雲ですが、なにか? (もこもこもっけ)
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転生と新たな世界
転生と勘違い


なんの変哲もない日常。 普通の生活を今日も送る。…はずだった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

あの雲なんていうんだっけ…雲の上で寝たらふかふかで気持ちよさそうだな…

空を眺めながらそんなことを考える。

教室の黒板のところでは古文の先生"岡ちゃん"が大きな身振り手振りで授業をしている。聞いてる人なんてほとんどいないのに…

まあ、私も聞いてないけど。

 

「じゃあこの問題を隠れてスマホを弄っている漆原ちゃんに答えてもらいましょう」

 

「えっ」と漆原さんが驚く。休み時間に弄ればいいのになんで今弄ってだんだろう。同じくスマホを弄っていた夏目が勝ち誇ったような顔をしている。

 

「夏目くんも他人事ではありませんよぉ」

 

「うぐっ」夏目がうめく。

ふふ ざまぁ

結局、二人とも答えられなかった。

 

「なら、空を眺めていた雲間ちゃんに答えてもらいましょうかぁ」

当てられた。夏目は私も答えられないだろうと思っているのかニヤニヤしている。

 

「孔子の子孫の家から見つかった竹簡をひとつ答えてください」

 

なるほど。それなら…

 

「礼記」

「正解ですぅ。雲間ちゃんは授業を聞いているようには見えないのになんで答えられるんでしょうか…相変わらず不思議ですねぇ」

 

「ちっ」

夏目が舌打ちをしている。

 

「負け犬の遠吠え」ボソッ

「んだとコラァ!」

「事実じゃん」

「はいはーい、二人とも喧嘩はやめましょうねぇ。雲間ちゃんは煽っちゃダメですよぉ」

 

その時だった、天井に黒い大きな亀裂がうまれたのは。次の瞬間、物凄い激痛に襲われ、意識は闇の中に堕ちていった。

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

んう…はっ。

ここは?何かやわらかいものに包まれているような感覚がある。病院かな?あの後どうなったんだろう。

とりあえず起きよう。何が起こったのかも聞かなくちゃ。

 

バッ

フカフカしたやわらかいものから出ると目の前に広がっていたのは真っ青な空。空。空。時々雲。

は?

どこだよここ。

教室で大爆発が起きたと思ったら雲の上にいた件。

これはVRの仮想世界に違いない。きっとそうだ。

最近のゲームは凄いなぁ…(高校生が言うようなセリフじゃない)

おっ。あそこから下が見れそうだ。雲の端まで行ってみよう。

 

モフッモフッ

 

ん? 歩いた時に違和感を感じて足を見る。

………雲になってる。

Why⁉︎

というか四足歩行してる。ちょっと意味がわからない。

ゲームっぽく「鑑定!」と心の中で唱えてみる。

 

シーン…

 

さすがに無理か。

 

《現在所持スキルポイントは150000です。スキル『鑑定LV.1』をスキルポイント100使用して取得可能です。取得しますか?》

 

うぇい?!、ビックリした。ひとまず、取得!

 

《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。残りスキルポイントは149900です》

 

いやー、ファンタジーだなー。よし、早速自分を『鑑定』と念じてみる。

 

〈雲〉

 

ん?それだけ?

イヤイヤ、そんなわけない。

きっと失敗しちゃったんだね…

 

〈雲〉

 

え?本当にこれだけ?

 

〈雲〉

 

は?何にもわかんないじゃん!『鑑定』にかかったポイントをどうしてくれるんだよ!

そういえばさっき残りのスキルポイントがどうとか言ってたな…

物は試しだ!こういう時は、課金?

えーっと『鑑定』に課金するよ!

 

《スキル『鑑定』をもう一度取得しますか?》

 

YES!

 

《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。残りスキルポイントは149800です》

 

もう一回!

 

《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。残りスキルポイントは149700です》

 

まだまだ!

 

《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。残りスキルポイントは149600です》

 

もういっちょ!

 

《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。残りスキルポイントは149500です》

《スキル『鑑定LV.1』を取得しました。『鑑定LV.1』が熟練度に変換されました。熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV.1』が『鑑定LV.2』になりました。残りスキルポイントは149000です》

 

ふぅ。やっとLV.2になった…同じスキルを取得しまくっても全然上がらない⁉︎

地道に使っていくしかないか…

さて、レベルアップした『鑑定』はどうかな?

 

 



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スキルと新たな出会い

〈雲猫 名前 なし(雲間 空)

 

おー!種族がわかった。やっぱり雲なんだね。

LV.1の時の『鑑定』、使えなさ過ぎない?

まあ、少しずつLVを上げていこう。

今気づいたんだけど、私も周りの兄弟(?)も浮いてるんだよね

『飛翔』っていうスキルで飛べるみたい

でも、歩いてる感覚はあるという謎

あと、なんか持ってるスキルはなんとなくわかるんだよね

不思議〜

 

集中すると、出来ることが思い浮かぶ。

『蒼電魔法』

〈→蒼電魔法LV.1 雷弾〉

なるほど。これを使えるのかな?少ないな。LVが上がれば増えていくのかも。

『天候魔法』

〈→天候魔法LV.1 快晴〉

『雲魔法LV.1』

〈→雲魔法LV.1 雲作成〉

へぇー、面白そう!

『MP自動回復』っていうのはその名の通りだね

MPは魔法を使うのに必要な魔力のこと。それくらいはゲームをあんまりしない私でも知ってるよ〜

 

早速使ってみたいなぁ

あっ、そうだ!『飛翔』のスキル持ってるんだから空飛べるんじゃね?

地上はどうなってるんだろう。

ワクワクが止まらないぜ!

雲から勢いよく飛び降りる。

イェーイ…え⁉︎

ビュウウゥゥゥ

うわぁぁぁ、飛べない⁉︎なんで⁉︎

あっ…『飛翔』のスキルまだLV.1じゃん!

他の兄弟(?)もただ浮かんでるだけだったのに‼︎

何考えてんだよ私⁉︎

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

ブヘッ

いったぁぁぁ…ちゃんとスキルのLV上げてから飛び降りればよかった…

誰だよこんなことしたのは‼︎痛いじゃないか‼︎

 

シーン

 

知ってるよ自分だよ‼︎自業自得だよ‼︎

はぁ…はぁ…こんなんだからいつもお母さんにドジって言われるんだった。

 

そういえばなんで鑑定で表示される私の名前は名無し(雲間 空)なんだろう…まさか、教室での爆発で…死んだ?…

そんな筈ない。起きたらまたいつもの日常に戻れる。

でも、さっき空から落ちた時、凄く痛かった。夢はゲームは痛みなんか感じない。

それに、死ぬかもしれないっていう命の危険を感じた。

咄嗟に『雲魔法』で雲を間に作って勢いを落としたおかげで助かった。

 

………本当に死んじゃったのかな…

まだ何も親孝行できてないのに…もうすぐ誕生日だから、出掛ける予定を立てていて、お父さんもお母さんも楽しみにしてた。

ごめんなさい…ごめんなさい…親不孝な娘でごめんなさい。約束破ってごめんなさい。死んじゃってごめんなさい。

 

 

 

 

いつまでもクヨクヨしてても仕方ない。お父さんとお母さんに産んで育ててもらった命。一度死んでしまったのなら、もう死なない。死なないために強くなってやる。

ここがどこかはわからないけれど、死なないように強くならなきゃ!

 

とりあえず情報を集めるために鑑定しまくる。

〈雲〉とか〈草〉とかどうでもいい情報が頭に流れ込んでくる。

う、頭痛い…ズキズキする。

うぇ…酔った…

 

《熟練度が一定に達しました。『鑑定LV.2』が『鑑定LV.3』になりました》

 

やった!

酔った甲斐があったよ!

1つレベルが上がっただけだけど、めちゃくちゃ嬉しい。

 

早速自分を鑑定!

 

〈雲猫 LV.1 名前 なし(雲間 空)

 

レベルが表示されたよ!

それにしてもこの雲猫っていう種族どんなのなんだろ?

 

〈雲猫:はるか上空に生息する雲の化身〉

 

へぇー雲の化身かぁー

雲の化身って言うよりも雲そのものだよね

もっと鑑定しまくるぞー!

 

〈木〉〈雲〉〈草〉がたくさん流れ込んでくる。

うぇー、めっちゃ気持ち悪い…

 

《熟練度が一定に達しました。『鑑定LV.3』が『鑑定LV.4』になりました》

 

う…

気持ち悪い

もうやりたくない…

早速自分を鑑定…

 

〈雲猫 LV.1 名前 なし(雲間 空)

 

あれ?変化なし?

そんな…せっかく酔ったのに…

あれ、なんか色のついた棒線がある。

 

〈HPバー〉

〈MPバー〉

〈SPバー〉

 

へぇーすごい!

HPとかが表示された!

さっき空から落ちたからHPが結構減ってる…

やっぱり勢いで飛び降りるもんじゃないな。

 

MPバーが結構長い。

魔法3つもってるし、魔法が得意な種族なんだろうなー

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

改めて今いる場所を確認する。なんか洞窟っぽい。ちょうど上に空いてる穴から落ちて来たのかな…

 

鑑定!この洞窟なんていうの?

 

〈エルロー大迷宮〉

 

なんじゃそりゃ

 

〈ダズトルディア大陸とカサナガラ大陸を繋ぐ世界最大の迷宮〉

 

へぇー

大迷宮かー

人いるかなー?

なーんか嫌な予感

嫌な予感ってやたらと当たるんだよね…

 

あ、誰かいる。おーい おーい!

 

自分以外と会えたことが嬉しくて駆け寄る。

ゆっくりと振り向いたのは…えっ、蜘蛛⁉︎ え⁉︎嘘でしょ⁉︎

 

「シャァァァァァァァ!」

 

ひゃわぁぁぁぁ!

全力で反対側の通路に逃げる。

逃げた先にも蜘蛛。蜘蛛。蜘蛛。

蜘蛛が大の苦手な私にとってどこに行っても蜘蛛がいるなんて地獄のようだった。

右側の通路に投げ込むと、蜘蛛がいた。

でも、さっきまでウジャウジャいた蜘蛛とは何かが違う白い蜘蛛だった。

その蜘蛛は襲いかかってこなかった。

 

《スキル『念話LV.1』をスキルポイント100使って取得しますか?》

 

いえーす!

 

《スキル『念話LV.1』を取得しました。

 

思い切って、『念話』で話しかけてみる。

 

(ハ、ハロー)

 

返事がない。まるで屍のようだ…じゃなくて、さっきまでは動いてたのに、固まってる…

 

(こんにちわ、グッドモーニング、グーテンモルゲン)

(…)

 

あれ?人違いならぬ蜘蛛違い?

(…フッカフカじゃん!)

(えっ、あの…)

(このフカフカを……ブツブツ…)

 

動き出したと思ったら私の雲に夢中のごようす

(雲なら、いくらでも作ってあげるよ)

(!本当⁉︎やったー)

 

チョロいな

 

(あなたも転生者?)

(そうだよー若葉姫色)

(若葉さんなんだ。私は雲間空。一人じゃ心細いから…一緒にいて欲しいんだけど…ダメ?)

(もちろんいいよ!)

(ありがとう!蜘蛛ちゃんって呼ぶね)

(じゃあ、もこちゃんって呼ぼうかな。雲ちゃんだと被るしね)

 

転生して右も左もわからない世界で明るい友人ができました。

 

(蜘蛛ちゃんって結構喋るんだね。知らなかった)

(前はなんて言おうか迷っている間にみんながいなくなっていっただけ)

(つまり、コミュ障だと)

 



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蜘蛛ちゃんとの生活

蜘蛛ちゃんと一緒に生活するようになってから体感で2週間くらい経ったと思う。

光が届かない迷宮にいるから、体内時計が狂いまくってるのだ。

 

(ただいまー)

(お帰りモコちゃん。収穫あった?)

(うん。大量にあるよ♪)

(さすがモコちゃん!)

 

現在私たちは役割分担をしている。

蜘蛛ちゃんは巣作りと巣にかかった獲物の仕留め、私は『雲魔法LV.10・転移』で簡単に巣に戻ってこれるので、少し遠出して魔物を狩る。

そうすることで安全なホームでのんびりとご飯を食べれる状況を作り出しているのだ。

 

((いただきまーす))

うーん

やっぱり上層の魔物は毒入りばっかりであんまり美味しくない…

毒入りばっかり食べてるせいで【悪食】という称号をゲットしてしまった。

あと、洞窟の中は暗いから目を凝らして頑張ってたら『暗視LV.1』をゲットした。

スキル『暗視』、ゲットだぜ!

 

さらに、敵の気配がわかるようにならないかなーって思ってたら

《スキル『気配感知LV.1』を取得しますか?》

って言われた。

迷うことなくとったよ。

スキル『気配感知』、ゲットだぜ!

 

(素晴らしきかなマイホーム…)

(ダラダラしてても勝手に食料が来てくれるし、食後の運動に出かければまた食料が増える。これはダメ人間になるやつ…あっ、今は雲だった)

 

快適なサバイバルライフを満喫している。けどやっぱり…

 

(不味い…)

(うん、せめて普通の肉がいい)

 

毒入りの肉は不味すぎるのだ。

今は慣れて食べられるようになったけど、最初は不味すぎて吐き出すことが多かった。でも食べないと死ぬから食べたけど。

調べてわかったんだけど、私の種族〈雲猫〉は幻想種というものらしい。

長い生涯を雲の上で過ごすため、地上で発見されることはまず無い。

強い幻想種に生まれ変わったのにご飯を食べないで餓死なんてことは嫌だ。

人間の街に行きたい。そこなら美味しいものがある筈!

でも雲猫の姿だと街には入らない。どう見ても雲にしか見えないからね!

だから行くには人の姿になるしかない。そんなスキルあるかなぁ…

でも、どうにかして人の姿にならなければ…

私が間抜けなことをして空から落ちたという事実が知られてしまう!

それだけは絶対に嫌だ。人になる方法はとりあえずLVを上げてから考えればいい。

 

(蜘蛛ちゃん!頑張ろうね!いつか一緒に街に行って美味しいものを食べまくろう!)

(おうよ!もちろんだぜ!待ってろよご馳走!)

 

そこで問題が一つ

LVの上がりが悪すぎる。私はまだLV.2なのに蜘蛛ちゃんはもうLV.20になっていた。スモールレッサータラテクトからスモールタラテクトに進化してしている。蜘蛛ちゃんは「強ければ強いほどほどLVが上がりにくいのはゲームの鉄則だよ」って言ってたけどやっぱり不安…

 

(よし、お腹も膨れたし、食後の運動に行ってくるよ)

(モコちゃん、今日は私が行ってもいい?)

(いいよー。じゃあ留守番してるね)

 

いつもは蜘蛛ちゃんが留守番だから今日は私が留守番。

 

(何かあったら連絡するね。いってらっしゃい!)

 

蜘蛛ちゃんと暮らすようになってずっと『念話』を繋ぎっぱなしにしてたから、すでに『念話』はカンストして『無限話』に進化した。

『念話』は距離の制限があって一定距離離れると繋がらなかったんだけど、なんとこの『無限話』は距離がどれだけ離れていても連絡を取れるのだ‼︎

これでさらにホームの安全性が増した。

あと、いつのまにか『惰眠』を取得していた。効果は簡単に言えば、寝れば寝るほど一度に取得する経験値が増えるというもの。

めっちゃ良くない?すごいぴったりだと思う。

でも、なんか名前が嫌だ。惰眠を貪っていたって言われてるみたいでヤダ。

…まあ、事実だけど…便利だし使わせていただこう。

 

『惰眠』を取るまでダラけたなら、もっと惰眠を貪ってやるぜ!

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

『気配察知』に反応がある。その反応はゆっくりと巣に近づいてくる。

魔物とは気配が全然違うから、恐らく人間。

 

まずは惰眠を貪るために頑張るとしますか!



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逃亡

(蜘蛛ちゃん!敵襲!)

(えっ⁉︎嘘⁉︎すぐに戻る‼︎)

(待ってる)

 

すぐに蜘蛛ちゃんに連絡する。蜘蛛ちゃんは速いからすぐに来てくれるだろう。

そうしている間に侵入者は巣に炎を放ってきた。炎は糸を伝って広がり、周囲は火の海になる。

「***?」

「********…」

 

なにか言ってるけど関係ない。

不法侵入に放火。現在進行形でダメージを受けている。蒸発しそう…

命を奪おうとする奴は奪われても文句を言えない。

仕返しだ。

 

『蒼電魔法LV.1 雷弾』

ドォォン

 

凄まじい電流が炎と大爆発を起こす。

これで排除できたはず…

 

「…**!***!」

「***」

 

⁉︎まだ生きてる⁉︎雷弾に加えて爆発まで起こしたのに…

っ‼︎風の刃が爆風に紛れて飛んできて身体を切られる。

しまった…大きく爆発させたのが裏目に出てしまった…

雲なら勝手に治りそうだが身体から切り離されると消滅してしまう。

身体の一部を失ってしまった。

驚いて動きが止まって隙にまた風の刃が飛んでくる。

 

『雲魔法LV.1 雲作成・盾』

 

密度が高い雲を作り出して盾にする。

マズイ。防戦一方だ。

雲で防いでも風の刃が当たってHPがどんどん減っていく。

全力で距離を取り、魔法を使う。

 

『雲魔法LV.1 雲作成』

 

大量に作り出し、時間を稼ぐ。

蜘蛛ちゃんと私の大切なホームを壊した人間は絶対に許さない‼︎

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『怒LV.1』を取得しました》

 

うるさい‼︎

 

『蒼電魔法LV.1 雷弾』

 

ありったけの雷弾を作り出す。放った瞬間…

身体に糸が巻きつき、後ろに引っ張られた。

 

(蜘蛛ちゃん!おかえり!早速だけど手伝って!)

(…)

 

どうしたんだろう。

 

(蜘蛛ちゃん?)

(…逃げるよ、モコちゃん)

(何言ってるの?ホームはどうするの⁉︎)

 

そう反論すると、普段の蜘蛛ちゃんからは考えられないほど強い思念で怒鳴られる。

 

(私だって戦いたい!ホームを奪った人間は許さない!でもあの人間たちは強い。勝てっこない!ホームはまた作り直せばいい。でも死んだら元に戻ることは出来ない!それはモコちゃんもよく知ってるでしょ⁉︎怒りに呑み込まれるんじゃない‼︎)

 

…そうだ。ホームはまた作り直せる。勝てない相手に挑んでも無駄に命を散らすだけだ。

 

『雲魔法LV.3 雲隠れ』

 

追加で雲を作り出す。

 

「***⁉︎」

人間たちが私たちの姿を見失う。今のうちに逃げる。

 

(ごめん、私が間違ってた)

(分かればよろしいのだ。さ、行くよ!)

 

こうして私たちはホームを捨てて逃げた。

 

 



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エルロー大迷宮異変調査隊 魔法使いの一幕

今回の調査内容は魔物の急激な減少についてだ。ここ2週間ほどで上層の魔物の数が驚くほど激減した。その原因を探る。

恐らく生存競争で生き残った魔物が進化を続けて強くなったのだろう。

 

今回の調査では短い期間で魔物が激減したため、儂とブイリムスが一緒だ。

まったく…人族最強の魔法使いでもある儂にこんな誰にでも出来る簡単な調査をさせおって…

 

なに?ここまでの魔物の激減は前代未聞?下手したらA,Bランク相当の魔物が出現した可能性があるだと?

だから、儂に調査して欲しい?

 

ふふふ…そうか!それならば仕方ないのぅ!

人族最強の魔法使いである儂が一瞬で解決してやるわ!

さあ、行くぞ!

