ポケットモンスター~WORLD TOUR~ (ゼクスバーナー)
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カントー編
1章 出会い


初めまして、ゼクスバーナーと申します!!
あとがき(ページの下の部分?)にも書いてありますが別のサイトで同名で同じタイトルの作品を執筆しております!!
そことここの環境の違いで慣れない点が多々ありますが(生)温かい目で見守っていただけると嬉しいです。


 ――ここはカントー地方にある、のどかな村マサラタウン。

 

 ポケモンマスターと呼ばれるレッドという少年もこの村の出身である。

 

 そして明日、トレーナーとして旅に出ることが出来る10歳の誕生日を迎える少年が居た。

 

 少年の名はハルト。今夜両親からパートナーとなるポケモンをもらう事になっている。

 

「明日やっと旅に出れるのか…。父さんと母さんはポケモン何くれるんだろ……」

 

 自宅にある自分の部屋でベッドに横になりながら僕はふと思った。なんせ初めてもらうポケモンであり、パートナーにもなるのだから。

 

 ちなみに僕の家は両親が医者で自宅1階部分が他の街でいうところのポケモンセンター、2階と3階はトレーナーが宿泊する居住スペースとなっていてその真裏にくっつくように建っている建物が僕達が住む自宅になっている。

 

 そのためか小さいころからポケモンと慣れ親しんでいて、親の職業柄かある程度の応急処置なら自分一人でもやってのける力がある。

 

「初めてもらうポケモン……。なんだろう……。」

 

 そう呟いていたら下の階がやけに騒がしくなってきた。

 

「また救急かな?」

 

 気になった僕は急いで階段を下り、両親と合流した。

 

「父さん、母さんどうしたの!?」

 

 僕が聞くと、父さんは色違いのイーブイが搬送されてきた!と答え治療室に急いで向かって行った。

 

 

 あれから暫くしてイーブイの治療を終えた父さんが治療室から出てきた。

 

「父さん!さっき運ばれた色違いのイーブイ大丈夫!?」

 

「あぁ、あちこち打撲が見受けられたからかくとうタイプのポケモンにでも襲われたのかな?最近ここら辺でマンキー達が暴れまわっているという噂をよく聞くからな」

 

 確かにトキワシティから西に行くとマンキー達のすみかがあるというが、そこにいるマンキー達は基本おとなしい性格で人やポケモンを襲うというのはあまり聞いたことがなかった。

 

「まぁ明日にはよくなるだろうから野生に帰してあげよう」

 

 父さんがそう言った直後、治療室の方からドーン!と爆発音が聞こえた。

 

「パパ、ハルト大変!さっきのイーブイが!」

 

 そう言って走ってきたのは母さんだった。

 

 家族3人で治療室へ行くとそこには胸の部分にRと書いてある黒ずくめの格好をした男二人組が居た。

 

「うちの家に穴をあけるとはいい度胸だな。お前たちは何者だ?」

 

 普段はあまり怒らない父さんが怒気を込めながら訪ねると連中は隠すそぶりもせず答えた。

 

 自分たちは『ロケット団』であると。

 

「ロケット団?なんですかそれ?」

 

 今度は母さんが連中に聞いた、そしてまた連中は隠すそぶりもせず答えた。

 

「俺達か?俺達はポケモンを使って悪事を働く秘密結社ロケット団さ!この色違いのイーブイが逃げ出したんで連れ戻しに来たのさ!」

 

 団員の一人がイーブイの耳を持ちぐっと持ち上げた。するとイーブイは苦しそうな表情をしながら僕をみた。

 

「ポケモンを使って悪事を働くだと……、そんなこと許すわけにはいかない!」

 

 父さんがモンスターボールを手に取りロケット団と戦おうとした時だった。もう一人の団員がけむりだまを投げて逃走したのだった。

 

「くっ、イーブイが!」

 

 煙が晴れるとそこには奴らの姿はなかった。

 

「逃げられた!」

 

 父さんは悔しそうにしている。それはそうだ、僕だってくやしい。

 

「追いかけましょう!」

 

 と、母さんが提案するも父さんはジュンサーさんに連絡して頼もうと言って動かなかった。僕は居てもたってもいられなくなりロケット団が開けた穴から外に出て奴らを追いかけに行った。

 

 後ろから父さんと母さんがハルト!って呼んだのが聞こえたけど連れ去られたイーブイの方が心配で立ち止まる訳にはいかなかった。

 

 だって、あのイーブイ。僕に助けを求めてたのが『聴こえた』から。

 

 

 僕は家の横に停めてある自転車(折り畳み式)でロケット団を追いかけた。

 

 僕の家はマサラタウンの南にある海の近くで割とオーキド博士の研究所は近い。海の方には特に船もなく、どこかに隠れられるような場所もないので行先はすぐに検討はついた。

 

 トキワに向かうための北にある道路、1番道路。僕は全速力で自転車を走らせて向かうと黒ずくめの奴らが仲間と合流するところだった。

 

「待てぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 僕は無我夢中で自転車に乗ったまま突っ込み、物凄い音を立てながら転がった。

 

 勢いよく突っ込んでしまい団員を吹っ飛ばしたが、自転車が壊れてしまった。うん、どうせボロボロだったからいいんだけど。

 

「イテテ、あのイーブイは……、居た!」

 

 突っ込んだ時にイーブイまで吹っ飛ばしてしまったみたいで、ちょうど僕の近くに倒れてた。(ごめんね、イーブイ)

 

 僕はすぐにイーブイを保護した。

 

「大丈夫かい?家に戻ったらすぐ元気にしてあげるから」

 

「このクソガキめ、俺達にイーブイを渡しやがれ!」

 

 と、その時吹っ飛ばした団員達が立ち上がりポケモンを出して奪い返そうとしてきた。僕は当然今夜ポケモンもらうのでまだポケモンを持っていなく、いるとすればこの傷ついた色違いのイーブイなのだが到底戦える状態じゃない。

 

「覚悟しやがれ!」

 

 団員が襲ってくるのでとにかく僕は逃げ続ける。しかし、一本道のためすぐ追いつめられてしまった。万事休すか……。

 

 団員達のポケモンが僕に襲い掛かるその時だった。

 

「リザードン、かえんほうしゃ!」

 

 どこからか声が聞こえて来た瞬間空からリザードンがかえんほうしゃで団員達のポケモンを焼き尽くしながら地上に降りてきた。

 

 そしてその背中に乗っていた人は……。

 

 ポケモンリーグ、セキエイ、シロガネ両大会を制覇したポケモンマスター、レッドさんだ。

 

「やぁ、大丈夫かい?」

 

 レッドさんが優しく微笑みながら僕に声をかけてくれた。

 

「あ、はい!なんとか無事です!」

 

 目の前に超有名人のレッドさんが現れて一瞬戸惑ったが今はなんとか大丈夫だ。

 

「ったく、そのセンスのない真っ黒な服着たいかにも僕たち悪者でーす。みたいな奴らが寄ってたかっていじめか?なんなら相手になってやるぞ?」

 

 そう言うと、団員達はなにやらコソコソと話し合い、くっ覚えてろよ!とよく聞く捨て台詞を吐いて逃げて行った。

 

「あ、あの助けていただいてありがとうございました!」

 

「ん?気にすんなって、シロガネ山で特訓を終えて帰ってきたとこだったし」

 

「はぁ……」

 

 シロガネ山と言えばオーキド博士が認めた人物しか入れない強いポケモンがたくさん生息する山。そんな場所にこもって特訓してたのか、やっぱりすごいな。

 

 

 その後僕とレッドさんは僕の家に向かい、ジュンサーさんに話をしてイーブイをまた治療室に戻し家の居間に居た。ちなみに壊された壁は父さんのポケモンのカイリキーが直してくれた、身体は大きいけど4本の腕を器用に動かすことが出来るんだ。

 

「レッドさん、ハルトを助けていただきありがとうございました!」

 

 父さんと母さんは深々と頭を下げた。

 

「別にいいですって、偶然通りかかっただけですし」

 

「いやいや、レッドさんが居なかったらどうなってたか……」

 

 ちなみにさっきからこのやり取りが延々と続いている。

 

「えーっと、ハルトくん?だっけ?よかったなー、イーブイを取り返せて」

 

「えっ!あ、はい」

 

 いきなり話を振られてびっくりしてしまった。

 

 そして2時間程話をし、レッドさんは自宅へと帰って行った。

 

 

「あーあ、結局今日のこの事件のせいで明日から旅に出れるのに肝心のポケモンがもらえなくなっちゃったよ……」

 

 自分の部屋で呟きながら時計を確認すると現在午後8時、本来ならばもうパートナーとなるポケモンを渡されているはずだったのだが、今回の騒動で父さんが研究所にポケモンを受け取りに行けずもらえなかったのだ。

 

 そんな事を考えてたら下の階が騒がしくなった。またロケット団が来たとかないよね?レッドさんが念のためってことで自宅に帰るついでにパトロールしてくれてるみたいだし。

 

 気になって下の階に行くとそこには元気に走り回ってる色違いのイーブイとそれに遊ばれてる父さんと母さんがいた。

 

「……なにがどうなってるの……?」

 

 すると、イーブイが僕に気が付き飛びついてきた。そしてあまりにびっくりして後ろに倒れこんでしまった。

 

「ちょっ…くすぐったいって」

 

 イーブイは顔にすり寄ってきたり舌で舐めてきたりとじゃれてきた。

 

「もしかして、その子ハルトになついたのかしら?」

 

「そうかもしれないね、ハルト!」

 

 父さんに名前を呼ばれすぐさま起き上がった。

 

「ハルト、どうやらそのイーブイはお前になついているみたいだ。そしてな、そのイーブイはまだ野生のポケモンなんだ。お前が良ければその子の親になって明日から一緒に冒険したらどうだ?」

 

 父さんの発言は意外だった。けど嬉しかった。イーブイはただでさえ珍しいのにその色違いなんだ。しかも進化先はいくつもあるポケモン。なによりも昔から欲しかったポケモンなのだから。

 

「うん!僕こいつと旅に出たい!」

 

 僕がそう言うと、父さんはオーキド博士に電話してポケモンをもらうことを無しにしてもらい、明日から冒険の旅に出るのだからと早く寝るように言った。

 

「そうだ、せっかくだしニックネームつけてあげたら?」

 

 僕が自分の部屋に寝に行こうとすると、母さんがそう言い、僕は少し考えてニックネームを付けた。

 

「ブイ!お前の名前は今日からブイだ!」

 

 これが僕と色違いのイーブイ、ブイとの出会いだった。




 まえがき(ページの一番上?)でも書きましたがFC2小説にてここで使っている著者名と同じ(ゼクスバーナー)で同じ作品を執筆しています。
 更新速度は個人的都合によりFC2の方が早いです。他にも作品を執筆しているので気になる方は是非覗いてみてください。そのうちこちらでも執筆します。

 良い点悪い点アドバイス等あればコメントをください。糧にしてより良い物にしていきます!!


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2章 旅立ち

FC2とハーメルンの差で未だにあたふたしている著者でございます。


「ハルトー!準備出来たー?」

 

 もちろん。

 

「ハルトはやくー!」

 

 わかってるって。

 

「はーやーくー!」

 

 そんな急かさないでって。

 

 ちなみにさっきから聞こえる声は僕の足元にいるこいつ……色違いのイーブイ、ブイだ。本来ならばブイ!と聞こえるのだろうが、僕には人の言葉を喋ってるように聴こえるのだ、というか生まれつき聴こえるのだ。

 

「じゃあ行こうかブイ」

 

「うん!」

 

 僕たちは父さんと母さんが待っている1階のポケモンセンターまで降りた。

 

「準備は出来たみたいだな」

 

「ハルトの旅がとても充実したものになることを祈ってるわね」

 

「うん、行ってくるね父さん、母さん」

 

 僕は父さんと母さんに行ってくると告げ、オーキド博士に会うべくオーキド研究所へ向った。

 

 

「オーキド研究所……、博士は一体なんの用で僕を呼んだんだろう」

 

 僕とブイはのんびり歩きながらオーキド研究所にやって来た。

 

「まぁとにかく入ってみないと分からないし、入ってみるか」

 

 僕はぶつぶつと独り言を言いながらオーキド研究所の扉を開け中へ入った。ちなみにブイは僕の後ろを歩いてついて来ている。

 

「あのー、オーキド博士はいらっしゃいますかー。立ち寄るよう言われて来たハルトといいますー」

 

「じーさんならいねーよ」

 

 僕は後ろからいきなり声をかけられてびっくりしてうわぁ!!と、情けない声を出してしまった。後ろを向くとそこには現在トキワシティジムリーダーのグリーンさんが居た。

 

「グリーンさん!?なんでここに?」

 

「なんだよ、ここに居たら悪いのか?俺だってマサラ出身だぞ」

 

「あ、そうでした」

 

「そうでしたじゃねーよ。ところでお前何しに研究所に来た?」

 

「えっと実は……」

 

 僕はグリーンさんにここに来た訳を話した。

 

「なるほどな、ってことはあれだなポケモン図鑑渡すんだろ。あれがないとポケモンセンターとかでサービスを受けられないしな」

 

 そういえば確かに家でもトレーナーさんが図鑑を見せてたような……。

 

 そんなことを考えてると若干息切れしているオーキド博士がやってきた。

 

「おぉ、ハルトくん待たせてしまってすまんね」

 

「おいじーさん、頼んでおいたモノ出来たか?」

 

「おぉ、グリーンか。ポケモン図鑑のバージョンアップと修理は完了しておるよ、はいこれじゃ」

 

 オーキド博士は何かを思い出したかのようにグリーンさんに図鑑を手渡した。

 

「サンキュ、じーさん。じゃあ俺はジムに戻るわ。あ、そうそう……」

 

 ジムに戻るといい研究所の入口に行こうとしたグリーンさんが僕の方を見て付け足した。

 

「お前、ハルトって言ってたっけ?もしジム巡りの旅をするならトキワ以外のカントーの7つのバッジ集めたらトキワジムに来いよ。8人目のジムリーダーとして相手になるぜ」

 

 そう言ってグリーンさんは行ってしまった。トレーナーとして旅に出る以上ジムへ挑戦するつもりだったけど、一つ目標が出来たかな。

 

 バッジを集め、グリーンさんを倒しセキエイ高原で開かれるポケモンリーグセキエイ大会に出場して優勝する!

 

「ほほぅ、グリーンに素質があると思われたようじゃな。ところでハルトくん今日から君は冒険の旅に出るのじゃな?」

 

「はい!こいつと旅にでるつもりです」

 

 そう言って僕は足元にいるブイに目を向けた。

 

「……なるほど、色違いのイーブイか。だから君のお父さんはパートナーのポケモンは結構と申し出たのじゃな。ハルトくん、君のお父さんは結構と言っていたがこの子とこいつを持っていくがいい」

 

 そう言ってオーキド博士は赤くて四角いもの、さっきグリーンさんに渡してた物と同じポケモン図鑑とモンスターボールを受け取った。

 

「博士、これは?」

 

「とにかく開けて確認してみるといい」

 

 そう言われたので僕はモンスターボールを開けるとボールからフシギダネが現れた。

 

「えっ!博士いいんですか!?」

 

「いいんじゃよ、レッドがヒトカゲ、グリーンがゼニガメを貰って行ってこの子だけ残ってしまったんじゃ。ハルトくんぜひとも連れてっててくれんか?」

 

「喜んで!ありがとうございます!」

 

「大切に育てるんじゃよ、あとお父さんには内緒な」

 

「はい!分かりました!」

 

 そして僕は研究所を後にした。

 

 

 マサラタウン、オーキド研究所前……

 

「これからよろしくね!えーっと……ニックネームはフッシーでいい?」

 

「フッシー……、うんいいよ!」

 

 フシギダネのフッシーは笑顔でそう答えた。

 

「じゃあお前の名前はこれからフッシーだ!よろしくね!」

 

 こうして僕は新しい仲間を加え、となり街のトキワシティを目指して歩き始めた。

 

 

 現在1番道路、マサラとトキワの中間地点。

 

「ふぅ、トキワには何度か行ったことはあるけど、草むら入って野生のポケモンと戦いながらだと中々進まないもんだね。やっと中間地点とかかな」

 

 僕は持ってきたタウンマップで現在地を確認していた。ちなみに今は少しひらけた原っぱで休憩中。

 

「ブイ、フッシー大丈夫?」

 

「うん……、ちょっと疲れたかな」

 

「ぼくもー」

 

 ブイに続いてフッシーが答えた。ここに来るまでポッポの大群やコラッタ達に襲われたり等連戦だったため2匹とも若干疲れていた。まぁ旅は始まったばかりだし僕たちのペースで頑張って行こう。

 

 ブイとフッシーが休憩している間に、博士からもらった図鑑を調べようと思い図鑑を開いた。

 

「みつけた数は4でつかまえた数は2か」

 

 どうやら図鑑に記録されるのは『図鑑を手に入れてから遭遇したポケモン』のようだ。家族でセキチクにあるサファリゾーンに行ったことがあり、たくさんのポケモンを見ているが、そこで見たポケモンは記録されてなかった。

 

「この図鑑、手持ちのポケモンの能力も分かるんだ……。覚えてる技も載ってる」

 

 そう、この図鑑は手持ちのポケモンの方へ向けるとそのポケモンの個体としての能力値が分かったり、覚えてる技も確認できる。

 

ちなみにブイとフッシーが覚えてる技はこんな感じ。

 

ブイ:たいあたり、しっぽをふる、みきり

フッシー:たいあたり、なきごえ、やどりぎのたね

 

「……。あれ?イーブイってみきりって覚えたっけ……。」

 

 もしかして遺伝かなんかで覚えたのかなぁ、と思っている間に2匹ともばっちり回復したようだ。

 

 

 あれからまた草むらに入って野生のポケモンたちと戦いながら進み、日が沈みかけた頃にトキワシティに到着した。

 

「ふぅ……、やっと着いた」

 

 そして今僕はトキワのポケモンセンターの前に来ていた。ちなみにブイとフッシーはボールに戻して休ませている。

 

「今日はポケセンで泊まろうっと」

 

 そう言ってポケセンに入ろうとしたらいきなりマンキーの大群が現れ、街の西の方へ走り去っていった。すると、今度はジョーイさんが現れた。

 

「えっと……、どうかしたんですか?」

 

 僕がそう尋ねるとジョーイさんはえぇ、と答え話してくれた。どうやらマンキー達が街のあちこちに大群で現れてはモノを盗んで自分達のすみかに持って行ってしまうそうだ。盗むものは主に食料らしい。

 

「でも何のために?」

 

 気になって聞いてみたがジョーイさんは分からないとのこと。

 

「あれ?ハルトか?」

 

 後ろから声が聞こえたので振り返ると数時間前に会ったあの人が立っていた。

 

「グリーンさん!?」

 

「何をそんなに驚いてるんだよ、俺はこの街のジムリーダーなんだからそんなに驚くこたぁねぇだろ」

 

 そうでした……。

 

「あ、グリーンさんちょうどよかった。ちょっと依頼があるのですが……」

 

「……例のマンキー達の件ですね?」

 

 グリーンさんはまるで分かってたかのように答えた。

 

「えぇ、住民の方々も被害に遭っていますし」

 

「分かりました、とりあえず明日の朝に奴らのすみかの近くまで行って調べてきます」

 

 グリーンさんが依頼を引き受けると答えるとジョーイさんはお願いしますと言いお辞儀した。ジムリーダーはジム戦だけではなく、その街での有事の際には住民達を助けるという仕事もするのだ。ある地方ではこれらのこと以外に副業で博物館の経営やモデルをやっている人もいるとかいないとか。

 

「てことでハルト、お前も手伝え」

 

「……今なんと?」

 

 ジムリーダーがトレーナーになったばっかの奴を使う訳ないと思い聞き返した。

 

「聞こえなかったか?明日俺の手伝いをしろって言ったんだ」

 

「……はいぃぃぃぃぃ!!!???」

 

「てことで、明日の朝8時にポケセンの前で待ち合わせな、遅れんなよ」

 

 そう言ったグリーンさんはどこかへ去ってしまい、僕はグリーンさんに強引に手伝いをやらされることとなった。




基本は自身がFC2に投稿したものをコピペして載せているのですが、サイトの性質上、所々修正したりしています。

……ある意味こっちが本稿になっているような……??


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3章 マンキー達の秘密

そろそろこのサイトの仕様にも慣れてきた著者でございます。
そう言えばルビサファのリメイク(続編とも噂されてます)が今年の11月に出るそうですね。


 あの後僕はポケセンの電話を使い、両親に今トキワに居ると言い、ブイとフッシーをジョーイさんに預けた後ポケセンの宿泊施設に泊まった。

 

 そして現在午前6時、僕は起きた。

 

「ふぁ~……、朝ごはん食べてブイとフッシーを引き取りにいかなきゃ……」

 

 僕は起き上がり、着替えや準備を済ましてブイとフッシーをエントランスで引き取った。

 

「ブイ、フッシー出ておいで!」

 

 エントランスで2匹を引き取った僕はその場でボールから出してあげた。

 

「「ハルトおはよー!」」

 

 2匹とも元気になってなにより。グリーンさんとの約束の時間までまだあるので僕たちは朝食を食べながら時間までのんびりし、約束の時間が近くなると2匹をボールに戻してポケセンの前でグリーンさんを待った。するとものの数分後にグリーンさんがやってきた。

 

「おぅ、どうやら遅刻しなかったみてーだな」

 

「えぇ。というかなんで僕を手伝いに?」

 

 昨日から疑問に思っていたので聞いてみた。

 

「ん?特に理由はねーよ。強いて言うなら新人トレーナーに色んな経験を積ませてやろうっていう先輩トレーナーの優しさ?」

 

 なんかキザな言い方だったが、確かに色んな経験を積むことは悪くないと思い、僕はそうですかとだけ答えグリーンさんと共にトキワの西にある道路……22番道路へと向かった。

 

 

 22番道路……

 

「どうやら案外早く見つかりそうだな」

 

「そうみたいですね」

 

 今僕たちは22番道路に来ているのだが、目の前にはマンキー達が立ちふさがっていた。

 

「こちらとしてはなんで窃盗を続けるのかを問いただしたいとこだが、向こうはやる気のようだな……」

 

 これ以上は進ませないと言わんばかりにマンキー達が襲い掛かってきた。

 

「……ピジョット、ふきとばしだ」

 

 グリーンさんがボソッとつぶやくと同時にいつの間にかにボールから出していたピジョットが大空で大きな翼で風を起こした。

 

「くっ……すごい。足を踏ん張ってないと僕まで吹き飛ばされそうだ」

 

 しばらくすると風は止み、そこにはおびただしい数の戦闘不能状態のマンキー達が倒れていた。

 

「ざっとこんなもんか、戻れピジョット」

 

 グリーンさんが指示をするとピジョットはすぐにボールに戻った。

 

「ところで、このマンキー達何かを守っているような感じがしましたけど何を守ろうとしてたんですかね?」

 

「さぁなぁ」

 

 そんな話をしていると、またぞろぞろとマンキー達が現れた。

 

「んだよ、まだ居たのか。んじゃ今度はハルト、お前がなんとかしろ」

 

「えぇ!僕ですか!?」

 

「そうだ、お前だ。さっきよりかは数も少ないしお前の手持ちの2匹なら問題はないはずだ」

 

 内心ではグリーンさんが全部ぱぱっとやって僕は何もしないと思っていたがやっぱそう甘くはなかったようだ。

 

「マンキー達もやる気だしやるっきゃない!出てこいブイ!フッシー!」

 

 僕はブイとフッシーを出してマンキー達に応戦する。

 

「フッシーはやどりぎのタネでマンキー達を足止め、ブイはやどりぎに捕まらなかったマンキー達にたいあたり!」

 

 2匹とも僕の指示通りに動いてくれた。先程よりも数が少ないとはいえこちらは2匹。フッシーのやどりぎで足止めかつ体力を削る間に残りのマンキーをブイが相手するという作戦だ。ホントはやどりぎで足止めしている間フッシーも動ければいいんだけど、まだ制御しないと不安定なのだ。

 

「……!ハルト、マンキーが3匹まとめてブイに来てるぞ!」

 

 グリーンさんが言う通り、今ブイにマンキーが3匹飛び込んできている……。けどこれなら……!

 

「ブイ!みきりからのでんこうせっかだ!」

 

 するとブイは攻撃をみきり、その瞬間にでんこうせっかで素早く攻撃を入れた。トキワに着く直前にブイが覚えてくれたわざがまさかこんなに早く使うことになるとは思ってなかったけど。

 

「よし、そのままでんこうせっかでやどりぎに捕まってるマンキー達も倒すんだ!」

 

 ブイは足を止めることなく素早く動きフッシーが足止めしてくれていたマンキー達を倒した。

 

「ふぅ、とりあえずこんなもんかな」

 

 2匹をボールに戻そうとした時だった。ブイがいきなり声を出し僕に話しかけてきた。

 

「ちょっと待ってハルト!このマンキー達、ボクがロケット団から逃げてマサラタウンに着く前にボクをボコボコにしたマンキー達だよ!だとするとマンキー達が守ってるのは……」

 

「……!?だとしたら早く行かなきゃ!」

 

「?どうかしたのか?」

 

 僕はブイから聞いたことをグリーンさんに話した。

 

「マンキー達が守っているのは自分たちのボスにあたるオコリザルです。ブイがマサラに来る前にここの近くを通ったらしいんですが、病気で弱ってたそうでブイをオコリザルを狙いに来た敵だと思ってボコボコにしたそうなんです」

 

 これでブイが運ばれた時にマンキー達に襲われたあとがあったのと、食料を盗んで行く理由がわかった。

 

「ちょっと待てハルト、ブイから聞いたって言ったけどなんでポケモンが喋ってることが分かるんだ?」

 

「え、あぁなんか生まれつきそういう風に聞こえちゃうんですよ」

 

「……お、おぅ」

 

 グリーンさんは困惑している。まぁそりゃそうだよね。

 

「とにかく、急いで親分のオコリザルのところへ行きましょう!手遅れになる前に助けなきゃ!」

 

「あぁ!そうだな!」

 

 僕とグリーンさんは手分けして倒したマンキー達を急いで治療しオコリザルの居場所を聞きだし、その場所へ向かうとそこには衰弱しきったオコリザルとそれを守るようにマンキー達、そして盗まれたであろう食料があった。

 

「頼むそこをどいてくれ!僕はそこのオコリザルを治しに来たんだ」

 

 僕がそう言っても聞き入れてもらえず、マンキー達は襲い掛かってきた。

 

「ハルト!お前はオコリザルを治療しろ、医者の子供って言ってたよな。なんとかしてみろ!」

 

 グリーンさんはピジョットを出して僕の壁になってくれた。

 

「ブイ、フッシーも手伝って!」

 

 僕がそう言うと2匹とも頷き、オコリザルの治療にはいった。

 

 

 十数分後、オコリザルの治療が終わった。

 

「グリーンさん、こっちはなんとか終わりました」

 

「そうか。で、結局なんでオコリザルは衰弱しきってたんだ?」

 

 僕はオコリザルの症状を説明した。

 

「はぁ?栄養失調!?」

 

「はい、栄養失調です」

 

「お前がヤバめって言うからもっとすごい病気かと思ったらそんだけ?」

 

「はい、そんだけです。とはいえだいぶ偏食だったので必要な栄養素が足りなくて衰弱してたみたいですね。それを心配した部下のマンキー達が盗んだものよくみてください」

 

 グリーンさんは近くに積んである盗まれた食料に目をやった。

 

「きのみが多いな」

 

「えぇ、どうやら肉ばっかの食生活みたいだったので完全に野菜不足というかきのみ不足といいますか……」

 

「……なにはともあれ助かってよかったな。この件については俺から街のみんなに報告しておくよ」

 

「はい、お願いします」

 

 グリーンさんと話をしているとオコリザルが目を覚まして僕に話しかけてきた。

 

「君が助けてくれたのか……部下が手荒な事をしてたみたいですまなかった、そして助けてくれてありがとう。この恩は決して忘れない」

 

「別にいいって、けどこれからはしっかり色んなものも食べるんだよ。そしてきっちり休むようにね」

 

「あぁ、そうするよ」

 

 オコリザルはそう言ってまた寝てしまった。

 

「ところでハルト、お前はこの後ニビシティに向かうのか?」

 

「えぇ、そのつもりです。そしてニビジムに挑戦してジムバッジをもらうつもりです」

 

「……なるほど。だったら昼間のうちにトキワの森を抜けた方が良い。昼間でもあの森は薄暗い、夜になったら周りがほとんど見えないからな」

 

 トキワの森は天然の迷路で迷いやすく、なおかつ薄暗い。夜になると完全に迷子になると言われている。

 

「今は……ちょうどお昼の12時ですね」

 

「今からトキワに戻って森を抜けるとなると日が暮れるな……。よし、森の入口まではピジョットに乗ってけ。そうすりゃ日没前には抜けられるはずだ」

 

「えっ、いいんですか?」

 

 どうせならニビまで乗せて欲しいと思ったけどもここはちょっと我慢した。

 

「あぁ、迷子になってまたジムリーダーの俺が駆り出されるのも面倒だからな」

 

 あー、なるほど。でもそれならなおさらニビまで乗せてくれてもいいんじゃないかな……。

 

「それにこの後ジム戦の予約も入ってるからな。ピジョット、ハルト達を森の入口まで乗せてってやれ」

 

 グリーンさんはピジョットに命令して僕を乗せた。

 

「あ、ブイとフッシー戻って!グリーンさん、なんか色々とありがとうございました」

 

 僕はブイとフッシーをボールに戻してグリーンさんに挨拶をした。

 

「気にすんな、お前が7つのバッジを手に入れて俺に挑んでくる日を待ってるよ」

 

「必ず、必ず挑みに来ます!」

 

「あぁ、楽しみにしてるぜ」

 

 そしてピジョットは僕を乗せてトキワの森へ飛んでくれた。

 

 

グリーンside……

 

(……ポケモンと会話が出来るか……。信じがたいがあいつを見てるとホントのように思えるな。……もし、あの時そんな力があったならレッドにも勝てたかな……?)

 

 物思いにふけりながら俺はトキワシティに歩いて帰った。




そう言えば説明していませんでしたが、作中の時間はゲーム『赤・緑』の2年後、つまり『金・銀』の1年前の設定ですが次の章で出てくる某黒ずくめの方々はご健在です。

設定に少々(?)矛盾点もございますが、そこは2次創作ということで目を瞑ってください←

ちなみに黒ずくめの方々と一緒にヒロインポジションの女の子が出てきます(やっと少しだけ華やかになります)


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4章 トキワの森を突破せよ!

知らないうちにお気に入り登録してもらってたみたいです。ありがとうございます♪


 グリーンさんと別れて十数分後、僕はトキワの森の前のゲートに着いた。22番道路から歩けばかなり時間がかかるのだが、さすがはグリーンさんのポケモン。僕を連れて空を飛び短時間でゲートの前まで連れてきてくれた。

 

「ピジョットありがとう!グリーンさんにありがとうって伝えておいてね」

 

 僕はピジョットから降りてピジョットに挨拶をした。ピジョットはコクリと頷いてトキワシティの方へ飛び去ってった。

 

「さぁて、日が暮れる前までにニビシティに行かなきゃね!」

 

 僕はゲートを抜けてトキワの森へと向かった。

 

 

 トキワの森は噂通りの天然の迷路な上に昼間でも薄暗い。そして入ってから1時間程経っただろうか……。

 

「……ヤバい、迷子かも。」

 

 完全に途方にくれていた。

 

「ハルトー、どうするのー?」

 

 僕の足元をぐるぐる回りながらブイが聞いてきた。

 

「どうするってもなー、完全に迷子だしなー」

 

「そんなにのんきに言えることじゃないよね」

 

「……うん」

 

 ポケモンに呆れられてしまうとは僕はまだまだなようだ。

 

「……?ねぇねぇハルト、なんか聞こえなかった?」

 

「……?いや、特には……」

 

「……きゃー……」

 

 その時だった、かすかに女の子の叫び声が聞こえた。

 

「今の声だよ!さっき聞こえた声は!」

 

「叫び声ぽかったし、何かあったのかな?ブイ行ってみよう!」

 

「うん!」

 

 僕とブイは叫び声が聞こえた方へ走って向かった。

 

 

「ちょっと!何すんのよ!」

 

「ちぃ!失敗したか!」

 

 少女は黒ずくめの格好をした男の手を振り払い距離をあけてキリッと睨み付けた。

 

「おいおい、女の子一人に何手こずってんだよ」

 

 すると手を払った男の後ろからもう一人同じ格好をした男が出てきた。

 

「なによ、薄暗い森で女の子でも拉致するつもり!?」

 

「ちげぇよ、お前の腰のベルトについてるボール、ポケモンに決まってんだろ?」

 

「ポケモン?薄暗い森で背後から襲ってきたと思えば人のポケモンを盗むですって!?あんたたち何者よ!」

 

 少女が怒りながら問うと、黒ずくめの連中は答えた。

 

「俺達か?秘密結社r……」

 

「おーい!!君大丈夫ー!?」

 

 黒ずくめの男の声をかき消したのは少女の後方から走って向かってきているハルトだった。

 

「え、えぇ。私は大丈夫だけど」

 

「そっか、それならよかった……ってあれ?」

 

「ハルト、こいつらって……」

 

 ハルトとブイが見ると黒ずくめの連中はわなわなと震えていた。

 

「あなたこの黒い連中知ってるの?」

 

「え、一応は……かな?」

 

 少女の問いにハルトが答え終った後黒ずくめの連中はハルトに怒りの矛先を向けた。

 

「こんのクソガキめ!マサラで邪魔してくれたガキんちょか!一度だけでなく二度までも邪魔するか!!」

 

「あー、よく見たらマサラで会った人か。ロケット団ってみんなそっくりな顔してる気がしたけどやっぱり違うんだね」

 

 ハルトの言葉に黒ずくめの連中、もといロケット団は完全にキレた。

 

「落ち着けお前、とにかく知ってるガキも居るんだ捕え損ねた色違いのイーブイとこの女のポケモンかっさらうぞ!」

 

「なぁに?やる気?女の子だと思って甘く見てると痛い目に遭うよ」

 

「だったらガキども、大人を甘く見ない方がいいぜ!」

 

「……なんか僕も戦う感じだね。ブイを取られるわけにはいかないしやるしかないね!」

 

 こうしていきなり2VS2のタッグバトルの火蓋が切って落とされた。

 

 

「「行け!コラッタ!!」」

 

 ロケット団の二人が出してきたのはコラッタだった。

 

「よし、ブイ行くんだ!」

 

 僕はブイを出した。隣の女の子は何を出すんだろう?

 

「ニョロモ!GO!」

 

 女の子が出したのはニョロモだった。

 

「ブイ、でんこうせっかだ!」

 

「ニョロモ、あわ!」

 

 僕と女の子が同時に指示を出したが動き出しが早かったのかブイだった。相手のコラッタの背後を取り、あわが飛んでくる方向に吹っ飛ばした。

 

「こなくそ!コラッタ、たいあたり!」

 

 もう片方のコラッタがブイにたいあたりをしてダメージを与えるも、女の子が援護でもう一発あわを撃ってくれた。

 

「ありがと!」

 

「いーえー、そっちもやるじゃん」

 

 初めてのタッグバトルなのに息がぴったりで戦えることに僕はワクワクしていた。

 

 

 その後も僕と女の子は連係プレーで相手のコラッタ達を押し切り勝利した。とは言っても、相手はただごり押ししてくるだけだったから避けて攻撃するという簡単なことしかやってないけど。

 

「ちぃ、ガキのくせに中々やりやがる」

 

「覚えてろ!」

 

 よく聞く捨て台詞を吐いたロケット団はすぐさまどこかへと逃げて行った。

 

「逃げ足だけは早いんだね……。とりあえずブイ戻って」

 

 僕がブイをボールに戻すと女の子もニョロモをボールに戻し始めた。

 

「ところで、君はなんでロケット団に絡まれてたの?」

 

「ん?森の中を散策してたんだけど、いきなり後ろから襲われたの。まぁすぐ振り払ったんだけど、そしたらちょうど君たちが来てくれたの。助かったよありがとう……ってそういえば名前聞いてなかったね、私はナツキ。あなたは?」

 

「僕はハルト、こないだトレーナーになったばっかで今日トキワの森に来たんだけどちょうど迷子になってたところに君の叫び声が聞こえて駆け付けたんだ」

 

「ハルトくんね、よろしく。迷子なの?助けてくれたお礼にゲートまで案内しようか?ニビシティ側でいいかな、さっき一度ニビのゲートまで行ってるから道案内できるよ」

 

「いいの?そうしてくれると助かるかな」

 

 こうして僕はナツキさんの案内のもと、ニビシティ側のゲートまで行くことにした。にしても今日はやけに色んな人に助けられるなぁ……。もっとしっかりしなきゃ。

 

 

 森を歩きながら僕はナツキさんと話をしていた。

 

「へぇハルトくんってマサラ出身なんだ。てことはレッドさんやグリーンさんに会ったこととかってあるの?」

 

「うん、何度かね。旅に出る前とかにちょこっと話もしたよ」

 

「えー、いいなぁー」

 

 ナツキさん曰く、現在トキワの森の中間地点からちょいニビよりの場所に僕たちは居る。

 

「ナツキさんはどこ出身なの?」

 

「私?私はワカバ出身だよ」

 

 ワカバ……?カントー地方にそんな場所あったっけ?と首をかしげているとナツキさんはさらに説明を加えた。

 

「ワカバってどこ?って思ってるでしょ、私実はジョウト地方で生まれたの、カントーとはお隣の地方ね。こないだ10歳の誕生日向かえてトキワに引っ越して来たんだけど色々ドタバタして今日から旅を始めたの」

 

「へーそうなんだ!じゃあお互い新米トレーナーって感じかな?」

 

「ふふっ、そうだね。あ、そうだ!もしハルトくんが良ければなんだけど、2人で旅しない?1人よりも2人の方が心強いし」

 

 確かにナツキさんの言う通りだ。この先何があるか分からないし1人よりも2人の方が心強い。それにお互い新米トレーナーだし。

 

「うん、こちらこそ僕で良ければ一緒に旅しよう!」

 

「じゃあ決まりね!よろしくねハルトくん!」

 

「こちらこそ!」

 

 僕たちは一度立ち止まり、握手をしてからニビシティへと向かった。




(一応)ヒロインな女の子登場です←
FC2の方を読んだことのある方、もしくは読めば分かるのですが実は彼女がメインのお話は少ないんです……。

そしてちょっと裏話をすると当初は勝気な感じの子にするつもりだったんですけど気づいたらだいぶ違う感じの子になりましたwww
前の方のページでも書いたと思いますがFC2の方を少し修正しているので読み比べてみると面白いかもしれません。


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5章 ジム戦の前に……

今回はFC2の方では同じ章に書いてあるお話をあえて分けて投稿します。


「「着いたー!」」

 

 あの後、薄暗い森を抜け再び2番道路(ニビシティ側)に出てきた僕たちはやっとこさニビシティに辿り着き、歓喜の声を上げた。

 

「ナツキさん、道案内ありがとね!」

 

「ううん、気にしないでいいよ。とりあえず日も傾いて来たし急いでポケセンいこっか」

 

 トキワの森に入った時はまだ昼ごろだったのに薄暗くてあまり空も見えない森の中を歩いていたらいつのまにか夕方になっていた。僕はナツキさんにうん、とだけ答えポケセンへと向かった。

 

 

 ニビシティポケセンエントランス……

 

 僕たちはポケモンをジョーイさんに預けて椅子に腰かけていた。

 

「ところでハルトくんはジムに挑戦するの?」

 

「うん、僕はまだバッジ持ってないけどとりあえず今の目標はトキワジム以外のカントーの7つのバッジを手に入れてグリーンさんと戦って、もちろん勝って最後のバッジを手に入れてリーグに挑戦するんだ」

 

 ナツキさんは、そうなんだ!と答え今度は僕が質問した。

 

「ナツキさんはジムとか挑戦するの?」

 

「んー、私はジムには挑戦しないかなー。私はポケモン達がいるこの世界を旅して色々なものを見て回りたいかな、カントーやジョウトだけじゃなくてホウエンやシンオウ、もっと遠くにあるイッシュにも行って色んなポケモン達に会ってみたい!」

 

「いいねそれ!絶対楽しいじゃん!」

 

「お、分かってくれる!?」

 

「うん!」

 

 会話がヒートアップしてきた途端にジョーイさんが間に入ってきて、元気なのはいいけどお静かにと言われ、預けたポケモンを返してもらった。……ごめんなさい。

 

 

 翌日になり僕はナツキさんよりも早くにエントランスに来ていた。もちろんナツキさんとは別の部屋で泊まりましたからね?

