ハリーポッターと不死身の預言者 (或売奴千刺)
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序章 初めての友達
プロローグ


ポッターモアやゲームなど小説原作以外のキャラの登場や知識も出てきます。
本作主人公は根がヴォルデモートよりも邪悪です。オリ主、猟奇的シーン、具体的なグロシーン、原作・公式知識無双の要素がありますがそれでもよければよろしくお願いします。


僕は生まれた時から変なやつだった。

与えられたおもちゃは壊し、壊れる姿を見て笑う。

形あるものをぐちゃぐちゃにするのは楽しくて、いろんなものを壊してしまった。

 

それから、ひどく偏食でほぼ全ての食べ物から臭みを感じていてなかなか好きになれなかった。

匂いや味に敏感で食べるもののほとんどが気持ち悪くて、変わった味を楽しめるようになるまでは、ほとんど食べられなかった。

 

昔、虫を沢山飼っていた僕は、虫を殺している同級生を見て憤怒に駆られていた。

子供というのは蟻を潰したり、バッタの足をもいだりカブトムシを高いところから落として耐久実験をしたり。

 

そういうのが可哀想だと見てられなかった。一方で人が殴られている様子を見て酷く気分が高揚した。

むしろ蟻のようにすりつぶしたらどんな反応するのか、バッタのように手足をもいだら?死なない程度に高いところから何度も落としたら?仲の悪い同級生や意地悪な上級生をみて残虐な妄想に耽った。

 

 

もっとも異常、足るものが血を吸いたいという欲望で、歯が生え変わる時、自分の歯茎を突き破って新しい歯が生え変わろうとして常に出血していたあの頃、口の中を滴る血を舐めて僕は血の美味しさに気づいた。

 

思春期に入ると僕の友達らは酷く性に興味を持って学校の図書館でエッチな絵が書かれた本をみんなでこっそりみたり、クラスメイトの女子でヤるなら誰だとか、性癖暴露大会なんかやって異性に関心を持っていたが、もっぱら僕の関心は血に関することで、常に考えていたのはクラスメイトで一番血がうまそうなやつ、である。

 

探究心というのが僕に目覚めたのはこの頃で、まだスマホなんてものはなかったし今ほど調べやすくはなかったから、自分の体でいろんな実験をした。

今考えてもおかしくて、自殺願望があるわけでもないのに故意に自分の身体のいろんなところを傷つけて、血をテイスティングしていたのだからどうかしている。

 

その中で気づいたことだが、心臓より下の血は苦く、上の血は深い旨味と塩味となんとも言えない極上の香がすることだった。

そして脂が混じった血は粘土のような味がして不味いことも知った。

 

創作で吸血鬼が首元に噛みつき血を吸うのも自ら血を飲み比べる中でその合理性に気づいたわけだ。

とはいえ、僕ら人間の顎の力では焼いたり皮を剥いだ肉はともかく生きていて皮膚もついた人間の肉を噛み付いて血を出すというのはかなり困難なことだ。

 

中・高校生の頃には東京喰種とかJOJOとかが流行っていたお陰で僕の異常な面は厨二病として隠し通すことが多分できていた。

元に、自分を喰種だと信じて疑わないやつとか、吸血鬼だと公言しているやつもいたし。

 

自称喰種や吸血鬼は牛肉が好きみたいで、僕とは気が合わなそうだった。

 

自分で血を吸いたいだなんて異常だとは思っていながらも僕が悩むことはあまりなかった。

幼い頃から血を飲みつつけていたせいか、あまりに日常化していたからだろう。

 

唯一困ることといえば、初対面の人間がワインのボトルやジュースのパックそれから未開封のお菓子の袋のように感じることだろう。

ああ日焼けしていて体も引き締まっていて血も美味そうとか、キツすぎない香水の匂いがいいなセンスがいい人だし血も美味いだろうとか、汗でびしょ濡れで太ってるし血に脂が混じっていて不味そうだとか。

 

そういう血に異常な執着を持ちまた血を美味しく感じることを大学生になって好血病というらしいことを知った。

 

吸血病やヴァンパイアフェリア?とも言うらしい。

 

ネットで調べてもほとんど出てこなくて、それが本当なのかわからなかった。

大学を卒業したら就職するが、僕は少しずつ強まる吸血願望が抑えられなくなるのではないかと不安だった。

不安はそれが病気かどうかということや人を襲ってしまうかもしれない恐怖や罪悪感からくるものではない。

僕に罪悪感のざの字もないことは、明らかであったし、不安の種は万が一その辺の人から血を啜って事件になった時、僕が築き上げてきた日常が失われるかもしれないということだ。

 

他人から血を貰えない状況では、自分の血を吸うしかないが、あまり飲み過ぎれば貧血や出血死のリスクもある。

 

だが、動物や魚の血で代用するのは論外だ。生臭いし、苦いしとてもじゃないが飲めたものではない。

普段は血液に似た味の梅味のキャンディで代用して衝動を抑えているが、それがいつまで持つか。

 

 

そんな生活を続けていたからだろうか。

 

僕はある時から記憶が曖昧になって、震えも止まらなくなった。

 

 

それがいつの日か見た人肉中毒者の末期症状に似ていると思ったが、だからと言って吸血はやめられないしいろんな意味で手遅れだった。

 

 

人間離れした欲望と食生活と性格を持っていたとしても、遺書や辞世の句を読む暇もなく死んだのは、所詮僕が人間でしかなかったということに他ならないだろう。

 








今後の展開について

一つ二つ、今後の展開について先に述べておくとすれば、せっかく転生したというアドバンテージや設定的な魅力を持ちながらも、自分が転生したことや原作知識を積極的に、または初期から開示してしまう小説にはならないと思います。

"「やあ、ハリー!君の未来を僕は知っているよ!なんせ僕は転生者だからね!」"

とか

"「先生!ジニーはヴォルデモートに操られているんです!」「何故君がそんなことを知っているのだ」「それにはまず僕に開心術を掛けてください!」「こ、これは…!?(転生前に見たハリーポッターの映画のシーンをみる)」"

とかそういうのは無いです。
あと、いきなりダンブルドアに「お主転生者じゃな?」のような狂ったメタ発言(つまらない)展開はない、とだけ言っておきます。

二つ目。
アンチ・ヘイト要素も原作キャラに対する否定ではなく、オリ主や原作を知る転生者がいることによる間接的なストーリーの破綻(現在と違う部分がでる)という面でタグを入れています。

最後に。
もやもやするシーンやオリジナル展開があるとは思いますが、こういった感じでもよければどうぞよろしくお願いします。


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目覚め

2021/10/11 21:46脱字部分、加筆


イギリスの一角のなんもない平凡なハロウィンの日だった。

つい4年前まで闇の魔法使いが大暴れし、英雄の両親を惨殺したとは思えない程に、何にもない平和なハロウィンだ。

 

ウェインライト氏が住まう一軒家の一室で、風邪にうなされていた男の子は目覚めた。

男の子はハロウィン前に風邪にかかり、楽しみにしていた友人とのパーティにも出れず、熱にうなされる中拗ねていたが、ようやく熱が引いてきたところだった。

 

熱にうなされていた時は、両親のどちらかが面倒を見ていたが、共働きであったため、今は一人息子のリンネを残して二人とも働きに出てしまっていた。

 

父のジェイク・ウェインライトは家庭型パーソナルコンピュータを販売する会社に務めているエリートで、ウェインライト家自体が裕福なだけあって本来なら共働きである必要はなかった。

母ベルナデット・ウェインライト、旧姓ベルナデット・ルーセルは父がフランス旅行に行った際に出会った女性で彼女もなかなかの資産家の家であり、プロポーズしたジェイクに彼女の両親は一度反対したものの同じく裕福で資産狙いではないことが分かると交際を許した。

二人は結婚し子供を授かるも、子育てよりも仕事に夢中になり半ば育児放棄状態だった。

ただ家は裕福であるため、育児や家事のほとんどはハウスキーパーに任せ、リンネ自身もほとんど両親に可愛がってもらった記憶がなかった。

 

パソコンを販売している会社の従業員だけあり、家にはまだ珍しいパソコンが何台も置かれ、子供のリンネでも触ることができたが、正直面白くなくてもっぱら外で友達と遊んでいた。

 

初めて目が覚めたとき、リンネ・ウェインライトは見慣れたはずの部屋におや?と疑問を感じていた。

 

この世界には魔法使いという者たちと魔法の使えないマグルと呼ばれる人種が存在する。

 

魔法使いは人に乗り移ったり、人の記憶を入れ替えたり消したり、思うがままに操ったり出来る。

 

とはいえマグルの一家に生まれ、両親ともにマグルで、近くに魔法使いもおらず魔法の危害を加えられる要素がないウェインライト氏の息子が、見慣れたものを見て初めて見たかのような顔をするのは異常だ。

 

マグル的に言えば記憶が混乱しているとか記憶喪失かもしれないと考えるだろうが、リンネには自分がリンネ・ウェインライトという名前であることや両親の名前、この部屋が自分の部屋であること、昨日何があったか、2年前におねしょをしたことまで克明に覚えていた。

 

魔法の魔の字も関係のないリンネにとって本来、どこの変哲もない見慣れた自分の部屋に疑問を感じることなどないはずだ。

 

稀にマグル生まれの親から魔法の力を持つ子供も生まれるが、それとも違う。

彼には魔法どころではない秘密があった。

それは彼が今目覚めるまでなかった秘密であり、今まさにただの少年だったリンネ・ウェインライトが特別な存在になった瞬間だった。

 

彼には、日本という国で生まれ死んだ記憶があった。遠く離れた島国で、1985年現在から40年近く未来の2023年の記憶を持っていた。

タイムトラベルかタイムリープか。

少なくとも日本に住んでいた頃の彼がイギリス人だった事実もなければ、40歳近くだったこともない。

20を過ぎてそろそろ就職先を探していた大学生のはずだった。

血を吸い、同じ人間を食べものや飲み物のように見ていたことや少し度を過ぎた嗜虐心を除けば好青年であったことは間違いない。

そして人肉中毒になって死亡し、その死の直前のことを無意識に思いだした彼は現在、風邪は治ったはずなのに、汗でぐっしょりとしていた。

 

脱水症状を起こして体が重いのを無理矢理起こして、ぴったりと肌に張り付いたシャツとか蒸れたトランクス(パンツ)など、そんなことが気にならないかのように、凄く不思議そうな顔で周りを見回した。

 

酷く喉が渇いていたリンネは、当然の机の上に置かれていた花瓶から花を引き抜くと床に捨てて、花瓶の中に入った濁った水をごくごくと喉を鳴らして美味しそうに飲んでいた。

そも、この行動が人間離れしているわけで彼を知る人物が今のリンネ・ウェインライトを見れば腰を抜かすほど驚くだろう。

リンネは花を大切にしていたし、少なくとも人間の大半は花瓶の中で腐食した水を飲もうとしない。

 

やがて薄くしか開いていなかった目を見開くと、頭の先から伸びる絹のように細く艶やかなで輝くブロンドの髪の毛を乱雑に引っ張ったり、可愛らしい小さくて高い鼻をよじれるくらい摘んだり、ヨーロッパでは整えられている方がステータスである、犬歯を触って酷く落胆したり、子供用の机の上に立てかけられた写真を床に叩きつけてニヤニヤと子供あるまじき不気味な笑みを浮かべた。

 

今までのリンネ・ウェインライトにその写真はとても価値のあるものであった。

リンネを中心に母と父。父の祖父と大好きなハウスキーパーのソフィア。

最後にみんなで遊びに行った遊園地での写真だった。

 

人生の中でもっとも幸せな体験だった。

かえってこない父がくれた沢山のお金が入ったクレジットカードや、母が作り置きしてくれた好物のでっかいチキン。

クリスマスには山のように置いてあるおもちゃ。どれもこれもみんながうらやむものを貰いながらも、一番リンネが欲しかったのは両親からの愛だった。

 

両親が最後に連れて行ってくれた、みんなで行ったあの1日がリンネの宝物であったはずなのだ。

 

大切だった写真は床に叩きつけられ写真たての額はひしゃけ、ガラスは飛び散った。

リンネ・ウェインライトはその時の幸せな気持ちを思い出しながら、おもむろに引き出しから取り出したインクで真っ黒に塗りつぶして手が汚れるのも構わずぐしゃぐしゃに丸めて机の上に置いた。

 

終始、不気味な笑みを絶やさなかったリンネは、まるで火に吸い寄せられる虫のように、靡くカーテンの向こうに広がる芝生をみると、窓枠を乗り越え裸足のまま、外へ飛び出した。

インクが手についた状態でカーテンを払い、窓枠を乗り越えたがために白く高級感のあったカーテンは薄汚れ、窓枠にはくっきりとした手形がついた。

 

家の外に広がった芝生を踏み、庭の草花を蹴り、生垣の中を抜け、全身を草だらけ足を土だらけに汚してぶかぶかの寝巻きをきたまま走り出した。

 

 

『ははは、僕ってば凄いや!』

 

昨日まで、濁った目をして表情がなかったはずのリンネには今まさに感情が渦巻いていた。

それは少なくとも子供の無邪気なものではなく、大人が浮かべる欲に塗れた邪悪な笑みだった。

嗜虐に震える瞳と、吊り上がって痙攣したように笑う口、何よりその体から発する狂気のオーラからはリンネ・ウェインライトがよからぬものに憑かれたことを理解させられる。

 

突然、ネイティブな発音で異国の言葉を叫びながら裸足に寝巻き姿で走るリンネを、隣の家に住まうエリナ・ヒューズという偏屈なお婆さんがおかしなものを見たというような驚いた顔で固まっていたが、今、リンネにとって自分がどんな姿かだなんてどうでもよかった。

 

そんなことよりも、自分が見ず知らずの誰かになりかわっているという事実に驚愕し乱舞していたのだから。

 




そんなことよりおうどん食べたい






アンケートの結果次第で内容が変わります。【分岐 序-2】


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18世紀から来た男(皮肉)

2021/10/13 1:24 誤字修正 反応→万能


家を衝動的に飛び出したリンネ・ウェインライトではあるが、いくら大人だった人格を持つとはいえ、見慣れない土地でいくらか歩いて仕舞えば迷子になる。

リンネ自体も、狂った日本人の人格が宿る前まで家をほとんど出たことはなかったし、そもそも街を歩いた記憶がない。

 

今、リンネが住んでいる家は大がつかないまでも豪邸であり、ハウスキーパーのほかに専属の料理人や運転手、警備員までいる。

いつも友達と遊ぶ時は車で移動していたし、友達も親が選んだ素性や血統がはっきりした人物しかおらず、5歳の子供ながら外で遊ぶにも野蛮なことは許されない。

 

