黒しか愛せない (クロアブースト)
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劇場版 ミュウツーの逆襲
プロローグ 執行機関とトレーナー達の現実


現実主義なポケモン世界+黒いポケモン縛りのトレーナーのお話です。


ポケットモンスター、縮めてポケモン。

10才を迎えた少年少女達は初めて貰ったポケモンと共に夢と希望に満ちた冒険を繰り広げる……

 

だがそんなのはごく一部でしかないとコクトは知っている。

 

 

 

『君にポケモントレーナーとしての才能はない』

 

ああ、分かっているよナナカマド博士。初心者向けの御三家と呼ばれるなつきやすいポケモン達からすら拒絶されたんだ。

色んなポケモンをゲットしていかなければいけないポケモントレーナーとしては致命的だ。

トレーナーになる前にブラッキーに進化してくれる色違いのイーブイがパートナーになってなければポケモントレーナーにすらなれなかっただろう。

数年経った今でもいうことを聞くポケモン達は1BOXで足りてしまう程に少ないのだ。まさに茨の道と言っていいだろう。

 

『ポケモンと人は歩み寄れば分かり合うことが出来るのです』

 

とあるポケモン評論家め、そんなのは幻想だ。

何せ生まれたばかりのポケモンですら俺のいうことを聞かないのだ。とある事情があるとはいえ、LV1のポケモンかつ親が自分のポケモンが一切いうことを聞かないなんて前代未聞である。

まあそいつはポケモンの巣に放り込まれて白骨死体になって帰って来たので身をもって証明に失敗したのだが……

 

『こんな沢山の産まれたばかりのポケモンを逃して……貴方に人の心は無いのですか?』

 

育て屋め、お前こそ人の心は無いのか!

色違いで将来黒いリザードンになるヒトカゲ以外はバッジを8個持ってても一切俺のいうことを聞かない。こんなのサトシのリザードン以上の問題児達だ。

どんな高個体値だろうが、トレーナーのいうことを聞かないポケモンは役立たず以外の何者でも無いのだ。

寧ろボックスを占有するなら賃料を払うべきである。それが出来ないから退去させて何が悪い。

まあそいつは多くのポケモントレーナーの孵化余りを引き受け続けたせいで家庭崩壊し、最後には娘を売るなんて最低行為をしでかしたがな。

 

 

何より許せないのは俺を転生させたアルセウス神である。

 

『お主にワシの加護をやろう!黒いポケモンしかいうことを聞かない加護じゃ(笑)』

 

ふざけるな!

それの何処が加護だ!

お陰で御三家や野生ポケモンの大半がゲット出来ない時点で一つ目のジム戦すらまともなパーティを組めないのだ。

俺が最も好きだった厨ポケと呼ばれる優秀なポケモン達の殆どが仲間に出来ないという縛りを与えられたのだ。

黒いポケモンしか仲間に出来ないなんてどれだけ大変だったと思っている。

 

覚悟しろアルセウス!

どんなに時間が掛かっても、いつか貴様をぶっ飛ばす!

 

コクトはアルセウス神に挑む為に仲間を集め続けた。

 

まずは黒いポケモンを中心に野生で捕まえた。

だが元々黒いポケモンばかり集めると偏るタイプを補う為に色違いで黒くなるポケモンの存在を知り、孵化厳選可能なポケモンは大量生産という膨大なコストを掛けて色違いを孵化させた。

孵化厳選の出来ない伝説ポケモンは何度も倒しては復活させて再挑戦とう周回をこなして何とか色違いを出して捕まえた。

 

 

そんな努力をし続ける中で成長した彼はリーグに新設された組織、執行機関に所属する。

 

そして数年後………

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日から執行機関に配属されたイッシュ地方出身のメイです!皆さんよろしくお願いします!」

 

茶髪のロングヘアーをお団子付きツインテールに結びサンバイザーを装着している少女メイが挨拶をする。

ポケモンBW2をプレイした人なら誰もが知る女主人公であるのがメイだ。

イッシュ地方を震撼させた『全力全壊ガール』と畏怖されており、彼女と対峙したプラズマ団を中心とした悪人達はノイローゼになった被害者が後を絶えないと言われている。

そしてそんな彼女を迎えたのは一人の少年と二人の少女である。

黒髪赤目に黒コートという何処ぞの執行人スタイルをしていた少年はメイに挨拶をする。

 

「ようこそ執行機関へ。俺の名はコクト、旅でも一緒だったが改めてよろしくな」

「はい!よろしくお願いしますコクトさん!」

 

コクトとメイは握手をする。

彼の名はコクト。『黒衣の執行者』と畏怖されるトレーナーであり、手持ちポケモン全てが黒いという変わったトレーナーである。

執行機関のメンバースカウトも兼ねており今いるメンバーの大半はコクトが関わっている。

 

メイとは有能な人材を探している時に新人トレーナーとなった彼女と出会い、師弟関係を結んで旅をしながらレクチャーをしていた。

 

「へぇ〜君もコクトがスカウトしてきた一人なんだね。私はミズキ、よろしくね」

「……リーフ……よろしく」

「よろしくお願いします!ミズキ先輩、リーフ先輩!」

 

同じく執行機関に所属している少女の二人が挨拶をする。

一人はウルトラサン・ウルトラムーンで女主人公だった少女、ミヅキ。通称ウルトラビーストの女王と畏怖されており、自称ベッドソムリエというベッドの生々しい感触をレビューしてたせいでポケモンセンターから出禁にされた変態である。

もう一人はファイアーレッド・リーフグリーンで女主人公だった少女、リーフ。

通称リビングレジェンドと畏怖される少女であり、基本無口だがポケモンへの愛情とポケモンバトルでの強さは無類の強さを誇りカントー地方ではチャンピオンに至るまで一度も敗北することなく勝ち続けた怪物である。

更に本人も防寒装備無しでシロガネ山を過ごすというスーパーマサラ人の潜在能力を持つ少女だ。

 

「うんうん、やっぱり可愛いね!コクト君ったらこんな美少女捕まえてきてぇ……悪い男だよねぇ♪」

「きゃ!?ミヅキ先輩!?」

 

ミヅキはスキンシップとしてメイに抱き付く。男女問わず気に入った相手には抱き付くのは執行機関では知れ渡っている。

 