 

「ごめーんハルトくん!お待たせ!」

 

 ポケセンの奥の方から慌ただしくナツキさんは僕のとこに走ってきた。

 

「今日早速ジムに挑戦するの?」

 

「ナツキさんが起きてくるまでにちょっと調べてたんだけど今日挑戦出来るのがどうやら午後からみたいなんだよね。だからニビに来るまでに見かけた草むらにこもってちょっと特訓しようかなと」

 

 僕がそう答えるとナツキさんは腕を組んで右手を顎にあてて何かを考え始め、すぐに何かを思いつき口を開いた。

 

「そうだ!ジム戦の前にちょっと勝負しようよ!」

 

「勝負?僕はいいけどどこでするの?」

 

「ポケセンの裏手に公式戦でも使えるフィールドがあったからそこでやろうよ!」

 

 そう言うとナツキさんは僕の手を引いてポケセンの建物の裏へと向った。

 

 

「じゃあ使用ポケモン2匹のシングルバトルで審判は居ないけど手持ちの2匹が戦闘不能になったら負けってことでいい?」

 

「うんいいよ!」

 

 ポケセンの裏にあるフィールドに着いた僕達はお互い腰のベルトに付けているボールを手に取り同時にポケモンを出した。

 

「いけ!フッシー!」

「ニョロモGO!」

 

 僕はフッシー、ナツキさんはニョロモを出した。タイプ的にはこちらが有利か。

 

「タイプは不利でもなんとかしてみせる!ニョロモ、しろいきりで隠れながらあわで攻撃よ!」

 

 しろいきりを出されたことによって視界が悪くなった。

 

「フッシー、あわが来ても君なら大丈夫。冷静に落ち着いて僕の指示通り動いてくれ」

 

 フッシーが頷くと数か所からあわが飛んできた。

 

「フッシー!つるのムチであわを割っていくんだ!」

 

 フッシーはつるのムチであわを割っていくのと同時にしろいきりをはらっていった。

 

「やるねハルトくん、けどこれならどう?ニョロモ、みずでっぽう!」

 

 フッシーが霧をはらいきる前にフッシーの横にめがけてみずでっぽうをされ、フッシーは直撃をくらった。

 

「フッシー!」

 

 直撃を食らってふらついてるフッシーに僕は叫んだ。効果はいまひとつだとしても完全に虚を突かれ直撃を食らったためそれなりにダメージを負ってるようである。

 

「結構効いてるみたいね。このまま畳み掛けるよ、ニョロモ、みずでっぽう!」

 

「フッシー、つるのムチでかわすんだ!」

 

 みずでっぽうが連射されるもフッシーはムチを使って身体を動かして避けていく。なんか打開策は……、よし……アレをやろう!

 

「フッシー、避けながら地面にやどりぎのタネを植えていくんだ!」

 

 フッシーはコクッと頷いて指示通りに地面に種を植えていった。

 

「何を企んでるか知らないけどニョロモにはダメージを与えてないよ!ニョロモ、おうふくビンタ!」

 

 ニョロモが攻撃をしにフッシーに近づいてきた時だった。

 

「……かかった。今だ!植えた種を発芽させるんだ!」

 

 僕の合図と同時にフッシーは植えたやどりぎのタネを発芽させニョロモを囲う壁を作った。しかもすぐ発芽させるのではなく植えてから発芽してからのエネルギーを蓄えさせたためつるは急成長をしながら徐々に壁となってでニョロモに迫る。

 

「成長が早い……!けど!」

「まだだ!フッシー、どくのこな!」

 

僕は間髪を入れずに指示を出し、種から伸びて大きなつたとなった隙間からどくのこなを忍ばせ、更に成長し続けるやどりぎでニョロモを締め上げる。

 

「ニョロモ!」

 

「どく状態によるダメージとやどりぎの体力吸収のダブルパンチ、ちょっとずるいかもしれないけどこれでさっき直撃を食らった分は回復させてもらうよ」

 

 完全に身動きをとれなくしてから1分程してニョロモを解放した。解放されたニョロモは少しフラフラしながらも立とうとしていたが力尽きて戦闘不能状態になった。

 

「ニョロモお疲れ様」

 

 ナツキさんはニョロモをボールに戻すとすこし悲しそうな顔をしていた。バトルとはいえ少しやりすぎたかな……。

 

「凄いねハルトくん、あんな作戦思いつくなんて。けど負けないよ!頼むねポニータ!」

 

 ナツキさんは2匹目にポニータを出してきた。うーん、今度は不利だなぁ……おまけにポニータは相当早いぞ……。

 

「さぁニョロモの分まで頑張るのよ!」

 

「フッシー、相手は素早いしタイプの相性は不利だけど頑張ってくれ!」

 

 そしてお互い同時に指示を出した

 

「「たいあたり!」」

 

 指示は同時だったがお互いのポケモンの動きの速さはやはり顕著にでた。ポニータの方が早く動き始め、フッシーを突き飛ばした。

 

「くっ……やっぱり早いか。だったらつるのムチで足を狙ってくんだ!」

 

「その程度じゃ私のポニータは止められないよ!」

 

 ナツキさんの言う通り、フッシーは懸命にムチで足を止めるべく攻撃を仕掛けていくがポニータは軽々と避けてしまう。

 

「だったら、さっき仕掛けた残りのやどりぎのタネを発芽させて絡みつかせるんだ!」

 

 ニョロモ戦の間もエネルギーを貯めてあるため、さっきよりもかなりの速さで大きくなる。しかしナツキさんの次の一手ですべて壊された。

 

「ポニータ、ひのこ!」

 

「完全に焼かれた……!」

 

 僕が驚いている間にナツキさんは次の一手をうった。

 

「ポニータ、かえんぐるま!!」

 

「しまっ……!」

 

 ハッと気づいた時にはもう遅かった。フッシーはかえんぐるまをモロに食らい戦闘不能になってしまった。

 

「フッシー……、ごめん。僕の指示が遅かったから……。ゆっくり休んでね」

 

 僕はフッシーをボールに戻し、ブイを出した。

 

「ブイ、相手はかなり素早い。けど頼んだよ」

 

 僕はブイにそう伝えるとブイは一度僕の方を向いて任せてよと言い、ポニータの方を向いた。

 

「いくぞブイ!でんこうせっか!」

 

「ポニータ!かえんぐるまで迎え撃つのよ!」

 

 ポニータはかなり早いけど、僕のブイだってそれなりに足は速い。でんこうせっかを使えばポニータのスピードにだって追いつけるはず……!

 

「なるほど、高速バトルね。けどブイが長時間ポニータの速さについて来れるかな?」

 

 ナツキさんの言う通りだ。体力の面じゃポニータの方に分がある。このまま長引けばやられるだろう……。けどまだブイにはあの技がある!

 

「ポニータ、ブイの足が遅くなってきたわ、攻めきるよ!」

 

 ポニータがブイにとどめを刺しにかかろうとした頃だった。

 

「ブイ、今だ!みきり!」

 

 ナツキさんがしまった!と思った頃にはもう遅い。みきりで攻撃をかわした後ブイにすぐ指示を出した。

 

「ブイ!でんこうせっかで押し切れ!」

 

 ブイは最後の力を振り絞り、技をみきられたことによって反応が遅くなったポニータに全力の攻撃をぶつけ、ポニータは倒れた。

 

「……どうだ?」

 

 ポニータは完全に目を回して倒れてた。……ということは。

 

「勝った!よくやったブイ!」

 

「くぅ~。勝てると思ったのになー、まさかあそこでみきりを使うなんて。ハルトくん頭の回転早いんじゃない?」

 

 ナツキさんはポニータをボールに戻しながらちょっと悔しそうな顔をしていた。

 

「作戦勝ちって言うのかな?けど正直危なかったよ。ナツキさん強いね」

 

「そう?ありがとハルトくん。じゃあポケモンの回復させにポケセン戻ろっか」

 

「そうだね」

 

 僕はブイをボールに戻してナツキさんとポケセンへ向った。よーし、ジム戦頑張るぞ!




実はこの部分はFC2の方での、ある章の前半部分なんですけどサブタイ詐欺じゃね?って判断したので分けましたwww


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6章 ジム初挑戦!VSタケシ

FC2ではこのサブタイの章の前半部分が前のページのお話でした。
タケシと聞くと高校時代吹奏楽部でチューバ吹いていた友達を思い出します(ぇ


 午後1時、ポケモンの回復と昼食を済まして僕とナツキさんはニビジムの前に立っていた。

 

「ハルトくん、緊張してる?」

 

「うん、ちょっとね」

 

「大丈夫だって、ハルトくん強いもん。ブイとフッシー信じてハルトくんはしっかり指示してあげれば勝てるよ」

 

 結構緊張しているのだが、ナツキさんにそう言ってもらったおかげか幾分気が楽になった。

 

「よし、行くか!」

 

 僕は意を決してニビジムの中へ入った。

 

 

「……お前が今日一番乗りのチャレンジャーか」

 

 ジムに入った僕たちに話しかけてきたのは肌の色がちょっと黒くて細目のニビジムジムリーダーのタケシさんだった。

 

「はい!」

 

「元気がいいな、ところでお前名前とバッジの数は?」

 

「マサラタウン出身のハルトって言います、バッジはまだ持ってません」

 

 するとタケシさんはふむ、とだけ言いベルトに付けているボールを二つ選び僕にフィールドに案内するからついてこいと言った。

 

 

「ここが……」

 

「そうだここがニビジムのバトルフィールドだ」

 

 ニビジムのバトルフィールドはごつごつした岩や石が転がっていた。なるほど、ジムリーダーは各タイプのエキスパートだったりするからそのタイプに合わせたフィールドになるのか。

 

「ハルトと言ったな、準備はいいか?大丈夫なら位置につけ、すぐ始めるぞ」

 

「あ、はい!」

 

「ハルトくん頑張ってね!」

 

「うん、行ってくる!」

 

 僕はナツキさんと別れフィールドのチャレンジャー側へ向った。ナツキさんは観客席で観戦するようだ。

 

「審判頼むぞ」

 

 タケシさんはジムトレーナーと思われる人に審判をするように頼み、フィールドの反対の位置に立った。

 

「分かりました、では両者準備はいいですか?ルールは使用ポケモン2匹のシングルバトル、チャレンジャーのみポケモンの交代が許されます」

 

 僕とタケシさんはそれに了承し審判がではバトルを開始しますと宣言した。

 

「よし、出てこいイシツブテ!」

 

「ブイ!頼んだよ!」

 

 タケシさんは不思議そうな顔をしているがそれも当然。ブイはノーマルタイプで相手はいわとじめんの2つのタイプを持っているイシツブテ。普通に戦ってもこちらの攻撃はタイプの関係でいまひとつにしかならない。

 

「一番手がイーブイとは面白いな、だが俺のポケモンは硬くて丈夫、ダメージは大したことないぞ」

 

「誰も真正面から戦うなんて言ってませんよ?」

 

「……それもそうだな。面白い、かかってこい!」

 

 審判がバトルスタート!と宣言するのと同時に僕はブイに指示を出した。

 

「ブイ!でんこうせっかで攻めろ!」

 

「イシツブテ、いわおとし!」

 

 イシツブテはフィールドに落ちている石を投げてきたがブイは軽々と避けて攻撃を叩き込む。

 

「ふむ、足はだいぶ速いようだな。なら、まるくなるだ!」

 

 タケシさんの指示のあとイシツブテはまるくなり防御態勢をとりはじめた。今ですら硬いのだからこれ以上硬くされると困るな、だったら!

 

「ブイ、しっぽをふるで防御を落とすんだ!」

 

 ブイは尻尾を振り始めイシツブテのガードがどんどん緩くなってきた。

 

「お次はすなかけだ!」

 

 ガードが緩くなったところでブイはすなかけでイシツブテに砂をかけていく。

 

「なるほど、少しは考えがあるようだな」

 

「もちろんですとも。ブイ、相手はすなかきで命中率が落ちてきてる、お前の速さで翻弄するんだ!」

 

 ブイは頷くとでんこうせっかでヒットアンドアウェイ戦法を続けた。僕の作戦としては相手の防御を下げるしっぽをふる、技の命中率を下げるすなかけをでんこうせっかのスピードを活かして使い、後はブイの足の速さとすなかけで下がった命中率なら攻撃がほぼ当たることもないからどんどん攻撃を叩き込む、危なかったら下がる。これだけである。

 

 そしてこの作戦が上手くハマり出して数分経った頃、イシツブテは倒れた。

 

「イシツブテ戦闘不能!ジムリーダーは次のポケモンを出してください」

 

 審判がイシツブテが倒れて戦えないと判断しタケシさんに2匹目のポケモンを出すよう促した。

 

「ふむ……。たとえ効果がいまひとつだとしても圧倒的な手数、補助技、それをこなすスピードでごり押しか。まぁ悪くはないだろう、だが次のポケモンにそれが通用するかな?出てこい!イワーク!」

 

 タケシさんはイシツブテをボールに戻し、2匹目のポケモンにイワークを繰り出してきた。

 

「イワークか……。ブイ、まだ大丈夫?」

 

 ブイは頷いたが、イシツブテにやった今の作戦で相当体力的には辛いものがある。時間をかけずに倒したいところだな。

 

「イワーク!相手は疲れ始めている、ここは押すぞ!がんせきふうじ!」

 

「ブイ!みきりだ!」

 

 イワークが大きな岩で攻撃してくるも、みきりでなんとか回避した。

 

「イワーク!もう一度がんせきふうじ!」

 

「でんこうせっかで避けろ!」

 

 みきりは連続での使用が出来ないためでんこうせっかで避けようとしたが、イシツブテ戦での疲労のせいか転んでしまい攻撃をモロに食らってしまった。

 

「ブイ!」

 

 がんせきふうじによって完全に身動きが取れなくなってしまっていた。これはヤバいぞ。

 

「自慢のスピードも身動きが取れなければ無意味だ、イワーク!しめつける攻撃!」

 

 ブイはイワークの身体にしめつけられ徐々に体力を削られ何も出来ずに倒されてしまった。

 

「ブイお疲れ……。後はフッシーに任せて休んでくれ」

 

 僕はブイをボールに戻した後フッシーを繰り出した。

 

「いわタイプに相性のいいくさタイプのフシギダネか、たとえ相性が良くても俺達は負けない!イワーク、がんせきふうじ!」

 

「フッシー!つるのムチで弾き返せ!」

 

 イワークはいわを投げつけ、フッシーはムチでそれを弾き返す。

 

「守ってばかりじゃ倒せないぞ!」

 

「守るだけのつもりなんてありませんよ、フッシー、やどりぎだ!」

 

 岩を一通り弾き、ムチを使って飛び上がった。そしてイワークではなく地面に種を植え付けた。

 

「……!あれって私とバトルした時と同じの!」

 

 ナツキさんの声が聞こえた……気がする。そう、ナツキさんとのバトルでやったあの作戦。

 

「地面に植えてどうするつもりだ?まぁいい、イワーク、たいあたりだ!」

 

 地面に着地した直後のフッシーめがけてイワークはたいあたりをしてきた。

 

「よし!かかった!」

 

「なに?」

 

 合図と同時に地面から発芽したつるがイワークに絡み付き動きを封じた。

 

「地面に一度植えて力を蓄えて一気に解放し、急速に成長させることによって通常よりも強力な技になったのか!」

 

「その通りです。さぁ動きは止めました、こっから何するかなんて言わなくても分かりますよね?」

 

「!イワーク、なんとかほどくんだ!」

 

 イワークはつるをなんとかほどこうとするが、動けば動くほど絡み付いて動けなくなった。

 

「フッシー!いっけぇ!」

 

 フッシーはつるのムチを2本出し、自分の頭上で2本のムチを絡み付かせ太くて丈夫な1本のムチにして力いっぱいイワークに叩きつけた。

 

「イワーク!!」

 

「どうだ!!」

 

 僕とタケシさんが見守る中フッシーの一撃を受けたイワークは目を回してフィールドに倒れた。ということは……

 

「勝ったー!!」

 

 僕は初のジム戦でジムリーダーに勝てたことに嬉しくなりガッツポーズをとって喜んだ。

 

 するとフィールドの向かいからタケシさんがイワークをボールに戻してから僕のもとに歩いてきた。

 

「ふぅ……まさか最後の一撃にパワーウィップとはやるな。中々の威力だったぞ。そしておめでとうハルト!俺に勝った証のグレーバッジ……受け取れ」

 

 フッシーが最後に放った技……パワーウィップって言うのか……。あの一撃はフッシーに任せてみたけどそんな技覚えてたんだ……というかいつ覚えたんだろう?

 

 まぁそれはさておき、僕はタケシさんからグレーバッジを受け取り、バッジケースの中へしまった。

 

「ところでハルトは他の街のジムにも挑戦するのか?」

 

 タケシさんからの質問に元気よくはい!と答えるとタケシさんはふむと呟いてから話を続けた。

 

「じゃあ次はハナダシティに行くといい、あそこのジムリーダーも強いが頑張れよ」

 

 タケシさんの言葉に頷いた僕は観客席から戻って来たナツキさんと合流し、ポケモン達を休ませる為にポケセンに戻ることにした。




ポケモンに詳しい方が居れば分かるかもしれませんが、パワーウィップは遺伝だったかな?確か通常は覚えないはず。
じゃあ遺伝で覚える技ならなんで図鑑で確認した時に技の名前が無いんだよ!!とツッコみたい方もいるでしょう。

……。気にしたら負けだ!!←←

まぁ、これに限らず矛盾点が少々(で済めばいいけど)あるかと思いますが(生)温かい目で見守ってください。


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7章 博物館襲撃!おつきみ山の戦い!(前編)

FC2のページ数、描写の関係上前後編に分けさせてもらいます。


 僕とナツキさんはポケセンでポケモン達が回復している間にこの後の予定を考えていた。

 

「とりあえず、まずはジム戦勝利おめでとう!」

 

「うん、ありがとう!ところでこの後の予定どうする?このままオツキミヤマ抜けてハナダシティに行くことも出来るけどナツキさんはどっか行きたいところある?」

 

 ナツキさんは少し考えてから口を開いた。

 

「んー、じゃあせっかくニビに来たし博物館行ってみない?おつきみ山で採れた化石や石とかの展示やってみるみたいだし」

 

「いいね、じゃあブイ達が回復したら行ってみようか」

 

 という訳で、ブイ達が回復し終わったら博物館へと行くことにした。

 

 

 博物館前……

 

「ここがニビ科学博物館かぁ」

 

「おつきみ山で採れた石や化石の他に進化に必要な石の展示を今やってるみたい」

 

 進化の石か……。僕のブイは何に進化させよう……。ナツキさんのニョロモも進化してニョロゾになればみずのいしでニョロボンに進化するんだよなぁ。

 

「ハルトくん?早く入ろうよ!」

 

「ん、あぁ、ごめんごめん。じゃあ入ろうか」

 

 僕たちは博物館に入館した。

 

「「おぉー!」」

 

 入館してすぐ僕達を出迎え、そして驚かしてくれたのは大きなドラゴンタイプのポケモンの化石だった。

 

「すごいねー、昔普通に生きてたんだよね」

 

 ナツキさんは大はしゃぎだ。そして次に目に飛び込んで来たのは進化の石だ。ほのお、みず、かみなり、リーフのいしといったカントーではデパートでも売っているメジャーなものから、カントーではあまり見かけないひかりややみのいしまで綺麗に展示されている。

 

「ねぇハルトくん、あそこに人だかりが出来てるけど何があるのかな?」

 

 ナツキさんが指さして言う方向に確かに人だかりが出来ていた。僕達もそこへ行き何があるのかと人だかりの合間から見てみた。

 

「……んー、なんか綺麗なものがあるってのは分かったけど」

 

「なんなのかよく分かんなかったね」

 

 人が多いため近付いて確認するのは難しかった。諦めて他の展示物を見に行こうとした瞬間だった。いきなり煙幕が起き、たちまち僕たちの視界を遮った。

 

「げほっげほっ……、なんだこれ!ナツキさん大丈夫!?」

 

 視界が悪くなりナツキさんの姿が見えなくなったので無事なのかを確認する。

 

「げほっ……、なんとか大丈夫だけど一体誰がこの煙幕を……」

 

 煙幕が晴れるとさっき人だかりが出来ていた場所が騒然としていた。

 

「無いぞ!ひみつのコハクが無いぞ!」

 

 客の言葉に係員の人達が反応して大騒ぎした。

 

「ひみつのコハクって……?」

 

「もしかしてさっき見た綺麗なやつじゃない?」

 

 僕とナツキさんが話をしているとボサボサな髪型でメガネをかけた係員の一人が僕達のところへやってきた。

 

「君達トレーナーかい!?手伝ってもらいたいことがあるんだけどいいかな?」

 

「そうですけど、どうかしたんですか?」

 

「君達も聞こえたと思うけど展示していたポケモンの遺伝子が入っているひみつのコハクが何者かに盗まれたんだ。運よく監視カメラに映ってたんだけど盗んだ犯人はこいつみたいなんだ」

 

 監視カメラの映像を写真にして印刷したものを見せられた僕たちは犯人がすぐ誰だったのか分かった。

 

「「ロケット団!」」

 

「知ってるようなら尚更助かる。是非とも僕と一緒にこいつを探して欲しいんだ」

 

「ハルトくん、またあいつら悪さしてるみたいだね」

 

「うん、どうにかして取り返さなきゃ!」

 

「じゃあ、僕に協力してくれるかい?」

 

「「もちろんです!」」

 

 僕とナツキさんは二つ返事で答えた。

 

 

 博物館の外に居た人達に聞いたところ犯人はおつきみ山の方へ逃げたらしい。急いで追いかけるために係員の人……カズマさんが車でおつきみ山まで運転して追いかけることにした。

 

「ところでカズマさん、あのコハクって一体なんだったんです?」

 

 ナツキさんがカズマさんに質問する。

 

「さっきも言ったと思うけどあれは大昔に生きていたポケモンの遺伝子が入ったものなんだ。僕の予想では大空を飛んでいたポケモン、プテラだと思うんだ」

 

「プテラ……?」

 

 僕が首をかしげているとカズマさんはさらに説明を加えた。

 

「古代、それも恐竜と呼ばれる動物が生きていた頃に生息していたと言われているポケモンなんだ。性格は獰猛だと言われてるね」

 

「へぇー、どんなポケモンか見てみたいです!」

 

「グレンタウンで化石の復元で大昔生息していたポケモンを化石から復活させることもしてるみたいだからコハクも持っていけばもしかしたら復活させてもらえるかもね」

 

 そうこうしている間におつきみ山のすぐ近くにあるポケセンに到着した。

 

「ニビジムのタケシさんが整備をしてくれているから2年前と比べて相当進みやすくなったとは言え、まだ車じゃ入れないからこっから先は歩いて進もう」

 

 僕たち3人は車を降り、おつきみ山の洞窟へと入った。

 

「割と明るいですね……」

 

 おつきみ山は内部の洞窟を通ってハナダへ行くのだが他の洞窟と違い明るい。

 

「……!?二人ともストップ!」

 

 ナツキさんが何かに気づき僕とカズマさんが進むのを止めた。

 

「あれ、ロケット団じゃない?」

 

 ナツキさんが指さす方向にロケット団と思われる連中が数人立っていた。

 

「どうします?」

 

「……少し様子を見よう。ほら、あいつら洞窟の奥の方へ行こうとしてるし」

 

 僕がカズマさんに質問し、カズマさんの言う通りに様子を見るとロケット団達は何かを話しながら奥へどんどん進んで行った。

 

「追いかけよう」

 

 そう言ってカズマさんは僕達の前に立ってゆっくりロケット団の後を追いかけた。

 

 

 おつきみ山広場……

 

 僕たちはロケット団を追いかけているうちに洞窟を抜け、池のある広場まで来て岩陰に隠れながら様子を見ていた。

 

「ほう、これがひみつのコハクか」

 

「えぇ、盗んでくんのちょろかったですよ」

 

「古代に生きていた獰猛なポケモンがこのコハクの中に遺伝子に残されているのですね」

 

「そこの男三人衆、盗むもん盗んだんだからさっさとアジトに帰るわよ」

 

 ロケット団が帰ろうとしているその瞬間に僕たちは飛び出した。

 

「ロケット団!博物館から盗んだものを返してもらうぞ!」

 

 カズマさんは声を張り上げてロケット団達を睨む。

 

「なんだぁ?博物館の係員のにーちゃんか?こんないいもんをあんなとこに展示してるなんてもったいねぇからもらっといてやるよ」

 

 紫色の髪をしたちょっと歳くったようなおじさんがコハクをポンポンと掌の上で投げながら近づいてきた。

 

「それは博物館のみんなで探し当てたものだ、君達に渡すわけにはいかない!」

 

「ふむ……これがあなたの、いやあなた達の大事なものだと言うのは分かりました。ではバトルで白黒つけませんか?」

 

 普通の団員とは違う白い服を着た男が提案してきた。そしてその言葉に反応した白い服を着た赤い髪の女が怒りはじめた。

 

「はぁ!?アポロ、あんたアホじゃないの?なんでわざわざ盗んだものを返す提案なんか持ちだすのよ!さっさとここをおさらばすればいいじゃない!」

 

「まぁまぁアテナ落ち着いてくださいよ」

 

「いやいや、アポロさん盗んできたの俺ですよ!?」

 

 今度はさっきの黒服の紫色の髪のおじさんと同じような服を着た若い男がアテナと呼ばれている女の人と一緒にアポロという男に抗議し始めた。

 

 そしてロケット団の連中がやいやいとケンカを初めてしまったので僕達3人はどうすればいいのか分からずただただ佇んでいた。

 

「カズマさん……どうします?」

 

「どうするって勿論取り返す、バトルで勝てば返してもらえるなら返してもらいたい」

 

「人から物を盗んでるんですから許すわけにはいかないですよ!」

 

 僕の問いにカズマさん、ナツキさんと順に答える。

 

「イテテ、とにかくどの道逃げるとしてもここで彼らを倒しておかないとすぐに追いかけられてしまいますし、幹部候補の僕たちが負けるわけないでしょう?」

 

「……そうね。ならバトルで決めましょうか」

 

 アテナは自身にけちょんけちょんにされかけてるアポロという男の説得にしぶしぶ応じ、モンスターボールを取り出した。にしても幹部候補?という事は今までの団員よりも強いのか?

 

「どうやらバトルで白黒決めるっていう方向で落ち着いたのかな?」

 

「えぇ、長らくお待たせして申し訳ないです。4人VS3人じゃ少々卑怯だと思いますのであなた方3人VS僕以外の3人で先に2人勝った方が勝ちということでいいですか?」

 

 僕たちはそれでいいと答えたが、またなにやら向こう側が騒がしくなった。

 

「おいこらアポロ、テメェ戦わないのかよ?」

 

「そうっすよ!アポロさんだけずるいっす!」

 

「まぁまぁラムダさんもランスくんも落ち着いて……」

 

「「落ち着けるか!」」




前編はここで終わり!! 後編ではバトルシーンがありますのでお楽しみに!

……って〆てもいいんだけど描写の件について少しだけ。

視点が変わったり場面が変わった時には余分に改行して空白部分を広くしてます。分かりづらかったらごめんね!!←


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8章 博物館襲撃!おつきみ山の戦い!(後編)

章の数字どうしようかと悩んだ末7.5ではなく8にしました。


 やっと向こうが静かになりバトル開始となった。

 

「ではルールは3戦中2戦勝利による使用ポケモン1体のシングルバトルにしましょう。ではそちらの先鋒は?」

 

「僕が行きます」

 

「ハルトくん、頼んだよ!」

 

 僕はナツキさんの声援を受けながら一歩前へ出た。

 

「んじゃ俺行くぜー」

 

 ロケット団からは紫色の髪をしたラムダという男の人が出てきた。そしてちゃっかりアポロという人が審判を始めていた。

 

「んじゃまぁお手柔らかにいこうじゃねぇか」

 

「子供だからって油断しない方がいいですよ」

 

 僕とラムダさんは同時にボールを投げ、バトルが始まった。

 

「行け、ドガース!」

 

「頼むよブイ!」

 

 ラムダさんはドガース、僕はブイを出した。撹乱して攻めるか。

 

「ブイ!ジム戦でやったあの作戦だ!」

 

 ブイは頷くとでんこうせっかで動き回りながらすなかけやしっぽをふるで命中率や防御を下げつつ攻撃していった。

 

「よく動くイーブイだな。だが、命中率を下げれるのがお前たちだけだと思うなよ?ドガース、えんまくだ!」

 

 ラムダさんが指示をした途端、ドガースは口から思い切り黒い煙を吐き出した。そしてそれはどんどん広がりフィールド一帯にまで広がった。

 

「これじゃドガースの位置どころかブイすら見えない!」

 

「ドガース、回転しながらヘドロこうげきだ!」

 

 煙幕の向こうから四方八方へヘドロが飛んでくる。

 

「ちょっ!ラムダさん!俺達にまでヘドロ飛ばさないでくださいよ!」

 

「制服がヘドロまみれになるでしょ!」

 

 えーっと……ランスっていう若い男の人とアテナっていう赤い髪の女の人がなにやら文句を言っている。いやまぁ、確かに煙幕で周りが見えないのに回転しながらところ構わずヘドロを飛ばしてくるのだから文句は言いたくなるけども。

 

「ブイ!この状態じゃ埒があかない、一旦僕のとこまで戻って来てくれ!」

 

「そうはさせるか!ドガース!ガキの声がした方にたいあたりでつっこめ!」

 

 ブイが戻ってくるより先にドガースが僕の目の前に現れた。けど……なんら問題はない。

 

「ブイ!とっしんだ!」

 

「なにっ!?」

 

 煙の奥からブイが現れドガースに攻撃をした。

 

「反動でダメージを受けるけどよく指示にしたがってくれたね、ありがとう」

 

 僕がそう言うとブイはダメージのせいかちょっと疲れていたが笑顔で頷いてくれた。

 

「どういうこった……。なんでドガースに攻撃出来たんだ」

 

 ラムダさんが不思議そうな顔をしてたから僕は答えた。

 

「それは……そのドガース自身えんまくの中で命中率が下がってたんですよ」

 

「なんでそう言い切れる」

 

「ヘドロこうげきの時点でちょっと思ったのが、なんで僕たちの方に攻撃するのではなく味方の方までヘドロこうげきをしたのか、です。僕たちが見えているなら僕たちの方へ攻撃すればいい。そしてもう一点、僕がブイを呼んだ時あなたはドガースに僕の方にくるよう指示をした。その時ドガースが無意識に少しですけど煙を晴らしたんです。だって自身の視界も閉ざされて僕がどこに居るかが声だけじゃ把握できなかったから」

 

「なん……だと?」

 

「ブイに砂をかけられたのと自身のえんまくで見えなかったのとで命中率はだだ下がり。その証拠にブイはとっしんの反動のダメージしかない。もう少しポケモンとの連携を取った方がいいですよ?」

 

「っ……!ドガース起きろ!このまま黙ってやられるか!イーブイにまとまりついてじばくだ!」

 

 ブイに吹っ飛ばされたドガースはゆらゆらと起き上がりブイにまとわりつくように至近距離まできてじばくのモーションに入った。けどまぁこれなら……。

 

「ブイ、みきり」

 

 僕が指示をした直後大きな爆発が起き、じばくによる爆風でえんまくもすっかり晴れたフィールドにはひんしになったドガースとみきりによって攻撃を回避したブイが元気に立っていた。

 

「なに……?」

 

「ドガース、戦闘不能。よって先鋒戦は相手側の勝利です」

 

 がっくりとうなだれるラムダさんをよそにアポロさんはしっかり審判として判定をしてくれた。

 

「ブイ、お疲れ様。ゆっくり休んでね」

 

 僕はブイをボールに戻してナツキさん達の所へ戻った。

 

「あーあ、ラムダさん負けちゃいましたねー。まだまだなついてないんじゃないんすかー?」

 

「うっせ!ランス後で覚えとけよ!?」

 

「多分忘れてまーす。とりあえず中堅戦は先に行っていいですか、アテナさん?」

 

「しっかり勝ちなさいよ?」

 

「了解っす」

 

 どうやら次の相手はランスさんらしい。

 

「じゃあ次は私が行こうかな」

 

 ナツキさんがそう言うとカズマさんが僕が行くよと言ったが、それを振り切ってフィールドへ行ってしまった。

 

「私が相手だよ!」

 

「へぇ……女の子と戦えるなんてラッキーだなぁ。けど手加減はしないからね」

 

 2人ともボールを手に取りフィールドへと投げ、バトルが始まった。

 

 

「ポニータ、GO!」

 

「出てこいズバット!」

 

 ボールから放たれた2匹のポケモン。ナツキさんはポニータでランスさんはズバット。

 

「ポニータ、かえんぐるま!」

 

「そうはさせないよ。ズバット、あやしいひかりだ」

 

 ポニータが早さを活かしてズバットに攻撃を仕掛けるも、ズバットはひらりと回避し逆に技を命中させた。

 

「さぁて、まずはこれでこんらん状態だね。どうやって遊んであげようか」

 

「くっ……、こんらんだからって指示が通らないわけじゃない!ポニータ、かえんぐるま!」

 

 ポニータは炎を纏って攻撃のモーションに入ったがズバットではなくおつきみやまの岩壁にぶち当たってしまった。

 

「こんらんって嫌だよねー、下手したら自分の攻撃力分自分がダメージ受けちゃうんだからね。そんで相手の攻撃は当たるのに自分の攻撃が当たらなくてイライラしちゃうでしょ?ズバット、スピードスター」

 

 岩壁に当たってフラフラしてるところにズバットはスピードスターで襲い掛かる。

 

「ポニータ!」

 

「スピードスターは必中技。こんらんしてるポケモン相手にはこれ以上ないくらい痛めつけられるでしょ?」

 

 そう言ったランスさんは猟奇じみた笑みを浮かべていた。

 

 

 ナツキside……

 

「ランスのやろー、チャラ男だけどポケモンバトルはえげつねぇよな」

 

「そうね、彼のバトルセンスは相当なものね。ただ性格はクソだけど」

 

「お二人さーん?褒めるかけなすかどっちかにしてくださいよー」

 

 ランスっていう人がそう言うとロケット団達は笑っていた。悔しい、完全に舐められてる。そして強い……。

 

 トキワの森で戦ったしたっぱ連中と比べたらとても強いよ……。ハルトくん凄いや、こんな人達にも勝っちゃったんだもん。ちょっと前に戦った時なんてギリギリまで追い詰めたから私でも勝てると思ってたのに、こりゃまいったね。

 

「で、ナツキちゃんだっけ?もう終わり?じゃあトドメ刺しちゃうよー」

 

 けど、ポケモン使って悪事を働いて、人のポケモンをとことん傷つけるような戦い方をする人になんかに負けたくない!

 

「ズバット、エア……」

「ポニータ、ほのおのうず!」

 

 こんらんが解けたポニータはトドメを刺しに来たズバットをほのおのうずで閉じ込めた。よしこのまま……!

