら。」

こいつまじもんだな。で、なんで雄英が俺の個性の問題で呼び出したって分かんだ。

 

『神ですので。』

ああ、はい。答える気はない、と。

 

『いやマジでそうなのですが…』

あ、そうなん?

 

「で、何の用だ?」

 

『あー、いつまで経っても転生特典に気づかないものですので、こちらから呼び出させてもらいました。』

え、神様特典ってあの倒した敵がナタデココになるやつと鎌が出てくるやつじゃねえの?

 

『それはそのキャラクターの能力という判定です。私が授けた特典は他にあります。』

あ、そうなのか。…今でも十分チートな性能してんだけどなぁ。

 

『流石に気づくかと思ってれば探しもしないときて…あれが特典だと思ってたんですね。』

んなもん初見で分かるかよ…

 

『まあまあ、それで気づかれないのは流石に私の労力が報われないと考え、呼び出させていただきました。』

労力が報われないと考え……そこなのか。

 

『そりゃあそうでしょう。特典をつけるのもただではないんですから。』

へー、そうなんだ。ノリと勢いでつけれるもんだと思ってたわ。

 

『そんな軽くですか…まあ、そこは良いとして。あなたに与えた特典は2つです。一つは、週に三回だけ一枚、カードを変更することができます。』

…ん?

 

『#コンパスというゲームはまだアップデートが成されています。それに、一度選択されたとはいえども必要に応じたカード、というのがあるでしょう。と。いうことで、既存のカードも含め月に三度、カード交換を可能にしました。それに伴って、あなたの意識にカードの一覧を差し込んだのですが…気付かなかったようですね。』

 

「いや気付くかァ!?」

それ気付く奴とか特典分かってる奴とかだろ!?もはやこの世界じゃ今持ってるカードの知識しかいらないと思ってたし、それに元々殆どのカードの名前と効果覚えてたし!

 

『まあまあ、そして、2つ目なのですが…これは実際はリスポーンのはずだったのですが、私の部下のミスで何故か一日に1回、他のキャラクターのアビリティ、ヒーロースキルがそれぞれ使えるようになる、というものになってしまいました。』

 

「いやどんなミスだよ!?そして本来俺不死にされるところだったのかよ!?」

それは流石にやだ。死ぬほど辛いことになっても生き返ってしかも記憶とか残るじゃん…

 

しかし…他のキャラクターのアビリティとヒーロースキル…あれ、強くね?もしやこれ強化とかできたら…

 

『本人の努力次第で本来以上の力をつけられるかもしれませんね。』

うわぁ…チートだ…チートすぎる…

 

『てすが、一度付けてしまった特典は外すことができないため、そのまま楽しんでください。…あ、言い忘れてましたが、特典の使用可能回数は蓄積型で、カードの場合は無制限、アビリティ、ヒーロースキルの蓄積は30回が上限なので、今あなたすごいことになってますよ。』

蓄積型…?ああ、使わなかった分は次に持ち越し、ってやつか。…ん?それエグくないか?俺の意識が3歳からだろ?で今15だから…つまり、(15-3)×12×3だろ?えーと…12×12が144、となると大体で…ん?

 

「交換可能数530回近くァ!?」

 

『そうですね。本当にあの部下は…』

前から思ってたが、この神ノリ軽いよな…つか、今更だが部下ってどういうことだろ?

 

『?…ああ、あなたの前に出てきているのはリーダーとして、私が出ていますが、神の部類も複数メンバーの団体的なことになってるんですよ。…あ、ちなみにそのミスした部下は前々からミスが目立ってたので半殺しにして再生させてを10クールで済ませてあげました。』

にこやかに右手の人差し指を立てて、ゆらゆらさせながら言う神。

………………うん、何というか…この神、色々とやばいわ。色々と。

 

「流石にそれはやりすぎだ。俺だって迷惑してる訳じゃなし、謝っとけよ。」

…どうもそれを聞くと13の天使時代が思い浮かんでくる。…いたたまれねぇ…

と、神は人差し指をピタッ、と止めて少しの間目を閉じ、

 

『、…そうですか。たしかに少しやりすぎな気がします。また謝っておきましょう。』

…それでもやりすぎたと思ってんのは「少し」なのかよ。

 

 

 

「………で、」

雄英にも呼び出しを食らっていたたため、今あのばかでかい門を再びくぐった。

…何でなんだろーなー…俺何もしてねえと思うんだが。

そんなことを考えながら校内に入り、事務の人から色々と聞き、校長室に案内された。

 

「…んー…」

ほんとに何でだろうな?…あ、ちなみにだが、今の服装はあの13衣装じゃなくて普通の服だ。

で、椅子に座って1分ぐらい待っていると、

 

ガラガラガラ

 

「やあやあ、こっちから呼んでおいて待たせてすまないね。」

と、ネズミの姿をした人…人?とボサボサ頭の無気力〜な感じの人が入ってきた。

 

「こんにちは、堕天十三っス。」

 

「うん、私はこの学校の校長、根津さ。で、こっちが我が校教師の相澤くん。」

根津校長と相澤先生…ね、おけ。というか相澤先生感情読めねーな…

 

「…さて、いきなりだけど、本題に入らせてもらうのさ。君をここに読んだ理由は…

 

 

       君の個性についてだ、堕天君。」

…神も言ってたな。俺の個性……あぁ、

 

