モンスターの言葉が分かれば楽出来ると思った僕の考えは甘かったかもしれない (ラン乱)
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旅立ちと目覚め
転生


思い付きで書いた。


・・・(ん、眠ってたか...。体怠いけど起きるか。)

 

体を起こそうとするも起き上がれず。

 

(?何で起き上がれないんだ、しかも動かないし。

また金縛りか?

でも、それにしては目は開けれるし口も動かせる。)

 

すると、目の前にうっすらと白い衣を着た女性が現れた。

 

???「初めまして、ご気分は如何ですか?」

「・・・気分もなにもここ何処?」

???「あら、気付かなかったの?

まあ、無理もないわ。

急な落雷で貴方即死したんですもの。」

 

突然のカミングアウトで思わず固まる。

 

「は?いや、なんで!?天気予報には雷とか雨なんて出てなかったぞ?!」

???「それについてはごめんなさいね。

冥界のハーデス君と天界のゼウス君が喧嘩して、

ゼウス君の1本の雷が貴方に直撃してしまったの。」

「んな馬鹿な...。」

 

聞いた僕は落胆する。

 

「恐らくだけど、僕の体ってありますか。」

???「跡形もなく消滅しました。」

 

笑顔で答える女性。

 

聞きたくなかったけど、でも聞かないと分からないし...どうすればいいんだよ。

「このままあの世に直行ってか?」

???「いえ、今回の件は完全にこちらに非がありますので昇天はしません。違う世界で転生、つまり第2の人生を送らせて貰いたいので此方に来ました。」

「転生ね、因みにどの世界ですか?」

???「実は、天界の神々が地球人のやっているモンスターハンターというゲームが気に入っていまして、面白そうと言って、その世界を創造したのです。」

「面白そうだけでやるのか...軽いな神様達。」

???「ええ、それで貴方にはモンスターハンターの世界に転生させよと上位の神々からの命を受けたのです。」

「そっかー、油断すれば死ぬなこれ。」

 

不安になる自分だが、女性がある提案をする。

 

???「では、特別に幾つかサービスを付けます。」

「サービス?」

???「地球人がよく話すチートというものです。」

「じゃあ、モンスターの言葉が分かるスキルで。」

???「え、それだけ?」

「はい。」

???「他にはないんですか、例えば身体能力が10倍になるとか、空を飛べる能力だとか。」

「いらない、そんなのあったら化け物扱いされるから嫌だ。それでどうなの?出来る?」

???「は、はい出来ます。

あ、モンスターハンターの世界についての知識は御座いますか?」

「一応...大体はなんとか分かる。」

???「分かりました。

では、新たな人生を過ごして下さい。

貴方に幸あらんことを。」

「あ、もう1つ頼んでも良いですか?」

???「何でしょう?」

「さっき話した2人の事なんだけど、

子供ですか。」

???「ええそうよ、どうして?」

「僕が行った後、あの2人を思いっきりビンタしてあげて下さい。」

 

その言葉を聞いた女性はクスクスと笑った。

 

???「ふふ、分かったわ。

私がちゃんとヘル君とゼウス君をビンタしてお仕置するから大丈夫よ。」

「ありがとうございます。」

 

こうして自分は光に包まれて消えた。

 

???「ビンタして下さいなんて、

不思議子ね。その子達のせいで亡くなってしまったのに怒らないなんて。

時々天界から覗きに行こうかしら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミストル「おーい、いつまで寝てんの。

朝なんだから起きてご飯食べなさい。」

グラン「はーい、今行きます。」

 

モンハンの世界に転生して15年、「グラン」という名前を授かって

特に変わりなく過ごしている。

生前と違う所と言えば、教官からハンターとしての特訓をやっている事。

なんで特訓しているかって?

それは教官が「お前の父親は立派な上位ハンターだ!その息子を立派なハンターに育てるのが教官の務め。心配するなグラン、お前も父親みたいに立派なハンターにしてやるぞ!ワハハハハ!!」っとか言われて以来やってる。ま、ハンターやってみるのも悪くないかなとは思ってたから良いけど。

 

ミストル「今日もお父さん遅くなりそうよ。

早めに出掛けて行ったみたいだから。」

グラン「...そうなんだ。」

 

僕の父さんはハンターとして忙しく、

殆ど遊ぶ事が出来ないでいる。

別に寂しくはないけどね。

 

ミストル「分かってあげてね。

あの人もハンターとして役目を果たしているのよ?」

グラン「分かってるよ、僕だっていつまでも子供じゃないんだから。いつか父さんを越えて立派なハンターになるのが夢なんだ。」

ミストル「頼もしいわ、誰に似たのかしら。」

 

笑顔を見せる母さん。

ご飯を食べ終え、いつもの時間で訓練所に向かう。

 

グラン「じゃあ母さん、行ってくるよ。」

ミストル「気を付けて行ってね。」

グラン「はーい。」

 

 

 

 

 

 

 

〜ハンター訓練所〜

教官「よく来たな、若き未来あるハンターよ。

今日からは実践演習を行うぞ。」

グラン「実践ですか?」

教官「そうだ、小型モンスターを5体討伐。

これを見事に果たせば、明日から君もハンターとして1歩を歩めるぞ。」

 

教官の言葉を聞いた僕は胸が踊る。

 

グラン「本当ですか!?」

教官「ああ!だが、油断すれば命取りになる。

危ないと思ったら直ぐに逃げる事だ、いいな?」

グラン「はい!」

 

やった!遂にこの日がと嬉しい思いを寄せるグラン。

 

教官「良い返事である、出発の前にどの武器を使用する?」

グラン「片手剣で行きます。」

教官「そうか、では小型モンスター5体の討伐行くぞ!」

 

グランと教官はガーグァの荷車に乗って森に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜密林〜

密林に着いた僕は装備の整備をしていた。

 

グラン「武器はハンターナイフでっと、

アイテムは回復薬と砥石、肉焼き機も持っとこ。

最低限必要な物は持ったな。」

 

準備が終わり森の奥へ進む。

そこにはジャギィとジャギィノスがいる。

 

グラン(3体はいるな、よし忍び足で近づこう。)

 

物音を立てずに静かに近付くグラン。

すると声が聞こえた。

 

ジャギィ1『ボス...戻ってきやせんねえ。』

ジャギィ2『きっと他の所でメスでも捕まえているんでしょうよ。』

ジャギィノス『貴方達、お喋りしてるんなら肉でも運んできたらどうなんだい?』

 

グラン(おー、本当にモンスターの言葉が分かる。

だが悪いが僕の卒業試験という事でお亡くなりになって下さい。)

 

ジャギィの背後に回り込み攻撃を仕掛ける。

 

グラン「おりゃ!」

ジャギィ1『ギャアアア!!!』

ジャギィ2『何だ!?』

ジャギィノス『ハンター!?』

 

グランのハンターナイフがジャギィの腹を切り裂いた。

 

グラン「よし、不意討ち成功!」

ジャギィ2『クソ、仲間がやられた!

ボスがいないこんな時に...!』

ジャギィノス『噛み砕いてあげるわハンター!』

グラン(まだハンターじゃないけど、そんな事はいいか。残りの2体もまとめて片付ける!)

 

意気込むグランだが、森の奥から何かが林を掻き分けて来る様な音が聴こえる。

 

グラン(何の音だ?)

 

林から飛び出したのは・・・

 

ナルガクルガ『こんな所に獲物がいるとはついてるぜ!』

グラン「!?」

ジャギィ2『姐さん後ろ!!』

ジャギィノス『え?』

 

ジャギィノスはナルガクルガの翼刃に切断された。

 

ナルガクルガ『まず1匹〜♪』

ジャギィ2『う、うわーー!』

 

咄嗟に逃げるジャギィ

 

ナルガクルガ『誰が逃がすかよ!』

ジャギィ『ぷぎゃ...』

 

ジャギィはナルガクルガの尻尾に叩きのめされ倒れた。

 

ナルガクルガ『2匹目ゲット〜♪』

 

ナルガクルガは愉快そうに尻尾を振る。

 

グラン(見習いハンターにこれ無理だろ。

いきなりの大型モンスター乱入とか卑怯すぎる。)

 

ナルガクルガ『ん?そこにいるのはニンゲンか?』

 

やばい、目が会ってしまった。

初めて大型モンスターと対峙するグランは足が竦み、

両手が震える。

 

ナルガクルガ『俺は今とっても気分が良いからな。

獲物2匹ゲット出来たから見逃してやる。』

グラン「え!?いいの?!」

ナルガクルガ『あ?』

 

見逃してくれるナルガクルガの反応に思わず声を出してしまったグラン。

 

グラン(やっべ...意外過ぎたから思わず声出して反応してしまった。)

ナルガクルガ『お前、俺の言葉が分かるのか?』

グラン(どうしよどうしよ!?

この状況どうすればいい?!)

 

打開策が思い付かないでいると、

ナルガクルガは咆哮をあげる。

 

ナルガクルガ『分かるのかって聞いてんだよ!

答えねえなら噛み砕くぞ!!』

グラン「ごめんなさい、分かります!

なので食べるのは勘弁して下さい!」

ナルガクルガ『マジで分かるのか?』

グラン「マジです。」

ナルガクルガ『俺の言った事と同じだな、

こんな事があるのか...。』

 

目の前で何やら考え込むナルガクルガ。

すると、グランに近付き話し掛ける。

 

グラン(ち、近い...。)

ナルガクルガ『ここで何してたんだ?』

グラン「え、あ、ハンターになる為の卒業試験です。」

ナルガクルガ『ふ〜ん、その卒業試験ってのは何なんだ。』

グラン「小型モンスターの討伐です。」

ナルガクルガ『へ〜。』

 

呑気に答える相手。

 

グラン「もういいですか?

なければ自分残りのモンスター狩って素材持ち帰んなきゃいけないんで。」

 

その場から離れようとする。

 

ナルガクルガ『・・・ちょっと待て。』

グラン「?」

 

呼び止められるグラン。

 

ナルガクルガ『お前が狩る獲物さ、俺にも分けてくんねえか?』

グラン「いいけど、素材さえ剥ぎ取れば後はいらないからそれ以外は全部あげるよ。」

ナルガクルガ『マジでか!?ラッキー!

これで暫く飯に困らなくて済むぜ!』

グラン(モンスター翻訳のスキルあって良かった、

なければ既に死んでたかもしれない。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分後、無事に5体の小型モンスターを討伐し終えたグラン。

 

グラン「素材は剥ぎ取ったから、

約束通りあげるよ。」

 

小型モンスターの死体をナルガクルガに譲る。

 

ナルガクルガ『7匹もいいのか。』

グラン「その内の2体はお前が倒したからな。

僕がやった訳じゃないし、カウントしないから。

遠慮せず受け取ってくれ。」

ナルガクルガ『おう、そうするわ。』

グラン「じゃ、僕帰るから。」

ナルガクルガ『帰んのか?

もう少しここにいろよ。』

グラン「それは無理。

時間も迫ってるから早めに報告しなきゃいけないし、

明日にはハンターとして生活するんだ。

それじゃあね。」

 

そそくさとグランは帰って行った。

 

ナルガクルガ『・・・・・・』

 

グランの姿を遠くから見ていると、

ある事を思い付きニヤケながら死体を咥え森の奥へと消えて行った。

 



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オトモはナルガ

出だしは勢いで書けるんだけど、後半からになると厳しくなるんだよね。


〜ハンター訓練所〜

グラン「教官、小型モンスター5体討伐しました。」

教官「そうか、ではその成果を見せよ。」

 

教官に言われた通り、ジャギィとジャギィノスの素材を出し見せる。

 

教官「ふむ...確かに小型モンスターのジャギィ・ジャギィノスの鱗だ。

良いだろう!これでお前は今日で見習いハンターを卒業し、明日からはハンターとして活動する事を許可しよう!!」

グラン「よっしゃあ!ありがとうございます、教官!」

 

グラン(長かった...この世界に来て15年、明日からハンターとしてやっていける。

まだ見ぬ世界へ行けるんだ!)

 

嬉し涙を堪えて拳を握りしめるグラン。

 

教官「では、吾輩はギルドに行って報告する。

お前は体を休むように、以上!」

グラン「はい!」

 

家に向かって駆け足で家に帰った。

 

 

 

 

 

 

グラン「ただいま〜。」

ミストル「お帰り、

今日は早かったわね。」

グラン「母さん聞いて!

僕、ハンター見習いを卒業したんだ!」

ミストル「あら、凄いじゃない!

やっと貴方もハンターとしての1歩を踏み出すのね、

おめでとう。」

 

グランを抱きしめるミストル。

 

グラン「うぐ、そんなに強く抱きしめなくてもいいじゃない。」

ミストル「あんなに小さかった子がこんなに逞しくなって、貴方は私の自慢の子よ。」

グラン「はは、やめてよ母さん。

それ言われると照れるじゃんか。」

ミストル「あ、それとさっき手紙が来てたのよ。

お父さんからよ。」

グラン「父さんから!?」

ミストル「貴方のテーブルに置いといたから読んでね。」

 

聞くや否や、自分のテーブルにある手紙を手に取り読んだ。

 

 

 

ー我が家族へー

【今日も元気にしているか?

実は今回の遠征は長引きそうだから手紙を出す事にした。グランはお母さんに迷惑かけてないか?ま、俺の息子だからそんな事しないか!お前ともあんまり遊べなくてすまんな。それはそうと、ハンターとしての基本をちゃんと学んでいるか?そろそろお前もハンターとして生きる事になるから、父さんが1つアドバイスをしよう。モンスターに襲われている人がいたら必ず助け、モンスターは討伐する。モンスターは俺達にとって脅威の存在だから決して油断はするな。息子の成長を楽しみに待っている。

ーガオルー】

 

グラン(油断はするな、か。

明日には早く出て、他の村に行くぞ!)

 

より一層気を引き締めたグランは、

早めに就寝した。

 

 

 

ー翌朝ー

グラン(財布・防具・武器・ポーチの中身もよし、

後は鏡に向かってファイティングポーズ!って何やってんだ俺。)「よし、僕は今!旅立つ!!」

 

家を出て村を出た。

 

 

 

 

 

 

 

〜密林〜

家を出て10分、生い茂る草・木を掻き分けながら進んで行く。

 

グラン(ハンターになったは良いものの、

何か足りないよなあ。

!そうだ、旅のオトモと言えばアイルーだ。

すっかり忘れてたよ、次の村に着いたら僕のオトモになってくれそうなアイルーを探してみよう。)

 

そう思っていると、森を抜けて視線の先には小川が見えた。

 

グラン「少し水を汲むか。」

 

水を汲もうとするグラン。

次の瞬間・・・!

 

ナルガクルガ「ギャオオオ!!!」

グラン「この声...ナルガクルガ!?」

 

咆哮が聴こえた先には、ナルガクルガが僕を見ていた。

 

グラン「ちょっと何、また僕に小型モンスターのお肉配達しろっての?」

ナルガクルガ『いーや、それとはまた別の話でお前に会いに来た。』

 

1m弱まで近付いてきたナルガクルガ。

 

グラン「な、なに...。近いんだけど・・・」

ナルガクルガ『お前に付いて行く。』

グラン「え・・・、は!?」

ナルガクルガ『最近退屈してて仕方なかったんだよね〜、そこで突然ニンゲンのお前が俺の言葉が分かるって聞いてさ、閃いたんだよ。

コイツについて行けば面白そうだ!ってな。』

グラン「な〜にが面白そうなんだよ。

僕はハンターとして困っている人を助けていくの。

それにまだアイルー探してオトモになってくれる子を見つけるの。」

 

ナルガクルガに説明するも、

その後とんでもない事を言い出す。

 

ナルガクルガ『じゃあ、俺がお前のオトモになってやるよ。』

グラン「話聞いてた!?アイルーだって言ったのに、大型モンスターのお前がオトモって聞いた事ないわ!」

ナルガクルガ『お前が話すアイルーってのは、

あのネコの事だろ?

それなら俺の方が適任じゃねえか。

そこら辺のネコより力も上だしよ。』

グラン「いや...僕の言いたい事はそうじゃなくて・・・」

ナルガクルガ『よし決まりだ!

今日から頼むぜ、相棒!!』

グラン「勝手に話進めんなーー!!!」

 

こうして、ナルガはグランのオトモになり、

行動を共にするのであった。

 

グラン「僕のハンターライフ何処にいった・・・。」




※注意
短編で中途半端に終わるかもしれません。
あんまり期待しないで下さい。


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モンスター夫婦との出会い

〜天界〜

天界から見守っていた女神〈ディオーネ〉。

その光景を覗いていると、他の神が1人やってきた。

 

???「あんら〜?ディオーネちゃん、ここで何しているの〜?」

ディオーネ「エロース!?せめて服くらいマトモに着られないのかしら?!」

 

そこに現れたのは、恋心と性愛の神〈エロース〉。

衣類が着崩れしており、ほぼ裸の状態で来ていた。

 

エロース「ん〜、さっき起きたばっかりなのよん?そ・れ・に、あたしは気にしないわよ〜。」

 

体をくねらせながら話すエロース。

 

ディオーネ「貴方が気にしなくても他の方が気にするの!全く、神の1人がこんなんで大丈夫かしら...。それはそうと、貴方ここへは何しに来たの?」

 

頭を抱えるディオーネに対し、

エロースはここに来たことを話す。

 

エロース「ディオーネちゃんが地上を覗いていたから〜、ちょっと不思議に思ったのよ〜。何か面白いの見つけたの〜?」

ディオーネ「以前にハーデス君とゼウス君がケンカした事は覚えてるかしら。そのせいで地球にいた子が巻き込まれて体ごと消滅しちゃったの。そのお詫びに転生して、第2の人生を送らせているのよ。」

エロース「ふ〜ん。でもその子に特別な力とか〜、与えたんじゃないかしらん?」

ディオーネ「それがね、モンスターの言葉が分かる能力だけって言ったのよ。」

 

それを聞いたエロースは不思議に首を傾げる。

 

エロース「どういう事かしら〜?人間って欲望に忠実な生き物でしょ〜。」

ディオーネ「私も聞いた時はちょっと驚いたわ。

他にないかと尋ねても、『いらない』とか『面倒くさい』なんて言うもんだから。そこまで言われると、私は何も言わなかったわ。」

エロース「それって〜、勿体ないわね〜。

でも〜、その子って...」

???「お姉ちゃーん、助けてー!」

 

小さい子供がディオーネに向かって走り抱きつく。

 

ディオーネ「どうしたの?ゼウス君。」

ゼウス「ハーデスがケルベロスを放し飼いにして、大変な事になってるんだよ。早く来て!」

ディオーネ「あの子・・・、まだ反省してないのね...。たっぷりとお仕置きが必要みたいね。ゼウス君、案内してくれる?」

ゼウス「うん!こっちだよ。」

 

急いで向かうディオーネ。

 

ディオーネ「ごめんなさいね、今聞いたと思うけど少し離れるわ。話は帰ってきてからするわ。」

エロース「分かったわ〜、気を付けてね〜。」

 

ディオーネがこの場から離れた後、

グランのいる世界を見ていた。

 

エロース「あの子がそうなのね〜。

結構可愛い顔してるじゃない。

ディオーネちゃんには悪いけど、あたしからもちょっとしたサービスをあげるわ♪」

 

指先から出た光の玉を、

地上にいるグランに向けて放つ。

 

エロース「あたしも時々見に来るからね〜、

この子の反応が楽しみだわ〜♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラン「ん?」ゾワ

 

次の村まで歩いていると、妙に体がざわめくのを感じた。

 

ナルガクルガ『どうした?』

グラン「なんか、背中がゾワッときた。」

ナルガクルガ『近くに敵はみえねえぜ。』

グラン「気にし過ぎかな・・・。」

ナルガクルガ『〜んなことよりもさ、

早く飯にしようぜ!』

グラン「さっき小型モンスター食ったばかりじゃないか、お肉ないから無理。」

ナルガクルガ『ちぇ〜、この辺に獲物いねえかなあ。ん?お前・・・』

 

何だかんだ話をしていると、ナルガクルガが僕を直視してくる。

 

グラン「なに僕の顔見つめてるんだよ、何か付いてんの?」

ナルガクルガ『なあ、少し舐めていいか。』

 

その言葉を聞いたグランは唖然とする。

 

グラン「何言ってんの...っておい、目細めんな。今のお前、獲物狩る時の状態になってるぞ。」

ナルガクルガ『俺ら相棒だろ?』

グラン「なった覚えはないけど何。」

ナルガクルガ『その、さ。今から付き合わねえか。』

 

呼吸がだんだん荒くなっていくナルガ。

 

グラン「ちょっと待て!どうした、ナルガクルガお前おかしいぞ!?」

ナルガクルガ『ナルガさんだ。

いや、付き合うんだからナルガって呼び捨てにしてくれ。』

グラン(なになになに!?飯の次が付き合う話って、展開が色々とおかしい。どうなってんのマジで。)

 

ナルガクルガ『そういやあ、お前の名前聞いてなかったなあ?』

グラン「それがどうかしたか?」

ナルガクルガ『教えろ。』

グラン「え?」

ナルガクルガ『教えろって言ってんだよ!』

 

いきなりナルガクルガが飛びかかってきた。

 

グラン「うわあ!?」

 

横に回避し、ナルガクルガの飛びかかりを回避する。

 

ナルガクルガ『何で逃げんだ?

これから番になるってのによ〜。』

グラン「承諾した覚えねえんだけど!?

そもそもさっきそんな事言ってなかっただろ!?」

ナルガクルガ『うるせぇ...黙って俺に捕まれえ!』

グラン(動きは直線的だな。

上手くアイツの頭部にぶつければ気絶か目を覚ますかもしれない...!)

 

片手剣を構え、ナルガクルガとの間合いを図り距離を保つ。

 

ナルガクルガ『大人しく捕まれえ!!』

グラン「・・・!!!」

 

ナルガクルガの突進を躱した直後、すぐ様頭部を狙うグラン。

 

グラン「シールドバッシュだ!」

ナルガクルガ『あが!?』

 

ナルガクルガは頭部に強烈を喰らい、気絶状態になる。

数秒後・・・

 

ナルガクルガ『あれ、俺は何を?』

グラン「やっと目を覚ましたか...。」

 

腰を落とすグラン。

 

グラン「僕に向かって襲いかかって来たんだよ。」

ナルガクルガ『俺が?

