なんとなく思いついたネタ集 (両津)
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アナベル・ガトー(機動戦士ガンダム0083)VS VIPRPGのキャラ スパロボ風会話

ストーリー的な

VIPRPG世界のキャラクターが0083の世界に来て
星の屑作戦を阻止する的な


VSアレックス&リリア

 

ガトー「貴様等勇者に如何なる力があろうとも、我らの”星の屑”の成就はもはや止められぬ!」

リリア「確かにコロニーは阻止限界点に近いわ…! このままだと間に合わないかもしれないけど…!」

アレックス「多少の無茶は承知の上だ!何としても貴様を倒し、俺とリリアの手でコロニー落としを阻止してみせる!!」

 

VSアレックス

 

アレックス「アナベル・ガトー!魔王よりも邪悪な指導者についたお前の野望は俺が阻止してやる!」

ガトー「邪悪だと!?貴様!勇者でありながらデラーズ閣下を魔王よりも邪悪だというのか!?」

アレックス「ああ!コロニー落としで地球を傷つけ、多くの人々を苦しめることが邪悪そのものだからだ!」

ガトー「フン!いくら異世界の勇者と言えど、所詮はアースノイドと連邦の手先!我らデラーズ・フリートの敵でしかないということか!」

アレックス「俺はな、お前等のように大義や正義などを振りかざせば何をしていいと思っている奴が一番嫌いなんだよ!星の屑作戦は絶対に阻止してやる!!」

 

 

VS ブライアン

 

ブライアン「てんめえ…!こんなコロニー落としで地球を破壊して何が楽しいんだ!?」

ガトー「望んでやっているわけではない!スペースノイドのために私は敢えて愚行を犯すのだ!!」

ブライアン「黙れ!てめえの身勝手な理屈で地球にいる人間の生命を犠牲にされてたまるかよ!!」

 

 

VS ヘレン

 

ヘレン「住む場所は違うけど、あなたも地球に住む人たちと同じ人間でしょう!?なのにどうして、こんな真似をするのよ!」

ガトー「エルフの女性よ!これはスペースノイドを苦しめるアースノイドに正義の怒りを知らしめるためだ!!」

ヘレン「自然環境を破壊するコロニー落としが正しいことだと本気で思っているの!?」

ガトー「無論だ!だからこそ私はここにいるのだ!!」

ヘレン「だったら許さない!沢山の生命を奪おうとするあなたを許すわけにはいかない!」

 

 

VSデイジー

 

デイジー「愚かな人ですね。貴方は…」

ガトー「愚かだと!?それはスペースノイドを苦しめるアースノイドの方だろう!異世界の聖職者よ!」

デイジー「このような大量殺戮と破壊でしか自分を見いだせない…コロニーを墜とされる側の気持ちも考えられない…愚かで可哀想な人。」

デイジー「聖職者を名乗る者として…あなたを断罪させてもらいましょうか!」

 

 

VS レオックス&ソフィア

 

ガトー「異世界とはいえ、人類の守護者である勇者が我々の大義を邪魔するのか!」

レオックス「当然だ!コロニーが落ちたら地球にどのような悲劇をもたらすのかを私とソフィアは知った!いかにあなたが正しい事を述べてもそれは正当化できん!」

ソフィア「あなた達デラーズ・フリートの野望はここで阻止します!」

ガトー「聖騎士と閃光の魔女と呼ばれた二人の力は承知の上!しかし我らデラーズ・フリートはもはや止められぬ!」

 

 

VSカナエール

 

ガトー「願いを叶える女神よ!やはり貴様はアースノイドのみしか願いを聞かないのか!?我らスペースノイドは願いを頼むに値しないというのか!?」

カナエール「そうではないわ。私はどんな願いでも叶える女神。私を呼び出したものの願い事は何でも叶えてあげられる神だけど…」

ガトー「ならば!!星の屑を成就させてほしい!それが私の願いだ!」

カナエール「それは無理ね」

ガトー「なんだと!?やはり神である貴様とて、所詮はアースノイドの手先!!我らデラーズ・フリートの願いなど聞くに値しないということか!」

カナエール「当然よ!あなたたちデラーズ・フリートの願う星の屑作戦は地球人のみならず、地球そのものに大きな被害をもたらすわ。願いを叶える神として、こんな大量殺戮と破壊の願いを認めるわけにはいかないわ!」

 

 

VSクレアス、エロリア

 

クレアス「こいつら…大義だの志だの何だの言ってる割には…やろうとしている事はただの大量殺戮じゃねえか?」

エロリア「…そうよクレアス。この人たちは自分たちのする事は全て正しいと思ってる連中なのよ!」

クレアス「ああなるほどねえ…ようするに自分たちが絶対正義で自己陶酔のテロ集団ってことかエロリア!」

ガトー「貴様ら…デラーズ閣下の志…我らデラーズ・フリートの理想を侮辱するとは覚悟はできてるだろうな!!」

クレアス「許せねえのはこっちも同じさ!コロニーなんてそんなもん。俺を待っている地球のいい男たちの頭上に落とすわけにはいかないんでねえ!」

エロリア「ええ!地球の可愛い女の子たちのためにも、あんた達のコロニー落としは絶対に阻止してやるわ!!」

 

 

VSニュークリアIII(ぬくりあさん)

 

ガトー「魔法具現化の少女といえど、我らが大義の前に立ちはだかるのならば容赦せぬぞ!」

ぬくりあさん「そりゃこっちの台詞だぜ!コロニー落としなんてそんなめでたくねぇ事、あたしが絶対にさせやしねえ!」

ガトー「貴様の魔法…ニュークリアIIIの持つ力は承知の上!しかし我らデラーズ・フリートは止められぬ!スペースノイドの理想と明日への希望のためにな!」

ぬくりあさん「そんな理想が明日への希望であるもんか!!あんたの考え方、やろうとしていることはみんなを苦しめるめでたくねぇ事なんだよ!」

 

 

VS魔王

 

魔王「アナベル・ガトー!貴様も同じ人間なのだろう!?ならば何故自分の星を破壊するような破壊をする?!」

ガトー「破壊だと!?それは違う!アースノイドは我々を人間として見ていないのだ!ゆえに我らは起った!アースノイドに怒りを思い知らせるために!」

魔王「コロニー落としで地球に住む多くの人々を苦しめることのみならず、地球環境を滅茶苦茶にすることが破壊でなくてなんだというのだ!」

ガトー「ならば私を止めてみるがいい!貴様が魔王を名乗るならばな!!」

魔王「よかろう!魔王軍を統べる魔王として、貴様を止めてやる!!」

 

VS魔王軍四天王

 

ガトー「如何なる敵が相手であろうとも、我らが大義と理想、正義のため決して折れはせぬ!!」

ダーエロ「その信念は結構だけどな!あんた等のやる事に巻き込まれた連中にとっちゃいい迷惑なんだよ!」

ドラゴナス「あんな大きなものを墜として何をしようってんだ!?」

ガトー「決まっている!我らスペースノイドの正義の怒りを傲慢なアースノイド共に思い知らせるためだ!」

ニンニン「詭弁でござるな!コロニーが地球に落ちれば苦しむのは罪もない無辜の民でござろう!」

ムシャ「あんた等デラーズ・フリートにとっちゃあ自分たちの行いは正義なんだろうがな!こっちにとっちゃあ悪そのものなんだよ!!」

 

 

VS 娘様&リナックス

 

娘様(メビウス)「地球に住んでる人間もコロニーの人間もお前と同じ人間なんだろ!?なんでここまでやらなくちゃならねえんだよ!?」

リナックス「貴方も同じ人間なのになぜこんな事を…!?コロニーを地球に落としたら、たくさんの人の命が…!」

ガトー「次世代の魔王と勇者よ!それは違う!!地球に住むアースノイドはコロニーに住むスペースノイドを同じ人間とはみていないのだ!」   

ガトー「ゆえに我らは起った!傲慢なアースノイド共に我らスペースノイドの正義の怒りを思い知らせるために!」

娘様「傲慢って…俺にはお前も同じようにしか見えねえよ!こんな大きなもん墜として何になるってんだ!?ただ地球に住むお前と同じ人間が苦しむだけだろ!?」

リナックス「そうだよ!あなたのやろうとしている事は結局地球の人たちを苦しめるだけだよ!私とむーちゃんの手でそんな作戦は絶対に止める!!」

ガトー「所詮君たちにはわかるまい!魔王の父と勇者の兄の庇護の下でぬくぬくと暮らしてきた君たちにはな!」

娘様「ああわからねえさ!だから、俺とリナの手でコロニー落としを絶対に阻止してやる!!」

 

VS 娘様(メビウス)

 

娘様「何を考えているんだよ!?こんな大きい物を地球に墜としたら取り返しのつかない事になるだろ!!」

ガトー「大変なことになるからこそ意味がある!!我らの怒りを連邦に知らしめることができるのだ!!」

娘様「お前のやろうとしている事はただの破壊だ!!」「自分のエゴを通すためなら他人や地球を傷つける事もおかまいなしだ!」

ガトー「魔王の娘よ、それは違う!私はスペースノイド。宇宙移民の未来を考えている!!」

娘様「そんなの、お前の詭弁だろ!!」

 

VS 玉露軍機動要塞"ホワイトハウス"

 

ホワイトハウス「そのロボットの核兵器で、敵を全て滅ぼすつもり!?何て恐ろしい事を!!」

ガトー「貴様ほどではないぞ異世界の人型機動兵器よ!貴様のようなロボットすら利用するアースノイドのやり口に対抗するには、これくらいのことが必要なのだ!」

ホワイトハウス「利用ですって!? 私は利用されているつもりなんかありません! 純粋に地球の為に戦っています!!」

 

VS フレイムIII(フレイム冒険記)

 

フレイムIII「核弾頭で艦隊攻撃にコロニー落とし…どうして貴方は沢山の命を奪う事をするの!?」

ガトー「具現化の少女よ!君には聞こえないのか!?コロニーに生きるスペースノイドの怒りと嘆きの声が!!」

フレイムIII「私だってコロニーに住む人間達の苦しみがわからないわけじゃないわ!!!でも、だからってこんなに沢山の命を奪うなんて…!!!」

ガトー「所詮君のような魔法具現化にはわからん!!!異世界の住民の君にはな!!!」

 

VS 二戦目

 

