シンフォギア世界にバーチャロイド(ライデン)が参戦したようです (とおりすがりのふに族団長)
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第一話「原作開始前夜」

ドーモ、ミナサン。私は「鏡音隼人」転生者やってます。

しかも、何故か割とハードと思われる『戦姫絶唱シンフォギア』の世界に転生したものだからさぁ大変。

俺自身が転生者であることを自覚したのは2年前。『私立リディアン音楽院』に教員として採用が決まったとの時を同じくして参加した人気アイドルユニット『ツヴァイウイング』のライブ開催時に起きた惨劇の時である。

唐突に発生した「ノイズ」の襲撃で死を覚悟した俺の前に「それ」は唐突に出現した。

生前に滅茶苦茶やりこんだゲーム『電脳戦機バーチャロン』のディスク。

それが目の前に現れ俺に『聖詠』・・・いや『起動』を促す。

『Virtuaroid System SetUp』

「こりゃシンフォギアというか『なのは』じゃないですかねぇ?」などと言ってもどうにもならないことを考えていると目の前に昔懐かしいバーチャロイドの3Dのホログラフアイコンが俺を囲むように円形に展開する。

火力が欲しいと思ったのか俺は重装甲で大火力の「ライデン 512 E2」を選択した。

実弾バズーカとレーザービームを主体とする機体である。

選択した途端にホログラフが3M程に巨大化して俺を包み込み実体化する。

原作のシンフォギア同様に歌を歌う必要があるようだが、俺自身が完全にバーチャロイドに覆われているた為に歌声が外に漏れることは無いらしい。

これは俺個人としてはありがたい。到底原作メンバーの歌唱力に叶わないからである。こんな歌を放送したら炎上やら円盤の売り上げダウン確実である。

かくして突如手にした力で力で俺は戦った。

幸いな事にライデンの攻撃は「ノイズ」に通じた訳だが、現実はアニメの様には上手くいかなかった。

「ノイズ」を破壊して進路を確保して手招きしてもパニックに陥った人は聞く耳を持たなかったり新手の「ノイズ」と勘違いされて逃げられたりと散々であった。

後に知ったことだが他の場所も同じような感じだったらしい。「ノイズ」に直接やられた人よりパニックによる要因で犠牲になった人の方が多かったのである。

10万人規模の会場でこんな事態になれば致し方ない事なのかもしれない。もっとも当時も今も中々割り切れない気持ちはある。

その罪滅ぼしか力ある故の偽善かは自分でも判断しかねるけが、かれこれ2年ほど昼は教師、夜は町を守る正義のロボット『ライデン』として活動させてもらっている。

よほどの事がない限り定時で帰れるホワイト学校万歳である。

ちなみにライデン以外のバーチャロイドを纏う事もできるのだが、今のところその他のバーチャロイドの特性が必要な相手は出てきていないからライデン一択で通している。

 

所でここまで聞いた皆さんには共通した意見があると思われる。

「なぜもっと原作に介入しない?」

「なぜライブ会場で●×を助けなかった?」

「なぜ●●課と接触しない?」

etcetc

皆様の意見はごもっともなのだが、転生者であることを自覚したとは言ったが「原作を覚えている」とは言っていない。

そう、原作を見ていないはずはないが殆ど記憶が無いかおぼろげなのである。

なんとなく「シンフォギア」奏者は一人じゃなかった気がするが俺が確認できている奏者はただ一人。

自分が入って来たことで捻じ曲がった結果なのか、よく似たパラレルワールドなのかの判断すら出来ない現状である。

しかも戦闘終わるとライデン・・・というかこのシステムは俺を勝手に家の近くに転送してしまうのである。

原作開始まで余計なことをするなと言われているようである。

「原作開始タイミング何時じゃぁぁぁぁ!!!」

装甲の中で誰にも聞こえる事のない文句を叫びながら今日も俺はバズーカとレーザーを眼前のノイズの群れに叩き込む。

その日が明日ということも知らずに。




勢いで書いてしまいました(汗
続けられたら良いなぁ


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第二話 原作開始

いつ始まるか分からぬ原作開始、日々現れる「ノイズ」、教師としての業務・・・それらの疲れを癒してくれるのはやはり『歌』!!(一瞬「愛」って言いそうになったのはなんでだろ?)

何を隠そう今日は本校に在籍するトップアイドル「風鳴翼」のCD発売日である。

既にダウンロード版は購入&お昼休みに堪能済みだが、CDの初回特典は特典の充実度合いが違うので当然両方購入である。

今日は何時にもました定時退勤を周囲から生暖かい目で見られていたのを鋼の心で気づかぬふりをして学校からCDショップへの道を急ぐ。

そしたら背後から『特典!CD!特典!CD!』と謎の歌?を歌いながら走ってくる一人のリティアン学院生の姿が見えた。

その名を「立花響」リティアン音楽院ではそこそこ名の知れた問題児である。

別に素行不良というわけではないが突拍子もない理由で遅刻をすることが多く、担任の先生は苦労しているそうだ。

俺自身は何回か彼女の『人助け』に巻き込まれたり遅刻の危機を救った事があるのでわりと面識がある。

だからか俺に気づいた立花の方から話しかけてきた。

「鏡音先生。お疲れ様です。」

「立花さんこそお疲れ様です。随分とお急ぎのようですが、やはり風鳴翼さんのCDですか?」

「ですです。未来が売り切れるんじゃないかって脅してくるから気が気じゃなくてダッシュで向かってる次第です」

「そうでしたか。お急ぎの所に足を止めてくれてありがとうございます。」

「いやいや、しょっちゅうお世話になってる先生無視して行けないですよ~。ではCD屋に突撃してまいります~」

タッタッタッ!!

スタスタスタ

タッタッタッ!!

スタスタスタ

タッタッタッ!!

スタスタスタ

「あれ?鏡音先生?」

「おや?立花さん。どうしました?早くCD屋に行かないとCDが売り切れてしまいますよ?」

「いやいやいや!先生が滅茶苦茶早く競歩で移動してるんじゃないですか!」

タッタッタッ!!

スタスタスタ

「ちょっとー!!ここは後進に道を譲って下さいよ~」

「生憎と俺は後進に道を譲るほど年食ってねぇからな~お先に失礼させてもらうぜ。悪いな立花ノシ」

「先生が素の喋り方になってるー-!」

大人げなさを全開にしてJK女子のダッシュと成人男性の競歩の勝負が火花を散らす。

しばらくそんな勝負が続いたが立花が先に音を上げてコンビニ前で足を止める。

「意外と粘るから熱くなってしまった。悪かったな立花。今時CD売り切れなんてありえんよ。コンビニで好きな飲み物奢ってやるから許せ・・・・って!?」

息を切らしている立花に声を掛けた瞬間に凄まじい違和感が俺たち二人を襲った。

コンビニの中を見れば中は無人。通りを見やれば歩いている人は皆無。目の前には主なき自転車が炭を被った状態で放置されている。

それだけではない。辺りは炭の山が散見され、空中にも炭が舞っている。

『ノイズ・・・』

立花と俺の声が重なる。

まずいな・・・いつもは「ディスク」から直接脳内に「ノイズ」のおおよその出現地域が伝えられて現地に向かいながらライデンを起動させるというパターンが殆どだった。

「ノイズ」の出現域まっただ中だとこのセンサーがどう動くかなど考えた事がなかった。道具の性能に胡坐をかき過ぎたと言わざるを得ない。

ともかく今は立花をシェルターに連れて行かないと・・・

「イヤァァァー」

別の通りの方から聞こえる甲高い悲鳴。立花と共に走って確かめに行くとそこには幼い少女が居た。さらにこの通りはシェルターに通じる道路なのだが「ノイズ」に埋め尽くされていて通行不可能であることが一瞬で理解できた。

「立花!その子を連れて逃げるぞ!」

「はい!」

それからの俺たち3人の逃避行は中々厳しいものになった。

開幕囲まれて、きったない川に飛び込むわ、行く先々に「ノイズ」が居たせいでシェルターからどんどん離れる羽目になるわ。

最終的に工場地帯に逃げ込んで高い所に梯子を使って登ってやり過ごそうと試みる運びとなった。俺と立花で8:2位の割合で少女を抱え合っていたが、梯子を登り切った時点で3人の疲労はピークに達していた。

3人そろって大の字になって一休みしている所で少女がふと呟きを漏らす。

「このまま死んじゃうのかな?『ライデン』助けに来てくれないのかな?」

そんなことを言う少女に立花が勇気づけるように手を取って何事か言ってるけど正直頭に入って来ない。

・・・・・・お嬢様ぁぁぁ!!『ライデン』ここに居まーす!!スンマセンしたぁぁぁぁぁ!!!!!心の中でコンクリートに頭を擦り付けて土下座する

一体何をやっていたのやら。二人の安全を確保しようとするあまり『ライデン』を起動するのを忘れるとは・・・

俺は変身して正体バレを恐れるヒーローじゃないっつーの。

前にも言ったが俺は正体バレを恐れてるんじゃ無くてシステムが勝手に俺を転送していただけの話。少女と立花には後で土下座して謝罪せねば。

「ちょうどタイミングよく『ノイズ』も集まって来たな」

『ライデン』を起動するべく立ち上がると、いつの間に集まったのか知らないが、眼前には大量の「ノイズ」が隊列をなしている。

「先生!」

「お兄ちゃん!」

二人からすると前に立つ俺の行為はさぞ自殺行為に見えるんだろう。

「不安にさせてすまんな二人共。」懐からディスクを取り出し起動させようとした所で放たれた立花の言葉に俺の動きが止まる。

「先生、生きるのを諦めないで!!!」

(生きるのを・・・諦めないで?)普通に考えれば『ライデン』を起動しようとしてる俺を止める言葉にはならない筈だが、何故かその言葉は俺の心を揺さぶった。

そして続く言葉でその疑問は一気に解決する。

「Balwisyall nescell gungnir tron」

それは『聖詠』。シンフォギアを起動する歌声。陳腐な表現になってしまうが生で聞いたその声は生前に聞いたものより神々しく、美しく、力強さを感じた。

立花の胸から光が溢れ、その光は柱となって空高く立ち上る。

その光を見た瞬間に記憶のピースが一つ埋まった感じと共に『立花響』が戦姫絶唱シンフォギアの主人公であった事を思い出す。

「立花響・・・お前シンフォギアの主人公じゃねぇかよ・・・って事はここが原作開始地点か!?」

今、この瞬間から転生者「鏡音隼人」の「戦姫絶唱シンフォギア」が幕を開けた。




次回は初戦闘・・・描写ガンバリマス(;^ω^)
期を超えて記憶の封印を超えようとするウェル博士の威力パネェ・・・


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第三話 立花響の覚醒と初戦闘

「おっと、呆けてる場合じゃない」

記憶のピースが一つ埋まったは良いが、全部が埋まったわけではないし、原作知識が戻ってくる法則を考えるのは後で良い。

原作ではどうにかこうにか少女を守って戦い抜いた『立花響』だが、ここに居る『立花響』が同じことをできる保証は無い。

『Virtuaroid System SetUp』

迷わず『ライデン』を選択して起動する。

『ライデン』のホログラフが巨大化して俺を包み込み実体化するのと時を同じくして立花のシンフォギアの装着も完了したらしい。

「お姉ちゃん・・・カッコいい!それに・・お兄ちゃんが・・・ライデン?ライデンも写真よりカッコいい!!」

目をキラキラさせながら少女は変貌を遂げた俺達の姿に嬉しい感想を言ってくれる。

少女には感謝を、立花にはこれからの行動指針を伝えねばならんのだが、生憎とこのバーチャロイドは音声を外に出力する機能が全く備わっていない。

人を家に転送したり「ノイズ」の位置を検知する機能はある癖に、音声の出力機能がないのである。

こればかりは2年あれこれと改善を試みたが、全く成果が上がらなかった。

しかし、あの惨劇の二の舞を避けるためには日々の活動の中で『ライデン』を世間に認知してもらわないといけないと考えていた。

そして音声出力以外の方法で『ライデン』と人類のコミュニケーションをとるために一つの解決策を考えた。それが『これで』ある。

『嬉しい感想ありがとよ!鏡音隼人改めライデンが参上したからには安心めされよ!!お嬢さん!!』と書かれた手持ち看板を二人に向ける。

アームドギアで手持ち看板作って文字そこにレーザーで文字を打ち込む。それが俺が考えた『ライデン』と人類のコミュニケーション手段である。

一回作れば表裏併せて40枚の薄い板があるので連続したコミュニケーションも可能なのである!

「あの~先生・・・というか『ライデン』?・・・私のこの格好は一体?」

『立花よ、疑問は色々あるだろうが説明は後だ。俺達がやるべき事はこの少女を守る事だ!』

「っはい!でも本当に出来るでしょうか?」

『お前が手にした『力』には俺と同じくこの少女を守る力がちゃんとある。2年間この街を守ってる先輩の言葉を信じろ』

立花にメッセージを見せると同時にバズーカで眼前のノイズへの攻撃を開始する。

「・・・はい!!先輩!何が何だかさっぱり分かりませんが絶対この子を守って見せます」

『よし、じゃあまずは俺がレーザー撃った瞬間にその子連れてこっから飛び降りろ。俺もすぐ降りる。』

「はい!先生を信じて飛びます!!」

『先生じゃない!『ライデン』と呼べ!後、くれぐれも「歌」を止めないようにな』

「はい!『ライデン』!!」

ほんの少しだけいつものノリに戻った立花の様子に安堵しつつ両肩の装甲に隠れた『ライデン』の最大火力兵装である両肩レーザー発射装置を展開する。

その名も「バイナリーロータス」からレーザーを発射。目の前で隊列をなしていた小型ノイズが次々に青白い光に飲み込まれて消滅する。

背後から「うわわわぁぁー!!!」と心配になる悲鳴を上げながら飛び降りた立花。

「まぁ、この高さじゃ無理もないか・・・俺も行くか!」

屋上に残った僅かなノイズに対して対地用の爆弾「グランド・ボム」を置き土産にプレゼントして地上に飛び降りる。

空中から立花の近くにいる小型ノイズをバズーカで攻撃しつつ、立花の横にブースターを噴かせて着地する。

『よくやった立花。このまま後退して工場出るぞ。俺はバズーカで迎撃していくから撃ち漏らしがそっちに行ったら迎撃頼むぞ』

「え!?やっぱり私でも「ノイズ」をやっつけられるんですか?」

『もちろんよ!拳でも蹴りでも好きなの叩き込んでやれ!』

って答えてる間に頭上から一体の小型ノイズが立花めがけて急降下してくる。慌ててバズーカを上に構えるが間に合うか!?

「うおぉぉぉぉ!!」

『って立花がすっげー綺麗な昇●拳やっとるー!』

少女をそっと地面に置くや否やすげー勢いで急上昇して小型ノイズを消滅させる。

『しょっぱなから随分大胆に行ったな』

「いや~、『ライデン』が大丈夫って言うから思いっきり行って倒せたのは良いんだけど・・・ちょっとマズいかも」

着地した立花を茶化すも反応が微妙・・・ってかマズいって何だよ?

立花が工場の出口の方を指さすので見てみると・・・

『アイエエエエ! 大型ノイズナンデ!?』

人型の大型ノイズが小型ノイズを引き連れて工場の出口を封鎖していた。

「あの~さすがに『あれ』にさっきみたいなパンチは」

『論外に決まってるだろーが!』

「デスヨネー(汗)。さっきみたいにレーザーで何とかなります?」

『一発で決めれば何とかなるが・・・どうするかね?』

少女がいることを考慮すれば無理に戦闘をせずにコソコソ逃げる選択もあるが・・・

先手を撃って交戦するか、進路変更してコソコソ工場内を逆に移動するか悩んでいると、この場にそぐわない音が聞こえて来る・・・車?いやバイクか?

その音の主はあっという間に工場内を突っ切って俺たちの横を通り過ぎ、出口を封鎖する大型ノイズに向かう。

バイクのライダーは大型ノイズに直撃する直前でバイクから人間離れした跳躍で飛立ち、宙を舞う。

呆然とその光景を見ていた俺たちの前で、本日二回目の『聖詠』が工場内に響く。

『Imyuteus amenohabakiri tron』

『聖詠』が耳に入った瞬間に記憶のピースがもう一つ埋まる。

彼女に関しては状況から推察できていたが、記憶が戻るとやっぱり感覚が変わる。

宙を舞う少女の名は『風鳴翼』私立リティアン音楽院の三期生にしてトップアイドル。そして『天羽々斬』の奏者である。

 




自衛隊の皆さんと『ライデン』の平和なやりとり
CASE:1
戦闘開始
『味方です。撃たないで(><)』(と書かれた看板を背中に背負う)
自衛隊の弾が当たる
看板裏返して『(´・ω・`)』
CASE:2
戦闘終了後
「お前・・・消えるのか?」
「『I'll be back』」


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第四話 戦闘終了とシンキングタイム

「呆けない!死ぬわよ。」

宙を舞って、俺達の前に着着した少女『風鳴翼』の第一声はそれだった。

「あなた達はここでその子を守ってなさい」

此方に振り向くことなく小型ノイズの集団に突撃していく。

その姿たるや正に無双。剣・打・撃・速のどの動きにもキレがあり、立花は完全に見いっている。

「やっぱり翼さんは凄い・・・」

そこで立花とは違い、立花のことを見上げていた少女は俺たちの背後に迫っていた大型ノイズに気づいて立花に警告しようとするが・・

「はっ!?」

風鳴翼の戦いに見入っていた立花は当然動けない。絶望に支配されそうになる二人と大型ノイズの間にちょっと大きめの看板を差し出す。レーザーで目を傷めてもマズいからな。

『安心めされよって言っただろ』(立花側)/『GO TO HELL!!』(ノイズ側)

『風鳴翼』の乱入の間に十分チャージされた「バイナリーロータス」を開き大型ノイズに最大威力のレーザーをぶちかます。

『あっちも終わったみたいだな。』

後は俺が家に転送されなければ良いのだが・・・・

~~~~

幸いな事に何時ものように転送されることは無かった。

戦闘終了から10分であっという間に自衛隊の皆さんが到着して工場封鎖と後始末を始めていた。そんな中、俺と立花はというと・・・

『お嬢様~色々怖い思いさせてゴメンなさい!コラ、立花!テメーも謝れ!?最後ぼーっとしやがって』

「はっはい!ごめんなさいー!」

「お姉ちゃんも『ライデン』も止めてー-!!」

うろたえる小さい女の子に土下座する俺たちの姿がそこにはあった。

しばしグダグダの押し問答を繰り返しているとスーツ着た女性が苦笑いしながら少女の母親を連れてきたと言って連れて行ってしまった。

『時に立花よ。お前いつまでそのカッコしてるの?』

「だって戻り方分からないんだから仕方ないじゃないですか~。ずっとこのままだったらどうしよう!」

『まぁ、歌うの止めたらそのうち元に戻るだろうからゆっくりしてろ』

「本当ですか?『ライデン』というか先生は?」

『ちょっと考え事』

答えてすぐに看板を裏返し『休憩中』を表示して『ライデン』の動きを停止させる。

立花のシンフォギアが解除されるまであと2,3分。その後は『特異災害対策機動部二課』に俺も一緒に行くことになるんだろう。

その間に記憶の整理と条件の考察をさせて貰おう。

まず、最初に立花の聖詠を聞いた時には少女を守って戦う危なっかしい立花の姿までしか思い出せなかった。

しかし、風鳴翼の聖詠を聞いた時には比較的先の情報まで戻って来た。

シンフォギア奏者は後一人、今後もっと増えるのかも知れんけど直近では一人の筈だ。

まぁ、三人目がどんな子かはシルエットすら出てこないけど・・・黄色、青ときたら『赤』に期待したいところ。

敵の情報も全く出てこないけどここは諦めるしかないかも分からんね。

とはいえ条件はよくわからんな〜シンフォギアレッドちゃん(希望)の聖詠聴いたらもっとハッキリすると思いたい。

それより直近の問題は『特異災害対策機動部二課』に『ライデン』と『鏡音隼人』がどう思われているのやら。

「ノイズ」と戦っては逃げてを2年繰り返してるから客観的にあまり好意的に受け止められているとは思えない。

俺はついさっき正体バレを恐れるヒーローじゃ無いと言ったけど、世界に「私はライデンです」と名乗り出る勇気が無かったのもまた事実。

その辺をOTONA達に詰られたらと思うと少し気が重い。

こちらは記憶が朧げだがシンフォギアのOTONA達はやたらと人格者が多かったからこんなに呼び方をされていた筈…そんな中でやって行けるか?

ゴンゴン!!

ん?何やら装甲を叩かれてる感触。

ちょっと考え込みすぎて立花待たせてしまったかと思って周囲を見渡すと黒服さんたちに周りを囲まれ立花は既に手錠をかけられている。

「休憩中の所申し訳ありません。「鏡音隼人」さん。出来れば武装を解除して我々に着いてきて頂きたいのですが?」

正体バレとるー!それ以上に何かスッゲー爽やかイケメン出てきた!?

俺の仮面教師とはレベルの違う本物の爽やかイケメンだー!いや、知識と本物はやっぱ違うわ。

「先生、心の声が看板にだだ漏れになってますよ」

『おっとこれは恥ずかしい』

大人しく『ライデン』を解除して鏡音隼人の姿に戻る。

手錠をかけられて嘆いている立花と共に車に乗ろうとして急に心配事が頭を過り、空を見上げる。

「どうしたんですか?先生」

「いや、これが最後のシャバの空気かと思ってな…」

「怖い事言わないで下さい!!」

(何で最後のレーザーが月に当たってないか?って心配したんだろ?ある訳ねーだろそんな事)

当然、この疑問が解決するのは暫く先の事になる。

 

 

 

 

 




UA数1000超えありがとうございますm(_ _)m
シンフォギアレッド。一体どんな娘なんだ?(棒)


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第五話 特異災害対策機動部二課

ガラガラの道路を疾走する俺と立花を乗せた車の車列。

立花は手錠を付けられてパニック状態なのかさっきから「なんでぇぇー!!」「どぼじてぇぇぇ!!」「あんまりだー!」などと嘆いてばかり。

「立花よ落ち着け。嘆いてばかりいても何も始まらんぞ(80代老人威厳マシマシ)

「凄っ!声だけ威厳の塊みたい・・・どっからその声出してるんですか?」

「声だけとか大きなお世話だ。声のモノマネが特技でな」

何を隠そう俺が使用する『Virtuaroid System 』(仮名)の起動は「電脳戦機バーチャロン」お馴染みのメカメカした口調(戦闘開始時の GET RADY!の音声)でハッキリと発音しないとと上手く起動しないという困った作りなのである。

それ故に最初は苦労したものである。

その点シンフォギアいいよな~。『聖詠』カッコいいし※シンフォギアにもなんか発動制限あった気がするけど例によって思い出せん。

「こんなことも出来るぞ~『立花さん!廊下を走るんじゃありません!』」

そんなメカメカ口調を作る中で培われてついでに覚醒した「モノマネ術」の一端として、立花の担任教師の声真似を披露する。

「うそぉぉぉー!!これモノマネってレベルじゃないですよ!というかこんな事やってたら何時か怒られますよ!?」

「安心しろ。既に忘年会で超怒られ済みだ(`・ω・´)b」

「怒られ済みなら改めて下さい!悪用して肖像権の侵害で訴えられても知りませんよ?」

「立花が『肖像権』を知っている・・・だと!?」

「私を何だと思ってるんですかー-!!」

ぎゃいのぎゃいのと立花をいじって遊んでると車はリディアン音楽院の教師が居る中央棟前に到着する。

「え、ここって先生たちの居る中央棟ですよね・・・ってことは先生って・・・」

「残念ながらその予想は外れですよ立花さん。」

職場に戻ったせいか教師口調に戻ってしまったが、間違ったことは言っていない「鏡音隼人」はここの裏の顔など知らないのだから。

そして下に降りてからはほぼ原作通りの流れで立花は櫻井女史に連れていかれてしまった。

「さて、それでは今日は話を聞かせて貰えるといいのかな?」

特異災害対策機動部二課の長「風鳴弦十郎」はそう言って話を切り出して来た。

「勿論です。全てお話させて頂くつもりで来ました。」

自分で言って『犯罪者みてぇ・・・』と思いながら説明を始める。

流石に転生って部分は上手くごまかして、今までの経緯を説明する。

ディスクも渡したり起動するとこ見せたりもしたが、やはり俺のディスクは聖遺物と同じような反応は計測出来るものの、

聖遺物としては二課のデータベースにも存在していなかった、今日までは「unknown・one」と呼称されていたらしい。

何より驚いたのは『俺=ライデン』に辿り着いたのはつい数日前との事。

詳しく聞けば『ライデン』として活動してる時間に避難したりシェルターに存在する俺の姿が記録されていたらしい。

その姿、完全に俺にしか見えない。ヒューマ●みてぇ。偽装工作もやりすぎでしょーよ(汗)

たまたま街でこの「鏡音隼人(偽)」の動きを不審に思った方が追っかけてさらに調査&尾行した結果、急速に『俺=ライデン』という証拠をつかんだらしい。

ちなみにつけられた自覚全くゼロ。素人の無力さを思い知らされる。

「それにしても・・・君はやたらと正体を隠して今日まで活動していた事に後ろめたさを感じている様だが、仮に君が2年前の惨劇直後に素直に素直に名乗り出ていたらどうなっていたと思う?」

「さぁ?『ライデン』として世界中で馬車馬の如く使われて過労死でしょうか?」

「いや、世界中の国々が君を狙って表と裏で争うことになるだろう。その死者数何人に上るか想像もつかない。」

「私がAの国を守る事が気に入らないBCDがAを攻撃して死人が出まくるって事ですか!?」

「そうだ。当然その争いは君の周囲の人間すべてに及ぶ。人の命を守るという観点ではその『ディスク』がやっていた工作は理解できる。」

oh、流石は修羅の世界シンフォギア。既に聖遺物を巡った人類同士のバトルが勃発しているとは。

「俺としては君と「立花響」君には我々に協力して欲しいと考えている。しかし、まずはこの映像について意見を聞きたい」

弦十郎さんがモニターに新しい2つの映像を映す。片方は街中で戦う『ライデン』。

こりゃ『原作開始何時じゃー』って荒れてた奴だな。車とかゲームとかイライラしてる操作とかを映像で見せられると羞恥心が半端ない。

(あーあー、要らんバズーカ建物に当ててて情けない限りだ・・・)

自分の戦いの反省は後にして、それより問題なのはもう片方の映像・・・無脚にスラっとしたラインのボディに腕がビットという特徴的ないでたち。白と青を基調としたカラーリングのバーチャロイド

「バル・ディ・メオラ!?」

「我々は『unknown・two』と呼んでいる。出現したのは2週間前だ。この機体の攻撃もまだ『ノイズ』を撃破している。ただ、君の『ライデン』とは決定的に違う所がある・・・分かるか?」

「いや~『ノイズ』と戦うフリして街を破壊した挙句、自衛隊の皆さんを攻撃しているとは驚きだ。」

破壊を楽しんでるようにしか見えないバーチャロイドの姿を見ながら率直にこのクソ野郎への感想を述べた。

 

 



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「第六話 VS『BAL d MEORA(バル・ディ・メオラ)』①

櫻井女史による身体検査の後、ヘトヘトでライフゲージがドットに突入している立花を車に乗せて寮に向かう。

「先生も戦って疲れてるのにすみません。」

「気にすんな。どうせ帰り道だ。寮に話は通ってるらしいから普通に入って行けるぞ。」

「助かった~。でも未来は心配してるだろうなぁ・・・」

「そういえば小日向さんとは幼馴染か。」

「ですです。私の事ちゃんと心配してくれるの未来だけなんですよ~」

そんな馬鹿なと言いかけた所で・・・原作記憶と自分の記憶を併せた立花のを思い出す。

立花響は惨劇のライブで奇跡的に生き残ったは良かったが、被害者遺族やその尻馬に乗った連中から迫害を受けてたんだっけか・・・

モロに考えてる事が顔に出てしまっていたのか立花はバツが悪そうに苦笑いする。

「え~先生のご想像通りの事があった訳なんです・・・正確には未来以外にも気にかけてくれた人が居るには居たんです・・・けど~」

(。´・ω・)ん?どういうこっちゃ?

「その口ぶりから察するに、あんまりお近づきになりたくないタイプの奴が寄って来たのか?」

「ぶっちゃけるとそんな感じでして~気にかけて貰えたのは有難かったんですけど・・・」

「下心丸見えだったと・・・会話の流れで勝手に男前提にしてるけど男だよな?」

「あはは・・まぁ想像通り男の子なんですけど。未来が居なかったらやっぱり危なかったと思います。」

原作だと迫害シーンの描写ばかりだったけどこれは現実。リアルに考えれば立花だって可愛い部類の女子である以上じゃその手の輩が近づいてきてもおかしくはないか・・・。

所詮30分アニメの数少ない描写だもんなーっと、そんな事を考えてる間に寮の前に到着する。

「よし、着いたぞ。偉大な保護者である小日向ママにしっかり怒られてこい。ちなみに、明日遅刻しても助けてあげませんからそのつもりで♪」

最後だけ教師口調で言ってやるとすげー嫌そうな顔して後ずさって、あっかんベーして寮の中に入っていった。

「さて、俺も帰るとしますか」

寮を後にして僅か数分、突然『ディスク』と二課から渡された通信機が振動する。一日に二回「ノイズ」発生とは珍しい。

通信機をホルダにーに入れて通信を開始する。

「こちら鏡音。状況は把握してます。立花は寮に届けたので速攻『ノイズ』出現地点に向かいます」

「こちら藤尭です。迎撃お願いします。翼さんがすぐに向かいますのでそれまで進行を食い止めて下さい。」

「大した数じゃ無さそうだし、翼さん来る前には終わらせますよ。」

軽口を叩いて車を適当な場所に止めて『ライデン』を起動して現場に急行する。

幸い場所は市街地ではなくそこに入るための高速道路の一つ。安全確認したら最大出力のレーザーで全滅させてくれる!

市街に通じる道路の封鎖に取り掛かっている自衛隊の皆さんの上を『自衛隊の皆さんお疲れ様です。』と書かれた巨大手持ち看板の上に乗っかり「ブルースライダー」方式で飛び越えて行く。

ノリの良い隊員の方々は

「お頭ぁ!空から『ライデン』が!!」

「お疲れ~(`・ω・´)ゞ」

「さっき女の子に土下座してた『ライデン』だ!」

などと反応を返してくれている。

「ノイズは・・・あそこだな」

小型ノイズの群れを確認すると看板から飛び降りて「バイナリーロータス」を開く。これで今日のお仕事おわ・・・

『WARNING!! WARNING!!』

めったに響かない警告音に対して本能的に後方に下がる。

さっきまで立ってた場所は地面が円形に焼かれている。

「リングレーザー・・・ってことは」

上から降って来たのは先程映像で見た『unknown・two』こと『バル・ディ・メオラ』の攻撃。

本体もゆっくりと俺の目の間に降下してくる。

奇襲といい映像内の動きといい・・・とことんクソ野郎だな。

具体的にどれくらいクソかというと。

①最初はおっかなびっくりで小型ノイズを遠距離からペチペチ攻撃。

②ちょっとノイズが俊敏な動きするとすぐ下がって自衛隊も盾にするチキンぶり。

③数が減ると調子に乗って特殊攻撃である『リフレクション・モード FBS』

、簡単に言うとメテオみたいな技を連発してノイズを撃破する代わりにその場と自衛隊に大きな被害を出した。

「よぉ!街のヒーロー『ライデン』さんよぉ・・・会いたかったぜぇ!!てめーには言いたいことが山ほど有るんだよ」

「ノイズ」みたいな無人兵器の可能性もあったが・・・声が聞こえるとなるとその線は消えたか。

それにしてもなんで此奴には音声出力機能があるんだ?俺は2年頑張っても全然出来てないというのに(怒)

『生憎と俺には話すことは無いね。』

左手の手持ち看板を見せつけて軽く煽る。

「だろうな。でも俺にはあるんだよ。俺の力でお前もノイズもぶっ潰してやる!!」

ここにシンフォギア世界におけるバーチャロイド同士のバトルが勃発した。

 



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第七話 VS『BAL d MEORA(バル・ディ・メオラ)』②

威勢よくビット状の腕から生成したビームソードで斬りかかってくるメオラ君(仮)

だが、いかんせん経験が浅いせいか簡単に先読み出来るので機動力で劣る『ライデン』でも楽々回避が出来る。

後、心なしか『ライデン』の運動性能が向上してる気がする。今まで発生させてた偽物を作成しての偽造をしなくなったからリソース上がってるんだろうか?

ここでメオラ君との会話をつらつらと描写しても良いが、文字に起こすのに堪えない内容なのでざっと要点と俺の感想を纏めてみた。

①メオラ君は俺が原作知識と『ライデン』の力で二課と取引してリティアンの教師になったと思ってる。

⇒ただの偶然だが、そこを言っても信じ無さそう。というか同じような力持ってるお前はなんでアクション起こしてないんだよ?

②メオラ君はどうにも立花響に非常に気があるご様子。『響ちゃんは俺が守る』だそうで(;^ω^)

⇒此奴もしや中学時代に立花に言い寄ってた男か?

③自衛隊を攻撃した件はモブどもなんて知ったことかとのお言葉

テンプレの様なクズ転生者じゃないですかヤダー

④どうにも誰かの指示で動いているご様子。

⇒一言口を滑らせて以降はこの話題に反応しなくなったのでよほど力がある奴の配下らしい。

 

とりあえず、転生者って事になるんだろうけど問題は①の俺の正体を何処で知ったかだ。

可能性で考えられるのは早速二課から漏れているか、ライブ会場の惨劇の黒幕から情報提供受けているかの二択である。

惨劇の黒幕の線が濃厚だろうな。俺はあの時、今日の立花のようにの自身の能力を殆ど把握出来ないまま歌い戦った。

上手く避難誘導できない状況とノイズの群れに錯乱して大型ノイズと相打ちになって将棋倒しになった人の上に落ちて助かった。

二課はこの時は機能不全に陥っていたはずなので、戦闘不能になった俺の姿を見てる可能性があるのは黒幕だけではないかという予想だ。

もしそれ以外の人間が俺を見てい居た場合は、速攻各所に俺の存在を売りつけて弦十郎さんが危惧してた聖遺物奪取バトルが勃発していた事だろう。

まぁ、それは此奴を捕らえた後で考えればいい。

これ以上めぼしい情報は出てこなさそうなのでこの戦いを終わらせよう。

『時にメオラ君よ』

「あぁ!?」

『さっきからこの看板ばかり見ているが・・・本当にそれで良いのか?』

この世界の『ライデン』は手持ち看板を持ってるのが当たり前というイメージが付いてるせいか、メオラ君は大事なことに気づいていない。

君が見てる看板の裏の左肩には「バイナリーロータス」があるという事を。

「バイナリーロータス」から放たれたレーザーは看板を一瞬で貫き、反応することすら出来なかった『バル・ディ・メオラ』を飲み込む。

『お残しは・・・許しまへんでぇぇ!!』

続いて右肩からもレーザーを発射して小型ノイズの群れを一掃する。

『メオラ君の姿は・・・見当たらんなぁ。俺と同じ転送機能で逃げたか?』

確信がある訳じゃないけど一応、立花の過去の線から『メオラ』君の正体探って貰うか。

『時に風鳴翼さんや。ホントに来る前に全部片づけたから怒ってます?』

「別に・・・怒ってなどいません。」

ちょうどレーザーで小型ノイズを一掃した瞬間に背後に現れた風鳴は、すげーそっけない声でそう答えて来たが声色がめっちゃ怒ってる。

『いやー、中々来ないから我慢できずに全部倒してしまって済まんね。長風呂でもしてた?』

「してません!!」

否定の言葉と共に目にも映らぬ速さで手持ち看板をバラバラに斬って、鋭い延髄蹴りが放たれる。甘んじて喰らうが思ったより重くて土下座ダウンを喫する。

本日二度目の土下座(ダウン)から回復する頃には風鳴の姿は既に無く、代わりに苦笑いしてる緒川さんが居た。

『ん、してたのは長風呂じゃなくてシャワーか?』

「思うのは自由なんですけど・・・明日翼さんに確認したりしないで下さいね(;^_^A」

ちゃんと緒川さんに調査依頼はしました。



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第八話 『ノイズ共生派』

分かってはいた事だが、二課に入って早々に立花と風鳴の間の溝が非常に深くて空気が重い。

立花の力になろうと相談を受けるが・・・

「先生は良いですよね・・・バズーカにレーザーってカッコいいアームド・ギアがあって」

なんてことを恨みがましく言ってきたので

『なんでい?これ(武装)は体の一部であって、俺のアームド・ギアはこの手持ち看板だぜい!』

と正直に説明してるのにため息は深くなるばかり。

『ん?原因を思いついたかもしれん』

「本当ですか!?」

いきなり明るい表情になる立花。

『槍って漢字書けないのが問題なんじゃね?お前この間テストで微妙に間違って書いてたぞ・・・って顔怖っ!?』

「もう先生には頼りません・・・」

立花とは思えないくらい暗く怖い顔と声で去っていく。

その後友里さんにめっちゃ怒られて本件について戦力外通告を受けてしまった。

この件に関しては俺や弦十郎さんが間に入ろうとするのは得策では無いそうな。ここは原作通りの展開になってくれることを期待するしかないか。(まだ内容思い出せないから不安)

それから一か月俺が別件の仕事をしてる間にも二人の仲は改善されず、グダグダの戦いを繰り広げているらしい。

そして、俺が今何をしているかというと・・・話は緒川さんに頼んだ『立花に過去言い寄っていた人物の調査』に遡る。

該当する人物は調べ初めてすぐに見つかった。年齢は立花の一つ上で、昔は快活で行動力もある頼りになる近所のお兄さん的な存在だったらしい。

しかし、この少年は2年ほど前からとんでもない活動を始める。それが『ノイズ共生運動』である

曰く、「ノイズは人類の敵ではない」「犠牲者と呼ばれる人たちはノイズ側の世界に拉致されただけで生きている」だのととんでもない妄言を公言している。

少しでも「ノイズ」被害を目の当たりにすれば妄言と分かりそうなものだが、「ノイズ」被害に直接会っていない遺族や陰謀論好きには刺さるらしく、

近年ちょっとした思想団体と化しているらしい。

立花に近寄って来たのも、彼女があの惨劇で見聞きしたものを世間に公表しようと迫ったらしい。

そうすることで迫害される立場から解放されるだの何だの・・・これは立花を守り切ったご家族と小日向のファインプレーと言わざるを得ない。

「しかし16歳にして思想団体のトップとは恐れ入る。『原作知識』じゃなくて『前世の悪知恵』を利用する形でアクション起こしていたわけか・・・」

緒川さんと情報部の皆さんのレポート見ると出るわ出るわ薬物密売、脅迫、重火器の不法所持etc、etc。いや、もう思想団体じゃないだろこれ?

こんな事が可能なのはどう考えても『バル・ディ・メオラ』の力、「ノイズ」に対抗可能かつ普通の人間では抵抗不能な戦闘能力を悪用しているとしか考えられない。

俺はこのひと月、ランダムに1件1件彼らのアジトの違法行為に関する証拠固めに帯同して『メオラ君』のあぶり出しを狙って居た。

肝心の『メオラ君』は出て来ないが、活動の中で離反する者をかなり作ることに成功した。

接触したうち何人かは『ライデン』との面会を離反の条件にしてきた。相当脅されていたのか皆口々に敵を取って欲しい旨を口にしてきた。

最初は罠かと思ったけどそんなことは無かったらしい。これは相当横暴だったんだろうな。

後、気になるのは前回俺が聞き出した『黒幕』の存在は気になるが、この活動はあくまで『メオラ君』単独の活動らしい。

一か月の活動の甲斐あって証拠固めは完璧。これから一斉摘発というタイミングで街に響く「ノイズ」警戒警報。

「立花たちは気になるが、今は『メオラ』の方を警戒しないとな」

満月を見上げながら呟く。

何故か知らんが速く二人の方に行かないとマズい気がする。さっさとケリをつけよう。




UA3000越えありがとうございます。これからも頑張ります。


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第九話 VSバル軍団とレスキュー機能

「第九話 VSバル軍団とレスキュー機能」

街にはここ一か月の間にお馴染みになってしまった「ノイズ出現警報」が鳴り響く。

が、そんな事には構わず「ノイズ共生派」の大型アジトの一斉摘発は進む。

進むは良いのだが『メオラ君』が全く出てこない。

前のレーザーでマジで昇天してしまったか、捜査の手が及んだのを悟って逃げたか・・・街の中心部のドでかいヘリポート付ビルの屋上で待機しながらヤキモキするが、当然答えは出ない。

と思ったら壁に括り付けてある通信機(ライデン内は通信機が無効になる為)からアラートが鳴り響く。

「『メオラ』とは異なるアンノウン反応が5つそちらに向かっています!注意してください!」

友里さんがとんでもない報告をしてくる。

報告された出現域は現在、一斉摘発が進んでいるアジトの一つから近い地点だ。

協力者の存在を考えていない訳ではなかったが、まさか五体とは思わなんだ。

慌てて通信機を肩に掛けてビルから飛び降りる。

『WARNING!! WARNING!!』

警告音と敵機のデータが送信されてくる。

無脚の女型『バル・メ・リーノ』

二脚の男型『バル・バ・チスタ』

二脚の女型『バル・ミ・ランダ』

四脚の男型『バル・バ・ティグラ』

四脚の女型『バル・セ・リムゾ』

『メオラ』を除く5機が固まって一直線にこっちに向かってくる来る・・・(。´・ω・)ん?

こちらはビルから落下中。あっちは地上から固まって一直線に向かってきてる。これってやる事一つじゃね?

「五人居るのか一人で操ってるのか知らんが、『ライデン』相手に固まるなっつーの」

二課入りするまでは街に被害を出さないようにレーザーを地上に発射することはしなかったが、今回は事前に許可を貰ってるので遠慮なく撃たせて頂こう。

『最・大・出・力』

「バイナリーロータス」から放たれたレーザーが地面とバルシリースの面々を次々と焼き払う。

直線距離500メートルに渡って地面を20メートルほど溶かして陥没した状態になっている。

改めて『ライデン』の破壊力に戦慄する。

「また、『メオラ君』の姿は無し。焼いたときに声は聞こえたからやっぱり『リモート』操作か?」

周囲を一通り見まわしてもやはり操縦者らしき姿は見当たらない。周囲の確認をしていると今度は通信機から弦十郎さんからの声がした。

「こちら弦十郎だ。翼と響くんが完全聖遺物『ネフシュタンの鎧』を纏った襲撃者と交戦中だ。急行してくれ。翼は絶唱を使うつもりだ」

『絶唱』

シンフォギア最大の攻撃手段にしてその身をも破壊する危険な一手。

桁違いの破壊力を有するのはもちろん、シンフォギアごとに特殊な効果を持つものが・・・あった気がする。

以前『ライデン』で出来るか試してえらい目に逢った事がある。

体調万全の状態で絶唱特性の確認の為に出力を控えめにやったのにも関わらず、医者に「無理なダイエットや減量でもしましたか?」と言われるくらい体力を削られた。

というか、絶唱の説明とかやってる場合では無い。

今のキーワードで襲撃と風鳴の絶唱のシーン思い出した。

つーかあの出血量はマズい!

『ライデン』には『レスキュー機能』が搭載されており、本来のゲームでは2on2で味方の機体にライフの半分を分け与える機能である。

既に戦闘中に負傷(重症)していた一般人に試したこともあるので、ほぼ体力MAXな今の状態なら風鳴のダメージをかなり軽減できるはず。一番いいのは間に合って襲撃者を倒す事だが・・・

『Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl』

公園に到着した瞬間に響く風鳴翼の絶唱。凄まじいエネルギーで発生した光を目印に駆け付けると血だらけの風鳴、立花、一番遠くで倒れてる見おぼえない男が目に入る。

風鳴の出血量が記憶より多い気がする。余計な事は一切せずに風鳴に近づき『レスキュー機能』を実行する。

『ATTENTION!! ENERGY ENPTY』

「え!?」

風鳴に触れた瞬間に聞いたこと無いメッセージと共に『ライデン』の装甲が解除されて地面にぶっ倒れる。

立花と車で駆け付けたと思われる弦十郎さんの姿が見えるが、生憎と声を出すこともかなわず意識を手放す。最後に感じたのは上にだれかが乗っかかる感触。

(人の上に乗っかるんじゃねー翼・・・( ˘ω˘)スヤァ)

 

 

 




次回はマッタリ回です


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第十話 唐突ですが、妹が出来ました

ドーモ、ミナサン。私は「鏡音隼人」です。

何か寝てる間に色々状況が目まぐるしく変わってるのは自覚している。

『ライデン』が獲得した新機能。

『メオラ』君の顛末。

知らん間に強くなった立花響+(仮)。

二課に協力者だった大臣さんの暗殺。

完全聖遺物移送途中でまたもや鎧の少女の襲撃

etc

だが、それより問題なのは・・・

『俺(私)達、兄妹になってる!?』病院の屋上で俺&翼の息の合った絶叫が響いた。※もちろん看護師さんに怒られました

ことの始まりは動くなと言われると動きたくなる性分にて、病室に身代わり人形を設置して病院散策を楽しんでいた所、

何やら打ち解けているっぽい立花と風鳴を見つけて二人に近づく

「いようお二人さん。最近のギクシャク具合とは違って打ち解けてる感じじゃん♪」

「鏡音先生!?先生ももう動いて大丈夫なんですか?」

「なんなら今から『鎧の女の子』をフルボッコにして来ても良いぜ」

「強がりを言わない。足元が震えてるわよ。」

立花に言った強がりを翼が一発で看破する。

俺が顔で『ぐぬぬ』を表現して立花がそれにビックリしてる間に唐突に立ち上がった翼が俺に頭を下げる。

「今回は本当に助かったわ。隼人が助けてくれなかったら命を落としていたかもしれない。」

「まぁ、お互い助かったんだから良いって事よ。この世に二人しか居ない兄妹なんだから助け合うのは当然だろ?」

「え”っ!?」

立花が素っ頓狂な声を上げる。何やら顔もすっごい事になっている。

「どうした立花。俺みたいに顏芸でもやりたいなら止めとけ。女の子がやるもんじゃないぞ」

「そうだぞ立花。隼人のこういう所を真似したらダメだぞ」

「いやいやいや!そうじゃなくて。お二人は何時の間に兄妹になってるんですか!?」

立花の声に耳を傾け、翼とアイコンタクトすると、お互いに背を向け数歩距離を取る。

『あれ!?俺(私)何を喋ってた!?』タイミングバッチリで叫ぶ俺達。

『真似すんな(しないでよ)翼(隼人)!!』

ダメだ、振り向いて顔を合わせると兄妹モード(仮)になってしまうぅぅ。

そして何度か検証した結果、事実と向き合わざるをえず、冒頭の絶叫に繋がる。

~~1時間後~~

「助けて~櫻井え●ん~」

「声真似上手い上に『ピー音』まで自分で言うの凄いわね~。でも幾ら私でも猫型ロボットの万能さには勝てないのよね~」

情けない声で櫻井女史に助けを求めると、一応の見解は示してくれた。

①今現在、『ライデン』と『天羽々斬』はお互いに僅かながらお互いの波長を発している。

②レスキュー機能とは『ライデン』側の余剰エネルギーを用いて対象を治療する機能と推測される。

今回のケースでは翼の傷が深すぎで大量にエネルギーが必要となった結果、『ライデン』が機能停止してしまった。

③②の際に大きなエネルギーのやり取りの中で翼のエネルギーが『ライデン』側にも流入したと思われる。

④上記の結果として同じ波長を共有する互いを『兄妹』という形で認識するという結果になっているのではないか。

 

「まぁ、パニックになる気持ちは分かるけど、互いを兄妹に思う位なら特に実害ないから良いんじゃない?

どうせ体が回復すれば症状も消えるわよ。現に今でも顔突き合わせてなければほぼ元に戻るんだから。」

「なるほど、最初は驚いたけど言われてみれば実害は無いな」

慌てて損したーと思いながら病院に戻るべく部屋を出ようとすると左手の裾を掴まれている感触に足がストップする。

「翼さんや?この指はどういう事でせう?」

俯いたままで表情は読めないが、かなり力を込めて裾を掴んでいるので動けない。

「その、凄い不躾で迷惑なのは分かってるんだけど・・・症状が治るまで・・・いえ、今日だけでいいから私の『お兄様』になって下さい!」

真っ赤になってる顔を上げてしおらしい顔でこちらを見上げてそんな事を言ってくる翼に対して俺は・・・。

『誰か助けてー』

と周囲に視線を投げると、全員聞いて無いフリして仕事に戻りやがった( ゚Д゚)!?

「鏡音隼人」の受難はまだ終わらない・・・



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第十一話 妹パニック終了

二課から病院に戻ってからはひたすら大変だった。

レスキューを求めた立花は完全に風鳴の味方になっており、逃げ道は完全に塞がれていた。

そう言えば緒川さんから風鳴の過酷な生い立ちを聞いた後か・・・となるとあの態度も納得せざるを得ない。

そして強制的に『お兄様タイム』が開始された。

頭なで、手つなぎ移動、食事中に入院患者同士であーんまでやりあったり・・・通常時では考えられないが、やってる間は普通に行動してたから後から受けた精神ダメージは計り知れない。けっこうクサい台詞も言ってしまった気がするorz。

他にも

①受け答え間違う。

②翼しゅんとなる

③非難の目を向ける立花(たまにwith看護師さん)に「いいんだ、立花。私が悪いんだ」

のコンボは非常に精神的ダメージが大きかった。あいつら、3回目からアイコンタクトしてたの忘れねーからな。

今日午前中に一気に作った『ライデン』ぬいぐるみ(全長30㎝)も一つ持って行かれてしまった。

あのもの欲しそうな視線と立花の「お前、分かってるよな?」と言わんばかりのブロックサイン攻勢に折れてしまった。

皆に見せていない別タイプの『ライデン』ぬいぐるみも作っていた為、色々根掘り葉掘り聞かれてしまった。

別に喋って減るものじゃないので、転生云々をぼかして説明した。使う機会があれば良いけど。

そして夕方あたりになると自然と俺たちの症状は緩和され、無事消灯時間を迎える今となっては今日のクサい台詞の数々に精神を蝕まれている次第である。

「そろそろ寝るか」

ぬいぐるみ作りの手を止めて消灯しようとした頃に唐突にドアが開いた。

「風鳴?どうしたこんな時間に。言っとくがこのぬいぐるみはやらんぞ」

「もうねだりません!」

『ディスク』を構えて『ライデン』ぬいぐるみ軍団を護ろうとする俺に若干呆れた表情の風鳴翼。

「どうした?こんな時間に男の個室に来るもんじゃないぞ」

「はい、ですからこの位置から失礼します。どうしても今日中にちゃんとお礼を言いたくて。」

「礼なんて良いって言っただろ。『兄妹』じゃねーけど『仲間』なんだから」

「ですが、私は今日まで立花と貴方を到底『仲間』とは言えない態度ばかり取っていました。それを謝罪せずに先生の優しさに甘えるわけには行きません。」

「本当に良いのに。」

深く頭を下げる風鳴。まぁ、これが風鳴なりのけじめのつけ方なら受け入れざるを得ない。

「お前が俺や立花に抱いてた複雑な思いは理解してたよ。今日から『仲間』として宜しくな。」

「はい、宜しくお願い致します。」

頭を上げてそのまま立ち去るかと思ったら止まったままの風鳴。はて?

「最後に一つだけ。夢の中で先生の歌らしき物を聞きました。立花には『人に聞かせるほどの歌じゃない』なんて言ってたみたいですが、

言うほど悪くないですよ『お兄様』♪」

なんてアイドルウインクかまして言って立ち去りやがった。言葉を返すタイミングもなくベッドに突っ伏す。思わぬ副作用があったもんだ。

お前、最初俺のことを弟扱いしてたの忘れてねぇぞ~と突っ込むチャンスが無かった。

「くっそー、あのウインクは反則だろ~がぁぁ。久しぶりに年下女子を『可愛い』と思ってしまった。」

いつか模擬戦闘やる機会があったらレーザーでKOしてくれると負け惜しみを言ってベッドに入る。

「そう言えば、今日起きるべきことが起きてない気が・・・何だろ?」

 




次回、シンフォギアレッドちゃん登場。


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第十二話 シンフォギアレッド、もとい雪音クリス登場

妹騒動の翌日、俺は二課で『ノイズ共生派』の事件の報告資料を閲覧していた。

「成程・・・『メオラ』君は興奮作用のある薬物を接種した状態で俺との二戦目に挑んで5体の遠隔バーチャロイドが焼かれたフィードバックと薬の副作用で病院送り(リタイア)か・・・」

「はい、記録の通り『鎧の少女』と二人がかりでで翼さんを攻撃していた『メオラ』が突然苦しみだしたんです。その直後に装甲が消えて倒れたそうです。」

発令所に居た藤尭さんが俺の感想に補足を入れてくれる。

『鎧の少女』は風鳴の絶唱のダメージを受けつつも撤退したらしいが、その前に装甲が消えた彼はそうはいかなかった。

「正直、生きてはいますが毎日うなされていてまともに受け答え出来ないらしいですよ」

資料を読み進めると現在の彼の病状が事細かに書かれている。

「投与させれてる薬物の量がエグくて言葉がでない(単純にそれぞれの効能分からないせいもあるけど)」

「それは俺達だって同じですよ。完全に短時間の間に使い潰す目的があったとしか考えられないと専門家は回答してます」

「彼から黒幕辿るのは無理になったけどテロ集団一つ潰したからまぁいいか。」

二課やライデンに助けを求めて来た連中も100%被害者って事は無い。

だから俺も二課の人間も『メオラ』君を倒すだとか裁くとかいう表現に留めて、司法取引も本件のみで別の案件で逮捕する手筈は整ってるはず。

「内通幹部20人全員が別件逮捕の運命だもんな~。」

「内容もそれぞれバラバラで悪事の見本市みたいな感じでしたからね。」

なんて話をしていたら唐突にアラートが鳴り響いた。急いで配置につく皆を大人しく隅っこで眺める。コッソリ出て行こうとしたら配置に着く前の友里さんに

「ケガ人は大人しくしてて下さい」とぶっとい釘を刺されて強制的に着席させられてしまった。

例の『鎧の少女』が現れて立花が相手をしていたが、戦闘の途中に現れた変化に発令所の人間全員の空気が変わる。

「イチイバルだとぉ!!」

発令所に弦十郎さんの声が響く。驚いてる理由は良くわからないが、モニターに聖遺物の名前が表示されているという事は元々日本政府の所有物だったのが敵に渡ってるって事か。

(。´・ω・)ん~~?

思い出したー!!!昨日何か起こるはずと思ったのこれだー-!!後、記憶が正しければボスみたいなやつが出て来たハズ(ここは曖昧)

「隼人君!君ももそんな体で出て行くつもりか!」

コッソリ出て行こうとする俺を弦十郎さん呼び止める。

「いや、あのキャット・ファイトに乱入する気は無いですけど~~ボスがもしノコノコ出て来たら、『バイナリーロータス』で●●●(自主規制)まっていいですか?」

「出来れば生かして捕えて欲しいな。『メオラ』のように直接人間を殺害した証拠のある相手ではないからな。」

oh、しまった。そういえば俺が本件のボスに抱いてる『なんか死なない敵』とか『バリア持ってる敵』って情報は弦十郎さん持ってない訳だ。

完全にやべー奴の発言をしてしまったと思い、焦ってる俺に弦十郎さんは続ける。

「それよりも、行くなら『ネフシュタンの鎧』の回収か破壊を頼みたい」

発令所がざわつく。完全聖遺物だから破壊はマズいのでは?

「『鎧』は少女の手を離れている。今が最大の好機だ。一部を回収するだけでも良い。」

「破壊の条件は?」

「再度、何かしらの方法で敵の手に『鎧』が戻りそうになった場合に限り、『鎧』への直接攻撃を許可する。」

「了解でーす。」

エレベーターから地上に出て急ぎ『ライデン』を起動する。センサーを最大領域まで稼働させて現場に急行するとちょうど同じ位置に固まってるシンフォギア奏者3人から少し離れた所に反応が一つ。

最大望遠の映像で捉えると、帽子とサングラスのせいで金髪の女性って事しか分らんが、その手にバラバラになった『ネフシュタンの鎧』を集めているようだが

「さ・せ・る・かーー-!!」

公園の木々を焼き払って『バイナリーロータス』から放たれたレーザーが「フィーネ(レッドちゃんの口の動きから推察)」の手に集まろうとしている『鎧』のパーツの一部を焼き払った・・・かに見えたが。

「すり抜けてるだとぉぉ!?」

いや、正確には焼けたそばから再生してフィーネの手に収束していてどうにも止められそうにない。

回収を終え、生身ではあり得ないジャンプをすると手に持ってた道具から光が放たれる。

一瞬、射撃武器かと思ったが光が放たれた先にはノイズ。まさかあれで自由にノイズを呼べるのか!?

シンフォギアレッドちゃん(仮)はフィーネ(仮)を追いかけて去って行くし、立花は負傷して風鳴に抱きかかえられている。

『こうなりゃザコノイズ共に八つ当たりじゃー!!』

ひとまずやり場のない怒りをノイズ共にふつける。幸い小型ばかりだったのでバズーカの垂れ流し連射であっさり全て撃破出来た。

『立花の容体はどうよ?』

「幸い、装甲は抜かれてい無いので外傷はありません。というか先生も大丈夫ですか?あんな大技使って。」

『ちょっとキツい位だから一晩寝れば大丈夫』

と言いながら装甲を解除して近くの木にもたれかかる。

いやー。ここの所、レーザー一発で仕留めてたから調子に乗ってたと言わざるを得ない。

その後、立花もメディカルチェックは初見は大きな問題は無く、風鳴も立花と俺を改めて仲間として認める発言をしていい感じの空気で解散になった。

ちっと立花の浮かない表情が気にはなったが、これも俺らが立ち入れるべき事じゃないんだろうなぁ。

