銀ガイル (やってやる!やぁ~ってやるぜ!)
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眼の腐った奴は心の濁りが全て目に行くから悪い奴はいない

侍の国、俺たちの国がそう呼ばれたのも今は昔のh

 

「おーい!!ちょっと待てぇ!!」

 

うわっ!!蹴られた!?

 

「ちょ、いきなり何すんだよ銀さん!?」

「お前な!こんな所で紹介しなくても読んでる奴で銀魂知らねぇ奴なんざいねぇよ!」

「それにちょっとォ!それ僕の仕事なんですけど!?何で八幡さんがやるんですか!?」

 

細かいことは良いじゃん!俺だって一回やってみたかったんだよ導入!!

 

「いやでも、俺ガイル側から入ってくる人も......」

「こ~のバカちんがぁ!!!!!」

「スギタッッ!!!!????」

 

ちょ、いきなりまた蹴るもんだから変な声出たじゃねーか!?

 

「いいか?だいたいなこの小説を読んでいる時点である程度銀魂にも俺ガイルにも興味があるってことだからな?それでまたこのダメガネが何千回も言ったセリフ読ませても読者戻るだけだよ?何も興味を持たれず消えていくだけだよ?」

 

ぐ......せ、正論だ。

 

「と、いうわけで作者があらすじ書くのめんどくさいらしいんで、本編入りま~す」

「作者めんどくさいだけかいィィィィ!!!!」

 

良いツッコみだ。新八。

 

—————————————————————————————————————————————————————————————————

 

俺は三年ぶりに戻って来たこの町、歌舞伎町で一つの店舗を目指して歩いていた。

 

「三年で変わったなこの町も......銀さんは元気にしてるか?」

 

まあどうせパチンコとかで散財しているのだろう。ごくたまに来る手紙では今は新八と神楽という従業員を雇っているらしい。ちなみに年は両方とも俺より下だとか。

 

いやホントによかった。一時期雲行き怪しかったもん。片腕サイコガンにアル中薬中コンビって聞いてマジで帰りたくなくなってたからな.....と、そうこうしているうちに万事屋“銀ちゃん”の前に着いた。

 

ここは変わんねーな。お登勢さんは今でもスナックやってんのか。いや、あの人は生涯現役か。とりあえず登りなれた階段を上り、インターホンを押す。

 

『はーい......今出ます!』

 

中でドタドタと物音がして勢い良くドアが開かれた。

 

「ようこそ万事屋銀ちゃんへ!!ご用件は何でしょうか?」

「あ、お前が新八......だよな?」

「へ......?」

 

うん、だよね。メガネかけてたら新八だって銀さんも言ってたし。すると更に奥から赤オレンジの髪のチャイナ服を着た奴が来た。

 

「は、はいそうですが......?」

「オイオイどうしたアルか雑用メガネ。お前には雑用以外に価値なんてないんダヨ、それもできないならさっさとでてけヨ」

「あ、チャイナ服......ってことはお前が神楽か」

「は?何ヨ、何でお前ワタシの名前知ってんダヨ?まさかストーカーアルか?」

 

あ、この子ズバッという子だわ。めっちゃ毒舌......

その後ろから見慣れた天パのもじゃもじゃ頭が現れた。

 

「なんだよ......せっかくの依頼人かと思ったらお前かよ......」

「いや、ちょっとひどくないですか?人が三年の旅路を終えて帰ってきたというのに......」

「え、銀さん知り合いなんですか!?誰なんですか!?」

「誰だヨ!?お前誰だヨ!?」

 

ああ、そう言えばまだ名乗ってなかったな。

 

「どうも、万事屋副社長比企谷八幡です。これからもよろしくお願いします。」

「え?」

「え!?」

「「えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇx!!!????」」

 

その絶叫は歌舞伎町中に響き渡ったという。

 

————————————————————————————————————————————————ー

 

「す、すみませんでした。まさか僕らの先輩とは知らず......ホラ、神楽ちゃんも」

「いやネ。私どこの馬の骨かも知れない奴に頭下げるなんてできないアル」

「神楽ちゃん!」

 

新八が神楽に謝罪を促す。まあ気にしてはないけどな。

あ、そういや......俺は二人にポチ袋を渡す。

 

「何ですかこれ......?」

「ああ、あの人まともに給料なんて払ってないだろ?初任給と俺とは初めましてってのと大幅な滞納分で......」

 

俺が話している間に神楽が袋を開けて中身を見る。するとその後ろに居た銀さんと新八が固まる。

 

「30万ある。少ないかもしれんが取っといてくれ」

「し、新八。これって全部お金アルか?」

「う、うん......」

「マジかオイ!酢昆布何枚分アルか!?」

「か、神楽ちゃんがいつも食べてる酢昆布だと......一万枚くらいは食べられるよ」

「キャッホーイ!!お城が建つアル!!」

 

初めての給料に舞い上がってるようだな。

新八も口には出してないがもう親の形見のように大事に懐にしまっている。

 

「ね、ねぇ八幡。銀さんの分はないの?ねぇないの!?」

「アンタ大人でしょうが。自分で稼いだお金全部競馬とパチンコで擦ったんでしょ?」

 

俺がそう言うと銀さんはガックリとうなだれた。全くこの人は......ヅラさんと高杉さんからたかってたあのころから変わんねぇなホント

 

「あ、そういやお登勢さんっているか?滞納してたであろう家賃返しに行きたいんだが」

「あ、それならもうすぐ家賃取り立てに来るはずです......」

 

あ......やっぱ滞納してたのね............すると万事屋の扉が勢いよく叩かれた。

 

「オイ銀時ィ!!!家賃出さねぇと追い出すぞコラ!!!!」

「あ、お登勢さん。ご無沙汰してます。」

「なんだい八幡。帰ってたのかい?」

「はい、先ほど戻りました」

 

お登勢さんは変わりがねぇな。もう三年たってんのに.....

 

「あっ、これ武道大会の賞金で貰った金です。家賃として納めてください。」

「おお、そうかい。全く年下の奴に払わさせるなんざ銀時の奴は甲斐性がないねぇ」

「何?今日はみんな俺をいじめに来たの?」

 

取り敢えず俺が家賃を渡すとお登勢さんは一階のスナックお登勢に戻って行った。

するとソファに座ってから新八が聞いてきた。

 

「あのやっぱり八幡さんは武者修行に行ってたんですか?さっきも武道大会に出たって言ってましたし!」

 

あ~そうか。まだ理由言ってなかったな。

 

「この三年間いろいろあったんだよ。例えばな――」

 

俺は宇宙をめぐっているときに一人の老人に出会った。そして......

 

『かぁ~めぇ~はぁ~めぇ~......破ァァァァ!!!!!!!!!!』

『違う!もっと腰を落とせ!』

『はいっ!』

 

技を習い二人目の“師”を得た。

 

そして待ち受けていた......強敵たちとの闘いッ!!!!

 

『お前も爆発させてやるっ!あの地球人のようにっ!』

『クリ〇ンのことか......』

『は?』

『ク〇リンのことかァァァァ!!!!!!!』

 

「そして次は最終けっ」

「どこの主人公の人生トレースしてんだァァァァ!!!!!!」

 

おお!やはり良いツッコみだ。だが......

 

「今のはやっぱもうちょい具体的に示した方が良かったな。」

「ああ、八幡の言う通りだ。誰もがドラ〇ンボール知ってると思うなよ?」

「だからお前は新一じゃなくて新八ネ」

「え゛......?なにこれ、なんでこれ僕が責められてんの」

 

ああ、そう言えばまだ言ってねえじゃん。一番肝心なとこ。

 

「というわけで、俺は宇宙の甘味巡りをするために三年間旅をしてたわけだ。」

「いやどういう訳だァァァァァァァァ!!!!!????」

 

俺が理由を説明すると新八がテーブルに頭をめり込ませた。おいおい...血出てるぞ

 

「何あんたさも当然みたいな感じでつないでんですか!?脈絡なさすぎだろ!?新〇結衣が突然ク〇ちゃんに変わるぐらいの落差あるぞ!?」

 

おお、今のツッコみは具体例がある。89点!

 

「おお、そうだ八幡!最高の甘味は探せたか?」

「はい......あ、でもおいてきちまった」

「オイ何やってんだヨ八幡!私も食べてみたかったアルヨ!!」

「待ってろ。今買って来る」

「買って来るって......?」

 

どこにあるかな......?お!店の前にあるじゃん!!

