魔法少女リリカルなのはSDF (十六夜まるきゅー)
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0 プロローグ
ザッザッザッーーーーーーーーーダァン、ダダダァンーーーーーーーーー
「スターズ、こちら本部、ポイントRに敵性戦力侵入との情報アリ、急行し応戦せよ。抵抗するのであれば武器使用、危害射撃を許可する。了解か、送れ。」
「本部、こちらスターズ、了解、ポイントRに急行する。通信終わり」
本部からの応援要請か、ポイントRの奴ら突破されたのか・・・あいつらは訓練終わったら説教だな。さて、状況を整理しよう。現在時刻2135、基地警備訓練中。仮想敵が基地内部に侵入との報告、一次防衛ラインをピンポイントで突破された様だ。とりあえず足止めといきますか!
「身体強化、対象脚力・視力。」
いつからだろうか、多分中学二年位だった気がする。自己暗示の様に身体に言い聞かせると一時的に対象部位が強化されるのだ。魔法の様な話だが、実際に暗示をかけたときかけないときでは結果が段違いなのだ。長時間続かないのが難点なんだが。長くても30分が限界かなぁと。
「スターズより全部隊、ポイントRにて敵性戦力発見、数5、全員小銃の様な物を所『ダァン』、発砲、実弾所持。応援求む。交戦状態に入る、通信終わり。」
5対1とか無理。とりあえず応援要請したしここで可能な範囲で足止めしましょ。狙い撃つぜぇ!脚だがな。殺しちゃいかんし。
『ダァン』・・・よし、Hit。でも気付かれた、とりあえず二人目を・・・
『カラン』・・・足元に手榴弾!?終わった、擬制弾でもこの距離は痛いだろうなぁ。
次の瞬間、爆発音と共に閃光と痛みが・・マテ、痛みだけ来ない上に浮遊感が・・・
どうも初めまして。十六夜まるきゅーと申します。
初めて二次創作小説を執筆します。色々と至らぬ点あると思いますが、生暖かい視線で見守って頂けると幸いです。
軽く解説します。まずタイトルのSDF についてはSelf Defense Forceの略、つまり自衛隊でございます。主人公の設定はそのうち書くつもりですが、現役自衛官という設定です。執筆者も自衛官なので、若干自分を重ねて書かせて頂いております。
少ない時間で更新していきますので1話が短くなると思いますが、お付き合い頂けると幸いです。
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主人公設定
名前:十六夜 大希(いざよい たいき)
TACネーム:スターズ→アーチャー
性別:男
年齢:24
出身:地球・鳴海市(翠屋の近所)
元所属:航空自衛隊第08基地管理隊警備小隊
階級:三等空曹→三等陸曹
魔導師ランク:陸戦B
魔力ランク:AA+
航空自衛隊員の青年(?)。見掛けが完全に30代にしか見えない。基地警備訓練中に手榴弾(擬制弾)の直撃をもらった時に(本人からすれば突然)転移。実際は時空管理局のヘッドハンティングで(魔力値が高かった為)自衛隊から引き抜かれた。この事を知っているのは自衛隊の一部の幹部と管理局幹部、機動6課隊長陣だけ。
魔法に目覚めたのは中学二年の頃。本人は自己暗示と思っていたが実際は魔力の行使での強化である。脚力や視力・聴力の強化を使って狙撃や隠密活動を行っていた。
戦闘員としての訓練を自衛隊で受けている為、射撃と徒手格闘、銃剣格闘等々戦闘スキルは豊富な上に一流クラス。特に狙撃は視力と肉体の強化を使用していた為、超精密射撃を可能としていた。ちなみに強化を使わなくても64式小銃の有効射程限界を超えるピンポイント狙撃が可能。
実家は翠屋の近所で自衛隊に入隊する前は勿論入隊後も盆や正月の帰省の度に翠屋に通っていた。その為なのはとは顔見知りである。フェイト・はやてとは初対面。
飛行魔法が使えない為陸戦魔導師に。デバイス入手後は足場となる魔方陣を足裏に展開して3次元的な行動をするように。主な戦闘スタイルは射撃・狙撃。乱戦に巻き込まれたら格闘戦で離脱してからの射撃。
デバイス:カリバーン
某王国に伝わる王の選定のための剣の名を冠しているのに銃型のインテリジェントデバイス。64式小銃そのままの形である。待機状態は懐中時計。カートリッジシステム搭載。モードは狙撃・射撃の64式、近接射撃の拳銃、格闘戦時のナイフ、フルドライブ時のソードモードの4つ。拳銃はSIGのP220後期型がモデル。ナイフはダガー形状で魔力刃の展開が可能。ソードはガンダム00のダブルオーライザーが使うGNソード3のソードモードの形状。ライザーソード的なモノを展開する事が出来る。フルドライブ時にライフルビットが6個展開され、オールレンジ攻撃も可能になる。
とりあえず今のところはこんな感じですね。
話が進んだらまた追加して行くと思います。
アドバイス等々感想の方に頂けると幸いです。
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1 森で遭難?
どうやら俺は意識を失っていた様だ。気付けば青空の下、大の字で転がっていた。ただ異常な点はいくつか。
まずひとつ、ここは俺の知っている基地の中ではない。こんな植物は基地に生えてなかった。ふたつ目、擬制弾とは言え至近距離で手榴弾を喰らったとは思えない程傷が無さすぎる。一度喰らった事があるが打撲で一週間まともに歩けなかったのを覚えている。最後、先程から無線機で色々なChに合わせているが応答どころか傍受すら出来ないのはいくら何でもおかしすぎる。いつもならそこらのアマチュア無線やタクシー無線ホイホイ拾えるのに・・・
「まぁまずは持ち物の確認だな。」
服や装備品が壊れてないだけまだましな方か。戦闘迷彩服に鉄帽、ブーツ、身分証明書、無線機、2日分の水と食糧、64式小銃と9ミリ拳銃。ライトにコンパスと単眼鏡とシューティンググラス。弾薬は64式が60に拳銃が27発。
「身分証明書、十六夜 大希、以下の者は航空自衛官であることを証明する。・・・コレないと捕虜にされたとき身分保証受けれないんだよな、有って良かった。」
食糧は切り詰めれば4日は持つけど水が問題だな。近くに水場があればいいんだけど・・・
「身体強化、対象聴力」
森の中だし川位ならありそうだな、これで水の音の方向に行きたいなぁ。
・・・サクッ
どうやら何かが近づいて来てるな、敵か味方かもわからんしどうするか・・・
1 こちらから突撃
2 逃走
3木に登って様子見
(折角だから、俺はこの3の選択肢を選ぶぜ!)
