桃眼の鬼狩り (斬る斬るティー)
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第1話:大和(やまと) ミコト

鬼滅の刃、遊郭編が今日から始まりますので書いてみました。文章力は本当にないので大目に見てください。


 この国には“鬼”が居る。奴らは日が沈み夜に成ると現れ人を襲い、傷つけ、殺し、喰らう。鬼は例え手足を捥がれようと、心臓を潰されようと、どんな重傷を負わされても瞬きほどの時間で直ぐに治る。

人を多く食べた鬼ほど強くなり、“血鬼術”という異能を用いる鬼も居りまた、肉体の形状を変貌させ異形の外見と成る異形の鬼が居る。

鬼を殺す方法は二つ、日の光を浴びせるか鬼を殺すことの出来る特別な刀で首を切り落とす事だ。

 

 この国には鬼と戦う者達“鬼殺隊”が居る。彼らは毎夜人知れず誰かを守るために鬼と戦っている。人間であるが為に切り落とされた手足は元に戻らず、重傷を負えば死に至る。だが彼らは皆、“全集中の呼吸”という特殊な技法で身体能力を瞬間的かつ大幅に上昇させ、鬼を殺すことの出来る特別な刀“日輪刀”を使い平和に過ごす人のために鬼に刃を振るい鬼の頸を切る。

 

 そして――

 

 

 

 

 

「ようやく大きな村に着いたなミコト」

「もう山の中を三日も彷徨うのは疲れた」

「お前が彼奴らを追いかけるせいだろ」

「うっ反論の余地もない・・・けど犬さん!ちゃんと彼奴ら仕留めたじゃん!」

「はあ~」

「あはは」

 

 大きな村の入り仲良く話すのは、腰に刀を差し中性的な顔つきに腰まで伸びた白い髪が特徴のミコトと呼ばれた人物と、白い毛並みが綺麗な大型犬の犬さんだった。

 

「それでこれからどうするんだ?」

「とりあえずここで金を稼ごうか」

「おい、またあれすんのか?俺は嫌だぞ」

「まあまあ」

「あら!見ない顔だね。旅人さんかい?」

 

 2人(片方は犬)に声を掛けたのは野菜の入ったかごを持った女性、おそらくこの村の住人だ。ミコトは急いで刀を背中の服の中に隠す。

 

「ええ、先ほどこの村に来たんです」

「まあそうなの。女の子なのに一人旅なんてね凄いわね」

「あ!わんちゃんだ」

「ワン!」

 

 女性の後ろから出てきた女の子は犬さんを見ると駆け寄りそのままもふもふしだす。

 

「もふもふ」

「あ、小奈津いきなりダメよ」

「えー」

「大丈夫ですよ。犬さんも喜んでますし」

「そお?って犬さん?」

「この犬の名前です。それよりこの辺で大きく開けた場所はないですか?」

「あ!有るよ私案内するー!」

「ワン!」

「じゃあお願いしますねお嬢さん」

「うん!」

「小奈津。余り迷惑を掛けたらダメよ」

「はーい!」

 

 少女は元気に旅人の手を引くと走り出す。そして少しすると開けた場所に出るとそこには色んな村人が居た。子共は遊び大人は楽しそうに話していたが少女に手を引っ張られて来たミコトを見ると全員が見ない顔の者に興味を持ち話しかけてくるが、その前にミコトは手を叩きしゃべり出す。

 

「初めまして皆さん!私はしがない旅人です。折角今注目して貰っていますので、私の愛犬の犬芸をごらん入れましよう!」

 

 その声に村人達は次から次にと集まり出す。

 

「それではまず此方を!」

 

 ミコトは近くに落ちていた木の棒を自分の腰より少し上に高さに伸ばしと、犬さんはそれを難なく飛び越える。そして徐々に高くしていき最後は胸元までの高さになるが犬さんは余裕で飛びきった。

 

「さてさてお次は!この犬さんは他の犬より賢く人間の言葉が分かります!では先ほど道案内してくれた小奈津さん。お手伝いしてくれますか?」

「はい!」

「それでは1から10の間の数字を言ってください」

「え、えーとじゃあ7!」

「ワンワンワンワンワンワンワン!」

「3!」

「ワンワンワン!」

「0!」

「ク~ン!」

「1!」

「ワオ~ン!!」

「凄い凄い!」

 

 犬芸により少女は喜び周りから拍手が起きる。観客からは「凄い!」「私もしたい!」「姉ちゃん美人だね!」などの声が上がった。その後もいくつかの芸を披露して終わりにする。

 

「ありがとう御座いました」

「ワン」

 

 ミコトが頭を下げたのと同時に犬も頭を下げたことで完全に終わった事が分かった人達は盛大な拍手を送った。

 

「お姉ちゃん凄い!」

「あ、私もワンちゃんもふもふしたい!」

「順番ですよー」

「「「「はーい!!」」」」

「にしても嬢ちゃん凄いな!女の一人旅なんて危ないだろうに」

「いえいえそんな事も無いですよ?一応こう見えて俺強いので」

「俺?」

「お嬢ちゃん。折角のべっぴんさんなんだから俺だなんて言ってたら男みたいよ?」

「・・・?俺男ですよ」

 

 

「「「「「え?」」」」

 

 

 

「今なんて言った嬢ちゃん」

「だ・か・ら!俺は男です」

 

 

「「「「えぇぇぇぇぇえええ!?!?!?!?」」」」

 

 その一言でその場に居た老若男女関係無く全員が驚きミコトに詰め寄る。

 

「ほんとか!?」

「その顔で!?」

「その声で!?」

「確かに服は男の服だが・・・」

「嘘でしょ・・・男なのにこの肌の綺麗さ・・・私負けた」

「じゃ、じゃあ胸はなく男のアレはあるのか!?」

「はい」

「触ってみて「アンタ!!何言ってんだい!ちょっとこっち来な!!」

「ははは」

 

 こうしてミコトは色んな人と話をして目的だった旅の資金(おひねり)も得て、直ぐに村を出発して今は山の中で野宿の準備をしている。

 

「なぁミコトよ」

「何ですか?犬さん」

「折角村に着いたんだから宿に泊れば良いじゃん」

「ダメですよ。そんな無駄遣いは出来ません。あ、良い具合に焼けてきた・・・」

 

 ミコトは川で釣った魚を焼きながら犬さんと話し、村を出る前に村人に言われた事を思い出していた。

 

『アンタ!山の中で夜を過ごす気かい!?』

『悪いことは言わん!止めといな!!』

『今の山ん中には化け物“人食い鬼”が出ると言われとる』

 

「・・・鬼か」

「何か言ったか?」

「何もないよ。それより犬さんも魚食べる?」

「要らん」

「そう?折角美味しく焼けてきたのに・・・」

「・・・おいミコト。気づいてるか?」

「気づいてるよ。ハア~そろそろご飯が出来るってのに止めて欲しいな~」

 

 ミコトは溜め息をつきながら呟くと横に置いていた刀を取り後ろを向く。その目線の先には明らかに普通の人間では無い者が出てくる。

 

「へへへ!こんな所にも女がいやがった。」

「しかも此奴も希血だ。今夜はご馳走だぜ」

 

 出てきた二人はもはや人間よりも化け物の表現が似合う姿をした者達だった。一人は頭から2本の角を額から生やし長い舌で自分の鋭く尖った爪を舐めてる者。もう一人は身長が二メートル程の高さがあり腕は地面に着き引きずるくらい長く垂れ下がっている。

 

「おや珍しい。鬼は群れないはずでは?まあどうでも良いですけどね~」

「じゃあ嬢ちゃん、俺達の為に死ね!」

 

 腕長鬼が腕を更に伸ばしミコトに攻撃をする。鬼の手はそのままミコトに届く――事は無く、届く寸前でミコトの姿が消える。

 

「は?ど、何処に!?」

 

 ――パン!パン!パン!

 

 突如と手の叩く音が自分たちの後ろから聞こえたことに驚き、二人の鬼は後ろを振り向くとそこにはさっきまで焚き火の所に居たはずのミコトが立って居た。

 

「鬼さんこちら手の鳴る方へ」

「な!?何時の間に!?」

「一緒に一緒に遊び~ましょ!」

 

 かけ声と同時に抜刀の構えを取ると一瞬で駆け出す。その瞬間に腕長鬼が見たのは一瞬ミコトの姿が消えると次には目の前に立ってい。

 

「イッヒヒ♪」

「・・・は?」

「ありゃりゃ、終わっちゃった」

「お、おい!」

「無理ですよだってもう死んでるもん!」

 

 ミコトは腕長鬼の首を自分の顔の位置まで持って来て角鬼が顔を見えるようにする。そしてミコトの言葉の通り、腕長鬼の目は瞳孔が開き、動くことは無かった。

 

「・・・う、嘘だろ」

 

 角の鬼は驚愕するしかなかった。理由は簡単で、自分たち鬼を殺せる武器は鬼殺隊の隊士が持つ“日輪刀”しか無いからだ。しかも日輪刀で頸を斬られれば鬼は崩れる様に消えるのに対し腕長鬼は体が消えず普通に死んでいたからだ。

 

「お前も覚悟出来てるな?・・・あ、これ要らない」ポイ

 

 持ってた首を後ろに投げ捨てるとポチャンと音を立て川に落ちる。だが角の鬼はそんな事はどうでもよかった。今は目の前に居るミコトは本当に人間なのか疑っていていた。何故なら今のミコトの表情は口角を吊り上げ笑っていた。だが、ただの笑みではない。

 今のミコトの笑みは狂気的な笑みだった。その笑みを角の鬼は知っている、いつも自分が人間をいたぶり殺すときにしていたからだ。だから角の鬼は恐怖で動けなかった、今まで会った一般人は勿論、鬼狩りですらこのような笑みを向ける者は居なかったからだ。

 

「お前、鬼狩りか!!」

「俺は鬼狩りにして鬼狩りに非ず。ただ旅をしてお前らを殺す鬼狩りだ。さて、それじゃあお前も殺そうか!

「・・・!」

 

 月明かりしかない暗い森の中でソレははっきりと分かる。ミコトが目を開くとその目は、淡く紅く光り、桃を逆さにしたような印が右目の瞳に浮かんでいた。

 

「そうか!お前が桃眼の鬼狩りか――」

「あっはは♪」

 

 縮地で一瞬にして距離を詰め角の鬼の頸を斬る。そして刀に付いた血を眺め殺した鬼を見るとミコトは笑う。どこまでも狂気な笑みで笑う。

 

 

 

 

 

 

 この国には人喰い鬼が居た。

 

 この国には人喰い鬼と戦う隊士、鬼殺隊が居た。

 

 ――そしてこの国にはある鬼狩りが居た。その者は鬼狩りなのに鬼殺隊ではい。その身に鬼を殺す力、“桃の力”を宿し瞳に桃の印を宿し、日輪刀でもないにも関わらず鬼を殺せる刀を使い、人語を喋る犬、犬さんをお供にして鬼狩りの旅をしている男が居た。

 

 

 

 

 

 ――凄いのは人喰い鬼を倒したこと。

 

 ――喜ぶべきは犠牲になるハズだった者を救ったこと。

 

 ――ただ一つダメだった事は鬼との戦いを、鬼を殺す事を楽しんだこと。

 

 

 

 

 その男の名は、桃眼の鬼狩り――

 

 

 

「ミコト。何時まで余韻に浸ってる。魚が炭に成ってるぞ。あとこっちの女の――」

「あ!俺の夜ご飯がぁぁぁぁああああ!!!?!?!!?」

「女の子の心配をしてやれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大和 ミコト




これは、炭治朗が柱合会議に参加(?)する半年とそこそこ前からスタートです・・・多分。









良ければ評価や感想お願いします!
出来れば桃並みの甘さで!


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第2話:浅草

「・・・兄さん」

 

 少年、ミコトは朝になり目を覚まし一言呟くと心配そうに見ていた犬さんに気づく。

 

「どうした?犬さん」

「ミコト、大丈夫か?寝てるとき魘されてたぞ」

「大丈夫だよ、ただちょっと――」

「あの時の、か?」

「・・・うん」

 

俺が見た夢は、地面は大きく抉れ、その中心で大量の血を流し息絶えてる兄の姿。そして少し離れた家らしき残骸がある場所にはバラバラになった父の姿、その少し離れた場所には胴体真っ二つになった母の姿だ。

これらをやったのは今も忘れていない。俺の幸せを一瞬で壊したあの鬼。服装は紫色の上着に黒い袴、長い黒髪を一つに束ねている、まるで侍みたいな奴。そして額や首元から頰にかけて炎のような痣があり、何よりその顔には左右に三つづつ計六つの目を持ち右には壱、左には上弦の字が真ん中の目に刻まれた、書かれた?鬼の姿。名は――。

 

「黒死牟」

「?」

「彼奴は絶対に俺が殺す」

「・・・ミコト」

「ま!その前にこの子だな」

 

 ミコトの横には昨日立ち寄った村で会った女の子、小奈津が気持ちよさそうに眠っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ~昨夜~

 

 

 

 

「おいミコト、この女の子の心配をするのが先じゃないか?」

「はい、そうでした」

 

ミコトは今、鬼に連れ去られそうになっていた女の子の心配より魚が炭になったことを先に気にしたことを犬さんにこっぴどく叱られていた

 

「う、う~ん」

「あ、起きたみたい」

「・・・ひ!ば、化け物!!」

 

 目を覚ますと鬼に襲われた事を思い出し怯えだす。

 

「小奈津ちゃん。俺だよ昼に会った旅人のミコトおに「ミコトお姉ちゃん?」・・・男だからお兄ちゃんなんだけど・・・

「・・・ミコト、お姉ちゃん?」

「そ、そうだよ、ミコト、おね、お姉ちゃんだよ」

「ぷふ」

 

犬さん、いま笑ったな?でも今は。

 

「う、うえーん!怖かったよぉ!お姉ちゃーん!!」

「うんうん。怖かったね、もう大丈夫だよ」

「う、うん!ううっうグスン」

「よしよし。今日はもう暗いから明日になったらお父さんとお母さんの所に戻ろう」

「・・・うん」

「よし。じゃあ今夜は側に居てあげるからお眠り」

「うん・・・スー」

「お休み小奈津ちゃん」

 

 小奈津は助けられた事に気づき、また安心して夜を過ごせると分かると安心して直ぐにまた眠りに就いてしまう。

 

「安心してまた眠ったか」

「だねー」

「じゃあ俺達も寝るか」

「そうだな。お休み犬さん」

「ああ、お休みミコト」

 

 

 

 

 

 ~現在~

 

 

 

 

 

「さてそれじゃあ小奈津ちゃんもいるし朝ご飯作るか」

「昨日の残った魚と干し肉か」

「米もあるよ。それで、犬さんちょっとちょっと」

「?」

 

 犬さんは手招きをするミコトの方に行くとそのまま小奈津ちゃんを預けられる。

 

「ミコト、俺を布団代わりにするか?普通?」

「昨日のお姉ちゃんのくだりで、笑ってたろ?」

「な、ナンノコトカナー?」

「その罰です」

「おい!」

「し!小奈津ちゃん起きるでしょ」

「うっう」

 

さて朝ご飯は、米はそのまま炊いて干し肉は水に漬けてダシを作るか。そして魚を入れてのお肉味の魚の味噌汁・・・悪く無いかも?

 

 ♢

 

「う、うう。良い匂い」

「起きたね。おはよう小奈津ちゃん」

「あ、おはよう、お姉ちゃん」

「おはよ(だから男なんだよな~)」」

「良い匂いだねお姉ちゃん」

「朝ご飯出来てるよ」

「はーい。行こワンちゃん」

「ワン!」

 

ご飯を食べた後は小奈津ちゃんを村まで連れて行く。ご飯食べてからは犬さんのお陰で元気になって良かったよ。

 

 ♢

 

「さて村に着いたな・・・ん?」

 

 村に着くなり、村人達が慌ただしく動いてることに気づき何かあったのか訪ねようとしたが、村の人の1人がミコト達に気づく。

 

「あ!貴方は昨日の旅人さん!って!小奈津ちゃん!?おーい皆!小奈津ちゃんがいたぞぉー!!」

「小奈津!」

「お母さん!!」

 

無事に小奈津ちゃんを両親とは行かないが母親の元に送り届けれた。が、なんか小奈津ちゃんの家に招かれたよ?父親もお礼を言いたいかららしい。

 

「娘を助けて頂き」

「私達夫婦」

「「心より感謝を」」

 

そして俺は今、小奈津ちゃんの家の客間?にいるが・・・この家もの凄い屋敷なんだが。小奈津ちゃんの父親はこの大きな村の村長らしい。やばい、俺最初は小奈津の母親を村の住人だと思ってた、だって村人と同じ服で土で汚れて野菜の入ったかごを持ってたもん仕方無いよね?

 

「どうかなさりましたか?まさか!私たちに何かご無礼が!?」

「いえ、ただもの凄い屋敷なので・・・その~、俺の場違い感が凄いと」

「そんな事は御座いません。大和様」

「様など辞めてください。俺は旅人、ただのよそ者ですよ」

「いえいえ!!滅相も御座いません。大和様は私達の命より大事な娘を救ってくださいました。なんとお礼したら良いのやら、感謝しても仕切れません」

 

 両親はまたもや額を畳に着け謝礼を述べる。だが、そおゆうのにミコトは慣れてないから慌て出す。

 

「いや本当にそんなにお礼を言わなくても良いですよ」

「そうは参りません!大和様が居なければ娘は私達の元に帰ってくるどころか遺体すら・・・」

「まさか本当に叔母から聞かされていた人喰い鬼が存在したなど、娘から聞かなければ存在など信じずに子供をおとなしくさせる為の作り話だとばかりに」

「そうね貴方。私も父や母から聞かされたときは同じ事を思ったわ」

 

 二人は子供の頃に言われていた事をとゃんと聞かず、信じなかったことを後悔していたが、二人はあることを思い出す。

 

「確か鬼は鬼狩り様が倒してくださるとも聞いたことが・・・なら!大和様も鬼狩り様ですか?」

「いえ、貴方達が聞いた鬼狩りは鬼殺隊の事でしょう」

「鬼殺隊?」

「そうです。そして俺は鬼狩りにして鬼狩り(鬼殺隊)に非ずの存在です」

「そう、なんですね?」

「はい。あ、そうだ」

「なんでしょう?」

「これからは娘さんに藤の花の入ったお守り袋をあげて下さい」

「?」

「鬼は藤の花を嫌い苦手とします。なので藤の花のお守りは小奈津ちゃんを守ってくれましょう」

「なるほど。・・・いや、いっそのことこの村の周りに藤の花のを飾るか?」

「それは良いと思いますは貴方」

 

この方達の感覚おかしくない?この村結構大きいよ?てかさっきから村村言ってるけど大きさ的に町って感じなのよ。ここからそこそこ行った距離に浅草あるし。

 

「お父さん、お母さん!大和お姉ちゃん!昼ご飯出来たよ!」

 

 小奈津が客間に入り昼ご飯が出来たと知らせに来る。その証拠に襖の近くには女中が立って居た。

 

「どうでしょう大和様、いっそのこと今日は此所に泊まりませんか?」

「・・・そーですね。お言葉に甘えさせて頂きます」

「はい」

「あ、あと一つ誤解の訂正を。俺はこんな見た目でこんな声で小奈津ちゃんにミコトお姉ちゃんと呼ばれてますがれっきとした男ですから」

「「・・・え」」

 

 

 ♢

 

 

 ~翌日~

 

「一晩お世話になりました」

「いえいえ。大和様ならいつでも何日でも居てくれても構いません」

 

あの後結局小奈津ちゃんの家に一晩泊めて貰った。ちゃんと小奈津ちゃんには俺が男と理解して貰った、だって夜に一緒にお風呂入ろって言われたもん。そして俺は今この村を出ようと思ってたんだがまさか村の人全員で送り出して下さるとは思わなかった。

 

「なんだか恐縮ですね。流石に村人全員でとは」

「いえいえ、当然ですよ!」

 

村長、いや正確には町長か?まあそんな人の娘を助けただけでこれだからよほど人々に好かれてんだろうなこの家族は。

 

「確かお次は浅草に向かうんですよね?」

「はい」

「そうですか。またいいつでも来て下さい。歓迎いたします」

「ありがとう御座います。それでは」

 

 ミコトはお辞儀をすると旅に出発した。見送っていた人も手を振り小奈津は大きく手を振って、また来てねと言って見送った。

 

 

 ♢

 

「良いところだったな」

「そうだね~」

「でも驚いた。お前がちゃんとした言葉を使えるなんてな」

「犬さんヒドイ!俺もやるときはやるよ!」

「ははは」

 

 二人(片方は犬だけど)は楽しそうに喋りながら浅草を目指す。そしてしばらくして夜には浅草に着いた。

 

「ようやく付いた」

「今回は速かったな」

「だね~」

 

 浅草に入り歩きながら喋っているとふとあることに気ずいた犬さんは気になったことをミコトに質問をする

 

「なあミコト、浅草に鬼が居るなんて情報有ったか?」

「?無いよ。来たのはただの観光」

「・・・観光」

「そう観光」

「観光かい!!」

「なんだよいきなり」

「いや、まあ観光は正しいのかもしれないが今までの日々が鬼狩りの日々だったからな」

「仕方ないね~それは・・・・・・うわ~綺麗だ」

「は?」

 

 犬さんはいきなりミコトが綺麗だと言った事に疑問の声を上げる。何故ならミコトが見ているのは()()()()なのだから。

 

「お、おいミコト!何言ってやがる!大丈夫か?」

「なにって、犬さんこそ何言ってんだよ」

 

変な犬さん。この辺は見慣れた風景なのにここだけレンガ?の壁で作られて、ようふうって奴かな?でも綺麗な場所。あの建物は薬屋?違うな病院か?なら丁度いいや、薬品や包帯が無くなったから帰るか聞きに行こうかな。

 

「行くよ犬さん」

「は?行くって何いってぇぇぇぇぇえええええ!?!?!?!?!?みと、みこみとっとえええええええ!?!?!?」

「何言ってんの?行くよ犬さん早く」

「・・・・・・うそやん」

 

 犬さんは驚愕するが無理は無い。ミコトは普通に何かが見えてるみたいだが、犬さんはミコトがいきなり壁の中に入って消えた様にしか見えないのだから開いた口が塞がらなくなっていた。が、ミコトを信じて進むとそこは壁が無くなり広い場所に一つの建物が建っていた。

 

「どったの?犬さん」

「・・・あ、ああ」

 

 ミコトが半分の距離まで行くと、建物の中から1人少年が出てくる。

 

「止まれ!」

「あ、スミマセン。俺は「黙れ鬼狩り!!」は?お、にがり?」

「珠世様に危害を加える者は誰だろうと許さん!!」

 

ッ!今気づいたが此奴、鬼だ!なんで気づかなかった!?そう言う血鬼術か?まあとりあえず。

 

「鬼なら殺す!」

「駆除する!」

 

 少年の鬼は目のような模様の描かれた紙を額に付けると走り出す。が、特に何も起きる事無くミコトは刀を振るう。

 

(此奴は俺がどこに居るのか分かるのか!?)

「死ね」

 

――ザシュ!

 

「ッ!バカな!?」

 

 ミコトは振り下ろした刀を避けられるが即座に刃を返し横なぎを放つ。それを少年の鬼は寸での所で首を横向きにして首を切られるのでは無く、首から顔半分を縦に切られるだけに止める。そしてすぐさま後ろに飛び後退する。

 

(俺が見えてるのか?しかも此奴のあの目は!)

 

 ミコトの右目に桃の印を宿した眼、桃眼になる。そして刀を鞘に戻し抜刀の構えをとり目を閉じる。

 

第陸秘剣(だいろくひけん)三途の川(さんずのかわ)

 

 目を開き一気に駆け出す。この時、少年の鬼が見たのは大きな一直線の川だった。

 そしてミコトの刃が少年の鬼の首を斬ろうとした瞬間に女性の声が止めに入る。

 

「お待ち下さい!」

「あ?」

 

 流石にミコトは動きを止め声の方を見ると花柄の着物を着た綺麗な女性が立っていた。

 

「誰だお前?いや、お前も鬼か」

「わたくしの名前は珠世と申します。そしてその子、愈史朗を殺すのを待って下さい」

「た、珠世様!?」

 

 珠世と名乗る女性は鬼とは思えない綺麗な言葉使いでミコトに頭を下げる。

 

「待って何する?」

 

 その答えに珠世は頭を上げ、口を開く。

 

「お話をしましょう。鬼狩りにして鬼殺隊に非ずの、桃眼の鬼狩り・・・・・・大和様」















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第3話:逃れ者の珠世

「桃眼の鬼狩り、大和様」

「!?何故俺の名を!」

 

流石のミコトも初めて会った鬼が自分の名を知っていた事に驚く。が、少し珠世と名乗る鬼を見つめると刀を仕舞う。

 

「ミコト?」

「犬さん、多分大丈夫だ。この人達からは他の鬼の様な気配がしない。桃の反応も弱い」

「そうか」

「うん。珠世さん、話は聞きます。ですが殺さないわけじゃ無い一旦保留と言うわけだいいな?」

「はい、ありおがとう御座います。」

「・・・調子が狂う」

 

 珠世はその言葉を聞くとまた頭を下げお礼を結うが、その鬼らしくない態度にミコトは些か困惑する。

 

その後普通に建物の中に入れて貰って部屋に通されたが珠世とか言う鬼全く警戒心が無い。それに比べてこの愈史朗は凄い警戒してる、てか殺気まで感じる当然か。これが当たり前か・・・そうだ、珠世さんが可笑しいんだ。

 

「このような物しか有りませんがどうぞ」

「これはご丁寧にどうも」

 

普通の来客の様にお茶と茶菓子を出してくれた。あ、このお茶美味しい。

 

「このお茶美味しいっすね」

「ありがと御座います」

「それで話とはなんですか?」

 

 珠世は一度間を置き、真剣な表情でミコトを見つめる。

 

「貴方様にお願いがあります」

「お願い?」

「はい。私は鬼ですがあの男、鬼舞辻無惨を抹殺したいのです」

「!?」

 

 珠世のその言葉には驚きしか無かった。鬼達は全員無惨の配下であり、殺すのは人間のはずなのに目の前の鬼はあろう事か鬼の始祖を殺そうとする、その言葉を鬼から聞いて驚かないわけが無い。

 

「何故だ?お前ら鬼は無惨の為に生き、無惨の命令に従う生き物だろ?」

「貴様!!」

「愈史朗!よしなさい」

「・・・はい」

 

 ミコトの言葉に思わず掴みに掛かろうと愈史朗は動くがそれを珠世は制止させる。

 

「そうですね普通の鬼はそうです。ですが私はある日無惨の呪いを解くことが出来、自由になりました」

「そうか。でもそれなら何故無惨を殺そうとする?関わらず静かに暮らせば良いんじゃないか?なにか殺す理由があるのか?」

「・・私は人間だった頃に夫と子供がいましたが、私は病に倒れ子供が大人になるのを見届けれなくなりました。ですがそんなときに私の前にあの男、鬼舞辻無惨が現れました。そして私は無惨に鬼になれば子供が大人になるのを見届けられると言われ」

「その手を取ったと」

「はい。ですが鬼は本来人の血肉を喰らうもの。それ故私は――」

「一番最初に近くに居た人間、夫と子供を食い殺したと?」

「その通りです。ですが私はそんな事が分かっていれば、あの男の手を取らなかった!」

 

そうか、この人、珠世さんは愛する人達の為に生きたいと願ったがそれは鬼となった瞬間に壊れ愛した夫と子を殺してしまったのか。無惨は鬼の真実を隠していたせいで。

 

「だがそれは」

「はい、逆恨みに近い物でしょう。ですが!私は無惨を殺さないと私は夫と子、そして殺してしまった罪なき人々に償いが出来ません」

 

 ミコトは小さく「そうか」と呟くと横に置いていた刀を取り立ち上がり珠世に近づく。その行為に愈史朗は警戒し立ち上がろうとするがそれを又、珠世が制止する。

 そして珠世の前に立つとしゃがみ込み珠世の目と同じ目線に合わす。そして目を瞑り目を開くと右目に桃の印を宿し、一切目を動かさず瞬きすらせず珠世の目を見つめしゃべり出す。

 

「珠世お前の言葉、いま話した過去・・・そして鬼舞辻無惨を殺したいという言葉に嘘偽りは無く全部真実だと言うんだな?お前の命を懸けれるんだな?」

「・・・はい」

 

 ミコトの狂気的な笑みや気迫のある睨みは鬼ですら怯むぐらいに恐怖を抱かせる程の物であるが、珠世もミコトと同じく一切目を動かさず瞬きすらせずにミコトの目を見つめ強く意思の籠もった声で返事をする。

 

「「・・・」」

 

 数十秒か数分か、もしかしたら数秒かもしれないが2人は見つめ合う。そしてミコトは嬉しそうに微笑むと立ち上がる。

 

「そうか!なら俺はアンタを信じるよ珠世さん」

「そんな簡単に信じて良いのですか?」

「俺こう見えて、人を見る目には自信があるんだ!」

 

 ミコトは右人差し指で右目を指さすとニカッと笑う。その姿に珠世は昔会った人間と姿が被り目を見開くが直ぐに元の表情に戻る。

 

「ありがとう御座います」

「良いよ。それより――」

 

 ミコトは座ると額を畳に着け土下座の体勢で謝罪する。

 

「今までの無礼な発言悪かった」

「頭を上げてください。貴方の反応は正しいものです」

 

いや、まあ珠世さんはそう言うかもしれないが愈史朗が凄い睨んで殺気出してんのよ!?

 

「分かった。それで貴女が言ってたお願いってなんですか?」

「そうでしたね。それが最初の話でしたね」

「俺のせいで話がそれましたねごめんなさい」

「大丈夫ですよ。それで私はいま鬼を人間に戻す薬を作っています」

「鬼を人間に!?そんな事出来るの?」

「どのような病にも治療薬があります。ですがいまは作るのにたりない物が多くあります」

「それを俺に調達して欲しいと?」

「はい。そしてその物は鬼の血です」

「それは集めれると思いますけど、特にどんな鬼からがいいですか?」

「なるべく強い鬼からが良いですね。強ければ強いほど無惨の血が濃いということですから」

「なるほど」

「ですので、特に十二鬼月の血をお願いしたいのですが・・・」

「十二鬼月って何?」

「・・・へ?」

 

 ミコトは十二鬼月が何かよく分からず聞き返す。が、十二鬼月を知っていて当然なのにそれを知らないミコトに驚き珠世は思わず変な声を出してしまう。

 

「(いまの珠世様凄くカワイイ!!)貴様そんな事も知らないのか!」

「仕方無いだろ!!俺は流浪の鬼狩りなんだから!鬼殺隊じゃ無いもん!!」

「言い訳するな!!田舎者!」

「よしなさい!愈史朗!」

「はい!」

「大和様、十二鬼月は鬼の中で特に強い鬼舞辻無惨直属の精鋭の鬼です。内部は上弦の6体と下弦の6体に別れており、上弦と下弦は1~6の数字が割り振れられ1に近づくにつれ強くなります。下弦の鬼は片目に下と数字が刻まれ、上弦の鬼は片目に上弦と刻まれもう片方に数字が刻まれています」

「なるほ・・・ッ!なら珠世さん!」

「珠世様に近づくな!」

 

 殺気とは違い勢いよく立ち上がり珠世に近づいた為、ミコトは愈史朗に腕を掴まれ合気道の様な技で投げ飛ばされる。

 

「いって~今のは油断してた」

「ユシロウ」

「は!今のは投げただけです!珠世様」

「ダメです。すみません大和様それでどうかしましたか?」

「そうだ!!貴女は上弦の壱、黒死牟を知ってますか!?何処に居るか!?」

「すみません。居場所は今はもう分かりません」

「そう、ですか」

「・・・上弦の壱に会ったことが?」

「はい。母を目の前で斬り殺し父と兄を殺した男です」

「そうですか、辛い事を思い出させてしまいすみません」

「大丈夫ですよ。それで上弦の鬼?は上弦の壱、黒死牟しか会った事がない。そして下弦の鬼?目に下と数字が刻まれた鬼なら何体か殺したことがあるよ」

「でしたら」

「はい。貴女のお願いは叶えられそうですね。でもどう採取すれば?」

 

 血の採取の仕方を考えていると珠世は小さい木箱をミコトに渡す。

 

「これは?」

 

小さいナイフ?ただのナイフでは無いな。刀身に透明な何か、ガラスって奴かな?があり柄は殆どがガラスみたいな感じだ。

 

「これは刺せば勝手に血を採取してくれます」

「なんとも便利な物で。ありがたく使わせて貰う」

「はい」

「「・・・」」

 

とても気まずい。本題が終わったから話す内容が思いつかないよ、どないしよ~。

 

「なあ、ミコト珠世一つ良いか?」

「はい」

「なんですか?犬さん」

「とりあえず皆ちゃんと自己紹介しないか?」

「「・・・あ」」

 

ワーオー珠世さんと声が重なった。自己紹介してなかったな。最初はピリピリしてたし、特に俺と愈史朗が。

 

「改めてしますか」

「そうですね」

「お先にどうぞ」

「では、私は珠世と申します。鬼でありますが自分の体を色々といじり人を食べなくても少量の血で大丈夫になりました。此方は愈史朗、私が二〇〇年掛けて唯一鬼に出来たただ1人の存在です」

「フン」

「へー人間を鬼に出来るのは無惨だけだと思ってたが違うんだ、じゃあ次は俺ですね。俺は桃眼一族のただ1人の生き残り、大和ミコトと申します。一族と言ってますが正確には一家です、格好いいから一族と言ってます。そして此方は俺の相棒の犬、名を犬さんと申します」

「おう!よろしくな」

「それから俺はミコトと呼んでくれ」

「はい・・・犬さんとは昔あ」

「珠世さん会うのは、は・じ・め・て!だよ」

「そ、そうですね」

「?あ!そうだ珠世さん愈史朗」

「はい」

「なんだ?」

「少量の血で良いのなら俺の血要りますか?一応俺の血は希血ですよ」

「よいのですか?」

「はい、それにこの血液採取ナイフ使ってみたくて」

 

 すると血液採取ナイフをなんのためらいも無く自分の左腕に刺す。そのミコトの姿を見て、愈史朗は目を見開き珠世はうろたえる。

 

「すげえ本当に血を吸ってる」

「ミコトさん!?」

「バカか!?ナイフ半分まで刺さってるじゃなか!?」

「驚き過ぎでしょ」

「何を言ってるんですか!愈史朗直ちに手当ををする道具を!!」

「はい!」

 

 ミコトは腕の手当をして貰い、今現在は珠世にお説教されてます。

 

「はい、すみません。でも畳は汚さず」

「そんな事を言ってるのではありません!ミコトさんは人間なのですから無用な怪我は作らない方がいいと言ってるんです」

「はい。ごめんなさい」

(心配して怒る珠世様も素敵だ!)

「ミコトさんも女の子なんですから一生残る様な傷は嫌でしょ。・・・どうしました?」

「お、女の子・・・」

 

女の子って、俺って鬼にも女の子に思われてたのか。匂いで男女が分かったりしないのか・・・。

 

 両手両膝をつき、ズーンという効果音が似合いそうな態勢で「女の子」を呟いていた。

 

「あー珠世さんよ」

「はい?」

「ミコトはこんな顔立ちでこんな声だけどちゃんとした男だぞ」

「・・・へ?」

「いいよどうせもう俺は一生死ぬまで女に間違われ生きていくんだ。この髪を切ればいいのかな?いや、いっその事もう女として生きるか?いままで会った人は勿論殺してきた鬼にも女に間違われてる事多いいもん、もう本当に女として生きるか?はは」

 

 ミコトの反応に驚き珠世はわたわたと慌てだす。愈史朗はそんな珠世をみて

 

(滅多に見られない珠世様の慌てふためいている姿!かわいらしい!)

 

 と、思っていた。

 

「そんな事よりお前、俺の血鬼術は掛かっていなかったのか?」

「そんな事って、まあいいか。それで使ってた?」

「はあ?」

「ミコトさん、愈史朗の血鬼術は視覚に関する物なんです」

「あーなら効かないよ。俺達、桃の力を持つ者は視覚や精神に関わる血鬼術は無効に出来るんだ」

「それにミコトはその力と希血が合わさり鬼が作り出す毒すら無効に出来る」

「それは凄いですね」

「伊達に旅をしながら鬼を殺して来たわけでは無いようだな」

「まあね。・・・ところで珠世さん、なんで俺の大和の名を知っていたんですか?」

 

 殆どの鬼は自分を桃目の鬼狩りとしてしか知らず、大和と言う名を一度も名乗ったことが無い為、最後に一番の疑問を聞く。

 

「それはですね、ミコトさん」

「はい・・・ん?ちょっと待った」

「どうした?」

「いやなんか、刀が珠世さんに反応してる?」

 

 刀を鞘から少しだけ抜き刀身を見る。

 

「ミコトさん、その刀、見して貰ってもいいですか?」

「あ、はい」

 

 鞘から刀を全部抜き、ミコトから刀を受け取ると珠世はじっと刀身を見つめる。そして次第に目を見開き「うそ」と呟く。

 

「珠世様?」

「・・・・・・・・・・・・・・そうですか、そおゆうことだったんですね

「珠世さん?」

「ミコトさん、ありがとう御座いました」

「?はい・・・」

 

 刀を受け取るが、なんに対してのお礼なのかよく分からず首をかしげる。

 

「それでですね、捕らえた鬼から貴方の容姿を聞いていおり、ここは浅草で多くの人が行き交います。それでここに、来る人から貴方の話を聞き、鬼の証言と人から聞いた話で貴方を突き止めました。そして人から聞いた時にお名前も分かりました」

「そうだったんですね」

「伊達に旅してきただけじゃないな」

「だね~。名前知れててちょっと嬉しいかも。あ、珠世さん、なんだったら旅の話聞く?」

「良いのですか?」

「夜はまだまだ長いですしね」

 

 珠世はミコトの旅の話に興味を持ちまた、愈史朗も興味なさげにしているが興味を持ちチラチラとミコトを見ている。でも基本は旅の話に興味津々でワクワクしている珠世を見ている。

 

「じゃあ話しますね」」




~ちょびっと設定~

本家の桃眼の人達は鬼の必殺技『鬼砲』(血鬼術みたいな物)を完全に無効化したり、鬼の攻撃を無効か?します多分。でもそれだとあれなので、ミコトの桃眼は視覚や精神に関係する血鬼術等を無効にします。そして、鬼が作る毒等も効きません。しかし物理攻撃の血鬼術は無効化が出来ません。








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出来れば桃並みの甘さで!


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第4話:柱

昨日はクリスマスでしたね。え?私は何して立ったて?それは・・・。


「それでは、お世話になりました」

「いえ、此方こそ良い経験が出来ました」

「それは良かった」

「でもお体はお大事に」

「あはは」

「おい、ミコト」

「どった?愈史朗」

「・・・死ぬなよ

「・・・愈史朗が俺の心配だ、と!?明日は雨かぁ!」

「!違う!珠世様の為に働いてもらわないと困るだけだ!」

「そうだな、じゃあな」

「フン!」

「ばいばい」

「それでは、ミコトさん犬さん。どうかご武運を」

「ありがとう御座います」

「珠世、愈史朗お前らも気を付けろよ」

「はい」

「言われなくとも」

 

 陽光があるためお見送りは建物の玄関までだが、ミコトと犬さんは頭を下げ珠世の建物を出る。

 

珠世さん達とは良い関係になれそうだ。だって、2年間の旅の話を楽しそうに聞いてくれたよ、いつも無惨から逃げ隠れしていたから外のそういう話は凄い興味が有ったみたい。何を話したかと言うと、色々だよ!・・・適当だねうん。

まず北の国とかでアイヌ民族?って人達と仲良くなって子供達と雪合戦したり、鬼と戦ったり、南の国で遊んで海で泳いだり、鬼と戦ったり、富士山と呼ばれる山に登って死にかけながら鬼と戦ったり、藤の花が綺麗に咲き誇る山に入ると鬼の巣とも思える場所で大量の鬼と戦ったり・・・・・・・・・・・・。

 

「・・・あれ?俺の旅の話って・・・鬼と戦ってばっかりじゃね!?」

「何言ってんだ?ミコト」

「いや、俺が珠世さん達にした話って鬼と戦った話ばっかじゃない?」

「鬼との戦闘以外だと、アイヌの子達と雪合戦したり海で泳いだり富士山登って死にかけたり藤の花が綺麗なとこ言ったりとかだろ?」

 

うわ~。犬さん俺の考えてたこと全部分かってるじゃん。これがいわゆる家族愛?・・・はず//

 

「お前今はずいこと考えたろ」

「言わないで」カー//

 

 手で自分の顔を押さえているがミコトは耳まで真っ赤になっていた。

 

「それでミコトよ~。鬼と協力関係になったんだからそろそろ、鬼殺隊とも手を組むか?」

「それは、まだ勘弁かな~」

「なんで?」

「だって鬼殺隊みたいな大きい組織って命令は絶対遵守だろ?そしたら鬼狩りしながらのんきな旅が出来ないじぁんか」

「だから何時も隊士を助けても直ぐに別れるのか」

「そだよ~。あ、でもあの隊士の子は大丈夫だったかな?」

「誰のこと?」

「ほらあの、隊服の上に花柄の羽織を着て特徴的な狐の面を付けた女の子」

 

 その説明に犬さんは、う~ん?と少し首を捻り、少ししてから「あ、あれか!」と思い出す。

 

「いたなそんな子が。確か鬼の攻撃で足を怪我した子か?」

「そうそう、水の呼吸を使ってた子」

「大丈夫だろ」

「ちゃんと歩けてたら良いね~」

「あとあの女性じゃ無いか?」

「誰?」

「虫の羽のような羽織に蝶の髪飾りを付けた女性だよ」

「あ~。氷を使う鬼と戦ってた女性か。確か、重傷だけど死に至るほどの怪我じゃ無いだろ?」

「まあ、お前が割って入ってあの鬼と戦ったお陰だしな」

「あの鬼は強かった・・・って!戦ってないけどね!あの女性を助けることが第一で、割って入って直ぐにあの女性を連れて逃げたもん」

「まあ一緒だろ。忍者の人達に教えて貰った煙幕が使えたな」

「鬼は藤の花が嫌いだから、藤の花も使って作った、鬼から逃げる専用の藤の花の煙幕も良かったよね。あとさあ、彼奴ってぱっとしか見てなかったからあれだけど、上弦の弐じゃ無かった?今更だけど」

「そう言えばそうだな」

「今更思い出したぜ!ははは」

「そこのお嬢ちゃん、ちょっと良いかな?・・・ちょ、ちょっと!!そこの君!」

「ははははい?・・・あ」

 

 ミコトはお嬢ちゃんと言われたことに素で無反応でいた。だが、声を掛けてきた人に肩を掴まれ振り帰ると、それは警官だったことが分かると少し表情が固まる。

 

「お嬢ちゃん。その腰にぶら下げてるモン、見せて貰って良いかな?」

 

ヤバイヤバイヤバイ!?警官だ!?刀隠すの忘れてた!!どうしよどうしよどうしよ!

 

「どうしたのかな?嬢ちゃん?」

 

どうs・・・嬢ちゃん?・・・あ、これだ!!

 

「良いですけど一つ良いですか?」

「なんだい?」

「俺この見た目でちゃんとした男です」

「・・・・は?」

「今だ!犬さん走るぞ!!」

「おう!」

「あ!まて!って犬が喋った!?ってあの子、走るの速!?待てぇ!」

 

 ピー!!と警官が走りながら笛を鳴らすが、ミコトと犬さんは既に人混みにまぐれ警官をやり過ごす。が、加勢しに来た警官に見つかりまた走り出す。それはもう、疾きこと風の如くって感じで。

 

 ☆

 

「つ、疲れた~」

 

 警官に追われた後は浅草を出てもダッシュで走り続けた事で警官をまけたが、日は暮れ夜になり、ミコトも犬さんもヘトヘトになっていた。

 

「お前な~」

「ご、ごめんよ犬さん」

「ちゃんと刀を隠せぇ~い!!馬鹿野郎!!」

「マジごめんって!」

「は~。それでここ何処?」

「・・・あ」

「おい」

「あはは」

 

 ――ドン!!

 

「「!?」」

 

 何か大きな音が響いた事に2人は驚く。そして犬さんがミコトを見ると右目は薄ら光、桃の目になっていた。

 

「お前って本っ当に鬼を引き寄せるか、鬼の所に行く体質だな!」

「あはは、さあ行ってみよう」

「おうよ!」

 

犬さんと音のした方にしばらく走ると高台に出た。それで、鬼殺隊の隊士が、1,2,3・・・・・全部で14人と。皆それなりに強そうだけどボロボロで、それに比べてあの鬼はかなりの巨体に筋肉ムキムキ、か。

 

「ん?う~ん?」

「どうした?」

「あの鬼、下弦かな?」

「どうだろな。参ってみれば分かるじゃん。どうせ行くだろ?」

「ああ、行こう」

 

 ミコトは走り出し、勢いよく高台から飛び出す。

 

 

 

 

 黒髪を後ろで束ねた女の隊士が鬼に刀を向けるが、既にボロボロで立っているだけで限界だった。

 

「ハアハアハア。まだまだ!」

「お!いいな。そうまだ行けるよな!俺をもっと楽しませろよ人間!」

「柱が!来るまでぇ!耐える!!うああああああああ!!」

「そうだ!!もっと楽しませろぉぉおおお!!」

 

 女の隊士は走り出し鬼は思いっきり拳を振り下ろす。

 

――パン!パン!パン!

 

 だが突如として上空から手を叩く音がして、2人の動きは止まり上を見る。

 

「鬼さんこちら♪手の鳴る方へ! 第参秘剣(だいさんひけん)! 落雷(らくらい)!」

「え!?ひ、人!?」

 

――ゴロゴロゴロ!

 

 上空からミコトが振って来るのと同時に鬼の前に轟音と共に雷が落ちる。

 

「なに!?雷の呼吸の使い手?」

 

 ミコトの登場の少し後にボトリと音が鳴る。その正体は鬼の両腕だったが、鬼は直ぐに後ろに下がり両腕を再生させる。

 

「あなたは!・・・え?だれ?ほんとに・・・」

「お前だれだ!新手の鬼狩り?いや、その目は・・・!そうか、お前が、桃眼の鬼狩りかぁぁああ!!」

 

 鬼の叫び、後ろにいた女隊士は勿論周りに居た隊士達も反応をして、ミコトを見る。

 

「貴女が桃眼の鬼狩り!?いやそんな事より、逃げて!その鬼は下弦の壱よ!!」

「下弦の壱?」

「そう!俺は下弦の壱、豪鐵!会えて嬉しいぞ、桃目の鬼狩り!俺はもうじき上弦の鬼に入れ替わりの血戦を申し込む!貴様の首をあの御方の手土産にさせて貰う!!」

「・・・いっひ!いっひひひひ!!」

 

 笑う。左人差し指の爪を噛み、次に大きい声で笑う。

 

「あっははははは!なら」

 

 左足を前に出し、刀を右手で担ぐ。

 

「鬼さん♪一緒に一緒に♪・・・遊びましょ?」ニヤリ

「いいな!行くぞ!」

 

 豪鐵は駆ける。その速度はさっきまで戦ってた鬼狩り達でさえ目で追うのがやっとの速度なのに対して、ミコトは未だに刀を担いだ体勢のまま重心を下ろして動かない。

 

(何考えてるのあの人!?もう鬼の拳が直そこに!!)

