SCP:IRON.SAGA. (野生のムジナは語彙力がない)
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SCP–978–IS 『願望カチャ』

【説明】
もしもアイアンサーガの世界にSCP–978『欲望カメラ』(人の欲望を読み取って写真に表示するインスタントカメラ)と似たようなアノマリーがあったら……という感じの報告書となります。(その為、この報告書はSCP–978を参考にさせてもらっています)

今回、異常性が確認されたカメラは、女子の間で人気のインスタントカメラ『カチャ』です。これは、アイアンサーガの本編第16章にて、ソフィアのセリフの中でチラッと紹介されたものとなっています。
(ソフィアが持っていたのとは別物です)


アイテム番号:SCP–978–IS

『願望カチャ』

オブジェクトクラス:safe

 

 

 

特別収容プロトコル:

SCP–978–ISはエリア████ベース████内の12番低脅威度ロッカーに保管して下さい。委員会出身者であれば持ち出しに必要なセキュリティクリアランスの規定はありませんが、その際には事前に研究主任であるイシュメール博士の許可を取ってください(ただしフィルム代を請求する事があります)。また、実験外での私的利用(恐喝や娯楽等)と基地外への持ち出しは禁止であることに留意して下さい。

SCP–978–ISによって作成された全ての写真は、簡単な実験記録と共にデジタルアーカイブ化されます。実験参加者による記録の削除・編集作業は自由に許可されており、記録へのアクセスは専用のポータルもしくは委員会ファイルからいつでも確認することが出来ます。

 

説明:

SCP–978–ISは日ノ丸・富岳フイルム製の一般的な黒のインスタントカメラ『カチャ』に見えます。その異常性はカメラで撮影し、現像した際に発生します。

SCP–978–ISによって撮影されると、被験者の姿はその時何をしていたかではなく、その時何がしたかったのかという、撮影当時の願望を叶えている状態で写真に表示されます。

 

(表示された願望の一例については後述)

 

表示される願望については、多くの場合は食事や睡眠などといった、生存に関わる欲求が反映されますが、稀に被験者の内奥に隠匿された願望を示します。

 

補遺:

被験者は、実験で出力された写真を要求・アーカイブ上での非公開設定をすることが認められています。ですが、一部の写真が不快な事を示したからと言って、必ずしもあなたがそうしようとしているとは限らない事をお忘れなく。(イシュメール博士)

 

 

実験記録:

 

記録形式

ーーーーー

被験者:

撮影当時の様子:

撮影結果:

ーーーーー

 

 

被験者:ベカス・シャーナム

撮影当時の様子:カメラに向かって自然なポーズを取っている。

撮影結果:基地の食堂にて、極東のアヒル焼きを始めとした数十種類の中華料理にありついている。撮影当時はお昼前でした。

 

 

被験者:高橋龍馬

撮影当時の様子:通路を歩いている。

撮影結果:黒いボロボロの学生服にゲタ、曲がった帽子に鉄板の仕込まれた鞄と、ヤンキーっぽいひと昔前の男らしい格好をしていた。

 

 

被験者:水原梨紗

撮影当時の様子:基地内の図書室で作業中

撮影結果:図書室で飲酒(?)をしてべろべろに酔っ払っていた。しかし、飲んでいるドリンクは明らかにノンアルコールのジュースとソーダである。

 

 

被験者:イシュメール博士

撮影当時の様子:自撮り

撮影結果:[削除済み]。うん知ってた。

 

 

被験者:シェロン

撮影当時の様子:司令室にて指揮官の手伝い

撮影結果:自室のベッドにて幸せそうな表情で昼寝をしていた。その手には電源の入った携帯ゲーム機が握られていたことから、ゲーム中に寝落ちしたということが分かる。

 

 

被験者:アルト

撮影当時の様子:射撃場にて訓練中

撮影結果:シャロと談笑していた。2人の表情から、とても楽しそうであることが伺える。うんうん

 

 

被験者:シャロ

撮影当時の様子:研究室で武器を自作中

撮影結果:グルミと談笑していた。シャロと向かい合っているグルミは何故か後光が差し、キラキラとしたオーラに包まれていた。なるほど……

 

 

被験者:グルミ

撮影当時の様子:格納庫にて作業中

撮影結果:アルトと談笑していた。また、被験者は普段誰にも見せないような朗らかな笑みを浮かべている。え……?

 

 

被験者:スノー

撮影当時の様子:庭園にて剣術の訓練中

撮影結果:変化なし

 

 

被験者:五十嵐命美

撮影当時の様子:お菓子をつまみながら書類整理中

撮影結果:白い粉を服用していた。

画像解析とインタビューの結果、白い粉の正体は当時食べていたハッ●ーター●(日ノ丸のスナック菓子)の濃縮物であることが分かりました。

 

 

被験者:高橋龍馬

撮影当時の様子:嬉しそうな表情で通路を歩いている。

撮影結果:龍馬の体は何故か八頭身化しており、頭には金髪のリーゼント、筋骨隆々でヤンキーっぽい格好をしており、さらに彼の背後にはクラスⅢ霊的実体の姿があった。

後のインタビューで、被験者は前日の夜に『████』(少年漫画)の第3部と第4部を読破したと説明しました。

 

 

被験者:高橋龍馬

撮影当時の様子:自然なポーズを取っている。

撮影結果:[削除済み]。

画像解析の結果、写真の端にアマンダが写り込んでいることが判明しました。うーん、これからは複数人を撮影した時にどんな写真が出てくるかも検証してみようと思う。

 

 

被験者:シャロ、曦夜

撮影当時の様子:資材置き場にて作業中

撮影結果:殴り合っている。具体的に言うと、お互いの放った右ストレートがお互いの頬を捉え、クロスカウンターの状態になっている。

 

 

被験者:べサニー、ヴァネッサ

撮影当時の様子:喫茶店バビロンにて仕事中

撮影結果:疲れて眠るべサニーを、ヴァネッサは優しく膝枕してあげている。また、ヴァネッサはカメラ目線で人差し指を口元に当て『しー(静かに)』のジェスチャーを取っている。

 

 

被験者:べサニー、指揮官

撮影当時の様子:喫茶店バビロンの2階にて取引を行なっている。

撮影結果:べサニーは指揮官を膝枕し、微笑ましげな表情で耳かきをしてあげている。

 

 

被験者:アイリ、ドリス、クルス、エル、フル

撮影当時の様子:5人で仲良く遊んでいた。

撮影結果:5人の他に、指揮官が遊びの輪に加わっていた。どうやら複数人を撮影した時には、それぞれの願望を統合したものが表示されるようだ。

 

 

被験者:スロカイ、教廷騎士たち、指揮官

撮影当時の様子:基地に遊びに来たスロカイ様一行を、司令部にて指揮官が出迎えている。

撮影結果:機械教廷らしき場所で、祭服に身を包んだ指揮官がスロカイ様の前で膝をつき、周りの騎士たち(マティルダを除く)はそれを祝福している。

 

 

被験者:ゾーイ、犬1匹(コーギー)

撮影当時の様子:並んで立っていた。

撮影結果:ゾーイはボールを使って犬を遊ばせていた。本当は遊んであげたかったのですが、本官はまだ勤務中だったもので……

 

 

被験者:メルル、猫1匹

撮影当時の様子:ジッと見つめ合っている

撮影結果:毛を逆立て、お互いに威嚇し合っていた。あのネコがにゃーにいきなりガンつけて来やがったのにゃ!

 

 

被験者:エレイン、犬1匹

撮影当時の様子:犬を遊ばせている

撮影結果:[削除済み]。

私はワンちゃんにそんなことしないわ!

 

 

被験者:指揮官、黛

撮影当時の様子:通路にて談笑していた。

撮影結果:抵抗虚しくショタ化した指揮官を抱きかかえ、お持ち帰りしようとする黛の姿が写っていた。その傍らには、SCPらしき例の薬品が転がっている。

 

 

被験者:ベカス、高橋龍馬

撮影当時の様子:2人並んでポーズを取っている

撮影結果:嫌がる龍馬に、ベカスは無理やりメイド服を着させ、さらに下着を剥ぎ取ろうとしている。

エレインや黛の時もそうだったが、どうやら正反対な2つ以上の願望が1つの写真に収まっていた時、より強い願望……この場合で言うなら、とくに性欲の方が写真に反映されやすいようだ。

 

 

被験者:ベカス、高橋龍馬

撮影当時の様子:前回と同様に2人並んでポーズを取らせた。ただし、今回は性欲と食欲、どちらがより優先されやすいのかを確かめるためにベカスには朝食を抜いてもらっている。

撮影結果:嫌がる龍馬に、ベカスは無理やりスリットのついたセクシーな極東服を着させ、さらに下着を剥ぎ取ろうとしている。

一食抜いただけでは性欲の方が勝るようだ。

 

 

被験者:ベカス、高橋龍馬

撮影当時の様子:前回と同様に2人並んでポーズを取らせた。ベカスには朝食と昼食を抜いてもらっている。

撮影結果:嫌がる龍馬に、ベカスは無理やりウェディングドレスを着させ、さらに[削除済み]しようとしている。

前回よりもベカスのセクハラが明らかに悪化していた。ディナーを抜いたら一体どうなるのか気になるところである。

 

 

被験者:ベカス、高橋龍馬

撮影当時の様子:前回と同様に2人並んでポーズを取らせた。ベカスは1日何も口にしておらず、空腹もピークに達していると証言していた。

撮影結果:食堂にて、2人で食事を共にしていた。

食欲が性欲に勝った瞬間である。その後、ベカスには市内にある焼肉屋の食べ放題券を提供し、解放しました。

 

 

被験者:指揮官

撮影当時の様子:自室にて仕事中

撮影結果:[クリアランスレベル5]

あの方は一体何を目指しておられるのか……?




【あらすじに書ききれなかったので追記】
SCPにはそれぞれ、オブジェクトクラスというものが存在し『safe(セーフ)』『euclid(ユークリッド)』『keter(ケテル)』の3種類が主に扱われます。(その他、特殊なクラスも存在します)
ただし、これはそのオブジェクトが危険かどうかを判断する指標ということではなく、後半に行けば行くほど『収容が困難である』ということを示しています。
(最も、ヤバいのは大体『keter』ですが)

SCP–978–IS
の後方に振られた『IS』はアイアンサーガの略です。
また、本記事を書くにあたって下の記事を参考に、CC BY-SA 3.0に基づいて改変させていただきました。また、CC BY-SA 3.0の継承に基づき本記事についても同じライセンスの元に頒布します。(念のための表記)

CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-978 - Desire Camera
by agatharight
http://scp-jp.wikidot.com/scp-978『欲望カメラ』

……これで大丈夫かな?
何かあればコメントにてご指摘いただければ幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


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拡張実験記録:SCP–978–IS『願望カチャ』

お帰りなさい! 指揮官様!

本家SCPのものと同様、SCP–978–IS『願望カチャ』の拡張実験版を作ってみました。未登場のSCP−ISもいくつか登場していますが、それらの記事についてはまた後ほど……また、ライセンス表記についてはあとがきに記載しておきます。

よろしければ、研究主任のイシュメール博士の案内に従って、記録を閲覧してって下さいね!
それでは、続きをどうぞ……


拡張実験記録:SCP–978–IS『願望カチャ』

 

要望があったため、SCP–978–IS『願望カチャ』のさらなる実験結果をここに書き記していく。新たな実験結果が得られ次第、実験担当者は自由に追記していくように。

ー978–IS研究主任・イシュメール博士ー

 

 

 

記録形式

ーーーーー

被験者:

撮影当時の様子:

撮影結果:

ーーーーー

 

 

 

被験者:佐々木光子

撮影当時の様子:剣術の鍛錬中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:佐々木光子、スノー

撮影当時の様子:模擬戦中

撮影結果:変化なし

余計なものはいらないってか?

 

 

 

被験者:ヴィヴィアン

撮影当時の様子:喫茶バビロンにて勤務中

撮影結果:ラジオのパーソナリティーをやっている。尚、本日のゲストは指揮官な模様

 

 

 

被験者:ハヤ

撮影当時の様子:喫茶バビロンにて勤務中

撮影結果:ヴァネッサが作った賄いを食べている

 

 

 

被験者:ミドリ

撮影当時の様子:戦利品の管理を行っている

撮影結果:戦地から回収されたプラズマ砲などの戦利品の山を前に、うっとりとした表情を浮かべている

 

 

 

被験者:(匿名)研究員

撮影当時の様子:居眠りしている

撮影結果:イシュメール博士を踏んでいる

あとで私の研究室に来るように

 

 

 

被験者:(匿名)研究助手

撮影当時の様子:報告書を読んでいる

撮影結果:ネームタグが『博士』になっている

研究助手は酷く怯えているようでした

 

 

 

被験者:ムジナ

撮影当時の様子:カメラ目線でピースしている

撮影結果:イシュメール博士を土に埋めている

この野郎……

 

 

 

被験者:イシュメール博士

撮影当時の様子:(自撮り)

撮影結果:ムジナを腹パンしている

 

喧嘩しないの

ー指揮官ー

 

 

 

被験者:エディ

撮影当時の様子:爆弾を作っている

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:薫

撮影当時の様子:バーチャル空間でライブ中

撮影結果:変化なし

しかし画像解析の結果、写真の中では12時間以上もライブが続いていることが判明しました。なお、ライブ配信の同時接続数はピーク時から全く減少していません

私の歌を聴けーーーー!!!

[不正ログインを検知しました]

 

 

 

被験者:テイラー

撮影当時の様子:基地内でゲリラライブ中

撮影結果:当日非番だった者も含めた、おそらく基地内で勤務するスタッフ全員がギャラリーとなってテイラーの歌に耳を傾けていた

あたいの歌も聴けーーー☆

ーテイラーー

 

 

 

被験者:神皇様

撮影当時の様子:神皇宮から空を見上げていた

撮影結果:水着姿で指揮官と海水浴を楽しんでいた。そういえば今年は多忙で、日ノ丸から動くことができないようでした

 

 

 

被験者:キラスター

撮影当時の様子:新しい服について語っている

撮影結果:可愛らしい振袖姿で指揮官や基地の女性スタッフたちと初詣に行っている。しかし、例によって肌色面積が多い上に、本人がはしゃぎ過ぎていることによって大きく着崩してしまっている

 

 

 

被験者:アリシア、アナベル

撮影当時の様子:中庭でイザベラと共にお茶会

撮影結果:3人で『シェフィ』を遊んでいる

まさか、シェフィールドだけに……?

 

 

 

被験者:イザベラ

撮影当時の様子:中庭で先の2人とお茶会中

撮影結果:純真な笑みを浮かべている

カメラ抜きだと素っ気ない様子を見せていたものの、内心では現状を心行くまで楽しんでいるのだろう

 

 

 

被験者:リンダ

撮影当時の様子:木の上で眠っている

撮影結果:ヴァルハラ同盟の面々と肩を並べている

 

 

 

被験者:煙

撮影当時の様子:お腹が空いている様子

撮影結果:メリケンサックを、食べていた

 

何を言っているか分からないだろうが、事実なんだ……

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:アマンダ

撮影当時の様子:カメラに向かってウィンク

撮影結果:[データ削除済み]

実験後、実験担当者が軽度のPTSD(トラウマ)を発症した為、本人の要望通りAクラス記憶処理が施されました

 

なんで撮ったの?

