織田信奈の野望~うつけ姫の弟~ (ホークス馬鹿)
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人物設定

人物設定です。


・織田信忠

 

 

本作の主人公で、幼名は奇妙丸。通称は勘九郎。織田信秀の息子であり、信奈とは双子の弟である。

容姿端麗で、背丈もそれなりにある。

信奈からは「信忠」だが、時々「勘九郎」と呼ばれる時もあり、信勝からは「兄上」と呼ばれている。

文武に優れた麒麟児であり、中でも武は飛び抜けて優れており、柴田勝家でも勝てない程である。将兵の統率にも長け、彼の子飼いの兵は随一の精強さと結束力を誇る。

また、身分の低い足軽達と共に苦労を分かち合ったり、領民や家臣にも丁寧に接するため、非常に人望が厚い。そのため信秀の死後、織田家の後継者として声が上がった程である。

姉の信奈とは非常に仲が良く、信奈自身も全幅の信頼を置いており、自身にもしもの事あれば彼に従うべきと伝えてるほどである。

得物は主に刀であり、「星切」という銘であり、鞘には尻鞘がついている。その他にも弓の名手であり、小型の虫を射抜くほどの名手である。

 

・森可成

 

信忠の家臣であり、信忠四天王の一人である。元々は美濃の土岐氏に仕えていたが、紆余曲折あって今は信忠に仕えている。通称は三左衛門だが、「三左」の愛称で呼ばれている。信忠と信奈が幼少の頃から織田家に仕えているため、「爺」と呼ばれるときもあり、自身も信忠のことを「若」、信奈には「姫様」と呼ぶときがある。十文字槍の使い手で武勇の誉れ高く、「攻めの三左」の異名を誇る。軍事だけでなく政務にも大きく関わっているため、信忠の家臣団では筆頭家老の地位である。

 

・森長可

 

森可成の娘であり、信忠の家臣である。通称は勝蔵。信忠四天王の一人で父同様に槍術に優れており、数多くの武功を挙げ、「鬼武蔵」の異名で敵に恐れられている。しかし、気性の激しい人物であるため、諍いが絶えないときがあるが、信忠の命令には従っている。得物である槍は父同様十文字槍であり、「人間無骨」という銘である。妹に蘭丸がおり、彼女は信奈に仕えている。

 

・柴田勝家

 

信忠四天王の一人であり、通称は「権六」だが、「六」というあだ名で呼ばれている。元は信勝の家臣であったが、紆余曲折あって現在は信忠に仕え、森可成に次いで信忠の二番家老となった。しかし、彼女は信忠に対して主君としてだけでなく、一人の男として見ていたため、現在信忠とは公私共に認められる男女の関係になっている。血気盛んな猛将であり、「鬼柴田」の異名を持つ程であるが、頭脳も長けており、軍事だけでなく、政においても信忠に助言が出来る程である。

 

・河尻秀隆

 

信忠の家臣であり、信忠四天王の一人である。通称は与四郎。小豆坂の戦いで手柄を挙げ、それを見た信忠がすぐに直臣にした。信忠の信頼篤く、彼女本人も信忠に絶対の忠誠を誓っており、信奈の命令に従わないほどである。




投稿できました。

この作品は、完全な思いつきです。アニメは見たことあるけど、原作は持ってなかった・・・。

少し読んで見ます・・・。

勝家の設定ですが、原作やアニメだと頭悪いキャラですが、史実の勝家は領国経営に長けているという記録があるため、それに沿って設定しました。

では、また!!


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1話

1話です。


時は戦国。群雄割拠する武将達は戦いに明け暮れておりました。

お家騒動など起こせば、たちまち他国の餌食。そこで初めて生まれた子が、女であろうと家を継ぐと決められたのです。その結果、誕生したのが姫武将達なのです。

そして、その戦乱の最中、後に天下に号令を掛けたのが、尾張の織田信奈。その信奈が最も信頼をおいていた弟がいました。

 

 

 

 

ここは戦場、ここに一人の少年が彷徨っていました。その少年は相良良晴と申し、先程木下藤吉郎という一人の足軽と一緒に戦場を走っていましたが、藤吉郎に一発の流れ弾が当たり、死んでしまったのです。藤吉郎の名を知った良晴は慌て、事態を上手く飲み込めなかったが、

 

良晴「そうかー、夢だよ夢!俺、『織田信長公の野望』の大ファンだから、ゲームやってる途中でうたた寝しちまって・・・」

 

そう言って現実逃避をしていたがその時、一騎の騎馬武者が現れた。その騎馬武者は、

 

良晴「お、女の子?」

 

であり、西洋の鎧と、派手な赤いマントも着込まれていた金髪の美少女であった。すると、一人の騎馬武者に馬をやられたが、その騎馬武者には、太刀を抜いて斬り捨てた。しかし、新手の武者が現れ太刀を交えるが、折れてしまい、絶体絶命のピンチを迎えた。

 

武者A「御首頂戴つかまつる!」

 

それを見た良晴は、

 

良晴「ちょっと待ったぁー!!」

 

と言い、その少女の前に立った。

 

良晴「美少女に何てコトしやがる!もったいねーだろうが!」

 

これには、後ろの少女は呆れてしまった。

 

武者A「ふん、貴様も織田の兵か?丸腰でどうするつもりじゃ?」

 

これには、

 

良晴(マズイ・・・、何も考えてなかった・・・。)

 

と焦ってしまった。

 

武者B「さっさと片付けろ!」

 

武者A「承知!」

 

良晴(何でも良い!何とかしねーと・・・)

 

すると懐にスマホがあったので、それを取り出して、あるメロディを出した。

 

武者A「て、敵か!?」

 

良晴「『織田信長公の野望』ダウンロード特典、『合戦ボイス』!!」

 

武者A「あの小さな箱の中に大軍勢が!?」

 

武者B「こ、こやつ、妖術使いか!?」

 

しかし、途中で電池切れになってしまったのだった。それを見た武者は、刀を振り上げ、襲いかかろうとした瞬間、一本の矢がその武者の胸元を射抜いた。矢が放った先には、白き羽織を身に纏い、ブーツと籠手を付けている美少年が弓を片手に佇んでいた。

 

武者B「き、貴様は、織田信奈の弟、織田信忠!!何故、こんな所に!!」

 

信忠「さて、どうしてだろうね。ほれ、かかってこねーのか?」

 

武者B「舐めたものを!!貴様の首、貰い受けた!!」

 

そう言って、武者は信忠に襲いかかった。それを見た良晴は、

 

良晴「た、助けねーと!!」

 

そう言って助けに向かおうとしたが、先程の少女に掴まれた。

 

良晴「なっ!離せよ!このままだとあの人が!」

 

??「いいえ、その必要は無いわ。私の弟は、あのような雑魚に負けはしないわ。」

 

良晴「えっ?」

 

良晴が少女の言葉に疑問を抱きつつ、信忠の方を見た。今にも彼の首には太刀が当たりそうであり、確実に命を散らす事になるだろう。しかし、彼の予想は外れ、

 

信忠「ふっ!」

 

武者はいつの間にか斬られていたのだった。そして、彼の腰から、カチンという音が鳴った。

 

??「見事な太刀筋ね、信忠。」

 

信忠「恐れ入ります、姉上。」

 

すると、

 

??「信忠様ー!!姫様ー!!」

 

??「若ー!!姫ー!!」

 

一人の女武者と老武者が現れた。

 

??「信忠様、姫様、ご無事ですか?」

 

信忠「俺は大丈夫だ。」

 

??「私もよ。」

 

信忠「六、三左、このまま一気に今川を追い払え!それと、勝蔵と与四郎にも参戦させておけ。」

 

??「ご安心を。そう申されるであろうと、既に二人には伝えております。」

 

??「娘は既に、今川兵を討ち取っておりましょう。」

 

信忠「そうか。では、頼んだぞ。」

 

??「ははっ!」

 

??「承知!!」

 

そう言って、その女武者と老武者は部下を率いて駆け抜けていった。

 

信忠「ところで、お前は何者だ?見たこともない奇妙な格好をしているし、この戦場のど真ん中で丸腰ときた。」

 

信忠はそう言いながら、良晴を見た。

 

??「けど、織田家当主であるこの私を助けたのだから、一応感謝するわ。」

 

良晴「当主って、織田信長じゃ?」

 

??「信長って誰よ?信忠、知ってる?」

 

信忠「いえ、俺にも。まさか、父上の隠し子では?父上、女好きでしたから。」

 

信奈「それもあり得るわね。けど、織田の当主はこの私、織田信奈よ!」

 

信忠「その弟の信忠だ。」

 

そう言って、信奈と信忠は良晴に自己紹介したのだった。

 

良晴「ええーっ!?信長じゃなくて信奈!?それに信忠って、信長の息子じゃ・・・ええーっ!?」

 

良晴は驚きのあまり大声を上げてしまったのだった。




何とか投稿できました。

相当ぐだぐだですが、お許し下さい(土下座)

では、また!!


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2話

2話です。


今川との戦の帰り道

 

 

 

 

良晴「嘘!?君が勝家!?」

 

猛将、柴田勝家。あだ名は六と申します。

 

勝家「何か文句があるのか?」

 

良晴「い、いや・・・。」

 

良晴(俺が知ってるゲームの勝家は、髭だるまのおっさんで・・・)

 

と思い、彼女のとある一点を見つめていた。

 

勝家「な、何だ貴様!私の胸をジロジロと!」

 

良晴「あー、ゴメン。あまりの巨乳でつい・・・。」

 

この発言に、

 

勝家「なっ!ぶ、無礼者!」

 

そう言って太刀を抜いた。すると、

 

信奈「止めなさい。そいつは一応、命の恩人なんだから。」

 

と信奈は止めたが、

 

勝家「し、しかし・・・!」

 

と言い勝家は太刀を収めなかった。しかし、

 

信忠「六、止めろ。」

 

信忠が近付き、頭を撫でたので、

 

勝家「は・・・はい・・・。」

 

顔を真っ赤にしながら太刀を収めたのだった。

 

可成「かっかっか!権六は相変わらず若には頭が上がらぬのう!」

 

森可成。通称三左衛門。武勇誉れ高く、「攻めの三左」の異名で呼ばれております。

 

長可「親父、権六殿のそれは今に始まった事じゃねーよ。」

 

森長可。通称勝蔵。森可成の娘で、気性の激しい人物で諍いが絶えないが、父譲りの武勇で多くの武功を挙げており、「鬼武蔵」の異名で呼ばれております。

 

秀隆「そうですよ、三左衛門殿。ホント、権六殿は殿にぞっこんなんだから。」

 

河尻秀隆。通称与四郎。元は身分の低い武士であったが、信忠に見出され、現在は信忠の直臣の一人になるほどの破格の出世をした者です。勝家、可成、長可、秀隆の四人を合わせて、信忠四天王と呼ばれております。

 

勝家「さ、三左衛門殿!!それと勝蔵、与四郎!!いい加減なことを言うな!!」

 

と勝家は更に顔を真っ赤にした。これには、

 

良晴(まさかあの織田信長が、女の子だなんて・・・。それに織田信忠がその弟・・・。何より、あの勝家の反応・・・、チクショー、羨ましいぜ・・・!)

 

良晴は驚きと嫉妬でごちゃ混ぜになっていた。

 

 

 

 

 

清洲城

 

 

 

 

戦に帰った信奈達は、早速良晴に色々尋ねてみた。その際、信奈は髪を茶筅に結い、片袖脱ぎにし、腰に巻いたわら縄に火打ち袋と瓢箪をぶら下げ、鉄砲を肩に担いでる状態であった。

 

信奈「アンタの奇妙な技、妖術じゃないのは分かるけど、アレって南蛮絡繰り?」

 

信忠「姉上は相変わらず、南蛮物が好きですね。」

 

信奈「だって気になるじゃない!」

 

信忠「あはは・・・。」

 

良晴「技?ああ、着ボイスの事か?電池切れちゃってるから、もう使えないよ。」

 

信奈「なーんだ、ちょっとは面白そうな奴かと思ったのに・・・。」

 

そう言って、信奈は頬杖を突いて、

 

信奈「で?織田に仕官したいんだって?」

 

と良晴に尋ねた。

 

良晴「是非、信長様に・・・」

 

しかし、言い終わる前に信奈に蹴飛ばされたのだった。

 

信奈「何よ何なのよ!?これから仕えようっていう大将の名前を間違えるなんて、アンタ本当にバカじゃないの!?私は信奈だって言ってんでしょ!!で、アンタ名前は?」

 

良晴「うぇっ?」

 

信奈「名前よ!!私は愚図が大っ嫌いなの!!ほら、早く言う!!」

 

これには、

 

信忠「あはは・・・。」

 

信忠は苦笑いを浮かべ、勝家は若干引いていた。

 

良晴「さ・・・が・・・ふがふが・・・は・・・る!」

 

信奈「分かったわ。『サル』ね。」

 

そう言って、信奈は元の位置に戻った。これには、

 

良晴「って、相良良晴だ!未来から来た、いわば神にも・・・」

 

良晴は抗議したが、ある一言に、

 

信忠(あ、マズイ・・・。)

 

信忠は止めようとしたが僅かに遅く、良晴は信奈にまた蹴飛ばされたのだった。

 

信奈「何が未来よ!?私は神も仏も信じない!!そんな奇妙奇天烈な事言う奴は人間以下!!サル決定!!」

 

と言われたのだった。

 

信忠(あちゃー、姉上にその言葉は禁句だよ・・・。)

 

長秀「名前はサルで宜しいとして、家中に迎えるなら、何か役職が必要ですが。」

 

丹羽長秀。あだ名を万千代。織田家の参謀役にございます。

 

信忠「そうだな。姉上、どうなさいますか?」

 

信奈「そうね。踏んだ感触が良かったし、私の草履取りで良いわ。」

 

長秀「それが宜しいでしょう、七十点。」

 

信忠「ああ、何で七十点かは分かんねーが。」

 

良晴「どういう理由だ!?サルでおまけに草履取りって・・・!?」

 

しかし、秀吉の代わりを務めるのではと考え、その役職を受け入れたのだった。

 

 

 

 

 

 

駿河

 

 

 

 

 

 

義元「織田のうつけ姫を討ち漏らしたと?」

 

今川義元。東海道を支配し、最も天下に近い大大名にございます。

 

元康「も、申し訳ありません。後一歩の所で邪魔が入りまして~。」

 

松平元康。後の徳川家康ですが、この頃は今川家の一家臣に過ぎません。

 

義元「罰としてまた減封ですわね!!」

 

そう言って、鞠を元康に蹴ったのであった。・・・何でこの時代にこのようなコートが・・・。

 

元康「そんな~!今でも週に四日はお芋なんですよ~。」

 

と言って止めたのだった。その後、半蔵からの情報で、良晴を雇ったとの情報を聞いたのだった。

 

 

 

 

 

尾張

 

 

 

 

良晴は、犬千代に今後住む長屋に案内された。

 

良晴「何かぼろっちいなぁ・・・。」

 

犬千代「『住処を与えられただけでもありがく思え。』と姫の仰せ。」

 

前田利家。あだ名は犬千代。槍を使わせれば、織田家トップクラスにございます。

 

良晴「身一つで戦国時代に放り出されたんだから、贅沢は言えないけどさ。」

 

浅野氏「お気に召さなんだかな?」

 

すると、

 

犬千代「浅野の爺様。」

 

浅野氏が現れた。すると、良晴を見て、

 

浅野氏「ほお、凜々しいのう。ワシの若い頃にそっくりじゃ。娘の寧々と、長屋を継いで欲しいくらいじゃぞ。」

 

良晴「おお、是非紹介してくれ!!」

 

浅野氏「良いとも。」

 

しかし、

 

寧々「寧々にござる!サル殿、宜しゅう!」

 

良晴の予想と違って、幼女だった。

 

良晴「幼女は圏外!!却下だ!!」

 

寧々「サル殿は騒がしい方ですな!」

 

良晴「サルじゃねえ!俺は相良良晴だ!」

 

寧々「分かりましたぞ、サル殿。」

 

良晴「まあ良い。」

 

その時、何かに気付いた犬千代は、

 

犬千代「くせ者!!」

 

と言い、槍を天井に突いた。

 

すると、煙が部屋の中に充満し、それを払ったが、

 

犬千代(しまった!!)

 

良晴はいなくなってしまったのであった。

 

一方、良晴は、幼女にとある場所に連れて来られた。

 

良晴「ってえ、何なんだよもう?」

 

すると、良晴をさらった幼女は、

 

五右衛門「拙者の名は、蜂須賀五右衛門でござる。討ち死になされた木下氏に代わり、ご主君におちゅかえするといたちゅ」

 

自己紹介したのだが、途中で噛んでしまった。

 

良晴「また幼女ですか?」

 

五右衛門「失敬。拙者、長台詞が苦手故。」

 

良晴「藤吉郎のおっさんの娘とかか?」

 

五右衛門「相方にござる。木下氏が幹となり、忍びの拙者はその陰に控える宿り木となって力を合わちぇ、共に出世をはたちょう、そういう約束でごじゃった。」

 

良晴「三十文字ぐらいが限界なんだな。」

 

五右衛門「う、うるさい!」

 

しかし、帰る方法も分からない今、ここで生きていく決意をし、秀吉の代わりを務めようと誓ったのであった。




投稿できました。

何度やっても、小説は難しいですね・・・。

本当に文才が欲しい・・・。

で、では、また!!


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3話

3話です。


美濃

 

 

 

 

 

稲葉山城では、斎藤義龍が兵の訓練をしていた。

 

道三「義龍、また織田を攻める気じゃな?前回は信忠に痛い目に合うたと言うに、まだまだ青いのう・・・。」

 

美濃の大名、斎藤道三。商人から成り上がり、国を乗っ取った戦国の怪物にございます。

 

安藤守就「『尾張の虎』と言われた信秀も死に・・・」

 

氏家卜全「しかも後を継いだのは・・・」

 

道三「南蛮被れのうつけ姫か。とはいえ、彼奴には弟の信忠がおる。あの者の才は中々じゃ。前回は僅かな手勢で義龍をいなしたからのう・・・。」

 

稲葉良通「しかし、我ら美濃三人衆が加われば、さすがの信忠も・・・。」

 

道三「ワシなら逆に、誼を結ぶがのう。」

 

氏家卜全「あり得ませぬ!」

 

道三「人が思いつかぬ事をする、それが天下を狙う器というものじゃ。」

 

 

 

 

 

尾張・清洲城

 

 

 

 

信奈「美濃の蝮が会見を申し込んできたわ。」

 

信忠「ほう。」

 

良晴「蝮って、斎藤道三か!?」

 

良晴(おお、イベント発生だな!)

 

しかし、

 

長秀「しかし、美濃とは宿敵の間柄。前回、信忠様と刃を交えたばかりだというのに・・・。」

 

と長秀が懸念を言った。

 

信忠「いや、案外意外でもねーぞ。」

 

それには、

 

勝家「な、何故ですか?」

 

勝家は疑問を延べた。

 

信奈「私が組むなら、やっぱり蝮が一番だと思うのよ。」

 

信忠「ふっ、そうですね。」

 

これには、勝家と長秀は顔を合わせたのだった。すると良晴は、信奈に向かって、

 

良晴「お前、俺が未来から来たって事信じてなかったよな?」

 

そう言った。

 

信奈「だから?」

 

良晴「その証拠を見せてやるぜ。斎藤道三との会見場所は、正徳寺だ。」

 

信忠「ほう?」

 

信奈「何戯けたこと言ってんの?まだどこで会うかなんて・・・」

 

その時、

 

恒興「申し上げます。」

 

池田恒興が知らせを持ってやって来た。

 

恒興「只今美濃より、会見場所を伝えて参りました。」

 

信奈「え、ど、どこ?」

 

恒興「はっ。正徳寺にて、との事です。」

 

これには、

 

信忠「何と・・・!?」

 

勝家「馬鹿な・・・!」

 

長秀「これは驚きです。九十点。」

 

信奈「サル、どうして分かったのよ?」

 

皆驚いていた。

 

良晴「ゲーム『織田信長公の野望』をどんだけやりこんだと思ってるんだ?正徳寺の会見は、超有名イベントなんだぜ。」

 

勝家「ち・・・ちよ・・・いべ・・・?」

 

信忠「珍妙な言葉だな・・・。」

 

長秀「南蛮語でしょうか?」

 

犬千代「サル語。」

 

・・・しかし、この当時の人間には、全く伝わらないことを理解しているのだろうか、この男は・・・。

 

 

 

 

 

その道中

 

 

 

 

良晴「随分と物々しいな・・・。」

 

信奈「五百人の鉄砲隊はスゴイでしょ?とはいっても、信忠には及ばないけど・・・。蝮に見せびらかしてやろうと思ってね。」

 

良晴「・・・信忠はどれくらい所持してるんだ?」

 

信忠「俺か?姉上と同じだぞ。ただ、練度だと話は別かな。」

 

良晴「そ、そっか・・・。」

 

良晴(この世界では弟でも、さすが信忠だな。史実でも結構優秀だったし・・・。ん?そういえば道三は、会見に向かう信長を見て・・・。)

 

一方、道三達一行は、

 

光秀「いっそここで信奈と信忠を討ち取れば、尾張は斎藤家の物です。ふっふっふ。」

 

文武両道と名高い、明智十兵衛光秀。頭角を現わしてきた、若き俊英でございます。

 

道三「そう上手くいくと思うてか?」

 

光秀「勿論。準備万端です。」

 

一方信奈達一行は、

 

良晴「おい信奈!信忠!」

 

信奈「ちょっ、主君とその弟を呼び捨て?」

 

良晴「良いから鉄砲に火を入れさせろ!」

 

信忠「・・・。」

 

信奈「暴発でもしたらどうするのよ?」

 

良晴「お前んトコは下手くそばかりなのか?」

 

信忠「姉上、俺も良晴の意見に賛成です。火を入れましょう。」

 

信奈「・・・分かったわ!サル、舐めないで!」

 

そして、信奈と信忠は、鉄砲に火を入れるように命令したのだった。これには、

 

光秀「ひいいいっ!?大変です~!!」

 

と光秀は驚きのあまり望遠鏡を放りだしてしまった。

 

光秀「あ、あり得ないです!」

 

と言って、一行に指を差したのだった。そう言われた道三は、望遠鏡を使って見て見ると、

 

道三「ほう!やるのう・・・。暴発を恐れず火を付けさせるとは、よほどのうつけかあるいは・・・。」

 

と言ったのだった。そして、一行は正徳寺に着いたのであった。




投稿できました。

今回は正徳寺のイベント前のお話ですね。

あれ、少し誇張してるらしいですね・・・。

で、では、また‼︎


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4話

4話です。


正徳寺

 

 

 

 

 

道三「うーむ、遅いのう・・・。」

 

光秀「道三様、外交の席でその格好はやはりマズイです。」

 

と、光秀は道三の普段着に近い格好を諫めた。しかし、

 

道三「相手も同じじゃろう、余計な気遣いをさせぬのも、器というものよ。」

 

と返したのだった。それを聞いた良晴は、

 

良晴(ヤッパ見てたのか・・・。)

 

と思った。そして、光秀を見て、

 

良晴(にしても、隣の女の子は可愛いなぁ・・・。)

 

と思い、手を振ったのだが、無視されたのだった。そして、

 

信奈「待たせたわね、蝮!」

 

そう言って、部屋の扉が開いた。するとそこには、

 

道三「何と・・・!?」

 

光秀「!?」

 

良晴「嘘!?」

 

絵に描いたような美少女と美少年がいた。

 

勝家(信忠様の格好・・・、素晴らしい///)

 

・・・若干一名は妄想していたが。

 

道三「ど、ど、ど、どうして?いやしかし、何という美少女と美少年。」

 

信奈「うふっ。度肝を抜かれちゃった?」

 

と言った。これには道三は唖然としてしまった。その反応に満足した信奈は、

 

信奈「であるか?」

 

と悪戯成功という表情だった。一方の良晴は、

 

良晴(何なんだよチクショー!?ぶっちぎりじゃねーか!)

 

と見惚れていた。

 

道三「何故着替えを?」

 

信奈「美濃の蝮に会うんだもの。いつもの格好じゃマズイでしょ。」

 

道三「なるほどな。」

 

しかし、

 

信忠「ふむ・・・。」

 

信忠は、部屋に入るなり、柱にもたれかかったのだった。これには、

 

道三「む!?」

 

信奈「信忠⁉︎」

 

勝家「!?」

 

良晴「ちょっ!?」

 

周りは驚いてしまった。それを見た光秀は、

 

光秀「信忠殿!!ここにおわしますは、美濃国主、斎藤道三ですよ!!」

 

と信忠を注意した。

 

信忠「何を言うか、先程俺達をこそこそと見ていた奴だ。そんな奴は俺が尊敬する斎藤道三にあらず。そのような者に敬意を払う必要はねーよ。」

 

と言ったのだった。これには周りは驚き、ハラハラとした。すると、

 

道三「はっはっはっは!!これは一本取られたな!!スマンのう、どのような者か見て見たくて、あのような事をしたのじゃ。許してくれ。」

 

道三は高らかに笑い、謝罪したのだった。

 

信忠「そうですか。それでしたら、こちらも非礼をお詫びします。お許し下さい。」

 

そして、信忠も謝罪した。

 

良晴(ま、まさか、信忠は気付いてたのか!!気付いてたから、俺の指示を聞いたのか・・・!!)

 

これには、良晴は驚いてしまった。そして、会見が始まった。

 

道三「随分と鉄砲を揃えたようじゃな。」

 

信奈「これからは鉄砲の時代よ。ここにいる弟も同じ考えよ。」

 

道三「南蛮の玩具と揶揄する者も多いぞ。」

 

信奈「そういう大口を叩いた自称豪傑野郎も、ウチの足軽が一発で倒すわよ。尾張の兵は、弟の子飼いの兵を除いたら日本一弱いけど、鉄砲さえあれば、たちまち日本最強だわ。」

 

これを聞いた良晴は、

 

良晴(この考えが、いずれ戦国最強の武田騎馬隊を滅ぼすのか!やっべえ、武者震いがしてきた!!)

 

武者震いをしていた。

 

道三「ワシと同盟した後、狙うは今川の駿河かのう?」

 

その時、道三は信奈と信忠に今後の予定について尋ねた。

 

信奈・信忠「「いいえ・・・/いや・・・」」

 

信奈・信忠「「美濃よ/だ。」」

 

これには、光秀と勝家は絶句した。

 

道三「ほほう、何故拘る?」

 

信奈「蝮が美濃を取った理由と同じよ。」

 

信忠「美濃を制する者は、天下を制する。美濃は東と西を結ぶ、この日の本の中心だ。ここに難攻不落の城を築けば、天下は貰ったも同然だ。」

 

信奈「そこに商人が自由に働ける豊かな国を作る、それが斎藤道三の野望だったんでしょ?」

 

これには、

 

道三「全てお見通しか。」

 

とお手上げだった。そして、信奈と信忠は立ち上がって、

 

信奈・信忠「「美濃は私達が貰うわよ/俺達が貰うぞ。」」

 

と宣戦布告した。これには双方武器を構え殺伐としたが、道三と信忠がそれぞれ手で制した。

 

道三「渡すと思うてか?」

 

信忠「蝮の夢を引き継ぐと言ってもか?」

 

道三「何じゃと?」

 

信奈「日本を乱れさせた古い制度なんか全部壊して・・・」

 

信忠「南蛮にも対抗できる新しき国に生まれ変わらせる!!」

 

そして、

 

信奈「私が!」

 

信忠「俺が!」

 

信奈・信忠「「見ているのは世界よ/だ!!」」

 

と道三に述べた。これを聞いた良晴は、

 

良晴「おお!!クソ生意気だけど、お前達なら天下を取らせても良いぜ!!」

 

興奮しながらそう言った。すると、

 

道三「ふははははっ!!そなた達の目は既に海を飛び越えておったのか?」

 

と言った。

 

道三「そなた達は正しい。だが、信忠はともかく、信奈、お主には誰も付いて来まい。うつけ呼ばわりされておるのがその証拠じゃ。」

 

それに対して、

 

信奈「それでも進むだけよ。」

 

信忠「俺は、姉上を信じ、自分を信じて進むだけだ。」

 

と言った。

 

道三「立ちはだかる者をなぎ倒して、か?」

 

信忠「ふっ、今さら何を言うか。」

 

これには、信忠はそう言った。すると、道三は立ち上がって、

 

道三「手始めが美濃ならば、受けて立つぞ。」

 

そう述べた。

 

信奈「・・・臨むところだわ。」

 

信忠「ふっ。」

 

その時、

 

良晴「待て待て待てえーっ!!」

 

と良晴が会見に割り込もうとした。これには、

 

勝家「この馬鹿!!斬られたいのか!?」

 

勝家が止めたのだった。

 

信忠「!?」

 

信奈「下がりなさい、サル!」

 

良晴「斎藤道三!俺にはアンタの考えが分かる!美濃の将来が見えている癖に、ひねくれてるんじゃねー!」

 

信奈「何言い出すのよ!」

 

信忠「コイツ・・・!」

 

道三「座興じゃ、言わせてみようぞ。」

 

勝家「サル・・・。」

 

良晴「大丈夫だ、任せてくれ。」

 

そう言って、良晴は道三の前に立った。そして、道三は良晴に刀を突きつけ、

 

道三「デタラメを抜かせば、首が飛ぶぞ。」

 

と言った。

 

信奈「詫びなさい、サル!今ならまだ・・・」

 

良晴「道三、アンタはこの後家臣にこう言うんだ。『ワシの子供は、尾張の大うつけの門前に馬を繋ぐことになる。』ってな。」

 

これには、

 

道三「な、何と!?」

 

道三は驚いたのだった。

 

良晴「つまり息子は信奈と信忠には勝てないと分かってるんだ。アンタ自身がな!」

 

そして、両者は睨み合った。その上には、

 

五右衛門「・・・。」

 

五右衛門がいつでも攻撃できるよう、準備をしていた。

 

道三「ふはは。小僧、どうやって我が心を読んだ?」

 

良晴「俺はただ知っていただけさ。」

 

道三「何?」

 

良晴「俺は未来からやって来た。アンタは信奈に美濃を譲る事になり、そうしなきゃ、これまでの人生が無駄になっちまうからな。斎藤道三の夢を継げるのは、織田信奈とその弟の信忠だけだ!」

 

道三「小僧・・・。」

 

そして、道三は刀を下げ、

 

道三「ワシの完全な負けじゃな。」

 

と言った。

 

信奈「えっ?」

 

信忠「蝮・・・。」

 

道三「まさか、未来から来た男とはのう。」

 

良晴「今から450年程先さ。そこじゃ斎藤道三は、戦国の有名人だよ。」

 

道三「そうか?ワシは後世にまで名を残せたのじゃな。」

 

そして、

 

道三「この蝮、貴様のおかげで最後の最後に素直になる事が出来たわい。」

 

と言い、信奈と信忠に目を向け、

 

道三「信奈ちゃんと信忠のためじゃ。この場で、譲り状をしたためよう。」

 

信奈・信忠「「!!」」

 

道三「ワシはそなた達に、我が義娘信奈とその義息子信忠に、美濃を譲る!」

 

と言った。これには、

 

信奈・信忠「「であるか?」」

 

と言ったのだった。かくして、尾張と美濃は同盟を結ぶことになったのですが

 

義龍「血迷ったか、親父殿!?俺は絶対に認めんぞ!」

 

義龍は受け入れなかったのだった。

 

信奈「一応、褒めてあげるわ。アンタのおかげよ。」

 

良晴「ちゃんと顔見て言えよ。」

 

信奈「う、うるさいわね!ほら、さっさと草履、帰るわよ!」

 

すると、

 

良晴「ああ、これか?」

 

そう言って、良晴は自身の懐から信奈の草履を取り出した。

 

信奈「な、何でそんなところに入れてんのよ!?」

 

信忠「これはさすがに・・・。」

 

良晴「こ、これは誤解だ!履いたときにヒヤッとしたら可哀相だなって!」

 

信奈「私の足の匂いに興奮してたのね?そんな高度な変態、初めて見たわ!」

 

そう言って、信奈は刀を抜き、

 

良晴「ひっ!!」

 

信奈「最早生きているのが罪、ここで手打ちよ!」

 

と言い、良晴を追い掛けたのだった。

 

信忠「姉上、楽しそうだな。」

 

勝家「そのようですね。しかし、信忠様のあの行動、肝が冷えましたぞ!」

 

信忠「ん?あの行動?」

 

勝家「柱にもたれかかった事です!もしもの事があったら、私はどうすれば良いか!」

 

信忠「あはは、それは悪かったな。スマンスマン。」

 

そう言って、信忠は勝家の頭を優しく撫でた。

 

勝家「あっ、ちょ・・・!?はあ、信忠様は・・・。」

 

そう言って、勝家は信忠に寄り添い、背中に手を回して信忠の胸に顔を埋めたのだった。その様子を見た良晴は、信奈に追われてる中、目に血の涙を流したのは内緒である。




投稿できました。

有名な正徳寺の会見ですね。でも、斎藤義龍は本当は相当優秀な人物であって、道三も非常に後悔したという話が残っております。

実際信長も、美濃を取るのに非常に苦労しましたからね。

寿命に恵まれていれば、信長の美濃平定は倍以上掛かったか、攻め落とすことが出来なかったと言われております。

もう少し評価して欲しいですね・・・。

そ、それでは、また!!


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5話

5話です。


信忠の部屋

 

 

 

 

信忠「なあ、六。」

 

勝家「何でしょう、信忠様?」

 

信忠「今日一緒に、城下を見て回らないか?」

 

勝家「えっ、私とですか?」

 

信忠「ああ、三左達は他の仕事で忙しいって言うし、ダメかな?」

 

すると、

 

勝家「はっ!!私で宜しければ、是非!!」

 

勝家は非常に元気よく了承したのだった。

 

 

 

 

清洲城城下

 

 

 

 

尾張では、楽市楽座と呼ばれる人々が自由に取引できる市場が作られ、かつてない賑わいと繁栄をもたらしておりました。

 

勝家「信忠様、楽市楽座のおかげで相変わらず城下が賑やかですね。」

 

信忠「ああ、領民達が喜んでくれて、嬉しい限りだ。」

 

勝家「そうですね。」

 

信忠「これも、お前が賛成してくれたおかげだよ。姉上も感謝してた。」

 

と信忠は勝家に感謝の言葉を述べた。これには、

 

勝家「いえ、私は、過去に近江の六角江雲が行い成功したのを思い出し、賛成したまでです。」

 

勝家は謙遜した。

 

信忠「いや、お前のおかげでもある。本当にありがとな。」

 

そう言って、信忠は勝家の頭を優しく撫でた。これには、

 

勝家「の、信忠様!?」

 

勝家は嬉しい半面、恥ずかしい気持ちになったのであった。丁度同じ頃、良晴と犬千代も城下に行っていたが、この二人を偶然見かけて、

 

良晴「あっ、信忠と勝家だ。」

 

犬千代「・・・二人で逢い引き?」

 

良晴「そうかもしんねーな。くうう、信忠の奴、羨ましいぜ。」

 

犬千代「良晴、信忠様と勝家の邪魔しちゃ、ダメ。」

 

良晴「そんなの、分かってるよ。しかし信忠、本当に羨ましいなぁ・・・。犬千代も、もっと栄養のある奴食わねーと、勝家みたいにおっぱいがバインバインのたゆんたゆんにならねーぞ。」

 

すると、それを聞いた犬千代は、

 

犬千代「胸なんかタダの飾り!!それにアレは脂肪の塊!!」

 

そう言った。それに対し良晴は、

 

良晴「おっぱいは脂肪じゃねえ!!あの中に男の夢と希望が詰まってるんだ!!」

 

と反論したのだった。その時、

 

??「はっはっは、下品だねえ。」

 

という声が聞こえた。

 

信勝「姉上のサルを一目見ようかと思ったけど、こんなのとはね。」

 

織田勘十郎信勝。信奈と信忠が生まれていなければ、家督を継いだ人物にございます。

 

良晴(信長の弟って歴史上だと・・・。)

 

信勝「でもまあ、兄上と違って、礼儀知らずでうつけの姉上にはおサルさんがお似合いかな。」

 

良晴「自分の姉をうつけ呼ばわりか。礼儀知らずはお前の方だろ?」

 

犬千代「良晴、ダメ。」

 

良晴「信奈がバカにされてんだぞ。」

 

犬千代「信勝様は姫様と信忠様の弟。逆らうのダメ。」

 

良晴「けど・・・!」

 

その時、

 

信忠「良晴と犬千代じゃねーか?それと・・・」

 

勝家「お久し振りです、信勝様。」

 

信忠と勝家が現れた。

 

信勝「兄上、お久し振りです。勝家も、久し振りだね。」

 

信忠「お前、こんなとこで何やってる?」

 

信勝「姉上がおサルさんを雇ったとお聞きしたので、末森から参りました。」

 

信忠「・・・そうか。」

 

すると、信勝は良晴を見て、

 

信勝「君は何も知らないんだね。兄上も覚えておられるでしょう?父上の葬儀で、姉上がやったことを・・・。」

 

あの日のことを言った。

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

 

信秀は死ぬ前から、信奈を跡継ぎと決めていたが、家臣の中には信奈の普段の行動から彼女をうつけだと思っている者も多く、双子の弟で、実力と人格を兼ね備え人望の厚い信忠を後継者にという声も上がり、これには実母の土田御前も支持した程であった。しかし本人は、

 

信忠「俺は父上の後を継ぐに足る器ではない。」

 

と固辞したのであった。そのため、仕方なく末の弟である信勝を跡継ぎにしようと企んだが、信秀は跡継ぎを信奈と決めたまま亡くなったので、跡継ぎは結局信奈のままであった。

 

そして、信秀の葬儀の日、萬松寺には織田一門含め多くの人が出席していた。

 

平手政秀「若様、こちらの席でございます。」

 

当然信忠も出席し、案内された席に座った。

 

家臣A「ところで政秀殿、信奈様は何処なのだ?」

 

平手政秀「姫様はまもなく来られる予定です。お待ちくだされ。」

 

その横で、とある家臣が政秀に尋ね、政秀はかなり困惑した表情で対応していた。

それから暫く経っても、

 

林秀貞「平手殿、信忠様と信勝様は既に参ったというのに、信奈様はまだ参られないのか?」

 

平手政秀「林殿、もうしばらくお待ちくだされ、まもなく来るはずでございます。」

 

焼香の時間になっても現れなかった。これには、葬儀に出ていた一門と家臣はあきれ果てた顔をしていた。

 

林秀貞「もう待てん、信忠様から焼香を上げていただこう。信忠様、ご焼香を」

 

林秀貞が痺れを切らして、信忠から先に焼香させようとしたその時、葬儀場に信奈がやって来た。政秀は安堵したが、信奈の格好を見て唖然とした。きちんと正装をせず、いつものうつけの格好で来ていたからだ。

政秀だけでなく信忠を除いた皆も唖然としていたが、信奈はそんな周囲の目に気にも留めず、焼香台の前まで行き、信秀の位牌をじっと睨みつけた。そして、焼香を一掴みすると、信秀の位牌に投げつけ、すぐに出て行ってしまったのであった。

それを見た一同は、

 

家臣B「何という罰当たりなことを、やはり、あの者は大うつけだな。」

 

家臣C「さよう。うつけ姫には当主の器がない。」

 

家臣D「あの方が当主では、我らは滅びる運命だ。やはり、信忠様が後を継ぐべきだ。」

 

と口々に信奈の悪口を言っていた。その中で正秀は、思い詰めた顔で信奈が出て行った方向をじっと見ており、

 

信忠(姉上・・・。)

 

信忠は、信奈が焼香を投げたとき目に涙が浮かんでいたのが見えたため、複雑な表情をしたのであった。

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

信勝「・・・と言った事があったのさ。」

 

良晴(可愛くねー強がりなんかするから・・・。)

 

それを聞いた良晴は、信奈に対してそう思った。

 

信勝「いくら父上の遺言とはいえ、姉上に尾張の当主は務まらない。兄上が家督を継ぐべきだったんだ。」

 

信忠「・・・俺には務まらねーよ。」

 

信勝「そんなことありません!」

 

良晴「じゃあ、お前はどうなんだよ?」

 

信勝「え?」

 

良晴「尾張を手にしてどうする?こういう国にしたいという野望はあるのか?」

 

良晴にそう言われた信勝は、手に持ってるういろうを食べながら

 

信勝「ういろうを宣伝して、全国区の食べ物にするとか!」

 

そう言った。すると良晴から、

 

良晴「失格だ!お前は大名の器じゃない!県知事クラスがいいとこだ!」

 

と言った。

 

信忠「・・・けんちじって何だ?」

 

勝家「さあ?」

 

犬千代「?」

 

その後も何か言っていたが、全く以て曖昧な回答を述べていたため、

 

良晴「ダメダメだ!お前が戦国大名になれるなら、俺にだって務まるぜ!」

 

と信勝は良晴に言われたのだった。

 

信勝「と、とにかく姉上は、兄上と違って大うつけなんだ、織田家の恥なんだ!母上は幼い頃から姉上を毛嫌いして相手にもしなかった。乱暴で我儘で、南蛮人なんかと仲良くして、天下だの種子島だのと。兄上は常に母上と姉上の間に立っていたが、母上の気持ちも理解できる。母上も家督を継ぐべきは兄上か僕だと仰っていたよ、うつけの姉上ではなく・・・」

 

すると、

 

良晴「てめえ!!」

 

良晴が信勝に拳骨を食らわせようとしたのだが、

 

信忠「良晴!!」

 

信忠が良晴を抑えた。

 

信勝「ひっ!?」

 

良晴「は、離せよ信忠!!コイツは一発ぶん殴らなきゃ・・・!!」

 

信忠「良いから落ち着け!!ここでお前が信勝を殴ったら、お前は打ち首だぞ。姉上にも迷惑が掛かる。犬千代、コイツを連れていけ。」

 

犬千代「はっ!!良晴、行く。」

 

良晴「お、おい!!犬千代、離せ、離せよ!!」

 

そして、良晴は犬千代に首根っこ掴まれた状態で連れてかれたのだった。

 

信忠「・・・さて、信勝。」

 

信勝「は、はいっ!?」

 

信忠「お前に色々言いたい事が山ほどあるんだが、一言だけ言わせておく。お前も、母上も尾張ばかりに囚われるな。最悪、尾張は他国に呑み込まれるぞ。」

 

と信忠は冷たい目で信勝を見下ろしながら言った。

 

信勝「は、はい・・・。」

 

それには、信勝は恐怖のあまり、地面に座り込んでしまったのだった。

 

勝家「信忠様・・・。」

 

その時、勝家は信忠のもう一つの一面を見て鳥肌が立ったのであった。

それから、信勝は良晴の首を差し出すようにとの話になり、両者一触即発の状態となったのである。




投稿できました。

良晴君も怒る気持ちは分かりますが、例え誰が相手でも、身分が上の人を殴ったらヤバイよ・・・。

さて、信長の若年期のうつけ呼ばわりされたのですが、それは主に『城にじっとしておらず、常に町中をほっつき歩いて商人や旅人と交際している』という日常を批判されてしまったかららしいです。けど、信長はこうした行動から、民が何を考え、何を欲し、さらに管理者である大名は何を成すべきであるかを肌感覚で知る機会を得ていたようです。彼の行動原理は、『民の幸福』の実現だったのではないかと言われております。

何か長文且つうんちくをたれてしまいました、申し訳ございません(土下座)

僕、元々歴史が好きで、大学は文学部史学科であったのでつい・・・。

さ、さて次回は、信勝の謀反騒動ですね。

では、また!!