~~~数日後~~~

退院して本格的な教師復帰は明日からだし、根回しが終わっているのは承知の上。

それでも関係各所への挨拶回りというのは最低限やらねばならない。

ということで朝だけ学校に顔出して、のんびりと街を歩く。

この一か月ちょいバタバタしていてプライベート無いに等しかったのでちょっとウキウキしながら歩き始めると、街に鳴り響くノイズ警報。

街の皆さんはこの一か月で慣れたものになったのか、避難自体は順調に行っているように見える。人がほぼいなくなったのを見計らって『ライデン』を起動すると、少し遠くから女性の叫び声らしき音を感知する。

「シェルターと逆方向とはマズいな」

ノイズの反応も多数あったので、慌てて急行するとその正体は小柄な女の子・・・ってシンフォギアレッドちゃん(雪音クリス)じゃねーか。

立花の予想通り、完全に孤立してノイズに追い立てられてるのかよ。

当然シンフォギアを纏って迎撃するつもりだろうが何となく嫌な予感がする。ダッシュで近づくと案の上、咽て『聖詠』に失敗する。

『トマーレ!!』

レッドちゃんの前に大き目の看板を投げてノイズの攻撃をガードする。そのまま近づいて抱き上げてグランド・ボムを投げ、隊列が乱れた所にバズーカを撃ちながら後退する。

物陰に入った所でジタバタしてたレッドちゃんを下して、『大丈夫?ここは俺に任して』と書かれた看板を彼女に見せるなり、彼女の表情に怒りが満ちたように感じる。

「任せろだと?頼んでねぇし、必要ねぇんだよ!!」

そう叫ぶと物陰から飛び出して今度こそ『聖詠』を響かせる。

久しぶりのこの感触。この瞬間、俺の中で彼女の認識が「レッド」ちゃんから「雪音クリス」に完全に書き換わった。

 




※ちょっと弦十郎とのやりとり違和感を感じたので修正


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第十三話 新機能披露と迷い猫への対応

当然、弦十郎さんや二課で共有された資料から『雪音クリス』の情報は伝わっていたが、原作の映像入りで記憶が蘇ると認識が変わる。

立花や風鳴と比較して彼女の境遇がキツいせいもあってか唐突に湧き上がる感情をどう表現したら良い物か・・・

そんな俺の心情など知る由もない彼女は地上・空中から襲い来るノイズの群れを弓矢・ガトリング・ミサイルで薙ぎ払う。

「あたしはこの通りさ。あんたは『町のヒーロー』らしく街の連中でも護ってな!」

そんな風に毒づいて戦闘を継続する。あの日から拠点を失ってノイズに襲われ続けていると考えると、賞賛すべき動きに思えるが・・・。

「疲れてる中で怒りを支えに戦うから簡単なトラップに引っかかる。」

空中から急降下してくる鳥型ノイズ。

1体に見せかけて実は2体重なった物が混じっている事に気付かず、撃破し損ねた一体が雪音クリスに迫る。

そのノイズを『ライデン』のしゃがみレーザーで焼き払う。威力が低い代わりに発動スピードが一番早い攻撃だ。

『ひとまず今ので終わりみたいだけど、君はまだ独りで戦う気?』

「当ったり前だ。それとも無理矢理あたしを連れて行くつもりか?」

『そのつもりなら後ろから撃ってるよ・・・ちょっと待ってね』

看板と右手で『ストップ』のしぐさをして商店街の方を見やる。10秒ほど経った所でアーケードを走り抜けて来る物体が視界に入る。

「なんだありゃ!?ちっこい『ライデン?』」

『メオラとの戦いで得た新機能『ミニライデン』だ』

原作開始前にディスクが勝手にやっていた俺のコピーとは違い、俺自身の意思で操作・もしくは簡単な命令の自動実行が可能な全長20~50㎝程のリモートバーチャロイドである。

とはいえ本家みたいにフルサイズのバーチャロイド六体なんていうトンデモは出来ないからあれは『絶唱』だったのかねぇ・・・今となっては確かめようもない。

そして、この場に現れた『ミニライデン』の手には食料入ったコンビニ袋が握られており、雪音クリスの正面に立って袋を差し出す。

「どういうつもりだ?それ以前にこれ強盗じゃねーのか!?」

『安心しろ。セルフレジで決済済みだ。今日の戦いの報酬としてこれくらいは受け取って欲しい。』

「いいのかよ?このまま帰ったら上司に怒られるんじゃねーのか?」

『無理矢理連れ帰って来いって命令は受けてないからね。そんな事言う人でも無い。』

「そうかよ。じゃあな」

コンビニ袋を手に飛び去っていく雪音クリスを見送っていると『ミニライデン』がちょんちょんと俺を突っつく。

後ろを振り向くと今朝のノイズ騒動の調査の為に外に出ていたのか弦十郎さんの姿があった。

『あ、風鳴指令。俺の判断マズかったですかね?』

「いや、かまわんよ。確かに今連れ帰った所で逃げられるのがオチだろうよ。」

『とはいえ長く放ってもおけません。』

「勿論だ。俺もそこは考えて・・・」

弦十郎さんが言葉を止めたのと同時に俺も違和感に気付く。どっか遠くから歌が聞こえる。こりゃ立花だな。

その刹那、脳裏に蘇る小日向空中救出劇。

『指令、この話はまた後程』

「分かった、頼むぞ」

『ミニライデン』を吸収して川沿いから予測地点に先回りすると、上から小日向を抱えた立花が降りて来る。

「やっぱり着地地点が危なっかしい」

原作には申し訳ないがちょっと手を出さんわけには行かないな。

「change VR RAIDEN512D」

起動ワードを詠唱し、別タイプの『ライデン』を起動する。このライデンは攻撃力皆無な代わりに相手を捕らえる電磁ネットを装備している。

少し力を籠めれば、人間を受け止めるサイズのネットも作成できる。(実証済み)

立花も気付いたようで、俺が作ったネットめがけて落下してくる・・・が

『あ、バカがネットの土手に落ちやがった』

電磁ネットだから切れたりはしないけど反動でネットから放り出されて地面にゴロゴロする事になってしまった。原作よりは体痛くないだろうけど。

結局、原作同様二人で仲直りと自撮りやってる間暇だったので『立花響 着地×』って看板をこっそり二人の後ろ置いたら小日向が先に気付いて吹き出しやがった。

「未来なんで笑って・・・って慣れてないから仕方ないじゃないですか先生の意地悪ー!!」

ぶーぶー不服を申し立てる立花に訝し気な顔をする小日向。ああ、そういえば俺の事知らんのか。

『ドーモ、コヒナタ=サン。鏡音隼人です(`・ω・´)ゞ』

「アイエエエ!?カガミネセンセイナンデ!?」

驚いてる割にノリが良い。

二人を街中まで運び、弦十郎さん達と合流。小日向への身バレの件は上手くとりなして貰えそうとの事で何より。

解散になった所で立花が俺に声を掛けて来た。

「先生、さっきクリスちゃんと一緒に戦ったんですよね。」

「あぁ、コンビニだが食料も渡したから今日飢える事はないだろ」

「よかったー。でも・・・」

「あー、暗い顔するな。俺も弦十郎さんも、あの子の事は考えてるよ。」

「それは分かってるんですけど・・・何とか一緒に居る時間を増やせたらなぁ。そしたら絶対分かり合えると思うんです」

立花らしいポジティブな意見だとは思うが・・・いや、待てよ。『救う』とか『信頼を得る』とかいう俺達が考えてる目標よりは『一緒に居る時間を増やす』ってのはハードルが低くて実現可能かもしれない。

「よし、決めた。立花の意見を採用する!」

「え!?急に何ですか?」

「お前らと雪音クリスの時間を増やすんだよ。それ以外の目標は後回しだ。」

そう立花に言って走り出す。そうと決まれば急がねば。やることが山ほどある。

「ちょっと先生。どうするつもりなんですか?無理やり暴力で連れてきちゃダメですよー-!」

人聞きの悪いこと言いやがって。こちとら社会人かつ教師ですよ。もっとスマートな方法だっての。

なお全て終わった後、本人に俺の策がアウトかセーフか伺った所、「アウト寄りのセウトだ!!」という新しい日本語での返答が帰って来た。




UAが5000超えました。閲覧ありがとうございます。


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第十四話 迷い猫捕獲(`・ω・´)

「はーなーせー!!」

『フハハハハハ。ライDの最大チャージした電磁ネットから逃げられると思うなよ。』

『なにするものぞ。シンフォギアァァァ!!』と脳内で叫びながら、雨降る街の空中を疾走する。

「雪音クリス」に接触を試みようとする弦十郎さんに同行し、原作と同じアパートの屋上でD型ライデンでスタンバイ。

原作通り、マンションから飛び出した彼女を一瞬で捕獲した次第である。

というか捕獲してから気になる点が一つ。

『あれ?コンビニ袋の膨らみ変わって無くね?』

お弁当二つに飲み物も入れてたから、どう切りつめても減ってそうなものだけど見た感じ昨日渡してから体積が変わっていないように見える。

適当なビルの屋上に着地して検分する。

『いやいやいや!昨日の昼から弁当半分とカロリーメイトだけって切り詰め過ぎでしょーよ』

「う、うるせーな!私が得た報酬なんだからどう食べようが勝手だろうが。昔はもっと食べれない時だってあったんだから問題ねーよ。」

既にギアを解除してる彼女はそんな強がりを言うが、『ぐー』とお腹の鳴る音が静かな屋上に響く。これは説得より前にやらねばならん事が出来た。

『よし、行き先を変えるぞ』

「変えるも何も元々の行き先も知らねーんだよ!!何処に連れて行く気だ!?」

『タダ飯食える所♪』

~~自衛隊 対ノイズ特務部隊訓練所~~

訪れたのは『自衛隊 対ノイズ特務部隊訓練所』。文字通り対ノイズに駆り出されるエリート部隊である。

二課に入って以降、リアルな標的を使った訓練や破壊力のある技の演習を行う為に俺がお世話になっている部隊だ。

『お頭ぁ!かくかくしかじかな事がありまして、この娘にご飯をたくさん食べさせてやりたいんです』

「なんてこった・・・こんな寒空の下で暖房もない部屋で毛布一枚とか考えられねぇ・・・野郎ども!訓練を切り上げてこのお嬢ちゃんを腹いっぱいにさせてやれぇぇ!!」

『喜んでぇぇ!!』

隊長の「尾頭」さんは証拠品のコンビニ袋と俺の説明を見ると即座に部下に指示を出してご飯の準備に取り掛かってくれたのは良いのだが・・・・

「お前ら私を何だと思ってやがる!!幾ら腹ペコでもこんなに食えるかー--!!!」

山盛りご飯に、肉、魚、野菜のバランス取れた食事が提供されるが如何せん量が半端ない。

「心配するな。ちゃんと残したら包んでやるから」

「そういう問題じゃねぇ!!」

と言いながらも美味しそうな匂いには勝てないのか食べ始める。

『お、素直に食べ始めてくれた。』

「う、うっせーな。この状況で食わない訳にはいかないだろーが!後、全員でマジマジと見るな!?」

さらに供給される料理、ガンガン脚色されたエピソードを垂れ流す俺(ライデン)。

隊員たちは次々と涙を流し、ある者は彼女の肩を揉み、ある者はストーブを持ってきたりして・・・ほどなくして野外演習場の天幕は宴会状態になってしまった。

「も、もう無理・・・食えって言われても食えねーぞ!後、私は減量中のボクサーじゃねーんだからストーブは一台にしろ!!」

満腹でグッタリしててもしっかりツッコミを忘れないクリスちゃん。んー、なんかこの娘はちゃん付けがしっくり来るな。『クリスちゃん』で行こう。

心の声のつもりだったが看板に出してしまったせいか、この呼び方は一瞬で隊員に伝播してしまい、野太い野郎数十人による大『クリスちゃんコール』が始まってしまった。

本人は必死に抗議するが、シンフォギア奏者の声といえど、熱狂した精鋭数十名のコールには勝てず、熱狂が収まるまで顏真っ赤にしてテーブルに突っ伏す事しかできなかった。

ー-数分後ー-

「や、やっと収まった。あのオッサンといいお前は一体何がしたい!?」

『あ、幸せそうなクリスちゃんの顔みてほっこりしたせいで本題を忘れる所だった』

「忘れてんじゃねーよ。何がしてーんだよ全く・・・」

ぶつくさ言ってるクリスちゃんに本題を提示する。

『話は簡単だよ・・・雪音クリス、俺の部下になれ!』




明けましておめでとうございます。拙い作品ですが、今年も読んでいただけると幸いです。


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第十五話 迷い猫は仲間になった

「部下になれとは大きく出たもんだなぁ」

テーブルからクリスちゃんがゆらりと立ち上がる。目は怒りに燃えていて、さっきまでの空気との落差に隊員達も引いている。

『悪い話じゃないと思うけど。現に君は安心して休むことも食料を調達することも出来ずにノイズと戦い続けてる。ジリ貧な事くらい分かるだろ?』

「ふん。そうと分かってても私は自分のやり方でやらせて貰う。お前の世話になんかなってたまりゅか・・・ふぁれ?にゃんかもりががったにょかてめぇ~」

なんだ?いきなりクリスちゃんの呂律が怪しくなって来た。

顔も赤いし・・・ってテーブルに高級そうなチョコが置いてあるが・・・まさかウイスキーボンボンで酔ってしまったか!?

そのままフニャフニャと椅子に逆戻りしてしまうクリスちゃん。

その様子に皆が慌てふためく。

「あわてるな!アルコールもそうだが、暖まって満腹になった事で緊張の糸が切れたんだろ。医務室で休ませてやれ。」

お頭の言葉で冷静さを取り戻した隊員達がクリスちゃんを医務室へ運んでいく。

「隼人、おめーは今からお説教だ」

何時の間に距離を詰めたのかお頭が『ライデン』の姿勢を一瞬で崩して、強制的に正座させられてスーパーお説教タイムが始まる。

その後もクリスちゃんのファンになった隊員達からのお説教ラッシュが続けて開始された。ぐずん。(因果応報)

~~一時間後 医務室 ~~

お説教ラッシュを終えて、『ライデン』を解除して医務室に向かうと、何やら言い争う声が聞こえる。

「頼むよクリスちゃん!出て行くならこれを受け取ってくれぇぇ!!」

「はーなーせー!!こんなもの(現金)受け取れるかー!!」

扉をちょっと開けると割と分厚い封筒と紙袋を渡そうとしているお頭と隊員に抵抗しているクリスちゃんの姿。

お頭は左手でクリスちゃんの右手を掴んでおり、必死に振り解こうとしているが、ビクともしなくてクリスちゃんも目を白黒させている。

「大体なんで初対面の私に金なんて渡すんだ!」

「しょうがねぇだろ!俺達ぁ、さっきのお前さんが食事中に口ずさむ歌と笑顔であっという間にファンになっちまったんだよ!」

「なっちまったんです!!」

「そんなクリスちゃんが路頭に迷ってると思ったら何も手に付かねぇ!」

お!?ここは援護するべし!!

左半身だけ展開してクリスちゃんが夜風に震えてる絵を書いて医務室内に見せる。

その絵を見るや、お頭と隊員達が男泣きを始める。

「火に油注ぎに来てるんじゃねーよ!」

『急募!シンフォギア奏者』

色々待遇を書き込んだ看板をもってクリスちゃんにずずいっと近づく。

「言っとくが俺の拘束は風鳴のアクションバカでもない限り解けないぜぇぇ!!封筒受け取って逃げるか、隼人の案を飲むか。どっちかに決めてくれぇ!!」

お頭だけかとおもったら、気付けばクリスちゃんの周りには他の隊員達まで封筒を差し出してるという凄まじい絵面になってる。

『すっげ!クリスちゃんモテ期到来じゃん!?』

「こんなモテ期いるかー--!?」

壁際に追い詰められるクリスちゃんに迫る自衛隊エリート部隊と『ライデン』(どさくさに紛れて全身展開)。理不尽な2択を迫られてグルグルお目目になったクリスちゃんの選択は・・・

「フィーネとケリつけるまでだ!!それまではお前の部下として動いてやる!!それでいいだろ。これ以上は譲歩しないからな!?」

『OK』

となれば早速次の行動である。クリスちゃんを脇に抱えて医務室の窓から飛びた・・・

「ちゃんと玄関から帰れ!バカ者が!」

お頭の剛腕ラリアットで止められてしまった。

アニメの世界で特別な力持って生きてるのに、中々アニメキャラみたいなムーブは出来ないなぁと思いながら、クリスちゃんと訓練地を立ち去った。



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第十六話 熱烈歓迎クリスちゃん

クリスちゃんを半ば無理やり仲間に迎えて数日がたった。

新居の準備&歓迎会するから風鳴・立花・小日向とのデート終わったら纏めて連れてこいと言って送り出して空のクリスちゃんの部屋を確認する。

「広い部屋だけど何にもねーな。行くぞ野郎ども!!」

『合点承知の助!!』

『自衛隊 対ノイズ特務部隊』の野太い声と共に様々な家具、家電の設置、及び歓迎会の料理が作られた。

~~夕方 雪音クリスの部屋 ~~

「過保護にも程度ってもんがあるだろーが!!」

夕方部屋に戻り、ルームツアーを終えたクリスちゃんの感想はその一言だった。

出て行く時には殺風景だった部屋には最新家電にやったら高そうなリビングテーブルと巨大プラズマテレビ。

極めつけは、テーブルに並べられた前回以上に豪勢な食事。

「自衛隊は暇なのか!?ちゃんと仕事しろっつーの!」

「暇じゃないから5人しか来れなかった...( = =) トオイメ」

「暇なら全員来たのかよ!?あたしの部屋は集会場でも合宿場でもねーぞ!!」

「まぁ、それはさておき腹減ってるだろ?自衛隊特務部隊の飯を味わうが良い」

「お前がいばるな!!」

クリスちゃんからのツッコミにへいへいと返して、まずはローストビーフを切り分けてクリスちゃん、風鳴、小日向、立花に配給す・・・

「ちょー--っと待った!」

唐突に立花から物言いが入った。はて?何か不手際があっただろうか?

「なんで私だけ塊をドカって感じでお皿に乗っけるんですか~~差別反対!」

「んー、3人分切った辺りで飽きたのと、立花の痛快丸かじりに期待を寄せてたのはある」

「いくら何でもローストビーフ丸かじりはしません!!」

立花がうるさいので仕方なく切ってやる。しかし、立花のスペースの端っこにだけミニ漫画肉を配置してあるのはバレていない。

小日向が発見して笑い堪えるのに必死になってる。バラすんじゃねーぞと視線で釘を刺しておく。

「鏡音先生、一つよろしいですか?」

風鳴も何か気になることがあるのだろうか?

「何だ?」

「そこのソファに乗っかっている『ライデン』ぬいぐるみ持って帰っていいですか?」

「お前もう一個持ってるだろーが。というかクリスちゃんの持ち物なんだからクリスちゃんに聞けよ」

そんなやりとりをしてる裏でこっそりライデンぬいぐるみを寝室に放り投げるクリスちゃん。どうやら気に入って頂けたらしい。

配膳を終えて雪音クリスの歓迎会が開始される。

皆からデートの様子をちょいちょい聞く限りクリスちゃんは良い感じに溶け込めて居る様で何よりである。

「さらっと纏めてるんじゃねーよ!サングラスと偽名で『雪音クリス』とはバレないって嘘ついて送り出したの一生忘れないからな!?」

あー、なんか踏ん切り突かなそうなクリスちゃんにそんな事言った記憶が蘇る。

途中で怒られるかと思ったら嘘に乗っかってくれた物だからそのまま押し通した。つーか偽名で通してもシンフォギア纏ったらモロバレな事に早く気付いて欲しかった(;^ω^)。

「いきなり『今日の皆様の警護を仰せつかりました。音雪ソネットです』って言われた時は久々に笑い過ぎて地面に倒れそうになりました。」

「響だけ『クリスちゃーん!』って喜んで抱きつきに行ってたけど、私はそれどころじゃ無かったです。鏡音先生あんまり女の子騙してるとバチ当たりますよ。」

「クリスちゃんだけじゃないよ。私も前に段ボール被って教室まで行けば遅刻バレないって騙されたことあるから」

「その件は一緒に怒られただろ。いいじゃねーか昔の事だし」

「開き直るその態度が良くないって言ってるんです!?大体は親切なのに偶に裏切るんだから~~」

ぎゃいのぎゃいの言いながら楽しく歓談してました。




歓迎会終盤

「こ、これは漫画肉!?」
「さぁ、どうするね立花響。痛快丸かじりか、切り取って食べるか?俺はどっちの食べ方も否定しないぞ」
「ムムムムムムゥゥ・・・・」
「あのバカ、切るもの全部回収されてるのに気づいてねーな」
「・・・・(スキをみてぬいぐるみを回収出来ないか思案中)」
「プルプルプル(笑いを堪えて高速振動中)」
立花響がどの道を選んだのか、それは参加者だけの秘密。


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第十七話 立花響は漫画肉の敗北者じゃけぇ

「うわーん!!みくぅぅぅ!!私、あの腹黒教師に汚されちゃったよー-!!!」

「いやー、さすがに今回は響の味方しにくいかなぁ・・・あれだけ美味しそうに漫画肉丸齧りしてるの見たら。」

「おうおうおう。文句があるってんなら俺が購入したこのメロンはクリスちゃんのものになるぜぇぇ~~~」

「あうぅぅ・・・どーせ私は漫画肉丸齧りの魅力に敗北した女ですよーだ・・・メロン有難く頂きます。」

ぶーぶー言う癖に美味しい物食べると笑顔になってるんだか現金なものである。

流石はメロンとスイカを丸のみする女・・・ってホントか!?

そんな原作記憶無いのにいきなり脳内に不鮮明な映像流れ込んできたけど・・・事実なら漫画肉丸齧りより問題なのでは?

「ま、メロンで幸せそうな顔してるのは皆一緒か・・・」

立花程じゃないけど、クリスちゃんと風鳴もメロン食って幸せそうな顔でマッタリモードになっている。

「よーし、そろそろ良い時間だな。帰るぞー」

「確かに良い時間ですけど片づけ位しないと・・・ってキッチンに『ライデン』が居る!?」

小日向がキッチンでせっせと洗い物してる『ミニライデン(512N2)』にビックリした声を上げる。

2人の位置からはキッチンが背中越しだし、ホバー移動するタイプだから気づきにくかったか。

「クリスちゃん。俺たちはお暇するよ。そいつは洗い物終わったら自動的に消えるから。」

「あー、準備とかしてくれてありがとうな。お頭たちにも宜しくつたえておいて・・・ムニャムニャ」

俺の言葉に応じて素直にお礼を言ってくれて珍しいと思ったら、眠気に耐え切れなかったのか隣の風鳴にもたれ掛かってしまうクリスちゃん。

「先生、雪音は私が寝室に連れて行きます。」

「ぬいぐるみ持ちだしたら置いて帰るからな」

「流石にやりませんよ。」

風鳴がクリスちゃんを運んでる間に帰り支度を始める俺達。

「そう言えば先生。クリスちゃんを連れてきてくれてありがとうございます。まだ一日ですけど、結構分かり合えたと思うんです!」

「かもな、だが忘れるなよ。あくまでクリスちゃんとの約束はフィーネとの戦いが終わるまでだからな。」

「はい、立花響にお任せ下さい!必ずやクリスちゃんと分かり合ってみせます!」

「よし、その意気だ!こればっかりはお前ら任せになっちまうと思うから頼むぜ。」

「え?先生と自衛隊の皆さんも結構クリスちゃんに影響与えてますって!未来もそう思うでしょ?」

「はい、詳しくは口止めされてるから言えないんですけど、クリスに影響与えてますから自信持ってください」

なんか非常に背中がむずがゆい。お頭たちはともかく、俺って大したことして無いと思うんだが。

「あ、翼さんが来ましたね。」

クリスちゃんを寝室に運び終えた風鳴が小日向から荷物を受け取る。

しかし何やら不機嫌なご様子・・・っと思った瞬間に距離を詰められて思いっきり睨まれる。

「鏡音先生」

「な、何でしょう?」

「雪音の寝室に『ライデン』ぬいぐるみが『2』個ありました。」

「だろうな。俺がリビングと寝室に1個ずつ置いたんだから」

「私は『1』個しか持ってません・・・」

だからどうした?と言いそうになった所で立花と小日向が高速ブロックサインで何やら伝えてくる。

『ぬいぐるみを、プレゼントしてあげてください!』

あー、昼間UFOキャッチャーのぬいぐるみ取れなかったんだっけ?

ヤだよめんどくせぇ・・・と返しそうになったら小日向と立花の超無言のプレッシャー。眼前の風鳴のプレッシャーと併せて有無を言わせない構えらしい。

「わかったわかった。車のトランクにあるから好きなの持ってけ」

その瞬間いきなり剣豪から女の子の顔になる風鳴。やれやれ、そんなにぬいぐるみ好きなのかねぇ?

ちなにみに立花と小日向も一個ずつ持ち帰ってたのはご愛敬。

帰りの道中は全員爆睡だった為に特に会話も無く、3人を送り届けて一日が終わった。




「それにしてもこんなに『ライデン』ぬいぐるみ作ってどうする気なんですか?」
別れ際に立花に聞かれたので。
「ノイズが居ない平和な世の中になったら大量生産して一山当てようかと・・・」

JK三名からの冷たい視線は中々にキツかった。


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第十八話 鰻 > 信号機トリオ

久々に教師としての業務に復帰。

リハビリ代わりに立花に対して数日にわたり『珍回答予測チャレンジ』を行い、見事10連勝を達成して健在ぶりをアピール。

凱旋を果たして非常に気分が良い。

清々しい気持ちで、最近俺達の集会場と化しているクリスちゃんの部屋に突撃する。

何やら夕飯担当が持ち回りになっていて、今日は俺の担当日である。

既に集合してる皆に挨拶しながらリビング入ると、刺すような視線が一つ。

「おや、立花どうかしたのか?」

「良くそんな台詞が出てきますね!学校での屈辱はここで晴らしますからね。先生の料理の粗を海●雄●の如く突いてやりますから!」

「とりあえずお前は●原●山に謝れ。」

キッチンに移動して冷蔵庫の中に予め注文しておいた捌かれ済みの鰻があることを確認する。

「もうツッコむの諦めてるんだがよ~何で寝てる間に冷蔵庫の中身が増えてるんだこの部屋は!!」

我慢も限界とばかりにクリスちゃんが絶叫する。不思議だねぇ~(棒

「この部屋にはブラウニーが居るのかもね~(棒。でもあいつらだって悪気は無いし、リビングとキッチンにしか出入りしてない筈だから許してやってくれよ」

「分かるけどさぁ~。最近は参考書やら高校の案内パンフレットまで置いてあるんだぞ!?そんな事考えてる余裕ないってのに・・・」

「その割には読み込んでいるようじゃないか」

「うるせーよ人気者!そ、それは『上司』が体調回復を理由に待機命令しか出さなくてヒマだったから・・・ってお前のせいか!!」

クリスちゃんからの追及には鼻歌歌って知らんふりして鰻をカットして串打ち⇒床下収納から炭火焼取り出してタレ(ブラウニーさん提供)を付けながら蒲焼を作っていく。

「み、未来。私もう匂いの時点でダメかも・・・パタリ」

「あれだけ料理作ってる段階から弄ってやるってリベンジ誓ってたのに弱っ!!というかクリスと翼さんも活動停止してる!!」

ツッコミが追い付かなくて大変そうだなぁ小日向。

「先生が普通に蒲焼買って来てくれてればこんな思いしなくて済んだのにぃぃ!」

「小日向、それじゃ味気ないだろ?流石に捌く所からは無理でも、いい鰻の焼く匂いを感じて欲しかったんだよ」

「私たち小娘には過ぎた気遣いだし、有難迷惑だし、その言葉今考えたでしょだし、一つのセリフにツッコミ所は一つにして下さい!!」

信号機トリオを介抱しながらしっかりツッコミを入れてくれる小日向。わたわた介抱してる声をBGMに次々蒲焼を焼き上げてうな重を用意していく。

良い感じの器が見えやすい場所に置いてあったのはきっとブラウニーさんたちのおかげ。

肝吸いとお新香(ブラウニー提供)をセットで次々配給すると、活動停止していた信号機トリオが次々と再起動して乙女にあるまじきドカ食いを始める。

先日の漫画肉丸齧りなんて目じゃない光景に、小日向が悲鳴を上げる。

「ちょっとー--!!先生キッチンから出てきちゃダメー!出て来たら絶交ですからね!」

絶交とかきょうび聞かねぇなぁ、と思いながらラジオ感覚で皆のドタバタ劇を楽しむ。

「クリス口の周り酷い事になってるよ!何?『生まれてきて良かった』・・・そうだね。辛い事一杯あったんだよね・・・気持ちは凄い分かるんだけど『とりあえず洗面所行ってこい!!』『はい』」

「翼さんは食べ終えるなり、『天に上る気持ち』とかいうワードが入った怪文書を緒川さんに送ろうとしない!!」

「はっ!?私は一体何を・・・」

「知りません!!最後に響?何で私の器にチラチラ視線を向けてるのかな?」

「み、未来!?」

「まず先生におかわりの有無を聞くのが先じゃない?それとも皆の世話を優先して食べれずにいる私からごはん取り上げる気なのかな?」

小日向のプレッシャーに一歩も動けない立花。

全く仕方ねーな。ミニライデンに命じて小日向の少し冷えてしまったお重を立花の前にスライドさせて小日向の前にホッカホカのお重を提供する。

「・・・仕方ないぁ、今回は美味しそうなお重に免じて見逃してあげる。」

「ううぅ、反省してます・・・有難くこっちのお重頂きます。」

第2の修羅場はここに回避された!!




