媒体別ロワイヤル (伊勢村誠三)
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ルール及び補足事項
参加者名簿


書き手枠の詳細などに関しましてはネタバレ名簿の方をご覧ください。


赤(小説)陣営

1,蓮見(はすみ)琢馬(たくま)@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

2,大神(おおがみ)照彦(てるひこ)@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

3,東方(ひがしかた)仗助(じょうすけ)@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

4,広瀬(ひろせ)康一(こういち)@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

 

5,パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

6,シーラE@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

7,カンノーロ・ムーロロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

8,マッシモ・ヴォルぺ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

9,ビットリオ・カタルディ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

10,サーレー@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

11,マリオ・ズッケエロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

 

12,比企谷(ひきがや)八幡(はちまん)@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

13,雪ノ下(ゆきのした)雪乃(ゆきの)@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

14,由比ヶ浜(ゆいがはま)結衣(ゆい)@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

 

15,桐山(きりやま)和雄(かずお)@バトル・ロワイアル

16,七原(ななはら)秋也(しゅうや)@バトル・ロワイアル

17,川田(かわだ)章吾(しょうご)@バトル・ロワイアル

18,坂持(さかもち)金発(きんぱつ)@バトル・ロワイアル

19,三村(みむら)信史(しんじ)@バトル・ロワイアル

20,相馬(そうま)光子(みつこ)@バトル・ロワイアル

 

21,キリト@ソードアート・オンライン

22,PoH@ソードアート・オンライン

23,ヒースクリフ@ソードアート・オンライン

 

24,偽アーチャー@Fate/strange Fake

25,偽ランサー@Fate/strange Fake

26,偽キャスター@Fate/strange Fake

27,偽アサシン@Fate/strange Fake

28,真アーチャー@Fate/strange Fake

29,ティーネ・チェルク@Fate/strange Fake

30,ジェスター・カルトゥーレ@Fate/strange Fake

31,アヤカ・サジョウ@Fate/strange Fake

 

青(漫画)陣営

32,アカメ@アカメが斬る!

33,タツミ@アカメが斬る!

34,マイン@アカメが斬る!

35,エスデス@アカメが斬る!

36,ウェイブ@アカメが斬る!

37,クロメ@アカメが斬る!

 

38,ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

39,ジャイロ・ツェペリ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

40,ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

41,世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

42,アクセルRO@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

43,ブラックモア@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

 

44,(そん)悟空(ごくう)@ドラゴンボール

45,(そん)悟飯(ごはん)@ドラゴンボール

46,ベジータ@ドラゴンボール

47,ピッコロ@ドラゴンボール

48,ヤムチャ@ドラゴンボール

 

49,デンジ@チェンソーマン

50,レゼ@チェンソーマン

51,銃の魔人@チェンソーマン

 

52,宮本(みやもと)(あきら)@彼岸島

53,宮本(みやもと)(あつし)@彼岸島

54,(みやび)@彼岸島

 

黄(アニメ)陣営

55,両儀(りょうぎ)(しき)@空の境界

56,黒桐(こくとう)幹也(みきや)@空の境界

57,蒼崎(あおざき)橙子(とうこ)@空の境界

58,臙条(えんじょう)(ともえ)@空の境界

59,浅上(あさがみ)藤乃(ふじの)@空の境界

60,荒耶(あらや)宗蓮(そうれん)@空の境界

61,コルネリウス・アルバ@空の境界

 

62,阿良々木(あららぎ)(こよみ)@化物語

63,戦場ヶ原(せんじょうがはら)ひたぎ@化物語

64,神原(かんばら)駿河(するが)@化物語

65,八九寺(はちくじ)真宵(まよい)@化物語

 

66,セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!

67,平和島(へいわじま)静雄(しずお) @デュラララ!!

68,折原(おりはら)臨也(いざや) @デュラララ!!

 

69,セイバー@Fate/Zero

70,衛宮(えみや)切嗣(きりつぐ)@Fate/Zero

71,ケイネス・エルメロイ@Fate/Zero

72,バーサーカー@Fate/Zero

 

73,カーズ@ジョジョの奇妙な冒険

74,空条(くうじょう)承太郎(じょうたろう)(三部)@ジョジョの奇妙な冒険

75,ジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険

76,花京院(かきょういん)典明(のりあき)@ジョジョの奇妙な冒険

77,DIO(ディオ)@ジョジョの奇妙な冒険

78,ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険

 

緑(ゲーム)陣営

79,スノウホワイト@SINoALICE

80,ドロシー@SINoALICE

81,アリス@SINoALICE

82,シンデレラ@SINoALICE

83,ハーメルン@SINoALICE

84,ピノキオ@SINoALICE

 

85,主人公@プリンセスコネクト!Re:DIVE

86,ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

87,コッコロ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

88,キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVE

89,ラビリスタ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

90,覇瞳皇帝(カイザーインサイト)@プリンセスコネクト!Re:DIVE

91,シェフィ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

92,ゼーン@プリンセスコネクト!Re:DIVE

 

93,主人公@ペルソナ4

94,花村(はなむら)陽介(ようすけ)@ペルソナ4

95,白鐘(しろがね)直斗(なおと)@ペルソナ4

96,マリー@ペルソナ4

97,足立(あだち)(とおる)@ペルソナ4

 

98,坂本(さかもと)龍馬(りょうま)@龍が如く維新!

99,武市(たけち)半平太(はんぺいた)@龍が如く維新!

100,岡田(おかだ)以蔵(いぞう)@龍が如く維新!

101,沖田(おきた)総司(そうじ)@龍が如く維新!

102,土方(ひじかた)歳三(としぞう)@龍が如く維新!

 

103,無銘(むめい)@Fate/EXTRA

104,間桐(まとう)シンジ@Fate/EXTRA

105,ありす@Fate/EXTRA

106,バーサーカー(アルクェイド)@Fate/EXTRA

 

桃(実写作品)陣営

107,城戸(きど)真司(しんじ)@仮面ライダー龍騎

108,秋山(あきやま)(れん)@仮面ライダー龍騎

109,鏡像(きょうぞう)の城戸真司@仮面ライダー龍騎

110,浅倉(あさくら)(たけし)@仮面ライダー龍騎

 

111,桐生(きりゅう)戦兎(せんと)@仮面ライダービルド

112,万丈(ばんじょう)龍我(りゅうが)@仮面ライダービルド

113,鷲尾(わしお)(ふう)@仮面ライダービルド

114,鷲尾(らい)@仮面ライダービルド

115,エボルト@仮面ライダービルド

 

116,常磐(ときわ)ソウゴ(A)@仮面ライダージオウ

117,常磐ソウゴ(E)@仮面ライダージオウ

118,ウォズ@仮面ライダージオウ

119,門矢(かどや)(つかさ)@仮面ライダージオウ

120,木村(きむら)@仮面ライダージオウ

 

121,飛電(ひでん)或人(あると)@仮面ライダーゼロワン

122,不破(ふわ)(いさむ)@仮面ライダーゼロワン

123,(ほろび)@仮面ライダーゼロワン

124,(いかづち)@仮面ライダーゼロワン

 

125,神山(かみやま)飛羽真(とうま)@仮面ライダーセイバー

126,新堂(しんどう)倫太郎(りんたろう)@仮面ライダーセイバー

127,富加宮(ふかみや)賢人(けんと)@仮面ライダーセイバー

128,デザスト@仮面ライダーセイバー

129,ストリウス@仮面ライダーセイバー

130,マスターロゴス@仮面ライダーセイバー

 

書き手枠

131,書き手枠(The Book)

132,書き手枠(ガイル1)

133,書き手枠(ガイル2)

134,書き手枠(SAO1)

135,書き手枠(SAO2)

136,書き手枠(小説)

 

137,書き手枠(チェンソーマン1)

138,書き手枠(チェンソーマン2)

139,書き手枠(彼岸島1)

140,書き手枠(彼岸島2)

141,書き手枠(漫画)

 

142,書き手枠(化物語)

143,書き手枠(デュラララ!!1)

144,書き手枠(デュラララ‼2)

145,書き手枠(Fate/Zero)

146,書き手枠(アニメ)

 

147,書き手枠(Fate/EXTRA)

148,書き手枠(ゲーム)

 

149,書き手枠(仮面ライダー龍騎)

150,書き手枠(実写作品)



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ネタバレ名簿(最新話まで、閲覧注意!)

この名簿は当ロワの最新話までの盛大なネタバレとなります。
閲覧には十二分にご注意ください。





見方
書き手枠とだけ表記=未登場
赤字=死亡
紫色=完全消滅ではないが、ゲーム的には死亡判定


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小説陣営(31+6人)

The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-(4+1人)

001,蓮見琢馬

002,大神照彦

003,東方仗助

004,広瀬康一

 

恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-(7人)

005,パンナコッタ・フーゴ

006,シーラE

007,カンノーロ・ムーロロ

008,マッシモ・ヴォルぺ

009,ビットリオ・カタルディ

010,サーレー

011,マリオ・ズッケエロ

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(3+2人)

012,比企谷八幡

013,雪ノ下雪乃

014,由比ヶ浜結衣

 

バトル・ロワイアル(6人)

015,桐山和雄

016,七原秋也

017,川田章吾

018,坂持金発

019,三村信史

020,相馬光子

 

ソードアート・オンライン(3+2人)

021,キリト

022,PoH

023,ヒースクリフ

 

Fate/strange Fake(8人)

024,偽アーチャー

025,偽ランサー

026,偽キャスター

027,偽アサシン

028,真アーチャー

029,ティーネ・チェルク

030,ジェスター・カルトゥーレ

031,アヤカ・サジョウ

 

 

 

漫画陣営(23+5人)

アカメが斬る!(6人)

032,アカメ

033,タツミ

34,マイン

035,エスデス

036,ウェイブ

037,クロメ

 

ジョジョの奇妙な冒険steel ball run(6人)

038,ジョニィ・ジョースター

039,ジャイロ・ツェペリ

040,ファニー・ヴァレンタイン

041,世界ディエゴ

042,アクセルRO

043,ブラックモア

 

ドラゴンボール(5人)

044孫悟空

045,孫悟飯

046,ベジータ

047,ピッコロ

048,ヤムチャ

 

チェンソーマン(3+2人)

049,デンジ

050,レゼ

051,銃の魔人

 

彼岸島(3+2人)

052,宮本明

053,宮本篤

054,

 

 

 

アニメ陣営(24+5人)

空の境界(7人)

055,両儀式

056,黒桐幹也

057,蒼崎子

058,臙条巴

059,浅上藤乃

060,荒耶宗蓮

061,コルネリウス・アルバ

 

化物語(4+1人)

062,阿良々木暦

063,戦場ヶ原ひたぎ

064,神原駿河

065,八九寺真宵

 

デュラララ!!(3+2人)

066,セルティ・ストゥルルソン

067,平和島静雄

068,折原臨也

 

Fate/Zero(4+1人)

069,セイバー

070,衛宮切嗣

071,ケイネス・エルメロイ

072,バーサーカー

 

ジョジョの奇妙な冒険(6+1人)

073,カーズ

074,空条承太郎(第三部)

075,ジャン=ピエール・ポルナレフ

076,花京院典明

077,DIO

078,ディアボロ

 

 

 

ゲーム陣営(28+2人)

SINoALICE(6人)

079,スノウホワイト

080,ドロシー

081,アリス

082,シンデレラ

083,ハーメルン

084,ピノキオ

 

プリンセスコネクト!Re:DIVE(8人)

085,主人公(ユウキ)

086,ペコリーヌ

087,コッコロ

088,キャル

089,ラビリスタ

090,覇瞳皇帝(カイザーインサイト)

091,シェフィ

092,ゼーン

 

ペルソナ4(5人)

093,主人公(鳴上悠)

094,花村陽介

095,白鐘直斗

096,マリー

097,足立透

 

龍が如く維新!(5人)

098,坂本龍馬

099,武市半平太

100.岡田以蔵

101,沖田総司

102,土方歳三

 

Fate/EXTRA(4+1人)

103,無銘

104,間桐シンジ

105,ありす

106,バーサーカー(アルクェイド)

 

 

 

実写作品陣営(24+2人)

仮面ライダー龍騎(4人)

107,城戸真司

108,秋山蓮

109,鏡像の城戸真司

110,浅倉威

 

仮面ライダービルド(5人)

111,桐生戦兎

112,万丈龍我

113,鷲尾風

114,鷲尾雷

115,エボルト

 

仮面ライダージオウ(5人)

116,常磐ソウゴ(A)

117,常磐ソウゴ(E)

118,ウォズ

119,門矢士

120,木村

 

仮面ライダーゼロワン(4+1人)

121,飛電或人

122,不破諫

123,(ほろび)

124,(いかづち)

 

仮面ライダーセイバー(6人)

125,神山飛羽真

126,新堂倫太郎

127,富加宮賢人

128,デザスト

129,ストリウス

130,マスターロゴス

 

書き手枠

131,岸辺露伴@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

132,三浦優美子@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

133,戸塚彩加@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

134,ユージオ@ソードアート・オンライン

135,ユウキ@ソードアート・オンライン

136,シノン@ソードアート・オンライン

 

137,サムライソード@チェンソーマン

138,血の悪魔@チェンソーマン

139,斉藤ケン@彼岸島

140,西山徹@彼岸島

141,シュラ@アカメが斬る!

 

142,貝木泥舟@化物語

143,岸谷新羅@デュラララ!!

144,園原杏里@デュラララ‼

145,ランサー@Fate/Zero

146,ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険

 

147,セイバー(ネロ・クラウディウス)@Fate/EXTRA

148,ムイミ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

 

149,北岡秀一@仮面ライダー龍騎

150,(じん)@仮面ライダーゼロワン



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参加者ルール

・2022年11月19日より、時間表記に関するルールを、現状の作品での表記状態を考慮し、改訂させていただきます。


【基本ルール】

1、参加者全員で赤(小説)、青(漫画)、黄(アニメ)、緑(ゲーム)、桃(実写作品)の5陣営に別れ殺し合いをしてもらい、制限時間内に最後まで生き残ったチームが最終勝利チームとなる。

2、最終勝利チームのみ元の世界に帰ることができる。

3、最終勝利チームの生き残った者には1人1つ副賞として『どんな願いも叶えられる権利』が与えられる。

4、ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則は基本的にない。

どんなことをしてもかまわない。

5、ゲーム開始時、プレイヤーは会場にバラバラにテレポートさせられて配置される。

6、プレイヤーの所属陣営は名簿、首輪の色、最初に支給されるメダルの色で判別できる。

7、陣営内で最も多くメダルを所持する者がその陣営のリーダーになり、他の参加者の首輪を爆破出来る権限を持つ。

8、ただし爆破は爆破したい対象のメダルを自身の首輪に当てないと行けない

9、格陣営のリーダーは、定時放送ごとに更新とする。

10、プレイヤーはゲームそのものの崩壊に繋がる行為、及び故意にメダルを破壊する行為を禁止とする。

 

【スタート時の持ち物】

1、プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。

2、ただし義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。

3、また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨

例えば眼帯やハンカチなど、武器、殺傷能力のあるもの以外は持ち込みを許される。

4、ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から「デイパック」にまとめられた道具を支給されいる。

 

 

【支給品について】

1、デイパックとは、他の荷物を運ぶための小さいリュック。

シンプルなデザインで、参加者の身長、体重、状態に関わらず全員同じものが支給される。

2、全ての参加者に共通で支給される道具として『デバイス』と『メダル』がある。

『デバイス』は手のひらサイズのスマートフォン型をしていて、中には会場の全図を示した『地図』、書き手枠以外の参加者全員の名前が羅列された(書き手枠のみ第一回放送後に解禁)『名簿』、今までの定時放送を聞き返せる『放送』、ロワルールを確認できる『ルール説明』の四つのアプリが入っている。

また、標準機能として、画面を立ち上げると現在時刻と現在いるエリアの名前が表示される。

『メダル』は大きめの硬貨ぐらいのサイズで、所属する陣営の色をしており、表面に英字で名簿に記載されている名前が、裏面に本人をイメージするマークが刻まれている。

3、基本支給品以外に1〜3つランダムの支給品が支給される。

これらはスタンド、エニグマの紙に封印された状態で支給される。

4、紙は二つ折りにされており、右側に支給品の名前、左側に支給品の説明が書かれている。

5、エニグマの紙は物が封印されたまま破かれると、中の物も破壊される。

6、ランダム支給品の枠を一つ使って『デバイス』に『首輪感知』などの特別なアプリがインストールされている場合がある。

 

【放送】

1、ゲーム開始を1日目0時0分とし、

6時間ごとに運営者が禁止エリアとその時間までの死亡者、

残る参加者の人数の発表を行う。

2、また、書き手枠のキャラクターの発表も第一回放送で行われる。

3、聞く方法は、タブレットや電子端末の支給品、

またはエリア内のテレビやラジオに入る自動配信などである。

 

 

【禁止エリア】

1、一回の放送ごとに放送終了から1時間に3つのエリアが禁止エリアとなる。

2、禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

3、禁止エリアに入ると30秒以内に退避しない限り、ペナルティとして運営より殺される。

 

 

【作中での時間表記】(0時スタート)

深夜 0〜3

黎明 3~6

朝  6~9

昼間 9~12

日中 12~15

夕方 15~18

夜  18~23:59

 

 

【首輪】

1、参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。

2、この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者がルール上禁止された行動を取る、

または運営者が遠隔起爆で爆破される。

3、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。

4、放送時に発表される『禁止エリア』に入ってしまうと、爆発する。

5、 たとえ首輪を外しても会場からは脱出は出来ない。

 

【舞台】

1、気候は暑くもなく寒くもないちょうどいい気候。

 雨などの気象現象も起こらない。

2、市街地には地図に載っていない様々な店や民家が並んでいる。

3、舞台の端は最初から禁止エリアに近い形になっており、

その現場に目印や境はなにもないものの舞台から外に出ると、

爆破までのカウントが始まる。

4、カウントが終わらないうちに

禁止エリアから出れば首輪は爆発しない。

5、ライフラインは機能しており、物は常識の範疇内で置いてある。

例:商店街の薬屋に薬、病院に包帯があったり、

建物の明かりがつくなど。

6、各施設のどこかに電話が存在し、お互いに通話ができる。

基本的には留守電になっている。

7、ただし、何もかもが鏡に映る景色のように左右反転しており、例外は参加者が身につけている服や支給品のみである。

 

 

 



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支給品一覧

共通支給品

 

・デバイス…参加者全員に支給されるアイテムの一つ。

スマートフォンのような形をしており、

標準機能として画面を立ち上げると現在時刻と現在いるエリアの名前が

表示される機能が、そして会場の全図を示した『地図』、書き手枠以外の参加者全員の名前が羅列された(書き手枠のみ本人以外第一回放送後に解禁)『名簿』、今までの定時放送を聞き返せる『放送』、ロワルールを確認できる『ルール説明』の四つのアプリが入っている。

支給品の枠を一つ使って特別な五つ目のアプリがインストールされている

場合もある。

 

・メダル…参加者全員に支給されるアイテムの一つ。

大きめの硬貨ぐらいのサイズで、所属する陣営の色をしており、表面に英字で名簿に記載されている名前が、裏面に本人をイメージするマークが刻まれている。

ルールに故意に破壊することを禁じられるほどの重要アイテム。

陣営内でこのメダルを最も多く持つ者が陣営のリーダーとなる。

また、陣営のリーダーが生存している他の参加者のメダルを首輪に当て、宣言をすることでメダルの元持ち主の首輪を爆破できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小説枠からの支給品

 

・グイード・ミスタの拳銃@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

…川田章吾@バトル・ロワイヤルに支給。

ギャング組織、パッショーネのナンバー3、グイード・ミスタの銃。

リボルバータイプの拳銃で、装弾数6発。

スタンドエネルギーを籠めなければただの拳銃。

 

・オール・アロング・ウォッチタワー@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

…カンノーロ・ムーロロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-に支給。

彼自身のスタンドで、物質と一体化しているタイプのスタンドの為支給品扱いだったようだ。

スタンドそのものの能力としては、ハーミットパープルそのものの能力としては、

破壊力C、スピードB、射程距離A、持続力A、精密動作性A、成長性E、

と、群体型スタンドとしては、破格と言ってもいいスペックを持つ暗殺団。

更には53枚のカードに憑りついているゆえにどこにでも入り込める隠密性と高索敵性。

固有能力は、収集した能力を劇を通して披露すること、そしてさらには、本体への影響をカード一枚一枚で受け止めること。

搦め手はほぼ通じないと言ってもいいスタンドである。

 

・アニール・ブレード@ソードアート・オンライン

…ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

ソードアート・オンライン内にて第一層で入手できる片手直剣。

8回の強化が可能。序盤においてはそれなりに優れた性能の剣で、βテストにおいてあのキリトも愛用していた。

製品版でも第四層まで使っていた。

ロワ内においてはまあまあの性能の片手直剣。

 

・黒パンとサワークリーム@ソードアート・オンライン

…空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険に支給。

普通の黒パンとサワークリーム。組み合わせて食べるとベストマッチ!

一瞬『死のうかな』と思っても、これ美味しいしまた食べたいから死ぬのやめようかな?って思うくらいにはおいしい。

 

・手鏡@ソードアート・オンライン

…花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険に支給。

ソードアート・オンラインのチュートリアルですべてのプレイヤーに配布されるアイテム。

これを覗き込んだ者はアバターを素顔準拠の物に改造され、戻せなくなる。

それ以外はただの普通の手鏡である。

物に当てれば砕けるし、武器にするには小さい。

第9話でエリアG-1にある20階建てのビルの屋上に叩きつけられ、全壊。

当ロワで初めての破壊され使用不能になった支給品となった。

 

・エリシュデータ@ソードアート・オンライン

…アリス@SINoALICEに支給。

アインクラッド第50層ボスのラストアタック・ボーナスで獲得できる片手剣。

黒い刀身と、L字に半円を合わせたような鍔が特徴。

あのキリトが獲得後、終盤までメインウェポンにしていたほどの業物。

ロワ内でも、破格の性能の片手剣として機能する。

 

・ランベントライト@ソードアート・オンライン

…ユウキ@ソードアート・オンラインに支給。

リズベットが鍛えた剣の一つで、ダークリパルサーと似た色をしたレイピア。

アスナがSAO終盤まで使い続けた愛刀で、紅い鞘に収まっている。

 

・ポーション@ソードアート・オンライン

…アヤカ・サジョウ@Fate/strange Fakeに支給。

SAOゲーム内にて販売されている回復アイテムの一種。

10本セットで支給されており、経口摂取することで、肉体の物理的傷を癒すことができる。

空き瓶は手元に残るようである。

 

・転移結晶@ソードアート・オンライン

…浅倉威@仮面ライダー龍騎、

ティーネ・チェルク@Fate/strange Fakeに支給。

ゲーム内においては、手に持って主街区名を言うとその主街区の転移門まで一瞬で移動できるアイテム。

やや値が張るので緊急時以外は基本的に使用されない。

当ロワでは、同ステージ内の好きなエリアに移動できるアイテムとなっている。

だが、イレギュラーが重なればその限りではないようで、結晶を収納したエニグマの紙事破壊した結果、キルバスは都心ステージから廃墟ステージに飛ばされたことが有った。

 

・リトルぺネントの実@ソードアートオンライン

…カーズ@ジョジョの奇妙な冒険に支給。

SAOに存在する肉食植物型モンスター、リトルぺネントの頭にたまに付いている実。

この実を割るor実の付いているモンスターを撃破すると大量のリトルぺネントをおびき寄せてしまう。

当ロワでは他の実付きまで引き寄せてしまうようである。

 

・アスナお手製の照りマヨサンドイッチ@ソードアート・オンライン

…クロメ@アカメが斬る!に支給。

SAOプレイヤーの一人、アスナこと結城明日奈が造ったサンドイッチ。

タレは薄過ぎず、濃過ぎず、チキンの焼き具合いは絶妙。

マヨネーズソースはたれと見事に調和し、野菜はシャキシャキ。

そしてそれらを包み込むパンはフワフワ。ちょっとしたご馳走である。

クロメの手により4個食べられ、

残り4個はバスケット事エリアC-5のDIOの館に放置されている。

 

・紺野木綿季の死体@ソードアート・オンライン

…パワー@チェンソーマンに支給。

ALOのトッププレイヤー、『絶剣』のユウキこと紺野木綿季が現実で死亡したことで残った死体。

正直悪魔が魔人化するために則るぐらいしか使い道はない。

 

・マクアフィテル@ソードアート・オンライン

…常磐ソウゴ(A)@仮面ライダージオウに支給。

ALOのトッププレイヤーの『絶剣』の二つ名をいただくユウキの愛剣。

細剣と言われても納得しそうなほど細く、刀身の根本まで刃となっている黒曜石の剣。

 

・青薔薇の剣@ソードアート・オンライン

…エスデス@アカメが斬る!に支給。

キリトの親友、ユージオの愛剣。

元は竜騎士専用神器で、北の果ての山脈の永久氷塊と青い薔薇が元になっている。

切り口を凍結させる、任意の対象を氷の棘と青薔薇の蔓で拘束・凍結させる、

凍結させた対象から咲かせた青薔薇を通して天命を吸収し、周囲に放出するなど、破格の能力を備えた装備。

 

・夜空の剣@ソードアート・オンライン

…ユージオ@ソードアート・オンラインに支給。

アンダーワールドにおけるキリトの専用武器。

北帝国ルーリッド村に生えていた巨木、ギガスシダーを素材に造られた剣。

名前が決まるまではキリトから「黒いやつ」など、適当に呼ばれていた。

 

・闇斬剣@ソードアート・オンライン

…両儀式@空の境界に支給。

整合騎士が一人。イーディス・シンセシス・テンの専用神器。

漆黒の刀身の日本刀のような形の武器で、太陽光が一切差さない深い湖の底に沈んでいた石を素材に造られており、武器防具を透過する能力、周囲を闇で覆い尽くす能力を持つ。

当ロワでは最初から刀身が黒い状態で支給されており、防御無視能力だけならだれでも使える状態で支給されているようである。

 

・プラズマグレネード@ソードアート・オンライン

…PoH@ソードアート・オンラインに支給。

ガンゲイル・オンラインに登場する使い切り武器の一つ。

投げてから一定時間経過すると、プラズマを帯びた爆発が発生する手りゅう弾。

黒い円形の形をしており、五つセットで支給されている。

 

・王律鍵バヴ=イル@Fate/strange Fake

…ティーネ・チェルク@Fate/strange Fakeに支給。

偽アーチャーの宝具、黄金の都バビロニアの宝物庫、

世界のあらゆる場所から集められたあらゆる宝を収蔵する宝物庫、王の財宝(ゲートオブバビロン)に繋がる鍵。

その形は絶えず変化しており、偽アーチャーにしか扱えない。

 

・ヴァージニア・スリム・メンソール@バトル・ロワイアル

…衛宮切嗣@Fate/Zeroに支給。

城岩中学校 男子出席番号14番、月岡彰お気に入りの銘柄。

月岡は違法輸入されて来ている物を盗んで吸っていた。

名前が好きなんだとか。

一箱分しか支給されていないので、大事に吸おう。

 

・フォーク@バトル・ロワイヤル

…三村信史@バトル・ロワイヤルに支給。

プログラムにおいて瀬戸豊に支給された武器。

なんの変哲もないただのフォーク。

 

 

 

 

 

 

 

漫画枠からの支給品

(ひゃく)(じゅう)(おう)()ライオネル@アカメが斬る!

…三浦優美子@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。に支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

聴力を始めとした各種五感の強化、臓器の機能を含めた身体能力の強化など、獅子の特性を装着者に与えるベルト型の帝具。

能力は装着者の任意で発動できる。

奥の手は『獅子は死なず(リジェネレーター)』。

四肢欠損レベルの怪我も、正確な縫合さえできればくっつくレベルの超常的な再生能力を発揮する。

 

千変万(せんぺんばん)()クローステール@アカメが斬る!

…ファニー・ヴァレンタイン@に支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

危険種と呼ばれる超生物の体毛を使って作られた糸。

張り巡らせて結界にする、束ねて槍にする、周囲の背の高い物に結んで滑空する、敵の体に潜り込ませて内側から破壊するなど、名の通り千変万化の幅広い活用ができる。

中でも急所を守る剛毛を用いて作られた『界断糸』と呼ばれるとっておきの一本は、クローステールの中でも飛びぬけた強度と切断性を誇る。

 

(あっ)()(てん)(しん)インクルシオ@アカメが斬る!

…万丈龍我@仮面ライダービルドに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

超級危険種タイラントを素材として作られた鎧の帝具。

支給された両刀剣は正確にはインクルシオの鍵と呼ばれるもので、装備し、熱い魂で叫ぶことで鎧を召喚、装着する。

副武装はノインテーターという槍。

修羅化身グランシャリオのプロトタイプで、あちらに比べて高い爆発力を発揮できる。

鎧には装着者の身体能力を向上させる力や、毒等の特殊な攻撃も大きく軽減、無効化できる、使用者の成長に合わせて成長する、透明化、過酷な自然環境への耐性の取得など、最強の帝具の一角に数えられるにふさわしい性能を誇る。

それだけに、相応の実力が無ければ使い熟せない。

 

()(まん)砲台(ほうだい)パンプキン@アカメが斬る!

…シノン@ソードアート・オンラインに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

使用者の精神エネルギーを衝撃波として打ち出す銃の帝具。

奥の手の存在しない帝具の一つで、その特性は使用者がピンチになればなる程銃の威力が上がって行くという物。

アタッチメントを付け替えることで様々な状況に対応できるほか、狙撃用のスカウター型スコープも付属する。

その為使用者はパンプキンの弾倉になりえるだけの強靭な精神力と、瞬時に状況に適したアタッチメントを選ぶセンスが求められる。

また、使い過ぎるとオーバーヒートを起こしてしまう事もある。

 

五視(ごし)万能(ばんのう)スペクテッド@アカメが斬る!

…ランサー@Fate/Zeroに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

額に付ける巨大な瞳で、五つの視界に関する能力を有している。

心が読める洞視、霧でも夜でも関係なく遠くにいる相手が見える遠視、筋肉の動きから動きを見通す未来視、服の上から中を確認できる透視、唯一相手にかけるタイプとして幻覚を見せる幻視の能力を有している。

 

魔獣变化(まじゅうへんげ)ヘカトンケイル@アカメが斬る!

…阿良々木暦@化物語に支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

珍しい自立型、生物型の帝具。

普段は犬のぬいぐるみのような愛らしい姿をしているが、戦闘となれば、二つ名に違わぬ凶悪な魔獣としか形容しようがない巨体、鋭利な牙をむき出しにした戦闘形態に移行し、戦う。

体内に無数の兵器を収納することも可能で、本来の使用者であるセリューは自身の義手との換装可能な無数の兵器を収納、ヘカトンケイルごと携帯していた。

奥の手は『狂化』。ヘカトンケイルの戦闘能力をさらに底上げし、相手を問答無用で怯ませる咆哮を放つ事が可能になるが、動力がオーバーヒートしてしまい、数カ月使用不可能になる。

その為、ロワでは事実上一回しか使えない。

 

(すい)(りゅう)(ひょう)()ブラックマリン@アカメが斬る!

…間桐シンジ@Fate/EXTRAに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

水棲の危険種が水を操作するための器官を素材とした指輪。

装着者が触れたことのある液体を自在に操ることができ、それを様々な形に変えて攻撃できる。

ただし、液体を自ら生み出せないので、周囲に水が無い場所では無力。

 

軍楽(ぐんがく)夢想(むそう)スクリーム@アカメが斬る!

…ハーメルン@SINoALICEに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

その音色を聴いた者の感情を操ることができる笛。

奥の手は音色で自身の肉体を強化する鬼人招来。

また、かなりの硬度、防御力を持ち、打撃武器としても使える。

 

二挺大斧(にちょうたいふ)ベルヴァーク@アカメが斬る!

…平和島静雄@デュラララ‼に支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

並外れた膂力がなければ使い熟せない斧型の帝具。

中央部分で二つに分割することが可能で、一度投げればその勢いが続く限り対象を追跡し続ける能力を持つ。

まさにパワーオブジャスティスを地で行く帝具。

 

(かみ)御手(みて)パーフェクター@アカメが斬る!

…ドロシーに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

手甲の形をした帝具で、これ単体で攻撃力はない。材質は不明。

装備した者の手先の精密動作性を数百倍に引き上げることが可能で、様々な分野で応用が利く万能支援型の帝具。

本来の使い手であるDr.スタイリッシュや革命軍の軍医は、人体改造や薬品の生成に用いていた。

 

修羅(しゅら)化身(けしん)グランシャリオ@アカメが斬る!

…キリトに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

危険種と呼ばれる超生物を材料とした鎧。

支給された柳葉刀型の片手剣は正確にはグランシャリオの鍵と呼ばれるもので、

地面につきたて熱い魂で叫ぶことで鎧を召喚、装着する。

鎧には装着者の身体能力を向上させる力がある。

しかし副武装などはなく、鎧を召喚すると鍵も使えなくなるので、

無手で戦う事となる。

また、プロトタイプのインクルシオに比べて安定性重視で作られており、

爆発力はあまりない。

 

・死者行軍八房@アカメが斬る!

…武市半平太@龍が如く維新!に支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

この刀で命を絶った者を、最大8体まで骸人形として使役出来る最も人を冒涜する帝具。

骸人形は、生前の能力を保ったまま(その為か、強い念や癖も残る)操れる。

が、当然と言えば当然だが、頭が執れてもどんな怪我を負っても動き続ける代わりに、

自然治癒などしないし、一度人形にされた者が学習する事も無い。

また、ただ単に物理武器として見た場合も、村雨とつば競り合えるだけの性能を有する。

 

臣具(しんぐ)トリシュラ@アカメが斬る!

…偽アーチャー@Fate/strange Fakeに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具を、600年前の皇帝が再現しようとして造らせた兵器、臣具の一つ。

伸縮する柄と鋭い刃を併せ持つ槍。

使い手、使い方によっては帝具にも引けを取らない性能を発揮する。

 

・ウォールの盾@アカメが斬る!

…ヒースクリフ@ソードアート・オンラインに支給。

クロメが八房で骸人形にした一流のガードマン、ウォールの愛用した防具。

透明で、中央部分だけ太い横線状の塗装がされている。

基本的に攻撃はあまりできないが、唯一の攻撃、それも遠距離用に仕込み銛が仕込まれている。

 

次元(じげん)方陣(ほうじん)シャンバラ@アカメが斬る!

…キャル@プリンセスコネクト!Re:Diveに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

マーキングした場所を対象とした所謂「瞬間移動」を可能とする。

パソコンのマウスのような形をしている。

数人までしか運べない、連続しては使えないなど、破格の性能に見合った制限がある。

 

月光麗舞(げっこうれいぶ)シャムシール@アカメが斬る!

…土方歳三@龍が如く維新!に支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

真空の刃を飛ばすことが出来る曲刀の帝具。

奥の手は月齢で性能が変化すること。

満月の時に最高のポテンシャルを発揮できる。

 

・帝具アッキヌフォート

…真アーチャー@Fate/strange Fakeに支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

弓矢の形をしていて、使用者が名前を言った標的をどこまでも追尾する能力を持つ。

当ロワでは、使用者が敵と見た相手を名前を言わずとも完全フルオートで追尾するように改造されている。

第48話にて、イレイストーンの能力で破壊されてしまった。

 

・絶対制御イレイストーン@アカメが斬る!

…パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-に支給。

1000年前の皇帝が国を永遠の物とするために世界中の優れた技術を集めて造った超兵器帝具の一つ。

額に付ける宝石の付いた飾りの形をしていて、一週間という長すぎるインターバルの代わりに、射程内に入った帝具を問答無用で破壊、無力化するアンチ帝具。

当ロワでは、インターバルはそのままに、支給品ならどんな物でも帝具と同様に破壊出来るようになっている。

 

・超強化薬(改良版)@アカメが斬る!

…由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。に支給。

帝国の暗殺部隊に支給される身体強化のための薬物に、

革命軍の帝具使いの医師がつくった物をブレンドした物。

使用者の身体能力を大幅に底上げするが、絶大な代償を払う事になる。

 

・ナジェンダの煙草(一箱、消費無し)@アカメが斬る!

…川田章吾@バトル・ロワイヤルに支給。

暗殺結社ナイトレイドのリーダー、ナジェンダが好んで吸う銘柄。

一箱しか支給されない上に、火種は自分で入手しなければならない。

 

・特級危険種エアマンタ@アカメが斬る!

…折原臨也@デュラララ‼に支給。

アカメが斬る!の世界に生息する巨大生物、危険種の一種。

その中でも超級に次ぐ危険度に分類される特級の危険種。

その名の通り、空を飛ぶエイのような姿をした危険種。

当ロワではEXランクの騎乗スキルが無くとも、ある程度動かせるように調教された個体が支給されている。

 

・501ワクチン入りの注射器@彼岸島

…岸谷新羅@デュラララ‼に支給。

血液を分離し、雅の不死を一時的に無効化するワクチンと注射器。

ワクチンだけでは、所謂デバフをかける事しか出来ないので、回復不能な間に決定打を与える必要が有る。

 

・日帰り旅行の記念写真@彼岸島

…西山徹@彼岸島に支給。

西山徹、宮本明、坂下ユキの3人で日帰り旅行に行った際に撮った記念写真。

度重なる激戦の中、ラミネートもせずに持ち歩いた物なので、お世辞にも保存状態が良いとは言えない。

が、それでも彼ら彼女らにとってはかけがえのない宝物である。

 

・ヘイ・ヤーのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

…ブラックモア@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runに支給。

生命波紋の結晶である超能力、幽波紋(スタンド)を『ホワイトスネイク』というスタンドがDISC状になして取り出した物。

法則として、

頭に挿入することで、対象に封じ込められたスタンド能力を与える。

装着者の意思、または装着者がダメージを受けるなどすると出てくる。

装着者が装着したまま死ねば、その死に引きずられ手消滅する。

などがあげられる。

ゲブ神そのものの能力としては、破壊力E、スピードE、射程距離E、持続力B、精密動作性E、成長性Eと、最弱もいい所のなんの戦闘訓練も受けていない一般人でも(スタンドに物理攻撃が有効という前提でだが)一方的に倒せてしまうぐらいだが、スタンド本体を励まし続けるという、他に類を見ない能力により、本体がかなりの実力者or余ほどの業運の持ち主だった場合、驚異的なミラクルの間接的最大要因となりうる。

立ち向かう(stand up to)ための力と位置付けられるジョジョ7部のスタンドにおいて、唯一寄り添い傍らに立つ(stand by me)スタンドでもある。

 

・聖なる遺体(左腕部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

…ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runに支給。

アリマタヤのヨゼフが書き記したとされる地図に記されたアメリカ大陸に散らばったある聖人の遺体の一部。

聖なる神秘を宿しており、一体化した者への恐竜化などの異常状態を無効化したり、スタンド能力を強化したりする力がある。

 

・聖なる遺体(両脚部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

…荒耶宗蓮@空の境界に支給。

アリマタヤのヨゼフが書き記したとされる地図に記されたアメリカ大陸に散らばったある聖人の遺体の一部。

聖なる神秘を宿しており、一体化した者への恐竜化などの異常状態を無効化したり、スタンド能力を強化したりする力がある。

 

・聖なる遺体(延髄部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

…花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険に支給。

アリマタヤのヨゼフが書き記したとされる地図に記されたアメリカ大陸に散らばったある聖人の遺体の一部。

聖なる神秘を宿しており、一体化した者への恐竜化などの異常状態を無効化したり、スタンド能力を強化したりする力がある。

 

・ヴァルキリー@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

…ウェイブ@アカメが斬る!に支給。

ジャイロ・ツェペリの愛馬で、4歳のストックホース。

スティール・ボール・ランレースでのゼッケン番号はB-636。

女を載せたがらないらしい。

 

・コーヒー@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

…世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runに支給。

ロッキー山脈ふもとの村でジョニィが淹れたコーヒー。

基本世界の半恐竜化したディエゴが飲み干した物を再現した物。

 

・ブラウン号@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

…マイン@アカメが斬る!に支給。

ホット・パンツの愛馬で、3歳のマスタング。

スティール・ボール・ランレースでのゼッケン番号は不明。

 

・ローストビーフのサンドイッチ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

…ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

ホット・パンツがジョニー・ジョースターとジャイロ・ツェペリに分けたのと同じ物。

卵にオニオンも入っているが、毒は入っていない。

 

・世界ディエゴのナイフ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

…折原臨也@デュラララ‼に支給。

10本セットで一つの支給品として支給される。

世界ディエゴはこれを時間停止能力と組み合わせて使っていた。

一応は何の変哲もない斬撃も投擲も可能なナイフ。

 

・寿命武器(日本刀型)@チェンソーマン

…沖田総司@龍が如く維新!に支給。

天使の悪魔が人間から吸い取った寿命を素材に造った武器の一つ。

使い方は通常の日本刀と変わらないが、触れることができないものをも切断できるなど、特殊な性質を持っている。

 

・筋斗雲@ドラゴンボール

…ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runに支給。

孫悟空が亀仙人から譲り受けた雲のマシン。

心の清い者にしか載ることが出来ず、漆黒の意志を持つジョニィには乗れなかった。

しかし筋斗雲に乗れる心の清い者の背中に乗るなどして同乗することは出来る。

紫色をしており、結構な速度で重さを無視して飛行できる。

 

 

 

 

 

アニメ枠からの支給品

・マジシャンズレッドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険

…ティーネ・チェルク@Fate/strange Fakeに支給。

生命波紋の結晶である超能力、幽波紋(スタンド)を『ホワイトスネイク』というスタンドがDISC状になして取り出した物。

法則として、

頭に挿入することで、対象に封じ込められたスタンド能力を与える。

装着者の意思、または装着者がダメージを受けるなどすると出てくる。

装着者が装着したまま死ねば、その死に引きずられ手消滅する。

などがあげられる。

マジシャンズレッドそのものの能力としては、破壊力B、スピードB、射程距離C、持続力B、精密動作性C、成長性Dと、典型的な近距離型スペック。

だが固有能力である火炎と熱の操作は、スタンドの一部である炎を操るという特性上、普通の水に弱い代わりに「アンク」の文字の形の炎を打ち出すクロスファイヤーハリケーンや、赤い荒縄(レッドバインド)、生命探知の炎など、多岐にわたりある程度中、遠距離戦もこなせるなど、精密性Cが詐欺のように感じる(多分、スタンド実像の方の器用さがその程度という事なんだろうと思うが)。

 

・ハーミットパープルのDISC@ジョジョの奇妙な冒険

…DIOに支給。

生命波紋の結晶である超能力、幽波紋(スタンド)を『ホワイトスネイク』というスタンドがDISC状になして取り出した物。

法則として、

頭に挿入することで、対象に封じ込められたスタンド能力を与える。

装着者の意思、または装着者がダメージを受けるなどすると出てくる。

装着者が装着したまま死ねば、その死に引きずられ手消滅する。

などがあげられる。

ハーミットパープルそのものの能力としては、破壊力D、スピードC、射程距離D、持続力A、精密動作性D、成長性Eと、DIOが一番なまっちょろいと評するだけあって低スペック。

だが固有能力である念写能力はカメラ、テレビ、果ては灰の粒など様々な物を触媒にすることが出来る。

 

・ゲブ神のDISC@ジョジョの奇妙な冒険

…ケイネス・エルメロイ@Fate/Zeroび支給。

生命波紋の結晶である超能力、幽波紋(スタンド)を『ホワイトスネイク』というスタンドがDISC状になして取り出した物。

法則として、

頭に挿入することで、対象に封じ込められたスタンド能力を与える。

装着者の意思、または装着者がダメージを受けるなどすると出てくる。

装着者が装着したまま死ねば、その死に引きずられ手消滅する。

などがあげられる。

ゲブ神そのものの能力としては、破壊力C、スピードB、射程距離A、持続力B、精密動作性D、成長性Dと、あのスタープラチナと渡り合うほどの脅威的な性能を誇る。

 

・アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険

…ピノキオ@SINoALICEに支給。

生命波紋の結晶である超能力、幽波紋(スタンド)が本体の死後も刀剣に宿ったことで存在し続けている。

刀身、又は柄、鍔に触れた人間を本体として操ることができる。

はずなのだが、当ロワでは使い手の同意なくしてはその能力を発揮できない。

また、極めて高い学習能力を持ち、固有能力として、任意の物質を透過して敵を斬れる。

アヌビス神そのものの能力としては、破壊力B、スピードB、射程距離E、持続力A、精密動作性E、成長性Cと、典型的な近接型。まあ、剣なので当然と言えば当然だが。

 

・承太郎がカイロで盗んだバイク@ジョジョの奇妙な冒険

…鷲尾風@仮面ライダービルドに支給。

承太郎がDIOを追うのに使ったバイク。

無理やりエンジンをかけた承太郎と違いちゃんとキーと、

フルフェイス、ゴーグルタイプ二種類のヘルメットもついている。

原作同様二人乗りも可能。

よい子のみんなは盗んだバイクで走り出さないでね!

 

・ロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険

…平和島静雄@デュラララ‼に支給。

DIOが承太郎へのトドメとして繰り出した重機。

当然ながら本来運転して使う物だが、DIOも今回支給された静雄もぶん投げて使っている。

当ロワでは登場早々地面に激突して爆破炎上して使い物にならなくなってしまった。

 

・サーフィスのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険

…シンデレラ@SINoAKICEに支給。

サーフェス用の木製人形と共に支給される。

生命波紋の結晶である超能力、|幽波紋〈スタンド〉を『ホワイトスネイク』というスタンドがDISC状になして取り出した物。

法則として、

頭に挿入することで、対象に封じ込められたスタンド能力を与える。

装着者の意思、または装着者がダメージを受けるなどすると出てくる。

装着者が装着したまま死ねば、その死に引きずられ手消滅する。

などがあげられる。

サーフェスそのものの能力としては破壊力B、スピードB、射程距離C、持続力B、精密動作性C、成長性Cと、なかなかの高性能。

等身大のポーズ人形に憑りつき、人形に触れた者の姿、仕草、指紋・声紋、人格に至るまで全てコピーする物体憑依型のスタンド。

コピーした対象と向き合えば、コピー元を操ることも出来る。

また、コピー元が死んでもコピーは何の影響も受けない。

 

・ブルスケッタ@ジョジョの奇妙な冒険

…ユウキ@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

ブローノ・ブチャラティのお気に入りのリストランテ、

Libeccio(リベッチオ)で提供されているブルスケッタ。

極めてスタンダードなブルスケッタ。

ただ幕末日本を生きる土方の口には合わなかったようだ。

 

ゴールド・エクスペリエンスのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険

…孫悟飯@ドラゴンボールに支給。

生命波紋の結晶である超能力、幽波紋(スタンド)を『ホワイトスネイク』というスタンドがDISC状になして取り出した物。

法則として、

頭に挿入することで、対象に封じ込められたスタンド能力を与える。

装着者の意思、または装着者がダメージを受けるなどすると出てくる。

装着者が装着したまま死ねば、その死に引きずられ手消滅する。

などがあげられる。

ゴールド・エクスペリエンスそのものの能力としては、破壊力C、スピードA、射程距離C、持続力D、精密動作性D、成長性Aと、近距離パワー型。

固有能力は、さながら生命波紋をスタンド能力に落とし込んだような非常に応用の幅の広い生命エネルギーのコントロール。

無生物の命を与えて使役する、無生物を生体パーツに変えて欠損を埋める、対象に生命エネルギーを過剰に与えて暴走させるなど、使用者の応用次第で、ほぼ隙無しともいえる戦闘、及び支援能力を発揮する。

 

・パープル・ヘイズのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険は、

…パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-に支給。

生命波紋の結晶である超能力、幽波紋(スタンド)を『ホワイトスネイク』というスタンドがDISC状になして取り出した物。

法則として、

頭に挿入することで、対象に封じ込められたスタンド能力を与える。

装着者の意思、または装着者がダメージを受けるなどすると出てくる。

装着者が装着したまま死ねば、その死に引きずられ手消滅する。

などがあげられる。

ハーミットパープルそのものの能力としては、破壊力A、スピードB、射程距離C、持続力E、精密動作性E、成長性Bと、典型的な近距離パワー型。

固有能力は拳に最大6個付いたカプセルに入った殺人ウイルスの散布。

一日最大六回しか使えない代わりに、殺人、とは言うが、実際は人間だろうとスタンドだろうと、生命エネルギーを持つモノすべてに感染し、喰らい、爆発的に増殖する超凶悪な性能を誇る。

弱点はパープル・ヘイズ本体とウイルスの射程距離が噛みあいにくい事。

そして室内ライト程度の光でも数十秒で殺菌できる程光に弱い事。

本体も感染すれば死ぬのに、スタンドだけはウイルスが効かない。

その謎はきっと永遠に解き明かされないだろう。

 

・ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険

…真アーチャー@Fate/strange Fakeに支給。

ミスター・プレジデントというスタンド能力を持った亀。

甲羅に専用の鍵を嵌めることで、特殊空間に人や物を収容できる。

ミスター・プレジデントそのものの能力としては、破壊力E、スピードE、射程距離E、持続力A、精密動作性E、成長性Eと、

完全に能力に極振りした性能。

 

・ドッピオが電話で使ったカエル@ジョジョの奇妙な冒険

…雅@彼岸島に支給。

イタリア、サルディニア島に生息しているカエル。

原作ではリゾット・ネエロのスタンド、メタリカによって体内の鉄分をカミソリに変えられて、内側からズタズタに切り裂かれて死亡しているが、八九寺真宵やエボルト同様態々生き返らせているのか、破壊される前の時間軸or破壊されなかった世界線から連れて来たのかは不明。

 

・コンテンダー@Fate/zero

…衛宮切嗣@Fate/Zeroに支給。

通常弾10発と起源弾5発(どちらも30-06スプリングフィールド弾)が付属。

トンプソン/センター・アームズ社製の大型拳銃。

30-06スプリングフィールド弾を装填できるように改造されている銃の魔術礼装。

隠し持てる拳銃サイズの銃としては破格の破壊力を持っており、

一発しか装填できない代わり、装甲車でも持ってこないと防ぎようのない威力を誇る。

また、付随する起源弾は、粉状にすり潰した切嗣自身の肋骨が込められた弾丸で、

撃ち抜かれると、「切って」「嗣ぐ」という彼の起源が発現し、

まず弾によってできた傷が強引に塞がれ、でたらめに繋ぎ直される。

この弾での攻撃を魔術の発動中に受けた場合、術者の魔術回路を滅茶苦茶に組み替え、

ショートさせる。そして暴走した自分自身の魔力に肉体を破壊されることになる。

敵が魔術師として優秀であればある程、効果を発揮する「魔術師殺し」衛宮切嗣の切り札である。

 

・WA2000@Fate/Zero

…マッシモ・ヴォルぺに支給。

ワルサー社が開発したセミオートの狙撃用ライフル。

装弾数は6発で、ボトルアクション・ライフル並みの命中精度を誇る。

高価かつ重い為、7年の間に僅か176丁しか生産されていない希少品である。

携帯のしやすさと装弾数の兼ね合いから、第四次聖杯戦争において、

衛宮切嗣に使用された。

銃本体と共に支給された弾の数は現地点では不明。

 

・預託令呪(言峰璃正)@Fate/Zero

…マスターロゴス@仮面ライダーセイバーに支給。

かつての聖杯戦争で脱落したマスター達が使い遺した令呪。

所有者は自由に委譲出来るが、

聖言による強固なプロテクトがかかっており、

第三者が強引に奪うことは非常に困難。

また、これらは通常の令呪の様に、サーヴァントに対する絶対命令権として行使出来るほか、

あらゆる魔術に無属性の魔力として転用できる。

つまりは使い切りかつ、疑似的な魔術刻印として機能する。

 

・遠見の水晶@Fate/Zero

…コルネリウス・アルバ@空の境界に支給。

アイリスフィール・フォン・アインツベルンが遠見の魔術の媒介に使った水晶。

魔術の心得の無い物にはほぼ意味のない代物である。

 

必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)@Fate/Zero

…ランサー@Fate/Zeroに支給。

第四次聖杯戦争のランサー、ディルムッド・オディナの宝具の一つ。

黄の短槍で長さは大体1.5メートル。

この槍で負った傷は如何なる手段を以てしても治癒、自然回復ができなくなる呪いの槍。

ゲーム的に例えれば、最大HPそのものを削り取る効果を持っているようなもの。

槍を破壊するか、使い手が死なない限り癒えることがない。

 

破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)@Fate/Zero

…浅上藤乃@空の境界に支給。

第四次聖杯戦争のランサー、ディルムッド・オディナの宝具の一つ。

紅色の長槍で長さは大体2メートル。

あらゆる魔法を打ち破る槍と伝えられる魔槍で、その実態は刃が触れた対象の魔力の流れを遮断し、魔術的効果を強制的にキャンセルするという物。

ただし第五次聖杯戦争のキャスターの魔術破りの宝具と違い、強固な契約の元に成立した宝具、魔術は一時的に効力を消す事しか出来ない。

 

・神威の車輪@Fate/Zero

…ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険に支給。

第四次聖杯戦争におけるライダーの対軍宝具で、

ゴルディアス王がゼウス神への供物としてささげた物。

二匹の牛の神獣がけん引する戦車。御者台も防護力場に覆われている。

 

螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)@Fate/Zero

…大神照彦@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-に支給。

第四次聖杯戦争のキャスター(ジル・ド・レェ)の宝具である書物。

これ自体が自律駆動を兼ねた魔力炉であり、生み出される魔力はほぼ無尽蔵。

多少の傷なら自己修復も可能。

持ち主の技量や魔力に関係なく、魔術の行使が可能となる。

原作では海魔の召喚・使役や子供たちへの催眠、生命維持の魔術などいろいろと可能だったが、このロワでは一般人でも使用できる代わりに、“海魔の召喚・使役のみ可能”とする。

 

・無毀なる湖光@Fate/Zero

…ウェイブ@アカメが斬る!に支給。

バーサーカーの西洋剣型の宝具。

ランクA++、種別は対人宝具。レンジは1~2、最大捕捉は1人。

人ならざる者によって鍛えられた、決して刃こぼれしない魔剣。

約束された勝利の剣(エクスカリバー)と起源を同じくする聖剣だったが、

同胞たちを殺したことで、今の状態となった。

 

・私立直江津高校の制服@化物語

…比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。に支給。

当ロワ参加者の阿良々木暦や戦場ヶ原ひたぎらが通う高校の制服。

男女用一着ずつが靴や靴下までセットで支給される。

 

・折原のナイフ@デュラララ!!

…ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険に支給。

折原臨也が戦闘に用いる折り畳みナイフ。

 

・To羅丸のバイク@デュラララ!!

…北岡秀一@仮面ライダー龍騎に支給。

ホワイトタイガーを思わせる虎柄模様のカラーリングのバイク。

六条千景率いる埼玉の暴走族、To羅丸の構成員たちが駆るものの一つ。

 

・罪歌@デュラララ‼

…園原杏里に支給。

人を斬る事を求め続ける妖刀。

女性の人格を持っており、愛にあふれている。

罪歌の持ち主は罪歌の精神干渉に耐えきれず自我が崩壊して罪歌の操り人形となる。

それに耐えるには、自分の精神以外のすべてを徹底的に俯瞰するレベルの精神的断絶が必要になる。

罪歌はこれまでの戦闘経験を受け継いでおり、その使い手は実戦経験がなくとも剣豪のような強さを発揮できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム枠からの支給品

 

・王家の装備(ティアラ)@プリンセスコネクト!Re:DIVE

…ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

アストライア王家に伝わる武具の一つ。

莫大なカロリー消費を強いる代わりに装着者に超人的な身体能力を与える。

本来は剣とセットだが、当ロワでは別々の支給品として扱われている。

 

・キャルの杖@プリンセスコネクト!Re:Dive

…キャル@プリンセスコネクト!Re:Diveに支給。

彼女の私物で杖先には魔導書がついている。

 

・涼槍アクアスカッシュ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

…宮本篤@彼岸島に支給。

コッコロの愛用の槍の水着使用。

折角正式名称が分かっているので、当ロワではこちらを採用した。

通常バージョンに比べてどこかトロピカルな意匠が特徴。

恐らく性能の差はほぼ無いと思われる。

 

・ペルソナカードジライヤ@ペルソナ4、

…花村陽介@ペルソナ4に支給。

陽介の困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ能力を発動するためのカード。

目を背けてきた自身の側面を受け入れたことで取得した物。

破壊することでペルソナを召喚することができる。

ペルソナ、ジライヤそのものの性能としては、

アルカナは魔術師、弱点属性は雷、得意属性は風。

物理攻撃や回復、高い機動力を持ち、極端に運が悪い。

 

・氏繁@龍が如く 維新!

…両儀式@空の境界に支給。

ゲーム内では袖の破れた羽織×1、小さな金塊×20、大きな金塊×10、5両5000文を使って製作することで入手できる★7武装。

初期攻撃力159、最大攻撃力249。

印は氏。ロワ内では特別な加工や魔術的な処置をしない限りただの名刀。

 

・菊一文字@龍が如く維新!

…アカメ@アカメが斬る!に支給。

ゲーム内では蛇柄の眼帯×1、小さな金塊×20、大きな金塊×10、5両5000文を使って製作することで入手できる★7武装。

初期攻撃力159、最大攻撃力239。

印は菊。ロワ内では特別な加工や魔術的な処置をしない限りただの名刀。

 

・覆面の男の装備一式@龍が如く維新!

…坂本龍馬@龍が如く維新!に支給。

吉田東洋を暗殺した覆面の男=芹沢鴨の装備一式。

芹沢鴨の日本刀、芹沢鴨の防具(腕)、芹沢鴨の覆面、芹沢鴨の仕事着の4点セット。

 

・棒手裏剣@龍が如く維新!

…世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runに支給。

徳川慶喜がサブウェポンとして使う暗器。

複数本セットで支給されている。

 

原初の火(アエストゥスエストゥス)@Fate/EXTRA

…ランサー@Fate/Zeroに支給。

セイバー@Fate/EXTRAが所持する剣で、彼女お手製の剣。

なおこれは宝具ではなく、あくまでメインウェポンである。

使用者の感情に反応して炎を生み出す。

漫画版だとアサシンの无二打を無力化してたので気功を封じれるらしい。

今回はゲーム出典の為、上記の設定が生きているかは不明。

 

顔のない王(ノーフェイスメイキング)@Fate/EXTRA

…スノウホワイト@SINoALICEに支給。

月の聖杯戦争に参加したあるアーチャーのサーヴァントの宝具の一つ。

緑色のマントの形をしており、

真価を発揮すれば透明化・消音・気配遮断等、

アサシンクラスにも引けを取らないステルス性能を発揮する。

ただし、攻撃時には必ず解除しなければならない。

また、これは宝具全般にも言えるが、

担い手でない者が真価を発揮しようものなら文字通り命を削るレベルの消費を強いるなどの大きなデメリットも存在する。

 

・令呪@Fate/EXTRA

…川田章吾@バトル・ロワイヤルに支給。

聖杯戦争において、参加者の証とされる聖痕。

疑似的な奇跡を実現させれるだけの魔力を秘めており、サーヴァントに対する絶対命令権として機能する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実写作品枠からの支給品

 

・龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎

…城戸真司@仮面ライダー龍騎に支給。

神崎士郎が作った仮面ライダーへ変身するためのカードデッキの一つ。

どんな人間にでも使う事が出来る代わりに、

契約するミラーモンスターに餌をやり続ける義務をおい続ける事になる代物。

龍騎のデッキは搦め手のカードこそない物の、強力なモンスターに、攻守ともに充実した武装を持つ近接型のラインナップで、必殺技も最高級の威力と、高火力と豊富な手札が売りのライダーと言える。

カード内容は、ドラグレッダー、ソードベント、ストライクベント、ガードベント、ファイナルベント。

 

・ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎

…秋山蓮@仮面ライダー龍騎に支給。

神崎士郎が作った仮面ライダーへ変身するためのカードデッキの一つ。

どんな人間にでも使う事が出来る代わりに、

契約するミラーモンスターに餌をやり続ける義務をおい続ける事になる代物。

ナイトのデッキは最初から武器型のバイザーに、武器のカードが二枚、搦め手のカードが二枚と、充実したラインナップで、背中のジョイントを使えば契約モンスターと合体しての飛行も可能など、幅広い戦い方が魅力。

カード内容は、ダークウイング、ソードベント、ガードベント、ナスティベント、トリックベント、ファイナルベント。

 

・シザースのデッキ@仮面ライダー龍騎

…武市半平太@龍が如く維新!に支給。

神崎士郎が作った仮面ライダーへ変身するためのカードデッキの一つ。

どんな人間にでも使う事が出来る代わりに、

契約するミラーモンスターに餌をやり続ける義務をおい続ける事になる代物。

シザースのデッキはスペックこそ平均だが、攻守ともに整ったカードラインナップで、

契約したモンスターと連帯してこそ真価を発揮する=ミラーモンスターの育成次第のデッキと言える。

カード内容は、ボルキャンサー、ストライクベント、ガードベント、ファイナルベント。

だが、現在はボルキャンサーが撃破されたため、カード内容はコントラクト、ソードベントの二枚に変化している。

 

・ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎

…北岡秀一@仮面ライダー龍騎に支給。

神崎士郎が作った仮面ライダーへ変身するためのカードデッキの一つ。

どんな人間にでも使う事が出来る代わりに、

契約するミラーモンスターに餌をやり続ける義務をおい続ける事になる代物。

ゾルダのデッキはスペックこそ高いが、それはライダー自身が格闘することよりも、充実した遠距離武装の反動をなくすための物で、大火力による遠距離範囲砲撃こそが本領で有ると言えるが、近接武装も一つだけあるので、変身者によっては格闘戦も不可能ではない。

ただし上記の通り本来の持ち味を考えると、どうしても接近されてしまった場合の保険と考えておいた方がいいだろう。

カード内容は、マグナギガ、ストライクベント、ガードベント、シュートベント(ギガランチャー)、シュートベント(ギガキャノン)、ファイナルベント。

 

・王蛇のデッキ@仮面ライダー龍騎

…浅倉威@仮面ライダー龍騎に支給。

神崎士郎が作った仮面ライダーへ変身するためのカードデッキの一つ。

どんな人間にでも使う事が出来る代わりに、

契約するミラーモンスターに餌をやり続ける義務をおい続ける事になる代物。

王蛇のデッキは通常一枚しかないモンスターと契約するカードが三枚入っている召喚師タイプのデッキなのだが、持ち主の浅倉が死や傷を一切恐れない質のため、王蛇に荒々しい印象を抱く人が多いだろう。

カード内容は現地点では不明。

確定している物は、ベノスネーカー、ソードベント、スチールベント、ファイナルベント(ベノスネーカー)、メタルゲラス、ストライクベント、ファイナルベント(メタルゲラス)、ユナイトベント、コントラクト。

 

・タイガのカードデッキ@仮面ライダー龍騎

…エスデス@アカメが斬る!に支給。

神崎士郎が作った仮面ライダーへ変身するためのカードデッキの一つ。

どんな人間にでも使う事が出来る代わりに、

契約するミラーモンスターに餌をやり続ける義務をおい続ける事になる代物。

タイガのデッキは高いスペックに武器型のバイザー、更に特殊カードも二枚あるオールラウンダーなデッキで、正面きっての戦いが適正と言えるであろう。

カード内容は、デストワイルダー、ストライクベント、フリーズベント、リターンベント、ファイナルベント。

 

・インペラーのデッキ@仮面ライダー龍騎

…ありす@Fate/EXTRAに支給。

神崎士郎が作った仮面ライダーへ変身するためのカードデッキの一つ。

どんな人間にでも使う事が出来る代わりに、

契約するミラーモンスターに餌をやり続ける義務をおい続ける事になる代物。

インペラーのデッキは、カード枚数たった3枚と、

ライダーデッキにおいても最も少ない数だが、群で行動する羚羊型と契約して、

大人数による物量戦を可能にすることでそれを補う指揮官タイプのデッキと言えよう。

カード内容は、ギガゼール、スピンベント、ファイナルベント。

このデッキで使役出来ることが確認されたモンスターは、

ギガゼール、メガゼール、ネガゼール、オメガゼール、マガゼールの五体。

 

・ベルデのデッキ@仮面ライダー龍騎

…木村@仮面ライダージオウに支給。

神崎士郎が作った仮面ライダーへ変身するためのカードデッキの一つ。

どんな人間にでも使う事が出来る代わりに、

契約するミラーモンスターに餌をやり続ける義務をおい続ける事になる代物。

ベルデのデッキは、透明化、敵、又は味方の武器ごと姿をコピー出来たりと言った特殊能力を使えるカードが二枚もある代わりに、スーツ自体のスペックは高くない。

その為、攪乱、不意打ちを本分とする裏をかくことに長けたデッキと言えよう。

カード内容はバイオグリーザ、ホールドベント、クリアーベント、コピーベント、ファイナルベント。

 

・リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎

…鏡像の城戸真司@仮面ライダー龍騎に支給。

神崎士郎が作った仮面ライダーへ変身するためのカードデッキの一つ。

どんな人間にでも使う事が出来る代わりに、

契約するミラーモンスターに餌をやり続ける義務をおい続ける事になる代物。

龍騎のデッキは搦め手のカードこそない物の、強力なモンスターに、攻守ともに充実した武装を持つ近接型のラインナップで、必殺技も最高級の威力と、高火力と豊富な手札が売りのライダーと言える。

カード内容は、ドラグブラッカー、ソードベント、ストライクベント、ガードベント、ファイナルベント。

 

・アドベントカードコピーベント@仮面ライダー龍騎

…鏡像の城戸真司@仮面ライダー龍騎に支給。

仮面ライダー龍騎における仮面ライダーの使うアイテム、アドベントカードの一種。

バイザーにベントインすることで、対象とした仮面ライダーの武器をコピーして自身に装備できる。

武器のみコピーするタイプと、武器と姿を丸ごとコピーするタイプの二つがあり、鏡像の城戸真司には後者の物が支給された。

 

・サバイブ烈火@仮面ライダー龍騎

…シュラ@アカメが斬る!に支給。

仮面ライダー龍騎における仮面ライダーの使うアイテム、アドベントカードの一種。

残る疾風、無限の3枚を揃えることでライダーバトルを永遠の物にすることが出来る。

単体で使用した場合、仮面ライダーの召喚器がツヴァイと呼ばれる形態に変化し、専用のスロットに装填することで仮面ライダーをサバイブモードに変身させる。

サバイブの力は圧倒的で、一撃で並みのライダーの武器を粉々に破壊できる場合もある。

ライダーバトルにおいてサバイブ、生存の名を冠するカードの存在はあまりに暴力的と言えよう。

 

・ビルドドライバー@仮面ライダービルド

…桐生戦兎@仮面ライダービルド、

PoH@ソードアート・オンライン、

黒桐幹也@空の境界に支給。

戦兎に支給された物にはラビットタンクスパークリングフルボトルが、PoHに支給された物にはハザードトリガーと、メタルタンクフルボトルが2本、黒桐幹也に支給された物にはキルバススパイダー、キルバススパイダーフルボトルが付属する。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、設計は葛城忍、開発は葛城巧。

今回桐生戦兎に支給された物は、彼自身が改良を加えた物である。

有機物と無機物のフルボトルを一本ずつ、あるいは二つの要素を同居させた特殊ボトルを用いて変身する。

ネビュラガスによる人体実験を受けたハザードレベル3.0以上の者しか使用できない。

…はずなのだが、当ロワではどうなのか不明。

桐生戦兎の物は桐生戦兎が本編で、PoHの物はビルドNEWWORLD仮面ライダーグリスにて浦賀啓示が、黒桐幹也の物はビルドNEWWORLD仮面ライダーグリスで氷室幻徳が使用した物である。

また、支給品ではないが万丈龍我のビルドドライバーは運営のピースマンが所持している。

 

・ビルドフォン@仮面ライダービルド

…武市半平太@龍が如く維新!に支給。

桐生戦兎が開発したスマートフォン型アイテム。

ライオンフルボトルをセットすることでスーパーバイク、マシンビルダーに巨大化、変形させることが出来る。

当ロワではどんなボトルでも装填可能ならマインビルダーにセットして変形させれるようになっている。

高い強度と自動修復機能も有する。

 

・トランスチームガン@仮面ライダービルド

…セルティ・ストゥルルソンに支給。

変身アイテムではなく、武器として支給されたためか、

バットロストボトル、コブラロストボトルはいずれも付属しない。

葛城巧が開発した変身アイテム兼武器で、

一定のハザードレベルさえ有れば、ネビュラガスによる人体実験無しでも変身可能。

逆に言えばライダーシステムに比べて、圧倒的に成長性に欠けるという弱点にもなる。

変身以外の機能としては、

スチームブレードと組み合わせることでスチームライフルとしての運用も可能。

スロットにセットしたフルボトルやエボルボトルに応じた特殊攻撃機能。

蒸気をまとった高熱硬化弾、スチームビュレットによる銃撃。

目くらましとして、銃口から大量のスチームを噴出する、などが挙げられる。

 

・トランスチームライフル@仮面ライダービルド

…ヒースクリフ@ソードアート・オンラインに支給。

葛城巧が開発した変身アイテム兼武器で、今回はあくまで武器として支給されたためか、変身に使えるフルボトルは一切付属しない。

元々はトランスチームガンとスチームブレードという二つの武器で、トランスチームガンの方にはスロットにセットしたフルボトルやエボルボトルに応じた特殊攻撃機能。

蒸気をまとった高熱硬化弾、スチームビュレットによる銃撃。

目くらましとして、銃口から大量のスチームを噴出するなどの機能が、

スチームブレードには電撃、冷気、対象をスマッシュ化させるガスを攻撃に付与する機能、そしてトランスチームガンと合体させた際に長距離射撃を可能にする機能を有している。

 

・パンドラパネル(東都1)@仮面ライダービルド

…万丈龍我@仮面ライダービルドに支給。

火星で発見された核よりも強大なエネルギーを内包される禁断の箱、

パンドラボックスを構成する6枚のパネルのうち一枚。

合計10本のフルボトルを装填可能で、ボトルとボトルのベストマッチが識別出来る機能がある。

当ロワでは、ラビット、戦車、ゴリラ、ダイヤモンド、ハリネズミ、消防車、ライオン、掃除機、ドラゴン、錠前の10本のボトルと共に支給される。

このうちドラゴンのボトルは万丈龍我の影響でシルバーボトルに変身した。

 

パンドラパネル(西都2)@仮面ライダービルド

…黒桐幹也@空の境界に支給。

火星で発見された核よりも強大なエネルギーを内包される禁断の箱、

パンドラボックスを構成する6枚のパネルのうち一枚。

合計10本のフルボトルを装填可能で、ボトルとボトルのベストマッチが識別出来る機能がある。

当ロワでは、クジラ、ジェット、キリン、扇風機、ハチ、潜水艦、バッド、エンジン、サメ、バイクの10本のボトルと共に支給される。

 

・ホークガトリンガー@仮面ライダービルド

…迅@仮面ライダーゼロワンに支給。

桐生戦兎がタカフルボトルと、ガトリングフルボトルの成分を用いて造った装備。

仮面ライダービルドにおいて、ガトリングボトルを用いた形態や、

特殊アビリティの発動で装備される機関銃型武器。

中央のリボルマガジンを回転することで10発ずつ弾丸を装填でき、最高で100発放つことが出来る。

変身前でも反動無く使用できる為、桐生戦兎が生身の状態で使用したこともあった。

フルボトルをセットできるスロットはない。

 

・ビートクローザー@仮面ライダービルド

…バーサーカー@Fate/Zeroに支給。

仮面ライダービルドにおけるドラゴンのボトルを使って変身する形態の剣型専用武器。

グリップエンドのレバーを引っ張ることで、回数に応じた必殺技が発動する。

また、鍔の中央にフルボトルをセットすることで、ボトルの成分に応じた必殺技の発動も可能。

必殺技の名称はレバーの操作回数+ボトル装填の有無で決まり、

レバーの操作回数は1回でスマッシュ、2回でミリオン、3回でメガ。

ボトル装填は装填無しでヒット、装填有りでスラッシュ。

原作では複数あることが確認されているが、当ロワでどうかはまだ不明。

 

・フルボトルバスター@仮面ライダービルド

…戸塚彩加に支給。

フルフルラビットタンクボトルが付属する。

桐生戦兎がハザードトリガーの副作用を克服するために開発したラビットラビットフォーム、タンクタンクフォームの武装として開発した可変武器。

フルボトルのスロットの蓋も兼ねる部分を90度折り曲げることで大剣とバスターキャノンの2モードを使い分けることができる。

装填したフルボトルの属性を付与した攻撃を発動可能で、最大四本装填可能。

それぞれのモードで装填したボトルの本数、種類に応じた必殺技も持つ。

 

・スクラッシュドライバー@仮面ライダービルド

…タツミ@アカメが斬る!、

シュラ@アカメが斬る!に支給。

タツミに支給された物にはドラゴンスクラッシュゼリーが、

シュラに支給された物にはクロコダイルクラックボトルが付属する。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、

ビルドドライバー以上にボトルの成分の力を使える代わりに

ネビュラガスの影響を強く受けてしまう代物。

さらに戦闘中は使用者に過剰にアドレナリンを分泌させる作用がありる為、

使い続ければ体への負担や精神汚染などが進んでいく危険なベルト。

ただし心身ともに鍛え上げた人間なら使いこなせる。

拡張性はセットしたボトルに合わせた必殺技を使えるぐらいで、

ビルドドライバーに比べて圧倒的に低い。

そのせいか、原作では最終的にスクラッシュドライバーでの形態を

上回るビルドドライバーでの形態が多数生まれる事態となった。

また、支給品とは少し違うが、トワイス・H・ピースマンが万丈龍我の体内から抜き取ったネビュラガスから二個目のドラゴンスクラッシュゼリーを生成している。

 

・ネビュラスチームガン@仮面ライダービルド

…鷲尾風@仮面ライダービルドに支給。

風に支給された物にはギアリモコンが付属する。

正確には最上魁星が考案、開発した物の発展型で、

トランスチームシステムに近い仕様となっている。

リモコンブロス、エンジンブロス、ヘルブロスに変身するためのアイテムで、

フルボトルやギアをセットすることで各種能力を発動する。

変身アイテム、武器として非常に優秀で、

トランスチームガン同様変身前後問わず武器として使用されることが多かった。

 

・クローズマグマナックル@仮面ライダービルド、

…万丈龍我@仮面ライダービルドに支給。

ドラゴンマグマフルボトルが付属する。

ナックルダスター型の武器兼変身アイテム。

仮面ライダークローズに変身するためのアイテムの一つで、

ドラゴンマグマフルボトルをセットし、ビルドドライバーにセットすることで、

仮面ライダークローズマグマへの変身が可能。

武器としても非常に優秀で、スロットにセットしたフルボトルに応じた必殺技の発動が出来る。

 

・エボルドライバー(オリジナル)@仮面ライダービルド

…怪人態状態で参戦するエボルト@仮面ライダービルドに付随。

コブラエボルボトル、ライダーシステムエボルボトル、エボルトリガーが付属。

支給品一つの代わりになっており、仮面ライダーエボル、およびエボルト怪人態への変身に必要な変身ベルトで、設計、開発ともに不明(ブラッド族の科学者だろうとは思われる)。

ビルドドライバーのオリジナル。

現在の地球の科学では解析不可能の物質が内包されたボトル、エボルボトルを用いて変身する。

人間、人間以外を問わずハザードレベル5.0以上の者しか使用できない。

地球をはるかに超えた科学力で造られた物にも関わらず、地球製の部品で修理、分解して動力として利用可能、大幅に劣化してしまうとはいえ、複製品を地球で造れる、更には上記の通り性能を人間用に落とせば、個人で複数個作る事も可能など、かなりの新設設計。

 

・エボルドライバー(葛城忍製)@仮面ライダービルド

…銃の魔人@チェンソーマンに支給。

ラビットエボルボトル、ライダーシステムエボルボトルが付属。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、設計は不明(ブラッド族の科学者だろうとは思われる)、開発者は葛城忍。

エボルトが内海成彰を自陣営に引き入れる際のメリットの一つとして提示した物で、オリジナルには劣るが、それでもベストマッチとはいえ、フルボトルでの変身でも高スペックで実装可能、エボルボトルも使用可能など、十分な戦闘能力は確保されている。

また負担はかかるがネビュラガス人体実験無しでも使用可能で、それまでトランスチームシステムでしか変身していなかった内海でも問題なく使用できていた。

更には内海がオリジナルのデータを反映することで仮面ライダーエボルのフェーズを進めるごとに進化する機能も追加されているが、サイボーグ改造でもされていない限り人間には使えない。

 

 

・ジーニアスフルボトル@仮面ライダービルド

…マリオ・ズッケエロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-に支給。

仮面ライダービルドに変身するためのアイテムの一つで、

ビルドドライバーにセットして使う事で真価を発揮する物。

パンドラパネルを使って造ったパンドラボトルをベースに、

60本のフルボトルの成分、ラビットタンクスパークリングの発泡増強粒子

、ハザードトリガーの万能増強粒子、

フルフルラビットタンクボトルの万能調整粒子などを個別に保管する

桐生戦兎制ライダーシステムの集大成ともいうべきアイテム。

また、変身以外の用途として、セット部分を直接体に刺すことで、

体内の有害成分を分解、除去する力も持っている。

 

・三羽ガラスのドックタグ@仮面ライダービルド

…迅@仮面ライダーゼロワンに支給。

赤、青、黄色の、それぞれ色の異なる三つのドックタグ。

猿渡一海=仮面ライダーグリスと共に戦った三人のハザードスマッシュの変身者の形見。

一海にとっては大切な誓いの印である。

 

・パンドラパネル(黒)@仮面ライダービルド

…ドロシー@SINoALICEに支給。

火星で発見された核よりも強大なエネルギーを内包される禁断の箱、

パンドラボックスに、エボルトがエボルトリガーを入れることで造ったパネル。

ここに10本のロストフルボトルをセットすることで、エボルトに更なる進化の力を与える事が出来る。

当ロワでは、コブラ、キャッスル、クワガタ、フクロウ、CDの5本のボトルと共に支給される。

 

・新政府の制服@仮面ライダービルド

…セイバー@Fate/Zeroに支給。

劇場版にて北都、東都、西都の三つの州知事たちや、

洗脳された万丈龍我が来ていた黒い衣装。

制服、とは言うが実際は黒尽くめのスーツぐらいしか共通点はない。

今回支給された物は万丈龍我が着ていた物と同じデザインの物で、

サイズは最初に支給されたセイバーに合わせている。

これを奪取したキリトも元々細身ゆえに普通に着こなせている。

 

・金色のバングル@仮面ライダービルド

…戦場ヶ原ひたぎ@化物語に支給。

火星の王妃ベルナージュの精神の宿ったバングル。

これを装着するとベルナージュに憑依され、時に肉体の主導権を奪われる。

 

・プロジェクト・ビルドのUSBメモリ@仮面ライダービルド

…ドロシーに支給。

葛城巧の提唱した究極の防衛計画、およびその根幹であるフルボトルを用いたライダーシステムに関するデータの詰まったUSB。

キーワードを入力していくことでプロテクトが解除されていく。

 

・メタルボトル@仮面ライダービルド

…厳密には支給品ではないが、便宜上こちらに記載。

黒いキャップをした銀色のエンプティフルボトルのような見た目で、ロストボトルのように肉体に挿して使用する。

ファントムリキッドを用いて開発された怪人、ファントムクラッシャーに変身するためのアイテム。

変身者の技量にもよるが、スクラッシュドライバー系のライダーとサシで戦える性能と、ある程度の量産性を持つなかなかに厄介で強力な兵器。

ネビュラガス由来の力を封じる能力も有している。

 

・ジカンザックス@仮面ライダージオウ

…PoH@ソードアート・オンラインに支給。

仮面ライダーゲイツの専用武器。

おの、ゆみの2モードを持ち、それぞれのモードで単体必殺技も発動可能。

また、スロットにライドウォッチをセットする事で、その能力を付与した必殺技の発動も可能。

 

・ジクウドライバー@仮面ライダージオウ

…常磐ソウゴ(E)@仮面ライダージオウに支給。

ジオウライドウォッチが付属する。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、設計、開発、技術源など全て不明。

だが、ウォズが元々所属していたQuartzerの幹部も同じベルトを用いるので、

恐らく彼らが元締めと考えられる。

起動させたライドウォッチを右手側のD'9スロットに装填し、

ベルト本体を反時計周りに360度回転させることで変身する。

また、左手側のD'3スロットにレジェンドライダーのウォッチをセットし、

回転させることで、レジェンドライダーを模した鎧も纏ったアーマータイムを発動できる。

 

・ライドストライカー@仮面ライダージオウ

…秋山蓮@仮面ライダー龍騎に支給。

仮面ライダージオウ、および仮面ライダーゲイツが操縦するスーパーバイクで、

ポケットに入るサイズのバイクライドウォッチを起動することで変形する。

車体には仮面ライダージオウや、時計を模した装飾がされており、最高時速は時速298㎞。

 

・ビヨンドライバー@仮面ライダージオウ

…ブラックモア@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runに支給。

ブラックモアの物にはシノビミライドウォッチが付属する。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、設計、開発、技術源など全て不明。

だが、白ウォズが持ちこんだ物であるため、黒ウォズの背景なども加味すると、恐らく救世主ゲイツリバイブが擁立された世界におけるQuartzerに相当する組織が元締めと考えられる。

起動させたミライドウォッチを右手側のスロットに装填し、ウォッチのスイッチを押して展開。

スロットをベルトの内側に畳むように起こすことで変身を実行する。

また、通常のライドウォッチを変身と同じ手順で使うことで必殺技を発動することもできるが、原作では一切使われなかった。

 

・アナザージオウウォッチ@仮面ライダージオウ

…常磐ソウゴ(A)@仮面ライダージオウ

アナザーライダーに変身するためのライドウォッチで、スイッチを押し、体内に埋め込むことで、対象をアナザージオウへ変身させる。

未来予知能力や、複数のアナザーライダーの力を使い熟す(さながらフォームチェンジの様に多重変身、他人に埋め込み操る、対応するレジェンドのパワーでも完全撃破不可能など)、ジカンギレード、サイキョ―ギレードを模した武器の生成、キングギリギリスラッシュに相応する技の発動が可能になる。

ただしあまりに強力な力ゆえに、各能力に相応の制限がかかっている。

仮面ライダージオウ以外の力では破壊出来ない。

 

・ファイズライドウォッチ@仮面ライダージオウ、

…サムライソード@チェンソーマンに支給。

ファイズフォンXが付属する。

仮面ライダーファイズの力を宿した形態に強化変身するためのライドウォッチで、スイッチを押し、ジクウドライバーの左手側のD'3スロットにセットし、回転させることで、対象をファイズアーマーへ強化変身させる。

フォトンブラッドを用いたシステムによる強化のほか、付属するファイズフォンXを使う事により、専用装備ギア555の召喚、制御が可能になる。

仮面ライダー555の力を歪めた存在への攻撃に絶大な補正が入る。

 

・ブレイドライドウォッチ@仮面ライダージオウ

 カリスライドウォッチ@仮面ライダージオウ

 アナザーブレイドライドウォッチ@仮面ライダージオウ

…比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。に支給。

三個で一つの支給品として扱われている。

仮面ライダーブレイド、カリスの力を宿した形態に強化変身するためのライドウォッチで、スイッチを押し、ジクウドライバーの左手側のD'3スロットにセットし、回転させることで、対象をブレイドアーマー、カリスアーマーへ強化変身させる。

仮面ライダーブレイド、カリスの力を歪めた存在への攻撃に絶大な補正が入る。

アナザーウォッチではブレイドのアナザーライダーに変身可能。

スペードのラウズカードの能力を模した特殊能力や大剣による近接戦などが可能になる。

ブレイドとカリスの何ものの始祖でもない力を吸収することで世界に終焉をもたらす力の行使も可能だは、相応の制限がかかっている。

仮面ライダーブレイドの力以外では破壊出来ない。

 

・ブレイバックル@仮面ライダージオウ

…ユウキ@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

仮面ライダーブレイドに変身するためのアイテムで、ラウズカードに封印したスペードのカテゴリーAのアンデッドと限定的に融合させることでカード型エネルギーフィールド、オリハルコンエレメントを有資格者の体に漂着させ、スーツとアーマーを形成する。

スペードのA、2~10のラウズカードが付属する。

 

・音撃弦・烈雷@仮面ライダージオウ

…七原秋也@バトル・ロワイアルに支給。

音撃震・雷轟が付属する。仮面ライダー轟鬼の専用武器で、

音撃の戦士たちが代々強化しながら受け継いできた物。

ギターのネック部分を持ち手にして振るう剣撃モードと、

ボディの中央部分に音撃震・雷轟をセットすることで、サイド部が展開し、

完全にギター型となった音撃モードの二種類の形状がある。

 

・アナザーカブトライドウォッチ@仮面ライダージオウ

…鳴上悠@ペルソナ4に支給。

アナザーライダーに変身するためのライドウォッチで、スイッチを押し、体内に埋め込むことで、対象をアナザーカブトへ変身させる。

タキオン粒子を用いた超加速、クロックアップや、そのエネルギーを利用した強力な必殺キック、ライダーキックが発動可能になる。

ただしあまりに強力な能力ゆえに、相応の制限がかかっている。

仮面ライダーカブトの力以外では破壊出来ない。

 

・カップ麺セット@仮面ライダージオウ

…エスデス@アカメが斬る!に支給。

機獄兄弟が好んで食べているカップ麺。

兄貴分の矢車が2006年でも2019年でも麺を一気にがっつり啜ってるのが印象的である。

兄貴塩と弟味噌の二種類ワンセットで支給される。

 

・デンオウベルト@仮面ライダージオウ

…セルティ・ストゥルルソンに支給。

ライダーパスが一つ付属するが、ライダーチケットは付属していない。

仮面ライダー電王に変身するためのベルトで、

装着者、または装着者と契約しているイマジンのオーラを、

フリーエネルギーに変換して使用者を仮面ライダーに変身させる。

つまり理論上はイマジンも変身可能。

当ロワでは、特異点でなくても変身できるように改造されている他、

モモタロスイマジンが憑依しており、装着者が対応する形態に変身した場合を除き、

彼が人間の意識を乗っ取って体を動かせないようになっている。

 

・ゼロノスベルト@仮面ライダージオウ

…雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。に支給。

仮面ライダーゼロノスに変身するためのベルト。

使用者の記憶を元に作られたゼロノスカードを挿入することで、

変身者のフリーエネルギーを変換したアルタイルフォーム、

またはデネブのフリーエネルギーによってベガフォームへと変身出来る。

イマジンのデネブが憑依してる状態で支給されており、

所謂意思有り支給品の扱いで支給されている。

また、ジオウで披露されたアルタイルフォーム、ベガフォームに変身するカードしか支給されていない。

 

・ネオディケイドライバー&ディケイドのライダーカード@仮面ライダージオウ、

…門矢士@仮面ライダージオウに支給。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、

ライダーカードをライドリーダーに装填することで、

20人の平成仮面ライダーへの変身が可能となる。

ディケイドライバーの強化版で、内蔵された秘石、トリックスターを使い、

次元転換解放機としてカードの力を解放するで、各種技も発動することができる。

当ロワではディケイドのカメンライドカードが一枚付属するのみ。

 

・ファイナルアタックライドのカード&各種アタックライドのカード@仮面ライダージオウ

…門矢士@仮面ライダージオウに支給。

仮面ライダーディケイドの各種技と、必殺技を発動するためのカード一式。

内容としては、スラッシュ、ブラスト、インビジブル、イリュージョン、

ファイナルアタックライドの5枚。

 

・ライドブッカー@仮面ライダージオウ

…門矢士@仮面ライダージオウに支給。

仮面ライダーディケイドのカードケース兼可変型の武器。

ブックモード、ソードモード、ガンモードの3タイプに変形でき、

ソード、ガンモードでは必殺技の発動も可能。

 

・ネオディエンドライバー&ディエンドのライダーカード@仮面ライダージオウ

…覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

仮面ライダーに変身するためのアイテムの一つで、銃としての機能も持つ。

ライダーカードをライドリーダーに装填することで、仮面ライダーディエンドへの変身と、歴代仮面ライダーの再現体の召喚が可能となる。

ディエンドライバーの強化版で、昭和ライダー、所謂平成一期の仮面ライダー以外にも所謂平成二期の仮面ライダーも召喚可能になっている。

当ロワではディエンドののカメンライドカードが一枚付属するのみ。

 

・ファイナルアタックライドのカード&各種アタックライドのカード(ディエンド)@仮面ライダージオウ

…覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

仮面ライダーディエンドの各種技と、必殺技を発動するためのカード一式。

内容としては、ブラスト、インビジブル、イリュージョン、クロスアタック、バリアー、ファイナルアタックライドの5枚。

 

・クウガのライダーカード一式@仮面ライダージオウ

…覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

仮面ライダークウガに関するライダーカード一式。

内容としてはカメンライドクウガ、アルティメットフォーム(レッドアイ)、アルティメットフォーム(ブラックアイ)、ライジングアルティメットフォーム(レッドアイ)、ライジングアルティメットフォーム(ブラックアイ)、ファイナルフォームライド、ファイナルアタックライド、フォームライドグローイング、ドラゴン、ペガサス、タイタン、ライジングマイティ、ライジングドラゴン、ライジングペガサス、ライジングタイタン、アメイジングマイティの16枚。

 

・エンジンブレード@仮面ライダージオウ

…ムイミ@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

エンジンメモリが付属する。

仮面ライダーアクセル、及び仮面ライダーWサイクロンアクセルエクストリームの専用武器で、メタルシャフトやトリガーマグナムと違い、最初から実体化しているので、何時もは照井の専用バイク、ディアブロッサのサイドパネルに収納されている。

ライダーに変身して戦う事前提の装備なのか、重量30kgと、通常の片手剣の20倍近い重量を持つ。

ガイアメモリを装填できる中折れ式のスロットが搭載されており、各種ガイアメモリ、疑似ガイアメモリを用いた属性攻撃も可能。

 

・エターナルエッジ@仮面ライダージオウ

…クロメ@アカメが斬る!に支給。

マキシマムスロットの設けられたコンバットナイフ型のエネルギーナイフ。

仮面ライダーエターナル(ブルーフレア)の装備で、

ガイアメモリを装填し、マキシマムドライブを発動することで、

様々な攻撃を繰り出すことができる。

 

・ウィザードライドウォッチ@仮面ライダージオウ

 ビーストライドウォッチ@仮面ライダージオウ

…蒼崎橙子@空の境界に支給。二個で一つの支給品として扱われている。

仮面ライダーウィザード、ビーストの力を宿した形態に強化変身するためのライドウォッチで、スイッチを押し、ジクウドライバーの左手側のD'3スロットにセットし、回転させることで、対象をウィザードアーマー、ビーストアーマーへ強化変身させる。

仮面ライダーウィザード、ビーストの力を歪めた存在への攻撃に絶大な補正が入る。

 

・アナザードライブウォッチ@仮面ライダージオウ

…パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-に支給。

アナザーライダーに変身するためのライドウォッチで、スイッチを押し、体内に埋め込むことで、対象をアナザードライブへ変身させる。

重加速粒子を用いたどんより現象、加速能力や、左腕に一体化した仕込み銃付きの盾、専用マシン、アナザートライドロンの召喚が発動可能になる。

ただしあまりに強力な力ゆえに、アナザートライドロンは一度破壊されると再召喚は不可能で、

固有能力にも相応の制限がかかっている。

仮面ライダードライブの力以外では破壊出来ない。

 

・ガシャコンソード@仮面ライダージオウ

…ゼーン@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

ライダーがシャット用のスロットの付いた西洋剣型の装備で、

タドルクエストガシャット専用。

装填したガシャットに応じた必殺技が発動できるほか、

炎と氷の二つの能力を使い分ける事も出来る。

 

・飛電ゼロワンドライバー@仮面ライダーゼロワン

ラビリスタ@プリンセスコネクト!Re:Diveに支給。

メタルクラスタホッパープログライズキーが付属する。

仮面ライダーに変身するための変身ベルトの一つにして、

仮面ライダーゼロワンの世界において唯一飛電インテリジェンスで開発されたドライバーでもある。

人間がヒューマギアを制御するための新時代セキュリティシステムが搭載されている。

元々社長専用のワンオフ機として造られただけあって高機能。

その分かなり強固なプロテクトが掛けられているが、ラビリスタはこれを持ち前の技術で取り除き、変身して見せた。

アタッシュカリバー、プログライズホッパーブレードがそれぞれベルト本体とキーの紐づけ武装として登録されている。

 

・エイムズショットライザー@仮面ライダーゼロワン

…鷲尾雷@仮面ライダービルドに支給。

雷の物にはシューティングウルフプログライズキー@仮面ライダーゼロワンが付属する。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、刃唯阿がZAIAにて開発した物。

一言で言えば、青い拳銃版ザイアスラッシュライザー。

プログライズキーをセット、認証後に展開し、トリガーを引くことで、

使用者を仮面ライダー迅へと変身させる。

ベルト部分と、拳銃部分で分離が可能で、

変身後は拳銃部分をベルトに付けてるか否かで必殺技が変わる。

また、当ロワでは誰でも使用且つ変身可能となっているようである。

 

・滅亡迅雷フォースライザー@仮面ライダーゼロワン

…滅@仮面ライダーゼロワン、雷@仮面ライダーゼロワンに支給。

滅の物にはスティングスコーピオンプログライズキーが、雷の物にはドードーゼツメライズキーが付属する。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、後述のフォースライザーに改良を加えた物。

ヒューマギア用の設計で、ライダモデルを限界までブーストさせる事により、オーバーロード状態にすることで、不安定ながらもその特徴を先鋭化させた変身が可能。

それによる様々な問題は、独自のプロトコルによって制御することで解決している。

雷の物は、アナザーカブトのライダーキックを受けてキーごと爆散してしまった。

 

・滅の剣

…岡田以蔵@龍が如く 維新!に支給。

滅亡迅雷.netの司令塔、滅が帯刀してる武器。

本編では武器として振るう事はほとんどなかったが、

劇場版 仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーションなどの外伝での描写を見るに、仮面ライダーの武器として振るっても壊れない業物であることが分かる。

その一方で、旧型かつ非戦闘用のヒューマギアの滅が片手で振るえてるので、性能に反して軽いようだ。

 

・プログライズキーコネクタ@仮面ライダーゼロワン

…滅@仮面ライダーゼロワンに支給。

アメイジングヘラクレスプログライズキー、

現段階では種類不明のプログライズキー

ダイナマイティングライオンプログライズキー、

トラッピングスパイダープログライズキーが付属する。

プログライズキー用のハブ兼キャリングケースで、最大四つのキーをセット可能。

 

・ゼツメライズキーコネクタ@仮面ライダーゼロワン

…シェフィ@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

ジャパニーズウルフゼツメライズキー、

ダイアウルフゼツメライズキー、

現段階では種類不明のゼツメライズキー二個が付属する。

一応ゼツメライズキー用のハブ兼キャリングケースで、最大四つのキーをセット可能。

劇中では宇宙野郎雷電のデータキーも問題なく使用できていたので、理論上はプログライズキーも問題なく使用できると思われる。

 

・フォースライザー@仮面ライダーゼロワン

…飛電或人@仮面ライダーゼロワンに支給。

ライジングホッパープログライズキーが付属する。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、

プログライズキーを使用する変身ベルトの中では最古の物。

サイクロンライザーや、滅亡迅雷フォースライザーの原型である始まりのベルト。

プログライズキーを強制展開、強制接続することで使用者を仮面ライダーに変身させる。

ライダモデルを限界までブーストさせる事により、オーバーロード状態にすることで、不安定ながらもその特徴を先鋭化させた変身が可能。

それによる様々な問題は、独自のプロトコルによって制御することで解決している。

本来はヒューマギア用で、人間でも使用は出来るが、想定外の使い方なので、相応の負荷がかかる

 

・ザイアサウザンドライバー@仮面ライダーゼロワン

…マスターロゴス@仮面ライダーセイバーに支給。

トリケラトプスゼツメライズキー、カルノタウルスゼツメライズキーが付属する。

仮面ライダーに変身するためのベルトの一つで、

付属する二本のゼツメライズキーを使う事で、

二つのロストモデルを変換したアーマーを形成し、仮面ライダーザイアに変身する。

かなりの高スペックだが、拡張性は皆無で、それを補うために、

武装として、対象からエネルギーごと抽出したデータを基にした攻撃ができる武器、

サウザンドジャッカーが付属する。

それはつまり、ジャッカーが無ければ、ほぼ特殊技を封じられてしまう弱点にもなるが、

アーマーの方にも、直前の一回のみかつ、

ジャッカーでやる時より長く触れていなければならないという条件付きだが、

同様の機能が付いており、前身のサウザーに比べ、かなり進歩していることがうかがえる。

当ロワでは、変身するだけなら誰でも使えるように調整されている。

 

・レイドライザー@仮面ライダーゼロワン

…ウェイブ@アカメが斬る!に支給。

ウェイブに支給された物にはスプラッシングホエールプログライズキーが付属する。

ZAIAエンタープライスが開発した変身アイテム。

プログライズキーをセット、疑似認証し、スイッチを押すことで、

レイダーと呼ばれる強力な怪人に変身する。

人間の負の感情や悪意を増幅・暴走させる事で、

恐怖心など戦闘の障害となる要素を軽減し、

限界以上の力と破壊衝動を引き出すことができる。

本来一般販売される予定だったためか、変身できる人物に制限はない。

 

・…ザイアスラッシュライザー@仮面ライダーゼロワン

…迅@仮面ライダーゼロワンに支給。

バーニングファルコンプログライズキーが付属する。

ZAIAエンタープライスが開発したライダーシステムの一つで、

一言で言えば赤くしたエイムズショットライザーの短剣版。

プログライズキーをセット、認証後に展開し、トリガーを引くことで、

使用者を仮面ライダー迅へと変身させる。

ベルト部分と、短剣部分で分離が可能で、

変身後は短剣部分をベルトに付けてるか否かで必殺技が変わる。

また、当ロワでは誰でも使用且つ変身可能となっているようである。

 

・アイちゃん@仮面ライダーゼロワン

…三浦優美子@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

飛電製作所で開発された友達型AI。

上面にヒューマギアモジュールと同じ装飾、側面に飛電製作所のラベルが付いた小箱の様な見た目で、人間の話を聞いてくれるだけの機能しか持たない。

当ロワでは一週間連続稼働できるだけのバッテリーが付いている。

 

・アークドライバーゼロ@仮面ライダーゼロワン

…クロメ@アカメが斬る!に支給。

アークワンプログライズキーが付属する。

仮面ライダーアークゼロに変身するための変身ベルトにして、

アークゼロ=通信衛星アークの本体。

今までライダモデル、ロストモデルのどちらか、

または両方を用いた変身とも異なるライダモデルをロストモデルで打ち消し、

取り出した純粋なエネルギーのみでの変身が行われる。

アークに肉体は無い為、ヒューマギア、又は人間の肉体を乗っ取り、

活用する『変身者を使い捨ての部品にする』悍ましいベルト。

武装や変身アイテムを生成する照射成形機、ビームエクイッパーや、

両肩に内蔵した粒子加速器、各種電子機器へのハッキング機能、人体への脳波干渉、

ラーニングと情報分析による数億通りの予測機能、念力(?)、流体金属の操作、

更には未知の進化に備えた拡張域など、

まさに人類を終焉に導く『アーク』にふさわしい機能が搭載されている。

 

・飛電ゼロワンドライバー(複製)@仮面ライダーゼロワン

…コッコロ@プリンセスコネクト!Re:Dive、

園原杏里@デュラララ‼に支給。

アークのブランクプログライズキーが付属する。

仮面ライダーに変身するための変身ベルトの一つにして、

衛星アークがゼアを掌握した際に入手した飛電ゼロワンドライバーのデータから造られた物。

飛電の社長でなければ使えない制限は取り払われており、通常の飛電ゼロワンドライバーと同じように使うか、新たなるドライバーの原型になることで、一点物のアークドライバーの代用品の役割を果たす。

本編では最初に使用したコッコロの自己正当化の悪意に反応し、ドライバーは真赤に、

キーはアークゼロワンプログライズキーに変化した。

園原杏里が使用した際は、彼女が元々所持していた妖刀罪歌の『愛』を身勝手な悪意と解釈したアークが共鳴し、真紅の絶滅ドライバーとアークスコーピオンプログライズキーに変化した。

 

・滅亡迅雷ドライバー@仮面ライダーゼロワン

…不破諫@仮面ライダーゼロワンに支給。

マスブレインゼツメライズキーが付属する。

ザイアエンタープライスが、飛電ゼロワンドライバーの複製品をベースに作ったベルト。

仮面ライダー滅亡迅雷に変身するためのアイテムで、

接続された全てのAIの行動を、全員参加の合議制で決定するシステム、

マスブレインシステムを用いて、4人分の仮面ライダーの力を収束することで、

高スペックかつ多彩な武装を実現している。

ライダーそのものに弱点らしい弱点は、

精々特筆すべき特殊能力が無いぐらいだが、

変身と言いつつも、仮面ライダー滅亡迅雷そのものは、

3Dプリントされた戦闘特化のアンドロイドの為、

意識がそちらに転送されてる=変身中は、

変身者全員の空のボディが完全に無防備になってしまう致命的な欠点がある。

当ロワでは接続する人工知能、または電脳ダイブが可能な者が四人そろっているなら、

誰でも変身できる仕様になっており、ヒューマギアなどの人工知能以外だと、

SAOプレイヤー、アストルムプレイヤー、

魔術師(ウィザード)や一部サーヴァントが該当する。

 

・雷のトラック@仮面ライダーゼロワン

…桐生戦兎に支給。

劇場版REAL×TIMEにて雷が衛星ゼアからの命令を受けて飛電或人の元までライズホッパーを運ぶのに使ったトラック。

荷台にはライズホッパーやヘルメットが入っている。

 

()炎剣(えんけん)烈火(れっか)@仮面ライダーセイバー

…神山飛羽真@仮面ライダーセイバーに支給。

聖剣ソードライバーとブレイブドラゴンワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

最も最初に人の手で鍛えられた人造聖剣。

エンブレムから聖なる火を生成し、戦闘に使う事が出来る。

また、使い手の成長によっては光剛剣最光と同様の邪悪なるものと、

それ以外とを斬り分ける力に覚醒する可能性を秘めている。

高い拡張性を持つ代わりに使いこなすには相応のポテンシャルが求められる。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの5番・ゲブラーの座に配置される。

 

水勢剣(すいせいけん)流水(ながれ)@仮面ライダーセイバー

…新堂倫太郎@仮面ライダーセイバーに支給。

聖剣ソードライバーとライオン戦記ワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

火炎剣烈火などと同様に人の手で鍛えた人造聖剣の一つ。

エンブレムから聖なる水を生成し、戦闘に使う事が出来る。

また、使い手の成長によっては光剛剣最光と同様の邪悪なるものと、

それ以外とを斬り分ける力に覚醒する可能性を秘めている。

高い拡張性を持つ代わりに使いこなすには相応の修業を強いられる。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの8番・ホドの座に配置される。

 

雷鳴剣(らいめいけん)黄雷(いかづち)@仮面ライダーセイバー

…富加宮賢人@仮面ライダーセイバーに支給。

聖剣ソードライバーとランプドアランジーナワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

火炎剣烈火などと同様に人の手で鍛えた人造聖剣の一つ。

聖なる雷を生み出して刀身に宿す、稲妻を帯びるほどに切れ味を増す、

などの能力を持つ。

変身に必須のブックが最も数の多い物語ジャンルであるため、

ソードライバー型聖剣の中で最も汎用性の低い聖剣だが、

武器単体としては聖剣の名に恥じず速さ、威力共に申し分ない。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの6番・ティファレトの座に配置される。

 

土豪剣(どごうけん)激土(げきど)@仮面ライダーセイバー

…セイバー@Fate/Zeroに支給。

玄武神話ワンダーライドブックと持ち運び用のケースが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

火炎剣烈火などと同様に人の手で鍛えた人造聖剣の一つ。

その刃は聖なる砂によって研ぎ澄まされている上に、

斬りつける対象が硬ければ固いほど切れ味を増す性質を持つ。

先々代仮面ライダーカリバーのは富加宮隼人曰く、

ベテランの剣士でも気を抜けば自分が潰され兼ねない代物。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの3番・ビナーの座に配置される。