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

〜エルロー大迷宮 上層〜

ふむ。確かに魔物が全然居ないな。今の時期はクイーンタラテクトが下層から上がってきて卵を大量に産むはずだが…

1時間に1匹襲われる程度じゃな。

これは流石に少なすぎる。

調査に来てよかったかもしれん。

 

「ロナント様、どうしますか?」

「必ず何が原因があるはずじゃ。探索するぞ」

 

広い上層のどこに原因がいるかは全くわからない。

食料は一応1ヶ月分ある。多めに持ってきてよかった。

食料が足りる限り探索を続けるとしよう。

 

今日で14日目。

明日には引き返さないと食料が持たない。

皆も長い間、日の光が当たらない迷宮にいることで気が滅入ってきている。

だが、魔物が減った原因が全く見つからん。

強い魔物が出現したのだろうと予想しているが、位置さえ分からないとは…

 

「うわぁ!」

「どうした?」

「身体が…動きません!」

光を当てるとキラリと光るものが見える。

ふむ。極細の糸が張り巡らされているようじゃな。

 

「光を当ててよく見てみぃ。糸に引っかかっておる。恐らくタラテクトの巣じゃ。恐らく今回の異変はこの巣の主が現れたことで起こったことだろう。ちょっと待て。すぐに燃やしてやろう。」

 

魔法で火をつけると糸は予想以上に弱く、すぐに全体に燃え広がった。

 

「あちゃあ…やり過ぎてしもうた」

「ロナント様…今はいないようですが巣の主帰ってきたら怒り狂いますよ」

 

その時だった。あの方々の片割れが現れたのは。

 

「ロナント様、あれはなんでしょう?」

ブイリムスにそう言われて巣の奥に目をこらす。

……雲?雲の魔物なんて聞いたことがないが…

 

突然現れた雲のような魔物に驚いていると雷の弾が大量に飛んできた。

さっき放った炎に引火し、大きな爆発が起きる。

すぐに風のシールドを張り、防御する。

だが、シールド越しにも凄まじい衝撃が伝わってきた。

 

「…大丈夫か⁉︎」

「はい…なんとか…」

 

凄まじい威力の魔法じゃ…

あんな威力のものをポンポンと撃たれてはたまらん。爆風が晴れる前に風の刃を飛ばして牽制する。

爆風が晴れると謎の魔物は身体を構成する雲の量が減ったように見えた。

魔法が当たったようじゃな。

雲であるがゆえに風とは相性が悪いようじゃの。このまま攻めるぞ

先程よりも強い魔法を放った時、突如現れた雲に防がれた。

雲を作り出せるのか…

分厚い雲を突破できるように一点に集中して魔法を当てる。

雲が晴れた。突破できたようじゃな。

 

その魔物は青く輝く瞳を怒りで染めると睨みつけた。

その視線に思わず怯んでいる隙に魔物は素早い動きで距離をとり、また雲を作り出した。

その雲から出てきた魔物は雲の量が元に戻っていた。

自身を治療することもできるのか…

 

その厄介さに唸っていると巣のさらに奥から白い蜘蛛が現れた。

協力しているようだ。

 

(***!****!)

(**********…)

 

なにかを念話で話しているようじゃが、知らない言語で話しており、内容がわからない。

 

魔物達が会話に夢中になっている隙にスキル『鑑定』を発動させる。

チャンスは今しかない。未知の魔物のことだけでも鑑定しなければ…

 

〈雲猫 LV.1 名無し

ステータス

HP 300/300 MP 350/350 SP 200/200

平均攻撃能力:200

平均防御能力:350

平均魔法能力:650

平均抵抗能力:200

平均速度能力:500

スキル

「雲猫」「蒼電魔法LV.1」

「天候魔法LV.1」「雲魔法LV.3」

「MP自動回復LV.1」

「気配感知LV.1」「暗視LV.3」

「飛翔LV.10」「念話LV.10」「無限話LV.2」「怒LV.1」

「剛…《鑑定が妨害されました》〉

 

なんじゃと⁉︎鑑定を妨害?そんなことができるのか⁉︎

それに雲猫だと?聞いたことがない種族じゃ。新種かもしれん。

そのうえまだLV.1だというのにステータスがかなり高い。

成長したら危険じゃ。

 

魔物たちは話し終えたようで、話すのをやめ、こちらを向いた。

これから先ほどよりも激しい戦いが始まるだろう…

なっ⁉︎消えただと⁉︎

雲が現れたかと思うと2体の魔物は跡形もなく消えていた。

まるで夢のようじゃった。

 

「ロナント様!魔物は⁉︎」

「なんらかの魔法を使って逃げたのだろう」

 

とりあえず負傷者が出なくてよかった。

このことを報告するために帰るとするか。

 

 



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特訓と試練

人間と戦って負けて逃げてきた。

原因は2つある。

慢心と経験不足だ。

私は生まれた時からステータスが高かった。だから心の何処かで慢心していたのだ。

上には上がいると思い知らされた。

スキルのレベルを上げただけで強くなったと思い込んでいた。

本当はただ使える技が増えただけ。努力をしないと強くなれない。

当たり前のことなのに、調子に乗って忘れていた。

 

悔しい。自分は力を持っていたのに努力を怠って負けた。

悔しい。もっと強くなりたい。二度と奪われたくない。

 

蜘蛛ちゃんにトントンと肩を軽く叩かれる。

すぐに念話を繋げた。

 

(どうしたの?)

(今後のことなんだけど、ホームを作らないでいようと思う)

(いいと思う。今回のことで自分が凄く緩んでいるのに気づけた。ホームがあったらまた慢心しちゃう。もっと強くなりたい)

(私も。モコちゃんが強いから、モコちゃんに甘えてた。モコちゃんがいればなんとかなるって思ってた。私も強くなりたい)

(そっか…お互い様だね)

(うん。頑張ろう!)

((おー!))

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

あの人間達がしたことは許せないけど、少し感謝もしている。

努力するきっかけをくれた。なにもきっかけがなければわたし達はずっとあのままだっただろう。

名も知らぬ人間たちにほんの少しだけ感謝をしながら目の前の敵に電撃をぶちかます。

 

『蒼電魔法LV.3 雷纏い』

 

激しい雷を纏って突進する。MPが切れない限り魔法を使ってレベルを上げている。一回MPが切れて、気絶した。

魔法はひたすら使えばいい。

『雲魔法』と『蒼電魔法』はLV.4になった。

『天候魔法』は一応使ってみたけど迷宮内にいるから効果が出てるかわからない。

いつか迷宮の外に出たらレベルを上げてみよう。保留!

MPを消費しまくってるから『MP自動回復』はカンストして『MP超回復』になった。

やったね!

 

でもステータス関連の鍛え方が分からなくて、とりあえずひたすら走ってみることにした。

そうしたら『瞬発LV.1』と『持久LV.1』を取得した。

ステータスを高めてくれる効果があるらしいので同じような効果を持っていた『剛力』と『堅牢』を鍛えるために重い岩を持ち上げたりしてる。

無駄に広い上層を駆け回るのが日課になった。

…なんか駆け回ってると子供に戻った気分になる。

蜘蛛ちゃんはスキル『韋駄天』を元々持っているみたいですごく速い。

 

ちなみに『鑑定』もレベル上げしてるよ。

走ってる時に常時発動にしてる。

おかげで毎日グロッキーですよ…

でも、『鑑定』はLV.6になった。

種族とレベルと名前と強さが表示なれるようになった。

〈やや強め〉って出てきた。

蜘蛛ちゃんを鑑定してみたら〈弱い〉って出てきた。

辛辣だな…

頑張れ、蜘蛛ちゃん!

 

 

今日も今日とて蜘蛛ちゃんと全力の持久走。

SPが切れるとHPが減り始めるので休憩。

それを繰り返す。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『瞬発LV.4』が『瞬発LV.5』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『持久LV.4』が『持久LV.5』になりました》

 

お!上がった!

やった!やっぱり走ると強くなれるんだね!

 

(蜘蛛ちゃーん、そろそろ終わりにしよう)

(そうだねー。)

 

『無限話』で喋っていると突然地面が消えた。

(え?)

((うわぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎))

 

落ちてる⁉︎

穴があったのか‼︎

走り込みのためにOFにしていた『飛翔』をすぐさまONにする。

空から飛び降りた時のような醜態は晒さないよ!

私は日々学んでいるのだ!

あれ?蜘蛛ちゃんがいない…

 

(モコちゃん!助けて!)

 

すぐに下に向かっていく。

見つけた!

蜘蛛ちゃんは糸で壁にぶら下がっていて無事だった。

でも、空中を喧しく飛び回る蜂に囲まれていた。

 

『雲魔法LV.4 雲分身』

『蒼電魔法LV.4 雷の牙』

 

蜘蛛ちゃんを囲む蜂と同じ数に分身して電撃を食らわせる。

分身は役目を終えると消滅した。

 

『雲魔法LV.1 雲作成』

 

雲の上に蜘蛛ちゃんを乗せる。

 

(大丈夫?)

(うん。ありがとう。助かったよ…)

 

話している僅かな時間で新たな蜂がやってくる。

 

(蜘蛛ちゃん!いくよ!)

(了解!)

 

蜘蛛ちゃんは糸で捕らえて毒牙。

私は『蒼電魔法LV.1 雷弾』を発射して蜂を倒す。

 

無事に地面に到着できた。

でも、穴の上には戻れそうにない。

大きな蜂の巣から大量の蜂が飛び出してきていて、戻るにはそこを突破する必要がある。

さすがに数が多すぎる。

 

(どうしよっか、蜘蛛ちゃん。)

(うーん…)

 

その時、不意に嫌な予感がした。

 



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危険地帯
死の恐怖と決断


岩陰に隠れてからそっと外を覗く。

そこにはさっき蜘蛛ちゃんが糸で捕まえたけど、トドメを刺し損なった蜂が拘束から逃れようともがいていた。

そして、そこにゆっくりと近づく蛇の姿。

 

〈エルローバラドラード LV5 ステータスの鑑定に失敗しました〉

 

上層にもいたけど、かなり強くて狩るのにはかなり苦労した。

ここにはこんなのがポンポン出てくるのか⁉︎

今はさっき魔法を使いまくったせいでMPが少ない。

こっちに気付くな…

 

蛇はゆっくりと蜂に近づいていく。

けれど、蛇が蜂に何かすることはなかった。

正確にはできなかった。

凄まじい速度で何かが蛇の体を引き裂いた。

 

((は?))

 

突然の出来事に固まる。

あの蛇が、まるで紙切れのように、簡単に細切れにされた。

頑健な鱗に守られた、あの蛇が。

私と同等の素早さを持つ蛇が、反応さえ許されずに。

 

〈地龍アラバ LV.31 ステータスの鑑定に失敗しました〉

 

それは、悠然とそこにいた。

龍という名前とは裏腹に、そのフォルムは狼なんかに近い。

大地を踏みしめる四肢。

長く伸びた尾。

翼はない。

そこには、威風堂々たる龍の姿があった。

 

やばい。

魔物としての本能、人としての理性、魂からの叫び、そのどれもが声を揃える。

あれはダメだ。

絶対に勝ち目がない。

そもそも、勝敗とかそんな次元で相手ができない。

あれから見たら私たちは、ただの餌にしか見えない。

獲物ですらない。

視界に入った時点で喰われるのが確定する。

それだけの隔絶した存在だ。

地龍アラバは、バラバラになった蛇を一つずつ咀嚼していく。

私たちは必死で息を潜める。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『隠密LV1』を取得しました》

 

うるさい!

お願いだから黙ってて!

あれに気づかれたらどうするんだ!

 

地龍アラバは、蛇を咀嚼し終えると、蜂には目もくれずに立ち去っていった。

 

た、助かった。

最後までこっちに気付かなかったのか、それとも気づいてて見逃されたのか、どっちかわからないけど、とにかく助かった。

死にそうな目には何度もあってきたけど、あそこまでヤバいのは初めてだ。

思い出すだけでも怖い。

 

ダメだ。

あんなのが徘徊してるこのエリアは、何としてでも早急に脱出しないといけない。そうでないと死んでしまう。

 

(蜘蛛ちゃん…)

(……)

 

私でも死の恐怖を感じた。私よりもステータスが低い蜘蛛ちゃんは私が感じた恐怖の比にならないくらいの恐怖を感じただろう。

 

(モコちゃん、アレは無理。絶対に勝てない。この縦穴を登るしかない。)

(うん。私も同意見。でも、アイツはこのエリアを徘徊してる。またここにくる。それまでにあの蜂たちを突破して上に上がれる?縦穴を登るには安全な巣を作りながら登るのが一番。でも、その途中にアイツが来たら?前来た時にはなかった巣があれば壊そうとするはず。そうしたら、今度こそ目をつけられて死んでしまう‼︎)

(じゃあ、あんな化け物がいるエリアを探索するって言うの⁉︎)

 

そんなのは自殺行為になるのはわかってる。

でも…

 

(アイツはここにまた来る。それから逃れるには探索して他の道を見つけるしかない)

 



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レベルアップ祭り

誤字脱字報告有難うございます!間違えまくっててすみません。


あの化け物と別の道を進むことを決めた私たち。

デッカい蛇のような強敵がポンポン出てくることを覚悟していたが…

普通に上層にいるカエルとかタラテクト種とか、いた。

弱い魔物が生きてるんなら普通にアイツに会わなければ生きていけんじゃね?

 

とか思ってた矢先に現れたのは魚に足が生えた気持ち悪いやつ。

アレは生理的に無理。

あの魚とエンカウントしたら気絶してしまう。

気絶している間に御陀仏よ。

 

そんなわけで蜘蛛ちゃんと一緒にコソコソ移動する。

その間にも鑑定、鑑定。

コソコソ

コソコソ

……

 

さっきから気になってたけど壁に張り付いてるタニシみたいなやつはなんで食べられないんだろう?すごい弱そうなのに…

もしかしたら見た目が弱そうなだけですごい強いのかも!

鑑定!

 

〈エルローゲーレイシュー LV.3 ステータスの鑑定に失敗しました〉

 

うーんよく分からん。

 

(蜘蛛ちゃん、あのタニシ食べてみない?ちょうどお腹空いてきたし)

(うん。いいよ。なんでいっぱいいるのにみんな食べないんだろう?)

(さぁ?わかんない)

 

蜘蛛ちゃんは毒牙、私は雷纏いの雷でタニシを殺す。

 

((いっただきまーす))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッ

何が起きた⁉︎確かタニシを食べたんだ。

この世のものとは思えないほど不味かった…

もう絶対に食べない。

蜘蛛ちゃんは「お残しは私の主義に反する!」といって全部食べてた。

すご…

 

弱くても何か取り柄があれば生きていけるんだね。

…つまり、死にかけてた私たちは取り柄がない…⁉︎

いやいや、転生者という取り柄があるさ。

考えない、考えない。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

現在、下層を探索してから広いところに出たのでスキルの練習をしている。

よりスムーズに速く魔法を使うために魔力を意識して使う。

魔法は魔力を使ってイメージを現実世界に反映させる。

 

『蒼電魔法LV.4 雷の牙』

 

雷でできた大きな牙を想像しながら発動させ、岩に噛み付く。

バァン

 

なんのイメージをしないでテキトーに使った時よりも威力が上がってる!

よし、この調子で頑張るぞ!

 

 

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『蒼電魔法LV.4』が『蒼電魔法LV.5』になりました》

 

周りの岩に向かって片っ端から『雷の牙』で噛みついてたらレベルが上ったー!

やったね!

とりあえず1つレベルが上がったから次だよ!

全部均等に鍛えて行かなきゃね!

 

次にレベル上げするのは『雲魔法』。

高いレベルのものを使った方がレベルが上がりやすいから、分身していくよ〜

 

雲魔法LV.4 雲分身(分身の術)

 

忍忍!忍者になった気分!

それにしても自分がたくさんいるのって不思議。

この中でかくれんぼしたら絶対に見つからない自信がある。

今度蜘蛛ちゃんとやってみようかな…

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『雲魔法LV.4』が『雲魔法LV.5』になりました》

あ!上がった!

LV.5は何ができるんだろう?

ふむふむ…忍者度が増したよ!

 

 

 

最後にレベル上げするのは『鑑定』。

走り込みはやらないよ。

下層走り回って強い魔物に遭遇とかしたら死んじゃうもん。

でも、『鑑定』やると頭割れそうになるんだよな…

限界になるまで見えるものを全て鑑定していく。

 

〈エルローゲーレイシュー〉〈エルローゲーレイシュー〉〈エルローゲーレイシュー〉〈エルロー大迷宮の壁〉〈エルローゲーレイシュー〉…

 

…タニシ多いな‼︎

う、そろそろ酔ってきた…

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV.6』が『鑑定LV.7』になりました》

 

ヒャッホーイ!あがったー!

 

(蜘蛛ちゃーん、『鑑定』がLV.7になったよ!)

(やったね!)

 

思わず蜘蛛ちゃんと喜びを分かち合う。

 

ハーハー

なんか笑ってたら止まらなくなって過呼吸になることってあるよね。

今、そんな感じ。

 

ふぅ、落ち着いた。

 

 

(蜘蛛ちゃん!勝負しない?糸か雲の中に捕まえた方が勝ちで)

(いいよー!でも、私は毒を当てなきゃいいけどモコちゃんはどうするの?)

(雲魔法だけでやるよ!)

(オッケー!)

 

 

(レディー…ゴー‼︎)

 

開始早々糸が飛んでくる。

こんなに早く捕まってあげないよ!

 

『雲魔法LV.1 雲作成』

雲を細長い紐状にして作り出す。

さらに…

 

『雲魔法LV.2 雲操作』

生み出した雲を操って蜘蛛ちゃんを追い詰める。

蜘蛛ちゃんは持ち前のスピードで雲の紐を振り切ると網状の糸を発射してきた。

蜘蛛ちゃん、やっぱり速い!

 

(捕まえた!あれ?)

糸に捕らえられた瞬間、私は跡形もなく消えた。…ように見えているだろう…

フフフ…蜘蛛ちゃん!君が見ていたのは幻だ!

『雲魔法LV.5 幻雲』

さっきレベル上げで取得したばかりの魔法だ。

 

蜘蛛ちゃんの後ろから忍び寄り、雲で捕まえる。

ボフッ

 

(ふふ、私の勝ち〜♪)

(うわぁぁぁぁ…まーけーたー)

 

私は喜びのダンスを踊り、蜘蛛ちゃんは悔しさのあまりゴロゴロと転がる。

 

(あんな凄い魔法いつ覚えてたの⁉︎)

(さっき)

(いいなぁー…私も「騙されたな!それは幻だ!」ってやりたい!)

 

 

やりたいのそれなんだ…



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フラグ

喜びの舞or悔しさのゴロゴロをしている途中に現れたのは1匹の魔物だった。

〈アノグラッチ LV.8 ステータスの鑑定に失敗しました〉

 

初めて見る魔物だった。

2メートルくらいのでかい猿っぽい。

…でも、顔がポケ〜っとしててなんかかわいいな。

けど…

 

 その猿は唐突に襲い掛かってきた。

 

ブォンッ

怖⁉︎

速⁉︎

 

なんか‼︎ヤバい音が‼︎してるんですけど‼︎

あんなのに当たったら身体が弾け飛ぶわ‼︎

 

『蒼電魔法LV.5 雷刃』 スッ

ですよねー‼︎あんなヤバい音のパンチ繰り出してくる奴に当たるわけないよね‼︎分かってるよ‼︎そんなこと‼︎

蜘蛛ちゃんも糸で捕まえようとしているが、全く当たっていない。

ていうかあの猿、もう猿やめてるだろ‼︎

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『集中LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『蒼電魔法LV.5』が『蒼電魔法LV.6』になりました》

 

ありがとうございます‼︎

ナイスタイミング‼︎

 

(蜘蛛ちゃん!電撃ぶちかます!離れて!)

(オッケー!)

 

蜘蛛ちゃんがきちんと離れたのを確認してから新たな魔法を使う。

 

『蒼電魔法LV.6 放電』

 

「ホォァァァァァァ⁉︎」

 

猿は電撃でかなりの体力が削れ、おまけに麻痺しているみたいだ。

 

(蜘蛛ちゃん!やったれ!)

 

すかさず蜘蛛ちゃんが飛び出し、動けない猿に向かって毒牙を突き刺し、トドメを刺す。

 

ふぅ

怖かった…

 

「ホォァァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

うわぁぁぁ⁉︎

なんだよ急に‼︎

死ぬ間際まで叫んで怖がらせるとかなんなの?

マジでなんなの⁉︎

やめて‼︎

 

《経験値が一定に達しました。個体、雲猫LV.15がLV.16になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました〉

《熟練度が一定に達しました。スキル『集中LV.1』が『集中LV.2』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『飛翔LV.8』が『飛翔LV.9』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『MP超回復LV.1』が『MP超回復LV.2』になりました》

 

(なんだったんだ?)

(わかんない…でも、怖かった…)

(うん)

 

もう何も起こらないはず…

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

久しぶりに鑑定!

 

〈雲猫 LV.16 名前 なし(雲間 空)

ステータス

HP 400/400 MP 500/500 SP 350/350

平均攻撃能力:340

平均防御能力:280

平均魔法能力:750

平均抵抗能力:460

平均速度能力:730

スキル

「雲猫」「鑑定LV.7」「蒼電魔法LV.6」

「天候魔法LV.1」「雲魔法LV.5」

「MP超回復LV.2」「HP自動回復LV.2」

「気配感知LV.2」「暗視LV.3」

「飛翔LV.9」「念話LV.10」「無限話LV.2」「集中LV.2」「怒LV.1」

「剛力LV.4」「堅牢LV.2」「瞬発LV.5」「持久LV.5」

「惰眠」「n%I=w」

スキルポイント:148,800

称号

「悪食」「魔物殺し」「魔物の殺戮者」「惰眠の支配者」 〉

 

…すっっっっっご‼︎

スキルが見れるようになってる‼︎

ヒャッホーイ‼︎

やったね!