 

「買ってきましたよ......」

「早!?え、三年かかったんですよね!?」

 

俺はどさりと四つ俺が見つけた至高の甘味を差し出した。

 

「これが俺の至高の甘味“マックスコーヒー”だ!」

「量産品の缶コーヒーじゃねーかァァァァ!!!!!」

 

これはここから始まる4人と一匹の物語だ。

 



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攘夷志士って問題が漢字テストで出た時いっつも絶望してた。

俺が来てから一週間、新八がせわしなく動いている中俺は昼飯を作り、神楽は新聞を読み、銀さんは食品庫を漁っていた。

 

「何してんすか銀さん。てか調理の邪魔なんでどいてください。」

 

すると銀さんはおもむろに言った。

 

「俺のチョコレートが無い......」

「は......?」

「誰だ!俺の買いだめしてたチョコくったやつァ!!!」

 

そしていきなり叫んだ。び、びっくりした......

 

「何言ってんですかチョコごときで!!」

「また大使館で爆弾事故......地球は物騒アルな.....」

 

新八が銀さんのみみっちさにハイテンションでツッコむ。そして神楽は我関せずといった感じだが......

 

「おい、神楽。お前顔しっかり見せろ」

「え、何アルか急に......」

 

新聞紙の奥に隠れていた神楽は鼻血を垂らしていた。それを見てからの銀さんのこうどうは速かった。

 

「物騒なのはオメーだ!!しらじらしい顔でいやがって!!!白状しやがれ!!」

 

神楽のほっぺを手でつまみ、自白を要求する。いやその前に神楽がジャンプヒロインにあるまじき姿になってんぞ......

 

ふぃや(いや)ちゅがうヨぐんちゃん(違うヨ銀ちゃん)。|ふぃふぃとふぃ、ふぃふぃふぃーふぃふぃふぃふぃ《イマドキ、チョコ食べ過ぎたら鼻血が出るなんて迷信信じてるアルか》?|ふぁふぇふぃふぁふぁなきゅそひゅかふぉいしたふぁけある《私はハナクソ深追いしすぎただけアル》」

 

いやいや......

 

「今どきの女の子は鼻血出るまでハナクソ深追いしないって」

「え゛....アンタ今の聞き取れたんですか?」

 

新八がそう聞くが......いやだって

 

「上にルビ振ってあんだろうが」

「いやメタいわ!!アンタ一応常識人設定でしたよね!?」

 

あ、設定とか言うなよ。メタいぞ。

すると下のスナックお登勢から何かがぶつかったような音が聞こえた。

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

そう焦る新八に続き俺たちも降りる。すると......

 

「何してくれとんじゃワレェェ!!!うちの店に突っ込んでくるなんざただじゃ済まさねぇぞォ!!」

 

突っ込んできた飛脚らしい人物の胸倉を掴んで揺さぶるお登勢さんの姿があった。いやいや、相手事故にあって傷だらけですって......

すると飛脚は俺たちに一つの小包を渡してきた。

 

「こ、これを届けて貰えませんか?あ、あのすごく大事な荷物っぽかったんでコレ渡せなきゃクビになるかもしれないんです......!」

 

ボロボロの飛脚から渡された小包を銀さんが受け取った。

 

「よし、その依頼!この万事屋銀ちゃんが承った!」

 

 

 

 

 

 

そして俺たちは小包に書いてあった住所に来たのだが......

 

「こ、ここってイヌイ星の大使館じゃないですか!」

 

そこはイヌイ星大使館の正門の前だった。その横には笠を被った僧侶が座っていた。なんだこいつ、修行の途中で力尽きたんか?

 

まあ、とりあえずイヌイ星の天人は真っ先に地球に降り立ち、その圧倒的な武力で江戸を開国させた危険な奴らだ。まぁ要約すると......

 

「犬だな」

「マジか!?ワンちゃんいるアルか!?」

「いや、何をどうしたらそうなるんですか!?危険な天人なんですよね!?」

 

神楽が目を輝かせて、新八はツッコみに声を張り上げる。やっぱりこいつはツッコみの為に生まれてきたのではないだろうか。

すると衛兵が俺たちに近寄ってきた。

 

「オイ貴様ら!何者だ!」

「俺たちは届け物を届けに来たんですけど......」

「今は連続爆弾事件で警戒状態だ!しかも届け物の予定は今日はない!」

 

なるほど......確かに今は今朝の新聞にも書いてあったが爆弾魔がいるらしいからな。

 

「で、でもこれを届けなきゃ飛脚の人が......!」

「まぁ任せろぱっつぁん。」

 

食い下がる新八を銀さんが制する。何言うつもりだ......?

 

「ほら、ドックフードかも知んねーぞ?」

「いやそのネタ引っ張るんかいィ!?」

「さすが銀さん。犬はドックフードに目がないからな」

「何なのコレ?僕がおかしいの?」

 

と、銀さんの策で小包を渡す......ってあれ?コレ何かいかにも爆弾入りそうな......

 

「誰がドックフードなんて食うか!?バカにしているのか!!」

 

そう衛兵が言い、小包を弾くとそれが地面に触れた瞬間大爆発した。

 

「貴様ら......何をしたか分かっているのか......?」

 

衛兵がギラリと歯を見せて凄む。

 

「いや、俺たちが今すべきことは分かるよ......」

 

そう銀さんが言い切るのを皮切りに......

 

「逃げろォォ!!!!」

 

俺たちは一斉に逃げた。だァァァァァァァァァァァクッソ!!とんでもないの掴まされた!!!

すると一番衛兵に近かった新八が捕まった。そして新八が銀さんを道連れにしようと掴み、銀さんが神楽を、神楽が俺を掴み一列に並んでしまった。てか神楽力つよっ!!!

 

「新八ィ......お前、“俺を置いて先に行け”ぐらい言えんのかァ......!!!」

「い、嫌だ!一人で死ぬぐらいなら道連れに......!!」

「二人とも私を置いて先にあの世へ行ってぇ......!!」

「死ぬときゃお前も道連れじゃあァァ!!」

「百年後ぐらいには必ず行くんで......!あの世で待っててください......!!!!」

「大往生じゃねーかァァ!!!!」

 

クソ、馬鹿らしくなってきた。さっきは流れ的に言ったが銀さんたちを置いて逃げことはしない。こいつ一人なら余裕だが後が面倒だ。じり貧だな......!

 

するとおもむろに横で寝ていた僧侶が立ち上がり、新八の腕を掴んでいた天人を蹴り飛ばした。そしてその拍子に笠が落ちる。

 

「全く......手のかかる奴らだ」

 

こ、この人は......!

 

「お前はヅラか?ヅラ小太郎か?」

「ヅラじゃない、桂だ!」

 

名前を間違えた銀さんが殴り飛ばされる。この人は桂小太郎。天人にみすみす国を受け渡した幕府相手に革命を起こそうとする攘夷志士という活動家、といえば聞こえはいいが実態はほぼテロリスト。そして俺と銀さんの同門であり三人いる俺の兄的な人の一人だ。ちなみに銀さんもそうだったりする。

 

まあヅラさんだ。

 

「ヅラじゃない!桂だ!!」

「何で平然と心読んだ上に少しテンション上げてんすか......」

「久々の再会だ!喜ばんわけがないだろう!!」

「久々の再会でアッパーカットはないんじゃないの......?」

 

起き上がってきた銀さんがそう抗議する。

しかしそんな暇もないようだ。

 

「き、来たァ!!!た、大使館から沢山飛び出してきましたよ!!!」

「とりあえず逃げるぞ!!」

「あ、待てヅラ!!」

「ヅラじゃない!!桂だ!!!」

 

いやもうそれ三回目ですって

 

 

 

 

 

「よーやく尻尾を出しやがったか。あいつらのアジトを探し出して血祭りにあげてやる。」

 

その近くの一室で、何者かが八幡たちを望遠鏡で見つめていた。それは四人いて全員黒を基調とした金の刺繍が入った服を着ている。

 

「山崎ィ、あいつらの後を追いアジトを見つけ出せ」

「はいっ!副長!」

 

山崎と呼ばれた特筆すべき特徴のない男が敬礼をする。

 

