転生したら影の国に流れ着いてしまった件 (辛味噌の人)
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全ての始まり、もとい共通ルート
プロローグ その1


はじめまして
とりあえず導入をどうぞ。


 い、今起こったことをありのまま(ry

 俺は確かにトラックに轢かれた筈なのだ。具体的には雨でスリップしたトラックが歩道に突っ込んで来て、バーン、と。誰を庇ったわけでもなく、サクッと死んだ…はず。

 しかし気づけば謎の町にポツンと1人。上手く体が動かないと思えば赤ん坊。間違いない、転生、それも捨て子だ!

 

 いやふざけないで頂きたい。ただでさえ転生したらしき現状でいっぱいいっぱいなのに捨て子とかハードモードすぎる。なにかの間違いと思って辺りを見渡してみても人っ子一人居ない。

 いやね?転生というものをしてみたいと思ったことはありますよ?結局今の社会が1番楽しいということに気づくのだけど。しかし捨て子とは、あまりにもあんまりだ。赤ん坊らしくとかいう話以前の問題だ。

 あかんこのままやと死ぬぅ!

 

「おぎゃー!おぎゃー!(タスケテー!ダレカタスケテー!)」

 

 あっ泣き声でた。どうやらいきなり喋れたりしたりはしないらしい。まぁそれはそれで怪しまれなくて良いけども。

 いやそれどころじゃねぇ!やだ!転生したら即死亡とか小生やだ!

 

「おぎゃー!おぎ「ほう?なんの声かと思って来てみれば、捨て子とは…なかなかどうして。この神秘の薄れた現代に、どうやって流れ着いて来たかはわからぬが…捨てられて辿り着くとは面白い童よな」

 

 あっ誰か来た!タスケテー!タスケ…は!?

 

「如何な手段を用いたか、あるいは用いられたか分からぬが…この影の国に辿り着いた以上、童であろうとも歓迎しよう。ようこそ影の国へ。私がこの国の女王、スカサハだ…赤子に語っても意味など無いか。フッ、私も存外、人に飢えていたらしい」

 

 お…お…おっぱいタイツ師匠!?

 

 

 

 

 

 

 

 はい、ということで、おっぱいタイツ師匠ことスカサハに拾われました、転生者の無銘です。何故か前世の名前が思い出せません。スカサハもといお師匠には弟子とだけ呼ばれてます。ブルマとか履いた方がいいのかな…

 …はい、弟子です。なんかお師匠が俺の中の才能を見抜いたらしく、拾われてからしばらく、具体的には5ヶ月程たったあと、唐突にお前が弟子になるんだよ!(意訳)と言われました。何となく予想はついてたけども。

 なんでも俺はかの槍ニキことクー・フーリンにも勝らずとも劣らない才能を秘めているそうで。鍛えればいつか私を殺せるかもとの事。

 

 嘘やん。兄貴レベルの才能とか前世一般ピーポーの俺にある訳ないゾ。でもお師匠の目は本物なんだよなぁ…

 まぁお師匠が居るってことは型月世界で間違いないだろうし、鍛えて置いて損は無いだろう。封印指定?知らない子ですね。別に変な魔術使うわけじゃ…あ、原初のルーン…

 

 そういえば(強引)お師匠はいつまでも俺を影の国に置いておくつもりは無いらしい。一生私以外の人を知らぬのは余りにも哀れ、だそうで。分かります、原作介入ですね。おそらく介入するとしたら、Zero、staynight、Apocrypha、grandorder辺りだろう。プリズマ☆イリヤという線もあるか。fakeとかPrototypeとか言われても分かんないっす…

 

 まぁ介入できると決まった訳じゃ無いんですけどね。でもstaynightは是非介入して、Heaven's_Feelに入らないようにしたい。あれは士郎と桜の周辺以外誰も幸せにならない。主に兄貴とか。弟弟子として、せめてかっこいい散り様のFateルートかUBWルートがいい。

 

 個人的にはUBWのイリヤ救済ルートが1番望ましい。無限の剣製見たいし。英雄王はすごく好きだが、あれは許されない。イリヤは何としても助ける。正直言ってstaynightのイリヤはあんまり好きじゃないけども、さすがにあの最期は可哀想だ。なんなら上手い具合に俺が代わりに死んでも良いかも知れない、カタルシス的な意味で。いや、死にたくはないが。

 

 あと、grandorderなら介入しないと死んでしまう。影の国にいても燃え死ぬ。それでもお師匠は完全に死なないあたり頭おかしい。

 

 ともかく、平穏に過ごすにしても、原作介入するにしても、鍛えておいて損はない、そう思って弟子になることを了承した俺だったが、絶賛後悔中である。

 

「どうした?この程度、クー・フーリンならば楽々とこなしてみせるぞ!」

 

「神代の大英雄と現代生まれの一般ピープルを一緒にしないでくださいお師匠ってアツゥイ!!死ぬ!死ぬ!タスケテママー!!」

 

「お前の母親役は私だ」

 

「ああそうだった!助けて神様!助けて正義の味方!あ”あ”あ”あ”あ”!!死ぬ!死ぬ!アツゥイ!!」

 

 今現在、火球と槍の雨の中をかれこれ10分間必死に逃げ回っている俺氏3歳。そう、3歳である。

 3歳に王の財宝ばりの弾幕の中を走り回らせる母親役がいてたまるか!!いや確かにね?前世でも散々兄貴とかがスカサハの修行は頭おかしいとか言ってたけどね?それはあくまで神代の、それもある程度の使い手だけだと思ってました。

 こんな幼い子供に…そういえばコンラって9歳でクー・フーリンと互角に戦ったんだっけ?なるほど(白目)。

 

 え?なんで3歳児がそんな流暢に話せるのかって?俺が転生者ってのと、お師匠の英才教育()のおかげです。拾われてから1年で前世で言うところの高校卒業程度の、現世で生きて行くための知識を叩き込まれた。そして次の1年、原初のルーンの扱いを叩き込まれた(白目)。そして今までの1年で敵から逃げることを叩き込まれた。正直言って頭おかしい。

 

 そして今がこの1年の最終試験である。お題は簡単、1時間生き残れ。なおお師匠は近接攻撃と宝具の解放を除いて本気で殺しに来るものとする。安心しろ、死んでもしばらくの間は生き返れる、とはお師匠の談。えぇ〜?ほんとにござるかぁ〜?

 

「ほらほらどうした?あと10分だぞ?」

 

「いやああああ!!死ぬ!死ぬ!無理だって死ぬぅ!待って!弾幕厚くしないで!うわあああ!!」

 

「ほう?ならば諦めるか?」

 

「ばーか!諦めるかばーか!」

 

「よくぞ言った!それでこそ私の弟子だ!」

 

「あ”あ”あ”あ”あ”!余計なこと言ったあああ!」

 

「そらもう少しだ!生き延びて見せよ!!」

 

「うわあああ!!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないうわあああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、とりあえず合格じゃの。色々とうるさかったが…」

 

 し、死ぬかと思った…もうヤダ…

 

「では明日からは槍の扱いを教えていこう」

 

 うわあああああんもうやだああああ!!

 




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プロローグ その2

第2話です
どうぞ


 どうも、転生者の無銘です。お師匠ことスカサハに戦い方の訓練を受け始めて7年がたちました。現在約10歳です。誕生日がわかんないし影の国では1日の間隔も曖昧だから仕方ないね。

 ちなみに使ってるのはプニキことクー・フーリン(プロトタイプ)の使ってる槍っぽいのです。結構取り回しの良さがいい感じ…かっこいいとかじゃなくてこういう感想になるあたり毒されてるなぁ。

 

 さて、現実逃避もここら辺にしておこう。今俺の目の前にいるのは魔猪。そう、ディルムッドの怒りを思い知れさんの死因の魔猪である。

 どうもお師匠はこれくらいなら今の実力なら何とか勝てると見込んだようで。闘技場的なところに放り込まれたと思ったら出て来ました。

 

 おい待てふざけんな英雄の死因に勝てるわけないだろふざけんなこの槍ただ頑丈なだけで宝具でもなんでもないぞおいコラって危ねぇなクソ!