それまでリンネという少年は正真正銘の5歳だったわけで自分の生活がいかに抑制されたものか理解していなかった。

そこに、未来の異国の親と子の接し方が違う、そんな文化の情報とそれを理解できる人格が流入して来たがためにリンネは気づくことができた。

 

写真はゴミクズのように汚し笑ったのは、邪悪な人格に乗っ取られたからだけではなかった。5歳のリンネ本人の人格が、気づいた自らの不遇さに思わず苦笑し、憎しみと愛情となんとも言えない不快感から自然と笑っていたに過ぎない。

 

話を戻すがリンネ本人も街を歩いたことがなく、体を動かしている人格もイギリスの街なんか詳しいわけがなかった。

いくらGoogleマップのような便利なものが出来ても理由なしにイギリスの何処ともわからぬ街の道を見て覚えることはない。

よほどの地図マニアだとか、そこで映画やアニメの撮影があったならまだしも。

 

「なんだ、あいつらは」

 

5歳の子供が出歩いているのを見て親元へ返してあげようと追いかけてきた親切な大人を撒いて、路地裏に逃げ、他人の庭を抜け、犬に吠えられ驚き、塀をつたい、薄汚い繁華街の裏道を抜け、いつのまにか大通りに店した道に来ていたリンネの目に映ったのは、18世紀からタイムトラベルして来たのかと思わず目を疑うような格好をした男だった。

 

アンティークなどとは言い難いもはやバリバリに見た目が浮いているコートのようなものを羽織り、頭が狂っているのか細長い木の棒の先から花火のようなものを出して通行人に浴びせまくっている。

 

突然花火なんて浴びせられたら普通、光や暑さに驚いたりするだろうし、やばいやつだと走って逃げたり警察を呼んだりはたまた殴りかかってもおかしくない。

ところが、その逝かれた男をみえていないかのように通行人は歩いていくし、誰も警察を呼ぶ感じもない。

 

「オブリビエイト!オブリビエイト!オブリビエイト……!」

 

「あー、ジェーマスくん、その辺にしておきたまえ。忘却術はもういいからマグル避けを使えんのかね」

 

オリビエント?だかなんだか、いまいちよく聞こえなかったがリンネ・ウェインライトが逝かれた男をガン見していると近くの店のドアが開いてスーツを来た赤毛の男が出てきた。

 

「はぁ、実はまだでして」

 

ジェーマスと呼ばれた逝かれた男に赤毛の男は懐から取り出した棒を指の先で遊ばせながら詰め寄った。

 

「いいかね?オブリビエイトは万能ではないし、万が一同じ場所を通ったマグルが一斉に体調不良なんかになってみろ、ザ・クィブラーのようなクズ雑誌の連中が調べに来るぞ」

 

「ええ、わかりましたよ。次、次の時までにはマグル避けをやっておくのでそう怖い顔で寄らないでくださいよ」

 

赤毛の男をその場に置いてジェーマスは手をひらひらとさせながら"漏れ鍋"と書かれた薄汚れた店の中へ入っていった。

 

(まるでハリーポッターの世界の住民みたいだ、完成度高いなぁ)

 

5歳のリンネの部分は初めて見た"魔法"に驚き興味深くも恐怖を感じていたが、彼の狂った日本人の部分は蛇のような目で赤毛の男を見ていた。

 

ハリーポッターとか、ロードオブザリングやナルニアの魔法みたいだと思いつつも、もっともしっくり来たのはハリーポッターに登場するイギリス魔法界で、まさに、そのとおりだと言わんばかりに、漏れ鍋という文字が輝き、ガラスの向こうにはトンガリ帽子や、ローブを羽織った"タイムトラベラー"たちがひしめいている。

 

あり得ない世界に入り込むだなんて創作の世界みたいだとは思いつつも、リンネはそれをパフォーマンスや、手品ではなく本物の魔法だと、体感的に気付いていた。

 

まともな精神であれば、自分が物語の世界の中にいるかもしれないという状況に歓喜か悲劇か少しは心情に変化があるだろうが、リンネの心には風の一つもない水面の如く穏やかだった。

 

赤毛の男がドアを開け、ジェーマスという男が入って行った漏れ鍋という店は、魔法使いが集うマグル界との入り口である。

 

先程のオブリビエイトというのも逝かれた男の戯言ではなく、ハリーポッターというイギリスの児童向け小説に登場する魔法の呪文の一つで、対象の記憶を消すことができるものだ。

 

そして彼らのように木の棒を振り回し人間に呪文を浴びせ、こそこそ暮らしている奴らを魔法族という。

 

リンネは自分がジェーマスとかいうタイムトラベラーもどきよりも珍妙な格好をしていることを自覚しながらも赤毛の男に近づき、彼が腕を振り上げ呪文を唱える前に話しかけた。

 

「ん?またマグルか……オブ」

 

「ハッピーハロウィン!お菓子をくれないと"糞爆弾"を投げつけちゃうぞ!!」

 

 




「ん?またマグルか……オブ」
「あれ?何やってるんです?」
「(ジェーマス?だったか助かった)」
「ジェーマス、なんのつもりだ」
「ハッ、いっそ笑えますね、ええなんのつもり?ご自身で分かりませんか?貴方が忘却術を否定したではありませんか」
「お前がマグル避けを使えないことと私の腕を掴んでいることになんの関係がある?」
「で、貴方は万能じゃない忘却術を歳いかぬ子供にかけると?俺は貴方と違ってマグル融和派でもなければマルフォイさんとも違ってマグルを憎んでいる訳でもない。だが、貴方のやっていることはいささか矛盾しているとは思いませんか?」
「…!!このッ!オブリビエイトッ!!」
「グハッ!?」
「(ジェーマス!!おまえっ誰だか知らないが哀れっ!)」
赤毛の髪の毛は少しずつ金髪へ、緩んだ顔の肉は締まりハンサムな姿へ。
みるみるうちに変わっていく。
「ふ、ふふふ。ジェーマス。詰めが甘いですね、貴方の功績はこのギルデロイ・ロックハートが頂きましたよ」
「(なん、だと……)」
「次は貴方です、リンネ・ウェインライトくん」

な訳あるか。

次回、ちゃんとした続きがあります。



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本物(Magic)か手品(MAJIK)か

糞爆弾とはハリーポッターシリーズにおける魔法界の悪戯グッズで、爆弾のように爆発し茶色い固形物を四方に撒き散らしながら悪臭を放つ愉快なおもちゃだ。

モンハンでいう肥やし玉の強力なバージョンと言う方がわかりやすいかもしれない。

 

そんな物体を至近距離で投げつけるというクソ餓鬼に赤毛の男は苦笑しながら棒を下ろした。

 

だがそれはただの棒ではない、魔法族にとっての最大の武器、杖だ。

 

杖というものはいわば、銃に当たる武器だ。

 

そんなものを子供に向けたり、手当たり次第通行人に撃つのだから、魔法族がマグルをどう思っているかなどたかが知れる。

 

目の前の男がマグルを好意的に思っているとしても。

 

「ハッピーハロウィン……えっと、糞爆弾は勘弁してくれ、おじさん仕事中なんだ」

 

お手上げだと言わんばかりに銃を向けられた一般市民如く両手を挙げ降参のポーズをとる男。

 

だが少し待ってほしい、糞爆弾と聞いて普通の人間なら子供が考えた言葉だとか、そういう空想のものだろうと思うはずだ。

 

なんせ今日はハロウィンで、悪戯されたくなければお菓子をよこせと堂々と見ず知らずの大人にちょっかいをかけられる日なのだから。

 

ところが、赤毛の男はリンネの目論み通り糞爆弾を何か知っているように一瞬嫌な顔をした。

 

リンネは慎重に言葉を選びつつ、畳み掛ける。

 

「ええ、知っていますよ。だってさっきマグルに忘却術を浴びせまくってましたよね」

 

ハリーポッターの世界では魔法使いは魔法を使えない人間をマグルと呼ぶ。

魔法使いを魔法族といい、マグルを寄せ付けない認識阻害のような魔法や空間を広げる魔法、転移の魔法なんかを使って隠れて暮らしているのだ。

忘却術というのも魔法族がマグルから隠れて暮らすのに必要なもので、忘却術をかける仕事なんかをするのは、魔法族の行政機関である魔法省の役人だけだ。

 

「あなたのお友達が」

 

マグルや、忘却術と言った魔法使いがいかにも使いそうな言葉を意図に入れてリンネが話すのはこの世界に本当に魔法使いがいるのかを疑り深く探っているからだ。

 

"あなたのお友達が"という皮肉も忘れずに。

 

「はは、見ていたのかい。その歳でオブリビエイトが忘却術だなんて知っているなんて相当な」

 

相当な。

"相当なハリーポッターファンだね。"

 

そうであるならばリンネ・ウェインライトとなった彼がとるべきは普通に生きることだ。

ただハリーポッターを原作者のJ・K・ローリング女史が小説を発表したのは1997年のことなので1985年現在に"ハリーポッターファンだね"などと言われる可能性は限りなく低い。

それにハリーポッターの十八番は忘却術ではないし、ハリーポッター=忘却術とは全く結びつかないことは、原作を読んだり映画を見たり、した諸兄には理解できるだろう。

ロックバートやロンならまだしも。

 

だが、明確にあり得ないと否定出来ないのには理由がある。

限りなく低いのであってゼロではないのは、日本で生きた"誰か"がイギリスに住むリンネ・ウェインライトの人格として宿った前例があるように、何が起こっているかわからない世界であるという警戒心からだ。

 

リンネにとって、ありえないことがあり得てしまっている状態では全てを疑う必要があるということだ。

 

何故今ここで警戒する必要があるのか。

それには明確な理由がある。

ハリーポッターシリーズには原作小説の他に、ハリーポッターが人気であるがために公式の様々な二次商用作品があるのはご存知だろうか。

映画しかりゲームしかり、カードゲームしかり。

それに加えてポッターモアという原作者が裏話や設定を公開しているサイトさえある。

 

さらに加えれば設定について記した本や、物語で登場した書籍でさえ現実世界で販売され、ユニバーサルスタジオにはハリーポッターのアトラクションもあり、本場イギリスにはポッターランドまである。

 

どこまでを原作とするかは人によるだろうが、かつてハリーポッターの2次創作を書いていた彼が、今やリンネ・ウェインライトという子供になった彼が、一般の読者よりは様々な設定を覚え知っていたというのは嘘ではない。

幾度となくハリーポッターwikiに目を通し、キャラ被りを避けオリキャラを書いたりして来た彼は、魔法薬の素材から杖の木と心の組み合わせによる杖の性格、それから原作に全く関係のないキャラクターの経歴まで、克明に記憶していた。

大学に行って覚えたのがハリーポッターの知識なのだから、色々無駄にしていたことは否めない。

 

仮に目の前の赤毛は魔法族だとした場合、先程述べたように忘却術をかける仕事をするのは魔法省の役人で、マグルのスーツなんかを着て赤毛の髪を持つのはウィーズリー家の誰かだ。

 

(ウィーズリー家の長男ビル・ウィーズリーがホグワーツに入学したのは1982年だ、そして赤毛の一族で役人で外に出る仕事をしているのは……おそらく)

 

おそらく、とは言いつつも目の前の赤毛の男が"ハリーポッターシリーズ"の主人公、ハリー・ポッターの親友ロン・ウィーズリーの父、アーサー・ウィーズリーであろうということは確信していた。

 

だが、拭いきれない不安もある。

先程、アーサー(仮)が話しかけたジェーマスという男の存在だ。

 

映画にも小説にも他の公式設定にさえジェーマスという男はいなかった。

 

似た名前で言えば、ハリーポッターの父が"ジェームズ"というがジェー"ムズ"とジェー"マス"ではまるで別物だ。加えてシェーマスでもない。紛らわしいことにシェーマス・フェネガンという人物もいるのだが、目の前のジェーマスはくすんだ金髪に緑の眼と特徴的なのはデブなことだ。ついでに言うと身長はかなり小さい。

 

 

リンネ・ウェインライトとしては、目の前の赤毛の男、アーサーと思わしき人物に、「忘却術を知っているなんて相当に物知りだね」だとか「勉強したんだね」と言うような答えを望んでいた。

 

5歳の子供の頭の中を凄まじいスピードで思考が流れ代わり、何分にも感じたコンマ1秒は動き出す。

 



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『マッドハート』リンネ・ウェインライト

いまさらながら()内で主人公の心の声を表す場合があります。
2021/10/13 10:16 開心術の説明を追加


「……相当に魔法に詳しいんだね」

 

しゃがむようにして膝を曲げて目線を合わせて来たアーサー・ウィーズリー(仮)はリンネの頭を我が子のようにくしゃくしゃと撫で回した。

 

(魔法に詳しい?まさか疑われているのか?マグルなのによく魔法についてわかったなと言う意味かもしれないし、それは考えすぎかもしれない。ともかく……)

 

リンネは恥ずかしそうに耳を赤らめてモジモジしながら下を向いた。

 

「そ、そんなこと無いです……僕ちょっとだけしか勉強してないですし」

 

一度も親に褒められたことがないかのような、周りより少し大人っぽい賢い子供であると心掛けてリンネは振る舞う。

アーサー(仮)から目を逸らしたのは、万が一開心術をかけてくる可能性を考えたからだ。

開心術をかける条件は相手と目を合わせること。

開心術をかけられては、演技をしようとも魔法的な防衛が一切できないリンネはたちまち全ての秘密が抜かれてしまうだろう。

開心術とは、目を合わせ相手の心や記憶を覗き見する恐ろしい魔法なのだ。

つまり、やましいことが有ればあるほど、注意しなければいけない魔法なのだ。

開心術には閉心術という反対呪文……つまり、対抗手段があるができるはずもない。

 

あまりにも自然に話しているから忘れがちだが、リンネ・ウェインライトが魔法族を知ったのは"今日"初めてなのだ。

 

まさか怪しいからと言って、突然、子供に開心術をかけてくることはないだろうが、念には念を入れて置いて損はない。

そんなことをするのは闇の魔法使いと、相手が闇の魔法使いだという証拠を掴んでいる時の闇払い(魔法界の警察のような人)だけだろう。

ああ、それから忘れてはいけない。

今世紀最大のもっとも優れた魔法使いとも知られマグルのお菓子が好きなお茶目けのあるお爺さんとして、周りに通しているホグワーツの現校長アルバス・ダンブルドアなら、怪しいと直感で思えば相手が子供でも開心術を平気な顔をしてかけてくるだろう。

 