「そして葉山、お前はそこで寝てる沖田(バカ)と一緒に部隊連れて突入すんぞ」

「分かったよ土方さん。俺の十一番隊もそろそろ限界だったようでね、喧嘩を始めるならやるよ」

 

そして金髪の爽やかな男が物騒なことを言いながら笑った。



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名は体をあらわす

『イヌイ族の大使館が爆破された事件で監視カメラはしっかりと犯人の顔をとらえておりました......』

「うわぁ、どうしよう。姉上にどやされる......」

「何アルかこれ?私はもっと綺麗アル!」

「今はそういう場合じゃないよ......」

 

ニュースから俺たちがテロの犯人にされたことを知り新八が嘆く。

 

「ふっふっふっ......我こそは“剣豪将軍“材木座義輝である!」

「いや誰お前」

 

俺はアジトに連れて行ってもらい、そこで謎の指貫グローブに話しかけられていた。

 

「ヅラさん、こいつ誰ですか?」

「ヅラじゃない、桂だ!ふむ、義輝はな二年前行き倒れているところを助け、それと同時に攘夷志士に誘ったのだ。」

「うわぁ......実質一択だ」

 

すると材木座がふんぞり返って言ってきた。

 

「無礼であるぞ!我らがリーダーに向かって!桂殿は、いやフルーツポンチ侍G殿はネットに上げた小説がボッコボコに叩かれていたのを助けてくださったのだ!!」

「義輝はお前と同い年だ。仲良くしてやってくれ」

「はぁ......」

 

何だかこいつ見てると五年前くらいの自分を思い出すな......

 

「おいどうすんだよこのままじゃ戻れねーぞ?」

「僕も道場に戻れないですよ......」

 

銀さんと新八がぼやいていると周りの志士たちを引き連れた人物が自信満々に言った。

 

「これでお前たちもテロリストになる他ないな!」

「いやなんですけど......」

 

すると俺たちの周りを囲んでいた中に新八が見覚えのある人影を見つけた。

 

「あ、あなたは!飛脚の......」

「成程、全てはてめーの策略だったわけか、ヅラ」

 

全部手のひらの上ってわけか......流石悪ガキ四人の参謀だ。そうその名は......

 

「流石は暗黒皇帝(ロードオブダークネス)ギィ・クリ〇ゾン......!」

「え、何?ヅラお前いつの間に厨二になったの?」

「違うわ!武士がそんな横文字の名など名乗るか!!」

 

あれ?違ったっけ?あ、そうだ!

 

「流石は猗窩座......恋雪さんとお幸せに!」

「猗窩座じゃない!ヅラだ!!あ、間違えた。桂だ!!」

 

ああ、そうだった(棒)...

 

「流石はヅラさん......!」

「ヅラじゃない桂だ!戻ってこい銀時!八幡!伝説の攘夷志士“白夜叉”と“黒鬼”が戻れば幕府など簡単におちる!!」

「仕切りなおすんか?あそこから何事もなかったように仕切りなおすんか!!!?

......て、じょう......え゛?」

 

新八のツッコみの中断で静寂がおこる

すると一瞬の硬直の後

 

「「「え、えぇぇぇぇ!!!!????」」」

 

新八と神楽、材木座が大声で驚いた。って材木座?

 

「あれ?何で材木座さんは驚いてるんですか?」

「いやだって我、今までふんぞり返って見下してたのが“黒鬼”とか知らなかったし......」

「いやアンタ知らなかったんかいィィィィィィィィィィィ!!!!」

 

おいおい...こいつ俺の正体知らないで加担してたのかよ......

そしてまたヅラさんは銀さんと俺をじっと見つめる。

 

「もう一度......俺たちと革命しようではないか、この国を......!!」

「「............」」

 

俺たちは......もう............

するといきなり俺たちがいた部屋の扉が開かれた。

 

 

「御用改めである!真選組だァ!!神妙にお縄につけ!!」

「し、真選組だァ!!!」

 

 

やべっ!よりによってこんな状況の時に一番合いたくない奴らだ!!

 

あの黒を基調とした制服に身を包んだ武装警察といえば聞こえはいいが、元は血からの有余った浪人だったあいつらは荒くれものとして恐れられている。

 

するとその中の一人が室内にも関わらず躊躇もなしにバズーカを打ち込んできた。

 

 

「てえええええ!!???死ぬゥ!!!!!!!」

「逃げるぞ新八!神楽!八幡!!」

 

その爆風に紛れて俺たちは一斉に逃げ出した。で、何で......

 

「フハハハハハ!銀時!!八幡!!もう貴様らに平穏な日々は戻ってこんんぞ!!」

「ふっざけんなヅラ!テメェのせいだろうが!!責任もって自首して俺たちの潔白を証明してこい!!」

「新時代の幕開けじゃあァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

ヅラさんと材木座までいるんだよ......特にヅラさん居たら全部の真選組が...

 

「かー↑つ↓らー↑!!!!!!!」

 

こっちに来るじゃねーか!!(沖田のあの発音好き↑)今はどうでもいいわ作者!!

するとその中から二人が突出して飛び出した。

黒髪の方は銀さんへ、そして金髪の方は......

 

「おいおい...!爽やかな顔していきなりなんだよ......!」

「これを受け止めるとはね......!俄然やる気になった......!!」

 

俺へと飛んで斬りかかってきた。大上段から横なぎに変化した斬撃を俺は自前の“練乳”と彫ってある木刀で受け止めた。

さてと......

 

「人違いじゃないですか?僕あなたのこと知らないんですけど......」

「君で間違いないはずだよ。僕は大使館から逃げている君を見ているときから狙いを定めていたんだ」

「えぇ......男のヤンデレとか誰得だよ......きっぱり忘れた方が良いですよその性格。女に泣かされることになるから......あ、あんたホモかって!?」

 

俺が間違いを正している時に無言の爽やかスマイルで斬りかかってきやがった。

 

「おいお前!いきなり真剣は危ないだろ!!」

「悪いが犯罪者の言葉に耳を貸すことはできないよ。それに俺はノーマルだ」

「いや耳貸してんじゃん。がっつり否定してんじゃん。いやそれに本当にお前誰だよ。」

 

すると奴は刀を一度地面に突き刺した。

 

「......た、確かに一度名乗った方g」

「気を付けろ八幡!こやつは真選組の鬼の副長、一番隊沖田隊長と並び恐れられる真選組十一番隊隊長、仏の葉山隼人だ!!だがその二つ名とは裏腹にかつて柳生珍影流の門下生であったがその気性の荒さから破門を受けた危ない男だ!!そしてその外面の良さから女子人気の高い忌むべきものだ!!!」

 

成程、紹介ご苦労。材木座は有能だな。ん......?このリア充下を向いてプルプル震えて......

 

「自己紹介ぐらいさせろ!!!せっかく前回から引っ張ってきたのに意味ないだろ!!」

「なんだよいきなり......!ようやま...?違うな。ヨウザン......?いや違うな..................リア充がァ!!!!」

「俺はセリフを取られた上に名前も覚えられてないのかい!?」

 

グンッと踏み込んで斬りつけてきたので木刀を横にして受ける。そして少しの間膠着状態に......なっていたのだが

 

「クッ、土方さんも葉山もギリギリだ!!え?俺たちを道連れにしてでもこいつらを倒せ......?ガッテンでい!あんたらのことは忘れねぇ......!死ねぇ土方、葉山!!」

「いやそんなこと誰も言ってないけどォォ!!??」

 

真選組の最初に撃ってきた金髪が奴らごとバズーカの餌食にしてきやがった。

 

「チッ.........」

 

俺は着物の裾でガードしながらそこにあった部屋に逃げ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

『おいテメェら!!ここは包囲されている!観念して出てきやがれ!!』

「ど、どうしよう......!このままじゃ捕まっちゃいますよ銀さん!!」

「案ずるな。こんなこともあろうかと打開策は用意してある」

 

そう言ってヅラさんは懐から球状の時限爆弾を取り出した。

 

「これを奴らにぶつけその隙に逃げるのだ!......銀時、八幡。もう一度、この国のために戦おうではないか!!」

 

ヅラさんは俺たちのことをまっすぐ見つめる。だが............