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6話

6話です。


清洲城

 

 

 

 

信奈「何てことしてくれたのよ?」

 

勝家「信勝様はサルの首を落とし届けるようにと。」

 

信奈「であるか。」

 

長秀「拒めば、またまた謀反を起こすでしょう。常習犯ですから。」

 

信奈「であるか。」

 

信忠「姉上は甘すぎます。一度はまだしも二度三度も許すからこうなるのです。母上の命乞いを聞かずに、あいつを殺すべきでした。俺だったら、もうとっくにあいつの首を斬り落としてますよ。」

 

信奈「・・・で、あるか。」

 

長秀「しかし、信勝様は実の弟なのですよ。」

 

信忠「万千代、弟だろうが何だろうが斬らねば纏まるまい。」

 

長秀「それは・・・そうですが・・・。」

 

犬千代「良晴の首差し出す?」

 

信奈「で・・・んなワケないでしょ!」

 

すると、

 

良晴「だが、謀反は厄介だぜ。織田家が真っ二つになっちまったら・・・」

 

と今の状況を作った良晴が高説たれたので、

 

ドカッ!!

 

ドゴッ!!

 

良晴「グハッ!!」

 

信奈が良晴の顔を蹴り、信忠は良晴のみぞに拳を入れ、

 

信奈・信忠「「しれっと高説たれてんじゃないわよ!!/じゃねーよ!!」」

 

信忠「誰のせいでこんなめんどくせー事が起きたと思ってんだよ!!」

 

と良晴に言った。これには、

 

良晴「うっ・・・。」

 

良晴も顔を俯かせてしまった。それを見た信忠は、

 

信忠「・・・ったく、しょーがねー。姉上、一つ手があります。」

 

と信奈に策を提案した。

 

信奈「何かしら?」

 

信忠「足軽が殴れば問答無用ですが、コイツが侍大将ならば、交渉の余地があると思います。」

 

長秀「成程・・・九十五点です。」

 

勝家「しかし、それ相応の手柄が必要になりますよ?」

 

信忠「それはコイツ次第だ。姉上、如何なさいますか?」

 

それを聞いた信奈は、

 

信奈「・・・三千貫、三千貫で一週間以内に米を八千石調達しなさい。」

 

と信奈は言った。

 

長秀「しかし尾張の相場では、せいぜい四千石しか買えませんが・・・。」

 

勝家「けど長秀、それくらいしなければ手柄とは言えないぞ。」

 

長秀「しかし・・・。」

 

すると、

 

良晴「相場の二倍の米を調達しろって事だな。OK、イベント発生だぜ!!」

 

と良晴は言った。

 

信奈「一週間以内に達成できなかったら、そん時は打ち首よ。」

 

と信奈は念入りに伝えたのだった。

 

 

 

 

 

末森城

 

 

 

 

信勝「どうせ失敗に決まってるんだ、一週間なんて辛抱できないよ!」

 

すると、

 

林秀貞「ふっ、またとない機会です。期限を過ぎても信奈様がサルの首を差し出さねば・・・」

 

林通具「それこそ、謀反の口実となりましょう。それに、信忠様でしたら確実にサルの首を差し出すでしょう。そうすれば、信忠様を織田家の当主にして信勝様はその補佐を務められますよ。」

 

と言ったのだった。しかしこの内容は、

 

信忠の忍びA「・・・。」

 

信忠の忍びが全て聞いていたのだった。

 

 

 

 

 

数日後、清洲城茶室

 

 

 

 

信奈「よし!」

 

長秀「お茶は、もっと静かに点てませんと。」

 

信奈「良いのよ、胃に入っちゃえば同じなんだから。」

 

と言い、長秀に茶を差し出した。すると、

 

信奈「それよりサルは?」

 

と心配なのか、良晴の近況を尋ねた。

 

長秀「気になりますか?」

 

と長秀が聞くと、

 

信奈「べ、別に聞いただけよ!」

 

と信奈は慌てて回答した。

 

信奈「信勝はどうなの?」

 

長秀「戦の準備をしておられます。」

 

それを聞いた信奈は、茶を点てるのを止めた。

 

長秀「次もまたお許しになりますか?」

 

すると、

 

信奈「斬るわ。」

 

と信奈ははっきりと言った。

 

長秀「信忠様にも言いましたが、信勝様は実の弟ですよ。」

 

それに対し信奈は、

 

信奈「信忠の言う通りよ。私が甘いせいでこうなったのよ。身内も纏められずに、天下統一なんて無理よ。母上がどんなに命乞いしようと、次はもうないわ。」

 

と言った。それに長秀は、

 

長秀「・・・五十点。」

 

と採点した。

 

 

 

 

 

信忠の部屋

 

 

 

 

 

勝家「あの・・・信忠様。」

 

信忠「ん?」

 

勝家「サルは、無事に役目を果たしておりますでしょうか・・・。」

 

信忠「さあな、あいつにも何か考えがあって引き受けたんだろう。後は本当にあいつ次第だ。」

 

勝家「けど、本日が丁度期限の最終日です。もししくじったら・・・」

 

信忠「それでいい。これで失敗して首と胴が離れたら、あいつはその程度の奴だったって事だよ。」

 

勝家「確かに・・・そうですね・・・。」

 

可成「権六、ここはあの小僧を信じるほかあるまい。」

 

勝家「・・・はい。」

 

その時、

 

秀隆「殿。」

 

信忠「与四郎か。で、どうだった?」

 

秀隆「はっ。信勝様、本日中に兵を起こす予定です。」

 

秀隆が現れ、信勝が今日謀反を起こすことを信忠に伝えた。これには、

 

勝家「何と・・・!」

 

可成「・・・。」

 

勝家は目を見開き、可成は口には出さなかったが、眉間にしわを寄せたのだった。

 

信忠「・・・であるか、林兄弟が煽ったな。」

 

秀隆「はい、お察しの通りです。」

 

信忠「であるか。ご苦労、下がって準備しろ。」

 

秀隆「はっ!」

 

そう言って、秀隆は下がった。

 

信忠「六、三左、いつでも出れる準備をしろ。三左、勝蔵にもしかと伝えておけ。」

 

勝家「は・・・はっ!!」

 

可成「はっ!!」

 

そう言われ、勝家と可成は部屋を後にした。

 

信忠「・・・これで一気に尾張国内の反乱分子を一網打尽に出来る。」

 

その時、信忠は冷たい目をしながら一人そう呟いたのだった。

 

一方その頃、良晴は当初の目的を忘れ、金ばかりを増やしてしまい信奈に折檻されたが、犬千代達が米を買い付けてる事を信奈に伝えたのだった。それを聞いた信奈は、

 

信奈「そう。そこまで言うなら、夕刻まで待ってあげるわ。」

 

と地球儀の傍に座って言ったのだった。

 

信奈「遅いわねえ、待ちくたびれたわ。」

 

良晴「今座ったばかりだろう!どんだけ辛抱がないんだお前は?」

 

信奈「だって待つの退屈だもの。私、退屈だとサルを斬りたくなるのよね。」

 

良晴「な、何かお喋りをして時間を潰そうぜ。」

 

すると、身の危険を感じた良晴は、気を紛らわすために信奈にそう言った。

 

信奈「そうねえ・・・じゃあ、この地球儀でアンタの知能を判定してあげるわ。」

 

良晴「面白い、その勝負乗ったぜ。」

 

信奈「ふふっ、アンタにこの地球儀の意味が分かるかしら?世界って平らじゃないの、こんな風に球体なのよ。」

 

しかし、

 

良晴「それくらい知ってるよ。」

 

と現代人である良晴はあっさりと答えた。

 

信奈「え?嘘言いなさい?」

 

と信奈は信じられなかったが、

 

良晴「俺がいた世界じゃ常識さ。」

 

と聞いた信奈は、

 

信奈「じゃ、日本は何処か分かる?」

 

と良晴に質問してみた。すると、

 

良晴「この小さい島国がそうだ。お前らが南蛮人って呼んでる連中は、ずっと西にあるヨーロッパから来た、イスパニアとかポルトガル・・・」

 

日本だけじゃなく、南蛮の国の場所もあっさり答えたので、

 

信奈(スゴイ・・・今まで誰に説明しても、信じてくれたの信忠だけだったのに・・・。)

 

信奈は驚いたのであった。

 

信奈「これは信忠も言ったけど、南蛮はいつか日本へ押し寄せてくるわ。その前に一日も早く対等に渡り合える国を作らないと。私の言っている事可笑しい?うつけだと思う?信忠が織田家を纏めるべきかしら?」

 

それを聞いた良晴は、

 

良晴「いいや、天才過ぎるだけさ。お前を笑う連中は、理解できないんだ。織田信奈が特別なんだ、気にすんな。それに、信忠もそのようなことを求めていない筈だぜ。」

 

と信奈にそう言った。

 

信奈「同じ事を言うのね?」

 

良晴「誰と?」

 

信奈「私の大切な人、私に世界を教えてくれた人よ。そして、信忠にとってもね。」

 

良晴「大切な人?」

 

その時、良晴は無自覚に妬いてしまい、信奈にからかわれたのだった。

 

そして、タイムリミットとなった。

 

信奈「日没ね、刻限だわ。あなたの首を貰うわよ、サル。」

 

そう言い、信奈は刀を抜いた。

 

信奈「残念だわ、サル。でもね、私は尾張を治める大名、個人的な感情に流されるわけにはいかないの。」

 

すると良晴は、

 

良晴「俺の首を差し出さなきゃ、信勝が謀反する。それだけは避けないとな。」

 

学ランを脱いでそう言った。

 

信奈「何か言い残すことは?」

 

良晴「ないよ。」

 

信奈「無いわけ無いでしょう!『死にたくない!』とか、『殺さないで!』とか・・・!」

 

良晴「アホか。命乞いなんかしたら、お前が後々苦しむだろうが。お前・・・信忠と違って、こういうの苦手なんだろ?」

 

そう言って、良晴は信奈に振り返って言った。信奈は涙を浮かべながら

 

信奈「うるさい!私は信忠とは違うの!それに、アンタみたいなバカは生かしておく価値も無いわ。」

 

そう言って、

 

信奈「そうよ。アンタが斬れって言うから斬るだけなんだから、自業自得よ!」

 

信奈は刀を振り下ろそうとしたその時、

 

犬千代「姫様ダメ!」

 

犬千代と五右衛門が信奈の前に立った。

 

良晴「犬千代!五右衛門!」

 

五右衛門「申し訳ござらん。途中で邪魔されてしまい時間が。」

 

犬千代「米は今運び込んでる。」

 

それを聞いた信奈は城の外を見ると、大量の米が運び込まれていた。

 

信奈「何て数・・・!どれだけなの?」

 

犬千代「三万石。」

 

信奈「三万石!?命じた量の四倍近いじゃない!」

 

五右衛門「相良氏のお手柄にござる。」

 

それを聞いた信奈は、

 

信奈「良かった・・・本当に良かった・・・。」

 

安堵の声を述べたのだった。

 

信奈「喜びなさい、サル。この手柄に命じて、打ち首は取り消しにするわ。」

 

良晴「首が繋がったかー。」

 

信奈「だけど、これは頑張った犬千代達の手柄よ。そして、私の寛大さにしっかり感謝しなさい。」

 

良晴「何だよそれ?可愛くねー。」

 

その時、

 

長秀「姫様!一大事です!信勝様、謀反!末森城にて挙兵致しました!」

 

長秀が信勝の謀反を伝えたのだった。

 

信奈「な、何で?」

 

犬千代「途中で邪魔したのは信勝様の兵。」

 

五右衛門「失敗したので、挙兵に踏み切ったのでござろう。」

 

信奈「そんな・・・。」

 

長秀「信勝様と共に籠城したのは、林秀貞殿と林通具殿のご兄弟です。」

 

そして、それを聞いた信奈は、

 

信奈「末森城を攻めるわよ、信忠にも伝えなさい。」

 

そう言った。

 

良晴「待てよ!落ち着けって!」

 

長秀「信勝様は、林兄弟に乗せられているだけでしょう。」

 

信奈「分かってるわよそんなこと!」

 

良晴「だったら・・・」

 

信奈「お家騒動なんか起こしている場合じゃ無いのよ!これが今川に知れたら、すぐに攻め込んで来るわ。末森城を落とす、それしか無いの。」

 

良晴「し、しかし・・・!」

 

その時、

 

恒興「姫様。」

 

信奈「何!こんな時に!」

 

恒興「はっ、信忠様からの知らせで、現在末森城を三千の兵で囲んでいるとの事。信忠様と共におりますは、森可成殿、長可殿、柴田殿、河尻殿です。」

 

池田恒興から、信忠が既に兵を挙げて末森城を包囲しているとの知らせが入った。

 

信奈「なっ!?」

 

良晴「何だって!?」

 

長秀「いくら何でも早過ぎる対応です!」

 

これには、一同は驚いた。

 

信奈「まさか・・・信忠は全て見抜いていたの!」

 

良晴「それって、犬千代達が例え刻限に間に合っても間に合わなくても謀反を起こす事をか!?」

 

信奈「そういうことよ!」

 

良晴「嘘・・・だろ・・・?」

 

良晴(信忠・・・何て奴なんだ・・・!)

 

長秀「如何なさいますか?」

 

信奈「信忠に任せるわ。信勝を捕らえなさいと信忠に伝えて!」

 

恒興「はっ!!」

 

そう言って、信奈は恒興に伝えたのだった。それからすぐに、末森城が落ちたとの連絡を受けたのであった。




投稿できました。

今回はお家騒動を投稿しました。

最後の方は、何か駆け足で投稿してしまいました。読みづらかったらお許しください(土下座)

次回ですが、戦後処理ですね。

では、また!!


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7話

7話です。


清洲城

 

 

 

 

信勝「姉上!兄上!此度のことは僕に非がありました!何卒、お許し下さい!」

 

末森城で信忠が信勝を捕らえた翌日、信勝は跪き頭を下げ謝罪した。

 

信奈「・・・。」

 

信忠「お前なあ、それ何回繰り返せば気が済むんだ、ああ?」

 

信勝「そ、それは・・・。」

 

長秀「信勝様は、如何なさいますか?」

 

長秀の問いに、

 

信奈「信勝は切腹。」

 

信奈はそう答えた。それに、

 

信勝「ええ!?そんな痛そうな死に方、嫌です!無理です、姉上!兄上も何か言って下さい!」

 

信勝は泣きながらそう言い、信忠にも言ったが、

 

信忠「・・・。」

 

信勝「兄上!」

 

信忠は腕を組み目を閉じたまま何も答えなかった。

 

信奈「そう、だったら私が斬るわ。」

 

そう言って、信奈は持ってあった刀を抜いた。

 

良晴「止めろ、信奈!」

 

それを見た良晴は止めようとしたが、

 

信奈「言ったはずよ、大名は個人的な感情には流されないって。皆もよく聞きなさい、今後私に逆らった者は、例え家族であろうと殺すわ。」

 

信忠「それが天下の為、民の為だ!異論はねーな?」

 

そう言って、良晴の言葉を一蹴した。

 

信勝「姉上・・・!兄上・・・!」

 

信奈・信忠「「さようなら/さらばだ」」

 

信奈・信忠「「勘十郎。」」

 

そう言い信奈と信忠は冷たい目になり、信奈はそのまま刀を振り下ろそうとした。

 

良晴「待て!!信奈!!信忠!!弟を殺すんじゃねえ!!」

 

その時、良晴が止めに入るが、信忠に押さえ込まれた。

 

信忠「お前・・・!?」

 

信奈「逆らう気!?」

 

良晴「ああ逆らうとも!ここで信勝を斬ったら、お前達はこれからも周りの親しい人を斬って斬って斬りまくる。魔王人生一直線だぞ!」

 

信奈「身内だからと許していたら、家臣達に示しが付かないでしょ?」

 

信忠「それに、コイツは何度も謀反を繰り返してる!!これ以上は限界だぞ!!」

 

良晴「よく聞け、俺はお前達によく似た戦国大名の人生を知っている。そいつは謀反した弟を殺した時から、心のどこかが壊れちまって歯止めがきかなくなった。俺はお前達を魔王にしたくない!信奈は地球儀を楽しそうに回して世界に夢を駆け巡らせて、信忠は勝家と一緒にいつまでも仲良く優しい笑顔でいて欲しいんだ!」

 

信忠「!?」

 

信奈「じゃあ、どうしろって言うのよ!?」

 

良晴「素直になれ!本当は信勝をどうしたいんだ!?」

 

信奈「殺したくないわよ!!!自分の弟を殺したい女の子がどこにいるのよ?」

 

その時、信奈は泣きながらそう答え、

 

信忠「・・・。」

 

信忠も少し複雑な表情をした。

 

良晴「だったら、そう言えよ。」

 

それに対し、良晴はそう言った。そして、信奈は侍女を呼びある物を持って来させ、信忠は良晴の拘束を解いた。その時信勝は、

 

信勝(姉上と兄上が・・・。父上の死にさえ涙を流さなかったあの姉上が涙を・・・。それにいつも冷静で優しくて強い兄上があんな表情を・・・。)

 

と信奈と信忠を見てそう思った。そして、信奈は信忠と一緒に侍女に持って来させた物を信勝の前に行き、

 

信奈「ほら、好きでしょ。」

 

信忠「お前、俺達にこれ貰うといつも嬉しそうだったからな。」

 

と言い、ういろうを信勝に渡した。

 

信勝(ういろう・・・。)

 

その時、信勝はある事を思いだした。

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

信奈『ほーら勘十郎、餌をあげるわ。』

 

信勝『はい、あねうえっ!』

 

信忠『ふっ、勘十郎は相変わらずういろうが好きだな・・・。』

 

信勝『はい!だいすきです!あねうえとあにうえからもらったういろうはっ!』

 

信奈『そう、あはは!!』

 

信忠『そっか・・・ははっ。』

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

信勝(僕がういろうを好きになったのは、姉上と兄上がくれるういろうがどんな褒美よりも嬉しかったからだ・・・。いつの間にかそれを忘れて、家臣団を侍らせて姉上を蔑ろにして、兄上を困らせた。気位が高い姉上を泣かせ、いつも冷静沈着な兄上をあんな表情にさせてしまった。僕はなんて愚かな事を・・・。)

 

信奈「どう?」

 

信忠「美味いか?」

 

すると、信勝は泣きながら

 

信勝「おいしい・・・おいしいです、姉上・・・兄上・・・。」

 

そう答えた。

 

信奈「バカね、男がそう簡単に泣くものじゃないわ。」

 

信忠「良かったな・・・勘十郎。」

 

そう言って、優しい顔で信奈は頭を、信忠は背中を撫でたのだった。

そして、信勝は心を入れ替え、名前を『津田信澄』に改める事を誓ったのであった。

 

 

 

 

 

その裏で、

 

 

 

 

林秀貞「これはどういう事だ!?」

 

林通具「そうじゃ、どういう事じゃ!?」

 

林兄弟ら謀反に加担した者達が集められていた。そして地面に着かされ顔を向けると、そこには腰に刀を差し立っていた者がいた。

 

林秀貞「き、貴様は・・・」

 

秀隆「私は織田信忠が家臣、河尻秀隆と申します。林秀貞殿、林通具殿。あなた方を信忠様の命により、謀反の罪で処刑します。」

 

と秀隆は淡々と答えた。それを聞いた林兄弟は、

 

林秀貞「ま、待て!!これからは誠心誠意仕える!!だから、信忠様にこの事をっ!!」

 

林通具「そ、そうじゃ!!我らは心を入れ替え忠節を尽くす!!」

 

と狼狽しながら秀隆にそう言った。しかし、秀隆は刀を抜いて二人に近付き、

 

林兄弟「「ギャーッ!!」」

 

二人を斬り捨てたのだった。そして、二人の死体を見て、

 

秀隆「愚か者が、殿に逆らうからだ。」

 

と呟いたのだった。そして、それ以外に謀反に加担した者を粛清したのだった。

また、この謀反に裏で糸を引いていた土田御前を城に幽閉したのであった。

 

 

 

 

 

その日の夜、信忠の部屋

 

 

 

 

 

秀隆「殿、全て終わりました。」

 

信忠「・・・であるか。よくやった、下がって休め。」

 

秀隆「はっ。」

 

秀隆は、謀反に加担した者を処刑した事を信忠に伝え、部屋を後にした。それと入れ違いに、

 

勝家「信忠様・・・。」

 

信忠「六か・・・入れ。」

 

勝家「はっ。」

 

勝家が信忠の部屋に入った。

 

信忠「何の用だ・・・!?」

 

すると勝家は、信忠を見るなり抱き締めたのだった。

 

信忠「おい、何を・・・!?」

 

その時、

 

勝家「信忠様・・・これ以上業を背負わなくても良いのですよ。」

 

と言った。

 

信忠「六・・・。」

 

勝家「此度の謀反で、加担した者を処刑し、裏で糸を引いていた大方様を幽閉したのでは?」

 

信忠「お前は相変わらず鋭いな。」

 

勝家「薄々そうだろうと思っていたので。それによって、ほんの一部だけかも知れませんが、信忠様の事を恐れる者が現れるやもしれません。けど、私は知っております。信忠様は本当は誰よりも皆の事を考えている優しいお方だと。だから・・・」

 

そう言って、勝家は信忠の頬に手を添え、口付けをした。

 

勝家「私は『鬼』の異名が入っている者です。だから、もし信忠様が地獄に落ちたら私も共に地獄に行きます。なので、その業を私にも背負わせて下さい。」

 

信忠「六・・・。」

 

そう言って、信忠は勝家をきつく抱き締めたのだった。そして、二人は共に寝所に向かい、一つとなった。

 

そして、城の者が寝静まった頃、勝家は信忠の寝顔を見て、

 

勝家(このお方は何があっても傍に居続け、支えてみせる!!例え姫様達を敵に回しても・・・!!)

 

と決意を固めたのであった。




投稿できました。

今回は、僅かにオリジナリティーを加えました。

読みづらかったら、最後の勝家の信忠に対する強い思いでお許し下さい(土下座)

また、良晴君が魔王にさせたくない理由で弟殺しを止めましたが、僕は良晴君の意見には反対ですね。
その理由ですが、現代人の感覚でしたら良晴君の言っていることは正しいです。けど、この時代は乱世です。殺さないとまた同じ事を繰り返しますし、国が一つに纏まらないからです。なので、実は今回のお話で信勝も殺す予定として入れていましたが、もし殺したらその後のお話が纏まらなかったので、助命という形にしました。

長文且つ偉そうに述べてしまい、大変申し訳ございません。皆さんはどう思いますか?

では、また!!



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8話

8話です。


美濃

 

 

 

美濃では、斎藤義龍が、父道三に謀反を起こした。

 

光秀「まだまだ、もっと引き付けるです!撃てぇ!」

 

光秀も、道三側に付いて義龍の軍勢と戦っていた。

 

道三「義龍、力ずくで勝てるほど、戦は甘くないぞ。」

 

その時、

 

道三「ん?」

 

道三側の近くの陣から鬨の声が上がった。

 

道三軍兵士A「稲葉殿、寝返りました!!」

 

道三「何!?」

 

道三軍兵士A「更に氏家殿、安藤殿も義龍様にお味方した模様!!」

 

道三「美濃三人衆、全員が背いたか?」

 

それにより、道三側は一気に劣勢になった。

 

義龍「自ら招いたことだ、親父殿!美濃をうつけ姫に譲るなど許さん!全軍、かかれ!!」

 

と命じたのだった。しかし、その心中は、

 

義龍(親父殿・・・この戦に勝てば、俺を認めてくれるか・・・?その声を聞くために、生かして捕らえねば・・・。)

 

という事を考えていたのであった。

 

 

 

 

 

尾張

 

 

 

 

 

勝家「斎藤義龍が謀反だと!?」

 

五右衛門「美濃の、豪族達は、次々に離反。」

 

勝家「まさか・・・。」

 

五右衛門「斎藤義龍を、次の国主にと、担ぎ・・・」

 

勝家「ええい、いちいち台詞を切るな!」

 

良晴「おいおい、無茶言うなって。」

 

しかし、それを聞いた五右衛門は、

 

五右衛門「道三殿は稲葉山城を出て、十倍近い斎藤義龍の軍と長良川と対戦、激しい合戦をくりひろげちぇるでごじゃ・・・」

 

切らずに言おうとしたが、最後の最後で噛んでしまった。

 

良晴「ほら噛んじゃった。」

 

勝家「無茶だ、その兵力差で野戦に挑むなんて・・・。まさか、道三は死ぬつもりか?今川義元がこの尾張を攻めてこないように・・・」

 

長秀「ええ、勝家の言う通りです。籠城となれば姫様と信忠様、特に姫様が援軍を出します。さすれば、今川義元は、空き家同然の尾張に襲うのは確実。」

 

良晴「信奈が動く前に、さっさと討ち死にする気か?」

 

長秀「そこまで読み切っての出陣、流石は『美濃の蝮』、六十点です。」

 

良晴「褒めた割には点数が低いな。」

 

良晴のその問いに、

 

長秀「姫様と信忠様、特に姫様のお気持ちを考えますと・・・。」

 

長秀はそう答えた。

 

良晴「まあな。」

 

すると、

 

信奈「美濃の事は聞いたわ。」

 

信奈と信忠が入ってきた。

 

長秀「されば援軍ですが・・・」

 

その問いに、

 

信奈・信忠「「出さないわよ/ねーよ。」」

 

とはっきりと言った。

 

良晴「マジかよ?」

 

信奈「助けになんか行ったら、蝮に叱られるわ。」

 

良晴「良いんだな?」

 

信奈「何よその顔?私達が取り乱したりすれば満足なの?」

 

良晴「そうじゃねーけどさ・・・。」

 

信奈「じゃあ聞くけど、援軍を出すと言ったら誰も止めない?」

 

その問いに、皆は黙ってしまった。それを見た信奈は、

 

信奈「はい!もうこの話はお終い。」

 

と締めた。それに良晴は、

 

良晴「待てよ!」

 

と信奈を止めたが、

 

信奈「私がお終いと言ったらお終いなの!出過ぎた真似しないでよ、このぼけザル!」

 

と言って、その場を走って去って行った。

 

信忠「姉上!」

 

信忠も、信奈の後を追ってその場を後にした。その際、良晴は信奈の涙を見て

 

良晴「信勝の時と同じか・・・。」

 

と呟いたのだった。

 

 

 

 

美濃

 

 

 

道三「やられたのう。」

 

光秀「父親に弓を引くなど言語道断です!」

 

しかし、

 

道三「父か?ワシが彼奴のことをしっかり見ておれば、このようなことが起きなかったやもしれぬ。また、信奈ちゃんと信忠とも仲良く出来たやもしれぬ。」

 

光秀「え?」

 

道三は自身を後悔したような発言をしたのだった。

 

道三軍兵士B「道三様、井上殿も討ち死にと。寝返りも多く、敵は一万五千を超えました。」

 

光秀「忠義の欠片もない奴らです!」

 

道三「まあそう言うな。ワシが父として、国主として認めなかったが故じゃ。」

 

と道三は空を見て呟いた。そして、

 

道三「光秀、おまえに頼みがある。」

 

と光秀にあるお願いをした。

 

 

 

 

 

信奈の部屋

 

 

 

 

 

 

信奈「・・・。」

 

信奈は一人地球儀を回していた。そこへ、

 

信忠「姉上・・・。」

 

信奈「信忠・・・?」

 

信忠が入ってきた。

 

信忠「姉上、大丈夫ですか?」

 

信奈「ええ、大丈夫よ。ごめんなさい、心配掛けて。」

 

信忠「良晴を責めないでやって下さい。あいつは、姉上の事を思って言ったので。」

 

信奈「別に良いわ。それにあなたも・・・」

 

信忠「ええ。俺も、蝮を救いたいです。けど、軽挙妄動に走ったら、今川が動く恐れがありますので。」

 

信奈「そう。あなたは私と違って冷静ね。」

 

信忠「いえ、そんなこと・・・。」

 

その時、

 

信忠「誰だ。」

 

と信忠は部屋の戸に言った。そこに、

 

良晴「俺だ。」

 

と良晴が入ってきたのだった。

 

良晴「さっきは悪かった。」

 

信奈「普通に入ってこないでよ。この部屋に普通に入って良いのは、信忠だけよ。」

 

良晴「蝮のじいさんがヤバイと思ったらつい・・・な。お前達だって本当は助けたいはずなのに、すまなかった。」

 

良晴は、頭を下げて謝罪した。

 

信奈「良いわよ、信忠が言ってくれたから。」

 

良晴「・・・そうか、悪い。」

 

信忠「気にするな。」

 

すると、

 

信奈「・・・蝮は死ぬの?」

 

信奈は良晴に尋ねた。しかし良晴は、頭を下げたまま答えなかった。それを見た信奈は地球儀を回して、

 

信奈「これをくれた人ね、南蛮から来た宣教師だったの。」

 

と言った。

 

良晴「お前にとって大切な人か?」

 

信奈「色々教わっているうちに、さっさと天下統一して世界中を巡ってみたいと思うようになったの。海の向こうから来たあの人が、私達の夢の原点。」

 

良晴「俺も会ってみたいな。」

 

しかし、

 

信忠「もう亡くなった。」

 

と信忠は言った。それを聞いた良晴は、

 

良晴「スマン。」

 

と言った。

 

信奈「どういうわけか、私が好きになった人って皆すぐに死んじゃうの。父上もそうだったわ、そして蝮も。私は信忠と違って、人を好きになっちゃいけないのかもね。」

 

信忠「姉上・・・。」

 

しかし、

 

良晴「そんなことねーよ。」

 

と良晴はそう答えた。

 

信奈「『自分は死なない』って顔してるわよ。」

 

信忠「そうですね。」

 

良晴「俺は往生際が悪いからな。」

 

信奈「アンタは大丈夫よ。だって私がアンタを好きになる事なんてないもん。」

 

良晴「何だよそれ、可愛くねー。」

 

それを見た信忠は、

 

信忠(コイツ、自覚はしてないかもしれねーが、姉上の事・・・、恐らくだが姉上も。まあ姉上もそうだが、良晴も素直じゃねーなぁ・・・。)

 

と二人を見ながらそう思ったのだった。その時、

 

恒興「姫様、信忠様。」

 

信忠「どうした?」

 

恒興「只今美濃より、明智光秀殿が。現在城門前に居ります。」

 

恒興から光秀が来たとの知らせが入り、信奈達は部屋を出て城門前に向かった。これには長秀達も駆けつけたのであった。

そして、城門前に着くと、そこには光秀以下僅かな兵士だけだった。

 

信奈「アンタ達・・・蝮は?蝮も一緒なんでしょ?」

 

すると、駕籠の中から一人の少女が出てきた。

 

信忠「蝮の娘の帰蝶か・・・。」

 

光秀「はい、仰るとおりです。」

 

信奈「蝮はどうしたのよ?」

 

それに光秀は、

 

光秀「書状を預かってきたです。」

 

と書状を信奈と信忠に渡した。それを信奈と信忠は読んだ。

 

信奈「『織田信奈』」

 

信忠「『織田信忠』」

 

信奈「『我が義娘と』」

 

信忠「『我が義息子よ・・・』」

 

道三『そなた達に出会って、己の夢にもまだ続きがあると分かった。国盗りに賭けた人生が徒労でなかったと知り、これほどの喜びはない。人は誰でもいずれ死ぬ。別れは必ず訪れる。織田信奈と織田信忠が蝮の夢を継いでくれるならもうそれで充分じゃ。そなた達の夢が叶うことを祈りつつ、これより冥府に参る。』

 

それを読んだ信奈は涙を流し、信忠は目を閉じたのだった。

 

光秀「か・・・重ねて援軍は無用と道三様から・・・。」

 

信忠「そうか・・・ご苦労だった。」

 

光秀「はっ!」

 

その時、

 

信奈「ぜ・・・全軍・・・!」

 

信奈は全軍を美濃へ向かう命を下そうとしたが、

 

信忠「御免!」

 

ドカッ!!

 

信奈「み・・・の・・・」

 

信忠に腹を殴られ、気絶したのだった。

 

良晴「の・・・信忠!?」

 

勝家「信忠様!?」

 

信忠「蝮は捨てる。今援軍に行ったところで、数の差がありすぎる。それに、俺達には美濃譲り状がある。アレがある限り、美濃は俺達の物。義龍を攻める大義名分にもなる。」

 

良晴「信奈が目覚めたら、道三は死にましたって報告するつもりか?」

 

信忠「そうだ、それで姉上に報告するつもりだ。良晴、何か手があるのか?」

 

良晴「・・・決死隊を出し、道三を救出する。」

 

長秀「死にに行くような物ですよ、誰が行くのですか?」

 

その問いに、

 

良晴「俺が行く。」

 

と良晴が答えた。この問いに信忠は、

 

信忠「・・・。」

 

じっと良晴を見て、

 

信忠「・・・分かった、好きにしろ。」

 

勝家「信忠様!?」

 

と言い、その場を後にした。そして、良晴の横を通り過ぎる際、

 

信忠「・・・生きて戻ってこい。」

 

と良晴にしか聞こえない声で言ったのだった。

 

良晴(信忠・・・。)

 

そして、良晴は美濃に向かったのだった。




投稿できました。

今回は、少しアレンジしてみました。

ちょっと強引にやってみたので、読みにくかったらお許し下さい(土下座)

では、また!!


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9話

9話です。


良晴は、五右衛門の川並衆を率いて美濃に向かった。

 

良晴「悪いな、五右衛門。」

 

五右衛門「主従ならば当然でござる。」

 

前野長康「親分、戦ですか?」

 

五右衛門「美濃の蝮を盗み出す。」

 

前野長康「そいつはデカい仕事ですな。」

 

 

 

 

その頃道三達は、

 

 

 

道三「生きて敵の囲みを破った者は尾張の義娘と義息子の元へ行け!蝮の最期、とくと見せてくれる!」

 

その時、

 

良晴「待ってくれ!」

 

良晴が道三の元に何とか間に合った。

 

道三「坊主、何しに来た?」

 

良晴「じいさん、一緒に来て貰うぜ。」

 

道三「断る!」

 

良晴「この頑固じじい!アンタが死んだら、信奈と信忠が、特に信奈がどんだけ悲しむか分かってんのかよ?」

 

これには、

 

道三「この大馬鹿者が!」

 

良晴「な、何だよ?」

 

道三は良晴に一喝したのだった。

 

道三「お前までもが死んだらどうする?お前はあの子達の唯一の希望なのだ。」

 

良晴「お、俺が?」

 

道三「夢は誰かと共有してこそ夢なのだ。信奈には信忠がおるが、もう一人必要なのだ。それは、未来から来たお前しかおらん。あの二人を導いてやってくれ。」

 

良晴「分かったよ。だが、帰るのはアンタと一緒だ。」

 

道三「こ、この大たわけが!」

 

良晴「特に信奈は素直じゃない、可愛くない女だが、うっかり俺に弱音を漏らしたんだよ!」

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

信奈『私の好きになった人って、皆すぐに死んじゃうの。』

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

良晴「俺はあいつのあんな悲しそうな顔、二度と見たくねーんだ!それに信忠も・・・」

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

信忠『・・・生きて戻ってこい。』

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

良晴「あいつは勝家と一緒にいつまでも仲睦まじく優しい笑顔でいて欲しいんだ!」

 

道三「・・・。」

 

 

 

 

 

尾張

 

 

 

 

信奈「!・・・ここは?」

 

信奈が起きると、一同がいた。

 

信忠「お目覚めですか?」

 

信奈「美濃は、どうなったの?」

 

と尋ねた。しかし、それと同時に、

 

信奈「!サルは?サルは何処に行ったの!?」

 

良晴がいないことに気付き、それも尋ねた。それに信忠が

 

信忠「アイツは蝮を助けに、美濃に向かいました。」

 

信奈「!?」

 

信忠「全て俺の独断です、お許しを。」

 

そう言って、信忠は信奈に頭を下げ謝罪した。

 

信奈「すぐに美濃に向かうわ!今すぐ出陣よ!」

 

長秀「しかし姫様!今美濃に全軍で向かえば、今川が尾張に侵攻します!」

 

勝家「姫様!お考え直しを!」

 

信奈「このままじゃ、サルが死んでしまうわ!!今すぐ出陣よ!!」

 

長秀「しかし・・・!」

 

その時、

 

信忠「万千代、俺が尾張に残る。」

 

信忠が尾張に残ることを言った。

 

長秀「で、ですが・・・!」

 

信奈「任せたわ!」

 

信忠「はっ!」

 

信奈「全軍、出陣よ!!」

 

そう言って、信奈は部屋を出た。

 

信忠「六。」

 

勝家「はっ。」

 

信忠「姉上を頼む。それと、良晴の事も。」

 

勝家「はっ、お任せ下さい!」

 

すると、信忠は勝家の頭を自分に引き寄せ、

 

信忠「頼む・・・!!」

 

と勝家に囁いた。

 

勝家「はい・・・信忠様・・・。」

 

そして、信奈達は出陣したのであった。

 

一方良晴達は、長良川を渡って逃げていたが、義龍軍の猛攻に苦しめられていた。

 

良晴「急げ、五右衛門!」

 

五右衛門「これが精一杯でござる!」

 

道三軍兵士A「これでは矢の的ですぞ!」

 

道三「運を天に任せるじゃな。」

 

一方の義龍は、

 

義龍「撃てえ!撃ちまくれえ!絶対に親父殿を逃がしてはならん!」

 

義龍(親父殿に、『流石はワシの子だ』と認めて貰えるまで・・・!)

 

良晴達を必死に追い掛けていた。しかし、何とか突破し、良晴達は尾張に着いたのであった。

 

五右衛門「突破成功でござる!」

 

良晴「じいさん、尾張に着いたぜ!」

 

道三「坊主、まだじゃ。義龍めがこのまま諦めると・・・」

 

すると、後ろから鬨の声が聞こえ、義龍軍が追い付いたのだった。

 

良晴「・・・ここまでか。」

 

しかし、銃声が聞こえたのでその方向に振り返ると、

 

信奈「義龍軍を追い返すのよ!突撃!」

 

勝家「うおおおおっ!!」

 

信奈達が軍のほぼ全てを率いて現れたのだった。

 

稲葉良通「退け!退けえ!」

 

これには、義龍軍は撤退したのだった。

 

良晴「何で信奈がここにいるんだよ?信忠はいねーし。それに、これは織田軍の殆どじゃねーか?尾張を空にしたら、今川が攻めてくるだろうが!誰も信奈を止めなかったのかよ?」

 

長秀「お諫めしました。しかし、どうしても出ると仰られて・・・それに、信忠様が残ると申したので・・・。」

 

良晴「しかしな・・・。」

 

すると、信奈は良晴の前に立ち、彼の頬を叩いたのだった。

 

信奈「アンタのせいでしょ!アンタが出て行くから。碌に槍も使えないクセに!死んだらどうするのよ!?」

 

と信奈は泣きながら言ったのだった。

 

良晴「信奈・・・。」

 

その時、

 

成政「申し上げます。信忠様からの知らせで、今川軍、およそ二万五千、尾張領に侵攻してきました。」

 

成政から、今川義元が尾張に侵攻したとの知らせが入ったのだった。




投稿できました。

少し、アレンジしました。相変わらず読みづらいかもしれませんが、お許しください(土下座)

次回ですが、かの有名な桶狭間に入りますが、義元を退場させるか、原作通り生かすか決めておりません。

活動報告にて意見をお願いします。

では、また!!