あからさまに目を逸らせば怪しいこと極まりないが、子供が照れて下を向いて今、開心術から逃れようとしただろうなどと疑うのは"油断大敵"が人生の標語である『マッドアイ』ムーディだけだろう。

 

闇の魔法使いも、闇払いも、アルバス・ダンブルドアも照れて、恥ずかしがって下を向くくとと、開心術から逃れようとしたことを関連付けたりしない。

なんと言ってもまだ誰かに怪しまれるような行動はしていないからだ。

 

……寝巻きに、裸足で草まみれという見た目を除けば。

 

少なくとも、かの男が被害妄想のイカれ男であることは、多くの2次創作小説で登場するムーディ像からも、多くの読者にどう思われているかが明らかだ。

 

 

そして、今のリンネ・ウェインライトそのひとが、目に映る全てを"○○かもしれない、万が一"と用心深く疑うその様子こそ、まさしく『マッドアイ』ムーディーそのものだった。

 

 

「いいや、あー、私も息子が何人もいるんだが糞爆弾とか鼻食いつきティーカップとかまあろくなことをしないからね。もしかしてあんまり褒めてもらえていないのかい」

 

「……その、はじめて」

 

蚊が泣くように小さくなる声。今にも泣きそうな顔をしているというのに、まさか演技とは思わないだろう。

 

「いや、すまなかった。家には家の事情があるよな……ああ、これは失敗しちゃったかぁ?」

 

アーサー(仮)も演技とは見抜けなかったようで、本気で幼い子を追い詰めて泣かしてしまったと後悔していた。ように見えた。

まだ油断はできない。

 

リンネはこの身体になる前、血を飲む機会を逃した深い悲しみを思い出して涙を流し、体が変わっても血を欲する精神を抑えつけるように、プルプルと体を震わせ言葉を紡いだ。

 

涙を潤ませながら、身体を震わせて小さくモゴモゴ言った方が、それっぽいからだ。そして大人は子供の涙に弱い。

日本人だった頃、彼が役者だったことなど一度もない。

だが、一人だけ血を吸いたい、人を痛めつけたいなどと人ならざる欲望を持ちながらも友達を作り一般社会に溶け込んで生きて来れたのには、表面上の感情をコントロールする技術があったからだ。

役者がどうしているかは知らないが、彼は嘘泣きをするときは人生でもっとも悔しかった記憶を思い出しながら実際に涙を流すのだ。

 

 

「はじめて褒められたんです、それが嬉しくて。……あの、

 

さっきはっ!ごめん、なさい。

 

その、糞爆弾投げつけるとか言ってごめんなさい」

 

頭をしっかり下げて謝った。

言葉を詰まらせながら謝る。たいして悪いことを言ってなくても子供は凄い罪悪感を持つこともある、というのを人間観察の中で知っていた。

だから、2回もごめんなさいと言いながら、涙を流して謝った。

 

声と態度から子供が罪悪感を感じて謝ったようにしか見えなかったが、彼の心は酷く歪んだ黒い心に満ちていた。

 

具体的にいうと困る大人を見て楽しんでいた。

 

 

「あー、いや!いやいや、いいさ!

 

慣れたものだからね!

 

あっ、そうだっ!よければそこのハブで食べていかないか?今お菓子は無いんだが、その代わりに。

 

あ、えっと、そう。お腹空いていないか?あー、酒は出せんが、バタービールとか好きか?」

 

(バタービールだって?こいつ正気か?……あれ、微小なアルコール入ってるはずだったろ)

 

リンネはリスクをとりたくはなかった。だが、リスク回避とチャンスを天秤にかけるならばチャンスを選ぶ方だ。

漏れ鍋でご飯を奢ってくれるようだが、店の中には多くの魔法使いがいる。

店に入った瞬間、突然集団で杖を抜いて襲い掛かられるかもしれないし、食べ物や飲み物に真実薬をもられるかもしれない。

 

目の前の人物がアーサー・ウィーズリーなら相手がマルフォイ家だとかレストレンジ家だとかはたまた闇の帝王じゃない限りいきなり真実薬なんて盛らないだろうが、警戒しておく必要がある。

そもそも魔法省の役人である、マルフォイ家はともかく、闇の帝王が漏れ鍋で魔法省の役人と仲良くお茶をしているのが想像つかないが。

 

 

"

【アーサー・ウィーズリーとお茶をするヴォルデモート卿】

 

「やあ、今日はよく来てくれたね!トム・リドルさん」

「黙れ!血を裏切るものッ!アーサー・ウィーズリー!」

「おお、こわいこわい。流石、闇の帝王だ、マルフォイとは迫力が違いますな」

「ふん、まあな…マルフォイは純血の中ではいい方ではあるが、俺様のスリザリンと比べると格が劣る」

「それは全くその通りで。ところで先週、マグルを殺したのは貴方ですかな」

「ふん、そうだ、とはいえどれのことだかわからんが。全くご苦労なものだ魔法省の役人が死んだマグルを数えるとは」

……

"

 

……全く、全く想像がつかない。

 

 

ポッターwikiにはこんな記述がある。

真実薬を服用すると相手の質問にどんな秘密でもペラペラ話してしまう恐るべき薬であるが、ほとんど対処法はない。

 

 

2次創作では解毒薬があったりするが、原作にはない。

だからこそ真実薬は魔法界の裁判で使われるのだ。

 

真実薬を勝手に作ったり、許可なくその辺の人に盛るのは違法だし、真実薬の調合だって簡単じゃない。材料も貴重だ。

 

だが抗う方法がない訳でもない。世紀の闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドや闇の帝王ヴォルデモート卿など優れた魔法使いは、見せたくない記憶を閉ざすことで、真実薬に抗うこともできる。

 

魔法の腕がそう高くなくとも忘却術で記憶そのものを消して仕舞えば真実薬でもバレることはないし、舌縛りという呪文で話せなくしてしまえばいくら聞かれても答えられない。

 

なら手でかけという話になるかもしれないが。

 

もしも、彼らがパフォーマンス的な嘘の魔法使いではなく、本物の魔法使いであれば今、アーサー・ウィーズリー(仮)について行くのは高リスクな選択だ。

 

だからといってこの機会を逃すわけにはいかなかった。

 

ハンカチを取り出して……取り出そうとして寝巻きのまま家を飛び出したことを思い出し涙を拭くの裾で拭った。

 

「バタービール、飲んでみたいです!周りがみんな飲んでいて美味しそうだって思って」

 

泣き顔からいっぺん。

 

ワクワクしたような顔を、子供の笑みを張り付けて、リンネ・ウェインライトは、赤毛の男アーサー・ウィーズリー(仮)とともに漏れ鍋の入り口を潜った。

 

 

 

 

 

 




序章や次の章である1章はホグワーツ入学前の話になりそうです。
ちなみにタグと伏線とアンケート結果は回収し反映するもよう。

アンケートの詳細

オリ主を妨害する(決別ルート)
▷ ふぉふぉふぉ、いかんのう。
[目に見えてわかる二番煎じルートです。トム・リドルにダンブルドアが行ったように監視し噂や人伝、自ら近づきあらゆる手で邪魔をしオリ主をイラつかせます。当然ダンブルドアと仲良くできるはずがありません。行き着く先はヴォルデモート卿と同じでしょう]

オリ主を怪しみ監視対象に(??ルート)
▷わしは不安なのじゃ。過去の過ちが。わしはトムを救うことが出来んかったのじゃ。
今ならあやつを救うことができる。
だから彼を"見守って"いてくれないかの……?
[なんか監視されている?気のせい?もしかしてダンブルドアの策略か?とレベルでお互い接触せずに距離を取りながら警戒し合うルートです。ダンブルドアと和解や協力することも状況によっては考えられます]

オリ主を知るが放置(??ルート)
▷今年はハリーポッターが入学する。それだけじゃ、あああとクィリナス・クィレルにはヴォルデモート卿が張り付いていたようじゃがまあいいじゃろう。
こら逃げるでないクィリナス。トロールはホグワーツに入学出来んのじゃ。
[ダンブルドアが忙しくて、どうでもいいと判断したり、子供より明確に怪しいスリザリン生を監視するのに精いっぱいで主人公の悪巧みの他、様々な悪事が放置されることにより他のルートよりも主人公が邪悪度が増します。ただ一度ダンブルドアの耳に入っているので主人公がホグワーツやハリーポッターの友好関係で何か禁句に触れると目をつけられ、時には悪事を暴かれてしまうでしょう]

そもそもオリ主を知らない(??ルート)
▷ リンネ・ウェインライト?知らんのう。
[ダンブルドアに認識されないため、邪悪な道に進みますが全く警戒されない為、力への欲望が下がっていき、ホグワーツを卒業しても邪悪な魔法使いにはなりにくいでしょう。逆にいえば明確な目的ができた場合、ヴォルデモート卿のような道をたどりいつのまにか闇の帝王2世が誕生することも考えられます]

「ほれ、アバダケダブラじゃ」(Gルート)
▷ふぉふぉふぉ、いかんのう。
アバダケダブラ!!
大いなる善の為にじゃよ。"For the Greater Good"すなわちGルートじゃよ、疑わしきは"罰せよ"じゃよスネイプ。
[ダンブルドアがオリ主を警戒するがあまりヴォルデモート卿に姿を重ね、大いなる善の為に、悪に堕ちる前に殺してしまおうと考える。まさかの主人公死亡ルート]


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アーサーのッ!隠し子ッ!アーサぁぁぁ

ビールアンチ表現


リンネが漏れ鍋に入ると、ちらほらと目線が刺さり、カウンターで何かをつまんでいたジェーマスが駆けつけてきた。

 

「ああ、アーサーさん終わったんですかって……誰なんですかその子は」

 

彼はアーサーを目にした後、隣に立つ明らかに人間の子供であるリンネをみて、一瞬固まった。

魔法界には、ゴブリンや屋敷しもべ(ハウスエルフ)という人間によく似た生き物がいるが、ゴブリンは人間基準で言えば頭部が歪な形をしていて見た目も不細工な小さいおじさんといった感じで、屋敷しもべに限ってはゴブリンとは比べものにならないほど醜く、声も耳障りだ。

魔法使いの銀行を運営したり、魔法の武器を作っているゴブリンなら魔法省の役人と関わりがあるので、アーサーが連れていても特に注目はされなかっただろうが、明らかに子供で、保護者もいるように見えなかったリンネに注目が集まるのも無理はない。

 

ジェーマスは、口をパクパクとしたあと、目を見開いて叫んだ!

 

『赤毛じゃ無いし、まさか隠し子!アーサーのッ!隠し子ッ!!』

 

と大袈裟にリアクションしながら周りに聞こえるように叫んだジェーマス。

誰もがまさかアーサーの隠し子な訳ないだろうと思いつつもノリ良く、「うそぉ、」「不潔!」「モリーさん可哀想」などと、アーサーにぎりぎり聞こえるくらいの陰口を叩いた。

 

要らぬ中傷に耐えかねたのか、リンネの隣から、素早い杖捌きから放たれた閃光によって、ジェーマスは遠くの壁まで吹っ飛んでいった。

 

 

「あー、この子はそこで出会った魔法族の子で、ああ!もちろん私の隠し子だなんてあり得ませんよ!そこの馬鹿のようになりたくなければ面白がって広めないでくださいよっ!」

 

ハンサムなロックハートがやったなら様になるギザなジェスチャーをしながらにこやかに説明したアーサーに店の客たちの噂話は余計に加熱した。

 

 

「それは逆効果じゃないか?」

 

壁とキスをしているジェーマスをみてバーカウンターから頭をだした男が凄く迷惑そうな顔をしながら話しかけてきた。

 

杖魔法で気絶するジェーマスをカウンター裏に運び、凹んだ壁もきれいにしていた。

 

「ああ、トムいたのですか!」

 

ハゲた男にアーサーはトムといいながら話しかけた。

トムと呼ばれた男は、コソコソ話をする客を目線で差してアーサーの肩をぽんぽん叩いてご愁傷様と嫌味を言った。

 

漏れ鍋のトム。

トムといえばトム・リドルだが、漏れ鍋のトムと闇の帝王のトムに関連性はない。

あるといえばあるが、漏れ鍋のトムがトムリドルことヴォルデモート卿を一方的に怖がっていることや、どちらもハゲていることだ。

 

「いたのですかぁ、じゃない。

俺が漏れ鍋にいなかった日を見たことあるか?

それからいくら天下の魔法省様とはいえ無闇矢鱈に決闘をするのはやめろ」

 

トムは漏れ鍋の亭主で、ただの従業員に言うにはともかく、"「いたのですか」"とはおかしな言い回しだ。

 

「ええ、わかりましたよ。次、次からは無抵抗の同僚に武装解除なんて撃たないようにしますよ。だからそう怖い顔で寄らないでくださいよ」

 

「アーサー、おまえが吹き飛ばした呑んだくれのクズも同じようなことをいいながら店に入って来たことを覚えているかな?」

 

トムは鼻を鳴らしてテーブル拭きで、ジェーマスの飲みかけのバタービールをコップごと消して、彼がつまんでいた皿から杖でピーナッツを集めると気絶している彼の口に突っ込んで、バックヤードに戻って言った。

 

いい感じに話かけられそうなタイミングだと、リンネはアーサーに話かける。

 

「あ、あの本当にいいんですか?僕今、お金無いですけど」

 

「気にしなくて大丈夫さ!さあさあ、漏れ鍋ははじめて?まあ、普通のお店と同じさ。さあさあ座って座って」

 

(アーサー、やっぱり、アーサー・ウィーズリーじゃないか。そういえばウィーズリーといえば純血魔法使いの中でもとびっきり貧乏だったな、奢ってくれるなんて正気か?)