 

風双剣(ふうそうけん)翠風(はやて)@仮面ライダーセイバー

…デザスト@仮面ライダーセイバーに支給。

猿飛忍者伝ワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

火炎剣烈火などと同様に人の手で鍛えた人造聖剣の一つ。

その刃は聖なる風によって邪気を払い、清浄なる息吹を運ぶ性質と、

表と裏で分離する使用上、一刀流、二刀流、十字剣の三モードを持つ。

その為、変身能力が集約されている表の方が封印されなければ、

風の力が集約している裏を封印されても、弱体化するだけで変身は出来る状態になる事も有る。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの7番・ネツァクの座に配置される。

 

(おん)(じゅう)(けん)(すず)()@仮面ライダーセイバー

…花村陽介@ペルソナ4に支給。

ヘンゼルナッツとグレーテルワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

火炎剣烈火などと同様に人の手で鍛えた人造聖剣の一つ。

聖なる音で心正しき者を鼓舞し、邪悪な存在を鎮撫する性質や、

纏わせた音によって切れ味を変化させる性質、

剣盤モードと銃奏モードの二つを持ち、遠近両方に対応できる。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの4番・ケセドの座に配置される。

 

闇黒剣(あんこくけん)月闇(くらやみ)@仮面ライダーセイバー

…富加宮賢人@仮面ライダーセイバーに支給。

邪剣カリバードライバーとジャアクドラゴンワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

「始まりの5人」の1人が鍛えた闇の力を司る原初の聖剣。

空間を切断し闇に至る、聖剣を封印する、使い手に未来を疑似体験させる、

闇で対象を拘束する、結界を作る、使用者の命と引き換えに対象を闇に葬るなどの始まりの聖剣に恥じない破格の能力を備えている。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの9番・イェソドの座に相当する位置に配置される。

 

・無銘剣虚無@仮面ライダーセイバー

…桐山和雄@バトル・ロワイアルに支給。

覇剣ブレードライバーとエターナルフェニックスワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

火炎剣烈火などと同様に人の手で鍛えた人造聖剣の一つ。

エンブレムから聖なる力を無に帰す力を発動し、他の聖剣の力を無効化できる。

あまりに強すぎるその力は、全ての属性を無に帰してしまうが、

エターナルフェニックスの力により、流転を断ち切る力を付与されることで、

無限属性を得ている。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの番外・ダアトに相当する座に配置される。

 

光剛剣(こうごうけん)最光(さいこう)@仮面ライダーセイバー

…セイバー(ネロ・クラウディウス)@Fate/EXTRAに支給。

聖剣サイコウドライバーと金の武器銀の武器ワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

「始まりの5人」の1人が鍛えた光の力を司る原初の聖剣。

邪悪なるものとそうでないものを斬り分ける、幻術を無効化する、記憶を操作する、聖なる光で傷を癒す、の始まりの聖剣に恥じない破格の能力を備えている。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの1番・ケテルの座に配置される。

 

()国剣(こくけん)(かい)()@仮面ライダーセイバー

…ウォズ@仮面ライダージオウに支給。

オーシャンヒストリーワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

火炎剣烈火などと同様に人の手で鍛えた人造聖剣の一つ。

エンブレムで聖なる時を刻み、正確な運行を守る力を持つ力を発揮できる。

剣状のカイジソードと、三又槍状のカイジスピアの二形態を持つ。

刀身を分離することで封印が解き、

時間を削り、抹消する力を発揮して、ディアボロの『キング・クリムゾン』と同様の能力を発揮できる。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの10番・マルクトの座に配置される。

 

煙叡剣(えんえいけん)狼煙(のろし)@仮面ライダーセイバー

…戦場ヶ原ひたぎ@化物語に支給。

昆虫大百科ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバーが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

火炎剣烈火などと同様に人の手で鍛えた人造聖剣の一つ。

エンブレムで聖なる煙や微粒子化した対象を操る能力を発揮する。

剣士自身も煙と化すことで高速移動やすり抜け、離れた場所に己の姿を煙で投影するなどの応用も可能。

また、煙への変化は変身をせずとも可能。

全知全能の書復元の儀式においては、

セフィロトの2番・マグマーの座に配置される。

 

・ライドガトライカー@仮面ライダーセイバー

…キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。

ソードオブロゴスの剣士に支給される携帯電話、ガトライクフォンが変形、巨大化することで完成する三輪自動車。

聖なる文字の加護を受けた装甲、前部に二門づつ設置されたガトリング砲とビーム砲により、

遠距離攻撃と突破力にも優れるスーパービークルである。

タイヤも装甲同様聖なる文字の加護を受けており、腐食しているような悪路も走行可能。

総合性能は戦車並みとも評されるが、上記のギミックを実現するために速度が犠牲にされており、最高時速223Km/hとライダーマシンとしてはかなり鈍足。

 

・デザストアルターライドブック@仮面ライダーセイバー

…デザスト@仮面ライダーセイバーに支給。

ワンダーライドブックの模造品、アルターライドブックの一つで、

フェンリル、ハンミョウ、歌う骨の力を融合させて生み出された本。

デザストの核であり、これを破壊されない限り、彼は何度でも再生、復活する。

 

・ディアゴスピーディーワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

…ストリウス@仮面ライダーセイバーに支給。

全知全能の書の欠片、ワンダーライドブックの一つで、四賢神の中でも最速の剣士と謳われるディアゴの名を冠するスーパーマシン、ディアゴスピーディーを内包している。

 

・エックスソードマンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

…ジョニィ・ジョースターに@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runに支給。

ワンダーワールド物語光剛剣最光ワンダーライドブックが変化したもので、光剛剣最光=仮面ライダー最光を強化変身させるための大型ワンダーライドブック。

これを使う事で最光はようやく人型になれる=剣士としての力を取り戻せる。

当ロワで光剛剣最光を用いて使った場合、ユーリが実体化するのか、それとも光剛剣最光を所有してるものが変身出来るだけなのか、はたまた電王やゼロノスベガフォームの様に肉体は使用者のまま意識だけ剣に乗っ取られるのか、詳細は不明。

 

・プリミティブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

…神山飛羽真@仮面ライダーセイバーに支給。

全知全能の書の欠片、ワンダーライドブックの一つで、

神獣「プリミティブドラゴン」の力を宿している。

仲間を失い、孤独を埋めるために死してなお仲間を探し続ける未完の物語。

空白部分に、他のワンダーライドブックをセットする事で変身に使用する。

変身している間は、本に宿ったプリミティブドラゴンの意識が、

変身者の肉体を掌握する状態になる様である。

 

・オムニフォースワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

…雅@彼岸島に支給。

19冊のワンダーライドブックと11本のパワーと、

無数のワンダーライドブックやアルターライドブックの力を合わせて出現させた

「全知全能の書」の一部を基に作り出されたワンダーライドブック。

自動出現するドゥームズドライバーバックルと併用することで仮面ライダーソロモンへの変身として機能する。

変身前後を問わず、不完全ながら複数人の仮面ライダーを同時に相手取ってもなお有利に立てるだけの性能を有し、

更には大いなる剣、カラドボルグの召喚、ワンダーライドブックを介して、

他の仮面ライダーの肉体を操る、破壊されて灰クズ同然になっても再生するなど、

グリモワールワンダーライドブックには及ばないが、全知全能の書の再現にふさわしい力を持つ。

 

グリモワールワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

…ストリウス@仮面ライダーセイバーに支給。

大量のアルターライドブック、マスターロゴス、タッセル、ズオス、レジエル、ストリウスら「始まりの5人」の持つ「全知全能の書」の一部、そして世界を繋ぐ存在の模造品をカリュブディスメギドによって融合・復元させることによって作り出した全知全能の書に限りなく近い、世界を終焉に導く滅びのワンダーライドブック。

自動出現するドゥームズドライバーバックルと併用することで仮面ライダーストリウスへの変身として機能する。

単体の能力として死者を全盛期以上の力を持たせた上複数人を同時かつタイムラグなく復活させる、変身前の状態であってもベースの一つとなったオムニフォースワンダーライドブックの紐づけ武装であるカラドボルグを出現させるなど、ワンダーライドブックとしては最も全知全能の書に近いゆえの反則じみた能力の数々の上に、材料となってるブックの力も当然のように使えるまさに終焉の書にふさわしい恐ろしい能力が秘められている。

 

・無銘剣虚無(複製品)@仮面ライダーセイバー

…マリー@ペルソナ4に支給。

覇剣ブレードライバー(複製)とアメイジングセイレーンワンダーライドブックが付属する。

仮面ライダーに変身するための聖剣の一つで、

火炎剣烈火などと同様に人の手で鍛えた人造聖剣の一つ、無銘剣虚無をアメイジングセイレーンワンダーライドブックの能力で複製した物。

エンブレムから聖なる力を無に帰す力を発動し、他の聖剣の力を無効化できる。

あまりに強すぎるその力は、全ての属性を無に帰してしまうが、

アメイジングセイレーンの力により、流転を断ち切る力を書き足すことで、無限属性を得ている。

かなり強引な運用をしており、使用者の命を代償として差し出す契約を結ぶことで何とか成立している。

マリーの敗北後、契約に従い彼女にトドメを刺し、本を残して消滅した。

 

・ロストメモリー@仮面ライダーセイバー

…偽キャスター@Fate/strange Fakeに支給。

神山飛羽真著のファンタジー小説。

ファンタジー界に革命を起こす1冊!と紹介されており、作者本人も帯にて『この作品は僕の書きたかった全てです』と語っている。

偽キャスターもその文章の端々から神山飛羽真の物語への情熱を感じ取っている。

 

・ライドブックホンダナー@仮面ライダーセイバー

…荒耶宗蓮@空の境界、三村信史@バトル・ロワイヤルに支給。

ワンダーライドブックを最大三冊収納可能な本棚型ツール。

ハブとしての機能もあり、原作で天空のペガサス、ライオン戦記、ピーターファンタジスタ、キングオブアーサーを用いてキングライオン大戦記を造る際に用いられた。

当ロワでは荒耶宗蓮には二つ結合し6冊のワンダーライドブックが収納された状態で、三村信史には一つのまま三つのワンダーライドブックが収納された状態で支給されている。

荒耶に支給された物に収納されたワンダーライドブックの詳細は今のところ全て不明、三村信史に支給された物のうちの一つはこぶた3兄弟であると判明している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現実からの支給品

 

・日本刀

…鳴上悠@ペルソナ4に支給。

広辞苑によれば『日本固有の方法で鍛えた刀。

刀質の優秀さをもって早くから海外にも知られた。』

と、ある。

同じ日本刀を武器として振るってきた鳴上にはなじみ深い物。

 

・リボルバー

…足立透@ペルソナ4に支給。

装弾数は6発。拳銃の一種。

広辞苑によれば『弾倉が回転する連発拳銃。』

現職警察官だった足立にとっては慣れ親しんだ武器。

 

・赤色のパニガーレV2

…セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!

イタリア、ボローニャを拠点とするオートバイメーカー、ドゥカティのパニガーレシリーズの2020年モデルのバイク。

レーシングモデル風のカウルと、

2気筒モデルならではのスリムで軽量な車体が特徴の一品。

 

・M1911A1コルトガバメント

…コルト・ファイヤーアームズ社が開発したシングルアクションの自動拳銃。

100年以上生産されてきたゆえの、非常に豊富なカスタム・パーツが特徴。

日本では旧警察予備隊に供与されたことでも知られる。

 

・マッチ@現実

…衛宮切嗣@Fate/Zeroに支給。

なんの変哲もないただのマッチ。

数に限りがあるので、濡らさないように大事に使おう。

 

・ベレッタM9A1(レーザー照準器付)@現実

…不破諫@仮面ライダーゼロワンに支給。

装弾数15発。ベレッタ社が開発したスライド式拳銃。

ベレッタM92Fをベースに、アメリカ海兵隊のオーダーでピカティニーレールの追加、

砂漠地域での運用を前提とした仕様のマガジンへの変更をくわえられた軍用モデル。

 

・M4SOPMODⅡ@現実

…マイン@アカメが斬る!に支給。

装弾数20~30発のアサルトライフル、M4A1に特殊作戦用装備-2を装着した物。

主にアメリカ軍の特殊部隊にて使用されている。

通常のM4A1より銃身への負担が減った為、命中精度が少し向上している。

また、フロントレイルにはアタッチメントをかなりの数つけれるので、使い手によってさまざまなカスタムが出来る拡張性が売り。

 

・王水@現実

…間桐シンジ@Fate/EXTRAに支給。

濃塩酸と濃硝酸を3:1の体積比 で混合してできる橙赤色の液体。

貴金属を始めとした多くの金属を溶かせることからこの名前がついた。

 

・アイスピック@現実

…相馬光子@バトルロワイヤルに支給。

氷を細かく砕くために用いる握りの太い錐。

推理小説の凶器の定番。

42話で仮面ライダーアークゼロに破壊されてしまった。

 

・ニューナンブM60@現実

…白鐘直斗@ペルソナ4に支給。

日本の警察官や、麻薬取締官、海上保安官、皇宮警察にも配備されている回転式拳銃。

38口径。装弾数5発。釣りひも用のリング付き。予備の弾薬も一緒に支給。

 

・コッペパン@現実

…白鐘直斗@ペルソナ4に支給。

紡錘形で、片手で持てる大きさで、底が平たいパン。

おいしい。

 

・特殊警棒(金属製)@現実

…大神照彦@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-に支給。

金属製で伸縮する警棒。

 

・同人誌@現実

…神原駿河@化物語に支給。

「犯罪卿×探偵」モノで、神原の好みドンピシャらしい。

 

・軍用手榴弾@現実

…マリオ・ズッケェロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-に支給。

複数個1セットで一つの支給品として支給されている。

軍用故に相応の破壊力を持った手榴弾。

 

・アストラM900@現実

…シンデレラに支給。

スペイン王国がアストラ社がドイツ帝国にて設計されたモーゼルC96拳銃をコピー、開発した拳銃。

装弾数は10、または20発。

当ロワでは予備弾込みで支給されている。

 

・Fate/strange Fake1~6巻@現実

…偽アサシン@Fate/strange Fakeに支給。

偽りの聖杯戦争の物語がつづられている。

 

・RPG-7@現実

…ビットリオ・カダルディ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-に支給。

ソ連の開発した対戦車擲弾兵器。

構造単純、取扱簡便、低製造単価、再装填可能でありながら現代の主力戦車をも破壊し得る破壊力を兼ね備えるといった理由で、ロシアなどの旧共産圏国家の軍に正式配備されている。

当ロワでは6発の擲弾とセットで支給されている。

ジョニィ・ジョースターの手によって破壊された。

 

・ホットドッグ@現実

…蓮見琢馬@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-に支給。

ごくごく普通のホットドック。

ラップに包まれており、温かい。

 

・スペツナズナイフ@現実

…広瀬康一@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-に支給。

刀身の射出が可能なナイフ。

 

・スケッチブックと筆記用具@現実、

…三村信史@バトル・ロワイヤルに支給。

なんの変哲もないスケッチブックと筆記用具。

 

・ライター@現実

…貝木泥舟@化物語に支給。

詳細不明。H-5の本屋で使い捨てられた。

 

 

 

ロワオリジナルの支給品

 

・チャットアプリ

…比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険に支給。

同じアプリを持っているデバイス間でショートメッセージでのやり取りができる。

現在投下されているメッセージは

 

『僕の名前は花京院典明、今はG-1エリアにいる。もしも良ければ君の名前と場所、そして君のスタンドを教えてはくれないだろうか?』

 

の1件。

 

・詳細名簿

…ユウキ@プリンセスコネクト!Re:Diveに支給。

書き手枠以外の参加者の写真、名前、職業などの簡易プロフィールが載っている。

 

・首輪感知アプリ

…空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険に支給。

同じエリア内にいる参加者の首輪の位置が表示されるアプリ。

 

・首輪数探知アプリ

…白鐘直斗@ペルソナ4に支給。

同じエリア内にある、生きている参加者の首輪の数を表示するアプリ。

 

・首輪爆破アプリ

…雅@彼岸島に支給。

一度しか使えない代わりに、同エリアに居る参加者の首輪全てを爆破できてしまえる反則級のアプリ。

アプリが発動された瞬間、エリア内にいる参加者のデバイスに通知が行き、5分後きっかりに首輪が爆破される。

エリア外に出れば爆破はしない。

 

・特殊アプリ裏切者

…サムライソード@チェンソーマンに支給。

単独では意味がなく、ペアでのみ効力を発揮するアプリで、

近くにいる自陣営以外の参加者にアプリを共有(この時、アプリについての説明動画が一回だけ流れる)し、ペア承認する事で起動する。

拒否も可能で、その場合受信側のアプリは削除される。

アプリ所持者は同陣営の参加者殺害ノルマを課せられる。

人数はそれぞれ5名ずつ。カウントはアプリが行い、ペアが組まれない限りカウントは始まらない。

ノルマを達成した時、裏切者は優勝者同様願いを叶える権利が与えられ、途中退場可能になる。

相方がいなくなった場合、残った裏切者は新しい裏切者を一人選ぶことが出来る。

選択条件は前述のとおり。

裏切り者になった参加者は、リーダー就任資格を剥奪され、陣営は無所属扱いとなり、名簿上はそのままだが、元の陣営としてカウントされなくなるほか、元所属陣営が五人未満となりノルマ達成不可となった場合、強制的に首輪爆破されてしまうなど、相応のデメリットもある。

また、現状裏切者に開示されない隠しルールだが、第一回放送時、裏切者の存在が全体に通知されることとなる。

現在はサムライソードとサーレーが所持。

カウントは両者ともに0/5

 

・脱落者確認アプリ

…デザスト@仮面ライダーセイバーに支給。

アプリが入っているデバイスのあるステージ内にて、いつどこで誰が脱落≒首輪の反応停止or爆破、破損によるロストが起こったかを確認できるアプリ。

 



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書き手ルール(2023年6月18日より、書き手枠に関する制限を撤廃)

・2021年12月18日より予約延長ルールを追加
・2022年1月25日より、予約期間ルールを変更
・2022年4月17日より、Twitterでの予約ルールを追加
・2022年8月28日より、書き手枠に関するルールを一つ追加
・2023年2月20日より、書き手枠に関するルールを一つ追加


媒体別ロワ 書き手ルール

 

基本ルール

・書き手の制限は基本無し。

・PIXIVで投稿する作品には『媒体別ロワイヤル』のタグを必ず付けてください。

・ハーメルン、及びTwitterでは原稿を伊勢村誠三までメッセージで送って下さい。

伊勢村が作者を明記した上で当小説最新話投稿します。

・また、そうして送られて来た小説はpixivでも上記と同様に伊勢村のpixivアカウントから投稿させていただきます。ご了承ください。

・予約無しでタグをつけただけのssは認められません。

・文章の上手い下手は小説にさえなっていれば問いません。

荒らしと判断される者はロワ参加者とは認めない。

・連投行為は極力避けてください。

リレー式はみんなで作るssです。

・二次創作も立派な創作活動です!

最後まで完成させる事を目標に頑張りましょう!

 

【状態表について】

・SSの最後には下記の状態表をつけてください

 

【エリア/場所/経過日数/時間帯】

 

【キャラクター名@作品名】

[状態]: 精神状態、怪我の有無など

[服装]: 現在の服装

[所属陣営]: 陣営の名前

[メダル枚数]: 現在のメダル枚数(元々の所持者の名前)

[参戦時期]: キャラが連れてこられた時期

[装備]: 現在装着するなどしてすぐに使える状態にある武器、道具

[道具]: 現在収納するなどしてすぐに使える状態にない武器、道具

[思考]

基本: ロワにおける方針

1:

2:

3:

[備考]

この欄のみ任意。無ければ

※特になし

と記入。

 

ペースト用テンプレート

 

【エリア//日目/】

 

【@】

[状態]:

[服装]:

[所属陣営]:

[メダル枚数]:枚()

[参戦時期]:

[装備]:

[道具]:

[思考]

基本:

1:

2:

3:

[備考]

 

【予約について】

・予約はPIXIVの場合、最新話のコメント欄で、ハーメルンの場合、伊勢村誠三へのDMで行い、有効期限は書込みから10日間とし、それを超えた予約は自動破棄とします。

・ただし伊勢村誠三へのDM、あるいは予約の際に使ったコメントに予約延長の旨を申告すればエピソード一つにつき一回、一週間の期間延長を行えます。

・あるキャラの予約が行われた時点で、他の書き手はそのキャラを含んだ予約または作品投下が出来なくなります。

・予約は予約期限切れ、予約破棄宣言、対応する作品投下のいずれかを持って解除されます。

・予約期限切れ、予約破棄宣言の場合、その時点を持って予約されていたキャラの予約が可能になります。

・予約破棄した書き手は以後三日間予約を受け付けないものとします。

・予約の無い投稿は無効となります。

 

【作品修正・破棄について】

 

・投下されたSSに関し問題点がある場合は修正要求・破棄要求を行うことができます。

・修正及び破棄要求を行いたい場合は、その作品のコメント欄に記入して下さい。

伊勢村誠三が議論の場を用意します。

・ただし誤字・脱字や、展開に影響のない部分的な訂正等は議論無しで書き手が認知した段階で弁明や修正を行なってください。

・修正及び破棄要求の根拠としていずれかを挙げ、またその理由を述べてください。

 

1.ストーリーの体をなしていない文章

2.原作の設定から考えて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合

3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)

4.企画のルールとして定められている事項に反している場合(他の書き手が予約しているキャラの投下等)

5.荒し目的の投稿

6.時間の進み方が異常、もしくは時間を遡った話の投下 (回想シーンはそう明言されてれば例外)

7.その他、企画の進行を妨げる可能性のある内容(過度のバランスブレイカーや、リレーが困難になると思われる内容等)

 

【書き手氏の判断によるSSの修正について】

 

・SSの展開が変わってしまうような加筆・削除等は、そのパートの続きが予約されるまでであれば可能です。

・その際はそのssのコメント欄にその旨を書いてください。

・24時間以内に反対意見が出なかった場合は、その内容を正式採用とします。

・ただし、リレー小説の性質上、本投下後に展開に変更を生じる修正を行うことは極力さけてください。

 

【原作・続編の扱いについて】

 

・媒体ごとの設定が異なる場合は、所属陣営のが優先されます。

・矛盾する別媒体の設定を出すことは禁止します。

・矛盾しない範囲で原作の設定を出す場合は、未見の人でも分かるように詳細を付け加えてください。

・本ロワでは2021年10月31日終了時点でのシリーズの設定のみを対象とします。

それ以降に出された設定は基本的に対象外です。

 

【書き手枠について】

・書き手枠は20枠。

・第一回放送後から参加した書き手は書き手枠を使用できない。

・陣営人数、戦力バランスを考慮した結果、

五名以上の参加者が確定している作品のキャラクターの使用を禁止とします。

つまり現地点で書き手枠は

The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-×1

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。×2

ソードアート・オンライン×2

チェンソーマン×2

彼岸島×2

化物語×1

デュラララ!!×2

Fate/Zero×1

Fate/EXTRA×1

仮面ライダー龍騎×1の15枠。

・これだけだと20枠に達しないので残り5枠は各陣営に作品問わず1人ずつ可能とします。

・予約の際は書き手枠(作品名)か、書き手枠(陣営名)と表記してください。

・化物語に関しては、出来る限りアニメ第一シーズン内で登場したキャラクターでお願いいたします。

 

【支給品について】

・以下のような条件のもと、作中で複数存在すると明言されてるものを除きダブりを避ける以外は基本書き手の自由に使う

 

The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただし登場した参加者以外のスタンドや記憶をDISCとして支給するのは

禁止。

 

恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただし登場した参加者以外のスタンドや記憶をDISCとして支給するのは

禁止。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

 

バトル・ロワイアル

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

 

ソードアート・オンライン

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

 

Fate/strange Fake

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただし参加者以外のサーヴァントの宝具は物理、非物理を問わず不可。

 

アカメが斬る!

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただし村雨、スサノオ、デモンズエキス、シコウテイザー、

および名称不明の帝具は不可。

 

ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

馬も名前が分かっている物は可能。

登場した参加者以外のスタンドもスタンドDISCとして支給可能。

ただし記憶DISCは不可。

また『聖なる遺体』は支給可能だが、

装備することでスタンド能力が覚醒することはない。

 

ドラゴンボール

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただしドラゴンボールは七つとも無印の一番最初に集めていたのと同一の

物とする。

 

チェンソーマン

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただし悪魔の死体、肉塊のみ不可とする。

 

彼岸島

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

 

空の境界

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

 

化物語

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

 

デュラララ!!

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

 

Fate/Zero

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

参加者以外の宝具も支給可能。

ただし偽アーチャーの物とダブる物は禁止。

 

ジョジョの奇妙な冒険

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

登場した参加者以外のスタンドも東方仗助、広瀬康一、パンナコッタ・フーゴ、サーレー、マリオ・ズッケェロの物以外はスタンドDISCとして支給可能。

ただし記憶DISC、及びスタンドの矢は不可。

 

SINoALICE

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

 

プリンセスコネクト!Re:DIVE

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただしプリンセスオーブなどの強化素材は専用装備を除き不可。

 

ペルソナ4

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

登場した参加者以外のペルソナも覚醒前のカード状態なら支給可能。

 

龍が如く維新!

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK

 

Fate/EXTRA

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

登場した参加者以外の宝具も攻撃力の無い物のみ支給可能。

 

仮面ライダー龍騎

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただしオーディンのデッキのみ支給禁止。

またサバイブカードのみ最初からどのデッキにも入っていない状態で

バラバラに支給とする。

 

仮面ライダービルド

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただし変身アイテムを支給する場合は変身に最低限必要な道具一式で

1つの支給品とします。

例、ビルドドライバー、ラビットタンクスパークリングボトルで一つ。

また、フルボトルはバラではなくパンドラパネルに10本装填された状態で

の支給とする。

具体的には

パンドラパネル(東都1)

ラビット、戦車、ゴリラ、ダイヤモンド、ハリネズミ、消防車

ライオン、掃除機、ドラゴン、錠前

 

パンドラパネル(東都2)

タカ、ガトリング、海賊、列車、忍者、コミック、

ロケット、パンダ、オクトパス、ライト

 

パンドラパネル(北都1)

ウルフ、スマホ、フェニックス、ロボット、クマ、テレビ

ユニコーン、消しゴム、ローズ、ヘリコプター

 

パンドラパネル(北都2)

カブトムシ、カメラ、タートル、ウォッチ、

スパイダー、冷蔵庫、ドッグ、マイク、サンタクロース、ケーキ

 

パンドラパネル(西都1)

サイ、ドライヤー、ペンギン、スケボー、おばけ、マグネット

シカ、ピラミッド、トラ、UFO

 

パンドラパネル(西都1)

クジラ、ジェット、キリン、扇風機、ハチ、潜水艦

バッド、エンジン、サメ、バイク

 

パンドラパネル(黒)

コブラ、キャッスル、クワガタ、フクロウ、CD

 

パンドラパネル(白)

バッド、シマウマ、ハサミ、ハンマー、スパナ

 

とします。

 

仮面ライダージオウ

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただし変身アイテムを支給する場合は変身に最低限必要な道具一式で

1つの支給品とします。

例、ジクウドライバー、ジオウライドウォッチで一つ。

それ以外のウォッチは個別アイテムとして支給。

また、龍騎、ビルド、ゼロワン、セイバーの四ライダーに関連するアイテ

ムは支給禁止。

ただし原典龍騎に登場していないアビスのデッキのみ例外。

レジェンドライダーの変身アイテムも明確に変身描写のある物以外は

支給禁止とします。

例、ファイズギアは登場していても変身シーンが無いので禁止。

しかしブレイバックルやネオディケイドライバーは可。

 

仮面ライダーゼロワン

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただし変身アイテムを支給する場合は変身に最低限必要な道具一式で

1つの支給品とします。

例、飛電ゼロワンドライバー、変身に使うプログライズキーで一つ。

それ以外のキー、武装は個別アイテムとして支給。

また、ヒューマギアの素体とデータキーは支給禁止。

 

仮面ライダーセイバー

・直接使用してると明言される描写のある道具はどんな物でもOK。

ただし変身アイテムを支給する場合は変身に最低限必要な道具一式で

1つの支給品とします。

例、火炎剣烈火、聖剣ソードライバー、ブレイブドラゴンWRBで一つ。

それ以外のブックは個別アイテムとして支給。

 

現実

・ロワの進行を著しく困難にするもの以外はなんでも可。

 

ロワオリジナル

・基本支給品のデバイスにアプリケーションとしてインストールできるものに限り可能。

 

 

【キャラクター、及び支給品の能力制限などについて】

 

・ロワの進行に合わせて書き手側に委ねるられます。

・ただしあまりにもロワ進行に支障をきたす緩さ、厳しさであった場合、要議論。

・議論の場は伊勢村誠三が用意します。



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地図

施設の位置

 

【挿絵表示】

 

 

 

各ステージの概要

 

【挿絵表示】

 

 

 

陸、海の図

 

【挿絵表示】

 

 

地図上施設

古風ステージ(地図上左上)

A-1

B-1

C-1 ソウゴ(A)のスタート地点として海岸が登場。

D-1

E-1 49話で市街地の民家の一つがゼーンのスタート地点として登場。

 

A-2 偽アーチャーのスタートの市街地がある。

   市街地と言っても中世のそれであるようだ。

B-2 ①寺田屋@龍が如く維新!がある。

C-2

D-2 富加宮賢人のスタート地点からほど遠くない位置に農村、

   隣接するようにスノウホワイトが逃げ込んだ雑木林がある。

   21話では岡田以蔵のスタート地点としても登場した。

E-2

A-3

B-3

C-3 ②美食殿ギルドハウス@プリンセスコネクト!Re:DIVEがある

   51話ではピノキオのスタート地点である民家がある事も分かった。

D-3

E-3 都心ステージへつながる大橋がある。

 

A-4 白鐘、神原、大神が合流した市街地がある。

   和洋折衷、というよりむしろチグハグな印象の街並みをしている。

B-4

C-4

D-4 ④ネアポリス駅@ジョジョの奇妙な冒険がある。

E-4

 

A-5

B-5

C-5 ③DIOの館@ジョジョの奇妙な冒険がある。

D-5

E-5

 

A-6

B-6

C-6 廃墟ステージへつながる大橋がある。

D-6

E-6

 

都心ステージ(地図上左下)

F-1

G-1 ストリウスにより倒壊させられたビル跡、

   またその近くに、花京院とストリウスが交戦中の20階建てのビルがある。

H-1

I-1

J-1 港の一部がある。

 

F-2

G-2 PoHが雪乃を追い詰めた自然公園がある。

H-2 セルティと蓮が休息をとった住宅街がある。

I-2 ⑦ジュネス@ペルソナ4がある。

   2話で足立、八九寺のスタート地点として登場した。

J-2 港の一部がある。

 

F-3 古風ステージへつながる大橋がある。

G-3

H-3 ズッケェロが隠れたコンビニ、キリトが休憩に使ったマンション、セイバーとペコリーヌが出会い、折原のスタート地点となった屋上付きビルなどがある。

   18話ではディアボロ、雅のスタート地点として登場した。

   25話では歩道橋とその周辺がマスターロゴスのスタート地点として登場した。

   47話では境界付近でズッケェロとキリトが交戦、更にシンデレラのスタート地点がある事も発覚した。

I-3 東方仗助のスタート位置の民家がある。

J-3 港の一部と⑨豪華客船@現実がある。

 

F-4

G-4 ⑤池袋駅@デュラララ!!がある。

   60話にて世界ディエゴ、三村、優美子のスタート地点として登場した。

H-4 銃の魔人、エボルトが交戦を始めた市街地がある。

I-4

J-4 港の一部があり、豪華客船もこのエリアに停泊している。

   12話にてアリス、ありす、坂持のスタート地点として登場。

   13話ではヴァレンタイン、22話では木村、32話ではコッコロ、33話では戦兎、滅のスタート地点だと発覚した。

   プール、バーカウンター、服屋、レストラン、温泉施設、ホテル、小洒落たバー、モニター室、医務室、食堂ホールの存在が明かされている。

F-5

G-5

H-5 ⑥学校@現実がある。

   7話ではキャルのスタート地点として登場した。

   53話では偽アサシンのスタート地点として登場した。

I-5 ⑧小川マンション@空の境界がある。

J-5

 

F-6 承太郎たちが入った海の家がある。

   第76話-Cで倒壊した。

G-6

H-6 ワンダーステージに繋がる大橋がある。

I-6

J-6

 

廃墟ステージ(地図上右上)

A-7

B-7 寂れた温泉街がある。

C-7 古風ステージに繋がる大橋がある。

   58話ではジャイロ、ランサーのスタート地点として登場した。

D-7

E-7

 

A-8 デザストのスタート地点の海岸がある。

B-8 タツミ、ナランチャ、結衣が情報交換した

   元はカフェだったと思われる建物がある。

C-8 鳴上悠のスタート地点の屋上付きの廃墟、

   森と形容されるほど広い廃ビル群がある。

D-8 ⑪杜王駅@The Bookがある。

   24話で不破、シェフィ、マッシモのスタート地点として登場した。

E-8

 

A-9

B-9 両儀式と浅倉威が交戦中の廃墟群がある。

   DIO、カーズも同エリア内のどこか近くにいるようだ。

   49話以降、どこかに廃車状態のアナザートライドロンが放置されている。

C-9 ⑩常磐ソウゴ初変身の像@仮面ライダージオウがある。

   47話にてウォズのスタート地点として登場。

D-9 49話にてフーゴ、真アーチャーのスタート地点として登場。

E-9 ⑫基地@現実とワンダーステージに繋がる大橋がある。

   基地は57話でラビリスタのスタート地点として登場した。

 

A-10

B-10

C-10 寂れた漁村がある。

D-10

E-10 間桐シンジの死に場所となった廃校がある

 

ワンダーステージ(地図上右下)

F-7

G-7

H-7 都心ステージに繋がる大橋がある。

   30話にて付近に或人、マイン、アルバのスタート地点があると判明した。

I-7 55話でサーレー、アクセルRO、サムライソードのスタート知s店として登場した。

J-7

 

F-8 ⑬駅@現実がある。

G-8 桐山和雄のスタート地点の丘がある。

H-8 ⑮ホテル@現実がある。

   29話で覇瞳皇帝のスタート地点として登場。

I-8 ⑰コロッセオ@ジョジョの奇妙な冒険がある。

   10話にて鷲尾風とアカメのスタート地点として登場した。

J-8 52話にてネロのスタート地点として登場した

 

F-9 廃墟ステージに繋がる大橋がある。

G-9 ⑭ファンタジック本屋かみやま@仮面ライダーセイバーがある。

   27話でユウキのスタート地点として登場した。

H-9

I-9 ⑱図書館@現実がある。

   40話にて蓮見と沖田のスタート地点として登場した。

J-9

 

F-10

G-10

H-10 ⑯デパート@チェンソーマンがある。

   19話で迅のスタート地点として登場した。

I-10

J-10 比企谷八幡のスタート地点の砂浜がある。

 

ランドマーク施設のギミック

①、特になし

②、特になし

③、特になし

④、一時間おきに杜王駅に向かう電車が来る。

⑤、一時間おきにネアポリス駅に向かう電車が来る。

⑥、保健室に多少医療物資がある。

⑦、日用品は大体そろっている

⑧、魔術的な措置や、建物自体の構造により、

  中にいる者の精神に異常をきたしやすくなる。

⑨、中にはギャンブルやホテル、

  レストランなど様々な設備がある。

⑩、特になし。

⑪、一時間おきに駅@現実に向かう電車が来る。

⑫、様々な銃火器が置いてある。

⑬、一時間おきに池袋駅に向かう電車が来る。

⑭、特になし。

⑮、どこかに全ての部屋を監視できる部屋がある。

⑯、内部のどこかに銃の悪魔の肉片があり、

  代償を払えば契約できる。

⑰、10名以上の参加者が集まると、

  エニグマの紙に封印された銀の(シルバー)戦車(チャリオッツ)鎮魂曲(レクイエム)が解放される

⑱、各出典の世界観を記した本を入手可能



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用語辞典

少しでも執筆、そしてこのロワを楽しむの参考になればと思って作ってみました。


あ行

 

・アーク堕ち

…アークの力を内包した仮面ライダーと化すことを指す仮面ライダーゼロワンのファンの間で使われる造語で、語源はアーク+悪堕ち。

仮面ライダーゼロワンの、それもアーク側のキャラクターであるアズが運営側に居るとだけあって、当ロワでも起こっており、第28話で咲いた、咲いた、malice(悪意)の華がでクロメ@アカメが斬る!が本家本元通信衛星アークに乗っ取られ、第32話 後ろのFEAR(恐怖)、なぁに?で、仮面ライダーアークゼロワンと化した。

このコッコロのアーク堕ちは、同時期に決闘ロワでもコッコロが闇落ち+仮面ライダーに変身するという奇妙なリンクが発生した(決闘ロワの方はアークのライダーではなかった)。

なお原作でアーク堕ちした飛電或人と滅は時系列的にそれより前から参戦しているので、今のところは該当しない。

こちらは決闘ロワでは逆に二人ともアーク堕ちした後から参戦しており、上記のコッコロとは対照的である。

 

・アサルトウルフ

…仮面ライダーバルカンの強化形態の一つ。

当ロワでは変身に必要なアサルトウルフプログライズキーは支給品の中にはなく、クロメ@アカメが斬る!を乗っ取った通信衛星アーク自らがキーを生成し、鷲尾雷に変身させることで洗脳の触媒とした所謂暴走フォームと同じ扱いである。

 

 

 

・雷の墓

…エリアC-8に孫悟飯@ドラゴンボールがスタンド、ゴールド・エクスペリエンスを使って作った墓。

鳴上に撃破された雷の比較的無事な部分が埋められ、周囲は色とりどりの花が咲き乱れている。

 

・イザク

…桃陣営の参加者、マスターロゴス@仮面ライダーセイバーの本名。

80話までに雅にしか名乗っていないこともあり、彼からしか呼ばれていない。

一応時系列的に富加宮賢人以外の仮面ライダーセイバーから参加者はイザクの名を把握しているはずなのだが、本編中で彼が他者からイザクと呼ばれたことは一切ない。

更にはこのロワでも地の文でもほぼ一貫してマスターロゴスとしか呼ばれていない。

ここまでくるといっそ不遇である。

 

・インクルシオ(クローズver)

…クローズインクルシオとも。

PoH@ソードアート・オンラインが変身した仮面ライダーメタルビルドに対抗するために万丈龍我@仮面ライダービルドが悪鬼纏身インクルシオ@アカメが斬る!で変身した姿。

見た目やカラーリングこそ、原作のインクルシオと変わらないが、

  それは、インクルシオの現在の使い手であるタツミが、帝国二強の一角であるブドー大将軍との戦いの中で力を渇望した結果、さらなる進化を遂げたインクルシオの鎧と同等のものであった。(原文ママ)  

と解説されているので、見た目変わらない別物の様である。

一応疑似ライダーに相当する変身であろうが、インクルシオの適合の特性と、万丈が持つブラッド族の因子の進化の力が噛み合った結果、ビルドの世界のライダーシステムのごとく戦えば戦う程進化する形態で、クローズマグマナックルやフルボトルを補助的に使ったこともあり、メタルビルドを上回る性能を発揮した。

副武装のノインテーターが使用可能かどうかは不明。

 

 

 

 

 

 

・H-3エリア魔境化現象

…ロワ開始序盤にて、第5話の狂った星々のクインテットを皮切りにH-3エリア及びその周辺に危険人物や実力者ばかりが密集した現象の事。

最終的に第48話後編のSteppin'out tonight―終わりのその先を目指して―にて、雅@彼岸島が発動した首輪爆破アプリ@ロワオリジナルによって強制的に周囲のエリアに散らされる事となった。

廃墟エリアとは違いキリト@ソードアート・オンラインやジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険など、対主催者もそれなりの数集まっているのも特徴。

 

・英霊の参加者

…当ロワではFate及び型月シリーズから多数の作品が参戦しており、青、桃以外の陣営には必ず英霊の参加者が一人は所属している。

名簿の法則としては、北米偽りの聖杯戦争からの英霊は真or偽+基本七クラスの該当する物。

冬木の第四次聖杯戦争からの英霊は基本七クラスの該当する物。

月の聖杯戦争からの英霊は基本七クラスの該当する物+()内に真名となっている。

が、知名度補正を一切受けない無銘@Fate/EXTRAのみこの法則に当てはまらない。

 

 

 

・俺ガイル

…当選作品の一つ、やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。の略称の一つ。

媒体別ロワはほとんどがバトル作品(桃陣営に至っては実写陣営の筈なのに完全に仮面ライダー陣営と化している)有様で、そんな中唯一青春群像劇のこの作品の場違い感が極まっている。

同じ赤陣営で、一切特殊能力が出てこない本家バトロワさえ、どう考えてもただの学生を超える能力を持つ者が多数当選していることもそれに拍車をかけているだろう。

しかも実際作中で俺ガイルのキャラは変身ベルトやドーピングの薬など、手っ取り早く強くなれるアイテムが支給されているはずと明言されている。

もし参加作品の予選投票の段階であがっていた五等分の花嫁なんかも当選していたら似たような扱いだったかもしれない。

 

・オーソライズバスター

…仮面ライダーゼロワンに登場する武器の一つで、主に仮面ライダーゼロワンの強化形態、仮面ライダーバルカンアサルトウルフが使用する。

銃型のガンモードと、大斧型のアックスモードの二種類になり、プログライズキーの装填、プログライズキーのスキャン、飛電ゼロワンドライバーのスキャンの三つの必殺技発動方法があり、これらの組み合わせで系十種類の必殺技を持つ。

当ロワでは支給品ではなく、衛星ゼアのデータを奪った後の時間軸から参戦した通信衛星アークによって生成される形で登場。

オールエクスティンクション発動の触媒として使われ、その後洗脳したバルカンに譲渡された。

 

 

 

か行

 

・書き手枠多すぎ問題

…媒体別ロワが中々一巡しきらない理由の一つ。

途中からのルール変更で一人の書き手が条件を満たせば最大三個の書き手枠を使えるルールに変更になったが、それでもまだ80話現在8個の書き手枠が余っており、企画主の伊勢村はそろそろ脱落者も15人(全体人数の一割)だし、全員出揃ったら第一回放送でもいいんじゃないかと思っている。

 

 

 

・キルバス@仮面ライダービルド

…コードジョーカー氏作の第76話 血染めのKシリーズから登場したブラッド族の一人にしてエボルトの兄。

破滅的快楽主義者で、パンドラボックスを用いたビッグバンによる宇宙との心中こそ最高の快楽と考えており、エボルトにさえその思考を理解不能かつどうしようもない物であると考えられている。

漫画で例えるなら、どんなに内容がクソでも最後の爆発落ちさえ素晴らしければ全部オッケーと言ってる様な物なのだから当然と言えば当然だが。

当ロワではキルバススパイダーに固定された状態で黒桐幹也@空の境界に支給され、彼の肉体を乗っ取り暗躍する。

 

 

 

 

 

 

・芸術館

…エリアG-3にある地図に載ってないランドマークの一つ。

花村陽介@ペルソナ4と万丈龍我@仮面ライダービルドのスタート地点として第31話 熱血バカ=プロテイン+ルサンチマンに登場した。

 

・原作

…当ロワに集ったキャラクターたちの出典。

紙媒体の物に関してなら意外とロワ内の本屋やランドマークにもなっている図書館など、様々な場所で見ることができる。

第53話 あなたは全てフィクションです。では、偽アサシン@Fate/strange Fakeが錯乱するきっかけにもなった。

 

・幻霊

…Fateシリーズにおいて、英霊よりワンランク下の存在、より正確に言えば歴史、知名度、信仰が英霊に比べて弱かったり、そもそもが架空の存在として語られていたりするといった理由で英霊に及ばない者たちのこと。

当ロワではSINoALICEのキャラクターズはこれに極めて近い存在とされ、英霊の宝具を使ったスノウホワイト@SINoALICEは、その負荷に耐えきれず嘔吐し憔悴する描写があった。

 

 

 

・豪華客船

…エリアJ-4に設置されたランドマークの一つで、プールやバー、様々な商業施設が完備されており、会場の端の端ながら、物資が潤沢ゆえにここがスタート地点となった参加者も多い。

第12話 ありすアンタッチャブルにて、当ロワ最初の脱落者が出た場所でもある。

また、廃墟ステージやH-3エリア程ではないが、ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョ七部、アーク堕ちしたコッコロ@プリンセスコネクト!Re:DIVE、滅@仮面ライダーゼロワンなどラスボス級の参加者が集まっているのも特徴。

 

 

 

さ行

 

・サウザンドジャッカー

…仮面ライダーゼロワンのザイア系、アーク系ライダーが主に使う武器。

槍剣のような形をしており、接触した対象(物理、非物理を問わない)からエネルギーを抽出し、そのデータをコピーする機能が有り、本来ライダモデル、ロストモデルに有効な能力だったが、当ロワでは他のシステムにも有効で、仮面ライダーナイトやビルド世界のライダーシステム由来のビートクローザーにも有効だた。

80話現在、仮面ライダーザイアに変身したマスターロゴスの得物として登場しており、ライダーキックを防ぐ盾にしか使ってなかった本家ザイアよりも使い熟しており、元聖剣の剣士を束ねる長の面目躍如を見せた。

参戦時期的にクロメ(アーク)も自前で生成可能と思われる。

以下、使用技。

☆ジャッキングブレイク

・ジャッキングリングを引っ張って発動する必殺技

〇ビートクローザー

マスターロゴスが使用。ジャッカーの刀身に蒼い炎を迸らせて斬撃を強化する。

 

〇仮面ライダーナイト

マスターロゴスが使用。ウイングランサーを生成し射出したが、逆に雅に掴まれて投げ返された。

第82話ではダークバイザーを生成し、手持ち武器として使用するパターン、

ダークウィングのライダモデルを召喚し使役するパターン、

ナイトの飛翔斬に相当する技も見せている。

 

〇仮面ライダーソロモン

マスターロゴスが使用。エネルギーを纏った斬撃を放つパターン、

カラドボルグのライダモデルを召喚、使役するパターンがある。

 

〇仮面ライダービルドラビットタンクスパークリングフォーム

コッコロが使用。赤黒い泡状のエネルギー刺突を放つ。

 

☆ハッキングブレイク

・プログライズキーを装填して発動する必殺技

〇トリケラトプスゼツメライズキー

マスターロゴスが使用。先に召喚していたカラドボルグにエネルギーを供給した。

 

☆サウザンドブレイク

・プログライズキーをセットしてからジャッキングリングを引っ張って発動する必殺技。

〇トリケラトプスゼツメライズキー

マスターロゴスが使用。ジャッカーに記憶させたアビリティによる連続攻撃を行う。

 

・佐藤太郎@仮面ライダービルド

…当ロワでの見せしめ枠。

事前に始末されてしまっているのか、立体映像越しにしか登場しなかった。

情けない叫び声をあげるばかりで首輪も爆破され出番終了、かと思いきや告知で唐突に登場。

その後佐藤太郎と退場さんのベストラジオなる誰得コーナーをひっさげて戻って来た。

ハーメルンの方の目次だと本編より上にあるので嫌でも目に付く。

 

 

 

・使役

…洗脳とはまた違った他者を従わせることを指す。

当ロワではハッキング機能を使ってクロメ、鷲尾雷を操ることに成功した通信衛星アークや、ネオディエンドライバーで仮面ライダークウガの偽物を召喚した覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:DIVEなどがこれに該当する。

 

・娼婦

…金銭などの対価を受け取る事で性的なサービスをする女性のこと。

当ロワではJKファッションが一般的でない時代、国からの参加者が現役JKの参加者に対して抱く印象の一つ。

第1話 やはりタツミが往く奇妙な冒険はまちがっている(?)ではナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険が由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。に対して実際に罵倒同然にそのことを指摘しひと悶着おきかけた(タツミ@アカメが斬る!の仲裁でどうにかなったが)。

それから大分間が空いて第60話 呉越同舟、でこぼこ連中!?にて世界ディエゴ@ジョジョ七部が三浦優美子@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。の服装に対して似たような感想を抱いたが、こちらは声には出していない。

 

 

 

 

 

 

・聖剣@仮面ライダーセイバー

…仮面ライダーセイバーの世界における仮面ライダーの定義の一つに聖剣の剣士という物がある。

当ロワではセイバー以外にもソードアート・オンライン、型月シリーズのセイバー適正保持者など、それなりの数の剣士が参戦しており、80話現在、12種類中10種類の聖剣が支給品として登場しており、コンプリート目前。

 

・洗脳

…パロロワでは支給品の応用や持ち前の話術など様々な要因で他者をマーダーや厄介な暴走特急に作り替えるのに用いられる手段の一つ。

当ロワでも第43話 憤怒(wrath)の、種火が、メラメラにて、クロメを乗っ取ったアークが鷲尾雷@仮面ライダービルドを生成したアサルトウルフプログライズキーを使ってハッキングする形で実行。

それぞれの姉、兄であるアカメと鷲尾風が対主催者コンビを結成する中、その妹、弟はマーダー主従を結成することなり、図らずもえげつない対比となった。

 

 

 

 

 

 

た行

 

・タイムジャッカー

…仮面ライダージオウに登場するヴィランたちの総称。

時間を操る力と、アナザーライダーを生み出す力を共通してもち、過去を自分たちの都合のいい様に書き換える力を持つ。

当ロワではアナザーライドウォッチを支給品として多数登場させた書き手のことを指し、今のところユッケジャンこと湯川氏、企画主の伊勢村誠三が該当する。

最も、湯川氏の見事なアナザーウォッチの使い方を考えると、伊勢村もタイムジャッカー扱いするなら、湯川氏はスーパータイムジャッカーとでもするべきだろうが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・手鏡@ソードアート・オンライン

…無印、およびプログレッシブなどで登場したアイテム。

初登場は第7話 ひとりぼっちは語らないで、花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険の支給品の一つとして登場した。

覗き込んだ者のアバターを現実準拠に変える力を持つアイテムだが、本来の用途では使われずただの手鏡として使われた。

第9話 探求/終末/運命にて、当ロワで一番最初に壊された記念すべき支給品。

演出も相まって印象深い。

 

・デネブ

…仮面ライダー電王に登場するイマジンのうち一体で、桜井優斗と契約している。

武蔵坊弁慶を連想する姿をしており、世話好きでやや天然でオカン気質。

ゼロノスベルトに封印された状態でベルトごと雪ノ下雪乃に支給され、彼女がベルトを装着したことで憑依した。

どうやらデネブが肉体の主導権を握っている間は、声もデネブの物になるらしく、花村陽介から雪乃が女装趣味の男と勘違いされる原因になった。

 

 

 

 

 

な行

 

・亡@仮面ライダーゼロワン

…アークが自らの結論を実現するために結成したヒューマギアのテロ組織、滅亡迅雷.netの幹部の一人。

仮面ライダーゼロワンで登場したヒューマギアの中で唯一性別が設定されていない。

(演じた中山咲月は無性愛者。体女性で、精神は恋愛感情の無い男性)

技術者型のヒューマギアで、フォースライザーを現在滅亡迅雷.netが使っている滅亡迅雷フォースライザーの形にしたのも彼(便宜上こう呼ぶ)。

当ロワでは不破諫の参戦時期の関係で、不破の脳内チップに宿る副人格と言う形で参戦している。

 

 

 

・偽岸谷新羅

…第48-A話 TOP OF THE WORLD―Let's get it started now―から登場したスタンド、サーフェスによって生まれた岸谷新羅@デュラララ‼の偽物。

スタンド本体であるシンデレラ@SINoALICEに操られており、コピー元から受け継いだ医療技術でディアボロに応急手当を施したり、雅に致命傷を与えるのに一役買ったりと、序盤でもそこそこの活躍をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は行

 

・廃墟ステージ魔境化現象

…第2話 ■■■ロスト/まよいマイマイ/???アンガーでの鳴上悠@ペルソナ4マーダー化を皮切りに 第4話 殺人鬼ふたりでの両儀式@空の境界、浅倉威@仮面ライダー龍騎。

第8話 そして時は動き出すでのDIO@ジョジョの奇妙な冒険。

第13話 闇を欺いて、刹那をかわしてでのカーズ@ジョジョの奇妙な冒険。

第23話 戦場(いくさば)の薫り、風と共にでのデザスト@仮面ライダーセイバーなど、程度やベクトルにこそ大分差があるが、一切戦いと殺人を躊躇しない参加者ばかりが集中することとなった。

その後上記の参加者たちは鳴上とDIOを除き第74話 レイゾンデイト・カアスドステエジで四つ巴の戦いを演じている。

 

 

 

・彼岸島二次創作の最高峰

…第71話 帰り道を二倍速再生ゾンビ氏が評した言葉。

ユッケジャンこと湯川氏の彼岸島その者への素晴らしい理解力と、第一回放送までのベストバウトとも評される鳴上vs雷戦をかき上げた技量のベストマッチは見事の一言。

また、この作品がパロロワというジャンル内でないと書けない物である点も見過ごせない。

 

 

 

・舞台装置

…第56話 Behind The Black Curtainにて登場したこのバトルロワイヤルの根幹を支えるシステム。

マン・イン・ザ・ミラーのスタンドDISCを挿入された???@??????・?????が部品として組み込まれており、ロワ会場を維持している。

ぼんやりと夢を見ているぐらいの意識はあるらしく、自我が奪われている訳ではない。

 

 

 

・ベルナージュ

…仮面ライダービルドの世界における火星の王妃。

ある時ブラッド星より星狩りにやってきたエボルトと戦い、痛み分けまで持ち込んだ超すごい火星人。

今や肉体を失っており、その精神だけが金色の腕輪に宿っている。

当ロワでは戦場ヶ原ひたぎの肉体に憑依し、対主催者、対エボルトの鍵を握る戦兎と万丈の動向を探っている。

CVは雨宮天

 

 

 

 

 

 

ま行

 

 

 

 

 

 

 

・骸人形

…死者行軍八房@アカメが斬る!の能力によって生み出される死体の兵士。

八房で直接トドメを刺した肉体を能力をそのままに操られる者たちの総称。

当ロワでは支給先の武市半平太@龍が如く維新!の手によって第46話 リビングデッド・フロントラインにてボルキャンサー@仮面ライダー龍騎と常磐ソウゴ(E)@仮面ライダージオウが殺害、操られている。

ナタラやランなど、元持ち主のクロメが人形にしていた者たちは外されている。

 

 

 

 

 

 

・モモタロス

…仮面ライダー電王の主人公、野上良太郎と契約したイマジンのうち一体。

良太郎のモモタロウのイメージから生まれたからか赤オニのような姿をしている。

現在はデンオウベルトに封印された状態でベルトごとセルティ・ストゥルルソン@デュラララ‼に支給され、彼女にベルトを譲渡された秋山蓮@仮面ライダー龍騎に憑依することとなった。

 

 

 

や行

 

 

・結城君

…第27話 無の歌と海の男と侍と……にて、土方歳三@龍が如く維新!がユウキ@プリンセスコネクト!Re:DIVEの名前を氏名を名乗った間違えて呼んだ呼び方。

音にすれば何も間違っていないので、間違われたユウキ本人も気付かず、そのままになってしまっている。

 

・四十階建てのビル

…第9話 探求/終末/運命にて、仮面ライダーストリウスが花京院への挨拶代わりの光弾で倒壊させられたG-1の高層ビル。

ランドマークでこそない物の、エリア内ではトップクラスに高い建物だったとあって、破壊音が周囲1エリアに響きわたり、同話でのドロシー@SINoALICEや、第16話 ゼロに向かう片道切符(カード)での雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。などの後の行動に影響を与えたほか、ユウキ@ソードアート・オンラインを始めとした目撃した多くの参加者たちが殺し合いを実感することとなった。

 

 

 

ら行

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・列車

…当ロワで大橋とは別に四つのステージを結ぶ物。

一時間おきに到着するので合計四つの列車があると思われ、不破諫@仮面ライダーゼロワンとシェフィ@プリンセスコネクト!Re:DIVEが乗った物には食堂車両にスパゲッティの具材まで用意されていた。

80話まで走行中を襲撃されたことは無く、どちらかと言えば発車前、下車後を狙われることの方が今のところ多い。

 

 

 

 

 

 

わ行

 

・ワイルド

…ペルソナの一種で、愚者のアルカナが持つ人と人との絆を育む事で、本来なら一人一体の制約を超えて、複数のペルソナ所持を可能とする反則級の力・

アズたち運営の手により制御されたとも考えれるが、鳴上本人は殺し合いに乗った自分が能力の方に見限られたと推察している。

 



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【告知】媒体別ロワイヤル 番外編について

本編。あるいは正伝。

それは、ある一つの舞台に上がった、あるいは上げられた者たちの運命や決断をえがいたモノ。

翻弄され、悩み、決断し、流され、胸を張り、楽しむ。

人々の営みや戦い、またはその両方の中での姿や想いを捉えた物語。

それらには必ずそうなった過程や前提、土台となる何かが、始まりの起点(ファクター)必ずある。

えがかれようが、えがかれまいが。

喜劇であろうが悲劇であろうが。

理由や由来のない物なんてきっとどこにもないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

番外編。あるいは外伝。

それは本編とは別の運命を辿る物語。

あの時彼がああしていれば、ああしてなかったら。

もし彼女があんな立場だったら、あんな事を考えていたら。

今となっては夢の中にしか有り得ない異常事態。

どこかであり得たかもしれないif(もしも)

だが、それらの潰えた可能性やあり得ざる邂逅が今現在の糧に、そして明日への枷になるのもまた事実であろう…。

そしてもしそんな番外編がどこかからひょっこり顔を出すような事があれはそれは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤「チーッス!どもどもー!作者さんに呼ばれて来ましたオープニングで見事首輪爆弾で頭吹き飛ばされて一番目立つ見せしめにされちゃいました佐藤太郎でぇーーーすっ!!!