ガトー「この感覚は…あの時の炎魔法か!?だがあの時よりも凄まじい殺気!!」

フレイムIII「あの時はどこか他人事だったわ…でも今は違う!!!私はあなた達…沢山の命を奪おうとするデラーズ・フリートが許せない!!!」

ガトー「どうやら貴様も地獄を見てきたようだな。あの時の具現化の少女が、今やウラキ少尉と同じ戦士とは!!!」

フレイムIII「地獄…ええ、そうね。私とリーフは地獄を見せられたわ。あなた達と同じ、自分たちの目的のためなら手段を厭わない人間達に!!!」

ガトー「だが、我々デラーズ・フリートはいかに貴様の燃え上がる闘志があろうとも止まらぬ!!我らの大義の為に!!」

フレイムIII「だったら私は貴方を全力で止める!!この身が滅び去ろうとも!!!」

 



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鬱夫の恋 こち亀風

鬱夫の恋にこち亀要素を無理やり入れてみました
なお役割として

鬱夫・詩織=大原大次郎・秋本麗子・寺井洋一・中川圭一
DQN・イケメン・エリカ・女二人=両津勘吉

となっております

ちなみに原作の鬱展開はありませんぞ


左遷オチ ver1

 

詩織「あれ?イケメン君は?」

鬱夫「あいつなら893の娘を無理やりナンパしてな。風の噂じゃ893にマグロ漁船に乗せられたそうだ」

 

左遷オチ ver2

詩織「DQNくんの姿が見えないけど…」

鬱夫「ちょっと旅行に行っているんだ。いつ帰るかわからない。行先は北センチネル島らしいけど」

 

 

左遷オチ ver3

 

詩織「エリカさん達の姿が見えませんが…」

鬱夫「あの三人ならこの前警察官に連行されているのを見たよ。年寄り相手に詐欺をしたようでな。」

 

左遷オチ ver4

詩織「フツメンくん知りませんか?最近音信不通で…」

鬱夫「あいつならSNSで大炎上してしまってな。今は人と会うのが怖くて引きこもっているそうだ」

 

左遷オチ ver5

鬱夫「あれ?エリカさんは?」

詩織「エリカさんならついさっきパトカーに乗せられました。詐欺をやっていたらしいです」

 

左遷オチ ver6

鬱夫「DQNとイケメンの姿が見えないけど」

詩織「あの二人なら『俺たちは真の自由を手にするぞ!!』と米軍基地に殴り込んで捕まりましたよ」

 

 

部長オチ ver1

 

鬱夫「絶対に許さんぞ!!!」←90式戦車搭乗

DQN「助けてくれ~!!」←大泣きして逃げている

イケメン「ごめんなさ~い!!!許してぇええ~!!!」←砲撃されて黒焦げ

 

部長オチ ver2

 

鬱夫「DQNとイケメンの大馬鹿野郎どもはどこにいる!?出てこい!!」←『殺』の鉢巻きをしてMP40短機関銃を構えながら

詩織「さ、さあ…ついさっきまでここにいましたが…」

 

DQN&イケメン「((((;Д;))))ガクガクブルブル」←隠れている

 

部長オチ ver3

 

詩織「エリカさんとあの馬鹿女子二人はどこですか!?出て来なさい!!」←レオパルト2A6搭乗

鬱夫「あ、あの二人なら今頃学校の外じゃないかな…!?」

 

部長オチ ver4

 

詩織「エリカさん達!ちょっと鬱夫くんのことでお話したいことがあります!!!」←暗視装置付き迷彩服とAK12を構えた

エリカ「ちょっ…それは話し合うスタイルじゃない!」

女A「いやー!!」

女B「許してぇ~!!お願いよ~!!」

 

部長オチ ver5

詩織「エリカさん!!鬱夫の件でお話があるんだけどいいかしら!!(超激怒)」←STG44装備

エリカ「私は悪くないわよ~!!!!」

 

 

おしおき 1

 

鬱夫「そんなにボクシングが好きなら好きなだけしていろ」

DQN「あばばばばばばば!あばばばばばば!!」←ボクシンググローブを付けた大量のカンガルーに殴られている

 

おしおき 2

 

詩織「さあ、もっと食べなさい♪まだまだおかわりはありますよ?」←大量の激辛料理を食わせている

エリカ「も、もう無理…」

女1「おえっぷ…」←気絶した

女2「辛いわぁあああああああ!!」←絶叫している

 

両さんによるお仕置き

 

両津「てめえわしの友人を散々可愛がってくれたそうだな!?覚悟しろよコンニャロー!!!」

DQN「ひい!すいませんすいません!!許してええええええ!!」

イケメン「ごめんなさい!!!許してくださいすいませんでしたああああああ!!」

 

両津「いじめなんてそんな卑怯な真似をするんじゃねえ!!!」

 

大原部長によるお仕置き

 

大原部長「そこで反省していろ!!」

DQN「た~すけてぇ~!!!」←磔にされて首に『私はいじめをしていました』というプレートを掛けられた

イケメン「いやああああああああああああ!!!」←同

 

鬱夫「あの…ちょっとやりすぎじゃ」

大原部長「いいのだ。ああいう馬鹿にはこれが一番効くんだ鬱夫くん。」



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700年越しの再会 (シューニャの空箱)

VIPRPG『シューニャの空箱』より

メビウスとリナックスが死後の世界(天国)で再会した話

手記の内容
「あなたに 会いたかった。 
 何百年も 何百年も
 世界をさまよい歩きました」

「あなたの遺骨を砕いた
 あの時の感触
 思い出すたびに 涙が止まりません」

「わたしも そろそろ 限界です
 もし 天国があるのならば…」

「そこで 永遠に遊びましょう!
 あの頃のように…」


※シューニャの空箱の劇中に出ていたメビウスとリナックスの補完・救済的な

 

紀元2100年。

リナックス(大人状態)と魔族の少女。メビウスは公園で追いかけっこをしていたのだった。

 

「ほらほら!リナックスお姉さんを捕まえてごらん!」

「待てー!リナー!」

 

この二人のぬくもりは続くかと思われた。

だが、時の流れは残酷…

さらに、リナックスは人間であるのに対しメビウスは魔族。

魔族は人間に比べれば年を取るのも遅いし長生きだ。

いつか訪れる結末。それは異種族間などの寿命に差がある者同士の交流の中に

等しくやってくる逃れられない運命である。

リナックスとメビウスもまたそのいつか訪れる結末の運命から逃れられなかった。

 

…メビウスは大人になったが、リナックスは杖をつかないと歩けないほどに老衰した老人の姿になっていた。

 

「あと50年くらい生きるつもりだったんですが…

 いやはや。成人したむーちゃんはもう見られないでしょうな」

 

「あと10年…あと10年で俺は成人だ!

 一張羅を羽織った俺を見持ってくれよリナ…

 俺を置いていかないでくれ…!一人にしないでくれ…!!」

 

「ごめんね。その約束は守れそうにないよむーちゃん…」

「嫌だ!!俺を置いていくなんて嫌だ!!!リナのいない世界なんて俺は嫌だ!!」

 

「むーちゃん…」

「嫌、嫌だよリナ…俺を、俺を置いていかないでくれ…」

 

リナックスは泣いているメビウスにどうすることもできなかった。

 

そして、紀元2350年…

 

「ううっ…リナぁ…どうして、どうして俺を置いて行っちまったんだ…」

「こんな小さな骨壺になっちまってよぉ…俺は、俺はどうやって生きていきゃあいいんだ…」

 

親友だった少女、リナックスの墓の前で一人…

メビウスは泣きながら自分よりも先に旅立ってしまった親友のリナックスの墓を見つめる。

手には『リナの骨が収まった骨壺』を持ちながら。

あの頃のぬくもりはもう帰ってこない。

 

「リナ…なんで……なんでだよ…!!!」

 

メビウスの問いに答えるリナは、もういない。

 

 

そして750年後の紀元3050年。

人類は滅びを迎えようとしていた。

誰もいない無機質な風景が広がる地下室にただ一人いるメビウスは老衰した姿となり、あとは死を待つのみとなっていた。

メビウスは魔族といえど人と変わらない生命。人より寿命が長いとはいえ

最期の時が訪れようとしていた。

 

「…………………。」

「リナが死んで、もう何百年経ったんだろうか…?」

「リナ。どうやら俺もお前のところに行ける時が来たみたいだ…」

 

人類は滅びを迎えようとしていた。

そして、人類のみならず魔族も…

 

「やっと、やっと死ねる…リナ。俺もそちらへ…」

「もしも天国があるなら…あの頃のように永遠に…」

 

親友である人間の少女。リナックスを2350年に失って700年。

 

メビウス「(これが、リナの辿った『死』か……)」

 

「…………………。」

 

メビウスは手記を握りながら、目を閉じて深い眠りへとついた。

そう。二度と目覚めることがない、長い長い永遠の眠りへと…

だが不思議と恐怖を感じることはなかった。

なぜなら、親友のところに行けるから…

 

紀元3050年。

最後の魔族であり魔王の娘である娘様もといメビウスは…その生涯を終えたのだった。

メビウスの死により、魔族は絶滅したのだった…

 

--------3050年からとても長い月日がたった…

 

 

メビウス「あ、あれ?ここは…どこだ?」

 

魔王の娘である娘様…メビウスは永遠ともいえる眠りから覚めた後…気づいたら白き雲の上にいた。

雲の上の空はまさに蒼天というのがふさわしいくらいの晴れ。

その空は青い海のようにどこまでも蒼く、雲一つないほどに澄んでいた。

 

「…俺は、死後の世界にきたのか?…足元が雲って、どういう事なんだ?」

 

メビウスはこれは夢か何かと錯覚したが晴天下で出ている太陽が自分の体を日差しで強く照らしている事と

自分の顔を手首をつねってみて痛覚がある事からこれは現実だと認識した。

 

「どうなってるんだ…俺の体も子供に戻っている…」

 

自分の体をよく見ると紀元2100年の子供時代のままだった。

 

 

「とにかく行動だ。死後の世界ってなら誰かいるはずだ…」

 

メビウスは雲の上の奥に進むことにした。

奥に進むにつれて店の姿や人の姿がちらほらと見えるようになった。

どうやらにぎやかな街中に来たらしい。

道行く人には天使のような人もいれば、私服の人もいたのだった。

メビウスには聞こえなかったが魔族を見るのは珍しく口々に話していた。

 

「あの子魔族かな?」

「ここに来たという事は…いい魔族って事だね」

「でも魔族でしょ?いやだねえ何かするんじゃないか?」

「魔族でも善の心を持つ者はいる。偏見はよせ」

 

ある程度散策をしたメビウスはベンチに座って

頭の中を整理する。彼女は混乱の中の極みにあった。

なぜならば自分はあの時死んだはずだったからだ。

どうして雲の上に子供時代の姿となっているのか? 

