Titan War (I show you syoyu)
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プロローグ/prologue

初投稿です、読んでいただいてありがとうございます!誤字脱字とか矛盾してるとことかあるかも知れませんがよろしくお願いします!


プロローグ/prologus

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10:00 天候 快晴 気温26°

 

 

 

 

 

金属と金属がぶつかり合いそこらじゅうから銃声が聞こえる、鼻はとっくに硝煙の匂いに慣れてしまったようだ、時々聞こえてくる叫びが奇襲にあった仲間がどうなったかを教えてくれる。

どうにかして撤退せねば自分の小隊までやられてしまう

 

「おい、急いで撤退するぞIMCの奴らここまで来そうだ」

振り返るが誰も居ない。

 

ああ なんで忘れていたんだ

 

「そうだったな、仲間なんてとっくに死んじまってるよな」

ついに気も狂ったか、いやこんなとこにいるんだ狂ってるに決まってる。

目の前にある仲間だった"それ"が小隊が壊滅したことを示している。

 

「頼れるのはこいつだけってか」

手に持つCARにマガジンを込め周囲を見渡す

どこにでもある様な町なのだがこの町ではどうやら銃声と硝煙の匂いがするらしい

敵は居ないだがまた奇襲を受けるやも知れん、味方陣地まではおおよそ北へ2km

遠いなと呟きつつ地図をしまう。

1人では心もとない、誰かしら仲間はいないのかと無線に声をかける

 

「こちらデルタ4‐1 敵の奇襲を受け分隊は壊滅 撤退を要請するオーバー」

 

「こちらCP 撤退を許可する それと被害状況の具体的な報告を頼むオーバー」

 

「 デルタ4‐1 了解 奇襲を受けたせいでデルタ本隊と逸れた うちの小隊は壊滅して俺だけだ できれば近くの仲間と合流したいオーバー」

 

「こちらCP 了解した 貴官の近くでデルタ4‐2が撤退中だ 貴官のいる建物の北の方角に図書館があるはずだ そこで11:10頃に合流をしてくれオーバー」

 

「デルタ4‐1 了解 図書館へ行くのはガキの時以来だワクワクするよオーバー」

 

「呑気に本を読んで死なないでくれよ IMCの奴らに笑われちまう すまん少し待ってくれ 何?…いやわかった 。 残念な知らせだ、どうやら他の部隊でも奇襲があったらしい、行くなら急いだほうがいい頑張ってくれオーバー」

どうやら奇襲を受けたのはここだけではないらしい、急いで図書館へ向かわなければ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10:15 天候 快晴 気温 25° 道中 家屋にて

 

 

「流石に… 疲れるな」

奇襲を警戒し360°何時敵が来てもいいように構えておく、これが簡単だと言うものはいないだろう。

重装備を着て快晴の中歩くというのはかなりの体力を消耗する

適当な家屋に敵がいないか確認して入る

 

「時間は…あるな 少しばかり休むか」

よっこらせと適当な椅子に腰を下ろすと銃、ナイフ、手榴弾などの装備を確認する。

「装備は問題ないな、それにしても暑い…」

 

一通り確認を終えると水筒の水を飲み始める

その時だった

ゴトッ

「ッ!」

何かが落ちる音 即座に水筒を置き銃を構える

 

ゆっくりと音のした部屋へと向かう 警戒しながら扉を開ける。

だがそこにあるのは古びた椅子と机だけだった。

誰もいない?そんなことはないはずだ音はした、ならばどこでなったんだ?

そう思考に浸っている時

刹那 後ろへと銃口を向ける 目の前には165cmほどの人影 手には鋭利な破片を持っている、咄嗟に反応できたのは戦場で培った勘のたまものだろう

 

「投降しろ この間合いならお前がそれで俺を殺すより早くお前を殺せる」

 

16歳程だろうか少年が血濡れたガラスの破片を持って立っている

 

「あんたも白いやつの仲間なのか?」

綺麗な日本語で喋りかけてくる

白い奴とはまた抽象的だなまた白い服とはIMCの奴らのことだろうが、しかし民間人は厄介だからな、なにか起きればすぐ国際問題になる

 

「いや俺はミリシアだ 白い奴らと戦っている 敵対する気がないならその手に持っているのを離せ」

 

「…わかった」

敵対する気がないのかすんなりと離す

民間人は避難したはずだ ならこいつはなんだ…

考えていてもキリがないし民間人なら保護しなければならない、そういった努力によってミリシアは抵抗者として世間から扱われているのだから。

 

「君は何故ここにいる 民間人は避難したはずだろ?」

警戒したまま声をかける

 

「逃げようとしたんだ… でも逃げる前に空からやつらが降ってきた」

 

「なるほどなドロップシップからじゃなかったのか」

ドロップシップからの輸送は一度に多くの兵をおくれるが制空権の確保が必須だったり輸送に時間がかかる、しかし宇宙から輸送用の機械に乗って輸送するなら数は少ないが宇宙から落下するだけなので制空権も時間もかからない

 

しかし民間人に手を出したのか…これは国際問題じゃないのか?

いや その前にCPに伝えなくては

「君 名前は?」

 

「トーヤ」

トーヤ?日本系じゃないのか?いや確か"トウヤ"とも言うんだったか?

 

「トーヤか 俺はホルストだ とりあえずは難民としてミリシアで保護する ついて来れるか?」

 

「わかった」

 

「しかし何でその…血がついてるんだ?その破片…」

 

「白いやつがきたからこれで倒した」

 

「倒したって…」

まともじゃないな、普通そんなことはできない

(IMCのライフルマンといえどまともな訓練を受けた大人だ、子供がガラス片だけで倒せるような相手ではない、もし本当ならかなりの才能がある…パイロットにもなれるのでは?いやこんな世界に子供を入れるなんて野蛮なことはできん。)

 

「家族はどうしたんだ はぐれたか?」

 

「死んだ」

吹っ切れたのか

 

「他に生き残りはいるか?」

 

「いない」

生き残りはいないらしい、まあその分保護する手間が省けるのだが

とりあえずは連絡を入れなければ

 

「こちらデルタ4‐1 市街地にて避難に遅れた民間人を発見、基地まで避難させたいオーバー」

 

「こ…ら…P…………オー…」

砂嵐の様な不快な音のノイズが耳元になる

機器の故障か?

「ノイズが酷くて聞こえん、もっとしっかり言ってくれ」

 

 

「…………………」

ノイズだけが耳に届く

 

「繋がらなくなっちまった…ッチ」

こんな時につながらないとはとことん運がないようだ

時計を見る 10:45 そろそろ行かないとまずいな

 

「とりあえずは仲間と合流する、来れるか?」

何をしているのかとこちらを見ているトーヤに言う

 

「行ける」

 

「なら行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11:00 天候 曇り 気温22° 図書館近辺

 

 

 

 

 

 

 

 

雲が空を覆い尽くしている

雨が降らないと良いのだがなどとぼやきつつ先を見る

 

「あれは…もう先についてたみたいだな」

図書館の近くの荒れた駐車場には見慣れたミリシアの装甲車と兵が周りを警戒しつつ待機していた

 

「あれがおじさんの仲間?」

 

「そうだ 同じ部隊のやつらだ、それもそうだがその おじさん って呼ぶのはやめろ俺は全然若いし そもそもヘルメットで顔見れてないだろ」

 

「周りがおじさんに見えたらそれはおじさんなんだよ?」

 

「うっ」

こいつ結構毒舌だなと思いつつ仲間のもとへ急ぐ

 

近くまで来ると周辺を警戒している兵が声をかけてくる

 

「ホルスト少尉殿ですか?」

若い兵士が声をかけてくる、これほど仲間との再会を喜べる日がくるとは

 

「第1小隊のホルスト少尉だ、こっちが先程保護した民間人」

 

「了解しました、ではどうぞお入りください」

そういうと敵味方判別用のICチップを渡される、これを付けることで索敵用の兵器を使う時に味方が映らなくて済むことから基本的に部隊ごとに分けられている

 

「ああ、そういえばあの筋肉バカはどこにいるかわかるか?」

 

「中尉殿なら無線機器のあるテントにいますよ」

どうやら筋肉バカでも通じるらしい

 

「了解した」

そういいトーヤと共にテントへ向かう

 

「デルタ4‐1 ホルスト少尉です」

駐車場にはいくつかの装甲車やテント、無線機器などが置いてあり駐車場端の花壇には土豪が積まれ遮蔽物がわりにしてある、また休憩する隊員と警戒にあたる隊員、無線をいじっている隊員などそれぞれが仕事をしている。

 

「デルタ4‐2 クラーク中尉だ あの状況でよく生きてたな」

そう言いつつ握手をしようとしているのはがたいの良い 筋肉マッチョの髭を生やした白人男性 同じデルタ大隊の小隊長であるクラーク中尉だ

 

「たまたま運がよかっただけです、私もあの中生き残れるとは思いませんでしたし万が一接敵していたらやられていましたよ」

60人ほどいた小隊もいまや1人しかいない、ここまで生き残れたのは偶然が重なったからだろう

 

「ご謙遜を、パイロット並みの射撃技術と格闘術を持つお前がやられる?そんなことあるわけないだろう」

中尉がそういうと突然他の隊員たちが好奇の目で見てくる

 

「中尉殿それは一体どういう?」

近くにいた兵の1人が言う

 

「軍曹、君もパイロットのフルコンバット認証は知っているだろう?」

 

「はい、何しろ死亡率90%越えのパイロット資格の最高峰ですからね、まさか少尉殿はそれを?」

 

「ああ、試験を受けて無事…落ちた」

こいつ言いやがったと中尉を睨みつつ補足を入れる

 