 

「断る。」

「残念ながら俺も辞退させて頂きます。」

「何故だ!?一緒に国を変えようとあの時誓ったではないか!!」

 

あの時......俺たちが戦っていたのは国なんかの為ではない。俺たちにそんな殊勝な心掛けがあったのなんてヅラさんくらいだ。

 

「おいヅラぁ......俺は、俺たちは負けたんだよ。それをいまさら掘り返してどうこうする気は俺にはねぇ。」

「もう......あんな何も生まない戦はいやなんです。これ以上、何も失いたくないんだ」

 

俺たちはそう言うと爆弾を持っていたヅラさんの手をそっと下げた。って、あれ?何だこのボタン押したみたいな感触......

カチ、カチ、カチ、と音が鳴ってるのなんて聞こえない。何かメモリに数字が映し出されてるのなんて見えない。

 

「あれ...これ、作動させちゃったんじゃないですか?」

「い、いや違うだろう!全く洞察力がないな新八は!!」

「いやこれどっからどう見ても作動してるでしょ!!」

 

新八はそういうが......いやいやいや、俺と銀さんは首を振る。

 

「これは......アレだ。俺の喉時計だ。マッカンを飲まな過ぎて喉が警告を鳴らし始めたんだよ」

「いや何だよ喉時計って、聞いたこともねぇよアホ毛野郎」

「全く、これはアレだよ?多分目覚まし設定だろ!洞察力がないな!」

「いやそんな現実から目を背けてる人から洞察力がどうこう言われたくないんですが銀さん」

 

だ、だよねー......

よし、そうとなればやることは決まっている。俺たちは無言で扉を蹴破り外に出た。そして......

 

「逃げろォォォォ!!!!!!!!!!」

 

銀さんが爆弾を放り投げて走り出すのと同時に一斉に逃げ出した。

もう最近こんなのばっか!!

すると走り始めてからすぐ神楽が何かを手に持っていた。

 

「神楽?一応聞くけどてにもってるそれ何だ?」

「これアルか?なんかさっき銀ちゃんが捨ててた玉ある」

「何で持ってきたァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

新八が俺たちの心の声を代弁する。いやマジで何やってんだ!?

 

「返すアル。ほいっ」

 

そう言うと神楽は銀さんに爆弾を投げ渡した。

 

「い、いや新八ィ!お前はまだ侍として以前に男として未熟だ!使えよ、玉......」

「いや、男として以前に生物として成り立ってねぇ奴に言われたかねぇエエ!!!」

 

銀さんは新八に爆弾を手渡した。

 

「えぇ......ちょ、ちょっと......八幡さん!あんたらの仲間でしょ!?責任取ってくださいよ!!」

「だからといってあの人らのしりぬぐいをしろと?」

 

新八は俺に爆弾を投げつけてきた。

えぇ......どうしろと?

 

「お前が持ってきたんだから元の場所に戻してきなさい。ちゃんと見といてあげるから」

「何で母親みたいなこと言ってんだ!?しかもそれ戻して来たら大犯罪だわ!!」

「いや私のマミーの目は腐ってないアル」

 

俺は神楽に爆弾を投げ渡す。もう一生回って戻せばいいんじゃね?

 

「えぇー、めんどくさいアル。銀ちゃん!代わりに戻してきてヨ!」

 

神楽が銀さんに投げ返す。

 

「い、いや!ここは人生経験のつくりどころ(?)だ!新八ィ!!いってこい!!」

 

銀さんはまた新八に手渡す。

 

「ちょ、あそこまで行ったら僕捕まりますって!!あ、強いらしい八幡さん!!行ってきてください!!」

 

そう言って新八は俺に投げる。

 

「はぁ......ほら、銀さんも行けって言ってるだろ?俺はそうでもないけど銀さんが怒ったら怖いよ?」

「だから何で母親風だ!!」

 

俺はまた神楽に返す。

 

「いや、めんどくさいアル。銀ちゃん!」

 

神楽は再度銀さんに

 

「それさっき聞いた」

 

銀さんは新八に

 

「それさっき聞いたで渡すの酷くないですか?」

 

新八が俺に

 

「酷くないですかで渡すの酷くね?」

 

俺が神楽に

 

「猫!!」

 

神楽が銀さんに

 

「こ、コリン星!!」

 

銀さんが新八に

 

「い......イシュガル!!!」

 

新八が俺に

 

「る?る......ルパン三世」

 

俺は神楽に

 

「異世界系ってどういうくくりを言うんだろうネ?」

 

神楽が銀さんに

 

「ネクロマンサー的な......ハーレムものだ!!」

 

銀さんが新八に

 

「大部分がネクロマンサー!?アンタ異世界系何だと思ってんすか!?ネクロマンサー的なハーレムって何!!あれですよ、転生とかする奴」

 

新八が俺に......いやエンドレスすぎるわ!!こんなコピペした使いまわしみたいな文章、読者に見放されるわ!!フュージョンか!!

......て、あれ?

 

「つーか廊下長くね?もう全力で2分は走ってんのに行き止まりが見えんぞ」

 

俺はさり気なく神楽に渡した。

 

「ぞ!?“ぞ”って思いつかんぞ!!」

 

神楽は銀さんに勢いに任せて投げた。

 

「ぞ、象!!」

 

銀さんは新八に向けてそれを打ち返した。

 

「う、ウマ娘!!ぐふっ!!」

 

新八はそれを顔面で受け、それが俺に跳ね返ってきた。

 

「メ......?メジロマックイー...駄目だ。メジロアルダ...ダメか。メジロライア......ダメか、つーかほぼ“ん”じゃん」

「いやこんな事いつまでやってるつもりですか!?あ...あと10秒しかない!!」

 

新八が俺の手元の爆弾を見て言う。すると銀さんは俺から爆弾をもぎ取った。

 

「神楽!!」

「よし来たァ!!」

 

そしていつの間にか見えていた窓に向けて神楽が銀さんを傘で吹き飛ばす。

 

「新八ィ!!」

「はいィィィィィィィィィィィ!!!!!!」

 

そして新八が窓に向け木刀を放り投げ、叩き割った。

 

「そんで......オラァ!!!」

 

そして銀さんはその穴から外に出て爆弾を上空にぶん投げた。

成程......いいチームだ。そこに......

 

「あ、」

(ここ、20階なの忘れてたァァァァ!!!)

 

俺の居場所はあるのかね。銀さんはずっと飛んでいられるわけもなく真っ逆さまに落ちる。

 

「あアァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

「「銀さん(銀ちゃん)!!」」

「心配すんな」

 

俺は木刀をブーメランの要領でぶん投げた。それは窓から出ると段々と曲がりそして......

 

「ァァァァァァァァァァァ!!......え?」

 

銀さんの服の襟とビルの壁を貫いた。

 

 

 

 

 

 

「おい山崎......何モンだ、あいつら」

 

土方が煙草にマヨネーズのライターで火をつけながら山崎に聞く。

 

「ここ歌舞伎町を拠点として活動している万事屋らしいです」

「万事屋...ねぇ......」

 

土方はふぅ...と煙草の煙を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

このコーナーでは原作との違いで生じる疑問について答えていきます!

 

Q.土方さんは分かるけど葉山君が嫌いな理由は?

 

沖田「特にないんでパス」

 



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アイドルとは偶像を売る者たちのことである

 

あれから俺たちは爆弾魔扱いされて拘置所に居たんだが......

 

「全く......これからお通ちゃんのライブだったんだからギリギリでしたよ」

 

新八が見せた驚異のブチギレで出てくることが出来た。普段おとなしい奴ほどキレるとヤバイって本当だったか......

 

「もう僕帰りますよ!あんたらと居たらいつかホントに捕まる......」

「なんだよテメー、新八のくせに。調子乗りやがって!」

「いや酷くない神楽ちゃん!?」

 

と帰って行った新八。そして俺たちは今......

 

「ゲロ吐け神楽!この憎たらしい警察署にゲロ吐いてやれ!!俺はゴールデンウォーターかけるから」

「分かったよ銀ちゃん!......ウ、ウグ........ウググ......」

 

ジャンプ主人公とヒロインがすることじゃねーなコレ。銀さんはマジでチャック開けだしたし神楽も指を喉に突っ込みだしやがった......はぁ......