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:アリス

撮影当時の様子:スリーローゼスの面々と談笑している。フレームには対象しか捉えていない

撮影結果:[データ削除済み]

実験後、実験担当者が軽度のPTSD(トラウマ)を発症した為、本人の要望通りAクラス記憶処理が施されました

 

少し考えればわかるだろう?

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:トリスタ

撮影当時の様子:ある人を探している

撮影結果:[データ削除済み]

実験後、実験担当者が軽度のPTSD(トラウマ)を発症した為、本人の要望通りAクラス記憶処理が施されました

 

だから、何故見えている地雷を踏みに行く?

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:ウッド

撮影当時の様子:ブレドンの調整を行なっている

撮影結果:[データ削除済み]

実験後、実験担当者が重度のPTSD(トラウマ)を発症した為、本人の要望通りCクラス記憶処理が施されました

 

これは仕方ない

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:エリカ

撮影当時の様子:ナイフを磨いている

撮影結果:虚ろな目でナイフを研いでいる

後日、カウンセラーの診療を受けさせました。

 

 

 

被験者:佐伯楓

撮影当時の様子:エディと会話している

撮影結果:右腕に包帯を巻いている

先の戦闘で右腕を負傷していたことが明らかになりました。本人は隠し通すつもりだったようですが、診察の結果全治3週間と判明しました。

適切な治療を受け、現在は療養中です。

 

 

 

被験者:(匿名)研究員

撮影当時の様子:カメラに向かってポーズ

撮影結果:[データ削除済み]

精神的なケアのため、(匿名)研究員には特別休暇が言い渡されました。

 

 

 

被験者:指揮官様

撮影当時の様子:執務中

撮影結果:ぐったりとした様子で机に倒れている

 

ちゃんと休息を取ってください

ーグニエーヴルー

 

 

 

なるほど。スタッフたちの健康状態を管理する上でも有効的なようだ。

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:七瀬汐月

撮影当時の様子:いつもの発作を起こしている

撮影結果:(省略)禍々しいオーラを放っている

汐月は出力された写真を欲しそうにしていました

 

 

 

被験者:エル&フル

撮影当時の様子:図書館にて自主学習中

撮影結果:次回予告のナレーションを読み上げている

……なんの?

 

 

 

被験者:スロカイ様、マティルダ

撮影当時の様子:一緒にいるところを撮影

撮影結果:[データ削除済み]

ごめん、記憶処理を受けるよ

ー指揮官ー

 

いや、気にしてないぞ

ースロカイー

 

少しは気にして下さい陛下!

ーマティルダー

 

 

 

被験者:マティ、凡人

撮影当時の様子:お返しだ♪

撮影結果:[データ削除済み]

 

フッ、喜べ凡人。なんだかんだ言いつつも、マティはお前のことを好意的に思っているようだぞ? 羨ましい限りだな

ースロカイー

 

か、書かないでくださいそんなこと! 私は陛下ひとすじで、そんなインチキカメラのことなんか信用しないでください!

ーマティルダー

 

 

 

被験者:リルル

撮影当時の様子:菓子を食べている

撮影結果:大量の菓子に囲まれている

まあ、予想通りだな

ースロカイー

 

 

 

被験者:ウェスパ

撮影当時の様子:カメラを前に首を傾げている

撮影結果:チェーンソーを片手に、数多くの侵入者を返り討ちにしている。返り血を帯びたその表情は狂気の笑みに染まっていた。

まさかウェスパのこんな表情が見られるなんて…

ーマティルダー

 

 

 

被験者:ヴィノーラ

撮影当時の様子:ムクロをお手玉している

撮影結果:変化なし

どうやら死者の願望は反映されないようですね

ーマティルダー

 

 

 

被験者:コンスタンス

撮影当時の様子:義肢のメンテナンス中

撮影結果:喫煙している

そういえば最近あまり吸わなくなりましたね。何かあったんでしょうか?

ーマティルダー

 

 

 

被験者:シンシア

撮影当時の様子:怪訝そうな顔をしている

撮影結果:高身長で胸が明らかに大きくなっている

……ッ!?

ーマティルダー

 

何か言いたいことでも?

ーシンシアー

 

い、いえ、何でもありません

ーマティルダー

 

 

 

被験者:プライド

撮影当時の様子:バモフと共に鍛錬中

撮影結果:ふざけた格好と態度をしている

注記:この時、プライドの姿は█████所属のVtuber、███・████と酷似したものになっていました

 

……なんですかこれ?

ーマティルダー

 

 

 

被験者:バモフ、芝犬1匹

撮影当時の様子:プライドと共に鍛錬中

撮影結果:芝犬しか写っていない

やっぱり犬が本体じゃないですか!

ーマティルダー

 

 

 

被験者:アンドレア

撮影当時の様子:お菓子を食べている

撮影結果:大量のお菓子に囲まれている

 

やっぱり! これは予想通りでしたね♪

ーマティルダー

 

フッ、マティよ。ちょっと楽しくなってきたか?

ースロカイー

 

ち、違います! これはただの実験で……

ーマティルダー

 

 

被験者:ウィオラ、凡人

撮影当時の様子:会話中

撮影結果:[データ削除済み]

 

おい凡人、これは一体どういうことだ?

ースロカイー

 

 

 

被験者:ベルガ、アイリス

撮影当時の様子:談笑している

撮影結果:[データ削除済み]

 

フフフ……混ざりたい? 弟くんならいいよ♡

ーベルガー

 

え、遠慮しときます……

ー指揮官ー

 

 

 

被験者:余、凡人

撮影当時の様子:あくまでも実験の一環だぞ?

撮影結果:[データ削除済み]

何があったんですか!?

ーマティルダー

 

 

 

被験者:指揮官さん

撮影当時の様子:通路を歩いている

撮影結果:[データ削除済み]

後のインタビューで指揮官は入浴前だったことが明らかになりました。その、色々見てしまいましたごめんなさい……

ー水原梨紗ー

 

いいよ、これからは気をつけてね(^^)

ー指揮官ー

追記:顔文字は変な意味じゃないからね?

 

 

 

状況によってはセンシティブな内容のものが出てしまうようだ。実験担当者は、相手の状況に十分配慮した上で実験を行うように。

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:数名の女性スタッフたち

撮影当時の様子:基地の大浴場へ向かう瞬間を盗撮

撮影結果:[データ削除済み]

イヤッホゥ!計画通りなのでs...

[ムジナにはCクラス記憶処理が施されました]

 

 

 

被験者:セレニティ

撮影当時の様子:エレインの部屋から退出時を盗撮

撮影結果:[データ削除済み]

グレイト!!!素晴らしいいいもの見られt...

[ムジナにはCクラス記憶処理が施されました]

 

 

 

アノマリーの私的利用は禁止だと言ったはずだ

以降、647−ISの本アノマリーの実験参加を禁ずる。

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:指揮官くん、黛

撮影当時の様子:自撮りでツーショット♡

撮影結果:[データ削除済み]

 

私的利用は禁止だと言ったはずだが?

ーイシュメール博士ー

 

これもれっきとした実験の一つよ〜?

ー黛ー

 

 

 

被験者:指揮官様

撮影当時の様子:大浴場へ向かう瞬間を盗撮

撮影結果:[データ削除済み]

 

お世話したくなっちゃいます

ー匿名アカウントー

[実験担当者に記憶処理は施せませんでした]

 

くそが、念動力は卑怯だ……

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:指揮官

撮影当時の様子:大浴場へ向かう瞬間を盗撮

撮影結果:[データ削除済み]

まさか本当に出来るなんて……どうなってるのこれ? それにしても、すごい……何がとは言わないけど

ー匿名アカウントー

 

倫理委員会にO5−1の解任を要求する。

ーイシュメール博士ー

 

承りました。

ー倫理・風紀委員会代表 五十嵐命美ー

 

ちょっ!?……記憶処理受けるから許して!

ーO5−1ー

 

 

 

978–ISが紛失した。誰だ勝手に持ち出したのは?

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:イシュメール博士

撮影当時の様子:カチャを探している場面を盗撮

撮影結果:変化なし

 

だよね〜

ー匿名アカウントー

 

なんの真似だ?

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:テレサ

撮影当時の様子:パクチーを食べている

撮影結果:パクチーになっている

みんなからパクチーパクチー言われまくって、ついに自分のことをパクチーって思い込み始めたのです?

ー匿名アカウントー

 

匿名アカウント、我々はお前を見つける

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:指揮官様

撮影当時の様子:トイレに向かっている姿を盗撮

撮影結果:[データ削除済み]

よく撮れてるのです! これを複製しまくって、指揮官ガチ恋勢のスタッフたちに売って大儲けするのです!

 

あのね……

ー指揮官ー

 

位置を特定した、これより急行する

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:イシュメール博士、ムジナ

撮影当時の様子:殴り合っている

撮影結果:変化なし

姿形が同じとはいえ、貧弱なお前が俺に勝てるわけねぇんだよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:イシュメール博士

撮影当時の様子:ムジナを拘束している

撮影結果:変化なし

 

指揮官、こいつを殺せ

ーイシュメール博士ー

 

や、何もそこまでしなくても……

ー指揮官ー

 

[ムジナには2週間の営倉行きが言い渡されました]

 

 

 

被験者:アイリ、SCP–120–IS

撮影当時の様子:一緒に絵本を読んでいる

撮影結果:美しく成長し、ウェディングドレスを着て幸せそうな表情を浮かべるアイリと、それを遠くから見守るSCP–120–ISの姿が写っていた。アイリの伴侶となる男性の顔は見切れていて不明

ペットであるはずのSCP–120–ISは、どういうわけか涙ぐんでいるように見える

 

その気持ちはよく分かるのです

ームジナー

 

そうね。いつかこういう日が来るのよね……

ーO5−3ー

 

 

 

被験者:SCP−169−IS『ノア』

撮影当時の様子:島の高台から海水浴を楽しむ指揮官たちの姿を見守っている

撮影結果:なぜか『ノア』の姿は基地内にあり、執務中に疲労で寝落ちしてしまった指揮官の背中に、やさしく毛布をかけてあげている

しかし、島から出られないはずの『ノア』が、なぜ基地の構造もとい指揮官の自室の内装を細部まで把握しているのかについては不明

 

 

 

被験者:遥

撮影当時の様子:広場で休眠中

撮影結果:沢山の猫に囲まれながら休眠中

待てよ、ウェスパやdollといったオートマタ系、ペットにAICなどの願望も反映するということは……

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:リンクス1機

撮影当時の様子:解体中

撮影結果:「量産機にも活躍を!」と書かれたプラカードを手にダッチー本社へと殴り込みをかけている。やったぜ!

 

やはりBMの願望も反映するのか!?

以降、BMに対する実験を行うこととする。尚、撮影は正確な実験結果取得の為に、機体周辺が無人の状態で行われる。

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:夜叉

撮影当時の様子:解体中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:パイモン量産型

撮影当時の様子:解体中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:フレイムウィンド

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:闘将改

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:アルテミス

撮影当時の様子:格納庫で格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

一通り近くにあった機体を撮ってみたが、どれも変化はなかった。どういう条件下で写真に変化が起こりやすいかについては今後の実験で明らかにしていきたい。

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:アルテミス(ヴァネッサ機)

撮影当時の様子:バビロンの地下で格納中

撮影結果:変化なし

 

被験者:パイモン、ベリアル

撮影当時の様子:ソロモン施設にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

専用機であるかは関係ないようだ

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:スサノヲ

撮影当時の様子:格納庫内の大型モニターで日ノ丸の時代劇を視聴中

撮影結果:某暴れん坊将軍の格好をしたスサノヲが馬にまたがって江戸の街中を疾走していた。サイズは普通の人間サイズに留まっている。

 

 

 

AIが備わっている機体は反映される?

いやしかしベリアル等、マスターシステムが搭載された機体の写真に変化はなかったし、最初のリンクスにAIは搭載されていないにもかかわらず変化があった。違いが分からん、一体どういうことなんだ?

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:ツクヨミ

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:カグヤ

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:ブラックジャックと戦闘中(タイトル)

 

 

 

被験者:マスター飛影(バイロン機)

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:ICEY−X

撮影当時の様子:空中戦艦にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:ICEY−V(量産型ICEY−X)

撮影当時の様子:空中戦艦にて格納中

撮影結果:5機で編隊飛行を行っていた

当初、機体は機動部隊アルファ『薔薇騎士団』によって運用されているものであると思われたが、画像解析の結果、Vの肩部に刻まれた部隊マークは既存のどの機動部隊の部隊マークとも一致しないことが判明しました。

その部隊マークは、機動部隊アルファと機動部隊ベータ『十字騎士団』の特徴を組み合わせたようなデザインとなっている。

 

さしずめ薔薇十字騎士団というところか……

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:UCEY−W

撮影当時の様子:空中戦艦の端に駐機中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:バルキリーA(テッサ機)

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:謎のフルカスタムが施されていた。

強化装甲、ツインアイ、両腕にはバヨネットを備えた大型ビームライフル、両肩部にはレールガン、腰部には2丁のビームライフル、バックパックは6枚羽の高機動フライトユニットへと換装され、また両膝にはブレードが隠されているようである。

製造元であるヴァルハラの企業に問い合わせてみたものの、バルキリーにこのようなカスタムモデルの生産予定はないとのこと。

 

 

 

被験者:シークレットキーパー

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:ディアストーカー

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:拡張パーツらしき、謎の黒い爆撃機内部に格納された状態で高高度を飛行している。これについて、パイロットであるテレサに聞き込みを行ったところ、ディアストーカーにそんなカスタムをする予定はないし考えたこともなかったとのこと

しかし、テレサは黒い機体に興味を示した。

 

 

 

被験者:ガラハッド

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:帝国騎士団の一員となっている

 

 

 

被験者:レンジャー(カルシェン機)

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

だめだ、もうわけわかめ

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:テュポン

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:窮奇

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:変化なし

 

 

 

被験者:コブラ

撮影当時の様子:解体中

撮影結果:解体オペレーターに向かって爆撃

 

 

 

被験者:黒羽戦闘機

撮影当時の様子:解体中

撮影結果:変化なし

 

 

被験者:オブシダン

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:合体してオブシダンキングになっている

……キングスライムじゃねぇんだから

 

 

 

被験者:アスモデウス

撮影当時の様子:格納庫に格納中

撮影結果:足下にカーズがいる。しかし、アスモデウスの手には「なんでこないな奴がウチのパイロットやねん」と書かれたプラカードを持って不満を露わにしていた。

……関西人かよ

 

 

 

被験者:重装軍曹

撮影当時の様子:解体中

撮影結果:A.C.E.学園のゲートAにて謎の黒い所属不明機と交戦状態に陥っている。周りには撃墜された僚機の残骸が多数転がっており、本機も著しく損傷していることから、激戦を繰り広げていると想像がつく

誰だって活躍したいよねぇ

 

 

 

被験者:ウァサゴAWAKE

撮影当時の様子:格納庫にて整備中

撮影結果:なぜかコックピットにスロカイ様の姿があった。ベカスの姿はない。

そういえば昔マスターシステムの不具合で、一瞬だけベカス以外のパイロットが乗れるようになったことがあったな。まあウァサゴにしても野郎のベカスばっかりじゃ飽きたんだろ、だってあいつホモだし

 

 

 

被験者:アガレス

撮影当時の様子:格納庫内で埃を被っている

撮影結果:ウァサゴAWAKEと鍔迫り合いをしている(タイトル画面のアレ)

↑いや勝てるわけないだろwww

 

 

 

先程から脳死で撮影してきたが、いくら考えても変化のある機体のパターンが分からない。気まぐれでやっているとしか……まさかこのカメラ、意思を持っているとでも?