 

「ほれほれどうした?倒さなければ死ぬだけだぞ?」

 

「お師匠の鬼!悪魔!」

 

 …どうやらこいつを倒さない限り俺に明日は無いようだ。お師匠の目がマジだ。ここで死ぬようなら所詮そこまでとか思ってらっしゃる。くそう、多少成長したからかとんでもなく厳しくなってる…

 やってやろうじゃねえかこの野郎!大丈夫だ問題ない、波涛の獣ことクリードや覇獣ことコインへンに比べれば大したことねぇ!確かディルムッドが死んだ時は兄弟かなんだかの怨念だか生まれ変わりだかの奴だったらしいからそれに比べれば弱いはず。ならば何とか…なるか?いいや、何とかしなきゃ死ぬ!

 

「◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️!!」

 

 ひとまず身体にルーンを刻んで強化!同じく槍にもルーン!これである程度は攻撃が通るはず。それでも致命傷を与えるには、目、口、もしくはケツにぶち込む必要がありそうだ。

 

「◻️◻️◻️◻️◻️◻️!!」

 

「危ねぇな!喰らえハガラズ!!ついでにアンサズ!!オラァ!!」

 

 突進してきた魔猪をかわして、ルーン魔術をぶつける。雹、そこから派生して氷属性及び静止を意味するハガラズ、オマケに術ニキでお馴染みのアンサズだ。俺が使えるのはこれらとソウェル、カノ、ダガズ、エワズ、ベルカナ、ケーナズ、エイワズ、トゥール、ついでにガンド。あとはアトゴウラに必要なナウシズ、アルギズ、イングズだ。それ以外はどう頑張っても何故かまともに使えない。いや、使えはするが、余り意味が無い。

 

 ハガラズの氷を食らって停止した魔猪に今の俺が出せる最大火力のアンサズの火球をぶつける。横腹に当たった火球は魔猪の分厚い毛を焼き尽くし、皮も炙るが、そこ止まり。使い手の俺がまだまだ未熟なせいか、原初のルーンを持ってしても大したダメージを与えられては居ない。おそらくお師匠なら今ので魔猪の土手っ腹に風穴を開けているだろう。

 だが俺としてはそれだけでも十分だ。分厚く生半可な刃を通さない毛を焼いたことで、今の俺が持つ槍でも貫ける場所が増えた。あそこに渾身の一突きを喰らわせれば、心臓に届けば致命傷を与えられるだろう。

 

 しかし代償もなかなか大きい。今のでかなりの魔力を使った。おそらく今ほどのアンサズを使うのは不可能。これでルーンは補助にしか使えなくなった。

 …まぁ、さして問題は無い。熱さに悶え苦しむ魔猪を尻目に、槍にベルカナ、カノ、トゥールを刻む。これで擬似的なゲイ・ボルクの完成…と言うには弱すぎるか。ルーン魔術はある程度なら使い手の考え方によって方向性を変えることが出来る。探索の意を持つベルカナで心臓に誘導し、カノで威力を強化、トゥールで自分に勝利を呼び込む。これはゲイ・ボルクと言っても過言じゃ…過言か。

 これで後は…ッ不味い!!

 

「◻️◻️◻️◻️◻️!!」

 

「しまっ…がぁッ!」

 

 クッソ油断した…って痛てぇな、脇腹を抉られたか…ひとまずハガラズを傷口に刻んで、出血を抑制する。

 油断して突進を食らってしまったが、これはチャンスでもある。今の魔猪は突進直後かつ俺に一撃入れて油断している。おそらく人間ならもう立ち上がれないと踏んでいるのだろう。幻想種といえど、所詮獣か。

 

「油断したな?喰らいやがれ!ハガラズ!!」

 

 残りの魔力をほぼ全てつぎ込み、ハガラズの氷弾を入れる。静止の効果が発動し、硬直する魔猪。これ以上ないチャンス、逃したらアホだぜ!喰らえ、お師匠に教わった、特殊な槍の扱い方、兄貴ことクー・フーリンの代名詞!

 

「穿て、抉れ、ブチ抜け!

偽・偽・穿ちの朱槍(ゲイ・ボルクIII)!!』」

 

 俺の全身全霊を込めた一撃は未だ動けぬ魔猪の脇腹を喰い破り、エイワズの効果によって心臓に誘導され…貫いた。

 

「◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️!!」

 

 今までで最も大きな声で断末魔をあげる魔猪。俺はあわてて飛び退る。死に際の悪足掻きを食らってはたまらない。

 

「◻️◻️◻️◻️◻️◻️…」

 

 最初は暴れていたものの、徐々に大人しくなっていく魔猪。やがてひとつ痙攣して動かなくなった。

 

「死んだ…か?」

 

 死んだフリではたまらない。アンサズの火球…魔力がもうない故かなり小さいが…を傷口にぶつけるが、ピクリともしない。

 

「確かに死んでおるよ。安心するが良い」

 

 あ、お師匠。とりあえず一言文句を…あれ?体が動かん…しまった、ある程度止血していたとはいえ、血を流し過ぎたか…

 

「おっと、限界のようじゃの。良い、眠るがいい。運んでおいてやろう」

 

 倒れかけ、お師匠に受け止められる。いかん、もう…意識が…ぐぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もっと苦戦するかと思えば…ふふっ。あのような戦いを見せられては…昂ってしまうではないか、愛しい我が弟子よ」

 

 




魔猪の前に放り出されても取り乱さず、脇腹を抉られても動じず、魔猪を割とあっさり倒す。これは逸般人ですわ…

お読み下さりありがとうございました。
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プロローグ その3

第3話です
後日番外編ということでスカサハとの日常について描写するかも。



 

 どうも、転生者の無銘です。たった今目を覚ましました。

 いやぁ魔猪は強敵でしたね(真)。脇腹はどうやらお師匠が治してくれたようで、痛みは無いです。

 

「目を覚ましたようだな」

 

 あっお師匠。

 

「よくやったな。正直私はもっと苦戦すると思っていたのだが…神代の人間でもないのに、よくやるのう」

 

 えぇ…(困惑)。お師匠の予想を上回れたのは嬉しいが、そんな高難易度のやつをいきなりやらせないで頂きたい。これだからケルトは…

 …さて。現実逃避はここら辺にしておこう。いや、出来ればもう少ししていたいのだが、これ以上引き伸ばしては居られない。

 

「あのお師匠。俺の服はどこですか?あと、なんで裸なんですか?」

 

「何を言っている。男と女が裸でやることなどひとつだろうに」

 

 勘弁していただきたい(白目)。俺は今疲労で動けんのだ。特に右腕など無理をした影響で筋肉痛でろくに動かせん。

 いやそんなこと言ってる場合じゃねえやめろください俺まだ10歳だぞショタぞショタってああルーン使って拘束するのやめてああ逃れられないタスケテー!

 

「疲れて動けんのは分かっておるから、私からヤってやる。安心しろ、天井のシミでも数えておれ」

 

「待って!ストップ!俺まだ10歳ですよ!?」

 

「安心しろ、コンラともヤった」

 

 これだからケルトはぁぁ!!

 

 アーーーッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうも、転生者の無銘です(白目)。お師匠に食われました(性的に)。

 どうしてくれるんですかね…俺もうお師匠とどんな顔して会えばいいのかわかんねぇよ…助けて正義の味方…ダメだ、某エミなんとかさんも女難だった。

 

 そんな俺の心情はお師匠にはもちろん関係なく、修行はさらに苛烈になっていく。お師匠曰くラストスパート。

 なんでも、あまり影の国に居すぎると、外の世界に出られなくなるそうだ。お師匠みたいに。それで、ひとまず教えるべきことを全て教えて外の世界に送り出すとの事。

 なるほど、なんだかんだでこの影の国ともお別れの時が近いわけか…なんだか寂しいな。

 ともかく、頑張っていこう。修行を完遂した暁には、ゲイ・ボルクをくれるらしいし。さすがお師匠。俺のモチベのあげ方をよくわかってらっしゃる。

 

 よし、イクゾー!!