 

「全く、あんたもいい大人でしょうが。またPTAに怒られますよ」

「そ、それもそうだな......」

「オ、オエェェェェ......」

「おい神楽テンメッ!どこで吐いてんだ!!」

「えぇ...だって銀ちゃんが吐けって」

 

神楽のゲロが銀さんのブーツに当たったからキレだしたようだ。この人は自分のことを棚に上げてまぁ......と思っていると

 

「てぇい!まだ捕まるわけにはいかないんでい!!」

「......?」

 

誰かが手錠をつけ、囚人服で警察署の塀に飛び乗っていた。おそらく脱獄囚であろう白髪の老人は俺たちに飛びかかろうとしたのだが......

 

「のわっ!?なんだこれクッサ!!めちゃくちゃ臭い!!」

 

神楽のゲロで滑って転んだ。おいおい、大丈夫かよ......

すると銀さんがその白髪の老人に聞く

 

「おい大丈夫かよジーサン」

「悪いがまだワシは捕まるわけにはイカン。許せよッ!」

 

そう言うと突然老人は銀さんを手錠の鎖で自分と括り付けた。その直後に

 

「貴様!いい加減に観念しろッ!!また刑期が伸びるぞ!!またお上に逆らう気か!!」

「うるさい!ワシは今日命に代えても行かなければならないところがあるんじゃい!!」

 

警官が俺たちを取り囲んだ。俺たちも銀さんを人質にされているので戦闘態勢に———

 

「八幡、神楽。下がれ」

 

入らなかった。銀さんが制止したのだ。そしてそのまま老人は少しずつ下がる。俺たちも来るよう言われたので着いて行く。するとそこにあったのは天人の介入により空中浮遊が可能となったパトカーがあった。老人はそこに乗るように促した。

 

「おい天然パーマ。運転はできるか?」

「へいへい」

 

そして銀さんに運転を命じて発車する。すると銀さんが老人に聞いた。

 

「おいジーサン。あんた何で脱獄なんかしたんだ?」

「あん?さっきも言った通り今日特別な日なんだよ」

 

すると後ろからパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。

 

「お、おい!飛ばしてくれ!!」

「あいよ!ブーストオン!!」

 

そういうと銀さんは後ろからの追手から逃れるためにアクセルを踏み込んだ。

そして銀さんの荒々しい運転は......

 

「今日新装開店したメイド喫茶で~す♪寄っていきませんか?ご主人様♪」

「も、萌え......」

「どけいっ!!」

 

歩行者天国を通り、パトカーの追走を妨げる......っていやいや

 

「危ないでしょ、もう少しで轢くところでしたよ」

「大丈夫だ!俺の運転テクを舐めるなよっ!」

 

いやそれでも危ないって......って神楽は何でこんな状況で寝てられんだよ。

 

『~交差点を封鎖しろ!そこで止めるんだ!』

「あ、銀さん!前にパトカーが!!」

 

封鎖の指示があったようで、目の前の道が横向きのパトカーでふさがっている。前にもパトカー、後ろにもパトカーで詰んでいそうな状況だ。しかし......

 

「こんなもん朝飯前よっ!!」

 

銀さんはギリギリまで粘ってからドリフトで一気に曲がり、パトカーを躱した。そして後ろのパトカーは曲がり切れず前のパトカーと衝突する。だが俺たちの曲がった先も......

 

「おい天然パーマ!前はビルだぞ!!」

「まぁ任せとけって!!」

 

そびえたつビル、そして先程後ろの方に居て曲がり切ったパトカーに囲まれる。

 

「銀さん!」

「焦るな......ここだっ!!」

 

銀さんはギアを一気にF(フライ)まで入れてタイヤを収納し飛んだ。

 

「やったな!振り切ったぞ!!」

「俺のドラテク見たか!!」

 

そう喜ぶ二人だが......

 

「銀さん、後ろです」

「は?なぁ!!」

 

まだまだ増えた20台ほどのパトカーが飛行しながら追ってきた。

 

「ちぃ!私もニュータイプのはずだ......!」

「それ今ですか?」

 

上を飛ぶ飛行船の間を見極めて、縦になったり横になったりしながらパトカーを振り切りビルを超えたところで大きめの艇の陰に隠れてパトカーの群れをやり過ごした。そしてなるべくそこから離れたところに着地した。

すると誰からかは分からんが、振り切った爽快さから笑い出した。

 

「アッハッハッハ!やりやがった!!」

「ハハハハハ!!」

「はっはっはっ......あれ、前の」

 

しかしそのせいで誰も前を見ておらず、前にベビーカーを押した子連れの帯刀した狼の天人がいるのに気づかなかった。

 

「「こ、子連れ......!!!」」

 

それを躱そうと銀さんはハンドルを切って、予定調和かのように道にあった電柱にぶつかりパトカーは横転する。

 

「チャーン!」

「われら親子、冥府魔道に生きるもの。先を急ぎますゆえ、これにてご免」

「あのクソ狼が...車は急に止まれねぇって習わなかったのか!」

 

俺たちは何とかパトカーから這い出し、銀さんは狼の天人に悪態をつく.

俺と老人はいまだに眠る神楽を車から引きずり出した。

 

「スース―......」

「いい加減起きろよ......夜兎ってみんなこんななの......?」

「いたぞ!必ず捕まえろ!」

「しまった!」

 

一度逃げ切ったと思っていたが、事故の騒ぎにより警官たちが嗅ぎつけてきた。

 

「こっちだ、着いてこい」

「はい」

「お、おう」

 

銀さんが路地裏を指さしたので神楽を担いで着いて行く。

 

 

「クソっ、どこ行きやがった!?」

「探せ!遠くには行ってないはずだ!!」

 

 

俺たちは銀さんの案内で下水管に入り、老人の目的地を目指して走っていた。

 

「おい、もういい加減に起きろよ神楽!」

「う、ううん......クサッ!ううん......クサッ!」

 

どうでもいいけど人の背中の上でクサッ!っていうのやめてくんない神楽ちゃん?なんか加齢臭でてんのかって不安になるから。

すると老人が聞いてきた。

 

「なぜ俺に手を貸すんだ!おかしいじゃねーか、お前らは巻き込まれただけなのに!それなのに......」

「俺はよぉ、あいつらが嫌いってのもあるが......」

 

銀さんは一拍ためて言った。

 

「見届けたいのかもしれねぇな、あんたの言う特別な日ってやつを」

「へっ」

 

老人は銀さんの言葉を聞くとそう笑った。

 

「もうすぐ目的地だ!急ぐぞ!!」

「「おう!」」

 

あの老人の目。あれは本当に大切なことをしようとしているんだろう。銀さんはそれに協力したかったのではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

鳴り響く音楽。きらめくステージ。そして......

 

「みんな~!今日はお通のデビューライブに来てくれてありがとうきびうんこー!!!」

「「「「「「とうきびうんこー!!!」」」」」

 

青いはっぴを着て意味の分からない言葉にレスポンスするオタク軍団、一人馬鹿みたいにでかいのいるけど人形か?後ろのお客さん見れねぇじゃねーか。最後に

 

「「とうきびうんこー!!!!!!」」

 

それに負けないほど元気に腕をぶん回しながら返事をする脱獄ジジイとバカチャイナ......

 

「今日は!浮世のことなんか忘れてたのしんでいってネクロマンサー!!」

「「「「「「「ネクロマンサー!!!!!!」」」」」」」

「じゃあ一曲目!お前の父ちゃん✕✕(チョメチョメ)!楽しんで行って下さインドメタシン!!」

「「「「「インドメタシン!!!!」」」」」

 

そして✕✕(チョメチョメ)から始まる歌詞はもうヤバイ、何がヤバイってもう会場の空気がヤバイ。

 

「おい、なんだこれは」

 

空気に耐えきれず銀さんがジジイ(もうこれでいいや)に聞く。

 

「今巷で人気沸騰中のアイドル、寺門お通ちゃんの初ライブだ。」

「人生舐めとんのかァァァァ!!!」

「その程度のことで脱獄したんか!?」

「グアァァ!!」

 

その理由に銀さんと二人でジジイの脳天に踵落としをくらわす。この野郎......

 

「お前、アイドルのライブなんかで人生棒に振るんじゃねーよ!!」

「一時の享楽でそんなことするから牢屋に入れられたんじゃないのか?」

 

俺たちの言葉にジジイがやけに決め顔で返す。

 

「ふっ、人生を棒に振った俺だからこそ本当に人生に大事なことがわかるのさ......さぁ!楽しむぞ!!L・O・V・E・お・つ・う!!L・O・V・E・お・つ・う!!......」

「神楽、八幡帰るぞ。」

「はい、神楽帰るぞ」

 

もうくだらないので神楽にも帰ろうと促す。すると......