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10話

10話です。


成政「今川軍の先鋒、松平元康が三千の兵で丸根砦を包囲。他の砦も猛攻に晒され、総勢は二万五千を超えると思われます。」

 

信奈「やっぱり私の留守を狙われたわね・・・。」

 

勝家「信忠様・・・。」

 

良晴(遂に始まったか。『織田信長公の野望』最大のイベントが・・・。)

 

すると、

 

信奈「織田も終わりね、『尾張那古屋』とはよく言ったものだわ。」

 

信奈が下らない駄洒落を言ったので、

 

長秀「その駄洒落は五点です。」

 

信奈「辛いわね、万千代。二十点くらい頂戴。」

 

長秀「これでも姫補正でおまけしています。」

 

と長秀が辛辣に評価したのだった。

 

勝家「直ちに信忠様と共に迎撃しないと!」

 

信奈「無理よ、ウチはせいぜい三千足らず、信忠の兵を入れても五千よ。」

 

良晴「諦めたらそこでゲーム終了だぞ。信奈、お前なら勝てる。いや、今川義元に勝てるのはお前と信忠だけだ。」

 

勝家「本当か?織田家は滅ぼされずに、信忠様は死なずに済むのか?」

 

良晴「ああ。作戦は・・・」

 

しかし、

 

信奈「言う必要はないわ。サル、アンタはクビよ。」

 

と信奈は良晴にクビを宣告したのだった。

 

 

 

 

 

 

清洲城

 

 

 

 

 

織田軍兵士A「鷲津、丸根の両砦から援軍の要請が!すぐに兵を送りますか!?」

 

しかし、

 

信忠「・・・。」

 

信忠は腕を組み目を閉じたまま、何も答えなかった。それを見ていた

 

可成(若は何をお考えなのか・・・。援軍を送らないのも何かの作戦か・・・?)

 

長可(流石のあたしでもこの状況がマズいことは理解できる・・・。権六殿がいればなあ・・・。)

 

秀隆(殿・・・。)

 

信忠の家臣達は、泰然と構えている主を見つめていたのだった。

 

 

 

 

 

信奈軍

 

 

 

 

良晴「なんでだよ?」

 

信奈「信忠の許可があったとはいえ、アンタが身勝手に動いたからよ。命令無視、独断専行、クビになって当然でしょ。」

 

良晴「だけど俺は・・・」

 

信奈「私に一言もなく飛び出し、信忠に迷惑を掛けるなんて勝手すぎるわよ。もうアンタの言葉なんて聞きたくないわ。」

 

良晴「信奈・・・。」

 

信奈「二度と余計な真似しないで。」

 

これには、

 

長秀「良晴殿は姫様と信忠様、特に姫様の心痛を慮って・・・。」

 

信奈「それが余計だって言うのよ!」

 

勝家「しかしサルは、未来を見る力の持ち主です!何か勝算が・・・」

 

長秀と勝家がフォローしたのだが、

 

信奈「私達が駆けつけてなければ、全滅だったじゃないの。それとも、死ぬと分かってて信忠に許可を貰った訳?」

 

と信奈は言ったのだった。

 

良晴「ちょっと待てって!確かに今回のゲームのイベントになかったからピンチだったけど・・・」

 

しかし、途中で信奈に頬を叩かれ、

 

信奈「私と信忠の夢を叶えるとか言っといて、口先ばっかり!アンタみたいな嘘つき、大っ嫌いよ!」

 

と言われてしまったのであった。

 

 

 

 

 

清洲城

 

 

 

 

長秀「丸根、鷲津を攻める松平元康、朝比奈泰朝は各三千。大高城に鵜殿長照。鳴海城に岡部元信。まさに全面攻勢です。」

 

可成「うむ・・・。」

 

勝家「信奈様は?」

 

信忠「長良川から戻った後は、自分の部屋に引き籠もったままだ。」

 

織田家家臣A「ええい!この尾張存亡の時に・・・!」

 

織田家家臣B「信忠様がおられるため、兵の士気は何とかなっておられるが・・・。」

 

その後ろで良晴は、背中を丸めながら

 

良晴「信奈の言う通りさ。俺は口ばっかりで、自分じゃ何も出来ない。そのせいで、川並衆の連中まで。最悪だな。」

 

と言い、心が沈んでいた。その様子を見て密かに聞いていた信忠は、

 

信忠「・・・少し外す。」

 

勝家「信忠様?」

 

と言い、良晴の所に行った。それと同時に、

 

道三「だが、救われた者もいる。」

 

信忠「ああ、蝮が良い例だ。」

 

良晴「じいさん・・・。信忠・・・。」

 

道三と信忠がそう良晴に言った。そして、城門上まで一緒に行き、城下を見た。

 

道三「素晴らしい街じゃ。これを作り、守れるのは織田信奈と信忠だけよ。本当に今川に勝てるのか?信忠は何か考えておるようじゃが。」

 

信忠「ああ、まだ機は熟していないが。」

 

道三「・・・そうか。」

 

良晴「歴史上の超有名イベントさ。織田はこの戦いに勝ち、名実共に天下人へと乗り出す。」

 

信忠「それがお前の知る未来か?」

 

良晴「ああ。」

 

道三「じゃが、その未来ではワシは死んでいたのではないか?」

 

良晴「そ、それは・・・」

 

信忠「お前は姉上の苦しみを救うために未来を変えた。姉上が勝つという未来が変わっていないとどうして言える?」

 

良晴「!」

 

道三「信奈は天才じゃ。恐らくその事に気付き、お前を勝ち目のない戦に連れて行きたくなかったのじゃろう。」

 

良晴「ど、どうして?」

 

道三「お前が言っていたではないか、『信奈が好きになった人は死んでしまう』と。」

 

良晴「!」

 

信忠「ああいう性格だ。クビにする事でしかお前の思いをぶつけられなかったんだろう、姉上を許してやってくれ。」

 

信忠は、良晴にそうフォローした。それを聞いた良晴は、

 

良晴「あのバカ・・・。」

 

と苦い顔で呟いたのだった。そして、

 

良晴「俺は戦国シミュレーションゲームが大好きでさ、この時代に憧れてた。ゲームで学んだ歴史が、皆の助けになるのが嬉しくて。そのせいで未来を変えちまったかもしれない。だけど・・・歴史を知っていたおかげで、じいさんを、斎藤道三を救うことが出来たんだ。信奈を助けることだって・・・。」

 

それを聞いた道三は

 

道三「小僧、お前はお前にしか出来ない務めを果たすが良い。」

 

と良晴に言った。そして、良晴は犬千代と五右衛門ら川並衆と共に城を出たのだった。




投稿できました。

桶狭間の戦いに突入しました。

少しアレンジしております。

次回は、恐らく桶狭間の決着です。

では、また!!


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11話

11話です。


良晴が城を出た後も、今川を巡っての軍議は続いていた。

 

長秀「籠城など、考えられません!」

 

織田家家臣A「義元にとって上洛が最優先。仕掛けなければ、清洲を素通りする可能性が高い。」

 

長秀「戦わねば滅ぼされるのみ、二点です。」

 

その時、

 

信忠「お前、義元の此度の侵攻は上洛だと申したが、それは表向きの理由だ。」

 

と信忠はそう言いながら軍議に戻った。

 

織田家家臣A「すると、義元の侵攻目的は?」

 

信忠「アイツの此度の侵攻の本当の目的は・・・」

 

そう言って、軍議の真ん中に置いてある地図の一部を指し、

 

信忠「ここだ。」

 

と言った。その場所は、

 

長秀「知多?」

 

知多半島であった。

 

織田家家臣A「何故、義元はこの知多を?」

 

その疑問に

 

勝家「まさか、義元はこの知多とその周辺地域の商工業を欲していると!」

 

可成「この地域は窯業が盛んじゃ。中でも、常滑焼はよく稼げるしのう。」

 

と勝家と可成はそう答えた。

 

信忠「そうだ。それに、この常滑焼は日の本全てに流通している。つまり、流通機構も発達しているという事だ。父上は、この尾張の発達した商工業地域を支配下に置く事で力を付けてきた。無論、知多半島も求めた。その為、よく今川とは知多とその周辺地域を巡って小競り合いをしていたがな。そして、この知多にある緒川城を落とそうと、義元は村木砦という付け城を築いた。尤も、その砦は俺が落としたがな。」

 

織田家家臣A「な、なるほど・・・。」

 

織田家家臣B「その為の尾張侵攻だったのか・・・。」

 

長秀「この知多が目的・・・。」

 

その時、

 

恒興「申し上げます。鷲津、丸根両砦共に陥落、全滅した模様です。」

 

信忠「・・・であるか。」

 

鷲津と丸根が落ちたとの知らせが届いた。

 

織田家家臣A「二つとも落ちたのか・・・。」

 

織田家家臣B「信忠様!ここは降伏しかありません!」

 

その発言に、

 

長秀「姫様と信忠様を敵に差し出すつもりですか?家臣にあるまじき発言、零点です。」

 

と言われてしまった。

 

織田家家臣A「女子の分際で・・・。」

 

勝家「男のクセに女々しい方が情けないよ!」

 

すると、

 

信忠「・・・ふっ。」

 

信忠が不敵な笑みを浮かべたのだった。

 

勝家「信忠様・・・?」

 

これには勝家を初め、皆が疑問の表情を浮かべたが、

 

信忠「今のところ、俺の思い通りに進んでいる。だが、まだ足りぬ。」

 

と言ったのだった。その時、

 

良晴「信忠・・・。」

 

良晴が傷を負った状態でやって来た。

 

勝家「サル!?」

 

長秀「良晴殿!?」

 

信忠は良晴に近付き、

 

信忠「良晴・・・その傷は?」

 

と尋ねた。すると、

 

良晴「それより、信奈に会わせてくれ。今川本陣を見つけた。」

 

と言った。

 

信忠「・・・分かった。」

 

それを聞いた信忠は、彼を抱えて信奈の部屋に向かった。これには、一同唖然としたのだった。

 

 

 

 

 

信奈の部屋

 

 

 

 

その頃、信奈は一人オルガンを弾いていた。すると、

 

信忠「姉上。」

 

信奈「信忠?」

 

信忠が入ってきた。しかし、入ってきたのは信忠だけではなく、

 

信奈「サル!」

 

良晴も一緒だった。

 

信奈「何で、アンタ・・・。!それより、どうしたの、この傷!?」

 

良晴「それより、今川義元の本陣を見つけた。」

 

信奈「え!?」

 

良晴「桶狭間山の東の麓。本隊はおよそ五千、休息中で他の部隊から完全に孤立、今信澄達が足止めしている。」

 

信忠「それは確かだな。」

 

良晴「ああ。俺が出来るのはここまでだ。」

 

それを聞いた信奈は、

 

信奈「どうなの?アンタが見る未来は?」

 

と尋ねた。それに良晴は、

 

良晴「お前の道だ、信奈。お前が自分で選べ。俺は黙って付いていく。」

 

と言った。

 

信奈「・・・であるか。」

 

そして、

 

信奈「人間二十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり、ひとたび生を得て、滅せぬ者のあるべきか」

 

信忠「死のうは一定、偲び草には何をしよぞ、一定語り起こすよの」

 

信奈は敦盛を、信忠は偲び草を唄い、出陣したのだった。

 

良晴(敦盛そして偲び草、見届けたぜ信奈、信忠!)

 

そして、一同は熱田神宮に辿り着いた。

 

長秀「折角の熱田神宮です、神様に戦勝祈願をなさいませ。」

 

信奈「そうね。」

 

信忠「そうだな。」

 

そして、熱田神宮に向けてこう言った。

 

信奈「いつまでこの国を乱れさせたままにしてんのよ!」

 

信忠「これからは俺達がお前らに代わって、民を守ってやる。」

 

信奈「分かった?」

 

信忠「分かったら俺達を勝たせろ!」

 

信奈・信忠「「良いわね/良いな?」」

 

これには、皆唖然としていたが、如何にもこの二人らしいと思ったのだった。そして、二人は振り返り、

 

信奈「神殿の奥のコイツも」

 

信忠「勝利間違いなしと言っている。さて、善照寺砦に向かうぞ!」

 

織田軍兵士「「「おおーっ!!」」」

 

そして、織田軍は善照寺砦に入った。

 

 

 

 

善照寺砦

 

 

 

 

織田家家臣C「このまま突撃するのですか?」

 

信忠「いや、まだその時ではない。」

 

勝家「では、どうするのですか?」

 

信忠「まず三百の兵で、今川に寝返った鳴海城を攻める。」

 

と言った。これには、

 

可成「何と・・・!」

 

長秀「それだけの兵では、鳴海城は落とせません!」

 

良晴「そうだぜ信忠!」

 

それぞれ反対した。しかし、

 

信奈「・・・分かったわ。あなたの策に従うわ。」

 

信奈のみ賛成し、三百の兵で鳴海城を攻めさせた。その結果、

 

成政「申し上げます。鳴海城を攻めていた三百の兵、惨敗しました。」

 

負けたとの知らせが届いた。

 

信忠「・・・これで良い。姉上、中島砦に向かいましょう。」

 

信奈「・・・分かったわ。全軍、中島砦に向かうわよ!」

 

そして、全軍中島砦に向かった。これには、

 

勝家(信忠様、一体何を・・・?)

 

長秀(姫様は何も言わない・・・。何故鳴海城を僅か三百で攻めさせたのか・・・?)

 

可成(若・・・。)

 

長可(よく分かんねーけど、あたしは従うまでだな・・・。)

 

秀隆(私は、殿を信じる・・・!)

 

良晴(こんなの、ゲームにはなかったぞ・・・!信忠は一体何をするつもりだ・・・?)

 

それぞれ頭の上に?マークが浮かんだのだった。

 

 

 

 

今川本陣

 

 

 

義元「おーっほっほ!これで織田は終わりですわ!」

 

富塚元繁「織田の狙いは恐らく鳴海城。丹下、善照寺、中島の三砦を落としましょう!!」

 

義元「そうですわね。これで尾張は妾の物。そして、知多の経済も・・・。さあ、信澄ちゃん、遊びましょう。」

 

信澄「はい!」

 

そう言って、義元は信澄と蹴鞠を楽しんだのであった。

 

 

 

 

中島砦

 

 

 

秀隆「殿、今川の本陣、末端の兵まで気の緩む者まで現れております!」

 

その知らせに、

 

信忠「・・・機は熟した!姉上、この機を逃さず本陣を攻撃しましょう!」

 

信奈「良いけど、皆に作戦を伝えなさい。勿論私にも。分かんなかったんだから。」

 

信忠「ああ、そうですね。皆にはいらぬ心配を掛けたな、スマン!俺がここまで口を閉ざしたのは、この一世一代の作戦が敵に漏れぬよう味方にも秘密を貫いたからだ!今川はまんまと俺の策に嵌まった!『孫呉兵術』全ての条件が今ここに揃った!」

 

信奈「それで、その策とは何かしら?」

 

信忠「一つ、『卑うして之を驕らしむ』。僅か三百の兵で鳴海城を攻めさせたのは、俺達の少数劣勢を見せるいわば撒き餌!これにまんまと今川は完全に油断し、信澄のおかげもあるが、厭戦気分になった!!」

 

勝家「な、何と・・・!」

 

信忠「二つ、『利を見て進まざるは労るるなり』。今川軍は六日で四十里を大所帯で行軍し、夜通し戦い疲れている!!」

 

信奈「・・・!」

 

信忠「三つ、『千の力で万の敵を撃つは狭い谷間で戦え』。桶狭間の山道は非常に狭い!敵がどんなに多勢でも、この道なら俺達が相手するは少数の兵と同じものだ!それも良晴の情報で確信を得た!これを一気に崩せば、曲がりくねった山道に視界は遮られて、本陣後軍は前線で何が起ったかも分からず大混乱となる。恐怖は伝染し、総崩れとなる!」

 

可成「おおっ!!」

 

信忠「そして、最後の四つ目」

 

その時、

 

びゅおおっ

 

夏の時期によく吹く海風が吹いた。

 

勝家「!・・・まさかこれは、呉子の『まさに戦おうとする時は追い風の時に大声を出して攻めよ』では!!」

 

信忠「そうだ。この時期の未の刻に、鳴海城から桶狭間に通じる狭い道に夏の強い海風は吹き抜ける!絶好の追い風だ!!」

 

これには、

 

信奈「あなた、ここまで全て計算してたの!?」

 

長秀「これはこれは・・・点数以上です!!」

 

勝家「勝てる!!勝てるぞ!!」

 

可成「若!やりますなあ!」

 

長可「スゲー!!スゲーよ信忠様!!」

 

秀隆「流石は殿です!!」

 

皆それぞれ賞賛の声を上げた。良晴に至っては、

 

良晴(な・・・なんて事だ・・・!!信忠はここまで計算してたのか・・・!!全て、信忠の掌の上って事か・・・!!)

 

驚きのあまり、絶句してしまったのだった。

その時、突然雨が降ったのだった。

 

信忠「ははっ!熱田大明神は風だけでなく、雨まで運んできた!」

 

信奈「これぞ天運!一気に本陣に奇襲を掛けるわよ!!」

 

信忠「この戦に参じた者は家の名誉、末代まで語り継がれよう!!天は我らにあり!ひたすら励めぇ!!」

 

この言葉に、

 

織田軍兵士「「「おおーっ!!」」」

 

織田軍の士気は最高潮に上がったのであった。そして、信奈と信忠は義元のいる桶狭間に迫った。

 

 

 

 

今川本陣

 

 

 

 

義元「もう、何て雨ですの!これじゃ蹴鞠も出来やしませんわ。」

 

その時、

 

義元「あら?信澄ちゃん達は何処に行きましたの?」

 

富塚元繁「先程から姿が見えませぬ。」

 

といった状態であった。

 

 

 

 

織田軍

 

 

 

 

信奈「狙うは今川義元ただ一人!」

 

信忠「真っ直ぐ本陣に向かえ!」

 

信奈・信忠「「全軍、突撃!」」

 

勝家「うおおっ!!」

 

可成「行けーっ!!」

 

長可「ヨッシャー!!暴れてやるぜー!!」

 

秀隆「行けーっ!!」

 

 

 

 

今川本陣

 

 

 

 

義元「な、何ですの!?」

 

富塚元繁「敵の奇襲だ!全軍迎え撃て!!」

 

しかし、

 

岡崎忠実「ダメじゃ!酔い潰れた上にこの雨では戦になりもうさぬ!」

 

今川軍は戦える状態ではなかった。

 

 

 

 

そんな中、勝家と信忠はどんどん突き進み、

 

信忠・勝家「「どけーっ!!/どきやがれーっ!!」」

 

森親子と秀隆も

 

可成・長可「「うおりゃー!!」」

 

秀隆「殿の道を阻むなっ!!」

 

暴れまくっていた。

 

信奈「相変わらず、信忠の兵は一騎当千ね。」

 

他にも長秀や犬千代も暴れ、今川軍はどんどん戦線が崩れていったのであった。

 

犬千代「本陣は?」

 

成政「信忠様と勝家殿が向かっております!」

 

成政が言うように、信忠と勝家はそのまま真っ直ぐ突き進み、今川本陣に到着した。

 

勝家「今川義元、覚悟!!」

 

と勝家が槍を構えて本陣に入ったが、

 

富塚元繁「ここから先は!」

 

岡崎忠実「我らが通さぬ!」

 

富塚元繁と岡崎忠実が前に立った。

 

信忠「・・・行くぞ!!」

 

勝家「なら、覚悟!!」

 

そして、それぞれ一騎打ちが始まったが力の差は歴然、あっさり二人は信忠と勝家に討ち取られてしまったのだった。それを見た義元は、

 

義元「妾の負けです!!この身は如何様にしても構いません!!だからどうか、これ以上兵を傷つけないで下さいまし!!」

 

と義元は頭を下げて言ったのだった。それを見た信忠は、

 

信忠「なら、降伏の証に、お前の髪を切るぞ。」

 

そう言い、義元の背後に回った。そして、信忠は器用に彼女の髪を切り、

 

信忠「戦は終わった!!義元は降伏した!!これがその証だっ!!」

 

勝家「直ちに戦闘を止めよっ!!」

 

と高らかに叫び、その証を掲げたのだった。

 

信奈「やったのね!!」

 

良晴「おっしゃー!!」

 

織田軍兵士「「「おおおっ、俺達はやったぞー!!」」」

 

義元の降伏によって、将兵は散り散りとなり、『東海の弓取り』と言われた今川家は滅んだのでございます。

 

そして、義元を見た良晴は、

 

良晴「うおー!!義元も姫武将だ!!しかも超絶美人!!これは美味しすぎる!!」

 

と興奮していた。・・・おいおい・・・。何はともあれ、桶狭間の戦いは織田の大勝利に終わったのであった。




投稿できました。

桶狭間の戦い、何とか終えました。

最後の方は結構強引に締めましたが、お許し下さい(土下座)

桶狭間の戦いですが、よく言われるのは、今川義元が京に向けて上洛し天下に号令をかけるために尾張に侵入したところを信長が迎え撃ったというのが通説でしたが、近年の研究では、知多半島を巡る争いであったというのがこの戦いであり、義元が尾張に侵攻した理由だそうです。

この争いは、信長の父である信秀の代から始まっており、その知多半島を巡る最終決戦が「桶狭間の戦い」でした。

長文で、大変申し訳ございません。

次回ですが、美濃に目を向けます。

では、また!!


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12話

12話です。


織田軍本陣

 

 

 

織田本陣に松平元康が参り、織田との同盟が成立した。その為の挨拶に元康が来たのだが、

 

元康「この度は、尾張と三河の同盟が相成り、誠に喜ばしい限りで・・・」

 

信奈「堅苦しいわね、もうちょっと場の空気読みなさいよ。」

 

・・・非常に堅っ苦しい挨拶だった。

 

信忠「まあ姉上、これが彼女らしいですよ。」

 

信奈「まあそうね、これが竹千代だし。それより万千代、兵達に振る舞ってくれた?」

 

長秀「はい。皆喜んでおります、信奈様は素晴らしい主君だと。」

 

それに気を良くしたのか、

 

信奈「であるか!」

 

と機嫌良く言ったのだった。

 

信忠「六、それ頂戴。」

 

勝家「はい、どうぞ。」

 

信忠「ありがとう。おっ、これ美味いな!」

 

勝家「はい!これは私の手作りです!良ければ、どうぞ!」

 

信忠「本当か!ありがとう!」

 

その横で、信忠は勝家と一緒に食べていた。その姿があまりにもおしどり夫婦のようだったので、

 

信奈「相変わらずね、信忠と勝家は。」

 

長秀「はい。相変わらずの仲良し、百点です。」

 

良晴「ホント羨ましいぜ・・・。」

 

犬千代「勝家幸せそう。」

 

信澄「兄上もね。」

 

元康「勘九郎兄様は相変わらずです。」

 

と言っていたのだった。

 

良晴「ともかく信奈、俺は誤魔化されないぜ。今川を滅ぼしても領地は殆ど増えなかった。だから食べ物で、だろ?」

 

信奈「うっさいわね!」

 

良晴「恩賞は別の物できちっと貰うからな!」

 

信奈「な、何が欲しいわけ?」

 

その問いに、

 

良晴「天下一の美少女だ!」

 

とはっきりと言った。

 

良晴(見てるか、藤吉郎のおっさん?俺は今、モテモテ坂を登り始めたぜ!)

 

 

 

 

 

清洲城

 

 

 

 

 

信奈「今川を滅ぼし、竹千代とも同盟を組んだことで東方の備えを手に入れたわ。これを機に、美濃を攻略するわよ!」

 

しかし、

 

信忠「今は美濃を攻める時ではありません。まずは一部の武将を調略し弱らせてからの方が宜しいかと。」

 

勝家「私も信忠様と同じ意見です。まずは敵の情報を取り、一部の武将を調略させた方が宜しいと思います。」

 

可成「ワシも同じ意見じゃ。」

 

信忠と勝家、そして可成が、今美濃攻めをするのは反対であると言ったのだった。しかし信奈は、

 

信奈「そんなチマチマしてたら、いつまで経っても美濃と稲葉山城を手に入れられないじゃない!」

 

信忠「姉上、無鉄砲で行っても美濃は手に入れられませんよ。」

 

信奈「そんなの、やってみなきゃ分からないわよ!皆、出陣するわよ!信忠達は残りなさい!」

 

と言い、信奈は美濃に出陣した。しかし、結果は敗北。攻略は失敗したのであった。

 

信奈「ああもう、悔しい!何で蝮がいない美濃軍があんなに強いのよ!!」

 

これに信奈は、癇癪を起こしながらそう言った。

 

長秀「あれは『十面埋伏の計』と『石兵八陣』と呼ばれる計略かと。」

 

信忠「やはり、そういう結果になったか。あの情報は本物のようだな。」

 

信奈「信忠、何か知ってるの?」

 

信忠「はっ、美濃には竹中半兵衛という名の軍師がおります。」

 

これには、

 

良晴「おおーっ!!竹中半兵衛!!」

 

良晴は興奮した。

 

道三「ほお、信忠は知っておったか?小僧もか?」

 

良晴「戦国ゲームマニアなら誰だって知ってるぜ。」

 

・・・良晴、この時代の人に分かるような言葉を言わないと・・・。

 

信忠「これでも多くの乱破を抱え、多くの情報を手に入れている。情報を制するは戦を制するのと同じだ。」

 

道三「そうじゃのう。」

 

信奈「竹中半兵衛?」

 

長秀「そのような者の名は初耳です。」

 

道三「無理もない、美濃が隠していた最大の秘密じゃからな。とは言え、信忠には気付かれておったようじゃがな。蝮と言われたワシでさえ、彼奴の知恵には勝つ事など出来ぬ。」

 

光秀「古今東西の軍略に優れ、信忠様とその一味を除いた織田家の腐れ脳みそとじゃ天と地です!」

 

信奈「アンタ喧嘩売ってんの?それと信忠、何で最初から教えてくれなかったのよ!」

 

信忠「それを聞かずに無鉄砲に攻めたのは姉上ですよ。俺のせいにしないで下さい。」

 

これには

 

信奈「うっ・・・。」

 

信奈は黙ってしまった。その時、

 

織田家家臣A「信奈様、只今近江より浅井長政殿が参られました。」

 

との知らせが入った。

 

信奈「であるか、今すぐここへ通しなさい。」

 

織田家家臣A「はっ!」

 

そして、一人の『美男子』が入ってきた。

 

長政「浅井家当主、浅井長政と申します。書状も無く突然訪問したことはお詫び致します。一刻も早く姫様にお会いしたかったので。」

 

浅井長政は、北近江の若き戦国大名。京を目指すには避けて通れぬ相手にございます。

 

良晴「きーっ!なんて余裕ぶっこいた野郎だ!」

 

長政を見た良晴は醜い嫉妬をしていた。

 

信奈「もう、静かにしてよサル!」

 

長政「サルを買っておいでですか?」

 

信奈「気にしないで、まだ躾の途中なの。」

 

それを言われて、良晴はサルになってしまった。

 

信奈「それより私に何の用?ある程度予想はできるけど。」

 

すると、長政は

 

長政「信奈殿、私は貴女を妻に迎えるためやって来ました。」

 

と信奈に求婚したのだった。これには、

 

信奈・良晴「「なにーっ!?」」

 

信奈は驚いてしまい、良晴もそれに続いてしまった。

 

信忠「・・・。」

 

信奈「ななななな何言ってるのよ。それって私に求婚してるって事!?」

 

長政「ええ、他に何がありましょうや。」

 

信奈「そそそそそんないきなりそんなこと言われても困るのよ!わわわ私はてっきり同盟を結ぶものと・・・」

 

長政「ええ、もちろんその証にと思いまして。小谷の城で茶会や連歌に興じて無為に歳月を過ごすにはこの浅井長政、若すぎます。組むならば、かつての名門よりも天下取りの野望を隠さぬ英雄と以前よりそう考えておりました。」

 

信奈「そ、それは感心だわ。でも、結婚となるとちょっと・・・」

 

それに対して長政は、

 

長政「はて、いったいどこに問題がありましょうか。」

 

と言い、そしてこう続けた。

 

長政「私と信奈殿が結ばれれば、尾張と近江を代表する美男美女の夫婦となりましょう。互いに天下取りの大望を抱く、これほど似合いの夫婦もまたとおりますまい。」

 

信忠「・・・長政、お前別に姉上に惚れたわけでもねーだろ。」

 

すると、そのやり取りを見ていた信忠はそう言った。

 

長政「・・・流石弟殿。噂通りの鋭さですね。」

 

長政はそう言い、

 

長政「政略結婚は世の習い。いや、むしろ愛など邪魔になるだけでしょう。」

 

と、そう答えた。

 

良晴「何て野郎だ!」

 

信奈「私は、旦那様は自分で選びたいの。自分で好きになった人と結婚する。それが私の夢よ!」

 

長政「既に心に決めた方が?例えば、こちらのサル殿とか?」

 

その質問に信奈は、

 

信奈「ちちち違うわよ!ここコイツはタダの家来よ!主と足軽で結婚なんてありえないわ!」

 

と答えた。そして、

 

信奈「ちょっと、アンタも何とか言いなさいよ!主の貞操の危機でしょ!!」

 

と言い、良晴を殴り始め、痴話喧嘩を始めた。

 

良晴「ししし知るかっ!所詮俺はタダの家来だからな!てか、ボコボコ殴るんじゃねーよ!!」

 

信奈「顔で敵わないから諦めるとか、最低!」

 

良晴「誰が何を諦めるんだよ!」

 

信奈「そ、それは・・・天下一の美少女がかっさらわれようとしているのよ!惜しくないの!?惜しいでしょう?」

 

良晴「嫌なら自分で断ればいいだろ!」

 

信奈「長政と結婚しちゃうわよ!」

 

良晴「しろしろ!好きでもねーとハッキリ言われてそれでも嫁に行く女になんか未練はねーぜ!」

 

信奈「なんです・・・」

 

その時、

 

信忠「うるせー!!!」

 

信忠が怒って止めたのだった。

 

信忠「他国の大名の前で痴話喧嘩してんじゃねーよ!!」

 

長秀「信忠様の言う通りです!みっともない、五点です!」

 

信忠「いや、最早零点だろ?・・・ったく。」

 

信奈「痴話喧嘩って・・・」

 

良晴「別に俺達は・・・」

 

これには、信奈と良晴は喧嘩を止めたのだった。

 

信忠「長政、この調子では話は上手くいかぬ。スマンがこの辺で・・・。」

 

長政「そうですな、私も少々勇み足だったやもしれません。この辺でお暇致しましょう。」

 

信忠「助かる・・・。」

 

長政「ではこれにて。」

 

そう言って、長政は清洲を後にしたのだった。




投稿できました。

今回は、長政を登場させました。

相変わらず読みづらいかもしれませんが、お許し下さい(土下座)

では、また!!


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13話

13話です。


清洲城

 

 

 

 

信忠「現状の尾張が、浅井家との同盟を結ぶのは愚策だ。」

 

信忠「国力で劣る尾張が北近江と同盟を結べば、浅井家の風下に立たされる事になる。」

 

信忠「長政の狙いはそれだ。」

 

長秀「はい。信忠様の仰るとおりかと。」

 

勝家「私達はどうすれば宜しいのですか、信忠様。」

 

信忠「浅井家との同盟は、いずれ必要になる。北近江は、京への上洛のために避けては通れねー。浅井家との敵対を避け、国力の差を埋めるには、一刻も早く美濃を平定する事だ。そうすれば、同盟を結んでも立場が下になる事はねー。」

 

勝家「これは稲葉山城を攻略しないとどうにもならないですね。」

 

信忠「うむ。そして、その猶予はあまりない・・・。」

 

信奈「時間が無かろうとやるだけよ。私だって長引かせるつもりは無いわ。」

 

信奈「それより、サルと犬千代はどうしたの?呼びつけたのに来てないじゃない。光秀もいないし。」

 

道三「坊主は美濃へ向かったぞい。光秀の案内役付きでのう。」

 

この言葉に

 

「「「!?」」」

 

皆驚きの顔を見せた。

 

信忠「・・・そっか。」

 

信忠は、何かを察したが。

 

道三「何としても、稲葉山城を落としたいと見える。」

 

これに

 

信奈「あのボケザル、何また勝手に行動してんのよ!」

 

信奈はそう怒ったのだった。

 

 

 

 

美濃

 

 

 

 

良晴「ほーれ、ほーれ!お預けだぞー!」

 

犬千代「鮎!鮎!」

 

良晴「ほーれ、ほーれ!良し食え!」

 

犬千代「はむっ!」

 

良晴「はっは!犬千代が釣れたー!」

 

光秀「何遊んでいやがるです!?腐れ脳みそはもう目的を忘れやがったですかー!?」

 

これには、光秀は良晴の頭をぐりぐりした。

 

良晴「まあ、焦るなって。」

 

と良晴は止め

 

良晴「『太閤立志伝説』の秀吉ルートでプレイしてりゃ、半兵衛は味方になるんだから。」

 

と言った。・・・だから、この当時の人間に理解できる言葉を言わなきゃ。

 

光秀「ふふん。じゃあ当然知ってやがりますね、竹中半兵衛が陰陽師だと。」

 

そして、良晴達一行は半兵衛の隠れ家に向かった。

しかしその場所は

 

犬千代「何かお化け出そう。」

 

光秀「絶対いますよー!だから人が滅多に近寄らないです。」

 

とても不気味な場所だった。

 

良晴(半兵衛が、陰陽師だなんて聞いてないぞ?)

 

そんな事を思っていると

 

ガタンッ

 

良・光「「ひいいいっ!!」」

 

隠れ家の扉が突然開いた。

するとそこには

 

??「光秀!」

 

光秀「安藤守就殿!」

 

安藤守就「お主は道三様と尾張に・・・」

 

すると、良晴達を見て

 

安藤守就「成程・・・半兵衛を調略しに来たか・・・。」

 

全てを察した。

 

良晴「話が早いな。」

 

安藤守就「最近はどうも義龍様と折り合いが悪くてな。儂も道三様に付いていけば良かったのぅ。」

 

良晴「じゃあ良いんだな!」

 

しかし

 

安藤守就「ふんっ!腐っても我らは美濃斎藤家の家臣よ。生半可な言葉では動かんぞ。」

 

と言い残し、去って行った。

そして、部屋に入ると

 

良晴「あ・・・浅井長政!」

 

浅井長政が先客として来ていた。

 

長政「サル?またしても貴様か?」

 

良晴「何でお前がここにいんだよ!?」

 

長政「狙いは同じようだな。竹中半兵衛さえ手に入れば、美濃は落ちる。」

 

 

 

 

 

 

 

信奈「何なのよこれは?」

 

元康「浅井長政が各地の大名に送りつけた、結婚式の案内状です。」

 

信奈「それは一旦白紙になった筈だわ!」

 

信忠「姉上、アイツが簡単に諦める奴と思ったのですか?だったら、甘すぎますよ。」

 

信奈「そ・・・それは・・・」

 

 

 

 

 

 

良晴「まだ諦めてなかったのかよ?」

 

長政「私はお暇しただけで、諦めたとは一言も言ってはおらぬ。美濃を手土産にすれば、信奈殿も断れまい。例え弟の信忠殿でもだ。結婚は決まったも同然だ。」

 

良晴「テメーに信奈はやらせねー!」

 

長政「面白い。どちらが竹中半兵衛を手に入れるか、勝負というわけだ。」

 

良晴「望むところだぜ。」

 

その時

 

??「本人抜きで勝手に決められては困る。」

 

目の前の兜が突然喋りだし、途轍もないオーラが噴きだした。

 

光秀「で・・・出やがったです!」

 

そして

 

??「お初にお目に掛かる。竹中半兵衛だ。」

 

竹中半兵衛?が現れた。

 

良晴「俺は・・・」

 

半兵衛?「尾張織田家のサル殿。」

 

半兵衛?「そして北近江の若大名、浅井長政殿。」

 

長政「全て承知というわけか。」

 

良晴「だったら単刀直入に言うぜ。織田の味方になって・・・」

 

半兵衛?「勝負するのだろう?」

 

そう言い、半兵衛?は四つの色違いの饅頭を出した。

 

半兵衛?「この中に一つ当たりがある。先に食べ当てた方が勝ちだ。ちなみに、毒饅頭も混じっているがな。」

 

これには

 

良晴「毒?」

 

長政「ふざけるな!」

 

二人は驚いた。

 

半兵衛?「俺と美濃一国が手に入るのだ。命を懸けるくらい、安いものさ。」

 

これに

 

犬千代「やめた方が良い。」

 

と犬千代は止めたが

 

良晴(俺はあいつと約束したんだ、絶対死なねーって!)

 

良晴は構わず饅頭を一つ取って口にした。

すると

 

良晴「ひいいいっ!!」

 

口から火を吐き出した。

 

良晴「か、かれー!」

 

半兵衛?「残念。それは唐辛子饅頭だったな。」

 

これを見た長政は

 

長政「負けるか!」

 

饅頭を口にした。

すると涙を流し、崩れた。

 

半兵衛?「はっはっは、わさび饅頭だ。」

 

半兵衛?「残るは二つ。早い者勝ちだ。」

 

良晴「黒が本命とみた!」

 

長政「いや、青が正解だ!」

 

そして、それぞれの饅頭を取って口にしたが

 

良晴「石じゃねーか!」

 

長政「は・・・歯が・・・」

 

石だった。その時

 

半兵衛?「ひゃーはっはっはっは!最初から当たりなど無いわ!」

 

半兵衛?が突然、妖狐に変身した。

 

半兵衛?「何と愚かな奴だ。」

 

光秀「出やがったです!」

 

長政「おのれ、化かしたな!」

 

半兵衛?「化かされた方が悪いわ。ひーっひっひっひ!」

 

すると、犬千代が前に出て

 

ドシュ

 

半兵衛?「コーン・・・。」

 

槍で突いて倒した。

 

良晴「ば・・・馬鹿!殺してどうすんだよ!?」

 

犬千代「妖怪は退治するもの。」

 

長政「斎藤家の軍師を暗殺とは。これが知れたら、信奈殿の評判はガタ落ちだな。」

 

良晴「マズイ!生き返らせろ!」

 

しかし

 

犬千代「返事が無い。ただの屍のようだ。」

 

犬千代が槍で確かめ、某ゲームの台詞を言った。

 

良晴「た・・・狸寝入りだ!」

 

すると

 

良晴「・・・って、いねーじゃねーか!」

 

いつの間にかいなくなった。

しかし、犬千代が犬のように匂いを嗅いでいると

 

犬千代「そこ!」

 

掛け軸の裏に

 

??「い・・・虐めないで。」

 

幼女がいた。

 

良晴「君・・・誰?」

 

半兵衛「た・・・竹中・・・半兵衛です。」

 

その者は、本物の竹中半兵衛だった。

 

そして、一旦部屋に入れた。

 

良晴「君が・・・竹中半兵衛?」

 

半兵衛「はい。あの・・・虐めないで下さい。」

 

光秀「はあ・・・尊敬していた半兵衛殿が、こんな小娘だなんて、信じられないです。」

 

半兵衛「前鬼さん、お願いします。」

 

そう言い、半兵衛は札を出した。すると

 

前鬼「半兵衛が影武者こと、前鬼。只今復活にて、候。」

 

良晴「影武者だと?」

 

前鬼「然様。我が主竹中半兵衛は、その才気故に虐められっ子でな。俺が成り代わっていた次第よ。」

 

前鬼「おまけに大の人見知り。相手を怒らせ、自分を虐める人間かどうか試してしまう癖があるのだ。」

 

半兵衛「虐める?」

 

それを見た良晴は

 

良晴「虐めないよ。」

 

と優しい笑顔でそう言った。

そして、安藤守就の件もあって良晴は半兵衛を手に入れ、長政も一応手を引いたのであった。




お久し振りです!!

長らく待たせて、大変申し訳ございません!!

アニメと原作を見て、アレンジしました。

最後は上手く書けず、変な締め方になりました。ご想像でお許しを(土下座)

それでは、また。


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14話

14話です。


墨俣は、長良川と他の河川が交わる戦略上の要衝にございます。ここに城を築く事が出来れば、美濃攻略はなったも同じ。

しかし・・・稲葉山城から僅かな所に位置し、近付けばたちまち攻め入られます。故に、こう言われておりました。

『墨俣は死地。死地はまた生地なり』

と。

 

 

 

 

清洲城

 

 

 

 

信忠「やはり、美濃攻略は墨俣が鍵か・・・。」

 

信奈「美濃を生かすも殺すも墨俣次第ってわけね。上手い事言うじゃない。何としても成功させるわよ。」

 

それに

 

道三「義龍が黙って見ているわけなかろう。」

 

道三がそう言った。

 

信奈「なら蝮が説得してよ。」

 

道三「あり得んな、食うか食われるかじゃ。」

 

信奈「はあ・・・厄介な親子ね。」

 

信奈「じゃあ強引に城を建てるしかないわ。」

 

道三「それでは言葉通り屍の山じゃ。」

 

光秀「墨俣に城なんて不可能です。」

 

すると、半兵衛が何か言いたそうにそわそわしていた。

それに気付いた信奈は

 

信奈「半兵衛、アンタはどう思うの?」

 

と尋ねた。

 

信忠「・・・。」

 

半兵衛「す・・・墨俣を制する者、美濃を制す。不可能を成し遂げてこそ、て・・・天下人の器かと。」

 

これに、半兵衛はそう答えた。

 

信奈「・・・ふっ。流石天才軍師はひと味違うわね。まさに我が意を得たりよ。」

 

信奈「サルなんかやめて、私か弟の信忠に仕えなさいよ。」

 

信忠「・・・。」

 

信奈「これは命令よ。」

 

半兵衛「そ・・・それは・・・」

 

良晴「おい信奈・・・」

 

すると

 

半兵衛「お・・・恐れながら!私は、良晴さんを支えていくと誓いました!」

 

と言い切った。

 

良晴「半兵衛ちゃん・・・。」

 

これに

 

信奈・信忠「「であるか!」」

 

そう笑顔で言った。

 

信奈「サルが私と信忠を支え、アンタがサルを支えるのよ。天下統一を目指して、しっかりと励んでちょうだい。」

 

半兵衛「あ・・・ありがとうございます!」

 

信奈「・・・で、墨俣築城作戦だけど・・・」

 

これを聞いて

 

良晴(いよいよこのイベントか!『太閤立志伝説』で何度も見た、墨俣一夜城!)

