新時代、兎はもう一度辿る (野菜ジュース焼き)
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0: 再会
あくまでもダンまちの世界です。
2021年、
文明の発展により人類は神に近づきつつあった。
空を飛ぶこと、地を潜ること、陸を速く動くこと…全て
そんな中、一人の黒髪の少年が世界最大の都市【迷宮都市オラリオ】を訪れた。
都市を囲う白い壁はところどころに修復された跡がある。
入国手続きをし、その門をくぐれば、都会の街並みが広がっていた。
少年は、周りにあるマンションや鉄筋ビルのような建物を見て、さらに都市の中央にそびえ立っている、アダマンタイトの支柱で支えられた歴史感あふれるものすごく高い白亜の塔を見上げ、呟いた。
「ここがオラリオかぁ…」
少年の名は「
「あそこの角を右に曲がれば冒険者通りだ。そこにある一番でっかい建物に入って、冒険者希望って言えば【ファミリア】のリストがもらえるから」
「ありがとうございます!」
少年は駆け出す。出会いを求めて。
〜〜〜
冒険者になるには、力が必要だと、ギルドの人は言っていた。
その力を得るには、文明の力を得るか、神頼みをするか、どっちからしい。
神頼みと言っても、
神頼みが一番早いらしく、僕はリストに書いてある【ファミリア】を回ることにした。
だが、現実はそんな甘くは無かった。
門前払いコンボを食らって僕の心は絶賛崩壊中だ。
コンクリートでできた街道のど真ん中で倒れた僕をみんな素通りしていく。
でも、世の中には優しい人が一定数いるんだ。
「君、どうしたんだい?そんな所に倒れ込んでたら危ないよ」
その
胸はものすごく大きく、その下には青い紐が張られていた。
「あ、ありがとうございます」
「あれ、もしかして君…」
「え、どこかでお会いしましたっけ?」
「…ああ、そうか。いや、こっちの話だよ。ところで君、もしかして冒険者になりたくてこの街にきたのかい?」
自分の目的を見透かされ、一瞬驚きの顔をしてしまったが、すぐに相手が神様だということを思い出し、納得した。
神様たちは何でも知っているのだ。
「はい、でもどこも門前払いされて…」
「なら、ボクの【ファミリア】に入らないかい?」
「え?」
なんて優しいんだろう!
「ボクはヘスティアだ。君は?」
「く、蔵根鈴太といいます!よろしくおねがいします!」
「よし、じゃあ鈴太君、ボクについてきて!これから君をボクの眷属にする儀式をやるよ! 」
「はい!ヘスティア様…いや、神様!」
〜〜〜
「鈴太君はどこからオラリオにきたんだい?」
「えっと、日本です。飛行機で来ました」
「ふーん。遠かっただろう?」
「はい、それはもう…」
こんな何気ない話をしながらボクたちは目的の場所に歩いていく。
「たしか、ここだったような…」
今は更地になっている、とある場所の土をかき分け、懐かしい木の板を見つけた。
それを開け、階段を降りていく。
「ここらへんに魔石灯が…あった」
手探りで千年前の魔石灯を探し当て、スイッチをいれると、懐かしい感じのする青い光が、黒髪の少年と女神を照らした。
「ここは?」
鈴太君が興味深そうに聞く。
「ボクが前住んでた家だよ。今は何もないけどね」
へー、と鈴太君の声が響く。
「さ、ここで服を脱いで、横になって」
「えぇ!?」
「…ごめん、言葉が足りなかった。上半身だけ裸になって」
「あ、そういうことですか。わかりました」
若干冷たい木の板にうつ伏せになった鈴太君の背中を見つめ、ボクは指に針を刺し、
垂らした
「えーっと…」
初期設定を一通り終わらせて、【ステイタス】を刻む。
暖かな陽光が少年の背中から溢れ出る。
「…よし。終わったよ」
「もう!?早くないですか!?」
「驚きすぎだよ鈴太君。これで、君は力を手に入れた。ちょっと動いてごらん」
「…なんか、少し体が軽くなった気がします」
「だろう?ここは狭いからその程度だけど、広い所ならもっとすごいものが見れるから」
どんな感じなんだろう、と鈴太君は呟く。
「君の背中に刻まれている【ステイタス】は君の成長と並行して強くなっていく。強くするには、ボクがその【ステイタス】を更新しなくちゃいけないんだけどね」
「なるほどー…」
「それじゃあ、ボクの…【ヘスティア・ファミリア】のホームに行こうか!鈴太君!」
「あっ、はい、神様!」
そうしてボク達は地下室を出る。
「…おかえり、ベル君」
その
これは、かつての英雄と女神の再会によって紡がれ始めた、【
ヘスティア・ファミリアはどんくらい大きくなっているんでしょうか…
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