...そういや、お前の事見続けてたらぼんやりしてたな。』

グラン「ぼんやりってなにが?」

ナルガクルガ『上手く言えないが、

多分お前に夢中になっていくような感じだった。』

グラン「モンスターのナルガが人間の僕に発情してどうすんだ。僕は男だぞ。」

ナルガクルガ『分かってるが、何でそうなったのかわかんねえんだ...。』

 

さっきの出来事を覚えていないナルガ。

 

グラン「ここで話しても分からないし、あの先に森丘が見えるからそこに行ってお肉調達するよ。」

ナルガクルガ『そうだ、早く飯にしようぜ!』

グラン「それさっきも言ってなかった?」

 

森丘を目指し進むグラン達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラン「草食モンスターもいるな、ひと狩りすっかな。」

 

片手剣を構え切りかかろうとすると・・・

 

アプトノス【親】『ニンゲンの後ろにモンスターがいる!?逃げなきゃ!』

アプトノス【子】『ママー!怖いよ!』

アプトノス【親】『走るのよ、生き残る為に逃げなさい!私が死んでも貴方だけでも逃げなさい。』

アプトノス【子】『嫌だ、ママを置いて行けないよ!』

アプトノス【親】『言う事聞きなさい!ここで死んでもいいの?!早く行きなさい!』

 

グラン(何か余計に殺し辛いんだけど。

モンスターの声聴こえるの便利だけど、ゲームだと躊躇いなく殺れるけど現実だと気が引けるな。)

 

グランが悩んでいると・・・

 

ナルガクルガ『おいどうした、早くやんねえのか。』

グラン「僕の代わりに狩って来て。」

ナルガクルガ『は?何で。』

グラン「お願い。」

ナルガクルガ『...ま、いいけどよ。』

 

ナルガはアプトノス親子に向かって飛びかかり、

翼刃で攻撃を仕掛ける。

 

ナルガクルガ『おらよ!!』

アプトノス【子】『わああああ!!!』

 

切り裂かれ、小型のアプトノスの体から鮮血が噴き出す。

 

アプトノス【親】『坊やー!!私の子が...嫌よ、嫌ーー!!』

ナルガクルガ『もう1匹ー!!』

アプトノス【親】『ああああ!!!』

 

もう一体のアプトノスもナルガに倒され絶命した。

 

グラン「・・・。」

ナルガクルガ『何で殺らなかったんだ?』

グラン「いや・・・声が聞こえるとさ、殺りにくくて。」

ナルガクルガ『はあ?んな甘いことしてるといつか死ぬぞ。』

グラン「・・・それもそうだな。

よし、肉を切り出して焼いていくぞ。」

ナルガクルガ『焼く?焦げて食えねえんじゃねえか?』

グラン「焦がさねえし見てろ。」

 

取り出した道具はハンターの必需品焼肉セット。

肉をセットし、折りたたみ椅子に座りながら肉を焼いていく。

 

ナルガクルガ『ちっちぇー火だな。

これで本当に焼けんのかよ。』

グラン「いいから見てろって。」

 

暫くすると、焼いてる肉に良い焼き具合になり香ばしい匂いが漂う。

 

ナルガクルガ『・・・ゴクリ』

グラン「さて、こんなもんかな。それでは定番のあれ言ってみるかな。」

 

焼けた肉を空に掲げて言葉を放つ。

 

グラン「上手に焼けましたー!」

 

「ガブッ」

 

グラン「え?」

 

焼き上げたこんがり肉は、ナルガに食べられてしまった。

 

グラン「おい!?ハンター決め台詞中に取んな!」

ナルガクルガ『モグモグ...』

グラン「聞いてんのか、おいってば!」

ナルガクルガ『・・・ぃ』

グラン「聞こえない、何だって...」

ナルガクルガ『うめえええ!!!』

グラン「!?」

 

突然の大声に体が跳ね除ける。

 

ナルガクルガ『何だこれは!?今まで食べてきた肉より断然うめえ!食べた瞬間肉がジュワっと広がってうめえ!焼けばこんなにも違うなんて、やっぱりお前に付いて正解だったぜ。』

グラン「感想どうも...って、違うわ馬鹿野郎!」

 

ナルガの顔にパンチをする。

 

ナルガクルガ『いだ!?』

グラン「人が折角焼いた肉盗るな!」

ナルガクルガ『狩ったのは俺だから別に良いだろ。』

グラン「少しは待てよ!」

ナルガクルガ『あんな良い匂いしてれば我慢なんか出来るわけねえって。』

グラン「取り敢えず満足したろ、採取したいのもあるから行くぞ。」

ナルガクルガ『待てって、その前にこの先に会っておきたい竜が...』

 

前に進もうとしたその時、森丘の奥から咆哮が聴こえてきた。

 

「グオオオオ!!!」

 

グラン「リオレイアの咆哮か!?」

ナルガクルガ『レイアママさんの声だ!

何かあったのか!?』

グラン「レイアママって知り合いか?」

ナルガクルガ『説明してる暇はない!

早く乗れ、飛ぶぞ!』

グラン「わ、分かった。」

 

ナルガに飛び乗り、森丘の崖上に向かう。

 

ナルガクルガ『あそこにはレイアママさんの巣があるんだ。』

グラン「リオレイアの巣があそこに...、ってことは誰かに襲われてるのか。」

ナルガクルガ『それしか考えられねえ。

夫のレウスさんは出掛けてて今は居ねえんだ。

だから時々俺が行って話したり獲物を送ってたんだ。』

グラン「へー、意外に優しいんだな。」

ナルガクルガ『意外は余計だ、それよりも着くぞ!』

 

着いた先に目にしたのは、ドスランポス1頭とランポス4頭がリオレイアを取り囲み襲っている光景を目撃した。

 

ドスランポス『野郎ども!卵を奪え!!』

ランポス一同『ヒャッハーー!!』

リオレイア『この下賎者め、絶対に卵は渡さないわ!』

ドスランポス『おうおう中々強気じゃねえの。

俺様はそういう雌は嫌いじゃねえぜ?』

 

躙り寄るドスランポス達。

 

リオレイア『こっちに来ないで!

来たらただじゃおかないんだから!』

ドスランポス『やってみろよ?近くにある卵ちゃんが当たって壊れたらどうなるんだろうなあ?』

リオレイア『くっ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

ナルガクルガ『レイアママが危ねえ!

早く助けねえと!』

グラン「待てナルガ、お前が飛び出したら卵に被害が及ぶかもしれない。」

ナルガクルガ『じゃあどうしろってんだ!?

このまま黙って見てろってのか?!』

グラン「そうは言ってない、これを使う。」

 

グランは背中に背負っていた物を下ろす。

 

ナルガクルガ『これは?』

グラン「ライトボウガンと言って、

火力はそんなにないけど単体で攻めるならこっちの方が効率が良い。僕がランポス達をおびき寄せるから、お前はその尻尾の棘で仕留めてくれ。」

ナルガクルガ『分かった、頼む。』

グラン「任せとけ。」グッ!

 

笑顔で答えランポス達に近付き、ライトボウガンを構えながら狙いを定める。

 

グラン「おい!こっち見ろ!」

 

後ろの声に気付き振り向くランポス達。

 

ドスランポス『あ゛?何でニンゲンがここにいるんだ。』

グラン「通常弾を喰らえ!」

 

通常弾を放ち、ランポス4頭に命中するもドスランポスは弾丸を躱す。

 

ドスランポス『てめぇ...死にてえようだなあ?』

グラン「・・・。」

 

武器を仕舞い、その場から離れる。

 

ドスランポス『どこ行こうってんだ!

野郎ども目標を変更だ、あのニンゲンを殺すぞ!』

ランポス『サーー!!』

 

ドスランポス達が追い掛けて行った先にはナルガクルガが待ち受けていた。

 

ドスランポス『な!?コイツが何でここに!

さっきのニンゲンは何処に逃げやがった!』

ナルガクルガ『お前ら・・・レイアママさんの卵を盗もうとしたな?』

ドスランポス『くそ!お前ら、やっちまえ!』

ナルガクルガ『しゃらくせえ!』

 

ナルガは尻尾の棘を放ち、ランポス4頭に見事命中し倒れた。

 

ドスランポス『く、くそ!こんな筈は・・・』

ナルガクルガ『レイアママさんの卵を盗もうとしたお前らは、ここで死ね。』

 

ナルガの尻尾叩きつけによって倒れるドスランポス。

 

ドスランポス『ぐが・・・。』

ナルガクルガ『ふん。』

 

隠れていたグランはナルガに近寄る。

 

グラン「上手くいったな。」

ナルガクルガ『ああ、全部お前のおかげだ。

借りが出来ちまったな。』

グラン「借りなんて言うな、ただお前に付き合っただけだから気にすんな。」

ナルガクルガ『それでも礼を言わせてくれ、ありがとう。』

グラン「気持ちだけは受け取っておくよ。

さ、リオレイアの所に行くか。」

 

リオレイアの無事を確かめに行った。

 

ナルガクルガ『レイアママさん!

ご無事ですか!?』

リオレイア『ナルガ君!?貴方が助けてくれたのね。』

ナルガクルガ『もう1人いますよ。』

グラン「初めまして、グランと言います。」

リオレイア『!?ニンゲンが何でここに...。』

ナルガクルガ『ママさんの卵に被害が及ばないように、アイツらを倒せたのはコイツのおかげなんだ。』

リオレイア『そうなの!?竜の言葉が分かるニンゲンがいるなんて、夢でも見てるのかしら。いいえ、そんな事を言っている場合ではないわね。』

 

グランに近付き頭を垂れながら話す。

 

リオレイア『ありがとうニンゲンの子よ。

私と卵を守ってくれて感謝しているわ。』

グラン「大した事はしてないよ。」

リオレイア『謙遜しなくてもいいのよ。

私があのまま戦っていたら卵にも当たったかもしれない。貴方が私の夫だったら頼もしいんだけど♪』

グラン「ええ!?」

ナルガクルガ『ママさん!?』

リオレイア『冗談よ。

それにしても夫は何をしているのかしら?』

 

リオレイアと会話していると、

大きな咆哮をあげながら地面に降り立った。

 

リオレウス『ニンゲン!ここに何の用だ!!』

グラン(・・・まあ、普通そうなるわな。)

リオレウス『我が炎に焼かれてしまえ!』

 

火球で攻撃する体勢のリオレウス。

 

ナルガクルガ『ここでそんなもんぶっぱなしたら卵が!』

グラン「話聞かないのか!?早合点すんなよ!」

リオレウス『問答無用、喰らえ!』

 

その時、リオレイアが前に飛び出し尻尾のサマーソルトを繰り出す。

 

リオレイア『止めなさい!!』

リオレウス『ぐぼあ!?』

 

攻撃準備が中断され、毒状態になる。

 

リオレイア『恩人に向かって何て態度なの!

直ぐ頭に血が上るのは直ってないわね。

最初に話を聞いてからって何度も言ってるでしょ!』

リオレウス『我が妻よ、ニンゲンがお前に襲われてたから私はてっきり・・・。』

リオレイア『私と卵を守ってくれたのよ、貴方も礼と謝罪しなさい。』

リオレウス『心配なのだレイアよ。

お前があのニンゲンに騙されているかもしれない。』

リオレイア『そんなに私が弱いかしら?』

リオレウス『そ、そんな事は言っておらぬ。』

グラン「あの〜。」

 

声を掛けるグラン。

 

リオレウス『近寄るなニンゲン!

それ以上近付いたら、その頭噛み付いてや・・・』

リオレイア『話を聞きなさいっていってるでしょ!』

リオレウス『ごはあ!?』

 

本日2度目のサマーソルトを喰らうレウス。

 

ナルガクルガ『相変わらずだな、この夫婦は。』

グラン「いつもこうなのか?」

ナルガクルガ『まあな、

話が終わるまで待とうぜ。』

 

グラン(モンスター達って皆こうなのか?

それよりもハンターとして人助けする筈が、

モンスター助けしてるんだけど・・・。)

 

リオ夫婦の話し合いが終わるまで待つことにした。




次回は新たな仲間が加わるかも?


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謎の力と迷惑な竜

リオレイア『お騒がせしました。』

グラン「あ、いえ。それよりも・・・」

 

チラッと、リオレウスの方を見る。

 

グラン「旦那さん毒状態になってるので良かったら解毒薬飲みますか?」

リオレイア『あら、優しいのね。

早速、夫に飲ませようかしら。』

 

レイアが受け取ろうとすると・・・

 

リオレウス『少しでも怪しいと思ったら、

直ぐにその身を灰にしてくれようぞ。』

グラン「誰がそんな事するか。

あんたみたいな勘違い野郎に言われたくないね。」

リオレウス『貴様...!我を愚弄するか!』

リオレイア『あなたは黙って飲みなさい!』

リオレウス『おご!?』

 

レウスは解毒薬を強引に飲まされた。

 

リオレウス『げほっ、ごほっ!』

 

すると、レウスの体からみるみる毒が消えていく。

 

リオレイア『効果てきめんじゃない。

良かったわね、あなた。』

リオレウス『う〜む、そのようだな・・・。』

 

レウスが近寄り言葉を放つ。

 

リオレウス『すまなかった、誤解するような真似をした。妻に何かあったら居てもたってもいられず・・・。』

グラン「いいよ、奥さんの事を思ってやったことなんだろ。だけど、周りの事もちゃんと把握してから行動してよね。」

リオレウス『うむ、承知した。

〜っしてお主、我々の言葉が分かるのは真か?』

グラン「ああ。

今更だな言うの。」

リオレウス『我も数多のニンゲンを見てきたが、

竜の言葉が理解出来るのをこの目で見るのは初めてでな・・・、興味深いものだ。』

 

モンスターと会話していると、

コッコッと音をたて、1個の卵にヒビが入る。

 

グラン「生まれるんじゃないか、あれ。」

リオレウス『何!?』

リオレイア『私達の子が遂に生まれるのね!』

 

卵を見守っていると、

中から新しい生命が誕生した。

 

リオレウス『おお...!なんと可愛らしい。

しかし、娘に違いないが色が我とも妻にも似てないな。』

リオレイア『ええ、普通は私と同じ色の筈なんだけど。』

 

リオ夫婦が疑問に思う中、グランはその答えを言う。

 

グラン「そのリオレイアの子、亜種だね。」

リオレウス『亜種とな?それは何なのだ。』

グラン「(え、知らないのか?)亜種は通常のモンスターと違って、戦闘能力が高いんだ。まあ、簡単に言うと強い子が誕生したって事。」

ナルガクルガ『何でそんな詳しいんだ?』

グラン「習ったから。(本当は習ってなくてゲームの知識なんだけどね。)」

 

そう聞いた途端、リオレウスは咆哮をあげる。

 

リオレウス『聞いたか、レイアよ!

我が子は強いと言う事だ。』

リオレイア『ええ、聞いたわ。

今日は驚きの連続ね。』

グラン「僕はモンスターの誕生に感動しているよ。」

 

そんな中、生まれたばかりのレイア亜種がよろよろと歩き出し、上を見上げる。

 

リオレイア亜種『だれ?』

リオレウス『はう!何と可愛らしい声だろうか!

聞こえるか我が子よ、パパだぞ〜。』

リオレイア『あなたのママよ、気分は大丈夫かしら。』

リオレイア亜種『ん〜、お腹空いた〜。』

グラン「生まれたばかりで第一声がそれかい。」

 

突っ込んでいると、レイア亜種が見てくる。

 

リオレイア亜種『あなた、だれ?』

グラン「え?あなたって僕の事?」

リオレイア亜種『うん。』

グラン「君達モンスターの敵のニンゲンだよ。」

ナルガクルガ『相棒!?何言ってんだ!』

 

ナルガが大声を出して反応する。

 

グラン「いいから黙ってて。

ニンゲンだけど名前はあるから自己紹介しとくよ。

僕の名前はグラン、今日からハンターになったばかりの新人ハンターだよ。」

リオレイア亜種『ハンターってなに?』

グラン「ハンターというのは、危険なモンスターを狩る人の事。一言で言うと、君達モンスターを倒す人って思えばいいよ。」

リオレイア亜種『じゃあ、ハンターさんはどうしてここにいるの?』

グラン「隣にいるナルガのお兄さんと一緒に君のお母さんの卵を守っていたの。」

リオレイア亜種『そうなんだー。

貴方って、強いの?』

グラン「強くないよ。」

リオレイア亜種『ウソでしょ。』

 

急な発言に驚く。

 

グラン「え。」

リオレイア亜種『私、分かるの。

まだ卵に居た時、感じたの。

あなたは実力を隠してるでしょ、違う?』

ナルガクルガ『本当かよ相棒!?』

グラン「いや...僕は何の事だか・・・(人間と違って生まれた瞬間から知能があるのか?)」

 

生まれたばかりのリオレイアとは思えない発言に戸惑うグラン。すると、リオレイア亜種が近づいてくる。

 

リオレイア亜種『・・・』

グラン「どうした・・・!?」

 

突然、至近距離から火炎球を放ってきた。

その際、危なげながらも体を捻り回避する。

 

グラン「おい!?いきなり何すんだ!

流石に怒るぞ!?」

リオレイア亜種『もっと大きいのいくよ。』

 

次に、先程よりもでかい火の玉が飛んできた。

 

ナルガクルガ『レイアママさん!止めた方が良いと思いますよ!!』

 

リオ夫婦に訴えかけるも・・・

 

リオレウス『見なさい、レイアよ。我が娘があんなにはしゃいでおるわ。』

リオレイア『ええ、誰に似たのかしらね。』

 

他人事の様に話していた。

そして、巨大な火の玉はグランに向かって直撃した。

・・・そう誰もが思っていた筈が、

巨大な火の玉は方向を変え、上空に打ち上げていた。

直撃する手前、左手に構えていた盾で火の玉を上に打ち返したのだ。

 

リオレイア亜種『!?』

グラン「いい加減にしろ...」

 

その時、グランからただならぬ気配を醸し出していた。

 

ナルガクルガ『(な、何だ!?)相棒、お前・・・』

 

ナルガクルガが声を発したと同時に、グランはその場から消えた。

 

リオレウス『なに!どこだ?!』

 

周りを探すも見当たらない。

 

グラン「こっちだ。」

リオレイア亜種『え!どうやっ...』

 

突然後ろから現れたグランに驚くのも束の間、

首元を鷲掴みにされた。

 

リオレイア亜種『うぐっ!』

ナルガクルガ『相棒!それ以上やったら...って、何だその目...!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性1「ねえねえ、あの子ハンターになったんだってね。」

女性2「私も聞いたわよ、凄いじゃない。」

ミストル「ええ、ありがとう。

でも、心配な事が1つだけあるのよ。」

女性2「なさそうだと思うけど、何が心配なのよ。」

ミストル「あの子が・・・・・・モンスターになるんじゃないかって。」

女性1「モンスター並に強くなるってことかしら?」

ミストル「全然違うわ。

今思い出しても信じられなかったわ。

グランが・・・・・・1回だけ竜の瞳になったあの時から...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナルガクルガ『俺らと同じ目!?』

 

グランの瞳は、竜の瞳に変わっていた。

 

リオレウス『娘を離さぬか!』

グラン「・・・。」

 

突撃するリオレウスの攻撃を片手で止め、

投げ飛ばし壁にぶつかる。

 

リオレウス『ぐあっ!?』

リオレイア『あなた!』

ナルガクルガ『おいおい、どうなってんだよ・・・。あの力は普通じゃねえぞ!?』

 

グランの手に更に力が入る。

 

リオレイア亜種『くる...し..い..。』

ナルガクルガ『やめろ相棒!このまま続けると子供が死ぬぞ!』

グラン「・・・れ。」

ナルガクルガ『は?』

グラン「俺に攻撃した事を謝れ。」

三竜『『『そこ!?』』』

リオレイア亜種『わ、わかった。

謝るから離して!』

 

手を離しリオレイア亜種を解放する。

 

リオレイア亜種『げほっ、げほっ!』

リオレウス『大丈夫か!?どこか痛い所はないか!』

 

娘に駆け寄る夫婦。

 

ナルガクルガ『おい、あんな力があるなんて聞いてないぞ。その目の事もだが、何だそれは?』

グラン「目がどうしたって。」

ナルガクルガ『だから自分の顔見ろって!』

 

言われた通り、近くにあった光る鉱石を鏡代わりに使い、自分の顔を見る。

 

グラン「え、何これ。僕の目どうなってんの。

瞳孔も細くなってるし、待って訳分かんねえんだけど。」

ナルガクルガ『知らねえのかよ。

レイアママさんの旦那さんをぶん投げたんだぞ。』

グラン「やべえ・・・竜の瞳とかカッケェ、

テンション上がるわ...!」

ナルガクルガ『いや、覚えてねえのかよ!

さっきお前がやったことだぞ!?』

グラン「・・・あっちが悪いから僕は悪くない。

正当防衛だ。」

ナルガクルガ『そうかもしれないが...、相手は生まれたばかりだぞ。』

グラン「...はあ、しょうがないな。」

 

歩きながらリオレイア亜種に近付く。

 

グラン「カッとなって悪かったよ。

だけど、君がいきなり火球放ってくるからだぞ。」

リオレイア亜種『それは...貴方の実力がどれ程のものか確かめたかったのよ。』

グラン「?どういう事だ。」

リオレイア亜種『私のパートナーに相応しいのか見極める為の試練だったの。まあ、私も少しは反省してるから許してね。』

グラン「パートナーて何の?話が見えてこないんだけど...。」

 

リオレイア亜種の子供の話が理解出来ずにいると、とんでもない事を口にする。

 

リオレイア亜種『決まってるじゃないの。

私の旦那に相応しいかの試練って事。』

グラン「はあ!?」

ナルガクルガ『嘘だろ!?』

リオレウス『娘よ!何を言い出すのだ!?』

 

突然の言葉に驚く1人と2頭。

 

リオレイア亜種『予想していた以上に実力もあったし、これなら私の旦那さんとしては充分ね。』

リオレイア『あらあら、随分過激な事。』

リオレウス『そんな事を言っとる場合か!

我らの娘がニンゲンなんぞに取られてしまうのだぞ!』

ナルガクルガ『やべえぞ相棒...どうする?』

グラン「・・・。」

ナルガクルガ『相棒?』

 

黙り込む事数秒、グランの取った行動は・・・

 

グラン「ナルガ、離陸体勢。」

ナルガクルガ『え?』

 

ナルガに目線を向け無言の圧をかける。

 

ナルガクルガ『...コク。』

グラン「レイアママさん、レウスパパさん。

・・・娘さんとお幸せにー!!!」

 

大声で発すると同時にナルガの背に乗る。

 

グラン「逃げるんだよー!ナルガー!!」

ナルガクルガ『だろうと思ったよ!』

 

飛び上がりその場から離れようとするが・・・

 

リオレイア亜種『何処行くの?』

 

こちら目掛けてリオレイア亜種が追いかけて来た。

 

グラン「ナルガー!飛ばせー!」

ナルガクルガ『無茶言うな!俺は飛行に関しては向いてねえんだよ!』

リオレイア亜種『逃がさない...。』

 

狙いを定めて火球を飛ばす。

 

ナルガクルガ『〜っ危な!』

グラン「え?」

 

回避した事により体勢を崩し、乗っていたグランが落ちていく。

 

ナルガクルガ『っ...!しまった...!』

リオレイア亜種『邪魔よ。』

ナルガクルガ『いだ!?』

 

ナルガクルガに体当たりし振り切るリオレイア亜種は、グランに向かう。そして・・・

 

リオレイア亜種『掴まえた。』

グラン「勘弁してくれ...。」

 

リオレイア亜種に鷲掴みにされ、

逃げる事が出来ず地上に降りることになった。

 

 

 

 

 

 

 

リオレイア亜種『何で逃げるのよ、未来の妻を置いてひどいわ。』

グラン「何が未来の妻だ...ニンゲンの僕には関係ない...。」

リオレウス『そうだぞ娘よ。

ニンゲンと番になる事などあってはならんのだ。』

リオレイア亜種『今パパには聞いてない。

少し黙ってて。』

リオレウス『む、娘が反抗期に...』

 

ガックリと項垂れるリオレウス。

 

ナルガクルガ『つうかよ、何でコイツなんだよ。

ニンゲンのうえにハンターやってんだぞ。』

リオレイア亜種『もしかして気付いてないの?』

ナルガクルガ『何がだ?』

リオレイア亜種『この人、古龍の血が匂いがする。

っていうか混ざってる。』

 

またしてもとんでもない発言を飛ばす。

 

グラン「え。」

ナルガクルガ『...!!』

リオレウス『何だと!それは本当か!?

ニンゲンよ、何故隠していた!』

グラン「いや・・・僕自身も知らないよ。

待って...もしかしてあの時かも・・・。」

リオレウス『あの時とは何だ。』

グラン「夢だと思って気にとめていなかったんだけど、僕がまだ小さかった頃...崖から落ちた事があったんだ。

あまりの高さから落ちたから出血が酷くて助からないと感じ絶望の淵にいたんだ。その時、モンスターの唸り声が聞こえて喰われるのかと思ったら、何かを飲ませられたんだ。」

ナルガクルガ『相棒、それって...。』

グラン「朧げだから分からない。けど...」

ナルガクルガ『けど・・・何だ。』

 

記憶を隅々まで探り、辿り着いたモンスターの名前を口にした。

 

グラン「確か・・・ナナ・テスカトリ。」

3頭『『『!!!』』』

 

古龍の名前を言った途端、ざわめく竜達。

 

リオレウス『ナナ様だと!?

だが先程の瞳、ううむ...。』

ナルガクルガ『それで俺らの言葉が理解出来たんだな。それなら納得だ。』

グラン「あ、ああ。(理解出来たのは女神から貰ったスキルで、古龍の血とは関係ないんだけどね。)」

 

モンスターの言語理解については伏せて、

誤魔化す事になった。

 

グラン「さっきの話だが番になんてならないぞ。

古龍の血があろうとなかろうと、生まれたばかりの君と結婚なんて無理。」

リオレイア亜種『ふーん.....じゃあ貴方について行く。』

グラン「は?ついてくんな。

子供は親にちゃんと面倒見てもらえ。

それから巣立ちしろ。」

リオレイア亜種『今から巣立ちするからいい。』

グラン(何がなんでもついてくる気か・・・、

ナルガだけで手一杯なのに...。)

 

話の内容を聞いていたレウスパパが口を開く。

 

リオレウス『ニンゲンと共に行くのか!?