 

良晴は自分に命ぜられると思ったのだが

 

信奈「信忠に命じる!」

 

信忠だったため

 

良晴「何でだよ!?」

 

と言った。その半面

 

織田家家臣A「おお、信忠様なら成功するじゃろう!」

 

織田家家臣B「うむ!信忠様なら安心して任せられる!どこぞのサルと違って、一騎当千の猛将であり、戦上手じゃ!」

 

勝家「流石姫様です!」

 

可成「権六、落ち着くのじゃ。」

 

周りは、この人選に賛成一色で、特に勝家は興奮しており、それを可成が落ち着かせていた。

 

信奈「文句あるわけ?」

 

良晴「大ありだ!ここは当然俺だろう!」

 

信奈「アンタばっかり特別扱いしてると思われたくないのよ。」

 

良晴「うぐっ・・・」

 

長秀「桶狭間や半兵衛殿の調略、贔屓されているとやっかむ者もおりましょう。それに、信忠様は戦に長け、家中で最も人望が厚いですし。」

 

これには、一部の者が顔を背けたり、わざと咳き込む姿があった。

 

信奈「というわけで、頼むわよ信忠。」

 

信忠「お任せ下さい。それと、俺が墨俣にて敵を引き付けますので、姉上は稲葉山城を攻めて下さい。さすれば、美濃を手に入れる事が出来ましょう。」

 

信奈「・・・分かったわ。あなたの活躍、期待してるわ!」

 

信忠「はっ!ではこれにて。行くぞ、六、三左!それと勝蔵と与四郎にも出陣の準備をさせろ!」

 

勝家「はっ!」

 

可成「ははっ!」

 

信忠「それと・・・良晴!」

 

良晴「な・・・何だ?」

 

信忠「川並衆を借りても良いか?」

 

良晴「あ、ああ・・・。五右衛門に言ってみる。」

 

信忠「頼む。行くぞ!」

 

勝・可「「はっ!!」

 

そして、信忠は勝家と可成を連れて、その場を後にした。

 

良晴「何で俺にやらせてくれないんだよ、信奈!?」

 

信奈「アンタ、無茶ばかりするんだもん。」

 

良晴「まさか俺を心配して・・・?」

 

信奈「家臣の身を案じるのは、主君として当然でしょ!」

 

信奈「べ・・・別にアンタをってわけじゃなくて・・・。」

 

良晴「本当に大丈夫なのか?確かに信忠は強いし、頭も良いが・・・」

 

信奈「アンタとは雲泥の差よ。実力も!顔も!そして人望も!」

 

良晴「うぐっ!!」

 

すると

 

信奈「・・・別にアンタが心配しなくても大丈夫よ。信忠は誰よりも強く、誰よりも頭が良い子よ。必ず墨俣で城を築き、期待に応えてくれるわ。」

 

と信奈はそう言い切った。

 

信奈「だから、決して信忠を死なせないわ。もし信忠が死んだら、私は生きていけないわ。迷わずこの命を絶つ覚悟よ。」

 

これには

 

良晴「信奈・・・。」

 

良晴(ここまで弟を信頼してるなんて・・・信忠が羨ましいぜ。)

 

良晴は何も言えなくなった。

そして、信忠は勝家、森親子、秀隆に加え、五右衛門ら川並衆も連れて出陣したのだった。

 

 

 

 

信忠軍

 

 

 

 

勝家「信忠様、墨俣は稲葉山城から目と鼻の先です。如何にして彼の地にて城を築くおつもりですか?」

 

信忠「ああ。墨俣に行く前にあらかじめ木材を切り出して城の部品を作る。」

 

可成「城の部品ですか?」

 

信忠「ああ。あらかじめ部品を完成させておいて、それを木曽川上流から現場に運んで一気に組み立てる。そうすれば、現地に到着したらすぐに城作りを始める事が可能だ。」

 

長可「な・・・成程・・・!そうすれば、すぐに城が完成し、あたかも一夜にて城が出来たと錯覚させるというわけか!」

 

秀隆「流石殿です!!」

 

勝家「だから川並衆をサルから借りたのですね!」

 

信忠「そゆこと!まあ問題点は、防御力くれーかな。」

 

勝家「確かにそうですね。私達が支えきれなくなる前に、姫様が稲葉山城を落とせるかですね。」

 

信忠「姉上なら大丈夫だ。そしてこの美濃を、姉上の天下布武の足がかりとしてみせる!」

 

そう信忠は、真っ直ぐ見据えて言った。




投稿出来ました。

何か矛盾を感じたら、お許し下さい(土下座)

それでは、また。


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15話

15話です。


墨俣に到着した信忠軍は

 

五右衛門「信忠殿。日が昇る前に城を組み立ててちまいまちょう。」

 

川並衆「「「うおおおっ!!」」」

 

信忠「ああ。皆、すぐに取りかかれ!俺も手伝う!後静かにしろ!」

 

すぐに行動を開始した。そして

 

信忠「完成したぞ!」

 

勝家「はいっ!!」

 

可成「おおっ!!老骨に鞭打った甲斐があったわい!!」

 

長可「へっ!いい汗かいたぜ!」

 

秀隆「流石です!」

 

五右衛門「ううむ。流石でござる、信忠殿。」

 

川並衆「「「うおおおっ!!流石信忠の大将だぜー!!」」」

 

遂に墨俣に城が完成したのだった。

 

 

 

 

 

稲葉山城

 

 

 

 

 

斎藤軍兵士A「と・・・殿!一大事でございます!」

 

義龍「何じゃ騒がしい?」

 

斎藤軍兵士A「し・・・城が・・・墨俣に城が!」

 

それを聞いた義龍は

 

義龍「何ぃ!?」

 

すぐに飛び起きて、望遠鏡で墨俣を見た。

 

義龍「ば・・・馬鹿な・・・あり得ん・・・。」

 

斎藤軍兵士B「一夜にして城が?信じられん!」

 

義龍「あの旗・・・信忠だな!すぐに墨俣へ軍を出せ!あの城を叩き潰すのじゃ!」

 

そして、義龍は兵を率いて出陣したのだった。

 

 

 

 

 

墨俣城

 

 

 

 

 

 

勝家「・・・!」

 

斎藤軍兵士「「「わああああっ!!」

 

長可「信忠様!来ました!」

 

それを、腕を組んで目を閉じていた信忠は

 

信忠「・・・来たか。」

 

と一言述べ、櫓にて見下ろし

 

信忠「まだだ。敵を引き付けろ!」

 

そう言った。

 

信忠「良し、やれ!」

 

秀隆「はっ!鉄砲隊、放て!」

 

そして、信忠軍の鉄砲隊の火が噴いた。

 

斎藤軍兵士「「「うわあああっ!!」」」

 

秀隆「弓隊、川に残った敵を迎え撃て!」

 

これにより、斎藤軍の兵士が次々と倒れていった。

 

義龍「おのれ信忠め・・・!!」

 

 

 

 

信奈軍

 

 

 

 

信奈達も、稲葉山城攻略の為、出陣していたが

 

長秀「姫様っ!お待ち下さい、姫様!」

 

良晴「待ってくれ信奈!」

 

信奈「美濃勢が動き出したわ!この隙に稲葉山城を落として、墨俣にいる信忠と合流するのよ!」

 

長秀「それは分かりますが、急ぎすぎです!このように急いでは、馬を潰してしまいます!」

 

良晴「それに皆も遅れているぜ!」

 

信奈が早過ぎて、皆がついて行けなかった。

 

信奈「脚の速い者から付いてくれば良いわ!それに信忠を・・・あの子を死なせるわけにはいかないわ!」

 

長秀「それはそうですが・・・っ!」

 

信奈「ここでしくじれば、長政との同盟は避けられないわ。それに・・・一刻も早く蝮に・・・」

 

そう言うと

 

信奈「はっ!」

 

長秀「姫様ーッ!」

 

良晴「信奈ーッ!」

 

更に馬を加速した。

 

信奈(死なないで、勘九郎!)

 

 

 

 

墨俣城

 

 

 

 

勝家「おりゃあああっ!!」

 

可成「攻めの三左の槍の錆となれ!!」

 

長可「親父と権六殿に遅れを取るんじゃねーぞ!!」

 

勝家達も奮戦した。しかし

 

信忠軍兵士A「鉄砲の弾が尽きました!!」

 

信忠軍兵士B「東側がもう限界です!!」

 

多勢に無勢と、防御力に限界が来たのだった。

 

秀隆「殿・・・。」

 

五右衛門「信忠殿・・・。」

 

信忠「・・・。」

 

しかし、信忠は決して動じる事無く泰然と構えていた。

その時

 

「「「わあああっ!!」」」

 

別の方向から鬨の声が聞こえた。

 

勝家「何だ!?」

 

可成「敵の増援か!?」

 

長可「それはヤベーって!!」

 

その正体は

 

信奈「全軍、墨俣城を救うわよ!突撃ーッ!」

 

長秀「墨俣の城を守り抜くのです!」

 

良晴「信忠ーッ!!五右衛門ーッ‼︎」

 

信奈の軍だった。

 

信忠「姉上っ!?何故ここに・・・!?」

 

これには、信忠は驚いたが

 

信忠「いや・・・考えるのは後だ!!全軍、姉上と合流し、敵を追い払うぞ!!」

 

すぐに切り替えて、命令を下した。そして、何とか墨俣城を守り抜いたのだった。




投稿出来ました。

相変わらず上手く書けたか分かりませんが、違和感があったらお許し下さい(土下座)

それでは、また。


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16話

16話です。


墨俣城にて義龍を追い払った織田軍は、そこに本陣を構えた。

 

恒興「義龍軍は稲葉山城に籠城したようです。」

 

信奈「であるか。」

 

信忠「姉上、これは一体どういう事ですか!俺が墨俣にて敵を引き付ける間に稲葉山城を攻めるべきではなかったのですか!」

 

信奈「・・・い・・・かったのよ。」

 

信忠「えっ?」

 

その時

 

信奈「あなたを失いたくなかったのよ!あなたは私にとって、大事な弟なのよ!墨俣築城も、稲葉山城を手に入れるのも、天下統一するのも、あなたがいないと意味ないのよ!」

 

そう言い、信奈は大粒の涙を流して信忠に抱き付いたのだった。

 

信忠「姉上・・・。」

 

すると

 

長秀「信忠様。姫様は、信忠様が出陣する時は、いつも出陣した方角に目を向けておりました。姫様は常に、信忠様を心配しているのです。」

 

長秀「姫様の気持ち、察してあげて下さい。」

 

長秀が、そう信忠に言った。

 

信忠「・・・。」

 

すると、信忠は

 

スッ

 

信奈「ッ!?」

 

信奈の肩を取って

 

信忠「申し訳ありませんでした、姉上。そして・・・救援、ありがとうございました。」

 

と謝罪し、救援に感謝の言葉を言った。

 

信奈「ええっ!!」

 

これに、信奈は満面の笑みを浮かべ、言ったのだった。

 

 

 

 

 

信奈「残るは稲葉山城か・・・。」

 

信忠「あの城は力押しで攻めても落ちません。徒に犠牲を増やすだけです。」

 

信奈「そうね・・・。」

 

地図を見て

 

信奈(少しでも早く蝮のために稲葉山城を・・・)

 

信奈はそう思った。

 

勝家「姫様・・・?」

 

信奈「!大丈夫よ。信忠、何か作戦があるかしら?」

 

信忠「はい。この城を落とすには、金華山の裏手から城内に潜入し、この二の丸の門を開けば一気に攻め落とせるかと・・・。」

 

そう言い、信忠は地図を指でなぞって言った。

 

信奈「成程ね・・・誰か志願する者はいる?」

 

長秀「生還の可能性は30点です。ここは私が・・・」

 

信忠「いや、俺が行く。言い出しっぺは俺だからな。」

 

しかし

 

信奈「二人が死んだら、私が困るでしょ。特に信忠は駄目よ。」

 

そう言い、信奈は却下した。すると

 

良晴「俺が行くってのはどうだ?」

 

良晴が自薦した。

 

信奈「サル・・・。」

 

良晴「危険も承知さ、策はある。」

 

これには

 

信奈「・・・どうせ止めたって行くんでしょう?」

 

良晴「よく分かってるじゃねぇか。」

 

信奈は呆れ顔で言った。

 

信奈「・・・分かったわ。ただし、決して死なない事!良いわね!」

 

良晴「了解!」

 

すると

 

信忠「良晴!」

 

信忠は、良晴を呼び瓢箪を投げた。

 

良晴「何だよ?」

 

信忠「決死隊を率いるなら、お前も立派な将だ。お前自身の旗印が必要だろう。」

 

信忠「その瓢箪、お前にあげる。見事役目を果たせ!」

 

そう言い、良晴を鼓舞した。

 

良晴「おう!」

 

その横で

 

勝家「ああああ!それは信忠様愛用の瓢箪!!サル!そいつに口を付けてみろ!絶対に殺すからな!」

 

と勝家が怒ったのだった。

そして、良晴は五右衛門と一緒に、稲葉山城潜入に行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

織田軍本陣

 

 

 

 

 

 

信奈「やっぱり待つのは苦手ね・・・。」

 

信忠「姉上、落ち着かれませ。」

 

信奈「・・・サル、敵に見つかって討ち取られてないかしら?」

 

信忠「姉上・・・。」

 

信忠(姉上・・・いつの間に良晴に依存してるな・・・。言っても素直になれねー性格だから正直に言わねーと思うけど・・・。)

 

信忠(・・・良晴。姉上の為に生きて戻って来いよ・・・!)

 

その時

 

勝家「信忠様!姫様!あれを!!」

 

勝家の言葉で稲葉山城を見た。

すると、瓢箪を槍に付け、それを振っている良晴がいた。

 

信奈「やったのね、サル!」

 

信忠「姉上!」

 

信奈「ええ!全軍出陣よ!二の丸から稲葉山城を一気に攻め落とすわ!」

 

信忠「はっ!全軍、俺に続け!」

 

勝家「おおーっ!」

 

可成「良しっ!もう一働きじゃ!」

 

長可「もういっちょ暴れてやるぜー!」

 

秀隆「殿のため、敵を殲滅するのだ!」

 

 

 

 

 

 

長政「これぞまさしく、漁夫の利というもの。」

 

その頃、浅井長政が、美濃を取るため兵を率いて美濃に入った。

すると

 

長政「っ!?」

 

そこに立ち塞がった者がいた。その者は

 

長秀「ここは通しませんよ。」

 

長秀だった。

 

長政「に・・・丹羽殿?」

 

長秀「信忠様より仰せつかっております。この戦は我ら織田の戦。卑劣にも割り込もうとする者は・・・」

 

長秀「例え浅井長政であろうと、斬り捨てよと。」

 

そう言い、長秀は薙刀を構えて言った。

 

 

 

 

 

 

稲葉山城

 

 

 

 

 

 

信忠「どけーっ!!」

 

斎藤軍兵士「「「うわーっ!!」」」

 

そんな中、信忠は縦横無尽に暴れた。信忠だけではなく

 

勝家「どきやがれーっ!!」

 

可成・長可「「うおりゃー!!」」

 

秀隆「殿の道を阻むなっ!!」

 

信忠軍兵士「「「信忠様に続けー!」」」

 

信忠の子飼いの兵も大いに暴れ回った。

そして

 

義龍「信忠ーッ!!」

 

信忠は、遂に義龍に会った。

 

信忠「義龍か・・・。」

 

義龍「俺と一騎打ちしろ!!」

 

信忠「受けて立とう!」

 

そう言い、信忠は星切を構え、義龍は有動刀を構えた。

 

信忠(姉上からは生かして捕らえろと言われたが、恐らく蝮に息子殺しの罪を背負わせねーためだろうな。けど、コイツが生きてる限り、コイツは俺達に戦いを挑むな。それじゃ天下統一は成せねー。ならここで頸を取っておくか。)

 

その時、信忠はそう考えていた。

 

義龍「うおおおっ!!」

 

信忠「はあああっ!!」

 

ガギン!

 

そして、両者は激突し、互いに激しくぶつかった。信忠の星切と義龍の有動刀が、火花と金属音を周囲にまき散らし激しい一騎打ちを繰り広げた。

 

ガギン!ギン!

 

義龍「はっはっはっ!流石織田信忠だ!」

 

信忠「そちらこそ中々の強さだ!流石『六尺五寸』殿。」

 

ガギン!ガン!

 

義龍「フッ、お前に言われると褒め言葉に聞こえるな!」

 

信忠「そうか・・・はっ!」

 

義龍「おおっ!」

 

ガギン!

 

そう言い合い、両者は激しくぶつかった。

そして

 

信忠「はあああっ!!」

 

ズバッ!

 

義龍「ガハッ!」

 

信忠が義龍の胸辺りを斬り、義龍は膝を付いた。

そして、信忠は星切を突きつけ

 

信忠「お前の負けだ・・・義龍。」

 

そう言った。

 

義龍「ま・・・まだだ・・・俺は・・・まだ・・・負けておらぬ!うおおおっ!!」

 

しかし、義龍はそう言い、有動刀を上段に構えて信忠に突撃した。

 

ズバッ!

 

義龍「グハッ・・・!!」

 

信忠はためらいも無く横薙ぎの一閃を放ち、義龍の首は一瞬にして刎ねられた。

その首を拾った信忠は

 

信忠「お前の無念は・・・この信忠が背負おう!安心しろ、美濃の家臣領民の命は、姉上と俺が保証する。」

 

そう言った。こうして稲葉山城は落ちたのであった。




投稿出来ました。

結構強引に纏めました。上手く書けたかな・・・。

それでは、また。


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17話

17話です。


織田本陣

 

 

 

織田本陣は、勝ち戦であり尚且つ道三も来たにもかかわらず、鬱々とした空気になっていた。

その理由は、信忠が義龍の首の入った木箱を持って来たからだった。

 

信奈「あなた・・・義龍は生かして捕らえなさいって命令したはずよ。」

 

信忠「・・・申し訳ございませぬ。義龍が最後まで抗ったため、そのまま首を刎ねてしまいました。それに、生かすと後々面倒になりますしね。」

 

信奈「・・・はぁ。」

 

これには、信奈は頭を抱えながら溜息をつき

 

信奈「悪いわね、蝮。このような形で再会させてしまって・・・。」

 

そう道三に言った。

 

道三「いや、信忠の行動は正しい。此奴を生かしても、屈服せずに虎視眈々と命を狙い、天下取りの障害となるじゃろう。良くやった、信忠。」

 

しかし、道三は信忠の行動を褒めた。

 

信忠「どうも。」

 

道三「信奈よ、そなたは信忠と違い甘すぎる。その甘さは、いずれそなたの命取りになるじゃろう。天下取りを目指すなら、情けを捨てよ!」

 

そう言い、道三は信奈に説教をした。

これには

 

信奈「・・・ッ!」

 

信奈も苦い顔をした。

 

良晴「爺さん。信奈はアンタに息子殺しの罪を背負わせたくなかったんだ。そして、義龍と一緒に、隠居生活させて親子仲を改善させたかったんだよ。だから・・・」

 

道三「それが甘いと言うておるのが分からぬか、小僧!」

 

この一喝に

 

良晴「ッ!」

 

良晴は怯んでしまった。

 

信忠「もう良い、蝮。・・・誰か!」

 

織田軍兵士A「ハッ!」

 

信忠「義龍の首を手厚く葬ってやってくれ。」

 

織田軍兵士A「御意!」

 

そして、道三は

 

道三「信奈よ・・・小僧よ・・・。よく考えるのじゃな。」

 

そう言い、その場を後にしたのだった。

 

信奈「・・・。」

 

良晴「・・・信奈。」

 

信奈「・・・と、ともかく、皆ご苦労だったわね。お陰で美濃を手に入れる事が出来たわ。」

 

「「「ははっ!」」」

 

長秀「では、恩賞の話に・・・」

 

その時

 

良晴「ちょっと待った。その前に良いか?」

 

と良晴が止め、ある事を聞いた。

 

 

 

 

 

岐阜城

 

 

 

 

 

その夜、道三は一人、天守の上で酒を飲んでいた。

 

良晴「こんな所にいたのか。」

 

そこへ、良晴が現れた。

 

良晴「随分しょぼくれてるじゃないか。祝賀会に出ないのかよ。」

 

道三「信奈ちゃんは信忠と違って甘すぎる。本人が言わずとも、儂への気遣いで義龍を討たなんだ事など承知よ。」

 

道三「天下を取ろうというのに、情に流されて敵を作るなど愚策じゃ。」

 

道三「それに儂は死に損ないの老いぼれ、『蝮の道三』じゃ。今さらどのような悪名を背負っても何とも思わぬ。」

 

道三「フフッ・・・やはり儂は、長良川で果てるべきだったのう。儂が信奈ちゃんと信忠の父とは片腹痛い。」

 

良晴「アホ言ってんじゃねぇよ、爺さん。信奈と信忠はこの城と町を『岐阜』って改名したんだ。その意味、わかるだろ?」

 

道三「ふむ・・・周の文王が出たと言われる山の名前じゃな。天下を狙う信奈ちゃんと信忠が付けそうな名じゃ。」

 

良晴「この耄碌爺!そんなんじゃねぇって!外を見やがれ!そして、新しい城の名前を唱えてよーく考えてみろ!二人の気持ちが、少しは分かるはずだぜ!!」

 

道三「な、何?」

 

良晴「・・・長生きしろよ。信奈と信忠が親孝行できる親父は、アンタだけなんだからな。」

 

そう言い、良晴はその場を後にした。

 

道三「・・・外に何が?」

 

良晴に言われ、道三は外を見た。すると

 

道三「これは・・・?」

 

灯の明かりがだんだんと連なっていった。

 

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

 

良晴「ちょっと待った。その前に良いか?」

 

信忠「どうした、良晴?」

 

良晴「この城の名前は決めてあるのか?」

 

勝家「何を言い出すのだ、サルは?ここは稲葉山城だろう?」

 

信忠「六、実は俺と姉上は、この地の名前を変えようと思ってたんだ。」

 

信奈「ええ、そうよ。信忠、何て名前にするか決めた?」

 

信忠「ええ、勿論。共に出し合いましょう。」

 

信奈「そうね。」

 

そして

 

信奈・信忠「「せーの!」」

 

信奈・信忠「「岐阜!」」

 

と共に言った。

 

信奈「フフッ。」

 

信忠「ははっ。一致しましたね。」

 

信奈「ええ。そうね。」

 

信忠「『周の文王が岐山より起こり、天下を定む』の故事と・・・」

 

信奈「『義父』をかけた。皆も聞いて!今日からこの城は岐阜の城、そして岐阜の街よ!」

 

「「「ははっ!!!」」」

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

道三「岐阜の城・・・『義父』の城、か・・・」

 

そう言って、道三の目に涙が流れた。その先には、灯の明かりで連なって描かれた蝮があった。

別の部屋では

 

信忠「姉上・・・。」

 

信奈「ん・・・?」

 

信忠「蝮・・・喜んでますかね・・・?」

 

信奈「当然よ・・・。」

 

信忠「ですよね・・・。」

 

信奈と信忠姉弟が、穏やかな目で灯で描かれた蝮の絵を見ていたのであった。




投稿出来ました。

アニメと漫画を見て書きました。

最後は強引に締めたので上手く書けたか分かりませんが、もし読みにくかったらお許し下さい(土下座)

また、義龍の件は、個人的には正しいと思っております。

実際に生かしてしまうと、後々面倒ですしね。史実は義龍では無く、龍興ですがね・・・。それの場合は、美濃を脱出したんですけど・・・。

それでは、また。


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18話

18話です。


美濃平定の功績で、信忠は尾張一国を与えられ、本拠を那古屋にした。そして、地名を『名古屋』に変え、信忠は新たな決意を自身の与力や家臣に伝えるため、皆を集めた。

 

 

 

 

 

名古屋城

 

 

 

 

 

 

信忠の命によって集められた与力と家臣。

 

信忠家臣A「何で信忠様は俺達を呼んだんだ?」

 

信忠家臣B「さあな。それは儂にも分からぬ。」

 

長可「なあ親父、何か知ってるか?」

 

可成「儂も分からぬ。この城を変えるというわけでもないしのう。」

 

秀隆「何はともあれ、私達は殿の命令に従うべきです。」

 

勝家「そうだな。」

 

その時、信忠が右手に星切を持って現れ、皆揃って頭を下げた。

そして、信忠は上座で胡座をかき

 

信忠「皆、聞け。」

 

そう言った。そして、家臣達は皆頭を上げた。

 

信忠「此度の美濃平定、誠に大儀であった。皆の活躍があったからこそ、美濃は姉上の物になった。」

 

信忠「その功績で、俺はこの尾張を任された。姉上の期待に応えるため、より一層粉骨砕身励むつもりだ。」

 

信忠「しかし、俺達の夢はまだ始まったばかりだ。姉上の天下布武のため、乱世を壊し、新たな世を創る助けとなる・・・それこそがこの俺の歩むべき道と覚悟した。」

 

勝家「信忠様・・・。」

 

可成「若・・・。」

 

長可「殿・・・。」

 

秀隆「殿・・・。」

 

そして、信忠は立ち上がり星切を左手に持ち替え

 

信忠「『天下一新』!これを成すまで、俺達の戦いは終わらぬ・・・そう心得よ!」

 

と皆に述べた。

 

「「「ははっ!!!」」」

 

そして、皆一同頭を下げた。こうして、信忠軍団の結束力は更に強まった。

そんな中、京都である事件が起きた。畿内に勢力を広げる三好三人衆が、足利将軍家を襲ったという事件だった。

その結果、240年に渡って武家社会を支配してきた室町幕府は滅亡し、戦国乱世は新たな時代へと突入していくのであった。

 

 

 

 

 

 

岐阜城

 

 

 

 

 

 

信奈「もう最悪!信忠と共に立てた将軍を奉じて上洛する計画が台無しじゃない!」

 

良晴「将軍が暗殺されても、弟の義昭がいる。義昭を新しい将軍に担げば、上洛の立派な大義名分になるぜ。」

 

しかし

 

信奈「誰が暗殺されたって?」

 

信奈を含め、皆が良晴に対し、目を丸くして見た。

 

良晴「だから、将軍の足利義輝。」

 

長秀「義輝公は、暗殺されておりません。」

 

良晴「えっ?」

 

光秀「それに弟じゃなく妹です。」

 

これには

 

良晴「ち、ちょっと待て。ゲームのイベントじゃ、将軍が暗殺されて・・・」

 

良晴は混乱してしまった。

 

光秀「間一髪で将軍は脱出。妹の義昭様と大陸へ逃げていったです。」

 

良晴「そんな・・・歴史が俺の知らない方向へルート分岐しちまったら、俺の存在価値ってやつが?」

 

光秀「猿も木から落ちるってやつですよ、サル先輩。」

 

光秀「はーい!猿知恵が役に立たない相良先輩に代わって、私に妙案があるです。」

 

そう言い、光秀は策を述べた。

 

光秀「織田家でとっ捕まえてる今川義元は、足利の血を引き、将軍家を継ぐ資格を持っていやがるです。」

 

光秀「今川義元を次期将軍に担いで上洛すりゃあ良いんです。」

 

これには、皆成程といった表情を浮かべた。

 

信奈「やるじゃない。織田家の武将に迎えた甲斐があったわね。」

 

光秀「相良先輩に追い付き追い越せ、頑張りますです!」

 

信奈「よーし!これより織田軍は、上洛するわよ!万千代、尾張にいる信忠にも伝えておいて。」

 

長秀「はい、姫様。」

 

こうして、織田軍は上洛の準備を始めたのだった。

 

 

 

 

 

尾張・名古屋城

 

 

 

 

 

信忠「・・・。」

 

可成「若。岐阜の姫様からは何と・・・?」

 

信忠「上洛するから、その準備をしろとの事だ。」

 

勝家「しかし、将軍様は襲われ、大陸へ逃げたと聞きます。誰を担ぐのでしょうか?」

 

信忠「十兵衛の策により、今川義元に決まった。」

 

秀隆「え!?それは・・・」

 

信忠「やむを得んだろう。今川家は足利将軍家の血を引いているし、吉良家に次ぐ家柄でもある。担ぐに相応しいやもしれんな。」

 

勝家「成程・・・。」

 

信忠「ともかく、上洛の大義も立てられるし、京にいる三好を逆賊として討てる。」

 

可成「しかし、簡単に将軍宣下が貰えるであろうかのう・・・?」

 

信忠「現関白の近衛様なら、話が通るかもしれん。かつて父上は、やまと御所に内裏の修理費用を送ったから、それを使う。」

 

秀隆「そう言われてみれば、亡き大殿はそのような行動をしましたね。」

 

信忠「うむ。ともかく、上洛の支度をしろ。」

 

「「「はっ!!!」」」

 

そして、信忠達も上洛の支度をした。

 

 

 

 

 

同時刻・岐阜城

 

 

 

 

 

その頃、浅井長政が岐阜にやって来た。

 

信奈「アンタもしつこいわね。」

 

長政「織田と浅井は同盟を結ぶべきです。あなただって、浅井を敵にしたくないでしょう?」

 

これに

 

信奈「別に?敵になれば?」

 

と言った。

 

長政「なっ!?」

 

信奈「こっちは全然困らないもの。頼りになる自慢の弟もいるし。あっ、困るのはそっちだっけ?あっちこっちに結婚するって言っちゃったもんね。」

 

信奈「ここで破談になったら、天下の笑い者だわ。可哀想!」

 

長政「くっ!」

 

信奈「まあ、泣いて頼むなら考えないでもないけど。」

 

長政「そ、そのような事は・・・」

 

信奈「じゃ、この話は無かった事に。」

 

これには

 

長政「お・・・お願い致します!嫁を貰わねば、国に帰れません!助けると思って何卒!」

 

長政も頭を下げるしかなかった。

 

信奈「しょうがないわね。私と信忠の妹をあげるから、感謝しなさい。」

 

と信奈はそう言った。

これには皆も疑問の表情を浮かべ

 

長政「妹?信奈殿と信忠殿に妹がおられるなど、聞いた事がありませんが。」

 

長政もそう言ったが

 

信奈「い、いるわよ!いるったらいるの。つべこべ言うと、破談にするわよ!」

 

長政「あ・・・ありがたく妹君を頂戴致します!」

 

と信奈は強引に進めたのだった。

 

良晴(そういや、信長にも妹がいたっけ。絶世の美女、お市・・・。)

 

そう思った良晴だったが

 

信澄「あ、姉上・・・これは一体?」

 

信奈「嫁入りおめでとう!」

 

信奈「今日からアンタは、浅井長政の奥方よ!」

 

信澄「嫁?」

 

信奈「末永くお幸せにねー!」

 

信澄「あーれー!?」

 

嫁として信澄を浅井に輿入れさせたのだった。

 

信奈「よろしくー!」

 

良晴「ひっでえ・・・詐欺だろ、これ?信忠が知ったら何て言うか・・・」

 

信奈「バレなきゃ良いのよ。それに、信忠なら分かってくれるわ。」

 

良晴「でも俺は誤魔化されないからな。」

 

信奈「?」

 

良晴「美濃の攻略の褒美に美少女を貰う約束をしたよな。」

 

信奈「そ、それは・・・」

 

良晴「これ無きゃ俺はもう働かないぜ-。例え信忠の命令でもな。」

 

信奈「ちょっと!」

 

良晴「美少女よこせ、美少女!」

 

これには

 

信奈「くっだらないおねだりなんかして、ホントに恥知らずね!少しは信忠を見習いなさいよ!」

 

信奈もそう言った。

 

良晴「やかましい!男が命を賭ける理由なんて、それしかねーだろうが!」

 

信奈「分かったわよ!」

 

良晴「天下一の美少女だぞ!」

 

信奈「約束は守るわよ。今夜・・・身を清めて待ってなさい。」

 

そう、信奈は頬を赤らめながら言ったのだった。

その日の夜

 

良晴「だーれっかなー!?だーれっかなー!?」

 

 

 

 

 

妄想

 

 

 

 

 

長秀『お姉さんに甘えるのは・・・100点です。』

 

 

光秀『相良先輩、優しくして・・・です。』

 

 

 

 

 

 

妄想終了

 

 

 

 

 

 

良晴「ひゃはははー!どれも捨てがたい!」

 

良晴「しかしここはやっぱり・・・高嶺の花、義元ちゃん。」

 

しかし、途中で

 

良晴「まさか・・・信奈が?」

 

信奈を想像した。

 

良晴「んな筈ねーって!アイツは俺の事なんか!イヤイヤ!イヤ・・・でも・・・」

 

 

 

 

 

妄想

 

 

 

 

 

信奈『何でサルなんかに・・・私をあげなきゃいけないのよ?』

 

信奈『ありがたく・・・褒美を受け取りなさい。』

 

信奈「天下一の・・・美少女よ。』

 

 

 

 

 

妄想終了

 

 

 

 

良晴「や、やっべえ!こ・・・心の準備が!ああっ!」

 

しかし、やって来たのは

 

寧々「姫様からのご褒美ですぞ、サル殿!」

 

良晴「はい?」

 

寧々だった。

 

寧々「パンパカパーン!天下一の美少女寧々が、今日からサル殿の妹になってあげますぞ!喜びなされ!」

 

これには

 

良晴「あ、アイツめ・・・詐欺だーっ!」

 

良晴はそう叫んだのであった。




投稿出来ました。

ちょっと、戦国無双5のシーンを入れてみました。かなり強引ですが・・・。

それでは、また。


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19話

19話です。


浅井長政を味方にした信奈は、南近江へと進軍。徹底抗戦を掲げた六角承禎らを信忠らの活躍で次々と平定し、京を目前にしたのでございます。

 

信奈「これだけの顔ぶれが揃えば・・・」

 

信忠「京はもう目の前だ!」

 

信奈・信忠「「進めーっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の良晴は、信奈の命により、先に京へ来ていた。

 

良晴「京美人でも拝みたかったのに、すっかり寂れちまってるな。」

 

すると

 

町人A「だ、誰かーっ!」

 

人の叫び声がしたので見ると、町人が野盗らしき者から物を盗られていた。

 

良晴「あいつら!」

 

良晴「真っ昼間から押し込み強盗かよ?」

 

半兵衛「三好軍の兵達です。」

 

良晴「あれが?どう見ても山賊だろ?」

 

三好軍兵士「「どけどけーっ!」」

 

半兵衛「幕府が滅んだため、京都は無法地帯になっているんです。」

 

良晴「信奈が探ってこいって言ったのは・・・」

 

半兵衛「京は日本の中心。治める者を失った国の姿を、確かめたかったのでしょう。」

 

良晴「そういう事か。」

 

半兵衛「私と五右衛門さんで、情報を集めてきます。良晴さん達は、姫巫女様のおわす、やまと御所を見てきて下さい。」

 

良晴「ひみこ?」

 

半兵衛「姫巫女様はやまと朝廷の頂点に立つお方です。」

 

半兵衛「この国を作った神々の子孫と言われ、崇め奉られているんですよ。」

 

これを聞いた良晴は

 

良晴(俺のいた世界とは、微妙に違ってるみたいだな。)

 

と自身の世界との違いに感じていた。

 

 

 

 

とある場所

 

 

 

 

 

前久「どういうつもりでおじゃる!?御所を襲うなど不届き千万!これから三好らを討ち滅ぼしに参られる信忠殿を迎え入れ、将軍宣下を行い畿内を安寧させようと思うたのに!」

 

関白・近衛前久。公家達と政治を裏から動かしてきた人物にございます。

 

警備兵A「面目次第もござらぬ!不届き者共は、既に捕らえ頸を刎ね・・・」

 

その途中

 

グシャ!

 

警備兵A「ギャアアッ!!」

 

前久は、警備兵の手を踏んだ。

 

前久「下賤の頸などいらぬわ!姫巫女様は何処に消えたでおじゃる!このままでは、信忠殿に申し訳ないではないか!」

 

津田宗及「御所の警備兵とあろう者が、いけませぬなぁ。」

 

堺の豪商、津田宗及。金のためなら何でもする男と言われております。

 

津田宗及「将軍を倒しても、これでは一文にもなりませんなぁ。」

 

正覚院豪盛「怨敵退散、南蛮覆滅・・・」

 

比叡山を束ねる正覚院豪盛。南蛮人を目の敵にしている男にございます。

 

前久「お主ら・・・!三好と協力し幕府を滅ぼし、京を混乱に陥れた者が何を言うか!」

 

正覚院豪盛「関白様。我らに逆らうおつもりか?」

 

津田宗及「然様。あなた様は、我らに逆らえませぬ・・・。」

 

前久「貴様らぁっ!」

 

すると

 

??「まあ、まあ、近衛様。ここは私にお任せ下さいまし。」

 

とある褐色の妖艶な美女がそう言った。その者は松永弾正久秀。裏切りや謀反を平然と繰り返す戦国の魔女であった。

 

前久「弾正・・・!」

 

それを見た前久は、怒りの顔で睨みつけた。

 

松永久秀「私達にとって姫巫女様は、大切なお人形ですもの。近衛様、ご安心を。」

 

前久「くっ・・・!」

 

これに前久は、悔しさに顔を歪めたのだった。

 

 

 

 

 

織田軍本陣

 

 

 

 

 

信奈「箕作城も落城っと。良い調子だわ。」

 

長秀「全ての城に同時攻撃とは・・・」

 

光秀「流石信忠様です!六角も驚きやがったに違いないです!」

 

信忠「俺一人の力では何も出来なかった。これは皆のお陰でもあるぞ。それに、この策を決断したのは姉上だ。一番賞賛すべきは姉上だ。」

 

信奈「チマチマやってられないからね。」

 

長秀「信忠様らしいですね。しかし、まさに妙策。95点です。」

 

光秀「ふっふふふ!相良先輩は、今頃手柄を立てられなくて悔しがってるです!」

 

信奈「良いのよ。京の方が重要なんだから。大分混乱してるみたいだし・・・」

 

それを見た長秀は

 

長秀「心配ですか?」

 

と尋ねた。

 

信奈「べ、別に!半兵衛や五右衛門もいるし。だ、大丈夫でしょ!」

 

これに信奈は、頬を赤らめながら言った。

 

長秀「ふふっ・・・。」

 

信奈「さっさと、六角を片付けるわよ!」

 

そして、箕作城陥落に恐れをなした和田山城も落城。観音寺城も落ち、六角らは逃げたのだった。

これにより、南近江は平定されたのだった。

 

 

 

 

 

とある場所

 

 

 

 

 

前久「おおっ!流石信忠殿じゃ!」

 

津田宗及「六角殿らは甲賀の山奥へ逃げ延びたとか。」

 

近衛前久「麿は端から六角など当てにしておらぬわ!誠に頼りになるのは信忠殿じゃ!」

 

その横で

 

??「情けないにも程があるな、六角の連中は。」

 

薔薇を持った男がいた。その者は朝倉義景。越前を支配する名門の大大名である。

 

朝倉義景「うつけ姫とその弟が上洛とは、世も末よの。」

 

前久「黙れ義景!うつけ姫はともかく、貴様に信忠殿の何が分かるでおじゃるか!」

 

朝倉義景「そやつなどどうでも良い。余が気になるのはうつけ姫と織田が次期将軍に担いだ今川義元だけだ。是非とも手に入れ余の作品に加えたいものよ。」

 

津田宗及「相変わらずのご趣味ですな。」

 

前久「貴様・・・それだけのために、この京に参ったのか!?」

 

朝倉義景「ええ、それが?」

 

前久「貴様・・・!」

 

朝倉義景「だが、このままでは我らは勝てぬ。ひとまず兵を退き、京の周辺で火の手を上げる。鎮圧に手間取れば、余の兵や武田、上杉で協力すれば、織田も終わろう。」

 

正覚院豪盛「それが良かろう。」

 

前久「貴様ら・・・それではこの畿内を・・・この戦乱の世を深めるだけじゃぞ!」

 

朝倉義景「逆らうのであれば、我ら越前朝倉75万石が相手になりましょうか?」

 

前久「くっ・・・!」

 

前久(信忠殿・・・頼む!麿では無力じゃ!早く来て、三好三人衆を含むこの不逞な輩を討ち取ってくれ!)