いえーい!

 

 

ハーハー…

喜びすぎて疲れた…

 

それにしても強さが数値化されるのっていいね!

分かりやすい!

 

 



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猿の復讐

(……)

(……)

 

遊牧民みたいな生活に変わってから、あんまり眠れなくて今、眠気がピークになってる。

蜘蛛ちゃんも眠いみたいで無言になってる。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『睡眠耐性LV.1』を取得しました》

おお…ついに耐性まで取れた…

 

(蜘蛛ちゃん、そろそろ寝ない?)

(!!寝る!おやすみ!)

 

一気に元気になって私の身体に飛びついてきた。

慌てて蜘蛛ちゃんが届かない高さまで飛び上がる。

 

(ダメだよ!私も寝るんだから!…それにこのまま寝たら雲なんて目立つし、狙われまくりだよ?)

(それはダメだ。モコちゃん、巣を作ろう!)

 

そう言って巣を作って安眠するぞ計画(作戦名がそのまま…)を話し始めた。

壁の高いところに糸で巣を作って、中に雲を詰める。周りは薄くスライスした岩を貼り付ける。完成‼︎

…ということらしい。

 

蜘蛛ちゃんは早速壁に登って巣を作り始めた。

寝るって決めてからの行動が速い…

 

さてと、私は岩をスライス〜スライス〜

『蒼電魔法LV.5 雷刃』

 案外簡単♪

次は〜これを〜上まで〜…

蜘蛛ちゃん‼︎巣の場所高すぎるだろ‼︎

これから安眠するための寝床作りをしてるのに何故に重労働しなきゃならんのだ⁉︎

 

(モコちゃーん!いいよー!)

(蜘蛛ちゃん!巣の場所高すぎんだろ‼︎)

(だって魔物に見つかりにくい方がいいじゃん?)

 

うっ、それはそうだけど…

ダァー‼︎わかったよ!持ってってやんよ‼︎

これが俗に言う深夜テンション…初体験!

 

『雲魔法LV.1 雲作成』

おっきい雲の器を作り出し、その中にスライスした岩を入れていく。

魔法で持ち上げてるなら軽そうだけど実際は私の力で持ち上げてるから、重い。

寝ようとしただけなのに‼︎ホームがない状態で眠ろうとするのがこんなに大変だなんて…

巣の高さまで浮かび、周りにペタペタと薄岩を貼り付けていく。

ふぅ…やっと終わった…

 

(モコちゃん!ありがとう)

(どういたしまして)

 

さっきまで岩を入れていた雲を巣の中に詰めていく。

 

(よっしゃ、完成!)

(わー!ぱちぱち)

 

今度こそ、おやすみなさい…zzz…

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

コンッ

何かが当たる音に目が覚める。

なんだろう?

 

恐る恐る巣から顔を出してみると

〈アノグラッチ LV.5 ステータスの鑑定に失敗しました〉

〈アノグラッチ LV.3 ステータスの鑑定に失敗しました〉

〈アノグラッチ LV.6 ステータスの鑑定に失敗しました〉

〈アノグラッチ LV.4 ステータスの鑑定に失敗しました〉

〈アノグラッチ LV.1 ステータスの鑑定に失敗しました〉

〈アノグラッチ LV.6 ステータスの鑑定に失敗しました〉

〈アノグラッチ LV.5 ステータスの鑑定に失敗しました〉

〈アノグ………

〈………

 

 

ぐぉっ…

常時発動させてる鑑定からえげつない量の情報が流れ込んでくる。

でも、つまりそれだけ数がいるってこと

ヤベェ…ヤバい

 

(蜘蛛ちゃん!起きて!猿が!)

(んぅ〜?猿ぅ〜?)

 

そう言って起きた蜘蛛ちゃんも下を覗く。

 

(うわぁぁぁぁぁ⁉︎頭が‼︎)

 

蜘蛛ちゃんも常時発動にしてるのか…大丈夫かな?

ってちがーう!

 

(蜘蛛ちゃん!猿が攻めてきた!)

(多すぎるでしょ‼︎限度ってものがあるでしょ‼︎限度ってものが‼︎…やるしかない。やらなきゃ死ぬ!)

(ラジャー)

 

蜘蛛ちゃんは巣の上から、私は飛び回って猿を倒す。

さあ、命を賭けて戦おうじゃないか、猿。

 



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命を賭けるということ

読んでくださっている方、ありがとうございます!
遅くなりましたが、猿戦開始です。


(ていうか、なんでアイツら私たちがいるのわかったの⁉︎せっかく岩でカモフラージュしたのに‼︎)

 

(知らないよ!寝る前に倒したアイツらの仲間を1匹倒したからそれに気づいたのかも…あと、カモフラージュしたのは私‼︎)

 

(あんないっぱいいるのに1匹居なくなっただけで気づくの⁉︎)

 

(私に聞かないでよ‼︎そんなの知らないもん‼︎あと、カモフラージュで頑張ったのは私だってば‼︎)

 

そんなことを言い合っている間に猿は壁を登ってきた。

 

(蜘蛛ちゃん!私は空からやる!)

 

そういって簡易ホームから飛び出すと猿が登ってきた辺りまで下降して魔法を使う。

 

『蒼電魔法LV.6 放電』

 

電撃をモロに受けた猿たちは麻痺して動きが鈍くなる。

 

今までの敵なら、これだけで倒せたはずなのに…

 

(オラァ!くらえぇ!)

 

蜘蛛ちゃんは糸をひたすら猿の進行方向にまいて行動を制限する。

 

あっ、毒撒き始めた

あの毒すごいんだよな…

どんな奴もあれを喰らえばノックアウト。

絶対に喰らいたくない攻撃第1位筆頭だよ

 

猿たちは仲間が殺されたり、行動不能にされたりしているのに全く気にせず私たちを倒すという目的だけを貫いている。

何がそこまでさせるのか…

それにそもそも攻めてきた理由がわからない。

最初に仲間を1匹殺したから攻めてきたというならば、糸で捉えられてる仲間を助けるはずなのに…

 

『雲魔法LV.4 雲分身』

分身の術‼︎

『『『蒼電魔法LV.6 放電』』』

いっぱい撃てば効果も倍‼︎

おりゃぁー!

 

《経験値が一定に達しました。個体、雲猫がLV.16からLV.17になりました》

 

うっそだろ⁉︎今なのか⁉︎レベルアップ中はスキルが切れるから飛べないんだよぉ‼︎

下を見たら猿、猿、猿…

うわぁぁぁ

おちるぅぅぅ…

 

ヒュン

 

蜘蛛ちゃんの糸だ!

少し落ち着いた。

スキル発動!

 

(蜘蛛ちゃん、ありがとう!)

(どういたしまして…うわぁ!)

 

蜘蛛ちゃんの方を見ると、猿が簡易ホームにまで迫っていた。

 

ヒュンッ

 

あ、蜘蛛ちゃんが糸で縛った。

簡易ホームの際に縛ったことで猿の侵入を防ごうとしているのだろう。

さすが!

 

(うそ‼︎)

(はっ⁉︎)

 

あの猿が飛び降りた。自ら。

後続の邪魔にならないように飛び降りたのだろう。

…頭が狂ってるとしか思えない。

なんなんだよ⁉︎この猿たち…

なんでこんなにも命を賭けてまで私たちを狙う?

何が目的?

何を1番に考えている?

なんで…

 

 

 

なんで…こんなにも命をあっさりと捨てられるんだよ⁉︎

 

私たちは、生きたくて、生きていたくて、もう何も失いたくなくて、こんなにも足掻いているというのに…

命は一度失ったら帰ってこないのに

 

怖い…

この猿たちを理解できない。理解したくもない。

 

でも、猿たちを倒さなければならない。

 

自覚した。

私は生まれながらにして他より強かった。

だから、緩んでいた。

テキトウにやっても勝てると思っていた。

命を賭けていなかった。

命を賭けるということを理解してなかった。

 

ここが…

この世界が命を賭けなければ生きていけない世界だと認めたくなかったんだ。

まだ日本にいて、これがただの夢であることを期待してた。

 

だけど、認める。

認めざるを得ない。

ここは前の世界とは違う。

死の恐怖がある。

私たちは死にたくない。

 

だから、死んでくれ、猿。



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増援

(モコちゃん!壁から離れて!)

 

声に従い、壁から離れると蜘蛛ちゃんが脚を簡易ホームから出した。

猿にその脚を掴まれた。

千切れそうなほどの力で掴まれ、顔を顰めている。

けど、諦めてない。

狙いは…?

 

蜘蛛ちゃんが自分が出した糸に触れる。

 

『操糸!!』

 

今まで放たれた糸がくっついていた猿を飲み込んだ。

糸にくっついていた大量の猿たちはモロにスキルの影響を受け、行動不能に。

 

(やったー!)

(凄いよ、蜘蛛ちゃん!)

(モコちゃんこそ!)

 

でも…

そんなふうに壁を乗り越えるとすぐに新たな壁が現れるものである。

 

 

 

(モコちゃん、まだまだ来るよ!)

(わかってるよ!でも、いける!)

 

猿たちは一体どこから来たのかって思うくらい倒しても倒してもどんどん増援がくる。

ホント、どんだけ来んのよ…。

勘弁してよ。

 

そして、その増援の中に、いてはいけないものがいた。

 

〈バグラグラッチ LV.3 ステータスの鑑定に失敗しました〉

〈バグラグラッチ LV.4 ステータスの鑑定に失敗しました〉

〈バグラグラッチ LV.6 ステータスの鑑定に失敗しました〉

 

バグラグラッチ…?

バグラグラッチ……アノグラッチと似てる‼︎

進化系か‼︎

 

巨大な口。

その口の中にはギザギザの凶悪な牙が生えている。

猿の倍くらいの体長。

巨猿が現れた。

 

猿だけでもこんなにも苦戦した。

その進化系なんて…

猿の増援としてやってはいけないものが来てしまった。

協力されたら太刀打ちできない。

 

呆然として動きを止めていたが、生き残った猿たちが動き始めたことで意識は強制的に現実に引き戻された。

さっき糸に触れていた猿たちが一気に仕留められたことで糸をすごく警戒されている。

巨猿の動きに最新の注意をはらいつつ、猿たちに放電したり、雷刃を飛ばしたりしていく。

巨猿はまったく動かない。

助けに来たわけではないのか…?

それならいいけど…いや、よくない。

ただ来たというだけでも強敵だ。

 

猿たちは石を投げたりして私たちを妨害していたが、糸が邪魔をして届かないため、壁登りに専念するようだ。

まあ、元々私には当たってなかったが…

 

魔力消費の少ない雷弾をばら撒いて体力を奪う。

 

そんな時、巨猿の1匹が動き始めた。

岩の方に歩いていく。

それは、カモフラージュのためにスライスした岩。

何を?

巨猿は軽く岩を持ち上げた。

え、どうすんの?

なんで、おおきく振りかぶってるんでしょうかねぇ?

 

 

岩が蜘蛛ちゃんがいる簡易ホームに向かって飛んでいく。

危ないっ‼︎

 

『雲魔法LV.1 雲作成』

雲で足場を作り、スピードとスキルで蜘蛛ちゃんを簡易ホームから回収する。

 

(うぁぁぁ…あ、あぶなかったぁ…ありがとう)

(それほどでも)

 

岩によって巻き上がった粉塵が晴れた先にはペシャンコに押しつぶされた簡易ホームがあった。

 

うそでしょ⁉︎

あんなの食らったら一瞬で御陀仏よ

幸い、巨猿の近くにもう岩はない。

でも、岩投げなら対処は簡単だった。

岩がないということは違う方法で殺しにくるということ。

 

他の魔法に集中できるように蜘蛛ちゃん自身の糸で雲を壁に固定する。

その雲まで操ってる余裕は多分ない。

ここから、第2ラウンド開始だ

 



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第2ラウンド

猿が壁を登って押し寄せてくる。

蜘蛛ちゃんは糸を撒いて、私はひたすら放電し続ける。

麻痺させて糸に捕らえ、その間にできる限り電撃で仕留めていく。

一回戦の繰り返しのようだが、変わったことがある。

 

猿たちは糸の厄介さを理解した。

捕らえられたら終わりだと。

だから、なるべく大きく身体を広げて糸にくっつく。

後続の猿が少しでも楽をできるように。

 

そうして出来た猿の道を後続の猿が進んでいく。

後続の猿も糸に捕まった瞬間、身投げする。

自分の身を顧みない、狂気の戦略。

この猿は単純なステータスでも強いけど、その真価は群れでこそ発揮される。

どれだけ倒しても倒しても増援が来る。

猿を捕まえて盾にしようとしても自ら身投げする。

 

目的はただ一つ

自分の身よりも群全体での復讐を。

最後に敵を殺せたらいい。

 

ホントこの猿たちは狂ってる。

 

巨猿が現れて以来、新たな増援は来ていない。

このままいけば猿は全滅する。

 

でも、巨猿が動けば別だ。

猿の相手をしつつ、巨猿の動きを注意しなければならない。

ホントに勘弁してくれよ…

 

でも、蜘蛛ちゃんがいてくれてよかった。

1人でこんなの相手できるわけがない。

2人で見張れば隙も減る。

 

それでも、神経がすり減る作業だ。

集中のスキルがガンガン上がる。

 

『蒼電魔法LV.6 放電』

 

《経験値が一定に達しました。個体、雲猫LV.17がLV.18になりました。各種能力値が上がりました》

 

レベルアップしたみたいだ。

最近レベルアップがはやい!

 

 

 

ついに、巨猿が動き始めた。

動いたのはレベルが1番低い奴だ。

何をするのかと思えば、くるりとこちらに背を向けて歩き始めた。

帰ってくれるのか?と思ったけど、そんな甘いわけがなかった。

巨猿は振り返ると一直線にこちらに走り始めた。

 

嘘だろ⁉︎

『蒼電魔法LV.1 雷弾』

 

雷弾を当てて巨猿の勢いを削ぐ。

そこに蜘蛛ちゃんの投網が飛んできた。

引っかかった!

あれ?蜘蛛ちゃん?何を?

 

あ“ー!

あ、あ、あの蜘蛛猛毒を直接口に…

蜘蛛ちゃん…恐ろしい子…

ちょっと巨猿に同情するよ…

南無…

 

 

巨猿の1匹が動いた。

他の2匹は?

 

遠く離れた地面を見ると、2匹とも居なくなっていた。

 

どこに⁉︎

 

猿たちの道の上に巨猿の1匹はいた。

もうそこまで…

さっきまで地面にいたはずなのに…

移動速度が猿と比較にならない。

 

(蜘蛛ちゃん!横の壁‼︎)

(くらえ!糸攻撃!)

 

巨猿は道になってる猿を潰しながら向かってきたけど、すぐに蜘蛛ちゃんの糸に捕縛される。

猿の進行方向にいるため、いい障害物になってる。

 

『蒼電魔法LV.6 放電』

痺れさせておく。

 

でも、これで2匹とも動いた。

最後の1匹はどこに…?

 

上昇するために上を見上げると、そこには今にも飛び降り、蜘蛛ちゃんを狙おうとしている猿がいた。

 

(危ないっ‼︎)



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戦いの終わり

『雲魔法LV.4 雲分身』

『『蒼電魔法LV.6 放電』』

 

くっ…うまく当たらない…

蜘蛛ちゃんが乗っている雲は壁から動かせない!

壁に固定したのが裏目に出てしまった…

 

くそ、飛び降りた‼︎

 

『蒼電魔法LV.6 放電』

当たれ!当たれ!

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『蒼電魔法LV.6』が『蒼電魔法LV.7』になりました》

 

ナイスタイミング‼︎

 

これなら蜘蛛ちゃんを巻き込まない‼︎

 

(蜘蛛ちゃん!飛び降りて‼︎)

気づいた蜘蛛ちゃんが雲から飛び降りる。

 

『蒼電魔法LV.7 落雷』

 

《経験値が一定に達しました。個体、雲猫LV.18がLV.19になりました。》

《各種能力値が上がりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『雲魔法LV.5』が『雲魔法LV.6』になりました》

《熟練度一定に達しました。スキル『無限話LV.2』が『無限話LV.3』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『MP超回復LV.2』が『MP超回復LV.3』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『HP自動回復LV.2』が『HP自動回復LV.3』になりました》

《熟練度一定に達しました。スキル『集中LV.4』が『集中LV.5』になりました》

 

おおふ…一気にきたな…

 

雲から飛び降りた蜘蛛ちゃんを背中に乗せる。

 

(大丈夫?)

 

(……)

 

(く、蜘蛛ちゃん?)

 

どうしたんだろう…突然飛び降りろとか言ったから怒ってる⁉︎

 

(……モフ…)

 

(え?なんて?)

 

(はぁ〜…モコちゃんの上、めっちゃくちゃモフモフ…寝そう…)

 

(は⁉︎モフモフを堪能してただけかよ‼︎私の心配を返せよ‼︎)

 

(ん?なんのこと?)

 

(なんでもない‼︎ あと、人の上でくつろぐな‼︎)

 

(何言ってるんだね、モコちゃん)

 

(何が⁉︎)

 

(モコちゃんは雲なんだから人の上とは言わないよ?)

 

(うるっさい‼︎そういう細かいところはいいんだよ‼︎)

 

でも、これで動ける巨猿はいなくなった。

まだ生きてる巨猿も壁で糸に拘束されている。

残りの猿たちも、巨猿がせっかくの道を踏み潰してしまったため、思ったより進んでない。

なんらかの隠し玉があれば別だけど、猿たちに勝機はない。

 

でも、油断はしない。

もうこの世界が命懸けの世界だって知ってるから。

絶対に気なんか抜いてやんない。

 

 

(ほら、シャンとしなさい!まだ動ける猿がいるんだから!)

 

(そうだった!行こう、お母さん!)

 

(誰がお母さんだ⁉︎)

 

(アハハハ)

 

 

 

放電で猿の動きを鈍らせ、その隙に蜘蛛ちゃんが糸で拘束していく。

それを続け、遂に最後の猿が糸に捕らわれた。

猿は諦めずに手を伸ばすが、ギリギリ届かない。

 

周りを見回す。そこらじゅうに糸に捕らわれた猿たちがいる。

念のため、援軍を警戒するが、来る気配がない。

 

遂に…すべての猿たちを行動不能に陥れた。

やっとだ…

でもまだ気を抜かない。

猿たちは動けないけど生きている。

 

(蜘蛛ちゃん、トドメを刺すよ)

 

(うん)

 

 

蜘蛛ちゃんは毒牙、私は広範囲に落雷を落として猿たちを仕留めていく。

今までで1番MPを消費した戦いだったよ…

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『MP超回復LV.3』が『MP超回復LV.4』になりました』

ナイスタイミング‼︎

 

猿たちは最期の抵抗に威嚇してくる。

でも、攻めてきたのはそっちなんだから、知ったこっちゃない。

そうして猿にトドメを刺していると、不意に声が聞こえた。

 

《条件を満たしました。称号『無慈悲』を獲得しました》

《称号『無慈悲』の効果により、スキル『外道魔法LV1』『外道耐性LV1』を獲得しました》

 

なんか称号もらった。

外道魔法ってなんだろう?

あとで蜘蛛ちゃんに聞いてみよう。

何か知ってるかも。

でも、これは遺憾の意を表明せざるを得ない。

私そんな外道じゃないのに…

…ホントだよ!

 

とりあえず新しいスキルの確認は後回しにしよう。

戦ってる最中もなんかバンバンレベルアップしまくってたし、後で時間のある時に全部まとめて確認しないと…

 

《経験値が一定に達しました。個体、雲猫がLV.19からLV.20になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV.7』が『鑑定LV.8』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『飛翔LV.9』が『飛翔LV.10』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『集中LV.5』が『集中LV.6』になりました》

《スキルポイントを入手しました》

《条件を満たしました。個体、雲猫が進化可能です》

 

猿を作業的に始末している最中に、レベルが上がった。

そうかー。

やっとレベル20か。

最初に比べてレベルの上がりがいいな。

スキル『惰眠』の効果かな。

私どんなところでも寝つき良いし。

猿が来たことに感謝すべきか…

うーん…いや、もう考えない!

とにかく、進化できるようになってよかった‼︎

 

《進化先の候補が複数あります。次の中からお選びください。

 雷雲

 雷猫》

 

ん?

雷雲ってなに?

もはや生き物じゃなくない?