ダメだ!まだ狩りの基本を教えてないというのに。』

リオレイア亜種『1竜で出来るからいらない。』

 

そっぽ向くような仕草を取ると、

リオレウスは再び項垂れる。

 

リオレウス『ニンゲンよ、我はどうすれば...。』

グラン「こっちが聞きたいよ。

てか親子なのに性格が似てない。」

ナルガクルガ『それな。』

 

決められずに話をしているとリオレイアから、

ある提案を持ち掛けてきた。

 

リオレイア『このままじゃ埒が明かないわね...。

ニンゲンの子よ、私達の娘をお願いしても良いかしら。』

グラン「えぇ...。」

リオレイア『面倒な事というのは分かっているわ。

それに、洞窟で過ごすより先に世の中を知る良い機会になるかもしれないから。』

グラン「・・・全く、とんだわがまま娘が誕生したもんだよ。1竜増える事になるとはね。」

リオレイア『それじゃあ...』

 

息を整え、リオレイアに向けて言葉を放つ。

 

グラン「レイアさんの頼み、引き受ける事にするよ。」

リオレイア『そうですか、感謝します。』

グラン「但し!」

 

リオレイアに指差すグラン。

 

グラン「まだ孵化してない卵があるから、

全部の卵が孵って狩りの基本とやらを習得するまでの間だけだからな。ずっと行動するのは流石に無理がある。」

リオレイア『承知しています。』

 

リオレイア亜種の方に歩き寄り、言葉を発する。

 

グラン「リオ夫婦の子供、レイアさんの頼みだから仕方ないとして聞いてやった、条件付きだけどな。」

リオレイア亜種『貴方と行動出来るなら何でもいい。』

グラン「・・・取り敢えずリオレイア亜種とか呼びにくいから名前で呼びたい。」

リオレイア亜種『名前なんてない。

貴方が決めて。』

グラン「だよな、じゃあ今日から君の名前は〖桜華〗。そんでナルガ、お前は〖黒影〗だ。」

桜華『うん、気に入った。』

黒影『悪くない響きだ...!』

 

名付け終えたと思い、その場から離れようとする。

その時、リオレウスに呼び止められる。

 

リオレウス『ニンゲンよ、我も名前が欲しいのだが良いか?』

グラン「お?立ち直ったか、大丈夫か?」

リオレウス『途中から話は聞いていた。

こうなっては仕方あるまいが、

我が娘を頼む。』

グラン「分かった、あと名前だったな。」

リオレイア『私も欲しいわ。』

グラン「・・・ついでに言うなよ、少し考えるから待って。」

 

考える事1分・・・

 

グラン「レイアママさんは〖仁愛〗、レウスパパさんは〖紅牙〗でどうだ?」

仁愛『何だか生まれ変わった気分だわ。

そうでしょ、あなた。』

紅牙『ああ...我は喜びに打ち震えておるぞ...!』

 

自分だけの名前を持ち喜び合う2竜。

 

グラン「準備は良いかな?

黒影、桜華。」

黒影『バッチリだぜ!』

桜華『いいよ。』

グラン「それじゃあ、行くぞ!」

 

こうして新たな仲間、桜華(リオレイア亜種)と共に次の目的地を目指すのであった。




途中から面倒くさくなってしまった。


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剣士と料理人の称号を持つ者

表現力とか苦手。


〜天界〜

ディオーネ「こらー!エロース何処にいるのー!」

 

天界で一際大きく声をあげていた。

 

エロース「あんら〜、ディオーネちゃんじゃない。

大きな声出してどうかしたの〜?」

ディオーネ「どうかしたですって?

記録映像を確認したら、あの子にスキルを勝手に付けたの映ってたわよ。貴方、何のスキルを付けたのか言って今すぐ!!」

エロース「んもう、そんなに怒らないの。

そんなに怒ってると、眉間にシワが増えるわよ〜。」

 

ディオーネの視線が鋭くなる。

 

エロース「分かったわよ〜。ちょっと面白そうだからと思って〜、『誘惑』のスキルを付けたの〜。」

ディオーネ「何ですって!?誰の許可なく与えたの?!あの子はそんな事望んでないわよ!」

エロース「ごめんね〜、ほんの出来心♪」

ディオーネ「〜っ!!はあ、取り敢えず貴方が勝手に付与したスキル外させて貰うからね。」

エロース「え〜?だめじゃなーい、そんな事言わ...」

ディオーネ「い・い・わ・ね!?」

エロース「分かったわよ〜、んもう。」

 

グランに付けられた『誘惑』のスキルは、ディオーネによって取り外された。

 

 

 

 

 

 

リオ夫婦の巣から旅立って40分、

道端で出くわした小型モンスターを蹴散らしながら歩みを進めていた。

 

桜華『ねえ、まだ着かないの?』

グラン「まだ。」

桜華『まだ〜?』

グラン「しつこいな、まだっつってんだろ。」

 

桜華は立ち止まる。

 

桜華『私疲れたー、おんぶしてー。』

グラン「無理に決まってるだろ、背負う程の力ないから。黒影に乗せてもらえ。」

桜華『それは遠慮するわ。』

黒影『何でだよ、俺は構わないぜ。』

桜華『グラン様以外はお断り。』

黒影『いつから様付けになったんだ、

全然似合ってねえw』

桜華『うるさいわね、あんたみたいな雄には関係ないじゃない。』

黒影『口の利き方がなってねえようだな...!

その生意気な態度、俺が1から教育してやろうか!』

グラン「やめろ。」

 

2竜の間に止めに入る。

 

黒影『何で止めるんだ。』

グラン「言ったって桜華が聞くと思うか?」

黒影『だからこそだよ。

コイツには痛い目をあわせる必要がある。』

グラン「・・・。」

 

モンスター同士なら何とかなると思ったのも束の間、相性が合わない2竜に溜息をつく。

 

グラン「黒影はその位でカッとなるな。

それに桜華、そんなんじゃこの先1竜でやってけないぞ。いつまでも自分が良いとかそういう考えは止めることだな。直さないつもりなら...」

 

グランの瞳が竜の瞳に変わる。

 

黒影『チッ...!わかったよ...。』

桜華『...うん。』

 

2竜の返事を確認し再び歩みを進めようとしたその時、遠くから何かが向かってきていた。

 

グラン「ん?」

 

目視すると、ティガレックスから逃げているアイルーがいるのを確認する。

 

ティガレックス『待ちやがれー!』

アイルー「ニャ、ニャ・・・はぁ。」

 

あのままではいずれ捕まって喰われてしまうかもしれない。そう思うと、いてもたってもいられずティガレックスに向かおうとしたら、アイルーが何かを取り出し投げた。

 

グラン「!!閃光玉だ、2竜共目を閉じろ。」

 

指示に従い目を閉じる。

 

ティガレックス『うが!?目が見えねえ!

クソ猫が、何処だ!』

アイルー「わざわざ広い所まで来てご苦労様だニャ。お陰で戦い易くなったのニャ。」

 

背負っていた荷物の中からアイルーサイズの剣を取り出し、ティガレックスに向けて構えた。

 

ティガレックス『何言ってんのか分かんねえが、目が見えればてめえの最後だ!』

アイルー「んーニャ、これで終わりニャ。」

 

アイルーはティガレックスの懐に入り、

剣を胸部辺りに深く刺し込む。

 

ティガレックス『がは!?』

アイルー「ボクに会ったのを後悔するんだニャ。」

 

刺した剣を引き抜き腰に仕舞うアイルー。

 

ティガレックス『こ...この俺が、この俺がネコ1匹にやられる訳ねえんだよ!』

 

最後の一撃を振り絞るかの様に、

喰らいつこうとする。

 

アイルー「ニャ!?」

グラン(・・・黙って見てる訳にもいかないな。)

 

そう思い背中にかけてある太刀を引き抜き、

アイルーの元まで駆けつけようとするが、

場所が遠く直ぐには追いつけない。

 

グラン(あの時の感覚を思い出すんだ、怒りが発動のきっかけだけじゃない。もっと、こう...そうだ!背中辺りに力を入れてゾワゾワさせる感じにすれば...!)

 

すると、瞳孔が竜の瞳に変化し奥底から力が込み上げてきた。

 

グラン(良し、これなら...!)

 

脚に力を込め、バネのように一気に伸ばし瞬時にアイルーの前に到達し、背中に掛けてあった太刀を引き抜く。

 

グラン「天翔斬!!」

 

思いっきり下からジャンプしながら切り上げるように、

ティガレックスの胴体を真っ二つする。

 

ティガレックス『かへ?』

アイルー「ニャニャ!?」

 

真っ二つになったティガレックスは絶命した。

 

黒影『すげえ!何だ今の!?

一瞬の内に殺っちまったぞ!』

桜華『流石...未来の夫...!』

黒影(まだ言ってんのかよ...。)

 

ティガレックスが死んだ事を確認し、

後ろにいたアイルーを見ながら声をかける。

 

グラン「大丈夫か?」

アイルー「は、はいニャ。

すまんのニャ、やったと思ったのニャんだけど油断してやられてしまう所だったニャ。

ありがとうだニャ。」

グラン「ああ、次からは最後まで気を抜かずに挑めよ。じゃあな。」

アイルー「はいニャ、ってハンターさん!

あそこにモンスターが2体いるニャ!」

 

黒影と桜華を指差す。

 

グラン「ああ、訳あって同行してる。」

アイルー「ニャんですって!?

ハンターさんはモンスターを手懐けているのかニャ?」

グラン「いや、アイツらが勝手についてくるだけ。」

アイルー「へぇー、不思議ですニャ。

それにさっきの太刀筋凄かったニャ...。」

グラン「もういいか?

ないなら...「ご主人様!」あ?」

 

旦那様と言われキョトンとするグラン。

 

アイルー「先程の太刀筋は見事感服し、しかと拝見しましたニャ。どうか、ボクをご主人様の弟子...オトモにして欲しいのニャ!」

グラン「ええ!?」

 

突然の申し出に驚愕する。

 

グラン「ううん...。っ!そういえば君、さっきのティガレックスと対峙した時、閃光玉からの攻撃に転じているのを見てて、アイルーとは思えないくらい動きしてたよな。どこで習ったの?」

 

アイルーに問うと、

 

アイルー「他アイルー共とハンター野郎の戦いを見て学んだのですニャ。」

 

当然の答えを返してきたが、今の言葉に疑問を抱く。

 

グラン「ちょっと待って、最初の言葉に嫌悪混ざってないか?」

アイルー「あ、ニャウ...失礼しましたニャ、忘れて下さいニャ...。」

グラン「・・・何となく分かった。」

アイルー「ニャ?」

グラン「何となくだけど、僕の予想が当たってればね。こんな所でアイルー1匹ってのは変だなとは思った。他ハンターと他アイルーに仲間外れにされた事がある?」

アイルー「...!?!?」ビクッ

 

アイルーの体が小刻みに反応した。

 

アイルー「ニャ、ニャんで...。」

グラン「当たったか、君にとって嫌な言葉だったな、言わなくてもいい。気分害してしまってごめんな。」

 

アイルーに背を向け立ち去ろうとする。

 

アイルー「ま、待ってくれニャ!」

 

呼び止められ再び後ろを振り向く。

 

アイルー「貴方様の言う通りニャ。

ハンターさん、ボクの話を聞いて貰えないでしょうか。」

グラン「・・・聞こう。」

アイルー「ありがとうございますニャ。

ボクは、生まれた時から無能と言われてたのニャ。」

グラン(無能...。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜とある村〜

アイルー1「こら!何してるニャ!

こんな事も出来ないのかニャ!?」

アイルー「うう...ごめんなさいニャ。」

アイルー1「全く、ここまで使えない奴は初めてだニャ。」

アイルー「ごめんニャ...次は失敗しないニャ...。」

アイルー1「お前みたいな出来損ないは要らないニャ!とっとと失せるニャ!」

ハンター(男)「何してんだ?」

アイルー1「旦那様、こいつがまた食器を割ったのですニャ。」

ハンター(男)「はあ?またかよ。」

アイルー1「旦那様、ボクは我慢ならないニャ!こいつを解雇して欲しいニャ!」

ハンター(男)「1匹増えれば楽出来ると思ったが違ったようだな。次からはもうちょっと優秀な奴見つけるか。良いぞ、そいつ本日付けで解雇する。」

アイルー「そ、そんニャ!お願いしますニャ、どうかもう一度だけでも!」

アイルー1「しつこいニャ、旦那様が解雇と言ったのだからお前はクビニャ!とっとと失せろニャ!」

 

仕事場から放り出され、途方に暮れていた。

お母さんはボクを庇いモンスターに襲われ死んだ。それ以来、小遣い稼ぎとして働いてみるも上手くいかず、無能と言われる日々。仕事場を変えても追い出され、転々と移動していた。

 

アイルー(ボクは何の為に生きているのかニャ...。

お母さん、どうしてボクを助けたのニャ。

無能なボクに生きていく価値なんてあるのかニャ?もう分からないニャ...。)

 

その時、小型モンスターのジャギィが3匹現れる。

 

ジャギィ「ギャウ!ギャウ!」

アイルー「ニャ!?に、逃げなきゃ殺られるニャ...!」

 

必死にジャギィから逃げる。

だが、その先には逃げ場がない断崖絶壁に着いてしまった。

 

アイルー「い、行き止まり!?そんニャ!」

ジャギィ「ぐるる...!」

 

ジャギィに囲まれ絶体絶命のピンチに陥る。

 

アイルー「こうなったらやけくそニャ、最後まで足掻いてみせるニャ!」

 

腰に掛けてあったアイルーピックを持ち、

ジャギィと対峙する。

 

アイルー「ニャーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイルー「ニャハハ...な、何とか生きてるニャ。」

 

奇跡的にも逃げ果せたものの、

ジャギィの噛みつき攻撃により左額部と腹部に深くも浅くもない傷を受けてしまっていた。

 

アイルー「ハア...まだ小型モンスターには勝てニャいけど、それでも生きてるニャ。

ボクは、死んでないニャ。無能じゃないニャ!」

 

ジャギィとの戦いの後、新たな目標を掲げる。

 

アイルー「決めたニャ。ボクは誰にも負けない位のアイルー、いやハンターをも超える存在になるニャ!解雇したボクを誰も引き止めてくれなかった...!見返してやるニャ、強くなってみせるニャーー!!」

 

沈む夕日を目に、決意を抱いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイルー「誰よりも努力し勉学に打ち込んだニャ。こうしてボクは1匹だけで戦いと料理、そしてモンスターの言語を理解出来るアイルーになったのニャ!」

グラン「モンスターの言葉が分かるの?」

アイルー「はいニャ。竜人にお願いして学んだのニャ。」

グラン(マジかよ、努力は実るってか。)

 

アイルーと話をしていると、

痺れを切らしたのか黒影と桜華が近くに来ていた。

 

桜華『ねえ、話長いんだけどまだ?』

黒影『話終わらねえのか、退屈で飽きてきたんだけど。』

グラン「あ、待たせてすまん。」

アイルー「ニャー、リオレイア亜種とナルガクルガが目の前にいるニャ!ニャんだけどリオレイア亜種が何か小さい感じがするニャ。」

グラン「生まれたばかりだからな。」

アイルー「ニャるほど。」

 

納得するアイルー。

 

グラン「じゃあ行くぞ。」

アイルー「ニャにがです?」

グラン「何がじゃないだろ。ひよっとして僕のオトモになるの嫌だったか?」

アイルー「ニャ!?失礼しましたニャ!

嫌じゃないニャ、これからよろしくお願いしますニャ!」

グラン「うん、よろしく。じゃあさっそく、名前を決めなきゃな。」

アイルー「名前ですかニャ!?ボクの!?」

グラン「他に誰がいるっての。まあ、もう決めているんだけどな。これから宜しくな【ハクロウ】」

アイルー「ハクロウ?」

グラン「白い毛並みに1匹狼、安直だけどハクロウ。どうかな?」

アイルー「ううん!嫌じゃないニャ!

改めましてこのハクロウ、ご主人様の弟子及び、オトモとして頑張らせて頂きますニャ!!」

グラン「おう。んじゃ、桜華に黒影行くよ。」

桜華『はーい。』

黒影『おうよ!』

 

こうして新たにアイルーのハクロウを仲間に加え、まだ見ぬ世界へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜パーティ一覧〜

グラン(人間)年齢15

12種の武器を扱え、古龍の血を宿すハンター。争い事が苦手で面倒な事は避けたいと思いつつも、困っている人がいたら助ける性格。(by.グラン:やっとアイルーをオトモに出来たー!またモンスターだったらどうしようかと思ったよ...。)

 

ハクロウ(アイルー)年齢11

白い毛並みに左額部に三本の横線上の傷跡があり、戦いのアシストや料理も出来るアイルー。負けず嫌いで、何事にも挑戦的で努力を惜しまない性格。(by.ハクロウ:ご主人様以外は皆敵だニャ。)

 

黒影(ナルガクルガ)年齢26

元々密林に生息していたナルガだが、言葉を理解出来る人間のグランと出会い同行する事になった。ランクは上位モンスターに匹敵する程の実力を持ち、楽しい事に目がない。(by.黒影:相棒の1番のパートナーはこの俺だ。こればかりは譲れねえ。)

 

桜華(リオレイア亜種)年齢0

リオ夫婦の卵から孵ったばかりだが知性が高く、他者の実力を見分ける能力がある。お嬢様的な性格で、自分より弱い者には従わない。常に人間のグランを自分の夫にしようと目論んでいる。(by.桜華:グラン様の未来の妻はこの私、誰にも奪わせはしないわ。)



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非常と無常

これ書くのに結構時間掛かった。自分の考えてる事って時々分からなくなるな。


野原を歩いている最中に、桜華がグランに尋ねる。

 

桜華『ねえ、歩いてるより飛んでった方が早いと思わない?』

グラン「分かってないな桜華。

一気に着いたらつまらないだろ?

こういうのは歩いた方がいいの。」

桜華『えー、私休みたーい。疲れたー、おねが〜い。』

 

桜華が駄々捏ねていると、黒影が話し掛けてきた。

 

黒影『相棒、俺もこいつに賛成だ。

メシもまだ食ってねえし、そろそろ休憩しても良いと思うが?』

グラン「・・・そうだな。

あそこの洞窟で少し休憩をとるか。」

 

その言葉を聞いた途端、桜華は真っ先に洞窟に向かって行った。

 

グラン「あいつ・・・疲れてないだろ...。」

黒影『知らね。』

 

兎にも角にも洞窟に辿り着き、

休息をとることにした。

 

グラン「メシって言うけどさ、肉も何もないよ?」

黒影『そっか、じゃあ俺が調達してくるわ。』

 

黒影は林の奥へと消えていった。

 

グラン「僕らは洞窟で待機だ。」

アイルー「はいニャ。」

 

 

 

 

 

 

〜10分後〜

黒影『ふぉってひふぁふぉ(持ってきたぞ)』

グラン「(意外と早かったな)ご苦労様。

それじゃあハクロウ、調理をお願いできるか?」

ハクロウ「お任せ下さいニャ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜華『ふ〜、お腹いっぱい。

お肉がこんなに美味しい物だったなんて思わなかったわ。』

黒影『相棒の焼いた肉より美味かったぜ!』

グラン「はいはい、僕は肉しか焼けないよーだ。」

黒影『何拗ねてんだよ。

たまにはお前が焼いた肉も食いたいからよ、

そんな不機嫌になるなって。』

グラン「ナッテナイ。」ツーン

黒影(なってるだろ...。)

ハクロウ「ご主人様、料理はお口に合いませんでしたかニャ?」

 

心配そうに顔を覗かせる。

 

グラン「そんな事言ってないだろ。

最高に美味しかったよ。」

 

ハクロウの頭を優しく撫でる。

 

ハクロウ「ニャふふ///」

グラン「さて、腹も膨れた事だし行くぞ。」

桜華『えー、もう行くの?

もう少ししてからでもいいじゃない。』

グラン「体を動かさないと太るぞ?

そんな姿になったら誰もお前の事を娶ってくれないぞ。」

桜華『!?それは駄目よ!

今行くから待って!』

 

慌てて洞窟から出る桜華。

 

黒影『あいつを扱うの上手いな。』

グラン「こうでもしないとやる気起こしてくれないし。レイアママからの頼みもあるけど、それよりレウスパパの方が後から怖いんだよなあ。」

黒影『娘を想ってくれてるんだ。

父親だからな。』

グラン「ああ、準備は良いか?

行くぞ...ん?」

 

出発の声掛けしようとすると、

1頭のガーグァがこちらに急接近してくる。

そのガーグァには見覚えがあった。

 

グラン「あいつ...僕の村にいたガーグァだ。」

ハクロウ「逃げたのかニャ?」

グラン「それはありえない。

村から出た事なんて1度もないんだ。」

 

そんな事を話してると、

ガーグァが大声で発してきた。

 

ガーグァ『グランしゃーーん!

ここにいたんですね!良かった...。』

 

グラン達の目の前に止まり、呼吸を整える。

 

グラン「お前どうしたんだ、村から出れば駄目じゃないか。」

ガーグァ『ごめんなさい...って、今はそれどころじゃないんですよ!』

グラン「それどころじゃない?

一体何を・・・」

ガーグァ『村にジンオウガが現れたんですよ!

しかも二つ名の【金雷公】が!』

グラン「!?」

 

あまりの発言に驚きを隠せなかった。

何故村に二つ名のジンオウガが現れたのか理解し難い事だ。

 

グラン「冗談言ってんのか・・・」

ガーグァ『冗談言う為にここまで来ますか!?今ハンターも出払ってて誰もいないから貴方を呼びに来たんですよ!』

 

予想だにしなかった事が自分の村に起きていた。その事実を知り一瞬どうすればいいのか理解が追い付かなかったがこれだけは言えた。

 

グラン「今すぐ村に戻る、

お前はどっかに身を潜めてろ。」

ガーグァ『は、はい!』

グラン「黒影・桜華・ハクロウ、今こいつが言った事が本当なら村が大変な事態になっている。ここまで来て申し訳ないが手を貸してくれ。」

黒影『当たり前だろ。お前の故郷が危ないなら俺は助けるぜ!』

桜華『グラン様の居場所は私が守る。

私も行く。』

ハクロウ「ボクはご主人様のオトモニャ。

例え地獄だろうとどこまでも着いていきますニャ!」

グラン「!ありがとう。

桜華!乗せてくれ。」

 

桜華は身を低くしグランを乗せ、

ハクロウは黒影に乗る。

 

グラン「村まで全速力で飛んでくれ!」

桜華『任せて。』

 

グラン達は村を目指し飛んで行った。

 

ガーグァ『グランしゃん・・・、

どうか気を付けて。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜天界〜

ディオーネ「・・・・・・。」

 

天界から見守っていたディオーネが見ていたものは、グランの故郷である村が金雷公に襲われている光景だった。

 

ディオーネ「間に合うといいけど...。今でも相当の人間が殺されてる。じゃないと、あの村にいる人達は全滅してしまうわ。早く...!」

???「こんな所で何をしておる。」

 

背後から突然声を掛けられる。

 

ディオーネ「お、オーディン様!?

いらっしゃったとは...気付かず申し訳ありません!」

オーディン「そこまで謝らなくてもよい。

転生した人間の子が気になっておるのか?」

ディオーネ「はい...。」

オーディン「どれどれ、ふむ...。」

ディオーネ「オーディン様?」

 

モンハンの世界を覗く戦いの神オーディン。

 

オーディン「あの村が転生した人間の故郷か?」

ディオーネ「はい、そうです。」

オーディン「運命は回避出来ぬぞ。」

ディオーネ「え!?それはどういう意味で...」

オーディン「そこからは儂の口からは言えん。

最後まで見守った方が良いぞ。最後まで、目を背けずにだ。儂はもう行く、ではの。」

 

オーディンはその場からゆっくり立ち去って行った。

 

ディオーネ「・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜とある村〜(グラン達が着く3分前)

村人1(男)「荷物はいい!兎に角逃げろ!」

村人2(男)「逃げ延びた人は居ないか確認しろ!急げ!」

村人3(男)「畜生!何で今日に限ってガオルさんはいねえんだよ!」

村人1(男)「ぐだめいても仕方ないだろ、早くこの場から離れるんだ!」

 

村の半分が崩落し、村人の半数が金雷公によって死に絶えていた。

 

金雷公ジンオウガ「グオオオオ!!!」

 

金雷公の咆哮が全体に響き渡り、

村人達は恐怖に慄いていた。

 

村人1(女)「もうだめだわ、あたし達あのモンスターに食い殺されてしまうわ!」

ミストル「そんな事言わないの。ここから生き延びる為には逃げなきゃ。」

村人2(女)「でもミストルさん、近くにモンスターが迫って来てるのよ。」

ミストル「分かってるわ、まずは逃げる事を考えて行動するのよ。」

 

崩壊してない家の裏で隠れながら話してると、

逃げ遅れたのか小さい女の子が村の正門の所にいるではないか。

 

ミストル(あの子の親は何処なの!?)

