ふたなり自己妊娠系狐獣人始祖不滅ロリババアになりたいから書いた話。 (砂透腐)
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集まってた裏情報群……設定集?とか。

次話の内容がまとまらなさすぎてしんどくなるレベルまで来たので次話が投稿できてない状態でこっちの文字数が溜まったら投稿します投稿しました。
次話の内容、まだ未完成というか不足部分がありますが希望者には送りますよ。でも方法……どうしましょうね。ツイッター垢でも作ります?

以下前のここ枠の前書き≒言い訳

話を移動させたら栞や感想の位置がズレてしまったので代わりに最初期の書きたいものリストを挟んでおこうかと思ったら上手く行かなくて、テンパってたら消えちゃったので、投稿済みの話の元々の物を置いておきます。ちょくちょく更新するかも

あれ、落ち着いてから考えてみたら、もしかして感想とかって自動で合わさる?もしそうならこのリストは消えます。


身長100として

 

頭15%(仮)

のこり85%

胸20%(仮)

のこり50(仮)

腹15%(仮)

のこり65(仮)

腿21%(仮)

脛21%(仮)

足8%(仮)

 

狐頭胴60

頭20

胴40

 

尾30

 

黒髪(緑にして光合成〜!とかやろうかと思ったけど人間に溶け込むの考えたら葉緑体?ありでも色素マシマシで黒にしたほうがいいかと思った。むしろその方がより多くの光を吸収できそうだし。できそうじゃない?)

(なお可変)

 

(だいたい)黒目(よーーーーく見たらはっきり黒目って黒目ではないかもしれないけど大雑把に言うなら黒目。)

(なお可変)

 

 

髪を伸ばして首の後ろ、腰、先端で括る。

腰は予め開けておいた穴から尻尾と一緒に出す。

先端で括る際に尻尾の毛も巻き込む。

耳は小さめにして獣耳パーカー的なので誤魔化す。

(一応)

足はタイツ……よりもストッキングの方が良いかな?で。手は純粋に手袋、あるいは萌え袖で。顔はマスクかお面で誤魔化す。

で、ゲームとか買いに行く。

 

東北とか辺り出身想定

湖はどのあたりだろうね。なんにもなければまぁ適当に。

となると街もその辺りになるけど。

永く寝ていた山は福島辺り想定。霊山?

いつぞやの権力者さんは関東辺りに居そう。なおまだ田舎

 

富士の樹海住み(仮)あそこなら誰かに見つかる心配はない。

……本当か?本当に無いのか?死のうとしている人間を拾ってきて、

「お主は転生したんじゃよ(嘘)」

とか言って獣人に改造してないか?

そのせいで富士の樹海は異界と繋がるとか噂流れてたりしないか?だめだこいつ信用できねぇ(えっ

 

 

 

【のじゃ口調とそうでない時の違い】

キャラ付け的なのもあるけど、多少そうやって作ってはないと精神持たない

 

ちなみに、最初は一人称は私だったけど、私私って言ってるうちに面倒になって?訛って?儂になったってアイディアがある。これを正解にするかは考え中。

 

だからこう、真面目というか変な話、素を出す?時は口調が元に戻る……という設定も、あったりなかったり。

 

 

以下、あったかもしれないしなかったかもしれない話

 

【IF話:名前】

名前を聞かれる

「いうて儂名前とかいらんしな……

名前など持っとらんよ。無名の狐じゃ。」

「無名狐さん、と……」

「いや違う、そういう事でない!そんな昔の人間みたいな……いやまあ昔の人間!じゃなくて狐じゃけども!ナントカのナンタラって名前というわけではない!」

 

【IF話:種族】

研究者的な人に調べたいと言われ、置いておいた元の身体を引っ張り出してくる。

「この身体を調べさせて頂いたところ、大変申し上げにくいことなのですが、今で言う狐よりも、どちらかといえば狼や犬に近い種であるという結果に至りましてですね……」

「なんじゃと……!?では儂は、自分を狐だと思い込んでいた犬じゃったという事か……!?」

「現在ご使用になられているお体は実際狐に近い物なので、自分を狐だと思い込んでいた犬だった狐、でしょうか。」

「……(驚きで声も出ない)」

 

【IF話:触手/虚しさ】

「前に人間の本を読んでたとき、ふと思い立って触手……エッチな方の触手を作って襲われてみたことがあってな。」

「最初は触手ってだけで興奮してたし、気持ちよくも感じたんじゃけど……」

「どこまでいっても結局は自分なんじゃよな。どれだけ気持ち良かろうと動かしてるのは結局自分じゃし、続ける内に段々と虚しくなってきての……」

「一瞬、新しくそういう種族を一から産み出してやろうかとも思ったがな……可哀相な結果にしかならぬと気付いてな、すぐに考えるのもやめたわ。」

「結論を言うと、勢いだけで行動するとロクな結果にならない。」

「そもそもそういうタイプの触手を作ろうと思ったら、似た生物が少ないから構成から悩むことになるし、私自身の経験上栄養の確保にも困ることになるし、そもそも動きも………




挟むに相応しかろうものができたということで、前あった1話は消しました。


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本編
はじまり


昔勢いで書いたやつがセリフオンリーとかいう狂った物になったのでセリフを入れようが無い動物にして書いたら今度はセリフが無くなったので多分私には0か10しかないんだと思う。

句読点や三点リーダー、改行、言い回し?などを多少変えました。内容は変わっていません。


私は……まあ、ちょっと諦観的すぎるところ以外は至って普通の人間だった……はずだ、うん。

 

何時何処で何を思いどうしていたか、それも大体は思い出せる。最も、黒歴史の類は忘れていたかったが……まぁ、それも今となっては昔の私の可愛らしい失敗。ここにはそれを知るものは居ない。

 

……尤も、こちらに生まれてからも黒歴史と言うべきものはいくつも作って来たわけだが。

……何の話だったかな。あぁ、そうだった。私が、どうやってここまでやってきたか、だったか。最初から話そう。

 

ある時気が付いたら私は、今までとは明らかに違う何かになっていた。視界も頼れず、聞こえるものも、キューキューという何かがきしむような、あるいは何かの鳴き声のような音らしきものが聞こえるだけだった。

 

私は空腹だった。無性に腹が空き、何があるかもわからない周囲を探り、一時的にでも飢えを癒せるものを探し、匂いを、温もりを本能的に求め……ふと鼻に当たったそれに、必死に食らいついた。

しかし妙な事に、噛み切ろうにも歯に当たる感触が……そもそも歯自体の感触がない。

仕方がないので、必死に口の中のそれに吸い付く。

幸運なことに噛み付いたものから出てきた液体を飲み、飲み、飲み……疲れ果てた私は、いつしか深い眠りについていた。

 

人が死に、異なる世界にて赤子に産まれ、成長し、知恵や力を使い大成を成す。そういった類の物語を読んだことが無いわけではなかったし、自らがそういった状況になる事を妄想したこともあった。だが、自分の母親の、ましてや獣の乳には、欲情どころか、緊張さえも覚えそうには無かった。

 

そう、あの後同じように口に入ったものに必死に吸い付き、疲れて眠る。そんなことを数度繰り返した後、やっと視界に入ってきたのは、自分の数倍は大きな四足の獣であり、私が吸い付いていたのはその獣の乳であったのだ。

 

私は、視界に入ったその獣を本能的に自らを産んだ相手であり、自らが今まで飢えないで、かつ安全に過ごして居られたのはその獣のお陰だと悟ったのだった。

 

しばらくしてぼんやりとした感覚がはっきりした頃、私の頭にあったのは、不安と、迷いと、それと歓喜だった。

獣の身とはいえ、夢にも見ていた事が、しかも記憶を保持した状態で起こったのだ。きっと私にも何か素晴らしい物が、そして成し遂げられる事があるのだろうと!

私は希望に満ちていた!獣の身ではあれど、素晴らしい人生を遅れるのだろうと!

 

……まぁ、そんな希望はその後すぐに失いかけるのだが。




続けようかと思ったけど1000文字超えてるしとりあえずここまで。
プロットと呼んでいいのかはわかんないけど書きたいものリストをおまけとして上げようか迷ってます。


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厳しさ

初手動物に転生させてる以上これはやっとかないとなって思った。

句読点とか改行とか変えました。内容は変わらず。


この獣(顔の形や尻尾、鳴き声などからしてもおそらく狐の類)はほぼ肉食。

 

狩りの練習が始まった。

 

私は狐の身へと転じたとはいえ、精神は狩りなどしたことのない元の人間のそれ。

私よりも体が大きく、かつ精神からしても狩りに優れた兄姉達についていくこともできず、それらの真似をしつつ、側に生えていた野草や果実(多分ベリー系?)を食んでいた。親にも止められなかったし、多分大丈夫だろう。

 

 

そうして時間を潰していた何度目かの練習の際、ふと兄姉達がどうしているのか気になって覗いてみると……上手く捕まえた獲物たちを食べているようだった。

 

そこで近付いたのがいけなかった。私は、それをはっきりと見てしまった。

 

当たり前の話だが、獲物達とはつまり他の生物。その生物の命を奪い、食べる。私はその事を深く理解できておらず、ただの食事として捉えてしまっていたのだ。

 

そこにあったのは、いかにもついさっきまで生きていましたという見た目をした小動物などの死体の山。

私はそれに不快感を覚え、それらをその体内へと収めていく兄姉達を、ただただ見つめていることしか出来なかった。

兄姉達がソレ等の山を体内へと収め終わったその時、私には兄姉達であったはずのソレ等が、ただただ異質な物にしか見えていなかった。

生前、調理された物しか食した事の無かった私には、獣に転じ、獣として生きていけるように価値観を変えるなどといったことは、そう簡単には出来ていなかったのだ。

 

 

何度目かの狩りの練習の際、兄姉達が獲物を食べている間に、親が獲物を一つ取ってきてくれた。

今まで獲物を一つも食べる事が出来なかった私を、ただ鈍臭いか、あるいは兄姉達の間に割って入る事が出来なかったとでも思ったのか。

それを見て兄姉達も気付いたのか、兄姉達が食べるには小さく、しかして私の体には程よい大きさであろう獲物の一二を分けてくれるものが幾らか居た。

しかし、私にそれを食べる気が無いと知ると、折角取ってきた獲物を無駄にするわけもいかないのか、兄姉達は親に言われるがままに獲物を食べ、私の前に残ったのは、毛と、血と、骨と…ともかく、私にとってはあまり目にしていたくないものだけだった。

 

私は、生きるということを、そこで初めて理解したのかもしれない。

 

幸い私は時間を潰していた際に食べていた果実や野草が食べられる事を知ることができていたため良かったが、このまま食べるものも無く、ただ空腹だけが心を満たしでもしていれば、本物の獣へと……本当の野生へと帰っていたのかもしれない。

 

それを守らないのはひとえに私のわがままであり、私の、本来の姿を知っておけという、運命からの警告だったのかもしれない。




本当にこれでいいのか不安になってきた。いつも通り。
はやく擬人化させて孕ませなきゃタイトル詐欺が続く…
……擬人化させて孕ませるって相当なパワーワードなのでは???


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ちから

最低1000文字がめっちゃ辛い。
内容自体はロクに書けてないから別々で書いてたことを纏めてやっと届くくらい。

改行とか句読点とか変えました。内容は変わらず。


ある日母から唐突に教えられた事は、今まで私が夢にまで見ていた力のような、しかし決定的に異なるもののような、そんな力だった。

 

望んでいた物であるようで、私の全く知らない物。

母曰くそれにより怪我を治したり体調を整えたりできるものだそうだが、その時の私にとっては生命の流れ、命の象徴ともよべるものと感じ、しかし生命力と呼ぶにはあまりにもおかしな物であった。

 

気付いてしまえば、確かに身の内からしっかりと感じる事のできるこの力は、そこに有るようで無く、しかし無いようで有る。そんなとらえどころの無いものであり、私の思っていた魔術や超能力、霊術などよりは、ただ純粋に力の流れ、生命の移り変わりを表したような、そんな力に感じた。

 

まあ、後々の事を考えると、あれらはそれぞれ一側面であり、見た者の……母の視点からは、怪我を治したり元気を出せたりするだけの力というだけであり、それ以上を求める必要性を感じなかったのかもしれない。

だが、そう考えると見る者によっては私の力の使い方は力の悪用とも言えるのかもしれないな。

 

私は当時体が小さく、かつ力が濃かった上に、母に教わりやっと気づけたくらいなのだから、力が薄く、体が大きくなっていたら気付くのに苦労しただろうと考えていた。

……だが人の探究心は素晴らしいな。今では万人がそれの存在を知り、使おうと思えば使えるものとなっている。

 

……あるいは、存在を忘れられる未来もあったのかな?

 

ともかく、そんな力を得た私は、色々と実験を繰り返した。

怪我の治癒の練習から他の動物達の力の流れの観察まで。

範囲は狭いが、それが当時の私にできる全てだった。

 

そんなある日、ふと思い立った事があった。

植物は、どうなのだろうか。

私は今まで幾らかの小動物と、同種や近縁種であろう者達は観察したことがあったが、植物はすっかり目に入ってはいなかったのだ。

 

遠い昔に習った植物のしくみなんて忘れ、植物は物を食べる事が無く、ただそこに居て水を吸い日の光を浴びているだけで生命を保っている。ただただそんな印象だけを持って植物を調べ、なんとか植物と同じように日の光を栄養とすることができないかと、自身の体で実験を繰り返し……

 

得られた結果は、日の光から力を取り出すことは可能だが、それだけで生きていくことは不可能、であった。

私にはこの地に根を張る覚悟は無かった。

 

食を捨て、呼吸と水だけで生きる事は出来なかったが、無いよりはマシだろうと自身の身に植物から得たそれを取り込んだ。

詳しい話は省くが、その行為により私の身からは花が咲くようになった。

 

正直、初めて咲いたときは物凄く困惑した。

 

今では良い友だ。




プラナリアリュウグウノツカイルートと迷いました(エグいことを言っている自覚はある

(追記)
リュウグウノツカイって自切はしても食べはしないんですね。てっきり非常時に食べているのかと…


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準備なんていくらしても足りない物なんだから本人が満足出来た時点が本当の準備完了

ここが一番ネタ切れになってるかもしれない。考えられてもいない部分を除けば。

タイトル変えました。じゅんび の平仮名4文字から。これもしや勢いのままにタイトル変更の悪魔に取り憑かれて迷走しまくってるのでは?

句読点とか色々多少変えました。内容は変わらず。


力を習い、約四半植物と化した後のしばらくの間は、

 

力の使い方をもう少し工夫して効率をあげようとしたり……

(体の中心から末端へ、末端から外へと向って動いている「力」を留めては体が留めてはいられず破裂しそうな感覚がし失敗し、逆流させては体中に激痛が走り、マシになったときには、皮膚には血が滲み、口の中からは血の味がし…まぁつまりは失敗し、回しては気分が悪くなり、自分を保っていられなくなりそうになって失敗し…

最終的には、体の表面を覆うように維持する程度に落ち着いた。もう少し何かあるはずだ。私が見落としている使い方が。)

 

いざという時の判断材料にするために色んな食べ物を調べてみたり……

(私がよく食べてるベリー系の果実は実は軽い、毒にもならないほどのものだが体に良いとは言えない成分が含まれていたり。

よく食べていた野草は実は葉より茎の方が栄養が多そうで美味しそう……かはわからないが、ともかく体には良かったり。

調べてみると普段生きていると気にも留めようのない、しかし役立つ時がいつか来そうな程度の、持っておくだけ得、という情報というのは、案外身近に溢れているのだと改めて知った。)

 

今改めて考えると恐ろしいことに、自分の脳を弄って、かつ魂と呼ぶべきものがあるのか、弄れるのか探って記憶力や思考力を上げられないか実験してみたり……

(記憶に関しては死んでから生まれ変わるまでの記憶が無い事からも大まかに推測できるように基本的に脳の方に付随するようだが、魂らしきものの側にも記憶を保存する働きを持つであろう所を見つけた。所謂心に残る、というのはここに保存されるのだろう。脳の側は正直良くわからなかったので、最悪変に弄っても世界の修正力的な何かが治してくれそう(希望的観測)な魂の側の記憶を保管する書庫のような役割をしている部分の弄り方を色々と考えてみて、最終的に入れ子のようにすることで精度を犠牲に容量を増やすことができた。)

 

記憶力が増えた事で調子に乗って自分と近縁種の生き物達の、体色や体格、嗜好、雌雄や老若による差異を調べ、まとめ上げようとしてみたり……

(これはあまり良い結果は得られず、結果的に役に立ったのは雌雄と老若、あと体格の差が少し役に立ったくらいであった。……一応体色も役に立ちはしたか。)

 

まぁ、色々な奇行を繰り返した。

そしてある程度体が育ち、いくらかの体格の良い兄姉達が独り立ちしたのをきっかけに、私も自分の知っている世界を広げてみることにした。

つまりは、ここからしばらくは旅をする予定だった。




これもうちょっと上手い書き方があったのかもしれない…


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道具の使い方を覚えるのにあたっておそらく最も手っ取り早い方法

食物連鎖の中の下くらいにいた筈なのに何が起きたのか上位に居座っている生き物がいるんですよ。不思議ですよね。


親に感謝と別れを告げ、数日温かいと感じる方向へと歩いていると小さな水場を見つけたので、そこを拠点に周囲の探索をしてみる事にした。

 

水場を中心に放射線状に歩くという下手したら迷いかねない探索を幾度か繰り返し、今日もまた同じようにひたすら直進していると、数えていても幾らかわからないほど前に聞いたのを最後に久しく聞いていなかった、まさかこんな所で聞こえるはずのない音が聞こえたのでもしやと思いそちらへと向かうと、そこにはかつての自分とおおよそ同じ姿をした生き物、すなわち人間が居た。

私は懐かしさから飛び出していきそうになったがグッとこらえ、自らを特に害のない小動物へと偽装した上で夜まで待ち、見つからないように、万が一見つかっても狩猟される可能性を極限まで減らせるようにし、人間達の住処へと忍び込み、人間達の観察と調査をした上で帰ってきた。

 

その日私はかつての姿を取り戻した。とはいっても全く同じ姿と言う訳でなく、できるだけ警戒心を削ぐ姿を、と考えた結果……最後に残ったのは、ありえない程の筋肉を持ち清々しいまでの笑顔を浮かべたマッチョか、幸薄そうな痩せた女性かの二択だった。正直警戒心を削ぎつつ、一緒に働ける姿ってなったらこの二択だと思う。警戒心を抱かせないだけなら小さな子供一択なんだけど。

観察してきた人間達の姿を思い返し、私は後者の姿へとなった。

……万が一にも襲われないように、ソコ、だけは表面だけ作ったが。

 

「住んでいた所が無くなったので、少しの間だけでも良いので、置いてはくれませんか?食事も多くは頂きませんし、手先は器用ですので、どんな仕事だって覚えます。」的なことを言ったところ、快く村に置いてもらえる事となった。やはり本来はどんな生き物も余裕がある限りは同種の生き物には優しいのである。

 

そうして村においてもらい、生活様式の調査ついでに他の人から仕事を奪う勢いで(おそらく)数年働き色々な事を覚えた私は、私が来た時よりも幾分か豊かになったであろう村を後にし、いつか不安になった時の為に、帰る所を作りに、かつ思い付いた事を実行するためにも一旦故郷へと帰るのであった。

やはり道具の使い方を知るなら人間が一番手っ取り早いのである。

 

……え?あんまり手を貸しすぎると私が去ったあとに村の人達が困る?知らんよ。私この村の人間じゃ……というか一応人間ですらないし。良いんじゃない?別に。私が居なくなった位で困るような手の貸し方はしてなかった筈だし、もしそれで困って文句を言われても私はなんとも言えないよ。




正直村での生活はもうちょっと詳しく書けた気もするけど下手な事書いてやっべってなるの嫌なんで一話内に収まってしまった。書きたいこと書いたあとにやる気が残ってたらおまけとして小話いくつか書いてもいいかも。


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家の最低条件がドアとはよく言うけれど本人の求める物を継続的に得られていればそれは結果的に家と家るのではないか。

そろそろ本文の書き方に迷い始める頃だと思う。

タイトル変えました。前のタイトルは いえ の平仮名二文字。


そうして人間からある程度の技術を学び、道具を手に入れ、元々住んでいた場所へと帰ってきた私は、ひとまず家を作ることにした。家と言っても床と屋根だけみたいなものだが、床が木でできているだけでも上等、それにここでこの姿でいる限りはおそらく何かに襲われることもない。十分だろう。

そうして私は、帰省してから初めての土以外の上での眠りを迎えた。

 

 

そして目が覚めた時私の前には狐がっあ!?!?!?

なんで?狐お前ここで寝て……なんで?

お前警戒心どうした???

驚きと呆れと疑問に埋め尽くされた感情をひとしきり吐き出し切り久しぶりに狐の身に戻った私はこの警戒心を失った狐に言い訳を聞くことにした。

私にだって同族としての情くらいはあるのである。

 

起きた狐によると、眠気に限界が来ていたところで懐かしいような匂いがし、匂いの元へ行くと私が眠って居たため、危なそうでもないしそのまま睡魔に負けた、とのことだった。眠気に限界がって、お前は何をしていたんだ……?

 

そのまま私の下に置いておく訳にもいかないので、また来てもいいから一旦仲間の所に帰りなさいと伝え、無理矢理にでも返した。会ったことの無い狐の筈だが、懐かしい匂いとは。甥姪辺りだったのだろうか。

 

久々に同族に会って自身の本来の姿を思い出した私は、せっかくなので所謂獣人、という姿になれるか試してみた。人間達の元で生活するために人間の姿へと変化できていたし、私は本来狐だしで必要な要素はおそらく大方揃っており、後はバランスの調整だけで済みそうだったので、徐々にバランスを変えていき一番最初に安定した、二足歩行で手が器用な獣といった感じの獣人になってみた。

これが上手く行って、かつ同じ姿の者が沢山居たら見た目的にも最高なのだが……

 

この姿の出来栄えを確かめる為にもしばらくの暇潰しというか、せっかくなので農業……とまでは呼べないにしても、水辺からの距離や土の具合が程よいくらいの位置に旅の途中で拾ってきた木の実や草の根を埋めてみた。

生えなくてもよし。生えてくれると嬉しい。これぞリス式農業。

よくよく考えてみるとこれは外来種がどうとかといった話になるのではと思ったが、元々地続きだし考えないことにした。

 

農業と呼べない程度のものをやった後、時間が空いたので近くに生えている木から太い枝を幾らか貰って、家具を作ってみることにした。

欲しいもの……ハンモック……ハンモック欲しい……!でも布どころか糸もない……毛を伸ばして使えば良いのでは……?