今回は!書き手と読み手の皆さんにぃ!

超!じゅーよーなお知らせがあって来させていただきました!」

 

佐藤「この媒体別ロワイヤル!

pixivからハーメルンに進出してから早1週間!

お気に入り4件に投票3票、しかもうち二票は評価点9と高い評価を頂いております!

閲覧数の方は全部合わせて大体800。

pixivの方が本編だけでも約1200閲覧だからまだまだ先は長いけど滑り出しは好調っしょ!」

 

佐藤「そこで!当ロワをますます盛況にする為に番外編企画を提案しちゃいたいと思います!」

 

佐藤「題して!

『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ(仮題)』!」

 

佐藤「パーソナリティを務めるのはもちろんこの佐藤太郎!

惜しくもロワ本編で退場してしまった皆様をゲストとして招き、原作や他媒体、そしてロワ本編や他二次創作などでの活躍なんかをラジオ番組風に語らうコーナーでぇす!

もちろん本編とは全然関係ないけどね!」

 

佐藤「まだ決定じゃ無いんで、他にも案がある読み手、書き手の皆さんは企画名、企画内容なんかを書いてコメント欄にてご応募下さい!

たくさんのご意見、ご感想お待ちしてまぁーす!

それじゃあまたどこかで!

夜は焼肉っしょお!アッハッハッハッ!」



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エピソード一覧and予約一覧

当ロワ本編のpixivでのURLを置いておきます。


エピソード一覧

 

第0話 オープニング

作:伊勢村誠三

登場キャラ:雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

宮本輝之輔@ジョジョの奇妙な冒険

万丈龍我@仮面ライダービルド

佐藤太郎@仮面ライダービルド

アズ@仮面ライダーゼロワン

 

第1話 やはりタツミが往く奇妙な冒険はまちがっている(?)

作:伊勢村誠三

登場キャラ:由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

タツミ@アカメが斬る!

ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険(書き手枠アニメ)

 

第2話 ■■■ロスト/まよいマイマイ/???アンガー

作:山田ちゃん

登場キャラ:八九寺真宵@化物語

鳴上悠@ペルソナ4、足立透@ペルソナ4

 

第3話 正義を為す者、聖剣を執る。

作:伊勢村誠三

登場キャラ:スノウホワイト@SINoALICE

富加宮賢人@仮面ライダーセイバー

 

第4話 殺人鬼ふたり

作:みみ

登場キャラ:両儀式@空の境界、浅倉威@仮面ライダー龍騎

 

第5話 狂った星々のクインテット

作:伊勢村誠三

登場キャラ:キリト@ソードアート・オンライン

マリオ・ズッケェロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

セイバー@Fate/Zero、ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:Dive

新堂倫太郎@仮面ライダーセイバー

 

第6話 境界線-生と死/本物と偽物-

作:みみ

登場キャラ:ジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険

臙条巴@空の境界

 

第7話 ひとりぼっちは語らない

作:伊勢村誠三

登場キャラ:比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険

キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive

アズ@仮面ライダーゼロワン

 

第8話 そして時は動き出す

作:・山田ちゃん

登場キャラ:DIO@ジョジョの奇妙な冒険

 

第9話 探求/終末/運命

作:みみ

登場キャラ:花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険

ドロシー@SINoALICE、ストリウス@仮面ライダーセイバー

 

第10話 兄の願い/姉の務め

作:伊勢村誠三

登場キャラ:アカメ@アカメが斬る!

鷲尾風@仮面ライダービルド

 

第11話 最後に残った、だった一つの願い

作:沢城

登場キャラ:セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!

バーサーカー@Fate/Zero、秋山蓮@仮面ライダー龍騎

 

第12話 ありすアンタッチャブル

作:伊勢村誠三

登場キャラ:坂持金発@バトル・ロワイアル

アリス@SINoALICE、ありす@Fate/EXTRA

 

第13話 闇を欺いて、刹那をかわして

作:沢城

登場キャラ:カーズ@ジョジョの奇妙な冒険

 

第14話 GAME START

作:御堂

登場キャラ:折原臨也@デュラララ!!

 

第15話 五等分の■■

作:mosport

登場キャラ:ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

 

第16話 ゼロに向かう片道切符(カード)

作:伊勢村誠三

登場キャラ:雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

 

第17話 死滅遊戯

作:山田ちゃん

登場キャラ:銃の魔人@チェンソーマン

エボルト@仮面ライダービルド

 

第18話 闇のなかで

作:御堂

登場キャラ:ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険、雅@彼岸島

 

第19話 Liberator of the Trinity.

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:迅@仮面ライダーゼロワン(書き手枠実写作品)

 

第20話 黄金王と笛吹き男

作:伊勢村誠三

登場キャラ:カンノーロ・ムーロロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

七原秋也@バトル・ロワイアル、偽アーチャー@Fate/strange Fake

衛宮切嗣@Fate/Zero、ハーメルン@SINoALICE

 

第21話 猛る正義は、我が為に-衝動篇-

作:山田ちゃん

登場キャラ:スノウホワイト@SINoALICE、岡田以蔵@龍が如く維新!

 

第22話 戦わなければ生き残れない!

作:御堂

登場キャラ:アリス@SINoALICE、木村@仮面ライダージオウ

 

第23話 戦場(いくさば)の薫り、風と共に

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:デザスト@仮面ライダーセイバー

 

第24話 ワンダーワールド行き急行

作:伊勢村誠三

登場キャラ:マッシモ・ヴォルペ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-、

シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Dive、

不破諫@仮面ライダーゼロワン

 

第25話 黒い四人は交わさない

作:伊勢村誠三

登場キャラ:セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!

バーサーカー@Fate/Zero、秋山蓮@仮面ライダー龍騎、

マスターロゴス@仮面ライダーセイバー

 

第26話 絶望の中でも鈍く光る

作:ラング・ド・シャ

登場キャラ:東方仗助@ The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

 

第27話 無の歌と海の男と侍と……

作:伊勢村誠三

登場キャラ:桐山和雄@バトル・ロワイアル、ウェイブ@アカメが斬る!、主人公@プリンセスコネクト!Re:Dive、土方歳三@龍が如く維新!

 

第28話 咲いた、咲いた、malice(悪意)の華が

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:クロメ@アカメが斬る!

 

第29話 殺人考察―murder speculation―

作:決戦騎 ティアマット

登場キャラ:覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:Dive

 

第30話 ソレゾレの戦い方

作:伊勢村誠三

登場キャラ:コルネリウス・アルバ@空の境界、マイン@アカメが斬る!、飛電或人@仮面ライダーゼロワン

 

第31話 熱血バカ=プロテイン+ルサンチマン

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:花村陽介@ペルソナ4、万丈龍我@仮面ライダービルド

 

第32話 後ろのFEAR(恐怖)、なぁに?

作:伊勢村誠三

登場キャラ:コッコロ@プリンセスコネクト!Re:Dive

 

第33話 泥船どんぶらこ

作:伊勢村誠三

登場キャラ:アリス@SINoALICE、木村@仮面ライダージオウ、ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run、桐生戦兎@仮面ライダービルド、滅@仮面ライダーゼロワン

 

第34話 水と薔薇と猛虎の怪物

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:エスデス@アカメが斬る!、間桐シンジ@Fate/EXTRA

 

第35話 悪逆なるメタルの襲来

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。、PoH@ソードアート・オンライン、花村陽介@ペルソナ4、万丈龍我@仮面ライダービルド

 

第36話 波音のなるほうで

作:伊勢村誠三

登場キャラ:ティーネ・チェルク@Fate/storange Fake、浅上藤乃@空の境界、空条承太郎(三部)@ジョジョの奇妙な冒険、神山飛羽真@仮面ライダーセイバー

 

第37話 プライド・トルーパーズ

作:匿名

登場キャラ:ケイネス・エルメロイ@Fate/Zero、ベジータ@ドラゴンボール

 

第38話 RESISTER -世界の破壊者は青薔薇の剣士と旅を再会する-

作:香風

登場キャラ:門矢士@仮面ライダージオウ、書き手枠@ソードアート・オンライン

 

第39話 バカとヒューマギア

作:香風

登場キャラ:城戸真司、迅

 

第40話 We didn`t say "Please avenge us".

作:伊勢村誠三

登場キャラ:蓮見琢馬@The book、沖田総司@龍が如く維新!

 

第41話 日向を行け、日陰を行け

作:ユッケジャン

登場キャラ:雷@仮面ライダーゼロワン、鳴上悠@ペルソナ4

 

第42話 再起せよ!ドラゴンよ!

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。、PoH@ソードアート・オンライン、花村陽介@ペルソナ4、万丈龍我@仮面ライダービルド、ドロシー@SINoALICE

 

第43話 憤怒(wrath)の、種火が、メラメラ

作:伊勢村誠三

登場キャラ:相馬光子@バトル・ロワイアル、クロメ@アカメが斬る!、坂本龍馬@龍が如く維新!、鷲尾雷@仮面ライダービルド

 

第44話 オレノナカニネムルTYRANT

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。、PoH@ソードアート・オンライン、花村陽介@ペルソナ4、万丈龍我@仮面ライダービルド、ドロシー@SINoALICE

 

第45話 幸福追求権

作:チェリい

登場キャラ:大神照彦@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

神原駿河@化物語

白鐘直斗@ペルソナ4

 

第46話 リビングデッド・フロントライン

作:伊勢村誠三

登場キャラ:由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。、タツミ@アカメが斬る!、ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険、武市半平太@龍が如く維新!、常磐ソウゴ(E)@仮面ライダージオウ

 

第47話 祝え!新たな聖剣使いの誕生を!

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:ウォズ@仮面ライダージオウ

 

第48-A話 TOP OF THE WORLD―Let's get it started now―

作:みみ

登場キャラ:マスターロゴス@仮面ライダーセイバー、雅@彼岸島、ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険、シンデレラ@SINoALICE、書き手枠@デュラララ!!、キリト@ソードアート・オンライン、マリオ・ズッゲェロ@恥知らずのパープルヘイズ

 

第48-B話 Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

作:みみ

登場キャラ:マスターロゴス@仮面ライダーセイバー、雅@彼岸島、ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険、シンデレラ@SINoALICE、書き手枠@デュラララ!!、キリト@ソードアート・オンライン、マリオ・ズッゲェロ@恥知らずのパープルヘイズ

 

第49話 確実奇跡 跡奇実確

作:伊勢村誠三

登場キャラ:パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-、真アーチャー@Fate/strange Fake、DIO@ジョジョの奇妙な冒険、カーズ@ジョジョの奇妙な冒険

 

第50話 願イヲ喰ライ合ウハ我ラナリ

作:伊勢村誠三

登場キャラ:鏡像の城戸真司@仮面ライダー龍騎、ゼーン@プリンセスコネクト!Re:DIVE

 

第51話 依存の【忠】剣

作:ユッケジャン

登場キャラ:ピノキオ@SINoALICE

 

第52話 開演!光あふれる劇場

作:コードジョーカー

登場キャラ:書き手枠@Fate/EXTRAE

 

第53話 あなたは全てフィクションです。

作:伊勢村誠三

登場キャラ:偽アサシン@Fate/strange Fake

 

第54話 Shining Star

作:山田ちゃん

登場キャラ:孫悟飯@ドラゴンボール

 

第55話 裏切り者のラプソディ

作:ユッケジャン

登場キャラ:サーレー@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-、アクセルRO@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run、書き手枠@チェンソーマン

 

第56話 Behind The Black Curtain

作:伊勢村誠三

登場キャラ:アズ@仮面ライダーゼロワン

宮本輝之輔@ジョジョの奇妙な冒険

トワイス・H・ピースマン@Fate/EXTRA

?????@?????????

???@??????・?????

 

第57話 消滅/再生

作:伊勢村誠三

登場キャラ:宮本篤@彼岸島、ラビリスタ@プリンセスコネクト!Re:DIVE、無銘@Fate/EXTRA

 

第58話 死は明日への希望なり?

作:融混

登場キャラ:ジャイロ・ツェペリ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run、書き手枠@Fate/Zero

 

第59話 20■■:フェイト、リセット

作:ユッケジャン

登場キャラ:常磐ソウゴ(A)@仮面ライダージオウ

 

第60話 呉越同舟、でこぼこ連中!?

作:伊勢村誠三

登場キャラ:世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run、三村信史@バトル・ロワイアル、書き手枠@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

 

第61話A S.O.S 前編

作:伊勢村誠三

登場キャラ:平和島静雄@デュラララ!!、マリー@ペルソナ4、,富加宮賢人@仮面ライダーセイバー

 

第62話 お空は爽快、ダウンフォールするかい?

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:阿良々木暦@化物語、書き手枠@ソードアート・オンライン

 

第61話B S.O.S 後編

作:伊勢村誠三

登場キャラ:平和島静雄@デュラララ!!、マリー@ペルソナ4、,富加宮賢人@仮面ライダーセイバー

 

第63話 情熱の文筆家たち

作:伊勢村誠三

登場キャラ:パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ、偽キャスター@Fate/strange Fake、アヤカ・サジョウ@Fate/strange Fake、神山飛羽真@仮面ライダーセイバー

 

第64話 狂乱登場

作:山田ちゃん

登場キャラ:ビットリオ・カタルディ@恥知らずのパープルヘイズ、坂本龍馬@龍が如く維新!、鷲尾雷@仮面ライダービルド

 

第65話 ただすれ違うのみ

作:伊勢村誠三

登場キャラ:ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run、荒耶宗蓮@空の境界

 

第66話 ジシンにカける精神論

作:ユッケジャン

登場キャラ:ブラックモア@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run、ヤムチャ@ドラゴンボール

 

第67話 Hey Ken, Where You Gonna Go?

作:チェリい

登場キャラ:シーラE@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-、書き手枠@彼岸島

 

第68話 Re:ゼロカラオボレルバトロワセイカツ

作:伊勢村誠三

登場キャラ:折原臨也@デュラララ!!、セイバー@Fate/Zero、ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:DIVE、川田章吾@バトル・ロワイアル、バーサーカー(アルクェイド)@Fate/EXTRA、??@??????????

 

第69話 目には目を歯には歯を悪には悪魔的な契約を

作:きゅーり

登場キャラ:書き手枠@漫画

 

第70話 捨札-Discard-

作:伊勢村誠三

登場キャラ:マイン@アカメが斬る!、シーラE@恥知らずのパープルヘイズ、斉藤ケン@彼岸島、覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:DIVE

 

第71話 帰り道

作:ユッケジャン

登場キャラ:宮本明@彼岸島、書き手枠@彼岸島

 

第72話 バトロワの車窓から ~狼二頭と氷竜編~

作:伊勢村誠三

登場キャラ:シェフィ@プリンセスコネクト!Re;DIVE、不破諫@仮面ライダーゼロワン

 

第73話 広瀬康一は語らない

作:チェリい

登場キャラ:ジェスター・カルトゥーレ@Fate/strange Fake、偽ランサー@Fate/strange Fake、広瀬康一@The Book、蓮見琢馬@The Book

 

第74話 レイゾンデイト・カアスドステエジ

作:伊勢村誠三

登場キャラ:両儀式@空の境界、カーズ@ジョジョの奇妙な冒険、浅倉威@仮面ライダー龍騎、デザスト@仮面ライダーセイバー

 

第75話 考察、列車、チェンソー

作:伊勢村誠三

登場キャラ:世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run、三村信史@バトル・ロワイアル、書き手枠@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。、デンジ@チェンソーマン

 

第76-A話 血染めのK/破滅招来体

作:コードジョーカー

登場キャラ:ティーネ・チェルク@Fate/storange Fake、黒桐幹也@空の境界、浅上藤乃@空の境界、空条承太郎(三部)@ジョジョの奇妙な冒険

 

第76-B話 血染めのK/覚悟の炎

作:コードジョーカー

登場キャラ:ティーネ・チェルク@Fate/storange Fake、黒桐幹也@空の境界、浅上藤乃@空の境界、空条承太郎(三部)@ジョジョの奇妙な冒険

 

第76-C話 血染めのK/消滅までのカウントダウン

作:コードジョーカー

登場キャラ:ティーネ・チェルク@Fate/storange Fake、黒桐幹也@空の境界、浅上藤乃@空の境界、空条承太郎(三部)@ジョジョの奇妙な冒険

 

第77話 墨汁一滴

作:伊勢村誠三

登場キャラ:キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVE、飛電或人@仮面ライダーゼロワン、阿良々木暦@化物語、ユウキ@ソードアート・オンライン

 

第78話 真理を見極める眼を

作:コードジョーカー

登場キャラ:ピッコロ@ドラゴンボール

 

第79話 蛇の道で■■を食む

加筆版

作:伊勢村誠三

登場キャラ:銃の魔人@チェンソーマン、エボルト@仮面ライダーエボル

 

第80話 種の芽吹いた あとの世は

作:伊勢村誠三

登場キャラ:ジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険、臙条巴@空の境界、ヒースクリフ@ソードアート・オンライン

 

第81話 ENCOUNT〜出会い頭にカルパッチョ〜

作:コードジョーカー

登場キャラ:バーサーカー@Fate/Zero、書き手枠@ゲーム

 

第82話 THE DU

作:伊勢村誠三

登場キャラ:東方仗助@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-、雅@彼岸島、八九寺真宵@化物語、足立透@ペルソナ4、マスターロゴス@仮面ライダーセイバー

 

第83話 リスタートする逆転

作:ナースァン

登場キャラ:書き手枠@仮面ライダー龍騎

 

第84話 白いパズルは組み合わない

作:伊勢村誠三

登場キャラ:書き手枠@小説、蒼崎橙子@空の境界、シェフィ@プリンセスコネクト!Re:DIVE、不破諫@仮面ライダーゼロワン

 

第85話 常識の破壊者たち

作:伊勢村誠三

登場キャラ:比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。、門矢士@仮面ライダージオウ、ユージオ@ソードアート・オンライン

 

第86話 黒い残光

作:伊勢村誠三

登場キャラ:ゼーン@プリンセスコネクト!Re:DIBE、鏡像の城戸真司@仮面ライダー龍騎、常磐ソウゴ(A)@仮面ライダージオウ

 

Got To Keep It Real─本物を守る為なら─

作:伊勢村誠三

登場キャラ:コッコロ@プリンセスコネクト!Re:DIVE、アリス@SINoALICE、桐生戦兎@仮面ライダービルド、木村@仮面ライダージオウ

 

第88話 上段者たちの考察

作:伊勢村誠三

登場キャラ:DIO@ジョジョの奇妙な冒険、ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

 

第89話 変物語(カワリモノガタリ)/ひたぎエンプレス

作:きゅーり

登場キャラ:戦場ヶ原ひたぎ@化物語

 

第90話 危険な漫画家現る!? 孫悟空と岸辺露伴の出会い!!

作:ななななめたけ

登場キャラ:孫悟空@ドラゴンボール、書き手枠@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day

 

第91話 トカゲの尻尾切

作:伊勢村誠三

登場キャラ:アヤカ・サジョウ@Fake、神山飛羽真@セイバー、クロメ@アカメが斬る!、世界ディエゴ@ジョジョsbr、三村信史@バトロワ

 

第92話 クラチカットの悪魔

作:伊勢村誠三

登場キャラ:レゼ@チェンソーマン、エスデス@アカメが斬る!(~6月19日)

 

第93話 (偽)真物語

作:ユッケジャン

登場キャラ:書き手枠@化物語、偽アサシン@Fate/strange Fake

 

第94話 トランスセクシュアルトシンドローム

作:パーフェクトノックアウト

登場キャラ:ドロシー@SINoALICE、書き手枠@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

 

第95話 どうせ運命を外れたのなら

作:伊勢村誠三

登場キャラ:書き手枠@チェンソーマン、花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険、ストリウス@仮面ライダーセイバー

 

第96話 不信/腐心/不振

作:伊勢村誠三

登場キャラ:キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive、ユウキ@ソードアート・オンライン、阿良々木暦@化物語、書き手枠@デュラララ‼

 

第97話 譲れぬ思い、虚無と成り

作:ユッケジャン

登場キャラ:桐山和雄@バトル・ロワイアル、ウェイブ@アカメが斬る!、主人公@プリンセスコネクト!Re:Dive、土方歳三@龍が如く維新!

 

第98話 それでも潰えぬ、勇気が一つ

作:ユッケジャン

登場キャラ:桐山和雄@バトル・ロワイアル、ウェイブ@アカメが斬る!、主人公@プリンセスコネクト!Re:Dive、土方歳三@龍が如く維新!

 

第99話 第一回放送

作:伊勢村誠三

登場キャラ:アズ@仮面ライダーゼロワン

 

第100話 劇薬- psychedelic bad trip-

作:伊勢村誠三

登場キャラ:タツミ@アカメが斬る!、ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険、由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

 

第101話 逆鱗-BLACK FIST-

作:伊勢村誠三

登場キャラ:キリト@ソードアート・オンライン、マリオ・ズッゲェロ恥知らずのパープルヘイズ

 

第102話 堕天使/悪魔降臨

作:伊勢村誠三

登場キャラ:マッシモ・ヴォルぺ@恥知らずのパープルヘイズ、エスデス@アカメが斬る!、レゼ@チェンソーマン、ラビリスタ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

 

第103話 ワントラックマインド

作:伊勢村誠三

登場キャラ:ビットリオ・カダルディ@恥知らずのパープルヘイズ、坂本龍馬@龍が如く維新!、鷲尾雷@仮面ライダービルド、ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

 

第104話 佞臣

作:伊勢村誠三

登場キャラ:シュラ@アカメが斬る!、ウォズ@仮面ライダージオウ、武市半平太@龍が如く維新!、ランサー@Fate/Zero

 

第105話 アナザー・オルタナティブ

作:伊勢村誠三

登場キャラ:マイン@アカメが斬る!、シーラE@恥知らずのパープルヘイズ、斉藤ケン@彼岸島、覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:DIVE、シノン@ソードアート・オンライン、シェフィ@プリンセスコネクト!Re:DIVE、不破諫@仮面ライダーゼロワン

 

予約一覧

 

第106話 進化に至るカケラ

作:伊勢村誠三

登場キャラ:雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。、花村陽介@ペルソナ4、万丈龍我@仮面ライダービルド、戦場ヶ原ひたぎ@化物語、トワイス・H・ピースマン@Fate/EXTRA

 

予約も書き手も随時受付中!





作:
登場キャラ:


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書き手別SS

媒体別ロワの本編SSを書き手別にまとめました。
誤りなどありましたら、遠慮なくお申し付けください。


書き手別

伊勢村誠三(55)

000001003005007010012016020024

025027030032033036040043046049

050053056057060061-A061-B063065068

070072074075077079080082084085

086087088091092095096099100101

102103104105106

 

山田ちゃん(6)

002008017021054064

 

みみ(5)

004006009048-A048-B

 

沢城(2)

011013

 

御堂(3)

014018022

 

mosport(1)

015

 

パーフェクトノックアウト(11)

019023028031034035042044047062

094

 

ラング・ド・シャ (1)

026

 

決戦騎 ティアマット(1)

029

 

匿名

037

 

香風(2)

038039

 

ユッケジャン(9)

041051055059066071093097098

 

チェリい(3)

045067073

 

コードジョーカー(6)

052076-A076-B076-C078081

 

融混(1)

058

 

きゅーり(2)

069089

 

ナースァン(1)

083

 

ななななめたけ(1)

090

 

使用済み書き手枠(19)

131,岸辺露伴@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-(ななななめたけ1)

132,三浦優美子@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(伊勢村2)

133,戸塚彩加@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(パーフェクトノックアウト3)

134,ユージオ@ソードアート・オンライン(香風1)

135,ユウキ@ソードアート・オンライン(パーフェクトノックアウト2)

136,シノン@ソードアート・オンライン(伊勢村3)

137,サムライソード@チェンソーマン(ユッケジャン1)

138,血の悪魔@チェンソーマン(伊勢村4)

139,斎藤ケン@彼岸島(チェリい1)

140,西山徹@彼岸島(ユッケジャン2)

141,シュラ@アカメが斬る!(きゅーり)

143,岸谷新羅@デュラララ!!(みみ1)

144,園原杏里@デュラララ‼(伊勢村4)

145,ランサー@Fate/Zero(融混)

146,ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険(伊勢村1)

147,セイバー(ネロ・クラウディウス)@Fate/EXTRA(コードジョーカー1)

148,ムイミ@プリンセスコネクト!Re:DIVE(コードジョーカー2)

149,北岡秀一@仮面ライダー龍騎(ナースァン)

150,迅@仮面ライダーゼロワン(パーフェクトノックアウト1)



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キャラクター別追跡名簿

当然ながらネタバレ注意です。
最新話を読んでから読むことを強くお勧めします。


赤(小説)陣営

・The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

1、蓮見琢磨

第40話 We didn`t say "Please avenge us".

作:伊勢村誠三

第73話 広瀬康一は語らない

作:チェリい

 

2、大神照彦

第45話 幸福追求権

作:チェリい

 

3、東方仗助

第26話 絶望の中でも鈍く光る

作:ラング・ド・シャ

第82話 THE DU

作:伊勢村誠三

 

4、広瀬康一

第73話 広瀬康一は語らない

作:チェリい

 

 

 

・恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

5、パンナコッタ・フーゴ

第49話 確実奇跡 跡奇実確

作:伊勢村誠三

第63話 情熱の文筆家たち

作:伊勢村誠三

 

6、シーラE

第67話 Hey Ken, Where You Gonna Go?

作:チェリい

第70話 捨札-Discard-

作:伊勢村誠三

第105話 アナザー・オルタナティブ

作:伊勢村誠三

 

7、カンノーロ・ムーロロ

第20話 黄金王と笛吹き男

作:伊勢村誠三

 

8、マッシモ・ヴォルぺ

第24話 ワンダーワールド行き急行

作:伊勢村誠三

第102話 堕天使/悪魔降臨

作:伊勢村誠三

 

9、ビットリオ・カタルディ

第64話 狂乱登場

作:山田ちゃん

 

第103話 ワントラックマインド

作:伊勢村誠三

 

10、サーレー

第55話 裏切り者のラプソディ

作:ユッケジャン

 

11、マリオ・ズッケェロ

第5話 狂った星々のクインテット

作:伊勢村誠三

第48-B話 Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

作:みみ

第101話逆鱗-BLACK FIST-

作:伊勢村誠三

 

 

・やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

12、比企谷八幡

第7話 ひとりぼっちは語らない

作:伊勢村誠三

第85話 常識の破壊者たち

作:伊勢村誠三

 

13、雪ノ下雪乃

第0話 オープニング

作:伊勢村誠三

第16話 ゼロに向かう片道切符(カード)

作:伊勢村誠三

第35話 悪逆なるメタルの襲来

作:パーフェクトノックアウト

第42話 再起せよ!ドラゴンよ!

作:パーフェクトノックアウト

第44話 オレノナカニネムルTYRANT

作:パーフェクトノックアウト

第106話 進化に至るカケラ

作:伊勢村誠三

 

14、由比ヶ浜結衣

第1話 やはりタツミが往く奇妙な冒険はまちがっている(?)

作:伊勢村誠三

第46話 リビングデッド・フロントライン

作:伊勢村誠三

第100話 劇薬- psychedelic bad trip-

作:伊勢村誠三

 

 

・バトル・ロワイアル

15、桐山和雄

第27話 無の歌と海の男と侍と……

作:伊勢村誠三

第97話 譲れぬ思い、虚無と成り

作:ユッケジャン

第98話 それでも潰えぬ、勇気が一つ

作:ユッケジャン

 

16、七原秋也

第20話 黄金王と笛吹き男

作:伊勢村誠三

 

17、川田章吾

第68話 Re:ゼロカラオボレルバトロワセイカツ

作:伊勢村誠三

 

18、坂持金発

第12話 ありすアンタッチャブル

作:伊勢村誠三

 

19、三村信史

第60話 呉越同舟、でこぼこ連中!?

作:伊勢村誠三

第75話 考察、列車、チェンソー

作:伊勢村誠三

 

20、相馬光子

第43話 憤怒(wrath)の、種火が、メラメラ

作:伊勢村誠三

 

 

 

・ソードアート・オンライン

21、キリト

第5話 狂った星々のクインテット

作:伊勢村誠三

第48-B話 Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

作:みみ

第101話逆鱗-BLACK FIST-

作:伊勢村誠三

 

22、PoH

第35話 悪逆なるメタルの襲来

作:パーフェクトノックアウト

第42話 再起せよ!ドラゴンよ!

作:パーフェクトノックアウト

第44話 オレノナカニネムルTYRANT

作:パーフェクトノックアウト

 

23、ヒースクリフ

第80話 種の芽吹いた あとの世は

作:伊勢村誠三

 

 

 

・Fate/strange Fake

24、偽アーチャー

第20話 黄金王と笛吹き男

作:伊勢村誠三

 

25、偽ランサー

第73話 広瀬康一は語らない

作:チェリい

 

26、偽キャスター

第63話 情熱の文筆家たち

作:伊勢村誠三

 

27、偽アサシン

第53話 あなたは全てフィクションです。

作:伊勢村誠三

第93話 (偽)真物語

作:ユッケジャン

 

28、真アーチャー

第49話 確実奇跡 跡奇実確

作:伊勢村誠三

 

29、ティーネ・チェルク

第36話 波音のなるほうで

作:伊勢村誠三

 

30、ジェスター・カルトゥーレ

第73話 広瀬康一は語らない

作:チェリい

 

31、アヤカ・サジョウ

第63話 情熱の文筆家たち

作:伊勢村誠三

 

 

 

青(漫画)陣営

・アカメが斬る!

32、アカメ

第10話 兄の願い/姉の務め

作:伊勢村誠三

 

33、タツミ

第1話 やはりタツミが往く奇妙な冒険はまちがっている(?)

作:伊勢村誠三

第46話 リビングデッド・フロントライン

作:伊勢村誠三

第100話 劇薬- psychedelic bad trip-

作:伊勢村誠三

 

34、マイン

第30話 ソレゾレの戦い方

作:伊勢村誠三

第70話 捨札-Discard-

作:伊勢村誠三

第105話 アナザー・オルタナティブ

作:伊勢村誠三

 

35、エスデス

第34話 水と薔薇と猛虎の怪物

作:パーフェクトノックアウト

第92話 クラチカットの悪魔

作:伊勢村誠三

第102話 堕天使/悪魔降臨

作:伊勢村誠三

 

36、ウェイブ

第27話 無の歌と海の男と侍と……

作:伊勢村誠三

第97話 譲れぬ思い、虚無と成り

作:ユッケジャン

第98話 それでも潰えぬ、勇気が一つ

作:ユッケジャン

 

37、クロメ

第28話 咲いた、咲いた、malice《悪意》の華が

作:パーフェクトノックアウト

第42話 憤怒(wrath)の、種火が、メラメラ

作:伊勢村誠三

 

 

 

・ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

38、ジョニィ・ジョースター

第65話 ただすれ違うのみ

作:伊勢村誠三

 

第103話 ワントラックマインド

作:伊勢村誠三

 

39、ジャイロ・ツェペリ

第58話 死は明日への希望なり?

作:融混

 

40、ファニー・ヴァレンタイン

第15話 五等分の■■

作:mosport

第33話 泥船どんぶらこ

作:伊勢村誠三

第88話 上段者たちの考察

作:伊勢村誠三

 

41、世界ディエゴ

第60話 呉越同舟、でこぼこ連中!?

作:伊勢村誠三

第75話 考察、列車、チェンソー

作:伊勢村誠三

 

42、アクセルRO

第55話 裏切り者のラプソディ

作:ユッケジャン

 

43、ブラックモア

第66話 ジシンにカける精神論

作:ユッケジャン

 

 

 

・ドラゴンボール

44、孫悟空

第90話 危険な漫画家現る!? 孫悟空と岸辺露伴の出会い!!

 

45、孫悟飯

第54話 Shining Star

 

46、ベジータ

第37話 プライド・トルーパーズ

作:匿名

 

47、ピッコロ

第78話 真理を見極める眼を

作:コードジョーカー

 

48、ヤムチャ

第66話 ジシンにカける精神論

作:ユッケジャン

 

 

 

チェンソーマン

49、デンジ

第75話 考察、列車、チェンソー

作:伊勢村誠三

 

50、レゼ

第92話 クラチカットの悪魔

作:伊勢村誠三

第102話 堕天使/悪魔降臨

作:伊勢村誠三

 

51、銃の魔人

第17話 死滅遊戯

作:山田ちゃん

第79話 蛇の道で■■を食む

加筆版

作:伊勢村誠三

 

 

 

・彼岸島

52、宮本明

第71話 帰り道

作:ユッケジャン

 

53、宮本篤

第57話 消滅/再生

作:伊勢村誠三

 

54、雅

第18話 闇のなかで

作:御堂

第48-A話 TOP OF THE WORLD―Let's get it started now―

作:みみ

第48-B話 Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

作:みみ

第82話 THE DU

作:伊勢村誠三

 

 

 

黄(アニメ)陣営

・空の境界

55、両儀式

第4話 殺人鬼ふたり

作:みみ

第74話 レイゾンデイト・カアスドステエジ

作:伊勢村誠三

 

56、黒桐幹也

第76-A話 血染めのK/破滅招来体

作:コードジョーカー

第76-B話 血染めのK/覚悟の炎

作:コードジョーカー

第76-C話 血染めのK/消滅までのカウントダウン

作:コードジョーカー

 

57、蒼崎橙子

第84話 白いパズルは組み合わない

作:伊勢村誠三

 

58、臙条巴

第6話 境界線-生と死/本物と偽物-

作:みみ

第80話 種の芽吹いた あとの世は

作:伊勢村誠三

 

59、浅上藤乃

第36話 波音のなるほうで

作:伊勢村誠三

第76-A話 血染めのK/破滅招来体

作:コードジョーカー

第76-B話 血染めのK/覚悟の炎

作:コードジョーカー

第76-C話 血染めのK/消滅までのカウントダウン

作:コードジョーカー

 

60、荒耶宗蓮

第65話 ただすれ違うのみ

作:伊勢村誠三

 

61、コルネリウス・アルバ

第30話 ソレゾレの戦い方

作:伊勢村誠三

 

 

 

化物語

62、阿良々木暦

第62話 お空は爽快、ダウンフォールするかい?

作:パーフェクトノックアウト

第77話 墨汁一滴

作:伊勢村誠三

第96話 不信/腐心/不振

作:伊勢村誠三

 

 

63、戦場ヶ原ひたぎ

第89話 変物語(カワリモノガタリ)/ひたぎエンプレス

第106話 進化に至るカケラ

作:伊勢村誠三

 

64、神原駿河

第45話 幸福追求権

作:チェリい

 

65、八九寺真宵

第2話 ■■■ロスト/まよいマイマイ/???アンガー

作:山田ちゃん

第82話 THE DU

作:伊勢村誠三

 

 

 

・デュラララ!!

66、セルティ・ストゥルルソン

第11話 最後に残った、だった一つの願い

作:沢城

第25話 黒い四人は交わさない

作:伊勢村誠三

 

67、平和島静雄

第61話A S.O.S 前編

作:伊勢村誠三

第61話B S.O.S 後編

作:伊勢村誠三

 

68、折原臨也

第14話 GAME START

作:御堂

第68話 Re:ゼロカラオボレルバトロワセイカツ

作:伊勢村誠三

 

 

 

・Fate/Zero

69、セイバー

第5話 狂った星々のクインテット

作:伊勢村誠三

第68話 Re:ゼロカラオボレルバトロワセイカツ

作:伊勢村誠三

 

70、衛宮切嗣

第20話 黄金王と笛吹き男

作:伊勢村誠三

 

71、ケイネス・エルメロイ

第37話 プライド・トルーパーズ

作:匿名

 

 

72、バーサーカー

第11話 最後に残った、だった一つの願い

作:沢城

バーサーカー@Fate/Zero、

第25話 黒い四人は交わさない

作:伊勢村誠三

第81話 ENCOUNT〜出会い頭にカルパッチョ〜

作:コードジョーカー

 

 

・ジョジョの奇妙な冒険

73、カーズ

第13話 闇を欺いて、刹那をかわして

作:沢城

第49話 確実奇跡 跡奇実確

作:伊勢村誠三

第74話 レイゾンデイト・カアスドステエジ

作:伊勢村誠三

 

74、空条承太郎(三部)

第36話 波音のなるほうで

作:伊勢村誠三

第76-A話 血染めのK/破滅招来体

作:コードジョーカー

第76-B話 血染めのK/覚悟の炎

作:コードジョーカー

第76-C話 血染めのK/消滅までのカウントダウン

作:コードジョーカー

 

75、ジャン=ピエール・ポルナレフ

第6話 境界線-生と死/本物と偽物-

作:みみ

第80話 種の芽吹いた あとの世は

作:伊勢村誠三

 

76、花京院典明

第7話 ひとりぼっちは語らない

作:伊勢村誠三

第9話 探求/終末/運命

作:みみ

第95話 どうせ運命を外れたのなら

作:伊勢村誠三

 

77、DIO

第8話 そして時は動き出す

作:・山田ちゃん

第49話 確実奇跡 跡奇実確

作:伊勢村誠三

第88話 上段者たちの考察

作:伊勢村誠三

 

78ディアボロ

第18話 闇のなかで

作:御堂

第48-A話 TOP OF THE WORLD―Let's get it started now―

作:みみ

第48-B話 Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

作:みみ

 

 

 

緑(ゲーム)陣営

・SINoALICE

79、スノウホワイト

第3話 正義を為す者、聖剣を執る。

作:伊勢村誠三

第21話 猛る正義は、我が為に-衝動篇-

作:山田ちゃん

 

80、ドロシー

第9話 探求/終末/運命

作:みみ

第42話 再起せよ!ドラゴンよ!

作:パーフェクトノックアウト

第44話 オレノナカニネムルTYRANT

作:パーフェクトノックアウト

第94話 トランスセクシュアルトシンドローム

作:パーフェクトノックアウト

 

81、アリス

第12話 ありすアンタッチャブル

作:伊勢村誠三

第22話 戦わなければ生き残れない!

作:御堂

第33話 泥船どんぶらこ

作:伊勢村誠三

Got To Keep It Real─本物を守る為なら─

作:伊勢村誠三

 

82、シンデレラ

第48-B話 Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

作:みみ

 

83、ハーメルン

第20話 黄金王と笛吹き男

作:伊勢村誠三

 

84、ピノキオ

第51話 依存の【忠】剣

作:ユッケジャン

 

 

 

・プリンセスコネクト!Re:DIVE

85、主人公

第27話 無の歌と海の男と侍と……

作:伊勢村誠三

第97話 譲れぬ思い、虚無と成り

作:ユッケジャン

第98話 それでも潰えぬ、勇気が一つ

作:ユッケジャン

第98話 それでも潰えぬ、勇気が一つ

作:ユッケジャン

 

86、ペコリーヌ

第5話 狂った星々のクインテット

作:伊勢村誠三

第68話 Re:ゼロカラオボレルバトロワセイカツ

作:伊勢村誠三

 

87、コッコロ

第32話 後ろのFEAR(恐怖)、なぁに?

作:伊勢村誠三

Got To Keep It Real─本物を守る為なら─

作:伊勢村誠三

 

88、キャル

第7話 ひとりぼっちは語らない

作:伊勢村誠三

第77話 墨汁一滴

作:伊勢村誠三

第96話 不信/腐心/不振

作:伊勢村誠三

 

89、ラビリスタ

第57話 消滅/再生

作:伊勢村誠三

第102話 堕天使/悪魔降臨

作:伊勢村誠三

 

90、覇瞳皇帝

第29話 殺人考察―murder speculation―

作:決戦騎 ティアマット

第70話 捨札-Discard-

作:伊勢村誠三

第105話 アナザー・オルタナティブ

作:伊勢村誠三

 

91、シェフィ

第24話 ワンダーワールド行き急行

作:伊勢村誠三

第72話 バトロワの車窓から ~狼二頭と氷竜編~

作:伊勢村誠三

第84話 白いパズルは組み合わない

作:伊勢村誠三

第105話 アナザー・オルタナティブ

作:伊勢村誠三

 

92、ゼーン

第50話 願イヲ喰ライ合ウハ我ラナリ

作:伊勢村誠三

第86話 黒い残光

作:伊勢村誠三

 

 

 

・ペルソナ4

93、主人公

第2話 ■■■ロスト/まよいマイマイ/???アンガー

作:山田ちゃん

第41話 日向を行け、日陰を行け

作:ユッケジャン

 

94、花村陽介

第31話 熱血バカ=プロテイン+ルサンチマン

作:パーフェクトノックアウト

第35話 悪逆なるメタルの襲来

作:パーフェクトノックアウト

第42話 再起せよ!ドラゴンよ!

作:パーフェクトノックアウト

第44話 オレノナカニネムルTYRANT

作:パーフェクトノックアウト

第106話 進化に至るカケラ

作:伊勢村誠三

 

95、白鐘直人

第45話 幸福追求権

作:チェリい

 

96、マリー

第61話A S.O.S 前編

作:伊勢村誠三

第61話B S.O.S 後編

作:伊勢村誠三

 

97、足立透

第2話 ■■■ロスト/まよいマイマイ/???アンガー

作:山田ちゃん

第82話 THE DU

作:伊勢村誠三

 

 

・龍が如く維新!

98、坂本龍馬

第43話 憤怒(wrath)の、種火が、メラメラ

作:伊勢村誠三

第64話 狂乱登場

作:山田ちゃん

 

第103話 ワントラックマインド

作:伊勢村誠三

 

99、武市半平太

第46話 リビングデッド・フロントライン

作:伊勢村誠三

第104話 佞臣

作:伊勢村誠三

 

100、岡田以蔵

第21話 猛る正義は、我が為に-衝動篇-

作:山田ちゃん

 

101、沖田総司

第40話 We didn`t say "Please avenge us".

作:伊勢村誠三

 

102、土方歳三

第27話 無の歌と海の男と侍と……

作:伊勢村誠三

第97話 譲れぬ思い、虚無と成り

作:ユッケジャン

 

 

 

・Fate/EXTRA

103、無銘

第57話 消滅/再生

作:伊勢村誠三

 

104、間桐シンジ

第34話 水と薔薇と猛虎の怪物

作:パーフェクトノックアウト

 

105、ありす

第12話 ありすアンタッチャブル

作:伊勢村誠三

 

106、バーサーカー(アルクエイド)

第68話 Re:ゼロカラオボレルバトロワセイカツ

作:伊勢村誠三

 

 

 

桃(実写作品)陣営

・仮面ライダー龍騎

107、城戸真司

第39話 バカとヒューマギア

作:香風

 

108、秋山蓮

第11話 最後に残った、だった一つの願い

作:沢城

第25話 黒い四人は交わさない

作:伊勢村誠三

 

109、鏡像の城戸真司

第50話 願イヲ喰ライ合ウハ我ラナリ

作:伊勢村誠三

第86話 黒い残光

作:伊勢村誠三

 

110、浅倉威

第4話 殺人鬼ふたり

作:みみ

第74話 レイゾンデイト・カアスドステエジ

作:伊勢村誠三

 

 

 

・仮面ライダービルド

111、桐生戦兎

第33話 泥船どんぶらこ

作:伊勢村誠三

Got To Keep It Real─本物を守る為なら─

作:伊勢村誠三

 

112、万丈龍我

第0話 オープニング

作:伊勢村誠三

第31話 熱血バカ=プロテイン+ルサンチマン

作:パーフェクトノックアウト

第35話 悪逆なるメタルの襲来

作:パーフェクトノックアウト

第42話 再起せよ!ドラゴンよ!

作:パーフェクトノックアウト

第44話 オレノナカニネムルTYRANT

作:パーフェクトノックアウト

第106話 進化に至るカケラ

作:伊勢村誠三

 

113、鷲尾風

第10話 兄の願い/姉の務め

作:伊勢村誠三

 

114、鷲尾雷

第43話 憤怒(wrath)の、種火が、メラメラ

作:伊勢村誠三

第64話 狂乱登場

作:山田ちゃん

 

第103話 ワントラックマインド

作:伊勢村誠三

 

115、エボルト

第17話 死滅遊戯

作:山田ちゃん

第79話 蛇の道で■■を食む

加筆版

作:伊勢村誠三

 

 

 

・仮面ライダージオウ

116、常磐ソウゴ(A)

第59話 20■■:フェイト、リセット

作:ユッケジャン

第86話 黒い残光

作:伊勢村誠三

 

117、常磐ソウゴ(E)

第46話 リビングデッド・フロントライン

作:伊勢村誠三

 

118、ウォズ

第47話 祝え!新たな聖剣使いの誕生を!

作:パーフェクトノックアウト

第104話 佞臣

作:伊勢村誠三

 

119、門矢士

第38話 RESISTER -世界の破壊者は青薔薇の剣士と旅を再会する-

作:香風

第85話 常識の破壊者たち

作:伊勢村誠三

 

120、木村

第22話 戦わなければ生き残れない!

作:御堂

第33話 泥船どんぶらこ

作:伊勢村誠三

Got To Keep It Real─本物を守る為なら─

作:伊勢村誠三

 

 

 

・仮面ライダーゼロワン

121,飛電或人

第30話 ソレゾレの戦い方

作:伊勢村誠三

第77話 墨汁一滴

作:伊勢村誠三

 

122,不破諫

第24話 ワンダーワールド行き急行

作:伊勢村誠三

第72話 バトロワの車窓から ~狼二頭と氷竜編~

作:伊勢村誠三

第84話 白いパズルは組み合わない

作:伊勢村誠三

第105話 アナザー・オルタナティブ

作:伊勢村誠三

 

123,滅

第33話 泥船どんぶらこ

作:伊勢村誠三

 

124,雷

第41話 日向を行け、日陰を行け

作:ユッケジャン

 

 

 

・仮面ライダーセイバー

125,神山飛羽真

第36話 波音のなるほうで

作:伊勢村誠三

第63話 情熱の文筆家たち

作:伊勢村誠三

 

126,新堂倫太郎

第5話 狂った星々のクインテット

作:伊勢村誠三

 

127,富加宮賢人

第3話 正義を為す者、聖剣を執る。

作:伊勢村誠三

第61話A S.O.S 前編

作:伊勢村誠三

第61話B S.O.S 後編

作:伊勢村誠三

 

128,デザスト

第23話 戦場(いくさば)の薫り、風と共に

作:パーフェクトノックアウト

第74話 レイゾンデイト・カアスドステエジ

作:伊勢村誠三

 

129,ストリウス

第9話 探求/終末/運命

作:みみ

第95話 どうせ運命を外れたのなら

作:伊勢村誠三

 

130,マスターロゴス

第25話 黒い四人は交わさない

作:伊勢村誠三

第48-A話 TOP OF THE WORLD―Let's get it started now―

作:みみ

第48-B話 Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

作:みみ

第82話 THE DU

作:伊勢村誠三

 

 

 

・書き手枠

131、岸辺露伴@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

第90話 危険な漫画家現る!? 孫悟空と岸辺露伴の出会い!!