そうと決まればスルッと木に登って様子見しますか・・・
射撃訓練疲れたわぁ。
さて本編スタートです。今後どうするかはまだ固めてませんが大筋は脳内に描けているのでうまく文章に起こして行きたい・・・!大希の運命は如何に!
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2 ローラーブーツとナックルと。
さて、小学生以来の絶賛木登りなうな訳なんですが、どうやら近づいて来たのは1人だけみたいだな。無線らしき会話は聞こえてくるが詳細までは聞き取れない。多分女性だな、しかも年下と見た。
「ホントにここなんですか?その・・・人が転移してきて倒れてるってのは?」
やっぱり俺探してるし。服装は布地のズボンにTシャツ、何故かこの森の中でローラーブーツ。一番異常なのは右手に着けたなんかゴッツイナックルか。リボルバーも付いてるから射撃も出来そう。・・・重たくなかったら俺もあんなの欲しいなぁ。身のこなしを見てもある程度の訓練をしているのはわかる。
でも、戦場で必要なモノが足りてないな。・・・注意力と経験だ。チョイと気が引けるが状況も確認したい。奇襲して武装解除、それからお話を聞きましょうかね。丁度木のすぐ下に来てくれているから飛び降りて背後だな。とりあえず拳銃抜いて、装填は・・・着地と同時だな。念のために身体強化は全身に。3-2-1-GO!
チャキンッ
「動くな、無線を切れ。ヘタなコトしたら撃つぞ。」
………
八神部隊長に転移者の捜索をお願いされて指定ポイントに着いたと思ったらいきなり木から背後に飛び降りてきて銃を突き付けられました。スバル・ナカジマです。多分この人なんだろうけど、隊長の言ってた捜索対象。言われた通りに通信は切った。とりあえず話して落ち着いてくれるといいんだけど・・・。
「まずはその武器を預かろうか。こちらも危害を与えるつもりはない。いくつか質問に答えてくれれば解放するし、武器も返す。」
リボルバーナックルのことを言っているみたい。悪い人ではなさそうだし、指示に従ってナックルを預ける。
「判りました、お答え出来る事なら話しますんでその銃降ろして貰ってもいいですか?」
「ん、いいだろう。まずは君の所属を聞こうか。身分証も出してくれ。」
………
身分証と聞いて見たのには理由がある。軍属の人間は例え外出時でも身分証は持ち歩くのが規則となっていることが殆どだ。これで軍の身分証が出てこなかったら民間人の証明になる。・・・が、見たことも聞いたこともない所属を当たり前の様に言われてしまった。
「時空管理局機動六課所属、スバル・ナカジマ2等陸士です。」
時空管理局?少なくとも俺の知っている軍でそんな名前はなかった。
「じゃぁ次だ。ここの地名は?」
「ミッドチルダの・・・・・・・・」
うん、わからん。地球上にそんな地名はなかった・・・はず。
「・・・スバル2士からみての俺の今の状況は?」
「次元漂流者ですね。いきなり飛ばされて見知らぬ土地、誰だって不安になりますよ。」
「最後の質問だ。君達はなぜ俺を探していた?」
「私は部隊長に言われて・・・」
「その部隊長と話すこと、出来るか?」
さっきの会話の相手は恐らくその隊長のはず。後味悪くなるがこの子を上手く交渉のカードにして対応していこう。
「できますけど・・・繋がりました。どうぞ。」
さて、狐が出るか、狸が出るか。情報を聞き出さないと。
はい。遂に原作メンバーとの邂逅です。
今回の様な状況にするか、模擬戦中に転移させて戦わせるか悩んだんですが、どう考えても実弾を使わざるを得ない状況になりそうなのでこちらにしました。
なら誰を向かわせるか。スバルとエリオの2択でしたがエリオには今後頑張って貰うのでスバルです。スバルカッコいいし可愛いよねっ!
ご指摘・アドバイス等々ありましたら感想の方にお願いします。
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3 ヘッドハンティング
「こちら八神。そちらの方が十六夜 大希さんやね?」
おぉ、空中にウィンドウが。ハイテクだな、魔法。
「航空自衛隊第08基地管理隊警備小隊所属、十六夜 大希3等空曹です。」
「時空管理局機動六課の部隊長やっとります、八神 はやて言います。」
敬礼を交えて自己紹介をする。割と若いな、20前後ってとこか?この年齢で部隊長やってるのは純粋に凄い。
「現状の確認と今後について、話がしたいんですがそちらに案内しても宜しいですか?」
スバル2士が確認を取る間に自ら武装解除を行う。銃から弾倉を外して弾を弾倉から抜く。
「ほんなら隊舎に着いたら部隊長室にお通ししてなー。あとFW陣も集めてロビー待機や。」
「了解です。・・・通信終わりました。ではでは、ご案内しちゃいますね♪」
・・・交渉も何もする前にスバルが話を進めてしまった。まぁ狙ってた形にはなってるからいいんだが。
「宜しく頼むよ。それとコレは返そう。悪かったな。」
あのゴッツイナックルを返す。やっぱり重かった、諦めよう。
「あ、いえいえ大丈夫です!ところで大希さんのその武器は重く無いんですか?」
「ん?最初は重たくてたまらなかったんだが慣れた。ナニかあったとき命を預ける相棒だからな。キミこそそのナックルは重いじゃないか。」
「まぁ、私はその、鍛えてますんで!」
・・・何かカラクリでも有りそうだな。魔法で強化しても重さは変わらんからな、振り回すことは出来ても慣性で振り回されそうだ。
とりとめのない話をしていると、隊舎に着いていた様だ。
「なかなか大きいな、しかも新しいじゃないか。」
「今年出来たばかりの部隊なんです。少数精鋭のテストケースなんだとか。」
「なるほど、エース部隊か。・・・この部隊、女性多くないか?さっきからすれ違うの女性ばっかりなんだが。」
「そうですね、男性はまだ少なくて、前線チームも1人だけですね、後は女性です。」
・・・なにやってんだ男共。あと前線の1人は可哀想だな。
「着きました。ここが部隊長室です、私はここで失礼しますね!」
「ありがとう」
こういった場所に入るのは苦手だ。身体が緊張で硬くなる。
コンコンコン
3回ノックは社会人の常識!