「ミヅキは男女問わず抱き付き癖があるからな。それと容姿が良いのは認めるがメイをスカウトしたのは優れたトレーナーの才能を感じたからだ」

「え〜ミヅキちゃんみたいな可愛くて強〜い女の子ばっかり集めてハーレムを築きたいんじゃないのぉ?」

「そういう下心な連中の処理方法を教えたのは誰だと思っている」

「財布も実力も緩い新人女子トレーナーは破綻する……下心ある連中はそういう弱みにつけ込むのはよくあること……」

「あ、私も友達の女の子の六割がパパ活経験者でしたね」

 

メイはサラッと女子トレーナー達の爛れた肉体関係を語り出す。昨今新人女子トレーナー達のパパ活などの援助交際が社会問題となっているのだ。

 

「全く嫌だよねぇ……女の子はお洒落にお金を使うけど、バトルで勝てなきゃお小遣いは貯まらないから負け続けると援助交際に走っちゃうんだよ」

「……生きてくにはお金は大事、けど原因は資金繰りの甘さだから自業自得……」

「自信満々にパパ活をSNSとかで語ってる女子トレーナーがいますけど、自分の価値を落としてるって自覚が無いんでしょうね」

 

三人揃えば姦しいというように援助交際批判を始める彼女達。だがこの世界は残念ながらゲームやアニポケのような夢も希望もない現実主義な世界なので新人女子トレーナー達の援助交際は後を絶えないのである。

 

何せ生活資金だけでもバトルでの収入のみで得るのには勝ち続ける必要がある。

だが馬鹿正直にコラッタなどの弱いポケモンばかり使い続けるトレーナーばかりではない。

御三家を貰ったばかりの少年少女達に短パン小僧がバンギラスを繰り出すことだってあり得るのがこの世界である。

自分の手持ちのレベルに合わせたトレーナーと戦い勝ち続ける。

そんなのは主人公のような運命力を持つトレーナーでも無ければ不可能だろう。

だから新人女子トレーナー達の援助交際は止まらないのである。

 

因みに新人男子トレーナー達もパパ活では無いが、ショタ喰いの女トレーナー達の餌食にあってたりするのは余談である。

美人のお姉さんが子供達を優しく励まし、旅のサポートを行う。そんな夢のような話に引っかかった連中はホイホイとホテルへ連れ込まれて食べられるのだ。

あいつら食虫植物じゃねと思われても仕方ない奇行である。

 

「俺からすればトレーナーも付けずにソロで旅しようと思うのは無謀だがな。援助交際然り、経験者のサポート無しで旅するとか自殺行為だからな」

「確かにそうでしたね。私の友達の男の子で自分の力だけでポケモンマスターになってやる!って言ってた数人が数ヶ月で行方不明になってましたし……」

「彼等は甘い……ソロで手持ちポケモンが全滅=死なのを理解出来てない……」

 

メイやリーフの言う通りゲームと違って手持ちポケモンが全滅したら目の前が真っ暗になってポケモンセンターに直行出来るのは稀である。

何せポケモンと遭遇しておいて簡単に逃げられないからこそ手持ちポケモンを出して戦うのだ。

つまり抵抗できなければ待つのは捕食や殺害などの悲しい現実が待っている。

この世界では新人トレーナー向けの支援トレーナー制度というのが発足している。

未経験な新人トレーナーに向けてベテラントレーナー達がレクチャーしながら同行してくれるという制度である。

まあ仲介料として4割の賞金が徴収されたりするから利用しないトレーナーが多いのが現状である。

 

「コクトさん、執行機関のメンバーは全員でしょうか?」

「いや今フリーな連中の紹介をしただけだ。他のメンバーは各地で活動中だ」

 

執行機関、それは表向きのポケモンリーグのジムリーダーや四天王、チャンピオンで解決出来ないポケモンテロを解決する為の機関である。

基本的には基本給の他に有事に発生する依頼の出来高が主な収入である。

基本給だけでも一般的な生活は可能なのだが、チャンピオンでも解決出来ないレベルの事件を解決した際の収入はエリートトレーナーやチャンピオンの収入を大きく超える。

それ故に執行機関志願者は多いのだが、大体が最低条件のポケモンリーグ優勝後に現役のチャンピオンを打倒するという条件を満たせず実力不足で不採用になるのである。

つまり新人であるメイですらチャンピオンより強いのだ。

 

「さて早速依頼だ。メイは新人研修として同行してもらうがミヅキやリーフはどうする?」

「ミヅキちゃんはパス。先日の事件解決でお金に困ってないし」

「私もパス……お金はそんなに必要じゃ無いし……コクトが出るなら私が出るまでも無い……」

「それはシロガネ山に篭ってたらお金は必要ないもんね〜」

「えぇ…こんな感じで良いんですかコクトさん?」

「まぁ執行機関のメンバーは独特だからな。それに人数多いと山分けだから取り分減るしな」

 

コクトとしては今回の依頼は自分一人でも解決出来る簡単な依頼なので他の執行機関メンバーは来なくても問題ない。もし必要ならば後で増援要請すれば事足りるからである。

 

「因みにどんな依頼なんでしょうか?」

 

メイの呟きに答えるコクト。

 

「ミュウツーによる国際テロだ」

 

そうしてメイとコクトは『劇場版型国際テロ』の一つと対峙することになるのであった。



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閑話〜階級制度〜

本編のポケモンリーグでの階級制度です。
気になる方はどうぞ。


階級制度順

 

・執行機関

〜最高戦力の壁〜

・現役チャンピオン(各地方1名)

・四天王(各地方4名)

・ベテラントレーナー(元チャンピオンや現役チャンピオンを倒す実績持ち)

〜チャンピオンリーグ優勝の壁〜

・エリートトレーナー

・ジムリーダー(各地方8名)

〜ポケモンリーグ優勝の壁〜

・ジムトレーナー

・一般のポケモントレーナー

 

 

執行機関

…ポケモンリーグの最高戦力。現役チャンピオンの打倒及びリーグから特記戦力と認められるレベルの実績が必要と条件付きである。

主に現役チャンピオンではどうにもならないレベルのポケモン国際テロなどで出動させられる。

一般のサラリーマン程度の基本給だが、厄ネタ案件の出来高が膨大な報酬が出るので実力者達にとっては最高とも言える。

コクト曰く過酷故に死亡手当も含まれてるらしい。

 