 

「へぇ、やるじゃん。けどこのくらいなら……」

 

「続けていくよ!ポニータ、渦の力を吸収してかえんぐるま!」

 

ポニータは渦を吸収しさっきよりも強い炎を纏ってズバットに一撃を与えた。

 

「ズバット!」

 

 急所に入ったのかズバットはよろよろと倒れ、ポニータはなんとか立っていた。ギリギリだったけど勝ったのかな……、お疲れポニータ。

 

 けどそんな考えはすぐに壊された。

 

 

 ハルトside……

 

「よし!」

 

「ナツキさんもどうやら勝てたみたいだね」

 

 僕とカズマさんもズバットが倒れ、そう確信した時だった。ズバットが光に包まれながら違う姿へと変化し始めた。

 

「ぷはは!嘘でしょ!まさかこの土壇場で進化!?どうやらこのバトル俺の勝ちだね」

 

 光が消え、そこにはズバットではなくゴルバットが立っていた。

 

「嘘……でしょ?」

 

 ナツキさんは震えてる。ポニータもどうすればいいのか分からずその場で固まってしまった。

 

「さぁ、これでホントにトドメだよ。ゴルバット、エアカッター!」

 

 ゴルバットの翼から空気の刃がいくつも飛んでいきすべてポニータに直撃した。今までのこんらんでのダメージとスピードスターの猛攻で受けたダメージが溜まっていたポニータは戦闘不能になってしまった。

 

「ポニータ戦闘不能、中堅戦はロケット団の勝利です」

 

 アポロさんがそう宣言するとナツキさんはポニータをボールに戻して僕のところへ来た。

 

「……ごめん、ハルトくん負けちゃった」

 

「気にしないで!まだカズマさんが居るよ!それにポニータは頑張ってくれたのにナツキさんがしょぼくれてたら可哀想だよ」

 

 ナツキさんはうん、とだけ答えポニータが入ったボールを見ていた。

 

「ラムダさーん、しっかりバッチリ仇はとってきましたよー。てことでなんか奢ってくださいね」

 

「なんでだよ!?それにあのバトルもズバットが進化してなけりゃ負けてたじゃねぇか」

 

「んー、それなら多分大丈夫ですよー。念のためにオボンのみを持たせてたんでそれでしっかり回復してくれたんでどの道一撃入れて勝ちですよ」

 

「あんたのバトルセンスと頭の回転の速さ、保険のかけ具合はホントに凄いと思うわ。じゃあ大将戦私がサクッと勝ってきてあげるわ」

 

「おー、あのアテナさんが褒めてくれるなんて。こりゃ明日何か降ってきますねー」

 

「ランス……後で覚えときなさい」

 

 最後の相手はアテナさん、こっちはカズマさんか。ここで負けたらコハクは返してもらえない……。

 

「ハルトくん、ナツキちゃん。戦ってくれてありがとう。そんな顔しないで僕のバトル見といてよ、これでも結構自信はあるんだ」

 

 カズマさんは右腕で胸をポンっと叩きフィールドへ向った。

 

「私の相手は係員のお兄さん?ラムダに勝った男の子の方が良いんじゃない?さっきの2人よりも強いわよ?」

 

「それがどうかしたんですか?係員をあまり舐めない方がいいですよ」

 

 2人ともボールを手に取りフィールドに投げ、大将戦が始まった。

 

「アーボック!」

「プテラ!」

 

 場に出したのはアテナさんがアーボック、カズマさんはプテラだった。ん……?てことはあのプテラもコハクから復活したポケモン……?

 

「プテラ、はかいこうせん!!」

 

 カズマさんの指示通りプテラははかいこうせんのモーションへと入る。

 

「来るのが分かってれば怖くはないわ、アーボックまもる!」

 

 次の瞬間、プテラが放ったはかいこうせんは僕達の予想をはるかに超えてきた。

 

 ズドォォォォォォン!!!!

 

 僕達の眼に映ったものは本当に現実のものかと疑ってしまった。

 

「ふぅ……、少しハリキリ過ぎちゃったかな?」

 

 爆風と煙が晴れ、本来なら綺麗な池とおつきみ山が見えるはずだったのに、そこにそれはなかった。そしてそこに居たカズマさん以外の人達は同じことを言った。

 

「「「「「「はあぁぁぁぁ!!??」」」」」」

 

 フィールドは荒れ果て、池は消滅し、おつきみ山も一部が消し飛んでいた。

 

「……っ、けどアーボックはまもるを使ったわ!どんなに強力な技だろうとノーだめ……」

 

 アテナさんの後方でズドォォン、という音が聞こえ、そちらに目をやると瀕死状態のアーボックが倒れていた。

 

「あー、ごめんねー。僕のプテラ結構容赦ないし、能力も馬鹿げてるからはかいこうせん自体は防げてたかもしれないけど衝撃の方が圧倒的だから消し飛んじゃったおつきみ山の一部と一緒に空中に吹っ飛んで落ちてきたんだね」

 

「なっ……」

 

 アテナさんはそんなバカなと言わんばかりに身体を震わせていた。

 

「……思い出しました。カズマという名とあなたが使う隻眼のプテラ。ポケモンリーグセキエイ大会ベスト4の実力者でしたね。まさか博物館で係員やってるとは思いませんでしたが」

 

 アポロさんは淡々と言うが僕達はまだ追いつけていない。隻眼のプテラ?……あ、ホントだ左目に傷を負ってる。セキエイ大会ベスト4?めちゃくちゃ強いじゃないですか。

 

「まぁ色々ありまして。とりあえずこの勝負は僕達の勝ちってことで、盗んだものキッチリ返してもらおうか」

 

 カズマさんとプテラがジリジリ近付くとロケット団達はひみつのコハクをはじめ、進化に必要な石をその場に残してけむりだまを使って逃げだした。

 

「あっ、待て!」

 

 僕とナツキさんはロケット団を追いかけようとしたがカズマさんがそれを止めた。

 

「やめときな、援軍来たら面倒だし、なにより君たち自身が危ないからね」

 

 カズマさんがそう言うと僕たちは大人しく従った。

 

 

 盗まされた物を取り返した僕たちは一旦おつきみ山の近くにあるポケセンへと戻った。

 

「2人とも協力してくれてありがとう、おかげで盗まれたものは取り返せたよ」

 

「どういたしまして。でもカズマさん、そんなに強いなら僕たちに頼らなくてもよかったんじゃ……」

 

「んー、確かに僕一人でもなんとか出来たかもしれないけど僕のプテラ相当な暴れん坊だからね。下手するとおつきみ山が全部消し飛ぶ可能性もあったからね」

 

 お、おぅ……。

 

「そういえば、そのプテラ左目がケガで完全に見えてないんですか?」

 

 カズマさん、僕、カズマさん、ナツキさんと会話が続く。

 

「コハクから復活した時からすでにこの状態だったから大昔に他の野生のポケモンと戦ってついた傷なのかもしれないね」

 

 ここまで言い終わるとカズマさんは、あ、そうそうと言いカバンから出したものを僕たちに差し出した。

 

「これ全部あげるよ、協力してくれたお礼ってことで」

 

 そう言って差し出したものを見ると盗まれていたひみつのコハク、進化に必要な石の数々だった。

 

「え!?いいんですか?」

 

「うん、遠慮なく貰ってってよ。ハルトくんにはコハクをナツキちゃんにはいしをあげるよ」

 

 カズマさんがそう言うので僕とナツキさんはそれぞれコハクと石を貰った。

 

「ところで二人はこれからどうするんだい?」

 

「今日はゆっくり休んで明日にでもハナダに向かいます」

 

 カズマさんの問いに僕が答える。

 

「うん、そうするといいよ。じゃあ僕は博物館に戻るからここでお別れだ」

 

 カズマさんはそう言って僕達にもう一度手伝ってくれたことの礼を言いニビへ帰って行った。

 

「ハルトくん、カズマさん強かったね」

 

「うん、けどカズマさんがベスト4なら優勝、準優勝したレッドさんやグリーンさんはもっと強いってことだよね。僕ももっと頑張らなきゃ!」

 

「私も強くなる!またどっかでロケット団に会うかもしれないし今度は負けないようにならなくちゃ!」

 

 僕達はもっと強くなることを誓い、今日はしっかりと休んだ。

 

 

 ロケット団side……

 

「ったくなんなのよあのプテラ使い!あのはかいこうせんの威力は反則でしょ!」

 

「アテナさん、そうは言いますけど俺達、はたから見たら悪者っよ。反則もクソもないっすよ」

 

「うるさいわよランス!」

 

「ラムダさんは自分が使った技とポケモンとの連携が取れていないことを突かれて負けちゃいましたしねー」

 

「ほっとけランス!」

 

「事実じゃないっすかー。……あれ?アポロさんどうしたんすか?」

 

「……。色違いのイーブイが逃げ出したのは知っていますよね?」

 

「え?あ、はい。けどそれがどうしたんすか?」

 

「いえ、なんでも……」

 

「?」

 

「ランス、ほっときなさいアポロがあんなのはいつものことよ」

 

(色違いのイーブイ。なるほど、下っ端連中が何度か取り返そうと試みるも毎回失敗しているというのは本当のようですね。今日ラムダに勝ったあの少年がイーブイを所持しているようですしね。……進化先がいくつもある不安定な遺伝子をもつイーブイ、その中でも特段に貴重な個体……。『全ての進化形態に自由に進化出来るイーブイ』を)




視点がコロコロ変わったり文章量多くてごめんなさい!!

主人公が勝ったり、ヒロインが負けたり、カズマさんがプテラのはかいこうせんで全部持ってったりと色々とありましたがちょろっとブイの秘密に触れました。

これが物語にどう関わっていくのかお楽しみに!!(FC2なら続きがすぐ読めるよ♪)


あと、遅くなりましたが感想、お気に入り、評価してくださった皆様ありがとうございました!!


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9章 ハナダの岬

気づいたらお気に入り登録数が倍に増えててびっくりしました。ありがとうございます♪


 おつきみ山でのロケット団との戦いから3日後の昼、僕達はハナダシティに到着した。

 

「ハルトくん、綺麗な街だねー!」

 

「そうだね。けど街の北にある岬から見える夕日は凄く綺麗らしいよ」

 

「へぇー、見てみたいね!」

 

 ちなみに、カズマさんのプテラが放ったはかいこうせんの影響で山の一部が消し飛び、その影響で山の中の洞窟に瓦礫などが散乱。ニビジムの人達が一生懸命整備をしてくれていたが瓦礫の影響で通れない道が出来てしまったことで回り道をしなくてはならなくなりハナダに来るのが随分と遅くなってしまった。

 

 そしてハナダのポケセンへ着いた僕達は昼食を食べながらこの後の行動をどうするか考えていた。

 

「ハルトくんはジム戦に挑戦だよね」

 

「うん、けど今日はやめておこうかなーって思ってるんだ」

 

「……?なんで?」

 

「おつきみ山抜けるまでにブイやフッシーが頑張って瓦礫どけたりしてくれてハナダまで来れたけど、その疲れを取ってあげたいから今日は休んで明日は軽く調整して早くても明後日くらいにしておこうかなぁって」

 

「なるほどね。じゃあさ、日が沈むまでまだ時間あるし夕日見るついでに街の北にある岬にマサキっていうポケモンをパソコンに預けて管理するシステム作った人が住んでるみたいだから行ってみない?」

 

 ナツキさんの提案に僕は二つ返事で応じ、昼食後に行くことにした。

 

 

 25番道路……

 

「えっと……この先まっすぐ行けばマサキさんが住んでる小屋があるらしいよ」

 

 ナツキさんはマップを見ながら僕を案内する。そして道なりにまっすぐ進むと確かに小屋があった。

 

「ここが預かりシステムを作ったマサキさんの家なのかぁ」

 

「実家はジョウト地方にあるコガネシティってとこにあるらしいけどね」

 

「ナツキさん詳しいね」

 

「そりゃ私もジョウト地方で生まれて育ってますから」

 

 僕があ、そっかと答えナツキさんと笑った。すると小屋のドアがいきなり開いた。

 

「人ん家の前で何か声がすると思ったらなんや子供が2人って」

 

「あ、もしかしてあなたがマサキさんですか!?」

 

 ナツキさんは小屋から出てきた人にいきなり質問をぶつけた。

 

「え、まぁそうやけど……」

 

「預かりシステムについてとか色々教えてもらえますか!?」

 

 ナツキさん……。マサキさんだと分かった途端にヤケにグイグイと質問してる。

 

「まぁなんやここで立ち話もあれやからとりあえず入りや」

 

 てことで僕とナツキさんはマサキさんの家へお邪魔することになった。

 

 

 小屋の中へと案内してくれたマサキさんは預かりシステムのことを小一時間程喋り、ひと段落ついたところで軽く自己紹介をしてくれた。

 

「そういや自己紹介まだやったな。わいの名前はマサキ、預かりシステムを作ったのはわいや。で君らは?」

 

「僕はハルト、マサラタウンから来ました」

 

「私はナツキ、ワカバ生まれでこの間トキワに引っ越して来ました」

 

「嬢ちゃんワカバ生まれか!ジョウトはええよな、カントーでは味わえないなんとも言えない趣が……」

 

 そしてここからずっとマサキさんとナツキさんはジョウトの話をし続けた。

 

(んー……、完全に蚊帳の外だなぁ)

 

 何かないかと辺りを見回すと近くのパソコンに『イーブイの進化について』というタイトルでレポートが表示されていた。

 

「……?なんだろ」

 

 マサキさんとナツキさんはまだ喋っているので僕はパソコンの所まで行き、そのレポートを読んだ。

 

「なになに……」

 

 イーブイは元々遺伝子が不安定なポケモンであり、その場の環境等に応じていくつかの進化先を持つ非常に稀なポケモンである。カントーで発見された3種類の進化先は炎、水、電気の力を持つ石によって進化する。

 

 ジョウトでは更にもう2種類の進化先があることが判明。進化の条件としてトレーナーになついていることや時間が関係しているとのこと。

 

 シンオウで新たに発見された進化先は限られた場所で進化することが判明。その後イッシュでもシンオウと似たような場所で進化することが判明。

 

 現在カロスで新たな進化先を調査中。現在あるタイプとは違うタイプの可能性有り。

 

(進化先が豊富なのは知ってたけどこんなにあるんだ……。ブイはどれに進化させようかな)

 

 ここまで読んでさらに下の方に続きがあることに気が付いた。

 

 このように数々の進化先を持つイーブイだが、一度進化すると他の進化先には進化できない。しかし、非常にごく稀に『全ての進化先に自由に進化でき、進化先から一度イーブイへと退化すればまた別の進化先へと進化できるイーブイ』が存在するとのこと。これに関してはまだ資料や情報がほとんどなく現在調査中である。

 

(……!そんなイーブイが存在するのか。確かに興味深いしバトル中にそれが出来たら無敵にもなれそうだけど……)

 

 レポートを読み終わるとちょうどマサキさん達も話が終わったみたいだ。

 

「お!ハルト、イーブイに関するレポート読んどったんか。興味深いよなー、けどホンマにこんなイーブイおるんかいな」

 

 僕はさぁどうでしょう?とだけ答えた。するといきなりドアが吹き飛んで女の人が大声を上げて入ってきた。

 

「マサキー!ポケセンのパソコンのメンテナンス頼んでたのに出来てないってどういうことよー!!」

 

「げっ……すっかり忘れとった」

 

 マサキさんは僕の横で震えてるけどどんな人なんだ……?

 

「忘れてただぁ?徹底的にボコボコにされたいわけ?ん?」

 

「カスミさん堪忍してや、そんな怖い顔せんとってくださいよ。短気は損気、あまり怒りすぎるとしわが増えまっせ?」

 

「誰がしわくちゃババアですって?」

 

「え?誰もそんなこといっt」

 

 次の瞬間マサキさんは女の人に思い切り殴り飛ばされたのだった。ん……?そういやマサキさんあの女の人のことカスミさんって呼んでた……?

 

「あの!もしかしてハナダジムのジムリーダーのカスミさんですか!?」

 

 僕は気になったから聞いてみた。

 

「ん?そうだけどあなたは?」

 

 本気でマサキさんをとっちめようとしていたカスミさんは僕の方を向き聞いてきた。

 

「マサラタウンから来たハルトって言います、明後日以降でジム戦に行こうかと思ってるのですが」

 

「なるほど……チャレンジャーね。明後日以降……、明日は完全にジムはオフだから明後日の午後にいらっしゃい相手になってあげるから」

 

「はい!」

 

 僕が返事をするとカスミさんはまたマサキさんの方へゆっくりと歩いて向かった。僕の方から顔は見えないけどきっと相当恐い顔をしてるんだろうなぁ……。

 

 そう考えてるとナツキさんが僕の服の袖を引っ張りそろそろ出ようか?と聞いてきた。まぁ確かにマサキさんがけちょんけちょんにされている場に居るのは気が引ける。僕はそうだねと答え、マサキさんの小屋を後にした。

 

 その時マサキさんの叫び声が聞こえた気がするがあえてここでは聞こえなかったことにしといた。

 

 

「わぁ!」

 

 外に出た時間がよかったのか、綺麗な夕日を見ることが出来た。ナツキさんは夕日に見とれている。

 

「ねぇハルトくん」

 

「ん?なに?」

 

「私こないだまでジョウトに住んでたからジョウトの景色の綺麗な場所は知ってるんだけどカントーにもこういう綺麗な景色を見れる場所があるんだね」

 

 ナツキさんは夕日を見ながら淡々と話す。

 

「でしょ?ジョウトに行くことがあったら向こうの景色が綺麗な場所教えてくれる?」

 

「うん!」

 

 この時みた夕日とナツキさんの笑顔はきっと忘れないだろうな。




……ん?フラグ??気のせいです。


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10章 VSカスミ!プールでバトル!

ちんたら更新してやっと10章です。


 2日後の午後1時……僕とナツキさんはハナダジムの前に立っていた。

 

「ハルトくん、今日勝てばバッジ2つ目だね!」

 

「うん!昨日の調整もいい感じだったしいつも通りにポケモン達を信じて戦うよ」

 

「うん、ファイト!」

 

 ニビジム戦の前は緊張してたけど今回は変に緊張してなくていい感じだ。よし、行くぞ!

 

 僕は気合を入れハナダジムへと入った。

 

「ようこそチャレンジャー、確かハルトって言ったわよね?」

 

「はい!今日はよろしくお願いします!」

 

 ジムへ入った僕達を出迎えたのはジムリーダーのカスミさん。カスミさんの問いに僕は元気よく答えた。

 

「元気がいいわね。現在持ってるバッジの数は?」

 

「1つです」

 

「そう、分かったわ。じゃあフィールドに案内するわ……って言ってもここなんだけどね?」

 

 カスミさんはボールを2つ選び、フィールドに案内するといいつつプールを指さした。

 

「……プール、ですか?」

 

「えぇそうよ。ここがハナダジムのバトルフィールド、見たまんまプール。つまり水中戦も可能なの」

 

「さすが水のエキスパートって言ったところですね……」

 

「ふふっ、安心しなさい一応足場もあるから泳げないポケモンも平気よ」

 

 今度はその足場とやらを指さすがだいぶ小さい。大型のポケモンは不利そうだ。と言ってもブイとフッシーは小型だからそこまで気にする必要はないけど。

 

「準備はよろしい?バトルを始めましょ?」

 

 僕は頷きフィールドのチャレンジャー側へ、カスミさんは向かいのジムリーダー側へと移動した。

 

「それではルールの確認をします……」

 

 審判役の人が現れて……ってえぇ!

 

「ハルトくん、あの人って!」

 

 観客席に移動していたナツキさんも気づいたようだ。審判役に現れたのは他でもないものの2日前に会ったマサキさんだった。……にしてもずいぶんボロボロだけど大丈夫だろうか……。

 

「あー、ハルトくん達気にしないで?一昨日ちょーっと懲らしめるついでに審判頼むねってぼっこぼ……じゃなくてお願いしただけよ」

 

 ……いやいやいや、今間違いなくボッコボコって言おうとしてたよね?ついでのお願いというかもはや無理矢理やらせてるよね??

 

 あれこれ考えてるうちにボッコボコにされたマサキさんがルールを淡々と説明し始めた。

 

「使用ポケモンは2体のシングルバトル。道具は使用不可、ただし持ち物として持たせてるものは許可します。チャレンジャーのみポケモンの交代が可能です」

 

 ルールはニビジム戦と変わらずって感じだね。というかマサキさんいつもの関西弁はジム戦という公の場だから封印?それともボッコボコにされてテンションダダ下がりだから?

 

 色々と気になることはあるけど今は目の前の事に集中しなきゃ。

 

「バトルスタート!」

 

 マサキさんがそう宣言するのと同時に僕とカスミさんは最初の1体を繰り出し、フィールドに現れたのはヒトデマンとフッシーだった。

 

「くさタイプね……セオリー通り弱点を突いてきたってわけね」

 

「えぇ、バトルの基本ですからね。フッシー、つるのムチ!」

 

 フッシーはヒトデマンが乗っている足場に向けてムチを伸ばしたがヒトデマンはプールの中へと逃げた。

 

「いくら相性が良くても水中に逃げれるヒトデマンの方が有利かしらね。ヒトデマン、みずでっぽう!」

 

 ヒトデマンはフッシーが乗っている足場の真下へ泳いできて足場めがけて攻撃してきた。足場を崩されたフッシーはプールに落ちてしまった。

 

「フッシー!」

 

「まだまだいくわよ!こうそくスピン!」

 

 水中の中で上手く動けないフッシーに今度はこうそくスピンで直接攻撃してきた。

 

「フッシー、ギリギリまで近寄って来たところをムチで返り討ちにするんだ!」

 

「!?ヒトデマン、ストップ!」

 

 僕の指示を聞いてカスミさんはヒトデマンに止まるよう指示をしたが止まる速度になるころにはフッシーのムチがヒトデマンに直撃し、プールから追い出された。

 

「やるじゃない」

 

「水中で上手く動けないなら下手に動いて体力消耗させるより近付いてきたところを叩いた方がいいと思いまして」

 

「へぇ、なら遠距離から攻撃するだけよ!ヒトデマンみずでっぽう!」

 

 カスミさんが指示を出し、フッシーにダメージを与えていく。だけど僕のフッシーもそう簡単にやられるわけにはいかない!

 

「フッシー、つるのムチで物を掴みながらプールの外へ!」

 

 指示をするとフッシーはプールに浮かぶ足場などにつるのムチで掴み一気に出したムチを自分からしまうように移動して回避し続け遂にプールの外へと脱出した。

 

「ヒトデマン!みずでっぽう!」

 

「プールの外に出れればこっちのもんだ、はっぱカッター!」

 

ヒトデマンは足場に居ながら水中のフッシーに攻撃を続けていて水中に移動していない今がチャンス!

 

お互いの技がぶつかり合って爆発が起こり、しばらくして爆発による煙が晴れるとそこには倒れた2体のポケモンが居た。

 

「……。フシギダネ、ヒトデマン共にせんt」

「ちょっと待ったー!」

 

 カスミさんが大声を出しマサキさんを止める。フィールドをよく見てみるとヒトデマンは完全に戦闘不能になっていたがフッシーは体力ギリギリのところで耐えていた。

 

「特性のしんりょくね……中途半端に体力削ったのが仇になったわね」

 

 しんりょく……体力が減ると発動する特性でそのおかげでフッシーの攻撃の威力が上がってわずかだけど競り勝ったってわけか……。

 

「ヒトデマン戦闘不能!フシギダネの勝ち!」

 

 マサキさんがそう宣言するとカスミさんはお疲れ様とヒトデマンをボールに戻し次のポケモンを出そうとしていた。

 

「フッシー、一度戻って!今のままだと次のポケモンにやられちゃうから一旦回復しよう」

 

 フッシーが頷くのを確認して僕はフッシーをボールに戻しブイが入ってるボールを手に取りカスミさんと同時に2体目のポケモンとして繰り出す。

 

「スターミー!」

「ブイ!」

 

 カスミさんが出してきたのはスターミーだった。ナツキさんのポニータよりもずっと素早いポケモンだ。

 

「ふふっ、あなたの次のポケモンはイーブイね。私相手に水中戦が出来るポケモンを用意しなかったのは仇になったわね。スターミー、スピードスター!」

 

「必中技か!ブイ、でんこうせっかで被弾数を抑えて攻撃だ!」

 

 ブイは指示通り動くが足場が限られているのと相手の攻撃が早いのとで上手くかわせずダメージを受けてしまった。

 

「まだまだ行くわよ!バブルこうせん!」

 

 ブイはなんとかして避けようとするがすべての足場を壊されプールへと沈んでしまった。

 

「ブイ!」

 

「あなたには悪いけどこれでおしまいかしらね?」

 

 くそっ……このまま何も出来ないで負けてしまうのか……。

 

 

 ブイside……

 

(ハルト……。ごめん力不足で。せめてこの姿じゃなかったら……)

 

 僕はプールに沈んでいく中で何もできない自分自身を責めていた。

 

(僕は知ってる……自分が同族の中でも特に異質だということを。そしてその力を使えばハルトを勝たせることが出来るはずなんだ)

 

 けど……。『アレ』をやると相当体力を使ってしまう……。それに僕のそんな能力を見てハルト達は僕から離れてっちゃうじゃないだろうか……。

 

 そんな時、わずかながらに上でジムリーダーとハルトが会話しているのが聞こえた。

 

「まだ上がってこないわね、早く降参して助けるべきだと思うけど」

 

「いいや、まだですよ。僕の相棒はすぐ戻って来ます、今頃水中でスターミーの攻略法でも考えてるんですよ。それに『まだ僕は諦めてなんかいない』」

 

 ドクン!

 

 その時僕の中で何かが起きた。

 

(ハルト……僕が戻ってくると信じてる。いつ戻るか分からないのに。けど、そんなハルトの思いを僕は無駄にはしたくない!!)

 

 僕はハルトを信じて、そして僕自身を信じて自分の能力を解放した。

 

 

 ハルトside……

 

「そうは言ってもみずタイプのポケモンでもないのにいつまでも潜ってられる訳じゃないでしょ。ポケモンの為にも早く降参しなさい」

 

「……いいや。どうやらブイも降参するつもりはないようですよ!」

 

 水中から光輝く物体がプールの外へと現れ、僕の横に来るといつもの姿とは違うブイが立っていた。

 

「「「!!??」」」

 

 その場に居た僕以外の人はみんな驚いた。

 

「水中にみずのいしなんかないのになんで……」

 

「すごい……ブイが進化したんだ!」

 

(この土壇場で進化やと!やるでないかハルト!!)

 

「待たせたねハルト……」

 

「んー、ブイならきっと戻ってくるって信じてたから。けどまぁまさか進化して戻ってくるとは思ってなかったから嬉しい誤算かな?」

 

「実は……」

 

 ブイが何か言いたそうにしていたが僕は言わせなかった。

 

「話はあと!今はジム戦だよ、勝つよブイ!!」

 

「うん!!」

 

「何を話してるかはしらないけど、とりあえずバトルは続行でいいのかしら?」

 

カスミさんの問いに僕は元気よく答える。

 

「はい!勝ちますよ!」

 

「そうこなくちゃ!スターミー、スピードスター!」

 

「ブイ!みきりで避けてからプールに潜ってでんこうせっか!」

 

 必中技のスピードスターをみきりで完全にかわし、シャワーズに進化したブイはプールに潜って完全に姿をくらまし、尚且つでんこうせっかでダメージを与えていく。

 

「シャワーズが特性とは別に元から持ってる能力、水に溶けることが出来る力ね」

 

「そうみたいですね」

 

 図鑑が光っていたため開くとシャワーズのページになっていた。僕はそこで確認したのだ。それにどうやらイーブイの時に使えなかった技が使えるようになっているようだ。

 

「ブイ!スターミーを水面に叩きつけてオーロラビーム!」

 

 水中から飛び出したブイはでんこうせっかでスターミーを水面に叩きつけ、続けてオーロラビームでダメージを与えた。

 

「やるじゃない!けどこおりタイプの技はいまひとつよ!スターミー、じこさいせい!」

 

 スターミーは身体を輝かせ体力を回復した。だったらこれならどうだ!

 

「ブイ!シンクロノイズ!!」

 

 ブイは身体から不思議な波動を出してスターミーを攻撃した。

 

「自分と同じタイプに攻撃できる技ね……けどその技自体がエスパーの技だから問題ないわ!スターミーこうそくスピンで突き放して!」

 

 こうそくスピンがブイに当たり、ブイは僕が立ってる場所へ、スターミーはカスミさんのところへ戻った。

 

「やるじゃない、けど負けるわけにはいかない!スターミー、こうそくスピン!」

 

「いいえ、もう終わらせますよ」

 

 今の状況下で使える技は出した、最後はこれで……!

 

「ブイ決めるよ!とっておき!!」

 

 こうそくスピンで突っ込んでくるスターミーに対し、こちらも光を纏ったブイがそれを迎え撃つとフィールド中央部で大爆発が起こり2体のポケモンは再び元の位置へと戻った。

 

「……っ、私の負けね」

 

 カスミさんの所へ戻ったスターミーは完全に戦闘不能状態になった。

 

「スターミー戦闘不能!よって勝者はチャレンジャーのハルト!」

 

 マサキさんが宣言すると僕はつい大声を出してしまった。

 

「やったー!ブイ勝てたよ!!」

 

 喜びをブイと分かち合おうとブイの方を見ると光に包まれたブイはシャワーズからイーブイへと変化してしまった。

 

「……アハハ、ハルトが言ってたよね話はあとって。後で話すからとりあえず今は勝てて良かったねハルト!」

 

「ブイ……。うん!ありがとうブイ!もちろんフッシーも!!」

 

 フッシーのボールを手に取りボールに向かってありがとうと言った。

 

「ハルトくんおめでとー!そしてお疲れ様ー!」

 

 観客席で見ていたナツキさんも駆け寄ってきた。

 

「まさかあんな土壇場で進化させられるなんて……ってあれ?イーブイに戻ってる??なんで???」

 

「わいもそれ気になるわ、教えてくれや……ってカスミさんハルトにバッジバッジ!」

 

「あぁ、そうだったわね。はい、これブルーバッジ。ちゃんとリーグ公認よ」

 

 関西弁に戻ったマサキさんに言われカスミさんはジムトレーナーの人からバッジを受け取りそれを僕に渡してくれた。よし、これでカントーのバッジは2つ目だ!

 

 こうして2つ目のバッジを手に入れた僕はポケモンを休ませる為にポケセンへと向かった。謎の進化と退化の事を聞きたいという事の為カスミさんやマサキさんも僕達に同行した。

 

 なにはともあれ勝てて良かった……。




FC2ではこの後3ページ程くっついていますが、その部分は閑話と称して次のページに投稿しようと思います。

にしても……これ書いてたのだいぶ前だけど中身スッカスカだよなぁ……(ォィ


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閑話

ハナダジム戦後のちょっとしたお話です。


 ジム戦が終わりポケセンでブイ達の回復が終わったため僕、ナツキさん、マサキさん、カスミさんでバトルの最中の進化、終わった後の退化についてブイ本人から聞くことにした。と言っても僕にしか何を言っているのか分からないため僕が通訳をするのだが。

 

「イーブイが豊富な進化先を持つことは周知のことだけど僕だけ異質なんだ。普通のイーブイは進化先がいくつもあるからといって1つの進化先へ進化すれば他の姿に進化するのは不可能なんだ」

 

「まぁせやろな。どんなポケモンも進化先が別れていても進化した状態から別の進化した姿になるなんて聞いたことあらへんわ」

 

 ブイは話を続ける。

 

「けど僕は一度イーブイの姿に退化することが出来て尚且つ、そこから別の姿へと進化できる力があるんだ」

 

「退化出来るってだけでも不思議なもんだけどそこから自由に他の姿に進化出来るってのもまた凄い事ね」

 

 さらにブイは話を続ける。

 

「それだけ他のイーブイよりも遺伝子が不安定ってことなんだ。そのせいか他のイーブイと違って色違いだし。けど何故か進化した姿は普通のイーブイが進化した時と同じなんだよね」

 

「言われてみれば確かにバトル中シャワーズになった時普通のシャワーズと同じ色だったね……。やっぱり不安定すぎる遺伝子が絡んでくるのかな」

 

 ブイの言葉に対してマサキさん、カスミさん、ナツキさんと1つずつ理解しながら聞いてくれたようだ。(僕はひたすらブイの言葉を通訳してるだけ)

 

「で、いちっばん気になっとるやが、進化する条件と退化する条件ってなんや?普通のイーブイと同じか?」

 

 マサキさんが聞いてくれたが確かに僕も気になる。

 

「それは僕にも分かりません!」ってえぇ!

 

「「「はぃ!!??」」」

 

「バトル中に進化出来たのは僕もよく分からないんだ。ただあの時はハルトの力になって勝ちたいって強く思っただけだし。あ、あと強いて言うなら体力を沢山消耗することかな?」

 

「てことはあれか?想いの強さや自分の体力の消費が進化の条件?強さや消耗した体力に比例して進化してる状態の時間が決まってくるってことか?」

 

 僕達はうーんと唸りながら頭を抱えていた。

 

「もしかしたらロケット団は何かを知ってるかも」

 

 ブイがおもむろに話すのをしっかり通訳した。

 

「ロケット団が?なんで?」

 

 ナツキさんの問いにブイは答える。

 

「僕はこの能力のせいかロケット団に目を付けられて一度捕まってたんだ。特に薬の投与とか生体実験とかいう類の物は受けなかったけど色々貼り付けられて色んな数値とか記録してたみたい。けど僕は途中で逃げ出したから今ロケット団の連中は僕を狙ってる」

 

「だからマサラやトキワの森で会ったロケット団連中はみんなブイを狙ってたのか」

 

「となると、まだ狙ってくるよねハルトくん」

 

「そうなるね……。下っ端連中なら今はまだ勝ててるけどこの先もっと強い人が来たら……」

 

「なぁーに辛気臭い顔してんのアンタ達!強い敵が出てくる可能性を分かって、しかも負けるかもしれないって理解出来てるならやることなんて1つでしょ!特訓よ特訓、あんたら2人とも1週間みっちりしごいてあげるわ」

 

 ……え?

 

「ハルト、ナツキ嫌なら断ってええんで?カスミさんの特訓はえげつな……」

 

「んー?マサキくーん?どうかしたかなー?」

 

「い……いえ、ナンデモアリマセン」

 

「よろしい、ついでにあなたも手伝うのよ」

 

「えぇ!預かりシステムのメンテとかやらせてや!」

 

「んなもん空いた時間でぱぱっと出来るでしょアンタなら」

 

 マサキさんは完全に諦めてしゃーないやるかぁと言っている。というかこの2人の関係は一体なんなんだろ……。

 

「てことでみっちり1週間キッチリ特訓するからよろしく」

 

 それよか僕たちの意見は聞かないんですね……っても口答えしたらいつかのマサキさんのような悲劇が繰り返されそうなので僕とナツキさんははいと答えた。(というか答えるしかなかった)

 

 

 そして1週間後ハナダシティ南に位置する5番道路の入口に僕達は立っていた。

 

「うんうん、1週間よくついてきた偉いぞ2人とも」

 

 あれから今日までの1週間というと殆ど体力トレーニングが中心だった。けどその1週間の間に僕とナツキさんのポケモンは強くなった。

 

 フッシーに関しては進化してフシギソウに(ヒトデマン戦で進化するところまで来ていたらしいけど)。そしてブイは今までのバトルの中での課題になりつつあった体力面もだいぶよくなった。

 

 ナツキさんはカスミさんに直接ニョロモの育て方の指導を受けつつ見事にニョロゾへ進化。みずのいしはおつきみ山の件で持ってるのでいつでもニョロボンに進化させられるが、イーブイ系と違って一度石で進化すると自力で技を覚えることがほとんど出来なくなるらしく、まだしばらくはニョロゾのままだそうだ。

 

 あ、それとナツキさんの手持ちに新しくケーシィが加わった。マサキさんと一緒に捕まえに行きテレポートで逃げ回るのを必死に追いかけて捕まえたらしい。

 

「あ、せやせや。2人ともコレあげるわ」

 

 マサキさんがポケットから取り出したのはチケットだった。

 

「なんか明後日辺りにサント・アンヌ号が1年ぶりにクチバの港に着くみたいでな、毎年のパーティーやっとんねん。何度も行って飽きとるから行ってきいや」

 

 僕とナツキさんはチケットを受け取りカスミさんとマサキさんの顔を見た。

 

「「行ってきます!!」」

 

 そう言って僕達はヤマブキシティへつながるゲートを抜けずその近くにある地下通路を通ってクチバシティへと向かった。

 

「あの子ら元気にやれるかね」

 

「大丈夫よ誰が鍛えたと思ってるの」

 

「せやな。んじゃま帰りますか」

 

 そしてこの2人はハナダへと帰って行った。




書いてから(っても転載ですが)思ったよね、10章にくっつけてもよかったって←

1週間の間の出来事はちゃちゃっと流しちゃってますが、気が向いたらFC2の方で番外編と称して書くと思います(多分)

マサキとカスミの関係についても多分(ここ重要)気が向いたら書くと思います←←


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11章 豪華客船サント・アンヌ号(前編)

バイトで(主に)足と腰が疲れ切った著者です。
今回も前後編で分けさせてもらいます。


 ???side……

 

 カントーの港町として有名なクチバシティの北に位置する6番道路の近くにそれは立っていた。

 

(どうやら俺の方が早く着いちまったみてぇだな……。ディグダの穴で修業しながら来たから、てっきりもう着いてるもんだと思ってたんだが……)

 

 佇むそれは組んでいた腕を組み直して仁王立ちをし、もうすぐ来る少年を待ち続けた。

 

 

 ハルトside……

 

 僕達は地下通路を抜けて6番道路の中腹で休憩している。あと数時間もすればクチバに着きそうだ。

 

「ところでハルトくん、ポケモンは捕まえないの?」

 

 地べたに座って休憩しているナツキさんは新しく手持ちに加わったケーシィを撫でながら聞いてきた。

 

「んー、そうだなぁ……。今まではタケシさんもカスミさんも使用ポケモン2体でっていう条件でのジム戦だったからよかったけど、これから先のジムで出された条件をクリアしないとジム戦出来ないしね」

 

 今僕の手持ちはカスミさんとの特訓でフシギソウに進化したフッシーとブイだけ。ブイに至っては進化の条件も謎だから基本はイーブイの状態で戦うことになるだろうし……。

 

「カズマさんから貰ったコハクってまだ復活出来ないのかな?」

 

「カントーじゃマサラの南にあるグレンタウンに行かないと無理っぽいからね……暫くは無理かなぁ」

 

 ナツキさんはそっかぁと答えケーシィを撫で続けた。

 

(手持ちの3体目……グレンまで行ければコハクからポケモンを復活出来るけど暫く無理だしどうしたものか……)

 

 それからもう少し休憩を取った僕達はクチバシティに向けて再出発した。

 

 

「そろそろクチバだね!」

 

 数時間歩いているがナツキさんは疲れを見せずに元気に言う。もう街の入口は見えている。

 

「……?あれ?街の入口に何かいる??」

 

 ナツキさんがそう言うので僕も一緒に目を細めながらよく見てみる。……あれ?もしかして……。

 

「ナツキさん、ちょっと先に行くね!」

 

「え?ちょっ、ハルトくん待って!」

 

 僕は街の入口に立っているのがなんなのか気づき走り出した。ナツキさんは一生懸命追っかけてきている。

 

 

 ???side……

 

(……来たか!)