「入ります!」自衛隊の作法で突入することに。
………………………
3回のノックの後に威勢の良い声が聞こえた。
「どうぞ~」
彼が部屋に入ったらドアのロックと防音の魔法を。これから話す内容は出来れば一般隊員には秘密にしたい。後々面倒なことにならないように。ここに呼んだのはなのはちゃんとフェイトちゃん、ヴィータとシグナムとリインだけ。
「御足労感謝します。機動六課隊長の八神 はやてです。」
「航空自衛隊第08基地管理隊警備小隊所属、十六夜 大希3等空曹です。」
「他の人も紹介するな?なのはちゃんとフェイトちゃん、ヴィータとシグナムにリインや。自己紹介は後でやってなー。」
早く本題に入りたいんや、戦力になるかならんか、これで今後の方針が変わる。
「まず今の状況やけど大希さんは自衛隊の基地警備訓練中に転移、原因は手榴弾に仕込まれてた時限式の次元転移装置が作動したからやね。」
「・・・」
大希さんは真剣に聞いてくれてる。冷静な人やな。
「そして、今後ですが道は2つ有ります。1つがこのまま送り返させてもろうて復帰。もひとつが、ここで私達と一緒に働きませんかーって訳や。転職やね。ちなみに待遇は向こうよりは勿論良くする。階級もあっちと同等にするでー?」
「何故俺を?魔法が使えない人間を雇うのか?」
「大希さん気付いてないだけで身体強化つこうとる。術式は粗いけど魔力量は申し分ない。十分やって行けるで。」
「手榴弾に装置を仕込んだのは君達か?」
鋭い上に意地悪な質問の順番やね。
「どうも自衛隊と管理局でヘッドハンティングがあって成立したからってことでこっちに飛ばしたらしいですね。配属予定がここだからこっちで最終確認と契約をって。」
フェイトちゃんが代わりに答えてくれた。
「こちらに拒否権は?」
「一応有ります。」
「俺はここに入ったらどんな仕事をするんだ?」
「FWチームの遊撃・狙撃を担当して貰えないかと。」
「回答の猶予は?」
「明日迄に答えて頂きたいです。」
「・・・少し時間をくれ。色々あった上に訓練で徹夜でな・・・」
「判りました。部屋は用意してあるので・・・せやな、なのはちゃん案内お願い出来る?」
「了解です。」
やっぱり週末で更新したほうがある程度まとまった量で投稿出来ますね。
Gジェネオーバーワールド買いました。グラハムさんカッコいい!
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4 再会とお願いと
真新しい隊舎の長い廊下を『なのはちゃん』の先導で仮眠室に案内してもらう。それにしても帰省の度に行く喫茶店の娘さんにそっくりだ。名前まで一緒と来れば・・・確認してみるか、彼女は気付いているかわからんからな。
「あの、質問宜しいですか?え~と・・・」
「高町なのは一等空尉です。『なのは』でいいですよ?十六夜さん」
「ではなのは一尉で。自分と同じ出身の方って居るんですか?」
「そうですね、地球出身者で魔力持ちの人ってあまり居ないんですが極稀に高い魔力を持った人が出るようなんです。この部隊だと私と部隊長ですね。」
「へぇ、なのは一尉はもしかして海鳴の出身だったりします?」
「えぇ!?何でわかるんです!?」
(これはビンゴだな。)
「覚えてないかな、良く翠屋でシュークリームとチョコケーキに紅茶頼んでたんだけど」
「・・・思い出した!いつもそれしか頼まないおにーさん!高校卒業してからあまり来なくなったと思ったら自衛隊行ってたんですね。」
「こっちはビックリだよ、こんなところで会うなんて。」
「私もですよ。自衛隊から即戦力が来るかもしれないって聞いたらまさか大希さんが来るなんて。」
「有無を言わさず飛ばされたんだけどな。・・・転職か、どうするかな。」
そう、ここに残るか自衛隊に帰るかを明日迄に考えないといけない。正直自衛隊に未練が有るかと言われれば、一切ない。それに聞くところによれば魔法の才能が有るらしいから個人的な能力のチャレンジならこっちの方が良さそうだ。一つ気になることがあるな、聞いてみよう。
「まとまった休暇を取って帰省とかは出来るのかい?」
「出来ますよ?転送ポートも有りますから」
「ならまた翠屋にも行けるんだな。荷物も取りに戻れるか?」
「多分その時間は貰えると思います。・・・入ってくれるんですか!?」
「こっちの方が楽しそうだし才能があるかどうかはわからんが能力は活かせる。お世話になるよ。戻ろう、寝る前に回答したい。」
「戻る必要あらへんよ、そしたら仮眠室やなくて寮のお部屋に。大希さん相部屋でもええか?子供やねんけど」
どこから現れた、まるで狸だな、カワイイ子狸。
「別に構いません。相部屋って事はFWチームの人ですか?」
「敬語やなくてええよ。ライトニング分隊のエリオって子や。それと書類とかの手続きもあったりするんで・・・明日で良いです?」
「了解です、宜しくお願いします。それと早めに荷物を取りに行きたいんでその辺の調整お願い出来ますか?」
「OKや。来週末には一度戻れるようにしときます。」
この後部屋に案内してもらって寝させて貰った。FWチームがホールに忘れられていたらしいが大丈夫なんだろうか・・・?