 

132、三浦優美子@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

第60話 呉越同舟、でこぼこ連中!?

作:伊勢村誠三

第75話 考察、列車、チェンソー

作:伊勢村誠三

 

133、戸塚彩加@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

第94話 トランスセクシュアルトシンドローム

作:パーフェクトノックアウト

 

134、ユージオ@ソードアート・オンライン

第38話 RESISTER -世界の破壊者は青薔薇の剣士と旅を再会する-

作:香風

第85話 常識の破壊者たち

作:伊勢村誠三

 

135、ユウキ@ソードアート・オンライン

第62話 お空は爽快、ダウンフォールするかい?

作:パーフェクトノックアウト

第77話 墨汁一滴

作:伊勢村誠三

第96話 不信/腐心/不振

作:伊勢村誠三

 

136、シノン@ソードアート・オンライン

第84話 白いパズルは組み合わない

作:伊勢村誠三

第105話 アナザー・オルタナティブ

作:伊勢村誠三

 

137、サムライソード@チェンソーマン

第55話 裏切り者のラプソディ

作:ユッケジャン

 

138、血の悪魔@チェンソーマン

第95話 どうせ運命を外れたのなら

作:伊勢村誠三

 

139、斎藤ケン@彼岸島

第67話 Hey Ken, Where You Gonna Go?

作:チェリい

第70話 捨札-Discard-

作:伊勢村誠三

第105話 アナザー・オルタナティブ

作:伊勢村誠三

 

140、西山徹@彼岸島

第71話 帰り道

作:ユッケジャン

 

141、シュラ@アカメが斬る!

第69話 目には目を歯には歯を悪には悪魔的な契約を

作:きゅーり

第104話 佞臣

作:伊勢村誠三

 

142、貝木泥舟@化物語

第93話 (偽)真物語

 

143、岸谷新羅@デュラララ!!

第48-A話 TOP OF THE WORLD―Let's get it started now―

作:みみ

第48-B話 Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

作:みみ

 

144、園原杏里@デュラララ!!

第96話 不信/腐心/不振

作:伊勢村誠三

 

145、ランサー@Fate/Zero

第58話 死は明日への希望なり?

作:融混

第104話 佞臣

作:伊勢村誠三

 

146、ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険

第1話 やはりタツミが往く奇妙な冒険はまちがっている(?)

作:伊勢村誠三

第46話 リビングデッド・フロントライン

作:伊勢村誠三

第100話 劇薬- psychedelic bad trip-

作:伊勢村誠三

 

147、セイバー(ネロ・クラウディウス)@Fate/EXTRA

第52話 開演!光あふれる劇場

作:コードジョーカー

 

148、ムイミ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

第81話 ENCOUNT〜出会い頭にカルパッチョ〜

作:コードジョーカー

 

149、北岡秀一@仮面ライダー龍騎

第83話 リスタートする逆転

作:ナースァン

 

150、迅@仮面ライダーゼロワン

第19話 Liberator of the Trinity.

作:パーフェクトノックアウト

第39話 バカとヒューマギア

作:香風

 

 

 

・主催側

司会進行、アズ@仮面ライダーゼロワン

第0話 オープニング

作:伊勢村誠三

第7話 ひとりぼっちは語らない

作:伊勢村誠三

第56話 Behind The Black Curtain

作:伊勢村誠三

第68話 Re:ゼロカラオボレルバトロワセイカツ

作:伊勢村誠三

第99話 第一回放送

作:伊勢村誠三

登場キャラ:アズ@仮面ライダーゼロワン

 

技術提供、宮本輝之輔@ジョジョの奇妙な冒険

第0話 オープニング

作:伊勢村誠三

第56話 Behind The Black Curtain

作:伊勢村誠三

 

制限設定、トワイス・H・ピースマン@Fate/EXTRA

第56話 Behind The Black Curtain

作:伊勢村誠三

第106話 進化に至るカケラ

作:伊勢村誠三

 

 

見せしめ、佐藤太郎@仮面ライダービルド

第0話 オープニング

作:伊勢村誠三




抜けなど有りましたら遠慮なくお申し付けください。


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番外編
第一回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ


注意!このエピソードは番外編です。
ありすアンタッチャブルを閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「記念すべき第一回のゲストはこの方!

小説作品、バトルロワイヤルより!軽薄なる『プログラム』の進行役!

三児の子持ち実行監督!坂持金発さんです!どーぞー!」

 

坂持「はいはいはい、こんにちはー。坂持ですー。」

 

佐藤「今回はどうぞよろしくっしょー!」

 

坂持「はいよろしくー。」

 

佐藤「それじゃあまずは坂持さんの基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:坂持金発

陣営:赤(小説)

初登場:ありすアンタッチャブル

最終登場:ありすアンタッチャブル

登場話数:1話

スタンス:???(恐らくマーダー)

最初の支給品:基本支給品一式、ランダム支給品0~3

関連支給品:今のところ無し

下手人:ありす@Fate/EXTRA

凶器:インペラーのデッキ@仮面ライダー龍騎

   正確にはデッキによって使役した羚羊型モンスター

死因:捕食

他キャラとの接触:アリス@SINoALICE、ありす@Fate/EXTRA

原作で接触済みのキャラ:桐山和雄@バトル・ロワイアル、七原秋也@バトル・ロワイアル

川田章吾@バトル・ロワイアル、三村信史@バトル・ロワイアル、相馬光子@バトル・ロワイアル

 

坂持「何回見ても酷いなー。

殺されるために出されたようなもんだしー。」

 

佐藤「ま、原作は666ページもあるのに出番100ページに満たないし、

漫画版や実写映画だと、全然違うキャラがそのポジついてるし、

キャラが分かるような描写も少ないからしゃーないっしょ。」

 

坂持「それでも子持ちとか、教育長にゴマすってるとか、

栄光の大東亜共和国に忠誠を誓ってるとか、結構設定細かいと思うけどなー。

天使たちの国境の方じゃ一応ちゃんんとでてたしー。」

 

佐藤「それに何と言っても!このパロロワでは必ず居ると言っても過言じゃない『司会者』の原型になったキャラ!今回参加者側になってどうっした?」

 

坂持「命乞いの時にルールとかどうとか正論みたいな事言われて最悪でしたー。」

 

佐藤「いやいや!原作で最低限のルールがどうとか言ってたのは坂持センセじゃないっすかぁ!」

 

坂持「え?」

 

佐藤「ん?俺なんか変なこと言ったっすか?」

 

坂持「い、いやー。別にー(こいつ、馬鹿そうな見えてまさか原作読んでる!?)」

 

佐藤「んで!他になんかありました?最悪なこと。」

 

坂持「あ、ああ。あとはあの怪物どもに運ばれた先で食われた事かなー。

あのお嬢ちゃんにそんなつもりなかったかもしれないけど、完全に見せしめじゃーん。」

 

佐藤「いやいや!親同然の人を婦女暴行したの自慢げに語って切れさせた相手殺して見せしめにした坂持センセの自業自得っしょー!

それに専守防衛隊じゃらじゃら引き連れ威圧感出してたのも原作ではセンセじゃないっすか!」

 

坂持「は、はぁ!?」

 

佐藤「あれ?俺また変なこと言っちゃったすか?」

 

坂持「い、いや…全くー。」

 

佐藤「そっすか!それじゃあ現在まだ生きてる他キャラについて一言ずつお願いして良いっすか!?」

 

坂持「はいはいはい。それじゃあまずありすお嬢ちゃんからね。

なるべく無惨に死んでくれー。先生の痛みの半分でも味わってから死ぬんだよー。」

 

佐藤「はっはっはっ!すっげー自分勝手なコメントっすね!

シノアリスのアリスちゃんには?」

 

坂持「んー、正直、あの時意識が朦朧としててー、

ここに来てから接触してたの知ったぐらいなんだけど、

ま、がんばりなー。

できれば仇もとってくれるとうれしいぞー。」

 

佐藤「最後に愛すべき生徒たちに一言づつ!」

 

坂持「桐山ー、お前には2万かけてるんだから頼むぞー。

七原ー、精々今回はかわい子ちゃんと離れないようになー。

川田ー、前回優勝者の活躍、期待してるぞー。

三村ー、ご自慢のバスケがあんな化け物共に通じると良いなー。

相馬ー、誑し込むにしたって会話出来る奴とそうじゃない奴はちゃんと区別してやれよー。」

 

佐藤「うし!じゃあ時間もいい感じなんでこんなところっすかね?

媒体別ロワイヤル番外編、第一回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎と、

三児の子持ち実行監督!坂持金発さんでしたー!」

 

坂持「ま、またねー。」



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第二回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ

注意!このエピソードは番外編です。
黄金王と笛吹き男を閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「さあて!第二回のゲストはこの方!

ゲーム作品、SINoALICEより!耽美なる魅惑の笛吹き男!

醜悪へ下す必罰!ハーメルンさんです!どーぞー!」

 

ハーメルン「どうも皆さま、こんにちは。

ご紹介に預かりました、ハーメルンです。」

 

佐藤「今回はどうぞよろしくっしょー!」

 

ハーメルン「ええ、よろしくお願いします。顔立ち以外美しくない方。」

 

佐藤「うっわー手厳しー!

そんなハーメルンさんの基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:ハーメルン

陣営:緑(ゲーム)

初登場:黄金王と笛吹き男

最終登場:黄金王と笛吹き男

登場話数:1話

スタンス:???(恐らくマーダー)

最初の支給品:基本支給品一式、軍楽夢想スクリーム@アカメが斬る!、ランダム支給品0~2

関連支給品:今のところ無し

下手人:偽アーチャー@Fate/strange Fake

凶器:臣具トリシュラ@アカメが斬る!

死因:斬殺

他キャラとの接触:偽アーチャー@Fate/strange Fake

原作で接触済みのキャラ:ドロシー@SINoALICE,スノウホワイト@SINoALICE,アリス@SINoALICE,シンデレラ@SINoALICE,ピノキオ@SINoALICE

 

ハーメルン「あんなに醜い会場内で、他に美しい物に出会えたなら、

それはそれは映えたでしょう。かの黄金の王だけで不満、などとは決して言いませんが、

それでも欲を言えば、もっと見たかったというのが本音です。」

 

佐藤「原作で特に関わりのあったマッチ売りちゃんとか、アリスちゃんといかとは会えてないしね。」

 

ハーメルン「まあ、欲をかきすぎても、二つのスツールの間に落ちてしまうというもの。

実際あの黄金の王を最も時価で見たいと思い、近付きすぎた結果があの様です。」

 

佐藤「じゃあ、偽アーチャー様以外と会ってたら、どうだったと思うっしょ?」

 

ハーメルン「そうですね…。エボルトやマスターロゴスの様な美しくない者に出会った場合は、その場で殺し合っていたでしょうし、それ以外の美しい方と出会っていれば、その美しい部分を頂こうと、戦闘になっていたでしょうね。もちろん、自分のスペックや残存体力なども考慮したでしょうが。」

 

佐藤「流石SINoALICE出典の参加者さんっしょ!マーダー決まっちゃってるぅ―!」

 

ハーメルン「それから…もし最終的に緑陣営が最後に残った場合、

そこに私がいたなら、他の残る参加者が、願いを叶えるに足る美しい内面の持ち主か、

それを確認しようとしたかもしれませんね。」

 

佐藤「うわー。全部終わったと思ったら同陣営で潰し合いとか、マジKYっしょ。」

 

ハーメルン「美しいか、醜いか。それこそが最も重要ですので。」

 

佐藤「じゃあ、配られた支給品についてはどうっすか?帝具スクリーム。」

 

坂持「あの笛ですか?シンプルなデザインながら、丈夫で良い音の出る良い楽器でしたよ?

まあ、あれを打撃武器として振り回したり、自身の肉体強化に使って筋肉モリモリになるのは、醜いと思いましたが。」

 

佐藤「んー、美意識ってなんかむずいっすね。」

 

ハーメルン「音楽性の違いにも似た者です。相いれないとあきらめてください。」

 

佐藤「あー、なるほど。」

 

ハーメルン「もう聞くことなど有りませんか?

でしたらそろそろエステに向かいたいのですが…」

 

佐藤「そっすか!それじゃあ最後に、現在まだ生きてる他キャラについて一言ずつお願いして良いっすか!?」

 

ハーメルン「いいでしょう。まずは黄金の王よ。

美しき貴方、どうか貴方を最も輝かせるものと出会えますように。」

 

佐藤「自分殺した相手にそんなこと言えるなんてスゲー…。

シノアリスの皆さんには?」

 

ハーメルン「アリスさん、どうかくだらない雑念に囚われて堕ちないように。

スノウホワイトさん、何やら早速盗人まがいの醜い行為に走ったそうですね。

今からでも美しい行動を心がけてください。

ドロシーさん、あなたが多くの美しい物をサンプルと称して、醜い姿に変えないように祈っていますよ。

シンデレラさん、あなたの醜い性根のお陰で窮地に立たないように精々頑張ってください。

ピノキオさん、依存するにしても、あの黄金の王のような方はやめておきなさい。

断言しましょう。杖の無い場合、死ぬのは間違いなくあなたです。」

 

佐藤「はは、めっちゃ厳しいっすねー。

じゃ、時間もいい感じなんで、今日はここまで、っすかね。

媒体別ロワイヤル番外編、第二回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎と、

醜悪へ下す必罰!ハーメルンでしたー!」

 

ハーメルン「またいつか、どこかでお会いいたしましょう。」



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第三回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ

注意!このエピソードは番外編です。
水と薔薇と猛虎の怪物を閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「さあて!第三回のゲストはこの方!

ゲーム作品、Fate/EXTRAより!アジア圏ゲームチャンピオン!

有能な方のワカメ!間桐シンジさんです!どーぞー!」

 

シンジ「誰がワカメだ!て、言うか、有能な方も何も間桐シンジは僕だけだ!」

 

佐藤「今回はどうぞよろしくっしょー!」

 

シンジ「スルーするな!はぁ…いきなりあんなサーヴァント女に見つかるし、おっかないエネミーに食い殺されるし、挙句の果てに死んだと思ったらお前みたいな変なの相手とか…世の中クソだな」

 

佐藤「いやそれ足立さんの台詞っしょー!

そんなシンジさんの基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:間桐シンジ

陣営:緑(ゲーム)

初登場:水と薔薇と猛虎の怪物

最終登場:水と薔薇と猛虎の怪物

登場話数:1話

スタンス:???

最初の支給品:基本支給品一式、水龍憑依ブラックマリン@アカメが斬る!、王水@現実

関連支給品:今のところ無し

下手人:エスデス@アカメが斬る!

凶器:タイガのデッキ@仮面ライダー龍騎

   正確にはデッキによって使役したデストワイルダー

死因:捕食

他キャラとの接触:エスデス@アカメが斬る!

原作で接触済みのキャラ:無銘@Fate/EXTRA

 

シンジ「なんだってあんな広い会場で最初に出会う奴が、他陣営のマーダーなんだよ…」

 

佐藤「まあでも、原作で関わり有った無銘さんにあえても正直、どうだったか分かんないっしょ?

原作だと敵だったし。VRロワとかだといいコンビだったけど」

 

シンジ「コンビ?僕が岸波のサーヴァントと?」

 

佐藤「そそ!あ、あとコンビと言えば、企画主の伊勢村さんから伝言預かってるっしょ」

 

伊勢村『シンジへ。もし俺がお前を予約してたら、城戸真司と合わせてWシンジとか、ゲーマー繋がりでキリトあたりと絡ませて、安楽椅子探偵みたいなポジにするのもありかな?とか思ってたけど、それ以上に書きたいキャラ多くてかけなかったよ。ごめんね?』

 

シンジ「いやふざけんな!お前企画主だろ!

やろうと思えばペース見てそのエピソード入れれただろ!

僕が生きてる未来あったんじゃないかぁ~!」

 

佐藤「ハハ、出番数行で始末された俺よかいいっしょ?」

 

シンジ「いや、そもそも参加すら出来てないお前と比べるなよ…」

 

佐藤「まー、そっすけど。あ、支給品についてはどうっしたか?」

 

シンジ「いい礼装に、その切り札になる特殊な液体。

冷遇されてたとは思わないかな?

けど、あんなに強い上に武器までそろってる奴相手には分が悪すぎたよ」

 

佐藤「じゃあ、もし無銘さんと会えてたらどうだったと思うっすか?」

 

シンジ「そうだなー、同じ陣営だし、仮契約で味方にでも付けたかな?」

 

佐藤「ふーん。でもそれだとさっき言ったVRロワの二番煎じっしょ?」

 

シンジ「まあ、そうなんだよなぁ。関わり合った岸波や遠坂は参加してないし。

ホラ僕、一回戦敗退じゃん…今回に至っては第一回放送さえ迎えられなかったし」

 

佐藤「これ、ハンカチ」

 

シンジ「普通に憐れむな!」

 

佐藤「それじゃあ最後に、現在まだ生きてる他キャラについて一言ずつお願いして良いっすか!?」

 

シンジ「エスデス、、だったか?精々岸波のサーヴァントには気を付けるんだな。

マスター無しでも、この僕を倒したほどの奴だ。なめてかかると足元掬われるよ?」

 

佐藤「実感籠ってるっすねー。そんな、無銘さんにはなんかあるっすか?」

 

シンジ「岸波のサーヴァント?特にないよ。

一度は僕に勝ってるんだ。そんなに心配する事も無いね」

 

佐藤「岸波ちゃんとはいい友達だったんすね。

じゃ、時間もいい感じなんで、今日はここまで、っすかね。

媒体別ロワイヤル番外編、第三回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎と、

有能な方のワカメ!間桐シンジでしたー!」

 

シンジ「じゃあな。精々長生きしろよ?」



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第四回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ

注意!このエピソードは番外編です。
日向を行け、日陰を行けを閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「さあて!第三回のゲストはこの方!

実写作品、仮面ライダーゼロワンより!

カミナリ叩き落としてやる!終わりを呼び出す赤き雷雨!雷さんです!どーぞー!」

 

雷「よう皆!飛電インテリジェンスの宇宙野郎雷電にして、滅亡迅雷.netの雷だ。今日はよろしく頼むぜ」

 

佐藤「こちらこそどうぞよろしくっしょー!」

 

雷「やー、にしても一話退場か。

作者のユッケジャンの力筆あって、序盤の名場面に上げられるぐらいには暴れられたが、欲を言えば似たような境遇の鷲尾風やアカメ、あとポルナレフやユウキ辺りとも会ってみたかったな」

 

佐藤「んー、こうしてみると意外と兄貴キャラおおいっすね。

そんな中でも指折りの雷さんの基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:雷(宇宙野郎雷電)

陣営:桃(実写作品)

初登場:日向を行け、日陰を行け

最終登場:日向を行け、日陰を行け

登場話数:1話

スタンス:対主催者

最初の支給品:基本支給品一式、滅亡迅雷フォースライザー@仮面ライダーゼロワン、ドードーゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン、ランダム支給品×0~2

関連支給品:滅亡迅雷フォースライザー@仮面ライダーゼロワン、滅亡迅雷ドライバー@仮面ライダーゼロワン

下手人:鳴上悠@ペルソナ4

凶器:アナザーカブトライドウォッチ@仮面ライダージオウ

   正確にはウォッチによって変身したアナザーカブトによるライダーキック

死因:下半身欠損、その他機能不全

他キャラとの接触:鳴上悠@ペルソナ4

原作で接触済みのキャラ:飛電或人@仮面ライダーゼロワン、不破諫@仮面ライダーゼロワン、滅@仮面ライダーゼロワン、迅@仮面ライダーゼロワン、アズ@仮面ライダーゼロワン、アーク@仮面ライダーゼロワン

 

雷「迅の奴無事だったのか!」

 

佐藤「書き手枠は名簿になかったから、オープニングで気付けなかったらわかんないっすよね。

あ、あと亡さんも不破って人の頭のチップに入ってるっすよ?」

 

雷「本当か!?そうか…二人とも無事だったか」

 

佐藤「ただヒューマギア素体にデータキーの支給は禁止だから、多分雷さんの出番もうないっすけど…」

 

雷「いいんだよ、あいつ等が無事なら。昴の事が気がかりでは有るが、あいつらが生き残ってくれるなら、安心して任せられる」

 

佐藤「へー、俺がツナ義ーズにしてるのと同じぐらい信頼してるっすね。

あ、支給品についてはどうっしたか?」

 

雷「まあ、フォースライザーにドードーキーは俺のとこ来るよな。

他は確認する間も無かったから、まだ何ともだな。

発覚したらまた呼んでくれ。その時にでも語らせてもらう」

 

佐藤「そっすか、じゃあ話変わりますけど、他の滅亡迅雷の人たちと会えてたらどうだったと思うっすか?」

 

雷「坊主には間違いなく勝ててたな。

でもいざトドメってところで、滅とはひと悶着あっただろうな…

迅の場合は亡をどうするかでもめただろうし、

思い切りバルカンの顔で喋る亡はもしかしたら笑っちまったかもな」

 

佐藤「じゃあ、飛電或人さんと会ってたらどうだったと思うっすか?」

 

雷「本編と同じようにしただろうな。

協力を取り付けて、一緒にアークにカミナリ落す!」

 

佐藤「おー、熱いっすね」

 

雷「だろ?ただフォースライザーもキーも壊されちまったし、仮面ライダー雷の登場すらなさそうだな…」

 

佐藤「それじゃあ最後に、現在まだ生きてる他キャラについて一言ずつお願いして良いっすか!?」

 

雷「坊主!言うべきことはあの時全部言った!

ウチの社長も、俺の仲間も手ごわいぞ。

俺のときみたいに上手くいくとは思わねえことだな!」

 

佐藤「ではその信頼する皆さんにも一言づつ!」

 

雷「社長!後の事は任せたぜ。生きて帰って、弟をよろしくな。

滅!滅亡迅雷を引っ張るのはお前だ。自分の意志、しっかりと貫け!

迅!俺は俺の意志に従って戦い切った!それを教えてくれたお前が途中でへばんなよ?

バルカン!亡のことは頼んだぜ。負けんなよ?」

 

佐藤「鬼熱なメッセージ、いただきました!

じゃ、時間もいい感じなんで、今日はここまで、っすね。

媒体別ロワイヤル番外編、第四回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎と、

終わりを呼び出す赤き雷雨!雷さんでしたー!」

 

雷「あばよお前ら。またいつかな!」



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第五回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ

注意!このエピソードは番外編です。
憤怒(wrath)の、種火が、メラメラを閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「さあて!第五回のゲストはこの方!

小説作品、バトルロワイヤルより!

私はいつでも奪う側!魅惑と放蕩の簒奪者!相馬光子さんです!どーぞー!」

 

光子「そ、相馬光子です……。

しゃ、喋る事全部喋るんで殺さないでくださいお願いします…」

 

佐藤「こちらこそどうぞよろしくっしょー!」

 

光子「ひぃ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

 

佐藤「ありゃりゃ、なんかトラウマ酷くて会話成り立ってないっしょ。

じゃあ落ち着くまでの間に基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:相馬光子

陣営:赤(小説作品)

初登場:憤怒(wrath)の、種火が、メラメラ

最終登場:憤怒(wrath)の、種火が、メラメラ

登場話数:1話

スタンス:マーダー

最初の支給品:基本支給品一式、アイスピック@現実、ランダム支給品×1~2

関連支給品:エターナルエッジ@仮面ライダージオウ、

      アークワンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン

下手人:クロメ@アカメが斬る!

凶器:アークドライバーゼロ@仮面ライダーゼロワン

   正確には、クロメを乗っ取り変身したアークゼロによるビーム狙撃

死因:頭部を狙撃されたことによる脳損失

他キャラとの接触:クロメ@アカメが斬る!、坂本龍馬@龍が如く維新!

原作で接触済みのキャラ:七原秋也@バトル・ロワイアル、川田章吾@バトル・ロワイアル、

            三村信史@バトル・ロワイアル、坂持金発@バトル・ロワイアル

 

佐藤「落ち着いたっしょ?」

 

光子「は、はい。どうにか、落ち着きました…」

 

佐藤「やー、やっぱアークまじパないっすねぇ!

パンピーにもライダーにも容赦なしで怖すぎっしょ!」

 

光子「に、二度と思い出したくないです……」

 

佐藤「まあそうっすよね。坂本さんに関してはどうっすか?」

 

光子「殺そうとしてごめんなさい…けど言い訳させてもらうと、

あの時はもう、相手誰でもよかったっと言うか、

メダル持ってるならだれでもああしてたと思います」

 

佐藤「あれで分別あったら逆に怖いっしょ。

支給品についてはどうっしたか?」

 

光子「アイスピックを最初見た時は、

鎌のときみたいに使えなくはないかな、って思いました。

他は正直、役に立つのか微妙だな、って」

 

佐藤「他の人たちと会えてたらどうだったと思うっすか?」

 

光子「信用はされないだろうし、私も出し抜こうとするしで、

いい事一つもなかったと思います…」

 

佐藤「あー、まあ、元か札付きのワルだったてのもデカい感じっしょ?」

 

光子「はい。ごめんなさい……」

 

佐藤「いや、別に責めてはないっしょ。

それじゃあ最後に、現在まだ生きてる他キャラについて一言ずつお願いして良いっすか?」

 

光子「は、はい。アーク様、お願いだからこっちに来ないでくださいお願いします!

アナタが近くに居ると思うだけで生きた心地がしないんですぅ!」

 

佐藤「だー!暴れない!暴れないの!ちょっと誰か!誰か助けて!」

 

 

(5時間後…)

 

佐藤「落ち着いた?」

 

光子「はい。度々申し訳ありません…」

 

佐藤「まあ、先に来てる雷さんとかもいるし、

ゆっくりケアしていけばいいっしょ。

じゃ、時間もいい感じなんで、今日はここまで、っすね。

媒体別ロワイヤル番外編、第五回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎と、

魅惑と放蕩の簒奪者!相馬光子さんでしたー!」

 

光子「そ、それでは皆さんお元気で……」



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第六回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ

注意!このエピソードは番外編です。
幸福追求権を閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「さあて!第六回のゲストはこの方!

アニメ作品、化物語より!

しゃかりきマシンガントーク!猿に願ったレイニーデビル!神原駿河さんです!どーぞー!」

 

神原「私立直江津高校二年、神原駿河だ。

得意技はBダッシュだ。ところで佐藤先輩、この後お時間あるかな?

もしあるなら、あなたは受けか責めなのか、そして相手は桐生博士なのか、岸田先輩なのか、そこのところを……」

 

佐藤「こちらこそどうぞよろしくっしょー!」

 

神原「むぅ……なんだか白鐘後輩と言い、あなたといい、こうも華麗にスルーされ続けると少しは傷つくぞ?」

 

佐藤「そんな神原さんの基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:神原駿河

陣営:黄(アニメ作品)

初登場:幸福追求権

最終登場:幸福追求権

登場話数:1話

スタンス:生存

最初の支給品:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3

関連支給品:今のところなし

下手人:大神照彦@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

凶器:螺湮城教本@Fate/Zero

   正確には、それにより召喚、使役した海魔

死因:海魔による四肢欠損が原因の失血

他キャラとの接触:白鐘直斗@ペルソナ4、大神照彦@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

原作で接触済みのキャラ:阿良々木暦@化物語、戦場ヶ原ひたぎ@化物語

 

佐藤「てな感じっしょ!個人的にはどうっすか?」

 

神原「あのお宝本がランダムのどれかに含まれているはずだから、誰か大切な人の手に渡って欲しいと思うなあ」

 

佐藤「あー、アレ、神原さん的には大当たりってことっしょ?」

 

神原「その通りだ!語れと言われたら本編で書かれた以上に朝までホテルで語りあかせる!」

 

佐藤「まあそうっすよね。他の支給品に関しては……」

 

神原「別になんでもいいが、阿良々木先輩や戦場ヶ原先輩が喜んでくれるものだとうれしいと思うのだ」

 

佐藤「武器とかそうゆうのは……」

 

神原「あっても使えない」

 

佐藤「バスケ繋がりでバトロワの三村さんとか、

他の人たちと会えてたらどうだったと思うっすか?」

 

神原「まあ、白鐘後輩とそんなに変わらなかったと思うなあ。だがやはり廃墟エリアのタツミ、ナランチャ、由比ヶ浜チームには会っておきたかった!」

 

佐藤「て言うと……」

 

神原「この殺し合いという極限状態で協力するとなれば、なんとか信頼しようと、またはなんとか怪しい部分を見つけようと、相手を深く観察するものだ。

そこで気付く今までになかった気持ち、欲求、引かれてゆく様。

第三者、それも女子がいる中で2人は……」

 

(5時間後……)

 

佐藤「それじゃあ最後に、現在まだ生きてる他キャラについて一言ずつお願いして良いっすか?」

 

神原「白鐘後輩、くれぐれも気をつけるんだ。

卑怯者は、すぐ近くに潜んでいる。

けど君なら、きっと犯罪卿の助けなんかなくとも、きっと鮮やかに犯人を見つけ出せる」

 

佐藤「その卑怯者に関しては……」

 

神原「こちらに来たら私の特技に16連射もある事を知ってもらうつもりだ」

 

佐藤「まあ、そうっすよねぇ〜。神原さんの先輩方に関しては…」

 

神原「どうか、ご無事で」

 

佐藤「それだけっすか?」

 

神原「ああ、それだけだ!」

 

佐藤「そうっすか…時間もいい感じなんで、今回はこの辺っすかね?

媒体別ロワイヤル番外編、第六回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎と、猿に願ったレイニーデビル!神原駿河さんでしたー!」

 

神原「次回もお楽しみに!」



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第七回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ

注意!このエピソードは番外編です。
Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―を閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「さあて!第七回のゲストはこの方!

アニメ作品、デュラララ!!より!

書き手枠の仇桜!恋心の闇解剖医!岸谷新羅さんです!どーぞー!」

 

岸谷「こんにちは。今日はよろしくね」

 

佐藤「こちらこそどうぞよろしくっしょー!」

 

岸谷「まさかここに来てようやく喋れるなんて思ってもみなかったよ」

 

佐藤「そんな岸谷さんの基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:岸谷新羅@デュラララ!!

陣営:黄色(アニメ作品)

初登場:Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

最終登場:Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

登場話数:1話

スタンス:???

最初の支給品:基本支給品一式、ランダム支給品×1~2、501ワクチン入りの注射器@彼岸島

関連支給品:今のところなし

下手人:シンデレラ@SINoALICE

凶器:アストラM900@現実

死因:眉間を撃ち抜かれたことによる脳損傷

他キャラとの接触:シンデレラ@SINoALICE

原作で接触済みのキャラ:セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!、折原臨也@デュラララ!!、平和島静雄@デュラララ!!

 

佐藤「てな感じっしょ!個人的にはどうっすか?」

 

岸谷「うーん。雅が近くにいたからこそ大当たりになったあの注射は正直微妙だったな。

けど結果書き手枠の誰よりも先んじてここに来る羽目になってしまったし、

良かったと言えばよかったのかな?」

 

佐藤「ハズレ支給品のが良かったってことっすか?そりゃまたなんで?」

 

岸谷「考えても見てくれよ!もし残る支給品がセルティの身に何か危険を及ぼすような物だったらと思うと、死んでも死にきれないよ!まあ、死に切って無い様なものだけど……」

 

佐藤「まあ、そうっすよね。他に何か言いたいことは?」

 

岸谷「正直、セルティ以外の二人は殺しても死なないような二人だから、

そんなに心配ないんだよね。しいて言いたいことが有る人を上げろと言われたら、、」

 

佐藤「言われたら?」

 

岸谷「やっぱり作者のみみ君には一言言っておきたいね!

普通書き手枠をこんな使い方をするかい!?

多分ロワ史上初なんじゃないかな?

第一回放送を超えられなかったキャラは居たけど!

こんなハイスピード退場、一体だれが予想できるって言うんだ!?」

 

佐藤「まあ、確かにまさか偽物になってるとは思いませんでしたけど」

 

岸谷「まあ、僕個人としては当然不満しかない訳だけど、展開としてはシンデレラの卑劣さ、僕とセルティを最も苦しめる展開、その他もろもろ見事としか言えないよ。

一番贅沢に、そしてここまで見事に書き手枠を使う書き手、他に居ないよ」

 

佐藤「それじゃあ最後に、生き残ってる人たちに関しては……」

 

岸谷「もう言ったけど、セルティ以外の二人は殺しても死なないような二人だから、そんなに心配ないよ」

 

佐藤「セルティさんに関しては……」

 

岸谷「語り出すと半日じゃきかないよ?」

 

佐藤「あー、それは確かに」

 

岸谷「だからそっちはオフレコで存分に語らせてもらうとするよ!」

 

佐藤「じゃあ今回はこの辺にしますか

媒体別ロワイヤル番外編、第七回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎と、書き手枠の仇桜!恋心の闇解剖医!岸谷新羅さんでしたー!」



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第八回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ

注意!このエピソードは番外編です。
裏切り者のラプソディを閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「さあて!第八回のゲストはこの方!

漫画作品、ジョジョの奇妙な冒険steel ball runより!

罪のおっかぶせならず!許されざる業と溺死!アクセル・ROさんです!どーぞー!」

 

アクセル「……もう少しましな紹介は無かったのか?」

 

佐藤「いやまあ、確かに俺もちょっとどうかなって思いましたけど、

一話退場の上に、何の爪痕も残せなかった無念がメインで書かれた人を熱く語れって言われても……」

 

アクセル「このコーナーを根幹から否定するようなことを、

唯一のパーソナリティの君が言うなよ……まあ、

なにも否定できないのが悔しいが。まあ、よろしく頼むよ」

 

佐藤「こちらこそどうぞよろしくっしょー!」

 

アクセル「思えば君とわたしは似た者同士だな。

君の場合はこのロワでの城戸真司。

わたしの場合は原典でのジョニィ・ジョースター。

どちらも決意の原因となった者同士だ」

 

佐藤「そんなアクセルさんの基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:アクセル・RO@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

陣営:青色(漫画作品)

初登場:裏切り者のラプソディ

最終登場:裏切り者のラプソディ

登場話数:1話

スタンス:マーダー

最初の支給品:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3

関連支給品:今のところなし

下手人:サムライソード@チェンソーマン

凶器:ファイズフォンX@仮面ライダージオウ

死因:銃創からの出血多量

他キャラとの接触:サーレー@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-、サムライソード@チェンソーマン

原作で接触済みのキャラ:ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run、ジャイロ・ツェペリ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run、ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

 

佐藤「てな感じっしょ!個人的にはどうっすか?」

 

アクセル「無念の一言さ。何も果たせず、罪も清められず、

死のインパクトだけ残してオダブツ。君と似たようなものだ」

 

佐藤「支給品にかんしてはどうっすか?」

 

アクセル「あのコートの男の不利になる物であれ。今はただそれだけだ」

 

佐藤「まあ、そうっすよね。他に何か言いたいことは?」

 

アクセル「……今となってはジョニィ・ジョースターにもジャイロ・ツェペリにも大した感情は抱いていない。

最初に戦った赤陣営の蹴れも同様だ。

ただファニー・ヴァレンタインとコートのとこに関しては、

オレの罪以上の不幸が降りかかる事を願うばかりだ」

 

佐藤「ですよねー。じゃあ、ちょいはやいですけど、この辺で終わりにしますか?」

 

アクセル「ああ。しめてくれ」

 

佐藤「媒体別ロワイヤル番外編、第八回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎と……」

 

アクセル「青陣営が一人、アクセル・ROでお送りした」

 

佐藤「ほいじゃさいならー!」

 

アクセル「もし機会に恵まれればまた会おう」



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第九回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ

注意!このエピソードは番外編です。
確実奇跡 跡奇実確を閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「さあて!第九回のゲストはこの方!

順番ちょいと前後しちゃいましたけど、小説作品、Fate/strange Fakeより!

でも師匠には若干罪悪感?神を殺すは我が憎悪!真アーチャーさんです!どーぞー!」

 

真弓「どうも皆さんこんびちは。真アーチャーことヘラクレスです。

宜しくお願いします」

 

佐藤「おお!これが噂の泥の汚染も令呪による歪みもない素の真アーチャーさんっすか!

こっちこそよろしくっしょ!」

 

真弓「では早速本題に入って行きましょうか。

自分の退場話を熱く語るのもなんですが、インパクトだけなら雷さんのエピソードにも勝ると思いますし」

 

佐藤「そうっすね!

じゃあまずは真アーチャーさんの基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:真アーチャー@Fate/strange Fake

陣営:赤(小説作品)

初登場:確実奇跡 跡奇実確

最終登場:確実奇跡 跡奇実確

登場話数:1話

スタンス:マーダー

最初の支給品:基本支給品一式、帝具アッキヌフォート@アカメが斬る!

ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、ランダム支給品×0~1

関連支給品:今のところなし

下手人:パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

凶器:パープルヘイズ・ディストーションの殺人ウイルス

死因:肉体の完全崩壊

他キャラとの接触:パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-

原作で接触済みのキャラ:偽アーチャー@Fate/strange Fake、ティーネ・チェルク@Fate/strange Fake、アヤカ・サジョウ@Fate/strange Fake

 

佐藤「てな感じっしょ!個人的にはどうっすか?」

 

真弓「あまり多くの人と出会わなかったのが幸いです。

戦士として敗北した姿を吹聴され続けるのも堪えますし、何よりあの姿自体、そもそも『ヘラクレス』でも、セイバーで言う所のリリィでもない何かですし、別人と言えば別人なのですが」

 

佐藤「なまじっか伝説が完結して存在が確定してるのって厄介っすね。

支給品にかんしてはどうっすか?」

 

真弓「妥当だったと思いますよ。

普通の頑丈な弓なんて与えられようものなら無双でしたでしょうし、

挙句天つ風の簒奪者(リインカーネーション・パンドーラ)まで使えてしまえていますし。

アルクエイドさんほど規格外では有りませんが、それでもこれだけ条件つけなければ、誰とも勝負にならないでしょう。

仮にも私の内から生じた誰かですし」

 

佐藤「まあ、そうっすよね。他に何か言いたいことは?」

 

真弓「特にありませんね。どうしても叶えたい願いもありませんし」

 

佐藤「そうっすか。じゃあ、他の参加者の皆さんには?」

 

真弓「こっちも特にありませんね。

ただ一度でもアルケイデスと戦えた戦士ならば、あの殺し合いでも長く生き残る、とだけは言っておきましょうか」

 

佐藤「時間も良い感じなんで、そろそろ示させてもらうっすね」

 

真弓「ええ、お願いします」

 

佐藤「媒体別ロワイヤル番外編、第九回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎と

神を殺すは我が憎悪!真アーチャーさんでお送りしたっしょ!」

 

真弓「それでは皆様さようなら!」



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第十回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ

注意!このエピソードは番外編です。
広瀬康一は語らないを閲覧してからの閲覧を推奨します。
ネタバレ注意!


佐藤「どもどもー!はじまりましたー!『佐藤太郎と退場さんのベストラジオ』!

この時間は、この俺、佐藤太郎@仮面ライダービルドが!

媒体別ロワイヤル本編で無惨にも退場してしまったみな様をゲストとしてお迎えして!

原作やらロワ本編での活躍やらを語らうこのコーナー!」

 

佐藤「さあて!記念すべき第十回のゲストはこの方!

小説作品、The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-より!

すごいぞ!僕のACT3!杜王町の影ドン!広瀬康一さんです!どーぞー!」

 

康一「ご紹介預かりました広瀬康一です!よろしくお願いしまう!」

 

佐藤「どうぞよろしくっしょー!」

 

康一「お呼ばれされてうれしいです。

にしても、随分間が空きましたね」

 

佐藤「あー、なんか作者も色々あってタイミングを逃し続けてたみたいっすね。

じゃあまずはさんの基本データから見ていくっしょ!」

 

名前:広瀬康一

陣営:赤(小説作品)

初登場:広瀬康一は語らない

最終登場:広瀬康一は語らない

登場話数:1話

スタンス:対主催者

最初の支給品:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2、スペツナズナイフ@現実

関連支給品:今のところ無し

下手人:ジェスター・カルトゥーレ@Fate/strange Fake

凶器:ジェスターの人狼形態の牙、腕

死因:左肩、左鎖骨の欠損、大量出血など

他キャラとの接触:蓮見琢馬、ジェスター・カルトゥーレ、偽ランサー

原作で接触済みのキャラ:蓮見琢馬、東方仗助

 

佐藤「てな感じっしょ!個人的にはどうっすか?」

 

康一「自分の名前をタイトルに関したエピソードでしっかり印象に残る活躍が出来たと思います。あと、ちょっといい訳みたいにきこえちゃうかもしれませんけど、やっぱりボクのエコーズも蓮見先輩のスタンドもどちらかと言えば『静』のスタンドだから、承太郎さんや仗助君みたいな『動』のスタンドと組めたらもう少しジェスターにも善戦出来たのかな?って思ったりはしましたね」

 

佐藤「なるほどなるほど。

支給品にかんしてはどうっすか?」

 

康一「まあ、スタンド以外は限りなく一般人のボクにナイフは妥当と言えば妥当なのかな?」

 

佐藤「まあ、残りは蓮見っちが使ってくれないと分かんないっすもんね」

 

康一「は、蓮見っち!?すごい呼び方するなぁ。まあ、そんな風に呼ばれることぐらいしかイレギュラーの無い平和な場所で過ごしてほしいとは思いますけど」

 

佐藤「他の参加者の皆さんには?」

 

康一「仗助君、承太郎さん、後は任せました。かならずこの殺し合いを仕掛けた奴らを、直々にぶちのめしてやってください!」

 

佐藤「じゃあ時間もいい感じなんでこのへんで締めましょうか」

 

康一「はい!」

 

佐藤「媒体別ロワイヤル番外編、第九回 佐藤太郎と退場さんのベストラジオ。

お相手は、ツナ義ーズのリーダーにして、媒体別ロワ見せしめの佐藤太郎とすごいぞ!僕のACT3!杜王町の影ドン!広瀬康一さんでお送りしたっしょ!」

 

康一「ご縁があればまたいつか!」



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第一回放送までのss
オープニング


作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・万丈龍我@仮面ライダービルド
・雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・アズ@仮面ライダーゼロワン
・佐藤太郎@仮面ライダービルド
・エスデス@アカメが斬る!
・宮本輝之輔@ジョジョの奇妙な冒険


「ん…ああ?」

 

寝にくさを感じて起き上がると、そこは木の床のホールだった。

中央に一段高い円形の部分が有り、その周りに人が倒れている。

正確な数は分からないが間違いなく100人以上の人間がいるように見える。

 

「おい、おいしっかりしろ!起きろ!」

 

つい今しがた起きた青年、万丈(ばんじょう)龍我(りゅうが)は隣に寝ていた学制服の少女を起こす。

少女眠そうに眼をこすりながら起きると、万丈を見て驚いた顔を浮かべた。

 

「あなた、何者ですか?

私をこんなところに連れて来ていったい何を…」

 

「俺は誰も誘拐してねえ。

俺も連れてこられた側だ。」

 

何か言いたげな少女だったが、突如響いた乱暴にドアが開く音に振り向く。

万丈も振り向くと、丁度二人の後ろから黒いドレス姿の女が歩いてくるところだった。

女は壇上に上がると、約150名の観衆をぐるりと見渡し

 

「どーもー、皆様初めまして。

私は秘密のア~ズちゃん♡このバトルロワイヤルの司会者だよ。」

 

妖艶な雰囲気とはどこかずれた無邪気にも見える仕草で自己紹介した。

 

「お前たちにはこれから5つの陣営に分かれてうち4つの陣営が全滅するまで殺し合ってもらう。

最後まで残った陣営の生き残りには一人一つ、どんな願いもかなえてあげちゃうよ!

不老不死でも死者蘇生でも億万長者でもなんでも!」

 

「ふざけんな!なんで俺たちがそんなことしなくちゃならねえんだ!」

 

万丈が叫ぶ。するとアズはつまらなそうに毛先をいじりながら言った。

 

「別に戦わなくてもいーよ?

そしたらあなた達の首に付けた爆弾の首輪を爆発させるだけだから。」

 

そう言われて自身の首に手を伸ばすと固く冷たい金属の感触がした。

呼吸の邪魔にならない、しかし顎に引っ掛かって絶対に外れない程度に余裕を残して首輪がついていた。

周囲を見渡すと壇上に立つアズ以外の全員に色の違いこそあるが同じ首輪がついていた。

 

「一応、それが爆発するとどうなるか見せてあげるね。

みんな私の頭上に注もーく♪」

 

そう言われてアズのやや上に視線をやると、

明かりが落ちて立体映像のような物が投影された。

オレンジ色の繋ぎ姿の若い男だ。

 

『ナニコレ!?おい、なんなんだよこれ!?

離せ!離してよ!なぁ!』

 

戦兎(せんと)!?いや、佐藤太郎か?)

 

佐藤太郎の首にも自分たちのと同型の銀色の首輪が巻かれている。

 

そこからピッ、ピッ、ピッ、と電子音が鳴り始め、

次第に音と音の間隔が狭まってくる。

 

『ねぇちょっと!?この首のだんだん熱くなってきたんだけど!

爆発したりしないよね!?ねえってばさ!

……おい、嘘だろ?ううわぁーーッ!ママァーッ!』

 

爆音。黒い煙が晴れて胸より上の無くなった佐藤太郎が映し出される。

大勢の人間の死や本物戦場を見て来た万丈には分った。

あれは合成とかなんかじゃない本物の殺人の一部始終だ、と。

 

「これで自分たちの立場ぐらいは分ってくれたかな?

それでどこまで話したっけ?…あ、そうそう。

五陣営に分かれるとかまでだったわね。

自分がどの陣営に所属してるか確認する方法は三つ!

1つ目は首輪の色、二つ目は支給するメダルの色、最後に支給するデバイスから見れる名簿だよ。

良くチェックしておいてね。」

 

そう言ってアズはどこからか大きめの硬貨ぐらいのサイズのメダルと手のひらサイズの電子デバイスを見せた。

 

「最後に各陣営のリーダーに関して!

陣営リーダーは六時間ごとに更新されるんだけど、

その条件は陣営の中で色を問わず一番メダルを持ってる人だよ!

それが誰かはそこまでの時点で死んだ人の名前とかと一緒に発表するから楽しみにしててね。」

 

「待て!」

 

アズの照度左真横の位置に立っていた長い水色の髪の女性が声をかけた。

 

「そのリーダーとやらは他の参加者とは違う恩恵が有ったりするのか?」

 

「もちろん!陣営のリーダーは他の参加者のメダルさえ手に入れば首輪にかざして宣言することでそのメダルの最初の持ち主の首輪を爆破して殺せるの!

最も、あなたのようなやり様によては英霊にも対抗できる帝具使いには必要ないでしょうけど。

普通のスタンド使いや特別な道具があって初めて戦える人たちへの救済措置だね。」

 

最後に!と、手を鳴らしてアズは女性、エスデスと自分に二分されていた注目を自分に集めると改めて高らかに宣言した。

 

「これよりバトルロワイヤルを始めます!

悪意、敵意、憎悪、恐怖、憤怒、あなたの悪意を思いきり開放して願いのために頑張ってね?」

 

ホール中が白一色の光にに塗りつぶされる。

それが晴れるとホールにはアズも居なくなった部屋にぱちぱちと拍手が響く。

 

「良い。素晴らしいかったよアズ。」

 

「あら、ずっと見てたの?」

 

「もちろん!あれほどの人間があんなにもいろんな反応を見せてくれるんだ!

恐怖を探すのが楽しくて楽しくて!」

 

「ふふっ、素晴らしい悪意の持ち主ね。

約束通り働き過ぎてもらったわけだし、好きに見学すると良いわ。」

 

「ああ。そうさせてもらうよ。」

 

そう言ってアズとエニグマの少年もその場を後にした

 

 

 

 

 

佐藤太郎@仮面ライダービルド 死亡

 

媒体別ロワイヤル、開催。

 




【???/ホール?/?日目/???】

【アズ@仮面ライダーゼロワン】
[状態]: 正常
[服装]: 黒いドレス
[所属陣営]: 運営側
[メダル枚数]:1枚(見本)
[参戦時期]: 不明
[装備]: 見本のデバイスと見本のメダル
[道具]: なし
[思考]
基本: このバトルロワイヤルの司会として行動する。
1: ???
2: ???
3: ???
[備考]
※特になし

【宮本輝之輔@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]: 正常
[服装]: 私服
[所属陣営]: 運営側
[メダル枚数]:不明
[参戦時期]: 不明
[装備]: なし
[道具]: なし
[思考]
基本: この戦いの運営として参加者を観察する。
1: 協力の見返りとして好きに動く。
  けどしばらくは様子見。
[備考]
※彼のスタンド能力で全ての支給品が紙に封印された状態で支給されます。
例外はデバイスとメダルだけです。


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やはりタツミが往く奇妙な冒険はまちがっている(?)

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・タツミ@アカメが斬る!
・由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・書き手枠(アニメ)


「ふざけやがって…っ!」

 

右の瞳に十字の模様を持つ少年が憎々し気に呟いた。

握った拳からは血が流れ、虚空を睨むその目には怒気がめらめらと燃え盛っている。

彼の名はタツミ。

帝国を騒がす暗殺結社ナイトレイドのメンバーにして帝国最強に名を連ねる戦士を数多く輩出した帝具、悪鬼纏身インクルシオの使い手でもある。

 

(と、いけねえ。まずは『周囲に気を配る』だ。

まず周りと、カバンの中身を調べねえと。)

 

足元に置いてあった黒いバックを掴むとタツミは一番近くの廃屋に入った。

誰もいないのを確認するとバックを開けて中身を改める。

 

「これは、さっきあの女が見せてたデバイスにメダルか。

あとは…紙?」

 

説明が有った道具以外に入っていたのは二枚の紙だった。

本のページ一枚分ぐらいの大きさで二つ折りにされている。

タツミは試しに『スクラッシュドライバー』と書かれた紙を開いてみる。

すると紙の中から水色の何か装置とゼリーパックのような物が出て来た。

 

(な!?この紙、帝具か!?

いや、この紙を作れる帝具があるのか?)

 

飛び出て来たものをとりあえず脇に置き、紙の方を観察することにした。

すると、中に入っていた道具の名前の書かれた側の反対に説明が書かれていた。

 

『スクラッシュゼリーを装填してレバーを下げることで装着者を仮面ライダーに変身させるアイテム。

腰に当てると自動でベルトが飛び出て固定される。

使用時間は装着者の体力や精神力に左右される。』

 

(姐さんのライオネルみたいな帝具ってことか。

このスクラッシュゼリーってのに描かれてる絵はドラゴンだし、

俺との相性は悪くなさそうだな…。)

 

タツミは早速ベルトを装着するとゼリーのキャップを合わせる。

 

「スクラッシュ…」

 

「テメェに言ってんだ!娼婦みてぇなカッコした東洋人!」

 

「だ、誰がだし!これぐらい普通だし!JKファッションだし!」

 

そう遠くないところからやや高い少年の声が聞こえた。

タツミが移動させられたB-8エリアは廃墟だらけのエリアであり、

殆ど人がいないのも手伝って声が異様に響く。

大体の位置はすぐに分かる。

 

「まずはあっちか。」

 

ゼリーを持ったままバックを手早く背負い走る。

5ブロック程行った先で言い争いをする二人がいた。

2人ともタツミと同い年ぐらいで一人は頭にオレンジ色のバンダナを巻いた少年。

もう一人は桃色に染めた茶髪の少女だ。

 

「よせ!言い争ったって何も始まらないだろ!」

 

振り向いた二人にタツミはスクラッシュゼリーを投げると両手を上げて見せた。

 

「な、なんだよお前!?」

 

「俺はこの殺し合いに乗ってない。

この先よっぽど危険な奴以外を殺すつもりもない。」

 

2人はあっけにとられれていたが少年の方はすぐに持ち直し

 

「俺もあの女に従うつもりはねぇよ。

ブチャラティだってきっとそーゆー事ぜってぇにしねぇからな。」

 

拾い上げたスクラッシュゼリーをタツミに投げ返して『お前は?』と、背後の少女に問う。

 

「あ、私!?私だってそんなことしないよ!