第参秘剣(だいさんひけん) 落雷(らくらい)

 

――ゴロゴロゴロゴロ!

 

 一歩踏み出し刀を勢いよく振り下ろす。すると、豪鐵の振り下ろした左腕を縦に切り左胸から右脇腹にかけて袈裟斬りにする。

 

「がは!」

「う、うそ・・・あの鬼を簡単に切り裂いた!?」

「良いぞ!お前ぇえ!」

 

 即座に傷を回復して回し蹴りを放つ。ミコトは刀の柄で受け止め、後ろに大きく後退するが何事も無かった様に着地する。

 

「次は本気で行くぞ」

 

――血鬼術『血鉄(ちてつ)剛力士(ごうりきし)

 

 豪鐵の体は普通の肌色から赤黒くなり月明かりを少し反射する。

 

「へ~え」

「ダメよ!その血鬼術は、今の鬼の姿は生半可な攻撃では傷すら入らない!!それどころか刀が折れるは!」

 

なるほど、他の隊士はこれで皆やられたのか。だから他の隊士も逃げろとか言うのか。でも、これを自信満々で使うとかこの鬼はアホなのか?だってこれは。

 

「くだらない」

「なに?」

「次はこっちから行くぞ?」

 

 そう言うと、ミコトは刀を鞘に直し腰を落とし抜刀の構えを取る。

 

(何あの構え?霹靂一閃?でも無い。あの人の呼吸が雷の呼吸ならあれは自分で編み出した型?)

 

 いまのミコトの構えは重心を低くして右足を前に出し左足で体重を支えてる感じだ。

 

第陸秘剣(だいろくひけん) 三途の川(さんずのかわ)

 

 浅草で愈史朗に使った技を放つ。

 

「う、そ」

 

 豪鐵が最後に見たのは、流れる大きな川にいきなり視界が揺らぎ、首が無くなり血が噴き出し川を赤く染める自分の体だった。

 

「やっぱり弱かった。あ、血の採取~採取~」

「あ、あの!貴女は本当にあの桃眼の鬼狩り様ですか?」

「ん?俺は桃眼の鬼狩りだよ。じゃあな」

「ま、まっ」

「あ、そうそう。あの鬼の遺体は日の光に当てればちゃんと消えるから」

「もしもーし」

「だからな・・・は?・・・蝶?」

 

 何時のまにかミコトの背後に立ち、声をかけたのは、隊服を着た女性で、まるで蝶の翅を思わせる白い羽織を纏っている。極めつけは、身に付けてる髪飾りが、蝶そのものの形だ。

 

「柱!胡蝶さま!?」

「お前が柱?」

「はい、蟲柱 胡蝶しのぶです」

 

 現れたのは鬼殺隊を支える9人の柱の1人、蟲柱 胡蝶しのぶ だった。

 




~大正コソコソ噂話?~

豪鐵は、人間だった頃に「素晴らしい提案をしよう。お前も鬼にならないか?」と誘われ鬼になった。最終目標は、鬼に誘ってくれた鬼と永遠に戦い続ける事だった。







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第5話:柱合会議①

明けましておめでとうございます!昨日でしたけど・・・。




「蟲柱、胡蝶しのぶと言います」

 

なんか綺麗な人が軽やかに目の前に降りてきたんだけど。え?てか柱なの?この人!?

 

「もしもーし」

「あーすみません。俺は桃眼の鬼狩り、大和ミコトといいます。それでは」

「カー!」

 

 どこからともなく烏が現れる。

 

「伝令!伝令!」

「烏が喋った!?って犬さんも喋るな」

「桃目ノ鬼狩リヲ本部へ連レ帰レ!カー!」

 

 喋る烏、またの名を鎹烏。鬼殺隊本部からの通達を伝える役割を持つ伝令係。隊士一人一人につけられており、人語を解して、喋る事で隊士とコミュニケーションとる事もできる程、頭が良い。どこからともなく現れては隊士に任務地やその地で起きている怪異の詳細、また上からの指令や伝令を伝える役割を持つ。だが、元はただの烏。

 そしてその伝令のミコトの返答は。

 

「・・・え?嫌ですよ。行きませんよ」

 

 拒否だった。

 

「カ!?」

「だって俺、鬼殺隊じゃないもんでは」

「待って下さい」

「なんですか?」

「お話ぐらい良いじゃないですか」

「え~俺なんかに構わず怪我してる隊士の心配や手当をしたら?」

「それは、大丈夫ですよ~」

 

 その言葉にミコトが周りを見ると黒子装束を纏っているのが特徴な者達、鬼狩りの事後処理部隊、通称『隠』。の人達が怪我した隊士達の手当にあたっていた。

 

「ね?それに貴女にはアレの状況も聞きたいですし」

 

 胡蝶が指を指す方には斬首され普通の遺体のように死んでいる鬼がいた。因みに周りに居る隠は鬼の遺体をどうしようかと悩んでいたり我慢できずに吐いてる者もいた。

 

「・・・仕方無いか」

 

 その後、ミコトは胡蝶の案内で鬼殺隊本部に向かう・・・事はせずに一度、蝶屋敷に行きそこで一晩あかし、次の日に鬼殺隊本部に向かう。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「着きました。ここが鬼殺隊本部です」

 

胡蝶さんの案内、正確には隠の人達に背負ってもらって何人かの人に引き継いで運んでもらってだ。

 

「それでここがね~」

 

目の前にはバカみたいにデカイ屋敷に、大きいお庭でもの凄く綺麗。・・・誰だ?あの8人の人達は?

 

「あ?なんで此所に柱でも無い隊士が居るんだァ~?」

 

 ミコトを見て最初に言い出したのは体や顔に傷が沢山傷が有り、目が血走って怖い感じの人だった。

 

「不死川さん彼女は――」

「ちょい待ち。俺は柱どころか鬼殺隊でも無いぞ?」

「あ?」

「おいおい。いまそいつド派手なことを言わなかったか?」

「うむ!柱どころか鬼殺隊ですら無いと言ったな!!」

 

不死川って人の次に宝石を身につけているド派手な人と目を見開いてもの凄く熱そうな人がしゃべり出した。柱の人達は個性豊かなのかな?

 

「お館様の」「御成りです」

 

 広い庭に凜とした声が聞こえる。その瞬間に全員は整列して、頭を下げる。一応ミコトも真似して頭を下げる。

 お館様。本名、産屋敷耀哉は、2人の子供に手を引かれ出てくると座り、集まった面々を見て優しい声で言った。

 

「おはようみんな。今日も良い天気だね」

 

なんて良い声なんだ。まるで鳥の囀りと川のせせらぎを聞いて居るように心が落ち着く声だ。

 

「お館様におかれましてもご壮健で何よりです。

 益々のご多幸を切にお祈り申し上げます」

「ありがとう。しのぶ」

 

 お館様にしのぶが挨拶をすると、穏やかに微笑む。

 

「お館様。発言よろしいでしょうか」

 

 そう言ったのは不死川だった。そして許可をもらうと質問する。

 

「お館様。どうしてここに柱どころか、鬼殺隊でも無い人間が居るのでしょうか?」

「そうだね。その話が今回の1番の議題だからね」

 

 皆の顔を見ると一拍置いて喋る。

 

「皆も知っていると思うけど、2年前に現れた斬首されて死んでるにもかかわらず体が崩れない鬼。そして同じ頃に現れた鬼狩り。桃眼の鬼狩りのことを」

「そしてそれがこの女と言うのですか」

「そうだよ。でもね天元」

 

 天元の言葉を肯定し、何かを言おうとした瞬間に、ミコトは立ち上がり叫ぶ。

 

「そうじゃない!俺は男だ!女じゃ無いよ!!」

 

 ミコトが叫ぶと周りの目を一点に集める。そして左から石がいくつか飛んでくるが、全部を片手で受け止める。石を投げたと思われる長い黒髪の子が喋る。

 

「お館様の話を遮ったらダメだよ」

「仕方無いでしょ!だって俺男だもん!そこはちゃんとしてもらわないと!」

「そうだね。私の説明不足だったよ。ごめんね」

「え、あ、い、いやそ、その・・・こっちもすみません・・・でした・・・ごめんなさい」

「うん。それじゃあ初めて会うから自己紹介が必要だね」

「あ、はい」

「私は産屋敷一族の97代目当主・産屋敷耀哉。見ての通り、鬼殺隊を率いている者だよ」

 

 ミコトはまた座り自己紹介をする。

 

「あ、俺は桃眼一族の生き残り、大和ミコトと申します。一族と言ってますが正確には一家です」

 

この後は各柱も聞いた。俺から見て左から

 

水柱 冨岡 義勇

 

霞柱 時透 無一郎

 

蟲柱 胡蝶 しのぶ

 

炎柱 煉獄 杏寿郎

 

恋柱 甘露寺 蜜璃

 

蛇柱 伊黒 小芭内

 

風柱 不死川 実弥

 

音柱 宇髄 天元

 

岩柱 悲鳴嶼 行冥

 

だ。てか最後の人めっちゃ強そうな風格あるんだけど。ちょっと父さんに似てる。あ、俺はしのぶさんと煉獄?さんの間にいる。因みに犬さんは俺の右にいる。

 

「各紹介ありがとう御座います。それで俺を此所に呼んだ理由は何ですか?」

「単刀直入言うとね、ミコトには鬼殺隊に入り柱となり私達に力を貸して欲しいんだ」

 

 その言葉に柱達は全員驚く。

 

「待って下さいお館様!最終選別を通過してない者を隊士に、ましてや柱にするなど他の隊士が認めません!!」

 

 そう言ったのは不死川だった。

 

「そうだね、でもね実弥。彼は既に柱になる資格の50体の鬼の討伐または十二鬼月の討伐。その両方を普通にこなしているんだよ。それに彼は藤襲山の最終選別を受ける必要も無ければ、意味も無いんだよ」

「どう言う意味ですか?」

「彼は既に藤襲山の最終選別を通過しているよ」

 

 皆はミコトを見るが、当のミコトはそれを気にせずしのぶに質問をする。

 

「しのぶさん、しのぶさん。藤襲山の最終選別?って何ですか?」

「十数匹の鬼が閉じ込められている山で七日間生き残ること、それが最終選別です」

「そして行なわれているのが藤襲山と呼ばれる山でやるから、藤襲山の最終選別なんですか?」

「そうですよ」

「なるほど・・・でも俺藤襲山の最終選別?っての初めて聞いたしそんな山知らないですよ」

 

 そうミコトは藤襲山の最終選別どころか藤襲山自体知らない。その言葉に、柱の人達はどうゆうことなのか分からず、お館様を見る。

 

「そうだね」

 

 お館様は一拍置いてから喋る。

 

「行冥と天元や、何人かは覚えてるよね。一年と半年ほど前に起きた藤襲山の鬼が一晩で殆ど死に、3体ほどしか残らなかった事件を」

「まさか!あれをやったのが此奴と言うのですか!?」

 

 宇髄は驚き、そして柱達全員がミコトを見る。

 

「ちょ、ちょっと待った!俺知らない!そんなことした覚え無いぞ!?」

 

やめて!皆の目線が痛い。って何だ?犬さんさっきから俺の袖引っ張って・・・ってそうか、昨日の夜から何かあった時の為に普通の犬を演じてたんだ。それでなになに?

 

(ミコトよ、あれじゃないか?旅を初めて最初に行った、山の麓から中腹に駆けて藤の花が綺麗に咲き誇っていた山)

(あー、あれか。藤の花を抜けると鬼の巣窟みたいなところ)

(そう。あそこが藤襲山だと思うぞ)

(・・・)

 

 ミコトと犬さんは長年一緒に暮らして居た故に、目だけで話が出来るという、芸当を持っている。だがそれは他の人から見たら、ミコトが犬を見て固まったように見える。

 

「す、すみませんでしたぁぁぁぁあああ!!!」

 

 突如、ミコトは後ろに下がり土下座をする。

 

「それをやったのは俺です!」

「おいおい!まじか。あの事件の後どれだけ大変だったと思ってる!」

「うむ!人を2、3人食べた鬼を捕らえるのは当時の柱は勿論、上の階級の者総動員で、鬼を大量に捕まえるのは大変だったな!」

「そ、そうですね~(私は煉獄さんのお手伝いしかしてませんでしたけど)」

「南無阿弥」

「本っ当ぉぉおに!申し訳御前いませんでしたぁぁぁぁあああ!!」

 

 宇髄に続き、煉獄、甘露寺、行冥が喋る。それに対し、ミコトは更に綺麗な土下座をする。

 

「どうかな皆。ミコトは十分に柱になれる強さと資格を持っていると思うんだ」

「・・・俺は賛成です」

「富岡ァ・・・」

 

 最初に賛成したのは無口な水柱富岡義勇だった。それに続き他の柱達も賛成する。

 

「それでどうかな、ミコト」

 

 名を呼ばれ顔を上げお館様を見ると、一度深呼吸をして喋る。

 

「産屋敷さん。鬼殺隊のお誘い、・・・・・・謹んで

 

 

 

 

 

 お断りさせて頂きます」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・は?」

 

 最初に口にしたのは誰だろう。ミコトの断りの後に少しの間が空き誰かの理解出来ないと言う声の聞こえる。

 

「何故だ!?俺と違い、お前には柱となり大勢の者の命を助けられる力が有るのに!!」

「富岡さん?」

 

 富岡がミコトに叫ぶ。滅多に感情的にならない富岡の行動に他の柱達は驚く。そしてお館様はミコトにとう。

 

「何でか聞いても良いかい?」

「鬼殺隊は命令とかには絶対遵守ですよね?上下関係とか。それだと鬼狩りをしながらのんきな旅が出来ないじゃ無いですか。ですからお断りさせて頂きます」

「巫山戯てるのかテメはよお!」

 

 ミコトの答えに不死川は怒る。それに続き他の柱もミコトに言う。

 

「巫山戯て無いよ。本気だよ」

「ですがミコトさん。下弦とは言え十二鬼月を余裕で殺せる者はそう多くはいません。ミコトさんが入って下されば多くの一般人と隊士の命を救えます」

「でも入れば、俺は好きなことが出来なくなります」

「だがミコト少年!弱気者を助けるのは強気者の責務だ!」

「・・・」

 

 しのぶや煉獄、そして他の柱に言われミコトは言い返せなくなり黙る。

 

「お前ら黙って聞いていればいい加減にしろよ!!」

「あ?」

 

 だがそれに犬さんが柱に怒る。

 

「しつこいんだよ!ミコトは鬼殺隊に入らないって言ってるだろ!」

「だが!!」

「だがもクソもあるかぁ!!」

 

 犬さんがいきなり怒ることで、甘露寺は内心焦っていた。

 

(犬が喋った!?皆さん犬が怒った事に何か思ってるけど、何で犬が喋ったことに驚かないの!?って、私達の鎹烏も喋るから喋る犬が居ても不思議じゃ無いのね!!)

「そもそも!鬼殺隊に入らなくてもミコトは鬼を狩り殺してるだろ!」

「い、犬さん落ち着いて!!」

「落ち着けるか!って言いたいがお前の問題だしな」

「そうそう。それでお館様」

「なんだい?」

「さっき言った理由もそうですが、流石に会って直ぐに鬼殺隊に入れ、柱になれ、とかは流石に直ぐに受けることが出来ません。そもそも俺は鬼殺隊のことは詳しく分かりませんから」

「そうだね。焦りすぎていたみたいだね。ごめんね」

「い、いえ。・・・・・・・ただまだ、その時じゃ無いだけ」

「なら次の柱合会議の時に返事を聞かせてくれないかい?」

「はい。(次も参加させられるのね?俺、鬼殺隊じゃないぞ)」

「それでね。次に君の刀について教えて欲しいんだ」

「それは知りたいですよね」




柱合会議は1話で終わらすつもりだったけど次回も続きます!
でも、ヤベェ~内容が思いつかん!






良ければ感想、評価お願いします。
出来れば桃並みの甘さで!


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第6話:柱合会議②

 

「君の刀について教えて欲しい」

「知りたいですよね」

「そうだね。でもその前に皆、場所を変えようか。ズッと外で話し続けるのも大変だよね」

「あ、はい」

 

 話し合いの場所を変え大部屋みたいな所で話す。勿論犬さんも一緒だ。位置的にはこんな感じ

 

 

 

      お館様

 

 

   時透     甘露寺

   

   胡蝶 ミコト 煉獄

        犬さん  

   富岡     不死川

 

   宇髄     伊黒

 

   悲鳴

 

 

 

 大体こんな感じで並んでいる。

 

「それでね、君の刀は鬼を倒せるのに日輪刀に非ず。鬼の頸を切ればその鬼の遺体は崩れずに残る。そんな刀は本来存在しないはずなんだ。しのぶの使う毒とかは除いて」

「(しのぶさん毒使うんだ)そうですね、でも俺もよく知らないんです」

「そうなのかい?」

「はい。この刀は家に剣術と共に代々受け継がれてきた刀なんです。なのでこの刀の成り立ちは俺も知りません。ただ兄から聞いて覚えてるのはこの刀は、初代桃目様【大和 神子之(みこの)(ひこ)】様の刀と言われてきました」

 

 神子之彦の名を聞くとお館様は目を開き「ほーと」言うと、何かを考えミコトに刀を貸して貰えないかと質問をする。

 

「剣士の命の刀をですか?」

「ダメかな?」

 

この人の言葉は危険だ。この人の頼みは何でも聞いてしまいそうだ。鬼殺隊のお誘いとか・・・ソレしかまだ無いなうん。

 

「まあ刀は良いですよ」

 

 そう言うとミコトはお館様の前に行き、刀を渡す。

 刀を受け取り刀身を抜くと、お館様は目を見開きしばらく眺めると「そう言う意味だったんですね」と呟くと刀を鞘にしまいミコトに返す。ミコトは刀を返してもらうと元いたしのぶの横に戻る。

 

「最後に質問良いかな?」

「はい」

「君の使う呼吸は何かな?」

「呼吸?・・・ああ、深呼吸です!」

 

 ミコトのこの言葉を聞いていた柱達の殆どは呆れていて、甘露寺、しのぶ、宇髄は笑いを我慢していた。そしてなんの迷いも無く元気に答えたミコトをお館様は優しく微笑んで見ていた。

 

「み、ミコトさん、ち、違いますよ。ふふ

「何がですか?しのぶさん(なんか笑ってない?)」

「え~と、全集中の呼吸の方です」

「鬼殺隊の人達が使ってる方ですか?」

「そうです」

「・・・」

「・・・ミコト、お前今の答えは恥ずかしいな」

「言わないで犬さん。あー顔が熱い//えーとそれで呼吸ですね。俺は使えないですよ」

「・・・はい?」

 

 ミコトの言葉を誰も理解出来なかった。超越生物である人喰い鬼と渡り合うには、身体能力が強化される全集中の呼吸が必要になるがミコトはそれを使えないと言う。それではミコトの強さの理由が分からない。

 

「ミコトさんそれは本当ですか?」

「はい、本当です。父さんや兄さんは使えてましたけど俺は使えません。才能が無いので」

「おいおい!マジかよ」

「凄いね君」

「うむ!呼吸無しでその強さであれば、呼吸を身に付ければ上弦にも届くかもしれんな!!」

「ありがとう」

 

 呼吸が使えないと言うミコトに宇髄、煉獄、時透は感心する。しのぶ、甘露寺、富岡、伊黒、不死川、悲鳴は驚くほかなかった。

 だが犬さんは内心少し呆れていた。

 

 

 

(あーあ、言っちゃった。ミコトは本当は呼吸使えてんだけどな。教えてもらったその日に使えるようになったがの呼吸とは違う完全な我流?派生?の呼吸の所為で、自分は使えてない、才能無いと思い込んじゃったんだよな。昔は寝てる時すら呼吸の鍛錬していたから、今じゃ普通に使えてるから尚更自分は使えてないと思い込んでるんだよな)

 

「そうなんだね」

「はい。お館様、なんか色々と期待に応えられずすみません」

「いいんだよ」

「ミコトさん」

「何ですか?しのぶさん」

「ミコトさんのあの剣術は何ですか?雷の呼吸や水の呼吸も使ってましたよね?」

「なに!本当か大和!?」

「富岡、さん?あ、えーとは、はい。第参秘剣 落雷と第陸秘剣 三途の川ですね」

「それは君が言っていた家に代々伝わってきた剣術なのかい?」

「いえ、俺が兄と父さんに勝ちたくて自分で作った我流剣術です」

「それは凄いな!」

 

 ミコトの剣術は一から作った我流剣術と聞き煉獄は称賛する。

 

「そうですか?」

「うむ!本来他の呼吸を合わせると失敗する!しなくともとても実戦では実用出来ない!なのにそれを可能とし、区別して実戦で使える!それは正に称賛に値する!時透少年とは別種の天才だろう!」

「そうですか。でも俺は呼吸も使えない凡人です。それと剣術はただただ兄と父に勝ちたくて作った剣術なんですけどね、まあ一度も勝ったことは無いですけど」

「よほど強いんだな!」

「はい、感覚的には父は悲鳴さんと同じ感覚がします!」

「そうか」

「あ、はい(悲鳴さん初めて答えてくれた)」

「ミコト」

「はい!」

 

 お館様に名を呼ばれミコトは姿勢を正しお館様を見る。

 

「何の見返りも無いのに色々と質問に答えてくれてありがとう」

「いえ、そんな事は・・・すみません。俺はそろそろこの辺で帰らせて頂きます」

「そうだね。長々と引き留めてしまってすまない」

「いえ失礼します」

 

 頭を下げ、部屋を出る。そして部屋は静かになる。その静寂を最初に破ったのは悲鳴だった。

 

「お館様、何かあの者に思うことがあったのですか?」

「そうだね。今回ミコトに色々聞いて分かった事が有る」

「それは?」

「やはりミコトも無一郎同様に始まりの呼吸の剣士の子孫だよ」

「本当ですか!?」

「書物に有ったんだけどね、始まりの呼吸の剣士の中にも目に桃の印を宿し、鬼と見間違える程の強さを持った剣士いや、剣鬼が居たと書いてあってね」

「それでは」

「うん彼の強さは本物だよ」

 

 その言葉に全員が黙り込む。そのような強さの人間がまだいようとは思っていなかった。

 

「杏寿郎の煉獄家は代々鬼殺隊を生業にしてきていたからミコトの一族の情報の書物もあるはずだよ」

「申し訳御座いません!お館様!そういう感じの情報は父上の方が詳しいかと思います!」

「まあそうだな。煉獄の性格からして書物とかは、読みあさらないわな」

 

 煉獄の答えに宇髄が答え場が少し緩む。そしてパン!と親方様がてを叩き皆が身を引き締める。

 

「さて。それじゃあ改めてみんなの報告を聞こうか」

「「「「「はい」」」」」」

 

 本当の柱合会議が始まる。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

「ヤバイ」

 

やばいやばいやばい!部屋を出てから来た道を戻って歩いてたけど完全に――。

 

「ミコト。お前完全に迷子になったな?」

 

いやー!?犬さんの目がもの凄く冷たい!」

 

「ミコト、ちゃんと答えろ」

「はい、迷子になりました。ごめんなさい」

「はー。まあ歩いていたらいずれ人と会うだろうからその時に聞こうか」

「うん」

 

 だが2人はこの考えは甘いと後々理解する。この後もズッと歩き回り時には庭や無限に続くかと思われる廊下、もの凄くデカイ大部屋、大浴場と言った色々な所を歩いていたが全然人に会えずにいた。しかも日は沈み夜になっていた。

 

「い、犬さーん!」

「なんとか成るしなんとかするから泣きそうになるな!涙目になるなるな!諦めなければなんとか成るから!な?」

「う、うん・・・ヒック」

「ほれ、しっぱでも掴んどれ」

「うんヒックヒック」

(はー。月の傾きてきに今は亥の刻(21時~23時)辺りか?・・・ミコトは山とかでの遭難はよく有ったから慣れてるけど、こういった人の敷地、ましてや建物内での迷子は初めての経験だから心細くて泣きそうになってるじゃないかまったく。俺が居なかったら確実に泣いていたな。・・・・・?この襖見覚えがあるな)

「ミコト、その襖開けてみよう」

「う、うん・・・ヒック」

 

 襖を開けると2人はようやく人に出会えた。

 

「あ”?」

「あれ?どうしたんですかミコトさん」

「し、しのぶさん!」

 

 その部屋にはお館様始め柱全員が居た。すなわちミコトは屋敷を大きくグルグル回り元居た部屋に戻って来たことになる。

 そしてミコトは知っている顔を見た瞬間に安心して涙が出て、泣く。それを見たしのぶは慌ててミコトに駆け寄り抱きしめて頭を撫でる。

 

「いきなりどうしたんですかミコトさん」

「ま、迷子になった」

「部屋を出てからずっと歩き回っていたんですか?」

「うん」

「それは大変でしたね。よしよし」

(か、かわいいわ!心細くて泣きそうなのを我慢て遂に安心して泣いちゃうミコトちゃん可愛いわ!私も抱きしめてあやしたいわ。でもダメよ!それはしのぶちゃんの役目だもの!)

 

 しのぶはミコトを安心させ、甘露寺は母性を刺激されミコトを抱きしめたい衝動を必死に我慢していた。

 

「だがよ迷子ぐらいで・・・何でも無い」

「それで良い」

 

 泣くか普通と言おうとした柱は犬さんの謎の気迫(殺気)を感知して言うのを辞めた。

 

「ごめんねミコト。私の配慮が足りなかったよ」

「い、いえ。だ、大丈夫です」

「(ミコトさん。大丈夫に見えません)それでは会議も終わりましたので、共に蝶屋敷に向かいますか?」

「うん」

 

 いつもは柱合会議の終わりはもっと綺麗に終わるが今回はミコトがいたことにより、しまらない終わり方になったがそれをお館様は優しい顔で見ていた。そして皆が帰ろうとするが煉獄はミコトの前に立つ。

 

「煉獄さん?」

「胡蝶!少しミコト少年を借りたいのだが良いか?」

「?俺に用ですか?」

「うむ! ミコト少年!一つ俺と手合わせをしてくれないか?」

 

 煉獄の頼みに柱は勿論お館様ですら驚く。そしてまた、

 

「手合わせ?はい、良いですよ」

 

 ミコトの手合わせの即決に驚く。

 

「今すぐでも良いですよ?」

「うむ!それはありがたい!」

「なら杏寿朗、ミコト。私も2人の手合わせを見たいから此所の稽古場の使用を許可するよ」

「お館様!」

「ありがとう御座います!」

 

 ミコトと煉獄は片膝を着き礼を言う。そして、ミコトと煉獄の手合わせ改め御前試合みたいな物が決る。




次回:ミコト 対 煉獄!!

何がどうしてこーなった!?まあ書いてみたかったからだけど・・・。

そして、今回でミコトの意外な弱点が発覚だ!まあ鬼殺の任務でガチ泣きしていた、子が居たので迷子で泣く子が居ても良いかなと!・・・え?泣くスケールが違うって?気にするな!それでは!






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第7話:ミコト 対 煉獄

戦闘って書くの凄く難しいよね・・・(涙)


「木刀か、何気に初めて使うな。いつも兄さんと父さんとの立ち会いは鉄刀を使ってたから」

 

 今ミコトと煉獄は鬼殺隊本部から少し離れた所にある稽古場で、お互い向き合う形で離れて立っている。その2人を離れた位置からお館様を取り囲むかの様に柱の人達も立っていた。

 

お館様、もの凄く柱に囲まれてる。あの場所は今の時間ではこの世で1番安全な位置なんだろうな~。

 

「ミコト少年!準備は良いか?」

「はい!でもその前に、勝利条件はどうしますか?」

「そうだな。相手を戦闘不能!又は参ったと言わせることでどうだろうか!!」

「分かりました。それでは」

 

 ミコトは木刀を腰に差すと煉獄を見つめる。

 

「?」

「俺は桃目の鬼狩り、大和ミコトと申します!」

「?」

 

 いきなりのミコトの自己紹介に煉獄は少し頸を傾げる。そしてそれを見ていた犬さんが説明をする。

 

「煉獄!悪い、ミコトは何時も立ち会いの時はちゃんと名乗って礼を尽くすのは絶対と教えられてたんだ!合わせてやってくれ!」

「うむ!コレは失礼した!では改めて!」

 

 煉獄も木刀を腰に差しミコトを見る。

 

「俺は鬼殺隊 炎柱 煉獄杏寿朗!」

「「立ち会い!」」

「宜しく頼む!」「お願いします!」

 

 2人は木刀を構える。

 

「先手は譲ろう!」

「それはどうも。 では」

 

 木刀を片手で担ぐ構えを取る。

 

――第参秘剣 落雷

 

 落雷音と共に一気に煉獄に接近して木刀を振り下ろす。

 

(・・・!速い!?これで本当に呼吸が使えないのか!?だが)

 

――炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天

 

 ミコトは木刀を振り下ろし、煉獄は振り上げる。

 

――ガンッ!!

 

 天に昇る猛炎と地に落ちる稲妻がぶつかり合い、鈍い音が鳴る。

 

「ック!」

 

 拮抗したかと思われたが、ミコトは力負け上に振り払われる。だがすかさず両手で掴むと勢いよく振り下ろす。それに煉獄も合わせて技を放つ。

 

第伍秘剣 一刀両断兜割!!

参ノ型  気炎万象!!

 

 お互いに振り下ろした木刀は、またもや鈍い音が鳴り、鍔じり合いになる。そしてミコトは木刀を横向きにする。

 

第壱秘剣! 火斬!

 

 木刀を右向きに引きずらすかの様に切る。

 

「ッ!」

 

 突如として力を横にずらされた事により、煉獄は一瞬だけバランスを崩す。そこをミコトは見逃さ無かった。刀片手で持ち刃を上にして腰の高さまで持ってくると勢いよく喉元を狙い突く。

 

「第弐秘剣 氷天ノ一突き!」

 

 崩れた体制の相手に技を放つ。だが、流石は鬼殺隊の柱。首を傾けるだけで攻撃を躱し逆にチャンスを作り技を放つ。

 

「壱ノ型 不知火!」

 

 完璧なタイミングで放たれた技はミコトに当たる――と思われたが寸前での所でミコトは背中を逸らし、アクロバティックなバク転で後方に下がる。

 

「逃がさん!!」

 

 地面に着地するところを煉獄は狙い駆け出す。ミコトとの距離を詰め先ほどと同じ型、不知火を放つ。だが、その攻撃がミコトを捕らえる事は無かった。唯一捕らえれたのはミコトの髪だけだった。

 

「よもや」

 

 煉獄は目を見開き下を見る。

 ミコトは着地を狙い攻撃を仕掛けに来ることが分かっていた為に、つま先が地面に着いた瞬間に右膝を曲げ左足は前に伸ばす形で地面に座る。

 

「第弐秘剣 氷天ノ一突き」

 

 先ほどとは逆になり、ミコトはピンチをチャンスに変え煉獄の鳩尾を狙い攻撃をする。だが煉獄はとっさに後方に飛ぶことで攻撃は煉獄の服を掠めるだけとなった。

 

「よもやよもやだ!好機と思い仕掛けに行ったが!思わぬよけ方に驚き一撃をもらうとはな!柱として不甲斐ない!!穴が張ったら入りたい!!」

「一撃もらって無いでしょ!?服かすっただけじゃん!」

 

てか煉獄さんは何で木刀で俺の髪を切れたの!?・・・あ、髪が若干短くなってる。あとなんであの体勢で俺の攻撃が服掠るだけ?・・・これが柱の実力?なんなのあの反射神経は、化け物かよ。

 

 2人は木刀を構えた状態で動かずに止まる。

 

 

 

 

 

「すごい」

 

 甘露寺が呟く。

 

「あれで本当に呼吸が使えないのかァ?」

「どう見てもそこら辺の隊士より遙かに強い!」

「でも力では煉獄さんに敵いませんかね?」

「それは違うよ甘露寺さん」

「え?どうしてですか?無一郎君」

「最初の攻撃では、ミコトは片手で煉獄さんは両手で木刀を持っての打ち合いだった。それでミコトは打ち負けたけど、二回目では両手で持っていたから煉獄さんと打ち合えてた」

(そ、そうだったんだ!?)

 

 その後に他の柱達も各感想を言っていた。

 

「産屋敷。よこ失礼するぞ」

 

 犬さんはお館様の横に行くと、お館様の手に頭を当てる。それに気づいたお館様は犬さんの頭を優しく撫でる。そして犬さんは自己紹介をしていなかったのでお互いに自己紹介をすると、お館様は犬さんにどちらが勝つかの質問をする。

 

「そうだな。ミコトが往生際が悪く抗わなかったら煉獄の勝ちだろうな」

「ほぉ。ミコトが勝つとは思わないのですか?」

「思わ無い、それは断言できる。理由は見てたら分かる・・・すまねぇ、今のは無神経な言い方だったな」

「構いませんよ(犬さん、貴方はやはりあの――)」

 

 なにかを思っていたが、お館様はミコトと煉獄を見つめる。因みに立ち会いの間はずっとお館様は犬さんを撫でていた。

 

 

 

 

さてさてどうしよう。煉獄さんの強さは数回の打ち合いで分かった・・・マジ強い!!!!どう攻略しようかな?

 

「ミコト少年!次は此方から行かせてもらう!!」

「なら・・・・・・迎え撃つまでぇ!!」

 

 ミコトは最初と同じく第参秘剣落雷の構えを取る。

 そして煉獄は杏寿郎は大きく息を吸い、呼吸を整え、最大限に集中する。出す技は

 

 

 

――――炎の呼吸 壱ノ型 不知火。

 

 

 その最大威力。

 

 

 

「行くぞ!!」

「来い!!」

「――炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!」

 

 煉獄の不知火の速度は全集中最速と言われる雷の呼吸 壱ノ型にも匹敵する・・・いや、一般の雷の呼吸の使い手を遙かに上回る速度だった。その速度は見ていた柱達すらも「疾い」と驚愕させる程だった。

 そしてミコトに灼熱の刃が迫る。だが――。

 

「――第参秘剣 落雷!!」

 

――ゴロゴロゴロゴロ!!!

 

 ミコトは煉獄の技を真っ向から迎え撃つ。本来、第参秘剣は自分から仕掛ける技では無く、相手の攻撃の後から放ち迎え撃つ、すなわちカウンター技である。その為に自分から仕掛けに行く時よりも、迎え撃った時の方が威力は増し高威力となる。

 更に放つときには一歩前に踏み出すことによって相手はいきなり間合いを詰められ狂わされたことにより被弾率が高くなる。だが今回ミコトは煉獄では無く煉獄の刀を狙って技を放った。

 

 

――ガンッッ!!!!

 

 

 木刀同士がぶつかり、鈍い音が大きく響き渡る。2人のぶつかり合いの余波はお館様や犬さん、柱達の居るところまで届いていた。

 

「はは。ミコト楽しそうにしてるな」

 

 犬さんは楽しそうに煉獄と打ち合いをしているミコトを見て嬉しく思っていた。

 

「それに珍しいな」

 

 珍しいの意味は簡単だった。何故かミコトの目は桃眼になっていたからだ。至近距離で戦っている煉獄は勿論その事に気づいていた。

 

(これが噂に聞く桃の眼か!この目になってから増したこの闘気!・・・だが!)

「退けん!!うぉぉぉぉぉぉおおおお!!」

 

煉獄さんの力が増した!?まずい!また押し負ける、なら!

 

「第肆秘剣 木枯らし風牙!」

 

 木枯らし風牙、相手の威力を利用して回転して攻撃する技。

 煉獄の技の威力を利用して左回転して、煉獄の技をいなすと即座に右薙ぎで煉獄を狙う。

 

「弐ノ型 昇り炎天!!」

 

 煉獄はいなされたことを即座に理解して、ミコトの斬撃を上に弾き回避する。だが、ミコトはがら空きになった煉獄の腹に蹴りを全力で打ち込む。

 

「ゥ!」

 

 2人の間は再び距離が空く。

 

――パキ

 

 どちらかの木刀に罅が入る音が聞こえる。だがそれを気にせず2人はすぐさま新たな型の構えを取る。

 煉獄は刀を右後ろにに持っていき、構える。

 そしてミコトは、かなり前のめりの体勢になる。その構えは奇しくも雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃の構えに似た構えだった。だが、唯一違うのは霹靂一閃は抜刀の型だがミコトは切っ先を地面に付けているところだ。

 

 

「炎の呼吸 伍の型――」

「第捌秘剣――」

 

 お互いに息を大きく吸い駆け出す。

 

炎虎!!

八岐大蛇!!

 

 燃えさかる紅き虎、炎虎と大地から這い出て地を這う八首の龍、八岐大蛇が凄まじい音を上げながらぶつかり合う。その凄まじい威力により抉れた地面の一部や石が周囲に飛び散る。

 無論それはお館様達の方にも。

 

「水の呼吸 壱拾壱ノ型 凪」

 

 凪、それは水柱 富岡義勇が編み出した技。彼の間合いに入った石とかは全て消え失せる。凪、それは全ての攻撃を回避するための技である。富岡のお陰で、お館様の服には塵一つ付かなかった。

 

 

 

「ハアハアハア」

「ハアハア ゴクン はあ~」

 

 土煙が晴れ、2人を月明かりが照らす。

 

――バキ、バキバキバキ

 

 片方の持っていた木刀は持ち手だけを残して砕け散る。

 

「・・・参りました」

 

 降参したのはミコトだった。

 

「ミコト少年!良い勝負だったな!」

「そうですね。・・・煉獄さんは先に皆さんの所へ」

「分かった!」

 

 返事をすると煉獄は先に皆の所に戻る。

 そして見ていた柱達はミコトの戦い方と強さに感心していた。

 

「八岐大蛇、派手な技じゃねえか!」

「アイツ、風の呼吸みたいなのも使ってたなァ」

「雷、火?、氷?、風、土?。色んな技使ってましたね。煉獄さんと同等までに渡り合ってあ、あれで本当に呼吸が使えてないんでしょうか?」

 

 甘露寺の言葉に全員が考え込む。

 

「あーそれだけどいいか?」

 

 その沈黙を犬さんが破る。

 

「ミコトは呼吸が使えないと言ってたが、あれは嘘だ。正確には呼吸が使えてるのにその自覚が無いだけだ」

「そうなんですか?」

「ああ、ミコトは兄と父から先祖代々の呼吸を教えてもらったがミコトが身に付けたのは完全に別の呼吸、いや派生かな?まあそれをその日に作り身に付けたんだ。それのせいで自分は呼吸を使えてないと思い込んでるんだ」

「それでもやっぱり彼は凄いね」

(無一郎君がここまで人を評価するなんて珍しいわ!)

「やはりミコト少年は呼吸を使えていたんだな!!」

 

 煉獄はミコトが呼吸を使えていたことに納得する。

 

「知ってたんですか?煉獄さん」

「いや、確信したのは今だが、呼吸を使えて無いとあの速さや力は出ないからな!」

「そうか」

「うむ。ところでミコト少年は何してるんだ?」

 

 皆の目線には座り込んでブツブツ何かを言っているミコトの姿が有った。

 

「あーあれはアイツの癖の一つだ。立ち合いをした後は何処が悪かった、何処をこうしたら良かったとかを考え込むんだ」

「そうなんだな!」

 

 その後、犬さんは帰って来たミコトに駆け寄るとお疲れ様と声をかける。

 

「・・・うん」

「どうした?」

「・・・えへへ、負けちゃった。やっぱ俺なんかじゃ煉獄さんには勝てなかった。やっぱり俺には兄さんや父さんみたいな才は無いみたい」

「それは――」

 

 違う!と犬さんは言うことが出来なかった。ミコトは立ち合いで負けた時はとことん自分を卑下する癖があるのを犬さんは知っていたためである。

 そして兄や父に立ち合いで負けたときも自分を卑下していた時に兄と父は強いと才能はあると慰めていた、それは勿論犬さんもだ。だから自分が言っても家族だから優しい言葉を掛けているとしか思われない為に犬さんは何も言えなかった。

 

「そんな事は無いぞ!!ミコト少年!!」

 

 だがそんな犬さんの心を知ってか知らずか煉獄が代弁する。

 

「それに君は負けと言ったがそれは違うぞ!君は負けてない!」

「?」

「この立ち合いは引き分けだ!」

「何故ですか?勝利条件は相手に参ったと言わせるか戦闘不能にする事。俺はその両方、木刀は砕け戦闘不能になり、参ったと言いましたよ?」

「うむ、そうだな。だが君が負けたのは木刀が砕けた所為だ! 木刀が砕けれなければ君はまだ戦えた!もしこれが木刀では無く鉄刀、ましてや本身であれば結果は違っていたであろう!!故に君は負けてない!この立ち合いは引き分けだ!!」

「!」

「ミコト少年!君には剣技の才能はある!その才は俺以上だ!だから胸を張れ、君は決して弱くない!!」

「煉獄さん」

 

やば!煉獄さん格好いい!いま何か凄く胸がキュン?ってなった・・・なった!!これもし俺が女だったら絶対に惚れてたぞ!いやまじで。

 

「そうだぞミコト、キイズミ()和人()も言ってたろ?お前は俺達より遙かに凄い才能があるって。だから余り自分を卑下するなよ」

「・・・うん、善処するよ!」

(そこは分かったって言って欲しかったな)

「杏寿朗、ミコト、素晴らしい戦いだったよ」

「「ありがとう御座います」」

「それじゃあ、今回の柱合会議はこれでお開きだね」

 

この後は胡蝶さんと一緒に蝶屋敷に帰る予定だ、また泊っていって良いって言ってくれたから。因みに産屋式家を離れるときに煉獄さんに今度、家に来ないかと誘われた。何か気に入られたみたい。

因みに、煉獄さんが使っていた伍の型炎虎、あれは今作ってる新しい技に取り込めそうだ!

 




~大正コソコソ噂話?~

お館様は立ち合い中ずっと犬さんを撫でてましたがそれは、犬さんの触り心地(毛並み)が驚くほどに気持ち良かったからです。








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第8話:蝶の姉

「お帰りなさい。しのぶ様、ミコトさんと犬さん」

「こんな時間にお出向かいありがとう。アオイ」

「ありがとう御座います」

 

 しのぶさんも言ってたが、目の前にいるのはこの蝶屋敷で怪我をした隊士達の看病をしている人だ。しっかりしている、確かコレで鬼狩りもしてるんだっけかな?凄いよね。あと確か、すみ、きよ、なほ、って子達も居たはず・・・多分、名前は合ってる。この三人はまだ子供だから鬼殺隊士では無い。それで流石に深夜だから寝てるかな?まだ子供だもん!寝る子は育つってね。

それと確か、しのぶさんの継子?って言うカナヲって人もいるけど、任務に行っててここ数日戻らないみたい。

 

「ミコトさん。まだお話したい事が有るのですが大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ三日三晩は寝ずにいられますので」

「そ、それは凄いですね・・・(本当に人間ですか?)」

 

まあ鬼狩りしながら旅してると寝れない日とかも普通にあるから三日三晩ぐらいは寝ずに活動が出来るようになった。これもたぶん桃眼の力のお陰かな?皆はどう思う?って誰に聞いてんだ俺は。っと、何か一際綺麗な部屋に来た。

 

「どうぞ」

「どうも・・・え?」

 

 案内された部屋に入るとそこには1人の女性が寝ていた。

 

「この人は・・・ねえ犬さん」

「ああ、あの時の女だな」

 

 2人はその女性を知っている。半年と少し前に出会った・・・いや、正確にはこの女性と上弦の弐との戦いに割って入って女性を連れ去った。そしてこの女性は。

 

「この人は私の姉さんです」

「やっぱりですか」

 

 彼女は元花柱 胡蝶カナエ、胡蝶しのぶの姉である。

 その後に3人はしのぶの応接間に移動して、お互いに向き合って座る。

 

「すみません、お姉さんの様態は大丈夫なんですか?」

「私が見た限りでは大丈夫ですがもう目を覚ます事は無いかも知れません」

「あの日からズッと寝続けてるのか?」

「はい。あれから目を覚ましません」

「・・・ごめんなさい。俺があの時もっと速く助けに入れば良かったのに」

「いえ、ミコトさんを責める為に姉さんに会わせたんじゃ無いんです」

 

 ミコトはどういう事なのか分からなかったが、しのぶはそんなミコト達に向き直ると頭を下げ、土下座の体勢になる。

 

「あの時、姉さんを助け出して下さってありがとう御座いました」

「あ、頭を上げて下さい!?お礼を言われる筋合いはn「筋合いはあります」え?」

 

 しのぶは頭を上げるとミコトの眼をちゃんと見る。

 

「貴方がいてくれなければ姉さんは鬼に殺されていました。いえ、戦っていた鬼に食べられて、姉さんの遺体すら戻ってこなかったでしょう。でも貴方のお陰で姉さんは生きたまま帰って来てくれました。もしこのまま死んでしまっても、ちゃんと見とれるので悔いは無いです」

 

しのぶさんって嘘下手だな。本当は目を覚まして欲しくてしょうがないんじゃないか。手を強く握ってるし。

 

「ミコトさん、貴方は人と鬼が仲良く出来ると思いますか?」

「何でですか?」

「人と鬼が仲の良い世界は素敵だと思いませんか?」

「・・・本当にそう思っているんですか?しのぶさんは」

「・・・」

「思ってませんよね?だってしのぶさんは豪鐵の死体を見たとき、顔には出ていませんでしたが目が笑っていました」

「・・・」

「人と鬼が仲の良い世界、それは貴女の本心では無くお姉さんの思っている事じゃ無いんですか?」

「!?」

「お姉さんが意識を無くす前に俺に言ってました、鬼も可哀想な人達なのと」

「姉さんがそんなことを?」

「はい・・・ですから、本当は鬼のことどう思ってるんですか?