懸賞で当たったポケットwifiルータが届きました。
かなり快適ですね、早い早い。
近所にケーキの美味しい喫茶店ないかなぁ・・・
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5 煙草の煙と空腹と
良く寝た。久し振りにマトモなベッドで寝れた。警衛所に仮眠場所はあるにはあったがソファーだったからな、俺の基地。普段の居室のベッドは壊れてて不安定だったから床で寝てたし。現在時刻0520か。取り敢えず割り当てられたロッカーから煙草と愛用のジッポを取り出してベランダへ。隣のベッドでは赤い髪の男の子・・・この子が『エリオ』君だろう・・・がまだ寝ていた。こんなに小さいのにもう働いているのか、しかもFW部隊。最前線での戦闘部隊で、だ。俺が彼くらいの時はまだ遊んだりゲームしたり伸び伸びと過ごしていたもんだが・・・世界が違えば常識もまた違うもんかね。常識に囚われてはいけないのですね!(*・∀・*)・・・さて、目下の問題点を考えるとしよう。取り敢えずベランダで煙草を吹かしつつ普段から愛用している防水のメモ帳に書き出していく。煙草を注意されても知らんかったで押し通す。
・喫煙所の場所と居室での煙草はOKなのか
・こっちの世界で普段吸ってる煙草ってあるんか?
・あっちに置いてきた私物と荷物類の輸送手段
・こっちに持ってきてしまった武器類の処置
・今後使う武器(デバイスだったか?)はどうするのか
・そもそも魔法ってなんぞ?
・そんなことより腹へった。
書き出してる間に煙草も3本目、幸い未開封の煙草に入れ換えて訓練してたのでまだ2日間は大丈夫そう。こっちにピースライトってあるんかなとか考えてると少年がベッドから起きて何かを探している様子。
「お早う少年、探し物かい?」
「お、お早うございます!エリオ・モンディアルであります!」
「十六夜 大希だ。ヨロシク。あー、その、なんだ、堅苦しいのナシにしよう。俺も来たばっかりだし、これからは同じFWチームの仲間なんだし。」
礼儀正しい良い子だ。寝起きも悪くなさそうだし問題なさそう。
「ワリィ、ここって煙草吸っても大丈夫なとこ?」
「大丈夫だと思います。ヴァイス陸曹も部屋で吸ってましたし。」
「サンキュ、部屋ん中では吸わないようにしとくよ。」
「朝御飯にしませんか?皆さん来ると思います。」
こいつはありがたい。腹へってたんだ。ついでに部隊長もいれば今後の予定とさっきの問題点を詰めていきたい。
「そうしよう。悪いけど案内頼めるかい?」
「もちろんです!着替えたら行きましょう!」
「あ、今俺コレしか服ねぇや。支給品って有るんかな。」
「昨日部隊長が今日採寸して渡すって言ってました。」
「りょーかい、それじゃ待ってるから着替えてきな。」
そういって4本目の煙草に火を付ける。吸いすぎ?うるせぇ気にすんな。取り敢えず飯食べながら自己紹介になりそうだな・・・考えとこ。
今日は時間があるのと調子が良いので連続投稿です。
来週はひたすら実技訓練なんで頑張りたいです。小説のネタの為にも。
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6 フードファイトと自己紹介
エリオの案内で食堂へ来た。道中色々と質問されたんだが全部流した。お楽しみは後に取っておくもんだろ?まぁ同じ内容を何度も言うのがめんどくさいのもあるんだが。朝飯は和食をチョイス。日本人の朝はやっぱり白米に味噌汁だよな。鮭と海苔が付いてお茶が有るから2杯目はお茶漬けだ。お米食べろ!・・・とトレイを持ちつつ席を探すとエリオが俺を呼ぶ。顔を向けて3秒、回れ右を決めて別の席に着こうとしたらなのはちゃんに捕まってしまった。「顔合わせまだでしょ?今のうちに自己紹介しておこうよ。」とか言われてもですね、俺のトレイを置く場所が無いんですけど、あのテーブル。あんな大量のサラダやらスパゲティやら初めて見たぞ。向こうの4人組は俺となのはちゃんに気付いて敬礼してるし。
「ここはフードファイトの会場か?俺は戦力になれんぞ。」
「身体が資本ですからね、これくらい食べないと持たないんですよ。」とはスバルの弁。いや、仮に4等分してもどうやってその体積を胃袋に納めるのか不思議でたまらんのだが。
「ティアナ・ランスターです。ポジションはセンターガード、スターズ分隊です。」
「同じくスターズ分隊、フロントアタッカーのスバル・ナカジマです!」
「ライトニング分隊のエリオ・モンディアルです。ガードウィングです。」
「同じくライトニング分隊、キャロ・ル・ルシエです。ポジションはフルバックです。」
「今日から世話になる。十六夜 大希だ。ヨロシク。多分狙撃と遊撃の担当になると思う。取り敢えず質問があればどうぞ、飯食いながらで失礼するよ。」
「趣味は何ですか?」エリオがまず聞いてきた。
う「ドライブと車の整備改造、後は麻雀かね。ギャンブルはしないが。」
「改造って自分でするんですか!?」これはティアナだ。
「改造っつってもパーツの着け外しとサスペンションの調整位だな。エンジンの方はショップに持ち込んでプロに頼んでたが一応全部バラして手入れして組み立てまでなら出来るぞ。」
「そんなこと出来るんですか?部品多そうですけど。」
「そうでもないさ。基本は銃と一緒でバラした順番通りに並べて概ね逆順で組着ければ良い。」
「出身はどちらなんですか?」キャロが聞いてきた。
「高町一等空尉と同じ地球の海鳴さ。」
「好きな食べ物は何ですか?」
「寿司と甘いもの全般、後は食べ物じゃないが紅茶。」
・・・と、まぁ色々と聞かれまくって飯も食べ終わった。ってか4人組のあの山はもう綺麗に終わってるし。どんな胃袋してんだよ・・・
「ごちそうさまでした。なのはさん、この辺で一番近い喫煙所ってどこです?」
「右の出口から出て左手にありますよ~」
「あざっす。しばらく居るんで部隊長来たら教えといてください。」
さてさて今日は書類の作成が待ってるんだろうな・・・かったるい。
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7 書類仕事と適性検査
さてさて、一通りの申請書やら書類やらを片付けて採寸も済ませた。これだけで午前中が終わってしまったので書類の量については御察し下さい。って事で昼飯を(一人で)食べて午後からの身体測定及び魔力適性検査に向かう。午前中の書類仕事の間に持ってた携帯をこっちでも使える通信端末に改造してもらった。地図も付いてるから取り敢えず迷うことなく指定された訓練スペースに到着。そこにはなのはちゃんと金髪で長い髪の美人さん・・・確かフェイトちゃんだっけか?が待っていた。
「お疲れ様です、待たせてしまったようで申し訳ない。」
「いえいえ、定刻5分前ですし大丈夫ですよ。書類の方は終わりました?」