ヒッキーやゆきのんたちと殺し合うなんて嫌だし出来ないし…」

 

全員に戦闘の意思がない事を確認したタツミはとりあえずもう少し落ち着ける場所に移動しようという事で近くにあった元はカフェだったと思われる建物に入った。

椅子の埃を払って入口から見えにくい席に座る。

少年はナランチャ・ギルガ、少女は由比ヶ浜(ゆいがはま)結衣(ゆい)と名乗った。

 

「皆はもう名簿とか見たのか?」

 

「いや、俺この機械の使い方分かんなくてさ。

それで誰か使える奴いねえかなーって思って歩いてたらユイガハマ見つけてよぉ。

なんか下向きながらブツブツ言うばっかで返事しねえからつい怒鳴っちまって。」

 

「仕方ないじゃんこんなこと初めてだし!

めっちゃ混乱して何していいか分かんなかったし…」

 

「まあ、普通はそうだよな。

それで結局、ユイガハマはそれ使えるのか?」

 

「このスマホみたいな奴?このボタン押して画面スライドすれば…」

 

結衣はナランチャに渡されたデバイスのボタンを押してを画面をタップしホーム画面を表示した。

 

「へぇ~!そうやって使うのか…。」

 

「本当に知らないの?名簿は…うわ、アプリの名前全部英語だぁ…」

 

「英語?いや全部イタリア語だろ?」

 

「イタリア語!?もっと読めないよ英語だってギリギリなのに…」

 

「はぁ?お前、何言ってんだ?

今普通にイタリア語話してんだろ?」

 

「……え?いやいや、今日本語で話してるよね?」

 

そう言ってタツミの方を向く結衣だが

 

「……二人とも故郷の言葉以外話せないのか?」

 

「そうだけど…」

 

「俺には二人が帝国公用語を話してる様にしか聞こえない。」

 

「「……。」」

 

絶句して固まる二人にタツミは話していい物かどうか若干躊躇ったが話すことにした。

 

「もしかしたらこの殺し合いを仕組んだ奴らは帝具の力を使ってるのかもしれない。」

 

「テイグ?」

 

「帝具って言うのは、1000年前帝国を作った始皇帝が作らせたすごい兵器の事で、

中には人を瞬間移動させれるような物もあるんだ。」

 

「じゃああのホールから一瞬でここに飛ばされたのも…」

 

「多分、そうゆう事だと思う。」

 

それを聞いたナランチャは驚きはしたが、すぐに思考を切り替えた。

 

(俺みたいな幽波紋(スタンド)使いじゃないってんならやりようはあるぜ。

テイグもあくまで武器だってんならよぉ…俺の『エアロスミス』で壊せるぜ!)

 

「私達、そんなやばい人たちに捕まっちゃったの?」

 

「…なあ、ところで気になったんだけどさ。

捕まったのって、多分ホールにいた奴ら全員だよな?

あん中に俺らの知り合いって居たのかな?」

 

結衣がデバイスを持ったまま固まった。

体は震えてダラダラと嫌な汗がとめどなく流れ始める。

 

「ユイガハマ?大丈夫か?」

 

結衣はナランチャにデバイスを返すと自分のデイパックから自分のデバイスを取り出し画面に映る名簿のアプリをタッチした。

 

「嘘…ヒッキー、ゆきのん…。」

 

「友達の名前、あったのか?」

 

「うん。同じ陣営だけど…」

 

「そっか。なあ、俺たちも確認しようぜ。」

 

ナランチャの言葉にやや苦戦しながらもタツミは自分のデバイスを開き、名簿を確認する。

 

「俺の知り合いはこの上の方にいるフーゴってやつだけだな。」

 

「フーゴは見つけたけど、お前の名前どこだ?

黄色のところに書いてないけど…」

 

「下の方に書いてねえか?周りが?ばっかのとこ。」

 

そう言ってナランチャはタツミに自分のデバイスを見せる。

146番のところに確かに『Narancia Ghirga』と書かれている。

 

「俺のとこには書いてなかったな…」

 

「なんでそんなめんどくせえ事してんだろ?」

 

「さあ?俺の知り合いはアカメに…マイン。

それからエスデス、クロメ、ウェイブの五人だ。」

 

結衣が落ち着くのを待って一同は同じく呼ばれた知り合いや仲間を紹介し合った。

 

「フーゴは大学に言ってたぐらい頭良くてさ。

ロクに学校行ったことねえ俺に算数教えてくれたりしてたんだ。

ちゃんと調べれればきっとこの首輪だって外せるぜ!」

 

パンナコッタ・フーゴは確かにIQ152の天才だが、

大学で専行してたと思われる科目は法学系。

機械系の物とはだいぶ方向性が異なる。

が、ナランチャにはそれが分かっていないようである。

 

「アカメと、俺の彼女のマインは腕がたつし、この殺し合いにも乗らないと思う。

けどこのエスデスは間違いなく殺し合いに乗るだろうし、

クロメとウェイブも…ウェイブはもしかしたら説得できるかもしれないけどクロメは多分会ったら戦いは避けられないと思う。」

 

「そいつらそんなやばい奴らなのか?」

 

「ああ。全員帝具使いで、特にエスデス。

こいつの帝具は体と一体化してるから俺と違って没収されるとかないし、

アイツの氷を創り出す能力は反則級って言ってもいい。」

 

氷の能力と聞いてナランチャはつい先日仲間のジョルノとミスタが戦ったというスタンド、『ホワイト・アルバム』を思い出した。

超低温にさらされ続けた二人はジョルノの生命を操る能力なしでは治せないような重傷を何度も負い、ようやく倒した強敵であったと聞いている。

 

「そんな人に…もしヒッキーやゆきのんが会っちゃったら…」

 

「殺されるだろうな。間違いなく。」

 

「い、行かないと!早くいかないと!」

 

「ま、待て待て落ち着け!」

 

「落ち着いてなんていられないよ!早くしないと!」

 

「それはそうだけどまずどこに早くいかなきゃいけないか決めてからだ!

闇雲に動いたって会いたくない奴に出くわすだけだ!」

 

「……ごめん。パ二くってた。」

 

「無理もねえよ。俺も強がっちゃいるけどマインやアカメが心配だし。

けどそんな時でも重要なのは『周囲に気を配る』だぜ。」

 

「周囲に、気を配る?」

 

「ああ。俺の兄貴が教えてくれたんだ。

こうゆうときほど周りの状況をよく観て動けって。」

 

2人はまた席に戻るとナランチャと共に地図アプリを起動する。

 

「俺の知り合いが行きそうな場所はあんまりなさそうだな。

しいて言えば同じ島の基地かな?2人は?」

 

「そーだなぁ…フーゴが行くんなら本物じゃねえだろうけどイタリアの名所のコロッセオかネアポリス駅だな。

駅があるんなら列車もあるかもしれねえしよぉ。」

 

「レッシャ?乗り物か?」

 

「え!?お前列車乗ったことねえの!?

あ、でもテイグなんてあるんならいらないのかなぁ…。」

 

「いや、そんなほいほい誰でも使えるもんじゃないぞ?」

 

「そうなのか?あ、それでユイガハマは?」

 

「学校ぐらいかなぁ…ちょっと無理やりだけど。」

 

「じゃあ全員の仲間のいきそうな場所を順に回るとなるとまず杜王駅、

余裕があれば遠回りして基地によってから電車で池袋駅まで行って一回学校に向かう。

それからまた駅に戻ってネアポリス駅へ、って感じか。」

 

「コロッセオは駅から遠いし行かないの分かるんだけどよぉ、

なんで基地は行けたらなんだ?」

 

「さっき一応皆行きそうとは言ったけど、

可能性としてはそんなに高くないし。

それに殺し合いに乗ってる奴らが武器を取りに来る可能性高いしな。」

 

「そっか。じゃあ俺らの紙ん中確認したらすぐ行こうぜ!」

 

そう言って新しく買ってもらった漫画を読もうとする少年の様に嬉々として紙を開けるナランチャに若干気が抜けるタツミだった。

 

 

 

 




【エリアB-8/どこかの屋内/1日目/深夜】

【タツミ@アカメが斬る!】
[状態]: 半龍化、精神的に安定
[服装]: いつもの私服(コートあり)
[所属陣営]: 青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(タツミ)
[参戦時期]: ブド―死亡後からワイルドハントの残党との戦いまでの間
[装備]: スクラッシュドライバー@仮面ライダービルド
    ドラゴンスクラッシュゼリー@仮面ライダービルド
[道具]: 基本支給品一式
    ランダム支給品×1(未確認)
[思考]
基本: この殺し合いに抗う。
1: 杜王駅に向かってレッシャに乗る。
  余裕があれば基地にも行きたい。
2: エスデスを警戒。もし戦闘になれば自分が戦う。
3: 出来る事なら早くマインたちと合流したい。
[備考]
※言葉の壁が取り払われていることに気付きました。
エニグマの紙の件と合わせて運営側の誰かの帝具の可能性を疑っています。
※パンナコッタ・フーゴ、比企谷八幡、雪ノ下雪乃の情報を得ました。
※名簿に塗りつぶされている部分が有ることに気付きました。
※恐らくクローズチャージに変身しても多少闘争本能が刺激される程度でインクルシオを装着した時ほど龍化は進みません。
しかしハザードレベルが上がって行けばその限りではないかもしれません。
※デバイスの言語は各キャラに合わせているようです。
タツミのは帝国公用語です。

【由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】
[状態]: 健康、精神的疲労(中)混乱(大、ただしい今は落ち着いている)
[服装]: 総武高校制服(女子用)
[所属陣営]: 赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(由比ヶ浜結衣)
[参戦時期]: 少なくとも奉仕部入部後
[装備]: デバイス
[道具]: メダル
    ランダム支給品1~3(未確認)
[思考]
基本: ヒッキーたちと合流する。
1: 杜王駅に行って列車で学校に行く。
2: 周囲に気を配る、か。
3: エスデスみたいな怖い人には会いたくない。
[備考]
※言葉の壁が取り払われていることに気付きました。
エニグマの紙の件と合わせて非常に混乱しています。
※パンナコッタ・フーゴ、およびアカメが斬る!からの参加者と帝具の情報を得ました。
帝具に関しては半信半疑です。
※デバイスの言語は各キャラに合わせているようです。
結衣のは日本語です。

【ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]: 正常
[服装]: いつもの私服
[所属陣営]: 黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(ナランチャ・ギルガ)
[参戦時期]: 少なくともディアボロの名前を知るよりは前。
[装備]:なし
[道具]: 基本支給品一式
    ランダム支給品1~3
[思考]
基本: 殺し合いにはのらない。けど敵はぶっ倒す。
1: 杜王駅に行って列車で学校やネアポリス駅に行く。
  別に基地にも寄っていいと思うけどなぁ。
2: フーゴと合流する。
  あいつがちゃんと調べればきっと首輪も外せるぜ!
3: そしたらあの女(アズ)やその仲間を倒す。
  奴らが使うのがテイグって道具ならスタンドと戦うより楽だぜ!
[備考]
※言葉の壁が取り払われていることに気付きました。
エニグマの紙の件と合わせて運営側の誰かの帝具やスタンド能力の可能性を疑っています。
※比企谷八幡、雪ノ下雪乃、およびアカメが斬る!からの参加者と帝具の情報を得ました。
帝具に関してはスタンドと比べて過小評価してるようです。
※名簿に塗りつぶされている部分が有ることに気付きました。
 なんでそんなめんどくさい事してるんだろう?と思ってます。
※自身のスタンドについてはどうせ見えないだろうからと話してません。
※デバイスの言語は各キャラに合わせているようです。
ナランチャのはイタリア語です。


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■■■ロスト/まよいマイマイ/???アンガー

作者
山田ちゃん

登場キャラ
・鳴上悠@ペルソナ4
・足立透@ペルソナ4
・八九寺真宵@化物語


夜の帷に包まれた廃墟。

静謐に、そして漆黒に。

深夜を回った夜空に、星は見えない。

ただそこにあるのは黒一色に染め上げられた闇があるのみ。

 

「…………」

 

何か言葉を発する気力すらも今は感じない。

ただ、上を向いてその視線を夜闇へと固定している。

 

「……俺は……」

 

自らの双眸はただ闇のみを映し出している。

それはまるで真実を覆い隠す霧の様にも感じられた。

 

「……ッ!」

 

思わず、支給された日本刀を握り締める。

 

「…………もう、これしか……」

 

もう、何も見えない。わからない。

事件の真相も。この胸に抱いたはずの真実も。

ただ。

 

「……こうするしか、ないんだ……!!」

 

自分が今から何をしようとしているのか。

ただそれだけは、はっきりとわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ、とひとつため息をついてみる。

別にそれをしたからってこのクソみたいな状況が好転する訳でもないのは分かってるけど、ため息をつかずにはいられない。

マジでなんなんだよ、コレ。

 

(わざわざ留置所から僕を呼び出して殺し合い、ねぇ……ほんといらない所に労力をかけるよねぇ…………やっぱアズの奴クソだな)

 

刑事にして殺人犯ーー足立(あだち)(とおる)はこの場に巻き込まれた自らの不運を呪いつつ、周囲を見渡してみる。

間違いない。

 

(ここってーーもしかしなくても、ジュネス?)

 

足立のいた街にて新しく建てられたショッピングモール、ジュネス。

ここはその店内と酷似している。

 

(まぁ、いいや。考えてもわかるもんじゃないし。)

 

考えてもわからないことを考えたところで、状況が進展する訳でもない。

堂島さんじゃないけど、とりあえず自分の足でもうちょっと調べてみるかーー

 

「と、その前に……」

 

いつの間に置かれていたのか、店の床にバッグが一つ、置かれていた。

足立の足元に無造作に放られたそれに視線を移す。

閑散としたジュネス店内はついさっきまで人が手入れしていたかのように綺麗に、あるべき姿を保っている。

洗剤やティッシュ、フライパンや果てには包丁など、商品棚には日用品が所狭しと揃えられ、床は清掃が行き届いているのかピカピカだ。

もしもこの場で行われているのが殺し合いで、だだっ広いショッピングモールに自分以外の姿が見えないこと以外は何一つとして変わり映えのない店内。

そこにたった一つ異常があるとするならば。それこそこのデイパックに他ならない。

足立一人しかいない現在、商品棚から零れ落ちる、などと言うこともあり得るはずもなく。

綺麗に整えられた店内に、その存在を主張する様にぽつんと置かれたそれが殺し合いに関わる物品であることは容易に想像がついた。

 

(そういえば、メダルとか陣営とか何とか言ってたっけ……と、なるとこの中にそれが分かる何かがある訳かぁ………)

 

バトルロワイヤルの司会とか抜かしてたあの女が言うには自分の陣営の分かるメダルとかいうのがあるんだとか。

それがあのデイパックの中に入っているのは足立でも簡単に予想がつく。

それにしても。

陣営が分けられたのは足立にとっては実に悩ましい事態だ。

場合によっては殺し合いになれていない一般人なんかでも陣営が違うだけで敵視されるかも知れない訳だし。

そんなことを考えながらデイパックへと手を突っ込んだ。

 

くしゃり、と音を立てたそれはどうやら紙のようなもの。

わざわざ殺し合いに陣営とか変なルールを加えて運営する様な奴の考えている事だし、もしかしたらご丁寧にルールでも書いてたりして、なんて取り止めのない思考と同時進行してその紙を持ち上げようとする。

その最中、山折りにされた紙が開かれた途端に、足立の手に重い何かが飛び出して来る感覚を覚えた。

ちょっとちょっとなんだよもうーー急な異変に驚いて声を上げつつ、手に握られた物をデイパックから取り出そうとする。

 

最初に感じたものは、冷たい感触だった。

例として挙げるならばーー今、足立を始めとする殺し合いに招かれし者共の象徴ともいえる首輪。足立の首から止めどなく金属の冷気を放ち続けるそれに、よく似ている。

金属で出来た無機質な感触。

それを、ゆっくりとデイパックから取り出してゆく。

確かに殺し合いにまつわる物がこのデイパックの中に収納されているとは今更疑う余地もない。

もしもこれが足立以外の誰かーーそれこそ、足立よりも戦いや殺しといった荒事などと関わりの無い一般人などが同じ状況に立たされても同じ事を思うだろう。

それでもせいぜいが自陣営の証明となるメダルかデバイスをデイパックの中身として予想するものだ。

しかし。

一般人の日常にはあまりにもかけ離れていて、足立にとってはよく馴染む感触の“それ“がデイパックに収納されていたとは、流石の足立も予想してなかった。

 

「………はぁ」

 

もうここに来てから何度吐いたかもわからないため息が静寂に解けてゆく。

まぁ当然の事だけど、殺し合いなんて主催する奴なんてほんっとにロクでもないもんだねぇーー

 

足立はデイパックの中から取り出したリボルバーを店の照明に照らしながら一人ごちた。 

 

瞬間。

からん、と音がした。

当然、足立が鳴らした音ではない。

瞬時に警戒を引き上げ、音のした方向へと、急行する。

そこにいたのはーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既に寂れて、かつての町としての姿が朧げにのみ夢想される荒廃した廃ビルの森が少年を誘う。 

夜闇に包まれ、薄暗くなった深夜の夜がその不気味さに拍車をかけている。

そんな中に見える影は少年一人。

少年はこの殺し合いに招かれてからずっと、体勢を変えずに上を見上げている。

頭上にある夜の闇に惑わされているかの様に。

ただ一心に。

 

ーー迷っているのか。

 

失われた真実に、見失った真実に。

 

ーーいいや、俺は、迷っていたんだ。

 

未だに、真実は見えない。

それでも。それでもーー

 

ーー真実を得る為に、今度こそ、見つける為に、菜々子を取り戻す為に。

 

あくまで少年の手にかけるべき相手は少年の知らない人間だ。

だから、もう。

迷わない。

悲壮な決意を胸に。

少年は。

鳴上(なるかみ)(ゆう)はーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ、とひとつため息をついてみる。

別にそれをしたからってこのクソみたいな状況が好転する訳でもないのは分かってるけど、ため息をつかずにはいられない。

マジでなんなんだよ、このガキ。

 

奇しくもこの殺し合いに招かれた直後と同じ考えに至りつつ、足立は眼前で仁王立ちしている少女に目を向ける。

 

「それで?本当に私はあなたを信用していいんですね?あだだちさん。」

「だからそう言ってるでしょ。あと、僕の名前は足立ね。」

 

この訂正も既に三度目である。

僕の名前はそんな足がつったみたいな名前じゃないから。

この殺し合いにて足立が出会った少女ーー八九寺(はちくじ)真宵(まよい)は足立にとって一番面倒だと感じる相手だった。

最早わざとだろってくらい名前を間違えて来るし、ファーストコンタクトで「話しかけないでください、あなたの事が嫌いです」

だってさ。

ほんとなんなんだこのガキ。

 

くるくるとリボルバーの弾倉を回転させ、弄り回しながら心の中で愚痴を垂れ流す。

殺人犯に拳銃を支給して更には付近に別陣営のガキを配置………更には同じ陣営にあの特捜隊がいるという。

丁度今居るジュネスの店長の息子に少年探偵、さらにはアイツまでいる。

はぁ、とため息を吐く。

この殺し合いに来てからはほんとため息を吐いてばかりだ。 

予め危惧していた陣営が違う一般人に警戒されることが開始10分も経たずに起こっている。

ほんっと、いつになってもどんな状況になっても世の中クソだな。

 

気を抜いてしまうとすぐに次々漏れ出るクソな現状への文句を打ち切り、今の状況の改善へと思考を回ことにする。

足立の眼前にいる少女ーー背丈からしてまだ小学生程だろうかーーは今もこちらに懐疑の視線を向けている。

この殺し合いにて初めて足立が遭遇した参加者である少女、八九寺真宵の首輪に刻まれた色は、黄。

彼女が言うには、どうやら足立は緑色の首輪を付けているらしい。

詰まるところ、二人は別陣営同士であり、ここから生きて帰るためだとか、何か叶えたい願いがあるとかで殺し合ってもおかしくない間柄だと言う事。当然、これは互いの立ち位置のみを見ればの話だが。

二人が別陣営である事に関してはデイパックから取り出した互いのメダルの色がそれを証明している。

故に現在、八九寺真宵は警戒している態度を露わにし、足立透はそれを宥めるのに手を焼いているのだ。

足立には前科がある上、ただでさえ支給品としてリボルバーを片手に持っている状況だ。

このタイミングで他の参加者ーーそれこそあのうざったい特捜隊のガキみたいな正義感マシマシの連中に見つかったら彼らはどう思うか。

二人が違う陣営であることから足立が真宵を殺そうとしている様に見られてもおかしくはない。

流石にこんな序盤でそんな厄介事は御免被りたい。足立のこの殺し合いにおける目的達成の為にも、なるべく戦闘は避けたいところだ。

そんな思惑もあってか、足立は非常に業腹ではあるものの、なるべく苛立ちを感じさせないよう、優しく真宵へと声をかける。

 

「ねぇ、真宵ちゃん。別に僕、この殺し合いに乗ろう、なんて考えてはいないんだ。何でも願いが叶う、とか。胡散臭いし。それに僕、これでも刑事だしね。」

 

元、だけどね。そう心の中で付け加えつつ、足立は話を進める。真宵の方は懐疑的な眼差しこそ変わってはいないが、幾分か話を聞く態度にはなって来たらしい。

まったく。

最初からそうしてりゃいいんだよ。

なんとか暗雲の立ち込める状況から光が見えて来た足立は、更に言葉を続ける。

 

「それにね、僕の知り合いーーまぁ、同陣営だからちょーっと真宵ちゃんからして信頼にかけるかも知れないけど、多分殺し合いには絶対乗らない!って人達を知ってるから、もしも僕が信用ならないって言うならそっちに預けるのもいいかもーー」

「まぁ、いいでしょう。とりあえず今は明智さんのことを信用してあげましょう。」

 

 

だから何で上から目線なんだよ。あと僕の名前は足立だ。

 

「あのさぁ……何度も言ってるけどさあ、僕の名前足立なんだけど……」

「せめて『僕は“敵は本能寺にあり!“なんて言葉が後世にも伝わっている戦国武将でも無ければ次回作の黒幕ポジションでもないぞ真宵ちゃん、僕の名前は足立だ!』くらいのツッコミが欲しいですね…… 阿良々木さんならこんな時もっとしっかりとした、それこそお笑い芸人もかくやという程のツッコミが飛んで来るんですけど……もっと頑張ってください、荒れ地さん!」

 

やれやれ、といった具合に肩を竦める真宵。

ほんと腹立つなぁ、このガキ。

足立が再びこの不服な現状への不満を胸中で漏らしていると、今度は真宵から話を切り出した。

 

「そういえば荒らしさん。」

「だから、僕の名前は足立だって!……で、今度は何?」

「いや、もしも願いも何もないなら、ここで何をするつもりなのか、一応聞いておこうと思いまして。同行者の目的も知らずに一緒に行動できないと思うんですけど!」

 

はぁ。なんだそんなことか、と次は足立が肩を竦める番だ。

奴らには奴らの、現実には現実のルールがあるように、僕にもルール、ってのがあるわけ。

怪訝な顔つきで足立を見据える真宵に、一拍置いて足立は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度、遠く離れた二つの地で、相反する力の持ち主が。

闇を見上げる愚かにも戦いを選んだ愚者が。

禍津を従えし虚無の道化師が。

奇しくも一寸違わず同時に、声を上げた。

 

「俺はーー殺し合いに、乗る。」

「僕はーーこの殺し合いをぶっ壊す。」

 

皮肉にも、二人が放った言葉もまた、互いに相反していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちなみにさ、真宵ちゃん。」

「なんですか?だだちさん。」

「だから僕の名前はーーああもういいや。それより、何で真宵ちゃんは僕を急に信じる流れになったわけ?どんな心変わりをすればそうなるんだか…」

「何ですか!ちゃんと突っ込んでください!……あぁ、そうですね。足立さんがその、殺し合いに乗らないっていう人達について話してる時、どこかご機嫌だったので。その様子を見た限りだと今すぐ私に襲いかかるような人ではなさそうだし、まぁ大丈夫かな、と。」

「……まさか。アイツらのことを嬉しそうに僕が話すわけないでしょ。」




【エリアC-8/廃墟の屋上/1日目/深夜】

【主人公(鳴上悠)@ペルソナ4】
[状態]: 健康
[服装]: いつもの学生服
[所属陣営]: 緑(ゲーム)
[メダル枚数]: 1枚(鳴上悠)
[参戦時期]: 菜々子死亡ルート後より参戦。
[装備]: 日本刀@現実
[道具]: 基本支給品一式
    ランダム支給品×2(確認済み)
[思考]
基本: 自陣営を勝利させ、菜々子を生き返らせる。
1: 発見した他陣営の敵を殺害する。
2: なるべく知り合い(陽介、直斗、足立)には会いたくない。
[備考]
※ルートの都合上、事件の真犯人が足立であることを知りません。
※ルートの都合上、少なくとも鳴上はマリーとの面識がありません。
※使用できるペルソナは後続の書き手様に一任します。



【エリアI-2/ジュネス店内(日用品コーナー)/1日目/深夜】

【足立透@ペルソナ4】
[状態]: 健康
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 緑(ゲーム)
[メダル枚数]: 1枚(足立透)
[参戦時期]: 本編終了後より参戦。
[装備]: リボルバー(残弾6/6)@現実
[道具]: 基本支給品一式
    ランダム支給品×2(確認済み)
[思考]
基本: このゲームを壊してやる。
1: とりあえず今は八九寺真宵と情報交換。
2: 特捜隊(鳴上、陽介、直斗)は一応探してやる。あいつらなら殺し合いを壊す為に動くでしょ。
[備考]
※本人は未だ確認していませんが、ペルソナには制限がかけられていません。

【八九寺真宵@化物語】
[状態]: 健康
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 黄(アニメ)
[メダル枚数]: 1枚(八九寺真宵)
[参戦時期]: 少なくとも、「まよいマイマイ」以降の参戦。
[装備]: なし。
[道具]: 基本支給品一式
    ランダム支給品×3(確認済み)
[思考]
基本: 殺し合いはしない。
1: とりあえず足立さんは信用してみる。とりあえず情報交換。
2: 阿良々木さんを探す。
[備考]
※生き返っています。



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正義を為す者、聖剣を執る。

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・富加宮賢人@仮面ライダーセイバー
・スノウホワイト@SINoALICE


満天の夜空の下、

舗装こそされているが土がむき出しの道をゆっくりと歩く人影があった。

黒いズボンに白いインナー。

その上に茶色いコートを羽織った若い男だ。

長めの髪のせいで目元は見えないが、

月明りに照らされた頬は白く、

整ってはいる顔立ちが一瞬痩せすぎて死んだ者の幽霊の様に見えた。

彼は適当な家に上がり込むと玄関に腰かけ、

支給された道具を確認する。

まずはデバイスとメダル。

メダルは自分の名前と彼がかつて所属していた『ソードオブロゴス』のロゴが刻まれているのを確認するとすぐにしまい、デバイスを確認する。

起動と同時に表示されたD-2という単語を記憶して地図アプリを開く。

自分は今地図上左上の島、農村を模したエリアにいるらしい。

次に名簿を見た。

 

飛羽真(とうま)倫太郎(りんたろう)

メギドにマスターロゴスまでいるのか…。)

 

かつて仲間だった剣士に倒すべき敵が一堂に会している、

しかも良くも悪くも殺し合う必要のない同陣営であることを喜ぶべきか悲しむべきか。

殺そうとしても簡単に死なない連中なのでとりあえず後回しだ。

次にルールを確認する。

 

(メダルは態々破壊を禁止する当たり相当重要なアイテムだな。

もし奪われた末にまかり間違って陣営リーダーの手に渡ろうものなら抵抗できずに死ぬのだから当然か。

この提示放送だけは聞き逃せないな。)

 

後は他に何か入っていないか確認することにした。

出て来たのは山折りにされた紙だった。

賢人はそのうち一枚を開く。

中から物理法則を無視して紫色の奇妙なベルト、同じく紫の西洋龍の絵が描かれた手のひらサイズの本。

そして金色の刃の怪しい剣が現れた。

 

闇黒剣(あんこくけん)月闇(くらやみ)

 

原初の聖剣の一振りにして、

聖剣を封印する聖剣。他の聖剣の担い手からすれば、

それは忌々しく恐ろしい物だろう。

だが、全ての聖剣を封印しなければいずれ訪れる破滅を知る彼、

富加宮(ふかみや)賢人(けんと)からすれば希望の剣だ。

この剣なくして世界は救えない。

 

「そんな俺にこんなものを配るとはな。」

 

二枚目の紙から出て来たのは賢人にとってはターゲットの一つである雷鳴剣(らいめいけん)黄雷(いかづち)だった。

かつて、己が振るっていた聖剣で、

今となっては封印すべき世界崩壊のカギの一つ。

 

「三本目…封印。」

 

<ジャアクドラゴン!>

 

賢人は闇黒剣にジャアクドラゴンのブックを読み込ませ、

腰のカリバードライバーに装填。

剣の柄の底でベルトのスイッチを押しブックを展開。

 

<ジャアークー!ドーラゴーン!>

 

紫色のエネルギーが鎧に変わり賢人の姿を仮面ライダーカリバーへと変えた。

カリバーは聖剣に雷鳴剣とセットで支給されたランプドアランジーナのブックを読み込ませる。

 

<習得一閃!>

 

封印エネルギーをチャージされた剣先を雷鳴剣のエンブレムに向けって突き立てる。

剣先は、雷鳴剣に触れることなく床を貫き砕いた。

剣先が触れようとするその瞬間、雷鳴剣が音もなく消えたからだ。

 

「馬鹿な!?どこに!?」

 

周囲を見渡す。

だが人影も気配も感じる事も出来ない。

剣を構えながら外に出て地面を見ると、

雑木林の方に伸びてるヒールのような足跡があった。

 

(透明化?それとも時の聖剣のような特殊能力?

雷鳴剣を奪うだけ奪って逃げたことから考えるに…

武器を支給されてなかった参加者だったのか?

ソードライバーにブックも無ければ変身は出来ないだろうが…)

 

達成できると思った目的をいきなり邪魔された上に、

あえて嫌な言い方を選べば正体不明の相手に凶器を持ち逃げされたことは問題だ。

だが未知の敵を下手に追って序盤で消耗するのもまた問題だ。

 

(仕方ない。雷鳴剣はひとまず後回しだ。

武器らしい武器が無くて雷鳴剣を奪う事を考えたのなら、

主催者側の出来レーサーなんてこともないだろう。

だったら俺の不意を突けるような高度な透明化だって長くは続くまい。

続いたとして、代償を払わない訳がない。)

 

この闇黒剣の最後の奥の手の様に。

そう考えた賢人は変身を解除して足跡とは反対方向を目指して進んだ。

自分に自分の聖剣が二本とも支給されていたことを考えると、他の剣士たちも同様だろう。

ならば彼らの聖剣も封印する。

そして会場内のすべての敵を倒し、帰還して残るメギドも殲滅する。

そしてアズたちこの悪趣味な殺し合いの敵をも撃ち倒し帰還する。

全ては、世界を救うために。

 

 

 

 

 

「うぅ…がっはぁ!ごほっ!うぇっほ!」

 

何もなかった空間から浮かび上がるように現れた美しい少女が膝から崩れ落ちこみ上げる物を口から吐き出した。

 

「はぁ…はぁ…。な、なんて負担だ…。」

 

少女は羽織っていた緑色のマントを乱暴に外して自分が吐き出した物を避けて近くの木にもたれ掛かった。

何故彼女が賢人に気取られることなく接近できた上に聖剣を奪う事にすら成功したのか。

その答えは彼女の支給品の一つ、顔のない王(ノーフェイスメイキング)である。

月の聖杯戦争に参加したあるアーチャーのサーヴァントのマントで、

消音や気配遮断など高いステルス機能を持つ宝具である。

だが本来の持ち主でない上に、

このマントの元あった世界の法則に当てはめれば英霊というより幻霊に近い彼女、

スノウホワイトにはあまりに負担の強い代物だったようで、

一休みした程度では回復しないであろう強い疲労の色が見える。

もしただの人が使おうものならこの程度の負担では済まなかったであろう。

 

「だが、無茶のかいは、あったか…」

 

手に入れた雷鳴剣を見ながらスノウホワイトは独り言ちた。

彼女に支給された物はすべて攻撃能力のない道具だった故に彼女はたまたま顔のない王の試運転中に見つけた賢人の後を追い、殺害して支給品を奪おうとしたのだ。

 

(この負荷にあの鎧は予想外だったから撤退したが、

最低限の目的は果たした。

これで、疲労さえ回復出来れば戦える。)

 

彼女は最初からこの戦いに勝利する気でいた。

我が主と慕う自らの作者をよみがえらす為の行為はすべて正義。

ならば盗人のような真似も厭わないし、

この刃を振るう事も躊躇わないし迷わない。

倒すべき敵が他のライブラリの存在からここに集められた者たちに変わっただけだ。

あのアズとかいう女も、ギシンやアンキと似たような存在なのだろう。

自分の目的も正義も全く変わらない。

変わったのは敵の種類とその過程のみ。

 

「全員…倒すッ!」

 

満天の夜空を睨みながら少女は言い切った。

 




【エリアD-2/農村/1日目/深夜】

【富加宮賢人@仮面ライダーセイバー】
[状態]:正常
[服装]:白いインナーの上に茶色のコートに黒いズボン。
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(富加宮賢人)
[参戦時期]:少なくとも風双剣翠風(裏)を封印した後
[装備]:闇黒剣月闇@仮面ライダーセイバー
    邪剣カリバードライバー@仮面ライダーセイバー
    ジャアクドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
[道具]:聖剣ソ-ドライバー(剣なし)@仮面ライダーセイバー
    ランプドアランジーナワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
    基本支給品一式 
    ランダム支給品0~1(未確認)
[思考]
基本:世界を救うためすべての聖剣を封印し、敵を駆逐してから脱出する。
1:他の聖剣を探す。
2:足跡とは反対方向を目指す。
3:飛羽真たちと会った時は彼らの聖剣も封印する。
[備考]
※雷鳴剣を奪って行った相手は自分と同じただの参加者だと思っています。
※自分と同じように他の剣士に聖剣が支給されていると考えています。
※どの方向に向かったかは後の書き手様に任せます。



【エリアD-2/雑木林/1日目/深夜】

【スノウホワイト@SINoALICE】
[状態]:疲労(大) 決意、精神的に安定
[服装]:いつもの白いドレス
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(スノウホワイト)
[参戦時期]:不明
[装備]:雷鳴剣黄雷@仮面ライダーセイバー
[道具]:顔のない王@Fate/EXTRA
   基本支給品一式 
   ランダム支給品1~2(確認済み、武器ではない)
[思考]
基本: 我が主を甦らす為に同陣営以外の参加者を全て倒す。
1:まずは体力を回復させる。
2:このマント(顔のない王)の使用は控えた方がいいか…。
3:できれば他の武器も欲しい。
[備考]
※名簿や地図を確認してるかは不明です。
※賢人がカリバーへ変身する場面を目撃しました。
※彼女の隠れた雑木林がエリア内のどのあたりにあるかは後の書き手様に任せます。


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殺人鬼ふたり

作者
みみ

登場キャラ
・両儀式@空の境界
・浅倉威@仮面ライダー龍騎


両儀(りょうぎ)(しき)が目覚めたのは廃墟の冷たい床の上だった。

無機質な冷気に晒されながら、ゆっくりと立ち上がる。

それから。

傍らに置かれたデイパックに無造作に手をいれ。

そのまま一枚の紙を取り出す。

折られた紙から現れたものが刀であると確認してすぐ。

ゆらり、と。

まるで幽鬼の如く。

一歩を踏み出した。

 

熱くも寒くもない、生温い風が寂れた廃墟群に吹き抜けてゆく。

それに構わず、進む。

いや。進む、というより。

深夜の廃墟をただぶらついている、散歩している、と表現した方が正しいか。

 

日本刀を片手に。

目的地すら定めずに。

これといった方針もなく。

ここで行われている殺し合いだとか、そんなことにもまるで興味が無いとばかりに。

ただ当てもなく、廃墟と化した町並みを散策している。

 

 

突如として、その足が、止まった。

 

 

 

「誰だ......お前」

 

 

 

一間先の暗闇より、声が上がる。

男の声だった。

静寂に包まれた廃墟に染み渡るように。

それでいて、どこか渇きを感じさせる声。

 

 

その声を聞いて、両儀式は一種の確信を得た。

 

まるでなにかに取り憑かれたような、狂気を孕んだモノであるそれは。

 

そこに求めるモノが見つかったかのような、狂喜が籠ったモノであるそれは。

 

たとえ何かで満たしても、結局は拭いされない虚無を込めたモノであるそれは。

 

ああ--これは、こいつは。

紛れもない--殺人鬼のモノだ。

 

「両儀式」

 

ぶっきらぼうに、返答を返す。

 

眼前にそびえる殺人鬼に自らの存在を突きつけるそれもまた。

 

沸き上がる衝動を帯びたモノであり。

 

今度こそ己が満たされるかもしれないという歓喜を含んだモノであり。

 

それでいて、彼女の起源たる虚無を孕んだモノである。

 

 

両儀式は訪ねた男の名も聞かず。

対する男もまた言葉を交わすでもなく。

そこで会話は途切れた。

 

代わりに、突き出されたのは夜闇に煌めく一陣の刃と。 大蛇を象った、モノ。

 

両儀式からすれば。

男から発せられる鋭いくらいの殺意があっただけで後のことは不要であり。

男からすれば。

別に眼前に人間がいる、という事実さえ知ることができれば何一つとして問題はなかった。

 

「変身ッ!」

 

ぱちぱちと朧気に光る電灯が男を照らす。

仮面ライダー。

蛇を冠した殺人鬼の戦装束が姿を表す。

 

いくらその中身を満たしてもすぐにこぼれ落ちてしまう、穴だらけの器のような心を持つふたり。

対する一方は殺人鬼--両儀式。

対する一方も殺人鬼--浅倉(あさくら)(たけし)

 

「じゃあ--戦えよ、俺とも!」

 

瞬間、殺人鬼ふたりは相手を殺さんと地を蹴った。




【エリアB-9/廃墟群/1日目/深夜】

【両儀式@空の境界】
[状態]:健康、殺人衝動
[服装]:いつもの袖姿
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(両儀式)
[参戦時期]:未定。後続の書き手様に任せます。
[装備]:氏繁@龍が如く 維新!
[道具]:ランダム支給品1~2(未確認)
[思考]
基本: 未定。
1:浅倉と戦う。
[備考]
※名簿を見ていません。
※自分の陣営が何かわかっていません。

【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康、イライラ、仮面ライダー王蛇に変身中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(浅倉威)
[参戦時期]:未定。後続の書き手様に任せます。
[装備]:王蛇のデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:ランダム支給品1~2(未確認)
[思考]
基本: いつもどおり戦う。
1:両儀式と戦う。
[備考]
※名簿を見ていません。
※自分の陣営が何かわかっていません。
※なお、陣営がわかっていても構わず襲いかかるかもしれません。


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狂った星々のクインテット

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・キリト@ソードアート・オンライン
・セイバー@Fate/Zero
・新堂倫太郎@仮面ライダーセイバー
・ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・マリオ・ズッゲェロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-


深夜のコンビニにて。

久しぶりの明るい夜という物に言いようのない違和感を感じながら黒衣の少年は鏡に映ったように左右反転したラベルにパックされたあんパンを握りつぶした。

少年の手から落ちたそれは光になって砕けることなく、

重力に従い落下し、彼の足先に痛みに満たない衝撃を与えた。

 

「メニューも開けないし、やっぱりSAOの中じゃないのか?」

 

もしここが、彼ことキリト、本名桐ヶ谷(きりがや)和人(かずと)がつい先刻までとらわれていたフルダイブ型VRMMORPG、ソードアート・オンラインの中ならば、あんパンは光と化して消滅したはずである。

 

(でも現実でもないのか?)

 

キリトは支給された柳葉刀型の片刃剣、グランシャリオの鍵を抜き、

いつもの様に構えを取ると、刃に光が宿る。

ソードスキルは使えるらしい。

 

(今俺はどうゆう状況だ?

紙からグランシャリオが出て来た時は何かイベントが発動しただけなのかと思ったけど、どう考えてSAOに存在したら世界観を崩壊させるような街並み、それも鏡の中みたいに左右反転してる、に、まるで現実みたいな物理法則…)

 

考えれば考えるほど現状はキリトを混乱させるばかりだ。

大きく息を吐き、キリトはさっきデイパックからポケットに移し替えたデバイスを起動させる。

 

(今俺が居るのはH-3のどこかのコンビニ。どう行くべきか…)

 

名簿に明記された知り合いの行きそうな場所や、

自分が気になるランドマークも特にない。

とりあえず外に出て足の向くままに歩くことにした。

 

(このゲームをクリアする。

それは今までと変わらないけど、どうやって?

これはSAOと違ってメダルを回収しなきゃいけないっていうひと手間はあっても、

PKに対して明確なメリットがあるどころかそれが大前提だし、

もし俺みたいに同じ陣営に知り合いが固まっていたりする場合、

戻った先で影響はないからって、ゲームをルールにのっとってクリアする方向に吹っ切れる可能性だってある。)

 

これはゲームであって遊びではない。

あのアズと同じように(演出のおどろおどろしさの方向性は若干違ったが)かつて自分たちに高らかに告げた茅場晶彦の言葉を思い出す。

今回の場合、SAOと違い敵は不特定多数の人間だが。

同陣営の人間さえリーダーの座を狙うなら油断した所を殺されかねない。

 

「本当にどうすれば…」

 

途方に暮れかけていたキリトの耳に靴音と、鎧を鳴らす音が聞こえた。

振り向くと、そこにはSAOでも探せば良そうなブロンド髪の女騎士が立っていた。

 

「そちらの剣士、貴殿もまたこの儀式の参加者とお見受けする。」

 

「そう言うアンタもそうみたいだな。」

 

彼女の服装に唯一不自然な黄色い首輪を見る。

キリトのは赤だ。

それだけでも十分警戒すべき相手と判断するとこだが、

彼女が発する闘気も明らかに乗っている人間のそれだ。

腰に下げたグランシャリオの柄を握る手が汗ばむ。

長い事、生きるか死ぬかの戦いをしてきたキリトには分かった。

こいつは、強い。

手にする片刃大剣を自分とそう変わらない細身で両手とは言え軽々扱う彼女は何者だろう?

そんな無駄な思考をどうにか隅にやり、目の前の女、セイバーの一挙手一投足を観察する。

 

「名も知らぬ剣士よ。このような誉なき戦いがあなたの最期の戦いであることを申し訳なく思います。

けれど私には何としてでもかなえなければならない願いがある!」

 

舗装された地面をえぐる駆け出しと共に放たれた斬撃をソードスキル『スラント』の射抜きバージョンで弾く…ことはかなわず、受ける事には成功したが空中で五、六回転してからコンクリートの地面を何度もバウンドする羽目になった。

 

(なんてスピードにパワーだ!

グランシャリオは…よかった壊れてない。)

 

立ち上がり、再び構えを取る。

今しがた自分を吹き飛ばした女騎士は少し驚いたような顔をしていたが、

特に疲弊している様子はない。

逆にキリトはもう息が上がり、衝撃のせいで体は満足に動かない。

次同じスピードでこられれば間違いなく戦闘不能級のダメージを負ってしまう。

 

「人の身でありながら今のをしのぎますか。」

 

感心したようにつぶやく女騎士にキリトは全然しのげてねえよ!と、返すのをぐっとこらえた。

今のは運だ。互いに初見技だったからああなっただけで多分もう『スラント』は通じない。

その上相手はソードスキルをただの通常攻撃で相殺するような怪物だ。

 

(どうする?グランシャリオの鎧とやらを使ってみるか?

けどそうすると格闘スキルだけで戦わないといけなくなる…。)

 

グランシャリオは、本来危険種と呼ばれる超生物を素材とした鎧の帝具。

キリトの持つ剣は通常の剣と比べて優れてはいるが、鎧の鍵だ。

鎧を召喚した場合、使えなくなってしまう。

愛用の物でなかろうと唯一の得物の消失は剣士にとって致命的。

奴のパワーが鎧の耐久を超れる場合、

キリトは悪あがきすらできなくなってしまう。

 

「あなたばかりに時間もかけていられませんし、

ここは本気を出させてもらいます!」

 

そう言うと女騎士の剣に集まるように風が吹き始める。

それは剣を完全に覆い、そこに届く光を遮断する。

そしてなおも回転を続け、その剣先をキリトに向ける。

 

(魔法攻撃!?馬鹿な!そんなものが…)

 

風王鉄槌(ストライク・エア)!」

 

放たれた疾風の一矢はキリトの腹部のど真ん中に文字通りの風穴を開け、回転する勢いのまま体を上下に泣き別れにしてなお巻き込みずたずたに引き裂く。

 

「ライオンワンダー!」

 

代わりにキリトを突き飛ばすように現れた青い獅子を粉々に撃ち砕いた。

 

「今のは…」

 

尻もちをついたままのキリトと女騎士の間に現れたのは青い獅子の鎧の剣士だった。

体全身を黒いスーツと青い鎧、そして手にする剣の剣先を模した角の有る仮面に素顔を隠した彼はこの殺し合いの中に不似合いな穏やかな口調で言った。

 

「そちらの貴女、どうゆう訳か今は見えませんが、

貴女が持っている剣は土豪剣(どごうけん)激土(げきど)ではありませんか?」

 

「……この剣の銘を知るという事は、

これは貴殿の僚友の剣のようですね。」

 

「はい。それは世界を救うための聖剣。

このような野蛮な殺し合いに使われるべきものではないのです。

僕に渡していただけますか?」

 

セイバーはその問いに剣で答えた。

獅子の剣士は繰り出される斬撃を手にした水勢剣(すいせいけん)流水(ながれ)で受け、切り結ぶ。

 

(いくら鎧があるからってあの女相手にあんなに接近して、

しかも互角に戦えるなんて…)

 

一撃一撃がソードスキルに匹敵しうる洗練された剣技の応酬。

両者とも、人間を超えた存在と戦うためにそれに迫らんと幼い日々より研鑽を重ねて来た戦士。

同じ命がけの戦いをしている身でもキリトたちとは決定的に経験値が違う。

そんな異次元の戦いをキリトは見入っていた。

 

(この女性、変身もせずになんてパワー!

変身される前にワンダーライドブックを奪還する必要が有りますね。)

 

(これが変身の力!いつもと違う戦い方を強いられるからと使わないことにしましたが、なるほど。こうなるのですね。)

 

キリトとは対照的に戦う二人は極めて冷静だった。

そして互いに勝負を長引かせるのは得策ではないと判断すると、同時に間合いを取った。

セイバーは風王鉄槌の構えを、獅子の剣士はベルトに流水を納刀してグリップのトリガーを二回押す。

 

<必殺読破!ライオン一冊撃!ウォーター!>

 

「風王鉄槌!」

 

「レオ・カスケード!」

 

水のエネルギーを纏った飛び蹴りと、剣から放った空気砲が衝突する。

当たれば石をも切り裂く風と、大量の水の余波が周囲に散らばり激しく拮抗する。

 

「うぉおおおおお!」

 

「くっ!うぅうううっ!なに!?」

 

女騎士が再び驚いた声を上げる。

自慢の技が押し切られそうになったからではない。

この破壊の嵐の中をキリトが自分に向かってきたからだ。

顔だけはグランシャリオで守りながら走るキリトは女騎士の間合いギリギリに入ると下段突進のソードスキル、『レイジスパイク』を発動。セイバーの背中めがけて突っ込んでくる。

 

(魔力放出で防御を…いや!この蹴りを相殺できなくなる!

そうなれば…)

 

押し負けたセイバーは胸部を蹴り壊されグランシャリオに貫かれるだろう。

ならば一刻も早く目の前の獅子の剣士を弾かなくては。

そうすれば余波でキリトも吹き飛ばせるかもしれない。

そう考えたセイバーだったが、キリトは彼女が背負ったデイパックに深々とグランシャリオを突き立て、更にソードスキルの硬直を利用して踏ん張る!

そして吹き飛ばされるまでの僅かな時間、

入れ替えるように空いた左手を開けた穴に突っ込んだ。

 

(私の支給品を狙うとは!)

 

すぐさま吹き飛ぶキリトだが、その手には灰色の小さな本とエニグマの紙が握られている。

 

「あれは!これに乗って逃げてください!」

 

キックの姿勢を崩さないまま獅子の剣士は腰のベルトにささっアイテムをタップする。

 

<ライオン戦記!>

 

先ほどキリトを突き飛ばして助けたのと同型のライオンが出現する。

立ち上がったキリトがその背中に飛び乗ると勢いよくブレイズたちに背を向けて走り去って行った

 

「やぁああああああ!」

 

「ッ!しまった!」

 

僅かに意識をキリトに逸らしたからか、それともライオンセンキを召喚したことでエネルギーをそちらに割かざるを得なくなったのか。

恐らくは両方だろう。

技と技の拮抗は破られ、獅子の剣士が地面に転がる。

その首をはねようと急接近するセイバーだったが、彼はすぐさま剣を引き抜き寝転がったままセイバーと切り結ぶ。

そして剣先から流水を放って距離を取ると立ち上がった。

 

「このままでは朝まで切り結ぶことになります。

僕は続けても構いませんが、どうします?」

 

「私には必ず果たさなければならない願いがある。

貴公一人に全力を使う訳にはいかない。」

 

「賢明ですね。ですが忘れないでくださいね。

その聖剣は僕がかなら必ず回収します。」

 

女騎士、セイバーは土豪剣の風王結界(インビジブル・エア)を解除すると近くの建物から建物を飛び移りながら去って行った。

それを見送った獅子の剣士、仮面ライダーブレイズが大きく息を吐くと青い(ページ)状のエネルギーに変わったアーマーが解けて新堂(しんどう)倫太郎(りんたろう)に戻った。

 

「やれやれ、ギリギリでしたね。」

 

彼は大きく伸びをすると、ついさっき自分が召喚したライオンセンキが走り去っていった方を振り向いた。

 

「まずは彼からワンダーライドブックを回収するとしますか。

『聖剣やワンダーライドブックは集める』、『罪なき人々も守る』両方全うしなければならないのが仮面ライダーの辛い所ですね。」

 

台詞とは裏腹にどこか誇りに満ちたつぶやきを終えると、

変身解除と同時にライオンセンキが消滅した場所まで向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかメダルまで奪われてしまうとは、何たる不覚。」

 

しばらく進んだ先のビルの最上階にて。

悔しそうに唇をかみながらセイバーはキリトの顔を思い浮かべた。

もし彼が戦い乗っていてもその逆でも六時間後、リーダーになった人物に自分の危険性を説き、メダルを渡すのが容易に想像できた。

もし自身のマスターである切嗣がリーダーならば、とも思うが、

別にセイバーの所属する黄陣営以外のリーダーならだれでもいいのだ。

何せどこまでいっても陣営が違うというだけで敵なのだから。

 

(何としても取り戻さなければ。)

 

土豪剣をワンダーライドブックと共に支給されたケースに入れてセイバーは屋上に出る。

そして来た道を戻ろうと建物から飛び降り

 

「おいついたぁ!って!駄目です!待ってください!」

 

……ようとして普通に階段を上がって入って来たらしき少女に止められた。

どうやらこの屋上に着地した直ぐ後ぐらいにこちらを視認して近付いてきたのだろう。

年齢は10代後半ぐらいだろうか?

長い金髪に青い目。

背はセイバーと同じぐらいでドレス風の服に頭にはティアラを付けている。

背中には支給品と思しき片手剣、アニール・ブレードが装備されている。

 

「飛び降りるなんて何考えてるんですか!

確かにこんなことに巻き込まれて不安になる気持ちは分かりますけどそんなことは駄目です!」

 

どうやらこの少女はセイバーが投身自殺でもしようとしてると勘違いしたらしく、腰をがっちりとホールドして離そうとしない。

 

「……わかりました。

降りるとしても普通に階段を使うのでその手を離してください。」

 

「本当ですか?」

 

真剣な表情で頷いてやると、少女はぱっ!と咲いたような笑みを浮かべると離れて服のしわを伸ばす。

 

「私はあだ名ペコリーヌちゃんです!