~10連敗目の内容~
(ま、マズい。10連敗は避けたい。でも正解が分からいからどうすれば・・・未来ぅぅ!!キミに決めた!!)
隣の未来に視線を向けると、未来が申し訳なさそうな顔をしながら机の下から出した手持ち看板を私に向ける。
『立花 アウト~』
大晦日お馴染みの声を鏡音先生が再現して。教室は爆笑の渦に包まれた。


このポンコツどもでフィーネに勝てるんだろうか?(不安)
アンケート回答して頂いた方々に感謝&まだ受け付けているのでお気軽にどうぞ。


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第十九話 雪音クリスのけじめ

鰻で信号機トリオを完全撃破した事に気をよくして、鼻歌交じりに後片付けをしてたらあっという間に解散時間。

立花たちに声を掛けようとしたら風鳴が今日は緒川さんを呼んでいるから送迎不要との事。

「先生、今日はご馳走様でした。これで明日のライブ頑張れそうです。」

「お粗末様でした。つーかライブは鰻無くても頑張れよ。」

そう返すと少し膨れ面になって「ホントに捻くれた人ですね!立花、小日向、行くぞ」と少しプリプリしながら帰ってしまった。

立花と小日向は風鳴に引っ付いて玄関から出て行く時にユニゾン「あっかんベー」して帰って行きやがった。

そして何故俺が残ってるかと言えば、何やらクリスちゃんから話があるそうな。

これは上司として気合を入れて聞かねばなるまい。

「そう思うなら横に座るな!正面に座れよ」

これは失敬。正面に座って話を聞く。

話を聞こうとするなり、土下座しようとするクリスちゃん。ビックリして土下寝で対応する。

「うわ!?人が感謝と謝罪の気持ち示そうとしてるのに何で頭滑り込ませるんだよ?」

「クリスちゃんに土下座させたら。罪悪感で死にそうになるので許して下さい!」

暫しグダグダと土下座するしないで押し問答を繰り広げる俺達。

「気持ちは伝わったから。とにかく女の子が簡単に土下座しちゃいけません!」

「教師みたいな事言うなよ」

「教師だよ!見えないかも知れないけど」

~閑話休題~

「つまりはクリスちゃんなりにけじめをつけるためにもう一度フィーネのアジトに行きたいと」

「あぁ、反対されるのは分かってるけど・・・このまま突起物と手を取り合ってフィーネと戦うのは何か違う気がするんだ。分かってくれよ。」

頭を下げて頼み込んで来るクリスちゃん。

「体調に問題は無いんだろうな?」

「あったりめーだ!今ならあんたにも負けやしないぜ!」

しおらしい表情から一転、勝気になるクリスちゃん。しおらしいのも良いけどこの娘はこうじゃないとな。

「なら俺から言う事は何も無い。特大の三行半叩きつけて帰って来なさい。何なら倒してしまっても構わんぞ」

流石にそれはムリと半眼で返された。デスヨネー。

~帰り道~

つーか、風鳴のライブという事はそろそろ最終決戦か。

正直、原作記憶あろうがなかろうが首魁の正体は分かり切っている。

最終決戦の原作記憶は未だに戻らないが、無いものは仕方無い。出来る準備をするのみだ。

「prpr」

丁度いい所でお頭から電話が掛かって来た。

「隼人、注文の品を指定の場所に配置した。しかし、こんなもの役に立つのか?」

「お疲れ様。そりゃ『ノイズ』には効かないだろうけど、首魁は『ノイズ』じゃないから絶対役に立つよ」

「だといいがな。言っても無駄なのは分かってるが・・・クリスちゃん共々、無茶するなよ」

通話はそこで切れてしまった。無限再生&ノイズ呼びたい放題の敵を相手に無茶なしはムリでしょーよ。

「でも、簡単に思い通りにはさせねーぞ。無限再生なんて幾らでも出し抜けるって教えてやる。」

楽しい日常もここで一区切り。最終決戦は目前に迫っていた。




~翼の車内~
「しかし、二人はいつも私が先生と話してると援護をしてくれるな」
「当然ですよ!あの人は私と翼さんに対して少し優しが足りません!」
「それってクリスとの間に差があるって事?」
「そうだよ~。この間ちょっと勇気だして学校以外で『隼人さん』呼びしていいか聞いたら却下されたんだよ!クリスちゃんは『隼人⇔クリスちゃん』なのに~!」
「「私、呼び方は好きにしろって言われてるけど?」」
「差があるの私だけだったー--!!」
立花響の絶叫が車内に響いた。


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第二十話 決戦前夜

最終決戦の事ばっかり考えていたが、今日は風鳴のアーティストとして重要なライブ。

イギリスの名プロデュサーが見に来るらしい。

そんなライブを見逃したく無いと言うのに恨めしい事にディスクが伝えて来る原作通りの『ノイズ』出現反応。

立花と連携して無事ライブに影響を与える事無くノイズの殲滅に成功する。

「立花も随分やるようになったもんだ。」

『ライデン』を解除して素直に褒めてやると、照れてるのか頬を搔きながら立花が近づいて来た。

「えへへ、それほどでも・・・バックアップ有難うございました。後ろを一切気にしないで良かったから思いっきり戦えました!」

「それが分かってる事も含めて成長だな。さて帰るか・・・ってタチバナさん?何で俺の足を踏んで動きを止めているのかな?」

「適当に褒めて肝心な事をはぐらかそうとしてもダメですよ。クリスちゃんはどうしたんですか?」

やはり誤魔化しきれなかった。正直に話すと、思いもしない行き先だったのか困惑した表情になる。

「そんな・・・何で止めなかったんですか?」

「大前提として、利用されて捨てられたという結果が有るのは事実だ。だからと言って俺達に助けられて絆されたから即座にフィーネを倒します。ってのは違和感ないか?」

「言ってる事・・・ちょっとは分りますけど。」

「心配しなくても三行半叩きつけたら帰って来るさ。なんなら倒して来いって言ったら『それはムリ』って言ってたし。」

冗談めかした俺の言葉に噴き出す立花。クリスちゃんに戻ってくる意思がある事が分かってある程度は安心したらしい。俺を拘束してた足の力も緩んでいる。

「納得したなら帰るぞー。徒歩で帰りたくなかったら付いて来い」

立花を車に乗せて寮に向かう。小日向は風鳴が合流しててそちらから帰るとの事。

「~~♪」

「あの~鏡音先生?」

「ん、どうした立花?」

「さっきから『人には優しくしてほしい時がある』とか『人には優しくしちゃいけない時がある』とか歌ってますけど、検索しても出て来なくってこれって『ライデン』の中で歌ってる歌なんですか?」

oh、これは恥ずかしい。無意識に歌ってしまっていたらしい。

「まぁな、お前らと違って『ライデン』は歌がランダムで決まるから、いつも口ずさむ癖が出来てるんだよ。送迎の時はお前らとの漫才のせいで歌う暇無かったけどな。喧しかったか?」

「いいえ、いい曲だなって思いましたよ。後、クリスちゃんの事が心配何だろうなって」

笑顔でそんな感想を言われて滅茶苦茶背中がむずがゆい。

「先生、お願い何ですけど。クリスちゃんの部屋に向かってくれませんか?」

「何でだよ?今無人に決まってるだろ。」

マズい。今此奴をあの部屋に行かせる訳には・・・

「今、翼さんと未来からメールが来まして。クリスちゃんの部屋に『お帰り』のメッセージカード置くって話になったんです。」

ま、マジか・・・立花だけならいざ知らず風鳴までとなると抵抗しても意味無いな。

部屋に入る直前に肘を入れてリビングに置いた俺のメッセージカードを証拠隠滅するしかあるまい。(外道)

「わ、分かった。じゃあ行くぞ」

「?・・・(ピコーン! )」

出来るだけ平常心を装い、クリスちゃんの部屋に到着。玄関開ける直前に計画通り立花に・・・

「おっじゃましまーす!!」

肘を入れようとした刹那、立花が俺を押しのけて部屋に入って行った。

「フハハハ、動揺が丸見えだったよ。隼人君!既にリビングにはメッセージカード設置済みと見たー--!」

「てめーに隼人呼びは許可してねー!!」

急いで追いかけるがこの短距離で追いつけるはずもなく立花のリビングへの侵入を許してしまう・・・ってあれ?

「何ですか?このパーティみたいな装飾は!?これは溺愛し過ぎでしょー」

「知らねーよ。俺はメッセージカード置いただけ・・・っていうかメッセージカードも多いな!?」

明らかにブラウニー(自衛隊 対ノイズ特務部隊)の犯行と思われる装飾に俺も驚く。

最後に俺が部屋を出て行く時は1枚だったのに、今はテーブル一杯にカードが置かれてる。

明らかに訓練所で熱狂した人数より多いのだが・・・あの部隊全員クリスちゃんのファンになったのか!?(驚愕)

「つーか、てめーは何勝手に教師を『隼人』呼びしてやがる!!」

立花を捕獲してコブラツイストを極める。弦十郎さんのマニュアルにこの技はあるまい。

「痛い!痛い!痛い!だって未来と翼さんはフリーパスなのに私だけダメなんてあんまりじゃないですかー-!!」

「うっかり学校で『隼人』さん呼びされてみろ。俺の教師生命が立花ごときのせいで終わるんだぞ!」

「女子高生に肘入れようとしてた外道に『立花ごとき』って言われたぁぁ!?」

そのままグダグダと低レベルの押し問答やってると、ほどなくして到着した風鳴と小日向に引き剥がされてお説教受けて俺だけ外に放り出された。(残当)

明日最終決戦なのに大丈夫か?俺達(;´・ω・)




