Ironman Retrograde (アイアンマン 逆行) (マッキーガイア)
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プロローグ

逆行とはちょっとちがうかも


「ーーー私がアイアンマンだ……」

 

 

 

パチンとその言葉と共に意識が遠のく、

 

サノスやその兵士達が灰になっていくのを眺めながら私は倒れた。手には6つのジェムが付いたまま。

 

「ーースタークさん!スタークさん!僕だよ」

 

ピーターが僕に話しかけている。

 

あ、駄目みたいだ……

 

口が動かない。手が動かない。

 

「ーーーーーートニー?」

 

ピーターと入れ替わる様にペッパーが僕を見つめていた。耳も使い物にならなくなったらしい以降の音が拾えない。

 

「や、やぁ…………」

 

声だけは出たものの手も動かない。手遅れか……そうしているとペッパーは僕の頬にキスをして言った。

 

 

「大丈夫よ……眠って……」

 

 

 

 

 

✴︎✳︎☆

 

 

 

 

「っ………………は?」

 

 

 

気がつくと僕はベッドで眠っていた。

 

 

「何処だ?ここは僕は死んだはず……」

 

 

見覚えがある、ああ、ここは自宅のベッドか

いや、正確には前の前の前の自宅だが。何故ここに?たしかこの家は取り壊された筈だが……まさか日本でいうところの夢オチ?

おいおいおい、あの戦いが全て夢だったなんてオチ笑えないぞ?

 

「はぁ……」

 

ため息が漏れる。

なんだ夢だったのか、なんて言う気はさらさらない。きっとストーンの所為だろう、タイムかソウルかスペースか……思い当たる節は沢山ある。まぁもうそもそもあそこに戻る事は出来まい。一度死んだ身だ。

 

「トニー?トニー?また電気エンジンなんか作ってるの?早く降りてきなさい。」

 

ふと、誰かが僕を呼ぶ声がする。電気エンジン?なんで僕があんなもの……

 

「……とりあえずまずは朝食だな」

 

僕の体は自動的に下の階のリビングへと向かっていた。綺麗に掃除されたリビングはあの時と同じ様にそこにあってあの時の様に暖かさを醸し出していた。

 

「おはよう、トニー」

 

構えると聞き覚えがある声、いや、これは……

 

「母さん?」

 

直ぐに振り返る。

 

「ええ、どうかしたの?」

 

そこには死んだ筈の母さんがいて僕に向けて頭を傾けていた。だけど彼女に最後に会った時よりも彼女自身が若い所為か涙は出ず、僕は淡々と返しの言葉を探している。

 

「あ、いやなんて言うか、少し懐かしく感じてね。ハハ、」

 

「ふぅん?そう?じゃあ早くご飯食べちゃいなさい」

 

母さんはそういって鞄を用意する。

 

「何処行くの?」

 

「何処って昨日言ったじゃない、今日は仕事だってお父さんも今日は暫く帰ってこれないけど…ジャービスがいるから安心して」

 

そういうと母は窓を指差す。

 

そうか、ジャービスか…僕の頭には人工知能の方を思い出したが、

窓の外にはジャービス夫妻が住んでいる家が見えた。たしか僕の家の敷地内に住んでるんだっけな

 

「じゃあ行くから戸締り宜しくね。」

 

「わかったよ、母さん……」

 

そう言うと母さんはドアを開けて出て行った。

 

すこし余興に浸っていると、ふとカレンダーに目が入る。

 

 

1986年、2月9日……

 

 

15歳か……

 

僕は洗面所に向かい鏡を見る。やはりというか若いな。自慢の髭もないし、何よりリアクターによって出来た胸の傷もない。

胸を撫でてリビングに戻る。朝食が用意されていた。匂いがなんだか懐かしく感じる。

 

「母の味って事か……どんなのだったかな?」

 

最近はペッパーが用意してくれた物しか食べていなかったから覚えてない。大好物のチーズバーガーですらペッパーの手作りだった。

 

でも今はそんな事を気にしている暇はない。

今後の方針を決めなくてはならない。

僕は席に着きパンを食べなが考える。

 

まずアイアンマンマーク86の製造………と言いたい所だが、ナノマシンの製造には時間がかかるしそもそも僕は今アイアンマンじゃない。それに今の僕は両親の資金で生きている身だ。あの頃の様にアイアンマンに金を使う事は出来ない。

でも今出来ることがある…

 

「小型リアクターなら作れるな。」

 