そうしてなんとかできたハンモックもどきは織り方が雑な気もするし多分人間が乗ったらやぶれるだろうけど織り機も無い中では十分な物だった。

 

そこからは特にやる事も思いつかないので木工の練習ついでに小刀で木の人形を作ったり、拾って来た石を適当に積み上げて壁のようなものを作っ……作ろうとしてみたりしていた。

 

そのうち、ある程度安定していることは確認できたがひたすら同じような事を繰り返す変わらない日々に寂しさを感じた私は、ふと目についた蟻の隊列や蝶の幼生を見て思い付いた事に対して一つ覚悟を決め、食料を集め始めた。




やっとギリギリ無理を言えばタイトル詐欺でないと言い張れないところまで近づいた気がする。
実際ハンモックって小動物は乗れるのだろうか。


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望んだ物は視界の外れに

正直一番悩んだかもしれない(n回目)←予約



私は、新しい種族をこの世に生み出すための準備を始めた。

 

 

仲間を作る材料を集める為には自分の体を犠牲することも厭わなかった。

 

ひたすら食べ物を食べ、体を大きく、太く、長く……

そうして一時的に異形のものへと肉体を変化させる。

そしてできる限り痛みを感じにくくした状態で切り落とし再生させる。

 

これを繰り返してできた私の欠片を脂肪や筋肉や神経、そして骨や血など、基本的な生物の構成要素となるものに変換し、外部へと漏れ出る力の量を制限したり外部の物質との反応を極力抑える事でストックしておく。

 

その作業と並行して頭の中では考え得る限りの失敗への対抗策を考え、途中で思い付いた切り落とした腕を再生させるとどうなるのかという発想からは自らの複製という、成功ではないにしろ予想外の結果を得られ、多少の時間短縮に繋がった事を喜びと、結果的に数日かけ、失敗に対応するのに十分な量の予備の資材を揃え終わった。

 

そうしてできた大量の肉体の材料と考えられる限りの対応策を蓄え、やっと仲間が出来ると私は自らの同族を作り始めた。

 

 

 

しかし結果的に私が作り出したソレは、私が望んだ形をしており、しかし私が望んだ通りのものでは無かった。

 

ソレは、ただの精巧なぬいぐるみでしかなかったのだ。

 

 

私にはわからなかった。

その体は完璧なはずだった。

 

なら、何が足りない?臓器もしっかりと作った。

なら、何が足りない?力の動きからも生きているはずだ。

なら、なぜ動こうとしない?筋肉や骨の強度も十分足りている。

なら、なぜ動かない?意思を持たない?この脳は動いている。

なら、これの脳は、神経は、正しく働かない?全て正確だ。

 

なぜなら私という前例があるのだから!

 

現に、私は、その体で動いている!

 

寝不足かつ貧血気味の脳で考え続け…倒れる。

 

幾ら考えても答えは出ない。

 

瞼が降りる。意識が薄くなっていく。

おそらく次の瞬間には数時間は経っているのだろう。

 

 

 

仲間が欲しい、その想いを出発点にしてただ一直線に進み続けたせいで狭くなった視界のその外に、答えはあった。

 

私はなぜ、身を獣へと転じさせて、今ここにいる?

私にはなぜ生まれた後の記憶より前に、死ぬ前の記憶がある?

 

私には、生命を生み出すという事を真に理解できていなかった。

理屈でも理論でもない。

 

作り方を知らないもの、心、魂。

それを肉体に宿す方法は、私の記憶の中には一つしかなかった。

 

私の肉体は、私の好きなように変えられる。それで十分。

 

 

 

その日私は自らを犯し、小さなその身にもう一つの命を宿した。

 

 

 




もうちょっと伸ばそうかとも思ったけどキリがいいのでここまで。
これで最低限タイトル詐欺とは言われないでしょ(震え声)

途中で不意に思い付いて、なぜ?の所を指の長さに合わせようとしたせいで余計に悩んだ。

これ獣人って一回に生まれる量はどっちなんですかね。ひとまず今のこの子は獣ベースなんで複数産ませようと思ってますけど。
つまり複乳ってことだ。いうて見た目ほぼ点みたいな感じだけど。

ちなみにこの子は自分の手からソレを生やして前屈みになってヤッたって事にしといてください。
最初は普通にふたなりにしてクルッとさせようかと思ったけど写真とか見て考えてるときつそうだなってなったので。
なんかもっと良いの思い付いたらそっちに脳内変換しといてください。

考えてるとき一瞬尻尾の先から生えてるの想像してシュールな光景に吹き出しそうになったのは秘密。


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命の尊さってよく言うけれど全体的に見れば多産多死な辺り水と似たようなものなのかもしれない。

めっちゃ調べたりしまくりながら書いた。
こういう話を書くには私には知識も経験も足りない。
でも書きたいから書く!性癖のままに!

タイトルいいの思いついたので変えました。いのち の平仮名三文字よりは言いたいこと言えてると思いたい。


最初はしんどいだけだったけど、慣れてくるとちょっと気持ちよかったかもしれない……

あーっと、そう、あの後疲れ果てて眠りに付いた私は、目が覚めた後にしっかりと子を為せるように少し手助け……あー、誘導?をした後、失った体力を補う為にと軽く食事をしている途中、全身が汗に濡れ、体中から不快な感覚がしている事に気付き近くの水辺で水浴びをし、その日は再び眠りについた。

 

5回より多く10回よりは少ないくらいには寝て起きてを繰り返した頃にもう一度自身の胎を確認してみると、そこにはしっかりと命の種が宿っていた。

ふと頭に浮かぶのはその種が芽吹き、育ち、葉を広げ、花開き咲き誇り、実をつけ……そこで気付く。目から溢れる二筋の雫。

それは、命を失い、獣となり、ここまで苦労してきたことに対する悲しみ、不安、それから労りの涙か?

あるいは、子を成し、寂しさを捨て、これからの賑わいに対する喜び、安堵、歓迎の涙か?

とにかく私が抱く感情は色んなものが混ざり合い、はっきりと言葉にして言い表すには到底勿体のない感情だった。

 

……と、まあそこまではよかった。

ちょっと変かもしれないけど、上手く言い表せたほうだと思う。

問題はもう少し後だった。

 

水分と食事を欠かさず摂り、かつ取りに行けそうにないときと子育て中の為に少し多めに採って家に置いておき、

眠気に襲われロクに行動できないときは最低限だけでも食事をとってしっかりと眠り、

気分が悪く物が食べられそうにないか、無理矢理食べても吐き戻しそうな時は、食物を分解し取り出した栄養だけを無理矢理体内に放り込み……

その他視線や匂いなど色々な事に敏感になったり、途轍もない不安感に襲われたりと色々あったが、私は力とかで調整しなんとか乗り越えた。

 

結果的にそういった期間もそれほど長くはなかったりと、あとから聞いた話と比較すると、体の小ささを除けばその時の私はかなりマシな方だったらしい。

 

おそらく、純粋な狐や人間で、体調を調整することも難しかったなら、かなり辛く相手(私には居ないが)などの協力なくしてはロクに生活もできない状況になっていただろう。

 

てんせいちーとにばんばんざい、である。

 

 

そしてある日、久々に訪れた不調が軽めの日にこれから必要になる食糧をある程度集め終えて家でこの先について考えていたところ、不意に痛みがズンと深く走り始めた。

 

痛みをなんとか軽減して誤魔化しつつつつ横になり、しばらく苦しみやっとなんとか外に出てきた袋をなんとか裂き開け我が子を抱く暇も無く必死に次の子の手助けをし……

 

なんとかすべてが終わり気付いたときには、必死に初めての食事をし、私の腹に埋もれて気持ちよさそうに眠っていて……

私は、眠る我が子らを見て、改めて命の尊さを認識した。




赤ちゃんが出てきたときにお母さんが噛んで破ってるあれ、羊膜って言うんですね。初めて知りました。

下手な事書かないようにめっちゃ気使った………

この話は、ほぼ10割が検索した知識でできています。
これまでに私は子供がいた事がないし結婚の経験もないので。
(軽く人間不信持ってるから多分この先も)


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合成食品って原材料を知らなければ案外食べられそうなものだよね。偏見がなければ余計に。

原材料を知った上で食欲を無くすのが私。

この話のタイトルにしようとしてやめた話なんですけど、保育士さんとかってホントすごいですよね。下手に目を離したらワープでもしてるのかって程には行動が読めない子供達を、しかも沢山同時に、自身の子供でもないのに面倒を見る。あれは所謂愛のなせる技ってやつなんですかね……
愛、愛ですよ、ナナチ(絶対この話にくっつけて言っていいセリフじゃないと思う)


何日か経ち私の体の調子もそれなりに安定し、子供達が本格的に動き回り始めた辺りで、私は日々減っていく食料を見て悩んでいた。多めに集めていたとはいえこの子達を産む前後で大量に消費してしまったため、残っている食料にそれほど余裕はない。

 

 

数日後、子供達が寝ている間に私の代わり(一応あの子達の姉になるのだろうか?)を残し、念の為にも家のすぐ側で、私が過去に生きる厳しさを知った行為をしていた。

有り体に言えば、再び狩りをしていた。

 

このままでは数日中に底をつくであろう果実や木の実類の代わりとなるものを取りに来たのだ。

 

もちろん私には自分が食べられない、狩ったそのままのものを物の判別もできない子供に与える気はないので、栄養素だけを抽出し、植物からの物と合わせ作ったギリギリクッキーと言い張れないようなものを作り、少しずつ与えていき、最終的には狩りから植物類の大まかな分布、そうしてこれを作れるように教える予定だった。

 

一応、私が食べたくないとはいえ、自ら食べようとしたなら一応止めはしないつもりではあったが。それでも、虫などを食べている光景などはできる限りは見たくないものだ。

 

ともかく数日間の猶予を得た私は、危険が子供達を襲わない内に、子供達のそばへと戻り、再び子を囲み暫し迷走時の副産物の利用法とそこから考えられる、私やその力の可能性について考えつつ、暫しの休息を楽しんだ。

 

不定期的に狩りや採集に行き、食糧を集める傍らで、子供達に言葉の意味と使い方を覚えさせる為にも積極的に物や行動などに対して言葉を多用してかつ、こそあど言葉はまだあまり使わないようにしたりと、成功するかはわからないが思いつく限りの方法を使って色々としつつ過ごす。

この頃は人間の村での生活の影響もあって丁寧語が自然に出るようになっていたので、それも一応良い影響を与えられていたら良かったが、比較対象が無いのでなんとも言えない。

 

しばらくしてこの子達が喃語を使うのをまぁまぁ短いような期間で終え、一語や二語での言葉を使い始め、下手に目を離したら家の近くを走り回るようになった頃、私は子供達の体の検査をしていた。

 

完全に新しい種族な上に私と私の子という、家系図も顔を真っ青にして自身の目を疑いそうな存在となってしまっている子供達なだけに少し心配していたのだが、無事に安定して成長してくれているようだ。

 

これによりこの子達は、おそらくこの世界に初めてきちんと生まれた狐の獣人という事になるのだろう。私は結果的にこういう姿になっては居るけど本来の私の体は狐っぽい何かだし。

 

だが……どうやらこの子達は、いくつかの音の発声が苦手なようだ。

まあ……このくらいなら聞き分けることも可能だろうが、念の為に無意識的に発声に補正をかけるように少し調整をするだけにとどめておいた。

 

やはり、私と同じ見た目の者が、自らの産んだ子供達が、塊になって遊んでいるのは見ていて心が暖かくなる。

しかし、半分くらい勢いで生み出してしまったとはいえ自らの血を引く子供、狐要素が強かったため多産になったとはいえ、それでも私を含めても二桁にも届かない。

圧倒的に全体の数が少なく、このままでは下手したら数代で血が途切れる可能性もあるし……

それに、あれもまたしたいし。

体内の調子をある程度調整出来、時期に囚われていないことも勢いの加速に繋がり正直引っ込みがつかなくなっている気もするが、一回経験したことで不調に対する対抗策や、苦しみをさらに軽減する方法もある程度は思い付いた。

今度はそれほどしんどさは感じないはず。

そんな風に万が一対抗策が上手く行かなかったらまた何度でも試せばいいと次々回以降の言い訳も用意しつつ、子供達に弟妹を用意し始めるのだった。




そろそろ文章が思いつかなくなってきてつまらなくなっているのではないかと心配になる頃。
書いている途中では誰にも意見は求められませんからね。
自己肯定ペンギンになっていけ?(どこかで聞いたこの言葉が結構好き)


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時には、見た目を犠牲にしてでも速さを重視しないといけないときもある。

なんかめっちゃ筆が乗った……


前回よりも圧倒的に楽になった妊娠中、子供達へ物を教える間に、かつての私の暴走の末に生まれた副産物、疑似クローン技術?の研究をすることにした。

研究と言っても、思いつく限りの活用方法を実際に試してみて、出来る出来ないのラインを見極めていくというだけなのだが。

 

そして出した結論は、大体の事はできそうだが、増やしたり成長させたり、あと一応維持するのにも栄養は必要、であった。あと一応切り離してから再生させるまでにはそれほど時間が開いてはいけない、というのも一応あるが、もしそういった事をしたいのならそれほど時間を開けることは無いし、頭の外れに置いておくくらいで良いだろう。

 

これでは、体を増やせても食料の消費量が増えるだけであり、食料が底をつくのもすぐそこかと思ったが、家の前で各々追いかけ合い転げ回っている子達、興味を持ったものをひたすらに観察し、時折気付かれ逃げられている子と、目に付く順に無垢なその意志の向かう興味や意識の矛先を眺めている時に目に入った。日向に出て溢れんばかりの陽光をその身に浴びている子。

日の光を反射して光輝く毛の海から浮かび出た花の蕾。

それが、驚きと同時に役に立つ記憶を掘り起こしてきた。

 

まず1つ。私が過去に自身へ宿した花の種、それは、知らぬ間に子達にも受け継がれてしまっていたようだ。それも足裏より大地の恵みを吸収できるよう、私の成せなかった移動と生存の両立を可能として。

2つ。私自身が根を張る事は出来なかったが、それは行動を制限されるから。なればその行動をとる体と、根を張る体が別のもので、そもそも行動をする必要のない体であったら?

 

それからの私は、再び世界に出てきた子を迎え、ある程度育てた時点で複製したいくつかの体を一纏めにし、根を張りひたすらに子を増やした。

最中、見た目をなんとか改善しようとして植物の側を強めた結果、枝葉と化しつつある髪に生った実の内より半分くらい別種と化しているような気がしない子達を迎える事になったり……

 

合間に言葉や道具、力についても教えたりもした。鉛筆も紙も木からなんとか変換出来たのは良かったし、手先も器用に動くようで苦労はなかった。地面に棒で書いても良かった気もするが、まあそこで見辛くなるのは本意ではなかったとして、置いておくことにしよう。

 

そうして読み書きが無事に済んだのは良かったが、道具の使い方や仕組み、作り方(といっても実際に私が作れるわけではないが)を軽く説明する時は知らぬうちに子を危険に晒していないかとヒヤヒヤしたよ。

 

力の扱い方を教えるときは、まぁ……感覚を覚えさせる為に多少ズルもしたが、結果的に全員が最低限扱えるようになった。そこで起こったのが、私の時にも起こった、力の認識の違いによるものだ。

 

道具について教える時に、火の存在と、どういったものかは教えていたが、ここで目にする事もしばらくは無いだろうと、起こし方と危険性をロクに伝えていなかった。

 

そのせいだろうか。子達の内、日向に出、日光浴をしていた子が、その手に突然火を浮かべた。

一瞬生まれた意識の空白の後、慌てて子供を抱き抱え走り、自分ごと水に飛び込んだ。

 

その子が驚いて泣き出したので抱きしめてなだめ、落ち着いてきた辺りで話を聞いてみると、いつも浴びている太陽の光が実はとても強い火だと聞いて火への関心を膨らませていたところで力の扱い方を知り、できそうだったのでやったら突然私が自身を抱えて水に飛び込んだから驚いて涙が出た……だそうだ。

確かに何も言わずに水に突っ込んだのは悪かったとは思う。

子の掌から火があがっていたら誰でもああすると思う。私は悪くない。と、思いたい。

……うそ、ホントは少し悪いとは思っている。

 

私は、その子によって、力から火への変換を知った。

 

これで、しばらくはできないだろうと諦めかけていた事ができる。その為には、石でもいいが、できれば金属が欲しい……力を火へと変換できるのなら、金属へと変換できる子も現れるのだろうか?

ひとまず、また住処を大きくしなければ。

壁がないというのは、拡張性に富む。(その他の色々なものを犠牲にしている気がするが)




作中の世界の太陽は(基本は現実と変わらないで)莫大なエネルギーの変化の連続によって結果的に明るさと熱と力を放出しているって軽く考えていますが、その場合逆に熱とか力とかを太陽に投入し続けたら太陽の寿命は伸びるんですかね?逆に縮みそうな気もしますけど。


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わからないこと+わからないこと=何故か知っているけど分解し始めるとわからない話。

何もわからなくなってきた。
最初に書いていた大まかな流れからブレ始め、それこそ本当にこの先がわからない。
これが所謂キャラクターが勝手に動く、の正体?


力の認識が、本人の一番強い欲か、あるいは強く関心や感情を向けている物かによって変化するのではないかと考えた私は、ある程度成長して言葉を解するようになった子達を含め、子達が興味を色々な物について自身が持つ限りの知識を使い、程々に説明をして、かつ纏めて紙に記録しておいた。こうしておけば、しばらくしてからまた見たときに何か思い浮かぶ事があるかもしれないし、これを見て何かを思い付く子も居るかもしれない。

 

そうしてどのくらい経ったか、この先農業やらを始める可能性も考え、消費する食料より手に入れられる食料がまあまあ多い程度で安定させ、どう変化するのか観察するためにも私のもう一つの体を完全に木へと変化させ切った頃。

小さかった我が子達の中には、小さく土を盛り上げたり掘り起こしたりできる子や、体から大きな花を咲かせた子、軽い風や水の流れを発生させられる子、小さな雲を発生させ、掌に雨を降らせた子等、力を様々な方法で使い、生活の小さな不満や悩みを解消したり、思い付いた事を子達同士で実験してみたりする子が出始めた。

想像力や行動力が強く育ってくれたようだ。

 

 

だが、最初に考えていた金属に関する使い方をする子は現れてはいなかった。力を金属に変換するという使い方はできないのか、単純に、そういった子が居ないだけなのか。

 

後者の場合は幾ら考えても仕方が無いのでひとまず前者だと仮定すると、無から有は生み出せないという至って解り易い結果に行き着いた。

だが、これが正解なのかを確定させようとすると、今度は大気中の湿度や、酸素や炭素などの反応を観測できるだけの設備が必要なので、一旦仮説に留めておいて、機会があったらまた実験してみる事にし、頭の片隅に仕舞っておいた。

 

 

そうして幾らか同じような気候が巡った頃、私が最初に産んだ子達の内の一が少し怠そうにしている事に気が付いた。

どこか体を悪くしたのかと心あたりを聞きつつ調べてみると、その子は、その子の身には、命が宿っていた。

こんなに早く訪れるとは……

確かに体は成熟しており、子を成すことも確かに可能とはいえどまさかこんなに早く見る事になるとは思わなかった。

というかいつの間にやる事やっていたのか、私は全く気づかなかったぞ。実際の所知らないのが正解なのかもしれないけど、それでも、心構えができていない状態で知ると凄く驚く。

 

しかも、おそらくこの子は私がこの子達を宿していた時より辛さの緩和というか力の使い方が上手く使えており、ただ怠いだけ、と感じていたそうだ。私の子、もしや天才か???

こんなに早いとは思ってなかったから、そこら辺はまだあんまり教えられてないよ?

 

ともかく、狐になって約数十年経ち、思ったより早く私はおばあちゃんになりそうだ。




ロリババアってよく言うけどババアは年齢の事を指していて実際に孫が居たりするのってあんまり見ない気がする。
視界に入ってないだけかも。
孫がいるんならロリおばあちゃんって言って区別するとか考えるのも大変だしそれでいいのかも。


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がいてき

あれから何年の月日が流れただろうか。生まれて一年、人間の元で3〜5年、帰ってきてから2〜3年?


最近殆ど森の中を走り回っているらしい、特段活発な子から受けた知らせには流石に私も慌てざるを得なかった。

 

人間が、すぐ近くまで近付いて来ている。

 

人間!?こんなところまで来る筈!?

いや、もしそうだとすると最悪の場合がまずい!

 

「皆、とにかく隠れて!」

 

子達を茂みや木の上に隠れさせつつ、私も久々に人間へと変化し衣服を羽織る。

 

そして視界を広げ、警戒する。

我が子に仇なす人間に、来るはずのなかった異物に。

 

しばらく気を張り続け、音が鳴る。

ミシリと土や木枝を踏む音が、ガサリと茂みをかき分ける音が。

 

久々に手にした小刀を向け、警告する。

 

「何者です。姿を表しなさい。」

 

「人!?わ、わかった、大丈夫だ。こんなに深い森の中で、人間を見るとは思わなかった……」

 

そうして現れたのは、村を後にして久しく見ていない生物、人間。

筋肉はそれなりに付いていそうだが、それ以上に体が細い事が目立つ、男であった。

 

「大丈夫か!すぐに……」

 

「そこで止まりなさい。」

 

男は、困惑した様子で仕方なく、というように大人しく立ち止まる。

 

「こんな人里離れた場所に何をしにきたのですか?」

 

「あぁ、いや、何も。ただ、あー……そういえば君こそこんなに所で何をしているんだ?そんなボロ布着て。」

 

「えぇ、私は……」

 

なんて言おうか。頭を巡らせる

 

「私は、少し他の人との生活が煩わしく感じるようになってしまったので、わざわざこういった他の人間が来ないような場所で生活していたのですが……」

 

よし、ここで視線を下げて顔を少し陰らせ、悲しそうな笑みを浮かべてまた視線を上げ

 

「あなたの用次第ではまた別の所を探さなければいけませんね……」

 

「い!?いや、大丈夫!」

 

おや?かかってくれたか?