 

アーサーに手を引かれながら、空いた席につく。

 

いつのまにか離れたトムがバックヤードから戻ってきた。

手にはバタービールを二つ。

まだ何も注文した覚えはないが、料理を載せた皿も持ってきた。

 

ドンと叩きつけるようにテーブルに置かれたバタービールはまさにビールそのもので、赤金のような黄金色の液体の中をぷくぷくと小さな泡が湧き上がっていて、コップ上部にはふわふわとした白い泡が溢れんばかりに乗っていた。

 

こんな表現はビール党の人には怒られるだろうが、匂いに敏感すぎた彼にとって、ビールは耐え難い悪臭に感じていた。

リンネになった今でも、あの最悪なビールの味を思い出して、思わず身構えてしまう。

 

肉は獣臭いと、魚は生臭いと、なんでも臭い、癖があって嫌だと偏食気味だった彼にとって、ビールは臭くて不味い汁だった。

そして同じ匂いと味がするものをリンネは知っていたからこそビールを飲むのが嫌だった。

 

生ゴミを捨てた袋の端に溜まった汁とビールが同じ匂いに感じていた。

酸っぱくて苦い匂いだ。

 

ビールは飲んだことはあっても、花瓶の水は飲めても、流石に生ゴミの汁は飲んだことはない。

 

だが鼻が鋭すぎるがために飲まなくとも食べなくとも嗅ぐだけで口に入れた時と同じほどに味覚を得ることができていた。

 

だからこそ、嫌な思いをしているリンネが、本質的にはビールではないバタービールをみて身構えてしまうのも仕方がないことだ。

 

とはいえバタービールというのは甘く、それもヌガーやキャンディなんて甘さではなく喉が焼けるほどに甘い飲み物だ。

"いつもの"感覚でコップを寄せもちあげようとして、コップの重さと大きさと、それから自分の体の小ささをようやく思い出して、机に置いたバタービールに口をつけ、中身を啜った。

 

「あっまい、おいしい」

 

甘すぎる。その一言につきる。

日本人だった頃の感覚は甘すぎて飲めたものではないと、イギリス人としてリンネ・ウェインライト本来の感覚としては"凄く甘くて"おいしいと思っていた。

 




続く。

ハリーポッターと東方のクロスオーバーを書いている時に、息抜きで書き始めたハリーポッターと不死の預言者ですが、意外と見てくれる人がいて驚きました。
博麗大結界を貼った後弱っていた八雲紫が、幻想郷の未来のモデルケースとして、イギリス魔法界へ行きホグワーツに入学するって話なんですけど、ダンブルドア世代で考えていたので、時間割からストーリー、生徒先生魔法省の役人まで様々なオリキャラ、授業の内容なんて考えている間に頭がおかしくなりそうになって突発的に思いついたこの物語を書き出しました。

ああっと、そういえば
アンケート受付中ですが、アンケート1が接戦で、2が決まったようなものでしょうか。
アンケート1のオリ主をダンブルドアが殺そうとするルートが優勢で、アンケート2の誰が友達か?はウィーズリー家のペットのネズミオヤジになりそうですね。

それからビクター・ケツエキを知っている人がいてびっくりしました。



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マグル料理

誤字報告ありがとうございます^ ^
2021/10/15 0:04誤字修正


「気分はどうかな、まあ私がそういうのは少しおかしいかもしれないが」

 

アーサーは自分がリンネを泣かせてしまったと思っていたので、気分はどうかなというのは少しおかしいかもと思っていた。

 

 

「いえ、ありがとうございます。アーサーさん?でしたよね、これおいしいです」

 

リンネは甘ったるいバタービールで喉を潤しながら、アーサーを見上げた。

決して目は合わせないが。

 

「ああ、いやどうも。アーサーだ、アーサーであっている。

そうだ、今まで自己紹介をしていなかったね、私はアーサー・ウィーズリー。

 

一応、"遺憾ながら"聖28族の一員であるウィーズリー家の一人だ」

 

(そうだ、聖28一族として純血の名家であることは魔法界では誇るべきであるのに、ウィーズリーはそれを否定したとかで"血を裏切るもの"とかいう言われ方しているって設定だったなぁ)

 

「おお〜!純血ですかぁ」

 

純血とは、代々、魔法使いを両親に持つ血筋のことで、魔法界の純血主義者たちは純血以外を半純血だとか、穢れた血という。

穢れた血という日本語訳がされるこの言葉だが、"mud Blood"と"Creature of the dirt"と言う二つの言い方がある。

直訳すれば"mud Blood"は汚れた血、"Creature of the dirt"は汚い怪物(生き物)と言う感じだ。

二つとも、魔法界で使われるスラングで純血同士で話している時に使われる穢れた血の意味は、クソ外国人とか、ハゲ野郎!程度の悪口に過ぎないが、純血が純血以外に言う場合その言葉は、最大の侮辱になる。

 

ウィーズリーはそう言う純血だけが優れていて他は穢れた存在だという考えが嫌いで聖28一族に数えられるのを否定したのだ。

 

ちなみにウィーズリー家の血にはマグル生まれの血など全く入っていないことを忘れてはならない。

純血を嫌いながら最も自然に純血を守っている家なのだ。

 

 

「あー……、私がいいたいのはつまり、私が純血主義だと言うことではなく、ちゃんとした大人だってことだ。素性のはっきりした、ね」

 

アーサーが自ら嫌っている聖28一族だという言い方をしたのはリンネを安心させる為だった。

どこの誰だかわからないやつよりも、聖28一族という素性がはっきりした人物の方が安心できるだろうと思ったからだった。

 

 

「ウィーズリー!僕、僕聞いたことあります。確か……」

 

「確か?」

 

アーサーは、「貧乏で育てきれないほど子供を作って魔法省では嫌われ者のウィーズリーだ」と言われたらどうしようと身構えた。

 

「イギリスの赤毛の魔法使いは全員がウィーズリーだって思ってもいいほどたくさんいるって、あとたしかマグルに優しい」

 

 

「誰に聞いたんだい?」

実に、純粋で、どちらかというとウィーズリー達ダンブルドアのシンパがいいそうな感想だった。

だから誰にそんなことを聞いたのか純粋に気になった。

 

「アメリカに住む祖父が言っていたんです」

 

リンネは流れるように嘘をついた。

さっきまでの嘘泣きをしている間に、彼は様々なハリーポッター の設定を思い出しながら自分が優位に立てる人物像を考えていたのだ!

 

「へぇ、ウィーズリーの名前がアメリカまで届いているとは光栄だ!」

 

 

「あっ、でも元々アメリカの魔法使いってわけじゃなくて例のあの人がイギリスで暴れていた時に、戦果から避けるためにアメリカに行ったみたいで、いや、でもウィーズリー家はとってもいい人が多いって言ってましたよ!」

 

「ああ、確かにそれは多そうだ」

多そうだと言ったのは、アメリカに逃げた魔法使いのことだ、ヴォルデモート卿以前の最悪の魔法使いとして有名だったゲラード・グリンデルバルドはイギリス以外のヨーロッパとアメリカを牛耳りイギリス以外に逃げる先がなかったが、ヴォルデモートはイギリスのみで暴れていた。

だから、ヴォルデモートにわざわざ立ち向かうよりもさっさと他国に逃げてしまう魔法使いも多くいた。

 

彼の祖父もその一人なのだろうとアーサーは納得した。

アーサーは死んでいった仲間たちを思い出し、リンネは少し目を伏せがちにして悲しそうな雰囲気を出した。

 

「少し食べるかい?」

 

しんみりした空気を切り替えようと、切り分けたパイを差し出すアーサーをみて、リンネは固まった。

 

(よりによってスターゲージパイじゃないか!!普通、かぼちゃの料理かお菓子だろう)

 

「いら、……いや。な、なんですか、その禍々しいパイは」

 

いらないとは言いづらいし、とりあえず何故魔法族のアーサーがわざわざこんなものを食べようとしているのか知りたかった。

 

「マグルのパイだ、味は……不味い。だがマグルへの理解のためだ。確かゲージ"コメット"パイだ」

 

「違うぞアーサー、何度言ったらわかるんだスターゲージパイだ。

アンタが食べたいと言って作ろうとしたがいくら探してもゲージ・コメット・パイなんてないから苦労したんだ。全く、注文するなら正しく言ってくれよ」

 

トムはぶつくさ文句を言っていた。

目の前のスターゲージパイには、こんがりか焼かれたパイ生地に魚が突き刺さっていた。どうかしている。

 

アーサーは二つ目の皿に手を出して、スプーンから皿にグロテスクななにかをすくった。

 

「ほらこれなんか見たことあるか?最高に狂っていて最高に、もう食べる前から不味そうなんだ」

 

何故か嬉しそうにしながら見せてくれたのはドロドロの何かに包まれた生魚の切り身のような物体だった。

それに酷く見覚えがあったがヴォルデモート如きとは違いとでもじゃないほどに恐ろしく声に出すことが出来なかった。

 

「あっ!……う、うなぎ?」

 

「そうだ」

 

トムは鰻の料理もどきを指差しながら忌々しそうに語り始めた。

 

「アーサーがどうしてもというからな、狂っているだろう?何故泥臭い魚を、プルプルにして食べる必要があるのか、これだったらケルピーの肝の方がいくらかマシだと思ったくらいだ。そしてもっともいかれているのはマグルではなく、不味いとわかっていて食うこいつだ」

 

アーサーは鰻のゼリー寄せを不味い不味いと連呼しながら食べた。

 

マグルについてまた一つ賢くなったと子供のように喜ぶアーサーをみてリンネは少し警戒しすぎだったかなと考えなおした。

 

 




嘆きのマートル「マーマイトがないやんけ!」


自分が常識だと思っていることはついつい書き忘れてしまいません?
(よりによってスターゲージパイじゃないか!!普通、かぼちゃの料理かお菓子だろう)という部分で普通が何を基準に普通と言ったのかを書き忘れていました。

ハリー・ポッターのハロウィンではかぼちゃ料理を山ほど食べるのが定番なので、オリ主はなんでアーサーがゲテモノパイを食ってんだよ!!?と驚いています。

アンケートの結果が大体決まったので、それに合わせて次の話を更新します。


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偽名のメリット

誤字報告ありがとうございます 
誤字修正 2021/10/16 20:51

補足 アーサー・ウィーズリーは原作で、電気を"気電"と言ったりとにかくマグルが使う用語を間違える特徴があります。
なので本作では、間違え属性を追加しています。
マーマイトやスターゲイジーパイや鰻のゼリー寄せが魔法界に無いかあるかはわからなかったので、ないと言うことで話を進めています。


 

「ところで君の名前は?」

 

まだアーサーが一方的に名乗っただけだったと気づいたのか、追加注文した焦茶色のヌルヌルをパンに塗りたくって食べている途中で口を開いた。

 

「"パーシバル・グレイブス"っていいます。友達とかにはパーシーって言われてますっ!」

 

リンネは息を吐くように嘘をついた。

"パーシバル・グレイブス"とはアメリカの魔法使いで、かの悪党ゲラート・グリンデルバルドが変身していた時の名前だ。

それもダンブルドア老人になる前の話で、アーサーが不死鳥の騎士団という組織に参加して活動していたのはヴォルデモートが暴れていた近年のことだ。

ちなみに不死鳥の騎士団というのは、ダンブルドアの私兵の名前で、よく言えば世界を守るために秘密裏に活動しており、悪く言えば法律を無視しダンブルドアの独断で活動する犯罪組織だ。

 

少なくとも、ダンブルドアが"パーシバル・グレイブス"を覚えている可能性はあるだろうが、アーサーは知るはずもない。

リンネ的には思いつきで"パーシバル・グレイブス"という名前を出したのでは無かった。

一つ目が先程から嘘をついているアメリカ生まれやら、祖父がアメリカに逃げたとかを補完する為の更なる嘘ということだ。

別にリンネ・ウェインライトだと名乗ってもよかったが変に原作の知識を持っているのでボロが出るかもしれなかった彼は、最初からイギリスの常識を知らないことや血縁者に魔法使いがいることなどを仄めかしていた。

 

それに何か致命的なミスをした際にも対処できるように住んでいる場所や本名、出身地、家族関係などを隠した。

以前話したことがあるだろうが、ウェインライト家は資産家で、家も豪邸であり、イギリス金持ちあるあるで家に沢山の暖炉がある。

暖炉が沢山あって問題があるかと言えばある。

 

魔法使いというのは理不尽なものでサンタクロースが如く暖炉を使って家に侵入してくるのだ。

魔法使いが暖炉を使って侵入するには、暖炉があることと相手の住所もしくは物件の総称を知る必要がある。

暖炉を起点として、暖炉ネットワークなるものに接触している暖炉同士でテレポートが出来る。

 

魔法使いが使う暖炉は暖炉ネットワークという魔法省が管理するネットワークに接続している必要があり、おいそれとその辺の暖炉を使って移動できるわけではないと思われる。

だが、そこはダンブルドアの出番だ。

リンネが警戒しているのはダンブルドアとハリーの二人のみで、他はさして警戒していない。

アーサーを警戒していたのも、アーサーがダンブルドアの私兵として活動していた、もしくは物語で語られていないだけで今も私兵の可能性を考えてのことだった。

 

ダンブルドアはかつて築いた人脈と功績によりウィゼンガモットという魔法界の司法機関にツテがある。しかもダンブルドアはかつてウィゼンガモットの青年代表であり、現在はウィゼンガモット主席魔法戦士という役職を持っている。

司法機関を操り行政機関である魔法省の役人達を多く私兵にしているダンブルドアなら誰の邸宅なのか知った途端、暖炉を繋いで乗り込んできてもおかしくない。

リンネは、自身が疑われるだろうと確信している。

何故ならハリー・ポッターという物語には自分は本来存在していない上、原作知識という本来のリンネなら知る由もない個人情報をはるか過去から未来まで公明に知っているのだから。

どこでボロが出るかわかったものではない。

 

暖炉を使わなくとも姿現しと言うテレポート魔法のようなものもある。

それを使うには技術が必要だがそれは役人になれるエリートであるダンブルドアの私兵達はクリアしている。

もう一つは場所をイメージする必要がある。

 

すなわち名前を隠すのは身バレ防止に、苗字と住所を隠すのは暖炉と姿表しによる襲撃を警戒してのことだ。

 

さらにメリットはある。

 

「パーシー!奇遇だね、私の息子もパーシーって言う子がいるんだ」

 

奇遇ではなく、予定調和だ。

 

パーシバル・グレイブスがどうだったか知らないが少なくとも一般的にはパーシバルの愛称はパーシーだ。

アーサー・ウィーズリーとより仲良くなるためには、アーサーが好きなことや、家族の関係に足を踏み込む必要があるだろう。

 

アーサーが好きなマグル製の機械の構造については日本人だった頃にみたYoutubeでの学習が補完してくれるだろうし、マイクラで電卓を作った覚えがあるリンネとしても二進数を使った簡単なコンピュータ程度なら理解できる。さらに父はコンピュータの販売店で働いているわけでは家の書斎には、この時代のコンピュータについて書かれた最新書籍があるはずだ。

 

だが家族関係を話すのは難しい。

子供とは言え、魔法界には姿を変える技術がいくらでもある。

だから家族について触れれば相手は警戒するかもしれない。

そこで偶然を発生させることで家族の話に繋げ、親しくなろうとしたのだ。

 

リンネの頭の中にはすでに道筋が出来ていた。

 

パーシー・ウィーズリーから強大の話に持ち込み物語の主軸となりうるハリー・ポッターの友人のロン・ウィーズリーと繋がりを持ち、偵察から暗殺まで役立つ魔法のネズミを手に入れる未来を。