 

この時、前久は無力な自分を恨めしく思ったのだった。

そして、織田信奈は遂に上洛を果たし、京の都は織田家の支配する所となったのだった。

 

 

 

 

 

近衛前久の屋敷

 

 

 

 

 

 

信忠「織田信奈が弟織田信忠、只今参上仕りました。」

 

すると

 

前久「おおっ!会いたかったぞ、信忠殿!」

 

信忠「関白様!息災でありましたか!」

 

前久「うむっ!そなたこそ、息災で何よりでおじゃる!」

 

前久が、信忠の手を取って言った。

 

前久「済まぬな、信忠殿。そなたの父、信秀殿が亡くなられた時、葬儀に行かずに・・・」

 

信忠「お気になさらず。父上も、きっと気にしておりません。」

 

前久「そうか・・・。」

 

すると、前久は信忠の手を強く握り

 

前久「頼むぞ、信忠殿!この京を含め、畿内を安寧にさせ、戦乱の世を鎮めるのはそなたしかおらぬ!」

 

そう懇願した。

 

信忠「お任せ下さい。まずは姉上と共に京の治安を回復させます。そして、三好らを倒し、畿内を平定します。」

 

これに信忠は、前久の目を真っ直ぐ見据えてそう言った。

 

前久「うむっ!」

 

信忠「それと・・・将軍宣下の件ですが・・・」

 

前久「少々手こずるやもしれぬが、麿が何とか致そう。そして、この戦乱の世を・・・!そして、新しき世を・・・!」

 

信忠「はっ。必ずや。」

 

そして、織田は京を支配したのであった。




投稿出来ました。

かなり強引に書きました。矛盾点が多々あると思いますが、お許し下さい(土下座)

それでは、また。


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20話

20話です。


清水寺

 

 

 

 

 

信奈「とても悪かった京の治安も、かなりキツめのお触れを出しておいたし、もう大丈夫でしょ。」

 

その内容は、簡単に言うと

 

・民への乱暴狼藉は許さない

 

・銭と米を勝手に取り立てるのも厳禁

 

といったものだった。

 

良晴「まあ、そうだな。」

 

長秀「後は将軍宣下がもらえれば・・・」

 

信奈「それよ!何でこんなに遅れてるのかしら!?」

 

これには、信奈もイライラしていた。

 

信忠「関白の近衛様が何とかしておられるのですが・・・やはりどうも手こずってるようで・・・」

 

信奈「・・・他の公家達が邪魔してるのかしら?私、どうもあいつらが苦手なのよね。」

 

信奈「権威を振りかざして武家にだけ働かせるし、今もこうして将軍宣下を遅らせる始末よ。」

 

信忠「将軍宣下の件は十兵衛も手伝っておられますので、彼女に任せましょう。俺達は三好らを討ち、畿内を平定しましょう。」

 

信奈「そうね。私達は、明日より畿内を平定するわ。サル、アンタはやまと御所の警備につきなさい。」

 

良晴「俺だけ留守番かよ。」

 

信奈「アンタが戦に出ても、戦力にならないでしょ。それくらいがちょうど良いわ。」

 

信忠「まあ、そんなわけだ。頼むぞ、良晴。」

 

そして、信奈達は兵を率いて出陣し、良晴はやまと御所の警備に残ったのだった。

 

 

 

 

 

やまと御所

 

 

 

 

 

良晴(この有様だが、これでも信奈と信忠の親父さんの信秀が援助してくれたのと、今回の上洛で支援したお陰でかなりマシになったらしい。)

 

良晴(瓦礫で荒れた場所もある程度は整備されたし、混乱に乗じて暴れてた泥棒も、随分減った。後は公家に詳しい十兵衛ちゃんが話を付けてくるのを待つのみだ。)

 

良晴(清楚で生真面目で、信奈とは違う育ちの良さが十兵衛ちゃんの魅力だよな!)

 

そう思い、良晴は鼻の下を伸ばした。

すると

 

子供A「見てみぃ、サルが呆けとる。」

 

子供B「鼻の下伸びとるぞ、サル!!」

 

良晴「くらぁっ!サルって呼ぶな!!」

 

子供達にからかわれた。

 

良晴「まったく、京はこんなでも子供は元気だな・・・。」

 

その中に

 

良晴(女の子・・・さっきの子供に紛れてたのか?)

 

一人不思議な雰囲気を纏った少女がいた。

 

良晴「えっと・・・ここは危ないから、余所へ行こうね。」

 

すると

 

くいくい

 

良晴「ん、なんだい?」

 

袖を引っ張られ、指差した方に目を向けた。

 

良晴「御所の木がどうかした?」

 

??「・・・。」

 

良晴「ちょっと違うって?」

 

そう言われ、よく見ると

 

良晴「あんな所に凧が・・・もしかして、あれを取ってほしいのか?」

 

??「・・・。」

 

凧が木に引っかかっていた。

 

良晴「とは言っても、御所の中に勝手に入って良いものか・・・。」

 

しかし、少女に見つめられると

 

良晴(う・・・凄く期待されている・・・気がする。)

 

そう感じてしまった良晴は

 

良晴「よし、俺が何とかしよう!」

 

と言い、御所の木に登ったのだった。

 

 

 

 

 

その頃、織田軍は

 

 

 

 

 

 

織田軍兵士A「う、うわああっ!?何だコイツは!?」

 

織田軍兵士B「で、デケーっ!?」

 

ドカッ!!

 

「「「パオーンッ!!」」」

 

織田軍兵士「「「うわあああっ!!」」」

 

三好軍兵士「「「わああああっ!!!」」」

 

長秀「放て!」

 

カンカンカン!

 

 

 

 

三好軍本陣

 

 

 

 

 

松永久秀「フフッ・・・無駄無駄。」

 

 

 

 

 

 

ドシュ

 

織田軍兵士C「ぐわあっ!」

 

長秀「何とマズイ戦。5点です。」

 

勝家「うおおおっ!!」

 

ドガーン!!

 

三好軍兵士「「「うわあああっ!!」」」

 

三好政康「ぐっ・・・何たる・・・!」

 

勝家「三好政康、覚悟!」

 

ドシュ

 

三好政康「ぐわああっ!!」

 

勝家「三好政康、この柴田権六勝家が討ち取ったり!!」

 

信忠軍兵士「「「おおおおっ!!!」」」

 

長可「よっしゃあ!!あたしらも権六殿に続くぜー!!」

 

可成「権六に遅れを取るでないぞ!!」

 

 

 

 

織田軍本陣

 

 

 

 

 

秀隆「殿!権六殿が、三好政康を討ち取りました!!」

 

信忠「流石六!良くやったな!」

 

信奈「そうね!!信忠、畿内平定の残りはあなたに任せるわ。私は京に戻る!」

 

信忠「はっ!道中ご無事で!」

 

信奈「ええっ!」

 

そう言い、信奈は京に戻った。

 

信忠「攻めの手を緩めるな!更に苛烈に追い立てろ!」

 

信忠「三好三人衆も、松永久秀も、一人残らず討ち取れ!」

 

秀隆「御意!」

 

三好との戦も、一進一退だった。

 

 

 

 

 

やまと御所

 

 

 

 

 

 

良晴「見つかる前にさっさと出れば大丈夫だよな。」

 

良晴「もう・・・ちょっと・・・っ。よし、取れ・・・たっ!?」

 

しかし、足元の木が折れ、そのまま思いっ切り地面に激突してしまったのだった。

 

良晴「痛ってえええええっ!うおおおお死ぬほど痛えええ!!!」

 

その痛みに悶えていると少女が良晴の身体に手をかざした。

すると

 

良晴「・・・あれ?い・・・痛・・・くねえ・・・?」

 

痛みが治まった。

 

良晴「・・・君がしてくれたのか?でも、どうやって・・・」

 

しかし

 

良晴「あ、凧取れてたのか。」

 

凧が取れたのを確認した少女は、そのまま去ってしまった。

 

良晴「ちょ、ちょっと待って・・・!何者なんだ、あの子・・・」

 

その時

 

警備兵A「曲者っ!?」

 

良晴「やべっ!」

 

御所の警備兵に見つかってしまった。

 

良晴「早くここから出ねぇと・・・」

 

そう思った良晴は、御所の壁に出来た隙間を見て

 

良晴「あの隙間・・・狭いけど、ここを通るしかねぇっ!」

 

くぐろうとしたが

 

良晴(思ったよりも狭い・・・っ!)

 

狭かったため、強引に通ろうとしたら

 

ミシミシ・・・ガラガラガラ!!

 

御所の壁が壊れてしまった。

 

良晴「うわああ!更にヒドい事に!!」

 

その時

 

??「何事でおじゃる!」

 

牛車が目の前に現れ、出て来たのは

 

??「騒ぎの原因はその方か!」

 

良晴「うわあああ、すんません!」

 

前久「御所の壁をぶち壊すとは、不届き千万!この壁は、かつて亡き織田信秀殿が修理してくれ、その再修復を息子信忠殿が行おうとしたものぞ!」

 

前久「この麿が、直々に成敗してくれるわ!」

 

前久であった。

 

良晴「ちょっと待って、話を聞いてくれ!」

 

良晴の言葉に

 

前久「問答無用!」

 

前久は聞かず、蹴鞠に使う鞠を取って

 

バシィ

 

良晴「いってええ!!」

 

良晴目掛けて蹴った。

 

警備兵A「近衛様!」

 

警備兵B「御所への侵入のみならず、近衛様にまで失礼を働くとは!」

 

それを聞いた良晴は

 

良晴「近衛・・・?近衛って、もしかしてアンタ、関白の・・・」

 

前久に尋ねた。

 

前久「ふん、これだから田舎者は・・・麿こそは、藤原家の氏の長者にして、関白の近衛前久でおじゃる!」

 

これに前久は、そう自己紹介したのだった。

 

良晴「やっぱり!将軍宣下に尽力していると言ってた奴だ!十兵衛ちゃんも協力してるって!」

 

前久「田舎ザルに構っている時間はないでおじゃるよ。さっさとこの者を引っ捕らえよ!」

 

良晴「ま、待ってくれ!俺は信奈と信忠にやまと御所の警護を任されたんだ!」

 

これには

 

前久「黙りゃ!嘘を言うなでおじゃる!御所の壁壊しておいて、あまつさえ信忠殿の名を使うなど!そのような戯言通らぬでおじゃる!」

 

前久はそう言って信じてくれなかった。

 

良晴「相良良晴と言えば、アンタだって知ってるだろ?」

 

これに

 

前久「ほほう。そちがあの『サル』とな。」

 

前久はそう反応し

 

前久「どこのサルの骨とも知れぬ輩を警護に寄越すとは。そしてこのように御所の壁を壊す、織田信奈は弟の信忠殿と違って、粗暴なサルでおじゃるな。その家来も、やはりサルでおじゃる。」

 

これには、良晴はカチンとなり

 

良晴「いい加減にしろよ、テメェ。俺はともかく、信奈をサル呼ばわりするんじゃねぇよ。」

 

と怒りの表情でそう言った。

 

前久「ほほほ。その反抗的な目つき、サルじみた粗暴な口調、やはり麿のキツい仕置きが必要でおじゃるな。」

 

そう言い、前久は再び良晴目掛けて鞠を蹴ろうとした。

 

良晴「ちっ、ちくしょう・・・っ。」

 

その時

 

ドドッブワッ

 

前久「ななああっ!?」

 

一騎の武者が、間に立った。その者は

 

信奈「それは私の飼いザルよ。勝手な事してくれちゃ困るわね。」

 

信奈だった。

 

良晴「信奈!」

 

信奈「ふぅん・・・随分と可愛がってくれたみたいね。」

 

前久「そちが信忠殿の姉、織田信奈殿か!将軍宣下が上手く行かぬからと独断で御所を襲って麿を恫喝せんと乗り出したでおじゃるな!」

 

これには

 

信奈「独断で御所を襲う?一体何を言ってんの?」

 

信奈もよく分からなかった。

 

良晴「この人が、関白の近衛前久なんだそうだ。」

 

良晴の言葉に

 

信奈「ああ、コイツが例の・・・」

 

信奈は前久を見てそう言った。

 

前久「ぬぬぬ、麿の事を『コイツ』とは・・・信忠殿と違って礼儀も知らぬ何たる下郎!」

 

信奈「近衛!真に戦国の世を憂うのなら、早く今川義元への将軍宣下を進めなさい!」

 

前久「お主に言われなくても、分かっておるわ!今他の公家と話し合って・・・!」

 

すると

 

バシャ

 

信奈「つべこべ言わずに、早くしなさい!私は信忠と違って気は長くないわよ!」

 

前久「ゲホッゲホッ・・・!」

 

信奈が馬の後ろ足を使って、前久に砂を掛けたのだった。

 

信奈「ごめん遊ばせ。尾張の馬って品が無いの。おほほほ。」

 

前久「お、お、織田信奈!信忠殿は素晴らしきお方なれど、お主は認めぬでおじゃる!」

 

怒りの顔でそう言い

 

前久「麿は御所に戻って身を清めるでおじゃるぅ!!」

 

牛車に乗ってそのまま御所に入ったのだった。

 

良晴「行っちまった・・・。」

 

信奈「フンッ。確かに信忠の言う通り、アイツは他の公家とは違うようね。けど、信忠とは違って私の事は嫌いみたいね。」

 

良晴「なんつうか、その・・・助けてくれてありがとな。」

 

良晴のお礼の言葉に

 

信奈「はあ!?べ・・・別に私はただ公家にむかついてただけよ!!」

 

信奈「アンタなんかどうでも良かったんだから!調子狂うわね!!」

 

照れながら顔を背けた。

 

信奈「さっさと戻るわよ、アホザル!」

 

良晴「へいへい。それより、戦はどうなんだよ?信奈が離れても大丈夫なのか?」

 

信奈「大丈夫よ、信忠が残ってるから。信忠は、私より戦上手よ。すぐに決着を着けるはずだわ。」

 

 

 

 

 

戦場

 

 

 

 

 

戦場では、三好政康を討ち取った影響で戦況は好転していたが、未だ決着が付かず、特に長秀のいる持ち場は象がいるため、少々手間取っていた。

 

織田軍兵士D「うわあああっ!!」

 

織田軍兵士E「ぎゃあああっ!!」

 

信忠「埒が明かねー・・・弓と矢を貸せ!」

 

織田軍兵士F「はっ!」

 

長秀「信忠様、何を?」

 

信忠「あの化け物の目を射抜く!」

 

それに

 

長秀「無茶です!あの鎧に包まれた顔の目を目掛けて射るなど5点以下です!」

 

長秀は強く反対したが

 

織田軍兵士F「信忠様!」

 

信忠「うむ!」

 

信忠は無視して矢を3本つがえ構えた。

 

長秀「信忠様!!」

 

そして

 

信忠「はっ!」

 

矢を放ち

 

「「「パオーンッ!!!」」」

 

象の目にそれぞれ命中させたのだった。

 

三好軍兵士「「「う、うわああっ!?」」」

 

三好軍兵士A「な、何て奴だ!?あんな遠くから矢を象の目に命中させるなんて!?」

 

三好軍兵士B「お・・・織田信忠・・・!まるで化け物だ!!」

 

三好軍兵士C「に・・・逃げろーっ!!」

 

これを見て、三好軍は戦意を失い、逃げてしまった。

 

三好長逸「コ、コラ逃げるなっ!!」

 

岩成友通「逃げずに戦えっ!!」

 

三好長逸と岩成友通が必死に止めても、それは止まらなかった。

一方の織田軍は

 

織田軍兵士G「ス、スゲー・・・!」

 

織田軍兵士H「あの距離で、あんな小さい的を命中させるなんて・・・!」

 

呆然としている者もいたが

 

勝家「流石信忠様!!」

 

可成「儂には出来ぬわい・・・!」

 

長可「スゲー!!流石殿だぜ!!」

 

秀隆「流石殿です・・・!!まさに軍神・摩利支天の如く・・・!」

 

信忠軍兵士A「おおっ!流石信忠様!!」

 

信忠軍兵士B「流石俺達の大将だ!!」

 

信忠軍兵士C「よっしゃあ!!」

 

信忠の軍団のみ、自分の事のように喜び、士気は一気に上がった。

 

長秀「・・・この距離を命中させるなんて・・・!!」

 

それを見た長秀は、信忠の神技に唯々呆然としてしまった。

 

信忠「皆、この機を逃すな!!一気に攻め立てろ!!これまでやられた分を三好勢にぶつけるのだー!!」

 

そんな中、信忠は覇気を前面に出して兵達を鼓舞した。

 

織田軍兵士「「「うおおおっ!!」」」

 

これにより、信忠軍団同様士気の上がった織田軍は、雪崩の如く一気に攻め立てた。その乱戦の中、三好長逸、岩成友通は討ち取られてしまった。

この様子を三好軍本陣から見ていた松永久秀は

 

松永久秀「これは潮時ね・・・。」

 

すぐに退却し、姿を消したのだった。

この戦の勝利を機に、信忠は京周辺の畿内を平定していったのであった。




投稿出来ました。

結構強引に纏めたので、結構グダクダです。お許し下さい(土下座)

象の鳴き声の表現ですが・・・気にしないで下さい!これしか思い付かなくて・・・(泣)

また、主人公の信忠の戦時の格好ですが、銀魂の銀さんが白夜叉時代の格好で胴と鉢巻が無いのをベースだと思って下さい。
因みに天パではありませんので(笑)

それでは、また。


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21話

21話です。


清水寺

 

 

 

信奈「信忠。畿内平定、ご苦労だったわね。」

 

信忠「ありがたきお言葉。これも全て、皆のお陰です。」

 

信奈「そんな事無いわよ。あなたが自ら矢を放ち、あの獣の目を射抜いて止め、我が軍に勝利を持ち込んだと聞いたわよ。あなたの力のお陰よ。」

 

信忠「ありがとうございます。しかし、松永を逃がしてしまいました。大変申し訳ございません。」

 

信奈「良いのよ、畿内の平定が先だったんだから。それに、松永だけじゃあ何も出来ないでしょ。」

 

信忠「・・・はっ。」

 

信奈「とりあえず、お疲れ様。万千代、御所の壁の方は?」

 

長秀「ひとまず、やまと御所の修復を進めています。全体的な修繕にはまだまだ日数がかかりますが、将軍宣下にはなんとか間に合わせます。」

 

信奈「戦から戻ったばかりなのに、悪いわね。頼むわよ、万千代。」

 

長秀「はっ。」

 

その時

 

織田家家臣A「信奈様。明智殿が戻られました。」

 

光秀が戻ってきた。そして、将軍宣下の条件を聞いて

 

信奈「今月中に12万貫!?」

 

大金を用意するという条件だったが、あまりの大金に驚いてしまった。

 

光秀「近衛殿が申すには、他の公家衆達が横槍に入り、払わねば今川義元の将軍宣下は認めぬとの事。」

 

光秀「故に、その条件を呑まざるを得なかったと。」

 

信奈「・・・そう。」

 

長秀「まさしく、無理難題ですね・・・。」

 

信忠「十兵衛、近衛様は他に何と・・・?」

 

光秀「近衛殿は、最後まで『すまぬ、信忠殿』と仰っておりました。」

 

信忠「・・・そうか。」

 

光秀「どうしましょう。今月中といっても、後1週間程しか残っていません。」

 

信忠「姉上、如何なさいますか?」

 

すると

 

信奈「・・・堺に行くわ。久し振りに見ておきたいし、彼に会って12万貫の話をしてみるわ。十兵衛、あなたは近衛と将軍宣下について、引き続き交渉しなさい。」

 

と信奈は言った。

 

光秀「御意!必ず、期待に応えてみせますです!」

 

信忠「・・・成程。あの者に話すのですね。」

 

信奈「ええ、流石鋭いわね。信忠、ちょっとサルと一緒に堺に行くから、あなたは皆と一緒に京を任せるわ。」

 

信忠「お任せ下さい。道中お気を付けて。」

 

信奈「ええ。皆も、何かあったら信忠の命令に従うように。」

 

「「「はっ!!!」」」

 

良晴「ち、ちょっと待て信奈!何で俺はお前と一緒に堺へ!?」

 

信奈「良いから付いてきなさい!」

 

そう言い、信奈は良晴を引っ張って行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信奈「あーん。」

 

パクッ

 

信奈達は堺に到着すると、たこ焼き屋でたこ焼きを食べた。

 

信奈「んーっ、美味しーっ!」

 

美味しそうに食べている信奈を見て

 

良晴(ううっ、スゲえ可愛い・・・っ)

 

見惚れてしまった。

 

信奈「?何赤くなってんの?」

 

それに気付いた信奈は、そう尋ねたが

 

良晴「な、なってねえよ!」

 

と良晴は照れ隠しに言った。

 

良晴「それより、こんな所で油売ってて良いのかよ?おまけに12万貫も集めなきゃいけないんだぞ?」

 

信奈「分かってるわよ。その為に堺に来たんだから。ここなら、それを集める方法があると思ったの。」

 

そして、この『黄金の町』堺を支配している会合衆と呼ばれる36人の豪商達で、その頂点に立っている者に会った。

その者の名は今井宗久であった。

 

今井宗久「織田信秀様のおひいさまがこないに美しゅうなられて、ホンマ感激ですわ。」

 

信奈「商人にしちゃ正直じゃないの!」

 

これには

 

良晴「お世辞だお世辞・・・」

 

横で良晴がそう言ったので

 

ボカッ

 

信奈「サルは黙ってなさい!」

 

裏拳で殴った。それを見て

 

今井宗久「お父上にそっくりでんなぁ。若様はお元気ですかいな?」

 

笑いながらそう言った。

 

信奈「信忠なら息災よ。あの子も呼びたかったけど、京の守りを疎かにするわけにはいかないし。」

 

今井宗久「まあ、確かに畿内一帯は全て若様の活躍で平定したとて、油断は出来まへんし、若様が守りにつくなら安心やろな。若様は、おひいさまより戦が上手やからな。この京までいや、遥か西まで若様の勇名は轟いてまっせ。」

 

信奈「当然よ。私にとって、あの子は自慢で大切な弟なんだから。」

 

今井宗久「はは。相変わらず強い絆で結ばれとりますなぁ。」

 

良晴「ってー!随分あの今井宗久と親密なんだな。」

 

信奈「アンタ宗久を知ってたの?」

 

良晴「『織田信長公の野望』じゃ、レギュラーキャラだぜ。季節の変わり目になると、茶器を売りに来てくれるんだ。」

 

・・・だから良晴、この当時の人間に分かる言葉で言いなよ。

 

今井宗久「おもろい事を言うサルでおますなぁ。」

 

信奈「未来から来たんですって。」

 

これには

 

今井宗久「ほう、未来から?」

 

今井宗久は目を光らせた。

 

信奈「そんな事より、相談があるの。」

 

この一言に

 

今井宗久「12万貫でっしゃろ?」

 

と言った。

それを聞いた信奈は

 

信奈「知ってたの?なら話は早いわ。将軍宣下が叶えば、天下へ一歩近付くのよ。お願い、協力して!」

 

そう言い、懇願したが

 

今井宗久「織田家は超お得意様やけど、無理ですわ。」

 

断られてしまった。

 

信奈「たこ焼きで大儲けしてるんでしょ?」

 

今井宗久「そないな大金払うたら、破産ですがな!」

 

信奈「本当にどうにもならない?」

 

そう聞いても、今井宗久は首を横に振るばかりだった。

 

良晴「他の商人にも協力を頼めば・・・」

 

今井宗久「確かに・・・堺の会合衆36人に、3334貫ずつ納めさせる手はありまんな。」

 

信奈「それよ!そうしましょう!」

 

しかし

 

今井宗久「そないに上手い事いきまへん。」

 

と言った。

 

今井宗久「ウチは、たこ焼きの独占で妬まれとりますから。特に、天王寺屋の津田宗及。」

 

信奈「そうきゅう?」

 

今井宗久「似てるのは名前だけですわ。向こうは銭のためなら何でもする、それだけにごっつう手強い相手でっせ。」

 

と言われてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

信奈「思ったより手間取りそうね。」

 

良晴「そうだな・・・。」

 

その時

 

光秀「信奈様。ご報告に参りましたです。」

 

光秀がやって来た。

 

信奈「近衛はどうだった?」

 

すると

 

光秀「・・・申し訳ないです。」

 

不調だったのか、しょんぼりした顔でそう言った。

しかし

 

信奈「良いわよ、予想はしてたし。ご苦労様。」

 

信奈「京に戻って、信忠を補佐して頂戴。」

 

信奈は怒ることなく、寧ろ労いの言葉を光秀にかけた。

しかし

 

光秀「私にもここで手伝いを。失敗を償わせて下さい。」

 

光秀は挽回したい気持ちでそう言った。

 

信奈「気にしなくて良いのに。じゃあ、一攫千金の良い考えはある?」

 

これに信奈はそう尋ねると

 

光秀「それなら簡単です!堺の町に火を放ち、商人共を残らず追い払い軍事占領すれば、手っ取り早く全ての富を独り占めできます!」

 

中々過激なことを進言した。

これには

 

信奈「馬鹿な事言わないで!!」

 

と信奈は一喝した。

 

信奈「堺は世界に通じる町よ。東洋と西洋が交わり、皆が活気に満ちている。いずれは日本全部をこの町みたいにしてみせるわ。」

 

光秀「日本全てを・・・?」

 

信奈「堺にはこの国には無かった本当の自由がある。それは私と信忠が守るべき物で、壊すなんて論外よ。」

 

と光秀に言った。

 

 

 

 

 

夕方・光秀の屋敷

 

 

 

 

 

屋敷の庭で、光秀は立っていた。

 

光秀(どんなに学問や武芸を身に付けても、認めてくれるのいつも母上だけだった。)

 

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

 

 

お牧の方『十兵衛は出来る子です。私はあなたが、明智の家を継いでくれた事を、誇りに思っています。』

 

光秀『母上・・・』

 

お牧の方『あなたは必ずや、立派な武将になります。いつか分かって貰える日が来ますよ。』

 

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

 

光秀(そんな時、信奈様と信忠様に出会った。お二人の溢れる才能に加え信奈様の美貌、そして信忠様の圧倒的な覇気。お二人の次の時代の世界を見通す目。私はようやく、自分と同じ人間に巡り合えたと思った。)

 

光秀(この明智十兵衛光秀を理解してくれるのは、母上と信奈様、そして信忠様だけ。もう失敗は許されないです。見ていて下さい母上、私は信奈様と信忠様と一緒に、天下を取ってみせます!)

 

そう決意し、光秀は居合いで藁を袈裟斬りしたのであった。




投稿出来ました。

アニメと漫画を見て、ミックスして書きました。

上手く書けたか分かりませんが・・・。

しかし、この当時の堺って、凄かったんだろうなぁ・・・。

それでは、また。


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22話

22話です。


今井宗久の納屋

 

 

 

 

今井宗久の納屋に、全ての会合衆が集まった。

 

津田宗及「手前は天王寺屋の津田宗及にございます。」

 

光秀「私から事情を説明させていただきます。」

 

そして、光秀は一連の事情を話した。

 

津田宗及「成程。お話は分かりました。」

 

信奈「私は必ず天下人になるわ。これは先行投資だと思って頂戴。」

 

津田宗及「京周辺の畿内は、信奈殿の弟君であらせられる信忠殿の八面六臂のご活躍で見事平定なされた。しかし、越前の朝倉や甲斐武田、越後上杉とまだまだ敵は多い。天下人など並大抵の事ではありますまい。」

 

津田宗及「それに・・・近衛殿の無理難題、近衛殿はともかく他の公家衆が、『織田を天下人とは認めぬ』という事では?」

 

これには

 

良晴(まずいな、正論だぜ。)

 

良晴は聞いててそう感じた。

 

今井宗久「津田はん。それがしは織田信奈様を天下人に相応しいとお見受けします。ここにはおりませぬが、その弟君の信忠様も然り。何より、堺の町を大切に思ってくれはるお方や。」

 

これに、今井宗久はそうフォローした。

 

津田宗及「そこまで肩入れなさるなら、たこ焼きの独占権をお売りになったらどうです?」

 

これには

 

今井宗久「何やて?」

 

津田宗及「12万貫で買います。」

 

今井宗久は驚いてしまった。

 

信奈「良いわ。買って貰おうじゃないの。」

 

しかし、信奈はそう津田宗及に言った。

 

今井宗久「おひいさま!?何を・・・」

 

信奈「関西人の舌をうならせる名物料理だったら、文句無いんでしょ?」

 

津田宗及「ほう、そんな物がありますかな?」

 

これに

 

信奈「このサルが作るわ。」

 

と言った。

 

良晴「ええっ、俺かよ!?」

 

これには、言われると思わなかった良晴は驚き

 

光秀「無理です!サル先輩にそんな芸当できっこないです!ここは私に・・・!」

 

光秀がそう言ったが

 

信奈「いいえ。サルならきっと出来るわ。」

 

と信奈は良晴を見てそう言った。

 

津田宗及「ふふ、良いでしょう。ただし、明智殿にも作っていただきます。」

 

これには、光秀も驚いた。

 

津田宗及「どうせなら勝負にした方が盛り上がるというもの。手前は明智殿に、今井殿はサル殿に賭けるのです。」

 

今井宗久「一体、何を賭けると言いますのや?」

 

津田宗及「会合衆代表の座、では如何ですかな?」

 

これに

 

今井宗久「はっ!?」

 

今井宗久は驚いてしまった。

 

津田宗及「手前が勝ったら、明智殿の料理は12万貫で買い上げましょう。悪い話ではありますまい。」

 

これに

 

信奈「望む所よ。」

 

信奈はそう言い

 

信奈「宗久。私が天下を取った暁には、日本一の商人いえ、世界一の商人にする事を約束するわ!」

 

と真っ直ぐな目で言った。

 

今井宗久「世界一でっか?これはまた大風呂敷でんなぁ。」

 

と言い、賭けに乗ったのだった。

 

 

 

 

 

 

良晴「妙な事になっちまったが、どっちが勝っても12万貫が手に入るんだ。俺達さえ上手くやれば・・・」

 

その時

 

光秀「黙りやがれです。」

 

と光秀が突然良晴にそう言った。

 

光秀「先輩面されるのはここまでです。サル人間には負けません。」

 

良晴「な、何言ってんだよ?」

 

光秀「私が勝たなきゃ意味ないんです!」

 

良晴「それじゃ今井のおっさんが・・・」

 

光秀「私の12万貫で信奈様と信忠様を助けるのです。その為には、誰がどうなろうと知ったこっちゃないです。」

 

これに

 

良晴「お前な・・・!」

 

良晴は怒ったが

 

光秀「我が明智家は由緒正しき名門。お前呼ばわりされる覚えは無いです!」

 

と光秀は目を吊り上げて言った。

 

良晴「っ!?」

 

光秀「父亡き後、母上は一人で明智家を支えながら立派な武将になるようにと、私に最高の教育を施して下さいました。」

 

そう言い、一枚の書状を出して

 

光秀「今病に倒れた母上に報いるには、織田家で一番になるしかないんです!」

 

そう言った。

 

良晴「いや、親孝行なのは分かるけど・・・」

 

光秀「そんな生温いものじゃないんです!手段は選びません!邪魔する奴はどいつもこいつも皆敵です!」

 

そう光秀は言ったのだった。

 

 

 

 

翌日

 

 

 

 

昨日の事を信奈に話した良晴。

 

信奈「あの十兵衛がねぇ・・・?」

 

これに、信奈は驚いた。

 

信奈「ま、アンタが勝てば良いだけの話よ。」

 

良晴「今井のおっさんまで巻き込んでるんだぜ。」

 

信奈「やる気を出してるのは良い事だわ。」

 

信奈「それより、名物料理は思い付いたの?」

 

良晴「並大抵の料理じゃあ、納得しねーだろう。色々と考えてはみたんだが・・・」

 

すると

 

今井宗久「たこ焼き、でっしゃろ?」

 

これに、今井宗久がそう言った。

 

良晴「気付いてたのか?」

 

今井宗久「そして恐らく、津田宗及も明智殿にたこ焼きを作らせるつもりでっしゃろなぁ。」

 

信奈「それじゃあ、十兵衛が勝ったら・・・」

 

今井宗久「向こうの狙いは、端から会合衆代表の座と、たこ焼きの独占権や。12万貫でも安い買物でっせ。」

 

良晴「織田家が得するように仕向けておいて、自分が最大の利益を手にする計画だったんだ。」

 

信奈「逆に利用されたって事?」

 

今井宗久「津田宗及を甘ぁ見たらあきまへん。」

 

良晴「それが分かってて何故・・・?」

 

今井宗久「商人は人を見て商いをする。それがしは、織田信奈こそが天下人やと見ました。」

 

今井宗久「そのおひいさまが、あんさんを心から信頼してくれはる。それがしが信じひんわけにはいきまへんでっしゃろ?」

 

これに

 

良晴「おっさん・・・」

 

良晴は嬉しい気持ちになった。

 

そして、遂に当日を迎えたのだった。

 

 

 

 

 

信奈「さあさあ。遂にやって参りました、たこ焼き対決!実況は私、町娘の吉が担当させていただきます!」

 

信奈「赤の屋台は、明智十兵衛光秀と助手の犬千代!」

 

信奈「対する青の屋台は、サルと五右衛門!」

 

信奈「勝てば12万貫負ければ岐阜城の厨房送り!」

 

これには

 

良晴「聞いてねーよ!」

 

良晴は抗議したが

 

信奈「つべこべ言わずに、ちゃっちゃっと始めー!」

 

構わずスタートさせたのだった。

 

光秀「サル人間め、厨房送り決定です!」

 

信奈「おおっと!十兵衛は既に生地を用意し、万全の備え!」

 

光秀「タダの生地じゃないです!小麦は香り高くコシの強い讃岐産。更に、昆布と鰹だしの絶品だしを入れてやったです!」

 

これには

 

今井宗久「か・・・関西人の好みを熟知しとるがなー!」

 

今井宗久は感動してしまった。

 

信奈「おまけに高級食材の山!金に物を言わせた、先制攻撃です!」

 

良晴「はっ!たこ焼きは庶民の味だぜ!」

 

五右衛門「負け惜しみにごじゃるな。」

 

光秀「今です!最高級明石のたこを投入するのです!」

 

犬千代「たこ・・・たこ・・・」

 

・・・犬千代、あまりたこで遊ぶなよ。

 

光秀(天下を取るのは織田信奈と織田信忠。天下を取らせるのは、この明智十兵衛光秀です。)

 

そして、光秀はたこの足を華麗に切り裂いて投入した。

 

信奈「見事・・・見事です!それに比べ・・・」

 

一方の良晴達は

 

良晴「あれ?火が弱いのかな?」

 

鉄板の予熱が足りず、生地が焼けてなかった。

 

五右衛門「任せるでごじゃる!」

 

そう言った五右衛門だったが

 

ズゴォッ!

 

良晴「って、アホか!?焦げる焦げる!」

 

・・・火が強すぎた。

 

五右衛門「ちと火が強すぎたでごじゃるか。」

 

・・・ちとどころじゃねーよ。

 

信奈「おおっと凄い炎。大丈夫でしょうか?」

 

光秀「私を信じてくれた母上のために、サル人間なんかに絶対負けないです!」

 

良晴「マズイ・・・どうする?どうする?」

 

五右衛門「油の引きも足りてないでごじゃるな。」

 

すると

 

良晴「油?そうだ油だ!揚げたこ焼きだ!」

 

そう言い、一発逆転を狙った。

 

信奈「出ましたサル語!訳が分からないけど、サル語が出た時は本領発揮!何をみせてくれるのでしょうか?」

 

津田宗及「揚げたこ焼きだと?」

 

光秀「ハッタリに決まってます!」

 

良晴「おりゃりゃりゃりゃりゃあっ!」

 

光秀「いりゃあああっ!」

 

そして、遂に完成した。

まず最初に良晴のたこ焼きだったが

 

信奈「うえええっ・・・何なのよ、これ?」

 

こんがりと焼き上がり焦げていた。そして何より

 

信奈「黒くて固そうで、白いネバネバぶっかけられて・・・」

 

良晴「卑猥な表現すんな!」

 

白い何かがかけられていた。

 

良晴「それはマヨネーズっていう調味料だ。」

 

そう、これはマヨネーズだった。

 

信奈「まよねいず?」

 

良晴「ああ。油と卵を混ぜて作ったんだ。相性抜群だから食ってみろって。」

 

そう言われて

 

信奈「分かったわよ。」

 

信奈は、良晴が作ったたこ焼きを口に運んだ。

 

信奈「何コレ、スッゴイ美味しい!!」

 

すると、信奈の顔が明るくなった。

 

今井宗久「なんちゅうもん食わせてくれはったんや?美味しゅうて涙が!」

 

津田宗及「からりと揚がった食感に、『まよねいず』とやらが絶品で!」

 

同じく食べた今井宗久と津田宗及は、美味しさのあまり涙が止まらなかった。

それを見た光秀は

 

光秀「そんな・・・」

 

信じられない表情で見ていた。

 

光秀(イヤです・・・信奈様の笑顔は・・・十兵衛の物です!)

 

そして、光秀もたこ焼きを出したが

 

津田宗及「こ・・・これは・・・?」

 

光秀「信奈様の大好きな八丁味噌をたっぷりかけた味噌たこ焼きです!」

 

何とも言えない見た目だった。

 

光秀「さあさあ、感動の涙を流して食いやがれです!」

 

そう言われ、口に運んだが

 

信奈「うえっ、マッズ!」

 

光秀「えっ?」

 

今井宗久「何ちゅうもん食わせはるんや?」

 

光秀「えっ?」

 

津田宗及「全てが最高なのに、勝ちを焦ったために全てを台無しにしましたな。」

 

光秀「そんな・・・」

 

不評だった。

 

良晴「よっしゃ!勝負あったな!」

 

これには、良晴は勝利を確信したが

 

津田宗及「・・・フッ。」

 

津田宗及は、不敵な笑みを浮かべていたのだった。

そして、遂に結果発表となった。

 

津田宗及「堺会合衆36人の投票結果を発表します!」

 

良晴は、勝利の笑みを浮かべ、信奈も笑みを浮かべたが

 

津田宗及「勝者・・・明智光秀!」

 

勝ったのは、光秀だった。

 

光秀「やったですー!」

 

五右衛門「おかしいでごじゃる。」

 

犬千代「良晴が勝ったはず。」

 

これには、五右衛門と犬千代がそう抗議した。

 

光秀「どうとでも言いやがれです。勝てば良いんです勝てば。」

 

今井宗久「随分と買収に銭を使いましたな。」

 

津田宗及「客に売るときは味噌を使わねば良いだけの事。これでたこ焼きも堺の町も、手前が握らせていただきます。」

 

今井宗久「まあ、これも勝負や。ただし、揚げたこ焼きはそれがしが貰いますわ。」

 

津田宗及「何?」

 

今井宗久「あんさんらはいりまへんのやろ?」

 

津田宗及「フフッ・・・食えぬお人だ。」

 

今井宗久「堺も、おひいさまが天下を取ればそれがしの手に戻りますわ。」

 

津田宗及「皮算用にならねば良いですな。」

 

その横で、今井宗久と津田宗及はそういった話をしていた。

 

良晴「お前本当にこれで良いのかよ?」

 

光秀「良いんです!サル人間はさっさと岐阜城の厨房へ行きやがれです。」

 

光秀「さあ信奈様、サルに左遷命令を!」

 

しかし

 

信奈「・・・。」

 

信奈は無表情のまま何も語らなかった。

それに気付かない光秀は

 

光秀「さあさあ、信奈様!」

 

催促していた。

 

信奈「・・・明日、12万貫を近衛に届けてきなさい・・・」

 

これに信奈は冷たい顔で

 

信奈「良いわね、『光秀』?」

 

いつもの通称では無く、名前で呼んだのだった。

 

光秀「光・・・秀?」

 

これには、光秀は上手く呑み込めず

 

犬千代「最低・・・。」

 

五右衛門「見損なったでござる。」

 

犬千代も五右衛門も、幻滅した顔でその場を去ったのだった。

 

良晴「・・・。」

 

良晴も、複雑な表情でその場を見て立ち去った。

 

光秀「・・・。」

 

光秀は、ショックを受けた表情のまま立ち尽くしたのだった。

こうして、将軍宣下を成したのだったが、後味の悪い結果となってしまった。

その裏で、信奈を追い落とす計画が、着々と進めていたのであった。




投稿出来ました。

上手くアレンジできたかな・・・?

それでは、また。


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23話

23話です。


清水寺

 

 

 

今川義元の将軍宣下が決まり

 

義元「おーっほっほっほっほ!遂に念願の今川幕府を開く時が来ましたわ!ご苦労でしたわね、信奈さん、信忠さん。」

 

義元は有頂天になっていた。

 

勝家「貴様、自分の立場を分かっているのか?それと、信忠様に対して何だその態度は!」

 

これには、勝家は腰の太刀に手を掛けた。

 

義元「あら、斬るおつもりですの?妾は将軍様ですわよ!」

 

勝家「まだ違うだろうが!」

 

信奈「放っておきなさい。折角将軍宣下が認められたのに、義元が死んじゃったら水の泡でしょ。」

 

勝家「しかし姫様・・・」

 

信奈の言葉に、勝家は手に掛けた太刀を解かなかったが

 

信忠「落ち着け、六。」

 

信忠の言葉で

 

勝家「・・・はっ。」

 

勝家は収まったのだった。

 

信奈「それに、ちょっと能天気な方がお飾りとしては便利だしね。」

 

信忠「フッ・・・。」

 

すると

 

義元「信忠さん、ちょっと来てくれます?」

 

義元に呼ばれた信忠は

 

信忠「何だ、義元?」

 

義元の前に出た。

 

義元「此度の将軍宣下のお礼に、これをあげますわ。」

 

すると、義元は一振りの太刀をあげた。

 

信忠「これは・・・宗三左文字か。」

 

義元「ええ、そうですわ。それを差し上げますわ。」

 

信忠「しかし、俺は何もやってねーぞ。」

 

義元「いえ。あなたは桶狭間で妾の命を取らず、その後も常に妾の身を案じて下さいましたわ。そして此度の将軍宣下。いつかお礼をしたいと思っておりましたので、これを機にその太刀を差し上げようと。」

 

義元「妾の想い・・・受け取ってくれます?」

 

そう言い、義元は潤んだ目で信忠を見た。

 

信忠「・・・そうか。ありがたく頂戴する。」

 

そう言い、信忠は宗三左文字を貰った。

 

義元「はい!信忠さん、これからも妾をお守り下さいね。」

 

信忠「ああ。分かった。」

 

そう、信忠は笑みを浮かべながら言った。

 

義元「フフッ・・・///」

 

それに、義元は頬を赤らめながらその場を後にしたのだった。

この一連を見た

 

信奈「信忠・・・あなたいつの間に義元と・・・」

 

長秀「これは驚きです。」

 

良晴「何てことだ・・・義元ちゃんが・・・」

 

犬千代「信忠様は・・・モテモテです。」

 

五右衛門「相良氏とは大違いでごじゃるな。」

 

信奈達はそれぞれの反応をしており

 

信忠「いや、桶狭間での一件以来、少し世話をしただけですよ!なあ、六も一緒だったよな!」

 

信忠はそう言い、勝家に同意を促したが

 

勝家「確かに信忠様は義元と仲良くしてましたね。私がいるにも関わらず!」

 

勝家は明らかに不機嫌な表情でそう答えた。

 

信忠「お、おい六!」

 

勝家「もう信忠様なんて知りません!」

 

そう言い、口を尖らせ頬を膨らませながらそっぽを向いてしまった。

これには、信忠は慌ててしまい

 

信忠「六、今度一緒に堺の町を見て回ろう。なっ?」

 

機嫌を直してもらうために勝家にそう言った。

 

勝家「・・・約束ですよ、信忠様。」

 

すると、勝家はそう言いながら信忠に寄り添って、自らの胸を信忠の腕に押し当てるように抱き締めた。

その様子を

 

信奈「でも、やっぱり信忠の隣は六が似合うわ。正室は決まりね。」

 

長秀「まさに理想の夫婦。100点です!」

 

良晴「羨ましいぜ・・・。」

 

犬千代「勝家がヤキモチ・・・。」

 

五右衛門「そうでごじゃるな・・・。」

 

それぞれ色んな思いで見ていたのだった。

 

信奈「それより信忠。私が留守の間、京の守りご苦労だったわね。」

 

信忠「ありがとうございます。そちらこそ、色々とご苦労様でした。」

 

信奈「ええ。」

 

勝家「しかし許せないのは光秀です!」

 

すると、勝家は信忠を抱き締めた状態でこの場にいない光秀に対して怒りの声を上げた。

 

良晴「もう良いよ。」

 

これに、良晴は止めたのだが

 

犬千代「良くない!」

 

五右衛門「ズルは最低でごじゃる!」

 

犬千代と五右衛門も、勝家に同意した。

 

良晴「十兵衛ちゃんは一生懸命すぎただけだよ。生真面目で融通利かねーし。」

 

そう良晴はフォローしたが

 

信奈「随分と庇うのね。」

 

と信奈に言われてしまった。

 

良晴「いやそこ絡むとこじゃねーだろ。」

 

信奈「フンッ・・・分かってるわよ。あの子に悪気が無いって事くらい・・・」

 

勝家「姫様は甘過ぎです!」

 

犬千代「うん!」

 

一方の良晴は

 

良晴(マズいな。このまま十兵衛ちゃんが孤立する事になれば・・・生真面目な奴ほど、追い詰められたら何をするか分かんねー。)

 

良晴(本能寺のイベントだけは阻止しないと!)