「落ちましたよ、神経接続ができないって理由でね」

 

「神経接続…ですか?」

 

「ああ、タイタンを操縦するときは神経接続をして操縦するんだ、だがどうやら俺は神経接続ができないらしい、詳しいことは医者じゃないから知らんが一定数俺みたいなのがいるらしいんだ、それでタイタン操縦が0点で見事に落ちたんですよ、これでいいですか中尉?」

あとで必ずシバかなければと頭の中にメモしておく

 

「って訳でこいつは実力はあるのにタイタンを動かせないせいで不合格くらったんだ」

それを聞いて哀れみの目で見てくる輩やパイロットの格闘術と聞いて好奇の目で見てくる輩などがいる、言うことはまだいい、だけど何だろうか すごくうざい

 

「この話する必要ありました?次は中尉の失恋話でもしましょうか?」

明らかに焦り出すクラーク中尉

 

「まあとりあえず立ち話も何だからこっち座れよ」

 

話を変えやがったと内心舌打ちしつつ 装甲式の超大型車兼指揮所の車へ案内される

 

「これは…でかいな、こんなの良く手に入れられましたね…」

指揮所に使える程の硬度を持つ装甲と大きさのある車両など普通小隊程度の部隊に配備されないしかも超大型なんてかなり最新式なものが来るなんて普通はありえない。

 

「驚くなよ?内装はもっとすごいぞ?」

そう言いうと車のドアが開く、ヘルメットを取り中へと入る

 

中は見た目以上に広く大型の無線機やら資料の束、椅子や机なんなら簡易的な寝床まである、中には謎の筋トレ道具まである…多分中尉のだろう

 

「広いな…通信機器も完備されているとは、このいらない道具どもを捨てればさらに置けるのでは?」

 

「おっと少尉、君にはこれの良さがわからんのか?それに日々鍛えなければ筋肉が弛んでしまうだろう?」

そう言うと中尉は筋トレを始めようとする

 

「おじさんたちは何言ってんの?」

そういえばまだ紹介していなかったと思い出す

 

「すまん、紹介してなかったな、南の方の市街地で保護した子供です、名前はトーヤと言うらしいです」

 

「おっと忘れていたなトーヤか、じゃあアジア系だな英語がわからんと言うことは日本系か?」

 

そう言うとクラークはヘルメットの翻訳用デバイスの電源を入れる

翻訳用デバイスは無線などと同じ電源から電気を取るため必要な時以外は基本的にはオフにするようになっている、そのため大体の部隊は同じ言語の人間で組織されていることが多い。

 

「坊主、これで俺の言葉がわかるか?」

 

「坊主じゃないトーヤだ、ってかおじさんだれだよ」

こいつどんどん生意気になってやがる…

 

「こいつ避難民にしちゃ元気ありすぎじゃないのか?」

 

「俺も思いましたよ、戦争に巻き込まれた民間人がこんなに元気だなんて運もいいし、気力もありすぎる」

IMCの奴らが殺すと決めたなら徹底的に攻撃をしてくるはずだそれを生き残るってのはかなり難しいだろう

 

「確かにな、あと色々な報告が残っているだろう?それを頼む」

仲間を失った、それは仲間の責任ではないそれを率いている隊長の責任なのだ

 

「トーヤ、俺は報告をしなければならない少し外にいれるか?」

と筋トレ道具に興味津々のトーヤに言う

 

「まあ…いいけど」

そう言うとトーヤは渋々外へ出て行った。よほど筋トレが気に入ってしまったのか中尉のようになる前に何とかせねばと頭の中にメモをしておく

 

「報告をします、第一小隊は奇襲を受け壊滅、今より第一小隊は第二小隊の指揮下へと入ります」

 

「第二小隊 小隊長 クラーク中尉より第一小隊が第二小隊の指揮下へと入ることを許可する」

 

「この形式の言い方苦手なんですよね」

 

「わかる」

 

「さてとりあえず11:30にここを出発する、それまではゆっくりしててくれ」

 

「その前に一ついいですか?」

避難民を基地で保護するにも基地で保護する許可が降りないと保護できない、先ほどから無線が繋がらないから連絡を入れなければ

 

「なんだ?」

 

「無線が繋がらなくてまだCPに連絡が取れていないのでここのを使っても?」

携帯用無線がダメでも設置式なら何とか連絡できるのではと思い聞いてみる

 

「お?なんだお前の無線も繋がらないのか?電波妨害の反応も無くて故障かと思ってたんだが」

 

「ちょっと待ってくださいそれって…」

無線が繋がらない、それはまだいいしかし電波妨害もなく携帯式も設置式の無線までも使えないというのは考えられる上ではひとつしかない

それは最も最悪なケースでありできる限り迅速に行動せねばならないものだ。

 

    『CPが攻撃されている?』

 

青ざめた2人の声が重なる

それからの動きは早かった

 

「通信兵、付近の斥候部隊に連絡を入れてCPを見て来させろ!」

クラークが叫ぶ

 

「こちらから何人かと車両を借りて行きます、高台からなら連絡も取れるかもしれないし最悪CPが襲われているなら煙が見えます」

 

「ここからでは建物が邪魔で周りが見えんからな了解した、こちらから三人と装甲車一両を出す行ってきてくれ」

 

急ぎヘルメットを被り直し装甲車へと向かう

 

「おじさん急にどうしたんだよ」

 

「すまん今はそれどころじゃない後にしてくれ」

 

「どこか行くなら連れてってよ」

何言っているんだこいつはと真剣な顔で言う

 

「いいか、今から市街地に向かうそこでは敵がいるかもしれない、死ぬかもしれないんだ、わかるな?」

 

「敵って白い奴ら?」

 

「ああそうだ だから来るな」

時間がないと早足で車へと向かう

 

「絶対行く」

 

 

「何?」

(聞きわけが悪すぎるだろ!死なれたらこっちがまずくなるんだぞ!)

 

「あいつらがいるなら絶対に行く、あいつらを絶対に倒す」

 

「いいか、一度しか言わないからな、これは戦争だ遊びじゃない、復讐ごっこならよせでやれ、お前が殺されたいなら別だがな』

 

「死んでもいい、奴らを殺せるなら」

ああクソッこう言うやつはもう話を聞かない、最悪だ

民間人なんて保護しなければ良かった!

 

「ああもういい、来るなら来い足手まといなら置いていく」

 

「少尉殿もう行きますよ急いでください!」

駐車場にちゅういが寄越したであろう部下が乗った装甲車が見える

 

「了解だ」

そう言って装甲車に乗ると装甲車はすぐに動き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

装甲車の乗り心地が思ったよりも良いことに驚ていると運転席から声がかかる

 

「少尉殿自己紹介がまだでしたね、私はカール軍曹です、それで助手席にいるのがハインツ軍曹、後ろの車上機関銃をいじってるのがラルフ軍曹です」

 

「3人とも軍曹なのか?」

 

「はい、全員同期なんですよ」

軍曹が3人とは

 

「中尉もすごいのをくれたな」

 

「パイロット並みの技術を持つ少尉には負けますよ」

と後ろの機関銃から声がする

 

「まさかラルフ軍曹、君は」

 

「中尉殿と話してた時にいました」

(クソッやっぱりそうだったか)

 

「少尉殿その、そこにいる少年はいいのですか?」

 

「放っておけこいつは家族の復讐に燃えているらしい」

横を見ると基地を出るときに渡したP2016のセーフティの解除から発砲までの流れをつぶやいているトーヤがいた。

(これは…ただの馬鹿だな、ここまで復讐に取り憑かれていたら簡単に死んでしまうだろう)

そう思いながら俺は壊れた街を眺めていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11:35 天候 曇り 気温22° ビル下

 

 

5人は装甲車を降り隠密行動の後ビルの下にいた

 

「ここがこの街で1番高いんだな?」

 

「はいこのビルが1番高いですね」

とカール軍曹が言う

カール軍曹にビルの間取り図見せてもらっているとラルフが声をかけてきた

 

「少尉殿クラーク中尉からプレゼントだそうです」

そう言って渡されるのはクナイのような形をした刃物三本

 

「このナイフは何だラルフ?」

 

「わからん中尉殿から少尉殿に渡せと言われただけだからな」

見た目はただの刃物だがパイロットの知識を齧っていればあれば少なからず何かはわかる

 

「これはパルスブレードだな、索敵用のパイロット武器だ」

 

「パイロット用ですか?」

 

「ああ、ラルフ軍曹達は知らなくて当然だろう、しかし中尉もなぜこんなものを持っているんだ…」

パイロット用の武器やセットはとても高額で通常一介の歩兵が買えるような品じゃない

「ああ、それでしたら中尉殿とのカードを奪られたものでしょう」

 

「カードって言うと…賭けのやつか?」

 

「そうです」

そうですって、賭け系は何を賭けるかわからないからミリシア全体で禁止されているんだがな…

 

「つまりそれで奪ってきたと?」

 

「はい中尉殿は以前大隊長殿とその同期のパイロットの方と賭けておりましたから」

 

軍規違反だぞあの中尉

「まあ、そこは後で問いただすとしよう」

 

「まあできるだけ優しく問いただしてあげてください…」

 

 

 

「さてビルには敵がいるだろう、つまり戦闘をすると言うことだ、準備はできてるか?」

 

「あの〜少尉殿?申し訳ないのですが何故敵がいると思うのですか?」

 

「おいおいハインツ軍曹、君は無線を知らないのか?無線は内容は隠せても通信していることは隠せないんだぞ?」

 

「あ〜無線ですか、なるほど忘れてましたね」

こいつすごい緩いな.大丈夫なのか…まあこれでも軍曹なら大丈夫だろう…多分

 

「じゃあ乗り込むぞ準備はできてるか?」

ちらっとトーヤに目を向ける

何故かビルを見つめている

 

「怖気ついたか?帰ってもいいんだぞ?」

 

「怖気ついてなんてない」

 

「ならいい、足手まといにだけはなるなよ」

そう冷酷に言う、仲間の命がかかっているんだ

 

「行くぞ」

 



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分岐点/branch point

テスト期間って本当に最悪ですね!