「事前に録画しておいた結果は見ただろう?我々は受験者全員の状況を把握するために全員を見ていた。今年も例年通り、一つのできることから派生した素晴らしい実技試験を見せてもらったよ。…だが、君だけは出来ることの共通点が無かった。…例えば、空を飛ぶことのできる個性なら、空に浮上してそこからの自由落下で攻撃、みたいに個性を応用して攻撃することはできても、それは応用。どんなに多彩な攻撃でも一つの個性から生まれた以上は共通点がある。…でも、君のはその共通点が無かったんだ。…それで、聞かせてほしい。君の個性は何なんだい?」

あー、ね。だいたい何を言いたいかは分かった。

まあ、要は俺の個性が何なのか知りたがってる訳だ。…でもなぁ…ここでサーティーンの能力とカードの力です!なんて言ったところで分かるわけねえしなぁ…

 

「俺自身にも分かってないっすね。気づいたら使えてたんで、どんな個性なのかが分からないんッす。出来ることはわかるんすけど、それが何を指しているのかは…」

 

「…そうかい。なら、とりあえず何ができるのか、だけでも教えてくれないかい?雄英の方でも個性に関して色々と書かないといけない書類があってね…あと、事前申請があればその要望に合わせたコスチュームをプレゼントできるのさ。」

む、そうか…ま、仕方ないな。…神様特典以外の現状できることは見せとくか。

それにコスチュームがただで入るのはでかいしな。

 

「まァ、その程度なら良いっすよ。」

まあ、そんなことを言ってもこんな所で個性を発動するわけにもいかず、この後何か訓練場的なところに案内されてそこで色々やってた。

ちなみにだが、なんか相澤先生俺のクラスの担任になったそうだ。マジか。




堕天君が何か妙にフランク(?)な敬語使ってるみたいになってるのは、筆者が、一応目上の相手だけど堕天君がかっちりした敬語使ってるのの想像がつかない、とかほざいたからです。

あと、これが今年最後の投稿です。始めて2、3ヶ月ほどしか経っていませんが、ありがとうございました。
また来年もよろしくおねがいします。


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入学早々何じゃそりゃ!?

あけましておめでとうございます。


あれから一月経過、今日が入学の日の俺様だ。

いやーついに来やがったぜ!

 

「流石に3回ここ通ると慣れるな。」

門がでかいのはもう周知。

あ、1個報告ー。アバカンからワキンヤンへとカード変更させた。口に出すだけで使えるっていいな。

あと、ほかのやつのHSもやってみた。使ったのは零夜のシークレットオーダー【δ】、乃保のビハインド ザ グラスイズ、ルチのチェックメイト、ジャンヌの復活の福音の4つ。使い終わった後ヘトヘトになりそうだった。…否、なった。やってみたはいいが…あれめちゃくちゃ体力持っていかれるんだわこれが。心なしか堕天変貌よりも持っていかれた体力多かった気がする。…あと、ジャンヌのHSの効果が未だ消えずにずっとあの黄色い玉?みたいなやつが俺の周りをふわふわ飛んでる。一回死なないとこれずっとこのままなん?…まあいいや。あんまり気にもならねえし。

訓練でもっと使えるようになるかな。

おっと、そろそろ教室だな。1-Aっつってたからな。

 

ガラガラガラ

 

「おぅ…」

教室内は意外と普通だな。普通となんか違う、なんてことァない。

……あと、教室の後ろに寝袋あるが…この出てる頭…というかこの人…相澤先生だよな?え、違う?……まあ、誰にしてもだが、な ん で 寝 て ん の ?

と、

 

「お?緑谷。」

 

「えっ?あ、堕天くん!」

緑谷がいた。あいつよく入れたな。いや、こういう言い方すると良くないかもだが、入れないと思ってた。無個性だって自分で言ってたやつだぜ?

 

「よ、お前も受かったんだな。元気してたかァ?」

 

「おかげさまで…?」

 

「っはは、そんな固くなるこたァないだろ。」

と、

 

「あ、」

 

「ん?どうしたの?」

あの受験会場にいた全身ピシピシ君がいた。

ま、特にどうこうするような事でもないがな。

 

で、まあ色んなやつがいるなー、と思っていると、

 

「……お友達ごっこがしたいならよそへ行け。ここはヒーロー科だぞ。」

寝袋から、相澤先生がのそりと起き上がって言った。…あんたはそれ以前の問題じゃねえか?

 

「あ、やっぱ相澤先生だった。」

 

「やっぱとは何だ堕天。」

と、相澤先生は少しツッコミを入れてから10秒チャージするやつを一瞬で吸い込み、教室内をぐるりと見回して、少し息を吸った。

 

「…はい、静かになるまで8秒かかりました。君たちは合理性に欠けるね。」

その状態でよく言うな。と思いながらも口には出さない。この人、ちょっと気になって調べたんだが、アングロ系?のヒーローで個性を消す個性を持ってるらしい。…ヤバくね?なんだそのチート。…あ、俺は言えねえわ。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね。とりあえず…全員、これ着てグラウンドに集合。」

寝袋の中からジャージのようなものを出して、言った。

クラスの中のかなりのところから心の中のツッコミが飛んでた気がしたが、ま、気のせいだろ。

…にしても、渡されたジャージ。というか体操服か。何する気だ?