 

 




アーサー「マグルのイギリス紳士は紅茶と"マムイート"が必要らしいな(ぬりぬり)」
アーサー「うっ…不味いぞ!なんて味だ……」
トム「だからあれほどやめとけと」
トムリドル「全くだ、マグル製品を口に入れるとは狂ってる」

マートル「あ、トムパイセンちっす!私を殺していこうすね」
トムリドル「なんだ……貴様は…」


アンケートの集計終わりました。
ダンブルドアによるオリ主Gルートです。
今後ともよろしくお願いします。


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"気電"同志

リンネはアーサー・ウィーズリーにうまく取り入っていた。

パーシーウィーズリーの話を経て、それぞれの家の話、マグルの生活、魔法界の出来事なんかを話していた。

 

「へぇ、羨ましいです!」

 

「そうかな?君の方が羨ましいよ、なんせ"気電計算機"の仕事に携わっているんだろう?」

 

「とは言え父は、販売しているだけですけど……」

 

先程、アーサーがパソコン(電子計算機)について聞いてきた時に勢い余って解説してしまってから、「あれ?5歳にしては賢すぎるかもしれなかった」と後悔した。

だが、アーサーが無類のマグル好きであったことが幸いし、秘密がバレたようには見えなかった。

 

アーサー・ウィーズリーは感情的になりやすいキャラだったはずなので、目の前にいる子供が年齢通りではないと気づけば何かアクションを起こすだろうと踏んだ。

 

「いやあ、羨ましいよ!私もマグルの作るものを沢山見たくてマグル製品不正使用取締局に就職したけど入ってみれば閑職で、おまけに狂った純血主義のマルフォイに絡まれるし、見れるマグル製品は"気電"が使われてないものばかりで、あんまり楽しくないからね」

 

「マグル"商品"不正使用"取れ閉まれ"局ってどんな場所なのですか?」

 

リンネはわざと間違えた言い方をした。

そういえば子供の頃は、長い名前とか正しく覚えられなかったな、と。

 

「"マグル製品不正使用取締局"はうーむ、簡単に言うのはなかなか難しいんだけど、魔法界の秩序や文化、それに治安の維持やマグルからの隠蔽も含めて魔法界とマグル界を混在させないように魔法界にマグル製品を持ち込んだり使用したり、魔法界を暴こうとするマグルから記憶を消したり、そんな場所かな?」

 

全然まとまっていないし、普通の子供ならつまりどう言うこと?と思っただろうがリンネは5歳の見た目をしているだけだ。

 

「つまり、マグルから魔法界を隠蔽しマグル製品が流入するのを防ぐ仕事なんですね!」

 

話をまとめたりしっかりした受け答えをしているのはなかなか違和感があるものだが、アーサーはマグルの話に夢中だし、リンネはリンネで流石に自分が5歳の時どんな言動や行動をしていたかなど覚えているはずがなかった。

 

「そうなんだよ!いやあ、最近の子供は賢いね、いやマグル流の教育がいいのかな。うちの子もマグルの学校に通わせてみるか?」

 

「いや、どうでしょうか、それは」

(原作壊れる、原作壊れる、原作壊れちゃうぅ!!)

 

まさか自分の演技によって意図しない原作ブレイクが起きるんじゃないかとヒヤヒヤした。

 

嘘は真実と混ぜて言えばバレにくいとあるように、リンネは本名や出身地に嘘をつきながらも親の仕事が何をしているかは本当の話をしたのが間違いだったか。

なんとかロンやジニーがマグルのスクールに行ってハリー・ポッターの友人にならずダズリーの友達や妻になってしまう狂った未来などさせるものかと、頭をフル回転させた。

 

「うん、いくらマグルに理解があるモリーもホグワーツに通わせないと怒るかな?…… うーむ、難しいなぁ

 

「あー、マグルの世界にも教科書があるのでそれを買ってみたらどうですか?アーサーさんの興味がある電気についてもホグワーツ一年生くらいの年齢でならうみたいです」

 

「本当かい!でも、マグルの"気電"の本を買ってみたんだけどすごく難しくて占い学並みによくわからなかったよ?」

 

子ど…… じゃない、多分、あー、魔法族のように電気を知らない人にもわかるように書いてあるはずです。たぶんアーサーさんが買ったのはおと……そう研究者用のやつだと思います」

 

子供向けとか大人向けと言う言葉をだして、アーサーに意図しない皮肉を言いそうになるのを回避して言葉を捻り出した。

危うく、マグル対策の専門部署に勤めているけど、知識はマグルの餓鬼並みと言う皮肉になってしまうところだった。

 

「今度買ってみるよ!」

 

 

今のところ、疑われている様子はない。

 

真実薬を盛られた気配もない。

 

開心術をかけられた感じもない。

 

 

服従の魔法とかもかけられていない……はずだ。

 

真実薬は話したくない内容も聞かれたら口が勝手に動いて話してしまったり、頭がぼぅとして考えられなくなるはずだから、今色々なあくどいことを考えながら嘘をついている時点で真実薬を使われていない証拠になる。

 

開心術をかけられると、無理矢理誰かが精神へ入ってくるような不快感を感じるはずなのでそれもない。

 

服従の魔法はかけられた直後や効果が切れかけならともかく、確認しようがない。

 

だが、畳みかけるなら今しかない。

 




評価ありがとうございます♪
いつのまにか9と8の評価が。

あと数話で一章終わります。


アンケートの参考になればと思いまして情報を乗せておきます。
ハリーポッター の原作や公式情報でわかっている杖の構成情報について以下のものです。【分岐 序-3】

○芯材 
●詳細までわかっている
ドラゴンの心臓、ユニコーンの毛(たてがみ)、セントラルの尾毛、不死鳥の羽、ヴィーラの髪

●名前だけ出てきた
サンダーバードの尾羽、トロールの髭、ホーンサーペートの角、ルーガルーの毛、バジリスクの角、ハナハッカの茎、サンゴ、骨、ホワイト・リバー・モンスターの背骨、ルーガルーの髪、スナリーガスターの心臓、ジャッカロープの枝角、ニーズルの髭、ケルピーのたてがみ、貝殻、ワンプスキャットの髪

◇木材
■木材一覧 *木材の性質についてはほぼ全て判明
あ】
アカシア、アカガシワ、アスペン、イチイ、イトスギ、鬼胡桃
か】
カエデ、カラマツ、ギンヨウボダイジュ、クマシデ、クルミ、クロクルミ、栗、黒壇、月桂樹
さ】
サンザシ、桜、シカモア、紫壇、杉、セコイア
た】
トウヒ、トリネコ
な】
ナシ、ナナカマド、ニレ、ニワトコ
は】
ハシバミ、ハナミズキ、ハンの木、バラ、ヒマラヤスギ、ヒイラギ、ブドウ、ブナ、ヘーゼル、棒、ポプラ
ま】
マホガニー、マツ、モミ
や】
ヤナギ、ヤマナラシ、ヨーロッパナラ
ら】
ライム、リンゴ、リンボク、レッドオーク


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約束

特殊タグ始めました


 

アーサーが閑職とは言え、いつまでも遊ばせておく訳には行かないはずだ。

 

まだ仕事があるだろう。

 

リンネもまだ幼児だ。

いつまでも帰らなければ誘拐を疑われる。

 

もはや手遅れかもしれないが。

 

なら今、また会う約束をするべきだろう。

 

「今度、僕の持ってる本を持ってきます!」

 

リンネは幼児向けの電気の教本を持ったくることを約束した。

理解のある魔法族でさえ、電気製品はコンセントからしかエネルギーを引けないと思っている。

だからアーサーにも一からわかるように幼児向けの教本を用意して、リンネが魔法界の言葉や物事に置き換えながら話せば、わかってくれるだろう。

 

アーサーにマグルのことを教えるのには、リンネの思惑があった。

マグルの自動車を改造して空飛ぶ車を作れる彼ならば電気について理解を深められれば素晴らしい発明をしてくれるのではないかと思ったのだ。

 

「本当かい!有難いなぁ」 

 

アーサーは本気で喜んでいるように見えた。

 

「あの、アーサーさんっていついますか?」

 

いつ、ここにいますか?つまり、予定を聞いたのだが、いつ頃、予定空きますか?ご都合の良い日を教えてください。なんて言えばわかりやすいかもしれないが子供がそんな丁寧な言い方するとおかしいだろう。

 

「あー、その日によって違うからなぁ……」

 

アーサーは頭で予定を思い浮かべ、仕事が入っても休暇取ればいいかと考えた。

決して"気電"の本が知りたかったわけではない。おそらく、たぶん。

 

「……今、パーシバルくんは何歳だったっけ」

 

"気電"のついでに、アーサーには思い付いたことがあった。

 

「5歳くらいです」

 

リンネは本気で自分の年齢がわからなかった。だが最近、5歳の誕生日を迎えた記憶があったので5歳くらいと答えた。

 

「うん、いいね」

 

「どうかされたんですか」

 

年齢を聞かれたということはもしや。と思ったのだが一応、突然"うん、いいね"などと言ったのだから"どうしたか"聞かないと変だろう、とリンネは考えた。

 

「実は僕の息子にロナウドという子がいてね、君と同い年なんだ。でだ、良ければ休日にでも会わないかい?」

 

来た。全ては計画通りだ。

自分の才能が凄すぎて自分が怖くなった。

そしてアーサーが思い通りに答えすぎてだからダンブルドアにいいようにされるのか、と納得した。

 

「それって友達になってくれるんですか?」

 

「あー、なれるはずだよ。君は賢いし、どちらかと言うとロンの方が心配なんだけど。あの子、人見知りだからなぁ……あー、それでもよければどうだい?」

 

「是非お願いします」

 

 

「そうかい!なら、来週の土曜日とかどうかな?」

 

来週、は何かあっただろうか。

思い浮かべたリンネはそういえば、日本人だった頃の自分が入る前のリンネが友達と遊ぶ約束をしていたなと思い出した。

だが、そんなことよりアーサーとの約束の方が重要だ。

リンネの友達はマグルだし、この先さほど重要じゃない。

 

 

「土曜、えっと4、5、6……だからあー6日後?」

 

 

「そうだね。ダメなら違う日でも大丈夫だよ」

 

 

「いや、その日空いているので大丈夫です」

 

「じゃあ、ダイアゴン横丁で待ち合わせ……いや、間違えてノクターン横丁に行くことはないだろうが万が一を考えて、そうだなここにしよう」

 

アーサーはリンネのような賢い子が間違えてノクターン横丁など入らないだろうとは思ったが、好奇心でふらふら〜と入ってしまう可能性を考えて漏れ鍋で待ち合わせすることにした。

遊ばせる前に腹を満たすのにも使えるだろう。何より待ち合わせに最適だ!

 

「ここ?漏れ鍋でですか?」

 

「そう、漏れ鍋で。わからなかったらトムに聞いてくれればわかるはずだから」

 

「あの人に聞いたら"俺は雑用じゃないぞ"っていいそうですね」

 

トムがキレている様子を想像して、アーサーは笑った。

 

「ははっ!たしかに言うかもな。大丈夫さ、私がチップでも握らせて働くようにしておくよ」

 

ちゃんとボケを返してくれたアーサーに合わせてリンネも笑う。

 

「ふふふ、そういえばアーサーさんって電子のおもちゃに興味ありますか?良ければ今度持ってきますよ!」

 

「おもちゃ?どんなのだい?」

 

「ゲームです」

 

リンネは金持ちの子だ。

1985年といえば持ち運び可能な家庭用ゲーム機が登場したのもこの頃だった。

テーブルに乗り出して顔を近づけてくるアーサーが非常に興奮していることがわかった。

鰻ゼリーを食べた後の生臭い息が、リンネの顔に当たり思わず後ろに退いた。

 

アーサーはまるでいけないものを聞くかのように小さな声でリンネに問う。

 

「ゲーム?チェスとかかい」

 

リンネも声を小さくして、チェスの駒を動かすようなジェスチャーをしながら答えた。

 

「チェスもできます。いろんなことができるんです、マグルの中でも一部の人しか持ってないいいものがあるんです。よければ今度一緒にやりませんか?」

 

 

 





アンケート一覧

開催しているアンケートやまだやってないアンケートまで。
*分岐番号は変化する場合がありますが、作者側の管理用なのでそこまで気にしなくて大丈夫です。


ビクター・ケツエキを知っているか
→1話〈集計中〉/誰ですか、それぇ[優勢]

【分岐 序-1】ダンブルドアはオリ主をどうする?
→ 3〜7話〈集計終了〉/ダンブルドアのGルート[決定]

【分岐 序-2】オリ主の魔法族初めての友達は?
→2話〈集計中〉/ピーター・ペティグリュー(都合の良い友達[優勢]

【分岐 序-3】主人公の杖の素材は公式orオリジナル。また杖を買うか奪うか
→8〜最新話〈集計中〉/2.オリジナルの木材と公式情報の芯材 、3.公式情報の木材とオリジナルの芯材、5.奪う[同列]

【分岐 破-6】アーガス・フィルチが活躍するのはあり?なし?
選択肢>あり・なし
→話〈未定〉/[ ]

【分岐 破-1】ネビル・ロングボトムのヒキガエルは実は……ただの蛙or動物もどき?
選択肢>ただの蛙・動物もどき
→話〈未定〉/[ ]

【分岐 破-0-?】分霊箱の破壊時期。(時期によっては破壊できないものもある(作られていない、所在不明等)
選択肢>1991年以前・1991年から92・93から94・95から96・97以降
→話〈未定〉/[ ]

【分岐 破-0】ホグワーツ入学後、オリ主がヴォルデモートの分霊箱を破壊する数
選択肢>ハリー・ポッターも含めて全部・ハリー・ポッターを除いて全部・理由が有れば破壊するが積極的には破壊しない・一つも破壊しない・破壊されるのを妨害する
→話〈未定〉/[ ]

【分岐 破-2】秘密の部屋の継承者はだれ?
ハリーポッター・リンネウェインライト・ドラゴマルフォイ・アルバスダンブルドア・日記のトムリドル
→話〈未定〉/[ ]



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G G G

2021/10/17 18:56 誤字修正
誤字報告ありがとうございます。

今日、夜に、もう1話投稿します


アーサーは感極まっていた。

今までこんなにマグル製品について話せただろうか?今まで新しいマグル製品の情報を教えてくれた人なんていただろうか?