「なんとか終わらせました。階級も3曹で通りそうです。」
「そう言えば紹介がまだでしたね。ライトニング分隊の隊長で事件捜査も担当してる・・・」
「フェイト・T・ハラウオン執務官です。なのはとは長い付き合いです。」
「十六夜 大希です。ヨロシクお願いします。多分翠屋で見掛けたかもしれないな。」
「それじゃぁ早速魔力適性検査をしたいと思うんですが、用意は良いですか?」
「準備も何も、持ち物無かったし何するかサッパリなんだが。」
そう、八神隊長からは「この時間に訓練スペースに行くこと、手ぶらで。」としか言われていない。やることも身体測定及び魔力適性検査としか聞いていないし、教えてもくれなかったのだ。あれは明らかに楽しんでいる目だった。
「あれ、はやてから聞いて無いんですか?身体測定は自衛隊のモノをそのまま流用するので省略して魔力適性検査と軽い模擬戦をするって・・・」
「身体測定の件も模擬戦の件も初耳、と言うか俺武器ってかデバイス?持ってないんですけど。」
持ってた64式とかP220(9mm拳銃)とか使えれば良いんだけど、質量兵器は禁止な上に使えたとしても弾薬が空砲しかないから実質的なダメージは至近距離じゃないと通らない。戦えるとしたら徒手格闘位しかない。
「デバイスでしたら一時的と言うことで小銃と拳銃を簡易ストレージデバイスに改造してありますから大丈夫です。使用法は後でなのはが教えてくれます。」
「ちょ、改造って・・・軽量化とかしてないでしょうね、それより自衛隊からはそれらの扱いに関しては何かあったんですか?」
「あぁ、それなら『記念にどうぞ。』との事でした。今日の適性検査で大希さん専用機の開発を始めるので完成次第元に戻す予定です。」
記念にどうぞとかあり得ねー。上は何やってんだよ、自衛隊。
「専用機の開発って言ってたけど勿論使用者の意見も通るんですよね?」
「そうですね、幸いデバイスマイスターの方が6課に来られてるので細かい調整まで行けますよ。」
「了解、それで適性検査は何をすれば?」
「検査は私が。基本的に指示に従って動いて貰えればOKです。その間になのはが模擬戦の準備をしてくれます。」
と言うことで適性検査開始。今まで使っていた(らしい)身体強化をしたり、シューターの生成、直射砲やら集束砲撃、魔力刃の生成、バインドや回復、飛行等々、色々と試した。残念ながら空を翔ぶ事は出来ないようだ。・・・遊撃として大丈夫なのか?バインドや回復は応急措置程度、魔力刃やシューター、直射砲やら集束砲撃は問題ないらしい。直射砲に関しては範囲は非常に狭いながらも威力に関しては近年稀に見る威力らしい。また、俺の魔力特性としてステルス性が非常に高いらしい。フェイトちゃんのデバイスでもあちらが精密測定をするかこちらが派手に魔力を使ったりしない限りセンサーに引っ掛かる事は無いそうだ。完全にスナイパー向きじゃないか、文句の言い様がない。
ついでに改造された64式とP220のテストをしてみる。インストールされているのは64式にディバインバスターとアクセルシューター、P220にプラズマランサー。64式の銃剣には魔力刃の生成能力を付加・・・直射砲に誘導弾、単射砲に銃剣格闘と身体強化付与での近接格闘で模擬戦か。まぁ相手と状況で戦い方は換えられる。
「そう言えば模擬戦の相手は?」
「あぁ、それならFW4人と大希さんのみでやって貰います。あの子達の訓練も兼ねて状況を付与。大希さん有利の状況で開始します。」
準備を終えたなのはちゃんが説明してくれる。フィールドは市街地。俺は潜伏して制圧しにくるFW4名を行動不能にするか制限時間まで逃げ切れれば俺の勝ち。俺が行動不能にされたらFWの勝ち。ただし向こうにはフィールドマップの類いは一切なく、突入もそれぞれフィールドの外周からばらばらに別れて。制限時間は30分。・・・かなり有利だな。後は相手の情報が有れば初陣でも勝ち負けは狙えるかもしれない。
「相手の武器や戦術傾向の資料は貰えます?」
「勿論!」
なのはちゃんからデータを見せて貰う。基本的にスバルが突破型、それをティアナが援護、エリオがそれを引っ掻き回してキャロが補助ってとこか。それなら・・・
初めて魔法に触れる人に模擬戦をさせるなのはさん、鬼畜ッス。
ちなみに空砲の威力ですが、零距離ならスチール缶を粉砕、豚肉の塊なら軽く吹き飛ばします。リアルに。
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8 フィールドと作戦会議と
夜勤が始まってからなかなか執筆時間が取れなかったのとネタが出てこなかったんです、サーセン。
次回は初めてのバトル回・・・?あれ、プロローグのはどうなんだろう。まぁいいや。うまく表現出来るかどうかはわかりませんが頑張ってみます。
今日の午後のラストメニュー、普段なら模擬戦なんだけど今日は違うメニューをするらしい。いわゆる実践訓練というやつだ。状況を付与された中で条件を満たせばクリア、1つでも出来なかったり敗北条件に引っ掛かったらミッション失敗である。
「状況の説明をするよ。指定エリアに対象がいるので対象を保護するか無力化して指定ポイントに護送すればミッションクリア。失敗条件は4人の内誰かが撃墜されるか行動不能になる事、20分以内に保護出来なかったときも失敗ね。何か質問は?」
どうやら捕獲ミッションらしい。失敗条件がシビアだけど、今までやって来た訓練の成果を確めるにはちょうどいい。
「障害となり得る戦力の情報は?」
「今回はそう言った情報が一切ありません。勿論マップもないのでそのつもりで。」
情報はほぼ0に等しい。今回は厳しい訓練になりそうだ。
「あぁ、それと今回は全員転移位置がバラバラになるからそのつもりでね。」
笑顔でとんでもない事を言ってくれるなのはさん。事前に言われただけまだマシなんでしょうけど。
「そうなると先ずはフィールドマッピングを兼ねながら合流を目指す方がいいですかね?」
「そうね。但し制限時間も有るから合流を最優先に。合流前に対象と遭遇したら信号弾打ち上げて。見かけたらそこに全員で急行。これでどう?」
「問題ないと思います。」
「それと仮に通信が出来ない状況下の場合は一番高い建造物を目指して行くこと。多分スバルが最速で到着するからそこからサーチ進めてて。」
「了解!勿論単独での交戦は回避!でいいんだよね?」
「当たり前よ。戦力が判ってないんだからまともに当たっちゃダメだからね。」
フィールドの広さにもよるけど最長でも10分で合流しておきたいところだ。陸での速度はスバルが一番速い。相手が航空戦力じゃなければどうにかなるだろう。
「作戦も決まったみたいだし始めるよ。リィン、お願いね。」
『はいですぅ♪』
リィン曹長が通信越しに転移を始める。さて、ミッションスタートだ・・・!