名簿にもそう書かれているのでそう呼んでください!」

 

「奇遇ですね。私も真名(ほんみょう)ではなくクラス(呼び名)のセイバーと名簿にあります。

私もそちらで呼んでください。」

 

「そうでしたか!おそろいですね。

ちょっと早いけど朝ごはんにでもしながら話しましょう!

なんか鏡の中に入ったみたいに色々さかさまになっちゃってるとことですけどご飯の味は変わらないみたいですし!」

 

私の支給品、サンドイッチだったんです!と、

続けながらペコリーヌはセイバーの手を取り建物中に引き入れた。

 

(申し訳ありませんペコリーヌ。

貴女の命、情報を頂いたのちに奪わせてもらいます。

全ては、ブリテンを救うために。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛たたた…なんで急にライオンが消えたんだ?」

 

落下して撃った腰をさすりながらキリトは立ち上がると、近くのマンションの一室に入ることにした。

カギはかかっておらず、何もかも左右反転してる以外は、凡そ現実と変わらないようだ。

生活感など何もなく不気味極まるが。

デイパックを降ろしてとりあえずどこかに座ろうとして、さっきの大技の拮抗をくぐった際にずぶ濡れになったことを思い出した。

握りっぱなしだったエニグマの紙も結構濡れてしまっている。

破かないように引っ付いていたメダルをはがして、慎重に開く。

中からグランシャリオと同じように清潔な黒いスーツとコートが飛び出て来た。

 

「これに着替えるか。」

 

キリトは脱いだ服を丁寧にたたんでグランシャリオの入っていた紙に入れると、

洗面所にあったタオルで体を拭き、スーツに着替える。

幸いにもサイズピッタリのそれを一回姿見で確認すると残る支給品や奪ったアイテムの確認を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふー、やっと行ったか。

いきなりとんでもないもん見ちまったな。)

 

ペロリ、と物凄く薄い、否、厚みのない何かがさっきまでキリト、セイバーそしてブレイズが戦っていたコンビニの屋根から剝がれ起きた。

彼の名前はマリオ・ズッゲェロ。

イタリアのギャング組織パッショーネの構成員にして、

物体の厚みを奪ってぺらぺらにしてしまう幽波紋(スタンド)、『ソフト・マシーン』のスタンド使いだ。

字面だけ見ればまるでト〇とジ〇リーのオチみたいな何が凄いかよくわからない能力だが、実際は一度厚みを奪われればその状態で行動することに慣れていない限り簡単に無力化されてしまう恐るべき能力だ。

 

(あの麻薬チームのスタンド使いに薬づけにされてもう使い潰されるしかねえのかとも思ったが、どうやら神様は気まぐれにも俺に微笑んでくれたみたいだな。)

 

体の厚みを元に戻しながらズッケェロは支給品の一つであるジーニアスフルボトルを放り投げてキャッチする。

このボトルは所謂変身アイテムの一つで、

ビルドドライバーが無ければ真価は発揮できないものであるが、

肉体に直接挿入口をセットすることで対象の中にある有害物質を分解して無害化する力があるのだ。

それによりどうにかギリギリ体内の麻薬を洗浄することに成功したズッゲエロは、もちろんこのバトルロワイヤルに乗ることにした。

 

もしあの女が言うようにどんな願いも叶うなら、

組織の影響のない海外に高飛びしてそこにずっと住むのも簡単だろう。

自分にカタギができるとは思えないが、

少なくともブチャラティチームの生き残りが牛耳るパッショーネに居るよりかは居心地のいいはず。

そう考えたからだ。

 

最初に見つけたキリトは同陣営だったので、キリトと接触した誰かが彼に気を取られてる隙にその相手を暗殺することにしてしばらくは息をひそめていた。

 

(ま、案の定それはあんな生身で近距離パワー型スタンドとやり合えそうなバケモンどもだったから見逃したわけだが。)

 

だが奴あらは放っておいてもどうせまた戦うようだし、

潰し合ってくれるならバンザイだ。

 

(だが問題はある。

一回やり合ってるブチャラティチームの生き残りのフーゴや、

たった10歳であのミランツァ組を潰した親衛隊のシーラE。

追ってた麻薬チームのマッシモにビットリオ。

シーラE以外の3人は皆一回はやり合ってる。

下手に会っちまったら戦闘は避けらんねーかもしれねえ。)

 

しかも自分が戦ったのは麻薬チームのここにはいない残り二人、コカキとアンジェリカだ。

マッシモは麻薬を作るだけの能力と聞いてるので不意打ちできれば問題ないかもしれないが、それは希望的観測だ。

全員の手札がまるで分らない。

手札が分かってるフーゴやシーラEさえ漠然と恐ろしく強いらしいという情報があるぐらいで、ラグーン号の時のような絶好の環境が無い限り相手にはしたくない。

 

「さーて、どう動くかねえ?」

 

寝っ転がって見事に左右反転した狂った夜空を見上げながらズッゲエロは一人呟いた。

 

 




【エリアH-3/市街地コンビニ前/1日目/深夜】

【新堂倫太郎@仮面ライダーセイバー】
[状態]: 正常、疲労(中)、生身
[服装]: いつもの剣士風の服
[所属陣営]: 桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(新堂倫太郎)
[参戦時期]:不明、あとの書き手に任せます。
[装備]:聖剣ソードライバー(水勢剣納刀)@仮面ライダーセイバー
    ライオン戦記ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
[道具]:基本支給品一式
    ランダム支給品0~2
[思考]
基本: 剣士としてアズたちを打倒し、参加者たちを救う。
1: 先ほどの黒衣の少年剣士(キリト)を追い、ワンダーライドブックを回収する。
2: 女騎士(セイバー)を倒し必ず土豪剣を回収する。
[備考]
※ライオンセンキは変身した状態で発動すると変身解除と同時に消滅します。



【エリアH-3/市街地、ビルの屋上/1日目/深夜】

【セイバー@Fate/Zero】
[状態]:魔力消費(中)、それ以外は正常
[服装]:いつもの鎧とドレス
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:なし
[参戦時期]:ランスロット戦の直後。
[装備]:土豪剣激土@仮面ライダーセイバー
[道具]:基本支給品一式
   ランダム支給品0~1
[思考]
基本: 自陣営を勝利に導き、ブリテンにふさわしい王を立てる。
1: まずペコリーヌから情報を得て、その後殺害する。
2: 黒衣の少年(キリト)を追い、メダルを奪い返し殺害する。
3: 水の剣士(ブレイズ)を警戒。
[備考]
※セイバーと切嗣にパスがつながっているかどうかは不明です。
後の書き手に任せます。
※メンタルはランスロット戦直後の荒れてるものですが、
倒すべき敵が大勢に増えたために頑張って冷静に振る舞っています。

【ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:DIVE】
[状態]: 正常
[服装]:いつもの服装(鎧は無し)
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(ペコリーヌ)
[参戦時期]:不明、あとの書き手に任せます。
[装備]:王家の装備(ティアラ)@プリンセスコネクト!Re:DIVE
    アニール・ブレード@ソードアート・オンライン
[道具]:基本支給品一式
    ローストビーフのサンドイッチ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
[思考]
基本: この殺し合いを脱出する。
1: セイバーさんとご飯を食べながらお話しする。
2: キャルちゃん達を探す。
3: 覇瞳皇帝は…
[備考]
※王家の装備はティアラと剣別々で支給されています。
※ローストビーフのサンドイッチの個数は後の書き手に任せます。



【エリアH-3/マンションの一室/1日目/深夜】

【キリト@ソードアート・オンライン】
[状態]:疲労(中)、
[服装]:新政府の制服@仮面ライダービルド
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:2枚(キリト、セイバー)
[参戦時期]:少なくともヒースクリフかPoH、どちらかの名前を知った後。
     詳細はあとの書き手に任せます。
[装備]:修羅化身グランシャリオ@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式 
    ランダム支給品0~2
    玄武神話ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
    もともと来ていた服@ソードアート・オンライン
[思考]
基本: このゲームを生き抜く。
1: どう動くのがいいんだろう?
2: あの女騎士(セイバー)には警戒する。
3: 青い剣士(ブレイズ)にはあったら礼をしたい。
[備考]
※ソードスキルは使えますが、アイテムストレージなどは使えなくなっているようです。
生身かどうかなどは後の書き手に任せます。
※もともと着ていたお馴染みの黒衣はグランシャリオの入っていた紙にしまっています。
※服装は劇場版で万丈が着ていたのと同じデザインの服です。
ただしサイズはキリト、というより最初に支給されたセイバーに合わせたサイズなので問題なく着れています。
※新政府の制服の入っていた紙はその場に放棄しました。
乾けばまたもとのように使えるかもしれません。



【エリアH-3/市街地コンビニの屋根/1日目/深夜】

【マリオ・ズッケェロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】
[状態]: 健康
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(マリオ・ズッゲエロ)
[参戦時期]:麻薬チームに敗北した後。シーラEと戦うより前。
[装備]:なし
[道具]:ジーニアスフルボトル@仮面ライダービルド
    基本支給品一式
    ランダム支給品0~2
[思考]
基本: この殺し合いを勝ち抜いて自由になる。
1: フーゴたちやあのバケモンどもに会わないように立ちまわる。
2: あの黒い上着の兄ちゃん(キリト)は別に追わなくていいか。
3: これからの行動を考える。
[備考]
※特になし


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境界線-生と死/本物と偽物-

作者
みみ

登場キャラ
・ジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険
・臙条巴@空の境界


夜闇に煌めく電灯。

この夜においても変わらず光を放ちつづけるそれを一瞥し、歩みを続ける男が一人。

ジャン=ピエール・ポルナレフは、夜の市街地に一人足を進めていた。

行き先、未だに決まらず。

市街地と思われる町をアテもなく歩き回っていた。

 

そんな今の彼を例えるなら『らしくない』だろうか。

 

--このバトル・ロワイアルにおいて無駄な移動を取る、というのは身の危険へと繋がる。

 

その理由はたったの一点。

言わずもがな、他の参加者の存在。

殺し合いに乗っている参加者との接触は当然の帰結として交戦は避けられない。

ポルナレフも生半可な相手では逆に返り討ちにしてしまうほどの実力を有してはいるが。

現在一人の彼では荷が重いであろう相手との遭遇、もしくは多人数で襲われ、一対多の状況に持ち込まれてしまえばそれこそ命の危機に直結する。

 

自身の命を脅かす事態には何度も遭遇した彼がわざわざ利もなく危険の伴う行動をしてしまう。

確かに、らしくない。腑に落ちない。

そんな、腑に落ちない事実には必ず何かの原因、理由があるものだ。

ならば、ポルナレフにとってのそれは。

 

(一体何が起こってやがるッ!?殺し合い....爆破された男....直ってやがる指....そして何より--)

 

唐突に殺し合いに招かれた、驚き。

無残にも首を爆破された男への、驚愕。

戦いで失った筈の左指と爪先の復元による、驚嘆--

 

 

 

 

 

 

ではない。

 

 

 

 

 

(『生きていた花京院(かきょういん)』ッ!なぜ、アイツが......)

 

殺し合いの始まる直前に確かに捉えた人影。

見間違いかと、始めに思った。

ありえねぇ。

だってアイツはもう--

 

それでも。

確かにあの後ろ姿は。

共に旅をした戦友のものなのだ。

見間違えるなど、万に一つもあり得無い。

確かに、ポルナレフが目にしたあの後ろ姿は。紛れもなく花京院典明(のりあき)のものだ。

 

--どんな願いもかなえてあげちゃうよ!不老不死でも死者蘇生でも億万長者でもなんでも!

 

不意に、一つ思い返す。

死んだはずの花京院の姿に呆気に取られて話半分で聞いていた、司会を名乗った女の言葉。

 

あの女は、何と言っていた?

 

『どんな願いでも』

『不老不死でも』

『死者蘇生でも』

『億万長者でも』

 

もしも本当に『何でも願いが叶うなら--』

ならば。

だとするならば。

本当に。

あれは。

花京院なのか--!?

 

ぐるぐる。

ぐるぐる。

 

ならば。

アヴドゥルも。

イギーも。

生き返っているのか。

もしかしたら。

考えるだけでゾッとするが。

あのDIOやヴァニラ・アイスまで生き返っているのか。

そもそも。

あれは本当に花京院なのか。

 

もしかしたら。

あれは偽物なのではないか。

 

思い悩んで。

悩み悩んで。

ポルナレフの混乱してゆく脳内を表すように、その足もまたぐるぐると歩みを進める。

 

ぐるぐる。

ぐるぐる。

 

回り回って--

そうして、どのくらいの時間が過ぎただろうか。

 

体感としては5分にも満たない時間。

もしかしたら。

もっと長い時間だったかもしれない。

もっと短い時間だったかもしれない。

そんな中唐突に。

 

ポルナレフの立つ、電気の通っているらしい電灯の明かりの下。

光の照らされぬ、暗闇から。

光で区切られた、境界線の向こうから。

 

「なぁ、おい!そこのアンタ!」

 

男の声。

それはポルナレフにとって、初めての参加者との邂逅。

偽物と本物の、出会い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初にこの殺し合いに招かれた時、率直に感じたものは、怒りだったと思う。

 

見せしめとして、まるでその命が無価値であるかのように殺された男。

その姿に、どうにも堪えきれない苛立ちを感じて、無用心にも一人で会場を歩き回っていた。

そんな矢先だった。

 

いかにも夜闇に目立つだろう、電灯の下で悩んでいる男。

最初は勿論警戒した。

しかしそれも首輪の色を確かめるまでだ。

黄--すかさず、デイパックからメダルを取り出し、その色を確認する。

同じ陣営。

つまり、リーダーなんてのを狙っていない限りは、敵ではない。

 

だから、試しに声をかけることにした。

 

まぁ、確かにまだ眼前の男が敵ではない、という確証はまだ無い。

ならば何故わざわざ話しかけたのか。

そこに多分、大した理由はなかった。

強いて言えば。

間違いなく俺より一回りは年上だろう男が、あんなに頭を悩ませていて。

そんな姿を見せられてこっちが勝手に張り詰めていた緊張なんかが削がれてしまったからだろうか。

 

さすがに無用心すぎるだろうといった思考が回った時には既に俺の声は夜闇に溶けていって。

 

「アンタは、殺し合いに乗っているのか」

ここまで来たら、やるしかない--と覚悟を決めて、言葉を続ける。

一瞬。

たったの一瞬だったが。

先程のうだうだとしていた姿からは想像もできない威圧感。

突き刺すような視線。

男から発せられたそれを例えるなら--まるで、あの式のような。

それでいて、どこか違う。

もしも式のそれが生来のモノなら。

男から発せられたそれは数多の経験から来たモノだ。

研ぎ澄まされたナイフが目の前に突き付けられたようなそれが俺へと向けられる。

 

しかし。

それもすぐに立ち消えて。

 

「俺はジャン=ピエール・ポルナレフ。殺し合いには乗っちゃあいねーぜ。安心してくれ。お前の名前は?」

 

どこかお人好しに感じられる表情を向けながら、男--ポルナレフは俺に言った。

 

「俺は、臙条(えんじょう)(ともえ)だ。」

 

名乗り返す。

完全に警戒を解いて、ポルナレフへと歩みを進める。

そして、電灯の明かりへと踏み込む一歩手前で。

 

「なぁ、一つお前に聞きたいことがある。少し、いいか?」

 

先程名乗った時とは少し神妙な声で。

先程俺に向けた鋭い視線とはまるで反対の、どこか迷いのある目をして。

ポルナレフは、一つ。

俺に尋ねた。

 

「もしも、だ。死んだはずの仲間--友人とか、家族とかでもいい。もしもそいつが、目の前に現れたとして」

 

「お前なら、そいつは『本物』だと思えるか?本当に、生き返ったと思えるか?」

そう、ポルナレフは言った。

その問いに。

俺は--




【エリアH-3/市街地1日目/深夜】

【ジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]: 正常
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(ジャン=ピエール・ポルナレフ)
[参戦時期]:第三部終了直後
[装備]:なし。
[道具]:基本支給品一式
    ランダム支給品0~3(未確認)
[思考]
基本: 殺し合いの打開
1: 臙条巴と話す。
2: あの花京院は一体--!?
[備考]
※名簿を見ていません
※傷が治っています。
※オープニングにて、花京院の後ろ姿を確認しています。


【臙条巴@空の境界】
[状態]: 正常
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(臙条巴)
[参戦時期]:死亡後より参戦。
[装備]:なし。
[道具]:基本支給品一式
    ランダム支給品0~3(未確認)
[思考]
基本: 殺し合いからの脱出。
1: 俺は--
2: ポルナレフを信用する。
[備考]
※名簿を見ていません。



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ひとりぼっちは語らない

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険
・キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive
・比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・アズ@仮面ライダーゼロワン


chapter01

既にひとりぼっちでない男

 

花京院(かきょういん)典明(のりあき)が目を覚ましたのは何処かの階段の踊り場だった。

電灯がごく狭い範囲を等間隔に照らしており、外の様子は分からない。

 

(…と、言うことを理解できるということはあの攻撃で失明した訳ではないのか?

それとも一回は治療…いや、復元(・・)されたのか?)

 

ようやく辿り着いたエジプトの地にて、彼とその仲間たちはそこで待ち伏せしていた水のスタンド、ゲブ神の攻撃を受けた。

その戦いの最中、花京院はゲブ神に顔を攻撃され気絶した筈である。

だが気付けば、あのホールに集められ、アズを名乗る女から一方的にルールを聞かされていたのだ。

 

(なんで瞬間移動させられてるのか?とか、ジョースターさん達はどうなったとか色々気になるが…取り敢えずさっき見せて来たデバイスとメダルを調べよう。

ポケットに入ってないって事は…この足元にあるデイパックか?)

 

花京院は周囲を最大限警戒しながらデイパックを改める。

 

(有った。デバイスとメダルに…この紙はなんだ?)

 

デバイスと黄色いメダルをズボンのポケットにしまい、紙を検める。

デカデカ『手鏡』と書かれたそれは二つ折りにされていて、裏側には表面より小さい字で『SAOのチュートリアルにてゲームマスター茅場晶彦がプレイヤーに配布したアイテム』と、書かれている。

 

(何故手鏡?どんなゲームか知らないが、なんの武器にもならないんじゃないか?

というか、手鏡なんてどこに?)

 

そう思いながら紙を開くと、中から物理法則を無視して飾り気のない手鏡が飛び出て来た。

 

「おっと!」

 

手鏡は重力に従い落下する。

このままいけば手鏡は地面に落ちて割れてしまうだろう。

だがそれを、花京院の体から浮き上がる様に現れた緑色に光る腕が受け止めた。

その腕は一度花京院の身体から完全に出る。

緑に光る液体が白い筋で人型に整えられた様なそいつの名は法皇の(ハイエロファント)(グリーン)

花京院に生まれつき備わった立ち向かう力(スタンド能力)である。

ハイエロファントは花京院に手鏡を渡すと再び体に引っ込む。

手鏡に映る自分の姿は、首に見慣れぬ黄色い首輪がある以外は昨日と何も変わらない。

顔にも傷一つない。

 

「あのホールで逆らえないことを、

この目を治したことで奇跡を起こせることを示したつもりか?

お前らどんな強力な普通じゃないスタンドを持ってるか知らないが…

この僕が簡単に従うとでも?」

 

花京院はここではない場所にいるアズ、そしてその他にもきっと居るであろうこの戦いの仕掛け人に宣言する。

 

「我が名は花京院典明。

我が魂の信念と誇りを貫く為に、

貴様らが見せしめに殺した名も知らぬツナギの男の心の安らぎの為、お前たちには死をもって償ってもらう。」

 

高貴なる法皇は手鏡を鞄にしまい、それを背負うと階段を駆け上がって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter02

ひとりぼっちになろうとする者

 

コツコツ、と小気味いい靴音が規則的に廊下に響く。

ワックスでもかけたばかりなのか、ピカピカの床を靴に着いた泥で汚す彼女は人では有るが、獣の特性を持つ獣人だ。

黒と紫のデザイン性の強い衣装に、先に魔導書の付いた杖を持つ彼女は全く知らない人が見れば、魔法少女アニメのコスプレにでも見えるだろうが、彼女、キャルは正真正銘の魔法使いである。

 

(空間跳躍といい、この爆弾の首輪をつけるまで私たちに一切抵抗させなかったことといい、とんでもないのに捕まっちゃったわね…。)

 

だが彼女はこの戦いを幸運だととらえていた。

敬愛する主である陛下こと覇瞳皇帝(カイザーインサイト)にとって邪魔者であるペコリーヌ、コッコロ、そしてラビリスタのプリンセスナイトの少年までこの殺し合いには招かれている。

さっきのホールでアズとかいう女からの説明が始まるまで気づかなかったのは幸運だった。

もし気付いて話しかけてなんかいたら自分はこんなことをしようなんて発想にすら至っていなかっただろう。

 

「保健室の鍵…あった。これね。」

 

教員室から保健室の鍵を回収した彼女は階段前にあったその階の地図を確認し、保健室に向かった。

 

(これで鍵をかけておけば…まあ、ペコリーヌみたいなパワーがあればドアを壊して、なんてしなくても外から窓割れば入れちゃうでしょうけど、無いよりいいはずよね。)

 

キャルは一度だけ保健室内に入り、支給品の一つである次元(じげん)方陣(ほうじん)シャンバラでその部屋をマーキングした。

一度マーキングした場所に使用者を瞬間移動させる帝具は大当たりの支給品と言えるだろう。

怪我してもすぐに応急処置の可能なココに戻ってこれるのだから。

 

(ペコリーヌや、それ以外の奴らだってきっと同じぐらい厄介なはずよね…。

だったらもう迷う訳にはいかない。)

 

あのスキンシップが激しくて大食らいで王家の装備のお陰で馬鹿力のペコリーヌ。

自分より年下のくせに世話焼きで意外と表情豊かで案外懐の広いコッコロ。

そして、あの記憶喪失のせいなのかもとから天然なんだか分からないあいつ。

どいつもこいつも陛下の邪魔で付き合い長くて大っ嫌い。

だから、だから必ず…

 

「ぶっ殺す。」

 

かちゃん、と、鍵をかける乾いた音が広い廊下に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter03

ひとりぼっちになってしまった男

 

 

「……ついてねえ。」

 

膝より下に感じる異様な冷たさに気付いた比企谷八幡は自分が海にいる事に気付いた。

幸い星明りは有ったので迷うことなく浜まで向かう。

柔らかな土を踏む感覚が濡れた靴下から海水が染み出る感覚と相まって気持ち悪い。

足先は体の部位の中でも特に冷えやすいし、しかも乾けば間違いなくべたつく海水とあってただでさえ低いテンションは急降下していく。

 

「はぁ……。どうしよ。」

 

「まずは荷物の確認。

それから名簿や地図も見といたほうがいいんじゃない?」

 

ついさっき聞いたばかりの女の声に思わず振り返る。

そこには予想通り、黒いドレスの女がいた。

 

「アズ…」

 

「せーいかい♡

憶えててくれてうれしいわ。」

 

「………。」

 

「もー、そんなに睨まなくていいじゃない。

渡すものあって来ただけなんだから。」

 

そう言ってアズは八幡にずぶ濡れのデイパックを渡してきた。

 

「…これは?」

 

「あなたへの支給品。

転送先海だったせいで流されかけてたから。」

 

ごめんね?と、手を合わせて小首をかしげて謝るアズだが、

八幡は全くときめかないし、謝れれている気もしなかった。

胡散臭い物を見る目で見つめ続ける。

会話のない二人の様子を窺っていたかのようにデイパックの中に入った何かが振動した。

 

「気にせず確認してみれば?じゃあ私はこれでね。」

 

 

そう言うとアズは文字通り一瞬で八幡の目の前から消えてしまった。

しばらく呆けていた八幡だったが、何とか再起してデイパックを開ける。

幸い、中まで水は入っていないようだ。

 

(紙入ってるバックを海の中に送る奴に渡すなよ…。

で、さっき震えたのはこのデバイスか。)

 

画面が勝手についていたデバイスを取り出す。

そこには『チャットアプリ:メッセージが一件届きました』と表示されている。

試しにアプリを起動してみると、初回だからか、簡単な解説が表示された。

デバイスの中には支給品一個の代わりに特別なアプリがインストールされている物もあり、このチャットアプリもその一つ、との事だ。

 

「ぼっちの俺に随分とまあ、不似合いな支給品ですこと。」

 

挨拶だけの簡素なメッセージをを確認すると、

八幡はデバイスをポケットにしまい内陸を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからも変わらず戦うことを決めた者。

これから壊すのだと覚悟を決める者。

これからが定まらぬままとりあえず動く者。

 

きっと彼らにはいつもの様に/覚悟した通りに/暴力を伴って悪意が襲い掛かるだろう。

そんな時に一番強いのは誰だろう?

自分が一人でないと知っている者だろうか?

自分から一人になりそれを決めた者だろうか?

自分が一人なことに慣れたつもりでいる者だろうか?

 

その答えはきっと、この物語が教えてくれるだろう。




【エリアG-1/どこかのビルの階段/1日目/深夜】

【花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:正常
[服装]:いつもの制服
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(花京院)
[参戦時期]:ゲブ神に目を攻撃された直後
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式
    手鏡@ソードアート・オンライン
    ランダム支給品0~2
[思考]
基本:アズやそれ以外にもいるであろう主催者たちを倒す
1:建物の上階に向かい、周囲の様子を把握する。
2:落ち着ける場所でデバイスを確認する。
3:情報を整理し、当面の方針を定める。
[備考]
※目はその周りの傷も含めてあと一つなく治されています。
※アズたちを普通ではないスタンド使いの集団だと思っています。



【エリアH-5/学校、保健室前/1日目/深夜】

【キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(キャル)
[参戦時期]:少なくともペコを捕らえる前。
      詳細は後の書き手に任せます。
[装備]:キャルの杖@プリンセスコネクト!Re:Dive
[道具]:基本支給品一式
    次元方陣シャンバラ@アカメが斬る!
    ランダム支給品0~1
    保健室の鍵@ロワオリジナル
[思考]
基本:この殺し合いに乗じて美食殿を抹殺する。
1:美食殿の連中を探す。
2:怪我をしたらさっさとシャンバラで保健室に戻る。
3:もしあいつら以外の参加者に合ったら…
[備考]
※名簿を確認していません。
※プリンセスナイトとしての力が危険種やミラーモンスターなどに通用するかは不明です。仮に出来てもすでに契約がすでに結ばれている場合はほぼ不可能と思われます。
※オープニングにて、ペコリーヌ、コッコロ、主人公(プリコネR)の姿を確認しています。



【エリアJ-10/砂浜/1日目/深夜】

【比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】
[状態]:正常、膝より下は海水でずぶ濡れ
[服装]:総武高校制服(男)
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(比企谷八幡)
[参戦時期]:不明、あとの書き手に任せます。
[装備]:デバイス(チャットアプリ入り)@ロワオリジナル
[道具]:メダル(比企谷八幡)@ロワオリジナル
    ランダム支給品0~2
[思考]
基本:未定
1:とりあえずどっか落ち着けるとこに行く。
2:変えの靴やズボンが欲しい。
3:チャットのメッセージに何か返信する。
[備考]
※少なくともあと一人はチャットアプリ入りのデバイスを支給されてる参加者が居ます。


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そして時は動き出す

作者
山田ちゃん

登場キャラ
・DIO


ちくたく。ちくたく。

()()てられた廃墟(はいきょ)に、断続的(だんぞくてき)()(つづ)けるのは(はり)(おと)

続いて行く時間の存在を知らしめる時計は、ただひたすらにその役割を全うしていた。

 

時間の進みは何時だって前にしか進みはしない。

 

--『まったく重てぇな、何が入ってんだァ?』

 

その進みの中に取り返しのつかない過ちがあろうと、 戻りやしない。止まりはしない。

 

時は進み続ける。

 

--『てめーの敗因はたった一つだぜ......』

 

何が起きようとも。

 

--『てめーは俺を怒らせた。』

 

進む。

 

ならば。

 

この場に、このDIO(ディオ)が立っていることすらも、時が進んだ、未来にあるものなのか。

 

この殺し合いに招かれてからDIOが考えていたことは、その一点のみだった。

何故自分がここにいるのか。

死んだはずの自分が。

何故。

その事実をDIOが認める事は非常に不快(ふかい)であったが、(みと)めざるを()ないことだ。(たし)かに、このDIOは一度(いちど)()んだのだ。

(ゆえ)に。

 

「私は知らなければならんのだ--」

 

(すす)みゆく(とき)(なか)(たし)かに確定(かくてい)した、(みずか)らの()

それを(ちょう)()しにした真実(しんじつ)について知り。

そして--

 

頂点(ちょうてん)()つのは、このDIOだ。」

 

不明(ふめい)なことはまだ(おお)い。

一つずつだ。一つずつ確実(かくじつ)未知(みち)機知(きち)へ--

その視線(しせん)は、一つのDISCへと(そそ)がれる。

それには確かに、『ハーミットパープル』と(めい)()たれていた。

 

 

 

 

 

 

 

【エリアB-9/廃墟群/1日目/深夜】

 

【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:健康

[服装]:いつもの衣装

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(DIO)

[参戦時期]:死亡後より参戦。

[装備]:ハーミットパープルのDISC@ジョジョの奇妙な冒険

[道具]:ランダム支給品×1~2(未確認)

[思考]

基本:生き残り、主催の持つ能力を何としても奪い取る。それが無理なら殺害。

1:まずはこのDISCについて知らなければ。他参加者で試す。

2:行動は慎重に。不愉快ではあるが、場合によっては他参加者への協力も厭わない。

[備考]

※スタンド及びDIOの肉体、肉の芽についての制限は後続の書き手様にお任せします。




今回は作品は作者の山田ちゃん様を尊重し、元々ハーメルンの最低文字数以下の文字量だったオリジナルからフリガナを多用する形で嵩増ししています。
ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。


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探求/終末/運命

作者
みみ

登場キャラ
・ドロシー@SINoALICE
・花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険
・ストリウス@仮面ライダーセイバー


【探求ーたんきゅうー】

 

特定の物事に関して、執着すること。そのさま。

 

◆◆◆

 

ドロシーは、研究が好きだ。

研究に、彼女の全てを賭けていると言ってもいい。

研究に、執着していると言ってもいい。

 

そんな彼女が常に欲しているもの。

それは当然、未知を既知へと変える知識であり。

それは当然、知識を得るためのサンプルであり。 

それは当然、研究の大本の目標である、未知の謎だ。

 

だからドロシーが、この殺し合いという現状に於いてもその探求心を発揮させるのはやはり変わらず。

 

故にドロシーが、眼前で起きた信じがたい光景を目の当たりにして歓喜の表情を浮かべたのは至極当然の帰結だった。

 

響き渡る衝突音。

崩れ落ちる高層の建造物。

遠目からでも把握できる圧倒的破壊の跡。

 

(あそこで何があったらああやって壊れるんでしょうね?建物の崩壊について、今まで調べてませんでしたし。盲点でしたね……)

 

ーー知りたい。

なんだ、あの現象は。

盛大に破壊音を響かせながら崩壊してゆく建物。

その原因となる事象は一体何か?

 

(そもそも、あの建造物の形状自体が不思議ですね、何でああいう作りになってるんだか。)

 

ーー知りたい。

なんだ、あの建物は。

ドロシーが見たこともない摩訶不思議な建造物。

天を衝かんばかりに高い形状。

壁面一帯が窓ガラスなどで覆われた構造。

何故、あの様な造りになっているのだろう?

 

(それはそうと、この殺し合い。その司会の『アズ』と名乗る女性。やっぱり気になりますねえ。)

 

ーー知りたい。

なんだ、この状況は。

殺し合いに巻き込まれた、という事例ならばギシンとアンキによるものが挙げられるが。

殺し合い、という特異な状況について別の事例が発生するなんて。

これで二つの殺し合いについて考察することで、彼らの真意を知れるかもしれない。 

何を見出して、あなた達はこんな催しをするんでしょうね?

 

彼女はいつも通りに、ただ知りたい、という感情に任せて、崩壊したビルへと足を進める。

その先にあるのはーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【終末ーしゅうまつー】

 

物事が最後に行きつくところ。おわり。

◆◆◆

 

時は、ほんの少し遡る。

 

◆◆◆

 

かつん。かつん。かつんーー

 

絶え間なく、断続的に足音が木霊する。

踏み締める様に。一段一段、噛み締める様に。

一定のリズムで、しかし急ぐ様に。それでいてどこか慎重さを感じさせる足音。

この殺し合いの場に招かれてから、いくばくか経った今もなお、途切れることなく足音は響いていた。

外側から見るので有ればその階層は40も下らないであろう高層のオフィスビルだ。

それはこのビルを登っている当の本人には到底知り得ない事実であるのだが。

この殺し合いが始まってビルの10階の階段に飛ばされた花京院典明は今、ビルの37階へと足を進めていた。

 

(ここまで歩いて来たが……どうやらこの建物は相当な高さのようだな……)

 

このビルが花京院の思っていたより高いものではあったが、土地勘などあるはずもない殺し合いの会場に於いてはそれが一種のアドバンテージとして機能していた。

花京院がここまでビルの階段を歩き続けた訳というのは、周囲の様子を把握する為である。

ビルの上階ーーこれも高層のものであるならば地上のある程度の場所がわかる、というものだ。

何事をするにしても行動指針となるものは必要であって。

それも尋常ではないスタンド使い(であると思われる)アズ達殺し合いの主催である彼らを倒すには指針を決める以前に情報が不足している。

そのための情報収集だ。

アズや、彼女に与するスタンド使いを倒すにはやはり情報が足りないのだ。

それ故に花京院は上へ上へと階段を登っていた。

 

階段を上り切った先には、扉があった。

ガチャリーーそうして、ドアを開けた花京院。

 

びゅう。

激しい風切り音が轟いた。

40層にも連なったビルの屋上から吹く風は強く、花京院の視界を一瞬塞ぐほどの強風だった。

ここからならば周囲を確認するのには充分だろうーー強風による暗転から解放された花京院はすぐさま周辺の探索に動いた。

周囲に敷き詰められた柵。

それ以外に見えるものなど何も無く。深夜も回った真っ暗闇が辺りを覆っていた。

どうやら、殺し合いが始まった時刻は夜らしい。

これでは得られる情報も当てにならない。

仕方なく、今度は花京院の支給品を検分にかかった。

 

デイパック。手鏡。メダル。

 

そして、デバイス。花京院が手に取ったものはそれだった。

優先順位として、参加者がどれほどの人数呼ばれているのか。

地図による現在位置の確認。

自らが組み込まれている陣営についてはどうか。

殺し合いに呼ばれる直前の襲撃までは共にいた仲間達の所在。

 

デバイス一つを調べるにあたって得られる情報の優先度は高い。

どれも直ぐに確認すべきであり、それによってこれからの行動方針も定まるというもの。

花京院は夜の闇には眩しいくらいのライトに照らされ、デバイスを調べた。

 

 

ーーかつん。

 

不意に。音が鳴った。花京院がデバイスを確かめていたその最中に。

そして何らかの操作を終えたその直後に。

屋上めがけて、一つ一つ、階段を歩く音が響いた。

 

ーーかつん。

 

花京院は最大限の警戒を引き出し、ビルの屋上の唯一の出入り口である扉を見据える。

その姿勢は既に戦いへと赴くそれへと変わり。

その闘志は静かに燃えて。

その後方には高貴なる法皇が鎮座する。

 

まるで風が吹き込む様に。

今この場には、一触即発の空気を孕んだ静寂で満たされる。

 

ーーかつん。

 

その空気に楔を打ち込む様に。

その空間の全てが、花京院典明の研ぎ澄まされた警戒心が、鳴り響く足音へと向いている。

両者、互いに合間見えず。

しかし、その場には闘争という嵐の前の静けさが明確に漂っている。

 

「そこの足音ッ!……一旦、そこで止まってもらおう。」

 

花京院が静止をかけたのは、実に来訪者が扉の直ぐ目の前に辿り着いた瞬間だった。

その声を聞いたまだ見ぬ来訪者は、ぴたりと足音を止めた。

まず、尋ねるべきは殺し合いに乗っているかの有無。

まずはその確認だーーと花京院が口を開こうとした時。

 

ーーガチャリ。

 

扉が開いた。

話が聞こえていないのか、そう問い質す間もなく。

その一瞬後には花京院の背筋には冷たいものが流れた。

ぞわり、と背を這い上る悪寒に最大限引き出していた警戒心をそのさらに極限まで引き上げる。

来訪者はまるで、あのDIOに、あの悪のカリスマに勝るとも劣らない存在感を放っていた。

屋上に上がって来た男の一挙一動を逃さぬ様に睨みつけながら、その思考は冷静に相手を分析していた。

 

夜の闇に溶け込む様な暗い緑色と黒色のコート。

その服装は深夜の夜闇の漆黒と同化し、目を凝らさないとよく見えない。

比較対象として挙げたDIOの金色の衣服とは真逆の出立ち。

そんな男の異様なまでの存在感を示しているのは何か。

それは、笑顔だった。

花京院を真っ直ぐに見つめ。

三日月の形に固定された口は言いようのない不気味さを演出している。

 

ーー例えるなら、物語の悪役。

 

極悪非道の限りを尽くす、悪。

人々を苦しめその様に愉悦する、悪。

強大な力を持っておきながら、それを負の方向にしか向けられぬ、悪。

そんな印象を花京院は抱いた。

それが、この男の異常性の正体だった。

 

「お前はーー」

「私の名は、ストリウス。」

 

《グリモワール!》

 

「きさまッ!!一体何を」

 

『WHEN THE HOLY SWORD AND THE BOOK INTERSECT REWRITE THE WORLD』

 

緊張感が包まれた静寂を覆いつくしたのは、闇だ。

夜の闇とも違う。光すらも塗り潰すもの。

開かれたままの扉の奧にあった電灯の灯りもそのまま吸い込まれてゆく。

 

「ッ!エメラルドーー」

「変身。」

 

『一手』早かったのはストリウスだった。

花京院の放った緑色のエネルギー弾は変異したその腕に容易く弾かれ。

 

「貴方に『終末』を与えるものです。」

 

生成されたストリウスの光弾が、花京院のいるビルへと放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【運命ーうんめいー】

人間の意志を超えて、幸福や不幸、喜びや悲しみをもたらす超越的な力。巡り合わせ。今後の成り行き。

 

◆◆◆

 

 

彼らの世界には、逃れられない運命があった。

孤独なる探求者は生み出された物語の。

孤独なる魔人は全知全能の書の。

孤独なる少年はスタンド使いの定めの。

彼らには、逃れられぬ運命がある。

しかし。

今この場では、その運命すらも覆りはしたのだが。 それでも変わらず、彼らは辿るべき運命の通り、進み続ける。

いつも通り、変わらずに。

 

 

◆◆◆

 

 

ストリウスにとって。

かつて運命を前にその膝を折った哀れな男にとって。

この殺し合いはどう見えていたのだろうか。

 

いつも通り、興味の対象として見ていたのだろうか。ドロシーのように。

いつも通り、これも止めるべき悪逆として見ていたのだろうか。花京院典明のように。

いつも通り、己に課せられた使命と関わりがないと、切り離して考えていたのだろうか。キャルのように。

 

あるいは。

 

比企谷八幡のように、あるはずのない、あり得るはずのない異常であると、はっきり認識させられたのだろうか。

 

ストリウスにとっては。

この殺し合いは、それこそ文字通りに『あり得る筈の無い』ものだった。 

 

ストリウスは、この殺し合いが異常事態、それも最大級のものであると認識していた。もしかしたら、唯の日常の住人たちよりもはっきりと。

ストリウスは、強い探求心をこの殺し合いに向けている。もしかしたら、ドロシーなどよりもさらに。

 

何故、そこまでこの殺し合いが彼を惹きつけたのか?

それの答えは、メギド・ストリウスのルーツ。

全知全能の書。

これが全てを物語っていた。

その名の通り、全てを知り、全てを成しうるその書物には文字通り彼の世界の全てが記されていたそれ。

人間一人一人の発想から辿る人生。果ては世界の始まりから終わりまで。その全てが記されたそれに。

 

なかった。

 

『この殺し合いの存在』はどこにも記されてはいなかった。

 

あり得る筈がない。

ストリウスの住まう世界の全てを定めたそれに。

たった一つの、それこそ物語のように定められた一方通行の世界である筈のその世界の住人に。

 

殺し合いという、第二の道が提示された。

この時点で、ストリウスはアズの話していた『なんでも願いが叶う権利』については信じていた。

全知全能の書にない展開を見事披露してみせた彼女を疑う道理は、彼には無い。

 

故に。

 

ストリウスはゲームに乗った。

他陣営全てに終末を齎し、その権利で全知全能の書より定められた運命を変える為に。

 

そして。

 

ストリウスは、この殺し合いでもいつも通りに己の求める終末の為に動いていた。

 

運命を変えて、そんな奇跡が罷り通った世界の終末はさぞ美しいことだろうーーそう思ったから。

 

例え、定められた運命の袋小路を打開する術を見出しても。

 

最早彼のその価値観までは、変わらなかったのだから。

 

 

◆◆◆

落ちる。

墜ちる。

落ちてゆく。

 

ストリウスと名乗った男の一撃によって、脆くも高層のビルは崩れ去った。

飛び散るコンクリート。

煌びやかに舞うガラス片。

その中を空中に投げ出された花京院は自らのスタンドの触手を用いて、隣のビルの屋上へと飛び移った。

その過程でデイパックは未だ空を舞ってはいるが。

最早それに気を留めている時間はない。

 

変異した男ーー仮面ライダーストリウスは花京院の前に降り、立ち塞がっている。

先程までいたビルより20も下の階層であった屋上は風の勢いが緩和され、花京院の髪や服を少々揺らす程度に収まっている。

強風の風切り音から解放された二人の空間は、以前にも増した静寂が包んでいた。

 

最早互いに言葉は不用で。

互いに戦闘へと移行すべく体勢を取っている。

後はゴングを鳴らすだけ。

ふと、上空を舞う花京院のデイパックから一つの支給品が溢れ出た。

未だ二人より遥か上で舞うそれは強風に揉まれ、折られた形を解除。そのまま紙から現れる。

手鏡だった。

最初に花京院が確かめたものだ。

それが、そのまま、偶然にも、花京院とストリウスの間合いの中間に落ち。

ぱりん、という音を合図にーー両雄、激突。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花京院典明は逃げなかった。

逃げられなかった。

結局、花京院典明は己とは格上の化け物相手に死闘を演じる事となった。

彼が元の物語で辿る結末は、死。

自らでは及ばぬ悪との戦いの末に敗れたのだ。

今の花京院はそのことを知らないが。

それでも花京院はここで戦うことを強制されている。

それは何故か。

 

花京院がデバイスに行った操作は、名簿の閲覧ではない。

チャットアプリだった事だ。

それには、こう記されてある。

『僕の名前は花京院典明、今はG-1エリアにいる。もしも良ければ君の名前と場所、そして君のスタンドを教えてはくれないだろうか?』

と。

花京院は、情報取集として、チャットアプリを優先した。

参加者全員が得られる名簿、という情報源よりも彼は花京院個人に与えられたチャットアプリを選択していた。

 

チャットアプリ、という殺し合いの舞台装置には十二分にメリットもあるし、それと同等のデメリットも孕んでいる。

 

利点はといえば。

参加者間での現在位置や殺し合いに接触した参加者の情報の共有。それが、遠く離れた相手とも行えるという点がある。

例えば、花京院が用いたように、まだ見ぬ参加者間の接触。

殺し合いが始まって未だ1時間も経っていない現在で、殺し合いを否とする者たちで集まることができるのは言わずもがなアドバンテージとなるし。

例えば、互いに情報を持ち寄って首輪、ないしは殺し合いなどの脱出方法について考察することなどにも使える。

めぼしい情報源があるのであればチャットを飛ばすだけで他の仲間に共有することも容易い。

更には、殺し合いに乗っている参加者の能力、容姿なども共有できるだろう。

 

ならば、このチャットの欠点といえば。

嘘をつくことができることだ。

位置を教えて、その間に待ち伏せしたり、殺し合いに乗っている参加者の能力を偽ることができること。

例えば、殺し合いに乗った参加者の能力を偽ることで、誤った対策を立てさせ、油断させること。

この参加者は遠距離攻撃をしませんとチャットで流れたとして、実際それが嘘だった場合。

その嘘を信じた者は当然それに対して対策を立てていないだろうし、その参加者に対して何一つ情報を持っていない時よりも油断してしまう、と言ったことにもなりうる。情報が情報なら死人が出てもおかしくはない。

さらに、本来は殺し合いを否定している参加者を殺し合いに乗っている参加者であると言うことも可能だ。

殺し合いに乗っている参加者からしたら、主催側達に反抗の意を示す、いわば邪魔者が身内同士で潰し合ってくれるのだ。乗った側の人間からしたらこれほど面白く、理想的な展開はないだろう。自分は危険を冒さず、敵を減らすことができるのだから。

 

そして、『チャット上で嘘をつかれる』事の欠点を理解している参加者からは、自分が事実を言おうが真実を言おうがその情報の信用度はどうしても下がってしまう。

 

その上で、花京院はチャットを送った。

理由はといえば。

この殺し合いに参加している参加者のスタンドの有無。

もしも殺し合いに乗っている参加者であれ、スタンド使いか否かはわかる。

スタンド使いで無い者ならば、たまらず聞き返すだろうから。

『スタンド』とは何か?と。

それによって、『スタンド使いなどの異能力を持っている者たちだけで殺し合いをする事に意味あるのか。もしくは、殺し合いをすることにこそ意味があるのか。』を知ることができるからだ。

これだけでも情報としては大きな進展と言える。

名簿だけでは名前だけしか情報が得られない。故に花京院が優先したのはそれだった。

 

そうして、チャットを送った直後。

『奴』が来た。

ストリウスが。

 

このままでは、チャットの相手がここに来た際、間違いなく巻き込まれる。

奴にやられる。

故に、花京院は戦わざるを得なかった。

故に、花京院は向き合った。

まずはこの男と戦うが。

花京院は隙をついてデイパックを回収し、逃げるつもりだ。

そして、G-1から遠ざけ、一時敵を撒いた段階で折り返す。

そう言う算段だ。

 

対する敵は強大だ。

それこそ、あのDIOに匹敵するほどの、強敵だ。

それでも、花京院は戦うのだ。

 

いつもの様に。




【エリアGー2/1日目/深夜】

【ドロシー@SINoALICE】
[状態]: 正常
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(ドロシー)
[参戦時期]:少なくとも淘汰編より前。
[装備]:なし。
[道具]:基本支給品一式
    ランダム支給品0~3(未確認)
[思考]
基本: 探求探求!
1: 興味のある参加者を見つけたら研究する。
2:とりあえずビルの崩れた方向(Gー1)に向かう。



【エリアG-1/ビルの屋上(二十階)/1日目/深夜】

【ストリウス@仮面ライダーセイバー】
[状態]:正常、仮面ライダーストリウスに変身中。
[服装]:いつもの制服
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(ストリウス)
[参戦時期]:本編第43話~第46話のどこか。
[装備]:グリモワールワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
    ドゥームズドライバーバックル@仮面ライダーセイバー
[道具]:基本支給品一式
   ランダム支給品0~2(確認済み)
[思考]
基本:自らの陣営を勝利させ、全知全能の書を破壊。その上で世界に終末を。
1:花京院(名前を知らない)を殺す。
2:他陣営の参加者を見つけ次第殺害する。

【花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:正常
[服装]:いつもの制服
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(花京院)
[参戦時期]:ゲブ神に目を攻撃された直後
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:アズやそれ以外にもいるであろう主催者たちを倒す
1:ストリウスと戦う。
2:隙をついてデイパックを回収し、G-1を離脱する。
3:その後、チャットで相手と連絡を取る。
4:落ち着ける場所でデバイスを確認する。
5:情報を整理し、当面の方針を定める。
[備考]
※目はその周りの傷も含めてあと一つなく治されています。
※アズたちを普通ではないスタンド使いの集団だと思っています。
※まだ名簿を見てません。
※ 手鏡@ソードアート・オンラインは壊れました。
※花京院のデイパック(基本支給品一式(デバイスにはチャットアプリ@ロワオリジナル)がある。ランダム支給品0~1が入っている。)は現在落下中です。
※チャットアプリに、以下の文言でチャットを送りました。
『僕の名前は花京院典明、今はG-1エリアにいる。もしも良ければ君の名前と場所、そして君のスタンドを教えてはくれないだろうか?』

[全体備考]
ビルの倒壊による破壊音が周囲1エリアに響きました。また、花京院、ストリウスが最初に転送されたビルがG-1内で最も高いビルとします。


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兄の願い/姉の務め

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・鷲尾風@仮面ライダービルド
・アカメ@アカメが斬る!


古代ローマの中心部、剣闘士や猛獣を戦わせ、その血湧き肉躍る決闘でローマ市民たちを熱狂させた円形格闘場遺跡、コロッセオ。

本来イタリアを代表する観光名所であるその遺跡は、その端から端に至るまで血と闘いの場所となり得る島に忠実に再現されていた。

その2階、イオニア式の客席に1人の男が座っていた。

 

(何故…私は生きているんでしょう?

それに、私より先に死んだはずの(らい)も。)

 

左右反転した、その上季節めちゃくちゃに配置された星座の下。

デバイスから顔を上げ、どこからか漂ってくるシャボン玉を眺めているのは、皮肉にもかつて騙して黒星をつけてやった相手の手の中で消滅したはずなの鷲尾(わしお)(ふう)

火星で発見されたパンドラボックスが引き起こしたスカイウォールの惨劇から10年、その力を使い世界に名だたる帝国を築こうとした難波重工の戦士、否、兵器だった男だ。

 

(私は、ネビュラガスの副作用で消滅したはずだ。

それを抜きにしたってエボルドライバーで変身した仮面ライダーの必殺技を受けたんだ。

無事なはずは無い…。)

 

それなのに風の体は五体満足。

怪我や体調が悪いなんて事は全く無い。

 

(私は死ななかったのか?

それとも、あのアズとか言う女は本当になんでも出来て私は生き返らせられたとでも?)

 

本当に訳が分からない。

だが、態々殺し合いの場にネビュラスチームガンまで持たせて放り出したということは、自分に期待されてるのはそうゆう事なんだろう。

この戦いを難波チルドレンとして自陣営を勝利に導くこと、そしてそれをどのような理由だろうと阻止しようとするものと戦うこと。

要は体のいい盛り上げ役である。

 

「私は…」

 

それでも、あの時最期に感じた弟の、自らの半身の消失。

そんな弟の身を案じ、負けてくれた彼を守れた満足感。

正義の味方なんざ気取る気は無いし、気取れるとも思えないが、

それでも最期に感じた2つの想いが風を兵器から人間に変えていた。

 

「私は…許されるなら、弟と誰かの為に戦いたい。」

 

「その言葉、本当か?」

 

さっきまで全く気配を感じなかった方から声がした。

振り返るとそこには、

血の様に赤い瞳の少女が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初アカメは風に対して特別思う事は無かった。

ただ銃を持ったままぼーっとしている彼が気になりはしたが、自分の敵なら速やかに葬るつもりだったし、無辜の民なら陣営は違うが、説得して保護するつもりだった。

アカメは影に生きる暗殺者。

ただし、ひたすらに斬り裂くのは悪のみ。

何故なら自分が斬るのは人を幸せにするためだから。

これからも変わらないその揺るぎない、ある世界でならば漆黒の意志と形容される決意を胸に道を切り拓き続ける。

だからだろう。

風は弟と誰かの為に戦いたいと言った。

ならばその意志が硬いかどうか、アカメは知りたくなったのだ。

 

「…ええ、あまりにも遅すぎましたが、誰かの為に戦うのも、悪くないと知ってしまいましたからね。

そこに弟が入っているのは、まあ、ただのワガママですよ。」

 

そう言いながら風はネビュラスチームガンをいつでも撃てるように立ち上がる。

 

(いくら呆けていたとはいえ簡単に私の背後を取る。

そしてここまで接近して自分の姿をさらしてもなお余裕。

正面切っての戦いも、暗殺者のような真似も得意と言う訳ですか。

もし敵になれば厄介極まりますね。)

 

アカメもまた風の動きを分析した。

自分の様に近接専門と言う訳ではないが、一番得意なのは徒手空拳、そしてその手に馴染んでいる拳銃だろう。

ナイトレイドの仲間にして同じくこの悪趣味な催しにともに巻き込まれたマイン、と言うよりはアカメと姉妹同然に育ち、最期は決別して殺し合ったツクシに近い。

 

(銃の威力やギミックにもよるが、この距離なら彼のが有利だな。)

 

アカメも支給品の日本刀、菊一文字をいつでも抜ける様にする。

 

「私はアカメ。この戦いをしくんだ奴らを葬る為に戦うつもりだ。お前は?」

 

「鷲尾風。さっき言った様に、許されるなら弟と誰かのために戦いたい。」

 

両者の睨み合いが続く。

当然だ。つい今しがた初めて会って、ほんの少し言葉を交わしただけの赤の他人。

どれだけ本当のことを言ってるか、嘘をついてるか分からない。

首輪を見れば陣営も違う。

敵対する理由は、無いかもしれないが、信頼する理由も仲間になる理由も同じぐらい無い。

そんなこう着状態を終わらせたのは風だった。

自らネビュラスチームガンを下に向けて投げ捨てる。

 

「なんのつもりだ?」

 

「貴女がいつまでも警戒してるからでしょう?