「ええ、ミコトさんの言うとおりです。姉さんは優しい人でした。何時も鬼を哀れんでいました、そして何時も仲良く出来れば良いのにと口癖の様に言ってました。ですから姉さんがもし目を覚ました時ひ人と鬼が中の良い世界が出来ていたら良いと思い」

「それでお姉さんの真似をしていると?」

「はい。でも鬼はいつも嘘ばかりを言う、自分の保身のため理性もなくしむき出しの本能のまま人を殺す。・・・鬼が可哀想?例え姉さんの言葉でも巫山戯るな!と思ってしまいました。私の親も鬼に殺されました、鬼は何時も楽しんで人を殺しているそんな奴らが可哀想なんて有るはずが無いんです!!」

 

なるほど、しのぶさんはあの日からズッと悩んで苦しんでいたのか。確かにそれだとしのぶさんを見たときのあの違和感にも納得だ。

 

「どうですかミコトさん、貴方は人と鬼が仲良く出来ると思いますか?」

「全員は無理でしょうね。でも一部の鬼とは仲良く出来ますよ」

「・・・・!?ホントですか!?」

「はい、そういう鬼に会ったことがあります」

「え、ほ、本当ですか?」

「はい、その人は鬼で有りながら鬼無辻無惨を抹殺しようと思ってる鬼です」

「にわかには信じられませんね」

「でも事実です。その人は人間だった頃に病にかかり、子供が大人になるのを見届けられなかった。そこで無惨はその人を鬼にした、でも」

「鬼にされれば飢餓状態になり、人を喰らう、その方は」

「はい、家族を食い殺して仕舞った様です。その後は後悔と無惨に対する憎しみで生きていました、少なくとも千年以上もです。あ、因みにその人は無惨の呪いも外してますので、無惨に気づかれること無く密かに無惨の対抗作を作ってます」

「そんな方がいらっしゃったんですね・・・」

「はい」

 

 その後にしばらくの沈黙が続く。

 

「ミコトさん、その方の事を知ってる人は?」

「今は、俺と犬さんそして鬼殺隊ではしのぶさんだけです」

「お館様には?」

「言ってません。てかもしかしたらあの方は知っていって黙認しているかもですね」

「そうですか」

「言っときますがもしあの人を鬼殺隊の人が殺しに行くようでしたら俺は迷い無くあの人の方に付きますよ」

「!?何故ですか?」

「あの人の眼を直で見て確かめたからです。俺の桃眼を前にしても一切微動だにせず意思の籠もった眼で俺を見返していましたから」

「そうなんですね」

「はい」

 

 またもやしばらく沈黙が続く。

 

「今日はもう遅いので休みましょうか」

「そう、ですね」

 

 気まずい空気を胡蝶が終わらせようともう今日は休むことにするのにミコトも賛成し、寝ることにした。

 












良ければ評価や感想お願いします!
出来れば桃並みの甘さで!


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第9話:炎の父

まず、スイマセン。本当は前回の8話と一緒に出す予定でしたけど・・・上手くまとめれなかったのでわけました。いやー大変だね。

それではどうぞ!


「それでは行って来ます」

「はい、煉獄屋敷はここから少し離れてますけど昼前には付くと思います」

「ありがとうアオイさん」

「いえ。それでは」

「はい。じゃあ行こうか犬さん」

「おう」

 

さてさて蝶屋敷出てしばらく歩いてたけど俺あることに気づいてしまった・・・

 

「煉獄さん家って何処?」

「ミコト、またかよ・・・」

「てへぺろ!まあ、なせばなんとか成る!って事で歩いとこ」

「適当かよ」

「はは。・・・ん?アレは烏?いや、鎹烏か」

「カー!煉獄家へ案内スル!着イテ来イ!!カー!!」

「なんとか成ったね犬さん」

「行き当たりばったりだったがな」

 

その後は煉獄さんの鎹烏の案内で煉獄家へお話しながら向かった。それで分かったのが煉獄さんの鎹烏は要って言う人・・・じゃなくて、烏さんだった。それで何故か移動中はズッと俺の頭の上に乗ってたんだが、なんで?

 

「着イタゾ!此所ダ此所ダァ!!」

「おうここか」

「何気に早く着いたな」

「まあズッと走ってたからな当然だよ犬さん」

「あのー。貴方達は?」

 

声を駆けたのは箒を持った子供だった。その子はもう直感で分かった、煉獄さんの弟だ!!だってこの炎を思わせる髪色とか一緒だもん。

 

「?」

「あ、すみません。俺は大和ミコトと言います」

「俺は犬の犬さんだ、宜しく」

「はい、私は煉獄千寿朗と言います。それで、貴方が兄上が言っていた方ですね・・・いま喋りませんでしたか?犬さん」

「おう!俺は人語を喋る犬だからな、まあお前ら鬼殺隊の鎹烏と同じだと思っといてくれ」

「な、なるほ、ど?・・・あ、此方へどうぞ。兄上がお待ちです」

「はい、お邪魔します」

 

そのまま付いて行ったら、庭?のような所に行ったらブンと鈍い風切り音が聞こえて来た。

 

「おや、来たようだなミコト少年!」

「はい、煉獄さんの鎹烏のお陰でなんとか迷わずに来れました」

「それは良かった!」

「全くほんとだよ、・・・なぁミコト」

「あはは」

 

 煉獄は汗を手ぬぐいで拭うとミコト達と一緒に縁側に座り、千寿朗が持ってきたお茶を飲む。

 

「それで煉獄さん。俺に何か用があって呼んだんですよね?」

「うむ。話が早くて助かる。実は、ミコト少年に弟の、千寿朗の剣技を見てもらいたいのだ」

「?どう言うことですか?」

 

話を聞くと、どうやら千寿朗君は兄、煉獄杏寿朗の背中を追って頑張って鍛錬してきたけど全然呼吸が使えなくて自信を無くしてるみたい。なんか俺・・・千寿朗君と近しい何かを感じた。

話がそれた。それで俺には千寿朗君の剣技を見て何か助言をして欲しいみたい。煉獄さんは千寿朗君には自分の進みたい道を進んで欲しいみたいだけど、当の千寿朗君が鬼殺隊の剣士を目指してるからみたい。それで俺に相談と言うことみたいだ。色んな呼吸の型?使ってたからだ!よし!!頑張ろ!!

 

「ってことで千寿朗君、剣術みして」

「え?あ、は、はい?」

 

そこからは普通に木刀を持ってきて剣術を披露してくれた。剣術は綺麗だ、だが何か煉獄さんとは違う何かを感じた。なんだろうなあの違和感は・・・?

 

 ミコトが助言の言葉を考えるための時間が必要だったので、その為に3人は一旦客間に移動する。

 

「その前に煉獄さんお手洗い貸して下さい」

「うむ、この廊下をまっすぐ行って左に曲がった先にある」

 

 ミコトはトイレを借りたが今回は迷子にならずにすんだ。

 

「それでどうだろうか?」

「そうですね。千寿朗君の剣技は綺麗でしたが、煉獄さん・・・紛らわしいので杏寿朗さんと言わせて下さい。それで、杏寿朗さんの様な炎は見えなかったので恐らく炎の呼吸の適性は無いんでしょうね」

 

 その言葉に千寿朗の表情は暗くなる。

 

「千寿朗君、俺は『炎の適性()無い』と言ったんです」

「どう言うことですか?」

「炎の呼吸の適性は無くても他の呼吸または派生の呼吸とかはいけるかも知れませんよ?(派生の呼吸なんて有るのか知らんけど)」

「!?本当ですか?」

「はい、そういうのを感じましたのでこれからも色々と模索して頑張って行きましょう。俺も千寿朗君の歳の時には我武者羅に頑張っていたので」

「そうだぜ、ミコトもなぁお前の歳の時には兄と父が使っていた呼吸が使えなくて毎日毎日、来る日も来る日も泣きべそかきながら昼も夜も関係無く鉄刀を振り、我流剣術の鍛錬しながら呼吸の練習もしていたんだぜ!」

「ち、ちょっと犬さん!そんな昔のことを持ち出さないでよ!?は、恥ずかし//」

「その努力のお陰で兄上と同等に打ち合えたんですね。兄上が嬉しそうに話してました」

「まあ、呼吸の自覚は無いんだけどね。まあ努力は報われるって事だよ頑張れ!」

「はい!」

 

 ミコトの言葉に元気に、そして嬉しそうに返事をする千寿朗だが、その空間を時間をぶち壊す声が部屋に響く。

 

「ハ! 努力してなんになる!!」

 

 そんな声を上げ客間に男が入って来た。

 

「父上!?」

 

 そう、入って来た男は杏寿朗と千寿朗の父――煉獄 槇寿朗だった。

 

「どう言う意味だ?」

 

父上!?この男が?何て酷い有様だ。凄く酒臭いし、父さんも酒は好きだったがここまでの臭いはしなかったぞ!

 

「どうもクソもあるか。呼吸も使えん奴がどれだけ努力しようと無意味だ。杏寿朗といい千寿朗といい、何時までくだらない夢を見ている?時間の無駄だ、愚かな末路を迎えるのは火を見るよりの明らかだ!くだらん」

 

 くだらん、無意味、無駄、その言葉はミコトの頭の中でイヤにこだました。そして次にミコトの頭を占めたのは父、和彦に言われた言葉だった。

 

『いいかミコト、努力は必ず実る。お前の大好きな桃の様に努力をすればするほどお前の力になる。努力の全部とは言わない、一部・・・いや半分は必ずお前の一部になる。だから頑張れ!お父さんはお前を応援してるぞ!!』

 

――ダン!

 

 客間の机をミコトが強く殴る音が聞こえる。その音に千寿朗は肩を跳ね上がらせ驚き、ミコトを見る。

 

「それが」

「ミコトさん?」

「その言葉が、親が子に努力している息子に言う言葉かぁぁぁぁぁああ!!」

 

 ミコトは立ち上がり叫ぶ。そして千寿朗と槇寿朗はミコトの眼を見て驚く。

 

「き、貴様。その目は・・・桃の眼!!」

「?そうだ、俺は桃眼の鬼狩り大和ミコトだ!!そんなのはどうでも良い。無意味、無駄、それが親が息子に言う言葉か!」

「そんな事・・・だと?き、貴様ぁ・・・なんの嫌がらせだ!」

 

 槇寿朗は呼吸を使い一気にミコトに駆け寄る。ミコトと槇寿朗の間にあった机は簡単に踏み壊され驚いたミコトに近づくと思いっきり殴り飛ばす。

 

「!?」

 

 殴られたミコトは勢いのまま襖を突き破り庭に飛び出ると数回地面を跳ね転がると止まる。

 

「ミコトぉぉぉぉおおお!!!!」

「桃眼の人間が今更、今更何しに俺達の前に現れやがった!!」

「いってな!!」

 

やば、なんとか立てたが一瞬意識が飛んだ。てか、今更何しに?どういう意味だ?

 

「何しに鬼殺隊の前に現れやがった!!」

「どう言う意味だ!」

「どう言う意味だと?そんな事も忘れたのか?・・・鬼との戦いから逃げた一族がぁ!!」

 

どう言う意味か分からんけど、意味が分からんと言う事だけが分かった。いや違う、俺の一族がどうこうじゃなくてアレの方だ。

 

「俺の一族の事で文句を言いたいならいくらでも聞く!だがその前にお前は謝れ、杏寿朗さんに、何より千寿朗君くんの努力を!頑張りを侮辱したことを!謝れぇぇぇえ!!」

「謝れだと?部外者が何を言う!!無意味に無意味と、無駄と言って何が悪い!!呼吸が使えない者が鬼と戦えると?そんな事あるか!呼吸も使えない者が鬼の前に出たとしても無様に殺され、喰われるだけだ!なら呼吸も使えない者の鬼と戦う為の努力など意味の無い、無価値な事だ!!」

「まだ言うか!!この飲んだくれのクソ爺がぁあ!!」

 

 次にミコトが槇寿朗に向かい駆け出す。ミコトの立っていた所には地面が少しくぼんでいた。

 

「格闘式、瞬地・瞬天(しゅち・しゅてん)

 

 皆は覚えてるだろうか?ミコトと煉獄の立ち合いの時に犬さんが言っていた言葉、『ミコトが往生際が悪く抗わなかったら煉獄の勝ちだろうな』と言う言葉を。ミコトは刀が無くなっても兄や父と戦えるように格闘も鍛えていたのだ。それ故に犬さんのあの言葉である。

 そして、瞬地・瞬天は相手の目の前で勢いよくしゃがみ相手が下を向いた時に上に飛躍して次に天井をを蹴り真下に落下する勢いを使い敵に攻撃する技である。無論この技は障害物のある空間か狭い所でしか使えない技だが、いまミコトと槇寿朗が居るのは客間で有るためにこの技の本領発揮が出来る。

 

「掛かった!格闘式、落雷・蹴!!」

 

 瞬地・瞬天の技で下を見た槇寿朗は急いで上を見るとミコトの足が眼前に仕舞っているのだけが分かった。ミコトが足場にした天井は砕け、そして真下に落下の勢いと蹴りの力を合わせ槇寿朗の顔面に蹴りを入れる。

 

「クッ!うっそ!?」

 

 と、思われたが槇寿朗は蹴りが当たる前に手を滑り込ませ蹴りをモロに食らうのを防ぐ。

 そして着地したミコトは槇寿朗の胸ぐらを掴み詰め寄る。

 

「おい爺!アンタそんな態度でいざ息子達が死んだときに後悔しないのか!!」

「何も知らないガキが!知ったようなことを!」

 

 また槇寿朗もミコトの胸ぐらを掴む。

 

「ああ知らねえよ!なんで父親であるお前が息子の努力を!頑張りを!無価値と評し否定するのか!」

「ならよそ者が黙ってろ!鬼殺隊から逃げた一族が!」

「黙らない!なんで息子の努力を無駄と言う!お前がそうなったからか?」

「ッ!?」

 

 その言葉に槇寿朗の脳裏に過ぎったのは病にかかり日に日に弱っていく妻、そして病を治す治療法や医者を探し駆けずり回った日々。だが結局は何も出来ずに病で死んでしまった最愛の妻、そのそれに嘆き悲しみうずくまり泣いていた自分の姿。そして何より妻を助けるために努力し頑張ったが、それら全てが無意味に終わった言い表しがたい感情だった。

 

「貴様に分かるか・・・」

 

 槇寿朗は拳を固く握り絞め、即座に全集中の呼吸を実行する。腕部には怒りの血管が強く浮き出て、激しく脈打っていた。

 

「いけません父上!彼が死んでしまいます!!」

 

 杏寿朗は急いで止めに入ろうと動くが、犬さんが杏寿朗の裾を噛んで止める。

 

「邪魔するな。彼奴らの譲れねぇ喧嘩だ」

「だが犬殿!父上は元炎柱です!このままではミコト少年が死んでしまう!」

「もう遅い」

「!?」

 

 その言葉で2人の方を見ると既に完全に呼吸を整え、ミコトに拳を振り下ろそうとしていた所だった。

 

「貴様に分かるか!妻を!瑠火!の病を治す為にした努力が無意味に終わった気持ちがぁあ!」

「だったら尚更ぁあああ!」

 

 ミコトは槇寿朗の胸ぐらを掴んだまま、頭を後ろに引き勢いよく突き出す。

 

「テメエは!息子の努力を否定したらダメだろうがぁぁぁあああ!!」

 

――ゴン!

 

 ミコトは槇寿朗の拳にスピードと力が完全に乗る前に頭突きで拳を受け止める。そしてその拳を振り払うと次はミコトが拳を振りかぶる。

 

「お前は今の姿で!妻に顔向け出来んのかよぉぉお!!」

「ッ!?があ!」

 

 ミコトの拳は完全に槇寿朗の顔面を捕らえる。

 

「奥さんが死んだ?それは悲しい凄く悲しい。何も出来ずに家族が死ぬつらさは俺も知っている。俺の家族も犬さん以外全員殺されたから!だがなぁ、だがお前は何時まで立ち止まってる気だ!いい加減に前を向きやがれ!」

「き、きさ」

「今の姿を奥さん・・・瑠火さんに見せられるのか!!瑠火さんは喜ぶのか!あの世で再会したときに胸張って顔を合わせられんのか!?ちゃんと子供達を育てたって言えんのか!も一度言おう、何時まで立ち止まっている!いい加減に歩き出せよ!確かに俺はよそ者で鬼殺隊から逃げた一族かも知れない。でもこれは俺個人、一人の大和ミコトとして言わしてもらう!千寿朗君には兄、杏寿朗さんだけでは無く父親であるアンタの背中も必要なんだ!何時までみっともない背中を息子達に見せてるんだ!元炎柱!煉獄 槇寿朗!!・・・あ」

「ミコトさん?み、ミコトさーん!!」

 

 ミコトは最後の一言で、まるで糸の切れた人形のように前のめりに倒れ、千寿朗はそんなミコトに駆け寄る。

 

「あー・・・締まらねえなあー。やっぱりあの拳骨は流石にミコトの石頭でも効いたようだな」

 

 槇寿朗は倒れたミコトを見ると、ふらふらと立ち上がり部屋を出て行く。

 

「父上!!」

「そっとしてやれ」

「あ、兄上!犬さん!それよりミコトさんが!!」

「ほっとけば眼を覚ますだろ」

「ダメですよねそれ!ダメですよね!犬さん!?」

 

 犬さんの冷たい対応に珍しく本気のツッコミを入れる千寿朗だった。なおこの1時間後にミコトは目を覚ました。

 

「う、うう・・・ハ!!」

「お、目覚ましたか?はっ・・・はー」

「犬さん。人が気絶してたのに欠伸って」

「はは・・・?」

「お、目が覚めたようだな!」

「お、おはよう御座います」

「・・・ハ!!」

 

 杏寿朗と千寿朗が部屋に入って来たのを確認したミコトは急いで起き上がり土下座をする。

 

「よそ者が出過ぎた真似をしました本当にごめんなさい」

「い、いえ気にしないで下さい」

「千寿朗君・・・それだけでは無いです。天井も壊してしまったのです」

「うむそれも気にするな!」

「杏寿朗さん」

「なので頭を上げて下さい」

「はい」

 

 頭を上げると本当に全く怒っておらず、何処かすっきりした顔の千寿朗の顔が目に入る。

 

「何処かすっきりしてる?」

「はい。実はミコトさんが父上を殴り飛ばした所を、兄上と私の努力を無駄じゃいと父上に真っ正面に言って下さったときに胸がすっとしたんです」

「そうだったんですね」

「はい」

 

 その後はまたしばらく楽しく話をして、ミコトは煉獄家を後にする。

 

「ミコトそれで今日の野宿場所は決めてるのか?」

「んー」

「また風の吹くまま気の向くままか?」

「浅草行ったから東京観光に行こうかな?」

「あら?ミコトさん?」

「しのぶさん!」

 

 たまたま任務帰りのしのぶと鉢合わせる。だがしのぶはミコトの顔にある青あざを見ると慌て出す。

 

「み、ミコトさん!?どうしたんですかその顔の大きなあざは!?」

「ん?あーカクカクシカジカです」

「・・・全く意味が分かりません。とりあえず家に、顔の手当をしましょう!」

「ダメですよ。俺は鬼殺隊じゃ無い上にもう既に2日も止めてもらってます!これ以上の迷惑を掛けることはで出来ません」

「ミコトさん。私は医者です怪我人を目の前にしてほっとけません。それに変にほっといたら痕になりますよ。折角綺麗なお顔なんですから」

「あの~俺男ですよ?顔の傷は男のくんしょ――」

「良いから来て下さい」

「あ、はい」

 

 この後はミコトしのぶの手によって蝶屋敷につれて行かれ、顔のあざの手当をする事になった。

 そして次の日の早朝にはミコトと犬さんは鬼狩りをしながらのんきな旅に出る。

 

 

 

 ~カナエが寝てる部屋~

 

「姉さん。ミコトさんは旅立ちました・・・ミコトさんを姉さんに会わせれば姉さんが目覚めてくれると思ったんですが、流石に夢を見過ぎた思いでしたね。残念残念・・・」

「し、のぶ?」

 

 部屋を出る前に聞こえた声はしのぶは幻聴かとも思ったがもしかしたらと思い、振り向くと目を開け自分を見ている姉の姿があった。

 

「!?!?」

「おはよーしのぶ」

「ね、姉さん!!!」

 

 妹の蝶は目覚めた蝶の姉と約一年ぶりの再会を果たす。

 

 

 

 ~煉獄家~

 

 

「父上、それでは任務に行ってきます」

 

 杏寿朗は千寿朗と共に父の部屋の前で出かける前の挨拶に行っていた。いつもは返事が無かったがこの日は違った、槇寿朗は部屋の襖を開け二人を見る。

 

「杏寿朗」

「・・・!」

「怪我をするなよ」

「は、はい!!」

「千寿朗、お前も早く着替えろ。久々に稽古を付けてやる」

「は、はい!」

 

 杏寿朗はこの日の父の姿を昔の優しかった姿と重ねる。

 

 この日、蝶の姉妹は再会を喜び煉獄家には新たな熱い炎が灯る。そして

 

 

 

「カー!次ハ東京府浅草ァ!!鬼ガ潜ンデイルトノ噂アリ!!!カァアア!!」

「えっ!もう次行くのか!?」

「行クノヨォオ!」

「ちょっと持ってよ!」

「待ターナイ!!」

「ええ~・・・ちょっと待ってよ!休ませてよぉお!!」

 

 人語を話す犬を連れた桃眼の鬼狩りと鬼を連れた赫灼の隊士が出会おうとする。






~大正コソコソ噂話?~


杏寿朗はこの日の父の久々の優しい言葉が嬉し過ぎて、たったの一晩でまさかの20体近くもの鬼を討伐すると言う偉業を成した。





さて!ようやく鬼滅の刃の主人公の炭治朗を次回に持って来れそうです!!いや~此所までがもの凄く長く感じましたね!!それでは次回もお楽しみに~・・・してくれてる人がいるかわかんないけど、お楽しみに~!




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第10話:竃門兄妹

ようやく炭治朗と禰豆子ちゃんを出せた!あとあの臆病者も出てきます。


「うんでーミコトよ~なんで俺達はマタこんな森林を歩いてんの?」

「いいじゃん空気が綺麗でさ~」

「まあそうだがよ~」

 

今は犬さんと殆ど人の来ていない竹林の道を歩いてるけどホント人が居なくて気持ちいい。

 

「でもあれからかなり鬼の血も集まったよね」

「そうだな。てかこの鞄がかなり重い」

「あはは・・・ごめんよ犬さん。何時も荷物もたして」

「気にすんな」

「・・・そう?じゃあ気にしない!」

「おう!」

「・・・ん?」

「どうしたミコト?」

「桃眼が反応した。近くに鬼がいる」

「まさか。確かに日は落ちてきたけど鬼が動き回るにはまだキツイだろ?」

「桃眼は反応したよ?でも気配は珠世さん達と違う・・・一応気配の方へ行ってみよう!走るよ」

 

気配の方に行ってみたが何だあの鬼?

 

 ミコトが立ってる崖の下にはの方には竹筒を噛んだ鬼が立っていた。

 

「ミコト、彼奴か?」

「うん。でもなんか変」

「変?」

「なんか普通の鬼とも違えば珠世さんとも違う。なんか愈史朗君に近い気配がする」

「どうする?」

「確かめる」

 

 ミコトは前のめりに倒れ崖から落ちると崖を壁の様にして蹴る。

 

「我流剣術 龍星」

 

 一匹の龍が竹筒を噛んだ鬼に迫りその頸を噛み千切ろうとする。

 

「禰豆子!!」

「ッ!?」

 

 だがそこに一人の赫灼の少年が割って入りミコトの刀を受け止め、鍔じり合いになる。

 

(なんだこの人!?刀を使って禰豆子を襲ったってことは鬼殺隊!・・・ダメだ!匂いで何を考えてるのか全然感じ取れない。あと何だあの眼は!?)

「(龍星を受け止めた!?スゴ!)君鬼殺隊だよな?」

「ッ!そうだ!・・・禰豆子は俺の妹なんだ!」

「そうか(なら)」

「ムー!」

「でも鬼殺隊が鬼を連れているのがどう言う意味か分かってるのか?」

「分かってる!だがとりあえず話を聞いて下さい!!」

「なら、聞いて貰えるように頑張れ! 第壱秘剣 火斬」

「ッ!ぐっううあー!!」

 

 力を横に突如ずらされた少年は驚きその隙にミコトに後ろ蹴りで腹を蹴られ後ろに吹き飛ぶ。

 

少年。その程度の力では妹は守れない!限界を超えろ!!

 

「第弐秘剣 氷天ノ一突き!」

 

狙うは少年の顔の横すれすれで当てな・・は!?

 

「禰豆子ー!!」

「ム!ムームー!!」

 

は!?守った!?自分の体を盾にして少年に当たらないようにした?この鬼は・・・いや、この子は本当に珠世さん達と同じで人を――。

 

「だから!ちゃんと話を!聞いて下さいぃい!!」

 

――ゴンッ!!

 

「うぅぐううう!?!?!?」

 

 少年は禰豆子を飛び越えると落下の勢いを使いミコトの脳天に頭突きをかます。ミコトは禰豆子が少年を守ったことに驚き、そしてどういう鬼なのかを考えてたことで炭治朗の攻撃に反応が遅れ、頭突きをモロに受け気絶する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッタ-」

 

やばい、まだ頭がガンガンする。煉獄父の拳骨より遙かに威力があり痛かった・・・俺は完全に気絶してたか。もう暗くて、今は夜か。

 

「お、ミコト起きたか?」

「おう、起きたよ犬・・・何してんの?」

「ん?気に入られた」

 

なんか犬さんは普通に丸まって寝てるけどその上にあの鬼の子が丸まって寝てるんだが。しかも凄く幸せそうな顔で・・・まあ犬さんの毛並みは気持ちいいから枕には最高なんだよな。

 

「あ!あの~頭大丈夫ですか?」

「ん?ああ君か。、大丈夫だよ」

「よ、良かった~」

「心底安心したって感じだな。よし!じゃあ話し合いをしようか」

「ん?・・・あ!はい!!」

 

 

そして話し合いで分かったことは。まず少年の名前は竃門炭治朗で妹の方は竃門禰豆子と言うらしい。ある日、炭を売りに行って次の日に家に帰ったら家族全員死んでいて唯一生きていた妹は鬼となったと。

 

「それで、俺は禰豆子を人間に戻す方法を探してるんだ!」

「なるほど~(なら、珠世さんの味方になってくれるかも?)」

「それで、あなたわー」

「ん?ああ、名乗って無かったな。まず俺は鬼殺隊じゃない」

「ええ!?鬼殺隊じゃ無いんですか!?じゃ、じゃあなんで鬼狩りを!?」

「あ~鬼殺隊の人間ならこの名は1回ぐらいは聞いたことあるだろ?」

「?」

「俺は桃眼の鬼狩り、大和ミコトだ!」

「あ、貴方が桃眼の鬼狩り!?本当ですか!!」

「勿論本物。さっき俺の眼を見たでしょ?」

「はい。じゃあ真菰が言ってのは貴方なんですね!」

「まこも?」

「真菰は俺の姉弟子です」

「なるほど~。でも俺はその人が誰か知らないんだよな~」

「そう、ですか」

「何か特徴とか有る?」

「え~と。花柄の羽織に花の模様が描かれた狐の面を着けてます」

「あ、覚えてる!足がもの凄く速い子だよな?(足の速さなら煉獄さんに匹敵してたかな?)」

「はい!そうです!」

「いまその子は?」

「鱗滝さんの所で傷を癒やしてます」

「うろこだき?」

「はい!俺の師匠です!」

「なるほど~無事で良かったー」

「ムー」

「ぐっうう」

 

 禰豆子が寝返りをして犬さんが唸る。それを見てミコトと炭治朗は少し笑う。

 

「そう言えば炭治朗は今何処に向かってたんだ?」

「東京府浅草です」

「!!そうか、浅草か~」

「ミコトさん?」

「炭治朗」

「はい?」

「浅草に行ったら花柄の着物を着た医者の珠世と言う方を探せ。それか愈史朗と言う方だ」

「何でですか?」

「お前と禰豆子ちゃんの助けになる方だ。確か禰豆子ちゃんは人を食ってないんだよな?」

「はい!」

「それで炭治朗。禰豆子ちゃんのことを知ってる人は他に何人居る?君の師匠の鱗滝さん以外にだ」

「真菰と富岡さんです」

「そうか・・・」

 

・・・ん?富岡?富岡って富岡義勇?いや待て待て待て。流石に柱が関わってるってことは無いだろ~でも、もしかしたら・・・。

 

「なあ炭治朗、富岡って富岡義勇って言う?そして半々羽織着てて」

「!富岡さんを知ってるんですか?」

「やっぱりかー」

 

何してんだあの人は!まあ良いか。

 

「・・・炭治朗、俺はお前と妹、禰豆子ちゃんを信じる」

「!」

「禰豆子ちゃんは身を挺して炭治朗を守った。そして気絶してる俺を襲わなかった、俺が希血にも関わらずにだ。だから俺も禰豆子が人を喰わないと信じるよ」

「ありがとう御座います!(この人のからは優しい匂いがする!・・・あれ?今は普通に匂いを感じ取れた?)」

「どうした?」

「あ、えーと。希血ってなんですか?」

「え?あー希血とは特別な血で、その人一人食べただけで人間を50や100人食べたぐらいの栄養があるんだ。その中でも俺の血は更に栄養価が有るんだよ」

「そ、そうなんですね」

「さて、もう遅いし寝て明日浅草の付近まで送るよ」

「ありおがとう御座います」

「迷惑掛けた謝罪の意味も含めてだから気にするな。あと俺はお前と同い年だから敬語は要らないよ」

「ええ!?」

「あと俺は男だよ」

「あ、それは匂いで分かってました」

「マジか!?」

 

 この後ミコトと炭治朗はその日はもう寝て次の日に浅草を目指す。その間に二人はもう敬語無しで話し友達になっていた。そして夕方には浅草付近に着いた。

 

「さて後はこのまま真っ直ぐ進めば浅草だよ」

「ありおがとう、ミコト」

「おう。・・・あーそれとちゃんと名前覚えてるか?」

「珠世さんと愈史朗だよね?」

「そう。・・・じゃあ気を付けろよ炭治朗、禰豆子ちゃん」

「ムー!ムー!!」

「うん。ミコトと犬さんもね」

「おうよ!」

「おう!じゃあ」

「「ばいばい!」」

 

 二人は別れ夜になるが、ミコトは炭治朗と別れてから浮かない顔をしていた。

 

「どうした?ミコト、別れてから暗い表情で・・・」

「なんか胸のざわめくんだよ」

「?」

「虫の知られ的なものなのかなんか嫌な予感がする」

「炭治朗にか?」

「そう」

「・・・どうする?お前のそう言った第六感は当たるからな~戻るか?」

「そうしよう!ごめん犬さんもう一回走るよ!」

「気にすんな!犬の速さ舐めんな!足の速さじゃお前以上だぞい!」

「だな!」

 

ここから浅草まで本気で走って約1時間程度!浅草に着いたら禰豆子ちゃんの気配を頼りに探そう。あの時に覚えたから大丈夫!

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

あれからかなり走った。そろそろ浅草に着くはず・・・・だ・・・・。

 

「・・・・!!!!止まって犬さん!!」

「ッ!?どうしたミコト?!ってその眼!」

 

なんだこの気配!今までに感じたことの無い気配だ、桃眼の反応が強く出る。コレはあの時の黒死牟の時より強いってことは・・・もしかして・・・。

 

「こっちか!」

「は!?お、おい!待てミコト!」

 

こっちだ。こっちの方からだ!・・・い、居た。

 

「彼奴だ、彼奴だ、彼奴だぁ!!」

「み、ミコト?」

「鬼無辻無惨!」

「!?」

「第柒秘剣 瞬光一閃!」

 

 刀を抜き大きく前のめりになり一気に駆け出す。その速度はミコトの技の中でも1番を誇るほどである。

 そしてその刀は無惨の頸に吸い込まれる様に入り斬る。

 

「ッ!?貴様!」

 

 ミコトは無惨と数秒間目を合わした後に後ろに飛び距離を取ると何時ものように狂気的に笑う。

 

「ふっふふ、あっはははははははははは!!凄いなお前!今確かにお前の頸を斬ったのに斬れてない。斬ったのに斬れてないってことは斬った側から再生して引っ付いたのか?凄いなそれ。ああ凄い凄い!思う存分に切り刻める!!あははははははははははは!!!

(なんだこの異端者は!?この私が気配を感じ取れなかっただと!?いや、まさか・・・ッ!?)

 

 鬼の始祖である無惨は思い出す。千年前に自分を死の淵に追いやった2人の化け物()を。

 1人は花札のような耳飾りに赤みがかった赫灼の目と長髪に額の左側から側頭部を覆う前述の痣を持つ男。

 もう1人は()()()()()()を宿し鬼を見ると骨の髄から震えだしそうな狂気的な笑みと笑い声を上げる化け物達を。

 既に前者に似た者は浅草で会っており、人混みの中から自分を鬼と見つけ、同じ花札のような耳飾り着けた男の鬼狩り。その子供から逃げ追っ手を放った後に次は後者である桃眼の鬼狩り、この出会い方は正しく千年前と同じであった。

 

「・・・桃眼の鬼狩り」

「お前でも俺を知ってるんだなぁ!!いや、当然か!!何時も何時も他の鬼の視覚から少しのぞき見してよぉお!あっはははは!!」

 

 ミコトは笑う、他の鬼と同じように・・・では無く今回は片手で左目を押さえ、嬉しさ、憎さ、恨めしさ、そして殺意を込めて笑っていた。

 

「あーあーあー!!ようやく会えた!さあ、殺ろう!殺死合を!絶対に殺してやるから!」

「異端者の化け物が」

「あ?」

 

 無惨は既に治ってるはずの頸を押さえ、指を鳴らす。するとその場には元から居たかの様に20体以上もの様々な鬼が現れる。

 

「貴様らに私の血をふんだんに与えてやる」

 

何してる?・・・ッ!!腕を変形さして鬼共を切った?嫌違うな血を与えたのか。

 

「おおお!!」

「あ、あががが!」

「力が湧いてくる!!」

 

 鬼共は分け与えられた血に歓喜していた。

 

「目の前の女・・・桃眼の鬼狩りを殺し、首を持ってきた者には更に血を与えてやろう・・・鳴女」

 

 誰かの名前を言うとまるで琵琶を鳴らしたみたいな音が鳴り襖が現れる。

 

「!?まて無惨!逃げる気か!!」

 

 無惨が襖の中に消え逃げるとミコトは頭を押さえて叫ぶ。

 

「あああ、あああああ!!逃げやがった逃げやがった逃げやがった!!クソがぁぁぁぁああああ!!!」

 

 だがそんな事をお構いなしにまた血を分けてもらうために鬼共はミコトに襲い掛かる。

 

「その首もらった!」

「俺が更にあの御方に血を分けてもらうんだ!!」

五月蠅い

 

 桃眼の睨みとその一言で鬼達は心臓を鷲掴みにされたような感覚になり動きが止まる。だがそれも一瞬でミコトが溜め息を着いた後に自分たちを押さえていた圧迫感が無くなった瞬間に鬼達はまた駆け出しミコトを襲う。

 

「雑魚のくせに」

「首以外は全部喰ってや――」

 

 刀に着いた無惨の血を手ぬぐいで綺麗に拭くと懐に仕舞い際し余に飛びかかった鬼の頸を刀を思いっきり振り上げるだけで切り落とす。

 

「「「「「!?!?」」」」

「はー。うざい、うざい、うざい!!雑魚のくせに雑魚のくせに邪魔しやがって!!」

 

 ミコトは何度も何度も切り落とした鬼の頭に刀を突き刺していた。その姿に鬼達は無惨とは違う恐怖を抱き、どっちが鬼か分からなくなった。

 

「お前ら全員死ねよ」

 

 刀を鞘に戻すと抜刀の構えを取る。

 

「第陸秘剣改 三途の流川!」

 

 駆け出し、鬼の横を通り過ぎると抜刀で鬼の頸を後ろから斬る。そのまま刀を鞘に戻さずに鬼共の間を走り抜け、擦れ違いざまに回転して鬼の後ろや横から頸を切っていく。その様は正に所々に渦のようなものが起きてるように見える大きな川の様だった。

 

「う、嘘だろ」

「此奴柱か!?」

「クソ!クソ!クソ!」

「あははははは」

 

 たった一つの技で20体も居た鬼は残り8体までにされていた。

 そしてミコトは笑う、鬼の血がついた手など関係無く血のついた手で顔を触り桃眼で残りの鬼達を見て口角を吊り上げ笑う。その笑みは何処までも狂気に満ちており、残った鬼達には何処までも恐怖の笑みにしか見えなかった。

 

「・・・はあー飽きた。終わらせよう」

 

 その一言の後に掛けだし残りの鬼達も殺す。そこには笑みは一切無く、ながれ作業をするかの如く淡々と鬼の頸を全て切り伏せた。そして太陽は昇り朝になる。

 

「・・・ミコト」

「あーどうしたの犬さん」

「大丈夫か?」

「?大丈夫だよ。鬼の血も太陽光を浴びれ綺麗に消えるから」

「そう・・・だな(そこを聞いたんじゃ無いんだがな)」

「・・・!炭治朗達!・・・は大丈夫か?禰豆子ちゃんの気配が移動してるから無事なのか。良かった」

「この後はどうする?」

「とりあえず珠世さんの所に行こうか。鬼の血も今日で50以上は貯まったからな」

 

 それに、と言うと懐からの八分の一しか貯まってない採血用ナイフを見せる。

 

「こんなのもある」

「・・・ッ!?まさか!?」

「そう!あの無惨とすれ違うときにさして調達してたの」

「凄いな!流石ミコトだ!!」

「えへへ。照れるな~」

(此奴、無惨の頸を斬っても死なないと無意識に察して一応採血もしておいたのか。なんて言うか・・・本当に彼奴の生き写しを見ているようだ)

「じゃあ行こうか犬さん」

「おう」

 

 ミコト達は珠世達の居る所を目指す。






~大正コソコソ噂話?~


犬さんは意外にも呼吸を使って走るミコト達を普通に付いて行けるほど足が疾いですが、森や山だとミコト達よりも更に馬鹿みたいに疾く走ります。呼吸を使えてるのかは不明。




ようやくオリキャラが主人公達と出会えた!でも直ぐ分かれた(涙)
次はマタ珠世さん達が出てきます!・・・ん?全然原作介入しないって?許して!

良ければ評価や感想お願いします!
出来れば桃並みの甘さで!


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第11話:珠世再び

前もって謝っときます。スミマセン!!
今回珠世様のキャラが少し壊れます!なのですみません!ご了承のうえ見てください。


「そろそろ着くな」

「そうだね犬さん・・・は?はぁあ!!」

 

あれから急いで珠世さんの病院?に来たけど建物が半壊してる!?何がどうしてこーなった!!

 

「行くぞ犬さん!」

「おう!」

 

 ミコト達は建物に入り珠世と愈史朗の名前を呼ぶ。すると建物の地下階段から声が聞こえそこに向かうと珠世と愈史朗が心配そうに見ていた。

 

「珠世さん!愈史朗!大丈夫!?」

「ミコトさん、それに犬さんも!どうしたんですか?」

「どうしたはこっちが聞きたいです!何が有ったんですか!」

「ひゃあ!ひゃい//!!」

 

 ミコトに両肩を掴まれ勢いよく顔を近づけられたことで思わず変な声が出る珠世であった。

 

「珠世様に近づくな!!」

「ぐべらっしゃ!?!?」

 

・・・痛い。愈史朗に思いっきり鳩尾殴られた。え~と、それで落ち着いて話を聞いてみると、街で炭治朗が無惨と遭遇して無惨は一般人を鬼にして炭治朗がその鬼が人を食べないように押さえてたけど、警官がそんな炭治朗と鬼を引き剥がそうと邪魔をした。でも珠世さんは炭治朗が鬼に対して人と言った言葉が嬉しくて珠世さんは炭治朗を助けたみたい。

そして此所で正確には上で話し合いしていたら2人組の鬼、無惨の追ってが襲って来たけどなんとか討伐したと。その後は朝に炭治朗は出発したみたい。

 

「そんな事が有ったんですね」

「はい」

「お前が紹介した鬼狩りのせいで酷い目に遭ったんだからな!珠世様が!!」

「愈史朗・・・そんな事を言ってはいけません!」

「はい!」

「あはは。それで隣の牢獄で・・・失礼、不適切な言い方でした。隣の部屋で寝てるのが鬼にされた方ですね?」

「そうです。奥さんは今は荷造りをしに家に戻ってます」

「なるほど。珠世さんはこの後はどうしますか?」

「そうですね、もう浅草には長く居て潮時だと思ったので別の街か村に移動しようと思います」

「でしたらここから東に真っ直ぐ行ったところに大きな街がありますよね?」

「?はい」

「そこをおすすめします。そこの町長さんに俺の名前を出したら良くしてくれると思います。前に娘さんを鬼から助けたので。あとで紹介状を書きますね」

「ありがとう御座います!」

「いえいえ。あ、それで此方をどうぞ」

「?」

 

 珠世は犬さんの背負ってる鞄から大きい袋を見て疑問が湧くが、それが直ぐに鬼の血だと分かると驚愕の顔をする。

 

「このくらいは取れました!」

「す、凄いですね!別れてから一ヶ月しか経ってないのに既にこの数とは!!」

「えっへへ。でももっと驚いて下さい!なんと!珠世が1番喜びそうな血が此所にあります!」

 

 ミコトは立ち上がり胸を張って八分の一程たまってる採血用ナイフを見せる。

 

「?・・・!・・・み、ミコトさんまさかその血は!」

 

 最初はなんの血か分からなかった珠世もだんだんなんの血か把握して、立ち上がり採血ナイフを持ってる手を両手で掴む。

 

「そうです!あの男!鬼無辻無惨の血液です!」

「凄いです!」

「もっと褒めてくれても良いんですよ~あ、あとこっちの布の血も無惨のt・・・?」

「ええ、えええ、ええええ!!ほ、本当に凄いですよ!ミコトさん!!!」

 

 珠世は予想だにしなかった物に嬉しさの余りミコトに抱きつき押し倒す形で倒れ込む。

 

「な!?珠世様!?」

 

な、何この状況?浅草で女性を壁に追い詰めて顔の横にドンって手を置いて顎をクイってして顔を上に上げさせてなんか良い雰囲気なのは見たことあるけどその逆、女性がやっててましてや押し倒すのは見たこと無い!。てか珠世さんの胸の感覚がぁ!!

 

「本当に凄いですよ!あのお2人以外にあの臆病者に一太刀入れれた者はいません!貴方は本当に凄いですよ!ミコトさん」

 

やばいやばいやばい!!なんか珠世さんが・・・・・・・凄く色っぽい!!だってだって!顔は興奮してか頬は赤く染まって、後ろに纏めてた髪が垂れてしかも甘い良い香りもする!なんかもう、もうなんか凄い!!コレが大人の女性の色気?

忘れてたけど珠世さんって鬼だよね?このまま物理的に食われるよりも性的喰われぇぇえぇえええええ!?!?

 

「まってまってまって!愈史朗!その大きな藁人形と五寸釘と槌はどっから出したの!?目がもの凄く怖い!!」

「ミコトコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」

 

ヒェ!愈史朗が凄く怖い!目がヤバイ!と、とりあえず珠世さんをなんとかしないと愈史朗に物理的でも血鬼術でも無く呪いによる呪殺されてしまう!!

 

「た、珠世さん」

「はいミコトさん」

「な!・・・」

「貴方は本当に凄い方です。炭治朗君と禰豆子さんが人と鬼の運命の最後の歯車だとすると貴方は運命を動かす巻き鍵なんですね・・・ミコトさん」

 

ヒェ!更に褒めて欲しくて名前を呼んだんじゃ無いよ!!って!なんで珠世さんは俺の顔を両手で掴むの?てか顔がもの凄く近くなってきたんですけど?なんで?今思ったけど俺珠世さんに馬乗りされてんだよな?これはたから見ると鬼に喰われる寸前の見た目なんだが。てか珠世さんの体軽いはずなのに全然体が動かないんですけど!?

 

「ああ、ミコトさん。私は一体貴方にどんなお礼をすれば良いのでしょう」

「へ?」

「貴方は私達にどれだけ血をくださっても鬼の血やあの男の血を手に入れてくれても貴方にはなんの利益も無いんですよ!」

「そ、そうゆうの目的でやって無いので大丈夫です・・・よ?」

「ああ、やはり貴方は本当にお優しく良い方ですねミコトさん、ハアハア//でも!私はミコトさんにどんなお礼をしても足りない、し足りないんですよハアハア//」

「・・・ゴクン」

「・・・ミコトさん」

 

なんで更に顔を近づけるの!?もの凄くハアハアいってて息が掛かってる!しかもこの目は獲物を見つけたときの獣の目なんですけど!?今ゴクンって喉鳴らした!喉鳴らしたああ!ヤバイ!心臓が破裂しそうなぐらいバクバク五月蠅いしなんか頭がクラクラしてきた。俺、血鬼術効かないはずなのに・・・こ、ここまで来るとちょっと怖い!!。

 

「おい、もうその辺にしといてやれ珠世。あのクソ野郎の血が手に入って嬉しいのは分かるが少し落ち着け。今のお前はミコトの希血の匂いに当てられて嬉しさの興奮と希血を前にした鬼としての食欲の興奮が混じってる。離れて少し落ち落ち着け、頭を冷やせ。ミコトも男だ、大人の女の色香は初めてで耐性が無いんだ」

「ハ!す、スミマセン!ミコトさん!・・・?ど、どうしましたか?」

「ダメ、今はこっち見ないで話しかけないで、少しアッチ見てて」

「ミコト、両手で顔を隠してるけど耳まで真っ赤だぞ。あと顔から少し湯気が出てるぞ?」

「言うな!犬さん」

「あはは(ミコトの初々しい反応が可愛くて(面白くて)見守ってたが流石にもう少し速く止めた方が良かったか?てか希血の中には鬼を酔わす効果のんが有るって聞くが、ミコトの希血は食欲増加のはずだが?)」

「さて愈史朗・・・愈史朗!どうしたのですか!?」

「最後に『な!』って言って気絶したぞ。疲れてたんだろうよ、寝かせてやれ(本当はあんたがミコトに顔を近づけたのが相当ショックだったんだろうな)」

「そう、です・・・ね?」

「はー恥ずかしかった」

「お、ミコト復活か」

「ようやくな」

 

 ミコトと珠世は少し気まずそうにしてしていたが、とりあえず気絶してる愈史朗に毛布を掛けまたミコトと珠世は向かい合う。そしてミコトは無惨の血液の採取の経緯を話す。

 

 

 

「とまあこんな感じが炭治朗と禰豆子ちゃんとの出会い、そしてあの臆病者の血を手に入れれた経緯です」

「そんな事が、長距離移動を瞬時に出来る血鬼術は厄介ですね」

「全くです!」

「でも・・・本当にご無事で良かったです」

「無事も無事!ほぼ無傷です!それで珠世さんは直ぐに浅草を出発するんですか?」

「そうですね。此所の場所はもうバレてますので今夜にでも移動するつもりです」

「そうですか。なら俺に出来る事は有りますか?荷造りの準備とか」

「良いのですか?」

「はい!」

「でしたらお願いします。一応研究道具は此所にもありますけど、上でまだ使えそうな物と衣類関係をお願い出来ますか?」

「了解しました!では行って来ます」

「はい、お願いします」ニコ

「!」

 

さて地上に来たけど・・・あれ?普通の人も通ってるのに此所に興味を持ってる人が一人も居ない。コレも愈史老の血鬼術か?でも血鬼術も太陽光が当たれば消えるはず?確か札みたいな物を使うって言ってたから地中に埋めて光を避けてるのかな?