「やれやれ、鏡音先生も困った人だな」
「ホントですよ~恥ずかしがらずに正直に言ってくれれば良いだけなのに」
「え?でもそんなの先生じゃ無い気がするんだけど」
未来の「鏡音隼人」評に3人同時に噴き出してしまい。部屋の中に3人の笑い声が響く。
「そうだな。我々もメッセージカードを書くぞ。男性陣には負けられん!」
「「はい!」」
~30分後~
「早くクリスちゃんに見て欲しいですね。」
「あぁ、あれを見たら雪音も『自分はいつも一人』なんて中二病じみた発言は二度とするまい」
「絶対クリスに伝わりますよ。みんなの優しい気持ち。」
各々が書いたメッセージカードを隼人のカードの横に置いて、少女たちは部屋を後にした。

~~~~
劇中使用楽曲「PROOF OF MYSELF」アーティスト:林原めぐみ


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第XX話 クリスIFルート① 未来クリスの休日

現在ヒロイン投票一位のクリスで一本作ってみました


「ママー、ママ宛のお手紙一杯見つかったよ~」

リビングの長ソファーの上でダラダラ昼寝してる所に飛び込んだ元気な娘の声に目を覚ます。

視線を向けると仲間の皆が自分にそっくりと溺愛する(もちろんクリス自身も)娘(7才)がビニール紐で束ねられた紙の束を抱えている

「一杯の手紙?・・・あーこりゃお手紙とは少し違くてだな。『メッセージカード』っていう郵便使わずにメッセージを伝える紙なんだ。」

つーか、こんな物を見つけて来る辺り、どれだけ好奇心旺盛に家を探検してるのやら。

「へー、じゃあママお友達一杯なの?」

「そうだぞー。ママはお友達一杯なんだ。行くところ行くところですぐお友達作るお前には負けるけどな~~」

娘の銀髪をわしゃわしゃと撫でながらメッセージカードの束を見つめる。娘は余程中身が気になるのかあっという間に紐を解いてカードの山を上から確認し始める。

「翼さん~、響さん、未来さん、あ!パパのがある!!」

「あーもう、知ってる名前見つけてはしゃぐのは分かるけど、束を崩すなよな~~全部ママの大切な人からのメッセージカードなんだから」

「ごめんなさい。(ぺこり)・・・あれ?ママのお名前が違うよ?」

殆どのメッセージカードはクリスちゃんとしか記載してない中に、1枚だけ「雪音クリス様」と書かれたメッセージカードがあるのを不思議に思った娘の疑問に答える。

「そりゃ、このカード貰った頃はパパとママは結婚してなかったから当然だな。」

「えー、じゃあこの頃はパパの事好きじゃ無かったの?」

「ん!?いやー、それはだな・・・」

顏真っ赤にして言いよどむクリス。しかし、娘の視線が少しおかしい事に気付く。ゆっくりと後ろを振り返るとカンペを持った『元凶』鏡音隼人がそこに居た。

「やぁ」

「やっぱりお前かー!!」速攻でマウントポジションを取ってチョップ連打で責め立てる。(娘の前なので手加減してるつもりらしい)

「最近のクリス勘鋭すぎない?」

「テレビ&ネット配信でどれだけドッキリ仕掛けられたと思ってるんだ!!」

「お許しを~~」

「じゃあ、明日は朝からネズミーランドで家族サービス決定な!」

「え!?パパとお出かけできるの?」

「おう、好きなだけパパをこき使って良いぞ!!ママが許す!」

「俺に拒否権は・・・はい、アリマセんね。了解しました。明日は二人の姫の為に尽くさせて頂きます」

「宜しい」とニカッと笑うクリスに降参ポーズの隼人。隼人はすっかり尻に敷かれていた。




~~ S.O.N.G医務室 ~~
「zzz~いや、俺がこんな尻に敷かれている筈が無いzzz~でも娘可愛い~zzz」
「zzz~だろ~大人しく家族奉仕しろ~zzz娘と一緒に私ももっと構え~zzz」

「訓練で頭ぶつけて」気絶したって聞いて心配していたが・・・どうやら大丈夫そうだな。」
「はい、『医学的』には異常は見当たらないそうです。」
「念の為に、起きたら記憶を確認しておけよ。まだ付き合ってもいないのに娘居る気になられても困るからな」
弦十郎の言葉に医務室に居た者全員が吹き出した。


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第XX話 マリアIFルート① 未来マリアの休日

現在ヒロイン投票二位のマリアで一本作ってみました。


マリア・カデンツァヴナ・イヴ・鏡音の朝は早い。

結婚を機にほぼ表舞台から姿を消し、双子の兄妹の育児に専念してから早12年。

夜は半々程度だが、朝はほぼ全てマリアが食事を用意している。

さらに今日は双子の兄妹がスカウトされたプロダクションでレッスンを受ける日という事で非常に気合の入った料理を用意したのだが・・・

「なんで3人共寝てるのよ!!!」

フライパンとお玉を装備して寝室に突撃。グースカ寝ている3人の頭上でガンガン鳴らす。

「おーきーなーさーい!!!このグータラ共!!」

「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!起きます×2!有難く朝ごはん頂きますぅぅ!!」」

超速で飛び起きて食卓に向かう3人。鬼神と化しているマリアの後を追ってリビングの自席に着く。

「わー、朝から鯛だー♡」

「デザートにメロンまで付いてるとかママにマジ感謝!」

「二人共、今日はしっかり頑張って来いよ。くれぐれも先生方に失礼の無いようにな。」

「声だけ親っぽく喋っても意味無いから!その半眠りのだらしない顔をどうにかしなさい!幾ら休日だからって限度があるわよ!整えてあげるからじっとして」

半寝半起き状態の隼人をあれこれ世話する様子をニヤニヤ見る子供達。

「アンタ達はさっさと食ってレッスン行きなさい!!足腰立たなくなっても迎えに行ってあげないわよ!」

母の一喝に慌てて食事を再開する兄弟。何故かマリアに髪を整えて貰ってる最中なのに食事を再開する隼人。

「誰がパパに食事を再開しろと言った!!大人しくしてなさい!」

こんな平和かつ、グダグダな光景が鏡音家の毎朝の風景である。

~~30分後~~

「「行ってきまーす」」

息ぴったりの声で家を出る兄妹に隼人とマリアは手を振って応える。

「ホントに騒がしい子達なんだから・・・」

「ま、流石に今夜は疲労困憊で帰ってくるだろうから明日は静かだよ。ところでママに提案があるんだけど」

「奇遇ね。私もよ。」

お互いに片手を握り合って同時に口を開く。

「「せっかくの良い天気だから、テートに行かない?」」

ぴったり同じセリフにひとしきり笑い合い、夫婦は手を取り合ったまま、街に向かって歩きだした所で・・・

 

「カーット!!」

監督の声がかかり、撮影が終了する。

「お疲れ様。私の我儘に付き合わせて悪かったわね」

「いや、別に俺は良いんだけど、後ろの二人の方が不満があるみたいだぞ」

隼人が指さす方には子役(?)の二名が不満ありありと言った表情で並んでいた。

「マリア!いくら何でも男の役は酷いデース!!」

「語尾に一々『♡』付けるのキツかったけど・・・何より切ちゃんが兄ってのが納得いかない。」

「だって『理想の家庭』ってお題の映像作るのに子役は二人しか考えられなかったの。細かいキャラ付けは監督さんと作家さんの指示だから許してよ~」

きりしらは「理想の家族」というマリアが放ったワードにあっさりと陥落した。




UA8000超えました。いつも読んで頂いてありがとうございます。
次回から最終決戦入って行きます


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第二十一話 最終決戦 開幕

フィーネの陽動として東京の中心に出現した4体の飛行型の超大型ノイズ討伐に向かったシンフォギア奏者3人。

俺はお留守番。というより本部&リディアン音楽院の守護である。

奏者が東京スカイタワーに向かって暫くしてからリディアン音楽院をノイズ軍団が襲う。

大量のノイズに対して俺が打った策は「自衛隊 対ノイズ特務部隊」に「ライデン」のアームドギアたる手持ち看板を持たせて小型ノイズの対処を任せるというものだった。

立案段階では志願者が出ずに頓挫するかと思いきや、殆どの隊員が訓練に志願した。

何一つノイズに対抗できない現状に忸怩たるものがあったらしい。その効果は絶大で、ミニライデンの援護込みとはいえリディアン音楽院の関係者避難完了までの間に目に見える被害者ゼロという結果をもたらした。

小日向がギリギリまで逃げ遅れてる人を探している所に小型ノイズの突破を許した時は肝を冷やしたが、そこは緒川さんがカバーしてくれた。

ここまでは良かったのだが問題はこの後だった。

弦十郎さんを倒して地上に出て来たフィーネが強いのなんの。『ネフシュタンの鎧』と融合させしていなければ確実に打倒できた攻撃が、次々と再生されて無効になってしまう。

①対次世代多脚戦車用トリモチランチャーで足を止めて『バイナリーロータス』

②ライデンAの両肩電磁クローで捕獲した所に右手のビームソードで攻撃※表現を非常に抑えてお伝えしております

etcetc・・・現代兵器と『ライデン』の併せ技で既に11回は勝利を確信している。某『F●te』のヘラクレスなら後一息なのだが。

「残念だったな。生憎と私はヘラクレスでは無いのでな。」

当然の答えと共にフィーネの攻撃が苛烈さを増して『ライデン』を襲う。というか単純に俺自身が疲労と手札を使い切った事で動きが落ちている。

「まさかイレギュラーの貴様にここまで煩わされるとは思わなかった。敗れて無様に倒れた姿をクリスに見せつけてやる。」

『(。´・ω・)ん?何でクリスちゃんなの?』

あいつらは三人でここに向かってるはずだが?って何か看板を見つめるフィーネさんの視線がこれまでになく痛い。マジでゴミを見る目で見られている。

「・・・はぁ、頭の中が戦闘しかない脳筋にここまで足を引っ張られたと思うと頭痛がしてくる。まぁいいお前はそこで無様に這いつくばっていろ。私はあの3人の相手をせねばならん」

一瞬で近づいてからの強烈な膝蹴りに反応できずに壁に叩きつけられて『ライデン』が解除されてしまう。そこで俺の意識は一度途切れた。

~『カ・ディンギル』起動~

少し前からフィーネの得意げな演説で半分起きてはいたものの、強烈な振動で完全に目を覚ます。

揺れが収まり、周囲を確認すると、地上に巨大な塔『カ・ディンギル』が出現していた。

後、周囲にはお頭含めた対ノイズ特務部隊が数名居ることに気付く。状況をみるに手当をしてくれたらしい。

「お頭たち避難済ませたのに何で逃げてないの?」

「バッカ野郎。何とか力になれないかと志願者数名と隠れて横槍入れる機会を伺ってたんだよ」

「ところが、実際は全く二人の戦闘に入って行けず・・・やった事と言えば隼人の治療をした位さ。情けない限りだ。」

「そりゃ仕方ねーよ。手当してくれてありがとうな。」

手当してくれた隊員に礼をいって置いてあったペットボトルを一本拝借して一気飲みして立ち上がる。

「おい、そんな体でまだやる気なのか?」

「あったり前だろ!月なんて破壊されたらたまらん!」

よくSF豆知識サイトに書いてある事だが、月が無くなったら世界を束ねる以前に人類絶滅の可能性の方が高いと思うぞ。※詳しくは「月が無いとどうなる」で検索♪検索♪

俺を止めようとするお頭達と押し問答をしていると戦場で一人、ミサイルで天に向かって急上昇するクリスちゃんの姿を見つける。こうしては居られない。

再び『ライデン』を起動し、クリスちゃんを追って空高く、成層圏まで飛ぶ。

俺の姿を見て最初は驚いた顔してたクリスちゃんだが、『上官命令:あのクソデカ荷電粒子砲を二人でぶち抜くぞ!!』という看板の文字を見ると調子いい時の勝気な表情になる。

「たりめーだ!足引っ張ったら上下関係交代だからな!」

『養う稼ぎ無い癖に?』

「こんな時まで揚げ足取るな!そう言う事は人の初任給払ってから言えっての!いいからやるぞ!!」

『合点承知!』

二人同時の『絶唱』で『カ・ディンギル』の一撃を相殺は出来たものの、力尽きて二人そろって地上に落下を始める。

万全なら『絶唱』一回位どうにか堪えられるのだが、流石にダメージを負った状態ではそろそろ意識を保つのも厳しい。

どうにかクリスちゃんだけでも助けたいと思い彼女に近づき、抱きしめて下のクッションになれるポジションを作った所で俺の意識はまたも途切れた。




ヒロインアンケートへの投票ありがとうございました。
以下の結果の通り、ヒロインは『雪音クリス』で行こうと思います。
終盤で2桁言ったから未来響も一話書こうと思ってます。

(11) 立花響
(6) 風鳴翼
(32) 雪音クリス
(17) マリア・カデンツァヴナ・イヴ
(1) 月読 調
(1) 暁 切歌


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第二十二話 最終決戦 決着

理由は良く分からないが、周囲から聞こえて来る「リティアン音楽院の校歌」が俺やクリスちゃんにもう一度立ち上がる力を与えてくれた。

信号機トリオのシンフォギアも何やら最終決戦っぽくなっており光の翼が展開されている。

かくいう『ライデン』も厳つい見た目に似合わない翼をちゃっかり展開している。何より嬉しいのは・・・

「りゅーうーせいよりー--速く!今より~あーざやかに~~」

音声出力がでーきーてーるー。

え?これは『戦姫絶唱シンフォギア?』『主役は信号機トリオ?』そんな事は知らないね!人生歌える時に歌うんだよぉぉぉ!!(いや、何時も歌ってますけどね(;^ω^))

「いーろーあーせぬ光!かーがーやーきうーちーだーす!!!」

調子に乗って『バイナリー・ロータス』を装備する『ライデン』4機を展開して(512E2、E1、N2、N1)街中に溢れたノイズを次々に薙ぎ払う。

フハハハハハ!信号機トリオの仕事を無くしてやったぜ!

「よっしゃーこのまま『フィーネ』もやったらぁ!!」

と勢いよく突撃しようとした所で視界が「ぐらん」と揺れて地面に激突しそうになり、慌てて着陸する。

「はしゃぎ過ぎだっつーの。しこたま痛めつけられた後なんだから無理しないで休んでくれよ。」

「雪音の言う通りです。いくらフォニックゲインを得ても、その前に負った怪我は治らないんですよ。」

「先生、ここからは私達に任せて下さい!」

普段なら『ファイトー!!イッパーツ!!』で乗り越えようとする処だが、クリスちゃんが涙堪えてるマジ顔なんだよな~。

「分かったよ。ヤバくなったら援護してやるから行ってこい!」

「援護なんていらねーよ!すぐ病院行かせてやるから待ってろ!」

「行って参ります!」

「行ってきます!!先生の歌、また聞かせて下さいね!」

三者三様の言葉を残してフィーネとの決戦に向かっていく。

(まぁ、月は守ったし任せても大丈夫か)

~~黙示録の赤き竜 討伐~~

と思ってた時期が俺にも有りました。

フィーネの独白を聞きながらちらっと月をみたら月の見え方に違和感を感じた・・・その瞬間フィーネが勝利を宣言して鎖を月にぶん投げる。

この場に居る全員が月を単独でどうこう出来る筈がないと呆然と見上げるが、俺だけはフィーネの行動の意味を理解して叫んでしまっていた。

「PHA!!」

「そうだ!!私の悲願を邪魔する禍根はここでまとめて叩いて砕くッ!この身はここで果てようと、魂までは絶えやしないのだからなッ!」

『PHA=潜在的に危険な小惑星』とは簡単に言えば地球に衝突する可能性が高く、なおかつ衝突時に地球に与える影響が大きいと考えられる小惑星の分類の略称である。

ちょっと前にネットで終末論者が『月にこのPHAが衝突して人類は滅ぶ』だとか言ってたのをここで思い出す。(実際は地球と月の間を通過しててかすりもしていない予定だった)

何てこった。ご丁寧にPHAの大きさは今さっき脳裏に浮かんできた原作の月の欠片とほぼ同じと来たもんだ。

せっかく月を護りきったのに、ほぼ原作と同じ結末になってしまうとは。

フィーネの消滅を見送るなり一人、宙に飛立つ立花。それに続いて俺達も飛立つ。

俺達4人が命を燃やした歌はPHAの落下から東京(というか地球と言って良いと思う)を護り切った。

ここに俺の『戦姫絶唱シンフォギア』は幕を下ろした。

 

~~ 約4週間後 東京内のとあるレストラン~~

「クリスちゃんに急に呼び出されたから何かと思えば仏具店とは驚いた。」

「い、良いだろ別に!最近いつも訓練所で不毛な音声出力の実験に付き合ってやってるんだから。」

「良いんだけどさ・・・ミニライデン使って運ぼうと思ったら仏具店にまでブラウニーさん(自衛隊 対ノイズ特務部隊)が現れて仏壇が無くなるとは思わなかった(;^ω^)」

「もう、そこを気にするのはやめようぜ( = =) トオイメ。ところでさ・・・」

「どうかした?」

「この店、すっごく高そうだけど大丈夫か?今日は偶々気合入った服装だから入れたけど、普段なら門前払いじゃねーか?」

「確かにちょっと高めのレストランだけど、そこまでドレスコード厳しい店じゃないよ。さっきのクリスちゃんの言葉じゃないけど訓練付き合ってくれているお礼と思って遠慮なく注文して。後、ここ選んだのにはもう一つ理由があってさ」

「?言えよ。気になるだろ」

「クリスちゃんの真後ろの窓側席みてごらん。」

俺の言葉のままにクリスちゃんが窓側を見ると、そこにはメニューの値段に愕然として顔面蒼白になっている立花と小日向の姿があった。

「あの連中に『出歯亀を素直に謝るならこっち来て良いよ』って伝えてあげて」

「りょーかい!二人纏めてわからせてくれる!!」

腕をまくって席を立つクリスちゃん。

程なくして「ごめんなさい」を言うマシーンと化した二人が席に着く。

「この度は出歯亀をしてしまい、真に申し訳ございませんでしたー。」

「すみません。響がダメって言っても聞かなくて」

「ったく、しょうがねー連中だな・・・って風鳴!?」

出歯亀を叱ろうとしたら風鳴まで現れやがった。

「奇遇ですね。急にオフになってしまっので、皆に連絡したのですが誰も捕まらなくて・・・ヤケ食いしようと思ったら皆に会えるとは」

「ここはヤケ食いに来る店じゃねーよ。オーナーが泣くから絶対やるなよ!」

もう、ツッコミどころが多すぎて大変(;^ω^)。

あ!ドーモ、ミナサン。当然生きてた「鏡音隼人」でございます。

フィーネが起こした聖遺物を巡る騒動は一旦は終息した。俺達も無事に日常に戻ることが出来た。

勿論、聖遺物を巡る戦いがまだ続くことは分かってる。(その辺の記憶はあいまい)

次の幕が上がる日まで、我々のドタバタ日常を楽しんで頂ければ幸いである。

まずは周囲のお客さんの迷惑にならないようにこの食事を乗り切らんと(;´・ω・)・・・




無印完了(`・ω・´)ゞ
ここからしばらくは隼人君と信号機トリオのドタバタ&まったり日常をお届けします。


劇中使用楽曲:「SKY MESSAGE」
アーティスト:小松 未可子


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第二十三話 そいうのは家でやれ

前回のアンケート回答ありがとうございました。
暫く日常編をお楽しみ下さい。


~~自衛隊 対ノイズ特務部隊訓練所~~

『クリスちゃん、声聞こえてる?』

「いや、全然聞こえねーな。」

クリスからの返答に『ライデン』を解除して鏡音隼人はorz状態になってへたりこむ。

「訓練所の兵士108人の前でクリスちゃんリサイタルやってフォニック・ゲイン高めてもダメか~~」

「何で煩悩の数集めてるんだよ。言っとくけど後ろ向きでも滅茶苦茶恥ずかしかったんだからな!!」

クリスがチョップを連打で入れるも隼人はうなだれて動こうとしない。

「そ、その代わりさ、実験の副産物で隼人の歌とあたしの歌が混じった『ユニゾン』コンビネーションで威力高い技出せるようになったから良いじゃねーか。なっ?」

「そうじゃないんだよ。せっかくあの時は音声出力が出来たのに~~再現が出来ないとは悲しい・・・」

隼人がそう答えた瞬間。周囲の温度が一気に下がった。(周りの隊員の証言)

「・・・ふーん、あっそ。アタシ飯食って帰るから。実験は一人でやってれば?」

「クリスちゃん?なら俺も一緒に帰る・・・」

「いらねーよ。シンフォギア使って帰る!!」

イヤイヤイヤそんな無茶な。と止める暇も無く天幕までずかずかと歩いていき大声で定食を注文するクリス。

天幕に行こうとするが、肩をガシっと掴んで止められる。

「まぁ、待て。」

止めたのはこの部隊の主「お頭」こと尾頭だった。

「この状態でお前が行っても拗れるだけ。まずは俺が行くから、デザート出すタイミングで出てきてクリスちゃんに謝るんだぞ。」

「あ、あぁ。ありがとう。お頭」

「礼は要らん。お前じゃなくてクリスちゃんの為だからな」

~お頭お悩み相談中~

キイテクレヨオカシラー!!

フムフム!フムフム・・・

 

~お頭お悩み相談終了~

「あー、全部吐き出してスッキリした!ゴメンなお頭。」

「いいって事よ。喋り疲れたろう。これでも食って落ち着いたら隼人の話を聞いてやりな」

そう言ってケーキとアイスコーヒーを差し出すが手を付けようとしないクリス。

理由を聞こうと口を開く寸前にクリスの視線がチラチラと後ろの隼人に向いていることに気付く。

「やれやれこりゃ読み違えたわ。そんなに仲直りしたいなら喧嘩するなっての」

「(顏真っ赤)///ゴメンナサイ・・・」

「フォークもう一つ追加してっと。何ならコーヒーもカップルコーヒーを用意してやろうか?」

「お頭ぁぁ!!」

爆発するクリスの前から人間とは思えぬ動きで去って行くお頭であった。

 

~~自衛隊 対ノイズ特務部隊訓練所 天幕を見下ろせる崖の上~~

「で、二人の様子は?」

「すっかり仲直りというか何というか・・・。さっきの喧嘩なんて無かったみたいに歌の話に夢中になってますよ。結局またユニゾン特訓するみたいです。」

マジかよと思いながら双眼鏡で二人の様子を眺める尾頭。

レンズに映る二人は、歌の話で盛り上がる処か、既に二人でデュエットソングを歌い始めていた。

徐々に隊員達が集まり、その輪はどんどん大きくなっていく。

暫くすると、周囲の状況に気付いたクリスが顔真っ赤にして隼人の手を掴んで出口に駆け出して行った。

「これで何回目だっけか?このパターン」

「さぁ?10から先は数えて無いですね。」

部下の回答に呆れ顔になる尾頭。

「やれやれ、こういうのは家でやって欲しいもんだ」

「そんな事言って毎回クリスちゃんに頼られて嬉しい癖に」

『くせにー×30』

お頭のカミナリが訓練所に轟いた。

 

 



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第二十四話 模擬戦 開幕

アンケート回答ありがとうございます。参考にさせて頂きます。


「模擬戦がしたい?」

立花・・・じゃなかった響がいつもの夕食会にて、唐突にそんなお願いをしてきた。

「だって隼人さんとクリスちゃんは自衛隊の訓練所でいつも特訓してるらしいじゃないですか!私も混ざりたいです!!翼さんも入れたら2on2できるじゃないですか」

「いや、別に響を締め出してた訳じゃないけどな。クリスちゃんはどう?」

「んー?別に良いけど・・・特訓ならいざしらず、シンフォギア同士の模擬戦ってのは合理性をあんまり感じねーな。」

おや?何やら理屈をつけてごまかしてるけどご不満なご様子。となると代案は・・・あ!?あったわ。

「模擬戦なら今ここで出来るぜ。」

「嘘ー-!?」(一同)

二課に入って以来、実戦の方が増えたので使う機会が無かったが、俺の『ディスク』にはトレーニングモードが搭載されており、自由な空間を設定して自分の実力そのままで戦う事ができる。

「成程、2年間の間、戦闘頻度はそれ程でも無いのに先生の戦闘能力が高いのはそれが原因でしたか」

「2年間、映像で俺の動きをちょくちょく見ていた風鳴らしい感想だな。兎にも角にも、起動したディスクの光に触れたらVR空間に入れるぜ」

テーブルに『ディスク』を置いてトレーニングモードを起動する。

『Virtuaroid System Training Mode SetUp』

~トレーニング空間内~

「わっ!もうシンフォギア纏ってる」

「ホントにゲームみてーな何もない空間だな」

「体動かしても違和感が無いですね」

思い思いに空間をひとしきり眺めて驚いているようだ。

ちなみに小日向はちょっと離れた所でちょこんとマイク付きの実況席に座ってる。

『何ですかこの実況席って!?急にマイク渡されても困るんですけどー』

「さて、じゃあ立花の希望通り始めますか」

小日向のクレームはスルーして俺はいつもの『ライデン 512E2』で信号機トリオの前に立つ。

俺の行動に早くもクリスちゃんが意図に気付いて「闘志MAX」って感じの目付きになる。

「ほーう、あたしら3人相手にするってか」

「せっかくだから10回連続ゲームオーバーになったらお前らこの罰ゲームな」

VR空間では本来必要のないいつもの手持ち看板を地面に突き刺す。

①立花響:1週間夕食会でお代わり抜き。

②風鳴翼:イマイチ伸びてない『U-TUBERチャンネル』に関して鏡音隼人のアドバイスを受け入れる。

③クリスちゃん:いつもの訓練所でみんなの方を向いてリサイタル。

『おっとー、鏡音隼人。シンフォギア奏者三名に無茶な罰ゲームを突き付けるぅぅ!!これは余裕の表れか~~~?』

看板の内容を見るなり小日向がノリノリな煽り実況を開始する。結局ノリノリでやるんかい(;^ω^)。

「隼人さん!お代わり一週間も禁止されたら私の体が消滅しちゃいますよ~~(>_<)」

「ここで先生の進行を許したら、私のU-TUBEチャンネルが面白動画で埋め尽くされて・・・歌手としての夢を絶たれてしまう!!」

「う、後ろ向きでも死ぬほど恥ずかしいのに・・・前見て歌うなんて出来るものかよ!?」

三者三様に罰ゲームに対して不服を申し立ててくる・・・が。

「さっさと俺への罰ゲーム決めて10秒で俺を倒せば済む話なんだから良いじゃねーか。それとも、もっとハンデが必要かい?」

煽ると三人の動きがピタリと止まる。

「「「罰ゲームはもう決まった。」」」

今までに聞いたことない位低い声で3人がつぶやいた瞬間、空中にカウントダウンの文字が浮かぶ。

『3』

「鏡音隼人ぉぉ」(クリス)

『2』

「貴方は少し」(翼)

『1』

「その自信過剰な態度をぉぉ!!!!」(響)

『Get Ready』

「「「改めろー---!!」」」

開始と同時に突撃してくる信号機トリオ。

「自信過剰?何の事かな?」

最終決戦で見せたように『バイナリーロータス』持ちの『ライデン』を横に二体展開させて三機で発射体制に入る。

それを見て響とクリスちゃんの動きが一瞬止まった!行ける!

翼が何事か警告しようとするより早く放たれたレーザーが響とクリスちゃんをゲームオーバーに追い込む。

「これは余裕というものさ。ともかくまずは一勝」

『あーっと勢いよく飛び出したシンフォギアチームだが、志●雄●みたいなセリフの前に秒殺されたー!!』

さて、ノリでここまでやってみたけど・・・ここからどうやって9連勝するかね?




※無印と2期の間に響は「隼人さん」呼びを勝ち取りました。

日常編はノリで書いてるので、時系列等はバラバラです。2期始まる前に整理しようかと思ってます。


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第二十五話 模擬戦 決着

※模擬戦ルール

①ステージは一戦ごとにランダム変更
②シンフォギアチームは2名ゲームオーバー時点で敗北
③絶唱禁止(使用時点で強制ゲームオーバー)
④ステージ内の配置されてるオブジェクト(車とか電柱とか)を武器として使用するのは可



『さぁ、盛り上がって来た模擬戦もいよいよ最終10戦目!!このままシンフォギアチームは理不尽な罰ゲームを受けてしまうのか!?でも響は部屋に戻ったら私がお腹いっぱい食べさせてあげるから大丈夫だよー-』

ノリノリで実況をしながらも、きっちり響を贔屓する事を止めない小日向。

『うっさい!さっき私を人質に使った外道がぁぁ!!そんなに勝って響を飢えさせたいんですか?』

「どっちかと言うとクリスちゃんのリサイタルを見たいだけ。」

『なんという正直な!?というかそのリサイタル動画は共有させてくださいよ!!』

~~ シンフォギアチーム作戦会議中 ~~

「くっそー、まさか未来を実況席から引っ張て来て人質に使うとかどれだけ負けたくないんだ!?」

「正直、3対1だからと侮っていた部分があるのは否めないな。あのフィーネと互角に戦ったのだから勝利への執念は相当な物だ。」

「訓練所がステージに出たのが痛かったな。あそこでスタングレネード手にされてなかったらとっくにこんな勝負終わってる」

「でもでも、次は絶対仕留められるよ!!というか今の戦いは仕留めてた!!」

「そうだな、それに加えて最後はこちらも反則技を使わせて貰う。」

「反則?『絶唱』は使った瞬間ゲームオーバーになっちまうぞ?」

ルールが記載された看板を指さして指摘するクリスの言葉に首を振る翼

「違う。先生の『歌』を奪う」

「え!?そんな事出来るんですか?」

「ああ、以前の『妹化事件』の時に幾つか先生の歌を知った。それを歌って動揺を誘う。本来あの件で知ったお互いの情報は知らない事にしようと約束したが・・・負けるわけには行かないからな」

「それだけ嫌がるって・・・どんなテコ入れ提案されてるんだよ?」

「だって動画の終わりに『カメラ前から去るしぐさからの振り返りウインクでチャンネル登録のお願いをしろ』なんて登録者が増えても増えなくても地獄の提案聞けるわけないでしょ!!」

「あー、そりゃ何とも隼人らしい提案だ事で・・・」

「でもでも、それは寧ろやって下さいよ翼さん!!みんな熱狂しますって!」

「そうかなぁ?そう言ってもらえるのは嬉しいけど」

「いや、それはどっちでも良いから・・・とにかく『歌』の件は任せたからな!あたしの射撃で必ず足を止めてやる。」

「ああ。後は私と立花の二段構えで行くぞ」

「お任せあれ!!立花響の拳でシンフォギアチームの勝利をつかみ取って見せます!」

~~ シンフォギアチーム作戦会議終了 ~~

なんか偉い長い作戦タイムだなぁ?と思ったらやっと終わったらしく。三人がスタート位置に着く。

「さーて、必勝法は思いついたかい?」

「9戦全部圧勝中みたいな雰囲気出して喋ってるんじゃねーよ!!ギリギリだったクセに!」

「そーだ、そーだ。後、クリスちゃんのリサイタル動画は私にも下さい・・・ってクリスちゃん顔怖っ!?恐ろしくて振り返れないけど多分怖いよ~~」

「ともかくこの勝負。勝たせて頂きます。」

『3』

「鏡音隼人」(翼)

『2』

「いざ尋常に」(響)

『1』

「ぶっ飛ばー--す!!!!」(クリス)

『Get Ready』

「「「YEAHー---!!」」」

 

最後に選択されたステージは・・・まさかの「砂漠」!?

集中力切れかかってる時に遮蔽物がない場所での多対一はキツい。

しかも何かおかしい。指定された曲歌ってるのに全くパワーが上がらない・・・って曲がロックされてる!?ってことは。

「「「アイツなんか大キライ! 大キライ! もう絶対笑いかけたり~してあげない!」」」

だー、やっぱり犯人は風鳴か!偶然か仕様か知らないけど先に歌われるとこっちは歌で出力を上げられないとは。

「お調子者! 」(クリス)

「傍若無人!」(翼)

「八方美人!」(響)

「それ以上!!自信過剰 むーかうとこーろはー 敵ばかりー-!!」(三人)

出力が目に見えて落ちてきたせいで、ついに攻撃を捌ききれずに、立花の渾身の拳が『ライデン』を捕らえる。

「もらったー!!!」

『見るからにガス欠に陥ったライデンを捕らえたー-!!響やったー-!・・・てあれ?』

『ポチ』

「ポチって?ええぇぇぇ!!」

予期しない拳の感触に殴った個所を確かめると普段のライデンにはない、『赤いドクロボタン』があった。

「爆発オチなんてサイテー!!」

響の絶叫と共に全員の意識が現実に戻った。

 

「もー、三人で連携して戦えたのは良かったけど何か違うぅぅ!!!」

「いや、済まんな。ついついハードモードで戦いたくなる性分で」

「つーかやりすぎ。平然とタンクローリーとかビルを武器として使いやがって」

「最後は爆発オチでハナっから罰ゲームやる気もさせる気も無かったとは・・」

「(響の叫びがツボに入ったのかずっとテーブ叩いて爆笑中)」

 




使用楽曲: 大キライ!
アーディスト:LINDBERG

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第二十六話 二人でなら歌ってもいい

~~ 模擬戦後 ~~

「雪音。ちょっと良いか?」

「?何だよ人気者。」

模擬戦後のお開きムードの中で急に風鳴がクリスちゃんに声を掛ける。

「立ち入るべきかどうか迷ったが、やはり一言言わせてもらう。」

「さっきの『罰ゲーム』の話かよ?」

「そうだ。恥ずかしいって気持ちは分からないでも無いが、やはり応援してくれてるファン相手に後ろ向きで歌うというのはいかがなものかと思ってな。」

「うっ!そ、それは・・・分かってるけどよ。恥ずかしい物は恥ずかしい///」

「やれやれ。なら2人ならどうだ?」

「2人?」

「ああ、いつも訓練所でデュエットソング歌ってくれる『相棒』が居るだろ?」

「い、いつからあいつが『相棒』になったんだよ!?」

「ドーモ、クリスちゃんの『相棒』の鏡音隼人です(`・ω・´)」

「いきなり出て来るな!!すっこんでろ!」

出番じゃ無かったらしく、強制フレームアウトさせられる。

「人気者に指図されるいわれは無いね!!帰った!帰った!」

「嫌われてしまったな。お暇するとしよう。」

怒りMAXのクリスちゃんを置いて、全員で退散する。

「結構怒ってたけど大丈夫かな?あれ」

「気にしてる事だからあんなに怒っているのでしょう。むしろ先生が指摘していない事が驚きでした。」

と風鳴も風鳴でツーンとしてるし、響達にレスキューを求めても

『ここは黙ってやり過ごして!』

というブロックサインが帰って来るのみ。明日以降に尾を引かなければいいけど。

~ 隼人自宅 ~

prpr

自宅に戻るなりクリスちゃんから電話が掛かって来た。

「わ、悪いな。こんな時間に。」

「別に良いけど・・・さっきの風鳴の話?」

「さっきはあんな言い方しちゃったけど・・・お願いして良いかな?」

「もちろん、あいつらも喜ぶぜ」

「そうだといいけどな。ありがとな。アタシ隼人や皆に何かしてもらってばっかりな気がする。少しでも返せたらいいなぁ」

不覚にもここで「可愛い」と言ってしまったが為に「バーカ!バーカ!ロリ●ン!!さっさと風呂入って寝ろ!!」と怒鳴られてしまった。しおらしいクリスちゃんと話せる機会だったのに惜しい事をした。

 

~一週間後~

急ピッチで準備が行われ、いつもの訓練所の天幕前にちょっとしたステージが作られ。俺とクリスちゃんのライブが始まった。

序盤の反応はまずまず、中盤はQA形式のMCタイムが始まる。

QAその①

「Q:クリスちゃん可愛すぎます。天使ですか?」

「A:いいえ、人間です。って何だ?この質問!?」

QAその②

「Q:私は貴方にとって特別な存在ですか?」

「A:君にヴェルタースオリジナルは上げられないので、君は特別じゃありません・・・の前に誰だテメーは!?」

QAその③

「Q:ちょっと前まで大人は信じないとか尖った事言ってたクリスちゃんですが、最近で大人を信じられなくなったエピソードはありますか?」

「A:たった今、お前を信じられなくなったよ!!鏡音隼人ぉぉ!!(チョップ乱打)」

QAその④

「Q:リディアン音楽院で開かれる「秋桜祭」に行って良いですか?」

「A:良いけど、お頭に頼んでその日は隊員全員に仕事入れてもらおーっと」

『観客席:慈悲はなかった!!』

QAその⑤

「Q:傷ごと抉っても問題は解決しません。ガーゼを傷口に当てて・・・ってものの例えに茶々を入れるのが好きな中学生かぁぁ!!」

QAその⑥

「Q:クリスちゃんはミサイル通学しないんですか?」

「A:リディアン音楽院からレーザーが飛んで来るからやりません。」

QAその⑦

「Q:クリスちゃんは腕や足からミサイルは出ないんですか」

「A:そういうのはニチ●サ様にお任せしてます。ご期待に沿えず申し訳ございません。って出来てたまるかー-!!」

楽しいMCコーナーから終盤にクリスちゃんの歌をデュエットしていく方式で会場には大クリスコールが響き渡る。

ちなみに俺への声援は無い。つーか、クリスちゃんに近づくたびにブーイングが来る始末だけど俺は泣かない。(´;ω;`)ウゥゥ

~閉幕~

当然、会場からは大アンコールが響いている。クリスちゃんの衣装チェンジ次第出るべく一人待機してたら両脇を隊員に抱えられて客席に強制的に連れていかれ、お頭の横の席に運ばれる。

「よぉ、ここまでお疲れさん。お前の歌ももまぁまぁだったな」

「というか何故に俺がここに?」

「クリスちゃんの希望だよ。最後位は補助輪なしでやるってさ」

お頭の言葉と共にライトに照らされたクリスちゃんが舞台中央に進む。

「隼人、お頭、部隊の皆。今日は私の歌を聞いてくれてありがとう。最後は私一人の歌を聞いて下さい。」

「一人ぼっち 生きて来た そんなのウソっぱちだね 今の私があるのは~あなたに~出会えたから~♪」

すっげ、観客の殆どがサイリウム振る事すらせずにクリスちゃんに歌に聞き入っている。

~♪~♪

「ありがとう 今日は聞いてくれて あなたの為 このままずっと 歌うから I sing for you 」

クリスちゃんが歌い終わると同時に耳壊れるじゃないかって位の歓声が上がる。

「ありがとー、任務危険なの分かるけど、アタシの歌聞くためにケガするんじゃねーぞ!!」

『喜んでぇぇー!!』

クリスちゃんの初リサイタルは大成功に終わったと言って良いだろう。

 

~ クリスの部屋への道すがら ~

「風鳴に俺の歌を聴いてたのも驚いたけど、一人で歌ってくれるとは思わなかった」

「うん、やっぱ人気者の言う通りだった。聞いてくれてる皆の顔が見えてるっていいな・・・」

ライブの興奮が冷めやらないのか、クリスちゃん頬はの目は未だにキラキラに光ってる。

「そう言えば風鳴はなんであの時不機嫌だったんだ?」

「それなんだけどさー聞いてくれよ!『ごはん食べてるだけでファンが100人以上増えるなんてズルいって』って思ったらしいぜ。相当U-TUBEの数字の闇に囚われてるなアイツ」

「数字を気にし過ぎたらいかんと言ったのに(;´・ω・) あっちも助けてやらんとなぁ」

一難去ってまた一難である。




使用楽曲:何もできなくて
アーティスト:椎名へきる

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第XX話 響IFルート① 未来響の休日

「ごっはん!ごっはん!美味しいごはん!」

休日の夕方。鏡音家の台所の主「鏡音響」は夫と愛娘の為に夕飯の支度に勤しんでいた。

カレーの具材を終えた所で視線を感じて中途半端に開けられたリビングの扉からこちらを見つめる人影を発見する。

「お、帰って来たからわが娘よ!(15)今日はお父さんがS.O.N.Gの長期任務から帰って来るから大好物のカレーだよ♪」

しかし、娘の反応は芳しくない。父の帰還を聞いた瞬間だけ一瞬嬉しそうな顔を見せたものの、ふらふらとおぼつかない足取りでテーブルに突っ伏す。

「どうしたの?調子悪いのって弁当箱重すぎ!ほとんど食べてないじゃない!調子悪いの?お医者さん行く?」

「・・・大丈夫。明日までの辛抱だから。」

「???大丈夫じゃないよ!!母親として見過ごせないからちゃんと聞かせて」

娘の両肩にてを置き目をじっと見つめて響は問いただした。

~10分経過~

「判決!無限ご飯の刑!!」

「正直に言ったのに何でー!!」

「なーにが気になる先輩とデートの約束取り付けたからダイエットだ!!このバカ娘!!」

椅子に座った娘のバックをとってこめかみをグリグリ締め付ける響。

「Sサイズの体形でまだ不服か!?」

「明日一日だけで良いから~見逃して~~」

「見逃しません!ちゃんと食べないとお父さんの『ミニライデン』使って家から一歩もださないからね!」

「無理ゲーだー!!あたしの初恋終わったー!!」

娘の悲鳴に響は思わず爆笑してしまう。

「娘の初恋潰して何が楽しいの!!」

「あはははっ!いや、ごめん。違うから。絶食した状態で行った方が恋終わるから!」

「ちょっとでも細く見せたいのー!」

「あいかわらずお前ら元気だな。帰ったぞー」

「「お帰りなさーい!!」」

母娘で同時に左右から抱き着いて喜びを表現する。

「だだいま。・・・あれ?娘よ、お前やけに体の中身スカスカじゃね?」

「え!?何でわかるの!!」

「何年間お前の親やってると思ってるんだ。わかるに決まってるだろ」

「いや、コッソリ家に入ってリビング入るタイミング伺ってたから聞いてただけでしょ?」

「締まらない事言うなよ・・・合ってるけどさ」

~カレー完成~

「あー、そう言えば響も同じことやってたな。しかも19歳でww」

乾杯の後、最初のビールを1缶飲み干した際に放たれた言葉に思わず娘は飲んでいたオレンジジュースを吹き出す。

「ちょっとー!!それ暴露しないでよ~~」

「お父様kwsk」

二缶目のビールを注いで、娘が続きを促す。

「なんかフラフラの状態で現れた挙句、ダッシュしようとして両足攣ってキャロルの病院搬送されて、最初は取り乱してたキャロルに最終的に大爆笑されてたな。」

「二人で行く予定だったレストランに未来とクリスちゃん誘って行った上に、私に料理の写真送って来た時は泣きたくなったなぁ...( = =) トオイメ」

「流石お父さん。彼女でも容赦しないんだ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

「あの後、皆にスッゴイ怒られたよ。キャロルちゃんなんて『次お前がくだらない理由で緊急搬送されたら思い出全部焼却して地球割りパワー●イザーやってやるからな』って脅されたし・・・」

「母の行動に地球の命運かかってた!?」

「でも、次の週は体調戻してキチンと楽しいデートが出来たから、貴方は今ここに居るんだよ。だから無理なダイエットはしないように。分かった?」

「うん、わかった!素の自分で勝負するね!!」

「そうだ!その意気だ!」

「ところで結婚式前にも同じ事件起こった話・・・する?」

「もう!!お父さんは当面ビール禁止!!」

「それ以前に自分の双肩にに地球の運命かかってるの忘れないでよお母さん(´;ω;`)ウゥゥ」




次回も響で、『ハッター軍曹襲来!』


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第二十七話 ハッター軍曹襲来!

~VR 待機空間~

不定期で開催される夕食会後の模擬戦。

今日は響が『シンフォギア・イエロー響!タイマン張らせて貰うぜ!!』と勝負を挑んで来た。

立会人?の小日向と3人で空間に入ると響が声を掛けて来た。

「隼人さん。『ライデン』以外の機体って出せないんですか?」

「なぬ?出来なくはないけど何で?」

「先生が『ライデン』起動させる時ってよく見てみると『ライデン』以外のアイコンもあったから出来るのかな~って思いまして。出来たら接近戦の機体を希望します!」

「いいだろう!先にバトルフィールドに行って待ってろ」

「「はーい」」

二人が先に今回のフィールド「闘技場」に入ったのを確認すると、機体選択メニューを開き、一つのアイコンを選択する

「よーし、バーチャロイドと近接戦闘をするのが如何に無謀な行いか教えてやろう。」

~戦闘空間 闘技場~

「うわーちょっとサイズ大きいけど本物のコロシアムだー-!!」

コロシアムの空気に触発されて、戦うのが待ちきれないのか、シャドーを始める響。

その様子を観客席から見つめながら小日向未来は心配そうに声を掛ける。

「響~ホントに一人で大丈夫?翼さんかクリスどっちか誘った方が良いんじゃない?」

「大丈夫!!今日という今日はコテンパンにする所を見せてあげるから(^_-)b」

「決めポーズは良いとして、翼さんでも1on1で勝ててないのになんでそんな自信満々なの?」

「あれは市街地ステージで、街の中にあるもので散々トラップを用意できる余地があったからだよ!ここならトラップは作れないから何とかなるよ!」

「言ってることは分かるけど・・・あっ、来たみたい」

空間に「Here comes a new challenger!!」とゲームチックな字体が浮かび上がる。それと同時に空中から一体のバーチャロイドが飛来して浮き上がった文字を突き抜けて闘技場に降り立つ。

「待たせたなぁァァァ!!ボーイ&ガール!!俺の名は『アファームド・ザ・ハッター』ハッター軍曹と呼んでぐれ!」

ライデンとは違い、かなりスラっとした人型のボディ。ロボットなのになぜか人間の帽子のような形をした頭部。上半身は白、下半身は青というカラーリング。武装は両腕にトンファーらしきものが装備されている。

「ハッター軍曹?」

「何か質問があるのか?お望み通り近接機体だぞ」

「この場に『ボーイ』って居ないんですけど?」

「え?」

そう言って響を指さそうとするハッター。

「月までぶっ飛ばしてやる!!!」

『Coliseum Get Ready』

電子音が開幕を告げると同時に超高速の接近戦を披露する二人。

「グウゥゥゥレイトォォォー-!!意外とやるじゃないか立花!!」

「そっちこそ!ってやりとりをする前にさっきのを謝って下さい!!」

「あ!?いつもの平和な駆け引きだろ?」

「そうですけど。前までは引っかけたら一回ちゃんと謝ってくれたのに。最近それが少ない気がします!」

「マジで!?」

「はい、間違いなく減ってる気がします。色々、甘くない戦いに一生懸命だったから心が荒むのも、戦いの為に挑発するのも分かります。でも私は元のちょっと意地悪だけど優しい先生に戻って欲しいんです」

俯いてそんな事を独白する響。というかマジか!?言われるまでマジで気付かんかったわ。ちょっと戦いの日々で心がすさんでいただろうか?

「響・・・何というか・・・すまんな」

何か瞳の端に涙まで見えるから、思わず近づいて声を掛ける・・が俺の勝負師としての勘は直立しながらも重心をいつでも下に持って行けるような構えと左手の握り具合への注目を止めていなかった。

「もらったー!!ってあれ?」

「涙を武器にするとは・・・ならば俺も遠慮なしで行かせて貰おう!!」

響渾身の左アッパーを右肘で押さえつけて、左腕のトンファーを振って響を後ろに下げる。

「バーチャロイド近接の奥義『真空近接』を喰らえ!!」

説明しよう。『真空近接』とは近接攻撃をキャンセルしても攻撃判定が残る現象(バグに近い)の事である。常に発生するわけではないが、近接能力の高い機体ほど有効性は高くなる。

「何それぇぇぇ!!卑怯!卑怯!」

「涙を武器にしたやつに言われたくねぇ!!」

コロシアム上を必死に逃げ回る響の悲鳴。やはりこの理不尽は承服しかねるらしい。

が、最終的にトンファー・キックの餌食になる。

「フィニーッシュ!! あーんど サァァァァァンキュゥゥゥゥ!ベリ・マッチ!!」

無人のコロシアムに暑苦しい勝利宣言が響いた。(小日向はアッパーが不発になった時点でログアウトしたらしい)

 

~ 模擬戦終了 ~

現実に戻ると、プラズマテレビの前でクリスちゃんが風鳴の膝の上で寝ていた。所謂「膝枕」である。

お前ら何イチャイチャしてるの?ってからかおうと思ったが、風鳴の困惑具合を見ると状況が掴めない。

「皆、助けてくれ。雪音に私のU-TUBEチャンネルの動画を見て貰ったら、酷評と共に時間を奪われた穴埋めに膝枕を要求されて困惑している!」

何々、このテレビ、ネットも見れるのか。

早速、3人で風鳴のチャンネル動画を見る。

