ガンダム ビルドライバーズAnother (神楽)
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第十五話『明かされる真実、始まる戦い』

―ホロライブ会議室―

 

「……皆集まってるね、それじゃあ話を始めよう」

 

前回の終わりにフブキがはあとを会議室に呼び、其処に集まったホロメン全員による緊急会議が始まる。内容は勿論、佐々木玲二に関する事だ。

 

「長い事白上達はレイくんの貞操を賭けて水面下で戦ってきたワケだけど、この度それが破綻してしまった。そう……メルメルとちょこ先生によって」

 

フブキがそう言うとホロメン達は一斉にメルとちょこを睨み付ける。二人はそれがどうしたと言わんばかりの余裕な態度を見せ、はあととわためも我関せずといった感じで座っていた。

 

「……ねぇちょこ先、一体どういうつもりなのさ?兄ちゃんの貞操はいつもスバル達がこっそりやっていた対決法で勝った人がチャンスを貰えるって筈だったのに、それを無視して兄ちゃんを襲ったの?」

 

「メル先輩もどうして妻であるラミィに黙って夫を襲ったんですか?」

 

「いや玲二さんはラミィの旦那じゃ……すみません、何でもないです」

 

スバルはちょこを、ラミィはメルを問い詰めていくがそれでも二人は何も言わない。その間ポルカがラミィに指摘するもまるで鬼の形相のような表情に怯み下がってしまう。

 

「それだけじゃない、白上達が夏休みで帰省してるのを良い事にはあとちゃんとわためもレイくんに迫ったでしょ?」

 

「……えぇそうよ。あの日私とわためはダーリンと関係をもったわ」

 

「……わためも否定はしないよ」

 

フブキの問い詰めにはあととわためは否定せずにあっさりと認める。それに対し他のホロメン達の苛立ち度が更に上がっていく。

 

「……それに関しても色々問い詰めたい所だけど、まずはちょこ先生達から話を聞かないとね。ねぇ、何で二人とも白上達に抜け駆けしてレイくんに迫ったの?」

 

「……簡単な事よ、この争奪戦に何の意味もなさない事が分かったからね」

 

「?それってどういう……」

 

「……玲二君の貞操が既に誰かに奪われてたからだよ」

 

『ッ?!!!』

 

メルから言われた一言にホロメン一同は驚愕する。自分達が結ばれる前に玲二は既に誰かと関係を持っていた事を信じられずにいた。

 

「そ、そんな、まさか玲二様が……」

 

「る、るしあはそんなの信じられない!ちょこ先生、それって玲二さんが見栄張って言っただけじゃ……?!」

 

「玲二様がそんなつまらない見栄張る人じゃないのは皆知ってるでしょ?あの人はそう言った見栄張るのが嫌いな人なんだから」

 

るしあは玲二が見栄を張っただけと言うがちょこはこれを真っ向から否定する。玲二は元より自分でも他人でも見え透いた見栄を張るのは嫌っているのはホロメンなら誰でも知っている事だ。

 

「そ、それじゃあ玲二さんは一体誰に貞操を奪われたんですか?!」

 

「それは……わからない。玲二君はホロライブに正式雇用された頃に一緒にいた娘と間違ってお酒を飲んでそのまま流れでしちゃったって……」

 

「そ、そんな、それじゃ一体誰がマスターの貞操を奪ったか分からないって事……?」

 

自分達も知らなかった事実、玲二の貞操喪失。しかしその相手が一体誰なのかが分からない為、ホロメン達は行き場のない苛立ちを感じていた。しかし……

 

「……ウチ、一人だけ心当たりがある」

 

「……あたしも、間違いじゃなければあの人しかいないね」

 

『?!』

 

沈黙を破るようにミオとぼたんが口を開いた。どうやら二人は玲二の貞操を奪った娘に心当たりがあるようだ。

 

「どういう事ミオ!?レイくんの貞操を奪った相手が誰だか分かるの?!」

 

「うん……その人大学時代のレイさんの後輩でウチの先輩に当たる人だったんだけど、最初はよくレイさんやウチ等とも絡んでたけどいつの間にかウチ等を避けるように離れていったんだよね。タイミング的にもレイさんがホロライブに正式雇用された頃だったし、今思えばウチ等から離れたのもそう言う事だったのかも……」

 

「そ、それでミオ先輩、ししろん!その人は一体誰で、今何処にいるの!?」

 

「……多分皆よく知ってる人だよ。ロボ子先輩に至ってはつい最近会ってるし」

 

「?ボクが最近あった事ある人?」

 

玲二の貞操を奪った相手は此処にいる全員が知っていて尚且つロボ子が最近会った事がある人物、そうなると答えはかなり限られて来る。

 

「そ、それってつまり他のアイドルかその関係者って事?!」

 

「ねぇミオちゃん教えて!その人は一体誰なの?!」

 

「……レイさんの貞操を奪った相手、それは恐らく……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃、街角―

 

「ふわぁ……流石にちょっと寝過ぎたか?」

 

最近色々有りすぎて気持ちを落ち着かせる為に久しぶりに一人で街に出たは良いが……特にやる事もねぇな。なんだかんだ皆と一緒にいる時間が長過ぎたせいか一人の過ごし方を忘れかけてる。

 

「……ホント、俺って何やってんだろうな。いっその事あいつ等が俺の事見限ってくれればどれだけ楽か……」

 

流されたとはいえ俺は四人のアイドルと関係を持ってしまった。それは世間的にも許される行為じゃない。勿論何かあった時は責任を取る覚悟ではいる。だが一番問題なのは俺自身の気持ちが浮わついている事だ。正直俺は今まで誰かを恋愛の意味で好きになった事がないし、もしかしたら人を愛するという心が欠如してんじゃないかって思った事もある。そんな俺があいつ等の想いに応える資格はあるのだろうか……

 

「……ってダメだ。また負のスパイラルに呑まれかけたな。あいつ等にはとにかくちゃんと謝罪しないとな。許されなくても仕方ないが、それだけは絶対にしないと」

 

そうだ、やってしまった事には責任を、ケジメを着けなきゃいけない。例え職や信頼関係を失う事になってもそれだけは男としてしないとな。それならその謝罪文を考える為にも落ち着けるカフェにでも行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、玲二!久しぶりだね、こんな所で会えるなんて!」

 

「え?あ、お前は……」

 

突然後ろから声をかけられ、振り向くと其処には現在人気のアイドルにして俺の大学時代の後輩だった女の子……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハロー、ミライアカリだよ。なーんてね♪」

 

……『ミライアカリ』がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻って会議室―

 

「アカリちゃん?!アカリちゃんってあのミライアカリちゃんの事?!」

 

「アカリさんって玲二さんの後輩だったんですか?!」

 

「うん、恐らくだけどタイミング的にも交流的にもレイさんと関係を持てたのはあの人しかいない筈だから」

 

「あの人在学中からアイドル活動していたし、レイっちともその時から仕事の事もあって結構絡んでいたんだよね」

 

玲二の貞操を奪ったと思われる娘がミライアカリ。それを聞いたホロメン達は動揺を隠せなかった。まさか自分達もよく知ってるアイドル、それも現在活躍中のトップアイドルだとは誰も思ってもいなかったのだから仕方ないだろう。

 

「でも、確かにそれならこの間の収録での言葉も納得できる。『そう言えばそっちのスタッフに佐々木さんっているよね?どう、元気にしてる?』って」

 

「面識のないスタッフを気にかけるなんて普通は変だけど、面識があるなら話は別……これはアカリちゃんに直接話を聞く必要があるね」

 

「なら今からアカリちゃんの事務所に行ってアカリちゃんに会えるよう取り繕って貰おう。玲二君にも連絡をとって皆で話を……」

 

―ガチャッ―

 

「おぉ、皆此処にいたか。丁度良かった」

 

そらがこれからの事を決めようとしている中、会議室にYAGOOこと谷郷社長が何やら書類を持って入ってきた。

 

「?YAGOO、一体どうしたの?白上達は今レイくんの事で話を……」

 

「実はその佐々木君の事で大事な話があるんだ」

 

「大事な話、ですか?」

 

「あぁ、これは事次第では彼がホロライブから……君達の元からから離れてしまうかもしれないんだ」

 

『?!!!』

 

玲二が自分達の元からいなくなる。そう聞いたホロメン達は絶望の表情を浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃、とあるカフェ―

 

「……にしても久しぶりだなアカリ、直接会うのは二年ぶりか?」

 

「そうだねー、もうそんなに経っちゃったかぁ。時の流れは早いねー」

 

あれから俺達はカフェにやって来て二人でお茶をしていた。俺は普通にコーヒーとホットサンドを、アカリはミルクティーとチーズケーキを頼み、食事をしながら昔話を始めていた。

 

「……ねぇ玲二。実はアカリね、ずっと玲二に謝りたかったんだよね」

 

「謝る?お前、俺に何かしたのか?身に覚えがないんだが」

 

「うん……あの日の事、アカリと玲二が酔った勢いでしちゃった時の事……」

 

……あの時の事か。確かにあの時アカリがコンビニでジュースと間違えてカクテルを買ったせいで起こってしまったがあれはアカリのせいじゃないだろ。

 

「アカリ、あの時の事は俺も悪かったんだ。酔った勢いとはいえ俺はお前を……」

 

「違う!そうじゃない!……そうじゃないの」

 

そうじゃない?一体どういう事なんだ?

 

「……実はね、ジュースと間違えたって言うのは嘘なんだ。アカリ、最初から分かっててカクテルを買って玲二に飲ませたんだよね」

 

「な?!お前、どうして……」

 

「……怖かったんだ、玲二がいつの間にかアカリの事を忘れるんじゃないかって。玲二の周りには幼馴染みのフブキちゃんに同級生のぼたんちゃん、後輩のミオちゃんにホロメンの皆がいる。そんな中でもしかしたら玲二の中からアカリが消えちゃうんじゃないかって思ったら怖くなって……」

 

お前、そんな事思ってたのかよ?確かに俺の周りにはいつだってあいつ等がいたけど、だからと言ってお前の事を忘れるなんて……

 

「……だからあの日アカリは玲二にジュースと間違えたフリをしてカクテルを飲ませたの。玲二がお酒に弱い事は前から知ってたからね。でも……お酒を飲ませて酔った勢いでしちゃって、その後酔いが覚めた玲二から謝られた時に自分のした事が許せなくなって……だからアカリ、今まで玲二の前から姿を見せないようにしたんだ」

 

……そう言う事だったんだな。確かに冷静に考えたらジュースとカクテルを間違えるワケがないよな。こいつは其処までして俺に自分を求めて欲しかったのか……

 

「成る程な……だけど何で今になってそれを教えたんだ?」

 

「……謝りたかったと言うのはホントだけど、それと同時に玲二に伝えたい事があるの」

 

伝えたい事?一体何を……

 

「……玲二、アカリだけのモノになって。これからの人生をアカリと一緒に歩んで欲しいの」

 

「ッ?!……お前、それって俺にホロライブの皆を見捨てろって事か?」

 

「そうだよ、玲二はアカリが守る。だから玲二の全てをアカリに頂戴」

 

こいつ、本気で言ってるのか?以前ヒメヒナの二人にも似たような事を言われたがあの時とは違う、こいつは明確的に俺をホロライブから引き離して自分のモノにしようとしている。

 

「……悪いがそれは出来ない。俺はまだやるべき事が残ってる、それを果たすまでホロライブを辞めるワケにはいかないんだ」

 

「うん、玲二なら多分そう言うと思ってた。だから、アカリはこれで玲二を勝ち取るつもりだよ」

 

そう言ってアカリはスマホを取り出し其処に写る画像を俺に見せてきた。『ガンダムビルドライバーズカップ』何だこれ?

 

「玲二、GVWって知ってる?」

 

「あ、あぁ、『ガンプラバーチャルウォーズ』略してGVW。アニメのビルドダイバーズのように自分で作り上げたガンプラを使って戦う次世代型バーチャルゲームの事だろ?確か二ヶ月後に正式稼働するみたいだが、それがどうしたんだ?」

 

「そのGVWの開発チームとホロライブが共同で行う大会、それがこのビルドライバーズカップってワケ。その大会の告知と内容が今朝うちの事務所に送られてきたの、読んでみて」

 

ホロライブと共同?そんな話聞いてないぞ。とにかく俺はアカリに言われ画面をスライドさせ大会内容を確認する。何々……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンダムビルドライバーズカップ

この度GVWの正式稼働実装日が決定した事を記念しホロライブと共同で大会を開催する事に決定致しました。

参加条件は二つ、一つはアイドルである事、二つ目は自身で組み上げたガンプラを所持してる事、この二つのみです。

大会は二回に渡る予選を勝ち抜いた64名によって本戦トーナメントを行います。

優勝された方にはホロライブから優勝トロフィーと賞金1000万円を贈呈、更に副賞として❬ホロライブスタッフリーダー佐々木玲二から可能な範囲で願いを一つ叶えて貰えます。❭

皆様のご参加をお待ちしております。

 

 

 

 

 

「ってちょっと待て!?何だこの副賞って?!そんな話聞いてねぇぞ!?」

 

まず大会やる事自体聞いてねぇし、そもそも何で当事者がいないのに何で勝手に副賞にされてるんだよ?!

 

「と言うワケだからアカリも当然この大会に参加するよ。優勝したら玲二を手に入れるチャンスだからね」

 

「ちょっと待てよ!俺はこの副賞を許可したワケじゃ……!」

 

「まだ分からないの玲二?この告知メールはアカリの事務所に送られてきた。つまりは、他の事務所にもこのメールは届いているんだよ。その中にはアカリやホロメン達のように玲二の事を本気で欲しがってる娘もいる、そんな中でこの副賞はありませんでしたなんて言ってみなよ?直ぐに経営陣は叩かれ責任を取らなきゃいけなくなるんだよ」

 

ぐっ……?!だ、だけどこんな俺の意思を無視した内容なんて……

 

「それだけ玲二の存在は周りに影響していたんだよ。だからこそアカリは誰にも負けたくない、全力で玲二を勝ち取ってみせる。今日はそれを言いたかったんだ」

 

そう言うとアカリは自分の代金を置き席を立つ。

 

「大会は正式稼働の一ヶ月前、つまりは来月に行われる。その時になったらまた会おうね、玲二」

 

アカリはそれだけを言い残して店を後にした。本当にどうしてこうなってしまったんだ……

 

……いや、そんな事よりまずは社長に話をしないと!何でこんな事をしたのか問い詰めなければ!

 

俺も店員に代金を渡し急いで事務所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻って、会議室―

 

「ちょ、ちょっと待ってよYAGOO!何でレイくんの許可無しにそんな事勝手に決めたの?!」

 

「そうですよ!こんな事が許されるワケがない!」

 

ビルドライバーズカップの内容を聞かされ副賞に玲二が賭けられている事にホロメン達は激怒し社長を問い詰めていた。

 

「……理由は二つある。一つはこれまでに他の事務所から佐々木君の移籍、謂わば引き抜きの話が多数あったためだ。こうしたチャンスを設けなければ向こうも納得はしないだろう」

 

「だからと言ってこんな玲二さんの意見を無視するような事を「二つ目は佐々木君の為だ」……!玲二さんの、為?」

 

「そうだ、聞けば君達の中には既に彼と関係を持った者がいるみたいだね。君達からすれば自分を愛して欲しかっただけかもしれない、だが彼からすればそれは只の重圧でしかないんだ」

 

『!?』

 

重圧、自分達の想いがそのように言われる等ホロメン達は思ってもいなかった。

 

「責任感のある彼の事だ、何かあった場合は如何なる事態も受け入れる覚悟はあるだろう。だがそれは度を過ぎれば彼自身がその責任に押し潰され崩壊するだろう。それは私にとっても親友の息子が苦しむ姿を見るのは心苦しい」

 

「そ、そんな……」

 

「だからこそ私はこの大会に全てを賭ける事にした。この大会は謂わば佐々木君の横に立つに相応しい相手を見つける為のモノだ。彼を本当に求めるのなら、この大会に勝ち進むしかない」

 

社長から言い渡された正式な玲二争奪戦。これを勝ち進めなければ玲二はホロライブから、自分達の元からいなくなってしまう。そう思うと皆身体の震えが止まらなくなっていた。

 

「大会は一ヶ月後、それまでに君達も自分のガンプラを用意したまえ。そして当然だがこの大会迄の期間は彼に頼るのは禁止、もちろん家に行くのもだ。私からは以上だ」

 

「あ、ちょっとYAGOO……!」

 

フブキが社長を引き留めようとするが社長はそのまま話を聞かず会議室を後にした。そして会議室は暫く沈黙に包まれてしむう。

 

「……どうするんですか、これ?」

 

「レイさんの争奪戦がまさかこんな形で大事になるなんて……」

 

今までは多少の介入こそあったものの事務所内だけで行われていた玲二争奪戦、それが今や各アイドル達も巻き込み拡大してしまった。

 

「……余帰る」

 

「え、あやめ?帰るってどうして……」

 

「決まってる余、帰って大会用のガンプラを作る。この大会に勝てば玲二様とずっと一緒にいられる、なら参加しない理由はないんだ余」

 

あやめはそう言うと会議室を出て家に帰ってしまった。そして……

 

「……そうだね、僕も帰ってガンプラ新しいの作らないと」

 

「おかゆ!ならこおねも一緒に……」

 

「何言ってるのころさん?この大会はさっきYAGOOが言った通りレイくんに相応しい相手を決める為のモノ、つまりは個人でやらなきゃいけないんだよ。要は僕もころさんも、皆も今から敵同士って事」

 

「そ、そんな……?!」

 

「僕はこの大会で優勝するよ。そしてレイくんとずっと一緒に暮らすんだ」

 

おかゆも皆に宣戦布告をして会議室を出ていく。そして他のメンバーもそれぞれ大会の準備をするために帰っていき、残ったのはフブキとミオだけとなった。

 

「……ね、ねぇフブキ、フブキはどうするの?やっぱり参加する…よね?」

 

「……当たり前だよ。アカリちゃんやちょこ先生にメルメル、それにはあとちゃんにわためにまで先を越されたんだよ。もう絶対に、誰にもレイくんを奪わせたりしないんだから」

 

「……そうだよね。でも、ウチも負けるつもりはないからね」

 

二人も互いに譲れない想いをぶつけ、新しいガンプラを作る為に会議室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

「ねぇヒナ!この大会に勝てば玲二くんを手に入れられるって!」

 

「うん!ヒナとヒメがどっちか優勝すれば玲二くんが工務店に来てくれるね!」

 

 

 

それぞれの思惑が入り乱れ……

 

 

 

「フッフッフ、遂に僕の元にご主人様を呼べる最大のチャンスが来た!」

 

「ご、ご主人様がのりプロに……?!こ、これは……絶対に勝たなくては!」

 

 

 

戦いの火蓋が……

 

 

 

「フフフ、待っててね玲二。シロが玲二を迎えに行ってあげるね♪」

 

 

 

切って落とされた。

 

 



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第十六話『クリエイト、フォクシードガンダム』

「うぅー、うぅぅーー………うがあぁぁぁぁぁぁ!!どうすれば良いのこれぇーー!!?」

 

ガンダムビルドライバーズカップの開催宣言から一週間が経過、今白上は絶賛ピンチに陥ってます……と言うのも今どんなガンプラを作れば良いのか全く思いつかないんじゃあーーーーーーッ!!

 

「うぅぅーー、今まで一人で作った事無かったからどう改造したら良いか分からないよぉ……予選は来週なのにこれじゃあ間に合わないよぉ……」

 

そう、三日前にビルドライバーズカップの第一予選内容が発表された。それは本戦に使用するガンプラを一体作り上げ審査するといった内容で現段階で参加表明を出しているアイドルは500人、その中から200人だけが第一予選を通過出来るというクリエイト力が試されるモノなんだけど……

 

「もう既に皆は着々と準備出来てるのに白上は完成案すら浮かばない……一体どうすれば良いんだろう?」

 

もう既に他のアイドル達は自分のガンプラを作り上げツイッターに投稿している人もいるし、中には予選通過確実とも言われてる作品もある。そんな中で白上は何を作るか、どう改造すれば良いかがまだ見えてなかった。

 

「……いつもならレイくんに頼めば教えてくれるんだけど、今はYAGOOの命令で会う事すら禁止されてるからなぁ」

 

そう、今白上達ホロメンはYAGOOの命令によってレイくんとの接触を禁止されてる。理由は他のアイドル達に対し不公平になるからと、今の白上達がレイくんに対し悪影響を与えてしまう可能性があるからだと言われた。でもそれはそうかもしれない、あんな事があった後だったから尚更ね……

 

「でも本当にどうしよう?このままじゃ間に合うワケがないし、どうすれば―~♪~♪―?電話……ッ?!レイくんから!?」

 

突然電話がかかって来てディスプレイを見ると相手はレイくんだった。一体何で?今接触禁止令が出されてるのに……と、とにかく出ないと!

 

―ピッ―

 

「…も、もしもし?」

 

❬……フブキか、今大丈夫か?❭

 

「う、うん、白上は大丈夫ですよ。それよりどうしたんですかレイくん?今YAGOOから接触禁止令が出てるのに……」

 

❬……その事で話がある。今夜会えないか?❭

 

「え?!そ、そんなレイくんダメですよ!さっきも言ったけど今白上達は……!」

 

❬確かにお前達からコンタクトを取るのは禁止だが、俺からコンタクトする事は別に禁止されていない。今夜八時頃に誰にも気づかれないように俺の家に来てくれ、待ってる❭―……プツップーップーッ―

 

「あ、ちょっとレイくん?!……切れちゃった……」

 

レイくんどうしたんだろう……でも凄く大事な話のような気がする。今夜……うん、配信の予定もないし行ってみよう。もしかしたらアドバイスも聞けるかもしれないし。

 

こうして白上は夜になるギリギリまでガンプラ改造案を考えていたけど、結局何も思いつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜、佐々木宅―

 

「……来ちゃった」

 

夜八時、指定された時間になり白上はレイくんのおうちにやって来た。レイくん話って一体何なんだろう……?

 

―ピンポーンッ……ガチャッ―

 

「……フブキ」

 

「レイくん……急に呼び出してどうし「良いから早く中に入ってくれ、此処では誰かに気づかれる」……うん」

 

玄関のインターホンを押すと直ぐにレイくんが扉を開けて中に招き入れてくれた。それにしてもレイくん大分窶れてるみたいだけど、大丈夫なのかな?

 

「……済まないなフブキ、急に呼び出したりして」

 

「う、ううん、全然気にしないで下さい。白上もレイくんに会いたかったから……」

 

「そうか……」

 

……か、会話が続かない!もっと話したい事は沢山あった筈なのに言葉が全然出てこない!えと、どうしよう……何から話せば良いのかな……?

 

「そうだ、最近皆はどうだ?また前みたいに崩壊しそうになんてなってないよな?」

 

「え?う、ううん、皆普通に活動してますよ。ただ、コラボとか全然しなくなって皆ソロ配信ばっかになってるけど……」

 

あの日おかゆの宣戦布告の通り、白上達は同じホロメンでも敵同士になってしまった。確かにホロメンの誰かが優勝すればレイくんはホロライブに居続けられる。けどそれだけじゃない、ホロメンの誰かが優勝すればレイくんを独占出来る。それこそ結婚する事だって……

 

「そうか、思ったより皆大丈夫なんだな。それこそ、俺なんていらないくらいに……」

 

「ッ!?そんな事ないよ!皆レイくんを失いたくないから必死になってるだけで、本当は今でも直ぐにレイくんに会いたい娘だっているんだよ!それを俺なんていらないなんて言わないでよ!!」

 

「?!……済まないフブキ、軽率だったな」

 

「あ……ううん、白上こそごめんなさい、レイくんの気持ちの事何も考えてなくて……」

 

やっちゃった……レイくん今大分弱ってるのに白上は一体何をしてるのさもう!

 

「……フブキ、ごめんな。俺が不甲斐ないせいでこんな事になってしまって……」

 

「え……ち、違います、そんな事ないですよ!寧ろ白上達がレイくんに迫ったせいで……「違うッ!!俺はずっとお前達の気持ちには気づいていたんだ。だけどアイドルとスタッフという関係があったのと俺自身が皆に対する気持ちがよく分かってなかったせいでこんな事になってしまったんだ!全部、俺のせいなんだ……」……レイ、くん……」

 

―君達の想いは佐々木君にとって重圧でしかない―

 

……YAGOOに言われた言葉が今になって白上の心を締め上げてくる。白上達は、こんなにもレイくんを追い詰めてしまってたんだって……

 

「……レイくん、ごめんなさい。白上達は気づかない内にレイくんをこんなにも追い詰めてしまってたんですね……」

 

「そんな、違う!俺はお前達の事をそんな風に―ギュッ―?!ふ、フブキ?!」

 

気づいたら白上は無意識にレイくんを自分の胸元に抱き寄せてた。そしてレイくんを落ち着かせる為に頭を優しく撫でていく。

 

「白上は今までレイくんがいたからずっと頑張って来れたんです。それは皆も同じ……皆レイくんに救われたんです。だからレイくんも自分の事をそんなに責めないで下さい」

 

「……フブキ」

 

そう、皆レイくんがいたから此処までやってこれたんだ。だからもし白上達の想いが重圧になるのなら白上がレイくんを支えてみせる。もう、絶対にレイくんだけを苦しませたりしない!

 

「今まで白上はずっとレイくんに助けられました。だから今度はこっちの番、白上がレイくんを支えます。レイくんの苦しみを白上も一緒に受け止めます」

 

「フブキ……済まないフブキ、もう少しだけこのままでいさせてくれるか?」

 

「うん、レイくんが落ち着くまで、白上の胸で泣いていいですよ」

 

「……済まない、ありがとう」

 

レイくんはそう言うと静かに泣き出し、白上はそのままレイくんの頭を優しく撫でてあげた。レイくん、今だけは白上に甘えて下さいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数十分後―

 

「……済まなかったフブキ、大の大人があんな風に泣いちまって」

 

「い、いえ、白上もあんな事してすみません……///」

 

や、やっちゃったあぁーーーッ!!レイくん落ち着かせる為とはいえあんな大胆な事しちゃうなんて!ああもう穴があったら入りたいよもう!!///

 

「フブキ、ありがとうな。お陰で覚悟が決まったよ。俺は、例え誰が優勝してもどんな願いをされてもそれを甘んじて受ける。それが例え俺の未来を決める事になっても……」

 

「レイくん……」

 

レイくんもさっきまでの窶れた感じと違って覚悟を決めた顔をしている。良かった、いつものレイくんに戻ってくれた……

 

「レイくんが決めた事なら白上はもうこれ以上は何も言えないね。なら、白上はそろそろ帰らないと「待ってくれフブキ」?どうしたのレイくん?」

 

「……今日だけで良い。今日だけで良いから、俺と一緒にいてくれないか?」

 

「!?レイくん、それって……」

 

「……大会の事を知らされ、社長に話をした時に言われたんだ。これは俺と未来を共に歩むパートナーを見つける為のモノだって。そのパートナーと言われた時に真っ先に思い浮かんだのが、お前だったんだ」

 

レイくんがパートナーに思い浮かんだのが、白上?

 

「だから今日此処に呼んだのもお前だったんだ。お前になら気を許せる、そう思ったから……だから今日だけでも良いから俺と一緒にいてくれ……ダメか?」

 

「……ううん、良いよレイくん。今だけは白上が一緒にいてあげる」

 

「……ありがとうフブキ」

 

こうして白上はレイくんと夜を過ごす事になった。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白上はレイくんと初めて結ばれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌朝―

 

「うぅぅ……めっちゃ恥ずかしいよぉ///」

 

「……ごめん、フブキ///」

 

昨日の夜にレイくんと一緒に寝たは良いけど……なんだか良い雰囲気になってそのまましちゃったよぉ///もう恥ずかしくてレイくんの顔見られないし///

 

「……あ、そ、そうだ。今日昼からマイ○ラ配信しないといけないんだった。そろそろ帰らないと……」

 

ウソ、本当は配信の予定なんて無い。恥ずかしくて今すぐにでも此処から出たかっただけである。

 

「そ、そうか。済まなかったな、俺に付き合わせてしまって……」

 

「ううん、白上も久しぶりにレイくんと一緒にいられて嬉しかったから……」

 

……今帰ったら大会が始まるまでレイくんには会えない。ならせめて最後に……

 

「……ねぇレイくん。白上ね、レイくんにどうしても伝えたい事があります」

 

「?なんだいった―チュッ―?!ふ、フブキ?!」

 

白上はレイくんに声をかけて振り向いた隙にレイくんの口にキスをした。レイくんは驚いているけど、白上は構わず言葉を続ける。

 

「……私は、白上フブキは佐々木玲二君が好きです、愛しています」

 

「ふ、フブキ……」

 

「今はまだ返事は要りません。白上は必ずビルドライバーズカップで優勝してみせます。その時に返事の答えを聞かせて下さい。例えどんな答えでも、白上はちゃんと受け入れます」

 

……うん、少し恥ずかしかったけど、ちゃんと言えた。レイくんも最初は驚いてたけど、白上の気持ちが伝わったのか無言で頷いてくれた。今はそれだけで満足だよ。

 

「……またね、レイくん♪」

 

「あぁ、またなフブキ」

 

白上とレイくんは最後にその言葉だけを交わし、白上は自分の家に帰る前にある場所に向かった。『あのガンプラ』があれば良いんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―某家電量販店―

 

「えーと……!良かった、あった!」

 

白上はレイくんと初めてガンプラを作る時に来たビ○クカ○ラにやって来てあるガンプラを探していた。再販がかかったとは聞いてたけどかなりの人気のガンプラだからもしかしたら売り切れてるかもしれないと思ってたけど、運良く最後の一個があった。

 

「……また会えたね、ジュピターヴ。今度は白上と一緒に戦ってね」

 

そう、レイくんと初めて作ったガンプラ『ジュピターヴガンダム』白上の、ホロライブにとっての始まりのガンプラ。白上はこのガンダムで、皆と戦うよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―予選前日―

 

「………遂に完成した。白上だけのガンダムが」

 

あの日から白上はいろんな製作動画等を見て試行錯誤を繰り返し、遂に完成させる事が出来た。

 

「これが白上のガンダム……『白夜ガンダム』そして『フォクシードアーマー』だよ」

 

『白夜ガンダム』

コアガンダムを白上フブキ専用に改造したガンダム。従来のコアガンダムに比べ手足が少し延長されブースターも一つから二つに増設されスピードと機動性が格段にアップしている。更に頭部には狐の耳をモチーフにしたバルカン砲が追加され、コアスプレーガンとシールドもデフォルトでアースリィのビームライフルと追加シールド装備が装着されており単機でも並みのモビルスーツになら簡単に対抗出来る程の機体となった。

 

『フォクシードユニット』

白夜ガンダムのサポートユニット。従来のユニットは飛行しコアガンダムのパイロットの意思で援護射撃等をしていたがSDナイトガンダムの馬の足を流用し一部を切断、再接着する事で飛行能力の損失の代わりに四足歩行の奇襲型サポートユニットとなった。ユニットに装着されているアーマーをパージし白夜ガンダムに装着する事で高起動型のフォクシードガンダムとなる。因みにフォクシードの名前は狐のFoxと超過するという意味のXceedを掛け合わせたモノである。

 

これで今の白上に出来る事は全てやった。後は明日の予選の結果を待つのみだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―二日後、予選通過結果発表―

 

昨日の予選会で皆自分のガンプラを提出し終えて、遂に結果が発表される。参加者は総勢713名、其処から予選通過が出来るのは1/3以下の上位200名だけ!

 

緊張する中、白上は予選結果が発表されている公式サイトのトップページを開く。お願い、入ってて!

 

果たして結果は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予選通過者

・白上フブキ 21位

 

 

 

「え……21位?……や、やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

やった!予選通過!それも21位と上位!他のホロメンの皆も予選通過してたけど、皆よりもかなり高い順位で入れたよ!

 

「グスッ……良かった、なんとか予選通過出来て良かったよぉ」

 

うぅ、思わず嬉しくなって涙が出てきちゃった///

 

でも他の人も凄い、中にはヒメヒナちゃんみたいに知ってる娘もいるし、もしかしたら上位には他にも……ッ?!こ、これって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予選通過者

・ミライアカリ 1位

・シロ 2位

 

「アカリちゃんに、シロちゃん……」

 

最も上位である1位と2位。其処にいたのは自分達と最も因縁深いアイドル達の名前だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に第一予選を通過したフブキ。しかしその前に立ちはだかるは因縁にして最大のライバル達。果たしてフブキは、ホロライブメンバー達の運命は如何に?次回、第二予選に続く!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おまけ、とあるカフェ―

 

「ふぅん、やっぱりホロメンは全員入ってるね。一番がフブキちゃんで21位、下が……あちゃー、マリンちゃんが199位でギリギリかぁー」

 

「あ、アカリちゃん。此処で会うなんて偶然だねー」

 

「うん?おーシロちゃん久しぶりー♪そう言えば予選2位通過おめでとねー♪」

 

「ありがとー♪でも1位で通過したアカリちゃんに言われると嫌味に聞こえちゃうなー?」

 

「えー?そんな事ないよー……でも正直順位なんてどうでもいいよ、アカリは誰が来てもこの『フォーチュンガンダム』で凪払うだけだから」

 

「そうだね、シロもどんな相手だろうと『ホワイトディマイスガンダム』で踏み潰すだけだよ、フフフ♪」

 

(((((こ、怖えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………!)))))ガタガタガタガタッ

 

偶然会った上位二人の敵意剥き出しのオーラに周りにいた客や店員はビビって動けずにいるのであった。



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第十七話『始動、GVW』

「ほわあぁ……」

 

「す、スッゴいのらぁ」

 

「これが……GVW」

 

第一予選通過して二日後、予選を通過した白上達は操作法を覚える為に大会会場に設置されたシミュレータールームへとやって来た。其処には如何にも凄そうなゲーミングチェアにコックピット風のキーボード付きコントローラー、そしてゲーム用に作られたVRゴーグルがいくつも用意されていた。

 

思っていた以上の設備に白上達が驚いていると案内人の女性がやって来てゲームの説明を始め出した。

 

「皆様、この度は第一予選通過おめでとうございます。それでは早速ですがGVWについてご説明させて頂きます。皆さんはそれぞれ操作方法を選んで頂き、その中で自分に合った操作でガンプラを操縦して頂きます」

 

「操作方法?彼処にある操縦席で行うんじゃないんですか?」

 

「それはコックピットタイプの操縦席です。その他にもコントローラータイプとトレースタイプの操縦があります。こちらへどうぞ」

 

女性は白上達を連れていくと其処には先程のコックピットとは違う、ゲーム用コントローラーと腕や足に着けるセンサー付きの軽装甲が用意されていた。

 

「こちらのコントローラータイプは普段からP○4やXb○x等のコントローラーを使うゲームに慣れた人用で、こちらのトレースタイプは身体に専用のグローブ等の軽装甲を着けて頂く事で実際にガンプラを身体で動かしていくといった物になっております。どれを選ぶかは参加者次第です。勿論本戦中でも操作方法の切り替えは可能ですのでご安心下さいませ。起動の方法につきましては各担当者がご説明致します。それでは時間の許す限り、GVWをお楽しみ下さいませ」

 

案内人はそう言うと元の定位置に戻って待機していく。それにしても操作方法が複数あるなんて思ってもみなかった……一体どの操作方法を選ぼうかな?

 

「フーブキ♪どう、操作方法決まった?」

 

「あ、まつりちゃん。いや、まだだけど……」

 

どの操作方法にするか悩んでいたら後ろからサイドテールの元気ッ娘『夏色まつり』ちゃんが声をかけてきた。因みにまつりちゃんの第一予選の順位は72位で割と中の上にいた。胸は下の下なのに……

 

「ちょいフブキ、お前今変な事考えなかったか?」

 

「い、いやぁそんな事ないですよアハハ~……」

 

さ、流石まつりちゃん、こういう事に関してはいつも鋭い。もう余計な事は考えないでおこう……

 

「ふーん……ま、いっか。それより操作方法決まって無いんだったらさ、一緒にトレースタイプ試してみない?」

 

「え、トレースタイプを?」

 

「そ!一緒に身体動かしてバトルしてみようよ!」

 

トレースタイプ……確かに白上は動ける方だから良いかもしれない。取り敢えずお試しでやってみようかな?

 

「わかったよまつりちゃん、それじゃ準備をして始めようか」

 

「さっすがフブキ!そうこなくっちゃね♪」

 

こうして白上達はまずトレースタイプでの操作でプレイする事になった。担当の従業員の指示に従いガンプラを専用スキャナーにセットし身体の各所に軽装甲を着けて最後にヘッドギア付きのVRゴーグルを装着したんだけど、結構軽くて動けるんだね。

 

「それではまもなく開始致します、準備は宜しいでしょうか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「オッケーでーす♪」

 

「はい、それではスタートします」

 

―LINK START ―

 

従業員の合図と共にVRゴーグルから映像が流れ始め、一瞬光が強くなり思わず目を閉じてしまったけど、光が止んで目を開けると其処は一面広野のエリアだった。

 

そして辺りを確認すると同時に右手を動かして見ると映像から見える白夜ガンダムの右手も同じように動いている。

 

「す、凄い。本当にガンダムと一体になったみたい……」

 

❬ようこそGVWの世界へ。まずは操作方法のチュートリアルを始めます。まずは右手の甲にありますボタンを操作しスペック画面を開いてみて下さい❭

 

音声ガイダンスがヘッドギアから聞こえ、まずはこの機体のスペックを確認してみる事に。どれどれ……

 

 

 

 

 

白夜ガンダム

HP:980

ATK:180

DEF:125

SPD:160

MOB:180

 

スキル

・コアチェンジ

・支援メカ操作

・クイックブースト

・???

・???

 

……うん、初めてやるし比較対象が無いから高いのか低いのかが分からない。スキルも上二つはコアガンダム系なら必ず持ってるスキルみたいだし、三つ目のクイックブーストは15秒間の間だけDEF(防御)を下げる代わりにSPD(スピード)とMOB(機動性)を上げるといったモノ。残る二つのスキルは白上がこの機体に搭載した切り札的スキル。これに関しては出来れば本戦まで隠しておきたいな……

 

―ビーーッ!ビーーッ!―

 

❬上方向より敵機接近中❭

 

「にゃッ?!い、いきなり!?てか上?!」

 

突然の警告音とナビゲーターの声に驚きつつも白上が上を見上げると一機のガンダムが二本のビームサーベルを振りかざしながら襲いかかってきた。

 

「うぅーーーー……わっしょーーーい!!」

 

―ドゴオォォォォンッ!!―

 

襲いかかるガンダムに対し白上は身体を捻らせ間一髪で回避する事に成功……て言うか危ないよホント!ゲームとは言え死ぬかと思ったよ!というかこの声って事は……

 

「あちゃー、やっぱりフブキにはかわされたかぁ」

 

「やっぱりまつりちゃんか。機体は見る限り『シャイニングガンダム』の改造機みたいだけど?」

 

「フッフッフ♪そう、これがまつりの専用機『ガンダムフェスティバル』だよ!」

 

まつりちゃんはそう言ってサーベルをバチに見立てまるで太鼓を叩くような構えをキメる。正直そんなにカッコよくなかったけど。

 

『ガンダムフェスティバル』

夏色まつりがシャイニングガンダムをベースに改造した専用機。武装はビームサーベル二本と両腕に装着されている何処かで見た事のある円盤型のシールドが付いてるのみである。色合いもオレンジがメインとなっており頭部にはハチマキのようなディテールが施されている。バルカン砲等も撤去された完全接近戦型のガンダムである。

 

HP:1437

ATK:256

DEF:155

SPD:122

MOB:154

 

敵機とエンカウントした事によって相手のスペックが表示される。どうやらまつりちゃんの機体はスピードと機動性こそ低いけどそれ以外は白夜ガンダムより上回ってるみたいだね。

 

「へぇ、やっぱりフブキはコアガンダムベースなんだね。うん、相手にとって不足は無いね!」

 

まつりちゃんはそう言うと再びビームサーベルを構え白上に斬りかかってきた。だけど動きは大振りだから避けるのは簡単、白上は迫り来るビームサーベルを全てかわしていく。

 

「うぅーーーー!全然当たらないじゃん!」

 

「機動性とスピードならまつりちゃんより上だからね!今度は白上の番だよ!」

 

白上も先程のチュートリアルの中で覚えた武器のセレクトによってビームライフルとシールドを出現させまつりちゃんに向かって撃っていく。この時気づいたけどトレースタイプだと武器の重さに合わせてグローブが少し重くなるみたい、どういう技術なんだろう?なんて考えてたら撃ったビームが二発程まつりちゃんに命中した。

 

ガンダムフェスティバル

HP:1180

 

「痛ったぁ!?」

 

「よし!先制は頂いたよ!」

 

「くっそぉーー!それでもまだまつりの方がHPが勝ってるもん!これでも喰らえ!」

 

まつりちゃんはそう言うと腕に付いていた円盤型シールドを白上に向かって投げてきた。白上はそのままシールドで防ごうと構えたけど……

 

―ヒュウンッガチッ!―

 

「?!ウソ、くっついた!?しかも動けない!?」

 

まつりちゃんの投げたシールドが白上のシールドに付くと何故か白上が動けなくなり、まつりちゃんのシールドが三倍近く巨大化していた。ってちょっと待って、これってもしかしなくても!

 

「よっしゃあ!それじゃいっくよぉーー!!音撃打・爆裂強打の型!わっしょーーーーーいッ!!」

 

―ドゴオォォォォンッ!!―

 

「やっぱり響鬼の音撃鼓かあぁい!!?」

 

まつりちゃんはビームサーベルをそのままバチ代わりにしてシールドこと音撃鼓に向かって一発叩くと白上のシールドは破壊され機体もろとも白上の身体がぶっ飛んでしまった。流石にリアルの方は其処まで吹っ飛んではいないけどね。

 

白夜ガンダム

HP:840

 

「痛たた…シールドのお陰でダメージは少なかったけど……ってかちょっと待ってよ!これガンプラバトルでしょ?!なんで仮面ライダーの力があるのさ!?」

 

❬仮面ライダー響鬼はFigure-rise Standardで発売されたプラモデルです。メインとしてでは無くガンダムのサブウェポンとして改造した物を仕様しているのでルール上は違反ではありません❭

 

うぐぐ、まさかそんな裏技があるなんて……でもそれも一発ネタだよ!仕組みさえ分かれば怖くない!

 

「よっしゃあ!それじゃもう一発いっくよーー!」

 

そうしてる内にまつりちゃんがまた音撃鼓シールドを白上に向かって投げてきた。だけど仕組みはもう分かってるから当たってやんないよ!

 

―ビュンッ―

 

「よっと!よし、もうその攻撃は当たらないよ!今度は白上の番―ガチィッ!―え?!う、動けない……!?」

 

ど、どうして?さっきの攻撃は避けた筈……?!三者視点のカメラで見たら避けた筈の音撃鼓シールドが白夜ガンダムの背中に!?

 

「へっへーん!音撃鼓シールドはブーメランにもなるんだよーだ!それじゃ、今度こそ止めだよ!」

 

ま、マズイ!このままじゃ本当にやられちゃう!こうなったら……!白上は左手をなんとか動かして右手の甲のボタンを操作してあの子を呼び出す。

 

「それじゃゲームセットだよフブキ!せぇーの―ドオォンッ!―痛ぁッ?!」

 

白上の呼んだ獣型バディアーマー『フォクシードユニット』がガンダムフェスティバルに勢いよく体当たりをしてくれたお陰で背中の音撃鼓シールドも取れ身動きがとれるようになった。

 

「よし、動ける!それじゃあまつりちゃん、反撃させてもらうよ!」

 

白上はそのままバディと高く飛び上がりボタン操作で出たスキルの一つ、コアチェンジを選択すると其処に『Foxceed』のコマンドが現れすかさず決定ボタンを押した。

 

 

 

「バディチェンジ!ドッキング、ゴー!!」

 

 

 

白上の言葉と共にフォクシードユニットからアーマーがパージされ今度は白夜ガンダムへと装着されていく。ジュピターヴアーマーを改造し白をベースに一部水色がかったアーマー。ビームライフルには新たにロングバレルが装着され白夜ガンダムの時よりスペックが格段に向上していく。これが白上の新しい力『フォクシードガンダム』だよ!