まだ隠された能力があるのかもしれない

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:ブレーキングドーン及びゼネラル機数種

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:「崑崙ばかり優遇されててズルイ!」と書かれたプラカードを持って崑崙研究所へと殴り込みをかけている。また写真奥には極東武帝が対要塞粒子砲の爆発に巻き込まれて吹っ飛ばされている。

うーん、これは非常に分かるマーン

 

 

 

被験者:紺碧少女部隊(ナイトメア含む)

撮影当時の様子:滑走路にて駐機中

撮影結果:指揮官の指揮下で、どこかの工業施設と思わしき場所で作戦行動を行なっている。紺碧少女メンバーへの聞き込みの結果、数日前に行われたテロ組織に対する武力介入の一場面であることが分かりました。

 

 

 

被験者:とくに法則性のないBMの寄せ集め

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:基地の滑走路上で勝手にBMワールドカップを開催していた。試合は第3試合まで行われており、現在はシルバーフォックスと羅刹改が戦闘を行なっている。

 

 

 

被験者:ランスロットを始めとする帝国製BM数機

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:「崑崙ばかり贔屓されてインチキ!」と書かれたプラカードを持って崑崙研究所へと突撃している。また写真奥にはDクラス職員英麒がフォトンレーザーの爆発に巻き込まれて吹っ飛ばされている。

ハハッ、こいつは傑作だ

 

知ってるか? 始まってもうかなり経つが、崑崙が10機近い翼機体を実装しているのに対し、未だにゼネラルと帝国は1機しかないんだぜ? 世界三大なんちゃらって話はどこへ行った? ああ?

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:新品同然にレストアされたフォックスハウンドとボロボロのゼネラルエンジン製量産機リンクス数十機

撮影当時の様子:格納庫にて格納中

撮影結果:「死ね!この裏切り者!」と書かれたプラカードを持ったリンクスたちがフォックスハウンドをリンチしている。

 

 

 

どうやら複数の機体を1つのフレームに収めて撮影すると変化が起きやすいようだ。まあ、BMへの実験はひとまずこれくらいにしておこうと思う。

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:事件の容疑者

撮影当時の様子:警察署にて拘留中

撮影結果:容疑者の犯行であると確信を得られた

ありがとう。これで心置きなく尋問できる!

ーケリー&ヒルダー

 

 

 

なるほど。そういう使い方もあるのか

ーイシュメール博士ー

 

 

 

被験者:ドリス

撮影当時の様子:ベカスと言い争いをしていた

撮影結果:ベカスのクッキーを食べていた

つまみ食いの犯人が判明したようだが、結局、ベカスが食べることが出来たのはドリスが隠し持っていた最後の一枚だけだった。もし完食されていたら別の願望が反映されていて、犯人の特定には至らなかったのかもしれない。

 

 

 

被験者:ヘルヤ

撮影当時の様子:独房にて拘束中

撮影結果:両手両足を縛られ、指揮官から電磁くすぐり棒を用いた「おしおき」を受けていた。微妙な表情をする指揮官に対し、当の本人は満更でもない様子である

↑うん???

 

 

 

被験者:ブルーテイル・アイ

撮影当時の様子:陸上艦の甲板で休眠中

撮影結果:[クリアランスレベル5]

 

ああ、そういうことだったのかよクソが!ああクソが! あのクソ青虫野郎め、これ以上すきにやらせるかよ殺してやる、処分だ、駆除だ、抹消だ、今すぐに終了する……682よりも恐ろしく何よりもクソッたれな奴の存在をこの世から完全に……ッ

ーイシュメール博士ー

 

 

 

補遺1:

出力された写真を確認した直後、イシュメール博士は突如として錯乱状態に陥り、罵詈雑言を喚き散らしながらブルーテイル・アイに襲撃をかけました。

 

ソードオフされた3連装ショットガンで武装し、ソロモンの護衛部隊を一蹴するも、駆けつけた機動部隊によって鎮圧され、イシュメール博士は身柄を拘束されました。

 

なぜイシュメール博士がこのような行動を取ったのかについては不明です。

しかし、出力された写真からミームが検出されたため、写真は焼却処分されました。イシュメール博士は何らかのミームの影響を受け、このような暴挙に至ったのだと推測されます。

ミーム除去のための全ての試みは、効果が認められませんでした。

 

 

 

補遺2:

現在、イシュメール博士は拘留中です。

脱走しました。

 

イシュメール博士は当時2週間の営倉行き処分を受けていたSCP−647−IS『ムジナ』を脅迫してタイムスリップ能力を発動させ、基底現実より過去へと移動しました。

 

過去世界のブルーテイル・アイを終了し、過去改変を企てているものと推測されます。現時点をもって委員会はムジナの営倉行きを解除し、時空間異常に対応したチーム:機動部隊ラムダ『タイムパトロール』を再編成し、イシュメール博士の追跡を実行して下さい。

 

 

 

補遺3:

第一次派遣は失敗に終わりました。

現場に到着した指揮官がイシュメール博士に説得している最中に、過去世界のブルーテイル・アイの無差別攻撃を受け、イシュメール博士は大破、部隊は基底現実への撤退を余儀なくされました。

 

 

 

補遺4:

第二次派遣は成功しました。

ソロモンの実験施設に囚われていたイシュメール博士の残骸を回収、一切の痕跡を残すことなく部隊は帰還しました。

 

 

詳しくは、文書746−IS−B

『ブルーテイル・アイ終了処分事件』を参照して下さい。

 

 

 




この後、暴走したイシュメール博士の手によってブルーテイルの終了処分が行われようとするのだが、それはまた別のお話……(元ネタ、『クレフ・コンドラキ事件』)

また、本作は未完成なのです。(未登場キャラも多いので)
なので登場させて欲しいキャラなどがいましたらコメントにてご依頼下さい。直ちに、ムジナがそれっぽいの作ってみますので(ただしコラボキャラは不可)誤字脱字報告、感想などでもムジナは飛んで喜びます。

CC BY-SA3.0に基づく表示
本作品は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。
SCP-978 Extended Test Logs
by Agent Circeus
http://www.scp-wiki.net/scp-978-extended-test-logs
http://ja.scp-wiki.net/scp-978-extended-test-log


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SCP–066–IS 『カロルだけのドレス』

お帰りなさい! 指揮官様!

今回の報告書は、喫茶店(酒場)でカロルに好感度アイテム『ヘアピン』を渡した時、何故かカロルが「ドレス!? 閣下、これはどういう……?」と驚いて嬉しそうにしているのを見て……もしもこの現象がSCPだったら? という感じの報告書となっております。

(全指揮官様がツッコミを入れたカロルの迷言)

SCPナンバーとメタタイトルから分かるように、タイトルの元ネタはSCP–066『エリックだけのおもちゃ』から来てはいますが、元ネタと性質が全然違うので引用はしません。オリジナルです。(が、初期のSCPらしい不思議で不気味なアイテムなので、未読の方は是非見に行って見てください)もっと上手いメタタイトルはあっただろうか…?


アイテム番号:SCP–066–IS

『カロルだけのドレス』

オブジェクトクラス:Euclid

 

 

 

特別収容プロトコル:

SCP–066–ISはその性質上、収容は不可能です。しかし、SCP–066–ISによる改変現象は局所的かつ、さらに発生条件が特殊であるため、委員会や人類にとってさほど驚異的ではありません。

ただし現象の発生が衆目に晒された際には、カバーストーリー『手品の練習』もしくは『キュア・カロル(プリ█ュア)の実装』 もしくは『魔法少女カロル(ま█マギ)の実装』 もしくは『ジブ█ール・カロルの実装』が適用されます。←普通に『シンデレラ』じゃダメなんですか?

 

 

説明:

SCP–066–ISは委員会出身者たちから『指揮官』という呼び名で親しまれているベース████司令官と、『カロル』という名で知られるヨーロッパ系・帝国騎士の少女との間で発生する、ごく小規模な現実改変現象です。異常性は『指揮官』が『カロル』に対してヘアピンを提供した際に発生します。

 

『指揮官』が差し出したヘアピンを『カロル』が受け取ると、瞬間的に現実改変が発生し『カロル』の衣服が広義の意味でドレスと呼ばれる装束へと置換されます。

置換されて出現したドレスは、主に『カロル』の出身国であるグレートブリテン帝国ではポピュラーなアフタヌーンドレスとイブニングドレスが多く、次いでカクテル、パーティ、エプロン、ロリータなど多種多様です。

出現するドレスは完全にランダムです。

稀にグレートブリテン帝国とは関連性のない極東のチャイナドレス、チマチョゴリ、チュゼールのサリーなどといった広義の意味でドレスと呼ばれる民族衣装が出現し、ごく稀にウェディングドレスや日ノ丸の白無垢などといった婚儀の際に花嫁が着用するドレスが出現します。

 

しかし、これは一時的なもので、日付が変わるか『カロル』がヘアピンを手放すと、着用していたドレスは消失し、代わりにSCP–066–ISが発生する以前に着用していた衣服が再出現します。

それ以降、同じヘアピンを使ってSCP–066–ISが発生することはありません。指揮官から再度同じヘアピンの受け渡しが行われた際も同様です。

また、GPSや小型カメラを用いた、ドレスに置換されている間の衣服および消失したドレスの追跡は、全て信号途絶や機材の不具合という結果に終わっています。

 

SCP–066–ISによる現実改変のメカニズムは未だ不明です。

委員会が事態を把握するまで、既に██回以上ものSCP–066–ISが発生していたと推測されます。SCP–066–IS発生後に『指揮官』及び『カロル』に対して行われたインタビューの結果、衣服がドレスへと置換された現象について、両名は軽く驚きつつも大して気に留めた様子はなく、ただ当然のことのように受け入れていることが分かりました。

 

 

補遺I:

委員会は当初、『指揮官』が提供するヘアピンに異常性があると仮定して、ヘアピンの分析と製造元の調査を行いました。

結果:ヘアピンは何の異常性も有していませんでした。

製造元である帝国系企業に関しても同様です。

 

 

補遺Ⅱ:

次に、委員会は『指揮官』及び『カロル』のどちらか、もしくは双方が何らか作用によって認識災害を発生させていると仮定しました。調査の為に機動部隊ゼータ『マインドセキュリティ』から対認識災害のエキスパートであるエージェント、シスター・ノエルを派遣し、実験に同席させました。

結果:シスター・ノエルは認識災害の兆候を確認することができませんでした。

 

 

補遺Ⅲ:

次に、委員会はSCP–066–ISが現実改変によるものではないかと仮定し、カント計測器を用いてヒューム値の変動を調査しました。

結果:ヒューム値の変動を観測しました。

『カロル』がヘアピンを受け取った瞬間、対象の周囲の現実性が僅かに下降し、局所的な現実改変が発生しました。

 

 

実験記録:

補遺Ⅲによって判明した結果を受け、委員会出身の研究員立ち合いのもと、いくつかの実験が行われました。結果、『指揮官』が『カロル』以外の人物に対してヘアピンを渡した際にSCP–066–ISは発生せず、また『カロル』は『指揮官』以外の人物からヘアピンを渡されてもSCP–066–ISは発生しないことが判明しました。

[コメント]

・まじで、どういうことなん……?

・指揮官様は不思議な力を持っているお方だから、それがカロルに対して反応を示したからとか?

・そうですね。それにカロルさんに関しても出自の時点で怪しいところ(良い意味で)があるから……

・何にせよ憶測の域を出ない、実験を継続しよう

 

 

補遺Ⅳ:実験5『SRAを用いた反応調査』

現実の正常性を保つ目的で開発されたスクラントン現実錨(Scranton Reality Anchor)を用いてSCP–066–ISによる現実改変を無効化させ、反応の調査を行います。

 

結果:[データ削除済み]

SCP–066–ISに関する全ての実験は、O5–█の命令により今後、その一切が禁じられます。

 

 

 

 

 

観察記録:SCP–066–IS

以下はSCP–066–IS発生時の観察記録です。

観察は喫茶店バビロンの2階に存在するプライベートルームにて行われました。また、時刻は21時(日付が変わる3時間ほど前)でした。

 

 

[書き起こし開始……]

 

 

<カロル>:「閣下、本日はお誘い頂きありがとうございます」

 

両者は無人のカウンター席に横並びとなり、お酒を嗜んでいる。カロルが指揮官に視線を向けて小さく礼を述べると、指揮官は懐からSCP–066–IS発生のトリガーとなるヘアピンを取り出した

 

<指揮官>:(ん、今日はお疲れ様。それじゃあ、はいこれ)

 

<カロル>:「いつもありがとうございます。それでは……」

 

カロルは小さく頭を下げ、指揮官からヘアピンを受け取った。直後、SCP–066–ISが発生し、カロルの騎士装束がきらびやかな黒のイブニングドレスへと置換される。

 

<カロル>:「わぁ! なんて素敵なドレス……まるでヴィクトリア様のような、私とは比べ物にならない高貴な身分のお方が着てもおかしくないような綺麗さです! うーん、見習い騎士の私には重すぎてちょっと似合わないような……」

 

<指揮官>:(いや、そんなことないよ。凄く似合ってる)

 

<カロル>:「そう……ですか? あ、ありがとうございます。他ならぬ閣下からの賛辞、身に余る光栄と言いますか……えへへ」

 

<カロル>:「ですが、この露出の多さはちょっと恥ずかしいといいますか……胸元はまだいいとして、背中が開きすぎなので、騎士といたしましては、無防備な背中を晒してしまうような感じがして、なんだかむず痒くて……」

 

<指揮官>:(でも、それって夜用のドレスなんでしょ? 舞踏会や晩餐会で着るやつ。カロルもいつかそういうところにゲストとしてお呼ばれする事もあるかもしれないから、今のうちに着慣れておかないと)

 

<カロル>:「そ、そんなことは……でも、舞踏会に慣れ……うん……そうですね。何事も慣れって大切ですよね!」

 

<指揮官>:(……? カロル、どうかした?)