 

「甘い!」

 

 グワーッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうも、転生者の無銘です。今日はついに修行の最終日…なんだか感慨深い。

 あっ、あれからもお師匠には定期的に襲われました(白目)。勘弁してくれよ…。

 それで、最終試験らしいので、いつぞやの闘技場にやって来た俺を待って居たのは…

 

「◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️!!」

 

 波涛の獣こと、クリードでした(白目)。

 

「さあ、今までの総決算だ!無事、波涛の獣を討ち果たし、私にその武を魅せるが良い!」

 

 もうね、ここでゴタゴタ言ってもどうにもならないのは知ってます。戦わなくては、生き残れない!大丈夫、コインヘンは倒した!クリードも勝てる勝てる!

 行くぞ!俺の勇気が報われると信じて!

 

「うおおおおぉ!!」

 

「◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくやったの、合格じゃ。さすがは我が弟子じゃの」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 よーし!よしよしよし!勝った!勝ったぞ!生きてるって素晴らしい!

 

 「それでは私はこれをゲイ・ボルクに加工してくるからの。ゆっくり体を休めるが良い。」

 

「はい」

 

 そういえばゲイ・ボルクってクリードの外骨格でできてるんだったな。まぁいい。俺は寝る。おやすみなさいー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、準備はできたの?」

 

「はい、今までありがとうございました。このご恩は一生忘れません」

 

 ついに出立の日。うーん、さすがに涙が出てきた。なんだかんだで10年以上お世話になったから、悲しいものは悲しいのだ。

 それに、俺が影の国に流れ着いたのは奇跡のようなもの、もう2度と来ることはできない。そう思うと、涙が出るくらいは許して欲しい。

 

「これ、そう泣くでない。安心しろ、お前はこの影の国と繋がりができた。定期的に夢で稽古をつけてやるから安心せい」

 

 アッハイ。涙も引っ込んだわ。確かにお師匠ならそれくらい出来そうだわ。

 ちなみに、持ち物は現世風の服が1着に、ケルト戦士特有の、自動修復のルーンが刻まれた全身タイツっぽい戦闘服が1着。訓練の際に使っていた愛用の槍に、先程渡されたゲイ・ボルク。以上である。食料とかは気にしてはいけない。どうせお師匠が誰かに拾われるような場所に飛ばしてくれる。ちなみに戦闘服や槍は俺の魂魄と結びついているので、普段は霊体化的な感じで消えている。出す時は念じれば出てくるし、戦闘服は勝手に服と置き換わる。まるで魔法少女みたいだぁ(直喩)

 

「よし、泣き止んだの。…では、行くがよい!」

 

 その声を聞き、俺は目を閉じて影の国の門を通る。これを越えれば、現世のどこかに転移するらしい。

 原作介入するにしても、しないにしても、お師匠に誇れるような生き方をしたい。

 

 そう決意した俺が、再び目を開けたとき、俺が目にしたものは…

 

 

 

 




これにてプロローグは終わりです。
お読み下さりありがとうございました。
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Fate/staynight 運命の夜
第1話 月下の誓い


 staynight編です。
 多分プリズマ☆イリヤも書くと思います
 ちなみにオリ主の見た目は、蘭陵王の髪がやたらとくすんだ黒に近い灰色で目は黒色、目付きがちょっと悪い感じを想像していただければ。
 男の娘…と言うには男らしすぎるかな?
 寝て起きたら色ついててびびった。
 とりあえずどうぞ


 影の国から送り出された俺が見たものは、空に開いた穴とそこから零れ落ちる黒い泥、そして燃える街だった。

 

 おおう…staynight…まぁいいや、いや良くない。言峰に拾われたら不味い!助けて切嗣!ってアツゥイ!服燃えとる!消えろ!消えろ!

 ふう危ない…うん?近くに人が…男の子か?…ってこの赤毛!士郎!士郎じゃないか!人間エミュロボット(作者談)の衛宮士郎!ってことは…

 

「誰か!誰かいないのか!?」

 

 いたー!衛宮切嗣!作者が英霊除いたら1番好きなキャラの衛宮切嗣じゃないか!(メタ)

 

「こっちです!こっち!」

 

 何かの間違いで気づかれないなんてことにならないように、大声をあげて手を振る。俺が拾われないのはまだしも、士郎が拾われないのは困る。

 

 俺の声が届いたのか、慌ててこちらに駆け寄って来る切嗣。よし…いや大丈夫か?俺だけ拾って士郎が助からないとかだったらヤバい…

 

「よかった!無事か!?生きてるんだね!?」

 

「はい、俺は大丈夫です。それよりこっちに。まだ生きてる人がいます!」

 

 俺が軽いやけどだけで無事なのを確認して膝から崩れ落ちそうになる切嗣を士郎の方に誘導する。割と重傷なのでとっとと早めのアヴァロンしてあげて?

 

「よかった…ありがとう…!生きていてくれてありがとう…!」

 

 いやぁエミヤシロウの原点に立ち会えるとは…転生してみるもんだなぁ…

 

 やがて士郎の治療(アヴァロンぶち込むだけ)を終えた切嗣は士郎を抱えてこちらに向き直る。

 

「君、家族は?」

 

 (家族はい)ないです。あいつら死んだよ。俺が殺した。

 

「そうかい…じゃあ、僕と一緒に来るかい?」

 

 おk。衛宮家の一員になれるならなりたい。でもこんな状況じゃなければ只の不審者発言だよね。唐突すぎるし。まぁ俺は切嗣の素性知ってるからいいけど。

 

 こうして、俺は切嗣に拾われるのだった…

 

 

 

 

 

「そういえば、名前を聞いてなかったね」

 

 あっ……よし、でっち上げよう

 

「宗次です」

 

 転生者の無銘⇒無銘⇒無明⇒無明三段突き⇒沖田総司⇒総司⇒宗次…うん、分かりやすいすい。

 

「僕は衛宮切嗣。宗次君、僕はね…魔法使いなんだ」

 

 うーんこの不審者感。俺じゃなきゃ逃げちゃうね。

 

 

 

 

 

 

 そうして俺は衛宮宗次となった。俺がいることで士郎が拾われないのではないかと少々焦ったが、無事士郎も養子となったので安心した。

 それからというもの、俺は切嗣にも士郎にも己の素性を隠し通して暮らした。何度か切嗣の手助けをすればイリヤが救済できるのではないかとも考えたが、そのまま封印指定にされては士郎にも危険が及ぶ。

 原初のルーンを全て使えるというのは封印指定にするには十分だ。イリヤを助けても士郎が死んでは本末転倒である。今はなんの面識のないイリヤよりも士郎の方が大切です。いや、今でもバゼットくらいならなんとかなると思うけどね?

 

 そうして暮らしているうちに、士郎が魔術を習い始めたようだ。頑張って俺に隠そうとしているのが面白い。

 俺は聖杯戦争が始まるまでは魔術に関わりのない人間として過ごそうと思っている。別に筋トレは隠れてするが、魔術は夢に毎日のようにお師匠が出てくるので、槍の扱い方と共に学ぶことにしている。ちょっとマーリンみたいで嫌だけど仕方ない。

 だって一般人だと思っていた兄が実は自分より遥かに強いと知った時の士郎の顔が気になる…気にならない?