 

フォクシードガンダム

HP:1620

ATK:240

DEF:200

SPD:270

MOB:300

 

合体完了して改めてスペックを見たけど、ATK(攻撃)こそガンダムフェスティバルより低いけどそれ以外は全て上回ってる。これならいける!

 

「合体した?!ってコアガンダム系なら当然か……でもまつりだってまだまだこれからだよ!」

 

まつりちゃんも白夜ガンダムとフォクシードの合体に驚きつつも再び音撃鼓シールドをこちらに向かって投げてきたけど、今なら対応出来る!

 

「防いでもダメ、避けてもダメなら、撃ち落とすまでだよ!」

 

白上は一度音撃鼓シールドをジャンプして避けた後にネオビームライフルを構えシールドに向かって二発撃ち込み撃破する事に成功した。

 

「そんな!?なら接近して直接……!」

 

「接近なんてさせないよ!これで……決めるッ!!」

 

白上はフォクシードの機動力を活かしフェスティバルから距離を一気に離しそこからネオビームライフルを構えてエネルギーを最大までチャージする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チャージ完了、ターゲットロックオン……いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

 

 

―カチッ……チュドォォォォォォォォォォォオン!!!―

 

 

 

ネオビームライフルから放たれた強大なエネルギーによってフェスティバルの頭部と胸部は完全に呑まれ、そして……

 

 

 

 

 

ガンダムフェスティバル

HP:0

 

―WINNER 白上フブキ―

 

撃たれた部分が跡形もなく吹き飛んでいきフェスティバルのHPが0になった事でこの勝負は白上の勝利で終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バトル終了後―

 

「ぐやじいぃぃぃぃッ!!フブキに負けたあぁーーッ!!」

 

「まあまあまつりちゃん落ち着いてって」

 

バトルが終わった後まつりちゃんはずっと悔しがって泣いていていたから慰めるのに時間がかかっちゃった……他の皆も色んな操作方法試してるから白上も行きたいのになぁ。

 

「グスッ……次は絶対に勝ってやるんだからなぁ」

 

「ハイハイ、何度でも相手になってあげるよ」

 

でも漸くまつりちゃんも泣き止んでくれたし、白上ももう一度バトルしに行こうっと。

 

「……ねぇフブキ、ちょっと良いかな?」

 

「うん?どうしたのまつりちゃん」

 

「フブキはさ、今のホロライブってどう思う?」

 

今のホロライブ……あの日おかゆが宣戦布告をしてから皆敵対してはいたけど、今は幾分かマシにはなっている。それでもまだ互いにギスギスした所はあるけど……

 

「知ってる?皆の配信のコメント欄で最近書かれてる事。ギスギスしたホロライブ、ギスライブだって。そりゃあんな雰囲気だとそう言われても仕方ないけどさ」

 

「……そうだよね」

 

そう、白上の配信でも言われてたけど皆以前まで仲が良かったのにコメントで他の娘の名前を出しただけで怒る娘もいるから不仲説が絶えなくなってしまってる。

 

「最初はまつりも玲二君を手に入れるつもりだったけどね、皆のコメントを見てたり他の娘とギスギスしてたりしたら思うようになっちゃったんだ。もし玲二君が今のまつり達を見たら失望するんじゃないかなって」

 

「……うん、そうだね」

 

それは白上もあの日レイくんと会ってから考えるようになってた、このままじゃいけないって。このままだと例え誰が優勝してもレイくんは決して喜ばないし幸せになれないんだって。だから白上は決めたんだ。

 

「……だからこそ白上は優勝するよ。そして白上はレイくんと……ううん、皆と一緒に未来を手にしたいんだ」

 

「フブキ……アハハ、なんかフブキなら本当にやれそうな気がするよ。少し前まで優勝して玲二君を独占しようとしてた自分が恥ずかしいよ」

 

「あ、アハハ……実は白上も最初同じ事考えてました」

 

「「プッ……アハハハハ♪」」

 

他愛もないやりとりだったけど、なんだか久しぶりに本当に笑えた気がした。そして……

 

「ねぇまつりちゃん」

 

「何?フブキ」

 

「……絶対に勝とうね」

 

「……勿論だよ」

 

白上達はお互いに勝ち残る事を誓い合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第二予選当日―

 

❬さあ、始まりますガンダムビルドライバーズカップ第二予選!第一予選を突破したアイドル達200名が今此処に集結致しました!❭

 

遂に来た第二予選の日。白上達ホロライブを始めとした多くのアイドル達が既に自分の操作エリアにスタンバイし各自最終チェックを行っている。

 

あれから白上は他の操作方法を試してみたけど、最初にやったトレースタイプが一番しっくりしたからそのままトレースタイプを選択した。ガンプラのメンテナンスもオッケー、これで白上の準備は出来た!

 

❬第二予選の内容は200名のアイドル全員によるバトルロイヤル!全員が一斉にバトルを行い残り人数が本戦参加人数である64名になった時点で終了となります!❭

 

バトルロイヤル……つまり上手くいけば戦わずとも勝ち残る事も出来るけど、今この機体で何処までやれるかも知りたい。だからやれる限りは戦い、危なくなったら退避。一先ずはそれでやってみよう。

 

❬それでは皆さん、準備はよろしいようなので早速始めていきましょう!それではガンプラバトル、リンクスタート!!❭

 

―LINK START―

 

MCの開始宣言と同時にゲームがスタートし、VRに映像が映し出された。今回のエリアはどうやら真夜中の森林地帯のようだね。まずは様子見で近くにいる他のプレイヤーを……

 

―ドゴオォォォォォォォォォォォォンッ!!!―

 

―ザシュッ!ズバァッ!ドゴオォォォォンッ!!―

 

「ッ?!な、何今の爆音?!」

 

動こうとした瞬間、突然森の奥から爆音が響き渡り、何事かと思ってモニターで確認しようとしたら……

 

―GAME OUT. YOUR WIN―

 

突然画面にゲーム終了、そして私が勝ち残ったという表記が現れた。え、何で?!まだ始まって三十秒も経ってないよ!?一体どうなってるの?!

 

❬な、なんとぉ?!開始して僅か二十四秒で決着ぅッ!!200名いた参加者がたったこれだけの時間で52名!本来よりも12名も多く脱落されてしまったぁ!!❭

 

ウソでしょ?!たったそれだけの時間で148人が一気にやられたの?!

 

そ、そうだ戦績表!これを見たら誰がやったかわかる筈……

 

………ッ?!こ、これって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミライアカリ

フォーチュンガンダム 41機撃破

 

シロ

ホワイトディマイスガンダム 72機撃破

 

白雪みしろ

ガンダム氷牙 35機撃破

 

「そんな……アカリちゃんにシロちゃん、みしろちゃんまで……」

 

バトルロイヤルを制したのは第一予選をトップで通過したアカリちゃんとシロちゃん、更にはのりプロのアイドルメイドの白雪みしろちゃんの三人だった。

 

あまりの圧倒的な力に、白上の手が汗ばみ尋常じゃない程震えが止まらなかった……

 

 

 

 

まさかの結果に終わった第二予選。圧倒的な力を見せつけられフブキ達はこの後どうなってしまうのか?そしてこれから始まる本戦では一体どんな戦いが待ち受けているのだろうか?

 

次回、いよいよビルドライバーズカップ開幕!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おまけ、予選終了後―

 

「……皆の様子が気になって来てみたは良いが、予想外な結果になったな」

 

俺は第二予選の会場に来て皆の戦いぶりを見ようとしたが、まさかの結果に驚きが隠せないでいた。まさかあいつ等があそこまでやるとは思いもしなかった。結果としてはフブキを始め10人しか本戦に勝ち残れなかった……いや、正確には偶然生き残ってしまったと言うべきか。

 

―ギュッ―

 

「れーいじ♪こんなところで会えるなんて、もしかしなくてもシロに会いに来てくれたんだね♪ねぇねぇ、シロの戦いどうだった?」

 

「……急に抱きついて来るなシロ。しかもあれは戦いじゃなくてただの虐殺だろ」

 

俺が考え事をしていると突然後ろから白髪の女の子『シロ』が背中に抱きついてきた。相変わらずこいつは俺を見つける度に抱きついてくるな。

 

「そうだよ、だってあいつ等皆玲二を狙う悪い蟲だもん。本当だったらあの場で全員殺っちゃっても良かったけど、本戦で殺らないと意味がないから仕方なくあれで済ませたんだよ」

 

「お前物騒な事言うんじゃねぇよ、アイドルが殺るとかダメだろ」

 

本当にこいつは昔から恐ろしい奴なんだよな。初めて会った時からなんとなくわかってたがこいつはすいせい以上のサイコパスだぞ。

 

「まぁ、それは良いや。本当だったらもっと一緒にいたかったけど、続きはシロが優勝してからゆっくり過ごそうね、二人だけの世界で……ね♪」

 

「……どうかな?あまりフブキ達をナメない方が良いぞ、あいつ等の力はこんな程度で折れる程弱くないからな」

 

「……ふぅん、シロがいるのに他の女の話するんだぁ?……まぁ良いよ。其処まで言うなら本戦で見せてあげるよ。シロの力を徹底的にね……それじゃあまたね玲二♪」

 

シロはそう言うと俺から離れ帰っていった。さて、本戦はかなり荒れそうだが、俺はフブキや皆なら絶対に勝ち進めてくれると信じてる。

 

「フブキ、皆……例えどんな結果になろうと、最後まで諦めずに戦ってくれな」

 

直接言う事は出来ないが、俺は皆に言葉を贈りその場を後にした。

 



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第十八話『開幕、ビルドライバーズカップ』

第二予選が終わって三日が経ったけど、あの後予選落ちしたアイドル達や事務所側から批判が殺到したらしい。

 

どうやら他のプレイヤーを撃破した三人はともかくその他の勝ち残ったプレイヤーは何もしていなかったとして不平等として再度予選を行うよう抗議を行ったようだ。

 

だけど運営側はルール上何も問題ないとして抗議を却下、だけど本戦参加人数が予定より12人も足りないとの事で急遽第三予選を行う事が決定された。

 

けど実際にその第三予選に参加したのは残った148人の内59人だけだった。参加しなかった娘の理由の殆どは恐怖によるものらしい。

 

あの時予選落ちしたみこちやルーナの話によると

 

「あんなの勝てるワケないよ……気づいたらみこのエリートミコンガンダムが真っ二つにされてたんだから……」

 

「始まった瞬間目の前にいた白くて巨大な影にいきなり撃たれて、ルーナだけじゃなくて他の皆も一瞬でやられちゃったのら……」

 

と何も出来ずにやられてしまったせいか泣きながら震えていた。結局二人も第三予選には参加せず棄権してしまったようだ。

 

そして第三予選も終えて64人の参加者が揃った中、その中でホロメンが残ったのは13人だけだった。メンバーは以下の通り

 

白上フブキ

ときのそら

ロボ子

アキ・ローゼンタール

大空スバル

百鬼あやめ

猫又おかゆ

大神ミオ

潤羽るしあ

白銀ノエル

天音かなた

雪花ラミィ

獅白ぼたん

 

……こうして見ると生き残ったとは言えもしあの三人がいなかったとしても勝ち残ってそうな娘ばかりが残った感じがする。現にミオとロボ子さんとぼたんちゃんは第三予選を勝ち抜けて来たんだから実力は充分と言える。

 

だけどその中で今現在白上のように元のホロライブに戻したいと思ってる娘はまだ少ない。そらちゃんにかなたん、スバルやぼたんちゃんは比較的白上と同じ気持ちだけど他は違う。特にあやめとおかゆはレイくんと結ばれる事に固執し過ぎて他のホロメンすら敵と見なしてるせいで白上の話も聞こうとしてくれない。

 

「はぁ……どうやったら皆白上の話を聞いてくれるんだろう……?」

 

「あれ?フブキちゃんこんな所で一人でどうかしたの?」

 

「あ、アキちゃん……ううん、ちょっとね」

 

白上が悩んでいると同じく予選を突破した異世界出身のハーフエルフ『アキ・ローゼンタール』ちゃんが話しかけてきた。

 

「んー?もしかしなくても玲二君の事で悩んでる?」

 

「え?う、うんそんな感じかな……」

 

「やっぱりねー、玲二君がいなくなってから皆ピリピリムードなっちゃってるしねー」

 

アキちゃんはそう言いながらケラケラと笑っている。アキちゃんは他のホロメンと違って玲二君の事は好きだけど其処まで固執していない感じだからもしかしたら相談に乗ってくれるかも。

 

「ねぇアキちゃん、ちょっと相談したい事があるんだけど、

良いかな?」

 

「ん?何々?何でも言ってみてよ、アキロゼが全部聞いてあげるよ~♪」

 

アキちゃんは笑顔で白上の相談を聞いてくれるって言ってくれたから白上は今の悩みを全てアキちゃんに話した。

 

「……成る程ね、確かに今の皆を見たら玲二君辛いかもね。あの人責任感強いからこうなったのは俺のせいだって言って自分を責めちゃうかもね」

 

「うん……その事をあやめやおかゆに言っても全然聞いてくれないし、ころねもおかゆが冷たくなってずっと泣いちゃってるし……ねぇアキちゃん、白上は一体どうしたら良いのかな?」

 

白上は何度も説得もしたけどその度に文句があるなら戦って勝てば?と言われそれ以上話を聞いてくれない。ころねもおかゆに何度も説得してるようだが結果は同じようで毎回その度に泣いて戻ってくる。正直もう見てられない。

 

「そっかぁ……でも他の皆は戦って勝てって言ってるんでしょ?」

 

「え、う、うん……」

 

「ならもういっその事本戦で戦って倒せばいいんじゃない?そうすれば皆も頭冷えてフブキちゃんの考えを理解してくれるんじゃない?」

 

まさかのパワーアンサー!?流石ホロライブトップクラスの脳筋!考え方が力業過ぎる!

 

「よし、そうと決まれば早速練習しよう!フブキちゃん、アキロゼと一緒にバトルしよ♪」

 

そして唐突なバトル展開!?何で相談したら急にバトルする事になっちゃうの?!

 

「ほら、頭で考えるより身体動かした方がスッキリするでしょ?だからフブキちゃんもアキロゼと戦ってスッキリすれば考えが纏まるかなーって」

 

「えぇー……」

 

ヤバい、相談する相手間違えたかな?でも本戦前に調整したいとは思ってたし、そういった意味では丁度良いかな?アキちゃんもやる気満々だし、折角だから相手になってもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バトルルーム―

 

それから白上達は事務所の一角に設立されたGVW用のバトルルームでバトルの準備を始めていた。アキちゃんは白上と同じくトレースタイプの操作方法で戦うようだ。因みにトレースタイプはどうやら不人気らしく本戦で使用するのは白上とアキちゃん以外は三人しかいないらしい。

 

「それじゃあフブキちゃん準備はいい?」

 

「うん、いつでも始めれるよ」

 

「オッケー、それじゃバトル開始っと♪」

 

―LINK START―

 

アキちゃんの開始の合図と共にゲームが起動し舞台である都会の街に降り立つ。今回は最初からフォクシードガンダムの状態でスタートしてみたけど問題はないようだ。

 

「へぇ、それがフブキちゃんのガンダムかぁ。これは、倒し甲斐のあるガンプラだね♪」

 

目の前の高層ビルのてっぺんから声が聞こえ見上げると、其処には一機のガンダムが腕を組みながらフォクシードを見下ろしていた。見た感じだとどうやらアキちゃんのガンプラはゴッドガンダムをベースにした機体のようだ。ただ通常のゴッドガンダムに比べ腕がかなりごつくなってるみたいだけど。

 

 

『ムキロゼガンダム』

ゴッドガンダムをベースにアキ・ローゼンタールが改造した機体。腕以外は赤くカラーチェンジしただけのようだが両腕がガンダムAGEのタイタスを改造したゴツい腕になっている。まさにアキのアダ名であるムキロゼを体現した機体と言える。

 

HP:1240

ATK:440

DEF:220

SPD:135

MOB:255

 

「フフ、このムキロゼガンダムの力、篤と見せてあげるね!」

 

「ムキロゼガンダムってなんてストレートなネーミング……でもいくらATKが高くてもSPDが低いなら近づかなきゃ良いだけだよ!」

 

「フッフッフ~♪果たしてそうかなぁ?」

 

アキちゃんはそう言うとムキロゼガンダムをビルから飛び降りさせビルの壁に脚を付け勢い良く蹴って一気に距離を縮めて来た……ってこれかなりヤバいよ!?

 

―ドゴオォンッ!!―

 

「グッ……!」

 

なんとか当たる直前に交わそうとしたけど、それでも回避が間に合わなくて左腕に当たってしまった。

 

フォクシードガンダム

HP:1740→1150

 

ウソ?!たった一撃で500以上のダメージなんて!?こんなの直撃したら一溜りも無いよ!

 

「あちゃー避けられちゃったかー。それじゃあどんどんいっくよー!」

 

ムキロゼガンダムは更に近くの建物の壁を足場にして勢い良く蹴って近づいてくる。スピードの低さを壁蹴りの勢いで補ってるんだ。でも、それなら!

 

「空に飛べば格闘戦なんて怖くないよ!」

 

フォクシードを高く飛翔させムキロゼガンダムの拳を避ける事に成功した。でも……

 

「あらら~、フブキちゃん飛んじゃったねー。逆に逃げ場無くなっちゃうよ?」

 

「え……?」

 

アキちゃんはそう言うと殴った際に飛んだ瓦礫を足場にして上空に飛びフォクシードに一気に距離を詰めた。白上は慌ててフォクシードをガードさせたけど間に合わず吹き飛ばされネオビームライフルとシールドを破壊されてしまった。

 

フォクシードガンダム

HP:1150→264

 

ヤバい!HPがデッドラインまで削られた!今残ってる武装もビームサーベルだけ……このままじゃ手も足も出ないまま負けちゃう……

 

「……どうしたのフブキちゃん、もうお終い?そんなんじゃホロライブを取り戻す処か皆にも勝てないよ。そうしたらもう玲二君とも離れ離れになっちゃうね」

 

「?!そ、そんなの……ヤダよ。そんな事、絶対にヤダ!」

 

「ふぅん……でもそっからどうやって勝つつもり?口だけデカイ事言っても勝てなきゃ意味ないよ?そうしたらアキロゼが玲二君を貰っちゃおうかな~?」

 

「ッ?!…………させない、そんな事……絶対させない!!」

 

このままアキちゃんに言われたままなんてヤダ!だったら……本当は本戦まで使わないつもりだったあのスキル使ってやる!

 

そう決めた白上はメニュー画面のスキルを開きその一つを選択する。実戦で使うのは初めてだけど、これで決めてみせる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くよ、フォクシード………“オメガトランザム”!!」

 

―OMEGA TRANS-AM―

 

スキル発動と同時にフォクシードの身体が赤く発光し一瞬にしてムキロゼガンダムの背後に回った。

 

「な……トランザム?!それにしても早……ッ!?」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

アキちゃんが何か言ってるみたいだけど白上はそれに構わずビームサーベルでムキロゼガンダムを切って切って切りまくる。決して手を止めてはいけない、このオメガトランザムが切れるまで!右腕、左腕、右足、左足、そして胴体とムキロゼガンダムの身体を切り刻みバラバラにしていく!

 

ムキロゼガンダム

HP:1240→764→522→141→0

 

―WINNER 白上フブキ―

 

ムキロゼガンダムのHPがゼロになり白上の勝ちが決まった瞬間オメガトランザムが切れフォクシードは動けなくなりHPも僅か10しか残ってなかった。勝ったけどかなりギリギリの勝利になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バトル終了後―

 

「いやぁ参ったねー、まさかフブキちゃんの機体にGNドライブが仕組まれてたなんてね」

 

バトルが終わりアキちゃんは少し悔しそうにヘッドギアを外し頭を掻いてた。白上もヘッドギアを外して周りを見ると壁や床が一部凹んでいた。アキちゃんどんだけ力入れてたの?!

 

「しかもあのパワーからしてGNドライブ一個や二個じゃないでしょ?一体何個使ってるの?」

 

「う、うん……全部で五個使ってるよ」

 

そう、実は白上の機体には白夜ガンダムの胴体に一つ、フォクシードのバックパックに左右一つずつ、更に両足のアーマーに一つずつと計五つのGNドライブを組み込んでいた。普段は出力に振り回されるからオフにしてオメガトランザムの時だけ起動するようにしている。

 

「だけどあのオメガトランザムはその出力の高さと負荷のせいで僅か20秒しか持たないし、使った後は強制的にHPも10になって他のスペックも格段に下がっちゃうのが欠点だけどね」

 

「成る程、文字通り最後の切り札って事ね。それでもあんな出力負荷が掛かる中でよく動けたわよね」

 

「……正直今立ってるのもやっとだけどね」

 

このオメガトランザム、トレースタイプの操作だと身体にも負荷が掛かるからそういった意味でも本戦のギリギリまで使いたくなかったけど、今回はまんまとアキちゃんの挑発に乗ってしまった、なんか悔しい。

 

「……でもこれで白上もやるべき事が見えた気がするよ、ありがとねアキちゃん」

 

「フフ、どういたしましてフブキちゃん♪でも本戦ではこうはいかないわよ?アキロゼも玲二君を手にする為に頑張っちゃうんだから♪それじゃあアキロゼはそろそろ帰るね、ばいばーい」

 

アキちゃんはそう言って白上に冷えたスポドリを渡してくれて帰っていった。やっぱりあの挑発は白上に覚悟を決めさせる為だったのかもしれない。

 

そして今回のバトルで感じた事もある。それはこのままフォクシードアーマーだけで戦っていくのにも限界がある事だ。もし本戦でアキちゃんと当たった場合同じ手が通用するかわからない。本戦は四日後……それまでに新しいアーマーを考えて作らないと。

 

こうして一休みした白上は新しいアーマー製作の為に量販店に行ってアーマー系のパーツを買いに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦当日―

 

❬皆様、大変長らくお待たせしました。ガンプラを使用した初のシミュレーションゲーム、ガンプラバーチャルウォーズことGVW。そのGVWの稼働を記念したガンダムビルドライバーズカップいよいよ開幕です!❭

 

盛大なファンファーレと共に大会の開幕が宣言されいよいよ始まったビルドライバーズカップ。会場には例のウィルス対策として参加アイドルとスタッフのみの無観客となってるけどそれでも皆から凄い熱気が伝わってくる。

 

あれからアーマーは二つ程製作し一つはなんとか作り終えたけどもう一つが間に合わなかった。けど、大会は数日に分けて行うのでそれまでに勝ち進めながら完成させないと。

 

❬今大会に優勝すれば!優勝賞金1000万円とそして!副賞として今大会のスポンサーであるホロライブのスタッフリーダーである佐々木玲二様より可能な限り願いを一つ叶えてもらえます!❭

 

MCから伝えられる優勝賞品内容、副賞とは言ってたけど白上も含めてこの大会に参加してる殆どのアイドル達はそっちが本命。レイくんを手に入れようと皆本気になって挑んで来てる。だからこそ負ける訳にはいかないんだ!

 

❬それでは早速一回戦第一試合の組み合わせを発表致します。ルーレット、スタート!❭

 

MCの掛け声と共にモニターに写し出されてる対戦ルーレットが周りだし、最初の組み合わせが決まっていく。最初の試合は……

 

 

 

 

 

白上フブキVSおめがレイ

 

なんといきなり白上の出番がやって来た!しかも相手はおめがシスターズのおめがレイちゃん、普段からガンプラを作ってるみたいだからもしかしたら強敵かもしれない。でも、例え強敵でも白上は負けないよ!

 

 

次回、ビルドライバーズカップ一回戦目がいよいよ始まる!

 



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第十九話『重圧猟犬』

遂に始まった第一回戦。その第一試合はまさかの白上からで相手はおそらく強敵であろうおめがシスターズのレイちゃんだった。対戦表が発表され白上は控え室で自分のガンプラの最終チェックを行っている。後20分程で一回戦目がスタートするからそれまでに新しいアーマーに不備がないか見ておかないと。

 

―コンコンッ―

 

「?はーい、開いてまーす」

 

―ガチャッ―

 

「あ、フブちゃん……今大丈夫かな?」

 

「ころね?うん、大丈夫だけどどうしたの?」

 

アーマーの最終チェックをしていると白上の控え室にころねが入ってきた。多分、言いたい事は分かるけど……

 

「ごめんねフブちゃん、もうすぐ試合だっていうのに押し掛けちゃって」

 

「ううん、それは大丈夫だけど……もしかしておかゆの事?」

 

「……うん、フブちゃんにどうしても頼みたくて」

 

やっぱりおかゆの事だった。けど頼みたい事って何だろう?

 

「……フブちゃんお願い、おかゆを止めて!今のおかゆ絶対におかしいもん!前だったらこおねの話も聞いてくれたのに、今じゃ全然聞いてくれない処かこおねの事邪魔者扱いして……」

 

……そう言う事か。確かにおかゆもそうだけど今本戦にいる一部のホロメンは以前より酷くなってる。今まではレイくんはホロライブのスタッフとしてずっと一緒にいられたけど、これからは違うかもしれない。もしかしたら他の事務所に取られるかもしれない、下手したらその相手と結ばれてしまうかも……そう考えたら白上もとても辛い。けどおかゆ達はそれがきっかけで今まで抑えていた気持ちが一気に爆発してレイくんに対する独占欲が強くなってしまった。今じゃ同じホロメンに対しても敵意を剥き出しにしている。

 

「もうこおね今のおかゆ見てるのツラいよぉ……玲二と離れ離れになるのもヤダけど、おかゆや皆とバラバラになるのもヤダよぉ……」

 

「ころね……大丈夫、絶対におかゆを止めてみせるよ。と言っても、本戦で当たるかどうか分からないけど……もし当たったら絶対に止めてみせるよ」

 

「フブちゃん……うん、ありがとー。おかゆの事、お願いね」

 

ころねはそう言うと涙を拭き会場関係者用の席に戻っていった。ころねの為にも、絶対に勝たないと!

 

「……絶対に元のホロライブに戻してみせるよ。だから力を貸して、ころね」

 

白上はフォクシードと完成させたオレンジ色のアーマーを手に取りころねとの誓いを果たす為会場へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場―

 

❬さあいよいよ始まります一回戦第一試合!実況は私にじさんじ所属の舞元がお送りします!そして解説役にはこの方、本大会の主役と言っても過言ではないホロライブのスタッフリーダー佐々木玲二さんに来てもらってます、佐々木さん今日は宜しくお願いします!❭

 

❬……何で俺が此処に呼ばれてんだ?❭

 

舞元さん何してるの?!レイくんもなんか解説席にいるし!?しかもあの感じからして多分無理矢理座らされてるよねレイくん?!

 

❬それでは早速選手の紹介です!一人目は佐々木さんが勤めるホロライブ所属のアイドル!自称狐の白上フブキさんです!❭

 

「自称じゃなくて白上は狐じゃい!」

 

始まって早々何失礼な事言ったんだこいつ!まったくもう!

 

❬そして対するは個人勢の中でも勢いのあるこの方!おめがシスターズのおめがレイさんです!❭

 

「「どもども、おめがってる?」」

 

「おめがレイと」

 

「おめがのぉ~リオです!」

 

そして白上の目の前にある意味途轍もないオーラを放っている双子のアイドル『おめがシスターズ』の二人が姿を現した。今回対戦するのは姉である赤い服を着た青髪の女の子『おめがレイ』ちゃんだけなので妹の青い服のツインテールの女の子『おめがリオ』ちゃんは応援として駆け付けたようだ。

 

❬さあ佐々木さん、いきなりホロライブ所属の娘の試合となりましたがこの試合はどうなると予想しますか?❭

 

❬いや、どうなるも何もまだ互いのガンプラを見てないから解説しようがないんだが……❭

 

そりゃそうだ。レイくんには他の参加者は勿論白上達ホロメンのガンプラすら情報教えてないから分かるわけないでしょ。

 

❬おっと、これは失敬!それではお互いにガンプラをセットしスタンバイをお願いします!❭

 

本当に大丈夫かこの実況者?まあ、とにかくスキャナーにガンプラをセットしてと……

 

「フッフッフ……まさか一回戦目でフブキちゃんに当たるなんてね。此処でフブキちゃんを倒して、その勢いで一気に優勝まで上り詰めてやる!」

 

「そうそう、そして賞金1000万円はリオ達のぉ物!」

 

「……悪いけどそれはさせないよ。白上にだって負けられない事情があるんだから」

 

おめシスの二人が白上に対し意気込んできたけど、白上だって負ける訳にはいかないんだ。それに今リオちゃんが言った言葉……賞金1000万円は自分達の物、つまりこの二人にとってレイくんはそんなに重要ではないという事だ。それなら尚更負けられない!

 

❬さあ、お互いにガンプラの準備が整いましたという事で!早速バトルを開始したいと思います!お二方宜しいでしょうか?❭

 

「こっちは大丈夫です」

 

「レイちゃんも大丈夫でーす」

 

❬両者準備が整ったようです!それでは記念すべきガンプラバトル第一試合!いよいよスタートです!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲームが開始されVRゴーグルの画面に映像が流れ出す。舞台は予め伝えられた通り月面基地。地上と違って重力負荷が掛からない分動きもかなり違ってくる。

 

取り敢えずまずはレイちゃんの機体を探さなきゃ……ってあれ?レーダーには目の前にいるってなってるけど、目の前にあるのは巨大な要塞っぽい建物だけだけど……………ッ?!違う、これは!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッフッフ~♪さあ、見せてあげよう!これが我が軍最強のモビルスーツ『オメガテイル・バラシタリオ』だ!」

 

要塞なんかじゃない!これ巨大なガンプラだぁ!!?

 

❬おぉっとこれはデカイ!フブキさんのガンダムに比べて数倍のデカさがある!こんなガンプラが存在するのかぁ!?❭

 

❬これは……ネオジオングの改造機だ!それとメインの機体はシナンジュではなく旧キットのターンXか!❭

 

 

 

『オメガテイル・バラシタリオ』

HGの中でもトップクラスの巨大なガンプラ『ネオジオング』を重武装に改造したオメガテイルと本来搭乗しているシナンジュの代わりに旧キット1/144のターンXを改造したバラシタリオが合わさったおめがレイの機体。オメガテイルはあまりにも巨大な為宇宙空間でしか行動出来ないがその威力は凄まじい。

 

HP:2860

ATK:650

DEF:325

SPD:110

MOB:150

 

ヤバいヤバいヤバい!ステータスもオメガテイルに乗ってる分かなり高くなってる!まともにやりあっても勝てる相手じゃないよこれ!?

 

「それじゃあ早速行かせてもらおう。オメガミサイル、発射!」

 

オメガテイルの腰部分が展開し、其処から計10発のミサイルが翔んできた。しかも動きからして追尾型だ。これを受けるワケにはいかない!

 

白上は直ぐ様その場を離れ数発はその場に着弾し爆発したが残りがまだ追いかけてくるから全てヘッドバルカンで打ち落としていく。

 

「ふぅん、やるなぁ。ならこれはどうだ?オメガパーンチ!」

 

今度はオメガテイルの背中にある計四本の腕がフォクシード目掛けて翔んできた!さっきのミサイルと違ってバルカンじゃ撃ち落とせない……なら避けて少しでも接近しないと!

 

「よッ、ほッ、は!今度はこっちの番だよ!」

 

飛来してくるパンチを避けて白上もフォクシードのネオビームライフルを構えてオメガテイルに数発当てていく。けど……

 

オメガテイル・バラシタリオ

HP:2860→2780

 

「全ッ然効いてない!?」

 

「どおだ!これが我がオメガテイルの絶対的装甲の強さなのだぁ!」

 

❬なんとおめがレイさんのガンプラ、全くと言って良い程ダメージが通ってないぞ!?❭

 

❬恐らく防御を上げる為に何重にも塗装を繰り返したんだろう。機動性を犠牲にした分装甲が頑丈に仕上がってるんだ❭

 

「その通り!このガンプラを仕上げる為に、ガンプラ込みで六万五千円も掛かってるんだ!」

 

何でそんなに高いの?!白上のフォクシードも作るのに一万円も掛かってないのに!?

 

ってそんな事今どうでも良いよ!とにかくオメガテイルにダメージを与えられないなら接近して本体のバラシタリオを攻撃しないと!

 

❬おっとフブキさん此処でブースターで加速!レイさんのガンプラへとぐんぐん近づいていく!❭

 

❬恐らくオメガテイルに攻撃が通らないから本体のバラシタリオに攻撃を仕掛けるつもりみたいだな。だがそれを相手が許すとは思えない❭

 

「そのとおーり!そんな考えはお見通しだぜ!バラシタリオ、分離回避!」

 

フォクシードがバラシタリオに向けてビームサーベルを振り下ろそうとした瞬間、バラシタリオはオメガテイルから分離し、更には本体すらバラバラになりフォクシードの攻撃を交わした……って何それ?!そんなのアリなの?!

 

❬なんとレイさんのガンプラが分離しその名前の通りバラバラになってしまったぁ!?❭

 

❬バラシタリオの改造元のターンXは元々各部を分離する事が出来る。それを利用してフォクシードの攻撃を交わしたんだ❭

 

「そんなのってアリなのぉッ?!」

 

「フ、甘いねフブキちゃん。知ってるか?とある偉人はかつてこう言ったんだ……ガンプラは自由だと!」

 

どっかで聞いた事あるけど絶対偉人じゃないよねその人!?

 

いや、そんな事よりこの状況を打開しないと……こうなったらオメガトランザムで……!

 

―ガシィッ!―

 

「なッ?!しまっ……!」

 

「アァハハァ!掴まえた!」

 

バラシタリオに気を反られてる内にオメガテイルの腕に足が掴まれていた。そして周りには他の腕に囲まれ指先からビームエネルギーが集まっている。

 

 

これはマズイ、白上は仕方なくフォクシードの脚部アーマーを分離しその場から回避し、間一髪でオメガテイルの攻撃を交わす事に成功した。けどそのせいで機動性が下がってしまい更に脚部に仕込んでいたGNドライヴも二つも失くなった為オメガトランザムも使えない。正に万事休すな状態になってしまった。

 

「あちゃー逃げられたかー。だが!そんな足じゃまともに逃げられないだろう!今度こそトドメだ!」

 

飛来するオメガテイルの四本の腕がフォクシードを囲んでいる。このままじゃ確実に負ける……だったらこれしかない!白上は急いでコマンド入力しあの子を呼び出す!

 

「さあ、トドメといこうか!サラバだフブキちゃん!」

 

「グッ……!」

 

お願い間に合って!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ギュイィィィィィィィンッ……ドゴオォォォンッ!!―

 

「ッ?!な、なん……だと……!?」

 

❬おぉっとこれはどうした事だろうか!?いきなりレイさんの巨大なガンプラの腕が一つ撃ち落とされたぁ?!❭

 

❬これは……新しいサポートメカか!❭

 

良かった、間に合ってくれた!新しいサポートメカはオメガテイルの頑丈な腕をその両脇にある巨体な二つのドリルで貫き大破させた。そしてレイちゃんが動揺してる今の隙にスキルからコアチェンジを選択する。

 

「……お願いころね、白上に力を貸して!」

 

白上は表示された『Dogreat』のコマンドをすかさず押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バディチェンジ!フォックスtoドッグ!」

 

―CHANGE.Foxceed to Dogreat―

 

白上の合図と共に白夜ガンダムからフォクシードアーマーが外れそのまま新しいサポートメカに搭載された『ドグレイトアーマー』がパージされそのまま白夜ガンダムに装着されていく。両肩に巨大なドリルを一つずつ装着し両足にはアンカーを装着させていて、オレンジと茶色の二色に仕上げたアーマーになっている。

 

これが白上がころねをイメージした新たな力『ドグレイトガンダム』だよ!

 

ドグレイトガンダム

HP:1890

 

❬これは……サタニクスの改造アーマーか!メインウェポンのブレーカドリルを二本に増設、更にドリル部分を鋭利にしメタルカラーでコーティングする事でその威力をあげたのか!❭

 

❬これは凄い!フブキさんはこんな隠し球を持っていたのかぁ!❭

 

「ふ、フハハハハァ!流石フブキちゃん、そうこなくちゃ!でも見た感じその機体重量系だからスピードも遅いんじゃない?!それなら恐れるに足らんよ!」

 

「どうかな?確かにスピードはフォクシードに比べて遅いけど、それを補うだけのポテンシャルはこのドグレイトにはあるよ!」

 

白上はそう言うと脚部に仕込んだアンカーをオメガテイルの中央部に射出しヒットすると同時にリールを巻いて一気に距離を詰めた。

 

「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

―ギュイィィィィィィィンッ!ドゴオォォォンッ!!―

 

「なっ……?!」

 

そしてその勢いで改造ドリル『フィンガードリル』で一気にオメガテイルの中央部を貫く!そのままオメガテイルはダメージに耐えきれず各部が爆発していく。

 

❬なんとぉ!これは正に大番狂わせ!あの難攻不落と思われたレイさんの巨大ガンプラを見事撃破しましたぁ!❭

 

「よし、これで後はバラシタリオだけだよ!」

 

「うぐぐ……だ、だけどまだ終わってはいない!バラシタリオ、分離回避!」

 

残されたバラシタリオがまた分離してあちこちに逃げ回っていく。こうなったらコクピット部分を狙って戦闘不能にすれば……あれ?そう言えばターンXのコクピットって何処なの?取り敢えず大体の場合胴体にあるから其処を…………?

 

「(何だろう、あの頭部分だけやけに離れて動き回ってる……まるでこっちから遠ざかるみたいに………!そうか!)そこだあぁッ!!」

 

白上はドグレイトのアンカーを使ってバラシタリオの頭を捕獲しそのままフィンガードリルを構え頭を貫いた。

 

バラシタリオ

HP:0

 

―WINNER 白上フブキ―

 

頭を破壊した事でバラシタリオの機能が停止し、白上の勝利が決定した。やっぱり頭がコクピットだったみたいだね、勝てて良かったぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああぁーーーッ!悔しいぃよおぉぉぉーー!!あんなにお金かけたのにぃ!!」

 

「まあまあ、これに懲りて無駄遣いはしないようにしないとねぇ」

 

「無駄遣いなんかじゃないよぉッ!」

 

「アハハ……」

 

バトル終了後レイちゃんは負けた事により泣きじゃくっていた。よっぽど自信作だった巨大ガンプラが最後呆気なくやられたから仕方がないだろうけど。

 

「いやぁ、にしてもフブキちゃん強かったねぇ。あのドリル凄くカッコ良かったし!」

 

「そうそう!これなら優勝間違いなし!リオが言うから間違いはぁない!」

 

「リオちゃんが言うと不安しかないねぇ!」

 

「あ、アハハ……」

 

だ、駄目だ、この二人のよく分かんない雰囲気に渇いた笑いしか出てこない……

 

「とにかく勝利おめでとう!レイちゃんの分まで頑張ってね!」

 

「う、うん、ありがとうレイちゃん。白上頑張るよ!」

 

白上はレイちゃんと握手を交わし会場を後にした。最初から強敵だったけど、勝てて良かったぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―控え室―

 

「フブちゃぁん!一回戦突破おめでとぉ!」

 

「わわ?!こ、ころね!?急に飛び込んで危ないって!」

 

「あ、えへへ、ごめんねぇ。でもフブちゃんが勝ってくれて嬉しくて」

 

控え室の扉を開けた瞬間中にいたころねに急に飛びつかれバランスを崩し倒れてしまった。嬉しいのは良かったんだけどガンプラ持ってるんだから其処は考えて欲しかったなぁ。

 

「でもあの新しいアーマーカッコ良かったよ!あれってもしかして……」

 

「うん、ころねをイメージして作ったんだ。いつか皆が一つに戻れるように……そう思って考えたのがこのバディ(仲間)チェンジシステムだから」

 

そう、このバディチェンジはホロライブの仲間達をイメージして考えたコアチェンジの派生システム。また皆が一つに戻れるように、そしてまたレイくんと一緒に笑って過ごせるようにする為に白上が考えた結果出来た力だよ。

 

「だからころね、これからは一緒に頑張って行こう。レイくんを取り戻して、皆も一緒になれるように」

 

「フブちゃん……うん、こおねも一杯応援する!フブちゃん頑張れー!って♪」

 

「アハハ、ありがとねころね♪」

 

一回戦はなんとか勝利する事が出来た。今日はもう白上の出番はないから控え室で調整と新しいアーマーの製作をしていると備え付けられたモニターから次の試合の対戦表が表示された。次の試合は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『白雪みしろVS潤羽るしあ』

 

ホロメンからるしあちゃんが、そして相手にはのりプロのメイドアイドルにて第二予選でアカリちゃんやシロちゃんと同様大量撃破した白雪みしろちゃんとの試合だった。

 

 

 

一回戦を無事突破する事が出来たフブキ。果たして他のホロメン達は無事一回戦を突破出来るのか?

 



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第二十話『圧倒的力の差』

おめがシスターズのおめがレイちゃんをなんとか倒し一回戦を突破出来た。今日はもう白上の試合はないから帰っても問題ないけど、他の娘の試合も見ておきたかったので控え室にころねと一緒に残り新しいアーマー作成をしながらモニターで他の試合を見る事にした。次はるしあちゃんがのりプロのみしろちゃんとの戦いだけど、一体どんな戦いになるんだろう?

 

❬さあ、続いての試合はこれまたホロライブよりやって来たネクロマンサー、潤羽るしあさんとそのホロライブとの関わりも多いのりプロの清楚系メイドアイドル、白雪みしろさんとの対決です!さあ、佐々木さんこの試合どう見ますか?❭

 

❬いやだから情報がねぇから分からんて……だが、みしろは第二予選で一度に35人のプレイヤーを撃破している。油断していると一気にやられるかもしれないな❭

 

そうだ、みしろちゃんは予選の時に撃破数は三人の中で一番少なかったとは言え多数の相手を一気に倒したんだ。実力は言わずもがな高い筈……るしあちゃん大丈夫かな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―会場 るしあ視点―

 

始まった一回戦の第二試合で早くもるしあの番が来た。相手はあのみしろちゃん……かなり強敵だろうけど、るしあは誰が来ても全力で潰すだけ……誰にも絶対に玲二さんを渡したりしないんだから!

 

「こんしろーですわ、るしあさん今日はよろしくお願いしますね♪」

 

「……よろしく」

 

「あらあら愛想が無いんですね。それだとご主人様にも愛想を尽かされてしまいますわよ?」

 

ッ?!この女、今何つった……?玲二さんがるしあに愛想を尽かすだって?ふざけるな!!

 

「テメェッ!調子に乗ってんじゃねぇぞコラァッ!!つーか何で他の事務所のテメェが玲二さんをご主人様なんて呼ぶんだよ?!」

 

「そんなの簡単です、あの方がみしろのご主人様に相応しい御方だと確信したのでそう呼ばせて頂いてます。それよりもるしあさん、言葉遣い気をつけた方が宜しいですよ?玲二さんに嫌われてしまいますわよ」

 

「ウルセエェッ!!玲二さんはそんな事でるしあの事嫌いになったりしないんだよ!赤の他人が知ったかぶりで玲二さんの事を語るんじゃねぇッ!!」

 

「自分は何やってもご主人様に許される……フフ、そんな事を考えてる時点で貴方は……いえ、貴方達ホロライブの皆さんはご主人様に相応しくないんですよ」

 

こ、こいつ……○す!!好き勝手言いたい放題言いやがって!絶対に叩きのめしてぶっ○してやる!!

