ラジオ『独裁者のお悩み相談室』 (たむがや)
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立ち上がれ、ヒール

ヒトラー「第一回、独裁者のお悩み相談室〜。ということで、始まったわけだが。このラジオでは、進行役を務める、私ヒトラーと」

 

スターリン「スターリンと」

 

ムッソリーニ「ムッソリーニが募集したお悩みを解決していこうというラジオですな」

 

ヒトラー「いやー、我々、てか私凄いから。こういうオファーが来ちゃうんだよなぁ」

 

スターリン「凄いか?なんたってここは地獄だぞ?」

 

ムッソリーニ「ということで地獄より送るラジオの第一回目の悩みはなんだ?」

 

ヒトラー「えー、では読み上げるぞ。ラジオネーム黒い刺客から。なになに?私はウマ娘で、レースに出ています。しかし、レースに出て勝っても、誰も喜ばない。勝ってもみんなを不幸にする。もうレースに出ないほうが良いでしょうか。だって」

 

ムッソリーニ「好きにしろよ」

 

スターリン「だな」

 

ヒトラー「同意見だ」

 

ムッソリーニ「勝負ごとは必ず誰かを不幸にする。当たり前じゃないか。しかもレースだろ?人死が出るわけでも国土が焦土と化すわけでも無いんだ。好きにすればいい。その勝負に勝ったとき、家族や友人が喜んでくれたらそれでいいじゃないか」

 

ヒトラー「全くだ。私なんて対ポーランド戦も対ロシア戦も同志でさえ望まなかったからな?」

 

スターリン「ほんとまじでアレ辞めろよ。大祖国戦争でどれだけ国土が焦土と化したことか…」

 

ヒトラー「その後ベルリンが燃えたんですがそれは?」

 

ムッソリーニ「ネロ作戦命令した奴は黙ってどうぞ」

 

スターリン「しかし、この黒い刺客は勝ってるのだろ?ならなおのこといいじゃないか」

 

ヒトラー「私ら負け組だからな。めっちゃ不幸だわ。なぁヨシフ?」

 

スターリン「あー、遠吠えがどこからともなく聞こえてくるわ聞こえてくるわ。はははははっ」

 

ムッソリーニ「てか、この質問俺たちにしちゃダメだろ。経験した勝負の規模が違いすぎる」

 

ヒトラー「だな。てかさ、ふたりは戦争始めるとき、誰かが不幸になるとか考えたか?」

 

ムッソリーニ「考えるわけないだろ。相手の未来の不幸より、俺の今の不幸が重要だ」

 

スターリン「欲しいもんはしょうがないよな」

 

ヒトラー「だよなぁ。逆にすごいよこの子。優しさの塊じゃん」

 

ムッソリーニ「お前らに無いもんだな」

 

ヒトラー「は?優しいぞ?ドイツ国民には」

 

スターリン「私だって優しいぞ?従順な同志には」

 

ムッソリーニ「はいはい、優しい優しい」

 

スターリン「粛清するぞ?」

 

ムッソリーニ「コミーは帰ってどうぞ」

 

スターリン「まぁ、あれだな。優しさは自らを苦しめる。やはり友愛の精神より恐怖の政治だな」

 

ヒトラー「というか、他人を不幸にすることは悪いことなのか?」

 

スターリン「その通り。他人の不幸は知ったこっちゃない。私の幸福こそが重要である」

 

ムッソリーニ「誰にも咎められていいものではない」

 

スターリン「仮に咎める者がいるとしたら、そいつらは我々と同じ独裁者だな」

 

ヒトラー「まったくだ。我々指導者の特権を奪うなと言うことだ」

 

ムッソリーニ「じゃあそろそろまとめてくれ」

 

ヒトラー「うむ。レースには好きに出れば良いと思う。一番重要なのは今のお前の気持ちだけだ。それ以外は無視しろ。自信を持て。誰もお前を咎める権利を持つものはいない。以上!」




当ラジオでは皆様のお悩みを募集してます。重い内容からくだらない与太話まで、どしどしご応募ください。感想欄またはtwitterにて受け付けています。ラジオネームとともにお悩みを教えてください。


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群狼大統領の文句

ヒトラー「第二回、独裁者のお悩み相談室〜。ということで、今回も始まったわけだが。このラジオでは、進行役を務める、私ヒトラーと」

 

スターリン「スターリンと」

 

ムッソリーニ「ムッソリーニが募集したお悩みを解決していこうというラジオですな」

 

ヒトラー「今回のお便りはこちら!なになに?ラジオネーム群狼大統領から。ん?群狼大統領?」

 

スターリン「どうかしたのか?」

 

ヒトラー「いや、なんか聞き覚えがある気がしてな」

 

スターリン「そうか」

 

ヒトラー「続けるぞ。私は、ただの軍人だったのですが、死んだ上司に代わり大統領になることになりました。しかし、その国はすでに崩壊しているといって過言ではなく、戦争相手国が首都まで侵攻してきていました。そんな中で大統領になったので、敗北後戦争責任を問われ、なんと有罪になりました。これは一体どういうことなんですかね?総統?…だそうだ」

 

ムッソリーニ「唸ってどうした?」

 

ヒトラー「いや、こいつデーニッツだろ」

 

スターリン「デーニッツ?」

 

ヒトラー「ドイツの海軍元帥だよ。そのあと私の遺書で大統領に指名した」

 

ムッソリーニ「これは恨まれてるな」

 

ヒトラー「いやいやいや、恨まれるわけないだろ!だって大統領になれたんだぞ?」

 

スターリン「いや、あんなクソ雑魚都市国家の大統領になって誰が喜ぶのか…」

 

ヒトラー「おい、言い過ぎだぞ?」

 

ムッソリーニ「まぁ事実だし仕方ないだろ」

 

ヒトラー「でだ、デーニッツ君は私に文句があると、そういうことかね?」

 

スターリン「そうだろうな」

 

ヒトラー「なら言わせてもらうが、私を選んだのは国民なのだぞ?ならば、その結末も国民が選んだに過ぎないのだよ。それを私ひとりに押し付けるのは少々身勝手ではないかな?」

 

ムッソリーニ「それはあるな」

 

ヒトラー「だろ?しかも、彼は優秀な海軍元帥だった。そして、優秀な国民であったのだ。彼以外次の大統領に誰が選ぶというのか。いや、選ばないだろう」

 

スターリン「優秀な人間による政府の継続、これは至極真っ当であるな」

 

ヒトラー「恨むなら、私ではなく国民と自身の有能さを恨むのだな」

 

スターリン「まぁ、私なら間違いなく貴様を恨むがな」

 

ヒトラー「なに!?」

 

ムッソリーニ「それには同感だな」

 

ヒトラー「お前もか!?」

 

ムッソリーニ「国民が君を選んだ。それと同じように、君はデーニッツを選んだ。だったら責任は君にあるのではないかな?」

 

ヒトラー「うっ」

 

スターリン「それに、優秀な人材がありながら、戦争に敗北した。この責任はリーダーたる君にあるのではないかな?敗北しなければよい大統領として名を馳せていたというのに。可愛そうだ」

 

ヒトラー「笑いながら言うな!」

 

ムッソリーニ「とりあえず謝っとこ?ね?」

 

ヒトラー「くそぉ」

 

スターリン「謝罪!謝罪!」

 

ヒトラー「お前は黙ってろ!」

 

ムッソリーニ「ほら」

 

ヒトラー「くっ。どうもすみませんでした…。次機会があればゲッベルスを総統に任命します」

 

ムッソリーニ「はい、ということで今回はおしまい!またねー」




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