分岐点/branch point

 

 

 

 

「行くぞ」

 

ビルの扉の左右に2人ずつに分かれ待機する

ビルは4階建てで2階に反応が集中していることから2階に設備があるのだろう

全員がサプレッサーを付け始める

CARにサプレッサーを付け、ナイフや手榴弾.パルスブレードの確認をする

 

仲間に準備はいいかアイコンタクトをしようとする

しかし目に写ったのは仲間ではなく

銃を持ち.目の前を走りすぎる少年だった。

 

 

 

___

 

 

side1 泡沫

 

「やっぱ電気がないと暑いな」

 

「ほんとだよな〜しかもこのビルを無線所にするって言われても15人じゃ足りんだろて」

 

「来る無線は奇襲の成功ばっかだぜ?勝てる戦いだったらこんなしょぼい仕事せずに参加したかったな」

 

椅子を回転させながら雑談をしている2人は無線室の対応係だ。しかし鉄拳制裁と言わんばかりに2人の頭に拳が飛ぶ

 

「しょぼい仕事ですまんかったな」

 

「隊長…いきなり殴るのはなくないですか?」

 

目の前には大柄な黒い肌の男が立っている

 

「うるせぇこっちは突然追撃するから人をだせって言われるし電気使えねぇから暑いしでイライラしてんだよ」

 

ミリシアの部隊へ奇襲が成功したことで奇襲から追撃に変わり人が足りなくなったことで支援部隊などから人を出して補っているのだ。

 

「暑いからな熱中症にならんように水は飲んでおけよ」

 

そう言うと隊長は3階の指揮官室へと上っていく

 

「そういや警備のために来たパイロットはどこにいるんだ?」

 

「4階でなんかしてたぜ、ったく1人部屋なんて羨ましいよな」

 

「流石高級取りのパイロット様だな、とりあえず一階で水でも飲んでくるわ」

 

「おう、早めに戻ってこいよ」

 

そう言って席を立ち一階の休憩スペースへと降りていく、一階には同じく休憩しているであろう同僚達がいる。足早に給水機へと向かうがすでに給水機には数人が屯していた。

自分のコップに冷水を入れようとボタンを押したのとそれが起きたのはほぼ同時だっただろう。

ガラスが割れるような音とともに扉が壊され少年が走り込んでくる、その唐突な出来事に彼らが反応できたのはその少年が拳銃を手に持っているのを目にしたからだろう。

怪しければ殺す、怪しいのが悪いのだ

 

「敵襲ー!」

 

誰かが叫ぶそれと同時に拳銃から放たれた鉛玉によって数人の命が刈り取られていく

 

「警報を鳴らせー」

 

そう叫び反撃しようとするも彼の意識は数多の銃弾の中から飛んできたナイフによって消え落ちていく

 

 

___

 

 

side2 天敵

 

「あの馬鹿やりやがった!」

 

扉を蹴破るトーヤ、その少し後に聞こえる敵の叫び、何をしれかしたのかは明らか

だ。

 

「いくぞ、あいつをカバーしろ!」

 

パルスブレードを取り、敵兵に投げつける、ヒュッという風を切る音とともに額に突き刺さり音波を出して敵をスキャンする

そして鉛玉を喰らった他の敵も次々と倒れていく

 

「一階クリア、損傷なし」

 

そうラルフが報告する

 

「1階に5人、2階に7人、3階に3人、4階に1人だな、トーヤはどこに行った」

 

「上に上がっていきました!」

 

(あの馬鹿は何してんだ!)

 

「俺たちも行くぞ」

 

階段を駆け上がり二階へと上っていく2階のフロアへと辿り着くが人がいない

いや、いないのではなく人"だった"ものがある

 

「あいつは何を」

 

しかしフロアの中央に立つそれによって、

言い切る前に言葉を失う。。

当たり前だろうライフルマンなら誰だってそうなる、目の前にパイロットが現れたのなら。

 

 

 

___

 

 

 

side3 勇敢とは

 

 

 

勢いよく地を蹴り加速し扉を蹴破る

勢いを保ち中へ走り込む、目の前には状況が理解できていない、5人の怨敵がいる。

サイトを合わせP2016の引き金を数度引く、飛び出した弾は1人の額へと打ち込まれるが他の弾は別の敵のヘルメットへと飛んで行く、相手が反撃しようとした次の瞬間、風を切る音とともに額にナイフを生やした敵が倒れる。

 

(このナイフはおじさんの…)

 

瞬間、数多の銃弾が残った敵へ平等に死を与える。

敵がいなくなったことを確認するとリロードをしながら2階へと上る、

無線室と書かれた札のある2階の中を素早く覗き込む、しかし2階にはすでに人はなくただ骸があるだけだった

 

(もうおじさん達が来たのか…早い)

 

敵を倒しに来たのに敵を取られてしまったら元も子もないと3階への階段を上っていくと指揮官室と書かれた札がある。

 

「指揮官室…」

 

部隊の頭、それを潰せば奴らにより被害を与えられる

部屋の扉を押し中へと入る、しかし扉を押す寸前に強い衝撃が来る、気付いた時にはすでに壁へと投げられていた。自分が投げられたと気づくのにはそうかからなかった。

 

「小僧何してるんだ?」

 

目の前には大柄な黒い肌の男が立っている、手には大型のリボルバーを持ちいつでも戦える用に臨戦態勢をとっている。

叩きつけられたせいで背中が燃えるような痛みに襲われている。息を整える。銃を握る。目の前の男を見る。戦わなければ、仇を討つためにも。

 

「まだ戦意があるのか、いいだろう勇敢と蛮勇の違いを教えてやる」

 

目の前の男の顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

___

 

 

 

side2 窮鼠猫を噛む

 

 

床を全力で蹴り距離を詰める、パイロットスーツを着てる相手に射撃戦は無茶だ。

ポケットからサバイバルナイフを出す。

 

「ハインツ、トーヤの援護に行け! ラルフ、カール、援護を頼む!」

 

『了解!』

 

3人の返事が来ると同時に下からナイフを振り上げる、だが鈍い金属音とともに相手のデータナイフによって防がれる

 

「ッ!」

 

次の瞬間相手パイロットのスーツ補正による尋常じゃない速さの回し蹴りが飛ぶ。

顔を背けぎりぎりで避ける

バンッと発砲音と共に顔の真上に仲間が放った銃弾が飛びパイロットへ向かっていく。

しかし前を向くがパイロットがいない。

 

「クローク!」

 

クロークはパイロットが使う光学迷彩、風景に溶け込み隠れるが攻撃をすると解除される、索敵にかかっても解除されるつまり万能ではない。

咄嗟にパルスブレードを投げる、ソナーにかかれば迷彩の効果はなくなるはず。

 

「左!」

 

ラルフが声を上げる

だが左を向くより腕に勢いよく巻きついたグラップリングフックによって壁へと投げつけられる

 

「グラップル!?」

(パイロットが使う装備は一種類のはずだろ!)

 

「少尉!」

 

「カール来るぞ!」

 

こちらは戦闘不能だと見たのかパイロットが2人へと向かう。

パイロットがカールの懐へと飛び込み腹に殴りを決め、カールの体が飛んでいく

 

「ッ!」

 

ラルフが遅れて反応するも遅い、カールがいた方を向いた時にはすでにパイロットはラルフの後ろにいた

 

「ガッ!?」

 

パイロットの手刀が鈍い音と共にラルフの首へと叩き込まれ、ラルフが床へと倒れ込んだ。

 

 

___

 

 

 

side3 確認不足

 

まずい!そう思った瞬間には体が自然に動いていた。先ほどまでいた場所に銃弾が当たっている。

 

「ッチ、すばしっこい奴だな。」

 

そう言うと男はまた銃を撃とうとする。

このままだとまずい。そう思い急いで指揮官室と書かれた部屋へと入り込む。

部屋の中は中央にかなり大きい机があり上には地図が広げられ最奥には少し高そうな椅子と机がある。迷わず最奥の机へと隠れるとそれと同時に扉が蹴破られる。

 

「ここは俺の部屋だぞ?人様の部屋に勝手に入ったらダメだろ?」

 

男が入ってくる、しかし先ほどまでとは違いナイフを持っている。

体を一瞬出し銃弾を放つ、しかしそれは男が少し体を傾けたことで壁へと向かうことになる。

 

「そこかぁ」

 

男が走り込んでくる。だめだ、間合いに入ってしまう。咄嗟に横へと飛ぶと先ほどまでいた場所にナイフが突き刺さっている。しかし男が体制を崩した今しかないと銃を撃つ。

 

「っ!?」

 

銃声と共に体が飛び壁へと突き当たる。

 

(背負い投げ!あの態勢から!?)