 

「ありがとう!今日は最高の日だよ!最高のハロウィンさ!」

 

「こちらこそ、アーサーさんのおかげで僕も楽しかったですし、友達も紹介してくれるなんて!」

 

お互いににっこりとしながら握手をした。

アーサーは純粋に、リンネの腹はドス黒く。

 

「あっ、もうこんな時間か。そろそろ帰った方がいいみたいだね。帰れるかい?怖かったら私が送って行くよ」

 

漏れ鍋の外で空は赤く染まっていた。

そろそろ帰らねば。

リンネは一言、最後に挨拶をささた。

 

「大丈夫です、来週の土曜日楽しみにしてます」

 

 

 

 

アーサーとリンネは席を立った。

 

アーサーがトムを呼んでお金を払い、リンネは二人にお礼を言って店を出た。

アーサーがマグル料理に金貨を払わされたことに腹を立てトムの胸元を掴んで、今にも殴りかかりそうにはなったが、最後には納得して渋々、払っていた。

 

店を出ると、アーサーに侮蔑の目を向けながら半ギレしているジェーマスがいた。

アーサーは外でいつからか働いていたジェーマスと交代して仕事を始めた。

ジェーマスは、漏れ鍋に入ろうとしてトムに追い返され、気まずそうにアーサーと仕事を始めた。

 

リンネは後ろを振り替えり、アーサーだけに手を振ったあと、家の方向へ足を向けた。

 

 

空はすっかり夕日に染っていた。

 

仕事漬けの両親もそろそろ帰ってくるだろう。

 

帰宅時間と相まって漏れ鍋からでたリンネはマグルの奇異の目に晒された。

 

ここで初めて寝巻きと裸足で来たことを思い出して後悔した。

 

急いで帰らないと、誘拐されたと思われて次の約束の日に行けなくなるのは勘弁だと、北道を思い出して薄暗い路地に足を踏み入れた。

 

明るい空と対照的に影のように暗い路地。

 

リンネの足音だけが聞こえる。

 

 

 

路地裏に入った瞬間、誰もが居なくなってしまったかのような静音が当たりを包む。

 

建物の壁から奇妙なことに人形のなにかが飛び出してきた。

 

 

ゴーストか、とリンネは驚いたが、この世界がハリーポッターの世界だと思ってからはそこまで驚くことはなかった。

 

 

日本人だった頃なら驚いて腰を抜かしたり奇声をあげて逃げただろうが、魔法界ではゴーストなどありふれた存在だ。

 

ホグワーツなんか、ゴーストの溜まり場だし、"殆ど首無しニック"なんて言う首が取れかけたグロテスクな幽霊もいるのだから。いちいち怖がっていてはホグワーツというお化け屋敷に行くなんて夢のまた夢だ。

 

 

 

ゴーストは身を捩らせると少しずつ色を取り戻して行く。

 

 

 

それは、片足が木の棒のようなものに、見開かれた目玉と、何もかもを疑うような狂気的な表情を孕み、趣味の悪い義眼形の眼帯をしていた。

 

「あ、あ……」

 

リンネは声を出すことができなかった。

何故こいつがいるのか、何故自分の目の前に現れたのか。パニックになっていた。

 

 

パニックになるということは、リンネは目の前の人物を知っているということだ。

 

身を震わせ、足元が覚束ず、一歩、二歩と後退する。

 

だが少し下がっただけで、後ろが何かがぶつかった。

 

壁ではなかった。

 

リンネのほっそりとした肩を誰かが優しく掴んだのだ。

 

「……」

 

息を吸うのを忘れていた。

 

 

目の端に皺くちゃの手が肩を掴んでいたからだ。

 

もっとも恐れていた事態に直面したリンネは、無意識に泣いていた。

 

それでも、後ろを恐る恐る見上げると、人の良さそうな老人がリンネを見てにっこりとした。

 

「アラスター、疑わしきは」

 

ダンブルドアがムーディの顔を見る。

 

 

にっこりと笑うダンブルドア。

 

人を殺すような顔でリンネとダンブルドアを睨むアラスター・ムーディ。

 

二人の目が交差し、そしてリンネを見る。

 

リンネには理解できなかった。

 

でも、ムーディの殺意を感じて命乞いがしたかった。

 

ただ助けて欲しいと願うような目でムーディを見た。

 

そこに一切の考えはなかった。

 

 

ただ純粋に、ただ思うがままに願った。

 

とても次のことなど考えられなかった。

 

 

 

希望があった。

 

ダンブルドアはセブルス・スネイプがハリー・ポッターを罰しようとした時、「疑わしきは罰せずじゃよ」と言った未来(原作)がある。

 

だから幼い子供に過ぎないリンネのちょっとした悪戯も許してくれると思った。

 

 

ダンブルドアは肩を離して、持っていた杖をポケットにしまった。

 

パンッ!と弾けるような音を立てて姿を消した。

 

助かった。

 

静音が戻り大通りの騒がしい音が聞こえて来た。

 

世界に音が戻った気がした。

 

車が走る音、人が話す雑音、犬が吠える音、鳥たちが巣穴へ戻る音、風の音、虫の音。

 

 

 

冷や汗がびっしょりだった。

 

なんでムーディやダンブルドアが現れたのか理解出来なかった。

 

 

そんなことを考えるよりも今はただ生きていることを喜んだ。

 

 

 

 

 

 

暗闇が包む路地裏、真っ暗な影から二つの目玉がリンネを凝視していた。

 

 

 

 

 

 

「……アバダケダブラ!!」

 

声が耳に届く。

影の向こうから呪文の光で一瞬照らされその姿が浮かぶ。

 

 

アラスター・ムーディの目がリンネと交差し、次の瞬間には呪文に貫かれて、視界は真っ暗な闇へ落ちた。

 




bad end【僕はまだ何もやっていない】


ここまで読んでいただきありがとうございました。序章が終わりです。
閑話を挟んで、次のから1章が始まります。どうぞ今後とももよろしくお願いします。


えっ?、いくらアンケートでGルート採用されたからって、こんな終わり方するわけないじゃん。





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2041---V.N KからH.R.Wへ
J-2^2の世界


個人的な更新基準…お気に入り投稿しているハリポタ2次創作が自分の作品の更新より新しかったら更新。(アンケート集計できていないときは更新なし)


あれは夢じゃなかった筈だ。

杖の先から放たれた閃光が僕の体を突き抜けて、体の力が抜けていくのは、夢じゃなかった!

たしかに、僕はムーディに殺されたはずだった。

 

 

 

暗転したはずが次に目覚めたのは、白い空間だった。

真っ白な駅のホームに真っ白な駅舎、真っ白な線路。

どこまでも続くような真っ白な空間にいた。

 

(ここは)

 

と言おうとして全く声が出ないことに気がついた。

 

僕の体は透けていた。

ヨレヨレの寝巻きに、葉っぱのついたままで。足には靴を履いていなくて、それはまさに先ほどまでと同じ姿だった。

 

(キングスクロス駅……どうして…)

 

僕には理解できなかった。

たしかにハリーポッターの原作ではハリーが死んだ時、キングスクロス駅に見える真っ白な空間で死んだはずのダンブルドアと再開し会話をする場面があった。

 

だが、僕はハリーポッターの世界を知っていても全く接点がない筈だ。

僕の記憶ではリンネは電車に乗ったことはなかったし、魔法界側にも当然行ったことはない。

 

 

加えてここ辺獄がなぜ魔法界側のキングスクロス駅の見た目になっているのか、疑問でならなかった。

 

ハリーはキングスクロス駅に接点があったからこそ辺獄の姿が駅に見えたのであって、僕が行ったことも実際に見たこともない駅のホームが辺獄の姿にはならない筈だ。

 

だが、ここは正確には元のキングスクロス駅ではないようだと思った。

 

 

線路の直線上には円や幾何学系のアーチが設置され、ホームには沢山のパソコンが、壁には訳の分からない図形や見たことがあるようで思い出せない言葉がぎっしりと刻まれていた。

 

真っ白な世界の中で、床に落ちていたアルバムだけが色づいていた。

薄汚れた青いアルバムを手に取り中を開く。

 

そこには見たことの無い東洋人がレイブンクローのローブを来て気取ったポーズを来て笑っていた。

 

1枚目も2枚目も3枚目も、ページをめくっても一人で映る東洋人いる。

 

 

8枚目に差し掛かると、誰かの結婚式に参加している様子で、嬉しそうに笑う新郎新婦を背景にアホみたいな変顔で写る東洋人がいた。

 

 

 

 

次の写真には、真っ赤な手形が頬に残る顔で、写真の下には"トンクスのクソッタレ!!人狼のクソッタレ!"と荒々しく書かれていた。

 

そのあとの何枚かは、誰かの結婚式やアルバムの主人であろう東洋人が格好をつけた写真が載っていた。

 

 

 

 

次のページには写真はなかった。

代わりに新聞の切り抜きが大量に継ぎ接ぎにされていた。

 

"ハーマイオニー・グレンジャー氏、魔法大臣へ……グレンジャー氏は名前を読んではいけないあの人をハリー……"

 

"生き残った死喰い人、セオドール・ノット氏を逮捕……従来の性能を遥かに上回る逆さ時計が押収されました。ノット氏は過去を改変し帝王を復活させる予定だったと供述し…"

 

"英雄ハリーポッターの息子、闇に堕ちる!!…息子のAと名前を呼んではいけないあの人の娘が共謀し、押収された逆さ時計を利用した罪で……"

 

"先日の記事についてのお詫び…ハリーポッター氏について誤報があり…"

 

"小コラム 人工衛星による魔法界の危機!マグル学の権威ディセビオ・セビオス氏は人工衛星が魔法界を発見することを…"

 

"週刊魔女 あなたもいつまでも若い肌へ!吸血鬼の膿でお肌すべすべ…"

 

最後の切り抜きには、口に出すのも幅かれるような罵詈雑言が書かれていたが、大体がハリーポッターと呪いの子に出てきたような内容だった。

 

 

 

次のページには真っ黒な何かが写っていた。

それがなんなのか、わからなかった。

写真を一枚抜いて裏を見てみると、2041年7月と書かれていた。

 

 

 

次のページにはページ自体に大きく2034年と書かれており、魔法大臣によるマグルとの融和政策やら、魔法界とマグル界の技術交流についてや、国際魔法使い連盟の規則変更についての記事が多くあった。

 

 

 

 

次のページには年代の記載はなかった。

でも全ての写真に墓石が映っていて、多くが知らない名前だったが、何故か物凄く虚しくなって涙が溢れた。

 

 

 

 

次のページには、面影のあるハリーポッターとロン・ウィーズリーらしき人が東洋人と一緒に映っていた。

二人とも面影というくらいには老けていて、若かりし頃の姿とはかけ離れていた。

写真に映る東洋人だけがいつまでも同じ姿だった。

 

 

 

やはり写真の裏には文字が書かれていた。

 

 

"Mr.Nへ素晴らしいプレゼントをありがとう!ハリーポッターとその友人ロナウドウィーズリーより"

 

 

とある。下には小さな字で、

 

 

"ps. R.B.WからV.N.Kへ

貴方のお陰で私たちは助かりました、今度は貴方の助けに私たちがなります。僕たちと写真に写りたいとおっしゃっていたので合成した写真を送ります。気にいって頂けると嬉しいです"

 

と書かれていた。

写真の中の3人は動かなかった。

切り抜きの預言新聞も写真が動かなかった。

 

年代は20……十と一の位は塗りつぶされていて読めなかった。

 

次のページには、マグルの新聞の一面に積み重なる死体の山があった。

 

銃を持った兵士たちがトンガリ帽子を被った女を押さえつけ、その後ろでブルドーザーやクレーンがホグワーツ城を解体している写真もあった。

 

文字は煤けていてほとんど内容は理解できなかったがハーマイオニー・グレンジャーという女性が狂った侵略者からイギリスを守った人物として女王陛下から表彰を受けたことが記されていた。

 

 

 

 

 

 

アルバムを閉じて立ち尽くした。

アルバムの写真や切り抜きを見るたびに何か心の奥底から吹き上がるものがあった。

これが嘘だとは思えなかった。

 

信じがたいことだが、これを変えたいと強く願った瞬間があったことを今思い出した。

 

それはきっと遥か未来の出来事だ。

だが不思議と嘘ではないと思えた。

 

 

 






タグの追加に関するアンケートと、そのメリット、デメリット

○時間逆行タグ等を入れる
→メリット
展開がわからないというストレスが無くなる。主人公が死ぬという展開により、読者が不安に感じるのを防ぐ。
また、時間逆行や死に戻り、ループなどの作品を探している人が見つけやすい。

→デメリット
読むときに展開がわかっているので緊張感が無くなる。死んだ主人公がそのまま死んで新しい主人公になるのか、それとも……とか読者が想像できなくなる。

○入れない
→メリット
展開がわからないから、緊張感が出る。
ストーリーを読む上で不安を覚えてそれがワクワク感にもなる。

→デメリット
サクサク読めなくなる。ストーリー展開が不安になって読むのをやめるかもしれない。


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自問自答

誤字報告ありがとうございます

*短いので、後々文字を追加する可能性があります。


僕は何かを忘れている気がした。

このアルバムにしろ、壁の文字にしろ。

 

何故、僕は家から漏れ鍋への道がわかったのだろうか。

 

偶然……?ありえないね。

だって普通なら見知らぬ体になっていて家を飛び出したりしない。

 

そしてあの時感じた、僕がこの体に入る前までのリンネという精神。

一つの体に二つの精神、気が狂わないほうが変だ。

 

僕が本当にリンネという人物になったのなら、まず部屋を調べたり僕は誰なのか自問自答したり、中身が変わったことを周囲の人に知られないように大人しくするのが普通じゃ無いか?

 

僕は、血が吸いたいとか、人に暴力を振るいたいという反社会的な欲望があったからそういうのをずっと押さえ込んで来たんだ。

欲望をあるがままにしたものがどうなるかなんてニュースを見ればわかる話だ。

 

だから、ずっと一般人に、他と変わらぬただの人に見えるように演技をしてきた。

だから何事も慎重に判断してきた筈だ。

 

それがどうだ!?

 

僕ってば、いきなり窓から家を飛び出して、裸足と寝巻きで家出だって!?

 

それから何故か漏れ鍋がどこにあるかわかって直行?

ハリーポッターは僕にとってただの物語だ。

ハリーも、アーサーもダンブルドアも全て紙の上の文字と、画面の向こうの映像だっただろ!

 

なのに、何で少し見ただけでそうそうにこの世界がハリーポッターの世界だぁ〜なんて信じたりするんだ?おかしいだろ!

今日の僕はどうかしているよ!

 

それにもしも自分がハリーポッターの登場人物だったとしても、あんな迂闊なことはしないね!

 

なんとなく家を飛び出した先に漏れ鍋があって、偶々アーサーがいて適当に絡んだらアーサーと話せる機会が出来て思うように誘導できてロンと会える約束が出来たぁ?