 

まあ、あとで考えよう。

こんな安心できない状況で進化なんかできたもんじゃない。

とっとと猿を全部始末しなければ。

 

そのあとは淡々と猿を処分する作業だった。

雷刃、雷刃、たまに食事して、MP回復させて。

 

そして、その場から、私たち以外の命が全て潰えた。

 



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Let's 進化‼︎

さて、猿を全滅させたけど、これからどうしよう。

猿の血の匂いで他の魔物がやってくる可能性がある。

でも、さっきまであんなに騒いでいたというのにすごい静かだ。

魔物1匹やってきている感じがしない。

今なら、進化できるかもしれない。

どうやら、さっきの戦いで蜘蛛ちゃんも進化できるようになったみたいだ。

まあ、あれだけ倒したら経験値も貯まるよね…

 

2人(?)とも進化するから、安全を確保してからじゃないといけない。

また壁の高いところに簡易ホームを作れば 安心安全‼︎ とは言えないけど、弱い魔物なら近づくこともできないだろう。

 

進化するなら今しかないらしい。

(進化すると気を失うんだ。でも、前の感覚からしてそこまで長い期間じゃないと思う。あくまで感覚だけど。あと、進化には凄いSPを使うから大量の食料がないと危ない。だから、食料が沢山あって魔物もいない今が絶好のチャンスだと思う!) by蜘蛛ちゃん

 

進化って初めてだからよくわかんないから、ここは蜘蛛ちゃんに従おうと思う。だって、わかんないしー

 

あと、進化するならどっちに進化するのか決めないといけない。

雷雲と雷猫。

 

めちゃくちゃ似てるけど、違う進化先ってことはかなり違うとみていいだろう。

 

うーん。

わかんない。

名前が似過ぎていてよくわからない。

 

こういう時、鑑定できればなー…

ん?鑑定が、できれば?

もしかしたら…

 

すぐさま自分を鑑定する。

ステータスの鑑定結果の下の方に、アラートがでてる。

進化可能?

なんか文字が点滅している。

ポチッとな。

 

〈進化可能:雷雲 or 雷猫〉

 

…念の為、ポチッとな。

 

〈雷雲:雲種の成体。雷雲に命が宿った。雷と水を蓄え、上空を漂っている。数体集まると合体でき、強くなる。〉

 

〈雷猫:雲種の幼体。雷の身体をもつ。雷魔法が得意。数体集まると力が増し、天候魔法を使えるようになる。〉

 

…すっっっっご!

凄いよ、鑑定さん!

最近鑑定してなくて、こんなに鑑定さんが育ってるなんて知らなかったよ!

凄い!

最高‼︎

 

〜迷い中〜

 

決めました!雷猫に進化するよ!

なんかもう成体になるよりも、幼体の方が未来があるじゃん?

 

そうと決まれば簡易ホーム作りだよ!

蜘蛛ちゃん!頼んだ!

 

なんということでしょー

あっという間に蜘蛛の巣がー

そこにふわふわの雲をくっ付ければ完成だよ!

 

さあ、レッツ進化!

進化って初めてだから緊張するなぁ

どんな感じだろ?

おやすみなさい!

 

 

 

 

《進化が完了しました》

《種族雷猫になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度進化ボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『蒼電魔法LV.7』が『蒼電魔法LV.8』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『雲魔法LV.6』が『雲魔法LV.7』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『天候魔法LV.1』が『天候魔法LV.2』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『MP超回復LV.4』が『MP超回復LV.5』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『HP自動回復LV.3』が『HP自動回復LV.4』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『気配感知LV.4』が『気配感知LV.5』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『無限話LV.3』が『無限話LV.4』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『外道魔法LV.1』が『外道魔法LV.2』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『外道耐性LV.1』が『外道耐性LV.2』になりました》

《進化によりスキル『電磁移動』を取得しました》

《スキル『飛翔LV.10』が『電磁移動』に統合されました》

《スキルポイントを入手しました》

 



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新たなスキル

グッドモーニング

おはようございます

無事目覚めたみたいですね

よかったです

 

進化ってあんな感じなんだね。

凄い不思議。

蜘蛛ちゃんも無事進化できたみたい。

たしか、ポイズンな蜘蛛になったんだよね

 

さてさて、早速ステータスを確認していきましょー!

鑑定!

 

〈雷猫 LV.1 名前 なし(雲間 空)

ステータス

HP 770/770 MP 850/850 SP 750/750

平均攻撃能力:950

平均防御能力:810

平均魔法能力:1130

平均抵抗能力:870

平均速度能力:1020

スキル

「雲猫」「鑑定LV.8」「蒼電魔法LV.8」

「天候魔法LV.2」「雲魔法LV.7」

「MP超回復LV.5」「HP自動回復LV.4」

「気配感知LV.5」「暗視LV.4」

「電磁移動」「念話LV.10」「無限話LV.4」「集中LV.6」「怒LV.1」

「剛力LV.4」「堅牢LV.2」「瞬発LV.5」「持久LV.5」「外道魔法LV.2」「外道耐性LV.2」

「惰眠」「n%I=w」

スキルポイント:148,800⚠️

称号

「悪食」「魔物殺し」「魔物の殺戮者」「無慈悲」「惰眠の支配者」〉

 

おおおーー!

ステータス上がってるぅ!

ついに1000を越えたよ!

やったね!

喜びの舞を踊っちゃうよ‼︎

 

〜喜びの舞〜

 

ハーハー

無駄に疲れた気がする。

 

とりあえずスキルを確認しようかな

あれ?

鑑定さんがレベル上がってる。

でも、違いがわかんない…

これは?

まさか使えない鑑定さんの再来⁉︎

 

 

 

ん?

スキルポイントのところにマークがついてる。

ポチッとな。

………………

 

すみませんでした!

使えないとか言ってごめんなさい!

貴方はめちゃくちゃ優秀でした!

 

そこには手持ちのスキルポイントで取れるスキルの一覧が表示されていた。

 

ヤベーよ。ヤベーっすわ。

鑑定さんがヤベーっす。

鑑定さん最高‼︎

 

そういえば前から欲しいと思っていたスキルがあるんだよねー

その名を『火耐性』という!

なに?案外普通のやつだって?

別にいいじゃん。欲しいんだもん

 

火耐性〜火耐性〜どこかな〜

 

〈火耐性 使用スキルポイント:1000〉

 

は?

たっっか!

高すぎるだろ!

鑑定さんは100なのになんだよ1000って

ふざけてんのか?

 

はぁ

違うの探そ…

 

あっ!

似たようなのみっけ!

 

〈炎熱無効 使用スキルポイント:5,000〉

 

は???

なんだよこれ!

取らせる気ないだろ!

火耐性よりも効果高そうだから欲しいけど!

絶対無理…

 

《現在所持スキルポイントは148,800です。

 スキル『炎熱無効』をスキルポイント5,000使用して取得可能です。

 取得しますか?》

 

え?

できんの?

うっそだろ⁉︎

ていうかそんなにスキルポイント持ってたの?

やった!

取ります、取りまーす!

 

《『炎熱無効』を取得しました。残りスキルポイントは143,800です》

 

やってやったぜ!

ん?

これは?

 

『怠惰:神へと至らんとするn%の力。自身を除く周辺のシステム内数値の減少量を大幅に増加させる。また、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得る』

 

n%の力?

 

《スキル〈怠惰〉をスキルポイント100使用して取得可能です。

 取得しますか?》

 

なんか凄そうだし取ってみよう。

 

《『怠惰』を取得しました。残りスキルポイントは143,700です》

《条件を満たしました。称号「怠惰の支配者」を獲得しました》

《称号【怠惰の支配者】の効果により、スキル『睡眠無効』『退廃』を獲得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『禁忌LV2』を獲得しました》

 

わぉ。

いっぱいついてきた。

【怠惰の支配者】って?

 

〈怠惰の支配者:取得スキル「睡眠無効」「退廃」:取得条件:「怠惰」の獲得:効果:HP、SP、MPの各能力上昇。自己回復系スキルに+補正。支配者階級特権を獲得:説明:怠惰を支配せしものに贈られる称号〉

 

???……よくわかんないからほっとこ。

それにしても『禁忌』ってなに?

なんか取っちゃダメ系じゃない?

どうしよ…

 

もう取っちゃったものは仕方ない。

うん。仕方ないんだ。

 

あとは〜…

『共有』?

鑑定ポチッとな

 

〈『共有』:特定の相手とスキルとスキルポイントを共有する〉

 

え?結構すごくない?

しかも使うスキルポイント500だよ⁉︎

取るしかないでしょ!

取ります‼︎

 

《『共有』を取得しました。残りスキルポイントは143,200です》

 

さっそく蜘蛛ちゃんに教えて共有しよう!

蜘蛛ちゃーん!



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スキル『共有』

(蜘蛛ちゃーん!)

 

(どしたん?)

 

(なんか、『共有』ってスキル取れて、スキルとスキルポイントを共有できるらしいんだけど、共有しない?)

 

(え‼︎マジで⁉︎する‼︎しよ‼︎共有‼︎)

 

(じゃあ、早速共有!)

 

スキルオーン!

 

《スキル『共有』を使用しました。》

《熟練度が一定に達しました。スキル『集中LV.1』を取得しました》

《『集中LV.1』が『集中LV.6』に統合されました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『命中LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『回避LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『探知LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『隠密LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『暗視LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『外道魔法LV.1』を取得しました》

《『外道魔法LV.1』が『外道魔法LV.2』に統合されました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『毒耐性LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『麻痺耐性LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『石化耐性LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『酸耐性LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『腐食耐性LV.1』を取得しました》

《『腐食耐性LV.1』が『腐食耐性LV.1』に統合されました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖耐性LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『気絶耐性LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『苦痛軽減LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『痛覚軽減LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『韋駄天LV.1』を取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『禁忌LV.1』を取得しました》

《『禁忌LV.1』が『禁忌LV.2』に統合されました》

 

ぐはっ…

あ…あたまが…

はぁ…はぁ…

 

頭割れたかと思った…

隣を見ると蜘蛛ちゃんも頭を抱えて悶えている。

2人(?)ともスキル多いからな…

 

(大丈夫…?)

 

(…うん。なんとか。モコちゃんは平気?)

 

(平気じゃない…頭割れたかと思った)

 

(だよね…)

 

(耐性いっぱい持ってるんだね…)

 

(うん。でも、種族特有のスキルは共有できないみたいだね)

 

(うん。私は糸出さないし)

 

(『怠惰』ってなに?それだけ共有不可って言われたんだけど)

 

(さぁ?よくわかんない。さっき取った)

 

(そっかー)

 

(なんか疲れたね)

 

(そうだね)

 



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スキル検証と…

地龍カグナ登場です。


さて、少し忘れてたけど進化で手に入れたスキルの検証をしようと思う。

えーっと…

レベルが上がったのは『蒼電魔法』と『雲魔法』、『天候魔法』、『MP超回復』、『HP自動回復』、『気配感知』、『無限話』、『外道魔法』、『外道耐性』の合計九つ。

たくさん上がったな。

 

まず、『蒼電魔法』

とりあえず、猿に撃ってみる。

 

そりゃっ

『蒼電魔法LV.8 雷爆』

 

雷は猿に触れた途端、爆発した。

…爆発した。

 

うわっ!

猿じゃなくて壁に向かって撃てばよかった…

でも、威力は高め。

 

次は『雲魔法』

LV.6も使ったことないから、使ってみよう

 

『雲魔法LV.6 雲結晶』

 

おお、雲が結晶化した。

盾とかに使えそう。

 

LV.7は回復系なのか…今度使ってみよう。

 

次は、『天候魔法』

前に使った時はなんか使えなかったけど、使えるかな?

 

『天候魔法LV.2 雨乞い』

 

シーン

 

発動した気配すらないよ‼︎

ホントに意味がわからない。

全然使えないんだけど。

 

最後に、『外道魔法』

外道…どのくらい外道なんだろう

 

『外道魔法LV.2 幻痛』

 

シーン

 

まただよ‼︎

もう知らない‼︎

 

そのほかのスキルは、レベルが上がっただけだね。

 

獲得したスキルは、耐性をたくさんと、『電磁移動』っていうスキル。

さっそく鑑定!

 

〈『電磁移動』:電磁移動できるようになる〉

 

What?

違うよ!違うんだよ!

そんな情報は名前でわかるよ!

私が知りたいのはもっと、こう、効果なんだよ!

鑑定さんが久し振りに使えない‼︎

 

もういいよ!

スキル『電磁移動』発動!

 

バチバチ

 

先端に行くほど白から黄色へのグラデーションになっていた体は、雷になった。

なるほど。だから、雷猫なのか。

雷になれるからスピードも速くなると。

 

いいね!雷かっこいい!

 

(白ちゃーん、スキルの確認終わったよー)

 

(私も終わった)

 

(久し振りに模擬戦しない?)

 

(いいよ。でも、雷と毒は禁止だよ)

 

(攻撃には使わないと約束しようではないか‼︎)

 

(嫌な予感…)

 

(じゃあ、5秒前ー)

 

(えっ!ちょ…)

 

(よーん、さーん、にー、いーち)

(( ゼロ! ))

 

白ちゃんがすごいスピードで移動して投網してくる。

でも、スピードなら私も負けないよ!

私は今、雷になる‼︎

 

『電磁移動』!

 

(え⁉︎)

 

続けて…

『雲魔法LV.5 幻雲』

『雲魔法LV.6 雲結晶』

 

この結晶が私に見えるように幻をかける。

蜘蛛ちゃんが結晶に向かって投網をした。

 

狙い通り‼︎

 

『雲魔法LV.1 雲作成』

『雲魔法LV.2 雲操作』

 

雲を糸状にして確保ー。

 

(うわっ!)

 

(勝った!)

 

(負けたー)

 

私は喜びの舞を踊り、蜘蛛ちゃんは地面をゴロゴロ。

 

 

うん、この展開、前にもあったよね。

だから、この後は決まって、

 

ズシン

 

めちゃくちゃ強い奴が出てくるんだよぉ‼︎

 

〈地龍カグナ LV.26

 HP:4198/4198(緑)

 MP:3339/3654(青)

 SP:2798/2798(黄)

   :2995/3112(赤)

 ステータスの鑑定に失敗しました』

 

それは、龍。

それは、圧倒的強者である。



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オリジナル設定
ステータスとオリジナル魔法


ネタバレ注意!ネタバレしまくってます!
進化する種族とか、オリジナル魔法の詳細とかまだ知りたくない人は見ない方がいいですよ


雷猫 LV.1 名前 無し(雲間 空)

ステータス

HP 770/770 MP 850/850 SP 750/750

平均攻撃能力:950

平均防御能力:810

平均魔法能力:1130

平均抵抗能力:870

平均速度能力:1020

スキル

「雲猫」「鑑定LV.8」「蒼電魔法LV.8」

「天候魔法LV.2」「雲魔法LV.7」

「MP超回復LV.5」「HP自動回復LV.4」

「気配感知LV.5」「暗視LV.4」

「電磁移動」「念話LV.10」「無限話LV.4」「集中LV.6」「命中LV.1」「回避LV.1」「探知LV.1」「隠密LV.1」「怒LV.1」

「剛力LV.4」「堅牢LV.2」「瞬発LV.5」「持久LV.5」「外道魔法LV.2」「外道耐性LV.2」

「腐食耐性LV.1」「毒耐性LV.1」「麻痺耐性LV.1」「石化耐性LV.1」「酸耐性LV.1」「恐怖耐性LV.1」「気絶耐性LV.1」「苦痛軽減LV.1」「痛覚軽減LV.1」「韋駄天LV.1」

「炎熱無効」「睡眠無効」「退廃」

「禁忌LV.2」「惰眠」「怠惰」「n%I=w」

スキルポイント:143,8 200

称号

「悪食」「魔物殺し」「魔物の殺戮者」「無慈悲」「怠惰の支配者」

 

『蒼電魔法』

LV.1 雷弾

LV.2 雷槍

LV.3 雷纏い

LV.4 雷の牙

LV.5 雷刃

LV.6 放電

LV.7 落雷

LV.8 雷爆 ⬅️

LV.9 雷剣

LV.10 電磁砲

 

『雲魔法』

LV.1 雲作成

LV.2 雲操作

LV.3 雲隠れ

LV.4 雲分身

LV.5 幻雲

LV.6 雲結晶

LV.7 癒し雲 ⬅️

LV.8 冷氷気

LV.9 氷槍

LV.10 雲移動

 

『天候魔法』

LV.1 快晴

LV.2 雨乞い ⬅️

LV.3 雪

LV.4 あられ

LV.5 暴風

LV.6 暴風雨

LV.7 干天

LV.8 吹雪

LV.9 真空

LV.10 ブラックホール

 

雲猫

幻想種。雲族の幼体。基本遥か上空で集団で生活している。個体数が多ければ多いほど魔法の威力が上がる。

 

(雷雲)

雷雲に命が宿った。雷と水を蓄え、上空を漂っている。数体集まると合体でき、強くなる。

『合体』『分離』

 

雷猫

雷の猫。雷魔法が得意。数体集まると力が増し、天候魔法を使えるようになる。

『電磁移動』

 

(雷虎)

雷の虎。雷魔法が得意。単体で天候魔法が使えるようになった。

『天雷魔法』

 

蒼雷虎

雷虎の上位種。強力な雷でできた身体は青白い。蒼電魔法の威力が大幅に上がる。天候魔法と雲魔法も得意。自由自在に大空を駆ける空の覇者。成長すれば天変地異を起こせるほどの力を持つ。

『空駆』

 

蜘蛛ちゃん

スモールレッサータラテクト→スモールタラテクト』→スモールポイズンタラテクト→ゾア・エレ→エデ・サイネ→ザナ・ホロワ』→アラクネ』→神

 

モコちゃん

雲猫』→雷猫』→蒼雷虎』→神

 

 

流れ

転生当初

蜘蛛子と生活

猿戦

中層 ⬅️

外の世界と転生者

魔王

古代文明

進化と力

雪山

お出掛けと魔王城

暗躍

エルフの里と転生者

選ぶもの

 



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灼熱地獄
こんにちは中層!


遅くなりました。
新しい魔法も使います!(一応)





そいつの、地龍カグナのステータスを見た時の感想はたった一文字。

は?

 

数値がおかし過ぎんだろ‼︎

 

(く、く、く、蜘蛛ちゃん!なにあの化け物!)

 

(私が知るか!でも、今やることはひとつ)

 

((逃げる!))

 

全速力で少しでも遠くへ遠くへ逃げる。

チラリと後ろを振り返るとカグナはまったく動いていない代わりに口に光を集め始めた。

もしや、あれは異世界のドラゴンで定番『ブレス』というものでは?

というかあんなのに当たったら一瞬で死ぬ‼︎

 

あっ!

 

(蜘蛛ちゃん!登り坂‼︎)

 

(おお!遂にこの地獄の下層から抜け出せる!)

 

その歓喜のまま私たちは坂を駆け上がった。

さようなら下層!

 

でも、世界はそんなに甘くないのである。

 

視界を埋めてきたのは赤。真っ赤だった。

目の前に広がるのはマグマが湧き上がり、いるだけでダメージを受けるほどに熱い灼熱の大地。

 

えええええぇぇぇぇ…

いくらなんでもこれはないだろ‼︎

 

 

 

 

現状の確認をしよう。

周りは煮えたぎるマグマが流れている。

『炎熱無効』のおかげでダメージは受けてないけど熱い。

スキルで無効化されていても熱さなくならない。

生まれ変わってからずっと暑くも寒くもない快適な気温の中で生活してたからね。

今すぐこの中層から出たいけどあんな化け物がいるところには戻りたくない。

 

そうだ。蜘蛛ちゃんは種族柄炎が苦手なはず…

 

(蜘蛛ちゃん大丈夫?)

 

そう声をかけて振り向くと、お尻が燃えている蜘蛛ちゃんがいた。

 

(く、く、くもちゃん!燃えてる!)

 

(え?この中層はどこでも燃えてるよ?)

 

(違う!糸!糸!糸切って!)

 

(糸?って、うわぁぁぁぁ!)

 

ようやく気づいた蜘蛛ちゃんは慌ててお尻から出ていた糸を切った。

 

(あ、危なかった……あれ?HP減ってない)

 

(私が『炎熱無効』持ってるからね。今スキル共有してるし)

 

(ありがとう、モコちゃん!君のおかげで間抜けな死に方をしなくて済んだよ!命の恩人‼︎)

 

そんな大袈裟だよ!急にやめてよ!照れるじゃんか‼︎

こういう時は話題を変える!

 

(それにしてもこの中層を抜けないと上層には戻れないんだよね)

 

(うん。上層や下層があんなに広かったんだから中層も相当広いに違いない。大陸を繋ぐくらいだし。あー。一体何日かかるんだろ…)

 

(気にしない方がいいよ。気楽にいけばいつか終わるさ)

 

 

 

お、魔物発見。

鑑定!