 

「やってくれたじゃねえか」

 

男は左腕を押さえて蹲りながら激昂している、そしてその腕からは赤色の汁が滴り落ち、ぶらんと力がぬけている。撃たれた腕を強引に使って投げたのだろう、ならば

間違いないあいつの左腕はもう使えない。ならば仕掛けるしかない。

しかしここで仕掛けるのは少しまずい、手負いとはいえ歴戦の猛者、それも死兵なのだから下手をしたらこの状態でも負けるかもしれない。

脱兎のように扉へと走り階段へと向かい扉の真横に体を潜める。あいつもすぐに来るはずだ。

壁に耳を当て音を聞く。

 

「あいつは絶対に殺してやる!」

 

そう言いながらゆっくりと確かに扉へと近づいてくる。

体に力を込める。

扉の上にかかっている指揮官室と書かれた看板を見る。

 

足音が大きくなる、もう数秒もしたら扉が開かれ手負いの獅子が現れるだろう。

 

扉の端が動いたのを合図に看板を掴み勢いをそのままに扉へと蹴りを入れる。

しかし当たったのは扉ではなく、扉を開けた男の顔面だった。蹴りを喰らい吹き飛ぶ男、ピクリとも動かなくなったそれを見届け階段を降りる。

 

しかしそれに気づけなかったのは肉体的疲労と精神的疲労が限界に達していたからだろう。ザッザッという音と共に男が最後の力を振り絞り銃を持ち部屋から這い出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

___

 

 

side 2.1 子守

 

 

 

2階へと仲間と共に向かう、だけどもう2階には人の姿はなく2階の敵は全て倒されていた。

 

(え?あの子もうこの人数倒したの?)

 

そう驚き思考を始めようとする、だけど目の前のパイロットによって頭の中は驚きから焦りへと変わっていった。

一瞬先頭にいた少尉の動きが止まる、だけど気づいたらもう走り出していた。

 

「ハインツ、トーヤの援護に行け! ラルフ、カール、援護を頼む!」

 

そう少尉が走りながら叫ぶ

 

『了解!』

 

3人の声が重なる、戦場で迷いは禁物だ、迷っていては死んでしまう、トーヤはあの突然突撃した迷惑な少年だろう、パイロット相手に歩兵3人はかなり厳しいだろうけど援護に行けと言われたからには急いで行かなければいけない。

階段を上がる、上から声が聞こえる、急がないと、焦りながら階段の駆け上がるすると何かがぶつかるような大きな音が聞こえてくる。

 

(やばい!)

 

階段を上りすぐにR-201を構える、4階の階段からふらふらしながら降りてくるトーヤと倒れている大柄な男が見える。

 

(対面で倒したの?すごいな)

 

そんな考えも倒れている男によって中断される。

弱々しくも顔を上げ銃を握りしめている、狙っているのはもちろんトーヤだ。

 

「伏せろ!」

 

そう叫ぶとトーヤはハッとした顔になり急いで伏せる

ガンッ

トーヤの頭があった位置へと銃弾が飛びそのまま壁へと向かっていく。

すぐさまR-201を構え引き金を引く。カッというサプレッサーによって抑えられた銃声と共に弾丸が飛び男の額を貫く。

 

「大丈夫?」

 

ふらふらしながらトーヤが近づいてくる。戦闘での肉体的疲労と精神的疲労が限界に達しているのだろう

 

「大丈夫…少し疲れただけ」

 

「ならいいけど…じゃあ少尉たちのとこへ行くよ」

 

「おじさんたちはどうしたの?」

 

「パイロットと戦ってる」

 

「パイロット?」

 

よくわからないと言った様子でこちらを見てくる

 

「とにかくやばいのと戦ってるってこと、行くよ」

 

パイロット対歩兵指し示すのは蹂躙だ、いくら手練れのあの人たちでも……まあかなりきついだろう…1人追加で行ったとしてもあまり変わらないだろうが微力にはなるはずだ

 

「うん」

 

そう言うと2人で階段を降りていく、しかし疲れ切ったトーヤに合わせて降りるため時間がかかる。

3人と別れてから8分後くらいだろうかやっとのことで2階まで降りるとなんとそこには

 

「あの〜どう言うことですかね、少尉殿」

 

目の前には気絶してるであろう同期2人を脇に抱えたパイロットと戦闘服をぼろぼろにした少尉がいる

 

「いや、すまん色々あってこのパイロットの仲間のとこに行かないといけないんだ」

 

「は?」

 

唐突の意味不明な発言に思わず真顔で声が出る

 

「どう言うことですか?」

 

「まあ、うん、そういう反応になるよな。説明しろよ?」

 

「はいはい了解ですよ」

 

そう言うとパイロットは先程の出来事を話し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side2 事実は小説より奇なり

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺してはいない、気絶しているだけだ」

 

「は?」

 

「さて話をするか」

 

目の前のパイロットから声がする

話をする?先ほどまで殺しあっていたのに?

 

「お前はホルスト少尉だな?ミリシアの。いやぁ先程の連携は見事だった!銃弾2発が直撃、パルスブレードも首スレスレに飛んできてびびったよ」

 

パイロットが壁にもたれている俺の前にあぐらをかいて座り込む、パイロットのヘルメットが放つ光が敵…いわばIMCの信号である赤い光からミリシアなどのレジスタンスを示す青色へと変わる。

 

「なぜ、信号が?…」

 

「時間がないもんでねもうそろそろあいつらの援軍が来る。簡潔に言うぞ?俺は虎大のパイロットだ」

 

「虎大?それならなんで攻撃してきたんだ?」

 

虎大は地球の日本の軍事企業だ、ミリシアとは協力関係にあって初のミリシア製タイタンであるバンガード級の製作にも技術協力などをしてくれている。なのになんでIMC側にいてしかも攻撃をしてきたんだ?

 

「殺すつもりはなかったんだがな、君が強いと噂だったんでついね。IMCの無線室にいた奴らとも戦ったがあれはダメだな、練度が低すぎる」

 

「ここの奴らはお前がやったのか。」

 

改めて死体を見てみると全て綺麗にヘッドショットが1発だけ入っている

 

「まあそうだな。さて話を進めよう、そうだな、まずパイロットとタイタンの戦闘効率評価を知ってるか?」

 

「いや、知らんな」

 

「じゃあまずそこからだな、現在パイロットとタイタンの戦闘効率評価は5:4だ。

パイロットの方がタイタンよりも強いとされている。熟練の輩なら1人でタイタンを仕留めてくるからな、まあパイロットはタイタンがいなくても十分強いし対歩兵もこなせるトップクラスの兵種な訳だ。」

 

そう言うとパイロットは謎の紙を取り出し俺に見せてくる。

 

「…?なんで俺の資料が?」

 

なんとそこには俺の身長や年齢、パイロット試験のデータなどが事細かに記録されていた。

 

「ホルスト・ノルトハイム 26歳 身長173cm 体重65kg パイロット試験をタイタン搭乗不可により失格、格闘及び射撃技術は満点。だろ?」

 

パイロットがからかうような、同情するようなうざい声で言ってくる.

 

「ああ、そうだよ。それとなんの関係がある?ってかなんで俺の資料があるんだよ?」

 

「まあそうなるわな。まあ一つずつ言っていこう。まず今虎大ではタイタン用兵器をパイロット用へ流用していろんなもんを作っている。例えばこれとかな」

 

そう言うとパイロットがポーチから小さな薄い金属製の板を取り出す。

すると板についていたボタンを押す。

ウィンという奇妙な音とともに青白い光を放つエネルギー波のようなものが板の周りにできる。

 

「ヴォーテックスシールド。アトラス級タイタンのイオンの兵装だなこの兵装は」

 

「光学系以外の物質を防ぎ同等のエネルギーのまま相手に跳ね返すエネルギーシールドだろ?そんぐらいは知ってるぞ。」

 

「まあパイロット試験受けたんならそんぐらいはできんとな」

 

アトラス級タイタン イオン アトラス級、いわゆる中量級のタイタン。

イオンはその中でもほぼ全ての兵装を光学系にしている少し異質なタイタン。光学系な分全ての兵装が高威力だが継続交戦能力は低い。

だったかな、昔の事であまり覚えていないな。

 

「で、それがどうしたんだ」

 

「こういうのをうちの奴らが作ってる訳だが、その作ったやつをテストするのがいなくてな、そこでお前に白羽の矢がたった訳だ」

 

「別に俺じゃなくてもいいだろ、パイロットなら他にもいるんだしな」

 

「パイロットはたくさんいるんだがな、お前みたいなのがいないんだよ。

大体のパイロットはタイタンと一緒に戦いたがってこういうの使わん、だから神経接続ができないやつを探したんだがお前みたいに技術があるやつがいなかったからな。そういう訳でお前にはテストパイロットとして」

 

「いや他を当たってくれ、俺はそんな物のテストをしたいとは思わんし流石に戦場では使わしてはくれんのだろう?」

 

戦場で新技術を使ったとして万が一死んでしまったらその技術は相手に奪われてしまう、虎大とIMCは共に商売敵な訳だから使わしてはくれんのだろう。

 

「まあ、そりゃあ戦場では使わせられんよ。」

 

しょうがない、しょうがないと小声で言ってくるあたり真面目に言ってないのだろう

 

「まあどちらにしろ無理な話だ、俺は戻らないと行けないからな、戻らしてもらうぞ」

 

そう言いながらよっこらせと無理矢理体を起こして倒れているラルフ達のところへ向う。

 

「まあ俺も嫌ならいいって言ってやりたいんだがな。残念ながらお前には拒否権がないんだなーこれが。」

 

後ろから呑気な声が聞こえてくる。

 

「は?…どういうことだ?」

 

「先に言っておくとお前はサラ・ブリックス司令官に推薦されて選ばれていて、テストパイロットの許可も出ているぞ、まあ上官命令だわな」

 

大変なこったと茶化しながらさらっとえげつないことを言ってくる。

 

(上官命令ってことは拒否権なんてねえじゃねえか!)