慌てた様子で答え始める人間の様子に笑いを堪える

 

「私はただ……ただ、この森から今まで見なかった煙が上がっているのを見て、危険は無いか、誰かが迷っているのではないかと確認しに来ただけだ。」

 

最近は火を使っては……あぁいや、数週前に魚を獲って来たのが居たか?確かにその時焼くのに火の子に火を借り、ついでに加減を覚えさせようとしていたか。

しかしその理由も本当のものか?答え方もどこか怪しい。

 

「この前確かに魚を獲った時に火を使いましたね。私が起こしたものですし、後始末も確りとしました。ですので何も危険はありませんよ。ご心配頂きありがとうございます。」

 

一応これで納得してくれただろうか?

 

今は人間を招いている場合ではない。

早くこの人間をこの場から返さないと。

 

「心配して確認に来てくださったお礼と言ってはなんですが、一応忠告しておきます。今の時期は獣達の気も立っているので、下手な事をして彼等彼女等の気を損ねないうちに、早く自分が元居た場所に帰ることをおすすめしますよ。」

 

「あ、あぁ、わかった。危険がないならいいんだ。ただ……そう、それなら君も獣に襲われないように僕と一緒に「お言葉ですが!」

 

こいつは、ここに置いておくと不味い。

 

「獣達は本来臆病な物。それに襲われるということはそれほど脅威に思われているという事です。もしくは恨みを買っているか。私はかなり長くここにいますからこの辺りの獣達とはそれなりに仲もいいですので、何もしなければ襲われたりなどしません。それに、万一襲われても下手に相手を傷付けない程度には自衛もできます。」

 

「それに、最初に言いましたよね?大勢で暮らす事を辛く感じたからここに来たと。帰りなさい、どうやら私はあなたのようなものを歓迎することはできないみたい。」

 

少し強引な気もするが、こうするしかあるまい。

 

私はその人間が来た方向、森の外へと歩きだしつつ告げる。

 

「道がわからないのでしたら森のすぐ外まででしたらご案内致します。付いてきなさい。」

 

こうすれば、少なくともこの人間はここから離れる。

 

「え……いや、おい!待ってくれよ、ああくそ、なんでそんなに!」

 

今まで長く森で生きてきた。それにより身に付けた獣としての勘も使える限り使い、人間に掴まれたりなどしないように森の外へと誘導する。

 

そして森の外から光が漏れ、視界に外の景色が混ざり始めたところで、私は再びその身を狐へと戻し、小さく畳んだ衣服と共に急いで住処へと帰った。

 

外敵だ、来る筈の無い外敵が現れた。場所を移し、壁を築かなければ。




セリフオンリーにならないように気を付けながら書いたリハビリを兼ねた作品、遂にセリフが登場する。


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視野は広く、視界は狭く

検索して出てきた、前年に生まれたメスは、縄張りから出ず、母親の手伝いをするってのを見て、やべぇ、ただの酷い奴になってる…って思ったけど、まあ純粋な狐じゃないから仕方ないよねって考えない事にする。


人間が現れたことに対し今回は運良く対処できたが、この先も同じように引いてくれるとは限らない。

それに、私だっていつまでもここに居て人間をどうにかできる訳ではない。多少時間は延ばせても、私の命にもそのうち終わりが来るかもしれない。

子達の内には人間の姿を模倣できるものや、産まれた地を離れたくない、ここでやり残した事があるような子達も居るだろう。

それでも、すまない。私は君達をできる限り危険の前には晒したくない。

無事に孫が産まれ、落ち着いたら移動しよう。さらにたどり着きにくい山の中へ、さらに視認されにくい深い森の中へ。

 

 

 

幾週か後、私も手助けして無事に生まれた孫達の成長を待つ一方で、高い木の上になんとか登り、新たな住処を探す。

 

一方へ向かうと深い谷、首を回せば大きく広がる森を挟んで広がる草原、また首を回せば大きな水溜まり、海だった場合非常に惹かれるが、今はそんな場合ではない。そうして周囲を見回し、深い森の向こうに見えた大きな山、あそこならばそう簡単に人間がやって来る事もあるまい。作物の種を回収し、準備せねば。

 

 

目的地を定めた私は、皆を連れ、生活圏ごと徐々に移動しつつ、先の事に関して思考を巡らせる。

今の内に、できる限りの策を考えておこう。辿り着かれて守る前に、そもそも辿り着かせないための策を。

 

人間達の間に恐ろしい噂を流す?余計に馬鹿を招きかねない。却下。

崩れやすい山道?こちらの住処も崩れかねないし、実際に住むところを見てみなければわからない。一旦保留。

幻覚を見せるキノコ?簡単に見つかるとも作れるとも思えないし、その牙はこちらにも向くかもしれない。保留。

軽い毒を持った茨をあちこちに植え、視覚的に立ち入りを躊躇わせる?とりあえず採用……いや、保留。

 

そうしていくつもの策を考え、新たな住処、木々の広がる大きな連峰の中腹、かなり安定している辺りに、床と壁のある家を一つといくつかの小さな屋根を作り、木々を繋ぐように仮置の板を渡した。

 

家や柵はいずれ用意するとして、まずは持ってきた種を植えてしまう。

品種改良などはほぼしていない野生に近い物、力で栄養や水分に関しての多少の手助けはするが、後は生命力に頼るしかない。

 

水の匂いを辿り湧き水か何かであろう水を近くまで引き、用意しておいたため池へと導く。

 

そうして最低限を用意した後は、余裕ができ次第、比較的密集しており、かつ太さも十分な木を一本ずつ切り倒し、鋭い石でなんとか裂き割ったりと、なんとかいくつも小さな家を作り、余った端材や切り落とした枝などから小さな柵を作り、結局毒を持たせる事には失敗したがひとまず麓に茨を植えて、やっと少し安心できる住処が出来るまでには、結局数年はかかった。

 

もちろんそうして私が思い付く限りの行動をしている間に産まれる子達も居たし、この辺りに中々慣れることができず悩む子たちも居たが、このときまで私の視界にしっかりと入ってはいなかった。

 

 

私は……怖がりすぎたのか?周りが見えていなかったのか?

しかし人間が、明らかに自身とは違う異物である私達を受け入れる為には、人間達同士が安定し、色々な創作物を作り、私達に似た生物を考え付き好むまで待たないと、下手したら私達は滅ぼされてしまうのではないか?と、その時の私は、無性に怖かったのだ。自分が生み出した大切な宝物を、かつての同族に、全て壊されてしまうのではないかと。

 

私は、そこまで生きてきた中で、おそらく最も後悔した。




あらやだこの子結構視界狭かったり思い込み強かったりたりたりで結構……あれ、まあまあ普通の人間では?ボ訝


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それは意外と見えていないもの。

めっちゃ悩んだから同じ事言って進次郎構文と化してたりしないかが物凄く心配。


私は、間違っていたのか?

私は子供達の事を、思っていたつもりだった。

それでも、私は子供達の心を本当に知れてはいなかった?

私は、子供達の事を思うあまり、本当に子供達の事を想う事ができていなかったのか。

 

思い返してみると、確かに子供達を心配するあまり、縛り付けすぎていたのかもしれない。

遠くに行ってみたい、〇〇を見てみたいといった事を言う子供達は居た。それでも私は、そこに連れて行く事で起こる危険を恐れてまともに取り合えてはおらず、本当にやりたい事は何かも考えてあげられず。もしかしたら本当は生活面でもなにか不満があり、満足な生活をさせてあげられていなかったかもしれないし、そんな私を、子供達は恨んでいるのかもしれないし……

 

と、可能性の話を考え出すと負の方向にばかり頭が行ってしまうので一旦考えを止める。

 

私は、子供達の幸せを決め付け過ぎていたのかもしれない。

それでも、この子達に抱いている愛だけは、間違ったものではないと、そう信じたい。

 

 

その後私は皆を集め、言い方に迷ったり、言い詰まったりしつつも、なんとか思っていた事や考えていた事を説明し、子供達に自らの過ちを認め、改める事を約束した。

 

私の発言に困惑する子も居たが、疑いや安堵の表情を浮かべている子が多いように、私には見えた。実際にどう感じていたかはともかく、私に見えたその表情は、今までの私の行いへの戒めのようにも感じた。

 

 

 

翌日。私が自身の在り方を変えると言ったとはいえ、全てがすぐにガラリと変わるわけでもなく。

ひとまずこの子達の成長をはっきりと認識するところから始めようと、私達の家……いや、私もだが、それより彼らの里だ。それを、見て回る事にした。

 

 

しばらく里の中を見て回り、私は何度も驚いた。

彼らはすっかり成長し、私が今まで思っていたよりもずっと成熟し、立派な大人になっていた。

 

それに彼らは木や石を使って簡単な道具を作り木工や石工に手を出し、各々の作りたいものや必要なものを作ったり、それ以外でもこういうものがあると教えた記憶のある、今現在作れる様々な物や、私が知らないような道具すら自分なりに工夫して作り上げて使っていた。

 

彼らの成長は、私が思っていたよりも何倍何十倍と早く、まだまだ子供だと思っていた私の意識をはっきりと入れ替える後押しになる光景を見せてくれた。

 

 

これは……私の視界は相当狭くなっていたようだ。

彼らは凄い。素直にそう思う。

その成長がはっきりと認識できた瞬間だった。

 

私なんかよりもよっぽど賢く、逞しく。

ただひたすらに、その命は力強く輝いていた。




どうしよう、気が付いたらこの子過保護系束縛型の親になってた。
これ確かにキャラクター勝手に動くわ。書いてみて初めて確かにわかった。確信した。


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一回の成功はその後の反復への意欲を生み、反復はそれの習熟に繋がる。

私は面倒くさがりなので例外。


私が守らなくてもこの子達は十分に生きていけると知り、時間が有り余るようになった為、今度は自分の事を心配してみる事にした。

 

視野が狭く、頭が固くなっている事にはっきりと気付けたので、寿命の延長か実質無効化、あるいはその代わりになるものをなんとか見つけようとして、

成長と老化に伴って起こる体の変化を纏めて区分したり、

気分転換に孫たちと遊んだり、

前にも使っていた疑似クローン技術を使って各変化のサンプルを作ったり、

アイデア探しも兼ねて孫たちとお話したり、

肉体はそのクローンでいいにしても意識を含む魂の移し方がわからないから力と魂をぐねぐねと弄ってみたり、

疲れたので孫たちとお昼寝したりしていると遂に、孫に構いすぎだと怒られたので、

「教育やらなんやらと気を使わずに可愛がれるから楽なんじゃもん!」と答えたら、遂には首根っこを掴んでぽいと投げられてしまった。

やっぱり、気を抜いてこのくらい雑に扱われてる方が気が楽なのかもしれない。

 

 

特異な力の使い方をした子達の中に、水や風に流れを作り出す様に力を使った子が居た。水の流れも風の流れも本質的には同じで、常に起こっているがそれは目に見えないもの。

目に見えぬのにどうして流れがあると感じるのか。視覚的に認識できないものを知覚できるのは、触覚だけのおかげなのか?

流れを作り出し、ある程度変えられるのなら、どこまでの流れなら逆らえるのか。

 

そして、今の肉体を捨て、新しい肉体へと意識を移すということは、生き物が死に、生まれ変わる一連の流れ、……私が経験したことと同じと言えるのか?

 

わからぬのなら試せばいい。身体を複製し、密着する。そして今の肉体から複製した肉体へと、どうとは限らず流れを作る。その影響で、室内にも関わらず強く風が吹く中、脳の動きを鈍らせ、意識を落としてゆく。深く深く我が底向けて、私の意識は沈み込み……

 

覚醒する。私は……?体に違和感はない。目の前に複製した体も見える。あぁ失敗したかと起き上がり、気付く。

私はこの方向を向いていたか?

 

失敗した。体に違いはないのだから、なにか目印を付けておけばよかった。しかしおそらくこれは成功……あー、したとしておこう。楽観的に考えよう!今は特に。

少なくともこれを繰り返せば、私が寿命を迎え入れるのは、先延ばしにできそうだ。

それに、私の本来の体とも何か強い……繋がりのような物も感じる。

 

まだこの身で試す気は無いが、もしかしたら、生命のバックアップのような働きをさせられるかもしれないな。

 

ある程度結果が出て行き詰まったので、罪の精算というわけではないが、変に人間に向けてしまった偏見を均し、人間は自分を傷付けないと確認する為にも、人間達の下へ行って、数日過ごして帰って来ることにした。

 

まだ少し恐怖心はあるが少し欲しいものもあるし、人間として居れば襲われる事はあまり無いだろう。

いや、それだけでは意味がない。少しは狐として出歩かなければいけないか……?

 

まず一度人間として街へ行き、何か買い物を一つする、ためには、あー……何か適当な物を狩って行くか。それで狩られた獣には申し訳ないが運が悪かったということで。

狐としての姿で出歩いた際には、最低限数人が見ないふりをするか首をかしげるか程度の微妙な反応が得られればそれで良い。

 

準備をしよう。ほぼボロボロになっている服以外にも、何か着られる物があったはずだ。最悪なければ毛を織るか……




ご飯前にちょっとだけ寝ようとしたら気付いたらほぼ24時だった。びっくりした。


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人間は可愛い動物を見付けた時声を高くして撫でに行くけれど撫でられている動物には普段と明らかに様子の違うそんな人間はどんな風に見えているのだろうか

ものすっごい難産。
十分に成長できずにかつ逆子で首にへその緒巻き付いて2〜3時間かけてやっと生まれてきたくらい。
例え話を書きたくて無理やり書いたけどそれだけの条件が重なっていたらそれこそ赤ちゃんも母体もヤベーのでは?


肉体の更新に行き詰まり、気分転換……いや、そう、罪の精算をしようと準備をし、村を出て数日。一番近くに見えた、近付いてみれば思ったよりも大きめの人間の街へと来ていた。

 

里で余らせていた果実のいくらかを、人に聞いた適当な場所で換金し、街を見て回る事にする。

 

だが……?いや、気のせいだろうか。

 

しばらく、街を歩く。

 

やっぱり。違和感は気のせいなどではない。

 

前に人間の村で住んでいたときにはあまりわからなかったけれど、貨幣や建物の作りなど、色々な物が、私の知っている、過去の物とは少し違う?

 

ここまでの事をしておきながら何をという話だが、同じ世界の昔に来たものだと思っていたけれど、もしかして違う世界だったのか?

 

……いや、大丈夫だ、まだ大丈夫。仮にそうだとしても、特に問題はない。生前好きだった作品が無いのなら残念だが、実際にそうと決まったわけではない。

まだ、大丈夫。言葉だって通じる。

好きだった作品だって、きっと……

 

気分を落ち着かせるためにも、目に付いた露天に並ぶ商品を眺める。

 

 

 

「見ない顔だね、何が欲しいんですかい?」

 

「いえ、何かは決めてませんが、少し……」

 

「そうかい。まぁ、何か買ってくれるんならいい。好きに見ていきな。」

 

並んだ商品を眺め、

 

「……それは?」

 

隅に置かれた小さな結晶に目が行く。

 

「ああ、これですかい?これはうちの倅がついこの間拾ってきたものなんですがね、そんなもの売れやしないって言ってるのにどうしてもって言うもんで仕方なく並べてやってるんですよ。」

 

これは、水晶か何かなのでは?

 

水晶……響き……ラジオ……?成長する……いや、水が……?

 

色々な事は思い付くがともかく、その通りの事ができるとすれば、これは良い物だ。

 

「どこから拾ってきたのかも言いやしないし、そりゃあたしかにキラキラと光って綺麗かもしれないが、石なんて持っていてもこんなに小さけりゃ何にも使えや「これください。」……へ?」

 

「私には、その石が欲しいんです。この中からどれを払えば?慣れてないんです。」

 

貨幣の価値とか、本当にわからないので、持っている分をいくらか手に広げ、差し出す。

 

「そ、そうだな。これと、これを2つ貰おうか。だが、本当にいいのか?いらないって返されても困るぞ?」

 

「えぇ、大丈夫です。頼まれたって返しませんよ。」

 

「はっは!そりゃあ嬉しい。」

 

「良い物が手に入りました。ありがとうございます?」

 

「いやいや、こっちこそ、俺にとっちゃあただの売れ残りだが、買ってくれてありがとうな」

 

気まぐれに訪れた人間の街で、思わぬ収穫を得られた。

 

 

森の側で夜を過ごし翌日、狐の姿で街を歩き回ってみた。

 

高い声で話しかけられまくったし、めっちゃ撫でられまくった。

 

何故???

心に困惑と苛立ちを残し、感じていた恐怖感がまた別の恐怖感に変わった私は、来たときと大体同じ場所を通り、帰った。




ちなみにこの話、最初は同じ世界にーって考えてたんですけど、それをやると私怨で何人もの人や国が消しかねないので途中でよく似た世界、いわゆるパラレルワールド?に切り替えました。

道中で狩ってきた猪を→里で余らせていた果実のいくらかをに変更しました。


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ヤケになって行動すると、時折大きな得をすることがある。代償はメンタル。

勢いで書いた。反省と後悔は多分今のテンションだとまともに考えられない。


人間の村で水晶を買ってきた私は、余った貨幣を子達に人間の貨幣だと言って渡し、買ってきた水晶での実験を始める。

 

まず前提として、水晶は成長するとよくいう。だが実際のところ生物のようにそれ単体が他の物を取り込み、変換して大きくなるのではなくて、基本は鉱物として、周りの水に溶け込んだ特定の成分(この場合は珪素だったか?)の塊が時間をかけて形成された場合大きくなるという事だった筈だがそんな事は一旦無視する!

水晶はいくら水に浸けていても成長しない。野菜とは違うのだ。

 

水晶を増やすために、骨などを分離形成したときと同じように無理やりな方法で固めていく。幸いにも材料は周囲にあるし、原子構造なんて覚えていないが、現物がある以上十分と言える。

 

そうしてなんとか大きく成長させ、大きな水晶柱を作る。

 

……作ったは良いものの、どうしようか、これは。

 

とりあえず、私の本体、つい先日まで動かしていた、私が生まれ育った体を包むようにし、クリスタルのようにしておいた。

細い穴を一本開け、その穴に体から伸ばした根を通して外に出す。根を埋め、ある程度まで成長させ、クリスタル全体を木で覆い一本の木として違和感がないよう整え、完成!

 

……私は何を作ったんだろうな?

私を木?なんだそれは。

私も木?……せやな。

私の木?それじゃあ私の育てている木みたいだ。

私が木?……せやな。

 

……まあいい、何か取り返しのつかない事をしたわけでもあるまい。たまにある、無性に〇〇がしたいという類の衝動は収まったし、良い物を作ったということにしておこう。

 

 

何か良い反応を返してもらえるかといつも何人かの子らが集まって何かしらをしているところに行き、「私を植えてきた!」と言うと、暫くの沈黙の後、「えっと、はぁ、そうですか……」と、微妙な反応しか帰ってこなかった。さては理解が追いついてないな???

……ああいや、そういえばこの子達は前にも私が私を植えている……というか、木へと転じさせたものを見ているか。

 

思い返してみるとトラウマものだな??

いくつもの獣がそのまま埋め込まれたようにも見え、その顔にはしっかりと目がはまっているんだから、多分常に睨んでくる木とか言われてそう。どこの魔女の木だよって話である。

 

そしてその後再び家に帰って来ても謎のテンションは続き、やっと寝て起きた時に恐ろしい事に気付いた。

 

そこら辺の石やらから水晶作れるのなら金属でそれができてもおかしくないじゃないか……!

 

かなり前に人間の村で貰ってから何気にずっと手放さずに持っている小刀を参考に、なんの金属かはいまいちよくわからないが、金属と金属加工の方法を手に入れる事に成功した。

手に入れていたのに、気付かなかっただけというのは言ってはいけない。言ってはいけない!!!




さてはわたし、主人公以上に適当だな???
(投稿直後の最編集祭りごめんなさい)

正直読みやすさとか内容とか何も考えずに書いた話である。おかげで主人公ちゃんもいきあたりばったり。

ここからしばらく何するか考えてないんですよね、何人か人間に化けれる子達巣立ちというか独り立ちというかをさせたあとどうしよう。結構後なら考えてあるんだけど。
細かい話は思いついた時に番外編書くとして、また何年か飛ばそうかな?


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ただ一時の別れ。

評価バーに色がついていました!自分の作品で初めて見たし、その時めっちゃ嬉しかったです!ありがとうございます!


