THE OTHER WORLD (白熊の人)
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新しい夜明け

初めての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。
少し真面目なSSを書いてみたいと思ったので、投稿します。
コメントしてくれれば滅茶苦茶喜びます。


敵兵が服かなんかで作ったボロの白い布を巻き付けた棒を持って走ってきて、その後ろから豪華な(比較的だが)馬車がやってきて私達の前線部隊の入っている塹壕の目の前で止まった。地面には大量の死体と肉片、うめき声を上げている人間どもがうごめいている中で、あのような馬車がこちらに向かってくるのはあまりにも、ミスマッチだった。単眼鏡は使わず、スナイパーライフルのスコープでその馬車をしっかりと確認する。距離にして、1キロメートルは離れているだろう。後ろがなんだか騒がしいが、そのまま監察を続ける。私達の前線部隊が塹壕からわらわら出てくる。が、様子がおかしい。確認だけならそんな人数は要らないはずなのにと訝しんでいると、彼らは武装解除をし始め、両手を天に突き立て、仲間同士で抱き合っている者も出てきた。

彼らが何をしているか分からない。だが、今は戦闘状態に入っていないということだけはわかる。

後ろから急に肩を叩かれ驚いてしまい、反射的にナイフを振ってしまったが、そうなることが予想できていたのか、腕を掴まれナイフを取られた。

 

??「もう戦争は終わった。墓堀人の時代は終わったんだ。」

 

この言葉に私は笑って、言葉を返す。

 

「いつの時代も争いは絶えない。大小の違いはあるだろうが、それでも人間がいる限り、争いはなくならない。」

 

??「人間って、お前は人間じゃないのか?」

 

「私は人間じゃないよ。ただのモノさ。」

 

??「だが、君は人間になりたくないと言っていなかったか?」

 

「ああ、本当になりたくないと思うよ。」

 

??「自分が人間だという現実から目をそらしているだけでは?」

 

「少なくとも生物学上では人間に分類されるだろうが、私の中では人間にはなっていない。」

 

??「血に濡れているのに、綺麗な手をしているのは君くらいだよ。私の手は汚れてしまった。」

 

「その汚れた手で赤ん坊を触るのかい?」

 

??「ふん。人間は他の生き物の命を奪って生きているんだ。その生き物が人間になっただけだ。」

 

「邪魔になったから殺すか・・・。蚊みたいだな。」

 

??「あいつは人類全体の的だから殺しても問題ないだろ。それに蚊だったら君だって殺しているだろう?」

 

「まぁ、多分殺しているんじゃないか?知らないが。」

 

そんな風に話を続けていると、こちらの後方にいたお偉いさんがスコープに写り、馬車に乗って相手の国へ行った。

毎日続いていた戦争が終わる。

これからどうなるんだろう。などと考えることが出来なかった私は、話しながらスコープを覗いていた。

その後のことは覚えていない。正確には記憶しなくても良いほど何もなかったからだ。ただ移動して、ただ飯を食べて、ただ寝る。

そして、朝が来る。

 




ということで、かなり短めのプロローグとなりました。
今日中にもう1本投稿できたらなと思います。
それでは!!


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戦後

かなり期間が空いてしまいましたが、ゆっくり投降していきたいと思います。


朝、目が覚めた。

真っ白く長い髪が鬱陶しいが、これくらい長くないと変装したときにばれてしまう可能性もあるから、簡単には切れない。

かなり傷んでしまっている髪をインナーの中に入れ、懐中時計を取り出し蓋を開ける。もう時計としての機能は使えないが、その中にある二枚の小さい写真を見て少し涙が出そうになる。片方はツーショット写真、もう片方は四人で撮った写真だ。この写真を見るのはかなり久しい気がする。彼らへのお参りは共同墓地になるらしいが、私には行く資格もないし、行く気もさらさら無い。あそこには眠っていないからだ。彼らは戦地で眠っていることだろう。そんなことを考えつつも、狙撃位置から撤収しろとの命令がきたらしいので、バカみたいに重く、私の身長に達するほどの鉄の塊を抱えて、移動を開始する。もう、寝袋生活に慣れてしまってベッドで寝ることは出来ないのではないかとこれからのことを予想する。

 

??「それ、持ってやろうか?」

 

無駄に身長がでかく、ガタイのいい男が言ってきた。私が昨日会話していた奴だ。

 

「黙れ。」

 

ただ一言そう言った。気が立っていたわけでもない。ただ、黙れという言葉が出てきただけだ。

 

??「おー、こわ。これからのことを考えてナイーブになっちゃったノン?」

 

「変な語尾を止めろ。気色が悪い。」

 

??「否定はしないのか?」

 

「どうせ、私に未来なんて無い。」

 

??「まぁ、一般人としての未来はないだろうが・・・。ひっそりと暮らせば何とかなるんじゃない?」

 

「知らん。」

 

??「というか、君みたいな子供が何でこんな前線に居るのかずっと気になっていたんだけど、どうして?」

 

「知らん。」

 

??「というか、俺の嫁になってくれない?」

 

「男と交わる気は無い。というか、ロリコンだったのか?」

 

??「いや、君。男だろう?俺、実は君ならショタも行けるんじゃないかなって思ってさ。ほら男の娘みたいじゃんか。」

 

「アニメにはあまり詳しくないからな。それにお前みたいな奴は嫌いだから、そっちの気を出さなくて良いぞ。」

 

??「フラれた・・・。じゃあ、君の目だけでも欲しいんだけど、ダメ?」

 

「頭がイカレたか?いや元々だったな。すまない。目はやらんぞ。」

 

??「え~、一個くらい良いじゃないか。どうせ、もう見えていないんでしょ?」

 

「何故そう判断する?」

 

??「だって、今、自分が何しているか見えていないでしょ?」

 

「その気色の悪い顔以外は見えていないな…。」

 

??「気色の悪いとか言わないでよ。悲しくなっちゃうじゃん。それに町一番の美形といわれた僕の顔を気色が悪いと言うのかい?」

 

「では、訂正しよう。貴様の顔は大嫌いだ。」

 

??「でも、顔だけでしょ?」

 

「本性も、息も、身長も全てだ。」

 

??「ああ~ん。ひどぅい。」

 

「特にそうやって変なことを言っているときに一番殺意が湧き上がる。」

 

男は体をくねらせ、小さい子供の罵倒を受け入れ、そして快感へと昇華させ、もっともっと罵倒してくれと、子供に強請る。子供はそんなことを知らずに、男を嫌悪する感情を垂れ流し、そして、日が昇っていくのだった。




ということで、まだまだプロローグは続きます。
本編はもう2、3話後になるかな。
それでは、次の更新をお待ちください。
コメント等が来れば、長くなるかも?


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