結果、あまりにキツい内容だったので、風鳴の膝枕を奪い合う、俺達の姿がそこにはあった。

これは何とかテコ入れせねば(;^ω^)




Q:通常戦闘でハッターを呼ばない理由。
A:展開しようとしてもエラーになるから。何故かトレーニングでは使用可能

次回「翼:U-TUBER奮闘記!」その次は「クリス:ようこそリディアン音楽院へ」となります(`・ω・´)ゞ


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第二十八話 U-TUBER風鳴翼 奮闘記!!

『ルナアタック』

フィーネを首魁として起きたこの事件は、彼女の最終目標である「月の破壊」を俺達の活躍により阻まれる形で幕を閉じた。

しかし、街のいたるところにその戦いの爪痕が色濃く残っている。まだまだ都市機能の回復には時間がかかる見込みだ。

身近でいえばリディアン音楽院も移転先の見込みが立っただけで、どれほどの生徒が実際に戻って再スタート切れるかは不透明だ。

芸能関係の仕事が減り気味かつ、皆が巣ごもりしがちなこの状況で風鳴翼は一計を案じた。「U-TUBEに動画を投稿して皆に元気を届けよう!」

その心意気自体は称賛するべきものだし、皆応援していたように記憶をしている。がしかし、現在の実情を簡単に評価すると

「サムネ一覧全部が顔アップは圧が強い。(クリス)」

「一人で喋ってる上に構成考えてないから起承転結が無くて、聞いてた人の心に内容が入って行かない(隼人)」

「私達は全部見ますよ!!見ますけど・・・試練かなぁ~(響)」

「これ見る位なら公式かファンサイトの歌動画見た方が有意義って思っちゃうかな(小日向)」

「「「ほんとそれな!!」」」

「うわぁぁぁぁ!!」

 

床をゴロゴロ転がって悶絶する歌姫(顔の圧が強い人)。

「どうせ私には雪音みたいに軽妙なトークで人を楽しませる力はありませんよーだ・・・悪かったですね圧が強い顔で!」

部屋の隅っこで体育座りして拗ね始めるSAKIMORI。

「おいおい、人気者。アタシのMCは身内みたいな連中相手だったから出来たことであって、誰相手でもああいう対応出来るわけじゃないぞ」

クリスちゃんがやれやれと首を振りながら内幕を解説する。

「そうだぞ風鳴。クリスちゃんなんて俺が手助けしないと人前で歌えないチキンなんだか・・・ゴフッ!?」

最後まで言い切る前にクリスちゃんのチョップが頭頂部に突き刺ささる。

「あちこちイジって話をややこしくするな!!」

「結局私はどうすれば良いのだ?」

「ま、この面白大好き教師が企画考えてるらしいからちょっと乗ってやってくれよ。多分損はしないぜ」

痛みに悶えてる俺をよそに言いたい事全部言っちゃうクリスちゃん。

「雪音がそこまで言うなら仕方ない。一つ乗ってやろう。頼みますよ、鏡音先生」

~ 【捌いてみた】風鳴翼が友人の引っ越し祝いの為に100万越えの本マグロ捌いてみた!! ~

動画サムネ用にマグロの前で解体用の包丁を持って撮影をする所から動画はスタート。

事後処理に忙しくて動画作りに参加できていなかった緒川さんは初の動画撮影参加でカメラマン役を務めている。

「皆様おはようございます。風鳴翼です。今日は私の友人たちの引っ越し祝いの為に買った巨大マグロを捌いて、届け食事する所までを見ていただきたいと思います!!」

『立派なマグロですね。女性だけでは食べきれないのでは?』

「はい、流石に全部はムリなので、企画以外の分は・・・って何故サイレン!?」

ノイズの出現かと身構える風鳴だが、ノイズの警報とは明らかに違う音声がスピーカーから流れて来た。

『只今、クソつまらない企画をやってるU-TUBERを確認しました。警備員は至急現場に急行して風鳴翼を確保してください!』

「女性の声だからって、そのメカメカしい喋りが出来る知り合い一人しか居ないんだけど。しかも名指しされてるし・・・緒川さん!?なんで距離をとって撮影するんですか?」

『だって警備員がきちゃうじゃないですか。僕巻き込まれたく無いので。』

「何を言ってるんですか!?っていうかどういう警備員の数なの!?」

※100人の黒服に囲まれる歌姫(クソつまらない企画をやってるU-TUBER)

そのまま銃刀法違反で黒服(警備員のはずなのに)に逮捕される風鳴。

そのまま雑に法廷のセットに連れていかれる。ここまで来ると、すべてを察したらしく、ゲンナリとした顔になる。

「このセット、先週テレビで見た!どうせ私を死刑にするドッキリなんでしょ!?」

ぶーぶーと文句を言いながら位置に着くと、弁護人は友里さん、検察に藤尭さん、裁判長に弦十郎さんが配置されていた。

そのまま何を主張しても認められず、閉廷を迎える。

「翼、最後に言いたい事はあるか?」(裁判長)

「チャンネル登録、高評価よろしくお願いします♪」

扉の前で立ち止まり、振り向きざまにウインクをして動画は唐突に終了した。

ちなみにオマケのオフショットで振り向きウインクを死ぬほど恥ずかしがる翼の切り抜きが一番バズッた。

その後、俺とゲームやクイズで対決(たまに友人枠でクリスちゃんや響が声だけ参戦)、時々海で体を張った漁をした動画を撮る事で、一先ずの活動期限と定めていた都市機能の回復が叶った頃にはまぁまぁの収益が出たらしい(当然寄付してたけど)。

 

~ 三期開始後のとある休日 ~

「なぁクリス。翼から怪文書が届いてるんだけど?」

「んー?アタシの所には何もきてねーな。どれどれ・・・『貴方のせいで私のアーティスト生活は終わってしまうかもしれません。理由はお分かりですね?帰国した際は覚悟の準備をしておいてください・・・』なんじゃこりゃ?」

「全く分からん(;^ω^)」

「まさか・・・先輩に手を出したんじゃないだろーな?(ギロリ」

「ちょっとー!!そんなわけあるかー」

まさか翼がロンドンでカニ漁やらされる一歩手前とは思いもしない俺達であった。




新しいアンケート設置しましたので回答頂けると幸いです。(`・ω・´)ゞ


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第二十九話 ようこそリディアン音楽院へ

『ルナアタック』以降麻痺していた都市機能が大分回復し、われらが『リディアン音楽院』も新しい学舎にて再出発することと相成った。

原作では無印時点から6割になったはずだが、この世界では8割に持ち直している。

人的被害は0だったはずだが、あれほどの恐怖にさらされて心的外傷を受けた子や、それぞれのご家庭の事情の変化の結果、別の道を選ぶことを避けられない生徒を0にすることは出来なかった。

そんな少し暗い話題は兎も角、今日はクリスちゃんの初登校日である。

いきなりあんな美少女を他の生徒が来る時間に来させると混乱が起きるので、通常の始業時間後の時間を指定して2時間目から授業に参加するとになっている。

~校門前~

「初めまして。雪音クリスさん。ようこそリディアン音楽院へ。」

『だ・れ・だ!!お前はー-!!』

「元気で遠くまで通りそうな良い声ですね。でも先生をお前呼ばわりは行けませんよ。僕に対するクレームはプライベートで承りますから、まずはこちらに」

「あ、はい。すみません。鏡音・・・先生」

教室まで雪音さんを案内して行く途中で質問をされる。

「あのー、部屋でさんざんチェックはしたんですけど・・・何か変な所無いですか?」

「いいえ、大変お似合いでちゃんと着こなしていると思いますよ」

「あ、ありがとうございます。その割には道行く人に凄く注目されてる気がして///」

あー、この様子では明日からの登校が不安になるな。

「着きました。どうぞ、おはいり下さい。皆待っていますよ」

教室の入り口を開いて雪音さんを迎え入れる。

「は、はい!」

促されて、おずおずと教室に入って行く雪音さん。さて、俺も行きますか。

「待たせたなァァァ!!わざわざもったいぶって二時間目に到着させた今世紀最高レベルの美少女の登場だぁぁぁ!!」

『キャーッ!!可愛いー-!!』

「可愛いうえにロリ巨乳・・・だと!?」

「なんでテメェは二次元を具現化したような子を連れて来るんだ・・・いや、本当にありがとうございます。」

とてつもない黄色い声にクリスちゃんは目が点になってうろたえている。

「私は今日ほどリディアンに通っている事実を嬉しく思ったことはない!!」

「ありがてぇ・・・ありがてぇ・・・」

「早速その子ぎゅー♡していい?」

「いいわけあるかぁぁ」

席を離れてクリスちゃんに近づく問題児どもを出席簿でぶっ叩いて下がらせる。

「暴力反対!」

「生憎、お前ら問題児どもを止める為の暴力は許可されている!!」

そうしてしばらくバシンバシンと戦闘を継続させていると後ろから怒気を含んだ気配・・・これはマズい!

「いい加減に自己紹介位させろー-!!後、まじめに授業始めろー!」

クリスちゃんの絶叫とチョップが俺に突き刺さった。

~お昼~

「隼人!どういうことかキッチリ説明せてもらおうかっ!」

クラス女子からの包囲網を突破して。人気のない場所で問い詰められる。

「説明ならちょっと前にしたじゃん。クリスちゃん成績優秀だから『特進クラス』に推薦するって」

「あの連中マジで『特進』なのか!?確かにその後の隼人以外の授業は滅茶苦茶普通だったけど」

「失礼な。教壇からみて左半分はマトモな奴らだぞ」

「やっぱり場所ごとで区切ってるのかよ!?」

「ま、多様性を受け入れようとするとああいう奔放な連中も出て来るから、俺みたいな人間が相手してやらんと行かんわけよ。」

説明をしていると、どこからともなく『雪音さ~ん』とクリスちゃんを呼ぶ声がする。

「こりゃ綾野、五代、鏑木だな。あいつらは常識サイドだから昼飯一緒に食べてやれよ」

そう言い残してこの場を去る。

「ちょっ!」

記憶が微妙だけどあいつら原作でもクリスちゃんと仲良かったからきっと大丈夫。

定例の夕食会では、口ではぶつくさ文句言ってたけど顔はキッチリ笑顔だった。

彼女の学校生活はきっと明るいものになるだろう。

「ところで・・・だ。この写真を学校に流出させた奴がいる!心当たりある奴は今すぐ名乗り出ろ。今なら怒らないぞー。」

そう言ってクリスちゃんが懐から取り出してのは少し前に訓練所でやった俺とクリスちゃんのリサイタルでクリスちゃんが熱唱する写真。

これがリディアンに流れていたとしたら、確かに犯人はこの中・・・というか一人

じー×4

視線が響に集中する。

「刑事さん・・・私がやりましたー!!クリスちゃんの可愛さを先輩方に知って欲しくてつい」

「やかましいわ!人のプライベートを簡単に晒すな!」

「うわーん!怒らないって言ったのに~」

「怒ってねー。激怒している!!」

「ごめんねクリス。止める暇も無くて。響はきっちり絞られなさい」

小日向ママに見捨てられてしばらくコブラツイストで絞られた響であった。




アンケート回答ありがとうございます。次回も頑張ります。


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第三十話 雪音クリスお料理奮闘記

①お料理レベル0→1

それはまだ、クリスが半ば無理矢理に隼人の部下となったばかりの頃。夜に少し小腹が減ったので冷蔵庫の中を確認した時の事。

「冷蔵庫にリンゴあったな。わざわざ切るの面倒だから齧ってもいいか」

と軽い気持ちで芯のみになったリンゴをゴミ箱に放り投げて寝室に向かった。

翌朝リビングに入るとテーブルの上にイラストで「リンゴ丸かじり(×)→綺麗に切られたリンゴ」のメッセージカードと新品の果物ナイフが設置されていた。

「馬鹿にするなー!リンゴ位剥けるわーー-!!それよりテメーらの不法侵入の方が問題だろーが!!」

他に誰もいない部屋でクリスは一人絶叫した。

~二期開始直前~

「クリスちゃんて、この部屋で果物切る役絶対譲らないよね」

響と未来が持参したリンゴをクリスが切ってテーブルに置くなり、響がそんな事を言い出す。

「そ、そうか?偶々だろ?」

「いやいや、クリスったらお料理師匠の私にもこの果物ナイフ触って欲しく無いみたいだし。誰か大切な人からのプレゼントなのかな?」

「未来まで!?いーや、そんな事はない。元々前の部屋からあった備品だ。」

「ソファーの上で寝そべってる時でも果物真っ先に切りに行く癖に」「クセにー!」

「うっさい!一言多いバカのリンゴは没収だ!」

「あー無体な~、未来も言ったのに~~」

 

②お料理レベル1→2

最初のうちは出来上がった料理がラップ掛けされていたが、最終決戦が終わって以降少しずつ変化が出来た。

まずは、後はフライパンで加熱調理するのみ状態の食材が提供され始めた。

「フライパンで焼くだけなのに消火器もって待機してんじゃねーよ!肩がはみ出してるぞ!ミニライデン!!」

その後、徐々にレシピ通りに一から調理することに成功。成功した一品をリビングにラップ掛けて置いた結果・・・

「聞いてくれよ未来!女の手料理への感想が『イマイチ(´-ω-`)』って事があるか!?」

「鉄のプレートにレーザーでコメントって犯人が一人しか居ない・・・」

「頼むよ。この屈辱は夕食会で完璧な料理を食わせて『美味しい』って言わせないと収まらねぇ!」

「私は良いけど、何時もの自衛隊さん達は?鰻のタレとお新香の味からして、あそこの人たちのほうが料理の腕上だと思うんだけど?」

「街の復興作業で忙しいに決まってるだろ。とても頼めねぇよ」

「そう言う事なら師匠役を引き受けましょう。クリスの可愛い勝利条件達成の為に!」

「か、可愛いって何の話しだ?」

「だってクリスっていつも『ぶっとばす』とか物騒な事を勝利条件にしてたのに、今回は『美味しいって言わせたい』って言うからそう思ったの。絶対にあの腹黒教師をぎゃふんと言わせようね」

「お、おう『美味しい』って言わせた後に模擬戦でぶっ飛ばして完全勝利してやる」

「クスクス、無理して『ぶっ飛ばす』を付け加えないの。」

 

③お料理レベル2→3

小日向未来の助言により、下ごしらえするとで質の向上にも成功。

「美味しい。美味しいよ!!クリスちゃん!!」

「少し手間でも全然違うでしょ?」

「雪音もやるようになったものだ」

「お褒めの言葉ドーモ。で?そこの粗探しをしようとしてる腹黒教師からは何かないのかなぁ?」

「・・・参りましたぁぁぁ!」

「勝ち負けじゃなくて一言『美味しいね』とは言えんのかこの馬鹿!馬鹿!馬鹿!(チョップ連打)」

「もう、先生も潔く『美味しい』って言ってあげて下さい。クリスが可愛そうですよ」

冷たい女子の視線に突き刺され、鏡音隼人は美味しかったと素直に宣言とイマイチって言ってゴメンねと謝罪した。

クリスはニカッとした笑顔で謝罪を受け入れて「分かれば宜しい。もっとレパートリー増やして毎日食わせてやるから待ってろよ・・・」

とまで言った所で顔を真っ赤にして寝室に引きこもってしまった。

「どうしたんだ、クリスちゃんは?」

「えーと、無事クリスちゃんの任務も達成した事だし、お皿洗ったら今日はお開きにしましょう」

「そ、そうだな」

いそいそと片づけを始める3人を隼人は不思議そうに眺めていた。




次回「翼:絶許! 天羽々斬」
その次「響:鏡音隼人、破れたり!」
の順番でお届けします


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第三十一話 翼:絶許! 天羽々斬

前回の動画以来、「サムネ」、「タイトル」、「構成を考える」+緒川さん参戦のおかげで風鳴のU-TUBER活動は順調に進んでいる。

だというのに今日の風鳴はやけに模擬戦で突っかかって俺にガン攻めしてくる。

「何だ?今の『蒼の一閃 絶許!』って!?」

まず、エクスドライブ状態じゃねーし、正しくは『滅破』だろーが。

「関係ありません。今宵の天羽々斬は『絶許! 天羽々斬』です!」

ちげーよ。おめーのシンフォギアは『絶刀 天羽々斬』だよ。

「そんなに怒らせる事したかね?」

「身に覚えがないとは言わせません。緒川さんと結託して私を面白人間に仕立てあげてることに気付かないと思っているのですか!?」

「しょ、証拠は?」

「雪音の証言によれば、一時、先生が飲むビールが値段の高い物に変わったとか?」

「ドキッ!?」

食事会で車を運転しない場合に一本だけ許されているビールタイム。まさか一々銘柄の値段見られれているとは思わなんだ。

※最終決戦の影響で隼人とクリスは隣り合わせのマンションに住んでいる。

「奇遇にも同じ銘柄の段ボールが緒川さんの車に入っているのを見たことがありまして。緒川さんは贈答品と言葉を濁していましたが、相手が先生だったとは」

ちょっとクリスちゃーん。ハンドサインで抗議するも

『うるさい!ビール瓶をこっそり大きくして飲む量増やそうとしていた報いだ』

『いや、違うんだよ。何時ものサイズのが偶々置いて無くて』

『んなわけあるかー-!!小学生の言い訳か!!大人しくボコボコにされちまえ!』

「未来、あの二人のやりとりなんだけど・・・」

「ダメだよ響。よそのご家庭の事に口出ししちゃ」

「いや、ご家庭以前にまだ付き合ってもいない筈だけど・・・」

「何時までよそ見をしているのですか!?今は私が話をしているんです」

鋭い斬撃で攻撃を再開してくる風鳴。今の状況と全然関係ないけど3人に共通していてる事があり、最近大分俺への攻撃に躊躇が無くなって来た。

まぁ、仮想空間&一定以上の痛覚カットとはいえ100回以上キルカウント稼がれたら容赦も無くなるか。

「緒川さんからビールを頂いたかどうかは別にして、言いたいことが有る」

「一応聞くだけ聞いておきましょう」

「面白人間に仕立て上げてるんじゃねぇ!そもそもお前が『面白人間』なんだ!」

俺が宣言すると同時に、ギャラリーが一斉に音声をミュートにして後ろ向きやがった。

「なん・・・だと!そんなはずは・・・皆、何で後ろを向いて音声ミュートにしてるの!?」

「残念ながらなぁ・・・早押しクイズに参加して反応速度0.15秒を記録しつつ、『断捨離』を滅茶苦茶怖い意味に解釈して答えてる人間は十分『面白人間』だ!!」

番組中でやってたキレッキレの投げ技ゼスチャーは確実に相手の首を××してるような動きだった。MCの芸人さんも「どれだけ物騒な技やねん!?」とビックリしていた。

あ、小日向がログアウトして逃げやがった。クリスちゃんは肩震わせて膝から崩れ落ちそうになってる。響は耳塞いでやがる。

「そ、そんな・・・私には歌よりバラエティがお似合いという事ですか?」

膝からペタンと崩れ落ちる風鳴。いやいやいや、深刻に考えすぎでしょーよ。

「違う違う。そもそもU-TUBER生活は都市機能回復してリディアンが再開されるまでの間って話だろーが」

「そういえば・・・だとしたら鏡音先生の狙いは?」

「簡単な事だよ。『風鳴翼をより多くの人に知ってもらう事』だよ。歌では随分と有名になって人気も出ただろうけど、今以外の層への認知度を高める必要があると考えてるんだよ俺も緒川さんも」

「認知度・・・ですか?」

「あぁ、何せ一度聞かせてしまえばイチコロ確定の歌声なんだから、聞かせてやる為には存在を知ってもらわないと・・・だろ?都合の良い事に本人は『面白人間』で人を惹きつけ易いと思うしな」

少々盛ってる気がしないでもないけど概ね本心を言ったつもりだ。

「///そう言う事でしたか。なら、緒川さん共々最初から言ってくれればいいのに。不承不承な所もありますが、U-TUBEもバラエティも少し、やる気が出てきました」

「そりゃ良かった。じゃあ模擬戦終わるか・・・ってアブな!?」

無事、相互理解が終わったと思ってVR空間を解除しようとした所で目の前にガトリングの弾丸が着弾する。

「ク、クリスちゃん?」

「ふーん、女を言いくるめるのがお上手な事で・・・」

滅茶苦茶怒りに燃えてるクリスちゃんがゆっくりとこちらに歩いてくる。

風鳴に救援を求めようるするも『絶許って言ったでしょ。今日は一人で解決してください。』なんてまたウインクかまして去って行きやがった。

結局一人で『そういえばクリスちゃんの歌を褒めた事無かった』って事に気付いて解決するのに偉い時間が掛かった。(;^ω^)もちろんビール増量は認められなかった。

 




次の日常アンケート開始しましたので回答いただければ幸いです(`・ω・´)ゞ


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第三十二話 響:鏡音隼人 敗れたり!

「隼人にタイマンで勝ちたいって?」

「はい、攻めて五分五分に持ち込みたいんです!!」

先のフィーネとの戦いで機能不全となった二課の仮設本部として用意された次世代型潜水艦のブリッジで、響は風鳴弦十郎にそう訴えかけた。

「あいつ戦闘となると容赦ないからなぁ・・・君達の戦闘記録は隼人から提出されたものを見せて貰ってる」

「酷いと思いませんか!?挑発しまくった挙句に爆発オチですよ!!」※第二十五話を参照

「他にも面白おかしく編集されたやつが届いてるぞ」

SCINE:①種●島宇宙センター

「うわー。宇宙センターに発射台が何故か3台あるー(白目)」

「何が何でも我々を宇宙に発射するつもりのようだな」

「カウントダウン5分設定とは舐めた真似をしてくれる。」

~4分後~

「ライデンAのアンカー伸びすぎぃぃぃ!!(ドップラー効果)」

「最初から立花一人が狙いだったか!?」

ロケットに放り投げられて綺麗に大の字で激突するや否や『ミニライデン』によってグルグル巻きにされて括り付けられ、哀れ宇宙に発射される響。

「き、気を取り直して『ライデン』を撃破するぞ!?」

「おうよ、発射したロケットの煙に紛れて姿隠してもすぐ見つけてやるぜ」

最近の戦闘でフィールドに隠れる『ミニライデン』を補足するためにのセンサー役が板に付いて来たクリスが両肩にカメラとセンサーを出現させる。

「ん!?発射台の裏に何かあるな」

何が有ってもいいように身構えて煙が晴れるのを待つ。晴れた煙の中から出てきたのは・・・

「ぶっ!?×2」

立花響が漫画肉を頬張っているデフォルメ画像の看板が姿を現した。(写真は酷いと思ったらしい)

索敵への集中が切れた瞬間に看板の裏から発射された「バイナリー・ロータス」に問答無用で翼とクリスはゲームオーバーとなった。

 

SCINE:②市街地

市街地の戦闘で真っ先にクリスを撃破されてしまい、索敵手段をほぼ失った響と翼。二手に分かれて『ライデン』を探すが、中々見つからない。

「そりゃそうだよなぁ・・・真後ろにいるんだから」

「ち、違うんですよ師匠!シンフォギアって音楽流してるから中々後ろの変化に気付けないんです!」

「いや、これは普通に索敵をクリス君に頼り過ぎなせいだろう」

「あううぅ・・・orz」

「カメラやセンサーは難しいにしても・・・どうだ?地面を殴って振動の伝わり方で地上の敵位なら索敵出来そうじゃないか?」

「おぉ!流石師匠!今度やってみます」

後の、ヴェノム・スネーク・タチバナ誕生の瞬間である。

 

「ま、模擬戦の感想はさておき、客観的に見て君達の実力は君たちが思う程劣る物ではない。世辞や贔屓目無しでだ」

「えー、本当ですか?確かに最近は随分マシになりましたけど1on1は勝率2割位ですよ」

「要は相性の問題だ。『ライデン』は全身アームド・ギアというべき性質上、消耗が早い短期決戦型だ。その短期決戦の中で自分の力を最大限発揮する駆け引きが上手だから実際の実力差以上の戦績になっていると俺達は考えている」

「なんか・・・ウル●ラマンみたいですね。」

「あー、それに関しては本人から『ウ●トラマンより戦えるわ!』って伝言を預かってる」

「私と師匠の会話まで予測しなくて良いんですよ!!あの人はーー!!」

「兎も角、五分五分に持ち込みたいと言うなら師匠として付き合わない訳にはいくまい。今から特訓だ!」

「はい!!」

~  香●国●警察 NEW POLICE STORY 視聴中 ~

「これだぁ!!」

「うお!?どうした響君?」

「見つけましたよ!隼人さんを倒す策!『鏡音隼人 敗れたり!』です!」

「そ、そうか?」

「やっぱり映画はなんでも教えてくれるんですね!ありがとうございました。今夜早速ためしてみます!!」

ダッシュで去って行く響を見送りながら弦十郎は首を捻る。

「はて?挑発して近接に持ち込むのは良いが・・・あのセリフをそのまま言うと『ハッター』が出て来るのではあるまいか?」

弟子の次の来訪が近い事を予感して、弦十郎は参考になりそうなアクション映画の選定に入った。

~模擬戦中 STAGE:コロシアム~

「なんでハッター軍曹が出て来るの~!!」

「お前が『この間の続き』って言っただろーが!」

結局、再び真空近接の理不尽さに敗れた響は速攻で師匠の元に戻る羽目になった。

 




アンケート回答ありがとうございます。
ちょうど1位になったので次回はダイレクトリマッチで「 響:VS 『真空近接』」。
次は「(12) クリス:2回生特進クラスの日常」、(4) 翼:風鳴翼のモーニングルーティーンの順となります。


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第三十三話 響:VS 『真空近接』

~二課仮設本部 ブリッジ ~

ブリッジのモニターに映し出されるのは昨日行われた模擬戦の映像。それをシンフォギア奏者3人と司令官である風鳴弦十郎が見上げている。

「まぁ、何と言うか・・・見事に予想通りの展開になったな」

「ううぅ面目無いです」

「しかも『ハッター軍曹』が出てきて暫くはサービスタイムで映画と同じ動きしてるからって調子に乗ってその動きに乗っかる始末」

「映画と同じ三角飛び蹴り決めた時とか完全に『真空近接』の存在忘れてたよな。ここで全力右ストレート打ってれば勝ったんじゃねーか?」

「あぅあぅあぅ、皆さまの言う通りです。油断した私が悪いんですぅぅ!!」

弦十郎、翼、クリスの三人に次々と痛い所を指摘されて膝から崩れ落ちる響。

「せっかく近接に誘い込めると思ったのに『ハッター軍曹』出て来るなんて考えて無かったよ~」

「そもそも映画を知られてた時点で誘えていない件について」

「お前が口先大魔王の隼人を挑発するのに無理があるんだよ。真っ直ぐ突っ込んでいった方がまだ勝率高いぞー」

「『口先大魔王』とは手厳しいが、クリス君の意見が一理ある。俺の策を授けてやるからトレーニングルームで特訓だ!」

「はい、師匠!!ありがとうございます。」

~当日夜 VR戦闘空間 闘技場~

『連日挑戦とはいい度胸だ!!今日も貴様を粉砕する・・・ぞっ!!』

リング中央に陣取るは『ハッター軍曹』(いや、鏡音隼人ですが)。早くもトンファーを振り回して真空近接を連打する気満々をアピールしている。

なんか夕方に新しい二課仮設本部の食堂をチェックに行った時に弦十郎さんから「今日の『模擬戦』は気を引き締めてかかった方が良いぞ」なんて言ってたから昨日よりはマシな策があるのかな?

「今日こそはその『真空近接』を破って勝たせてもらいます」

地面(というか石畳のリング)を力強く踏み抜いて亀裂を作りながら気合を見せる響。

「頼んだぞ立花!今日こそお前の拳を叩き込んでやれ!!」

「ま、負けたらすぐにアタシらが敵とってやるから訓練通り、気楽にやれよ!」

激励を済ませると飛び上がってギャラリー席の小日向の元に向かう二人。

「うん!二人共ありがとう。絶対に勝ちます!行くぞハッター軍曹ぉぉぉ!!」

「何するものぞ!!シンフォギアァァ!!」

『Coliseum Get Ready』

試合序盤から前日とは違うトンファーと回転蹴りの連打が響を襲う。

「『真空近接』を抜きにしてもやっぱり隼人さんは射撃だけじゃなくて格闘も速くて鋭い。しかもまだ本気じゃない!」

「当ったり前だ!俺のてっぺんはまだまだこんなもんじゃねーぞ!!」

「うぉーい!!よりにもよって人の黒歴史セリフをパクッてんじゃねー!!」

ギャラリー席からクリスちゃんの文句が聞こえるけど当然無視して格闘戦は続く。

「そらそらそら!!策が無いなら今日も『トンファーキック』で終わらせるぞ!!」

打撃のスピードを上げて追い込んだ上で、真っすぐ下がるしか無くなった所にトンファーキックを叩き込む!

「フィニーーーシュッ!!ってあれ?」

なにやら硬い物に防がれている感触に蹴ってる場所を目視すると・・・

「盾!?」

『いや、剣だぁぁぁ!!』

響とギャラリー席からの翼の声がハモる!!地面の亀裂から取り出した翼のアームド・ギアを盾に俺の渾身のトンファーキックを防いでいる。

「ルール④:ステージ内のオブジェクトは利用可能ぉぉ!!!」

ルールを叫んで自分の正当性を主張してキックを受けきる。

「試合前に地面に亀裂入れてたのとギャラリーの二人がシンフォギア纏ってたのはこの為か!?だがもう、お前を護るものは無いぞ!!」

役目を終えた剣が消えるのと同時にトンファーで止めを刺すべく突進する。が、響はさらに亀裂の中に手を伸ばす。

「クリスちゃんのライフル銃だとぉぉ!?」

「私は銃をぶん投げるぅぅ!!!」

小さいモーションで力強く投げられたライフル銃をとっさに回避する・・・が、当然そこには

「これで!終わりだぁぁ!!!」

久々に響の最大威力の右ストレートを喰らって、空中の電光掲示板と電子が響の勝利を告げる。

「やれやれ、完璧にやられたな」

ゲームオーバーからリスタートしてハッターから鏡音隼人に戻って感想を呟く。響もギアを解除してこっちに歩いてくる。

「いや~、タイマンで勝ちたいって話だったのに、途中から全然方向性変わっちゃって済みません」

「べつに、ルール内で相手の意表を突いて自分の最大火力をぶつける。何時も俺がやってることだろ?」

「えへへ、何時か純粋なタイマンでも互角になって見せますね!」

「ノイズから逃げ回る事しか出来なかった奴が・・・随分強くなったもんだ。ま、しばらくは簡単に負ける気は無いけど頑張れよ」

そう言って右手を差し出す。

「はい、これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」

明るい笑顔と返事で俺の手を握り返してくる。その後の模擬戦は、いずれもクリーンで爽やかな内容となった。




次回「クリス:2回生特進クラスの日常」


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第三十四話 クリス:2回生特進クラスの日常

「ねーねークリスちゃん。『特進クラス』ってどんな授業やってるの?」

ある日の夕食会のデザートタイムに、響がそんな質問をクリスに投げかけた。

「何だ?藪から棒に。隼人が居る時に隼人に聞けよそんなの」

「いや~隼人さんは確実に盛るから、ありのままの姿を聞きたい訳ですよ」

「そう言う事なら答えるけどさ・・・基本的に授業内容は変わらないらしいぜ。『成績高い』+『希望者を募る』を実行すると、どの年でも大体1クラス分の人数になるんだとさ」

続けてクリスは『特進クラス』の今日の日常風景を語り始めた。

SCINE:①公民-現代社会

多様性ある人間同士の個性を受け入れ・共存共栄するという「ダイバーシティ&インクルージョン」の話をしていた時の事。

「はいはーい。先生しっつもーん!!」

元気に質問をしてくる問題児グループの自称『ギャル&可愛い物愛でる担当』こと姫宮の質問を許可する。

「つまり、この考えが浸透した世界線なら、私は可愛い女の子をハグし放題という事ですね!!」

(教壇から手持ち看板を取り出して)『ちがう、そうじゃない』

「では先生!僕から質問だ!!」

今度は問題児グループの自称『右ストレートでぶっ飛ばす担当』こと雨宮が質問してくる。

「つまり、悪人を発見したら『雨宮ファイト』を仕掛けても」

「犯罪を見つけた際は警察に通報するようにお願いします(`・ω・´)ゞ」

レッド●ンはお帰り下さい。

キーンコーンカーンコーン

「では授業を終わります。いきなり振った割にはまぁまぁのボケありがとうな」

「ぶーぶー!その割に感謝の気持ちが足りないー-!!」

「そこまで言うなら先生が僕達を笑わせてもらおうか!!」

「・・・『風鳴神拳奥義 断捨離!!!』」

(教室大爆笑!)

「(ガラッ!!)鏡音隼人ぉぉ!!そのネタ禁止って言ったでしょぉぉぉ!!」

「やっべ本人来やがった!じゃあ皆さん次の調理実習を楽しんでねー--!!(窓から逃走)」

 

SCINE:②調理実習

「ちくしょー!!笑うまいと心を冷徹モードにしたのに『断捨離』は卑怯だよぉぉ!雪音さん。何でも良いからぎゃふんと言わせたいよー!!あの男に何か弱点はないの?」

「アタシに聞くなよ。お前らの方が付き合い長いだろ?」

姫宮からの問いかけに気のない反応を返すクリス。

「だって『学校の外に友人や知り合いは居ない』と豪語してた先生が唐突に自分の名前で推薦した雪音さんなら何か弱点を知ってるんじゃないかと思って」

「そんな悲しい宣言してるのか!?って弱点と言われてもな。」

具材を切り終えて煮込む間に考えるが特に弱点という弱点が見当たらない。

「んー、お得意のハグでドキマギさせたらどうだ?」

「Non。現3回生の超ナイスバディなモデルの先輩に散々鍛えられてちょっとやそっとの女ではドキマギしなくなったと聞くわ」

「ほーう、その話は後でkwsk。じゃあアイツのボケに被せてもっと面白いギャグで敗北感を味合わせる」

「Non。今の奴には『断捨離(風鳴翼の声Ver)』がある。到底勝てる気がしない」

「余計な事してくれたなぁ人気者・・・」

「それならいっそ僕の鉄拳を・・」

「「それは現在90連敗中なんだから止めたら」」

「のぉぉぉ!!残酷なカウントをするのは止めてくれぇぇ!最近さらに強くなってて追いつける気がしないんだぁぁ!!」

そりゃほぼ毎日接近戦バカ+SAKIMORIとガチンコスパーやってるからなぁ・・とは言えないクリスであった。

 

SCINE:③音楽ー合唱

「って歌の授業に何で鏡音先生が居るんですか?」

「んー、ちょっと先生に頼んで来年の卒業式で卒業生(風鳴翼)を泣かせる歌をお前らに歌ってもらおうと思ってな」

ピアノの先生に楽譜を渡して去ろうとする隼人の肩をクリスがガシっと掴む。

「ま・さ・か、楽譜渡してサヨナラなんてしないですよね?鏡音先生?」

クリスのハンドサインに反応して次々と女子達が隼人を取り囲み、逃げ場を失う。

「鏡音先生の美声によるお手本期待してまーす♡」

逃げるスペースが無いのを良い事に思いっきり胸を押し付けて抱き着いて煽って来る姫宮に隼人は「ぐぬぬ」と逡巡しながらも、結局教え子たちの要求に屈した。

※クリスは逆サイドから同じことをするべきか悩んでいたようだが、結局踏み込めずに友人トリオ(綾野、五代、鏑木)に慰められていた。

「桜の花が~さーきみだーれ~♪大き目の制服を着て~♬」

~見本終了~

「って何でお前らが泣いてるんだ!?」

「ひ、酷いよ!こんな曲を卒業生に聞かせて泣かせようとするなんて!!」

「「鬼、悪魔、鏡音先生!!」」

「ちょっと待てい!『人でなし』の代わりだけはマジで止めて」

理由は自分自身でもわからないが、猛烈な嫌悪感からマジ顔で苦情の声を上げる隼人であった。(ちなみにクリスは涙の元栓を締め忘れたかのように泣いており、3人の介抱を受けていた)

 

~回想終わり~

「な、別に普通だろ?」

「普通とは一体!?絶対クリスは先生に毒されてるよ!?」

「問題児グループの方が登場してる2名の時点で濃いな~。もちろん成績は?」

「極めて高い。倫理観に反比例して成績が上昇する不可思議な人種だな」

「さらっと流されているが、卒業式に泣かされる予定になっている件について」

今日も彼女たちの日常は平和だった。




またもや日常編アンケート回答に回答いただければ幸いです(`・ω・´)ゞ
そろそろ2期行くか?

使用楽曲:それぞれの未来(あした)へ
アーディスト:中司雅美




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第三十五話 風鳴翼のモーニングルーティーン

今日は何時もの食事会に緒川さんをお招きして残り少ないU-TUBE生活の締め括りにふさわしい動画を撮影したので、そのお披露目会だ。

「話には聞いていましたが隼人さんは本当に料理がお上手なんですね。翼さんが歌番組以外のゴールデン帯を開けたがる理由が良く分かります」

「いい時に来ましたね。今日の鯛めし&卵焼き&お新香(ブラウニー提供)コンボは自信作でして」

「指令から聞いた話では仮設本部の食堂の梃入れにも一枚嚙んでいるとか?」

「はい、期待して貰って良いですよ。二課の食堂を『自衛隊 対ノイズ特務部隊』に並ぶ飯処に育て上げて見せます!!」

「おめーは関わる人間を片っ端から変な方向に育て上げるな!差し入れのスイカ切ったから始めようぜ」

クリスちゃんが俺の頭を叩くと、小日向と響がスイカを全員に配膳する。

「じゃ、緒川さんからの差し入れを有難く頂きながら始めるか」

テレビをネットに繋ぎ風鳴のU-TUBEチャンネルを表示させる。その後緒川さんがチャンネルにログインして未発表の動画を再生する。

~ 風鳴翼のモーニングルーティーン ~

08:00 起床

『学校が始まればもっと早くに起きなければいけないけれど、今の私はこの時間の起床に甘んじている。学校が始まった時にどうなるか心配だけど、それに関しては未来の私に任せるとしよう』

08:10 ストレッチ(蠟燭の火消し)

『モーニングルーティーンというと皆さま色々なストレッチをやっているものだけれど、私の場合はこれが一番。全部を綺麗に消せると、根拠も無く何かいい事ありそうな気分になります♪』

※風鳴翼は特殊な訓練を受けた上でこの行為を日課としております。絶対にマネしないで下さい。

08:20 朝食

『少しお恥ずかしい話ですが、料理の腕も平凡な私は特に拘り無く普通の和食です。現在練習中なのでお料理番組等で皆様に見せれる日が来たら良いなぁ』

08:40 U-TUBEチェック

『マネージャーからあまり見過ぎないように言われてるけど、どうしても気になってしまうアナリティクスの数字の確認。先日のロケで漁に行く動画が好評だったのは嬉しいのですが、日本海には行きたくないのでコメントでリクエストは控えて下さい。本当にお願いします』

09:00 スケジュールチェック

『今日は久しぶりにスタジオで新曲の収録。大変な事が続きましたが、一人でも多くの人に聞いてもらえてら嬉しいな。後、私は『断捨離の人』ではありません。風鳴翼です。風鳴翼をどうか宜しくお願い致します。』

9:10 メイク

『これも苦手項目の一つ。しかもお勧め品が増えるばかりでどうしたら良いかが悩みの種だったのですが最近、私と同じく化粧っ気の無い後輩が出来たので勉強+新しい楽しみに変化しています』

9:30 出発

『件の後輩達とルナアタック事件前に買い物に行った時に購入した服を着て収録に出向かいます。近々このチャンネルで1番のみ先行公開しますので聞いていただけたら嬉しいな。それでは行ってきます。』

画面に映る風鳴が可愛らしくカメラにウインクして玄関から出て行った。画面には 『See you in the next video』のテロップが流れる。

・・・その10秒後、再び扉が開き戻って来た翼がカメラに向かって半眼でズカズカと近づいて来る。

『何ですか!!この茶番!?』とカメラマンに文句を言い始めた所で画面がブラックアウトし動画が終了する。

 

「清々しいまでに全部嘘だー-!!」

「和室→和室→でいきなり高級マンションの化粧室という不自然!!いや、翼さんレベルだとそんなおかしな物件も用意できるかもしれないけども」

「嘘じゃないのは最近やたらとこの面子に化粧品渡して来る事ぐらいじゃねーか!!飯も隼人製だな?動画の中で卵焼き食ってる時の表情がさっき卵焼き食ってた時と同じだもんな」

次々と放たれるダウトコールにまたもや悶絶してゴロゴロ床を転がる歌姫(断捨離の人)。

「せっかく制作したのに・・・やはり公開は断念でしょうか?」

「いや、全ては視聴者に委ねましょう」

俺からの提案は簡単な話、モーニングルーティーンの動画を15秒に短くした予告編動画を用意して緊急生放送動画を配信してアンケートを実施。

動画を見たい派が見たくない派の2倍行かなければ動画はお蔵入りで風鳴のリクエストに答える動画つくりを約束するという物だ。

~ 風鳴、緊急動画配信中 ~

「あの~、隼人さん?これってもしかしなくても最初から結果が見えているのでは?」

リビングで必死にファンに対してメッセージを送る風鳴をキッチン内から皆で見守ってたら、響が声を掛けて来た。

「でも、ちゃんと抗うチャンスは与えてるだろ?」

「鬼、悪魔、鏡音隼人!」

「小日向マジでそれ止めて。最近特進クラスの連中にも言われたんだけど何故か『人でなし』扱いされると悪寒が走るんだよ!」

「嫌なのに行いを改める気は無し・・・と。(チョップ連打)ちょっと前のアタシも、外から見たらあんな感じだったのかなぁ?」

なお投票結果はトリプルスコアを超える結果に終わったとだけ記しておく。




翼:「く、これが人類の相互理解を阻む『バラルの呪詛』だと言うの?」
月遺跡:「知らんがな」



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登場人物設定※二期開始時点


人数多いので随時追加していきます。
本投稿もそのうち場所を変えます


No1 「鏡音隼人」

 

年齢:24

誕生日:10/31

身長:176cm

特技:料理、裁縫、他人の粗探し、声真似

好物:卵焼き、コロッケ

宝物:卒業生達からの手紙

最近の悩み:月を護ったのは正しい行動だとハッキリ言いきれるのに何かマズい事をした気がする。何でだろ?

 

特殊技能:①未知の聖遺物である仮称『V ディスク』を使用して全長3Mのバーチャロイド『ライデン』を纏うことが可能。

     ②「チュートリアルモード」と呼ばれる機能でディスクの周辺の人間をVR空間に誘いリアルかつ無限に近いパターンの戦闘体験を行う事が可能。

     ③本編開始前に有していた、『空間転移』と『自身の偽装体作成&操作』に関しては現在失われている模様。

     ④本体より小型な全長50㎝の『ミニライデン』を操作or命令して使役する事が可能。

⑤『ライデン』の剰余エネルギーを使用して他者のケガを治す「レスキュー」機能を搭載。

     

※①最終決戦のエクスドライブ化により、フォニックゲインを元に起動していることが証明された為、正式に第四号聖遺物として認定申請中

※⑤この機能には謎が多いが、ケガ人が必要な機能なので中々実験は難しく、研究は進まずじまいである。

 

来歴:2年前の『ライブ会場の惨劇』直前にリディアン音楽院に採用された教師。

採用の経緯は、当時の生徒会を仕切っていた『特進クラス』の一部生徒(生徒会長)が『新任教師の選考に参加させてほしい』という要求を出し、理事長が受け入れた事で実施された少し特殊な採用試験の結果選ばれた。

ただし、本人はその辺を詳しく聞かされていない。

当初は学内でもかなり物議を醸したが、隼人と『特進クラス』生徒達は特に成績を下げる事無く2年間を乗り切っている為、3年目の現在では若輩者だからという理由で隼人にケチをつける人間はほぼ存在しない。

それと同時に『ライデン』を駆使して東京の街を2年間守っていたヒーローでもある。

転生者である自覚はあるが、その記憶が戻るタイミングも量も中途半端で『役に立たんなぁ』と思ってることが多い。

※この思いは、二期開始時点で爆発する。

 

 

No2 「雪音クリス」

 

年齢:16

誕生日:12/28

身長:153cm

特技:射撃武器全般

好物:あんぱん、牛乳、鰻

宝物:最終決戦直前に皆からもらった「メッセージカード」

最近の悩み:他の卒業生の話は沢山するのに、肝心の『当時の生徒会長』の話題を徹底的にはぐらかす隼人にモヤモヤしている。

特殊技能:①第二号聖遺物『イチイバル』のシンフォギア奏者

     ②鏡音隼人とのVR演習で散々索敵役を務めたおかげで、索敵技術が向上。リフレクターを使用したレーザーによる広範囲索敵が可能。それ以外にも、消費は高いが高性能の多機能センサーポッドを作成するスキルを獲得。

 

来歴:アンケート結果により、本編ヒロインの座を獲得。本編より少し早い段階で隼人に雇われる形で二課サイドに参戦。

隼人の推薦により、2回生特進クラスへの編入を果たす。本編より先にクラスメイトと昼食をとる等打ち解けているが、偶にサボってあんぱん&牛乳で済ませているのはご愛敬。

平日はほぼ毎晩開かれている夕食会の会場主。果物を切る係は誰にも譲らない。

最近、ブラウニーの侵入範囲が玄関にまで減って来た。




アンケート回答ありがとうございます。一位は翼だったので次回は「リベンジ・オン・バラエティ」です。
その次はクリス→響と続きます。
新しいアンケート用意してますので回答いただければ幸いです(`・ω・´)ゞ


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第XX話 調IFルート① 未来調の食卓戦争(前)

鏡音隼人と月読調。はじめは敵として出会いながらも徐々に絆を深め合い、愛し合うに至った二人が出会ってから早15年。(結婚してから10年)

今、鏡音家の食卓では空前絶後のバトルが勃発しようとしていた。

普通の家では中々お目にかかれない2キッチン1ダイニングという間取りの広い家の中に有って、この家の長男(隼人似の10歳)と長女(調似の9歳)は狭い檻の中に閉じ込められた気分でダイニングの椅子から一歩も動けずにいた。

「おにいちゃん。怖いよぉぉ!!」

「泣くな!俺だって怖い!でもまだだ。母さんの誘惑に負けて父さんが全面降伏する確率が0.01%位ある!!」

「望み薄だよぉぉ!!」

事の始まりは30分程前。S.O.N.Gの長期任務から帰還した隼人を家族で温かく迎えるという温かい風景が広がっていた。子供達の口から以下の発言が出るまでは。

「パパー!卵焼き作ってー!!」

「あ、ずりーぞ!俺も俺も!!父さんの卵焼き食べたいー」

「ほう?君たちは俺の卵焼きを食いたいかね?頼めば調が作ってくれるだろうに」

「「それはそれー!これはこれー!!」」

兄妹仲良く笑顔で唱和する。

「だ、そうだ。調、今日の夕飯に俺の卵焼き入れさせて貰って良いか?」

「鏡家の食卓を預かる妻として却下します」

さっきまで子供達といっしょに優しい声色で一家の大黒柱を出迎えていた妻とは思えないくらい絶対零度の低い声による返答に子供達の背筋がピンと伸びて、命じられた訳でもないのに直立不動になる。

「まーまー、そう言うなよ。久々の家族水入らずの食事で子供達からのリクエストだぞ?」

「卵焼きだけは断固として反対します!」

「まだ昔に言ってた『貴方の卵焼きを絶対追い越す』って言葉諦めて無いの?」

「昔じゃありません。たった15年前です!」

力を込めて反論する調にやれやれといわんばかりに煽りに走る隼人(39歳)。

「そんなにつっかかるなよ。子供達だって『別物』として扱ってくれてるじゃないか」

「だとしてもっ!!『鏡音調』として引けない一線がある!」

「決闘か?」

「否!これは『戦争』だ!!」

かくして鏡音夫妻による「卵焼き戦争」が勃発した。

・勝負『卵焼き一品対決』

敗北時罰ゲーム

鏡音調 :「×××××××(自主規制)」

鏡音隼人:「自分のキッチン全部を調に譲渡」

「どうしてもやるんだ隼人?いいんだよ、家族の前では強がらなくて。仕事が忙しくて料理の腕が落ちて、キッチンが持ち腐れになってもちゃんと私が使ってあげるから。それに罰ゲームなんて用意しなくても隼人を好きな方法で慰めてあげるよ♡」

29歳にして10台の頃とほぼ変わらぬ容姿でありながら、並みの成人男性が直視したら一撃で魅了されそうな妖艶な微笑みを浮かべて一家の大黒柱である隼人の前に立つ調。

しかし、受けて立つは現人類最強レベルの『勝負師』の一角。一歩も引く気は無かった。