 

近くに親らしき人はおらず、女の子1人が取り残されていた。その時、金雷公は女の子に目をつけた。

 

金雷公「ぐるるる...!」

女の子「お母さん...ひぐ、どこ?

こわいよ...。」

金雷公「グオオオ!!」

 

金雷公が少女目掛けて襲いかかる。

ミストル(いけない!)

 

ミストルは何ふり構わず少女の方へと走っていく。

 

村人1(女)「ミストルさん!?」

ミストル(目の前にいる小さい子を死なせる訳にはいかないわ!)

 

女の子「いやあああ!!」

ミストル「!!」

 

ミストルは体全体を使い、

少女の体ごと前方へ吹き飛ばす。

 

女の子「あう!」

ミストル(この子を飛ばした後、何するか考えてなかったわ。・・・ガオル...グラン...あなた達は)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラン「見えて来た!

桜華、降りる準備をし...!」

桜華「グラン様?」

 

村に降りようとした先に見えたものは、

自分の母親が金雷公に噛み砕かれていた。

桜華が村の出入口に降りたと同時に、

目の前で目撃したのが母親が丸呑みにされる瞬間だった。

 

グラン「・・・・・・。」

金雷公『ったく、ガキを喰うつもりが他のニンゲンを喰っちまったぜ。ま、味はそんな悪くなかったがな。まさかこんな所にニンゲンが多くいるなんてラッキー!』

 

その時、後からハクロウを乗せた黒影が到着した。

 

黒影『こいつが金雷公...!』

ハクロウ「とてつもない威圧感を感じるニャ...!」

金雷公『ん?』

 

グラン達の存在に気付いたのか、こちらを目視する。

 

金雷公『ニンゲンに迅竜と飛竜がいるとかどうゆうこった?』

 

疑問に思ってると、黒影が言葉を発する。

 

黒影『てめえ、この村にいたヤツらをどうした!』

金雷公『あ?そんなもん喰い殺してやったに決まってんだろ。おかしな事聞くんだな。』

黒影『!!』

ハクロウ「ニャ...ニャんて事をするんだニャ!

ボクが成敗してやるニャ!」

 

ハクロウが金雷公に突撃しようとすると、

グランが止めに入る。

 

ハクロウ「ご主人様!?

何で止めるニャ!今すぐあいつを倒すニャ!」

グラン「・・・。」

ハクロウ「ご主人様?」

 

その時、グランからとてつもない憎悪と怒りを2竜と1匹はその場で感じ取る。

 

黒影『あ、相棒...。』

桜華『グラン様...。』

 

グランは金雷公にゆっくりと歩み寄る。

 

金雷公『何だニンゲン。

この俺に用か?っても通じねえか。』

グラン「用事ならある。」

金雷公『?!俺の言葉が分か...』

グラン「吐き出せ。」

金雷公『がはあ!?』

 

一瞬の出来事だった。

目に見えない程の高速の蹴りが金雷公の腹部を直撃し、壁側に激突する。

 

金雷公『〜っかは!この力は一体...貴様ただのニンゲンじゃ...!?』

グラン「吐き出せって言ってんだろ。」

 

竜の瞳に変化したグランの重い一撃が、

甲殻を貫通し金雷公の腹部に命中する。

 

金雷公『うぐ!?げぼ!!』

 

刺激されたせいか、先程呑み込まれた母親のミストルが金雷公の口から吐き出され、グランはその体を抱える。

 

ハクロウ「やったニャ、吐き出したニャ!」

 

一同はグランの所に向かい、吐き出された人の安否を確認しようとする。

 

グラン「・・・母さん...。」

黒影『相棒...。』

ハクロウ「う!?これは酷いニャ?!」

 

ミストルの体は無惨な姿に変わり果て、あちこち噛み砕かれており、原型をとどめていない程までになっていた。それでも尚、グランは母親の亡骸を優しく抱き締める。その時、金雷公が立ち上がり吠える。

 

金雷公『ニンゲンの分際でよくもやってくれたな...!貴様の胴体切り裂いて喰い殺してやるからなあ!!』

黒影『!?来るぞ!』

桜華『あいつがグラン様の母君を...許さない!』

 

金雷公に向かい飛びながら旋回する。

 

黒影『やめろ桜華!お前が勝てる相手じゃない!』

桜華『私に指図しないで!こいつだけは焼き殺すんだから!』

 

特大の火球を放ち、金雷公に迫る。

 

金雷公『うるせえハエだな...!』

 

金雷公は咆哮と共に、自身を中心に落雷のような電撃を放ち、桜華が放った火球を打ち消す。

 

桜華『私の攻撃を止めた!?』

金雷公『てめえの様なガキは呼んでねえんだよ!』

 

金雷公は真帯電状態へと変貌を遂げ、前脚の叩きつけと共に落雷のような電撃を発生させ桜華に命中する。

 

桜華『きゃあああ!!』

ハクロウ「ニャ!?桜華が!」

黒影『くそ!』

 

黒影は直ぐ様飛び出し、落ちていく桜華をタイミング良く背中で受け止める。

 

黒影『1竜で突っ走るな。』

桜華『う..っさいわね...!

私でも・・・やれると・・・思ったのよ...!』

黒影『戦いの経験不足が何言ってんだ。

そこで休んでろ。』

 

桜華を背中から下ろした黒影は金雷公と対峙する。

 

黒影『今度は俺の番だ!』

 

黒影は撹乱する様に金雷公の周囲をジグザグに移動する。それを見た金雷公は嘲笑う。

 

金雷公『は!芸のないこったな。』

黒影(勝手に言ってろ。

このまま動いて奴がほんの少しでも隙を見せれば、チャンスは訪れる筈だ...。)

 

様子を窺っていると、金雷公は先程と同じ様に前脚を叩きつけようとするが、・・・

 

金雷公『うざってえんだよ!』

黒影『!?』

 

今度は連続で前脚を叩きつけ、広範囲の電撃を放ち黒影に襲い掛かる。

 

黒影『んな...!?滅茶苦茶しやがる!』

 

落雷のような電撃を躱していく黒影だが、躱す位置が分かっていたのか、金雷公は一気に距離を詰める。

 

金雷公『吹っ飛びな!!』

黒影(さっきの攻撃は囮か!?不味い...このままだと直撃だ...!)

 

吹き飛ばされるのを覚悟した黒影だが、横から丸い物が飛んで来るのを確認すると同時に、空中で破裂し強烈な高周波が響き渡り、2竜共動きが止まる。

 

金雷公『が!?』

黒影『うぐ!?』

ハクロウ「やらせないニャ!」

 

音爆弾を投げたのはアイルーのハクロウだった。それにより黒影は危機を回避した。

 

黒影『すまない、助かった。』

ハクロウ「ニャへへ、モンスターにお礼を言われるなんて初めての経験だニャ。」

金雷公『糞が!よくも邪魔立てしやがったな!?もう許さねえ!てめえら全員生きて帰れると思うなあ!!!』

 

特大の咆哮が村全体に響き渡り、金雷公の周囲に落雷が発生する。

 

ハクロウ「ニャニャニャ!?」

黒影『実力差があり過ぎる・・・、一旦ここから離れるんだ!聞いてるか相棒!』

グラン「・・・・・・。」

 

しかし、グランはその場を動こうとしない。

 

ハクロウ「ご主人様!早く行くニャ!」

黒影『相棒?!聞こえてんのか、おい!』

 

黒影とハクロウの呼び掛けに対してピクリともせず。その時、金雷公がこちら側に突進しながら迫って来た。

 

金雷公『先ずはさっき俺様を吹っ飛ばしたニンゲンだ!覚悟しやがれー!!』

グラン「・・・情けねえ...。」

 

悲しげな表情を浮かべゆっくり立ち上がり、顔を俯きながらも金雷公に向き直る。

 

グラン(村の人達・・・教官・・・母さんすらも守れねえなんてよ。本当に情けねえ...。)

黒影『相棒ー!避けろーー!!』

ハクロウ「ご主人様ーー!」

グラン「本当に...!」

 

次の瞬間、グランの髪が青白く逆立つのに変わり金雷公の突進攻撃を受け流しながら前脚を掴み、地面に叩きつける。

 

金雷公『がはっ!?』

 

地面に叩きつけられたと同時に、右角が豪快に折れる。

 

グラン「お前が二つ名とかどうとかなんてどうでもいい。」

金雷公『くっ!』

 

体勢を整え距離をとる。

するとグランはハンターナイフを構える。

 

グラン「失った生命は回帰しない。」

 

続けて言葉を放つ。

 

グラン「何故奪う?そこまでして何の意味がある?」

金雷公(この台詞は...!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナナ・テスカトリ《貴方は、生命をどう思ってるの?楽しむ為?強くなる為?》

 

記憶の奥底から蘇り、脳内を刺激する。

 

金雷公(あのニンゲンが何故あいつと重なるんだ...!)

 

かつての出来事が昨日の様に浮かび上がる。

 

グラン「何故...。」

ナナ・テスカトリ《どうして...。》

 

 

 

 

 

〖 奪おうとする? 〗

 

 

 

金雷公『〜っ!黙れ!!』

 

叫ぶと同時にグランの背後に周り、

尻尾を使ったサマーソルトの攻撃態勢に入る。

 

金雷公『その耳障りな台詞を止めろってんだよ!!』

 

今にも繰り出される攻撃が迫る中、

グランは右手に装備している盾を使い、大きく体をしならせつつ金雷公の尻尾にぶつけ衝突する。

だが、尻尾の攻撃に耐えられず盾が徐々にヒビが入り、遂には壊れる。

 

グラン「っく...。」

 

盾が壊されると同時に後退する。

武器が壊され他に何かないか視界を大きく見開く。その時、崩落した家から落ちた物なのか1本の太刀が目に入る。

 

金雷公『〜っは!そんなもんかよ?

残ってるちっちぇナイフで俺を切れるとか思ってねえだろうなあ?!』

グラン「無論思ってない。その代わり...。」

 

姿勢を低くして右に大きくジャンプし太刀を拾い上げる。

 

グラン「・・・こいつで終わりにする。」

 

その太刀には見覚えがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー遡ること5年ー

 

ガオル「こら!それに勝手に触るなグラン。」

グラン「わ!?びっくりしたー。

いや、カッコイイから持ってみようかなあ、なんて思って。」

ガオル「それは古い友人から貰い物だ。

次からは触るな?見るだけなら構わんが。」

グラン「でも父さん、何でそれ使わないの?すごく強そうだよ。」

ガオル「お?お前もこの太刀の魅力が分かるか!だがな、それを使うのは今じゃない。」

グラン「どうして?」

ガオル「それはな・・・お前がもう少し大きくなってからだなあ。」

グラン「何だよ、別に教えてもいいじゃん。」

ガオル「だが、いつかはコイツが必要になる時がくる。それまでは、ここに飾って置くんだ。」

 

 

 

 

 

 

ガオル「いいか?使う時は必ず訪れる。その武器の名前だけは教えてやるが忘れるな?それまでは・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラン「今がその時だ・・・使うよ、父さん。〖天上天下無双刀〗を...!」

 

引き抜いた太刀を両手で握りながら両方の瞼を閉じ、居合切りの態勢に移る。

 

金雷公『あ"?その構えしときながら動かねえとか、俺を舐めてんのか?』

グラン「・・・・・・。」

 

返答に応じず呼吸を整え、じっとチャンスが来るのを待つ。

 

金雷公『何するか分かんねえが、これで終わりだ!』

 

真帯電状態になりグランに向かって突進する。

 

アイルー「わざわざ自分からやられに行くニャんてあいつ馬鹿だニャ!」

 

すると、金雷公は不敵な笑みを浮かべる。

 

金雷公『俺様がただ突っ込むだけかと思ったか?』

 

突進から大きくジャンプした直後、眩い程までの電撃を纏い体全体を回転しながらグラン目掛けて襲い掛かる。

 

アイルー「上に飛んだニャ!?」

黒影『突進はただの囮か...!』

金雷公『死に晒せニンゲンーー!!!』

 

金雷公が迫る中、意識に集中し気配を周囲全体まで張り巡らせていた。そして、そのチャンスは訪れ一気に開放する。

 

グラン「一の技、七刀一閃〖焔〗!」

金雷公『!?速...!!』

 

グランが放った攻撃は、瞬時に7回もの斬撃を金雷公が襲う。

 

金雷公『がああああああ!!!』

 

その時、斬られた箇所から青白い炎が燃え広がり、

金雷公を包み込む。

 

金雷公『熱い熱い!畜生!』

 

落下した金雷公は地面にのたうち回る様に火を消そうとするも、消えずにもがき苦しんでいる。

 

黒影『どうなってんだ...。』

桜華『これがグラン様の真の実力なのね...!』

アイルー「流石はご主人様ですニャ!」

 

納刀し戦いは終わったと思った矢先、

金雷公は苦しみながらもグランに向かっていく。

 

金雷公『まだ・・・だ...!』

グラン「・・・。」

 

金雷公に哀れみな視線を送る。

 

金雷公『そんな目で俺を見るな!

てめえの様なニンゲンに追い詰められなきゃならねえんだ!!何故だ!?』

 

声を荒らげながら答えを求むと、

聞かれた本人は口を開く。

 

グラン「お前は・・・変わろうとしないんだな。」

金雷公(また...!?)

 

その台詞がまた金雷公の脳裏を横切る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナナ・テスカトリ《貴方はもう、変わろうとしないのね。》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金雷公『っ〜ざけやがって!馬鹿にしてんのか?!』

グラン「・・・・・・さようなら。」

金雷公『待て!俺は、ま・・だ・・・。』

 

炎が消えると徐々に意識が薄れ、地面に伏せてしまう。

 

金雷公(こんな強いニンゲンがいるなんて・・・しかも目と色が変わるとか聞いてねえ...。!?)

 

死ぬ前に一目見ようと顔を上げると、

その後ろ姿はある者を連想する。

 

金雷公『(ったく、そういうことかよ。)奴から何を貰った...。』

グラン「何の話してるんだ。」

金雷公『っは!シラを切るんじゃねえ...。その目と色、ナナのババア・・から何か・・・貰ったんだろ...。』

グラン「・・・だったら何。」

 

その言葉を聞いた途端、理解したのか脱力感に見舞われる。

 

金雷公『(成程な)はは...俺様も運がねえな...。

ほん・と今日・・は・特・・に・・・な・・・。』

 

喋り続けていたが、

金雷公は程なくして息を引き取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー20分後ー

村の外れにある墓地に皆の遺体を埋め、

死んでいった者の冥福を祈る。

 

グラン(ゲームじゃないんだ・・・この世は弱肉強食。弱き者が食われ、圧倒的強者が生き残る。僕はハンターにとして人々の助けになろうと・・・思ったのに...!ガーグァが来ても数人程度しか助けられなかった...。)

女の子「グランお兄ちゃん?」

グラン「...!」

 

声を掛けられ気付くと、

小さな女の子が下から覗かせていた。

 

女の子「大丈夫?」

グラン「・・・ちょっと大丈夫じゃ・・ないかな...。」

 

その場を後にしようと立ち上がると、

生き残った村人の1人が声を掛けてきた。

 

村人(男)「待てよグラン。」

グラン「・・・何か用?」

村人(男)「何か用だと?」

 

男が突然グランの胸ぐらを掴む。

 

村人(男)「人が沢山死んで涙1つ流さねえのか!」

グラン「一々ここで泣いてても仕方ないだろ。泣いてる暇があるならどうするべきか考えたらどうだ。」

村人(男)「!?てめえ!」

 

頬を殴られ倒れ込むグラン。

 

村人(男)「お前が早く来ればこんな事にはならずに済んだのに・・・!」

グラン「・・・だからと言って、起きてしまった事は二度と戻らない。それくらい誰でも分かる。ウジウジすんなみっともない。」

村人(男)「こんの...!もう1発ぶん殴らせろ!!」

 

地に伏せていたグランは瞬時に立ち上がり、男の攻撃を回避し殴り返す。

 

村人(男)「がは!」

グラン「お前の言う通りだよ、僕が早く来ればこんな事にはならなかったかもしれない。だけどな、この世界はモンスターもいて常に危険と隣り合わせなんだ。これ以上言わせんな、もう分かりきってるだろ...。」

 

喋り終えると、森の奥に消える様に去って行く。

 

村人(男)「おい!話は終わってな・・・」

桜華「ギャオオオ!!!」

村人(男)「ひ!?」

 

男の行く手を遮る様に、桜華が目の前に立ちはだかる。

 

桜華「グルル...!『これ以上グラン様に近付いたら焼き殺す...!』」

村人(男)「た、助けてくれー!」

 

男は大慌てで桜華から遠ざかる様に逃げた。

その後、女の子が桜華に近くまで歩いていく。

 

村人(女)「何してるんだい!?危ないよ!」

桜華「・・・。」

女の子「あの、モンスターさん。

あたし達を助けてくれてありがとう!

グランお兄ちゃんが助けに来てくれなかったら、あたし・・・とにかく本当にありがとうございました!」

 

女の子は大声を出し、深々と桜華にお辞儀する。

 

村人(女)「ああ...!そんな所にいたらモンスターに喰われちまうよ!早く戻って来なさい!」

桜華「...!」ギロ

村人(女)「ひ!?」

 

桜華は村人を睨み付けた後、目の前にいる女の子を傷つけないように鼻でつついた。

 

女の子「!!」

桜華「ぐるる...。」

 

その後、桜華・黒影・ハクロウはグランについて行き、村から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー3分後ー

グラン達は森の中を歩いていた。

 

桜華『〜っなんなのよ!あの小さなニンゲンの雌以外グラン様に感謝の言葉もない訳?!』

ハクロウ「ホントニャ!村の危機を救ったご主人様が何で責められなきゃいけないのニャ!理解に苦しむのニャ!」

黒影『本当だぜ、なあ相棒。』

グラン「・・・。」

 

すると何故か、グランは途中で立ち止まる。

 

黒影『?どうした...!?』

 

限界が来てしまったのか、黒影が声を掛けようとした際に前触れもなく倒れ込んでしまった。

 

ハクロウ「ご主人様!?」

桜華『!?』

黒影『おい!どうしたんだ急に!』

 

何度呼び掛けるも返事がない。

どうやら気絶している様だ。

 

桜華『ど、どうしたらいいの!?』

黒影『落ち着け、取り敢えず近くに休ませる場所を探す事が先決だ。』

桜華『近くだったら・・・私の巣に連れてって休ませる。』

黒影『・・・そこしかないか...。』

 

グランを乗せ、リオ夫婦がいる巣まで移動する。

 

黒影(金雷公と戦った時、相棒に起きた変化は何だったんだ?分からない所だらけだ...。相棒が起きたら聞いてみるか。)

桜華『何してるの?行くわよ!』

黒影『ああ、ハクロウは俺に乗れ。』

ハクロウ「分かったのニャ。」

 

1匹と2竜は急いでリオ夫婦の巣に飛んで行った。




危うく1万文字いくかと思って焦りました。気が付けばこうなってしまった。


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新天地
後悔からの決意


※語彙力ないです。
毎回これ言っとこ。


ーリオ夫婦の巣ー

仁愛『あなた、なにソワソワしてるの。』

紅牙『う、うむ。久々に早く帰って来れたのだ。だから・・・』

仁愛『なに?』

 

紅牙は落ち着かない態度を見せていた。

 

紅牙『我とシテはくれないだろうか?』

仁愛『してって何の?はっきり言いなさい。』

紅牙『・・・こ。』

仁愛『?』

 

紅牙は息を整えた後、覚悟を決め言葉を放つ。

 

紅牙『我と...!』

桜華『ママーー!!』

紅牙『こう...今の・・・桜華か!?』

仁愛『ええ、聴こえたわ。

それにしては早過ぎじゃないかしら?』

 

外を覗くと、上空から桜華と黒影が巣の前に降り立つのを確認する。

 

紅牙『どうした娘よ、こんな早くに帰って来るとは...。もしや我の事が恋しくなってき...』

桜華『今はそれどころじゃないの!

中に入るわ!』

 

そう言うと、桜華に続き黒影も巣に入って行く。

 

紅牙『何をそんなに急いでおるのだ?

ちゃんと説明しなさい。』

桜華『パパはちょっと黙ってて!』

 

紅牙はショックを受けたのかその辺に蹲る。

 

仁愛『そんなに慌ててどうしたの?』

桜華『ママ!グラン様が...!』

 

桜華の背中には今も尚、気絶しているグランの姿を目視する。

 

仁愛『...!何があったの?』

桜華『それが...あの...あの...!』

仁愛『落ち着きなさい、ちゃんと説明して。』

黒影『仁愛さん、俺が説明します。』

 

黒影は、これまで起きた出来事を説明する。

金雷公によって村人の大半が殺された事、そしてグランの変化について一通り話した。

 

仁愛『そう...さぞ辛い目にあったようね。

まだ子供なのに...。』

紅牙『生みの親までもが殺され、しかも金雷公なる二つ名か。とんでもない奴が近くに迫っていたとはな。』

 

何事も無かったかのように会話に入る紅牙。

 

紅牙『その話から聞くに黒影、金雷公とやらはグランが倒したと言ったな?』

黒影『そうです。』

紅牙『ニンゲンが二つ名を持つ者を倒す程の実力・・・そしてあの色・・・まさかな。』

黒影『何か思い当たる事が?』

紅牙『あの髪の色?だったか。

ナナ様の鬣の色と似ておるのだ。』

黒影『え!?』

 

一同は騒然とした。

 

仁愛『あなた、それは本当なの?』

紅牙『ああ、何回かナナ様のお姿を拝見したのでな。間違いあるまい。』

桜華『それで!グラン様はいつ目覚めるの?!』

紅牙『それは分からぬ。』

桜華『分からないって...このまま目を覚まさなかったらどうするの!?』

 

興奮気味な様子で紅牙に近付き問い詰める。

 

紅牙『娘よ、少し落ち着きなさい。』

桜華『落ち着いてなんかいられないわ!私は...!』

仁愛『静かにしなさい!!』

桜華『!?』

 

1頭の竜が桜華に向かって言葉を放つ。

 

仁愛『桜華、話はちゃんと聞いたの?』

桜華『・・・うん。』

仁愛『この子は力を使い果たして疲れているだけ、時間が経てば目を覚ます筈よ。』

桜華『ほんとう?』

仁愛『ええ、だからあなたもグランさんを信じて待つのよ。分かった?』

桜華『分かった...。』

仁愛『分かったなら良いのよ。

今日は色々あって疲れたでしょう、少し休んでいきなさい。』

桜華『うん...。』

 

桜華は巣の端っこへ移動し休む。

 

紅牙『いとも簡単に娘を静めるとは、流石我が妻だ。』

仁愛『あんたねえ...いつまでも甘やかせば良いってもんじゃないのよ、分かってるの?』

紅牙『む、無論、承知している。』

仁愛『ホントかしら?

まあいいわ、そこのアイルーくん。

姿を見せてくれるかしら。』

 

声を掛けられ、黒影の背後から姿を見せる。

 

ハクロウ「は、初めまして!ハクロウって言うニャ!」

仁愛『元気が良い猫さんだこと。

あなたも私達の言葉が理解出来るのね?』

ハクロウ「はいニャ、いっぱい勉強したのニャ。」

紅牙『ほう?このちっこいのが...。』

ハクロウ「ニャ!?」

 

ハクロウに近付こうとするが黒影に隠れてしまう。

 

紅牙『何故逃げるのだ?』

ハクロウ「おじさんの顔、怖いニャ...。」

紅牙『!?おじさん・・・だと...。』

 

思わぬ発言にたじろぐ。

 

仁愛『ふふ♪』

黒影『くふ...!おじさんって(笑)』

紅牙『馬鹿者!我はまだ35しか生きとらんわ!』

黒影『いやいや、十分生きてるって。

因みに俺は26。』

仁愛『あたしは28ね。』

ハクロウ「みんなボクより年上なのニャ?