 

「え~もうちょっと居たインキンタマシ」

「影響されてんじゃねぇ」

 

割と楽しかったようだ......しかしこの空間、騒がしいな。それに体感温度外より2℃くらい高いし......なんか臭いし。と、そそくさと帰ろうとすると......

 

「「「「「L・O・V・E・お・つ・う!!L・O・V・E・お・つ・う!!」」」」」」

「声が小さい!!オラそこ!!ボケッとすんな!!!!」

「すいません隊長!」

 

知ってる奴がいた......えぇ...あいつメガネだけじゃキャラが弱いからってこれはねぇよ......

 

「おい、新八。お前はいつから隊長になったんだ?」

「俺は生まれた時からお通ちゃん親衛隊隊長だ......って銀さん!?」

 

あまりの情けなさに涙が出てくる......そこは貫き通せよ............

 

「お前がまさかこんな軟弱なモンに傾倒してるなんて......俺はお妙になんて言えばいいんだよ......」

「新八、俺たちも甘味に傾倒してる分強いことは言えないが......せめてアレ、町娘とか相手に騒いだ方が良いぞ?」

「いや別にガキじゃねーから!自分のことぐらい自分で決められるワイ!!あと八幡さんは逆に傷つくんでやめてもらっていいですか?」

 

俺たちのアドバイスを聞かず応援を続ける新八。これが新八の大事な用事かよ......

俺たちがうだうだやっていると妙齢の女性の声が聞こえてきた。

 

「あなたたち!ライブ中に立ち歩くのなら帰っていただけるかしら?」

「あ、すいませんマネージャーさん!僕が締め出しておくんで!!」

「親衛隊の方?よろしくね。」

 

どうやら寺門お通のマネージャーだったようだ。その人は見周りを続けようとしたのだがある一点で視線が止まった。

 

「あ、あなた......!!」

「ん?」

 

どうやらあのジジイはただのアイドルファンってわけじゃなさそうだな......

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどな......」

 

話をまとめるとどうやらあのジジイは寺門お通の実の父親だったようだ。そしてマネージャーは母親。寺門お通は父に対する質問が上がるたびに落ち込むらしく、父が犯罪者とはいえないので捕まった13年前に死んだことにしてあるそうだ。そして

 

「もう二度とお通の前にその顔を見せないで頂戴」

「............」

 

締め出されたってわけだ。俺と銀さん、そしてジジイはベンチに座って黄昏ていた。ちなみに神楽はライブ会場に戻って楽しんでいる。

 

「とうきびうんこ~!!!」

 

 

銀さんがジジイに切り出す。

 

「ガム食べる?」

「んなガキみたいなもん食えるか!」

「八幡は?」

「貰います」

 

あ、これハッカ味のフーセンガムだ。普通に上手い。銀さんはガムを膨らませてわり、口の周りにべとぉと張り付かせた。うわぁ......

 

「人生上手く生きるコツは童心を忘れないことだぜ?な、八幡」

「ええ。まぁ、娘の晴れ舞台の、クチャクチャ、為に脱獄、クチャクチャ、するなんて子供みたいなことしてますけどね、クチャクチャ」

「へっ......そんなんじゃねーよ」

 

そう言うとジジイは遠くを見つめた。

 

『ア↑~イ↓~ド↓~ル↑~ニ→、ナ↑~リ↓~タ↓~イ~→』

『へっ、お通。やっぱりお前は俺の子供だな!とんでもねぇ音痴だ!!』

 

まだ寺門お通小さかったころ、しゃもじをマイクにしてのライブを老人は愉快そうに聞いていた。

 

『おめぇに歌手は無理だ!お前になれるんだったらキリギリスにもなれるわ!』

『うっさいわボケ!なるって言ったらなるんだよ!!』

『はっはっはっ!面白れぇ!ならお前が歌手になったら俺がいの一番に百万本のバラもって行ってやるわ!!』

『い、言ったね!絶対だかんな!』

『ああ、約束だ......』

 

その約束は.....

 

 

「覚えてるわけねーよな。13年も前の話だ」

 

そんな過去があったのか......と俺と銀さんも同時に風船ガムを膨らませる。

 

「それに覚えてても思い出したくねぇよな......人を殺めちまった親父のことなんざ」

 

俺たちの風船ガムは思いの外膨らみ......顔の大きさを超えたぐらいで割れた。うわぁベトベトする!つーか息が出来ねぇ!!

 

「俺もう帰るわ。バラも買い忘れちまったし......迷惑かけたな」

 

い、息が出来ねぇ......と必死になって風船ガムを剝がす。すると......

 

「銀ちゃん!八幡!大変だヨ!!お客さんの一人が暴れだしてパダンファッショんう」

「普通にしゃべれ」

 

何を言っているのか分からなかったので銀さんが神楽の頬をつまむ。

 

「あ、あのですね。お客さんの一人に天人がいたみたいで。それが質の悪いことに“食恋族”興奮すると好きな異性を捕食するという変態天人なんですよ。」

 

いや標準語喋れたのかよ。

 

 

 

 

 

「も、モウガマンデキネェ!!」

「き、キャァァァァァァ!!!!!!!!」

 

やたらと大きな穏やかな間抜け面をした隊員が突如暴れだした。

 

「何事だ!!」

 

新八が聞くと、安っぽいサングラスをかけた金髪のリーゼントが焦ったように答える。

 

「た、隊長!隊員ナンバー49が暴走しました!」

「あれも隊員だったのか......マスコット人形かと思ってた......」

 

その暴走を止めようと親衛隊も木刀を持って立ち向かうが......

 

「「「「「やめろぉ!!」」」」」

「オツウチャン!!!」

「「「「「グアァァ!!!!!!」」」」」

 

あっけなく張り手でやられてしまう。そして隊服である腹の包帯をちぎり、腹が割れてそこが口になり触手が何本も出てきた。

 

「い、いやぁぁぁぁ!!!!」

「お通!!」

 

そしてお通に向けて大きな手が振るわれる。その衝撃を想像してお通は目を閉じて母親はお通を庇う。しかし......

 

「おぉりゃ!!」

「え............?」

 

正体を隠すためにレジ袋を被った父親が二人を庇いその手を受け止めた。だが天人も負けじと触手を振り回す。

 

「ジャマインスイーパー!!」

「のわぁ!!」

 

そしてその衝撃で父親は壁に打ち付けられてしまい、意識が遠くなる。

 

「行くぞ!僕らもお通ちゃんを守るんだ!!!」

 

負けじと新八も木刀を持ち、親衛隊を率いて立ち向かう。しかし所詮はオタクの軍勢、非力なので当たり負けする。

そして一人残った新八ににじり寄る。

 

「う、うわぁ......!」

 

うろたえる新八。しかしそこに

 

「ホアタァ!!」

「か、神楽ちゃん!!」

 

神楽が飛び蹴りをくらわせる。それでも負けじと触手を伸ばすが......

 

「イイカゲンシツコインドカレー!!」

「それはこっちのセリフだイニングキッチン!!」

「公共の場でこんなことをするとはいい度胸だ南斗神拳」

 

銀時と八幡がそれを切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

たく......無理しやがって。いい年だろ?

 

「クルナイトコード!!」

「観念しロイド・キャロル!!」

「これで終わりだい爆発!!」

 

俺たちは二人で触手を斬り切る。

そして天人に肉薄する。しかし

 

「おわっ!!」

「......!」

 

その触手は瞬時に再生した。俺たちは体勢を立て直しもう一度反撃しようと

 

「待った!!」

 

したのだが新八の並々ならぬ気迫で一歩引いた。そして新八は......

 

「お通ちゃんは僕が守ルパン三世!!」

「グワァ!!」

 

脳天に木刀を叩き込み、天人を昏倒させた。

 

「あんた!なんて無茶してんだい!!」

「だ、大丈夫ですか!?」

 

如何やらジジイも目が覚めたようだ。銀さんはジジイに近づき......

 

「百万本にはちとたりねぇが......これで勘弁してくれや」

「な、お前ら......!」

 

先程摘んだ四本のタンポポの花束を渡した。あの様子ならもう大丈夫だろ......