 

「俺はそんな事聞いてないんだが…」

 

「まあ逆に言われてたら今みたいに文句言いにいくだろ」

 

「まあそうだが…」

 

「なら決定だなとりあえずは"俺達"の基地まで来てもらうか」

 

「まさか…IMCの基地か?」

 

「IMCではないが場所は言えんな」

 

すると階段から降りてくる音がする

 

「仲間さんが戻ってきたみたいだな」

 

「説明はしてもらうぞ?」

 

「はいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「その説明で理解できると思ってます?」

 

「無理だろ」 「まあ無理だわな」

 

そう2人が返す。

 

「ならもっとわかりやすく言ってください」

 

「しゃあねえな、まず俺は虎大のパイロットだ。そんで虎大ではテストパイロットを探している、そこでミリシアに選出を頼んだらこいつが選ばれたわけだ。だからこいつを連れに来た」

 

そうパイロットが明らかにわからないであろうことを言い出す。

 

「ツッコミどころしかないんですが…」

 

「すまんな、なんとなくでいいから理解してくれ、俺も理解が追いついていない」

 

「っていうか少尉殿、基地の確認をしないといけないのでは?」

 

「あ…」

 

(色々ありすぎて完全に忘れていた…)

 

「あーそれについてだが俺知ってるぞー」

 

パイロットがまたもや呑気にさらっとすごいことを言ってくる。

 

「なんで知ってんだよ…ってか知ってるならもっと早く教えてくれればよかったのに」

 

「まあそう言うなって、大体予想してたと思うが基地は攻撃されてるぞ」

 

「やっぱりか…なら援護に行かないとな」

 

「それは大丈夫だ、さっきSRSのタイタンが来てたからな」

 

「特攻兵団が?」

 

SRS 特効兵団_ サラ・ブリックス司令官が指揮する熟練のパイロット集団、バンガード級を最も多く配備され、ミリシア内でも最精鋭の彼らなら大丈夫だろう。

 

「なら大丈夫そうですね…なら私達も戻りますか?」

 

「すまんがこいつは今から連れてくぞ?」

 

『 は? 』

 

2人の声が重なる。当たり前だ、急に現れた挙句時間も言わずに連れていくなんて非常識すぎる。

 

「おい、せめて戻って報告ぐらいいいだろ」

 

「報告って言うけどよ、俺の存在は秘密なんだぜ?そりゃあまあ報告なんてされられんな。まあそこの軍曹さん達だけで帰ってくれ」

 

「そう言われましても…少尉殿のことはなんと伝えれば良いのですか?」

 

「パイロットとの戦闘で戦死でいいだろ、その方が色々都合がいい」

 

「戦死って…」

 

いくらなんでも戦死はないだろう。特に理由はないが気持ちがいいわけがない。

 

「でもそれくらいしかいい案はありませんよね…」

 

「ハインツ、お前もなのか?!」

 

「まあどちらにせよお前に拒否権はないからな、決定だ。次はその小僧をどうするかだが…」

 

「ハインツ、トーヤをどこで見つけたんだ?」

 

「はい、4階にて敵の指揮官と思われる人物と戦闘をしていたところを発見しました。この年齢で指揮官レベルを倒していましたよ、びっくりです。」

 

「おい待て、その指揮官ってのは…黒人で大柄だったか?」

 

「うん」

 

今まで無言だったトーヤが疲れ切った顔をしながら言う。

 

「驚いたな、そいつは総合格闘技でかなりの強者だったんだがな…その歳であいつをやれるならパイロットの素質は十分にあるぞ。ホルスト、こいつをパイロットにしないか?」

 

そうワクワクした様子で言ってくる。だが冗談じゃないトーヤは軍人などではなくただの難民だ、本来ならここにいるのもおかしい。

 

「正気か?こいつはただの難民だ、ここにいるのだっておかしいんだぞ?」

 

「そうですよ、いくらなんでも無理矢理パイロットにするのは…」

 

「無理矢理じゃなきゃいいんだな?」

 

パイロットが言ってしまったなと言わんばかりの声で言いトーヤへ目を向ける。

 

「そういうことじゃ

 

「なりたい。パイロットになりたい。」

 

トーヤが声を遮り即答する。

 

「なっ、正気か?」

 

「だってパイロットになればIMCの奴らに復讐できるんでしょ」

 

「だとよ。じゃあこいつも連れて行くわ。」

 

「待て!ほんとに連れて行くのか?そいつはまだ子供だぞ?」

 

するとパイロットが戦場にいるような冷酷な酷く冷たい声を発した。

 

「勘違いをしているようだが復讐のために軍人になるものは山ほどいる。こいつもそれの1人だ。今軍人にならなくても大人になればこいつも今みたいに復讐心に駆られて軍へと足を運ぶだろう。今ならなくても所詮死を先延ばしにしているだけだ。いつかIMCに殺されるだろう。いいか、難民や仲間に情を入れすぎるな。その情がお前の鎖になるぞ」

 

そう言うとパイロットは階段を降り始める、トーヤもそれについて行く。

 

「あとは頼んだぞハインツ、そこの2人と報告をしといてくれ」

 

パイロットが去り際に言う。

 

「少尉殿、少尉殿?大丈夫ですか、顔色が悪いですが…」

 

嗚呼、そうだったな、戦場、人を資源として扱う世界、ここじゃあ正常が異常なんだ。

 

「大丈夫だ、少し考え事をしていただけだ。じゃああとはよろしく頼む。」

 

いつから情に囚われていたのか、そんな考えがいまだに自分は人間なのだと思わせてくれる。

 

「了解です、少尉殿」

 

ハインツが敬礼をし2人の気絶した軍曹を担ぎ車へと向かって行く。

 

「おい、行くぞ」

 

パイロットの急かす声が聞こえ急いで表へと向かうと車輪のない浮遊型の車であるトライデントに乗った2人がいた。

 

「軍曹はもう2人を乗せて行ったぞ、そろそろIMCの増援が来るだろう、行くぞ」

 

トライデントの後部座席に乗る。

独特な加速音と共に一台のトライデントが街を走り去っていった。

 




なんとかテスト8割取れましたィェ((・ω・*≡*・ω・))ィェ


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もうひとつの話/Another story

トーン級タイタン

イオンと同様に中量級のタイタンであり中距離からの射撃戦を得意とし前線を張ったり、支援に出たりと万能なタイタン。

30mmトラッカーキャノン
装弾数12発の単発式の主力兵器。1発1発はそれほどの火力ではないが1発当てるごとに対象へ"マーク"を一つつけることができる。又、タイタンキットを変更することで三連バーストに変えることができる。

ソナーロック
使用するとタイタンが小型の端末を発射し発射先で1度ソナーをする。パイロットや歩兵、タイタンなど全てに効果があり、ソナーを喰らった相手に"マーク"を一つ付ける。タイタンキットの変更でソナーを2回放つことが可能。

追尾ミサイル
"ロック"を3回することで使用可能になる多数の小型ミサイルを発射する。1発の威力は低いが数はあるため高火力。尚、ミサイルは最短距離で相手へと向かうため発射場所を間違えると壁へと向かっていく。

パーティクルシールド
一方向のみ物質を通す水色のかかった透明なシールド。中量級タイタンが2機入る程の横幅とタイタンが十分隠れるほどの高さ、耐久、展開時間ともに高く設置するだけで遮蔽物になる。

ザルヴォコア
トーン級タイタンのタイタンコアであり、視線誘導型の小型ミサイルを通常の追尾ミサイルとは比べ物にならない量発射する。

今回は少し違うお話です。最近冷えてきましたので体を壊さないように気をつけたいですね。皆さん風邪などをひかないように気をつけてくださいね。

玄米茶っていいですよね


星空が広がる夜、そんな中一際目立つ大きく輝く建物がある。それがミリシアの拠点だ、そんなミリシア拠点内の指揮官室、そこに1人のパイロットがいた、緑色のマフラーのようなトゲトゲしたものをつけ大柄な戦闘服を着ていて腰には何故か鉄の板が括り付けられている。そういわゆるクロークパイロットだ。

 

「今回の任務はIMCの軍事研究基地の監視と偵察よ、最近ここにアークと言う物質が運び込まれたとの情報が入ったの」

 

そう目の前で言いながら資料を渡してくるのはSRSの指揮官、サラ・ブリックス司令官だ。

 

「なるほどなるほど、つまり自分はこの基地に侵入して基地をぶっ壊せばいいんですね」

 

「そんなこと一言も言ってないんだけど…」

 

サラ司令官が困惑した様子で言ってくる。あれ、そう言うことじゃないのか?

 

「あなたの仕事は約一ヶ月間そこで何か異常はないかの監視と後に基地へと入るパイロットのために危険箇所を把握してもらうことよ、わかった?」

 

「なるほど了解です。そのパイロットっていうのは?」

 

「アンサーソン少佐よ、彼もあなたが下準備をしてくれるならきっと心強いでしょう」

 

「へへっありがとうございます」

 

少佐がそんなことを言っていたなんて、素直じゃねえなぁ(言ってない)

 

「出発は3日後よ、準備をしておいて」

 

「了解でっす。」

 

そう言いながら部屋を出ると壁に寄りかかっているパイロットスーツを着た少佐がいた。

 

「任務、聞いたか?」

 

「偵察と監視ですよね」

 

「しっかりやってくれよ?やってくれねえと俺が困るんだからな?」

 

するとほらよと6つの小袋と小型の筒を投げてくる。

 

「これは!まさか…」

 

「お前が頼んできた日本米と小型炊飯器だ、炊飯器は太陽光充電式で米はブランド米だ。」

 

「ありがとうございます!これで任務先でも米が食べれる!」

 

監視や偵察の任務は食糧を自給自足することが多い、原生生物の肉とか現地の野菜も美味い、しかし肉や野菜に合う主食がない!主食のない食事なんて食事ではない!むしろおやつだ!