 

〈エルローゲネラッシュ LV.5

 ステータス

 HP:159/159(緑)

 MP:145/148(青)

 SP: 145/145(黄)

    116/145(赤)

 ステータスの鑑定に失敗しました〉

 

中層についてから始めてみる魔物。

タツノオトシゴみたいな魔物だな。

マグマの中を悠々と泳いでいる。

ないわー。

 

こっちに気づいてなさそうだし、スルーしたいけど進行方向にいる。

ここは一戦やっておくか。

中層でも同じように戦える試しておきたい。

蜘蛛ちゃんも同じ意見みたい。

 

まず、蜘蛛ちゃんが糸を飛ばす。

けどオトシゴに届く前に燃えてしまった。

今までずっと使ってきた糸が使えなくなってちょっと凹んでる…

 

あ、なんか飛んできた。

火の玉か。

じゃあこっちは雷の玉だ!

 

『蒼電魔法LV.1 雷弾』

 

相殺したかと思えば、雷弾の威力の方が強かったらしく、オトシゴに当たった。それで火の玉は効かないと気づいたのかマグマから這い出してきた。そのまま突進してくる。

馬鹿だなー。火の玉が効かないのにただの突進が効くわけないじゃん。

私だったら戦略的撤退するのに。

 

遅い突進を避けて魔法を使って拘束する。

 

『雲魔法LV.1 雲作成』

 

でも、熱すぎるせいで蒸発し始める。

 

そんな⁉︎

蜘蛛ちゃんはオトシゴの背中に取り付き、爪に毒攻撃を乗せて突き刺す。

猛毒に侵されたオトシゴはコロっと生き絶えた。

初戦はなんとか突破。

でも、ずっと頼りにしてきた雲が蒸発するなんて…

でもでも!ちょっとの時間なら使えるし!

 

しかし中層、最大の敵は地形かもしれん。

 

私が考え込んでいると蜘蛛ちゃんが話しかけてきた。

 

(モコちゃん、大丈夫?)

 

(うん。お互い今まで頼りにしてきたものが使えないね…)

 

(うん)

 

(オトシゴ刺した時にHP減らなかった?あいつマグマの泳いでたし)

 

(うん。減った。痛かった…)

 

(回復させようか?)

 

(できるの?お願いお願い!)

 

(うん!)

 

『雲魔法LV.7 癒し雲』

 

雲が霧のように広がった…ら、すぐに蒸発し始めた。

 

(うー。回復手段が…)

 

(ちょっとしか回復しないね…まあ、元気だしなよ)

 

(うん)

 

(回復ありがとう!)

 

(っ‼︎べ、別に普通だよ!)

 

なんで急にそういうこと言うんだよ!

照れるじゃんか‼︎

 



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野生のナマズが現れた!

UA数が5,000突破しました!ありがとうございます!
11月は忙しいので次の更新遅くなるかもしれません(>人<;)
ゆっくり待っていただけたら幸いです。


さてと、当分の目標はこの灼熱地獄から抜け出す道を探すことかな。

ダメージないとはいえ熱い。体が蒸発しそう。とにかくここから出たい。

 

(蜘蛛ちゃん、望遠でなにか道っぽいもの見えたら教えて!)

 

(りょーかい!)

 

そういえば…さっきのタツノオトシゴ、下位の竜って鑑定に出てたな…

はい、ここで連想ゲーム!

下位の竜といったら上位の竜、上位の竜といったら龍、龍といったら地龍…地龍がいるなら風龍、地龍がいるなら火龍……

そして火龍がいそうな場所は…ココですね‼︎

…ヤバい。この灼熱地獄には火龍がいるかもしれない。

逃げる準備はいつでも万端にしておかないと!

 

(うわっ⁉︎)

 

繋ぎっぱなしにしている念話から蜘蛛ちゃんの叫び声が聞こえる。

 

(どうしたの⁉︎)

 

(急にナマズっぽいやつがマグマから飛び出してきたからびっくりしちゃった)

 

(そっか、たしかにナマズだね)

 

こんな時は鑑定!

 

〈エルローゲネセブン LV.7

 ステータス

 HP:461/461 (緑)

 MP:223/223(青)

 SP:218/218 (黄)

   451/466 (赤)

 平均攻撃能力:368

 平均防御能力:311

 平均魔法能力:161

 平均抵抗能力:158

 平均速度能力:155

 ステータスの鑑定に失敗しました〉

 

〈エルローゲネセブン:エルロー大迷宮中層に生息する下位竜に属する魔

 物。雑食性でその大口により何でも飲み込む〉

 

えっ…こいつ竜なんだ。丸いフォルムは竜っていうよりもナマズ。

あの大きな口で迫ってこられたら簡単に飲み込まれちゃう。

速度で上回ってるから避けれるし、万が一飲み込まれても消化される前に体の中から放電してやれば脱出できるっしょ。

 

でも、能力がわからない限り出来るだけスルーしたい。私たちの目的は戦うことよりも中層からの脱出だし。

 

(モコちゃん、そーっと移動しよう)

 

(そうだね)

 

(最近私は学習したのですよ。調子に乗ってはいけない。慎ましやかにいかなきゃならんのですよ。)

 

なんか、蜘蛛ちゃんが突然語り始めた。そんなことよりも急いで移動したほうが…

 

すると、すぐ近くのマグマの底から、別のナマズが浮き出てきた。

 

(は?うおい⁉︎話が違うぞ⁉︎私調子に乗ってないのにピンチだぞ⁉︎)

 

さっき語り始めたからだよ…それに話って誰とだよ…

 

固まってナマズと見つめ合っていた蜘蛛ちゃんはナマズが大口を蜘蛛ちゃんに向かって閉じる直前にバックステップする。

ナイス!バックステッポウ!っていう謎の掛け声が無ければなお良し!

ナマズはのっそりと陸地に上がってきた。

マグマの中にいる時は分からなかったけどちゃんと鱗あるな。手足もある。

 

(うん。逃げよう)

 

くるりと踵を返した蜘蛛ちゃんの前にはのっそりと陸地に上がってくる別のナマズ。

これでやっと逃亡を諦めたようすの蜘蛛ちゃん。

 

(やってやるぜ!)

 

糸を放つが案の定すぐに燃える。そして、口を開けて突進するナマズ。それを見つめる私とナマズ2。蜘蛛ちゃんは動かない。

動かないことに疑問を持ちつつ、助けに入ろうとした時、蜘蛛ちゃんは動き出した。

ギリギリまで引きつけたナマズの口の中に毒を放って離脱。

蜘蛛選手、鮮やかな戦法です!…じゃなくて怖いな!

毒飲み込んだナマズは苦しげにのたうち回っている。

うわぁ…

ナマズ2も引いてるよ…

 

あっ…ナマズ2が逃げようとしてる。

逃がさんぞ!

 

『蒼電魔法LV.2 雷槍』

 

雷槍で地面に縫い付けるとその威力にナマズはたちまち絶命した。

 

案外強くなかったな。

蜘蛛ちゃんの方もトドメを刺せたみたい。

じゃあ、早速食べて見なくちゃ!

毒はなさそうだから美味しいといいなぁ…

じゃあ、蜘蛛ちゃん!鱗取り任せた‼︎

 

(そんな⁉︎)

 

(ほら、私雷だから♪その間私は中層を走ってk…偵察してくるから♪)

 

(今、走ってくるって言いかけなかった?ちゃんと偵察してきてよ!)

 

りょーかい、りょーかい!

私に任せろ!



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偵察♪偵察♪

久しぶりの更新です!
これから1週間に1話は多分更新しますよ!
がんばります!


ふ〜んふふふ〜♪

走るのって、たーのしーいなー♪

 

転生してから走るのがすごい楽しくなった。

なんでだろ?う〜ん…不思議

まあ、いっか♪

 

それにしても中層は眩しすぎて目が痛くなるなぁ

視界は赤、オレンジ、黄色、白で埋め尽くされている。

何が言いたいかというととにかく眩しい。目が痛くなるくらい。

誰だよ、こんな誰にも需要がなさそうな場所を作った奴は。

いつかあったらぶっ飛ばしてやる!空の彼方までな!

 

そんなことは置いといて(閑話休題)

 

魚系の魔物が多いなぁ

マグマの中にタツノオトシゴとナマズ、陸地に犬と…なんか丸い物体。

いや、何あれ!?

え、怖…理解不能だわ…

理解不能な生物のことは頭から追い出す。

うん、私は何もみていない!見てないと言ったら見てないのだ!

…でも、もと地球人の私からすれば魔物は理解不能な生物だな…

え!?…っていうことは魔物に転生した私は理解不能な生物ってこと!?

いやだー!そんなの断固拒否するぞー

これは、なんとしてでも人の姿になれるようにならなければ!!

 

ん?なんかあっちでマグマからひょろ長いものが顔を出してる。

なんだろ?

って、鰻じゃん!!

鰻ってあんまり食べたことないんだよね。食べたい!!

 

あれ?なんかこっち見られてない?

うぎゃぁぁああああ!??

な、な、な、なんかレーザー撃たれた!?

こっちくるなぁぁぁああ!!

 

 

はぁ…はぁ…はぁ…

むり。あれは一人じゃむり。蜘蛛ちゃんに救援を頼まなければ。

そうと決まれば、すぐに戻ろう!

Let'sらgo! go!

 

あ、蜘蛛ちゃんがみえてきた。

まだ鱗とってる

…あれ?なんか忘れてるような…

あ!!偵察してない!

あわわわわわ!

と、とりあえず、中層を抜け出す道を探さねば!

私は今、音速を超える!蜘蛛ちゃんに見つかったら一巻の終わりだ!ずっと遊んでたってバレちゃう!

 

えーっと、えーっと、なにか成果を持って帰らないと!

道!道!みち!どこ!?みちぃ…

バ、バレたらナマズを食べれない予感…

それだけはいやだー!

中層、5周くらいした気がする。

まさか、脱出口ないの!?

…あ!!あった!あったよ!!

さ〜てさて、どこに繋がってるかな〜?

 

ゆきあし、さしあし、しのびあし〜

 

この暗さ、この気温、この感じ(?)!

これは、上層!

ということで、上層への道を無事に見つけたよ!

や、やった…これで無事にナマズを食べられる!!

今度こそ蜘蛛ちゃんに報告だー!

 

 

 

 

(くーもちゃーん!ただいまー!!)

 

(おかえり…やっと鱗取り終わったよ…)

 

(おつかれー)

 

(ふぅ…で、なにか収穫はあった?)

 

(もちろん!聞いて驚き、ひれ伏すがいい!なんと!)

 

(なんと?)

 

(鰻を見つけたよ!きっと美味しいよ!)

 

(でかしたモコちゃん!ってそうじゃなくて!地形については!?)

 

(地形?…あ!!)

 

(よかった…一瞬ないのかと思ったじゃん…)

 

(嫌だな〜♪私はそんなヘマはしないよ〜)

 

(で?)

 

(聞いて驚き、ひれ伏すがいい!なんと!)

 

(あ、もうそれはいいから)

 

(ひどい!)

 

(ほら、早く話してよー)

 

(分かったって!ゴホン!では、発表します!なんと!今回の調査で上層に行く道を見つけたのです!)

 

(でかした!)

 

(ハッハッハー!ということでナマズパーティーだー!)

 

(おうよ!)

 



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ナマズー

お待たせしました!
そして決めました!更新する曜日を!
土日に更新します!一話か二話くらい!


さあ、大変長らくお待たせいたしました!いよいよ、ナマズの実食です!

中層の魔物ってマグマの中にいるから熱々だけど少し待てば程よい熱々になるからいいよね。上層には存在しなかったあっため機能!それはマグマ!あんなに弊害だったマグマが役に立つ日が来るとは…!

でも、蜘蛛ちゃんは待つ時間があんまり好きじゃないみたい。私は目的のためならいつまででも待てるよ!

 

では、いただきます!

…え!?美味しい!!すっごい美味しい!雲生でこんな美味しいもの食べたの初めて!!めちゃめちゃ美味しい!

『炎熱無効』あるし、マグマに入ってでも狩り尽くそうかな……身体は雷だから蒸発しないし。でも、痛みはあるんだよなぁ…やめよ

とにかく今は!これを味わうのさ。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『味覚強化LV.1』が『味覚強化LV.2』になりました》

…ッハ!

気づいたら食べ終わってる…

めっちゃ美味しかったなぁ…

前世はそんなに固執してなかったけど、すごい恵まれていたことを実感したよ…

カップラーメンですら高級品になり得る!

カップラーメンすげー

もう不味い魔物は嫌だ!

美味しいものが食べたい!!

 

ということで!

さあ、ナマズコール!

((ナーマーズ!

  ナーマーズ!

  ナーマーズ!))

 

(えー、出てきませんね、蜘蛛教授)

 

(くそ!出てほしくない時は勝手に出てくるくせに、出てきて欲しい時には出てきやしない。早く出てこいや。そして私に食わせろ)

 

随分気が立っていらっしゃいますねぇ。

そして、こういう時に限って違うやつが出てくると決まっているのだ。

 

〈エルローゲネラッシュ LV.8

 ステータス

 HP:170/170(緑)

 MP:161/161(青)

 SP:158/158(黄)

   :156/167(赤)

 平均攻撃能力:87

 平均防御能力:84

 平均魔法能力:84

 平均抵抗能力:81

 平均速度能力:91

 スキル

「火竜LV.1」「命中LV.4」「遊泳LV.4」「炎熱無効」〉

 

 

やせいの タツノオトシゴが あらわれた

 

 

鑑定様すげー。もうチートだね。

ていうか、タツノオトシゴ弱すぎじゃね?

しかもスキル四つって…

うん、こいつらには負けようがない。

寝てても負けなさそう。いや、それは流石に無理か。

 

(おりゃ!)

 

ん?石?あれ…でもHP減ってる。なんで?

 

(毒を塗ってみたんだ)

 

(すご!でも、こっちに投げないでね)

 

(当たり前だよ!私をなんだと思ってるの!)

 

(猛毒使い)

 

(否定できない…)

 

(まあ、今回は任せたまえ!)

 

『蒼電魔法LV.8 雷爆』

 

うわぁ…爆発したからちょっとグロい…

これはあんまり使えないなぁ。強い奴には効きそうだけど。

 

まあ、討伐完了!

冷ましてから…いざ、実食!

…うん。不味い。ナマズ食べた後だから余計に不味く感じる。

 



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鰻なんか嫌いだ!!

ギリギリ間に合った!まだ日曜日!あと25分で月曜日だけど。


ナマズを狩り尽くさねば!

私はもっと美味しいものを食べたいんだー!

食べれないなら殺してでも奪い取れー!

 

 

はい、ということで今日も今日とてナマズ探し。

相変わらずマグマで蒸発しそうな中層でございます。まあ、しないけど。

マグマ無くならないかな…

そういえば、中学生の時、七夕の短冊に『この世からテストという概念が無くなりますように』って書いたことあるのに叶わなかったなぁ…

 

でもマグマ無くならなったら、マグマの中にいた魔物たちが跳ねまくるかも。それはやだな。究極の選択。

 

(蜘蛛ちゃんはどっちがいい?このままか、マグマが無くなる代わりに魔物が陸に上げられた魚の如く跳ねまくるか)

 

(マグマが無くなる方がいいかな)

 

(ちなみに理由は?)

 

(だって毎回マグマから出すの面倒だし、蜘蛛毒を撃ちまくったら倒せるし)

 

(哀れ。まものたちよ。同情するよ)

 

(いや、モコちゃんが聞いてきたんじゃん!)

 

(そっち選ぶと思わなかった。私は魚じゃなくて肉派だから、魚嫌い)

 

(なんか話ずれてない!? ナマズ探しは!?)

 

あっ…

 

(忘れてないよ)

 

(いや、絶対忘れて(忘れてないよ)…わす(忘れてないよ)…はい)

 

これで良し。

こんな会話してる間に出てきてくれたね。

 

(念願の鰻が!!)

 

(まって!鰻なの!?ナマズどこ行った!??)

 

(消えた!!)

 

(消えないで!!)

 

〈エルローゲネレイブ LV.2

 ステータス

 HP:1001/1001(緑)

 MP:511/511(青)

 SP:899/899(黄)

  :971/971(赤)+57

 平均攻撃能力:893

 平均防御能力:821

 平均魔法能力:454

 平均抵抗能力:433

 平均速度能力:582

 スキル

「火竜LV.4」「龍鱗LV.5」「火強化LV.1」「命中LV.10」「回避LV.1」「確率補正LV.1」「高速遊泳LV.2」「過食LV.5」「炎熱無効」「生命LV.3」「瞬発LV.1」「持久LV.3」「強力LV.1」「堅固LV.1」〉

 

おおー、タツノオトシゴよりもスキル多いなぁ

あっ!!平均防御能力負けたよ!初めての敗北。

 

だがしかーし!それ以外は勝ってるし!こいつは問題なく倒せる(フラグ?)

ん?なんか鰻の輪郭ががブレてる?

 

(ねえ、蜘蛛ちゃん。なんか鰻がブレて見えるんだけどぉぉぉおおお!?)

 

あぶねー、当たるところだった…

雷でよかった。本当によかった。

ていうか、火球出すなら言えよ!いや、無理か。

 

(それは予見が発動してる証拠だよ!少し先の動きがブレて見えるんだよ)

 

便利だね!

でも、すごい避けにくい。

なんで?

 

『確率補正:確率が関与するスキルの力にプラス補正が働く』

 

お前だな、犯人は!!たいほー!

こんな時には…

集中だー!

《熟練度が一定に達しました。スキル『集中LV.6』が『集中LV.7』になりました》

ナイスタイミ〜ング♪

こんな魚には負けない!

火球で焼こうとしてくるんだから逆にこっちから焼かれても文句ないよね!

自分でやったことは巡り巡って返ってくるんだよ。

……よし!正当防衛だ!焼き魚になれぇぇええ!

 

「『蒼電魔法LV.7 落雷』ッ!!」

 

鰻のHPが急激に減っていく。

 

win!

 

 

かと思ったら、HPが急速に回復していった。

 

は?

なんで!?

 

(スキル『火竜』のレベル3『生命変遷』だよ!SPを消費してHPに変えるみたい。ずるい!)

 

は?

ふざけんなよ!!

鰻め!鰻なんか嫌いだ!!

 



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鰻退治と蜘蛛ちゃんの進化

投稿日を土日と言っておきながら守らないもっけ。
ごめんなさい!
やっぱり土日だけじゃなくて書け次第投稿する感じにしますね。


鰻を倒したと思ったら、復活しやがった件。

(もう嫌だ!蜘蛛ちゃんパス!)

 

(え!?まあ、いいけど。とういことで覚悟しろ鰻!)

 

蜘蛛ちゃんは鰻に糸を巻きつけた。何するんだろう?燃えてるけど。

鰻が動きを止めたその瞬間、猛毒の水玉が鰻の顔にいくつも当たった。

目と口に直接毒を入れるなんて…容赦ない…

鰻が糸を引きちぎって暴れる。

うわぁぁぁ…

 

なんか口から火球出そうとしてない?

暴れたまま火球とか出されたらどこに飛ぶかわかんなくて危ない!!

と、ととととりあえず、広範囲の攻撃…広範囲…広範囲…

 

『蒼電魔法LV.6 放電』ッ!!

 

《経験値が一定に達しました。個体、雷猫がLV.1からLV.2になりました》

《各種基礎能力が上昇しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『集中LV.7』が『集中LV.8』になりました》

《 熟練度が一定に達しました。スキル『集中LV.8』が『集中LV.9』になりました》

《 熟練度が一定に達しました。スキル『剛力LV.4』が『剛力LV.5』になりました》

《 熟練度が一定に達しました。スキル『堅牢LV.2』が『堅牢LV.3』になりました》

 

(あばばばばばばばッ!!?!?)

 

(蜘蛛ちゃぁぁぁぁああんん!?)

 

『雲魔法LV.7 癒し雲』

 

(ご、ごめんなさい…つ、つい…うにょうにょ動いてるのが気持ち悪くて…)

 

(大丈夫だよ…でも今度から合図とかして…)

 

(了解!)

 

 

 

(勝ったね!)

 

(うん。次あったらスキル使用される前に一撃で仕留めてやる)

 

(さてと、鱗を取るのですが、さっき痺れさせられたので)

 

(う…やります…)

 

(やった!)

 

くそぉ…

仕方ない。やろう。

楽にやりたい。

鋭いものでもあればいいんだけど…

あ!

 

『蒼電魔法LV.3 雷纏い』

 

これで、爪のところだけに纏って一閃する!

すると〜…

スッて簡単に切れるようになる!

どうせなら食べやすい大きさにカットしてっと…

 

 

(蜘蛛ちゃーん、終わったよー)

 

(え!?早っ!!しかも食べやすくカットされてる!!)