馬鹿なのかい?

 

誰か僕を、馬鹿だと言ってくれよォ!

 

すこしは怪しめよ!

ありえないだろ!

運命なんてものじゃ無い、仕組まれたと思えよ。

 

僕が何を忘れているにしろ、関係ない。

アルバムを見ているときに断片的に思い出したことがある。

 

それはどうやら僕は前回もこの空間へ来て、リンネ・ウェインライトとして目覚めることをしているらしいと言うことだ。

 

断片的に、違う死に方をした時の直前の記憶が浮かんで来たのだ。

 

もっともその時はムーディが放った衝撃魔法によって車道まで吹き飛ばされて車に跳ねられたようだが。

 

二度あることは三度あると言う。

僕が死んで一定の時間を繰り返しているということは、次もあるのだろう。

次がもしあると言うなら、またムーディに殺されてしまうということでもある。

 

だから僕は慎重にならなければならない。

 

 

もし、僕が再びあの部屋で、リンネ・ウェインライトとして目覚めるならば、僕は精一杯リンネになり切ってこの"終わらない"ループから抜け出してやる、そう自分に誓った。

 

 

 

そして、段々と意識はなくなっていって、僕は目覚める予感がした。

 

 

 





文字数に関するアンケートと、その意図

1500〜2500文字の場合、今まで通り更新します。
2000〜3000文字の場合も同様に今まで通り更新し、今までよりもすこし会話が増えたり、原作について(ハリーポッターで登場する独自の単語やストーリーなど)について触れます。

4000文字の場合
今まで2000文字程度で投稿していた話を一つにまとめて投稿します。

6000文字、8000文字、それ以上の場合は大きなメリット、デメリットがあります。

→メリット
単純に読み応えが出る。
より登場人物の心情がわかる。
風景や感触、味覚、心、仕草など様々な描写が入る為、作者がイメージしているストーリーがわかりやすい。
主人公以外の視点も追加される。

→デメリット
文字が増えるので、サクサク読めなくなる。
具体的に書かれるので、読者がイメージして読める部分が少なくなる。
自分だったらこの部分をこうするなぁ、とか考えづらくなる。
ライト感が低くなる。
ストーリーの進みが遅く感じる。
社会悪的な主人公のため、細やかな心情描写があると頭に来たり、気持ち悪いと感じる可能性がある。
視点がころころ変わったりして鬱陶しいなど


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序二章 "****からはのがれられない"
プロローグ


評価ありがとうございます


 

 

 

 

僕は生まれた時もしくは記憶がないほど幼い時は多分普通の子供だった。

弱々しくて情けないほどに、自分の意見がなかった気がする。

両親が残したホームビデオには、親が手を引くままに歩き、友達がいうがままについて歩く姿があった。

 

 

他のマグルたちに混じって暮らす中で、暴力に屈服し自分の僅かな意見でさえ曲げていた。

強いものに従い、それをよしとした。

 

僕の両親は、子供は沢山の友達がいて外で遊ぶことが子供の幸せなのだと信じて疑わなかったから、僕は親の指示するままに友達と遊んでいた。

 

だけど、僕にとっての本当の友達は、本だった。

 

どんなに癖のある人でも、偏屈なおじさんでも、あの世にいってしまった人だろうと、僕のような一市民ではお目にかかれない偉人だろうが、本を通して彼らに師事することが出来た。

 

本を読んでいると本に宿る人格が僕を導いてくれるのだ。

変だと思うだろうか?

実際に僕は、本を読んでいるときに文字や図を見ているのではなく薄らと筆者が人の姿になって現れて見えているのだ。

 

本は読むほど答えてくれた。

最初はただマグルの戦術について書いた本も10回20回と読み直すうちに、本の人格が僕の相談に乗ってくれるようになった。

 

僕の部屋には沢山の友人がいた。

本が友達だなんてどうかしているという人もいるだろうが、僕にとって下らない低脳な人間と群れていることをステータスだと勘違いしている大多数の人間がどうかしていると感じている。

 

本の人格ともいうべきか。

本の中の彼らは僕がたくさんのことを覚えると手放しに誉めてくれた。

 

両親に話しても、よくやったとは褒めてくれてもそれ以上がなかった。

本の中の友達は、「俺はまだまだ沢山の本を書いたのだと、まだお前が知らない俺がいるのだと」僕に教えてくれた。

僕はさらなる高みを目指せた。

 

 

僕が本の中の友人たちとしか話さなくなると、両親は無理矢理、僕を外へ行かせるようになった。

 

その頃には今まで少なからず楽しいと思っていた子供同士の遊びが、退屈どころか不快に感じて、それを相手に言うことも表すこともしなかったが、酷くストレスに感じていた。

 

それを本の友達に話すと彼らは両親が僕のことを心配しているのだと教えてくれた。

その頃には、本たちと話せば全てが解決するとわかってきていた。

 

両親は僕のことをよく見てくれていたが、あまりうまく育ててはくれなかった。

 

何故なら僕は"特別"だったからだ。

 

僕が本と話して本に書いてあること以上の情報を知れたのは変わっているからでも、狂っているからでもない。

僕が特別だからだ。

 

僕が本の偉人たちのように、特別な運命を持っているからだ。

 

学校では一番だった。

スポーツも、勉強も、友好関係も。

本を読む前の僕は、情けないほどダメなやつだったが、本が教えてくれるようになってからは変わった。

 

学校一の人気者で、学校で一番優秀で、学校で一番スポーツが出来て、誰もが認める努力家で、先生も認める人格者だった。

 

当然、異性にもモテた。

下級生にも慕われていた。

暴力を振るって僕を従わせようとする野蛮人には同じ暴力で打ち勝った。

 

図書館のあらゆるジャンルの本を読み本たちと親しくなっていた僕は、学校の司書と仲良くなった。

図書館に来るような、大人しい子達とも仲良くなった。

彼らは、以前の僕のように誰かに従ってしまうような軟弱さがあったものの、僕すら思いつかなかったような素晴らしい考えを持っていた。

 

僕は学校には馬鹿しかいないと思っていたから、その時は嬉しくて堪らなかった。

 

でも、彼らの中に本と話せる人がいなかったのはやはり僕が特別だったということだろう。

 

 

 

そして僕にホグワーツ魔法魔術学校からの使いという特別な人間が迎えに来た時は、やはり僕が選ばれた人間だと確信した瞬間だった。

 

 



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閉じられそして

誤字報告ありがとうございます。いつも助かっています。

組分け帽子がマルフォイをアズカバンに入れる嘘吹替動画が懐かしい…



イギリスの一角のなんもない平凡なハロウィンの日だった。

 

つい4年前まで闇の魔法使いが大暴れし、英雄の両親を惨殺したとは思えない程に、何もない平和なハロウィンだ。

 

この辺りは富裕層の住まう大きな邸宅が並ぶ地域だ。

家を取り囲み生垣や巨大な門、広い庭、歴史を感じさせる古風な邸宅が街の全てにぎっしりと建ち並んでいる。

 

格差が大きく、宗教的な問題や人種的問題、階級的問題、金銭的問題……様々な理由から治安もとてもよいとはいい難いイギリスだが、この町は、高所得者向けに整備された街であり、格家ごとに警備員がいることや、歓楽街から遠いこと、街の入り口に検問があることなどから怪しい人間が立ち入ることはほとんどないと言えよう。

 

5mはある生垣に囲まれ、アンティーク調の門を抜け芝生と薔薇の庭を抜けた先にある白を基調とした4階建ての豪邸が、ウェインライト氏が住まう屋敷だ。

 

ルーセルと言うフランスで製薬業を営んでいる家のお嬢様のベルナデットが、イギリスで代々学者を輩出してきたウェインライト家の次男、ジェイクに嫁いだ時に引っ越してきた屋敷だ。

 

ルーセル家も、ウェインライト家も平民ではありながら古くから続く名家であり、土地や資産は多く持っていた。

 

本来なら二人が結婚する際、双方の家から今よりも豪華な邸宅がもらえる予定だったが、自分たちで働いたお金で家を買ってみたいと言う、持つ者の余裕で家を買い、一から家具を揃え、使用人を雇い生活していた。

 

彼らの両親は、自分で働いてみたいと言う二人を心配しながらも感動し、そんな二人は労働という楽しさの虜になっていた。

 

なんといっても二人は、勉強と作法が普通の生まれよりも厳しかった代わりに、他がとんでもなく甘かったもので、生まれてこの方労働と言える労働をしてこなかったのだ。

 

人に起こして貰い、歯を磨いて貰い、着替えさせて貰い、ドアを開けて貰い、食事は作って貰い、欲しいものはほぼ全て買い与えられ、すこしの体調不良でも最先端の医療を受け、美味しいものを食べ、親が選んだ厳選された友達と遊び、すこしの移動も運転者付きの車で移動し、立ち入り禁止エリアも金の力で入って、店に並ぶこともせず、全てを親の力を使って楽に生きてきたのだ。

 

粗暴だったり、性格に癖のある人物を会う機会がなかった。

 

……こんな話は聞いたことがないだろうか?

 

(とある国の王様が、その辺を歩いていた平民となりかわって1日を過ごす話だ。

 

王様は金の杖や宝石のついた王冠、豪華なマントを脱ぎ捨て、その辺を歩いていた平民に王の格好をさせ、自分はその平民の着ていた薄汚れたシャツとハーフパンツを履き、平民が普段している性格を"体験"するのだ。

 

平民となった王様は、成り代わった平民が普段しているという仕事を行う。

平民とは違い普段労働をすることはない王様は、一体どうやって仕事をしたらいいのかと悩む。すると責任者がやってきて「遅いぞ!早よせんか!」と怒鳴りつけ頭を叩くという暴行をするのだ。

 

そこで王様は感激する。

 

「おお!なんと、余は王として生まれてきた、誰かを怒る事はあっても誰かに怒られることなどなかった!」

と。続けて。

 

「ああなんて無礼な男だ。よもや余の頭を叩くとは。ああ許そう、今だけは許そう。余は生まれてこの方、人を叩き時には剣で斬ることはあろうと叩かれたことなどはじめてだ!素晴らしい!"体験だ!"」

 

というふうに続く物語なのだが。】

 

この物語をご存知かどうかはともかく、ベルナデットとジェイクは、まさにこの王様と同じ状態に陥っていた。

 

富裕層が限られた物しか食べられないのだと言う文句に釣られ、貧困の農家が仕方なしに食べる物と同じ野菜を食べるのと同じように。

 

お金があると言う余裕から、又は労働をしたことがなかったからと言う、まるでテーマパークに行くような理由で、二人は働いている。

 

"平民はこんなことをしているのか!働くって楽しいなぁー!!"

 

 

彼らは、共働きで家を開けていることが多かった。

 

妻のベルナデットは、貿易業を行う会社の役員として働き、夫のジェイクは近年急速に普及してきたコンピュータを販売する会社の社員として働いていた。

 

二人には子供がいたが、家に帰ることはあまりなく、返ってきていても真夜中だったり、顔を合わせることがなかったことから、教育も世話も使用人任せだった。

 

使用人たちは、この子供を酷く気にかけていた。

 

その子の名前は、"アンリ"・ウェインライト。

 

ふわりとしたホワイトブロンドの髪の毛と、雪のように白い肌、とても珍しいとされる赤色の眼を持った小さな男の子だ。

つぶらな瞳やもっちりとした肌、それに桜色の小さな唇などが揃った彼は幼いからか、少女にも見えるような美しい中性的な見た目をしていた。

性格も大人しく、それでいて好奇心旺盛で、幼いながらも人の気持ちがわかるような賢さを兼ね備えていた。

 

名家の血か、教育がそうさせたのか。

ピシリと伸びた背筋や堂々とそれでいて気品のある歩き方をしていて、テーブルマナーも注意できるところが少ないような完璧っぷりを見せ、誰がみても上流階級の御子息と言ったオーラを出していた。

 

使用人から絶大な人気者だった。

"アンリ"が何かしたわけではない、ただニコリとしながら小さなお礼を言ったり、使用人の名前を全員覚えていたり、彼が誰かに言われるまでもなく努力をするところを見たり。

様々な理由から彼を守りたいと、見ていたいと、ウェインライト夫妻に金で雇われた立場から、親の愛を貰えない可哀想なアンリに愛情を持つ使用人が増えただけのことだ。

 

友人たちの中でも一番優秀だった。

勉強も誰よりも出来た。

しかし、友好関係でも優秀だった。

 

彼は話を聞き、対立する意見をまとめ、非積極的なものから意見を引き出し、うまく煽て上げ多くの友達を作った。

 

顔もいい、性格もいい、使用人からは慕われ、大人達はあの子は素晴らしいと褒め、同期の中では誰よりも賢く、性格にも癖がない。

同性にも異性にもモテた。

 

まだ子供だからか、男の子は友達としての好きと恋人としての好きの違いがわかっていなかったから、"アンリ"に告白する者もいた。

男の子がしてしまうように、異性である女の子からはさらに多くの告白をされた。

 

"アンリ"は、真の賢さを僅か五歳にして理解していた。

勉強が出来るのは最もわかりやすい賢さだ。

金、大人の評価、それもわかりやすいステータスの一つだ。

運動が出来る、勉強や権力に比べて子供にわからせるのにはもってこいの基準だ。

最も、大人でも気づかない賢さがある。

 

それは、自らが優位に立っていることを見せつけず、周りの人達が心地よく振る舞えるように場を整え、取り仕切ること。

誰がリーダーなのか理解させ、強制せずとも周りが自分をリーダーであることを望ませること。

 

そう言う立ち振る舞いこそが真に賢いものの行動だと"アンリ"は知っていた。

 

"アンリ"が友達が作る場は、親が用意した場だ。親は自らがそうであったように、選別した友達候補を用意し関わらせる。

選別したとはいえ、自分が呼ぶ側ならともかく、呼ばれる側になった時、そこに頭のある子供がいるとは限らない。

 

多くが、自らが恵まれた生まれのゆえ恵まれないものを見下す。

又は、体格がよく生まれたばかりに暴力で相手を屈服させようとする。

 

 

賢いか賢くないかで言われれば賢くない方であるし、普通かどうかと言う基準なら、そう言う子供こそわりと普通のタイプで、"アンリ"の方が稀なタイプだ。

 

暴力を振るうものには、暴力で、権力を振るう物には未知の恐怖を与えた。

 




【分岐 破-A-1】オリ主の組分けについて
グリフィンドール、レイブンクロー、スリザリン、ハッフルパフ、アズカバン。
どれがいいですか?