 

❬いやぁ、モテますねぇ佐々木さん?❭

 

❬………あんまり言わないでくれ。この状況が俺のせいだと思うと辛くなってくる❭

 

❬そ、それは失礼しました。それではお互い準備が宜しいようなので第二試合を開始しましょう!ガンプラバトル、スタート!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―STAGE 海中エリア―

 

ゲームが始まりVRゴーグルから映像が写し出される。今回の舞台は海中エリア、水の中だから思うように動きがとれない。

 

けど、るしあは絶対に負けない!玲二さんと一緒に作った時のデスサイズヘルの改造機『ネクロガンダムヘル』で、絶対に勝ってみせる!

 

 

『ネクロガンダムヘル』

MGガンダムデスサイズヘルをるしあが自分用に改造した機体。両腕と両足をMGブリッツガンダムの物を改造し装着する事でミラージュコロイドによるステルス機能の向上、更に黒い外装は全て黒色無双で塗装した事により敵のレーダーでは全くと言って良い程捉えられないステルス性に仕上がった。

 

HP:1140

ATK:290

DEF:180

SPD:260→210

MOB:290→240

 

❬麗羽るしあさんのガンプラはまるで死神……いや、自身の特徴とも呼べる死霊使いのような姿をしているぞ!❭

 

❬ブリッツガンダムの両腕と両足を使用し、更に黒色で塗装した事によってステルス機能を限界まで引き上げたのか❭

 

その通り、流石玲二さんなのです。るしあの機体はステルス機能を高めて一気に相手に近づき仕留める強襲型の改造。これで玲二さんに近づく悪い蟲どもを一網打尽にしてやる!

 

❬さあ、るしあさんのガンプラを見た所で続いてはみしろさんのガンプラなのですが……あれ?姿が見えないがどういう事だ?❭

 

❬バトルは既に始まっている。つまりはもうこの海中の何処かに身を潜めているのか?❭

 

……そう言えば確かにあの女の機体が見えない……だったらレーダーで探して一気に近づいて斬り裂くまで!さあ、さっさと姿を……!

 

―ビュンッ……ドゴオォンッ!―

 

ネクロガンダムヘル

HP:1140→960

 

「ッ?!な……い、今何処から撃ってきた!?」

 

レーダーで探そうとした瞬間、ネクロヘルが背後から射撃されダメージを受けた。一体いつの間に?!るしあは慌ててレーダーを確認すると、相手の機体を指す反応がエリア内を縦横無尽に動き回っていた。

 

「そんな?!この水中でなんでそんな動きが出来るの?!」

 

「ほらほらるしあさん、油断していると直ぐに終わってしまいますわよ?」

 

この女、言うだけあってかなりすばしっこい!レーダーには写っているのに姿が全然捉えられない!て言うかなんでるしあの居場所が分かるの?!るしあのネクロヘルは相手のレーダーから映らない筈なのに!?

 

「フフ、どうやらるしあさんは水中戦闘は経験ないみたいですね?戦い方がまるでなってないですわ」

 

「ウルセエェッ!水中戦なんてあると思わなかったんだよ!」

 

「それは貴方が勝手に思い込んでいただけでしょう?ビルドライバーズカップでは全ての試合のステージはランダムで選択される。当然その中には水中エリアもあります。ないと思ったなんて言うのは少し考えが足りないと思いますが?」

 

「んだとコラァッ!?てかなんでお前水中なのにそんな動き出来んだよ!?」

 

水中エリアがランダムで選ばれたならなんでそんな都合良く水中でも動ける機体になってるんだよ?!絶対にイカサマしてるだろ!

 

「何を言ってるんですか?試合が始まる前に互いに30分の調整時間が与えられたじゃないですか?みしろはその間に“水中戦に特化した機体を選んで”挑んだだけですよ」

 

水中戦に特化した機体?!ちょっと待って、それって!

 

「ちょっと待てよ!その機体もしかして予選で使ってた氷牙って機体じゃないの?!」

 

「確かに氷牙はみしろのメイン機体ですわ。ですがこの水中戦ではその力を発揮出来ないので今回はこの子を使わせてもらってます」

 

そう言うとあの女の機体が目の前に姿を現した。最初は戦闘機かと思ったけどその機体は直ぐに変形し人型に変わっていく。

 

「これがみしろの水中戦用の機体『ガンダム水影』ですわ」

 

 

『ガンダム水影』

RGZガンダムをみしろが改造し水中戦に特化させた機体。各部にメルクワンアーマーのパーツを流用しバックパックをプラバンで強化しスクリューを追加した事により水中でも自由に活動出来るようになった。本来の変形形態のウェイブライダーはアクアダイバーという潜水機モードの変形となり水中内ではスピードと機動性が二倍近く上がっている。

 

ガンダム水影

HP:1440

ATK:245

DEF:230

SPD:260

MOB:280

 

❬これは……Zガンダムの改造機か!本来飛行形態のウェイブライダーをスクリューを取り付けプラバンで強化した事で潜水機として仕上げたのか!❭

 

❬みしろさんは飛行機を潜水艦のように改造した事によりこの水中を自由に動けるようにしていたようだぁ!これは凄い!❭

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!なんで本戦用に登録したガンプラじゃない物を使ってるの?!これってルール違反じゃないの?!」

 

「……貴方、ルールをしっかり確認しましたか?ガンプラは本戦に使用するメインの他にも予備のガンプラも使用可能なんですよ?これは万が一ガンプラが破損や紛失した際の処置としての対応ですわ。更にその予備のガンプラもバトルエリアに応じて使用する事も許可されています。そんな事は大会本選前に参加者全員に送られたメールに全て記載してましたが……その様子だと全く見ていなかったようですね」

 

「グッ……!?」

 

そう言えばそんなメールが来てたような……あの時自分のガンプラの改造と玲二さんの事で頭が一杯だったからそんなの見てなかった……

 

「……まあ、みしろにはそんな事どうでも良いですわ。こんな試合、さっさと終わらせて差し上げます」

 

そう言うとあの女は水影を変形させて再びるしあのネクロヘルに攻撃をし始めた。るしあもなんとか応戦しようとするけど、相手がすばしっこくて全然捉えられない!水影から放たれる魚雷攻撃のせいでネクロヘルのHPがどんどん減っていってる!

 

ネクロガンダムヘル

HP:960→790→620→550

 

「な、なんで……なんでるしあの居場所がバレてるの?!ステルス機能を高めて見えない筈なのに!?」

 

「……本当に愚かですね。此処は水中エリアですよ?黒色無双のような塗装剥げが起こりやすい塗料の性質は半減してしまいますし、ミラージュコロイドを使用してもその場所だけ揺らいで見えるので直ぐに分かります。まあ、これは獣人族の洞察力があるからこそ分かる事ですが」

 

そ、そんな……強力なスキルだと思っていたステルス機能もこの水中じゃ意味なかったの?このままるしあは何も出来ないままやられちゃうの……?そんなの……そんなのイヤだ!

 

「……ヤダ、ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!るしあは勝つもん!もう玲二さんと……“お兄ちゃん”と離れ離れになるのはイヤだもん!!」

 

「……お兄ちゃん、ですか。成る程、確か貴方はネクロマンサーでしたっけ?大方前世で亡くなられた兄を求めて転生し魂の波長が合ったご主人様に近づいたようですが……やはり貴方はご主人様に相応しくありませんね。ご主人様本人ではなく有りもしない兄の魂しか見ていない貴方なんかにあの御方と一緒にいる資格等ないんですよ」

 

「知ったような口を利くな!るしあは1600年も待ったんだ……ずっとずっとお兄ちゃんを求めて、そして漸く会えたんだ!だからお前なんかにお兄ちゃんは渡さない!!」

 

「……はぁ、此処まで来ると逆に哀れですね。あの御方は貴方の兄なんかではありません、佐々木玲二様というただ一人の人間です。それなのに貴方はあの御方そのものを見ずただ波長が合ったというだけの兄の魂しか見ていない。そんな勝手な想いであの御方を振り回していると思うと腹立たしい!」

 

ネクロガンダムヘル

HP:550→320→85

 

魚雷が次々に命中しネクロヘルの装甲はどんどんダメージを受けて遂に後一撃で撃墜される処まで来てしまった。

 

「いえ、貴方だけじゃない……貴方達ホロメンはいつも自分勝手にあの御方を振り回している!貴方達と一緒にいればご主人様はいずれ不幸になる!だからみしろが、ご主人様をお助けします!」

 

そしてあの女は最後の魚雷を発射し……

 

ネクロガンダムヘル

HP:85→0

 

―WINNER 白雪みしろ―

 

るしあの敗北が決まってしまった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合後、関係者用通路―

 

試合が終わってるしあは何も言う事が出来ずそのまま控え室に戻ろうとした。けど何も出来ずに負けてしまった事、そして玲二さんを取り戻せなかった事にるしあの心はすっかり折れてしまった……

 

手に力が入らなかったのか持っていたネクロヘルを床に落としてしまい、パーツが破損してしまったけどもうどうでも良くなってた……もう玲二さんと一緒にいられないなら、こんなモノ……

 

 

 

 

 

 

 

「コラるしあ、ダメだろ自分で作ったガンプラを大事にしないと。折角作ったのに勿体ないじゃないか」

 

「………え?」

 

るしあの後ろから声が聞こえた。ずっと近くで聞きたかった声が………後ろを振り向くとその声の主、玲二さんがるしあの落としたネクロヘルのパーツを拾い集めていた。

 

「れ、玲二さん?どうして此処に……」

 

「次の試合が始まるまでの休憩だ。それより壊れちまったな、折角作ったのに」

 

「……もう良いのです。るしあにとってガンプラは玲二さんと一緒にいる為の口実だったから……もう玲二さんと一緒にいられないなら、るしあがガンプラをやる理由がないのです」

 

「……そうか」

 

玲二さんはそれ以上何も言わず壊れたネクロヘルを集め手元に持っていたビニール袋に入れていった。もうこれでるしあは玲二さんと会えなくなっちゃうんだ……

 

「……るしあ、お前にとってはそうじゃなかったかも知れないけど、俺はお前と一緒にガンプラを作ってた時本当に楽しかったんだぜ。出来上がったガンプラを俺に見せながら笑っていたお前を見てるとこっちまで嬉しくなってきてさ、俺の趣味に付き合ってくれてありがとうと思ったよ」

 

「!?れ、玲二さん……?」

 

「みしろはあんな事言ってたけど、俺がお前達と一緒にいて辛いと思った事なんてないよ。ちょっと大変だと思う時もあったけどな。それに大会では負けちゃったけど、別に俺達がずっと離れ離れになるわけじゃないんだからさ、この大会が終わったらまた一緒にガンプラ作ろう、な?」

 

「ッ!!……う、うわあぁぁぁぁん!玲二さぁん!!」

 

るしあは玲二さんの胸に飛び込み大泣きしてしまった。やっぱり玲二さんは優しい……確かに前世で亡くしたお兄ちゃんと重ねて見ていた時もあったけど、今はそれを抜いても玲二さんの事は大好きだ。だからこそ負けてしまって悔しかった。

 

そして玲二さんはるしあが泣き止むまでずっと抱き締め慰めてくれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっぱりご主人様はお優しい御方ですね。だからこそ、そんなご主人様の優しさに甘えてばかりのホロライブの皆さんには負けられません」

 

その様子を見ていたみしろは玲二に対し頬を赤らめた表情をするが直ぐに無表情になりホロライブに対し敵意を燃やすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―控え室 フブキ視点―

 

「……圧倒的だったね」

 

「……うん、凄いとしか言い様がなかったよ」

 

るしあちゃんの圧倒的敗北を見て、白上は改めてみしろちゃんの恐ろしさを痛感した。ルールも全て頭に叩き込み、そのエリアに合ったガンプラを使用しるしあちゃんに反撃を許さないまま勝利した。これは、気を抜いたら負けてしまうかもしれない。いや、今はそれ以上に……

 

「……みしろちゃんの言葉、凄く思い知らさせた気がする」

 

「こおね達、玲二に甘えてばかりで玲二に何もしてなかったもんね……」

 

みしろちゃんの言ってた言葉……白上達がレイくんを自分勝手に振り回している。この言葉を聞いて確かに白上達はレイくんにしてもらってばかりで何も返せてないと思った。でも……

 

「……それでも白上は勝つよ。勝って、今度は皆でレイくんを助けるんだ」

 

「うん、こおねは応援しか出来ないかもしれないけど、絶対に勝とうねフブちゃん」

 

例えどんな相手が来ても、白上は絶対に勝ってみせる!そしてレイくんとホロライブの皆の絆を取り戻してみせるよ!

 

みしろの言葉に感じる事はあるが、それでもフブキは自分の信じる物の為に戦う事を改めて誓うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

❬さあお待たせしました!本日最後の試合、第八試合はアキ・ローゼンタールさん対シロさんの対決です!❭

 

今日最後の試合、アキちゃんとシロちゃんとの対決が始まろうとしていた。舞台は森林エリア、周りには多くの樹木があり隠密するにはもってこいである。果たしてどんな試合になるんだろう?

 

「よし、このムキロゼガンダムで一気に倒すよ!覚悟して下さいねシロさん!」

 

「ふぅん、覚悟かぁ……果たして覚悟するべきなのはどっちだろうね?」

 

「え……―ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ―?!な、何この揺れ?!」

 

突然エリア全体が揺れ動き出し、何事かと思ったら突然地面がひび割れ崩れていき其処から白く巨大な機体が姿を現した。お、おっきい!おめシスのオメガテイル程ではないけどそれでもおっきいよ!

 

❬なんとぉ?!森の中から突如巨大なガンプラが姿を現したぞ!これは一体何なんだぁッ?!❭

 

❬こいつは、白く塗装したサイコガンダムか!しかも全身重火器フル装備使用だ!❭

 

「アハハ、見せてあげるね♪シロの『ホワイトディマイスガンダム』の力を」

 

 

『ホワイトディマイスガンダム』

HGの中でも巨大な部類に入るサイコガンダムをシロが多数の重火器を装備させ白く塗装した、まさに動く要塞と化した機体。その名前の通り、相手に終焉を与えるガンダムに仕上がっている。

 

HP:???

ATK:???

DEF:???

SPD:???

MOB:???

 

「くッ!?で、でも此処は森林エリア!アキロゼの姿を捉えるのには時間が掛かる筈!その前に一気に「そうだね、流石にこの中でアキちゃんを探すのは大変かなぁ?だったらこの森と一緒に丸ごと吹き飛ばせば良いよね?」……え?」

 

シロちゃんがそう言うとホワイトディマイスの装備が全て展開し、エネルギーが充填されると同時に一気に放出された。激しく鳴る爆発音に眩しすぎる光。白上達も思わず目を閉じてしまい、そして光が晴れると……

 

 

 

 

ムキロゼガンダム

HP:0

 

―WINNER シロ―

 

ホワイトディマイスを中心に半径五キロ程が焼け野原となり、その範囲にいたムキロゼらしき機体の残骸が黒焦げで散らばっており、シロちゃんはたった一度の攻撃だけで勝利してしまった。

 

❬き、きき……決まったあぁーーーッ!!たった一撃だけで相手処かエリアまで吹き飛ばした無慈悲な攻撃!勝ったのは、シロさんです!!❭

 

「ふぅ……アキちゃん、ありがとうね♪シロ二回戦も頑張っちゃうから応援してね♪」

 

「あ、あぁ……」

 

何も出来ず呆然と立ち尽くすアキちゃんに対しシロちゃんは笑顔でその場から去って行ってしまった。

 

 

 

圧倒的な力を見せつけられたフブキを初めとするアイドル達。果たして、彼女を止められる者は現れるのだろうか?



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第二十一話『集う絆』

一回戦目の第八試合までを終えて一日目を終えたビルドライバーズカップ。一回戦は全三十二試合あるので一日八試合ずつ四日間に分けて行われるので次に白上が行くのは二回戦なので後三日は余裕がある。白上はあれから直ぐに帰宅しこの三日間の間でまだ未完成のアーマーの作成と新たなアーマーの考案を考えていた。

 

「今白上にあるのはフォクシードとドグレイトの二種類のみ……他のアーマーを考えないとシロちゃんやみしろちゃんには勝てないよね?」

 

そう、今日の試合で見た二人の完成度の高いガンプラ……しかもみしろちゃんに至っては本命の機体が出ていないのにあの強さだ、並大抵のアーマーでは太刀打ち出来ないかもしれない。

 

それに後一人、今日の試合ではいなかったアカリちゃん……彼女もきっと手強い強敵なのは間違いない。恐らくこの先勝ち進めばこの三人の内誰かとは当たるかもしれない……そうじゃなくてももしかしたらあの三人以外にも強敵は沢山いる筈、だからこそ此処で新しいアーマーを作らないと!

 

「……とは言うものの、今白上のあるパーツ数だと作れるのにも限りがあるし……何より案が浮かばない」

 

今白上の手元にあるアーマー用のパーツは二個分だけ。一つは今作っている最中だから実質後一つしか作れない……一体どうしたら良いんだろう?

 

「取り敢えず明日家電量販店行ってみよう。最近だとアースリィやユーラヴェンが普通に出回るようになったし、それにアーマーだけならメルクワンのアーマーなら結構余ってる店もあるみたいだからそれを……あ、そう言えば最近だとフェイクニューも普通に出回ってるからそれを使うのもありかな?」

 

そうと決まれば今日は疲れたからもう寝て明日朝一で量販店巡りをしよう。今日は色々有りすぎて疲れたよぉ……

 

そして白上はベッドにダイブしてそのまま眠りについた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日―

 

早朝から幾つかの量販店を巡って白上は色々と買い漁る事に成功した。中でも一番の収穫は……

 

「ヤター!まさかのラスト一個のMGエクリプスガンダムゲット出来たー!いやぁ、何処も品切れで諦めてたけど奇跡的にゲット出来たよー♪これで転売ヤーから買わなくて済むねー……って違あぁうッ!!確かに欲しかったモンだけど目的のモンじゃなあぁい!!」

 

しまった!当初の目的のコアガンダム系の物を探しに行ったのにいつの間にか目的変わってたよ!エクリプスやらウイングゼロやらの激レアキットに目移りしちゃって肝心の物を買うの忘れたぁ!

 

「うぅ~……こんな大事な時なのに何普通にガンプラ漁りしてるの白上はぁ~……」

 

余計な……いや、余計ではないけど今本当に必要な物を買わないで何してるんだろ……いや、もうこうなったらもう一度量販店に行くしか……

 

―ピンポーンッ―

 

「?誰だろう……はーい、今いきますよー」

 

今日は特に誰も来る予定とかなかった筈だけど……とにかく出てみようと。

 

―ガチャッ―

 

「こんぬいー、フブちゃん元気してるー?」

 

「こんにちドドドー!フブちゃん久しぶりだねぇ♪」

 

玄関を開けると其処には白上と同じバカタレのメンバーのフレアとわためがいた。

 

「フレアにわため?どうしたの急に?」

 

「いやぁ、ちょっとフブちゃんに話しがあってね。ちょっと事務所に来てくれないかなって」

 

事務所?今事務所に行ってもスタッフさんしかいない筈だけど……

 

「それじゃあ早速ガンプラ持って行こー!」

 

「え、ちょ、ちょっと待って急に言われても……ってそんな引っ張って連れてかないでえぇーーーッ!?」

 

白上はわために引っ張られ、フレアも白夜ガンダムとフォクシードや他のアーマーを持って事務所へと連行されてしまった……一体何されるのぉッ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―事務所―

 

「よっしゃー着いたぞぉー!」

 

「痛たた……無理矢理引っ張られたからいろんな所が痛い……」

 

「アハハ、ごめんねフブちゃん。ほら、取り敢えず会議室に行こう、皆が待ってるから」

 

会議室?其処で何をするんだろう……それに皆って?

 

 

 

 

 

―ガチャッ―

 

「皆ー、フブちゃん連れて来たよー!」

 

「……え?み、皆どうして……?」

 

会議室に入ると其処にはホロメンの皆(一部除く)が集まっており、テーブルにはコアガンダム系のキットを中心に沢山のガンプラが置かれている。これって一体……?

 

「そらちゃんにロボ子さんも……二人ともこんな所で何してるの?!大会は!?」

 

「ボク達は今日は試合ないから大丈夫だよ~。二日目以降の試合は昨日の内に対戦表が発表されてボクとそらちゃんは明日だったから来たんだよ」

 

「だから皆でフブキちゃんや私達の新しい装備を作る事になったの。それでフレアちゃんとわためちゃんに頼んでフブキちゃんを呼んでもらったんだぁ♪」

 

そうだったんだ……確かに公式ページには今日以降の対戦表と試合結果が表示されてる。今日はミオとかなたんとラミィちゃんとししろんの四人が試合なんだ……あ、かなたんが笹木咲ちゃんに負けてる。

 

「で、でもどうして急に?ちょっと前まで皆レイくんの事でギスギスしてたのに……」

 

「……それなんだけどね、皆昨日のるしあとみしろちゃんの試合を見て思ったんだ。アタシ達、このままじゃいけないんだって」

 

フレアは事の経緯を説明してくれた。昨日のみしろちゃんが言ってた言葉が皆の心にも刺さっていた。そしてるしあちゃんから聞いたレイくんの言葉……自分達にレイくんが今でも変わらず気にかけてくれていると知って、自分達がどれだけ身勝手な事をしてきたんだろうと考えるようになったという事を。

 

そんな今までレイくんに迷惑を掛けた事を謝る為、そしてこれから自分達もレイくんを支えたいという想いが強くなり協力して白上達のサポートをしてくれるという事になったらしい。

 

「ちょこ達も自分達の気持ちを押し付けるような感じで玲二様に迫ってしまったのは事実だから、その事での償いというワケではないけどフブキ様や皆のサポートをさせてほしいの」

 

「うん、皆フブキちゃんがレイくんだけじゃなくてメル達の事も気にかけてくれたから、このくらいの事しか出来ないけど手伝わせてほしいなって」

 

「ちょこ先生、メルメルも……うん、皆有り難う!白上、絶対に勝ちたい!だから皆、力を貸して!」

 

『勿論!!』

 

良かった……全員ではないけど、白上の気持ちが届いてくれた。そう思うと涙が出てきそうになるけど、まだ泣いちゃダメだ。本当の意味で皆一緒に戻って、そしてレイくんに白上達の想いを伝える。泣くのはそれが出来てからだ!

 

こうして白上達は皆と協力して新たなアーマーを作成し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりまつりのガンダムフェスティバルの音撃をイメージしたアーマーとか良いでしょ♪」

 

「それかなり隙が大きいから強敵相手に通用しないんじゃない?それだったらはあちゃまのレッドハートシナンジュをアーマー化した方が良いと思う!」

 

「いやいや、此処はやっぱりムキロゼのパワーを活かした攻撃特化アーマーなんてどうかしら?」

 

「ダメだよ皆、やっぱりフブキちゃんにはテクニカルなアーマーが良いと思うな。という事でメルのバンパイアガンダムのアーマーなんてどうかな?」

 

「え、えーと……今回はご縁がなかったという事で……」

 

「「「「なんでぇッ?!」」」」

 

 

 

 

 

「そらちゃんのガンプラはストフリとフリーダムのミキシング機なんだね」

 

「うん、本体はこれで大丈夫だから他には追加武装が欲しいって処かな」

 

「ならフリーダムと言えばあの武装だね♪」

 

「あの武装?……あ、あれの事だよね?でもあれって今殆ど出回ってないんじゃ……」

 

「フフフ……実はアズキのリスナーさんから前にプレゼントで貰ってたのがあるんだぁ♪」

 

「そうなの?!でもあずきち、それ使わせてもらってもいいの?」

 

「うん、そらちゃんならきっとしっかり作ってくれるって信じてるから……だから絶対に勝ち進んでね♪」

 

「あずきち……うん、ありがとう♪」

 

 

 

 

 

「うーん、団長の白銀ガンダムMの改良したいけど、どういった事すりゃいいんじゃろ?」

 

「それなら黒色無双で塗ってステルス機能を付けるってのはどう?」

 

「でも確か黒色無双って防御面が低下するデメリットがあった筈だから、それだとノエちゃんのガンダム的にはデメリットにしかならないと思う」

 

「なら逆にメタリック塗装にすればスピードは遅くなるけど装甲も厚くなるしビーム攻撃に対してもダメージを抑えられるペコ」

 

「おぉー、それ良いねぺこらっちょ♪なら早速このメタルカラーで重塗装しよう」

 

「それならカラーリングは船長一押しのこのツー○イオーカラーで」

 

「「「「却下」」」」

 

「なぁんでダヨおぉーーーッ!?」

 

 

 

 

 

「スバルはSDガンダムで挑むのね」

 

「うん!それにこれは只のSDじゃないんだよねぇ」

 

「ルーナも見たけどスバルちゃ先輩このガンダムでよくあの機能付けれたのらね」

 

「あれ付けるのかなり苦労したねぇ……お陰で武装がまだそんなに出来て無いのが問題なんだよなぁ」

 

「ならそれならちょことルーナ姫がスバルの武装作りを手伝ってあげるわ」

 

「ほんとぉ?ありがとーちょこ先♪ルーナも宜しくね」

 

「しょーがねーのらねぇ、やってやっか」

 

「何で上から目線やねんお前?!」

 

 

 

 

 

「そう言えばロボ子さんは自分のガンプラの強化はいいの?」

 

「ボクのはもう出来る限りの改造は終えたからね。下手に武装増やしても逆に動きに制限がかかってしまうから、取り敢えずはこのままで行こうと思ってるよ」

 

「確かにこのガンプラかなり重装備だよね。よくこんなに多彩な武装見つけられたよね?」

 

「前にみこちと一緒にガンプラ巡りした時にコトブキヤの武装パーツを多く見つけたからそれを使ってみたんだ。勿論ルール的には問題ないよ」

 

「へぇー、コトブキヤのパーツって使って良かったんだ?わためもコトブキヤのパーツ使ってみたかったなぁ」

 

「なら今度一緒に買いに行こうよ。ボクの知ってるお店にかなり武装パーツの品揃えが良いお店あるから紹介するよ♪」

 

「ホント?ロボ子先輩ありがとー♪」

 

こうして各自それぞれ協力しあったり、時には雑談をしあったりしてそれぞれのガンプラを完成させていく白上達だった。なんだか久しぶりに皆と仲良く出来て、とても心が安らぐ時間を過ごせたなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

ある程度の提案や製作が進み、一段落した白上達はお茶を飲みながら休憩していた。其処で白上は少し気になっていた事を皆に確認する。

 

「……そう言えばミオ達は試合があるから仕方なかったけど、やっぱりおかゆやあやめは来るのを拒否したの?」

 

「……うん、勿論呼んだんだけど、でもあの二人こおね達の話しを全然聞いてくれなくて……」

 

「あやめは『余は誰の手伝いもいらない、これは余の問題だから』って言って来なかったし、おかゆは『なんで君達と一緒になんてやんなきゃいけないの?やるなら自分達で勝手にやってれば?』って完全に敵意剥き出し状態だったよ」

 

……やっぱり、あの二人とラミィちゃんはレイくんに対する依存度が強すぎるせいか、もう白上達の言葉じゃちっとも動こうとしない。只でさえアカリちゃん達と言う強敵がいるのに其処におかゆ達も白上達にとって強敵になってしまっている。

 

「恐らくおかゆ達が白上達と対峙した時は容赦無く攻撃してくる筈……だったらその時はもう戦うしかないよ。戦って、白上達の気持ちを全力でぶつけてみせるよ」

 

「フブちゃん……うん、フブちゃん。おかゆの事宜しくね」

 

「うん!この白上フブキにまっかせなさい!」

 

例え戦う事になっても白上は逃げない!絶対におかゆ達も連れ戻してみせるよ!

 

「……あ、そう言えば今丁度ぼたんちゃんの試合がやってる頃だよね?ちょっとライブ映像見てみようか」

 

あ、本当だ。もうそんな時間になってたんだ。因みにミオとラミィちゃんは無事一回戦を突破したようで、ミオはかなたんを連れてこっちに向かってるみたい。そして今行われてるであろうししろんの試合、その相手は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合中 荒野エリア ぼたん視点―

 

「グッ……!これは、ちょっとヤバイね……」

 

あたしは今岩影に隠れて弾をリロードしながら息を潜めている。あたしのこのサバーニャを改造した『スナイプガンダムSR-BT』は遠距離射撃に特化した狙撃型の機体だけど、もう既に八十九発も撃っているのにたった二発しか当たってないし、しかも大してダメージも入ってない。正に今万事休すな状態だ。

 

「凄いねぼたんちゃん、噂には聞いてたけど射撃の腕は相当高いんだね。まさか二発も被弾するとは思ってなかったもん」

 

「……その言い方、皮肉にしか聞こえないね。そういう所、大学時代からちっとも変わらないよね」

 

「アハハ、それは誉め言葉として受け取っておくね♪それじゃあそろそろトドメを刺してあげるね」

 

その言葉が発せられた瞬間、あたしが隠れていた岩が真っ二つに切り裂かれ崩れ始め、急いでその場から離れようとしたけどその隙にスナイプガンダムの両腕がビームサーベルのようなモノで斬られ爆惨してしまった。そしてあたしの目の前には全身から青白い光を放つガンダムが右肩から伸びているテープ状のビームサーベルをスナイプガンダムの目の前に突き立てていた。

 

「どう?これがアカリの『フォーチュンガンダム』の力だよ。もう武装も無いようだけど、まだやる?」

 

 

『フォーチュンガンダム』

ユニコーンをベースに、ナラティブ、ムーンの三機をミキシングしたミライアカリの機体。機体全体と武装やシールドまで、あらゆる部分に青白く塗装したサイコフレームが使用されており機体性能が底上げされており、更に両肩のアーマーからクリアテープを加工したビームエネルギーが伸びておりそれをビームサーベルとして相手を斬り裂く事も出来る。優れた機体だが出力が高過ぎる故、並みのプレイヤーでは操作する事もままならない。

 

「……参ったわ、もう武器も無いし、これ以上はやっても無駄だから諦めるよ」

 

―WINNER ミライアカリ―

 

あたしの降参と共にアカリちゃんの勝利が決まった。ごめん皆……後は頼みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―事務所 フブキ視点―

 

「す、凄いとしか言い様が無いね……」

 

「あれだけのサイコフレームを搭載していれば、確かに高い強度と機動性を得られるけど、その分出力が高過ぎてまともに動かす事なんて出来ない筈なのに……それをやってのけるアカリちゃんは最早化け物だよ」

 

今までおめシスやシロちゃん、みしろちゃんと見てきたけど……アカリちゃんの機体はそれ等すら凌駕する程の力を持っていた。そしてそんな機体を当たり前のように扱えてたアカリちゃんも凄い、恐らく練習期間の間にかなり練習していたに違いない。

 

「……アカリちゃん、まるでニュータイプみたいだったね」

 

「……ニュータイプか。確かにそんな感じがしたね」

 

まるでニュータイプのようなアカリちゃんに強力な機体のフォーチュンガンダム……絶対に一筋縄では行かない相手だ、けど……

 

「恐らくアカリちゃんは決勝まで進むかもしれない。アカリちゃんを倒さないと、白上達はレイくんを取り戻す事なんて出来ない!」

 

「うん、必ずアカリちゃんやシロちゃんを倒して、絶対に玲二君を取り戻して元のホロライブに戻そうね!」

 

『おぉーーーッ!!』

 

今の白上達はレイくんを取り戻す為に、そして元のホロライブに戻す為に一つに纏まりつつある。皆の想いを背負って、白上達は勝ち上がってみせるよ!

 

 

 

遂に姿を現したミライアカリのガンプラ。最大の強敵を目の当たりにするもフブキ達は優勝の為に一致団結するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

「……ふーん、ぼたんちゃん負けたんだ。ま、ライバルが減ってくれた方が僕的には有り難いけど、やっぱりアカリちゃんや其処らが邪魔だな。なんとか勝つ方法を考えないとね」

 

街でぶらぶらしながらスマホで試合中継を見ながら僕は他の娘達に勝つ方法を考えてた。今日もころさんが僕に一緒に戦おうなんてふざけた事を言ってきたけど、これはレイくんを手に入れる為の戦いなんだから一緒に戦う意味なんて無い。僕は自分で勝ち上がってレイくんを手に入れるんだ、他の娘なんかにレイくんは絶対に渡さない!

 

「ブフフ、久しぶりだねぇおかゆちゃん♪」

 

「ん?………何でお前が此処にいるのさ?」

 

「いやぁ、おかゆちゃんが何か困ってるみたいだったからさ、もし良かったら協力してあげようと思ってね、ブフフフフ♪」

 

……何でこいつが此処にいるんだよ?こいつとっくの昔にホロライブから消えた筈じゃないの?

 

……でももしかしたらこんな奴だけど使いようによっては役に立つかもしれないな。この際レイくんを手に入れる為ならこんな奴でも利用するだけ利用してやる。

 

この後、おかゆの闇は更に深まる事となる……

 

 

 

 

 

 

―オマケ その二―

 

「そう言えばかなたんってどうやって負けちゃったの?」

 

「……咲ちゃんが試合始まったと同時に持ってた武器やシールド全部投げてきて、油断した処に頭から突進されて溶岩に突き落とされて負けちゃったんだよぉ~(泣)」

 

「えぇー……」

 

なんとも絞まらない負け方をしてしまうかなたであった。

 



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第二十二話『姫雛鳥の強襲』

皆の気持ちが一つになってから三日が経ち一回戦全てが終わった。

 

あれから残ったメンバーは全員勝ち残る事は出来たけど、その中でおかゆの試合はかなり酷かった。

 

対戦相手の富士葵ちゃんの機体を容赦無く攻撃し、降参すら許さず執拗に攻め続けていた。お陰で葵ちゃんにトラウマが出来てしまったみたい。おかゆ、前までは流石に其処までしなかったのに本当にどうしちゃったんだろう……?

 

それにしても試合中なんだか葵ちゃんの機体の様子がおかしかったな。途中で動きが鈍くなったりビームサーベルの出力が当たる直前で低下したり、なんだか不具合みたいな事が多かったけど、ガンプラの整備不備かな?

 

とまあ一波乱はあったけど、今日から二回戦が開始される!これからの戦いはこれまで以上に厳しいモノになりそうだから頑張んないと!

 

❬さぁ、長かった一回戦を終えて遂に本日より二回戦が行われます!実況は舞元さんから代わりまして私、第一予選で584位で予選落ちしましたキズナアイがお送りします!……なぁんで落ちたのさぁ?!私のラブリーアイザック、かなりの自信作だったのにぃーーーッ!❭

 

❬まあまあアイちゃん落ち着いて……解説も佐々木玲二さんに代わりましてこの僕、第二予選で同じ事務所のみしろに襲われて敗退した犬山たまきがお送りします………どうしてだよみしろぉーーーッ!?僕だってご主人様と一緒になって○○○や○○○したかったのにぃーーーッ!!❭

 

何この人選?!クッソめんどくさいんだけど!?何で舞元さんとレイくんから変わったの?!もしかして交代制なの実況解説って!?そしてたまき君、お前男なんだから○○○なんてさせないよ!レイくんはホモじゃないんだから!

 

❬コホンッ……えー、取り乱して申し訳ありませんでした。それでは早速二回戦の対戦カードを発表します!二回戦は一回戦同様、対戦相手はランダムで選ばれます!そして三回戦目より勝ち残った16人でトーナメントが組まれるといった内容になっております!❭

 

❬今回も二日に分けて八試合ずつ、計十六試合を行います!これから発表される対戦カードの中に本日の試合がない方はそのまま帰宅されても良いし、残って試合を観るのもオッケーです!但し、今はご時世の事もありますので観戦は控え室のモニターから少人数で観戦してくださいね❭

 

❬それでは早速対戦カード、一気に決めていきましょう!ランダムワード生成機、起動!❭

 

アイちゃんの合図と共にモニターに巨大なピンクの箱が現れ、その箱から次々と対戦カードが飛び出してきた。どれどれ、白上の相手は……

 

 

 

 

 

一日目第三試合

白上フブキVS田中ヒメ

 

来た!白上の相手はヒメヒナのヒメちゃん!以前白上とレイくんのデート中にレイくんを拐って、しかもその後も週一でレイくんに動画作成を手伝ってもらってた因縁の相手!今日はその時の鬱憤を晴らさせてもらうよ!

 

そして他のホロメン達は……殆ど皆二日目みたいだね。だけど……

 

 

 

 

 

一日目第八試合

百鬼あやめVS猫又おかゆ

 

……いきなりホロメン同士の戦い、しかもよりによってこの二人。お互いにレイくんを独り占めしようとしている二人だから、これはかなり荒れた戦いになるなもしれないね。

 

まあ、それはそうと、白上は今は目の前の敵、ヒメちゃんとのバトルに集中しよう!試合は予定では午後一時からだから、それまでは新しく出来たアーマーの調整をしないと!待っててねヒメちゃん、絶対に倒してやんよぉッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後 本戦会場―

 

❬さあ、手に汗握るビルドライバーズカップ!続いては第三試合、ホロライブよりやって来た白き狐!白上フブキちゃん対世界に響かす音色の片翼!ヒメヒナの田中ヒメちゃんの対決です!❭

 

❬どっちも予選と一回戦を見事に勝ち残った文句無しのガンプラバトラーと言えるでしょう!これはどっちが勝ってもおかしくありません!出来ればみしろに優勝してほしいから此処で共倒れしてほしい!❭

 

何私情挟んでるのさたまき君?!それでも解説者なの!?

 

「フッフッフ、たまきくんには悪いけど共倒れなんかしないよ。この戦いはヒメが勝つ!そしてそのまま優勝して玲二くんをヒメヒナ専属のマネージャー兼旦那として貰うよ!」

 

「いいぞーヒメー!頑張れぇーッ!」

 

「悪いけどそんな事はさせないよ!レイくんは絶対に渡したりしないんだから!」

 

❬おぉっと!これは戦う前からバチバチしてますね!流石佐々木さんの事になると皆凄く熱くなるねぇ♪❭

 

❬当たり前だろうがぁ!お前ご主人様の事何も分かってねぇのに知ったかぶって語ろうとしてんじゃねぇよ!ご主人様はとても優しいしカッコいいし仕事も早いし頼りになる最強のイケメンなんだぞぉッ!後アソコもデカイし!❭

 

❬あ、ご、ごめんなさい……❭

 

たまき君気持ちは分かるけど、アイちゃん引いてるから止めてあげてよ!?あと公の場でレイくんのアソコの話しないであげて!完全に公開処刑だよそれ!てか何でたまき君知ってるの?!確かに大きかったけど!///

 

「れ、玲二くんっておっきいんだ……///」

 

「ど、どうしよう、すっごく見てみたい……///」

 

ほらぁ!ヒメヒナちゃん達も凄く興味持っちゃってるし、もう収拾がつかなくなってきちゃうじゃん!

 

 

 

 

 

只今収拾つけております、少々お待ち下さいませ。

 

 

 

 

 

 

❬……えー、大変失礼しました。それではこれより二回戦第三試合、白上フブキちゃんVS田中ヒメちゃんの試合を開始します!それではぁ~、リンクスタート!!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―草原エリア―

 

ゲームが始まりエリアが表示される。今回は草原エリア、遮蔽物が一切無いので攻撃を防いだり隠密行動が一切取れない。そしてそのお陰かヒメちゃんの機体もすぐ目の前にいるのが確認取れた。あの姿からして……恐らくアストレイのカスタム機かな?

 

「それじゃいくよフブキちゃん。ヒメのこの『アストレイヒメフレーム姫雛鳥』の力を見せてあげる!」

 

 

『ガンダムアストレイヒメフレーム姫雛鳥』

田中ヒメが以前玲二と一緒に作ったアストレイレッドフレームを改造して作った機体。バックパックにはカスタムパーツのスカイハイウィングスが改造され取り付けられており、更に各部を一部シビリアンアストレイのパーツに変換した事で長時間の飛行と高い機動性を備えている事に成功した。その反面防御面が弱く、武装も軽量化の為ビーム・ガン二丁とビームサーベル一本のみとなっている。ちなみに姫雛鳥でひばりと読む(正しくは雲雀でひばりである)

 

ガンダムアストレイヒメフレーム姫雛鳥

HP:1280

ATK:240

DEF:180

SPD:330

MOB:350

 

「それじゃ早速!フブキちゃん覚悟ぉッ!!」

 

ヒメちゃんはそう言うと姫雛鳥を空へと羽ばたかせ、白上の白夜ガンダムに向かって飛来してきた。だけどそれは予測済みだよ!こっちも新しいアーマーの御披露目させてもらうよ!

 

「見せてあげるヒメちゃん!白上の新しい力を!バディチェンジ!ドッキング、ゴーッ!!」

 

白上がスキルの中からコアチェンジを選びその中にある『Duckindness』を選択すると空からアーマーが飛来し白夜ガンダムへと装着されていく。これがスバルの力を受けた新しい姿『ダッキンドネスガンダム』だよ!

 

 

『ダッキンドネスガンダム』

ネプテイトアーマーを改造しバックパックには姫雛鳥と同じスカイハイウィングスを装備しリアスカートのサイド部分にはフリーダムのレール砲を装備し飛行しながら射撃出来るアーマーとなっている。名前の由来はスバルの愛称でもあるアヒルの英名ダックと優しさという意味を持つカインドネスを合わせた造語である。

 

因みになぜアヒルなのに空飛ぶのかと言うとスバル曰く「アヒルだって空飛んで良いじゃん!」らしい。

 

❬これは凄い!フブキちゃんもヒメちゃんと同じ翼の生えたガンダムになったよ!❭

 

❬これはネプテイトアーマーの改造だね。ヒメちゃんと同じスカイハイウィングスで飛行能力を得て、腰のレール砲で一気に仕留める機体になってるみたい。これは面白い空中戦になりそうだね❭

 

「おほー♪良いねぇフブキちゃん!だったら此処からは空中戦といこうじゃないか!」

 

「望む所だよヒメちゃん!」

 

こうして白上のダッキンドネスとヒメちゃんの姫雛鳥との空中戦が始まった。お互いに機動性を重視している為其処まで防御面は高くないし、武装だって向こうはビーム・ガン二丁でこっちはレール砲だけ。なら白上が狙うべきは、相手のスカイハイウィングス!これを落とせば戦いが一気に楽になる筈……絶対に撃ち落とさないと!

 

 

 

 

 

それから数分間お互いに撃ち合いが続くも互いの機動力の高さのせいか殆どヒットしない。ヒメちゃんも白上と同じ考えみたいでさっきからダッキンドネスのウィングスばかりを狙ってくる。このままじゃいつまで経ってもジリ損になっちゃう。

 

「むぅーーッ!こうなったら一か八かだけど一気に畳み掛けてやるぅーーーッ!!」

 

……え?なんかヒメちゃん急にこっちに近づいて来たんだけど……ってビームサーベル?!ちゃんと近接武器あったんだ!?まずい、凄く不規則な動き方しながら近づいてくるからレール砲も狙いが定まらない!

 

「とりゃあーーーッ!!」

 

―ズバアァッ!―

 

❬おっとヒメちゃんフブキちゃんのガンダムの翼を斬り裂いたぁ!❭

 

姫雛鳥がダッキンドネスの目の前まで来た瞬間ビームサーベルを勢いよく振り下ろし左側のウィングを斬り裂いてしまった!ヤバい、このままじゃ墜落しちゃう……こうなったら!

 

「こうなったらヒメちゃんも道連れじゃあーーいッ!!」

 

「え?ちょ、ちょっとフブキちゃん?!一体何を―チュドオォォンッ!!―にゃあぁぁぁぁぁぁーーーッ!?」

 

白上はゼロ距離で姫雛鳥にレール砲をぶちかましてやった。勿論その反動でダッキンドネスのアーマーも一部破損したけど、それでも姫雛鳥のウィングスも破壊する事に成功しダメージも結構与えられた。お互いに飛行能力を失い地上に墜落していくけど、此処からがバディシステムの本領発揮!白上は再びコアチェンジを選び其処から『Sheeprecious』を選択した。

 

「バディチェンジ!ダックtoシープ!」

 

―CHANGE.Duckindness to sheeprecious―

 

ダッキンドネスの残されたアーマーが全てパージされ、今度はクリーム色のアーマーが飛来し白夜ガンダムへと装着されていき、そのまま地面に着地した。これがわためをイメージした力『シープレシャスガンダム』!