そしてまず、この場所がどこなのか分からない。

死後の世界だとはわかるが、その確証はどこにもない。

しかもどうやら太陽がある事から天空のどこかの場所というすぐに理解出来た。

(実は天国だが、メビウスは天空のどこかと思っていた。天国かもしれないとは思っていたが)

 

「足元が雲で太陽がある…天空のどこかの場所か?だが俺がいたのは地下室…」

 

「それに先ほど見た人には天使のような格好もいたし…天国か?」

 

「いや。天国ではないかもしれねえ。…だったら一体誰が俺を子供の姿にしてここまで連れてきたんだ…」

 

混乱しながら考えている最中に突如背後から声を掛けられた。

死に別れした親友のリナの声に似ている。いや親友のリナの声そのものだ…

 

「むーちゃん!?むーちゃんだよねっ!?」

「!?」

 

声のした背後に振り向くと…

そこには…

 

メビウス「リナ…リナなのか!?」

 

メビウスがその少女を忘れる筈がない。自身と親友だった少女のリナックスをだ。

そのリナが今。目の前にいるのだ。

 

リナックス「やっぱりむーちゃんだ!!むーちゃんもここに来ていたんだね!」

メビウス「あ、ああ…リナ…!!!」

リナックス「やっと会えたね…!!待っていたよ…!!」

 

親友のリナックスの元気そうな姿に、メビウスの両目からは自然と涙がこぼれ溢れてくる。

リナの姿は子供時代のメビウスと同じだったからだ。

 

リナックス「むーちゃん!700年もの間…よく頑張ったね…お疲れさま!」

メビウス「………………………」

リナックス「わたし…ずっと空の上からむーちゃんを見てここに来るのを待っていたんだよ…むーちゃんが辛く悲しそうな顔をしながら700年もの間。生きているのを…」

 

リナックスは死後の世界。ここ天国でメビウスが700年間も生きているのをずっと見ていたのだった。

 

メビウス「リナ…700年間も待たせちまって悪かった…」

リナックス「いいんだよ…やっとこうしてむーちゃんと会えたんだから!!」

 

リナックス「……また再会できて嬉しいよむーちゃん」

メビウス「俺もだ……リナに再会できてよかった……本当に……良かった……!」

 

リナックスはメビウスを優しく抱きしめ、メビウスもまたリナックスを抱きしめる…

 

メビウス「リナ…聞きたいんだが、ここって、どこなんだ…?俺にはここがどこかわからねえんだ…」

リナックス「ここはね、天国だよむーちゃん!」

メビウス「天国?そうか。俺は天国に来たんだな…」

リナックス「よかった。むーちゃんも天国に来てくれて…!ずっと待っていたよ…!」

 

人間と魔族。異種族同士とはいえ親友が死後の世界である天国で再会したのだった…

 

リナックス「むーちゃん!この天国でいっぱい…遊ぼうね。」

メビウス「…ああ!!!」

 

メビウスとリナックスは、天国であの時のように永遠に遊ぶのだった。

 

「ほらほら!捕まえてごらんむーちゃん!」

「待てー!リナー!」

 

---------------------------そして天国にある家。

 

「むーちゃん。」

「どうしたリナ?」

「ずっと、一緒だよ」

「ああ!ずっとな!!」

 

--------------二人は、夜になるまで遊びとおした。

 

メビウス「リナ…お前と再会できてよかったよぉ…」

リナックス「むーちゃん。もう泣かないで。ずっとずっと、天国で一緒にいようね!」

 

二人で笑いあい、楽しく過ごした。

---そして、月が昇り……夜になった。

二人は窓から月を見あげる。

 

リナ「みて、むーちゃん!いい月だね」

メビウス「ああ……綺麗だな……」

 

メビウスとリナは空を見上げ、月を見た。

満月で、まるで二人の再開を祝福しているかのように光輝いていた。

その月を見ながら、メビウスは心の中で呟く。

 

メビウス「(……神様……リナと再会させてくれてありがとな……)」

そう思いながら、メビウスは満月を見つめてみた。

 

リナックス「むーちゃん。一つ、約束いいかな?」

メビウス「ああ。なんだ?」

リナックス「ずっと、一緒だからね……永遠に……」

メビウス「もちろんさ。ずっと一緒だぜリナ……」

 

メビウスはリナックスの手を握ったまま、そのままベッドの方へ。

 

そして…ベッドにて

 

リナックス「おやすみなさい。むーちゃん。ずっと、一緒だよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。天国のある神はこう語っていた。

『あるところに人間の少女と魔族の少女が種族を乗り越えて仲良く遊んでいた。』

『その仲の良さは死後の世界で再会を果たしても遊んでいたくらいだった。』

 

そして、天国でこのような昔話が作られたという。

『むかしむかし、あるところにとても仲のよい人間の女性と魔族の少女がいました。

 その仲の良さは2人があの世に旅立っても続いていましたとさ。』




リナックス「むーちゃん……これからは私がいるから安心して。私がずっと一緒にいてあげる」
メビウス「ありがとうな……リナ……」

リナックス「ずっと、一緒だよ。永遠に、ね!」





----------------リナックスの日記

某月某日
わたしはむーちゃんに看取られて死んだはずだった。
なのに目が覚めたら子供の姿になっていた。
どういうわけか分からないけど、これは神様がくれたチャンスだと思う。
でもこれで、またむーちゃんと一緒に過ごす事ができる。
そして、私がいた場所は信じられない事に天国だと分かった。
私にできるのはむーちゃんが来るまで、家で待つことだけだ。


某月某日
天国の家にあるテレビからむーちゃんの姿が見えた。
テレビのむーちゃんはとても悲しい表情で、私の名前を毎日呼びながら生きていた。
むーちゃんより先に死んじゃったせいで、むーちゃんはおかしくなってしまったんだろうか?
でも私にはテレビで見ている事しかできない。
そして、むーちゃんが天国に来るように祈ることしかできない。
むーちゃん。お願い。早く私の所へ来て……


某月某日
無機質な風景が広がる地下室にただ一人むーちゃん。
とても老衰した姿となり、あとは死を待つのみだ。
むーちゃんは魔族だけど私と同じ人間と変わらない生命。
人より寿命が長いとはいえ
最期の時が訪れようとしていた。
むーちゃん…辛い思いをさせてごめんね…


某月某日
ついにむーちゃんが永眠した。
ごめんね。ずっとずっと寂しい思いをさせちゃったね。
むーちゃんがいない間、私は一人でずっと待っていたんだよ。
もし出会えたらずっと一緒だよ。むーちゃん。


某月某日
むーちゃんが亡くなって、何年経っただろう?
わたしは今日も天国の街中へ出かけ、むーちゃんを探した。でも見つからない。
どこを探してもいない。
どうしてどこにもいないの……?
ねぇ……むーちゃん……会いたいよ……むーちゃんに会いたいよ……



某月某日
ついにやっとむーちゃんと会えた!!
これでずっと、ずっと一緒にいられる!!

むーちゃん!天国でずっと遊ぼうね!


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続・三馬鹿道中記でフレイムIIIを溺死させたウォーター三姉妹

事実は小説よりも奇なりの看守と黄泉くんと署長に出てきてもらいました


「ここはどこ?」

「なんで私、牢屋になんかに?」

「どうして私が牢屋にいるの?」

 

水魔法具現化の三人が牢屋に閉じ込められて困惑してた。

そこにお馴染みの看守が後輩の黄泉を連れて現れた。

 

「……よう、外道魔法具現化一同、ここは貴様らに相応しい場所だ」

 

「ちょっと!どうして私達をここに閉じ込めているのよ!?」

「早くここから出せ!」

「こんな所に閉じ込めた事を訴えてやる!」

 

そう喚く外道水魔法具現化の三人を無視して、看守は冷徹な眼差しを向けながら答える。

 

「貴様らは日々同じ劇団員のパラライズとファイアIIとフレイムIIIをいじめ、最終的にはフレイムIIIを水中マジックの機械に手錠を入れて溺死させて殺した上に隠蔽したそうだな……さらに理不尽な理由でシェイドIやファイアIIの刀を奪ったり殴ったりして最終的にはパラライズが凶行に走る原因を作ったそうだな」

 

「あれが元凶で生き返ったフレイムちゃんは水がトラウマになったそうですよ。」

「ついでに言っておくがこの刑務所は魔法が使えないようにバリアを設定してある」

 

「あ…本気にしてるのですか……あれは事故で……」

「そ、そうよ!あれは特訓のつもり…!」

「死んだのはフレイムIIIが悪いのよ!ちょっと閉じ込めたくらいで…」

 

喚く三人だが、そこに所長がフランクな笑顔で看守と後輩の黄泉の前に現れた。

 

「あの魔法具現化達、悔い改める気は無いでしょ?彼女たちを連れてきた後は彼女たちに任せてくれる?」

「さすが所長ですね。」

 

看守と黄泉に見守られながら、所長はある魔法具現化三人を呼び出した。

 

「本当は自分でやりたいけど、君たちがやった方が良いと思って特別に譲ってあげるね♪」

 

そう言いながら現れたのは切れ味抜群の日本刀を持った鬼のような顔をした

ファイアIIとフレイムIIIとパラライズだった。

 

パラライズ「姉さんを殺した仇。この場で取らせてもらおう」

ファイアII「貴様ら。覚悟はできておるのだろうな?」

フレイムIII「あの時はよくも…!!」

 

「ひいぃっ!!!」

「まっ!待ってください!あの時の事を謝りますから!」

「あれは事故だから!許して!」

 

外道水魔法具現化は必死に言い訳しようとしたり、責任を擦り付け合ったり、慌てて謝るが…

 

ファイアII「見苦しい。微塵切りかなます切りか袈裟斬り、好きなのを選べ!!」

フレイムIII「こんな連中に私は…!!」

パラライズ「姉さんを殺しておいて命乞いか…どこまでも醜いね。」

 