 

 ちなみに俺は士郎の兄になりました。精神年齢的に考えて残当。どちらも実際の年齢も誕生日も不明だからね。同い年の兄弟ということになった。おそらく俺の方が少し年上だと思うが。あんまり身長に差がないし仕方ないね。

 家事?2人で分担してるよ?士郎に押し付けるほど俺は酷くない。俺は切嗣とは違うのだ。

 

 

 

 

 それからしばらくたって、切嗣もそろそろ限界のご様子。うーん、やはり悲しいな。転生してからできた初めての父親だったから、お別れの時は涙は許して欲しい。

 それと、俺は士郎が正義の味方という(呪い)を背負うのを止めるつもりはない。おそらく言って止まる類のものではないだろうし、士郎にとってはそれが1番の生きる意味になるだろうから。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「僕はね、士郎。子供の頃、正義の味方に憧れていた」

 

 月が照らす縁側に、1人の男と1人の少年が並んで座っていた。

 

「憧れてたって…諦めたのかよ?」

 

 男の諦観を含んだ呟きに、少年は年相応の反発心を込めて問う。

 

「ああ、ヒーローは期間限定で、大人になると名乗るのが難しくなるんだ。」

 

 と男は苦笑しながら、答えた。

 

 その言葉に、少年は、なんでもないかのように、しかし重い覚悟を孕んだ声音で答える。

 

「そうか…なら、俺が代わりになってやるよ」

 

 男は、その言葉を聞いて驚いたようだった。

 

 少年は揺るぎない、純粋で真っ直ぐな瞳で宣言する。

 

「任せろって。爺さんの夢は、俺が…

 必ず形にしてやるから

 

 男はその言葉を聞いて、ひとつ大きく息を呑んだ。そして、一拍おいてから、万感の思いを込めて呟いた。

 

「ああ…安心した…」

 

 微笑む男と笑う少年を、月が優しく照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「士郎、いつまで起きてるんだ?歯磨きして寝る準備しなさい」

 

「わかったよ、宗次兄さん」

 

「…もう、長くないか」

 

「そうだね…もうもたないと思う」

 

「…癌、だっけ?まだ若いのにな」

 

「仕方ないよ…仕方ないんだ」

 

「…さっきの話だが」

 

「聞いてたのかい?」

 

「最初からな。…士郎は、1度決めたことは貫くタイプの人間だ。きっと、切嗣から受け継いだ夢を生涯抱き続ける」

 

「そう、だろうね」

 

「だから俺が支えてやるんだ。いつか、折れてしまう時が来るかもしれない。そのとき、続けるにしても辞めるにしても、その隣に誰かがいてやらなくちゃ、あいつはきっと腐っちまう」

 

「そうだね…士郎を、頼むよ。宗次は、もしかしなくても僕よりもしっかりしているからね」

 

「任せろって。それが、俺が切嗣にできる唯一の恩返しで、兄としての義務だからな。…俺を拾ってくれたこと、本当に感謝してる。あの時切嗣がいなかったら、今の俺はいなかった」

 

「切嗣は正義の味方になれなかったって言うけど、確かにあの時、切嗣は俺にとって、多分士郎にとっても、正義の味方…ヒーローだった。俺は、士郎は、あんたに救われたんだ。ありがとう、切嗣。この恩は、一生忘れない」

 

 

 

 

 

 

「…そうか、僕は…救えたんだな…」

 

 

 

 

 




 うーん駆け足
 書きたいとこだけかく悪癖が出てしまった…これは駄文ですね
 衛宮家での日常も番外編にて描写予定です。
 次回、聖杯戦争開始…予定
 お読みいただき、ありがとうございました。
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第2話 少年と運命

 聖杯戦争開始です
 どうぞ


 side 衛宮士郎

 

「…ろう…士郎!士郎!起きろ士郎!また土蔵で寝やがって!」

 

 俺こと衛宮士郎の今日の1日は、兄さんこと衛宮宗次の怒鳴り声で始まった。

 

「うわぁ!ごめん兄さん!」

 

「まったく…おはよう、士郎。これで何回目だか…風邪ひいても看病してやらんぞ?」

 

「ははは、ごめんって。おはよう兄さん」

 

 昨日は遅くまで魔術の特訓をしていたはずなのだが、いつの間にか寝てしまっていたらしい。もう少し用心しよう。爺さんは兄さんには魔術を教えていないようだったし、知られる訳にはいかない。

 

「とりあえず顔でも洗ってこい。朝飯の時間だぜ。妹の方の間桐も来てるから、急げよ」

 

「わかった。っていうか桜な、桜。いい加減名前くらい覚えてあげたら?」

 

「覚えてて言ってんだよ」

 

 どうにも兄さんは学校の後輩の間桐桜と距離が遠いように感じる。桜は俺に弁当をいつも作ってきてくれるし、兄さんも仲良くして欲しいものだ。

 

 そんなことを考えながら、洗面所で顔を洗い、兄さんや桜のもとへ向かう。

 

「あ!おはようございます、先輩!」

 

「ああ、おはよう、桜」

 

 桜に挨拶をしつつ席につけば、机の上には和風のご飯や味噌汁などが並んでいる。兄さんもなかなか料理がうまい。凝った料理などになると俺の方がうまく作れるのだが、大雑把な料理や手抜き料理は兄さんの方がうまいのだ。…いつか抜かしてやろうと思っている。

 

「さて、食べようか。いただきま

 

  ピンポーン!

 

「そういえば忘れてたな…」

 

 いざ食べようとした時に邪魔が入って、兄さんは苦虫を噛み潰したような顔をする。

 少し待ってろと言い残した兄さんが玄関まで客、おそらくは藤ねぇだろう、を迎えに行っている間に、桜が話しかけてきた。

 

「先輩、今日も土蔵で寝てたんですか?」

 

「ははは…そうなんだよ」

 

 痛いところを突かれてしまった。俺も良くないとはわかっているのだが。

 

「もう…風邪ひいても知りませんからね?」

 

「ごめんって」

 

「そうだぞ士郎!ちゃんとベッドで寝なさーい!」

 

 急に後ろからかけられた声に振り向いて見れば、藤ねぇが仁王立ちしていた。その後ろでは兄さんが額を抑えながらため息をついている。

 

「はいはい、席について…よし、いただきます」

 

「「「いただきます」」」

 

 兄さんの号令で、いつもの朝食の時間が始まる。

 

「うん、美味しいです、宗次先輩」

 

「まだまだだな…味噌汁が薄い」

 

「そんなに気にする程でもなくないか?」

 

「うんうん、十分美味しい…でもちょっとたりなーい…宗次!ご飯をよこせ〜!」

 

「そこまでにしておけよ藤村ァ!」

 

「こら兄さん、藤ねぇだろ?」

 

「けっ、こんな野生動物は藤村かタイガーでいいんだよ」

 

「むっ!タイガーって言うな〜!」

 

 いつもどおりの、騒がしい朝食。願わくば、こんな毎日がずっと続いて欲しいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、行こうか士郎」

 

「わかったよ、兄さん」

 

「…」

 

「兄さん?どうかしたか?」

 

「いや、なんでもない。近頃は物騒だから今日は出来るだけ早く帰ろうと思っただけだ。お前も早く帰ってこいよ、夕食はハンバーグだぜ」

 

「了解、早めに帰るよ」

 

 (まぁ、忠告しても無駄だろうがな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しまった…兄さんに怒られる…」

 

 藤ねぇに頼まれて、弓道場の掃除を引き受けてしまったのが不味かった。ついついやりすぎてしまい、あたりはすっかり暗くなっている。

 

「早く帰らないと…飯抜きにされるかも」

 

 それはごめんだ。とっとと帰ろうと…したのだが。

 

 

 キィン…!

 

 

 「なんだ?金属音?」

 

 

  キィン…!キィン…!キィン…!

 

 

 校庭の方から金属製の物を打ち合わせているかのような音が断続的に聞こえてくる。こんな遅くに…まぁ自分が言えたことではないが、何をしているのだろうか。

 

 気になって校庭に近づいてみる。後になって思えばこれが間違いだった。

 

「何だ…!?」

 そこでは、赤い槍を持った青い男と、白と黒の双剣を持った赤い男が戦っていた。人間ではありえない絶技。しかし、俺が目を奪われたのは彼らではなかった。

 

「遠坂…!?何してるんだあいつ!?」

 

 赤い男の後方に立っている赤い服を着た少女。俺が密かに憧れている、兄さんには憧れてるんじゃなくて惚れてるんだろ、と言われたが、多分違う…はずだ。ともかく、遠坂凛の姿だった。

 何故遠坂がこんなところにとか、何故ずっと見ているのだとか、色々考えている間に、いつの間にか男2人は戦いの手を止め、何やら話していた。遠坂のことは気になるが、巻き込まれては死ぬだけだと思った俺は早く帰ろうとしたのだが…

 

 

 パキッ

 

 

「しまった!」

 

「ッ何者だ!」

 

 たまたま足元に落ちていた小枝を踏んでしまう。我ながら運がない。不味いと思って逃げ出す。追いつかれたら殺される。何とかして逃げなければ、そう思って一心不乱に走るが…

 

「運が悪かったなボウズ。ま、姿を見られたからには死んでくれや」

 

 必死に逃げたが追いつかれ、その赤い槍で胸を貫かれてしまう。そこで俺の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ?」

 

 しかし目を覚ましてみれば貫かれたはずの胸は傷ひとつなく、あの青い男もいなかった。

 夢かとも思ったが、実際に服は血だらけで、あの出来事が実際にあったのだといやでも理解させられる。

 

「なんだこれ?」

 

ふと気づけば、手の中には赤い宝石でできたペンダントがあった。誰のかは分からないが、明日にでも交番に届けることにしよう。

 

「ひとまず帰るか」

 

 このまま学校に残っていてまた襲われては堪らないので、急いで家に帰り着く。しかし、そこで恐ろしいことに思い至ってしまった。

 姿を見られただけで殺しに来るような相手が、殺したはずの相手が生きていると知ったら、どうする?