 

(ふふん)

 

(これからも鱗取りやってよ)

 

(うぇっ!?まあ、結構すぐ終わったしいいけど…)

 

(よっしゃ!!)

 

(そんなに嫌だったんだ…鱗取るの…)

 

(当たり前じゃん!取りにくいし!めんどくさいし!)

 

(じゃ、いっただきまーす)

 

(いただきまーす)

 

うまい。

ナマズとはまた違う味わい。

うまい(←大事)

 

SPも回復するし、美味しいし、いいこと尽くめ!鰻がうにょうにょ動くことを除けば!

 

(モコちゃん、進化できるようになったんだけどどっちがいいと思う?)

 

(選択肢は何があるの?)

 

(ポイズンタラテクトか、ゾア・エレ)

 

(うーん…何が違うの?)

 

(ポイズンは多分今の姿から成体になるんだと思う。ゾア・エレは特殊進化っぽい)

 

(蜘蛛ちゃんはスピードに特化してるし、成体になるよりも小型の方がいいんじゃない?)

 

(なるほど)

 

(ていうか、蜘蛛ちゃん食べるの早くない?同じ量で分けたはずなのに…)

 

(まあね。進化中は意識なくなるから守ってよ)

 

(いいよー。任せて!鰻食べながら見てる)

 

(じゃあ、進化ー)

 

進化って不思議だよねー

 

 

 

 

 

 

 

 

(おはようございます)

 

(はい、おはようございます。無事に進化できたみたいだね)

 

(うん、ありがとう。…それ、何やってるの?)

 

(え?お絵描きだよ?)

 

鰻を食べ終わった私は暇になったので絵を描いています。

雷で。空中に。

扱いが上手くなれば出来ることが増えるしね!(多分)

主な理由は暇だったからなんだけどね。

ちなみに今書いているのはマ◯オとル◯ージー。

この二人って確か攻撃に二回当たったら死んじゃうんだよね。

紙装甲だ。

 

(ん?はえっ!え、えええええぇぇぇぇ!?)

 

叫び出した蜘蛛ちゃん。

 

(ふふふ。く、くくく。くへへへへへへ)

 

叫んだと思ったら急に笑い出した。大丈夫か?

 

(おおい!?ま、まだ大丈夫。半分だし)

 

笑った後は慌てだした。何が半分だよ

感情が変化しすぎじゃね?

 

(えーっと、蜘蛛ちゃん大丈夫?)

 

(おお!モコちゃん聞いてくれ!紙装甲じゃなくなったんだよ!戦闘力も上がったし!スキルのレベルも上がったし!)

 

(それは良かった!急に叫んだかと思えば、笑い出すし、そのあと慌て出すしびっくりしたよ)

 

(ごめんごめん。早速なんか狩りに行こう!)

 

(新技能をチェックするのか。じゃあ私はみてるね!)

 

(うん!期待してみてて!)

 

 

 

えー、私は今回のタツノオトシゴ2匹(+ナマズ)vs蜘蛛ちゃんを実況させていただきます。モコちゃんと呼ばれているものです。

蜘蛛選手、先制攻撃。投石です。

なんと、前はHPを5、6減らす程度だった投石でHPの三分の一近く削りました。すごい成長ぶりです。

おっと、ここでマグマの中からナマズか浮上してきました。

同じ進化系のタツノオトシゴがピンチに陥っているので助太刀でしょうか?

蜘蛛選手、少し動揺しております。

ナマズから火球攻撃!しかーし、蜘蛛選手、軽々とかわします!

ナマズは実力差を感じ取ったのか逃げようとしています。

蜘蛛選手、逃がさない!

邪魔するタツノオトシゴを前足の鎌で斬り捨てました!

素晴らしいですね!

しかし、自分でびっくりしている間にナマズに逃げられてしまいました。

嘆いています。

そして、もう一匹のタツノオトシゴにその怒りをぶつけ始めました!

ん?急に倒れましたねぇ…

麻痺毒でしょうか?

本人に確認を。

(蜘蛛ちゃーん、今のは麻痺毒?)

(うん、でも弱毒だけでこんなになるとは…)

なんと!ただの麻痺毒のようです!

それだけでここまでのダメージが入るとは…蜘蛛猛毒ではどうなるのか、考えるだけで恐ろしいです。

蜘蛛選手の戦闘能力向上がわかる戦いでした。

ありがとうございました。



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Merry Christmas‼︎ 前編

初めて予約投稿をしてみました。

皆さん、Merry Christmas‼︎
ちゃんとホワイトなサンタさんが来ましたか?


今日、私たちは大発見をした。

なんとそこにはクリスマスツリーとレターセットがあった。

What?

なんで?

このマグマ地帯にクリスマスツリー??

(・・・ハッ!これは、サンタさんが私たちにプレゼントをあげるよという意思表示なのでは!?)

 

(いや、サンタさんがここに来れないと思うよ。あんな太ったおじさんが来たら燃えなちゃうよ。マグマに落ちそうだし)

 

(じゃあ、これはどう説明するのさ!?)

 

(幻?)

 

(んなわけあるかッ!!とりあえず手紙にプレゼント書いてみようよ。それで来たらいる。来なかったらいない。ただそれだけ)

 

(ん〜、そだね。書いてみよう。来るのがブラックサンタじゃないといいけど)

 

(えっ!怖いこと言わないでよ)

 

(ブラックサンタが来ても盗られるもの何もないよ?もしじゃがいもと石炭貰っても私たちにとっては美味しい食料貰えるからいいことしかないし)

 

(そうだった!むしろ来てくれた方が食べ物たくさん貰えるじゃん)

 

クリスマスプレゼントか〜

いつも何頼んでたっけ?

う〜ん・・・思い出せないや。

 

(蜘蛛ちゃんは何頼むの?)

 

(そりゃあもちろんチキンとケーキだよ!)

 

(クリスマスの定番料理だね。私の分も頼んでおいて)

 

(オッケー!チキンの丸焼き2つとショートケーキをワンホールください・・・っと。モコちゃんはどうぅぉぉぉぉぁぁぁあああ!?)

 

(どしたの?)

 

(て、てててて手紙が、きき、き消えたぁ!)

 

(え?)

 

(ホントなんだよ!なんか書き終わったらシュワァァァァァァって消えたの!!)

 

(それって・・・サンタさんに届いたんじゃないの?)

 

(言われててみればそうかも!)

 

(もう一つのお願いはどうする?)

 

(スマホくださいってのはどう?)

 

(でもインターネット繋がってなくね?)

 

(たしかに…)

 

(あっ、決めたよ)

 

決めた内容を紙に書くと手紙は空中に溶けるように消えていった。

 

(まって!なんで書いたの?)

 

(人化のスキルが欲しいですって書いたよ。スキルならずっと使えるし、クリスマス料理は人の姿で食べたいでしょ?)

 

(ナイス!早く寝ようよ!)

 

うん、寝よ寝よ!

サンタさんが来ますように。

おやすみなさい!

 

〜翌朝〜

(起きろぉぉぉぉぉぅう!!!)

 

(うわぁぁぁ!?)

 

今日の目覚ましは蜘蛛ちゃんの叫び声。

寝起きはもちろん最悪。。。

 

(はぁ、なに?蜘蛛ちゃん)

 

(ほら!クリスマスプレゼント!来てるよ!!)

 

(え、サンタさん来れたの?)

 

正直あんまり期待してなかったから何頼んだか忘れちゃったけど、嬉しい。でも、マグマ地帯に来れるってサンタさんはかなりの強者説。

 

 

ツリーの下には小さいプレゼントと大きなプレゼントがひとつずつ。

(どっちから開ける?)

 

(小さい方から開けよ?)

 

(りょーかい!!)

 

中身は分かってるけど、小さい方がレアなもの入ってそうだしね。

マ○オのピノ○オの部屋では小さい方選んだ方がたくさんのアイテムが出てくる確率が高い。キノコ一個だけの時もあるけど。

 

いざ、オープン!

中に入っていたのは・・・紙?

2枚ある。なにこれ?

んーっと、『スキル取得券〜人化〜』

 

(おおぉぉぉぉぉおおお!!)

 

(破ればいいのかな?)

 

(びりびりにしてやんよ!!)

 

(テンション高くない?)

 

蜘蛛ちゃんが若干壊れてる。

券、ちぎってみよ

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『人化』を取得しました》

 

おお・・・マジだったか

やっと人の姿になれる!やったね!転生して魔物の姿に慣れてきたけど、やっぱり人の姿が1番だよね!

 

(いやっふぅぅぅぅぅぅうう!!!)

 

いや、興奮しまくってる人(?)見ると逆に冷静になるよね。うるさいし蜘蛛ちゃんのチキン食べてやろうかな

 

(静かにしないとチキン食べちゃうよ?)

 

(むぐっ!)

 

はやっ…

 

(その前に人化してみようよ)

 

(うん!美味しいご飯が食べられるよ!)

 

((せーつっ!))

 




後編に続く


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Merry Christmas‼︎ 後編

((せーのっ!))

 

スキル発動!!

ポンッて音とともに煙が上がった。

成功したっぽい。

ちゃんと手足も2本ずつだね。

煙が晴れると、そこには前世で見た若葉さんの白いバージョンがいた。けど…

 

「成功したね」

 

(うん!あっ「人になったから喋れるのか!!」

 

「「蜘蛛ちゃん/モコちゃん、なんかちっちゃくない?」」

 

「「……」」

 

「「えええええぇぇぇぇぇぇええ!!?!?!?」」

 

そう、子供の姿になっていたのである。まる。

 

「え?なんで子供…え!?」

 

「どうせなら高校生ぐらいになりたかったよぉぉぉ」

 

「サンタさぁぁぁぁぁぁぁぁん」

 

 

 

少し経った後

「まあ、仕方ないよ。人の姿になれただけよしとしよう」

 

「うん」

 

「それに大丈夫!モコちゃんちっちゃくて可愛いよ!」

 

「うるさいッ‼︎どうせ私はちびなんだぁぁ…前世でも背低かったし…」

 

ザパァ

やせいの うなぎが あらわれた

「「くたばれぇぇぇぇぇええ!!」」

 

《熟練度が一定に達しました。個体、雷猫がLV.2からLV.3になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『蒼電魔法LV.8』が『蒼電魔法LV.9』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『雲魔法LV.7』が『雲魔法LV.8』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『予見LV.1』が『予見LV.2』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『瞬発LV.5』が『瞬発LV.6』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『MP超回復LV.5』が『MP超回復LV.6』になりました》

 

悲しみと怒りを鰻にぶつけたらスッキリした。

八つ当たりした。

ごめんよ鰻。

だが、鰻は嫌いだから容赦はしない。

ちょうどここに現れるとは運のないやつめ。

 

んっ?なんかちょっと背が高くなってる気がする。

「蜘蛛ちゃん、これ経験値とかで背が高くなるみたい」

 

「ほんと!?」

 

「うん。さっきは壁の変な形の出っ張りに届かなかったけど、今は届くし」

 

「やったー!」

 

「そういえば、私たち裸だよね」

 

「あ…」

 

 

 

蜘蛛ちゃんが糸でジーパンとフード付きのトレーナーを作ってくれた。

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

結構可愛い。気に入った。蜘蛛ちゃんすごいや♪

 

「話変わるけど、モコちゃん……」

 

???

なんか嫌な予感。

なんで手前にしてジリジリ近づいてくるの!?

に、にげろっ!

 

「来るなッ!!」

 

「断る!!」

 

ぬわぁぁぁぁああ!!?!?

 

「もふもふ!もっふもふ!猫耳と尻尾!!最高!いつもは雷バッチバチで触れないけど人になると雷なくなるんだね!もふもふもふもふ…」

 

「や、やめろぉぉぉ…」

 

もふもふしないで!どさくさに紛れて頭も撫でるなっ!

いつもなら抜け出せるはずなのに引き剥がせない…

なんで……

 

「なでなで♪」

 

「ふわぁぁ」

 

蜘蛛ちゃんが撫でるのこんなにうまいなんて……

聞いて…ない…よ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ハッ!

耳!尻尾!…ちゃんとある。

よかったぁぁ…

 

「おはよ」

 

「ひえっ」

 

咄嗟に尻尾を隠す。耳もフードで隠す。

フード付きでよかった。

 

「ごめんって。もうしないよ」

 

「ほんと?」

 

「………うん」

 

「ほんと?」

 

「するかも」

 

……やっぱり。あんなに触る人は絶対またやるって知ってるもん。

 

「ごめん。嫌ならもうしないよ」

 

そう言いながらものすごく残念そうな蜘蛛ちゃん。

別に…

 

「…に、……ない」

 

「え?」

 

「…別に、嫌じゃ…ない」

 

「え?それって…」

 

「たまにしかダメだからッ!!」

 

「やった!ありがとう!!」

 

「飛びついてくるなッ!!今日はもうダメだって!!」

 

バッ!もふもふ!

 

「話を聞けぇぇぇぇぇぇ!!」

 

しばらくお待ちください

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

なんとか逃げ出せた。

 

「逃げられちゃった」

 

「しばらく触るの禁止!!」

 

「そんなぁ…最高の触り心地なのに…」

 

「ダメなものはダメ!!」

 

「ちぇー」

 

蜘蛛ちゃんに触られすぎるとちょっと大変なことになってしまう。猫になりそう。

魔物になったけど、せめて意識だけは人のままでいたい。

こんなことで猫になるなんてやだ。

 

 

「そんなことよりも!鏡とかないんだからどんな感じなのか教えてよ」

 

「うん!あ、先に私のこと教えてよ」

 

「いいよ。一言で言うと白い。目は赤い。で、目の中に目が四つある。」

 

「え、なにそれ気持ち悪っ!」

 

「目を瞑れば人間に紛れても変じゃないよ」

 

「透視すればいいのか!」

 

「私は?紛れられる?」

 

「耳隠せばいけるんじゃね?」

 

「尻尾は?」

 

「飾りってことに」

 

「いける…か?」

 

「見た目は、髪は白くて、碧眼。綺麗だよ。空の色みたい」

 

「へぇ〜」

 

「んで、一番大事なのが耳と尻尾!」

 

「ふ〜ん…ん?」

 

「丸いけどピンって立ってる耳がかわいい!たまにピクピク動いてる!すっごいもふもふ!尻尾は細長くて、しなやか!ちょっとあったかい!ゆらゆら動いててかわいい!すっごいもふもふ!」

 

「んなッ!?」

 

「あと、撫でるとすっごい気持ち良さそうにしてくれる!頭とか撫でるとニコってして嬉しそう!他にも… バシッ…いだぁぁ!?」

 

「何を喋ってんだよッ!!」

 

「照れてる」

バシッ

 

「うるさいッ!!」

 




人化が出来るようになったよ!
この後にチキンとケーキも食べたみたい。

蜘蛛「美味しかった。美味しすぎて泣いた。絶対迷宮から出て美味しいものを食べまくってやる!」

雲「同じく。めっちゃ美味しかった。前世はすごい恵まれてたんだなぁって実感した」

皆さんはチキンとケーキ食べましたか?
もっけも食べました。
美味しかったです♪
ちなみにケーキは苺のショートケーキ


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『忍耐』と悩み、そして縦穴

はっぴーにゅーいやー╰(*´︶`*)╯
いやー、最近寒いですね…
凍る…ブルブル

今回の話は(も?)ほぼ会話
お正月編は…思いつかなかった…です。


中層をぶらぶら散歩中。

魔物の姿の方が慣れてるから、今は人化してない。

最近はナマズ食べて〜鰻食べて〜人化して、結構ハイテンションだった。いいこといっぱいあったし。

でもこういう時に限ってなんか変なこと起こるよね。

なぜこんなことを言ってるかって?

実際に今変なことが起きてるからだよ‼︎

なんか、蜘蛛ちゃんが変。

虚空を見つめてぼーっとしてる。ん?んん?ちょっと悩んでるか?

ほんとに何してんだ蜘蛛ちゃん。

 

(うわ、あったよ)

 

(なにが?幽霊でも見つけたの?)

 

(へ?なんで幽霊?それに見えないよ‼︎)

 

(だってぼーっとしてたし)

 

(鑑定使って取得できるスキル見てたんだよ‼︎)

 

(霊感があるわけじゃなかったのか…)

 

(ないって‼︎壊れスキルだよッ‼︎あったのはッ‼︎)

 

(へ?壊れスキル?怠惰的なヤツ?)

 

(そう。『忍耐』MPが続く限りどんなダメージでもHP1で生き残るんだってさ。あとは…えーっと、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得るとかいう謎の文章)

 

(あ!それ『怠惰』の説明にもあったヤツだ)

 

(どういう意味なんだろう…)

 

(さあ?わかんないよ。暗号とか?)

 

(うーん…)

 

(で、とるの?とらないの?)

 

(とる!今回は迷いませぬ。ポチッとな)

 

(あ、とるんだ)

 

(『傲慢』をとってしまった私にもはや撤退の二文字はない!この手のスキルは全部取る!さあ『禁忌』だろうがなんだろうがかかってこいや!)

 

(お〜見事なフラグ建築)

 

(ごめんなさい。やっぱ来ないほうが良かったです)

 

(フラグにはまった)

 

(『禁忌』が2つも上がったよ…でもチート級の称号だったよ。防御と抵抗が上がったよ!)

 

(いいなー!支配者スキルは共有できないからな…)

 

(あと気になるのは邪眼系スキルの解放。欲しいわー。なんかの邪眼とか取ったら「くっ、右目が疼く!」とか、「これがモノを殺すということだ」とかいえるわけじゃん?もうね、厨二心をくすぐるワードじゃん。取りてー、けど、スキルポイントねー!あー、早くレベルアップしt)

 

(スキルポイント、共有してるから取れるよ?)

 

(へぁ?)

 

(私、スキルポイントたくさんあるし)

 

(マジで!?モコちゃん神か!?神なのか!?)

 

(はっはっはっ!)

 

(よし、とろう!でも、うーん…)

 

(今度はどした?)

 

(どれを取ればいい?呪いもいいし、重もいいな…)

 

(好きにしたらいいじゃん…)

 

(うーん…うーん…)

 

(もう放っておこうかな…)

探索してよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(よし、決めた!!)

 

(あ、やっと?)

 

(うん!保留!!)

 

(へ?)

これだけ考えて保留…!?!???!?

はぁ…もういいや。こういう時は考えるのをやめるに限る!!

 

 

 

およ?

えー、こちらエルロー大迷宮中層探検隊!

テキトーに歩いt…探索してたら、でっかい縦穴を見つけました!

私と蜘蛛ちゃんが下層に落ちた穴かと思われます!

もしかしたらこれ…登っていけば上層に戻れるんじゃね!?



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圧倒的強者と『気のせい』

遅れてすみません!!!
最近やることが多すぎてやばい。
いっそ全部投げ出して引きこもりたい。


前回のあらすじ

中層を探検してたら大きな縦穴を発見した。これを使えば上層に戻れるのでは!?

 

 

 

 

 

 

(ほえー)

 

(縦穴だぁ…これって登ったら上層に戻れるかな?)

 

(ハッ!さては天才だな!モコちゃん!)

 

(ふっふっふ…)

 

(さあ、行こう!!)

 

(おー…ッツ!!?)

 

その穴を使って上層に戻ろうとした、その時だった。今まで感じたことがないほどの恐怖に襲われた。ここに現れるのは圧倒的強者。本能が警鐘を鳴らす。ここにいてはダメだ。殺される。でも、カラダが動かない。なんで?死にたくない!まだ死にたくないのに…

 

(モコちゃん!?速く!!)

 

糸でぐるぐる巻きなされて引っ張られる。恐怖に抗えずき固まっていた私を引き寄せてくれた。

 

(…ありがとう、蜘蛛ちゃん)

 

(どういたしまして!って、そんなことより今は隠れて!!)

 

少しずつ縦穴を通って降りてきたのは大きな大きな蜘蛛だった。あの怪物の前には何も通じない。勝てる可能性なんか一欠片もない。

 

(ひぇ…)

 

(……マザー)

 

え?

いま、マザーって言った???マザーってお母さんってことだよね???あれが?蜘蛛ちゃんの?お母さん?

うっっっそだろ!?!?

こちらをじっとみて何かを探してる。ま、まままままさか!私たちを探してるとか!?

 

(モコちゃん!前に出過ぎ!!あんなのに目をつけられたら死ぬ!!)

 

(待って蜘蛛ちゃん!あれほんとにお母さんなの!?)