それならいくら豪遊していたとはいえ僕の貯金でも十分すぎるほどの金額で作る事ができる。

それに武器としても一級品だ。基本的な兵士だったら一瞬で消し炭に出来るほどの電力を供給することが出来る。まぁしないけど。

ならば作るしかあるまい。

 

それに今の目標は5年後のスターク夫妻の暗殺だろう。とりあえず、後五年がんばるか…

 



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1

あれから数ヶ月、アーク・リアクターの開発は難航を極めていた。

以前の経験でパラジウムから作ったアーク・リアクターでは毒素が中和しきれず体に多大なダメージを与える事がはっきり分かっている。だからそれに変わるバッドアシウムを再開発、使用しているのだが、何故かうまくいかない。別に以前と何か変えて作っている訳では無いはずなのだが…

まったく、偽物だとしても平和に過ごしていた時間が長すぎたのか、少し衰えているようだ。得意のバッテリーの修理でさえ全盛期から0.85秒もの遅れをとってしまった。

 

身体は若くなっても思考が年老いているせいか、少し手首の動きなどからの誤差が生まれてきてしまっているし…

 

こんな時に娘のモーガンが居てくれたら精神的に良いんだがな、まぁ良い、アレ(指パッチン)はしなくてはならなかった事なんだ、とっくに踏ん切りは着いている。

 

さて、そろそろ親父が帰ってくる時間だ。テーブルに広げられているバッドアシウムを片付けなくては。見つかったら絶対一悶着あるからな。僕が作っただの言ってみろ『なんで私たちに何も言わずに作った!?もしその元素に毒素があったらどうする!?もしその元素が爆発的なエネルギーを作り出す物だとしてこの一帯が焦土に焼けたらどうする!?お前に責任が取れるのかぁぁ!!』って怒鳴ってくるに違いない。正論だけど、僕だって精神的には親父と歳が近いんだ。いくら親父だって、そんな人に説教なんて食らってみろ、いくら僕でも精神的にクるものがある。まぁ、ローディやペッパーによく叱られていたから慣れてはいるけど。

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

と玄関前から母さんの声が響く。片付けは…終わってないけど、とりあえずバッドアシウムだけは倉庫に押し込めた。とりあえずこれで叱られる事はない。

 

「まあ!トニーこれは一体どう言う事なの!」

 

母さんがいきなり扉開けたと同時に大声を出した。綺麗好きの母さんの事だ。これぐらいの汚れすらも嫌なのだろう……これぐらい?…ああ、うん…

 

「え、あ、いや、実はちょっと課題で…」

「課題って…研究か何か?」

「いやぁ、それが…その…」

「もう、はっきりしなさい!」

 

ハッキリできないからこうなっているんだ!とは口が避けても言えない状況。

 そんな風に2人してあたふたしている時、フラっと後ろからやってきた親父が落ちていた部品を一つ取るのが目に入った。

 

「…親父…?」

 

そんな自分じゃ無い様な知らない声が僕の口から溢れ落ちる。親父は今も前もこんな風に僕が作ったものに興味なんか持たなかったし気にも留めていなかった。だから一瞬とは言え僕は混乱した。

 

「トニー…お前がこれを…?」

「え、うん…そうだけど…」

「そうか……小型リアクター…よく出来ているが、この円が少し曲がっている。溶鉱炉で少しずつ曲げたからこうなったんだろうな、これでは使い物にならん。」

 

親父はそう言うとソレを僕に投げ渡す、慌ててソレをキャッチすると親父を見上げる。

 

「来い。」

 

たった一言、親父はそう呟くと僕から目線を外した。

 

 

 

 

 

 

 

何度も頭の中でやり直したかった光景が過ぎる。パッタリと知らない場所で両親が居なくなる前の朝、「愛してる」も「さようなら」も言えなかったあの朝だ。

あの時は意地を張っていたし、多分、僕は素直になる事自体嫌がってた。あの時の僕はバカだったとも純粋だったとも言える。

決して嫌いだった訳じゃ無いんだ。親父が居なくなるなんて考えにすら辿りつかなかった。

 

親父は冷たかった。いつも計算して、愛してるとも好きだとも言ってくれなかった。僕を寄宿学校に入れて清々してた親父だ。だから僕はあんな風に育ったし、それを教訓にモーガンにはとびきりの愛を注いだ。

まぁ、僕に対して愛が足らなかったとは言わない、だったらこんな小生意気に育ってない、だが親父には表現力が足らなかったんだ。今思うと、死ぬまで僕との接し方に悩んでいた気がする。

親父が帰って来なかった誕生日の夜だって、結局次の日帰ってきた時にはプレゼントを用意してくれたし、ハロウィンで親父が作った不恰好な仮装で外へ出かけたりしたりもした。