 

「ッ!!」

 

「おっと、避けられたか」

 

 直後、猛烈な悪寒を感じて身を捻ると、今の今まで自分の心臓があった位置を赤い槍が貫いた。

 

「まさか同じ日に同じ人間を2度も殺すはめになるとはな」

 

 男が自嘲気味に呟くが、こちらとしてはそれどころではない。

 

(家の中はダメだ、兄さんがいる)

 

 ひとまず足元に転がっていた手頃な大きさの木の枝をひっつかみ、祈るように強化の魔術を施し、再び振るわれた槍を弾こうとする。

 

 キィン!

 

「へぇ?魔術師だったか。面白い芸風だな」

 

 どうやら成功していたらしい。爺さんが死んでから1度も成功したことがなかったが、祈りが通じたようだ。

 しかし立て続けに振るわれた槍を受け止めきれず、吹き飛ばされ、土蔵に突っ込んでしまう。ぶつけた体のあちこちが痛い。棒切れも手放してしまった。

 

「残念だがここまでだ。お前さんはよく頑張ったよ」

 

 男の形をした『死』が、少しずつ近づいて来る。

 だめだ、まだ死ねない。自分はまだ、夢を叶えていない──

 

「ッ!?これは!?」

 

 男が驚いて飛び退る。次の瞬間、右手の甲に激痛が走る。それと同時に、魔力が渦巻き、風が巻き起こる。

 

「7人目のサーヴァントだと!?」

 

 男が何やら驚いているようだが、よく聞こえない。

 そして風が止まった時、俺の前には、青い鎧姿の、金髪の少女が立っていた。

 

「──問おう。貴方が私のマスターか?」

 

 

    その日、俺は運命に出会う──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、とりあえず今はそれどころではありませんね。敵サーヴァントを迎撃してきます」

 

 そう言った少女が土蔵から飛び出して行く。

 

「あっ、待て!」

 

 不味い、きっとあいつは土蔵から出てくる瞬間を狙って来るはずだ。状況がよく分からないが、少女が危ない。そう思って慌てて飛び出した俺を待っていたのは、驚きばかりの今日の中でも、1番の衝撃を受ける光景。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の投擲を防ぎ切るか…テメェ、何者だ?」

 

「答える義理は今のところないな、アルスターの光の御子。俺の弟に、手を出すな

 

 男が投げたと思わしき槍を、何かの障壁を張って受け止めている、兄さんの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 




 士郎君驚きっぱなしで可哀想。
 セイバーも出番取られて可哀想。
 どっちもオリ主が悪い。
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第3話 邂逅

 ヒロイン登場。
 読者の方々も何となく予想は着くかもしれませんが、オリ主の介入によって割を食うのは主にセイバーと桜です。
 Fateルートはともかく、HFルートはオリ主君的に容認できないそうで。
 セイバーが不遇になるのは士郎の護衛をオリ主君がするからですね。その上成長に必要な戦闘はきっちりやらせる。うーん有能(現時点で)。


 少年が運命と出会うよりも以前に時間は遡る。

 ある日、冬木市某所に白い少女の姿があった。人間離れした─事実純粋な人間ではないのだが─容姿や日本では基本的に見られない白銀の髪も相まって、「雪の妖精」という言葉が似合う少女だった。

 

 街に1人でいるにも関わらず、少女は機嫌良く鼻歌を歌っている。もっとも、実際は1人ではないのだが。

 

 のんびりと歩いていた少女だったが、ある人物を見つけて足を止める。視線の先には、ランニングをしているくすんだ黒灰色の髪をした青年がいた。

 少女がいる側へと駆けてくる青年に、少女の顔が期待と嗜虐の笑みで歪む─が、少女はすれ違いざまに青年の手の甲を確認すると、ハズレかぁ、と呟いた。

 

「なーんだ、参加しない方のお兄ちゃんだったのね」

 

 少女の声に、青年が足を止める。

 

「参加しないなら逃げなくていいの?…死んじゃうよ?」

 

 只人であれば間違いなく困惑するであろう言葉を聞いた青年は、当然訝しげに振り向く─

 

 

「へぇ?心配してくれるのか?優しいもんだな、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン?」

 

かと思いきや、振り向きもせずに堂々とした声で答える。見れば、心底愉快だと言わんばかりに口もとが歪んでいる。

 これに驚いたのは少女─イリヤスフィールの方だった。アインツベルンからは、冬木市に住んでいる2人の切嗣の養子は魔術師ではなく、この黒灰色の髪の方─衛宮宗次に至っては、魔術のまの字も知らないと聞かされている。しかしこの様子では、魔術についての知識を持っているようにしか見えない。

 イリヤスフィールの名前を知っているのは理解出来る。おそらくは切嗣が教えたのだろう。しかし、聖杯戦争については、魔術師ではない衛宮宗次は知る由もない情報であるはずなのだ。

 

(魔術師じゃないなんて嘘っぱちじゃない、役立たず)

 

 少々出鼻をくじかれた形になってしまったイリヤスフィールだが、すぐさま立て直し、問いを投げる。

 

「へぇ?知ってたんだ?なら尚更逃げるべきなんじゃない?魔術師だったのは予想外だったけど…聖杯戦争に参加しないなら、ここで土下座して、無様に命乞いをするなら見逃してあげる。じゃないとほんとに死んじゃうよ?私のバーサーカーは最強なんだから♪」

 

 嗜虐的な声音で言うイリヤスフィール。ここまで罵倒されたからには、流石に激昂するだろう、そんな意図を持って投げた言葉は、またしても予想外の返しを受ける。

 

「嬉しい申し出だが、断らせてもらおう。俺は易々と殺されるほど弱くないんでね。…それに私のバーサーカーは最強?ハッ、理性を失ってその技量を活かすことができないばかりか、ろくな武器も、必殺の宝具も持たない、ただの肉達磨に成り下がったヘラクレスが最強?…笑わせてくれるな」

 

 ─俺はもっと強いひと(お師匠)を知ってるぜ─

 

 このセリフには、流石のイリヤスフィールも激昂した。相手の話術に乗せられているとはわかっているが、全幅の信頼をおくバーサーカーをバカにされて我慢できるような質ではない。

 

「ッ!もう許さない!命乞いしたって助けてあげないんだからね!夜になったら覚悟しなさい、この世に生まれてきたことを後悔させるくらいに惨たらしく、じわじわといたぶってから殺してあげる!」

 

 振り向いて激情のままに放ったセリフを背中に受けて尚、衛宮宗次は余裕を崩さない。

 

「そりゃあ楽しみだ。せいぜい最強のバーサーカーがやられた時のために、癇癪を起こしてみっともなく泣きわめく練習でもしとくんだな」

 

 そのまま1度もイリヤスフィールの方を向かないまま、立ち去って行く衛宮宗次。残されたイリヤスフィールはあまりの悔しさに地団駄を踏むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、立ち去って行った衛宮宗次はと言うと。

 

(やっべぇ、煽られてカチンと来たからついつい煽り返しちまった…すまないイリヤ、許してくれ。あとバーサーカーも。UBWとHFのイリヤを守って戦うあんたは最高だったよ。肉達磨なんて言ってごめん。全バーサーカーで1番好きだよ…不味いな、流石にバーサーカーと真っ正面からやり合っても死にはしないだろうが勝つ自信はないぞ…どうしよう)