 

「まあ良いか。行こうか犬さん」

「ミコト、お前珠世に押し倒されてドキドキしたか?」ニヤリ

「・・・!」ズコ

「転けるなよ」

「いきなり変なこと言うからだろ!バカ!!」

「イデェ!殴るなよ!お前、動物に暴力振るうと動物を守る団体が黙ってないぞ!」

「犬さんが悪い!フン!」

(もしかしてミコトはあの時に珠世を協力者では無く、一人の女として見たか?だったら・・・いや!ダメダメ!それはダメか流石に。俺も死ぬまでにミコトの嫁の顔と子の顔を見たいが・・・でもな~さすがにな~また悲しい思いをさせたくないしな~。でもな~)

「い、犬さん。そんなに痛かった?ご、ごめんね!そこまで強く殴っては無いんだけどやっぱり痛かった?お、怒っちゃった?ごめんね!本当にごめんね!」

「んあ?あ~気にすんな。別のことを考えていたんだ」

「ホントに?ホントに怒ってない?」

「本当だよ」

「ホントのホントに?」

「本当に怒ってないからそんなに心配するな。ほら荷造りの準備行くぞ!」

「あ、うん」

 

 その後は犬さんと一緒に研究道具は見た目壊れて無い物と愈史朗の服を大きい箱に入れて地下に持っていって地上に取りに行ってを三往復する。

 

「これで一応終わりです」

「ありがとう御座います」

「すみません、衣類は愈史朗の分だけはありますが流石に女性の分を触るのはどうかと思って珠世さんのんには手をつけてないです」

「・・・!それは気を使わせてしまって申しわけ御座いません」

「いえ」

(そういえば、ミコトさんはこう見えても男性でした。あぁ先ほどのことで判断力が鈍ってますね・・・殿方の上に跨がるとはなんてはしたないことを//)

「犬さん、そろそろ俺達はお暇するか」

「そうだな」

「それでは珠世さんおせわに、なり・・・ま、し・・・」

「ミコト?」

「・・・あ」

「ミコト!?」

「ミコトさん!?」

 

 ミコトは立った瞬間に立ち眩みが起き倒れそうになるがそれを急いで立ち上がった珠世に受け止めてもらう。

 

「ミコトさん!大丈夫ですか!?」

「あ、あれ?今何が?いきなり目の前が白くチカチカして・・・えーと、足に力が入らなくなって・・・なんか頭がふわふわする。なんなのこれ?」

「ミコト。お前疲れてんじゃねえのか?あの居た位置から浅草までかなり距離が有ったのにずっと走って浅草まで来て無惨との戦闘になりかけて、雑魚とは言え下弦級の鬼20体以上を相手して疲労困憊なんじゃないか?少し寝かせてもらえ。体に障るぞ?」

「いや、ダメだよ犬さん。迷惑になる」

 

 珠世の手から離れ立ち上がろうとするがそれを珠世が、ミコトの頭を押さえ、抱き寄せて止める。

 

「大丈夫ですよミコトさん。先ほども言いましたが私は貴方にどんなお礼をしてもしたりません。なのでこれぐらいで迷惑には成りませんよ」

「ですが」

「ミコトさん。私は医者ですので体調が悪い子をほっとくことは出来ません」

 

 そう言うと珠世はミコトの背中を優しくトントン叩き寝かしつける。

 

「はは、しのぶさんと似たことを・・・いいますね。あれ?甘い良いかおr・・・ZZZ」

「お休みなさい、ミコトさん」

「流石だな」

「いえそんな事は」

「・・・母さん・・・ムニャムニャ」

「あ、ふふ(それにしても本当に綺麗な髪ですね)まるで」

「彼奴の生き写しか?髪型や顔付き体付きは全く違うのに俺はそう思った。それは癖・・・いや、1番は目付きだな。桃眼の人間でも彼奴と同じ綺麗な紅い光を灯すのはミコトだけだった。」

「・・・そうですね。でも寝顔もあの方にそっくりです」

「だな(にしても膝枕って母と子にしか見えないんだけど)」

「どうかしましたか?」

「いや、ミコトは寝たしミコトが起きるまで俺も寝る」

「そうですか。それでは犬さんもお休みなさい」

「おう」

(ごめんなさいミコトさん、もう少し私の我が儘に付き合って下さい。もう少しこのままで居させて下さい)

 

 

 

 この後は夕方にミコトは目を覚まし犬さんと共に珠世達の所を後にする。

 

「それで次は何処行くんだ?」

「ん?狭霧山」

「炭治朗の言ってた鱗滝だっけか?その人が居るところだよな?」

「そだよ」

「なんで向かうんだ?わざわざ弟子と会いましたとかの挨拶じゃ無いだろ?もしかして禰豆子の事を聞きに行くのか?」

「それも有る」

「それも?」

「1番は元水柱の鱗滝さんにある型をみしてもらいたいんだ」

「新たな技を作るためにか?」

「そだよー」

「そうか。なら此所浅草からじゃ一ヶ月は掛かるな」

「大丈夫っしょ!一応採血用ナイフは沢山貰ったし」

「だな」

「じゃあ!張り切って行きましょぉぉぉおお!!」

「おぉ!!」

 

 二人は元気に声を出し狭霧山に向かう。

 

「ママー。あのワンちゃん喋った!!」

「ホントね~。どうゆう腹話術なんだろうね~」

「ね~」





~大正コソコソ噂話?~

愈史朗は気絶から目覚めた後は珠世とミコトの出来事はただ悪夢を見てただけだと思い込み現実に無かった事にしたそうです。
でもミコトの顔を見たときに思いっきりもう一回腹を殴り、珠世に叱られた模様です。



ちょびっと設定

犬さんは、只の犬じゃあ無い!!


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第12話:狭霧山

「はい!と言うことであれから一ヶ月ちょいが経ち俺と犬さんは狭霧山の麓に来ました!!もぐもぐ・・・ゴックン」

「何言ってんだ?」

「此所に来るまで沢山の鬼と出会い血を採取して殺して来ました!もぐもぐゴクン」

「だーから!さっきから何言ってんだ!あと歩きながら食べるのは行儀が悪い!!」

「えー桃と吉備団子はおにぎりと同じで移動しながら食べるのが醍醐味でしょ?犬さんもいる?」

「いや、そんな醍醐味は初めて聞いたわ!!・・・頂くけど・・・うん美味い!!」

「あはは煉獄さんみたい」

「それでさっきからいきなり何言ってたんだ?」

「ん?わかんない」

「わかんないんかい!!」

「てへ!それで、なんかそう言った方が良い感じがしたから言っただけだよ~」

「つまりは風が吹いて気が向いたからか」

「そだよ~。旅人は風が吹くまま気の向くままにってね!にしても吉備団子と桃はやっぱり美味いな~毎日食べたい」

「さいで(2日に1回は喰ってるくせに何を言うか此奴は)」

 

 二人は楽しげに話ながら山に入るがミコトは立ち止まりあることに気づく。

 

「ねえ犬さん」

「なんだ?」

「どうやって鱗滝さんを探せばいいの?」

「・・・」

「・・・」

「「・・・」」

 

 二人は黙り込み・・・という文字が眼に見えてしまいそうなぐらいに沈黙が続いた。

 

「炭治朗にちゃんと聞いとけば良かった。まあどうにかなるかな?いつもみたいに」

「そうだね~・・・ん?」

「・・・鬼か?」

「うん。まずはそれを殺しに行くか」

「おう(無惨に会ってからミコトに狂気が混じり始めた気がする)」

 

さてさてさーてー!鬼の所に来たけど誰か襲われてる?・・・全員で三人。離れた位置に一般人を守ってる天狗の面を着けた人と片足義足の人。そして戦ってるのは女の子の隊士・・・って!あの女の子!!

 

 ミコトが見て驚いた女の子は一度ミコトが助け、炭治朗から聞いていた真菰だった。そんな真菰は4体の鬼と戦っていた。

 

「・・・可笑しい」

「ん?」

「鬼は群れないのに最近の鬼は普通に群れたりしている」

「無惨がそうしているのかもな」

「もしくは勘違いでただ獲物が重なっただけか」

「とにかく」

「ああ、あの人達を助ける!・・・アハ!」

 

 助けると言いながらミコトは人を助けるような顔では無くどちらかと言うと悪役の様な狂気的な笑みを浮かべ走り出す。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 鬼殺隊の隊服に川とその上を流れる花の模様が描かれた羽織を着て花の模様が描かれた狐の面を頭に着けた女の子、真菰は四体の鬼と戦っていた。

 

「――水の呼吸 壱ノ型 水面斬り」

「があ!・・・どんだけ速くてもなぁ!テメエの力じゃ俺の頸は斬れねえんだよ!」

 

 真菰は腕を交差させてから水平に刀を振り鬼の頸を斬るが、浅く斬り飛ばすには至ら無かった。それにより鬼は真菰に攻撃を仕掛ける。

 

「――水の呼吸 拾弐ノ型 地雨」

「しねやあ!!・・・!」

 

 地雨、それは一定の強さでしばらく振る雨である。

 真菰は力が無い分スピードは有り一度鬼の頸に刀を当てれば同じ速度に同じ強さ、そして同じ位置に何度も刀を振り当て鬼の頸を断ち切る。

 

「うそ・・・クソガキが・・・」

「あと3体(日輪刀は一つしか無いし、鱗滝さんと桑島さんは鬼殺隊を引退してるから、ここは私が頑張らないと!)」

「クソガキ!」

「死ね!」

「その体全部喰らってやる!」

「ッ!しまった!!」

 

 少し油断した隙に前後上と同時に鬼が襲い反応が遅れる。

 

「水の呼吸 参「鬼さん此方♪ 手の鳴る方へ~♪」 !?」

「一緒に一緒に♪ 遊びーましょ! 第陸秘剣 三途の川!」

「あ”?・・・ッ!」

「真菰ちょっとごめんよ」

「え!?きゃああ!!」

「そしてお前らにはコレをくれてやる!」

「グホア!」

 

 鬼の頸を斬ると真菰の手を掴み遠くに投げ飛ばし上から落ちてきた鬼を回し蹴りを放ちもう一体の鬼にぶつける。その一連の流れはまるでそうなるのが当たり前のように流れる川の様だった。

 

「あ、あの人は!あの時に助けてくれた人!」

 

 真菰は自分を助けてくれたのが下弦の参と戦い動けなくなり殺られそうになった時に現れ助けてくれた人だと理解する。そしてミコトが自分を離れた所に放り投げたのも瞬時に理解する。

 

「あはははは!相変わらず汚ぇ血の雨だなぁ~!あっははははははは!!」

 

 ミコトは頸を斬った鬼があげる血飛沫の雨を笑いながら浴びていた。そして残った二人の鬼は。

 

「邪魔するなよ雑魚がぁ!!」

「雑魚はテメエだろうが!!」

「お前ら2匹とも雑魚だよ!!あはは」

「「あ”あ”あ”!!」」

 

 喧嘩していた。だがミコトからの両方雑魚扱いされた事により鬼達の殺意の矛先がミコトに向くがそれでもミコトは狂気の笑みを浮かべる。

 

「こ、この女!?桃眼の鬼狩り!!」

「なんで桃眼が此所に居るんだよ!?」

「あはは。そんなことはどーでも良いだろ?てかなんで最近お前らは群がってんだ?あの臆病者、鬼無辻無惨がそうさしてんのか?」

「「・・・!?」」

「あはは。なんとか言えよぉ!!まいいか、さあ雑魚は雑魚らしくさっさと掛かって来いよぉお!!さあ!さあ!!さあぁぁあああ!!」

 

 ミコトが一歩、また一歩と鬼達に近づくと逆に鬼達は一歩ずつ後退る。

 

「来ないならこっちから行くぞ?我流剣術 渦雷」

 

 ミコトが一瞬で二匹の鬼の間に立った瞬間に渦を巻いた様な雷が走りミコトが刀を鞘に戻すと二匹の鬼の頸はボトリと地面に落ちる。その顔には何が起きたのか分からないという表情を浮かべていた。

 

「渦雷は久々に使ったけどまだ行けるな」

「ミコト、また随分と鬼の血を浴びたな。まだ夜に成ったばかりだぞ?」

「あはは。何処かの川で洗えば良いでしょ?日の光に当てれば鬼の血も臭いも綺麗に取れるんだから」

「禰豆子、珠世、愈史朗の匂いは消えてないけどな」

「あの三人は別だよ」

「だな」

「あ、あの~」

「や!怪我は大丈夫?真菰」

「なんで私の名前を?」

「その前に休めるところに移動しよ?ね・・・鱗滝左近次さん」

 

 ミコトは一般人を安全な所に避難させて戻って来た鱗滝と桑島に声を掛ける。

 

 

 

 ☆

 

 

 

全員で移動したらなんとビックリ、少し行ったところに鱗滝さんの家が有った。狭霧山の中腹辺りかと思ったらそうじゃなく狭霧山の麓だった。それで今は俺と犬さんの正面に真菰と天狗の面を着けた鱗滝さんと知らないお爺ちゃんが座ってる。因みに体に着いた血は真菰が手ぬぐいをくれて綺麗に拭いた。血は羽織を脱げば大丈夫だった。

 

「俺は旅をしながら鬼狩りをしている、桃眼の鬼狩り大和ミコトと言います」

「やっぱり貴女があの桃眼の鬼狩りだったんだね」

「そだよ。気安くミコトって読んで下さい。それでこっちが俺の相棒」

「犬の犬さんだ。宜しくな」

「犬が喋った・・・!?」

「俺は犬だがお前達の烏、鎹烏も喋るだろ?」

「あ、そっか」

「それでミコト、何故儂や真菰の名を知っているのだ?」

「炭治朗から聞いたんです」

「「!?」」

 

炭治朗って名で凄い分かりやすい反応したな。特に真菰は、かわいらしい反応だった。

 

「炭治朗から?」

「はい。あ、禰豆子のことは俺も知ってるのでご安心を」

「「!?」」

 

 本当は聞こうと思ったが関係無い人が居るからやめよ。てかこの左目下に傷が有り義足の爺さん強い気配だが、この人も元鬼殺隊の柱だよな?

 

「そうか、炭治朗からか。炭治朗は元気にしていたか?」

「ええ、元気にしてましたよ。嬉しそうに真菰と鱗滝さんの事を話してました」

「そうか」

「そうなんだ~」

 

 鱗滝は炭治朗の無事に安心して真菰は嬉しそうに微笑んだ。

 

「炭治朗とは鱗滝、お主の新しい弟子だったな」

「ああ」

「そう言えば貴方は?」

「おお。挨拶が遅れたの。儂の名前は桑島慈悟郎じゃ。鱗滝と同じで元鬼殺隊で今は育手をしておる」

「なるほど」

「ミコト」

「はい?・・・!?な、何してるんですかいきなり!?!?」

 

なんでいきなり土下座してるの!?なんで真菰もいきなり!?どうして?なんで!?

 

「真菰から聞いた。任務の時に貴方が真菰を助けてくれなければ真菰は死んでいた。さっきの戦いの時も。真菰を二度にも渡って助けてくれてありがとう」

「気にしないでください!とりあえず顔を上げて!」

「しかし・・・」

「それでしたらお願いを聞いて下さい!!」

「?」

 

良かった、二人とも顔を上げてくれた。そしてここからが本当の目的だからちゃんとしなきゃ。

 

「元水柱で有る鱗滝さんに水の呼吸のある型を見せて欲しいんです」

「その型とは?」

「えーと、あのー」

「?」

「あのバシャバシャと・・・名前なんて言うんだ?・・・あの前に真菰を助けたときに使ってた」

「?」

「壁とかも縦横無尽に走ってた型」

「玖ノ型 水流飛沫・乱?かな?ミコト」

「そう!それ!って言っても型と名前が合ってるのかは俺には分からないけど」

(俺?なんで女の子なのに男の子の様な喋り方?)

「おそらくミコトの言っている型は真菰が言っている型で間違い無いだろう。だがなぜだ?」

「いま俺が作ってる技に取り込めそうだからです。今まで助けた隊士も何人か使ってましたけど正直何処もこれもあれで、今まで見た中で真菰のが1番綺麗だったんです」

「き、綺麗//」

「うん綺麗だった。そしてそんな真菰を育てた師匠の貴方なら更に凄いと思ったからです」

「そうか。ならその型は儂よりも真菰の方が良かろう」

「?」

「その型は真菰の方が儂より遙かに洗練されておる」

「そうなんですね・・・。えっとー真菰さん、頼めますか?」

「うん、良いよ。ミコトには何度も助けられたから私に出来る事なら何でもするよ♪」

「ありがとう!」

「うん♪」

「ならミコト、鍛錬は明日にして今日は休もう。良い野宿場所探そう」

「そうだね犬さん」

「ならばミコト、新たな型が出来るまで家で泊ってゆけ」

「良いんですか!!ありがとう御座います!」

「うむ。元気が有る子じゃの」

「そうだな桑島。お主も泊ってゆくだろ?」

「ああ。ミコト、こやつは良い逸材じゃぞ?」

「そうだな。ミコト今から夕餉を作るが、おでんと肉じゃがどちらがよ「おでん!!」判断が速いの・・・」

「てかご飯作るの手伝いますよ?型を見せて貰う上に泊めて頂けるんです。そのぐらいは」

「いや、ミコトはそれより風呂に入った方が良い」

「?」

 

 少し首を傾けたミコトに真菰は近づき耳元でささやく。

 

「ミコトはそのー鬼の血の臭いが・・・凄いの」

「!?」

 

 言われてからミコトは自分の服の臭いを嗅いでショックを受ける。

 

「そうだよね。俺は血の臭いになれていて気が付かなかったけど、俺は今凄い血生臭いんだよね」

「うむ、すまぬ。風呂は直ぐに沸くゆえ入ると良い。着替えは此方で用意しおう」

「ありがとう御座います」

「じゃあミコト、一緒にお風呂居入ろ!旅の話も聞きたい!」

「え?」

「ん?」

 

 ミコトの固まった表情に真菰は何か変なことを言ったかと思い首を傾げる。

 

「だ、ダメだよそんな恋仲でも無いのに一緒にお風呂に入るなんて!」

「・・・?恋仲って、女の子同士でしょ?」

「え?」

「え?」

「ガーン」

「あっははははははは!!!」

「え!?み、ミコト!?」

 

 ミコトは部屋の隅で両手両膝をついて自分でガーンと効果音を立てて見るからに落ち込んでますを表して、そしてそんなミコトを見て犬さんは笑い転げていた。

 

「真菰、ミコトは正真正銘の男じゃぞ」

「なんじゃとぉぉぉおおお!!」

「え?・・・ホントに!?」

 

 桑島は眼が飛び出すぐらいに見開き驚き、真菰も驚いてミコトを凝視していた。

 

「本当だよ!真菰!俺はこう見えて男なの!!てか炭治朗と鱗滝さんだけだよ俺が男だと初見で分かったのは」

「えっと、ごめんねミコト」

「そこで本気の謝罪は辞めて!更にへこむ」

「あははは。あーはははは腹痛え!!フッハハハハハ!!」

「犬さん笑い過ぎだよ!!・・・

 傷つくな~・・・傷ついちゃおっかなぁああ!!」




~大正コソコソ噂話?~

真菰と桑島はミコトが男と分かっても髪を分ける仕草や食べ方、不意に見せる笑顔で本当に男なのか一晩中疑ってました。



ちょびっと設定。

真菰が生きてる理由はミコトが藤襲山に不法侵入して色々やらかしたのが原因です。



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第13話:宍色髪の男

「それじゃあやるねミコト」

「お願いします!」

 

――水の呼吸 玖ノ型 水流飛沫・乱。

 

真菰には草木が生い茂り足場の悪い森の中で玖ノ型を見して貰ってるが、凄い・・・その一言に尽きる。俺も昔は鍛錬でよく森の中を走り回ったがあんなに速くは走れなかった。

おそらく玖ノ型は着地面積と着地時間を最小限にしながら動き回る事により、足場の悪い所でもあの速さで動き回れるのかな?。最も真菰の場合は足場が地面だけとは限らない、その速さ故に木の側面や枝すらも足場として使ってる。枝も使ってるが木の葉は全く落ちない。

 

「凄い、凄く・・・綺麗だ。 更地ならともかく森の中なら目で追うことは出来ても追いつくのは少ししんどいな。・・・森の中だと犬さんに近い速度か?」

 

 右手を口元に持ってきて呟きながら考えるミコトの元に真菰は戻ってくる。

 

「ふぅ・・・どうだったかなミコト」

「ああ、凄かった。あの時より更に速くなってなかった?足あんなに大怪我していたのに」

「?・・・あ~あの時の怪我は実際たいした事無かったんだ」

「そうなの?」

「うん。あの時は鬼に食い殺されちゃった人の遺体を取り返した時に血が大量に着いちゃったんだ~」

「そうだったんだ。それであの戦いの後に鱗滝さんの所でまた修行?」

「そうなの、まあ任務しながらだけど。・・・一般隊士は時には鬼に殺された人を横目に鬼と戦わないと行けないから・・・もうあんな思いしながら戦いたくないからもっともっっと!!速く色んな人のところに助けに行けるように鱗滝さんの所で更に修行してるんだ」

「凄いね真菰は!」

「そうかな?」

「うん!正直森の中だと真菰の速さについて行ける自信は少ししか無いよ!!そのぐらい真菰は速い!!」

「えへへ、嬉しいな。・・・あ、それでミコトの手助けになれたかな?」

「真菰が玖ノ型を見せしてくれたお陰で頭の中では型の動きが完成してる!後はひたすら磨くだけ!」

「頑張って!私は応援してるよ!!」

「ありがとう!!」

 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

 

 

と!言うのが今から半月前の話。そして今は

 

「行くよ~、第陸秘剣 三途の川!」

「おおお!凄い!ちゃんと出来てたよ!!」

「ホント!?やった!」

 

真菰に俺の剣術、第陸秘剣 三途の川を教えている。

 

「本当にミコトの剣術凄いね!水流飛沫・乱で最高速度に持っていって間合いに入ったら最後に強い踏み込みで三途の川の抜刀の勢いも足して、速さと威力を底上げするんだもん!本当に凄いよ!」

「凄いのは真菰の上達速度だよ」

「そんな事無いよ、ミコトが剣術の三途の川と水流飛沫・乱を合わせた技を教えてくれたお陰だよ!これのお陰で私でも鬼の首を一撃で断ち切れるよ!」

 

新しい技はあと少しなんだけどそのあと少しがかなり遠いんだよ。大体は出来た、あとは立合いか実戦で使えたら良いんだけど実戦は雑魚鬼だと技を使う前に終わるからなかなか進展しない。

 

「ミコトの指導は本当に上手なのに・・・ごめんねミコト」

「なんでいきなり謝るの?」

「本当はミコトが新しい技を作るために此所(狭霧山)に来たのに私の鍛錬ばっかり付き合って貰っちゃって」

「気にしないで」

「・・・するよ。私が普通の人の体格だったり強かったらミコトの立合い相手になれたのに・・・本当は立合い相手が欲しいんだよね?・・・ごめんね。ちゃんと役に立てなくて」

「真菰!そんな事言わないでくれ!俺は真菰が役に立ってないなんて思って無い!真菰が玖ノ型の足裁きとかを色々教えてくれたお陰で新技完成まで持って来れたんだ!真菰はちゃんと役に立ってるよ!頼りになってるよ!」

「本当に?」

「ホント!!頼りになってる!格好いい!速い!可憐!カワイイ!!」

「か、カワイイ」

「?」

 

 真菰はミコトのカワイイに頬を赤くしてミコトから顔をそらしていた。そしてミコトは顔を逸らされた理由が分からず首をかしげていた。

 そして犬さんはそんな二人の光景を懐かしそうに、嬉しそうにそしてニヤニヤしながら見ていた。

 

「嬉しそうですな犬殿」

「当たり前だ。俺に取ってミコトは子供か孫の様なもんだからな。ああゆうの見ると嬉しくも成る。お前達も弟子はそんな感覚だろ?」

 

 鱗滝の質問に答えた犬さんは逆に鱗滝と桑島に質問する。

 

「そうだな」

「確かにな。獪岳は努力家で善逸は手の掛かる孫じゃな」

「あんたらの弟子も良い奴らばかりなんだろうな。・・・なあ鱗滝」

「なんだ?」

「もしうちのミコトとお宅の真菰が恋仲になったらミコトを認めてくれるか?」

「・・・真菰を幸せにしてくれる男なら儂は大歓迎だ」

 

 二人と一匹は微笑みながら頭を撫でてるミコトと顔を赤くして照れながら頭を撫でられてる真菰を幸せそうに眺めていた。

 

なんか犬さんと鱗滝さんと桑島さんが縁側でお茶を飲みながら楽しそうに話してる。・・・犬さんってあんなにお爺ちゃん犬だったけ?呼びかけてみよ。

 

「なにしてるの犬さーん!」

「お前らの光景を懐かしく(微笑ましく)思ってるだけだぞー!!」

「そうなんだー!」

「・・・ねえミコト」

「なに?」

「山頂の方に行ってみよ」

「なんで?」

「そこに行けばミコトの新技を完成させる手立てが有るかも」

「?まあ真菰が言う事だから間違いは無いだろう!行こう!」

「うん!走れば直ぐだよ」

「分かった。じゃあ犬さん!ちょっと行ってくる!!」

「わかったー!迷子になるなよー!」

「ならないよ!・・・失礼だな。真菰が居るから大丈夫だよ」

「(そこは私任せなんだ。まあ嬉しいけど)じゃあ行こうか」

「おう」

 

それから山頂に向かって走って数分したらいきなり酸素量が減ってきた。でも全然平気!富士山に比べればね!それでなんか真っ二つになってる岩がそこらじゅうに有るんだが?

 

「この辺りだよ」

「おう・・・ってすげ~。この岩は他と違ってしめ縄が有るし一際デカいし、すげ~」

「この場所は私達の藤襲山の選別に向かうための最後の試練場なの」

「試練場?」

「うん。他にも沢山真っ二つの岩が有ったでしょ?私達は岩を斬ったら選別に向かうのを許されたんだ」

「へ~・・・ん?」

「私は体が小さくて他の人より1番小さい岩だったんだ~。それで、目の前に有る大岩は炭治朗が斬った物で私達弟子の中では1番大きい岩だったんだって~」

「・・・」

 

え?・・・斬った?・・・え?え?い、い、岩、岩を・・・きき斬った?・・・え?今ちゃんと岩を斬ったって言ったよな?言ったよね!?

 

「ん?どうしたの?」

「これを炭治朗が?」

「ん?そうだよ」

「真菰も岩を斬ったの?」

「うん。私も斬ったよ。一番小さい奴だけどね。付いてきて・・・・・・・・ほらあれ」ニコ

 

え?普通になんにも屈託の無い笑顔をしているよ?この子。しかも真菰の斬った岩って真菰より一回りか二回り大きいじゃん。・・・え?しかもさっきの炭治朗が斬った岩が一番デカいって・・・炭治朗の何倍の大きさがあるの?

そもそも、岩って斬る物だっけ?刀で斬れる物だっけ?・・・いや無理でしょ!刀が折れる。折れなくても刃が欠けたりする。

 

「ミコト?大丈夫?」

「・・・真菰」

「な、何?」

「君達は本当に凄いよ」

「?ありがと、う?」

 

 ミコトは思わず無意識に真菰の頭を撫でていた。当の真菰は何故いきなり撫でられたのか分からずはてなを浮かべていた。

 

「・・・じゃあまあ鍛錬するか」

「うん。・・・じゃあミコト、夕餉が出来たら呼びに来るね」

「何時もありがと」

「どういたしまして。鍛錬頑張ってね」

「おう」

 

気を使って一人にしてくれたか・・・真菰は半月前に比べて更に速くなってる。・・・成長が早いな羨ましい・・・。

 

「さて!俺もがんばろ!!」

 

 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

「ハアハア・・・ハア・・・ゴクン・・・ハア~疲れた」

 

あれから約1時間か2、3時間か型の練習してた。今は午後一時か・・・真菰にはああ言ったけどやっぱり立合い相手は欲しいな。実戦でどのタイミングで使えるかの確認もしたいし。

 

「流石にどうしようも無いな~」

「だったら俺が相手をしてやる」

「!?!?!?!?」

 

声のした方を向くと真菰が斬った岩の上に人が座って居た。

宍色の髪に口元から頬にわたって大きな傷があったり、亀甲柄の着物に白い羽織を着た男が居た。その男の首元には縦に斬られた狐の面があり、刀を握っていた。

 

「・・・貴方も鱗滝さんの弟子か?」

「そうだ」

 

なんだこの男は!全く気配を感じなかった。・・・いや、感じないなんてもんじゃない・・・気配が無い!なんだこの男は!本当に人間か!?人間なのか?鬼?それは論外だな雲一つ無く普通に太陽が出てるし。

 

「新しい型を作るために立合い相手が欲しかったんだろ? なら俺が相手をしてやる」

 

 男は岩から飛び降りると軽やかに着地する。

 

「え?」

「何している?さっさと構えろ」

「・・・何言ってる?俺もお前も持ってるのは本身だぞ?下手に当たれば痛いじゃすまないぞ?」

「ハハ」

「?」

「フハハハハハハハハハ!!」

「!?」

「ふははははははははは!!それはそれは!!心配して頂いてありがたいことだ!!だが!心の底より安心しろ!俺は真菰や炭治朗より遙かに強い!」

「・・・!」

「そうだな、お前の知っている奴で言えば義勇と同じ強さだと思って貰っても構わないぞ?さあ、どうする?」

 

以前気配は感じない。だがこの男からは強い・・・いや、強すぎる気迫がました!だが。

 

「・・・あっは!そこまで言って貰ったら頼まない訳無いだろ?」

「良い眼だ!」

「当然だ!・・・俺は桃眼の鬼狩り、大和ミコトだ!」

「俺の鱗滝さんの弟子!名は錆兎!」

「死んでも知らねえぞ?」

「ふ、無論、気にするな!」

 

死ぬ?・・・ああ、そうか。そう言う事か。この男は。

 

二人の男は刀を正眼に構え呼吸を整える。





~大正コソコソ噂話~

この半月間はミコトと真菰はお互いの鍛錬の為にずっと一緒にいて行動してました。



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第14話:錆兎と水虎

今回は錆兎との戦闘でヒノカミ血風譚のわざとか出します。
あと、オリジナルの型とかも出ます!錆兎が出します!!




「俺は桃眼の鬼狩り大和ミコト」

「俺は錆兎だ」

 

 二人の男は刀を構えて呼吸を整える。そして先に動いたのは錆兎だった。

 

「水の呼吸玖ノ型 水流飛沫・乱」

「っ!はや!?」

 

 いきなりの最高速度での接近に対応出来ずミコトは一瞬にして間合いに入られる。

 

「水の呼吸漆ノ型 雫波紋突き!」

「やば!」

 

 最高速度に合わせ最速の突き技、技雫波紋突きがミコトの心臓を狙って放たれる。

 

「ック!」

 

 いつもなら落雷とかで迎え打つが、速すぎる錆兎の攻撃はそれをさせなかった。その為ミコトは刀の側面で受け止めるが完全に受け止めることが出来ずに後ろに吹き飛ばされ木に背中から激突する。

 

「がっはー!何今の完全に止めたと思ったのに・・・やば!」

「捌ノ型 滝壷!」

 

 錆兎は追撃の為に飛躍して落下速度に合わせ真下に渾身の力で刀を振り下ろすが、ミコトは横に左に飛び回避する。するとミコトが激突していた木は立て真っ二つ割れていた。しかも地面には大きな斬撃の後が有った。

 

「壱ノ型 水面斬り」

「多彩すぎるだろ!あっぶね!」

 

 回避したミコトを振り向きざまに腕を交差させた両腕から勢い良く水平に刀を振るう。それをミコトはバク転で回避をする。

 その後も錆兎の攻撃をミコトは避け、受け流し攻撃を防いでいく。

 

「どうしたどうした!防いでばかりで良いのか!かかって来い!!お前の力を!本気を!見せてみろ!!」

「・・・!第参秘剣 落雷!」

 

 錆兎と少し距離が空いた瞬間に落雷を放つ。だがそれは錆兎を狙ったのでは無く地面を叩き斬り土煙を起こし距離を開ける為であった。

 

「どうした?逃げ腰じゃ無いか」

「そりゃあねぇ?だって真菰や炭治朗より遙かに技が洗練されていて驚いたもん。でももう動きに慣れた。次はこっちから行くぞ」

 

 ミコトは体勢を低く低く、更に低く、まるで四足獣の様な構えになる。そして左手を地面に着けた瞬間に勢いよく走り出す。その足を着けていた地面には罅が入り少し陥没していた。

 

「第肆秘剣改 氷狼牙突!」

「漆ノ型改 雫波紋突き・曲」

 

 吹雪を纏う蒼白い狼が錆兎に向かう。それに対し錆兎も勢いよく駆けだし、斜め上から弧を描く様に突き下ろし攻撃の威力を相殺する。二人の刀は切っ先でぶつかり合い火鉢を上げていた。

 

「その程度か?」

「まさか。我流剣術 渦雷」

「おっと」

 

 渦を巻く雷の斬撃に対して錆兎は少し後ろに下がる。だがミコトは間髪入れずに攻撃する。

 

「我流剣術 乱れ突き」

「ほーお。参ノ型 流流舞い」

 

 複数の残像が残るほどの速さの突きを錆兎は流れるような足運びでそれら全てを避け、躱してゆく。

 

「一瞬の間に複数の突き技。立派だな」

「どうも。それを全部躱しまくってよく言う・・・しま!」

「参ノ型改 流流舞い・朝影!」

 

 甲高い音を無数に鳴り響かせ最後のぶつかり合いでお互いの間に距離が出来る。

 

「凄いな。初めて見る型だ」

「初めて誰かに使ったからな。それでどうした?新たな技を使わないのか?」

「はは良く言う。使う隙をくれないくせに」

「わざとくれてやっていたら鍛錬にならないだろ?」

「だな」

「「・・・」」

 

 二人は楽しげに話すがその目は一切動かさなかった、相手のわずかな動きを見逃さないために。そして二人は静かに呼吸を整えて刀を構え直す。

 ミコトは腰を落とし脇構えを取り切っ先を地面に着け、錆兎は脇構えを取る。

 

「第㭭秘剣改――」

「水の呼吸 拾ノ型――」

 

 二人は勢いよく駆け出す。

 

「八岐大蛇・水神!!」

「生生流転!!」

 

 八首の龍と一匹の水龍は激しくしのぎを削り激しくぶつかり合う。

 八岐大蛇は無理な起動でも周囲を抉りながらも強く激しく刀を振るうが、八岐大蛇・水神は強く速く軽やかにそして滑らかに刀を振る。その速度は通常より速くなる。

 

 それに対し錆兎の生生流転はうねる龍の如く刀を回転させながら何度も斬撃を重ね、回転を重ねる毎に比例して威力が増幅されより強力な技となる。既に何十回も繰り出してるためにその一撃一撃は尋常では無い。

 

「「ははああああああああ!!」」

 

 お互いに相手を斬る為に刀を振るう。だが、ミコトの体にはいくつもの切り傷を作るが、錆兎は服が切れるだけでとどまる。

 

「参ノ型改 流流舞い・朝影!!」

 

 生生流転は攻撃を繰り出し続ける度に威力は増し、さらに他の技に切り替えた際も動きを止めない限り上昇した威力は維持される。今の流流舞い・朝影は先ほどより比べものにならない高威力を放っていた。

 

あは!あっははははは!!」

 

 だがそれはミコトの八岐大蛇・水神も同じ事であった。錆兎の最後の下から上に打ち上げる攻撃に合わせミコトは刀を思いっきり振り下ろす。

 

「第伍秘剣! 一刀両断兜割!」

 

 二人はお互いの刀を弾き刀が後ろに飛ぶ。すると二人はタイミングを合わせたかの様に相手の腹を蹴り吹き飛ばす。

 

「ッグ!ははは・・コレはどうだぁ!」

 

 吹き飛ばされたミコトは体勢を整えると近くに落ちていた大きい木の枝を槍投げの様に錆兎に投げつける。

 

「水の呼吸 壱拾壱ノ型 凪」

 

 錆兎は凪で飛んで来た木の枝を木っ端微塵にする。

 

「あっはは!それ富岡さんが使ってたやつだよな?はは」

「ああ、彼奴が新たな型を作り完成させるのを見てたからな。それより、それが噂の桃の眼か」

「まあな、そろそろ・・・行くぞ」

 

 ミコトは左手を顔の近くに持ってきて刀の切っ先が左側から後ろに行くよう構える。そして錆兎も少しジャンプをして足の調子を確かめた後に構えお互いに走り出す。

 

「水の呼吸 水流飛沫・流転!」

「我流剣術 水虎!」

 

 水流飛沫・乱による軽やかな足裁きに生生流転の斬撃を重ながら威力を増してミコトに迫る姿は、何度も渦を巻く鮮やかで巨大な水神龍の見た目をしていた。

 

 そしてミコトは此所でようやく新たな型を使う。炎の呼吸 炎虎の様に刀を激しく振るい、水の呼吸 水流飛沫・乱の様に激しく、速く動き回る。その見た目は一歩踏み出すごとに水飛沫を飛ばし流動体で巨大な半透明の巨大な虎、水虎の見た目をしていた。

 

「「はああああああああああ!!!!!!」」

 

 水虎と水神龍は何度も何度もぶつかり合い絡み合い近くの木々を切り倒し地面を抉りながら森の中を進む。

 

「ここだああああああ!」

 

 最後に錆兎の一撃を右に受け流すと右回転して横一文字斬りを放つ。だが錆兎も刀で防ごうとするがミコトは刀ごと詐欺とを斬る。

 

「ハアハア・・・ハア」

「お前の勝ちだ」

「・・・ゴクン どうも。てか確かに斬った手応えはあったのにおま、錆兎は斬れてないんだな・・・無傷かよ」

 

 二人はお互いに持たれ背中合わせで座り込む。

 

「やっぱりお前は――」

「ああ、ミコトの思っている通り俺はもう死んでいる」

「やっぱり幽霊?」

「そんなとこだ。いつ頃気づいた?」

「最初辺りかな?最初に声をかけられるまで錆兎には気づかなかったし、気づいても気迫は感じても気配は全く感じなかったからな。でもなんで俺の鍛錬に付き合ってくれたんだ?」

「・・・お礼だ」

「お礼?」

「ミコトは真菰を二度も助けてくれた。それに炭治朗と禰豆子も認めてくれたから」

「その為にわざわざ黄泉の国から来て俺の鍛錬を手伝ってくれたのか?」

「ああ、そんな所だ」

「ありがと」

「礼を言うのはこっちだ。ありがとう、炭治朗達を認めてくれて。ありがとう真菰を二度も助けてくれて。俺達は感謝している」

「はは。面と向かって言われると照れるな」

「背中合わせだがな」

「そこは言わないで・・・ん?俺、()?」

「ああ、鱗滝さんの弟子だった俺達は鱗滝さんが大好きだ。だから何時も鱗滝さんの側にいて義勇を真菰を炭治朗を禰豆子を見守っている」

「優しいな。いい話だな~まあ鱗滝さんは凄く優しいもんな。お爺ちゃんみたいな人だ(黄泉の国には行ってないのか?)」

「はは、お爺ちゃんと来たか。だが間違っては無いかもな・・・!」

「そろそろか?」

「ああ」

 

 錆兎が最後に答えると二人は立ち上がり向き合う。

 

「最後にお願いがあるんだが良いか?ミコト」

「なに?」

「・・・鱗滝さん・・・は強いから大丈夫だな。義勇と真菰と炭治朗と禰豆子を守ってくれないか?ミコトにしか頼めなくてな」

「・・・やだよ。俺は流浪の鬼狩りだ、呑気に旅をするのが好きなんだ」

「・・・そうか」

「だから俺の手が、俺の刀が届く範囲に居る時は守るよ絶対に」

「・・・!・・・ありがと」

「どういたしまして」

「これからも楽しみながら頑張れ」

 

 錆兎は右手を前に出す。

 

「おう!え~と・・・錆兎もこれからも皆を見守っていてくれ」

 

 そういうとミコトは錆兎の手をしっかり掴む。

 

「ああ・・・無理に気を使わなくて良いぞ」

「っう!ごめん」

「はは。・・・じゃあミコト」

「おう、錆兎」

 

「「じゃあな。また何時か会おう」」

「ああ、そうだ。すまないミコト、あと――」

「おう、分かった」

 

 二人は手を放し微笑み合う。

 

「うお!」

 

 突如として強い風が吹き目を閉じ、目を開けると目の前には炭治朗の縦に斬った大岩が有ったが、最初と違って縦だけでは無く二つとも横にも斬れて崩れていた。

 

「はは。体中が痛い・・・そして、疲れたああああ!!」

 

 叫ぶと勢いよく岩にもたれそのまま深い眠りにつく。

 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

「う、うっうう」

「お、起きたかミコト」

「起きたよ犬さん。イテテ」

「おはよミコト。体大丈夫?凄い怪我してたけど」

「大丈夫だよ真菰、てか此所は鱗滝さんの家だな?」

「そうだよ。ミコトが炭治朗の斬った岩の場所で倒れてたから運んできたんだ」

「そうだったんだごめん。てかなんか凄い良い匂いがする」

「おうその通りだ、今日のご飯は贅沢だぜ。なんとすきや「桃ときび団子の匂い!!」なんでやねん!!」

「え?」

「なんでや!そこはすき焼きの匂いだろ!?」

「あー確かにそんな匂いもする」

「いや、普通は先にそっちだろ!?」

「ふふふ」

「真菰?」

「ご、ごめん。二人の遣り取りが面白くてつい、ふふふふ」

「そう・・・てかホント良い匂い。コレはお高い桃と吉備団子の匂いだ!!」

「だから何でだよ!そこは肉の匂いだろ!お前の嗅覚狂ってるだろ!」

「犬さんに言われたくない!犬のくせに炭治朗と鱗滝さんに嗅覚で負けてるくせに!!」

「な!言ったなー!俺が一番気にしてること言ったなぁー!!この男の娘野郎!!」

「な!いったなー!!」

「やるって言うのか!?」

「掛かって来いやぁ」

「そのつもりじゃい!!」

 

 そう言って犬さんはミコトに飛びつく。そしてミコトは押し倒され二人はじゃれ合う。

 

「あっはははは!ま、待って!ミコト犬さん。そ、それ以上は!お、お腹痛い!笑いすぎてお腹痛いからぁああ!も、もうやめへ!ひぬ!笑いすぎてひぬから!あっはははは!」

 

 楽しげにじゃれ合うミコトと犬さんの声とそれを見て楽しそうに笑っている真菰の声が響いた。

 

「楽しそうじゃのあの子達」

「そうだな」

 

 桑島と鱗滝は二人と一匹の楽しそうな声を聞いて微笑ましく思っていた。





~大正コソコソ噂話~

錆兎は鱗滝の弟子を密かに鍛えるために死んだ後も鍛錬し続けかなり強いです。
此所だけの話、富岡と同等かそれより強いです。


錆兎は幽霊なのに物理攻撃判定があるのは可笑しくない?と言うのはどうかなしでお願いします。

あと、真菰のキャラについても大目に見てください。



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第15話:お話

今回はミコトが岩の場所に言った後の犬さんと鱗滝、桑島の話し合いと
ミコトと犬さんのじゃれ合った後のお話です。


「分かった。じゃあ犬さん!ちょっと行ってくる!!」

「わかったー!迷子になるなよー!」

「ならないよ!」

 

 ミコトと真菰は少し話した後に山頂に向かう。

 

「行ったか」

「・・・なあ、犬殿。聞きたいことが有るのだが良いか?」

 

 鱗滝と桑島は良い機会だと思い気になってた事を聞く。

 

「なんだ?」

「何故ミコト君を鬼殺隊には入れないんだ?」

「あの子の強さなら鬼殺隊に入れば多くの一般人の命を救えるじゃろ?」

「・・・お前達もミコトの眼を見たろ?あの桃眼を」

「うむ。珍妙な眼じゃったな」

「そこだ桑島」

「む?」

「ミコトの眼を、ミコトの鬼との戦いの狂気の笑みと笑いを普通の隊士、特に弱い隊士達が見たらミコトをどう思う?どう見る?」

 

 その言葉に二人は難しい顔になり黙り込む。(鱗滝は天狗面でどんな表情をしているかは分からないが。)

 理由は簡単で鱗滝も桑島もミコトの鬼を殺す時の狂気的な笑みを笑い声を聞いていた。その上、闇夜に紅く光る桃眼を見ていたからだ。その様は人間よりも鬼に近い何かに感じてしまっていた。

 

「・・・鬼と」

 

 口にしたのは鱗滝だった。

 

「そうだ。少なからずミコトの事を鬼と思う輩は出てくるだろう。そうなれば」

「鬼殺隊の士気に関わると?・・・だがそんな事は「ある!」 !?」

「あるんだよ!そんな事が!人は己と違う異質な奴をすんなり仲間と認められる奴は少ない!」

「「・・・」」

「そしてそんな奴らは桃眼の者を化け物と・・・鬼とのたまう奴も居る!!

「「!?」」

 

 犬歯を見せ犬さんから溢れ出た怒りと殺気により鱗滝と桑島はそれが虚偽では無いことを理解する。

 

「・・・すまん。でも、そんな奴らを俺は見たし会った。・・・まあ俺が人語を話す犬だから物の怪と言われよく石とかゴミを投げられた事も有ったからな、あの時の思いをミコトにさせたくないんだよ」

「そうか・・・」

「ああ・・・昔のミコトはな、あんな狂気な笑いをしなかったんだよ」

 

 その言葉に二人は黙って耳を傾ける。

 

「ある日、突如彼奴の幸せな日々は奪われた。母を眼の前で殺されそれから父と兄はミコトが逃げるための時間稼ぎをした。俺はミコトを引っ張り藤の花が咲き誇る場所まで行った。そして朝日が昇るといの一番に家に向かって、見たのは・・・バラバラの肉片にされた父と大きく袈裟斬りにされ死んだ兄の姿だったんだ。

 ミコトはあの日が初めて鬼を見た日だった。そしてその日以降ミコトは鬼を見ると狂気の笑みを浮かべ鬼を殺すようになったんだ。ミコトは鬼との戦いをそして鬼殺しを楽しんでるんだ」

 

「そんな辛い事が・・・」

 

「ああ。あの日から彼奴は自分の命の価値は何処までも低く、死んでも良いと思ってる。ミコトの心は何処か壊れてしまったんだよ、俺では治すことも代わりになることも埋めることも出来ない。

 そこで更に鬼と化け物と罵倒され、鬼に向けるような目を向けられたら彼奴の心がどうなるか分からない。だからミコトには鬼殺隊なんかに入らずに呑気に旅をしながらの鬼狩りをしていて欲しいんだ」

 

「・・・そうか。差し出がましい事を言った。すまなかった」

「気にするな。 俺はミコトを普通の人の様に見てくれているお前達には感謝しているんだ」

 

 それを言い終わるとその場に重たい空気になる。だがそれも真菰が帰って来たことにより無くなり、犬さんはミコトがいない代わりに真菰に速く走る為の指導をする。

 

「それじゃあ儂らは将棋でもしてるか」

「そうじゃな」

 

 鱗滝と桑嶋は将棋を持って来ると縁側で将棋を始めた。

 

 

 ☆

 

 

「そうだ真菰。森や山の中を速く走るときはその姿勢と足裁きを意識すれば体力の消耗を更に減らせる」

「あ、ありが、とう。ハアハアハーア」

「因みにミコトは子供の頃には服を思いっきり水で濡らして重くして走り回ってたぞ。山や森をな」

「・・・!?う、うそ!?今でもこんなにしんどいのに!!ほんとに?」

「おう。ミコトは父や兄に追いつくのに必死で呼吸を覚えた半年後頃には常中も覚えてたからな」

「す、凄い・・・ミコトってやっぱり天才だったんだね」

「まあ・・・あ?はああああああ!?」

 

 いきなり地響きのような音が聞こえ、音の方を見ると木が次々と倒れていくのが見え思わず犬さんは叫んでしまう。

 

「あ!あそこミコトを案内した場所!!」

「は!?・・・彼奴何してんだ?・・・あれは天才じゃなくて天災だと思う、ぞ?」

「犬さん上手いこと言ってる?」

「は、は、はー・・・そんな事言ってる場合じゃねぇええ!」

「あ、待って犬さん!私も行く!・・・」

 

 犬さんと真菰は急いで木々が倒れていく場所に向かう。

 

(は、速い!犬さんに全然追いつけない!)