 

──────────────

──────

「「「「「「個性把握テストォ?」」」」」」

着替えたあと、グラウンドに出て相澤先生に集められると、「今から個性把握テストを行う」とか言われたクラス一同の反応がこれだ。

いや息ぴったりすぎな。練習とかした?お疲れ。

 

「入学式は!?ガイダンスは!!?」

だれかが叫んで聞くが、

 

「ヒーローになるんならそんな悠長なことをしている時間はない。雄英は自由な校風が売り文句。それは先生側もまた然りさ。」

自由すぎんだろ。入学式出ないなら入学にならねえんじゃねえの…?あれ入学するための式だろうよ…

 

とかなんとか思ったところで俺にどうこうする程の力もなければ行動力もない。

大人しく従うか。

 

「じゃあ、実技のトップは……爆豪だったな。」

爆豪?んー…あのイガグリヘアー、どっかで見たことが…あ、小学校の時の緑谷を呼んでたあの爆発野郎だ。あいつもいたのか。

で、相澤先生は爆豪にデモンストレーションを行うように指示。で、ボール投げをすることになったが…

 

「死ねェ!!」

BOOM!!

わーお、ボール投げで絶対聞こえるはずのない言葉が聞こえた気がするのは俺だけか?

まじで爆発した衝撃でふっ飛ばされたボールは見えなくなって…

 

「ピピッ705.2」

と、相澤先生の持つ端末から声と同時に705.2mという数字が出てくる。

なるほどなるほど、えげつないな。何なんだボール投げで705.2mって。普通かなり遠くに飛んでも50mとかだろ。

 

その結果にまたざわざわとし始めるクラスメート。と、その中から、「すげー」やら、「面白そう」といった声がちらほら聞こえる。

…おい、それは地雷じゃねえか…?

と、相澤先生がニヤ、と笑った。…あぁ、地雷だわこれ。

 

「面白そう…ね。君たちはそんな腹積もりでこの3年間過ごすつもりか?…よし、トータルの成績が最下位だった者は、見込みなしと判断して除籍処分にしよう。生徒の如何は、俺たちの自由だ」

………うん、地雷とかいうやつじゃないなァ…

 

「な、入学初日ですよ!? いきなり除籍って、そんなの理不尽すぎる!」

と生徒の一人が叫ぶが…

 

「理不尽を覆してこそのヒーローだ。ほら、プルスウルトラさ。全力で乗り越えて、こい。」

 

………………ファッ!?

いや、ちょっと待て、衝撃が時間差で来たけど!?

いやいやいや!?マジで!?マジで言ってる相澤先生!?

…ま、でも…やんなきゃいけないんだろうなぁ…入学してすぐ除籍は流石にやだぜ。…あ、入学式出てねえからやっぱ実質入学してねえんじゃね?

 

まあ、そんな屁理屈をこねたところでどうなるわけでもなし、やるしかないよなぁー。

 

まーずーはー…、50メートル走。

はい、いきなり殺しにかかってきたね。13足結構遅いぜ?俺も同じくだ。

こればっかりはなぁ…いや、武術家とかが使えるっちゃ使えるか。カードの変更回数500回あるわけだし。何ならまだ増え続けてるし。

 

「……秘めたる力の解放を武術家の超加速へ変換。」ボソ

…よし、これで問題なし、と。…おっと、俺の番だ。

 

「ヨーイ、ドン!」

 

「せッ!」

とりあえず全力で走る。で、

 

「ピピッ、5.33」

お、思いの外速かった。ガンナー状態だからあの重そうな、というか実際結構重い鎌引きずりながら走る必要が無かったのも幸いだな。

 

「ふぅ…っし、次だ次。」

パッパと終わらしていったほうが身のためだ。…何のだよ?楽なだけだろ?

というか、このテスト、内容はソフトボール投げ、立ち幅跳び、50メートル走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈の8つだったよな?

………実質力のゴリ押しで行こうとすれば全部秘めたるでいける気がする。あ、長座体前屈はカード使えないか。あと…持久走はみみみだな。何だったら回復カード13枚積みでやってみてもいいかもしれん。……あ、でもカード使うだけでもそれなりに体力持っていかれるからあんまり乱用は吉じゃねえかも。

使うとするならガブ、アルプ、リリィ、リョーフキー、打ち上げ花火、アンジュ、みみみ位かな?

あの神、SR以上しか使わせる気無かったみたいだから救急箱とかエイワズとか使えねえんだよな。

ま、流石に半永久的に走ってるとかヤバすぎるからそんな事はしねえけどな。

さて、次は…いいや、適当にやろう。




さて、今年一発目の投稿です。
………ちなみにですが原作をほぼ知らないのでGoogle先生にフル頼みです。
では、まあ今年も「俺の13ヒーローアカデミア!」と不審者γをよろしくおねがいします。


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個性把握テストの結果

 遅 れ て ゴ メ ン 


よお、いきなり除籍処分とか言う罰ゲームありの個性把握テストに巻き込まれた俺様だ。

前回は50m走で終わったな。

さて、じゃあこっから、終わったのをそれぞれ何やったか、パッパッと言っていくぞ。

まず立ち幅跳び。

早々に遊んだ。自分の後ろに、罠のプニャトフスキー置いて、ちょっと待機。めっちゃ飛んだわ。

言い忘れてたが、この世界、俺の攻撃は味方には当たらない、とか言うシステムはないわけだから、俺の仕掛けた罠に俺が当たる、なんてのもできる訳だ。まあ、ダメージは喰らわないみたいだったが。まあともあれ、めっちゃ飛んだ。

 

握力。

秘めたるだな。まあ、元々そんなに力弱いわけでもなかったから、結構な数字が出た。120キロぐらい。

…何か540キロとか言ってるやつがいたのは気のせいか?