大激怒しているファイアIIにフレイムIII、パラライズにその言葉が届くことはなかった。

 

「……それでは、たっぷりとやってちょうだい!錆び付いた包丁の方が苦しめられるけど使うかい?」

「お気遣い感謝する。だがこの刀でやらせてもらおう」

「ではごゆっくり♪好きなだけやってね♪」

 

フレイムIII「ありがとう。このような場を作ってくれて」

パラライズ「それじゃ。始めようか姉さん!!」

ファイアII「姉さんを殺した代償は。たっぷりその身に味合わせてくれる!!」

 

「「「しぎゃああああああああ~!!!」」」

 

そのまま、刀で外道水魔法具現化の三人を切り刻んでいくのだった。

 

「あれ?そういえばもう二人いたはずですが…」

「シェイドIIIとスパークIIIの事か?あの二人なら同じ姉妹に"折檻"されているぞ」

「今頃はあの三人と同じ目に遭っていると思うよ♪」

 

二人の炎魔法具現化と状態異常具現化が日本刀で切り刻んでいるその様子を刑務所組はゆっくり見ていた。

 

その頃、別室では別世界の魔法具現化たちが

部屋に設置されたモニターを通じてその様子を見ていたのだった

 

ウォーターI「別世界の私がフレイムちゃんをいじめて殺していたなんて…」

フレイムIII「わてりちゃんは…私の事を殺そうと思ったりしないよね?」

ウォーターI「そんな事しないよ!フレイムちゃんはわたしの大切な友達だよ!」

 

ウォーターII「別世界の俺とはいえ腹が立つぜ…俺も参加してきていいか姉貴?」

ウォーターIII「駄目よ。あの三人に任せておきなさい…(本当は参加したいけど我慢よ…)」

ウォーターIV「あんな連中がワシの妹ではなくてよかったわい…もしワシの妹ならこの手で殺していたぞ」

 



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リナックスのその後(VIPRPG エピタフ―相対の相対― より)

エピタフ―相対の相対―から

リナックス救済的な


私は、ただ死んだむーちゃんともう一度会いたかった。

「風魔法の具現化をさらったらむーちゃんを生き返らせてやる」って甘言に乗せられたのだ。

それがこの結果だ…

 

「リナ!」

お兄ちゃんの声が聞こえる。

 

「そこに…いるの?お兄ちゃん…」

「しっかりしろ!!」

 

お兄ちゃんは私の体を一生懸命にさすってくる。

でも、もう助かりっこない。

私の体からは大量の血が溢れ出ている。

魔王パンイチにやられた傷だ。

この量からして失血死は免れないだろう。

 

「わたし…馬鹿だね…死者が生き返るはずなんてないのに…」

 

死者に囚われた結果がこれだ。

私もむーちゃんの後を追うことになりそうだ。

 

「むーちゃんと…また、遊びたかったなあ…」

「ごめんね、お兄ちゃん…

 ごめんね、ウィンディさん…」

 

私はお兄ちゃんと、生贄にささげたウィンディさんに謝罪の言葉を述べた。

でも、もう遅すぎた。ウィンディさんはもう…

 

「私なんて…生まれてこなければよかったね…」

 

「そんなことない!おまえは 俺の大切な…」

 

お兄ちゃんは泣きながら、私の体をゆすって来る。

ごめんね。お兄ちゃん…これはウィンディさんを生贄にささげた私への罰なんだから。

魔王パンイチの「ウィンディさんを生贄にすればむーちゃんを生き返らせてあげる」という甘言に載せられた私への罰なんだ。

そのまま、私の意識は闇へと滑り落ちていった。

 

 

 

-----------------------------。

 

あれからどれくらいの時間が経っただろう?

私が目を覚ました時は、私は魔王パンイチの城とは違う

どこかで目を覚ました。

 

ぼんやりした視界が最初に映り、そこでようやく私は

自分がまだ生きていることに気付く。

驚きと同時に、身体に激痛が走った。

 

「ぐ………あ゛……ぅ!?」

 

視線を体に向けると、魔王パンイチにやられた大小の傷口から生暖い血が大量に流れ出ている。

地面には私の体から出ている大量の鮮血が、血の池を構成している。

 

相変わらず身体は激痛を訴え、傷からは鮮血が流れているが私は上半身を起こして立ち上がり

今の状況を改めて確認する。

どうやら、自分はまだ生きているらしい。

 

「う…ぁ……………う…ぅ…あ…」

 

-------行かないと。お兄ちゃん…ウィンディさん…

 

そのまま、激痛と朦朧とした意識の中で私は歯を食いしばり、足を引きずるように歩き出した。

 

とはいえ、体中が傷だらけで大量出血している私の体じゃおぼつかない足取りだ。

私の足が、言うことを聞かない。

歩くことさえも難しい。

それでも歯を食いしばり、足を引きずるようにして前へと歩いていく。

方向感覚もままならない。

 

足元を見れば、私から出てくる血液が私の不規則に歩いたところを構築している。

 

「……あ……ぐぅ………………」

 

私の体を見れば、着ている青い服は魔王パンイチにつけられた傷によりところどころが破れ、素肌が露出している。

生暖かい液体が鉢巻から額を伝っていく感触もする。

露出した素肌からは、今も私の血がどくどくと流れ続けている。

 

-----------血は止まる気配がない。

 

気づいたら私の目についた風景は建物やお店がいっぱい並び、人が沢山いた。

どうやら、ここは街中らしい。

 

---でも…変だった。どうして魔王パンイチの城からこんな町にいるの?

それにやたらとうるさいし。私の名前を呼ぶ声がする。どうしてだろう?

 

ああ、そうだ。これは幻覚だ。幻覚に違いない。

これは幻覚だ。幻覚に決まっている……

気づいたら私はどこかの公園に来ていたらしく、子供が遊ぶ遊具が置かれてあった。

 

幻覚にしては、よくできている。

 

「おい!!あの子見ろよ!!レオックスさんのところのリナちゃんじゃないか!?」

「リナちゃん!?大変!!血塗れだわ!!」

「ヒール先生を呼べ!!今すぐにだ!!」

「血塗れじゃないか!!すぐに止血を!!!」

「酷い!!誰がこんなことを!!」

「回復魔法具現化を呼べ!!大至急だ!!」

 

激痛をこらえながら声のする方向を見ると、私を見て悲鳴を上げ公園にいる子供たちと大人たちの姿と声が私の耳にはっきりと入ってくる。

 

これも幻聴と幻覚だろう。

 

視線を空に向ければ、空はまさに蒼天というのがふさわしいくらいの晴れだった。

その空は青い海のようにどこまでも蒼く、雲一つないほどに澄んでいた。

これほどまで澄んでいた空は初めてだった。とても綺麗な空だな。

こんなきれいな空は、久しぶりに見たっけ。

 

そう思っていると眠気が襲ってきた。

このまま、眠りにつきたいけど周囲の声がそれをさせないかのように耳に響いてくる。

 

「-----リナ!?」

 

そこである一つの声がした。

聞くはずがない、はずの声をだ。

 

「お、おいリナ!?どうしたんだよお前?!血塗れじゃねえか!?何があったんだよ!?!?」

 

またも幻聴、だろうか。それとも走馬灯か。

私は、絶対に聞くはずも無いものを耳にした。

この声は…死んだはずのむーちゃんの声だ。

激痛と意識が遠のきそうなのをこらえながら

声の方向を向くと驚いた顔をしているむーちゃんが私に駆け寄ってくる。

その後ろには、驚いているむーちゃんのお母さんとお父さんがいた。

 

え…むーちゃんなの?

でも…むーちゃんは死んだはずだ。

 

だけど、私の目の前には駆け寄ってくるむーちゃんの姿がはっきりと見える。

 

「しっかりしろおい!!どうしたんだよそのケガは!?なんで血濡れなんだよ!?」

 

そして、私の眼の前にまで来ると私の体を抱きしめてきた。

…ああ。とうとう、私の目と感覚までおかしくなってきた。

 

どうして、死んだむーちゃんが私の目の前にいるの?

どうして、こんなにもむーちゃんの抱きしめてくる感触がはっきりしているの?

幻覚?走馬灯?それにしてははっきりしている。

 

「むー…ちゃん…?むーちゃんなの…?」

「ああ、俺だ!!メビウスだ!!!しっかりしろ!!!」

 

わたしの問いにむーちゃんは答える。

必死に私の名前を呼んでくる。

変だな。むーちゃんは俺という言葉なんて使わないし。一人称も違う。

 

「リナ!!しっかりしろ!!俺だ!!!」

 

私を抱きしめているむーちゃんと、その声には妙に現実感があるけど。幻覚だろう。

だいたい非現実的過ぎる、むーちゃんはとっくに死んだはずだ。一人称も違う…

 

難病にかかった私を助ける為に、大人たちの目を盗みに薬草を取りに向かった。

途中で魔物に襲われ、薬草を持って帰って息絶えたんだ。

 

「あ、ああ………?」

 

「何があったんだよ!?どうしてお前、こんなに血濡れなんだよ!?教えてくれッ!!」

 

そのせいでむーちゃんのお母さんがおかしくなっちゃったのは知っている。

むーちゃんのお母さんをおかしくさせたのは、私のせいだ。

そしてむーちゃんは、私が殺したようなものだ。

 

これは夢だ。夢に決まっている。むーちゃんは死んだのだから。

そうだ。夢なんだこれは…あまりにも出来過ぎた夢だ…

 

目が覚めれば、むーちゃんはいないんだ…

 

「…………………むー…ちゃん。」

「?!」

 

「幻覚でも 最後に、もう一度会えてよかったよ…また、一緒に遊べるね…」

「何を言ってるんだよ!?冗談はやめろよ!!」

 

わたしの体は、むーちゃんにもたれかかるように倒れていく。

ああ…もう、体が動かない。

意識も遠くなってきた。

 

「………………むーちゃん……大好きだよ…」

「リ……ナ……!?」

 

「……これで、死ねる…」

「はぁっ!?おい!!ふざけるなよリナ!!!!俺の前で死ぬなんて、そんなの許さねえぞ!!!!」

 

「おいったら!!目を開けてくれリナッ!!!死ぬんじゃねえ!!!!目を開けろ!!」

「……………………」

 

「ふざけんなよお前!!!目を開けろッ!!なあっ!!!!」

 

そこで、私の意識は闇へと滑り落ちていった。

 

「なあったら!!リナ…!!頼むよぉ…目を、目を開けてくれェッ…!!!!」

 

わたしが最後に見た光景は、激しく泣きながら私を優しく抱きしめるむーちゃんと…

駆け寄ってくる沢山の人たちだ。

 

「リナちゃん!!」

「リナ!!」

 

その中にはお母さんとお父さんがいたようだけど…

お母さんは私を生んだ時に、お父さんはお姉ちゃんと同じ戦いで死んだはずだ。

魔王パンイチより前の魔王のガイウスさんに殺された。

きっとお父さんとお母さんも、むーちゃんと同じ、幻覚だろう。

 

でも、たとえ幻覚だったとしても、むーちゃんにもう一度だけ会えてよかった。

これで安心して死ねる。

でもせめて、ウィンディさんに謝りたかったな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------------。

 

 

目を開いて、最初に映った光景が現実とは思えなかった。

私はベッドの上にいたのだ。

 

思考に浮かぶ言葉はただ一つ、疑問。

これが現実ではないとすれば、ここはどこ?