 

岩陰に急いで隠れながら聞く。でも、その答えは聞こえなかった。

次の瞬間、世界が揺れた。轟音と閃光に包まれた。

マザー(私じゃなくて蜘蛛ちゃんのだけど)によってさっきまでなかったはずの穴ができ、そこにマグマが流れ込んで行った。

マザーはそれを一瞥してゆっくりと下層に降りていった。

衝撃すぎてしばらく動けなかった。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖耐性LV.1』が『恐怖耐性LV.2』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『無音LV.1』が『無音LV.2』になりました》

 

 

 

 

あれは無理だ。どうすることもできない。でも、死にたくない。あのとき半分諦めかけた自分が信じられない。

私はこの中層で私たちにかなう敵はいないって思っていた。慢心してた。甘々だった。

でも、そんなことない。私たちは限られた中層で上位にいるだけに過ぎない。上には上がいる。油断してたらやられる。私は死にたくない。だったらもっともっと強くなるしかない。大丈夫。できる。だって、生まれた瞬間から強いものなんていないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(お?モコちゃん!探知さんがカンストしたよ!)

 

(いや、蜘蛛ちゃん…今いいとこなの。ちょうど新たに決意したいい雰囲気の時なの。壊さないで)

 

(おおう…めんご)

 

(で、カンストしたの?すごいじゃん!!)

 

(はっはっは!……あれ?進化ないの?それはあんまりじゃない?ほんとに何もないの?)

 

(何もないってさー)

 

(はぁ。無い物ねだりしても仕方ないか)

 

 

 

《ザ、……ザー、…》

 

 

(え?/ん?)

 

なんか変な音がした。まるで壊れたテレビみたいな、そんな音。

 

(あれ?何で私も聞こえたの?特にカンストもおねだりもしてないのに)

 

(私も聞こえたよ。共有してるからじゃない?ていうか、気のせいじゃないの?)

 

(そうだよね…)

 

ここでそんな音がするわけがない。気のせい。もやもやとした違和感を覚えながらも私はこの問題を『気のせい』にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは一つ。準備が完了しました。あとは…」

 



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真実のカケラ

どうもどうもどうもー

雲子でございまーす

…なんか混ざった。あれ?混ざってないか。

 

いつも通り魔物を倒してたんだけど、変化があったよ。蜘蛛ちゃんに。

やっと決めたんだってさ。取得する邪眼。ポイントはいっぱいあるからいくつか取っちゃえばいいのに。え?私のだし大量に使うのは悪い?別にいいのに。邪眼は夢があるから慎重に選びたいって?うーん…なる…ほど?まあ、いいか。

蜘蛛ちゃんは『呪いの邪眼』を取ったって。その効果は絶大。弱体化させてHP、MP、SPを少しずつ奪うんだってさ。

しかも見られただけでそうなるんだよ?

えっっっっぐ。敵じゃなくてよかった。

 

 

 

また別の日のことー、お互い離れてスキルのレベル上げをしていたー。

そしたら、蜘蛛ちゃんが壊れた。

 

(もこもこもこもっこちゃん!!)

 

(え?大丈夫?壊れた?)

 

(そうなんだよ!…ってちがーーう!!聞いて!!)

 

どうやら違うらしい。よかった。

 

(うん、さっきから聞いてるよ)

 

(鑑定様がカンストしたよ!!)

 

(えー、いいなぁ。私は9になったけどカンストはまだかなぁ)

 

(あの苦楽を共にした鑑定様が!ついにカンストした! けど、進化とか派生はなしかー。いや、いいんだけどね。鑑定様がカンストしただけでもすごいことなんだけどね。こう、叡智を司る者的な進化を少し期待してはいたんだよねー。ないのかー。鑑定様ならあるいはって思ってたけど、ないのかー。ショックだわー。…本当にないの?)

 

うん、すごく期待してたみたい。たしかに鑑定さんの躍進は凄まじい。期待しない方がおかしい。私も期待してたり。

 

 

《ザ、……ザー、…ザ、ザー、ザー、……》

 

また、壊れたテレビみたいな音。やっぱり、気のせいじゃなかった。これは気のせいにしちゃダメな部類のやつだ。また私にも聞こえてる。

 

《ザー、要請、ザー、…上位管理者権限かく、ザー、……》

 

え?

 

《ザー、…理者サリ………ザー、…却下、ザー》

 

なんかやばい。

全くわからないのに得体の知れない怖さがある。

 

《ザー、ピン!》

 

急に聞こえたピンッという音に思わず体が震えた。

 

《要請を上位管理者Dが受諾しました》

《スキル『叡智』を構築中です》

《構築が完了しました》

 

《条件を満たしました。スキル『叡智』を獲得しました》

《『鑑定LV.10』が『叡智』に統合されました》

《『探知LV.10』が『叡智』に統合されました》

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『禁忌LV.7』が『禁忌LV.8』になりました》

 

《条件を満たしました。称号『叡智の支配者』を獲得しました》

《称号『叡智の支配者』の効果により、スキル『魔導の極み』『星魔』を獲得しました》

《『MP回復速度LV.4』が『魔導の極み』に統合されました》

《『MP消費緩和LV.3』が『魔導の極み』に統合されました》

《『魔量LV.9』が『星魔』に統合されました》

《『護法LV.4』が『星魔』に統合されました》

 

は?

はあ?

はあああああ?

意味がわからない。

なにこれ?

まるで、監視されているみたいだ。

今までそういう世界だって認識でスキルとか取ってきたけど、日本だったらスキルなんてもんは存在してない。

日本だったらスキルがあることのほうが異常だし。

でも、そんな当たり前のことを、この世界はそういう世界、なんて安直な考えで受け入れて良かったのか?

 

この言葉を信じるなら、上位管理者Dは私たちを監視している。そして、蜘蛛ちゃんの要望に合わせてスキルを作った。

つまりスキルは管理者に与えられたもの。

目的は?理由は?私たちに何をさせようとしている?

 

《ザ、…ザー…》

 

まだ何かくる。

 

《教室で……あっちの世界から….》

 

…なに?これは……記憶?

 

《…の身代わり……うまく誤魔化す………》

 

こんなの知らない。だって、私は…私は…

 

《転生しt……ザザッ………おっと、うっかりしていました)))

 

だれ?あなたは誰?あなたなんか知らない。だって、私は…ただの高校生なんだよ?

 

(((そうです。あなたは高校生です。あなたは知らなくていいんですよ)))

 

意味がわからない。

ところであなたは誰?目的は?

 

(((だから、管理者Dです。邪神とも言われています。せっかくなのであなたにも餞別をあげましょう)))

 

餞別なんていらない。お前みたいなやつからもらいたくない。

 

《スキル『三貴神』を構築中です》

《構築が完了しました》

《条件が満たされていまs…ザー……条件を満たしました。スキル『三貴神』を獲得しました》

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『禁忌LV.2』が『禁忌LV.3』になりました》

 

《条件を満たしました。称号『神の権能』を獲得しました》

《称号『神の権能』の効果により、スキル『調停』『感情操作』『忘却の邪眼』を獲得しました》

《称号『神の権能』の逆効果により記憶の消去を開始します。現在の記憶消去率は0.5%です》

《記憶の消去を停止するには特殊クエストのクリアが必要です》

《特殊クエストの進行度は0です》

《スキル『神格領域拡張LV.5』を取得しました》

 

 

 

意味がわからない。

今までだったら使えそうなスキルだなって喜べた。

でも、喜べない。

記憶の消去ってなに?

こんなのいらない。

なんで?

本当にあなたは何がしたいの?

何も奪われたくない。

なのに守っても壊されて奪われる。

なんで?

なんで奪うの?

 

 

 

 

 

だれか説明してよッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

今回はいつも楽しませてくれるあなた達にご褒美です

片方は代償をつけましたけどね

でも、人は極限まで追い込まれた時にこそ限界を超えるんです

頑張ってくださいね?

全てを忘れるか、全てを思い出すのか

全てを思い出したときあなたはどう思うのでしょうか?

さあ、もっと私を楽しませてください



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今後の目標と最悪の目覚め

もっけ「お昼だよ!今日のお昼は肉まん!」
雲子(言い訳はそれだけ?)
もっけ「ダンカグの沼にハマった!
    反省も後悔もしていない!
    みんなもやるといいよ!ダンカグ!」
雲子(うんうん、それで?)
もっけ「……遅くなってごめんなさい!
    今週は多めに更新します!」
雲子(はぁ…ハマるのはいいけど、ほどほどにしなよ?)
もっけ「了解であります!そして、お気に入り数が100を超えました!ありがとうございます!」
雲子(ありがとー!)

相変わらず会話多め


こんにちは(?)、雲子です。

いやぁ、こないだは取り乱しちゃったけど、そんなことしてる場合じゃなくね?ってなって平常運転に戻ったよ。

どうすれば記憶の消去を止める"特殊クエスト"ってやつを進められるのかな…記憶の消去っていってもまだ0.5%らしいし、特に消えてる感じはない。だから、とりあえず止める方法を探さなくっちゃ

そんなわけで…

 

(どうすればいいと思う?)

 

(いや、知らんがな)

 

バッサリ切り捨てられた。かなしい。

 

(真面目に考えてよぉ〜)

 

(わからん!)

 

(えー…)

 

(わからないのに悩んでても仕方ないよ。とりあえず迷宮から脱出しない?)

 

(おお…蜘蛛ちゃんがなんか良さげなこと言ってる…え、どしたん?)

 

(いや、ひどいなオイ!)

 

(ごめんごめん)

 

(仕方ない。特別に許してやろう!じゃあ、気を取り直して迷宮を出るぞー!えい、えい、おー!)

 

(おー!ってまずはこの灼熱地獄から出ないとねー)

 

(ハッ!そういえばそうだった。この地獄に慣れてしまうとは…慣れとは恐ろしいもの…)

 

うん。蜘蛛ちゃんはいつも通りだったね。

まあ、その明るさに救われるんだけど

今思えば蜘蛛ちゃんがいなかったら私生きていられなかったかも。

今の私があるのは蜘蛛ちゃんのおかげってことかな…

 

(蜘蛛ちゃん)

 

(んー?)

 

(いつもありがとう)

 

(へ?)

 

(これからもよろしくね!)

 

(きゅ、急にそんなこと言わないでよ!こ、心の準備が…)

 

(ほら、早く行くよ!)

 

感謝を伝えるのは大事だからね♪

 

 

 

 

(そういえば、前に探索した時に上層への道見つけたって言ってなかった?)

 

(あれ?そうだっけ?)

 

(そうだよ!どっち?)

 

え…どっちだっけ?

えーっと…えっと…え…あ、えっと…

あ、あれ?

 

(まさか…)

蜘蛛ちゃんがジト目で見てくる…

やめて!そんな目で見ないで!

 

(そ、そんなことないよ!!忘れてない!忘れてないもん!)

 

(何も言ってないけど)

 

(確認してくる!確認!大事!)

 

逃げる!!空を飛べるって素晴らしいね!!

えーっと…どこだっけ…

 

ぐーるぐーる

ぐーるぐーる

ぐーるぐーる

  ・

  ・

  ・

 

あ、あった!

なんで何周もしないと見つからないんだろう…

まさか、何回も見逃してるだけ?

いやいや、そんなわけ…そんな…わけ………。

もう知らない!

帰る!

 

 

 

 

頑張って道を見つけて帰ってきたのに…

そこにいたのは熟睡している蜘蛛ちゃんだった。

(_ _).。o○zzz…

 

 

(なんで寝てるんだよッ!!!)

『蒼電魔法LV.7 落雷(魔力少なめ)』!!

 

(起きやがれッ!!!)

 

(うぎゃぁぁぁぁあああ!?!!!?)

 

見事に命中!!

 

(なになに!?敵襲!!?!)

 

蜘蛛ちゃんはガバッと跳ね起きた。

今更起きてももう遅いんだよ?

 

(やあ、いい朝だね!!)

 

ギギギ…と壊れたロボットのように振り返る蜘蛛ちゃん。

目が泳ぎまくってるよ?

 

(……あ…も、モコちゃん)

 

うんうん。

制裁が必要だね♪

 

(よく眠れたかな?)ニッコリ

 

(あ…えっと…これには事情がありまして…)

 

(問・答・無・用!!)

 

さあ、雷を浴びて目を覚ませ!!




ほぼ会話文になってしまう…


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魔法の実験の時間だよ!

恐るべし、YouTube

遅くなりましたが、どうぞ!


はい、どうも雲子です。

現在、私は1人です。

今日も今日とて中層は暑いです。いや、熱いか。

どうしたら中層をマグマをなくせないかな?

よし、マグマ消滅作戦を実行する!

どうしたらいいんだろう…

 

 

…スキルでも確認してみるか。

『蒼電魔法』は攻撃系で、マグマ消滅作戦には使えない。

『雲魔法』は雲を元にした便利な魔法。

 

あっ LV.8 冷氷気 っていうのがある。

でも、冷気だからマグマなら勝てなさそう。

こう…ポ○モンみたいな「れいとうビーム」とはないのかな…

 

シーン

 

…ここで《スキル『れいとうビーム』を取得可能です。取得しますか?》みたいな声が聞こえないってことはないのかー

残念、無念、また来年。

…何言ってるんだろ

 

他に役に立ちそうなのは〜…

ん?『天候魔法』?

やっば…存在忘れてた。

迷宮内だと使わないだろって完全に放置してた…

ていうか、迷宮内で使っても全然良くない?

迷宮内で雨とか降らせて見てもいいかもしれない。

ハッ、そうすれば雲が蒸発しなくなるかもしれない!

これは大発見!

 

『天候魔法』

LV.1 快晴

LV.2 雨乞い

 

これだけなんだよなぁ、使えるの。

マジでなんで今まで使ってなかったんだよ…

一度試しに使った時はなんの変化も起きなかった。

その原因はおそらく、迷宮の外で降る様子をイメージしたからだと思われる。

寝る時にマイホームの周りだけ大雨を降らせたりしたら、敵を妨害できたのでは?

 

さっそく…『天候魔法 LV.2 雨乞い』!

あめよ〜ふれふれ〜あめ〜てるてる〜

天井付近に雲が発生して雨が降るイメージで〜

 

そうすると、ポツポツと豪雨とまでは行かないけど傘をささないとびしょ濡れになってしまうレベルの雨が降ってきた。

マグマに生息する魚どもは、雨を嫌がってマグマに引っ込んでいっていた。

 

おおー。効果ある〜

マグマ大好き、火吹くの大好きな魚だから雨は嫌なのかな?

フッ、勝ったな。

この中層にもはや私たちに倒せない敵はいない!

しかし、マザーを除く。

あんなん倒せる負けないだろ!

あの時は見られただけなのに命の危機を感じたよ

二度と会いたくないでござる。まる。

 

とにかく、レベル上げのためにずっと雨降らせておこうかなぁ

でも、魔力の消費が激しいな…

 

 

 

ん?蜘蛛ちゃんはどこにいるのかって?

ふっふっふ…それはだね…

居眠りしてたお仕置きとして、食料調達の任務を課しております。

いや、決して面倒臭いからではない。

決して違いますとも。

お仕置きですから。

 

そろそろ戻ってくると思ってたんだけど…

全然戻ってこないな〜

 

 

魔力が充分回復したらすぐに雨乞いを繰り返す。

暇だから色々試したんだけど、込める魔力の量によって雨の強さと範囲を指定できるみたい。

魔法って面白いね!

 

 

 

う〜

あ〜

暇だ〜

まったく、いつになったら蜘蛛ちゃんは帰ってくるんだよ

そろそろ心配になってきたし、探そうかな。

見渡す限り、雨とマグマしかない。

誰だよ、中層全体に雨を降らせたやつは!

 

あ、私じゃん。

調子に乗って降らせまくるんじゃなかった!

蜘蛛ちゃん!

どこ!?

 

『無限話』で話しかけても応答ないし、心配…

どうしよ…

 

上空であわあわしてると、少し離れた陸地のところに白い生き物が見えた。

この中層で白い生き物って…もしかして!

 

急いで近寄ると、とぼとぼと歩く蜘蛛ちゃんを無事発見。

 

(蜘蛛ちゃん!!!大丈夫!?)

 

(…うん)

 

(全然戻ってこないし、話しかけても応答ないし、すっっごく心配したんだから!)

 

(…うん)

 

元気ないみたい。どうして?

いつもは明るい楽しい蜘蛛ちゃんがすごく落ち込んでる。

 

(どうしたの?どっか怪我でもしたの?元気ないけど…)

 

(…ごめん)

 

(んぇ?なんで謝るの?)

 

(…ご飯取ってこれなかった。なんか、急に雨が降り出して…)

 

えっっ

雨って…

 

(そしたら魔物がみんなマグマに引っ込んじゃって…)

 

あ…

それ…

 

(ごめん、それ私のせいだ。気にしなくていいよ)

 

(え?)

 

(魔法の実験で雨降らせてたんだ。ごめんね)

 

(ううん。こっちこそ居眠りしててごめんね)

 

お互い謝って仲直り。

仲良しが1番だね。

 

あと、やりすぎは良くない。

 

 

 

 

 



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懐かしの上層
はやくねたい!


ただでさえ更新頻度が遅いのに、1ヶ月以上も空いちゃってごめんなさいm(_ _)m

修学旅行(コロナでなくなって遠足になった)と期末テスト、作文などなどが一気に来てしまいました。
特に私は宿題遅れまくりなので慌ててやってました。
4月から私も立派なJK!
いや〜めでたいめでたい♪



蜘蛛ちゃんと仲直りしたあと雨が止むのを待って、食料を調達した。

二人で分け合った鰻はいつもの10倍美味しかったよ!

 

ふぅ〜

お腹いっぱいだよぉ…

お腹いっぱいになったら眠くなってくるよね

分かるでしょ?

 

…え?わかんないの?

わかってよ

 

眠い…

…寝よ

 

 

(え⁉︎気づいたらいつのまにか寝てるんだけど⁉︎)

スゥ~ (起っきろぉぉぉぉ!!)

 

うるさ…

だか、この程度でこの私を起こせると思うなよ。

ぐぅ…zzz

 

(いや、起きてぇぇぇぇ!?)

 

ふっ…あまいな、、、わぅ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んぅ〜、少し寝た!

 

(や…やっと起きた…)

 

目を覚ますとなぜかすごく疲れてる蜘蛛ちゃんがいる。

なぜに?

 

(どうしたの?なんで疲れてるの?)

 

(そんなの決まって

 

(どうしたの?魔物に追い回されたの?)

 

(いや、だから

 

…ハッ!わかったぞ!!

 

(火竜の集団に襲われたんでしょ!)

 

(そんなわけあるか!!なんで嬉しそうなの⁉︎)

 

(えー、じゃあなんなのさ)

 

(モコちゃんが全然起きないからに決まってんじゃん!!)

 

(私何もしてないよ?)

 

うーん

蜘蛛ちゃんが意味わかんない。

ご飯食べてる時は幸せそうだったのに、起きたら疲れてたから推理したのに何故か犯人扱いされてる。

寝てただけなのになんで蜘蛛ちゃんが疲れるの?

 

チラッ

 

蜘蛛ちゃんを見るとぐったりして疲れてる。

 

うーん…

えいっ 『雲魔法 LV.7 癒し雲』

 

(どうどう?元気になった?ねぇどう?)

 

(うん。。。なったなった。へーきへーき。ありがと)

 

おぉー!よかったぁ

 

 

 

 

 

(ところで、上層への道はどこ?)

 

あぁ、なんだぁ。そんなこと?

 

(あっち)

 

(ほんと⁉︎やっとマイホームに帰れる‼︎)

 

大喜びの蜘蛛ちゃん。

見てると逆に冷静になってくるね。

 

上層に着いた。

意外と長くかかっちゃったなぁ…

でも、あれは決めなくちゃ…!

 

踊り狂ってる蜘蛛ちゃんに突撃!

 

スゥ~

 

(蜘蛛ちゃん、踊ってるところ悪いけど、マイホームは中層の近くにしようよ!!)

 

上層のマズイ魔物は食べたくない!

食べ物は死活問題!

マズイものはもう嫌だ!

人はもう美味しいものを知ったら元には戻れないのだ!

情報社会から狩猟社会に戻れって言われても無理でしょ?)

 

(うむ、いい案だねワトソンくん。そしてその通りだ!)

 

(あれ?口に出てた?)

 

(いや、これ念話だよ?)

 

(あ、そうだった)

 

 

それじゃあ、役割分担だ!

 

(蜘蛛ちゃんはマイホームづくりをお願い!)

 

(まかせんしゃい!)

 

(私は周りの環境を整えるから!)

 

なんと!

マグマ地帯に雨を降らせまくって、スキルレベルが上がったのだ!

その名も〜

 

『天候魔法 LV.3 雪』

 

雪降らせたら当然寒くなるよね?

つまりカエルも蛇も蜘蛛も寒いと弱って巣に来なくなる!

でも、そしたら私たちが餓死してしまいます。

それはいけません。

そこで!