寒さが引き、比較的暖かくなりつつあったとある日、数人の子供達がもうすぐこの里を出て外に行きやりたいことがあると私に告げた。

私が返した返答は、

 

「そうかぁ、遂に行っちゃうかぁ。ま、見たい物見て、やりたい事やって、そのまま外で誰か相手を見つけて、まあ見つけなくてもだけど、どこかに定住してもいいしね……」

 

あの時今後の自身の行いを約束した私としては、流石に認めるしかないし、それに……

 

「あなた達にはここは狭すぎたのかもしれないね……でもまあ、そんな狭さが恋しくなったらいつでも帰っておいで。」

 

この子達なら、きっと大丈夫だと。今の私には、そうはっきりと信じる事ができた。

 

「じゃあ、行く前には皆にも一応挨拶してきなさい。もしかしたら外に行く人数が一人二人増えるか減るかするかもしれない気がするけど……まぁ、そこら辺は見ないことにしておくさ。」

 

挨拶をしてきたら、望む子達は人の村までなら連れて行こう。

丁度欲しいものもあったし。そう、偶然タイミングがよかっただけだ。

 

 

 

数日後、今回は人手もあるので、山で採り里でも余らせていた木の実や穀物類も少し多めに持ってきて換金し、子供達に持たせた。完璧に人の姿を模せるとはいえ、あなた達は人間としての常識はほぼ持っていないに等しいからね、気を付けなさい。そう言って最後かもしれない挨拶をし、子達と別れた。きっとまた会える。だからわざわざ思いを全部伝える必要はない。また会ったときに、少しづつ伝えればいい。

 

その後の私は……そう、何か、穀物か野菜、できれば果物もだが、里に無いものを探していくつか買って帰ることにした。

できれば種がほしいが、無かったらまぁ仕方ないと。

 

 

 

穀物も野菜も果物も手に入れる事は可能だったが、

貴重な商売道具の種を売ってくれる訳がなかった。

 

仕方がないので穀物類は買い、野菜や果物はいくつか以外は手に取って確認するフリをしつつ繊維を少し採取し、多少出来は悪くなるかもしれないがそこから増やす事を可能として帰り、なんとか全てを栽培できるように復元し、それぞれ相応しいであろう場所に、なければ作り、植えておいた。なおそこから無事に育つかは別なので、育たなかったら諦めるしかない。

 

ところでいくつか、少し多めに買ってきたものがある。

 

一部の穀物類だ。

 

お酒が飲みたくなってしまったので、なんとか作れないか、と買ってきた。しかし私の考えは、すぐに大きな壁に阻まれる事になる。

 

「お酒って、どうやって作るんじゃ……」

 

そう!酒を飲みたいが為にわざわざ多めに穀物類を買ってきたにも関わらず、その作り方を知らなかった!なんとも本末転倒な話である。

 

仕方ない、時を待つか……買ってきたやつは食べよう、うん。




眠気がひどいので読みやすいかとかのチェックは起きたあとにします。


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人間、暇を持て余すとひたすら同じ事をするか奇行に走るか遠くへ行きたがる。例外は多分大いにある。

迷走回。何が迷走してるって私もだけどそのせいで主人公ちゃんも瞑想してる。
めっちゃ長くなりました。


お酒に関してもそうなのだが、この辺りの村で使われている道具類は構造的には人力や水力辺りまでだし、この里の発展を願うならいずれ遠くに行って道具を手に入れるなりしないといけない。(あるいは自分で作るかだけど構造とかわからんし)なので、そのいずれ、遠くに行こうと思うことがあった時の為に、船か何かを作ることにしたのだが……

ちなみに、人の村に無いことは確認済みである。あの辺りには大きな川も湖も無いし仕方ない事だが残念だ。

 

笹舟を参考に木を削り小さな船を組んではバランスが悪く傾き、作りが甘く浸水し、上手くいったかと思えば小石を放り込んだだけで沈みと、失敗に失敗を重ねつつも小さく作って上手くいけば少し大きく作り失敗を重ね、また上手くいけば大きくしと徐々に大きく作ったのだが、ある一定の大きさから、どうしても上手く行かないようになってしまった。

 

正直勢いで挑戦した船作りだが、思ったより熱中でき、私の中では良い物が作れたように思える。

しかしこれでは、そこらの川や湖に浮かべるだけなら十分だが、小さすぎて海は渡れそうもない。

 

孫達の遊び場と化した、失敗作達と少しの小さな成功例達置き場に腰掛け、笹舟の作り方を教えつつ考える。

 

やはり、人間達が船を作るまで待つしか、選択肢はないのか?

人間達は不思議な事に、何かしらを作ったと思ったらすぐに魔改造し、気付けば簡単に作れて使いやすいものが市場に出回っている。それは頭の回転故か、あるいは数の力なのか……

 

船なんてここではそれほど必要性のない、半ば趣味に近いもので子達に頼るのは気が引けるし、やっぱり別の事に意欲を向けた方がいいのか?

 

……そうじゃな、別に今ここ危険じゃないし、もう少し暖かい方に行って、何か珍しいものがないか見てこよう。

 

そうなったら準備じゃ準備、最初の方、笹舟を参考にすることを思い付く前に作った荷台みたいなのがあったはずじゃ、あれの下に板付けてソリみたいにして余った水晶持ってこう。ついでに一つ紐で繋いで首から下げておく。

パワーストーンの概念は通用するかのぅ?

……一応、ビンの形にしたものとかも持っていこう。削ったって言えばいけるいける。

 

人の村に来て、過去に水晶を買った物売りを探す……あ、同じところに居た。

 

「どうも、お久しぶりですね。今日は良い話を持ってきました。」

 

「ん?あぁ!石を買ってってくれた変な嬢ちゃん!」

 

変なって……

 

「良い話を持ってきたんですが、変ななんて言われるのなら教えませんよ?」

 

「そりゃあすまん!で……良い話ぃ?まあ何か面白い話なのなら聞かせて貰おう。」

面白い話ならって……まぁ、商売人としてなら面白いかもしれないか?

 

「前に貰った石あるじゃないですか、あの後あれが沢山ある場所を見つけまして、あれも合わせて折角なのでちょっと磨いてみたんですよ、そしたらほら、見てください」

 

首に下げた水晶を見せる

 

「ね?綺麗でしょう?こんなにキラキラと透き通って光を通しているんです。何か良い事がありそうに思えません?」

 

「確かにキラキラと透き通って見栄えはするな。でも、なんの役にたつんだ?」

 

この人なら綺麗なだけでは頷かないと思った。珍しいものを珍しいというだけでなく売るならそのくらいでないと。

 

「なので、中をくり抜いて物を入れられるようにしてみました!これなら普段見えない底の方まで見えるだけでなく、見た目も良くて良いでしょう?」

 

「まあ、底の方が見えるのは良いかもしれんが、それなら内側はどうなんだ?見えないだろう?」

 

お、どうやら話には乗ってくれるみたいだ。

聞かれたほうが説明しやすいし、ここは感謝だな。

 

「それはもう入れるものを調整していただいて。」

 

「それに、そんなものを売ったら壷や甕を売ってる奴らに目ぇ付けられちまうだろう?」

 

む、確かに壷とビンとじゃ役割が被るかもしれない……

 

「たしかにそうですね。ですが!これにはそれらには無い決定的な欠点があります!」

 

「欠点があるものを売ろうとすんなよ……」

 

それはたしかにそう。呆れた顔をされても仕方ない。

 

「これを使うと、中に入れたものに陽の光が当たると熱くなっちゃうんですよ。」

 

「なるほど、中が見えるという利点が故の欠点か。なるほど確かに面白い。で?嬢ちゃんはそんな中が見える壺を持ってきて、売る場所を借りたいと?」

 

「と言うよりは、代わりに売っていただけないかと。」

 

「つまり俺は、自分の店をやりつつ嬢ちゃんの代わりに店番もしなきゃならないわけだ。それだけなら俺はいつもより働かなくちゃならねぇが、特に得られるものはないわけだ?」

 

む、そう受け取られるのか

 

「いえ、これらが売れたらその資金のうちから何割かを言い値で支払おうかと。」

 

「つまり、俺はそれを売る為に頑張らなきゃいけねぇのに一つも売れなかったら何も無し、と。ほぼ博打みてぇなもんじゃねぇか……」

 

むぅ……これは厳しいか?

 

「なら、その中で気に入ったものをいくつか差し上げても「いいよ、負けた!」……へ?」

 

「仕方ねぇ、今回だけ、代わりに売ってやろう。嬢ちゃんの根気に負けてやる。それとな、嬢ちゃん。言い値はやめときな。俺がそれで十割って言やぁ嬢ちゃんの儲けはなしだぜ?」

 

いまいち何を売ってるのか知らないけど物売りのおっちゃん……!

 

「で、いくらで売るんだい?この際前売ったときに返品は無しって言ったのも一旦無視してやる。」

 

「あー……値段、値段ですか……」

 

「……おい嬢ちゃん、まさかだが」

 

ヤッベ……勢いで行動しすぎたかぁ……

 

「完っ全に忘れてましたねー!」

 

「ハァ……まあ、特に決めてないんなら、こっちで適当に決めといてやるよ。見た目を見て、使い方を聞いて値を決めるってんならいつもやってる事だ。いつもは元値も考えなきゃいけねぇが。」




考えていた本筋に戻るまでは多分どんどん遅れていきます。
元々考えてた本筋がこれを文章にするにあたって途中の道がなくなったから仕方ない。


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不幸は重なるもの。小さな不幸だと特に。

評価バーがオレンジになってました!ありがとうございます!

なんとか仕上げた。ここからどうしようか。この世界じゃないって事で人間の文化の推移も考えなきゃいけなくなった。


あの後水晶のビンは完売はしなかったもののまあまあ売れたので、その分のお金を持って温かい方へと来た。ちなみにあの人は息子さんが遠くに行って買ってきたものを大体あそこで売っているそうだ。

今回はその息子さんが物を買いに行くのにこっそり乗せてもらってこの辺りまで来た。小動物一匹乗ってる位じゃあ案外気付かれなかった。

 

辿り着いた人間の大きな街で食料を補充しつつ情報を集め、何日か歩いて辿り着いたのがこの海!

……これ海?向こうに対岸見えてない?確かにまあまあ大きな島もあるけど……

これ湖じゃ……いやまぁ、うみは、うみか。

 

丁度良い。作り方も覚えてるし、材料の木もまぁ、種類は違うが一応ある。この前作った船をもう一度作って島へ渡ってみよう。なんぞ見つかるかもしれん。

 

……一応、泳げるようにはしておいた方が良いか?

 

 

 

なんとも言えない作り辛さを感じつつ仕上げた船に乗り、なんとか岸まで着いたものの、船はもう水浸しになってしまった……

どこか作り間違えたか?とりあえず裏返して水を抜き乾かしておこう。何日か経てばまた乗れるようになるかもしれん。

 

それに、すぐに帰りたければ船を作り直せば帰ることもできるが……どうせならここで何かしてから帰った方が面白い。ひとまずこの島を軽く見て回り、面白いものが無いか探す。

 

 

時折目に付いたものに気を惹かれつつも島の外周をできる限り見て回った結果、人が居たであろう形跡はあった。

だが、今現在住んではいないようで、時折聞こえる水の音や風に吹かれた木の囁き、鳥や獣の鳴き声か何かであろう物音以外は特段音もせず、今の私にとっては心地よさもだが寂しさも感じる。

住む土地なら湖の周りにもいくらでもあるし、特にこだわりがなければ、物の手に入れやすさの事を考えても外に住んだほうがいいか。

おそらく、過去に一応島を見に来たか、何かを取りに来たか程度だったのだろうか?

 

まあ、今現在誰も住んでいないなら住んでも構わないだろうと、島の中程、小さな崖のようになっている部分に少し穴を彫り、周りの木を少し伸ばして支えを作り、雨避けを作り、そこを拠点として切り倒した木を割り削り、少し平地になった場所に少し大きめの小屋を作る。

 

製材や小屋を組むのは苦手だが、多少雑でもやっぱり床が木でできているというのはやはり安心する。

 

数日後の夜、なんとか組み上げた小屋の床に寝転がり、空を見上げる。

 

「こうして、自然の光だけに包まれながら眠りにつくのも幸せなものなのかのぅ……なんて。」

 

この世界がこの先どうなるにしろ、星の光はいつどこでだって綺麗だ。たとえそれが人の光に負け、殆どが見えなくなっても、この景色への感動は変わらないだろう。

 

翌日、島の散策をしていると、人間達が建てたであろう物置小屋を発見する。中の物はもうすでに持って帰ったのか、何も残ってはいなかったものの、雨は十分に凌げそうだし、掃除など少し手を入れれば体が小さな私なら問題なく住むことのできそうな物だった。

 

……いや、まあ、私の体を大きくすればここには住めないし。獣人になってみたいとか言いつつ結局最初に安定したやつでずっと満足してたから、それ以上で安定する値を探したかったし。それに、丁度もう少し大きくもなりたかったし。




獣人って段階的にいくらかあるのがややこしいところ。今居る90%ケモの子達以外にどれとどれとを出そうか?

うらばなし

これ最初は完全記憶能力持ち不老不死ふたなり自己妊娠系始祖ロリババアだったんですけど、完全記憶能力持ちだと嫌な事も忘れられないの嫌だなって思って半が付いたり、不老不死だと消滅はするなって事で不老不滅になったり、始祖ロリババアって言っても人間の始祖ってだけじゃなんかつまらないしキャラとしても薄いなって思ったんで獣人になったりして、

最終的にそこに置いてあるメモには完全記憶操作持ち不老不死不滅ふたなり自己妊娠系美狐獣人始祖ロリババアになりたいって書いてあります。

……増えてね?あれ、さっきまで見てたメモには半完全記憶能力持ち不老不滅ふたなり自己妊娠系狐獣人始祖ロリババアって書いてあったはずなのに。ちなみに狐なのは元々好きだったのとノリで決めました。確か。もしくはその時ちょうど読んでた作品とかの影響か。


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夢中になると特定の行為に対する技量というか熟練度というかが上がるが、代償に健康を持っていかれる。

そういえば今まで毎日投稿だったんだなって気付いてなんとか書き上げました。


前回身体を作り変えた際の基準は一番最初に安定したものだったので、今回は少し目標を決めて考えていく。

 

当然、何かに特化した身体を作ろうとすれば、不具合も生まれる。どうしても筋肉や骨などを綺麗に収めきる事ができなかったり、食事などからのエネルギー摂取量と生命維持でのエネルギー消費量が釣り合わなかったり。エネルギーに関しては私一人だけなら問題は無いが、その……前回のような事があった場合に困るので、しっかりバランスは合わせておく。

こういうのは運動をしなければ少し摂取エネルギーが多くなる位が丁度いい。

 

 

 

一旦元の姿に戻り、自らが思い描く姿へと体を作り変える。

より大きく、より力強く、より素早く動く事を可能にする。

その腕は力強く、指も発達し、脚は走り、跳ぶ事に特化した形へとなっていく。その体はすこし前傾姿勢に、胴も大きく、凹凸がわかりやすいものへと……

 

「なる、はずなんだけどなぁ……?」

 

腕や脚は概ね設計通りだが、胴が微妙に筋肉が足りないように感じる。

 

計算というか設計はしっかりやったけど、変換自体をちょっと適当にやりすぎたか?

 

幸いにも動き辛さは感じないのでひとまずこのままで満足しておくことにしよう。

 

新しい体のコンセプトは筋力とか含む体力特化!

なので、十分な量の食事と水分補給をした上で島の比較的平地な場所まで降り、走り回ってみよう。

 

 

 

どうしようか。初めて走るのが楽しいと感じた。

走り始めた直後は、確かに速いけど脚の動かし方がいまいちわからなかったが、ずっと走っているうちに少しずつ慣れたのか、あるいは体が走り方を理解したのか、日が暮れてくるまでひたすらに走り回ってしまった。

正直はしゃぎすぎたと自覚しているし、体温を冷ますついでに休憩中だが、物凄く喉が乾き水から離れられない。

 

これは……必要時以外は極力走らないようにしたほうがいいのだろうか。あるいは、普段から走って限度を見極めた方が?

 

おそらく致命的な外的が居らず安全なこの島にいるうちに、一度限界まで走ってみるのも良いのかもしれない。

 

でも、そのあたりの判断は未来の自分に任せ、疲労のままに眠りにつく。

 

 

翌日、まあ案の定というか当然のように筋肉痛になり、体が動かし辛い事を理由にひたすら小屋でゴロゴロとして過ごす。

 

この体の欠点が一つあり、横向きに寝る事は違和感なくできるけれど、仰向けに寝転がると尻尾が気になり、うつ伏せに寝転がるには脚などが気になりと、あの圧倒的な脚力の代償にしてはまだ良心的にも感じられるものにも思える。

 

数週後

訂正する。睡眠の際の姿勢に関して制限されるというのは個人の好みの問題もあるだろうが、微量のストレスが貯まる。

仮説、これは幼い頃から寝転がる際の姿勢を特定のものに制限するということで、慣れという方法で解決できる。

つまり、私には実践できないということである。




これからは毎回のようにもうそろそろ次の更新は遅くなるかもと言っていかないとかもしれないと予防線を張っておきたいです。


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欲のままに動くくらいが丁度いい。

ちょっと口調変になってるけど書きやすかったからヨシッ!


欲に負けた。そう、あー、知識欲に。

一応、慣れでストレスを感じなくなるのかというわかりきっているような疑問に負けたという言い訳はできるので事実ではある。

 

前回は多産とはいえ私も一回で産む数が少なく、最終的にひどい見た目の手で何度も繰り返したが、今回は最初から見た目を無視した調整をして一回で二桁は産んだ。

前回とは違って途中の体の負担自体は体自体の大きさや頑丈さの差と慣れもあって、子達の体の大きさと数以外は特に辛くはなかった。

けれど、この子達の場合本当に大変だったのは、ある程度運動機能が発達し、好き勝手に走り回り始めた頃でした。

 

その頃の私は、前回の子達よりも遥かに高い身体能力でもってそこら中を駆け回り跳ね回る子達を見て、いつ怪我するかヒヤヒヤして気が気じゃなかったです。

一回間に合わなくてまあまあ高い木から落ちてしまった子が特に怪我もなく大笑いしていたのを見てからはもう、遠くに行きすぎないように注意してた以外は動かずに見てましたけど。

今思うとあの時の私、所謂死んだ目になってたんじゃないのかなって思うんですよ。というか多分なってました。

 

あ、ちなみに寝る時の体勢に関してはこの子達も寝てる時とか特にしんどそうにはしていないですし、予想通りだと思っていいんじゃないでしょうか。

 

ちなみに今の私は、子達に簡単な狩りを教えてる途中です。

なんであの子達はあんな高さを飛んでいる鳥を捕まえられるんですかね。

一応果実類や植えておいた穀物類などは教えておきましたけど、この子達なら多分各々で獲物を狩った方が早いんじゃないですかね。一応火を通すのは徹底させますけど。

病気や寄生虫ほど怖いものはない。

 

 

 

魚や鳥を狩って無双している子達に、今取りすぎるとすぐに食べるものがなくなるぞと忠告して少し増築した小屋に帰り、食事を取り、狩りや食事で汚れた子供達を丸々洗い、なんとか寝かせてやっと私も眠りにつきます。

この子達と居ると寂しさは感じませんし毎日が楽しいといえば楽しいですけど、体力は相当な量求められるものです。精神面に関して言えばもう慣れで対処するしかないですが。

 

星を見つつ思い出す。最初にこの島に来たときは、ワクワクとして期待感はあったけれども、長く住んでいた里や、そこに住む子達と離れてどこか寂しさを感じていた。

 

それが今では、元気に走り跳ね回る子供達に囲まれて、寂しさを感じる暇もない。

 

しばらく帰って来ないかもとは伝えたが、里の子達はどうしているだろうか?

あの子達ならもう大丈夫だとは思うが、少なくともこの子達の子の顔を見るまでは里に帰る気は無い。

 

私は薄情なのだろうか?

この感情は、良い物なのだろうか?




前回投稿してから書き始めてさっき書き終えて上げられたあたり、この辺は元の道筋の物らしい。


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水中って楽ではあるけど苦でもあるよね。

タイトルは迷走気味。最初につけようとした「アイエエエ」よりはマシ。
多少雑になっていても、書きたいように書いて投稿することにした。元々自分の為に書いているということを忘れていた。


私の行動の良し悪しはひとまず置いておいて、今日もこの子達に私の知っている限りを大雑把にでも教えていく。

 

相変わらず発音が少し苦手なような言葉をある程度覚えた頃、言葉の由来を教えておく。この言葉は元々人間という生き物が使っていたものだということを。

 

加えて、対岸にその人間という存在が住んでいるということと、人間の危なさとずる賢さを教えておく。そう何度も襲撃を受けるわけにはいかないのである。

 

 

対岸へは……まぁ、この子達が成熟するまでには何か考えないと。毎度沈みかけつつ湖を渡る訳にはいかない。

 

 

力の使い方についても教えたが、どうにもこの子達は力を意識的に使うことには向いていないのか、感覚的なことは説明して理解はできても実践自体はあまりはっきりとはできないみたいで、何かが目に見えて変化するという事はなかった。

なので、ひとまず最低限だけ教えて後はそのうちの課題にする。

 

私は一応使えてるから体の仕組み的には使えるはずなのだが……?

 

 

この子達に体を動かすタイプの遊びを教えたら恐ろしいことになった。鬼ごっこをさせれば縦横無尽に駆け回り跳ね回り飛び回るし、かくれんぼをさせれば隠れる側は私が見つけられないほど隠れるのが上手く音も匂いも一切しなくなったのに見つける側は簡単に見つけるし、やっぱり何かしらはやってない???

 

 

調べると、無意識的に体の維持や強化に回しているようだった

道理であんな速度で走り回ったり跳躍力で跳んだりできるわけだ。音が消えたように感じたのも、同じく無意識的にやっていたようだった。なんとも使っているとわかりにくいのに地味に強力な力である。

 

ともかく、そこまでできるなら話は早い。この子達には泳ぎを覚えさせたほうが早そうだ。

そう考えて軽く教えたらすぐにものにして、視界に入る限りに上がる水飛沫。これは、確かに私が悪い。ひとまずこのまま遊ばせておいて、明日になったら静かに泳ぐことを覚えさせよう。

何人か水の上に立っているような気もするが、きっと気の所為だ。私はあれを認識しないぞ。

 

 

翌日、静かにやらせたらやらせたで、今度は自分たちで考えてかくれんぼを始めた。その関連付けというか連想から遊びにできるのはいいのだが、今度は私がどこに居るのか見つけられなくなった。一応危なくなったらすぐに知らせるように、それとこの辺りから離れないように、それから探す役の子には誰か居なくなったらすぐに言えと言っているが、特に慌てた様子もないようなので、大丈夫なのだろう。

 

あの子達、水の中でさえこうも簡単に視界から姿を消すのか……これは、念の為戻って来たときにもう一度調べないと。




今更ながらですが、感想や誤字報告、評価、お気に入りなどありがとうございます。


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バランス

儂あれやりたい!お主らが、「おばあちゃんがこれやってるの見たい」って言ってるところに、これはちょっと……とか、採用、これやろう。とか言うやつ!
って言ってる主人公ちゃんが頭に浮かびました。
関係ないですけど主人公ちゃんって呼び名はどうなのかって感じつつも今の私には名前を決める気も名前の案も一切ないのでしばらくは主人公ちゃんかおばあちゃんのままです。多分最後の方までには決めてると思いますよ、うん。


結局あのあと何が起こっていたのかを調べて、隠れている途中に無意識に毛の色を変化させていた事を知って驚きつつも、結果的に毛色の変化を簡単にする術を教えてくれた事に感謝し、約数週後。

 

一部の子供達が落ち着きを得てきた頃に、私の体の再調整をした。筋肉や頑丈さを少し抑えて、おそらく意識的に力を使いやすいであろうようにする。その上で今回は複製した体を中心として、持ってきておいた水晶を材料に大きなビーカーのような物を作り、その中で胎児を成長させる。

体内での成長中の様子を観察しつつ、もう少し手を加えたいとなったら手を加えと、正直途中で罪悪感を何度も感じたが、はっきり言って物凄い楽なので、よっぽどでなければこれからも使いたい。

 

そうして無事に生まれた子供達を見て、ビーカーの中に居たのを見ていたのもあって、このままだと完全に自分の子と認識できなくなりそうだと怖くなったので、食事だけでも自身の体を使って与えた。

 

想定通りというべきか幸いにもというべきか、新しく生まれた子供達はそこまで恐ろしい運動能力は持っていなかったので、大きい子達の協力もあって、前回よりも育てるのは遥かに楽だった。

ふと悪戯心が湧いて、育てるのに協力してくれている子達にそういう、前回との差について言ってみたら謝られるか苦笑されるかだったので、少し申し訳なく感じつつそれはそれで楽しかったと言っておいた。

実際、楽さと楽しさは同じ字を使っているくせに、必ずしも両立しえない言葉なのがややこしい。

そのため、楽を楽しいとはき違えないようにも、定期的に何か新しいことに挑戦するなり、どこか遠くに行くなりはしないといけない。

でなければ、特に私のような寿命というものに縛られないような者は、いつか腐ってしまいそうで。体ではなく、心が、魂が腐ってしまいそうで!……まあ、怖い、ということだ。

 

だからといって忙しすぎると今度は心が枯れてしまうので、そんなときは思い切って一日中何もしないで生きる事で、心に水やりをして、程よい忙しさで生きる。

 

程よい忙しさで生きる。

ふむ……これ儂が自伝出すときのタイトルにしよ。

 

ではなく!