地獄?少なくとも、地獄なら暖かい日差しが窓から入ってきたりはしない。

暖かくてふかふかのベッドの上にはいない。

 

天国?違う。

 

私は死んだはずのむーちゃんを生き返らせるために

魔王パンイチの魔物たちにポテチーノ襲撃を手引きさせ

ウィンディさんを魔王パンイチの生贄にささげた。

そんな事をした私が天国になど、行く資格なんて持っていない。

 

だったら、私がいるベッドは何?

雰囲気からして病院のようだ。

そしてどうやら、ここは病院のベッドらしい。

私は病院にいるらしい。

 

でもどうして、私は病院のベッドの上で目覚めているの?

どうして、私はここにいるの?

無数によぎっていく疑問が、ふと断ち切られる。

 

メビウス「…リナ、リナ!!!目を覚ましたんだな!!」

 

むーちゃん?

 

メビウス「……ああ、よかった、生きでいで、よがっだよぉ……!!!」

 

私が目を覚ましたのを知った目の前の”むーちゃん”は

ポツリ、ポツリと涙を垂らしながら、滝のようにボロボロと涙を流す。

そしてもう一つ。私は聞くはずがない声と見るはずのない姿を見た。

 

レオックス「おお、目を覚ましたか!!リナ!!!」

ソフィア「リナちゃん!よかった!!生きていて本当によかった!!」

レナックス「よかった!目を覚ましたわ!!」

 

え…お父さん?お母さん?お姉ちゃん?

どうして、目の前にいるの?

 

ソフィア「心配したのよ!!血塗れでいたリナちゃんを見た時は心臓が止まるかと思ったわ!!」

レオックス「ああ。心配したぞ!!町中を血まみれで歩いていたんだからな!!」

 

―――ありえない。私のお母さんは私を生んだ時に、お父さんとレナお姉ちゃんは戦いで死んだはず。

 

それがどうして私の目の前にいるの?

 

むーちゃん。お父さん。お母さん、お姉ちゃんに医師らしき女性が説明をし始めた。

胸の所にある名札を見ると「ヒール」と書かれてあった。

ヒール先生?でも魔王パンイチの城に突入した時に一緒にいたはず…

 

「もう少し止血と輸血が遅れてたら死んでいたところだ。危ないところだったよ」

「だが気になるのは、なぜ町中と公園で行方不明だったあなたがたの娘、リナックス君が血塗れで歩いていたかだ。」

「ケガの具合だが、傷の度合いからして数か月は入院だ。出血も酷いからな…」

「出血も酷い。輸血をしなければ危ない」

 

どうして、死んだはずのむーちゃん・お母さん・お父さん・お姉ちゃんがいるんだろう。

思考している間に、私の意識はまた闇へと落ちて行った。

 

-------------------。

 

別視点

 

ソフィア「リナちゃん!?」

ヒール先生「鎮痛剤による眠気だ。寝かせてやれ」

 

メビウス「先生…リナは助かるよな…?」

ヒール先生「大丈夫だ。重傷だが数か月安静にしていれば退院できる」

 

メビウス「…誰がリナをこんな目に遭わせやがったんだ?」

ソフィア「むーちゃんの言う通り…ただじゃおかないわ。」

 

 

 




翌日の新聞のリナックスの記事が写真付きで掲載された。

『行方不明だった勇者の妹、血濡れの重体で保護 勇者に恨みを持つ輩の犯行か?』

某月某日。
行方不明だった勇者一家のクルセイダースミス家のアレックスの妹。
リナックスが街中で血塗れの重体で歩いているところを
魔王軍の魔王の娘のメビウスによって発見された。
彼女は保護され、今もヒール医院で入院中である。

その時の様子について市民のパンイチはこう語っている。
「酷い出血の状態で歩いていましたね。足元には血だまりがある程の大出血でした。」

ヒール先生によればリナックスの傷は
「出血が酷く。もう少し遅れていたらリナックス君は死んでいた」

また、クルセイダースミス家のレオックス・ソフィアは怒りに露わにしている
警察は勇者に恨みを持つ輩の犯行として捜査を進めている。
特にアレックスの怒りは凄まじく「犯人はただではおかない」と表明した。


それにやたらとうるさいし。私の名前を呼ぶ声がする。どうしてだろう?
→血塗れのリナを見た人が悲鳴を上げてリナの名前を読んでいる


どうやってリナックスは魔王パンイチの城から移動した?
→一度死んだあと、肉体が重傷のまま別次元のもしも世界に移転した。
 この世界におけるリナックスは行方不明という扱い。
 元居た世界での戦争はなく。リナックスの母親ソフィア・父親レオックス・姉のレナックスも健在。

誰がリナックスを病院へ連れて行った?
→ソフィア・レオックス・メビウス


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リナックスのその後……… 別バージョン

もしもリナが「これは現実だ」と把握したら?


私は、ただ死んだむーちゃんともう一度会いたかった。

「風魔法の具現化をさらったらむーちゃんを生き返らせてやる」って甘言に乗せられたのだ。

それがこの結果だ…

 

「リナ!」

お兄ちゃんの声が聞こえる。

 

「そこに…いるの?お兄ちゃん…」

「しっかりしろ!!」

 

お兄ちゃんは私の体を一生懸命にさすってくる。

でも、もう助かりっこない。

私の体からは大量の血が溢れ出ている。

魔王パンイチにやられた傷だ。

この量からして失血死は免れないだろう。

 

「わたし…馬鹿だね…死者が生き返るはずなんてないのに…」

 

死者に囚われた結果がこれだ。

私もむーちゃんの後を追うことになりそうだ。

 

「むーちゃんと…また、遊びたかったなあ…」

「ごめんね、お兄ちゃん…

 ごめんね、ウィンディさん…」

 

私はお兄ちゃんと、生贄にささげたウィンディさんに謝罪の言葉を述べた。

でも、もう遅すぎた。ウィンディさんはもう…

 

「私なんて…生まれてこなければよかったね…」

 

「そんなことない!おまえは 俺の大切な…」

 

お兄ちゃんは泣きながら、私の体をゆすって来る。

ごめんね。お兄ちゃん…これはウィンディさんを生贄にささげた私への罰なんだから。

魔王パンイチの「ウィンディさんを生贄にすればむーちゃんを生き返らせてあげる」という甘言に載せられた私への罰なんだ。

そのまま、私の意識は闇へと滑り落ちていった。

 

 

-----------------------------。

 

あれからどれくらいの時間が経っただろう?

私が目を覚ました時は、私は魔王パンイチの城とは違う

どこかで目を覚ました。

 

ぼんやりした視界が最初に映り、そこでようやく私は

自分がまだ生きていることに気付く。

驚きと同時に、身体に激痛が走った。

 

視線を体に向けると、魔王パンイチにやられた傷口から生暖い血が大量に流れ出ている。

地面には私の体から出ている大量の鮮血が、血の池を構成している。

 

相変わらず身体は激痛を訴え、血が流れているが私は痛みを堪え上半身を起こして立ち上がり

今の状況を改めて確認する。

 

 

どうやら、自分はまだ生きているらしい。

 

-------行かないと。お兄ちゃん…ウィンディさん…

 

そのまま、朦朧とした意識の中と激痛に私は歯を食いしばり、足を引きずるように歩き出した。

 

とはいえ、体中が傷だらけで大量出血している私の体じゃおぼつかない足取りだ。

方向感覚もままならない。足元を見れば、私から出てくる血液が私の不規則に歩いたところを構築している。

私の体を見れば、着ている青い服はところどころが破れ、素肌が露出している。

生暖かい液体が額を伝っていく感触もする。

その素肌からは今も私の血がどくどくと流れ続けている。血は止まる気配がない。

ふと気づくと目についた風景は建物や人がいっぱいいた。

どうやら、ここは街中らしい。

でもどうして魔王パンイチの城からこんな町にいるの?

それにやたらとうるさいし。私の名前を呼ぶ声がする。どうしてだろう?

 

 

「リナ!」

 

そこである一つの声がした。聞くはずがないはずの声をだ。

 

「----------------リナ!?血塗れじゃねえか!?何があったんだよ!?!?」

 

幻聴、だろうか。それとも走馬灯か。

私は、聞くはずも無いものを耳にした。

この声は…死んだはずのむーちゃんの声だ。

激痛と意識が遠のきそうなのをこらえながら

声の方向を向くと驚いた顔をしているむーちゃんが私に駆け寄ってくる。

その後ろには、驚いているむーちゃんのお母さんとお父さんがいた。

 

むーちゃんなの?

でもむーちゃんは死んだはずだ。

 

だけど、私の目の前には駆け寄ってくるむーちゃんの姿がはっきりと見える。

 

「リナ!!しっかりしろおい!!どうしたんだよそのケガは!?なんで血濡れなんだよ!?」

 

そして、私の眼の前にまで来ると私の体を抱きしめてきた。

…とうとう、私の目と感覚までおかしくなってきた。

 

どうして、死んだむーちゃんが私の目の前にいるの?

どうして、こんなにもむーちゃんの抱きしめてくる感触がはっきりしているの?

幻覚?走馬灯?夢?それにしてははっきりしている。

 

「リナ!!リナ!!」

 

むーちゃんは必死に私の名前を呼んでくる。

やっぱり、むーちゃんだ。

間違いなく、むーちゃん本人だった。

でもどうして?