現役チャンピオン

…アニポケ水準の地方最強を名乗れる現役チャンピオンのこと。

メディアでの対応などポケモンバトル以外の雑事もあるが表向きのポケモンリーグの顔な為、収入もとんでもないらしい。

アニポケ基準なのでポケモンリーグ優勝+歴代優勝者のチャンピオンリーグ優勝して初めて四天王へ挑み、先代のチャンピオンを倒して初めて現役チャンピオンを名乗れるので条件は過酷である。

そしてチャレンジャーが勝ち、現役チャンピオンを希望した場合は引退させられるという世知辛い情勢である。

 

四天王

…現役チャンピオンへの挑戦権に立ち塞がる強者達。

チャンピオンには劣るが一つの施設を与えられ、メディアへの顔出し的な立ち位置な為収入はとんでもなかったりする。

リーグシーズンで挑戦者を撃退した場合、現役チャンピオンへの挑戦権を得ることが出来る。

現役チャンピオンと同じく倒したトレーナーが世代交代を希望すれば交代させられるので入れ代わりは激しかったりする。

 

ベテラントレーナー

…元チャンピオンや現役チャンピオンを倒したトレーナーへの天下り先。

基本給はエリートトレーナーの倍という高待遇に加えてポケモンテロの主犯格を討伐した実績に応じて臨時ボーナスも出るので実績稼ぎに必死らしい。

因みにチャンピオンリーグへの参加義務があり、そこでベスト8以内に入らないとエリートトレーナーに降格させられるという厳しい現実が待ち受けている。

 

・エリートトレーナー

→アマチュアであるポケモンリーグで優勝し、四天王への挑戦権を得られるチャンピオンリーグで優勝を目指すという本気で現役チャンピオンを目指すプロトレーナー達。

一般サラリーマン並みの基本給に加えてポケモンセンターなどの公共施設は無料という高待遇を得られる為にエリートトレーナーを目指すトレーナー達は後を立たない。

 

・ジムリーダー(各地方8名)

→チャンピオンリーグ優勝を目指しながらも安定した収入を目指したい人向けの幹部職。

ジムリーダーになる最低条件はチャンピオンリーグベスト8かつリーグのジム設立の審査を通過した者のみである。彼等もプロトレーナーである。

 

・ジムトレーナー

→ポケモンリーグ優勝出来ずとも成績上位者かつ素行に問題ないトレーナーの就職先。

 

・一般のポケモントレーナー

→アマチュア。勝てなければ収入が得られないので職と兼業するか援助交際などに走る連中が後を立たないらしい。

 

 



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生物淘汰計画とベテラントレーナー

スーパーマサラ人のサトゥーシ君がいない劇場版ポケットモンスター。つまり何が起きるって?

国際レベルのテロリストだよ!


平行世界のお話をしよう。

 

劇場版ポケットモンスター、『ミュウツーの逆襲』というお話がある。

 

それはミュウツーというコピーポケモンによって大量のコピーポケモンが生み出されて人類とポケモンを淘汰するという物騒なお話である。

とあるマサラタウンからやって来たトレーナーのことを仮にサトゥーシ君と呼ぶことにしよう。

彼がオリジナルとコピーの悲しい争いに涙し、ミュウとミュウツーの決戦を止めようとした結果石化してしまう。

その現象にポケモン達はオリジナルとコピー問わずに涙を流すことで石化は解けてコピーポケモン達は立ち去り解決する物語である。

 

何故平行世界のお話をしたかって?

 

だってこの世界にはサトゥーシ君がいないからさ。

 

本来ならば止まる筈だったミュウツーは止まらず大量のコピーポケモン達を率いてある行動を実行するのだ。

 

つまりは人間とポケモン達を淘汰する生物淘汰である。

 

 

 

 

『キャァァァァァァァァァ!』

『嫌ダァ!死にたくない!』

『誰か助けてぇ!』

 

燃え盛る町で人間が悲鳴を上げる。だが被害に遭っているのは人だけではない。ポケモンも同様に襲われている。

人もポケモンも問わず襲われ、全員が殺されている。

 

数百を超える大量のコピーポケモン達が跋扈し暴れている。

そして率いるのはミュウというポケモンの遺伝子から生まれたポケモンであるミュウツーである。

 

『誰が生めと頼んだ!

誰が造ってくれと願った…!!

わたしはわたしを生んだ全てを恨む…!

だからこれは…攻撃でもなく、宣戦布告でもなく  

わたしを生み出したお前達への "逆襲"だ 』

 

本来止まるべき時を見失い、ミュウツーはまさしく人類の敵となったのだった。

 

 

 

 

「これは酷いですね」

 

焼き尽くされ、荒れ果てた町の残骸を見てメイは呟く。

 

「今回の件はゲーチスよりも深刻だ」

「ゲーチスよりもですか?」

 

メイは尋ねる。

ゲーチスとはイッシュ地方でキュレムを操り、プラズマ団という組織を率いて好き勝手やってた悪党のリーダーだ。

彼はNというポケモンの言葉が分かる青年を王としたポケモン解放という思想で悪巧みをするも、とあるトレーナーに阻止されたので二年後にもう一度悪巧みを行ったところメイという化け物に遭遇してしまった不憫な悪党である。

 

全力全壊ガールと畏怖される彼女が手加減せず戦った場合、周囲の建物や環境すら破壊する程の大惨事をポケモンバトルで引き起こす。

メイとプラズマ団との戦闘で起こった被害でイッシュの六割近くの施設が壊滅し、被害総額は国家予算を大きく上回りプラズマ団はイッシュ地方において史上最悪のテロリスト扱いを受けている。

ゲーチスはその惨状を聞いて精神破綻を引き起こしたと側近だったダークトリニティと呼ばれる連中から聞いたのは余談である。

 

「ゲーチスや他の悪党だろうが通常侵略をした際は人やポケモンといった資源を有効活用しようと生かす。だが今回のミュウツーの目的は生物淘汰だ」

「つまり初めから生かすつもりはない虐殺が目的なんですね!だからこんな、酷い……」

「あ、ああ……」

 

歯切れ悪く答えるコクト。

何せメイはプラズマ団との抗争でこのレベルの惨状をイッシュ地方でしょっちゅう起こしていたからである。

プラズマ団は言うまでもないが、美少女だから手篭めにしようとした下心な男性トレーナーが夜襲した結果……

 