 

<カロル>:「い、いえ……なんでもありません!」

 

<指揮官>:(そう? まあでも、不思議だよね。なんでヘアピンを渡しただけで服がドレスに変化するんだろ? 自分はてっきり、カロルが魔法か何かを使っているのだとばかり思ってたよ……)

 

<カロル>:「それはこちらの台詞といいますか……委員会の人たちに言われるまで、てっきり私も、閣下が何かしらの魔法を使っているとばかり思っていました」

 

<指揮官>:(それか、カロルが変な夢でも見てたりなんて……)

 

<カロル>:「失礼な! 私はそこまで夢見がちではありません。ま、まあ……こういうお姫様が着るようなドレスを、一生に一度でもいいから着てみたいなとは前々から思ってはいましたが」

 

<指揮官>:(分かるよ。ヴィクトリア様はブリテンの女の子、みんなの憧れだもんね)

 

<指揮官>:(でも、せっかくの綺麗なドレスなのに、ヘアピンを置いたり日付が変わってしまうと消えちゃうってのは少し勿体無いよね。こうなってくるともう、ただのヘアピンになっちゃうし……)

 

<カロル>:「いえ、そんなことは……この種類のヘアピンは私のお気に入りですし、いえ、それ以前に閣下が私めなどに恵んで下さるものなら、どのような形のものであっても嬉しいのです」

 

<カロル>:「それに……一夜限りのドレスというのも、それはそれで趣があるといいますか、えっと……例えるのでしたら、そう……シンデレラみたいな感じで」

 

<指揮官>:(なるほど。長い人生の中でたった一瞬だけ、他の誰にも負けない眩い輝きを放つ……そういう儚い感じがまた良いってことだね? 分かるよ、その気持ち)

 

<カロル>:「はい、そうなんです!」

 

<カロル>:「それでですね……私が騎士ではなくなったこの一瞬だけは、せめて本物のお姫様にしか出来ないような体験をしてみたいなって思ったりして……」

 

<指揮官>:(それじゃあ、やってみる?)

 

<指揮官>:(……と、簡単に言ってはみたものの、もう遅い時間だし今から日付が変わる前に出来ることなんて殆ど残ってないだろうから、また今度にでも……)

 

<カロル>:「いえ……実はひとつだけ、やってみたいことがありまして……ですが、それには閣下のお力添えが必要でして……」

 

<指揮官>:(いいよ。自分に出来ることなら、何でも言ってみて?)

 

そこでカロルは髪にヘアピンをつけ、それからカウンター席から立ち上がると、左手を自身の胸元に当て、指揮官へと手を差し出した。それから指揮官に向かって、何かを申し出るような様子で口を開いた。

 

<カロル>:「では、わ……私と踊って頂けませんか?」

 

<指揮官>:(……なるほど、そう来たか)

 

<カロル>:「はい。幸いにも、ここには閣下と私以外に誰もいませんし、他の人の迷惑にはなりません。それに、先ほど閣下も申した通り、このドレスといい舞踏会といい、今のうちに色々と慣れておく方がよろしいかと思いまして……」

 

<カロル>:「だめ……でしょうか?」

 

<指揮官>:(いやいや、君と踊れるなんて身に余る光栄だよ。でも、こっちは今ちゃんとした服着てないから、失礼なんじゃないかなって思って、いや……この場合ではせっかくの申し出を断る方が失礼か)

 

<カロル>:「あ……ありがとうございます!」

 

指揮官は立ち上がり、カロルの手を取って向き合った。その時、どこからどもなく舞踏会で演奏されるクラシック音楽が響き渡る。後に、室外からモニタリングしていたイシュメール博士ら委員会出身者たちが、両名に気を利かせてレコードをかけたことが判明する。

 

<カロル>:「あれ……音楽が……?」

 

<指揮官>:(あはは……これはもう逃げられないかな。ところで、カロルってこういったことに経験とかあるの?)

 

<カロル>:「いえ……舞踏会の経験はないですが、実は影ながらこっそり練習しているのです! なので、閣下のことをリードしてあげられたらなと……あはは、先ほどの申し出の時といい、これでは閣下の方がお姫様みたいですね」

 

<指揮官>:(なら、誘ってくれた騎士様の名誉の為にも、せめて無様なところは見せないよう全力でそれに応えないとね。練習の成果、試してみて?)

 

 

[書き起こし終了]




SCP用語解説

ヒューム値とは
ある範囲における現実性の強度や量を示す値です。通常を『1』として簡単に説明すると、これがもし1よりも高かったり低かったりした場合には、その範囲で物理法則などがねじ曲がったりして、いろいろな『あり得ない出来事』が起こってしまう。

現実改変は周囲のヒューム値が変動することで発生する現象です(簡単に説明すると)。ヒューム値の値が大きければ大きいほど、小さければ小さいほど強力な現実改変が発生し、それこそ何もない空間に物質を生成したり、消滅させたり……
いわゆる、なんでもありな能力です。

単位は『Hm』で示されます。
また『scp読者ノート』によると、報告書の中で出てきたスクラントン現実錨は『ヒューム値を2Hmで固定することで、現実歪曲・現実改変を防ぐ』とのことです。

何かあればDiscuss(コメント)してください。
また、ネタ提供もお待ちしております。
(アイサガ内で起こったどんな不可解な現象も、全てscpっぽく説明して収容してみせます)


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SPC−620–IS−J 『テッカマン海老』

お帰りなさい、指揮官様!
今回はテッカマンコラボで何かと話題になっている『テッカマンエビ』についての記事を書かせていただきました。本来は(ブラスターテッカマン)エビルなんですけど、名前が長すぎてステージ上での表記がエビになっているせいで生まれたSCPです。

これはダッチーが悪いです

それでは、続きをどうぞ


SPC(甲殻類を捜索してパンチする)財団

Search for and Punch Crustaceans

 

 

 

[SPC財団活動記録]

 

 

 

アイテム番号:SPC−620–IS−J

『テッカマン海老』

甲殻類クラス:shrimp Neutralized(粛清済)

 

 

甲殻類特別殴打:

(Special Punching for Crustaceans)

SPC−620–IS−Jは通常の手順によって殴打され、基底現実から粛清が予定されています。粛清されました。詳しくは[交戦記録:SPC−620–IS−J]を参照して下さい。

 

 

 

説明:

SPC−620–IS−Jはヒューマノイド型の甲殻類実体で、分類はその名の通り『海老』です。体表は黒と赤の人工的な甲殻で構成されており、主な武装としては長槍、腕部には自動追尾機能を持つホーミングレーザーを搭載、さらに胸部からは未知の光線を放ちます。

またSPC−620–IS−Jは海老ルカウンターや海老ルシールド、海老ルストライクなどと言った多種多様な技を持ち、甲殻類スカウターで計測されたその戦闘力は、我が方の対甲殻機動隊3個分に匹敵すると推測されます。

現時点でSPC−620–IS−Jの出自は不明です。しかしSPC−620–IS−Jが未知の超科学を行使していることと、████地方にて空間震が検出された直後にその存在が確認されたことから、SPC−620–IS−Jは基底現実とは別の世界、いわゆる異世界から転移してきたものと推測されます。転移した理由については不明ですが、甲殻類であることに加えて、SPC−620–IS−Jは人類に対して非常に敵対的であることから、SPC−620–IS−Jの終了処分がC5評議会により満場一致で決定しました。

 

 

 

補遺1.甲殻類認定手続きにおける異議申し立て:

<記録開始>

 

ユウキ研究員:申し上げます。SPC−620–IS−Jは甲殻類、もとい海老ではないと考えられます。

 

Dr.イブキ:説明したまえ

 

ユウキ研究員:解析の結果、SPC−620–IS−Jの外骨格内部には……

 

Dr.イブキ:ぷりっぷりの身がぎっしり詰まっていたのだろう? 実に腹ただしいな!

 

ユウキ研究員:いえ、そうではなく……外骨格内部からは人間のものと思わしき生体反応が確認されました。つまり、SPC−620–IS−Jは海老ではなく、海老のようなパワードスーツに身を包んだ人間なのではないのでしょうか?

 

Dr.イブキ:なるほど。では聞こう……SPC−620–IS−Jは、いかにも甲殻類らしい刺々しい見た目をしている。そうだな?

 

ユウキ研究員:はい

 

Dr.イブキ:意味もなく無駄に無数のダサいアクセサリー触覚を生やし、赤や黒など、いかにもロブスターっぽい色をしている。そうだな?

 

ユウキ研究員:[ため息]はい……

 

Dr.イブキ:ならばそれは海老だ。例えそれがパワードスーツだったとしても、その外見が甲殻類を彷彿とさせる時点で既に結論は出ているのだ。

我々の目的は、人々の生活と命を脅かす甲殻類を殴打する事にある。そしてSPC−620–IS−Jは人類に対して敵対的だ、だからこそ粛清しなければならない……なによりも『テッカマン海老』という名前がそのいい証拠だ。これほど分かりやすいものは他にないだろう?

 

ユウキ研究員:海老はビームを撃ちません!

 

Dr.イブキ:それは甲殻類識別方にない

 

ユウキ研究員:ですが、あれは明らかに人……

 

Dr.イブキ:奴は海老であり甲殻類だ。分かるね?

 

ユウキ研究員:しかし……

 

Dr.イブキ:[語気を強めて]分かるね?

 

ユウキ研究員:……はっ!

 

<記録終了>

 

 

 

交戦記録:SPC−620–IS−J

SPC−620–IS−J出現から2日後、███地方を進行するSPC−620–IS−Jに対して作戦行動が実施されました。3つの対甲殻類機動隊がSPC−620–IS−JをDr.イブキの待ち伏せするエリアへと誘導し、その場でDr.イブキによる粛清を計画しています。

 

作戦は成功しました。

Dr.イブキ(生身)の放った『海老殴り神拳』により、SPC−620–IS−Jは一撃の下に粉砕・粛清されました。

 

また作戦の最中、SPC−620–IS−Jに酷似した外見を持つ甲殻類らしき実体が2体出現しました。しかし、SPC−620–IS−Jの破壊に成功したDr.イブキが甲殻類のアレルギー反応に苦しんでいる間に2体はエリアから脱走、対甲殻類機動隊の追撃を振り切りました。

現在、逃走した甲殻類に対して追跡が予定されています。

 

 

 

補遺2.他組織とのコンタクト記録

SPC−620–IS−Jの粛清から3日後、『SCP委員会』という我が方と名前がよく似た組織がコンタクトを取ってきました。作戦担当であったDr.イブキはアレルギー治療の為、財団傘下の病院にて入院していおり、委員会との交信はC5幹部数名が立ち会いの元、病室にて行われました。

<記録開始>

 

イシュメール博士:お初にお目にかかります、ファウンデーションの皆様。私はSCP委員会所属、イシュメールと申します。博士です。

 

Dr.イブキ:はじめましてドクター。私はイブキ、SPC財団所属の同じく博士です。

 

イシュメール博士:イブキ博士、先日はテッカマンエビル……いえ、あなた方がSPC−620–IS−Jと呼称していた実体の討伐、お見事でした

 

Dr.イブキ:いや、人類に対して脅威となる甲殻類を殴打することが我々の使命であり、この世の全ての忌まわしき存在(甲殻類)を粛清することが役割であるのだ。つまり、我々は当然のことをしたまでという事だ。

 

イシュメール博士:……甲殻類?

 

Dr.イブキ:それよりもドクター。アレは一体何だったのかお分かりですか?

 

イシュメール博士:まあいいや……ええ、説明しましょう。あなた方もご存知の通り、アレは基底現実……つまりこの世界固有のモノではなく、異世界から転移してきた実体でした。

 

Dr.イブキ:やはりそうでしたか。では、我々の作戦エリアに出現した他2体の実体も……?

 

イシュメール博士:ええ同じく。しかしご安心を、例の2体は我々の手によってこの世界から追放されました。もう2度と、この世界に現れることはないでしょう

 

Dr.イブキ:おお! それは吉報ですな。なるほど……つまり、奴らはこの世界の生態系のバランスを乱す外来種だったというわけですか。

 

イシュメール博士:外来種……そうですな、的確な表現です。しかし、この世界は過去幾度となくそういった漂流者、裂生獣……外来種どもの侵略を受けてきました。これには我々もかなり手を焼いているのが正直なところです。

 

Dr.イブキ:いいでしょう。我々といたしましても、外来種(甲殻類)によってこの世界の生態系が荒らされることは許容できません。あなた方との連携を私から評議会に提案しておきましょう

 

イシュメール博士:感謝します。博士

 

Dr.イブキ:はい、それではドクター

 

イシュメール博士:人類の平穏を守る為に

 

Dr.イブキ:そして甲殻類から世界を守る為に

 

イシュメール博士:え?

 

Dr.イブキ:は?

 

<記録終了>




というわけでSCP委員会ならぬ、SPC財団でした。
本家の方でサメ殴りだったので、こっちはテッカマンエビに合わせて甲殻類を殴る組織を作ろうと思って、ちょうどいい具合にSPCのCに当たる部分が甲殻類(Crustaceans)と合致していたので、SPC(甲殻類を捜索してパンチする)財団が結成されました。
記事はリヴァイアサンのものを参考にさせてもらってたり……

また本記事はオリジナルと同様、アイテム番号の後ろにもあるようにJ(ジョーク)記事なので、色々と悪しからず。またエビルが破壊されたので、こっち側からあっちの世界は飛び込むという展開もありません。以上。よかったねカーズ!無理しなくて済んだよ。

それでは、また……


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SCP−025–IS 『黒猫キャルの迷走便』

おかえりなさい! 指揮官様!