 

信奈と信忠を見て、そう思っていたのだった。

 

その頃光秀は、今井宗久の家におり、昨日の一件について謝罪しに来ていた。

 

今井宗久「頭を上げなはれ。あれは勝負や。」

 

光秀「でも・・・」

 

今井宗久「少々やり過ぎましたなぁ?一言詫びるべきは、相良はんやおまへんか?」

 

すると

 

光秀「・・・分からないです。出世競争は、勝たなければ意味が・・・」

 

と光秀は言った。

これに

 

今井宗久「そこが違いますのや。おひいさまにとって、家臣達は家族のようなもん。恐らくそれは若様も然り。それが互いに争い、蹴落とし合うなど見たいでっしゃろか?」

 

今井宗久はそう光秀に言った。

 

光秀「私の家族は母上ただ一人です!家族と家臣は違うです!」

 

今井宗久「それは明智はんが幸せやっただけの事。聡明な母上に愛されて、若様はともかく、おひいさまのように嫌われんかった。」

 

これには

 

光秀「それは噂じゃ?」

 

光秀もそう問うたが

 

今井宗久「ホンマですわ。」

 

と言った。

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

 

信奈「母上、勝ちました!」

 

信忠「この尾張を、俺と姉上が守りました!」

 

信奈と信忠は、戦に勝ち尾張を守った事を母である土田御前に報告したのだが

 

土田御前「信忠はともかく信奈!そのような浅ましい姿でよくも母の前に!それでも織田家の姫ですか!」

 

土田御前は信奈に対し労いの言葉をかけるどころか罵倒したのだった。

 

信奈「母上・・・」

 

信忠「母上!姉上はこの尾張を、母上を守るために必死で敵を倒しました!にもかかわらずそのようなお言葉をおかけになるのは如何な事ですか!」

 

これに、信忠は土田御前に対し、そう諫めたのだったが

 

土田御前「っ!・・・二人とも、下がりなさい。」

 

信忠「母上っ!」

 

土田御前「下がりなさいっ!」

 

土田御前にそう言われ

 

信奈・信忠「「・・・はっ。」」

 

信奈と信忠は下がった。

 

信奈「・・・ねえ、勘九郎。」

 

信忠「・・・はっ。」

 

信奈「私・・・何が間違っていたの・・・?戦に勝って・・・母上を喜ばせようとしただけなのに・・・」

 

信奈の傷ついた表情を見て

 

信忠「姉上・・・」

 

信忠は何とも言えない表情を浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

光秀「明るい信奈様と強くて優しい信忠様が・・・」

 

今井宗久「その度に若様が間に立ってくれはったんやけどな。それを見せんかったのは、余計な心配をかけたくないんでっしゃろな。」

 

今井宗久「おひいさまにとって、相良はんや明智はんこそが家族なんや。」

 

それを聞いた光秀は

 

光秀「私は・・・」

 

ただ涙を流すだけだった。

その日の光秀の心の中を表すかの如く、この日の雨は一層激しく降ったのであった。




投稿出来ました。

アニメの序盤に当たるシーンをアレンジしてみました。

ちなみに宗三左文字ですが、皆さんもご存じの通り、あの『義元左文字』です。

ちょっと出してみたかったので・・・ただの思いつきです、お許し下さい(土下座)

それでは、また。


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24話

24話です。


美濃・岐阜城

 

 

 

 

岐阜城にいる道三から、驚くべき知らせが届いた。

 

道三「何じゃとぉっ!?」

 

織田家家臣A「川中島で睨み合っていた武田と上杉が、和睦したとの事です。」

 

それは、武田と上杉が和睦したとの知らせだった。

 

道三「信じられん・・・。」

 

 

 

 

 

 

京・清水寺

 

 

 

 

 

この知らせは、京の信奈達にも届いた。

 

信奈「由々しき事態よ。」

 

半兵衛「信奈様と信忠様が上洛を果たし、争っている場合では無いと判断したのでしょう。」

 

長秀「武田と上杉が組んだとも・・・」

 

勝家「5万の兵が動いたって・・・」

 

信奈「一刻の猶予も無いわ。私は岐阜城へ、信忠は名古屋城へ撤退を・・・」

 

そこに

 

良晴「待て待て、待て!武田と上杉の連合軍なんて、あり得っこねえ!」

 

信奈「現実的にそうなってるじゃないの!」

 

良晴が慌てて止めた。

 

長秀「川中島での和睦は事実ですが。」

 

信忠「俺の乱破からの情報も同じだ。」

 

良晴「山本勘助は?啄木鳥戦法が失敗して、信玄の弟も討ち死にに?」

 

長秀「武田も上杉も、全軍無傷です。それは確認されています。」

 

信忠「そこは、俺も今急ぎ調べさせている。」

 

このようなイレギュラーに

 

良晴(どうなっているんだ?歴史が俺の知らない方向に走り始めたのか?)

 

良晴は混乱してしまった。

 

良晴(俺か?俺が歴史を変えたのか?歴史が見えなくなったとき、俺は信奈と信忠の力になれるのか?)

 

良晴(自分を信じるしかない。戦国ゲームマニア魂が警告を鳴らしてるんだ。)

 

そう思った良晴は

 

良晴「武田・上杉の連合軍なんておかしすぎる!引き返すな!」

 

と信奈に言った。

 

信奈「途中に尾張と美濃があるのよ!」

 

良晴「上洛を果たし、幕府を開こうって時なんだぞ。織田信奈と信忠が天下に相応しいかどうか、皆が見てるんだ!」

 

信奈「全軍撤退・・・これは決定よ。」

 

良晴「しかし信奈、ここが踏ん張り所じゃねーのかよ!」

 

信奈「美濃には・・・蝮がいるの。」

 

良晴「っ!?」

 

信忠「・・・尾張には母上がいる。」

 

信奈「大切な人達を見捨てて、何が天下人よ!」

 

良晴「分かるよ・・・分かるけど・・・」

 

信奈「分かってない。全然分かってない!アンタからそんな事聞くなんて、思わなかったわ!」

 

信奈「サルだけは違うと思ってたのに!」

 

そう涙を流した信奈に

 

良晴「信奈・・・」

 

良晴は何も言えなかった。

 

信奈「たこ焼き勝負で負けた方は、岐阜城の厨房係に左遷だったわね。」

 

長秀「姫様っ!」

 

信忠「姉上!お待ち下さい!」

 

信奈「さっさと出て行きなさい。アンタの顔なんか、二度と見たくないわ。」

 

そう言い、その場を去った。

 

信忠「姉上!六、万千代、すぐに準備を始めろ!」

 

勝家・長秀「「はっ!」」

 

そう命令した信忠は、信奈の後を追ってその場を後にした。

そして、信奈は撤退の準備を始めた。

 

 

 

 

 

信奈の部屋

 

 

 

 

 

信忠「姉上。」

 

信奈「何、信忠?」

 

信忠「撤退に際し、申し上げたいことがございます。」

 

信奈「何かしら?」

 

信忠「はっ。まず義元ですが、ある程度の防衛機能を持っている本國寺に移させたいのですが・・・」

 

信奈「何故そこに?というより、本國寺に防衛機能を持ってるなんて聞いてないわよ。」

 

信忠「もし松永が攻めてきたときの為に密かに作らせました。」

 

信奈「・・・そう。全て任せるわ。」

 

信忠「はっ。それと、良晴の事ですが・・・」

 

信奈「分かってるわよ。良晴の言いたい事も。」

 

信忠「・・・そうですか。では、俺は準備がありますので、これにて。」

 

信奈「ええ。」

 

そして、信忠は部屋を後にし

 

信忠「・・・おい。」

 

信忠の忍びA「はっ。」

 

信忠「これをアイツに渡せ。」

 

信忠の忍びA「御意。」

 

とある書状を忍びに渡したのだった。

そして、信忠は戦時の格好である白き羽織と籠手、そしてブーツを身に纏い、近衛前久の屋敷へ向かった。

 

 

 

 

 

近衛前久の屋敷

 

 

 

 

 

信忠「武田・上杉に和睦の情報が入りました故、尾張へ戻ります。」

 

前久「信忠殿。そなたも離れてしまうのか!」

 

信忠「尾張と美濃は我らの根幹です。失うわけには参りません。それに、母上がおられます故・・・」

 

前久「・・・そうか。」

 

信忠「かつて姉上の謀反を裏で操っていたのは確かですが、俺と姉上にとって、たった一人の母上なのです。お許し下さい。」

 

そう言い、信忠は頭を下げた。

 

前久「良いのじゃ。子が親を心配する気持ちは尤もでおじゃるよ。信忠殿、道中無事でのう。」

 

信忠「はっ。ではこれにて。」

 

そう前久に言い、信忠は屋敷を後にした。

 

前久(この和睦・・・何かおかしい・・・まさか・・・弾正か・・・!)

 

その時、前久はこの武田と上杉の和睦情報の裏を察したのだった。

 

 

 

 

 

 

そして、信奈軍の主力は長秀を先発として美濃へ、信忠軍団は尾張へ引き返したのだった。

京には今川義元の他、僅かな手勢が守備隊として残るだけとなった。

 

 

 

 

 

とある廃寺

 

 

 

 

 

 

正覚院豪盛「尾張のうつけ姫共が引っかかった。これで京周辺は事実上の空白地帯となった。弾正の出番だな。」

 

松永久秀「既に私の兵達が潜ませておりますわ。」

 

朝倉義景「今川義元は、くれぐれも殺さずにな。」

 

松永久秀「傷一つ無く、送り届けて差し上げますわ。」

 

正覚院豪盛「明智光秀も中々の器量だが・・・」

 

松永久秀「津田殿が仕込んだ娘ですわね?私も少々興味がありますわね。」

 

朝倉義景「織田は信忠を除いていずれも名家揃い。あの姫達を加えれば、余の源氏物語も一層艶やかになるというもの。特に織田信奈、あれだけは誰にも渡さぬ。」

 

正覚院豪盛「戦国の光源氏は欲張りですなぁ。」

 

朝倉義景「では余は越前に戻るとしよう。」

 

そう言い、朝倉義景はその場を後にし、解散となったのだった。

 

 

 

 

 

 

一方の良晴は、信奈に言われ落ち込んでいた。

 

良晴「・・・。」

 

信奈『サルだけは違うと思っていたのに!』

 

良晴「馬鹿だな、俺は・・・」

 

良晴(本当は涙もろくて、家族の愛を欲しがってるタダの女の子。信忠を除いて、俺が一番よく分かっていたはずなのに。武将織田信奈としてどうするべきかだけを考えちまった。)

 

良晴(しっかりしろよ俺!天下を取らせりゃ良いってもんじゃねーだろうが!アイツに魔王は似合わねえ。)

 

そう思って振り返ると

 

??「・・・。」

 

何者かが後ろに立っており、さらわれてしまったのだった。




投稿出来ました。

本國寺にさせたのは六条合戦は史実本國寺だったので、そこにしました。

いつも通りただの思いつきです(笑)

それでは、また。


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25話

25話です。


本國寺

 

 

 

 

本國寺にて、信奈は良晴の言葉を思い出していた。

 

信奈「・・・。」

 

良晴『天下を目指すなら、ここが踏ん張り所じゃねーのか?』

 

信奈「分かってるわよ、馬鹿・・・」

 

そう愚痴ると

 

光秀「お呼びですか、信奈様?」

 

光秀がやって来た。

 

信奈「明智隊は、このまま京の守りに残って貰うわ。義元も一緒にね。」

 

光秀「信奈様・・・やっぱり・・・嫌われたですか?」

 

信奈「将軍宣下を控えた義元を、連れ帰るわけにはいかないでしょ。それにサルの言う通りよ。天下を目指すのなら、何があっても京を捨てちゃいけない。」

 

そう言い、信奈は京の町を見た。

 

光秀「・・・。」

 

信奈「私と信忠が戻るまで、死守するのよ。」

 

光秀「はい。」

 

そう言い、信奈はサルと一緒に行こうとしたが見つからなかったので

 

信奈「ねえ、サルを見なかった?」

 

犬千代と半兵衛に尋ねた。

 

半兵衛「それが・・・」

 

信奈「どうしたの?」

 

犬千代「良晴がさらわれた。」

 

これに

 

信奈「さらわれた?」

 

信奈は驚いた。

 

半兵衛「良晴さんらしき人を担いだ男を見た者がいると。」

 

信奈「そんな・・・」

 

 

 

 

 

一方の良晴は

 

良晴「うっ・・・」

 

目を覚ますと、身体を縄で縛られていた。

 

良晴「何だこりゃ!?」

 

すると

 

良晴「お前は?」

 

誰かが現れた。

 

良晴「何で俺を?」

 

??「餌だよ。織田信奈もしくは弟の信忠という獲物を仕留める為の餌だ。」

 

良晴「暗殺か?誰に頼まれた?」

 

??「大人しくしていろ。獲物を仕留めたら楽にしてやる。」

 

良晴「へっ。信奈がこんな所に来るわけ・・・」

 

その途中、銃を突きつけられ

 

??「どうかな?」

 

何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

本國寺

 

 

 

 

 

 

織田家家臣A「信奈様が出立なされました。」

 

光秀「そうですか。」

 

光秀(残ったのは私一人。今はただ、渡しに与えられた役目を果たすだけです。)

 

光秀(京を守るは、明智十兵衛光秀!)

 

 

 

 

 

 

信奈「五右衛門、サルは?」

 

五右衛門「近江へ向かう道筋で、それらしき者を見かけたそうにごじゃる。」

 

信奈(無事でいて、サル!私はまだ、ちゃんと謝ってないんだから!)

 

 

 

 

 

 

良晴「金なら三倍払うぜ。」

 

杉谷善十坊「金より名よ。天下人に名乗りを上げた織田信奈かその弟の織田信忠を殺せば、この杉谷善十坊の名は全国に鳴り響くだろう。」

 

良晴「ふざけんな!信奈と信忠が死ねば、天下統一は百年遅れるぞ!」

 

杉谷善十坊「結構な事だ。天下が定まっては俺のような者が困る。戦国乱世が楽しくて仕方が無い連中がな。」

 

 

 

 

 

 

その頃、信奈軍主力は南近江を抜けようとしていたが

 

 

 

 

 

 

長秀「武田も上杉も動いてないのですか?」

 

半蔵「川中島の和睦は事実なれど、それ以外は偽情報かと。」

 

長秀「まさか・・・織田軍を京から引き離すための罠・・・!」

 

偽の情報に驚いていた。

 

それは信忠軍団も同じだった。

 

 

 

 

 

 

信忠「それは確かか?」

 

信忠の忍びB「はい。川中島の和睦以外は、全て偽の情報です。」

 

勝家「そんな・・・!」

 

可成「儂らを京から引き離すための罠じゃったか!」

 

長可「殿・・・!」

 

秀隆「殿・・・!」

 

信忠「すぐ引き返すぞ!」

 

勝家「しかし、もし間に合わなかったら・・・!」

 

信忠「案ずるな。もしもの為にあるとこに密書を送っといた。そいつらと合流して、敵を討ち取る!」

 

勝家「あるとこ・・・ですか?」

 

信忠「ああ。また、ある者達にも協力要請をしといた。」

 

可成「ある者・・・?」

 

信忠「今は時が惜しい。これより、京へ引き返す!京の民を襲い、義元公を亡き者にしようとする不逞の輩を討ち取るぞ!」

 

「「「おおおっ!!!」」」

 

そして信忠軍団は、電光石火の如く京へ引き返したのであった。




投稿出来ました。

上手く書けたかな・・・?

それでは、また。




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26話

26話です。


京では、松永久秀の軍が攻め寄せてきた。

 

 

 

 

京・本國寺

 

 

 

 

 

織田家家臣A「松永軍、凡そ三千!狙いは、義元公と思われます!」

 

光秀「いつの間に!」

 

織田家家臣B「我が軍は八百。如何なさいます?」

 

光秀「籠城するしかないです。」

 

織田家家臣C「ここは寺ですぞ!」

 

光秀「信奈様と信忠様が戻ってくるまでの時間を稼げれば良いんです!全ての門を閉じ、ひたすら守りに徹するのみです!」

 

そう言い、本國寺の門を閉じて、防備を固めたのだった。

 

光秀「母上、信奈様と信忠様がここを離れていたのがせめてもの救いでした。」

 

その時

 

??「人は死を受け入れたとき、最も美しく微笑むと言いますわ。」

 

誰かの声が後ろから聞こえたので振り返った。

 

光秀「何者です!」

 

松永久秀「松永弾正久秀と申します。」

 

光秀「敵の大将が何故?」

 

松永久秀「美しい首は、自分で取りたくなりますの。槍は宝蔵院流にございます。」

 

そう言い、松永久秀は槍を構えた。

それを見た光秀は

 

光秀「織田信奈が家臣、明智十兵衛光秀。剣は鹿島新当流免許皆伝。」

 

太刀を抜いて構えた。

 

 

 

 

 

 

杉谷善十坊「そろそろだな。」

 

そう杉谷善十坊は、銃を構えていた。

 

良晴(クソ!俺のせいで信奈と信忠が・・・)

 

その時、馬の蹄の音が聞こえた。その正体は

 

五右衛門「あれでごじゃる!」

 

信奈「あそこにサルが?」

 

信奈達だった。

 

 

 

 

 

 

 

松永久秀「はっ!」

 

ガギン!

 

光秀「くっ!はあっ!!」

 

ガギン!

 

光秀「はっ!」

 

松永久秀「はあああっ!!」

 

ギン!

 

松永久秀「あなたほどの人物ならば天下も狙えましょうに、何故織田信奈の家臣に?」

 

光秀「信奈様こそ天下に相応しいお方!それは弟君の信忠様も然り!私は、信奈様に自分の夢を賭けたです!」

 

そして、距離を取った。

 

松永久秀「人の夢と書いて、『儚い』と言うのですよ。」

 

光秀「お前と禅問答する気は無いです。」

 

松永久秀「美しく、聡明で気高く・・・あなたのような素晴らしい英傑に出会うと、私どうしようも無く・・・殺して差し上げたくなりますの。」

 

そう言い、松永久秀はヤバイ目をした。

 

光秀「!!」

 

松永久秀「夢破れたあなたの絶望の表情が、見たい・・・」

 

すると、その後ろで寺の一部が爆発した。

 

光秀「っ!?」

 

松永久秀「さあ、最高の舞台ですわよ。殺し合いましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

良晴(この!来るんじゃねえ!)

 

そう思っても、信奈はどんどん射程距離内に近付いていく。

 

良晴(何か手はねーのか?)

 

すると、ポケットから自身のスマホが出てきた。

 

良晴(一瞬だけでも生き返れば・・・)

 

それを見た良晴は、賭けに出た。

 

 

 

 

 

 

松永久秀「少々甘く見すぎたようですね。」

 

そう言うと松永久秀は手を振った。すると、蝶が舞い

 

松永久秀「楽しい夢をごらんなさいな。」

 

光秀の視界が揺らいでいった。

 

光秀(幻覚なんかに・・・!)

 

これに光秀は、自身の髪留めを取って

 

グサッ

 

自身の脚に刺した。

 

松永久秀「あっははは!!最高ですわ、あなた!でも、それだけ頑張ったのに、愛しの信奈様がもう死んじゃってたら?」

 

光秀「えっ?」

 

松永久秀「甲賀の杉谷善十坊が、近江路で織田信奈様を待ち伏せしているとか。今はもう、撃たれて死んだ頃かしら・・・」

 

それを聞いて

 

光秀「信奈様が・・・死んだ・・・?」

 

光秀は絶望した。

 

松永久秀「心に隙が生まれれば、人なんて脆いもの。」

 

そう言った松永久秀は、光秀目掛けて槍を振り下ろそうとしたその時

 

バァンッ

 

どこかで銃声が聞こえた。その者は

 

信奈・信忠「「しっかりしなさい/しっかりしろ、十兵衛っ!」」

 

屋根の上から信奈が銃を持っており

 

信忠「よっと!」

 

屋根の上から、信忠がジャンプして降りてきた。

 

光秀「信奈様・・・信忠様・・・?生きてる?」

 

信奈「生きてるわよ!」

 

信忠「俺は殺しても死なねーんだよ!」

 

光秀「信奈様!信忠様!」

 

松永久秀「どうしてここに?」

 

実を言うと、良晴が自信のスマホを使って、合戦ボイスのメロディを出したのだった。それに驚いた杉谷善十坊が、撃つべき信奈を外してしまったのだ。

 

良晴「間一髪助かったって訳だ。杉谷善十坊には、逃げられたけどな。」

 

良晴「で、すぐに駆け戻って途中信忠と合流したのさ。たった6人でも、立派な援軍だぜ!」

 

光秀「馬鹿ですか!信奈様と信忠様に何かあったら・・・!」

 

良晴「信奈自身が決めたんだ。」

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

 

信奈「十兵衛はちょっとせこい所はあるけど、私と信忠の夢を共有してくれる大切な家族よ。」

 

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

 

 

光秀「そんな事って・・・」

 

それを見た松永久秀は

 

松永久秀「くっ・・・織田信忠・・・皆を殺しなさい・・・」

 

焦ったのか、信忠に幻術をかけようとしたが

 

信忠「この俺に幻術か・・・?やってみろ!」

 

松永久秀「っ!?」

 

松永久秀(な・・・何かしら!?何か・・・心の臓を掴まれたような・・・!何て覇気なのかしら・・・!?)

 

信忠の圧倒的威圧感に発動できなかった。

 

信忠「フフッ・・・どうした・・・弾正?」

 

松永久秀「くっ・・・!」

 

これに、松永久秀は恐れ、後ずさった。

その間、半兵衛が松永久秀の術を封じた。

 

半兵衛「これでもう、術を使えません。」

 

光秀「何で私なんかを・・・?」

 

すると、良晴が光秀の肩を掴んで

 

良晴「お前が信奈と信忠を信じないでどうする!?」

 

と言った。

 

光秀「でも・・・私は・・・」

 

良晴「織田信奈と織田信忠には、明智光秀が必要なんだ!」

 

光秀「えっ・・・」

 

良晴「お前がこの先迷う事があったら思い出すんだ・・・この燃える本國寺を!!信奈の姿を!!」

 

光秀「相良先輩・・・」

 

信奈・信忠「「形勢逆転ね/だな、松永弾正!」」

 

松永久秀「・・・残念ですわ。更に混沌とした乱世にするはずだったのに・・・」

 

良晴「お前もあの殺し屋と同じかよ?」

 

松永久秀「いいえ。私の望みは、この国の全てを焼き尽くす事。」

 

半兵衛「何故そこまで・・・?」

 

この問いに

 

松永久秀「この肌が答えと言ったら、分かるかしら?」

 

と肌をなぞって言った。すると、松永軍が現れ、6人を取り囲んだ。

 

松永久秀「たった6人でどこまで戦えますかしら?」

 

しかし

 

信忠「誰が6人っつったよ?」

 

そう信忠が言うと

 

??「『梵天丸もかくありたい凄いソード』!」

 

門が豪快に破られ、そこには

 

梵天丸「黙示録のビースト、梵天丸見参!今こそ、信忠兄上をお助けするぞ!」

 

勝家「お前、それは南蛮語か?」

 

梵天丸、後の伊達政宗がいた。

しかし、梵天丸だけじゃない。

 

高山「高山ドン・ジュスト、信忠殿に助勢致す!」

 

小西「同じく小西ジョウチン、参る!」

 

フロイス「皆さん新しい時代を作る、信奈様と信忠様の味方ですわ!」

 

勝家「行くぞ!!敵全てを斬り殺せー!!」

 

可成「行くぞー!!」

 

長可「うおりゃあああ!!暴れるぜー!!」

 

秀隆「立ち塞がる敵は、全て殿の敵だ!!斬り殺せ!!」

 

長政「浅井家当主、長政推参!信忠殿をお助けし、敵を斬り殺せ!!」

 

磯野員昌「おおおっ!信忠殿の為っ!!」

 

キリシタン大名や宣教師、そして信忠軍団に浅井長政もいた。

 

松永久秀「あれは私と同じように、この国では疎まれ居場所もない者ばかり。武器を持たぬ宣教師まで。」

 

これには、松永久秀は驚き、信奈と信忠を見た。

 

松永久秀(これが・・・織田信忠の力・・・?そして、その姉の織田信奈・・・)

 

松永久秀(違う・・・この方達は誰とも違う。この方達なら・・・きっと・・・)

 

そう思った松永久秀は、槍を落とし跪き

 

松永久秀「松永弾正久秀、降伏致します。」

 

と述べた。これに

 

信奈・信忠「「であるか!」」

 

二人はそう言ったのであった。




投稿出来ました。

そういえば、史実だと松永久秀は既に信長の傘下に入ってたんだよな・・・。

良く彼の降伏を受け入れたな、信長は・・・。

足利義昭は、兄の義輝の仇だから殺せと言われたんだけど、聞かなかったとか・・・。

実力を認めていたんでしょうね・・・。

そ、それでは、また。


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27話

27話です。


本國寺の戦を制し、松永久秀の降伏を許した信奈達は、戦後処理をしていた。

 

信奈「長政も来てくれたのね!」

 

長政「信忠殿が情報を伝えてくれたのですよ。」

 

信奈「・・・そう。」

 

そこへ

 

信忠「おお、長政!よく来てくれたな!」

 

信忠が、梵天丸を肩車しながら現れた。

 

長政「信忠殿!それと・・・梵天丸殿?」

 

梵天丸「おう!我は梵天丸!真名は、伊達政宗と申す!奥州から遊学にきたのだ!いずれ信忠兄上の御為、働く所存ぞ!」

 

そう、信忠の肩の上で元気に言った。

 

良晴(コイツがあの奥州の覇者、伊達政宗だって!!?)

 

それを聞いた良晴は、驚きで言葉も出なかった。

 

信奈「随分と懐かれているのね?」

 

信忠「少しコイツを励ましただけですよ。そしたら、こうなりました。」

 

信奈「宣教師とキリシタン大名も味方に・・・」

 

信忠「彼の者達は、姉上が堺に行っている時に会いました。あの宣教師、どうやら布教のために来たとの事です。」

 

信忠「この京での布教、妨害はせぬが教えが広まるかどうかは手柄次第という事で許可させております。」

 

これには

 

信奈「公家衆から何か言われなかったの?」

 

と懸念したが

 

信忠「ご心配なく。近衛様が何とかしてくれました故。」

 

と信忠は言った。

 

信奈「そう・・・ご苦労だったわね。」

 

信忠「はっ。」

 

長政「信忠殿は、随分と皆に慕われてますなぁ・・・。」

 

信忠「そんなんじゃねーよ。長政もそうだが、磯野殿も中々の働き。流石、浅井家中随一の猛将だな。敬服する。」

 

磯野員昌「おおっ!信忠殿に褒められるとは、武人冥利に尽きますなぁ!!」

 

信忠「はは。では、これからもその武で、新しき時代を築こう!」

 

そう、信忠は磯野員昌の肩を叩いた。

 

磯野員昌「ははっ!」

 

その際

 

信忠「それと長政・・・磯野殿・・・」

 

長政「んっ?」

 

磯野員昌「如何なされました?」

 

信忠は長政と磯野員昌の耳元で

 

信忠「先代殿には気を付けろ。」

 

真剣な声でそう囁いた。

 

長政「・・・分かった。忠告、受け入れよう。」

 

磯野員昌「ご忠告、感謝致す。」

 

一方その横で

 

良晴「来たあああっ!!西洋人シスター!!金髪に巨乳のコンボは破壊的過ぎるぜ!!」

 

良晴がフロイスを見て興奮していたおり、それを

 

信奈「アンタね・・・」

 

犬千代「最低・・・」

 

五右衛門「相良氏・・・」

 

信奈達は呆れた目で見ていたのだった。・・・おいおい・・・。

その数日後、今川義元の将軍宣下が無事に行われた。ここに、新たな幕府と秩序が生まれ、信奈と信忠は更に一歩天下へと近付く事になったのだった。

 

 

 

 

 

 

やまと御所

 

 

 

 

 

 

姫巫女「織田信奈とその弟織田信忠に国を任せたい。この国は良き者が纏めてこそ、正しい未来へと通じよう。」

 

良晴(姫巫女様って、まだ年端もいかない女の子だったのか・・・)

 

前久「信奈は戦好きの田舎大名・・・!何を考えているのか分からぬでおじゃる!」

 

前久「その分、弟君の信忠殿なら、安心して国を任せられるでおじゃるが・・・」

 

姫巫女「近衛。朕は信奈の心の内は分からぬが、それは信忠も同じぞ。」

 

前久「うぐっ。」

 

姫巫女「この二人の心の内は分からぬが、その横に侍る相良良晴は良き者。まだ分からぬが、その横の柴田勝家も良き者のはず。」

 

信奈・信忠・良晴・勝家「「「「え?」」」」

 

前久「ま、まさか姫巫女様は、このサルに触れられたでおじゃるか!?」

 

これには

 

信忠「近衛様、それは一体・・・」

 

信奈「どういう事よ?」

 

信奈と信忠はそう尋ねた。

 

前久「姫巫女様は相手に触れただけで、その心を読み取れるのでおじゃる。」

 

これには

 

良晴「マジ!?てこともしかして・・・」

 

良晴も驚いた。

 

姫巫女「その相良良晴が、あれ程の熱き想いを抱いているのであれば、織田信奈と弟織田信忠も良き者。」

 

良晴「あああっ、姫巫女様・・・!」

 

勝家「サル・・・」

 

姫巫女「ただし、良晴は女好き。頭の中は女子の事で一杯。織田信奈、用心せよ。織田信忠には、良き伴侶がおる筈。取られぬようにな。」

 

これを聞いて

 

信奈・信忠「「お言葉、しかと賜りました。」」

 

と信奈と信忠は言い

 

勝家「サル・・・もしこの身体に触れたら・・・お前を斬り殺すからな・・・。私は身も心も・・・全て信忠様に捧げてるからな・・・」

 

良晴「わ・・・分かってるって・・・勝家・・・」

 

良晴が勝家の殺気にビビってしまっていた。

 

姫巫女「織田信奈、織田信忠よ・・・」

 

姫巫女「いっその事、そなた達が将軍と副将軍になってはどうか?」

 

この問いに

 

信奈「それはご遠慮致します。」

 

信忠「俺も同じく。」

 

信奈「私と・・・」

 

信忠「俺が・・・」

 

信奈・信忠「「望む物は自由ですから/ので。」」

 

と言った。

 

姫巫女「自由?」

 

信奈「この国から身分を無くし・・・」

 

信忠「己の未来は己自身で選ぶ物だと・・・」

 

信奈「私は・・・」

 

信忠「俺は・・・」

 

信奈・信忠「「自分自身の生き様で、天下に示したいのです。」」

 

前久「信忠殿・・・なんと気高き夢でおじゃるか!」

 

姫巫女「よく分かった。しかし、何故身分を無くしたいと思うのか?」

 

それを言われ、信奈は良晴を、信忠は勝家を見て

 

信奈・信忠「「私自身の夢のために/俺自身の夢のためにです!」」

 

そう真っ直ぐな目で言った。

それを見て

 

姫巫女「朕も祈ろう。そなた達の夢が叶う事を。」

 

姫巫女はそう言ったのであった。




投稿出来ました。

かなりご都合主義というか・・・何とも言いがたい内容ですが、お許しいただきたいです(土下座)

それでは、また。


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28話

28話です。


清水寺

 

 

 

 

 

長秀「近隣で、今川幕府に使者を送ってきてないのは、若狭と越前だけです。」

 

信奈「越前・・・朝倉義景ね。」

 

長秀「比叡山の実力者、正覚院。堺を支配した、津田宗及も同じく。」

 

信忠「既に朝倉は二度要請を拒否しております。朝倉は、我ら織田に敵対するつもりでしょう。」

 

勝家「纏めて叩き斬りたいところだが、証拠もなく斬る訳にはいかないし、弾正の言葉など一笑に付せられる。朝倉攻めをしたいところだが、浅井と同盟関係だ。」

 

信奈「浅井には、勘十郎がいるわね・・・」

 

信忠「姉上・・・」

 

良晴(歴史通りなら、信長は構わず越前朝倉を攻めた。その結果・・・)

 

すると

 

信奈「若狭を攻めるわよ。」

 

と信奈は立ち上がって言った。

 

信奈「朝倉への牽制にもなるわ。」

 

信忠「では、織田が若狭を攻めると触れを出しておきます。それと、三河からも援軍を呼びましょう。」

 

信奈「そうね、頼むわ。」

 

これを聞いた良晴は

 

良晴「若狭だな?越前じゃないんだな?」

 

と確認を取った。

 

信奈「・・・っ。」

 

信忠「・・・。」

 

良晴「信奈!」

 

それに信奈は

 

信奈「そ・・・そうよ。そう言ってるでしょ。」

 

と言ったのだが、目を背けながら言ったため

 

信忠(まさか・・・姉上・・・)

 

信忠は、信奈が何を考えているのか察した。

 

光秀「若狭には詳しいです!私に先陣を!」

 

信奈「良いわ。しっかりね。」

 

光秀「お任せを!」

 

長秀「京の守りは、如何致しますか?」

 

信奈「そうね・・・信忠とその子飼いの兵は勿論、万千代も戦力に入れたいしね。けど、半兵衛は休ませた方が良いわね。」

 

信奈「とすると・・・」

 

その結果

 

 

 

 

 

良晴「何で俺が留守番なんだよ?」

 

良晴が留守番となった。

 

光秀「文句言ってないで、京をしっかり守りやがれです。」

 

良晴「本来はお前の役目だろうが!」

 

光秀「そうですよ。だからサル先輩には、私の分も頑張って貰わないとです。」

 

そう言い、光秀は良晴にある物を差し出した。

 

良晴「お守り?」

 

それは、桔梗の紋がイラストのお守りだった。

 

光秀「わ・・・私の手縫いなんだから、感激しやがれです!」

 

良晴「んなもん持てるか!恥ずかしい。」

 

光秀「良いから!死んで貰っちゃ・・・困るんです。」

 

そう照れくさそうに言った。

 

良晴「・・・ただの留守番だろ?」

 

光秀「何が起こるか分からないですよ。」

 

そして、光秀は良晴の手を取って

 

光秀「私とサル先輩で、信奈様と信忠様に天下を取らせるんです!途中でいなくなったら、承知しないです。」

 

そう言ったのだった。

 

 

 

 

 

京を進発した織田軍3万は、浅井領近江に差し掛かっていた。

 

恒興「浅井家が、近江の通過を認めました。」

 

信奈「良し。一気に進むわよ。」

 

信忠「・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寧々「寧々が参りましたぞ!」

 

良晴「何で寧々が?」

 

寧々「兄様が女遊びせぬよう、姫様からお目付役を仰せつかったのですぞ。」

 

良晴「信奈の奴・・・」

 

その際、半兵衛の陰陽師の術の後遺症の発熱を下げるために行った行動で、良晴が何かに目覚めようとしたのは内緒である。

 

 

 

 

 

 

 

織田軍本陣

 

 

 

 

 

 

 

長秀「国吉城は無血開城しました。」

 

信奈「全て順調ね。」

 

すると

 

信奈「・・・ここから金ケ崎城までどのくらい?」

 

信奈がそう言い出した。

 

光秀「多分、半日もあれば?」

 

長秀「あそこは越前ですが・・・」

 

信忠「やはり姉上・・・攻める気だったんですね?」

 

信奈「・・・そうよ。」

 

長秀「しかし、朝倉家と浅井家は同盟しているのですよ。浅井に断りもなく攻めるとは・・・」

 

信奈「だからこそよ。それに・・・信忠が何かやってくれたようだし・・・」

 

長秀「え・・・?」

 

そう言われ長秀は信忠を見ると

 

信忠「・・・流石姉上。お見通しでしたか。」

 

と信忠は言った。

 

信奈「長政に書状を送ったわね。」

 

信忠「はい。長政に届いてると思うのですが・・・」

 

信忠(念の為、浅井の周りに乱破を放っておくか・・・)

 

しかし、その書状は長政の父久政に握り潰されてしまったため、長政に届くことはなかった。

 

 

 

 

 

近江・小谷城

 

 

 

 

 

長政「父上、お考え直し下さい!」

 

磯野員昌「大殿!それがしも若殿と同じ意見です!どうかお考え直しを!」

 

浅井久政「織田信奈とその弟信忠を討ち取るまでの間じゃ。しばし、家督は返して貰うぞ。」

 

長政「信奈殿と信忠殿は、私の義姉上と義兄上ですぞ!」

 

磯野員昌「大殿!」

 

浅井久政「もう良い。長政とその妻お市を幽閉せよ。」

 

長政「ち、父上!どうか!父上ーっ!」

 

しかし、長政の言葉は届かず、長政は連れてかれてしまった。

 

磯野員昌「大殿!ここで織田を滅ぼすのは得策ではありませぬ!どうかお考え直しを!」

 

浅井久政「もう決めた事じゃ、下がれ。」

 

磯野員昌「大殿!」

 

浅井久政「下がれ!」

 

磯野員昌「・・・御意。」

 

浅井久政(織田は滅ぼさねばならぬ・・・。『この国から身分秩序をなくす』など、織田信奈とその弟信忠はこの国を破壊せんとする魔王!生かすわけにはいかぬ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半兵衛「若狭攻めは、浅井領の近江路を通過するための建前です。朝倉家と同盟中である浅井家に協力は頼めないと踏んで、長政さん抜きで越前攻めを終わらせるつもりかと・・・」

 

良晴「なんてこった・・・それじゃ、俺が知ってる歴史と殆ど変わらねぇじゃねぇか!」

 

半兵衛「このままじゃ、浅井軍と朝倉軍に挟み撃ちにされ、全滅してしまいます!」

 

犬千代「姫様に知らせる!」

 

良晴「長政の動きを確かめる。先に小谷だ。」

 

半兵衛「私も行きます・・・ゴホッ!ゴホッ!」

 

良晴「半兵衛ちゃんは寝てなきゃ駄目だ。」

 

半兵衛「で、では・・・私の代わりに前鬼さんを。」

 

そして、良晴は前鬼と一緒に小谷城に向かった。そして、信澄に出会い、小豆袋を渡されてすぐに織田軍本陣へ急いで向かったのであった。




投稿出来ました。

漫画とアニメを見てミックスしましたけど、上手く書けませんね・・・。

文才が欲しい・・・。

そ、それでは、また。


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29話

29話です。


織田本陣

 

 

 

 

 

信忠「金ケ崎城は落城しました。」

 

光秀「ここから木ノ芽峠を抜ければ、越前の一乗谷城は目の前です。」

 

長秀「しかし朝倉軍は2万。そろそろ、本格的な反撃がある頃です。」

 

信奈「その前にけりを付けるわよ。信忠、頼むわよ。」

 

信忠「お任せ下さい。」

 

その時

 

良晴「信奈!!信忠!!」

 

信奈「サル!?どうしてここに・・・」

 

良晴が現れ

 

良晴「信奈!信忠!撤退しろ!浅井が裏切った!今の織田軍は、この小豆袋と同じだ。前後を閉じられ、全滅するぞ!」

 

と言い、信澄から貰った小豆袋を出した。

 

信奈「まさか・・・」

 

信忠「やはり・・・そうなったか・・・」

 

信奈「な、何言ってるのよサル。浅井が裏切るなんて・・・勘十郎だって嫁いでるのよ。」

 

信忠「その袋を届けてくれたのは勘十郎だろ?」

 

良晴「・・・そうだ。」

 

信奈「でも・・・信忠は長政に書状を送ったって・・・」

 

信忠「恐らくですが、久政に握り潰されたのでしょう。長政に届く前に・・・」

 

信奈「そんな・・・」

 

良晴「長政は幽閉された。今の浅井家は、久政に乗っ取られて・・・」

 

信奈「いくら久政が愚かでも、そんな・・・」

 

すると

 

良晴「迂闊だった。越前を攻めれば、こうなる事は分かっていた。お前の言葉に安心して・・・すまねぇ。」

 

良晴はそう言い、信奈に謝罪した。

 

信奈「いいえ、サル・・・。私が初めから本当の事を言っていれば・・・心を見透かされてるみたいで遂・・・」

 

良晴「信奈・・・」

 

これに

 

信忠「姉上。この知らせは、朝倉にも届いているかと思います。さすれば、良晴の言う通り、我らは浅井と朝倉によって挟み撃ちに遭います。」

 

信忠はそう信奈に言った。

しかし、信奈は浅井の裏切りに動揺しており、冷静ではなかった。

 

信忠「天下に織田信忠がいなくても良いが、織田信奈がいないのは断じてなりませぬ!ここは撤退し、急ぎ次に備えねばなりませぬ。ここに長居は最早無用。直ちに、引揚げの下知を!」

 

その時

 

恒興「申し上げます。朝倉勢が大軍を挙げて木ノ芽峠に進出!」

 

恒興「山崎吉家を先手に、こちらに向かってきております!」

 

朝倉勢が攻め寄せてきたとの報告が来た。

 

信忠「姉上、陣触れを!」

 

これには、織田家中皆の視線が信奈に集まった。

そして

 

信奈「・・・私達は・・・京に撤退するわ!」

 

そう信奈は言った。それを聞いて信忠は一礼し

 

信忠「敵に気付かれぬよう、旗指物はこのままで良い!百人一組ずつ、密かに陣を離れろ!」

 

皆にそう指示を出した。

 

「「「はっ!」」」」

 

信忠「殿は・・・俺がやる!」

 

これには

 

信奈「信忠!?」

 

信奈は驚き

 

良晴「信忠!ここは俺が・・・!」

 

長秀「信忠様!ここは私が・・・!」

 

他の皆も、必死に言った。

 

信忠「ならぬ!・・・お前達は、まだ織田家に必要な仲間だ。それは良晴、お前もだ!」

 

良晴「信忠・・・!」

 

長秀「信忠様・・・!」

 

信奈「駄目よ!あなたにそんな役目を命じたくない!私は誰も死なせたくないの!それは信忠、あなたもよ!」

 

すると

 

バァン!