「おやおや、戦争と言っておきながら口で解決しようとは恐れ入る。もちろん和解に応じるのはやぶさかじゃないが、勝てる勝負だから、降りる気はない」

「あっそ!私が勝ったら反省するまで一緒に寝てあげないから。子供達も取り上げるから一人寂しくベッドで反省しなさい!このエロガッパ!!」

隼人の返答にムスッとした顔で言い返して自分のキッチンに歩いていく調。

「終わったー!!分かってたけど終わったー!!つーか、エロガッパって何を要求してんだ!?」

「?」(不思議そうな顔)

不思議そうに首をかしげる妹を他所に抗議のハンドサインを送る長男だが。

「やったな!息子よ。家族が増えるぞ」というストレート過ぎる答えが返って来て、ガックリとテーブルに突っ伏す。

「ホントに少し自重しろよ。クソ親父ぃ」

『Double Kitchen Get Ready!』

長男の愚痴をかき消す、機械音。鏡音隼人の十八番である「メカメカしいバトル開始音」が両者の戦闘開始(?)を告げる。




思いのほか未来IFのリクエストが多く、翼の話の前に入れてしまいました。
引き続きアンケート回答いただければ幸いです。(`・ω・´)ゞ


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第XX話 調IFルート② 未来調の食卓戦争(後)

スタートの合図と共に器具を用意して卵3つを素早く器用に割って溶きほぐしてこし器で何回かこしていく。

ついついすぐに焼きたくなってしまう物だが、このひと手間がふわっとした卵焼き作りには必要なのである。

「つーか、両方ともうっま!!卵の割り方の時点でついて行けないんだけど(汗」

「えー、おにいちゃんぶきっちょ。私できるもん!」

「HAHAHA、誰かさんみたいに玄人ぶって一定確率で卵をダメにしたくないからな・・・ってなぜ頬を引っ張る!?」

兄妹喧嘩してる間も、二人の工程は止まらない。卵焼き器を温めた上で3回に分け丁寧に気泡を潰して、焼いて折って次の液入れての工程を繰り返して完成形に近づいて行く。

最後に側面を焼くことも忘れない。そのまま切って皿に盛りたい所だが、そこはグッと我慢してペーパータオルで包み、まきすで巻いて熱を取る。

ここまで工程スピードはほぼ互角。最後の熱が取れたと判断して皿に盛るタイミングの見極めが勝負・・・と調は考えているのか包丁とお皿を用意して身構えている。

(あれ?父さんは何でなんの準備もしてないんだ?)

調と違い、包丁こそ手にしているが、動きの無い隼人を不思議に思うが、調は集中しているのか全く気付いていない様である。

先に動いたのは調だった。素早く卵焼きを切り分けて皿に盛り、子供たちが座るテーブルに向かう・・・が

「ほい!怖い顔してないで一口食えよ」

横槍ならぬ横玉子焼きを喰らって活動停止する調。険しかった表情が見る見るうちに柔らかくなっていく。

「ん・・・美味しい。もっとちょうだい」

キッチンから切り分けた卵焼きを持って出て来た『ミニライデン(512N2)』が差し出した皿から次々と卵焼き手に取って食べていく調。隼人も調の皿から卵焼きを取って食べている。

「あ、あれ?お母さんの機嫌が直ったのは良いんだけど、俺達に食べさせる勝負じゃないの?」

「そんなこと一言も言ってないぞー。それにしても調も上手くなったもんだ。差なんて無いんじゃないの?」

「最初っからそれだけ言ってくれれば良いのに。隼人は何時も一言余計。お仕置きするから付いて来なさい」

皿の上の卵焼きを全て食べ終えると、ガシっと隼人の腕を掴んでリビングから連れ出そうとする。

「ちょっと!母さん!?俺達のごはんは?家族水入らずの夕食は!?」

「明日から本気出すから今日は『ジェネリックご飯』で我慢して」

調が指さした方向にはキッチン前で『おさんどん担当』という手持ち看板を掲げる『ミニライデン(512N2)』がやる気満々で待機していた。

「あー、まぁ母さんの決定なら仕方ない。ちゃんと明日相手してやるから」

「ちきしょー何時もこのパターンだ!母さんに搾り取られてミイラになってしまえ!!」

「ぶー、今日は譲るけど明日はネズミーランド行きたーい!」

「おう、お父さんにまかせーい!」

子供達に背を向けたとたんに二人の世界に入ってリビングから出て行く。

『お客さん。ご注文は?隼人の旦那が残した卵焼きもあるけど食うかい?』

「・・・食べる。後、生姜焼き定食」

「あたしもたべるー」

『へいへい、ちょっと待ってな~』

スィーっとホバー移動でキッチンに去って行く『ミニライデン』を見送りながら、テーブルに突っ伏す長男。

「はー、疲れた。最初っからイチャイチャしてくれればダメージ少なくて済むのに」

「お兄ちゃん。一ついい?」

「何?」

妹からの質問に何とか顔を上げて応える。

「お父さん、お仕置きなのに何で嬉しそうなの?出張から帰ってくると初日はいつもみんなで寝れないし・・・」

「とうとうこの時がきたー-『ミニライデン』助けてー!!」

レスキューを求めるも『403 Forbidden』と書かれた看板をキッチン前に設置して応えてくれず、黙々と食事を作っている。

「変な所で権限設定してるんじゃないよー-!!」

翌日、ネズミーランドに着いた時点で、長男はかなり疲労の色が濃かった。よほど追及が厳しかったらしい。

それでもちょっと調に甘えて優しい言葉かけて貰った途端に元気になる辺りは隼人の息子らしい。

結局、鏡音家に新しい家族が増えたかはまた別のドタバタ劇で語るとしよう。




「隼人、何処に向かって喋ってるの?」
「物語締めてるんだって!」
「???」

ー-------------
閲覧&アンケート回答ありがとうございます。未来IFが好評なので早めに全キャラ分出したいと思います。


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第三十六話 翼:リベンジ・オン・バラエティ

清々しいまでに嘘とCG技術で塗り固められたモーニングルーティーン動画が最大の再生数となり昨日までは遠くを見ながら『決別だ・・・歌女であった私に』

とか宣ってた風鳴であったが、新曲『Synchrogazer』のshort PVが今まで上げた全ての動画の再生数を上回るという快挙を果たしたと知った途端に、偉く上機嫌になっている。

具体的には、食事会に中々いい店の特上寿司テイクアウト(桶入り)を複数持って来ているほど舞い上がっている

「ここ数日、皆に気を使わせてしまったからな。はしゃいで多めに買ってしまったからどんどん食べててくれ」

なんてにやけ顔を隠さずに言ってやがる。

「昨日泣いてたカラスがもう『絶笑』してやがる」

とはクリスちゃんからの厳しいお言葉。しかし、それもそのはず。

昨晩このPVがアップロードされるまでには、いつも通りのドタバタ劇があったのだ。

~ 前日 クリスの部屋 ~

俺と緒川さんは居なかったが、先日の『モーニングルーティーン動画』同様にshort PVも皆に見せて、こちらは絶賛された。しかし・・・

「どうしよう皆!?後はこの『公開予約』のボタンをクリックするだけなのに・・・どうしてもマウスをクリック出来ないの!!!」

「翼さん!大丈夫です!頑張れ頑張れできるできる絶対できる頑張れもっとやれるってやれる気持ちの問題だ!頑張れ頑張れそこだ!そこで諦めるな絶対に!頑張れ!積極的に!ポジティブに頑張る!頑張る!!」

「修●乙。というか響うるさすぎ!文句言われるのクリスなんだよ!?」

「馬鹿はうるせーし、人気者はチキンだし、しょーがねー奴らだな。ちなみにこの部屋防音処理は特別製らしいぜ。だから五月蠅くして良い訳じゃ無いけどな」

響の頭をグリグリ締め上げながらどうした物かと頭を抱えるクリスちゃん。(抱えて無いけど)

「面目ない。どうしても動画をアップロードする時は緊張してしまうのだ」

「初期のあんな圧のあるサムネ(現在は差替済)動画を恥ずかしげも無くアップロードしてた奴のセリフか!?」

「あ、あれは初心者の頃の話だ!?徐々に慣れてきて、普通の企画動画を上げる分には、再生数がどれくらい行きそうとか、ネガティブ/ポジティブの反応も予想がつくようになったのだが、U-TUBEには昔のPVを少しかアップしていないから、音楽動画は実質初めてで世間の反応が読めないんだ」

「中途半端にU-TUBERに慣れた挙句に本職の自信失ってどうするんだか・・・完全に隼人の言ってた通りの展開じゃねーか」

「ぐっ!やはり予測されていたかorz」

「『気楽にアップしなよ。しくじったら一緒に謝ってやるさ』だとさ」

「どうでもいいが何故老婆口調!?」

「知らねーよ!なんか元ネタがあるんだろ。一々あいつの趣味の範囲はカバーできねーよ」

いいからはよ押せと言おうとした所で響が思わぬ行動で出た。

「不肖!立花響!!翼さんの背中を後押しさせていただきます。」

そう宣言すると風鳴の後ろに回って背中に手を当てた。(ホントに押したわけではない)

「「それじゃ私たちも」」

小日向とクリスちゃんも続いて背中に手を当てる。

「3人共ありがとう!!」

風鳴の表情が明るくなり、ようやくクリック出来そうな精神状態になった所で俺が到着した。

「ちわーっす。ちょっと遅れて済まんな。ちょっとタレ作りに手間取ってな。今日は鰤の照り焼きを・・・ってまだ投稿してなかったのか?こんなもんさっさと投稿しろよ。」

風鳴からマウスを奪い、カチッと予約投稿ボタンをクリックしてキッチンに入り調理を始める。

「( ゚д゚)ポカーン」×4

昨日の食事会は、何故か食べ物はホカホカなのに空気は氷点下だったとだけ記しておく。

~ 回想終わり ~

「さぁさぁ先生も食べて下さい。やはり先生が提案してくれたPV最初の廃墟の街を歩く演出が好評だったみたいです。」

「結局あれ採用になったんだ。ウケて何より・・・てか高級寿司うっま!?」

いやはや、女子高生と若輩教師が食って良いお寿司じゃないぞこれ。小日向と響は雲丹食ってカルチャーショックによってダウンしてる。

それを見て吸い寄せられたクリスちゃんもまた、食った瞬間にダウンしかけながらも手に取った2貫を仏壇に持って行って供えた所で力尽きた。

うわごとで「私たちが今まで食べてたウニとは一体・・・」とつぶやいてる。

仕方ないね。雲丹はピンキリだから。(多くは語るまい)

「しかし、動画が好評なのは良い事だが・・・お前にはまだ試練が残されているぞ、風鳴」

「ふ、もちろん承知しています。リディアン再開前に残っている最後のバラエティ収録の事ですね?」

「その顔は自身ありか?」

「抜かり有りません。緒川さんを徹底的に詰めて、真面目なクイズ対策を行いました。となれば残りの芸能人向けの肉体試練のみ。そんな物は風鳴翼の敵ではありません!!」

「言うねぇ。じゃあ明日の本番生歌を期待してるぜ」

「当然です!風鳴翼が歌うのは、音楽番組ばかりでは無いと知れ!!」

翌日、見事にクイズをクリアして難易度低めのボルダリングの壁を疾走して出演者&お茶の間を( ゚д゚)ポカーンとさせるSAKIMORIの姿が全国に生放送された。

⓪『歌姫』

①『断捨離の人』

②『毎日刀振ってる人』

③『歌姫』

④『壁を疾走する人』←NEW




響の修●って五月蠅そう(;^ω^)

次回 クリス:「皆からの『お帰り』」OR 切歌の未来IF


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第三十七話 クリス:皆からの『お帰り』

最近の日常話の時系列からは随分戻りますが、アニメ最終回のシーン直後のお話です


ルナアタックの事後処理終了後、正式に二課所属となったクリスちゃんには新しい部屋が手配された。

以前使っていた部屋は最終決戦の被害をモロに受けたので、いずれ解体される予定らしい。運よく部屋の電化製品はほぼ無事だったらしい。

響と小日向の百合ラブを見た後に、弦十郎さんから聞いた住所に車を走らせている。

「よくあの被害で家電無事だったな。せっかく貰った小遣いを纏めて使う羽目になるかと思ってたぜ」

助手席に座るクリスちゃんが自分の通帳を眺めながらホッとした表情でそんな言葉を漏らす。

結局、独断で俺が雇った彼女の初任給は、スタート時点から二課所属とみなして給与が支払われる事になった。

その金額に最初は目を白黒させて「これ、円か!?インフレ国の通貨とかじゃないよな!?」とか錯乱してたクリスちゃん。ちょっと宥めるのが大変だった。

「そろそろ着くぞって・・・前も結構いい部屋用意したつもりだけど。今回はまた1ランク上がってるな」

「え!?まだ部屋入って無いのに分かるのか?」

「建物の横幅はそれほど違わないのに、部屋の数が前より少ない。つまり広い部屋だってのがぱっと見でわかる。駐車場の細かい整備具合もこの前のマンションより行き届いてる気がするしな」

この辺は個人と組織の力の差だなーっと思いながら駐車場に車を置いて。部屋に向かう。

「家電は設置済みなのか?」

「うん、物は殆ど前と同じ。家電じゃないけどベッドだけダメだったから新品が入ってるらしいよ」

「有難いけど・・・何か悪いな。もう稼いでる身なのに」

「じゃあ今度歌で返してあげたらって痛い!痛い!蹴らないで!!」

「余計な事言うからだ!ったく入るぞ」

入ってみたらビックリ。広いキッチンにリビング。流石本編でも女子会会場になってた部屋だ!(また曖昧な原作知識)

早速寝室を確認しに行ったクリスちゃんの珍しいテンション高めの声が聞こえて来る。

「さて、俺はキッチン周りの荷ほどきをするか!」

順調に段ボールから荷を取り出してキッチンの戦闘態勢を整えて行く。

クリスちゃんはひとしきりベッドを満喫して洗面所をセッティングしてるかと思ったら、めっちゃシャワー浴びてる音が響いて来たので、誘惑に負けたらしい。

しばらく経って部屋着にバスタオルを装備して入って来た彼女にちょっとだけ文句を言う。

「ちょいとクリスさんや。人が作業してるのにシャワーとは酷いんじゃないかね?」

「悪かったって。だってバスルームに使ってくださいと言わんばかりにタオルが設置されてたからついつい///代わりにリビングやるからみてろって・・・?」

ちょっとばつが悪いのか俺に背を向けてリビングテーブルに向かうクリスちゃん・・・だがテーブルの上を見るなり動きが止まる。

「なんだこりゃ?手紙じゃなくて『メッセージカード』か?」

し、しまったー!!あの連中(自衛隊)これだけ前回の置き方を踏襲して設置してやがる。

次々とメッセージカードを読み、元栓を締め忘れたかのように涙を流すクリスちゃん。その上にいきなり俺の胸に突撃してきて泣き続ける。

女子高教師としてそこそこ心が鍛えられている俺でも唐突にレベル90のモノを押し付けられて、珍しくドキマギしてしまう。イカンイカン!早く立て直さないと。

それからしばらくしてやっと落ち着きを取り戻したクリスちゃんを引き剝がす事に成功する。

「終盤ドタバタだったから忘れてたけど、そーいやアタシ、部屋飛び出してフィーネとケリ付けに行ったんだよな。成果は無かったけど。」

「その時に皆、示し合わせた訳でもなく同じことしたんだ。『クリスちゃんにお帰りって』伝えようって」

「また泣くから止めろよ~//でも、ありがとな隼人。ちょっと強引だったけど、あの時にアタシの手を取ってくれて」

「ネットで捕獲しただけだったけどね」

「そ・れ・で・も!たまに人が素直に感謝してるんだからちゃんと受けとれバカチン!」

額を指で突っつきながらそう言ってくるクリスちゃん。立ち上がると洗面所に向かっていく。

「あー、泣き過ぎて目が真っ赤。夕食会までに直るかな?後でお返しの言葉も考えないと・・・」

「いやいや、ちょっと待って!なぜに俺のカードを開いてくれないの?」

「これは隼人の前では絶対見ない。」

そう言うと振り返らずに洗面所に消えて行った。

~洗面所~

「とても今は読めねーよ」

そう、呟いて鏡台の収納スペースにメッセージカードの束を入れる。

『拝啓 雪音クリス様』

直筆の宛名を見ただけで、今まで感じた事無い程に高鳴る鼓動。この先を読んでしまったら・・・隼人に抱く自分でもまだ理解しきれていない感情が爆発してしまいそうで、読みたいのに読まないという行動を取ってしまった。

一先ずこの場は、何とか顔を洗って頭を冷やそうと試みるのであった。




次回は響:「仮設本部の食堂グルメツアー」です。
はよ二期のお声もあるので今週中には二期を開始したいと思ってます。


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第三十八話 響:仮設本部の食堂グルメツアー

今日は俺が梃入れを進言した仮本部食堂の初営業日。

トレーニングルームで散々運動して『カロリーを求める黄色い野獣』こと立花響を解き放つべく、ロッカールームから出た瞬間をライDのネットで捕獲して食堂に向かう。

「ちょっとー!!人を珍獣みたいな扱いしないで下さい!これでも16歳の乙女なんですよー!」

「知ってるよー!てかこの間皆で祝ったろーが!トレーニング用の靴使ってるか?」

「はい、凄い走り易くて重宝してます。って今はそんな話してなーい!!はーなーせー」

此奴何も言わないと普通の靴で馬鹿みたな距離を走りそうだからな。使ってくれているなら何より(文句は無視)。

「よし、着いたぞ。お前はここでステイな」

電磁ネットに拘束されたままの響を置いてスタッフの元に駆け寄り営業開始の合図を出す。

スタッフが次々に料理を設置していく。(ビュッフェ形式)

中でも本日の目玉はこれで有る。

「うなじゅー--う!!」

某キング・オブ・ハートさんがガンダム呼ぶみたいな掛け声と共に、特設コーナーで鰻の蒲焼が焼かれ始める。

シンフォギア奏者以外の方々は事前予約している&突発用の余裕もあるので目玉商品を食べ損ねる人はほぼ出ないように配慮している。

そもそも仮本部となっているこの次世代型の巨大潜水艦は、長期任務による職員のストレスを抑制する為に、様々なリフレッシュ施設が用意されていた。

が、その中でビックリする位軽視されていたのが『食堂』だった。

おそらくこの組織に所属する人間たちは「食堂」の食事はそれなりに割り切って食べて、美味しい物はプライベートでなんて意識だったのかもしれんが・・・ここ潜水艦ぞ!?

それ以来、俺が自分の伝手で急遽雇った『ガラ悪いけど料理の上手い方々』を率いて二課食堂スタッフの意識改革を急ピッチで行った。

今までプライド持って提供してた物を『それじゃ足りねぇ』と言われたんだから最初はかなり衝突したものだが、そこはお互い料理人。良い物をぶつけ合えば自然と腕が上がって行く。

後から聞いたところによれば、こちらの軍団メンバーも目から鱗が落ちる技術を目の当たりにすることもあったそうな。

そんな回想をしてると美味しい蒲焼の匂いが特設コーナーから通路めがけて漂っていく。遅れてやってきた奏者2名と小日向が電磁ネットに捕獲された響とうな重コーナーを二回チラ見して・・・・

「ああー皆うな重優先したぁー!!!」

ビックリする位キレイに響を視界から外してうな重をゲットする三名。そろそろか。

『カロリーを求める獣。立花響!解放まで3・2・1・GO!!』

電磁ネットから解放した途端にうな重を獲得して中華スペースのチャーハンを山盛り持って行くという普段からの主張通りの「ご飯&ご飯」で食事をスタートさせる。

「うん、やぱりうな重美味しい!それにこのチャーハンも具とお米どっちも最高だよ~さすが隼人さんの梃入れ!専門店レベルだよ~」

「あー、うん!良かったね響。何か欲しい物取ってきてあげようか?」

「海老ドリアと海鮮丼!ヨロシクゥ!!」

まさかのご飯もの4重奏の要求にドン引きの一同であったが、小日向は何とか己を鼓舞して友人の願いを叶えるべく、歩を進める。

「これは、あのバカを放っておいて先に食って正解だったな」

「ダメージが浅い内に他のメニューも味わうとしよう」

風鳴とクリスちゃんはそれぞれ洋風コーナーと和風コーナーのメニューを少しずつ取って食事を楽しんでいる。

「ステーキはもちろんオムレツうっま!絶対隼人の梃入れだろ!!」

「和の卵焼きもかなりの物だ。長くここに居る身としては環境の変化にビックリし過ぎているが・・・いや、多くは語るまい。先生のやることにツッコミを入れるとキリが無いし、これは『良い事』だからな♪」

「その『良い事』の確率がもうちょい高いと嬉しんだがな~~パスタも美味い!食事会(5人)だどチョイスするのためらうし、一人だと手間が多いしで、中々トライ出来ないんだよ」

「パスタなら便利器具つかってレンジで良い感じに茹でられるぞ『マジで!?』」

なんて微笑ましい会話してる『クリつば』と比較して『ひびみく』の様子がちょっとおかしい。

「カツカレー、パスタ、ステーキにハンバーグ、餃子まで!!いや~この世の天国だよ未来!?」

「ホントに大丈夫?勢いで食べ過ぎじゃない?」

「平気へっちゃらだよ・・・ってあれ?」

胸をはってドンと叩いた所で活動を停止する響。

「響・・・響ぃぃー--!!」

結局、響は食い過ぎで本日第二の目玉のフルーツ『メロン』を食べ損なった人間第一号となった。

ちなみに、翌日以降に第二号、第三号に輝いた事で小日向にマジギレされて響は適度な食事をする事になった。

一番の不確定要素の響の食事データが取れたので良しとしよう。ちなみに第四号に輝く人物が現れるのはもう少し先の話になる




一期ってあの地下で食堂やってたのだろうか?
新しいアンケート回答いただければ幸いです


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第三十九話 【悲報】シンフォギア二期来ない問題

そろそろ二期始めます。


~リディアン音楽院 特進クラス~

季節は秋、新しい学舎にて再スタートしたリディアン音楽院。来る学園祭『秋桜祭』に向けて準備に熱が入っているせいか、いつもは騒がしい問題児連中も全体的に大人しい物である。

「それでは皆さん秋桜祭の準備頑張って下さい。何かあればすぐ連絡を・・・っておい!!」

ホームルームを終えて準備に入る皆に一声掛けようとした瞬間に『鏡音隼人覚悟ぉー!!』と問題児グループの肉体担当である雨宮が右ストレートをぶっぱしてくる。

雨宮司。高長身(170 82-60-89)でボーイッシュな美少女だが、ちょっと拗れた正義感の持ち主で、ちょっと前まではトラブルが絶えなかった。

俺が監視役かつ上位存在としてふるまう事で、動物的本能なのか『強い物に従う』の精神で俺以外へのトラブルは激減した。

唐突な襲撃にちょっとびっくりしたが、これは日常茶飯事なので体は反応して勝手に迎撃に動く。

上体を軽く傾けてパンチを躱して、左手でリストを掴んで着地した足を右足で踏んづけて動きを封じて下から肘でレバーをちょこんと突いてやる。が、感触がおかしい。

※レバーへの打撃は非常に危険な行為です。

「なんか仕込んでるだろテメー!!」

「最後の授業の時から一回り大きくなってる事に気付かないとは油断したなぁ!!確保ぉぉ!」

動揺してる間に後ろに回り込まれてガッチリと拘束される。

「「よーし、よくやった雨宮ぁ!!」」

問題児グループ筆頭の姫宮とクリスちゃんが声を上げる。・・・え!?これどういう状況?ほかの連中はニヤニヤして見物人モードだし。

姫宮亜里沙。金髪ギャルな見た目かつ高レベル(160 86-58-88)の肉体と頭脳(2回生主席)のパーフェクト美少女である。

ただし、可愛いものをみるや周囲の状況を顧みずに愛で始めたり、一昔前は自分の可愛いを人に押し付けるちょっとキツい女子だった。根気強く付き合い諭した結果、最近は少し丸くなった。

「隼人ちゃん!何か私達に言う事無いの?この浮気者!!」

「誰に対する浮気だよ!!」

ド正論で返すがクリスちゃんと姫宮の絶対零度の態度は崩れない。

第一隼人ちゃんって誰だよ?どうやら姫宮は心の中では俺の事はちゃん付けらしい。

「鏡音先生。この週刊誌の記事について聴取させて頂きます。」

信じられん程低い声てクリスちゃんが今日発売の週刊誌を見せて来る。何々「新進気鋭の若きバイオリニスト、恩師とお忍びデート!?」

「あー、ていうかお前らだって知ってるだろ?このクラスのOBにして海外の有名な音大に進学した奴だよ。賞もとってニュースになってたな。この夏に里帰りしてた時に会って少し話しただけだよ」

「へー隼人ちゃんは先輩を『少し会う』だけの男性に90越えのバストを押し当てる尻の軽い女だっていうんだひっどーい!」

腕を組んでる写真を指さして追及する姫宮だが。ホントこいつにだけは言われたくないわ。

「確かに予想外の行動で一瞬抱き着かれたけど、すぐに引き離してるから!ずっとこれで行動したわけじゃないわ!!」

「『卒業後もお手紙でやり取りをしてた』、『在学中大変お世話になった』最後に本誌からの交際相手と考えて良いのでしょうか?という問いに対して笑顔で『ご想像にお任せします』とだけ言って去って行った・・・ねぇ?」

クリスちゃんが記事を読みながら、めっちゃ冷たい目で俺を見てくる。

「あのなぁ・・・こいつに限らず、卒業生はけっこうな確率で手紙で近況報告してくれるぞ。それにだな」

拘束してる雨宮の足を踏んづけて(※非常に柔らかい表現を使っております)、自分のスマホ取り出してとあるニュースを検索する。

「ほれ、ついさっき出たニュースだ。あいつ同じ音大に留学してるイケメンと婚約だとよ。じつはこの日紹介されててな」

『うそぉぉぉ!!』

俺が見せたスマホ画面を見て驚く一同。勇み足をした週刊誌記者にはご愁傷様だが、終始人を随分下に見てた態度は気に入らなかったのでざまぁの一言である。

「現3回生に何聞いたか知らんけど、漫画やドラマの見過ぎ。リディアンの外には俺よりいい男たくさん居るんだよ。わざわざ俺に固執するやつ居ないっつーの」

「「そんな事無い!!」」

うぉっ!!突如目の前に来たクリスちゃんと姫宮がおっきい声で俺の言葉を否定する。

「どうしたお前ら?」

俺が心底不思議そうに質問すると二人そろって目を合わせて・・・突然顔真っ赤になって教室から急速離脱していく。他の連中も潮が引くように教室から去って行った結果、俺と雨宮だけが残される。

「雨宮?これはどう解釈するべきだ?」

「そうですねぇ・・・共通の友人として言えることは、あの二人は今までのOGの方々とは違うと思いますよって事です。」

そう言って雨宮も去って行く。

「と言われてもな・・・姫宮もか」

ちょっと困った問題だが、すぐに解決するものでは無い以上はひとまず教師としての業務に戻る事にした。

~ 夜 自宅 ~

今日はちょっと仕事が忙しくて夕食会には参加出来ずに一人で夕食。ちょっと物足りないが、ビールを十分に飲めるのがメリット・・・っておい。

「とうとうクリスちゃんまでブラウニーの仲間入りしやがった」

冷蔵庫を開けると複数入れてあるはずのビール瓶が一本しかはいっておらず、「お仕事お疲れ様。でも一日一本!」と書かれたメッセージカードがラップに包まれた卵焼きと一緒に置いてあった。

「やれやれ。仕方ないから卵焼き頂きますか」

ちょっと温めてからベランダで月を見ながらビールと卵焼きを味わう。

そういえば二期っていつから始まるんだっけ?とか呑気に考えてたら、久々に記憶が戻って来る感覚が頭を襲う。しかも今回は頭からラストまで一気にダイジェストで来やがった・・・って待てよ。

「月が残ったまんまってことは・・・マズい!!FISが行動を起こさない可能性がある!?」

前回は原作知識がほぼ役立たずで困るし、今回は「分かった所でどうしろと!?」って感じで困る。

アニメとして見てた時は何も思わなかったが、二期ってご都合主義の超絶結果オーライの賜物過ぎる!

「何よりもFIS動いてくれないと響がマズい」

S2CAトライバーストの実験の時に抱いた謎の危機感はこれか・・・

いや、FISは単独で動きを決めたんじゃ無くて、様々な組織に煽られて動いたという経緯があった筈。一先ずはそこに掛けるしかない。

「アメリカまで『神獣鏡のギア』強奪しに行くのは嫌だなぁ」

段ボール被って何とかならんかなぁ・・とかアホな事考えた時点で、酒は入った状態でこれ以上考えても仕方ないと判断し今日は寝ることにした。

 

ちなみに翌日、郵便受けにクリスちゃんと姫宮からの手紙が入っていたのはここだけの秘密。

何に対抗心を燃やしているのやら。ちょっと微笑ましいから、ネタにして弄るのは止めにして「ありがとう」って伝えたら「「バーカ!ばーか!!!」」って罵られてまた逃げられた。

雨宮に助けを求めるように視線を送ると『違う、そうじゃない』と書かれた俺の手持ち看板出された。

まだ幕も上がっていない内から鏡音隼人の「戦姫絶唱シンフォギアG」は前途多難らしい。




アンケート回答ありがとうございます。敵キャラIF頑張って考えます。切歌も出さなきゃ。


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第XX話 キャロルIFルート① 未来キャロルの休日(前)

休日の親水公園。多くの家族連れが各々様々な楽しみ方を謳歌している。

その中でキャロル・マールス・ディーンハイム・鏡音は、双子の娘(12歳)に連れられてアスレチック施設を訪れていた。

「「ママー早く早く!」」

「楽しみにしてたのは分かるから、ちゃんとママと手を繋いでだなって!こら待てクソガキ共ぉ!!」

逸る娘たちを窘めて伸ばした手が空振りした途端にキレるキャロル。

「運動不足のXXX(規制)歳に追いつかれるものかよ!!」(姉)

「今日はママを入れた私達3姉妹でアスレチック独占だー」(妹)

両者共に見た目は100%キャロルだが、性格は良い感じに父親が混じっている。

「『年齢・身長・奇跡』我が家で言ってはならん事の2/3を口にしたな!小娘ぇぇ!!」

もの凄い形相&ダッシュで追いかけるキャロルだが、姉の言う通り、日夜アホみたいに走り回っているこの姉妹の足には全く追いつけない。

母を振り切り、アスレチック施設の天辺に上って声高らかに宣言する。

『今日からここは、私たちの縄張りだぁぁーー』

唐突に白●げみたいな事を言い出した絶世の美少女姉妹に、ある者は見とれ、ある者は( ゚д゚)ポカーンとあっけにとられている。

しかし、それ以上に衝撃的な光景が目の前に展開された

『Freeze!! S.O.N.G.だ!諸君らはバイナリー・ロータスに捕捉されている。抵抗は無駄だ。直ちに投降してママに怒られて来なさい』

S.O.N.G.のヒーロー『ライデン』が現れて、姉妹に投降を呼び掛けたのである。

「「あのーパパ?」」

『パパではない。ライデンだ!』

「「ママがめっちゃ怖い顔でスタンバってるんですけど!?」」

アスレチックの下では、ようやく到着したキャロルがニコニコ笑顔で姉妹を手招きしている。

「まぁ、まずは怒られて来なさい。そうしないとお昼抜きでござる」

「「そんなー(´;ω;`)」」

兵糧攻めには勝てず。素直にキャロルのこめかみグリグリの刑を味わった後に『普通』にアスレチックを楽しむ姉妹。

周りの子供たちとも直ぐに打ち解けて皆でアスレチックを楽しんでいた。

一方、『ライデン』こと鏡音隼人は主にお父さん達に記念撮影をお願いされまくっていた。

~ 昼食 ~

家族用の食事スペースのテーブル一杯にお重を広げる鏡音家。隼人の手製料理を娘たちに取り分けようとする両親に対して娘達が好き勝手主張を述べる。

「パパー!肉!お肉頂戴!!」(姉)

「ママー!私もお肉!!」(妹)

「あーもう、野菜も食わんかバカ者娘共!!後、パパの卵焼きを規定数以上取ったら戦争だからな」

自分の好きなものだけを取ろうとする娘たちに釘を刺すキャロル。

「あ、ママには専用のこのタッパに卵焼きいれてあるよ。」

「「ずるーい」」

「喧しい!普段ママから卵焼き奪ってるクセに文句言うな」

「そのたびにパパに泣きついて、作って貰ってそのままラブラブ空間作ってやがるクセにー「くせにー」」

からかってくる姉妹に拳をワナワナと震わせているキャロルに、娘への配膳を終えた隼人がキャロルの為に紙皿に乗せた料理を見せる。

「キャロルは何から食べる?」

「・・・卵焼き。もちろん甘いんだろうな?」

「ちゃんとママ用に調整してあるよ。はい、あーん」

されるがままにあーんと食べた所で『ニヤニヤ』してる姉妹と目が合い

「いやー、お暑いですな♪」

「お前ら、『小遣い抜き』っていうママの伝家の宝刀抜かれたくなかったら大人しくパパの料理味わってろ」

「「イエス!ユアハイネス!!」」

姉妹が大人しく食事を始めた所でキャロルが隼人に向かって問いかける。

「それにしても、隼人が来れるとは思ってなかったな。お弁当はガリィが届けに来ると聞いていたから」

「いや、一報では聖遺物を所持したテロリストって話だったけど、欧州出身者の『パヴァリア光明結社』の残党の残党ってことが判明したから、サンジェルマン達に任せて来た。任せてから俺が此処に着く前に片付いたらしいぞ」

「未だに名乗る奴やビビる奴が居るんだな。とっくに滅びた組織騙っても意味ないだろうに」

「それが未だに居るんですよ実際。そういうのが居なければ俺ももっと家族サービス出来るのに」

「仮定の話は意味が無い。ちゃんと飯食って『今』しっかりサービスしろ。」

隼人から紙皿を奪って逆に隼人におかずを食べさせる。

「んぐんぐっと、了解しましたママ。鏡音隼人、午後も家族サービス頑張るよ!」

「よろしい。腹ペコ娘達も完食したらしいな。じゃあパパが来たから、『動物園』でも『水族館』でも車で好きな所連れてってやるぞ」

今度こそ娘達の手を取って駐車場に向かって歩き出すキャロル。

「わーい!じゃあ動物園行きたーい!私の『覇王●』で全動物を制覇する!」(姉)

「出禁になってしまえ!!」

「水族館行きたーい!タコさん取ってパパにタコ焼きたくさん作って欲しい!」(妹)

「あそこは生け簀じゃねーよ!!どっちでも良いから話し合って決めなさい!」

キャロル・マールス・ディーンハイム・鏡音のちょっとだけグレード・アップした休日はまだ終わらない。




母親キャロルの身長をどうするべきかは少し悩みましたが・・・これで問題ないはず(無駄に断固たる決意)
後半の行き先はいつも通りアンケートでお願いします。
※アンケート結果割れたのので(10VS11)二つ書きます。


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第XX話 キャロルIFルート② 未来キャロルの休日(後 in 水族館)

午前中はアスレチックを堪能した公園から、午後は娘達がご所望の『イルカショー』のある水族館へ車で向かう。

ちなみに運転は主にキャロルが担当している。お得意の『テレポート・ジェム』が違法扱いになってしまったので仕方なく取得した運転免許。

最初はブーブー言ってたが、何だかんだ運転を滅茶苦茶楽しんでいる。

道中、最初は水族館のHPで盛り上がっていた娘達だが何やら別の話題に移ったらしい。

「パパー!さっきの公園で『ライデン』と写真とった人達が一杯SNSに写真アップしてるよ。パパ人気者だね~♪」「いいぞ、ここでヨイショしてちょっと高めスイーツを売店でゲットするんだ!」

「いや~、娘に言われると照れるな~//」

妹ちゃんにちょっとヨイショされるだけでにやけるちょろい俺。姉の言葉は聞かなかった事にしよう。(;^ω^)そもそもそんな高い物は水族館にはねーです。

「ハッ、のぼせ上がるな人気者!先日『ギャラルホルン』なる聖遺物でやって来た『クリスの夫ルート』の自分に手も足も出なかったくせに」

「そ、それは忘れて欲しい思い出orz、でも『卵焼きどっちがどっち?対決』ではウチの娘たちはちゃんと俺の卵焼き分かってくれたから一勝一敗引き分け!!」

イエーイと助手席から後ろの席の娘たちとハイタッチする。

いや、あの『鏡音隼人』おかしいって。バグだから、俺IFだってあんな風にならないから。(;^ω^)

「それは娘たちが『俺の』聡明さを引き継いでるだけだ。あの戦闘内容で引き分けって言える神経図太過ぎだろ・・・そんなユルいからボコボコにされるんだ」

「でもママはそんなユルくて抜けてるパパだから大好きなんだよねー!!」

キャロルの厳しいドS追撃への反撃は息のあった娘達の一言だった。真偽が分からないからキャロルの顔色を窺うと、滅茶苦茶真っ赤になってるからどうやら事実らしい。

「////(顔真っ赤)どいつが口を滑らせやがったぁぁ!!『ガリィちゃん』デスヨネー!!」

聞く前から犯人分かってたけど案の定な回答に激昂するキャロル。

「まぁまぁ、運転中なんだから落ち着いて。」

「落ち着けるかぁ!禁止!!今から水族館まで私語厳禁だっ!!」

「そんなー(´;ω;`)」

と、いうかもう既に水族館が目と鼻の先だったのでちょっと助かった。鏡音家は一定時間以上黙ると体に障る一族なのだ。『んな一族有ってたまるかぁ!!(byキャロル)』

~ 水族館 ~

「わー!いろんなお魚さんだ~」

「だー!ママを強引に引っ張るな!!牽引車か己らは!?」

娘達は凄い勢いであちこちの水槽をキラキラした目で見つめている。

俺としては、ここに来て『タコさん捕獲作戦』を提案されなくて胸をなでおろしている所だが、そろそろキャロルが限界&後ろから人が増えてる気配がするので、救援に入る。

「カバーの判断が遅い!そんなだからクリス夫妻に連携で負けるんだ!?」

「いや、あれは『もうすぐアンパン●ンの時間だから早く帰りたい』って戦闘半分放棄したキャロルのせいじゃん!?」

ぎゃいのぎゃいの言い合いながらも、しっかり娘の手を放さずに順路を進んで水槽を泳ぐ魚たちを楽しむ。

「パパ!ママ!あの海賊船アトラクション乗りたい!!」(姉)

「パパ?身長制限見た後に誰を最初に見たか正直に言ってみろ!?」

いくら思ったほど成長しなかったとはいえ、140は超えとるわアホーっと超怒られた。

進んでいくと、水槽も巨大になり、途中の海中トンネルのマンタを見たときは、娘がそろって両手広げてピョンピョンとジャンプし始めて、微笑ましかった。(周囲の安全確保済)

姉ちゃんは無駄にサメの水槽の前でご自慢の『覇●色』を発動しようとしていたが、全く効果は無さそうだった。

「こ、これはガラスが分厚いから弾かれただけだ!?次回の動物園で成果を見せてやる!」

と意気込んでいた。姉ちゃん先生の次回作にご期待ください(`・ω・´)ゞ

皆大好きペンギンパフォーマンスでは、娘ちゃんたちがパフォーマンスするペンギン達の可愛さのあまり、触ろうとするのを抑えるのが大変だった。

「ペンギンさんと握手するのー-!!(ジタバタ)」

「ここは後楽園・・・じゃない、G●ッソじゃないからダメ!!司会のおねぇさんの言う事聞きなさい!」

「ペンギンさんの営業妨害したらマジで小遣い抜きにするからな!」

ママの『覇王色』と伝家の宝刀により、ペンギンさん達のパフォーマンスは守られた!

そしてラストは皆大好き『イルカショー』。注目ポイントはもちろんイルカのダイナミックなジャンプ。

俺達4人そろってイルカが飛ぶたびに上半身綺麗に揃って動く物だから、後で4人顔併せて爆笑してしまった。

「何だかんだ言ってキャロルが一番動いてた気がする」

「うんうん!」

「ダウト!認めるか!認めるものか!!絶対娘達のほうが動いてた!!12年も母親をやってるオレの言葉に偽りがあろうはずがない!!」

「どうも映像班曰くそうじゃないみたいだよ」

ちょっと上の席を指さしてキャロルの私兵である『オートスコアラー』の一体『ガリィ』を指さす。本日の撮影役だった彼女はカメラ片手に俺達の所まで降りて来た。

「ったく、弁当運べと言われたり、ホームビデオ撮影しろって言われたり・・ガリィちゃんはパシリじゃないっつーの。まぁ、最後にマスターの良い絵が撮れたから良しとしますか」

「ちょっと待てよガリィ・・・今聞き捨てならんことを言ったな」

「いやいや、ショーに夢中になってた皆さんは意識してないかもしれませんけど、映像で見たらマスターがダントツで動いてますって~」

キャハハハ!っといつも通りの煽り笑いをして液晶画面を俺達に見せる。確かにキャロル一人が1.5倍位めっちゃ動いてる。

「認めるか!認めるものか!!俺を否定する記録など要らぬ!全て燃やしてもみ消してくれる!!」

原作GX最終決戦ばりの気迫で詰め寄るキャロルだが、高価なカメラを手にしているガリィはあっさりとキャロルの接近を躱す。

「乱暴は止めて下さいよマスター。手が滑ってホームネットワークにアップロードしちゃったじゃないですかぁ♡」

「何!?」

「あらあら大変!帰る頃には他のメンツから知り合いネットワークすべてに拡散されますねー-でもマスターが暴力ふるった結果だから仕方ないですね~」

さらに煽って逃げていくガリィを追いかけるキャロル。

会場でた所で警備員さんに二人揃って怒られてて超笑った。

翌日、キャロルが皆に弄られまくったのは、また別の話。




前も書きましたが、アンケート結果が拮抗してたので動物園も書きます。
次のアンケートを用意次第出しますので回答いただければ幸いです。


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第XX話 切歌IFルート① 未来切歌の休日

シンフォギア奏者達の最後の大きな決戦(XV)から早13年。

XV時点では団子状だったヒロインレースを一気に勝ち抜いた鏡音切歌(現在29歳)は自宅にて親友の月読調を迎えて一緒に料理を作っていた。

「調の料理を手伝うのも久しぶりデース」

「同じ組織とはいえ支部が離れて、学生時代みたいにずっと東京って訳には行かないから結構久しぶりになっちゃったね」

切歌が切った食材を鍋に入れながら調が答える。

「懐かしいデスね~初めて『食事会』参加したときは衝撃だったデス!」

「隼人の卵焼きの味に未だに追いつけてないんだよね。切ちゃんは追いついた?」

「娘達(9歳、7歳)には厳しい評価を頂いてるので道はまだ遠いデス・・・」

しかし、当人(隼人)にコツを聞いても帰って来るのは「修行が足りん」の一言のみ。

「こちとら当時の隼人の年齢超えてるっつー話なのに超えられないなんて理不尽な話デス!!」

「ホントだよね。食事の後の『地獄の模擬戦』も今だから笑えるけど当時は理不尽にしか感じなかった」

「初回は元ネタも知らないのに仲良く『ロードローラーだぁ!!』の餌食になったデスね」

「初めて二人の連携で『ライデン』からキルカウントとった時は皆で抱き着いて喜んでくれて嬉しかったな~」

「その後の隼人による『即リベンジ』は大人げなさ頂点でしたケドね。懐かしい思い出デス」

思い出話に花を咲かせていると、玄関から『ただいまー(デス)!』と元気な二人の女の子の声。

「いつもと違う匂いとおもったら調さんだー!!」

「調さんのお鍋好きー!!」

「ん、お邪魔してます。もうすぐ出来るからもうちょっと待ってね」

数分後、鍋を囲んで夕食が始まる。

「おいしーい×3」

「思った通りの味が出たからね。喜んでもらえて良かった。ぶいっ!」

「調さんのお鍋、パパに負けないくらい美味しいよ~」

「あう、お鍋は苦手で隼人に任せがちなのデスよ~(汗」

「でもママのハンバーグ大好き~」

切歌がバツが悪そうに苦笑いする。とすかさず娘からフォローが入る。

母として、ある程度料理は出来ていると自負しているが、苦手分野はあるので隼人と比較しては欲しくない切歌であった。

そのまま静かに食事がすすんだ所で、調が思い出したように姉妹に問いかける。

「そう言えば二人共『イガリマ』『Vディスク』の適性が出たんだってね。二人はどっち使いたいの?」

「Vディスク」(姉)

「イガリマデース!!」(妹)

「とはいえ、まだまだ起動できるってだけデスけどね。将来もまだまだ先の話デスし」

「『ライデン』つかってヒーローになりたい!!」

「イガリマでお姉ちゃんを助けるのー!」

ぐっと握りこぶしを固めて力説する姉に抱き着く妹。美しい姉妹愛だが、切歌は苦笑している。

「教官(隼人)は厳しいだろうから頑張ってね!」

「それは先輩たち見てて凄い思った。でもヒーローになりたいから頑張ります!」

「パパ家と全然ちがって容赦なかったな~。でも何時かお姉ちゃんと超えて見せます!」

各国で聖遺物研究が進んだ結果生まれた「第二世代シンフォギア」。

これをS.O.N.G.で活用しようという試みが行われており、その教官に鏡音隼人が選出されたのだが、これが鬼の様に厳しいとの評判である。

本人曰く「信号機トリオ含む第一世代」にやってた事と変わらない。との事だから、後輩達が「第一世代」に向ける尊敬の眼差しは凄い物がある。

尚、ひとり厳密には対象外の小日向未来はひどくバツが悪いそうである。

「隼人も絶好調みたいだね。夫婦仲も順調?」

なぜか切歌本人ではなく、姉妹に質問する調。

「勿論ですよ調さん。あたしの読みでは、この出張帰りからしばらくしたら鏡音家に家族が増えると踏んでいます( ー`дー´)キリッ」

「と、唐突に何を言い出すデスか!?」

「だって今は広いとは言えマンションだけど、結構広い家買う計画なんでしょ?あの間取りみれば最低後一人は・・・ってアイアンクローは止めてよママー!!」

「喧しいデス!!親の机勝手にのぞいた上に、生生しい事を食事中に言う娘はこうしてやるデス!!」

「調さん、どういう意味?」

ドタバタやってる意味が分からない妹の問いかけに、調は優しい笑みを浮かべながら答えた。

「あなたが『お姉ちゃん』になるって事。頑張ってね」

「うん、新しいお家で頑張る!!」

尚、この直後に帰宅した鏡音隼人が目にしたものは、

①アイアンクローでダウンしてる姉ちゃん。

②『お姉ちゃんガンバリマス』と書かれた襷を装備した妹ちゃん

という意味が分からん光景だった。

ちなみに懲りない姉ちゃんは夫妻がハッスルしたと思わる翌朝に『昨夜はお楽しみでしたね』という立て看板を設置して隼人のアイアンクローを喰らう羽目になった




切歌ちゃん、奏者の中で一番子だくさんになりそう(勝手なイメージ)

アンケート回答ありがとうございました。
大体上位三人固まったから、上位三人を書こうかと思います。ノーブルたちは・・・仕方ないね


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第XX話 キャロルIFルート③ 未来キャロルの休日(後 in 動物園)

先日は水族館に行ったので、今週は動物園。しかもちょっと遠出して東京を飛び出し有名なサファリパークまでやって来た。

「わー!!トラさんのバスだ~」

本日の目玉はパーク専用の移動バス。パーク内の動物にエサやり体験が出来る&金網しか遮るものがないので車よりリアルな体験が出来るバスである。

「よーし、今日こそ俺の『覇王●』でパーク内を俺の縄張りにってママ耳引っ張らないで!?」

「喧しい!順番にバスに乗らないと周囲の迷惑だ!」

姉ちゃんはキャロル。妹ちゃんは俺が手を繋いでバスに乗り込む。

第一の関門は熊さんへの餌やり。バスが止まると同時に熊さん達がのそのそと近づいて来て『餌ちょーだい♪』とばかりに金網を揺さぶる。

普通はそんな彼らに専用の長いハサミ状の用具を使って餌をあげるのだが・・・

「ドン!!」※本人の勝手なイメージです

仁王立ちして金網越しの熊さんを「覇●色」で制圧しようとする姉ちゃん。しかし当然何も起こらず、熊さんは困惑するばかり。

『何してるのこの子?』って感じで熊さんが俺を見る。

(もうちょっとサービスお願いb)とブロックサインで依頼すると『承った♪』とばかりに熊さんが餌を貰うべくサービスを開始する。

『餌ちょーだーいー♡』(隼人ビジョン)

「グルォォォ!!(ガシガシと網を揺らす)」(姉ちゃんビジョン)

「うわーん!!パパァ!」涙目になって抱き着いてくる姉ちゃん。

滅茶苦茶可愛かったけど、後ろから本物の覇王●をキャロルが発動しそうな気配を二人で感知したので、大人しく二人で餌をあげる。

「じゃあな熊さん!元気でなー!」

「ノシ」

随分人間臭い熊さんだなぁと感心してると、後ろから「いや、そもそも熊と会話してるお前の方がおかしいからな」とキャロルから厳しいツッコミが入った。

第二の関門はライオンへの餌やり。