 

「お前よく太らないよな…」

 

呆れた様子で言ってくる。そんなこと言われてもガントレットの練習をしていたら自然に腹が減ってくるからなぁ。

 

「よし、じゃあ訓練場に行くか。」

 

「え?なんでですか?」

 

「模擬戦するぞ」 「嫌です」 「勝ったら米を3袋やる」 「行きますよ」

 

この会話、わずか3秒。

 

「俺は先に行ってるからな。早く来いよ。」

 

そう言って少佐は先に行ってしまう。

米がかかってるなら負けられねえと意気込みながら米と炊飯器を置くために部屋へと向かう。

長い廊下を歩き居住スペースへと向かう。

301号室と書かれた扉に鍵を差し込み入る。室内には乱雑に散らばっている資料の山とパソコンが置かれた机、ヨレヨレなベット、などだらしない室内だがどれも木製で暖かい雰囲気のある部屋だ、よいしょとベットに腰を下ろし米と炊飯器を置き少しぼーっとしているとドアの開く音がする。

 

「あー疲れたー」

 

そう言いながら1人の眼鏡をした白衣の男が入ってくる。クロークをつけ男が椅子に座るのを待つ。

 

「そこで何してるんだ」

 

しかし男がまたかと言わんばかりの目でクロークをしてるはずの自分を見てくる。

 

「なんでわかるんだよこっちはクロークつけてるのに。」

 

「かれこれ30回目だぞ、不法侵入、流石にわかるよ。あと鍵かけといたんだが何故入れる…」

 

「30回も入ってれば合鍵くらい作るだろ。そいえばエリック、頼んだやつはできてるか」

 

そういうとエリックと呼ばれた男が手招きをしてくる。

 

「見ろこれを」

 

とパソコンの画面を見せてくる。そこにはトーン級タイタンのデータと我が愛武器サイドワインダーSMRが写っている。

 

「頼まれてたトーンAI、パーティクルシールドの改造、SMRの改良、両方とも終わってる。ほれ」

 

エリックがポケットから何かのボタンを取り出し押す、するとガッーという音とともに後ろの壁が降りてもう一つの部屋が出てくる。

 

「それにしてもSMRに3倍スコープをつけるやつなんて初めて見たぞ。」

 

「遠距離から撃つのが楽しいんだよ。」

 

サイドワインダーSMR 小型のマイクロミサイルを発射する高火力ランチャー、歩兵相手なら1発直撃で即死、パイロットでも2発当たればやれる。尚弾速は遅い。しかし!弾速など!相手を先読みすれば!関係ない!火力は正義なのだよ。

 

「相変わらず意味がわからんな。トーン級はヴァンガード級のAIを移植しておいた。それとお前が言ってたパーティクルシールドを増幅壁に変えるってやつもやっといた。」

 

そう言いながらエリックはタイタンを固定していた器具を取り外し始める。

 

「よお相棒、気分はどうだ?」

 

そう我が相棒に問いかけるとタイタンのモノアイが青く光り始める。

 

「お久しぶりですパイロット。私はいつでも戦闘可能です。」

 

「元気そうで何よりだ。」

 

「ですがパイロット、あなたの体脂肪率が7%から9%に増えています、また太りましたね。」

 

「お前よくあんだけ食べてそれしか太らんな」

 

そう言いながらエリックがわざとらしい驚いた演技をしてくる。

 

「うるせーよ、また次の任務があるから痩せるわ。それSMRの方は?」

 

「ほれ受け取れ」

 

エリックがSMRを投げてくる。SMRには3倍スコープと拡張された弾倉がついている。ったく人のものなんだからもっと丁寧に扱えよ!

 

「注文通りだ、拡張弾倉と3倍スコープ。あと多少ながら軽量化しておいた。」

 

「おっそれはありがてえ、あと今からアンダーソン少佐と模擬戦してくるから、トーンの輸送頼んだわ。」

 

「徹夜明けなんだが。」

 

「じゃっ」

 

そう言いながら急いでドアを閉める。少佐を待たせたら悪いよね、うん。一応あの人上官だし。

少し歩くとうす暗く、青白い光が照らしている訓練場へと出る。しかしその横の食堂にきつねうどんを啜る少佐がいた。

 

「遅かったな、もう飯食ってるぞ。」

 

これ見よがしにうどんを啜ってきやがる、たくっうまそうだぜ。うどんを食べてる少佐を横目に軍内の厨房へと足を運ぶ。昼時だから食堂内はかなり混雑している。

 

(最近寒くなってきたからな、温かいものが食べたいな)

 

そう思いながらメニュー表を見ていると

 

「これはっ!ホワイトシチューだと!?」

 

食堂のメニュー表には見たことのないメニューが書いてあるそう "クリームシチュー"

そんな、こんなものがあったなんて初めて知ったぞ!

あの野菜と肉の旨みとクリーミーなソースが合わさった最高の食べ物。それに米ともパンとも合う万能感!

しかしいつからこんなものが入ったのだろう、毎日朝昼晩、計6回メニューを見にきているのだがな…

 

「そりゃあ、最近きた虎大の人たちが材料を譲ってくれたから始めたんだよ、大好評だよ、ぜひ食べとくれ。」

 

そう食堂のおばちゃんが言ってくる。

虎大ナイス!さすが巨大企業、太っ腹だな!

 

「じゃあそれを頼む、あときつねうどんの大盛りも。」

 

「はいよ、よく食べるねえ。」

 

「育ち盛りなんすよ。」

 

「お前はただ大食いなだけだろ…」

 

そう言って現れるのはおぼんに皿を乗せた少佐だ。

 

「もう食べたんですか、今から食べようと思ってたのに…」

 

「任務の話もある、食べながらでいいぞ。」

 

「了解です!」

 

「おい、にいちゃん、両方ともよそい終わったぞ。」

 

食堂のおじちゃんが声をあげてくる。急いで取りに行くとそこには金色に輝く油揚げを乗せ湯気をあげるうどんと、暖かなクリームと野菜と肉の混じった美味しそうな匂いのするシチューがあった。

 

「うまそうだな」

 

「でしょ?少佐はこのシチュー食べたことあります?」

 

「いや、ないな、あることも知らなかった。」

 

「今頼んだらどうですか」

「食べたばっかだぞ?」

「たった一杯でしょ。」

「人はあれを昼食と呼ぶんだぞ、知ってるか?」

 

そんなたわいもない話をしながら席へ着き、ヘルメットを外すとと少佐が話を始めた。

 

「今回のお前の任務先だがかなり警備が厳重だ。」

 

「ほんふらいへふか(どんくらいですか)」

 

「食べながら喋るなよ、少なからず最新型の機械歩兵やタレットはあるだろう、それとリーパーと最新型のリージョン級も確認されてる。」

 

シチューうめえ、いやそうじゃなかったなリージョン級か、見つかったらひとたまりもないな…

 

「さらに、だ、奴ら傭兵部隊も雇っているらしい、かなり腕が立つそうだから戦おうなんて思うなよ」

 

「わかってますよ、で司令官も言ってましたけどアークってなんなんですか」

 

シチューもうなくなっちまったよ、いやまだこのうどんがあるからな。

ズルーッ、うっま。

 

「うまそうに食べるな、ほんと。アークはどうやらあの惑星の古代文明が作ったと思われるエネルギー物質だ、IMCはそれを使ってコールドウェポンなるものを作っているらしい。残念ながらその性能はわからんがな。」

 

うどんも食い終わったよ、まだなんか食べたいな。

 

「なるほどー奴らのことですから惑星ごと破壊とかしそうですよね。

 

「それはないだろ、むしろそんなことがあったら死活問題だぞ?それと嬉しい知らせだ、基地付近にはプラウラーなどの生物はもちろん、食用植物も多く自生しているらしい。」

 

「マジですか?野菜炒めとか良さそうですよね。」

 

「任務に支障を出すなよ?」

 

「わかってますって」

 

そう言いながら空になった器を持って厨房に返し訓練場へ向かう。

 

 

______

 

 

訓練場には多くのポットがあり、そこに入ることで仮想現実で戦うことができる。

仮想現実と言っても音や風景、感覚までもが現実と区別がつかないほどであり痛みなどもそのまま感じる。そして仮想現実に行くときには脳に何かが纏わりつくような猛烈な不快感に襲われる。

そして今自分はそのポットにいる。

 

「本当にこの不快感嫌なんですけど。」

 

「それぐらい我慢しろよ…」

 

そう無線越しに少佐が言ってくる。模擬戦のステージはエンジェルシティ。いわば市街地戦だ。仮想現実に入った瞬間から戦闘開始、その5分後にタイタンが降ってくる。

 

「じゃあ始めるか」

 

そう少佐が言うとポットの蓋が閉じ始め目の前に無数の光が浮かび始める。

 

『模擬戦闘プログラム起動開始 エンジェルシティ あと10秒で戦闘が開始されます。』

 

アナウンスが脳内に響く。この感覚嫌いなんだよ

 

『起動開始』

 

アナウンスとともに目の前の風景が変わる。先ほどまでいたポットとは変わりビルの上にいた。

 

「じゃあ始めるぞ」

 

少佐が無線で言ってくる。そんな悠長にしてていいのか?さっさと見つけて倒しちまうぜ。

などと考えていた時だった。

 

ドンッ

大きな重音とともに顔の横スレスレに弾が飛ぶ。間違いないこの音、この威力、クレーバーだ。対物ライフルのクレーバーを持ち出してくるとはクレイジーだな!