黒影お兄ちゃんに仁愛お姉ちゃん!」

紅牙『我は!?』

ハクロウ「紅牙おじさん。」

紅牙『うぐ!?何故だ...。』

 

紅牙がヘコむ姿を見て一同はほのかに笑った。

 

仁愛『今日は大変だったでしょう、此処でゆっくりしていきなさい。』

黒影『ありがとうございます。』

ハクロウ「ありがとうございますニャ!」

仁愛『あなた、小型でもいいから狩って持ってきなさい。』

紅牙『今からか!?

さっき帰ったばかりなんだが...。』

仁愛『い・い・わ・ね?』

 

仁愛の圧迫感ある発言に渋々従い、

巣から飛び立って行った。

 

黒影『厳しいですね。』

仁愛『そうでもないわ、むしろ優しい位よ。』

ハクロウ「ニャら、ボクは運んで来る肉を調理しますニャ。」

仁愛『調理?』

黒影『仁愛さん、ハクロウが作る物は普通の生肉より何倍も美味いんですよ!』

仁愛『それは楽しみね。

期待しちゃおうかしら。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー上空ー

紅牙『なんか我だけ仲間外れにされて解せぬ...。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー30分後ー

黒影『やっぱりハクロウの作るメシは最高だわ。

ただの生肉じゃ食っていけないわ。』

仁愛『ホントね、肉から溢れ出るこの味...何とも言えないわね。』

紅牙『ちっちゃい猫の割には中々やるではないか。

肉がこんなに美味いとは。』

 

するとハクロウは紅牙が食べていた肉を取り上げた。

 

紅牙『何をする!?それは我のだぞ!』

ハクロウ「ちっちゃい猫の作るメシを空の王者に上げられないニャ。」

紅牙『返せ!』

ハクロウ「嫌ニャ。」

 

紅牙は、外に逃げるハクロウを追いかけて行った。

 

仁愛『賑やかねえ。』

黒影『そうっすかねえ...。』

仁愛『ええ、それより桜華。

起きてるんでしょ?お肉食べなさい。』

 

モゾモゾと身体を動かすが起きようとしない。

 

桜華『いい...。』

仁愛『ちゃんと食べないと大きくなれないわよ。』

黒影『ママさんの言う通りだぜ。

起きろって。』

桜華『グラン様が起きるまで待つ...。』

黒影『こいつは相当に重症だな。

いいからさっさと起きろ。』

 

声を掛けた瞬間、グランが目を覚ます。

 

グラン「う・・・ここは...?」

黒影『相棒!目が覚め・・・』

桜華『グラン様!!』

黒影『いだあ!?』

 

黒影を突き飛ばし割って入る桜華。

 

グラン「あれ?ここってリオ夫婦の巣か?」

桜華『気が付いたのね!

どこか痛い所はない!?』

グラン「うるっさ!?声もっと低くして、頭に響くから...。」

桜華『私心配したのよ?

グラン様に何かあったら私・・・居てもいられず...!』

グラン「分かったから・・・心配掛けたな、桜華。」

 

桜華の頭を優しく撫でる。

 

黒影『いってて・・・やっと起きたな...。

てか、俺を吹っ飛ばすな!

今の痛かったぞ!』

桜華『その場所にいたあなたが悪い。』

グラン「桜華。」

桜華『はい!』

グラン「黒影に謝れ。」

桜華『え?』

グラン「え?じゃないから。

一緒に行動してる仲間を突き飛ばしておいて謝罪の言葉もないのか?」

桜華『それは...。』

 

桜華は黒影に振り返り、頭を下げた。

 

桜華『突き飛ばしてごめんなさい。』

黒影『・・・おう。』

仁愛『ふふ、やっぱり娘をグランさんに預けて正解だったわ。』

グラン「それ本当に正解なのかな...。

そうだ...!僕の太刀は知らない?」

ハクロウ「ご主人様ーー!!」

 

外から戻ってきたハクロウが抱き着いてきた。

 

ハクロウ「ご主人様!怪我してないニャ?

大丈夫ですかニャ!?」

グラン「なんとかな、ってそれより太刀は何処にあるんだ?」

ハクロウ「それが・・・ご主人様が倒れた後、粉々になったのニャ。」

グラン「え、何で?」

紅牙『ナナ様の力に耐えきれなかったのだろう。』

 

そこには息が上がっている紅牙がいた。

 

グラン「どういう事?ってか何でそんな疲れてんだ。」

紅牙『ふん!なあに、軽い運動だ。』

ハクロウ「ボクを追い掛けて疲れてるだけだニャ。」

紅牙『余計な事を言うでない!』

グラン「どういう経緯で追いかけ回ってるのか知らないけど・・・それより力が耐えきれなかったって。」

 

紅牙は質問に答える。

 

紅牙『恐らくだが、ニンゲンが作った武器と相性が合わなかったのだろう。ナナ様のお力は特別でな、我が知る古龍達より遥かに秀でているのだ。そもそも色が変わるのは聞いたことはないが。』

グラン「色って何の?」

ハクロウ「ご主人様の髪の色ですニャ。」

 

そう言い、荷物の中から手鏡を渡した。

 

グラン「え。何で髪の毛が青白くなってんの?

この色ってナナ・テスカトリだよな。」

紅牙『そうだろうな。

ナナ様のお力がお前の体から現れたと言う事だ。』

グラン「・・・力がなんだ...。」

ハクロウ「ご主人様?」

 

グランは深く息を吸い込み、大きく吐き出す。

 

グラン「ナナさんは僕に何をさせたかったんだ?何で人間の僕に古龍の血なんか与えたんだ?」

桜華『グラン様...。』

グラン「あの時に崖から転落した僕なんか構う必要なんてなかったんじゃないか...!」

黒影『おい、何言って...。』

グラン「村の人達が死んだのは本当は僕のせいなんだ...!」

黒影『落ち着け相棒!何言ってるのか分かんねえぜ!』

グラン「教えてよ!」

黒影『!!』

 

不意にグランの瞳から涙が溢れる。

 

グラン「僕は・・・何を間違ったんだよ...。」

黒影『それは・・・。』

グラン「分かってる筈なんだ!だけど、予想だにしない事が起きて、理解が追いつかないんだ...。」

 

故郷を奪われ母親もこの世にいない、

帰る場所を失ったグランに、メンバーは声を掛けられなかった。だが、それに応えるかの様に話す者がいた。

 

仁愛『グランさん。

私は間違っていない、むしろ貴方と出会って良かったと思うわ。

そうでなければ、卵が無事でなかったかもしれないもの。』

紅牙『妻の言う通りだ。

お前が居なければ娘と会えなかったかもしれないのだぞ?

確かに失った代償は計り知れぬもの...。

だが、今のお前にはナナ様のお力が宿っている。』

グラン「それが何?

今更ナナの力が発現したからって僕には・・・」

紅牙『貴様、何か勘違いしてるのではあるまいな?』

 

続けて言葉を放つ。

 

紅牙『ナナ様がどういった経緯で血を分け与えたのかは知らぬが、その力で他の者を助けるべきではないか。違うか?』

グラン「だとしても・・・僕には帰る場所が...」

紅牙『いつまでも腑抜けになるな!

無ければ作ればいい、

それでもダメならまた探せば良い、

我々モンスターはそうして来たのだ。

桜華が惚れた男でも許さぬぞ!』

桜華『え?パパ今なんて?』

仁愛『あなたったら、本当はとっくに認めてるのね。』

紅牙『え?あ!ち、違うぞ!?

これは決してそういう意味で言った訳ではない!

あくまで勇気付ける事を含めた上で話したのだ!』

ハクロウ「ボクも聞いたニャ。

紅牙おじさんの言った事聞き逃してないニャ。」

紅牙『おじさんは止めろ!』

黒影『・・・だってよ相棒。

相棒がそんなんじゃ、どの道始まらないぜ?』

グラン「・・・。」

 

グランは涙を拭い顔を上げる。

 

グラン(村は殆ど崩壊して復興は無理だろう。

あの場所には二度と戻れない...。

なら、僕がやるべき事はある筈だ。

それを1からまたやるんだ...!)

 

グラン「僕は・・・」

 

皆に思いを伝えようとした時、

何者かの気配をハクロウが感じ取る。

 

ハクロウ「ご主人様!

外からモンスターの気配がするニャ!」

グラン「!」

 

グランは巣から出ると、

1頭のジンオウガがいた

サイズは差程大きくはない。

 

グラン「お前は誰だ。」

ジンオウガ『貴方が兄を殺したニンゲンですね。』

グラン「兄・・・仇討ちか?」

ジンオウガ『違います、謝罪と感謝を伝えに来たのです。』

グラン「どういう事だ。」

 

ジンオウガは話を続ける。

 

ジンオウガ『兄は私達兄妹の中では憧れの雷狼竜でしたが、次第に口調・態度も荒くなり、力を追い求め遂には群れである同胞の生命までも奪っていきました。』

グラン「・・・。」

ジンオウガ『流石にやり過ぎだと思い止めたのですが・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンオウガ(今日は大きめの小型モンスターを狩れたわ。兄さんも少しは褒めてくれるかしら。)

 

巣に戻る途中、近くから血生臭い匂いが漂って来た。

 

ジンオウガ(この血の匂い・・・あっちから?)

 

匂いを追って辿り着いた先には、

ジンオウガを含め10頭の大型モンスターが死んで、死体を貪り食べている1頭のジンオウガがいた。だが、その中には知っている同種を確認する。

 

ジンオウガ『(これは...!?)兄さん!これはどういう事!?いくら何でもやり過ぎよ!同じジンオウガなのにどうして!?』

金雷公『あ?見て分かんねえのか、強くなる為に決まってんだろ。あと同じジンオウガだって言うけどな、知らない奴らは俺にとって敵なんだよ。』

ジンオウガ『(狂ってる...)だからって・・・私には、ただ無意味に生命を奪ってる様にしか見えない...。』

金雷公『・・・はあ、ほんっとに俺の妹か?

兄妹だから一応生かして置いてやったがもういいわ。』

ジンオウガ『え。』

 

すると金雷公は、ジンオウガの尻尾を覆っていた甲殻を砕いた。

 

ジンオウガ『痛...!兄さん何を・・・。』

金雷公『ついでにこれも折っとくか。』

 

続いて金雷公はジンオウガの両方の角を盛大に折った。

 

ジンオウガ『うあ...!』

金雷公『さて、これでお前は飛竜でいうと翼をもがれた竜って事だ。俺の兄妹でも何でもない。』

ジンオウガ『兄さん...!何訳の分からない事を言うの...。』

金雷公『うるせえ!』

 

サマーソルトを繰り出し吹っ飛ばされ、大木に衝突するジンオウガ。

 

ジンオウガ『かは!』

金雷公『てめえとの兄妹縁もここまでだ。

弱いジンオウガは要らねえんだよ。

俺から最後の慈悲だ。とっとと俺の目の前から消え失せろ、〜って思ったが止めだ。お前を殺して俺様の血肉にしてやるよ、感謝しな?弱っちいお前でも役立つ日が来たんだからなあ?』

ジンオウガ『う・・・。』

 

もうダメだと思い瞳を閉じる。

その瞬間、1頭の竜が舞い降りた。

 

ジンオウガ(誰...)

ナナ・テスカトリ『縄張り争いかと思い遠くから眺めていましたがそうではないようですね。違う種ならともかく、同種の生命を奪うとは・・・』

金雷公『誰だ?てめえは。』

 

青い竜はジンオウガにこの場を離れるよう伝える。

 

ナナ・テスカトリ『ここは私が何とかします。貴女はお逃げなさい。』

ジンオウガ『あ、あなたは一体・・・』

ナナ・テスカトリ『早く。』

 

質問しようとするも逃げなさいと催促され、名前も知らない竜の言葉に従い森の奥へと逃げた。

 

金雷公『ノコノコと来るなんてバカか?

まあいい。

てめえを喰えば俺は更に強くなる...。

さあ!喰わせろやあ!!』

ナナ・テスカトリ『哀れな・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンオウガ『兄は最後まで自分勝手でした。

ですがあの時の竜が誰だったのか分かりませんでしたが、私は命からがらその場を去り生き延びました。あの方には感謝してもしきれません。』

グラン「多分それ、ナナ・テスカトリだよ。」

ジンオウガ『ナナ・テスカトリ?』

グラン「古龍種で炎妃龍って言われてたかな。その竜のおかげで今の僕があるわけだし。」

ジンオウガ『古龍!?そんなお方がどうして私の前に現れたのでしょうか?』

グラン「何で僕に聞くの。」

ジンオウガ『あ、すいません。

話を逸らしてしまいまして...。』

グラン「別に・・・角は短いのはそのせいか、あとは尻尾の甲殻が戻ってないな。」

ジンオウガ『はい・・・あの時に砕かれて以来、私の尻尾を覆っていた甲殻は復元出来ず、尻尾による攻撃が出来ません。』

グラン「ふうん...。」

 

ジンオウガに近付き、尻尾をマジマジと目視する。

 

ジンオウガ『な、何でしょうか?』

グラン「ちょっと失礼。」

ジンオウガ『え?』

 

疑問を抱くジンオウガを他所に、

グランは白いフワフワの毛にダイブした。

 

グラン「思った通りフワフワのモフモフだ〜、気持ちいい〜。」

ジンオウガ『え?!ちょ...そこ触っちゃ///』

 

1人だけジンオウガの尻尾の柔らかさを堪能していた。しかし、それを見ていた2頭と1匹が飛び出して来た。

 

桜華『グラン様!何をしてるの!

抱き締めるなら私の方にして!』

黒影『いや違うだろ。』

ハクロウ「ご主人様、お話の方は終わりましたかニャ〜?」

グラン「終わった〜。」

ジンオウガ『あの、まだ途中なのですが・・・。』

グラン「あとで。」

 

更に全体重を乗っけて尻尾に抱きつく。

 

ジンオウガ『ひゃん?!

思いっ切りは・・やめて///』

 

その光景を目の当たりにした桜華は、

引き離そうと突進態勢に入る。

 

桜華『グラン様から離れなさい!』

ジンオウガ『不可抗力・・・です///』

黒影『相棒ー、早く離れないと桜華が何かしでかすぜ。』

グラン「うー、それもそっか。」

 

白い毛並みを堪能したグランは、

尻尾から離れた。

 

ジンオウガ『はう・・やっと離れてくれた...。』

桜華『グラン様、私に抱き着いても良いのよ?』

グラン「モフモフ要素ないから無理。」

桜華『もふもふって何なの!?』

グラン「モフモフは至高ぞ?

モフモフは素晴らしいんだ。」

黒影『さっきからそればっかりだな。』

 

なんやかんや話していると、

ジンオウガがある質問をしてきた。

 

ジンオウガ『思ったのですが、

何故あなたは私達モンスターと親しげに話せるのですか?普通は怯え・恐れられ・逃げてしまうのに。』

グラン「雰囲気的に危なくないからと思っただけ。」

ジンオウガ『そうでしょうか?

古龍の力でも言葉を理解するのは聞いたことが・・・』

???『私も知りたいわ、その話。』

 

声のする方向を確認すると、

ゲーム上で何度も苦戦したモンスターがそこにいた。

 

グラン「ナナ・テスカトリか?」

黒影『え!?』

桜華『あれが・・グラン様を助けた龍...。』

ハクロウ「大きいニャ...!」

 

その存在に気付いたのか、

紅牙が巣から飛び出して来た。

 

紅牙『ナナ様!

こんな辺境の地に何か御用で!?』

ナナ・テスカトリ『ええ。

ちょっと話があって来たのよ、

そこのニンゲンさんと。』

 

ナナ・テスカトリは程よくグランに近付いた所でその場に座る。

 

ナナ・テスカトリ『久し振りかしらニンゲンさん、じゃなくてグランくん。』

グラン「挨拶はいいよ、あんたには聞きたいことがあるからな。」

紅牙『ナナ様に向かって無礼だぞ!

少しは言葉を慎みたまえ!』

ナナ・テスカトリ『いいのよ。

こんな事態を招いたのは、私があの子を生かしてしまったのが原因なのです...。』

紅牙『ナナ様...。』

 

ナナは悲しげな表情を浮かべ話す。

 

グラン「この世界はこういう世界だってのは分かってるから、起きた事はもういい。」

ナナ・テスカトリ『まるでこの世の仕組みを理解している口振りね。』

グラン「・・・。」

ナナ・テスカトリ『知ってると思うけど、古龍の血を宿しその力が発揮したのは分かるわね?けどね、私達モンスターの言葉を理解出来る能力はないのよ。』

 

モンスターの言葉を理解出来ない事を言うと、

数秒の沈黙が訪れる。

 

黒影『え?ちょ、ちょっと待って下さい!

じゃあ、相棒は何で俺達の言葉が分かるんですか!?』

ナナ・テスカトリ『それを確かめる為に来たの。話してくれるわね?』

グラン「・・・・・・(勉強したとか言っても納得してくれなさそうだし、もう隠し通すのは無理か)。」

 

頭を数回掻いた後、話し始めた。

 

グラン「皆には今まで黙ってたけど・・・、

僕はこの世界の住人じゃない。

だけど、あの村で生まれ育ったのは間違いない。

本当は違う世界から転生して来たんだ。」

ナナ・テスカトリ『転生・・・元の世界でもモンスターが存在してたのですね。』

グラン「いや、モンスターはいない。

むしろ人間が溢れる位いた方だよ。

君達の言葉が理解出来るのは、

神様に貰ったスキルのおかげなんだ。」

黒影『相棒の様なニンゲンが沢山・・・なんか想像したら嫌だわ。』

桜華『それについては私も同感だわ。』

ハクロウ「ボクもニャ。」

紅牙『しかしグランよ、何故にその事を黙っておったのだ?』

グラン「・・・他の奴らに知られると色々と面倒だったから。」

 

そう言い終えると、ナナは納得したように頷く。

 

ナナ・テスカトリ『これではっきりしました。

正直、貴方がこの世界に生まれて来てくれて本当に良かったと思ってるの。』

黒影『俺だって相棒と知り合って良かったぜ。

ここに居る皆だってそうなんだぜ?』

グラン「うん、人間僕だけってのがあれだけど・・・まあいいや。」

 

ゆっくり深呼吸し、再び質問を掛ける。

 

グラン「この力の事なんだけど、

業物の武器でも壊れてしまったんだ。

それに耐えられる物って知らない?」

ナナ・テスカトリ『ニンゲンが使う武器の事?

そうね・・・タマちゃんなら分かるかしら。』

グラン「タマミツネですか。」

ナナ・テスカトリ『知ってるの?』

グラン「図鑑に書いてあった(これだけは極秘だから言えない)。」

ナナ・テスカトリ『遠い地に住んでて、大社跡にいるのよ。あの子は物知りだから何か分かる筈よ。』

グラン「そっか。

じゃあ次の目的地は大社跡に決定だな(長い旅になりそうな予感)。」

ジンオウガ『では、私はこの辺で失礼します...。』

 

ジンオウガが場を離れようとした際、

グランが呼び止める。

 

グラン「ジンオウガちゃんも此処に来たんならさ、お肉食べてけ。」

ジンオウガ『え?でも私の兄のせいで多大な迷惑と許されない行為を・・・』

グラン「あのな・・・、それをやったのは兄であって君ではないだろう。兄妹だからって言うが君は何もしてないだろ?」

ジンオウガ『許してくれるんですか?』

グラン「許すも何も・・ふー、

いいよ許すよ【碧彩】。」

ジンオウガ『碧彩?』

グラン「一緒に来るか?」

ハクロウ「ニャ!?」

黒影『相棒から誘うなんて初めての事だぜ?』

桜華『私は認めないわよ!

そこの雌ジンオウガ、グラン様に変な事したら許さないからね!』

碧彩『し、しませんよ!』

 

2頭の竜が騒いでる一方、

それを見守っていたナナは背を向け飛び立とうとしていた。

 

ナナ・テスカトリ『良い仲間と出会えましたね。辛い事もありましたが、よく乗り越えてくれました。貴方達の旅路を願っていますよ。』

 

そう言い終えると、ナナはこの場を去って行った。そこでグランは武器がない状態でどうするか考えていたが、答えは直ぐに出た。

 

グラン「ナナの力を使わなければ良いだけだな。取り敢えず他の武器を探そう。ライトボウガンどっかに置いてきちゃったし今日は寝るか。」

ハクロウ「フニャ...、ボクも眠くなってきたニャ。お先に失礼するニャ。」

黒影『俺はまだここにいるわ。』

桜華『グラン様、良かったら私と一緒に寝ましょ?』

紅牙『桜華はこっちだ。

遠い地に出るのであれば次会う日は長くなるのだろう。今日は家族と一緒に寝るのだ。』

桜華『やだ!

グラン様がいい!』

 

駄々を捏ねる桜華をグランは言葉を言い放つ。

 

グラン「我儘言うな、早く寝ろ。

僕と寝るのは後から何時でも出来るだろ。」

桜華『・・・それもそうね。』

 

そう言い残すと、

桜華は巣に戻って行った。

 

紅牙『いつから娘はあんな駄々を捏ねる様になったのだ。』

グラン「知らんがな。」

紅牙『まあよい、我も寝る。』

 

紅牙も巣に戻った。

 

碧彩『それでは私はこのお肉を有難く頂戴します。休ませていただきますのでまた明日に...。』

グラン「ああ、またな。」

 

碧彩も離れ、残るはグランと黒影のみになった。

 

グラン「寝ないのか?」

黒影『そう言う相棒はどうだ。』

グラン「まだこうしてたい。」

黒影『俺もまだいるわ。』

 

1人と1頭が風にあたりながら夜空を見上げた。

 

グラン「黒影と会った後、

色んなモンスター達と出会ったな。

そんなに多くはないが。」

黒影『全くだ。

1頭は我儘娘で1匹の猫は何でも出来て、

そして明日からはあのジンオウガの妹が行動を共にするんだからな。』

グラン「・・・ははは。」

黒影『ふふ...。』

グラン「ありがとな。」

黒影『あ?』

 

笑いあった後、グランは感謝の意を表す。

 

グラン「こんな僕に付き合ってくれてありがとう。」

黒影『何を今更そんな事言ってんだ。

最初から俺は相棒について行くって決めたんだぜ?』

グラン「そうだったな。

これからも頼むぜ、相棒?」

 

拳を前に出す。

 

黒影『当然...!』

 

拳の上に前脚を乗せる。

 

グラン「僕達も戻るか。」

黒影『なあ、相棒。』

グラン「なんだ?」

黒影『・・・忘れたからいいや。』

グラン「何だよそれ。」

黒影『わり、思い出したら言うわ。』

グラン「そうか?

隠し事は無しだぞ、僕は全部喋ったから。

思い出したら喋ろよ、絶対だからな。

先に戻ってるぞ?」

黒影『分かったって、じゃあ明日の朝な。』

 

グランはリオ夫婦の巣に入って行った。

 

黒影(・・・悪いな。

忘れたってのは嘘なんだ。

今この事を言っちまえば、

相棒はこっちを優先するだろうな。

そんな重荷を負わせたくはない...。

これは俺の・・・俺だけの問題なんだ。

いや、もう昔の出来事だ・・・〖アイツ〗はもういないんだ...。くそ!いつまでも過去をひきずっては仕方ねえ...!ちゃんとしろ俺!)

 

黒影は何かを振り切った様にして、

少し喉を鳴らし巣に戻って行った。

その後は何事もなく朝を迎える事になる。

新天地に向けて・・・!

 

 




ゲームしてると何か妄想しちゃうんだよなあ。転生とか憑依だったり、発想は人それぞれ。


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疑問

長らく投稿期間を空けてしまい申し訳ないです。
とは言うものの、そんなに見る人いないからいいやと思ってるが、つまらない文章なので何卒...。
※語彙力ないです。


ー早朝ー

朝早く起きたグランは、

頭を掻きながら外へ出る。

 

グラン(顔を洗いに行くっかな・・・)

 

音を立てないようにこの場から走り去るように川を目指す。何処にあるか探していると、小川を発見する。

 

グラン(次いでに水も汲んでおくか。)

 

顔を洗い終わってから水を汲んでいる際に、

何かの気配を感じとる。

 

碧彩『あなたは・・・』

 

その正体は昨日会ったばかりのジンオウガの碧彩が現れた。

 

グラン「碧彩か、早起きだな。」

碧彩『そう言うグランさんも起きるの早いじゃないですか。此処で何をされてるんです?』

グラン「水汲んでる。君は?」

碧彩『私ですか?