 

 

『シープレシャスガンダム』

アースリィ等の初期アーマーをベースに仕上げた機体。全体的にクリーム色に塗装されており両肩にはブリッツガンダムのアンカークロー『グレイプニール』を設置し彼女の代名詞でもある角ドリルを表現している。名前の由来は羊の英名シープと尊いという意味のプレシャスを合わせた造語である。

 

「嘘ぉッ?!まだアーマーあったの!?」

 

「まあね♪そしてこれで終わりだよ!」

 

白上はシープレシャスの両肩に装備されたグレイプニール、もといホーンシープニールを射出し墜落している姫雛鳥を捕縛、そしてそのまま距離を詰めて装備し直したネオビームライフルをコクピットに向けて放った。

 

ガンダムアストレイヒメフレーム姫雛鳥

HP:0

 

―WINNER 白上フブキ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああぁぁぁぁ悔しいよぉーーーッ!!絶対勝てると思ったのにぃーーー!!」

 

「大丈夫だよヒメ!まだヒナが残ってるから!絶対勝ち進めるから!」

 

試合が終わるとヒメちゃんはガチ泣きしていた。おめシスの二人はそもそも賞金目当てだったから別としてヒメヒナちゃん達は白上達と同じで本当にレイくんが好きだから相当悔しかったんだろう。気持ちは分かるけど、白上も負けてらんないからごめんね。

 

「グスッ……フブキちゃんおめでとうね。でもまだうちにはヒナがいるから、絶対に玲二くんを貰っちゃうからね!」

 

「そうだそうだ!その時を覚悟するが良い!」

 

「望む所だよ、いつでも待ってるからかかってきんしゃい!」

 

こうしてお互いの健闘を讃え握手をして、白上の二回戦は無事に終える事が出来た。そして……

 

 

 

次は第八試合、あやめとおかゆの試合。一体どんな結果になってしまうんだろう……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ―

 

第三試合終了後、休憩中の出来事……

 

「ねぇたまき君、何でたまき君は玲二の○○○の大きさ知ってるのかなぁ?シロだって一度も見た事ないのに、どうしてかなぁ?」

 

「い、いやぁ、前に一緒にご主人様と一緒に温泉行った時に見ちゃって……ってあのー、シロさん?その巨大なハサミ一体何に使うおつもりで?」

 

「これ?これで玲二の○○○を勝手に見た罪でたまき君のバベルの塔とか言ってるそのお粗末な○○○を斬り裂いてホルマリン漬けにしてあげようかなって♪」

 

「い……嫌だああぁぁぁぁーーーッ!!」

 

余計な事を言ったせいで巨大なハサミを持った白い悪魔に追いかけ回されるたまきであった。

 

 



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第二十三話『烈火の鬼神と堕ちた猫』

ヒメヒナの田中ヒメちゃんとの戦いの末、見事に二回戦を突破出来た白上だったけど、勝った喜びよりも今は今日最後の試合になるあやめとおかゆの対決が気になっていた。

 

二人とも同じホロライブの仲間だけど……申し訳ないけど今の二人を見ていたらどっちも応援する気にはなれない。二人ともレイくんを手に入れる事に固執してるし、そのせいで皆とも関わろうとしない。

 

そんな二人がこれからバトルをする。一体どんな結果になるんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場―

 

❬さあ本日最後の試合、遂にこの時が来てしまった!この大会のキーマンである佐々木玲二さんの勤めるホロライブに所属するアイドル同士の対決!百鬼あやめちゃん対猫又おかゆちゃんのバトルです!❭

 

❬二人とも一回戦の時は尋常じゃない程の強さを見せつけてくれました!恐らくこの勝負、一筋縄ではいかないと思います!❭

 

実況席にいる二人が熱く実況解説をするが、当の本人達は至って冷静……いや、絶対零度の如く冷めきっていた。同じホロメン同士のバトルだというのにも関わらず二人は鋭い眼光をギラつかせながら睨み合い準備を進めていく。

 

「……まさかこんなにも早くホロメン同士でやるなんて思ってなかった余」

 

「そうだね。まあ、僕にしたらどうだって良い事だよ。誰が来たって、立ち塞がるなら倒すだけだもん」

 

「……やっぱり今のおかゆに玲二様は任せられない。此処でおかゆを絶対に倒して余が勝ち上がってみせる」

 

「へぇ……やれるもんならやってみなよ」

 

❬お、おぉっとぉ!戦う前から闘争心がバチバチだぁ!これは激しいバトルが期待出来そうです!それでは早速いきましょう!リンクスタート!!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―市街地エリア―

 

今回の舞台はビル等の建物が並ぶ市街地エリア。障害物も多く普段戦うエリアに比べて動きも制限されてしまうこの場所に二体のガンプラが対峙していた。

 

一つは戦国アストレイを改造したあやめの『煉獄頑駄無』

鬼○の刃の人気キャラをモチーフにした塗装に四本の炎のデザインが施された刀。そして機体全体に付けられた無数の傷跡があり、いかにも歴戦を戦い抜いた武者を彷彿とさせる。

 

そしてもう一つはアルスアースリィを改造したおかゆの『ディストピアアルス』

アルスアースリィのアーマーは更に刺々しくなり所々に出ている赤い動力パイプが血管のように見えて不気味な仕上がりになっている。なんともおかゆらしくない禍々しい機体である。

 

煉獄頑駄無

HP:950

ATK:320

DEF:175

SPD:290

MOB:310

 

ディストピアアルス

HP:1380

ATK:250

DEF:240

SPD:250

MOB:260

 

❬おぉっとあやめちゃんのガンダム、戦う前から随分ボロボロだ!これでまともに戦う事なんて出来るの?❭

 

❬これはGVWの特有スキル『不屈の闘志』を発動させる為のダメージ加工だね。HPや防御力を下げる代わりにその他のスペックを大きく上げるんだ。しかもあれだけのダメージ加工ならその恩恵はかなりでかい。実際にあやめちゃんは一回戦目は一度も被弾せず相手を撃破しているから上手く立ち回れば実質プラス要素しかないって事だね。対して……❭

 

あやめの煉獄頑駄無の紹介した後におかゆのディストピアアルスを見るが、その姿は禍々しく、黒いオーラのようなものがアルスを中心に辺りに広がっている。

 

❬おかゆのディストピアアルスはスキル『立ちはだかる強敵』という主にボスとかの敵キャラが使用していた機体が持つスキルを発動しているね。一定のダメージを受けると発動しなくなる代わりに戦いが長引けば長引く程スペックが徐々に上昇していく厄介なスキルだよ❭

 

❬おかゆちゃんはこのガンプラで一回戦の葵ちゃんを完膚なき迄に叩きのめしていたって聞いたけど……何だかちょっと怖いよね❭

 

余りにも異質過ぎるディストピアアルスにアイとたまきも思わず身を震わせてしまう。そしてあやめとおかゆはそれぞれ武器を構え間合いを詰めていく。

 

「……一回戦の試合見てたけど、やっぱりその機体おかゆらしくないね。前のおかゆだったらそんな機体絶対選ばなかった筈だ余」

 

「そんなの僕の勝手でしょ?それに比べてあやめのはドストレート過ぎるよね。お陰で対策が取れやすいよ」

 

「そう……やれるもんならやってみな余」

 

互いが睨み合いながら徐々に間合いを詰めていく。そして……

 

 

 

―ダッ………ガキィィンッ!!―

 

お互い距離を一気に詰めて煉獄の刀とアルスのビームサーベルがぶつかり合い、其処から激しい斬り合いが始まった。

 

煉獄の両手と大袖が変形した巨大アームに持ってる四本の刀で斬りながら攻めていき、アルスは左手から発せられたビームサーベルで防ぎながら後退しつつビームカノン砲で煉獄を射撃していくが全て刀で弾かれていく。

 

「グッ……やっぱあやめは手強いね。一撃一撃がとても重たい」

 

「当たり前だよ、この為に刀の強度を上げて、それを補強する腕も強度を上げて一撃の威力を上げてるんだから」

 

❬あやめちゃんの激しい攻撃がおかゆちゃんのガンプラを攻め続ける!おかゆちゃんも反撃こそはしてるもののあやめちゃんに押されッぱなしだぁ!❭

 

❬アルスのスペックが徐々に上昇するとは言え、このまま続けばおかゆは押し負けてしまうね❭

 

実況席が盛り上がる中でもあやめは煉獄の攻撃の手を一切緩める事はなくアルスに斬りかかっていく。そして……

 

 

 

―ガキイィンッ!―

 

「ウグッ……!?」

 

❬おぉっとおかゆちゃんのガンプラが弾かれて、そのままバランスを崩してビルに直撃したぁ!❭

 

❬これはマズイ!このまま決着が着いてしまうのかぁ?!❭

 

「これで……決めるッ!!」

 

倒れたアルスの隙をつき煉獄はトドメを刺す為に刀を構え一気にアルスに詰め寄っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

―ガクンッ!―

 

「え…………?」

 

アルスにトドメを刺す一歩出前の所で煉獄が突然バランスを崩し地面に倒れ込んでしまった。あやめは何が起こったかも理解出来ず呆然としてしまうが、その隙をおかゆは見逃さなかった。

 

「……どうやら機体トラブルか何かみたいだね。なら、この隙に反撃させてもらうよ」

 

「え…………ッ?!し、しまッ……!?」

 

あやめは我に返るも時既に遅し。アルスは既に体勢を戻しビームサーベルで倒れてる煉獄を容赦なく斬りつけていく。両腕を斬り飛ばされ頭部も踏みつけられ既にボロボロの状態にまで追い詰められてしまった。

 

煉獄頑駄無

HP:61

 

「……もうこれだけやれば戦う事なんて出来ないでしょ?これ以上は同じ事務所のよしみで勘弁してあげるからさっさと降参しなよ」

 

アルスはビームサーベルを納めると煉獄から離れ背を向けようとする。しかし……

 

「……ヤダ余。まだ余は負けてないぞ」

 

「……へぇ、まだやる気なの?そんなボロボロな状態でよく戦おうなんて思えるね。あやめもよっぽどレイくんが欲しいみたいだね」

 

「当たり前だ余、だって………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲二様がいなくなったら、ミオちゃんや皆が悲しむから!」

 

「…………………は?」

 

あやめの予想してない言葉におかゆは思わず呆然としてしまう。

 

何故皆の事が出てくる?これは玲二の隣に立つに相応しい相手を決める為の大会、それなのに何故自分以外の皆が出てくるかおかゆには理解出来なかった。

 

「玲二様がこんな大会の景品にされてしまって、もしかしたら他の事務所に取られてしまうかもしれないなんて事になって、そんな事になったら皆悲しむから……だから余はそんな事にならないように勝たなきゃいけないんだ!」

 

あやめはボロボロになった煉獄を残された巨大アームを使ってなんとか立ち上がり、最後の刀を拾い構える。

 

「鬼は受けた恩は自分で返せ。余が母百鬼から受けた教訓だ余……だから、余は自分の手でなんとしても玲二様と皆の居場所を守る!それが余の居場所でもあるから!!」

 

―ゴオォォォォォォォッ!!―

 

あやめが力強く言うと煉獄の機体の周りから赤い炎が渦巻くように現れ、そして炎は徐々に刀に吸収されていく。

 

❬な、何これ?!一体何が起こってるの?!❭

 

❬こ、これは一体なんなんだ!?❭

 

突然の出来事に実況席の二人も困惑するが、全ての炎が刀に収まると刀身が赤く輝きを放ち煉獄はそれを構えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが百鬼流奥義!烈火抜刀・紅蓮斬ッ!!」

 

赤く輝く刀を構えたまま煉獄はアルスに向かって突進していく。それに伴い煉獄のボディも赤く燃え上がり巨大な火の玉となってアルスに迫っていく。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―チュドオオォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

辺り一面の建物を吹き飛ばす程の巨大な爆発が起こり煙が巻き起こった。

 

❬な、なんという事でしょうか?!あやめちゃんの最大の攻撃がおかゆちゃんに当たって大爆発してしまったぁ!!❭

 

❬こ、これは激しい衝撃!これではおかゆも一溜りもない、これは今度こそ決着が着いたかぁ!?❭

 

激しい衝撃の末、いよいよ見えた決着の時。そして煙が晴れていくと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっぱりあやめは侮れないね。でもこの勝負、僕の勝ちだよ」

 

其処にいたのは右半身を失くしながらもビームサーベルで煉獄のコクピット部分を貫いているアルスの姿があった。

 

煉獄頑駄無

HP:0

 

―WINNER 猫又おかゆ―

 

それによりあやめの敗北が決まり、おかゆは三回戦進出が決定した。

 

「………ごめんなさい、玲二様、ミオちゃん、皆………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合終了後 フブキ視点―

 

「グスッ……うぅ……」

 

試合が終わり白上がミオと一緒にあやめの控え室に行くと、其処には試合に負けて涙を流すあやめがいた。

 

「あやめ!」

 

「え……み、ミオちゃん?」

 

そんなあやめを見たミオはあやめの元に駆け寄り抱き締めた。その目には涙が溜まっている。

 

「ごめんねあやめ!あやめがレイさんだけじゃなくてウチや皆の為に戦ってたなんて……そうとは知らずにウチ等レイさんの事ばっかり考えて……本当にごめんね!」

 

「ミオちゃん……ううん、ミオちゃんは全然悪くないぞ!余が自分の力で玲二様を取り戻そうとしただけだから……」

 

そう、あやめはレイくんを独占したかったワケじゃなかった。あやめは他の事務所やアイドルにレイくんを取られないように、また皆で一緒に楽しい日々を過ごせるようにする為に一人で戦っていたんだ。今まで白上達と一緒に戦わなかったのは自分の母親に言われてた教訓を守る為だったんだね。

 

「あやめ、ありがとう……でももう大丈夫だから。あやめの想いも、フブキの想いも皆ウチ等に届いてる。だから此処からはウチやフブキ達があやめの代わりに戦うよ!」

 

「うん!必ず皆で元のホロライブに戻そう!」

 

「ミオちゃん、フブキちゃん……ありがとう♪」

 

白上とミオが想いを伝えるとあやめは泣き止み、笑顔になってくれた。これで残るはラミィとおかゆだけ……この二人はかなり手強いけど、必ず元に戻してみせるよ!

 

「……それにしても、さっきの戦い惜しかったね。あの時機体の整備不良がなかったらおかゆにも勝ってたかもしれなかったのに」

 

「……それについてなんだけど、ちょっと変なんだ余」

 

「?変って何が?」

 

「あの後余は自分のガンプラを確認したけど、何処にも不備なんて無かったんだ。塗装も合わせ目もしっかり処理されてたし機体の破損も無かった。それに余の煉獄頑駄無がトドメを刺そうとした時に急に機体がバランスを崩して、なんだかタイミングが良すぎる気がしたんだ余」

 

「!?それって……」

 

ガンプラに不備は無く、余りにもタイミングが良すぎる機体の不備に白上は思わず考えてしまった。葵ちゃんの時も同じ事があったし、もしかしてこれって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おかゆ視点―

 

「ブフフ~♪おかゆちゃん見事三回戦進出だねぇ♪」

 

「……全く、やるならさっさとやってくれれば良かったじゃん。お陰で余計な苦戦を強いられてたし」

 

三回戦進出は出来たものの僕は苛立っていた。あのあやめの言葉……何が皆が悲しむだよ?結局最後にレイくんの隣に立てるのは一人なんだからそんな一時的な仲良しごっこなんて要らないよ。

 

「ごめんごめん、でもおかゆちゃん分かってるよね?あの約束」

 

「分かってるよ、僕が優勝したらレイくんを僕のモノにする代わりにお前をホロライブのスタッフリーダーにしてあげるよ。他のホロメンはお前の好きにすれば良いよ」

 

「ブフフ~♪そうそう、覚えてくれてるなら結構だよ。本当ならおかゆちゃんも一緒に俺のモノに―ドゴォッ!!―ブヒィ?!」

 

「……調子に乗るなよ。僕の身体はレイくんだけのモノだ。お前みたいな気持ち悪い屑に触らせる事すら許さない。分かったら次の試合まで用はないからさっさと消えろ、“只野”」

 

僕が男の顔の横の壁を蹴りそう言うと、その男『只野喪不男』は慌ててその場から逃げるように出ていった。

 

あいつは以前会社で問題になってアマゾンに飛ばされた筈(番外編参照)だけど、何で此処にいるかは知らないけど僕はこいつを利用する事にした。

 

あいつに舞台裏に忍び込ませて其処にある装置を操作してもらい、相手の機体を一時的に動きを封じてもらいその間に僕が相手を倒していたんだ。これで葵ちゃんの時もさっきのあやめの時も一時的に動けなくして僕が勝った。勿論バレてあいつが何か言ってきてもあいつは元々虚言癖があるからこっちがシラを切ればそのまま切り捨てられるから問題はない。

 

「フフフ、待っててねレイくん♪僕は必ず優勝して君と一緒になってみせるよ、どんな手段を使ってもね……」

 

こうして僕もやる事がなくなったので控え室を出て自宅に帰る事にした。

 

 



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第二十四話『悪夢再来』

二回戦二日目を迎えた今日、白上は皆の応援をする為に会場へとやって来た。今日残ってるのはミオ、そらちゃん、ロボ子さん、スバル、ノエル、ラミィの六人。皆それぞれバラバラになっているから上手く行けば残った全員三回戦進出出来るかもしれない。けど問題は……

 

 

 

 

 

二回戦第十試合

大神ミオVSシロ

 

そう、ミオの相手があのシロちゃんだと言う事だ。一回戦目でアキロゼのムキロゼガンダムを一瞬で焼き払った程の力を持つホワイトディマイスガンダムが相手なのだ。まともにやりあっては勝ち目はほぼないだろう。

 

「ミオ、大丈夫?相手はあのシロちゃんだけど、何か策はあるの?」

 

「……正直賭けになるけどない事はないよ。ただそれはあくまでも初撃だけの話、それ以降は戦いながら勝ち筋を見つけるしかないね」

 

ミオはやはりと言うべきか、あまり自信が無さそうに答えながら自分のガンプラを入念にチェックしていく。無理もない、あんな動く要塞とも呼べるあのホワイトディマイスに対して勝てそうな機体なんてそうそう思いつかない。

 

「でも、やれるだけの事はやるよ。例え負けたとしても、フブキや皆に少しでも情報を残す為にも頑張って戦うよ」

 

「ミオ……うん、そうだね。でも出来れば勝ってねミオ!そして上位をホロメンで埋めつくそう!」

 

「アハハ、そうなるように頑張らないとね」

 

それでも、白上はミオが勝ってくれるって信じてる。例え勝ち目が薄くても、最後まで諦めずに戦ってほしい。だから白上はミオを全力で応援します!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場 ミオ視点―

 

❬さあ、続いての試合に参りましょう!二回戦第十試合、変幻自在なトリックスター!ホロライブ所属の大神ミオちゃん対白き終焉!ドットライブ所属のシロちゃんの対決です!❭

 

いよいよ始まったウチとシロさんの対決。正直勝てる見込みは薄い……けど、例え勝てなくてもせめて皆に少しでも情報を渡さないと!

 

「フフフ、またホロメンの娘との対決なんだね?これはホロメンを全員潰して俺の元に来いっていう玲二の気持ちの表れかな?」

 

「……それは無いですね。シロさんは此処でウチが止めてみせますから」

 

ウチはシロさんに向かって言うもシロさんはニコニコ笑うだけで何も言わず準備を進めている。ウチ、完全にナメられてるね……

 

「……試合が始まる前に一つだけ教えて下さい。シロさんはどうして其処までレイさんに拘るんですか?」

 

「えー?何でそんな事ミオちゃんに言わなきゃいけないのかなぁ?……ま、いっか。玲二はね、シロにとって命の恩人だからだよ」

 

「命の……恩人?」

 

「そ、命の恩人。これ以上聞きたかったら後はシロに勝ってから聞きなよ、無理だろうけど」

 

む……流石にそんな事言われたらウチも黙ってられないよ。さっきは負けてもなんて言ったけど、こうなったら意地でも勝って聞いてやるんだから!

 

❬両者互いに準備が整ったようですので、早速いきましょう!リンクスタート!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―月面基地エリア―

 

今回は最初にフブキも戦った事のある月面基地エリア。目の前には既にホワイトディマイスがウチの『ミラージュデスティニーガンダム』を狙って射撃準備を整えている。

 

 

『ミラージュデスティニーガンダム』

デスティニーガンダムをミオが改造した機体。メタリックブラックとメタリックレッドで塗装されておりバックパックにはビームソードとビーム砲を無くした代わりにアカツキガンダムのシラヌイパックを改造して装着している。本来ならこの機体はVPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲という実弾等の衝撃に対して強度な防御力を誇る装甲を持っているが、この機体にはそれに変わる別の装甲に切り替わっている。

 

HP:1420

ATK:245

DEF:290

SPD:250

MOB:270

 

「フフフ、それじゃあ早速で申し訳ないけどミオちゃん。これで終わらせてあげるね♪」

 

そう言ってシロさんはホワイトディマイスの砲門を全てミラージュデスティニーに向けエネルギーを充填している。このままだとウチはやられるけど……一か八か、偶然手に入れたこのスキルに賭けてみよう!

 

「それじゃあ、これで終わりだよ♪」

 

―シュウゥゥ………チュドオォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!―

 

全ての砲門からエネルギー弾が放射され周りの基地ごとミラージュデスティニーを飲み込もうとしていた。でもウチはこの子を、ミラージュデスティニーを信じる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドゴオォォォォォォォォォォォンッ!!!―

 

❬おぉっとミオちゃんのガンプラまさかの直撃ぃッ!?これはアキロゼちゃんの二の舞になってしまうのかぁッ?!❭

 

❬この攻撃はかなりの威力があるから、まともに受けたら一溜りもない!また一回戦のような瞬殺劇になってしまったかもしれない……!❭

 

「アハハ♪これでシロの三回戦進出決定だね♪」

 

……実況席のアイさんやたまき君、それにシロさんもウチがやられたと思っているみたい。確かに今のはかなりヤバかった、けど……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―シュウゥゥ…………バシュウゥゥゥゥンッ!!―

 

「……え?―ドゴオォォォンッ!!―あうぅッ?!」

 

賭けはウチの勝ちだよ!

 

ホワイトディマイスガンダム

HP:2780→2350

 

❬な、なんとぉ?!これは一体どういう事でしょうか?!撃たれた筈のミオちゃんのガンプラの方からいきなりシロちゃんのガンプラに向かって攻撃されました!?❭

 

❬本当にどういう事?!今のまるでホワイトディマイスの攻撃がそのまま跳ね返されたみたい………ッ!?こ、これはッ!?❭

 

実況席の二人もかなり驚いているみたい。そりゃそうだよね、だって……ウチのミラージュデスティニーがほぼ無傷で立ってたんだから!

 

ミラージュデスティニーガンダム

HP:1420→1400

 

❬な、なんという事でしょう?!ミオちゃんのガンプラ、全くダメージが通ってないよ!?❭

 

❬も、もしかしてこれは……元々あったVPS装甲ではなくヤタノカガミを使用した装甲になってるのか!❭

 

❬ぶ、VPS?ヤタノカガミ?❭

 

やっぱりたまき君には分かっちゃったか、アイさんは理解してないみたいだけど。

 

これはウチがミラージュデスティニーを塗装した際にメタリックとクリアカラーを使用してキャンディー塗装をした為か元々あったVPS装甲が無くなってしまった代わりに同じSeedに出てきた『ヤタノカガミ』というビーム攻撃を反射させる事が出来る鏡面装甲に変更されていたんだ。だから今のシロさんの攻撃を跳ね返す事が出来たワケだよ。と言ってもこの装甲は本当に偶然出来た物だけどね。

 

「……驚いたなぁ、まさかミオちゃんのデスティニーの装甲がヤタノカガミだったなんて。お陰でシロのホワイトディマイス傷ついちゃった」

 

「えへへ♪これでシロさんに一泡吹かせれましたね。でもまだまだこれからですよ!」

 

「そうだね、なら直接叩いてあげるね」

 

シロさんがそう言うとホワイトディマイスの両腕が取れミラージュデスティニーに向かって飛んで来る。あれって着脱可能なんだ?!でも、それなら交わして一気に畳み掛ける!

 

そしてミラージュデスティニーはホワイトディマイスの腕を避けつつ本体に向かって攻撃を続ける。背中にある遠隔武器シラヌイも使って徐々にだけど確実にダメージを与えていく。

 

そして戦ってる内に分かった事がある。さっきの一斉射撃の後からシロさんは腕を飛ばして来るだけで他の攻撃をしてこない。つまりはこのホワイトディマイスのあのビーム攻撃は単発、もしくは再放出するのに時間がかかってしまうようだ。それなら今の内に与えられるだけダメージを与える!

 

ホワイトディマイスガンダム

HP:2350→1970→1650→1380→920

 

❬ミオちゃんの猛攻撃がシロちゃんを容赦なく襲っていく!これはかなりのどんでん返しだぁ!❭

 

❬シロちゃんも腕攻撃以外の反撃をしないって事は今はそれ以外の攻撃が出来なくなっているみたいだしね。砲門も殆ど破壊されてきたみたいだから、もうなす術がない感じだね❭

 

「……………」

 

ホワイトディマイスの砲門はほぼ全て破壊し、腕も撃ち落としたから残るは本体だけ。これでトドメだよ!

 

「いっけえぇぇぇぇぇーーーーーーッ!!」

 

―ズバアァァッ!!―

 

ホワイトディマイスガンダム

HP:0

 

ホワイトディマイスの頭部を破壊し、残されたHPを0にした。や、やった……やったよフブキ!皆!ウチ勝ったよ!

 

❬き……決まったぁーーーッ!!ミオちゃんのガンプラが、シロちゃんのガンプラにトドメを刺したぁーーー!❭

 

❬いやぁ、凄いどんでん返しだったね……あれ?❭

 

ん?たまき君首を傾げてるけどどうし……?そう言えばウチ勝った筈なのになんでモニターに勝利アナウンスが出ないんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドゴオォッ!―

 

「え……―ガシィッ!―なッ?!」

 

いきなりホワイトディマイスの胴体から腕が現れミラージュデスティニーの首元を掴んできた。え?え?い、一体どうなってるのこれ?!

 

「そっかぁ、ミオちゃんには“終焉”程度じゃ物足りなかったんだね?だったらシロからミオちゃんに贈るね……“破滅”を」

 

その言葉が出た瞬間、掴んできた手の指先からビーム刃が現れミラージュデスティニーの首元を貫かれてしまった。幾らヤタノカガミと言えど全体に施されてるワケじゃないからこういった隙間を狙われたら一溜りもない……ってそうじゃないよ!?一体何が起こってるの?!

 

ウチがそんな事を考えていたらホワイトディマイスの胴体が崩れ、其処から別のガンダムが姿を現した。こ、これは……?!

 

 

 

 

「アハハ♪これがシロの本当の機体『ホワイトルインガンダム』だよ♪」

 

 

ホワイトルインガンダム

ホワイトディマイスガンダムの胴体に隠されていたエクストリームガンダムの改造機(実際は各部にばらした状態で収納されていた)。全身に実体剣を含め20もの近接武器が仕込まれている強襲型のシロの切り札である。

 

HP:1000

ATK:460

DEF:120

SPD:350

MOB:380

 

❬ななな、なんとぉ?!シロちゃんのガンプラの中から別のガンプラが出てきたぁ?!た、たまき君これってありなの?!❭

 

❬え?!え、えーと……ど、どうやらシロちゃんはホワイトディマイスをホワイトルインの装甲として使用していた為OKだそうです!言わばフブキちゃんのアーマーユニットやおめがレイさんが使ったオメガテイルと同じ扱いですね!❭

 

何それ?!じゃあウチのさっきのはあくまで装甲のHPを0にしただけって事?!な、ならまたシラヌイで攻撃を……!

 

「させないよ。言ったでしょミオちゃん?破滅を贈るねって」

 

そう言うとシロさんはホワイトルインを動かしシラヌイを次々に切り裂いていった。

 

何それ?!スピードが速すぎる!残像が残る程のスピードってどういう事?!

 

「はい、余所見はだーめ♪これで終わりだよ」

 

「え、しまっ……!?」

 

ウチがシラヌイに気を取られていた隙に後ろからホワイトルインがミラージュデスティニーのコクピットを実体剣で貫き、操縦不能になってしまい……

 

ミラージュデスティニーガンダム

HP:0

 

―WINNER シロ―

 

ウチの敗北が決まってしまった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合終了後 フブキ視点―

 

あれから試合が終わるとミオは楽屋に戻り泣いていた。無理もないよ、あの試合だって誰が見てもミオが勝ったと思っちゃったもん。まさかあんな隠し球を用意してたなんて……

 

「グスッ……フブキ、ごめんね。ウチ、何にも出来なかった……」

 

「そんな事ない!ミオはシロちゃんの隠された切り札を引き出す程まで追い詰めてくれたじゃん!ミオの頑張りは全然無駄なんかじゃないよ!ミオが頑張ってくれた分まで、白上や他の皆が必ず勝って見せるよ!」

 

「ふ、フブキ……グスッありがとうねフブキ」

 

ミオは後一歩の処までシロちゃんを追い詰めた。あのスピードに対抗する手段さえあれば、白上にも勝機は必ずある!ミオの頑張りを無駄にしない為にも、白上は絶対に勝ち進んでみせるよ!

 

 

 

 

 

それにしてもシロちゃんが言ってたレイくんが命の恩人ってどういう事なんだろう?



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第二十五話『迫るメイドの牙』

二回戦全ての試合が終わり翌日、白上達は三回戦を行う為に会場へと集まっていた。此処からはトーナメント形式で行われるから、この組み合わせも大事だ。一体誰と当たるんだろ?

 

❬さあ、いよいよ始まりますガンダムビルドライバーズカップ第三回戦!此処からはトーナメント形式で行われます!此処からの実況は私、ホロライブスタッフの友人Aと、解説には再びこの方、我らがホロライブのスタッフリーダー佐々木玲二さんでお送りします!❭

 

❬……なんかAちゃん物凄くテンション高くないか?❭

 

あ、今回からAちゃんが実況なんだ。レイくんも解説に戻ってきたし、より一層頑張らないと!

 

 

 

❬それではまずは此処まで勝ち抜いた選手のご紹介です!まずはホロライブより私の友人でもありトップアイドルでもあるときのそらさんです!❭

 

 

「みんなー!元気ー?今日は頑張るから応援よろしくねー♪」

 

 

 

❬続いてはホロライブの猫やんけ!白上フブキさん!❭

 

 

「わしゃ狐じゃい!ってか何回やるのこのやり取り?!」

 

 

 

❬お次はこっちがホロライブの真の猫!猫又おかゆさん!❭

 

 

「……よろしく」

 

おかゆ、やっぱり前と違って愛想が良くない。前はマイペースながらも笑顔で自己紹介してたのに……

 

 

 

❬え、えーと次ですね!続いてはホロライブのツッコミアヒル!大空スバルさん!❭

 

 

「ちわーッス!今日は頑張って優勝狙うしゅばぁ!」

 

 

 

❬そしてこの方!ポンコツ?いいえ高性能ロボット!ロボ子さん!❭

 

「はろーぼー♪今日はマスターの為に頑張るよー♪」

 

 

 

❬続いてはホロライブの脳筋!白銀騎士団団長白銀ノエルさん!❭

 

 

「こんまっする~!絶対に優勝しちゃるからなぁー!」

 

 

 

❬そしてホロライブからは最後!雪国のご令嬢雪花ラミィさんです!❭

 

 

「こんラミです。今日は何がなんでも勝ち進んで玲二さんと結婚します!」

 

ドストレートにも程があるよラミィちゃん?!Aちゃんもレイくんも反応に困ってるよ!?

 

 

 

❬そ、それでは続いてはドットライブから最強にして最恐のアイドル!シロさんです!❭

 

 

「こんにちは、シロです!今日は全員ぶっ潰して玲二をシロだけのモノにします♪」

 

物騒すぎる!?でもシロちゃんはそれが出来る程の力があるから油断は出来ないね。

 

 

 

❬そして続いてはのりプロより絶対的淑女!メイドアイドルの白雪みしろさんです!❭

 

 

「皆様、こんしろーですわ。本日はご主人様の真のメイドになるため頑張らせて頂きます」

 

みしろちゃんも侮れない実力の持ち主だ。二回戦も結局氷牙は出て来なかったから、どんな機体なのかはまだ分からないから様子見る為にも出来れば直ぐには当たりたくないかな?

 

 

 

❬続いてはヒメヒナの片翼!青い帽子がトレードマークの鈴木ヒナさん!❭

 

 

「はおー!鈴木ヒナでーす♪今日は負けてしまったヒメの分まで頑張って勝ちたいと思いまーす♪」

 

ヒナちゃんも勝ち残ってたんだ。ヒメちゃんが空中戦に特化した機体だったから、ヒナちゃんのもそうなのかな?

 

 

 

❬そして次ににじさんじよりこの方!自称アイドル界の委員長月ノ美兎さん!❭

 

「起立、きょうつけ!にじさんじの月ノ美兎です。本日は私の力を見せつけ玲二さんをホロライブから奪ってみせます!」

 

美兎ちゃん、大会中ではあまり注目されてなかったけど安定した戦い方をする強敵だ。美兎ちゃんにも注意だね。

 

 

 

❬そして同じくにじさんじより元気な関西娘!本間ひまわりさん!❭

 

 

「みなさんどうも~、おはごさー♪今日は精一杯頑張って皆を蹴落としたいと思っておりまーす!」

 

笑顔で物騒な事言ってるよひまちゃん!?でもひまちゃんは確かレイくんよりも賞金目当てだったから絶対に負けられない!

 

 

 

❬そしてにじさんじから最後はこの方!何故此処まで勝ち進んでこれたんだ?!驚異のラッキーガール笹木咲さん!❭

 

 

「おはやよー、笹木咲やよ~♪今日は玲二さん手に入れる為にやるぞぉ!」

 

咲ちゃん勝ち残ってたの?!一回戦でかなたんに勢いだけで勝ってたけど、もしかしてかなりの強敵……?

 

 

 

❬続いてはハニストよりやって来た悪魔の女王!周防パトラさんです!❭

 

 

「こんばんわんわん~♪今日は絶対勝って、賞金と佐々木さんとフレアをゲットしたいでーす♪」

 

欲張り過ぎじゃない?!何レイくんと一緒にフレアを引き抜こうとしてるのさ!?バカタレ解散しちゃうよ!

 

 

 

❬そして次にこの方!こっちも何で勝ち残ってるんだぁ?!アイドル兼イラストレーターのしぐれういさん!❭

 

 

「こんにちはー。此処まで来たからには優勝狙ってみたいと思いまーす♪」

 

本当に何でいるの?!うい先生ガンプラやってたんだ?!スバルもめっちゃ驚いてるし!

 

 

 

❬そして最後はこの方!今大会の優勝候補にして最強のガンプラマイスター!ミライアカリさんです!❭

 

 

「ハロー、ミライアカリだよ♪今日は皆に勝って!玲二を絶対アカリのモノにするよー!」

 

アカリちゃん……この大会で最も強敵であり白上達が倒さなきゃいけない相手!必ず勝って、レイくんを取り戻してみせる!

 

 

 

❬以上!計16名のアイドルが集結しました!さあ佐々木さん、注目の選手とかはいらっしゃいますか?❭

 

❬そうだな……候補としてはフブキとアカリ、そしてシロとみしろだな。アカリとシロはこの大会で優勝候補だが、フブキにはまだバディチェンジが他にもあるかもしれないし、みしろに至ってはまだ本戦でメインの機体を使用していない。この二人も未知数という意味ではかなり優勝を狙えると思う❭

 

レイくんが白上の事を優勝候補だって言ってくれた!でも確かに嬉しいけど、他の優勝候補者にホロメンが入ってない……つまりは厳しい戦いが予想されるね……あ、おかゆが小さく舌打ちしてる。

 

❬佐々木さんありがとうございます!それでは早速トーナメント表を発表致します!組み合わせはぁ……これだ!!❭

 

会場のモニターにトーナメント表が現れランダムに対戦相手が決まっていく。その結果……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白上フブキVS白雪みしろ

 

猫又おかゆVSロボ子

 

シロVS白銀ノエル

 

雪花ラミィVS鈴木ヒナ

 

大空スバルVS本間ひまわり

 

ときのそらVS月ノ美兎

 

ミライアカリVS笹木咲

 

しぐれういVS周防パトラ

 

 

白上の試合はいきなり一試合目、相手はあのみしろちゃんだ!本当だったら様子見したかったけど、当たってしまったものは仕方がない。

 

❬さあ、各自対戦相手が決まりました!尚此処からのステージは全て公平にするためサイバーエリアというスタンダードなフィールドで戦って頂きます!それでは早速始めましょう!第三回戦第一試合、白上フブキVS白雪みしろの対決です!❭

 

Aちゃんに言われ白上とみしろちゃんはステージへと上がり他の皆は待機場へと移動していった。此処からは公平を期す為に三回戦全ての試合が終わるまで他のメンバーはガンプラを弄る事は出来ない為試合が終わるまでガンプラは預けられたスタッフに預けられた状態になる。

 

「フブキさん、お久しぶりですね。この戦い、ご主人様の為にもみしろは負ける訳にはいきませんので、全力でいかせて頂きますのでよろしくお願いしますね」

 

そしてステージに立つとみしろちゃんが白上に向かって一礼をしてきた。

 

「……みしろちゃん、前に言ってたよね?白上達がレイくんの事を自分勝手に振り回してるって」

 

「えぇ、そうです。貴方達ホロライブメンバーは今まであの御方にどれだけ迷惑を掛けてきましたか分かりますか?ご主人様の都合を無視して自分達の都合を優先したり、自分達の機嫌が悪くなったらご主人様に奢らせたり機嫌を取らせたりして、貴方達はあの御方の事を都合の良い道具か何かと勘違いしてませんか?」

 

「ッ?!白上はレイくんの事をそんな風に思った事なんて一度もないよ!レイくんは白上にとって掛替えのない大切な人だよ!!」

 

「なら何故あの方を縛り付けるような事ばかりするのですか?確かに自分達を見てほしい気持ちはわかります。ですが、そのせいでご主人様は自由な時間を過ごす事が出来ないでいるんですよ」

 

……みしろちゃんの言葉が白上の心に突き刺さってくる。思えば白上は今までレイくんに対して沢山の事をしてもらったけど、白上からレイくんに何かをしてあげた事は殆ど無い。寧ろ迷惑ばかり掛けていたような気もする。

 

「だからみしろはこの大会で優勝してご主人様を、佐々木玲二様を正式にのりプロへと移籍させます。そしてこのみしろ、ご主人様に生涯尽くし、望むのであればどんな命令も受けるつもりです。ご主人様の幸せは、みしろの幸せでもありますから」

 

みしろちゃんの覚悟は本物だ。レイくんの幸せの為なら献身的に尽くし、何処までも付いて行くつもりだ。だけど……

 

「……だからと言って白上だって負ける訳にはいかないよ。白上は皆と約束したんだ、皆で元のホロライブに戻そうって!」

 

「そうですか……これ以上は何を言っても無駄みたいですね。ならさっさと始めましょうか」

 

みしろちゃんはこれ以上は言う事は無いと言わんばかりにガンプラをセッティングしヘッドギアを装着していく。白上もそのまま準備を終えモニターを起動させていく。絶対に負けないよ、みしろちゃん!

 

❬両者準備が整いました!それでは三回戦第一試合!リンクスタート!!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア―

 

……此処がサイバーエリア。まるで○ックマンエ○ゼの電脳空間みたいだ。このエリア内では重力設定は地上エリアと変わらないけど宇宙空間でのみ使えた武装等も使えるようになっている。白上は今回はフォクシードガンダムの状態でスタートさせているけど、みしろちゃんの機体は辺りを見回しても見つからない。一体何処に……

 

「みしろの機体は一体何処に?そう思ってますか?」

 

「ッ?!後ろ……ッ!?」

 

突然レーダーに背後から敵機の反応があり慌てて後退しながら振り向くと目の前ギリギリでビームサーベルが振り下ろされた。危なッ!?

 

「流石にそう易々と当たってくれませんか」

 

そう言うとみしろちゃんの機体は高く飛び上がり上に浮かぶパネルに着地する。あの機体……AGE-1スパローの改造機だ!

 

「これまでのフブキさんの戦いを見て一筋縄ではいかないと判断しました。ですので此処からはみしろのメイン機体『ガンダム氷牙』がお相手します」

 

『ガンダム氷牙』

ガンダムAGE-1スパローを改造したみしろのメイン機体。不必要な装甲を無くし塗装も最低限だけ施した事により高い機動性とスピードを確保する事に成功したが、その分HPと防御力が著しく低くなってる為、絶対に被弾しない事を前提にした機体となっている。

 

HP:520

ATK:270

DEF:50

SPD:480

MOB:500

 

「それでは参りますわ。簡単にはやられないようにして下さいまし」

 

そう言うと氷牙は再びその場から姿を消し……たと思ったらいきなり目の前に出てきた?!白上は何とかビームサーベルで防ぐけど氷牙はまた消えては現れ攻撃するの繰り返しをしてきて反撃する隙が無い!

 

❬は、速い!?みしろさんの氷牙のスピードが今までのどのガンプラよりも速いです!❭

 

❬恐らく限界ギリギリまで装甲を薄くして軽量化してブースターでスピードを特化させているんだろう。だがこれだけのスピードを出すようにしたら本体の耐久値はかなり低くなってしまう筈だ。正に背水の陣の改造という訳だな❭

 

「流石はご主人様、その通りですわ。この氷牙は絶対に被弾しない事を前提にした改造機。フブキさん、貴方の攻撃はみしろには届きません!」

 

これは、かなりマズイ!さっきから何とかビームサーベルで防いではいるけど全然反撃出来ない!

 

「貴方に反撃なんてさせません。貴方達ホロメンからご主人様を解放する為にも、みしろは絶対に勝ってみせます!」

 

「……確かにみしろちゃんの言う通りだよ。白上達は今までレイくんに対して沢山迷惑を掛けてきちゃった。でも、だからと言って白上は負ける訳にはいかない!白上は絶対に勝って、レイくんに白上の……皆の想いを伝えるんだ!」

 

―PURGE―

 

白上はセレクト画面でパージを選びフォクシードのアーマーを解除し白夜ガンダムへと戻っていく。

 

「なッ?!あ、アーマーをパージしたですって……?!」

 

パージした事によってフォクシードのアーマーが氷牙の動きを止めてくれた。みしろちゃんも同様している今のうちにあのアーマーを呼び出す!行くよ、ぺこら!

 

「バディチェンジ!ドッキング、ゴー!!」

 

白上の声と共に後方から新しいアーマーが飛来し白夜ガンダムへと装着されていく。ぺこらをイメージした新しい姿『ラビットラッパーガンダム』の完成だよ!

 

 

『ラビットラッパーガンダム』

フブキがぺこらをイメージして作ったアーマー。他のアーマーに比べてメインの武器はビーム・ガンのみだが、このアーマーにはある隠された機能がある。

 

「しまった!アーマーチェンジを許してしまいました!?」

 

❬これは凄い!フブキさんがみしろさんの隙をついて新たなアーマーにチェンジしました!❭

 

❬ああ、だが見た感じだとあのアーマー武器がビーム・ガンしか持っていない。あれでどうやって……?❭(あの姿からモチーフはぺこらか……だとしたらあのアーマーの能力は!)

 

皆が驚いてる中悪いけど、白上は早速“準備”をする為にラビットラッパーでエリア内を駆け出していく。

 

「……新しいアーマーになったと思ったら今度は逃亡ですか?何を考えているかは分かりませんが、逃がしはしませんよ!」

 

予想通り氷牙がラビットラッパーを追いかけながら攻撃してきたけど、ラビットラッパーはスピードが上がったお陰でその攻撃を交わしながらエリア内をあちこち逃げ回っていく。

 

そして五分後、ある程度エリア内を回った後ラビットラッパーは中心部で動きを止めた。これで準備は整ったよ!