 

反復横跳び

武術家だな。なんかめっちゃ驚かれた。速いもんな。武術家はまじで足関連のやつに強い。

 

で、今やってるのがソフトボール投げだな。

あの爆豪が「死ねぇ!!」って言ったやつだ。訳わからん。

まあ、なんか茶髪の女子が∞とかいう記録残しやがったから一位はまずないわけだが。

俺?とりあえず多脚戦車使う。カラーテェでも良かったんだが、カラーテェって、ガード越しにも吹き飛ばせる感じのやつで、素の吹き飛ばし効率は多脚戦車の方が高えんだわ。あといい加減カード変更するのが面倒くさい。変更するだけでもちょっと体力持っていくの何なん。

…っと、俺の番だな。

 

「この円から出なけりゃ何しても良い。いいな?」

 

「オーケーオーケー。」

 

「…お前はまず態度のとり方を考えたほうがいい気もするがな。ほれ、さっさとやれ。」

 

「あいよ、っと。」

相澤先生からボールを受け取って、息を吸う。で、

 

「ふっ!」

上にぶん投げた。

 

「はっ?あいつ何してんだ?」

「さぁ…?」

お?舐めてんな?こっからだ!

 

「…よし…【多脚戦車】!そォーら踏ん張ってみろォ!」

ブオオォォン!

 

「「「!?」」」

 

「ほー…。」

まあ面白い勢いでボールが飛んでった。で、

 

「ピピッ764.8m」

おっ、悪くないな。

…って二回目あるん?多脚戦車、何かCT上方来てたとはいえ28秒あるんだが…って、はよやれって相澤先生の目が訴えてる…

なーんか考えてそうだけどなー…ま、どうでもいいか。

 

「よっ、」

なんかまだプニャトフスキー元に戻してねえから使うか。衝撃って意味じゃフルークでも良い気もするが、こっちとしては吹き飛ばす事がメインなんだから、攻撃力は別にいい。つかフルーク食らってボールが耐えてるような自信がない。

で、設置が終わって発動してるのを確認して、ボールをちょっとだけ投げる。罠の感知範囲ギリギリを狙って…おし、

 

バアァァッ!

 

「っ、」

と、爆風が吹き、ボールが吹き飛ばされた。

 

「ピピッ782.9m」

しかも一回目より高い記録。いえい。

っと、次のやつが来てるな。と、

 

「おい、お前すげぇな!何なんだあれ!?」

ん?誰だこいつ。

 

「あー、サンキュ?それより…誰だっけ?」

 

「おっと、自己紹介をしてなかったな。俺は切島鋭児郎!漢気あふれる漢を目指す漢だ!」

漢漢うるせえ。個人的には画面で見るとゲシュタルト崩壊しやすいんだよ漢って。

…ん?画面で見ると?なんてな。

 

「俺は堕天十三だ。よろしく頼むぜ。」

 

「応!」

…熱っ苦しぃ…と、

 

「緑谷君…このままだとまずいぞ君…」

 

「う、うん…」

あのピシピシ君と緑谷が話してた。…そういやあいつ、一回も個性発揮してねえよな。まずい、ってのは…そういうアレか。

と、近くにいた爆豪が…

 

「はっ、あたりめえだろ?そいつは無個性の落ちこぼれなんだからよ。」

 

「なっ、君!彼が入試で何を成したのか知らないのか!?」

成した…?何やったんだあいつ。

切島に聞いてみるか。

 

「なあ、緑谷って入試で何やったんだ?」

 

「ん?あぁ、俺も聞いただけだけどよ、あの0Pっていただろ?」

ん?あの馬鹿でかいロボットのことか?アレがどうし…まさか。

 

「あれをワンパンしたらしいぜ?…でも、あいつまだ一回も個性使ってねえんだよな。何でだろうな?」

やっぱか…え、あれワンパンしたのか?秘めたるフルークで駄目だったんだぞ?

 

と、そんな話をしていると…

 

「S...MAAAAASH!!」

バゴオォォン!

 

ファッ!?

爆発音がした。つーか、今の声緑谷だよな?

みると、緑谷がボールを投げた後だった。端末からは、

「ピピッ705.3m」

という声。

おお、爆豪超えだ。

 

「おいこらデク!訳を言えてめぇ!」

と、爆豪が緑谷につっかかった。…おいおい、あの勢いはまずい。

 

「おい爆豪、」

 

「あぁ!?」

 

「こっち向いたな?【ワキンヤン】!ハッ、隙だらけだ。」

 

「ッグっ…」

ものの見事に命中。がっつりスタンを食らった爆豪は目を回した。

 

「ほい緑谷、はよ逃げとけ。4秒ぐらいしかスタンは続かねえ。」

 

「え、あ、うん!」

 

「待て…や…!」

お?まだ4秒経ってねえぞ?…まあいいか。

 

「ほいほい、【アレク】。」

 

「あぁ…!?(バチッガッ!?」

おし、完全制圧ゥ。

 

「…よくやった堕天。…俺はドライアイだからな、あまり個性を使わせるな。」

あ、そうなんや。初耳だわ。

 

まあ、そんなこんながありながら、他のやつは下みたいにやった。

 

持久走。

半分マジで回復13枚でやってやろうかと思ったけど、アンジュ花火みみみ&武術家で終わらせた。…つーか今日だけで俺何回カード入れ替えしてんだ。流石に疲れるぞ。…アンジュ花火のおかげで体力はあるが、なんか疲労は完全に無くなるわけじゃないっぽいぜ。まあ、悪くはなかった。

 

上体起こし。

みみみを使いながらやる。以上。

あんまり腹筋はないんだよなー…

 

最後、長座体前屈。

これは普通にやった。いや、だってこれ解決するカード無くね?