 

 そんな中、真菰は犬さんの後ろを付いて行くのに精一杯で自分との差を思いさせられていた。

 因みに鱗滝達は犬さんと真菰が行ったのなら大丈夫だと思い将棋の続きをする。

 

「此所は炭治朗の岩の所!」

「・・・!ミコト!!」

 

木々が最後に倒れた場所に着くとそこには服がボロボロになり、傷だらけのミコトが四つに分かれた岩の前で倒れて寝ていた。

 

「ミコト!」

「おい!起きろミコト!」

「安心しろ。寝ているだけだ」

「・・・誰だお前?」

「錆兎!!」

 

 岩の上に座っていた錆兎は真菰と犬さんに微笑みかけると岩から飛び降り二人の前に立つ。

 

「錆兎?・・・お前普通の人間じゃ無いな・・・お前死人だな?」

「ああ」

「ミコトをやったのはお前か?」

「ま、待って犬さん!彼は」

「ああ、俺がやった。ミコトの立合い相手をな」

「そうか。それはあがとな」

「気にするな。あと、ミコトの作っていた新しい型は完成したぞ」

「じゃあ錆兎。この岩は」

「そうだ。ミコトが斬った」

「「!?」」

「岩って刀で斬れるもんなんだな」

「そろそろミコトを連れ帰って手当してやれ」

「あ、わ、分かった。・・・よいしょって!ミコトって思った以上に軽い」

 

 真菰はミコト背負い、錆兎に向き合う。

 

「ありがと、錆兎」

「気にするな」

「行こ、犬さん」

「いや、先に行っててくれ直ぐに追いつく」

「?わかった」

 

 真菰は疑問に思いながらも犬さんの足の速さなら簡単に追いつくと思い、ミコトの手当の為に走って鱗滝の家を目指す。

 

「どうした?犬殿」

「お前、無理して現世に残ってるだろ」

「・・・よく分かったな。俺達の心配だった手鬼が炭治朗に倒された事により鱗滝さんがこれ以上悲しむことも無くなった」

「それによりお前達は、違うな・・・お前以外は成仏して隠世にいったか?」

「ああ」

「何故そこまでして無理に残る?」

「俺は決めてるんだ。隠世に行く時は義勇が天命を全うして死んだときに共に行くと。また置いていって先に行ったら泣かせてしまうからな」

「・・・優しいな」

 

 錆兎は嬉しそうに微笑むと何かを感じ自分の手を見る。すると、手はだんだん薄くなり透けてきていた。

 

「時間か」

「ああ、もう現世には干渉出来なくなる」

「・・・もう一度言おう。ありがと」

「気に・・・いや、どういたしまして。犬殿も速くミコトの所に行くと良い」

「ああ。じゃあな」

 

 そう言うと犬さんは走り出し真菰の後を追う。その後ろ姿を見ていた錆兎は嬉しそうに笑みを浮かべると、完全に姿が消える。

 

「よお、お待たせ」

「う、うん(本当に来るの速いな~)」

 

 

 ☆

 

 

 

「帰って来たようだな」

「そのようじ・・・ど、どうしたぁああああ!!」

 

 将棋をしていた鱗滝と桑島の二人は帰って来た真菰たちを見て、桑島は目が飛び出すぐらい驚き、鱗滝は持ってた駒を落とし真菰に駆け寄りミコトを受け取る。

 

「隣の部屋で手当をしよう。桑島、手当の用意を」

「ああ、分かった」

「鱗滝さん!私も手伝います!」

「うむ。なら真菰は水と手ぬぐいの用意を」

「はい!」

 

 その後、ミコトの体中に着いた切り傷に適切な手当をし終えると鱗滝と桑島は何故ミコトがこれほどの怪我をしていたのか聞いていた。

 

「簡単に言えば優しい剣客と戦った。そして、新たな技を完成させた。だ」

「そうか」

「ふむ」

 

 犬さんの説明に二人は剣客に疑問を持つが、この半月間でミコトと犬さんが信用出来る者達と分かっている上に、犬さんが嘘をつく理由が無いために納得する。

 

「なあ、犬殿」

「なんだ?鱗滝」

「新たな技を完成させたミコトはいつ頃、此所を発つと思う?」

「そうだな~明日には発つと思うぞ」

「え!そんなに速く行っちゃうの!!」

「まあな。ミコトは旅人だ。目的を達成できれば風のようにまた何処かに行くさ」

「・・・そっか 」

 

 犬さんの予想に真菰は驚き少し落ち込んでミコトを見ていた。そして鱗滝は立ち上がり出かける支度をする。

 

「何処か行くのか?」

「ああ、ミコトが新たに型を完成させ岩を斬ったのだ。祝いをせんとな」

「鱗滝さん。もしかして」

「そうだ真菰。今夜はすき焼きにしよう」

「なら儂も買い出しを手伝うぞ鱗滝」

「助かる」

 

 二人は支度を終え出かけようとするがその前に犬さんが呼び止める。

 

「待ってくれ!出かけるならついでに桃と吉備団子を買ってきてくれ。金は後でちゃんと返す」

「金は必要無いが、なぜ桃と吉備団子?」

「ミコトは桃眼の人間だ桃さえ有れば大抵の怪我は直ぐ治る。そして桃と吉備団子はミコトの好物だからだ」

「・・・分かった」

「なら鱗滝、桃と吉備団子は儂が買ってこよう」

「頼む」

 

 二人は出ると張って街まで走る。見送った真菰はミコトの所に戻ると静かに寝息を建てているミコトの額を優しく撫でる。

 

「なあ真菰、お前はミコトをどう思う?」

「え!え~と・・・優しくて頼りになる人?かな」

「そうか。鬼と居るときのミコトの笑みをどう思う」

「ん~・・・初めて見たときは驚いて怖かったかな。けど再会出来た時に何処か悲しみと何かを無理に隠すように笑ってるって感じがしたかな。だから今は全然怖くないし、私に出来ることなら何でもしてあげたいかな。命の恩人だし」

「・・・!?・・・そうか。お前みたいな優しくいい女がミコトの女になってくれたら俺も安心していつでも逝けるんだがな

 

 

 

 ☆

 

 

 このあと、夕方頃に鱗滝達が戻り夕餉を作り、しばらくするとミコトは目覚め犬さんと一悶着あったが今は仲良く豪華なすき焼きを食べていた。

 

「もの凄く久しぶりのすき焼き!美味し過ぎる~!!」

「喜んで貰えて良かった。どれ、沢山食べると良いお肉もな」

「ありがとう御座います! 美味しいね、犬さん」

「だな」

「ほら、真菰」

「・・・ありがとうございます。・・・ねえミコト」

「モグモグ ゴクン なに?」

「新たな型は完成させたんだよね?ならいつ頃此所を出発するの?」

「ん?んー・・・」

 

 豆腐をハフハフしながら食べ考えていた。

 

「明日の朝には発とうと思ってるよ」

「・・・そっか」

「なあミコトよ、お主の新たな型とはなんじゃ?」

「そうですね。炎の呼吸炎虎に並ぶ虎の技、水虎です。真菰と鱗滝さんのお陰です。 そして桑島さんに教えて貰った雷の呼吸のやり方のお陰でもう一つの技。この二つですね」

「どちらも呼吸を合わせ作った技か、お主は本当に天才じゃな」

「桑島よ、ミコトの天才はてんさいでも天の災いの天災だと思うぞ」

「犬さん酷ーい!!」

「山の木々をバカスカ斬り倒したの何処のだーれ!!」

「はい。鱗滝さん本当にごめんなさい。本当にごめんなさい。ごめんなさい」

「気にせんでよい」

 

 鱗滝に土下座で謝るミコト。そのあとは普通に楽しそうにご飯を食べて、今は食後の桃を食べていた。

 

「ミコトの髪ってなんか凄く甘い香りするよね?」

「・・・? そんなに甘い匂いがする?」

「うん。なんか桃の匂い?」

「・・・俺がいま桃を食べてるからじゃないの?」

「そうかな?」

「いや、ミコトはほぼ毎日桃を食べてるから桃の匂いがするんじゃないのか?」

「そんなに桃食べてるんだ」

「食べてるな」

 

 犬さんの言葉に鱗滝と桑島は毎日幸せそうに桃を食べるミコトの姿を想像してすこし笑い、真菰はなんとなく納得したような顔になっていた。

 

「なんか皆の目が温かいのは何故?」

「ふふ。 ミコトは戦いの時に髪が邪魔にならないの?髪が長い女性隊士は少なくないけど皆髪を纏めてるよ」

「へー、まあ確かに初めの頃は邪魔だったけど今は慣れたよ。 それに相手の視覚阻害にもなるからね」

「そうなんだ。髪を伸ばす理由とか有ったの?」

「くだらない理由だよ」

 

 真菰の言葉に犬さんが答えそれに対してミコトは酷い!と言いながらも楽しく最後の一晩を過ごす。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 ~翌朝~

 

「ミコト。発つ前にやりたい事が有るんだけど良いかな?」

「ん?良いよ」

 

と、言ったのは良いが何故か真菰は俺の髪をといで前髪の左側を三つ編みしてる。何故?

 

「真菰のしたかった事ってこれ?」

「うん。私も髪は長い方だけどミコトほど長くないからね。やってみたかったの・・・よし!出来た!」

「おう。似合うかな?」

「似合うぞミコト。普通な女みたいだ」

「あっははは。怒る(殺す)ぞ・・・犬?」

「おー怖い。まるで般若だ」

「おい!」

「ふふ。ミコトと犬さんの遣り取り本当に面白い。・・・あ、そうだミコト、はいこれ」

「?」

 

真菰に渡されたのは両端に凄く綺麗な桃の刺繍の入った紐の髪留めを渡された。

 

「髪留めだよ。必要無いかもだけどこれから激しい戦闘があるかもしれないから、もし必要になったら使って」

「ありがと!」

「・・・そろそろ行くのか?ミコト」

「はい。いままでお世話になりました。鱗滝さん、桑島さん、真菰」

「きにせんでよい」

「達者でな」

「気を付けてに」

  

 

 

 

 

最後に皆がお見送りしてくれた。本当に言い人達。

 

「さーて!犬さん、張り切って行こうか!」

「おう!それで次は何処行くんだ?」

「ん?予定なし!」

「元気だな~」

「次は何処行こうかな~」 

 

 





~大正コソコソ噂話?~

ミコトが髪を伸ばしてる理由は小さい頃に、犬さんと同じ毛色!という理由で大事に伸ばしてます。
それに対して犬さんは興味なさげにしてたが尻尾を激しく振って喜んでました。



ちょびっと設定


真菰の階級は戊です。



良ければ評価や感想お願いします!
出来れば桃並みの甘さで!


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第16話:那田蜘蛛山

「へへへ。こんな洞窟に来るなんてバカな人間だぜ!!」

 

狭霧山を発ってから数日が経過した。そして何か鬼の気配を感じたから洞窟に入ったら本当に鬼が居た。てか根城にしていた。はい!報告終わり!!

 

「雑魚鬼。血を採る必要性は零か。最低でも十二鬼月の下弦の血が良いな」

「あ?何言ってんだ人間。てかお前希血だなぁー今日はついてる!」

 

鬼は手を舐めた後に勢いよく走り出してきた。

 

「死ねゃ!」

 

俺に振り下ろした腕を左手で掴み引いて右手を鳩尾に当て上に押し上げ勢いを殺さず肩車の要領で地面に叩きつける。

 

「グッハ! て、てm「五月蠅い」ギャアアア!」

 

五月蠅くほざくから右手で目潰ししてそのまま喉を鷲掴みして洞窟の出口に全速力で向かう。その間も暴れるから左手で鬼の両出を掴んで暴れないようにする。

 

「テメエ!何処に連れて行く気だ!」

「外」

「巫山戯んな!放せクソが!」

「暴れるなそろそろ外だから。今日は快晴だよ」

「クソがクソがクソが!!お前何もんだ!」

「冥土の土産に教えてやる。俺は桃眼の鬼狩りだ」

「・・・!?お前があの忌々しい桃眼の鬼狩りかよぉお!!」

 

鬼はそれだけ言うと日に焼かれ塵になった。大して強くなかった、恐らく10か20人しか喰ってなかったんだろうな。

 

「終わったか?」

「終わったよ犬さん。あんまし強くない鬼だった」

「そうか(出てきたときの絵面はヤバかったが)」

「行こうか犬さん」

「おう」

「確かこの近くに美味しい吉備団子を出す茶屋があったな」

「そうだな~・・・行く気か?」

「うん」

「満面の笑みで言いやがった」

 

 

 ☆

 

 

「美味し~」

 

今は言ってた茶屋で吉備団子を食べて休んでいる。

にしても此所の吉備団子は抹茶粉をまぶしていて美味しいし、この緑茶とよく合う。基本、吉備団子には餅米の粉を使うが此所のはうどん粉を使ってるのかな?うどんに近いもちもち食感がある。

 

「美味しいね犬さん」

「ワン!」

「そんなに喜んで貰えて嬉しいよ。ほれ、これはおまけだ。勘定はきにせんとお食べ」

「ありがとう御座います!」

 

嬉しいな~。此所は今まで食べた中で上位に入るおいしさだ。

 

「なあ、聞いたか?刀を持った複数の人間か那田蜘蛛山に入っていったって話」

「聞いた聞いたてか見た」

「ほんとか!」

 

?それってもしかしなくてもだよな?

 

「すみません」

「?なんだい嬢ちゃん」

「じょ!・・・いや、今は良いか。その那田蜘蛛山の話を詳しく教えてください」

「お、おういいぞ。な?」

「おう。昨日、那田蜘蛛山とか言う山に何人もの帯刀した人達が入って行くのを見たんだよ」

「そして噂じゃあ、その更に数日前にも何人も山に入っていったらしいぞ」

「なるほど」

 

確実に鬼殺隊だよな?行ってみるか?でももしこれで侍崩れの山賊だったらどうしよう。

 

「どうかしたか?」

「いえ、因みにその人達の服装とか分かりますか?」

「?確か黒い服の上に羽織を着ている人達だったな。あと何人か肩に烏とかを乗せてる者もいたな」

 

はい!決まり!鬼殺隊でした!・・・ん?待てよ昨日とその数日前に山に鬼殺隊が入っていったのならもう鬼は倒した?いや、まてまて。そんなにも隊士を動員させるって事はそれほどに強い鬼か?

十二鬼月は確定として上弦?は無いか。下弦と上弦の間には強い差があるって珠世さんは言ってたからな。それに上弦が暴れたら被害は大きく出ているハズだな・・・って事は下弦か。分からないけどまあ行ってみるか。

 

「ありがとう御座います」

「おう、・・・もしかして那田蜘蛛山に行こうと思ってないよな」

「ふふ。親父さん勘定置いときますね! それでは失礼します。行こう犬さん」

「わん!」

「・・・行っちまった。変わった嬢ちゃんだったな」

「おお、てか珍しい毛色だったな。雪みたいだった」

「だな」

 

 

 ☆

 

 

 

日が沈んで暗くなってきた。

 

「犬さん、那田蜘蛛山って言うぐらいだから蜘蛛の鬼とか出てくるから?」

「くるんじゃないか?牛鬼とか」

「牛鬼?・・・牛の鬼?それって蜘蛛じゃなくて牛じゃ無いの?」

「牛鬼はな、蜘蛛に角の生えた鬼の事を言うんだよ」

「なるほど~」

「知ってるか?今の日本妖怪はな、全部鬼共の所為なんだよ」

「そうなん? がしゃどくろとか海坊主、ろくろ首、ぬぺっふぽう、枕返し、ぬらりひょん最後に鬼太郎とか」

「そうだよ~考えてみろ。彼奴ら鬼は全員姿形を自在に変えるだろ」

「確かに~・・・マジか~お菊のお皿とかもなのか~」

「うん、まあ全部嘘なんだけどね」

「嘘なんかい!!!!」

「なっははは」

「ぎゃああああああ!」

「「!?」」

 

 後ろから突如の叫び声に驚き後ろを振り向いたらその先には、猪の様なかぶり物をした半裸の人物と叫び声の本人だと思わしき腰を抜かした黄色い髪の青年とそして――。

 

「炭治朗!」

「み、ミコト!」

「まてまてまて!待ってよ!たんじろぉぉおおお!」

「善逸?」

 

 ミコトに近づこうとした炭治朗に善逸と呼ばれた黄色髪の青年は叫び炭治朗の下半身にしがみつき止める。

 

「どうしたんだ善逸?」

「どうしたじゃ無いよ!彼奴人殺しだよ!隊服着てないのに刀持ってるとか完全に人斬りじゃん!辻斬りじゃん!近づいたら危ないよぉおぉおお!」

「善逸!あの人はそんなんじゃ無いよ!」

「無いこと無いじゃんかぁ!イッヤアアア!」

 

うわー。何か凄くイヤイヤ言って泣いている。何か凄い悪いことした気分になっちゃうな。

 

「ねえ話をしないかい?」

「イヤー!殺されるー!!」

「善逸!なんて失礼な事を言うんだ!」

「そうだよ!殺さないよ!・・・?善逸?」

 

善逸?善逸って確か桑島さんの弟子で居たよな?・・・もしかしてこの子が?確か桑島さんは

 

『善逸は直ぐ泣くし、隙あらば逃げ出すし、根性はありゃあせん。雷の呼吸は壱ノ型しか使えし』

『ぼ、ボロクソですね』

『うむ、実に手が掛かる。だがそれでも獪岳同様、儂の可愛い弟子じゃ』

 

って言ってたな・・・確かめてみるか。

 

「ねえ君」

「ヒィ!」

「君は桑島さんを知ってるかい?」

「え?爺ちゃんを知ってるの?」

「勿論。まずはさ話を聞いてよ」

「・・・うん」

「良かった、何とか話し合いは出来そうだ。」

 

 この後、ミコトは自己紹介をしてなんとか誤解を解くことに成功した。

 

「こ、此奴強いぜ!ビンビン感じる!」

「いきなり何言ってるの?猪頭君」

「あぁ”!?俺は嘴平伊之助だ!おかまマコト!」

「惜しい!俺は大和 ミコト!だよ、伊之助君」

「ミサト!」

「それは誤解が生まれるからダメ!ミ!コ!ト!」

「名前なんでどうでも良いだろ」

「あらーそれに辿り着く?まあいいか。それでこっちが相棒の犬さんだ」

「よろしく!」

「いやー!犬が喋ったぁああ!化け物だぁ!妖怪だぁああ!物の怪だ――グェ!」

「ミコト!?」

 

 犬さんが喋ったことに驚いた善逸の言葉を聞いてミコトは一瞬で善逸に近づき胸ぐらを掴むと顔を近づけ目を見ながら睨み付ける。

 

「テメェ!今なつった?犬さんを化け物と言ったか?今回は初めてだから許すが次言ったら・・・俺の刀がお前の頸を跳ね飛ばすからな。覚えとけよ・・・良いな?」

「は、はい!ガタガタガタガタガタ・・・」

「ぜ、善逸・・・」

「おいミコト!何時も言ってるが俺は化け物呼ばわりになれてるから一々怒るなよ。何時も気にするなと言ってるだろ?」

「家族を化け物と呼ばれて怒らない奴は居ません!」

「だからってなぁ~善逸が凄くビビってるだろ~」

「アハハ~。まあそれは置いといて、炭治朗達は何処に向かってたの?」

 

 ミコトの質問に張り付いていた善逸を無理矢理引き剥がした炭治朗はミコトの方を向く。

 

「俺達はあの山、那田蜘蛛山に向かうところだったんだ。ミコトは何処に向かう予定だったの?」

「俺も那田蜘蛛山だよ。茶屋で那田蜘蛛山に帯刀した集団が沢山入山したって聞いたからね」

 

 そうなんだ!と炭治朗はすこし嬉しげに反応して全員で那田蜘蛛山に向かうことにする。その間も善逸はミコトに怒られたことに怯え、最初は伊之助の背後に行くも殴り飛ばされ今は炭治朗の後ろからチラチラとミコトを見て怯え那田蜘蛛山を目指す。

だが、しばらく歩いて突如、善逸が立ち止まり座り込み蹲る。

 

「ちょっと待ってくれ!」

「どうした?」

「怖いんだ!目的地が近づいてきてとても怖いんだ!!」

「なに座ってんだこいつ。気持ち悪い」

「お前に言われたくねーよ猪頭!! 気持ち悪くなんてない!!普通だ!!俺は普通でお前らが異常だ!!」

「だとよミコト。お前異常者扱いされてるぞ」

「酷いな~犬さん。でも、否定できないからまた痛い」

 

 それだけ言うとミコトは善逸の前でしゃがみ込み、目線を合わせると優しい声色で話し出す。

 

「善逸君。怖いのは分かるよ。でもね、君は多くの人を守る鬼殺隊だ。君は強い子だよ」

「は?強くねーよ。嫌味か?嫌味なのか?」

「・・・・・・・いや、君強いでしょ?だって桑島さんが『善逸は直ぐ泣く泣き虫じゃがやるときはやる自慢の弟子』と言ってたよ?」

「爺ちゃんが?」

「うん!だから一緒にg「大丈夫ですか!!」!?どうし・・・!?」

 

 ミコトが振り帰ると宙に浮き、助けてくれ!と叫びながら山の中に引っ張られるように消えてゆく男隊士の姿だけを捉える事が出来た。

 その出来事によりミコトは思わず善逸を置いてすこし先に居た炭治朗と伊之助の元に駆け寄る。

 

「どうした!」

「隊士の人が山に引っ張られていった」

 

 善逸は「そんな」と呟き震え出す。

 

「・・・・・・犬さん行こうか」

「おう」

「俺が先に行く! お前らはガクガク震えながら後ろをついて来な! 腹が減るぜ!!」

 

 先に行こうとしたミコトの前に伊之助が立ち、両腰に挿した刀を握る。

 

「そこは腕が鳴るだよ。腹減ってるの?吉備団子あるけど喰う?って行っちゃった」

「俺らも行くか?」

「そうだね~。あ、善逸君は怖かったらそこに居て良いよ。恐らくこの山には十二鬼月が居るから。無理強いはしないよ?まあ鬼殺隊じゃない俺に言われても何とも思えないだろうけどね」

 

 はははと言い残すと先に行った炭治朗達を追いかけて入山する。

 だがすこしミコトは立ち止まり目を瞑り神経を研ぎ澄ます。

 

「どうした?」

「・・・やっぱりだ」

「?」

「この山の中に鬼複数いる」

「!? じゃあ先に入った奴らは」

「全滅してるかもね~。どの強さの人達がいるかは分からないけど」

 

でも気を付けないと。此所には十二鬼月の気配がある。炭治朗も強いと思うけどまだ十二鬼月は相手に出来るほどの強さは無い、もしあったら死ぬ確率の方が多いかな?恐らく3:7の対立でだな。だから急がないと。

何故か炭治朗のあの花札の様な耳飾りと額の痣を見ると、こー胸の内がそわそわして気分が上がる気がするんだよな~。 あ、炭治朗達いた。

 

「なんか伊之助君ほわほわしてね?」

「してるな」

「な。おーい、炭治朗~」

「あ、ミコト」

「何しに来た!白黒!」

「誰が白黒だ!って白髪に黒い羽織だからか?」

「伊之助!ミコト!誰か居る!」

 

炭治朗の指を差した方にはビクビクしながら木に隠れる一人の男の姿があった。その人の近くまで寄って炭治朗が話しかけると凄いビックリしてた。

 

「応援に来ました。階級癸、竃門 炭治朗です」

「・・・・・・癸・・・・・・・・癸・・・・・!?なんで柱じゃないんだ・・・!! 癸なんて何人来ても同じだ!意味が無い!」

 

 怯える隊士に伊之助が殴ろうとするが、ミコトがその拳を受け止める。

 

「ダメだよ伊之助君。 君、どうなってるのか説明して」

「いや、何なんだよその猪頭! しかも何で君は隊服着てないんだよ!?」

「俺鬼殺隊じゃないもん」

「はあ!?お前ら一般人連れて来たのか!?」

「違うよ、俺は」

「じゃあお前は何なんだよ!!」

ッチ!・・・俺のこの眼を見たら分かるだろ。桃眼の鬼狩りだよ」

「お前が桃眼の鬼狩り!?」

「そうだよ」

「なんで今更!」

「・・・ッチ!」

「「「!?」」」

 

 突如の舌打ちに三人は驚きミコトを見る。

 

「は~面倒い。産屋敷さんには鬼殺隊に入ってって誘われてるけどやっぱり断ろ。こんな状況なのにさっさと状況説明もしないなんて論外。やっぱ俺は俺のやり方でいこ」

「み、ミコト?」

「すまんな炭治朗。じゃあね」

「ま、待ってくれ。する!説明するから!」

 

 ミコトの足にしがみつき必死に引き留める男性隊士にすこしドン引きしながらミコトは名前と説明を聞く。

 

「それで君の隊は壊滅状態と?村田」

「はい」

「なるほど。・・・でも君がもたもたしてるから来たよ。ほら」

「・・・え」

 

 指をさされた方には口から血を吐きながらゆらゆらと歩いてきている隊士がいた。

 それだけではなく、キリキリと音が鳴ると周りから怪我の大小異なれど沢山の死んだ隊士が現れる。だがミコトは関係無く隊士に斬りかかる。

 

「ダメだミコト!亡骸を傷つけるのは!!」

「大丈夫」

 

 

 

 ☆

 

 

 

 岩の上に色白に白い髪、顔に赤い模様のある女鬼がいた。

 

「ウフフフフフフ。さぁ私の可愛いお人形たち。手足がもげるまで踊り狂ってね亅

 

 指から糸を出し楽しそうに糸を操る。

 

「・・・・へ? う、そ」

 

 だがそれは直ぐに驚愕の顔に染まる。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「な、にが?」

 

 ミコトは隊士の上空の()()を斬る。その瞬間隊士は地面に倒れ込む。

 

「お前ら!隊士の体に絡みついている糸を斬れ!それが全ての原因だ!目を凝らせば見える!」

 

 その言葉を信じて目を凝らすと炭治朗と伊之助は糸が見え次々と糸を斬ってゆく。

 

「これで全部」

「なんで分かったんだ?」

「昔似た技を使う鬼と戦った事がある(初めて殺した鬼。髪鬼)」

「ミコト?」

「何でも無い。恐らく近くに沢山いる蜘蛛が原因ってか鬼の血鬼術の何かだ。それに気を付ければ良い、先に行くぞ。鬼の気配はあっちからだ・・・あ」

 

 先ほど糸を斬って解放した隊士達がまた操られ立ち上がる。全員構えるが

 

「ここは俺に任せて先に行け!」

「小便漏らしが何言ってやがる!」

「誰が漏らしたこのクソ猪!!テメェに話しかけてねえわ黙っとけ!!桃眼の鬼狩り!さっきわ悪かった三人で先に行ってくれ!」

「お前は大丈夫なのか?」

「ああ、戦い方が分かった蜘蛛にも糸にも気を着ける!!」

「分かった。行くぞ炭治朗、伊之助」

 

 炭治朗と伊之助は先に進むミコトの後を追う。

 

「アイツ絶対ぶん殴ってやる!!」

「そういうこと言うの止めろ!!」

「クソ猪とか言われたんだぜ紋次郎」

「炭治朗だ!!」

「はは、仲良いね」

「ミコト!」

 

 近くの茂みから犬さんが飛び出しミコトに近づく。

 

「どうだった?」

「この先に何人かの隊士とその先に女鬼がいる」

「索敵ありがとう。犬さん・・・!?」

 

 ミコト達の前には隊士の首を刺し貫き死んだ隊士の頭をわしづかみしている女の隊士と生きてる隊士に向く数人がいた。

 

「俺が相手する!炭治朗と伊之助君は先に行け!」

「分かった!」

「任せたぞ!白黒!」

「だからミコトだって!」

 

 炭治朗達は先に行き、ミコトは女隊士に向き直ると驚き目を見開く。

 

「あなたは、桃眼の鬼狩り!?」

「君は豪鐵相手に最後まで戦っていた人!」

「私達はもう駄目。気にしないで私達を殺して!」

「そんな事するかよ! 我流剣術 渦遠雷」

 

 走り出し女性隊士の間合いに入った瞬間に振り下ろされた刀をジャンプして回避し回転しながら操っていた糸を全て斬る。

 

「大丈夫?」

「・・・す、凄い」

「聞いてる?」

「は、はい!大丈夫です」

「良かった。簡潔に言うと蜘蛛に気を付けろそいつらの糸に絡まれると操られる。俺は鬼を殺しに行くから気張れ!」

「え?え?」

「良いな?」

「は、はい」

「それじゃあ。鬼は直ぐ殺して来てやるから安心しろ」

 

 ミコトは炭治朗達の後を追うと炭治朗と伊之助が巨大な頸の無い異形の鬼?と戦ってるのが見えるがそれと同じく糸が見えた事で操る鬼の犯人では無いことに気づく。

 

「炭治朗!伊之助!」

「ミコト!?」

「その傀儡は任せる!原因の鬼は俺が殺す!」

「わ、分かった!」

 

 そう言うと巨大鬼の足もとをスライディングで通ると真っ直ぐ走る。

 

「あは! はっははははははは!!見つけた!」

 

 ミコトの目線の先には岩に座り糸を操る色白の白髪の鬼を見つける。そしてその鬼も桃眼を宿し、狂気の笑みを浮かべるミコトを見つけ驚愕と恐怖の表情を表す。

 

「ひぃいい!なんで桃眼の鬼狩りがいるの!?なんでなんで!し、死んでよおおお!!」

「お前が死ねよ!鬼ぃぃぃいいい!」

「いや!来ないで!来ないで!来ないでよぉぉおぉおおおお!!」

 

 鬼は手の糸を解き、ミコトに手を向け糸は飛ばし攻撃をするが、ミコトは全てを最小限の動きだけで躱し刀を抜く。

 

「我流剣術 渦雷・円」

 

 渦を巻く縦型の雷が光ると鬼の両腕を切り落とすし牙突の構えを取る。

 

「第弐秘剣 氷天ノ一突き!」

 

 勢いよく突き出した刀の切っ先が鬼に向かう。だか鬼の頸を斬るためではなく、鬼の眉間に突き刺さる。

 

「ガァ!」

 

 牙突の勢いのまま鬼は後に吹き飛び岩から落ちる。

 

「あっははははは!!」

 

 最後にミコトは鬼の上に立つと刀を鬼の眉間から抜き、振りかぶる。

 

「あはははははは、は、は、は・・・・・・・・・・・・は?」




~大正コソコソ噂話~

ミコト達は目的地が遠いときはいつも犬さんが先を歩きミコトを目的地まで連れて行ってます。
ただしミコトは自力で目的地まで行けてると思い込んでいる。そこは犬さんの腕のすごさ。





ただでさえ遅い更新が更に遅くなるかもしれません。
理由?それはモンストが鬼滅コラボ第2段始まったからです!!それでは。



良ければ評価や感想お願いします!
出来れば桃並みの甘さで!


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第17話:那田蜘蛛山②

本っ当に!スミマセン!更新が予想以上に遅れました!



「ミコト!鬼は!・・・?」

 

 傀儡鬼を倒した炭治朗と伊之助がミコトの元まで駆けつけるが、ミコトは右手を翳し制止させる。

 

「炭治朗、こっちは大丈夫だ!右の方に行けば川がある!伊之助君の手当をしてやれ!」

「でも!まだ鬼の匂いが」

「大丈夫!信じてくれ!」

「うん!分かった」

 

 そのまま炭治朗は暴れる伊之助を連れ川の音がする方に向かう。そしてミコトは溜め息をつき炭治朗達には見えなかった岩の裏側を見て再び溜め息をつく。

 

「どうしよう・・・・・」

「ヒック ヒック 」

 

 目線の先には涙を流しサイズのあってないダボダボの着物を着た。黒髪で両頬に2本の赤い線が入った女の子がいた。

 

 

 

 ~数分前~

 

 

「あはははははは、は、は、は・・・・・・・・・・・・は?」

 

 鬼の頸を飛ばそうとしたミコトは鬼の変化に止まる。その変化は鬼は段々小さくなり子供の姿へと変わる。

 

「ごべんなざい。 もう、痛だいごどじないで!いじめないで!」

「・・・・・・・・・え、えええー」 

「ミコト、これ以上したら絵面的にお前が悪役だぞ」

「う、うう・・・これ俺が悪いの? あ、やば炭治朗達が来た」

 

 そして今に至る。

 

 

 

どうしよう、絵面的に俺が幼女を襲ってる感じになったんだが。

 

「あのー何かごめんね」

「ヒック ヒック・・・」

 

あー!やめて!そんな涙目の上目遣いで見ないで!さっきまで無かった罪悪感が凄いんだけど!

 

「き、吉備団子あるけど食べる?」

「・・・うん。食べる」

 

俺と子供鬼はさっきこの子が座ってた大きい岩の上に座って吉備団子を食べてるけど、この子凄いちびちび食べてまるでリスみたい。・・・可愛い。

 

「・・・君の名前は?」

「・・・母か母さん」

「母?母さん?・・・え!子供いるの!?」

「ううん、違うの」

「ん?」

「累は昔から家族の絆に憧れていたの。だから私達はみんな累の家族になったら役割が与えられるの」

「役割?」

「うん。お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃんは下の子を命を懸けて守る、それが役割。それで、私はお母さんの役割なの」

「・・・そんな役割だなんだなんて言ってたらそんなの家族じゃ無い。そんな家族は偽物紛い物だ」

「!?・・・そ、そんな事言ったら、累に殺されちゃう」

「どうゆうこと?」

 

話を聞いて俺が分かったのは、この子は累って名の鬼の要望でさっきまでのように大人の鬼の姿に擬態する事を強制されていたがそれが上手く行かず累と父鬼?によく暴力を受け時折日に炙られていたみたい。母といいながらその地位は1番下で毎日酷い仕打ちを受けていたと泣きながら話てくれた。

この子の言う言葉には一切の嘘が無いそれをよく分かった。でも。

 

「この子は人を食べた鬼だ、殺さないと」

「わ、私だって!鬼になりたくてなったんじゃ無いもん!!」

「!?」

 

 思わず小声で出たミコトの言葉に子供の鬼は大声で反論する。

 

「私だって気づいたら鬼になってて誰か食べちゃって、鬼狩り達に襲われて死にたくないから逃げて逃げて逃げ続けて気が付いたらこの山にいて、死にたくなかったから累の家族になったの!」

「・・・」

「わ、私だって鬼になりたくなかった!人を食べたくなかった!でも人を食べないと気が狂う程頭が可笑しくなってつい食べちゃって・・・死んだら楽になるのは分かってるけど死ぬのは怖くて・・・」

「そうか。ごめん」

 

この鬼は珠世さんや愈史朗、禰豆子と同じでいままで殺してきた鬼と違う。人を殺すことを嫌に思ってる。いままでのは殺すのは当然、それを当たり前だと思って楽しんでる。でもこの子は殺すのを後悔している。そしてさっきの言葉は嘘偽りの無い本音だ・・・だったら俺は。

 

「ねえ、ちょっとごめんよ。吉備団子食べてて」

「ん?うん」

「ありがと」

 

そのまま頭を撫でてあげて犬さんに目配せして着いてきて貰って少しあの子から距離を取る。

 

「犬さん、ごめん。俺は」

「言うな。何も言わなくて良い。お前が何を思って何をしようとしてるのかも分かっている」

「・・・!?・・・そうか。でも良いの?もしかしたら俺は鬼殺隊を敵に回すかもよ?」

「それでもだ」

「へへ、ありがと」

 

 嬉しそうに笑い犬さんの頭を撫でると直ぐ子供鬼の元に戻ると少ししゃがみ目線を合わせ優しい声で話しかける。

 

「ねえ君」

「なに?」

「何年何十年先になるか分からないが人間に戻れるとなると戻りたい?」

「・・・戻りたい!・・・けど私は鬼だし人も殺しちゃって」

「なら、殺した人の数の何倍何十倍の人を助ければ良い!」

「本当に?」

「うん。それに俺は鬼狩りだけど鬼殺隊じゃ無いからね。いくらでも鬼を庇える。だから一緒に来るか?」

「・・・うん!」

「よし!決まりだ!」

 

 ゴロゴロゴロゴロゴロ!!

 

「キャア!」

「雷?雷雲は無かったはずだぞ?まあ良いか。それじゃあちょいっと累って名の鬼の頸を斬って来るから待ってて・・・なに?」

 

なんでさっきから服の裾を引っ張ってるんだ?って、あーそうか。鬼は鬼になった時から老けない、擬態とかは除いて。この子の見た目からしたら約5、6歳、さっきの話し合いでこの子は鬼になって直ぐこの山に来たってのが約2、3年前だから今が7から9歳ぐらい。まだ子供、それで散々酷い仕打ちを受けてきたんだ。一人は寂しいんだろうな~・・・ほんとさっきの俺が嫌になる。

 

「じゃあ少しお話するか」

「うん」

「そう言えば君の名前は?」

「母さん?」

「その前」

「分からないの」

「そうか。じゃあ・・・美久はどう?」

「?」

「何故みくなんだミコト」

 

 子供の鬼は首を傾げ犬さんは名前の由来を尋ねる。

 

「意味は美しくながく生きて欲しいって意味。久にはながく時を経るさまと言う意味があるからね」

「意外に考えてるんだな」

「犬さん酷い!それでどうかな?カタカナにしてのミクも字的に可愛いよ」

 

 ミコト達が子供の鬼を見ると俯いて美久と何度も呟いて嬉しそうに微笑んでいた。

 

「気に入って貰えたかな?」

「うん!」

(さっきまで殺し合いしてたのに今じゃすっかり仲良し。これも桃の力の効果なのかミコトの性格ゆえか・・・にしてもミコトは膝の上にのせて仲良く吉備団子食べてまあ、まるで兄妹・・・いや、姉妹だな)

「なんか犬さんに嫌味を言われた気がする」

「気のせい」

「今更だけど犬って喋れるの?」

 

 そのままミコト達は吉備団子を食べながらおしゃべりをしていたが、途中で自分たちがこの山に来た理由を思い出しいそいで美久を隠せる洞窟を探す。

 

 

「犬さん、いい洞窟見つけた?」

「いやまだだ。辺り一面木々だけだ」

「だよね~」

 

 頭を悩ませていると美久はミコトの手を引っ張り歩き出す。

 少し歩いた先には洞窟がありミコトと犬さんはあんぐりと口を開けていた。

 

「犬さん。あるじゃん」

「あったな・・・」

「ま、まあいいか。 美久、君はこの洞窟に隠れるんだ」

「え、一人で?」

「うん。大丈夫だよ、直ぐ迎えに来るから」

「本当に?」

「本当」

 

 そして小指を美久に向けると、最初は何か分かってなかったが美久も小指を出し二人は小指を結び指切りをする。

 

「「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます」」

「お前らホント仲良くなったな」

「なァはは。それじゃあ美久、しばらく待っててね」

「うん!」

「できるだけ気配は殺してね。そうだこれ残り全部食べても良いよ、じゃあね」

 

 残りの吉備団子一袋を美久に渡すと優しく頭を撫でる。そして近くにあった大きめの岩を洞窟まで押し出入り口を塞ぐと少し離れたと所の木を切り倒し塞いだ岩の近くに置いていく。

 

「フウ 出来たー」

「見た目明らか歪だけどまあ大丈夫か。鬼の巣くう山だからこんなんあっても不思議じゃ無いか」

「そうそう、ソーナンス!」

「・・・は?」

「それじゃあ炭治朗のとこ行くか」

「おいスルーか!今のは何だったんだよミコト!」

 

 話ながら山の中を走り回りす。

 

「それで鬼の気配はあるか?」

「いや、さっきまであった強いやつ、累?って鬼の気配が無くなった。恐らく斬られたんだと思う。

「そうか」

「多分だけどね。(距離があるから正確には分からないけど気配があった方に向かうか)」

 

 

 ☆

 

 

 

 その頃、累と戦い満身創痍になった炭治朗と増援に駆けつけ累を討伐した富岡が話し合ってる所に禰豆子に変わった形の日輪刀で毒を撃ち込もうとした、しのぶの攻撃を富岡が防ぎ膠着状態に陥ってた。

 

「どうして邪魔をするんですか? 富岡さん」

「・・・」

「なんとか言ったらどうですか?」

「・・・」

「そんなんだから皆に嫌われるんですよ?」

「・・・俺は嫌われてない」

「あぁそれ・・・嫌われてる自覚が無かったんですね。余計な事を言ってしまって申し訳ないです・・・坊や」

「はいっ」

「坊やが庇っているのは鬼ですよ。危ないですから離れてください」

「ち、違わないけど・・・禰豆子は鬼だけど俺の妹なんだ!人を食べたりはしない!!」

「あらあら、そうなんですね~。(ミコトさんが言ってた人に味方する鬼の御方のような者なのですかね?妹さんらしいですし)困りましたね」

 

 富岡はしのぶから目線は外さずに炭治朗に話しかける。

 

「動けるか」

「!!」

「動けなくても根性で動け。妹を連れて逃げろ」

「!!・・・富岡さん・・・・・・・・すみません。ありがとうございます!!」

 

 言われた通り痛む体に鞭を打ち炭治朗は禰豆子を抱え逃げる。

 しのぶは炭治朗達のあとを追おうとするが富岡が行く手を阻む。

 

 

 

(体中が痛い!!苦しい!!痛いと叫びたい!!・・・・・我慢だ!!我慢我慢我慢我慢)

 

 全集中の呼吸を使い山の中を駆け巡る。

 

(俺は鬼殺隊を抜けなければならないのか? いくら妹とはいえ鬼を連れている剣士なんて認められない・・・・み、ミコトに助けて・・・いや、ミコトに鬼殺隊を敵に回すことを頼むなんてでき

 

 

 ――ドン

 

 なんだ!?し、しまった走るのが精一杯で)

 

 逃げるのに必死だったために何時もなら特殊な嗅覚で気づいたはずなのに人の接近に気づかなかった。背中にきた突如の衝撃に前のめりに倒れ込み禰豆子は少し先に放り出されてしまう。

 

(滅の文字!鬼殺隊!!)

 

 眼の前に降り立った蝶の髪飾りを着けた女性隊士を見た瞬間に背中の滅の文字を見て鬼殺隊と理解する。

 禰豆子に刀が振るわれた瞬間に女性隊士の身に付けていた羽織を引っ張り逸らさせる。女性隊士は炭治朗の背中の上に乗る形になる。

 

「逃げろ禰豆子! 逃げっ『ゴン』・・・っ」

 

 禰豆子に呼びかけるが背中の上に乗った女性隊士の踵落としを喰らって気絶する。そして女性隊士は逃げた禰豆子を追う。

 

 

 ☆

 

 

 

「ん?今なんか叫び声が聞こえた?」

「聞こえたな」

「・・・!犬さん走る速度上げるよ!」

「おう」

 

分からない。なんだか分からないけど嫌な予感がする。禰豆子ちゃんの気配が近いから急いで行くか。もう一段速度を上げよう!

 

 向かう先には鬼殺隊士から逃げる禰豆子の姿が有った。しかも刀を振り下ろす所だった、だかその瞬間に足に力を集中して一気に駆け隊士と禰豆子の間にわって入り刀を受け止める。

 

(誰?隊服を着てない。一般人? でも刀を持ってる。日輪刀? 私の刀を受け止めた。普通の隊士よりも強い、ならやはり・・・考える必要は無い。言われた通り鬼を斬るだけ)

「犬さん!禰豆子ちゃんを連れて逃げろ!」

「おうとも!背に乗れ禰豆子!」

「む!」

 

 小さな子供の姿になると言われた通り犬さんの背中に乗り犬さんにしがみつく。背に乗ったのを確認すると一気に走り出す。ミコトはその姿を横目で確認すると眼の前の隊士に向き直る。

 

このこ強いな。恐らく炭治朗以上に、てかこの子の蝶の髪飾り何処かで見たような?