 

「漸く観念しましたか。では……これで終わりです!」

 

氷牙がビームサーベルを構えラビットラッパーに向かって突進してくる。端から見たら絶体絶命のピンチ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―カチッ―

 

「え……―チュドオォンッ!!―キャアッ?!」

 

だけどそうはいかない!氷牙がラビットラッパーに辿り着く前に突然足元が爆発しそのまま吹き飛ばされていく。更に

 

―ドンッ……ドゴオォンッ!!―

 

「ひゃわぁッ?!」

 

壁にぶつかったと思いきや爆発が起こり再び氷牙が爆風に呑まれていった。作戦大成功!

 

❬ど、どういう事でしょうか?!みしろさんの氷牙が何もない所で爆発を起こし吹き飛ばされてしまいました!これは一体どういう事なんでしょうか佐々木さん?!❭

 

❬やっぱりそうか!あのアーマーはトラップを仕掛ける事に特化したアーマーなんだ!さっきまでフブキがエリア内を逃げ回ってたのはトラップを張り巡らせる為だったんだ!❭

 

その通り!白上はずっと氷牙の攻撃を交わしながらあちこちにトラップを仕掛け氷牙が掛かるのをずっと待ってたんです!そして氷牙のHPと防御力は最低限しか備わってないから、このトラップ連鎖を食らい続ければ……

 

 

 

ガンダム氷牙

HP:0

 

―WINNER 白上フブキ―

 

白上の勝利です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❬三回戦第一試合!勝者、白上フブキさんです!!❭

 

よっしゃあぁーッ!これで四回戦進出!希望が徐々に見えてきたよ!

 

「……流石ですわねフブキさん。まさかあんな戦い方をするなんて」

 

「アハハ……でもこの戦い方は白上だけじゃ出来なかったよ。ホロライブの仲間達が一緒にいたからこそ出来た戦い方だよ」

 

「仲間ですか……ご主人様に固執し過ぎて他の事が見えなくなってしまったみしろでは勝てる訳がない筈ですわ、完敗ですフブキさん」

 

みしろちゃんはそう言うと白上に手を差し伸べてきたから、白上はそれに応えるようにみしろちゃんの手を握り握手をする。

 

「みしろに勝ったのですから、絶対に優勝して下さいまし。そして必ず、ご主人様を守って下さいね」

 

「うん、ありがとうみしろちゃん!必ず白上は優勝してみせるよ!」

 

❬それでは!互いに熱いバトルを見せてくれたお二人に盛大な拍手を!❭

 

みしろちゃんとの握手を終え、周りのスタッフから声援と拍手が送られる中白上は待機場へと移動していった。

 

 

続いてはおかゆとロボ子さんの対決。一体、どんな戦いになるんだろうか……?



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第二十六話『ボクは君を許さない』

みしろちゃんの氷牙を倒し四回戦進出が決まった白上。続いてはおかゆとロボ子さんのホロライブ対決、そしてこの試合でどっちか勝った方が次の白上の相手になるんだ。

 

けど……今のおかゆは明らかに普通じゃない。だからお願いロボ子さん、おかゆを止めてあげて!

 

❬それでは第二試合目、猫又おかゆさんVSロボ子さんの試合を始めます!両者ステージへどうぞ!❭

 

Aちゃんのアナウンスと共に二人は自分のガンプラを受け取りステージに上がっていく。お互いガンプラをセッティングし準備を進める中ロボ子さんがおかゆに向かって口を開いた。

 

「……ねぇおかゆ。おかゆは今でもマスターを独り占めしたいと思ってるの?」

 

「そうだよ。あやめやフブキちゃんはまた前のホロライブを取り戻したいって言ってたけど、結局それってまた同じ事の繰り返しになるだけでしょ?また仲良しごっこをしつつ裏でレイくんの取り合いをして、そんなの二度手間じゃん?だったらそんな事しないでこの大会で僕が優勝してレイくんをずっと僕の傍にいさせるんだ」

 

おかゆはロボ子さんに対して鼻で笑って答える。仲良しごっこって……おかゆ今までそんな風な事一度も言った事なかったのに……

 

「仲良しごっこ……?皆と過ごしてきた楽しかったあの頃の事をおかゆはそんな風に思っていたの?」

 

「そうだよ。僕にとってレイくんが全て、他の事なんて正直どうでも良かったんだ。寧ろ目障りだったし」

 

「……ボクは正直マスターが幸せになってくれれば相手は誰だとしても良かったんだ。マスターの幸せを守るのがボクの使命だから……けど今のおかゆの言葉を聞いて確信したよ。ボクは君を絶対に許さない。君だけは絶対にマスターの傍にはいかせない!」

 

「別に許される必要なんてないよ。僕は誰だろうと目の前に立ちはだかるなら容赦無く倒すだけだよ」

 

片や愛する人を独占したい想い。片や大切な人の幸せを願う想い。それぞれの負けられない想いがバチバチとぶつかり合っている。この勝負、かなり荒れるかもしれないね。

 

❬それでは参ります!三回戦第二試合、リンクスタート!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア ロボ子視点―

 

ゲームが始まってエリア画面が表示されると目の前には既におかゆのディストピアアルスが不気味に浮かんでいた。

 

今まで葵ちゃんやあやめるのガンプラを撃墜してきた恐ろしい機体。だけどボクは絶対にその機体を落とすよ!この『ガンダムフルメタルヘビーアームズ』と一緒に!

 

 

『ガンダムフルメタルヘビーアームズ』

ガンダムヘビーアームズをロボ子が高火力と重装甲に仕上げた機体。システムウェポンセットやコトブキヤから出ているウェポンユニット等の重火器を大量に装備し、更に塗装も何重にも重ねる事で脅威の攻撃力と防御力を得る事に成功した。欠点となるスピードや機動性は30mmシリーズのアルト(陸戦仕様)に付いているキャタピラを足に装着する事で補っている。

 

ガンダムフルメタルヘビーアームズ

HP:1240

ATK:560

DEF:580

SPD:80

MOB:80

 

「……随分物騒な装備ばかりだね。よっぽど僕の事を排除さたいようだね?」

 

「そうだよ。ボクはマスターを守る為に今までずっと一緒にいたんだ。マスターの事を傷つける奴がいたら、ボクは絶対に許さない。だから今のおかゆの事も許す訳にはいかない!」

 

だからマスターを守る為ならボクは、今こそ冷徹な機械に戻ろう。

 

そしてボクは自分の中のプログラムを変えていく。ボクの中にある人間味のある部分を一時的に排除し、全ての記録媒体をGVWの戦闘用データに反映。同時に目の前にいるディストピアアルスのデータの解析を開始。僅か0.02秒でこれらの処理を全て終える。

 

「………システムオールクリア。撃墜対象、猫又おかゆとその機体『ディストピアアルス』を確認。これより戦闘を開始する。」

 

「……へぇ、本当に只のロボットになったみたいだね。でも、そんなんじゃ僕には勝てないよ」

 

猫又おかゆはそう言うとディストピアアルスのビームカノンを“ワタシ”のFヘビーアームズに向かって撃ってきた。でも想定済み、ワタシはそれを避ける事無く敢えて受ける。

 

―バシュウッ!!―

 

ガンダムフルメタルヘビーアームズ

HP:1240→1215

 

「な……ッ?!」

 

❬おかゆさんのディストピアアルスの攻撃がロボ子さんのFヘビーアームズに直撃!しかし殆どダメージが入ってません!?❭

 

❬これは、一回戦でおめがレイがやったのと同じ重塗装だ!それも機動性が保てるギリギリまで塗り重ねた物だ!並みの攻撃では傷を付けるのも一苦労だろうな❭

 

被弾した処でダメージは25程度、なら避けずにそのまま受けた方が次の行動が取りやすくなる。ワタシはそのまま両腕に装着されたガトリング砲をディストピアアルスに狙いを定めて攻撃を開始する。

 

「グッ……!?」

 

❬ロボ子さんのFヘビーアームズのガトリング砲の雨がおかゆさんのディストピアアルスに容赦無く降り注ぐ!これはかなりのダメージだぁ!!❭

 

「や、やるね……なら一端待避を……」

 

猫又おかゆはそう言って障害物の陰に隠れていく。しかし、それは意味をなさない。ワタシはFヘビーアームズの両肩のミサイルポッドを開き全弾発射させる。このミサイルはホーミング式なので障害物を避けてターゲットに目掛けて飛んでいく。

 

「クッ……悪いけどやらせないよ!?」

 

猫又おかゆは危険を察知した様子で直ぐにその場から離れビームカノンでミサイルを撃墜していく。なら他の攻撃を……

 

 

 

―ERROR ERROR ERROR―

 

 

 

……何者かが不正アクセスで侵入。こちらのデータに介入しようとしている。恐らく富士葵と百鬼あやめの試合にも不正アクセスした者と同一。これより対処に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃、会場裏 GVWサーバー―

 

「ブフフ、おかゆちゃん苦戦してるみたいだからそろそろ助けてあげないとねぇ♪ロボ子ちゃんには悪いけど、大会が終わった後じっくり可愛がってあげるからね、ブフフフフ♪」

 

おかゆのピンチをモニターで見ていた只野は自分のパソコンをサーバーに接続し何やらプログラムを打ち込もうとする。

 

「ブフフ~、この『豚でも分かる簡単ウィルスプログラム』を使ってロボ子ちゃんのガンプラを一時的に機能不全にしてやれば、たちまちおかゆちゃんの圧倒的有利になる!それじゃあ早速、ポチっとな ♪」

 

只野がウィルスプログラムを打ち込もうとした、その時……

 

 

 

 

―バチッ……―

 

「……ブフ?なんだ今の―バリバリバリバリビリビリビリビリビビビビビビビビィッ!!!―おぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼあぁーーーーーッ?!!」

 

突然只野のパソコンから電流が流れ只野は感電してしまった。そして電流が止むとパソコンは画面が割れ煙が立ち使い物にならなくなってしまった。

 

「おい、なんだ今の音は?!」

 

「サーバーの方から聞こえたぞ?!」

 

「ブフッ?!や、ヤバい!早く此処から逃げないとぉ!!」

 

只野は真っ黒焦げになりながらも壊れたパソコンをその場に捨て慌てて逃げ去っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻ってバトルエリア―

 

(……何時もならもうそろそろ只野が妨害してくれる筈なのに、ロボ子さんの機体にはなんも変化が無い!あいつ、何してるんだ一体!?)

 

……猫又おかゆから焦りを感知、どうやらワタシのFヘビーアームズに何の変化もない事に苛立ちを感じている様子。妨害がなければワタシが猫又おかゆに負ける可能性、2%。

 

「猫又おかゆ、貴方がワタシに勝てる可能性はほぼ無い。大人しく負けを認める事を推奨する」

 

先程からFヘビーアームズの攻撃を避けつつも何度も被弾し続けたディストピアアルスのアーマーは既に限界を迎えていた。これ以上の戦闘は無意味……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんだよ、どいつもこいつも………僕とレイくんの邪魔しやがって……調子に、乗るなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!!」

 

ッ?!猫又おかゆから計測値を上回る怒りを感知、それと同時にディストピアアルスから膨大なエネルギーを感知。こ、これは……ッ?!

 

「漸く、漸くレイくんを僕のモノに出来る処まで来たんだ……お前みたいなガラクタに負けてたまるかぁーーーーーッ!!!」

 

猫又おかゆが叫ぶと後方より複数の熱源を感知。検索結果……コアガンダム用アーマー?!

 

「コアチェンジ!ディストピアtoナイトメア!」

 

―CHANGE.Dystopia→Nightmare―

 

ディストピアアルスからアーマーがパージされ新たなアーマーが装着されていく。見た目はディストピアのカラーを青から紫と白のツートーンにした以外は全く同じ……しかし、その禍々しい程のオーラはディストピアの比ではなかった。

 

 

『ナイトメアアルス』

おかゆが製作していたアルスの改造アーマー。見た目はディストピアの色違いだが、この機体には恐ろしい機能が備わっている。

 

ナイトメアアルス

HP:???

ATK:???

DEF:???

SPD:???

MOB:???

 

「……確かに予想外ではあった。けどアルスがコアガンダム系統という時点ではあり得た事、対処ならいくらでも出来る」

 

「へぇ、そうかい……ならやれるものならやってみなよ!」

 

―ヴォンッ……―

 

?!消えた!?一体何処に―ヴォンッ!―な……ッ?!

 

「まずは右腕……」

 

―ズバアァッ!―

 

いきなりナイトメアアルスがFヘビーアームズの前に現れ右腕を斬り落としてまた消えた!?い、一体何が……?!

 

「お次は足……」

 

今度は背後に現れ対処に移ろうとするが、その前に足を斬り落とされその場に崩れてしまった。

 

❬ど、どういう事でしょうか?!おかゆさんのナイトメアアルスが消えては現れるの繰り返しをしています!?さ、佐々木さんこれは一体何なのでしょうか?!❭

 

❬わ、分からない……こんな動きをするガンダムなんて初めて見たぞ!?ハイパージャマーのようなステルス機能か?!❭

 

ステルス機能……マスターはそう言っているが違う!これはそんな次元じゃない!こうしている間にも猫又おかゆはナイトメアアルスを駆使しワタシのFヘビーアームズを斬り裂き、武装を撃ち抜いてくる。この力は一体……?!

 

「ふふ、レイくん驚いてくれてるね♪その顔を見れただけでもこのアーマーを作った甲斐があるなぁ♪」

 

「……おかゆ、答えて。その力は一体なんなの?“ボク”は今まで色んなガンダム作品を見てきたけど、そんな力を持った機体なんてなかったよ?!」

 

既にFヘビーアームズの手足は斬り落とされてしまい武装も失った“ボク”は戦う術が無くなり元に戻ってしまった。それにしてもおかゆのナイトメアアルスの力って……?!

 

「あぁこれ?本当は教える義理なんて無いけど、特別に教えてあげるよ。これはね、ワープダイヴっていう所謂瞬間移動だよ」

 

瞬間移動?!そんな事って……

 

「この力は偶々偶然手に入れた力だけどね。でもこれは実際のガンダムの戦争じゃなくてGVWでの戦いなんだからこんなスキルがあってもおかしくないでしょ?そんな事より……」

 

ナイトメアアルスがFヘビーアームズに近づくと、そのまま足でFヘビーアームズの胴体を何度も踏みつけてきた。

 

「ねぇ今どんな気持ち?マスターを守るとか僕を許さないとか言ってた癖に文字通り手も足も出ない今のこの状況でどんな気持ち?」

 

ガシッ!ガシッ!と何度も踏みつけてくるナイトメアアルス……もうFヘビーアームズには対抗するだけの力は無いのに、酷い……

 

「覚えておきなよガラクタ。レイくんが幸せになるなら相手が自分じゃなくても良いなんて言ってる奴にそもそも彼と一緒にいる資格なんて無いんだよ」

 

ナイトメアアルスはボロボロになったFヘビーアームズを蹴り飛ばすとそのままビームカノン砲をこっちに向けてきた。

 

「お前なんかにレイくんの傍にいる資格はない」

 

―ドキュウゥンッ!!―

 

ガンダムフルメタルヘビーアームズ

HP:0

 

―WINNER 猫又おかゆ―

 

最後にコックピットを撃ち抜かれてボクの敗北が決まってしまった。ごめんなさい、マスター……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―猫又おかゆ視点―

 

試合が終わり休憩タイムに入り僕は自販機でお茶を買って飲んでいた。その近くでスタッフ達が何やら慌てていたから立ち聞きしていると……

 

「何ッ?!誰かがサーバーに不正アクセスしようとしていただと?!」

 

「は、はい。サーバーの近くに壊れたパソコンがありました。どうやらアクセス中に壊れそのまま逃げ出したようです」

 

「まだこの近くにいるかもしれない!皆手分けして怪しい奴がいたら捕まえろ!」

 

……只野の奴、やっぱりドジ踏んだか。最後まで使えない奴だったな……まあいいや、本当ならナイトメアは決勝まで隠しておきたかったけど、この先は遠慮無く使っていく。次の相手はフブキ……僕にとって一番許せない女、必ず僕の前に跪かしてみせる!!

 

 

 

おかゆの隠された力、ナイトメアアルス。この容赦無い残虐な力が、後にフブキを襲う!果たしてフブキはおかゆを止める事が出来るのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おまけ―

 

「はぁ、はぁ、はぁ……こ、此処まで逃げれば大丈夫だろ」

 

妨害が失敗した只野は逃走し続け街中へと逃げ込んでいた。先程おかゆに電話をしたら『もうお前は用済みだ』と言われ切られ、もう一度掛けようとするも着信拒否されてしまい、行き場を失ってしまったのである。

 

「くそうッ!本当ならホロメン全員手に入れる筈だったのに……!こうなったら不正していた事を使っておかゆちゃんを脅して俺だけの奴隷に……」

 

「Hey!ソウは問屋が卸しまセーン!」

 

「へ…………ッ?!な、何で君が此処に?!」

 

邪な考えをする只野の前に一人の女性が立ち塞がっていた。果たして、この女性の正体は一体………?



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第二十七話『雛よ飛び立て』

激烈な戦いの末におかゆの勝利で終わった第二試合。その後の小休憩で白上はミオと一緒にロボ子さんのいる楽屋にやって来ていた。どうやら慣れない脳内回路を使ったせいで動けなくなってしまってるみたい。

 

「……それにしてもおかゆ、本当にどうしちゃったんだろう?前まではあんな酷い事なんてしなかったのに……」

 

「うん……まるで今までの不満が一気に爆発しちゃったみたい」

 

「……強ち間、違い、じゃな、いかもね。元々独、占欲が強、かったおか、ゆだけ、ど、今ま、では優、しさ、で抑え、ていたみた、いだけど……」

 

「ロボ子さん無理して喋らなくても良いよ!これ以上無理すると壊れちゃうよ?!」

 

いつもロボ子さんのメンテナンスをしてくれているスタッフさんによるとロボ子さんはこの後最低でも二日間は修理メンテナンスを行わなければならなく、今でもまともに喋れない状態だ。

 

「ごめ、ん……でもこ、れだけは言、わせ、て。バトル、中、に誰か、が不正ア、クセスし、ようと、していた、んだ……」

 

「ッ?!不正アクセスってそれって……!?」

 

「多分、葵ちゃ、んやあや、め るの時、にも妨、害し、てきたの、もそい、つだと思、う……」

 

「それっておかゆが不正して勝ってたって事じゃん!?だったらそれを大会の運営サイドに連絡すれば……!」

 

「多、分無理、だと思、う……お、かゆ、がその不、正アク、セ、スに関与し、たという証、拠が、無い、から、おかゆ本、人が不、正した、とい、う証拠が無、い限り、おか、ゆを失、格には出、来ない……」

 

そんな……やっぱり葵ちゃんやあやめのあの不備はおかゆか、その協力者による妨害だったんだ……でも仮にそうだとしてもおかゆ自身が関与していたかなんて分からない以上おかゆを責める事が出来ない……やっぱり直接戦って勝つしか方法はないのかな?

 

「……フブキ、ちゃん、お願い、おかゆに、勝って……それ、が出来、るのは、フブ、キちゃん、だけ、だから……」

 

―ガクンッ!―

 

「ロボ子さん……?ロボ子さんどうしたの?!しっかりして下さい!」

 

「落ち着いて下さい!ロボ子さんはただエネルギーが切れただけです。これからメンテナンスを行いますので後は我々に任せて皆さんは試合会場に戻って下さい」

 

な、なんだびっくりしちゃった……取り敢えず此処はスタッフさん達に任せて白上達は会場に戻ろう。今頃団長がシロちゃんと戦ってる筈だから応援しないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア ノエル視点―

 

バトルが始まって直ぐにシロさんのホワイトディマイスが団長の『白銀ガンダムM』に向かってビーム攻撃を放ってきたけど、この白銀ガンダムMにはそんなビーム攻撃なんて一切通じんよ!

 

 

『白銀ガンダムM』

ガンダムバルバトスプスレクスをノエルが攻撃と防御に特化させて改造した機体。武器は超巨大メイスを改造した『グランド・インパクトメイス』一つのみだが破壊力は凄まじく、装甲も元々のビーム兵器を反射するナノラミネートアーマーに更にメタリックカラーを噴いた事により圧倒的な防御力を誇っている。因みに名前のMはマッスルのMである。

 

白銀ガンダムM

HP:1330

ATK:650

DEF:550

SPD:100

MOB:115

 

「へぇー、ノエルちゃんのガンダムはオルフェンズ系統なんだね?それだとシロのディマイスだとちょっと不利かなぁ?だったら……」

 

シロさんがそう言うとディマイスの胴体が開き中から一機のガンダムが飛び出てきた!あれがミオ先輩を倒したっていうホワイトルインガンダムって事だね!

 

「アハハ♪それじゃあノエルちゃん覚悟しててね♪」

 

ホワイトルインが白銀Mの周りを物凄いスピードで縦横無尽に駆け回って翻弄しようとしちょるな。確かに速いけど、それなら動きを止めれば良い事でしょ!団長は白銀Mのインパクトメイスを思いっきり地面に向かって振って叩きつけると辺り一面に衝撃波が飛んでホワイトルインにも衝撃が届き動きを抑え込んだ。

 

「ひゃわぁッ?!」

 

❬こ、これは凄い!ノエルさん一本の巨大メイスの衝撃波だけでシロさんのホワイトルインを抑え込んだ!❭

 

❬メイス一本しか武器は無いが、その分威力が集中するよう改造しているみたいだ。にしても衝撃波だけであの威力かよ……❭

 

ふふ、玲二君驚いとるな♪さて、シロさんも衝撃波のせいで動けんようだし、一気に勝負着けちゃる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ガシッ!―

 

「……………え?」

 

な、何か急に掴まれたように動けん……………ッ?!し、白銀Mの両腕がいつの間にかホワイトディマイスに掴まれちょる?!

 

「はぁーびっくりしたぁ……だけどノエルちゃん油断し過ぎだよ?」

 

❬な、なんという事でしょうか?!脱け殻となった筈のホワイトディマイスが、白銀Mの両腕を抑え込んでいる!佐々木さん、これはありなんでしょうか!?❭

 

❬ルール上は特に問題は無いが、別装甲の遠隔操作はかなりの集中力を要求される。オートならともかく手動の場合ただ動かすだけでもかなり集中しなきゃ出来ない芸当だ。その証拠によく見たらシロの顔が少し汗ばんでいるだろ?❭

 

玲二君の解説を聞いて団長はシロさんの方を見ると確かに顔が汗ばんでいる。それでもオート遠隔じゃなくて手動でディマイスを操作するなんて……!

 

「ふふ、オート遠隔だとノエルちゃんのガンダムを上手く抑えられないと思って手動にしたけど、これ結構キツイね」

 

「クッ……この!」

 

「無駄だよ。今ディマイスは最大出力でノエルちゃんのガンダムを抑え込んでるから、幾ら振りほどこうとしても逃げれないよ。それじゃあ……」

 

するとホワイトディマイスが白銀Mの両腕をそれぞれ機体の外側に引っ張ってくる。ま、まさかこれって……!?

 

―ミシミシミシッ……バキッ!ブチィッ!―

 

❬な、なんという事でしょうか!ホワイトディマイスが白銀Mの両腕を引きちぎったぁ!❭

 

「アハハ♪もうこれじゃあ何も出来ないね?どうする?まだシロと戦う?」

 

「うぅ……参りました、降参です」

 

―WINNER シロ―

 

白銀Mの両腕を引きちぎられ、なす術が無くなった団長はもう降参するしか出来んかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―待機場 フブキ視点―

 

団長とシロちゃんの対決が終わりシロちゃんが待機場へと戻ってきた。手動遠隔操作のせいかまだ若干ふらついているみたい……にしても手動遠隔なんて、白上もアーマーユニットを使ってるけどそんな事出来ないのに、やっぱりシロちゃんは凄い……

 

(次はラミィちゃんとヒナちゃんの勝負……本当なら同じホロメンのラミィちゃんを応援するべきだけど……)

 

ラミィちゃんもレイくんに固執し過ぎて白上達の話を聞いてくれなかった。今のラミィちゃんも下手すればおかゆみたいになってしまうかもしれない程危うい状態なんだよね……

 

(……かと言って恋敵のヒナちゃんを応援するのも変だし、ってかヒナちゃんがもし優勝しちゃったらレイくんが田中工務店に行っちゃうし……あアァーーーッ!白上はどっちを応援すれば良いんだぁーーーッ?!)

 

……なんて白上の考えを他所に既に第四試合が始まるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア ラミィ視点―

 

第四試合が始まってラミィはヒナさんの『ガンダムアストレイヒナフレーム姫雛鳥』と対峙してます。残されたホロメンはラミィを含めて五人……おかゆ先輩を除けば誰が勝っても玲二さんはホロライブに残ってくれると思うけど、それでもラミィは玲二さんと一つになりたい!だからラミィは絶対に優勝します、この『フリージングエクシアⅡ』と一緒に!

 

 

『フリージングエクシアⅡ』

以前ラミィが作ったフリージングガンダムエクシアを改修した機体。同じ1/100シリーズのダブルオーのパーツを一部流用しGNドライブを三つに増設した事でより強力なネオトランザムが可能になった。

 

フリージングエクシアⅡ

HP:1330

ATK:260

DEF:250

SPD:270

MOB:285

 

 

『ガンダムアストレイヒナフレーム姫雛鳥』

ガンダムアストレイゴールドフレーム天ミナをヒナが改造した機体。黒の部分を黄色に、金色の部分を青色に変更しただけだが元々の機体性能の高さとヒナの意外な操作技術も相まって強力な機体となっている。

 

ガンダムアストレイヒナフレーム姫雛鳥

HP:1650

ATK:290

DEF:265

SPD:270

MOB:300

 

「むっふっふ~♪それじゃあラミィちゃん、全力でいかせてもらうね!」

 

「望む処です!この試合に勝って、そのまま優勝まで突っ切ります!」

 

まずは先手必勝!ラミィはエクシアⅡを加速させ一気に姫雛鳥と距離を詰めてGNソードを振りかざす。しかし、ヒナさんは姫雛鳥の右腕の攻防盾トリケロス改によって防がれ、そのまま左手の鉤爪型武装ツムハノタチでボディを斬りつけられてしまった。

 

フリージングエクシアⅡ

HP:1330→1210

 

「ひゃうッ?!」

 

「やったー!カウンター成功だよー!よぉし、次はこっちの番だよぉ!」

 

今度は姫雛鳥が細身の剣トツカノツルギを取り出してエクシアⅡの右腕を狙ってきた、けどそんなのは通さない!ラミィは腰のGNロングブレイドを取り出してトツカノツルギを防いで逆に足の裏に忍ばせた隠しビームサーベルを使って姫雛鳥にダメージを与えていく!

 

ガンダムアストレイヒナフレーム姫雛鳥

HP:1650→1480

 

「あ痛ぁッ!?そんな所にビームサーベル隠してたの?!」

 

「ラミィのフリージングエクシアⅡに死角はないんよ!そしてこれがラミィのとっておき!ネオトランザム!!」

 

―Neo TRANS-AM―

 

ラミィがスキル画面でトランザムを選択するとエクシアⅡは赤く輝き高速で姫雛鳥へと突っ込んでいく!

 

「トランザム!やっぱりOOの代名詞って言ったらこれだよね!だけどヒナも負けないよ!」

 

姫雛鳥も紙一重でエクシアⅡを避けつつトリケロス改で攻撃してくるけど、それをなんとか交わしつつGNソードを駆使して戦っていく。

 

―ガキィンッ!キィンッ!ガキィンッ!!―

 

❬激しい攻防のぶつかり合い!これはかなりいい勝負と言えるのではないでしょうか!?❭

 

❬あぁ、ラミィのGNドライヴを三つ使用したトランザムを上手く使いこなせてるのも勿論、ヒナの基本スペックだけにも関わらずトランザムに対抗してる操作技術の高さはかなりの物だ。これは、どっちが勝ってもおかしくはないな❭

 

……確かにヒナさんの操作技術は抜群です。ラミィのネオトランザムに対して全く引けを取らない動きを塗装しただけのガンプラで出来るのは最早尊敬に値する程です………でも!ラミィは絶対負けたくない!ラミィはこの大会で優勝して、玲二さんと結婚するんだから!!

 

 

 

 

 

 

「……フフ♪アハハ♪」

 

「?……何がそんなにおかしいんですか?ラミィの事バカにしてるんか?!」

 

この人、バトル中なのに何そんな余裕そうに笑てんねん?!そんなに自分の操作技術に自信があるん?!

 

「あ、ごめんねそういう事じゃないんだ。ただ……やっぱりガンプラって楽しいなって思って♪」

 

「………………はい?」

 

え、いきなり何を言ってるんですかこの人?ガンプラが楽しい?何を急にそんな事を……

 

「玲二くんに出会ってガンプラを教えてもらってからヒナとヒメの毎日が今まで以上に楽しくなって、自分達でもガンプラを作るようになって、それで今このGVWで自分の作ったガンプラを操縦出来るって考えたらとってもワクワクして楽しくなってきちゃうんだ♪」

 

「な、何ですかそれ……あなたこの大会が一体どういったものか分かってるんですか?!この大会は玲二さんの隣に立つに相応しい相手を決めるものですよ!あなたは玲二さんの事、欲しくないんですか?!」

 

「確かに玲二くんは欲しいよ。出来れば田中工務店に来てヒメヒナをずっと支えてほしいと思ってるよ……でも、それを決めるのは玲二くん本人でしょ?」

 

「ッ?!」

 

この人、本気で言ってるの……?自分達の元に来てもらうかは玲二さんに決めてもらう?優勝すれば玲二さんになんだってお願いを聞いてもらえるのにどうして……?

 

「玲二くんは優しいから多分ずっと一緒にいてって言えばいてくれるかもしれない。けどそれって玲二くんの気持ちを無視してるから絶対長くなんて続かない。だからヒナは優勝したらこう言うんだ……『いつかヒメと一緒に玲二くんに相応しい娘になるその日まで待ってくれますか?』って」

 

「ッ?!そ、そんな……」

 

玲二さんの気持ち……そう言えばラミィって玲二さんと結婚して幸せな家庭を持ちたいってずっと思ってたけど、玲二さんにとってラミィはどう思われてるんだろう?もしかしたらラミィの一方的な想いでしかなかったのかもしれない……それに対してヒナさんの想い、玲二さんの気持ちを考えて、その上で自分の力で振り向かせようと努力している。

 

ラミィ、今までそんな事してたかな……ただ玲二さんの事を運命の人だって言って婚姻届を用意して、それでその後の結婚生活を夢見てただけで玲二さんに振り向いてもらえる努力って殆どしてなかったかもしれない……それでも……

 

「……それでもラミィは!今のラミィにはこの大会で勝つしか玲二さんと一緒になれないから!だから、絶対に負けられないんよ!!」

 

ラミィはエクシアⅡの出力を最大にして姫雛鳥へと突っ込んでいく!この一撃で確実に仕留める為に!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ギギギッ……ボンッ!!―

 

「え………ッ?!」

 

姫雛鳥の目前でエクシアⅡから爆発音が聞こえたと思ったらそのまま墜落し始めた。え?一体何が……?!

 

❬おぉっとラミィさんのフリージングエクシアⅡの背中部分が急に爆発したぁ?!一体何が起きたんでしょうか?!❭

 

❬恐らくトランザムの無理な長時間使用でGNドライヴに負荷が掛かりすぎたんだ!それで耐えきれなくなって爆発を起こして浮遊してられなくなったんだ!❭

 

そ、そんな……!?色んな事で頭がいっぱいになってたせいでネオトランザムの負荷の事すっかり忘れてしまってた……ネオトランザムも切れてエクシアⅡは殆ど動けなくなって地上に落下していく。

 

「ラミィちゃん!これで終わりだよ!!」

 

「ッ?!」

 

いつの間にか姫雛鳥がエクシアⅡの前まで来てトツカノツルギを振りかざしていた。

 

ヤダ……ラミィはまだ、玲二さんと一緒に……

 

―ズバアァッ!!―

 

フリージングエクシアⅡ

HP:0

 

―WINNER 鈴木ヒナ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❬決まったぁーーーッ!!激戦の末勝ち抜いたのは、鈴木ヒナさんのガンダムアストレイヒナフレーム姫雛鳥です!❭

 

❬あぁ、お互いに全力を出しきった良いバトルだったな。ラミィもヒナも、よく頑張ったよ❭

 

試合が終わってしまいラミィの大会も此処で終わってしまいました。もうラミィは玲二さんの傍にいられなくなっちゃった……これからラミィは何を糧に生きて行けばいいんだろう?

 

「ラミィちゃんお疲れ様~♪楽しいバトルだったね♪」

 

「あ、ヒナさん……」

 

「正式稼働したらまた一緒にやろう!今度は玲二くんも一緒にね♪」

 

「……負けたラミィにはもう玲二さんと一緒にいる資格なんて……」

 

もうラミィには玲二さんとは一緒にいられない。だからヒナさんの言うような玲二さんと一緒に遊ぶ事も……

 

「……ねぇラミィちゃん。ラミィちゃんは玲二くんがそんな事でラミィちゃん達を見限ると思う?」

 

「……え?」

 

「玲二くんはね、一週間に一度ヒメヒナの撮影の手伝いをしてくれるけどその時いつもホロライブの皆の事話してくれるんだよね、それも凄く楽しそうに。よっぽど皆の事大切に思ってるんだなって感じたよ」

 

玲二さんがラミィ達の事を……

 

「この大会でもしかしたら玲二くんはホロライブのスタッフじゃなく他の事務所に行っちゃうかもしれない。けど、それでも玲二くんが皆の事を見限ったりはしないと思うよ?だから大会が終わってもまた玲二くんと皆でGVWやろうよ、ね?」

 

そうだ、玲二さんは何時だってラミィ達の事を大切にしてくれていた。それなのにラミィは玲二さんがホロライブからいなくなってしまうかもしれない事で焦ってしまって、玲二さんの気持ちなんて考えてなかった……ヒナさんの言葉でラミィの心はなんか救われた気がしてきた。

 

「……ありがとうございますヒナさん。でも、次戦う時は絶対に負けませんからね!」

 

「うん!いつでも相手になってあげるよ!」

 

❬互いに戦い合った相手に健闘を称え握手するお二人!とても素晴らしいです!❭

 

❬あぁ、よく頑張ったよ……(……ありがとうな、ヒナ。ラミィの気持ちを救ってくれて)❭

 

周りのスタッフや関係者から盛大な拍手を受けラミィは自分の控え室に戻っていく。なんだか肩の荷が降りたみたいですっきりしました。でもやっぱりラミィは玲二さんともっと一緒にいたいから……フブキ先輩、そら先輩、スバル先輩、今さら勝手かも知れませんが、後はお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―待機場 フブキ視点―

 

……ヒナちゃん、玲二くんの事本気で想ってたんだね。そしてレイくんも白上達の事をいつも気にかけてくれてたんだ……でもやっぱり白上も皆と一緒にこれからもレイくんといたいから、例えヒナちゃんが相手になったとしても絶対に負けないよ!

 

 

 

三回戦前半が終了し、残るは後半四試合。果たしてそらとスバルは勝ち進む事は出来るのだろうか?

 



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第二十八話『時ノ空に届く種』

三回戦もいよいよ残すは後半の四試合。次はそらちゃんとにじさんじの月ノ美兎ちゃんの対決。

 

本当はスバルと美兎ちゃんと同じにじさんじの本間ひまわりちゃんの試合が先だったんだけど、ひまちゃんが急な用事が入った為に試合の順番が逆になってしまったみたい。

 

まあそれは良いとして、いよいよそらちゃんの戦いが見れる!そらちゃんは確かフリーダムとストライクフリーダムのミキシング機体『スカイフリーダムガンダム』に新しく追加武装を加えた機体だった筈。どんな試合になるか楽しみだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場 そら視点―

 

❬さあ、続きまして第五試合!本来なら大空スバルさんと本間ひまわりさんの対決だったのですが諸事情により先にときのそらさんVS月ノ美兎さんの対決となります!❭

 

❬なお、スバルとひまわりの試合は第八試合へと回る事になったので残りの二試合も繰り上げで行われるので他の選手も時間を間違えないようにしてくれ❭

 

ひまちゃんの諸事情で私と美兎ちゃんの試合が先に行われる事になった。私はガンプラのセッティングを終えてコクピットタイプの操作席に座ろうとすると美兎ちゃんがこっちにやってきた。一体どうしたんだろ?

 

「お久しぶりですそらさん、今日はよろしくお願いしますね♪」

 

「あ、うんよろしくね美兎ちゃん」

 

「えぇ、今日は申し訳ありませんが、ワタクシが勝って玲二さんを頂きますね」

 

……やっぱり美兎ちゃんも玲二君狙いなんだ。でも玲二君にじさんじとはクレアさんと咲ちゃんとアルスちゃん、後は男性陣ぐらいしか関わりがなかった筈だけど……

 

「美兎ちゃんも玲二君が狙いなんだね?」

 

「えぇ、当然です。何せ、あの人がいればワタクシはもっと上を目指せるのですから」

 

?上を目指せるってどういう……

 

「わずか五年の期間でホロライブは世界的に有名なアイドル事務所へと急成長をしましたね。その一番の要因となったのは間違いなく佐々木玲二さんの支えがあったからでしょう。現にヒメヒナのお二人も玲二さんが関わるようになってから急に人気が上がっていき海外の方にも認知されはじめています。つまりは、玲二さんをにじさんじに迎え入れる事によってワタクシは更なる成長を遂げられる筈です!だからその為にワタクシは優勝するんです!」

 

……成る程、美兎ちゃんは玲二君の事を自分がアイドルとして高みを目指す為の人材として欲しいだけなんだね。確かに玲二君がいたから私達は此処までやってこれた。玲二君と一緒なら、何処までも行けると思ってる。けどそれは、玲二君が私達にとって掛替えのない人だから。只のスタッフとしか見ていない人に、玲二君は絶対に渡したくない!

 

「悪いけど美兎ちゃん、玲二君は私達にとって只のスタッフさんじゃない、本当に大切な人なんだ。だから絶対にそんな理由だけで玲二君を渡したりはしない!」

 

「……そうですか。なら力ずくで玲二さんを奪うまでです。覚悟して下さいねそらさん」

 

そう言って美兎ちゃんは自分の操作席へと戻っていった。この勝負、絶対に負けたくない!

 

❬お互いに準備が整った模様です!それでは早速始めましょう!三回戦第五試合、リンクスタート!!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア―

 

ゲームが始まって私は今サイバーエリアの上空を浮遊していた。私の機体、スカイフリーダムガンダムはあずきちの協力があってこそ出来た私にとって最高のガンダム。絶対に負ける気はしないよ!

 

 

『スカイフリーダムガンダム』

フリーダムガンダムとストライクフリーダムガンダムの二機をそらがミキシングした機体。ストフリの遠隔操作兵器スーパードラグーンとフリーダムのプラズマ収束ビーム砲が同時に扱え、更には装甲レベルの向上にも繋がり攻防最強の機体に仕上がっている。

 

スカイフリーダムガンダム

HP:2150

ATK:330

DEF:310

SPD:300

MOB:340

 

……処で美兎ちゃんの機体何処にいるんだろ?さっきから見渡しても見当たらない……あれ?なんか急に薄暗くなったけどどうし…………ってえぇッーーー?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁそらさん、覚悟して下さいね。このワタクシの『ジオニックカイザー』で貴方のガンダムを倒して見せましょう!」

 

と、とんでもなく大きすぎる?!一体何なのこれーーーッ?!

 

 

『ジオニックカイザー』

HGサザビー、シナンジュ、ナイチンゲール、ネオジオングをミキシングした月ノ美兎の巨大機体。スピードと機動性は殆ど失われたが大量の武装と追加で増設した多数のファンネルによって相手を仕留める超攻撃型の機体になっている。

 

ジオニックカイザー

HP:2800

ATK:500

DEF:450

SPD:20

MOB:20

 

❬で、デカイ!?なんという大きさでしょうか?!美兎さんの機体は見た限りジオン系モビルスーツのミキシングでしょうか!?❭

 

❬シャアのサザビーとナイチンゲール、そしてフル・フロンタルのシナンジュとネオジオングを掛け合わせて巨大な機体に仕上げたのか。おめがレイのオメガテイルの時もそうだったが正に動く要塞と言えるな❭

 

どど、どうしよう?!あまりの大きさに何処から攻めたら良いか全くわからない!と、とにかく一度離れてどんな攻撃をしてくるか見ないと!

 

「それじゃあいきますよそらさん、簡単にはやられないで下さいね」

 

美兎ちゃんがそう言うとジオニックカイザーから大量のファンネルとネオジオングアームが発射されてスカイフリーダムの上空に設置されていく。これって……ヤバい!?

 

そう思った瞬間、ファンネルやアームの指先から大量のビーム攻撃が雨の様に降り注いできて、私は慌ててスカイフリーダムで回避行動を繰り返していく。危な過ぎるよこれ!?

 

❬美兎さんのジオニックカイザーのファンネルの猛攻がそらのスカイフリーダムに容赦無く降り注いでいく!これは反撃する隙がありません!!大丈夫かそらぁッ?!❭

 

❬こら、友人だからと言って実況なんだから贔屓はするな。だが確かにこの猛攻、突破するのにも一苦労だし仮に突破出来ても本体の高い装甲を破らない限りそらには勝ち目が薄い。どちらにせよまずはあのファンネルをどうにかしないといけないだろう❭

 

Aちゃんや玲二君が心配してくれてるのはわかったけど、このファンネルの雨どうすればいいのぉッ?!攻撃する為の隙も無いし、今は回避に専念してるけどそれがいつまでも続くわけないし……こうなったら!

 

❬ん?そらが何か行動を起こすみたいだぞ。ジオニックカイザーの下に潜り込もうとしているみたいだ❭

 

❬ファンネルの猛攻を避けつつジオニックカイザーに近づくスカイフリーダム!一体何をするつもりなのか?!❭

 

「何をするつもりかは分かりませんが逃がしはしませんわよ!」

 

ファンネルのビーム攻撃が襲ってくるけど私は構わず避けつつジオニックカイザーの真下へと潜り込み、ブースター等を射撃しつつ避け、そして……

 

「………今だッ!!」

 

―バシュウッ……ドゴォンッ!!―

 

ファンネルの集中砲火が放たれる直前にその場から離れ、その攻撃は全てジオニックカイザーのブースター等に当たっていった。そう、私の狙いはファンネルの攻撃をジオニックカイザーに直接ぶつける事だったんだ!これで美兎ちゃんのジオニックカイザーもダメージを……

 

ジオニックカイザー

HP:2800→2680

 

殆ど減ってない?!なんて頑丈な装甲なの!?

 

「どうやらファンネルでワタクシの自滅を図ろうとしていたみたいですが……それではワタクシのジオニックカイザーは落ちませんよ!」

 

ジオニックカイザーのファンネルが再びスカイフリーダムに襲いかかってきた。このままじゃ負けてしまうかもしれない……本当はもう少し後で使いたかったけど、此処で使うしかないよね!

 

私はファンネルの攻撃を避けながら操作パネルであずきちから貰った“あの武装”を呼び出す。お願い、早く来て!!

 

「クッ、ちょこまかと動き回ってキリがありませんね……なら、これでトドメにして差し上げます!」

 

美兎ちゃんがそう言うとファンネルやネオジオングアームが散開してスカイフリーダムを包囲するように展開されていく。完全に囲んで集中砲火するつもりだ……私の新しい武装はまだ来てないのに、このままじゃ……

 

「それではそらさん、これで終わりに致しましょう!」

 

ファンネルやネオジオングアームからエネルギーが集中されていく。あぁ、もうダメかもしれない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バシュウゥゥゥゥゥゥウンッ!!―

 

―ドガガガガガガガガアッ!!―

 

「な………ッ?!」

 

❬おおっとこれはどういう事でしょうか?!突然スカイフリーダムの後方から強大なビームが放たれファンネルの一部が破壊されました!❭

 

❬この攻撃は……まさか!?❭

 

良かった、間に合ってくれた!私は美兎ちゃんの隙をついてファンネルの包囲を抜けてビームが放たれた方へ飛び其処から飛んできた私の新しい武装『ミーティアウィッシュ』へスカイフリーダムをドッキングさせていく。行こう、あずきち!