セッカシティとソウリュウジムを繋ぐシリンダーブリッジ諸共破壊するという大惨事が発生した。

他にもプラズマ団との抗争場所になったソウリュウジムはリフォームが必須レベルの崩壊が訪れた為、ジムリーダーのシャガの頭皮にダメージを与えたのは余談である。

 

 

コクトがメイに処世術を教えてなければ間違いなくテロリスト認定を受けるほどの被害を出していたのがメイである。

何せ建物ごと悪党をぶっ飛ばすとか大惨事以外の何者でもないのだから……

 

「許せませんミュウツー……出会ったらメイっぱい、やっつけます」

「程々にな。流石に人前で建物ごと破壊したら減給されるからな」

「え〜」

「え〜じゃない!当然だろうが!破壊行為を楽しむんじゃない!」

 

全力なのは良いが加減をしないから全力全壊などという不名誉な二つ名が付くのを理解していない後輩に注意しながら合流地点を目指した。

 

 

 

 

「ガハハハハ、よく来たなコクト、それにメイよ」

「「アデクだと……」」

 

作戦会議が行われる合流地点でメイとコクトは待ち構えていたチャンピオンの一人、アデクと遭遇する。

 

アデクとはイッシュ地方の元チャンピオンである。

元チャンピオンとはいえ、チャンピオン級の実力者として今でもリーグ所属のベテラントレーナーとして専属契約を結んでいるオッサンだ。

何せこの世界のポケモンリーグの優勝者はプロではなく、アマチュア級トレーナー達のチャンピオンでしかない。

プロのチャンピオンに挑戦するには歴代のポケモンリーグ優勝者だけが参加出来る【チャンピオンリーグ】で優勝した後に挑める四天王へ勝利しないとプロのチャンピオンには挑めないのだ。

そしてプロのチャンピオンになるには先代のチャンピオンを倒すことによる世代交代が条件であり、アデクは先代のチャンピオンを倒したことでイッシュ地方のチャンピオンを襲名している。

つまりこれだけの実績があれば元チャンピオンだろうが、ポケモンリーグとしては専属にしたい優秀なトレーナーなのでスカウトするのだ。

トレーナーとしても現役チャンピオンより収入が劣るとはいえ高収入であるベテラントレーナーは旨味でしかないので引き受けるという天下り循環が出来つつある。

何せチャンピオンを引退した後に残るのは学歴のない良い年したニートだ。

それよりはベテラントレーナーになる方がマシだ。

要は現役チャンピオンより多少収入下がるとはいえ、メディアへの顔色伺いが減ったままの高収入なので勝ち組なのである。

 

 

「アデクさん、アイリスちゃんはどうしたんですか?」

「ガハハハハ、アイリスは手が離せないらしくてな。代わりに暇だったワシが出向いてやったのだ」

 

自信満々に言うアデク。だがメイは顔を真っ青にし、小声で話し合う。

 

「代わりって歴代最弱(笑)のチャンピオンと名高いアデクさんが来ても代わりになるわけないじゃないですか」

「エリートトレーナーの一人が、アデクがNへ自信満々に挑んで負けた挙げ句恥を捨てた懇願が動画にアップされたせいでチャンピオンの恥晒しとかで引退騒動になったの忘れてるのか?」

 

とあるコンプライアンスに欠けたエリートトレーナーがNとアデクの一部始終を撮影した動画をUPしたせいで引退騒動まで発展した事件がある。

Nに敗北した直後に恥を捨てて「たのむ!ポケモンと ひとを きりはなす……それだけは しないでくれっ!!」 と言った名言はアデクを知る人が見たならば偉大な人物に見えるだろう。

だが世間での評価は全くの真逆で

『伝説ポケモン一体にすら勝てない最弱チャンピオン!』

『恥を捨てたんじゃなくて初めから生き恥晒してるじゃねぇか!』

『チャンピオンサボってた挙げ句に簡単に負けるとか信じられない!』

 

などの風評被害からチャンピオンの引退に追い込まれたオッサンである。

チャンピオンリーグを勝ち抜きアデクを倒したアイリスが引き継がなければ今頃イッシュ地方のポケモンリーグの信頼は地に落ちてたことは言うまでもないことである。

 

今回の作戦会議では元チャンピオンでありベテラントレーナーであるアデクと四天王、エリートトレーナー100人が来ていた。

本来ならばこれだけの戦力があれば地方で悪事を行うロケット団などの1組織を滅ぼせるだけの戦力なのだがそうは問屋が降ろさない。

 

「ふむ、今回は主犯のミュウツーとコピーポケモンの軍勢が侵略戦争を起こしておる。既に数カ所の町が破壊されておるが、問題なのは数が約1000体近くおることじゃ」

「1000!?多すぎじゃないですか!?」

「だからこそお主達を呼んだのじゃよ。ミュウツーはワシがやるからお主達にはエリートトレーナー達と共に尖兵であるコピーポケモン達の討伐を頼みたい」

 

アデクからもたらされた情報は執行機関に相応しい無理難題である。

公式試合ではトリプルバトルが限度なのにコピーポケモンとはいえ1000体近くのポケモンを相手にするなどチャンピオンですら危険である。

 

「あれ、ミュウツーを私達が相手にしなくて良いんですか?だって相手はアデクさんがボロ負けした伝説ポケモンですよ」

「メイよ、はっきり言うのう……じゃが安心せい。今回はNの時のように一対一ではなく、ワシと四天王総出で討伐する」

「それなら安心……かなぁ?」

 

メイが疑問を口にするのも無理はない。

伝説ポケモンは一般ポケモンを大きく上回る実力を持ち、チャンピオン単独でも危ない相手だからである。

だからこそアデクと四天王という戦力総出で打倒の目処が立ったのだ。

だが何故わざわざ執行機関という最高戦力を敵の主犯格にぶつけず雑兵に回すのかをメイは疑問視したのだ。

 

「主犯格を討伐した臨時ボーナス目当てだろう」

「ガハハ、そうじゃ。だから今回は四天王と共にミュウツー討伐するのじゃよ」

「き、汚い!流石に汚いですよアデクさん!」

「良い社会勉強になったじゃろうメイ」

 