毎回この場所で水を飲みに来たのです。』

グラン「そうか。」

 

そう言うと、碧彩は周りを見る。

 

碧彩『他の方々は?』

グラン「まだ寝てる。

起こさないように足音立てずに来たからな。」

碧彩『・・・ひとつだけ聞いて置きたいのですがよろしいでしょうか。』

グラン「ん?」

碧彩『これから向かう先には不安はありませんか?』

 

その質問に対し、グランは表情を変えずに答える。

 

グラン「ないよ・・って言えば嘘になる。

だけど、今は頼りになる仲間がいるから不安なんて吹っ飛ぶと思う。」

碧彩『それは私の事を含めてですか?』

グラン「うん。

強さなんて関係ない、大事なのは仲間を信頼し助け合うことだよ。」

碧彩『・・・そうですか。』

 

その答えに何処と無く安心を覚える。

 

グラン「よし、そろそろ戻るか。」

碧彩『そうですね。』

 

1人と1竜は巣に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハクロウ「あ!ご主人様が戻ってきたニャ!」

 

1匹がこちらに向かって走ってきた。

 

グラン「起きたか。」

ハクロウ「はいニャ!

ご主人様、ボクはいつでも行けるニャ!」

グラン「元気があっていいな。

・・・その前に大事な話があるから皆を呼んできてくれるかな。リオ夫婦も含めて。」

ハクロウ「分かったのニャ!」

 

少し顔を歪め、俯き悩む。

 

碧彩『どうかなさったのですか?』

グラン「ああ、もし本人に話したら納得するのはちょっと難しいかなあと思ってね。」

碧彩『お話とは何の・・』

グラン「皆が集まったら言う。」

 

すると巣穴から桜華、黒影、紅牙、仁愛の順番で出て来た。

 

黒影『話って何だ?』

桜華『旅立ちの挨拶かしら...、

ワクワクしちゃう!』

紅牙『もう少し寝て居たかったのだが・・・』

仁愛『あなた、他の子達より早く起きないでどうするの。次に生まれてくる子の見本にちゃんとなって。』

 

皆が出て来たのを確認すると、

グランは言葉を放つ。

 

グラン「皆おはよう。

ここに集めてもらったのは他でもない。

大事な話があるからだ。

今から僕が言う事は決して断るな。

・・・それだけだ。」

紅牙『断るなだと?』

グラン「そうだ。

1度しか言わないからよく聞け。」

 

この場にいる者達は、次に発せられる言葉を今か今かと待つ。だが、その一言が1頭の竜を聞き入れてもらえないような内容だった。

 

グラン「桜華、ここに残れ。」

桜華『え。』

 

一瞬、辺り一帯が静寂に包まれる。

その数秒後、予想通り納得しない様子で質問してくる桜華。

 

桜華『ど、どうして!

私何か悪い事したの!?』

グラン「桜華、最初に僕が言ったことを忘れたのか。」

桜華『で、でも!』

グラン「でもじゃない。」

 

頭を抱えながらも続けて言葉を放つ。

 

グラン「金雷公と対峙した時に何してた?

無鉄砲にも程があるだろ。」

桜華『それは・・ちょっと油断しただけよ!』

グラン「怒りに身を任せて攻撃ぶっぱなし油断しただ?実力差はあるとは思うが冷静に見極めれば何とか対処は出来るだろ。っというか・・・」

 

次第に冷たい口調になっていく。

 

グラン「何で僕の母さんが死んでお前が怒る必要があるの?」

桜華『グラン様のお母様が殺さ・・』

グラン「知らない人が殺されて怒るか普通?

たかが人間にか?どうかしてんじゃないのか。」

桜華『グラン、様?』

グラン「僕は人間、お前はモンスター。

違いは目に見えてくる。

同情なんて要らねえんだよ!!」

桜華『!?』

 

いきなり怒鳴るグランに戸惑う桜華。

 

グラン「最初から僕が間違ってたのかもな。

この世界で生きていく基本をちゃんと親から学ぶんだ。これは桜華の為でもあるんだぞ。」

桜華『そんな!?

私・・グラン様と離れたくない!』

紅牙『・・・娘よ、こればかりはグランの言う通りだ。素直に従った方がいい。桜華の事を案じて言っているのだぞ。』

桜華『嫌よ!

私は最後までグラン様の傍にいるの!』

紅牙『聞くのだ桜華、これが正しい事なのだ。』

桜華『嫌ったら嫌!!』

 

駄々を捏ねる桜華。

黒影はそんな姿の桜華を見つつグランの方へ目を向けると周囲に青白い粉塵が漂っていた。

 

黒影『不味い...。

離れろハクロウ、碧彩!』

ハクロウ「ニャ!?」

碧彩『!?』

 

黒影に咥えられ上空へ飛んで、碧彩は後退する。

その時、辺り一帯に爆音が響き渡る。

 

グラン「いい加減にしろ!!」

 

近くに居た桜華は巣穴の近くに吹き飛ばされ、岩壁にぶつかる。

 

紅牙『危ない!』

仁愛『うっ!』

 

仁愛を翼で覆い隠し守る紅牙。

 

紅牙(なんという爆風だ...!

無意識でこれ程の力か・・・もしグランが敵になっていたらと思うと恐ろしい以外にないな...。そうだ!桜華は?!)

 

辺りを見渡すと、岩壁に伏している桜華が地面に倒れ込んでいた。駆け寄ろうとすると、桜華に近付いていくグランの姿が見える。

 

紅牙『貴様、やり過ぎだ!

よくも娘を...!!』

仁愛『待って!』

紅牙『仁愛!?何故止める!

早くせぬと娘が・・・』

 

首を横に振り、行っては駄目と言わんばかりに紅牙に訴えた。

 

紅牙(くっ...!)

 

周囲の者達が見守る中、グランは桜華の近くで言葉を発した。

 

グラン「・・・生まれてくる子供達・そして今の家族との時間を大切にしろ。」

桜華『・・・グラン様...。』

グラン「お前に足りないのは経験と知識だ。

どれだけ強くてもそれだけじゃ駄目なんだ。

それが何か分かるか?」

桜華『分かんない...。』

グラン「愛情だよ。

僕はその愛情という優しさで育った。

母さんから・・素晴らしいものを残していってしまった...。」

桜華『あっ...わ、・・違うのグラン様!

私は...!』

グラン「だから!!」

桜華『!!?』

 

突然の大声に驚く桜華。

逸らさず目の前に向けると、

優しい言葉を桜華に述べる。

 

グラン「次に会う時は、綺麗に逞しくなってから会おうな。夫婦からの許可が出るまでだ、分かったか?」

桜華『あ、う・・うあああ!』

 

自分が今までしてきた事を漸く理解し、

桜華は泣いた。

 

グラン(ここまで言えば後はリオ夫婦が何とかやってくれる。)

 

桜華から背を向けると、そこには紅牙と仁愛が目の前にいた。

 

仁愛『ありがとうございます。

あなたのお陰で桜華と一緒に暮らせます。

そうよね、あなた。』

紅牙『そ、そうだな。

我からも感謝するぞ。』

グラン「ああ。

後のことはあなた方に任せるよ。

それと・・旦那さんにひとつ言う事がある。」

紅牙『何だ?』

グラン「僕のいた世界では飴と鞭という言葉がある。成長していく中で甘やかし過ぎるのは駄目だから、時には厳しくするのも必要だ。父親らしく叱ってやれ。」

 

紅牙に助言をした後、

自分の周りが地面が焼け跡になった事に気付く。

 

グラン「なんで僕の周り焼け跡地になってんの?」

 

あんたが原因だよ、っと皆がそうツッコミたかったがその気力も無く何も言わず経過した。

この出来事から30分後、

グラン・黒影・ハクロウ・碧彩は、

大社跡を目指し歩いていた。

 

グラン(大社跡ね・・・ゲームではほぼクリアしたから分かるけど、ナナが言うにはそこに住むタマミツネに会うと良いって聞いたが何故タマミツネなんだ?顔的にはオロミドロみたいなおじいちゃんポジションじゃねえのか!まあ・・道のりは長いし近くなったら改めて考えるとするか。)

 

1人で歩きながら考えていると、

ハクロウが話し掛けてきた。

 

ハクロウ「何か考え事ですかニャ?」

 

下からこちらを覗くその顔は正に猫そのもの。その際、ハクロウを抱き上げ頭を優しく撫でる。

 

ハクロウ「ニャア〜、そこをもっと撫でて欲しいニャ〜。」

グラン「・・・。」

黒影『何やってんだお前ら...。』

グラン「何もする事ないからこうしてるだけだが何か?ひょっとして黒影も撫でてほしいのか?」

黒影『要らん。』

グラン「ふーん・・・碧彩は?」

 

不意に声を掛けられビクッと体が反応する。

 

碧彩『え、私ですか?!

今は遠慮します...。』

グラン「今は・・って事は、次からは良いって表現で捉えるよ?」

碧彩『・・・。』

 

笑顔で話したグランだが、

何を思ってるのか碧彩は暫く喋らなくなる。

その時、黒影が小声で話し掛けてきた。

 

黒影(おい!急に話さなくなったぞ!?)

グラン(照れてんじゃね?)

黒影(あれが照れてる様に見えるか?

全くの無表情だぞ、どうすんだ!?)

グラン(どうすったってなあ・・・、

モンスターの表情ってイマイチ分かりづらいからな〜、そうだな・・・じゃあ僕はちょっとだけ前に出るから代わりに聞いてきて。)

黒影(は?ちょっ、おま...)

グラン(モンスター同士なら大丈夫。)

 

そう言いながらウィンクすると、

黒影と碧彩から離れ前方へと進んで行った。

 

黒影(何で俺がこんな事を・・・)

 

面倒くさがりながらも横から碧彩に近付き、

声を掛ける。

 

黒影『なあ、どうしたんだ?

答えづらい事か?』

碧彩『・・・。』

 

反応はなく表情も変えない。

 

黒影『さっき言ったことなら気にすんな。

アイツが変わってるのは最初っからだって、な?』

碧彩『・・・・・ぃ』

黒影『?わりぃ、良く聞こえね・・』

碧彩『〜っ恥ずかしいのです///』

黒影『・・・え、何だって?』

碧彩『ですから恥ずかしいのです!』

 

対し黒影は『そ、そうか』と受け答えるしか出来なかった。モンスターが人間に対して恥ずかしいとは誰もが聞かないことだ。

 

碧彩『今言った事はグランさんには内緒ですよ!良いですね?!』

 

切羽詰まった表情で迫られ、驚きながらも頷く。

 

黒影(びっくりした・・何であんな慌てるんだ。)

 

訳が分からないまま道なりに進んでいく一同。その道中に、旅商人と出会う。

 

商人「いや〜まさかモンスターを連れているハンターさんがいるとは珍しい。」

グラン「そうだね。」

商人「お気に召した物は御座いますでしょうか?」

グラン「うーん、あれ?

武器も売ってんのか?」

 

指差した先には、一つだけ飾られている武器が見える。

 

商人「ああこれですかい。

ずっと前に道端に落ちていた物なんですが使い方が分からなくてですね、他のハンターさんに尋ねても分からずじまいでして...。」

 

それもそのはず、その武器は元いた世界で見覚えがあったのだ。

 

グラン「・・・4万円で買っても良いですか?」

商人「4万円ですって!?

ハンターさんはこれの使い方が分かるんですかい!?」

グラン「試し打ちしても良いか。」

商人「ええ、それは勿論!

どうぞ遠慮なく!」

 

商人は飾っていた武器を持ち、

渡してくれた。

間近で確認すると、グランは軽く頷く。

 

グラン(やっぱりこれスナイパーライフルだ。

しかもかなり高性能の物だ。

何でこの世界にあるんだよ...。)

 

不思議に思いながらも銃を構え標的を探していると、1km先にドスゲネポスを発見する。

姿勢を低くし照準を合わせドスゲネポスの頭部に狙いを定める。

 

グラン「僕から離れてくれ、結構音に響くから。」

 

そう言うと皆はグランから離れる。

そして引き金を引き、見事にドスゲネポスの頭部を跡形もなく消し飛んだ。周りにいるゲネポスが慌てているのが見て取れる。

 

商人「あんな遠くにいたドスゲネポスを一撃で・・・!」

ハクロウ「すごいニャ!

ご主人様はすごいニャ!」

グラン「凄いしか言えんのか。

取り敢えず4万で売ってくれ。」

商人「ありがとうございます!

また何処かでお会い出来ましたら宜しくお願いします。では・・・」

 

旅商人と別れ再び歩き始めた一行。

 

グラン(そもそもこれが道端に落ちてたってのが何か引っ掛かるな・・・。もしかして僕以外に転生者が?)

 

 

〘この世界は楽しめてますか〜?〙

 

グラン「へあ!?」

 

何処からともなく脳内に響く声には聞き覚えがあった。

 

黒影『何だ?』

ハクロウ「ニャ?」

碧彩『どうかしましたか?』

 

2竜と1匹はこちらを向き不思議そうに見ている。突然の事に一瞬驚いたが直ぐに冷静を保つ。

 

グラン「えっと確かあなたは女神でしたよね。」

ディオーネ〘その通り、ディオーネと呼んで下さいね。どうでしょうか、この世界を満喫していますか?〙

グラン「・・・あなたは本当に僕が満喫してると思ってるんですか。」

ディオーネ〘それはどう言う意味でしょう?〙

 

グランは生前に数え切れない位の漫画やアニメを見て来た。だからこの後の展開が大体分かる。女神ディオーネに対し質問をする。

 

グラン「ずっと見てたんだろ?

今この経緯に至るまでの事を。」

ディオーネ〘な、なんのことかしら。〙

グラン「とぼけても無駄だから。」

ディオーネ〘・・・。〙

 

誤魔化す事は出来ないと思ったのか、

少しの間が空いてディオーネの声が響く。

 

ディオーネ〘そうね、あなたの言う通りよ。

軽率な発言だったわ。〙

グラン「・・・1つ質問する。

僕以外に転生者いるだろ。」

ディオーネ〘え、そんなはずないわ!

この世界に転生したのはあなたが初めてなのよ!〙

グラン「じゃあ〈コレ〉はどう説明するつもりだ。」

 

そう言ってスナイパーライフルを手元に持ち上に掲げるように見せた。

 

グラン「僕が生前いた世界で見たぞ。

この世界にこういった武器は存在しないんだよ。それでも知らない?」

ディオーネ〘いえ・・・私はこの世界を担当するのは初めて・・ちょっと待って、それだと話が噛み合わないわ。〙

グラン「つまり何か?

前の神がこの世界に転生者を寄越した可能性があるって考えてる?」

ディオーネ〘神でもないのに心を読まないで頂戴・・・。少し調べる必要があるわね。分かったら念話で伝えるわ。〙

 

そう言い残すと声は聞こえなくなった。

 

ハクロウ「さっきから何を話していたんですかニャ?ご主人様。」

グラン「簡単に説明すると、

僕をこの世界に送った方。

ちょっと時間無駄にしちゃったな。

先に進もう。」

 

歩みを止めていた一行だが、

再び前へと歩き始めた。

 




大社跡編は少し先になります。


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道中【前編】

遅くなったけど誰も見てないよね?


女神ディオーネとの念話から数時間が経過し、太陽が沈みかかり辺り一面暗くなってきていた。

 

グラン「大分日が沈んできたな、あそこら辺で休むか。」

 

指し示した方向に大型モンスター2体余裕で入れそうな洞窟を発見する。

 

碧彩『そうですね。』

 

黒影『そうしようぜ、あれから歩きっぱなしだぜ〜。』

 

ハクロウ「僕はまだまだ行けますが、ご主人様が仰るんであれば従いますニャ!」

 

そうハクロウが言い放つと、背負っていた荷物から次々と道具を取り出した。どれも肉等を調理するのに必要な物だ。

 

グラン「何か手伝う事はないか?」

 

ハクロウ「大丈夫ですニャ、ボクがやりますのでご主人様は少し体を休めてお待ちくださいニャ!」

 

グラン「待ってるだけじゃ暇だから少し外出てる。出来たら呼んでくれ。」

 

ハクロウ「了解しましたニャ!」

 

一言終えて洞窟を後にした。

グランが洞窟から出た後、モンスター達はハクロウが料理している様を観察している。

 

碧彩『ハクロウさんは器用ですね。

御自身でやられているのですか。』

 

ハクロウ「そうニャね。

大抵の事は慣れているニャ。」

 

碧彩『立派ですね。』

 

ハクロウ「褒めても何も出ないニャ///」

 

その様子を見てた黒影は、

軽く欠伸をして床に伏せた。

 

黒影(相棒が来るまでヒマだな...)

 

その頃、グランは適当な木を見つけ否や駆け登って行き、木の枝にぶら下がる。

 

グラン(我ながらぶっ飛んだ身体能力だな。

使いこなすには特訓が必要だし何より、

母さんはもうこの世にいない、これ以上失いたくはない...。当然それには僕が強くなっていかなきゃ...!)

 

決意を固め、ぶら下がるのを止めて木から飛び降り地面に着地しようとした矢先にモンスターが通り過ぎようとしていた。

 

???『え?』

 

グラン「あ。」

 

避けられようもなく一人と1頭はぶつかってしまうが、グランは足を下にしていた為、そのモンスターを踏み付けてしまう。

 

???『あべ!』

 

グラン「あ、わりぃ。」

 

踏み付けた後は地面に降り立ったが、

踏まれたモンスターは顔をしかめているように見えた。

 

???『に、ニンゲンの癖によくも俺様の顔を踏みやがったな?!』

 

グラン「ごめんな、確認しなかった僕が悪いと思う。

正直今のは謝罪するわ。」

 

モンスターに頭を垂れて謝罪した。

 

???『ニンゲンが謝った!?俺様がおかしくなったのか?いや、会話が成り立ってる・・お前、何者だ?』

 

グラン「何者かはさておき、あんた何処に向かおうとしてたんだ?」

 

???『そ、そうだ!

お前に構ってる暇じゃねえ!

早く巣に向かわねえと!』

 

グラン「それ急ぐ事か?」

 

???『ニンゲンのお前には分からねえだろうが、

俺様の子がもうじき生まれるんだ。』

 

グラン「へえ、行きたいんだけど見てもいいかな。」

 

???『は!?』

 

グラン「安心しろって、モンスターの子供が生まれる所を見たのリオ夫婦で1回だけだから、もっと多く見たいし。」

 

???『変なニンゲンだな・・・、後で狩るつもりか?』

 

グラン「誰がするかバーカ、こっちはナルガクルガとジンオウガを仲間にして旅してんだから。」

 

???『(嘘には見えねえ、それにニンゲンが使う道具もない)物好きな奴だな、改めて聞くが何者だ?』

 

グラン「グランだ。」

 

ライゼクス『俺様は空をも支配するライゼクス、近付き過ぎて痺れんじゃねえぞ?』

 

それぞれの名前を言い終えライゼクスの巣に向かうが、

グランは1つ疑問を感じていた。

 

グラン「なあ、何で飛んで行かないんだ。」

 

ライゼクス『ああ・・これを見れば分かる。』

 

右の翼を広げると、所々傷付いている。

 

ライゼクス『ヘマしちまってよ、今は飛べねえんだ。

こんな姿で帰ってきてもガッカリするだろうな...。』

 

グラン「何でそう思うんだ。」

 

ライゼクス『聞いてなかったのか、こんな姿じゃ...』

 

グラン「僕が察するに急いで来たからこうなったんだろ?何を恥じる事あるんだ、嫁さんを思って急いだんだろ。」

 

ライゼクス『はは、ニンゲンにしては良い事言うじゃねえかよ。』

 

二人はライゼクスの巣がある方角へと向かっていった。

そう、巣があった場所に・・・

 

グラン「おい、本当にここか・・・」

 

巣があったであろう場所はほぼ全壊していた。

 

ライゼクス『う、嘘だ、こんなの・・嘘だと言ってくれ!!』

 

グラン「おい待て!」

 

前方へ飛び出していくライゼクス。

 

グラン「!?ライゼクス、上だ!」

 

ライゼクス『!?』

 

突如上から巨大なモンスターがライゼクスを踏み潰した。

 

ライゼクス『がぁ...!』

 

グラン「ライゼクス!」

 

???『漸く来たか、待ってたぜー?』

 

ライゼクスを押し潰しながら見下ろすモンスター。その姿は嫌でも知っている。

 

グラン「おい、そこ退けよババコンガ。」

 

ババコンガ『あ?ニンゲンに指図されるいわれはねえな。』

 

感情が少し昂ったせいなのか、身体能力を向上させ一気にババコンガの懐に入り、思いっきり腹に蹴りを食らわせる。

 

ババコンガ『がは?!』

 

ババコンガは巣だった場所から10mも吹き飛ばされていった。

 

グラン「ふぅ、おい大丈夫か?」

 

ライゼクス『げほ!はあ、助かった・・ニンゲンの癖に強いじゃねえか...。』

 

グラン「まあ人間にない力を持ってるからな。」

 

ライゼクス『何だそれ。』

 

小話していると吹き飛ばしたババコンガがこちら目掛けて飛んで来た。

 

ババコンガ『てめぇ・・只者じゃねえな?』

 

グラン「ちょっと強いだけの人間だよ。」

 

ババコンガ『答えになってねえ!』

 

グラン「質問には答えた、次は僕が質問する番だ。

お前、ここに居たモンスターを何処にやった?」

 

グランが質問するや否や、ババコンガは不敵な笑みを浮かべた。

 

ババコンガ『あ〜、ここに居た雌竜か。

くっくっく...!』

 

ライゼクス『何が可笑しい!

俺様の嫁に何かあったらただじゃ・・・』

 

ババコンガ『食い殺してやったよ!』

 

ライゼクス『なっ!?』

 

ババコンガ『言う事聞かねえ奴なんか興味ねえし、何よりオレに反抗した態度も気に食わなかった。殺して当然だろ、それ以外にあるか?』

 

ライゼクス『き、貴様ぁ...!』

 

怒りが頂点に達したのか、そのままババコンガに突撃しようとする前に、グランはライゼクスの頭部をぶん殴る。

 

グラン「落ち着け。」

 

ライゼクス『いだあ!?

何すんだてめぇ!邪魔すんじゃ...!?』

 

その顔を見たライゼクスは、言葉を詰まらせる。

隠しきれない怒りがグランの表情を読み取れた。

 

グラン「僕だって心中穏やかじゃないんだ。

2度も僕の前で家族を失う現場に居合わせる事に...!」

 

ライゼクス『まさかお前...!』

 

グランは無言のまま前に歩き出し、

ババコンガに近付いて行く。

 

ババコンガ『お、やんのか?

言っとくがよ?さっきみたいな不意打ちはもうオレには効かねえぞ!』

 

グラン「・・・。」

 

速度を上げ詰め寄ろうとするが、行動パターンを読まれ反撃に出るババコンガ。

 

ババコンガ『さっき見たって言っただろ!』

 

ライゼクス『危ねえ!!』

 

その瞬間、グランは更にスピードを上げ加速させた。

それによりババコンガによる拳の反撃は空振りに終わる。

 

ババコンガ『何だと!?』

 

ライゼクス『消えたのか!

全く見えねえ!』

 

周りを見渡すが姿を目視出来ない。

いや、既に周辺に居ないことにババコンガは即座に気付いていた。

 

ババコンガ『はっ、上だろ!』

 

ババコンガが見上げた先には、空中に浮かぶグランの姿を捉える。

 

ライゼクス(コイツ分かってたのか!?)

 

ババコンガ『空中なら身動き出来ねえ!

判断を間違えたなニンゲン!』

 

グラン目掛けてジャンプし強烈な技を繰り出そうとした。だが、それはババコンガの大きな誤りだった。

 

 

 

 

普通の人間だったら

 

 

 

グラン「違うな、お前が判断を読み違えたんだ。」

 

周囲に粉塵を浮遊し相手に飛ばし発火させ爆発させる。

 

ババコンガ『ぐっ!?』

 

ライゼクス『爆発した!?』

 

何も無い所から爆発し、体勢を崩すババコンガ。

即座に受け身を取ろうとするが、グランはそのチャンスを逃すまいと攻め寄る。

 

グラン「覚悟しろよ。」

 

ババコンガ『ま、まて...』

 

グランは右手と左手に青い炎を纏わせながら掌を重ねると、爆発的なエネルギーを生み出しババコンガにぶつける。

 

グラン「蒼炎爆砕拳!!」

 

ババコンガ『ぎゃあああああ!?』

 

グランの放った一撃がヒットし、

青い炎で焼かれていくババコンガ。

 

ババコンガ『このオレがたったの一撃で?!