 

信忠「姉上!天下を目指す以上、犠牲は出ます!お覚悟を!」

 

信忠は机を叩いて信奈に言った。

そして信奈は、辛い顔で

 

信奈「・・・信忠。あなたに殿を命じるわ!見事、敵を食い止めなさい!」

 

そう命じた。

 

信忠「御意!」

 

そして、信忠は勝家に振り返り

 

信忠「六・・・お前は姉上達と共に京へ撤退しろ。」

 

とそう言った。

 

勝家「っ!?」

 

これには、勝家は目を見開いた。

 

信忠「姉上と他の皆をしかと守れ。良いな。」

 

勝家「何故です!?私も、信忠様と共に!」

 

信忠「駄目だ!お前は撤退しろ!」

 

勝家「嫌です!」

 

信忠「聞け!」

 

勝家「聞けませぬ!いくら信忠様のご命令でも、こればかりは聞けませぬ!」

 

信忠「六!」

 

勝家「っ!・・・何故なのです!?何故私だけ・・・!?私の事が・・・お嫌いになったのですか!?」

 

信忠「お前の事は・・・好きだ。ずっと一緒にいたい。」

 

勝家「ならば何故・・・!?」

 

信忠「好きだからだ!!」

 

勝家「っ!」

 

信忠「お前の事が・・・好きだからだ・・・。だから・・・お前を逃がすんだ・・・頼む・・・!」

 

すると

 

ドン

 

勝家「嘘つき・・・」

 

ドン、ドン

 

勝家「約束したじゃないですか!泰平の世になったら、共に夫婦になって、沢山子供を産んで、共に白髪になるまで年を取っていき、孫に囲まれながらずっと笑顔で過ごすと!」

 

ドン

 

勝家「嘘つき!」

 

ドン

 

勝家「嘘つき!」

 

ドン

 

勝家「嘘つき!!」

 

勝家は涙を流しながら信忠の胸を叩き

 

勝家「アアアアアッ!!」

 

泣き崩れてしまった。その姿は、『鬼柴田』と恐れられし猛将柴田勝家ではなく、一人の少女柴田勝家の姿だった。

その様子見ていた他の者は、目を瞑るか、逸らしたりしていた。

泣き崩れた勝家を見た信忠は、そのまましゃがんで、頬を両手で包み額を合わせながら

 

勝家「あっ・・・」

 

信忠「約束する・・・お前を残して死なねーから。」

 

勝家「信忠様・・・。」

 

信忠「お前が姉上達と無事に戻って、そして俺が生きて戻ったら、先日約束した、一緒に堺の町を見て回ろう。なっ。」

 

彼女に優しく言い

 

信忠・勝家「「んっ・・・」」

 

口付けを交わし、木瓜紋の刺繍がされてある黄色いお守りを勝家の首に掛けた。

そして、立ち上がって

 

信忠「さあ、お前ら!急いでかかれ!無事京に戻れば、まだいくらでも打つ手はある!しかと命じたぞ!」

 

皆にそう言い、信奈に一礼をして、陣を出た。

それを見た勝家は、泣きながら後を追おうとしたが

 

勝家「三左衛門殿!!勝蔵!!与四郎!!」

 

可成達が間に立って止め

 

可成「若は・・・儂らが必ずお守りする!!」

 

長可「だから権六殿、後は俺達に任せな!!」

 

秀隆「権六殿・・・!!」

 

そう勝家に言った。

 

勝家「ならせめて・・・これを・・・信忠様に・・・」

 

すると、勝家は自身の家紋である二雁金の刺繍がされてあるお守りを託した。

 

可成「分かった・・・これを若に渡そう・・・。」

 

そして、可成達は信忠と共に去った。

 

勝家(お願いします大殿・・・。もし傍にいるのなら・・・信忠様を・・・私がこの世で最も愛するお方を・・・お守り下さい・・・!お願いします・・・!)

 

その後ろ姿を、勝家は涙で滲んだ目で見ながら信忠に貰ったお守りを抱き締めたのだった。

そして、信奈達は撤退を始めたのであった。




投稿出来ました。

この金ケ崎の退き口は、通説では秀吉が殿に名乗りをあげたになってますが、ここ最近の研究では、疑問視されているらしいです。

光秀だったのかな・・・?

まぁ、分かりませんけどね・・・。

それでは、また。


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30話

30話


織田軍本隊が撤退する様子を眺めていた信忠。

すると、後ろに人の気配がしたので振り返ると

 

信忠「まだ残っていたのか、竹千代。それに・・・何でいるんだ、良晴。」

 

元康と良晴がいた。

 

元康「三河が独立できたのも、ここにいるサル晴さんのお陰でもありますが、勘九郎兄様のお陰でもあります。それに、かつて尾張での人質生活の時、吉姉様と一緒に良くしてくれました。そのご恩返しを・・・」

 

良晴「ダチのお前を死なせねー。だから・・・!」

 

信忠「気持ちだけ受け取っておく。だから早く行け。」

 

元康「けど・・・」

 

良晴「だがよ・・・」

 

信忠「この日の本が統一したら、元康、姉上と俺はお前に任せるつもりなんだよ。」

 

元康「え・・・?」

 

信忠「お前には、それが出来る。そして良晴。お前はいつか未来へ帰ってしまうかもしれねーが、それまでに姉上をしっかり支えなきゃいけねー。ここで死ぬのは俺が許さねー。」

 

良晴「信忠・・・」

 

信忠「だから二人とも、生きろ。姉上の為に・・・」

 

それを聞いて、元康と良晴は胸が締め付けられる思いがした。

 

元康「で、でしたら半蔵さんを残していきます。本人も希望していますから!」

 

信忠「半蔵が?何で?」

 

元康「勘九郎兄様の忍び、百地三太夫は、半蔵さんと同郷なのです。」

 

信忠「・・・分かった。」

 

そして、良晴が信忠に近づき

 

良晴「死ぬんじゃねーぞ。信奈の・・・そして、お前の事を最も愛している勝家の為に・・・!」

 

拳を突き出した。

 

信忠「あたりめーだ!俺は殺しても死なねーからな!」

 

これに信忠はそう言い、良晴の拳に自身の拳を当てた。

そして、元康と良晴は、その場を後にした。それと入れ替わりに

 

可成「若!」

 

可成達が現れた。

 

信忠「三左達・・・準備は出来たか?」

 

可成「いつでも!」

 

長可「殿、準備万端だぜ!」

 

秀隆「いつでも行けます!」

 

信忠軍団兵士「「「我らいつでも、信忠様と共に!!」」」

 

信忠「良し・・・!」

 

可成「若。権六からこれを・・・」

 

その時、可成は先程勝家に渡された二雁金の刺繍がされてあるお守りを信忠に渡した。

 

信忠「二雁金・・・六か・・・」

 

可成「はい・・・」

 

それを見て、信忠はギュッと握り締めた。

 

信忠「行くぞ!!」

 

「「「おおおおっ!!!」」」

 

北から朝倉軍2万。東近江から浅井軍1万5千。ここに、歴史とは違うが、『金ケ崎の退き口』が始まった。

殿を務める信忠軍団5千の役目は、少しでも敵の追撃を食い止める事。その隙に信奈達は浅井領、朽木谷を強行突破し京を目指す。それしか脱出の術はなかった。

 

そして、朝倉軍が近付いてきた。

 

山崎吉家「織田軍の殿が見えたぞ!一気に踏み潰すのじゃー!!」

 

しかし

 

ドドドドォォォン!!

 

鉄砲隊に止められてしまった。

 

山崎吉家「怯むな!種子島に次弾を込めるには時間が掛かる!今のうちに突いて斬り込め!」

 

そう言ったが

 

ドドドドォォォン!!

 

間髪なく銃弾の嵐が来たため

 

山崎吉家「ば・・・馬鹿な!?何故、こうも早く・・・ッ!?」

 

朝倉軍は完全に足止めされてしまった。

 

 

 

 

信忠軍

 

 

 

 

 

信忠「良し次!」

 

ドドドドォォォン!!

 

可成「こ・・・これは・・・!」

 

信忠「種子島の弾込めの時間を補うための策だ!三列に構え、最初の列が射撃をする間に残りの二列が準備をし、順番に前に出て連続で撃つ。つっても、これはただの思いつきだがな!」

 

秀隆「流石殿です・・・!!」

 

長可「殿!敵が浮き足立ちました!」

 

信忠「良し!三太夫!!」

 

三太夫「はっ!」

 

信忠「美濃に行ってくれ!蝮を近江に動かすんだ!」

 

三太夫「それは・・・!」

 

信忠「浅井が浮き足立てば、それだけ皆が生き残る確率が上がる!頼む!」

 

三太夫「承知!」

 

信忠「それと・・・長政達の事だが・・・」

 

三太夫「その事でしたら、我が配下の者が見つけるはず。必ずや、お二方をお助けします!」

 

信忠「・・・そうか。」

 

三太夫「主、ご武運を!」

 

そう言い、三太夫はその場を後にした。

 

信忠「行くぞ、お前ら!!」

 

可成「はっ!若のお命は、この三左がお守り致す!!」

 

長可「あたしもだぜ!!」

 

秀隆「私も、殿をお守り致します!!」

 

信忠軍団兵士A「信忠様は、儂らもお守りします!!」

 

信忠軍団兵士B「信忠様と我らは一心同体じゃ!!」

 

「「「おおおおっ!!!」」」

 

信忠「・・・ったく。お前らは・・・」

 

半蔵「あなたは不思議なお方ですね。こうも人を魅了する・・・」

 

信忠「半蔵か・・・三太夫とは同郷だってな。」

 

半蔵「以前、伊賀にて共に修行し、忍びの技を極めんとしていました。」

 

信忠「・・・そうか。なら半蔵、お前も頼りにしてるぞ。」

 

半蔵「はっ。」

 

信忠「良し!敵を一人たりとも通すな!!一人でも多く斬り殺せ!!」

 

「「「おおおおっ!!!」」」

 

そして、信忠は星切を抜いて自ら先頭に立って、朝倉軍に斬り込んだのだった。

 

 

 

 

 

織田軍

 

 

 

 

 

織田軍本隊は、朽木谷の前まで来ていた。

 

長秀「これより、朽木谷に入ります。この難所を抜ければ、京まで一直線です。」

 

良晴「頑張ろうぜ、信奈。」

 

光秀「はい。京まで行ければ、何とか・・・」

 

信奈「そうね・・・」

 

すると

 

勝家「信忠様・・・」

 

勝家は、涙を浮かべながら信忠に貰ったお守りを見て

 

勝家「姫様・・・私は・・・信忠様の元へ戻ります。信忠様の居ない世界に・・・生き残っても・・・」

 

そう言い始めた。

 

長秀「しっかりなさい、勝家!」

 

良晴「信忠はまだ死んじゃいないぜ!」

 

他の皆が、勝家を励ますが

 

勝家「死ぬぞ!いくら信忠様が強くても・・・信忠様率いる子飼いの兵でも、あんな大軍じゃ・・・」

 

勝家は涙を流すだけだった。

 

良晴「信忠は、自らの意志で残ったんだ!信奈のために・・・!そして勝家、特にお前のためにだっ!!」

 

それに良晴は、涙を浮かべて言ったが

 

勝家「もう沢山だ!!あの大軍じゃ、いくら信忠様でも無理だ!!私が生きても・・・信忠様が・・・いないんじゃ・・・!!」

 

勝家は崩れ落ちて泣いてしまった。

それを見た信奈は

 

パァンッ!

 

涙を浮かべながら勝家の頬を叩いたのだった。

 

信奈「しっかりしなさい、勝家!信忠は・・・勘九郎は・・・私は勿論、特にあなたのために残ったのよ!あなたが生きなきゃ、勘九郎が残った意味がなくなるわ!!」

 

勝家「姫様・・・」

 

信奈「あの子はきっと生きて帰ってくる!!私はあの子を信じる!!あなたがあの子を信じないでどうするの!!」

 

勝家「・・・。」

 

久秀「信奈様。朽木谷の領主、朽木元綱は優柔不断な男です。私が味方に付けて、京へ安心して撤退できるようにします。」

 

信奈「頼むわ。」

 

そして

 

長秀「さあ、行きましょう勝家。」

 

長秀は勝家を立ち上がらせ

 

勝家「しかし・・・」

 

長秀「誰もが必死なのです。信忠様の思いはただ一つ、姫様とあなたを逃がすために・・・」

 

長秀「決して無駄にしてはいけません。そして、戻ってくることを信じましょう。」

 

優しく抱き締めたのだった。

 

勝家「信忠様・・・」

 

これに、勝家は長秀の肩に顔を埋め、泣いたのだった。

そして、朽木元綱を寝返らすことに成功した信奈達は、朽木谷を突破し、無事京へ辿り着いたのであった。




投稿出来ました。

アニメと漫画を見て、アレンジしてみました。

今日は映画五等分の花嫁を観ました。

上手く書けたでしょうか・・・?

それでは、また。


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31話

31話です。


城外の牢に監禁されている浅井長政の元に一人の忍びの者が忍び寄る。

 

信忠の忍びA「長政殿・・・長政殿・・・」

 

長政「何奴だ?」

 

信澄「誰なの?」

 

信忠の忍びA「我が主織田信忠様に仕える忍びにございます。」

 

長政「信忠殿に仕える者だと?」

 

信澄「兄上の・・・」

 

信忠の忍びA「はい。そして長政殿に読んでいただきたい書状がございます。」

 

そう言い、信忠の忍びは、長政にある書状を渡した。

 

長政「これは!?何だと!」

 

信澄「これは・・・一体・・・!」

 

信忠の忍びA「我が主より、長政殿宛てに届けられた書状なれど、浅井久政の手により隠されていた物でござる。」

 

長政「織田は浅井を裏切った訳では無かったのだな。」

 

信忠の忍びA「御意。しかし現在、浅井久政は既に出陣し、殿として残っている我が主を討ち取る為に出陣しております。」

 

信澄「兄上が・・・!?」

 

長政「手遅れか・・・私はどうしたら良い。」

 

信忠の忍びA「恐れながら、このままでは浅井家は織田家と正面衝突するのは逃れられませぬ。」

 

長政「そんな事は分かっている!」

 

信忠の忍びA「ですからお逃げ下さい。既に手はずは整えておりまする。」

 

信澄「えっ!?」

 

長政「何だと!?」

 

信忠の忍びA「ここの外には、長政殿にお味方する浅井家家臣が控えておりまする。」

 

長政「・・・それは誰だ?」

 

信忠の忍びA「磯野員昌殿にございます。」

 

長政「成程・・・員昌は信忠殿に心服しているからな。分かった、すぐに脱出しよう。」

 

こうして、長政と信澄は脱出したのだった。

 

 

 

 

 

 

一方、信奈達は、無事京へ戻れた。

 

信奈「皆、良く無事で戻ったわね。」

 

長秀「ありがたきお言葉・・・」

 

良晴「ああ・・・」

 

光秀「何とか戻れたです・・・」

 

久秀「そうですわね・・・」

 

勝家「・・・」

 

しかし、皆疲れ切った顔をしており、勝家に至っては、未だに暗い顔のままだった。

 

寧々「姫様!」

 

その時、寧々が駆けつけてきた。

 

良晴「寧々・・・」

 

信奈「寧々・・・」

 

寧々「よくぞご無事で・・・信忠様は?」

 

その問いに

 

「「「・・・。」」」

 

皆俯いて答えれなかった。

 

寧々「兄様・・・?姫様・・・?」

 

それを見た寧々は、様子がおかしいと思い周りを見ると

 

寧々「六様・・・そのお守りは・・・信忠様の・・・」

 

勝家の首に掛けられているお守りを見つけた。

 

良晴「信忠は・・・俺達を守るために・・・自ら金ケ崎に残ったんだ・・・」

 

その言葉に

 

寧々「えっ・・・?」

 

寧々はただ絶句した。その時

 

前久「はぁっ!はぁっ!織田信奈っ!!」

 

前久が駆けつけてきた。

 

前久「はあ・・・はあ・・・織田信奈よ・・・。信忠殿は・・・信忠殿はどこにいるのでおじゃるか・・・?」

 

そして、前久は焦った表情で信奈に尋ねた。

 

信奈「そ・・・それは・・・」

 

前久「何処なのじゃっ!?答えるのじゃ!!」

 

これに、前久は激しく信奈に詰め寄った。

 

長秀「近衛殿・・・信忠様は・・・私達を守るために・・・金ケ崎に残り、自ら殿を務めました・・・」

 

それを見た長秀は、信奈の代わりに言った。

 

前久「何じゃと・・・」

 

これに、前久は驚き手に持ってる扇子を信奈目掛けて投げつけ

 

前久「お主は・・・お主らは・・・信忠殿を見捨てて・・・おめおめ逃げたのでおじゃるか!!」

 

激しく信奈達を叱責した。

 

信奈「っ!」

 

これには、信奈は返す言葉もなく、ただ顔を俯かせるだけだった。

 

良晴「近衛のおっさん!それは違う!信忠は・・・自らの意志で・・・!」

 

これには、良晴は信奈を庇ったが

 

前久「黙れサル!!言い訳など聞きとうないわ!!」

 

良晴「っ!!」

 

前久の剣幕に、ただただ黙らざるを得なかった。

 

勝家「信忠様・・・信忠様・・・」

 

その横で、勝家は涙を流し続けながら信忠に貰ったお守りを大事そうに強く握りながら信忠の名前を言い続けていた。

 

前久「柴田殿・・・?」

 

長秀「譫言です・・・」

 

良晴「撤退途中からずっとこうなんだ・・・。」

 

勝家「死なないで下さい・・・信忠様・・・」

 

前久「柴田殿・・・そなた・・・信忠殿の事を好いているのは知っておったが・・・そこまで信忠殿を・・・」

 

前久「お主ら・・・もし信忠殿が死んでおったら・・・この麿は・・・一生そなたらを許さぬでおじゃるぞ!!」

 

そして、前久はそう言ってその場を後にしたのだった。

 

信奈「・・・。」

 

良晴「信奈・・・」

 

信奈「皆・・・ご苦労だったわね。今はゆっくり休みましょう。信忠は・・・勘九郎はきっと戻ってくる・・・」

 

良晴「・・・ああ。」

 

信奈「万千代、勝家を頼むわ・・・。」

 

長秀「・・・はい。」

 

そして、一同は解散したのであった。




投稿出来ました。

ちょっと今回は読みづらいかもしれません。

お許し下さい(土下座)

それでは、また。


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32話

32話です。


信忠達は朝倉軍2万を足止めしていたが、途中東近江から浅井軍1万5千が朝倉軍に合流し、形勢が不利になったが、信忠達は頑強に粘った。

 

 

 

 

 

信忠軍

 

 

 

 

 

 

信忠「はあああっ!!」

 

ズバッ!ザシュ!ズバッ!

 

「「「グハアッ!!!」」」

 

信忠「一人たりとも通さねーぞ!!」

 

可成「若に続けーっ!!」

 

長可「オラオラー!!この程度かーっ!!」

 

秀隆「殿に続けーっ!!」

 

「「「おおおおっ!!!」」」

 

信忠軍団兵士A「信忠様をお守りするんじゃー!!」

 

信忠軍団兵士B「うおおおっ!!信忠様の為にーっ!!」

 

その時

 

半蔵「信忠殿!東より新たな軍勢が!」

 

東から新たに軍勢が来た。

 

長可「何だってっ!?」

 

秀隆「そんな・・・!?」

 

しかしその軍勢は信忠達を攻撃せず、浅井・朝倉の連合軍に攻撃した。

 

信忠「あの旗・・・蝮か・・・間に合ったようだな・・・」

 

その軍勢の正体は、道三の軍勢だった。

 

 

 

 

 

浅井軍

 

 

 

 

 

浅井久政「クソッ!!我ら1万5千と朝倉軍2万で攻めてるにもかかわらず、何故壊滅せぬのじゃ!!」

 

赤尾清綱「信忠の子飼いは、選りすぐりの精鋭です。壊滅は、極めて難しいかと。」

 

雨森弥兵衛「信忠本人も戦に長け、一騎当千の猛将ですので・・・」

 

浅井久政「クッ・・・しかし、ここで討ち取れば、織田にとって大きな痛手じゃ。一気に攻めるぞ!」

 

赤尾清綱「はっ!」

 

雨森弥兵衛「御意!」

 

その時

 

「「「わああああっ!!」」」

 

どこかで鬨の声が聞こえた。

 

浅井久政「何じゃこの声は!?何処からじゃ!!」

 

浅井久政「あ・・・あの旗は・・・まさか・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻・朝倉軍

 

 

 

 

 

 

 

山崎吉家「うーむ・・・ここまで粘るとはのう・・・。流石織田信忠。敵ながら天晴れじゃ。しかし、それもここまでじゃ!」

 

その時

 

山崎吉家「ん?何じゃこの声は・・・?」

 

朝倉軍も、鬨の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

斎藤軍

 

 

 

 

 

 

道三「浅井、朝倉の横っ腹を突け!!我が義息子を救うのじゃ!!」

 

三太夫「主を救えーっ!!」

 

「「「おおおおっ!!!」」」

 

道三が加わった事で形勢が逆転し、何とか浅井・朝倉連合軍の追撃を食い止めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

信忠軍団兵士C「な・・・何とか・・・浅井・朝倉の追撃を食い止めたぞ!!」

 

信忠軍団兵士D「ああ・・・」

 

信忠軍団兵士E「信忠様は・・・皆は無事じゃろうか・・・?」

 

信忠軍団兵士C「きっと大丈夫だ・・・道三殿も増援に駆けつけてくれたからな・・・。」

 

その時、物音がしたので、敵かと腰の刀に手を掛けた。すると現れたのは

 

信忠「はあ・・・はあ・・・」

 

全身に返り血を一身に浴びた信忠だった。

 

信忠軍団兵士C「信忠様!?よくぞご無事で!!」

 

信忠軍団兵士D「案じておりましたぞ!!」

 

信忠軍団兵士E「お怪我はございませぬか!?」

 

それを見た信忠軍団の兵士は、頭を下げた。

 

信忠「俺なら心配ねー。」

 

そう言うと

 

信忠「お前達も、よく戦ってくれたな。礼を言うぞ。」

 

信忠は彼等の肩を叩いた。

 

可成「若ーっ!」

 

長可・秀隆「「殿ーっ!」」

 

すると、後方から可成達が駆けつけた。

 

信忠「三左!勝蔵に与四郎!」

 

可成「若、よくぞご無事で!!爺は嬉しいですぞ!」

 

長可「殿・・・凄い返り血ですね・・・」

 

信忠「それを言うならお前もだろうが・・・」

 

秀隆「殿・・・よくぞ・・・よくぞご無事で・・・!!」

 

信忠「与四郎もよく戦ってくれたな。」

 

信忠「蝮も、良く駆けつけてくれたな。」

 

道三「当然じゃ。お主は儂の義息子じゃからな。」

 

信忠「・・・そうか。半蔵も、よく戦ったな。」

 

半蔵「主に従ったまでだ。」

 

信忠「三太夫も、ご苦労だったな。」

 

三太夫「いえ。ご無事で何よりです。」

 

信忠「・・・そうか。さあ、京へ戻るぞ。」

 

そして、信忠達は京へ撤退したのであった。




投稿出来ました。

オリジナル話は本当に難しいです・・・。

それでは、また。


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33話

33話です。


京へと何とか逃れた信奈は、改修中の御所を視察するなど窮地を脱してきた素振りも見せず平然と振舞っていた。

しかし、心中は穏やかではなく

 

信奈(信忠・・・無事でいて・・・)

 

信忠の事しか考えてなかった。

その時

 

恒興「姫様!信忠様が、戻られました!」

 

信忠達が戻ったとの知らせが入った。

これに信奈は

 

信奈「っ!」

 

すぐに駆けつけたのだった。

一方の勝家は

 

ザバァ

 

勝家(どうか・・・信忠様をお救い下さい・・・!)

 

京に戻ってから毎日水垢離をしながら信忠の無事を祈っていた。

 

長秀「勝家!それ以上やったらあなたの身体に障ります!今すぐお止め下さい!」

 

これには、長秀は止めたのだが

 

勝家「うるさい!私の勝手だ!お前は黙ってろ!」

 

長秀「しかし・・・!」

 

勝家の剣幕に、黙らざるを得なかった。

その途中

 

義元「勝家さん・・・妾もやりますわ。」

 

勝家「・・・ああ。好きにしろ。」

 

義元も水垢離に加わった。

 

勝家(信忠様・・・どうか・・・)

 

義元(信忠さん・・・どうか妾の元にご無事で・・・)

 

ザバァ、ザバァ

 

長秀「勝家・・・義元殿・・・」

 

その時

 

良晴・犬千代「「勝家!」」

 

良晴と犬千代が息を切らせながら現れ

 

良晴「の・・・信忠が・・・帰ってきたぞ!」

 

そう言った。それを聞いた勝家は

 

勝家「っ!」

 

一足早く駆けつけたのだった。

 

 

 

 

 

 

清水寺

 

 

 

 

 

 

清水寺に最初に到着した信奈は、落ち着きなく待っていた。

 

織田軍兵士A「信奈様!信忠様が参りました!」

 

その時、兵士の一人がそう信奈に言った。それと入れ替わりに、全身に返り血を浴びた信忠を含め、森親子、河尻秀隆に半蔵、三太夫、そして斎藤道三が現れた。

一同は胡座をかき

 

信忠「只今・・・無事・・・戻りましてございます。」

 

と頭を下げて言った。

それを見た信奈は、涙を溜めながら

 

信奈「・・・良く帰ったわね、勘九郎。」

 

と言った。

 

信忠「はっ。」

 

信奈「皆も・・・ご苦労だったわね。」

 

可成「当然じゃ。」

 

長可「そうだぜ、姫様。」

 

秀隆「別に信奈様の為ではありませんので。」

 

信奈「蝮も・・・ありがとう。」

 

道三「義息子の危機じゃ。これくらい何てことないわい。」

 

その時

 

ドタドタドタ

 

誰かが駆けつけてきた。その者は

 

勝家「信忠様っ!」

 

勝家だった。

 

勝家「信忠・・・様・・・ですよね?」

 

信忠「見れば分かるだろう?約束通り、戻ってきたぞ、六。」

 

すると、勝家は涙を浮かべながら

 

勝家「信忠様っ!!」

 

ドンッ

 

信忠に抱き付き、顔を埋めたのだった。

その衝動で信忠は倒れ、勝家が上になった。

 

勝家「ようございました!六は・・・六は・・・案じておりました・・・!」

 

そう言い、勝家は信忠の顔を撫でた後、また抱き締めて顔を埋めた。

 

信忠「・・・心配掛けたな。」

 

それを見た信忠は、勝家の頭を撫で、優しく抱き締めた。

すると

 

ギュッ

 

勝家は益々強く抱き締めたのだった。

 

良晴「信忠っ!」

 

長秀「信忠様っ!」

 

犬千代「信忠様っ!」

 

義元「信忠さんっ!」

 

それに遅れて、良晴、長秀、犬千代に義元が駆けつけてきた。

 

信忠「ああ・・・良晴に万千代。それに・・・義元か。」

 

すると、信忠と勝家の様子を見た良晴は

 

良晴「あ・・・えっと・・・」

 

少し気まずそうな表情をした。

 

道三「小僧、少しは気を利かせるのじゃ。信奈よ、ここは二人だけにしようぞ。」

 

信奈「そうね。皆も、下がりましょう。」

 

長秀「はい。そうですね。」

 

義元「妾も一緒にいたいのですが、仕方がないですわね。」

 

犬千代「信忠様と勝家、二人っきり。」

 

そして、信奈達はその場を後にし、残ったのは信忠と勝家だけになった。

 

信忠(気を遣わせたか・・・)

 

信忠「おい六・・・返り血で汚れっから、一旦離れな。」

 

信忠はそう言ったが、勝家は一層強く抱き付き、胸に顔を押しつけて首を横に振った。

 

信忠「お、おい、六。」

 

勝家「構いません。信忠様・・・」

 

信忠「六・・・」

 

そして、勝家は顔を上げた。すると

 

勝家「信忠様・・・この傷・・・」

 

信忠の胸には、僅かに掠り傷があった。

 

信忠「ああ・・・これか。大した傷じゃ・・・」

 

すると

 

勝家「レロ・・・」

 

勝家は、傷を見るや優しく舐めたのだった。

 

信忠「六・・・」

 

この声に、勝家は上目ぎみに信忠を見た。

 

信忠「六・・・」

 

勝家「はい・・・んぅっ!?」

 

それを見た信忠は、勝家に口付けをした。

勝家も最初は驚いたが

 

勝家「んっ・・・信忠様・・・もっと・・・もっと感じさせて下さい・・・」

 

次第にウットリと目を閉じ、そのまま口付けをしながら抱き締めた。

 

勝家「信忠様・・・」

 

信忠「んっ・・・?」

 

勝家「愛してます・・・」

 

信忠「俺も・・・」

 

そして、二人はずっと互いにきつく抱き締め合ったのであった。




投稿出来ました。

やっべぇ、超絶グダグダ・・・(汗)

お許し下さい(土下座)

そ、それでは、また。


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34話

34話です。


金ケ崎における撤退戦は、信忠の活躍により皆無事に生き延びた。

信忠が生きて帰ってきた事に、安堵した気持ちを抱いたと信奈はそれと同時に、浅井長政の父久政に対する怒りがこみ上げてきて、必ず報復すると決意した。

信忠は京へ帰還した後、近衛前久に挨拶をしに屋敷に向かったら、近衛前久は

 

前久「信忠殿!よくぞ・・・よくぞご無事で!!麿は・・・麿は・・・案じておったぞ!!」

 

狂喜乱舞して喜びの声を上げた。

 

信忠「近衛様にはご心配をお掛けしました。申し訳ございません。」

 

前久「良いのじゃ、そなたが生き延びてくれればそれで良い。誠に許せぬのは浅井久政と朝倉義景じゃ!」

 

信忠「必ずや浅井久政、朝倉義景を成敗致します。」

 

前久「頼むぞ!それと・・・」

 

その時、前久は信忠の左にいる者を見た。

 

勝家「♪」

 

そこには、勝家が寄り添って信忠の左腕にしがみついていた。

 

信忠「申し訳ありませぬ。俺が金ケ崎から戻ってからずっとこの調子なのです。」

 

信忠「おい六、離れろって・・・近衛様の前だぞ。」

 

これには、信忠もそう言ったのだが

 

勝家「・・・。」

 

ギュー

 

勝家は離れるどころか益々強くしがみつき、左腕に頬を擦り寄せたり、自身の胸を信忠に当てたりした。

 

信忠「おい、六・・・」

 

勝家「良いではありませぬか。信忠様は、お嫌ですか?」

 

そう言い、勝家は目を潤ませながら上目遣いで信忠を見た。

 

信忠「・・・ったく。」

 

それを見て、信忠は何も言えず、そのままにした。

 

勝家「♡」

 

これには、勝家はご満悦の表情を浮かべた。

 

前久「はっはっは!信忠殿も、柴田殿には弱いのぅ。」

 

信忠「うっ・・・」

 

前久「じゃが、柴田殿は誰よりもそなたを心配しておった。好きにさせるのが良かろう。」

 

信忠「・・・はい。」

 

これには、信忠も少し柔らかい笑みを浮かべながら言った。

 

前久「それはそうと、お主の姉の信奈は美濃へ、お主は尾張へ引き上げると聞いたが。」

 

信忠「はい。軍勢を整えて浅井・朝倉を討とうかと思いまして。」

 

前久「うむ、それが良かろう。この朝廷は麿が何とかする故、浅井・朝倉には決して明け渡さぬ。」

 

信忠「ありがとうございます。それでは、準備がありますので、これにて。」

 

前久「うむ。信忠殿、達者でのぅ。」

 

信忠「はい、近衛様も。ほら六、行くぞ。」

 

そう言い、信忠は勝家と一緒に前久の屋敷を後にした。

 

前久(頼むぞ・・・信忠殿・・・!)

 

そして信奈は、軍勢をまとめ上げ、京にいくらか兵を残し信奈自身は美濃へ軍を引き上げていった。

信忠も尾張へ引き上げていった。

しかし・・・

 

信忠「おい六・・・」

 

勝家「はい。どうなさいましたか?信忠様・・・。」

 

この時は、いつもと様子が違っていた。

それは

 

信忠「何でお前・・・」

 

信忠(俺と馬に同乗してんだよ・・・?)

 

勝家は信忠の前に乗っていた。

 

勝家「別に私と信忠様は周りから認められている関係ですよ。今さら恥ずかしがる事ではありませぬ。」

 

信忠「まあ・・・そうだが・・・」

 

勝家「ふふ・・・信忠様・・・」

 

信忠が頬を赤らめながら恥ずかしがる姿に、勝家は柔らかい笑みを浮かべながらしなだれかかったのだった。

それを見ていた

 

可成「かっかっか!権六め、若にべったりじゃのぅ!!」

 

長可「全く、こっちが恥ずかしいぜ!」

 

秀隆「殿・・・権六殿・・・」

 

信忠の直臣達は、皆柔らかい笑みを浮かべながら見つめていたのだった。

そして、信忠軍団は無事名古屋へ着いたのであった。




投稿出来ました。

オリジナル話でかなりグダグダですが、お許し下さい(土下座)

今回のお話、甘すぎるため糖尿病にならないように(笑)

そ、それでは、また。


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35話

35話です。


信忠達が名古屋城に戻ったとき、岐阜の信奈より早馬が届き書状を渡された。

その内容は

 

『すぐに岐阜城へ登城してくれ』

 

との内容だったため、信忠は勝家と可成を連れて岐阜城へと向かった。

岐阜城へ着くと

 

恒興「信忠様、よく来て下さいました。姫様がお待ちに御座います。」

 

恒興が出迎えてくれた。

 

信忠「うむ。」

 

そして、信忠達は広間に案内された。

広間に通された瞬間、信忠は僅かに目を見開いた。何故ならば、皆の目に晒されながらずっと平伏している浅井長政とその配下磯野員昌がいたからだ。

 

信忠(マズいな・・・重臣達が集められた中でのこの平伏は・・・)

 

信忠(どんな理由があったとはいえ、我が織田家が損害を被り、窮地に陥ったのは間違いねー。久政の暴走を抑える事が出来なかったコイツの責任だ。もしここで長政の首を刎ねたら、我が軍の士気は上がり、浅井の士気は下がる。けど、それじゃあコイツを助けた意味がねーし、磯野殿に申し訳が立たねー。)

 

そう思いながら、信忠は信奈が座る上座から見て左に座った。

 

 

 

 

その頃、信奈の個室では、信澄が姉信奈に泣き付いていた。

 

信澄「姉上、姉上、申し訳ありませぬ!長政は裏切るつもりは毛頭御座いませんでした!舅である浅井久政に捕らえられてしまったのです!どうか、どうかお慈悲を!」

 

信奈「であるか。」

 

信澄「姉上、後生でございます!」

 

信奈「長政の件は理解しているわ。けど、けじめは付けなければいけないわ。」

 

信澄「姉上!」

 

その時

 

恒興「姫様、信忠様が只今広間に案内しました。」

 

信忠が来た知らせが入った。

 

信奈「案内ご苦労だったわ、勝三郎。」

 

恒興「はっ。」

 

信奈「勘十郎。これより先は私と信忠、そして長政の問題よ。口出しすることは、例えあなたでも許さないわ。」

 

信澄「ううううっ。」

 

信奈「・・・勘十郎を連れて行きなさい。」

 

そう言い、信奈は個室を出て、広間へと姿を現わした。

 

 

 

 

 

信奈「面を上げなさい、長政。」

 

信奈の言葉に

 

長政「はっ。」

 

長政は顔を上げた。

 

信奈「何か、言いたい事があるかしら?」

 

長政「信奈殿、信忠殿。此度の事は全て私の責任でございまする。私が至らぬばかりに信奈殿、信忠殿に多大なるご迷惑をお掛けしてこの長政、面目次第もございませぬ。申し訳御座いませんでした。」

 

信奈「であるか。」

 

長政「此度の事、父浅井久政が実際に動いたとは言え、信奈殿、信忠殿を最後まで信じられなかった私の不徳と致すところ。心からお詫び申し上げまする。」

 

信奈「自ら非を認めるのね。」

 

長政「はい。私や浅井家がどうなっても構いませぬ。しかし、私と一緒についてきてくれた磯野員昌の命だけはお助け頂きたい。」

 

その時

 

信忠「姉上。此度の件、姉上もご存じの筈。全ては久政と朝倉義景の暴走によって起きたもの、俺の手柄に変えて、何卒寛大なるご処置を。」

 

信忠は一歩前に踏み出してそう信奈に言った。

 

良晴「俺も信忠に同意見だぜ!」

 

しかし

 

信忠「口を出すな!!お前は黙ってろ!!」

 

良晴「!」

 

信忠はそう良晴に怒鳴った。

 

信忠「姉上!」

 

そして、信忠は信奈に詰め寄った。

この剣幕に、信奈と重臣達は勿論、浅井長政と磯野員昌も何も言えなくなった。

 

信奈「・・・分かってるわよ。コイツは何も悪くない事も。」

 

信忠「では?」

 

信奈「けど、浅井家は許す事は出来ないわ。あいつらは、あなたを酷い目に合わせた。それは決して許さない。」

 

その言葉に、周囲の視線が長政に集まった。

 

長政「もしも、もしも許されるのであれば、この長政一家臣として信奈殿の配下として仕えたく存じます。」

 

信奈「特別扱いは出来ないわよ。」

 

長政「無論覚悟の上でございます。」

 

信奈「であるか。なら、私の家臣として仕えなさい。」

 

長政「ははっ!」

 

こうして、浅井長政は信奈の家臣として仕える事になった。

その後

 

長政「信忠殿!」

 

長政は信忠を呼んだ。

 

信忠「何だ、長政。」

 

長政「先程は、かたじけのう御座いました。」

 

信忠「気にするな。お主は何も悪くない。それをただ姉上に伝えただけだ。」

 

長政「それでもだ。それと、私を小谷から救っていただき、ありがとう御座います。」

 

信忠「良い。それも気にするな。これからは、姉上の為、この日の本の為に力を振るえ。」

 

長政「当然だ!その礼に、この磯野をそなたの配下に加えたいのだが。」

 

信忠「・・・それ、良いのか?」

 

長政「無論だ!信奈殿には、私が説得する。それに、磯野も満更でもない。」

 

信忠「・・・そうか。磯野殿、これからもよろしく頼む。」

 

磯野員昌「ははっ!信忠殿、いや、信忠様!これよりは、この磯野員昌、命を懸けてこの武を奮う所存です!」

 

信忠「頼りにしてるぞ。」

 

そう言い、信忠は磯野員昌の肩を叩いた。

 

磯野員昌「ははっ!」

 

こうして、磯野員昌は信忠軍団に加わる事となった。

この件を聞いた信奈は、笑いながら許したのであった。




投稿出来ました。

久し振りの投稿ですが、かなりグチャグチャですね。

もし読みにくかったらお許し下さい(土下座)

それでは、また。


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36話

36話です。


浅井家と朝倉家では、織田信奈の報復に対して、すぐには無いだろうと楽観視していたのだが、美濃で着々と戦の準備をしているのを聞き、青ざめた。

 

 

 

 

 

朝倉家

 

 

 

 

 

朝倉家では、朝倉宗滴が生前より織田信奈とその弟の信忠の行く末を気にしており、その宗滴に苛烈に武芸を叩き込まれ人格が歪んでしまった義景は、幼少期に死別した母親の面影を求め『源氏物語』の世界にのめり込み、生で見てはいないが信奈に異様な執着をみせるようになった。

しかし、信奈の弟の信忠には興味を示さず、寧ろ侮ってしまっていた。それは朝倉の一部家臣も同様で、ただの若造と侮っていた。けれど、先の金ケ崎の戦で浅井久政と共に頑強に粘られ、信忠のまるで修羅の如き武勇に恐れをなしてしまった。信忠だけじゃなく、信忠と一緒に活躍した森親子と河尻秀隆、そしてその軍団の精強さにその強さは本物だと改めざるを得なかったのだった。

 

朝倉義景「認めぬ・・・!余は認めぬぞ・・・!」

 

朝倉義景「これは夢だ・・・夢なのだ・・・余は悪い夢を見てるのだ・・・」

 

山崎吉家「殿・・・」

 

山崎吉家(このままでは・・・!しかし・・・あれ程の強さであったとは・・・噂以上じゃ。これで鬼柴田が加わったら我らは壊滅じゃ・・・あの者は織田信忠とは恋仲じゃ。報告によると、此度の報復に一番乗り気だと聞く。あの者を怒らせると・・・一貫の終わりじゃ・・・)

 

朝倉家は滅亡の道を歩んでいった。

 

 

 

 

 

 

浅井家

 

 

 

 

 

 

一方の浅井家も、絶対に勝てると思った不意を突いた戦いで、殿を務めている信忠を討ち取れればと思っていたのだが、蝮の道三の救援もあったとはいえ、惨敗してしまった。

その日以来、その悪夢から抜け出せずにいた。

 

浅井久政「何なのじゃ、あの強さは・・・!?」

 

赤尾清綱「大殿・・・」

 

雨森弥兵衛「しかし・・・あれ程の強さとは・・・鳥肌が立った・・・」

 

赤尾清綱「けれど、あれで鬼柴田がいないのだ。あの者が加わったら更に強くなるというわけか・・・」

 

雨森弥兵衛「その鬼柴田は織田信忠と恋仲だ。あの者は、此度の報復に一番乗り気らしい。彼の者と織田信忠が一緒になってかかってきたら・・・」

 

赤尾清綱「やめろ。考えただけでもゾッとする・・・」

 

娘の浅井長政とその妻であるお市(と言っても、既に男だと気付かれていた)、重臣であり、家中でもトップクラスの実力を持っている磯野員昌が近江から脱出して行方知れずになっていたことも寝耳に水だった。

家中の者達は、だから織田家に敵対するのは反対だったのだなどと、責任のなすりつけ合いとなっていた。

浅井長政や磯野員昌が織田家への裏切りを反対した際に、誰一人としてその意見に耳を貸そうとしなかった連中だが、織田信忠に惨敗した後はくるりと意見を覆えす有様だ。

しかし、織田軍の特に信忠軍団の強さは恐ろしいの一言に尽きた。

「攻めの三左」という異名で恐れられし猛将森可成と、その娘で父譲りの武勇とその気性の荒さから「鬼武蔵」と呼ばれし暴れ馬森長可が馬に乗り自慢の槍を振り回し、挑んだ敵は討ち取られていった。河尻秀隆も、森親子程ではないが、堅実な戦い方に翻弄されてしまった。足軽一人一人も、腕を切り落とされても怯まず立ち向かっていく姿に恐怖の心を抱いた。

それに加え、雑賀衆と同等かそれ以上の練度を誇る鉄砲隊に狙い撃ちされたため、たまったものではなかった。

何より恐ろしかったのは、その軍団を率いている信忠だった。

他の追随を許さない武勇とその統率力。あれだけの若さであの実力とは、末恐ろしかった。

浅井の家臣や足軽の中には、信忠とその将兵の強さと結束力に恐れをなし、信忠の名前を聞くだけで震え上がってしまうほどだった。

 

 

 

 

 

美濃・岐阜城

 

 

 

 

 

 

信奈「皆聞いて。今回の敵は、浅井久政と朝倉義景よ。アイツらは、私達の背後を襲っただけじゃなく、弟の信忠を危険な目に遭わせた。奴らは、決して許さない!」

 

信奈「信忠と三河の竹千代と一緒にこの戦に勝ち、天下布武を進めるわよ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

良晴(遂に始まったか・・・『姉川の戦い』が・・・。浅井長政がいるというイレギュラーがある・・・。けど・・・だからなんだ・・・!俺は信奈と信忠と一緒に天下を・・・!)