 

「うそ……でしょ?」

「しっかりしろよリナ!!」

 

私は、抱きついてきているむーちゃんの顔を見る。

信じられなかった。そこには確かに、驚愕しているむーちゃんがいる。

私はまだ信じられなかった。だって死んだはずのむーちゃんが私に抱きついているんだもの。

でも、私の頬に当たる柔らかい感触とか、暖かさとか、匂いとかは紛れもなく本物だった。

 

「ほんとうに……むーちゃん……なんだよね……?」

「ああ、そうだよメビウスだ!!それよりお前、なんで血塗れなんだよ!?」

「………………………」

「…リナ!?」

 

言われて、自分の体を見ると 先ほどよりもさらに大量の血が流れ出しているのに気付く。

さっきよりも多く血が出ている気がする。

 

「あ……あぁ……」

「おい!大丈夫かよ!?しっかりしろよリナ!!」

 

さすがにここまで来れば分かる。

これは幻覚なんかじゃない。

現実なんだって。でもまだ信じられない。むーちゃんは死んだはずだ。

なのに、今こうして私に抱きついてくれている。

わたしは嬉しかった。死んだはずのむーちゃんと再会できて。

 

「リナ!!しっかりしろよおい!!なんで血濡れなんだよ!?一体何が……」

「…………よかった……よかった……むーちゃん……」

「リ……ナ……?」

「むーちゃん……また会えたね……よかった…………また……一緒に……遊べるね……」

 

私は、涙が溢れ出てきた。ずっと会いたかった。もう会えないと思っていた。

私は、泣きながら、むーちゃんをぎゅっと抱きしめた。

すると、今度はむーちゃんも涙を流していた。

 

「リナ……どうして血濡れなんだよぉ…お前に何があったんだよ……!!?」

 

わたしの体は、むーちゃんにもたれかかるように倒れていく。

もう体が動かない。ここまで歩けたのが奇跡だ。

意識も遠くなってきた。

 

「……これで、死ねる…」

「おい!!リナ!!!!俺の前で死ぬなんて、そんなの許さねえぞ!!!!」

 

「おいったら!!目を開けてくれリナッ!!!」

 

そこで、私の意識は闇へと滑り落ちていった。

 

「ふざけんなよお前ッ!!なあったら!!リナ…!!頼むよ…目を開けてくれェッ…!!」

 

わたしが最後に見た光景は、激しく泣きながら私を優しく抱きしめるむーちゃんと…

駆け寄ってくる沢山の人たちだった。

その人たちの中にお父さんとお母さんがいたようだけど、わからない。

 

 

 

目を開いて、最初に映った光景が一瞬現実とは思えなかった。

私はベッドの上にいたのだ。

 

思考に浮かぶ言葉はただ一つ、疑問。

これが現実ではないとすれば、ここはどこ?

地獄?少なくとも、地獄なら暖かい日差しが窓から入ってきたりはしない。

天国?違う。私は死んだはずのむーちゃんを生き返らせるためにウィンディさんを魔王パンイチの生贄にささげた。

 

そんな事をした私が天国になど、行く資格を持っていない。

だったら、私がいるベッドは何?

雰囲気からして病院のようだ。

そしてどうやら、ここは病院のベッドらしい。

 

 

でもどうして、私は病院のベッドの上で目覚めているの?

無数によぎっていく疑問が、ふと断ち切られる。

 

メビウス「…リナ、リナ!!!よかった、生きでいで、よがっだよぉ……!!!」

 

私が目を覚ましたのを知った目の前の”むーちゃん”はボロボロと涙を流す。

 

むーちゃんは、私を抱きしめながら泣いている。

「むーちゃん……どうして、ここ、に?」

そう問いかけると、むーちゃんは泣きはらした目で見つめてくる。

 

メビウス「よかった!!目を覚ましてくれたんだな!!」

 

メビウス「心配したんだぞ!!お前が血まみれで歩いていたんだからな!!」

 

メビウス「心臓が止まるかと思ったぞ!!お前が死んだと思ってな!!」

 

そして再び強く抱きしめられた。

痛い。けど、暖かかった。生きているという実感がある。

私は生きていたのか。

あれは全部夢だったのだろうか。

それとも夢だったとしてもおかしくないような出来事だったのか……。

 

わたしはむーちゃんに、聞いてみることにした。

 

「……ねぇ、むーちゃん。どうして?」

メビウス「?」

「むーちゃんは死んだはずだよね?」

メビウス「何を言っているんだよリナ!?俺は死んでねえぞ!?こうして生きているじゃねえか?!」

「……え?だって、死んだはず……」

メビウス「……はぁ?死んだ?俺が!?どういうことだ!?」

 

むーちゃんは呆然としていた。

まるで本当に自分が死んだことを覚えていないかのように。

その様子は嘘をついているようには見えなかった。

 

メビウス「俺が死んだって、どういうことだ?!俺は生きているぞリナ!?」

 

メビウス「どういうことなんだ!?教えてくれ!」

 

無数の疑問が頭に思い浮かぶうちに、私の意識はまた遠のいていった…

 




メビウス「おい!?リナ!?」

ヒール先生「…鎮痛剤が効いて来たようだな。起きたら続けてくれ」

メビウス「俺が死んだって…どういうことなんだ!?」


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リナックスのその後 救済

https://syosetu.org/novel/271842/5.html の直後


ソフィア「ちょっと待っててね。リナちゃんの為に持ってきた美味しいスイーツを出すから」

 

病室のベッドのすぐそばに置かれてあるテーブルの上にりんごと果物ナイフが置かれてある。

お母さんが私の為に持ってきてくれたものだ。

わたしはその果物ナイフを手に取った。

刃がキラリと光ったことから切れ味はよさそうだ。

 

…大体、今までの事が非現実的すぎる。

どうして魔王パンイチ城で死んだはずの私がこうして病院のベッドの上にいるの?

私の前に現れたお兄ちゃんはともかく、むーちゃん・お父さん・お母さん・お姉ちゃんは死んだはずだ。

死んだはずなのにどうして私の眼の前に現れたの?どうして感触もしっかりとしているの?

 

これは夢?でも夢にしては感覚も視覚もはっきりしすぎている。

 

この状況が夢か現実かどうかわからない私は、右手に持った果物ナイフを躊躇なく左肩に突き刺した。

私がいる状況を現実なのか、夢かどうか確かめるためだ。

 

馬鹿かもしれないけど、いまだに自分のおかれている状況がこうでもしなければ理解できなかった。

夢にしては、随分とはっきりしていたから。

 

「ッ…!!!」

 

果物ナイフにより皮膚が裂かれ・刃物に侵入される痛みと体に激痛が走る。

 

激痛からこれは夢ではないと感じたがそれでも、まだ信じられなかった。

夢にしてはあまりにも出来過ぎているからだ。

まず第一に、私のいた場所は魔王パンイチの城だ。

それがいつの間にかどこかの大地…街中から病院にいたのだから。

 

「はぁッ…はぁッ…!」

 

わたしは左肩に突き刺した果物ナイフを激痛に堪えながら力任せに引き抜く。

左肩の果物ナイフが刺さった傷から、私の赤い血がドロリと流れ出てくる。

そのままもう一度、私の血がべっとりとついた果物ナイフを刃先をまた突き刺そうとした。

 

自分が生きているという実感が欲しかっただけだ。

本当に私が死んでいないのか、それを確認するために私は左肩に果物ナイフを突き刺そうとした。

 

「お待たせリナちゃ---」

 

でも、ナイフがわたしの左肩に突き刺さる事はなかった。

 

ソフィア「な、何をしているのリナちゃん!?やめなさい!!!」

 

ソフィア「早くよこしなさい!!!」

 

死んだはずのお母さんが、必死の表情で私の右手首を掴んでいたのだ。

その掴まれる感覚がはっきりしている。これも幻覚なのだろうか?

「離して、離してよ…」

 

ソフィア「いいからよこしなさい!!どうしてこんな真似をしたの!?」

 

そんなの決まっている。現実か夢かを確かめるためだ。

お母さんの手の力が強くなる、私の右手首からナイフを外そうとしているのだろう。

私はまだ、これが現実だとは信じていなかった。

お母さんを振り払おうと暴れるが、お母さんの力は強く振り払う事ができない。

 

ソフィア「何をやっているの!?何をしているか分かっているの!?」

「離して、私は、私は……!」

 

レオックス「リナ!!何をやってる!?」

今度はお父さんの声だ。

 

ソフィア「あなた!リナちゃんからナイフを奪って!!----ナイフを自分の左肩に突き刺していたのよ!!」

レオックス「なんだって!?」

 

お父さんは私の手を無理やり引っ張って、私の手から果物ナイフを奪い取る。

 

レオックス「落ち着きなさいリナ!!」

「あっ…」

 

レオックス「すまない……もっと早く、リナを見つけていれば……!!」

 

血塗れのナイフを遠ざけたお父さんは力強く私を抱き寄せた。

お父さんの胸の中は暖かかった。

そして、お父さんの温もりを感じた途端、私の瞳からは涙が溢れてきた。

お母さんもお父さんも、生きている。

私の目の前で、確かに生きていた。

でもお父さんは戦いで戦死、お母さんは私を生んだ時に死んだはずだった。

だけど二人は私の前で、間違いなく生きていた。

 

 

幻聴でも幻覚でもないとわかった私は----涙が止まらなかった。

お母さんとお父さんに抱きしめられ、私はようやく現実なんだという事を悟った。

 

ソフィア「リナちゃん…どうして、どうしてこんな真似をしたの!?」

 

お母さんは、泣きながら私を問い詰めてくる。

そんなの、決まっている。これが現実か夢かを確かめたかったからだ。

だが現実だと、ようやくわかった。

 

ソフィア「あなたの身体は血塗れでボロボロだったのよ!!更にナイフを肩に突き刺し

て!!このままじゃ出血死で死んでしまうところだったのよ!!」

 

死ぬ? 私は一度、死んだはずなのに、どうして生きているの?