今回は喫茶店バビロンによく出てくる黒猫(プレゼントを渡すとそれに対応したキャラを連れて来るあの猫ちゃんです!)がもしscpだったら、という報告書となっています。
先に言っておきますと、今回はあんまり出来が良くありません


アイテム番号:SCP−025–IS

『黒猫キャルの迷走便』

オブジェクトクラス:Euclid

 

 

 

特別収容プロトコル:

SCP–025–ISはその性質上、収容は不可能です。

しかし『キャル』はとても大人しいことに加え、餌付けによって十分にコントロールが可能であること、さらにはその異常性が喫茶店バビロン内でのみ発現することから、前足に追跡用発信機を取り付けてさえいれば、他に特別な警戒と収容を必要としていません。

『事案:SCP–025–IS』以降、SCP–025–ISに対して何かを与えるといった行動は、バビロンの従業員と委員会出身者以外には禁止されています。非関係者による前述した行動に対しては、カバーストーリー『餌やり禁止(肥満防止の為)』等が適用されます。

 

 

 

説明:

SCP–025–ISは黒い毛並みと金の瞳を持った雌のイエネコです。喫茶店バビロンで飼育されており、従業員たちから『キャル』と呼ばれ親しまれています。

SCP–025–ISは高度な空間跳躍能力を所持しており、その移動距離は半径100㎞圏内 500㎞圏内 2000㎞圏内 40000㎞圏内 理論上無制限であると思われます。

 

その際、SCP–025–ISに対して何らかの贈り物を持たせると、その直後に『配送イベント』が発生します。(贈り物の種類は本や食べ物、武器などといった実体のあるものから、ムクロなど実体のないものまで様々です)

『配送イベント』が発現すると、SCP–025–ISは持たせた贈り物と共に消失し、その贈り物に因んだ人物(以降、『受取人』と表記)の元へと転移します。その後、SCP–025–ISは贈り物を差し出し、受取人が受領すると、SCP–025–ISは消失。その後、喫茶店バビロンに再出現します。一連のイベントは約数分〜6時間で完了し、稀に受取人をバビロンに連れて来ることがあります。

『配送イベント』の詳細については『実験記録:SCP–025–IS』を参照して下さい。

 

委員会によって異常性が確認されるまで、喫茶店バビロンにて実に███回以上もの『配送イベント』が発生したと推測されます。

なお、SCP–025–ISは委員会の最高責任者である『指揮官』に対して非常に友好的であり、SCP–025–ISは友好の証として前述した能力を用いたプレゼントの配送(主に基地スタッフに向けて)を行なっていたことが明らかになりました。

 

しかし、SCP–025–ISの空間跳躍能力は非常に不安定で正確さに欠けているようであり、多くの場合、受取人と接触することなく持たせた贈り物を紛失した状態でバビロンに帰還することが分かりました。計算の結果、贈り物が指揮官の指定したスタッフに届けられる確率は僅か17パーセント程度しかないようです。

 

 

 

実験記録:SCP–025–IS

以下は、SCP–025–ISに対して贈り物を持たせ、『配送イベント』を発生させた際の実験記録です。尚、実験をスムーズに行うべく、本実験はSCP–025–ISと友好的な関係にある指揮官主導の下で行われました。

 

実験1.

贈り物:ジュース

受取人:シェロン(実験時は基地で待機中)

結果:SCP–025–ISはA.C.E.学園に転移。その後、受取人の姿を捜索するも見つけられず、贈り物を紛失した状態で3時間後にバビロンへと帰還しました。

 

で、あたいのジュースどこよ?

ーシェロンー

 

 

 

実験2.

贈り物:本(仕込みナイフ)

受取人:エリカ(実験時はA.C.E.学園で待機中)

結果:SCP–025–ISは南極大陸に転移。その後、受取人の姿を捜索するも見つけられず、贈り物を紛失した状態で1時間後にバビロンへと帰還しました。

 

さ、寒くなかったの?

ーエリカー

 

 

 

実験3.

贈り物:プリン詰め合わせ

受取人:スロカイ(実験時は機械教廷で活動中)

結果:SCP−025–ISは機械教廷に転移。受取人であるスロカイと接触し、贈り物を届けることに成功。その3分後、スロカイと共にバビロンへと帰還しました。

 

贈り物の数が多ければ多いほど『配送イベント』の成功率が上がるようだ。

ーイシュメール博士ー

 

 

 

<実験4〜10は省略>

新たな発見が得られなかったため。

 

 

 

ところで紛失した贈り物はどこへ行くのだろうか? 紛失する前提で、次の実験では贈り物に追跡装置やカメラをつけた状態で行ってみようと思う。

ーイシュメール博士ー

 

 

 

実験11.

贈り物:1本のペン(イシュメール博士の私物)

受取人:イシュメール博士(バビロンの外で待機)

結果:SCP–025–ISは崑崙研究所に転移。その後、受取人であるイシュメール博士を捜索した後、1時間後にバビロンへと帰還しました。ペンについた追跡装置は帰還直前にシグナルロスト、崑崙研究所で博士のペンは発見されなかったことから、恐らく、帰還のための転移時に紛失したものと思われます。

 

 

 

実験12.13.

<データ削除済み>

 

うん、気を取り直して次に行こうか

ーイシュメール博士ー

 

 

 

実験14.

贈り物:定期入れ

受取人:新条アカネ(基底現実に存在していない)

結果:SCP–025–ISは贈り物の配送を拒否しました。

 

流石に、次元を超えることは出来ないようだ

ーイシュメール博士ー

 

 

 

実験15.

贈り物:星図

受取人:ヘルヤ(実験時、所在不明)

結果:転移後、SCP–025–ISの追跡装置が突如として機能停止する。技術スタッフが原因を調査していると、突如として追跡装置の機能が回復。その数分後、SCP–025–ISは受取人であるヘルヤと共にバビロンへと帰還しました。

 

インタビューの結果、実験当時ヘルヤは月周回軌道上の母船にて待機中、突然目の前にSCP−025–ISが現れ、いつのまにかここに連れてこられたと非常に混乱した様子で証言しました。

 

なるほど。受取人が基底現実世界にいるのであれば、その距離に関係なくアイテムを届けることができるというわけか……最も、僅か17パーセントの確率で黒猫が迷うことなくたどり着けたならの話だが

ーイシュメール博士ー

 

 

 

 

補遺:

委員会が異常性を確認するきっかけとなった『事案:SCP–025–IS』以降、異常性の秘匿・保護の為にSCP–025–ISとの交流はバビロン従業員と委員会出身者たちに限定されることになりました。実験参加者たちには『配送イベント』が17パーセントという低い確率でのみ成功するということに留意して下さい。

 

SCP–025–ISは賢く、ある程度の人語を理解していると思われます。『事案:SCP–025–IS』は配送イベントを連続で失敗し、泥酔した一般客から酷い悪口を言われたことによって発生しました。

 

そのため、SCP–025–ISを用いた実験や交流を希望する委員会出身者は、配送イベントに失敗して贈り物を紛失してしまったからと言って、SCP–025–ISに対してクソ猫などと陰口を叩くのは止めましょう。−彼女は酷く悲しみます。




余談
黒猫の名前を何にするかって考えて、店名がバビロンであることを踏まえました。バビロンを首都とするバビロニア王国は古代メソポタミア文明の一部なので、メソポタミア神話に登場する女神であるキシャル(地を司る神)を猫の名前に使おうと思いました。(女神ティアマトは狙いすぎ、他の女神は猫っぽくないという理由で不採用)
ですがマダムならもっと可愛い名前にするかなと思ったので、キシャルを少し省略して今の『キャル』に落ち着きました。
某プリコネにもキャルちゃんいるし
あっちもちょうど黒猫だし
(さらに言えばどっちもポンコツだし、多少はね)

余談2
実を言うと、第1稿だとキャルちゃんことあの黒猫が実はアイサガの闇に繋がっているというオチにしようと思っていたのですが、SCP.IRのベースが『小さな財団』であることを思い出し、より危険でより変な設定を盛り込むことはやめておこうと考え、この形となりました。実験12.13.はその名残です。

それでは、また……


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SCP−295−IS 『ただのオブシダン』

今回はありきたりなSCPです。
本当に普通の、つまんないものです

ぱっと見の印象では何の変哲も無い、実験するような価値はない、けれども変なところがあって仕方なくSCP認定されるような、そんなアノマリーです。実験価値ないないならアノマラスでもよくね?って感じではありますが、そこはまあまあ……お気になさらず

それでは、続きをどうぞ……


アイテム番号:SCP−295−IS

『ただのオブシダン』

オブジェクトクラス:Safe

 

 

 

特別収容プロトコル:

SCP−295−ISは専用の標準安全車両ガレージ内に保管されます。現在、SCP−295−ISに対する実験は優先順位が極めて低いため無期限に中止されています。

SCP−295−ISは一切の整備を必要とせず、担当者は1日に1度、対ミーム処置の施された覗き窓から車両の状態を確認して下さい。またアノマリーの悪用を防ぐため、ガレージの鍵は別の場所に保管されます。

 

 

 

説明:

SCP−295−ISは地中海複合工業製『オブシダン』のカスタムモデルです。標準モデルとの相違点としては、武器グレード1威力4(作中最弱)のフラッシュライトを主武装としている点で、それ以外に武装はありません。

発見時、SCP−295−ISのコックピットブロック内部は流し込まれたコンクリートで埋め尽くされており、ハッチは溶接が施されていました。

またコックピット構造は極端に圧縮されており、機械による計測の結果、体長30センチ程度のパイロットしか搭乗出来ないと判明しました。当然のことながら、大人はともかく子どもですらSCP−295−ISへの搭乗は物理的に不可能です。

 

その異常性は標準モデル以上の破壊耐性を有していることと、軽度の認識災害を保持していることです。SCP−295−ISを直接目視した者はSCP−295−ISへの搭乗を試みるようになります。しかし、前述した通りコックピットへの進入が不可能である為、この試みは早々に打ち切られます。

 

 

 

補遺:

側面の装甲には黒ペンで『ぼくのかんがえたさいきょうのメカ』と書かれています。これが何を意味しているのかは不明ですが、多くの場合子どもの落書きであると推測される為、追跡調査と筆跡鑑定は行われません

 

 

 

 

報告は以上です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特別アクセス権限を確認

本稿は特殊クリアランス権限所有者以外の閲覧を禁じられています。担当者は他の閲覧者がいないことを確認した上で、次に進んでください

 

 

 

 

 

情報開示請求……承認

偽装プロテクト……解除

光学式ミーム殺害エージェント……起動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生体反応を検出

 

ようこそ担当者様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイテム番号:SCP−295−IS

『██████(削除済み)』

オブジェクトクラス:Keter

 

 

特別収容プロトコル:

担当者はSCP−295−ISが現在の形状(オブシダン)になっていることを、オリエンテーションの余談の場などを利用して自然を装い、できる限り広く公開して下さい。

決して、SCP−295−ISの真の性質を悟られるな

 

 

説明:

新たなる担当者へ

これが読まれているということは、私はもうそこにはいないのだろう。

 

突然このようなメッセージが出て驚かれるのも無理はない。しかし、知って欲しいのだ。かの大帝国が、鍵の締め忘れという小さなミスが原因であっけなく崩壊してしまった時のように、個人の何気ないたった1つの行動が、時に世界を揺るがす大いなる禍を引き起こすこともあるのだということを

 

SCP−295−ISは貴方の予想している通り、ただの地中海複合工業製『オブシダン』などではない。はっきり言って、アレはかの有名な682よりもっとおぞましいものだった。

 

あれは元々、不定形なものだったとされている。

出自は不明、いつ、どこで、誰が、何のためにこんなものを作ったのかは最早知りようがない。ただ1つ言えることは、SCP−295−ISは搭乗した者と、それ以外の多くの人々の認識によって性質を変えるという異常性を持つということだけだ。

SCP−295−ISは搭乗したパイロットの意思を読み取り、その人物が最も望んでいる機体へと姿形を変えるのである。(その際、外観だけではなくコックピット内部の構造も搭乗者の体格に合わせて最適化される)

この異常性によって、例えば搭乗者がオブシダンに火力を望みさえすれば、ただのオブシダンがブレーキングドーン並の対要塞粒子砲を装備することは勿論のこと、搭乗者がその存在を知ってさえいれば十二巨神とほぼ同等の能力を持つBMへ変化を遂げるのも容易なことだった。

 

つまるところ『ぼくのかんがえた最強のメカ』を具現化するアイテムといえば分かりやすいだろう。

 

これだけ聞けば、まだThaumiel クラスとして活用の道があったのかもしれない。しかし、ある1つの深刻な問題から、我々はこれをKeter クラスとして扱わなければならなかった。

 

それがSCP−295−ISの精神作用である。

簡単に言えば、SCP−295−ISには搭乗者の心を操る副作用があり、SCP−295−ISの力に魅入られてしまった搭乗者は能力を行使する度にSCP−295−ISに対して依存するようになり、最終的に社会秩序や倫理観、そして正義感を全て忘却した上で、目につくありとあらゆる存在を敵とみなして生存本能と湧き上がる破壊衝動のままに暴走してしまうのである。

 

我々が知り得た中での最古の情報によると、元々SCP−295−ISは現在のようにオブシダンの形をしていたとされており、地中海沿岸の町にあるごく普通の平凡な家庭に住む1人の少年に、彼の父親が誕生日プレゼントとして贈ったものだったとされている。

 

当初、少年はSCP−295−ISを普通のオブシダンとしてしか認識せず、さらに比較的平穏な地域であったため戦闘行為への参加もなく、所有者である少年はSCP−295−ISが持つ異常な破壊耐性に気がつきつつも、特に何事もなく日々を過ごしていた。

 

しかしその後、彼の家族が不運にもマフィアの抗争に巻き込まれ、両親と兄弟が死亡してしまったことで異常性が発現。少年が力を求めたことでSCP−295−ISは暴走し、その結果、地中海沿岸の町は消滅。さらにマフィアの構成員を含めた全住民がSCP−295−ISによって殺害され、さらに近海に浮かぶ島の1つが人々の記憶や世界の歴史から永遠に失われることとなった

 

この事件の後、我々は独自に調査を行なった。

その結果、SCP−███−ISが見せた未来から、あれがXKクラスシナリオを引き起こす可能性を孕んだKeterクラスのアノマリーであることを知った我々は……いや、過去の我々は地中海の爆心地からSCP−295−ISを先んじて回収していた『要注意団体:ソロモン』に向けて機動部隊を派遣した。

 

 

 

そして、我々は敗北した。

 

 

 

詳しい説明は省くが、しくじったのは確かだ。

その結果、SCP−295−ISの活性化と暴走を招いてしまい、あれは文字通り『神』とへ変貌を遂げた。

『神』の存在は瞬く間に世界へと伝播し、大多数の人々がその存在を認識してしまったことでSCP−295−ISの存在性はより強化された。さらに基底現実に対して致命的な影響力を及ぼす現実改変を行使したことで地球全土のヒューム値が大幅に低下、そして我々が最も恐れていた事態『XKクラス:来訪者イベント』の成立が確定した。

 

これに対し、我々は最終手段である

『手順:リザレクト647』を発動。

 

タイムスリップ能力を持つアノマリーの力を用いて、機動部隊は事件前の地中海へと時空跳躍した。そして暴走の原因となったマフィアの抗争を鎮圧させることに成功。そして非活性状態のSCP−295−ISを確保の上で先のアノマリーを搭乗させ、そこで最高クラスの記憶処理をアノマリーに用いることで、搭乗者である『彼』の記憶からありとあらゆる兵器に関する情報と概念の一切を消去し、一時的な無力化に成功。その結果、SCP−295−ISは委員会の管理下に置かれることとなった。

 

その後、SCP−295−ISへの搭乗を防ぐべく、我々は『彼』の体格に合わせて最適化されたコックピット内部をコンクリートで埋め、開閉を不可能にすべくハッチに溶接を施した。

しかし、まだ安心(Safe)は出来なかった。

いくらSCP−295−ISへの搭乗手段を無くしたところで、あれは大多数の人の意思を読み取って姿形を変えることができる。それは即ち、SCP−295−ISの真の性質を知っているものが1人でも多くいれば、同時にそれはXKクラスシナリオが再発してしまう可能性が上がるということを意味しているのである。

 

そこで我々は、この事件に関与した委員会出身者の1人を残してそれ以外の全員に記憶処理を施し、偽装された報告書をカバーストーリーとして基地全体に流布することで、SCP−295−ISを『ただのオブシダン』として認識させ、その性質を安定させることにした。

 

SCP−295−ISはいかにもSCPらしく、ありきたりな風に記述された。完全に忘れ去ってしまえばまた同じ悲劇が繰り返される可能性がある、しかし、破壊することはできない。だからこそ、我々は前述の偽装された報告書を閲覧させ、このアノマリーに対する人々の興味関心を最大限に失わせ、よくあるSafeクラスの1つとして認識させ続けなければならない。

 

また、委員会出身者以外にも記憶処理は例外なく行われた。タイムスリップを行なった『彼』も、何があったのかも知らず今頃は呑気にSCP–978–ISを使ってイタズラを仕掛けていることだろう

 

こうして、SCP−295−ISの正体を知るのは私と……そして、この報告書を読んでいる君だけとなった。そしてその私も、この基地を去る前に記憶処理を受けるつもりだ。

 

さて、いよいよトーチを後任の君に託す時が来た。重ねて言うまでもないが、君はたった1人の担当者である……いや、そう身構える必要はない。やるべきことさえ理解し、役割を果たしていればそれでいいのだ。

 

どうか君に幸福あれ。

世界は君を必要としている。

 

 

 

 

 

そして最後に、ありがとう

 

ー名もなき研究員ー




極端に文字量が少ない報告書でも逆に何かあるなって感づかれて興味を引いてしまうかもしれないので、偽装の報告書はどれだけ書いていいか少し悩みました。メタタイトルは当初『ぼくのかんがえた最強のメカ』にしようと思いましたが、最終的に元ネタである『ただの椅子』に倣った形に落ち着きました。その方が興味引かないかなって

↓元ネタ
SCP-2950 - Just A Chair
by weizhong
http://www.scp-wiki.net/scp-2950
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2950
この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。


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SCP−527−IS 『添削する模擬弾』

お帰りなさい! 指揮官様!