 

 内心めちゃくちゃ後悔していた。彼は戦場ならともかく、命の危険がない状況なら煽り耐性の低い男だった。

 

 




 ヒロインと初会話がこんなんでいいのかオリ主君…なおバーサーカーと真正面からやり合って勝てずとも負けはしないと言えるあたり冬木に出てきてからも逸般人化が止まらない。
 今回短くてすみません。でもイリヤとの会話で1話使いたかった。兄貴との会話はもうちょい待ってください。特に力を入れたいところなので。
 お読みいただきありがとうございました。
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第4話 兄弟子

 今回はランサーとの会話、短めです。すみません。
 どうぞ。


 衛宮邸、その庭にて。

 そこには、青い全身タイツのような戦闘服を持った男─ランサーと、先程彼の槍を防いだ宗次、全身ズタボロの士郎、ついでにセイバーがいた。

 宗次はちらりと士郎の無事を確認すると、障壁を解除した。

 

「いや、無礼な物言いをして申し訳ない。弟が傷つけられていたので、少々冷静ではなかった。許して欲しい」

 

「別にその程度でキレるほど器は小さくねぇよ。で、質問に答えてもらおうか?」

 

 平然と会話を続ける2人に、片や召喚されたばかり、片や純粋に知識不足の士郎とセイバーは困惑する。特に、兄は一般人だと思っていた士郎は、その兄に庇われたことで複雑な顔をしている。

 

「もちろん。でも、貴方相手なら口に出す必要は無いだろう」

 

「あ?そりゃどういう─」

 

 油断なく構えたまま、訝しげに問いかけるランサー。しかし彼が言い切る前に、宗次が一言呟く。それだけで、2人には十分だった。

 

 

「─来い、ゲイ・ボルク」

 

 

 瞬間、セイバーの召喚時と同等以上の魔力が吹き荒れ、士郎はまたしてもすっ転ぶ。

 そして、天に掲げられた宗次の手に魔力が収束し、深紅の魔槍が形作られる。それと同時に、服装にも変化が起こる。切嗣のお下がりの甚平から、ランサーのそれと酷似した、黒灰色の戦闘服へ。

 

「ッ、テメェまさか!?」

 

 驚愕するランサー。戦闘服はまだ理解できる。そういうものが現代まで残っていることもあるだろう。しかし、あの槍だけはありえない。自分の槍と酷似しているが、決して自分のものでは無い。言うなれば後継品。つまり、それを持つ彼の正体は─。

 

「自己紹介させてもらおう、アルスターの光の御子。俺の名は衛宮宗次。影の国の女王スカサハの弟子、波濤の獣を打ち倒し、ゲイ・ボルクを授かった者だ。…貴方の、弟弟子にあたる」

 

 あまりの驚きに固まるランサー。よく分からないが自分の兄が凄い人物だったことに宇宙を感じる士郎。せっかく召喚されたのに自分に全く注目が集まらないので拗ねるセイバー。

 心做しかドヤ顔をしている宗次に、再起動したランサーがかけた言葉は…

 

「お前さん…大変だったろう、よく頑張ったなぁ」

 

 兄弟子として、同じ苦行を乗り越えたものに対する心からの賞賛だった。

 

「…やはりあなたにはわかって貰えるか…辛い日々だった。いつ来るか分からない襲撃、幻想種と戦わせられる毎日、休憩時にはルーン魔術を叩き込まれる…」

 

「やっぱ師匠は変わってなかったか…なんで影の国へ修行を受けに行ったんだ?そもそも現代じゃ影の国に行く方法は無いはずだが」

 

「捨て子ですよ、物心着く前に捨てられて、運良く、いや運悪く流れ着いたのが影の国…」

 

「…ほんとによく頑張ったな。俺らは一応自分の意思で修行を受けに行ったから耐えられたが…お前さんはなぁ…」

 

「辛かったですとも。…兄貴とお呼びしても?」

 

「おう、構わねえぜ。お前は俺の弟分だからな。なんかあったら頼ってくれや」

 

「ありがとう、兄貴」

 

 よく分からないが命は助かりそうだしいいやと開き直った士郎、敵サーヴァントの襲撃のはずが同門の愚痴を言う会になったことに宇宙を感じるセイバー。場はカオスと化していた。

 

「まあいい、とりあえず今日のところは帰らせてもらうぜ。弟弟子に会えたし、真名も割れちまったし。そこのボウズもマスターだってんなら、それを殺すのは俺の目的にも反する」

 

「ああ、さよなら兄貴。残念ながら俺は弟の味方をするから、アンタとは敵同士だが…健闘を祈る」

 

「おうよ。次に戦場で会った時には、思う存分やり合おうぜ。じゃあな!」

 

「ッ、逃がすとでも!」

 

 塀を飛び越え、去っていくランサーを、再起動したセイバーが追う。宗次と士郎の2人は、思わず、

 

「「空気読めよ」」

 

 と呟いた。

 威勢よく飛び出したセイバーだったが、士郎と正規の契約を結んでいない以上、最速のクラスであるランサーに追いつけるはずもなく…

 

「くっ…逃がしたか。…新手か!?」

 

「御機嫌よう、衛宮君。いい夜ね」

 

「む─、…フフっ」

 

 代わりに何やら嬉しそうなあかいあくまと、意味深に微笑む赤い弓兵と遭遇するのだった。

 




 本来なら兄貴との戦闘のはずが、いつの間にかギャグ回になってしまった…
 なにかありそうなアーチャーに、恋のキューピット(オリ主)の活躍によりチョロインと化したうっかり娘。
 これはHeaven's_Feelなんて入りませんね!
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第5話 アーチャー・エミヤ

 アーチャー登場。
 オリ主君の介入によって何やら変化が…?
 どうぞ。


 ランサーと入れ替わるように現れた赤い主従。

 新たなサーヴァントの登場に、セイバーはもちろん、士郎も緊張感を高めるが、宗次だけは赤い男─アーチャーの顔をチラリと見ると、ふっと笑って槍を消した。

 

「剣を降ろせよセイバー。そこのうっかり娘は敵じゃないぜ」

 

「誰がうっかり娘よこの麻婆!…え?何?あんた魔術師だったの?」

 

「落ち着きたまえ、凛。化けの皮が剥がれているぞ」

 

「うるさいアーチャー!そうじゃなくて!そこの麻婆!質問に答えなさい!」

 

「誰が麻婆だ、誰が。…まあいい。とりあえず入れよ、飯の時間だ。詳しくは飯を食いながらでどうだ?」

 

「コホン、そうね。衛宮君も何がなんだか分からないだろうし、私も色々聞きたいことがあるからね。お邪魔するわ、衛宮君」

 

 コントじみたやり取りの果てに、どうにか話がまとまり、衛宮邸に入っていく宗次と赤い主従。取り残された士郎とセイバーは、困惑した表情で顔を見合わせるのだった。

 

 

 

 

 

 

「とりあえず座ってな、遠坂。アーチャー、手伝えよ。飯だ」

 

「私としては構わんが…いいのかね、凛?」

 

「いいわ、むしろお願いしたいくらい。そこの麻婆に任せておいたら、どんなものを食べさせられるかわかったもんじゃないわ」

 

「お前は俺にどんなイメージを持ってんだ?」

 

「筋トレ&麻婆愛好家の変人」

 

「うーん否定できない。まぁ安心しろよ。今日は普通のハンバーグだぜ」

 

「ありがとう兄さん」

 

「ダメでござる。お前は俺が忠告したにも関わらず遅れて帰ってきやがったので今日は断食でござる」

 

「そんなぁ!」

 

「えーと、マスター?私はどうすれば…」

 

「テメェも座ってなセイバー。ああ、アーチャーに襲いかかったりするなよ」

 

「失礼な!流石に私も時と場合はわきまえます!」

 

「どうだか。っと不味い、焦げる焦げる…」

 

「やっておいたぞ」

 

「ありがとアーチャー」

 

 ワイワイ、ガヤガヤ。衛宮邸の居間は、朝以上の喧騒に包まれていた。英霊2人に魔術師、逸般人にブラウニーが揃ってはさもありなん、と言ったところか。

 