 

「ねえ。教えて…私は死んでいるはずなのに、どうしてここにいるの?」

 

レオックス「リナ!?何を言っているんだ!?お前はこうして生きているじゃないか!?」

 

「それに、私の両親は死んだはず…お母さんは私を生んだ時に、お父さんは戦いで死んだはず……」

 

私の問いに答えたのは、お父さんだった。

 

レオックス「……どういうことだ?リナ、お前には一体何があったんだ?」

 

お父さんの問いかけに、私は何も答えることができなかった。

言ったところで、信じてもらえるはずがない。

 

ましてや、一度死んだことを話すなんて…

 

するといつの間にか来ていた、ヒール先生が

 

ヒール先生「ふむ…どうやらリナックス君は並行世界からやってきたみたいだね」

レオックス「並行世界ですか?」

ヒール先生「そうだ。君が元々いた世界で君が死んだ後に、この世界のリナックス君と入れ替わったようだね。」

ヒール先生「リナックス君から話を全て聞いたが、もともといた世界で父親と母親は死亡していたと言っている。」

 

お父さんとお母さんが来る前に、わたしはヒール先生に自分の経験を話した。

どうせ信じてもらえないだろうと思っていたが、案外すんなりと信じてもらえた。

 

レオックス「はい、確か先生の話によると、私は戦いで戦死、妻のソフィアは出産時に亡くなったと言っていました。」

ヒール先生「おそらくだが、目の前のリナックス君は並行世界のリナックスだろう。恐らくその魔王パンイチと戦った時の戦闘の余波によって、次元の歪みが発生してリナックス君の世界とこっちのリナックス君の世界に繋がってしまったのだろうな。」

 

ヒール先生「それで、こちらのリナックス君は向こうのリナックス君と入れ替わる形で、元の世界のリナックス君が死亡した後の世界に飛ばされたのだろう。」

レオックス「なるほど、それなら納得できます。」

ヒール先生「ただ、問題はどうやって元に戻るかだ。」

ソフィア「…………」

お父さんとお母さんが私の事をじっと見つめている。

レオックス「……」

ソフィア「……」

 

私は泣き出してしまった。

この世界は、私のいた世界ではないと。

 

レオックス「リナ……大丈夫だ。例え並行世界であっても、リナはリナだ。父さんと母さんがついているぞ……」

 

お父さんが私の頭を撫でてくれる。

 

ソフィア「そうよ。たとえ並行世界であっても、リナちゃんは私達の可愛い子供なんだから…」

 

お母さんも優しく私の頭を摩ってくれる。

 

「うん……ごめんなさい。」

私はお父さんに抱きつきながら泣いていた。

しばらく経って、ようやく涙が止まった。

 

同時に、部屋にガイウスさん…いや、この世界ではどんな名前かわからないけど

魔王さんが入ってきた。

 

魔王「レオックスか。リナちゃんのお見舞い中済まないが伝えたいことがある」

レオックス「魔王か…一体なんだ?」

魔王「リナちゃんとやらが言っていた魔王パンイチだが、奴を捕縛したとの事だ。現在クレアスとゴメスが掘っている」

 

えっ…?

 

 

 

 

その頃

 

クレアス「てめー、アレックスを闇堕ちさせたそうだな?たっぷりしてやるから覚悟しやがれ!!」

 

ゴメス「お前。アレックスの妹を殺して魔王にさせたそうじゃな!!しかもウィンディを生贄にしようとしたようじゃな!?」

 

魔王パンイチ「アッー!!!!」

 

魔王パンイチは大量に分身したガチホモ闇勇者、クレアスと

ガチホモ海賊、ゴメスによって超光速で尻を掘られていた。

 

魔王パンイチ「お、俺は悪くねぇ、悪くねえ~!!」

魔王パンイチは必死になって言い訳をする。

魔王パンイチ「俺は何も悪くな~い!!」

 

ゴメス「悪くないじゃと!?向うの世界のアレックスに全部聞いたぞ!!妹のリナックス君を殺したそうじゃな!?」

クレアス「妹を殺されたアレックスが闇落ちした気持ちは痛いほどわかるぜぇ。俺にも妹がいるんでなァ!!!」

 

二人のガチホモによる怒りの超光速掘りは、魔王パンイチに多大なるダメージを叩き込んでいく。

 

 

クレアス「この世界に来たのが、テメェの運のつきだァ!!! これが、裁きの狼煙だ!!!!」

ゴメス「たっぷり歓迎してやるわい!!!!」

 

 

 

魔王パンイチ「アッー!!」

魔王パンイチは更に激しく掘られる。

魔王パンイチ「アッー!!!うるせえ!!俺は悪くねえ!!」

 

魔王パンイチの開き直りにクレアスは大激怒した。

 

クレアス「ほうそうかい…だったら早くしてやるぜッ!!」

ゴメス「わしの愛するアレックスを魔王化させた罪は万死に値する!!!」

 

魔王パンイチ「アッー!!」

 

クレアスは掘りのスピードを更に速めていく。魔王パンイチは更に掘られる。

 

ゴメス「クレアスに負けてはいられんのう!!わしも早くせねばな!!」

クレアス「ゴメスの旦那ァ!!こいつにたっぷりと刻んでやれェ!!!」

 

魔王パンイチ「ア"ァ――ッ!!」

魔王パンイチ「アッー!!」

魔王パンイチ「ア"ッ―ッ!!!!」

魔王パンイチ「アッーッッッッ!!!!」

魔王パンイチ「アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!」

魔王パンイチ「アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!」

 

魔王パンイチはひたすら掘られ続ける。

 

クレアス「てめー。これで終わりだと思うなよコラ?」

ゴメス「アレックスを闇堕ちさせた罰じゃ。生まれて来たことを後悔するまで尻を掘りつくしてやるわい!!」

 

魔王パンイチ「アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!アッー!!」

 

クレアス「尻が裂ける音を聞きながら、掘られなァ!!!」

 

二人のガチホモによる猛烈な怒りの尻掘りは、日が暮れるまで続いたという。

 

ゴメス「わしの愛するアレックスを魔王化させた上に、アレックスが愛する妹を殺した貴様はただではおかん!!」

クレアス「夜が明けるまで掘られ続けろォ!!!!」

 

 

 

 

数日後…

 

アレックス(エピタフ)「リナ…よかった!!また会えてよかった!!生きていたんだなリナ…!!」

リナックス(エピタフ)「お兄ちゃん…会いたかった……!!」

 

二人は再会し、お互いを抱きしめ合ったのだ。

魔王パンイチによって闇堕ちしたアレックスは

こちら側のもしもの世界の人物との激闘により、正気に戻った。

 

なお、ドクオとウィンディは別次元に転生し幸せに暮らしている。




メビウス「全部話を聞いたよ。俺が死んだ並行世界から転移して来たんだろリナ?」
リナックス「うん。ごめんね。これが真実だよ…私のいた世界じゃ、むーちゃんは…」

メビウス「わかっていたさ。…だがな、忘れるな。並行世界から来たとしてお前は俺の親友だ」

メビウス「何も変わらないさ。お前は俺の親友。そうだろリナ?」

メビウス「お前のいた世界が如何に残酷だとしても、それを受け止められずに魔王の娘が 務まると思うか?だから言うぜ『それが何だ?』とな。リナはリナだ。」

メビウス「それに、例えお前が並行世界のリナであろうとも俺はお前を親友として受け入れる。それだけの話さ」


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リナックスのその後 メビウス視点

VIPRPGより


俺の親友、リナが行方不明になってから何週間もたった。

忽然と姿を消したというのだ。

俺の魔王軍と王国軍は全力で探しているがいまだに見つからない。

俺は、親父とお袋と散歩をしながら街中を歩いていた…

リナ…どこにいるんだよ…!?

 

魔王「むーちゃん。大丈夫さ きっとリナちゃんは見つかるさ」

嫁様「そうよ。子供と言えど勇者アレックスの妹。どこかにいるはずよ」

 

親父とお袋は俺の不安を紛らわせようとする。

でも何週間たっても行方不明のままだ。

リナ、一体どこにいるんだ…頼む。せめて、俺の前に姿を見せてくれ…

 

ふとそんなことを思いながら歩いていると

沢山の悲鳴が聞こえてきた。

悲鳴に耳を傾けると確かに俺の親友「リナックス」の名前が何度も何度も出てきた。

…リナがいるのか!?

 

周辺の人が話している内容では「公園」に「リナ」がいるらしい。

魔王「むーちゃん!」

嫁様「待って!」

 

俺は親父とお袋の制止する声に構わず公園へと向かった。

リナ!!待っていてくれ!!

何週間もお前を探したんだ!!

やっと、やっとお前に会える!!!

 

---------。

「-------え?」

 

ああ。公園には、確かに俺の親友の「リナ」がいた。

ようやく会えたと思って歓喜した俺だが、リナを見た瞬間に思考が停止した。

俺は目の前の親友の少女の状態に、状況の理解が出来なかった。

 

「―――――リ、リナ――!?」

 

そして数秒のうちに、頭の思考をフル回転させる。

なんで、血塗れなんだ?

なんで、体中が傷だらけなんだ?

なんで、足元に血が大量にあるんだ…?

 

眼に入った、親友のリナの姿は平和な公園には似合わない程の血塗れで

体中には大小の傷がありやがった。

青い服はところどころが破れており、その露出した肌からは今も血が出ていた。

足元には大量の血が池を構成していた。

立っているのが、不思議なくらいの出血だった。

どうして、血濡れなんだ…!?

 

「リナ!?血塗れじゃねえか!?何があったんだよ!?!?」

「リナ!!しっかりしろおい!!どうしたんだよそのケガは!?なんで血濡れなんだよ!?」

 

俺は親友の変わり果てた姿に脳に浮かんだ言葉を 声を荒げて出す。

一体どうなっているんだよ。

なんでリナは傷だらけで血濡れなんだよ!?

目の前のリナはうつろな表情をしている上に、体中の傷から赤い血が今も流れ出ている。

そして、足元がおぼつかない足取りでふらつき今にも倒れそうだ。

今まで立っていたのが奇跡なほどだ。

 

何がどうなってやがるんだよ?どうして、こんな変わり果てた姿なんだよ?

俺は本能のままに、無我夢中でリナに近づき、体を抱きしめた。

 

「むーちゃん…?むーちゃんなの…?」

「ああ、俺だ!!メビウスだ!!もう大丈夫だからな!!」

 

リナは抱きしめている俺の名前を呼ぶ。

酷い出血だ!!抱きしめている今も、出血が俺の衣服に伝ってくる。

そして、意味不明な事を言い出した。

 

「幻覚でも 最後に、もう一度会えてよかったよ…」

 

はぁ!?げ、幻覚!?俺が幻覚だって!?何を言っているんだよリナ!?