 

で、一通り終わった。

多分最下位はないと思うぜ。

 

「んじゃ、結果発表。」

相澤先生は端末から順位を映し出した。咄嗟に最下位を見る。最下位は…緑谷出久…あー……

マジか、んー…

 

と、次の一言で、クラス中が大混乱に陥らされることになった。

 

「あ、ちなみにだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ()()()()()()。」

 

…はっ?

 

「君たちの最大限を出させる合理的虚偽。」

 

「「「「「「はあアァァァァァ!?」」」」」」

いや嘘かよ!?…いやよくよく考えりゃ普通はしないかも知んないけど!

あの相澤先生だぜ?何やらかすか分からんだろ!

 

「全く…少し考えれば分かりますでしょう?」

んでお前誰だよ!?偉そうに!?

 

 

 

まあ、そんなこんなで個性把握テストは終わった。

ちなみに俺は4位だった。

 

 

「堕天ー!」

 

「お、切島と上鳴。どうした?」

教室にて、切島と上鳴が話しかけてきた。…あ、上鳴っつーのは切島繋がりで友人になった上鳴電気っていう黄色い頭のやつ。

 

「お前個性すげえな!なんて個性なんだ?」

…あ、やっぱその質問来る?んー……

 

「それがなー…俺にも分かんねえんだわ。できることの一貫性がマジで皆無だからよ。」

 

「…???あ、あーなるほどな!」

 

「オーケー、上鳴、分かんねえなら分かったふりすんな。うん。」

目ェ完全に泳いでんぞおい。

 

「ま、要するに、できることは分かるがそのできることが何を応用してやってるのかは分かんねえ、って事だな。大元の個性が。」

…これで分かるか…?分かんねえか。相変わらず上鳴は目泳がせてるし。

 

「んー…なにができるんだ?」

 

「数えたらキリ無いぞ?」

 

「そんなにか…」

そんなに、だ。

カードはマジで100下らねえからな。確認したらコラボカードやらイベントカードも使用可みたいじゃねえか。マジでできねえ事そうないんじゃね?…ま、何が一番めんどいかって言えば、発動の時は適当な呼び方でもオーケーだったのに、カード交換の時はカードの名前正式名称で言わないと認識されねぇって所だがな。ダリィ。コラボカードとか名前なっがいぞ?引き連とかオラトリアとかでも良いじゃん。



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雄英ってな、エグいんだぜ。

「ただーいまー。」

今雄英から帰ってきたぜ、俺様だ。

 

「おっ、堕天。おかえりー!どうだった?雄英はよ。」

孤児院に帰るなり高坂が絡んできた。まあ、そうなるか。

 

「いやまあ…色々大変だったぜ。入学式とかガイダンス潰して個性把握テストとか言うふざけたもの始めるし。」

 

「マ?入学式潰して…?つか個性把握テストって何だ?」

 

「中学校とかの身体能力テストを個性アリでやる感じだな。」

とか言うと、高坂は…

 

「へー、面白そうじゃん。」

…ま、所見じゃそうなるわな…

 

「…お前は雄英来なくて正解だよ。」

少し頭を振って答える。

 

「は?」

 

「うちのクラスでも面白そう、つったやつのおかげでテストの最下位のやつ除籍処分とか言われんだぜ?」

俺の部屋に入る。…高坂も着いて入ってくる。まあ、そこは普通に分かってるが。

 

「………ん?何だその理不尽。…で、誰か除籍食らったのか?」

 

「や、除籍は嘘だとよ。最大限を引き出すための合理的虚偽、ねぇ。」

バッグを置きながら言う。

 

「でもなー…なーんかあの合理的虚偽っての、変だよなぁ。何なんだか。」

床にあぐらをかいて座り、顎に手を添える。

多分、最初はその気でいたんだろうな。が、なんか気が変わって除籍を真っ当らしい理由をつけて撤回した…って感じかね。最下位は…緑谷だったよな。

んー…

 

「その先生ってなんて先生なんだ?雄英って先生が全員プロヒーローなんだろ?」

 

「ああ、相澤消太ってやつだとよ。イレイザーヘッドさ。あの個性消す、ってやつ。…ま、アングロ系って言われてるみてーだから知らねーかもだが…ってどうした?」

 

「あー、うん、知らねえわ。」

まあ、だろうな。テレビの露出とか嫌ってる系の人らしいし、情報が少ないからな。

 

「…ま、良いか。………で、だが…」

 

「「「「「「「「「「(ジー)」」」」」」」」」」

 

「…なんだあいつら。」

ドアの端から目だけ出して大量のガキどもが部屋の中を除いていた。

 

「雄英高の生徒なんかそう見る事ねえんだから珍しくもなるだろ。ほれ、相手してこーい。」

 

「わ、おいこら高坂ァ!」

後ろから持ち上げられて突き飛ばされた。

あいついつの間にこんなパワー身につけてんだよ!?