具体的にどんな場所なのか概要を入れておいたので、分岐を選ぶ参考にどうぞ。

【グリフィンドォォルッ!】
名前:グリフィンドール
創設者:ゴドリック・グリフィンドール
象徴する動物:獅子(ライオン)
秘宝:グリフィンドールの剣
場所:ホグワーツ魔法魔術学校
所属:ホグワーツ魔法魔術学校
代表的な所属した人物:アルバス・ダンブルドア、ハリー・ポッター、ニコラス卿(ほとんど首無しニック)
特徴:よく言えば勇敢、悪く言えば考えなしな性格が集まりがち。自分の我を通しがちで、特にスリザリンと仲が悪い。
ちなみにアルバス・ダンブルドアが校長の際にグリフィンドール生だと悪戯をしても、素晴らしい好奇心じゃ!などと言う風に終わり、かなりたちの悪い犯罪も容認される。
行き方:グリフィンドール寮に入るには動く肖像画に合言葉を言う必要がある。逆に言えば合言葉がわかれば誰でも侵入できる。
性質:
グリフィンドールに行くならば
勇気あるものが住まう寮
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール

【レイブンクロー!!!】
名前:レイブンクロー
創設者:ロウェナ・レイブンクロー
象徴する動物:鷲(ワシ)
秘宝:レイブンクローの髪飾り
場所:ホグワーツ魔法魔術学校
所属:ホグワーツ魔法魔術学校
代表的な所属した人物:オリバンダー、ギルデロイ・ロックハート、クィリナス・クィレル
特徴:何かに秀でているがクセがある優秀な人物が集まる。それから最も陰湿な寮。
行き方:クイズに答えると寮に入れる。答えられればレイブンクロー生でなくとも侵入可能。
性質:
古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう

【スリザリンッッッ!!】
名前:スリザリン
創設者:サラザール・スリザリン
象徴する動物:蛇(ヘビ)
秘宝:スリザリンのロケット(ネックレス)
場所:ホグワーツ魔法魔術学校
所属:ホグワーツ魔法魔術学校
代表的な所属した人物:トム・リドル(ヴォルデモート卿)、マーリン、セブルス・スネイプ
特徴:闇の魔法使いを輩出しがちな寮で純血主義が横行している。特にグリフィンドールと仲が悪い。
ちなみにアルバス・ダンブルドアが校長の際にスリザリン生が些細な悪戯をしていたら、将来は闇の魔法使いになるだろうと決めつけられ、監視される。スリザリン生がいくら頑張っても評価しない。
行き方:スリザリン寮に入るに合言葉を言う必要がある。逆に言えば合言葉がわかれば誰でも侵入できる。
性質:
スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ


【ハッフルパフ……!!】
名前:ハッフルパフ
創設者:
象徴する動物:穴熊(アナグマ)
秘宝:ハッフルパフのカップ
場所:ホグワーツ魔法魔術学校
所属:ホグワーツ魔法魔術学校
代表的な所属した人物:ニンファドーラ・トンクス、ニュートン・キャスマンダー、ハンナ・アボット
特徴:温厚といえば聞こえはいいがあまり素質のない生徒が割り振られる傾向にある寮。
原作で組分けの最初に呼ばれる人ことハンナ・アボットや、トラウマ製造機であるセドリック・ディゴリーなどがいる。また七変化という才能を持つトンクスや、動物学者の癖にヴォルデモート卿よりも恐れられていた闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドを捕らえたニュートン・キャスマンダーも輩出している。
行き方:正しい樽を正しいリズムで叩くことで入ることが出来る。全ての寮に言えることだが入り方がわかっていれば、関係の無い寮生でも侵入出来る。
性質:
ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない

【……アズカバン!!!】
名前:アズカバン
創設者:エクリジス
象徴する動物:吸魂鬼(ディメンダー)
場所:北海の島
所属:魔法省
代表的な所属した人物:シリウス・ブラック、ベラトリックス・レストレンジ、バーティ・クラウチ・ジュニア
特徴:闇の魔法使いエクリジスが建造した要塞アズカバンには拷問の果て魂を抜かれ様々な闇を詰め込まれた魔法生物である吸魂鬼が沢山徘徊しています。
荒れた海にある島に立つ三角形の直方体のビルのような見た目をしていて、中には凶悪犯罪者が……主にヴォルデモート卿の仲間であった死喰い人が沢山暮らしています。
行き方:不明
性質:
閉ざされた暗黒のアズカバン
罪を償うべき罪人が行くところ
吸魂鬼は心を蝕み檻は沈黙する
あなたは必ず悔い改めるだろう


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目覚め

あいるびーばっく


"アンリ"・ウェインライトという人間は、自分が生まれた時から特別な人間であると自覚していた。

 

"アンリ"は、ベビーベッドで寝ていた時にはすでに言葉を理解していたし、1歳の頃には他を知らないはずなのに、自分の家の親が普通じゃないことも気づいていた。

 

何故自分が特別なのか、何故自分が賢いのか。

"アンリ"は考え、その先に自分が夢の中で誰かの記憶を見ていることに気がついた。

 

その人は、賢かった。

その人は、自分と違い両親に愛されていた。

その人は、あまり裕福ではなかったが沢山の友達がいて楽しそうだった。

そしてその人は、自分と同じように赤い目をしていて人より鋭い犬歯を持っていて、それで本と会話ができていた。

 

"アンリ"は、なんとなく自分の賢さや特別な才能がその人物から与えられたような気がしていた。

 

その人物は記憶だけで"アンリ"の問いかけに一切答えることはなかったが、"アンリ"が望めば望んだ記憶を見ることが出来た。

 

知識を学び、真の賢さを知り、人間の友達を沢山作った。

記憶にはない、沢山の本を読んで、同じように沢山の本の友達を作った。

 

自分が特別な人間だと知った。

自分が記憶の中の人物がいう***だという存在であることを知った。

"アンリ"は魔法力に目覚めていた。

 

記憶が示す通りにすれば不思議な力を使うことができた。

 

握った小石は粉々になり、殴ったドアには穴が空いた。

記憶の通りにやってみれば力を抑えることも出来た。

 

そして、目をじっと見つめれば相手の心を覗くことが出来ると知った。

記憶の中から望む記憶を見るように、他人の目を見つめながら欲しい情報を引き出そうとすれば、記憶や思考を覗き見することが出来た。

 

だから権力を振りかざす奴には心を覗いて脅した。

知られたくない記憶を引き出し、暴露した。

心を読んで、話す言葉を重ねた。

親の権力は所詮親の権力でしかないことを理解していない、間抜けどもだろうと、暴力でしか力を測り比べられない野蛮人どもにも、精神攻撃はよく聞いた。

 

協力者には愛を、反逆者には恐怖を与えた。

反逆者にも慈悲を与えた、友達になれば暴力を振るうことも除け者にすることもない。

あまり弾圧しては、うまくいかないと君主論という"本の人格"が教えてくれた。

飴と鞭をうまく使いこなし、格下はもちろんのこと格上の家の子供も丸め込み、取り巻きにする。

 

大人のいるところでは、優秀で可愛らしく、運動も出来てみんなから好かれていて、気品のある、努力家な子供だった。

しかし、裏では子供あるまじき知能を悪用し、仲良しグループという名の取り巻きを作り、家族や身内だけが知ることができる秘密の情報を収集し、ノートに書き込んでいた。

裏切られた時に相手の弱みにつけ込むために、少しでも反抗するものを徹底的に叩きのめすために。

 

 

彼の本性を知れば悪魔だという人もいるだろう。

 

 

だが、"アンリ"は本当は寂しかったのだ。

祖父母は両親が予定がつかないからという理由で逢いに行けず、両親は両親で家に帰って来ない。

 

帰ってきていても、仕事が忙しいからなどとあれこれ理由をつけて会おうとしない。

友達はみんな、両親に愛されていて羨ましかった。

 

使用人たちは"アンリ"を肉親のように愛してくれていたが、肉親が愛してくれないアンリにとってはそれが悲しくて悔しくて、どうしようもないくらい申し訳なかった。

 

愛されていることが嬉しかったが、血のつながりのある誰もが自分を愛してくれていない現実に絶望していたのだ。

 

だから、友達が羨ましかった。

 

人間を超えた力で、あるがままの衝動で、憎しみのままに全てぐしゃぐしゃにしたかった。

だけど、"アンリ"の優しさがそうはさせなかった。

 

愛に飢えていた。

誰かに認めてほしかった。

もっと愛されたかった。

 

両親がくれないというなら、誰でもいいからと、この寂しさを埋める愛を探していた。

 

 

使用人たちは心配していた。

 

最近、友達と遊ぶようになってから、親がいない状態が普通じゃないと言うごとに気づいた"アンリ"の様子がおかしいと。

 

沢山の友達に囲まれながらも、様子はどんどんおかしくなって来ていて、ただえさえ白かった肌は死人のように血の気がなかった。

 

輝くようなキラキラした目はなく、ほとんど閉じたような状態か、虚な目でいつも本を見ているようになった。

 

それからしばらくして、今度は表情が無くなり、めっきり口を開かなくなった。

食事以外は口を開かず、本を読むだけ。

 

 

そのうち、風邪をひいた。

熱は治らず、酷く魘された。

 

使用人たちは総出で、世話をした。

 

医者を呼び、診てもらったが、命が危ないかも知れないと言った。

 

そこでウェインライト夫妻にそれを知らせたが、彼らは"アンリ"を見に来る気はなかった。

それを知った"アンリ"が自殺しようとしたのを見て、正義感に駆られた使用人が、無理矢理、両親を連れてきたが失敗だったと言えよう。

 

両親はよほど仕事を休むのが嫌だったのか、使用人たちや医者に説得され、渋々どちらかが家に残り看病することになった。

 

"アンリ"の熱が収まってくると両親は「もう大丈夫でしょう」と言って仕事へ戻ってしまった。

 

"アンリ"はショックだった。

深く深く絶望した。

 

自殺も出来ない。

いや死にたいわけじゃなかった。

死のうとしたら親が心配してくれると思った。

具合が悪くなったのは、仮病ではなかったが、せめて本当に具合が悪い時くらい近くで見ていてくれるんじゃないかと期待していた。

 

だが違った。

ジェイクもベルナデットも、仕事のことばかり考えていた。

アンリがうなされている時も、企画案を書いたりプレゼンの練習をしたり、資料を読んだり、仕事に行けない不平不満を漏らしたり。

 

最悪なのは、恐ろしい悪夢をみて錯乱した"アンリ"に「煩い!!」と母が怒鳴りつけたことだった。

 

"アンリ"は絶望した。

 

賢いが故に絶望した。

特別でなくてもよかった。

 

賢くなくても、力がなくてもよかった。

 

ただ誰かの特別な人にはなりたかった。

 

誰かに自分を理解して、欲しかった。

 

真っ暗な世界へ心を深く閉ざす中で、もうどうなってもどうでもいいと、"アンリ"は絶望した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一軒の邸宅の一室で、風邪にうなされていた男の子は目覚めた。

 

 

先程まで死んだように真っ青な顔をして、腐った魚のような生気のないどろりとした目をして、天井を見つめていた子供とは思えないほどに、顔に色気を戻し粗い息をあげ、跳ねるように飛び起きた。

 

男の子はハロウィン前に風邪にかかり、楽しみにしていた友人とのパーティにも出れず、熱にうなされる中、両親が自分を見ていないことを知って絶望していたところだが、ようやく熱が引いてきて同時に落ち着いてきたところだった。

 

 

初めて目が覚めたとき、"リンネ"・ウェインライトは見慣れたはずの部屋に既視感を感じていた。

既視感なんて自分の部屋なのだから当たり前だが、リンネはこの感覚を、この状況を知っていた。

 

カレンダーは、1985年10月31日を指していた。

 

窓は開けられていて、風ががカーテンを揺らめかせ、外からはみずみずしい草の匂いがした。

 

子供用の背の低い机には写真が置かれていて、写真立てにはジェイクとベルナデットに抱きしめられ、そばには大好きな使用人のソフィアが控えている、そんな写真だった。

 

酷く喉が渇き、机の上に置かれた花瓶が目についた。

花瓶には庭から切って持ってきたばかりの美しい水色の花が生けられていた。

 

"リンネ"は、それらを無視して簡単に身だしなみを整えると、ふかふかの椅子に座り直して、机の上に置かれたベルをカランコロンと鳴らして、人が迎えに来るのを待った。

 

 




描き直したいと思うところは正直ありますが、一度直すと際限なく直してしまうタイプなので完結まで走り抜けたいと思います。(なお、完結までだいぶある模様)

前話のアンケートのネタ枠のアズカバンが人気みたいですね……スリザリンと接戦とか完璧なG Gルートですかね


【分岐 序-D-1】ホグワーツ以外にオリ主が入学するとしたら何処の学校がいいですか?(マイナー魔法学校編)

①ブラジル カステロブルーショ
②ウガンダ ワガドゥー

伯=ブラジル
宇岸=ウガンダ

名前:カステロブルーショ
場所:ブラジルの密林地帯
建物:黄金に輝くマヤ文明のピラミッドのような形の建物で、ピラミッドを生成する石材が金色に輝いている。
寮:不明
組分け:不明
卒業生:バリウス・ボラージ(スネイプが所持していた上級魔法薬という本の著者)、ホアン・コエーリョ(クィディッチ選手)
特徴:ホグワーツと同じくらいの時代に作られた。魔法動物学(飼育学的な感じ)と薬草学が盛ん。
ホグワーツでいうゴーストやポルターガイストに当たるカイポラという魔法生物がいる。カイポラはホグワーツでもっとも喧しい存在の一つのポルターガイストのピーブズよりも騒がしく喧しいらしい。
見た目が血濡れのような真っ赤な肌で、草を編んだような粗末な服のようなものを着ているらしい。
入学方法:不明

名前:ワガドゥー
場所:ウガンダの月の山脈
建物:雲より高い山の上を削って建てられた街のような見た目。まるで雲の上に浮かぶ島のようだとも言われる。
寮:不明
組分け:不明
卒業生:不明
特徴:動物もどきの習得が盛んでイギリスとは違い多くの生徒が習得している。ヨーロッパでは超一流の証とされる杖なし魔法を、ワガドゥーでは専門に習う。アフリカ地域全土から生徒を集めており、世界最大の学校。ホグワーツよりも歴史があり天文学、錬金術、変身術の評判が高い。
入学方法:夢の使者と言われる人物が現れ資格を持つ子供の手の中に文字を刻んだ石を置いてゆく。この石を持つ子供は自然とワガドゥーまでの行き方がわかるようになる。


以上が公式情報ですが、わからない部分はオリジナルでそれっぽくかきます。


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