今回は普通に餌やりを楽しむ。餌を貰うと、ライオンさん達はあっという間に木の上でお休みタイムに入ってしまう。

何というサービス精神の無い連中だっ!愛嬌あるから許すけど。

「ライオンさんたちパパとママみたーい♪」

『何故にライオン!?』

息ぴったりで反応する俺達。

「だってパパもママも強いのに直ぐにだらけて人任せにして、最後に『仕方ねぇ奴らだな』ってカッコつけて出て行くから。『それな!最初っから行けば良いのに』」

『グサッ×2』

むすめのことばがこころをえぐった。こうかはばつぐんだ!!

「キャロルが何時もサボるから・・・」

「お前が問題を先送りにするから対処方法に悩むことになるだけだ!!人がサボってるみたいに言うな!!」

ぎゃいのぎゃいの言い争って娘に宥められる情けない夫婦の姿がそこにあった。

その後も様々な動物をキラキラした目で楽しむ俺達。バスを降りる時の名残惜しそうな顔を見るに、大分楽しんでくれたようである。

~ パーク内パン屋さん ~

「ムムム~×2」

様々な動物をかたどったパンの数々に目移りして迷いに迷う姉妹たち。

「食いきれない量買ったらバツとして来月小遣い抜きだからな」

ママによる非情な宣告を受けて必死にパンを選定する二人。

俺はマッタリ寝転んでる熊のパンで、キャロルはライオンのパンに決めていた。

悩み過ぎてバグった姉ちゃんが『全部のせだぁあ!!』を実行しようとしてママによるラリアット制裁を受けたのはご愛敬。(もちろんパンはミニライデンと俺が回収して買い上げました)

ホントはここまで来たら一泊したい所だが、残念ながら俺もキャロルも忙しい身の上なので日帰りである。

帰りの運転担当は俺。娘ちゃんたちはシートベルト付けたのを確認した辺りですでに怪しくなっていたが、高速道路に入る頃には完全に夢の世界に旅立っていた。

「あったり前だけど二人はぐっすりだな。キャロルも寝て良いぞ」

「馬鹿いうな・・・俺は大人なんだから・・・(カクン)起きていられるに・・・決まって(ガクン)」

「ハイハイ、大人なのは分かったから早く寝なさい」

無理に起きてると首傷めたり、どこかに頭ぶつけそうなので頭を撫でて無理やり眠らせる。

子ども扱いするな~とか力ない抵抗をしたと思ったらあっという間に眠りに落ちるキャロル。眠りに落ちたその姿は、言ったら怒られるけど後部座席の娘2人と同年代の少女にしか見えない

「このキャロルが世界を滅ぼそうとした世界線があったとはねぇ・・・」

俺がいない世界線の響とお互いの世界のキャロルの顛末のあまりの違いにビックリしたことを思い出す。

俺の中では完全にギャグキャラの立ち位置になってるオート・スコアラー達も、彼女達にとっては強敵だったらしい。

バカ正直に「お前らが弱かっただけじゃねぇ?」と言って響anotherちゃんを地面にめり込ませてしまったのは懐かしい思い出。

娘達とじゃれ合いながら夕飯作ってるキャロルみて号泣しちゃった位だからなぁ・・・。(当然キャロルは困惑してたけど)

その夜、寝かされた事をぶーぶー言ってた割には寝る前に頭を突き出して撫でるのを要求してくるあたり可愛いなぁと思いながら眠りについた。




アンケート回答ありがとうございました。以下の結果になったので上位三人書こうと思います。
(15) サンジェルマン
(9) カリオストロ
(1) プレラーティー
(2) ヴァネッサ
(2) ミラアルク
(2) エルザ
(12) シェム・ハ


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第四十話 【特報】シンフォギア二期はじまるっぽい

~二課仮設本部 食堂~

トレーニングルームで新技の練習を行ったカラダにカロリーを補充するべく食堂でカロリー補給を行う。

食後のメロンクリームソーダを飲んでマッタリしながら最新の情報を整理する。

①ルナアタック以降、日米間で行われていた交渉の結果として「ソロモンの杖の共同研究」が決定し、現物を岩国基地へ移送する事が決定した。

②同時期に風鳴が海外の有名アーティスト「マリア・カデンツァヴナ・イヴ」と共にライブを行う事も決定した。

つまりは二期開始決定である。(バンザーイ(∩´∀`)∩)これで後は万事どうとでもなる!!

しかしスゲーな。現実問題として月には何の異常も無いというのに・・・危機を煽ってる奴と煽られてるやつが居るって事だから本当は好ましい事態ではない。

ただ、響の命が掛かっている以上はそこを考えるのは後回しだ。最低限ここをクリアしないと二期は終われない。

「戦姫絶唱シンフォギア」の主人公だからではなく、友人として力を尽くす。

そんな決意を一人固めている俺だが、実は今ピンチに陥っている。

「じー--」

ここ数日クリスちゃんにずっと補足されているのだ。学校でも二課でも、やたらと見られてる気がする。

俺のポーカーフェイスは完璧な筈だが、何か顔に出ていただろうか?

「どしたクリスちゃん?メロンクリームソーダなら頼めば出て来るよ」

「そんな事じゃねーよ!!何で『ソロモンの杖』の移送に来ないのかって理由を聞きたいんだよ!」

「ライブのチケット買ってしまったで候」

「チケット買ったの移送の話出た後だろ!!」

しまった、チケット情報は風鳴から筒抜けだった。

「大した理由は無いよ。索敵役のクリスちゃんと攻撃役の響がいれば十分だろ?代わりにライブ行きたいなら代わるけど?」

「つまりは『ライブ』でまた何か起こると踏んでいるわけだな?」

のぉっ!!俺としたことが誘導尋問に引っかかってしまった!?

「その様子だと気付いてないみたいだけど、『ルナアタック』直前も凄い殺気漲らせてたって特進クラスの連中が語ってたぜ」

「hahaha、まさかそんな・・・ってマジでそんなに俺ヤバい人間に見えてたの!?」

「ヤバい空気まき散らしながら、顔だけいつも通りだから皆引いてたらしいぞ。ちなみにアタシは今日見せて貰ったけど同じ感想を抱いたね」

なんてこった。確かにルナアタックの時は並々ならぬ決意を持ってフィーネに挑んだから分からなくも無いが、今回そこまで外にやる気が漏れていたとは。

「そんな気合入れて何と戦うつもりか知らないけど・・・フィーネの時みたいな無茶はするなよ!」

そう言うと、席を立って去って行く。おや?もっと追及されると思ったけど意外な反応。信用して貰ってると考えるか。

「そもそも何処からどこまで介入するかが問題なんだよな~」

原作の響救済の流れはあまりにも危険すぎて其処まで静観できる自信は無い。

どうすれば安全に怪しまれずに体内のガングニールを除去出来るか・・悩ましい所だ。

正直ノイズの殲滅の方は出来なくても良いと思ってる。

三期の記憶は戻らんけど、もう何期かある以上はどうせノイズ出て来るんだろ~って思っている。

もちろん殲滅できたらそれが一番だけど、最後に小日向に杖任せるのもどうだろうな?女子高生が砂浜をあんなスピードで疾走してくれるとは中々信じきれない。

最大の問題はやっぱりあの博士だよなー。あの人のせいで何人犠牲になった事やら。出来れば犠牲者数は減らしたい所。 

問題は山積、されど切れるカードは己一枚のみ。

前回は情報が無さ過ぎて困り、今回は情報が有っても活かし方が難しい。先達のオリ主様達の攻略本がほしいわい。(CV:やらかした世界のキスショットさん)

まぁ、悩んでも仕方ない。まずはライブでFISが行動を起こしてくれるのを待つとしますか。




次回は奏者でまだ未来シリーズがない翼を書こうと思ってます。
その後は2期と敵約の未来シリーズ交互に出す予定です。
アンケートも出すので回答いただければ幸いです


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第XX話 翼IFルート① 未来翼の親子交流記

今回の話はPixiv百科事典の風鳴八紘さんの絵を見て書きました。


~風鳴八紘邸~

「風鳴八紘」、日本の安全保障を影から支える内閣情報官にして『鏡音翼』の父親である。

11年前に発生した「ユグドラシル事変(XV)」の際に重症を負い、後始末に尽力した後は立場を後進に譲り、半隠居生活を送っている。

半分というのは、表舞台から消えた彼の力を借りる為にひっきりなしに要人が訪れる状況が続いている為である。

そんな彼だが、今日の客は普段とは違うようで、かつて翼が使っていた和室で出迎え、共に最新型のゲームに興じていた。

「ふむ、最新のゲームとはいえ、これは私でも取っ付きやすいな」

「はい!お爺様と遊ぶために選択してきました!」

笑顔で答える少女は鏡音隼人と翼の娘(9歳翼似)。孫の笑顔に普段は硬い印象を与える八紘が相好を崩す。

彼女が選択したゲームは皆大好き「マリ●カート」。

何回か練習で少女に基本的な操作を教わり、問題なくプレイできるようになった八紘。

「ふむ、前にいる相手に妨害アイテムを使う事で順位を逆転出来るわけか」

「あー!!甲羅ぶつけないで下さい~」

理不尽な文句を言う少女の頭にチョップが振り下ろされる。

「2人でやってるんだから甲羅投げられて当たり前でしょ。少しくらい初心者相手に花を持たせなさい」

「翼、来ていたか」

「お母様~容赦無さすぎですー(´;ω;`)」

「二人共ゲームに夢中だったようなので勝手にお邪魔させて頂きました。娘の相手をして頂いて申し訳ありません」

「そんなに畏まるな。本来は隠居してる身だから忙しい方がおかしな話なんだ。それにお前も結婚したての頃は良くここで私にry」

「わー!!わー!!娘の前でなんでそんな昔の事蒸し返すんですかー!」

「wktk」

唐突に八紘が放った言葉に興味津々といった顔になる少女。孫の期待に応えるように八紘は言葉を続ける。

「いやな、結婚直後につまらん誤解で喧嘩して『実家帰り』というやつをやってな。最初の一回はホントに浮気しただしないだの喧嘩だったと思うんだが、それ以来ちょくちょく・・・」

「ダウト!ダウト!!娘が出来るまで隼人はホントに浮気ばっかりしてたんです!」

「つまりは結婚して1年の間に48回浮気したと?」

「お爺様に甘えたいなら素直にそうおっしゃれば良いのに♪」

過去の実績からはじき出されたトンデモ数字に八紘と少女は同時に「そんな馬鹿な」と言わんばかりの態度を取る。

「そもそも最後の方は口実すら忘れて普通に家に来てたじゃないか」

「お母様、楽しい事があるとすぐに一個前の事忘れますものね・・・お父様もですけどw」

吹き出すのを堪えながら指摘する娘と冷静に事実を突きつける父親のダブルアタックにKO寸前になるSAKIMORIだった。

~ 夕食 ~

「で、事実から目を逸らしまくった挙句にブーたれてる訳ですか・・・このSAKIMORIは」

4人分の食事を用意していたので先程のやり取りに参加していなかった隼人は、呆れ顔で妻の様子を眺めていた。

「すまんな、少しからかい過ぎた様だ」

「大丈夫ですよ。ちょっと鰻食わせせたら機嫌治しますから」

隼人の言葉に「そんな馬鹿な」という表情をしていた八紘だが、キッチンから鰻の白焼きを持って来て配膳した途端に上機嫌になってドカ食いを始めた翼の姿に唖然となった。

「そんなに好物とは知らなかったな」

「特にお父様の作る物だとすぐにあの調子ですよ♪私も大好きです!!」

「ま、時間はあるんですからもっと今の翼を知って行きましょう。テレビやU-TUBEは結構カッコつけて素を隠してますからね」

隼人の言葉に頷く。

「そうだな・・・そうさせて貰おう」

ちなみに食後の「●リオカート」でわかった事は、翼も娘も共通して拗ねてから花を持たせた場合の態度が滅茶苦茶可愛いという事だった。

 

 




アンケート回答ありがとうございました。キャロル人気高くて震える。
自分的にもあの親子達好きです。
次回は順番的に2期orIFサンジェルマンです。


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第XX話 サンジェルマンIFルート① サンジェルマンの回想

~都内ホテルのスィーツビュッフェ~

シンフォギア四期にてシンフォギア奏者達の敵となった錬金術師の組織「パヴァリア光明結社」。

その幹部だった「サンジェルマン」「カリオストロ」「プレラーティー」。

しばらくは『S.O.N.G』の本部預かりだったが、XV終了後の『S.O.N.G』の組織拡大の影響で、それぞれ離れ離れになっていた。

それが久しぶりに東京に集合して旧交を温めていた。(場所はカリオストロ指定)

「おーいーしーいー!!ついこの間までイギリスだったからストレス溜まりまくってたの♡」

「イギリスはともかく、お前の担当範囲はヨーロッパ全体なんだから食事にお菓子に美味しい所だってあるワケだ!こっちはアメリカだから必死に店探さないとキングサイズの店ばっかりで困るワケだ!!」

「何か申し訳ないな。私はひどく個人的な理由で日本に残ってしまったから・・・」

「サンジェルマンったら真面目なんだから♡本気にしないでよ。ちょっと愚痴りたくなっただけだから♡」

「言うほど私たちは気にしてないワケだ」

少し暗い表情になるサンジェルマンを即座にフォローする二人。

「そういえば、娘ちゃん達はもう小学校入った位?」

「ああ、一時は死を覚悟した私が今は2児(7,6歳)の母でほぼ専業主婦とは不思議な感覚だよ。」

一転して明るい表情になり、2人に入学式の風景を映した写真を見せるサンジェルマン。スマホをひったくるように奪って娘達とサンジェルマンの写真をガン見する二人を眺めながら、サンジェルマンは隼人との馴れ初めを思い起こしていた。

~回想 反応兵器を無効果するシーン~

神の力を纏ってしまい暴走した響に向かって放たれた反応兵器を無効果する為に3人分の命を焼却したサンジェルマン達。

自らの消滅を悟って呟いた一言。それがサンジェルマンの運命を変えた。

「死にたくないって思ったのはいつ以来だろう・・・ねぇ、お母さん」

『死にたく無いなら、死ぬ必要はないだろ』

突然3人の前に出て来た手持ち看板を掲げる『ライデン』。同時に歌声こそ聞こえないが、纏う力から明らかに『絶唱』を用いたと思われる緑色の光が3人を包んだ。

光が止むと、3人の消滅が止まり、それぞれの命の灯が戻ったことを自覚する。

1期で風鳴翼を助けた時以来の「レスキュー機能」を使用して3人の命を救った隼人だったが、絶唱を用いてなお、3人分の命を助けるのにはギリギリだったようで、光が消えたと同時に『ライデン』が解除されて地面に落ちそうになった。

当然、こんな無茶をした隼人はその後に入院するハメになって仲間からキツいお叱りを受けた。

退院した際に、サンジェルマンが何かお礼をしたいと言った所、何時ものように冗談めかして「じゃあデートしよう」と言った隼人。奏者とカリオストロ&プレラーティーからは非難轟々だったが、当のサンジェルマンが返した答えは意外な物だった。

「わかった。では来週の日曜日に駅前10時集合にしよう。遅れたら承知しないぞ」普段のサンジェルマンからは想像できない、指バキュン&ウインクで去って行く姿に一同は( ゚д゚)ポカーンとなった。

~回想 終わり~

「あ、サンジェルマンったら一人良い顔で笑ってる。どうせあの時のこと思い出してるんでしょ!」

「あの時の乙女ぶりは一同驚愕だったワケだ!(服選びに長々付き合わされた)挙句その後、速攻で結婚して二重にビックリしたワケだが」

「自分でも驚いたわよ。長く生きてて女の子らしい時間なんて殆ど無かった筈の自分にそんな部分が有ったなんて。それに、実際デートしたり、普段一緒に居ることでどんどん隼人を好きに・・・」

言葉を続けようとした所でプレラーティーに口を塞がれる。

「タダでさえ甘い物食べてるのに甘い話はノーサンキュなワケだ!」

「それにその話は8年前に耳タコだから聞きたくなーい!!」

「そんなにか?当時もちょっと惚気ただけだと思うが?」

『これが加害者の理論か(なワケだ)!!』

「もうバツとしてスマホの写真フォルダもっと見ちゃいまーす♡」

「あ、待て!」

静止の声を振り切ってさらにサンジェルマンのスマホの写真フォルダを漁るカリオストロとプレラーティー。

暫しの間、ぎゃいのぎゃいのと争っていたが、結局『甘い』&『尊い』画像の嵐にダメージを受けた二人であった。

 

~その夜 鏡音家寝室~

「え!?せっかく3人で高級スィーツビュッフェ行ったのに皆一皿しか食べられなかったってマ!?」

「いや、ちょっと話が弾み過ぎて・・・カリオストロは少し涙目になってたな・・・」

S.O.N.G本部の食堂に定期的に『スィーツビュッフェ』が開催されることになったのは少し後の話




アンケート回答ありがとうございます。
次はいい加減二期をスタートさせるか・・・


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第XX話 雪音クリスIFルート② 未来クリスの日常

UA20000超えました。読んでくださる皆様に感謝です。


~ 鏡音家リビング ~

夕食後の鏡音家のリビングではクリスが娘(7歳)と「テト●ス」で熱戦を繰り広げている。

「よ!ほっ!ちょせー!っつーか7歳児なのに強すぎ!!」

「えっへん!私クラスで一番強いもん!」

得意満面の笑顔を浮かべながらも手は容赦なく動きブロックを効率よく消して行き、クリスを圧倒していく。

ちなみにこの勝負で賭けられているものは『お料理指南』だそうで。

そう言えば我が家は『ミニライデン』が万能過ぎるせいであんまり娘ちゃんを台所に立たせたこと無かったな~。あっ、今クリスがミスったからもうすぐ終わるな。

「お、お前には未来が見えているのか?」

「あぁ、ママの未来は敗北だ」

我が家では現在『NARUT●』がブームでございます。

決着ついて直ぐにテーブルに移動して突っ伏すクリス(27歳)

「まだウチの子に包丁は早いって~」

「気持ちは分かるけど先延ばしにしたら中学生になっちまうよ」

正論ぶっこんでも納得いってないのか、力ないペチペチチョップで反抗してくるクリス。

「そう言えば、平行世界のキャロルの娘達からお手紙来てたからわたさなきゃ」

懐から先日ギャラルホルンを使用して渡った並行世界『俺とキャロルが結婚してる世界』で知り合ったキャロルの双子の娘達から送られてきた手紙を娘ちゃんに渡す。

「わーい!おねぇちゃんたちからのお手紙だー」

手紙を受け取ると飛ぶように自分の部屋に走り去ってしまった。

「行っちゃった。懐いてたもんなー」

「あっちの姉妹はワンピー●に毒されてるせいで、ジュースで『義姉妹の誓い』やってたしな」

「ついでにキャロルも姉にしようとしてこめかみグリグリの刑喰らってたなw」

まぁ、実際にはほのぼのした交流だけでは無く、新種のノイズ『カルマ・ノイズ』の発生など大変な事もあったが、こういった微笑ましい交流があったのは本当にうれしかった

「向こうのキャロルと隼人は大分牙が抜けた感じだったけど何があったんだろうな?それが二人が上手くいった要因みたいだけど」

「キャロルは兎も角、俺の方は言うほど抜けて無かったけどな。1on1では見た目より苦戦してたぜ。優勢になったのはキャロルが『アンパン●ン』見たいから手を抜いてたせいだよ」

実際、キャロルはカルマ・ノイズの親玉叩くときは滅茶苦茶なパワーで粉砕してたし。

確かにパワーとスピードは完全に俺が上だったと思うけど、回避と駆け引き、何よりも精密射撃の精度が半端じゃ無かった。クリスとの連携無しでは勝てなかったね。

「所でクリス、ビール二本目行っても『ダーメ!』」

流れで行けるかと思ったがやはりダメだったorz。

ぎゅ~

うなだれてたら、急に右腕に破壊力満点の感触(LV90)

「えっと・・・クリスさんや?これはどういうことでせう?」

「ウチの娘、キャロルの娘の影響で姉妹に憧れてるみたいで『おねぇちゃんになりたいって』何度も言ってきてるんだよ」

「ほうほう・・・つまりは?」

少しイジワルしてみたら右肘極められた。超いてぇ!

「ここまで言ったらわかるだろーが・・・バカ!」

「ごめんごめん。じゃあ、ここからは・・・お姫様扱いしてあげるよ♡」

椅子から立ち上がってクリスをお姫様だっこで抱え上げる。

「うわっ!おい!いい年して恥ずかしいから止めろよな!!」

「『家の中でやってる』からセーフ!」

ジタバタしてるクリスを無視して寝室に直行する俺であった。

 

~ 数か月後 並行世界の鏡音家 ~

『ママー、あの子が今度おねぇちゃんになるんだって!!』

並行世界の義妹から送られてきた手紙を手に興奮気味にキャロルに報告する双子ちゃん。

「そういえば帰る直前に母親にずっとねだってたな・・・ってお前らの期待を込めたその目は何だ?」

『私達もおねぇちゃんになりたい!!』

キャロルのカミナリが鏡音家に轟いた。




あれ!?二期を進めようとしていたら未来クリスの話を書いていた。
何を言ってるか分からねーとおもうがry
前回アンケートは以下の結果となりました。


(3) 立花響
(11) 雪音クリス
(3) マリア・カデンツァヴナ・イヴ
(3) 月読調
(3) 暁切歌
(10) キャロル・マールス・ディーンハイム


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第XX話 キャロルIFルート④ 未来キャロルのお引越し計画

~ 鏡音家リビング ~

つい最近、鏡音家に大きなニュースが飛び込んだ。妻キャロルの妊娠である。

双子ちゃんに煽られた時は『7歳ならいざ知らず、中学生になろうかという年齢でペット感覚でほざくなぁぁ!!』とマジギレしていたキャロル。

だが、今そういう結果になってるてことは・・・ねぇ?

鏡音家のリビングには鏡音家4名と『チンドン屋軍団・・・じゃなくてオートスコアラー4体』とエルフナインの9名が揃っている。

何故かホワイトボードが設置されており、その前に立つエルフナインはやけに気合が入っている。

「皆さんに集まってもらったのは他でもありません!キャロルの妊娠は喜ばしい事ですが・・・キャロルは狙われています!!」

『ΩΩΩ<な、なんだってー!?』

キャロルを除く一同がお決まりのリアクションを取るが、当のキャロルは白けた顔。

「俺や隼人、ガキどもを狙う輩からの脅迫文なんて毎日の様に来てるだろうが!実際に実行する奴一人も居ないのに何を今更」

「その油断が命取りなの!でも大丈夫!!科学と錬金術が交差した鉄壁のセキュリティを誇る家を用意しました。鏡音家の皆さんにはここに住んで頂きます!」

ホワイトボードに一軒家・・・というには随分とでかい家の写真が張り出されてる。

『いやいやいや、広すぎて維持が大変だろ!?』

思わず大声てツッコむ。なんというか、街中で偶に見かける「地主さんの家かな?」って思う広さがある。

家が広くなるという事は掃除や庭の草刈りだけでも結構な労力が必要になる。

「念願の一人部屋!」

「それ以上に豪華な家!!」

その辺を考えてない双子ちゃんは目をキラキラさせてるけど絶対お掃除の苦労で泣くと思うね。

さらに言えば、セキュリティの維持管理は誰がやるんだ?

「そこは普段研究所住まいのオートスコアラーとボクを常駐させて解決します。最低でも出産後キャロルが万全になるまで24h勤務で家とキャロルを護ります!!」

『24h勤務とか聞いて無い!!』

俺の疑問に対するとんでもないブラック企業発言にキャロルの『愉快な仲間達』・・・じゃなかった、オートスコアラーも流石に悲鳴をあげる。

「やれやれ、前もそうだったが、張り切り過ぎてから回ってるぞ。前回みたいにまだ入院しなくて良いのに病室に缶詰はご免だ」

椅子から立ち上がってエルフナインのおでこをツンツン叩いて横にずらして家の間取り情報を熱心に見ている。

「この警備システムは要らんけどこの家は良いな。双子共もそろそろ一人部屋が欲しいだろうし。問題は維持か・・・」

ちらりと4体のオートスコアラーに視線を向けるが全員手で大きなバッテン印出したり、『労働環境改悪反対!!』とかプラカード掲げて抗議している。

さすがに家の掃除と草むしりだけが仕事は嫌らしい。

「マスターってば隼人が私たちの事をギャグキャラ扱いするから忘れてるかもしれませんけど、結構私達忙しいんですってば」

ガリィが必死にアピールして『ル●バ』扱い回避を狙う。

「ふーむ、やはりこれは広すぎか・・・そもそもこれはどういう素性の物件だ?」

「旧風鳴機関のセーフハウスだったそうです。現当主の翼さんが無償で提供してくれると・・・」

「いやいやいや、受け取れるかぁ!!」

さすがに申し訳なさすぎるので受け取れません。

半分最初から分かっていたオチが付いたところで、家はまた今度考えようということでこの場はお開きになった。

「というか、俺を心配する前に即座に『休暇』を取れエルフナイン。総務から苦情が出てるぞ!!」

「ギクッ!!」

自発的に有給休暇を取ろうとしない困った人種のエルフナインの両脇を双子ちゃんががっしりとホールドする。

「とりあえず、今週は夏休みでヒマなウチの娘達と遊んでろ。」

キャロルの言葉とともに『アイアイサー』とばかりにエルフナインを連れ出す。

「やれやれ、やっと騒がしい連中が居なくなった」

そう言ってタブレット端末を開いて物件情報を検索し始めるキャロル。どうやら鏡音家のお引越しの日は近いらしい。

ちなみにこの日夕飯に同席したエルフナインは、なぜか双子ちゃんから『妹』扱いされまくった事に不満を申し立てていたが、顔はめっちゃ笑顔だったことをここに記しておく。




次回こそは2期を進めます(;^_^A


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第四十一話 シンフォギア二期(G)開幕

~東京へ向かうヘリ内部~

ノイズの軍団による襲撃を退けて「ソロモンの杖」を岩国基地へ移送したものの、連続して発生したノイズの襲撃により「ソロモンの杖」ならびに研究責任者である「ウェル博士」が行方不明という結果となった。

指令の風鳴弦十郎の指示にて友里あおいと共にヘリに乗り込んだ立花響と雪音クリス。

東京への帰還中に発生したライブ会場における「マリア・カデンツァヴナ・イヴ」による世界への宣戦布告。それと同時にもたらされて事実に一同は驚愕する。

『隼人(さん)がライブ会場にいない!?』

記録上も映像でも会場内に鏡音隼人の姿が無いという情報にクリスが思わず声を上げる。

「人質の解放は、会場に居合わせた『自衛隊 対ノイズ特務部隊』の協力の元、順調に進んでいます」

「いやいやいや、どう考えても隼人の差し金だろ!」

いくら街の復興任務終えてやっと休めるようになった『自衛隊 対ノイズ特務部隊』とはいえ、一度に50人もライブ会場に居合わせたのは都合が良すぎる。

「どこかに隠れてマリアさんを狙ってるとか?」

「いや、『ライデン』の起動は派手だから暗殺じみた真似には向かないだろ。」

隼人の意図を予想する2人だが、中々双方納得する意見が出て来ない。

結局、原作通り『フィーネ』の3人のシンフォギア奏者が撤退し、その後始末としてノイズをS2CAトライバーストで吹き飛ばしても隼人がライブ会場に姿を見せることは無かった。

「一旦奏者3名は自宅に戻ってくれ。後始末と隼人への対応は俺達がやる」

奏者三名は弦十郎の指示に従って現場からヘリで規定通りに人目を避けたルートで自宅に戻された。

~ クリスの部屋 ~

クリスはベッド上で『ライデンぬいぐるみ』を抱きしめながら考える。

(隼人がお頭達を動かしておいて、自分はどこかで高みの見物なんてことがあるだろうか・・・絶対ない!)

だから考える。あのシンフォギア奏者達を追ったとして、何処で戦おうとする?

「・・・わかったぁぁ!!」

急いで本部に通信する。

クリス自身は寝室を飛び出し何時でも出れるように玄関で足を止める。

「どうしたクリス君?」

「オッサン!隼人はあの連中を『カ・ディンギル』に呼び込んで全滅させる気だ!!アタシだけで良いから行かせてくれ!」

「確証はあるのか?」

「①周囲を気にせずに『バイナリーロータスを使える』②本当のフィーネだろうが偽者だろうが、隼人が因縁の場所と言えば相手は乗るしかない③誰の贈り物か知らないが、アタシの部屋の玄関に『試作型の光学迷彩』が置いてある!!」

「分かった。その送り物を使って急行してくれ」

許可を得て、シンフォギアと自衛隊の特務部隊でテスト中と噂の『光学迷彩』を装備して夜の街を飛翔するクリス。

(あれほど無茶するなって言ったのにあのバカ・・・後で詰めてやる!!)

ビルの群れを疾走していると通信機から『ガングニール』と『Vディスク』の反応が出たという報告が入って来た。

(くっそ!まだここからは距離がある・・・やられたら承知しねーぞ!)

逸る気持ちを抑えて、最短ルートを計算通りに移動する事に集中するクリスだった。

~ カ・ディンギル跡地~

S2CAトライバーストの光を呑気に見てる3人に声を掛けてFISのヘリに乗り込んで、俺は3人とマムに一つの提案をした。

つまりは「『カ・ディンギル』跡地にて3VS1で戦って俺が勝ったら『フィーネ』には投降してもらう。俺が負けたら俺のディスクを持って行け」という簡単な物だ。

どうせ途中でウェル博士が横槍入れて来るんだろうけど、そこはクリスちゃんが援護に来てくれる筈だから、そこまで単独で頑張ろう。

「貴様正気か?3対1で戦うなどど」

「世界を相手に宣戦布告する阿呆に正気を疑われるとは心外だねぇ・・・横2名はさっさと始めたがってるみたいだからさっさと始めようぜ。言っとくけどグズグズしてるとすぐにシンフォギア奏者達が来てそっちの勝ち目無くなるぜ」

ヘリを降りて適当に戦うポジションに着くなりマリア・カデンツァヴナ・イヴが発した言葉に対して挑発的な言動で返す俺。

暁切歌と月読調は親の仇を見るような目で俺を睨みつけている。

暫しの静寂が流れ、4人当時に各々の聖遺物を起動させる。

信号機トリオにちょっと遅れは取ったけど、俺の「戦姫絶唱シンフォギアG」をここで開幕させて貰うとしよう。



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第四十二話 ライデン VS FIS

~カ・ディンギル跡地~

3対1の戦いが始まってから約10分。

マリア達は未だに『ライデン』にまともな攻撃を命中出来ずにいた。

『どうした?バイナリー・ロータスにビビって来れないのか?』

「く、デカい図体のクセに避ける動きが早すぎるのデス!」

「このぉ!!」

「調!無暗に突っ込まないで!」

隼人の挑発に乗って接近してから複数方向の鋸攻撃を敢行しようとする調を慌てて引っ張って連れ戻す。

『おいおい味方の攻撃の邪魔は良くないぜ。左手にグランド・ボムを持ってない今が接近のチャンスだったのに』

「そうだよマリア!今ならどこか一か所以上は削れたのに!!」

「相手の口車に乗ってどうするの!接近してたら背中に張り付いてる『ミニライデン』がボムを投げていたわよ」

よく見てるもんだ。背中にピッタリ張り付けてるから、慣れてる面子でも響なら何とか騙せそうなトラップだったのに。

普段から3対1やってるせいもあるけど、クリスちゃんみたいな純粋射撃タイプが居ないから寧ろやり易い。

そろそろかな?

「全く、お三方では埒が明かないようですね!この僕が代わりに決着をつけて差し上げましょう!!」

いい加減焦れたのか、ウェル博士がソロモンの杖を手に現れた。

「ウェル博士!?勝手な事を!」

突如出現した大量のノイズに声を荒げるマリア。これだけ大量にでると、自身も攻撃しかねない。

そんな中でも「きりしら」コンビは連携して俺を攻撃しようと果敢に攻めて来る。

お、原点回帰で風鳴にやったコンビネーションか。

『だが残念!』

斜め方向へのダッシュで射撃を回避して、接近してくる切歌をダッシュレーザーで牽制する。

ダッシュレーザーは止まって撃つ場合と比べて、極端に威力が減るのを知らない彼女は、慌てて攻撃から回避に移る。しかし今のでバレたかね。

「ダッシュで撃ったレーザーにはあまり威力が無いようね!」

一気に距離をつめて俺の着地を狙おうとするマリア。

『だが、俺には手持ち看板がある!!』

突き出されるガングニールを看板叩きつけて迎撃する。どうやらこれがアームドギアという認識が無かったのか、または自分でさっき「無双の槍」って言ってたものが看板一つに防がれたのが信じ難いのか、予想以上に驚いた顔を見せる。

「だが、これでどうだぁぁ!!」

再度力を込めて看板を完全に破壊してガングニールを俺の胴体にぶち込もうとした所で予想外の横槍が入った。

「さっきと逆の形になって済まないが、武装解除してもらう。博士とヘリも制圧させてもらった」

唐突に現れた風鳴翼が刃をマリアの首元に着きつけて宣言する。どうでも良いけど、剣なのに横槍とはこれいかに?

周囲を見ると、クリスちゃんにガトリング突きつけられてホールドアップしてるウェル博士と響に連れられてきたマムの姿を見て3人の奏者は大人しく武装解除した。

~ 帰りのヘリの中 ~

「いや~助かったわ」

クリスちゃん一人が気付く物かと思ってたが、響と風鳴は本部で待機してたらしく、途中で合流して来たらしい。

「一々ややこしいんだよ!事前に言っとけ」

先に席に座って部屋着のまんまで文句を言うクリスちゃん。どうやら気付いて着の身着のままで来てくれたらしい。

「いやーごめんねって・・・あれ?」

唐突に視界が揺らいで膝から落ちてそのまま座ってるクリスちゃんの谷間にダイブしてしまう。やっぱリアルで10分以上&人間相手のハンデバトルは消耗キツかったらしい。

(いや、マズいんだけど体がマジでうごかねーや・・・後で謝ろうzzz)

一瞬だけ「シャツ越しの生の感触柔らかいなぁ」ってアホみたいな感想を思い浮かべて意識がブラックアウトした。

この後、隼人には弦十郎→友里あおい→雪音クリスからの連続お説教のコンボが待ち受けていた。

 




次回は悪役IFの「シェム・ハ」さんor2期続きかな?


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主人公活動停止中の為小休止

~二課仮設本部 医務室~

「疲労でダウンしてただけで外傷なしは良いとして・・・この雪音クリスに言うべきことがあるんじゃないのか?」

言うべき事・・・うーん。弦十郎さんと友里さんに叱られ過ぎて脳みそ回ってない頭で考える・・・これだ!

「すっごい柔らかくて気持ち良かった。」

「いっぺん逮捕されて来い!!」

顔真っ赤にしたクリスちゃんの鉄拳で俺の意識はまた闇に落ちた。

 

「あー、腹立つ!!聞いたかお前ら?アイツの辞書には『謝罪』っつー言葉がないのか!!最近姫宮に言い寄られて調子に乗ってるだろ!」

「どうどう、確かに他の女性なら怒る所だが、雪音が怒る事は無いだろう」

「どういう意味だよ!?」

翼の発言にクリスがヒートアップして、その形相に響の顔が引きつる。

「最近雪音も食事会でしょっちゅう鏡音先生にベタベタして胸を直接当ててる機会が多く見られると言ってるんだ」

「あー、隼人さんも最初は注意してたけど最近は諦めてますよね~」

「なっ!?そ、それは・・・学校では姫宮が上手い事アタックしてるから・・・」

「やれやれ、なんにせよ鏡音先生が起きてくれないと、彼の意図が分からないな」

「確かに、ただ彼女たちを捕らえたいなら、会場いれば良かっただけの話ですもんね」

顔を真っ赤にしてゴニョニョ言ってるクリスを他所に翼と響はため息を吐いた。

 

~ FIS三人娘の留置部屋 ~

「はぁ、鏡音隼人の都合でまた事情聴取が延期とはね・・・しかもここの食事、やたらと美味しいし」

「最初は『偽善者からの施しは受けない』と言ってた調も堕ちる美味しさデース」

「堕ちてない!捨てるともったいないから食べただけ」

必死に否定する調べだが弁当は綺麗に残さず食べている。

「それに、武装解除した私達に突起物の奏者達が言ってた心配は本気だったのだろうか?」

~回想~

「ペンダントはこちらで預かる・・が、お前たち四肢は無事か?」

唐突に聞かれた言葉にビックリする。

「見れば分かるでしょ!?」

「いや、切断しておいて『レスキュー機能』で治してもう一回遊べるドンとか言い出す人間だからな」

響は響で

「大丈夫?『タンクローリー』投げられたりしなかった?」

クリスも

「なんか怪しい近代兵器喰らったりしてないだろうな?」

などと今まで入手していた「鏡音隼人=『ライデン』」とは全く違う戦い方と人物像に、背筋に悪寒が走る。

「機会が訪れたら、こんな化け物とも戦わなくてはいけないとは・・・」

「調?なんか震えてるデス?」

「え!?ホントに?心配してくれてありがとう。何でも無いよ(今震えてたかな?)」




間が空いて申し訳ありません。次回は悪役IFのシェム・ハさんを考えてます


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第XX話 シェム・ハIFルート① 未来シェム・ハの日常

立花響と小日向未来に未来を託して消滅したかに思われたシェム・ハ。

しかし、未来の体を乗っ取った時に隼人に言われた一言が引っかかった。

「おーい、小日向~今頑張って戻って来たら美味いうな重食えるぞ~」

圧倒的力で体を支配していた筈なのに、その言葉を聞いた瞬間に未来は信じがたい力でシェム・ハの支配力を押し返そうとした。

「それほどの力を生み出す食べ物に興味がある」と思い、適当にその辺の人間の体を借りて食べて行こうと思ったが、何故か街中に人が全くおらず、やっと見つけた人間の女性は倒れて重症という有様。

(他に人の気配無いし、致し方ない。傷を治して目的を果たしたらこの体を抜けよう)

なんて甘く考えていたら、中々都市機能は回復しない&体から出られなくなり、現状に耐えかねて隼人にコンタクトを取ったのがこの二人の「なれそめ」になるだろう。それくらい事件中二人が絡む機会は少なかった。

「あの時は( ゚д゚)ポカーンってなったぜ、唐突に女子大生から『我、うな重を所望する故、早急に用意されたし』と来たもんだもんな」(隼人談)

勿論、S.O.N.Gはおろか、世界中大混乱。女子大生が住む安アパートを各国の特殊部隊が囲む中、うな重の出前をするという非常にシュールなお役目を仰せつかる羽目になった隼人だった。

扉を開けたら、本来居るべき女子大生の姿は無く、容姿は完全にシェム・ハになっていた。

最初は女子大生を乗っ取ってまた戦いが始まるかと空気が凍り付いたものだが、話を聞く&詳細な情報を確認すると、新しい事実が出て来た。

戸籍は確かに日本人、しかし在籍していた大学の情報と幼少期の情報を照らし合わせると。明らかにシェム・ハが乗っ取った女子大生は当初の戸籍とは違う人間だった。所謂「背乗り」というやつである。

おそらくどこかの国の工作員だったと思われるが、避難もせずに街中で一人倒れていた彼女に何が起きたのかは今は分りようもない。

シェム・ハも体の修復で精いっぱいで、彼女の記憶をたどる事は出来なかったらしい。もちろん、持参したうな重はがっつり美味しくシェム・ハが頂きました。

その後は当然、彼女をどう扱うべきか激論が交わされた。結論としては『彼女を罰する法律が存在しない』という結論に至り、身柄はS.O.N.G・・・というか隼人に預けられる形になった。

彼女の監視(というか世話)をするうちに徐々に距離が縮まり、自然と恋愛に発展していた。

かつての力はほぼ失ったが、知力は変わらぬ彼女がどんな進路を選ぶのかヤキモキした隼人だったが、以外にも選んだ進路は「リハビリ医師」という職業だった。

曰く「我は意外に頑張る人を応援するのが好きみたいでな。しばらくはこの仕事をやらせて貰う」との事。

そんな彼女の仕事風景はというと・・・

 

 

~ XVから5年後 都内某大型病院のリハビリ施設 ~

「ふむ、リハビリ初日よりは大分マシになって来たな。この調子でメニューをこなせば予定より早く退院できるかもしれんぞ」

「ありがとうございます。最初は半信半疑でしたが、本当に回復を実感出来てます!!」

興奮気味に感謝を口にする患者に『鏡音シェム・ハ』は苦笑する。

「足の骨折は『痛いからリハビリを先延ばしにしたい』とか『早く治したい』と計画を勝手に変える患者が多いからな。キミは無理せず良くやっているよ。明日からはもっとキツいリハビリになるから今日はゆっくり休むことだ」

「はい!」

「くれぐれも何処かの『筋肉ダルマ』と『レーザー馬鹿』の様に『体動くし血が止まったからOK』だのとほざいて勝手に窓やら壁やらを破壊して退院しないようにな」

そう言ってリハビリ室から去って行くシェム・ハの背中に「そ、それはどっちも人間では無いのでは?」と思う一般患者さんであった。

「さて、任務で無茶して怪我した我が伴侶の様子を見に行くか・・・って何故病室の前に隔壁があるのだ?」

夫である『鏡音隼人』の病室へ向かうシェム・ハを阻むように突如昨日までは存在していなかった隔壁に首を傾げる。

「友人の医者と妻のリハビリ医の言葉を無視し続ける男(隼人)用の特別隔離病棟だ!今回は意地でも逃がさんぞ!」

後ろから、この病院に医師として勤めている「キャロル・マールス・ディーンハイム」が現れた。

S.O.N.Gの面々の最近の入院先として使われるこの病院だが、目下の悩みの種は最近、ノイズがあまり出ないのを良い事に隼人と一緒に好き勝手に戦ってはケガ⇒一日で回復して医師の判断を無視して窓から『ダイナミック退院』する筋肉司令官(弦十郎)とその部下である隼人だった。

窓の無い部屋に入れても、隼人の入れ知恵で習得したと思われる威力が桁違いなパンチのせいで、壁が粉々に粉砕されてしまったり、レーザーで綺麗に切断されて逃げられる事案が続いていた。

「我が提案した壁に衝撃を吸収する素材を挟む案は上手く行かなかったのか?」

「拳は防げたが、次は『南斗●拳』やって来やがった」

「レーザーを拡散させる素材は?」

「あの野郎は、ガリィが煽りに行くの読んでたらしくてな・・・部屋に入った瞬間にCQCで捕獲して、皆が忘れてた『偽装能力』でちょっとデカいガリィとして堂々と病院から出て行きやがった」

「成程、流石にここまでされたら我が愚夫も大人しくなるだろう」

それならこの隔壁も致し方なしかと思いつつもIDカードを入れて中に入る。隔壁はもちろん、中の壁も特殊なコーティングが施されており、キャロルの苦心が伺える。

「エルフナインから訓練データを横流ししてもらって作成した俺の技術を結集して作った壁だ。あいつらのどんな攻撃も効かんぞぉぉ!」

と宣言するだけあり、自身の護衛用の『ミニライデン』に壁を叩いて貰っても、うんともすんとも言わない。これなら脱出は不可能だろうと思い、病室に入る。

「いい加減大人しくしているか?これ以上好き勝手してると我も実力行使に移るぞ」

「ムギギギ、もう怪我は治ってるというのに・・・」

ベッドの上でブーブーと不満を漏らす男は鏡音隼人(30)。

「治ってるから退院して良いと言う物では無い。キャロルのヘソの曲げ具合からして、今回は大人しくしておくんだな。どれ、リンゴ位は剥いてやる」

お見舞いの品として置かれていたフルーツセットからリンゴを手に取って剥き始める。

「シェム・ハにリンゴを剝かれるとは・・5年前には想像もつかなかったな~。仕事は順調なのか?」

「無論だ。後は夫と筋肉司令官が同僚を困らせなければ完璧だな」

再び『ムギギギ』となる隼人をからかいながら切ったリンゴを楊枝で刺して「あ~ん」の構えに入る。

「え!?」

「何を驚く。我々は夫婦なんだからこれくらい当然だろう」

「家でやらねーじゃん!?ここ、多分キャロルに録画されてるって!」

「無論、分かっている。積極的に同僚にネタを提供している。止めて欲しかったら、次からは医師の言う事は聞くことだ」

結局羞恥に負けて隼人が白旗を上げるのにそれほど時間はかからなかった。

 

一方、弦十郎は指で隔壁をこじ開けて退院した。




ノイズが出て来ないのを良い事に弦十郎が無双始めたらヤバそう(;^_^A


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第四十三話 鏡音隼人式シンフォギアG攻略開始(前)

いや、学校一日休んだだけなのに偉い久しぶりに教壇に立つ気がするけどきっと気のせい...( = =) トオイメ

『究極の結果オーライ』であるシンフォギア二期を俺は俺なりの方法でクリアしなくてはならない。初手からちょっと気負い過ぎたかもしれない。

コッソリ戦いを見ていたお頭からは『らしくなかったな。見ててもどかしいから、早くクリスちゃんに到着して欲しくて仕方なかったぜ』とのボロクソな評価を頂いてしまった。

第一手としてFISを一度に捕獲したは良いが、普段信号機トリオとVR空間でガチガチにやり合ってるせいで、現実での疲労感とバックファイア負荷の計算がちょっといい加減になってた事を痛感した。

それさえ無ければクリスちゃんの胸部へダイビングヘッドバットを決めて気まずくなることも無かったろうに・・・(表現を無理やり捻じ曲げてお伝えしています)

「って黒板消し落としとか人を馬鹿にしてんのか?」

全く一日娯楽が無くなると暴走する連中だな。そっちがその気なら斜め上の手段で対処せざるを得ない(キリッ!

窓際の席の脳みそ筋肉娘こと雨宮にメールを送る。

『貴様が部室の冷蔵庫(アイシング用の氷を製造保管するためのやつ)に隠した大量のアイスは預かった。返して欲しくばコッソリ窓を一つ開けておけ!』

そそくさと隣の教室後ろ側から侵入して窓から外に抜ける。

外の配管を伝って窓が開いてるのを確認して屋上の手摺に攻●機動隊の要領で透明な糸を巻き付けて、壁を蹴り反動をつけて教室にダイナミック・エントリーを敢行する。

『パリィィン!!』(Present by 鏡音隼人の喉)

上手く窓枠を蹴って教壇へスーパーヒーロー着地することに成功する。

「フハハハハハ!!この侵入方法は予想していまい!!」

芝居がかった声で振り返ると皆ポーカーンとした顔になってる。残念、エ●ル顔にはならんかったら。

「鏡音先生!何が有ったんですか!」

ん?響の所の担任さんが入って来て・・・ってやべ。

落ちて来た黒板消しの餌食となった先輩教師にどうフォローを入れるべきか、アドバイスを請おうとクラスを見渡・・・・全員敬礼してんじゃねーよ!。

~放課後 ~リディアン音楽院 屋上~~

結局めっちゃ怒られた。今日はこの後、本部でFISの面々とこれからの事について話合いがあるというのに。

テンション下がる事ばっかりだ(自業自得)腹いせに雨宮のアイス(某有名カップアイス六個入)を失敬して味わいながら秋桜祭』の準備に精を出す生徒達の姿を眺める。

前にもちらっと言及したけど、原作では新生リディアンの生徒数は元の六割だった所がこの世界では八割に持ち直している(生徒の人的被害は0)。しかし、今回はそうは行かないだろう。

脳裏に浮かんだダイジェストだけでかなり一般人や軍人が被害を受けている。

犠牲者を抑える為に初手でFISを抑えたとはいえ、その後押しを行った組織が『軌道修正』することで『バタフライエフェクト』が発生する事も考えられる。

最大の懸念は「ネフィリムが目覚めてしまっている」事だ。

これはダイジェスト画像作った人(?)の悪意を感じる。S2CAのフォニックゲインで起動した描写がバッサリと斬られてて完全にノーマークだった。

できれば起動せず済ませたかったがこればっかりはどうしようもない。393の『神獣鏡』のお力で何とか出来ないかとも思うが、彼女の力は響への想いが原動力の節があるから、響を救う事以外への過度な期待は禁物だ。

前回以上に複数の人物・組織の意思が複雑に絡み合う事が確定なので上手くやれるかどうかの自信も無い。

どうにも『ルナ・アタック』の時と比べてモチベが落ちてネガティブな思考に囚われている気がする。

そんな事を考えていたせいか、後ろから人が来ていることに全く気付かなかった。

「隼人ちゃんつーかまーえた♡」

聞きなれていなければ可愛らしいアニメ声と共にガシっと後ろからホールドされる。いや、姫宮さん力強すぎ!?

「おいこら、可愛い声してこのゴリラみてーなパワーはどういう事だ!?」