「遠坂は士郎に聖杯戦争について説明しておいてやれ。現実逃避で若干幼児退行してやがる」

 

「わかったわ。でもアンタにも説明してもらうことは沢山あるんだからね!」

 

「ハイハイ。アーチャー、ちょっといいか?」

 

「なんだね?」

 

 凛が士郎にどもったり赤面したりしながら聖杯戦争について説明しているのを尻目に、宗次とアーチャーは食事の準備を進める。セイバー?ただのカカシですな。

 

 テキパキとハンバーグを焼きながら、宗次はアーチャーに小声で話しかける。

 

「やはり黙っておいた方がいいか?アーチャー…いや、()()?」

 

 宗次の問いかけに、アーチャー─エミヤシロウは驚きのあまり、持っていたじゃがいもを取り落とす。

 

「…なぜそれを」

 

「ハッ、俺は兄だぜ?弟の顔がわからねぇわけがねぇだろ?」

 

 不敵に笑う宗次の顔をしばし呆然と眺めたあと、エミヤはふっと肩の力を抜いた。

 

「はぁ…やはり兄さんには敵わないな」

 

「あたりめぇだ。兄より優れた弟はいない…なんてな。それよりなんだその話し方。遅めの厨二病か?」

 

「見たくもない現実を直視し続けて、その果てに抑止にこき使われる身になれば嫌でもこうなるさ」

 

「へぇ?なら後悔したか?正義の味方という願いは間違いだと、あの日の自分は間違っていたと思ったか?」

 

 ニヤついた表情から一転、真面目な顔になった宗次が問いかける。それに対しエミヤは─

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。どれだけ辛く厳しい、叶うはずのない、青臭い理想だったとしても─

 あの日抱いた、正義の味方になりたい、誰かを助けたいという想いが、間違いなはずないんだからな

 

 反対ににやりと笑い、そう言いきった。

 

「そうか─お前は、折れなかったんだな」

 

「兄さんのおかげさ。全てを捨て、正義の味方を目指すと決めたオレを、それでもそばで支えてくれた。そうまでしてくれたのに、オレが折れている場合じゃない─そう思わせてくれたからこそ、オレはここまでやってこれたんだ」

 

「そうか、俺は、ちゃんと支えられたのか。─ああ、安心した」

 

 宗次は、心底安心したかのように、ひとつ息を吐く。

 

「ああ。あの日、正義の味方になると決めてからの、兄さんと歩んだ日々は、何一つ摩耗することなく、オレの中に残っている」

 

「そりゃいい。…俺も頑張らないとな。…ほら、できたぜ。運ぶのを手伝ってくれ」

 

「ああ、了解した。…私が作った方が、上手くできたと思うが?」

 

「うるせえ。お前の方が長く生きてんだからお前の方が上手いのは当然だろうが。今日の料理当番は俺だ」

 

「ふむ、となると、明日は私ということになるな」

 

「そうだな。…士郎の手伝いをしてやってくれ、アーチャー」

 

「フッ、了解した。マスターの同盟相手…まぁ暫定だが。その手伝いをするのもサーヴァントの務めだ」

 

 語り合う2人。その様子は、誰が見ても、仲の良い兄弟だ、と形容するものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と話し込んでみたいだけど、いつの間に仲良くなったのよ、あんた達」

 

「ついさっきだよ、ついさっき」

 

「何、気にするな。ただ単純に、気があったというだけだ」

 

「そんなことより、ちゃんと説明したのか?」

 

「もちろんよ!ねぇ衛宮君?」

 

「ああ。殺し合いなんてダメだ、止めないと。誰も犠牲にしない為に、俺は聖杯戦争に参加する」

 

「ああ、それでこそ士郎だ」

 

「フッ、青臭いな」

 

「なんだと!?」

 

「まあ落ち着けよ士郎」

 

「…ああ。それより、なんだよさっきの。兄さんは一般人じゃなかったのかよ。説明してもらうからな」

 

「そうよそうよ!説明しなさい!」

 

「ハイハイ、分かったよ。飯食ったら話すから、とりあえず食べようぜ。士郎は断食でござる」

 

「なんでさ!」

 

「うるせえ!…それじゃ、いただきます!」

 

「「「いただきます!」」」

 

「俺も食べたかったなぁ、ハンバーグ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでアーチャー」

 

「なんだね?」

 

「遠坂とはどうなった?(ニヤニヤ)」

 

「グフッ!?」

 

「ど、どうしたのアーチャー?」

 

「い、いやなんでもない」

 

「で、どうなんだ?(ニヤニヤ)」

 

ぐぬぅ…(オレもイリヤのことで煽りたいが…現時点では兄さんとイリヤにはほとんど接点がない…くそぅ)」

 

「おーいアーチャー?(ニヤニヤ)」

 

「クッ…殺せ!」

 

 

 

 

 




 Fate/staynight ~完~

 いや、終わりませんからね?
 というわけで既に答えを得ていたアーチャーでした。どうやら生前は凛とくっついたようで。オリ主の恋のキューピット作戦は成功していたようです。

 これはHeaven's_Feelルートなんて入りませんね!勝ったなガハハ。

 あとセリフが少ないセイバー可哀想。
 そして衝撃の事実!オリ主は麻婆愛好家だった!泰山の麻婆を食べれるのは転生オリ主の嗜み。
 なお実際は影の国の食事が不味すぎた(栄養面は完璧)せいで現代の食べ物ならなんでも美味しく食べられると言うだけ。
 あとヒロインはイリヤのタグに違い無し。

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第6話 現状把握

セイバー・アーチャー陣営の自己紹介&麻婆神父登場です。
どうぞ。


 つい先程まで、食事中ということもあり、和やかな雰囲気に包まれていた衛宮邸の居間。

 しかし、今は少しばかりの緊張感に包まれていた。

 

 その発生源は主に2人。遠坂凛と、衛宮士郎である。

 

「…それで、ちゃんと説明してくれるんだろうな、兄さん」

 

「もちろん。だが、俺の話は多少長くなるからな。各々先に話すこと、まぁ自己紹介とかしてくれ」

 

「そうやって煙に巻くつもりじゃないでしょうね?」

 

「そんなことはしないさ。ただ、どうせお前らは同盟を組むんだろ?」

 

「ええ」

 

「ああ」

 

「ならお互いのことを知っておいて損は無いだろ?遠坂と士郎はともかく、相手のサーヴァントとは初対面だし」

 

 宗次のその一言で、隠していたこともある程度含め、各々が自己紹介をすることとなった。説明パートとも言う。

 

「ならまずは私から。遠坂家6代目当主、遠坂凛よ。得意な魔術は宝石魔術。遠坂でも凛でも好きに呼ぶといいわ」

 

「凛のサーヴァント、アーチャーだ。当たり前だが、真名は伏せさせてもらう。私に弱点といった弱点はないが、バレないに越したことはない」

 

「衛宮士郎だ。えーと、得意な魔術は一応強化。魔術師見習いだ。よろしく」

 

「…」

 

 士郎の自己紹介に、黙り込むセイバー。その眉間には僅かながらシワが寄っている。

 

「どうしたセイバー?」

 

「いえ、大丈夫です。しかし先程から気になっていましたが、やはり衛宮…まぁいいでしょう。ではマスター、あなたのことはシロウ、と呼ばせていただきます。私としてはこの発音の方が好ましい。」

 

「ああ、わかった。っていうか、呼び方とか今更な気が…」

 

「コホン。では改めて。シロウのサーヴァント、セイバーです。私も真名は伏せさせていただきます。アーチャー、リン、…えーと」

 

「宗次だ」

 

「ソウジ。よろしくお願いします」

 

 セイバー陣営の自己紹介も終わり、残されたのはこの場で唯一マスターでもサーヴァントでもない宗次のみとなった。

 

「さぁ、もう逃げられないわよ!隠してたこと全部履吐いてもらおうじゃないの!」

 

「そうだそうだ!」

 

「はいはい。ていうか士郎は俺に魔術の練習してたこと黙ってたくせによく言うぜ」

 

 そうして宗次は、10年もの間誰にも話さなかった、己の素性を話し始める。

 