 

 

 

 

この後、1時間ほどワチャワチャされた、とだけ言っとこう。高坂許すまじ。

 

 

 

 

「ってことがあった。」

 

「へー、堕天って孤児院育ちなんだな。」

現在雄英高校。二日目の学食だ。授業終わって昼休み中、切島、上鳴と三人でいる。

 

「まーな。もうだーいぶ前のことだから何があったとかほとんど覚えてねえけどな。」

そもそも俺の意識が出てきたのが3歳の頃で何かの事が起こったあとだったっつーの。

 

「なるほどな。それでこんな暗くならずにそんな話ができるって訳か。」

 

「ああ、そうだな。」

ま、物事を深く考えねえ俺の性分もあるかも知んねえけど。…八割…いや、九割方そうだな。

 

「そういや、今日ヒーロー基礎学だろ?何するんだろうな。」

あー、そういやオールマイトが講師だったか。

 

「ま、普通じゃねえのは決まってるわな。」

 

「「そりゃそうだ。」」

まあ、そんなこんながあってからの五限目。

 

「わ〜た〜し〜が〜…!」

 

「来っ…」

 

「普通にドアから来た!!」

前のドアからオールマイトが入ってきた。……何か画風が違う気がするのは気のせいか?なんつーか…圧?

 

まあ、例のごとく緑谷がオールマイトの格好やら存在そのものやらに興奮してる間に、授業の説明は淡々と進んでいく。

 

「ヒーロー基礎学、ヒーローの素地を作る為様々な訓練を行う科目だ!早速だが今日はコレ!戦 闘 訓 練!」

それを聞いた瞬間に、教室中が沸き立った。…ま、そうなるか。そういう年頃ってやつさ。…俺?んー、ま、想像に任せるぜっ。

 

「そしてそいつに伴って…こちら!!」

オールマイトが言うと、壁が少しづつ出ててきた。なんじゃありゃ。で、その中には番号が書かれた入れ物がいくつか入っていた。…なんじゃありゃ。

いや、あの入れ物もだが、そもそもここの壁どうなってんだ?

まあ、そこは置いておいて、オールマイトは説明を続ける。

 

「入学前に送ってもらった個性届けと要望に沿ってあつらえた戦闘服コスチューム!!!」

 

「「「「「おおお!!」」」」」

教室中が更に沸く。あーね、校長先生が言ってたあれか。俺?要望したのの形状はもちろんあの13の衣装。あれに限る。

……院長先生にもらったやつに似た感じのやつに色々機能性を入れてもらった。

 

「全員!これに着替えてグラウンドβに集合だ!」

 

さあーて、どうなるかな…?

で、着替えてグラウンドβに集合した…が。

 

「堕天、何だそのコスチューム。」

 

「色々とあんだよ。」

明らかに俺のコスが浮いてる。格好的に一人ヴィランいるからな。

…つーかあの緑谷のやつ、絶対オールマイトリスペクトだろ。……そしてその横の機械に身を包んだ縮小化したニズヘみたいなやつは何や。

と、オールマイトから号令がかかった。

 

「さあ!始めようか有精卵諸君!戦闘の時間だ!」

と、あのニズヘみたいな奴が手を上げた。

 

「先生!ここは入試演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか?」

 

「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!」

…あのニズヘ、飯田(あのピシピシ君。名前教わった。)だったのか。

 

それはさておき、戦闘訓練、という言葉に興奮する生徒も多々見受けられる。俺は…まあ、ぼちぼちかな。色々とカード使ってみたいところもあるし、まあ…勝てるといいな、程度。

で、オールマイトは説明を続ける。

 

「敵退治は主に屋外で見られるが統計で言えば屋内のほうが凶悪敵出現率は高いんだ。監禁、軟禁、裏商売…このヒーロー飽和社…ゲフン…真に賢しい敵は屋内()にひそむ!君らにはこれから「敵組」と「ヒーロー組」に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!」

流石はナンバーワンヒーローって所か、説得力が違う。

…一瞬ヒーロー飽和社会って言いかけた所については目を瞑ろう。

 

「基礎訓練もなしにですか?」

 

「その基礎を知るための実践さ!ただし、今度はぶっ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだな!」

確かにだな。人相手だし。自分のやらなきゃいけない事もあるし。流石にうっかり「殺っちゃったテヘペロ」じゃ済まねえわな。…俺人殺せねえけど。この間蚊叩いたらナタデココになったわ。虫も殺せない人間(物理)になるとはな…

と、

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ブッ飛ばしていいんスか」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか…?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

「このマントやばくない?」 

 

「んんん~~聖徳太子ィィ!!!」

まぁ、次々と質問されりゃオールマイトも困るわな。それとそこのよく分からんキラキラ野郎。せめて授業に関係ある質問しろ。

と、オールマイトはゴソゴソと何かを探り…カンペを引っ張り出してきて、読み始めた。…おいぃ…

 

で、内容は…?

まあ、いえば…ヴィラン側は核兵器を室内に隠し持っていて、ヒーロー側はその核兵器を回収(タッチ)するか、ヴィランを全員捕縛するかの二択になるわけだ。なるほどなるほど。んー…いや設定アメリカァン!!