 

「やばっ」

 

100mほど先のビルに光が写る。スコープに光が反射しているのだろう。

もう1発くる!急いでビルから降りクロークを発動する。

 

「さて、どうするか」

 

ビルの中を走りながらどうするか思考する。少佐はグラップルを使っている、すぐに場所を変えてくるだろう。ならどうすればいいのか…そうだ

 

「SMRでスナイパーするか」

 

そう!このSMRには3倍スコープが付いている!これは実質スナイパーなのだよ。

そうと決まれば高台に行かなければ、できるだけ少佐のいたビルに近い、間が20mほどのビルへウォールジャンプで壁を滑りながら上へと昇っていく。ビルの最上階付近、ジャンプキットを使って屋上へと登る。

 

ガンッ

またもや鼓膜に響くような重音。それと同時にクロークが切れる。

 

(嘘だろ、こっちはクロークつけてるんだぞ?!)

 

「パイロット、ジャンプキットの噴射炎が丸見えだぞ?」

 

「あ…」

 

ジャンプキットを使うと噴射した時に炎が出る、もちろんそれに光学迷彩であるクロークは適応されない…つまりやらかしたってことだ。少佐が最も高いビルの屋上から撃ってくる。

 

「ぬっ!」

 

頭に飛びかかる銃弾をギリギリで躱しながらSMRを打ち込む、上を取られるのは非常にまずい。

少佐がコッキングをするタイミングでポケットからフラググレネードを出し、起爆寸前で投げつける。

 

「ほう、やるなぁ」

 

カンッ

何故か金属音とともにグレネードが少佐に届く前に爆発する。

まさかあの音は…

爆煙が晴れるとそこにはP 2016を構える少佐がいた。

 

(グレネードを撃ち抜きやがった…)

 

「いい技だったパイロット、だがまだ足りないな。」

 

すると素早い風を切る音とともに服部に何かが突き刺さり体が持っていかれる。

腹部に目をやるとそこにはパイロットスーツに突き刺さるグラップルフックがあった。

 

(まっずい!)

 

グラップルで寄せられて殴られでもしたら簡単にやられてしまう、人外じみた動きをするパイロットの殴りだ、首の骨を折るなんて容易だ。

 

「くっ!」

 

引っ張られながらも片手でSMRを持ち、グラップルにマイクロミサイルを撃ち込む。

パシュッという軽快な発射音とともにミサイルが飛びグラップルを粉々にする。

 

「そうくるかパイロット!」

 

少佐が明るく驚いた声を上げる。

 

(なんで余裕がそんなにあるんだよ!)

 

落下しながらクロークを再使用し再びビルへと逃げ込む。しかし位置はバレているようで的確に窓や扉から狙撃してくる。

 

(グラップルはもう使えないはず…機動力は削いだ、こちらから仕掛けるか…)

 

思い立ったが吉日と言わんばかりにビルを飛び出し隣のビルへと入り込む。階段を登り最上階へと向かうと…そこには少佐がいた。

 

「は?なんでここに!」

 

「位置のバレているスナイパーよりは近接戦の方がいいだろ?」

 

ヒュッ

風が吹くように少佐のナイフの突きが顔を掠める。

咄嗟に体と顔を傾けギリギリで避ける

 

「ーッ!」

 

(速っ)

 

傾けた方の腕をそのまま上にあげ左フックを決めようとするも人外じみた動きでバク転をし避けられる。

 

(クレーバー背負っているはずなんだがなぁ)

 

「体術がなっていないな、パイロット」

 

「あんたがおかしいだけでしょ…」

 

そう言っている間にも尋常じゃない速さで飛び蹴りがくる。

ギリギリでそれを避け、胸元からデータナイフを取り出す。

 

(次はこっちの番だ)

 

クロークで姿を消し、体勢を立て直す相手の右斜め後ろへ素早く移動し死角からナイフを上へと切り裂く。

 

しかしナイフを振るうよりも前に、突如きた回し蹴りとともに体が吹き飛ぶ。

 

「グッ…」

 

(あれにも反応できるのかよっ)

 

吹き飛ばされながらもジャンプキットで体勢を立て直しナイフを投げつける。

だが投げた先には誰もいない。

 

その時だった。

真後ろからドンッという頭を揺さぶられるような轟音とともに自分の腹部に丸い風穴が空いていた。

 

「はっ?」

 

「ゲームオーバーだパイロット、米はお預けだな。」

 

体が消えていき現実に戻る少し前、煙をあげるクレーバーを担いだ少佐が目に写った。

 

『模擬戦闘プログラムを終了します。』

 

その機械音とともに現実へと意識が戻された。




テストは辛いのう(´・ω・`)


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IMC第一対タイタン混合歩兵大隊遭遇 未確認機について

「銃弾飛び交う森の中、気づけば仲間が倒れている。

ここまで聞けばただの戦闘だろ?とでも言えるでしょう。

こちらが放つ無数の光、それに対するは3つの光。

しかしその3つの光は精確にこちらを狙い撃つ。

まあ何が言いたいのかというと相手が3人だけなんですよ。

奇しくも我々は対タイタンの最精鋭部隊。まあ普通なら同数の相手でも、なんなら倍の相手でも圧倒できるでしょう。

しかしその3人の敵は的確にこちらの頭を狙ってきたんです。あんなもの本国の部隊以外では見たことないですよ。」

 

「それほどまでに練度の高い相手だったのですか?…その…私が知る限り3対110ではとても相手にならないと思うのですが…」

 

「そうですね、まず私が思うに原因は二つです。

一つ目は奇襲ですね。」

 

「奇襲と言いますと背後に回られていた、などですか?」

 

「そんなものではないですよ。なんせ奴らは森で休息をとっていた我々の真上から降ってきたんですから。」

 

「真上…ですか?」

 

「そうです、真上から。自分の上から車が降ってくるんですよ?そりゃあ混乱するでしょう。」

 

「なるほど…では最後に"未確認新型タイタン"についてお願いします。」

 

「あれ…ですか…そうですね。申し訳ないのですがその時は意識が朦朧としていてあまり覚えていません。ですが確かに覚えているのはあれが最も容易く戦車を破壊し、蹂躙していったことだけです。」

 

「わかりました。では、これで質疑を終わらせてもらいます。ありがとうございました__」

 

 

映像記録終了。

 

 

ミリシア追撃部隊遭遇未確認機について J・エステン博士

 

本資料は先日、ミリシア追撃部隊 第一対タイタン混合歩兵大隊が接敵した未確認機についての調査書であり機密指定に属しています。

 

接敵した歩兵部隊の損害

 

撤退時 現在

死傷者約92名 生存者6名

 

重傷者約14名

 

軽傷者約4名

 

戦車10両 大破

 

リーパー5体 大破

 

遭遇戦闘について

 

██年█月█日14:23

 

ミリシア掃討、追撃戦に参加していた第一対タイタン混合歩兵大隊はミリシア部隊追撃のため、αポイント付近の森林を通過していた所、2〜5人と思われる少数の敵部隊と接敵し壊滅的な被害を負う、練度の程絡みて敵部隊はパイロットだと推定される。

 

また、戦闘中に敵部隊のタイタンフォールが確認され、確認されたタイタンが未確認で識別信号を持っていなかった事が報告されている。

 

第一対タイタン混合歩兵大隊は、最精鋭の人員と最新型の戦車、リーパーを十分なほど配備しておりIMCでも指折りの部隊であるため今回の事案から、相手部隊が最近この地域で確認されている『特攻兵団』ではないかと推測される。

 

 

 

 

 

新型機について

 

・現在判明している限りでは、中量級でありシャーシはモナーク級に酷似しており、中量級ながら重量級の装甲をしている。

 

・既存のデータに記録されていない立ち回りや戦術が多い事が確認されている。

 

・映像データや音声データに著しい破損が見られるため"アーク"を利用している可能性有り。

 

・新型機は『識別信号』がなくミリシア部隊ではない第三勢力の可能性がある。

 

備考

 

現在判明している情報だけではとても性能解明ができず、推測や予想などの不確かなものしか考えられないため至急予算、人員の増加を求む。

 

 

 

 

 

 

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羊羹は栗羊羹派です。


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特攻/Special attack

ホルストは20代の筋肉質な黒髪で短髪な欧米人、トーヤは少し日焼けした中高生くらいのアジア人を想像して頂ければと。


 

 

 

 

「実力テストをしよう」

そう言われた俺はやはりおかしいやつだったか、と無視を決め込む。

唐突におかしなことを言う奴は虚言癖か異常者か、まあ頭のネジがダース単位で抜けているんだろう。

 

「おい、無視はないだろ…」

 

「おじさん何が言いたいの?…」

 

と、トーヤが不機嫌そうに言う。

 

「いいかトーヤ、頭のおかしいやつと意思疎通ができるなんて言うのは妄想なんだよ。」

 

かわいそうに、トーヤは頭のおかしいやつへの対処法を知らないようだ。

 

「おっと、パイロットさんに喧嘩を売っているのかな?」

 

「ふざけてないで話があるなら早く言え。」

 

「え、あたり強…まあいいや、突然なんだけど君たちが戦ったIMCの奴らは一介の警備兵なのよ、だからそれだと弱すぎて実力がどれくらいか正確にわからないので…………」

 

「間が長い」

 

この間5拍程

 

「なんと!この先にいるIMCの対タイタン精鋭部隊と!戦ってーっもらいます!」

 

謎の司会者のようなノリで告げられるのは場を和ませるための気遣いか、はたまたただの狂人だからか。もちろん俺は後者だと思う。

 

「残念だな、俺も戦いたいが生憎3人しかいないもんでね、また今度にしよう。」

 

「おっと、拒否権なんてものはないぞ、なんせこの車ごと敵陣に突っ込むからなあ!」

 

やはり狂人だった。こんなことになるなら医学をもっと学んでおけばよかった…こいつが医学を用いても治るかは知らんが。

 

「部隊ってどれくらいいるの?」

 

そうトーヤが死んだ目をして問いかける。だめだ、トーヤ、まだ諦めるな!