 

 

 

 

 

 

天然パーマ......いや銀時から貰ったタンポポの安っぽい花束を見つめて考える。

覚えているかどうか、だと?そんなもん関係あるか。俺が約束を果たせばいいんだ。

俺はお通にずいっと花束を渡す。

 

「こんなもんしかねぇが、頑張ってくれよ」

「え......?」

 

これでよかったんだ。こんな人殺しの親父のことなんざ忘れた方が幸せに決まってる、俺も刑務所で残りの人生を全う———

 

「待って!!......今度は、ちゃんとバラもってきてよ!お父ちゃん!!」

 

お通......覚えてやがったのか......

俺はおぼつかない足で会場から出る。すると......

 

「涙のお別れは済んだのかい?」

 

銀時が柱にもたれかかって待っていやがった。確かに目頭も厚い、鼻に水分を感じる。だが違う。

 

「そんなんじゃねーよ。また......会いに来るさ」

 

これは、別れなんかじゃねぇ

 

 

 

 

 

 

 

「あんなこともあったけど仕切り直して楽しんで行って下さインドメタシン!!」

「「「「インドメタシン!!!」」」」

 

お通はライブを再開していた。しかし......

 

「この曲は私のお父ちゃんに捧げます。聞いてください!”お前の父ちゃん✕✕(チョメチョメ)!”」

 

それはアイドルとしてではなく、一人の娘として。父親(バカ)に捧げるライブだ。

 

そしてそのバカが乗ったパトカーもライブの喧騒に包まれながら走る。

それが通り過ぎた道端には、風に揺られながらもしっかりと立っているタンポポの姿があった。

 



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ゴキブリとかの虫の生命力は異常

 

本日は銀ガイルをいったんお休みして真選組の血にまみれた日常をお届けしたいと思う。我々取材班は本日24時間密着させていただけることになったのだ。

 

「おいテメェら!!気ィ抜くんじゃねーぞ!!」

「「「「おぉ!!!」」」」

 

真選組の仕事は多岐に渡る。今ここでは......

 

「カラオケしながら革命とはいい度胸だ!全員まとめてしょっぴいてやる!!!」

 

国に巣くう攘夷志士たちの検挙を行っているところだ。今話したのは真選組の鬼の副長と恐れられる土方十四郎である。

 

「ま、まぁまぁ土方さん。カメラもいることですし............」

「おのれぇ!真選組!!幕府の犬めが!!金髪の貴様から天誅を下してやる!!!」

「......殺すぞ?」

 

いま真顔で凄んだのが十一番隊、仏の葉山隼人と呼ばれる人物である。腹黒い。

 

「はいはい、こんなところ撮らない!!」

 

あ!ちょ、まっ!!

カメラを押さえつけられてしまい我々は情報を伝えるすべをなくしてしまった......

 

 

そしてその後血で血を洗う(放送禁止)戦いの末、攘夷志士を壊滅させ、土方はパトカーに寄っかかりタバコを吸っていた。そのパトカーの上にはテレビ撮影用の近藤のパネルがあった。すると部下の一人で隊長である原田が聞いた。

 

「あれ?今日は近藤局長いないんですか?」

 

すると土方はふぅ...と煙を吐いて

 

「馬鹿野郎、あの人は奥ゆかしいんだよ俺らと違って。今はどうせ幕府のおえらさん方とこの国の未来のことについて語ってんだろうよ」

「おお!流石局長!!!」

 

 

 

 

 

そしてその頃、局長は......

 

「はぁ......」

「あら?どうなされたんですかお侍さん」

 

キャバクラでため息をついていた。

そして今聞いたのは新八の実の姉である志村妙である。彼女は新八と同じく父の道場の復興という目標のもとに働いている。

 

「どーせ俺なんか、ケツ毛ボーボーだし女にモテるわけないんだよ」

「そんなことありませんよ。男らしくて素敵じゃありませんか」

 

そう自分を卑下する近藤にお妙がキャバ嬢特有の慰めをかける。

しかしそれでも乗ってこない面倒な客“近藤勲”はお妙に質問してきた。

 

「じゃあ聞くけどさ、もしもお妙さんの彼氏がさ......」

「......ん?」

 

そこまで言って近藤が一度止めたのでお妙は聞き返す。すると近藤は決心したかのように言った。

 

「ケツが毛だるまだったらどうするよ?」

 

お妙は近藤のグラスに氷を入れながらさも当然のように答えた。

 

「ケツ毛ごと愛します」

「......!?」

 

その全ての不浄をも包み込むお妙の包容力、そしてその魅力を肌で感じ.....

 

「ケツ......ケッ、ケツコンしてください!!」

「え!?」

 

 

 

 

「ストーカー......?」

「はい!ここに居る僕の姉上である志村妙が何ゴリラかにストーカーされてるんです!!」

 

新八は語気を強めてそう言った。今俺たちは近所のデカ盛りチャレンジメニューのあるラーメン屋に来ていた。金は持ってきていないが神楽がいれば何とかなる。いやホント、この子めちゃくちゃ食う!マジで死ぬほど飯を食う!!俺の宇宙中を渡って手に入れた賞金もすべて尽きたし、銀さん(保護者)がいるから働きたくないしでまた金欠である。

 

そして奴の話を聞くと相手は志村姉に求婚してきたらしい。

そこで一つ疑問が出た。

 

「なんで志村姉はその求婚受けなかったんだ?」

「いや~お恥ずかしいんですがいきなり飛びかかられたので反射的に殴ちゃったんですよ。あ、私のことはお妙でいいですよ八幡さん」

 

え~何この子怖い......俺より一つか二つしたらしいけど怖い......超バイオレンスなんだけど......

 

「で?普通そこまでされたらもう離れると思うんだがどうしてそのストーカーは志村姉に着いて行くんだ?つーか新八が何ゴリラとか行ってたけどそいつ人間なのか?」

「それで終わればよかったんですけど......毎朝起きて外を見ると......」

 

『お妙さーん!!俺と結婚してくれー!!一度や二度振られたくらいじゃ俺は倒れんよ!!女はさぁ!!愛するより愛される方が幸せなんだよ~って母ちゃんが言ってた!!!』

 

「とかいう赤いはっぴを着た方が電柱によじ登っていて......生前父上が使っていた灰皿で撃退したんだけど、その後も......

 

商店街にて......お妙が“料理は僕がするんで!姉上は買い物だけしていてください!!”と言われ渋々かぼちゃを買おうとすると......

 

『お妙さん、僕と一山付き合って?』

『一山付き合えってどういう意味じゃああああああああ!!!』

『グアァァ!!』

 

その帰り道、通った公園で......

 

『......?』

 

お妙が転がってきたテニスボールを拾うとそこには

 

“好きです、コンドーイサオ”

 

と書いてあり、それを見て固まっていると......

 

『お妙さん!こう見えても僕は実はスポーツマンでね!趣味はテニスとスキューバダイビングかな?キラッ』

 

ゴーグルをつけて赤フン一丁、そこにテニスラケットを持った紛れもない変態の姿があった。それを聞くとお妙はテニスボールを握りつぶし

 

『どっちかにしろや!この...ド変態がぁ!!!』

『グボアァ!!』

 

近藤を蹴り飛ばした。

 

そんなこともあって困ってるんです~...私はお妙でいいですよ八幡さん」

 

えぇ.....ヤバい奴じゃん。その解決を俺たちに依頼すんの?正直関わりたくないんだけどそいつにも志村姉にも......はぁ......

 

「という訳らしいです銀さん」

「という訳じゃねーよコノヤロー」

 

は......?すると銀さんは言い出した。

 

「もうこの小説始まって何文字経ってると思ってんだ?こんなに経つまで主人公の俺に」

 

くだらない感じだから神楽の現状をお伝えしようと思う。神楽は今さっきも言ったがチャレンジメニューに挑戦している。いつも通り女子とは思えない食べっぷりだ。

 

「出番がねーってのは問題じゃねーのか!?」

「うぉ!」

 

ちょ、いきなり視界に入らないで!!まあいいや、ホント収集付かなくなるから何分経ってんのかあの店員を見て......

 

「2216字」

 

え!?何あれ!?文字数数えてんの!??

 

「これ銀ガイルだろ!?あ!?え!?どうよ!」

 

俺は銀さんが視界に入らないように動くが......銀さんはそれに合わせて動く。めんどくさっ!この人めんどくさっ!!