アデクはサラッと言ってるがベテラントレーナー達はエリートトレーナーの倍近くの給料を貰ってるだけでなく、主犯格を倒した際に臨時ボーナスが支給される。

大方四天王と組んで臨時ボーナスの山分けする取引でも持ちかけたのだろうとコクトは思った。

 

「それにお主らは今回の案件に参加するだけでも膨大な報酬を貰っておるんじゃろう?」

「ああ、二人合わせて200万だ」

「に、200万!?」

「羨ましいのう……ところでワシの執行機関への推薦はまだかのう?」

「アンタの実力だと死ぬぞ。俺達執行機関の報酬には死亡手当込みらしいからな」

「え?死亡手当込みってなんですか!とんでもない事実を聞いたんですけど!?」

 

執行機関が出るのはチャンピオンがどうにもならないレベルの厄ネタ案件ばかりなのだ。

生半可な実力者ではスカウトしてもすぐ死なれるのが関の山である。

 

「そんな物騒ならばやはりベテラントレーナーのままがベストかのう。ではワシらがミュウツーを討伐するまでの間、コピーポケモン達の処理を頼んだぞ」

 

そう言ってアデクは去っていった。案の定メイは不満そうであった。

 

「まさかアデクさんがここまで金にがめついとは思いませんでした」

「まあそうだろうな。何せベテラントレーナーの地位だろうが維持しなきゃ学歴のないニートしか残らないしな」

「ニートって……まあポケモントレーナーでまともな職務経験なければそうですけど……」

 

忘れてはならない。ポケモントレーナーとは仕事ではない。

エリートトレーナーでも生活するには困らないが一般的な生活が出来る程度であり贅沢出来るレベルではないのだ。

贅沢する為の金を稼ぐなら就職するしかない。

だが良い年まで職務経験を積まずに就職活動をしようにも何処も採用なんてしたがらないのが実情である。

必然とベテラントレーナー達は金にがめつくなるのは当然の摂理だ。

 

「俺としてはアデクより悲惨なのがエリートトレーナー達だけどな」

「エリートトレーナーですか?」

「エリートトレーナーはポケモンテロに対しての徴兵義務が強制だ。だからこそ今回みたいな国家レベル規模で半端な実力者が矢面に立つと犠牲が出るんだ」

 

通常ポケモンテロが発生した場合は近くのジムトレーナーやジムリーダーが派遣される。

それで解決出来ないならばエリートトレーナー達、四天王、チャンピオンの順で派遣される。

だが一番使い勝手の良い替えが効くのがエリートトレーナー達である。

ポケモンリーグとしてはある程度実力があり、数も揃えられる兵力としてエリートトレーナー達を飼い殺しにしているのが実情である。

つまり今回のミュウツーによる国家レベルのテロにおいて一番危険なのは、アデクや四天王でもコクトやメイでもない。

中途半端な実力で1000を超えるコピーポケモン達と正面から戦わせられるエリートトレーナー達である。




タマランゼ会長「エリートトレーナーはポケモンリーグを優勝したら誰でもなれるし、有事の国際テロでも使い潰せるからたまらんなぁ」

大した仕事なしで趣味のポケモンバトルだけで喰ってけるんだから当然でしょ!という世界線です。


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閑話〜ソニアさんはパパ活経験者〜

ちょっと本編とは別で思い浮かんだので投稿。
時系列的にはミュウツーの逆襲編後のお話になります。


ミュウツーの国際テロ事件から数日後、執行機関の部屋に一人の来客がやって来る。

執行機関の部屋にはコクト、メイ、ミヅキ、リーフの四人がいた。依頼さえ無ければ部屋の中で自由行動していて構わないので彼等は寛いでいた。

そんな中現れた来客はポケモン博士となったガラル地方のソニア博士であった。

知り合いの来訪にコクトは笑顔で語りかける。

 

「あ、パパ活経験者のソニアさん。こんにちは」

「コココ、コクトくぅん!?ちょっとこっち来ようか!」

 

顔を真っ赤にしたソニアに手を引かれて執行機関の扉の外に連れて行かれるコクト。

 

因みに彼女、百戦錬磨を自称しているが紛う事なき処女である。

どれくらいヘタレなのかと言えば、当時ジムチャレンジ中に連戦連敗と女性特有の散財で資金の尽きた彼女はパパ活に手を出してしまったのである。

だがチャラい見た目とは異なり、純情な一面のある彼女は初体験がオッサンなのは嫌だったからか金持ちの子供を探したらしい。

金持ちの道楽なのか、悪意ある子供なのかは知らないがポケモントレーナー社会の闇が深いとも言える。

そこで待ち合わせの黒髪の少年とホテルへ向かうことになるのだが、テンパっていた彼女は当時黒いポケモン集めをしていて少年だったコクトと出会い系で知り合った金持ちの子供を間違えてホテルへ連れて行ってしまったのだ。

 

ホテルの部屋へ連れ込まれたことで危ない奴だと思ったコクトは通報しようかと思ったが、土壇場でのヘタレっぷりを発揮し空回りするソニアが面白かったのでガラルの黒いポケモン捕獲を手伝う代わりに資金援助をする取引をしたのだ。

つまり彼女は清い身体のままパパ活経験者という面白い実績を積んだのである。

 

「あのねぇ、コクト君!女の子にパパ活経験者って言うのは失礼なんだからね!」

「え、でもソニアさんSNSでパパ活しましたって投稿して」

「ぎゃあああ!忘れてぇぇ!」

 

ノリと勢いとは恐ろしいものである。

ソニアはコクトに手を出されることなく資金援助を受けたからか使ったこともない未使用ゴムを咥えながら目元を隠してパパ活しましたとかいう自爆SNSを投稿してしまったのである。

正気に戻ったソニアは慌てて削除したのだが、コクトが笑ったのは言うまでもない。

幸いなのは当時パパ活SNSをする女性トレーナーが多かったのでソニアの投稿画像が紛れてたのかダンデなどの知り合いに見られることなく削除した為、気付かれずに済んだことだろう。

落ち着いたソニアを執行機関の部屋に招き入れ話を聞くコクト達。

 

「で、わざわざ執行機関まで来てどうしたんですか?」

「コクト君にお願いしたいことがあって……」

「依頼ですか?」

「うん、内密にお願いしたいの……」

 

顔を真っ赤にしながら小声で話すソニア。そしてそれを見た他の女性トレーナー達は黙っていない。

 

バン!