 

で、組分けはくじで、一組は三人組になる、と。なるほどな。

組み分け方が適当か、みたいな飯田の指摘に対しては本番だと誰と組むか分からない、みたいな感じの緑谷の的を射た答えで鎮圧。流石ヒーローオタクだ。

 

で、くじの結果、俺は…Iグループか。仲間は…えっと、尾白?と葉隠?ってやつか。…誰だよ。

そして、

 

「続いて、最初の対戦カードは…こいつらだ!」

そこで引かれたカードは…AとD。

 

「Aコンビがヒーロー!Dコンビがヴィランだ!」

Aチームは緑谷が、Dチームは爆豪がいるチームだ。…なんつーか…また面白そうなことになりそうだな。

どうなるかねぇ…




8974さん、高評価ありがとうございます。


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死神の戦闘訓練

今日サーティーンの日らしいですね。13日。
ってことで投稿です。
…あ、緑谷対爆豪戦は勘弁してください。調べるの大変なんです。


「はぁー…」

よう、緑谷と爆豪の戦闘訓練を見てた俺様だ。主が調べるのが面倒だからってカットしたってよ。

それはさておき…いやー…見ててハラハラしたわ。

緑谷は緑谷で爆豪の小手付きの腕ごとぶん投げるわ爆豪は爆豪であの至近距離で爆発ぶちかますわ…

 

「ったく、」

結局、緑谷は爆豪に勝った…ものの、ボロボロの状態で保健室に送られていった。どこからともなく「勝負に勝って試合に負けた、ということか…」って聞こえたけど誰の声だったんだろ。めっちゃ的射てんじゃん。

 

「さあ気を取り直して次だ!…が、ここはもう使えないからちょっと移動するぞ。そしてお次は…ヒーロー側がBコンビ!ヴィラン側がIトリオだ!Iトリオは人数が多い分評価が厳しくなるからな!」

おっと、まあそうか。

相手は…あぁ、50m走の時に道凍らせて滑ってった白髪に半分赤の混じった奴と謎に手がいっぱいある奴か。どっちも名前知らねえ。

 

「それでは第二回戦…スタート!」

の声と同時に床ごと足が凍りついた。

 

「はっ!?ッタタ…」

 

「な、何これ!?」

なるほど、一瞬にして床を凍らせて行動不能にしよう、ってか。

…こりゃやべえや。ま、壊せんことは…ないかな?やってみるか。

ちょいと味方二人には頭下げといてもらうか。

 

「ちょっと二人。できるだけ体制低くしとけ。吹き飛ぶぞ。」

 

「えっ?」「は、はい?」

二人から声が聞こえ、尾白が屈み、葉隠も多分屈んだと判断して…

 

「無理やりだ…ッ!【多脚戦車】ァッ!」

足を固定された状態で無理矢理多脚戦車を使う。と、氷が砕け、同時に面白い勢いで破片が飛び散っていった。

 

「わわわっ!?」「えぇっ!?」

 

「二人は核のところに急いでくれ!相手は多分片方が速攻で核を取りに行くはずだ!俺は…もう一人を足止めする!…【テレパス】!」

事前にこそっとカード変更で入れていたテレパスを使おうとする。と、壁を貫通して2つの人影が見えた。

 

「…多分床を凍らせたのはあいつだな。せっ!」

で、そのまま移動。で、

 

「ちょっと失礼ィ!」

 

「!?」

ブン!

 

おっとっと、まさか避けられたか。

目の前には髪が赤と白で半分づつになっていて、赤い髪の方は顔まで赤いのが出てるやつ。…確か轟…轟なんとかみたいな名前だったはず。…曖昧だな…ま、名前を呼ぶ必要はそんなにないか。

 

「よ、今床凍らせたのお前だろ?すげえな。」

 

「…チッ、お前は…堕天か。」

 

「おぉ、名前知られてんのか。ちなみにだが、お前の名前何だっけか。」

 

「………轟焦凍。」

あ、轟は合ってたわ。やったね。なんか不機嫌そうだったのは目を瞑ろう。

そして焦凍…ね。覚えとくか。

 

「あぁ、ちなみにだが他の二人も抜け出て今核の所に行っている。…で、俺はお前の足止め役だ。」

ニヤニヤしながら言う。

 

「…分かった。なら速攻でお前を撃破すればいいわけだ…な!」

「!【ディーバ】!」

と、その瞬間俺の下からでかい氷が突き出てきたが、ぎりぎりディーバが間に合う。

 

「うへっ、んないきなり攻撃するかね。オドガキかっての。」

 

「なっ…!?」

驚いてるな。…まあそりゃそうか。

 

「…ちっ、」

と、轟は大量の氷を投げつけてくる。が、

 

「そらよッ!」

二丁拳銃ですべて撃ち落とす。…思いの外ムズい…練習してなけりゃキツかったな。

で、撃ち落とし終わって銃を弄ぶ。

 

「ふぅ、んじゃ、次は俺だな。ちゃんと避けろよ?」

と言うが早いか地面を蹴って急接近…

 

「っ!」

と見せかけて、空中で体制を整えてバクショ。

突然のフェイントに対応しきれず轟の体制が崩れた。

今だ!

 

「ぃーよっと!【フルーク】!」

バクショから地面に足をつけて轟の体制が崩れているうちに再び急接近。

 

「つっ!」

と、轟は自分の前に氷の壁みたいなのを作り出した。

 

バキイィン!