 

 俺に向かって走ってくる少年が居た。そしてその後ろにはどうやら少女もいるようだ。俺はそっとグラサンを取り出し、かける。

 

「はぁ……はぁ……。やっぱり君だったんだね」

 

 少年は俺の目の前まで走って近寄り息を切らしながら俺に話しかける。

 

「いつかの恩を返しに来たぞ」

 

「別にいいのに……。けど、どうやら元気になったんだね……オコリザル!」

 

 

 ハルトside……

 

「元気そうでなによりだよ。けどそのサングラス……なに?」

 

 僕は右手を差出してオコリザルと握手した。にしてもなんでサングラスかけてるんだろう……。

 

「少年のお陰でこの通りな。グラサンはあれだ……ファッションってやつよ」

 

 なるほど……。そしてそうこうしている間にナツキさんも追いついた。

 

「はぁ……はぁ、ハルトくん、このオコリザルは?」

 

「ナツキさんに会う前にグリーンさんの手伝いをしたときに色々あってね。ところでなんで僕達より先にクチバに居るんだい?」

 

 ナツキさんに説明した後、僕はオコリザルに聞いた。

 

「ディグダの穴という洞窟がニビの南からクチバの東に繋がっていてな、そこで特訓をしながら洞窟を抜けてきたのだが相当な近道だったのか着いたはいいが少年が来なくてな」

 

「そうだったんだ。でもどうして僕を追っかけて来たの?」

 

「言っただろ少年。恩を返すと。俺を……少年の仲間にしてくれ」

 

 そう言ったオコリザルは僕の目の前で土下座をして頼み込んだ。

 

「ちょっ!土下座なんてしなくていいって!!」

 

「いいや!少年のお陰で今の俺が居る!!せめてもの恩返しに少年の仲間にしてくれ!!」

 

「えーっと……、私ポケモンが何を言ってるのか分からないから何かを頼んでるとしか分からないだけどなんて言ってるの?」

 

 ナツキさんが困った顔で僕に聞く。そして僕はオコリザルがなんて言っているか通訳した。

 

「へぇー、いいじゃん仲間にしようよ!助けただけなのにここまで慕って追っかけてくれるなんてすごいじゃん!!」

 

「頼む!少年!!」

 

 別に根負けとかという理由ではないが、断る理由もないので僕はオコリザルを仲間にすることに決めた。

 

「じゃあボール投げるよ!」

 

 僕はモンスターボールを投げ、オコリザルに当てボールがオコリザルを吸収し、少し揺れた後ゲットとなった。

 

「出てこいオコリザル!」

 

 ボールから出てきたオコリザルはありがとうと頭を下げた。

 

「ハルトくん、オコリザルのニックネームはどうする?」

 

 ナツキさんに言われて僕は頭を抱えた。んーどうするかなぁ……、オコ?んー……常に怒ってる感じがするなぁ。確かにオコリザルはそういうのが多いんだけど。

 

「ニックネームってあだ名の事か?だったら子分のマンキー達からボスと呼ばれてたからボスとでも呼んでくれ」

 

「ボス……うん!じゃあよろしくねボス!」

 

 こうして僕は3体目のポケモンにオコリザル……ボスが加わった。……あれ?そういや僕ってまともにポケモンを捕まえてない気が……。

 

 

 2日後の昼、僕とナツキさんはクチバ港に来ていた。港はサント・アンヌ号を見ようとする人や今回のパーティーに参加する人たちでいっぱいだった。

 

「ハルトくんアレ!」

 

 ナツキさんが指さす方向を見ると大きな船が見えた。あれがサント・アンヌ号かぁ。

 

「パーティーって何するんだろうね?」

 

「んー、そこんとこは僕にもわかんないけどクチバジムのジムリーダー、マチスさんがなんかイベントをやるみたいな噂は聞いたよ」

 

「へぇー、楽しみだね!」

 

 しばらくして豪華客船サント・アンヌ号はクチバ港に到着した。

 

 

 船に乗り込み船を一周する頃には夕方になり、食堂でパーティーが始まった。

 

「随分豪華だね……」

 

「そうだね……」

 

 パーティーが始まったのはいいが、周りを見ると見渡す限り俗にいうセレブな人たちで完全に私服な僕達は場違い感が半端じゃなかった。

 

「ん?お前ハルトか?」

 

 そんな時背後から知っている声が聞こえ振り返るとあの人がいた。

 

「グリーンさん!」

 

「よぉ、元気じゃねぇか」

 

「グリーンさん!?本物!?」

 

 僕がグリーンさんと話をしようとしたら横でナツキさんがテンション上がっていた。

 

「おぅ、本物だぞ嬢ちゃん。ハルトも女の子と二人旅か?やるねぇ」

 

「なんでそんなにニヤニヤしながら言うんですか!?」

 

「おーい!グリーン何してんだー?ってあれ?ハルトくん?」

 

 グリーンさんを探しながら歩いてきたのはレッドさんだった。

 

「久しぶりだね!グリーンから聞いたけどジム巡りしてるんだってね」

 

「はい!あれ?そういやレッドさんやグリーンさんはどうしてこの船に?」

 

 2人とも何気なくそこに居るがなんでだろうと思い聞いてみた。

 

「招待状がチケットと届いたんだよ。俺はセキエイとシロガネ大会で優勝してるし、グリーンは準優勝だけど同じカントーのジム仲間のマチスさんから届いたってわけ」

 

「たまには息抜きでもしようと思ってな。シロガネ山で修業するこのアホを探すのは骨が折れたけどな」

 

「誰がアホだって?このウニ頭が」

 

「あ?やんのかバトルマニア」

 

 レッドさんとグリーンさんはお互いに睨みあい、今にもケンカに発展しそうだったがナツキさんが仲裁に入りなんとか収まった。

 

『食堂でパーティーをお楽しみのみなさん、クチバジムのジムリーダーマチスさんが船の甲板にてイベントを行うようなので移動してください』

 

 放送がかかり、パーティーの参加者はみんな甲板へ移動を始めた。

 

「イベントってなんですかね?」

 

 僕はレッドさんやグリーンさんに聞いてみたが二人ともさぁ?としか答えずとりあえず甲板へと向かった。




視点がコロコロ変わって忙しくてごめんなさい……。こういう書き方だから許して←

レッドとグリーンだけでなく物語の序盤で助けたオコリザルも再登場!!
ヘトヘトなので後編は後日投稿します(FC2なら続きがすぐ読めます!←)


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12章 豪華客船サント・アンヌ号(後編)

バイトの疲れ(主に腰痛)が取れなくてしんどい著者です。
あ、ちなみに某飲食店のフロア業務です(どうでもいい)


 サント・アンヌ号甲板……

 

「ユーたちよく来てくれたね!!」

 

 甲板へ行くとそこには迷彩柄の服を着た大きな男の人……マチスさんが立っていた。

 

「イベントって何するんです?」

 

 レッドさんがマチスさんに話しかける。

 

「おお!!レッド久しぶりだね!!何をやるかっていうと……コレだよ!!」

 

 マチスさんはボールを取り出して投げ、ライチュウを出した。

 

「……?ポケモンバトルでもやろーってのか?」

 

「おお!グリーン!ユーも来てくれたんだね!!ポケモンバトル……ではないけどポケモンは使うよ!」

 

 ……にしてもマチスさんってこんなテンションの高い人なのかな。もうちょっと恐い人ってイメージだったんだけど。

 

 そんなことを考えていたがマチスさんは説明を続けた。

 

「やるのはバトルじゃなくてアームレスリング、つまり腕相撲!しかもポケモン同士のだよ!!」

 

 マチスさんの言葉に辺りは騒然とした。しかしそれに追い打ちをかけるようにマチスさんは言葉を付け加えた。

 

「ミーの自慢のライチュウに勝てればバッジあげちゃうよ!ただし貰えるのは一人だけ、勝てる自信がある人はチャレンジしちゃいなよ!!」

 

「「「「!!!???」」」」

 

「おいおい、マジかよマチスさん」

 

「マジだよグリーン、なんならユーも挑戦するかい?」

 

 グリーンさんは苦笑いしながら断った。……けど勝てばジムバッジが貰えるのか……。

 

「あ、言うの忘れてたけどジムバッジの数で手加減する用のライチュウじゃないから生半可な覚悟で来たらビリビリにしちゃうからね」

 

 一度は挑戦してやろうと息巻いていた人も居たがマチスさんのこの言葉で一気にみんなのテンションが下がった。

 

「誰も挑戦しないのかい?」

 

 マチスさんが少ししょぼくれたが僕は手を上げて挑戦します!と答えた。

 

「ハルト!?聞いてたのか、本来ジムでバッジの数で手加減する用で育てたポケモンじゃないんだぞ!?まだバッジ2つのお前じゃ相手にならないぞ!」

 

「ユー、名前は?」

 

「ハルト、マサラタウンから来ました」

 

「おい!人の話聞けよ!!」

 

 僕はグリーンさんの静止を振り切りマチスさんに挑戦する。

 

「まぁまぁ落ち着けってグリーン。自信もなしに挑戦しようとする顔じゃなかったぞ?」

 

「グリーンさん、ハルトくんなら大丈夫です。今までも作戦やその場の発想でバトルに勝ってきたんです。今回もきっと大丈夫です」

 

 グリーンさんはナツキさんとレッドさんに抑えられ、ため息をつきながらしょうがねぇなぁと言い見物することにしたようだ。

 

「マサラタウンか、レッドやグリーンと同じ街の出身だね。よしこっちおいで」

 

 僕はマチスさんに案内されるとそこには人が使うには少し大きな机があった。

 

「さぁユーはどんなポケモンを出す?ミーはさっきのライチュウだよ」

 

「僕は彼に任せます」

 

 ボールを取り出し投げてボスを出した。

 

「オコリザルか……。よし、いいファイトをしよう!」

 

 僕はマチスさんと、ボスはライチュウと握手し、各々の持ち場についた。と言っても今回は完全にポケモン任せになるからトレーナーは何もしないけど。

 

「よし、じゃあ俺がレフェリーやりますね」

 

 レッドさんがレフェリーに入り、レッドさんの掛け声と共に試合が始まった。

 

 

 ボスside……

 

 試合が始まり俺は相手のライチュウといい勝負をしていた。

 

「ほぅ、やるじゃねぇか」

 

「ふん、ブタザルなんざすぐに捻じ伏せてやんよ」

 

 俺はこいつの言葉にカチンと来たがここで血祭りにあげるわけにはいかない為相手の腕を机に付けようと力を加え続けた。

 

「威勢はいいようだが言葉だけかこのヘボネズミ、捻じ伏せるんだろ?ほら、はやくやってみろよ」

 

「あぁ?舐めてんのかゴラ?」

 

「舐めてなんかねーよ、テメェなんざ舐めても雑魚みたいなしょっぺぇ味しかしねーだろ気持ちわりぃ」

 

「んだと?ざけんじゃねぇぞゴラァァァァァァ!!」

 

 俺は少し腕を持ってかれそうになったがなんとかスタートした時のポジションを保っている。にしても少し挑発しただけでコレかよ、小者感半端ねぇな。

 

「お望み通り捻じ伏せてやんよぉぉぉ!!」

 

「なっ!?」

 

 相手のライチュウは怒り狂ったせいか身体から電撃を発し腕相撲している俺は直接電撃を食らってしまった。

 

 

 ハルトside……

 

 ボスVSライチュウの腕相撲が始まりお互い譲らない戦いをしているのだが、僕には汚い言葉づかいで言い争っているようにしか聞こえなかった。

 

「ハルトくん、ボスとライチュウさっきからなんか言い争ってる感じがするけど何言ってるの?」

 

「んー……知らない方がいいかも」

 

 僕はそう言ってナツキさんに通訳するのはやめといた。

 

 すると次の瞬間、ライチュウが怒りだし電撃がボスに直撃した。

 

「ボス!!」

 

「ライチュウどうした!?電撃ビリビリはずるいよ!」

 

 マチスさんがライチュウを止めようとするがライチュウの耳には声が届いていないようだった。

 

「このままじゃ!」

 

 僕はボールを取り出しブイとフッシーで無理矢理引きはがそうを考えたがボスに止められた。

 

「少年、いやもう仲間だからハルトと呼ばせてもらおうか。止めるんじゃねぇぞ。この程度の電撃くれぇどうってことはねぇ。むしろいい感じにつぼを刺激してくれて力が漲ってるんだ。目を開いてよーく見ておけ俺の本気を!!」

 

 

 ボスside……

 

「本気だぁ?まだ勝てると思ってんのか?」

 

「おい、クソネズミ。遺言はそんだけか?」

 

「あぁ?そのセリフそっくりそのまま返してやんよ」

 

「そうか、ならいっぺん死んで来い」

 

 ズドン!!!!

 

 俺は刹那にして勝負を終わらせた。

 

 

 ハルトside……

 

 ほんの一瞬の出来事だった。ボスが力を入れたと思った瞬間机にライチュウの腕を叩きつけたかと思いきや、あまりの衝撃に耐えきれず机を壊して甲板にライチュウを捻じ伏せた。

 

「……おいおい、マジかよ」

 

「ガッデム!」

 

「ボスつよーい!」

 

 グリーンさんは苦笑いをし、マチスさんは信じられないと言わんばかりに茫然と立ち尽くし、ナツキさんに至ってはボスの強さに感動していた。

 

「えーっと……こりゃハルトくんの勝ちだな。にしても特性いかりのつぼでも発動したのかよ」

 

 レッドさんが僕の勝ちだと宣言しマチスさんは目を回して倒れているライチュウをボールに戻した。レッドさんが言ってたいかりのつぼって確か相手の攻撃が急所に当たったら自分の攻撃力が一気に跳ね上がる特性だったかな……?

 

 そんなことを考えていたらマチスさんが近付いてきた。

 

「悔しいけどユーの勝ちだよ、さぁこれがオレンジバッジだよ」

 

 マチスさんはバッジを僕に渡してくれた。これでバッジは3つ。そしてボスが僕に近づいてきた。

 

「ハルト、これが俺の本気だ」

 

「まさか最初からこれ狙ってた?」

 

「さぁ……?どうだろうな」

 

 ボスは少し笑って僕の出したボールに戻った。

 

 

 その後僕達はパーティを楽しみ、船で一晩過ごし翌日の昼、クチバシティ東にある11番道路の入口にレッドさんやグリーンさんと立っていた。

 

 ちなみにパーティーの後みんなはしゃぎ過ぎたのか死んだように眠っており、翌朝目が覚めた後、街に戻りポケモン達の体調をポケセンで確認して今に至る。

 

「ハルトくん達、次はシオンタウンを経由してタマムシシティに行くのかい?ヤマブキ経由の方が早く着くよ?」

 

 レッドさんの質問に僕が答える。

 

「確かにヤマブキを経由した方が早く着くとは思うんですけど、折角旅をしてるわけだし色んな街を見て回りたいんです」

 

 実はこれはほとんどナツキさんの意見なんだけどね。今シオンタウンではポケモン達のお墓がたくさんあるポケモンタワーを改築してラジオ塔にしようとしてるみたいで改築されたらポケモンタワーは見れないしお墓がどうなるのか気になるみたい。

 

「マサラを旅立ってから暫く会わない間にお前もポケモンも強くなったみたいだな。残り4つのバッジ集めて俺のとこに挑戦しに来るのを楽しみにしてるぜ」

 

「はい!絶対勝ちますからね!!」

 

「はっ、やれるもんならやってみやがれ」

 

 僕達はレッドさん、グリーンさんと握手を交わしシオンタウンに向けて出発した。

 

「ハルトくん、これでバッジも3つ集まったね」

 

「うん。残りは5つ、そのうち4つ集めてグリーンさんに挑戦するよ!」

 

 クチバを出発した僕達は11番道路を歩きながらこれからのことを話していた。

 

 僕のジム巡りをしてバッジを集めてポケモンリーグ出場する為の旅、ナツキさんの街を巡って色んな景色を見る旅。お互い目的は違えどポケモンと友達がいる旅はまだまだ続くんだな。

 

 

 レッドside……

 

 俺とグリーンはクチバを出発した2人を見送ってクチバのポケセンへとやって来た。

 

「いやー、ハルトくん達を見てると自分がカントーを旅していた頃を思い出すなー」

 

「なんだ?そんなじじくせぇ話するためにポケセンに来たのか?」

 

「んー、いんや違うよ」

 

 俺は少しニヤッとして言葉を続けた。

 

「次のセキエイ大会出るぜ」

 

 グリーンは驚いた表情を見せたがすぐに口を開いた。

 

「おいおい、どういう風の吹き回しだぁ?お前別の地方にでも行くんじゃなかったのかよ」

 

「本当はそうするつもりだったんだけどな、彼……ハルトくんはきっとお前に勝ってバッジ揃えてセキエイ大会に出てくる。そこで彼とバトルしたくなった」

 

「……へぇ、お前がそう言うならやっぱりアイツはなんか持ってるってことで俺の眼は正しかったみたいだな。それともただ単にバトルマニアとして戦いたくなっただけか?」

 

「前者だな。彼はきっともっともっと強くなる、しっかりポケモン育てとけよウニ頭」

 

「黙れクソバトルマニア。お前に言われなくても育てるっての」

 

 いつもならここいらでケンカに発展するとこだが今回はお互い少し笑っていた。

 

「楽しみだな」

 

「あぁ、そうだな」




最後のレッドとグリーンのやり取り、本当はまた閑話と称して別のページに……とも考えたのですが、1ページの最低文字数に到達しない可能性があったのでくっつけました。(実際FC2の方でもくっけてるんだけども)

お気に入り登録、感想ありがとうございました!!


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13章 オバケの正体(前編)

著者公認のgdgd展開なシオン編でございます(ォィ
いや……だって、ノリと勢いでいけると思ったんですもん←

※実際はおよその道筋は出来てたのに脱線しまくった←←


 レッドさんとグリーンさんと別れてから3日後の日没後にシオンタウンに到着した。

 

「やっと着いたねー、もう私ヘトヘトだよー」

 

 特段のんびり歩いてたわけではないのだが、道中色んな人にポケモンバトルを挑まれて中々進むことが出来なかった。ナツキさんもバトルをしていたけどカスミさん達の特訓のお陰でニビジム戦前に戦った頃よりも強くなってるのが目に見えた。ちなみに僕もナツキさんも挑まれたバトルは全勝した。

 

「日も沈んじゃったし街の観光は明日するとして今日はポケセン行って休もうか」

 

「うん、そうしよー」

 

 お互いヘトヘトの身体でポケセンへと向かった。そんな時だった。

 

(……!?)

 

 何か背中がゾワッとした感じがして僕は後ろを振り向いたが何も居なかった。

 

「?ハルトくんどうしたの?早くポケセンいこー」

 

「ん、あぁごめんごめん」

 

 僕はおかしいなぁと思いつつも疲れているのかと思いナツキさんと一緒にポケセンへと向かった。

 

 

 翌日、僕達はポケセンの食事フロアで朝食を食べていた。

 

「で、ナツキさん街の観光だけどどうする?」

 

「やっぱりポケモンタワーかなぁ。来年にはカントーのラジオ塔に建て替わっちゃうから今のうちに色々見ておきたいんだよね」

 

 ポケモンタワー……。カントー地方最大の墓地として有名だけど老朽化とジョウト地方でのラジオが普及し始めたこともあり、来年にはカントーのラジオ塔として使用するべく現在建て替え工事中。ちなみに見学は可能。

 

 そして一番気になるのが墓地についてだが、そこに眠るポケモンの墓地はタワーの麓に出来るたましいの家へと引き継がれることになった。

 

「来年からラジオ塔になるらしいけどジョウトにもあるんだっけ?」

 

「うん、そうだよ!最近出来たばっかみたいだからこれからラジオが普及していくんじゃないかなぁ。それにラジオ塔があるコガネシティって場所とカントーのヤマブキシティを繋ぐリニアの駅とリニアを作ってるみたいだし、こっちも来年には運用出来るようにするみたい」

 

 僕はナツキさんの話を聞いてへぇーと答え朝食を食べ進めた。

 

(……!?)

 

 また昨日の夜にシオンに着いた時と同じように背筋がゾクッとして僕は振り返った。が、やっぱり昨日と一緒でそこには何も居なかった。

 

「ハルトくんどうしたの?」

 

 いきなり後ろを振り返った僕にナツキさんは質問する。

 

「んー、なんか背筋がゾクッとした感じがしたから振り返ったんだけど何も居なかったんだよね。昨日もここに着いてすぐに同じようなことがあったんだけど……」

 

 ナツキさんは朝食のスープを飲んでから口を開いた。

 

「もしかして……幽霊だったりして!?」

 

「ゆ、幽霊?」

 

「ほら、ここってポケモンのお墓があるポケモンタワーがあるでしょ?もしかしたらそこで寝てるポケモン達だったりしてね。ってもゴーストタイプのポケモンが住み着いてるみたいだからその子たちかもね」

 

 んー……。ポケモンの幽霊かぁ……、それとも住み着いてるゴーストタイプのポケモンなのかなぁ……。僕は一度考えるのを止めて朝食を食べた。

 

 

 ポケモンタワー……

 

 朝食を食べ終えた僕達はポケセンに預けてたブイ達を引き取りポケモンタワー……正確にはほとんどラジオ塔になりつつあるポケモンタワーに来た。

 

「ポケモン達のお墓があるって言うからもっと暗い感じだと思ってたけどもうだいぶラジオ塔になってきてるんだね」

 

 ナツキさんがポケモンタワーの前で貰ったラジオ塔のパンフレットを読みながら言う。

 

「けど上の階はまだ手つかずの状態でお墓がたくさんあるみたい。移動したお墓は入口の近くにあったたましいの家に移されたんだね」

 

 ナツキさんはパンフレットを見ながら言葉を続けた。にしてもポケモンのお墓を人間の都合で移動させるのはいかがなものかと思うのだが……。

 

 ゾクッ

 

(……、やっぱり背筋がゾクッとする感じがするんだよなぁ。けど誰も居ないだろうしなぁ……)

 

 そんなことを考えながらゆっくり振り返ると目の前にガス状のポケモンが舌を出しながらそこにいた。

 

「……」

「……」

 

 どのくらいだっただろうか、お互いの時間が止まっているような感覚がした後、目の前にいたポケモンはハッと我に返りすぐさま逃げ出した。

 

「……?ハルトくんどうかした??」

 

 ナツキさんの声で僕も我に返った。

 

「ん、あぁ大丈夫……。にしても……」

 

「にしても?」

 

「幽霊ってやっぱいるもんだね」

 

 これが僕とオバケ、もといガス状ポケモンゴースとの出会いだった。

 

 

 僕達は一通り見学した後、ポケモンタワーを後にしてポケセンへと向かって歩いていた。

 

「ポケモンのお墓も来年にはラジオ塔なんだね」

 

「そうだね。いくら別の場所にお墓を移動させると言っても、人の勝手な都合で改築してしまっていいのやら……」

 

 僕達がそんな会話をしていると後ろから一人のおじいさんに話しかけられた。

 

「若いのに物事をちゃんと考えていて偉いねぇ」

 

「「……どちらさま?」」

 

 僕とナツキさんは同時におじいさんに聞き返した。

 

「あぁごめんよ。わたしはフジ、ポケモンハウスでポケモン達を育てたりたましいの家を管理しているよ」

 

 フジと名乗るおじいさんは更に言葉を続けた。

 

「まぁここで立ち話もなんですからポケモンハウスへ行ってお話でもしましょう」

 

 僕とナツキさんはお互いに顔を見合ってどうする?と相談した後、悪い人じゃなさそうだしという理由でフジと名乗るおじいさんに着いて行くことにした。

 

 

 ポケモンハウス……

 

「旅の途中だとは思うけどわざわざ来てくれてありがとう」

 

 ポケモンハウスに案内された僕達は言われるがままに椅子に座った。

 

「僕達をここに連れてきたってことは何か用があるのですか?」

 

「うん、そうだね。けど君達というより君……ハルトくんだっけ?君に用があるかな」

 

「僕……?というかなんで僕の名前を?」

 

「わたしはオーキド博士と面識があってね。マサラから旅だった少年の話を聞いていて先日クチバからシオンに向かって来ていると連絡もあったんだよ。とはいえクチバから向かってるという情報は博士のお孫さんのグリーンくんから聞いたのだけどね」

 

 なるほど……。けどそんな人が僕になんの用だろう……?

 

「僕に用というのはどういったことですか?」

 

 気になったので聞いてみた。

 

「君はシオンに来てから何かにイタズラされたりしたかい?例えば背中がゾクッとするような……」

 

「……あー、ありました」

 

「イタズラの犯人には会ったかい?」

 

「さっきポケモンタワーで」

 

「じゃあ話は早いね、君への用……というかお願いだね。そのゴースの親になってほしいんだ」

 

 フジさんのこのお願いに対して話を聞いていた僕も、完全に蚊帳の外だったナツキさんもなんで?という顔をしていた。

 

「あのゴース、ポケモンタワーに住み着いている最後のポケモンなのだよ。改築が始まってからそこに住み着いていたゴーストタイプのポケモン達は捕獲されたり各々逃げてしまってね、彼だけずっとひとりぼっちで住んでるんだ。何故だか君の事を気に入ってるみたいだし、君さえよければ是非とも外の世界を見せてやってほしいんだ」

 

「なるほど……。分かりました!」

 

 僕が快く了解した時だった。外でドゴーン!!と大きな爆発音が鳴り、窓から外を見るとポケモンタワーの上の方の階から煙があがっていた。

 

「ポケモンタワーで爆発!?」

 

 ナツキさんがとても驚いていた。それもそうだ、ついさっきまで居た建物で何かが起きているのだから。

 

「ハルトくん、すまないが急いで向かってもらえないか。まだタワーの上の階はポケモン達の墓場があるのと同時にゴースの住処でもあるんだ」

 

「は、はい!行こうナツキさん!!」

 

「うん!」

 

 僕とナツキさんはポケモンハウスを後にして急いでポケモンタワーへと向かった。

 

 

 ラムダside……

 

 ポケモンタワー最上階にて現在任務執行中なのだが……。

 

「伝説のポケモンについてのレポートが最上階のどっかにあるって聞いたが……どこにあんだよチクショー!!アテナの奴めホントにあんのかよ!どこをどう見ても墓しかねぇぞ!?」

 

 変装してラジオ塔になりつつある場所を通って上まで来たはいいがレポートなんかがある雰囲気じゃない。あまりにも見つからないからさっきマタドガスにじばくさせて墓を吹っ飛ばして探しやすくしたんだがな……。早いとこ他の墓も蹴散らしてレポートを見つけたいもんだ。

 

 

 ハルトside……

 

 僕とナツキさんは爆発が起きたことによって強化された警備の目を盗んで階段を駆け上がっていた。

 

「ポケモンハウスで聞いた爆発から一度も爆発音は聞こえないね」

 

「うん……。けどまた爆発するかもしれないから気を付けないと」

 

 ナツキさんに僕は答え、僕達は先を急いだ。




前後編に分けるつもりなかったけど分けちゃった(ぇ
この先の展開の都合上分けた方が読者側からしたら楽だと思ったので……。

以前、内容スッカスカだなぁとぼやきましたが、伏線は(分かりやすいのから分かりづらいものまで)あちこちにありますので探してみるのも一興かと(続きが読みたいという方はFC2(ry))

余談ですがマチスの口調はゲーム路線で行くかポケスペ路線で行くかで悩んだ末、あのようなカオスな感じになりました。


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14章 オバケの正体(後編)

とりあえずこのページ投稿したら休憩させてもらおうと思っている著者です。


 僕達が先を急いで階段を駆け上がっていると、黒い服を着た人……、おつきみ山でナツキさんが戦ったあの人が立っていた。

 

「ん、あれ?君達って確かおつきみ山で邪魔をしてくれた……」

 

「ロケット団……さっきの爆発もお前たちの仕業か!」

 

 僕はランスさんに言い放つ。

 

「正確には俺は関係ないかなー。さしずめ、最上階で探し物をしてるラムダさんがポケモンにじばく使わせてドンパチやってるんじゃない?」

 

「だったらそこを……」

「んー、嫌だね」

 

 僕が言い切る前にランスさんは拒否した。

 

「そこをどけって言いたいんだろ?これでも一応組織の人間だからね作戦通り動いていないと後でこわーいお姉さんに怒られちゃうからね。でもまぁ……」

 

 ランスさんはボールを出して言葉を続ける。

 

「見回りも暇だし1人で2人も足止めすんのもメンドーだからさ、どっちかかかってきなよ。そしたらもう片方は通してあげるよ」

 

 ランスさんとの勝負に僕が名乗り出ようとした時だった。僕を抑えてナツキさんが前に出た。

 

「ランスさん、私と勝負してください。おつきみ山でのリベンジです」

 

「ちょっ、ナツキさん!?」

 

「ここは私に任せてよ。どのみち上に行ったらもう1人はいるわけだし、ラムダって人に一度ハルトくんは勝ってるしお願いしていい?」

 

 ……。確かにナツキさんの言う通りだ。

 

「じゃあナツキさん、ここは任せたよ」

 

「うん、任せちゃって!」

 

「んじゃ、俺の相手はこないだの女の子ってことでもう片方の君は通っていいよ」

 

 ランスさんが道をあけてくれたので僕はこの場をナツキさんに任せて最上階へと階段を駆け上がって向かった。

 

「じゃあリベンジマッチ……になるかどうかは分からないけど始めますか……。ルールは使用ポケモン1体のシングルバトル。出てこい!ゴルバット!」

 

「今度こそ勝ちますよ!ニョロゾ、GO!」

 

 

 ナツキside……

 

「へぇ、今度はニョロゾかぁ。見た所少しは鍛えてあるっぽいじゃん」

 

「あまり舐めない方が良いですよ」

 

 フィールドは少し広めの踊場、公式戦で使うフィールドより狭いけど小型のポケモンなら十分の場所で私はランスって人と対峙している。

 

 ハルトくんを先に行かせたのはこの人におつきみ山でのリベンジをしたいのと最上階に居るラムダっていう人に一度勝っているハルトくんを戦わせればいいと思ったってのもあるけど、なによりカスミさんとの特訓で強くなったっていうのをこの人に勝って証明したい。

 

「レディーファーストでそっちからどうぞ」

 

「舐めない方が良いですよって言いましたけど、そういうことなら喜んで!ニョロゾ、あまごい!!」

 

 指示をするとニョロゾは両手を上に上げて雨雲を作り雨を降らせた。

 

「へー、自分に有利な環境にしたわけか。けどその程度なら大したことないね。ゴルバット、エアカッター!!」

 

 ゴルバットが翼を羽ばたかせて空気の刃を作って攻撃してきた。……けど、大丈夫!!

 

「ニョロゾ、かわしてバブルこうせん!!」

 

 ニョロゾは迫りくるエアカッターへ突っ込んだ。

 

「一直線に突っ込んで避けきれるとでも……」

「思ってるよ!」

 

 次の瞬間、ニョロゾは一気に速度を上げてゴルバットの背後を取りバブルこうせんを命中させた。

 

「何!?ゴルバット負けるな!つばさでうつだ!」

 

 ニョロゾの攻撃に耐えたゴルバットは体制を立て直してニョロゾに攻撃をしかけるも、ニョロゾは素早く避けてみずでっぽうで迎撃する。

 

「くっ、なんでだ!なんでこっちの攻撃が当たらない!」

 

「それはあなたが油断してるから……ってのは嘘ですけどちゃんとカラクリはありますよ?教えませんけどね」

 

「ちぃ!ゴルバット、スピードスター!!」

 

「ニョロゾ、攻撃食らうの覚悟でのしかかり!」

 

 お互いの指示が飛んだあと、ポケモンも攻撃モーションに入った。ニョロゾはとあるカラクリで素早く動くも必中技の為少し攻撃を食らった。けどゴルバットにトドメの一撃を入れるためにゴルバットの頭上に飛び、のしかかりをおみまいした。

 

「ゴルバット!」

 

 ランスさんがゴルバットを呼ぶがゴルバットはニョロゾの下敷きになって目を回して倒れていた。

 

「ニョロゾ!やったね!!」

 

 ゴルバットが戦闘不能になったのを確認するとニョロゾは私の所に駆け寄ってきてハイタッチをした。

 

「お疲れ、ニョロゾ」

 

 私はそう言ってニョロゾをボールに戻すとランスさんもゴルバットをボールに戻していた。

 

「ふぅ……今回は完敗だよ。こないだよりも強くなってるし、それにカラクリってなんすか?」

 

 両手をあげて降参した素振を見せたランスさんに私は解説した。

 

「まず、ニョロゾの特性が普通のニョロゾの特性とは違うんですよ。夢特性って知ってます?これはハナダジムのジムリーダーさんに教わったんですけど、ニョロゾの夢特性はすいすい、天候が雨の時に素早さが2倍になるんです。そしてあまごいのおかげでみずタイプの技も強化されるので全体的に強化されるって寸法です」

 

「なるほどね……夢特性か。……ほら、さっきの彼を追いかけな。そんで次に会った時今度は俺が勝つよ」

 

 ランスさんは道をあけてハルトくんを追いかけるように言ってくれた。

 

「今回手も足も出なかった人には負けませんよ。また挑んで来たら今度は返り討ちにしてあげます」

 

 私はそれだけ言ってハルトくんを追いかけるべく最上階へと向かった。

 

 

 ハルトside……

 

 階段を駆け上がり、やっとこさ最上階へと到着した。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 さすがに1階からほぼノンストップで駆け上がると息切れを起こすね……。けど……。

 

「そこまでだロケット団!!」

 

 僕は目の前で何かを探し続けている紫色の髪をした男……ラムダさんに向かって叫んだ。

 

「あぁ?……ってお前は確かおつきみ山の!!」

 

 僕に気が付いたラムダさんは言葉を続ける。

 

「ちぃ、さっきの爆発で騒ぎを起こしたから来たってのか……。けど探し物するのに墓は邪魔だしなぁ……。ドガース、じばくだ」

 

 ラムダさんが指示をした瞬間最上階の壁が吹き飛び爆風が晴れると外から最上階の様子が丸わかりの状態になった。そして墓の多くが粉々にされていた。

 

「ふぃ~。これで探し物もはかどるかね~……ってなんだポケモンいんじゃねぇか」

 

 ラムダさんの視線の先にはここを住処にしていたゴースが慌てふためいていた。

 

「ゴース!!」

 

 僕がゴースを呼ぶとゴースは僕に気づいて急いで僕のところへやってきた。

 

「なんだ?お前のポケモンか?」

 

「いや……まだ僕のポケモンではないけど。墓を粉々にするなんて何を考えているんですか」

 

 僕はラムダさんを睨みつけて言うが、ラムダさんはまったく気にしていなかった。

 

「とっくに死んでるポケモンの墓なんかどーだっていいだろ。どうせ改築してラジオ塔になるんだし墓の撤去が早くなっただけって思えばいい。そもそもなんでこんなとこにレポートなんて隠しとくかなぁ……探すのめんどくせぇんだけど」

 

 ラムダさんのこの発言に僕はカチンときた。

 

「あなた達は……本当に身勝手ですね……。自分達の都合で墓を荒らし、今は眠ってる存在でも確かに生きていたポケモンとそのポケモンと過ごしたかけがえのない時間と思い出を持った人達をあなたは侮辱した!!」

 

「お?なんだなんだ??何をムキになっちゃってんの?お前のポケモン死んだわけじゃねぇだろ?」

 

「ここでずっとひとりぼっちで過ごしていたゴースと死んだポケモンとその親だった人達に謝ってもらう」

 

「嫌だと言ったら?」

 

「ここであなたを……ぶちのめす!」

 

「上等だ!こないだの俺と一緒にすんなよ!!出てこいマタドガス、ドガース!」

 

 ラムダさんは2つボールを投げてポケモンを繰り出してきた。

 

 恐らくポケモンハウスで見えた爆発で使われたのもドガースかマタドガスのはずならあれで1体。そしてさっきの爆発でドガース3体……ということは残りのポケモンは今出ている2体だけ!

 

「ゴース、お前の住処を荒らした奴だ。許せないと思うなら一緒に戦ってくれ」

 

 僕がゴースの方に向き、頼むとゴースはもちろん!と答え前へ出た。もう1体だけど……。

 

「ボス、頼むよ!!」

 

 ボールをグラグラ揺らして俺を出せと言わんばかりにアピールするボスを出した。

 

 

 ナツキside……

 

(はぁ……はぁ……。そろそろ最上階だよね、ハルトくん大丈夫かな)

 

 息を切らしながら私は階段を登り、そろそろ最上階に着くというところで大きな音が聞こえた。そういえばさっき、また爆発音が聞こえたから心配だな。

 

「急がなきゃ……」

 

 私は更に急いで最上階に向かい、到着すると見るも無残な光景があった。

 

 

 ハルトside……

 

「……えーっと、これはどういったことで?」

 

 後ろから声がしたので振り返るとナツキさんが居た。

 

「見ての通りかな……、ボスが大暴れしてラムダさんのポケモンとラムダさんボッコボコにしちゃった」

 

 2VS2のバトルのハズだったのだが、ボスがラムダさんの話を聞いて堪忍袋の緒が切れたらしく、ゴースを置いてまずはドガースをワンパンで倒し、マタドガスを殴り飛ばしたのちにラムダさんの胸倉掴んでフルボッコ……。というわけだ。

 

「ハルト、終わったぞ」

 

「ボス……やりすぎ」

 

「すまん」

 

 僕はボスをボールに戻しため息をついた。ボスがボコボコにしてるの見て逆に気分がスカッとしてる自分が恐ろしい。

 

「あーあ、ラムダさん派手にやられちゃって。結局レポートも見つからなかった感じっすね」

 

「「!?」」

 

 どこから声がしたかと思い辺りを見回したら、どこからともなくランスさんが現れラムダさんの腰からボールを取り出し倒れているポケモンを素早く戻した。

 

「今回も君たちのおかげで任務失敗だね。今日のところは引き上げるとするよ」

 

 すると、ランスさんはじゃあねと最後に言い、煙玉を放ってラムダさん共々どこかへ消えてしまった。

 

 

 その後、フジさんとフジさんが通報してやってきたジュンサーさん達がやってきて僕達は一度ポケモンハウスに戻り今回の件について色々と聴取された。

 

「なるほど……色々と教えてくれてありがとう」

 

 ジュンサーさん達はひとしきり聞くこと聞いて帰って行った。

 

「……すみません。ゴースは助けて来ましたけどお墓を……」

 

 僕は下を向きながら申し訳ないとフジさんに謝った。

 

「いいんだよ……。というかあのフロアはタワーに住み着くポケモン達の為に作ってあるフロアだからね、あそこで眠ってるポケモンはいないよ」

 

「「はぃ?」」

 

 僕とナツキさんは同時に聞き返した。

 

「最上階は君が連れ帰ってきたゴースをはじめ、他のゴーストタイプのポケモンが住処として使ってたフロアでわたしはそこに時々行くんだけどそこには誰の墓もないんだよ。ただ単にゴーストタイプのポケモン達が住みやすくするために置いてあるだけなんだよ」

 

 ……。今さっきまでの怒りや沈んだ気持ちの時間を返してくれ……。

 

「あ、でもロケット団の連中が言ってたレポートってのはなんなんですか?」

 

 フジさんはあぁ……と答えるとそれならゴースが持ってるよと僕の後ろをふわふわ漂っているゴースを指さした。

 

 すると、ゴースはこれ?と舌に1つのディスクを乗せて身体から取り出した。

 

「おそらくこれのことだと思うよ。なんのレポートかは知らないけどずっとゴースが持ってるみたいだったね。ポケモン関連ならグレンタウンの研究所へ行けば何か分かるんじゃないかな?」

 

 ふむ……これでまた1つグレンタウンへ行く用事が増えたな。にしてもなんでこのディスク……レポートとやらをロケット団は探していたのだろうか。

 

「ところで、ハルトくん。もうゴースは捕まえたのかな?」

 

「あ、まだです」

 

「じゃあ早くボールに入れてあげるといい、住処は壊されちゃったし外の世界を見せてあげるにもずっと外にだしっぱという訳にもいかないだろうしね」

 

 僕はフジさんの言う通りゴースにボールを当てた。ゴースは大人しくボールに入り僕に捕まえられたことになった。

 

 

 シオンタウンでのロケット団騒動から2日後の朝、僕とナツキさんはタマムシシティへ向うべくシオンタウンの西にある8番道路の手前に居た。

 

「それじゃあ僕達はそろそろ行きますね」

 

「フジさんお元気で!」

 

「うん。ハルトくん、ゴースをよろしくね。あ、あとナツキさんに渡すの忘れてたんだけどこれをあげるよ」

 

 そう言ってナツキさんに手渡したのはリコーダーみたいな笛だった。

 

「これはポケモンのふえ。眠ってるポケモンが居たらこれを吹けば起こすことが出来るよ。まぁ何かで必要になった時の為にあげます」

 

「ありがとうございます!大切に使いますね!」

 

 ふえを貰ったナツキさんはとても嬉しそうだった。にしても……、カズマさんの時といい、今回といいナツキさんだけレアなもの貰ってる……いいなぁ。いや、別にコハクが不服とか新しい仲間が嫌なわけじゃないけどね。

 

「じゃあ2人とも元気でね」

 

「「はい!!」」

 

 僕達はフジさんと握手をしてシオンタウンを旅立った。




予想外に後編が長かった件←

次の章では遂にあの人が……!!