げぼっ!オレの毛皮が焼かれていく...!い、いやだ...!こんな所でオレの生を終わらせたくねえ...!』

 

グランは地面に落ちたババコンガに歩き寄る。

 

グラン「お前の誤算は、僕が普通の人間で捉えたこと。もう1つはハンターだと言う事だ。」

 

ババコンガ『死にたくねぇ...。

助けてくれ、お願いだ...。』

 

グラン「ライゼクスの嫁さんの時も同じように命乞いをした筈だ。お前は止めたか?」

 

そう言い放つとババコンガは絶望と焦りの顔を浮かべた。

 

ババコンガ『ち、ちがっ』

 

グラン「終わりだ。」

 

拳を握りババコンガの頭部を砕き、周囲に血液が飛び散り血溜まりが出来る。

 

ライゼクス『お、終わったのか?』

 

ライゼクスが問うと、グランは向き直り答えた。

 

グラン「ああ、終わったよ。」

 

その返答に安堵するも、決して喜べなかった。

 

ライゼクス『俺様が遅れたばかりに・・・嫁と子を死なせてしまった...!いや、間に合ったとしても勝てなかったかもしれない、何も守れなかった...!』

 

グラン「その事なら心配ないぞ。」

 

ライゼクス『何が心配ないだ!

さっきソイツは食い殺したって・・・』

 

グラン「さっき空中で飛んだ時なんだが・・・

いや、直接確認した方が良いかな。」

 

ライゼクス『言ってる意味が分からねえぞ!』

 

グラン「黙って着いてこい。」

 

ライゼクスは言われるがままにグランの後ろに着いて行った。辿り着いた所で目にしたのは、ライゼクスの妻と思われるモンスターが倒れていた。

 

ライゼクス『おまえ!』

 

ライゼクスは一心不乱に走り出し妻に擦り寄る。

 

ライゼクス『で、でもどういう事だ!?

奴は食い殺したって!』

 

グラン「嘘だろうな。

適当なデマを言えば挑発に乗ってくるんだろうと思ったんだろう。モンスターにしては頭が回るが、相手が悪かったね。嫁さんを殺さなかったのは後の楽しみにとっとくつもりだったんだろ。」

 

ライゼクス『生きてる・・俺様の嫁が生きてるんだ!』

 

グラン「良かったな、じゃあ自分は戻らないと行けないから。」

 

仲間が居る洞窟に戻ろうとすると、ライゼクスに呼び止められる。

 

ライゼクス『ま、待ってくれ!』

 

グラン「すまん、仲間を待たせてるから戻る。

もし話がしたいんなら匂いを辿って来い。」

 

走りながら草木をかき分けていき、

その場を去ってしまった。

 

ライゼクス『グラン、風の様に現れて行ってしまったな・・・。あいつみたいに強くなりてえなあ。』

 

ライゼクスと別れ5分後経過にて洞窟に着いたグランだったが、洞窟前に碧彩が居座っていた。

 

グラン「おーい、今帰ったよー。」

 

碧彩『・・・が、』

 

グラン「何?聞こえなーい。」

 

碧彩『なーにが帰った、ですかーー!!!』

 

碧彩の遠吠えと同時に、電撃弾をグランに向けて放つ。

 

グラン「あぶなーー!?」

 

当たるまいと必死に避けたグラン。

 

グラン「えっ、ちょっと碧彩、どした!?」

 

碧彩『どうしたかですって?!

自分に聞いては如何ですか!』

 

碧彩の前足がグランに襲い掛かる。

 

グラン「いやいや!ぺちゃんこになるよ!?」

 

碧彩『1回位ぺちゃんこになりなさい!』

 

何故に碧彩がこうなったのか、10分前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

10分前

 

ハクロウ「よし!丁度良い感じになってきたニャ!」

 

出来上がった数種類の料理を順番に並べていくハクロウ。出来たてホヤホヤの燻製にした肉やこんがり肉等を目にするモンスター2頭。

 

黒影『お、おい。もう食っていいか?』

 

碧彩『これは、食欲がそそりますね。』

 

ハクロウ「だめニャ。先ずはご主人様を呼んでからだニャ。」

 

黒影『じゃあ俺が呼んでくるわ。』

 

洞窟から出て呼び戻そうとするが、

近くにグランが居る気配がない。

 

黒影『おーい、居ないのか?

メシ出来たぞ。』

 

風がなびくだけで一向に来る気配がない。

 

碧彩『居ましたか?』

 

黒影『ガチで居ないんだけど。

こんな事なかったんだがな。』

 

碧彩『大変じゃないですか!

探しに行きましょう!』

 

探しに行こうとする碧彩を呼び止める黒影。

 

黒影『待てって。

急に居なくなったって事は何かあったんだろ。』

 

碧彩『どうして貴方は落ち着いていられるんですか?!グランさんの身に何かあれば...!』

 

黒影『落ち着けって、たぶんあいつは・・・』

 

話している最中に、爆発音が鳴り2頭と1匹に聞き届いていた。

 

ハクロウ「な、なんニャ!?」

 

黒影『あっちにいたな。』

 

碧彩『今の爆発音は何ですか!?』

 

爆発音が聴こえた後は静かになり、

何も聞こえなくなった。

 

黒影『様子見に行くかなー。』

 

碧彩『・・・黒影さん。』

 

黒影『んー?どうした...!?』

 

後ろを振り向くと、恐ろしい形相をした碧彩を確認する。

 

黒影『み、碧彩?

そんな顔するなって、な?

俺が様子見に行くって。』

 

碧彩『あの人が帰ってくるまで待ってなさい。』

 

黒影『(どうした急に...)いや、でも』

 

碧彩『こ・こ・に・い・な・さ・い。』

 

碧彩の圧に思わずたじろぐ黒影、その後ろで何事かと思わんばかりに注視するハクロウ。

 

 

 

 

 

 

そして現在

 

碧彩『どうして!あなたはそうなんですか!』

 

グラン「だから何の事だ!?」

 

逃げ回ってる途中で足元に草結びに引っ掛かってしまう。

 

グラン(やばっ...!)

 

体勢を崩した直後、碧彩の前足が目の前まで迫って来ていた。

 

グラン(な、なんとか防御を...!)

 

両手を前に出して防御を図ろうとするが、

一向に衝撃が伝わってこなかった。

 

グラン(...?)

 

瞼を開けると碧彩の前足が目の前で寸止めの状態で置かれていた。

 

碧彩『どうして・・・』

 

碧彩の瞳から涙が滴る様子を捉える。

 

碧彩『どうして貴方は無茶ばっかりなさるのですか。私達の力だけでは足りないですか...!』

 

グラン「違うって、今回だけは大丈夫だったし」

 

碧彩『もしも!その今回がどうしようもない状況でしたら!どうするんですか!?』

 

グラン「み、碧彩?」

 

碧彩の葛藤に混乱するが、洞窟から出て来た黒影が答える。

 

黒影『お前の事を心配してたんだよ。

居なくなってるし帰ってくるの遅いから。』

 

グラン「碧彩..,」

 

碧彩『う、うぅ...!』

 

グラン「・・・悪かった、次からは気を付けるよ。」

 

碧彩『次また同じ事したら本当に潰しますからね...!』

 

グラン(それはそれで嫌だなー・・・)

 

碧彩『ぐすっ・・・今回は許すとして、何があったか話して下さい。』

 

どうしてその場から居なくなったかの経緯、ライゼクスとの出会い、ババコンガと接触し戦った事を皆に話をした。

 

ハクロウ「そんな事があったんですニャね。」

 

黒影『ほふぇ〜、ふぉんなふぉとふぁねえ(ほえ〜、そんなことがねえ)』

 

碧彩『喋るか食べるかどっちかにして下さい。』

 

食べてる肉を一気に飲み込む。

 

黒影『んぐふう、わりぃわりぃ。

肉が美味すぎて止められねえんだって。』

 

碧彩『まったく・・少しはグランさんを見習ったらどうですか、静かに食べてますよ。』

 

グラン「食べ方に関しては別にいいんじゃないか?そこまで気にしてないし。」

 

黒影『ほら!相棒が言うんだ、別に構わねえって!』

 

碧彩『はぁ、グランさんは気にしなくても私が気にするんですよ...。』

 

晩の食事を摂りながら会話していると、

外から声が聴こえてくる。

耳を澄ますと、聞き覚えのある声だが、

もう1つは知らない声だ。

 

ライゼクス『いてっ!あいて!?叩くのやめろって!』

 

???『アタシは!アンタが助け出してくれるのを待ってたんだよ!それがニンゲンに助けられたってなんだい!?これ以上アタシを失望させないで!』

 

ライゼクス『だ、だから話を聞いて・・』

 

???『黙りなさい!オスとして情けなくないの?!』

 

ライゼクス『ちょっ!?毒はやめてくれー!!』




もし見てくれたら感謝です 
まだ続きます。


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道中【中編】

ストーリー構成は苦手ですので、自分の好きで書いてるだけです。


ハクロウ「な、何が来たのニャ?!」

 

グラン「ライゼクスに、もう1頭誰だ?」

 

皆は気になり洞窟から出ると、

ライゼクスがエスピナスにシバかれている光景を目の当たりにする。

 

黒影『どうなってんだ?』

 

碧彩『喧嘩?でしょうか...。』

 

洞窟から出て来たグラン達に気付いたのか、エスピナスはシバくのを止め、こっちに走り出して来た。

 

エスピナス『アンタだね!?

アタシの救出劇を台無にしたのは!!』

 

グラン「は?」

 

エスピナス『折角丁度良いサルを取っ捕まえたからソイツを利用して、夫のアイツがアタシを助け出す計画が台無しよ!

どうしてくれるの!?』

 

いきなりトンデモ発言をするエスピナス。

 

ライゼクス『なんだと?!

聞いてないぞ俺は!?』

 

どうやらライゼクスも聞かされてないらしい。

 

グラン「ちょっと待って...、つまりなにか?

絶体絶命のピンチな自分を彼に助け出してもらいたかったのか?」

 

エスピナス『そうよ!それの何が悪いっての?!』

 

グラン「何が理由でその行動をとったんだ?」

 

エスピナス『なんでアタシが答えなきゃいけないのよ!たかが虫ケラみたいなニンゲンに!』

 

ダメだコイツ...っとグランが思う最中、

黒影と碧彩が怒りを露わにして前に出て来た。

 

黒影『おい...もういっぺん言ってみろ。

誰が虫ケラだって?』

 

碧彩『その通りです...、グランさんをバカにしないで下さい...!』

 

2頭の圧に思わず後退する。

 

エスピナス『な、アナタ達なによ!?

ナルガクルガとジンオウガがニンゲンに従ってるなんて、モンスターの威厳はどこいったの!?』

 

黒影『従われてんじゃねえ。

仲間として旅をしてんだ。

それに俺は黒影だ。』

 

碧彩『黒影さんと同じです。

彼は他のニンゲンの誰よりも優しい方ですよ。

私に碧彩という名前を付けてくれたのです。』

 

エスピナス『ふ、ふざけてんの?!

アンタ達どうかしてんじゃないの!?』

 

黒影『どうかしてるのはそっちだろ?

相棒はお前の訳分からん救出劇に付き合わされて時間無駄にしてんだよ。』

 

エスピナス『うるっさいわね!

アタシは助けなんて頼んでないわよ!!』

 

碧彩『それでも、ライゼクスの彼は貴方を心配して助けようとしたと聞いています。

もしも、彼が殺されたらどうするつもりだったんですか?』

 

碧彩が問うと、またもや信じ難い事を口にする。

 

エスピナス『そうね、あんなサルですら倒せないんじゃ意味ないわね。サルに話したわよ、殺すつもりで襲いかかりなさい、殺してしまったら好きにしていいわよって。』

 

黒影『はあ!?』

 

碧彩『なんですって!?』

 

エスピナス『なに驚いてんの?

この世は弱い者が死んで強い者が生きる権利がある。そんな事も理解出来ないなんてバカもいいとこだわ。』

 

鼻で笑う彼女をよそに、ライゼクスは驚きを隠せない様子だった。

 

ライゼクス『お、俺は本気でお前の事が心配で・・・』

 

エスピナス『あんなサルにも勝てないアナタにアタシを守れる資格があるのかしら?

はっ!笑わせないで、もういいわよ。

アンタに守ってもらいたくないし。』

 

ライゼクス『あぁ、そんな...。』

 

体制が崩れ、途端に倒れ込んでしまう

 

グラン「...!」

 

真っ先にライゼクスに駆け寄るグラン。

 

ライゼクス『俺が悪いんだ...俺が弱いばっかりに...』

 

グラン「そんな事を言ってはダメだ、

お前は悪くない。」

 

ライゼクス『グラン・・やっと見付けた番に見放されたら、俺は生きていけない...。』

 

グラン「弱気になるな、これから強くなっていけばいい。それに、僕はお前が弱いなんて思わない。」

 

ライゼクス『・・本当に優しい奴だな、そこのジンオウガの言った通りだよ...。』

 

エスピナス『ねえ、まだ終わんないの?

エサならアンタ達にあげるから。』

 

黒影『イカれてんのかこいつ...!』

 

碧彩『もう・・我慢の限界です...!』

 

2頭がエスピナスに対し攻撃態勢をした時、

ここにいる誰もが異様な何かを体の芯まで伝わり感じ取る。

 

黒影『や、やばい...。

碧彩にハクロウ、ここを離れるぞ...。』

 

碧彩『えぇ...、ハクロウさん、私に乗って下さい。』

 

ハクロウ「あ、はっ、はいニャ!」

 

2頭と1匹は、その場を離れて行った。

 

エスピナス『な、なに!?

一体なんなの?!この感じは!

ま、まさか?!』

 

ライゼクス『グラ・・ン?』

 

グラン「ここまで屑だとは思わなかったよ...。」

 

その時、突然現れたかのようにエスピナスの目の前まで移動しエスピナスの顎を蹴り上げた。

 

エスピナス『あが?!』

 

蹴り上げられ体がよろめくが、

相手が態勢を立て直す前にグランは容赦なく何度も蹴り上げ続けていく。

 

グラン「さっき言ったな。

弱い者が死に強い者が生きる権利がある、と。

じゃあ僕に殺されても文句はないよね?」

 

エスピナス『あが、あ...(なんなのよコイツ・・本当にニンゲン?!このアタシが為す術なくやられてるっての!?)』

 

グラン「あと何発耐えれるかな?」

 

そう言うと、右手が爆竹の様にハジけ、

エスピナスに殴りかかろうとした時、

大声で止めに入る者がいた。

 

ライゼクス『もういい!止めてくれー!!』

 

ライゼクスは必死に攻撃を呼び止めようと声を張り上げると、寸止めの所で攻撃は中断された。

 

グラン「・・・なんで止めるんだ?」

 

ライゼクス『頼む、嫁を殺さないでくれ...!』

 

グラン「〜っ、くそ!」

 

溜めた力を地面にぶつけ、小さいクレーターが出来る。

 

エスピナス『ど、どうして...!』

 

ライゼクス『どうしてだろうな・・多分お前のことが諦めきれねえって感じがしてならねえ...。』

 

エスピナス『なによ!アタシ以外の雌なら他にいるじゃない!』

 

ライゼクス『それでも!!』

 

エスピナス『!?』

 

ライゼクス『好きになったのは、お前が初めてだったんだ...。お前と出会ってから最後まで傍に居たいと願ったんだ。』

 

エスピナス『・・・。』

 

ライゼクスは、彼女に近付き告げた。

 

ライゼクス『もっと強くなって、誰にも負けないくらいになってみせる。もう一度、俺様と共に生きてくれるか?』

 

エスピナス『・・・ふん。』

 

鼻息で笑う彼女だが、その表情は先程までと違い落ち着いている。

 

エスピナス『あ〜もういい、アタシは巣に帰るわ。』

 

彼女は巣があった場所まで戻ろうとしたが、

途中で脚を止めた。

 

エスピナス『巣を直すのに誰かさんが来て手伝ってくれると助かるんだけどー?』

 

ライゼクス『...!』

 

ライゼクスは再び巣に向かい歩き出した彼女を追い掛けていく。

 

グラン「あの様子を見る限りだと、なんとかなったんじゃないか。」

 

ライゼクス『ああ、グランのおかげだ・・・って喜びたいんだがよ、1つ困った事になった...。』

 

グラン「困った事?」

 

ライゼクス『さっき嫁が言った事で、弱い者・強い者って話したろ?弱い奴には全く興味を示さないんだ。』

 

ライゼクスの言ってる意味が分からず首を傾げるグラン。

 

グラン「それが困った事か?

お前が強くなればいいだけだろ、今更何言ってんだ?」

 

ライゼクス『番になって分かった事が一つだけあってよ、多分・・いや必ず明日にはグランと会うことになる。』

 

グラン「だから何が言いたいんだ?

はっきりしろよ。」

 

ライゼクス『アイツを見れば分かる...。』

 

言われた通りエスピナスの方に目をやると、

歩きながら何故かこっちをチラチラと見てくる様子が伺える。

 

グラン「だ〜か〜ら〜、強くなってアイツに分からせればいいんだって喋っ・・・」

 

やっと察したのか、ライゼクスの言った意味を漸く理解した。出来れば嘘である事を願いたいと心の中で思うばかりである。

 

ライゼクス『やっと理解したか...』

 

グラン「頼む、違うと言ってくれ、な?」

 

ライゼクス『非常に残念だが、お前に惚れてしまったんだよ。』

 

グラン「なかったことにしてくれる?」

 

ライゼクス『無理だな。』

 

グラン「oh no...」

 

ライゼクスは「明日また来ることになるわ」と言い残し、エスピナスと共に離れて行った。

対しグランは悩みの種をまた1つ抱え込んでしまうことになってしまった。

 

グラン「桜華いなくて良かった・・・いたら絶対暴れてる...。」

 

その頃、リオ夫婦の巣では・・・

 

 

 

 

 

 

桜華『はっ!』

 

紅牙『どうしたのだ。』

 

桜華『なんだかグラン様が他の雌に狙われている気がする・・・。』

 

紅牙(急に何を言い出すのだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

2頭と別れた後、離れてた黒影達が戻って来た。

 

黒影『相棒、大丈夫か?』

 

グラン「・・・。」

 

碧彩『何事もなかったですか?

お二方はもう行かれたのですか?』

 

グラン「・・・う」

 

黒影『なんだって?』

 

グラン「今すぐ出発しよう。」

 

ハクロウ「お言葉ですがご主人様、外も真っ暗ですので明日になってからのほうが・・・」

 

グラン「じゃあ朝日が登る前に立とう。」

 

黒影達はグランを不思議がるも、

言われた通り明朝に立つ事にした。

皆は早めに就寝する。

そして、明朝・・・

 

グラン「荷物は持ったな。」

 

ハクロウ「はいですニャ。」

 

グラン「よし...すぐにここから立つぞ。」

 

黒影『相棒ちょっと待て。

何でそんな急かすんだ、説明しろよ。』

 

碧彩『黒影さんの言う通りですよ。

何か理由があるのですか?』

 

グラン「歩きながら話すって、じゃないと・・・」

 

洞窟から出た瞬間、茂みから誰かの名前を大声で呼ぶのが聞こえ、その姿を現した。

 

エスピナス『グランちゃーーーん!!

朝の挨拶に来たわよーーー!!!』

 

グラン「ぎゃああああ?!」

 

そう、昨日会ったばかりのエスピナスである。

彼女から逃げるように碧彩の後ろに隠れる。

 

碧彩『え!?なに、どういう状況なの!?』

 

その後、少し遅れて来たライゼクスが到着した。

 

ライゼクス『はっ、はぁ・・目が覚めた否や急に走り出しやがって・・・やっぱここかよ...。』

 

エスピナス『グランちゃん!

さあ!アタシと戦いましょう!』

 

グラン「ちゃん付けやめろ!

気色悪いわ!

戦わねえ!」

 

エスピナス『アタシは準備オーケーよ!

さあ、全力でやりましょう!』

 

グラン「話聞けよ?!」

 

興奮するエスピナスと拒否し続けるグラン。

 

黒影『コイツまたイカれたのか?』

 

ライゼクス『違う、俺様の嫁は戦闘狂なんだ。』

 

グラン「それを先に言えライゼクス!」

 

ライゼクス『すまん...。』

 

エスピナス『隠れてないで早くヤりましょう!』

 

グラン「発音が別の意味に聞こえるの気の所為!?」

 

グラン達はまだ、旅立てずにエスピナスと奮闘するのである。




まだ続く予定です。


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登場キャラクター(簡易な説明)

日本語ド下手な私をお許し下さいm(*_ _)m
誤字報告下さった方ありがとうございます。


パーティーメンバー

グラン(男):15 人間?(ハンター)

性格【慎重】

ハクロウ(オス):11 アイルー(ニャンター)

性格【几帳面】

黒影(雄):26 ナルガクルガ(上位)

性格【マイペース・思いやり】

碧彩(雌):18 ジンオウガ(下位)

性格【協調性・優しい】

 

リオ家族

仁愛(雌):28 リオレイア(上位)

性格【優しい】

紅牙(雄):35 リオレウス(上位)

性格【頑固】

桜華(雌):0 リオレイア亜種(下位)

性格【元気】

 

エスライ夫婦

ライゼクス(雄):22 (上位)

性格【思いやり】

エスピナス(雌):23 (マスター)

性格【活発】

 

ナナ・テスカトリ(雌):???(???)

グランが幼少期に出会ったとされるモンスター。崖から転落したグランを見付け、何を思ったのか、古龍の血を分け与える。詳細はまだ明らかになっていない。

 

 

※簡単な説明

グラン

人間でありながら、『ナナ・テスカトリの力』(古龍の血)を身に宿すハンター。当の本人は既にマスターランクの実力に到達している事に気付いていない。

 

ハクロウ

狩猟・料理等、多様な事が出来るアイルー。

モンスター言語を理解出来るのは、アイルーの中で史上初ハクロウ1匹だけ。

 

黒影(ナルガクルガ)

相手を翻弄させる様な動きを得意とし、

攻撃特化タイプ。

グランを相棒と呼ぶのは自身がそう呼びたいだけである。

楽しい事に目がない。

 

碧彩(ジンオウガ)

過去に尻尾の甲殻を失うも、身軽になり足りない部分は電撃で補いながら攻守バランス良くとれた戦い方をする。最近は少しずつグランに想いを寄せている。

 

仁愛(リオレイア)

家族を誰よりも想っているが、

怒ると旦那の紅牙でも手がつけられない。

 

紅牙(リオレウス)

他者の話を聞かず勘違いして早合点する事もある。それとは裏腹に、自分の子供には甘い。妻の仁愛によく叱られてしょぼくれる事があるとかないとか。

 

桜華(リオレイア亜種)

生後1ヶ月に満たないも、才能に恵まれ誕生したリオ夫婦の第1娘。グランの事を様付けで呼び、将来は番になりたいと願っている我儘モンスター。現在はリオ夫婦と共に暮らしている。

 

ライゼクス

強気な一面は見られるも、内面は少々弱気な所がある。グランと出会ってから、自分は変わりたいと決意する。嫁の戦闘狂には、ほとほと困り果てているらしい。

 

エスピナス

弱い者には全く興味を示さず自分勝手で、

常に周りを困らせてきた。

最近では、人間であるグランの強さに惚れ闘争心が芽生え、現在進行形で戦いを挑もうとしている。




後編終わりましたら、次は大社跡パートに入ります。


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道中【後編】

登場してくる原作キャラは設定崩壊してるしてないか分からないので、取り敢えずゴメンなさい。先に謝ります。


グランは碧彩の後ろに隠れながら、

エスピナスと口論を続けていた。

 

黒影『なあ、俺等どうすりゃいいんだ?』

 

ハクロウ「埒が明かないニャ。

そこのライゼクス何とかするニャ。」

 

ライゼクス『そうしたいんだが、

実力は嫁の方が上で俺様では止めれそうにない...。』

 

そうしているとシビレを切らしたのか、

エスピナスが強行手段に出た。

 

エスピナス『ジンオウガの雌!

アンタ邪魔よ!』

 

碧彩『!!』

 

口内から巨大な火炎弾を繰り出そうするエスピナスに対し、碧彩は超帯電になり攻勢に出る。

 

エスピナス『吹き飛びなさい!!』

 

グラン「お前がな。」

 

碧彩の下を掻い潜り、瞬時にエスピナスの放たれた火炎弾の前に立つ。

グランは、ババコンガに放った一撃と同じ技で火炎弾を上空へと打ち上げた。

 

エスピナス『え!?』

 

ライゼクス『嘘だろ!?