 

「!」

 

「うおっ、かってぇ…」

フルークで若干の余裕を残して壊せる感じか。こりゃあちょっと…分が悪くないか?…いや、いけるか。

 

「あれ壊すとかどんな力してんだ…そういう個性か?」

 

「んー…ま、そんなとこかな。」

間違ってはない。フルークは瞬間的に力を400%近く上げるやつだからな。…この間確認したら何か倍率上方食らってたな。

さてさて…この手の遠距離系の相手には…

 

「…【堕天変貌】!」

上に飛んで鎌を出す。…よしよし、

 

「さて、第2ラウンドと行くかな…【ジョバンニ】…でァ!」

着地と同時にHAで跳ぶ。

 

「!」

と、轟は真っ向から氷塊の迎撃を始めた。

が…そいつは悪手だな。

 

ヒュッ

「よぉアっ!」

 

「!また…ガッ!」

 

ダン!

 

「っし、今回は決まったな。」

やっぱ背後転送は不意打ちには強いな。…初手は避けられたが。さてさて…

 

「んじゃ、そろそろ終わらせとくかな。」

で、イメージする。俺の体になにか、()()が入っていく感覚、俺ではなくその異物が俺の体を動かし始める感覚。同時に、どこからか時計の音がする。

 

「さぁーてと…tic-toc-tic、機械仕掛けの悪魔の時間だ。【インフェルノシュリーカー】!」

と、突然世界の色が反転し、俺の周りの一定距離の床が黒くなる。

…ちなみにだが、外見からすると色の反転はすぐに戻るが、俺から見た視界は完全に色が反転したままになっている。

 

「?何だ?」

 

「さあな。」

で、一歩づつ近付く。と、その黒い領域に轟が入った瞬間、

 

「っ!?」

明らかに轟の顔色が変わった。慌ててとびのこうとするも、体がうまく動かないのか動きがぎこちない。

 

「何をした…!?」

 

「いやいや、この状況で使うものなんか、個性以外にあるか?」

 

「お前の個性は…単純な強化じゃないのか…!」

 

「まあな。色々あんだよ、こっちも。さて…【秘めたる】【武術家】【ドルケストル】【自傷秘めたる】…!」

戦闘訓練用に前もって大量に交換してたおいた手持ちにある4種のバフ系のカードを全部使い、鎌の先を轟に向ける。と、闇から淡い赤の光が鎌に宿り、鈍く光る。…効果時間的にチャンスは一回か。

 

「ふっ!」

 

「っ!」

武術家で強化されたスピードで地面を蹴り、秘めたると自傷秘めたるで超強化した攻撃力で思いっきり鎌を振るった。ドルケは念の為に掛けといたが…よく考えりゃ、インフェルノシュリーカーで攻撃速度も遅くなってんだから当たらねえか。

…つか今考えると速すぎてこっちの視覚が追い付けねえ可能性すらあったな。

と、鎌が触れた瞬間、轟の体がナタデココになった。

ちなみにだが、これリスポーン地を設定してないとその元いた場所に戻ってくるらしい。

加えて、これ戻ってくるのはいいが滅茶苦茶な疲労状態になるみたいだ。

つまり、今の轟の状態は…

 

「っ…はぁ…はぁ…!」

轟は、肩で息をしながらドサ、とその場に座り込んだ。

とても動けるような状態じゃないな…桶々。

 

「んーじゃ、そこでじっとしといてもらうかな。よっ…」

と、捕縛テープを出そうとした瞬間、

 

「!」

ヒュッ

 

後ろから鋭い氷柱が飛んできた。寸でで躱したが頬に掠る。…ドルケストルのおかげか、傷が入ることはなかったが確かに反撃された。

 

「わぁおマジか…。」

まさかあの状態から攻撃できるとは…超重疲労状態だぞ?体力限界まで使ったマラソンのあとみたいな状態で、んな攻撃できんのかよこいつ?

 

「……へへ、こいつは驚いた。」

 

「チッ…ハァ…」

が、今ので限界だったみたいだな。上げていた腕も地面に落として、轟は壁にもたれかかって肩で大きくため息をついた。

 

「…ふ、んじゃ、確保…っと。」

轟の体に捕縛テープを巻き付けて確保する。

 

「さてと、向こうは大丈夫かね…?」

と思った…というか言った瞬間、

 

(ヴィラン)チーム、WIIIIIIIIIN!!」

と、声が聞こえた。

おー、勝ったのか。となると…向こうの二人があの手いっぱいのやつにテープ巻きつけたかな。あの葉隠の透明の個性とか、捕縛とかの不意打ち向きだろうしな。

 

で、轟の方によって行く。

 

「悪ぃな。ちょっと力入れすぎた。…【月夜叉】。」

 

「!……」

で、轟を味方として見て、月夜叉を使う。

疲労状態はそんなに回復しないが、まあ、無いよりはマシなはずだ。大体疲労回復は本来の回復量の25%ぐらいか?まあ、どうにせよ立てないぐらいの疲労なら、10%でも回復すりゃ良い方だろ。

 

「…ったく…お前は何なんだ…」

 

「堕天十三。ただのヒーロー志望の奴さ。」

 

「…お前みたいなのが「ただの」で済むかよ。」

 

「さぁな?…っと。さっさと戻るかな。ほれ」

と、轟に手を差し出す。が、

 

「…ふん、」

轟は一人で立って横を通り過ぎていった。

カッコつけんなコラ。「おひけぇなすって」みたいになっちまったじゃねえか。




おひけぇなすってって分かりますかね…?


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