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15章 娯楽の街、タマムシシティ!

実はFC2で執筆している同タイトルの作品はタマムシのお話が終わると終了です(ぇ

実は当時その時点で170ページを超えてて(現在は130ページ弱)、この先の話を続けて書くと新規で読む読者が飽きたり、読むのを止めたりするんじゃないかなぁと思ってカントー編の後半部分を別の作品で執筆しています。

結果そっちも現在100ページ超えてて(修正すれば減ると思いますが)分けてよかったと勝手に思ってます←

タイトルは後程お伝えします。


 僕達はシオンタウンを出発してタマムシシティへ向うためにヤマブキのゲート手前にある地下通路目指して歩いていた。

 

「ハルトくん、これで手持ちのポケモン4体目だね。ところで聞き忘れてたけどゴースのニックネームなに?」

 

「ん?ゴースのニックネームはシドだよ。出てきなシド!」

 

 僕はナツキさんの質問に答えゴース……シドを出した。

 

「ハルトー!!」

 

 ボールから出てきたシドは元気よく僕の周りを飛び回っている。

 

「元気だねー。でもシドってどっから来たの?」

 

「名前の由来?ゲンガーから来てるよ」

 

「……?」

 

 ナツキさんがゲンガー??どっから??って悩みまくってるので教えてあげた。

 

「ほら、ポケモンって名前以外に○○ポケモンって付いてるでしょ?フッシーならフシギダネもフシギソウも更に進化した後のフシギバナも全部たねポケモン」

 

「ニョロゾならおたまポケモンだね」

 

「うん。で、ゴースはゴーストになった後ゲンガーに進化するから調べてみたらシャドーポケモン。シャドーをもじってシドってわけ」

 

「なるほどー。けどまだ図鑑に載ってないのになにで調べたの?」

 

「あぁ、それならポケセンのパソコンでぐg……」

「あー、うん言わなくていいよ。聞いた私があれでした」

 

 いきなりナツキさんは謝り出した。答えちゃダメだったのかな?

 

 なにはともあれ、僕はシドをボールに戻して歩き続けた。

 

 

 シオンタウンを出発してから数日後の夕方にタマムシシティに到着した。道中ギャンブラーのおじさんや暴走族の人達に絡まれたりしたため結構時間がかかった。

 

 そう言えば、暴走族の人達に絡まれた時のバトルでボスを出して勝ったら何故かボスに平伏してたっけ……。なんかボスってガラの悪い人達とやけに戦ってる気がする……。

 

「ハルトくん明日どうする?」

 

 あれこれ考えていると横からナツキさんに話しかけられた。

 

「どうするって?」

 

 ポケセンへ向いつつ聞き返す。

 

「タマムシと言えばデパートやゲームセンター!娯楽の街でしょ?どっか行きたいところとかってあるのかな~って」

 

「んー、行きたいとこかー。特にないなかな」

 

「じゃあ明日ちょっと一人で街回ってみてもいいかな?ちょっとデパートで色々買いたいものとかあるんだけど」

 

 僕はいいよと答え、その日はポケセンでしっかり休んだ。

 

 

 翌朝、ナツキさんは朝食を食べたあと元気よくデパートへと出かけた。そして僕はと言うと……。

 

「んー、今日は完全にジム戦出来ないのかぁ」

 

 パソコンの前で唸っていた。この街、タマムシシティのジムリーダーのエリカさんって人はジムリーダーをやりつつ華道?の先生もやっているらしく結構ジム戦に割いてくれる時間が短いらしいのだが、今日は華道の教室もジムも休み。完全にオフとのこと。

 

「てことはやっぱ明日以降の挑戦になりそうだなぁ。けどまぁ、ここ数日バトルばっかだったしブイ達を休ませてあげなきゃな」

 

 とは言ったものの、どこか行きたいという訳でもないので散歩することにして、僕はブイとフッシーをボールから出してタマムシデパート近くの噴水の近くまで来た。

 

 ボスはどこかでケンカ沙汰を起こしかねないし、シドに至っては勝手に他の人にイタズラをする可能性があるからボールから出さなかった。

 

「ちょっと一休みしようか」

 

 僕はブイとフッシーに提案すると了承してくれて噴水前のベンチに座った。

 

「マサラを出発してからもうどのくらい経つかな……そろそろ1ヶ月以上経つのかな?」

 

 膝の上にブイを乗せて今までの旅を振り返っていた。1ヶ月近くでバッジ3つ、タマムシジムでバッジ貰えれば4つ。これでカントーのバッジは半分手に入ることになるのか。

 

 不思議な力を持つブイ。おだやかで僕の手持ちのポケモンの中でみんなを引っ張ってまとめてくれるフッシー。怒りっぽくて乱暴なところもあるけど仲間の為に力になってくれるボス。イタズラ好きでみんなにちょっかいばっかり出すけど根はいい子なシド。

 

 僕は周りの人やポケモンに恵まれてる……そんな気がする。

 

「お隣……よろしいですか?」

 

 そんな事を考えていると黒髪で和服を着たお姉さんに話しかけられた。

 

「あ、はい」

 

 僕はちょっと横にずれて場所を空けてあげた。にしても綺麗な人だなぁ……。

 

「あなたのポケモン、随分なついているのですね」

 

 お姉さんはブイとフッシーを見てそう言った。

 

「はい、マサラタウンを旅立つ時からずっと一緒なので」

 

「まぁ、そうなのですか!マサラからここまで遠いのにトレーナーとポケモンが協力して来れたのですね」

 

 お姉さんはにっこり笑いながら言った。……やっぱり綺麗な人だなぁ……。

 

「あの……、ところでお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

「え?いいですけど。ハルトって言います」

 

「ハルトさんですね。そうだ、ここで会ったのも何かの縁ですし、少しお願いしたいことがあるのですがお時間とか大丈夫ですか……?」

 

 お姉さんは両手でポンッと叩き、聞いてきた。

 

「別に時間は大丈夫ですよ、今日は1日暇ですので」

 

 僕がそう言うとお姉さんは立ち上がり、では着いて来てくださいと言い歩き始めた。僕はブイとフッシーをボールに戻して追いかけた。

 

 

 お姉さんに着いていき、来たところはタマムシシティのゲームセンターだった。スロットだけではなく色々なゲームの媒体が沢山ある。

 

「ここがゲームセンター……、タマムシにはそこそこ居るのですが来るのは初めてですわ」

 

「そうなんですか?」

 

 お姉さんがそう言うので聞き返すと笑顔ではい!と答え、お姉さんはスロットの台へとスタスタと歩いて行ってしまった。

 

「えーっと……コインというのはお金でよろしいのでしょうか?」

 

 先に歩いて行ってしまうお姉さんを追いかけるとゲームを始める為のコインをどうするのかと聞いてきた。

 

「コインですか?えっと多分現金をコインに換えて遊ぶんじゃないんですかね?」

 

 僕がそう説明するとお姉さんはなるほど!と手をポンッと叩いて現金をコインに換えてくると言い僕をお姉さんが居た台においていってしまった。

 

(にしても……、随分丁寧な言葉づかいのお姉さんだけどゲームセンターとかって来たことないのかな?タマムシには住んでるみたいだけど……)

 

 色々考えている間にお姉さんはコインをケースに入れて戻って来た。

 

 

「ウフフ、スロットって楽しいですわねハルトさん」

 

「ハハハ……そうですね……」

 

 僕も現金をコインに換えて来てお姉さんの隣の台でスロットをやってみたはいいけど結果は惨敗と言ったところか……。そしてお姉さんはと言うとその逆、大勝利である。

 

「ハルトさん、次アレがやりたいです!」

 

 お姉さんは僕の手を掴み別のゲーム機の方へ歩いてった。

 

 

 数時間後……、僕とお姉さんはゲームセンターの休憩スペースで一休みをしていた。にしてもなんでこの人やる台すべてで大当たりやその類を連発するんだ……。その運を分けてください……。

 

「あの……ハルトさん」

 

「はい?」

 

「あの縦長の機械は何ですか?」

 

 お姉さんはある機械を指さして聞いてきた。その機械を見て僕はすぐにそれがなんなのか分かった。

 

「えーっと……プリクラって奴ですかね……?」

 

「プリクラ……?ですか?」

 

「簡単に言うと写真を撮る機械ですかね……?実際にやったことないんでよく分からないですけど」

 

 そこまで言い終わるとお姉さんは目を輝かせながらプリクラを撮ってみたいと言わんばかりの表情をしていた。

 

「あー……、撮ります?プリクラ」

 

「はい!是非!!」

 

 お姉さんの気迫に押され僕はお姉さんとプリクラを撮ることとなった。

 

 

 更に数十分後、僕達はプリクラを撮り終えてゲームセンターの外に出た。

 

 なにぶん、あのプリクラは女子はコスプレして撮っていいというものだったのでお姉さんは乗り気になって色々とコスプレをして楽しんでいた。(もちろん着替えはちゃんと更衣室があるのでそちらで)

 

 お姉さんは今日着ている和服だけでなくメイド服、ナース姿にミニスカートの姿だったりと色々とコスプレしていた。……あれですね、色々と心臓に悪いですね。

 

「ハルトさん、どうぞ」

 

 お姉さんが手渡してくれたのはさっきプリクラで撮った写真だった。

 

「色々と初めて見たり触ったりするものが多かったのでハルトさんにはご迷惑をおかけしましたよね?」

 

 さっきまでのテンションが急に落ちて申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「いえいえ、僕も楽しかったですよ」

 

 僕がそう答えるとお姉さんはホントですか?と少し明るい表情を見せてくれた。

 

 その後僕達はお姉さんの知っている食堂へ行き昼食をとり、少し話をしていた。

 

「ところでハルトさんはなんで旅をしているのですか?」

 

「僕ですか?ジム巡りの旅ですかね。旅立ってすぐにある人と会ってその人と約束したんです。自分以外のカントーのジムバッジを7つ集めて最後のジムリーダーとして戦おうって。そしてその人に勝ってポケモンリーグに出るのが今の目標です」

 

 お姉さんは頷きながら話を聞いてくれていた。

 

「ところでお姉さんは普段何してるんですか?」

 

「わたくしですか?普段はポケモンとお花をやってますわ」

 

「へぇー。そういえばこの街のジムリーダーもお花の先生やってるって聞きましたよ」

 

「あら?申し上げてませんでしたか?わたくしは……」

「エリカ様ー!!やっと見つけましたよ!」

 

 お姉さんが何かを言い切る前に店にやってきた他のお客さんであろう人がお姉さんに向かって叫んだ。

 

「エリカ様……?確かジムリーダーの名前も……」

 

 僕が言い切る前にお姉さんは立ち上がり僕の腕を無理矢理掴んで食堂から走り去った。……って、ちょっ、お姉さん!!

 

 

 お姉さんにつられて走らされ、僕とお姉さんは最初に出会った噴水の近くまで来ていた。ちなみに食堂の会計は既に済ませてあるので食い逃げではない。というかなんやかんや時間が経っていたのかもうすぐ夕方みたいだ。

 

「す、すいませんハルトさん」

 

「いえ、別に平気ですけどどうしたんですか?」

 

 するとお姉さんは自分の身分やなんで逃げ出したのかとか全部話してくれた。

 

「いやー……まさかジムリーダーのエリカさんだとは……」

 

「いや、てっきり自分でももう既にハルトさんに申し上げたつもりだったのですが……」

 

「それにせっかくのオフをジムトレーナーのみなさんに邪魔されたくないが為に朝ここにいた僕を見かけて時間があるか聞き、かねてから行きたかったゲームセンターに行ったと……」

 

「はい……。えっと、その色々とすみません。ジムリーダーとお花の教室を開いててどっちも多忙でやっと1日自由な日が出来たものですから……。今まではお休みが出来てもジムトレーナーのみなさんと一緒でしたので中々自由に遊べなかったりしたもので」

 

 エリカさんは恥ずかしそうに話してくれた。

 

「えっと……。そのハルトさんはやっぱり迷惑でしたよね?」

 

「いや、全然」

 

「本当ですか?」

 

「えぇ、そうですけど」

 

「ホントのホントに?」

 

「ホントのホントです」

 

 ここまで言って2人してクスクスと笑いあった。

 

 その後暫く話をしているとジムトレーナーの方々が集まってきた。

 

「そろそろ帰らなくてはいけません」

 

「そのようですね」

 

 エリカさんはどこか寂しそうな感じがした。

 

「あの……ジムに挑戦するってことはまた会えますよね?」

 

「もちろんですよ!というか明日ジム戦に挑戦しにいかせてもらいます!!」

 

 僕がそう言うとエリカさんは一気に嬉しそうな表情を見せた。

 

「では、明日ジムでハルトさんの挑戦をお待ちしてますわ。今日はわたくしのワガママに付き合ってくださってありがとうございました」

 

「はい!こちらこそ楽しかったです!!」

 

 そう言ってエリカさんはジムトレーナーの方々と一緒に帰って行った。

 

(僕もそろそろポケセンに帰らなきゃな……。もうじき日が沈むだろうし)

 

 僕は今日の出来事を振り返りつつ、エリカさんと撮ったプリクラを見ながら楽しい思い出とともにポケセンへと帰った。

 

 

 ポケセンに帰るとちょうどナツキさんが戻って来た後だった。デパートで大量に買い物をしたのかその手には沢山の紙袋が握られている。

 

「ナツキさん、先に戻ってたんだね。随分買ったみたいだけど何買ったの?」

 

 僕が話しかけるとナツキさんはおかえりーと答えてから説明してくれた。

 

「フッフッフ、見て驚かないでよ!」

 

 そう言ってまず最初に袋から取り出したのはカメラだった。しかも結構最新の奴っぽい。

 

「カメラ?カメラなら図鑑にもあるよ?」

 

 この世界のトレーナーなら誰もが持っているポケモン図鑑。それには図鑑としての機能だけでなく、所有者が誰なのか分かるようトレーナーカードの機能も持ち、ポケセンのパソコンから自分の口座につないでお金を降ろすことだって出来る。ちなみに戦績も図鑑に記録されるため勝てば口座のお金は増えるしその逆も然り。

 

 そして本題のカメラ機能。確かにカメラと呼べる機能はあるといえばあるのだが、だいぶちゃっちい。

 

「フッフッフ、確かにカメラとしての機能はあるね。けど私は色んな地方の色んな景色をポケモン達と見るための旅をしてるって前にも言ったよね?けど写真に撮って思い出として取っておきたいじゃん?今までは図鑑のしょぼいカメラで撮ってたけどこのカメラならバッチリしっかり綺麗に撮れるわけなんですよ!!」

 

 な、なるほど……。確かに今まで旅の途中で見てきた景色を図鑑のカメラで撮ってるのは知ってたけど不満があったんだね……。

 

「まだまだあるよ!」

 

 ナツキさんはひとしきり熱弁した後、さらにカメラ以外にも色々と道具を取り出して一個ずつ説明もしてくれた。

 

 ……、にしてもこんなに沢山買ってるけどお金とか大丈夫だったのかなぁ……。

 

 その後もナツキさんによる説明を受け、僕達は休んだ。

 

 

 エリカside……

 

 ハルトと別れ数時間後のタマムシジム……

 

「ハルトさん……」

 

 わたくしは今日ハルトさんと撮ったプリクラを見て少しため息をついた。

 

(楽しかったですわ。また会いたいですわ……って明日ジム戦にいらっしゃるのですから会えますわね)

 

 ですけど……。

 

(ハルトさんは旅を続けているからジム戦が終われば別の街へ去ってしまう……。わたくしが勝とうが負けようが遅かれ早かれそれはやってきますわね……)

 

(何故なのでしょうか……?とても胸の辺りが苦しいですわ。今までこんなことはなかったのに……。もしかしてハルトさんのせい……?)

 

 

 こうしてタマムシの夜は更けていくのであった……。




ところで、正ヒロインってナツキなの?それともエリカ様なの?……って思われますよね。
正直、どっちでもいいんじゃねっていうのが今の著者の率直な意見ですwww←

だって野郎(とはいえ10歳の男の子ですが)とポケモンだけじゃ……ねぇ?
ナツキはメインキャラクター兼ヒロインの1人くらいの認識でいいと思います(適当だなォィ)

だってこのお話はカントーだけじゃないですし、まだまだ続きますし、現段階で正ヒロインとか決めてもその後キャラが動かしづらいじゃないですか。


さて、このページの冒頭でも書きましたがタマムシの後のお話に関して、続きが早く読みたいという方はFC2で『ポケットモンスター~WT 【カントー後編】~』を執筆しておりますのでそちらをお読みくださいませ。

ハーメルンでは分けずに『カントー後編』の話はタマムシの話の後に続けて執筆いたします。


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16章 ハルトVSエリカ、草原のバトル!(前編)

今朝、FC2の自分の作品ページを見ていたら閲覧数がびっくりするほど伸びていました。

(自分が散々まえがきやあとがきで続きが読みたかったらFC2へ!!と、ステマ(?)したくせに)そこまで伸びます!?と普段は「アクセスランキングったってどうせ載ってねぇよ……」と思って確認しないのですが確認したら『ポケットモンスター~WORLD TOUR~』39位、『ポケットモンスター~WT 【カントー後編】~』81位。

※ちなみに平成26年5月25日の日間アクセスランキングです。

FC2はサイトの仕様上、更新してもトップページには作品名が出ない(新作で書いたら1~2日程載ることもあります)ので、しおりを挿んでくださっている読者の方々しか更新されたんだと気づかないのですが……びっくりです、はい。

上記の通りトップに出てる間はアクセス数も多かったのですが、久々にこんなすごい順位だったので読者の皆様には感謝でいっぱいです。

拙い文章ではありますが、これからも精一杯頑張りますので応援よろしくお願いします。


……え?まえがきなげぇよ、あとがきでやれって?
……あとがきはあとがきで書くことがあるんだよ……多分←


 ナツキさんは僕に声をかけて観客席へ向かって行った。

 

「お連れの方が観客席へ行きましたのでルール説明の方をさせてもらいますわね。ルールは使用ポケモン3体のシングルバトル、3体とも戦闘不能になったら負けですわ。チャレンジャーのみポケモンの交代が許されますわ」

 

「はい、分かりました!」

 

 今回は3VS3か……。さて誰を一番に出そうかな……。

 

「あ、聞き忘れてましたがハルトさんバッジはいくつお持ちで?」

 

「3つです。エリカさんに勝って4つ目のバッジ貰いますからね!」

 

「3つですね。分かりましたわ。ふふっ、そう簡単には勝たせませんわよ?」

 

 僕とエリカさんは話を終えてボールを手に取った。

 

「それではこれよりジム戦を行いたいと思います。両者の準備も整っているようですね。それではバトルスタート!!」

 

 審判役のジムトレーナーの方が宣言しバトルスタートとなり、僕とエリカさんはボールを投げて最初のポケモンを繰り出した。

 

「頼んだよ、シド!」

「お願いしますわね、モンジャラ」

 

 僕はゴースのシド、エリカさんはモンジャラを繰り出した。フィールドは草原でいかにもくさタイプのジムって感じ。けど相性は有利だな。

 

「なるほど、ゴースですか。相性は悪いですが、相性の優劣だけで勝てると思ったら甘いですわよ。モンジャラ、はたきおとす!」

 

「そっちこそ甘いですよ!シド、ふいうち!」

 

 シドは素早くモンジャラに近づき攻撃したがその直後にはたきおとされた。

 

「先制技ですわね。ゴースの少ない体力と耐久面を意識して後続の為に少しでもダメージを与えようとする作戦なのでしょうけど今の攻撃で一撃だと思いますわ」

 

 あはは……今の攻撃でそこまで読んじゃいますか。けど……。

 

「そう簡単にはやられないみたいですよ?」

 

 はたきおとされてフィールドに転がっていたシドは何事もなかったかのようにフワリと起き上がった。

 

「!?まさか効果抜群の技だったのに起き上がるなんて……」

 

 エリカさんは相当驚いていた……最近仲間になってレベル的にも効果抜群で僕もやられたかと思ったけど身軽なシドはなんとかかするレベルで避けてたみたいだ。

 

「シド、おどかしてやれ!」

 

「そうはいきませんわ!モンジャラ、もう一度はたきおとす!」

 

 モンジャラは今度こそシドを戦闘不能にするために攻撃を仕掛けようとするが、シドはモンジヤラに急接近して驚かせた。

 

 するとモンジャラは怯んで攻撃が出来なかった。

 

「シド畳み掛けるよ!あやしいひかりからのナイトヘッド!!」

 

 シドは至近距離からおやしいひかりを当ててモンジャラを混乱させてナイトヘッドで確実にダメージを与えた。

 

「モンジャラ!負けずにはたきおとす!」

 

モンジャラは混乱とナイトヘッドの攻撃でダメージを受けながらも攻撃に集中して動けないシドに攻撃をなんとか当てて今度こそ戦闘不能状態にした。

 

「中々手強かったですわねモンジャラ……」

 

「シドお疲れ様……勝てはしなかったけど相打ちだ」

 

「ハルトさん?何を仰って……」

 

 倒れたシドをボールに戻しながら言った言葉にエリカさんが反応した途端、モンジャラは倒れた。

 

「なっ!?」

 

「エリカさんはモンジャラはシドに勝ったと思ってたかも知れませんが、混乱の自分に対する攻撃とナイトヘッドで瀕死まで追い込まれてたんですよ」

 

 僕がエリカさんに説明するとエリカさんは少し笑ってモンジャラをボールに戻した。

 

「最初の一撃を耐えたのも見事ですがハルトさんの作戦と相まってレベルの差を埋めたと言う事ですか……。これでお互い残りは2体、いい勝負をしましょう?」

 

「もちろんです!」

 

 僕とエリカさんは2体目のポケモンを繰り出すべくボールを投げ、繰り出されたのはブイとクサイハナだった。

 

「あら、そのイーブイは昨日の……」

 

「そうですよ!僕の相棒です」

 

「では中々楽しめそうですわね。クサイハナ、はっぱカッター!」

 

「ブイ、でんこうせっかで避けつつ攻撃!」

 

 ブイはクサイハナの攻撃を避けながらクサイハナに接近する。

 

「今だ!」

 

 ブイは指示通りクサイハナにダメージを与えた。しかし……。

 

「やっと動きが止まりましたわね。クサイハナ、メガドレイン!」

 

 クサイハナはブイにしがみつき光を放ちながらブイから何かを吸収していた。

 

「ブイ!なんとか離れるんだ!!」

 

 ブイはなんとかクサイハナから離れたがかなりダメージを受けている。そしてクサイハナはブイに攻撃を食らってダメージを受けていたのに体力が回復していた。

 

「なるほど……相手を攻撃して与えたダメージを自分の回復に回す技ですか」

 

「お察しの通りですわ。ここはさっきのお返しでこちらが畳み掛けましょう。クサイハナ、ようかいえき」

 

 エリカさんの指示の後、クサイハナはようかいえきで攻撃してきた。さっきの攻撃でブイがかなりダメージを受けているけどなんとか避けてもらうしか……!

 

「ブイ、とにかく避けてくれ!」

 

 ブイは僕の方を向いて何も言わずに頷いた。

 

「あら、それだけですか?そこそこ足に自信があるイーブイのようですが防戦一方どころか逃げるだけでは勝ち目はありませんわ」

 

 クサイハナはようかいえきでブイの逃げ場を失くすように攻撃してきた。

 

 

 ナツキside……

 

(うーん……ハルトくんが押され気味だなぁ。相手がくさタイプなら私のポニータ貸してあげればよかったかな?)

 

 私は観客席でジムトレーナーの方々と一緒にバトルを見ている。今まではハルトくんの考える作戦とポケモン達がそれに応える形で戦ってきた。

 

(けど、エリカさんはハルトくんの作戦が分かってるみたいな感じだったし結構侮れないかも……。)

 

 そういえば……。

 

(ハルトくんがブイを出したときに昨日の……とか言ってたけどハルトくんエリカさんと会ったのかな?そりゃ街に居ればその街のジムリーダーに会うことがないわけじゃないけど……。……まぁそこを気にしたってしょうがないし今はハルトくんの応援しなきゃ!!)

 

「ハルトくん頑張れー!ブイもファイトー!!」

 

 

 エリカside……

 

(……クサイハナに攻撃の指示を出してはいますけどこのまま何もしかけてこないのですか?それとも何かを狙ってる?)

 

 そんな時、観客席から声が聞こえた。

 

「ハルトくん頑張れー!ブイもファイトー!!」

 

 それは女子の声でした。

 

(あの方はハルトさんが連れてた方でしたわね……。一体どんな関係なのでしょうか……ってやだ!わたくしなんでそんなことを気にするのでしょう。きっと一緒に旅をしているだけですわ……えぇきっとそうですわ……。ん?一緒に旅をしているということは、寝食を共に……って何を考えていますの!?)

 

※ハルトもナツキも10歳ですのでR-18展開NGです

 

 

 ハルトside……

 

(……?エリカさん?)

 

 目の前に立っているエリカさんはさっき観客席からナツキさんの声がしてからなにか様子がおかしい。何かを考えているかと思えばいきなり頭を横に振ってみたり、ぶつぶつ何かを言っているようだった。

 

(何はともあれ……仕掛けるなら今だ!!)

 

「ブイ、とっしん!!」

 

 今までクサイハナの攻撃を避けるだけだったブイは一気にクサイハナに向かって全速力で突っ込んだ。いきなりの指示にエリカさんの反応は一瞬遅れた。

 

「クサイハナ、近付いて来たところをメガドレインですわ!」

 

 しかし指示を出す頃にはブイがクサイハナにとっしんしてメガドレインが不発に終わった。

 

「畳み掛けるよ!でんこうせっか!」

 

「くっ、今度こそメガドレインですわよ!!」

 

 ブイはでんこうせっかで撹乱しながら近づくもクサイハナはメガドレインの準備をしっかりしていてこれ以上近付くとかなり危ない。

 

「ブイ、構わず行くんだ!」

 

 僕のこの声でブイはクサイハナに更に接近する。

 

「クサイハナ捕まえて!!」

 

 クサイハナがブイを捕える瞬間だった。

 

「ブイ、みきり!」

 

「!?」

 

 ブイはみきりを使ってクサイハナの攻撃を避けて背後を取った。

 

「ブイ、もう一回とっしん!!」

 

クサイハナは背後を取られたせいか反応が遅れ、ブイの攻撃が直撃して吹っ飛んだ。

 

「やりますわね……。ですが……」

「まだだ!ブイ、スピードスター!!」

 

 ブイは身体からエネルギーを発し、星状のエネルギー波を作りクサイハナへ発射し、見事直撃した。

 

「クサイハナ!!」

 

 エリカさんが叫ぶがクサイハナはその場に目を回して倒れ、エリカさんの2体目のポケモンを撃破した。

 

 エリカさんはクサイハナをボールに戻して口を開いた。

 

「ハルトさん、中々やりますわね。わたくしの反応が遅れた隙に攻撃を畳み掛ける……。にしても、みきりを覚えてるなんて……」

 

 ふぅと息を吐いて3体目のポケモンのボールを手に取ったエリカさんに気になったことを聞いてみた。

 

「ところでエリカさん……。さっき反応が遅れたことに関してなんですけど何を考えてたんですか?ぶつぶつ何かを言ってるような……」

 

「な、なんでもないですわよ!?真剣勝負なのに少し油断してしまっただけですわ!!」

 

 エリカさんはおどおどしながら返事をする。油断かぁ……やっぱりジムリーダーからしたらバッジ3つのトレーナーはどことなく気を抜いて戦ってしまう相手なのだろうか……。

 

「さ、さぁ!まだバトルは終わってはいませんわ!わたくしの3体目のポケモンはこの子ですわ!」

 

 そう言ってエリカさんが繰り出したポケモンはラフレシアだった。

 

「ラフレシアですか……」

 

「えぇ、私が小さいころから育ててたポケモンのうちの1体ですわ。そのイーブイがハルトさんの相棒ならこのラフレシアもわたくしの相棒と呼べますわ」

 

 となると……。さっきの2体よりも相当強いな……。カスミさんの特訓で持久力は伸びたとはいえメガドレインにとっしんの反動、少し危ないな……。

 

 僕があれこれ悩んでいるとブイが話しかけてきた。

 

「ハルト!僕なら大丈夫!必ず次につなげるからこのまま僕に戦わせて!!」

 

「ブイ……。よし!頼んだよ!!」

 

 エリカさんはあのラフレシアだけ。そして僕はブイともう1体ポケモンがいる。いつも通り……ポケモン達を信じて戦うだけだ!!




あ、まえがきで書いてなかったけど今回も前後編に分けるよ←

修正して投稿するのがめんd……と言う訳ではなく(いや、マジで)
この後の話の展開考えると読み手として考えたら分けた方が読みやすいし楽かなと思ったので。


そういえば、カスミ戦の辺りで書こうと思って忘れてたけどさ、ポケモンの2番目のジム戦でジムリーダーがエースとして出すポケモンって種族値的にどうなのよ、高くね?とふと思った。

カスミのスターミー然り、ツクシのストライク然り……。


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17章 ハルトVSエリカ、草原のバトル!(後編)

バイトの前にささっと投稿。


「ラフレシア、にほんばれ!」

 

 エリカさんの指示のあとラフレシアが何かを歌い、ジムの窓から日が差し込んできた。

 

「くさタイプに有利な状況にしたわけですね……。ブイ、でんこうせっかで撹乱だ!」

 

「そうはいきませんわ!ラフレシア、ソーラービーム!!」

 

 ブイが攻撃を仕掛けに行った直後にラフレシアは図太いビームを発射しブイに直撃した。

 

「ブイ!!」

 

 爆風が晴れるとそこにはなんとか持ちこたえているブイがいた。かなり危ないな……そしてにほんばれでチャージしなくても発射できるソーラービームはかなり厄介だ……。

 

「今のを耐えますか……よく育っていますわね。ですが……次は無いですわよ、ラフレシアもう一回ソーラービーム!!」

 

「ブイみきりで避けてでんこうせっかで移動しつつすなかけで撹乱!!」

 

 ブイは指示通りみきりを使ってソーラービームを避け、でんこうせっかで移動しつつすなかけで命中率を下げながら撹乱していく。

 

「一度に沢山言われた指示もきちんとこなせるのもよく育っている証拠ですわね。ですが……素早さなら負けませんわよ?」

 

 エリカさんがニコッと笑ったかと思えばラフレシアの動きがかなり俊敏になった。なんでだ……!?

 

「特性……ようりょくそですわ。天候が晴れ……日差しが強い場合素早さが2倍になるという特性。先程のソーラービームは日差しが強いことによって速射出来ただけでなく、この特性が相まって相手より早く行動出来るのです。バトルにおいて素早さはかなり重要なのですよ」

 

「なるほど……けどトリックさえ分かればそこまで気にする程じゃない。ブイ、とっておき!」

 

 ブイは白い光を纏いラフレシアに突っ込んだ。

 

 

 ズドーンと大きな音が鳴り、辺りは衝突したときの煙で見えなかった。

 

「中々の威力の技でしたが……、わたくしのラフレシアはそこまでやわじゃありませんわよ?」

 

 煙が晴れるとブイの攻撃を防いで耐えているラフレシアの姿があった。ブイはラフレシアに完全に捕まっている。

 

「耐えた……!?」

 

 いや……。草原のフィールドには押されて出来た跡がある……。パワーでねじ込んだけど耐えきったのか!

 

「そろそろ日差しも弱まってきましたわね……。ならトドメはこの技で決めましょう。ラフレシア、はなびらのまい!!」

 

「ブイ逃げろ!!」

 

 僕はそう叫ぶが、今までのダメージが溜まってラフレシアに掴まれている状態から抜け出すことが出来なかった。一方ラフレシアは身体の周りに花びらを出現させ、それをブイに命中させた。

 

「確かに……バトルにおいて、命中率も重要ですが……。捕まえている状況ではずしはしませんわ」

 

 はなびらのまいが命中したブイは吹き飛ばされ、倒れてしまった。

 

「イーブイ戦闘不能!ラフレシアの勝利!!」

 

 審判役の方がそう宣言し、僕はブイにお疲れと言ってボールに戻した。

 

「これで残るは1体ですわね……」

 

「ふぅ……。まさかここまで追い込まれるとは」

 

 今までも残り1VS1の状況のジム戦やバトルはやってきたけど、このジム戦程自分の考える作戦が見破られたり、予想外な戦略で攻められることがなかったからなぁ……。

 

(正直に思う……この人は強い。タケシさんやカスミさん。……マチスさんはジム戦ってわけじゃなかったけど……それぞれバッジの数で手加減したり、きっちり育て上げたポケモンを使ってきた。けど、この人はそれを更に活かせる作戦を2重3重と用意している。けど……。)

 

「それでも負けるわけにはいかない!最後の1体は君だ!!フッシー!!」

 

 僕はボールを投げてフッシーを繰り出す。

 

「その子も昨日のフシギソウですわね」

 

「えぇ……。ブイと同じでマサラを旅立つ時からずっと一緒の仲間です。彼も僕の相棒ですよ」

 

「ふふっ、くさタイプは見るだけでどんな子かはすぐ分かりますけどその子もしっかり育っているようですわね。そしてハルトさんを1番信頼している……そんな気がしますわ」

 

 エリカさんはまたニコッと笑って口を開いた。

 

「では、最後の勝負です!」

 

「望むところですよ!」

 

 僕とエリカさんは同時に指示を出した。

 

「ラフレシア、はなびらのまい!!」

「フッシー、パワーウィップ!!」

 

 2体のポケモンの技は同時にぶつかり爆発した。

 

「中々やりますわね」

 

「そっちもですよ」

 

 ラフレシアはブイの最後の一撃を防いだとはいえ多少のダメージは受けている。フッシーの持ってる力を使って全力でぶつかれば勝てない相手じゃない!!

 

「パワーは互角なら素早さで圧倒します!ラフレシア、もう一度にほんばれ!」

 

 またジムに日差しが差し込み、ラフレシアの素早さが上がった。

 

「ラフレシア、ソーラービーム!!」

 

「フッシー、ダメージ覚悟でもう一度パワーウィップ!!」

 

 日差しが強いためまたチャージすることなくソーラービームは発射されフッシーに直撃した。しかし、フッシーはそれを耐えラフレシアに技を命中させた。

 

「お互いくさとどくの複合タイプ。くさタイプの技では本来与えられるダメージの4分の1程度にしかなりませんわね」

 

「えぇ。だから勝敗を決めるのはいかにトレーナーが良い指示をだすかどうか……。」

 

「わたくし、負けませんわよ?」

 

「こっちも負ける気はないです!フッシー、やどりぎのタネを地面に植えてラフレシアにはっぱカッター!」

 

 指示通りフッシーはフィールドの隅々に種を植えていき、ラフレシアに牽制で攻撃する。

 

「その程度……!ソーラービーム!!」

 

 はっぱカッターはビームによって消滅しフッシーに直撃した。

 

「フッシー、せいちょうだ!!」

 

「なるほど……そちらも天候を活かして能力を上げるのですね。だったら上がりきる前に倒します!!くさタイプの技がダメならどくです!ラフレシア、ようかいえき!!」

 

 ラフレシアはフッシーがせいちょうを使って能力を上げて動けないうちに畳み掛けてきた。数発放たれたようかいえきは2発ほど受けてしまったがそれ以外はブイのすなかけで下げられた命中率のおかげではずした。

 

「さぁ能力を上げきったところで逆襲といこうかフッシー」

 

 僕がフッシーに話しかけるとフッシーは頷きながらうん!と答えた。

 

「何をしようとするか分かりませんけど能力を上げた所でわたくしのラフレシアには勝てませんわよ!」

 

 エリカさんがラフレシアに指示を出そうとした時だった。

 

「フッシー!植えておいたタネを発芽してラフレシアの動きを封じるんだ!!」

 

「なっ!?」

 

 植えておいたタネは草原のフィールドと日差しが強いことも相まってか、今までで一番急速にそしてとてつもなく大きく育ち、ラフレシアを閉じ込める檻になった。

 

 これにはエリカさんも驚き、そして関心していた。

 

「なるほど……やどりぎのタネをこういう風に使うとは……。くさタイプには効かない技をうまく使ったわけですわね」

 

「えぇ……。それにどうやら良い時間稼ぎになりそうですね」

 

「時間稼ぎ……?」

 

「ラフレシアが檻を壊すまでに最高の一撃を用意することが出来そうです」

 

「……まさか!?」

 

「そのまさかですよ。フッシー、ソーラービームだ」

 

僕がフッシーに指示を出すと、フッシーは速射出来るはずのビームのエネルギーを溜め始めた。

 

「放てるのにあえて放たないでパワーを溜めているのですね」

 

 まだにほんばれの効果は続いており、ラフレシアはようかいえきで素早く檻を壊そうとしているし、ソーラービームも溜め無しで放てる。

 

「理由は4分の1にダメージが減るからせいちょうの効果と極力チャージしたビームを放ちたいといったところでしょうか……。それならこちらだって応戦させてもらいますわ!ラフレシア、ようかいえきで溶けた部分にソーラービーム!!」

 

 ラフレシアは溜め無しのソーラービームをようかいえきで檻の一部分が溶けて脆くなった場所をぶち破り、フッシー目掛けて放った。

 

 そしてソーラービームはフッシーに直撃した。

 

 

 ……はずだった。

 

「まさか……!?」

 

 直撃したかと思われたビームはフッシーによって吸収されフッシーは最高点まで溜めきった。

 

「さぁフッシー!倍返しといこうじゃないか!ぶっ放せ!ソーラービーム!!!」

 

 フッシーから放たれたビームはとても眩しく輝いていた。そして大きな爆発音がバトルの終わりを告げた。

 

 

 ズドォォォォォォン!!!!