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9 模擬戦と反省と
どうやら模擬戦が始まった様だ。魔力を使いなれて来たのか、ある程度の反応が掴めるようになってきた。こちらの勝利条件は30分間撃墜されずに逃げ延びるか誰か1人を撃墜するかのどちらか。まぁ模擬戦だし逃げてばかりじゃぁ向こうの訓練にもならないか。とりあえず潜伏して射程圏内に入ったら狙撃で良いかな。回避されるか削り切れなかったら近接戦闘に切り替えよう。
・・・一番避けるべきはスバルとティアナのコンビネーションアタック、合流されると非常に厄介。単体戦力で一番相性が悪いのはエリオか。ちょこまかやられたら面倒なことこの上無い。逆に有利なのはタイマンでキャロかティアナと当たる事。ティアナはともかくキャロは完全に後方型。決定力不足だ。ティアナとは撃ち合いになる前に近接戦闘にシフト出来ればなんとかなりそう。
今回通信は出来ない状況下になっている。この様な状況の場合、集合場所は恐らく一番高い建造物。・・・つまり、俺の現在の潜伏地である。座標としてはフィールドのど真ん中になる。向こうから来てくれるのはありがたいが狙撃は非常に難しい。それに魔力反応は検知されなくても生命反応位はデバイスを使えば可能・・・とフェイト執務官から聞いている。接近時を狙うか、集合時にまとめて撃ち抜くか・・・今回の勝利条件なら初回の接近時、それも射程圏ギリギリが好ましい。
そうこう考えている内に反応が1つ、近付いてくる。身体強化を視力・聴力に施す。視力よりも聴力で判別出来た。聞こえてくるのは人の足音ではなく、ローラーの走行音。狙撃のチャージを開始しつつ、最適なシュートアングルへ移動。この速度だと狙撃チャンスは一度。そう、たったの一度だ。外せば確実に接近戦になる。全身に強化を使い、射撃体勢―今回は寝撃ち―に入る。姿勢、良し。呼吸、良し。照準、良し。チャージ、完了。目標射程圏侵入まで3、2、1―――撃発。フォロースルー、着弾確認。どうやらヒットした様だがダウン、撃墜までには至らなかった様だ。流石フロントアタッカー、防御も硬い。
64式改に銃剣を装着、アクセルシューターを展開。迎え撃つ準備をして最下層へ降りる。恐らく今の一発でこちらの位置は向こうに知られているだろう。スバルが信号弾をビルの外壁、一番高い場所にぶつけるように打っていた。次の一手はどうしようか。向こうが考えるのは合流してチームで叩く事だろう。恐らくスバルは回復しつつ待機、又は有利な戦場探しだろう。こちら側の選択肢は合流前にスバルを撃墜すか逃走、合流しようとする他のメンツを叩くかのどれか。・・・模擬戦の主旨から言えば逃走か他メンツ叩きが良いだろう。それにあれだけ硬いと格闘戦は合流前に撃墜仕切れない可能性が高い。かといって合流されると非常に厄介。と言うことで逃走もNG。ならば他のメンツを探して撃墜しに行くのが一番勝率は高いか。
そうこう考えている内に最下層に到着、魔力反応を確認する。一番近い反応に行くと合流時の危険性が上がる。一番遠くの反応へダッシュする。相手を目視で確認、白い帽子とピンクの髪のチビッ子、キャロである。ディバインバスターをチャージしつつアクセルシューターを自動誘導で先行させる。誘導パターンは安全地域を一ヵ所作るようにプログラム済み。しかしキャロはお供の竜、フリードの火炎球で相殺の指示を出す。・・・かかった!