 

「ソニアさん!執行機関まで来てコクト君へパパ活依頼はちょっと駄目だよねぇ」

「ちょ!?ミヅキちゃん違うから!」

 

ミヅキの勘違いにソニアは慌てて否定する。

 

「えぇ…だってぇ、男性と手も繋げないソニアさんの百戦錬磨って相手はコクト君しかミヅキちゃん思いつかないしぃ」

「違うから!そういう失敗は一度だけだからね!」

「でもソニアさん、ダンデさんの告白断ったんですよね?」

 

メイが言った通り、先日ソニアは幼馴染であるガラル地方チャンピオンのダンデから告白を受けている。

え、何それと初耳なコクト以外は全員知っていた辺り、女性トレーナーの情報網は優秀らしい。

 

「だってダンデ君は方向音痴に振り回されたせいで異性として見れないし……」

 

ダンデはガラル地方チャンピオンかつ、格好良いのだが致命的な欠点として方向音痴というデメリットがある。

幼馴染でダンデの方向音痴に振り回された彼女としては世話のかかる大きい男の子という印象が強かったらしい。

 

「……それだけじゃない……コクトと旅をすると男性の基準が上がるから……」

「あ〜ミヅキちゃん、それ分かるかも」

「そうですよね。コクトさん他の男性みたいに胸元ジロジロ見てきたりしませんし」

「そうだよねぇ。なのに紳士だからか女性への配慮が上手いし、ダンデ君やポップはデリカシーに欠けてるか子供にしか見えなくなっちゃったのよねぇ」

 

リーフの言葉にミヅキ、メイ、ソニアは共感する。

因みにコクトは女性へ全く興味がないわけではないが、アルセウス神への殺意という優先事項がある為、自分から女性に手を出すつもりがないだけである。

だから下心を抱かず紳士的な配慮が出来るのである。

 

「……添い寝しても無反応だった時は手を出して来なかったから初めは男色かと思った……」

「あ〜駄目駄目、コクト君はアルセウス神への殺意マシマシだから誘い受けとかやっても応じないよぉ…まぁミヅキちゃんも無理矢理夜這い仕掛けたらポケセンに吊るされた失敗したことあるけどぉ……」

「男色ではないですよ。サザナミタウンで海水浴で水着を披露した時は褒めてくれましたし、サンオイルを塗って貰った時には恥ずかしがってましたし」

「えぇ!?コクト君が恥ずかしがるのとか見てみたい!いつも私の方が恥ずかしがらせられること多いから仕返ししたいし」

 

当事者のコクトの目の前でガールズトークをする彼女達。

コクトは話が脱線しているが、他のメンバーの息抜きになるだろうから邪魔せず色違いのマホイップを出してお手入れをしていた。

彼は黒色ポケモンへのケアを欠かさない。

何故なら黒色ポケモン以外はコクトのいうことを聞かないからこそ繋がりを大事にしているのである。

そうして依頼が出るまで30分近くガールズトークが繰り広げられた。

 

個室へ移動したコクトとソニア。

 

「例のSNSで脅迫してきた人がいるの」

「またか……」

 

ソニアの黒歴史であるパパ活しましたという自爆SNSを見たトレーナーは存在する。中には削除される前に画像を保存し、博士となったソニアと肉体関係を持とうというクズがいるのである。

 

「相手の素性は分かりますかソニアさん」

「うん、私の方でも調べてきたよ」

 

だが誤算があるのはソニアが執行機関のコクトと繋がりがあることだろう。

ポケモンリーグから命じられて動く裏の部隊であるコクトとの繋がりがある為、脅迫などという非合法な手段を使えば排除に動くのは当然である。

 

「いつも通りワイルドエリアに沈めましょう。なぁにワイルドエリアは強いポケモンが多いですから行方不明者が出るのは良くあることです」

「そうね。ポケモン博士を相手に脅すような人だから危機管理が足りないもんね。間違ってワイルドエリアに立ち寄って行方不明になることだってあり得るよね☆」

 

サラっと脅した相手が行方不明になる前提で話をする二人。

あの純情だったソニアがコクトの合理主義に染められたとも言える証である。

 

「でも本当に依頼料は良いの、コクト君?」

「いや流石に正式な依頼でポケモンリーグで受理すると数百万の依頼料取られるから払えないですよ」

「うぅ……本当に執行機関って高給取だよねぇ。博士になったばかりの私じゃ出せない金額だよぉ」

「リーグを通さず依頼を受けるのは不味いのであくまでプライベートになります。俺がプライベートでワイルドエリアに行って社会のゴミ掃除をした帰りに偶然ソニアさんに食事を奢って貰うだけです」

「そうだよね。偶然出会った未来ある後輩にご飯を奢ってあげるだけだもの♪」

 

側から見たらポケモン博士が有望株のトレーナーにご飯を奢ってあげるだけである。

それは決して不自然なことでは無いのだ。

 

そうして数日後、ワイルドエリアで行方不明が一人追加されるのであった。




ソニア
…自称百戦錬磨の恋愛マスターなポケモン博士。
悪運が強かったので金持ちの子供と間違えてコクトをホテルまで連行した黒歴史がある。
新たに助手になった男の子のハートを奪ったらしいが紳士なコクトというフィルターがあるせいで恋愛対象にならないのは余談である。


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黒衣の執行者と全力全壊ガール

執行機関のメンバーがどれだけイカれた存在なのかというお話。

特記戦力ってのはリーグのルールを変えさせる程のキチガイばかりなんですよ!