 

 大きな爆発音のあと、煙が晴れるといつかみた光景が広がっていた。

 

「じ、ジムが……」

 

「「「「消し飛んだぁ!!??」」」」

 

 これにはさすがに僕もエリカさんだけでなく観客席で見ていたナツキさんやジムトレーナーの方々も驚きを隠せなかった。

 

 フッシーから放たれたソーラービームはラフレシアを飲み込みエリカさんの遥か後方へ。あまりの威力と衝撃でジムの壁が半壊。フィールドもほとんど焼野原。当然ラフレシアは戦闘不能となった。

 

(いやー……うん、まさかここまでなるとは思わなかったなぁ)

 

 何故ここまでの大事になったかと言うと……。

 

「ハルトさんとフッシー?でしたっけ。お二方にはびっくりさせられましたわ。まさか進化するなんて」

 

 そう。フッシーはあの超土壇場にて進化したのだ。……ざっくり簡単に言うならばこの通りなのだが、詳しく言うとこうなる。

 

 せいちょう使用で能力UP。速射せずに限界までソーラービームのエネルギーを溜める。ラフレシアから放たれたソーラービームを吸収するも限界点以上のエネルギーでダメージを受けて特性のしんりょくが発動。おまけに過剰なエネルギーのせいで土壇場で進化、そして進化の際に現れたエネルギーもろともビームとして発射。フシギバナとしての能力も相まってジムを半壊させる威力となった。

 

 ……つまる話、オーバーキル。

 

(というか……これだけあって半壊で済むジムの強度も中々なものが気がする……。あれだね、カズマさんのプテラに近いとこまでいったね、これ)

 

 フッシーはフッシーでなんか清々しい顔してるけど……まぁいっかと心の中に留めた。

 

 

 その後ジムを半壊させたことによりジュンサーさん達がやってきて事情を説明したりなんやかんやで解放されたのはその日の夜だった。

 

「ハルトくん色々とお疲れ様!」

 

「ホント色々と疲れたよ……」

 

 解放された僕達は噴水の近くのベンチに座っていた。そして実はまだバッジを貰っていない。エリカさんがジムリーダーとして色々と話してくれているみたいで僕達は先に解放されたのだが、エリカさんはまだ当分忙しそうだ。

 

「フッシーが進化してフシギバナになったのもびっくりだけど。今回結構手強かったんじゃない?」

 

「うん、そうだね。土壇場で進化するにしてもまさかあそことは思わなかったし……。けど、やっぱり今回は苦戦したね。カスミさんとの特訓で強くなってる自信はあったんだけどそれでもやっぱりエリカさんは強かった。まだまだ未熟だよ僕は」

 

 言い切ってため息を吐くとナツキさんが口を開いた。

 

「じゃあこれからもっともっと強くならなきゃね!」

 

「うん……。今まで以上にもっと強くならなきゃ!!」

 

 そう宣言した時、誰かに名前を呼ばれた。そしてその方向を見るとついさっきまで戦っていたあの人が居た。

 

「エリカさん!」

 

「すいません、色々と話をしてて遅くなりましたわ」

 

「いや、むしろジムを壊してしまってすみませんでした!!」

 

 僕が謝って頭を下げるとエリカさんは大丈夫ですわよと答え、頭を上げてくださいと言ってくれた。

 

「はい、こちらがレインボーバッジですわ」

 

 そう言ってエリカさんは僕の手を掴んでバッジを渡してくれた。

 

「いいんですか?」

 

「何がです?わたくしに勝ちましたしハルトさんとポケモンの絆や思いやりの力を見ることが出来たので差し上げますわ」

 

 エリカさんはニコッと笑い、おめでとう!と言ってくれた。ナツキさんも同時におめでとう!と言ってくれた。

 

「で、本題に入りたいのですがよろしいですか?」

 

「「本題?」」

 

 エリカさんに思わず僕達2人とも聞き返してしまった。本題って……。

 

「ジムの件ですわ」

 

「「ですよねー……」」

 

「ジムの修理費等々はバトルでポケモン達が力を競って起きたことなのでタマムシジムやカントーのポケモン協会側が出すので気にしないでください」

 

 ほっ……よかった。馬鹿でかい金額を請求されるもんだと思ってた……。

 

「ですが、工事作業をするのに現在ヤマブキシティの4つのゲートすべてが封鎖されており、みなさんセキチク経由で大回りでタマムシまで来るため、工事作業が遅れジム再開まで長い時間がかかってしまいます」

 

「……手伝えってことですね?」

 

「はい、その通りですわ」

 

 僕はナツキさんの方を向いてごめんと謝るとナツキさんはまぁしょうがないよと答えた。

 

「ですが、ただ手伝うだけではあれなので……ジム再開出来るまで工事の手伝いとは別で、わたくしが特訓の指導をさせてもらいますわ。もちろんお二方共指導しますわ」

 

「「!!??」」

 

「指導が嫌なら断ってくださっても構いませんけど、工事が終わるまではタマムシ近辺から出ることは出来ませんよ?」

 

「ハルトくん……」

「ナツキさん……」

 

 僕達はお互い顔を見合って、やろう!と言った。

 

「はい、了解しましたわ。では本日はどうもありがとうございました。また明日の朝ここに集まってください。それでは……」

 

「いえ、こちらこそありがとうございました!」

 

 僕達はエリカさんと挨拶をして、ポケセンへと帰りじっくり休んだ。明日から忙しくなりそうだな……。




次の章でFC2に投稿してある『ポケットモンスター~WORLD TOUR~』の内容は終わりです。

その更に続きが早く読みたいという方は『ポケットモンスター~WT 【カントー後編】~』をご覧ください!!


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18章 さらばタマムシ、目指せセキチク!

こんなサブタイですが、内容は短めです。


 ジム半壊事件(ジム戦)の翌日から何故かヤマブキのゲートが4つとも封鎖されてるとの事の為、セキチク経由で来る工事関連の方々を待ってる間自分達である程度の工事をすることになった。

 

 そして1週間程経ち、本職の方々がやって来てから本格的な工事が始まりそれの手伝いをしつつ、毎日エリカさんに特訓の指導をしてもらった。

 

 

 そして……。

 

 

「ハルトさん、ナツキさんお疲れ様でした!これでやっとジムが再開出来ますわ!」

 

 急ピッチで工事が進められたものの損壊はかなり激しく、しかも元に戻すのではなく改築するということだったため2ヶ月かかった。

 

 しかしまぁ……逆に2ヶ月もジムリーダーに特訓をさせてもらえたのだからいいのだが。

 

「ハルトくん?どうかした?」

 

 あれこれ考えていたらナツキさんが心配しで声をかけてくれた。

 

「ん、いや何でもないよ」

 

 すると今度はエリカさんが話しかけてきた。

 

「2ヶ月どうもご苦労様でした。お二方はもう旅立つのですか?」

 

 工事は終わったが日が沈みかけており旅立つとしても明日以降かな。

 

「明日にでもタマムシを出発しようと思います」

 

 僕がそう言うとエリカさんは心なしか少し悲しそうな顔をしていた。

 

「ハルトさんとナツキさん。お二方の旅が実り多からんことを祈っておりますわ」

 

 すぐに元の表情になったエリカさんは僕とナツキさんと握手をした。

 

「わたくしはこの2ヶ月で溜まったジム戦の予約を消化しきらないといけませんので明日は見送ることは出来ませんがお気をつけて」

 

 そう言ってニコッと笑い、僕とナツキさんはポケセンへと帰ろうとした。

 

「あ、あのハルトさん!」

 

 歩いていたら後ろからエリカさんに声をかけられた。

 

「どうしたんですか?あ、やっぱりどっか直ってなかったとか?」

 

「いえ、それは大丈夫なのですが……」

 

 そう言うエリカさんの顔はどことなく赤かった。

 

「あの……。ハルトさんは年上の女性は嫌いですか……?」

 

「?年上の女性ですか?別に嫌いではありませんよ?けどそれがどうかしたんですか??」

 

「あ、いえ別に特に意味はないんですけど……4歳年上の女性は恋愛対象に入りますか!?」

 

 ……???エリカさんどうかしたのかな???けど答えなきゃな。

 

「えーっと、4歳年上ならお姉さんとかですよね。僕はその位は問題ないかなぁ……?」

 

「ホントですか!?」

 

 エリカさんは僕の手を握って聞き返してきた……どうしたんだろホントに……。

 

「えぇ、けどどうかしたんですか?」

 

「い、いえ、なんでもありませんわ!引き留めてしまってすみません!明日からの旅お気をつけてくださいね?」

 

 僕ははい!と答えエリカさんと別れ、先にポケセンへと行ってしまったナツキさんを追いかけた。……少し不機嫌そうだったのは何故だろうか……?

 

 

 エリカside……

 

「お、どうでしたエリカ様!」

 

 ハルトさんと別れてジムに戻るとジムトレーナーのみなさんがどうだったかと聞きに来ました。

 

「4歳年上は大丈夫だそうですわ」

 

 そう答えるとジムトレーナーのみなさんはおぉ!!と言い、なにやら気合が入ってるようでした。

 

「エリカ様、もうこれはいくっきゃないですよ!年下の男の子好きになるなんてエリカ様も……ウフフフ」

 

「なんですかその笑い方!?いくっきゃないってなんです!?」

 

「そりゃもう一発ドカンと告っちゃいましょう!!」

 

「えぇ!?」

 

「エリカ様ファイトー!!」

 

 なんかみなさん、揃いも揃ってテンションが高いです……。

 

「いや、やっぱりお付合いすると言っても順序がありますでしょ?段階を追って……」

 

「いやいや、エリカ様奥手ですねー。もっとグイグイ行きましょ?」

 

「お、奥手でもいいじゃないですか!」

 

「ところでエリカ様って、彼のどこが好きなんです?」

 

 ジムトレーナーの一人がいきなり核心を突いてきました……。

 

「ほらほら、答えてくださいよー」

 

 うぅ……なんでみなさん恋バナ関連の時やたらテンション高いんですかー!

 

「じゃあ3,2,1で!3…2…1…どうぞ!!」

 

 えぇぃ答えてしまえ!

 

「……とか、……ですし。なにより……」

 

 こうしてタマムシの夜が更けていくのでした。

 

 

 ハルトside……

 

「よし、準備も出来たし行こうか!」

 

 翌朝、僕達はサイクリングロードの手前のゲートに来ていた。自転車?ブイを助ける時に壊れて持ってないじゃん?

 

 えぇそうですよ。けどちゃんと通れるようになってるんですよ?

 

「ヤマブキが通れなくなったから工事のおじさん達と一緒にサイクリングロードの一部を改修工事したんだよね」

 

 ナツキさんが言ったとおりである。この2ヶ月で直したのはジムだけではなくサイクリングロードも改修工事をしたのだ。

 

「おかげさまで歩行者専用通路もあるし、ポケモンに乗っても通れるようになったしね」

 

 これもナツキさんの言ったとおりである。いやぁ……暴走族の方々を説得するのに手間取るかと思ったらボスが出てきて締め上げるもんだから思ったよりスムーズに事が進んだね……。

 

「ハルトくん、歩いていく?ポニータに乗っても行けるけど」

 

「んー、下りだし歩こうか」

 

「わかったー」

 

 ゲートを抜けて僕達は残り4つのジムバッジを集める旅、色んな景色を見て回る旅をするべく出発した。




カントー編もやっと折り返し地点です。
後半は2次創作だから出来るオリジナルの展開が多くなる……と思っています。

ちなみにこの章、自身初の予約投稿です(どうでもいい


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19章 レッツエンジョイ!サファリゾーン!

この章からFC2で執筆中の『ポケットモンスター~WT 【カントー後編】~』のお話に変わります。

この章、視点がコロコロ変わるけど許してくだせぇ←


 ハルトside……

 

 ジムを半壊させ、その改修工事のついでに徒歩やポケモンに乗ったまま通行できるようにしたサイクリングロードを抜けて僕達はセキチクシティに到着した。

 

「ふぅ……一本道だったけど長かったね」

 

 僕の横でそう呟いたのはトキワの森で出会ってから一緒に旅をしているナツキさん。あ、そうそう言い忘れてたけど僕の名前はハルト。

 

「……?ハルトくんなんか随分ぼーっとしてるけど大丈夫?」

 

「え?あぁ、大丈夫だよ!!」

 

「?それならいいけど」

 

 とりあえず僕達はこれからの予定をどうするか決めるためにポケモンセンター(通称ポケセン)に向かった。

 

 

 ポケセンに着いた僕達は一旦ポケモン達を預けて明日の予定をどうするか話し合うことにした。

 

「さてと……明日はどうする?やっぱりハルトくんはジム戦?」

 

「んー……。ジム戦もいいんだけどやっぱりまずは観光したいかなぁ」

 

 ナツキさんの質問に僕は答える。

 

「てことは、やっぱりサファリゾーン?」

 

「かな?セキチクと言えばサファリゾーンって感じがするし。それに父さんや母さんに連れられて来たことはあるけどポケモンを捕まえさせてもらったことはないから行きたいかも」

 

「そうえば……ハルトくんのお父さんやお母さんってお医者さんなんだっけ?」

 

「そうだよ。サファリゾーンで放し飼いにされているポケモンの健康診断とかも何ヶ月に1回とかだけど来てて僕はそれに着いてってサファリゾーンに来たことあるんだ」

 

「へぇー、じゃあ明日は自分の足で来たサファリゾーンを楽しもうよ!」

 

「そうだね、沢山ポケモンを捕まえよう!」

 

 僕達はハイタッチして笑いあい、今日はゆっくり休んで明日に備えることにした。

 

 

 翌日、僕達は入場料を払いサファリゾーンに足を踏み入れた。

 

「貰ったボールは30個……使い切ったら終わりなんだよね」

 

「そうそう。ところでここからは別行動でいいんだよね?」

 

 僕はナツキさんに確認をとる。実は昨日、サファリゾーンではお互い別行動で自由にポケモンを捕まえようと決めた。

 

「うん。お互い沢山捕まえよう!」

 

「おー!」

 

 と言う訳で僕とナツキさんは別行動を始めた。

 

 

「んー、何から捕まえようかな……」

 

 サファリゾーンでは色々なポケモンが生息しており、その中には滅多に見かけることができないポケモンもいる。

 

「んー……。ってあれ?」

 

 目を細めて遠くを見てみるとケンタロスの群れがいた。

 

「ケンタロス……よーし!」

 

 僕はケンタロスを捕まえるべく群れがいるところへ向った。

 

 

 ナツキside……

 

「サファリゾーンって別に草むらとかに居るポケモンだけじゃなくて釣竿使って水中に居るポケモンを捕まえてもいいんだよね……。だったら水中に住んでて滅多に出てこないらしいけどサファリゾーンで生息しているあの子……ミニリュウを捕まえてみせる!!」

 

 私はタマムシデパートで買った物の一つである釣竿(最新式)を取り出した。

 

「ふっふっふ……少し値は張ったけどミニリュウ相手なら不足はないね。よーし出現ポイントまで行くぞー!!」

 

 私は釣竿を持ち、元気よくミニリュウが出現するというポイントまで向かった。

 

 

 ハルトside……

 

「うん……結構乗り心地はいいもんだね」

 

 今僕は捕まえたケンタロスにまたがって移動している。群れに近づいたら驚いて逃げてったケンタロスが多かったし、何匹かには追い掛け回されたけどボールとは別に貰ったエサを使って大人しくさせたら簡単に捕まえられた。

 

「ところでハルト、次は何を捕まえたいんだ?言ってくれればそいつらが普段いるとこまで走って連れていけるが」

 

 またがりながら軽く歩いているとラウス(今命名)に聞かれたので答えた。

 

「んー、じゃあサイホーンが捕まえたいかな」

 

「任せろ、しっかり捕まってろよ?」

 

 そう言うとラウスはいきなり全速力で駆けだした。

 

(えっ、ちょ、速いって!!)

 

 僕は振り落とされないようにラウスにしっかり捕まってるしかない。すると目の前には大きな岩が壁のように立ちふさがっていた。

 

(ラウスストップストップ!!岩にぶつかるって!!)

 

 しかしラウスは大したことがなさそうに

 

「あんな岩など俺の角でぶち壊す!!ギガインパクトォォォ!!!」

 

(やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!!)

 

 僕の想いもむなしくラウスは僕もろとも白い光を纏って岩に衝突し大きな爆発音をたてながらもサイホーンたちが居るところへ向って走るのだった。

 

 

(うん……旅に出て今が一番死ぬかと思った瞬間だよ……。というかこの調子で他のとこに行き続けたら間違いなく死ぬな、うん)

 

 

 ナツキside……

 

「ん……?なんか遠くで大きな音がしたけどなんだろ?」

 

 釣竿を持ってミニリュウが出るポイントに向かってるんだけど遠くからズドーン!!と大きな音がしたので振り返った。

 

「んー、まぁ気にしてもしょうがないし早くミニリュウ捕まえちゃおーっと」

 

 また前を向いて歩き始めた時だった。

 

(……?ポケモンの気配?)

 

 気配を察知すると頭上から両腕が鎌になっているポケモン……ストライクが現れた。

 

「ストライク!?へぇかっこいいなぁ……」

 

 けどなんでいきなり現れたんだろう……。

 

 すると今度はクワガタみたいなポケモン……カイロスが現れ、いきなりストライクと戦闘を始めた。

 

「いきなりバトルを始めた……さっきまで戦ってて場所を変えただけって感じ?」

 

 私はストライクとカイロスのバトルについ見入ってしまった。数分の攻防の後ストライクがカイロスを倒してカイロスが逃げ出した。

 

「かっこいい!!」

 

 私がそう言うとストライクは私に気が付いて腕を上げて臨戦態勢をとった。

 

「待ってストライク、別に戦おうっていう訳じゃないから」

 

 私は手をひらひらさせて敵意がないことをアピールする。するとストライクは分かってくれたのか腕を下げて私に近づいてきた。

 

「そうだ!ストライクさ、ミニリュウの居場所って分かる?一応調べてはあるんだけど道合ってるか確かめたいんだけど」

 

 私は喋りながら身振り手振りをしてなんとか聞き出してみる。んー、こういう時ハルトくんみたいにポケモンの声が聴こえれば会話も楽なんだろうなぁ。

 

 するとストライクは頷いてから右腕である方向を示した。

 

「あっちがそうなんだね?」

 

 聞き返すとストライクは頷いた。

 

「ありがとうストライク!」

 

 私はストライクの腕を(鎌は危険なので鎌の部分は触らずに)掴んでお礼を言ってストライクが教えてくれた方向に向かって歩き出した。

 

「ここかな?」

 

 私は暫く歩くと綺麗な湖がある場所に出た。

 

「よーし!釣るぞー!!」

 

 私はさっそく釣糸を垂らしてミニリュウがかかるのを待つことにした。

 

 

 ハルトside……

 

「あー……しんどい。ラウス、頼むから人が乗ってるのにギガインパクト使って障害物を片っ端からぶっ壊していくのはやめて……?」

 

 僕はラウスのおかげでボロボロになりながらもサイホーン達が住みついている場所へ途中でラウスから降りて来ていた。ちなみに僕をここまで運んでくれたラウスはと言うと……。

 

「ふぃ~……。いい汗かいたぜ」

 

 なんとも満足げな表情で僕の横に居る。

 

「はぁ……。けどまぁありがとうラウス、おかげでサイホーン達は目の前だ」

 

 僕が見据える先にはサイホーン達が居て、今はちょうどのんびりしているとこだった。さてどのサイホーンを捕まえようかな……。

 

「ハルト……、捕まえるなら真ん中に居るあいつがいいぞ」

 

 ラウスが言ってくれた通り、群れの真ん中に居るサイホーンに目を向ける。

 

「どことなく周りのサイホーンよりがっしりしてる気がする……」

 

「そうだろ?あいつはあの群れのリーダー的なやつだからな。俺も仲がよくてよく遊んでる」

 

 へぇ……。種類が違う野生のポケモン同士でも仲良くなれるんだ。これは意外だなぁ。

 

「よし、俺が話をつけてくる」

 

「そう?じゃあ頼むよ」

 

 

 ……。なんでなんだ。

 

 ラウスが話をつけると言ってサイホーンの所へ向うと、仲がいいというのは本当のようで最初はお互い突きあっていたのだが……。

 

「うぉりゃぁぁぁぁぁぁ」

「なんのぉぉぉぉぉぉぉ」

 

 お互い本気のド突き合いを始めた……。

 

「はぁ……」

 

 僕が呆れてため息をつくと、いきなりオコリザルのボスが勝手にボールから飛び出してきた。

 

「ボス!?勝手に出て来ちゃダメだよ?」

 

 ここ、サファリゾーンではサファリ内で捕まえたポケモンでならそのポケモンに乗って移動したりすることは許可されているが、自分の手持ちとして連れてきたポケモンを使用することは許されていない。

 

「勝手に出てきたのは悪い。しかしこれだといつまでも続きそうだろ、あれ」

 

 ボスはラウスとサイホーンを指さしてそう言う。確かにこのままじゃずっとド突き合いをしていそうだ……。

 

「ちょっくら止めてきてやるよ」

 

「え?ちょ、ボス!?」

 

 ボスはそう言うとラウス達の所へ走って行ってしまった。……すごい嫌な予感がする。

 

 

 ボスside……

 

「おい、お前ら面白そうなことしてんじゃねぇか。俺も混ぜてくれよ」

 

 俺はケンタロス……えーっとラウスってハルトが言ってたな。それとサイホーンに間に入って頼んでみる。

 

「ん?あんた誰だ?」

 

 サイホーンが俺に質問してきたため答える。

 

「オコリザルのボスってんだ。よろしくな」

 

「おぉ、ボスさんか!いいぜ一緒にやろうぜ!」

 

「ボスさん気を付けたほうがいいですよ。結構俺ら荒いんで」

 

 サイホーンに続いてラウスが喋る。ふむ、ちっと遊んでやるか。

 

 

 ハルトside……

 

(ボスはなんとか間に入って止めてくれてるみたいだな。よかったよかった)

 

 ほっとしたのも束の間、いきなりボスも交えての戦いが始まった。

 

「……えー」

 

 

 ボスside……

 

「うおりゃぁ!!なんだぁ?その程度かテメェら!!」

 

 俺は両サイドからのとっしんを受け止めて弾き飛ばす。そしてすかさず拳で攻撃する。

 

「ぐっ……、強い!」

 

「ボスさん、強いっすね……!」

 

 ラウスとサイホーンはなんとか攻撃に耐えて、俺の隙をうかがっている。

 

「ふん……。お前らとは鍛え方が違うからな。いくぞおらぁぁぁぁ!!」

 

 そして数分の後、2体ともフルボッコにしてハルトの前に差し出した。よーし、これで一件落着だな。うむ。

 

「ボス……」

 

「おぅ、なんだハルト?」

 

 ハルトはため息をついてから口を開いた。

 

「なぁんで勝手にボールから出て、おまけに2体共ボコボコにしてくるのかなぁ?」

 

 ハルトの顔は今まで見た中で一番恐ろしかった。というかハルトもこんな表情をするんだな。

 

「いや、しかし、そのまぁなんだ。こうでもしなけりゃいつまでもド突き合いをやめなかっただろうし……」

 

「問答無用!!ボス、今日君のごはん抜きね」

 

「えぇっ!?ちょっ、ハルトすまん!何度でも謝るから飯だけはくれ!!」

 

「嫌だね。今日は1日ごはん抜きだね」

 

「そ、そんなこと言わずに!」

 

 その後俺は何度も謝り続けたがハルトの機嫌は悪いままだった……。

 

 

 ハルトside……

 

「ふぅ……まぁ何はともあれサイホーンもゲットってことで……」

 

 とりあえずボスは今日1日ごはん抜きの刑に処して、ラウスとサイホーンのホードは厳重注意で勝手なことばかりするとボスのようになるぞと少し釘を刺しておいた。

 

「さてと……次は何を捕まえようかな」

 

 ボス、ラウス、ホードをボールに戻して僕はサファリの散策に戻ることにした。

 

 

 ナツキside……

 

「うーむ……釣れない」

 

 私は糸を垂らしてミニリュウを狙って待っているんだけど、さっきから釣れるのはコダックやヤドンにトサキントと言ったみずタイプのポケモンばっかりだった。

 

「場所変えた方がいいかなぁ……」

 

 そう思った矢先だった。釣竿がググッと動き大きな獲物がかかったみたいだった。

 

「お!今度こそミニリュウか!?」

 

 そう思って頑張って釣り上げると……。

 

「ぎ、ギャラドス!!??」

 

 釣り上げられたのはギャラドスだった。ってなんでこんなとこにいるのー!

 

「早く糸を切って逃がさなきゃ!」

 

 そう思って糸を切ろうとしたけどギャラドスが暴れて切るに切れない。

 

「このままじゃギャラドスに身体ごと持ってかれちゃう……」

 

 そう思った時だった。視界の外から何かが飛んできてギャラドスを倒し、そして糸が切られた。

 

「ストライク……?」

 

 スタッと地面に降り立ったのはさっきのストライクだった。

 

「あ、ありがとうストライク!」

 

 私がそう言うとストライクは私が持っていたボールに入り、勝手に捕獲された後、ボールから出てきた。

 

「へ?え?なんで?どうして?」

 

 私が慌てるとストライクはため息をつき、案内するからついてこいと言わんばかりにジェスチャーをして別の場所へ向った。

 

 ストライクに案内されて着いた場所はさっきの湖から少し離れた場所にあるさっきよりも綺麗な湖だった。

 

「もしかしてミニリュウはここにいるの?」

 

 私がストライクに尋ねるとストライクは頷いた。

 

「よーし……じゃあ気を取り直して釣るぞー!」

 

 私は釣竿の糸を垂らした。そして待つこと数分……。

 

「お?おお?さっきのギャラドスよりも強い!」

 

 私は頑張って引いてみるけど中々釣り上げられない。それを見ていたストライクがかかった獲物を弱らせるべく水中に潜った。

 

 ストライクが湖の中に入ってすぐに獲物は弱まり私は釣り上げることが出来た。

 

「きたっ!ミニリュウ!!」

 

 釣り上げたミニリュウにすぐさまボールを投げて私はミニリュウを捕まえた。

 

「や、やった!ストライクありがとう!!」

 

 私は水中から戻って来たストライクに感謝の言葉を言った。

 

 

 ハルトside……

 

 あれから時間が経ち、時間切れとなったため僕もナツキさんもサファリゾーンの入口まで戻って来た。

 

「あ、ナツキさんおかえり。どう?沢山捕まえた?」

 

「まぁね~。そういうハルトくんは?なんかやけに疲れてるけど……」

 

「え?まぁそこそこにね。疲れてるのは色々あったから……」

 

 そう言うとナツキさんはそうなんだと言い、お互い捕まえたポケモンを見せ合おうと言って2人同時に捕まえたポケモンを出した。

 

「「せーのっ!」」

 

 僕が捕まえたポケモンは……。

 

 ケンタロスのラウス、サイホーンのホード、さっきの2体の後に捕まえたニドリーノのニノ、水辺でのんびりしてるところを捕まえたクラブのキャン。

 

 それに対してナツキさんが捕まえたのが……。

 

 ストライク、ミニリュウ、ニドリーナにラッキー……ってほとんどレアじゃん!!

 

「ハルトくんが捕まえたポケモンみんなパワーがあって強そうだねー」

 

「そういうナツキさんは随分見かけないポケモンを捕まえたんだね」

 

「そうなんだよね、ストライクがあちこち案内してくれて見つけることが出来たんだ!」

 

 そういうナツキさんが妙に眩しく見えた。……こっちの案内役は派手に吹っ飛ばしてくれるからみんな逃げていくんだよなぁ……。

 

 

 サファリでポケモンを捕まえ終えた僕達は一度ポケセンへと戻ってどのポケモンをパソコンに預けるか悩んでいた。

 

「僕はあと2体しか連れていけなくて、ナツキさんは3体か」

 

「んー、どの子を連れていこうか悩むなぁ……」

 

 僕達は悩みに悩んだ末に決めた。

 

「よし、ラウスとホードおいで。ニノとキャンは悪いけどボックスね?」

 

 そう言うとニノとキャンは少しションボリしていた……。んー、6体しか持てないのがなぁ……。

 

「じゃあ私はストライクとミニリュウ!ニドリーナとラッキーはボックスでお留守番お願いね?」

 

 どうやらナツキさんも決まったようで。……ん?

 

「あれ?ナツキさん後1体連れていけるけど?」

 

「そうだけど流石にボックスでひとりぼっちはポケモンも嫌だと思うから……」

 

「なるほど、ナツキさんらしいね」

 

 こうして僕達はそれぞれのボックスにポケモンを預けて現在のメンバーの確認をした。

 

 僕の現在の手持ちのメンバーが……。ブイ、フッシー、ボス、シド、ラウス、ホードの6体。パワー勝負のポケモンが多いかな?って気がするけどラウスは結構色んなタイプの技が覚えられるし、ホードも図鑑で確認したら中々面白い技を覚えていた。

 

 控えにはニノとキャン。必要になったらいつでもメンバー交代するよ。

 

 そしてナツキさんの手持ちのメンバーは……。ニョロゾ、ポニータ、ケーシィ、ストライク、ミニリュウの5体。タイプはばらけてるしそれぞれまだ進化するからこの先が期待できるメンバーかなって気がする。

 

 こちらの控えにはニドリーナとラッキー。進化後は防御や体力が高いメンバーだ。

 

 

 一通りの確認を終わらせてポケモン達をジョーイさんに預けた後、僕とナツキさんはポケセンのベンチに座っていた。

 

「んー、今日は楽しかったー!」

 

 ナツキさんは伸びをしながらそう言う。

 

「僕も色々あったけど楽しかったなぁ。疲れたけど……」

 

 ナツキさんはふふっと笑ってから口を開いた。

 

「ハルトくん、明日はジム戦だよね?」

 

「うん、ボックスにニノとキャンを預ける時にジム戦の予約してきたしね」

 

「明日はどんなメンバーで行くの?」

 

「んー……明日のみんなのコンディション次第で決めるかなぁ……。エリカさんに特訓をつけてもらったし頑張らなきゃ!」

 

「勝てばバッジ5個目だね、頑張って!!」

 

「うん!頑張るよ!!」

 

 そう言うとナツキさんは明日に備えて休まなきゃねと言いポケセンで借りてる自分の部屋に戻った。

 

「僕も今日は早く寝とこ……」

 

 ボソッと独り言を呟いて僕も自分の部屋に戻った。




前後編に分けようと思ったけど変な感じになりそうだったからやめときました。

最近身体の疲れが中々取れないんだけど、どうやったら疲れが抜けますかね??(知らんがな)


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20章 セキチクジム、相手は忍者!?(前編)

気づけばもう20章……閑話をいれたら21ページなのかな?

今回はあの親子が登場します。


 翌日、準備を済ませて僕達はジョーイさんに預けてたポケモンを引き取り、ジムの目の前にやって来た。

 

「さぁ、ハルトくん今回も頑張っていこー!」

 

「うん!新しい仲間達と今回も勝ってみせる!」

 

 いつも通り気合を入れて、僕達はジムへ入った。

 

 

「ファファファ、よく来たな少年」

 

「ようこそセキチクジムへ」

 

 ジムに入った僕達を出迎えてくれたのは忍者のような格好をした2人組だった。背が高い男の人と僕やナツキさんとそんな歳の変わらない女の子だ。

 

「えーっと、アンズさんは……」

 

「あたいだよ!」

 

「じゃあ隣のその方は……」

 

「あたいの父上であり元セキチクジムリーダーで現ジョウト四天王の1人、キョウだよ!」

 

 僕とアンズさんのやり取りをする中で最後にアンズさんが言った言葉に衝撃を受けた。

 

「「四天王!!??」」

 

 どうやら衝撃を受けたのはナツキさんもだったみたい。

 

「フフッ……安心しろ少年、今日はオフだから娘の戦いを観戦するただの父親だ。我が娘とどんな戦いをするのか楽しみにしているぞ」

 

 キョウさんはそう言うとナツキさんを観客席まで案内しバトルが始まるのを席に座って待っていた。

 

「あんた名前とバッジの数は?」

 

「ハルトです。バッジの数は4つです」

 

 アンズさんに聞かれたためそう答えるとアンズさんの表情が変わり、観客席のキョウさんの方を向いて何かを訴え始めた。

 

 

 アンズside……

 

(父上!!挑戦者のバッジ4つだそうですよ!?あたいまだバッジ4つ以上持ってるトレーナーと戦ったことがないですよ!?)

 

 あたいはまだ父上の跡を継いで日が浅い。今まではバッジ2つ3つ持ってるトレーナーが来ることはあっても4つ以上持ってるトレーナーが来ることはなかった。

 

(ファファ、臆するなアンズ。幼い頃より当時ジムリーダーであった父の修業をやってきただろう?自信を持って戦うがいい)

 

 そ、そうだ……。ジムリーダーだった父上の修業をずっとやってきたんだった……。バッジ4つ以上のトレーナーもこれから先も現れるのだから何も臆することは無い!

 

 あたいは父上の方を向いたまま頷き、一度深呼吸してから挑戦者の方へ向きなおった。

 

 

 ハルトside……

 

 アンズさんは一度深呼吸してから僕の方に向きなおって口を開いた。

 

「バトルは3VS3のシングルバトル、交代は挑戦者のあんただけOK。先に3体とも戦闘不能になったら負けだからね」

 

「分かりました!」

 

 僕が了承するとフィールドに案内されてスタンバイを行う。するとどこからともなく忍者の格好をした審判役のジムトレーナーが現れた。

 

「ジムリーダー、挑戦者共に準備はよろしいですか?」

 

「はい!」

「もちろん!」

 

「では、バトルスタート!!」

 

 審判の合図と共に僕とアンズさんは最初のポケモンを繰り出した。

 

「出てこいマタドガス!」

「頼むよブイ!」

 

 アンズさんはマタドガス、僕はブイを出した。さてどう攻めるかな……。

 

「バッジ4つ持ってるというからどんなポケモンを使ってくるのかと思えばイーブイとは……。あたいを舐めない方がいいよ!マタドガス、ヘドロばくだん!」

 

「来るよブイ、でんこうせっか!」

 

 マタドガスが放つヘドロばくだんを避けつつブイはでんこうせっかで距離を縮める。

 

「中々すばしっこいね……マタドガス、えんまく!」

 

 マタドガスは口からえんまくを吐き出して姿を隠した。

 

「む……」

 

 さてどうしたものか……。こっちからは姿が見えないしな……。

 

「どうした?来ないならいくよ!マタドガス、ダブルアタック!!」

 

 向こうからはブイが確認出来るのか、ブイはマタドガスの攻撃を食らってしまった。

 

「ブイ!だったらこれでどうだ、スピードスター!!」

 

 ブイも負けじとスピードスターで応戦するがやはりダブルアタックを食らってしまう。……ここは一旦引くか。

 

「ブイ!」

 

 僕はブイの名前を叫ぶ。

 

「名前を呼んでどうするんだい?マタドガス、ダブルアタック!」

 

 マタドガスの攻撃がブイに当たる瞬間だった。

 

 スカッ……。

 

 マタドガスの攻撃はブイには当たらず、というか別の何かを通り過ぎた。

 

「どういうこと……?攻撃は当たったはずじゃ……」

 

 アンズさんも何が起きているのか分かっていない。

 

「えんまくが邪魔で逆に見えないんじゃないんですか?」

 

「は?」

 

「バトンタッチだシド。マタドガスをめいっぱいおどかしてやれ」

 

 僕がそう言うとシドはえんまくに隠れながらマタドガスをおどろかすで攻撃していく。アンズさんは何が起こっているのかまったく分かっていない。

 

 

 キョウside……

 

「ほぅ、あの少年中々賢いな」

 

 観客席でバトルの様子を見ながら呟いた。

 

(えんまくでマタドガスを発見出来ない不利な状況をイーブイのバトンタッチで恐らくゴースに交代し、ゴースのガス状の身体を活かして身を隠しながら攻撃をするという形で不利な局面をひっくり返したか。ゴーストタイプのポケモンにはノーマル技は効果がないしな。そしてアンズはまだ気づいていないようだな……)

 

 

 ナツキside……

 

(キョウさんという元セキチクジムリーダーで現ジョウト四天王の1人とハルトくんの戦いを見てるけど、どうやらハルトくんは不利な状況をひっくり返したみたい……)

 

 にしても……。

 

(キョウさん、さっきからニヤニヤしたりいきなりファファファとか言うからちょっと恐いんだけど……)

 

 

 アンズside……

 

(一体どうなって……。さっき挑戦者はシドとか言ってたからおそらくポケモンを交代したのか……?そしてそれはえんまくに隠れながらマタドガスを攻撃してる?)