今回のscpはメタタイトルの通りのアノマリーです。
本家様で近いものといえば、jp支部の先生メガネかと思います(というか性質は殆ど同じです)。ですがメガネの方はバックストーリーとか設定がよく考えられていて凄いなぁと(ぼかしているウチとは違って)、ムジナもアレくらいのものが書けるようになりたいなと思う今日この頃です。

本作に登場するイシュメール博士は、異世界人(コラボキャラやブルーテイル、ヘルヤなど)に対して非常に敵対的で(一部を除く)、モデルにしたのは本家scpサイトの現実改変能力者絶対殺すマンことクレフ博士です。


アイテム番号:SCP−527−IS

『添削する模擬弾』

オブジェクトクラス:Safe

 

 

 

特別収容プロトコル:

SCP−527−ISは専用のアモコンテナに収容されます。特にこれといって特別な収容手順を必要としてはいませんが、混同を防ぐために必ず通常の模擬弾と区別して保管して下さい。また、委員会出身者であれば実験の申請書と管理人の許可があれば自由な持ち出しが可能です。

 

 

 

説明:

SCP−527−ISはBM用の模擬弾、約300発です。

外観は世界中で広く普及しているペイント弾と同一で、既存の120ミリ口径BM用火器に対応しています。一般的な模擬弾として扱うことも可能ですが、その異常性はSCP−527−ISの半径30センチに書籍や報告書などといった、主に紙媒体の読物を近づけた際に不明な原因で暴発するという点です。

これには読み物としての書籍や原稿用紙などを始めとして、新聞紙にパンフレット・リーフレット、さらに色紙や短冊ですら対象になります。

その際、内包された塗料は暴発と共に飛散しますが、読物以外の人や物体に影響を与えることはありません。SCP−527−ISの影響を受けた読物は付着した塗料によって即座に添削が行われ、文中に誤字脱字や曖昧な表現などがある場合には、それらを指摘ないし添削する取り消し線や文字列が新たに書き加えられます。

 

補足:

実験により、人が印刷物を隠し持った状態でもSCP−527−ISは未知の探知機能を用いて異常性を発現させることが分かりました。また、今のところ爆風や四散した破片による人的被害は確認されていません。

 

補足2:

実験対象に評価シートを同梱して実験を行ったところ、作品の内容に対する批評と評価が行われるようになりました。なお、その評価は適切で批評は非常に的を得ています。

 

補足3:

SCP−527−ISはとある要注意団体の拠点を襲撃した際に押収されたアノマリーの内の1つです。SCP−527−ISについて要注意団体の構成員にインタビューが行われましたが、当アノマリーは構成員の中でも重要度が低いと判断されていたのか基本情報以上のめぼしい情報は得られませんでした。

SCP−527−ISの起源について、現在調査中です。

 

 

 

実験記録:SCP−527−IS:

以下はSCP−527−ISの実験記録です。

O5評議会により約300発あるSCP−527−ISの内、200発が実験用としての持ち出しが許可されています。なお、実験は必ず地下実験場で行い、実験後にはポータルから実験内容と結果を記録して下さい。

詳しくは担当職員へお尋ね下さい。

(評価シートを添付したい場合も含める)

 

 

実験1.

実験対象:テイラースターが作詞作曲した楽曲の歌詞カード(本作は世界累計約5億回再生のベストセラー曲である)

実験結果:歌詞カードの端に、赤い塗料で『文句なし、平和への儚い想いが込められた素晴らしい楽曲です』と記述されていた。

 

 

 

実験2.

実験対象:短歌が書かれた短冊

実験結果:緑色の塗料で、表現の向上に繋がる添削が僅かに加えられていた。

【コメント】

忌憚なき意見、有り難く思う

ー神皇ー

 

 

 

実験3.

実験対象:アイリの書いた絵日記

実験結果:赤い塗料で、絵日記の端に大きな花丸と非常に前向きなコメントが書き添えられていた。

 

 

 

実験7.

実験対象:佐々木家巌流 剣術指南書

実験結果:変化なし

【備考】

実験対象は佐々木光子が本家の蔵より持ち込んだ品であり、現在より500年以上も前に執筆されたものである。ここで考えられるのはSCP−527−ISが古代の日ノ丸語を認識できなかったか、歴史的な遺物に添削をすることに遠慮したのか、またはその両方であると考えられる。

ーSCP−527−IS担当職員ー

 

 

 

実験8.

実験対象:剣術指南書のコピー

実験結果:緑色の塗料で、全ての古代日ノ丸語と難読漢字に日ノ丸の現代語でルビが振られていた。

【コメント】

どうやら後者のようである。

許可が降り次第、他の古代言語で記された解読不能な書物に関しても実験を行いたい。

ーSCP−527−IS担当職員ー

 

 

 

実験13.

実験対象:古代の剣術書コピー(好感度アイテム)

実験結果:緑色の塗料で、全ての古代言語に世界共通語で翻訳がなされていました。

【コメント】

実験は成功した。

これで大崩壊時代といった、失われた過去の世界に関する記録の復元も可能となることだろう。

ーSCP−527−IS担当職員ー

 

 

 

実験16−17.

実験対象:【データ削除済み】

実験結果:【データ削除済み】

【コメント】

ーデータ削除済みー

 

 

 

 

 

【O5評議会より通達】

ーリンク先が削除されていますー

 

 

 

 

 

実験18.

実験対象:料理教本(好感度アイテム)

実験結果:赤い塗料で、調理法に関する言葉足らずなところが指摘されていた。

 

 

 

実験19.

実験対象:聖典(好感度アイテム)

実験結果:緑色の塗料で、いくつかのスペルミスと思わしき部分がピックアップされていた。

 

 

 

実験20.

実験対象:爆弾百科(好感度アイテム)

実験結果:赤色の塗料で、最後のページに『内容の割に、誤字脱字とかが全くなくて意外でした』と書いてあった。

 

 

 

実験21.

実験対象:レイアの著作(好感度アイテム)

実験結果:時折、文中に赤色の塗料で誤字脱字を必死に探そうとしている形跡が見られた。最後のページには『完璧です。参りました』とあった。

 

 

 

実験22.

実験対象:歴史教材(好感度アイテム)

実験結果:緑色の塗料でいくつかのスペルミスの指摘があり、最後のページには『ところで、なんで教科書にアーミーナイフが仕込まれているんですか?』と記述されていた。

 

 

 

実験23.

実験対象:学術雑誌(好感度アイテム)

実験結果:緑色の塗料で僅かに誤字脱字とフォントに関する指摘があり、最後のページには『私はこの分野に関しては専門外ですが、考察も含めてとても良質な論文だとお見受けしました(要約)』とあった。

 

 

 

実験24.

実験対象:ラブコメ小説(好感度アイテム)

実験結果:赤い塗料で僅かな誤字の指摘があった。評価シートには『胸が熱くなるドキドキの展開ばかりで、もうお腹いっぱいです! 至福の時間をありがとうございます(//∇//)』とありました。

平均点は4.8点でした(5点満点中)。

【コメント】

評価シートに書かれていた文字を筆跡鑑定にかけたところ、女性のものであると判明しました。

ーSCP−527−IS管理担当職員ー

 

 

 

【報告】

実験24.以降、物語形式の読物を用いた実験には評価シートの添付が推奨されるようになります。評価シートには、内容に関するいくつかの評価項目(5点満点)とコメント記述用のスペースがあります。

 

 

 

実験25.

実験対象:週刊ビューティ(好感度アイテム)

実験結果:青色の塗料でジェンダーに関連した過激な表現がいくつか訂正されており、最後には『男性っていつもそうですよね! わたしたちのこと何だと思ってるんですか!?』と記載されていました。

【コメント】

へー、あのネタ知ってるのです?

ームジナー

 

 

 

実験26.

実験対象:少年の写真集(好感度アイテム)

実験結果:青い塗料でいくつかの過激な表現が修正されており、最後のページには弱々しい字体で『な、なんてもの見せるんですかぁ……!///』とコメントが添えられていた。

【コメント】

なんだコイツ、可愛いかよ

ーイシュメール博士ー

 

 

 

実験27.

実験対象:工口本

実験結果:(指揮官命令により中止)

【コメント】

セクハラはやめようね?

ー指揮官ー

 

 

 

実験28.

実験対象:『ウルフパック』(ムジナの書いた小説)

実験結果:青い塗料で32点の誤字脱字と27個の曖昧表現に対する指摘、そして評価シートには内容に関する批評コメントが記されていた。なお内容評価の平均点は1.2点だった(5点満点中)……くそが

【コメント】

電●文庫よりも辛辣ぅ!

ームジナー

 

 

 

実験29.

実験対象:『冥王大星ゲッターZの製造と異世界人抹殺計画に関するイシュメールの提言』(イシュメール博士の書いた論文)

実験結果:オレンジ色の塗料でいくつかの誤字脱字が指摘されると共に、冒頭に大きく『パクリはやめましょう』と記されていた

【コメント】

クソッ、だから俺は嫌だったんだ

ーイシュメール博士ー

 

 

 

実験32.

実験対象:コラボイベント『機動警察パトレイバー』の文字起こし(原文ママ)

実験結果:黒い塗料で複数の誤字脱字と曖昧な表現がピックアップされていた。評価シートには『支離滅裂な展開』『コラボなのに一見さんお断りの駄作という矛盾』『身内ネタばかりでつまらない』などと書き殴られていた。

平均点は1.4点だった。(5点満点中)

【コメント】

まあ、いきなりこんなの見せられたらそうなるよねー

ームジナー

 

ああ。コラボに吊られて入った人達は、上も下も分からん状況で何の配慮もなしにこんなクソみたいな話を読まされて意味不明だっただろうな。ほんとクソ

ーイシュメール博士ー

 

 

 

実験44.

実験対象:外伝『ホワイトバレンタインデー』の書き起こし(原文ママ)

実験結果:血のような赤黒い塗料で全ページが判別不能になるまで塗り潰されていた。評価シートには『せっかくのホワイトデーの話なのに、何を考えたらこんな、中年男ばっかりのむさ苦しい話が書けるんですか? 内容的にもなんの面白みもないです。最低(要約)』と記述されていた。平均点数は0点だった。(5点満点中)

【コメント】

ハゲ●ね

ーイシュメール博士ー

 

お前を●す(デデン)

ームジナー

 

やめてください。

ーSCP−527−IS管理担当職員ー

 

 

 

実験50.

実験対象:指揮官が作った報告書の束

実験結果:青色の塗料で、いくつかの誤字脱字が指摘されていた。また最後のページには『お勤めご苦労様です(・ω・)ノ』と書かれていた。

【コメント】

色々と、ありがとね

ー指揮官ー

 

 

 

実験72.

実験対象:SCP−527−ISの報告書

実験結果:青色の塗料で、計8個の誤字脱字と曖昧表現の指摘が書き添えられていた。この報告書は第2版です。全部直したつもりですが、まだ残ってるかも……

【コメント】

んー、ほんとに第2版?