 

 

『ミーティアウィッシュ』

そらがアズキから受け取ったフリーダムの追加装備ミーティアを二機使用し一つにしたスカイフリーダム専用のサポートメカ。単純に性能が二倍になったがあまりにも出力が高く並みの機体では使用が不可能な程である。そのためスカイフリーダムでも気を抜いていたら出力に振り回されまともに戦う事が出来ないが、使いこなせれば大会参加機体の中でも最も強い武装とも言える。因みにウィッシュは願い、希望という意味が込められている。

 

❬やっぱりミーティアか!しかも二機を一つに纏めたミキシング仕様だ!❭

 

❬そらはこの武装を待っていたんですね!❭

 

「お、驚きました。まさかミーティアまであるとは……ですが、ワタクシのファンネルやアームはまだあります!そのミーティアごと貴方のフリーダムを落として見せます!」

 

「……美兎ちゃん、悪いけど私にも負けられない理由があるんだよ。この先で待ってる玲二君の為に、このミーティアを託してくれたあずきちの為に、そして何よりホロライブの皆でまた笑い合えるあの日を取り戻す為に!」

 

私は、絶対に負けられない!そう思った瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―パリイィンッ!!―

 

私の中で何かが割れた気がした。

 

私はすぐにミーティアウィッシュの砲台を全て展開し、スカイフリーダムのウイングを広げスーパードラグーンを全て射出、そしてビーム砲と腰のレール砲も展開し画面上に映る全てのファンネルとネオジオングアームに標準を合わせていく。

 

「いっけえぇぇーーーッ!!」

 

―ドゴオォォーーーンッ!!―

 

全ての武装から一斉射撃を行いジオニックカイザーのファンネルとアームを全て撃ち抜いて破壊していった。

 

「なッ?!わ、ワタクシのファンネルが……!?」

 

❬な、なんという事でしょうか!?あれだけあったファンネル達をたった一度の一斉射撃で全て撃破してしまいました!❭

 

❬すげぇな……まるで原作の種割れしたキラ・ヤマトを彷彿とさせるような攻撃だな❭

 

これで確認出来るファンネルとアームは全て破壊した。後は本体のジオニックカイザーだけ!私はミーティアウィッシュの右側のビームソード二本を展開し一気にジオニックカイザーへと詰めよっていく。

 

「ッ!さ、させませんよ!」

 

だけどジオニックカイザーもビームトマホークを展開してミーティアウィッシュのビームソードを抑えていく。

 

「ワタクシがもっと上のアイドルになる為にも、あの人の存在は必要不可欠なんです!だからワタクシは貴方達ホロライブを倒して、あの人を手に入れて……!」

 

「違う!確かに玲二君がいたから私達は此処までやってこれた。けどそれは只のアイドルとスタッフという関係だけじゃなかったから!私達の事を信頼してくれた玲二君だから、玲二君の事を大切に想っていた私達だからこそ今の私達がいるの!!だから、只のスタッフとしか玲二君の事を見ていない美兎ちゃんじゃあ、絶対に私達は負けない!」

 

だから私は私の、私達の想いをこのミーティアウィッシュのビームソードに乗せて、全出力でジオニックカイザーへとぶつけていく!美兎ちゃんもジオニックカイザーのビームトマホークを最大出力でぶつけてきている……だけど!

 

 

 

 

 

―ジジジジ……ズバアァァァンッ!!―

 

「な……?!」

 

「これで……終わりだよ!」

 

ビームトマホークは折れそのままビームソードがジオニックカイザーを真っ二つに切り裂いていった。

 

ジオニックカイザー

HP:2680→0

 

―WINNER ときのそら―

 

この勝負、私の勝ちだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❬決まったあぁーーーッ!!激しい戦いの末勝ち上がったのは、我等ホロライブのリーダーときのそら!いやぁ、素晴らしい勝利でした!❭

 

❬だから実況が私情挟むなって……だが、あの局面でのミーティアとフリーダムの一斉射撃は凄かった、感動しそうになったわ❭

 

試合が終わって私は緊張の糸が切れたのか少し疲れちゃった。思っていた以上にミーティアウィッシュの出力が高過ぎてコントロールするのも大変だったのにあのビームソードの最大出力したせいでコントロールグリップを強く握ってた手もかなり痺れて痛い……

 

「……参りましたそらさん、ワタクシの完全敗北です」

 

「美兎ちゃん……ううん、美兎ちゃんのジオニックカイザーも凄かったよ。気を抜いていたら負けてたのは私かもしれなかったもん」

 

「いえ、そんな事はありません。それにワタクシ、玲二さんと貴方達ホロライブの絆の強さを甘く見ていました。笹木さん達から聞いた話だけで玲二さんの事を分かっていた気になっていたワタクシが恥ずかしいですね……そんなワタクシが最初から勝てるワケ無かったんですよ」

 

美兎ちゃんはそう言うとジオニックカイザーを回収してステージからそのまま立ち去ろうとしていた。美兎ちゃん………うん!

 

「美兎ちゃん!もし私やフブキちゃん達が優勝したら、大会が終わった後で一緒に対談コラボしよ!玲二君も一緒に!」

 

「え……?」

 

「美兎ちゃん玲二君の事あまり知らないって言うなら一緒にお喋りして親睦を深めようよ♪きっと玲二君も楽しんでくれると思うよ♪」

 

そうだ、美兎ちゃんも玲二君の事を知って貰えたら美兎ちゃんの言う上のアイドルにいく為の切っ掛けが出来るかもしれない。同じアイドルとして、その切っ掛け作りが出来れば良いな♪

 

「そらさん……ありがとうございます。その時を楽しみに待ってますね♪それでは……」

 

良かった、美兎ちゃんも笑ってくれた♪美兎ちゃんとの約束を守る為にも、この後も頑張らないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―待機場 フブキ視点―

 

「フブキちゃーん!私勝てたよ~♪」

 

「そらちゃん!良かったぁ、あんな巨大な機体相手に勝てるか不安だったよ~」

 

でもそらちゃんのあのミーティアウィッシュ凄かったよ!白上もSeedのキラみたいなフリーダムの一斉射撃に思わず興奮しちゃったもん!

 

……そんな中でふと待機場の端にいるおかゆに目が止まってしまった。おかゆは試合内容を全く見ようとせずガムを噛みながらイヤホンで音楽を聴きスマホを弄っている。あの様子からしてみると多分ラミィちゃんや今のそらちゃんの試合すら見てないし聞いてもいないんだろうな……

 

「あ、そろそろ次の試合が始まるよ!」

 

「え……あ、そ、そうだね」

 

いや、今はおかゆの事は後にして試合を見ないと!おかゆの事は試合が始まった時に考えれば良いし!で、次の試合は……アカリちゃんと咲ちゃんの勝負だ。一体どんな戦いになるんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合会場―

 

❬それでは続いては三回戦第六試合、ミライアカリさんVS笹木咲さんの対決です!❭

 

「咲ちゃん、今日はお互い良い勝負をしようね♪」

 

「勿論!よっしゃあ!やるぞー!」

 

(笹木咲ちゃん……使ってるガンプラもガンダムオリジンのショルダーキャノンを左右両方に増設してカラーをパンダ色にしただけの機体だけど……此処まで勝ち上がってきたって事は、もしかして実はシロちゃんやフブキちゃん以上の実力者なのかも……油断は出来ないね)

 

❬それでは早速始めましょう!リンクスタート!!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―三分後……―

 

 

「……………えぇっとぉ……?」

 

「きゅうぅ~……」

 

笹パンダム

HP:0

 

―WINNER ミライアカリ―

 

❬え、えぇっと……しょ、勝者ミライアカリさん!❭

 

❬……そりゃ皆困惑するわな❭

 

開始僅か数分で決着がついてしまい、会場はざわついていた。結果は先程Aちゃんが言った通りアカリの勝利だが、一体何が起きたのだろうか?

 

 

実は試合が始まったと同時に笹パンダムがいきなり武装を外したと思いきやそれ等を次々とフォーチュンガンダムへと投げていき、武装が無くなった瞬間フォーチュンに向かって頭から突っ込んで行ったがそのままフォーチュンのビームライフルで撃ち抜かれ笹パンダムは負けてしまい、しかも咲はその際ゲーミングチェアごと倒れてしまいそのまま気絶してしまったのである。つまり笹木咲は一回戦、並びに二回戦と全く同じ戦法を行いそして返り討ちにあい良い所無しで負けてしまったのである。なんとも締まらない話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―待機場 フブキ視点―

 

「って何ですかこの試合?!」

 

「お、落ち着いてフブキちゃん!確かにそうなる気持ちは分かるけど!」

 

だって咲ちゃんかなたんと戦った時とおんなじ戦い方して、っていうかあの様子だと二回戦の時もあんな感じで戦ったって事ですよね?!よく生き残っていられたよね!?

 

「落ち着いてってばフブキちゃん!とにかくアカリちゃんが勝ち進んだ事は変わらないんだから、今は他の試合に集中しないと!」

 

「う、うん……ありがとそらちゃん」

 

そ、そうだよね。試合内容はどうあれアカリちゃんが勝ち進んだ事には変わらないから、白上は次の試合に集中しないと……なんだか変に疲れちゃったよ……

 

 

 

第六試合が終わり残す所は後二試合。果たして、誰が勝ち残るのだろうか?



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第二十九話『出動!大空警察署』

そらちゃんの試合が終わって三回戦も残す所はパトラちゃんとういママの試合と後回しになっていたスバルとひまちゃんとの試合だけになった。それが終わったら休憩を挟んだ後にいよいよ四回戦……白上とおかゆの対決が待っている。白上はこの戦いに勝って、必ずおかゆを元に戻して見せます!

 

………それにしても次の七試合目が全然始まらない。既にパトラちゃんはステージでスタンバイ状態なんだけど、肝心のういママが何時まで経っても来る気配がない。一体どうしたんだろ?

 

❬……もう時間だというのにういは何してるんだ一体?❭

 

❬はい、先程までは普通に待機場にいた筈なんですが……あ、どうやら何やら情報が届いたようです❭

 

?一体なんだろう?別のスタッフがAちゃんに何か伝えてるみたいだけど……ういママに関係する事なんだろうか?

 

 

 

 

 

❬……えー、此処で皆様にお知らせです。しぐれういさんなのですが、極度の緊張からきた腹痛によりトイレに引きこもっている為棄権という事で、第七試合は周防パトラさんの不戦勝となります!❭

 

―ズッシャアァッ!!―

 

な、何それ?!不戦勝?!そんな事ってあるの!?

 

❬……何やってんだよあいつは?❭

 

❬えーっと、どうやら試合前にコ○ダ珈○で食事をした後にこれから戦うという緊張で腹痛を起こしてしまったようです。本人は「は?負けとらんが?只の腹痛なだけだが?」と強がっていたみたいですが何時まで経ってもトイレから出てこないのでマネージャーの判断で棄権となりました❭

 

何で試合前にそんな所でご飯食べてるの?!彼処かなりのボリュームだよ!?絶対にこんなVRゲームする前に食べる物じゃないでしょ!?スタンバイしてたパトラちゃんもなんか苦笑いするだけで反応に困ってるし!

 

 

 

 

……で、結局不戦勝になったパトラちゃんはそのまま待機場に戻って来たけど凄く腑に落ちない表情をしてた。そりゃそうだよ。

 

❬はい、ではトラブルはありましたが続いては三回戦最後の試合です!先程スタッフさんからの情報でひまわりさんも既に戻ってきているとの事なのでこれより速やかに行いたいと思います!スバルさんとひまわりさんは直ぐにステージにお集まり下さい❭

 

「……それじゃあフブキ先輩、そら先輩行ってくるッスね」

 

「う、うん、頑張ってねスバル」

 

「が、頑張って勝ってね、そして四回戦で一緒に戦おう!」

 

Aちゃんに呼ばれたスバルがスタッフから自分のガンプラを渡されステージに向かっていくけど、なんだか元気がない。それもそうか、自分の親が恥ずかしい理由で棄権しちゃったんだから仕方ないよね。

(因みに本小説ではしぐれういはスバルの実母です。本名大空うい、16歳JKと言ってますが本当はXX歳です)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場 スバル視点―

 

……何だか予想外な事が続いてたせいで戦う前から疲れたよぉ。母ちゃんもスバルに内緒で大会に出てたと思ったら腹壊して棄権って何しに来たんだよホントに?!スバル恥かいちゃったじゃんもぉーーッ!!

 

「おはござ~♪スバルちゃん遅れてごめんねぇ、今日よろしくな~♪」

 

「う、うんよろしくねひまちゃん」

 

いやいや、母ちゃんの事はもう忘れよ……それよりも今はひまちゃんとの勝負!この勝負に勝てば次はそら先輩とも戦える!こんな時だけど一度そら先輩とガンプラ対決してみたかったから頑張んないと!

 

「あ、そう言えばひまちゃんって確か賞金目当てだったよね?兄ちゃんには興味ないの?」

 

「うーん、そうやなぁ。確かに玲二さんは優しいし頼りになる人やけど……ひまは普通に仕事仲間やと思っとるし、新しい企画の為の資金さえ手に入れられればそれでいっかなーって。でもさっちゃんが玲二さんの事欲しがってたみたいやし、折角やから優勝したらさっちゃんの為に引き抜こうかなーって」

 

う、そういやにじさんじメンバーは殆ど兄ちゃんに対してそこそこ仲が良いか顔見知り程度だけど咲ちゃんだけは何故かホロメン並みに兄ちゃんの事好きなんだよなぁ……兄ちゃん咲ちゃんに何したんだろ?

 

「そっか、けどひまちゃんには悪いけど兄ちゃんは渡さないよ!それに優勝するのはスバルだよ!」

 

「むッ!?ならば此処からは正々堂々GVWで決着をつけようやないか!玲二さんが欲しくば、ひまを倒してからいくんだなぁ!!」

 

何だそのテンション?!しかも言うだけ言って自分の場所に戻っていったし!?

 

❬さあ、お互いに準備が整ったようなので始めていきましょう!リンクスタート!!❭

 

え?!ちょ、ちょっと待ってまだスバルヘッドギア着けてな……ッ!?

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア―

 

Aちゃんが急に始めちゃうから慌ててヘッドギアを着けたけど何とか間に合った……さてひまちゃんの機体は……あれ?あれってSDだよね?なんかでかくね?

 

「フッフッフ~♪よくぞ此処まで来たな!だがこの『惨不羅輪亜大将軍』がいる限り、この先には行かせんよぉ!」

 

 

『惨不羅輪亜(サンフラワー)大将軍』

SD頑駄無武者○伝3の鳳凰似帝大将軍の改造機。メインの惨不羅輪亜大将軍は多才の武器を使い、その他に剣撃特化の吃驚大将軍と格闘特化の発呉(バックレ)大将軍と形態を変えられ、更に向日葵大将軍と或丸(あるまる)将軍と超将律是(リッゼ)へと分離する事が出来る。

 

惨不羅輪亜大将軍

HP:1950

ATK:270

DEF:270

SPD:240

MOB:250

 

❬これはまた懐かしいガンプラだな。まさか鳳凰似帝とは……今確かプレミアついて倍以上の値段になってたと思うけど、よく見つけたもんだ❭

 

「ふっふーん!偶々行った古い模型屋に定価で置いてあったから買っちゃったんだよね~♪」

 

「何それ何処?!めっちゃ気になるんだけど!?」

 

スバルSDメインで作ってるから昔のヤツで激レアキット欲しいけどプレミア付いてて買えないヤツ多いからその模型屋教えてほしいよ!

 

「フッフッフ~♪その模型屋はひまのお気に入りの穴場やから、もし知りたいんならひまを倒したら教えたってもいいよ~♪」

 

マジッ!?よっしゃあーッ!絶対に勝ってやる!そうと決まったらスバルはグリップを掴み“エンジンを吹かせた”!

 

―ブウゥゥゥゥゥゥンッ……―

 

「?なんの音―ブオォォォォォォォォォォンッ!!―うわあぁッ?!」

 

スバルは勢いよくバイクを走らせ惨不羅輪亜大将軍を飛び越え上の足場へと着地していった。

 

―キキィーーーッ!!―

 

「ちわーッス!大空警察署からやって参りました『ヴェルデブラスター所長』です!」

 

 

『ヴェルデブラスター所長』

SDサージェントヴェルデバスターガンダムを改造した機体。本来ならDXセットの追加武装を改造して使う予定だったが、発売日が延期になってしまった為HGのヴェルデバスターガンダムの武装を改造して装着している。武装追加した為機動性は下がったがこの機体には隠されたギミックがある。

 

ヴェルデブラスター所長

HP:1360

ATK:340

DEF:350

SPD:240

MOB:190

 

❬成る程、スバルの機体はサージェントヴェルデバスターの改造か。あいつの作った最初のガンプラでもあるな(……だがサージェントヴェルデってあんな体型だったか?なんか少し大きくなってる気がするが……)❭

 

「へぇー、スバルちゃんのは割りと新し目のガンダムなんやね。けど、ひまの惨不羅輪亜大将軍に果たして対抗出来るかなぁ~?」

 

「ふっふーん、この所長が只のSDと思ってたら痛い目見るしゅばよぉ?そんじゃ早速!」

 

スバルは所長をバイクから下ろし(バイクは登場の演出だけ)両肩にあるランチャー砲とビーム砲を構え惨不羅輪亜に向かって標準を合わせる。

 

「まずは小手調べしゅばぁッ!」

 

スバルは所長のビーム砲を数発打ち込み、一発目はヒットしたけど二発目以降は避けられ大したダメージは与えられなかった。

 

「やるねスバルちゃん!なら今度はこっちの番や!」

 

ひまちゃんは惨不羅輪亜の腰から刀を抜き所長に斬りかかってきた。所長は何とか交わしていくけど機動性の低さのせいで何発かかすってダメージを受けてしまう。こうなったら!

 

スバルはひまちゃんに悟られない様にビーム砲のエネルギーを溜めながら刀を避けていく。勝負は一瞬、目に物を見せてやるッス!

 

「ほらほらスバルちゃん!避けてばっかりやと勝てないよ!」

 

惨不羅輪亜の刀攻撃を避けつつ反撃の機会を窺う。そして惨不羅輪亜が刀を大きく振り上げた。今だッ!!

 

スバルは悟られない様に所長の身体を捻らせ自然を装ってビーム砲を惨不羅輪亜に合わせて発射させた!

 

 

 

 

 

「残念やけどお見通しだよ!せーのッ!!」

 

―パッカーンッ!―

 

「えぇッ!?」

 

惨不羅輪亜は突然三体のSDガンダムに分離して所長のビーム攻撃を避けた、ってそんなのアリ?!

 

「どや!これがひまの惨不羅輪亜大将軍の力!そして或丸将軍を頭に替えて再度合体!」

 

分離した三体が今度は左足になっていたガンダムが頭と入れ替わって違う姿になった?!

 

「完成、吃驚大将軍!そんじゃいっくよー!」

 

姿が変わって吃驚大将軍になったひまちゃんの機体は再び刀攻撃を繰り出してきたけど、さっきよりもスピードが上がってるしどうなってんの?!

 

❬惨不羅輪亜大将軍?の猛攻がヴェルデトブラスター所長を追い詰めていく!先程よりも速い刀捌きです!❭

 

❬鳳凰似帝は元々三つの形態を持ってる。あれは剣撃を得意とする野っ突化大将軍という形態をベースにした姿だな❭

 

そんな事出来るのそれ?!余計に欲しくなってきたそのガンプラ!ってそんな事より今はこの状況どうにかしないと……こうなったら!

 

「こうなったらスバルも本気見せちゃうよ!権限解放モード!」

 

スバルがスキルコマンドの『変形』を選択すると所長の目が光り身体が展開し大きくなっていく。

 

「え?な、なんやこれ?!」

 

❬おぉっと!?スバルさんの機体がどんどん変形していく!これは一体?!❭

 

❬これは……そうか!なんか違和感あると思ったらこいつ、本当のベースになってるのはスターウイニングガンダムか!❭

 

流石兄ちゃん!そう、この機体はスターウイニングをベースにサージェントヴェルデバスターとHGヴェルデバスターをミキシングしたSDとHGのハイブリッド!これでヴェルデブラスター所長はSDモードからHGモードへと変形出来るようになったッス!

 

ヴェルデブラスター所長(HGモード)

 

HP:1140(先程ダメージを受けた為)

ATK:380

DEF:250

SPD:240

MOB:230

 

「ま、まさかそんな大がかりな改造してるなんて……」

 

「へっへーん!これも兄ちゃんに教わったアドバイスのたわものッス!」(賜物と言いたかったらしい)

 

そしてスバルは所長の両肩にあるランチャー砲とビーム砲を外してドッキングして超射程狙撃ライフルにして反撃を開始した。本来この武器合体はオミットされてたけどまたドッキング出来るようにしたんだよ!

 

「グッ……!ならひまも本気でいくよ!変形合体!発呉大将軍!」

 

ひまちゃんもまた大将軍を三体に分離して今度は右足の機体が頭になって違う姿になった。やっぱその変形合体格好良い!

 

「さあ、此処からが本番!スバルちゃん、いくで!」

 

「望む処だ!スバルの本気、見せてやるしゅばぁ!」

 

こうしてお互いに激しい攻防が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―十分後―

 

ヴェルデブラスター所長

HP:185

 

惨不羅輪亜大将軍

HP:361

 

あれからスバルとひまちゃんの攻防は激しさを増していた。所長が遠距離攻撃を繰り返し行いダメージを与えていったけど大将軍も分離して形態を変えながら接近して攻撃してきてお互い既にボロボロ状態、後一撃受ければ終わってしまう処まで来ていた。

 

「はぁ、はぁ……や、やるねひまちゃん」

 

「はぁ、はぁ…そ、そう言うスバルちゃんこそ……けど、この一撃で決めたる!」

 

そう言うと大将軍は高く飛び上がり所長に向かって斬りかかってきた。所長のエネルギーも後僅か。この一撃で終わらせる!

 

「これがスバルの一撃!いっけえぇーーーーーッ!!!」

 

―ドゴオォォンッ!!―

 

所長の一撃が大将軍に当たりダメージを与えた!よっしゃあ!これでスバルの勝ちしゅばぁッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、此処で予期せぬ事が……

 

「うぐぅッ!……ってあ、あれ?バランスが……コントロール出来ない?!」

 

「へ……?」

 

攻撃を受けた大将軍が機体バランスを崩しそのまま墜落していく。その真下には所長がいたが攻撃の反動で直ぐには動けなかった。詰まる所……

 

 

 

 

 

―ヒュウゥゥゥゥゥゥ……ドゴオォーーーーーーーーーーンッ!!!!―

 

大将軍が落下して所長と衝突し大爆発が起きて……

 

ヴェルデブラスター所長

HP:0

 

惨不羅輪亜大将軍

HP:0

 

―DRAW―

 

両者共にHPが0になって終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―久々の玲二視点―

 

❬え、えーと……こ、これは引き分けって事でしょうか?❭

 

❬そうなるな。もし二人が可能なら再戦する事になると思うが……あの様子だと無理みたいだな❭

 

「はにゃ~……」

 

「しゅばぁ~……」

 

勝負が終わるとスタッフが二人に近づいて様子を見たがどうやら二人ともさっきの衝撃で気絶してしまったらしい。これじゃあお互い再戦は無理っぽいな。

 

❬えーと……で、ではこの勝負引き分けにつき両者共にダウン!ときのそらさんはそのまま準決勝進出となります!❭

 

まあ、こればかりは仕方がないよな。お互い頑張ったがこれ以上は無理そうだし。さて、これで漸く三回戦全てが終わったな

、まともな試合半分くらいしかなかった気がするが。

 

❬さて、此処で三回戦全ての試合が終わりました。今現在のトーナメントはこうなっております!❭

 

白上フブキVS猫又おかゆ

 

シロVS鈴木ヒナ

 

ときのそら 相手不在の為準決勝進出

 

ミライアカリVS周防パトラ

 

……漸く此処まで来たか。この中で残ってるホロメンは三人。けどその内二人は次の試合で当たっているから実質二人か。

 

それにおかゆ、最近試合を見ていても様子がおかしかった。前まではあんな事するような奴じゃなかったのに……それに社長や“あいつ”からの情報によるとおかゆの周りで協力している不審な奴がいるみたいだし、何か唆されたのか?

 

……どっちにしろ今のおかゆは普通じゃない。だから頼むフブキ、あいつを止めてやってくれ。

 

❬それでは此処で一度休憩を挟みまして一時間後に四回戦を行います。参加者の皆さんは今のうちに次の試合に備え身体を休めたりガンプラの整備を行って下さい。それでは、一度失礼します❭

 

 

 

 

波乱も多かったが遂に三回戦を終え四回戦へと突入した。次の試合はフブキとおかゆの対決、果たしてフブキはおかゆを元に戻せるのか?

 



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第三十話『狐の絆、孤独な猫』

三回戦が全て終わり、次に始まるは四回戦。そしてその相手はホロメンの中で唯一絆を取り戻せていないおかゆだ。

 

おかゆはロボ子さんとの勝負を切っ掛けに今まで溜めに溜めてた気持ちが爆発してしまい今では白上達の事を只の邪魔者としか見なくなってた。現にロボ子さんの事もガラクタ呼ばわりしてた、以前のおかゆならそんな事絶対に言わなかったのに……

 

……いや、今はそれよりもおかゆとの戦いの事を考えないと。おかゆのディストピアアルスにはナイトメアっていうアーマーがあってそれにはワープ能力が備わっている。対抗するにはそのワープを上回る程のスピードと機動性が必要だ。そうなるとやっぱりフォクシードのオメガトランザムしかないかもしれないけど、あれは失敗すれば確実に負けてしまう諸刃の刃だから、あくまでもそれは最終手段にして他の方法を考えなきゃ……

 

「……といっても白上の持ってるアーマーじゃ他に適したのがないんだよね」

 

今白上は控え室のテーブルの上で持っているアーマーを全て並べてみた。

 

フォクシード

ドグレイト

ダッキンドネス

シープレシャス

ラビットラッパー

 

……これ等のアーマーを改めて見ると本編のプラネッツアーマーよりもクセが強いのが分かるなぁ。でもこれだとおかゆのナイトメアアルスには勝ち目が薄い。かといって新しいアーマーを作るにしても時間が無さすぎる。どうしたら良いんだろう……?

 

―コンコンッ―

 

「フブキー?入っても大丈夫?」

 

「あ、ミオ。うん大丈夫だよ」

 

―ガチャッ―

 

「ごめんね準備中に……」

 

「ううん、それは大丈夫なんだけど……あれ、あやめも一緒にどうしたの?」

 

控え室の扉が開くと其処にはミオだけじゃなくてあやめも一緒にいた。一体どうしたんだろ?

 

「……あ、あのさフブキちゃん。さっきミオちゃんから聞いたんだけど、おかゆが不正してたかもしれないってホントなの?」

 

「あ……う、うん。でも本当の処は分からないんだよね。証拠も無いし……」

 

「それなんだけど、スタッフさんに聞いてみたら誰かがサーバーに直接不正アクセスしようとした形跡があったんだって。近くに黒焦げになったパソコンも落ちてたみたい」

 

ッ!?やっぱりロボ子さんの言う通り誰かが不正アクセスしてたんだ!そうなるとおかゆのあの感じからして何も知らないなんて思えないし、やっぱりおかゆが誰かを使って不正してたって事だ!

 

「それで、もしまたおかゆがそんな卑怯な手を使ってきたら、今度はフブキちゃんまで……」

 

「だから大丈夫だよあやめ。サーバーのある裏方はあれから厳重な警備が敷かれてるんだから」

 

「そ、そうなんだ、なら一先ずは安心かな……?」

 

まだオンライン稼働してないから不正アクセスしていた人がサーバーに近づけないなら外部からアクセスされる事はない。妨害がないなら取り敢えずは安心出来るね。

 

「でも、本当なら逆に不正してくれた方が良かったんだけどね……」

 

「ミオちゃん?!一体何言ってるのさ!?もしかしてミオちゃんおかゆの味方するつもりじゃ……!?」

 

「違うよ!不正してくれた方が証拠を掴んでおかゆを失格に出来たかもしれないって事だよ!」

 

そう、不正アクセスがあった事は分かったけどおかゆ本人が差し向けたという証拠は何処にもない。いや、それ処か葵ちゃんやあやめの時にもその不正アクセスがあったかなんて今の処分かってない。押収されたパソコンも完全に壊れて証拠も残されてないみたいだし、ってか何で壊れてたんだろ?

 

「そ、そっか。ごめんミオちゃん……」

 

「あ……ううんウチこそごめんあやめ。仲違いしてるとは言えおかゆを陥れるような事言っちゃって……」

 

「二人とも……大丈夫だよ!確かにおかゆは強敵だけど、妨害がないって分かったなら充分にやりあえるよ!白上はおかゆに必ず勝って、そして連れ戻してみせるから!」

 

うん、此処まできたらもう不正があったかなんて関係無い。おかゆとは直接戦って、そして勝つんだ。そうじゃなきゃおかゆを本当の意味で連れ戻せない。

 

「フブキちゃん……うん、よろしくお願いするぞ!今おかゆを止められるのはフブキちゃんだけだから!」

 

「うん、フブキなら出来るよ!ウチ等もその為に協力しに来たんだから!」

 

「え、協力って……?」

 

ミオはそう言うとバックから箱を取り出して白上の前に置いた。箱を開けると其処に入ってたのは赤と黒のカラーリングが施されたアーマーと赤一色のカラーリングに刀が装備されたアーマーの二種類が入っていた。

 

「これって……」

 

「余とミオちゃんがフブキちゃんの為に作った白夜ガンダム用のアーマーだぞ。この間の集まりには余達いなかったから、急いで作ったんだ余」

 

「今のウチ等にはこんな事ぐらいしか出来ないけど、少しでもフブキの力になれたらなって思って」

 

「ミオ、あやめ……ありがとう!白上絶対に勝つから!だから応援お願いね♪」

 

「「うん!」」

 

二人の想い、確かに受け取ったよ!白上は二人のくれたアーマーを含め全ての機体をケースに入れて控え室を後にする。皆の想いを背負って、白上は絶対に負けません!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―別控え室 猫又おかゆ視点―

 

……もうすぐだ。もうすぐでレイくんを僕のモノに出来る。その為には後三回勝てばいい。

 

あの只野が使い物にならなくなった今もう不正は出来ないが関係無い。このナイトメアアルスさえあれば他の奴等なんて恐れる事なんてない。

 

そんな次の相手は白上フブキ……幼馴染みだからと言ってレイくんの周りにベタベタくっつく憎たらしい奴!必ずこの手でアイツを……

 

―コンコンッ―

 

……誰だこんな時に?まさか只野か?アイツなんてもう用済みなんだけど……

 

「……ねぇおかゆ、ちょっと良いかな?」

 

いや、只野じゃない。この声は……ころさんか。またどうせ戻って来てとかふざけた事言いに来たんだろうか?

 

「何?要件があるならさっさと言って。また戻って来てとかくだらない事だったら……」

 

「ううん、それは今はいいんだよ。そうじゃなくて、おかゆにどうしても聞きたい事があってな……」

 

「……何さ?」

 

「……おかゆってどうして皆の事そんな目の敵にしてるの?今までそんな事なんて一度もなかったのに……」

 

……なんだそんな事か。そんなの決まってるよ。本当なら答える義理はないけど、ころさんはもう脱落したから言ってもいいか。

 

「ころさんはさ、レイくんがあのミライアカリと関係を持ってたって聞いてどう思った?」

 

「え……?」

 

「僕はね、凄く殺意が沸いたよ。僕ところさんは幼かった頃にレイくんと離れ離れになって、ホロライブに入って再会出来たと思ったらレイくんが知らないうちに他の女に取られていたと思うと、思わずソイツの所に行って殺してやりたいと思ったよ。だけどYAGOOからレイくんがこの大会の副賞になったって聞いた時はチャンスだと思ったよ、これで僕が優勝すれば、レイくんをずっと僕のモノに出来るって」

 

「そんなッ!?それじゃ玲二の気持ちなんて無視してるようなモンじゃん!?そんな事したら玲二だって絶対に幸せになれ「五月蝿い、黙れ!!」ッ?!お、おかゆ……?」

 

「レイくんが幸せになれない?だったらお前達はそれで良いのかよ?!部外者の女に取られ、悪魔や吸血鬼、それにあの頭のおかしい女や羊女に取られたままで!?僕は絶対に嫌だね!僕はどんな事をしてでもレイくんを手に入れる!そして僕もレイくんもホロライブを辞めて二人で誰も来れない場所でずっと暮らすんだ!レイくんの幸せはその後に僕が与えれば良いだけだ!」

 

そうだ、どんな綺麗事を言った処でレイくんを手に入れられなきゃ意味が無い!レイくんが幸せになれないなんてのは自分がそうさせれる自信がない奴の弱音でしか無いんだ!僕は違う……必ずレイくんを幸せに出来る自信はある!レイくんの身の回りの世話だって出来るし身体にだって自信はある!だからお前等弱者と僕を一緒にするな!!

 

「僕は必ず勝ち進んで、そして僕は優勝するんだ……そして、二度とレイくんをお前等に近づけないように二人だけの世界に行くんだ!分かったらとっとと消えろ!!」

 

「おかゆ………うぅ……」

 

僕が怒鳴るとあの“犬女”は泣きながら何処かへ行ったようだ。全く、試合前なのに気分が悪くなってしまったよ。

 

……まあいいや、もう僕には関係無い。例え何があってもレイくんは僕のモノにしてやる。その為にあのレイくんに纏わりつく虫ケラ達を排除しないと。

 

そうしていたら時間が来たみたいだ。僕はアルスを手に控え室を出て会場に向かう。待ってなよ白上フブキ……お前だけは僕の手で必ず倒す!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合会場 白上フブキ視点―

 

❬さあ遂にやってきました第四回戦!総勢六十四名いた参加者もいよいよ残るは七名となりました!❭

 

残り七人……漸く此処までやって来たんだ。最初は仲違いをしたせいでギスギスしていたホロメンも今では白上の事を支えてくれている。その想いに応える為にも、最後のホロメンであるおかゆを必ず連れ戻してみせる!

 

❬えー、只今解説役の佐々木さんは席を外しておりますがすぐに戻って来ますのでそれまでは私だけで進めさせて頂きます。それでは参ります、四回戦第一試合!白上フブキさんVS猫又おかゆさんの対決です!❭

 

あ、レイくん今席外してるんだ……まあ、それは今は考えなくて良いとしてAちゃんの声と共に白上達はステージへと登り準備を始める。おかゆは前よりも鋭い目つきで白上の事を睨んでいた。まるで、獲物を狙う猫のような……いや、殺意が混じったような目つきだ。

 

「……おかゆ、戦う前に聞かせて。おかゆは本当に白上達と……ホロライブと対立する気なの?」

 

「……そうだよ。僕にとって本当に大切なのはレイくんだけだからね。“お前達”ホロライブにレイくんは絶対に渡さない」

 

お前達って……前までおかゆそんな言い方しなかったのに、やっぱりロボ子さんとの勝負が切っ掛けで白上達の事を完全に敵対してるって事だよね……

 

「……悪いけどそれは絶対に止めてみせるよ。今のおかゆには絶対にレイくんを任せられないから」

 

「……なんだよ偉そうに。じゃあお前ならレイくんを幸せに出来るっていうの?」

 

「そうじゃなくて!今のおかゆは明らかにレイくんの気持ちを無視してるじゃん!そんなんじゃレイくんも「黙れよ!!」ッ?!」

 

「お前といいあの犬女といい何が気持ちだよ!?そんなんじゃいつか他の女にレイくんを取られてしまうじゃん!気持ちを無視してるだの幸せに出来ないだのそんなの最初からそうする自信がない奴等の戯れ言だろ!僕は絶対にレイくんを幸せに出来るし身体でも満足させられる自信はある!だからお前なんかにレイくんは絶対に渡すもんか!」

 

「おかゆ……分かった。これ以上はもう何を言っても無駄みたいだからいいよ。だけど、白上にだって譲れないモノがあるから、絶対におかゆには負けないよ!」

 

今のおかゆは、本当にレイくん以外の皆と前みたいに戻るつもりはないんだね。レイくんを独占したい気持ちが此処まで膨らんでいたなんて……もう今のおかゆを止める為には勝って分からせるしかない!皆の気持ちを白上のガンプラに乗せて、必ずおかゆを倒す!

 

「ふん、言ってればいいさ。お前なんかじゃ僕には例え天地がひっくり返っても勝てるワケないんだから」

 

おかゆはそう言って自分のコクピット席に戻ってヘッドギアを装着していく。白上も準備を終えてヘッドギアを装着した。ミオ、あやめ、皆……白上に力を貸して下さい!

 

❬……お互いの準備が整ったようですね。それでは始めましょう、四回戦第一試合!リンクスタート!!❭(……私は実況という立場なので声に出しては言えませんが、佐々木さんやおかゆさんの為にもフブキさん頑張って下さい!)

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア―

 

試合が始まりサイバーエリアへとダイブした白上達。白上は最初はダッキンドネスガンダムで、目の前にいるおかゆはディストピアアルスの状態で始まった。

 

「……てっきり最初からナイトメアで来ると思ってたけど?」

 

「そっちこそいつものフォクシードじゃないんだ?そんな飛行能力が取り柄なだけのアーマーで大丈夫なの?今の内にフォクシードになっても良いんだよ?」

 

「ううん、白上にだって考えがあるんだから。遠慮せず挑んで来なよ」

 

「へぇ……後悔しても知らないよ」

 

お互い張り詰めた空気の中様子を伺う。そして……

 

 

 

―フッ!―

 

―フッ!―

 

―バチィィンッ!!―

 

同時に距離を詰めてビームサーベルをぶつけ合う!互いに譲れない戦いが、今始まった!!

 

 

 

 

 

片や大切な日常を取り戻す為、片や大切な人を独占する為、己の主張をぶつけ合う戦いが始まった。果たしてフブキはおかゆに勝てるのだろうか?

 

―to be continued―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―オマケ 玲二視点―

 

「……そうか、漸く捕まえられたか。態々頼んで済まなかったな」

 

❬イエイエ、兄貴の為ならばワタシは何時だって協力しますヨ!ソウ、兄貴がお前のカラダが欲しいッテ言えば何時ダッテ喜んで股開く覚悟はありマス!❭

 

「いや、それはいい……それじゃあ今からソイツ連れてこっちに来てくれないか?」

 

❬リョーカイしまシタ!取り敢えずこのブタもう少しヤキ入れてカラそっち行きマスね♪❭

 

「……程々にしろよ。そんじゃまた後でな」

 

……よし、これでアイツを確保出来たから一安心か。社長から話を聞いた時は半信半疑だったがまさか本当に勝手に帰国して更に大会を妨害しようとしてたとは……とにかく奴への尋問はアイツが此処に連れて来てからだ。それまでは試合を見届けないと……こんな事言ったら不平等かもしれないが、おかゆの為にも勝ってくれフブキ。

 

俺はとある娘との電話を終え、急いで解説席へと戻って行くのであった……



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第三十一話『想いよ届け』

遂に始まったおかゆとのバトル。白上のダッキンドネスとおかゆのディストピアアルスがビームサーベルでぶつかり合い火花を散らしていた。

 

アルスはビームサーベルでぶつかりつつダッキンドネスにビームカノン砲を撃ち込み、白上もダッキンドネスの機動性を利用して空へと展開しながらアルスにビームライフルで応戦していく。

 

「チッ……蝿みたいにうろちょろして面倒くさいね」

 

「悪いけど空中戦だったらこっちに分があるよ!」

 

白上はダッキンドネスのスピードを駆使してアルスの攻撃を避けつつ反撃をしていく。ダッキンドネスは今あるアーマーの中では其処まで攻撃と防御は高く無いけどスピードはずば抜けて高いから仮にナイトメアで来られても対応出来ると思って使ってみたけど、これならこのまま押しきれそうだね。

 

「……お前、このままそのアーマーで押しきれると思ってるみたいだけど、僕のアルスがそんな事で倒れるワケないじゃん」

 

「?それってどういう―グサァッ!―?!な、何が……!?」

 

いきなりダッキンドネスがバランスを崩し何が起こったのか見てみると両羽の部分に何かが刺さってた。これは、アルスのバックパックについているウイング?!

 

❬これはなんという事でしょうか?!フブキさんのダッキンドネスの羽にアルスのウイングブレードが突き刺さっています!❭

 

❬どうやらウイングブレードにワイヤーを付けて遠隔操作出来るようにしたんだろう。本体に気を取られてる内にダッキンドネスのウイングに打ち込んだみたいだな❭

 

あ、レイくんいつの間にか戻って来てた。ってそうじゃない!このままじゃマズイよ!?

 

「ふふ、アヒルはアヒルらしく地べたに落ちな!」

 

―ズバアァッ!!―

 

ウイングブレードに両羽を切り裂かれダッキンドネスは飛行能力を失い墜落してしまう。このままじゃ無防備状態を狙われてしまう!早く違うアーマーに切り換えないと!

 

「バディチェンジ!ダックtoドッグ!」

 

白上の声と共に後方からドグレイトアーマーが飛来してきた。ダッキンドネスアーマーはパージされ、白夜ガンダムにドグレイトアーマーが装着されようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いけどそんなのは許さない!ジャックチェンジ!ハッキング、ゴー!!」

 

「えッ?!」

 

おかゆの声と共に白夜ガンダムに装着される筈のドグレイトアーマーがアルスの方へ勝手に移り、アルスがディストピアアーマーをパージすると代わりにドグレイトアーマーがアルスへと装着されていく。これって……原作にもあったアルスのアーマー奪取!?

 

「へぇ、これが犬女をイメージしたアーマーか。少し不恰好だけど、お前を串刺しにするには丁度いいよね?」

 

おかゆはそう言うとドグレイトアルスの両肩にあるフィンガードリルを展開し白夜ガンダムに襲ってきた。マズイ!早く体勢を立て直さないと!白上は慌てて白夜ガンダムの体勢を戻しその場を離れ、白夜ガンダムのいた所にドグレイトアルスのフィンガードリルが突き刺さりおもいっきり地面が抉れた。自分で作っといてなんだけど恐ろしいよこれ!?

 

「ふん、避けたか。だけど何時まで持つかな?」

 

ドグレイトアルスはそのまま脚部のアンカーを展開して白夜ガンダムを捕らえようとしてくる。なんとかアンカーを避けてはいるけど、この後どうすれば良いのか思いつかない。また別のアーマーを呼んでも奪われる可能性があるし……こうなったら一か八かやってみるしかない!白上は白夜ガンダムの動きを一旦停めてシールドを構えつつドグレイトアルスへと突っ込んでいく。

 

「……何企んでるか知らないけど、そっちから突っ込んで来るなら好都合だよ。そのシールドごとお前のガンプラ砕いてやる!」

 

ドグレイトアルスもフィンガードリルを回転させ白夜ガンダムへと突っ込んでくる。タイミングは一度だけ、失敗すれば負けは確実……絶対にミスは出来ない!

 

 

 

そして……

 

 

 

―ガキイィッ!!―

 

白夜ガンダムのシールドとドグレイトアルスのフィンガードリルが衝突し……

 

 

 

―ガガガガガ……バキイィッ!!ドゴオォォォンッ!!―

 

フィンガードリルがシールドを貫き爆発が起こった。

 

「ふん……なんだ、何かあると思ったら只の突進か。僕に勝てないって分かって自棄になったみたいだけど、流石にもう少しまともな戦いをしてほしかったな」

 

おかゆは爆発して煙幕が広がるフィールドを見て勝ち誇った顔をしている。だけどおかゆ……

 

 

 

 

 

この賭けは白上の勝ちだよ!