えと……ああ、そうそう。しばらくそうやって育て、相変わらず微妙に違和感のする発音にもやっとなったり、大方想定通りの運動能力と力の制御を見て、自身の調整が上手く行った事を確信し少し嬉しくなったりと色々ありつつも子供達全員が成熟した頃。

不意に気になったのが、島にいるこの子達同士や、里に残してきたあの子達との間に子供ができたらどうなるのか。

戦々恐々としつつも子達を育て、相変わらず人間と比べて遥かに早い成熟を迎えてしばらくした頃に、調整前の子達の子供の中でも早熟な子と、後の大人びた子との間にその子は現れた。




書きたいものを書く。いい言葉。

キャラクターに関わらず、これ儂の〇〇にしよー。とかって言ってるの良いよね。なんかかわいい。


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子供は可能性の塊って言うし、可能性の種を潰さなければ多様性は生まれないとも言う。本当に?

タイトルがタイトルじゃなくて謎ポエムと化してるけどまぁかな数文字で満足するよりは満足感高いしいいかって思う。


可能性の子が育ち、その子の親のお腹が大きくなってきた頃。この子が寝ている間に、お腹の中の子の筋肉量や大まかにしかわからないが力の量などを測ってみたが、案外にも驚くほどの多さはない。

もちろん、そこらの人間と比べたら明らかに多いと言える量ではあるが、それでもまだ筋力特化の子達の方が力がある。

これは、あまり心配する必要はないのか?

 

ひとまず、起こさないうちに早く放れよう。考えるのはどこでもできる。

 

 

数日後。

私も少し手伝いつつ、ついにその子は誕生した。

産んだ子にも不調はなく、生まれた子にも目立った不調はない。

無事に産まれてよかった。これから何かが起きる可能性はもちろんあるが、ひとまず安心できた。

 

 

運動能力特化の子と力の操作もまあまあ得意な子との間の子。

ひとまず安定はしているが、この先どうなるかがわからない子なので、何かあったときの為に、何もないようにするためにも、私も側で少し手伝いをする。

この子が明らかに異常な能力を出したら、あるいは体に不調が出たら。その時は、この子達だけではなく里の子達、独り立ちした子達も探し出して、再調整せねば。

どうすれば防げるかなんてわからないが、それでもやるに越した事は無い。

子らの間に生まれた子が、必ず健全な体を持って生まれられないようではいけない。圧倒的な力を持って生まれるようでは、私が世界に生み出してしまった罅が少しずつ広がってしまうことになる。それではいけない。

 

ひとまず、近くでの観察を続けよう。

 

 

数週間後。その子もある程度育ち、親から狩りや遊びを教わっている。

はっきりと言って何が起こるかわからず怖かったので警戒しつつ見ていたが……その子の運動能力は、実際目にしてみるとそこまででもなかった。

何がどう影響してこうなったのか。

足して2で割ったとしてもこうはなるまい。

一体何が影響してこんな結果になった?

また、考えなければ。

 

 

ひたすら考えて、ひたすら実験して、おそらく数ヶ月は経った頃、やっとわかった。

私達に限らず生命あるものには、許容値のようなものが本質的に備わっており、私のようなやり方ですら引き上げはできてもいずれは均されるし、それ以外ではほぼ絶対にそれを越える事はできないだろう。

 

一応私の体でも尻尾の筋肉量を明らかに過剰にしたりと実験してみたが、一日二日ならともかく、約一週間経つと、骨や皮膚、毛など以外は殆どが元に戻った。

それらが多くても邪魔だから元に戻したが。

 

仕組みはどうあれ、ある日突然破裂するだとか、圧倒的な力を持って生まれて好き放題するだとかはなさそうでよかった。




だろうって打とうとするとほぼ絶対にだりうになる。機械って難しい。


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紛れる

迷走中。多分島を出たらマシになる?逆かも。


あれからしばらく経った。

まだ小さい子も少し居るが、これ以上増える事はあっても減る可能性は少ないだろうと判断して、皆を集める。

 

この子達に対して今まで島の外に出る事を許可していなかったのは、この子達が自分で人の姿を模す事を得意としていなかったからだが、この子達自身のおかげで良いヒントを得られた。

 

人は異質なものを忌み嫌い、排斥する。ならばの世に溶け込み、異質と思われなければいい。言わばかくれんぼだ。

 

子供達に人間の姿やルールを覚えさせ、至って普通の人と誤認させる術を教えこむ。簡単だ、今までにも何回もやってきたそれを、少し難しくしただけだ。探す相手の中に紛れ込むのは少し難しいなんてものではないかもしれないが、相手は隠れている事も、隠れているのがどんな存在かも知らない。そんな人間達相手なら、この子達は当然のように隠れ切って見せるだろう。

ないとは思うがもしできなかったら……まぁ、何か策を考えよう。時間なら沢山ある。

 

 

 

結果的に大体の子は予想通り……まぁ、普段から私には見つけられていないからわかりにくいが、何も居ない、ではなく、何かは居るが危険のあるものではない。慣れ親しんだ気配がする。というような感覚がするように感じるので、まあ良しとしよう。あとは視覚的に気付かれる可能性だが、それは、まあ、実際に試してみないことにはなにも言えない。一旦保留かな。

 

ちなみに、そこまでできていれば大丈夫だろうと告げた途端に、子供達の気配が一気に現れて、体も大きいこともあってか物凄く強い威圧感に驚いて転げそうになった。

 

……まあ、この子達の設計的には頼もしそうに感じて丁度いいだろう。

 

 

そういえば私がやってばかりで教えていなかった火についても教えておいた。付け方から危なさ、使い道、どういう仕組みであるかも。

一部の子供達が、私が教えなくても使っていた事に関してはまぁ……見なかった事にしておこう。後戻りのできない事でなければ基本的には放っておきたい。

私は、最低限命に保証がある限りは行動や意思を縛りたくはない。

それに、火は便利だが理解はし難い物だから、一から十まで自分で覚えられる分には文句は無い。火の熱さや付け難さなんかは、実際に経験しなければ知識としては持ち得ても、経験としては持ち得ないものだからな。

火を付ける事自体は、里の子達のおかげで楽に出来るようになっているが……まあ、力を使わず自らの手で付けられるようになっておけば、万が一力が使えなくなったとしても問題は……まあ、無いとしておこう。うん。



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親だからといって子の全てを知り尽くした気になってはいけない。

なんとか書いた。


子供達に島から出る事を許可するとはいえ、本当に溶け込めるか確認するためにも一度は岸にわたらなければいけない。

となると、泳いでいくには私では体力が足りないので、島に来たときに乾かないかとひっくり返して以来存在を忘れていた船を見に来た。

だが、どこからか水が滲み出し、段々と沈みかけていたような状態で放置したためか、向こう岸まで渡るためには到底使えそうになかった。

船を再び作るにも、また向こう岸につくまで保たせる自身は無いし、ましてや今度は最低でも二人は乗る必要がある。しかも、もう一人は私より圧倒的に大きな体だ。これでは、橋を作った方が早いまである。

考えが行き詰まり、いい案が浮かばなくなってきたので、戯れに、子達にいい案は無いかと聞いてみると、特に脚の力が強い子達が、島から岸を向いて思い切り跳ねて距離を稼ぎ、途中からは泳いでといった方法で今までに何回も向こう岸まで行っていたことに、どちらかというとその行動に今まで全く気付けなかった事に驚いた。

次の日、まだ日が登り切っていない頃にその子達のうちの一人に捕まり、その子を連れて湖の近くの小さな街にでかけた。

視覚的に明らかに認識されていても異物と判断されないという明らかに奇妙な光景を目にし、我が子ながらこの子達は何なんだと頭を痛くしつつも、子達が比較的安全に暮らしていけそうだということに安堵を覚えた。

 

子達のいくらかがこの島を出て行って数週間後、おそらく一月は超えた頃。私がこの島でやりたい事の大半をやり尽くしたと判断し、数日間子供達だけでやっていけそうかを見て判断した後、この島を離れ、いくつかの村を経由しつつ、人間達が作った大きめの街へとたどり着いた。

 

この街についてもまず、ここよりも大きな村や街をがある場所を知っているかと聞いたところ、私が望んでいるような場所は誰も知らなかったので、情報が入って来るまで街の外れの辺りに家を建てて適当に人間達の相談に乗ったり知恵を貸したり怪我を診たりしつつ待つ事にした。

 

時折訪ねてくる人間達にとっては家にある家具や道具類は周りにとっては明らかに異質な見た目をしているだろうが、故郷ではこれが普通だったと言い張り、真似をするのは構わないが、壊したり傷付けたりはしないようにと言っておいた。

見た目からくる異質さもあって、しばらくは過剰なまでには訪ねては来ないだろう。

なんとか、困った事があれば相談したら解決策をくれる物知りな異人ポジション、を維持することは(おそらく)できているが、だからといってあまり頻繁に訪ねてこられても困るのである。

 

私がここに来てから基本的には自身の体やそこらの植物をいじっているか、何か作れないかと水晶や金属をいじっているか、寝ているかしかしていない訳だし、一応時間はあるのだが、それでも集中しているところを中断させられるのはあまり好まない。集中できているかの有無に関わらずそうかもしれないが。

 

そうして……体感数十ヶ月は経ったであろう頃、街人がとある男を連れてきた。



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怪談と都市伝説と御伽噺との差は非常に曖昧なものなのでは?

書きました……最初に大まかな内容考えてたのここまでです……


日課の一つと化しつつある植物の改変実験をしていたある日、街人の一人が、森の向こうで奇妙な物を見たと言う男を連れてきた。

 

その男は、ものすごい力で丸太をいくつも運ぶ大男や、ものすこい速さで森を駆け回る子供くらいの大きさの何かを見たとの事だ。

……十中八九うちの子らでは?

 

まぁとりあえず本人に話を聞いてみると、どうやら、この男は森でいくつかの食べられる物を採って生活しているそうだ。

そして、その日はいつもより調子が良くつい深入りしすぎ、森の中で迷ってしまった。

しばらく歩いていると人の声が聞こえたため、迷ってしまい困っていると伝えると大男が現れ、困っているのなら助けるということと、余計な事をしたらすぐに放り出すということを言われ、それに同意すると、担ぎ上げられ運ばれたかと思ったら小さな集落のような場所にいた。

そこに着いたと思ったらいきなり川に放り込まれて雑に洗われ、軽い食事と怪我の治療を受け、住人のうちの一人の家で一晩寝た後にこの街の近くまで送られてきたそうだ。

 

だが肝心の問題は、夜にふいに目覚めた時だ。

獣の唸りのような物音がしたので、一体なんだと体を起こし、ふと目をやった、借りた家の家主が寝ていたはずのそこに、大きな獣が寝ていた。

見間違いかと目を擦っても獣は消えず、困惑と恐怖感に挟まれつつも空気を読まず襲い来る眠気には勝てず、気絶でもするように眠りにつき……

目を覚ましたときには獣は消えており、住人も無事だった。

夢かとも思ったが、しかし夢にしてははっきりと記憶に残りすぎている。

そんな疑問を抱えつつもこの街に来たところ、私がやっている事もあって、街人に連れてこられたそうだ。。

 

何故そんな場所に集まって生活していたかはともかく、獣としての姿を人間に見られたのは不味い。

いや、この男に、我々が安全だという事を知らしめる第一歩になってもらおうか?

 

……信用しきれないな。種だけ植えて返すか。

 

私は男の体を詳しく、男にもはっきりとわかるように検査した上で、特に何もされなかったのなら警戒する必要はないだろうと伝え、危険がないと信じ込ませ、元々住んでいたところへと送ってもらえるように街人に頼み、男を返した。

 

寝ている間に獣となる種族と言えば御伽噺や都市伝説の類みたいに聞こえるが、今だとただ恐怖でしかないだろう。

それをなんとか御伽噺や昔話の方向へと持っていかなければ。

 

ところで、あの子達は何をしていたのだろうか?森の中に集落を、しかもこの街に近いであろう場所に作って?……まあ、考えてもわからないか。

そう、人間に恩を売ったのは良いが、寝ている間に獣と認識されるとは……確かに、寝ながら隠れようという意識は持てないか。完全に盲点だった。



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人としての意識は結構残っているらしい。

子達が何をしているかはともかく、私は私の目的のためにもっと大きな街へ行く。

どうせ取り入るなら、できるだけ権力を持った相手の方が良い。

この時点でこのあたりを纏める首都のような役割の場所があるかはわからないが、とにかく探しておくに越した事は無い。

 

田畑に植わった作物や果樹などを成長させ、神秘的存在として、見てみたい。連れてこいっ!てやってもらうか?いや、それだとその権力者に敵意の目が向くし、果ては私にも向きかねないか。

その権力者を悪者にする方向に持っていってもいいけれど、下手したら私が殺されかねない。

なので、自分から行き、少し不思議な動物として愛されればいい。

 

 

数ヶ月かけ、いくつもの街を経由し、中心に大きな屋敷のある大きな街に辿り着いた。住民達はその大きな屋敷の持ち主の事を尊重しており、その住人が何をしているかはともかく、これだけの条件が揃っていればある程度の権力を持った相手だと思っても良いだろう。

私は夜の間にその家に忍び込み、小さな獣の姿へと戻り、物陰に隠れて眠りについた。

忍び込むなら目立たぬ夜、住人に顔を見せるなら明るい昼。

真っ昼間に可愛らしい小動物をみかけても、到底危険そうには見えぬだろう。毛並みも汚れておらず、とても綺麗に光を反射して輝いていたら尚更。

 

 

 

数分後

私は激しく後悔していた。この屋敷に忍び込むのは間違っていた。もう少し考えて行動したほうが良かったのかもしれない。

 

 

あの後、見つかっても屋敷から摘み出されるだろうと高を括って好き勝手に屋敷の中を歩き回っていたら、人間の声が聞こえた。おや、見つかってしまったかとそちらを向くと、おそらく3〜5歳であろうか、人間の、おそらくこの屋敷の主の娘が、目を輝かせて私の事を見ていたのである。

これは不味いと逃げる間もなく、驚き呆けていた私はあっさりとその娘の手に捕まり、撫でくり回されてしまったのだ。

終わりだ。こうも見事に捕まってしまっては、下手に逃げ出し怪我を負わせる訳にもいかず、その娘の親か誰かに見つかって、放り出される事を祈りつつも、乱暴に撫でてくるその手の感触にただじっと耐えるしかないのであった。

 

私は……こうなってはもう、ただの毛玉だ。ぬいぐるみかなにかにでもなった気分だ。頼む……誰か早くここから開放してくれ。

子守というのは相手が自分より長けている物を持っていると子が理解していてやっと成立するものだ。非力な獣でしかない私にはこの子供の相手は辛すぎる。

 

 

私の祈りが通じたのか、陽の暖かさの後押しを受けた睡魔にあっさりと負けたその娘が私を枕にして眠り始めてしまった。

私の身を、まるで暴君のように蹂躪してくれた相手とはいえ、子供は可愛いものだ。寝ているなら特に。

 

私は、私のそれではないというのに可愛く感じてしまったその子供の下から抜け出すことを諦めた。

乱暴に撫で回されないのだったら、枕くらいにならいくらでもなろう。

 

寝ている子供を時折尾で撫でたり口先で髪の毛を繕ったりしているうちに、いつしか私の意識も暖かな陽気に負け、眠りにつくのだった。




百合だぞ。ほら喜べよ。(幼児と獣の戯れ合いを百合と呼べるかは疑問)


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野生を失う。もう失ってるようなものだった。

過去の話の句読点とか改行とか色々直してたりしますけど内容は変わって無いので読み返しとかはいらないです。
これからもやる気が出たらちょくちょく直すかも。

私にとっての読みやすさが皆にとっての読みやすさとは限らないのがなんともむつかしい。


私の目が覚めても屋敷の娘は寝ていたが、その様子を微笑ましそうに見つめる人間の女が居た。私は驚き、慌てて逃げ出そうと思ったが、屋敷の娘が私を枕にして寝ている事を思い出し、逃げ出す事を諦めて、疲れも溜まっていたのでぐったりと力を抜いた。

人間の女は驚いたような顔をしたあと、不思議そうな、しかし微笑ましそうな顔をしてこちらを見ていた。

 

 

 

しばらくして、思い出したように女が娘を起こした。

いまいち聞き取りにくいが、ぐずる娘が言っている事を信じるのなら、この女は娘の母親のようだ。

その母親が私を持ち上げたかと思えば背を下に仰向けになるように寝かされて、股のあたりを探り!?ちょっ、と待って、流石に恥ずかしい!

脚をバタバタとさせる私の抵抗も虚しく、私の股に付いたそれらは、娘の母親らしきその人間の女の目の前に曝されてしまった。

しかも、両方付いているままだ。あぁ、完全に終わった。こんな珍しい生き物など、逃してくれるわけがない。

 

 

 

女に抱き上げられ、連れて行かれた先に居た男によって柵の中へと閉じ込められた。

 

体感的におそらく一週間ほど待ってみたが、食事は野菜の切れ端か穀物かなにかを茹でたもの……おそらく家人の食事の用意したあまりか?を持ってこられる程度。時折人が見に来るのも気に入らない。

ここの家に取り入るのは諦めて、また別の権力者の家を探すか?また、何日も何日も歩いて?ひとまず、今日は眠ろう。

 

 

物音がして目が覚めた。眼前の柵の戸が開き、その向こうには頬を赤く腫らした屋敷の主人と、少し目を赤くしたその娘が居た。

 

この屋敷に入り込んだ時に私の体中を散々好きにしてくれた娘だが、どうやら私を大層好ましく思っていたらしく、柵の中に捉えられた私を見て可哀想に思ったのか、私を開放するようにと父親に直談判し、中々縦に振られない首の頬に一発食らわせてやったらしい。

 

何はともあれ外に出られた訳だが、私を好ましく思っているからと言って乱雑なその撫で方が気持ちよくなるわけではなく、反撃するわけにもいかないので、娘に撫でられているときになんとか逃げ出し、程よく娘に追いかけさせつつ、娘の母親のもとまでやってきた。

 

あの娘の親だが子を持つ母親、娘の乱雑な撫で方に注意をし、正しい撫で方を教えてあげてくれるだろう!と思い、来た。

実際母親の撫で方は気持ちよかった。良かったのだが、撫でる場所自体がなんとも微妙だったので、脚で押したり口で咥えて誘導したりで、なんとか気持ちのいい場所を撫でてくれるようになった。

娘もそれを見て学んだようだし、これで撫でられている間じっと我慢することも必要なくなるだろう。

そうこうしているうちに、私は眠りにつき、次に目覚めたときには娘に抱かれて撫でられていた。

この娘、学んでしまえばなんとも気持ちのいい撫で方をする。

私はこの娘の事が少し気に入った。




実際両方付いて生まれてくる動物って人間以外にも居るのだろうか。居るんだろうな……


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難しい

段々と書けなくなってきてる。


小さな恩人のおかげで私は外に出してもらえたし、その恩人の欠点である乱暴な撫で方も丁寧になったのは嬉しい。

それでも私は、今日も不満を抱く。

少しずつでも、不満を減らしていく為に。

 

本来共生するはずのない複数の生物が、円滑に意思疎通できない状態で、かつ自然ではない形で不満なく共に暮らすというのは、本来不可能であり、いくらワタシが異質なものであろうと、一朝一夕で為せる物では無いのだ。

 

 

たとえば食事。

 

あれからも変わらず野菜くずのような物を貰って食べているが、せっかく人間と一緒に住んでいるんだから、私もそろそろもう少し味の濃いものが食べたい。

 

しかし私の取れる行動は、人間が食べている所から取るという行為によって、私がそれを食べたいと主張することだけである。

 

その行動に対して大抵の人間が抱く思いは、食事の邪魔をするなか、これはお前の食事ではない、か。ともかく、食べたがっている事はわかっても、それを与える事は少ない。

 

 

たとえば遊び。

 

正直今の私にはあまり楽しい物でなくとも、子供は遊びに何でも使う。勿論私も。

私が居るだけで良いのなら良いが、私に物を乗せたり私の脚や尾を引っ張るのはやめてくれ。

下手に反抗して、掠り傷一つ付けただけでも私には死の危険性が付き纏う。

原因がどうかに関わらず、親は子が傷付けられた時に相手を排除しようとするのは仕方のない話だが、ならば尚更子の行動に注視して欲しいものだ。

 

 

挙げようと思えばいくらでも挙げられそうだが、考えたところでどうしょうもないのが現実である。

正直、考えるのも大変になってきたし、私が異質な存在な事はもう既に知られているしで話してもいい気もするが、こうなったらもう拘りの問題だ。人の言葉を話さないから何を考えているのかわからない、というのは重要な話だ。

 

 

それに、そういう話を考えるのならまず、寿命をどうするかだ。

今の私なら、定期的に体の交換さえすれば、いくらでも生きられる。そうしたら今度は人魚の肉の二の舞いだ。下手したら私以外の狐にも被害が及ぶ。

 

 

……自分を産むか?いや、産むと言うと語弊があるか。

自身の肉体のコピーを自身の胎内に作成し、機を見つつ大きくしていく。

その体がある程度大きくなったら、どこかに隠れて今の体を崩壊させる。

だから、産むというよりは、脱皮に近い行為か?