魔物を誘い出す場所だけ、そこの気候を『快晴』にします!

そうすると、そこに集まってきます!

名付けて、『魔物ほいほい』!!

 

でも、このままだと私たちも寒くなってしまいます。

だから、ホームの中も暖めます!

 

これで最高のマイホームの完成!!

これにて、マイホーム製作講座を終了!

暖かい家で私は寝る!

 

 




あっさり脱出

いつもよりも書くの時間かかった…


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命の価値とは

前の投稿から1ヶ月たったような気がする。
…え?たってないよね?

うん。たってないはず。
-確認中-
よっしゃ!たってない!
ほぼ毎日投稿してた時が遠い昔のよう…

というわけで(?)、どうぞ! (`・ω・´)
(テンションの急降下が激しいなぁ…)





おはようございます!どうも!

 

上層に帰ってきて数日。

私は、マイホームが最高すぎることに気づいた雲子です。

マイホームがあっていつでもぐーすか寝れる。

うん。最高。

中層は蜘蛛ちゃんがいて何かと楽しかったから大丈夫だったけど、一人だったら「寝れない」、「楽しくない」「暑い」という嫌いなものトップスリーが集まったあの環境に耐えられなかったと思う。いや、「暑い」じゃなくて「熱い」…かな。

 

それにしても、私の眠りを邪魔しない上層の奴らは見所があるな。

お礼に勝負だ!

負けた方は食べられるから頑張れ!

なお、そのルールで勝った奴はいない模様。

 

まあ、当然だよね。

もし負けたら私のプライドが傷つく。

あのマグマ地獄で頑張ったのは無駄だったのかってなる。

 

諦めずに頑張ればなんでもできるようになるって前世では言われてたけど、前世では全く共感できなかった。

でも、今ならわかる。

だってこの世界は、戦った分だけ、命をかけた分だけ、生きようと足掻いた分だけ強くなれる。それが実感できて、やる気にもなる。

まあ、今は「やらなければ死ぬ」から強くなりたいと思っている。なろうとしている。

 

だけど、数値だけのステータスが全てじゃない。

私はそれを下層で嫌と言うほど知った。

 

「死んだら終わり」

それは当たり前だった。

当然だろう。死んだら、何もかも終わりなのだから。

そんな当たり前を覆す奴らが下層にはいた。

アノグラッチとバグラグラッチ。猿だ。

あいつらは仲間の復讐のために自分の命を簡単に捨てる。

「個」としての勝利には微塵も興味がない。

「群」としての勝利を掴めればそれでいいんだ。

そのためにはなんだって投げ出せる。たとえ、それが命だったとしても。

 

もう種族として狂っているあいつらを見て、私は胸が痛くなった。

私は生きるために、強くなるために、誰にも負けないために命を奪っている。目的がない殺しはしたくない。それが私の思い。

死んでもいい生き物なんてどこにもいないから。

だから、何よりも重い命を軽く投げ出し、必要ない勝利にさえも向かって突き進む猿たちは、なんだか痛々しくて、そう言う種族として生まれてきてしまったことが哀れに見えた。

「群」の邪魔になるとしても、命を賭けて死力を尽くせば勝てるかもしれないじゃないか。

生き物は死力を尽くした時にこそ1番成長する。

あの猿たちの特性はその機会を投げ立ててでも「群」を大切にすると言うもの。

生まれながらにして種族としての特性で命の価値を決められているなんて…。なんて、悲しい生き物なんだろう。

理解が出来ない。私にはどうにも出来ない。

あれが種族として正しい姿だと定めた神様は残酷だ。

生き物は命があってこそなのに。

 

だから、中層でナマズが「逃げる」という選択肢をとった時には少し安心した。全ての生き物が猿のように特攻兵みたいじゃないことがわかった。だけど、だからこそ猿の異質さが浮き出てくる。

上層に戻って、平和で堕落した日々を過ごせるようになったはずなのに、猿のことが、命とは何か、そればかりが頭をよぎる。

 

横を見ると罠にかかった魔物を食べて満腹になり、寝ている蜘蛛ちゃんがいる。幸せそうな顔で寝ているなぁ。

生き物として当たり前の「生きたい」っていう思いと「楽したい」っていう思いを持ち合わせて自由に生きている。

本当に、蜘蛛ちゃんがいてくれてよかったよ。

 

…みんながみんな、蜘蛛ちゃんみたいだったらよかったのに。

 

そこまで考えて口から深いため息が出た。

 

こんなに考え込むなんて私らしくないなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えていた次の日。

感知でマイホームに向かってくる大勢の敵を見つけた。

そうしてやってきた蜘蛛の大群からは“上位の存在に支配されていれる”ことが見てとれた。何故かは自分でも分からない。

でも、思ったんだ。

ああ、“また命を投げ出す奴らが来た“って。

 



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守りたいもの

めちゃくちゃ遅くなった挙句短くてすみません!
ハーメルンでいろんな小説を読みまくってました。
音ゲーにハマってました。
ポケモンのカフェでまぜまぜしてました。

日にち指定の予告を作者がした場合、簡単に信じないでくださいね!
予告通りにならないことが多いです!
でも、時間指定は守ります!

では、どうぞ。(*´꒳`*)


たくさんの魔物たちが襲撃を仕掛けてきた。今は奥まで攻めてくるわずかな時間で作戦を考えてる途中。

この世界は命を大切にしないやつばっかりで困っちゃう。

意味わかんない。はぁ…

 

まあ、マイホームまでは守れる自信がないけど、蜘蛛ちゃんは守れる!だって、数日の間特訓して覚えた『雲魔法 LV.8 守護雲』で守れるもんね。蜘蛛ちゃんさえ守れればマイホームはまた作り直せる。だから蜘蛛ちゃんさえ守ればいい。もういっそのこと私が全部倒したほうがいいのでは…?

その方が蜘蛛ちゃんは怪我しないし。安心。うんうん。それがいいや。

 

今だってちゃーんと蜘蛛ちゃんは魔法で守られて…ってぇぇええええ⁉︎⁉︎

蜘蛛ちゃんにかけてた魔法が解けてるぅぅうう⁉︎

うっそ!??なんで?

ある程度の攻撃は防げるはずなのに‼︎

勝手に解けるはずないのに‼︎

 

(蜘蛛ちゃん‼︎)

(うぇっ⁉︎なになに⁉︎)

 

びっくりしてるとこ悪いけどそれどころじゃないんだよ‼︎

 

(上層に来てからなんか強い攻撃受けたりした⁉︎)

(え、いや?)

 

つまり、物理的じゃないってこと?なら残るは精神攻撃。

精神攻撃。実は私、精神攻撃は結構得意らしい。

邪神Dから(強制)プレゼントされたスキル『三貴神』はとても相性がいい。このスキルは精神攻撃が主になっている。

精神っていうか、内面?

まあ、それだけは感謝しておこう。

 

……それにしても、私の得意分野で挑んでくるなんていい度胸じゃないか。

 

蜘蛛ちゃんと魔物が来てる方向に『雲魔法 LV.8 守護雲』を展開する。

 

(モコちゃん、なんか魔物がこっちに向かってきてない?)

(うん、そうだよ。ということで全部私に任せてくれないかな?)

(いや、どゆこと?ていうか、なんで怒ってんの?)

(いやだなぁ〜、怒ってなんかないよ。蜘蛛ちゃんに精神攻撃を仕掛けていたヤツをぶっ倒したいけど、いないから今来てるヤツらに八つ当たりしたいとかでは決してないよ)

(思いっきり言ってる‼︎)

 

ハッ。しまった。思いっきり言ってしまった。まあ、仕方ないね。

 

(…ん?いや待って⁉︎精神攻撃って何⁉︎そんなの受けてたの⁉︎)

(うん。思考が変になったりしてなかった?)

(たまに、急に龍を倒さなきゃって思うことがあったけど…)

(うん。それだね)

 

蜘蛛ちゃんが衝撃を受けて凹んじゃった。

マジか…って呟きながら頑張って現実逃避しようとしてる。

うん。それは今更無理だよ。

きっと今の私の顔はすごくいい笑顔で「諦めなさい?」って訴えてるんだろうな。前世で友人に向けた時には「その顔を私に向けるな!全てを投げ出しそうになる!」って言われたからな…

あっ、今は魔物の姿だから平気かも!

…うーん。でも、友人には「あんたの笑顔はいつになっても変わらなそうだわ」って言われたし、変わってないのかも…?

 

…ハッ!今はこんなこと考えてる暇ないじゃん!

私のバカバカバカ〜‼︎

 

(ほら、早く立ち直って!)

(うん…今更考えても意味ないしね!)

 

とりあえず、蜘蛛ちゃんは安全なところで観戦しててもらおうかな。

 

『雲魔法 LV.1 雲作成』

この魔法ほんとに便利〜

 

(今回は私がやるよ。はい、この雲に乗ってて!今から蜘蛛ちゃんは孫悟空だよ!)

(モコモコ雲だ!ありがと!)

 

雲の上でポフポフと跳ねて奇声をあげている蜘蛛ちゃんに背を向けた私は、魔物が来ている方向を見つめながら意識を切り替える。

『蒼電魔法』の魔法全てを発動させ、少しずつ魔力を注いでいく。

 

これからやるのは、魔物たちの呪縛からの解放だ。

操られている魔物の支配は、私にはどうすることもできない。

 

だから殺すしかない。

 

そして、悪いけど私には守りたいものがある。

だから不届き者に容赦はしない。

 

 

ここにきたことを後悔しろ。

さあ、私たちの糧となれ。

 




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禁術



あなたの世界

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やり直しボタンは存在しない


戦闘準備、開始。

全てのスキルを常時発動(パッシブ)に変更。

 

侵入者たちには私たちのマイホームに入ってきた記念として、プレゼントをあげなくちゃね。

いつも通り『蒼電魔法』を使おうと思っていたけど、なんか違う気がする。

それなら、管理者Dから貰ったよく分からないスキルを試したみるいい機会だ。

鑑定をかけても効果がよく分からない。

なんか、意志と感情と記憶を操れるらしい。

よく分からないけど、試してみれば分かるでしょ。

 

でも、これだけは直感で分かる。

モンスターに感情と思考があるかは知らないけど生物である以上最高(最悪)のプレゼントになるだろうさ。

 

 

スキル発動。

さあ、自らの心象に苦しめられるがいい。

 

『忘却の彼方 ~想起 トラウマ~』

 

相手の幸せの記憶とトラウマを暴き出し、それを再現する。幸せを見せてからトラウマを見せることで希望から絶望へと落とされる。心の奥底から沸きあがる恐怖と絶望によって心は壊れ、"精神の死"となる。

精神が死ねば、身体が無事でも再び動き出すことはない。

精神と身体。そのどちらが欠けても生きていくことは出来ない。

どんな生物にも効き、どんな生物にとっても天敵となる。

 

でも、こんな能力にはもちろん代償が伴う。

いつの世でも強力な禁術は死と隣合わせのものだから。

 

 

 

(っっ…!)

 

自分ではない存在の記憶が、感情が流れ込んでくる。

 

 

 

たくさんの卵、そこから生まれてくる大量の蜘蛛。そして馬鹿でかい蜘蛛。

ただひたすらに戦い、強くなっていく。全ては死なないために。命令に従うために。

 

 

 

これは…誰の記憶だろうか……?

整理しようとしても記憶は洪水のように無理やり入り込んでくる。

 

分からない。ごちゃごちゃに混ざりすぎて気持ち悪い。

 

次に入り込んでくるのは、感情の嵐。

そして、蜘蛛たちが死ぬ間際に想うことは、大きな悪意となって襲いかかってくる。

苦悩、困惑、悲嘆、寂寥、恐怖。希望とそれを塗りつぶす絶望。元凶である私への強い恨み。

 

初めて向けられる、大きくて深い深い悪意。自分の存在までもが否定されるほど。

私は生きていてもいいのか、あってもいい存在なのか、どんどん分からなくなっていく。

 

マイホームを攻めてきた侵入者は反省させて、倒すべきだ。

その思いはいつでも変わらない。

でも、私は重要な判断を間違えてしまったのかもしれない。

 

誰もが悪意を抱えて生きている。それをここまで引き出し、全てが私に向けられている。

いつもの狩りとは違い、相手の心を弄ぶ殺し方。

正しいと思ってやったことが、本当に正しいのか分からなくなる。

 

"正しい"ってなに?

 

なにをするのが正解だった?

 

 

整理できない感情に頭が真っ白になる。

 

目の前に広がるのは、もがき苦しんだ末にピタリと動かなくなった蜘蛛たち。

 

軽い気持ちで使ってスキルはとんでもない禁術だった。

 

激しい頭痛に襲われてながら、私は思った。

 

ーああ、こんな能力、最悪だ。




1ヶ月以上も空けてしまって申し訳ありませんm(_ _)m
暖かい春の陽気に負けたもっけです。
一定の期間でちゃんと投稿してる作者さんすごすぎ…
もうすぐ暑くて溶けそうになる季節がやってきますが、がんばります。
現実世界にエルサ来てくれないかなぁ…

あ、スキルの名称を一部変更しました


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相手を『想う』ゆえに

投稿サボっててすみませんっ
学校が遠いのでなかなか書けず…

月に1話投稿できたらいい方だと思ってください。
長期休みにめっちゃ頑張ります。

いつも読んでくださっている方、ありがとうございます!
応援していただけると嬉しいです!





 

目が覚める。天井が見える。隣には蜘蛛ちゃん。目を閉じる。

 

 

あー、、、何もやる気が起きない

 

うん、わかってるよ?

このままじゃダメ人間になるって。あ、人間じゃなくて雲だった。

わかってるわかってる。

 

ちょっとほっといてよ

気力が出ないんだよ。あるでしょ?こういうこと

 

あの能力を使ってから、頭がこんがらがり過ぎてて無理。

改めてあの時の状況を考えてみる。

 

まず、蜘蛛ちゃんにひっそり攻撃してた陰湿なやつの配下攻めてきた。

だからぶちのめした。

ただそれだけのこと。今まで通りで当たり前。でも一つだけ違うことがあった。

私はDに貰った、いや、無理矢理与えられた能力を使った。

使ってしまった。

 

 

あんな能力は嫌いだ。

でも、あれが1番楽でいい選択だったと思っている自分がいる。

なぜあの能力を手段として選んでしまったのか、最初はいつも通り『蒼電魔法』を使おうと思っていたのに。

 

 

本当なら、今もいつもみたいに蜘蛛ちゃんとバカ騒ぎして、過ごしているはずだった。

 

 

好奇心に負けたんだ。

 

どうせ、こうなることもD(アイツ)にはお見通しだったんだ。

だからこのスキルを渡してきたんだって分かる。

分かればわかるほど、見透かされているような気がして腹が立つ。

すべてD(アイツ)の掌の上で転がされているみたい。

どうして実際に会ってもいない相手にこんな感情を抱くのか、わからない。

もう全部わからない。

 

 

 

 

 

それに、あの時は混乱して聞き流してたけど、確かに聞こえたんだ。

 

『特定の能力の使用を確認しました。記憶の消去が進行しました。それに伴い、特殊クエストが進行します。』

 

って。

 

ハハ、意味がわからないよね。

記憶の消去を止めるためのクエストだよ?

なのに、消去が進むスキル、Dが渡してきたスキルを使うとクエストが進む。

記憶の消去は止めたい。だからクエストを進めるべきなんだ。

 

そう思っていたはずなのに……

 

スキルを使うとクエストが進む。でも記憶の消去も進む。

 

 

(雲間 空)が消えていく。

 

(モコ)が消えていく。

 

私の記憶(人生)が消えていく。

 

 

私が私でなくなっていく。

それが何よりも恐ろしい。

 

蜘蛛ちゃんには心配をかけたくない。

危なっかしいから私が守ってあげなくちゃ。

私は今まで通りに蜘蛛ちゃんと楽しく過ごしたいだけ。

 

唯一無二の『親友』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

蜘蛛ちゃんside

 

この間、手下の蜘蛛たちを追い払ってくれてからモコちゃんが落ち込んでる?件。

 

なんだか塞ぎ込んじゃって、どうすればいいかわからん。

ここで前世でコミュ障だった影響がガガガガ…

 

とりあえず食料確保のためにマイホームから出た。

もちろん寝てるモコちゃんを起こさないようにね。

 

 

うーん……あ、カエルみっけ。

ぐーるぐる、ガブッ

 

素早く糸でぐるぐる巻きにして毒牙でガブッとトドメを刺す。

 

最近こいつらめっちゃ逃げるから食糧の確保が大変だったんだよね。

今日はラッキー!

 

…モコちゃん。カエル食べたら元気になるかな…

いやいや、そんな単純じゃないか。それに食べるならウナギとかの方が喜ぶよね。

 

出会った時からもこちゃんの方がずっとずっと強くて、すごいからついつい頼っちゃってた。

今思えば、私モコちゃんに頼られたことあったっけ…?

1人で頑張って、1人でいっぱい溜め込んで、溜め込みすぎて壊れる。モコちゃんはそんな子。

 

だから、このままじゃきっと

モコちゃんが壊れちゃう

 

 

 

 

だから、

 

もっと、頼ってほしい。

 

もっと、寄り添わせてほしい。

 

今まで一緒に生き抜いてきた。

前世と今世合わせて初めてできた、『親友』なんだから。

 

 

 

 

 

 

想いを胸に仕舞い込んだまま、私は迷宮を進んでいった。

 

 

 



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たたかい

遅くなりました。すみません(><)
好きなゲームがサービス終了するのがわかって悲しいです。


ではでは、ゆっくりしていってね


蜘蛛side

 

大物はどこじゃーい!さっさと出てきやがれ、おらー!

ごほん、失礼。取り乱しましたわ。今から作戦を決行いたしますわ。

 

その名も…『大物を取ってきて、モコちゃんを元気にする作戦ー』!!

え、名前がそんまんま?いいんだよそんなことは。

そんなに甘くないって?そんなん知るか!私は私にできることをするだけじゃい!

 

よし、盛り上がっていくぜー!!

 

 

ということで盛り上がって…じゃなくて大物を探すよ。

私がいる上層の中で大物といえば蛇かな。不味いけど。

上層で頂点に立っていた蛇。めっちゃ苦くて不味いけど。

だが、今の私の敵ではない!

 

と一人でくっちゃべっていたらその蛇をはっけーん!

さあ今こそ下克上!今から上層の覇者はこの私よ!

 

内心馬鹿騒ぎしながらも実際は音もなく近づく。

そして中層でも大活躍の我が鎌!主に活躍したのは鱗剥ぎだけど!これを、振るいます!

そうすると、あら不思議。あっという間に輪切りに〜

 

ふ…またつまらないものを切ってしまった…

 

決まった…!

 

もっと多いほうがいいかもだけど、モコちゃんが心配だし帰るか。

そろそろ調理して食べたい…!今は魔物を生で食べるという人間からはかけ離れた生活をしてきたけど、元人間だからね。

調理といえば、まず焼くことからだよね。火…火…。火なぁ… 火魔法、存在自体はしてるけど取れないんだよなぁ…

私は蜘蛛で、モコちゃんは雲。両方とも火との相性は最悪。相性が悪ければ悪いほど、取得は難しくなるしスキルの成長も遅くなる。

だから、わざわざ大量のスキルポイントを使って火魔法を取得するよりも他のスキルを取った方がよっぽど効率がいい。

でも悩むなぁ…クソ不味い魔物の肉も焼けば美味しくなるかもしれない。

 

 

でも………っ!?

 

 

 

 

 

周りから視線を感じる。あきらかに敵視されている。殺るしかないか。

敵の質は低い。でも、数えきれないほどの気配を感じる。

敵は蛇、カエル、蜥蜴、三匹セットの恐竜…上層の魔物が集まっている。

 

何が目的だ?

考えられるものは復讐。でも、この世は弱肉強食。負けたほうが悪い。弱い奴が悪い。

 

強くて危険なやつに対抗するには?

  答え:数で対抗する

 

本能から、私という危険生物を倒そうとしているのだろう。

モコちゃんと一緒の時より別行動の今の方が勝てる確率は高くなる。

 

 

だけど、負けるわけには行かないんだよっ!

 

 

本能vs理性の戦いが始まった。

 

side out

 

 

 

 

 

雲side

なに!?急に大量の気配が現れたんだけど…

びっくりし過ぎて目が覚めたよ。

一つの場所に殺到してるみたい。なんで?

 

あれ…蜘蛛ちゃんいない。

 

 

じゃあ、まさか!!?

 

無駄にある想像力で想像してしまった未来に冷や汗が出る。

嫌な予感が的中しないことを願いながら私はマイホームを飛び出した。

 

side out

 

 

 

 





夏休みの宿題がぜんぜん進まない…
進まない人、手ーあーげてー

はーい!


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