 

 

 

 

 

「バディチェンジ!ドッキング、ゴー!!」

 

「なッ?!」

 

白上の声におかゆは驚いているけど構わない!白上は煙幕に紛れて新しいアーマーを装着した白夜ガンダムを高くジャンプさせてドグレイトアルスの真後ろに着地差せると右手にある武器にエネルギーを溜めてそれを至近距離でドグレイトアルスへと撃ち込んだ!

 

―シュウゥゥゥ……ドゴオォォォンッ!!―

 

「うぐあぁッ?!」

 

ドグレイトアルス

HP:894

 

❬フブキさんの白夜ガンダムがおかゆさんのアルスに反撃を与えたぁ!これは凄いです!❭

 

❬恐らくだがさっきのぶつかり合い、フブキは直前にシールドを破棄してシールドの裏に仕込んでたボムを起爆させたんだ。それにより煙幕が起こりおかゆの視界を遮りその隙に新しいアーマーに換装したんだな❭

 

そう、レイくんの解説通り白上は白夜ガンダムのシールドがドグレイトのフィンガードリルにぶつかる直前に逃げてボムを起爆させて、その隙にミオがくれた新しいアーマーを装着してドグレイトアルスに反撃したんだ。これがミオがくれた新しい力『ウォルフェイトガンダム』だよ!

 

 

『ウォルフェイトガンダム』

ヴィートルーアーマーをベースにミオが改造してフブキに託したアーマーを装着した白夜ガンダムの新たな形態。本来射撃特化だった武装を右手のハンドミサイルポッドを改造したファイアパンチポッドのみにし、更に至近距離で撃つ程威力が上がるようにした為近距離戦用に近い仕上がりになった。全てのスペックはかなり高いが、武装がファイアパンチポッドしかないのと使用回数が最大でも僅か五発のみというかなりピーキーな機体となっている。機体のカラーリングは黒をベースに炎のような赤い模様が描かれている。名前の由来は狼を意味するウルフと定めを意味するフェイトを合わせたモノである。

 

ウォルフェイトガンダム

HP:1750

ATK:480

DEF:440

SPD:440

MOB:460

 

「な、なんなのそのアーマー?そんなの今まで使ってなかった筈……」

 

「試合前にミオとあやめが白上の為に持ってきてくれたアーマーだよ!この力でおかゆを止めてみせる!」

 

ファイアパンチポッドの攻撃でドグレイトアーマーが半壊してアルスも少しダメージを負っている。後四発分しか残ってないけど、それを悟られないように一気に決着をつけないと!

 

「……ふぅん、其処まで頑なに絆とか大事にするんだ?だったらそんなモノ、全部壊してやる!コアチェンジ!ドッグtoナイトメア!」

 

ッ?!ヤバい、おかゆがあのアーマーに切り換えようとしてる!アルスが半壊したドグレイトアーマーをパージして飛来してきたナイトメアアーマーに向かって飛び上がる。此処でナイトメアアルスになられたら厄介だ!ドッキングする前に撃ち落とさないと!

 

白上はウォルフェイトのファイアパンチポッドのエネルギーを溜めてアルスに向かって放った。しかし……

 

―ブォンッ……―

 

「遅いッ!」

 

「ッ?!」

 

着弾する前にナイトメアアルスにドッキングされ、そのままワープダイヴをされウォルフェイトの背後にワープされた。アルスはビームサーベルをウォルフェイトに向かって振り下ろしてきたけどすぐに回避、一度アルスから距離を取った。

 

❬遂に来てしまいました!おかゆさんの切り札、ナイトメアアルス!❭

 

❬あぁ、コイツのワープ能力はロボ子との戦いで如何に厄介か分かってるからな。フブキはこれにどう対処出来るかが勝敗の分かれ道になりそうだ❭

 

うぅ……もう現れてしまったモノはしょうがない。それに遅かれ早かれナイトメアアルスと戦うのは分かってたんだ。まずはレイくんの言う通り、あのナイトメアアルスのワープダイヴをどうにかしないと!

 

「もうお遊びは終わりだよ。さっさとお前を倒して、他の奴等も潰してやる!」

 

―ブォンッ!―

 

再びアルスが消え、レーダーからも反応が消えた。一体何処から……!?

 

―ブォンッ!―

 

「はあぁッ!!」

 

ッ!後ろから!?白上はすぐに回避したけど、左肩のアーマーにビームサーベルがかすってしまった。

 

「まだまだぁッ!」

 

ナイトメアアルスは再び姿を消し、今度は右側から現れて攻撃してきた。今度は……交わす!

 

そして何度もアルスがワープをしながら攻撃を仕掛けられ、白上は回避を繰り返すも何度かダメージを負ってしまう。

 

❬フブキさん、おかゆさんのナイトメアアルスの前に避けるのが精一杯のようです!このままなす術なくやられてしまうのでしょうか?!❭

 

❬……いや、そうでもないかもしれない❭

 

❬え?❭

 

❬フブキはもしかしたら窺ってるのかもしれない……反撃のチャンスを❭

 

……やっぱりレイくんは鋭いなぁ。そう、白上は今アルスのワープダイヴの動きを避けながら観察してたんだ。と言うのも実は試合前に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―試合前 控え室―

 

「うーん……やっぱりこのワープ能力が厄介だよね」

 

「こうもあっちこっちにワープされちゃ狙いようがないよね……」

 

そう、実は試合前、白上はミオとあやめと一緒にロボ子さんとおかゆの試合を見直してたんだ。ナイトメアアルスに対抗する為の何か糸口が見つかれば良いと思って何度も見返してたけど、中々良い案が浮かばない。

 

「そもそもこんな一瞬で移動出来る相手にどう対処すれば良いんだか……」

 

「いや、一瞬じゃないぞ?」

 

「「……え?」」

 

白上が悩んでいるとあやめは何かに気づいたのかナイトメアアルスがワープして再び現れるシーンまで映像を巻き戻して見せてきた。

 

「ほらこれ、おかゆんがワープする前とまた出てきた時一秒か二秒ぐらい硬直してる余。もしかしてこれ、ワープしてる間はおかゆん動けないんじゃないかな?」

 

「え…………ッ!本当だ!僅かだけど硬直してる時間がある!」

 

さっきまでワープの凄さに気を取られて気づかなかったけど、確かに消える前と現れた後僅かだけどアルスの動きが止まっている。もしこれが本当ならやりようによっては攻撃も回避もなんとかなりそうだ。更に……

 

「ねぇフブキ、ウチも気づいたんだけどさ、このワープってもしかして連続で使えないんじゃない?」

 

「え?連続で使えない?」

 

「うん、この映像見る限りだけどおかゆってワープしてから直ぐにまたワープしてるって最初思ったんだけど、よく見たらワープしてから次のワープするのに最短でも七秒ぐらい掛かってるんだ。だからもしかしたら現れたと思ったらまた消えるみたいなフェイントが出来ないんじゃないかな?」

 

確かに映像を見てるとアルスはワープした後フェイント等は行わず現れては攻撃しまた消えるの繰り返しだけだ。これがもし本当ならおかゆのワープダイヴは使用中の前後一、二秒は身動きが出来ず、直ぐには次のワープ出来ない。もしかしたらこの時のおかゆがロボ子さんを舐めて掛かってただけかもしれないが、もしこれが本当なら幾らでも対応が出来る!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―戻ってサイバーエリア―

 

白上はあれからアルスのワープの軌道を探っていた。さっきから来ているワープ移動はあやめやミオの指摘してきた通り、僅かながらのタイムラグがある!けどそれでもまだ完璧に避けきれてるワケじゃない。このままでは間違いなくやられてしまう。チャンスは一度だけ……これに全てを賭ける!白上は一度アルスから距離を取ると身体の力を抜きウォルフェイトを無防備状態にした。

 

「ふん、漸く観念した?なら……これで終わりだ!」

 

―ブォンッ……―

 

おかゆがそう言うとアルスはまた消える。

 

集中しろ、白上。アルスが現れる場所を感じるんだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ブォンッ!―

 

ッ!後ろ!

 

「其処だあぁッ!!」

 

―ドッゴオォォォーーーーーンッ!!!―

 

「なあッ?!!」

 

真後ろからアルスが現れたのを感じ、直ぐに白上は力を込めて振り向きウォルフェイトの残された三発分のエネルギーをファイアパンチポッドに込めてアルスへと撃ち込んだ!

 

ナイトメアアルス

HP:894→71

 

❬なんとぉッ?!これはどういう事でしょうか!?フブキさんまるでアルスが現れる場所を読んでたかのように強力な一撃を叩き込んだぁッ!!❭

 

❬やはりフブキは気づいてたんだ!あのナイトメアアルスのワープに隙がある事を!それを見越してカウンターで強力な一撃を打ち込んだんだ!❭

 

よっしゃーッ!これでおかゆのワープ攻撃攻略だよ!けど今の一撃でもアルスは倒れてはいなかった。と言っても既にアーマー処かメインのボディまでボロボロになり動くのが精一杯のようだ。

 

「はあ、はあ……な、何で僕が後ろから出てくるって分かったのさ……?」

 

「……おかゆって他の対人戦ゲームでもそうだけど相手にトドメを刺す時かなりの確率で相手の背後を取るよね?だから今回もそうくると思って待ち構えてたんだ。ワープした直後は二秒弱ぐらい動けないみたいだったから、読みさえ当たれば後は一撃叩き込むだけだよ」

 

「ぼ、僕の癖を……はあ、はあ……知ってたんだ……流石だよ、フブキちゃん……だけど、僕は負けない……此処で負けたら、レイくんが他の女に取られちゃう……」

 

おかゆはボロボロになりながらもアルスを動かしビームカノン砲をウォルフェイトに向けてきた。もう誰が見ても勝負は決してるのに……

 

「おかゆ……其処までしてレイくんの事が欲しいの?」

 

「……当たり前だよ!レイくんは僕にとって掛け替えのない愛する人なんだ!そんな人が僕の知らない所で誰かに奪われていく……そんなの堪えきれない!だから僕は勝つんだ!レイくんをずっと僕の元から離れないように、他の女なんかに二度と奪わせない為に!」

 

「その為にレイくんを束縛するの?大切な人の意思と自由を奪うつもりなの?」

 

「うるさい………うるさいウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイッ!!!レイくんの意思とか自由とか関係ない!僕が勝って、レイくんを手に入れて、レイくんには僕から欲しい物を与え続ける!それ以外なんて何も必要ない!」

 

おかゆは半狂乱状態になりビームカノン砲をウォルフェイトに向けて撃ってくる。だけど狙いを定めてない為簡単に交わせる。

 

おかゆ……もうこんな辛い思いし続けないように、白上が此処で終わらせてあげる!

 

「バディチェンジ!ウルフtoオーガ!」

 

白上の声と共に赤いアーマーを纏ったユニットが現れ、ウォルフェイトのアーマーをパージすると代わりにそのアーマーが白夜ガンダムに装着されていく。着物や袴をイメージした赤いアーマーに腰に備え付けられた刀。ガンダムフェイスが半分隠れる程の鬼の半仮面が今までのアーマーとは明らかに異質なアーマーである。これがあやめがくれた力『オーガイオウガンダム』!

 

 

『オーガイオウガンダム』

白夜ガンダムがあやめの作ったオーガイオウアーマーを装着した姿。他のアーマーとは違い基礎フレーム以外全てあやめがプラ板等で作成した為他のアーマーとは異なる和風な見た目をしている。武器は刀一本のみだがその高い機動性により相手との間合いを一気に積めて一刀両断する事が出来る一撃必殺型のアーマーとなっている。名前の由来は鬼を表すオーガと鎧の王、鎧王(がいおう)を合わせたモノである。

 

「また新しいアーマー……けどそんなモノで……「……ねぇおかゆ、おかゆってレイくんの何処が好きなの?」ッ?!い、いきなり何を……」

 

「白上はレイくんの優しい処が好き。笑ってる顔も、いつも気にかけてくれる処も、たまに見せる子供っぽい処も、そしてどんな時でも皆を見捨てたりしない処が好き。そしてそれはおかゆも、皆も同じだと思う」

 

おかゆは白上がいきなりこんな事を言い出したから困惑してるみたいだけど、それでも白上は構わず話し続ける。

 

「おかゆはレイくんの事を本当に束縛したいの?まるで人形のように扱われて、意思や気持ちを押さえつけられて……おかゆが求めていたのは、そんな辛い思いをするレイくんなの?」

 

「ッ?!ち、違う!僕はレイくんと一緒に幸せになってほしいんだ!レイくんが他の女に取られないように、レイくんが僕を捨てないようにする為に……!」

 

「おかゆはレイくんがそんな簡単に自分達を見捨てるような薄情者だと思ってるの?」

 

「ッ?!そ、それは……」

 

「今のおかゆは大切な事を見失っている。だから白上が此処で、おかゆを止めてみせる!」

 

白上はオーガイオウガンダムを動かし刀を取って構える。トレースタイプの操作だからある程度は白上の動いた通りに動くけど、今はいつも以上にガンダムと一体になってる気がした。刀の柄(持ち手)を強く握り、目を閉じ気を集中させる。

 

「ぼ、僕は……僕はただレイくんと一緒になりたいだけなのに……う、うぅ……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

錯乱したおかゆの発狂が聞こえてくる。そして再びビームカノン砲を構える音が聞こえた。

 

「これで……終わりだよ!」

 

そして白上はオーガイオウを動かしアルスに一気に距離を積めて、そして………

 

 

 

 

 

―シャキィンッ!―

 

刀を一振して通りすぎ、そのまま刀を納めると……

 

 

 

 

 

―スパアァンッ!!―

 

アルスの身体が真っ二つに裂け崩れ落ちていった。

 

―WINNER 白上フブキ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❬決まりましたぁ!四回戦第一試合、勝者は白上フブキさんです!❭

 

試合が終わり白上はヘッドギアを外して一息ついた。漸くおかゆとの勝負に決着をつけれた……そう思いながらおかゆの方を見てみると、おかゆは座席に座ったまま全然動いてなかった。

 

「おかゆ?どうしたのおか……ッ?!おかゆ!しっかりしておかゆ!?」

 

心配になって近づいて見るとおかゆの腕がダランと下がっていて口から泡を吹いていた。慌ててヘッドギアを外すとおかゆは白目を剥いて気絶していたんだ。一体どうしちゃったのおかゆ!?

 

「フブキ!おかゆは……」

 

「れ、レイくん!おかゆが、おかゆが気絶していて……!?」

 

「恐らく情緒不安定の中衝撃を受けたショックかもしれない……急いで医務室に運ぶぞ!」

 

レイくんはそう言っておかゆを抱き抱え医務室へと向かっていった。おかゆ、大丈夫かな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―医務室―

 

「…………………う、うぅ……此処は?」

 

「あ、おかゆ!良かったぁ!皆ー、おかゆが目を覚ましたよー!」

 

医務室に運ばれてから二時間後……おかゆは漸く目を覚まし身体を起き上がらせた。医務室には既にロボ子さんを除く他のホロメンも集まっていて、ずっとおかゆが目を覚ますのを待ってたのだ。

 

「み、皆……どうして……?」

 

「皆おかゆが心配で集まって来たんだよ。あの試合の後おかゆが気を失っちゃったんだから」

 

「うわあぁぁぁぁぁん!おがゆが目を覚まじて良がっだあぁぁーーー!!」

 

目を覚ましたおかゆにころねが泣きじゃくりながら抱きついていく。

 

「ころ……さん………そっか、僕負けちゃったんだ」

 

「うん、フブちゃんがおかゆを止めてくれたんだよ」

 

此処でおかゆは自分が負けてしまった事に気づき、その目にはうっすらと涙が溜まっていた。そんな時……

 

「おかゆ……」

 

「ッ?!レイ、くん……?」

 

医務室にレイくんがやって来ておかゆに声をかけてきた。おかゆは戸惑っていたが、レイくんは構わずおかゆに近づき、おかゆの頭に手を乗せ撫で始めた。

 

「れ、レイくん?」

 

「……済まなかったなおかゆ。俺のせいでお前に辛い思いさせてしまって。俺がもっとしっかりしてたらお前にそんな思いさせなかったのに……」

 

「そ、そんな!?違うよレイくん!全部僕が勝手に……!」

 

「そんな事ないさ。お前はちっちゃい時から我慢する事が多かったからな。俺がそれに気づいてちゃんと接してやればこんな事にはならなかった筈だし」

 

……え?ちっちゃい時って、それってレイくん……

 

「れ、レイくん?もしかして知ってたの?小さい時白上と遊んでた子がおかゆところねだって事?」

 

「あぁ、と言っても気づいたのはつい最近だ。この間実家に帰った時に偶々アルバム整理してたら幼い頃の写真が出てな、それに俺とフブキ、そしておかゆところねが写ってる写真があってその時に昔の事を思い出したんだ」

 

ッ!そうだ、白上達は昔一度だけ、白上達が小学校に上がる前に一枚だけ写真を撮ったんだ。その写真白上も部屋に飾ってたけど、レイくんもちゃんと残してくれてたんだ。

 

「本当にごめんなおかゆ。これからはもうお前に辛い思いをさせないようにする。だから……もう一度戻って来てくれないか?皆のいるホロライブに」

 

「レイ……くん……うぅ……うわあぁぁぁぁぁぁ……ごめんなさい、ごめんなさぁい……」

 

レイくんの言葉におかゆはまるで子供のように泣きながら謝ってた。うん、大丈夫だよおかゆ。皆許してくれるよ、だって……大切な仲間なんだから♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……皆、今まで酷い事言ってごめんなさい。ころさんには特に酷い事言っちゃってた」

 

「そんな気にしないでいーよおかゆぅ♪こおねはおかゆが戻って来てくれて嬉しいよぉー♪」

 

「ちょ、ちょっところさんくすぐったいよぉ~」

 

あれから暫くして泣き止んだおかゆは改めて皆に謝ってたけど、さっきも言った通り皆許してくれた。これでホロライブメンバー完全復活だよ!ただ……

 

「おかゆ、一つだけ聞かせて?ロボ子さんから聞いたんだけど誰かがおかゆの試合中に不正アクセスをしていたって言ってたんだけど……おかゆ、もしかしてその不正アクセスした人について何か知ってたりするの?」

 

白上が聞こうとした事をミオが代わりに聞いてくれた。あの不正アクセスによる妨害がおかゆの差し金ではないと思いたかったけど、やっぱり可能性としては高すぎる。そして……

 

「……そうだよ、僕が頼んである奴に妨害させてたんだ。今思えばあの時は本当にどうかしてたと思う。本当にごめんなさい……」

 

やっぱり……けどその件についてはもう過ぎた事だから仕方ない。あやめももう気にしてないって言ってるし。でもそれだと一体誰がおかゆに協力を?

 

「おかゆちゃん、一体誰がおかゆちゃんに協力してたの?」

 

「それは「ソレについてはワタシが説明しマース!」え?」

 

おかゆの声を遮るかのように誰かが大きな声をあげた。ってこの声、もしかして……

 

 

 

 

 

―バアァンッ!!―

 

「ドーモ皆さんこんドラゴーン!久しブリに会いに来たゼー♪」

 

『ココ(ちゃん)(ちゃ)(会長)?!』

 

医務室の扉が勢いよく開き、其処から現れたのはかつて白上達と一緒に活動していた元ホロライブ四期生のドラゴン娘『桐生ココ』ちゃんだった!一体どういう事?!

 

「ココぉー!久しぶりだねぇ♪」

 

「オウ、かなたも元気そうで何ヨリだなぁ♪皆さんも相変わらズ元気ソウで♪」

 

「うん、ココちゃんも元気そうだねってそうじゃなくて!一体どういう事なの?!何でココちゃんが……」

 

「俺がココ率いる桐生会に頼んだんだ。ある男を捕まえて来てくれって」

 

レイくんが桐生会に?其処までして一体誰を……

 

「ソイツが今回大会に不正アクセスを働いた張本人でもあるかもしれないんだ。それでココ、奴は今何処に?」

 

「hey兄貴!アノ不届き者なら此処に連れて来てマス!オウお前等、連れてコイ!」

 

ココちゃんがそう言うと医務室の外で待機してた強面の桐生会組員が縄でグルグル巻きになった汚い肉の塊のような物を持ってきた。地面に投げ捨てられるとソイツは「ブフゥッ!?」といった鳴き声をあげた。

 

こ、コイツは……!?

 

「こ、コイツは!?…………………………………誰ぺこか?」

 

「…………いや、ちょっと待って、あてぃしコイツどっかで見たような………?」

 

「まつりも……なんだろう、すっごく思い出したくないような気がするんだけど……」

 

……白上もどっかで見た事がある気はする。けど何でか脳が思い出したくないのか拒否反応を起こしてるような感じだ。一体誰だっけこの人?

 

「……ああぁぁーーーーーーッ!!思い出した、コイツ只野だよ!昔はあちゃまや皆にセクハラばっかりしてた最低野郎!」

 

只野?ただの、タダノ、只野………あぁぁーーー!!そうだコイツ!昔問題起こしてアマゾンに左遷された只野喪不男だぁ!え、何で此処にいるの?!

 

「ブ……フフ、皆酷いなぁ。折角の感動の再会なのに俺の事忘れるなんてぇ」

 

「何が感動の再会だよ?!スバル達漸くお前の事忘れられたのに何しに来たんだよ!?」

 

「て言うかあんた、今アマゾンにいる筈でしょ?!何で勝手に戻って来てるのさ!?」

 

スバルやフレアの言う通りだよ!折角あのセクハラされまくった辛い日々を忘れられてたのに何で戻って来てんのさ?!

 

「ブフゥ、だってあんなアマゾンの奥地なんかに新人候補なんているわけないし、成果が出なかったから帰って来てみればなんか佐々木を取り合う大会がやってたし、其処で偶々おかゆちゃんを見つけて、大会に優勝したら佐々木を手に入れる代わりに俺をスタッフリーダーに使命してくれるって言うから……」

 

「そ、そんな約束してたのおかゆ?!」

 

「……ごめんなさい、本当にどうかしてた……」

 

おかゆは本当に申し訳なさそうに布団に顔をつけながら謝ってた。コイツがスタッフリーダーなんて出来るワケないじゃん!

 

「……まあ、それは良いとして。只野、お前一体何考えてんだよ?社長からは向こうで新人候補が見つかるまでは帰って来るなって言われてた筈だろうが?」

 

「フン!何で俺があんな何も無い所で燻ってなきゃいけないんだ?あんな所にいたって何も意味無いんだから戻って来ても別に構わないだろうが」

 

コイツ、左遷させられたのは自分のせいなのに何開き直ってるのさ?!

 

「お前がそんな勝手な事をするから社長も困ってるし、こうして桐生会の方々にも手伝ってお前を探してたんだぞ!少しは自分がやってる事の悪さを自覚しろ!」

 

「ハッ!俺は何も悪くねぇよ!それにどうせ俺がいなくなってから作業とか上手く回ってないんだろ?だから俺は会社の為を思って戻って来てやったんだ!社長もきっと喜んでくれると思うしなぁ♪」

 

「そうだな、私もその事で君を呼び戻そうとしてた処だ」

 

只野が騒いでいる中、タイミング良くYAGOOが入って来た。何だかかなり怒ってるみたいだけど……

 

「しゃ、社長!?どうして此処に?」

 

「私も佐々木君と一緒に桐生会に頼んでいたんだよ。ココ君、急な依頼済まなかったね」

 

「とんでもナイ!YAGOOもそうデスケド、兄貴に頼まれたらこの桐生ココ、一肌も二肌も、何だったら全裸になって兄貴と合「しなくていい」ムゥ……」

 

こ、ココちゃん、相変わらずフルスロットルだね。昔からレイくんの事兄貴って呼んでるし、かなりオープンな発言ばっかりしてるけど一体何があったんだろ?

 

「……それはともかく、君にどうしても渡さないといけない物があってね。本当なら君を呼び戻して渡すつもりだったが、手間が省けた」

 

そう言うとYAGOOは一枚の紙と何やら大きめな封筒を一つ只野に渡した。只野は最初は何事かと紙を見ていたけど、その顔はどんどん青ざめていく。

 

「しゃ、社長!?そんな、どうして俺が……!」

 

只野は何か焦った様子でYAGOOにすがりついている。その際に落とした紙を見ると、其処には大きく『懲戒解雇』と書かれていた。

 

「社長!どうして俺が解雇されなきゃいけないんですか?!確かに勝手に戻ったのはちょっと不味かったかなって思うけど……」

 

「……あの後お前がいなくなってから色々と調べたんだよ。そしたら叩けば叩く程埃が出てきた。お前、会社の同僚達に色々と酷い事をしてきたようだな?女性スタッフやアイドル達からはセクハラで、男性スタッフ達からはパワハラを受けていたと報告が多数寄せられている」

 

「ブフゥ?!」

 

「更にはお前、会社の金や備品を横領していたな?しかも盗んだグッズをフリマアプリで転売していただろう?調べてもらったらすぐに分かったぞ」

 

「ブフフゥッ?!!!」

 

コイツそんな事もしてたの?!完全に犯罪じゃんそれ!?

 

「だからお前は会社にとって不利益になると判断し、懲戒解雇を言い渡す。それと、横領した分の損害賠償とスタッフやアイドル達に対する慰謝料も請求するから覚悟したまえ」

 

「し、しかし社長!俺がいなかったら会社の仕事が回らないんじゃ……」

 

「お前がいなくなってから社内の仕事効率が飛躍的にアップした。つまり仕事の面でももうお前に任せる事は何もない。慰謝料と損害賠償については後に弁護士を通して伝える。逃げられると思うなよ」

 

「そ、そんなあぁぁーーーッ?!」

 

只野は叫びYAGOOを追いかけようとするが、桐生会組員が只野を押さえつけ何処かへと運んでいった。

 

「アノ豚野郎はワタシ達桐生会が責任持って監視するんで安心して下サイ!それじゃあ兄貴、次にあったらその時は子づ「だからしないって」ムゥ……こんな事ならホロライブ辞めなイデ大会参加すりゃ良かッタデス。ともかく、また近い内に遊びに行きマスね♪おー疲れ様デシター!」

 

ココちゃんも組員と一緒に自分達の居場所へと戻っていった。本当に相変わらずだったなココちゃん……

 

「……取り敢えずこれで一先ずは安心だね」

 

「うん、後は残された試合だけだよ」

 

そう、ホロメンに関するいざこざはこれで解消されたけど、まだ大会自体は終わってない。おかゆが気絶していた間も残りの四回戦は全て執り行われ、残るは準決勝と決勝のみ。残る参加者は

 

 

 

 

 

白上フブキVSシロ

 

ときのそらVSミライアカリ

 

この四人。レイくんをホロライブに居続けさせるには白上かそらちゃんのどちらかが優勝しなきゃいけない。アカリちゃんもシロちゃんも強敵だけど、絶対に勝ってみせるよ!

 

 

 

 

 

おかゆの心を救い、全てのホロメンと和解出来たフブキ。残す試合は後二回、果たしてフブキとそらは勝ち残る事が出来るのか?

 



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第三十二話『残された者達』

おかゆが目を覚まし、ホロメン達と和解する少し前。本戦会場では残された試合が行われていた。今回はその一部始終を御覧に頂こう。

 

―控え室 鈴木ヒナ視点―

 

「いよいよだねヒナ!此処で勝てば次は準決勝、フブキちゃんとの対決だよ♪」

 

「う、うん、そうだね……」

 

ヤバい、今になって凄く緊張してきた……今残ってる参加者を見る限りどの娘もかなりの実力者ばっかり。何だかヒナ此処に残ってるの場違いな気がしてきて少しお腹が痛い……しぐれういさんの気持ちが今になってわかるよ……

 

「?ヒナ大丈夫?何だか顔色少し悪いよ?」

 

「え?う、ううん大丈夫だよヒメ!もう今からでも戦いたいぐらい元気だよぉ♪」

 

「お、おぉ、そりゃ良かった。次の相手はあのシロちゃんだからね、油断してたらすぐにやられちゃうよ~?」

 

そうだ、次の相手はあのシロちゃんだ。あのでっかいホワイトディマイスとすばしっこいホワイトルインを相手にしないといけないんだ。ヒナの機体はただカラーリングだけを変えた天ミナだから、機体性能で言ってしまえばかなり分が悪い。正直何処まで通用するかは分からないんだよね……

 

「でもさヒメ……ヒナ、シロちゃんに勝てるのかなぁ?」

 

「え?!う、うーん……だ、大丈夫だよヒナ!確かにシロちゃんは強いけど、ヒナだって此処まで勝ち残って来れたじゃん!此処で勝って玲二くんに田中工務店に来てもらうようにお願いするんでしょ?なら自信持っていかなきゃ!」

 

そう、だよね。もう此処まで来たんだから後は自分の力を信じて進むしかないよね!

 

「……うん、そうだね!ありがとヒメ!ヒナ頑張るよ♪」

 

「その意気だよヒナ!頑張って優勝目指そうね♪」

 

「「おぉーッ!!」」

 

よし!気合い充分!頼むよ、ヒナフレーム姫雛鳥!ヒナは気合いを入れてヒメと別れ会場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場ステージ―

 

❬さぁトラブルはありましたが準備は整いました!只今Aちゃんとご主人様が不在の為此処からは代役としてこの僕、犬山たまきが一人でお送りします!❭

 

そうだ、今玲二くん倒れたおかゆちゃんの付き添いで離れてるから此処にはいないんだ、ちょっと残念だな……

 

❬それでは続いての試合!シロさんVS鈴木ヒナさんの対決です!❭

 

……いや、もう試合が始まるんだ。玲二くんがいないのは残念だけど、気を引き締めないと!

 

そしてステージに上がると、其処には既にシロちゃんが自分のガンプラをセッティングして準備を行っていた。

 

「……あ、ヒナちゃん!今日はお互い頑張ろうね♪」

 

「う、うん。宜しくねシロちゃん」

 

シロちゃん……シロちゃんもヒナやヒメと同じ玲二くんの事が大好きな娘。いや、最早それは好きというレベルでは収まらないぐらいだと思う。さっきまでのおかゆちゃんの執着心も凄かったけど、シロちゃんはシロちゃんでまた違う感じの執着心がある。一体何で其処まで強い執着心を持ってるんだろ?

 

「あーあ、折角玲二にシロが戦ってる処見せたかったのに、おかゆちゃん何で倒れちゃったかなぁ?」

 

「え?そ、そんな言い方無いんじゃ……」

 

「え?だってそうでしょ?おかゆちゃんが倒れなかったら玲二がシロの試合を見てくれてたのに、あんな事で取り乱して気絶するなんて」

 

……流石に異常過ぎる。人が倒れて、それが大切な人なら助けるのは当たり前じゃないの?何でシロちゃんはそんな事言えるの?

 

「……ねぇシロちゃん、流石に今の言葉は酷いよ。おかゆちゃんも頑張って戦って、それで傷ついたんだよ?それを仲間の玲二くんが助けるのは当たり前でしょ?」

 

「そんなの知らないもん。シロにとって玲二に寄り付く女がどうなったってシロには関係無いし。なのに玲二はシロよりもそんな女を優先するのが許せないんよ」

 

「………玲二くんはおかゆちゃんの事が心配で付き添っているのに、シロちゃんのその言葉、酷すぎるよ!ヒナ、絶対に許せない!」

 

最初は勝てるかどうか不安だったけど、今はそんな事言ってられない!シロちゃんは此処で絶対に倒さないと!

 

「許さない?許さないのはシロの方だよ。玲二に近づく女は皆、シロがやっつけてやるんだから」

 

シロちゃんはヒナを睨むと自分のヘッドギアを着けてスタンバイする。睨まれた時怖かったけど、負けるワケにはいかない!

 

❬お互い準備完了した模様です、それでは参りましょう!リンクスタート!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア―

 

ゲームが始まり、ヒナは姫雛鳥で空中を浮遊している。下にはシロちゃんのホワイトルインガンダムの姿が見えた。今回はディマイスは使わないのかな?

 

「シロちゃん、今回はいきなりルインからなんだね?」

 

「うん、玲二が見てないならさっさと終わらせたいからね。それじゃ、覚悟してねヒナちゃん?」

 

そう言うとホワイトルインが姫雛鳥に向かって襲い掛かってきた!ヒナはすぐに左腕のツムハノタチで防御し、トツカノツルギで反撃をする。ルインには切っ先が当たった程度だけど、先制ダメージは与えられた!

 

「へぇ、やるねヒナちゃん。とても塗装しただけのガンプラとは思えない操縦技術だね」

 

「そうでしょ?油断してるとすぐにやられちゃうよ?」

 

ルインは左手の指先からビームフィンガーを、右手の甲から実体剣デスダガーを展開し再び襲い掛かってきた。ヒナはトツカノツルギとツムハノタチを使って対抗していく。それにしてもさっきの発言からして、シロちゃんは玲二くんに関わる事以外本当に興味が無い感じがする。一体シロちゃんと玲二くんの間に何があったんだろう?

 

 

 

 

 

 

それから数分間、お互いの攻防は続き、一歩も引かない状態が続いた。シロちゃんの戦い方は荒っぽさがありなんとか対処出来るけどそれでもダメージを受けてしまう。ヒナは自分で言うのもなんだけど他の娘に比べて操縦技術がずば抜けてるから対応出来るけど、機体スペック自体が改造機に比べて劣ってるから決定打を与えられてない。このままじゃお互いにジリ損になっちゃう……こうなったら!

 

ヒナはなんとかシロちゃんの隙をついてルインの機体バランスを崩し、その隙に背中の翼、マガノイクタチを広げルインを捕縛した!

 

「きゃうッ?!こ、これって……!?」

 

「ヒナの機体は確かに皆と違って塗装しただけの無改造な機体……でもだからこそ、設定に準じた戦い方が出来るんだよ!」

 

そしてヒナは姫雛鳥の出力を上げてルインからエネルギーを吸収していく。これならシロちゃんの身動きも止められて、更にエネルギーも吸い尽くせる!このまま……

 

 

 

 

 

 

 

―チュドオォォンッ!!―

 

「キャアッ?!な、何?!」

 

いきなり背後から撃たれた!?一体何が……ッ!?あ、あれは、ホワイトディマイス!?な、何で……

 

「もーヒナちゃんってば油断し過ぎだよー。シロは確かに最初からルインで戦ってたけどディマイスを使わないなんて一言も言ってないよ?」

 

そう言うと解放されたルインが姫雛鳥に一蹴りした後ディマイスの方へと飛び合体していく。しまった、最初からルインで来ていたからディマイスの警戒なんて全然してなかった!

 

「確かに設定に準じた戦いがスムーズに出来るのは良いと思うよ?けどそれって、相手がその設定を知ってたら逆に利用されたりするんだよ」

 

「利用……ッ?!まさかシロちゃん、マガノイクタチの性能を知った上で敢えて受けてたの?!」

 

「そうだよ、相手のエネルギーを吸収するマガノイクタチは厄介だからね。だから敢えて受けて油断してる処にディマイスで一発撃ち込んだんだ。まさか此処まで上手くいくとは思わなかったけどね」

 

そう言うとディマイスの砲門が全て開いて姫雛鳥に狙いを定めてくる。

 

「覚えておいてヒナちゃん、シロと玲二の仲を邪魔するのなら、例え相手が友達だったとしてもシロは容赦しない。全力で潰して、二度と玲二に近づけないようにしてあげるよ」

 

その言葉と一緒に強い光が放たれ、ヒナの視界が真っ白に染まった……

 

 

 

ガンダムアストレイヒナフレーム姫雛鳥

HP:0

 

―WINNER シロ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっさりとした形で試合が終わってしまい、ヒナは終了のアナウンスがあった後も呆然としていた。ヒナの心にあったのは負けたショックとか何も出来なかった事に対する悔しさとかじゃなく、ただ目の前にいるシロちゃんに対する恐怖心だけだった。それを自覚した瞬間、ヒナの手が震えて止まらなかった。

 

「これで分かったでしょ?ヒナちゃんじゃシロには絶対に勝てないって。もうヒナちゃんはシロがいる限り絶対に玲二に近づく事すら許されない。分かってくれるよねぇ?」

 

シロちゃんは笑顔のままヒナにそう言って会場から姿を消した。いや、あれは本当にヒナ達の知ってるシロちゃんだったんだろうか?違う……あれはそう、悪魔だ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―待機場 ミライアカリ視点―

 

「……今残ってるのはフブキちゃんとシロちゃん、そしてそらちゃんか。おおよそ予想通りだね」

 

アカリはシロちゃんの試合結果を見てやっぱりなと思った。もしかしたらヒナちゃんがワンチャン勝つかなって思ったけど、やっぱり無改造じゃ厳し過ぎたね。

 

……さて、次はアカリの番だね。相手はハニストの周防パトラちゃん。玲二とは何回か仕事をしていたみたいだけど、あの娘は玲二の事をどう思ってるんだろうか?もしひまちゃんやオメシスのように賞金目当てなら、その時は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場ステージ―

 

❬遂に此処までやって参りました!四回戦最終試合、ミライアカリちゃんと周防パトラちゃんの対決です!お二人とも此処までほぼノーダメージで相手を撃破してきました!果たしてこの試合、どちらが勝つのでしょうか?!❭

 

「こんばんわんわーん♪アカリちゃん今日はよろしくね~♪」

 

「うん、こっちこそよろしくねパトラちゃん♪」

 

試合開始前、アカリはいつも通り相手に挨拶をする。それは最低限の礼儀だし、玲二にも大切な事だと教わってきた。そして挨拶のついでにアカリは毎回相手に必ずといっていいほど確認している事をパトラちゃんにも聞く。

 

「……ねぇ、パトラちゃんは玲二の事どう思ってるの?」

 

「佐々木さん?そうだね~、とっても優しい人だと思うよ?気遣いも出来るし、ホロライブの皆が好きになるのは分かるなぁって。でもパトラ的には佐々木さんというよりフレアが欲しいから“そのついでに”一緒にハニストに来てもらおうかなぁって思って♪」

 

「………ふーん、そうなんだ。玲二は“ついで”なんだ?……分かったよ、有難うね」

 

そう言ってアカリは自分のコックピット席へと行きセッティングを始めた。そして決めた……パトラちゃんは徹底的に潰そうと。

 

❬はい、それではお互い準備が整ったようですので始めていきましょう!リンクスタート!!❭

 

―LINK START―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サイバーエリア―

 

ゲームが始まり、アカリのフォーチュンガンダムが地面に着地する。そして目の前にいるのはパトラちゃんのガンプラ……成る程、確かにこれは凄いね。まさかデビルガンダムの改造機とはね。

 

❬遂にバトルが開始されました!アカリちゃんの機体はUCのサイコフレームを仕様したガンダム三機をミキシングしたフォーチュンガンダム!対するパトラちゃんの機体は旧キットのデビルガンダムとバルバトスプスレクスをミキシングした最恐の機体『ディアボロスガンダム』だあぁッ!!この機体の前に立ち向かった娘達はなす術無く倒されてしまったという、まさに悪魔と呼べる機体だあぁッ!!❭

 

 

『ディアボロスガンダム』

旧キットのデビルガンダムとHGのバルバトスプスレクスをミキシングした機体。地面に張り付くような構造の為その場から動けないが、代わりに高い攻撃力とデビルガンダムが持つ再生能力がある。離れていればビームカノンが、近づけば改造クローの餌食となってしまう。

 

ディアボロスガンダム

HP:1890

ATK:440

DEF:360

SPD:0

MOB:100

 

「よぉーし!それじゃあアカリちゃん、全力でいくよぉ~♪」

 

「……………」

 

バトル開始と共にディアボロスからビームカノンが放たれるが、アカリはあっさり避けてビームライフルで反撃する。ディアボロスは動けないからあっさりと命中する、けど……

 

ディアボロスガンダム

HP:1890→1710→1840

 

……やっぱりデビルガンダムをベースにしてるだけあって再生能力は備わってるんだ。撃った所がみるみる再生していってる。

 

「ふふーん、そんな攻撃じゃパトラのディアボロスはすぐに回復しちゃうよ!」

 

❬出ました!ディアボロスガンダムの脅威の再生能力!例えダメージを受けてもすぐに回復してしまうまさにチート級の能力です!❭

 

……確かに再生能力は厄介だね。ダメージを与えてもすぐに回復してしまう……けど、“ただそれだけ”なら何も問題ない。

 

「それじゃあアカリちゃん、覚悟してね~?この最恐の悪魔、ディアボロスガンダムでアカリちゃんのフォーチュンガンダムを「この程度で最恐の悪魔?随分と笑わせてくれるね?」……え?」

 

「どうやらパトラちゃんが此処まで勝ち進めたのは機体性能に助けられたのと運が良かっただけみたいだね?これならシロちゃんのディマイスの方がよっぽど脅威だよ」

 

アカリの言葉にパトラちゃんは驚いた顔をしている。そりゃそうだよね、今のアカリは自分でも分かるくらい冷めきった声をしてるもん。

 

「……もういいや、さっさと終わらせてあげる」

 

アカリはそう言うとフォーチュンのバックパックにあるサイコプレートを改造したサイコファンネルを八基射出してディアボロスに向かって一斉射撃を放つ。

 

―ドゴォッ!ドゴォッ!ドゴォォンッ!!―

 

「キャッ!?」

 

ディアボロスガンダム

HP:1890→1645→1230→1400

 

「うぅ……で、でもいくら攻撃した処でディアボロスの再生能力がある限り回復を「うん知ってる。だから再生しきる前にHPを0にまで狩り尽くすつもりだから」ッ?!」

 

アカリはサイコファンネルを駆使してディアボロスを追い詰めていく。ディアボロスもビームカノンで対抗してくるけど、そんなの当たんなきゃ意味がない。更にアカリはフォーチュンの両肩から伸びてるビームエネルギーをサーベル状にしてディアボロスへと接近していく。

 

「ッ!?さ、させないよ!」

 

パトラちゃんもディアボロスのクローで反撃しようと両腕を上げてきたけど好都合、その上げてきた両腕に目掛けて……

 

―ズバアァァッ!!―

 

一刀両断、ディアボロスの両腕を切り裂き使い物にならなくしてやった。

 

「そ、そんな……」

 

「覚えておいてパトラちゃん。アカリは玲二の事が大好き……ううん、愛してるの。だから他の娘を引き抜くついでなんて考えてるパトラちゃんには絶対に玲二を渡さない。玲二の幸せを考えない娘は……潰す!」

 

そしてアカリはビームサーベルでディアボロスを斬りつけた後すぐその場から離れ……

 

―チュドオォォォォォォオンッ!!!―

 

サイコファンネルの一斉射撃でトドメを刺した。

 

ディアボロスガンダム

HP:0

 

―WINNER ミライアカリ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合が終わった後、アカリはパトラちゃんに一言も声をかけずに会場から出ていった。やっぱり玲二そのものを欲してない娘なんてたかが知れてる。これならまだ咲ちゃんの方が数倍マシだ。まぁ、あっちは完全に実力不足だけど……

 

「……次はそらちゃんとの勝負。それに勝てばその次はおそらく………待っててね玲二。アカリ絶対に勝って玲二を迎えに行くから」

 

そしてアカリはそのまま待機場へと戻っていった。次はいよいよ準決勝、勝ってアカリは必ず玲二を手に入れるんだから!

 

 

 

 

 

四回戦全てが終わり、残すは後三試合。果たして優勝を手にするのは、一体誰なのだろうか?