 

「どいて。鬼を庇うのは隊律違反」

「なんで鬼殺隊の隊律を俺が守らないといけないの? 禰豆子ちゃんを斬りたいのなら俺を斬り倒してからにしろ」

「・・・分かった」

(分かったのかよ・・・隊律違反は斬首刑にでもなんのかよ)

「花の呼吸 弐ノ型 御影梅」

 

 彼女は自分中心に周りに連続の攻撃をする。それに合わせミコトも受け流し攻撃をする。

 

攻撃をするが全部ギリギリで受け流される。凄いな・・・。

 

「ならこれはどうだ?」

「・・・!」

 

 ミコトは足払いで相手の体勢を崩させるが女性は即座に少し飛び体を捻り地面と水平になる。

 

「陸ノ型 渦桃」

 

上手いな。足払いを利用して相手の不意を突つか。そして体を捻りその勢いを利用しての攻撃ね~だが。

 

「我流剣術 渦雷」

 

 ミコトも渦を巻くような攻撃で対応する。お互いの攻撃で刀がぶつかり甲高い音が鳴り響く。そしてお互いの攻撃は空中で足場の無い女性隊士より地に足が着いているミコトに分があった。

 

「・・・ッ」

 

弾き飛ばしたが上手く着地したか。なんかどことなく錆兎の使ってた水の呼吸に似てる気がする。

 

「禰豆子ちゃんのことは諦めてくれない?」

「ダメ。私の命令は鬼を斬ること」

「あっそう」

 

「肆ノ型 紅花衣」

「第肆秘剣 木枯らし風牙」

 

 

 

 

 

 ミコトと女性隊士が戦っている間に犬さんはかなりの距離を稼げたが運悪く逃げた先には先に避難し、集合した多くの隊士や駆けつけに来た事後処理部隊『隠』がいた。

 

「お、おい犬がいるぞ」

「え?あ、ほんとだってねえ」

「ああ、あの犬の背にいるの鬼だ!」

「動ける隊士は全員刀を持って!」

 

 立ち止まった犬さんは離れた先に居る隊士全員が刀を持って向かって来たのを確認した犬さんは苦虫を噛み潰したような顔になる。

 

「マズった。悪い禰豆子、着けてる鞄の中に入ってる煙玉を取ってくれ」

「むー!・・・む?」

「そうそれだ。ありがと」

「むーむ」

「それを彼奴らに投げろ!」

「むー・・・?」

「大丈夫。それは煙玉で人間を傷つける物じゃないよ」

「むー!むーむ!」

 

 ボンボンと音を立て玉が破裂して白い煙が辺り一面に立ちこめる。それにより向かって来ていた隊士達は視界を遮られ犬さんと禰豆子を見失う。

 

「さて・・・ミコトん所もーどろ」

「むー!」

 

 

 

「ハアハアハア 伍ノ型 徒の芍薬」

 

弓形の連続斬撃。でも全部受け流せる。 にしても綺麗な型だな、正しく花のようだ。

 

「そろそろ終わらせたいから・・・ごめんね」

「・・・!?」

 

 ミコトは最後の斬撃を柄尻で受け止めると側面を殴り相手の刀をへし折る。これにより事実上女性隊士は戦闘が不能になる。

 

「剣士の命である刀を折るのは悪いと思ったが仕方無いよね」

「おーい!」

「お?犬さんなんで戻って来たの?・・・しまった!」

 

 犬さんに声をかけられ思わず振り返った刹那自分から視線と気がそれた事に察した女性隊士はミコトの横を猛スピードで通り過ぎ犬さんの上に跨がっている禰豆子の頸を折れた刀で狙う。

 流石に折れた刀までも使うほど執念深いとは思わず反応が遅れてしまう。

 

「カー!伝令ー伝令ー!カァァァアアア!!」

 

 だがそれを突如現れた鎹烏の声が止める。

 

「炭治朗・禰豆子!両名ヲ拘束本部へ連れ帰ルベシ!!桃眼ノ鬼狩リ大和ミコトヲ本部へ案内セヨ!!カアアアア!!」

 

 その伝令は那田蜘蛛山に来ていた隊士並びに隠に伝わった。

 

「炭治朗及ビ鬼ノ禰豆子、拘束シテ本部ヘ連レ帰レ!!桃眼ノ鬼狩リ大和ミコトヲ本部へ案内セヨ!!」

「炭治朗額ニ傷アリ!竹ヲ噛ンダ鬼禰豆子!白髪黒羽織ミコト!!」

「那田蜘蛛山ノ鬼ハ()()討伐サレタ!隊士ハ直グ帰投セヨ!」

 

「貴女は桃眼の鬼狩り大和ミコト?」

「そうだよ。因みに俺は男な」

「その鬼は禰豆子?」

「そうだよ。因みに君の名前は?」

「・・・」

「・・・?」

「・・・」

「人に名を聞いたんだから名乗ろうよ。まず人に名前を聞くときは自分から名乗るものなんだよ」

 

「・・・私は栗花落カナヲ」

「栗花落?胡蝶じゃ無いんだ。さっき思い出したけどその蝶の髪飾りしのぶさんや忍さんのお姉さんが着けてたやつに似てるけど・・・」

「なあミコト、そんなことよりも禰豆子が入っているあの背負い箱探そうぜ。禰豆子寝ちゃったし、日が昇りそうだ」

「そうだね。そうだ、この山の中に増援できた鬼殺隊は何人?」

「・・・」

「まただんまりか。まあいいや、行こうか犬さん」

「おう」

「禰豆子ちゃん落とすなよ」

「誰にものを言っている!」

「ははは」

「あら、ミコトさん・・・?」

「おや、しのぶさんと富岡さん」

 

 行こうとした先から禰豆子の箱を持ってるしのぶと富岡が現れた。そのあとカナヲは入山してきた隠と保護した隊士達の護衛任務に当たる。

 そしてその場には禰豆子の入った箱を背負ったミコトと犬さん、しのぶ、富岡が残った。

 

「ミコトさん本当にこの山に来ていたんですね」

「ええまあ」

「あれからはや半年、鬼殺隊加入の返答を聞かして貰えるんですね」

「はい。まあ産屋敷さんの前でですけどね」

「そうですか」

「あ、そうだ、この山に来た新たな増援は何人ですか?」

「隊士は私と富岡さんそして先ほどの私の継子のカナヲの三人です」

「なるほど。三人で山の中にいる他の隊士の救援できるんですか?」

「既に隠の方々が隊士を救援、保護をして下山してます。ですのでもう山頂付近には誰もいませんよ。因みに炭治朗君?も既に保護したと報告がありました」

「そうですか。なら一緒に下にいきましょ」

「はい」

「富岡さんは一言も返してくれなかった・・・」

「仕方無いですよ」

「どんまいミコト(上手いこと増援人数聞いたな。これで美久が見つかる心配はなさそうだな)」

「さて行こうか犬さん。いざ!鬼殺隊本部へ!!」

「おう」





~大正コソコソ噂話~

ミコトは下山中も沢山話していたが、それに対して富岡は一言も会話に入らず内心ミコトは富岡に嫌われていると思い落ち込んでいた。


~ちょびっと設定~

母蜘蛛は大人の姿の時はミコト以外の人間相手の時は強気だが、子供の姿の時は凄い弱気です。



更新遅れてスミマセンでした。少し指の骨をポッキリとやってしまってなかなかPCを使わして貰えず・・・これからも遅れると思います!


良ければ評価や感想お願いします。
出来れば桃並みの甘さで。

皆さんもスマホをしながら自転車に乗ってる人には気を付けましょう!


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第18話:柱合会議2

更新再開します!


「久し振りだな!ミコト少年!犬殿!」

「お久しぶりです。煉獄さん」

「久しぶり」

 

那田蜘蛛山でしのぶさん達に会った後はしのぶさんの案内でまたやってきた鬼殺隊本部。あの体中に傷のある人、確か不死川さん?は居ないから知らんが他の人達は元気みたいだ五体満足で居られてよかった。

・・・前回と違って今回は季節的に暖かいな~。

 

「・・・」

「な、んですか?」

 

ナンカスゴイみられてるのは何でだろう?他の人達もそうだし・・・俺なんか変かな?てか何気に犬さんがさっきから時透さんにもふもふされてる。分かるよ!この季節の犬さん凄くもふもふしてお日様の匂いするんだよね!

 

「ミコト少年!前の時より更に強くなったみたいだな!」

「そりゃあ毎日鍛錬してますからね。1日のサボりは十日分の遅れになりますから」

「うむ!良い心がけだ!」

「あ、あのー、よく迷い無く此所に来れましたね」

 

煉獄さんの後ろから甘露寺さんがオロオロしながら出てきた。

 

「そうですね。那田蜘蛛山で丁度しのぶさんに会ったからです。あと富岡さ、ん・・・富岡さん遠い!?」

 

なんであんなに遠いの?なに?嫌われてるの?・・・そんなことは無いか。・・・無いよね? ね!

そういえば炭治朗は?

 

「・・・!炭治朗!」

「ミコト少年、あの者が」

「炭治朗。鬼を連れた者で、俺の友達です」

「・・・そうか」

 

煉獄さんや他の人が何考えてるみたいだが、俺はとにかく炭治朗を起こすために炭治朗の下まで行く。

 

「隠の方後は俺がします」

「あ、はい・・・貴女は?」

「俺は桃眼の鬼狩りです」

「・・・!?あ、貴女が!?し、失礼しましたぁあああ」

 

ええー。走って逃げなくても良くない?悲しむよ?まあ今はいいや炭治朗が先。

 

「起きて炭治朗。・・・おーい!起きろ!・・・起きない・・・起きろ!もう朝だぞ!!」

「う、うう。ミ、コト?・・・此所は?それにその人達は?」

「此所は鬼殺隊本部。この人達は柱って言われる人達だよ」

(柱・・・!?柱ってなんだ?何のことだ?)

「先ほどミコトさんが言いましたが此所は鬼殺隊本部です。そして貴方は今から裁判を受けるんですよ。竃門 炭治朗君」

「裁判!?流石にいきなりすぎじゃあ!」

 

 しのぶの説明で裁判の言葉にミコトは反応するが当の炭治朗はそんな事より禰豆子の入っている箱が見えず辺りをみていた。

 

「ミコト!禰豆子は!?禰豆子は何処に!!」

「お、落ち着いて炭治朗!禰豆子ちゃんの気配はこの本部にあるから大丈夫まだ殺されてないよ」

「こ、ろす?なんで!ね、禰豆子は鬼だけど人を食べたりしない!妹は俺と一緒に戦えます!鬼殺隊として人を守るために戦えます!!」

「オイオイ!なんだか面白いことになってんなァ」

 

 不適に笑みを浮かべ現れたのは風柱不死川だった。そして不死川の手には禰豆子が入ってる箱が有り、後ろには慌てた隠の人が二人居た。

 

「困ります不死川様!どうか箱を手放してください!」

「鬼を連れたバカ隊員はそいつかィ? 一体全体どういうつもりだァ?」

 

 苛立ちを隠しもせず、声色に憤怒を滲ませる不死川。

 

「不死川さん、勝手なことをしないで下さい」

 

 しのぶは勝手なことをする不死川を止めようとするがその声には確実に怒気が含まれていた。

 

「鬼が何だと?坊主ゥ鬼殺隊として人を守る為に戦えるだァ?」

「・・・!」

 

 不死川が刀を抜き掲げた瞬間にミコトは一気に不死川との距離を詰め不死川の腕と箱の肩紐を掴む。

 

「ああ”? 手ェ離せやガキィ」

「ならまずはお前が離せよ傷顔」

 

此奴、速い!!俺が肩紐を掴んだ途端に此奴も肩紐を掴みやがった!

 

「さっき炭治朗が言ってたが禰豆子ちゃんは人を守れる」

「だからなんだァ?それだけでこの鬼が人を喰って無い証拠にはならねェだろうがよォ。 鬼は斬る、鬼を庇い立てする馬鹿隊員は斬首刑なんだよ」

「知るか!俺は鬼殺隊じゃねぇ」

「なら部外者が口を出すなよなァ」

「出すね!俺は鬼殺隊じゃあ無いが、炭治朗と禰豆子ちゃんは友達だ!友を眼の前で傷着けられそうになって黙っていられる奴は居ねえよ」

「・・・ミコト」

 

 炭治朗はミコトに自分たちの事で鬼殺隊と揉め事を起こさせない、迷惑を掛けないでいようと決めていたのに蓋を開けてみれば大きな迷惑をかけてしまった事に唇を噛む。

 

「だから離せ。柱のくせに人を喰ったかそうで無いかの区別も出来ないのか? 禰豆子ちゃんは人を喰わない!それどころか、人を守れる・・・!」

 

 額に青筋が浮かび上がり威圧感が増したことを理解した瞬間にミコトは視界が激しく揺れ動き体がくの字になる。

 

「ガッ!」

 

 不死川はミコトを蹴り飛ばしたのだ。

 蹴り飛ばされたミコトは数回地面を跳ね池に落ちそうになるが、急いで先回りをしたしのぶがミコトを受け止めるが勢いが強すぎて完全に受け止め切れずに、一緒に池に落ちそうになるが煉獄がミコトを受け止めたしのぶを受け止める。

 

「ミコト!! このクソガキがぁぁあああ!!!」

 

 犬さんはミコトが蹴り飛ばされた瞬間に自分を撫でていた時透を振り払い、毛を逆立て不死川に牙を向く。

 

「まって犬さん・・・」

 

 だがミコトは急いで犬さんを止める。

 

「大丈夫ですかミコトさん」

「グッ、あの野郎!・・・!」

「「止めろぉおお!!」」

 

 そしてミコトが顔を上げると不死川が箱を突き刺す姿が見え、止めに行こうとするが蹴られた箇所が痛み動けなくなりその代わりに叫ぶ。その声は炭治朗と被り次には、炭治朗が不死川に向けて走り出してる姿が見えた。

 

「禰豆子を!俺の友達を!傷付ける者は!誰だろうと許さない!!」

 

 炭治朗は高く跳躍すると不死川を睨みながら落下の勢いを使い不死川の額に思いっきり頭突きをかます。

 

「ヒィ!」

「ど、どうしたんですか?ミコトさん」

 

 ミコトはゴンと聞こえ炭治朗の頭突きを見た瞬間に脳天を両手で押さえ怯える。その行為を不思議に思いしのぶが訪ねる。

 

「前に炭治朗の頭突きを脳天に喰らって気絶したんです」

「それは痛いな!不死川も鼻血が出るぐらいの強さだからな!」

(死不川さんは自業自得の面もありますが・・・頭蓋骨は大丈夫でしょうか?)

 

 頭突きをした炭治朗は起き上がり不死川を睨む。

 

「善良な鬼とそうで無い鬼の区別が出来ないなら、柱なんて止めてしまえ!!」

「テメェ!」

「風柱ぁああ!!」

 

 体をおこした不死川が炭治朗を睨むとミコトが叫ぶ。全員がミコトを見ると蹴られ痛む左横腹を押さえながらも立ち上がり、不死川を睨むミコトの姿が入る。

 

「それ以上!炭治朗と禰豆子を傷付けるのなら!俺はお前を・・・敵と見なす!」

 

――パン!!

 

「「「!?」」」

 

 殺伐とした雰囲気が流れるその場に突如強く手を叩く音が聞こえ全員が音のした方を見る。

 

「不死川、刀を収めろ」

「だが悲鳴嶼さん」

「不死川、お前が足蹴にしたミコトは私達柱と同等の強さを持つが一応は一般人だ」

「・・・!」

「それにそろそろお館様がお見えになる。これ以上勝手なことをすればお館様を悲しませるだけだ」

 

 そう言われれば、不死川は苦虫を噛み潰した様な顔になり刀を鞘に収める。それを見たミコトは横腹を押さえながら炭治朗の元に向かう。だがその前に犬さんがミコトの元に駆けつける。

 

「ミコト大丈夫か?骨折れてないか?」

「大丈夫だよ。体の丈夫さは俺の取り柄だから」

「だが無茶はしないようになミコト少年」

「はい」

 

 煉獄に言われミコトは忠告を受け入れる。そしてしのぶに肩を貸してもらい炭治朗の下に来たミコトは先に炭治朗の心配をして禰豆子の箱を取りに行きまた戻ってくる。

 

「ごめんミコト。迷惑掛けて本当にごめん」

「気にすんな。あの時言ったろ?信じるって。だから迷惑なんて思って無いよ。てか友達なんだから迷惑掛けてもいいだろ」

「ありがと」

「むー」

「禰豆子もありがとうだとよ」

「犬さん禰豆子ちゃんが何言ってるか分かるの?」

「分かるぞ?」

「どこでそんな技術を」

「「お館様がお成りです」」

 

 二人の子供の凜とした声が聞こえると炭治朗以外の全員が膝を突き頭を下げる。

 

「よく来たね。 私の可愛い剣士(こども)

 お早う皆、今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと嬉しく思うよ」

(傷・・・?いや、病気か?この人がお館様?)

「炭治朗この人は鬼殺隊の1番のお偉いさんだよ。だから頭を下げた方がいいよ」

「う、うん」

 

 現れた男が誰か考えていたがミコトが説明をして頭を下げる事を進める。

 

炭治朗が正座をしようとしてるが怪我で動くのがしんどそうだから体を支えて手伝う。俺も横腹が泣き叫びたいほど痛い。もし父さんと母さんの子で兄さんの弟じゃ無かったら叫んでた。泣き叫んでた!!

 

「久しぶりだねミコト。また来てくれて嬉しいよ。ありがと」

「えへへ~じゃなかった。お招き頂ありがとう御座います」

「元気そうで良かったよ」

「はい。えーと、

 お館様におかれましても御壮健で何よりです。

 益々のご多幸を切にお祈り申し上げます」

「「「「・・・」」」」

 

え?なに?何か皆が目を見開いてこっちを見てるんだけど。あ、煉獄さんはいつもか。てか、産屋敷さんのお子さん?達も俺を驚いた目で見てる・・・ナンデ??

 

「あの~なにか?」

「ミコト少年!」

「はい?」

「よくお館様への挨拶の言葉を知っていたな!」

「え?だって前回しのぶさんが隣でいってたの覚えていたので・・・間違えてましたか?」

「いや、合ってるよ。ただ私も含めて誰もミコトが言うとは思って無かったんだ。柱の子達以外の誰かに言われるのは初めての事だったからね、新鮮で良いね」

「はぁ・・・」

 

いやだって、産屋敷さんに健康を気遣われていたからそんな感じのいわないとと思ったんだもん流れ的に。あとただたんに言いたかっただけなんです はい。だから甘露寺さん!そんなに私が言いたかったって顔で見ないで下さい・・・!

 

 と、ミコトは思っていたが実際に甘露寺が思っていたことは

 

(す、凄いわミコト君!私が初めて言ったときは何度も噛んじゃったうえに言う言葉を忘れちゃって何度もお館様に気を使わせちゃったのに。半年前に一度聞いただけで覚えて初めて言うのに一発で言い切れるなんて凄いわ!)

 

 だった。

 

この後は産屋敷さんが皆に禰豆子ちゃんの事を認めて欲しいと言うがやっぱり皆は否定の立場だった・・・煉獄さんも。あの時の気まずそうな目線はそうゆうことか。

そして分かった事が一つ。もし禰豆子ちゃんが人を食べたら炭治朗、鱗滝さん富岡さん、真菰が腹を切ってお詫びするって。

 

「そして炭治朗は鬼舞辻と遭遇している」

 

まじか!?俺も遭遇したけど炭治朗も遭遇してたんだ、よく生きてたな。まああの臆病者が逃げたんだろうな~。

 

「分かりませんお館様。人間ならば生かしておいてもいいが、鬼はダメです、承知出来ない」

 

やっぱり。

 

「ならこうしましよう」

 

 ミコトは箱を手に取るとお館様を見る。

 

「産屋敷さん」

「なにかな?」

「部屋に上がらして貰ってもいいですか?」

「うん、いいよ」

「失礼します」

 

 少し頭を下げると一瞬で部屋に上がり日の当たらないところに移動して箱を開けると、中から禰豆子が出てきて立ち上がる。

 

「禰豆子ちゃんごめんね」

「む?」

 

 悲痛の顔で禰豆子に謝ると、刀を握った瞬間に刀を引き抜き禰豆子の心臓を刺し貫く。

 

「むっ!」

「ね、禰豆子ぉおおおおお!」

「ごめん、禰豆子ちゃん炭治朗。これも二人の為なんだ」

 

 ミコトは炭治朗に顔を向けて謝る。それに普通は嘘だと思うが炭治朗はミコトからもの凄い罪悪感の匂いを感じ取った為に、ミコトに恨みごとを言えなくなった。

 そしてミコトは刀を捻り禰豆子の心臓に更に大きいダメージを与えると刀を引き抜き、自分の左腕を切りつける。

 

「産屋敷さんは俺のこと詳しかったですよね?それなら俺の血のことも知ってますか?」

「知ってるよ。ミコトの血は実弥同様、希血の中でも更に希少な希血だと聞いてるよ」

「正解です」

「だがそれだけじゃ無い」

 

 お館様の言葉に付け足しの様に犬さんが喋る。

 

「ミコトは例え怪我をしていなくてもその希血の匂いで鬼を引き寄せる。しかもミコトの血の効果は食欲増加ときた。今の禰豆子の目の前には豪華絢爛なご馳走があるように見えてるだろうな。まず普通の生き物では耐えられない空腹で目の前にはご馳走。もう一種の拷問だ」

 

 犬さんの説明も正しく今の禰豆子はミコトの血を見た瞬間に大量のよだれを垂らして、ミコトの腕に手を伸ばす。

 

「ね、ねず ガァ! 禰豆子!」

 

 禰豆子の元に駆け寄ろうとした炭治朗を不死川は地面に叩きつけ押さえつける。

 

「不死川さん。強く押さえすぎです」

「この坊主が暴れようとするからだァ」

「そうだ炭治朗。お前はそこで禰豆子を信じて見てろ」

 

 そういうとミコトは更に禰豆子に血の流れてる腕を近づける。だが、

 

「む!」

「・・・!?」

 

 禰豆子は伸ばしていた腕を爪が深く食込むほど強く握り、ミコトに近づける腕を止め、顔を逸らす。それだけで柱全員は驚くがそれだけでは無かった。

 不死川に強く押さえつけられている炭治朗を見た瞬間に禰豆子は畳を鷲掴みにして持ち上げる。皆は何をしようとしてるのか分からなかった。

 

「うそ」

 

 だが、畳を落とすと炭治朗を取り押さえてる不死川に向けて思いっきり蹴り飛ばす。全員が驚いたが咄嗟に不死川は刀を抜き畳を切り裂き衝突を回避する。そしてそのあとは禰豆子の唸り声だけが聞こえる。

 

「どうなったのかな?」

「はい。禰豆子さんはミコト様に心臓を刺し貫かれミコト様の希血を目の前にされても食べること無く、伸ばした腕を掴み顔を背けました。最後に畳を使い炭治朗さんを取り押さえていた不死川様に攻撃を仕掛けました」

 

 説明を聞くと正面に向き直り、口を開く。

 

「これで禰豆子が人を食べたいという証明が出来たね」

 

そう、これで禰豆子が人を食べない証明は出来た。けど、これは流石に炭治朗と禰豆子ちゃんには嫌われたかな?あ、やばい泣きそう。・・・ん?

 

「俺は・・・俺と禰豆子は鬼舞辻無惨を倒します!! 俺と禰豆子が必ず!! 悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るう!!」

「今の炭治朗には出来ないから、まずは十二鬼月を一人倒そうね」

「・・・はい//」

「炭治朗、その心意気は良いけどまずはやっぱり十二鬼月の下弦を簡単に倒せるようにならないと。そして今の柱の人達の最低でも五人には禰豆子ちゃんのことを認めてもらうのが先だね」

「うん」

「それで禰豆子ちゃんを刺したのはごめん。この方法しか思いつかなかったんだ」

「大丈夫。ミコトが俺達の為にした事だってのは分かってるから」

「ありがと」

 

 礼を言うと禰豆子の入ってる箱を炭治朗の近くに置く。

 

「炭治朗の話はこれで終わりだね。下がっていいよ」

 

いよいよ次は俺の番か。って炭治朗はしのぶさんの所で預かるのね。まあ当然かな?ある意味しのぶさんの蝶屋敷は鬼殺隊の生命線みたいな所もあるしな・・・な! あ、出てきた二人の隠の人凄い勢いで俺に頭を下げて行った・・・なぜ?

 

「さてミコト」

「はい」

「とりあえず怪我の手当をしようか」

「あ、このぐらいなら唾を付けて縛っておけば大丈夫です」

「駄目ですよミコトさん。ちゃんと手当をしなくては」

「でもしのぶさん。そんな大げさな傷じゃあ」

「駄目です」

「時間が勿体ないですよ」

「駄目」

「でも」

「駄目だと言っているでしょ? ちゃんと手当をします。異議は認めません。いいですねミコトさん」

「は、はい」

 

こ、怖ーよー!なにこのしのぶさん。めっさ怖い!? しのぶさん凄い微笑んでるけどもの凄く怖い。何か黒影が出来てゴゴゴゴゴゴといった感じの音が聞こえる。怖ーよー。あ、部屋に移動するのね、前に使った部屋か。

 

 

手当して貰って移動中もしのぶさんずっと後ろにいて微笑んでるんですけど!! 怖い! 煉獄さん!!

 

「・・・」メソラシ

 

眼逸らされた!?怖い!泣きそう!!助けて!炭治朗ぉぉぉぉおおおおお!!!!





~大正コソコソ噂話~

ミコトは傷の手当て中ずっとしのぶに怒られていたようです。

そしてミコトの中でしのぶは母同様に怒らしてはいけない人認定しました。





良ければ評価や感想お願いします!
出来れば桃並みの甘さで!


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第19話:柱合会議2②

 

 

「ミコト。私はねミコトには鬼殺隊に入って欲しいと思っている」

「はい」

「でも一方的にそれだとミコトの意にそぐわない事をさせる。だからミコトには外部協力者と言った感じになって欲しいんだ」

「はい・・・?外部協力者ですか」

「そう。そしてミコトに協力して貰う為にミコトの利益になることを此方も提示しないとね」

「?」

「一つ、鬼殺隊に属して無いために隊律に従う必要は無い。

 二つ、自由に蝶屋敷並びに藤の花の家紋の家を使っても構わない。

 三つ、都合が悪ければ討伐の依頼を断っても構わない。

 四つ、我々鬼殺隊は絶対にミコトの(人生)の侵害しない。これでどうかな?」

 

 口に手を添えて考えるミコトに「金銭援助も行なうよ」と最後に付け加える。

 

「産屋敷さん」

「なにかな?」

「分からない」

「?」

「何故そこまで?そこまでして貴方になんの利益がありますか?全くない。それほどまでの条件を出さなくてもいいはずですし、何より俺は勝手に鬼を殺しますのでそこまでして俺に利益にしかならない条件を出して引き込む理由がわからないんです」

「簡単だよ。ミコトはこの2年間の間に多くの人達を助けてくれた。ミコトが居なかったらそれこそ数え切れない数の人達が死んでいただろう。この条件の中にはそのお礼の意味も入っているんだ。それにミコトに助けて貰った子が多く居るからね、ミコトが鬼殺隊の外部協力者に成ったと隊全体に広がれば士気が上がると思ってるからね」

「なるほど・・・犬さん」

「ミコトが決める事だ」

「え」

「オレはミコトがどんな判断をしようとオレはミコトについて行く」

 

やっぱり犬さんは優しいな。 さて、この条件は悩む必要が無いな。特に1つ目の隊律に従う必要が無いのが良いな。これなら鬼を庇っても問題は起きな、い・・・っ!?

 

 ミコトは「まさか!」と言いそうになったのを抑えお館様を見る。そして見られたのが分かったのかお館様はニッコリ微笑むと人差し指を立て口元に持って来る。その仕草を他の隊士は何か分かってなかったがミコトだけは理解した。

 この人は那田蜘蛛山で子供の鬼を庇ったことを知っていると。

 

「産屋敷さん。俺、桃眼の鬼狩り 大和ミコトは条件を受け入れ、鬼殺隊の外部協力者になります」

「ありがと、ミコト。 それでは柱合会議を始めようか」

「あ、それでは俺はこれにて失礼します」

「待ってくれるかいミコト。柱合会議の最後に大事な話があるんだ」

「?分かりました。では部屋の隅っこで待ってます」

「ごめんね」

 

 ☆

 

 

あれから長い時間話して隊士の質の話をしている。・・・眠い。

 

「ここ最近、槇寿朗さんやカナエさんのお陰で、隊士の質が上がりつつある」

 

上がりつつなんだ。てか話に出てきたカナエ?槇寿朗?って誰だ?まあいいか、関係無い人達だしな。

 

「・・・・・だが、それも一部のみ。殆どはダメだ、那田蜘蛛山の事件でも勝手に下山して逃げる者もいた。まず、育手の目が節穴だ。使えそうな者とそうで無い者の判断は付きそうなのになァ」

「へー。炭治朗はかなり良い方だと思うけどな」

 

 ミコトの何気ない呟きに柱全員はミコトを見る。その中でも不死川は殺しそうな程怖い目でミコトを睨みつける。

 

「うむ!竃門少年の頭突きはミコト少年ですら気絶させる程の威力があるみたいだしな!」

 

 ミコトを庇うかの様に煉獄が喋る。それに興味を持ち甘露寺が訪ねる。

 

「ほ、本当に気絶したんですか?」

「はい。あの時は俺も初めて禰豆子ちゃんを見て、殺そうとしたら炭治朗が庇ってその炭治朗を攻撃をしたら禰豆子ちゃんが身を盾にして炭治朗を庇ったんです。それで禰豆子ちゃんがどんな鬼か考えていたら油断して炭治朗の勢いの乗った頭突きを脳天に喰らったんです」

 

 頭をかきながら「いやー痛かった。あはは」と笑うミコトにたいして不死川は鼻で笑い口を開く。

 

「あの程度の頭突きで気絶するとかなってねえァ」

「うるせえよ。ボロボロで後ろに手を縛られてたにも関わらず正面から来た炭治朗の頭突きをモロに喰らって鼻血出してた奴がどの口で言うか。あと俺はアンタに蹴り飛ばされたこと未だ許してないからな?」

 

 それだけ言うと、不死川は苦虫を噛み潰した様な顔に成る。この遣り取りを聞いていたお館様に「二人は仲良しだね」と言われミコトは思わず「どこが!?」とツッコんでしまう。

 

「それで、産屋敷さん・・・お館様?」

「呼びやすい方で良いよ」

「それでは産屋敷さん。俺を残したのは何故ですか?柱合会議ももう終わりですよね?話の流れてきに」

「そうだね。今からの話はミコトも大事なことになってくるから聞いて貰いたいんだ」

「?」

「呼吸の始まりの剣士達の話になってくるんだ」

 

 そしてお館様が手を叩くと襖を開けて一人の男性が入って来る。その人を見た瞬間にミコトは目を大きくし驚いた後に鋭く睨み付け口を開く。

 

「飲んだくれのクソ野郎・・・!」

 

 入って来たのは元炎柱にして杏寿朗の父、煉獄 槇寿朗だった。

 部屋に入るやいなやミコトの言葉を聞き槇寿朗は気まずく、ぎこちない表情を作るしかなかった。そしてそんな父を思って杏寿朗が助け船を出す。

 

「すまないミコト少年。あの時は荒れていたが今は心を入れ替え隊士達の指導をしているんだ」

 

 助け船のはずだ・・・。そして槇寿朗はミコトの顔を見ると頭を深々と下げる。

 

「あの時はすまなかった、ミコト君」

「え?」

「あの時は瑠火が死に、信じられない事実を知り自暴自棄に陥っていた。そして才能の有る君にいわれのない暴力を振るってしまった。本当にすまなかった」

 

 再度頭を深く下げる槇寿朗をミコトは瞬き一つせずしばらく見るとふと我に返り咄嗟に杏寿朗の羽織を引っ張り距離を詰める。

 

「れ、煉獄さん」

「なんだ?」

「失礼ながら、あの人本当に俺が会ったあの人ですか!?あんなに無精ひげ生やして酒臭かった人が何が有ったらこんなに変わるんですか!!男子三日会わざれば刮目せよって言うけど変わりすぎでしょ!?」

「うむ!父上が変わったのはミコト少年のお陰だ!!」

「はい?」

 

 どうゆう意味か分からず首を傾げるミコト。そして頭を上げた槇寿朗が口を開く。

 

「あの時君に言われた通り、今のままでは死んだ後に瑠火に会えない。会っても必ず叩かれて呆れられていただろう」

「それで心変わりを?」

「そうだ。今更だが杏寿朗と千寿朗が胸を張って自慢できるような父になることを決めたんだ。大事な事に気づかせてくれて、ありがとう」

「ど、どういたし、まして。変われたのならよかったです」

「ミコト、そう思っているなら煉獄・・・杏寿朗の羽織を掴んで隠れるな」

「うっ、はい」

 

 犬さんのツッコミに甘露寺としのぶと天元は笑いを少し我慢していた。そして槇寿朗はお館様の方を向く。

 

「お館様。柱合会議という貴重な時間でミコト君と話す機会を頂き、ありおがとう御座います」

「気にしなくて良いよ。 それじゃあ始めようか。 槇寿朗、皆に説明を頼むよ」

「御意に」

 

そして槇寿朗さんから語られたのは信じられない物だった。

 

はじまりの剣士―――その名を、継国縁壱。

 

 

 

驚異的な身体能力を持ち、更にはそれを限界以上に引き出せる技法―――はじまりの呼吸、『日の呼吸』を生まれつき身に着けていたという、天才。

その呼吸から繰り出される剣術は日輪が如く鬼に極めて有効な威力を生む。

当時の鬼殺隊は、この呼吸を身に着けるべく努力したのだが出来た剣士は皆無だった。

適性の問題か、或いは肉体への負担か……様々な要因から、習得まで辿り着けた者は誰一人としていなかったのだ。

唯一可能性を期待されていた、縁壱の実兄ですら……日の呼吸を身に着ける事は、叶わなかったという。

 

だが、そんな最強の剣士、縁壱ですら無惨を倒すことが出来なかった。

そして呼吸を極めた者達は皆、痣と呼ばれる物を発現した。そして、その者は皆25歳を越える者はいなかったらしい。

 

凄い内容だったが俺に関係してるか・・・?

 

「そしてそんな最強剣士 継国縁壱と背中を預け肩を並べて戦った者が一人。 その者の名は、

 

 桃眼の鬼狩り 大和 神子之彦」

 

「・・・!? 俺のご先祖様・・・」

「そう、ミコト君。君のご先祖様、神子之彦さんは縁壱さんの次に最強と呼ばれていたらしい。鬼殺内で呼ばれていた異名は剣鬼」

「そうなんだ。私の家、産屋敷家にある書物も同じ内容だった。 それでね、私の家と煉獄の家の書物でも分かったんだけどね。

 

 

 

 

 犬さん・・・貴方様は一体何者なのでしょうか」

 

 

 

 

「え? 産屋敷さん、なにいって」

「全く。彼奴らには彦と俺の事は書物に残すなとあれほど言っておいたのに」

 

 犬さんは伏せていた状態から座った状態になる。その姿を見た者はみな、犬さんが只の犬ではないことを理解する。





~大正コソコソ噂話~

今回の柱合会議ではミコトが居るために槇寿朗は呼ばれるまずっとそわそわして待っていました。


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第20話:過去とそれから

「・・・全く。彦と俺の事はあれほど書物に残すなと言ったのに」

「い、犬さん?」

「悪いなミコト・・・今まで黙ってて」

「え」

「産屋敷。柱合会議なんて大事な所で聞いてくるんだ、お前が知りたいのは過去。彦や縁壱・・・始まりの剣士達が居た時代の事か・・・?」

「貴方が見て聞いた事を聞きたいんだ。教えてくれるかい?」

「そのうちミコトにも話さないといけないと思ってたから良い機会か。だが、オレは彦と過ごしてきたからオレが話せるのは彦が中心になるが良いな?縁壱の事は大体槇寿朗が話したから」

「うん。お願いするよ」

 

い、犬さんの雰囲気が今までと違う。

 

 

そして犬さんから語られたことには驚いた。

神子之彦様は山中の集落で育ち犬さんと出会った。そのまま楽しい日々を過ごしたけどある日、夜まで山で仕事をして変えると集落は複数の鬼に襲われたらしい。

彦様は死んでいた鬼殺隊の刀を使って鬼を殲滅したみたい、そしてその時には彦様は既に桃の力を使っていたらしい。その後は俺と同じでしばらく鬼狩りの旅をしていた。だがある時、鬼殺の剣士 継国 縁壱と出会った。

 

縁壱のすすめで彦様は鬼殺隊に入り僅か一月で柱になり、一年で縁壱さんの次に最強と呼ばれる剣士になった。2年間鬼殺隊で過ごしていたみたいだが、ある日彦様は任務で遠出にから帰ると縁壱さんが鬼殺隊を追放されたという。

理由は、一つ、始祖の鬼 鬼舞辻無惨を取り逃がしたこと。

    二つ、女の鬼を見逃したこと。

    三つ、縁壱さんの兄、国継 巌勝が当時の産屋敷家当主を殺しその頸をもって鬼に寝返ったのが理由だったらしい。

 

烏からその報告を聞いた彦様は直ぐに鬼殺隊に戻り継子の子からも聞いて鬼殺隊本部へと向かい縁壱さんを責め立てた数人の柱に文句を言うがその時に気づいたらしい。

鬼殺隊のほぼ全員が自分を鬼と同じ化け物として見ていた事に。それに絶望した彦様は縁壱さん同様に鬼殺隊を抜け、また旅をしながらの鬼狩りに戻った。その頃から彦様は俺と同じで笑いながら鬼を殺すようになったらしい。

 

そして、それ以降一人で鬼狩りをして無惨と遭遇して瀕死に追いやったが巌勝が現れ無惨に逃げられた。そのあと巌勝を追い詰めるが縁壱さんがトドメを刺さないとダメだと思い見逃した。

同日に縁壱さんが見逃した鬼と会ったとか。

 

 

 

「まあこれが当時の鬼殺隊、国継縁壱、大和神子之彦の話だな」

 

 その部屋の中には重たい空気が流れていた。

 

「そんな過去、俺知らなかった」

「本当は15になった時に話すつもりだったが知らない方が幸せかもと思ったんだ。そしたらつい、な」

「犬さん、神子之彦さんは私達産屋敷家を恨んでいたのかな?」

 

 お館様は少し不安そうな声で犬さんに聞く。

 

「それはないな」

 

 犬さんはその質問を否定した。

 

「当時の鬼殺隊の中で彦を仲間と友とみていたのは産屋敷家、縁壱、当時の煉獄家当主、そして彦の継子のあの子だけだった。それ以外の奴は彦を・・・彦が強いのを化け物だからとか抜かす者も居た。

 殆どの奴は縁壱は天に神に愛された者。彦は人に化けた物の怪とみていた・・・」

 

 犬さんはもの凄く怖い目付きで睨む。それは此所の誰かではない、恐らく昔に神子之彦を悪く思っていた人達に対してだろう。

 

「ごめんね犬さん。恐らく言いたくないことだったよね」

「気にするな。俺はアンタ、産屋敷家と煉獄家には感謝してるからな」

「い、犬さん」

「ん?」

 

 次に恐る恐る聞くのは甘露寺だった。

 

「その、神子之彦さんは鬼殺隊を去った後は幸せになれたんですか?」

「ああ。まあ子孫であるミコトが居るからな。彦は去った数年後に彦を探して鬼殺隊を去った継子の子と婚姻したぞ」

「そうなんだ。俺本当に彦様のこと何も知らないんだが・・・」

「・・・ミコト君」

「ほえ?」

 

 槇寿朗はまたミコトに向き合うと頭を垂れる。

 

「改めて謝らせて欲しい。あの時、理由もよく知らず散々君のことを逃げた一族だと罵倒してしまった。本当すまなかった」

「律儀ですか!?一度ちゃんと謝って貰ったので大丈夫よ。ね、犬さん!」

「・・・プイ」

「なんで顔を逸らすの!?」

「まあ冗談はさておき、ちゃんと殴ったことも暴言吐いたことも謝ったしな」

「ね、ね!だから頭上げて下さい!」

「ああ」

「えっと~それで今回の話は何が肝ですか?」

「つまり、呼吸による痣発現の重要性と無惨の倒し方だ」

「鬼舞辻無惨に一撃入れたミコトとしてはどうかな?」

「そうでぐっわっしょ!?」

 

 喋ろうとしたミコトは行くなり周りの柱の人達に詰め寄られて変な声が出る。

 

「本当に鬼舞辻無惨に会ったのか!」

「何処で何してた!」

「能力は何だ!」

「どうやって一撃入れたの?」

「お、落ち着いて下さい!」

「テメェなんでモット早く言わねぇ!」

「聞かれなかったからだよ!」

 

 また誰かがミコトに聞こうとしたがお館様が人差し指を口元にもってきて全員を静かにさせると口を開く。

 

「それで、教えてくれるかな?」

「はい。まず会ったのは浅草から少し離れた場所です。一太刀入れれたのはほぼ奇跡ですかね?炭治朗はさっき槇寿朗さんが言った縁壱さんの身に付けていたとされる花札の様な耳飾りを着けてます。そんな炭治朗に人間に完全に擬態して安心してた無惨の動揺は凄いでしょうね。動揺が収まらない内に無惨は俺に見つかり俺の1番の最速の技で一撃を食らったんですね。

 能力は詳しく分からなかったですが腕を鞭の様にして先を刃物みたいにしてました。その時は攻撃ではなく配下に血を分ける為でしたね。その後は空間転移出来る血鬼術を使う鳴女とか言う鬼の所為で逃げられました」

「教えてくれてありがと」

「いえ」

 

それからまた何か話し合っていたが鬼殺隊に関しての事でよく分からなかった。持ち場強化とかなんとかで、柱合会議は終わり解散となった、後半分からなさすぎて寝そうになった。あと産屋敷さんが白い鎹烏をくれた、名は白桃(はくと)

 

(この烏・・・確か二年前からずっとオレ達の近くにいたが鎹烏だったのか)

「どうしたの犬さん」

「何にも」

「それじゃあ犬さん。行こうか」

「そうだな」

「あの、ミコトさん」

「ん?なんですかしのぶさん」

「このあと時間ありますか?」

「ごめんなさい。急いで行かないと行けないところがあるんです」

「そう、なんですね」

 

なんだろう、見て明らかに残念そうにしている。何か大事な話かな?でも美久が心配だったから早々に話を切り上げて全力疾走で犬さんと那田蜘蛛山に向かう。

日は昇り初めだから昼前には着くな。道中で手に入れた竹カゴと日光を遮断できるほど分厚い布を手に入れないと。

 

「ここだ」

「どうだ」

「大丈夫、ちゃんと美久ちゃんの気配はある。美久ちゃん!」

 

シーン

 

「あ、あれ?気配はあるから死んでないはず・・・とりあえず岩どけるか」

「木は?」

「斬るよ」

「もう斬ってるし」

 

 そして岩を退けると洞窟の奥で美久は吉備団子の入っていた袋を抱きしめながら蹲って寝ていた。

 

「鬼って寝るっけか?」

「禰豆子ちゃんもよく寝てるじゃん」

「あの子は特別だろ?」

「あーそうか。とりあえず美久を起こそうか」

 

 美久は起きるとミコトに抱きつく。その姿には母蜘蛛だった時の姿はなく見た目同様子供の様であった。

 ミコトも最初抱きつかれた時は驚いたがよくよく考えれば近くに鬼殺隊がいる中丸一晩過ごしたのだから心細くても仕方無いと思い優しく頭を撫でてあげる。

 

「よしよし。寂しかったのかな?」

「うん」

「ごめんね。そして起き抜けに更に悪いんだけどこのカゴの中に入って貰える?」

「?」

「えっと、入って貰って布でくるんで俺が信用出来る人のところに連れて行く」

「・・・分かった」

「ありがと」

 

 美久はコクリと頷くと竹カゴに入る。そしてミコトは分集めの布でカゴを包むと背負う。

 

「大丈夫?苦しくない?暑くない?」

「大丈夫!」

 

 ミコトは返事を聞くと犬さんに先導して貰い即座に走り出す。だが文字通り山越え谷越えで激しく動くために中に入っている美久は

「あううううあああうういううあいあえうごあん」

 と、激しい振動で変な声を出していた。しかもこれが休みを入れても数時間続いたそうな・・・。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「よし、着いたな」

「だな」

 

あれから丸一日走ってようやく着いた。久々に全速力で走り続けた気がするが、やっぱ成長したかな?桑島さんに教えてもらった。

『筋繊維一つ一つに意識してこそ、全集中の呼吸なり!』

だったか。昔だったら3、4日はかかっていたな。・・・てかまた美久ちゃん寝てる?

 

「あ、ミコトさん!」

「どうも~」

「あら!また来てくれたんですね!」

 

 一人がミコトを見て声を上げると周りにいた人達も気づき次々にミコトに挨拶をする。そしてミコトも丁寧に挨拶をしていき珠世のことを聞き出し居る場所に向かう。

 

「ここだな。気配するし」

「聞く必要あったか?」

「・・・一応?」

「なんのだよ・・・」

「あはは。さて、すみませーん!」

 

 珠世がいる医院の戸を叩き呼ぶ。しばらくしてから愈史朗が出てくるが、愈史朗は笑顔を浮かべてるミコトをしばらく見るとそのまま扉を閉めて鍵をする。

 

「ちょ!? 愈史朗!なんで鍵をするのと、待ってよ!!いやマジで!お願いがあるのよ!」

「五月蠅い!夜に叫ぶな」

 

 ミコトの声に我慢が出来ずにまた出てくる愈史朗。

 

「じゃあ人の顔を見て戸を閉めないでよ!」

「それで、何の用だ」

「珠世さんに会いに来ました!」

「やはり帰れ!」

「待ってお願い!また鍵閉めないで!俺は旅人!!根無し草なの!」

「ミコト、お前意味分かってて言ってる?」

「?」

 

 犬さんのツッコミにはてなを浮かべる。そして次に扉が開くとそこには珠世が出迎えに来ていた。

 

「こんばんは、ミコトさん」

「こんばんー」

「ワン!」

「珠世さん」

 

 ミコトと犬さんの連携の良い挨拶に少し驚きながらも優しく微笑みかける。しそて中に入れて貰ったミコトは客間に案内され、ミコトの前に珠世が座った所で話す。

 

「なにか焦っていたようですがどうかしたのですか?」

「今回はこの子の事で来ました」

 

 そう言ってミコトはカゴの中から寝ている子供、美久を出すとそれに珠世は驚き愈史朗は思わずミコトを殴り飛ばす。

 

「愈史朗!」

「イッテー!」

「貴様!此所に鬼を連れてくるとは何考えてる!!」

 

 愈史朗の怒りももっともだ。鬼の始祖、鬼舞辻無惨は己が生み出した鬼の視覚や感覚を共有しておりそれに加えどれだけ離れていても全ての鬼の位置情報は常時把握できる。その為、ミコトの連れてきた鬼の所為で珠世がまた無惨に追っ手をかけられると思ったのであった。

 

「ま、まっぐべあ!」

「問答無用!!」

「愈史朗!何をしているのですか!」

「!?た、珠世様・・・」

「ちゃんと見なさい。ミコトさんが連れてきた鬼は今は寝ています。私達の事はまだあの卑怯者には気づかれていません、今のうちにこの鬼の呪いを解きます。ミコトさんはそのお願いで来たのですよね?」

「は、ハイそうです」

「分かりました。少々お待ちを」

 

 それだけ言うと珠世は寝ている美久を抱きかかえて愈史朗と共に隣の部屋に消えていくとミコトは大きく息を吐き寝転ぶ。

 

「どうした?」

「さっきの珠世さん怖かった。やっぱ不味かったかな?怒ったかな?どうしよ~いい手土産もってきてないからな~・・・本当にどうしよ~」

「ミコトさん」

「ひゃい!」

 

 完全に油断をして部屋に戻ってきていた珠世に気づかずにいて、いきなり名前を呼ばれたことに驚き変な声を出し寝転んでいた状態から3メートル近く飛び上がり正座の体勢で着地をする。そんなミコトを見て珠世は思わず目を見開いてから笑みがこぼれる。

 

「どうかしましたか?」

「い、いえ。あーと、美久の呪いはもう外せたんですか?」

 

 美久という名前に首を傾げる珠世だが、その名前があの鬼の子だと理解して納得するとミコトの前に座り、静かに口を開く。

 

「ミコトさん、あの美久さん?は本当に只の鬼なのでしょうか?」

「・・・?どういう意味ですか?」

「率直に言いますと美久さん、あの子は私がする前から()()()()()()いました」

「・・・は? ホントに?」

「はい。私も驚いています。ミコトさんは何か心当たりはありますか?」

「・・・んー。無いですね」

「そうですか」

「とりあえず美久には無惨の呪いが無かったんですね」

「はい。少なくとも私が診る前からだと思います」

「なるほど。美久は今どうしてますか?」

「まだ寝てますよ、愈史朗を付き添わせています(話が進まなくなりますので)」

「そうですか(どうりで壁越しに刺さるような殺気を感じるわけだ)」

「それでそのー、ミコトさんは今日の泊る所が決っているのでしょうか?」

「いえ、とくには」

「では此方で泊って行きますか?」

「良いのですか?」

「はい。それに別にミコトさんが美久さんを連れて来たことは怒っていませんよ」

「そ、それは良かった、です。では俺は少し小奈津ちゃん達に挨拶してきます。此所に着いてから真っ直ぐに珠世さんの下に来たので」

「分かりました」

 

 その後ミコトと犬さんは小奈津ちゃんのところに挨拶に向かい少し話してからまた珠世の下へと向かう。

 

「小奈津ちゃん寝てたね~」

「まあ夜だからな。明日会いに行くと言ってたからいいだろ」

「そうだね。にしても珠世さん怒ってなくて良かった」

「はは」






~大正コソコソ噂話~

犬さんは何気に鬼舞辻無惨と同い年か年上です。


~ちょびっと設定?~

美久の呪いが解けていたのはミコトの■に原因があります。



良ければ評価や感想お願いします。
出来れば桃並みの甘さで。


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第21話:休息

小奈津ちゃんの家族に挨拶をした後は珠世さんの所に戻って来た。今は夜の8時かな~。そういえば何か話そうとしていたの何だったんだろ~?