 

……まぁ、実際に考えるのは少なくとも数十年は後だ。

ひとまず今は少しでも腹と心を満たすために、娘におやつでもねだってみるとしよう。

今日は何か貰えるかな?




元々人間が食べてる物を上手いこと掠め取ってご飯の質アップな話の予定でしたが、いくら娘のお気に入りとはいっても、飼ってるけど名前も付けてない動物が欲しがったからって自分達が食べてる物を分け与える訳ない事に気付いて迷走した。


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子供は秘密が好きなもの。……だよね?正確には自分だけの物ってのが好きなのかもだけど。拾ってきたものとか秘密基地とか。

正直に言ってスラスラ書けなくなってきたので、明日は多分投稿しません。明日ちょっと用事もあるしで時間的にも余裕無いので。


あれから季節がいくらか巡り、娘が少し大きくなった。

娘は変わらず私を好み、言葉を理解できない筈の私にもいくつもの秘密を告げる。

 

……私はそれを理解出来てしまって良かったのだろうか?

何か私も一つ秘密を教えてあげた方が良いのだろうか?

しかしそれでは私が言葉を解する事が……いや、これも秘密ではあるのか。

 

今のうちから私が、所謂誰も知らない秘密の友達、となるように、少し頑張ってみようか?

娘が何か悩むようなら相談に乗ってあげることもできる。

 

……そうしたら、娘がいずれ大人になり、どうなるかはわからないけれども、仮に権力を持つようになったとしたら、私達を社会が認めてくれるように働きかけさせる事ができるかもしれない……?

 

いや、働きかけさせるでは駄目か。働きかけてもらえるように頼む、か。

 

仮に秘密の友達になるとしたら、娘の事をひたすら肯定……いや、多少は本心を読み、娘の求めている返答をする必要があるか?

 

そうなると私には難しいぞ。

最近では人間だった頃の気持ちなんて殆ど理解できなくなってきているし、年頃の少女の本心なんて、私には理解しきれない。

 

ひとまず、話しかけてみるか?

自分しか知らない不思議なものなんて、親に話しても信じて貰えない……いや、そもそも話さない?そんな希望的観測では決心が付かない。

 

他の人に話すと私が居なくなると言う?

精神的に負担がかかるか。

どうやれば話しても問題がないのか。

私が人間の姿であれば話しかける事自体は問題無いが、その間私が居なくなるのは問題だ。

 

だからといって私の体をそのまま置いておく訳にもいかない。

動かなくなった体を、私の知らぬ間に死体として処理されてはたまったものではない。

 

両方の体を同時に動かせれば良いのだが、私にはそんな事はできないし、私は二人も居ない。

仮に出来るとしてもそれを扱えるようになるまでに時間がかかりすぎる。

 

悩んでばかりでは何も変わらない。

近くにこの子しか居ない時に話しかけてみよう。できれば、寝ぼけている時なんかに。

 

いや、この子が一人きりの時に意識をぼやけさせれば良いんじゃないか?

私にはそれができる。

やってみよう。

 

 

 

とある日の昼、日向で娘が何かをして遊んでいる。

見張りか何かか、大人が一人居るが、それほど近くはない。

娘に向けて近づいて行きつつ、見張りの意識を薄れさせ、娘の意識をぼやけさせる。

狐の時の面影を少し残した容姿の人の少女の姿へと変わる。

娘の前に行き、話しかける。

 

「ねえ、何をしているの?もしよかったら、一緒に遊びましょう?」

 

ぼうっとした目をした娘がこちらを向き、私を視認する。

 

「……いいよ、一緒に遊ぼう。……あなたは誰?」

 

娘が答えた言葉は、まさに頭に浮かんだままの言葉、といったもので、私の計画の成功が少し近づいたように感じる。

 

「何をして遊んでいたの?私も一緒に同じ事をしたいな。」

 

私が誰かという問いには答えずに、遊びを意識へと向けさせ、ともに遊ぶ。

 

 

しばらく遊んだ後私は、思い出したように少女に言葉を告げる。

 

「私、もう戻らなきゃ。私の事は他の人には秘密ね。」

 

少女は不思議そうに私に問いかける。

 

「もう行っちゃうの?……秘密?」

 

少し心苦しいが、この少女が秘密を守れるか、実験だ。

 

「大丈夫、また一緒に遊びましょう。私の事を秘密にしてくれたら、また来るね。」

 

娘にそう告げると共に、娘の意識を落とす。後は元々遊んでいた場所に寝かせておけば、夢とでも思うだろう。

 

娘を移動させ、狐の姿へと戻り、監視役であろう大人の意識も少しずつ元に戻し、私はその場を離れ、日当たりのいい場所で昼寝でもすることにした。




早く現代近くまで持って来たいとも思うけど持ってきたら持ってきたで今度はネタを決められなさそうで困る。この先書きたいものが頭の中でぐ~るぐるしてる。どうしよう。


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アニメとかの意味深キャラっていいよね。私にはそれをできるだけの頭は無いけど。

正直、流れだけで(一昨日まで)毎日投稿してたけど、キツイのでこれからは書けたら投稿することにします。


あれから数ヶ月。

しばらく娘の様子を見ているが、若干危なげではあるものの、誰かに私の事を話す様子はない。

記憶に残っていなかったのか、あるいは完全に夢だと思ってしまったのかと、同じように何度か遊んだり相談に乗ったりしつつ話を聞いてみたが、私の事は覚えていたし、誰にも話さなかったのは、秘密にしていれば私とまた遊べると思ったから、だそうだ。

 

これならば可能なのではないかと思い、幾度か逢瀬を繰り返していたある時、再び私が誰かを尋ねられた時に、少し、ヒントを与えてみた。

 

「私が誰かなんて重要なことなのかな?私は今、君のおかげでここに、柵の外に居て、君とこうやって話して、一緒に遊んでいる。感謝はしているが、それだけで十分だろう?」

 

「もしどうしても私の事が知りたいのなら、自分で突き止める事だ。私は、私が何者かを君が突き止める時を楽しみに待っているよ。」

 

そう告げて、娘の意識を落とす。いつものように周囲を整え、今回だけは、狐の姿で私も娘の上で眠りについておく。

 

ああは言ったが、娘に私の正体を突き止めさせ、予め好感度をある程度上げておいた状態で私の目的を告げることで、なんとか私の異常性を知ってもらう必要がある。

 

ゆくゆくは娘を通してその異常性を通常の物だと変化されららればいいが、そこまではまだ考える必要はあるまい。

 

私達の使っているような力を人間が使っている所は見たことが無いが、きっと人間も使えるには使えるだろうし、人間達もこの力を使えるようになったら……なったら?

 

……少し、怖いな。

 

私でさえ扱い切れていない力を、ただでさえ数の多い人間達皆が手に入れたら、どうなる?

 

一人や二人、悪事に手を染める者も出てくるのでは?

 

力を教えるのはやめよう。人間が使えるかもわからないのだし、自ら等には手の届かない力を扱える者として、信仰を向けられる方がずっと楽か?

それでも私に信仰が向くような事は御免だが。

 

今浮かんでいる案は、私の子等との共存を進めてもらうと共に、この子に権力か信仰を集め、私はその裏で自身が住みやすい環境を整えるという、正直卑怯な物しか浮かんでいない。

 

正直、この子のことは少し気に入っている。

完全に任せきりにするのは最終手段にして、この子から、この街から、少しずつ私達の住みやすい環境を作っていくとしよう。

 

その為にも、まずはこの娘を私に依存……いや、言い方が良くないか。

この娘に大きな恩を作ってやらないと。不幸を望みたい訳ではないが、私にできる事といったら怪我や一部を除く病気の治療か、定期的に体を交換する事で私のように不死の物にするか。

まあ、いずれにせよこの子が望めばだ。




好きが義務になるのは本当に駄目だわ。そうなったら一旦その事を忘れるなりして休むしかない。


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感情は程々の方が良い。

ちょっと休んだら書けた。
やっぱりこういうのは自身の楽しみの為に書くものだよ。


あれから数年が経った。娘が一人きりになる事も少なくなったし、娘は私に気付いていない。

狐としての私に構う事も少し減ったし、このままでは気付かれないままにこの家を去る事となる。

 

仕方がないので、数ヶ月ぶりに会ったときに直接伝えてみても、信じないので、目の前で姿を変えても夢だと思い込む始末。

これは……完全に失敗したのか?

今までこの娘と遊ぶ時に保険をかけすぎたのがいけないのか、自身との遊びの時間を完全に夢と思い込まれてしまった。

娘の意識がはっきりしている時、街を歩いている時なんかに人間体として姿を見せてみても、見間違いと思われるか、微妙な反応をされてしまう。

よく似た他人と思われはしても、意識がはっきりしている以上、夢の中のお友達がそこに居るとは思えなかったのだろう。

完全に失敗だった。これなら初めから狐の姿で話しかけておけば良かった。

 

それから私は、人間に隠れて娘への最後の贈り物の制作に取り掛かった。

金を集めて私の姿を形作り、目には特別に街で手に入れてきた蛍石を埋め込み、出来上がった小さな狐、その全体を水晶で包み、球体にする。

私の尾の毛の中でも特段色艶の良い毛を集め、束ね、房のようにし、それに取り付ける。

最後に、特段長い毛から編んだ紐を輪にして取り付け、小さなお守りとする。

正直かなり重いのはわかっているが、それでも私にとってはかけがえのない出会いだったのた。

 

 

数日後、再び娘と会い、話した時。

私は娘に、全てを告げた。

私の感謝や、今までの事。それに本来の目的。

年頃でもう何年か経てば誰かと共になるであろう娘へ抱いていた想いも。

 

本当はわかっていた。

私ではこの娘とふたりきりでこの先過ごすなんて到底できない事を。

だが私は……私は、段々と惹かれていた。

たとえ何か辛いことがあっても、そのときにこの娘と居られるだけで。それだけで私は幸せなんだと。

 

私は、独占欲が強い方だと、自覚できている。

この娘が誰かと共になるとしても、私の知らない所でなって欲しい。

でなければ、何か酷い事をしてしまいそうで……

 

 

その場に居ていられなくなり、作ったお守りを手渡し走り去る。

娘が追いかけて来ないように、娘の意識を深く落としつつ。

大丈夫、娘が目覚める頃には、私はそこには居ない。

そして、娘が誰かと番になる頃には、私はこの娘の事を忘れられるだろうか?

 

帰ろう、私の元に。

今はただ、帰りたい。

 

途中で道を逸れないように、まっすぐ。

大丈夫、魂は今もそこに惹かれ続けている。




感情激重ケモロリババア


元々考えてた大まかな流れは
【娘が自身に気付いてくれないのでもう教える。】
【成長して少し権力を手にした娘の膝の上で撫でられながら助言とかしつつ完全にペットと化した行動をする。】
【稲荷を食べる。言うほど美味しくない。油っぽいし味濃すぎるし→物によっては美味しいじゃん!】
【人間の少女の姿で娘とデート。】
【娘に命の話をする。断られる。】
【娘の結婚と共に出て行く。】

だったのにどうしてこうなった。

ちなみに今の私の頭の中には田舎の謎の神様ルート(生贄ありなタイプ)が浮かんでいます。駄目だわこの頭w


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目の前で起こっていなければそれは当人にとっては起こっていない事も同じ?

書ける。書けるけど……内容これでいいのかな?まあ、書けちゃった物はしょうがない。どうにかなる!(根拠なし)


数日間休まず走り続け疲れ果てたので、仕方なく休むことにする。

物陰に身を隠し、できるだけ体を小さく丸めながら、失った体力を回復させる為に、自らの意識を落とす。

 

 

……どこからか聞こえてくる声に目が覚める。

若干寝惚けつつも音の方向へと向かうと、人間の村があった。

村の住人にはあまり元気そうな様子が見られず、村全体の空気も落ち込んでいるようだった。

見回してみると、周囲の大地にも元気が無く、田畑に植わった作物も痩せ細り、これが住人達の悩みの種かと大方予想がつく。

 

私はこの問題なら解決できる。できるが……今の体はあの街で使っていたものだ。もしあの娘に探されてはいずれ足がつく。

しかし、また別の違和感のない体に調整するには時間がかかる。

 

 

……せめて顔さえ隠せばバレないだろうか?

このまま見て見ぬふりをして帰るというのは少し寝覚めが悪いし、私と確定させられなければ良い話だ。

 

それに、折角の機会だ。前から少し欲しかった狐面を作ってみよう。

この時代に既に狐面やその類似品があるかはわからないが、白地に赤い隈取りというのはどの時代でも圧倒的な存在感を生むだろう。

 

それに、この面を使って村人達と話をするのにそれほど時間はかかるまい。長く持たせる必要が無いのならばすぐに作れる。

面本体の素材は、少し難しいがこの身から直接木を伸ばして、多少磨けばまあそれっぽい物にはなる。

着色する為の色素は取ろうと思えばそのあたりの大地から取れるし、最悪白と赤だけなら身を削って……骨製の狐面?

いや、一旦やめておこう。そのあたりを考えるのは帰ってからで良い。

 

 

 

完成させた狐面を被り、周囲の森の肥えた大地からその栄養を寄せつつ村人達に話しかける。

 

「大地にも休息は必要だ。大地が十分な休息を取れていなければ育つものも育たない。今回は私が均してやるが、これからは大地を休ませつつ、あるいは土に栄養を与えつつ物を育てよ。」

 

そう言って少し周囲の植物を少し無理やりにでも成長させ、痩せ細っていた植物を太く逞しくしていく。

 

そうだ、村人達の話を聞く必要は無い。

最低限説得力が生まれれば良い。

 

元気さを取り戻した作物達に触れ、その情報を取り込む。

これがあれば私の食生活にもいくらか幅が増えるだろう。

 

やりたい事をやり終わった私は、もう一度、このあたりの大地の栄養を均し、その村から去る。

この辺りの大地に生える木々ははこの先少し困るかもしれないが、人間達に切り倒されるよりはよかろう。

人間達がこの先どうなるかは……まあ、私の知ったことではない。私の目の前でどうこうなっていなければそれで十分だ。

 

 

さあ、遠く離れた山の中で私の片割れが呼んでいるぞ。

この道をこれ以上逸れぬように。間違ってもあの街の方向へと向かわないように。




かなり自分のことしか考えなくなってる主人公さん。
どっかで何かしらやって方向転換させるか、このままにするか。

とりあえず今は時代設定がガバガバなのをなんとかしないと。


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歳を取るほど時間の流れは速くなるとは言うけれど、それは歳をとってやる事が増えたり知ってる事が増えたりで何も無い時間が減る事によって起こるものなんじゃないかな?って。私はそう思った。

ちなみに私はお酒飲んだ事無いです。


気紛れに人の村の作物を太らせ、土地の栄養を均した後、いくつかの人間の村や街を経由しつつ、里の近くまで戻ってきた。

 

今になって感情の波が再び押し寄せてきたので、何か気が紛れる物は無いかといくつかの街で物を探していると、過去にも私が探したことのある、酒類の飲み物を発見した。

里も近い事だしと、物陰に隠れて作った(かめ)一杯に買って帰る事にした。

 

かつて里で暮らしていた頃の懐かしい姿に身を転じさせ、まるで猪のようにひたすら直進する私の頭の中は、里の事で一杯だった。

 

私があの里を離れてどのくらい経っただろうか?

子や孫達はまだあの里で元気にしてくれているだろうか?

色々な思いを巡らせつつ、少し険しくなったようにも感じる道なき道を登りなんとか私の片割れの下に辿り付いた。

 

少し息を整えて顔を上げたとき、視界に写ったその場所は、私の記憶の中にあった里とは遠くかけ離れていた。

 

里には人間の村で見たような物も含め多くの家が建ち、見覚えのある姿の子達の中に混ざっていくらかの人間が行き交い、私の記憶とそれほど変わっていない物は、私の身を分けた木から感じ続けている、惹かれるような感覚だけだった。

 

何があった?

この場所に人間が居るというだけなら、それはこの場所が人間に見つかってしまったという他あるまい。しかし、その場合この場に居るのは人間だけの筈だ。

あの人間達が仮に人間に姿を転じさせた我が子らだとしたら、なぜこの里の中で人に扮する必要がある?それに、先程から流れてきている匂いの中には、紛れもない人間の物が混ざっているため、あれらは確実に人間であろう。

 

 

この里に居るはずのない人間の存在に頭を巡らせていると、人間ではない私の血を引いているであろう子が気付き、私が気付き隠れる間も無く話しかけられた。

 

「あなたは誰かな?少なくともこの里の中で見た事は無いし、匂いも少し変。外から戻ってきた子かな?それともここは初めて?」

 

私を知らない。これはまだいい。私がこの里を出てからかなりの時間が経った。姿を知らぬ者も居るだろう。

匂いの事は、一旦置いておいて、外から戻ってきたというのは、里から出て戻った者達も居たのか。初めてというのはこの里を出た者達の子らだろう。

 

「私はあの木だ。そういう事にしておいてくれ。それよりもなぜ、人間がこの里に居る?」

 

私の事なんて適当で良い。それよりもあの人間たちの事を教えてくれ。でないとおちおちそれらから目が離せない。

 

「人間達は外から戻ってきた子達が連れてきたんだよ。それよりもあなたの事を詳しく教えて?」

 

外から連れてきたとなると、外に行った子達は自らの事を受け止めてくれる相手を見つけ、親しくなれたのか。

 

「あの人間たちはこの里に害のある者達ではないのだな。少し、安心できた。」

 

警戒心を緩める。

 

「では、改めて自己紹介しよう。私は過去に君達を産み、一応この里を作った者だ。……尤も、私が作った頃の物は今では殆ど姿形も無いがね?」

 

折角だ。少し位気を抜いて話そう。

そのくらいやはらなきゃ戻ってきたって気がしないからね。

 

「君のお母、いやお婆……いくらだ?ともかく、一番歳が上の子に聞いてくれ。すぐにわかる。」

 

私を知っている子達は、私の帰還を歓迎してくれるだろうか?




実際どのくらい時間経ってるんでしょうね。(2回目)

産まれて、成長するのに雑に1年くらいとして、そっから数日歩いて人間の所で2〜3くらい?住んで、森に入ってから1〜2ヶ月くらい人体錬成に時間使って、そっから2〜3年くらい育て?山の里に移って1〜2年?そっから歩いて島見つけるまでに四半年とか?で、島で5〜6年かそこら過ごして、人間の所で娘の歳が最初の想定で3歳から十の5か6歳位までだから12〜3年位だから、結果的に里を出てから大体20年?
おおざっぱ!


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死を旅立ちって表現する事あるけどそれを本気で考えるとまず死後も記憶が残り、意識が続いている事を証明しなきゃならないよね。

byこの時点の主人公

主人公はこの時点で大体30歳位です。(前回の後書きの考え方だと)

ロリババアってかロリおばちゃん……


その子に連れられて会った私の子の命は、もう、長くは無いようだった。

 

 

私は、思ったよりも長く旅をしすぎた。

 

私がよく知っている子達は、この里にはもうほとんど居なくなっていた。

 

私が知っており、かつこの里に居る子達は、曾孫や玄孫辺りの子達が多く、数少ない私の直接の子供にも、もう殆ど時間は残ってはいないようだった。

 

 

もしかしたら、この里の外で生きている子達も居るかもしれない?

 

……いや、この里に残っている子供達の様子を見るに、これは怪我や病気のせいではなく、純粋に時間の仕業だ。

 

私がこの里を離れてから今こうしてこの里に戻るまでには、思ったよりも多くの時間が過ぎていたのだ。

 

 

 

……いいや、悲しむのはまだ早い。

たとえ多くの子供達が戻って来る事はもう無いとしても、今この里に居る子供達の命はまだ伸ばせる。

そう気付いた私は、残った子供達に、寿命を伸ばせる事を説明した。

 

……だが、皆はその提案を持ち掛けた私の事を悲しそうな目で見て、決して首を縦に振ることは無かった。

 

最初は、強引にでも皆の命を伸ばそうかとも思った。

……だが、どうして皆断るのかと考え、思いとどまることができた。

 

 

また、私の我儘で皆を振り回すのか?

 

また、皆が望んでもいない事を、そのほうが幸せだ、と思い込むのか?

 

私は、あの時しっかりと誓った筈だ。

ならば、私の行動は決まったようなものだ。

 

あの子達の眠りを、邪魔せず見送る。

 

それが、あの子達の望み通りの……

 

いや、駄目だ。

あの子達が終わる時に私がその場に居たら、私はまたあの子達の意思を踏みにじってしまう。

はっきりとわかる。私はあの子達の終わりに立ち会ってはならない。

 

 

なら、もう道は一つしかあるまい?

 

これ以上、あの子達に干渉しない。

私があの子達の近くに居ると、この先も必ず周りが見えなくなってしまう。

ならば、もう関われないようにするしかない。

 

 

明日、この里を出よう。これから食べるものが、この里での最後の食事だ。

しかし、今の私には何を食べても喉を通るか怪しいが、それでも、少しでも気を紛らわせる為に、辺りを見回す。

 

 

……ふと、人間の街で買った酒が目に入る。

 

酔ってしまえば、少しは気が晴れるだろうか?