 

 あたいは色々と考えてはみるがまったく見当もつかない。

 

 

 ハルトside……

 

「アンズさん……色々と悩んでますね?」

 

 僕がアンズさんにそう聞くとアンズさんは別に悩んでなんかない!と答えた。ネタ晴らしするのは……マタドガスを倒してからでいいよね。

 

「じゃあどんどん攻めますよ!シド、さいみんじゅつ!」

 

 シドはえんまくに隠れながらマタドガスにさいみんじゅつを当てて眠らせる。

 

「シド、ゆめくい!!」

 

 僕が指示するとシドは不思議なオーラを発してマタドガスを苦しめる。そしてほどなくしてマタドガスは戦闘不能になった。

 

「マタドガス戦闘不能!ジムリーダーは次のポケモンを出してください」

 

 審判がそう言うとアンズさんはマタドガスをボールに戻した。そしてマタドガスがボールに戻ったことによりえんまくが綺麗に無くなった。

 

「なるほど……ゴースだったのね。こりゃ一本取られたよ」

 

 そう言って次のポケモンを出そうとした時だった。

 

「「「!!??」」」

 

 この場にいた全員が驚いた。シドはいきなり白い光に包まれ、ゴーストに進化した。

 

「……もしかしてシド、進化できるの分かっててあえて今までしなかったでしょ?」

 

 ゴーストに進化したシドに僕が尋ねると、シドは笑いながら頷いた。……まったくイタズラ好きというか人を驚かせるのが得意なのか……。

 

「その子には困ったね……。進化したことだし、この子で相手をしてあげる!」

 

 そう言ってアンズさんが次に繰り出して来たのはモルフォンだった。

 

「モルフォンですか……」

 

「コンパンの時から育ててるから実力は相当だよ!モルフォン、サイケこうせん!」

 

「避けろシド!!」

 

 モルフォンから放たれたサイケこうせんをシドは間一髪のところで回避した。

 

「モルフォンもう一度サイケこうせん!」

 

「シド、シャドーボール!!」

 

 お互いの技はぶつかり合って爆発音と共に相殺して消えた。

 

「相殺か……!」

 

「後ろががら空き!!モルフォン、サイケこうせん!!」

 

「なっ!?」

 

 モルフォンは技が相殺されたのと同時に動き始めていたのかシドの後ろに回り込みサイケこうせんを命中させた。

 

「シド!!」

 

 サイケこうせんの直撃を受けたシドはだいぶふらついていたがなんとか耐えていた。

 

「耐えるなんてやるじゃん、あんたのゴースト!けどこれでトドメ!!サイケこうせん!!」

 

「シド!ふいうち!!」

 

 シドは技を放とうとするモルフォンのすぐ近くまで接近し、技が放たれるほんの一瞬で攻撃しサイケこうせんによって倒された。

 

「ゴースト戦闘不能!挑戦者は次のポケモンを出してください!」

 

 審判が宣言し僕はシドをボールに戻してお疲れ様と言ってあげた。

 

「アンズさん、そのモルフォン強いですね。進化して全体的に能力もあがったシドを倒すなんて」

 

「まぁね、あたいがずっと育てて来てるポケモンの内の1体だからね。さぁ次のポケモン出しな」

 

 アンズさんにそう言われて僕は2体目のボールを手に取る。

 

「シドが頑張ってくれている間に回復は出来たよね?頼んだよブイ!!」

 

 僕はさっきバトンタッチでシドと交代したブイをもう一度出した。

 

「さっきのイーブイであたいのモルフォンと戦うつもりってわけね」

 

「さっきはえんまくで上手く指示を出してあげられなかったですけどモルフォン相手なら戦えます!」

 

「上等だよ!!モルフォン、シグナルビーム!!」

 

「ブイ、スピードスター!!」

 

 お互いの技はぶつかり合い、さっきの様に爆発音と共に相殺して消えた。

 

「モルフォン、後ろに回り込んでサイケこうせん!!」

 

「ブイ、みきりで避けてからすなかけだ!」

 

 ブイは攻撃を避けてモルフォンに砂をかけて遠ざかる。

 

「ブイ、スピードスターで畳み掛けろ!!」

 

 砂が目に入って苦しんでいるモルフォンにブイはスピードスターで攻撃を加える。

 

「よし、ブイでんこうせっかだ!」

 

 ブイがでんこうせっかで攻撃しようと近付いた時だった。

 

「モルフォン、どくどく!!」

 

 モルフォンの口から紫色の液体が飛び、それはブイの身体にくっついたと思ったら身体の中に吸収されていき、ブイは途端に苦しみ始めた。

 

「ブイ!」

 

「ふふふ、セキチクジムの……毒使いの恐ろしさを見せてあげる!!」




なんかいい感じのとこがあったので今回も前後編に分けました。


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21章 セキチクジム、相手は忍者!?(後編)

撮り溜めていたアニメや買ったまま放置してた漫画や小説を消化しきった著者です。


「モルフォンが今使ったどくどくっていう技は相手のポケモンを猛毒の状態にする技。猛毒は普通の毒と違って時間が経てば経つほどダメージが大きくなる」

 

 なるほど……普通の毒とは違う猛毒っていう状態なのか……。

 

「さぁどうする?」

 

「どうするもこうするも時間をかけずにモルフォンを倒すだけですよ。ブイ行ける?」

 

 ブイに尋ねるとブイは頷いてくれた。

 

「よし……。ブイ、でんこうせっか!」

 

「モルフォン、サイケこうせん!」

 

 ブイは猛毒状態でもスピードは維持してサイケこうせんを避けながらモルフォンにダメージを与えていく。

 

「ちょこまかと……モルフォン、かぜおこし!」

 

「ブイ、スピードスターで応戦だ!」

 

 モルフォンのかぜおこしで追い返されるもスピードスターで着実にダメージを与えていく。しかし猛毒でブイの体力はそろそろ限界だった。

 

「時間がない……決めるよブイ!!」

 

「こっちもそろそろ体力が危ない……モルフォンこっちも最大の一撃で迎え撃つよ」

 

「ブイ、とっておき!」

「モルフォン、シグナルビーム!」

 

 ブイは白い光を纏いながらモルフォンに向かって全力の一撃を、モルフォンは自身に突っ込んで来るブイに向かってシグナルビームを放ち、大爆発が起きた。

 

 爆風が晴れるとフィールドには2体とも倒れていた。

 

「相打ちか……?」

 

 僕がそう言うとモルフォンはフラフラと起き上がった。一方、ブイは目を回して倒れていた。

 

「イーブイ戦闘不能!挑戦者は3体目のポケモンを出してください!」

 

 猛毒で体力の限界がきていて本来の威力が出なかったか……。僕はブイをボールに戻してお疲れ様と言った。

 

「中々やるね……。正直猛毒状態じゃなかったらやられてたよ。さぁ挑戦者ハルト、最後の1体を!」

 

 3体目……。昨日の今日だけど彼に後は任せよう……。

 

「さぁ倒れた2体の分まで頑張ってくれよ!出てこいホード!!」

 

 僕は昨日捕まえたサイホーンのホードを繰り出した。

 

「なるほど……サイホーンならタイプの相性は有利。けどダメージはあるとはいえモルフォンのスピードに追い付けるとでも?」

 

「ふらふらのモルフォンに攻撃が当てられないとでも?ホード、すなあらし!!」

 

 ホードは一回大きく吠えると、自分の身体を中心にしてすなあらしを発生させた。モルフォンはすなあらしでダメージを受けていく。

 

「これじゃモルフォンが上手く飛べない上に地道にダメージが……」

 

「ホード、ブイとシドの頑張りを無駄にはしないぞ!ロックブラスト!!」

 

 すなあらしで上手く身動きが取れないモルフォンにホードはいくつか岩を作り、それをモルフォンに直撃させ、モルフォンは今度こそ戦闘不能になった。

 

「モルフォン戦闘不能!ジムリーダーは3体目のポケモンを出してください!」

 

「うぅ……あたいのモルフォンが……。だったら最後はこの子だ!ベトベトン!!」

 

 審判が宣言して、モルフォンを戻したアンズさんが最後に繰り出して来たのはヘドロポケモンのベトベトンだった。

 

「ホード!相性は有利だ、じならし!!」

 

「相性の優劣だけで負ける程あたい達は弱くない!ベトベトン、とける!」

 

 ホードはその場でじならしを行いジム全体を揺らす。ベトベトンはとけるという技でダメージを吸収しようとしているがそれでも多少はダメージを受けている。

 

「今度はこっちの番!ベトベトン、どくどく!!」

 

「ホード、とっしんで避けつつベトベトンに近づくんだ!!」

 

ベトベトンが紫色の液体を撒き散らしてくる中、ホードはとっしんで加速して避けつつベトベトンとの距離を縮める。

 

「なんの!!」

 

 ベトベトンはどくどくをホードに命中させ、ホードの足を止めた。

 

「くっ……」

 

「ふふふ、まだまだいくよ!ベトベトン、かげぶんしん!!」

 

 アンズさんが指示をだすとベトベトンは徐々に加速しながら猛毒で苦しむホードの周りを動き回って分身を作り上げた。

 

「さぁどう出る?」

 

 アンズさんはニヤニヤしながら僕の方を見る。かげぶんしんか……。ホードじゃなかったら面倒な技だったかもな。

 

「ホード、猛毒で辛いのは分かってるけどブイよりも体力のある君ならなんとか出来ると信じて指示をだすよ。まずはもう一度すなあらしだ」

 

 ホードは苦しみながらもコクッと頷きもう一度すなあらしを発生させる。

 

「すなあらしで本物を探そうって寸法?けどすなあらし程度なら分身が消える程のダメージは食らわない!」

 

「別にすなあらしで本物を探すつもりはないですよ?ホード、じしんだ」

 

ホードはじしんを発動し、ジム全体を大きく揺らした。

 

「なにこれ!普通の揺れじゃないじゃない!!」

 

 アンズさんはそこまで言って何かに気が付いたようだった。

 

「まさか……!」

 

「さっきブイは猛毒で本来の力を出せなかった……。きっとそれは今同じ猛毒状態のホードも一緒のはず。だったらどこかでそれを補うしかない……って思って発動させたすなあらしですけど±0になるどころかむしろプラスの方向に転がるとは思いませんでしたね。でもどうやら分身も綺麗になくなってくれたようで」

 

「くっ……ベトベトンとける!!」

 

 すなあらしで強化されたじしんで分身が消された為とけるで防御面を強化しようとしていた。

 

「さぁホード、本物は見破った。これで決着をつけよう!」

 

 ホードも僕の言葉に応えるように本物のベトベトンの方に身体を向ける。

 

「ホード、ドリルライナー!!」

 

 ホードの前面にドリルのようなエネルギー波が現れホードはベトベトンに向かって最後の一撃を放つべく全速力で突っ込む。

 

「ベトベトン受け止めて!!」

 

 ホードとベトベトンがぶつかり合い大きな爆発が起き、爆風が晴れるとフィールドにはフラフラになりながらも立っているホードと目を回して倒れているベトベトンが居た。

 

「ベトベトン戦闘不能!よって勝者は挑戦者ハルト!!」

 

 審判がそう宣言すると僕と観客席に居たナツキさんは歓喜の声をあげた。

 

「ホードお疲れ様、猛毒で辛いだろうによく頑張ったね」

 

 僕はそう言ってホードをボールに戻した。

 

「ベトベトンお疲れ……。悔しいけどあたい達の負けだ」

 

 アンズさんはベトベトンにそう言ってからボールに戻し僕の方へ歩いて来た。

 

「悔しいけどあんたの勝ちだよ。ほら持ってけ、ピンクバッジだよ」

 

 アンズさんはそう言ってピンクバッジを取り出し、僕に手渡してくれた。そして僕がそれを受け取るとナツキさんやキョウさんもフィールドに来た。

 

「ハルトくんおめでとう!!これで5つ目のバッジゲットだね!」

 

「うん!」

 

 僕達はそう言ってハイタッチをした。

 

「ファファファ、アンズも少年もよくやった、お疲れ様と言っておこう。アンズどうだ?悔しいか?」

 

「うん、悔しいよ父上。けどもっと強くなりたいと思った!!」

 

 アンズさんは父親であるキョウさんの質問ににそう答えた。そしてキョウさんはそうか……とだけ言い、僕の方を見て口を開いた。

 

「おめでとう少年。これでバッジが5つというわけだが次はどこの街のジムに挑むのかね?」

 

「次ですか……。そう言えばヤマブキの4つのゲートはまだ封鎖されているんですか?」

 

「ヤマブキか?そういえばまだゲートが封鎖していると聞いたな。何故封鎖しているのかは知らないな……それに最近ナツメとも連絡が取れないからどうなっているのかも分からんな」

 

「そうですか……」

 

 となると次はグレンタウンに行くしかないのか……。

 

「まぁそんなに気を落とすな少年。我が娘、アンズを倒しバッジを5つ手に入れたんだもっと胸を張れ」

 

「はい!」

 

 キョウさんは僕の肩に手を当てて頑張れと応援してくれた。よし……ヤマブキが行けないなら次はグレンタウンだ!頑張らなきゃ!!

 

 僕はまた気を引き締め、グレンタウンに出発する前にポケモン達の回復もしなくてはいけないため、ジムを後にしてポケセンへと向かった。




実はこの後、アンズとキョウのやり取りがあるのですが、ハーメルンではカットしました(ぇ

文章量だけで言えば短いのですが、あれはFC2で普段から読んでくださっている読者の皆様へのちょっとしたサービスだったので……。

物語に関係するような話ではないので気になる!!という方はFC2の『ポケットモンスター~WT 【カントー後編】~』へ!


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22章 海を渡れ!目指せふたごじま!!(前編)

FC2からハーメルンへの転載作業で、FC2の作品を微々たる修正投稿はしても全く更新してないということに今更気づいた愚かな著者です。


 ハルトside……

 

 僕達はジムからポケセンへと戻り、ブイ達をジョーイさんに預けてグレンタウンへの行き方を調べていた。

 

「えーっと……、セキチクがここでグレンタウンがセキチクから西に行ったところでマサラの南に位置する……ここか」

 

 タウンマップを広げ、グレンタウンの位置を確認する。

 

「セキチクから行くなら途中ふたごじまを通らなきゃいけなさそうだね」

 

 ふたごじま……セキチクとグレンを結ぶ水道のちょうど中間地点にある2つの島。伝説の鳥ポケモン、フリーザーが生息しているっていう噂も聞いたことあるな……。

 

「マサラから行くにしてもクチバ、ディグダの穴、トキワの森、トキワを経由してかなり遠くなりそうだからふたごじまを経由する方がいいかもね」

 

 ナツキさんが地図を指さしながらそう言う。

 

「じゃあふたごじま経由でグレンタウンに行こうか」

 

「そうだね」

 

 僕がそう言うとナツキさんが答えた。よし……ブイ達が戻ってきたら海を渡る為に手持ちのポケモンを入れ替えなきゃ。

 

 

 翌日、僕達は準備を整えてセキチクシティの南に位置する浜辺に来ていた。

 

「よし、ポケモンを出そう。出てこいラウス、キャン!」

 

 僕はラウスとクラブのキャンを出した。

 

「私も!ニョロゾ、ミニリュウおいで!」

 

 ナツキさんはニョロゾとミニリュウを出した。

 

「僕はラウス、ナツキさんはミニリュウに乗って海へ。野生のポケモンが出てきたときにはラウスもミニリュウも僕達を乗せてるからキャンとニョロゾにお願いするね」

 

 僕がそう言うとニョロゾとキャンは頷いてくれた。本当はみずタイプの彼らにお願いしたいところだけど大きさからして僕達を運ぶのに少し無理がある。あ、ちなみにジム戦で活躍してくれたホードがキャンの代わりにボックスに入ってる。

 

「ハルトくん、私は準備OKだよ」

 

 ナツキさんはもうミニリュウにまたがって出発する準備を終えていた。

 

「よし、じゃあ行こう!」

 

 僕もラウスにまたがって、グレンとの中間地点であるふたごじまを目指して出発した。

 

 

 ポケモン達の乗って海を渡ること数時間……ふたごじまの目前まで来た。野生のポケモン達も当然襲ってきたのだがそこはキャンやナツキさんのニョロゾが頑張って撃退してくれた。

 

「ハルトくん、そろそろだね」

 

 隣でミニリュウに乗っているナツキさんに声をかけられた。

 

「そうだね。……にしてもなんか寒くない?」

 

「言われてみれば確かに……」

 

 出発当初はなんともなかったのだが、ふたごじまに近付くにつれてどんどん気温が下がってきているのか寒く感じる。

 

「着いたら暖かい格好しなくちゃね」

 

「そうだね」

 

 僕達は少しずつ下がる気温に耐えながらふたごじまに向かう。

 

 

「うー、さむいぃ~」

 

 僕達はあれから1時間経たないくらいでふたごじまに到着した。隣でナツキさんが上着を着ながら寒い寒いと連呼している。

 

「洞窟の中はもっと寒いかもよ?」

 

「えぇー!!やだよ~」

 

 ナツキさん、寒さに弱いんだね……。

 

 

 そんなこんなで準備を終えて僕達は洞窟の入口の前に居る。ちなみにポケモン達はボールに戻した。

 

「よし、入ろうか」

 

「うん……寒いよぉ~」

 

 寒さで身体が震えるけれど僕達は意を決して洞窟の中へと進んだ。

 

 

 更に1時間程経ち、僕達は洞窟の最下層まで来ていた。さすがにここまで来ると寒すぎるので僕はラウスを、ナツキさんはポニータを出して乗りながら、そして暖まりながら洞窟を進む。

 

「さ、さみゅいよはりゅときゅん」

 

「ナツキさん大丈夫!?寒すぎてちゃんと喋れてないよ!?」

 

「うぅ……」

 

 ポニータのおかげで多少は暖かいだろうに……。けど確かに寒すぎるな。

 

 そんなことを考えている時だった。いきなりどこからか猛吹雪が発生し僕達に遅いかかってきた。

 

「なっ!どこからこんな吹雪が……」

 

「ポニータぁもっと暖めてぇ……寒いよぉ~」

 

 突然の猛吹雪にラウスもポニータも僕達を守ろうと必死になってくれているがどんどん体力が削られていく。

 

「くっ……このままじゃ氷漬けにされる……!」

 

 すると、今度はいきなり吹雪は止んだ。

 

「え?止んだ?」

 

「助かったぁ~……」

 

 僕達は何故だかわからず、とりあえず辺りを見回す……。すると……。

 

 僕達の頭上で尾羽がとても綺麗な水色の鳥ポケモンが飛んでいた。

 

「まさかさっきの猛吹雪はあのポケモンが……?」

 

 僕がそう言うとその鳥ポケモンは僕達の目の前に降り立った。

 

「うぅ……寒い」

 

 どうやら洞窟の異常な寒さは目の前に降り立ったこのポケモンのせいでもあるようだ。

 

『お前たちは何者だ』

 

 目の前に居る鳥ポケモンはいきなり話しかけてきた。……話しかけてきたと言えば話しかけてきたのだが、普段ポケモンの声が聴こえる時と何かが違う気がする……。

 

「ねぇハルトくん……?もしかして今目の前に居るポケモン、お前たちは何者だって言った?」

 

「え?あぁ、そうだけど……?ってナツキさん聴こえたの!?」

 

「うん……けど耳から聴こえるっていうより頭に直接響く感じが……」

 

 頭に直接響く感じ……確かにそんな感じはした。しかもポケモンの声が聴こえる僕以外にもナツキさんも聴こえたのはどうしてだ?

 

『我が直接お前たちの脳に話しかけている』

 

 また喋った!?

 

『さぁ答えろ、お前たちは何者だ』

 

 目の前に居る鳥ポケモンは続けて僕達に話しかけてきた。

 

「僕はハルト」

 

「私はナツキ」

 

 僕達は自己紹介だけした。

 

『ハルトとナツキか。お前たちは何をしにここへ来た』

 

 鳥ポケモンは続けて問いかけてくる。

 

「僕達はセキチクからグレンに向かう為にここを通過しなくちゃいけないから来ただけです」

 

『そうか……、なら先程手荒な真似をしたことは詫びよう。我の名はフリーザー、ここに住まう氷の鳥。最近変な連中が多くてな』

 

「「フリーザー!!??」」

 

 まず僕達は目の前に居るのが伝説の鳥ポケモン、フリーザーだということに驚いた。確かに氷を操る伝説のポケモンならさっきの猛吹雪を起こすことは容易いだろう。

 

「フリーザー、変な連中って言うのは?」

 

 僕は気になったので聞いてみた。

 

『あぁ……。最近この島に現れるようになった黒ずくめの連中がいるのだ。この間まとめて追い返したはいいがまた現れたと思いお前たちを攻撃してしまったのだ』

 

 黒ずくめの連中……もしかして。

 

「ハルトくん、それってロケット団かな?」

 

「多分そうだろうね。……ってそういやナツキさん寒くないの?」

 

「ん?あ、そう言えばそこまで寒くないかも……」

 

 ナツキさんと話しているとフリーザーが会話に入ってきた。

 

『あぁ、ナツキと言ったな?お前がとても寒そうにしていたのでな冷気を操って抑えている』

 

「なるほど……」

 

 ナツキさんは納得して手をポンッと叩いた。

 

「にしてもなんでロケット団はこの島に……?」

 

『恐らく我を捕まえに来たのであろう。我以外にもファイヤーやサンダーも狙っているようだったな』

 

 ロケット団はフリーザーだけでなくファイヤーやサンダーを探している……?一体何のために?んー……考えても答えは出なそうだ。

 

『ところで……』

 

フリーザーはそこまで言ってナツキさんの方に目を向ける。

 

『ナツキよ、我を捕まえてみないか?』

 

「……はい?捕まえる?フリーザーを?」

 

『そうだ』

 

 そう言われたナツキさんは呆然としている。いや、ナツキさんじゃなくてもいきなり伝説のポケモンに言われたら誰でもそうなる。

 

『この島も居心地はいいのだが、そろそろここでの生活も飽きてしまってな。それに変な連中に捕まえられるくらいなら我が素質があると思った人間に捕まえてもらった方がいい』

 

「私に素質……?」

 

 伝説の鳥ポケモンであるフリーザーに認めてもらえるってナツキさんすごいなぁ……。

 

『嫌なら断ってくれてもいい。その時は自由に空を飛ぶさ』

 

 フリーザーにそう言われナツキさんは色々と考えている……。そしてすぐに口を開いた。

 

「分かった……。フリーザーあなたを捕まえます!!」

 

『いいだろう……。しかし力を示せ』

 

「力?」

 

『お前には特別な力がある。お前自身気づいていない能力がな。その力を使って我を従わせられるかどうか見定めたい』

 

「私自身気づいていない能力……?で、力を示すって何をすれば??」

 

 ナツキさんの問いにフリーザーは少しニヤッと笑ってから答えた。

 

『簡単だ……我と戦え』

 

「「はぁ!!??」」

 

 これには流石に僕も驚いた。自分で捕まえてみないかと提案しておいて捕まえると言ったら力を示せとちょっと身勝手な気がしなくもないけど……。けど戦えって言ったって相手は伝説のポケモン、力の差は明白な気がするのだが……。

 

『なに、手加減はする。ナツキ、お前のポケモンが我に一撃でも攻撃を加えることが出来たらお前力を認めて仲間になろう』

 

「一撃……。倒さなくていいなら私にも出来るかな。よし、やる!!」

 

『そうこなくてはな……』

 

「ナツキさんやれる?」

 

 僕は心配してナツキさんに聞く。

 

「大丈夫!私の力がなんなのか知らないけどここで伝説のポケモンゲットしちゃうんだから!!」

 

 ふむ……気合十分なのはいいけど、一撃でも加えたらということは一撃も食らわないという自信もあって言ってるのだろう。一体フリーザーは何を考えているんだ……?

 

『さぁ、かかってこい』

 

「よーし、ハルトくん見ててね。ポニータいくよ!!」

 

 ナツキさんはすでに出していたポニータにきずぐすりで手当てをし、フリーザーとの対決に臨む。




あ、これまた後編が長くなるパティーンや……(ォィ


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23章 海を渡れ!目指せふたごじま!!(後編)

新たに感想を頂いて飛び跳ねる程嬉しくなってアホみたいに舞い上がっている著者でございます。


 ナツキさん&ポニータVSフリーザーが始まって早数十分……ナツキさん達はフリーザーに攻撃を加えるどころかフリーザーに押されていた。ちなみに僕はラウスにまたがって観戦中。(寒いんです)

 

「ポニータ!ほのおのうず!!」

 

『ふん!!』

 

 ポニータの攻撃をフリーザーは自身から出す冷気で凍らせそのまま砕く。うーむ、飛んでる相手にポニータだと分が悪いか?

 

 ナツキさんのポニータは素早さで翻弄して物理技を叩き込むスタイルだし、なによりフリーザーのまったく本気を出していない冷気でポニータのほのおタイプの技が凍らされる時点でかなり厳しい。

 

(カスミさんやエリカさんとの修業を僕と一緒にやってきているし、普通のトレーナー位なら負けないのはずっと旅をしてるから分かるけど今回ばかりは相手が悪すぎるかな……)

 

 フリーザーはなんでナツキさんにバトルをふっかけたんだろうか……。ナツキさんの隠された能力がカギなのかな……?

 

 

 ナツキside……

 

「ぐぬぬ……」

 

 さっきから何度も攻撃を仕掛けているけど全部フリーザーの冷気で凍らせられて攻撃が届かない。ポニータも攻撃の度に炎の出力を上げてるけどさっきの全力の一撃ですら簡単に凍らされた……。

 

『それで精一杯か?お前の力はそんなもんじゃないだろう?』

 

 フリーザーは宙に浮きながら私に話しかけてくる。今の一撃すら防がれたのにどうしろと……?

 

 手詰まりになりうつむくとポニータが心配したのか顔を舐めてきた。

 

「うぅ、ポニータくすぐったいって」

 

 すると次はハルトくんが呼びかけてきた。

 

「ナツキさーん!状況がいくら不利でもポニータは戦ってくれてるんだよ?だからトレーナーであるナツキさんが諦めたらダメだ!いくら状況が不利だとしても絶対諦めたらダメだよ!」

 

 ……そっか、そうだよね。まだポニータは諦めてないんだよね。よーし……!!

 

「ポニータ、まだまだいける?」

 

 私が聞くとポニータはもちろんと言わんばかりに頷いてくれた。今までの私なりの戦い方でダメなら……!!

 

「ポニータ、こうそくいどう!!」

 

 一番間近で見てきたハルトくんの戦い方を真似をしてみる!

 

『む……』

 

 ポニータはフリーザーの周りを駆け回ってフリーザーを翻弄する。

 

「ポニータ、かえんぐるま!!」

 

ポニータはフリーザーの背後からかえんぐるまで突撃する。

 

『ほぅ?戦い方を変えたか、だが甘い!!』

 

 フリーザーは瞬時に後ろを向き冷気でポニータを迎撃しようとする。だったらここでもう一回!

 

「ポニータ、もう一度こうそくいどう!!」

 

『なにっ!?』

 

 ポニータはこうそくいどうでフリーザーの視界から消え、もう一度背後を取った。

 

「よし!!」

 

 ポニータはまだ攻撃姿勢を保っているからこれで一撃入れられると思った矢先、ポニータは急に立ち止まってしまった。

 

「ポニータどうしたの!?」

 

 立ち止まったポニータは震えているような気がした。

 

『中々いい線をいっていたから我も少々本気を出させてもらったぞ』

 

「え……?」

 

『れいとうビーム』

 

「!?ポニータ逃げて!!」

 

 ポニータはフリーザーに怯えるように立ち尽くしたまま動かず、フリーザーの強力な冷気により凍ってしまった。

 

 するとハルトくんが口を開いた。

 

「特性、プレッシャーかな……?」

 

「ハルトくんなにそれ?」

 

「ポケモンが技を出すときに使うエネルギーみたいのがあってね、それがなくなると技が使えなくなるんだ。そしてプレッシャーっていう特性はそのエネルギーを普段よりも減らすんだ。にしてもかえんぐるまを発動中だったポニータを完全に氷漬けって流石は伝説のポケモンってとこかな……」

 

 そんな特性があるんだ……。そういやカスミさんに教わるまでニョロゾの特性知らなかったり色々と知識不足だなぁ……。

 

 そうこう考えていたらフリーザーが話しかけてきた。

 

『我に少しばかり本気を出させたことは認めよう。しかしまだお前は力を使っていない。見せてみろお前に秘めたる力を』

 

 私の力って何……?

 

 けど悩んでてもしょうがない。ポニータを助けなきゃ!

 

「ポニータ、かえんぐるま!!」

 

 氷漬けにされていても私の声が聴こえているようで頑張って炎を起こして氷を融かそうと頑張っているけど中々融けない。むしろ徐々に体力を奪われていく。

 

 

 ハルトside……

 

(流石にこれ以上は危ないか!?)

 

 僕は氷漬けにされているポニータが危険と判断してこおりなおしを取り出してポニータの元へ向おうとした。するとフリーザーが翼で僕を制止して話しかけてきた。

 

『まだナツキは降参していないだろう?見ていろ、面白いものが見れるはずだ』

 

 面白いもの……?

 

 ナツキさんの方へ目を向けるとナツキさんの身体からオーラのようなものが出ていた。

 

「!!??」

 

『ついに覚醒するか』

 

 覚醒……?

 

 

 ナツキside……

 

「ポニータ頑張って!!」

 

 私はポニータを呼び続ける。けれどポニータはどんどん弱っていき、意識を失いかけていた。

 

『そろそろだな……』

 

 フリーザーがそう言うとポニータは完全に意識を失った。

 

「ポニータ!!!!」

 

 私が叫んだ途端周りが白い光に包まれた。

 

「……あれ?ここは?」

 

 辺りを見渡してもフリーザーもハルトくんも居ない。

 

『ナツキ!』

 

 名前を呼ばれた気がして後ろを振り返るとポニータが居た。

 

「あれ?ポニータ元気だ……。氷漬けにされてたはずじゃ……。ん?というかなんで今声が聴こえたんだろ?」

 

『ナツキの想いが、気が、頂点に達して私と同調しているからかな?』

 

「想い?気?同調??」

 

 何がなんだか分からなくなってきた。

 

『フリーザーが言ってたナツキの力って言うのはきっと……、ポケモンとの気持ちを重ねてポケモン達を強くする力。ナツキが想えば想うほど気が同調して私たちの力を身体の奥底から湧かせるんだと思う』

 

「へぇ~……私にそんな力が……」

 

『さぁフリーザーに一撃かましましょ?』

 

「うん……!!」

 

 そして光が私達を包み込んだ。

 

 

 ハルトside……

 

 白い光に包まれたと思ったら途端また元の状態に戻った……。一体何が起こったんだ?

 

『どうやら自分の力に目覚めたようだぞ』

 

 フリーザーがそう言うとナツキさんが氷漬けの状態にされているポニータに何か指示を出そうとしていた。

 

 

 ナツキside……

 

 ふぅ……もしさっきのが本当なら……。

 

(私が想えばもっともっと強くなるんだよね?)

 

「いくよ、ポニータ……いや、ギャロップ!!」

 

 私がそう言うと氷の中にいるポニータが光り輝きだし、氷を溶かしながら新しい姿へと変わった。

 

「凄い……ポニータがまるでナツキさんの想いに応えるように進化した!!」

 

『覚醒したようだな……かかってこい!』

 

 ハルトくんは驚き、フリーザーは全てが分かってたような言いようだった。さぁ……一撃どころか倒しちゃうよ!!

 

「ギャロップ、こうそくいどう!!」

 

 ポニータの時に既に2回同じ技を使ってるからこれでギャロップの素早さは最高!次は……!!

 

「ギャロップ、れんごく!!」

 

 指示を出すとギャロップは身体から今までの比にならない位の炎を出し辺りを燃やし尽くす。

 

『くっ……!!』

 

 フリーザーは炎から逃げるように上空に飛ぶ。……それなら!

 

「とびはねる!!」

 

『なに!?』

 

 ギャロップは上空に逃げるフリーザーを追いかけるように飛び跳ね、フリーザーを追い越し、急落下してフリーザー諸共、れんごくによって炎の海と化している地面に衝突した。

 

『やるな……しかしこの程度なら』

 

「まだまだいくよ!!ギャロップ、れんごくの炎を吸収してだいもんじ!!」

 

『!?』

 

 ギャロップは自分が出した炎を吸収し、だいもんじを放った。

 

『ぐおぉぉぉ!!』

 

「いっけぇー!!」

 

 フリーザーが負けじと冷気で押し返そうとするのを更に強力な炎で捻じ伏せた。

 

 

 ハルトside……

 

 す、すごい……ギャロップの特性もらいびを自分で発生させて利用するなんて……。完全にフリーザーを圧倒した……!!

 

「だいぶ弱ったよね?そろそろつかm……」

 

 フリーザーを捕まえるためにボールを出したナツキさんは何かを言い切る前に倒れこんでしまった。

 

「ナツキさん!?」

 

『安心しろ……別に死んではいない。自分の力に目覚めて能力をハチャメチャに使いすぎただけだ。休めば目を覚ます』

 

 ……力の使い過ぎか……。

 

「ところで結局ナツキさんの力って?」

 

 僕はフリーザーに問う。

 

『簡単に言えばポケモンと気を重ね合わせて同調し、そのポケモンの力を引き出す力。それを使えば今のように我を圧倒出来るが使いすぎればこのように倒れる。普通に生活していたら発現することもなかっただろう』

 

「なるほど……」

 

 ポケモンと気を重ねて力を引き出す……か。ナツキさんが常時この力を使ったら負けそうだな……あはは。

 

 

 その後フリーザーの案内の元、グレン側の出入口までナツキさんを運びだし、僕達は休憩していた。

 

「ところで、フリーザーはナツキさんにその力があるって分かってたからさっきのバトルをふっかけたの?」

 

『うむ……。お前にはポケモンの声が人の言葉のように聴こえる力があるようにナツキにはさっきの力がある。誰もが持ってるわけではないがどうせついていくなら不思議な力がある奴についていった方が面白そうだろ?それにさっきも言ったが普通に生活していたらこの力は発現しないからギャロップには悪いが無理矢理発現させてもらった』

 

「無茶苦茶というかなんというか……ってなんで僕がポケモンの声が人の言葉に聴こえるって知ってるの?」

 

『我は伝説のポケモンだぞ?』

 

「……はぁ。って知ってるなら別に頭に直接話しかけるんじゃなくて喋れば?」

 

『む……』

 

 結局この日はナツキさんがかなり疲れて眠ってしまったのと、日も落ちて海を渡るのが困難だと判断して朝を待つことにした。




きっとカントー編初のナツキメイン回だったかと思います。

そして文章量多くなるかと思ったら普段と大して変わらなかったというね。

次の章では久々に彼が登場!!そしてハゲのあいつも!!(ォィ
オリジナルの展開が加速します(多分)


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24章 復活!飛べプテラ!!(前編)

著者が自慢してお届けするgdgdなグレン編はじまりはじまり~(ォィ


 ふたごじまでの一件の後、1日かけて僕達は海を渡ってマサラタウンの南に位置するグレンタウンへとやってきた。

 

「よっと……。お疲れミニリュウ、ニョロゾ。ボールに戻って休んでね」

 

 ミニリュウから降りてグレンタウンへ踏み入れたナツキさんはしっかり休んだからか元気になった。僕もナツキさんに続いてラウスから降り、ラウスとキャンをボールに戻した。

 

「さてと……そろそろ日が暮れる時間だしポケセンへ行こうか」

 

「うん、そうだね!」

 

 僕達は軽く伸びををしてからポケセンへと向かい、今日はしっかり身体を休ませた。

 

 

 翌日、ポケセンのエントランスで僕達は今日の予定を決めていた。

 

「さてと、ハルトくんジム戦する?」

 

「したいところだけど、どうやら今日はジムが開いてないらしいんだよね。だから……」

 

 僕は自分のバッグからカズマさんから貰ったコハクとシドが持っていたディスクを取り出した。

 

「てことは……研究所に行くってことだね?」

 

 ナツキさんの質問に僕はうん、と答えた。

 

「コハクの復元とディスクの中身の確認、それが終わったら街をぶらぶら探索しようかなと」

 

「じゃあそうしよう!!」

 

 僕は頷くと荷物をまとめ、ジョーイさんに預けていたポケモン達を受け取って研究所に向かった。

 

 

「コハクの復元をお願いできますか?」

 

「んー?」

 

 研究所に来た僕達は化石からポケモンの復元を行っているという部屋に行き、そこに居た白衣を着た若い男の人にコハクを差し出した。

 

「ひみつのコハクってとこかな?OK、任せてよ。ただ時間がかかるから適当にぶらぶらしてて」

 

 男の人はコハクを受け取ると部屋の奥にある大きな機械の元へ行ってしまった。

 

「あれ?ハルトくんにナツキちゃん?なにやってんの?」

 

「「!?」」

 

 僕達は後ろからいきなり声をかけられて驚いた。後ろを振り返るとクチバで再会したあの人が立っていた。

 

「レッドさん!コハクを復元してもらうのと他にも用事があって来たんです。レッドさんもですか?」

 

 僕はレッドさんに尋ねた。

 

「いや、俺は違うな。とある人と会う約束をしててここが待ち合わせ場所なんだ」

 

 レッドさんはそう言うと自分のバッグから1つのディスクを取り出した。

 

「ディスクですか……?実は僕もシオンタウンで似たようなものを手に入れたんですけどここでなら調べられると聞いたんですけど」

 

 僕もディスクを取り出してレッドさんに見せる。

 

「へぇ~。そうだ、折角だから今から会う人にそれを調べて貰おう!」

 

「えっ!?勝手に決めて大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫だよ。ところでハルトくん、グレンジムのジムリーダーとは会ったことは?」

 

「え?いや、昨日の夜に着いたのでまだ会ってませんけど」

 

 そう言うとレッドさんは少しニヤッとして口を開いた。

 

「じゃあ初対面ってことになるな」

 

 僕もナツキさんも何のこと?と言わんばかりに首を傾げると、男の人が部屋に飛び込んで来た。

 

「おぉ、レッドくん待たせたね」

 

 部屋に飛び込んで来たのはこれでもかと言わんばかりに輝くツルツルの頭に口元に白い髭をたくわえ、小さな丸のサングラスをかけたおじさんだった。

 

「いや、俺も今さっき着たところですよカツラさん」

 

 ……カツラさん?……って、えぇ!?