結局、僕だって最後まで親父に対して愛してるだとも、好きだとも言った事は無かったんだ。

 

蛙の子は蛙って言うのはまさにこの事だろう。

 

どっちも素直になれなかった結果のあの結末だ。

そんな物はごめん被りたい物だ。でも今更親父に対して素直に気持ちを言ったとしても僕自身が気持ち悪くなるだけだ。

 

重要なのはタイミングとバランス、今はどちらも揃ってないけど、きっとそのうち揃う筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていた。

 

カンッ、、、カンッ、、、

 

金属を叩く音、その音はいつかの洞窟を思い起こさせる。そう言えば、今度はあの時に出会ったインセンも一緒に脱出したいな……いや、そもそも捕まらずにその前に助け出せば良いだけの話か、

 

思考があちこちに飛ぶ、僕は少しして目線を元に戻した。今、金属を叩いているのは親父だ。なんでもキャップのシールドを加工した時の技術を見せたいらしい。ヴィブラニウム…あれを加工した技術には興味がある。

何せあのキャプテン・アメリカを最後まで守り続けた盾であり矛なんだ。いくらしばらくの間ウチの倉庫の中で眠っていたとしても、いくらモーガンのおもちゃに成り下がっていたとしても、あれ一つで一体何百人の人の血を吸ったかわからない。実際に見るまでは僕だってお伽話の存在くらいに考えていたくらいだ。よく考えたら僕は子供になんてもん持たせてたんだよ…、

 

「トニー、ここを持て、」

 

そう言いながら親父は取っ手を手渡す。とりあえず僕は手に取ってみると、親父は説明を挟みながらハンマーで部品を指差した。

 

「いいか、トニー…ここを…こうして」

 

正直、言ってる意味が理解できない。抽象的で漠然としていて、そして緊張からか手が少し揺れている。教わる場所の集点が定まっていない。

 

「こうして…こうすれば綺麗な円になるから、」

 

以前見た親父が残してくれた映像とは全く別人かと思うくらいに口下手に一つ一つ教わる。親父は説明するのは得意だった筈だ、だけど今だけはあんまり分からない。

 

慣れないことをするもんじゃないなと呆れながら、それでも親父がそこまでして僕の為に時間を割いたことに内心喜び、そして慣れない事をしてドギマギしている親父を見て内心爆笑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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2

そもそも何故アーク・リアクターを胸に入れ込む前提で考えていたのだろう。

 

アーク・リアクターが完成したその日、ふと、冷静に考えて出来上がったばかりのリアクターを細目に、自分のアホさ加減にため息を吐いた。

コレは昔、アベンジャーズ開設当初に使っていた物とほぼ同じ物だ。

少し効率化を図る為に内部構造を少し変えてはいるが、発電量はあまり変わらない。といっても今まで作ったアークリアクターの大体は同じくらいの発電量しか発電しなかったのだが、それは良いだろう。

つまりだ。このリアクターは僕の胸をわざわざ切開して嵌め込む前提で作られている物だ。

 

馬鹿だろ?

 

僕の中では9年も前に薄型のリアクターを開発しているのに態々原点回帰してこんな前時代的なモノを作るだなんて…

今はあの時よりも数十年前だったとしても部品さえ揃えばサノス襲来前よりは良いものができる筈なのだ。なんだ、逆行のせいで頭が少しショートしたのか…?正直ありそうな可能性なだけ現在、本気で検討中だ。もし違ったらボケたとしか良い様がないな、まぁ、このリアクターはテストベッドとして、その内サポート用AIが出来たらそのコピーをアイアンスーツに乗せて飛ばせよう。

 

さてと、このリアクターの使い道は後々にして実は少し気になる事がある。

 

君たちは散歩は好きだろうか、ああ、あれだ。本来の意味は薬をキメて歩く事なのに何故か良い意味に捉えられて(日本ではデス。アメリカでは知らん)一般的に推奨されている行動の事だ。

ん?僕が散歩が嫌いなのかって?好きにきまってるだろ、何言っているんだ?