 

「俺が出なくて何が銀ガイルだよ!!銀の要素はどこに行くんだよ!!」

「いや、一応今日の小説のシリーズ名“密着!真選組二十四時!”ですしこの小説の主人公八幡さんですよ?」

 

いや、新八がそういうけどまぁ......確かに俺が主人公だしな。つーかこの作者が書く小説なんてほぼ主人公俺だし。って、え!?シリーズ名変わったの!?

 

「何それ!?聞いてないよ!!?しかも八幡はガイルの部分の主人公ですぅ!!銀の部分の主人公は俺ですぅ!!ってそういえばまだ銀ガイルのOPかけてねーじゃん!あぶねーあぶねーコレ銀ガイルだから!!俺、主役だからァ!!」

 

この小説、つーか小説にOPなんてあったっけ?

 

 

 

 

 

「テメェは何をしとんのじゃァ!!」

「サカグチっ!!」

 

銀さんが新八にテーブルへゴンッと叩きつけられる。完全版はpixivで!

 

「アンタねぇ!?アニメ製作スタッフにアーティストに原作ファン!どれだけ多くの人に喧嘩売るつもりですか!!」

「いやこれやれって言ったの作者だから!作者だから!」

 

はぁ......進みそうにないな......

 

「で?志村姉のすt」

「ヌン!!」

「!!??」

 

ストーカー対策はどうしますか?と言おうとしたら当の本人にテーブルにたたきつけられた。なんで!?

 

「おいテメェ......お妙って呼べっつったよなぁ?志村姉って言われると私がこのメガネの付属品みたいじゃねーか。アァ!?」

「あ、いや、あの......」

「やめろぉ(↑)!八幡をいじめるなぁ(↑)!こいつはシャイなんだよ!!アレだからね?子供の時も俺と先生以外の奴ら名前呼びにできなかったからね?新八と神楽を名前呼びするのも鏡の前で千回くらい練習してきたんだからね!」

「死にたい......」

 

マジ、なんでそんなこと知ってんの?神楽の“案外かわいいトコもあるアルナ八幡”っていう感じの視線がむず痒いんだけど......

 

「ちょっとふざけてないでちゃんとやりましょうよ銀さん、八幡さん。今度こそ主人公取られちゃいますよ」

「よぉし、町の治安を乱すストーカー退治だ。気合を入れろ八幡。どこだぁ!ストーカー野郎!成敗してくれるわァ!!」

「えぇ......」

 

“主人公”という言葉で急にやる気になる銀さん。あんたそれでいいのかよ......

すると突然近くの机の下からそこで食べていた客を押しのけて一人の男が現れた。

 

「何だと!?やれるもんならやってみやがれ!!」

「ストーカーと呼ばれて出てくるとは馬鹿な野郎だ。己がストーカーであることを認めたか?」

 

そう問う銀さんに男はやけに余裕のある表情で言った。

 

「ふっ、人間はみな恋をすることで馬鹿になる生き物なのさ」

「気持ち悪......」

「ちょ、ストレートにそれは傷つくんだけど......」

 

あ!やべ、口に出ちゃってたか?悪い癖だな。(俺ガイルSSのテンプレ)

 

「と、ところで貴様、先ほどからお妙さんと親しげに話しているが何者だ?銀髪パーマ」

「夫です。私たち婚約しているんです」

「え?」

 

銀さんが寝耳に水といった感じである。いや察し悪、多分この作戦は“もう彼氏いるので無理デース”に持っていく感じだろう。だがこの手の奴は......

 

「......な、なんだと!だが俺はあきらめない!!銀髪パーマ!!俺はお前に決闘を申し込む!!河川敷に来い!!」

「......ああ」

 

諦めが悪いからな......銀さんはどうするつもりなのか............

 

 

 

 

 

 

俺たちは橋の上で銀さんが来るのを待っていた。銀さんはさっき

 

『トイレ行ってくるわ』

 

と言って行ってしまった。何やってんだあの人は......

そして近藤勲というらしいそのストーカーを見て志村姉が言った。

 

「銀さん大丈夫かしら?決闘を前にしてあの落ち着きよう......多分強い」

「姉御、大丈夫ですぜ。いざとなれば私がコレで......」

「殺さん程度にな」

 

やべぇ...決闘にゴリゴリ増援入れる気だ......まぁあの人ならそれもいらんだろ正攻法で勝てるしやるとしたらもっと卑怯な手——と思っていたのだが。

 

「銀さん......来ないですね」

 

一時間たっても銀さんは来なかった。なんだ?相当長くないか?どんだけでけぇうんこ出してんだよ。まあ、そろそろ来るだろ

 

 

 

二時間後

 

「おいありゃ何やってんだい?」

「決闘らしいぜ。燃えるよなぁ!」

「おお!決闘!!」

 

決闘のうわさを聞いて多くの町民が集まってきたが

 

「銀ちゃん来ないアル」

「そうだな......」

 

 

 

そして日も暮れだした頃......

 

「あっ!誰か来た!」

 

その言葉で俺たちは暇すぎてやっていた“宇野”をやめてそちらを見た。

相手が真剣を持っている中、銀さんは自慢の木刀を引っ提げて歩く。

 

「おい天パ!貴様決闘に木刀など舐めているのか!?」

「俺はもう命を背負うのは御免なんでね。こんなことの為に命を捨てる気も奪う気もねぇ」

 

それをとがめるストーカーに向けて銀さんが木刀を向ける。するとストーカーも笑い出した。

 

「はっはっはっ!漢だな貴様!!いいだろう!!オイ義弟!!君の持っている木刀を俺に渡せ!!」

「義弟じゃねー!!!」

「お前には俺のこの“洞爺湖”を渡してやるよ」

 

そう言って銀さんは木刀を投げ、自分は新八から受け取った。って、あの悪い顔はまさか......いやさすがにあの人は俺と違ってジャンプ主人公だしやらんだろ......やらないよね?

銀さんは真剣な表情のまま言った。

 

「悪いがお前が勝ってもお妙はやれねぇ。だがその代わりに、俺の命をやる。邪魔な俺がいなくなればお前も思う存分あいつを口説けんだろ」

「ぎ、銀さん.....!自分を犠牲にして私を庇って......」

 

“私のために”といった感じで志村姉が言う。だが二人の男は止まらない。

 

「行くぞストーカーァァァァ!!!!」

「天パ覚悟ッ!!!ってあれ?」

「まじでやりやがった......」

 

と思いきや、ストーカーの使っている木刀が根元からぼっきりと折れ銀さんはストーカーの脳天に一撃を叩きこんだ。

 

「ハッハッハッ!!見事に引っ掛かりやがった!!俺は木刀を必死に削ってたんだよ!ぶん回すだけで折れるくらいにな!!」

 

うわぁ......もう表情と言動が完全に悪役だよ。しかも〇神ライトみたいな天才じゃなくてバ〇―レベルだよ......その主人公に耐えきれなくなったのか。

 

「クギュ!」

「まさかここまでのクズとは思わなかったアル。もう二度と私の前に現れないで」

「僕も今日限りでやめさせていただきます。今までお世話になりました!」

 

神楽が銀さんをぶん殴った。あーあー......銀さん悪い人じゃねーんだけどな......

すると隣で志村姉が言った。

 

「結局銀さんが一番泥被る感じになっちゃいましたね」

「まああんなもんだぞあの人は」

 

大体損な役回りは押し付ける人がいないと銀さんに行くからな......

 

「ちょ、まっ新八ィィィィィ!神楽ァァァァァ!!」

 

その情けのない声は江戸中に響き渡った。

 

 

 

 

 

真選組の仕事は多岐にわたる。今も土方十四郎は市中見回りをしていた。

すると橋に多くの人が集まっていたのでその中の一人に聞いた。

 

「おい、何かあったのか?」

「おお!真選組の!いや、今女をめぐって決闘騒ぎがあってな。銀髪の侍がもう片方をそれはもう鮮やかに倒したんだよ」

「今時分に女をめぐって決闘なんざくだらねぇことやって......近藤さん?」

「え?あの倒れてんの真選組の近藤局長なの?」

 

橋の下を見ると確かに近藤勲が伸びていた。だが......

 

「い、いやあんな間抜け面が真選組局長なワケねーだろーが!!」

「あんた自分で言ったじゃん!!」

 

自分たちの組織のリーダーがやられたことを広めるわけにもいかず否定する。

 

(銀髪の侍だァ?何モンだそいつは......)



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