あるコメンテーターにエリートトレーナーAは語る。執行機関のトレーナー達は災害だと……

 

『いや本当あいつら人間じゃねぇ!アイツらが出てくるような依頼って国際テロレベルだしよぉ……俺等もエリートトレーナー名乗ってるからプライドってのがあったんだぜ』

『あった……ですか?』

『そうだよ過去形だよ。……俺達がこれどうすれば良いんだよって位の無理難題にやって来て蹂躙していく。まさに災害みたいな連中さ』

『災害……でも同じポケモントレーナーですよね?』

『アイツらを俺達と同じポケモントレーナーの括りに入れるのは奴等に失礼だよ。ルネシティの怪獣決戦を知ってるか?』

『確かゲンシグラードンとゲンシカイオーガによるひでりと大雨の異常気象でルネシティに大地と洪水が起こった事件でしたね』

『そうだよ。マグマ団だかアクア団の団長の馬鹿が目覚めさせた挙げ句、ゲンシカイキまでさせやがったせいでエリートトレーナーである俺達は近付くことさえ困難だったんだ。

そんな時に現れたんだよ……

 

黒いメガレックウザに乗って積乱雲から出てきた【黒衣の執行者】が!』

『は?積乱雲ですよね!人間が入ったら感電死しますよ』

『だから災害って言ったんだよ。最短ルートだからって生身で積乱雲から出てきた挙げ句にゲンシグラードンとゲンシカイオーガを倒したらメガレックウザに乗ってわざわざ積乱雲に突っ込んで帰っていったんだ。

他の執行機関の連中だって【黒衣の執行者】と大差ねぇよ。

だから俺達エリートトレーナーは言うんだ。

 

お前ら人間じゃねぇ!ってな』

 

その言葉と共に【黒衣の執行者】であるコクトはポケモントレーナー達に畏怖されることになる。

そしてコクトはある勘違いをしていた。

サトゥーシ君やリーフなどのスーパーマサラ人、

ミヅキやメイなどの歴代女主人公達がスーパーマサラ人に匹敵するポテンシャルを持つが故にポケモン世界の人間は誰でもスーパーマサラ人の素質を持っているという勘違いをである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コピーポケモン千体を排除する為、ミュウツー陣営が現在拠点にしている街を眺めるコクトとメイ。

そして今回参加するエリートトレーナー100名である。

 

エリートトレーナーはプロのトレーナーである。

アマチュア達のチャンピオンであるポケモンリーグ優勝に満足せず、現役チャンピオンに挑む為に歴代リーグ優勝者達が鎬を削るチャンピオンリーグで競い合うトレーナー達だからだ。

だからこそポケモンリーグは有事の際は徴兵義務を負う以外は趣味のポケモンバトルをする為だけに給与を支払っている。

そして今回のコピーポケモン達1000体を見て腰が引ける者達がいても敵前逃亡するトレーナーは一人もいない。

 

因みにエリートトレーナー達には知らされてないが、徴兵依頼で交戦せずに敵前逃亡を行った場合、執行機関のメンバーが刺客と差し向けられ社会的に抹殺されることになっている。

エリートトレーナーにはタダ飯喰らいかつ戦うことすらしない軟弱者は存在しないとポケモンリーグのタマランゼ会長が宣言した。

そこ言葉を反故にしない為に所属した公的記録と存在をこの世界から抹消することで敵前逃亡率0%というマニフェストを実現しているのだ。

 

ポケモンリーグからの司令はコピーポケモンを率いて生物淘汰を行うミュウツーの排除だ。

因みにコピーポケモンに関しては殺処分と厳命されている。

何せ下手にコピーポケモンを見逃した場合、生態系が乱れるリスクが大きい。

最終進化系のカメックスやフシギバナ、リザードンなどが野生に放たれれば荒らされるのは目に見えている。

更に今回の騒動では最も脅威なポケモンのみでの統率が出来ているのも危険度が高い。

人間より強いポケモンが徒党を組む。

だからこそ数ある町が滅ぼされる事態に発展したのだ。

 

「凄い数ですね……」

 

メイは目の前の光景に感嘆する。

前方にはカントー地方に出現するポケモン達をコピーしたとされるコピーポケモンで埋め尽くされる程の陣が敷かれていた。

どうやらこちらが攻めてくるのをミュウツー陣営は察知したらしい。

 

「エスパータイプの伝説ポケモンだ。未来予知をしても不思議ではない」

「行動が筒抜けって不味いんじゃないですか」

「普通なら不味いさ。何せ人間よりも強いポケモンの軍隊だからな」

 

人間がポケモンと共存していると言われているが、実際は人間がポケモンを支配しているのが実情である。

ポケモンバトルという競技が出ている時点で現代における食物連鎖の頂点が人間なのは疑うまでもないだろう。

 

だがポケモンが人間同様に知恵を身に着け徒党を組めば勢力図は簡単にひっくり返る。

だからこそポケモンリーグは恐れており、執行機関メンバーを派遣したのだ。

そしてエリートトレーナー達からも不安の声が聞こえてくる。

 

「おいおい、ここまで数が多いなんて聞いてないぜ」

「エリートトレーナーは勝ち組だって聞いて就職したのに、こんな紛争に巻き込まれるなんて災難だわ」

「だがトレーナーのいない野生ポケモン達だ。俺達が力を合わせれば負けはしないさ」

「そうだな何せ今回は【黒衣の執行者】が付いているからな」

「【ウルトラビーストの女王】や【リビングレジェンド】も災害みたいな強さだったけど実績と実力において【黒衣の執行者】はそれ以上だからな!」

 

不安の声が上がる中でも彼等が安堵する理由の一つとして【黒衣の執行者】であるコクトの存在は大きい。

黒コートで使うポケモンも全て黒いという特徴は目立つ上に伝説ポケモンや国際テロリストを殲滅してきた実績はポケモンリーグから畏怖されている。

そして一人のエリートトレーナーがコクトへ向けて意見を述べる。

 

「まずは我々が先陣を切ります。【黒衣の執行者】殿は消耗したコピーポケモン達をお願いします」

「いや君達は貴重な戦力だ。真正面からぶつかって犠牲者を出すわけにはいけない。まずは俺とメイで相手の戦力を削るさ」

 

コクトはエリートトレーナーの肩を軽く叩いて笑顔で言う。

コクトの言うとおりエリートトレーナーは貴重な戦力である。

真正面からコピーポケモン達の軍勢にぶつかって削っていい存在ではないのだ。

そうしてコクトはエリートトレーナーより前に立ちモンスターボールを取り出す。

 

「蹂躙しろリザードン、キョダイマックスだ」

 

コクトの右腕からボールへ七色に輝くエネルギーが注ぎ込まれる。そしてボールを巨大化させたものを投げるコクト。

そして現れたのはキョダイマックス状態のリザードンである。

 