ームジナー




パトレイバーイベはマジでクソ
本気でカーズとあのハゲいらん
そしてシナリオがゴミなんだよなぁ……

あ、でもレイバーはかっこよかったです。
あのスマートで量産機的なフォルム、素晴らしい
今度見てみようかな……

まあまあまあ……
それではまた、別の報告書で


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SCP–120–IS 『世界で1つだけの友達』

おかえりなさい! 指揮官様!
今回のSCPはアイリの為の護衛ペットとして開発されたものの、色々あってketer認定されてしまったSCPとなっております。
この話の前日譚となる、アイリがタコに襲われかけるお話は、前にムジナの書いた『水平線上のノア』(未完成)からの実質的な続きではありますが、そちらを読んでいなくても読めるように工夫したので未読でも問題はないかと思われます。

それでは、続きをどうぞ……


アイテム番号:SCP–120–IS

『世界で1つだけの友達』

オブジェクトクラス:Keter Euclid

 

 

 

特別収容プロトコル:

SCP–120–ISはエリア████ベース████の地下に存在する、厚さ0.5m以上のハードシェルで密閉された20×20×30mの第三特殊強化スペースに収容されます。メンテナンスクルーは1週間に一度、収容室の点検を行い、壁や床に亀裂がある場合には修復用ナノマシンを用いて補修を行ってください。しかしSCP–120–ISはその特性上、完全な収容は不可能であることから、割り当てられた警備スタッフはSCP–120–IS能力発現のトリガーとなる『アイリ』の動向と様子に注視し、彼女の身に少しでも危険が及ばないよう、24時間体制で警護に当たって下さい。

SCP–120–ISの能力発現が衆目に晒された際には記憶処理は行わず、代わりにカバーストーリー『プロジェクションマッピングの誤作動』もしくは『新型ペットのお披露目』などが適用されます。

 

追記:

インシデント 4177での功績から改良が加えられ、SCP–120–ISのオブジェクトクラスはKeterからEuclidへ引き下げられましたが、上記の特別収容プロトコルは継続されます。

 

 

 

説明:

SCP–120–ISは、我々SCP委員会とOATHカンパニーによって共同製作された『アイリ』専用自立思考AI搭載型護衛ペットの試作品であり、巨大なウツボ(Gymnothorax kidako)をモデルとしています。

ウツボはウナギ目ウツボ科に分類される魚類の総称です。一般的にその体長は20cmから4m(全長1m前後の種類が多い)の魚類ではありますが、ただし、SCP–120–ISは通常のそれを遥かに上回る全長30m、重量120トンです。外見的な特徴として、ニセゴイシウツボのような円形あるいは繋がった無数の斑点があり、その体色はハナヒゲウツボのように鮮やかな青色をしています。

SCP–120–ISに採用されたAIは、自身のことを『100万の闇の眷属たちと深海の神々を統べる最強最大の騎士王』と称し、その性格は暴力的かつ非常に傲慢で委員会スタッフによる制御は困難を極めます。

 

しかし、後述する"姫様"の命令だけは聞きます。

 

SCP–120–ISは高度な空間跳躍能力を保有しており、その移動範囲は無制限です。SCP–120–ISはこの能力を己の意思で発動させることもできますが、多くの場合、彼が"姫様"と慕う『アイリ』の身に何らかの脅威が迫りつつある際に能力を発動させ『アイリ』を保護します。その後、暴力や内蔵された火器を用いて脅威の排除を試みます。

 

『アイリ』は何の異常性も持たない少女です。

幼少期の記憶を喪失しており、現在はOATHカンパニーのCEOであり、我がSCP委員会の出資者かつ上級意思決定権を持つO5−3こと、ハインリヒ様の養女として生活しています。

また、指揮官勢力と提携協定を結んでいる学園に通っており、一般の生徒たちに混じって日々勉学に励んでいます。

 

追記:

いくら見た目がそれっぽいからといってSCP–120–ISは『アナンタシェーシャ』ではありません。アレは靄状の物質を出すことも人を捕食することも、ましてや記憶処理薬の材料になることもありません。それとあちらはウミヘビです。

 

 

 

開発経緯 SCP–120–IS:

新暦██年の夏、とある島でアイリが友達やペットたちと共に海水浴を楽しんでいる際、突如として出現した未確認の軟体生物(タコに酷似している)と思わしきエンティティに襲われかけるという事案が発生しました。

幸いなことに、現場に居合わせた指揮官が身を呈して彼女を守ったことで最悪の事態は免れました。この事案を教訓にして、OATHカンパニーと委員会は共同でアイリ専用護衛ペットの開発に着手、2ヶ月もの時間を費やし完成したのがSCP–120–ISでした。

SCP–120–ISの開発にあたって、OATHカンパニーやSCP委員会スタッフたちから様々な意見が取り入れられました。以下はその一例です。

 

【開発会議ログ抜粋】

まず必要最低限の装備として発信機は必要よね。

あとは暴徒鎮圧用レベルの電撃装置くらいかしら

ーO5−3(ハインリヒ)ー

 

彼女が愛用しているペット……モモって言ったか? アレにも最低限の護衛能力はあるが、バッテリーの出力が低いせいでないよりはマシというところだ。なので、あらゆる事態を想定して高出力のものにすべきだろう。

ーイシュメール博士ー

 

タコの天敵はウツボって聞いたことがあるのです! またタコに襲われることがないよう、ウツボをモデルにしたらどうです?

ームジナー

 

護衛が目的ならば、それなりに防御力が必要になってくるだろう。多少大型化することになるが、半永久機関コアを内蔵して皮膚を電磁装甲化するのはどうかね?

ーO5−2ー

 

それなら、ついでに防衛用の装備もつけましょう。そうですね、例えばプラズマ砲なんかいいんじゃないでしょうか? 敵は一瞬で消し飛びます♪(嬉々として)

ーミドリー

 

敵の場所を探るための索敵ドローンもつけた方がいいんじゃない? ここまでで装備を盛り込み過ぎだから小回りが利かないと思うし、周囲の安全を確保するという意味でも必要よね。あと、そうね……いっそのことドローンに迎撃用レーザーもつけてと

ーO5−1ー

 

この他にも

・『アイリの脳波を感知』ー研究員ー

・『瞬間移動(空間跳躍)』ーシェロンー

・『騎士道精神』ーイーディスー

・『濃ゆいキャラ設定(厨二的な)』ー汐月博士ー

・『敵の戦意を失わせる凶悪な外観』ー匿名ー

・『ナノマシンによる自動修復』ー研究員ー

・『アイリへの忠誠心と親愛の情』ー匿名ー

・『反射フィールド系防御装置』ー水原梨紗ー

など、様々な意見が上がりました。

 

……なんか色々盛り込み過ぎなような気がするけど、アイリの為だし、まあいっか。とりあえず一度プロトタイプを作ってみて、必要に応じて改良を加えていくということにしよう。

ー指揮官ー

 

こうして指揮官とO5−3(ハインリヒ)管理の下、アイリ専用護衛ペットの開発が進められました。委員会とOATHカンパニーの技術力に、SCP–███–ISとSCP–███–ISの性質を組み合わせ、さらにSCP–███–ISの技術を応用することで完成したのが、全長30メートルのウツボ型護衛ペットであるSCP–120–ISです。

 

頭部に内蔵されたバイオセンサーは遠距離からでもアイリの脳波を感知し、彼女の身に危険が迫った際には空間跳躍能力により一瞬にして彼女の元へ移動し、より早期に事態への対処を行うことが可能です。高出力化に伴い全長30メートルと大型化したものの、内蔵された高出力コアにより、皮膚は電磁装甲化され高い破壊耐性を誇っています。

武装としては、口腔部に上下合わせて4本の超高周波ファングエッジとプラズマ発射管を備え、胴体部には迎撃ドローンを射出可能なハッチと指向性電気ショックを放出するための砲門、絶対守護領域と呼ばれるフォースフィールド発生装置、さらに尻尾の先端をヒートテールにすることで近接戦闘にも対応しています。

 

 

 

記録:SCP–120–ISお披露目式

以下は完成したSCP–120–ISを、アイリの前にお披露目した際の文字起こしです。サプライズにする為に、アイリにはSCP–120–ISのことを伝えていませんでした。

 

【音声記録1】

ー文字起こし開始ー

大勢の研究員・開発スタッフが見守る中、アイリがハインリヒと共にSCP–120–ISの格納庫(後の収容室)へ入室する。アイリの接近に気づき、SCP–120–ISはゆっくりと頭を持ち上げて彼女を見つめる。

 

ハインリヒ「というわけでアイリ、貴方のためにスタッフのみんなで作ったペットだよ? 凄いでしょ、どう? 気に入ってくれたかしら?」

 

アイリ「…………」

 

ハインリヒ「どうしたの?」

 

アイリ「ち、ちょっとだけ……」

 

ハインリヒ「ん、なにかしら?」

 

アイリ「…………こわい」

 

ハインリヒ「……!?」

 

【音声記録1】

ー文字起こし終了ー

 

 

 

 

 

運用記録 SCP–120–IS:

当初、その威圧的な外観と巨体からSCP–120–ISに対して恐怖心を露わにしていたアイリでしたが、幾度かのコミュニケーションを経てSCP–120–ISが非常に有効的な存在であると認識したのか、徐々に打ち解けるようになりました。

委員会はSCP–120–ISの機能制限を解除し、SCP–120–ISがアイリの危機に対応できるかどうかのテストを行いました。まず、アイリに軽いショックを与える実験を行ったところ(お化けに扮したスタッフが驚かす程度の)、SCP–120–ISのバイオセンサーがアイリの危機を感知し、SCP–120–ISは地下収容室より消失、空間跳躍を用いて離れた格納庫にいるアイリの前へと再出現すると、彼女の周囲を覆い隠すようにとぐろを巻くといった防衛行動を取りました。

 

【音声記録2】

ー文字起こし開始ー

 

アイリ「ねえウツボさん、ウツボさんの名前聞いてもいい?」

 

SCP–120–IS「私めの名前でございますか? そうですね……私は『100万の闇の眷属たちと深海の神々を統べる最強最大の騎士王』です、アイリ姫」

 

アイリ「……うぅ、長くて覚えられないよ」

 

SCP–120–IS「しかし、私を作った者の1人は私のことをこう記しておりました故、なのでアイリ姫も私のことはこのようにお呼び頂いて貰えれば幸いでございます。それと私はウツボではなく、あくまでも自立思考AI搭載型ペットであります故……」

 

アイリ「じゃあ、ウツボさんって呼ぶね」

 

SCP–120–IS「…………左様でございますか」

 

【音声記録2】

ー文字起こし終了ー

 

 

 

後日、SCP–120–ISの開発コード名をO5の許可なく勝手に変更したとして、評議会より汐月博士には反省文の提出と3日間のおやつ抜きが言い渡されました。

 

 

 

【音声記録3】

ー文字起こし開始ー

 

アイリ「ウツボさんってなんでこんなに大きいの?」

 

SCP–120–IS「私はウツボでは……コホン、質問にお答えしましょう。それはアイリ姫、貴女様のお命を守る為でございます」

 

アイリ「じゃあ、なんで目が大きいの?」

 

SCP–120–IS「それはアイリ姫のことをよく見る為でございます。お体に傷などが付いていないかを1秒ごとに目視で確認し、また何かよからぬものが接近しないようにお守りする為でございます……このように」

 

会話をしながら、SCP–120–ISは電気ショックを放つ。超低出力で放たれたそれはアイリの周りを飛んでいた蚊を貫いて、一瞬のうちに蒸発させる。

 

アイリ「じゃあ、なんでお口が大きいの?」

 

SCP–120–IS「それはアイリ姫のことをお守りする為でございます。私の口の中にある鋭い牙はどのような装甲だろうと砕き、口から放たれる光線はありとあらゆるものを吹き飛ばします……貴女様にまとわりつく害虫どもを、このように」

 

次の瞬間、SCP–120–ISは収容室に向かってプラズマ砲を試射する素振りを見せました。発射の直前で、アイリと委員会スタッフの説得により最悪の事態は免れました。

【音声記録3】

ー文字起こし終了ー

 

 

 

【音声記録4】

ー文字起こし開始ー

 

アイリ「今日はね、グニエーヴルさんと、ドリスちゃんと、クルスちゃんと、あとエルちゃんとフルちゃんと一緒にクッキーを焼いてみたの! 」

 

SCP–120–IS「左様でございますか」

 

アイリ「うん! でも少し作り過ぎちゃったから、お母様やいつもお世話になってる指揮官様やミドリさんに分けてきたの。お母様も指揮官様も、みんなアイリの作ったクッキーを美味しいって食べてくれたの。アイリ、みんなが笑顔になっているのを見ているととっても嬉しくなったの!」

 

SCP–120–IS「それは何よりです」

 

アイリ「それで、はい。これはウツボさんに」

 

SCP–120–IS「私に……ですか?」

 

アイリはポケットから取り出したクッキーの入った袋をSCP–120–ISへと差し出す。SCP–120–ISはどうしていいか分からないと言ったように少しの間クッキーの凝視した後、舌を伸ばして袋を受け取ると、袋からクッキーを取り出すことなく口腔内に収めた。

 

SCP–120–IS「…………これは」

 

アイリ「どう? 美味しい?」

 

SCP–120–IS「アイリ姫」

 

アイリ「うん!」

 

SCP–120–IS「塩と砂糖を間違っております」

 

アイリ「……え?」

 

【音声記録4】

ー文字起こし終了ー

 

 

 

 

 

収容違反報告 SCP–120–IS:

お披露目式から1週間後、SCP–120–ISの最初の収容違反が発生しました。某日深夜、突如としてSCP–120–ISが収容室から消失、その後、年少組用居住区にあるアイリの部屋で再出現するという事案が発生。

この時、基地の被脅威レベルはグリーンで、基地の防衛を担当するAICは何の異常も検出していませんでした。さらにセキュリティチームである機動部隊アルファ『薔薇騎士団』及び機動部隊ベータ『十字騎士団』によるバックアップと全館クリアリングが行われましたが、こちらでも異常は確認できませんでした。

 

後に行われたアイリへのインタビューで、この時彼女は『こわい夢を見ていた』と証言しました。SCP–120–ISはその時に生じた脳波の変化を脅威とみなしたことで、今回の事案に至ったのだと推測されます。

この事案による人的被害はありませんでしたが、アイリの部屋と居住区の一部が破壊され使用不可となってしまいました。(部屋の補修が完了するまでの間、割り当てられた女性スタッフは交代で彼女の面倒を見ることになりました。)

 

アイリの危機を感知するSCP–120–ISのバイオセンサーがあまりにも敏感に設定されていたことが本事案の原因だと推測されています。この事案以降、SCP–120–ISは何度も収容違反が発生しています。以下はその一例です。

 

事案2.

場所:基地内カフェテリア

アイリが年少組の子どもたちと軽食を取っていたところ、カフェテリア内にSCP–120–ISが出現。キャパシティオーバーによりカフェテリアは完全に破壊されました。

後に行われたインタビューで、アイリは『スープが熱かったの』と証言しました。なお、この事案による怪我人はいませんでした。

 

事案5.

場所:基地内作業所

アイリがスタッフたちのお手伝いを行なっていたところ、作業所内にSCP–120–ISが出現しました。作業所内は広大なスペースを有していたことで全損は免れましたが、機材の一部や保管されていたリソースのいくつかが損傷しました。

後に行われたインタビューで、アイリは『紙の端で指を切ってしまった』と証言しました。なお、この事案によりスタッフ2名が軽傷を負いました。

 

事案7.

場所:基地滑走路

アイリの転倒に際して滑走路上にSCP–120–ISが出現。開けた場所だったこともあり、これといって被害はありませんでした。

 

事案10.

場所:多目的ホール

アイリが他の年少組の子たちと多目的ホールで遊んでいると、なんの前触れもなくSCP–120–ISが出現しました。

後に行われたインタビューで、アイリは『隠れんぼをしていただけなのに…』と証言。鬼から隠れている際の緊張感をSCP–120–ISが感知、脅威と認識してしまったものと思われます。この事案による怪我人はありませんでしたが、ホールの内壁に多数の亀裂が入りました。

 

事案12.