そう考え、その場で(びん)を組み上げ、(かめ)から酒を掬い取る。

 

相変わらず小さな私の口に、今にも零れそうなほどに酒が入った(びん)の口を含み、思い切り傾ける。

 

「はは……まあ、そんなものか。」

 

口に広がる好みとは言い辛い味。

微かに感じる心地よさ。

 

でも、

「こんな物じゃあ、今の私には到底足りやしない。」

 

 

……それでも、今の私には十分ありがたいものだった。

 

 

翌日

里を出た私は昨晩の酒の火照りを残しつつ、あの子達の為に決心した事を成す為に道なき道を進んでいた。

 

あの子達の為と言いつつ私自身が原因なのは、もう考えない。

 

さあ、

山の上に登ろう。あの子達を少しでも見ていられるように。

 

洞穴を掘ろう。あの子達を傷付けてしまわないように。

 

鋼の檻を作ろう。あの子達に触れられないように。

 

そして、私は眠りにつこう。

 

 

大丈夫、私はまだこの身を捨てはしない。

 

 

私がこの世界で終わりを迎えるのは、そうせざるをえない時。

あるいは、あの子達の気持ちが真に理解できたときだけだ。




ちなみにこの子達の寿命はこの時点で25年設定です。
普通の狐が10年で昔の日本人が60年って考えると長い方。
島の子達の方はもうちょっと長いかも。それでも30とか?

流石に時間的にも長くなりすぎて気が遠くなったのでしばらく眠っててもらいます。
が、本当にずっと眠りに就いている訳ではなく、多分その間はひたすら寝たりヤる事やったり自分の体とか弄ったり偶に外に出て何か食べたりしてると思います。

でなけりゃ体バッキバキになりそう。


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ある日見た夢

ふと頭に浮かんで書いたものの、そもそもこの話に入れるのかすら不明なおはなし。黒歴史候補。

番外編から移動させました。内容は変わっていません。


物語では世界たり得ないのか??紡がれる言の葉に意味はないのか?

暗闇を、その窮屈に感じたなにかを抜ける。

ふとあなたは世界から溢れ

視界が広がる。

見えなかったもの/見てはいけなかったものが見える

そこには大きな木が生えていた。

世界はまるで樹のように

大地から生える枝とも言えそうな大きな幹から幾本もの太い枝が生えており、所々からさらに小さな枝が幾本も伸びている。

どの枝からも大小の葉が広がっており、時折その大きさや形を変えている。

 

ある細い枝はいくつかの枝から別れた細い枝。それがところによっては絡まり、一つの線となり。

それはいくつもの物語を繋ぎ

ある細い枝は円を描く様に、何重螺旋を描く様にと常に並んで成長し、一本の枝のようになり。

それはいくつもの世界を渡り

ある細い枝は、様々な場所から伸びた先で一つとなり。

それは幾度とも語られ

ある細い枝はしばらく伸びたかと思ったら、突然青い炎に包まれ萎び、短くなってゆき、ある一定の地点まで戻ったかと思えばまた伸び始めとひたすらに同じ挙動を繰り返し。

それは幾度とも物語を繰り返し

 

枝とも葉とも見えるそれらは、木からそれまでの長さも、枝/葉自体の太さ/厚さも、その表面の質感も、何一つとして全てが一致はしない。

 

 

ある地点から生える大きな葉が突然宙に浮かび、葉の身は果実と転じ、葉脈はその天辺から伸びる一筋の枝へと転じる。

その物語は一つの象徴へと

いくつかの葉がその果実へ根を伸ばし、絡み、何かを吸い取る。

世界の要素を吸い取り、繋げ、模倣する

 

 

 

木は成長する、伸び、別れ、広がる。ただひたすらに。

その光がみるみる消えゆく事も気にせずに。

世界は膨張し、徐々に熱を失っていく

光の消えかかった枝葉には、より大きな枝より光の雫が流れ込み、雫の光により、また世界は光り輝く。

世界が終わり、生贄を呼び、失った力を補填する

あぁ……私にはわかる。あれは私と同種の輝きだ。

 

あなたは、消えかかったこの世界の輝きを補填するために、この世界へと落ちてきた。

 

 

この樹のように伸びる世界達の根本は、はたしてどこにあり、どのようになっているのか?

終は遠く

私はそれを見てみたいと思ったが、同時に、私ではあまりにも大きさが足りないことを自覚した。

あなたでは足りない

 

そうして暫くこの光景に見惚れ、気がついたら目の前まで迫っていた枝の1本が私を突き刺し、飲み込み……

世界は再び養分/脱走者を取り込み

起きた私は、今まで見ていた夢を、すっかり忘れていた。




誤字報告で何十螺旋を何十もの螺旋をと報告いただいたのですが、そもそも十ではなく重でした。報告いただきありがとうございます。(二重螺旋のノリで書いたけど数がニじゃないから確定させずにx重って感じで何重って書いたつもりでいた。)


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短編集?

まぁ、短くて一話に満たなかった他視点の話の集めたもの。
番外編に置いていた ある日見た夢 をこの話の直前に移動させました。


枝の話

意識がぼんやりとしている。

真下に枝が見える。

枝を辿ると、遥か遠くに分かたれた、この枝とよく似た、まるで双子の片割れのような枝が見える。

 

2つに分かれる前、ずっと向こうに続く太い枝は、所々から同じように枝分かれしていたり、完全に折れてしまっている枝なんかもある。

 

幾つも枝分かれし、幾つも葉が生え花が咲き、いくつか実がなり、そして落ちる。

 

そんな、普通のような、けれども、不思議な木。

 

全て似ているけれども、全て少しずつ違う。

 

真下の枝からは、少し、安心感を感じる。

 

枝に近付くごとに、意識が薄くなっていく。

 

あぁ……視界に枝が迫る、飲み込まれ……

 

 

 

 

 

木の話

ある枝から生える葉/枝があった。

その葉/枝の話。

 

ある時、一つの存在がいくつかの存在を混ぜ合わせ、新たな物とした。

 

枝は、分かたれた。

 

ある時、新たな物と、元になったものが子を成した。

 

枝は、また分かたれた。

 

ある時、新たな物の子に、元になったものの特徴が強く現れた。

 

枝は……

 

 

一つの存在が、また新たな物を生み出した。

 

世界は観察をやめ、その存在の生み出した者達を基盤にして世界に受け入れ、模倣することにした。

 

 

それが存在することが可能なのならば、拒絶するのではなく、受け入れ、自らの一部と成す。

 

循環は僅かに力強さを増し、世界は微かに輝きを取り戻した。

 

 

 

 

 

噂の話

ある時、人間達の間に、いくつもの噂が流れる。

 

人のように二足で立つ獣が村を作っているのを見た。

 

獣の様な姿をした人のような物が走っているのを見た。

 

いくつもの丸太を担いで移動する獣のような人を見た。

 

といったような物。

 

しかし、いくら探そうともそのような物は見つからないし、そもそもそんな存在が居る訳がない。

 

だが、噂は変わらず広まってゆく。

 

 

火のない所に煙は立たない。

 

 

姿形の見えない影に、人々は噂を信じ、信じず、困惑や、興味や、不安、恐れなど、様々な感情を抱いた。

 

 

 

 

 

とある里の話

その里は、険しい山の中にある。

その里は、切り開かれた森の中にある。

その里は、珍しい者達が住んでいる。

その里は、非常に奇妙な里である。

 

その里の外れに、大きな木がある。

 

 

その大きな木は、大きく、太く育っており、いくつもの木が絡まったような見た目をしているが、元は一つの木である。

 

里の者はこの木を愛しているという訳ではないが、それでも大切な物だとは思っているようだ。

 

この里の者は常にその木の存在を感じる事ができ、道に迷う事は殆どない。

 

里の者が命を終える時、亡骸はその木の下に横たえる。

亡骸は木の一部と化し、木はその身を大きく、太くしてゆく。

 

落ちた実は、再びその木へと帰ってくる。




私達からすればこの世界は世界に見えている。枝
けれども、この世界を物語と認識している存在が居たら?
この世界は物語上の架空の世界になるのか?葉
その存在からは物語として見えているけれども、私達にとってはここは物語ではなく世界。
仮にこの世界が物語だとしたら、この世界の主人公は誰?見る者によって主人公は変わる?


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孤独は人をおかしくする。暇潰しの道具があったら別かも。

段々と疲れてきた気がしてノリだけで書いたら変な物が出来上がった。
これはこれでよかったのかも?


目が、覚める。

 

おそらく今日も、変わらぬ日を過ごす。

 

起き上がり、一息つく。

 

前に、目を覚ました時から、どのくらい経った?

 

格子の側へ、移動する。

 

戸を開け、暗く、足場の悪い岩肌を辿り、なんとか外へ這い出る。

 

先程まで暗闇に包まれていた目を、激しい光が襲う。

 

変わらぬ木々や草花の香り、薄く広がる街の匂い。

 

……少し経ち、目が慣れてくる。

 

映る景色には目もくれず、真っ先に崖に近寄り、山の中腹に広がる、子供達が育て上げた里。

 

尤も、上から見つけるのは困難なものだが。

 

……里の様子は、それほど変わっていないようだ。

 

人通りはいくらか増えているが、それだけ人数が増えたという事であろう。

 

子供達の無事を確認できて少し安心し、周囲を見渡す。

 

ようやく私の目に入ってきた、洞穴の周囲に生える木々や花々も、それほど変わっていないように見える。

 

前回どうだったかをはっきりと覚えられている訳では無いので確信は持てないが、少なくとも目新しい物は無い。

 

山の麓、森の向こうに見える人間達の街の様子は?

 

……少し、慌ただしいように見える?

 

前回見た時よりも明らかに人の行き交いが激しく、どこか、より大きな感情が渦巻いているような……?

 

 

……あ、あぁ、あれは、不味い。

 

不安、焦燥、不満、哀しみ、怒り……

 

その感情の矛先は、一体何処だ?

 

まさか、子供達の里が人間に!?

 

……では、無い……か?

 

子供達が標的になったり、その里やこの山が戦場にならないのだったら、良い……か?

 

いや、駄目だ。人間の街へ行き、人間と共に暮らしている子供達も居るはずだ。

 

久しぶりに、山を出よう。

街へ行き、この争いの原因と、首魁を聞き出そう。

 

そして、この争いの全体の概要を捉えたら、この争いを、終わらせよう。

 

まあ、もしそれが無理でも、最低限、私の子供達を含む民衆に被害が行かなければ良い。

 

 

出来るだけ迅速に事を終わらせられるよう、体を大きく作り変える。

 

外見は大きく、威圧感のある身体に。

脚は太く、しっかりとしており、かつ柔軟なものに。

その動きが、速く、鋭く、軽やかになるように。

大きく、肌触りの良い尾も、2つ付けてやろう。

その姿を形容するのならば、そう。大狐とでも言えようか。

 

 

山の頂点から跳躍し、全速力で山の斜面を駆け、森を駆け、野を駆ける。

 

 

やがて街が見えてきた頃、身を小さくし、人間が多く集まって居る所へと忍び込む。

 

大声でベラベラと会話する者たちに、壁裏から噂話の種を投げ込んでやったら、まあ気持ちの良い位に喋る。

 

そうしていくつかの集団に認識を聞いて回ったが、意見の対立だか土地だか金だかと人によって言う事が変わり、正直どれが正解なのかはわからなかった。

 

本当の理由がどうであろうと知った事は無いが、少なくとも私にとっては非常にどうでもいいであろう理由だとはわかった。

 

それだけわかれば十分だとばかりに屋根の上に駆け上り、姿を再び大狐へと転じさせ、争いの気配のする方へと大きく跳躍する。

 

森の哀しみが聴こえる。

獣達の怒りが聴こえる。

死者の叫びが聴こえる。

傲慢な者達に鉄槌を下だせと呼んでいる。

 

 

森の呼び声に向けて走る。

獣達の怒りに呼応して地を蹴る。

死者の叫びに共鳴して唸りを上げる。

 

野を駆け森を駆け山を駆け、辿り着いた戦場で勢いのままに遠吠えを上げる。

 

 

さあ、傲慢にもこの地を傷付ける人間達を追い立てよう。

さあ、我が血族の者達を助けよう。

 

 

駆け出す。

人々の合間を駆け抜け戦場を分断し、大きく木々を生やし射線を断ち、人間達の争いを遮る。

 

人間達を混乱の大波に陥れたのを確認し、高台へと移動し大きく叫ぶ。

 

「傲慢なる者共よ!木々の怒りが聞こえぬか!大地の哀しみを感じぬか!」

 

私の告げた事に対し、動植物や死者達の投げかけてくる賛同や反感を感じる。

 

「お前達同士で争うのは勝手だが、その争いで被害を被る者が居ることを知れ!無意味な争いを止めよ!我等に害を与えるな!」

 

知った事か。この場に分け入り、戦場を遮り、争いを止めようとしているのは、偏に気に入らんからだ。

 

賛同の追い風は受け、反感は無視し、私は私の意見を通す為に行動する。

 

「私の意見が気に入らんなら、お前達がさっきまで振るっていたような力で、私をねじ伏せるがいい。」

 

争いの首謀者を見つけようと、戦場中に目を走らせる。

 

あまり違いがわからないが、一方の勢力の頭を見付け、もう一方の勢力に目をやり……

 

かつて分かたれた枝の先、一方の勢力の首となっていた者。

 

初対面ではあるが、確りと感じるその身に流れる血に、頭が真っ白になった。

 

 

何故だ?私から分かたれた筈の者が何故、人間の戦場に居る?

 

見間違いではない。あの子には、確かに私の血が流れている。

 

だとしても、私はこんな無意味な争いに加担するように産んだ覚えは……いや、アレは私は産んではいない。

 

たとえ私がそう感じていようと、子が同じ考えを持っているとは限らない。

だから私はあの洞穴に籠もっていたんじゃないか!

 

だが……もしかしたら、私は子を傷付けていたかもしれないのか?

 

 

……いや、そう、そうだ。仕方のない、事なんだ。私がこれから生きる中で、私の血は少なからず広まっていく。

 

血の繋がりというものは、これからどれだけ生きるかもわからない私にとっては、重すぎる。

 

 

「……警告は、した。私は帰る。これ以上我等を傷付けるな。」

 

 

我が身の帰りを待つ暗い洞穴へと走りつつ思う。

 

血の繋がりというものは、確かに尊く、掛け替えの無い物だが、私には、あまりにも残酷なものだ。

 

里の者達は私の血を引いている。それは確かだ。だがもう、私の家族とは呼ばない。

 

私の知らぬ所で産まれ、死した者達など、知るものか。

 

私にはもう、血の繋がりなど、必要ない。

 

私は、血縁という鎖を断つ。

 

私はもう、自由(ヒトリ)だ。




洞穴に引き籠もる→気分沈んでる→暫くは色々やって暇潰しする→やることなくなる→思考が負に沈んだ上に暇すぎて段々とおかしくなってくる→これ。

なんだよ感情がわかるって。
なんだよ自然の声が聞こえるって。
(どっちも幻聴です。戦が起こってたのは本当。)

(多分煙の臭いとかするし街に元気ないし人減った気がするな→そういえばなんか悲しそうなような、苦しそうなような。→なんか争いかなんか起こってんじゃね?→戦争起こってる!ってなったって事にしときます。なんだよこいつ、考えてる事めっちゃ飛躍するじゃん。)

正直自分でもそうはならんやろって思ったけどこれ何回か身体も交換してるって考えたらまだマシになった。

ちなみにハーメルンの説明とか確認して文字数増やせるかなって試したら思ったより増えたのもある。


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奇行に走る

悩みに悩んで悩みまくって、それでもいい案が出なかったのでとりあえず更新します。
仮に案一と。

続きは書きますがそれはそれとしてここの別の案思いついたらまたそれはそれで更新します。
まあ平行世界ってことで(?)


私の子供達の子孫は、双方向から見て血族と言えても、親族や家族とは考えない事にした。

 

なればこそ、私が皆の生活をあまり見ぬようにと気を遣う必要もあるまい。

 

今までは、定期的に無事か覗くだけだったが、これからは目を逸らさなくてもいい。

 

好意も敵意も、善行も悪行も、目につく限りは全てを見て、私のやりたいようにやってやろう。

完成形と一部の過程さえわかれば模倣だって改変だってできる。

 

だがその為には、各地に私の目を張り巡らせなければいけない。

 

身体をばら撒くだけなら出来るが、それだけでは私が知る事はできない。

 

それに、ばら撒いたにしても動物的肉体のままならエネルギーが枯渇するので、植物、出来れば木にする必要がある。

 

だが、木には視界は無い。出来てもある程度周囲を把握する程度。それに、ずっとその木に留まる事も出来ないし、ましてや全ての木を繋ぐなんて事、できるはずもない。

 

せめて、その木に記憶を留めて置けられれば?

 

……それならば、可能なのでは?

 

 

そうして完全な記憶を持つ木の制作に取り掛かってからおそらく数十年。

 

とはいえ私の場合、最悪睡眠は必要ない、もしくはいくつか肉体を用意して使い回せばいいし、食事だって必要ない。

 

体内の不要物も、適当に分別した上で掌大の立方体にでもして纏めておいて、定期的にそこらの森にでも放っておけばいいし、水分も不純物だけを取り除いて延々と回し続ければ良い。

 

なので、使える時間の密度は人間達のそれに比べて遥かに高く、人間達が何か新しいものを作るよりも、相対的にはそれほど時間はかかっていない方だろう。

 

 

とはいえ、なんとか完成させるまでは大変だった。

 

成功したと思ったら記憶を長く留めておけなかったり。

 

今度こそ成功したと思ったらそもそも周りを知覚する事自体がほぼできていなかったり。

 

周りの事をはっきりと見て、聞かせられるようになったと思ったら見た目が不気味になりすぎたり。

 

見た目をなんとか整えて、やっと完成したと思ったら貯えられた情報量の多さに気をやられたり。

 

遠方の情報の回収の為に意識を移せるようにしても、距離に制限がありすぎてなんとか距離を伸ばそうと色々と試したり。

 

今度こそ完成したと思ったら生育に問題があったり。

 

完成した記念にその木が稀に美味しい果実を付けるように調整してみたらエネルギー収支に問題が出たり。

 

 

それでもなんとかして完成させた収集の木(今名付けた)の種を実験の意味も込めて水や風、獣の体毛など様々な方法で運び、方方へバラ撒いてから月が二回ほど満ち欠けを繰り返した頃。

 

木が収集した情報を回収する為に、まずは近場の木から巡り、何十本かの木を巡り、回収した記憶のうち数本分を意識的に認識し終わった所で、私は心の中で徐々に勢いを増していくその辛さに気が付いた。

 

最初は良かった。

 

人々やそこに交ざった子孫たちの生活の中の小さな幸せだって我が身に起こった事のように喜べたし、どんなに小さな哀しみでさえ共に哀しみ、しかしその記憶の奔流を楽しむことができた。

 

しかし、喜び、楽しみ、哀しみ、また楽しみ、悩み、怒り、喜びと、段々と感情を抱くという行為そのものが面倒になってきてしまった。

 

勿論、回収した記憶に一々反応する必要は無いし、わざわざ共感や同情を覚える必要は無く、定期的に起きてただ記憶し、役立つ記憶の上澄みだけを掬い上げる事もできる。

 

 

だが……やめた。私は、もう、アレだ。誰かに起こされるまで寝ておこう。

 

定期的に起きて反応するだけというのも、疲れる。

 

ただ、木が知り、記憶する。それだけで良い。

 

私が一々見に行って、そこに感情を抱くのはやめだ。

 

 

勿論遠くの出来事を見るのは楽しい。

 

しかし私は、まるで小さな石のように記憶の川を流れ、精神や感情といったものが擦り減っていく。

 

これ以上心が削れないうちに、大きく暖かな尾に包まって眠りにつこう。

 

眠りは、いつだって私を優しく包んでくれる。




各地に植えた木に意識を移す。
自分が入る身体を1から組み上げられる以上、実質的に瞬間移動的な物が可能になったと言えそう。

ここ書いてる途中に思い浮かんだ設定に沿わせると現地の生物はよっぽどの事をしないとできない。

ちなみにその設定のおかげで前回の謎テンションにも理由付け貝できた。
これがサイオー・ホースというやつか。


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愚行に走る

案のニ(折角なのでタイトルも似せておいた)

活動報告更新しておいてアレだけど、最後の方はなんかそこそこスラスラいったわ。

書いてて多少混乱してきてたんで、どこかおかしいかも。でも見直すほどの気力は今の私には無い……


これから生きていく中で、血族全てを家族と認識していては疲れてしまう。

 

しかしそうなれば私には、理解出来ていなかったと認めるべき事がある。

 

家族とは何なのか?

 

血の繋がりを家族と言うのは簡単だ。

 

しかしそれでは、同種の生き物は全て家族となる。

 

何等親か以内の血族?

 

だとしてもおかしな話だ。

 

なぜ家族同士で争い、僻み、妬み、関係性を歪ませてゆくのか?

 

確かに、家族同士で争う事は多々ある。

 

私だって何度も子らと争った。

 

かつて人の身であった頃も、血族の中には嫌いな相手だって居た。

 

しかしそれでも、滅多な事がない限りは命を奪おうとすることなど無い。あるはずがない。

 

そう、あの戦場の者達はどうだ?

 

もう一方の集団に家族が居ないと何故言い切れる?

 

抱いていた感情は、そこまでするほどのものだったか?

 

 

 

……やはり私には、家族というものがわからない。

 

単なる血の繋がりでないと言うのならば、何と言えば良いのだ?

 

魂の繋がり?

 

だとすれば私は生きているだけで子らに縛られ、縛り付け続ける事となるのか?

 

それに私には、魂を認識することは難しい。

 

そもそも魂なんて物が存在するのかもわからない。

 

私が魂と読んでいるものは、もしかしたら単なる空想上の産物で……

 

 

駄目だな。いくら考えても答えは出ないし、本題から外れてしまっている。

 

私の中にはその結論に到れるだけの情報が揃ってはいないのだろう。

 

 

情報が足りない。ならばその情報を、どこかから補えば良い。

 

この場合補うにはどうすれば良い?一つの家族として暮している様々な生物の観察でもしてみるか?

 

この場合家族と呼ぶのは人間だけか。他は血の繋がりが殆ど無くても群れている場合が多い。

 

そもそも生物学で言えば家族は科で、その場合私……はもう含まれないかもしれないが、狐と犬や狼までもが家族ということに……

 

……駄目だな、すぐに考えが逸れる。また変に考えを深めない内に、とりあえず外に出ていくつかの人間の家族を観察してみよう。

 

 

 

山の上からではよく見えなかったので、麓の街まで降りてきた。

 

この場合に適切なのは……犬や猫、鳥や鼠の身であろうか?どれか一つに絞る事も無いかと時と場合に応じて姿を変え、街のいくつかの家を覗き、距離の近しいいくらかの家を選ぶ。

 

どうせ私は殆ど物を食わなくても良い身だと高を括り、時折栄養不足に悩まされて小さな草木に身を転じさせつつも、人間達の何気ない家族生活を特に何を得られるでもなく観察し続け……

 

 

ふとある時、心の奥底から這い出してきた孤独感に苛まれる。

 

お前は、家族の事を理解出来ない物とし、他者の睦み合いを眺め続けるだけで良いのか?