目の前に俺がいるじゃねえか!?

 

「……これで、死ねる…」

 

--やめろ!!そんな事を言うな!!

お前がいなくなるなんて嫌だ!!

お前が死んだら、俺は、俺は…!!

一体、お前に何があったんだよ!?

 

「おい!!リナ!!!!俺の前で死ぬなんて、そんなの許さねえぞ!!!!」

 

俺の呼びかけも虚しく、リナの目がゆっくりと閉じていった。

死ぬな、リナ!!-----いやだ!!嫌だあああああ!!!!!!

ふざけんなよリナ!!!俺を置いて死ぬなんて許さねえぞ!!!

 

「おいったら!!目を開けてくれリナッ!!!」

 

 

 

だがもう、リナの目は開くことはない…

目は閉じたままだ…

 

「なあったら!!リナ…!!目を開けてくれよぉ…!!」

 

変わり果てた姿の親友に、俺はボロボロと泣く事しかできなかった。

誰が、誰がリナにこんな事をしやがったんだ!!

やった奴は八つ裂きにしてやる!!

 



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わてりVSウィンディ(VIPRPG ウィンディ襲来 より)

ウィンディ(風魔法具現化:ウィンドI)

「わてりちゃあああああああああああああああああああん!!!!!!あっそぼおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

わてり(水魔法具現化:ウォーターI)

「来なよ、ウィンディちゃん!遊んであげる!」

 

事の発端は、わてりが病弱な、親友の風魔法具現化のウィンディのためにプレゼントを買いに行ったところ

 

闇魔法具現化ダークネスI:(愛称:やみっち)の店で売られていたデスソースをやみっちの話術…

「このデスソースは病人に飲ませると一気に回復する代物」と騙されて買ってしまい。

そのデスソースによるあまりの辛さからの現実逃避とプラシーボ効果によりそうなっているのだ。

 

そんなウィンディは身の丈を遥かに超える剣----

ベルセルクのドラゴン殺しをほうふつとさせる大剣を持っていたのだ。

 

「それじゃあ、いくよ!わてりちゃあああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!」

 

ウィンディの大剣がわてりを襲う。

ウィンディは病衣を身に付けた少女。それも魔法具現化の病弱な少女だった。

それを身の丈を遥かに超える剣だというのに、それを軽々と持っているのだ。

身の丈を遥かに超える大剣を振り回しながら斬撃を食らわせてくるウィンディ。

 

だが、わてりは躱していく。

 

「ウィンディちゃん?そんなんじゃ私に当たらないよ?(とても生きた心地がしないよ…。一度でもウィンディちゃんの攻撃にあたると……殺られる!!)」

 

「うるさああああああい!わてりちゃあああん!!当たれえええええええええええええ!!!」

 

わてりの回避行動によりウィンディの怒りゲージが上がる。

そしてまたもや大剣を振るう。

 

「わてりちゃあああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

わてりはそれを紙一重で避ける。

 

「あっそぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「くっ!?」

 

怒り狂ったウィンディの怒濤の連続攻撃を避けていくわてり。

しかし、ウィンディの猛攻は止まらない。

 

「わてりちゃああん!!避けないでよおおお!!!!!!!!!!!!!」

「ほら。それじゃ当たらないよ?」

 

 

「うるさああああああああああああああああああいいいい!!!!!!!」

 

ウィンディはさらに攻撃を加速させていく。

 

「ちょ!?ウィンディちゃん!?」

 

もうわてりの声など届いてはいなかった。

それはまるで暴走列車のように。

ウィンディの斬撃はさらに加速していった。

 

「いくよ!わてりちゃあああああああああああああああああああん!!!!!!これで終わりだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「いいよ!もっと遊んであげる!」

 

「あっそぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

 

そしてウィンディの大剣がついにわてりを捉えた……はずだった。

しかし、そこにわてりの姿はなかった。

なんとかギリギリのタイミング…紙一重でかわしていたのだ。

「ウィンディちゃん。当たらなきゃどうってことはないよ?」

 

 

それから数分後。

「あっはははははは!!!!!!!!わてりちゃああああああん!!!!!!!!」

そこには壊れたように笑いながら大剣を振るっているウィンディがいた。

デスソースにより完全に理性を失ったかのように笑っていた。

「なんであたらないのおおお!?」

「だから言ったでしょウィンディちゃん!当たらなければどうということはないよ!」

そう言うと、わてりはウィンディの斬撃を躱していく。

わてりの作戦は、ウィンディちゃんを疲れさせる作戦なのだ。

普段のウィンディなら絶対に持つことができないだろう。身の丈を遥かに超える大剣を振り回している以上、いつかは疲れが出るはずなのだ。

 

それに気づかずにウィンディはどんどん体力を削っていく。

しかし、わてりにはどれくらいウィンディの体力を削ったかわからない。

「わてりちゃああああああああああああん!!あたれええええええええええ!!」

さらに激しさを増していくウィンディの斬撃。

 

「(このままじゃだめだ…もっとウィンディちゃんを疲れさせないと)」

 

ここでわてりは、あえて挑発してウィンディを更に疲れさせる作戦に出る。

「ウィンディちゃん?こんなもんなの?それじゃ当たらないよ!」

「うるさいうるさいうるさあああああああああい!!これでもくらえええ!!!!!!」

そしてウィンディの大剣がわてりに向かって振り下ろされた。

「かかった……!!」

 

わてりはその大剣をしゃがんで避けた。

そして、そのままダッシュで逃亡。

 

「わてりちゃあああん!?どこいったのおおおおおおおお!?!?」

 

そしてわてりはウィンディから距離を取って挑発。

 

「こっちだよウィンディちゃん。ほら、ここまでおいで!鬼さんこちら、手の鳴る方へ♪」

「うるさああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!」

 

そう言ってわてりを追いかけるウィンディ。

そして、わてりとウィンディの壮絶な追いかけっこが始まった。

 

ウィンディは大剣を持っているにも関わず軽々と持っていた。

そして、そのスピードは常人の域を超えていた。

 

「きゃああ!?」

「あっははははははは!!!!!待ってえええええええ!!わてりちゃああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!」

しかし、大剣を持って走っているせいで足は遅い。

 

「あっははは!!わてりちゃああん!!逃げないでよおおおおおおお!!」

「いやいや!?逃げないと死んじゃうよ!?」

 

 

 

そんなウィンディの猛攻は続く。

そしてわてりとウィンディは街中について来た。

「わてりちゃああああああん!追いついたよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

「ウィンディちゃん!もっと来なよ!!」

そして、ウィンディの大剣がわてりに襲いかかる。

 

「あっそぼおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

衆人環視の中でわてりは大剣を避ける。

「くっ!?ウィンディちゃん!?周りの目とか気にしないの!?みんな見てるよ!?」

「わてりちゃああん!!周りなんて関係ないよおおおおおおお!!!!!!!」

「ちょ!?ウィンディちゃん!?まだやれるの!?」

「うるさああああああああああああああいいいいいいい!!!!!!!!!!1!!」

 

そしてまたもや斬撃を繰り出すウィンディ。

それを避けていくわてり。

一撃でも当たれば致命傷は免れない。

だが、紙一重で躱していく。

 

「わてりちゃああん!もっと!もっと!!もっと遊ぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」

「あっそぼおお!!!!!!!」

「くっ……!」

そして、ウィンディの怒りゲージが溜まる。

 

「わてりちゃあああん!!いい加減に避けないで当たってよおおおおおお!!!おおお!!」

しかし、ウィンディの攻撃は止まらない。

 

「うるさいうるさああああああい!!あたれええ!!」

病弱な体とは思えないほどの素早い斬撃を繰り出してくるウィンディ。

 

「わてりちゃああああああん!!!!!!!」

 

「これじゃいつ当たっても…こうなったら…そうだ!!」

するとわてりは自分が通っている魔法具現化小学校に逃げ込むことを考えた。

「あっ!!わてりちゃああああああん!待ってえええええええええええ!!!!!!!」

 

魔法具現化小学校の方へと逃げたわてりに対しすぐウィンディは追跡をしてきた。

 

「逃がさないよおおお!!」

「よし、追ってきた……」

わてりはそのまま、魔法具現化小学校の昇降口へと向かった。

そして、中に入っていく。

「ここで逃げ続ければ……ウィンディちゃんが私を探しているうちに疲れるはず!」

そしてわてりは息を整えた。

「ふぅ……。一先ずウィンディちゃん来るまでに休んでおこう。」

そして、ウィンディが来るまで休むことにした。

少しでも休んで、ウィンディの斬撃を躱す体力を蓄えておくためだ。

しかし、なかなかウィンディは現れない。

「あれ?おかしいな……ウィンディちゃんがそろそろ入ってくるはず…?」

すると、昇降口の外から

 

「わてりちゃああああああああああああああん!!!!!出て来なさあああああああああああああああい!!!!!!」

 

と、声が聞こえてきた。

 

「来た…!!」

身構えるが、中に入ってくる気配はない…

「え?まさか…!私が出てくるのを待っているの!?」

「出てきなさああああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!」

どうやら、わてりが出てくるのを待ち構えているつもりだ。

危険を承知だが、学校の中に入ってくるようにと挑発をした。

「なら…中に入ってくるようにしなきゃ…!」

 

「私ならウィンディちゃん。ほら、捕まえたかったら中までおいで!」

「もっとも、私がどこにいるかわかるかな?」

「わかんないよねえ。だって場所がわからないんだもの♪」

そう言って、わてりはあえてウィンディを大声で挑発。

「うるさあああああああああああああああい!!!!!待っててねわてりちゃああああああああああああああん!!!!!!!!!!!」

 

思惑通り。ウィンディはわてりの居場所を探すために昇降口から内部に突入し校内を探し回った。

 

「(このまま、ウィンディちゃんが疲れるまで待つしかない!)」

ウィンディに見つからないように、わてりは魔法具現化小学校の中を逃げ回る。

 

「わてりちゃああああああああああん!あっそびましょおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

幸いウィンディは大声を出し、身の丈を遥かに超える大剣を振り回しながら探しているため

どこにいるかは明白だった。見つからないようにわてりは逃げ続けた。

 



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