 

長秀(此度の戦、勝家はかなり乗り気のはず・・・。浅井・朝倉の被害はどうなるか・・・)

 

光秀(この戦で、信奈様に天晴れと言われる戦をするです・・・!)

 

久秀(この戦・・・激しくなりそうですわね・・・)

 

そして、信奈達は出陣の準備をした。

 

 

 

 

 

 

尾張・名古屋城

 

 

 

 

 

 

 

信忠「皆聞け。姉上は、天下布武を掲げ、戦無き世を作るためその腕を振るった。俺も、その姉上の夢の実現に応える為、邁進してきた。」

 

信忠「此度の敵は、浅井久政と朝倉義景だ。奴らは卑劣にも、我ら織田軍の背後を襲い、姉上を亡き者にしようとした!浅井久政と朝倉義景、断じて許すまじ!良いかお前ら!此度の戦、義は我らにあり!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

勝家(浅井久政と朝倉義景・・・待っていろ・・・!必ずこの私がその首を刎ねてやる・・・!)

 

可成(権六め・・・気合が入っとるのぉ・・・こりゃあ浅井・朝倉は気の毒じゃな・・・)

 

長可(ひぇぇぇ・・・権六殿こえー・・・!)

 

秀隆(浅井久政・・・朝倉義景・・・ご愁傷様・・・)

 

員昌(大殿・・・不義不忠を働き申し訳ございませぬ・・・!しかし・・・これも全て世のため人のためでござります・・・!)

 

信忠家臣A「柴田殿・・・凄い気迫だな・・・!」

 

信忠家臣B「ああ・・・こりゃあ浅井と朝倉は終わりかもな・・・」

 

そんな事を言いながら、信忠の軍団は出陣の準備を始めた。

そして、信奈は浅井家を攻めるべく、三河の元康と共に計4万の大軍を率いて出陣した。

信忠も名古屋城から5千の兵を率い、別働隊として出陣した。

姉川の戦いが始まろうとしていたのであった。




投稿出来ました。

結構グダクダです。お許しを・・・(土下座)

それでは、また。


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37話

37話です。


信奈達は近江に到着するや、虎御前山に布陣し、小谷城下を広範囲に焼き払った。しかし、浅井久政は動く気配がなく、一旦後退して小谷城とは姉川を隔てて南にある横山城を包囲した。

これに対し、浅井家にも朝倉義景の名代として朝倉景健率いる八千の援軍が到着し、浅井久政率いる一万二千と合流して、合わせて二万に膨れ上がった。

浅井・朝倉連合軍は、姉川を前にして軍を二つに分け、野村・三田村にそれぞれ布陣した。

これに対し、元康ら徳川勢は三田村へ布陣し、野村へは信奈が布陣した。その間、信忠の軍団は密かに離れ、独自行動を開始した。

そして、三田村にて徳川勢は朝倉と正面からぶつかる。

 

元康「吉姉様と勘九郎お兄様の為、朝倉を討ち取るのですー!」

 

姉川の戦いが始まった。

元康率いる徳川勢は強く、数で勝る朝倉勢をぐいぐいと押し込んでいったが、真柄直隆、真柄直澄、真柄隆基らの奮闘によって、戦線は膠着状態となった。

一方の野村の織田軍は、浅井勢に押され苦戦していた。

 

遠藤直経「うおおおっ!!一気に織田軍を突き崩すぞー!!」

 

その原因は、浅井長政と共に小谷を脱出し、信忠に仕える事になった磯野員昌と並ぶ猛将、遠藤直経によるものだった。

 

 

 

 

 

良晴「何て強さなんだ!これじゃあ持たねーぞ!」

 

五右衛門「相良氏!これ以上は・・・!」

 

良晴「くっ・・・!けど、このまま退くわけには・・・!」

 

 

 

 

 

長秀「これが磯野殿と並ぶ猛将、遠藤直経・・・。噂以上の強さです。85点。」

 

長秀「しかし、姫様の元へは決して行かせません!」

 

 

 

 

 

 

光秀「数で勝る私達が苦戦しやがるなんて・・・!遠藤直経の強さは聞いていましたが、ここまでとは・・・!」

 

光秀「けど、このままでは終わらないです!」

 

 

 

 

 

 

しかし、その中でも

 

長政「退いてはならぬぞ!ここは何としても凌ぎ、反撃するのだ!」

 

長政が奮闘していた。この戦で手柄を挙げ、自身の立場を確立させるため、彼女は必死だった。

 

 

 

 

 

 

 

信奈「思ったより苦戦してるわね・・・!」

 

久秀「遠藤直経は、信忠様に仕える事になった磯野員昌と並ぶ浅井きっての猛将。そう簡単には参りません。」

 

信奈「そうね・・・」

 

久秀「私が気になるのは、信忠様が何処に消えたのかですわ。」

 

信奈「大丈夫よ。信忠は逃げたわけじゃないわよ。」

 

久秀「それはよく分かっております。信忠様は、どこかで奇襲を掛けるのではと・・・」

 

信奈「恐らくね。頃合いを考えたらもうそろそろだと思うけど・・・」

 

その時

 

ドドドドォォォン!!

 

どこかで鉄砲の音が響いた。それに続いて

 

「「「わああああっ!!」」」

 

兵士の鬨の声が響いた。

 

信奈「この声・・・」

 

それと同時に

 

恒興「姫様!信忠様率いる軍が、浅井久政の背後を突きました!」

 

信忠奇襲の知らせが入ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻・浅井本陣

 

 

 

 

 

 

 

 

浅井軍兵士A「我が軍、遠藤殿のご活躍により、織田の軍勢を押しております!」

 

浅井軍兵士B「朝倉勢、真柄殿のご活躍によって、戦線は維持しております!」

 

それを聞いた赤尾清綱と雨森弥兵衛は

 

赤尾清綱「大殿、我が軍が織田を押しておりまする。」

 

雨森弥兵衛「朝倉勢も、徳川と対等に渡り合っておりまする。このまま乗り切れば、我が軍の勝利は確実です。」

 

浅井久政にそう言った。

 

浅井久政「うむ。」

 

その時

 

ドドドドォォォン!!

 

「「「っ!?」」」

 

どこかで鉄砲の音が響き

 

「「「わああああっ!!」」」

 

それに続いて兵士の鬨の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

同時刻・信忠軍

 

 

 

 

 

 

信忠「良し。浅井の背後に着いたぞ。」

 

勝家「見た限りじゃ、浅井の連中は気付いていない様子ですね。」

 

可成「そのようじゃのう・・・」

 

長可「そうだな・・・」

 

秀隆「これは好機ですね、殿!」

 

信忠「ああ。員昌も、その武勇を遠慮無く振るえ!」

 

員昌「御意!既に拙者の身命は、殿に預けておりまする!相手が旧主であろうとも、容赦致しませぬ!」

 

信忠「うむ!良し、鉄砲隊、構え!」

 

信忠の言葉に、鉄砲隊は一斉に構えた。

 

信忠「撃てーっ!」

 

そして、信忠軍団の鉄砲隊が一気に火を噴き

 

信忠「良し!かかれーっ!!」

 

「「「おおーっ!!!」」」

 

騎馬隊を突撃させたのだった。

 

勝家「うおおおっ!!」

 

員昌「一気に突き崩すぞー!」

 

可成「権六と員昌に遅れるでないぞ、勝蔵!」

 

長可「分かってるって、親父!」

 

秀隆「行くぞー!」

 

 

 

 

 

 

浅井久政「な、何じゃ!?彼奴ら、どこから現れたのじゃ!?」

 

赤尾清綱「分かりませぬ!」

 

浅井久政は、信忠の奇襲に狼狽えており、それは浅井の兵にも広まった。

 

雨森弥兵衛「大殿!奇襲した者の正体は、織田信忠によるものです!」

 

浅井久政「な、何じゃと!!」

 

雨森弥兵衛「先頭には柴田勝家、磯野員昌が先陣を切っており、十段ある陣のうち、九段は崩されました!」

 

雨森弥兵衛「ここに来るのも時間の問題!今すぐ退却を!」

 

これには

 

浅井久政「う・・・うむ!」

 

浅井久政はすぐに退却を始めたのだった。信忠奇襲の影響は、浅井軍に留まらず

 

朝倉景健「何!?織田信忠の奇襲じゃと!?」

 

朝倉軍兵士A「既に浅井久政殿の軍勢は混乱の極み!その混乱は、我が軍にも伝播しております!」

 

朝倉軍兵士B「申し上げます!真柄直隆様、直澄様、隆基様が討ち死に!」

 

朝倉景健「何!?」

 

朝倉軍兵士B「徳川勢が、信忠の奇襲により勢いを盛り返しました!」

 

朝倉景健「くっ・・・!」

 

朝倉勢も、窮地に追い込まれた。

 

 

 

 

 

織田軍本陣

 

 

 

 

 

信奈「信忠、やったわね!」

 

久秀「これで形勢は一気に逆転しましたわね。」

 

信奈「よーし!一気に攻めるわよ!私達も行くわよ!」

 

恒興「はっ!」

 

そう言い、信奈は本軍を一気に前に進めた。

主戦場に到着すると

 

恒興「姫様、あれを!」

 

信忠が戦場のど真ん中で

 

信忠「うおりゃあああっ!!」

 

浅井軍兵士「「「ギャアアアッ!!」」」

 

浅井軍の兵士をどんどん斬り捨てていった。

 

「「「織田信忠だ!!!織田信忠が来たぞ!!!」」」

 

それを見た浅井軍は、恐怖し、震え上がり、次々と討ち取られていった。

その様子を見た久秀は

 

久秀「・・・まるで、軍神・摩利支天の化身ですわね。」

 

そう畏怖するような声で信奈に言い

 

信奈「そうね・・・」

 

それを見た信奈も、唖然としているような顔で見ていたのだった。

そんな中でも、信忠の勢いは止まらず

 

信忠「うりゃあああっ!!」

 

浅井軍兵士「「「ギャアアアッ!!」」」

 

彼の周りは浅井軍の兵士の死体で一杯となった。

それを見た

 

良晴「スゲーな・・・信忠は・・・」

 

五右衛門「相良氏・・・?」

 

良晴「奇襲とはいえ、俺達が苦戦した相手をこうも切り崩すなんて・・・。信忠はスゲーよ・・・」

 

五右衛門「相良氏・・・」

 

良晴「けど、負けねーよ!よーし、信忠に遅れを取るなよー!」

 

五右衛門「それでこそ、相良氏でごじゃる・・・」

 

長秀「流石信忠様。この適切な時機の奇襲、98点です!」

 

織田軍は士気が一気に上がり、信忠に負けじと浅井軍を斬り捨てていった。

朝倉軍は

 

朝倉軍兵士A「お、おい!あれって、織田信忠じゃないか!!」

 

朝倉軍兵士B「ああ。間違いねー!!」

 

朝倉軍兵士C「織田信忠だ!!織田信忠が来たぞー!!」

 

信忠の姿を見るや次々と戦意を喪失していった。

 

元康「流石勘九郎お兄様ですー。」

 

半蔵「これは好機です。更に攻めまくりましょう。」

 

元康「はい!皆さん、このまま攻めて下さい!」

 

それを見た元康も攻めの姿勢を更に強め、朝倉勢を次々に討ち取っていった。

 

信忠「行けーっ!!皆殺しだーっ!!」

 

勝家「どきやがれーっ!!信忠様に遅れを取るなーっ!!浅井久政を逃がすなー!!」

 

可成「若に遅れを取るでないぞーっ!!」

 

長可「おらおらおらぁっ!死にやがれー!」

 

秀隆「殿のため、全て斬り伏せる!」

 

信忠軍団兵士A「信忠様の為、全ての敵を斬り伏せるのじゃー!」

 

信忠軍団兵士B「うおおおっ!!全ては信忠様の御為!」

 

員昌「ほぉ・・・!これが信忠様の強さか・・・噂以上じゃ!」

 

員昌「はあああっ!!」

 

「「「ギャアアアッ!!」」」

 

員昌「だが、負けはせぬぞ!」

 

その時

 

遠藤直経「磯野殿!」

 

遠藤直経が員昌の前に現れた。

 

員昌「遠藤殿か!」

 

遠藤直経「磯野殿!尋常に勝負じゃ!」

 

員昌「良かろう!いざ!」

 

そして、二人は激しくぶつかり、火花と金属音を周囲にまき散らし激しい一騎打ちを繰り広げた。

 

ガギン!ギン!

 

遠藤直経「磯野殿!相変わらずの強さじゃな!」

 

員昌「遠藤殿こそ!」

 

ガギン!ガン!

 

そうお互いに言い、激しくぶつかった。

そして

 

員昌「はあああっ!!」

 

ドシュ!

 

遠藤直経「グハッ!!」

 

員昌「御免っ!」

 

員昌が遠藤直経の胸を突いて、頸を取った。

 

員昌「遠藤直経!この磯野員昌が討ち取ったり!」

 

「「「わああああっ!!」」」

 

信忠「流石員昌だ。皆、員昌に遅れを取るな!手柄を挙げよー!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

そして、浅井・朝倉連合軍は総崩れとなり、姉川の戦いは織田・徳川連合軍の大勝利に終わった。

この戦いで、浅井家の損害は浅井政澄、弓削家澄、今村氏直、遠藤直経など浅井家で中心的役割を果たしていた重臣が戦死し、朝倉家に至っては、真柄直隆、真柄直澄、真柄隆基らが戦死した。

これにより、横山城も降伏したのだった。

 

 

 

 

 

織田軍本陣

 

 

 

 

 

信奈「皆、ご苦労だったわね!」

 

「「「ははっ!!」」」

 

信奈「信忠、今回の奇襲は見事だったわ。」

 

信忠「俺は何もしておりません。全ては皆が相手の厳しい攻めに耐えてくれたからこそ、此度の勝利に繋がったのです。皆を労ってやって下さい。」

 

信奈「そう。分かったわ。」

 

信忠「それと、此度の戦で浅井・朝倉には勝利しました。しかし、我が軍も犠牲は少なくありませんし、浅井久政と朝倉義景は生きております。油断は禁物ですよ。」

 

信奈「分かってるわ。引き続き、頼りにしてるわ。」

 

信忠「はっ!」

 

信奈「さあ、岐阜に帰るわよ!」

 

そして、信奈達は凱旋したのだった。

 

 

 

 

 

一方、浅井家では浅井久政が歯をガチガチと震わせ、小谷城に戻るとともに、ガクリと座り込んだまま暫く動けなかった。

その理由は、信忠の圧倒的な強さにまたしても敗れてしまい、恐怖に震えていたからだった。

 

浅井久政「何じゃ・・・彼奴は一体・・・何なのじゃ!」

 

赤尾清綱「お気を確かに大殿。奴とて人のはず。」

 

浅井久政「馬鹿を申すな!もはやあれは人ではない。あれは・・・皆が申すように軍神・摩利支天の化身じゃ。でなければ、あんなに強いはずがない!」

 

雨森弥兵衛「確かにそれは否定出来ませぬが・・・」

 

浅井久政「何とか・・・何とかせねば・・・何とか・・・」

 

そう言い、浅井久政はブツブツとそう言ったのだった。

これは、報告を聞いた朝倉義景も同様で

 

朝倉義景「何なのだ・・・!彼奴は人ではない・・・!これは夢だ・・・夢に決まってる・・・!」

 

精神がどんどん崩壊していった。

浅井家と朝倉家は、どんどん滅亡という名の泥沼に嵌まっていったのであった。




投稿出来ました。

今回は姉川の戦いを投稿しました。

姉川の戦いですが、この呼称は元々徳川方の呼び方らしいです。布陣した土地名から織田・浅井両氏の間では「野村合戦」、朝倉氏では「三田村合戦」と呼んでたそうです。

姉川の戦いが結構メジャーなんですけどね・・・。

ちなみに主人公信忠の無双は、今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第16話の一の谷の戦いでの菅田義経の奮戦ぶりをイメージして書きました。

それでは、また。


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38話

38話です。


姉川の戦いから僅か2ヶ月後、三好三人衆の残党討伐のため、信忠は2万の兵を率いて出陣した。そして、信忠軍は野田・福島に到着し、三好三人衆残党軍との戦いが始まった。

 

 

 

 

美濃・岐阜城

 

 

 

 

 

信奈「信忠が出陣した時期を考えると、もう始まったかもね。」

 

長秀「はい。恐らくは・・・」

 

光秀「何事も無ければ良いのですが・・・」

 

信奈「大丈夫よ。信忠に勝てる武将なんて、この世に存在しないわよ。それに、横山城にはサルが、宇佐山城には三左がいるから。」

 

姉川の戦いの後、信奈は良晴に戦の功績で横山城を与えた。信忠も、恩賞として可成に宇佐山城を与えた。

特に際立った手柄を挙げた員昌は、実を言うと戦前に

 

員昌「もしこの戦で拙者が活躍したら、信忠様の刀が欲しゅうございます!」

 

と申した。それを覚えていた信忠は、自身の一振りの刀正宗を員昌に与えた。

これには

 

員昌「ありがたき幸せ!!今後とも信忠様の天下一新のため、この磯野員昌、粉骨砕身致します!!」

 

員昌は涙を流して正宗を手にしながら喜んだのだった。

 

長秀「そうですね・・・」

 

 

 

 

一方野田・福島では、戦いは最初は信忠軍が優勢であったが、ここで思いも寄らぬ事が起きた。

 

信忠「それは確かか!」

 

信忠軍団兵士A「はっ!石山本願寺が挙兵し、我が軍を攻撃しております!」

 

信忠「くっ!」

 

これにより戦いは一進一退の攻防となり、泥沼化していった。

 

 

 

 

 

信忠軍本陣

 

 

 

 

 

信忠「流石にここまで長引くとはな・・・」

 

勝家「我が軍の被害も、そう少なくはありません。」

 

員昌「勝蔵も呼ぶべきでしたかね?」

 

信忠「いや、あいつには城を守る義務がある。本人は行きたがってたがな。しかし、今思えば連れて行かせたかったが・・・」

 

秀隆「殿、今嘆いても意味がありません。この状況を打開することが先決です。」

 

信忠「そうだな。与四郎、何か考えはあるのか?」

 

秀隆「はっ。ここはまず本願寺と和睦するのが得策かと。」

 

これには

 

員昌「馬鹿な!兵力はまだ我が軍が上だぞ!」

 

勝家「確かに本願寺の門徒は厄介だが・・・」

 

員昌と勝家はそう反応した。

 

秀隆「そこじゃない。問題は我が軍の士気です。確かに殿の存在は我が軍の士気を大いに高めます。しかし、ここまで泥沼化すると多少なりとも厭戦気分が漂っております。」

 

秀隆「ひとまず和睦し、機を見てから奴らを討ち取るが肝要かと。」

 

これを聞いて

 

信忠「・・・分かった。ひとまず和睦の使者を送ろう。」

 

信忠はそう言い、本願寺に和睦の使者を送った。

しかし、顕如は強気な態度で和睦を拒否した。

 

信忠「クソッ!何だこの自信は!」

 

信忠(何か他に手を打っているのか、顕如は?)

 

顕如は

 

顕如「次の手を打て。」

 

和睦を拒否した後、次の手を打った。

 

信忠(考えろ!顕如の次の手を。織田家にとって最悪の一手は・・・?)

 

そうして考えて

 

信忠「!・・・京が・・・危ない!」

 

そう辿り着いた。

 

顕如「今の京は空同然。織田軍の主力かつ最精鋭の軍はこの信忠の軍。ここに釘付けになっている間、浅井・朝倉に動いて貰おうか。」

 

そして

 

浅井久政「目指すは!」

 

朝倉景健「織田のいない京じゃ!」

 

浅井・朝倉両軍は合流し、琵琶湖の西側から進軍した。

 

信忠「もし京を狙われたらひとたまりもねー。与四郎!京の入口の宇佐山城に行け!そこを守ってる三左に浅井・朝倉を警戒するよう伝えろ!」

 

秀隆「はっ!」

 

 

 

 

 

 

宇佐山城

 

 

 

 

 

可成「おー見えてきたぞ!」

 

森軍兵士A「浅井・朝倉軍は、優に3万を超えるとの報告!」

 

可成「この城にいるのは3千じゃったのう?」

 

森軍兵士A「はっ!」

 

可成「『攻めの三左』は決して引かぬわ!」

 

 

 

 

 

 

 

美濃・岐阜城

 

 

 

 

 

 

信奈「何ですって!?」

 

恒興「浅井・朝倉連合軍が再び侵攻を開始!今、可成殿がいる宇佐山城に向かってるとの事です!」

 

信奈「そんな・・・万千代!」

 

長秀「今すぐに兵を送るのは難しいです・・・」

 

信奈「何で!」

 

長秀「先の姉川の損害は小さくありませんでした。その被害の回復がまだです。」

 

信奈「そんな・・・」

 

犬千代「姫様・・・」

 

光秀「姫様・・・」

 

 

 

 

 

 

 

近江・横山城

 

 

 

 

 

 

良晴「何だと!?」

 

五右衛門「浅井・朝倉連合軍、京に向かって、侵攻開始。宇佐山城へ、向かってる。」

 

良晴「こうしちゃいられねー!今すぐ宇佐山城へ・・・!」

 

五右衛門「それは駄目でごじゃる!」

 

良晴「何でだよ!?」

 

五右衛門「今ここで良晴殿が動いたら、横山城は手薄になる!そうなると、ここにも浅井・朝倉が攻めてくる!」

 

良晴「っ!」

 

半兵衛「良晴さん、こればかりは五右衛門さんと同じ意見です。」

 

良晴「そんな・・・」

 

 

 

 

 

 

そして、宇佐山城の戦いが始まったのであった。




投稿出来ました。

かなり内容がぐちゃぐちゃですが、お許し下さい(土下座)

原作だと本猫寺になってますが、今回はそういうのは無しで、そのまま本願寺で行こうかなと思います。

もし本猫寺が良いという方がおりましたら、申し訳ございません。

また、朝倉軍の総大将は、本来は朝倉義景なのですが、迷った結果、出さないことにしました。

それでは、また。


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39話

39話です。


9月19日、京を狙う浅井・朝倉軍3万に対し、宇佐山城主可成は、城を出て僅か1千の兵で迎え撃った。

 

可成「姫巫女様がおわす京を取られたら、織田家の威信は地に落ちる!絶対通すわけにはいかぬ!死守するのじゃ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

 

 

 

朝倉軍

 

 

 

 

 

朝倉景健「森可成・・・。『攻めの三左』の異名を持つ織田信忠配下の猛将か。」

 

山崎吉家「彼奴を討ち取れば、京はもう目の前。必ず討ち取りましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、可成は戦場中央にて十文字槍を自在に振り回していた。

 

 

 

 

 

 

浅井軍

 

 

 

 

 

浅井軍兵士A「僅か1千の兵に押されております!」

 

浅井久政「何故じゃ!?相手は我が軍より遙かに少ない筈じゃ!更に攻め立てるのじゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

この戦いで、森軍1千は浅井・朝倉連合軍3万相手に奮戦し、追い返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

翌朝・宇佐山城

 

 

 

 

 

宇佐山城に着いた秀隆は、可成に会った。

 

秀隆「昨日は驚きましたぞ三左衛門殿!」

 

可成「儂に掛かればこんなもの屁でも無いわ!」

 

可成「与四郎。すまぬが若に報告に行ってくれぬか。三左は大勝利とな。」

 

秀隆「・・・分かりました。」

 

そう言い、秀隆はその場を後にした。秀隆が去った後

 

可成「・・・達者でのう、与四郎。若を頼むぞ。」

 

そう呟いて

 

可成「浅井・朝倉の動きは?」

 

近況を確認した。

 

森家家臣A「はっ!3、4里先まで兵を整えている模様。」

 

森家家臣B「早ければ今日にでも再び攻めてくるでしょう。」

 

可成「そうか。昨日のようにはいかぬじゃろう・・・。」

 

その時

 

秀隆「・・・そういう事でしたか。三左衛門殿。」

 

秀隆が戻ってきてそう言った。

 

秀隆「昨日は相手の出鼻を挫いただけ。次こそ敵は万全の態勢でやって来ます。だから私だけでも逃がそうと。」

 

可成「・・・ふっ。お主には隠せぬか。いや、それは若も同じか・・・」

 

秀隆「権六殿でも気付きます!しかし、納得しません!私も残って三左衛門殿と戦います!」

 

可成「戯けたことを申すでない!お主は若の元へ戻るのじゃ!」

 

秀隆「それは出来ません!」

 

可成「この大戯けが!小娘が知った風な口を言うでない!お主のような有望で若い者を死なせぬのが儂のような年寄りの役目じゃ!お主の役目は、いつ如何なる事があっても、若を全力でお支えする事じゃ!違うか!」

 

秀隆「・・・三左衛門殿。」

 

可成「ん?」

 

秀隆「退却という選択肢は?」

 

可成「それはないのう。お主も分かっておろう。この宇佐山は京を守る生命線じゃ。」

 

秀隆「ではせめて、城に籠もって敵を防いで美濃の信奈様の援軍を待って・・・!」

 

可成「それは駄目じゃ。街道に出て防がねば、京に直接なだれ込まれる。それに、今姫は動ける状況では無い。」

 

その時

 

森軍兵士A「申し上げます!浅井・朝倉軍、再び侵攻を開始!」

 

浅井・朝倉連合軍が再び攻めてきた知らせが入った。

それを聞いた可成は

 

可成「元正、直勝はこの城を守れ!残りは儂と共に出陣する!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

可成「与四郎!お主は若に浅井・朝倉軍3万、再び侵攻と伝えるのじゃ!」

 

秀隆「は、はいっ!」

 

可成「それと・・・ウチの馬鹿娘の事、よろしく頼むとな。」

 

秀隆「はいっ!」

 

可成「もし生きてまた会えたら、その時は一杯奢るぞ。」

 

秀隆「!はい!」

 

秀隆「三左衛門殿!ご武運を・・・!」

 

そう言い、秀隆は宇佐山城を後にした。

 

可成「よし、行くぞ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

秀隆(分かってる・・・!もし殿が宇佐山城救援に向かったら、本願寺軍が背後を突く事くらい・・・!だから三左衛門殿は城に籠もらなかった・・・!)

 

秀隆(三左衛門殿・・・!)

 

そんな中

 

可成「はっ!」

 

可成「やあっ!」

 

可成「とおっ!」

 

浅井軍兵士A「ギャアアアッ!!」

 

浅井軍兵士B「うわああっ!!」

 

浅井軍兵士C「グハアアアッ!!」

 

可成は十文字槍を振り回し奮戦した。

 

浅井久政「撃てー!撃つのじゃー!」

 

森軍兵士「「「ギャアアアッ!!」」」

 

しかし、多勢に無勢で次第に森軍の数はどんどん減っていった。

 

可成「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・うおおおっ!!」

 

だが、可成は決して引かず、満身創痍の状態でも一人でも多くの敵を殺していった。

 

山崎吉家「その十文字槍、お主が森可成か?」

 

可成「だったらどうなのじゃ?」

 

山崎吉家「観念しろ!味方は壊滅したにも関わらず、お主は何故まだ槍を振るう?」

 

可成「戯けが!儂は若より京を守るよう言われておるのじゃ!だったら、一時でも半時でも長く守るのが家臣ではないか!」

 

山崎吉家「・・・見事な忠義。その忠義に免じて、この拙者が相手仕ろう!」

 

可成「・・・来い!」

 

そして

 

可成「はあああっ!!」

 

山崎吉家「うおおおっ!!」

 

二人の槍がぶつかった。互いに槍がぶつかり、火花が散ったが

 

ザクッ

 

可成「グハッ!」

 

山崎吉家の槍が、可成の腹に刺さった。

 

可成「ぐぅっ・・・ゴホッゲホッ!」

 

可成「ゼエ・・・ゼエ・・・」

 

その状態で

 

可成「山崎・・・じゃったか?」

 

山崎吉家「ん?」

 

可成は山崎吉家に話しかけた。

 

可成「お主の主君、朝倉義景は何がしたいのじゃ?何を目指すのじゃ?」

 

山崎吉家「何じゃその言葉は?戦国武将の言葉とは思えぬ!敵対する織田家を倒し、朝倉を守るために決まっておろうが!」

 

その答えに

 

可成「それが小さいと言うておるのじゃ!」

 

そう可成は言った。

 

可成「朝倉も浅井も本願寺も・・・」

 

可成「お主らには想像がつかぬようじゃがな・・・ゴホッ」

 

可成「我が主信忠は『天下一新』を掲げ姉信奈の天下布武を支え、百年にわたる乱世を終わらせるために戦っておるのじゃ!」

 

可成「そんな事も分からぬ・・・足を引っ張ることしか出来ぬ小者が何人集まろうが、織田家は絶対倒せぬわー!!」

 

そして、可成はそう言い

 

グサッグサッグサッ

 

全身に槍を浴びた。こうして、『攻めの三左』の異名を持つ猛将、森三左衛門可成は、壮烈な討ち死を遂げたのであった。




投稿出来ました。

宇佐山城の戦いをベースに投稿しました。

かなりグチャグチャですが、お許し下さい(土下座)

それでは、また。



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40話

40話です。


信忠軍本陣

 

 

 

 

秀隆「浅井・朝倉連合軍3万、再び京へ向け侵攻開始!」

 

秀隆は、信忠の本陣に帰還し早速可成の伝言を報告していた。

その時

 

信忠家臣A「信忠様!宇佐山城からまた伝令が!」

 

森軍の兵士がやって来て

 

森軍兵士A「森可成様、浅井・朝倉連合軍の猛攻により・・・」

 

森軍兵士A「討ち死になさいました!」

 

森可成討ち死にを知らせた。

 

「「「っ!?」」」

 

それを聞いた皆は、驚きと悲しみに包まれ、涙を流す者もいた。

 

信忠「・・・そうか。大義だった。」

 

しかし、それを聞いた信忠は涙を流す事無く、冷静にそう言った。

 

信忠「各隊に指令を送れ!全軍撤退する!」

 

信忠「浅井・朝倉を討ち、京を死守する!三左の死を無駄にするな!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

信忠「六!お前に殿を命ずる!本願寺軍を防げ!」

 

勝家「はっ!」

 

そして、信忠軍は撤退を始めたのだった。

 

 

 

 

 

本願寺軍

 

 

 

 

 

本願寺軍兵士A「顕如様、信忠軍が退却を始めました!」

 

顕如「いよいよ大詰めじゃ。退却中の軍ほど弱い者はおらぬ。それが例え、織田信忠の兵であったとしても。」

 

顕如「追撃し、織田信忠を討ち取るのじゃ!」

 

本願寺軍兵士B「しかし、奴らを討ち取ること出来るでしょうか?」

 

顕如「安心せよ。すぐ近くの江口川の渡し船は全て隠した。最早、彼奴らは逃げることは出来ぬわ!」

 

 

 

 

 

 

 

信忠軍

 

 

 

 

 

秀隆「そんな!?渡し船が!」

 

員昌「本願寺軍に全て隠されたのだ!」

 

信忠「全軍暫し待てぃ!」

 

その時、信忠は自ら馬を走らせて川の上流と下流を見て回った。

 

信忠「・・・ここだ!」

 

そして

 

信忠「全軍渡れー!ここなら安心だ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

全軍で川を渡ったのだった。

 

 

 

 

 

 

本願寺軍

 

 

 

 

 

 

顕如「信忠に逃げられた?何故我が軍も川を渡って追わなかったのだ?」

 

下間頼廉「それが・・・信忠が渡った翌日から、何故か川が増水し・・・渡れぬ状態となったからです。」

 

それを聞いた顕如は

 

顕如「そんな馬鹿な!姉の信奈はおろか信忠には神仏いや、天魔の加護がついているというのか?」

 

頭を抱えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、浅井・朝倉連合軍は、可成が守っていた宇佐山城に攻めかかっていたが

 

朝倉景健「何故だ!?既に大将である森可成を討ち取ったというに!」

 

浅井久政「何故落ちぬのじゃ!?」

 

森軍の頑強な抵抗に遭った。

 

 

 

 

 

森軍

 

 

 

 

 

各務元正「城を取られたら可成様に顔向けできぬぞ!」

 

肥田直勝「守れー!守り抜くのだー!」

 

 

 

 

 

 

そのため、一旦城を諦めた連合軍は京に向かったが

 

朝倉景健「何じゃと!?」

 

浅井久政「信忠の本隊が京に迫っておるじゃと!?」

 

信忠軍が来ている知らせが入ったのだった。

 

山崎吉家(宇佐山城に構うべきではなかったか。本願寺軍の追撃を振り切ったというのか!)

 

そして、軍議を始めた。

 

浅井久政「どうするのじゃ!」

 

朝倉景健「兵力も地の利も軍才も全て向こうが上じゃ!」

 

浅井久政「ではどうするのじゃ!このままでは我が軍は全滅ですぞ!」

 

すると

 

朝倉景健「いや、あるぞこの近くに・・・籠もるのに最適な場所が。」

 

地図を見た朝倉景健がそう言い始めた。

 

浅井久政「それは一体・・・?」

 

朝倉景健「ここじゃ!」

 

そう言い、ある一点を指差した。

その場所は

 

浅井久政「比叡山?」

 

比叡山だった。

 

朝倉景健「そうじゃ!比叡山は古来より絶対不可侵領域じゃ。攻め込まれる心配もないわい!」

 

そして、浅井・朝倉連合軍は比叡山に籠もったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信忠「姫巫女様がおわすやまと御所と義元がいる将軍御所は無事か?」

 

信忠軍団兵士A「はっ。浅井・朝倉連合軍は、比叡山に逃げ込みました!」

 

それを聞いた信忠は

 

信忠「三左のお陰だ・・・。アイツとその家臣が時を稼いでくれたからだ・・・」

 

そう言い、空を見上げた。

 

秀隆「殿。」

 

信忠「んっ?」

 

秀隆「三左衛門殿は、殿にもう一つだけ言い遺した言葉があります。」

 

信忠「何だ?」

 

秀隆「『ウチの馬鹿娘の事・・・よろしく頼みます。』との事です。」

 

信忠「・・・そうか。三左・・・」

 

そして、信忠軍は比叡山を包囲したのだった。

 

員昌「信忠様。比叡山は何人たりとも攻め入る事が出来ない聖域とされています。」

 

信忠「・・・。」

 

すると

 

信忠軍団兵士B「信忠様。比叡山の麓の聖衆来迎寺の真雄という僧が訪ねて来ております。」

 

信忠「んっ?」

 

聖衆来迎寺の真雄が信忠の陣にやって来た。

 

真雄「森可成様は、私どもの寺の近くで討ち死になされました。亡骸は私どもが夜間密かに運び込み、手厚く葬りましてございます。」

 

信忠「そうか・・・感謝する。」

 

それを聞いた信忠は、頭を下げ感謝の意を示した。

 

信忠「三左の亡骸を持ってこれるか?」

 

真雄「・・・はい。それは出来ますが・・・?」

 

信忠「持ってきてくれ。」

 

真雄「・・・はっ。」

 

そして、真雄は聖衆来迎寺に戻り、可成の亡骸を入れた桶を持ってきた。

 

真雄「こちらでございます。」

 

信忠「ご苦労だった。皆、悪いが暫く一人にさせてくれ。」

 

「「「はっ。」」」

 

それを聞いた皆は、頭を下げ陣から出た。

そして、信忠は可成が入っている桶と向かい合った。

 

信忠「三左・・・よう頑張ったな。お前は俺がまだ乳飲み子の頃から傅役として俺を支え守ってくれたな。俺が初陣を果たし、元服をしても、お前は変わることなく俺を支えてくれた。」

 

信忠「お前がいなければ、父上は勿論、今の俺は無かった。無論、姉上もだ。」

 

信忠「父上の死後、色んな事があったな。尾張国内での戦・・・村木砦・・・桶狭間・・・美濃平定・・・京への上洛・・・金ケ崎・・・姉川。」

 

信忠「どれも全て・・・大変だったが・・・楽しかったな。」

 

そう言う信忠の目には、涙が溢れていた。

 

信忠「三左・・・爺・・・何とか言ってくれ・・・」

 

その涙は止まる事無く

 

信忠「爺・・・すまなかった・・・お前を救うことが出来なくて・・・。俺が至らねーせいで・・・お前を死なせてしまって・・・」

 

信忠「爺・・・!」

 

そのまま桶を抱き締めた。

 

信忠「爺・・・すまなかったな・・・お前を死なせてしまって・・・!爺・・・!爺ー!ああーっ!!」

 

そして、謝罪の言葉を言い続けながら泣き叫んだのだった。

 

勝家(信忠様・・・)

 

その様子を、勝家は密かに見ており、涙を流していたのであった。




投稿出来ました。

森可成が戦死した後のお話を書きました。

実際、森可成の亡骸は聖衆来迎寺の手によって手厚く葬られております。

史実、信長はこの事を非常に感謝していたと言われております。

だからか、この後起きるとある出来事で、この寺は免れたらしいです。

それでは、また。


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