「ファイア!」
『はーい、そこまで。FWチームのミッション失敗で終了。大希さんもお疲れ様でした。良いデータ取れましたよー。』
「了解、FWチームもごくろーさん。」
通信も復旧したため回線を繋いで声をかける。顔を見た途端にビックリした顔が返ってきた。そりゃそうだろう。魔法を知って数日の素人が訓練中とは言えFWチームに勝ってしまったのだ。
『捕獲対象って大希さんだったんですか!?』
「おぉ、データ収集兼ねて魔法使ってみた。インストールしたやつだけだがな。」
『魔力反応感じないのに生命反応があったんでレスキューミッションだと思ってました・・・』
「あぁ、なんか派手な使い方しない限り計測されにくいんだってさ。それからキャロ、フリードに指示を出す時、動きが止まるから気を付けろ。今回はそこを狙わせて貰った。」
そう、高町一尉から貰った資料にあった動画を観察すると全員に癖があった。一番狙いやすく、致命的だった為キャロと当たったらやろうと思っていた。この撃墜で直れば良いのだが。
「まぁあくまでも予想だが、召喚魔法の癖がついてんだろうな。区別して行動した方が良い。」
「あ、ありがとうございます。気を付けてみます。」
戦闘描写って難しいですね。これからも精進していきます。
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10 近接とおもてなしと
「・・・で、データが足りないからもう一本やれと?」
「はいですぅ、肝心の近接戦闘が無かったものですから。」
そいつは済まんかったな、常に効率の良い勝利法しか考えないもんだから。
「そんなわけで近接オンリーで追加ですぅ。相手はエリオとスバル、連続で戦闘してもらうです♪」
「なにそれ怖い。順番は?」
「先にエリオですぅ。回復は無しでいきますが射撃は可ですよ?」
そうか、スフィアを展開しながら殴って良いわけだ。それならまだなんとかなりそうな気がしないでもない。
「で、スバルの乱入のタイミングは?」
「エリオとの決着直後にフィールド内部にランダムで転移させるですよ。」
なるほど、決着直後に鉢合わせもあり得るのか。カットされないのは助かるな。
「オーケー、始めよう。ほぼ現役の自衛官の格闘術、どこまで通用するか試させてもらう!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
てなわけでフィールドイン。今度は市街地ではなくちょっと拓けた森林地帯。対高機動型には若干やりにくい。と言うのもチョコチョコと生えている木が遮蔽物になって死角は多いしヒットアンドアウェイされると迎撃以外に取れる手段が限られてくる。先にスバルとやった方が幾らか楽なのはこれが理由である。スバルなら打ち合う間に有利な戦場に引きずり込めるからな。多分。
目の前にいるエリオは準備運動に余念がない。こちらも準備は出来ているのでリイン曹長にその旨を伝える。
『それでは始めるですよ♪』
シグナルが青になった直後、エリオが突撃してくる。どうでもいいがスタートのシグナルは青でスタートするより、全消灯でスタートの方が好きだ。F1みたいに。彼の得物は投げ槍ではなく突撃槍らしい。ブースターで加速しながら急接近してくる。こちらも初手の突撃は読んでいたのでコース上にあらかじめ拳銃で背後に張っておいたプラズマランサーの弾幕で迎撃、自分は射線上から退く。このままなら直撃コース、さらに追撃と予測回避経路にアクセルシューターを置くように射出。だが向こうも仮にも実践部隊のFWだ。ブースターを切って槍を使って方向転換して見せた。良い反応をしている。それでもアクセルシューターを何発か当てることは出来た。距離が離れる前に決めたい。強化を全身に施し、全力で突っ込む。どうやら突撃されるのには慣れてないらしい。慌てながらも弾幕を張ってきた。これらも予測していたのでプラズマランサーを大量に射出、数の暴力で潰してから爆煙に紛れてクロスレンジへ。ここまで近寄れば槍より拳の方が速い。ボディへの打撃を中心に時折太股を狙って体力を削る連撃を打ち込む。武器を持っているとそいつに頼りがちになりやすい。エリオも反撃を試みるが初動を捌けば脅威にはならない。度重なるボディへの攻撃にガードが完全に降りてきた。
「これで終いだ。ちょいと寝てな。」
ラストはフェイントを二重に重ねた掌底のアッパー、顎にクリーンヒットして脳震盪を起こしている。打角を斜めにずらしたのは脳を揺さぶるだけにするためだ。戦闘なら真上に打ち上げてから追撃しているが。
エリオの意識を確認しつつスバルの反応を探る。12時方向から真っ直ぐ向かっている。接敵まで余裕があるので移動、木の密度が濃い場所を探し当ててそこに陣取る。突撃は目に見えているので大量の弾幕という花火でお出迎えすることにした。64式にチャージ開始、コントロール出来る最大数のプラズマランサーとアクセルシューターをセット、射出待機させておく。さぁ、ド派手な花火で最高のおもてなしをしよう。
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11 関節技と江戸っ子と
もうちょい更新頑張って早くデバイス受領まで行きたいんですけどもしばらくかかりそうです。
数分後、スバルが上空に道を作りながらすっ飛んで来た。飛んで火に入る夏の虫である。有効射程に真っ直ぐ入ってきたので予定通り花火をお見舞いすることに。
「たーーーーーーまやーーーーーーーーー!」
叫びながら一斉射出、ついでにチャージしておいた64式も乱射。通信回線がちょっと開いて八神部隊長が「かーぎやー♪」とか言っていた。あんた、関西人であって江戸っ子じゃないだろう。ってーか見てるのね、部隊長。ツッコミを入れる前に通信回線は閉じている。まぁ目の前の戦闘が終わってから色々と話があるからな、部隊長には。
爆煙から青い道がこちらに向かって伸びてきた。あれだけ撃ち込んだのにスバルはバリアジャケットに焦げ目がチョイと出来た程度、コンガリ上手に焼くことは出来なかった様だ。どんだけ硬いんだ、流石FAってとこか。フロントアタッカーじゃなくてフルアーマーの略になってしまえ。とりあえずクロスレンジ戦の準備をする。64式をパージ、9mmはホルスターへ入れて銃剣を左手、逆手に持ち迎撃の構えを取る。流石にあのナックルを素手で受けるにはゴツ過ぎる。スバルが足場から飛び降りて仕掛けてきた。受けきれないため回避、着地点には深いクレーター。受けを選択しないでマジで良かった。きっと骨まで粉々になっていただろう。9mmをホルスターから抜かずにトリガーを引く。フェイトさんに無理をいって充填してもらったカートリッジが炸裂、魔力の供給を行う。全身に強化、低い体勢で突撃する。シールドよりもフィールドを抜く打撃を打たないとダメージがないのはわかっている。ジャブだろうがボディだろうが全力で打つ。全方位防御とかチート過ぎる。かれこれ30程有効打は打ち込んだ筈だがスバルはピンピン、こちらはバテバテである。一度距離を開いて仕切り直し。スバルのナックルからカートリッジの炸裂音が聞こえる。追撃の射撃が飛んでくるが難なく回避。ここで一つフィールドの突破口を思い付いた。打撃が通らないなら投げたり極めたりすれば良いんじゃね?格闘術は打撃だけではない。そうと決まれば早速突撃。右、ナックルが飛んで来るのを捻って回避、そのまま掴んでとりあえず投げてみる。うん、掴めるし投げれる。ダメージはそれなりか。スバルが焦った様に一度距離を開く。追撃は出来ない。投げやサブミッション系は俺の場合カウンターが基本戦術だ、先制攻撃すると後が続かない。一つだけ単発の投げが有るけど外したときのリスクが有りすぎる。ここはスバルの攻撃を待つことにした。
「ウソ、スバルが投げられた!?」モニターで観戦中のティアナが驚いた様子で声を上げた。ここは大希さんの読みが的中したんだね。あの戦術眼は本当に凄い。
「スバルのフィールドは硬いよ?でも、そのフィールドが作動しない攻撃をすればダメージはいくらでも通るんだ。きっと魔力弾と打撃に作用しても、捕まれてからの投げなら通るって考えたんじゃないかな。」そう言っている間に大希さんは銃剣も捨ててしまった。自分から仕掛けない辺り、カウンタースタイルで行くようだ。「スバルが勝てるとしたら、ヒット&アウェイ、高機動戦闘しかないかな。」幸いスバルには高機動戦闘の心得がある。特にスバルは普通の陸戦魔導師には出来ない3次元的な動きが出来る。大希さんはどうやって対応するんだろう?