 

「ただいま戻りました」

「お帰りなさいミコトさん」

「あ、珠世さん・・・珍しい、愈史朗は?」

「今は寝ています」

「え、愈史朗も寝るの?」

「ミコトさんの血を摂取してから時折ですね。月に1、2度程度ですが。」

「なるほど~。・・・クンクン、美味しそうな匂い~」

「ご飯食べると思い作っておりました」

「良いんですか!?」

「はい。お風呂もできています。えっと、ご飯にしますか?お風呂にしますか?」

「では先にお風呂を頂きます」

「分かりました。入浴後にご飯が食べられるように準備をしますね」

「ありがとう御座います」

「・・・まるで夫婦の遣り取りだな」

「まあ//」

「珠世さんが奥さん・・・それは幸せな家庭になりそう・・・」

「・・・!」

 

 犬さんの言葉に顔を薄紅色に染めていたが、ミコトの言葉で顔が真っ赤になり手で隠し顔を背ける珠世。それを不思議に思いミコトは問いかけるが、珠世は風呂の場所だけ教えると台所に逃げるように消えてしまう。

 

「ありゃ? 怒らしちゃった?」

「そうじゃないから安心しろ」

「なら良いけど。お風呂入らせて貰おうか」

「だな」

 

そしてお風呂に入らして貰ったけど・・・もの凄く良い香りがした。牡丹の匂いだった。

そして何より珠世さんが作ってくれたご飯美味しかった!いやマジで!珠世さんは『数百年ぶりに作りました』って言ってたけど、とてもそうだとは思えないぐらいに美味しかった。それから珠世さんに呼ばれて居間に来ている。

 

「どうかしましたか?珠世さん」

「ミコトさんには現状報告をしておこうと」

「現状報告?」

「はい。ミコトさんが持ってきて下さったあの男の血のお陰で、あの男に効く薬の目処が立ちました」

「ほえ?流石です!それでどんな薬ですか?」

「まず一つ目は――」

 

それから珠世さんから聞かされた薬の効果は凄かった。

一つ目は前にも聞いた鬼を人間に戻す薬。

二つ目、老化、一分で五十年の年を取らせる効果。

三つ目、分裂阻害、無惨は細胞を木っ端微塵に吹き飛ばして彦様や縁壱さんから逃げたから、それを封じる薬。

四つ目は無惨の体の細胞破壊を持つ効果らしい。本当にこの人は天才だ。

 

「凄い効果ですね。あとはどうやってそれをあの臆病者に打つかですね」

「そうですね。でもそれはまだできてから考えましょう」

「ですね。あ、そうだそれと、役に立たないかもですがコレを」

 

 そう言って袋に入った十数本の採血ナイフを渡す。

 

「ありがとう御座います」

「役に立ちますか?」

「はい。例えあの男の血が手に入っていてもそればかり使うのはダメですから。それに眷属の鬼に効かなければあの男にも当然効かないので」

「なるほど。実験のためですね」

「はい。 改めてお礼を。本当にありがとう御座います」

「本当に気にしないで下さい」

 

 少し静寂が部屋を支配した後にミコトが口を開く。

 

「珠世さん」

「はい?」

「前に珠世さんはどんなお礼をしたらと言いましたよね?」

「はい」

「一つお願いがあるんですが良いですか」

「は、はい。わたくしに出来る事でしたら何なりと」

「でしたら・・・膝枕をお願いで来ますか?」

「・・・」

「ごめんなさいじょd「良いですよ」」

 

え、冗談で言ったのに本当にしてくれた。どうしよう冗談でいってたから心の準備が。

 

 ミコトはそう思いながらも珠世に膝枕をして貰って月を見ていた。

 

「今夜は月が綺麗ですね~」

「はい。綺麗な満月ですね」

「・・・本当に膝枕をしてくれるとは思いませんでした(あとなんで頭撫でてるの?)」

「私もこのようなお願いされるとは思いませんでした(ミコトさんの髪の毛はホントさらさらですね)」

「ごめんなさい」

「気にしないで下さい」

「・・・珠世さん」

 

 さっきまでの柔らかな喋り方では無く緊張感の出るしっかりした喋り方をしたミコトに撫でる手を一瞬止めるが、返事をしてからまた撫でる。

 

「何でしょうか?」

「・・・大和 神子之彦」

「・・・ッ!」

「知っていますね」

「はい」

「やっぱり」

「・・・」

「疑問でした。俺は旅先では大和の名を口にしたのは片手で数えきれる数しかありません。なのに貴女は知っていた。それはご先祖様、彦様を知っていたからですね」

「・・・そうです。神子之彦様は縁壱様と同じく私を信じ見逃してくれました。・・・いえ、ミコトさんと同じく私の研究をてつだってくれました」

「そう、ですか」

「ミコトさんはいつ知りましたか?私と神子之彦様が出会っていたことを」

「昨夜犬さんの口から聞きました。まあ、貴女の名では無く縁壱さんが見逃した鬼としてですが。それで貴女かな、と」

「そうですか。・・・怒っていらっしゃいますか」

 

 珠世はその質問をしたとき撫でて無い方の手を強く握っていた。そしてその手は僅かに震えていた。

 

「ミコトさんを騙していた上に真実を隠していたことに」

「・・・」

「私を・・・嫌いになりましたか?」

「・・・まさか、嫌いになんてなりませんよ」

「っ! 何故ですか?」

「珠世さんが言わなかったのはそれが良いと思ったからですよね?それに犬さんもそうでしたから。だから怒りません、ましてや嫌いになんかなりませんよ」

「そうですか。ミコトさんは優しいですね」

「そんな事無いですよ。・・・最近色々有って疲れました。寝ても(甘えても)良いですか?」

「はい。心ゆくまで御存分に(私はミコトさんが目を覚ますときまで御側に居ります)」

 

 珠世は安らかな寝息をたてるミコトを優しく見つめる。

 

「お休みなさい。ミコトさん」

 

 ミコトを見つめる珠世の目はまるで子を見つめる母親の様な、愛する人を見つめる女の様な目をしていた。

 

「一応言っとくけど色んな意味で喰うなよ、珠世」

「・・・!」

 

 突如声をかけられ肩を跳ね上がらせ急いで後ろを振り返れば何時の間にか犬さんがいた。

 

「い、犬さん!た、食べませんよ!」

「なら良かった。じゃあ俺は部屋に戻って寝る」

「はい」

 

 犬さんが去った後に少し安心して珠世はまた気持ちよさそうに寝ているミコトの頭を撫でる。

 

「犬さんはいつも突然現れますね・・・(にしてもどうしてミコトさんといるとこうも捨てたはずの人間だった頃の感情を思い出せるのでしょうか?)」

 

 

 

「やっぱ摘まみ食いぐらいなら許すけど?」

「しません!!」

 

 ☆

 

 

 

「ふっふぁ~」

「おはよ御座いますミコトさん。」

「・・・わぁ! た、珠世さん!?もしかしてずっと?!」

 

 目を覚ますと珠世の顔がいきなり目に入り驚いて飛び退く。そんなミコトを珠世は首を傾げ不思議そうに見つめる。

 

「?」

「ずっと膝枕を?」

「はい」

 

マジか・・・。今の時間が朝五時で、寝たのが約夜の十一時ごろ。・・・六時間ぐらいは寝ていた。つまり珠世さんは六時間もずっと動かずに膝枕をしてたって事だよな・・・

 

「マジ?」

「・・・?はい」

「・・・そういえば愈史朗は?(こんなん殺気が来るのに)」

「昨夜愈史朗も月に1、2度程度寝ると話しましたよね?」

「はい」

「一度寝ると丸1日寝るようになったのです。恐らく禰豆子さんに近づいているのだと思います。その原因は・・・」

「俺の血が原因。いや、正確には血に混じって桃の力の何かな?」

「私も同じ結論にいたりました」

「珠世さんの体には何か有りましたか?」

「いえ。少しでしたが私には普通に力が湧いてきたり興奮状態に近いものでした」

 

それだけは普通か。希血を摂取したばかりの鬼の症状に似ているな。愈史朗が特別なのか?それともやはり俺の桃の力と希血のどちらか、もしくは両方なのか。分からないな~俺の血を摂取した鬼は珠世さんと愈史朗の二人だけだからな~・・・今度他の鬼に「ダメですよ」 え。

 

「はい?」

「ダメですよ。ミコトさん今、他の鬼にも血を飲ませてみようと思いましたね・・・?」

「・・・い、いえ」

「ふふふ。嘘はダメですよ」

「はいごめんなさい。思いました」

 

 少し溜め息をつく珠世にミコトはシュンと縮こまる。

 

なに?珠世さんって心を読む血鬼術でも持ってるの?なんで考えが分かったの?母さんはよく母親の勘よって言ってたけどそれに近い何か?え、なにそれコワイ。

 

「どうかしましたか?」

「いえなにも。じゃあ俺は朝の鍛錬に行って来ます」

「では朝餉を作りお戻りを待っていますね」

「はい」

 

 しばらく鍛錬をして戻って来たミコトの目の前には豆腐の味噌汁にご飯、ほうれん草のお浸し、そして鯖の味噌煮が置かれていた。

 

「これまた朝から豪華ですね」っd

「え?普通だと思いますが?」

「そうなんですか・・・?」

 

 その後ミコトは珠世と色々と話ながらご飯を食べる。

 

 ☆

 

 

「ごちそうさまでした」

「お粗末様までした。こちらを」

「ありがと御座います」

 

 珠世に差し出された食後のお茶を受け取る。

 

「それでミコトさんはいつ頃此所をたたれるのですか?」

「今日の夜にでもと思っています」

「・・・!そ、それ程早くですか?」

「はい」

「何か急いでいるのですか?」

「いえ、特には無いですね」

「なら明日の朝ではダメですか?」

「?何か理由とか・・・まあ、いいか。ではもう一晩お世話になります」

「はい」

「にしてもこのお茶美味しいですね」

(流石にミコトさんともう一晩共にしたいとは恥ずかしくて言えませんね)

 

 珠世はミコトが食べ終えた食器を片付けまたミコトの下に戻ってくる。

 

「そう言えばミコトさんは美久さんをこれからどうするおつもりですか?」

「連れていきますよ」

「そうですか。なんでしたら私達がお預かりしましょうか?ミコトさんは鬼殺隊とも協力関係を結んだんですよね?」

「・・・美久の安全を考えるならそれが1番かも知れませんね。あの子は恐らく強制されない限り争いごとが嫌いな分類でしょうし」

「なら」

「でも連れていきます。もし美久が此所にいたいと行った時はお願いで来ますか?」

「勿論ですよ」

「ありがとう御座います。そういえば聞こう聞こうと思って忘れていたのですが、炭治朗にも血の採取をお願いしているのですか?」

「はい。鬼の血は少しでも多い方が良いので」

「そうですか。・・・あ」

「どうしましたか?」

「美久が起きてきたようです」

「そのようですね」

 

 ミコトは起きてきた美久と遊び午後からは尋ねに来た小奈津の家族と色々と話、優雅な日を過ごしていた。

 

にしても美久と小奈津ちゃんが友達になるのが早かったし、何より小奈津ちゃんのご両親やこの町のお年寄りの複数人が珠世さん達が鬼だと知った上で受け入れてくれていた。

驚き桃の木山椒の木だ。

 

俺が紹介したから珠世さん達は信頼できる鬼だって・・・俺への信頼厚くない?






~大正コソコソ噂話~

ミコトはこの日は仲良くなった美久と小奈津にずっと色んな髪型にさせられ遊ばれていたそうです。






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第22話:

スミマセン、朝に更新するのすっかり忘れてました。!


 

「お世話になりました」

「これからもお体を大事にして下さいね」

「はい。・・・美久、本当に良いの?」

「うん」

 

朝出発準備している時に美久が来て、此所に残るって言い出した。理由は付いて行ったら俺の迷惑になると。あと小奈津ちゃんと友達になったからもっと一緒に居たいのと珠世さんの研究を手伝いたいとの事だ。

 

「・・・じゃあ珠世さん。美久の事よろしくお願いします」

「はい」

「愈史朗もね」

「・・・」イライライライラ

 

うわー。明らかイライラしてるごめんよ愈史朗。

 

「美久また来るからね」

「うん!」

 

 ミコトが出発したのを確認すると美久は少し悲しそうな顔をする。それに気づいた珠世は美久に近づく。

 

「良かったのですか本当に」

「うん。私が付いて行ったらミコトの迷惑になるし、それに・・・」

「それに?」

「人を沢山殺した私はあっち側には居られない」

「!?・・・そう、ですか」

「・・・うん」

「それでは医学、学びますか?」

「うん!」

 

 

 

 ☆

 

 

 

「・・・」

「ミコト、お前地味にショック受けてるだろ?」

「にゃハハハ・・・」

「まああれだ、元気出せ」

「だな」

「それでこれから何処に行く?」

「蝶屋敷に行って炭治朗の様子を見てくる」

「そうか」

「まあその前に墓参りに行こうか。久々に」

「だな!今年はあの()()()()()咲いてるかな?」

「あの彼岸花は本当に綺麗だよな~。滅多に見ないけど」

(彼奴が知ったら涙流して喜んだろうな。ま、四百年以上遅れての発見か)

 

 

~数日後~

 

 

 

「ごめんくださーい」

「は~い」

 

ん?今の声はしのぶさんでもアオイちゃんの声でもない。誰の声だろ?何処かで聞いた気もする・・・?

 

「どちら様かしら~・・・?」

「・・・あ、この女」

「・・・?」

 

出てきたのは、蝶模様の着物を着て、綺麗な顔付きにすらっとした体型、腰程まで伸びた綺麗な長い黒髪。そして頭の左右に着けた蝶の髪飾りが特徴の女性。

 

「・・・って!あ、あ!あああああああ!!!???」

「貴方はミコト君?」

「え、あ、あは、はい。貴女はしのぶさんの、しのぶさんの」

「そう、しのぶの姉の胡蝶カナエです。ミコト君、貴女の話はしのぶから聞いてるわ~。私も命の恩人の貴方と話したいの。ささ、どうぞ」

 

 そう言ってカナエはミコトの手を引っ張り中に連れ込む。犬さんは妙にニヤニヤしながら後を付いて行き、ミコトは戸惑った顔をしていた。理由は簡単だ、だってミコトはカナエが目覚めた事を知らなかったのだから。

 

「て、展開が早すぎるー!!しかも力強!」

 

 

 ☆

 

 

 ミコトは導かれるままカナエの部屋に案内され向き合ったまま座っていた。

 

「えっとー改めまして、俺は大和 ミコトと良います。それで相棒の犬さんです」

「おう、犬さんだ。よろしく」

「ええ、よろしく。私の事はもう知ってると思うけど、貴方に命を助けられた元鬼殺隊花柱、胡蝶 カナエです」

 

カナエさん。確かこの間の柱合会議にも名前出ていたなよな?確か、槇寿朗さんと同じで色んな隊士の人達の練度向上に勤めてるって。

 

「?どうかしたかしら?」

「いつ頃に眼を覚ましたのですか?」

「そうね、大体半年前かしら」

 

長いこと寝ていたのに約半年間でここまで動けるように回復するとか柱ヤバすぎだろ。

 

「回復能高すぎませんか?」

「そう?柱ならこの程度普通よ」

「・・・はは」

「それでね、ミコト君と沢山話したかったけど先ずはミコト君の用事ね」

「あ、俺は炭治朗に会いに来たんです」

「あらそうなのね。なら会いに行きましょー!」

 

またカナエさんに手を引っ張って連れて行かれれた。この人自由気ままな感じの人ってのが分った!見た目凄いおっとりとした感じの人だし。

 

 

「着いたわ」

「ほほー道場か。あ、炭治朗ー!」

 

なんかカナヲと追いかけっこ?していたが名前を呼ぶと俺に気づいてくれた。 あ、転けた。

 

「ミコト!それに犬さん!」

「よ!久しぶり」

「久しぶりだな」

 

 炭治朗はミコトと話すために休憩に入る。

 

「ミコトはいつ蝶屋敷に?」

「ついさっきだよ」

「そうなんだ!」

「炭治朗は・・・追いかけっこをしてたのかな?」

「え、あーまあそうなんだけど正確には機能回復訓練してたんだ」

「機能回復訓練?」

 

 機能回復訓練、それは入院生活で鈍った身体の機能回復を目的とする。主に柔軟・反射・動作の訓練が行われる。

 

 柔軟訓練は、そのまま柔軟運動で固くなった体をほぐす。

 

 反射訓練は、10以上のランダムに並んだ湯呑のなかに薬湯が入っており、お互いに薬湯をかけあうのだけ。湯飲みを持ち上げる前に、相手から湯飲みを押さえられた場合は湯飲みを動かせない。

 

 動作訓練は、カナヲ又はアオイとの鬼ごっこ。捕まえればよし。

 

「それはまた大変な内容だな」

「うん。凄く大変」

「善逸君と伊之助君は?」

「二人は病室にいると思うよ」

「そうか。じゃあ顔を出してくるよ」

「うん。・・・ミコト」

「何?」

「柱合会議の時、俺と禰豆子の為に心を鬼にしてくれてありがとう」

 

 炭治朗は床を壊すのではないかと思うぐらいに額を強く床に着けていた。

 

「頭を上げてくれ炭治朗」

 

 その言葉で炭治朗は頭を上げる。

 

「炭治朗は俺にお礼を言うが本当は俺を殴るべきじゃ無いか?」

「そ!そんな事しないよ!」

「やっぱり炭治朗は優しいな」

「そうかな~」

「ああ。・・・あ、そういえば炭治朗は強くなるための練習もしてるんだよな?」

「うん」

「全集中の常中はしてるか?」

「常中?」

「そう。寝てる間も含んで一日中呼吸を使うんだ」

「え!?呼吸って1回するだけでも疲れるのにソレをずっと!?」

「そうだよ。出来る出来ないでは大きな差があるからな。炭治朗も出来る様になればカナヲに追いつくことは出来るんじゃないかな?」

「そうか!頑張る!!」

「ファイトだ!それじゃあ俺は善逸達のお見舞いに行ってくる」

「うん」

 

そのあと炭治朗はやるぞー!!って言ってきよちゃん、なほちゃん、すみちゃんに色々とお願いして張り切ってた。

そして善逸達に会いに行けば善逸は俺達が入山した後に山に入り鬼を討伐したらしいが、少し体が縮んでいた。まさかの血鬼術で蜘蛛にされかけたとか。

伊之助はなんか凄く声が枯れて?ごめんね、弱くって、って言うし何が有ったんだろう?

 

そのあとはまたカナエさんに部屋に連れ込まれて色々と話してた。そしたらまさかの一緒に寝る流れになったんだが何故だ!?流石に断ったけどこの人の包容力は危険だ!母さんや珠世さんと同じで何か、何か危険なあれが有る!!

その所為で抱きしめられた瞬間に俺の意識飛んだ。

 

 

 

 ~???~

 

 

「頭を垂れて蹲え、平伏せよ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 上下左右に襖や畳、床、壁など様々な物がある、滅茶苦茶な空間に女の姿に擬態した鬼舞辻無惨と頭を垂れ平伏する、五人の下弦の鬼がいた。

 

「も、申し訳ありません。お姿も気配も以前とは異なっていらしたので・・・・」

「黙れ。誰が喋って良いと言った?」

 

 只でさえ怯えてる下弦の鬼に更に圧をかける。

 

「貴様らのくだらぬ意思で物を言うな!・・・

 累が殺された。下弦の伍だ。私が問いたいのはただ一つのみ。何故に貴様ら下弦の鬼は弱いのか、だ」

 

 そして遂には圧を通り超して殺気を放つ。

 

「もはや十二鬼月は上弦のみで良いと思っている。下弦の鬼は解体しようと思っている」

「「「「!?」」」」

 

 無惨の言葉は肯定しても否定しても無惨の気分次第で殺される。

 そして今の無惨はご機嫌斜めの為に、下弦の鬼は解体しようと思っていると言われると殺されるといった解釈し、約1名以外全員恐怖する。

 

「だが、貴様らに最後の機会をやろう」

 

 その言葉に鬼達は驚く――事は無く、言葉を聞いた瞬間に鬼達の頸に触手の様な物が突き刺さり、何かが流れ込む。

 

「貴様らに私の血を分けてやろう」

 

 血を撃ち込まれもだえ苦しむ鬼に更に言葉をかける。

 

「そして花札の様な耳飾りを付けた子供、そして何より桃眼の鬼狩りを殺しその首を持ってこい。そしたら、更に血を分けてやろう」

 

 それを告げると琵琶の音が鳴り苦しんでいる鬼達の下に襖が現れると開き鬼達を飲み込むと消える。そして無惨も現れた襖の中に姿を消す。

 

 そして鬼達の頭の中には炭治朗と桃眼姿のミコトの記憶が流れ込む。

 

 






~大正コソコソ噂話~


犬さんは青い彼岸花の重要性を知っているようです。





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第23話:ミコト VS 煉獄 2

 

 

「お邪魔します」

「いらっしゃいませ。ミコトさん!犬さん!」

「よ!千寿朗!」

 

蝶屋敷で世話になって数日たった今、俺は煉獄家が所有している山にある鍛錬場に来ている。

今日は煉獄さんの任務がお休みだから会いに来たのと再挑戦しに来た。にしても・・・

 

「なんか人多くない?」

「父上が育手として鬼殺隊に復帰してからは炎の呼吸の使い手の練度の底上げや見込みの有る人を剣士として育てています」

「ほへ~。カナエさんも似たような事してたな、花の呼吸の使い手を育ててたけか?」

 

ざっと数えただけでも三十近くは居るよな?気配的にはもう少し居るかも?

 

「父上!兄上!ミコトさんを連れて来ました!」

「来たな、ミコト少年!」

 

煉獄・・・杏寿朗さんは相変わらず元気だな。・・・ん?なんか杏寿朗さんの周りだけもの凄く強そうな気配の隊士が数人倒れてるけどなんで?皆バテてる・・・?

 

「この間ぶりです、杏寿朗さん」

「うむ!元気そうでなによりだ」

「杏寿朗さんも・・・そして槇寿朗さんもこの間だぶりです!」

「そうだな、ミコト君」

 

でも本当に槇寿朗さん、無精髭や目の下の隈とか無くなって。何か頼れる人!って感じに成ったな~。

 

「な、何かなミコト君。そんなにじっと見て」

「いや、本当に立派な人になったな~と」

「ミコト、失礼だぞ」

「あ、すみません」

「いや、気にしなくて良いよ。それでミコト君は杏寿朗に用事があって来たのかな?」

「そうなのか?ミコト少年!」

「はい。杏寿朗さんに再戦を申しに来ました!前回はやはり俺の負けです!なので今回は俺が勝ちます!!」

 

 元気に言うミコトに槇寿朗と千寿朗は驚き杏寿朗は

 

「うむ!その申し出を受けよう!!」

 

 即答で受ける。

 

「即答!?でも丁度良い!」

「そうだ! 兄上、ミコトさん此方をお使い下さい」

「ありがと千寿朗君。・・・これは!」

 

 

 ☆

 

 

 

 

「うん。良い重さだ」

 

 ミコトは渡された刀を振り感覚を確かめていた。

 渡された刀は木刀では無く真刀だった。ただし刀身に刃は付いておらず、鉄刀状態だった。

 

「前回ミコト少年は木刀を初めて使ったと犬殿に聞いてな!鍛治師の方に頼んで作って貰ったんだ!」

「俺の為にわざわざですか?鞘まで付いてるし」

「そうだ!」

「それはありがとう御座います!」

「うむ! それでは始めるか! ミコト少年!」

 

「そうですね。 俺は桃眼の鬼狩り大和 ミコト」

「俺は鬼殺隊炎柱! 煉獄 杏寿朗」

「「立合い」」

「よろしくお願いします」「よろしく頼む」

 

 二人は正眼の構えを取る。

 

「今回は先手をどうぞ!」

「・・・!そうか。ではありがたく使わせて貰う!」

 

 力強い踏み込みから一気にミコトとの距離を詰め刀を振るう。

 

「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!」

 

 強烈な袈裟斬りの攻撃をミコトは

 

「第伍秘剣 一刀両断・兜割り!」

 

 刀の側面から叩き落とす。

 

「・・・っ! 弐ノ型 昇り炎天」

「・・・まじ!?」

 

 煉獄は刀が折られる前に刀身を立てて昇り炎天で押し返す。二人は鍔迫り合いになり火花が舞う。そして二人は一旦後方に跳び下がるがミコトは着地と同時に異様なまでの低姿勢から一気に駆け出す。

 

「第弐秘剣改 氷狼牙突!」

 

 とてつもない速さで駆け抜ける一匹の氷狼。

 その切っ先は何の躊躇もなく煉獄の胸目掛け突き進む。だが煉獄も走り出す。

 

「陸ノ型 烈火炎狼!」

 

 炎の呼吸唯一の突き技、烈火炎狼。

 吹雪を纏う氷狼と炎を纏う炎狼が真っ正面からぶつかり合う。その余波は見ていた槇寿朗や千寿朗、そして炎の呼吸の使い手の者達まで驚かせるものだった。

 

「ック、なら!」

「・・・!」

 

 ミコトは刀を引く。それ故に対抗していた力が無くなった事で煉獄はバランスを崩すが直ぐ立て直しミコトの次の一手を見極める。

 

「我流剣術 乱れ突き!」

 

 残像が残る程の速さの突きを放つ。それに対して煉獄は前面に刀を振るう。

 

「肆ノ型 盛炎のうねり!」

 

 自身を中心にして前面に渦巻く炎の障壁で攻撃を全て防ぐ。

 

「これならどうだ! 第参秘剣 落雷!」

「弐ノ型 昇り炎天!・・・!?」

 

 刀を振り上げ迎え打つ。だが、迎え打った刀は軽く・・・否、余りにも軽すぎな手応えに驚く。

 理由は簡単だった。ミコトは刀同士がぶつかる寸前に手を離していたのだ。それにより煉獄は大振りをする事になり大きな隙が出来る。

 

 

「・・・抜刀」

 

 鞘を抜刀の要領で抜き煉獄のがら空きになった腹に撃ち込む。

 

「がっは!?」

 

 初めての手応えが有りミコトは満足する。そして煉獄は後ろに吹き飛び数回地面を跳ね、転がって止った後に見たのは鞘を上に掲げ落ちてきた刀を納刀して一回くるりと回ると抜刀の構えを取るミコトの姿だった。

 

「初めて見る技だな」

「木刀だけでは絶対に出来ない技ですからね。コレが本来の俺の技です」

「前回は手加減していたと?」

「まさか!前回のあれは出せる技の範囲で本気でした。でも今回は俺の力に耐えられる刀身に鞘もある。全力を出せるだけです!」

「そうか!にしても今のはかなり効いた!流石だなミコト少年!」

「えっへん!じゃなかった。 次の技は俺の1番使い慣れた得意な技ですよ」

「うむ、なら来い!ミコト少年!」

 

 ミコトは眼を瞑り重心を低くして右足を前に出し左足で体重を支える。そして煉獄は正眼の構えに構え直す。

 

「第陸秘剣 三途の川!」

(速い!? コレがミコト少年の1番の得意技か!?)

 

 ミコトの速度に驚くがすぐに脇構えを取り、地面に少し罅が入る程強く踏み込み左薙ぎで迎え打つ。

 

「㭭ノ型 連々紅炎」

 

――カキーン!!

 

 辺り一帯に甲高い音が鳴り響く。その音は見ていた者達が耳を塞ぐぐらいに大きい音だった。

 少しの間鍔じり合いになるが、煉獄の連々紅炎は何度も繰り出す連撃技。

 

「クッ!」

 

 それを受け止め、躱し、受け流す。だがどれだけ耐えてもじり貧になるために大きく後方に跳び後退する。

 

 そして着地と同時にミコトは左手を顔の近くに持ってきて刀の切っ先が左側から後ろに行くよう構える。

 

「我流剣術――」

 

 煉獄は正眼の構えから勢いよく振り上げる。

 

「炎の呼吸 伍ノ型――」

 

 そして二人は烈火の如く駆け出す。

 

「水虎!!」

「炎虎!!」

 

 お互いが繰り出す技は虎の姿を形どる。

 

 一歩一歩踏み出すごとに水飛沫を上げる虎、水虎。

 熱く激しく燃えさかる炎の虎、炎虎。 

 二匹の虎はめまぐるしく混ざり合い噛みつき合う。

 

「はああああああああ!!」

 

 ミコトは激流の如く激しく素早く刀を振るう。

 

「はああああああああ!!」

 

 煉獄は猛炎の如く熱く激しく刀を振るう。

 

――がキーン

 

 二人の激しい攻防にお互い後方へ大きく吹き飛ぶ。

 

「っ!?」

 

 即座に体勢を整え前を見た煉獄は信じられない物を見た。それは既にミコトが抜刀の体勢で眼前に迫っていたのだ。

 

「我流剣術 雷虎!!」

 

 一筋の稲妻が走り煉獄を貫いた。

 その直後煉獄の後ろではミコトが倒れ地面を転がる。

 

「「「・・・」」」

 

 見ていた者達は誰も声を出せる者は居なかった。いや、皆空いた口が塞がらなかったのだ。

 見た感じでの決定打を打ったのはミコトだ。でも、そのミコトは煉獄から少し離れた後方で息を荒くして倒れていた。そして煉獄はその場に立ち尽くしてるだけだった。

 

「ち、父上、これはどのような結果に・・・?」

「これはミコト君の勝利だな」

「「「!?」」」

 

 その言葉を聞いた人は全員驚き、倒れてるミコトを見る。

 

「見た限り神速の抜刀。元鳴柱 桑島殿の霹靂一閃と同等の速度だった」

「ミコトさん・・・・・・・・・凄い」

「それだけではありません父上。ミコト少年が俺に与えたのは一撃ではありません。ほぼ同時に二撃入れられました」

「「「!?」」」

 

 殆どの隊士は一撃を入れるどころか抜刀の瞬間すら見えず、元柱の槇寿朗ですら一撃しか入れてないと思っていたがまさかの二撃。入れていた所を見れていなかった者達は驚き声を失う。

 そして見られてるミコトはというと・・・

 

「・・・」

 

 気を失っていた。

 

 ズコ!

 

 それを見た隊士達は全員ひっくり返ったとか。

 

「地面を転がったときに変に頭を打って気を失ったか」

「は、はは」

「み、ミコトさん!」

 

 槇寿朗はもう笑うことしか出来ず、千寿朗は急いでミコトに駆け寄る。

 

 

 

 ☆

 

 

「・・・う、うう。此所は?」

「お、起きたか」

「あ、犬さん・・・何か覚えのある展開」

「何言ってる? てか何処まで記憶ある?」

「最後煉獄さんに雷虎を撃ち込んだとこ」

「そうか、頭に異常は無いな」

「でもあの後に気を失ったな」

「良い攻撃だったと思ったんだけどな~」

「あれは痛かったぞ!ミコト少年!」

「・・・! ギャァアアアアアアアア!!」

 

目を覚ましてから気配感じなかったのにいきなり真後ろから声が聞こえたから振り返ったら煉獄さんが目の前に居た。めっさ怖かった。正直ちびりそうになった。

 

「元気そうで何よりだ」

「そうだな。犬殿」

「兄上、叫び声が聞こえたのですがどうしたのですか!!?」

 

 ミコトの叫び声を聞きつけ慌てて千寿朗が部屋に駆けつける。

 

「ミコトさん目覚めたんですね!」

「ついさっきね」

「凄かったですよミコトさん! 兄上から1本取るなんて!」

「いやー嬉しいね~。まあ、あの後気絶しちゃったけどね」

「それでも凄かったぞ!ミコト少年」

「あれは炎虎に近い太刀筋に水の呼吸と雷の呼吸の足運びを合わせたものか?」

「あ、槇寿朗さん」

「大きな怪我をしてなくて良かった。菓子を持ってきたんだ、食べてくれ」

「やった!桃だ!吉備団子だ!!槇寿朗さん大好き♪」

「ミコトがチョロインに思えてしまう・・・(いや、餌付けされた犬か? 犬はオレか)」

 

 ミコトは満面の笑みで桃と吉備団子を食べ始める。

 

「それでミコト少年、あの水虎は他の呼吸の技を混ぜたものか?」

「そうですね~。前に立合いした時に見せて貰った炎虎。あれが考えていた技に使えたので狭霧山で技を作りました」

「狭霧山ということは元水柱の鱗滝殿に水の呼吸の足運びの教えを請うたのか?」

「少し違います。鱗滝さんに教えて貰おうと思ったのですがその時に居た鱗滝さんの弟子の真菰に教えて貰ったんです。教えて貰った足運び水流飛沫・乱は自分より真菰の方が洗練されてると言って真菰を進めてくれたんです」

「なるほど! それで完成したのが水虎と言うわけだな!」

「そうです」

「それでミコトさん。最後に兄上に使ったえっとー・・・雷虎?は元鳴柱 桑島様のところまで行って教えて貰ったんですか?」

「違うよ。鱗滝さんの所に行った時に桑島さんも居たんだ。だからその時に教えて貰った。因みに型は霹靂一閃だよ」

「やはりミコトさんは天才ですね!」

「違うぞ千寿朗、ミコトは天才じゃ無くて天の災いの天災だぞ」

「犬さん酷い!」

「水虎を完成させるために狭霧山の木何十本斬り倒した?地面どんだけ抉った?ん? ん!」

「あーあー聞こえなーい」

「おい!」

「そろそろ暑くなるし犬さんの毛全部剃るか」

「なんでや!」

 

 犬さんのツッコミに皆楽しげに笑う。その場には最初初めミコトと槇寿朗にあったようなギスギスした物は無くなっていた。

 

「ふーごちそうさまでした!」

「ミコトお前本当に一人で桃と吉備団子全部食べやがった」

「あ、ごめんなさい」

「気にしなくて良いぞ!ミコト少年」

「そうですよ。あんなに動いたんですからお腹も空きますよ」

「そうだな。甘露寺君も似たようなものだったしな」

「ほへー」

「千寿朗、お茶を入れ直して来くれるか?」

「はい兄上」

 

 千寿朗はミコトが食べた後の皿を持って部屋を出る。

 

「・・・杏寿朗さん。なにか任務関連で大きな話が有るんじゃ無いですか?」

「よく分かったな亅

「直感ですよ」

「そうか。 短期間にとある列車で四十人以上の者が行方不明になり、そして送り込んだ複数の隊士も全員消息を絶ったんだ」

「それはまた・・・」

「そして俺はその列車を調べる任に着くことになったんだ。それで参考までにミコト少年の意見を聞きたいんだ」

「そうですね。その列車が怪しいとすると鬼に協力する人間がいると考えるのが妥当でしょう」

「「!?」」

「ミコト君!そんな事あるのか!?」

「はい。昔に薬物の効果に似た血鬼術をもった鬼と会った事が有ります。その時に数人は鬼の命令を聞いてました。その血鬼術で幸せな時間を過ごすために人間を生け贄にしていました」

「では今回もその場合があると?」

「可能性の一つですね。後は建物自体に憑依?融合?して入って来た人を喰らう鬼とかいました」

「もしそうだとしたらかなり厄介だな」

「まあその会った鬼は下弦の壱でしたので早々無いと思います。二つ目に関しては相当な頭な鬼じゃ無い限りやろうとは思わないでしょう」

「・・・なるほど。いい事件例を聞きました。ミコトさん」

「「「!?」」」

 

 少しの沈黙の後に首元にフサを巻いてもの凄く流暢に喋る鎹烏が現れる。

 

「この烏他のと違う?」

「私は産屋敷 耀哉様の直属の鎹烏、です」

「これは御丁寧に。初めまして俺は桃眼の鬼狩り 大和ミコトです」

「知っています。弟がミコトさんの話ばかりしますので」

「はひ?」

「白桃は私の弟です」

「え?」

「ミコトさんが藤襲山に入った頃から弟はずっとミコトさんにバレないように追っていましたから」

「ファ!?!?」

「話がそれましたね。この度私が訪れたのはミコトさんに鬼の討伐の依頼をしに参りました」

「・・・あ、杏寿朗さんが言ってた列車の件ですか?」

「それとは別件です。お受けして頂けますか?」

「はい」





~大正コソコソ噂話~


本来ミコトへの任務のお願いは白桃だが、今回依頼しに来たのが白桃兄だったのは
弟をよろしくとお願いするためだったようです。






良ければ評価や感想お願いします!
出来れば桃並みの甘さで!


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第24話:上弦の鬼


Cran様

沢山の誤字脱字報告ありがとう御座います!


 

 

「じゃあミコトも任務に行くんだね」

「俺の場合は討伐任務じゃ無く討伐依頼だけどな」

 

煉獄さん達と少し話した後は蝶屋敷に昼過ぎ頃に戻ってきて炭治朗とお見舞いに来た真菰と話してる。

因みに犬さんはまた禰豆子ちゃんの枕代わりにされてる。

 

「そう言えば炭治朗達も任務に行くんだよな?どんな任務?」

「俺は善逸と伊之助と一緒に現地にいる煉獄さんと合流して任務に向かうんだ」

「あー煉獄さんと任務するんだ。煉獄さんは柱の中でも信頼は凄く厚いから禰豆子ちゃん認めて貰えたら大いなる一歩になるよ。頑張れ!」

「うん!・・・?ミコトは煉獄さんを知ってるの?」

「知ってるよ」

「炭治朗知らないの?隊士の間の噂」

「噂?」

「え真菰、噂って何?」

「ミコトは隊士の間では凄い噂になってるよ」

「ほへ?」

 

凄い噂って何だろう?大して立つ凄い噂は無いはずだけどな?アレか女みたいな見た目なのに実際は男とかか?

 

「元炎柱の煉獄槇寿朗様は今は育手として隊士の面倒を見てるけど、半年前までは自棄になって飲んだくれだったんだって。それに怒ったミコトが槇寿朗様を殴り飛ばして一喝したとか」

「うっ」

「一年ぐらい前?にはカナエさんが上弦の鬼と接触してピンチになったところを目の前でカナエさんを掻っ攫ったとか」

「あはは」

「それで二年ほど前、私が藤襲山の最終選別の時は行なわれる日が数日遅れたんだけどその理由が前日の夜に山に迷い込んだミコトがたった一晩で鬼全てを討伐したんだって」

「へー。ミコトはやっぱり凄いね!・・・ミコト?」

「クソ、背びれが付いてデタラメ内容が出てると思ったらほぼ真実じゃんか・・・! 誰だよ言いふらしたの!!」

 

 蹲って畳をダンダンと叩くミコトを真菰は優しく頭を撫でる。

 

「言ってるのは本人の槇寿朗さんとカナエさんと柱の人達だったよ。 あと、背びれじゃなくて尾ひれだよ」

「いや、皆さん何してんのまじで・・・いや、マジで!!」

「良かったなミコト。有名人じゃないか」

「良いことなのかな?」

 

 突っ伏したまま涙を流すミコト。

 

「そういえばミコトの討伐依頼って何なの?」

「うにゃ? ああ、山に潜んでる鬼の討伐だよ。なんでも何人もの人間が襲われてるのに隊士を送り込んだら被害がパタリと止むんだって。だから俺に行って欲しいんだって」

「それはまた大変な任務だね~。大丈夫なの?」

「その心配は要らないよ真菰。 桃の力があれば鬼の位置は直ぐ分るし、いざというときは俺の血を使えばいいからな」

「血?・・・もしかして希血なの?」

「そうだよ」

「確かミコトの血はあの乱暴な柱の人と同じ血なんだよね?」

「乱暴・・・風柱様のこと?」

「真菰ー大正解!  ちなみにあの人は死不川って名前だよ炭治朗。 それであの人の血は鬼を酔わす効果があるみたいで、俺のは食欲増加だよ」

「ミコトってホント色々と凄いよね」

 

 あははと笑うミコトに二人も笑う。その後も楽しく話すだが次第に暗くなり始めた頃にミコトは旅路の支度を始める。

 

「そろそろ行くの?」

「今夜出発すれば明日の夜には目的の山に着くからね。確か炭治朗は明日の朝行くんだよね?」

「そうだよ。善逸と伊之助と一緒にね」

「そうにゃんだ。真菰は任務終わりだったよね? しばらくは蝶屋敷に居るの?」

「どうかな~?私は尾崎ちゃんのお見舞いに来ただけだから」

「尾崎・・・あーあの女の子」

「そう、那田蜘蛛山でミコトが助けたあの子だよ。 尾崎ちゃんは私と同期なの」

「あの子は元下弦の壱、豪鐵相手に最後まで粘っていたからな、覚えてる。 よし!準備終わったしそろそろ行くよ」

「うん。気を付けてね」

「またね」

「二人も体には気を付けろよ」

 

二人は元気で良かった。炭治朗も真菰のお陰で全集中・常中が出来るようになったみたいだしな。

常中が出来る様になった炭治朗に触発されて善逸と伊之助も猛特訓して出来る様になったみたいだし。皆強くなった、真菰は戊から丙になったみたいだし。なにかお祝い品を買おう!

 

「わああん!ミコトさん御達者で!」

「怪我しないで下さいね!」

「いつでも戻って来て下さいね!」

 

 まさか出発の時に蝶屋敷の門のとこに誰か居ると思ったらお見送りの人達がいた。

 

「ありがと、すみちゃん、きよちゃん、なほちゃん」

「無茶をしてはいけないわよ」

「分ってますよカナエさん。炭治朗達もお見送りありがとな」

「気を付けてね」

「俺は憂鬱だよ明日からまた怖い任務・・・いっやああああ!」

「お前は強いから大丈夫。そんな情けないこと言ってたら女にはもてないぞ」

「また勝負しろ!ミミコ」

「だからミコト!」

「ミコト!怪我しないで!」

「炭治朗もな。禰豆子ちゃん、行って来ます」

「ムー!」

「あれ?真菰は?」

「あ、まだ居た!よかった!」

 

 急いで駆けつけて来た真菰をミコトは首を傾げてみる。

 

「大丈夫?」

「うん。コレを渡したくて」

「おにぎり?」

「お腹空いたら食べて」

「ありがと。 それじゃあ行って来まーす!」

 

 お弁当を受け取るとミコトは目的の山に向けて出発する。

 

「・・・」

 

 真菰は心配な目でミコトの後ろ姿が見えなくなるまで見ていた。なぜなら、遠ざかるミコトに不安を覚えていたからだ。

 

「ミコトなら大丈夫」

 

 自分を安心させるように呟く。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「あの山かい?あそこに行くのはやめときな」

「先月なんて山菜採りに一組の家族が入ったけどそのまま行方不明になったみたいだよ」

「そうですかありがとう御座います」

 

 目的の山付近に付くと夜までには時間があるためにミコトは近くの村で情報収集を行なっていた。

 

「嬢ちゃん。あの山に行く気かい?」

「ええ、今日中にあの山を越えないといけないので」

「あすすめはしないよ。遠回りになるけど街道を通ることをすすめるよ」

「お気遣いありがとう御座います。では」

 

さて、情報収集で分ったのは事件が起きてから今日まで少なくとも50人は行方不明になってる。やってるのは下弦の鬼かな?

 

「どう思う犬さん」

「十二鬼月ならもっと派手に動くだろ」

「かな?あと分った事は」

「襲われるのは女が多いときか。なら女みたいなお前なら狙われやすいな」

「複雑だよ」

「でも最近は女に間違えられても否定しなくなったな」

「・・・疲れたの」

「・・・あ、ご愁傷さま」

「・・・」(涙)

 

 涙を流しながら吉備団子を食べ歩くミコト。

 しばらく歩き二人は・・・いや、何時のまにかミコトの頭の上にはミコトの鎹烏、白桃が止っていた。一人と一匹と一羽・・・白髪男の娘、人語を喋る白髪ワンコ、同じく人語を喋る白色烏。

 色物集団のはずだが色が殆ど無い。

 それはさておきミコト達は山に入り中腹まで入ると野営の準備をして食事の準備をする。

 

「よし。魚やキノコは焼けたな。犬さんと白桃も食べる?」

「ああ食べる」

「食ベルー!食ベル~!骨ハ取レー!!」

「はいはい。ちょっとまってねー」

「悪いなミコト」

「気にしないでー。骨の有るまま渡して喉に骨詰まると大変だもん。・・・あ」

「どうした?」

「炭治朗に日の呼吸のこと聞くの忘れてた。煉獄さんから聞いてるのかな?」

「流石に聞いてるだろ。鬼殺隊の重大事だし」

「かな。はい出来た」

 

犬さんも白桃も美味しそうに食べてくれた。でも結局その日の夜は警戒していたが鬼の姿どころか気配すらなくその日の晩は終わった。

桃の探知に引っかからないって事はかなり遠い所に居るのかも知れないから適当に場所を移動しよう。

 

「さて、場所を移そうか」

「次はどの当たりにする?」

「とりあえず山頂まで行って山を越えようと思ってる」

「反対側に行くのか?」

「そうだよ」

 

何も無いまま獣道とかを通ったりして山の反対側に行くと驚いたことに山の下側に線路が見えた。

そしてもう夜だよ。

 

「線路があるね」

「だな。・・・もう暗いしこの辺で野営するか?」

「そうだね」

「ん?・・・汽笛の音がする」

「あ、見えてきた。もしかしたら煉獄さんの乗ってる列車かな?」

「それだと笑え、る、な・・・」

「・・・い、犬さん。列車ってあんなに肉の塊みたいな乗り物だったけ?」

「違うな」

 

目の前を通った列車は何か先頭がお椀の様に紫の肉塊が広がり柱みたいなのが有って、各車両も肉塊が引っ付いて、いや違うかな?列車その物から出てた感じかな?とりあえず。

 

「追いかけようか犬さん」

「そうだな」

 

ダッシュで列車を追いかける。此所の鬼はあの列車が無事に片づいたらかたづける!