「うん、ウチのパパ警察のお偉いさんだから相手を押さえつけるのは得意だよ♡知らなかった?」

あー、自分のカワイイを他人に強要していた頃はこの技を悪用してたのか!?普通の女の子がこんな抑えられ方したら怖かったろうな。つーか今!俺も怖いです!!おまわりさんコイツですと叫びたい気分だった。

「そもそも何しに来たんだよ!」

「何か隼人ちゃんが『ルナ・アタック』の時と同じ顔してたから気になったの!あの時も屋上に居たでしょ?」

あの時も見られていたとは不覚。

「あの日も今日も、『自分が全てを救わなきゃ~』って顔してるんだもん」

どんな顔だよそれは。しかし言われてみればそんな事は考えていたかもしれない。

「でも全部は救えてねぇよ。前も生徒は助けられたが、自衛隊は全部救えてねぇ」

「そりゃそうでしょ。何時も何時も私を助けてくれた時みたいに行くわけないんだから」

そう、この姫宮は本編開始ちょっと前にシェルターに入れず逃げ遅れていた所を俺に助けれられた過去がある。

ちなみに反射で『逃げろ姫み・・・じゃなかったお嬢さん』とモロに思考を看板に文字として出力してしまい正体がバレてしまったという訳だ。

今日まであんまりそこに言及する事は無かったんだが、どうやら見るに見かねられてしまったらしい。

「そんなに肩肘はって戦わなくて良いよ。何なら戦わなくて良いくらいに思ってるから」

唐突に優しい声でそんな事を言ってくる。『美味しいかつ丼いっぱい作って犯罪者を自白させまくろう』という提案には笑ってしまったが、少し気持ちが楽になった。

「ありがとな。ちょっとだけモチベ上がったわ。かつ丼作戦は早速今日から実践してみる」

スルっと姫宮の拘束から抜け出すとお礼代わりにまだ食べてないアイスの箱(3個入り)を渡して屋上を去る。

背後から「私、ライデンのファン1号だからずっと応援してるよー」なんて言葉を掛けられた。一号は言い過ぎだろうなんて捻くれた言葉を返しつつ頬を緩ませたまま本部に向かった。



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第四十四話 鏡音隼人式シンフォギアG攻略開始(中)

モチベーションが回復した&名案を姫宮から貰ったので久々にテンション上げながら校内を歩いていると廊下を走っているクリスちゃんを発見。

「よっしゃぁぁ!!クリスちゃん!キミに決めたぁぁ!!」

廊下を走ってる小娘にはお仕置きたべ~っと職員室のベテラン教師にしから通じないネタを振りまきながら捕獲して駐車場へダッシュする。

「おい!人を荷物みてーに抱えるんじゃねー!!」

「大丈夫!スカートごと両足ホールドしてるからちょっと背伸び気味のパンツを他人に見られることは無いよ!(キリッ」

生きるスピーカー(立花響)からちょっと前に得た情報を元に口から出まかせ言ったらクリティカルヒットだったらしく、滅茶苦茶叩かれる。

『先生!私達、雪音さんに用が・・・』

悪いな!それはまた明日にしてくれぃー!

三人娘を飛び越えて走り去る俺だった。

「行っちゃった」

「廊下走ったらダメって言ってた癖に・・・」

「『飛んでる』からセーフって言うつもりかも」

明らかに人間を卒業している動きに関してはもはやツッコむ事を放棄しているリティアン音楽院特進クラスの生徒達であった。

~二課仮設本部 食堂キッチン~

クリスちゃんを相棒としてゲットすると仮設本部に移動してトンカツ定食作りにとりかかる。

悪いが食堂は主要メンバーとFIS組による貸し切りになる。

「なんで私があの連中(FIS)の為に料理作る手伝いしなきゃならねーんだ!」

ブツクサ文句言いながらもテキパキ手伝ってくれるクリスちゃんに礼を言いながら次々にトンカツを揚げていく。

「聴取といえばカツ丼!これでアイツらから根掘り葉掘り情報を引き出すんだよぉぉ!!」

「そんな簡単に行くもんかね?・・・それにマリアってやつは『フィーネ』かもしれねーんだぞ?」

クリスちゃんの懸念に俺は(ヾノ・∀・`)ナイナイと返す。

「もし彼女が復活したって言うなら、シンフォギアとソロモンの杖だけでドンパチ仕掛けるのはらしくないと思うよ。」

カンニングしてる分際でめっちゃ偉そうに断言する。みそ汁は・・・学校出る前にオーダーした赤だしがしっかり用意されている。

「確かにそうだけどさ・・・作り過ぎじゃねーのか?」

何か久しぶりにクリスちゃんと息のあった作業をしてたら楽しくって予定より作り過ぎた気がしないでもない・・・

「最後は腹ペこ師弟の胃袋に期待をしている(キリッ」

お前も食えよ!とツッコまれた所で艦内放送でみんなを呼び出す。さて、始めますか。

かくて食堂で始まったスーパー歓迎タイム。最初は疑心暗鬼LV5直前って感じだったが、カツ丼の匂いを嗅いだ瞬間に一気に陥落した感触。(特にマムさん)。

最初は『大丈夫かこの空気』って顔をしてた二課メンバー達も、今や食事に夢中である。響とか完全に仕事忘れてドカ食い初めて次々に『ミニライデン』に追加注文してやがる。

FIS組も二課組も楽しく談笑とまでは行かないが、衝突はしていない。一番反骨心強そうな月読調への対策に用意したメロンソーダをタブレットで勧める『ミニライデン』を前に暁切歌を静止しながらも、滅茶苦茶葛藤してるな。

※後でこの時の写真で弄ったら16分割されそうになったのは少し未来の話(CV:森●レオ風)

「いやいやいや、おかしい!×3日本食好きのマムが落ちてるのは仕方ないとして・・・状況の説明を要求するわ!鏡音隼人!!」

テーブルをバシンバシンと叩いて抗議の声を上げるマリア。ウェル博士にすら舌鼓を打たせるカツ丼定食にも負けずに言うべき事を言う姿勢は見上げたものだ。

「うっさい、まずは大人しく飯を食え!」

「まさかの全却下!?ならせめて配膳や注文聞いてくれるこの『ライデン風』のロボットは何なのか説明しなさいよ!?って調と切歌は結局メロンソーダ注文してる!!」

ウェル博士とかひっそりとケーキとココアという禁断の食べ合わせをしてるし、ツッコミが追い付かなそうで大変そうだなぁ。

「あ、お酒は出せないからマリアさんもメロンソーダ頼んでも良いんだよ♪あの二人みたいにアイスも付けれるし」

気を使って提案したのにローキックを頂戴した。170のアイドル体型のキックだから予想外の距離から命中して超痛いorz。

そう言えば、『ミニライデン』は初めて見る人はちょっとビックリするかねぇ?結局各々好き放題注文した食事会が終わるまでに30分程かかった。

「ハァ、ようやく皆食べ終わったわね・・・今度こそ説明してもらうわよ!」

ずいっと詰め寄って来るマリア。今気づいたけど、デっか!?クリスちゃんとは骨格から違うから比較出来ないけどデっか!?

後ろからでも邪な視線はバレる物なのか、超強烈なカーフキックが入って滅茶苦茶痛い。でも、マリアの言葉に不敵な笑みを浮かべて言葉を返した俺をちょっと褒めて欲しい。

「俺なりの相互理解の方法第一弾ってやつさ。キミたちには俺の『お願い』に協力してほしいからね」

足痛すぎてこの顔キープ出来なかったらちょっとカッコ悪いなぁ(;^_^A



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第四十五話 鏡音隼人式シンフォギアG攻略開始(後)

さて、まずはFIS最大の懸念点と思われる『月は正常なのか?』という問題を解決する為に、予め弦十郎さんから許可を得ていた俺とクリスちゃんによるカティンギル相殺~フィーネ消滅までの様子を『ミニライデン』に立体映像で出力させる。

いやー残念ながら映像記録しかないので全員の声は俺が務めている。

途中皆が口々にこんな声出してないって文句言ってるけど雰囲気伝える為のダイジェストだからそんなに文句言われてもな。寧ろ気絶中の皆の発言をきちんと調査してカバーした俺のまめさを褒めて欲しい。

響とか「私、2人が落ちて来る時にあんな悲鳴上げてません!!」とか言ってるがダウト!きっちり聞こえてたぞm9

「( ゚д゚)ポカーン」×4

おや?FIS組の様子がおかしい。エ●ル顔一歩手前になってるな。

「どうした?すげー顔して。俺のスキル(声真似)にビックリしたかい?」

「シンフォギア奏者達じゃなくて、お前(鏡音隼人)の非常識さに言葉を失ってるんだ!!」

「はて?一生懸命戦ってるだけだろ?」

「映像のそこら中に聖遺物同士の戦いに似つかわしくない武器が捨てられてるのをどう説明する!?」

映像の所々に移りこんでいる、原作には無い最新兵器(正確には試作品)の残骸の数々を指さして大声を上げるマリア。

「ニュース見てないのか?あれは自衛隊が輸送中だったトレーラーがリティアン音楽院を襲ったノイズ軍団の影響で・・・」

「そんな見え見えのカバーストーリーを聞いてるんじゃない!どういつもりでこんなものを使ったのかと聞いている!」

あらら、あなたがそれを言ってしまうのか。自分で自分がフィーネじゃないと言ってるようなもんだぜ?

「だって相手は無限再生するだぜ?『ライデン』以外のあらゆる力を使うのは当然だろ?」

俺の言葉に息をのむマリア。言っとくけど、これだけ現代兵器と『ライデン』使って俺は勝ててないからな?完全聖遺物とは出来れば戦いなくないね。

「ハイハイ!質問デース!」元気よく手と声をあげる暁切歌に発言を許可する。

「二人で月を護ったのは分かるのデスが、何で二人で射撃してないんデスか?」

え!?そういえば聖詠聞いて無いせいか人物像をよく思い出せて無いけど暁ってこんな感じの残念なキャラなのか?

「ハッハー!お子様の脳みそのプロセッサは何世代前何でしょうねぇ?雪音クリスの攻撃と『ライデン』の攻撃はビームとレーザーで属性が異なる物!足して二倍になったりはしないのでこのケースで彼は彼女のサポート役に徹した訳ですよ!」

そして頼んでもないのに知識マウント取りながら説明をするウェル博士。

「私達に何をさせる気なの?私たちは負けて裁かれる身かもしれないけど、貴方に協力する義務なんて無いと思う」

それまで警戒心MAXって感じで黙ってた月読調が口を開く。オイオイオイ、未成年がそんな捨て鉢な言葉言っちゃ駄目だぜ。

「仕草でしゃべるな!人間なんだから言葉を話せ言葉を!!」

おっと、クリスちゃんからツッコミが入ったのでリントの言葉で話す事にする。

「まぁまぁ、直ぐに何かをしてもらうって訳じゃないし、君たちに獄中生活を続けさせるつもりも無い。弦十郎さん、手配って終わってます?」

「あぁ、ナスターシャ教授とウェル博士はここで俺の管理下に入って生活して頂く。マリア君たち3人は住まいを手配したので隼人の管理下で生活して貰う」

「じゃ、3人はついて来て。クリスちゃんも来てねー!」

「何でアタシだけなんだよ?」

「3人と隣の部屋だから。2部屋を壁ぶち抜いて3人でも狭くないようにリフォーム済みだから」

「ウソだぁ!?そんな工事の音してなかったぞ?」

「突起物に協力的なブラウニーさん達が昼間にやってくれました( ー`дー´)キリッ」

「いつかお頭達に復讐されても助けてやらねーからな」

やれやれといった表情で席を立った割に素早い動きで俺の横に移動してついて来る。

「おめーらも色々言いたい事あるだろうけど・・・こいつもオッサンもお前たちを悪い様にはしないから・・・少しの間で良いから信じて欲しいんだ」

「何か根拠があるの?」

「あるさ、助けても何の得にもならないアタシを助けてくれたんだからな」

相変わらず懐疑的な月読の言葉に応えて歩き出すクリスちゃん。そこで黙ってればいいのに俺と来たら・・・

「いや?俺はクリスちゃん助けて一杯得してるけど。具体的にはry」

最後まで言い終える前に『●が如く』みたいなヒートアクションで頭掴まれて壁に叩き付けられた(´;ω;`)

「助けて貰う前に鏡音隼人が死にそうになってるけど大丈夫なのかしら?」

『鏡音隼人のシンフォギアG』はダメかもわからんね。




久しぶりにアンケートしますので回答して頂ければ幸いです。


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FIS3人娘をお部屋へごあんなーい

普段半分しか見て無いけど雪音クリスの部屋は広い。カウンター付きキッチンとリビングは奏者と俺のたまり場と化しているが、それでも狭いと感じた事は無い。

それの2倍なんだからそりゃ広いか・・・キッチンの構造は変わらないが、リビングが1.5倍位広く感じる。

まさかこんな待遇を受けるとは思ってなかったのか、真っ先に部屋を確認してその広さに驚いたようで、さっきから3人の喧しい声がリビングまで聞こえている。

キッチンにFISが保有してた食料がいくつかの段ボールに有ったけど・・・缶詰とカップ麺ばっかりだ・・・。アイスの代償として雨宮のロッカーにぶち込んでおくか。

「いやいや、仮にも女子高生にカップ麵大量に渡すなよ!?可哀そうだろ」

「あれ、俺口に出してた?」

「おめーの考えてる事は大体分かるんだよ。」

「いや、あいつ響以上の『人間カー●ィ』だから。昼飯の時に気配消して『無限おにぎりチャレンジ』やったら10個過ぎた所で気づくんだぜ!?響でも+3で気づくのに」

「+3も相当だな・・・ってそういう問題じゃねーんだよ」

段ボール見る為に屈んだ俺の頭に容赦なくチョップが突き刺さる。痛みに暫し悶絶する。

「しかしFISってのは何で食料が日本のカップ麺にカロリーメイトとか調理少なくて済むやつばっかりなんだ?」

「資金も設備も無いんだろうな。あるいは料理出来る人間が居ないみたいだな」

ダイジェストで月読がキッチンでカップ麵の味目をしてるというトンチキなシーンを俺は忘れんぞ。

「何にせよいつぞやみたいに欠食児童と戦う事にならなくてよかっ」

言い終える前に凄まじい速度と踏み込みで裡門頂肘が飛んで来たので掌で受け止めてそのまま体を引っ張って姿勢を崩した所をコブラツイストで動きを止める。

「フハハ、欠食児童の頃に比べたら元気になった様だが付け焼き刃の技などこんなもんよー!」

「やかましぃ!だーれが児童だ!?」

器用にコブラツイストを抜けると小学生レベルの取っ組み合いを始める俺達。

『イチャイチャするなら家でやれ!!』

唐突にすんげー声量で怒鳴られて振り返るとそこにはFIS三人娘の姿。どうやら自分たちの部屋とバスルームの確認は終わったらしい。

「鏡音隼人!あなた普段は女子高の教師でしょ?プライベートだからってもう少し対応の仕方ってものが有るでしょうに」

「いや、特進クラスの連中への対応は何時もこんなもんだが?」

「ウソぉ!?どういう教育方針なのよ!!」

「自由もいいけど自由過ぎるとこういう大人になるぞと背中で教えている( キリッ」

「何故そこで反面教師!?」

どうにも俺の教師としての姿勢は斬新過ぎて、三人娘からは理解が得られなかったおうで悲しい。




アンケート回答ありがとうございます。やはりマリアが有力か・・・頑張って書いてみます。


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第XX話 未来IFルート① 未来393の日常

アンケートで予想外に393が検討したのでこちらの投稿で許してクレメンス
2期本編のライバルはマリアさんで行こうと思います


「はーやーとー!もうすぐ9時なんだからいい加減起きなさい!!仮●ライダー始まっちゃうよ」

休日の鏡音邸の寝室に未来の声が響く。

「zzzその手には乗らん~今日はまだ土曜日~」

「そこに気付く位ならさっさと起きなさい!もう強制的に起こすからね!!かかれー!」

抵抗する俺に対して未来は『ミニライデン』二体(N1とN2)に号令をかけると、ホバータイプの二体が器用に布団を剥ぎ取って俺をリビングまで輸送する。

「え、なんで未来がミニライデン動かしてるの!?」

「ちょっとお手伝いお願いしただけだよ♪隼人と違って素直でいい子達だね」

声だけ聴けば明るい口調で返答する未来だが・・・

『協力しないと神獣鏡の力でバラすと言われまして候(;^_^A』

N1が看板で事情を報告してくる。おーい、脅しているじゃねーか!

「文句は朝ごはん食べてから受け付けます。私だってお腹ペコペコなんだから」

ウソじゃん!このパターン文句聞かないじゃん!いや、おれがご飯に満足して忘れるだけなんですけどね。

『いただききまーす』

大人しく食卓に着いて手を合わせて朝食を味わう。休日だからか、ちゃんと焼きたての鮭と卵焼きとか随分気合が入っている。

「そりゃ同棲中の彼氏が長期出張から帰って来たんだから気合入るに決まってるでしょ」

「ありがとな。どうにも一人だと朝は手抜きしがちでね」

夕飯になると謎のこだわりと技術を発揮する隼人の言葉に苦笑する未来。

「それで、今回の並行世界調査はどんな感じだったの?」

「んー別に言うほど大した事件じゃ無かったぜ。ノーマル響とグレ気味の響が喧嘩してるの仲裁して事件の解決まで同行しただけだし」

「ダウト。どうやって仲裁したかを詳細に説明しなさい」

ジト目で放たれた鋭い指摘に明後日の方向を見ながら回答する。

「えーと、何やら捨て鉢になってるグレ響とそれを止められないノーマル響の戦いが見てられなかったので『バイナリーロータス』で打ち抜き候」

想像通りの回答に深いため息を吐く未来。

「またそうやって乱暴に物事を解決しようとする。困った人だなぁ」

「いや、なんか泥仕合やってるのがじれったくてさ・・後からスゲー平謝りするハメになった」

並行世界での経験は後から記憶があいまいになりがちだけど、そこだけめっちゃ覚えてる。

「ともかく二人共ケガ無くて何よりだよ。隼人ったら『この任務が終わったら結婚しよう』とかフラグ建てて人の文句も聞かずに出発するんだから」

柔らかな笑みを浮かべて無事を喜んでくれたかと思えば俺の所業を思い出して秒でジト目に戻る。

「じゃ、支度したらフラグ回収を始めますか。差し当たって結婚指輪買いに行こう!」

何気なく発した一言に未来の顔がいきなりデッサン崩壊を起こす。

「え!?それって・・・」

「いや、同棲してまぁまぁ経つし問題ないだろ?それにエプロン下の服がやけに気合入ってるのは実は期待してると見たね」

さっきからずっとツッコまずに居たけどエプロン下にデート用の白ワンピ着てるじゃーないですか。

ここぞとばかりに名探偵の構え(?)で宣言するとますますアタフタし始める。

「べ、べつに期待なんてしてないし!ただデートには行きたいと思ってただけだよ!?」

別に今日即入籍しようとか言ってる訳じゃ無いのに何をパニくっているのやら。

準備万端な未来と違って俺は準備しなきゃならんから、ごちそうさまして洗い物をN1に任せてリビングを後にする。

顔真っ赤してうつむいたままの未来をどうにか家から引っ張り出したら、いきなり聖遺物悪用して空飛んでるテロリストを迎撃するハメに( ゚Д゚)

XV終わってもこの類のアホは消えなくて困る。

「もー!!隼人と会ってからこんなのばっかりー-!!」

ブチ切れ393が降臨して「神獣鏡ビーム」敵を次々と敵を叩き落として行く。

『いや~、こんなトラブルメイカーですが今後とも( `・∀・´)ノヨロシク』

「こちらこそ!っていうか手伝ってよー!!」

その後、未来のご機嫌を治すのに偉い苦労したけれど、最終的には二人共笑顔で家に帰ったから良いか。

・・・・

「あ、指輪要らんの?」

「い・り・ま・す!!私が今気づいたの知ってて聞かないでよバカー!!」

翌日買いに行きましたノシ。



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第四十七話 ライデン VS FIS in 仮想空間

部屋の案内も済んだし細かい事はまた明日な~って言って帰ろうとしたら、ツンツンツインテこと月読調と暁切歌のコンビがリベンジマッチを要求して来た。

紡がれる言葉は感情が先行し過ぎ&二人同時にしゃっべてるから聞き取りにくくて仕方ない。聖徳太子じゃねーっつーの。

どうやらFISが突起物預かりになって俺に協力することはしぶしぶ同意するが、自分たちは『ライデン/鏡音隼人』に負けて無い!!と言いたいらしい。

「そもそも3VS1前提がおかしいやろ」って正論かましても良いけど、ここはお望み通りVR空間でも模擬戦を受けてやる事にする。

「ホントに現実にギアを纏ってるみたい・・・は良いんだけど現実世界の私達ってどうなってるの?」

俺のディスクが作るVR空間に驚きながらも当然の疑問を口にするマリア。

「問題ない!全員をシールドで保護してるし、皆リビングでグースカ寝ている状態だ。」

「・・・雪音クリスの貴女へのもたれ掛かり方が問題に見えるけど今は言及しないであげる。後、調と切歌は何で私にひっついてるの!?」

マリアにツッコまれた二人はてへぺろしてやがる。うーむ、確かにクリスちゃんが俺の腕に引っ付いてるように見えるのは気のせいと思っておこう。

『ウォームアップ終わったならさっさと始めようぜ。俺はささっと終わらせてビール飲んで寝たい!』

何時ものバズーカ持ちのE2ではなく、一撃必殺の前ビ攻撃をもつE1を纏って。コロシアムの真ん中に立つ。

「何よその物騒な右手!?」

(。´・ω・)ん?そういえばあんまりE1は人前で使ったこと無かったな。基本戦闘ではバズーカが便利過ぎるから仕方ないけど。

「一撃必殺のビーム攻撃をするフラットランチャーだ」

言葉で説明しても3人の頭上の?が増えるだけなので実際にダミーノイズを出して前ビとターボショット&豪快な右ダッシュ近接を披露する。

この武器に嫌な思い出しかないクリスちゃんは半眼になってるし、FIS娘達は口をあんぐり開けてる。

「だ、大丈夫だよマリア!スピードで翻弄して削れば勝てるよ」

「私達が左右から攻めるデース!」

「貴方達が売った喧嘩なのに、一番負担大きい所を押し付けないでよ!?それしか無いからやるけど!」

文句を言いつつ黒い槍を手に高速で接近して来るマリア。俺から見て右からは月読、左からは暁がマリア(前衛)を援護するべく遠距離攻撃の準備に入っている。

が、俺はマリアには目もくれずに月読の方にダッシュする。

「っつ!?簡単に行けると思うな!!」

すれ違った所で即座に反転するマリア。俺の背中を討つべく再加速する。

『中々いい反応だが・・・惜しかったな』

彼女の視界に飛び込んできたのは一瞬で360度近く旋回してフラットランチャーと手持ち看板を自身に向けているライデンの姿だった。

「何その反則技!?」

何と言われても反則ではなく『真旋回』というテクニックですが何か?

しかも何のこだわりなのか、大抵は思考イメージ通り動いてくれるのに、この旋回だけはレバー入力を要求されるドSぶり。

しっかり入力できたおかげで、ジャストタイミングで放たれたドデカ前ビがマリアをKOして、コロシアム観客席のクリスちゃんの横に転送される。

「マリアがやられたとしても!!」

「マリアの犠牲は無駄にしないデース!!」

無防備に背中を晒す俺の背後から接近戦をしかける二人。だが悪いな。もうこのパターンの対応は万全なんだ。

『残念無念』

と書かれたドデカ看板を背中に生成して背後からの攻撃をガードする。

『ぎゃふん!?×2』

勢いよく看板にぶつかって漫画みたいに落下する二人。

『ごっちゃんです!』

バイナリーロータスで二枚(?)抜き頂きました。ターゲット二枚抜きは気分が良いね。VR空間だから誰もケガしないし。

「さてと、明日は13:00から任務を開始するからしっかり寝て飯食って供えとけよ。」

全員が現実に戻ったのを確認してからそう宣言してクリスちゃんと一緒に玄関に向かう。

「ちょっと!任務って何をするのよ?」

マリアからの質問に俺は振り返らずにこう答えた。

「勉強♪」

俺の言葉が衝撃的だったのか、三人娘の部屋初の睡眠は、気絶という形で訪れたらしく、翌日フローリングの上で寝たせいで全身痛そうな3人に超冷たい目で見られた。

 



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第四十八話 作戦の進捗確認とお勉強会

~二課仮設本部 研究室~

今日は土曜日。リディアン音楽院は一般授業は無いので、本来なら休みだというのに教師役をやらねばならなくて辛い。しかしFIS娘たちをこのままでは野放しに出来ないのでしっかり教育をさせねばならん(`・ω・´)

それとは別に確認する事があるので今日は朝から二課仮設本部に足を運んでいる次第。

「おーっす!ウィルキンソン博士とナスターシャ教授元気してるー?」

「まぁ、おかげさまで」

「誰が炭酸飲料だ!!快調だったよ!どっかの脳筋教師が来るまではな!」

※フルネーム:ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス

「ふむ、元気そうで何より。じゃあ『お仕事』は進んでる?」

「へいへい、進んでますよ。」

口をへの字にしながらもモニターに一つのレントゲン写真が映し出される。もちろん対象者は立花響。原作とほぼ同じ進行具合とは皮肉が効いてる。

ついでに言えば響は既に原作より早く槍を生成する事に成功している。原作より戦闘訓練し過ぎたせいと言えるだろう。

「そりゃ我々を生け捕りにしたくなる訳だよねぇ?櫻井了子が居なければ『彼女』を救う術が無い、だらしない組織なんだから」

「そうだなぁ、『もしペンダント壊れたら直せる奴おるの?』っていって指令室が静まり返ったときは流石に( ゚Д゚)したぜ」

まぁ、この手の組織のお約束と言えばそれまでだけど、櫻井女史が抜けた事により聖遺物に関する技術レベルはかなり落ちている。

これで2期以降どうやって敵と戦ったのか不思議になって来るが、今はそれどころではない。

「で、どんな手法?」

「ざっくり言えばFISが所有する聖遺物を使って彼女の中のガングニールを消滅させるって感じだね。ま、その前に適合者候補をこのリストから絞らないといけないから、仕事の邪魔になる脳筋教師には早々にご退散頂きたいね」

ゴネるかと思いきや案外協力的。となれば博士の機嫌を損ねて作業が遅れても困るので退散する。

「鏡音さん、少しよろしいですか?」

部屋を出たら一緒に出て来たナスターシャ教授に話しかけられた。

「はい、何でしょう?」

「貴方から我々への要求は概ね理解したつもりです。何故マリアをこちらに配置しなかったのですか?」

「マリアがフィーネじゃないことが明らかだからですよ」

「!?直接戦った者の勘ですか?」

「シンフォギアだけで俺達に挑むなんて『フィーネ』にしては計画性が無いなって。そう思ってるだけですよ」

ゴメンナサイ!カンニングの結果です。(血涙)心の中で全力謝罪しつつ答える俺。好きでカンニングしてる訳でも悪用するわけでもないので許して欲しい。

「では、あの子達をどう扱うおつもりですか?」

「政治的な調整がつくまで断言できませんが、最低限日本で生活できる知識を教育しようと思ってます。」

これからさっそくお勉強会ですと付け加える。

「・・・分かりました。調と切歌はズレている部分が多いかもしれませんがよろしくお願いします。」

「ご心配なく、普段からズレているのばっかり相手してますので」

俺の返事にキョトンとした様子の教授。リディアン音楽院の特進クラスは万年変人の集まりって言っても信じてくれないだろうなぁ・・・。

~ 午後、FIS部屋 ~

「と、いうことで今日からお勉強だべ~。逃げた奴は後ろからレーザーで狙撃な」

「罰が過剰に重い!!それに何故勉強!?」

「マリアは多少マシかもしれんけど、施設で育ってるお前ら碌に一般常識ないだろ?今のままじゃ事件解決後困るからな」

「私達を自由にするつもりが有るというの!?」

「でなければこんな所に連れてこないだろ?」

「それはそうでしょうけど・・・所で、調と切歌を見てる雪音クリスのあのカッコは何?」

「見ての通り女子教師コスだけど何か?」

「何か?じゃなないわよ!!彼女にそういうカッコさせたいなら自分たちの部屋でやりなさい!しかも安っぽい衣装じゃ無くて本物のスーツでしょ?どうやって用意したの?」

「知り合いに何でもできる部隊が居まして。後、彼女じゃないぞ」

「えぇ・・・ホントに?」

何でマリアが引き気味なのか分からんが、目下の問題はこのカッコしてるクリスちゃんの写真を取らないといけないんだよな~。

ちなみに部屋の隅っこには撮影に失敗して機能停止に追い込まれた『ミニライデン』がダウンしている。

部屋に入って早々に『撮影したら絶交』宣言した上で2人の教師役に入ってしまったので取り付く島もない。

「勉強・・・予想以上の難敵」

「角度なんて分からないデスよ!勘で書いちゃ駄目デスか?」

「ダメに決まってんだろーが。ちゃんとさっき教えたやり方応用すりゃ出来るんだよ。」

音を上げる二人を鼓舞しながら根気よく見てるクリスちゃん。さてこっちも始めますか。

「難易度高!?私もう社会人(アイドル)だからここまでやる必要ある?」

「古文や漢文やれって言ってるんじゃ無いんだから頑張ろうぜ。ちなみにこれは独り言だけど、クリスちゃんは突起物の仕事と両立してry」

「やれば良いんでしょやれば!!」

俺の煽りに対してヤケクソ気味に叫んで問題を解き始めるマリア。

ちなみにクリスちゃんの写真については、部屋を出たら響一行と鉢合わせになったせいで速攻部屋で撮影会が始まったので、簡単にカタがついた(*‘∀‘)。



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第四十九話 ハンバーガーショップ

必要な事とは言え、いつまでも部屋でお勉強では気が滅入るという物。というわけで明日の外出の為の最終確認としてハンバーガーショップ店での注文というシチュエーションで演習を実施している。

「い、いらっしゃいませ(顔真っ赤」(わざわざ店員コスプレしてるクリス)

「いらっしゃったデース!」

「い、いらっしゃいました!?」

おおう、のっけから不安なスタート。マリアの方を見やると、どっから持って来たのかパイプ椅子に座ってモノクロになって真っ白に燃え尽きている。よっぽど苦労をしたのだろう。

「ご注文は?」

『チーズバーガーセット!!』

「セットのサイドメニューとお飲み物はいかがなさいますか?」

『これとこれ(デース)四か所ユビサシ』

「あとこれとこれとこれをお願いするデース!!」

「切ちゃん自分が好きな物ばっかり」

ぽつっと漏らした月読の一言に暁が嚙みついて喧嘩が始まってしまう。

『ダメだこりゃ』って顔になってるクリスちゃん、椅子に座ってるマリアに至っては魂が抜けかかっている。

「お前らいい加減にしろ」

二人を引き剥がすが、今度はこちらに嚙みついて来る。

「だいたい言われた通りこっちの常識勉強したのにわざわざこんな意地悪な試験をする方が悪い!」

「お財布にドルと円を混ぜるなんて酷いトラップなのデース!」

いや、円とドルくらい分かれや(;^_^A最初後ドヤ顔でチップ出そうとしてたの忘れんからな!

「何を言う貴様ら!この演習にはちゃんと意味が有るんだぞ」

『嘘だー!彼女にコスプレさせたいだけだろ(デース)』

この前のマリアといい、何でコイツらの中で、クリスちゃんが彼女扱いになってるんだ?

「いいか、ハンバーガーショップに限らず、店員さんへの態度には無意識にその人間の本当の姿が出て来るんだ。」

男女関係なく、身近な相手には丁寧な態度を取っていたとしても、店員さんに急に横柄な態度に出る人間と言うのは珍しくない。

「ここは俺が手本を見せてやろう」

「さっきの私達の注文の仕方が相手に伝わりにくいやり方だったのは分かるけど・・・」

「多分言っても無駄デース!」

後ろで喧しい二人を無視して、『ハンバーガーショップ』を流しながらクリスちゃんの前に立つ。しかし、こんな可愛い店員さん居るハンバーガーショップあったら即座に人気店だろうな。

「いいい、いらっしゃいませっ!?(何故か顔真っ赤」

はて?何か緊張する要素あったかね?モノクロからカラーに復帰したマリアもこっちを見てるし・・・さっさと注文するか。

「モバイルオーダー111番出来てますが?」

全員ずっこけた。何か期待に沿えなかった様で皆から凄まじい非難を受けたので、ハンバーガー奢って荷物持ちするハメになった。




コロナ前の携帯キャリアのショップって待たされてイライラしているからか横柄な方が多かった記憶(;^_^A
あとマクド●ルドでコーヒーのお代わり欲しがってるおば様が並ばずにお代わり要求して「並んでください」と店員から要求されるも「誰か一人くらいヒマな奴にコーヒー位入れさせろ」と主張(;^_^A


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第五十話 お出かけ前の一幕 ~サングラスでは正体は隠せない~

暁と月読への一般教養も大分進み、明日は皆でお出かけ!という流れになったのにここにゴネてる御仁が一人。

その名はマリア・カデンツァヴナ・イヴである。

「何の文句があるというのかね?」

「も・ん・く! しかない!!サングラスだけで変装になるものかー!!」

「ダイジョーブ!何を隠そうかの風鳴翼もサングラス装備で遊びに行って誰にも気づかれていないんだぜ(`・ω・´)b」

「嘘つけ!それは日本人のファンがマナー守ってるだけの話でしょーが!」

よく見たら翼が苦笑いしながらバッテン印出してる。

「今、私が街中で見つかったらどうなるか想像できるでしょ?だから2人だけ連れて行ってちょうだい!」

「大丈夫だよ『ちーっす!アイドル大統領フィーネさん。領土割譲に失敗したんですか?』とか煽られる位だから」

「『ノイズ』大量に発生させるテロやらかしたのにそんな平和な煽りで済むわけあるかぁー!!」

これは困った。

「それでは仕方ない。絶対にバレないように『シュ●ウド』スタイルで行くか?」

「問・題・『外』!!!(奏者全員)」

うっせ!うっせ!声量ある声優陣で叫ぶんじゃないよ。

「困ったな~クリスちゃんはどうすれば良いと思うね?」

「まず、お前は地球のコアに謝罪してこい!」

助けを求めるも、最近仮面ライダーWを履修したクリスちゃんにあっさりと見放される。

「では最終手段だな!ものどもー、であえであえ!!」

「アラホラサッサー」

唐突に部屋に入って来た野戦服姿のゴッツい男たちに一瞬で簀巻きにされて部屋の外に運び出されれる。

振り返ると一同( ゚д゚)ポカーンとした顔で完全に時間停止喰らったみたいにピクリとも動かない。

そんな空気の中、開けっ放しのリビングの入り口から『お頭』が姿を見せる

「隼人、注文通りにあのアイドル大統領に特殊メイクして10にショッピングモールにお届けすりゃいいんだな」

「何時も悪いね。この礼はまた今度」

「礼も良いけどまた顔出しに来い。クリスちゃんのリサイタルならなお歓迎だ!」

「ま、この一件が片付いたら考えておくよ」

後ろから顔真っ赤にしたクリスちゃんがめっちゃ叩いて来るけど気にせずお頭と談笑する。

「じゃあ、俺はここでお暇させてもらうぜ。クリスちゃんもまたな」

「あぁ、うん・・・またな」

手を振って見送りながらも何処がぎこちない表情のクリスちゃん。

お頭が去った後、皆から説明を求められ大変だったが、何とか味方の部隊という事に納得してもらうまでが大変だった。

「というか、凄い器用な部隊なのは分かったけど・・・流石に特殊メイクなんて出来ないんじゃ?」

ド正論を言ってくる月読にとっておきの事実を開示する。

「ところがぎっちょん!さっき現れた『お頭』は実はこの人じゃ~」

お頭と似ても似つかない隊員の写真を見せると部屋中に驚きの声が上がる。

やっぱ奏者増えると頭に響くレベルの喧しさだなーと思いながらまた一同を鎮める作業をやり直す俺であった。

 



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第XX話 キャロルIFルート⑤ 未来キャロルの一家団欒?

双子ちゃんの活躍(?)で無事要塞化やぶっそうな物件(旧風鳴機関がらみ)への引っ越しを免れた我らが鏡音家。

無事生まれた子供は男の子で産後も母子ともに健康!!今はこの子供を中心に一家が回っている。

しかし、そんな我が家に問題が一つ。

『いーたーいー!!×2』リビングで、悲鳴に近いうめき声をあげる双子ちゃん。

彼女達を苦しめているのは成長痛。昼間は何ともなく元気にしているのに夜に膝を中心に全身が痛むそうな。

「そりゃ中学にあがった途端に身長が20cmも伸びれば痛くもなるよな」

「ったく!そりゃ痛いかもしれんが、子供全員がなぜオレの方に集まる!一人くらいパパの方に行け!」

「だってパパに甘えるとママが機嫌悪くなる~(姉」

「そりゃママと比較して圧倒的なこのボディにパパがメロメロになるのは必定・・・ってグリグリは止めてー(´;ω;`)」

横長ソファーの中央で赤ちゃんを抱くキャロル。その両太ももの上には痛みを訴えて膝枕を(無理やり)してもらっている双子ちゃん。

試しに自分の膝をポンポン叩いて誘ってみるが、全く反応が無く悲しい限り。

ちょっと前まで服装一致させると見分けつかない3人だったが、姉ちゃんは中学生とは思えぬほぼ変身時の大人キャロルスタイル。

妹ちゃんは身長はほぼ同じでちょっと凹凸控えめって感じで判別しやすくなっている。

「子供がちゃんと成長するか不安がっていた頃が懐かしいですな~」

ふと俺が呟いた一言に反応する双子ちゃん。

『ちょっとそれkwsk』

いきなり目を輝かせて俺に引っ付いて来て続きを促す双子ちゃん。おめーら成長痛どこいったんだよ?

「医者は問題ないって言ってるのに自分がホムンクルスって所を必要以上にキャロルが気にしててだな」

山のような生物学の専門書を読み漁ってエルフナインばりの頑張らなくちゃロボと化したキャロルを宥めるのは皆で苦労したものだ。

「でも結局、元気過ぎる二人を育てるのが忙しくて、その本を読む暇も無くなってたな」

おかげで本の始末が大変だったが、この元気に動く双子ちゃん育ててたらぶっちゃけ未来を心配する暇など無かった。

おかしいよな~オートスコアラー居ても手が足りないくらい縦横無尽好き勝手に行動してたからな~(別に今も変わって無い)

「オレ達そんなに落ち着きないかな?普通の女子だと思うけど?」

※普通の女子はジャングルジムを占拠しようとしません。

「パパー!ボクはだいじょうb」

※妹ちゃんに今伝えたい言葉は「五十歩百歩」

双子ちゃん達の主張に対してアイアンクローというなの『ねーよ』という回答を突きつけながらキャロルを見やる。

ゴゴゴゴゴゴゴ

うわっ!?真っ赤になってすっげー怒ってる。おや?何故ガリィに息子をトスしてこっちに歩み寄ってくるんです!!???

「その話するなっていっただろうがー-!!」

ぎゃいのぎゃいの喧しくじゃれあう鏡音家一同であった

 

ミカ「これだけ騒いでるのにグッスリ寝てるなんて大物なんだゾ」

カリィ「父親に似て図太いだけだろ。今は可愛い顔して寝てるけど・・・将来、聖遺物と最新兵器両手に突貫する男になるのかねぇ?」

レイア「派手な置きレーザーにだけは目覚めないで欲しい」

ファラ「哲学兵装を屁理屈で無視する殿方に成長しなければそれで」

将来、この子が父親以上のとんでもないライデン使いになることを一同は知る由もなかった。



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第五十一話 未知戦力との遭遇 (前編)

先日、渋谷でやってるシンフォギア展に行ってきました。
ランダム特典のしおりは見事クリスをゲットしました。
この手のイベントは初参加でしたが、テンション上がりました。
物販はほぼ売り切れ状態だったから通販を期待しています。



翌日、奏者達の集合場所となっていたのは東京湾沿いのショッピングモール。

首都圏の人間はもちろん観光客にも大人気のスポットで平日休日問わず人で賑わうスポットだ。

しかし、残念な事に最終決戦の被害のせいでまだ半分が営業停止中。

今日は営業再開店舗のプレオープンとして抽選された人だけが来店できる・・・という事になっている。

当然それは表向きで、実際は店員も客も逸般人だらけである。

高校生っぽくみえるカップルとかも全て成人である。見る人がみれば子供が居ないから違和感を覚えるかな。

とまぁ、長々しい状況説明はどうでも良い。

今の俺にとって大事な事は、目の前に居る特殊メイク後のマリアに感じた第一印象を言葉を持って叩きつけることだけである。

「誰だお前ェェ!!!?」

『アンタが言うなァァァ!!』

俺の思いの丈を込めた絶叫も奏者6人+1の一斉口撃の前にひとたまりもなくかき消される。

「いやだっておかしいでしょ?『あ・の』マリアがどうやったらこんな雰囲気柔らかいお嬢さんになるんだ!?」

俺としてはダイジェストの中で見た『セレナちゃん?』を成長させたかのような容姿に( ゚Д゚)している。

ついでにマリアの猫耳みたいな髪崩しても大丈夫なのかなぁ?というどうでも良い感想を抱いていた。

『それより、お前が子供になってる理由を説明しろ!』

俺の疑問点より、俺自身の見た目の方が皆には重大なのか7人分の追及を喰らう。

それもその筈。指摘の通り、今の俺は中学生くらいの容姿になっているのだ。

「ああ、そういや今は中学生の姿だっけ?お前ら良く俺ってわかったね?」

「あのな、お前の目付きの悪さは一瞬でわかるっつーの」

なぬ!?思わぬクリスちゃんからの一言に他の連中の反応を伺うが・・・全員一致で納得しとる!?

「/(^o^)\ナンテコッタイ。小さい頃から。品行方正をモットーに生きて来たと言うのに」

「ダウトです!!隼人さんは絶対に屁理屈で理論武装して相手を煽って怒らせるプロだったに違いありません!!」

「あー、いっつも授業中そうだもんな。人を引っかけるのに成功した時の顔の憎たらしさと来たら・・・」

「前から言いたかったのですが、味方を巻き込むハッタリ止めて貰っていいですか?」

各々好き勝手言ってる信号機共。お前ら人を何だと・・・全て事実でぐぅの音も出ないが。

「それで、何のトリックでその姿になってるの?」

「マリア以上に気になるデース!!」

月読と暁が答えを急かす。

「へいへい、答えは・・・こう言う事さ!」

答えると同時に自身の光学迷彩をOFFにして目の前に立っていた『かがみねくん14さい(仮称)』を小突いて消滅させる。

『えっ!!???』

思っても居なかった展開に驚く一同。

「昔『ディスク』が自動で俺のダミーを出してアリバイ工作してたのを再現させた。」

あまり遠くには出せないし、激しく動かすとボロがでるが、結構自信作だ。

「アンノウン扱いの聖遺物とはいえ、何という出鱈目!」

「というか、それ以上に光学迷彩の精度が凄すぎるのデース!!」

特に驚いてる二人を弄ろうかと思ったら通信機に着信。どうやら様子見に徹してたFISの後ろ盾連中が動いたらしい。

来ないなら来ないで休日を謳歌しようと思ってたけど仕方ない。

「じゃ、俺はこれからトンボ返りで仕事だから、君たちは今日はコレで楽しんできなさい」

そういって翼とマリアにカードを渡してその場を去ろうとする。

「え!?隼人さんは帰っちゃうんですか?」

「あぁ、ちょっと急な呼び出しがはいっちまってな」

響からの質問に答えつつも、多くを告げずに去ろうとした所で急に思い出したことを『クリス』に告げる。

「そうだクリス!せっかくだから昼飯はこの間行った店に連れて行ってやれよ・・・ってどうした?」

なんかギョッとした顔してバッテン印作ってるけど・・・あ、さっそくマリアと翼に捕獲されて連れ行かれてる。

響&小日向ペアときりしらペアはなんかニヤニヤしながら去って行くし・・・俺、何か変な事言ったかな?

「ただ美味いレストランだから勧めたかっただけなんだが・・・まぁ、いいや。お頭達に何時までも戦わせちゃ悪いしな」

皆の姿が見えなくなったところで通信機を通話ONにする。

通話先は現在地の反対側。今も封鎖された地区で正体不明の戦力とお頭と一課が交戦中との事。

「お待たせー、今から行くけどそっちはどう?」

『さっきまでは、米帝くさい特殊部隊がきてたんだが、所詮人間だから何とかなってたんだが・・・』

其処まで言った所で歯切れが悪くなる。新手が来てるのか?その割に戦闘音は聞こえないけど。

「いきなり訳わからん連中が来てな。ノイズとは別の意味でどうにもならなかったんだが・・・『ライデン』が来るまで5分待ってくれるんだとよ。」

地球に襲来したベジータとナッパかよ。

「話がさっぱり見えないけど了解。そっち行くまで1分もかからないぜ」

俺の見たダイジェストから考えると、このタイミングで出て来る勢力は米帝位しか無いと思ってたけど、来たものは相手するしか無い。

ラスト付近でマリアが言ってた色々な組織の一つかもしれないが、ぶっちゃけ名前すら思い出せないし。・

「何が相手だろうと迎え撃つのみ!! 」

『Virtuaroid System SetUp』

久々に『ライデン』を纏い、全力ダッシュで交戦地点に向かう。



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70話

明けましておめでとうございます。
お久しぶりになります。


正体不明の戦力と対峙中のお頭達&一課の援軍として奏者達が居る場所とは反対の未だ廃墟状態で立ち入り禁止になってるエリアを疾走する『ライデン』

最近新たに会得した『カラー印刷』機能を利用してデカデカと『ライデン参上!!!』という文字と大漁旗チックなデフォルメライデンを書いた看板を背にダッシュする。

「お、いたいた」

物陰に身を隠してるお頭たちと一課の部隊を見つけると同時に『敵戦力』も目に入る。

お頭達の歯切れが悪くなるわけだ。『メオラ君』以降全く他のが出て来ないから居ない物かと思ってたらこのタイミングで出て来るとは・・・

モニター上部に表示される機体名を見るまでもなく見慣れたバーチャロイド三体の姿が廃墟の中で少し高めのビルでこちらを見下ろしている。

「しかしいきなりマイザー系3体とは驚いたな」

マイザーΔ(デルタ)、Η(イータ)、γ(ガンマ)。ざっくり言ってしまえば高機動で装甲が紙というゲームでは定番設定の機体といえる。

それぞれ武装は微妙に異なるが、共通しているのは特殊コマンドにより戦闘機に変形して突撃攻撃が可能な点だ。

到着した俺を見るなり、上の3機からそれぞれ音声が聞こえて来る。

『ふーん、教師の皮をかぶったお調子者って聞いてたけど想像以上ね!』

『そのチャラさで奏者の皆に取り入れるのも今日までだ!』

『いいからサッサと消しちゃおうよ!こいつを消してソロモンの杖さえ手に入れれば後はどうとでもなるよ!!』

のっけから好き勝手言ってくれる姦しい連中・・・

声から判断するに若い女性たちだと思うが・・・お調子者については何も言えんが、弦十郎さんからソロモンの杖を強奪するとか正気かね?

『ソロモンの杖なんか手に入れてどうする気だ?アイドル大統領(マリア)の真似事でもする気か?』

『まさか、もっと有意義に使ってあげるのよ。ついでにシンフォギア奏者達も戦いから解放してあげる!』

『ここでリタイアするアンタには関係ない事だ!初手で終わらせるぞ!!』

『合点承知!!』

デルタとイータが飛び上がり、俺の頭上を取ると同時に胸部から巨弾ビーム弾を発射しようとしている。

確かにゲームでも真上からの攻撃は結構焦ってしまった回避しにくいのだが・・・

『ライデンパーフェクト勝利ポーズレーザー!!(ただ真上にバイナリー・ロータス撃ってるだけ)

まさかゲームの戦闘中には無い技で撃たれるとは思ってなかったのか悲鳴をあげる暇も無く光の本流に飲み込まれる2機。

しかしライデン内のモニターに表示される情報を見る限り逃げられたな。

ちらっとレーザーとは別の光に期待が包まれたのが見えた気がする。

『さて、お前さんはどうするって・・・あれ?』

残るガンマを挑発しようとしたらそもそも姿が消えてる!?

「お前がボーっと上見てる間に消えちまったぞ」

詰めが甘いと呆れた声で指摘するお頭にバツの悪い顔をするしかない鏡音隼人であった。



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