 

「喜べよ?なんと最新戦車、リーパー、精鋭歩兵が100人程もいる。戦い放題だ。」

 

「3人で勝てると?」

 

歩兵100人ですら3人で戦う相手ではないのに追加で戦車とリーパー?普通に戦うならこちらも同等の規模の部隊か、タイタン数体が必要だろう。

 

「安心しろ、虎大特製の最新兵器と俺のとっておきを見せてやるから。」

 

「とっておきってなんだ?」

 

「戦ってからのお楽しみだ。さあこの先の崖の下に奴らがいるぞ!さあ行こう!」

 

こんな状況で平常心でいられるんだから、俺も堕ちたなあ、などと思っていると少し先の木々の間に崖の下に広がる敵陣が見えた。

 

「先にこれを渡しとくぞ。」

 

そう言ってパイロットは俺とトーヤに二つずつ金属製のカードを投げてきた。

 

「言い忘れてたが、それは『ブースト』ってやつだ。そのカードの横に付いているボタンを押せば起動できる。」

 

そう言われ、ブーストカードの側面を見れば赤色のボタンが付いている。

 

「効果は?」

 

「一つはヴォーテックスシールド、光学系兵器以外のもの全てを反射させれる。

二つ目は焼夷トラップ、ボタンを押した4秒後にカードの周囲に非常に可燃性の高いガスを放出する。」

 

「ガスは有毒ってことか?」

 

「いや、毒性はあまりないが可燃性が高すぎて銃弾が掠るだけで爆発して燃え上がる優れもんだ。」

 

「なるほどな。」

 

焼夷トラップは戦車などに投げつければいいのだろう、タイタンの使う炎は金属など容易く溶かしてしまうほど強力だからな。

 

「焼夷トラップってどれくらい広がるの?」

とトーヤが肝心なことに気づいてくれる。

 

「よく気づいてくれた、こいつはそのカードを中心に半径10mほどの円状にガスを放つ、だから使うときは15mは離れていた方がいい。出ないとこんがり焼けることになるぞ。」

 

半径10m…かなり広い。使い方には気をつけんとな。

 

「連中は追撃でかなり疲れているだろうからな、まあ気を抜くとまではいかんが少しは楽だろうよ。」

 

「なら連中に温かいものを差し入れしてやろう。」

 

「それはいいな、盛大に声を上げて喜んでくれるだろうよ。」

 

敵陣の歩兵や戦車がより明確に見え始める。もうすぐだ。

 

「さあ、行こう!」

 

崖から飛ぶ浮遊感を感じながらも俺の頭は敵の数に怖気付く本能と、それを抑えようとする理性が混ざり合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やあ元気かい?そうだ、パイロットさんだ。今何してるって?ちょっと友達と遊んでるんだよ。

 

「なかなかやるじゃないか!」

 

隣でシールドに身を隠しながら銃撃を繰り返しているのはホルストとトーヤだ。

トーヤはまだ構えや動きが荒いがホルストに関しては流石の精度といったところか。

 

「本当に100人なのか?次々と湧いて来やがる!」

 

ホルストは平常運転のようだ。

 

「おい!戦車がきたぞ!」

 

銃声と悲鳴が響き渡る森の中、土煙をあげ鉄の獣が姿を表す。その数約10両。

 

「おじさん!焼夷トラップ!」

 

トーヤが声を上げるとホルストとトーヤがカードを起動させ敵戦車へと投げつけた。

プシュゥという炭酸が抜けるような音とともに緑色のガスが放出される。

 

「トーヤ、下がれ!」

 

そうホルストが声を上げる。ホルストはトーヤが下がったのを確認すると、ガスに向かって発砲した。

瞬間。空気が震えた。高可燃性のガスは銃弾が掠っただけで引火し、爆発する。

 

「綺麗な花火だな。」

 

「流石にきついぞ…」

 

「煙い…」

 

周囲は炎と黒煙に包まれている。しかし、煙に見えるは黒く染まった砲塔。

 

「嘘だろぉ…」

 

なんであれで壊れないんだよ…おかしいだろ!タイタンにすら致命傷を与えるほどの攻撃だぞ!

 

「耐熱装甲か…」

 

あーはいはい、耐熱装甲ね、うん。

 

「耐熱って言ってもあれを防げるもんなの?…」

 

と、トーヤが言う。当たり前だがただの耐熱ならあんなもの耐えられないだろう。

 

「あれはタイタン用の耐熱装甲だよ…」

 

焼夷トラップはタイタンが使う兵装だ。つまりそれを使う『タイタン』がいる。

自分の攻撃で致命傷を負うなんて論外だからな、勿論それ用の耐熱装甲がある訳で…

まあ虎大と同じ事をしたわけだ。

 

「幸い、無傷ではないらしいな。」

 

先ほどから攻撃してこないってことはどこか壊れたのか?まあ直るのは時間の問題だろうが。

 

「どうするんだ、戦車用の武器はないぞ。」

 

「大丈夫、大丈夫、とっておきのいいもん見せてやるよ。」

 

戦車のエンジンの音が鳴り響き、戦車が動き始める。

だが遅い…

 

『タイタンフォール、スタンバイ』

 

そう口にした瞬間、空中から黒煙を切り裂き、白い巨人が飛来した。

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

「こんにちは、パイロット。」

 

そう女性型のAIが声をかける。

目の前にいるタイタンは今まで見たことのないような白い機体に一本のブレードを持つヴァンガード級に酷似したシャーシだった。

 

「これは…ヴァンガード級?…」

 

「いいや、こいつはオーガ、アトラス級などの第一世代、イオン、ヴァンガード級などの第二世代に続く、第三世代のタイタンだ。」

 

「第三世代?…」

 

「とは言っても完成はしてない試作機だがな。通称アノニマス級タイタンだ。機体番号はFU-0201だ。うちの国の別名、扶桑からきている。」

 

第一世代型の凡庸装甲、いわば第一世代型中量級型の装甲は第二世代の軽量級の装甲より若干弱い程度の装甲にあたるものだ。つまり第一世代のタイタンは第二世代の現代型タイタンの攻撃を喰らえば一撃でも致命傷になる。万が一にでも第三世代型が完成したら…言わずもがなタイタン戦闘は大きく変わるだろう。

 

「パイロット、前方敵戦車から熱反応を検知。」

 

「FU、アークを展開しろ。」

 

「了解しました。アークによる防御を実行します。」

 

そうタイタンが入った途端、タイタンが青白い雷光を纏い出す。

 

「敵戦車の攻撃が来ます。」

 

ドンッという空気を裂く音とともに戦車が火を噴いた。タイタンに直撃すると思われたそれは、タイタンに当たる前に青白い雷光によって爆ぜる。

 

「FU、ブレードとアークの使用を許可する。敵戦車とリーパーを頼む。俺たちは歩兵をやる。」

 

「了解しましたパイロット、ご武運を。」

 

白い巨人が雷光を纏いブレードを片手に走り出す。

 

「おい、何ぼさっとしてんだ、いくぞ!」

 

次々と戦車が両断されていく。最新型のタイタン装甲を持つ戦車が、だ。

 

「規格外すぎだろ…」

 

「だから入ったろ?とっておきだって。」

 

「ってかトーヤは?」

 

「初めてタイタン見たからか、そこで気絶してるよ。」

 

言われて後ろを見れば、白い顔をして考えるのをやめたトーヤ。

 

「起きろトーヤ。」

 

肩を揺すってみる。

 

「っえ…?」

 

生きてたようだ。

 

「いくぞトーヤ、歩兵狩りだ。」

 

「えっ、ちょっどういうこと?…」

 

_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく蹂躙戦をした後俺達はパイロットが隠れ家にしているという場所へと向かっていた。

 

戦車やリーパーを一撃で両断し、対タイタン用の武器も砲撃を無力化するタイタンに、木々の間を閃光の如く跳び回り的確に処理をするパイロット。これを相手にした歩兵たちには同情してしまいそうだった。

 

「よし、着いたぞ。」

 

タイタンから声がする、車は特攻したせいで壊れてしまったので歩いて移動していた。

 

「着いたって、何もないじゃないか。」

 

目の前を見れば森の中でも多少ひらけた場所だった。

 

「野宿でもしてたの?」

 

「おいおい、野宿を馬鹿にしちゃいかんぞ、あれは意外に楽しいからな。野生動物とか見れて。」

 

「絶対襲われるだろ…」

 

「そう言う時もあるさ、じゃあ入るか。」

 

そう言うとパイロットはデータナイフを取り出し、地面へと突き刺した。

 

「ふんッ」

 

訂正しよう、地面へと打ち込んだ。

 

ガコッという何かが外れたような音がして地面に軽い振動が走る。

 

「ようこそ我が家へ、地下生活も案外楽しいぞ?」

 

地面がくり抜かれたような大きな穴の前で彼はそう言った。

 




今回は少し短めでした。
花粉がもう来やがった…
(=͟͟͞͞☞=͟͟͞͞☞ ^o^)=͟͟͞͞☞=͟͟͞͞☞花粉


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