 

「グレンジムのジムリーダー、カツラさんですか!?」

 

 僕は大声をあげて驚いた。するとカツラさんはレッドさんにこの子は?と僕の事を尋ね、レッドさんが答えた。

 

「マサラタウンのハルトくん、ジム巡りの旅をしているんだ。横にいる女の子はナツキちゃんです」

 

 するとカツラさんは何かに驚いた表情を見せ、口を開いた。

 

「君がハルトくんか。レッドくんやグリーンくん。他のジムリーダー達からも君の話は聞いているよ。そういやタマムシジムを愉快に吹き飛ばしたそうじゃないか」

 

 カツラさんは笑いながらそう言い、僕は苦笑いする。

 

「で、カツラさん頼みごとなんだけど」

 

 レッドさんがそう言うとカツラさんは真剣そうな表情をした。

 

「俺の持ってきたディスクと、オマケでハルトが持っているディスクの解析その他諸々を頼みたいんだけど」

 

「うむ、いいだろう。というか元々そういう約束だったしな。じゃあ2人ともディスクを出してくれ」

 

 カツラさんにそう言われ僕とレッドさんはカツラさんにディスクを手渡した。

 

「よし、じゃあすぐに調べよう。隣の部屋が私の研究室だから来たまえ」

 

 こうして僕達はカツラさんの研究室へと案内された。

 

 

「まずはレッドくんのから……」

 

 研究室に到着し、カツラさんはレッドさんから受け取ったディスクをパソコンに取り込み解析を始めた。

 

「どうですかカツラさん、何か分かります?」

 

「少し待ってくれ……。よし、これでどうだ!」

 

 レッドさんの問いにカツラさんは答えつつキーボードのエンターキーを勢いよく叩きパソコンの画面上にレポートを表示させた。

 

「なになに……?」

 

 僕達は1台のパソコンをぎゅうぎゅうになりながら見つめる。

 

 画面上に表示されたレポートの題名は……『クチバ湾に沈む進化の石と自由に進化と退化が出来るイーブイとの関係』

 

「「「「!?」」」」

 

 僕達全員は驚いた……と言ってもレッドさんとカツラさんは僕やナツキさんとは別の意味で驚いたみたい。

 

「クチバ湾に沈む進化の石と言えば……何度使ってもなくならないっていうアレですよね?」

 

「あぁ……そうだな。しかし本当にあるのか?」

 

 レッドさんとカツラさんがなにやら考え込んでいる一方僕達は、

 

「自由に進化と退化が出来るイーブイって……」

 

「うん、僕のブイのことだろうね……。レッドさん、このディスクどこで手に入れたんですか?」

 

 僕はレッドさんに尋ねた。

 

「クチバシティでパーティーがあったろ?あの時にマチスさんから貰ったんだ。本人が言うにはクチバジムに保管してあったのを見つけたらしいけどなんのディスクか分からなかったんだそうだ。ジムでの仕事もあるからグレンに来て調べる時間もないからな」

 

「けど、そのパーティーって2ヶ月以上前のことですよね?その間何やってたんですか?」

 

 ナツキさんがレッドさんに尋ねるとレッドさんはピキッと硬直し冷や汗をダラダラと流し始めた。

 

「いや……うん、あのパーティーの後調べようと思ったんだけどな?シロガネ山に行って修業しててすっかり頭から抜けてました」

 

 僕とナツキさんはうわぁ……と言わんばかりの表情でレッドさんを見つめた。

 

「それはさておき、クチバ湾に沈む進化の石とハルトくんが連れているイーブイをどう関係があるのか調べようじゃないか」

 

 カツラさんは咳払いをしてから本題に戻し、僕達はパソコンの画面を見つめレポートを読み始めた。

 

 

『クチバ湾に沈む進化の石と自由に進化と退化が出来るイーブイとの関係』

 

 通常、ポケモンに使われる進化の石の類は1度使用すると消滅する。しかしクチバ湾には何度使っても消滅することがない進化の石が存在するらしい。

 

 我々はそれが本当に実在するのかどうか調査した。

 

 

 結論から言うならばそれは実在した。クチバ湾の海底の奥底に存在する海底ドーム、そこに鎮座する台座に4つの石が置かれていた。ほのおのいし、かみなりのいし、みずのいし、リーフのいしの4つだ。

 

 我々はそれらを持ち帰ろうとしたが、4つの石は台座から離れなかった。まるで強力な力によってその場に押さえつけられているような、もしくは石に認めてもらえずそこから持ち去ることを許してもらえなかったか……。

 

 

 いずれにせよここで諦めるわけにはいかず、本当に使っても消滅しないのか確かめるべくイーブイをボールから出した。

 

 4つのうち3つの石には反応するはず。そう考えイーブイを台座の近くまで連れて行くが石はまったく反応しない。またイーブイも進化の兆しすら見せなかった。

 

 もしかしてと思い、ある記憶を手繰り寄せる。すべての進化形態に自由に進化し、また退化が出来ると言うイーブイがこの世界のどこかに存在するという話を思い出した。

 

 そのイーブイならこの石に反応するのか……?と考えたがそんなイーブイを我々は持ってはいない。悔しいが我々は調査を断念することにした。

 

 

 もし、いつかそんなイーブイを連れている人が現れるのなら海底ドームへの行き方を記すので調べて欲しい。

 

 初代クチバジムジムリーダー、ここに記す。

 

 

 読み終えた後僕達はお互いの顔を見合わせ……

 

「「「「なぁにぃぃぃぃぃ!!??」」」」

 

 と叫んだ。

 

「初代クチバジムジムリーダーって誰だよ!凄いなこの人!!」

 

「お、お、お、落ちつけレッドくん!」

 

「カツラさんも落ち着いてくださいよ……」

 

 テンションの上がるレッドさん、慌てふためくカツラさんをよそに僕はワクワクしていた。

 

「凄いね……海底ドームってどんなとこだろう……」

 

 隣でそう呟くナツキさんもどこか嬉しそうだった。

 

「行こうよハルトくん!ブイの進化に関係するかも!!」

 

「そうだね!海底ドームへの行き方まで書いてあるしこれは調べるしか!!」

 

 僕はブイをボールから出してブイに進化の秘密が少しは分かるかもと言った。するとブイも嬉しそうだった。

 

「よ、よし海底ドームへ行って調べたいところだが……先にハルトくんが持ってきたディスクの解析をしよう」

 

 カツラさんはそう言うとレッドさんが持ってきたディスクの情報を保存し、今度は僕のディスクの解析を始めた。

 

「ところでハルトくん。このディスクはどこで手に入れたんだい?」

 

 カツラさんは解析を進めながら僕に尋ねてきた。

 

「それならシオンタウンで捕まえた僕のポケモンが持ってたんです。フジさんがグレンタウンの研究所でなら中身の解析が出来るんじゃないかと言うので持ってきたんです」

 

 そう答えるとカツラさんのキーボードを叩く速度が落ちていった。カツラさんはそうか……と答え、エンターキーを押しパソコンの画面にレポートを表示させた。

 

「通りで変な違和感を感じるわけだな……」

 

 カツラさんがそう言い、僕達が画面を覗き込む。表示されたレポートの題名は。

 

 

『ミュウツー作成プラン』

 

 

「「ミュウツー……?」」

 

 僕とナツキさんはなんだそれと首を傾げる。

 

「ミュウツーって言えばどこぞの科学者が幻のポケモン、ミュウの細胞の一部から作り上げたポケモンとは聞いたことはあるが……その作成プランってことか?」

 

「いや、それだけじゃない」

 

 レッドさんの疑問にカツラさんは首を横に振って答える。

 

「ミュウツーを使った実験のレポートでもある……」

 

「「「!!??」」」

 

 カツラさんのその言葉に僕達は全員驚いてしまった。

 

「ポケモンで実験……?そんなことしていいの?」

 

「実験自体は珍しくはないかな。ポリゴンも人によって作られたポケモンだし、インターネットを使った実験にもよく使用される」

 

 ナツキさんの問いにレッドさんが答える。

 

「だが、この実験はそんなやさしいものじゃなかった……」

 

 カツラさんは続けて話す。

 

「人体実験に近い事をやっていた……結果、途中で不具合が生じミュウツーは暴走しどこかへ飛び去った」

 

「やけに詳しいですねカツラさん」

 

 レッドさんがカツラさんに尋ねるとカツラさんの口から衝撃的な事実を聞かされた。

 

「ミュウツーは私とフジが作ったポケモンでこの実験も私たちが行っていたのだよ」

 

「「「!!??」」」

 

 驚く僕達をよそにカツラさんは続ける。

 

「この研究室の窓から見える廃墟……あそこで私とフジは研究や実験を行っていた。しかし、ある日ミュウツーは暴走し建物を破壊し続けどこかへ飛び去った。今はどこに居るのか分からないがきっとどこかで生きているはずだ」

 

「一体、なんでミュウツーは暴走を?」

 

「分からない。だが、その事件以後、私たちは命の重さを考え私はジムリーダー、フジはシオンタウンのポケモンハウスでポケモンの保護や供養をしている」

 

 僕の問いにカツラさんはどこか寂しげな表情で答えてくれた。するとナツキさんが何かを思い出したのか口を開いた。

 

「そういえば、シオンタウンでのロケット団の騒動の時だったんですけど、団員が多分そのレポートのことだと思うんですけど探してました……何か関係があるのでしょうか?」

 

「「ロケット団?」」

 

 今度はレッドさんとカツラさんの表情が曇り始めた。

 

「ロケット団は何故このレポートを……?」

 

「分からないが……フジはディスクの中に入っていたこのレポートは知っていたはず。それをハルトくんに託してグレンへと持っていくよう頼んだ。何かしらの意図はあるんだろうが……」

 

 レッドさんとカツラさんはうーんと唸りながら考え込んでしまった。するとブイが僕のズボンを下から引っ張っていた。

 

「どうしたのブイ?」

 

 僕はしゃがみこんでブイと話す。

 

「多分だけどね……ハルトならミュウツーとも仲良く出来る、そう思ってハルトにディスクを託したんじゃないかな?ハルトは僕達ポケモンの声が聴けて会話が出来るでしょ?それをあのおじいさんが知っていたかはどうかは分からないけど、ミュウツーが凶暴になっていたとしてもハルトならきっと……って」

 

「仲良くか……なれるかな?」

 

「なれるよハルトなら。マサラで僕を、トキワでボスを、そして色んな街で沢山の人を助けた優しいハルトならきっと大丈夫!!」

 

「……ありがとう、ブイ」

 

 僕はブイを撫でた後、ブイを抱きかかえて立ち上がった。

 

「ハルトくん、ブイと何を話してたの?」

 

 ナツキさんが不思議そうに僕の顔みながら訪ねてきたので僕は少しニヤッと笑って答えた。

 

「秘密だよ」

 

 えーいいじゃーん!と言うナツキさんを見てレッドさんとカツラさんの表情が少し明るくなった。

 

「さてと、ディスクの中身も分かったことだしハルトくんどうする?」

 

「え?どうするって?」

 

 レッドさんの問いの意味がよく分からず答えられなかった。

 

「ジム戦すんの?それとも先にクチバの海底ドーム?」

 

 僕はあぁ!と手をポンッと叩いて質問の意味を理解して答えようとしたその時だった。

 

 ズドオォォォォォォンッ!!!!

 

 とてつもない轟音が鳴り響いたかと思えば窓ガラスが割れ、吹き飛び、開いた窓から暴風と共に煙が入ってきた。僕達はいきなりの衝撃と暴風で耐えきれず部屋の奥へと吹き飛ばされてしまった。

 

「ごほごほっ……一体なんなんだ……」

 

 レッドさんがいってぇーと頭を手で押さえながら立ち上がった。

 

「うぐっ……多分火山が噴火したんだろう……。だが相当な強度に作られている窓ガラスがこうも容易く割られたということは最大級の大噴火か!!」

 

 カツラさんは急いで立ち上がり、僕達に外に避難するように伝え、僕達はカツラさんの案内の元急いで研究所を飛び出した。

 

 そこで見たのは地獄絵図だった。




前中後編の3編にしようかと思ったけどやめました。


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25章 復活!飛べプテラ!!(後編)

gdgd加速します(著者どうにかしろよ


「なっ……」

 

 目の前に広がる風景に僕は言葉を失った。噴火による衝撃で建物などが崩れ、窓ガラスは飛び散っている。そして山から物凄い勢いで溶岩流が流れ込み街の一部を飲み込み始めていた。

 

「依然として山から流れてくる溶岩流の速度は落ちていない……。このままだと避難しても飲み込まれる……!」

 

「溶岩流……私が食い止めます!」

 

 カツラさんがそう言うとナツキさんが名乗りを上げた。

 

「ナツキちゃん!?無謀だ!」

 

「いえ!やります!!」

 

 レッドさんが反対するもナツキさんは譲らず1つのボールを取り出した。……ハイパーボール?もしかして!

 

「力を貸してフリーザー!」

 

 ナツキさんは空高くボールを投げフリーザーを出した。これにはレッドさんやカツラさんも面食らったようだった。

 

「フリーザーの冷気なら溶岩流を冷やし固められると思います!」

 

 レッドさんとカツラさんはお互いの顔を見合わせて頷いた。

 

「じゃあナツキちゃんは溶岩流を食い止めて!カツラさんは街の人々の救助を!ハルトくんは俺と空から取り残された人やポケモンの救助に行くぞ!」

 

 レッドさんが指示するとナツキさんはフリーザーと共に溶岩流を食い止めに、カツラさんは自分のポケモンをボールからありったけ出し、救助へ向った。

 

 

「ところでレッドさん空から云々と言いましたがどうやって?」

 

 ナツキさんやカツラさんの遠ざかる背を見ながら僕はレッドさんに尋ねた。

 

「言ったまんまだな。俺はリザードンに乗るからお前も空を飛ぶんだ」

 

「いやいやいや、僕人間ですよ!?レッ○ブルでも飲んで翼を授けられろとでも!?」

 

「なにをアホなこと言ってんだ?研究所でコハク渡してただろ?」

 

「そうですけど……急いで飛び出してきたから復元されたかどうか分かりませんよ?」

 

 コハクを渡した研究員の方も避難したようで研究所内は完全に無人。コハクがどうなっているのか今は分からない……。

 

 しかし、僕のそんな疑問は研究所の天井諸共吹き飛んだ。

 

 ズドォォォォォォン!!

 

 噴火した時とはまた違った音が研究所の方からして振り向くと研究所の一角から青白い光が空へと昇っていた。

 

 光が消えると研究所から何かが飛び僕の前に姿を現した。

 

「プテラ……?」

 

「コハクから復元されるって言ったらこいつくらいしか思いつかないからな」

 

 僕達の目の前に降り立ったプテラはカズマさんが連れているプテラと何か雰囲気が違う……。

 

 カズマさんのプテラは右目に傷を負っているのに対して目の前にいるプテラは左頬に斜めに大きな2本の傷……まるで爪か何かで引っかかれたような傷がある。

 

 そしてカズマさんのプテラは獰猛、凶暴、荒々しいという言葉が似合うけど目の前にいるプテラはどこか落ち着いていて例えるなら歴戦の勇者……?堂々としててカッコいい。

 

「お前が俺の主か……?」

 

 色々と考えているとプテラが僕に話しかけてきた。

 

「え?あ、うん」

 

 そう答えるとプテラは目を閉じてそうかと答えた。

 

「まさか目を覚ましたらこんな地獄絵図みたいな世界とは思わなかったな……。主よ俺をどうする?」

 

「……。力を貸してほしい。そして出来る事なら君と旅をしたい」

 

 するとプテラはいいだろうと呟いた。

 

「主よ、名は?」

 

「ハルト。よろしくね……えーっと……レイ!!」

 

「レイか……悪くはないな」

 

 レイは目を開きニヤッとして僕を見つめる。僕はボールを取り出してレイをボールに入れ、もう一度外に出す。

 

「どうやら話は終わったようだな」

 

 レッドさんがニヤニヤしながら僕を見てくるので僕ははいと答えた。

 

「んじゃま、行こうか!出てこいリザードン」

 

 レッドさんはリザードンをボールから出して背中に乗る。それを見た僕はレイに話しかけた。

 

「流石に背中には乗れないよね……?」

 

「乗れなくはないと思うが……こっちの方が楽だな」

 

「……え?」

 

 レイは足で僕の肩を掴んで飛翔した……ってちょっと待てぇぇぇぇぇ!!

 

「のわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!っぷ……」

 

 いきなり空を飛んだかと思えば今度はいきなり空中で停止した……気持ちわるぅ……もうちょっと丁寧に飛んで貰おう……。

 

「おー、ハルト無事……じゃなさそうだな」

 

 リザードンに乗って僕とレイに追いついたレッドさんは僕の様子を見て笑っている……。

 

「いや、でも背中に翼が生えてるみたいでかっこいいと思うぞ、うん」

 

「もういいですから早く救助の方に行きましょうよ」

 

 僕がそう言うとまだ笑い続けながらそうだなとレッドさんは答え、僕達は溶岩流が流れ出してきている火山へ向った。

 

 

 

 そして数時間後……。

 

 

「やっと止まったぁ……」

 

『ナツキよ、よく頑張った』

 

「「おーい!」」

 

 疲れ切って地面に座り込むナツキさんとその近くで飛んでいるフリーザーの元へ向かい、僕とレッドさんは降り立った。

 

「おぉ、ハルトくんにレッドくん。そちらはどうだ?」

 

「逃げ遅れた人もポケモンもなんとか救助出来ましたよ。けど……」

 

 カツラさんの問いにレッドさんは答え、その途中で街を見つめ、言葉を続けた。

 

「街の殆どが飲み込まれましたね……」

 

 ナツキさんとフリーザーが冷気で溶岩流をなんとか押しとどめようと頑張ってくれたが勢いは止まらず、結果グレンタウンの南側……ポケモンセンターと少しの陸地を残してすべてが溶岩流に飲み込まれてしまった。

 

「ごめんなさい……私にもう少し力があれば……」

 

 そう言うナツキさんは俯いていた。

 

「そんなことないよ。ナツキさんが居なかったら僕達は救助に専念出来なかったし、もしかしたら街が全部溶岩流で飲み込まれてたかもしれない。誰もナツキさんを責めたりしないよ」

 

 僕がそう言うとナツキさんはありがとうと答えた。

 

「で、これからどうしますカツラさん。これじゃあグレンに人は住めないですよね」

 

「うむ……マサラとセキチクにお世話になるだろうな……」

 

 レッドさんの問いにカツラさんが答えたところで僕はカツラさんに尋ねた。

 

「あの……こんな時に言うのもどうかとは思うんですけどジムはどうなりますかね……?」

 

「しばらく休業だな……ふたごじまの一角にでも新しく作って……と言っても当分無理だな」

 

 ですよねー……。僕が溜息をつくとカツラさんはなにやらポケットから物を取り出して僕とナツキさんに手渡した。

 

「え……?」

 

「これって……!」

 

 僕とナツキさんは手渡されたものを見て驚いた。なんと渡されたものはクリムゾンバッジだった。

 

「今日のお礼と言ってはなんだが受け取ってくれ」

 

 カツラさんはニカッと笑ってそう言った。

 

 

 その日の夜、僕達は難を逃れたグレンタウンのポケセンで休むことした。街の人々も使用するため狭い1人部屋を僕とナツキさんの2人で使うことになった。

 

「これでバッジ6個目か……。なんか今まで貰ってきたバッジの中で一番重みを感じる」

 

 僕はソファーに座りながらバッジケースを眺めて呟いた。ちなみにナツキさんはベッドに座ってそれを聞いている。

 

「私は初めてのジムバッジだけどハルトくんが言っていることなんとなく分かる気がする」

 

 ナツキさんがそう言って暫く部屋は静まるもナツキさんが話し始める。

 

「明日からどうする?レッドさんやカツラさんは旅を続けてくれって言ってたけど手伝った方がいいのかな?」

 

「んー……。けど今回はいつかのジムを半壊させた時とはまるで比べものにならない規模の事件でしょ?下手に首突っ込むと邪魔になると思う」

 

 僕がそう言うとナツキさんはそっか、そうだよねと言いまた暫く部屋が静まった。んー……。

 

 僕は立ち上がってナツキさんの目の前まで行き一息つく。

 

「いぃぃぃぃよいしょぉぉぉぉ!!!!」

 

 バチーン!!

 

「いったぁー!!いきなり両方のほっぺ叩かないでよ!!」

 

 そういうナツキさんの頬は若干赤くなり、目には涙を浮かべていた。

 

「いつもの元気なナツキさんはどこいったの?街の事……気にするなと言っても無理だろうけど後のことはレッドさんやカツラさんに任せて切り替えよ?ナツキさんがしょんぼりしてるとポケモン達も心配するよ」

 

「……。うん、そうだね。よーし!」

 

 どうやらナツキさんは少し元気になっ……バチーン!!

 

「いったぁ!!」

 

「へへっ、お返しだよハルトくん♪」

 

 僕がやったことをそのままやり返したナツキさんは舌を少しだしてベーッと言った。こりゃ少しじゃないな殆ど復活してるね……。元気になったからいいけどさ。

 

 

「で、明日からどうしよっか?」

 

 まだ痛む頬を手で押さえる僕をよそにナツキさんは今までのように予定をどうするか尋ねてきた。

 

「いてて……。そうだなぁ、カツラさんに聞いたけどまだヤマブキのゲートは封鎖されてるみたいだから……。そうだ!海底ドーム!!」

 

「それって確かクチバ湾のどっかにあるっていう今日みたレポートのあれだよね?」

 

「うん。行き方は図鑑の方にデータを移してもらったから大丈夫だし、なによりブイの進化や退化について何か分かるかも!」

 

 僕がそう言うとナツキさんは賛成!!と言ってくれた。

 

「じゃあ今日はもう寝よう!ナツキさんベッドで寝ていいよ、僕はソファーに寝転がるから」

 

「それはハルトくんになんか悪いよ。それにソファーだと身体痛くならない?」

 

 僕は気にしなくていいよと言ったがナツキさんはいいからいいからと僕の手を掴んでベッドに押し倒した。

 

「ちょっ!」

 

「ほら抵抗しない!」

 

なんとか起き上がろうとするもナツキさんにのしかかりを食らいあっけなくダウンした。

 

「さぁ観念しろー!」

 

「ぐぬぬ……」

 

 

 結局僕はギブアップして2人でベッドで寝ることにした。

 

「ねぇ、ハルトくん」

 

「なに?」

 

 ナツキさんは天井を見上げながらナツキさんに背を向けてる僕に尋ねてきた。

 

「んー……。やっぱなんでもない!おやすみ~♪」

 

「……?おやすみ」

 

 一体なんだったんだろうと思いつつも返事をして僕は眠りについた。

 

 

 ナツキside……

 

(……。ハルトくん寝たかな……?)

 

 私は少し身体の向きを変えてハルトくんが寝たかどうかを確認する。

 

(……うん、寝てる寝てる。ハルトくん……さっきはありがとね。ちょっと痛かったけど元気出たよ)

 

 私は心の中でそう言ってハルトくんに抱きついた。

 

(……。トキワの森でもそうだったけどハルトくんには助けられてばっかりだよね。頼りなくてごめんね)

 

 私はハルトくんに抱きつく腕に少し力を入れる。今から言おうとする言葉に少し心臓がバクバクしてきた。

 

(いつか面と向かって話すね……?)

 

 私は深呼吸をして覚悟を決める。

 

 

 

「……ハルトくんのことが好きです」

 

 私はきっと真っ赤になっている顔をハルトくんの背中にうずめて眠った。




ちょっと位ヒロインっぽいフラグを立てないと……ねぇ?

次の章を投稿したらFC2の方の更新をせねば……(もうじき転載作業が終わる)


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26章 海底ドーム!進化の石を手に入れろ!!

(割と?)オリジナル展開。バトルはないよ。


 翌日、僕はポケモンの入れ替えを行ってポケセンのエントランスでナツキさんを待っていた。

 

 にしても……起きたらナツキさんが抱きついて寝てるからびっくりしたよ……僕を抱き枕かなんかだと思ったのかな……?

 

 あれこれ考えているとナツキさんがやってきた。

 

「ハルトくん、ごめん!」

 

「大丈夫だよ。別に置いてったりはしないさ」

 

 そう言うと、ナツキさんは辺りをきょろきょろと見回して何かを探していた。

 

「あれ?そういえばレッドさんやカツラさんは?」

 

「あぁ、あの2人は今回の件で色んな街やポケモン協会の方と話をしてくるってことで朝早くからあちこち行ってるらしいよ」

 

「街を出発する前に少し挨拶したかったね」

 

「そうだね」

 

 僕達は少し話をして朝食をとり、ポケセンを出た。

 

「よし、じゃあ行こうか!」

 

「うん!」

 

 僕はボールからプテラのレイを、そしてナツキさんはフリーザーを出した。

 

「「クチバシティまで!」」

 

 僕達がそう言うとレイは僕の肩を足で掴み、フリーザーは背中にナツキさんを乗せ飛んだ。

 

「おぉ~。綺麗な景色ー」

 

「景色に見とれて落ちないようにね?」

 

 ナツキさんはにっこり笑顔ではーいと返事をした。完全復活のようでなによりだ。

 

「よし!出発!!」

 

 僕達はクチバシティに向けて出発した。

 

 

 グレンタウンを出発して数時間が経ち、僕達はクチバ湾の上空に来ていた。

 

「歩いたら何日もかかるのにポケモン力を借りればこんなに早く来れるんだね」

 

 そう言うナツキさんはフリーザーに捕まりつつカメラで上空からの景色を撮っていた。

 

「そうだね。……えーっと、そろそろかな?」

 

 僕は図鑑を取り出してカツラさんに移してもらった海底ドームに関する情報を見ていた。

 

「地図の感じだと……この真下らへんかな?」

 

 レイに肩を掴まれている状態で僕は眼下に広がる海を見つめるがそれらしきものは見当たらない。

 

「海底ドームって言うぐらいだから水中の中にあるんだろうけど……どのくらい深い場所にあるのか見当がつかないしなぁ……」

 

「けど、潜ってみないとわかんないよね?」

 

「そうなんだよね……。んー、とりあえず……レイ、もっと水面ギリギリまで寄ってくれるかな」

 

 レイは黙って頷いて水面ギリギリまで近寄った。それにつられてフリーザーもついてくる。

 

「近付いてもやっぱ見えないか……。しょうがない……キャン出ておいで!」

 

 僕はボールを取り出してキャンを出した。手持ちは6体までしか持てないという制限があった(グレンの災害時は異例でレイが7体目だった)からレイの代わりにラウスをパソコンに預けた為、今なみのりが使えるのがキャンだけになっている。

 

「……ニョロゾ、ミニリュウ出てきて!」

 

 キャンを出した僕を見てナツキさんもなみのりが使えるポケモンをボールから出した。

 

「着衣水泳は苦手だけどやるしかないよね……」

 

 僕がそう言うとミニリュウに乗り換えたナツキさんが僕を手招きしながら呼んだ。

 

「……?」

 

「ミニリュウに乗りなよ、しんぴのまもりを使えば水中でも呼吸が出来るから」

 

「そんな使い方出来るの?」

 

「ミニリュウが教えてくれたんだー」

 

 ナツキさんってポケモンと話せたっけ……?あぁ、フリーザーによって目覚めた能力か……なるほどなるほど。

 

 僕はお言葉に甘えてミニリュウに、ナツキさんの後ろに乗り、僕達はレイとフリーザーをボールに戻した。

 

「よし、じゃあ海底ドームへ出発!!ミニリュウ、しんぴのまもり!」

 

 ミニリュウは白い光を放って僕達を包み込み、海底ドームを目指して海に潜った。キャンとニョロゾもそれに続く。

 

「ハルトくん、海底ドームの位置は?」

 

「移してもらった地図と現在の地図との若干の差はあるけどこの辺のはずだよ」

 

 しんぴのまもりによって水中に居るにもかかわらず呼吸や電子機器を扱える。にしても海底ドームはどこだ……?

 

 僕達はキョロキョロ辺りを見渡すがそれっぽいものはまったく見当たらない。

 

「んー、もう無くなってたりするのかなぁ?」

 

 ナツキさんが溜息交じりにそう言った時だった。僕達から少し離れた場所で海底ドームを探しているキャンが僕を呼んだ。

 

「ハルト!なんか光るものが見える!」

 

 そう言うキャンの元に僕達は急いで向かった。

 

「光るもの……?」

 

 キャンの元へ着いた僕達はキャンが指し示す方向を見る。

 

「「……あっ!?」」

 

 僕とナツキさんは同時に声を出して驚いた。

 

「ドームって言うから岩かなにかで覆われているものだと思ったけど……」

 

 僕達が思い描いていた海底ドームとは違ったがそれは確かにあった。

 

 白く輝く光がドーム状になっていて、よく見てみるとそのドームの中に台座らしきものが見受けられた。

 

「ハルトくん……!」

 

「多分……というか間違いなくあれだね。行こう!!」

 

 ナツキさんはうん!と答え僕達は海底ドームへと向かった。

 

 

 ドンッ!!

 

「いてっ!」

「いったぁ~……」

 

 海底ドームの光を潜り抜けた途端、僕達はミニリュウに乗ったまま海底に落ちた。

 

「いてて……ってあれ!?」

 

 僕は立ち上がるのと同時にあることに気が付いた。

 

「水がない……?」

 

 僕がそう言うとナツキさんも立ち上がって確認していた。

 

「ねぇ……もしかしてあの光が水を弾いているのかな?」

 

 ナツキさんに言われ僕達がドームに入ってきた方向を見てみると確かに光がバリアになっているのか海水が弾かれていた。

 

「天井からも水が降ってこないしそうだろうね。なみのりで入ってきたはいいけどドーム内は水が無いから地面に落とされたってことかな?」

 

「それに空気があるからしんぴのまもりがなくても呼吸が出来るね」

 

 ナツキさんはそう言ってスーハースーハーと深呼吸してみせた。

 

「不思議なとこだね……」

 

 僕はそう呟いてキャンをボールに戻し、それを見たナツキさんもミニリュウとニョロゾをボールに戻した。

 

「よし、台座のとこへ行こうか」

 

 今度はブイを出し、頷くナツキさんと一緒にドームの中央に鎮座する台座に向けて歩き出した。

 

 

「これが……使ってもなくならない進化の石……」

 

「私が持ってるのと比べると……なんか輝き方が違うと言うかなんというか……」

 

 僕達は台座の前まで行き、そこにある4つの石に見とれていた。

 

「2人とも見とれすぎ……。うっ……!」

 

 僕の足元で溜息交じりでそう呟いたブイがいきなり苦しみだした。と思えば間髪入れずに光り輝きだした。

 

「ブイ!?」

 

「ハルトくん!進化の石が!!」

 

 ブイを心配してそっちに目がいっていたが、ナツキさんに言われ進化の石に目をやると3つの石がブイと同じように輝いていた。

 

「何が起きているんだ……!?」

 

 すると、3つの石は台座から離れブイの周りを円を描くように飛び回り、何周かした後に僕に向かって飛んできた。

 

「なっ!?」

 

「ハルトくん!」

 

 3つの石は1つの光となって僕の右手首に命中し僕達は大きな光に包み込まれた。

 

「ん……」

 

 光が静かに消えるとそこには今までと変わらず目の前にナツキさんが居て、僕の足元にはブイが無事にそこに立っていた。

 

「ブイ!よかった、無事だったんだね!?」

 

「うん、なんとか。けど……」

 

「けど?」

 

 ブイが心配そうな顔で僕を見つめる。そしてナツキさんがブイに続けて話す。

 

「ハルトくん……右手首のそれ、なに……?」

 

 右手首……?石が光になって当たった場所だよね。僕は右手に視線を向ける。

 

「……なんだこれ……?」

 

 右手首には横に3列、3色のラインが入ったブレスレットが装着されていた。

 

「ブレスレットみたいだけど……さっきの石がこうなったのかな?」

 

 僕はブレスレットを眺めながら呟いた。すると、

 

『その通りだ』

 

 僕達はいきなり聞こえた声に驚き、声が聞こえた方を向いた。そこには台座に残された最後の石、リーフのいしが台座から離れ宙に浮いていた。

 

「……石が喋った……?」

 

 僕はナツキさんと顔を見合わせてもう一度石を見る。

 

『あぁ、私だ』

 

 間違いなく目の前に浮かぶそれは声を発していた。ただ、フリーザーの時みたいに頭に直接語りかけるのではなく耳から聞こえる。石に口があるわけでもないのにどういう理屈でこうなるのか気になるけど今はそれを考えている暇はなかった。

 

『遂に現れたか……すべての進化形に自由に進化が出来、尚且つ自由に退化が出来るイーブイとそのパートナーのトレーナーが』

 

 石は続けて話す。

 

『不安定すぎる遺伝子をもつイーブイよ。どうやら過去に1度そのトレーナーの想いに反応して自力での進化をしているようだな』

 

「「「!!??」」」

 

 ブイだけでなく僕達も驚いた。石が言っているのはハナダジムでのカスミさんとのバトルで起きたことだろう……なんでそれを知っているんだ?

 

『どうやらお前たちは知らないことが多そうだ……。私が知っている範囲内の知識をを教えてやろう』

 

 そう言って、石は続ける。

 

『まずは……なぜそのイーブイは自由に進化と退化が出来るのかを教えた方がいいのだろうか……。理由は単純明快、そのイーブイは通常のイーブイよりも遺伝子が不安定。イーブイの時は色違いでも進化したら通常色なのはそのせいだ』

 

「たったそれだけ?」

 

 ナツキさんが石に問うと石はそれだけだと答え、話を続ける。

 

『進化と退化の条件だが……残念ながらすべては分からない』

 

「すべて……?」

 

 石はあぁと言い、話を続ける。

 

『残念ながら石を用いた3種類の進化形への進化と退化しか分からない。だがどの進化形態になるにせよ進化の必須となる条件はトレーナーとイーブイの心が強くリンクしたとき……早い話、なついているかどうかという話だろう。そして退化の条件はトレーナーと進化した状態のイーブイが元に戻ろうと思えば戻れる。結論、以心伝心できれば進化も退化も自由に出来る』

 

 なるほど……。ん?けどカスミさんとのバトルの進化はどうやって……?

 

『トレーナーよ、今お前が思っていることの件だが進化の石で進化したポケモンと戦わなかったか?』

 

 心の中読めるのかよ!とツッコんでみたかったけど、ここはひとまずカスミさんとのバトルを思い出す……確かあの時は……。

 

「そうだ!確かスターミーと戦った!!」

 

 それを聞いた石はまた話し始めた。

 

『そうか……。となると恐らく石で進化したポケモンの攻撃を受け、そのエネルギーと心が強くリンクしたことによって、イーブイ自身が体力を削って一時的に進化したと思われる。退化したのは進化した時のタイムリミットをオーバーしたからだろう。相手がみずのいしを使ったスターミーだったからイーブイはシャワーズへと進化したのだろう』

 

 ここまでを整理すると……、

 

 1、ブイが進化と退化が自由に出来るのは遺伝子が普通のイーブイよりも不安定すぎるから。イーブイの時は色違いでも進化したら通常色なのはそのせい。

 

 2、どの進化形に進化するにせよ必須の条件はお互いの心が強く結びついている事(要はなついていること)。退化する場合はお互いが元の姿(イーブイ)に戻ろうと思えば可能。

 

 3、ハナダジム戦時の進化は、石で進化しているスターミーの攻撃を受けた際にそのエネルギーが身体についていたのとお互いの心が結びついたことによりブイが自身の体力を使って一時的な進化を遂げた。しかしタイムリミットがあり、過ぎれば自動的に退化される。

 

『そういうことだ』

 

 ……また心の中を読まれた……。

 

『さて、ここからが本題だ。進化や退化の際の条件は分かったがどうやって進化先を決めて自由に進化できるかだ。この時に必要になるのが右手首に装着されているブレスレットだ』

 

「これが……!?」

 

 僕は今一度自分の右手首に装着されているブレスレットを見つめる。

 

『そうだな……言うよりも試した方が早いだろう。イーブイが石で進化する3形態のどれかを想像してみろ』

 

「……?」

 

 僕は言われるがまま想像してみた。そうだな……サンダースなんてどうだろうか。

 

 するとブレスレットは黄色の光を纏い、光が消えると黄色、水色、赤の3色で3列のラインが入っていたブレスレットは黄色一色になった。

 

『よし、それをイーブイの方へ向けるんだ』

 

「こうかな?」

 

 右腕をブイの方へ向けるとブレスレットが黄色く光り輝き、その光がブイに放たれ包み込んでいく。

 

 バチバチと音が鳴り、光が消えるとブイはサンダースへと進化した。

 

「おー!!ブイがサンダースになった!」

 

 ナツキさんはブイの横でしゃがんで撫でてあげた。

 

『今度はイーブイの姿に戻そうと思うんだ』

 

「OK、ブイ元の姿に戻ろう!」

 

 ブイが頷いたのを確認してから僕は頭の中でイーブイの姿を想像してみた。

 

 そして案の定ブレスレットは光り輝き元の状態に戻った。そしてそれとほぼ同じ速さでブイが白い光に包み込まれて元のイーブイの姿に戻った。

 

『同様にブースターやシャワーズを想像すればそれらに進化出来るし退化も出来る。だが……ここで注意をしなくてはいけないのが並行的な姿の変化は出来ないことだ』

 

「並行的……?」

 

 ナツキさんがなんだそれ?と言わんばかりに首を傾げて呟くと石は説明を付け加えた。

 

『要はブースターからシャワーズやサンダースへ直接姿を変えられないということだな。もちろんそれはシャワーズであろうとサンダースであろうと変わらない。別の進化形態へ姿を変えたければ一度イーブイへと退化しなくてはいけないから覚えておくことだ』

 

「なるほど」

 

 ゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

「「!?」」

 

 いきなり大きな音がドーム内に鳴り響いて僕達は驚いた。

 

『そろそろ時間か……』

 

「時間?」

 

 僕はなんのことだと問いかけた。

 

『このドームは4つの石の力で支え、石を手にするにふさわしい者が現れるのをずっと待っていた。そしてそれは叶い、3つの石はお前の手首に姿を変えて力を貸すため台座から離れた。もうここで石が眠ることもない……。ドームは崩壊する』

 

「「!!??」」

 

『早く行くといい。もう私だけでは支えきれない』

 

 そう言う石は徐々にひびが入り始め、もうすぐ砕け散りそうだった。

 

「どうにかして留める方法は……」

 

『ない』

 

 ナツキさんはそんな……と言って俯いた。

 

「……ありがとう。これだけは言っとくよ」

 

『……元気でな』

 

 石に更にひびが入りドームの壁から水が入り込んできた。

 

「ナツキさん、行こう!」

 

「……うん!」

 

 ナツキさんは顔をあげてミニリュウをボールから出して僕達は急いでミニリュウの背に乗った。

 

「ミニリュウ、しんぴのまもり!全速力で逃げるよ!」

 

 ナツキさんがそう言うとミニリュウはしんぴのまもりで僕達を守り、消えつつあるドームの壁に向かってジャンプしドームから脱出。そしてクチバに全速力で向かった。

 

 

 

『役目は果たしたぞ……』

 

 石は木端微塵に砕け散り、海底ドームはその姿を失った……。

 

 

 あの後無事にクチバシティに到着した僕達はポケセンでしっかり休み、ヤマブキのゲートが封鎖されていることもあり翌日からブレスレットを上手く使いこなす為の特訓を始めた。

 

 それにはナツキさんにも協力してもらい模擬バトルを行いつつしっかり運用出来るようにと特訓のメニューに加えて励んだ。

 

 2日や3日もやれば使いこなせるかなぁと思ったけどそう上手くいかず1週間程してやっと実用レベルまでに使いこなせるようになった。

 

 

 そして特訓を終えてポケセンに戻った僕達を待っていたのは最悪のニュースだった。

 

 

 

『ヤマブキシティは我々ロケット団が占拠した』




この章でひとまず一応の転載作業をストップします。(FC2の方に追いついたので)

続きが気になる方はFC2の『ポケットモンスター~WT 【カントー後編】~』へ!(ステマ乙)


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