まぁ、そんな事はどうでも良い。実は先週なんとなしに息抜きで歩いていた公園で子供たちがこんな事を言っていたのだ。

 

「僕がアイアンマンだ」って…

 

二度見したね。

後々、書店に行ったらコミックコーナーにアイアンマンのコミックが有ってまたまた驚いた。

 

さて、わかったとは思うがこの世界では、僕の活躍がコミックやカートゥーンになっているのだ。

 

一応僕サブカルチャーとかに敏感だと思っていたつもりなんだけどな、やはり、テレビか雑誌くらいしか情報網がないからそう言った情報が入りにくいのかもしれない。

 

仕方ない、権利云々が大変になる前にその内コミック会社買い取って置こう。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

ただ今、僕はスタークインダストリーズ本部に出向いている。理由はといえば今回の世界、どうやら前の世界とはずいぶんと変わっているらしい。現に、親父の友人にオバディア・ステインという男は居らず、代わりにライバル会社、ステインインターナショナルの社長、オバディア・ステインというのが居るという事になっている。

そんな事だから僕は少しこの世界について調べる事にしたのだ。僕はもうすぐ留学することになっている。だから、アメリカで今のうちに調べられる所まで調べておきたい。

 

じゃあ図書館にでも行けと思うだろう。しかし、図書館では今現在の世界の情報までもあると言う訳では無い。せいぜい近年までのあれこれくらいしか分からないだろうな、

だからこそのスタークインダストリーズだ。企業としてはトップクラス、アメリカの経済を回している本場とも言える此処では様々な情報が行き来する、時には国の機密事項もだ。

本来の僕はただの所長の息子というだけの子供にそんなもの見せる訳には行かないだろう。だから出向くと言っても秘密裏にだ。

 

準備は完璧な筈だ。アイアンマンマーク15"スニーキー"とマーク16"ナイトクラブ"の際に調べ尽くしたステルス塗料を塗りこんだパーカーを着て、靴も流石に全ての足音を消せるという訳ではないが、少し細工をしている。その他色々なガジェットを用意しているが、今は省こう

一応、自分の親の会社とはいえ大手企業に乗り込んでいるのだ、どれだけ準備をしても足らない。

 

もちろん、この装備のお金は全部僕の貯金から出ている。

 

昔は女遊びなんかやっていたからすぐ無くなっていたんだが、ペッパー以上の女性なんかいないと思っている手前、未だに童貞だ。

 

プレイボーイとは…?

 

まぁ良い、さて、社長室に着いた!

早いって?当たり前だろ尺は短ければ短いほど良いからな、僕はネット小説で短編しか読まない派なんだ。

 

テーブルに置いてあるパソコンにメモリーカードを差し込み、少しずつウィルスを流し込む。このウィルスは以前僕が作成していたサポートAIの原型が入っている。こいつを流し込みさえすれば中のAIが見たい情報だけをネット経由で引き出してくれて家でも機密情報が見放題にしてくれるという代物だ。まぁ、いわばアマゾンプライムみたいなものだと考えてくれたら良い。

この時代からすれば少しオーパーツ的な技術も少し入っているが、基本今の時代の人間にコレを見つけることは困難だろう、っと言うか無理だと断言しても良い。

 

さてさて、一応ダウンロードも済んだし、中身を背景させて頂こうかな、

 

僕はファイルを確認して一通りの情報を眺める。

 

ほうほう、ミュータントが存在するのか……日本に巨人…無許可にロケットを4人の有望な科学者チームが発射して行方不明……何か色々フラグ建て過ぎじゃないか…?

 

事件事故に何かしらの力が籠っているような気がしてならず、ため息を吐く。僕の世界だったらみんなヒーローになってる奴だった。今振り返ると、最後の戦いも最終的に集まったヒーロー結構多かったからな、

 

……やはり、この世界でもS.H.I.E.L.D.は存在するのか、しかも僕の世界とは違って結構面だって行動している事も多いとみえる。

 

……ってあのコミック会社、一度S.H.I.E.L.D.に訴えられてる。

あ、ああ〜、コミックにS.H.I.E.L.D.を勝手に出しちゃったのか…まぁ、その後和解しているな…

 

思わずため息を吐く。もしかしたらヒーローとしての僕が立つ瀬がないかもしれない。現在、資金援助が一切無いためにアイアンスーツもついでにサポートAIすらつけられ無い始末、しかも親父達は助ける予定だ。きっとヒーローになると言ったら大反対されるだろう、命をかける仕事だし現に命を落とした事すらある。もしかしたらヒーローにすらなれないかもしれない。助ける事に一切の後悔は無いがそうなるとヒーローになれないジレンマが存在するのだ。

 

いや、良く考えたらアイアンスーツがなければキャップの親友くんに勝てる見込みがないのだから、どのみち終わりなのでは…?

 

はぁぁ、なんでこんな事忘れてたんだ…クソッ……

あ〜、完全に脳がやられてるな、診察してもらわなきゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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