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第三十三話『最後の準備』

四回戦が終わって残ったのは白上とそらちゃん、そしてアカリちゃんにシロちゃんの四人。残す試合は後三試合、これに勝ち残った娘がレイくんを手に入れる事が出来る。

 

白上とそらちゃんのどちらかが優勝すればレイくんはホロライブに残る事が出来る。つまりは準決勝で白上とそらちゃんが勝てばその時点で安心は出来る。けど流石にそうはいかない……準決勝の相手は白上はシロちゃん、そらちゃんはアカリちゃんと当たっている。どちらも一筋縄ではいかない強敵、油断していたらすぐに負けてしまうかもしれない。

 

だけど白上達は絶対に負けられない!必ず勝って、またレイくんと一緒に楽しかった日々を取り戻すんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って意気込んだのに準決勝が来週ってどういう事ですかぁ~………?」

 

「仕方ないよフブキ、GVWのサーバーに負荷が掛かってたみたいだし、あの後色々とバタバタしてたのもあったんだから」

 

そう、実はあの後準決勝が始まると思ったらスタッフさんがやって来てサーバーに負荷が掛かってしまってメンテナンスが必要との事で準決勝は後日になるって言われ今は皆で事務所に戻ってきた。

 

「ま、まあこれはこれでフブキちゃんもそら先輩も最後の準備が出来ると思えば良いと思うぞ?」

 

「そ、そうだよあやめるの言う通りだよ。なんたって次はあのシロちゃんとの対決なんだから事前の準備はしっかりした方が良いよぉ?」

 

……うん、確かにあやめところねの言う通りだ。これはむしろチャンス、あのシロちゃんとの勝負を万全な態勢で挑む為の準備期間だと思えば良い。もしかしたらその先の決勝でアカリちゃんと戦う事になるかもしれないし、これを機に一旦アーマーの調整とかもしとこう。

 

「……おそらくだけどシロちゃんと戦う時はそう易々とバディチェンジはさせてくれないよね」

 

「うん、ウチも戦って分かったけどシロさんは相手の換装を待ってくれる程優しくはないと思う。ましてや次は準決勝、気合いの入れ方はより一層増すと思うから隙をついても一回が限界じゃないかな?」

 

「そうだよね……となると戦えそうなのはフォクシードとドグレイトとウォルフェイト、後はオーガイオウかな?他のアーマーは特殊だからキツいかなぁ……」

 

スバルのダッキンドネス、わためのシープレシャス、そしてぺこらのラビットラッパーではこの後の戦いには使えそうにない。三人には悪いけど、これ等のアーマーは見納めかな?

 

「うーん、でも問題はシロちゃんの機体が実質二体分ある事だよね。ディマイスだけならドグレイトやウォルフェイトで対応出来そうだけど、ルイン相手だとやっぱりフォクシードかオーガイオウかなぁ……」

 

「でもでも!もしノエルとの戦いの時みたいに遠隔操作で二体纏めて来たらそんな使い分けての戦いなんて出来ない余!」

 

「そうだ……確かに神経を集中させなきゃいけないとは言えシロちゃんは遠隔操作も出来るんだった。本体であるルインを倒すべきだけど、ディマイスも一緒に来られたら無視なんて出来そうにない……」

 

……改めて考えるとシロちゃんの機体ってかなりの強敵なんだって思い知らされちゃった。あのまま準決勝が始まってたらそういった対応とか考えられないまま負けてしまってたかもしれない……

 

「そうなるとやっぱり、また新しいアーマーを作るしか……?」

 

「新しいアーマー……作るとしたら対多数を想定したアーマーだけど、そうなると武装を多くしないと、あでもそれだと動きが鈍くなるし……うあうぅ~、考えれば考える程頭がパンクしそうだよぉ~……」

 

新しいアーマーについてあれこれ考えてみるもののこれといって良い案が浮かばず、考えれば考える程深みに嵌まってしまう。一緒に考えてくれてるミオ達も同じようで皆頭を抱えて悩んでいる。はぁ、本当にどうしよう……?

 

 

 

―ガチャッ―

 

「あ、あの……フブキちゃん、今大丈夫だったかな?」

 

「え……あ、おかゆ!もう身体は大丈夫なの?」

 

「うん、スバルちゃんとあくあちゃんが一緒に病院に連れてってくれたけど何処にも異常はないって言われたから戻って来たんだよね」

 

新しいアーマー開発に悩んでいると白上達のいる会議室におかゆとスバルとあくあちゃんが入ってきた。おかゆの手には何やら大きな箱があるけどどうしたんだろ?

 

「……改めて皆、本当にごめんなさい。あの時フブキちゃんに負けなかったら僕、取り返しのつかない事をしてたかもしれなかったから……」

 

「もぉおかゆってば、その事についてはもう大丈夫だって。皆おかゆの気持ちはちゃんと伝わってるし、誰ももう気にしてないんだから」

 

「そおだよおかゆー♪こおねはおかゆとまた一緒にいられるだけで嬉しいんだからさ~♪」

 

「……うん、そう言ってもらえて嬉しいけど、それでもやっぱり僕としては許されない事をしたと思ってる。だからこれ……」

 

おかゆはそう言うと手に持ってた大きな箱を白上の前に置いた。これってまさか……

 

「おかゆってば病院から出た瞬間いきなりスバル達にお願いしてこれを探しに一緒に街に出てたんだよ」

 

「まあ、其処までレアなキットじゃなかったからすぐに見つかったけどね」

 

そうだったんだ……確かにこれを使ったアーマーは考えてたけど、中々良い改造案が浮かばなかったから結局買わず仕舞いだったんだよね。

 

「それとこれ、もし使えたらって思って……」

 

するとおかゆは持ってたバックからもう一つ、小さな箱を取り出し白上に渡してきた。

 

「え……ッ?!お、おかゆ!?これって……」

 

その中にあったのは、なんとおかゆが使ってたアルスのアーマー、ナイトメアアーマーだった!あの脅威の空間移動能力、ワープダイヴを使えるおかゆの切り札だったアーマーだけど、どうして……?!

 

「このアーマー、僕には上手く使いこなせなかったけど、もしかしたらフブキちゃんなら使いこなせるかもって思って持ってきたんだけど……使って、くれるかな?」

 

「おかゆ……うん、ありがとうおかゆ。この二つ、使わせてもらうね♪」

 

おかゆからナイトメアアーマーを受けとるとおかゆは一安心したのかまだぎこちないけど笑ってくれた。うん、やっぱりホロライブは皆仲良しじゃないとね♪

 

「取り敢えずこのアーマーはアルス用だからそのままじゃパーツ不足で使えないから、少し改造を施さないと。それとこっちに関してはどうしようかな……」

 

「あ、それなんだけどスバル良い事思いついた!これさ、ホロメン総出で改造してみない?」

 

「あ、それ良いかも!ウチ等のそれぞれの想いを込めて、このアーマーを完成させようよ♪」

 

「おぉッ!それなら余は今事務所にいるメンバー全員に声かけてくる!」

 

「あてぃしも家に戻っちゃった娘に連絡してみる!」

 

「み、みんな……」

 

皆白上の為に……何だか嬉しくて泣きそうになってきちゃった。

 

 

 

それから程なくしてホロメンが皆集まって来てくれた。流石にロボ子さんはまだメンテナンス中だけど、それぞれ案を出し合いながら新しいアーマーの製作に当たってくれてる。皆が此処までしてくれたんだ……白上は絶対にシロちゃんに勝ってみせます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その頃……―

 

「あーあ、折角もうすぐ玲二が手に入ると思ったのに、次の試合が来週だなんてなぁ……」

 

薄暗い部屋の中、一人の少女が床に散らばる写真を見ながらうっとりとした表情を浮かべていた。そう、シロだ……

 

「後二回……後二回勝てば玲二とシロが永遠に結ばれる♪他の女になんて絶対に渡さない……」

 

シロは床に散らばる写真を数枚拾い上げ眺める。其処に写っているのは全て玲二の写真、つまりは盗撮した物だ。それは床だけではなく壁一面にもびっしりと貼られており、それ等の写真には殆ど玲二しか写っておらず、たまに他の人が写っていてもマジックで顔を塗りつぶされていた。端から見ればかなり異常な光景と言えよう。

 

「フフフ、待っててね玲二♪シロが必ず迎えに行ってあげるからねぇ……♪」

 

散らばる写真の中から一枚の写真を取り出し、シロは大事そうに抱き締めながら笑う。その写真に写っていたのは“車椅子に座っている幼き頃のシロ”と“頭に包帯を巻き片足にギブスをして松葉杖を突いてる少年時代の玲二”が一緒に笑っている姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―更にその頃……―

 

「……よし。ピロリン、其処のヤスリ取ってくれる?」

 

―~♪―

 

先程のシロの部屋とうって変わって明るい部屋でミライアカリがパートナーである電子妖精ピロリンに手伝ってもらいながら新しい追加武装を作成していた。

 

「にしてもある意味ラッキーだったね。この武装使いたかったけど間に合わなかったから諦めてたけど、これなら次の試合には間に合うよね?」

 

ランナーから切り取ったパーツに一つ一つ丁寧にヤスリをかけていくアカリ。その横には写真立てに入っているアカリと玲二、そしてミオとぼたんの四人が写っている写真があった。

 

「……出来る事ならあの頃に戻りたいけど、もう流石に無理だよね」

 

―~?―

 

「あ、ごめんねピロリン。もうすぐヤスリがけ終わるから超音波洗浄器の準備してもらっていい?」

 

―~♪―

 

アカリが頼むとピロリンはそのまま部屋の外へと出ていった。そしてアカリは写真立てを伏せてパーツを持って部屋を出ようとする。

 

「……もうあの頃みたいには戻れない。だったらせめて玲二を、アカリの元に!」

 

アカリは何かを決意した後、そのまま部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―更に別の場所にて…… そら視点―

 

「……うん、おかゆちゃんも凄く謝りたがってたから。本人はまだ本調子じゃないし私達もまだ大会が残ってるから少し後になるけど、必ず謝りに行くからって……分かったよ、本人にも伝えておくね。ありがとう葵ちゃん、またね♪」

 

私は皆と一緒にフブキちゃんのアーマー製作を手伝った後家に帰って電話をかけてた。相手は私とよく歌動画を撮ってた富士葵ちゃんだ。

 

理由としてはおかゆちゃんが一回戦の時に葵ちゃんに対して不正をしたのと必要以上に追い詰めてしまった事を謝りたいと言ってたから、お節介かもしれないけど私が葵ちゃんに謝罪の場を設けてもらえるようにお願いしてたんだ。

 

葵ちゃんはあの時の事はもう気にしてないよって言ってくれたけど、おかゆちゃん本人が会ってしっかり謝りたいって言ってたと伝えたら大会後に会ってくれるって言ってくれた。これでおかゆちゃんに関してはもう心配はないかな?

 

「……フブキちゃんも皆がついてるから大丈夫。後は私だけだね……」

 

そう、私は実は今少し悩んでいる。その理由は私自身にある。私は確かにフブキちゃんと同じように元のホロライブに戻したい、その想いは変わらず持っている。けど少し前のおかゆちゃんやシロちゃんを見てると、もしかしたら自分の中にもそういった独占欲があるんじゃないのかって思っちゃう。

 

現に玲二君がもし他の娘と付き合うってなったらって考えると胸が苦しくなってくる。玲二君に私の事もっと見てほしい、愛してほしいという気持ちが抑えきれなくなりそう……

 

私は結局どうしたいんだろう?また皆と一緒に楽しく過ごす日々?それとも玲二君と付き合って幸せな日々を過ごしたい?どっちも大切だし、片方だけなんて選べない……一体どうしたら……

 

 

 

………

 

 

 

……………

 

 

 

…………………

 

 

 

…………………………ッ!

 

 

 

「……そうだ!だったらホロライブの皆で玲二君の彼女になれれば良いんだ!皆が一緒なら玲二君の事支えられるし、絶対に幸せにしてあげられる♪」

 

うん、これなら皆今まで通り……ううん、それ以上に仲良くなれる♪そうと決まったら、頑張んないと!

 

「よぉーし、やるぞぉー!おーッ♪」

 

最初は少し悩んでいたが持ち前の前向きな気持ちで頑張っていこうとする。天然なそららしい考えであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから一週間後、準決勝当日 フブキ視点―

 

「……いよいよこの時がきたね、そらちゃん」

 

「うん、そうだねフブキちゃん」

 

全ての準備を終えて、白上達は再びこの会場へとやって来た!今日で全てが決まる……白上達とレイくんの未来が!

 

「皆、此処まで白上とそらちゃんに付き合ってくれてありがとう。皆がいなかったら、もしかしたら此処まで来れなかったと思う。だから、本当にありがとうね」

 

白上はこれまで支えてくれた皆に感謝を伝える。皆がいてくれたから、白上もそらちゃんも此処までやってこれたんだもん。

 

「そんな事ないよ、アズキ達は手伝っただけだから、此処までこれたのはそらちゃんとフブキちゃんの力だよ♪」

 

「うん、ボク達の気持ちを背負ってくれた二人だからボク達も信じてついてこれたんだよ?」

 

「そうそう♪みこも二人なら絶対に玲二を取り戻してくれるって信じてんで!」

 

「だから必ず、玲二君を取り戻してね♪」

 

アズキちゃん、ロボ子さん、みこち、すいちゃん……

 

「あっさり負けちゃったアキロゼが言うのもなんだけど、シロちゃんはかなりの強敵だから気をつけてね?」

 

「メル達は後は応援する事しか出来ないけど、フブキちゃんと一緒に戦ってるつもりでいっぱい応援するから♪」

 

「まあ、はあちゃまが応援してあげるんだから負けるなんてあり得ないけどね、キャハハ♪」

 

「そら先輩のアイドルパワーとフブキとまつり達の一期生の絆パワーがあれば絶対に勝てるよッ!」

 

アキロゼ、メルメル、はあちゃま、まつりちゃん……

 

「余は前まで母百鬼の教えで一人でどうにかしようとしてたけど、今は皆が一緒になって玲二様を助けようとしてくれてるから、余も皆と一緒にフブキちゃん達を信じて応援する余!」

 

「フブキちゃん、そらちゃん!絶対にご主人取り戻してね!絶対だよ!?」

 

「もぉー、あくあちゃんってば心配性だなぁ。心配しなくたってこの二人なら勝って玲二を取り戻してくれるって♪」

 

「そうよあくあ様?二人はちょこ達の想いを背負って戦ってくれる。信じてあげなきゃ逆に失礼よ?」

 

「そうそう、フブキ先輩もそら先輩もかなり強いんだから負けたりなんてしないよ♪」

 

あやめ、シオンちゃん、あくあちゃん、ちょこ先生、スバル……

 

「シロちゃんは確かに強敵だけど、動きがかなり大振りだから油断せんかったら絶対勝てるって♪」

 

「フブちゃん達なら大丈夫……なんて言い過ぎたら荷が重くなっちゃうかな?でも今は二人に頼る事しか出来ないから、玲二さんの事、よろしくお願いします」

 

「るしあ達は玲二さんに沢山のモノを与えられました。だから今度は玲二さんにるしあ達が御返しする番です!その為にもお二人とも、よろしくお願いするのです!」

 

「ぺこーら達まだまだ師匠といっぱい遊びたいし色々な事教わりたいぺこ!だからそら先輩、フブキ先輩!絶対に負けるんじゃねぇぺこ!」

 

「うーん、あんまり勝て勝て言ってたら逆にプレッシャーになってしまいますよね?だから船長からは言えるのは一つ、全力で頑張ってきて下さい!」

 

団長、フレア、るしあ、ぺこら、船長……

 

「ウチは大会中結構フブキと一緒にいる事が多かったから、フブキがこれまで頑張ってたのはよく知ってる。だから今日はその全てをぶつけに行く勢いで頑張ってね!」

 

「……こんな僕が言える事じゃないのは分かってるけど……フブキちゃん、そらちゃん、レイくんの事よろしくお願いします」

 

「もぉーおかゆってば、そんな自分を卑下するのはやめなよぉー。フブちゃんもおかゆの想いはしっかり受け取ってくれたんだから、もう誰が相手だろうと負ける筈ないよ♪」

 

ミオ、おかゆ、ころね……

 

「此処まで来ると何を言ったら良いか分からないけど……フブキ先輩、そら先輩、頑張って優勝取ってきて下さい!」

 

「わため達も精一杯応援するから、絶対に勝ってね♪」

 

「トワ達ホロライブの絆の強さ、シロさんやアカリさんに見せつけてやって下さい!」

 

「ルーナはもっともっとにーちゃといたいのら。だから絶対に負けないでね♪」

 

かなたん、わため、トワ様、ルーナ……

 

「アカリちゃんのフォーチュンガンダムはかなりの強さです。そら先輩、油断しないで下さい」

 

「ねねがレイ兄ちゃんや皆ともっと沢山遊べるようにお願いするね♪」

 

「先輩方、玲二さんを必ずラミィ達ホロライブに連れ戻して下さい。よろしくお願いします」

 

「もう最後辺りになると殆ど被ってしまいますが……必ず勝って、最後は皆で笑いあいましょう!」

 

ぼたんちゃん、ねねち、ラミィちゃん、ポルカ……

 

皆白上とそら先輩の背中を支えてくれている。こんなに心強い事はないよ……

 

「ありがとう皆……私達、絶対に勝ってみせるよ!」

 

「うん!必ず勝って、その時はレイくんも一緒に皆で笑いあおう♪」

 

そして白上達は皆で円陣を組み、最後の気合いを入れる!

 

「皆、いっくよー?せーのッ!」

 

『とまらないホロライブ!おぉーーーーッ!!』

 

皆の掛け声が一つになってる。白上は一人じゃない、こんなにも頼もしい仲間がいる!だから絶対に負けません!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それにしても」

 

『?』

 

「………ぺこらとシオンちゃんとトワ様って、ちゃんといたんだね?」

 

「いやいたぺこだよ!!ぺこーら其処まで目立ってないだけで今までだってちゃんといたぺこ!!」

 

「ぺこらなんて番外編で出番あったからまだマシじゃん!シオンなんてさっきのが初セリフなんだから!!」

 

「いやシオン先輩別の小説の逃走中に少しだけど出番あったじゃん!トワこそ本当にさっきのが初セリフなんだけど!!」

 

いやメタいよ!?セリフとか言わないで!確かに全然出番無かったから作者に忘れられてるんじゃないかって思ったけど!

 

※別に忘れてた訳じゃないんです。ただ出すタイミングが無かっただけなんです。by神楽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本戦会場―

 

❬さあ、いよいよこの時がやって参りました……長きに渡る戦いに、漸く終止符が打たれようとしております。GVW初の大会ビルドライバーズカップ、残す処後三試合となりました!果たして、最後に勝ち残るのは誰なのでしょうか?!これより、準決勝を始めたいと思います!!❭

 

……いよいよ始まる、運命の戦いの時が。これまで白上達は色んな強敵と戦ってきました。でもこれから戦うのは最も強い相手、シロちゃんとアカリちゃん!この二人を倒さないと、本当の意味で元のホロライブには戻らない!だから白上は、絶対に勝ってみせます!

 

❬それではまずは第一試合!ホロライブより変幻自在な戦いをみせる狐少女白上フブキさん対全ての敵を無慈悲に葬る白き悪魔シロさんの対決です!❭

 

Aちゃんに呼ばれ、白上はステージへと上がっていく。そして少し遅れてシロちゃんもステージに上がってきた。

 

「フフフ♪今日でやっと玲二がシロのモノに出来るよ♪この大会を開いてくれた人達に感謝だね♪」

 

「……悪いけどそれは無いよ。レイくんは絶対にドットライブに引き抜きなんてさせないから」

 

シロちゃんは既に優勝した気でいるみたいだけど、白上だって負ける気なんてこれっぽっちもない。絶対にレイくんを移籍なんてさせないんだから!

 

「ふぅん、意気込みだけは凄いねフブキちゃん?あ、それと何か勘違いしてるみたいだけど、シロは別に玲二をドットライブに引き抜きしようなんて考えてないよ?」

 

「え?引き抜きしない?」

 

「そうだよ、だってそんな事したら他の娘が玲二に引っ付こうとしちゃうじゃん?玲二はシロさえいればいいんだから、他の娘が近づくなんて絶対に許さない。だからシロが勝ったら玲二はずっとシロの部屋にいてもらうの♪誰も邪魔する事のない二人きりの世界でシロと玲二は永遠に一緒に暮らすんだよ♪ね、とっても素敵でしょ?」

 

………く、狂ってる。おかゆも一緒に暮らすって言ってたけどシロちゃんはそれより酷い。レイくんの事を完全に物としてしか見てない……そんな事、絶対にさせない!!

 

「……シロちゃんがどうして其処までレイくんに執着するのかは正直分からない。だけど、これだけは言えるよ……シロちゃんのやり方じゃ、レイくんは苦しい思いをするだけだよ!だから、シロちゃんのその野望は白上が止めてみせる!」

 

「………言ってくれるね?だったらシロがフブキちゃんを完膚なきまで叩きのめしてあげる。二度とシロに逆らえないようにしてあげるね♪」

 

シロちゃんはそう言って自分の席へと行きセッティングを始めた。白上も自分のガンプラのセッティングをして、ヘッドギアを装着してスタンバイを終える。

 

❬お互いの想いがぶつかり合い、激しい火花が散っております!果たしてこの試合を制するのはどちらなんでしょうか?!それでは両者準備が整ったとの事なので始めて参りましょう!準決勝第一試合、白上フブキさんVSシロさんの対決!リンクスタート!❭

 

―LINK START―

 

遂に始まる、白上とシロちゃんの戦い……見ていて下さいレイくん。白上は皆の想いを背負って、必ず勝ちます!

 

 

 

―to be continued―

 



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第三十四話『強さの形は一つじゃない』

遂に始まるフブキとシロの対決。果たしてフブキは、この強大な力を持つ悪魔を攻略する事は出来るのか?

 

 

 

―サイバーエリア―

 

ゲームが始まって、最早お馴染みとなってきたサイバーエリアへとダイヴした白上。目の前にはシロちゃんのホワイトディマイスガンダムの姿が見えた。

 

「……ふーん、フブキちゃんまた新しいアーマー?一体どれだけアーマー作ってるのさ?」

 

「さあ?どれだけだろうね?」

 

そう、今回白上の白夜ガンダムはまた新しいアーマーを装備して出撃している。紫をメインに所々白いラインが入っていて、両腕には小型のビーム砲が備わっている。どんな特徴かって言うと……

 

「ま、別にどうでもいいや。シロはどんな相手だって、一撃で吹っ飛ばすだけだからね」

 

そう言うとディマイスの右腕の砲台が開き白上のガンダムに標準を合わせる。やっぱりシロちゃんは勝負を早めに終わらせようとする傾向がある…… けど!

 

「それじゃあフブキちゃん、早速だけどこれでおしまいだよ♪」

 

―ドゴオォォォォォォォォンッ!!―

 

ディマイスの右腕の砲台から一斉射撃が放たれ、白上のガンダムを飲み込もうとしていた。そして……

 

 

 

 

 

―ドゴォンッ!ドゴォンッ!ドゴオォォォンッ!!―

 

❬おぉっといきなりホワイトディマイスの一斉射撃が白夜ガンダムに命中!これは一溜りもありません!!❭

 

❬フブキ……ッ!❭

 

「アハハ♪これで終わり、シロの大勝利じゃ~♪」

 

ディマイスの攻撃が当たり爆発しAちゃんとレイくんが叫びシロちゃんは歓喜の声をあけだ。確かに誰が見てもこの状況、白上のガンダムが一方的にやられたように見えるよね……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ブォンッ!―

 

「………………え?」

 

「はあぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

―ズバアァッ!!―

 

でも、それは間違いだよ!

 

白上のガンダムは“ディマイスの背後から現れ”ディマイスの左腕を切り落とした!

 

「なぁ………ッ?!」

 

❬こ、これはどういう事でしょうか?!やられたと思った白夜ガンダムが突然ディマイスの背後から現れそのまま左腕を切り落としましたぁ!?❭

 

❬これは……おかゆのナイトメアアルスのワープダイヴ!?そうか、あのアーマーは!❭

 

うん、やっぱりレイくんには分かっちゃうよね。そう、このアーマーはおかゆから貰ったナイトメアアーマーを白夜ガンダム用に改造した空間移動可能なアーマー。その名も『キャトライアンフガンダム』!

 

 

『キャトライアンフガンダム』

おかゆのナイトメアアーマーを白夜ガンダム用に改造したアーマー。基本スペックはフォクシードと殆ど変わらないが、元々あったスキルのワープダイヴはそのまま使えるようになっている。但し元のナイトメアの時にあったワープ時の硬直や使用後七秒間は連続で使えないといった欠点もそのまま残っている。名前の由来は猫の英名キャットと勝利を意味するトライアンフを掛け合わせた造語である。

 

「……成る程ね。おかゆちゃんのアーマーを引き継いで使ってるんだ?」

 

「そうだよ。このアーマーにはおかゆから託された想いが込められてるの。だから、白上はおかゆの……皆の想いを背負って此処にいる!必ず勝って、レイくんと皆と一緒に笑いあうって誓ったんだ!」

 

そして白上はまたワープダイヴを使い、今度は遠距離に移動してビームカノン砲をディマイスに向けて砲撃する。

 

このワープ能力確かに便利だけど、動きにムラがあるのは相変わらずだからなるべく遠距離で砲撃するようにしないといけない。

 

今の処シロちゃんがこのワープダイヴの欠点に気づいている様子はないけど、もし気づかれたら反撃を許してしまうかもしれない。

 

だから白上は安易には近づかないようにして遠距離からの攻撃のみでディマイスを追い詰めていく。これを繰り返せば、勝てる!

 

❬フブキさんの新たなアーマー、キャトライアンフガンダムのトリッキーな攻撃にシロさんなす術がない!このまま勝負がついてしまうのかぁ?!❭

 

❬……………………(……おかしい、あのシロが防戦一方だと?確かにさっきから相手の動きに翻弄されているように見えるが、それにしたって動きが機械的な感じが………ッ?!)まさかあれは!?❭

 

❬え?❭

 

?何だかレイくんが驚いてるような気もするけど、とにかく白上はワープダイヴを駆使して攻撃を仕掛ける。後もう少し、後もう少しで勝てるんだ!

 

「これで………ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ブォンッ!―

 

「見ぃ~つけた♪」

 

「へ……?」

 

―ズシャアァッ!―

 

突然後ろからビーム攻撃をされキャトライアンフのアーマーの一部が破壊されてしまった!?え?一体どういう事?!

 

慌てて後ろを見ると其処にはビームフィンガーを展開したホワイトルインガンダムがいた。ど、どうしてルインが!?一体いつの間に?!

 

❬やっぱりそうか!シロはディマイスをオート操作しておいて本体のルインを他の場所に隠していたんだ!❭

 

❬そ、そんな?!それではディマイスには最初からルインは入っていなかったという事でしょうか?!❭

 

そんな?!それじゃあ白上はさっきまでルイン(本体)のいないディマイス(装甲)だけ攻撃していたって事?!

 

「もぉ皆本当に油断し過ぎだよぉ?フブキちゃんなら気づくかと思ったけど全然気づかないでディマイスばっかり攻撃してるもん」

 

「ウッ!?で、でも一体どうして?!どうして白上の現れる場所が分かったの?!白上シロちゃんに悟られないように動いていた筈なのに……」

 

「そうだね、フブキちゃんシロに悟られないように動いてたみたいだね?でもそれは全部遠距離攻撃だったし、そのワープダイヴにも移動する際の硬直があるのはおかゆちゃんの試合を見てすぐに分かってたから予めルインを別の物陰に隠して置いたんだ。良かったぁ、フブキちゃん絶対に何か仕掛けてくると思ってルインを別の場所に隠して正解だったよぉ♪」

 

嘘ッ?!全部読まれてたって事?!ワープダイヴの欠点にも最初から気づいて……いや、それ以前にシロちゃんは白上が対シロちゃん用の対策をしている事すら読んでいたなんて!?

 

「アハハ♪その顔凄くいいねぇ♪どうだった?自分が有利だと思ってたら全部シロの手のひらで踊らされてただけって分かった気分は?シロに勝てるなんて思って喜んでたフブキちゃんは本当に滑稽だったよ♪」

 

「グッ……」

 

「それじゃあ今度こそこれで終わりだよ♪玲二はシロが大切にしてあげるから安心してね♪」

 

安心……?出来るワケないじゃん!シロちゃんが優勝したらレイくんに二度と自由な時間が与えられなくなっちゃう!そんな事、絶対にさせない!

 

「白上は、絶対に諦めたりしません!オールバディアーマー!レディゴーッ!!」

 

白上の声と共に後方から幾つかの獣型サポートメカが駆け寄ってくる。それは白上や皆が作りあげてきたアーマーを纏ったサポートユニット達だ。サポートユニット達は半数はディマイスに、もう半数はルインに向かって攻撃を開始する。

 

「ッ!?へぇ、まだ楯突くんだね?だったら全部潰してあげる!」

 

シロちゃんはルイン、そしてディマイスを操作してサポートユニット達を撃墜しようとしてる。白上もこのままやられるつもりはないからビームサーベルを構えルインに向かって突進する。さっきの攻撃の衝撃でワープダイヴは使えなくなってしまったけど、基本スペックはそのままだからまだ戦える!

 

「ハアァァァァッ!!」

 

―ガキィンッ!―

 

「もぉいい加減しつこいよ!どうやったってシロには勝てないんだからさっさと倒れてよ!」

 

「そうはいかないよ!白上は必ず勝って、レイくんと皆と一緒に笑いあえるあの日々を取り戻すんだ!」

 

「玲二にシロ以外の女なんていらない!そんなフブキちゃん達との日々なんて玲二には要らないんだよ!」

 

「なんで?!シロちゃんはなんでそうまでしてレイくんから他の娘から離そうとするの?!レイくんはシロちゃんの物じゃないんだよ?!」

 

「そんなのフブキちゃんが知る必要なんてないよ!シロと玲二の世界に他の女……いや、他の人なんていらない!!」

 

激しい攻防が繰り広げられる中、白上とシロちゃんの言い合いも激しくなっていく。最初はサポートユニットの助けもあってなんとか戦えていたけど、次第にサポートユニットが撃墜されていき、キャトライアンフのアーマーも既にボロボロになってしまい満身創痍状態になってしまった。

 

キャトライアンフガンダム

HP:486

 

ホワイトルインガンダム

HP:681

 

「ハア、ハア、ハア……」

 

「ハア……フ、フフフ、もうシロちゃんのアーマーも使い物にならないみたいだね?これで分かったでしょ?フブキちゃんはシロには絶対に勝てないって事がッ!!」

 

―ドゴオォッ!!―

 

「きゃうぅッ!?」

 

キャトライアンフガンダム→白夜ガンダム

HP:486→207

 

ルインの強烈な蹴りを受けキャトライアンフのアーマーは全て剥がされ白夜ガンダムへと戻ってしまった。まだかろうじて動けるけど、このままでは負けちゃう……

 

「もう遊びはおしまいだよ。これ以上はシロも付き合ってられないからね」

 

シロちゃんはそう言うとディマイスを操作して白夜ガンダムの前に立ち攻撃をしようとする。サポートユニットのおかげでディマイスもボロボロだけど、それでもまだ白夜ガンダムを踏み潰すだけの力は残っているみたい。

 

「バイバイフブキちゃん♪恨むならその程度の力しか発揮出来なかった自分のガンプラを恨んでね?」

 

……その程度?

 

「…………シロちゃん、確かに白上はシロちゃんに比べたら制作技術は低いかもしれない……けど!白上がこれまで皆と一緒に作り上げたバディシステムをバカにするのは許せない!このアーマー達にはホロライブの皆の想いが込められてるんだ……だから!例えどんな強敵だろうと皆となら絶対に乗り越えられる!」

 

「皆?何言ってるの?フブキちゃんのアーマーはもう全てボロボロなんだよ?そんなのでどうやってシロに対抗する気なのさ?」

 

確かにシロちゃんの言う通り、サポートユニットは全てやられ装着してるアーマーも破損してる物もある……けど、全部が使えないワケじゃない!

 

「リライズのヒロト君がプラネッツシステムに限界はないって言ってたように、白上のバディシステムにも限界はない!エクストラリミテッドチェンジ!ドッキング、ゴー!!」

 

白上のその言葉と共にサポートユニット達が一瞬光ると其処から無事なパーツが次々と白夜ガンダムへと飛来してくる。

 

「ッ!?さ、させないよ!」

 

ディマイスが白夜ガンダムを踏みつけようとするがその前に白夜ガンダムの両足にシープレシャスのアーマーが装着され踏みつけようとしてくるディマイスの逆の足を蹴り飛ばしバランスを崩す。

 

そして右腕にウォルフェイトアーマーが装着され倒れるディマイスに向かって最大パワーのファイアパンチポッドを叩き込む!

 

更に左腕にラビットラッパーアーマーが装着されディマイスが完全に倒れる前にその下へ駆け込みトラップを仕込みすぐさまその場を離れる。

 

―ドゴオォッ!ドゴオォッ!ドゴオォンッ!!―

 

トラップに引っ掛かり爆発を起こすディマイス。だけどまだまだ!今度はその頭部に両肩に装着されたドグレイトのフィンガードリルを叩き込む!この一撃によってディマイスは爆発を起こし、白上はダッキンドネスの翼で飛翔し、オーガイオウのボディアーマーによって爆発からダメージを軽減した。

 

「そ、そんな……シロのディマイスが?!」

 

「どうシロちゃん!これが皆の力を合わせたエクストラリミテッドチェンジだよ!」

 

白夜ガンダムリミテッドチェンジによってディマイスは倒した!これで残るはルインのみ!

 

「うぅ……!でもそんなバラバラなアーマーじゃ突発的な動きしか出来ないでしょ!?そんなその場しのぎのアーマーなんてルインの敵じゃ……」

 

「分かってる。だから白上は最後まで残してたんだよ。このアーマーを……バディチェンジ!ドッキング、ゴー!!」

 

白上の声と共に後方からもう一機のサポートユニットが駆け寄ってくる。それはもしもの時の為に残しておいた白夜ガンダムの最後のアーマー、フォクシードアーマーだ。白夜ガンダムはリミテッドチェンジしたアーマーを全てパージしサポートユニットから飛来したフォクシードアーマーを装着しフォクシードガンダムへとチェンジした。

 

「フォクシード……!そう言えばまだこの勝負で出てきてなかったね……でもそんな初期アーマーなんかでシロのルインを倒せるワケ……!」

 

そう、フォクシードは白上の持つアーマーでは初期アーマー。故にスペックも他のアーマーに比べたら平均的だし特殊な装備があるワケでもない。けどただ一つ、このアーマーだから出来る事がある!それはアキちゃんとの練習試合でのみ使ったフォクシードの奥の手!

 

「いくよシロちゃん!フォクシード、オメガトランザム!!」

 

―OMEGA TRANS-AM―

 

「なぁッ……?!」

 

白上がフォクシードのオメガトランザムを発動し一瞬の間にルインへと詰め寄りビームサーベルを振りかざす!

 

「さ、させない!こんな攻撃避け……」

 

「遅いッ!!」

 

―ズバアァッ!!―

 

ホワイトルインガンダム

HP:681→248

 

フォクシードのビームサーベルがルインの右腕を斬り裂き、そしてそのままコックピット部分を狙って再度ビームサーベルを振り下ろした。

 

「グゥ……まだまだあぁッ!!」

 

―バキィッ!―

 

シロちゃんも最後の力を振り絞りビームフィンガーで抵抗してくる。

 

「シロは負けないもん!絶対に勝って、玲二と一緒にいるんだから!!」

 

「白上だって!白上も勝って、皆一緒に笑いあえる日を取り戻すんだあぁッ!!」

 

―ジジッ……ジジジジィッ!―

 

お互いの攻撃がぶつかり合い、火花が散る。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

―ズバアアァァァァァァァァァッ!!!―

 

最後の一撃を叩き込んだのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホワイトルインガンダム

HP:248→0

 

―WINNER 白上フブキ―

 

フォクシードガンダムだった。この勝負、白上の勝ちだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❬き、決まりましたぁッ!!激しい攻防の末、見事に勝利したのはぁ!白上フブキさんです!これでフブキさん決勝進出です!❭

 

❬凄い戦いだったな……どっちが勝ってもおかしくない、まさに紙一重の戦いだったな❭

 

や、やっと終わった……今まで戦ったどの相手よりも疲れたよ……けど、これで漸く決勝進出できた。後はそらちゃんが勝ってくれればレイくんはホロライブに居続けられる!望みが見えてきたよ!

 

……あれ?そう言えばシロちゃんどうしたんだろ?試合が終わったのにまだコックピット席に座ったままうつ向いてるけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………う……うぅ……ううぅ………うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!」

 

「え、えぇ?!し、シロちゃん!?」

 

ど、どうしたの一体?!シロちゃん顔を上げたと思ったらいきなり大声で泣いちゃったんだけど!?

 

「し、シロちゃん?一体どうし……」

 

「やだぁ!シロ負けてなんかないもん!まだ終わってなんかないもん!まだシロ戦えるもん!!」

 

な、なんて事だろう……シロちゃん負けた事を認めたくないのか叫びながらレバーをずっとガチャガチャ動かしてる……ヘッドギアの間からは涙が流れ、必死に動かないホワイトルインを動かそうとしている。

 

「ねぇ動いてよ!まだシロ戦えるんだよ!?シロが戦うって言ってるんだから動いてよおぉッ!!」

 

「お、落ち着いて下さいシロさん!」

 

「やだぁ!離してよぉ!まだシロ戦えるんだからやらせてよおぉッ!!」

 

とうとうスタッフがやって来てシロちゃんが取り抑えられたけど、それでもシロちゃんは泣きながら暴れて抵抗してく。そんな中……

 

「シロ!」

 

「あ、レイくん……!?」

 

「玲二……?玲二いぃぃぃ~!」

 

この騒ぎに見かねたレイくんが駆けつけて来て、それに気づいたシロちゃんはレイくんに向かって駆け寄り抱きついた。

 

「玲二!シロ負けてないよね?!まだ終わってないよねぇ?!シロ、玲二と一緒になる為に今まで一生懸命頑張ってきたんだもん!だから負ける筈ないもん!!」

 

「シロ…………残念だがシロ、この試合はお前の負けだ。お前の戦いは、此処で終わりだ」

 

「ッ?!そ、そんな…………そんなのってないよぉ……ひどいよぉ……うわあぁぁぁぁぁん………」

 

レイくんから負けを突きつけられ、シロちゃんはその場で崩れ落ちながら泣き叫んだ。其処まで泣く程負けたくなかったなんて、一体何がシロちゃんをそうさせたんだろう……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それから暫くして……―

 

「グスッ……ヒッグ……」

 

あれから白上とレイくんはシロちゃんを落ち着かせる為に会場のロビーでシロちゃんを落ち着かせてた。漸く落ち着いた頃に他のホロメンも集まってきて、白上達はシロちゃんの話を聞く事にした。

 

「……ねぇシロちゃん。どうしてシロちゃんは其処までレイくんに固執してたの?はっきり言ってシロちゃんの行動や言動は異常過ぎるし、一体レイくんとの間に何があったの?」

 

「…………」

 

だ、だめだ。シロちゃん全く喋ろうともしない、困ったな……

 

―パラッ……―

 

「?あれ、シロさん何か落としたよ?」

 

「………え?……ッ!?か、返して!」

 

シロちゃんのポケットから何か紙のようなものが落ち、それを近くにいたかなたんが拾うとシロちゃんは慌ててそれを奪い返そうと手を伸ばしてきた。けどその際にバランスを崩し倒れそうになった処をレイくんが支えてくれた。それよりもこれってもしかして写真?其処に写ってるのは……

 

「……これってもしかして小さい時のシロちゃん?車椅子に乗ってるみたいだけど……」

 

「それにその横に写ってるこの怪我した男の子って……」

 

其処に写っていたのはおそらく小さい時のシロちゃんが車椅子に乗ってる姿とその横に松葉杖を突いてる男の子の姿だった。この男の子、もしかしなくても……!

 

「あぁ!これ兄ちゃんだよ!スバルが病院で入院してた時の兄ちゃんこんな感じだったし」

 

「え?!じゃあシロちゃんってその時から玲二君と知り合っていたって事?!」

 

「レイくん、この写真って……」

 

「……この時か。まあ、隠す事でもないし、話していいかシロ?」

 

レイくんがそう言うとシロちゃんは観念したのか黙って頷いた。そしてレイくんはそのままシロちゃんと出会った頃の話をしてくれた。

 

「昔シロが両親と買い物に出掛けていた時の事だ。どうやらシロはその時両親とはぐれてしまったみたいでな、泣きながら横断歩道を歩いてたんだよ。そしたら其処に昼間から酒を飲んだトラックの運転手が飲酒運転してたらしくそのトラックは暴走しながら走ってたんだ。其処に偶々居合わせた俺が危うく引かれそうになってたシロをなんとか助けたものの、俺は片足と後頭部を怪我してシロは両足を失ってしまったんだ」

 

そ、そんな事があったの?!っていうかシロちゃん両足を失ったって、今普通に足があるし歩けてるよね?!

 

「その後俺とシロの両親が到着して俺等は病院に直行、俺は全治三ヶ月の怪我を負い、シロは両足を義足にする事を余儀なくされてしまったんだ。ほら、ロボ子の身体にも応用されている疑似パーツ。あれを応用して普通に歩けるようにしてもらったんだ」

 

そうだったんだ……シロちゃんのその両足、義足だったんだね?見た感じ全然分からなかった……

 

「それから俺達はリハビリを続けて、俺は三ヶ月、シロは半年して漸く完治する事が出来たんだ。スバルに出会ったのもそのタイミングだな」

 

「そ、そうだったんスか……」

 

「で、でもそれでシロさんはなんで其処までレイさんに固執してたの?確かに前に言ってた命の恩人っていうのは分かったけど、それにしたってあれは異常過ぎるって言うか……」

 

……確かにそうだよね?それに恩人って言ってる割にはレイくんを束縛しようとしてたし、一体どうしてそんな事をしようとしたんだろう?

 

「……なあシロ、お前に一体何があったんだ?お前、最初にあった頃はそんなんじゃなかったのに「……そうさせたのは玲二なんだよ」……俺が?」

 

「そうだよ。あの後シロは退院して家に帰れて、パパもママも凄く喜んでくれた。けど……シロには二人とも“灰色の塊”にしか見えなかった」

 

は、灰色の塊?

 

「パパやママだけじゃない、学校の先生やクラスメイト、道歩く全ての人が灰色の塊にしか見えなかったの。最初はそれが怖くて仕方がなかった……何度も何度も引きこもってしまいそうになってた……けどある日偶々街に出掛けてた時に玲二の姿を見つけたの。あれだけ周りの人が全部灰色の塊にしか見えなかったのに、玲二だけは普通に見えてたんだ。それからたまに玲二の姿を見つけてはこっそり追いかけてたけど、やっぱり玲二だけは普通に見えて他は灰色にしか見えなかった。だからシロ気づいたんだ、シロの世界には玲二しかいないんだって。シロには玲二だけいれば良いんだって」

 

そ、そんな事があったなんて……シロちゃんは事故のショックで一番近くにいたレイくん以外が全部同じように見えてしまってたんだね?確かにそれならあの異常なまでの固執の仕方は分かる気はするけど……

 

「だからもう嫌なの、玲二が傍にいてくれないとシロはもうこの世界全てが灰色にしか見えないの……だからお願い玲二、シロとずっと一緒にいてよぉ……もう一人ぼっちは嫌なのぉ……」

 

シロちゃん……

 

「……シロ、お前の気持ちは分かるよ。誰だって一人なんて嫌に決まってる……けど思い出すんだ。お前は本当に一人ぼっちだったか?お前の周りにはお前の両親やドットライブの仲間、それに多くの友達がいた筈だ」

 

「え……?」

 

レイくんはシロちゃんの頭に手をやると優しく撫で、真剣な表情でシロちゃんに語り等かけた。

 

「お前は恩人ってだけで俺に固執してたみたいだけど、お前の周りにはお前の事を大切にしてくれてる人達が沢山いるんだ。だから少しずつでいい、また皆と一緒に楽しく笑いあえるようになろう。それまで俺もドットライブやホロライブの皆も協力してやる、な?」

 

「玲二……うぅ……ふえぇぇぇん、玲二ぃ……」

 

シロちゃんはまたレイくんに抱きついて泣き出した。シロちゃんはずっと、自分が作り出した孤独に怯えてたんだね……でも、レイくんの言ってた通りシロちゃんには沢山の仲間がいる。白上達も協力出来る事があれば何時だって力になるよ。だって……シロちゃんも白上達の大切な友達なんだから♪

 

 

 

 

 

シロとの戦いに勝利し、遂に決勝進出を果たしたフブキ。次の試合はそらとアカリの対決。果たして、勝つのはどちらだろうか?



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