嫁の技をあんな簡単に!』

 

ハクロウ「当然ニャ、ボクのご主人様ニャ。」

 

黒影『なんでお前が自慢してんだ。』

 

打ち上がった火炎弾はその後爆発し、

塵となって消えた。

 

エスピナス『この力だわ・・・そうよ!

やれば出来るじゃな・・ぎゃばぁ?!』

 

グランはエスピナスの頭部を掴み地面に押さえつける。

 

グラン「僕は戦わないって言ってんのに話聞けよ。ライゼクス、こいつ再起不能にしていいか?」

 

ライゼクス『死なない程度に頼む...。』

 

エスピナス『はあ!?アンタ何言って・・・』

 

グラン「フルボッコにしまーす。」

 

エスピナス『いやああああああ!!!』

 

躊躇なく振り下ろされる弾幕がエスピナスを襲い、彼女の悲鳴が響き渡るのであった。

 

 

 

 

 

エスピナスをタコ殴りにすること1分、

再度出発し直す。

 

グラン「よし、行くか。」

 

エスピナス『ぁ・・けはぁ・・・』

 

黒影『あれだけいたぶられでも尚生きてるな。まあ、手加減はしてるみたいだから暫くは起きれないだろ。』

 

ハクロウ「モテる男はつらいニャね、ご主人様。」

 

グラン「んなこと言われても嬉しくねえ。」

 

やれやれ、っと首を横に振る動作をする。

今度こそライゼクス達と別れの言葉を掛ける。

 

グラン「じゃあなライゼクス。

嫁さんと仲良くな、僕は暫く戻れないが用事済ませたらまた来るかもしれない。」

 

ライゼクス『そうか、何から何まですまないな。』

 

グラン「ああ。

それと、お前はまだ強くなれるんだから、

嫁さんの実力を追い越す位で頑張れよ。」

 

ライゼクス『おうよ!』

 

ライゼクス達と別れを告げ、

森の中を歩いていた。

程なくして森を抜けたその先は、

広い草原が見え、その先に大型のモンスターが視界に入った。

 

ドボルベルク『ニンゲンとモンスターがつるむのは珍しい光景じゃの。ゆめでも見てるようじゃ。』

 

随分呑気だはと思いつつ話し掛けてみた。

 

グラン「夢じゃないから。

それと聞きたい事があるんだけどいいかな。」

 

ドボルベルク『なんと?

儂は今ニンゲンと会話をしておるのか?

とうとう死が近付いてきたか...』

 

グラン「それはいいから、ドボルベルクの爺ちゃんは大社跡ってどの方角か知ってる?」

 

ドボルベルク『大社跡・・大社跡・・・、

ああ、そうじゃ。

あの山の麓を抜ければ着く筈じゃ。』

 

顔を動かし大社跡がある方角の行先を教えてくれた。

 

グラン「あっちか・・もうひと頑張りだな。」

 

黒影『腹減ったからなんか食おうぜ〜。』

 

ハクロウ「さっき食べたばっかりニャ。

どんだけ大食いなのニャ。」

 

碧彩『食べてばっかりですと太りますよ。』

 

黒影『それを言うならお前だって太るこ・・』

 

碧彩『何か言いましたか?』

 

黒影『イッテナイデス』

 

ドボルベルクは、そういった会話を聞いていると妙に和む気持ちになる。

 

ドボルベルク(若い子はよいのう。

死ぬ前に良いものが見れたわ。)

 

その後、後方からイビルジョーが姿を現した。

 

イビルジョー『クイモノーーー!!!』

 

涎を垂らしながらグラン達目掛けて襲い掛かってくる。

 

ドボルベルク『いかん...!

若者よ、ここは儂が...!』

 

迎撃態勢に入ろうとするドボルベルクだが、

瞬時に戦闘態勢を取るグラン達。

 

グラン「爺ちゃんは下がってて。」

 

ドボルベルク『何を言っておる!

危ないから下がっ・・・』

 

グラン「ハクロウはサポートに回れ、黒影は相手を撹乱、碧彩は後方支援。」

 

ハクロウ「はいニャ!」

 

黒影『任せろ!』

 

碧彩『了解です!』

 

イビルジョーが目の前まで迫ってくる。

 

イビルジョー『クワセローーー!!!』

 

グラン「散らばれ!」

 

合図を出すと同時に、

散らばっていきそれぞれの役目を果たしていく。

黒影はモンスターの周囲を立ち回り、

碧彩は超帯電状態になり2つの雷撃を放つ。

ハクロウは大タル爆弾をモンスターの顔目掛けて投げる。

その後に続き、グランはモンスターに走り出していき、黒影に後退の指示を出す。

 

黒影『(そろそろか...)どうした、

捕まえられねえか!』

 

イビルジョー『グオオオオオ!!』

 

黒影が距離を置いて後退すると、

碧彩の放った雷撃とハクロウが投げた大タル爆弾がイビルジョーに命中する。

 

イビルジョー『ガアアア!?』

 

グラン「喰らえ!蒼炎爆砕拳!!」

 

グランの放った一撃がイビルジョーの胴体を貫き、全身に燃え広がる。

燃え広がりながら苦しみ悶えるイビルジョーだったが、少しずつ動きがゆっくりになり、次第にはピクリとも動かず終わった。

 

グラン「よし、終わり。」

 

ハクロウ「やったニャ!」

 

黒影『こいつの肉食えっかな。』

 

碧彩『食べれたものではないですよ黒影さん。』

 

グラン「碧彩の言う通りだ。

そいつは捨て置いて先に行くぞ、

走りながら。」

 

黒影『ちぇー。』

 

あっという間の出来事にドボルベルクは唖然とする。

 

ドボルベルク(何が起こった?

いや、それよりもニンゲンの子じゃ。

あの子はニンゲンでありながらも各々に指示を出していた・・しかも的確じゃった。

それにあの子は武器なんぞ持っておらぬに、

あの時に放った炎は・・・まさかっ!?)

 

何かに気付いたドボルベルクは、

再度声を掛けるも近くに見当たらず、

遠くに行ってしまっていた。

 

ドボルベルク『あぁ、ナナ様...。

遂に、貴方様の求める子が見付かったのですね...。』

 

そう言うとドボルベルクは森へと姿を消した。

 

 

 

15分後、一行は社と思われる場所まで辿り着いた。

 

グラン「ここが大社跡か。」

 

黒影『やっと着いたかよ、飛んだ方が早かったぜ。』

 

碧彩『飛べるのは貴方だけなんですから仕方ないですよ。』

 

社を通過すると遠方に拠点が見えた。

向かおうとした時、木々の間から微かに揺れ動くのをグランと黒影が感じた。

 

黒影『相棒...今そこに...』

 

グラン「お前も感じたか。」

 

ハクロウ「何がですかニャ?」

 

黒影に棘攻撃の指示を出し、先程感じた場所へと攻撃する。棘を飛ばした場所から何者かが木の枝を利用して素早く移動する。

 

黒影『それで振り切れたつもりか!』

 

黒影は移動する影を逃がすまいとジャンプしたが、いつ張られたのか糸の様な物で動きを封じられる。

 

黒影『ぐっ、何だこれ!?』

 

グラン「鉄蟲糸か!」

 

???「ほう?よく知っているね。」

 

ハクロウ「何者ニャ!

姿を見せるのニャ!」

 

???「おっと失礼。

このまま隠れているのは無難だね。」

 

そう言うと、影は木々から飛び降り地面に着地した。その人物は面を被っていた。

 

???「君達はどうして此処にいるのかな?」

 

ハクロウ「こっちの質問が先ニャ!

お前が名乗れニャ!」

 

グラン「やめろ、ハクロウ。」

 

ハクロウを制止し、人物の質問に答える。

 

グラン「僕はグラン。

武器がなくて、ある鉱石を求めてルアト村から来たハンターだ。」

 

???「ルアト村?

初めて聞く名前だが何処だい?」

 

グラン「ユクモ村の外れだ。」

 

???「そんな遠い処から来たのかい。

それにモンスターを連れてるなんて本当にハンターなのかい、君は。」

 

グラン「はいこれ、証明書。」

 

ポーチに入っているハンターを証明する為のカードを取り出し見せる。

 

???「確かに・・・この若さでハンターをしてるなんて立派だね。こっちにはまだハンターがいないから困ってるんだ...。そうだ!君、少しだけでいいから幾つかクエストを受けてくれないか。」

 

グラン「話を進め過ぎだ、

次はアンタが答える番だ。」

 

ウツシ「おっと僕とした事が失礼。

僕はウツシ、彼処にあるカムラの里の教官だ。」

 

グラン「教官...。」

 

教官という言葉を聞くと、切ない気分になり拳を握りしめる。

 

ウツシ「どうしたんだい?」

 

グラン「・・・いえ。

実は会いたい方が大社跡にいると思うので、

クエストでしたら出来る限り受けます。」

 

ウツシ「本当かい!?

それは助かるよ。」

 

ハクロウ「ご主人様?!

この人間は信用出来ませんニャ!

きっとボク達を利用するに決まっているニャ!」

 

ウツシ「酷い言われようだな〜。

ちょっと傷ついちゃうよ?」

 

ハクロウ「うるさいニャ!

お前なんて・・」

 

グラン「ハクロウ!!」

 

荒らげるハクロウを大声を出し制止する。

 

ハクロウ「ご、ご主人様...。」

 

グラン「言い過ぎだ。

少し落ち着け、その辺は考えてる。」

 

ハクロウ「で、でも・・」

 

ハクロウを宥めるように頭を撫でる。

 

グラン「大丈夫だから、な?」

 

ハクロウ「・・ニャ...」

 

ウツシ「何か不快にさせたかい?」

 

グラン「お気になさらず。

カムラの里まで案内して頂けますか。」

 

ウツシ「いいよ、僕に付いてきて。」

 

その時、1名が大声をあげた。

 

黒影『おーい!

この糸を外せ!!』

 

グラン「あっ、その前にあいつを解放してくれますか。」

 

ウツシと名乗る人物は、鉄蟲糸で捕らえた黒影を解放した後、カムラの里に向かった。

 



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拠点:カムラの里

勝手な質問するけど、モンハンで相棒・妻等にしたいモンスターは誰にする?もう前書きでもなんでもない


もうすぐ拠点に着く所で、

ウツシから進むのを止められる。

 

ウツシ「ちょっと此処で待ってて。

里の皆に君達の事を報告しないといけないから。」

 

ウツシは翔蟲を巧みに扱い、

空中へと駆け上がって行った。

報告に行ったウツシが1分位で戻って来た。

 

ウツシ「里に入る許可が出たから入っていいよ。」

 

言われた通り拠点の門の間を通る一行。

そこには沢山の人集りが出来ていた。

それを見たハクロウは少し不快になっている様子が伺える。

 

ハクロウ「・・・。」

 

グラン「ハクロウ、背中に乗るか?」

 

そう言うと、頷きもせず無言でグランの背中にしがみつき、他者に目も合わせず蹲る。

暫くして里の長らしき人物と対面する。

 

フゲン「遠方遥々カムラの里へようこそ。

っとは言うが、アイルーは分かるがモンスターを連れているのは初めて見るな。」

 

グラン「でしょうね。

この里にハンターは居ないんですか。」

 

フゲン「ここの専属ハンターはまだ決まっておらぬのだが、お主が来てくれて此方も安心だ。」

 

グラン「決まっていないか・・・。

それで、何のクエストを受ければいいんですか。」

 

フゲンと話していると、

右方向から若い男性がこっちに向かって話し掛けてきた。

 

???「あなた、アイルーを連れているんですか!」

 

グラン「そうだけど。」

 

イオリ「あっ!その前に自己紹介させて頂きます。僕はオトモ雇用窓口の担当しているイオリと言います。」

 

イオリと名乗る人物は続いて話し掛けてくる。

 

イオリ「貴方にガルクを是非紹介したいと思いまして!」

 

グラン「僕にか?」

 

イオリ「はい!

その時に案内するのは僕とオトモのコテツとルークです。」

 

イオリの隣から元気なアイルーと活気に満ちたガルクが地中から飛び出してきた。

 

コテツ「コテツですニャ!

宜しくですニャ!」

 

ルーク?『毎回言ってるけどな、オレはルークじゃなくてイッセンだ!ニンゲンには言葉通じねえしコテツも分からねえじゃ意味ねえ・・・。』

 

グラン(まさかガルクの言語まで理解出来るとはな...。)

 

イオリ「あの、どうかしましたか?」

 

グランはイッセンと名乗ったと思われるガルクに近付いた。

 

グラン「ガルクのイッセンだね?」

 

ルーク?『!?そうだ、どうして・・っ!

オレの言葉が分かるのか?!』

 

グラン「うん、もしかしてずっと間違われてたかな。」

 

イッセン『ああ!オレだけ名前間違われっぱなしだったから嫌になってよ、仲間にも笑われるしもう諦めかけてたがお前と会えて良かったよ!』

 

グラン「じゃあ今すぐイオリに訂正しなきゃね。」

 

イオリ「ルークがどうかしましたか?」

 

グラン「この子の名前イッセンですよ。」

 

イオリ「何を言ってるんですか?

この子はルークですよ。」

 

グラン「じゃあこうしましょう、今からこのガルクの名前を呼びます。そうしたらガルクは僕かあなたの側に来て座ります。それでいいですか。」

 

首を傾げ分からない仕草をするイオリ。

 

イオリ「何のつもりか分かりませんがいいですよ。」

 

グランとイオリはそれぞれ別の名前を呼ぶ。

 

グラン「イッセン。」

 

イオリ「ルーク。」

 

すると、ガルクはグランの元まで歩くと側に座った。

 

イオリ「え!?」

 

グラン「この子だけ名前を間違われてましたよ。

ちゃんと雇用窓口として仕事してるんですか?」

 

イオリ「ボ、ボクはなんて事を!」

 

直ぐさまイオリはガルクに駆け寄る。

 

イオリ「今まで気付いてあげられなくてごめん!

本当にごめんよイッセン!」

 

抱擁しようとするとが、ガルクは後退して避ける。

 

イオリ「え?」

 

イッセン『この人と会わなかったらルークのままだったよ。暫くは許さん、反省しろ。』

 

吠えるイッセンだが、当然イオリには伝わらない為、グランが通訳する。

 

グラン「暫く許さないそうですよ。」

 

そうして皆からモンスターの言葉が理解出来る事に大層驚く。それから話は10分も続いた。

 

黒影『相棒、腹減った。』

 

グラン「そうだな、何か食べるか。」

 

フゲン「それならば、左に見える茶屋で食してみぬか。」

 

グラン「あ〜・・・」

 

チラッとハクロウに視線を傾けると、

表情は暗いままである。

 

グラン「また今度にするので、

今回はいいです。」

 

フゲン「そうか・・ならばあちらの空き家を利用するといい。」

 

グラン「助かります。」

 

フゲンは「また何かあれば使いの者を寄せる」と言い残して行った。グラン達は久方振りの休息をとることをにする。

 

黒影『は〜、ニンゲンの目線が気になって仕方なかったぜ。』

 

碧彩『しょうがないです、普段人里に降りない私達が来たら気にもなると思いますよ。』

 

グラン「碧彩の言う通り。

ま、取り敢えず休もうっと言いたいところだが...」

 

未だに気分が優れないハクロウに声を掛ける。

 

グラン「まだ、無理か?」

 

ハクロウ「・・・いえ、ニャんとか大丈夫ですニャ...。」

 

碧彩『そういえば此方に着いてから元気がないように見えましたが、どうかなさったのですか?』

 

グラン「碧彩にはまだ話してなかったな。」

 

碧彩にハクロウが過去で起きた出来事を簡単に説明した。

 

碧彩『それであの感じでしたのね。』

 

グラン「こいつも苦労してんだ、僕と違って。」

 

ハクロウ「そんなことはないのニャ!

ご主人様の方がボクより沢山苦労してるニャ!」

 

違うとばかりに声を上げるハクロウ。

 

グラン「お互いに苦労してんだ。

僕のはまだいい方だよ。」

 

ハクロウ「なんで...!」

 

次第に声を荒げ始める。

 

ハクロウ「どうして憎いと思わないのニャ!なんで怒らないのニャ?!

ご主人様は一生懸命やってるのに、金雷公の時だって生き残ったニンゲンを助けたのに責められるなんておかしいニャ!そんなの間違ってるニャ!」

 

驚く碧彩。

 

碧彩『そんな?!どうして!』

 

ハクロウ「だけどニンゲンの少女だけは違ったニャ、ご主人様だけでなくボク達にも感謝していたニャ。」

 

黒影『そうだな、ニンゲンって大抵勝手だからな〜。』

 

地べたに転がり寝返りを打ちながら話を聞く黒影。

 

碧彩『グランさん、貴方はなんで...』

 

話を紛らわすように手を叩く。

 

グラン「はい、この話はおしまい。

今は休憩で各自適当にやってくれ。」

 

ハクロウ「ご主人様!?」

 

グラン「僕は訓練所らしき所に行ってるから、

休息はちゃんととれよ〜。」

 

黒影『相棒が行くんなら俺も行く。』

 

体勢を直しグランに付いて行った。

残されたハクロウと碧彩の間に一時の静寂が訪れた。

 

ハクロウ「分からない、分からないニャよ...。」

 

碧彩『・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

グラン「ほう〜、ここがオトモの訓練所にさっき話してた雇用窓口か。」

 

そこでは、アイルーとガルクがモンスターの模型を相手に打ち込んだり、その奥では貿易所まで構えて居た。

 

ガルク1『おいあれ、本当にモンスター連れてるよ。』

 

ガルク2『マジだ、おっかねえわ。』

 

ガルク3『何されるか分かったもんじゃねえな。』

 

ガルク4『お前ら止めろって、

あっ、言葉分かんねえんだったなニンゲンにはw』

 

ヒソヒソと小言で話すガルクも居たが、

言語を理解出来ないと思ったのか声量を上げ始める。

すると、先程会ったガルクが横から入って来た。

 

イッセン『テメエら!

何駄弁ってやがる!!』

 

ガルク2『おっ、イッセ・・じゃなかったな、今はルークだもんな〜。』

 

ガルク1『立派だなあ?

イオリさんのオトモがルークとは!』

 

ガルク4『だなw

俺らも鼻が高いぜwww』

 

イッセン『その口を閉じやがれ!

俺はもう間違わねえ!』

 

イッセンが話した事に対し、

鼻で笑い返す。

 

ガルク2『おい聞いたか、もう間違わねえだとよ。』

 

ガルク1『通じもしねえクセに何が間違わねえだ。ま、無理だろうが言い間違えしなかったら逆立ちでキャンキャンしてやんよ。』

 

イッセン『へえ〜、その言葉本当だな?』

 

ガルク1『間違えなかったらの話だがな。』

 

その言葉を聞いたイッセンはニヤリと笑い、

グランに相槌を打つ。

 

イッセン『俺の名前を言ってみろ!

イッセンと言ってくれ!』

 

グラン「イッセン。」

 

ガルク4匹『!?!?』

 

イッセンの名前を言い当てた事に対し、

ガルク達は響めきを隠せない様子だ。

 

ガルク2『なんだと!?』

 

ガルク4『馬鹿な馬鹿な!!』

 

ガルク3『本当に当てやがったぞ?!』

 

ガルク1『分かる訳がないのに・・っ?!

待て!お前、言葉が分かるのか!?』

 

グラン「うん。」

 

ガルク1『さっき言った事もしかして...』

 

ガルクの質問に対し、

満面の笑みで答える。

 

グラン「ちゃんと聞こえたよ♪」

 

ガルク4匹『ギャアアア!!!』

 

慌てふためくガルク達。

その様子を見ていた黒影が尋ねてきた。

 

黒影『なあ、あのイヌッコロ共何やってんだ?』

 

グラン「え、分からないのか?」

 

黒影『全然。』

 

グラン「へえ〜・・・ま、そんなことはいいや。

そこのガルク達♪」

 

ガルク4匹『はい!!』

 

一斉に座るポーズをする。

 

グラン「さっき君が言った、逆立ちしながら鳴くだけじゃ面白くないから、僕が考えた罰でいいかな。」

 

ガルク1『罰!?』

 

グラン「うん、ということでそこのガルク君。」

 

ガルク4『は、はい!』

 

グラン「こっちに来て。」

 

言う通りにグランに歩み寄り、

近くの所で止まる。

 

グラン「後ろを向いて。」

 

ガルク4『はい!』

 

グラン「では、これよりモフモフわしゃわしゃの刑を執行します。」

 

ガルク4『はい!・・・って、え?』

 

その言葉に疑問を持つと同時に、

1匹のガルクは全身を余す事なく触られるのである。

 

ガルク4『イヤアアア!!!』

 

グラン「あ〜、やっぱ犬と同じ毛だなー。

癒される〜。」

 

1匹のガルクが、全身を執拗以上に撫で回されるのを見て震えていた。

 

ガルク2『あれを俺らにもやるつもりか...!』

 

ガルク3『くそ!言い出したのお前だからな!』

 

ガルク1『はあ!?お前らも乗り気だったじゃねえか!』

 

言い争っていると、

残ったガルク達の番が回って来た。

 

グラン「1匹ずつモフるのも面倒いから一気にやるか。」

 

その後、ガルク達は1人の人間によって暫くは立てない状態になるまでになったとか。

 

グラン「碧彩の尻尾を触った以来だけど、

満足した。」

 

イッセン『あんた・・容赦ないな・・・。』

 

グラン「さて、戻るか。」

 

戻ろうとした際、イッセンから声が掛かる。

 

イッセン『ついて行ってもいいか?』

 

グラン「どうした急に。」

 

イッセン『お前らがここにいる間だけさ、

一緒に居たいと思ってよ。』

 

グラン「イオリはどうすんの。」

 

イッセン『あんな奴よりあんたの方が良い。』

 

グラン(イッセンに嫌われてんぞイオリ...)

 

イッセン『駄目か?』

 

グラン「里にいる間だけならな。」

 

聞いた途端、飛び跳ねる様に悦びを表現する。

 

イッセン『やった!

今すぐ荷物まとめるから少し待ってくれ!』

 

そう言うと大木の側に置いてあるボックスを漁り始め、その様子を見ていたイオリは「イッセン!どうした!?」と驚き、荷物をまとめ終えたイッセンは再びグランの元まで駆け寄る。

 

イッセン『準備OKだ。』

 

イオリ「ちょっと待ってくれ!

どこ行く気なんだ!」

 

イッセンはがグランと一緒に居る事を通訳すると、

またもやイオリは落ち込んだ。

オトモ訓練所を後にしたグラン達は、

碧彩とハクロウが留守で待っている家に着いた。

 

碧彩『あ、お帰りなさい。

あれ・・その子は?』

 

グラン「この里にいる間だけ一緒に居る事になったガルクのイッセンだよ。」

 

イッセン『宜しく頼む!』

 

吠える様に喋るが、碧彩は首を傾げる。

 

碧彩『なんて言ったのですか?』

 

グラン「分からないか?」

 

碧彩『ええ。』

 

黒影『俺がさっき言ったばかりだろ。

それに、俺にはワンワンとしか聞こえねえ。』

 

グラン(種が違うからなのか?

ともかくここからは僕が通訳しないとな。)

 

そう思っていると、家の中からハクロウが出て来た。

 

ハクロウ「お帰りなさいニャ、ご主人様。

今しがた晩御飯が出来ましたニャ。」

 

空が暗くなり辺りは静まり返っていた。

 

グラン「あ〜、もう暗いからな。

よし、皆で腹ごしらえするか。」

 

黒影『待ってました!

早く食おうぜ♪』

 

碧彩『貴方はただ食べたいだけでしょ。』

 

イッセン『待ってくれ。』

 

イッセンが呼び止める。

 

グラン「どうした。」

 

イッセン『ここに居るだけじゃなんだから、

この里の串団子を食べて貰いたい。』

 

そう言うと、イッセンが背負っていた荷物から串や餅等を取り出した。

それからイッセンは、複数の餅を空中に放り投げ、自身の武器で切り刻み丁度いい大きさにひとまとめにする。そして、自ら空中に飛び串を餅に放ち、地面に置いていた板に突き刺した。

 

イッセン『これが、カムラの里に伝わる食べ物で三色団子だ。』

 

グラン「器用な事をするんだな。」

 

イッセン『俺が出来る唯一の小技で、

他の奴らはやれないからちょっと自慢なんだ。』

 

自慢げに話すイッセンと共に、

晩御飯を食べ楽しんだ。

その後、次の日に備え眠りについた。



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