キョダイマックスはダイマックスの一種であり、ダイマックス出来るポケモンの中でも更に希少である。

だがダイマックスとは本来ガラル粒子の満ちた場所でしか使えない切り札だ。

例外はポケモンリーグでたった二人である。

一人目はガラル粒子自体を放出していたとされるムゲンダイナを持つ執行機関所属トレーナーのユウリ。

現在は趣味である365日カレーという狂気に満ちた布教活動をしており、飯テロを行なっているので不在だ。

彼女はムゲンダイマックスさせたムゲンダイナをガラル地方以外で実現させている。

そしてもう一人がコクト、ガラル粒子やダイマックスバンドなどの専用器具無しでダイマックスを実現させた神童である。

 

「リザードン、キョダイゴクエン」

「リザァァァ!」

 

コクトの指示でコピーポケモン達の軍勢に火の鳥のような巨大な獄炎が放たれコピーポケモン達を焼き尽くす。

それだけでなく周囲にいたポケモン達まで炎症によるダメージを与えていた。

 

「ふわぁ……これがキョダイマックス……凄く大きいですね!コクトさん!」

 

メイは感動したのか嬉しそうに言う。

 

「これは時間制限があるからメイも手伝ってくれ」

「はい!じゃあ私もメイっぱい頑張ります!」

 

そうしてメイが繰り出したのはジャローダだ。イッシュ地方で全力全壊を実現した畏怖されるポケモンの一体だ。

 

「ジャローダ、リーフストーム二十連射!」

「ジャロォォォ!」

 

ドドドドドド!

 

その言葉と共にジャローダは木の葉による竜巻をマシンガンの如く連射し続ける。

メイのジャローダは夢特性あまのじゃくを保有しており、本来なら特攻が2段階下がるデメリットが反転し、撃つ度に火力が増す。

だが何より恐ろしいのはメイのジャローダはリーフストームを本来ならばPPを増やしても8回が限度なのにも関わらず上限突破させたことだろう。

敵からすればミサイルを連射してくるような悪夢であり、どんなフィールドや建造物も大火力の連射で破壊してきた。

イッシュ地方では全力全壊というパワーワードが浸透しプラズマ団などの社会の敵である連中に地獄を見せて来た。

 

「ありがとうジャローダ、PPエイドよ」

 

メイはPP切れになったジャローダのリーフストームを回復させて次弾装填の準備をする。

メイは数十個近くのPP回復アイテムを持ち歩いているので弾切れよりも先に敵が滅ぶ方が先になる。

瞬間火力ではキョダイマックスリザードンに劣るのは言うまでもないが、継戦能力においては無類の強さを持つのは分かるだろう。

 

キョダイマックスリザードンとジャローダによる大火力蹂躙に巻き込まれたポケモン達は吹き飛んでいく。

死ねたコピーポケモン達は幸せだ。

何せ中途半端に重症を負って生き永らえたポケモン達は苦しみながら死んでいくことになるし、気絶したポケモン達はポケモンリーグから殺処分が降されているのでトドメを刺されるのは既定路線だからだ。

 

コピーポケモン達の阿鼻叫喚の悲鳴が上がる中でもコクトやメイは決して手を緩めない姿は職務に忠実である。

肉の焼ける匂いや木の葉でズタズタに切り裂かれたコピーポケモン達の残骸を見て嘔吐するエリートトレーナー達は執行機関メンバーを見習うべきだ。

 

コクトとメイの参戦で僅か数分でコピーポケモンの内、役六割が壊滅し、コピーポケモン達は統率が乱れていた。

圧倒的な殺戮兵器を見た時、人間が恐れを抱くようにポケモン達も一瞬で百単位のポケモンが殺される光景を見れば恐怖を抱くのは当然だ。

 

「お前達、敵陣は掻き乱した。コピーポケモンを皆殺しにしろ」

「「「「「「おおー!」」」」」」

 

エリートトレーナー達は手持ちポケモンを率いて壊走状態のコピーポケモン達へ攻撃を開始した。

 

「案外呆気なかったですね、コクトさん」

「まあな。コピーポケモンといっても努力値が欠けてる未熟なポケモンだからな」

 

コクトはコピーポケモン達を見ながら呟く。

努力値とは倒したポケモンに応じて得られるステータス補正のことだ。

例えばポッポを倒せば素早さに1pt加算されるように、ポケモンにはそれぞれどのステータスを補正するかのポイントが決まっている。

逆に言えば、倒さなければ努力値を得られない性質上コピーポケモン達は努力値を引き継いでいないのだ。

だからこそオリジナルに性能面で劣るのである。

コクトからすればオリジナルとコピーポケモン同士が戦えば努力値の関係でオリジナルが勝つと思っている。

もし敗北するならばトレーナー自身が足を引っ張るなどという外的要因が必要だ。

エリートトレーナー級以上ならあり得ない話だが……

 

「後はエリートトレーナー達に任せれば良い。面倒な死兵とやりあう必要はない」

「あ!だから私達が先陣を切ったんですね!」

 

メイは納得したように言う。

戦場で最も厄介なのは追い詰められて死を覚悟した死兵である。

生き残る為に彼等は決死の覚悟で激しく抵抗してくるから危険度は通常の戦闘の比ではない。

つまり最も危険な今こそエリートトレーナーを活用すべきタイミングなのだ。

コクト達は充分な仕事をした。

後は敗残兵の処理をエリートトレーナー達が行い、ミュウツーは臨時ボーナスに目当てで奮闘するアデクと四天王に任せれば良いのである。

 

そしてコピーポケモン達の敗残兵の処理が一段落した段階でポケモンリーグからの伝令が伝わる。

 

『報告します!ミュウツーとアデクさん&四天王の決戦ですが、アデクさん達が敗走しました!』

「は……?」

 

伝令から届いたのはまさかの敗北宣言だった。




メイのジャローダ
→全力全壊の異名の一匹。あまのじゃくリーフストーム二十連射というインターバル無しでの連射を放つせいでどんなフィールドだろうが大体更地になる。
このせいで公式試合に技の使用回数制度が設立された程である。

コクトのダイマックス及びメガシンカ
→黒いポケモンしかいうことを聞かない制約の代わりに専用アイテムや場所を問わずにダイマックス及びメガシンカを好きに発動出来る。しかも数制限などもないので手持ち全てダイマックスやメガシンカなども可能である。
ポケモンリーグの公式試合にメガシンカ及びダイマックスは一人一体までというルール制限を付けさせた存在である。


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