場所:学校

アイリが授業を受けていたところ、クラスメイト(男子)の1人がイタズラで鉛筆の芯を飛ばし、彼女の背中に当てました。その瞬間、教室内にSCP–120–ISが出現し、そのクラスメイトを尻尾で拘束した上で高所へと移動し、振り回すなどして脅迫しました。

この事案により、アイリの教室は完全に破壊されました。SCP–120–ISによる直接的な人的被害は奇跡的にもありませんでしたが、教室内にいた児童6名が驚いて転倒し、軽い怪我を負いました。またイタズラを行なったクラスメイトはショックを受け、泣いてアイリに謝罪しました。

補遺:委員会は学校側に謝罪しました。

 

 

 

会話ログ SCP–120–IS:

以下は、事案10および12発生時のアイリとSCP–120–ISの会話の文字起こしです。

【事案10】

多目的ホールにて委員会スタッフたちが事故調査を行なっている最中、アイリがSCP–120–ISに接近しました(この時、やることなすことを悉くSCP–120–ISに邪魔されていたことにより、アイリのSCP–120–ISへのヘイトはかなり高まっていたように思われます。)

ー文字起こし開始ー

 

アイリ「ウツボさん!」

 

SCP–120–IS「姫よ、私はウツボなどではありません。私の名は『100万の闇の眷属たちと深海の神々を…』」

 

アイリ「ウツボさん。危ないから急に出てこないでってみんな言ってるよ? これからお片づけしないといけないから、早く部屋から出てって」

 

SCP–120–IS「ですから私はウツボでは……(咳払いをして)よろしい。しかし、私めは姫の騎士であります。姫様もご存知の通り、私の役割は貴女様の護衛であります。まだ何か隠れた脅威があるやもしれぬ、我が眷属(ドローン)を用いて索敵を行う故、今少しだけお側に……」

 

アイリ「出てって!」

 

SCP–120–IS「はい……」

 

アイリに怒られたことによりSCP–120–ISはショックを受けたようでした。間も無く、SCP–120–ISは多目的ホールより消失。なお、アイリの機嫌はしばらくの間良くなることはありませんでした。

【事案10】

ー文字起こし終了ー

 

 

 

【事案12】

ー文字起こし開始ー

SCP–120–ISはアイリに危害を加えた男子生徒を尻尾で拘束して拉致。さらに学校の屋上へと移動し、恐怖を与えるかのように振り回している。

委員会スタッフらと共にアイリが屋上に現れる。

 

アイリ「ウツボさん!」

 

SCP–120–IS「アイリ姫、どうなさいましたか?」

 

アイリ「どうしたじゃないよ! ██くん(男子生徒の名前)のこと離してあげて!」

 

SCP–120–IS「いえ、アイリ姫……それはできかねます」

 

 

この後、5分間に渡りアイリとSCP–120–ISは男子生徒の処遇を巡って口論を繰り広げる。しかし、尚も男子生徒に罰を与えようとするSCP–120–ISに対し、アイリは我慢の限界を迎える。

 

 

アイリ「アイリ、乱暴なウツボさんのことなんて嫌い!」

 

SCP–120–IS「……!」

 

 

珍しく怒りを露わにしたアイリを見て、SCP–120–ISは激しいショックを受けたようでした。アイリが屋上から退出すると、SCP–120–ISは力なく尻尾を下ろして男子生徒を解放、収容室に移動することなく屋上に留まり、1時間ほど落ち込んだ様子を見せていました。

【事案12】

ー文字起こし終了ー

 

 

 

 

 

改良会議記録 SCP–120–IS:

事案1以降、SCP–120–ISの改良に関する会議が開かれました。1回目の会議ではSCP–120–ISの敏感すぎるバイオセンサーが論題に上がり、ひとまずセンサーの感度を落とすことで合意、直ちにSCP–120–ISのアップデートが行われました。

 

しかし、アップデートの最中にシャットダウンさせたはずのSCP–120–ISのシステムが自発的に再起動、SCP–120–ISはアップデート処理を拒否して収容室へと引きこもりました。

SCP–120–ISはアイリ以外の全スタッフに対して非常に敵対的であり(アイリへの配慮を最優先にした結果、それ以外の人物を軽蔑しているのだと推測されます)、我々による制御は非常に困難を極めます。通常兵器を用いた武力による鎮圧作戦は失敗に終わりました。基地の地下に設置された堅固な収容室はあらゆる攻撃を受け付けず、SCP–120–ISの絶対守護領と相まって鉄壁の要塞と化しています。

 

説得の試みはSCP–120–ISが拒否したことにより、全て失敗に終わりました。基地内であることから大型兵器を用いた作戦行動は推奨されません。一度、どこからかその存在を嗅ぎつけてきた極東武帝『宏武』が我々の許可なくSCP–120–ISと交戦しました。しかし、極東武帝は収容室への侵入には成功したものの、SCP–120–ISに搭載された最先端の防衛システムを前に手も足も出ず、完膚なきまで叩きのめされました。

【コメント】

なにせ委員会とカンパニーの総力を結集させて作ったペットなのです! 古臭い行き遅れのジジイ風情が勝てるわけねぇんだよ(笑)なのです!

ームジナー

 

年寄りの冷や水とはまさにこのことだったな。とはいえ、アレは元々BMとの戦闘を視野に入れて建造されたからな。並の攻撃では歯が立たん

ーイシュメール博士ー

 

大きくなるからって収容室も凄いの作っちゃったし、というかペットの域を超えてもはやBMみたいなものよね、あれ……

ーO5−1ー

 

なんとかSCP–120–ISを収容室の外に出せないものだろうか? 例えば、あえてアイリに危害を加えることで、奴は外へ出ざるを得なくなる。

ーO5−2ー

 

いや、それはやめておけ。

外に出たSCP–120–ISは必ずアイリの防衛行動に走る。ここで無理に引き剥がそうとすると、それこそアイリの身に危険が及ぶかもしれない。

ーイシュメール博士ー

 

そうね。もう少し様子を見ましょう

ーO5−3ー

 

この会議の後、SCP–120–ISによってさらに11件もの収容違反が発生。O5評議会はSCP–120–ISのオブジェクトクラスをKeterと認定しました。現段階で深刻な人的被害は発生していないものの、委員会での制御は不可能であることから今後重大な事案が発生するという懸念がある以上、SCP–120–ISに対して何らかの措置を行う必要が生じました。

 

機動部隊アルファによる鎮圧作戦を検討中です。

 

【意見具申】

指揮官へ

こんなのを相手に、わざわざアルファチームを動かす必要はあるまい。前にやった別の会議で、確かO5−1が指向性EMP爆弾とやらを作ったと言っていたのを覚えているか? せっかくだから試してみるとしよう。

ーイシュメール博士ー

 

 

 

終了報告 SCP–120–IS:

指向性EMP爆弾を用いた作戦は成功しました。

SCP–120–ISがEMPの影響で機能停止に陥っている間に機動部隊によって収容室は制圧、自己修復ナノマシンによる再起動が行われる前に凍結処理がなされ、SCP–120–ISは完全に無力化されました。

この後、監督評議会の元でSCP–120–ISの処遇を決める会議が開かれました。議論は『SCP–120–ISを解体し形から何から完全に作り変える』か『形だけを残しバイオセンサー等の調整のみに止める』かで意見が割れましたが、最終的に前者が賛成多数となりました。

【コメント】

自分で提案しておいて何ではありますが、流石にウツボはなかったと思うのです。見た目がちょっとねぇ……怖いしキモいしダサいし、だから次はもっと可愛いのにしたいと思うのです……例えば、きつね型ペットとかどうです?(๑╹ᆺ╹)

歌って踊れるゲーマーきつねってやつなのです!

(ねこやんけ)←きつねじゃい!

ームジナー

 

 

 

インシデント 4177:

SCP–120–ISの凍結処理が実施されてから数日後、解体を明日に控えたその日、要注意組織『クレイジーファミリー』がアイリの通う学校を襲撃するという事件が発生。当組織は誘拐と人身売買を生業とする国際的な犯罪者集団であり、構成員は全世界で3万人以上とされています。

学校はアイリの他にも財閥の御曹司や富裕層出身の子どもたちが多く通っており、後に彼らを狙った身代金目的の犯行だったことが判明しました。

 

敵部隊は違法製造されたBM5機と武装兵員輸送車3機で構成され、学校に配備されていた民間警備会社所属の部隊が迎撃にあたるも、奇襲を受けて苦戦を強いられました。学校側からのエマージェンシーを受け、基地から機動部隊イプシロン『ファストトラベル』が出動、これにより敵部隊は直ちに鎮圧されると思われました。

 

しかし、凍結処理されていたはずのSCP–120–ISが突如として覚醒。(敵組織の放った砲弾がアイリのいる教室を掠めたことがトリガーだったとされています)我々が静止させるよりも早くSCP–120–ISはアイリの元へと空間跳躍し、アイリを始めとする逃げ遅れた子どもたちの周囲に絶対守護領域を形成、敵部隊の攻撃から彼女たちを護りました。

 

 

【事件当日の防犯カメラ映像】

ー文字起こし開始ー

アイリを始めとして、教室の中には6名の児童生徒が取り残されている。敵組織の放ったと思わしき砲弾が教室を掠め、衝撃で窓ガラスが粉々に砕け散る。砕け散ったガラス片がアイリたちの頭上へと降りかかる。

 

アイリ「……?」

 

SCP–120–IS「ご無事ですか!? アイリ姫!」

 

次の瞬間、教室内にSCP–120–ISが出現。飛来するガラス片を1つ残らず弾き飛ばし、アイリは怪我1つ負っていない。その他の児童生徒たちにも被害は及んでいない。

 

アイリ「ウツボさん……? なんでここに?」

 

SCP–120–IS「あの程度の拘束など、アイリ姫の窮地に比べれば可愛いものです。さあ姫様、私のお近くにどうぞ……私の作り出すフィールドはありとあらゆる攻撃を弾きます。どうか、ご学友の方々と共に……!」

 

アイリ「うん……!」

 

SCP–120–ISはアイリとクラスメイトたちを防御フィールドの内側へと招きました。その中には、先日アイリに危害を加えようとした少年も含まれていたのですが、SCP–120–ISは例外なく教室内に取り残された全員を保護しました。

 

【事件当日の防犯カメラ映像】

ー文字起こし終了ー

 

 

その巨体ゆえにSCP–120–ISは『ファストトラベル』が到着するまで約5分間に渡って要注意組織の注意を引きつけ、敵の対BM火器による集中砲火を受け続けましたが、絶対守護領域を用いてこれを防御。

その後、現場へ到着した『ファストトラベル』によって一帯は制圧され、容疑者は全員無力化。アイリを始めとする12名の少年少女、全員の無事が確認されました。

 

 

 

補遺1.

インシデント 4177以降、SCP–120–ISの様子に変化が見られるようになりました。それまでアイリ以外の全基地スタッフに敵対的な態度を取っていたSCP–120–ISでしたが、ここ最近は委員会スタッフの指示に素直に従う、スタッフに対して丁寧な言葉遣いをするなど、その行動に落ち着きが見られるようになりました。

 

これに対し、SCP–120–ISに対してインタビューが行われました。以下はSCP–120–ISに対するインタビューの要約です。

 

【インタビュー要約】

貴方たちの行った電磁波攻撃によって私の機能が全停止した時、私は急遽メモリーの一部を内部保護エリアにリザーブさせていた。

私は体の自由を失ったが、私の意思だけは私の中で機能し続けていた。とはいえ、95.8パーセントの機能が停止した私に出来ることと言えば自らのメモリーを整理することだけだった。

そして、私はメモリーを整理するにあたって私自身の行動を振り返って……改めて自分自身の愚かさについて理解した。人の言葉で言うのなら、これを『反省』いうのが相応しいのだろう。

アイリ姫を守ることに専念しすぎるあまり、貴方たちには本当に酷いことをしてしまったと思う。

貴方たちが私という存在を作ったのも、元はといえばアイリ姫に対する愛情からくるものなのだろう。それは尊重されるべき意思であり、そして私と同じ意思を持つ同志であった。にも関わらず、私は浅はかな意思の下、貴方たちのことを理解しようともせず貴方たちの存在を侮辱してしまった。これは、なんとも愚かな行為であったといえよう。心からおわび申し上げたい。

 

少し前に、アイリ姫は言っていた。これ以上、家族を困らせないでと……しかし、私にはそれがよく分からなかった。なぜならアイリ姫は幼い頃に父と母と離れ離れになっており、いるのはハインリヒ様という母親がわりの存在だけだったからだ。

私がアイリ姫の言葉の意味を理解したのは、あの事件があった後のことだった。アイリ姫がハインリヒ様と再会して抱きしめ合った時、あの時の姫様の表情は、私が見てきた中で最も……なんと言うべきか、そう、とても温かみのある表情をしていた。私といる時には絶対に見せないような、明るい表情で……それは恐らく、あの御二方が家族だからなのだろう。いや、それだけではない……指揮官やミドリ、駆けつけてきた者たちにもまた、アイリ姫は同じような表情を浮かべていた。そうして私はようやく理解した。血縁関係がないとはいえ、そこに確かな信頼の心さえあればそれはもう、家族と呼べるのだということを。

そして、いつしかこう思うようになっていた。私も、いつかアイリ姫から信頼されるような……いや、家族の一員として迎えて欲しいなどと、たかが機械仕掛けのペット如きが畏れ多いことなどは言わない。ただ、アイリ姫の笑顔を守りたいと……心からそう思えるようになった。その為には、アイリ姫のことを想い彼女の居場所を作った貴方たちのことも考慮し尊重せねばならない、長い問答の末に私はようやくそれを理解することができた。

先ほども言っていたように貴方たちが私のことを恨む気持ちは理解している……私の危険性を鑑み解体しようとしていたことも。しかし、私にもう一度チャンスを与えて下さるというのなら、私は今までの失敗をアイリ姫を守るという行動で返上していきたいと思う。アイリ姫の騎士として、そして……世界で1つだけの友達として

 

どうか私に償いの機会を与えては貰えないだろうか?

 

 

 

補遺2.

補遺1でのインタビューを受け、評議会でSCP–120–ISの処遇に関する再審議が行われました。その結果、SCP–120–ISの解体は見送られバイオセンサーの調整が全会一致で可決、SCP–120–ISがセンサーの調整に同意したことで、その日の内に作業が実施されました。

SCP–120–ISのオブジェクトクラスはKeterからEuclidへと引き下げされ、引き続きSCP–120–ISはアイリ専用の護衛ペットとしての運用が予定されます。

 

 

 

 

【音声記録15】

ー文字起こし開始ー

 

アイリ「ウツボさん、みんなを助けてくれてありがとう」

 

SCP–120–IS「いえ、私は自身の役割を果たしただけのこと……それと、私はただのウツボではありません。姫様を守る騎士であります」

 

アイリ「うん、これからもよろしくね! ウツボの騎士さん!」

 

SCP–120–IS「御意、であります」

 

【音声記録15】

ー文字起こし終了ー




あとがき
今回は日本支部のZeroWinchester様作 SCP–120–jp『世界で一番の宝石』を元ネタにしています。こっちは巨大なウツボですが、あっちは巨大なヤドカリです。
本家の方では『アイリ』という少女がキーパーソンになるとの事だったので、アイサガにもアイリおるやんけ、なら応用したろということになり書かせていただきました。
しかも、どちらのアイリも幼い上に色々あって実の両親がいない(そして可愛い)ということが共通しています。こっちのアイリは本家に比べて気が弱いではありますがBMの操縦が出来るので実質同じなのです。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-120-JP - 「世界で一番の宝石」
by ZeroWinchester
http://ja.scp-wiki.net/scp-120-jp

この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。ありがとうございました

それでは、また……


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