「俺は衛宮宗次。今代の衛宮家当主。…そして、影の国の女王スカサハの弟子にして、波涛の獣クリードを打ち倒し、魔槍ゲイ・ボルクを授かった者だ」

 

「はぁ!?」

 

 声に出して驚いたのは凛のみであったが、見ればセイバーもかなり驚いている。士郎は影の国やスカサハと言われてもピンと来ないので困惑している。なんの反応も示さないのは、既に全て知っているアーチャーのみだ。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!あなた現代の人間よね!?」

 

「そうだが」

 

「じゃあどうやって影の国なんて行けたのよ!?」

 

「俺にも分からん。物心ついた時には既に影の国にいた。おそらく捨て子だった俺をお師匠…スカサハが拾ったんだろう。なぜ影の国に流れ着いたかは知らん」

 

 その言葉に凛は、しばし百面相をした後、へなへなと倒れ込んだ。

 

「大丈夫かね?」

 

 この反応をすることを知っていたアーチャーは、凛に声を掛けるが、凛はうーんと唸るばかり。

 

「えっと…つまりどういうことだ?」

 

「ソウジは、かの女王の弟子であったか…シロウ。影の国の女王スカサハというのは、不老不死の女傑で、先程のランサー、クー・フーリンなどの師です。ソウジの話からして、今も尚生き続けているのでしょう」

 

「あのランサーの!?…ってか、クー・フーリンって…どっかで…」

 

 そういった知識に疎い士郎にセイバーが補足説明をする。士郎はクー・フーリンの名に聞き覚えがあったのか、何とかして思い出そうとしている。

 

「兄貴は日本じゃ知名度は低いからな…でもほら、必中の槍ゲイ・ボルクは聞いた事あるんじゃないか?ほら、これ」

 

 そう言って宗次が再びゲイ・ボルクを実体化させると、再起動した凜が士郎よりも早く手に取り、まじまじと眺める。

 

「これ本物?よく出来た偽物じゃなくて?」

 

「疑っているところ申し訳ないが、凛。間違いなくそれはゲイ・ボルクだ。投影魔術で作り出した贋作でもない。少々形等がランサーの持っていたものとは異なっているが、材質は全く同じ…おそらく、波涛の獣クリードの外骨格だろう」

 

 ダメ押しのアーチャーの証言に、凛は額に手を当ててため息をつく。

 

「とんでもないわね…衛宮君、あんたのお兄さん、すごい人よ。なんてったってスカサハがゲイ・ボルクを授けたのは、彼以外ではクー・フーリンしかいないもの」

 

「へぇ…でも、なんでそのことを黙ってたんだ?」

 

 士郎の質問に、宗次は凛の方を向きながら答えた。

 

「その辺のことは遠坂ならわかりやすいはずだ。俺がお師匠から教わったのは、なにも戦闘技能だけじゃない。ケルトの戦士たちが好んで使った、現代では失われてしまった…」

 

「そっか、原初のルーン。そりゃ黙ってないとダメだわ」

 

「ああ。原初のルーンが全て使えるなんてなんかの拍子に魔術協会にバレたら封印指定待ったナシ。確かどこぞの冠位人形師がそれで封印指定食らってたはずだからな。それでも全部じゃあなかったんだぜ?もしそんなことになっちまえば士郎にも危険が及ぶからな。万が一に備えて黙っておいたのさ」

 

「ふーん。…封印指定って何?」

 

「衛宮君にわかりやすい例えをするなら…謎が多い、珍しい動物を見つけたらどうする?」

 

「捕まえる?」

 

「そう。保護しないのなら、捕まえて解剖して研究するでしょうね。要はそれを人間相手にしていいよっていう指定のことよ」

 

「そんな!」

 

 人の命をなんとも思っていない所業に、士郎が憤慨する。正義の味方を志す士郎にとって、そのような行いは決して許せるものでは無い。これにはさしもの凛も賛同する。

 

「そうね、魔術師の私でもちょっとどうかと思うもの」

 

「ともかく、修行を受けながらある程度まで育てられた俺は、影の国から出られなくなる前に外に出されて…切嗣に拾われたっていうわけ。それからも毎日お師匠が夢に出てきて修行をつけてもらってる。俺の素性に関してはこんなもん。どう?納得した?」

 

 宗次の締めくくりを受けて、凛は今日1番のため息をついて、首を降った。

 

「納得したくないけど、さすがに現物見せられちゃ信じるしかないか…」

 

「信じてくれたようで何より。さて、それじゃそろそろ行こうか」

 

 そう言いながら立ち上がった宗次に士郎はどこへ行くのか、と問いかける。それに対する返答は、凛にとっては至極面倒臭いものであった。

 

「決まってんだろ。士郎が聖杯戦争に参加するなら、監督役に参加を表明しないと」

 

「へぇ…監督役って誰なんだ?」

 

「こいつの同類よ、同類」

 

「まぁ否定はしない。じゃあ行こうか。監督役の根城たる冬木教会…我が同士、遠坂曰くエセ神父こと、言峰綺礼の所へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついたぜ。教会の中はサーヴァント立ち入り禁止だから、ここで待ってろ…よぉ、邪魔するぜ言峰」

 

「これはこれは。良くぞ来たな我が同志よ…そういえば君は魔術師だったな。聖杯戦争に参加するのかね?」

 

「ちょっと!なんでこいつには話してんのよ!」

 

「そりゃこいつがある意味では1番信用できるからに決まってんだろ」

 

「はぁ!?このエセ神父のどこが信用できるって言うのよ!」

 

「失礼だな、凛。私ほど信用に足る人間はなかなかいないと思うが」

 

「どの口が言うのよこのエセ神父…!」

 

「まぁ落ち着け。こいつは誰かに話された秘密は最も効果的なタイミングでバラそうとするやつだからな。逆に言えばそれまでは絶対に秘密を守ってくれるって寸法さ。…それで、その話なんだが、聖杯戦争に参加するのは俺じゃなくて弟の方だ」

 

「どうも、見習い魔術師の衛宮士郎です」

 

「ほう?同志から聞いているよ。確か正義の味方を志しているのだったかな?」

 

「ああ、まぁ」

 

「ふむ…ところで君たち。10年前の大火災が聖杯戦争によるものだと知っていたかね?」

 

「なっ!?」

 

「嘘!?」

 

「やっぱりな。まぁそんな事だろうと思ってたぜ。魔術師同士の争いなんざ、ろくなことにならんのは明白だ」

 

「フッ、さすがは我が同志だ、そこらの凡骨とは訳が違うな」

 

「褒めても泰山のクーポンくらいしか出ねぇぜ?」

 

「それはそれは。後で頂いておこう。…それで少年。この話を聞いて、君はどうする?」

 

「…決まってる。あんなことはもう二度と起こしちゃいけない。そのためにも、俺は聖杯戦争に参加する」

 

「ふむ、なるほど、君はその道を往くか。それもいいだろう。」

 

「話は済んだわね?とっとと帰りましょ。作戦会議もしなくちゃいけないんだから、こんなエセ神父に構ってる暇はないわ」

 

「だそうだ。じゃあな言峰。また今度麻婆でもご馳走してくれ」

 

「了解だ。無論、聖杯戦争を終えて君が無事なら、の話だがね」

 

「抜かせ、お前も俺が死ぬなんざ思ってないクセに」

 

「おっと、それは確かにそうだな」

 

「…」

 

「…衛宮切嗣の志を継ぐ少年よ」

 

「…なんだ」

 

「喜べ、君の願いはようやく叶う。たとえそれが容認し得ぬものであっても、正義の味方には倒すべき悪が必要なのだから」

 

「ッ!お前!」

 

「どうどう、落ち着け士郎。こいつは少々短気でね。あまりからかわないでやってくれるか」

 

「それを聞いて私が素直に聞くとでも?」

 

「ハッ、思ってねぇよ。…またな」

 

「ああ、ではまた」

 

 

 

「此度の聖杯戦争、なかなかに愉しくなりそうだ…」

 

 




 ちょっとオリ主と言峰を親密にさせすぎたかな?
 今回は余り面白くなかったかも知れません、申し訳ない。
 次回はVSバーサーカーです。お楽しみに。

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