 

お前は、理解できている筈の、お前が求めて来た筈の!家族を家族たらしめる何気ない時間を取るに足らない情報として無視し続けるのか?

 

ならお前は、何の為にあの子達を産んだ?何の為に、あの子達を高度な思考能力を持つ存在として、自身と会話を可能とする存在として産んだ!?

 

あの子達と、家族に……

安心できる場所が欲しかったんじゃないのか!?

 

 

私があの子達を産んだのは、確かに孤独感からだった。

 

だが、あの子達と家族だったとして、何が出来た?

 

自身の孤独感を満たす為に産んでおいて、老いたら見殺し……

 

いや……違う、あの子達が老いと死を受け入れ、私はあの子達を自分の所有物でなく、対等に接するべき相手として、あの子達の選択を受け入れただけだ。

 

 

自分の思い通りにならなかったから後は見ぬふりで他人面を?

 

 

違う!私は……私は!

 

今までの私の行いを責め立てる声に、私は反論を返すことができなかった。

私のしていた事は、確かにそういう事だ。

寂しさから生み出し、自分の所有物のように扱い、しかしそれに気付き反省……いや、反省した気になり、目を逸らす。

そして自分は他のところでまた別の存在を生み出したり、自身と繋がりの無いものに勝手に可能性を見出しておきながら思い通りにならないと知るや否や古巣に逃げ帰る。

そこでもまた誰かを自分の思い通りに動かそうとし、そして失敗し……

 

あぁ、私は、何をやっているんだ。

 

欲を他の者にぶつけ、躱されたら自身の嫌う結末から目を背ける。

これではただの自分勝手な臆病者じゃないか……

 

何が理解出来ないだ?何が情報が足りないだ?

 

お前は……私は一体何がしたいんだ?

 

わからない。こうなってしまってはもう、何もわかりやしない。

 

ここから何かを考えても、出てくる答えは一つ。

 

目を背けるな。きちんと世界に、個人に目を向けろ。

 

 

……一応、道は、もう一つある。

 

きっと私は、今回もこっちを選ぶ。

 

思い通りにならない世界から目を背け、暖かな毛に包まって眠りに付く。

 

誰かが囁く。本当にそれでいいのか?お前はまた逃げるのか?

 

知るものか。私は、……私の心は、そこまで頑丈にはできていないんだ。

 

獣すらもあまり寄り付かない自身の寝床に帰り、柔らかな自身の尾に包まって眠りにつく。

 

あぁ……眠りは、いつでも私を優しく包んでくれる。




(本人にとっての)善意を投げつけて、いらないと返されたら、押し付けて嫌われるのを恐れて引き下がる。でもそこには必ず後悔が付き纏うから、そこから目を背けようとして逃げ、別のものに依存……この場合は睡眠に逃げる。

……さては病んでない?この子。

いやまあこうしたのは私なんですけど。

でも、こうしてやろうと意識して書いてた訳じゃないんですよね。
……さては病んでない?わたし。


ちなみに、もう一つあった案は、人間の家族という物を理解しようとして、捨て子に扮し、育てられる。その内に罪悪感に駆られ、大人になった時点で遠くに行ってみたいと言い(もしくは育ててくれた人達の記憶を消し)眠りに付く。多分こっちのが曇ると思う。


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やっぱり小説って難しい。レイヤー分けさせて

主人公ちゃんの薄い意識の文と侵入者sの台詞と地の文とで共存どころか競合しそう

投稿かなり遅くなった気で居ましたが前回の投稿五日前だったんですね。(この話の前書き書く前に活動報告更新して後書き書いたからちょっとおかしくなってるかも。)


(石の転がるような音が聞こえる……)

 

「本当にこんな所にあるのか?」

 

「あろうがあるまいが主の命だ。真面目に探せ。」

 

「中は暗いし足場も悪いし、いつ足を引っ掛けるもんかと肝が冷えてしょうがねぇ。」

 

何かを探し求めやってきた二人の男達が、愚痴を零しつつも勇敢に、かつ慎重に暗い洞穴を進んでいく。

 

「おい、何かあるぞ。あれは……柵か何かか?」

 

朽ち果て、もはやその意味を為すことができなくなった金属製の柵を前に立ち止まる。

 

「鍾乳石とかじゃねぇの?」

 

「石柱……いや、石筍か?お前が考えているのが何にせよ、鍾乳石の類にしてはあまりにも細すぎるし、自然にできたにしては形が整い過ぎている。」

 

「だとしても、なんでまたこんな所に柵なんてあるんだよ。鍾乳石だって偶には細く綺麗に伸びたいときだってあるんだって事にしとこうぜ?」

 

「そんなわけあるか。それに、答えはもう見えたようなものだろう。」

 

時間と共に朽ち果て、僅かに残った柵の根本が洞穴の岩壁と融合した物を跨ぎ、一人は檻の中へと侵入する。

 

「おい待てよ、入るのかよ?」

 

「お前は入らないのか?」

 

「こういうのって何か危ねぇ物とかがあったりするんじゃねぇの?あんまり無闇に入らない方が……」

 

「危ない物、だとしても、今我々が探している物かもしれないだろう?」

 

「ああもう、くそが……わぁーったよ、ほれ、さっさと進みやがれ。」

 

(水の音……?)

 

「なんとも奇妙な場所だな。」

 

「何がだよ。」

 

「先程の柵もそうだが、壁や天井、それと辺りに散乱している、かつては何かに使われていたであろう物からもここが遥か昔に使われなくなって、放棄されたのだろうが、それにしては物が多すぎる」

 

「……どういうことだよ?」

 

「お前は身一つで引っ越すのか?」

 

「なるほど、ここの役割はどこかに移動した訳じゃなく、急に使われなくなった……いや、使う奴が居なくなったって所か?」

 

「小物や道具であろう物も朽ち果ててしまって、どういうものだったのかももうわからない。せめて、もうすこし形が残っていれば、何か得られる物もあったろうに……」

 

(人間の、声……?)

 

「お前はそういうの好きだよな……で、その道具の中に目的の物があったらどうする?」

 

「直せるなら直したいが、そもそもこの中には無いだろう。」

 

「ほぉ、そりゃあなんでまた?」

 

「人間を不老不死にできるような物が簡単に壊れてそこらの木屑や石ころにまざって散乱していると思うか?」

 

「そりゃあご尤も。てことは、いかにもそういう物がありそうな場所を見つければ良いわけだ。じゃあ、そこらの木屑なんかを調べるのはあとにして、さっさと奥へ進もうぜ?」

 

(音が近付いてくる……)

 

「……そうだな。ここからはあまり情報は得られそうにない。」

 

男達は暗闇の中へ進んでいく……

 

 

 

かつての檻の中、を暫く進んだ男達は、暗闇の中、洞窟の最奥のその場所で、奇妙な物を見つける。

 

「ありゃあなんだ?」

 

「枯れ木……か?それにしては形が……それに、何故こんなところに?」

 

二人の男がそれを暫く眺め、それが一体何なのかと思案していると、片方の男が突然片手を額に当て、呟く。

 

「あぁ、畜生、これが何かわかっちまった。」

 

「知らない方が良いものか?」

 

「いんや、ただ単に気分が悪くなるだけだ。」

 

「じゃあ問題は無い。これは何だ?まさか目的の物ではあるまいな?」

 

「目的の物かはわからねぇが、こりゃあ獣の骨……いや、木乃伊か。種類はわかんねぇが、少なくとも生きてねぇのは見りゃわかる話だな。」

 

洞窟の最奥に眠っていた、いつの物かもわからない獣の木乃伊。

今までの物とは違う洞穴の雰囲気に、目的の物があるかもしれないという手応えを密かに感じ始めていた男達は、少し落胆する。

 

「そうか……そんな物が何故こんな所に?まさかここがかつて祠か何かで、御神体として祀られていたものだとか?いや、それにしては何も無しに放置されすぎているか。ここまでの道程でそれらしいものは無かった。既に朽ちたのでなければ、だが。」

 

「考えるのはいいけど、結局どうするよ?もしかしたら、これを削った粉を煎じて飲めば効果があるかもしれないぜ?」

 

「本気で言っているのか?」

 

「そうだと思うならなんとかしてくれ。」

 

男が、過去を想像するその思考を一旦止め、少し落ち込んだ気を紛らわせようと軽口を叩く男に疑問を返し、一応詳しく確認するかと木乃伊に目を向け、気付く。

 

遥か昔に命を落としたと思っていたそれから、木の根のような物が出ている。しかも、目に見えてわかる速度で土を、外を目指している。

 

「もしかしたら、本物かもしれん。」

 

「はぁ?」

 

「見てみろ、これが獣の木乃伊かどうかは怪しくなったが、これはまだ生きている!これがお前にはどう見える?私には根を伸ばす木に見えるが、だとすればこのままでは力尽きてしまう……?どうすればいいと思う?」

 

「落ち着け!あー、木か?木だとすりゃあ、土が必要なんじゃないか?あぁ、あと水もか。それに、ここじゃ暗すぎるか?」

 

「だとすれば外か!よし、手伝え。これを洞穴の外に運び出すぞ!」

 

「うえぇ……?本当にどうした?お前……」

 

斯くして男達に運び出されたそれは、興奮を抑えきれない男によって土に根を張ることができ、呆れる男によって水を与えられ、みるみる内にその活力を取り戻し、太く根を張り、青々とした葉を付け、洞穴の中に居た頃の姿の見る影もない程に、忽ちにしてそれはもう元気な巨木へと育ったのだった。

 

男達は子供のように興奮し、その喜びをぶつけ合う。

 

根の力強さ、幹や枝の太さ、葉の青々しさから、その素早い成長速度や、木の香りなど、思い思いの点を語り、喜び合う。

 

ひとしきり興奮を語り合った後に、一人の男が疑問をぶつける。

 

「……で、結局最初の目的はどうなったんだ?木が生えてよかったねおしまい。じゃあ顔も見せられねぇぞ?仮にこの木の果実がそれだとしても、どれだけ待てばいいのか……しかも結構な山の上だし。」

 

「それは……確かにそうだな。毎日ここに来る訳にもいかないし、下手したら何年もここに住む羽目になるかもしれない。そんなのは御免だ。」

 

 

男達が頭を悩ませている側で、大木の枝、一際太い物の中程に、花が咲き、更にそれを押しのけるようにして、それはそれはとても丸い果実のようなものが膨らみ始める。

 

熟す前の梅の実のようなそれはみるみる内に大きくなり、一尺余ほどの大きさまで膨らんだところで落ち着いた。

 

この先の方針について夢中になって話し合っていた男達も大きく存在感を放つその実に気付き、もしやこれが目的の物なのではないかと、今にも落ちそうなその実の下でおろおろと慌てている。

 

 

 

ひとしきり慌てて落ち着いたのか、二人の男はそれぞれの行動をとり始める。

 

大きな実の影で大きく手を広げる男を横目に、もう一人の男が木の枝に登る。

枝の上で身体を安定させ、その実に手を触れた。

その瞬間、青い実の皮、地に面した方が僅かに裂ける。

 

「実が!」

受け止めようとする男が気付き、枝から実に手を伸ばす男に咄嗟に告げるも意図は伝わらず時既に遅し。

 

小さかった裂け目は中身の重さにその大きさをみるみる広げていき、果実の中身は拡がっていく裂け目から外に出ようとする。

耐えきれなくなった果実の皮が中身を産み落とすのは、まるで母が子を産み落とすかのように見え、産み落とされたそれの形を見て、下に居た男が咄嗟に身を挺して受け止める。

 

「大丈夫か!?」

慌てて木から降りてきた男が倒れている男を起こそうとする。

しかし、視界に入ってきたものに、動きが止まる。

 

倒れた男もすぐに気が付き、中途半端に手を伸ばす男に疑問を懐き、その視線の先、自らの大きな腹の上に乗っているものに気付く。

 

「これは……なんだ?あの実から落ちてきたのか?」

 

「俺は、落ちてきた実を受け止めた筈……だが、これはなんだ?」

 

「……月の姫様とでも返してやりたいが、そんな事を言っていい空気でも無さそうだな。」

 

男の腹の上に乗っていたのは、獣の特徴を持った、人の幼子のようなものだった。




なんか話が丁度良く切れたので切りました。本当は次に落ち着くところまで書こうと思ってたとか言えない。投稿期間開いちゃったし丁度良いのかもしれない。


台詞のリハビリを兼ねた話でもあるので多分読み辛かったかもですね。ごめんなさい。
この話に関しては表現の改善案があったら取り入れると思います。
よっぽど拘った表現は別だけど、正直どこが拘ったとか覚えてられない量ですけどね。(



そういえば今日ってクリスマスなんですよ。いつの間にか。
早いですね、時間がすぎるのって。
メリークリスマス!


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実際この時代の権力者をいわゆるリ美肉?させたらどうなるんだろう。意外と馴染む?

めっちゃ難産。多分次回も難産。なんならその次も。一人書くだけで精一杯なのに複数人出そうとするから……

ちなみに話に納得はいってない。
多分もっと文章的に直せるところだらけだと思う。
でも面倒だからある程度で投げました。

↓ここからだいぶん前に書いた文章。具体的には三が日以内だった気がする。

大分日が経ってしまった気もしますが、
あけましておめでとうございます。
今年はこの子の絵を書けるといいなと抱負ではなくあくまで願望を残しておきます。


息が苦しい

 

「……ぁ……うぅ……」

 

空気の抜けるような音がするばかりで声がでない

 

反応の乏しい身体をなんとか動かし、身を捩らせ、もがく……

 

……息が、楽になった。

 

疲れた……

 

 

 

ふと、目が覚める。

 

……ここは、どこだろう?

私はあの洞穴で、眠りについていたはず。

目が覚めているという事は、誰かが起こしたという事の筈。

 

少し頭を上げ、周囲を見渡す。

 

壁、灯りのような物、小さな間仕切り、戸、小さな服、小さな物置棚、台

 

……私を起こした誰かの家、かな?

 

聴覚が、追いついてくる。

人の話し声が聞こえる。

 

……?

よく、わからないが、話しているのは、私の事だろうか?

獣がなんだとか、幼子がどうとか聞こえる。

 

……誰が子供だ。

少し、気に入らない。

 

身体は?

……かろうじて、動きはする。

 

誰だか知らないが、一泡吹かせるには身体の具合が心許ない。

今回は、何言か物申すだけで許してやろう。

 

嗅覚が追いつく。

この匂いは……?

何か、懐かしいような。しかし、心が締め付けられるような……?

 

……あぁ、そうだ、そうだった。

今の私は、私だった。

やっと、自分の身体が自分の認識に入ってくる。

 

今の私の身体は?

臓器類に致命的な欠損等はないものの、栄養が足りないのか?一部の機能が……いや、これは生育不足か?。

 

どちらにせよ、食事を摂る必要がある。

或いは、栄養豊富な土か?

 

外に居る者達は、善き者だろうか?

 

私の身体には、傷付けられた様子はない。

……ひとまず、信じてみるしかあるまい。

 

声は?

……まだ出ない、か。

 

身体中を駆け巡る、有り余っているようにも感じる力を使い、勢い良く戸を開ける。

 

……足音が近付いてくる。どうやら、気付いてくれたようだ。

 

「起きたのだろうか?」

 

「起きたばかりであんな大きな音を立てられるか?」

 

「ならばなんだ。侵入者とでも?」

 

「あんな大きな音を立てる侵入者が居るかよ!そら、扉が開いてる。悩んでるより見りゃあ早いってな。音の正体は?」

 

よかった。誰か来てくれた。

人間の男達、でかいのが二人。その後ろに隠れるように若いのが一人?いや、よく見たらその後ろにもう一人、女も居る。

 

「……起きてはいるな。しかしその場から動いた様子はないか?勿論侵入者も居ない。本人に聞くか?」

 

……しまった。声が出ないとなると、意思を伝える手段が無い。

お腹でも鳴らすか?……鳴らし方なんて知らないな。なら、お腹を抑える仕草でもすればわかってもらえるだろうか?

 

「……ても反応がないですね。これ、言葉が通じてないんじゃないですか?」

 

しまった。何か話し掛けられていたのか。

言葉は通じているし、何か返答を……

「……」

 

「あの子が何か言おうとしてる!」

 

「……口を開いてるけど、何も言わないな。」

 

「やっぱり言葉がわからないんじゃ……いや、もしかして話せない?」

 

そう!話せない!通じた!

 

「物凄く頷いてますね。」

 

「頷いてるって事は言葉は通じているんだろう。つまり話せない方か?」

 

「しっかし、話せないってなるとどうすりゃ良いんだ?質問をして動きで返してもらうとかか?いや、質問によっては駄目か。」

 

「……字は、書けるのだろうか?」

 

字!それなら書け!

……この人達に私の書く字は通じるのだろうか?

とりあえず頷いておくか。

 

「字が書けるんなら簡単だ!」

 

「何か筆記具を借りられるだろうか?」

 

「あ、あぁ……一応どこかにあった筈だが、どこにしまったか……」

 

「私が持ってきます。」

 

「助かる。」

 

 

 

そうしてなんとか意思を伝える手段を得たかと思えば、字が伝わらなかったり言い回しが伝わらなかったり。

結局、空腹の二文字を書いて、最低限声が出せるまで回復し、言葉を取り戻したお陰で、一晩街の外の森に植えて貰うよう伝える事ができた。

土の中に落ち着きを感じてしまう辺り、私の精神の変化を感じる。

それでも土……というより、地中の小さな生物達に対する抵抗感は失っていない事が、僅かに私が私であると安心感を感じる要素となっているのはなんというか微妙なようにも思うが。

 

 

 

ゆっくりと栄養を集めていって結果的に明々後日。ある程度自由に動けるようになった事だし街を歩き回ろうと思い立ち、一応声をかけておこうと人間達の居た家に顔を出したところ、まるで子供でも持つように脇の下に手を回し、中央に台のある部屋まで連れて来られた。

 

別に先に歩かせてくれても良いじゃろうにと文句を言いつつどこかから来たらしい男達の言い分を聞くと、そこそこ急ぎの用事らしく急いでいるから儂が目的としていたそれかどうかだけでも先に確認したいそうな。

 

「私は多分目的の者ではない。では少し歩き回ってくる!」

 

「待って待って、目的が何かも聞いてないのに違うって言われても困る。まずは目的を聞いてくれ。」

 

確かにこの男達の目的は知らない。

しかし、

「私は永らくあの洞穴に居た……というか、半分死んでたようなものだから、急に必要になったその何かが私だというのは無いと思うのだが……?そもそも、よくあんな所に来ようと思ったな。」

 

あの洞穴はそれなりに高く位置しており、ロクに通れる道も無かった筈だが。

 

「私達は主の命により、この辺りに流れる、不老不死へと至る方法を知るために、ここに来た。」

 

「この辺りで見つからなくて、どうしようかと悩んでいたところに、山の上に長い間誰も近付いてない洞穴があるらしいと聞いて、藁にも縋る思いで見に行って……まぁ、結果的にあなたを見つけた。」

 

「なるほど。……して、不老不死を求める理由は何だ?回答次第でお主らへの対応を変える気はないが、参考までに聞いておきたい。」

 

「我等の主の命があまり長くないのだ。……あまり、口に出して言いたい事ではないな。わかっていても、心が辛い。」

 

片方の男が顔を伏せ、それを補うようにもう一人が言葉を続ける。

 

「今、主に倒れてもらっては困る。あの御方は、我等仕える者達だけでなく、民衆からも愛され、慕われている御方なのだ。こんなに早く倒れられてしまったら、俺達はもう、どうすればいいのか……」

 

つまり……

「その人間が死にたくなくて不老不死になる方法を部下に探させた?」

 

「ああ、そういう事だ。正確には、本人の命ではないが、我等の主であることには変わりない。」

 

どうしたものか。

死にたくないという気持ちはわかる。

しかし、その手段を教えてやる義理はあるか?

起こしてもらった事で?……まあ、足りるか。足りなくても、断る理由には足るまい。

 

それに、これから長い月日を生きる上での道連れ……というと言い方が悪いか?……まあ、間違ってはなかろ。

 

「私の持つ物が不老不死足り得るかはともかく、連れて行って損ではなかろ。私を持って行け。」

 

自分で動くのは面倒だから、どちらかに私の事を持って貰うがな。

 

「つまり……我等の主の命は助かるという事か!?」

 

「伸ばせはする。あとは、その人次第。生きたきゃ生きられるし、死にたきゃ死ねる。私は教えるだけだからね。」

 

こいつらがどんな人間かは知らないが、慕われてるって言えるくらいならまぁ、話し相手くらいにはできるか。

 

何より、こちら側に引き込めるのがいい。失わずに済む。




思い付いたけど本文に書かなかった情報リスト
森に植えろと言ったとき、住民二人は若干疑問を抱いていたが、男達は妙に納得した様子をしていた。

街を歩き回ろうとしていたけど、ここで街に行っていたらその街に住む人間の殆どが子孫なことに気付いて(里の面影が殆ど残っていない事も合わせて)そこそこ沈んでいた

未決定リスト
死にかけてこの後死ななくなるのが男か女か、若い…のはそこそこ若いにしても、頼んだのが本人の配偶者か子供か側近?的なのかは未定。

この後、あるじさんに選択を迫る。その人は、その人としての自分をどこまで捨てられるか。

ちなみにこれが選択肢
食、声、姿、性、血、種、知、我
食事の必要性を捨てられるか、
声までなら変えても良いか、
姿も変えても良いか、
性別も変わっても良いか、
それ以上血を残せなくても良いか、
種族すらも変わっても良いか、
知識、記憶類も忘れて、生きられればそれで良いか、
自我も失って、それこそ生命であれれば良いか。

私なら、多分、種族までなら捨てられます。
話としては一応未定だけど、まぁ、さいころでも振って決める事にします。

アンケート機能使おうかとも思ったけど面倒が勝った。


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