前言撤回、こいつが一番厄介だわ。打撃は通らん、弱点がバレれば即高機動戦闘にシフト、さらに空に道作って3次元的な動きとか相性悪すぎる。沈めるには連撃じゃぁダメだ、一撃で落とさないとじり貧でこっちがヤられる。幸い速い分カウンターの威力は申し分ない。何を当てるかが問題だが・・・行けるか判らんがアレ試すか。フィールドに弾かれたら潔く負けよう。そうしよう。そうと決まればチャンスは一度きり、外したらカッコ悪いから必中のタイミングで。何回かスバルのアタックを避けてタイミングを測る。そして、正面から突っ込んで来た所で上に跳躍した・・・。
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12 話の分かる上司とAARと
上に跳躍、そのままスバルが出してくる右の拳を避け、お留守になってた左腕を絡めとり右足は首へ、左足は脇の下を通して思いっきり腕を引っ張ってやる。
飛びつきの腕十字である。もちろんスバルはバランスを崩して後ろに倒れこむ。このまま決め続けたいが体制的になんか後で色々言われそうなのでさっさと止めを入れる。
9㎜拳銃に魔力を通して魔力弾を大量に生成、自分の足には当たらない様にスバルに打ち込む。フィールドだろうがプロテクションだが関係ない、魔力切れになるまで飽和攻撃を続ける。
30秒程経っただろうか、スバルがタップしてきた。これで模擬戦終了である。さっさと解いてスバルを引き起こす。顔が赤くなってるが気にしない、気にしてはいけない。
丁度ひざ裏の辺りに感じたやわこい感触とか覚えてませんから。見た目より大きいなーとか思ってませんからやめて下さいその拳引っ込めてまだナックルついたまんまだから!
「あーその、なんや、セクハラはいかんなセクハラは。」
模擬戦後のAAR(After Aaction Review)は八神部隊長のこの一言から始まった。
その一言でスバルは涙目になって顔真っ赤にするし、ティアナはジト目で睨んでくるし、ライトニングコンビは固まっちゃうし、なのはちゃんとフェイトちゃんは笑顔がすごく怖い。
だが俺は悪びれずにこう返す。
「戦闘で勝つために一番かけ易く効果的な技を選んだだけです。他の意図は全く挿む余地がありませんがいかがでしょうか。」
「他にやり方はなかったのかな、射砲撃とか他の近接格闘とか…」
「射砲撃だけではダメージが通らず、他手段の近接格闘では勝てないと踏んだからアレをやったんです。そもそも実際の戦闘でそんな事考えながら戦います?相手が女性だから密着系の関節技を使わずに戦闘とか聞いたことないですが?」
フェイトちゃんの質問にも即答、反則技ではあるが質問で返してみる。この手の質問は答えは基本的に否である。戦闘なら目指すは勝利。手段は非合理的なものを除きなんでも使う。それが作戦とか策略とか言われる部分である。まぁ身内との模擬戦でやるかと言われると賛否両論あるだろうが、俺は基本的にやるタイプである。
「まぁまぁ、まだ魔法を本格的に運用できない初心者に見習いとはいえみっちり訓練してるFW相手に手段を選んでいられないのはしょうがないよ。その選択肢を増やしていくのがこれからの訓練の指針になるかな。あれだけの手段でうちのFW前衛突破してるし。あとは分隊戦闘の指揮にも慣れてもらわないとねー。スケジュール頑張って組むからね!」
なのはちゃんは目を輝かせながらすでにモニタをいくつか操作して訓練計画を立て始めているらしい。
「そうそう、ちょいと気づいた事が何点かあるんだが。まずエリオ君だが君は武器に頼り過ぎだな。もう少し体術も使ってみるといい。槍ってのはゼロレンジには弱いからな。スバルは・・・そうだな、興味があるなら関節系とか投げ系の技をいくつか教えてもいい。自分に不利な攻撃を知れば対処もわかるし。」
本来のAARで伝えるべき内容をとりあえず伝える。槍って武器は突くか払うかしかない。懐に潜り込むと突く事は出来なくなる使い手の方が多い。その対処としては距離を取るか、武器を使わずに体術で自分の苦手の領域を潰すことのどちらかである。エリオとスバルは前向きな返事をしてくれた。うん、若いっていいねぇ。
「ん、まぁちゃんとやるべきこともやってたようやし、今後はもーちょい気を付けてや?それと十六夜3曹のデバイスやけど・・・」
「あ、その件なんですが、こんなのがいいなーってイメージがあるんで作る人と直接相談したいんですが」
デバイスに関しては今日の戦闘でいくつか案として思いついたのがある。まぁほとんどがアニメとか漫画に出てくる武器そっくりそのままなんだが。出来ないって言われたら諦めるけどね。
「お、あの模擬戦だけでイメージ作れたん?ならええけどな。そしたら明日紹介ついでに相談してみるとええよ。」
さくっと快諾してくれた。話の分かる上司がいると助かる。その点ではこの部隊は良い部隊なんだろう。平均年齢と男女比率が若干おかしくなってるが。
かなりご無沙汰してしまいました。
ずっと艦これに張り付いていたり、リアルのお仕事で訓練があったりとちょっと執筆作業が止まってしまいました。申し訳ない。
E-6撃破したかったなぁ・・・(遠い目
とりあえず勤務中に頭の中で時折ここの話はあーしようこーしようと考えてはいるんですが、どうやら最初に組んだ設定を少し改変するかもしれません。
今後もゆっくりと更新、編集していきますのでよろしくお願いします。
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