 

「あそこから飛び降りて追いかけてるのに追いつかない」

「列車だからな最初にかなり距離も有ったから仕方無い。もっと速度上げるぞ!」

「うん! そうだ、白桃!お前は先行して見てきてくれ!」

「了解ー!了解ー!」

 

 ~数分後~

 

 

「線路に振動を感じてきた近づいてるな」

「そうだn・・・」

「「っ!!」」

 

 二人は突如来た大きな振動に足を止めて警戒をする。だが何も無く何かを考えてるときに夜空に白桃ともう一羽の鎹烏を見つける。

 

「白桃!何が有った?」

「大和 ミコト! 急ゲー急ゲー。 炎柱 煉獄杏寿朗ガ!十二鬼月 上弦ノ参ト交戦シテイル!! 至急助太刀セヨ! カァーー!!」

「!? 行くぞ!犬さん!!」

「おう!!」

 

 二人はまた走り出す。特にミコトの速度は先ほどよりも速度は遙かに速くなっていた。

 そしてミコトの右眼は徐々に紅い光を灯し始めた。

 

 

 

  ☆

 

 

 

 炭治朗が無限列車にとりついた下弦の壱 魘夢の頸を斬った事に任務が終わったと思った最中新手の鬼が現れた。

 それは百年ものあいだ顔ぶれが変わることの無かった十二鬼月上弦の参 猗窩座だった。

 

「ハア ハア ハア」

 

 煉獄は猗窩座との戦いで左目が潰され肋骨は砕け、内蔵も傷つくといった大けがをしていた。だが

 

「俺は! 俺の責務を全うする!!」

 

 その程度で折れるほど炎柱 煉獄 杏寿朗という男は弱くなかった。

 

「ここにいる者は誰も! 殺させはしない!!」

 

 刀を強く握る。 炎の呼吸最後にして最大の技、玖の型 煉獄。 自分の名を冠した最大の奥義を放つために構える。

 

「術式展開!」

 

 また猗窩座は強く踏み出すと地面に雪結晶のような模様が浮かび上がる。

 そして煉獄は大きく息を吸って駆け出す。

 

――パン! パン! パン!

 

「「!?」」

 

 瞬間に手を強く叩く音が辺りに響き渡る。そしてその後に響くのは

 

「アハ! アッハハハハハハハ!!」

「こ、この声は!?」

 

 笑い声。その声を煉獄は知っている、炭治朗も伊之助も知っている。その方を見ると満面の笑みを浮かべるミコトが居た。

 

「鬼さんこちら~♪ 手の鳴る方へ~♪」

 

 命を懸けた戦場には不釣り合いな楽しそうな歌声が聞こえる。

 

「いっひ! イッヒヒヒヒ アッハハハハハ!! 見つけた見つけた!下弦なんて雑魚とは違う強い鬼!!イッヒアハハハハハハハハ!!」

 

 煉獄と猗窩座の間に立つと狂った声で笑う。

 

「その闘気、お前は柱か? いや、違うな。その眼、お前は桃眼の鬼狩りか!」

「そうだよ」

 

 ミコトの狂った声に狂気的な笑みにも臆すること無く話す猗窩座。

 

「名は何だ?」

「人に聞くときは先ず自分から名乗れよ鬼ぃ~。その程度の礼儀も無いのか、何年生きてんだよアハハ♪」

「そうか。これは失礼した。俺は上弦の鬼 猗窩座だ」

「俺は桃眼の鬼狩り。大和 ミコトだ」

「そうか、ミコト。 素晴らしい提案をしよう、お前も鬼に「断る」・・・」

 

 猗窩座の鬼への誘いを最後まで聞くこと無くミコトは断る。

 

「どうせ鬼になれとかだろ?断る」

「何故だ? 鬼になれば老いることは無い。永遠に自分を磨き続けることが出来る」

「それで磨き上げてその先に何が有る?」

「至高の領域がある。ミコト、お前のその闘気は至高の領域に近い! 杏寿朗と共に鬼になり鍛え上げれば百年もしないうちにたどり着くだろう!」

「それはそれはなんとも・・・くだらない」

「・・・何?」

 

 ミコトの発言に猗窩座は眉を顰める。

 

「至高の領域?最強の力? 無理に決ってんだろ!! 何故かって? あの臆病者がそれを許すと思うか? ないない無い!! 彼奴は自分より強い鬼が出る可能性があればそいつを殺すだろうよ!!だってあのビビりは

 

 継国縁壱と大和神子之彦に殺されかけて惨めにみっともなく逃げて!し・か・も!2人にビビりにビビって2人が死ぬまで縮こまって逃げてたんだから!! どうせ今も怯えながら見てるんだろ?鬼舞辻無惨!! ウッハハハハハハ!!」

 

 わらう・・・笑う・・・嗤う。何処までも狂った声で狂った笑顔で笑う。

 

「そしてこの俺にそんなビビりの犬になれってか? ワーン!ワン!」

 

 両手を握り顔の近くに持って来ると犬の様に吠える。

 

「ぷ、う、ふふふアッハハハハハハハ!!バカみたいアハハハ!なにがワンワンだよ、あーお腹痛い。それで、だから鬼には成らない」

「そうか、鬼にならないのなら殺す」

「逆に殺してやるよ」

 

「ミコト少年」

「煉獄さん。時が来るまでそこで休憩していて下さい」

 

 後ろを振り返り笑顔で告げるミコト。その顔はさっきまでの狂気的な笑みでは無く、いつも煉獄が見る優しい笑みだった。

 

「さて、日が昇るまであと一時間ちょい。

 

 

 

 

 

頑張るか(楽しもうか)






~大正コソコソ噂話~


ミコトは情報収集で立ち寄った村では情報収集よりも
真菰に上げる品を選んでいる時間の方が多かったみたいです。





良ければ評価や感想お願いします!
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第25話:ミコト対猗窩座

 

 

「破壊殺・羅針!」

 

 ミコトが抜刀の構えを取り、臨戦態勢を取ると、猗窩座は強く地面を踏み自らを中心とした雪の結晶を模した陣を出現させる。

 

「行くぞ!ミコトッッ!!」

「来いや!!」

 

 ミコトが答えると猗窩座は一気に駆け出す。

 二人の距離は少なくとも10メートルは離れていた。にも関わらず猗窩座は一瞬にして己の拳が届く距離にまで接近する。そしてその拳をミコトに放つ。

 

「第参秘剣改 上雷」

 

 一筋の稲妻が天に昇る。遅れて雷音が鳴ったときに猗窩座の繰り出した右腕が肩から先が地面に落ちる。ミコトの斬り上げ抜刀だ。

 そして即座に切り上げ抜刀によって振り上げた刀を翻し振り下ろす。

 

「第参秘剣 落雷!」

 

 轟音と共に振り下ろされたその斬撃を猗窩座は体を反らし避けると後方に大きく跳ぶ。

 

「イッヒヒ! さっすがは上弦ッ!」

 

 立ち上がった猗窩座は右肩から先は無く、左肩から右腰まで大きく袈裟斬りにされていた。だが、猗窩座はその刀傷を撫でるように触れるだけで傷は何事も無かったかのように治り、切り落とされた右腕も即座に腕が生える。

 猗窩座は立ち上がるとその場で拳を繰り出した。

 

 

 

 

「――破壊殺・空式ッ!!」

 

 

 

 

 破壊殺・空式、それは遠距離攻撃に特化した技。一瞬にも満たない速度で打ち込むために、衝撃が生まれる。そして生まれたその衝撃は標的に届く。

 

「第伍秘剣 一刀両断・兜割り!!」

 

 視覚出来ない攻撃。だがそれをミコトは一刀の名の下断ち切った。

 矢次囃子に繰り出される空式を悉くを斬り伏せていく。

 

「まさか攻撃が見えているのか?」

「そのまさか!・・・って言いたいけど実際は直感だよ。あっははははは!!

 前に似た技を使う鬼を殺したことがあるからなぁ~。 アッハハ・・・次はこっちのばん・・・」

 

 刀を納等して抜刀の構えを取る。

 腰を落とし右足を前に伸ばし左足で体重を支える。そこから繰り出す技は

 

 

 

「――――第陸秘剣 三途の川!!」

 

 

 ミコトの十八番。その速度は元鳴柱、桑島 慈悟郎でさえも舌を巻く程だった。一瞬にして猗窩座の懐に入り込むと刀を抜き放つ。

 

「ッッ!速い!?」

 

 防ごうとした猗窩座の両腕を切り落とし、勢いを殺さず回転して頸を斬ろうとするが即座に再生した右拳で上に弾かれる。

 だが勢いよく振り下ろし追撃を阻止させ、切っ先が鳩尾に来ると鋭い突きを放つ。

 

「良い突きだ!」

「ハハ! ヤバ」

 

 狙いは良かったが、猗窩座は切っ先が触れる直前に身を後ろにそらしバク転で刀を蹴り上げ、両腕を後ろに深く引き攻撃態勢に入る。

 

「この攻撃はどう対応する?ミコトォ。 破壊殺・乱式!!」

「ミコト少年!!」

 

 煉獄はミコトの名を叫ぶ。それは破壊殺・乱式の強さを身をもって知っているからだ。

 乱式は拳打による連携・乱打。 その威力は煉獄の炎虎さえも真っ正面から対抗出来る程の技。それが今、ミコトのがら空きになった胴体に撃ち込まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ミコト。お前の呼吸は恐らく一族の呼吸の派生だろうな

 そしてな、派生の呼吸を使う者なら派生元の呼吸を使えるのは当然!って呼吸の書物にも書いていたいたからな』

 

『だからな、父さんと母さんは勿論。犬さんも俺も、ミコトを応援しているぞ!

 ミコトは

 

 

 

桃眼一族歴代の最強剣士になれる!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミコトは走馬灯を見る。昔、兄に言われた言葉を思い出す。

 

 

 

――――トォォォォォォォォォォォ!

 

 

 その瞬間にミコトの呼吸が、剣術が変わる。

 

 

 

「桃源流・壱式 朱雀天焔」

 

 

 

 

 1羽の神々しい鳥が二人の間に飛来すると、猗窩座の乱式全てがかき消される。それどころか両腕を切り落とし頸に少しの切れ目を入れる。

 

「ッ!?」

 

 猗窩座は後ろに後退して追撃をさせず構える。

 そして煉獄は今までに見たことの無いミコトの戦い方と今までとは違う呼吸音に驚く。

 

「あの至近距離で完全な対応と素晴らしい剣戟!・・・やはりお前は鬼になれ!ミコト」

「ニャッハハ!ならねえよ 格闘家・・・それより殺し合おうぜ!」

「あぁ 来い!ミコトぉ!!」

「桃源流・弐式 青龍雲飛月!!」

「破壊殺・乱式!!」

 

 青き龍がうねりながら猗窩座に向かう。どれだけ打たれても猗窩座を取り囲み襲う。 

 右拳を受け流し切り落とし、左のアッパーカットを顔を逸らすだけで躱すと左薙ぎで腕を切り落とし頸を狙うが既に再生していた右腕を盾にされ頸を取り損ねる。

 

「破壊殺・脚式 飛遊星千輪」

 

 刀身が腕に食込んでいた為に碌な防御も出来ずに近距離から上に向かっての蹴り上げを喰らう。

 

「ガッ!」

 

 だがそれで大ダメージを喰らうほどミコトは弱く無い。

 

「ッハハハハ!なーんて 第肆秘剣 木枯らし風牙!」

 

 柄で蹴りを受け止めその威力を利用して回転して突き出された足を切り飛ばす。

 

「呼吸の音が戻った?!」

「まだまだぁああ!!」

 

 そのまま追撃する。攻撃を受け止めれば逸らして斬り、避けては斬り、受け流しては斬る。

 

「ハハハッ!お前も杏寿郎も、最高だ…こんなに楽しい闘いは、本当にいつ以来だ!ミコトも楽しいと思うだろ!!」

「イッヒヒヒヒヒ!!愚問だなッッ!!」

 

 ミコトだけではなく猗窩座も狂気的な笑みを浮かべ、二人の戦は更に激化する。

 

 

 

 

「(あれが本当にミコト少年なのか?!俺と立合いしていた時より遙かに速度も威力も高い!!それにあの眼、前に見たときには感じなかったが今は感じる。あの桃眼からは()()()()()()が。・・・それにあの呼吸は)

 いや、今はそれよりもミコト少年に加勢をしなければ!」

 

「よ、煉獄」

「犬殿!」

「一応いっとくが今はあの戦いに入るなよ」

「何故ですか!?」

「片目潰れて満身創痍のお前では今は役に立たない」

「だが!」

「時が来るまでと言っていたろ?だから今はまだ待て。 時が来たら後のことは考えず本気で戦え」

「・・・!」

(にしてもミコトがあの呼吸を使うの見るの何年ぶりだ?・・・それに、何の奇縁か、お前がその武術を血に染めてどうする伯治

 

 

 

 

 

「ハア ハア イッヒヒヒ!」

「良いぞ!実に楽しいなミコト!」

(駄目だ。やっぱり桃源流じゃなきゃ効果が薄い・・・)

「どうしたミコトッ! この程度では無いだろぉ!!」

「ああ、待ってろ」

 

 刀を収めると懐から両端に桃の刺繍がされた1本の長い髪紐を取り出すと、長い髪を後ろに1本に纏める。そして

 一度大きくそして深く深呼吸するとミコトからまた『トォォォォォォォ』と言う呼吸音が聞こえる。

 その呼吸音が聞こえてくるのと同時に猗窩座は先ほどには無かったもう一つの変化に気づく。

 

「素晴らしい闘気だ!!

(先ほどの杏寿朗と同等なまでの闘気ッ!! いや、徐々に大きくなってる!!)」

 

 闘気それは読んで字の如く戦う気力。猗窩座は破壊殺・羅針によってその闘気を視覚する事が出来る。

 その為にどの様な攻撃も素早く察知して攻撃の対応を可能にさせる。ただしその闘気は生きてるものしかにしか効かず、あくまで羅針は闘気の察知だけで攻撃力は持たない。

 

「なんだその構えは?」

 

 猗窩座はミコトの変わった構えに疑問を持つ。それもそのはず

 刃が外になるように刀身を右から首後ろに回す。切っ先を猗窩座に向けると左親指と人差し指で力強く摘まむ。

 

「キッヒヒ!どうした?来いよぉ!!」

 

 狂気的な笑みを見せるミコトに対してまた猗窩座も答えるかの様に狂気的な笑みをうかべ、地面に罅が入る程強く踏み込む。

 

「もっと戦い続けよう! 破壊殺・空式!!」

 

 一瞬にも満たない拳の衝撃がミコトを襲う。

 

「桃源流・拾壱式 (かま)()絶刀(たち)ッッ!!」

「・・・ッ!!」

 

 拳の衝撃が来る前に摘まんでいた指を離すと刀が見えなくなり、次に視認できるときには既に振り終わっていた。

 猗窩座は一瞬ミコトが何をしたのか訳が分からなかった。だが咄嗟に首を横にすると顔半分が断ち切られたのだ。しかも後ろに有った木々は数本が薙ぎ倒されるときた。もし何にも行動していなかったら間違いなく首を斬られていただろう。

 

(何故俺の空式がミコトに届かず、逆にミコトの斬撃が俺に届いた?

 ・・・そうか!この斬撃で拳の衝撃を斬り伏せたのか!)

 

 そう、猗窩座の予想通りミコトの放った攻撃、鎌命絶刀は空式と似ていた。

 

(あれは風の呼吸?!不死川と同じか!?)

 

 風の呼吸は柔軟な素早い動きによって起こした鎌鼬状の風が、実際に殺傷力を持ってそのまま敵を攻撃する。

 それと似たことで鎌命絶刀の一振りは一瞬にも満たない勢いで刀を振り空間を切り裂き、その空間に空気が戻る時に生まれる副産物が、風の刃を生み、飛ばしたのだ。

 

「驚いた。風の柱を何人も殺した事は有った。だがその柱の誰も此所までの風の斬撃を使った者はいない・・・!」

 

 振り返った猗窩座の目線の先には何十本もの木が斬り倒されていた。それだけで鎌命絶刀の威力は分かるだろ。そしてこれが犬さんがミコトが天災と呼ぶ理由だ。

 そしてまたミコトは構える。刀身を上から後ろに回し、下を向いた切っ先を摘まみまた力を込める。

 

「来い!ミコトぉぉ!!」

「鎌命絶刀ッッ!!」

 

 指を離し刀を振るう、縦の斬撃は地面を切り裂きながら猗窩座に向かう。だが猗窩座はその風の刃をまさかの真横から叩き折ったのだ。猗窩座の得意とする血鬼術にたよならい本人の技術、鈴割り!

 

「風の刃を横から殴って対処とか化け物か!! あぁ鬼だったなぁ~あっあはははははは!!!」

(速い!)

 

 対応されるのが分かっていたのかミコトは斬撃を飛ばしたと同時に一気に猗窩座に接近する。

 

「破壊殺・砕式 鬼芯八重芯ッ!」

 

 左右4発づつ、計8発の強力な乱打がミコトを迎え打つ。

 

「桃源流・拾弐式 昇り龍!」

 

 下ろしていた刀を振り上げると龍が蛇行して天に昇る。

 乱打を相殺するとお互いに狂気的な笑みと声を上げ攻撃し合う。

 

「やはり鬼になれ! 鬼になって俺と永遠に戦い続けよう!」

「人間でいるからこそ鬼との殺しやいは楽しいんだよ! どんなに楽しいことも永遠に続けばつまらないッ!

 人間ははかない生き物だからこそ!全力で楽しんで、全力で生きんだよッ!永遠には有り続けないだから堪らなく愛おしく思えるんだよ!」

 

「杏寿朗と似た事を言うッ!!」

「ハッハッハッ! ・・・善逸!今すぐ杏寿朗の手当をしろ! 杏寿朗の次は炭治朗だ!」

「え、え?」

「速くしろ!!」

「は、はい!(何なんだ、ミコトのあの音は! まるで鬼と一緒!?)」

 

 列車の乗客を助けて禰豆子を箱に入れて炭治朗達の下に駆けつけてきた善逸は来て早々にミコトの手当の指示に驚くが余りの剣幕に急いで煉獄の手当に当たる。

 そして炭治朗は感じなかったが、善逸は感じた。・・・否、聞こえたたのだ、今のミコトの音が鬼に近いものであることに。

 

「ミコト! 何故お前も杏寿朗も弱者に構う! あんな弱者に構うなァ!もっと本気を出せ!!」

「鬼のくせに寂しがり屋の構ってちゃんかよ! アッハハ!」

「俺は悲しい!人間で居ればこの剣技も衰える!寂しくは無いのか?!武を極めたいとは思わないのか!!」

「極めたいとは思わない! 俺が強さを求めたのも武を身に付けたのも!全部、兄さんに父さんに近づきたかったからだ!そして、兄さんと父さんと母さんにまた強くなったねと褒められたかったからだ!!

 だから、武の極みも至高の領域も興味は無い!!」

「ならば此所で死んでくれ!若く強いまま!!」

「ック、勢いが増した」

 

なんだこの異常なまでの反応速度!

どんなに隙を突いて蹴りや殴打をしても全部に対応する。何だ異様すぎるだろ!?・・・まさか、攻撃のタイミング分かるのか?

そう言えば猗窩座は『素晴らしい闘気だ』と言っていた。闘気?闘う意思で、闘気だっけか?じゃあ最初にしていた羅針はその闘気を見る物か? 

俺は桃の力で鬼の位置が分かるがそれに近いものか?分からない、けど試そうか。

 

「お前は俺の攻撃では無くて俺の闘気を察知して攻防を行なってるな!」

「そうだ!この短時間でそこまで気づいたのはお前が初めてだ!」

 

 わざと大声で質問するミコトに猗窩座は嬉しそうに肯定する。

 

「破壊殺・脚式 飛遊星千輪!」

「桃源流・伍式 玄武神一閃!」

 

 猗窩座の上に向けての強烈な上段の蹴りをミコトは地面に罅が入る程力強く踏み込み上段から下段に勢いよく振り下ろす。

 その姿は亀であり蛇になってい尻尾を持つ神獣、玄武の姿をしていた。猗窩座の強く蹴り上げた足を蛇の尾が噛みちぎるが即座に再生され回し蹴りで遠くに蹴り飛ばされる。だが、

 

「なんだ?」

 

 ボン、ボン、ボンと何かが小さく破裂すると藤色の煙が立ちこめて猗窩座を包む。

 

(これは・・・ッ!藤の花か!! っく!)

 

 それはミコトが使ったのは鬼を追いかけているときに迷い込んだ忍の里で教えて貰った煙玉を藤の花を混ぜ改良した物だった。一度カナエを助けるために上弦の弐にも使っている。

 効果は普通の鬼には目くらましや怯ませられるが上弦にはその効果は一瞬だ。

 

 猗窩座は勢いよく腕を振るう。それだけで風圧を生み煙を晴らしミコトを見据える。すると何かを投げた様な体勢のミコトに疑問を持つのと同時に頸に違和感が起き確かめると頸を

 

 

 

 斬られていた。

 

 

 藤の煙玉の効果は上弦には一瞬、だが戦場では一瞬は金貨にも等しい。瞬き一つで生死を分けたりする、富岡が累を倒したのが良い例だ。

 そしてミコトが投げたのは自身の愛刀だ。刀は回転して煉獄の近くの地面に刺さる。だが煉獄はそれよりも驚愕の物を見た。

 確かにミコトは猗窩座の頸を斬った。だが斬り損ねていたのだ、猗窩座の頸は右側から斬られ後数センチ左にズレていれば完全に断ち切れていただろう。

 

「はは。大胆な作戦、驚いたぞミコト。だが、剣士が刀を手放してどうする!」

 

 勢いよくミコトに向かうと拳を突き出す。

 

「キッヒヒヒヒ!アッハハハハ!!」

 

 だがミコトはその拳を避け腕を右手で掴むと左手を猗窩座の鳩尾に当て肩車の要領で猗窩座を地面に叩き付ける。

 

「あははは!俺は剣士でも剣客じゃねぇ!刀1本で生きてけるほど楽な世界じゃ無いんでな!」

「素晴らしい。お前も格闘の心得が有るのか!」

 

 ネックスプリングで起き上がるとミコトに殴り掛かる。だが、ミコトもそれら全てを躱し受け流す。

 

もっと見ろ!見逃すな!相手の目線、腕、足の動き、筋肉の動き呼吸のタイミング、そして重心の傾き、全て見極めろぉ!!

 

「こうも拳を交えるのは何十年いや、何百年ぶりだろうなぁ!」

「知るか!! それよりどうだ!俺の闘気も上がってるだろ!」

「ああ、良い!実に良い!やはり鬼になれ!鬼に成ると言ってくれ!」

「ことわッグハ!」

 

 腹に蹴りを食らうが咄嗟に後ろに飛んだ事でダメージは大きくは無いが、小さくも無い地面を転がるもゆっくりと立ち上がる。

 

「どうした?来いよ! このまま陽光で殺してやる!」

(なんと!ここまで来てもこの闘気!!)

「キッヒヒ!」

「はは!・・・・・・・・・・・っ!」

 

 トドメを刺すために凄まじい震脚と共に、瞬時にミコトとの間合いを詰める。

 だが、突如後方が明るくなった事でもしや想像以上に早く太陽が上がったのかと驚き、後ろを見たが、実際は違った。

 

「(気づかれた!? だが、止らない!)

 

 

炎の呼吸・壱ノ型 不知火ッッ!!!

 

 

 猗窩座の頸に灼熱の刃が迫る。だが、猗窩座は咄嗟に飛躍して躱すと離れた位置に降り立った。

 

(何故杏寿朗の闘気に羅針が反応しなかった・・・? 

 ・・・・・・・・いや、違う!杏寿朗は最大限闘気を押さえ、逆にミコトは最大限闘気を放ち杏寿朗の闘気を隠したのか!

 先ほど大声で羅針を問うたのも杏寿朗に気づかせるためだったのか!)

 

 煉獄はミコトの前に立つと猗窩座の動きを見逃さないように見る。

 

「すまないミコト少年。折角作ってくれた千載一遇の好機を・・・」

「気にすんな杏寿朗!俺の刀ありがと。 それでまだいけるな?」

「・・・!」

「どうした?」

「今俺の名を杏寿朗と・・・」

「駄目だった?なんかあの鬼だけ杏寿朗と呼んでるのが羨ましかったから。駄目だったら止めるけど?」

「いや!今のままで良いぞ!ミコト! 」

「イッヒヒ! 日が昇るまで後数十分。いけるな?」

「無論ッ!!」

 

 ミコトは煉獄の隣に立つと二人は刀を持ち直し猗窩座を見据える。

 

「杏寿朗、あの鬼の頸を斬るチャンスが有れば例え杏寿朗を巻き込もうと容赦なく斬る!

 だから杏寿朗も俺を気にするな!」

「・・・っ! ああ、分かった!」

「それでこそ!」

(本来ならば俺が言わなければいけない事を、気を使わせてしまってすまない)

 

「話はすんだか?」

「ああ、こっからは二人がかりだ!卑怯とは言うまいね?」

「もちろんだ」

 

 

 

「もっと深く!強く!!

 

 ――桃源流!!」

 

 

 

「心を燃やせ!

 

 ――炎の呼吸!」

 

 

 

「さあ来いッ!

 

 ――破壊殺!!」

 

 

 

 ミコトと煉獄は刀を強く握り、猗窩座に立ち向かう。

 

 命を懸けた戦いのタイムリミットは後数十分。

 

 勝のはミコト達か猗窩座か。






~大正コソコソ噂話~

ミコトは呼吸を使えないと思っていた時代も一族の剣術の型を忘れないように常に型の鍛練をしていました。
その時は犬さんは影ながら見守っていたとか・・・。





良ければ感想や評価お願いします!
出来れば桃並みの甘さで!


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第26話:桃眼と炎と格闘家


今回の話で無限列車編は終わりまし!

戦いの後は誰が生き残っているのか!!


 

 

 

 

「破壊殺・羅針!」

 

 猗窩座は足元に自らを中心とした雪の結晶を模した陣を出現させ構える。

 

「桃源流・肆式――」

 

 そしてミコトは刀を鞘に収め、抜刀の構えを取る。見た目は雷の呼吸の壱ノ型と似ているが違うのは鞘の先を天に向けていることだ。

 

「――麒麟雷行!」

 

 一瞬ミコトの姿がぶれると次の瞬間には猗窩座の直ぐ側で抜刀で斬付けていた。

 ただこの抜刀は一撃にかける物では無くあらゆる方向から連続で斬りかかる。だが、猗窩座も刀身を弾いたり避けたり腕を犠牲にやり過ごしたりしていた。

 

「良い速度だ!」

「キッヒヒヒヒ! 桃源流・拾参式 渦潮」

 

 突如体勢を低くして猗窩座の足を回転斬りで狙うが、上空に飛躍して避けられる。

 

「杏寿朗!」

「ああ!」

 

 ミコトの合図と共に、杏寿郎は仕掛ける。烈火を思わせる速度で自分の方を見ているミコトに迫る。

 そして煉獄は組んでいたミコトの手を踏むと、ミコトはタイミングを合わせ猗窩座に向けて空高く煉獄を投げる。

 

「炎の呼吸・弐ノ型 昇り炎天!」

 

 灼熱の刃が猗窩座に迫るが、猗窩座は迎え打つ。空中で炎刀と拳が何度もぶつかり合う。

 だが直ぐに煉獄は猗窩座に殴られ地面に叩き付けられる。

 

「拾壱式 鎌命絶刀!」

 

 煉獄が離れた瞬間にミコトの放つ風の刃が猗窩座を襲うが空式で迎え打ち威力を弱めると身を翻し避けると着地と同時にミコトに向かう。

 

 繰り出された左腕を上に切り上げ左手の拳を身を回転させ左薙ぎで対処する。そしてまた振り下ろすが少し後ろに下がられ躱される。

 

「しまっ!」

「参ノ型 気炎万象!」

 

 猗窩座の上段蹴りがミコトのこめかみを狙う。避けようとするが刀を振り下ろしたタイミングだったために避けられなかったが煉獄がその猗窩座の足を断ち切る。咄嗟に後方に跳び三人は体勢を立て直し構える。

 

「「・・・」」コクリ

 

 ミコトと杏寿朗の二人は目線合わせ頷くと猗窩座に迫る。

 

「壱ノ型・不知火!」

「拾壱式・昇り龍!」

 

 遠間からの力強い踏み込みにより間合いを詰めてからの袈裟斬り。それは両手を切るだけだった、だがそこへミコトの斬り上げが猗窩座を襲い煉獄の出来た隙を埋める。

 

 お互いがお互いにカバーしながら猗窩座に挑む。しかし煉獄はミコトに比べ満身創痍だった為にミコトは煉獄の防御と不意打ちをメインに攻めて煉獄のサポート。煉獄は防御と真っ正面からの打ち合いをメインにしていた。

 

「肆ノ型 盛炎のうねり」

「その怪我で此所までの動き!流石だ」

「壱式・朱雀天焔!」

 

 前方広範囲を渦巻く炎で薙ぎ払う。それを簡単に猗窩座はいなすが渦巻く中からミコトが刀を振るい飛び出す。

 

「おお!」

 

 その技に猗窩座は歓喜の声を上げる。うねる炎の中から神々しい燃え盛る炎の鳥が姿を現し猗窩座を襲う。

 バックステップで後ろに下がりながら繰り出される剣戟を裁く。だが突如ミコトが立ち止まると上から気炎万象で煉獄が仕掛ける。が、それを上段の回し蹴りで対応されるが、すかさずミコトが青龍雲飛月の不規則な動きで煉獄を庇いながら猗窩座を斬付ける。

 

「良い連携だ!」

「そりゃどうも。拾弐式・渦潮!」

 

 繰り出された拳を躱したと同時に体を捻り足斬りを狙うが飛躍され躱される。だがそこに不知火で煉獄が追撃を仕掛ける。

 

「・・・っう!」

 

 防御された後に数合打ち合った時に負傷した右脇腹が痛み、よろめいた隙を狙われる煉獄。

 

「させるか!」

「はは!」

 

 だがミコトが咄嗟に煉獄を押しのけ身代わりになる。

 

「ッ・・・グハ!」

「ミコト」

 

 

 鳩尾を狙った拳を柄で受け止めるが、完全に勢いを止められず拳が滑り鳩尾に入り吹き飛ばされ線路の土手に激突する。

 

「ガハッ!・・・ま、まだmっ! ゲホゲホ、がは! ハアハア・・・がぁ」

 

 突如胸を押さえ苦しみだし咳き込む。呼吸が荒くなるが無理矢理整えるがまた咳き込む。

 

「ミコト!

(当然だ。犬殿から聞いた話では山頂付近から列車が見え追いかけたと。それから猗窩座との戦闘、そして新たな呼吸。体に負担が掛かって当然だ!)」

 

「・・・ミコト」

 

 猗窩座は胸を押さえて俯くミコトに近づくと見下ろし優しく声をかける。

 

「ミコト。それが人間の限界だ」

「がっあ”ー?」

「人間は全力で走れば十秒も持たず息切れを起こす。内臓が完全に潰れれば瀕死になり、腹に穴が空けば死ぬ。だが、鬼になれば陽光や日輪刀で頸を斬られる事だけに気を付ければ死ぬことは無い。

 鬼になれば、老いることも怪我で苦しむこともない。なにも食べなくても死なず、藤の毒以外の毒では苦しむこともない。・・・・・・

 ミコト、何度も言うが鬼になれ。鬼になればその呼吸の苦しみからも解き放たれる。ミコトも杏寿朗も此所で死んでいい奴では無い。それに何故かは分からないが、俺はお前を殺したくない」

「・・・!」

 

 その場が静寂に包まれる。

 

「・・・・・・・・・・・はは・・・・・・・・・・・・・アッハハハハハハハハハハハ!!ハハハハハハハハハハハ!!アーハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

 だが当然の如くそれをミコトの狂った笑い声が破る。

 

「アッハハハハハハイッヒヒヒ・・・はあー。怪我の苦しみ?呼吸の苦しみ?毒の苦しみ?は、はは・・・あっはははは!!巫山戯んな!体の痛みなんて苦しみなんて疾うの昔から覚悟出来てんだよ!

 第参秘剣 落雷!」

 

 ミコトは攻撃を仕掛けるが猗窩座は防御姿勢で全ての斬撃に対処する。

 

「っ! 何故だ!?攻撃すると言う事は死を選ぶことだ!」

「はは!くだらねぇ!死が怖くて復讐出来るか!!あの日俺の家族を奪った彼奴!あの鬼!

  黒死牟!!

「ッ!?」

「彼奴を殺す為ならいくらでも死んでやる!それにだ!

 

 死ぬのが怖いなら最初っから生きなければ良い。生まれてこなければ良い。そうだろ?!」

 

 猗窩座の目を見据えて言う。だが猗窩座はその言葉を自分では無く、視覚共有で今を見ている無惨に言っていると直感的に理解する。

 

「よっと!」

 

 一旦後ろに飛び退き猗窩座から距離を取る。そして猗窩座の後ろに居る煉獄と目が合うとお互いに意を決した様に頷く。。

 ミコトは右手で刀を持ち切っ先が左側から後ろに行くよう構え、左手の甲を右肘に着ける。

 

「・・・ミコト・・・・っ!?」

 

 猗窩座は突如後ろから炎の様に燃えさかる高い闘気を感じ、振り返ると煉獄もまた上段の構えを取っていた。

 

「そうか・・・・・・・・・・ならば来い!!」

 

「我流剣術――

 

「炎の呼吸伍ノ型――

 

「破壊殺・終式――

 

 

 

 

 ミコトと煉獄は同時に猗窩座向かい走り出す。

 

 

 

 ――水虎!!

 

 ――炎虎!!

 

 ――青銀乱残光!!

 

 

 ミコトは激流の如く、煉獄は烈火の如く走り猗窩座に向かう。その姿は流動体の虎と猛炎の虎の姿を作りだしていた。

 そして猗窩座は全方向に通常より速度と威力をさらに高めた百発の乱れ打ちをほぼ同時に放つ。

 

 ミコトと煉獄は繰り出される拳を切りながら突き進む。決して退くことはしない。ただただ猗窩座に向かい文字道理、道を切り開き突き進む。

 

「「はあああああああああああ!!」」

 

 最後に水虎と炎虎が激しくぶつかり合うと水柱と炎柱を立てる。

 

「煉獄さん!ミコトぉぉ!」

 

 柱が立ちがり、土煙が立ちこめ、炭治朗は叫ぶ。そして遂に土煙が晴れ、炭治朗達三人が見たのは・・・

 

「クッぐぅ・・・・!」

 

 猗窩座の頸に刀を食込ましている二人の姿だった。

 

 猗窩座の正面には煉獄、背後にはミコトがいて、二人の刀は猗窩座の頸に食込んでいるが、突差に刀の柄を掴まれたために膠着状態に入る。

 

(なんと!? 手負いとは言え二人の攻撃を片腕で止めるか!? 動かん!)

「杏寿朗ぉぉぉおおお!!」

「無論!絶対に刀は放さん!!」

(・・・まずい!朝日が昇り始めている!此所には遮蔽物が無い、陽光が差し込む!!逃げなければ・・・逃げなければ!!)

 

 逃げようと動くが煉獄とミコトに挟まれ頸には左右から刀が食込みその進行を押さえるので精一杯になって動けなかった。

 

「・・・ミコト・・・・・・・っ!」

 

 離れた所から見ていた炭治朗はミコトと目が合うとミコトが頷くのを見て何かを決めて刀を取りに行き伊之助と善逸に叫ぶ。

 

「伊之助!善逸! 動け!! 後で怒られようと、動け! 後悔しないために!!」

「・・・! 獣の呼吸――」

「雷の呼吸――」 

 

 

 

 

 

 

 

 この世には『3度目の正直』と言うことわざが有る。

 意味は、物事は一度目や二度目は充てにならないけれど、三度目ならば確実である、だ。

 

 視界を失っていた猗窩座に刀を投げつけ頸を後もう少しで切断しかけたのが、一度目。

 ミコトに意識を集中していた猗窩座を意識外から攻撃して斬り掛けたのが二度目。

 そして、三度目が今だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・!・・・ウグッアッガ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、今回当てはまったのは『二度あることは三度ある』だった。

 意味は二度起こったことがらは、もう一回(三度)繰り返す傾向にある、だ。

 

 

 

「ミコト!?」

 

 頸を斬るのに全神経を使っていたために腹ががら空きになっていた。そこに猗窩座の後ろ蹴りが突き刺さる。その所為で刀に込める力が一瞬弱まった。そしてその一瞬で全てが決った。

 

 力が弱まったことでミコトの刀を止めていた方の手を離し、そのまま煉獄の刀を側面から叩き降ろし、へし折る。

 

 そしてへし折った勢いのまま頭が地面に着くぐらい下げミコトを蹴り上げる。

 

 ミコトはついさっき煉獄が言ったとおり猗窩座に蹴られようと絶対に刀を手放さなかった為に刀身は猗窩座の頸から抜け、ミコトは宙に打上げられた。これらが全て一瞬で行なわれた。

 

 

「ゴフ!」

「ミコト!?・・・がは!」

 

 その上、折れた刀でも挑もうとした煉獄をまるでボールを蹴るかの如く炭治朗達の下に蹴り飛ばした。

 

(最低でもミコトだけは・・・!!)

 

 まだ、影なっていた所に落ちたミコトを殺そうと向かう。だが

 

「何してる・・・・?」

 

 犬さんがミコトの前に立つ。

 

(犬?・・・・っ!?)

 

 猗窩座が犬さんを見たときに覚えの無い記憶が流れ込む。

 

 

『まさか本当に鳥居から本殿までの百往復をするとはな。しかも日の昇らない真夜中に1日も欠かさずに一年やり通すとは』

 

『なんだ、大事な人の為か。良い奴だな』

 

『ちゃんと守り抜いてやれよ』

 

 

(なんだこの記憶は?! 俺は知らない・・・・。)

「バカが・・・」

(っ! しまった陽光が!!)

 

 犬さんを見て一瞬立ち止まった瞬間に陽光がミコトを包み猗窩座から守る。

 

「ック! こうなれば陽光の届かないところへ!」

 

 そう呟くと太陽に背を向け森に向かい走り、まだ薄暗い森の中に姿を消していく。

 

 

 

 

 

 

 

 この無限列車の事件を解決した後の炎柱、煉獄杏寿朗&桃眼の鬼狩り大和ミコト 対 上弦の参、猗窩座との戦闘は朝日が昇り、数時間後には産屋敷を初め全ての隊士に伝えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~???~

 

 

 

「ここは、俺の・・・・家・・・・・か?」






 ~大正コソコソ噂話~

 
 猗窩座曰く、ミコトの闘気は黒・・・否、漆黒のモヤ又は霧がミコトを中心に辺りに広がる感じだとか。





さて、次回はオリキャラのミコト達のプロフィール的な奴を乗せようと思っています。

良ければ感想や評価お願いします!
出来れば桃並みの甘さで!


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第26.5話:設定

 

 

~オリキャラ~

 

 

【大和 ミコト】

 

 容姿:中性顔。

   :白髪。

   :声は高め。

   :瞳はクリムゾン色。

   :現在の桃眼時は右目のみに桃の印が現れ淡い紅い光を灯す。

 

 年齢:15歳。

 

 家族:両親兄(故人)

    犬さん(生存)

 

 呼吸:我流(名前はまだ無い)

   :桃源流

 

 音 :我流(不明)

   :桃源流(トォォォォォ)

 

 刀色:変化無し。

 

 桃力:桃眼の力はミコトから半径3キロ以内であれば感知する事が出来ます。

    ただし鬼に成ったばかりや全然人を喰ってない鬼であれば更に近づかなければ感知出来ない。(愈史朗や禰豆子とか)

    逆に上弦や鬼舞辻無惨は鬼として強すぎるのでかなり離れていても感知出来る。無惨を見つけたときは最低でも5キロ以上は離れていた。

 

好きなもの:桃。

     :吉備団子(特に一族秘伝の吉備団子)

     :犬さん。

     :鬼との戦い(殺すこと)

     :恐怖の表情のまま死んだ鬼の顔。

 

嫌いなもの:犬さんを化け物(妖怪)呼ばわりする者。

     :殆どの鬼。

     :お化け。

 

 

 

 

 

 瞳に桃の印を宿してる一族の生き残り。

 父と兄の憧れ頑張って一族が繋いできた呼吸を教えて貰いその日に呼吸を覚えるが出来たのは我流の呼吸。

 

 そして12歳の時に上弦の壱『黒死牟』に両親と兄を斬殺されそれ以降は野良の鬼狩りとして活動中。

 たった三年の間に上弦の壱、弐、参と遭遇。

 今まで討伐した鬼の数は3桁半ばにも及ぶ。因みに討伐した鬼の中で名を名乗った鬼の名は全部覚えている。

 鬼との戦闘では狂気的な笑みを浮かべ狂気的に笑いながら戦う。その姿は鬼ですら逃げ出してしまうほど。

 

 ミコトは旅をしながらの鬼狩りをしているために既に日本各地に行き、沢山の繋がりを持っている。(後々出てくる)

 

 旅をしているが中性的な顔をして長い白髪の為に旅先でよく男性に告白される。そのたび四つん這いになりガーン状態になっていた。

 自暴自棄になった時は服を脱いで男と証明しようとした事がしばしば。

 情報収集の時とかはわざと女性の真似をしたりする。

 そして最近は女の子扱いに慣れつつある。

 

 

 

 

【犬さん】

 

 容姿:真っ白な大型犬(柴犬?)

 

 年齢:最低でも400年以上。

 

好きなもの:大和一族秘伝の吉備団子。

     :神子之彦とミコト。

 

嫌いなもの:殆どの鬼。

     :過去に神子之彦を鬼と同じ様に見ていた人間達。

     :ミコトを鬼と同じ目で見る人間。

     :ミコトを鬼と言う人間。

 

 

 実年齢は不明。ミコトの先祖『大和神子之彦』と過ごしていた事が有るために最低でも400年は生きている。

 大和一族の桃の力とミコトの使う刀の秘密を知っている。

 

 犬さんは神子之彦とその妻が故人になってからは大和の血筋を遠目で見守っていたが、ちょっとした油断で当時まだ四つだったミコトに見つかる。

 ミコトに気に入られた犬さんは別れの時にミコトに両耳を鷲掴みにされギャン泣きされたとか。

 

 泣いてるミコトを慰める為に大和兄の案内の元大和家に行く。家に着けばミコトは犬さんと別れたくないと言うが両親が反対したために、犬さんの背に乗ってがっちりホールドしてまたしてもギャン泣き。

 それに両親は折れ犬さんは再び大和家の家族になった。

 

 犬さんは呼吸を使えてるかは不明だが、平地での速力はミコトと同等。そして山や森の中ではミコトより遥かに早く走ったりする。

 

 心配ごとは見えなければ気配も感じないのにミコトが何時もなにかに見られているのを感じ、それを心配している模様。

 そして何より、ミコトは女みたいな見た目をしているので、自分が死ぬ前にミコトの嫁の顔、贅沢言えば子の顔を見たいと思っている。

 

 

 

【大和 神子之彦】

 

 容姿:瞳はクリムゾン色。

   :両方共に桃の眼。桃眼状態では淡い紅い色を放つ。

 

 年齢:不明

 

 呼吸:桃源流

 

 音 :トォォォォォ

 

 刀色:不明

 

 桃力:不明

 

好き嫌い:不明

 

 

 初代桃眼の男。 

 山中の集落で犬さんと暮らしていたがある日鬼の集団に襲撃されたらしく集落は全滅。神子之彦は死んでいた隊士の刀を使い鬼を全滅させた。

 その時には桃の力を使っていた。呼吸は不明。

 

 それから野良の鬼狩りをしていたある日に鬼殺隊最強の国継縁壱と出会い鬼殺隊に入隊。僅か一ヶ月で柱に成り一年ほどで縁壱と肩を並べられる程に成長した。

 鬼殺隊に二年いた頃に縁壱が鬼殺隊を追い出された事を知って言い出した柱に詰め寄るが、その時に隊の殆どの人間が自分を鬼と同じに見ていることを知り鬼殺隊を抜ける。

 それからは狂ったように鬼を笑いながら殺していた。

 

 再び野良の鬼狩りになり、戻った数日後に無惨と遭遇。死の淵まで追い詰めるが邪魔をしに来た巌勝と死闘の末、殺さずに見逃す。

 その数日後に珠世と遭遇。無惨を倒す作戦に協力をする。

 その数年後に自分を追いかけ鬼殺隊を抜けた継子の子と祝言を挙げる。

 

 

 

~生存できたキャラ~

 

 

【真菰】

 

 

 年齢:14歳

 

 階級:丙

 

 呼吸:水の呼吸

 

 音 :ヒュゥゥゥゥ

 

 刀色:藍紫色

 

 

 本来は藤襲山の最終選別で死ぬはずだっただが、その選別前日に山に迷い込んだミコトが色々した事により、手鬼と遭遇せずに生存。

 尾崎とは同期。

 

 入隊したての頃は富岡に速く柱になれと言われていたが、一撃で鬼の頸を切れない自分では柱になれないと伝え、その後は余り言われなくなった。

 

 初めてミコトに助けて貰った半年後に鱗滝のもとで更に強くなるために鍛練していた時にミコトと再会。

 最初はミコトを完全に女子だと思っていた。

 ある日、風呂に入ろうと浴室に入ったら先にミコトが入っていて、ミコトの裸を見て完全に男と理解する。だが、未だに時折ミコトの見せる女子らしい仕草に本当は女なのではと疑う自分がいるとか。

 

 ミコトの第陸秘剣三途の川を教えて貰い、三途の川と水流飛沫・乱を合わせた技のお陰で今は一撃で鬼の頸を斬ることが出来た。(技名は未定)

 

【尾崎】

 

 

 年齢:15歳

 

 階級:戊

 

 呼吸:霞の呼吸

 

 音 :フウウウウ

 

 刀色:少し白色

 

 

 元下弦の壱、豪鐵との戦闘中にミコトに助けられる。

 その後に蝶屋敷での治療生活が終わった後は那田蜘蛛山に向かうが、そこで母蜘蛛の操り人形になってしまうがまたしてもミコトにそこを助けて貰い生存。

 

 入院中にお見舞いに来たミコトから、男と聞いたが未だに疑い中。

 

 

 

【胡蝶カナエ】

 

 

 年齢:21歳

 

 階級:元花柱

 

 呼吸:花の呼吸

 

 音 :フゥゥゥゥ

 

 刀色:桜色

 

 

 

 上弦の弐、童磨にやられそうに成ったところを突如現れたミコトに誘拐まがいに連れ去られ、生き延びた。

 手当荒れた後は意識を失い長い眠りにつくが、その一年後に目を覚まし、今は蝶屋敷で隊士の治療と花の呼吸の使い手の育手をしている。(育手の鍛練は何気にスパルタだとか)

 

 ミコトが男と知って驚きはするがそれも一瞬。今ではミコトを()の様に可愛がっている。それどころか

 『昔はしのぶもお姉ちゃんって言って付いてきていたのにもう立派な大人になってお姉ちゃん寂しいの』って理由でミコトが蝶屋敷にいるときはよく一緒に寝ている。ミコトも満更でもない様子。

 

 最近は長いこと整理していなかった物置の整理している。

 

 

【煉獄杏寿朗】

 

 年齢:20歳

 

 階級:炎柱

 

 呼吸:炎の呼吸

 

 音 :

 

 刀色:赤

 

 

 猗窩座の戦いの終盤でミコトが参戦した事で生き延びる。だが、自身に鞭を打ち満身創痍の体で戦い重傷。生きてる方が不思議とか。

 

 

 ミコトに初めて会った時からかなり気に入って、気に懸けている。そうさせるのは杏寿朗の性格故か、はたまた煉獄家の血がそうさせるのかは不明。







スミマセンいきなりですが次の投稿は未定です。





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