私は確かに今まで難波の兵器として戦って来ました。

けど難波も、国も今は関係ない。

ただ自分の意志で戦いたい。」

 

風は赤い瞳を真っ直ぐに見て言った。

口調こそ桐生戦兎や万丈龍我の知る慇懃無礼なものだが、その目は人を見下す冷たい兵器ではなく、熱く、強い意志の宿った物だった。

 

「……すこし、失礼だったな。」

 

アカメは拾ったネビュラスチームガンを風に返した。

それを受け取りながら、構いませんよ、と言う風。

2人は吹き抜けの部分から屋根のある方に移動して、情報交換を始めた。が、

 

「1000年続いた帝国?

そんなのバチカン以外に丁度このコロッセオを作った古代ローマぐらいしかないでしょう?

それにこの現代に帝政?

本当に帝国と言えば誰もがわかる様な国なんですか?」

 

「フウこそ、人が空より向こうに行って、そこから帝具も霞む様な物が見つかったなんて話、本当なのか?」

 

まず常識が噛み合わない。

2人の知る世界の情勢、常識が全く違う。

アカメから見た風は帝具を知らないのはまだ分かるが、帝国のそんざいまで知らないとなると流石に知ら無すぎだ。

唯一の心当たりである東の未開の島国の出身か?とも思ったが、だとしたら銃があるのも不自然だ。

異国に行くと銃すらない国もあると聞く。

遥か東の神和(じんわ)なんかまさにその典型だろう。

だが話を聞く限りそうではない。

 

逆に風から見たアカメは仮面ライダーについて知らないのはまだ分かるが、スカイウォールやパンドラボックスを知らないのはいくらなんでもおかしい。

この情報があふれかえっている社会において無人島にでもこもっていない限り外からの情報を完全にシャットアウトするなんぞ不可能だ。

だと言うのに『宇宙』という単語すら知らないかのような振る舞いに、なんだか異国の人と言うよりは古代人と話してるような錯覚を覚えるほどだ。

 

「ま、そんなちょっと常識的に判るような嘘を吐くメリットも有りませんし、正直に話してると信じることにしてあげますよ。」

 

「なんで上から目線なんだ?」

 

まあいい。いちいち突っかかってたらキリが無いし、

信じると言ってるんだからこの際何でもいいだろう。

 

「ところで、このデバイスと呼ばれている物なんだが、どう使うか分かるか?」

 

風は絶句した。

まさかこの手の電子機器すら使えないとは、

本当にこの少女はどこから来たのだろう?

 

「開きましたよ。これが名簿です。」

 

「ありがとう。……あった!タツミにマイン…。

エスデスにウェイブに…クロメもか。」

 

「どう言った知り合いで?」

 

「タツミとマインは同じ志を抱く仲間だ。

エスデスは、帝国の将軍で殺戮を楽しいと言い放つ戦闘狂で、とてもではないが会話ができる相手ではない。

ウェイブはエスデスの部下だが…交渉次第では停戦、協力できると思う。

クロメは、私の妹だ。

たがとてもじゃないが…会えば戦いを避けれないだろうな。」

 

「複雑ですね。まあ、私もですが。」

 

アカメはデバイス画面をスクロールして風の名前を探した。

そして遂にそれを見つける。

 

「私の知り合いは桐生戦兎、万丈龍我、鷲尾雷、エボルトです。

桐生戦兎と万丈龍我は私のいた難波重工に仇なす敵でしたが、誰かの為に戦える人達です。

さっき挙がったウェイブ同様交渉次第で十分停戦、協力可能かと。

弟は、正直難波の為に戦おうとしていない私にどう反応するか分からないので微妙ですね。

エボルトに至っては信頼や信用なんて絶対出来ない奴です。

難波に代わって日本を牛耳り支配しようとした奴ですから。」

 

「……そうか。」

 

アカメは他人事とは思えなかった。

自分もかつて志を取り、妹と決別した過去がある。

彼らもそうなってしまうのだろうか?

そう思うとこんな状況下で余裕なんか無いはずなのになんとかしてやりたいと思ってしまう。

 

「それで、どうします?

地図を見る限りここは島の駅からも橋からも離れたランドマークです。

移動するにしても1人は危険では?」

 

「いいのか?

しかし2人で動けばバレやすくならないか?」

 

「平気ですよ。お誂えの支給品があります。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘルメットと耳の隙間すり抜けていく風と聞きなれないエンジン音に戸惑いながらもアカメはゴーグル越しに見える自分の常識では考えられない速度で後ろに流れていく景色に釘付けになった。

 

「乗り心地はどうですかー?」

 

運転する風がフルフェイスヘルメット越しのくぐもった声で尋ねる。

こんな速い乗り物を運転中だし前を向いたままだろうと思ったアカメは自分も景色を眺めながら返した。

 

「快適だ!だが信じられないな!

本当に帝具でもなんでもないただの乗り物なのか!?」

 

なんなら型落ち品ですよー。

と、返しながら風は『承太郎がカイロで盗んだバイク』なるバイクをさらに加速させる。

ヘッドライトだけが照らす道を突き進む2人にはいつ、何が襲いかかってくるか分からない。

しかしアカメにとっては今までと変わらない、風にとっては初めての、自分の道を自分で斬り拓く戦いへ向かっていることだけは確かだった。




【エリアI-8/コロッセオ付近/1日目/深夜】
 
【鷲尾風@仮面ライダービルド】
[状態]:正常、バイクを運転中
[服装]:いつもの服装、フルフェイスヘルメット
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(鷲尾風)
[参戦時期]:死亡直後
[装備]:ネビュラスチームガン@仮面ライダービルド、ギアリモコン@仮面ライダービルド
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品×0〜1
[思考]
基本:弟と誰かの為に戦う。
1:アカメと共に目的地に向かう。
2:アカメの話は信じてはいますが、本当に千年帝国なんてあるんでしょうか?あってもどこの田舎でしょう?
3:出来るなら万丈龍我たちやアカメの同志と合流したい。
4:エボルトやエスデスのような連中とは会いたくない。
5:もし弟とであったら…
[備考]
※アカメが斬る!からの参加者の情報を入手しました。
※弟も死後から復活していると考えています。
※2人がどこに向かっているかは後の書き手に任せます。

【アカメ@アカメが斬る!】
[状態]:正常、バイクに搭乗中
[服装]:いつもの服装、ヘルメット、ゴーグル
[所属陣営]:青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(アカメ)
[参戦時期]:少なくともイェーガーズが結成されてから。
[装備]:菊一文字@龍が如く維新!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考]
基本:悪を葬る。
1:フウと共に目的地に向かう。
2:フウはどこの国の人なんだろう?
3:出来るならタツミたちやバンジョウ達と合流したい。
4:エスデスやエボルトは葬る。
5:場合によってはクロメも葬る。
[備考]
※仮面ライダービルドからの参加者の情報を入手しました。
※2人がどこに向かっているかは後の書き手に任せます。


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最後に残った、たった一つの願い

作者
沢城

登場キャラ
・秋山蓮@仮面ライダー龍騎
・セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!
・バーサーカー@Fate/Zero


ーーこの戦いに正義は無い。あるのは、純粋な願いだけである。

 

 

 

『それでも生きていて欲しい人間がいる。 たとえ世界中を敵に回してもそいつを死なせたく無いと思う。 それが間違っているかどうか関係ない。 そのためだけにオレは戦う。』

 

 

ーー願いは、受理されました。

 

 

◆◾️

 

夜空の煌めく街の中で、一人。

男だった。

何をするでもなく、ただ空を仰いでいた。

その姿にはどこか、生気がなかった。

まるで、自分が生きている実感すらも希薄のようで。

例えるならば。ーーいいや。

男は、正真正銘の、死人だった。

死という底の底から掬い上げられた、死人。

アンデット、ゾンビ、スケルトン、グール、キョンシー。

世界中から文献を漁れば、死より蘇った存在について、枚挙にいとまがない。

そんな彼らに共通して伝わっている性質とは何か。

傀儡。

生きた屍として蘇り、死霊魔術や符呪、最近のものになればウイルスなど。それらに縛られた死者達は必ず己では無い誰かの為に利用される傀儡と化す。

男も、秋山蓮も、仮面ライダーナイトも、また。

彼らとはそう変わりは無いだろう。

その手に握られたライダーデッキが、その証明だ。

つまりは、殺し合いを名乗る主催の女は他ならぬ秋山蓮という男に殺し合いを促進する為の傀儡として動け、と言うのだろう。

 

(ーーまさか、ライダーバトルをもう一度することになるとはな。)

 

もしもアズという女がただ仮面ライダーナイトという戦士を欲しているのだとすれば。もしくは、これも殺し合いを促進させる為の道具として活用するならば。

秋山蓮という男に渡す、という行為は全くもって殺し合いの主催からすれば理に適った方法だろう。

殺し合い、バトル・ロワイヤル。

今ここで行われている催しと似通ったもので最後の一人にまで勝ち上がった蓮ほど使い慣れている者はいないだろう。

だから、自分がここにいることに関しては、何一つとして疑問に思ってはいなかった。

だから、名簿に死んだ筈の城戸真司や浅倉威が載っていても何ら疑問には思わなかった。

しかし、疑問はある。

時折見かける奇妙な名前。(『鏡像の城戸真司』などが挙げられる)

それらについてはやはり謎ではあるし、デッキを取り出す際に起こった『紙から支給品が飛び出す』なんて現象よまた驚きだった。

ただまあ、そんな事を考えた所で情報不足の現状分かる筈がないので保留にする。

 

「………。」

 

無言のまま、首を動かし辺りを見回す。

一言で言えば、異様な空間だった。

ただ閑静なだけの住宅街。

殺し合いの会場であり、既に深夜を回ったそこは気味が悪いくらいに静かで。

それに拍車をかける様に、所々でその異常さが垣間見えていた。

 

やはり、おかしい。蓮は何度周囲の景色を見ても、同じ感想しか浮かばなかった。

秋山蓮がこれまで知識として根付いていた常識が根本からひっくり返されたようだった。

 

看板に記されている左右反転された文字。狂った星空。

さらには前述した、質量保存の法則を完全無視した支給品が飛び出す紙。

左右反転の世界で秋山蓮の、仮面ライダーの戦いの舞台、ミラーワールドにはそっくりの光景で。

尚且つ、そこにあった絶対的ルールである『人間の姿のままでは10秒といわずに消滅する』というものすらも無視していた。

ああ、だから。

バイクに乗って駆け抜けるその影を見て、それを追う黒騎士を見て、秋山蓮はやはりこの会場はおかしいといっそう強く思った。

遠くで逃走劇を開始している二人組もやはり異常だったから。

逃げる側はバイクに跨り疾走するその姿には、人間としてなくてはならない頭部が欠けていた。

追う側は窮屈そうな騎士の出立ちにも関わらず、バイクにすら追い縋るほどのスピードを見せていた。

秋山蓮は、まだ知らない。

狂える戦士(バーサーカー)の英霊も、池袋の首なしライダーについても、未だ知る由も無い。

ああ、それでも。

 

「ーーあのバカなら、こういう時は止めに入るだろうからな。」

 

例えソレが異常でも、あいつならそうする。

そんな、根拠のない確信が、どこかにあった。

秋山蓮の二つ目の支給品は、バイクだった。

『ライドストライカー』と銘打たれたソレに跨り、彼もまた疾走する。

秋山蓮は既に願いを叶えている。戦いの果てにその奇跡を掴み取っている。

故に、この戦いにかける願いはない。

だから。

ああ、そうだ。

だったら、今度はアイツの願いを叶えてやるのも、いいかもしれない。

全くもって、らしくはないけれど。

そう、思わずにはいられなかった。

 




【エリアH-3/市街地/1日目/深夜】

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
[状態]: 正常、生身
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(秋山蓮)
[参戦時期]:死亡後。
[装備]:ライドストライカー@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品一式
    ランダム支給品0~1
ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎
[思考]
基本: 今度は城戸の願いを叶えてやる。
1: 黒スーツのライダー(セルティ)の元へ向かう。
2: 浅倉威を警戒。
3:城戸とも合流したい。

【エリアH-3/コンビニ付近/1日目/深夜】

【セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!】
[状態]:正常、パニガーレV2を運転中。
[服装]:黒のライダースーツ
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(セルティ)
[参戦時期]:未定。
[装備]:赤色のパニガーレV2@現実
[道具]:基本支給品一式
   ランダム支給品0~2(未確認)
[思考]
基本: 生存優先。
1: なんだこいつ!?
[備考]
※ 支給品のパニガーレV2を引き当てた途端に襲撃を受けたため、名簿および支給品は未確認です。


【バーサーカー@Fate/Zero】
[状態]:正常
[服装]:鎧姿
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(バーサーカー)
[参戦時期]:未定。
[装備]:ビートクローザー@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品一式
   ランダム支給品0~2
[思考]
基本: 皆殺し。
1: ▅▆▆▆▅▆▇▇▇▂▅▅▆▇▇▅▆▆▅!!

[備考]
※参加者を無差別的に襲撃します。
 但し、セイバーを発見すると攻撃対象をセイバーに切り替えます


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ありすアンタッチャブル

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・坂持金発@バトルロワイヤル
・アリス@SINoALICE
・ありす@Fate/EXTRA


動いているエスカレーターを、二段飛ばしで駆け下りていく。

ふり返ることとか、落してきたデイパックをどうしようとか、

早くさっき切られたこの腕を止血しなきゃとか、

そんな今のところ命よりどうでもいいことを考える余裕なんて、有りはしない。

奴らに追いつかれたら最期、待って居るのは無惨な死だ。

自分のも奴らのも、足音も聞こえない。

ただただ、自分の体を反響する荒い息だけが、坂持(さかもち)金発(きんぱつ)の耳に届いていた。

他の事に気を配る余裕なんてない。

ただただ重要なのは、自分の逃げる先に道がある事と、

なんとしても、逃げきらなければならないこと。

ただそれだけだ。

ただそれだけの為に足を動かし、

頭を動かし、息を切らし、逃げて逃げて逃げまくる。

 

「あっ!」

 

運動に不向きな黒いローファー(右足だ)が脱げ、視界が無茶苦茶に上下左右する。

坂持はどっかの中学生バイオリニストの言い方を借りれば、

下品で低俗で、殺人や婦女暴行を、

相手を茶化しながら行うような救いようのない屑だが、

運動能力や、大東亜共和国における『プログラム』を、

無作為に選んだ中学生一クラスを、狭い空間に閉じ込め、爆弾付きの首輪で脅して殺し合わせるこのバトル・ロワイヤルに非常によく似た実験を、円滑に指揮できるほどには有能だ。

今まで、何百人もの、罪なき子供たちを地獄に送り出し、

その生き死にで賭け事をしていたような、怖いものなしのようにも見える下衆だ。

しかしそんな彼でも、ある意味では、国家以上の力を持つアズと、そのゆかいな仲間たちが仕掛けた、この常識外の塊、世間一般に言う超能力者(スタンドつかい)たちや、魔術師たちすら最低レベルのこの戦いにおいては、ハッキリ言って比企谷八幡や由比ヶ浜結衣とかよかマシ程度、下から二番目のグレードである。

足立透が正義感マシマシと評したような連中に、

うまく無害を演じて取り入れば、ワンチャンスあったかもしれないが、

今回に限っては相手が悪すぎたとしか言えないだろう。

最初に靴下越しに足が涼しくなる感覚、

続いて体が重力に従い沈む感覚、最期に強い痛みが体全身、特に右ひざに走る。

思い切り落ちた先の地面に打った頭を押さえながら、

なんとか起き上がろうとするがうまくいかない。

見ると、右ひざが人形でもない限り有り得ないような方向に曲がってしまっていた。

 

「あ、ああ…」

 

「ざーんねん。おじちゃんもうにげられないね。」

 

一番上の娘と同じ年ごろの、可愛らしい女の子の声が響く。

普段なら思わず頬を緩めたかもしれないが、

今の坂持には死告の天使の声音にしか聞こえない。

群がってくる奴らは悪魔だ。

坂持が当たり前に(・・・・・)忌み嫌い憎んでる米帝どもなんてかわいく見えてくるような、だ。

人間の倫理なんて絶対に通用しない。

そもそも言葉さえ通じるかどうかも怪しい。

皮肉にもそれは、かつて坂持に送り出された生徒たちがほかならぬ彼に感じたのと同じ種類の絶望だった。

 

「おにごっこはありすたちのかちね!」

 

「や、やめろ!やめてくれ!こんな…こんなの!」

 

「だめよ。おじちゃん。」

 

悪魔をかき分け女の子(てんし)が前にでる。

一切の醜悪さの感じない、無垢な笑顔を浮かべながら、

彼女は諭すように穏やかに言った。

 

「ルールはちゃんとまもらないと。

あそんだらおかたづけ。おもちゃはおもちゃばこに。

おちゃかいのあとは、しょっきをながしに。

まけちゃったおじちゃんは、このこたちのおなかのなかに!」

 

坂持は彼女の言うお友達が、

無理やり針で止めたような笑みを浮かべたように見えた。

こいつらに表情筋なんて無いはずなのにおかしな話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【束縛―そくばく―】

 

制限を加え自由を奪うこと。あるいは縛り付けて身動きが取れないようにすること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳障りな波の音にアリスは目を覚ました。

そこは豪華な船の上。凡そ船旅には必要なさそうなプールにバーカウンター。

娯楽の為だけに突き詰められた設備にアリスは眉をひそめた。

 

「あのアズとかいう女…本当に殺し合いをさせるつもりがあるの?」

 

淵から外を見てみると、星の浮かぶ夜空に、どこまでも続く海が見える。

反対側には陸が。天を突くほど高い建物が、たくさん並んでいる。

どうやら飛ばされたのは、この海の檻の端の端らしい。

とりあえず、さっきホールで見せられたデバイスとメダルを探す。

服のポケットなどには入っていなかったので、周囲を見る。

足元に黒いデイパックが転がっていた。

中を見ると、デバイスとメダル。そして何枚かの紙が入っていた。

事前説明になかったそれに何か重要な情報が書かれているかもしれない。

そう思って適当につかんだ一枚を開いてみる。

 

「きゃっ!」

 

中から、明らかに紙の大きさを無視した、闇溶ける様な黒い長剣が現れた。

怪訝に思いつつも、それを背中に装備し、落した紙を拾い上げる。

書いて有ることによれば、L字に半円を合わせたような鍔のこの剣は、

エリュシデータというらしい。

 

(これはクジのような物で、全ての参加者に配られているのか?)

 

書かれてることを信じるなら、これは当たりの部類の武器だろう。

もしかしたら、アリスは十中八九この戦いに積極的だろうと判断したアズが気を利かしてくれたのかもしれない。

 

「有難く使わせてもらう…。私の願いのために。」

 

背中に武器を背負う都合上、荷物をすべてポケットに入れると、

デイパックを放置して、船内に入った。

どこかに腰を据えたかったし、思い切り外の見える場所では奇襲の危険があったからだ。

船内はかなり広く、案内図を見る限り服屋やレストラン、

温泉施設やホテルなどもあるらしい。

 

「本当に楽しむためだけの船なのね…。」

 

警戒しながら進んでいくと、小さな足音と、歌声が聞こえてきた。

これは、リング・ア・リング・オ・ローゼズだろうか?

くるりくるりと回りながら可愛らしい水色のドレスの童女が躍り出てきた。

胸元には何か大事そうに茶色い何かを抱えている。

 

「あ!やっとみつけたわ!」

 

彼女は弾けるような笑顔を浮かべるとアリスの方に駆け寄ってきた。

見ると少女の首嵌められた首輪は緑。

さっき確認したアリスのメダルも緑、という事は首輪もきっと緑なのだろう。

 

(同じ陣営だけど、こんな子供、誰かに殺されて、

メダルを奪われるのは見え切ってる。だったら私が…)

 

背中のエリュシデータにいつでも手を伸ばせるようにする。

十分な距離になったら叩き斬る。

 

「わたしはありす!おねえちゃんのおなまえは?」

 

「私も、アリスと言う名前よ。」

 

「まあ、すてきなぐうぜんね!

おねえちゃん、もしよかったらありすとあそんでくれないかしら?」

 

「…少しなら、構わない。」

 

そういうと、ありすは花が咲いたように笑ってはしゃぎ出す。

しかしすぐに何かに気付いたようにふり返った。

 

「あなたたちもはやく!」

 

「!?」

 

剣に伸ばしかけていた腕を素早く下ろす。

今彼女が団体行動をとっているなら、

それはこの戦いに反感を抱く者たちに保護されているという事だろう。

でなければ、こんなお荷物を連れて歩く理由が分からない。

 

(今ここで悪評を広められるわけにはいかない。

隙を見て殺すにしても、多対一なら考えないと…)

 

何て思考は無駄だった。

いや、正確には無駄ではなかったが、

見当違いと言わざるを得なかった。

童女の声に従い現れたのは、

角の生えた頭を持つ怪人たちだったからだ。

全部で五体。

全員、首より下の体格だけは人間的だが、

鎧のような皮膚と、羚羊と頭蓋骨を合わせたような頭を持っている。

竜や亡霊、動く鎧など、さっきまで飽きるほど戦ってきたライブラリの怪物、

ナイトメアとはまた別系統の異形たち、ミラーモンスターだ。

だが、アリスにはそんな違いが分からず、

ただただ目の前のナイトメアを使役する少女に困惑と警戒を覚えるだけだ。

 

「しょうかいするわ!ありすのおともだちたちよ!

くろいからだに、やりをもったこがギガゼール!

ちゃいろいからだで、つのがまっすぐなのがメガゼール!

しろいからだの、ちからもちさんがネガゼール!

むらさきいろで、いちばんおおきいのがオメガゼール!

さびたいろで、つのがまるいのがマガゼール!」

 

紹介された怪物たちを見ていると、ギガゼールとメガゼールに挟まれるように抱えられているスーツの男に気付いた。

肩口まで髪を伸ばしており、恐怖でおかしくなってしまったのか、

顔には張り付けたような、歪な笑みを浮かべている。

 

「ああ、このおじちゃんはね、

おねえちゃんがくるまであそんでくれてたんだけど、

おにごっこのとちゅうでかいだんからおっこちてはしれなくなっちゃったの。

あわてんぼさんよね。」

 

聞かれたわけでもないのに、ありすはつらつらと答えた。

そしてアリスに向き直ると、さもいい事を思いついたかのように笑って言う。

 

「そうだわ!おねえちゃんもおにごっこであそびましょう!

けどおにがおおいから、このこたちがおじちゃんをたべおわるまでまってあげるわ!」

 

「何を勝手に…」

 

アリスの言葉を骨が砕ける音と、肉を強引に引きちぎる音が遮った。

見ると、男を両脇から抱えていた怪人が、男の胴から外した腕を食んでいた。

胴体の方に、残る三体が群がっている。

 

「ー--っ!」

 

アリスはすぐさま回れ右して逃げだした。

なんとかして作戦を立てて、五体全員、必ず倒さなければならない。

まだ明けて無い紙の中身や、もしいるならだが、

ありす以外の誰かと協力して奴らを倒さなければならない。

彼女はこの勝負を鬼ごっこと言った。

ならば自分を捕まえて、あのナイトメア共の餌にするまで続けるつもりだろう。

こんな序盤でそんな厄介ごとを抱えて、

いつまでもずるずる引きずるわけにはいかない。

 

「狂ってるっ!」

 

苦々しく吐き捨てたそのセリフは、自分と同じ名前の彼女に向けてか、

それともあんなものに嫌悪感を感じておきながら、

なおも彼女を倒して優勝することを考えている自分か。

アリスはその答えの一端にすら触れることも出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

羚羊型モンスターたちが口を拭い、雄たけびを上げる。

そこにはもう、坂持金発と呼ばれたいけ好かない地獄への案内人の姿はなかった。

代わりつい先ほどまで彼の体を巡っていた血液の跡と、デイパックのみが転がっている。

 

「はい、おそまつさまでした。それじゃあおにごっこのはじまりね!

アリスおねえちゃんはどこににげたかしら?がんばってさがしておいかけて!」

 

モンスターたちは一斉にアリスが走り去っていった方向に走って行った。

残ったアリスは坂持のデイパックをあさり、デバイス、メダル、

そして支給品を自分のデイパックに移し替えると移動を始めた。

 

「それにしてもひどいわ。あのアズっていうおねえちゃん。

アリスのほうにしょうたいじょうをだしわすれるなんて!

あ、もしかしてさっきのアリスおねえちゃんには、

アリスにいくはずだったしょうたいじょうがとどいたのかしら?

だとしたら、アズおねえちゃんもうっかりさんね。」

 

またリング・ア・リング・オ・ローゼズを口ずさむ。

だれも彼女(ありす)を止められない。

それどころか現状触れることすら出来ていない。

 

「ありすはどうしようかしら?

ありすもアリスおねえちゃんをおいかけるべきかしら?

それともおじちゃんのかみをしらべようかしら?

あ、そういえばまだめいぼもみてないわ!」

 

ありすは右手に、左手にと、

支給品のインペラーのデッキをもてあそびながら口ずさむ。

 

イニミニマニモ―(どちらにしようかな)♬」

 

無垢なる少女が決めた次の行動は…




【エリアJ-4/豪華客船内/1日目/深夜】

【アリス@SINoALICE】
[状態]:肉体は健康、精神的疲労(小)
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(アリス)
[参戦時期]:少なくとも融合編より前
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン
[道具]:デバイス、メダル、ランダム支給品1~2
[思考]
基本: 緑陣営を優勝させ、作者を復活させる。
1:船内のどこかで残る支給品を確認する。
2:作戦を練り、ありすの使役するナイトメア達を倒し、ありすも殺す。
  場合によっては、他陣営の参加者との共闘も辞さない。
3:あんなものを見て真っ先に考えることが、敵の殺し方か…。
[備考]
※現実編で登場したアリスではないようです。
※武器を背負う都合上、デイパックを放棄しました。
※ミラーモンスターたちをナイトメアと勘違いしています。
※具体的に船の中のどこに逃げるかは、あとの書き手に任せます。





【ありす@Fate/EXTRA】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:2枚(ありす、坂持金発)
[参戦時期]:未定。
[装備]:インペラーのデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品一式、坂持のデバイス、
    ランダム支給品0~2、坂持のランダム支給品1~3
[思考]
基本:出会うひとたちとあそぶ。
1:アリスとミラーモンスターたちとおにごっこであそぶ。
2:おにごっこにはいるまえにおじちゃんのかみをしらべる(?)
3:アリスもいればもっとたのしかったのに…。
[備考]
※アリス@SINoALICEのことをアリス@Fate/EXTRAと間違えてこの会場に呼ばれた物だと思っています。
※令呪の有無、サーヴァントとパスがつながっているかなどは、あとの書き手に任せます。

























坂持金発@バトルロワイヤル 死亡

【全体人数 残り149/150人】【小説陣営 残り36/37人】




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闇を欺いて、刹那をかわして

作者
沢城

登場キャラ
・カーズ@ジョジョの奇妙な冒険


闇が、辺りを包んでいた。

夜の闇。

空より降り注ぐ、宇宙という名の漆黒の闇。

それは殺し合いの会場へと均等に訪れた。

 

ーー神話や宗教の多くで、闇と光を、死と生、悪と善の対立と見なされるという。

死。悪。恐怖。

それらを連想させる闇は、人間の根源的恐怖たりうる存在だ。

ああ、ならば。

その悪に。

訪れる死に。

刮目せよ。

驚嘆せよ。

瞠目せよ。

恐怖せよ。

 

夜の帷はもうすでに落ち。

この地に、悪魔が降り立った。

闇の悪魔。

闇の種族。

 

柱の男が、ここに立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある廃墟の、一室でのことだった。

 

所々から皮が捲れ中の羽毛が露出したソファ。

針の動かない時計。

経年劣化で脆くなった木製のデーブル。

ヒビの入った窓ガラス。

朽ちかけ、至る所を植物で侵食された壁面。

 

廃墟という雰囲気を醸し出すそれらは、一瞬のうちに細切れになった。

 

ソファの羽毛が宙を舞う。

時計の針が二つ、三つ、四つと空中で切り分けられてゆく。

木製のテーブルはただのおが屑へと姿を変え。

窓ガラスは全てが音も無く粉末になり風に融け。

終いには苔むした建物が丸ごと粉微塵へと変貌した。

 

ーーこの間、僅か1秒。

 

降り注ぐ羽毛の、針の、建物だった粉末が降り注ぐ中でたった一人の男が鎮座していた。

さぞかし不機嫌なのだろう。

その顔は不服そうに歪んでいた。

 

「まさか、このカーズともあろう者がまんまとくだらん催しに巻き込まれるとはな……」

 

今、端的に彼の心情を表すならば。

男は。カーズは。

確かに今、『怒って』いる。

アズとやらは自らの『遊戯』にこのカーズを用いるというのか。

そんな、怒りだった。

だが。

これは同時に、チャンスでもある。

カーズは、そうも考えていた。

『なんでも願いが叶う』という権利。

これを用いて、究極生命体への扉を開く。

幸い、この場にカーズの知らぬ『ジョースター』も呼ばれている。

ついでに排除しておくのも手だろう。

先程の苛立ち紛れの破壊を十二分に行えたことから、能力も問題無し。

殺し合いという遊戯において一服変わった『陣営』というルールに至っても対して考えるほどのものではない。

どちらにせよ、参加者は始末する。

せいぜい生かしておくとして、同じ陣営で、使い勝手の良い駒くらいか。

それ以外はリーダー、という立ち位置を他の参加者に取られる前に同じ陣営であれメダルを回収しておく事くらい。

当然、駒としての役割すら果たせぬ参加者は同じ陣営だろうと始末する。

方針は定まった。

あとはーーと。

次の瞬間だった。

金属同士がぶつかり合う音。

まさしく今、殺人鬼同士の剣戟を、柱の男は確かに捉えた。

ならば。

カーズは戦場へと赴くのだろう。

ならば。

地獄が、始まる。




【エリアB-9/廃墟群/1日目/深夜】

【カーズ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(カーズ)
[参戦時期]:未定。後続の書き手様に任せます。
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~3(確認済み)
[思考]
基本: 自陣営を勝利させる。
1:音のする方向(両儀式と浅倉威が戦闘中)に向かう。
2:使える自陣営の参加者は駒として利用する。それ以外は殺す。
3:それはそうとアズは始末しておく。
4:『ジョニィ・ジョースター』は優先して始末する。
[備考]
※同じエリアにいるDIOにはまだ気付いていないようです。


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GAME START

作者
御堂

登場キャラ
・折原臨也@デュラララ!!


夜。

辺りを見回しても何も見えない真っ暗闇。

そこに一人の男がいた。

彼は、笑っていた。

ただただ、笑っていた。

知りたい、という感情。

興味深い、という探求心。

観察したい、という愉悦。

それらの感情が左右して、強い興味に顔をただ綻ばせていた。

(おり)(はら)(いざ)()は、破綻者だ。

人間を須く愛していると豪語しているが、その実態は外道だ。

たとえ人間を愛していても、それらを何の躊躇いもなく切り捨ててしまえる程には。

だから、彼は見せしめにされた佐藤太郎にも大した感情は抱いていないし、今はすでに別のことにしか興味は向いていなかった。

彼は、人間が好きだ。

折原臨也は、人間観察が好きだ。

だから、知りたかった。

もしもこんな非日常の極みである殺し合いなんてのに招かれた人間がどのように悩み、葛藤し、答えを出すのか。

もしかしたら、殺し合いに乗るかもしれない。

大切な人のため、とか。

ただ生き残りたいから、とか。

願いを叶えたいから、とか。

さまざまな理由が思い付く。

もしかしたら、殺し合いに乗らないかもしれない。

どうしても人が殺せないから、とか。

そもそも生かして貰える保証を感じないから、とか。

戦えないから、とか。

殺し合いに招かれた彼らが果たして何を見るのか?

それが知りたい。見たい。観察したい。

そう思う度に彼の笑みが深くなる。

それに、未だ彼は名簿を見てはいないが。

確かに、彼は見た。

あの男を。

あのいけ好かない男を。

あの最強生物を。

あの池袋最強を。

 

(へい)()(じま)(しず)()の存在を、確かに確認していた。

シズちゃんは、そうだね。うん。

この殺し合いを期に、死んでもらおう。

そう、即断した。

幸い、この首輪がある。

わざわざ平和島静雄をこの殺し合いに招くくらいだ、さすがにあいつもこの首輪の爆発で死ぬ様に何らかの細工がされていることだろう。

ああ、最高だよアズちゃん!おかげであいつを殺す算段がつきそうだ!

ニヤニヤと、彼はただ笑っていた。

さて、これからやるべきことは山積みだ。

デイパックを調べて、名簿やら支給品やらを確認しないといけない。

それをしないと、今臨也がどこにいるのかさえわからない。

さらに、もしかしたら主催のアズが臨也と静雄の因縁を知っているなら彼を殺すのに必要な武器なんかが入っているかもしれない。

 

−−楽しみだなぁ!楽しみだなぁ!

 

笑みは深く、ただ愉悦に、その表情を歪めたまま。

外道一匹、夜に憚る。




【エリアH-3/市街地、ビル3階/1日目/深夜】

【折原臨也@デュラララ!!】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:一枚(折原臨也)
[参戦時期]:未定。
[装備]:
[道具]:基本支給品一式
    ランダム支給品0~3(未確認)
[思考]
基本: 人間観察をしつつ、生き残る
1: まずはデイパックを調べようかな。
2: シズちゃんはここで死んでもらおう。そのために戦力やら装備やらを整えて、悪評も広げて……どうにもやることが多いなぁ。
3: 他の参加者とも早く合流したいなぁ。
[備考]
※名簿、支給品共にまだ見てません。
※現在地は、セイバー、ペコリーヌのいるビルと同じです。
※OPにて、平和島静雄の姿を見ています。


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五等分の■■

作者
mosport

登場キャラ
・ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run


まったくもって、予想外だった。

周囲を見渡し、内心を満たす驚愕を感じながら、アメリカ大統領、ファニー・ヴァレンタインはそばにあった椅子に腰をかけた。

柔らかく、それでいて適度に弾力のあるクッションが心地よい。

そのまま背もたれに寄りかかり、顎に手を添える。

この場に転送された直後から強く感じていた驚きも落ち着き、冷静な思考が戻って来た。

ようやくまともに思考が働き始めた彼に訪れた感情は、やはり、またしても、驚愕だった。

 

「や、やめろ!やめてくれ!こんな…こんなの!」

「だめよ。おじちゃん。」

 

なんだ、あれは。

思わず、椅子から立ち上がる。

がたり、と音を立ててしまったが、幸いにも「アレ」には気づかれてはいないようだった 。

声のした方には、ヴァレンタインと同じ参加者らしき男が倒れていた。

その前に、同じく首輪をつけた少女。

いや、それはいい。

問題は--

 

「ルールはちゃんとまもらないと。あそんだらおかたづけ。おもちゃはおもちゃばこに。おちゃかいのあとは、しょっきをながしに。まけちゃったおじちゃんは、このこたちのおなかのなかに!」

 

その後ろにいた、存在だ。

捕食者。

悪魔。

怪物。

「絶望」は全部で五つ。

その地獄のような光景を。

ヴァレンタインは、ただ見ていた。

見ていることしか、できなかった。

化け物に捕まれて、運ばれる男を。

見えなくなる直前、男と目が合う。

 

それでも無情に、連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試練は供え物だ。立派であるほど良い。

これから行われるのは生贄だ。

 

--試練は、流される血で終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「--行ったか。」

 

ヴァレンタインは再び腰を下ろし、思案する。

運良く彼らとは距離があったため、なんとか見つかることはなかったが。

もしも見つかってしまったら、自分もああなってしまうのだろうか。

そんな事を考えながら彼は今、支給品の拳銃を手に持っていた。

銀色の銃身が頭上に輝くシャンデリアの灯火を反射し、鈍く光る。そのずっしりとした重厚感が、本物のそれであることを彼の持つその手に訴えかける。

いつの間にか彼の足元にぽつんと置かれた黒色のデイパックから出てきたただの紙。

何か書かれているのかと開いてみると突如として現れた拳銃。それすらも先ほど見ていた怪物の存在に比べたら感じさせられた驚きはさしあたって微々たるものだった。

そのくらいには、驚愕した。戦慄した。恐怖すら覚えた。

武器として人一人の命すらも簡単に奪える拳銃すらも、今は心許なく感じてしまう。

もしもヴァレンタインがあの怪物達に襲われたとして、生き残る手段は如何程か。

まず、逃げる。

これは論外だ。身体能力のみで言えば標準もいいところのヴァレンタインが逃げ切れる目など存在しまい。

加えて鬼は五匹。

数にものを言わせて取り囲まれてしまえばそれだけで詰みだ。

ならば、戦う。

これもまた、論外だ。

支給された拳銃に込められた弾は6発。

それだけの数であの人外を倒しきれるか、と言われたら返答に困る。何しろ彼らがこちらの常識が通用しない以上、下手な真似はできない。

もしも拳銃という武器を過信して戦いに臨んだとして、対処されたらそれで終わりとなる。

この殺し合い。それも序盤も序盤から大きな壁が立ち塞がっているのを感じていた。

情報もなければ考えうる作戦はどれも効果が見込めない。

 

ならば、『スタンド』はどうか。

彼らの世界にのみ許された特権。

精神力の権化。あるいは守護神。

『Dirty_deeds_done_dirt_cheap』

平行世界を司る彼のスタンド。

世界と世界の移動、さらには平行世界から人間を連れてくる、といった行為も可能だ。

その応用として、ヴァレンタイン以外のまったく同じものや人間が二つ存在すると対消滅する、という特性から違う世界からまったく同じ人間を連れ、消滅させるという攻撃方法。

さらには他の世界から志を共にする自らを呼び出したった一人で人海戦術すらも可能とする。

それならば。

一個人が持つ力として強大すぎるそれならばどうか。

 

そんなことは、真っ先に考えた。

 

しかし。

 

『あなたの能力には、他の参加者とはちがい、特別な制限がかけられています。内容は、二つ。

一つ目は、あなたの持つそのスタンドで平行世界から連れてこられる人間はそれぞれ違う人間を三人だけ。

二つ目は、あなたの持つそのスタンドでこの基本世界から平行世界に移動させられるのは二人まで。です。

これを頭にしっかり入れておいて下さいね?ファイト!』

 

デイパックを開いて最初に飛び出してきたのはそんな内容が書かれた紙だった。

能力が大幅に制限された今のヴァレンタインのスタンドでは、未知の化け物を相手にするには少々難しいものがある。故に、スタンドも使えない。

 

「これは『試練』だ。」

 

だが。

 

「『栄光を掴み取れ』という『試練』と、私は受け取った。」

 

越えるべき『試練』としては過不足無い。

 

「乗り越えるべき『試練』と、私は受け取った。」

 

十分すぎるほどだった。

 

故に。

ヴァレンタインは打倒の意志を強く持つ。

 

「まずは、名簿を見てから考えるとしよう。......それでも、遅くはない。」

 

試練は、流される血で終わる。

生贄としてくべられる命は、化け物か、少女か。




【エリアJ-4/豪華客船/1日目/深夜】

【ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】
[状態]: 正常、椅子に座っている。
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(ヴァレンタイン)
[参戦時期]: 未定。
[装備]: M1911A1コルトガバメント(装填数6発)@現実
[道具]: 基本支給品一式
    ランダム支給品×2(確認済み)
[思考]
基本: この殺し合いという『試練』を乗り越える。
1: 名簿を確認。
2: 化け物(インペラーの契約モンスター)をどうにかして始末する。
3: 出来る事なら他参加者とも合流したい。
[備考]
※能力に制限がかけられています。内容は以下の通りです。
『平行世界から連れてこられる人間はそれぞれ違う人間を三人だけ。』
『基本世界から平行世界に移動させられるのは二人まで』
※坂持金発とありすの姿を確認しました。


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ゼロに向かう片道切符(カード)

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。


眼鏡をはずしたときみたいに視界が変わる。

その先に居るのは、もはやいるのが当たり前になった二人だ。

 

「わ、悪いな。助かったよ。

えっと…お礼とか期待されてもなんも出来ないんで、その…」

 

死んだ魚の目に、ボサボサのかみの彼が、視線を逸らしながらしどろもどろに言う。

 

「助けてくれてありがとう!

その制服、ってことは同じ学校だよね?

こんな時に言うのも変だけど、なんかの、縁って言うのかな?

私、由比ヶ浜結衣!よろしくね!」

 

お団子を作った特徴的な髪形の彼女が明るい笑顔で言う。

2人とも、まるで初対面の誰かに会ったかのように。

 

「違う、違うやめて!」

 

私は覚えている。私だけが覚えている。

あなたが下手したら私以上に対人関係の能力がポンコツで、

異常ともいえるほどの甘党で、サブカルチャーに首までどっぷりなのも。

あなたが最初はどこから手を付けていいか分からなかったほど料理下手で、

犬派で、音楽が得意で、それ以外の勉強は苦手なのも。

全部、全部私だけが…一方的に知っている。

それがこんなにも心をえぐる物だなんて知りたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪乃(ゆきの)ちゃん!雪乃ちゃんしっかり!起きて!起きるんだ!)

 

頭の中に反響する聞きなれない男性の声に目を覚ました。

体中が痛い。だがそれ以上に瓦礫の濁流に巻き込まれたのにそれだけで済んでる自分に驚く。

だがその驚きは、幸運にもデイパックを離さなかった自分の右腕を見た瞬間に氷解した。

黒いスーツに、緑色のアーマーの強化服、ゼロノスが目に入ったからだ。

 

「夢だけど…夢じゃない…。

デネブ、私は一体どのくらい気を失っていたの?」

 

(10分もないよ。それより移動しよう。

あんな風にビルを壊せる奴がいるんだ。ココも安全じゃない。)

 

その声に従い、雪乃はビルとは反対側、エリアで言うところのG-2方向に走り出した。

彼女のスタート位置はG-1エリア、それも花京院典明や、ストリウスのスタート地点のビルとそう離れていない位置だった。

故にビル倒壊の余波に巻き込まれてしまったわけだが、その前に変身出来ていたのはある意味幸運で、あまりにも不運だったとしか言いようがない。

 

彼女、雪ノ下(ゆきのした)雪乃の支給品、ゼロノスベルトは、使えば使うたびに自らの記憶を消費していく。

変身者の頭が空っぽになって行く、と言う訳ではない。

その逆、使用者の関係者、家族や友人の記憶から使用者の記憶、存在が消えていくのだ。

それは仮面ライダー電王の世界における、仮面ライダーの定義。

『時間改変による影響を受けない者が、フリーエネルギーを用いて変身する戦士』、それを『使用者の記憶をゼロノスカードに保存することで、バックアップを作り、消滅してもわずかなタイムラグを置いて復活できる』という形で実現したベルトなのだ。

当然、記憶が大きな意味を持つ仮面ライダー電王の歴史において、

記憶が変身するのに十分なエネルギーになるというのは分かる。

だが、それはエネルギーとして消費する以上、変身回数に上限がある。

 

「だったらいいわ。このベルトで本当に変身出来たら信じる!

あなたも私の幻なんかじゃないし、この殺し合いも現実だって認めてあげる!」

 

あまりに起こり続ける異常事態に、雪乃は混乱し、目に映る物が信じられなかった。

だからだろう。半ばヤケに近い形で、デネブの制止の声も聞かず、雪乃は、ベルトが入っていた紙に書かれた通りの手順で、カードを使って変身してしまったのだ。

 

<Altair Form!>

 

そして本当に変身出来てしまった。

こうなってしまえば、否が応でも信じるしかない。

それは一言で言えば絶望だった。

自分が殺し合いと言う極大の非日常にいて、

たった今、誰かの記憶から奇麗サッパリ忘れ去られることが確定したことへの。

 

(雪乃ちゃん逃げて!)

 

だから、突如倒壊するビルを見て、咄嗟にデイパックを持って逃げるという選択肢の出来た自分を雪乃は、内心素直にほめた。

吹き抜ける茶色い風と、地面事揺れるような衝撃に、

受け身も取れずに崩れ落ちたが、死んでないのはゼロノスの鎧が守ってくれたからだろう。

 

「この鎧ってどうやったら外せるの?」

 

(ベルトからカードを抜いて、ベルトを外したらだけど…

そうしたら使ったカードは消滅して…)

 

雪乃にはできなかった。

もし、このカードを抜いて、誰かに忘れられたら…。

そう思うと、安易に変身を解くことは出来なかった。

 

「…空腹も、限界まで我慢しましょう。

こんな状況下で生身を晒すのは危険だし…。」

 

(雪乃ちゃん…)

 

雪乃はただ無心でG-2方向に向かった。

 




【エリアG-1/倒壊したビルの近く/1日目/深夜】

【雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】
[状態]:健康、全身に軽い痛み、混乱(中)
    仮面ライダーゼロノスアルタイルフォームに変身中
[服装]:総武高校制服
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(雪ノ下雪乃)
[参戦時期]:少なくとも比企谷、由比ヶ浜とある程度の仲になってから。
[装備]:ゼロノスベルト(カード残り3枚)@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:ここが夢じゃないのは分かったから…。
1:倒壊したビルから遠ざかる(G-2方面に向かっている)。
2:変身は、解除したくないけど…。
3:どこかで落ち着けたら情報を整理する。
[備考]
※ゼロノスカードは雪乃以外のやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。から参戦のキャラの記憶からできています。
※なので、4枚使い切っても消滅はしないでしょうが、カードの補充は出来ません。
※カードが消滅すると同時に、カードの元になった誰かの記憶が消えます。
※カードの種類は、ジオウ本編で登場したアルタイルフォームとベガフォームに変身出来る物だけです。
※ゼロノスベルトは、所謂意思持ち支給品の扱いです。

【デネブ@仮面ライダージオウ】
[状態]:実体化、人間への憑依不可能、ゼロノスベルトに憑依
[参戦時期]:ジオウ本編39話から40話のどこか
[思考]
基本:雪乃ちゃんを守り、ベルトと共に優斗の元に戻る。
1:雪乃ちゃんを助ける。
2:ベルトから抜け出して実体化する方法を考える。
3:どうにかして雪乃ちゃんがカードを使わなくていいようにする。
[備考]
※ゼロノスベルトに憑依した状態から動けなくなっています。
※ただしベガフォームに変身すれば、一時的にベルト使用者の肉体を使えます。


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死滅遊戯

作者
山田ちゃん

登場キャラ
・銃の魔人@チェンソーマン
・エボルト@仮面ライダービルド


町中で、爆発音が、木霊する。

それは二対の怪物によるもの。

銃の魔人。

エボルト。

人間の力なぞ遥かに凌駕した二つの力が、ぶつかった。

喧騒の中で、二人は笑う。

狂喜に、喝采に。

町を壊しながら、崩壊をもたらしながら。

 

◆◆◆

 

時は、少し遡る。

 

エボルトがこの殺し合いにて最初に見つけた存在は、銃の魔人--早川アキだった。

一目見て、面白い奴だと思った。

二対の怪人の間に隔たった距離はおよそ50m。

それに加えて、銃の魔人は未だにエボルトを捉えていない。気づいていない。

現状、エボルトは支給品も、メダルも、名簿すら見ておらず、情報は何もない。

故に、眼前でただ揺蕩うのみの銃の魔人への対処をどうするべきか、決めあぐねる所だろう。

銃の魔人がこちらに気づいていない隙に、距離をとって逃げてしまうのも一つの手かもしれない。

その異様な出で立ちから、ただ者ではないことは十分に窺い知れるというもの。

 

それでも、それを充分に理解しているエボルトの頭脳は、銃の魔人への接触を決めた。

なぜ死の直前だった自らが五体満足でここにいて、殺し合いなんて催しをさせられているのか、わからなかったが。

もしも自分が呼ばれている現状からして、戦兎共仮面ライダーもまた呼ばれているのかすら、まったくもってわかりやしないが。

それが、合理的ではない選択であることも知った上で、魔人が闊歩する魔境へと一歩を踏み出した。

とどのつまり、この怪物は、破壊者は、エボルトは。

 

『面白そう』だから。

 

それのみを理由に行動できる怪物だった。

ただ、そんな理由だけで死地へと赴く変わり種ということなのだろうか?

今までの自分ならば考えもつかない、ある種愚かとも言える行動。それにエボルトを突き動かしたのは。

簡単な話だった。

『早川アキ』に道化としての価値を感じただけのこと。

ただそれだけ。

故に、エボルトは銃の魔人と接触した。

 

「よォ!そんな所でどうした?」

 

ただの挨拶。

それに対して、返したものは。

 

ニタァ、とした笑みと。

バァン、という、衝撃。

 

けたましい銃声と共に到来した衝撃をその身で受けたエボルトは、天高い夜空へと投げ出されていた。

そのたったの一撃で、それを受けた町には大きなる破壊がもたらされる。

 

たったの一発で、道路が鋭く、無残にえぐられた。

たったの一発で、設置されていた自動車が爆ぜた。

たったの一発で、固まっていた家々が崩れ落ちた。

たったの一発で、町に大きな傷跡が残されていた。

 

エボルトもまた然り。

銃の魔人に負けず劣らず異形の体を成している赤色は、遥か彼方へ吹き飛ばされ。

六軒ほどの民家の壁を突き抜け、激しい破壊音と辺り一面を覆う砂埃とともに、地面に衝突した。

これがただの人間であれば、既に死亡していること必至だ。

しかし、エボルトが衝突した現場にあるのは、破壊の跡のみ。

隕石の衝突さながらにできた道路の陥没、クレーター。

それだけだった。

そこにはぐちゃぐちゃになった死体も、血の一滴すらも流れていない。

クレーターの中心で横たわっているエボルトには、銃の魔人の一撃でかすり傷一つ負っていない有り様だった。

銃の魔人が人々に恐れられる悪魔であると同様に、エボルトもまた、人々に恐怖を、終焉をもたらす怪物故に。

そして、件の怪物は。星狩りは。エボルトは。

 

「フ......フフ......」

 

横たわったまま。

高らかに。

歓喜を込めて。

 

「フフ........フッハハハハハハハハハ!」

 

笑っていた。嗤っていた。

そうだそうだ。

そうこなくては。

面白くなってきた。

 

「遊び相手が欲しいのか......?フ、ハハハ....!準備運動にはちょうどいい....!!」

 

ゆったりとした動作で立ち上がったエボルトは、一瞬にして飛び上がった。

轟!という音とともに、加速する。

 

たったのそれだけで、道路は陥没しびび割れた。

たったのそれだけで、周囲の民家は弾け飛んだ。

たったのそれだけで、町に大きな傷をのこした。

 

彼ら二対の怪人が行った行為は何か。

町の破壊--否。

戦闘行為--否。

殺し合い--否。

 

 

彼らが行っているのはただのお遊びだった。

まるで幼い子供が遊具に目を輝かせているかの如く。

ただ、自らの興味、快楽、愉悦のためにのみ、その力は振るわれている。

 

星狩り、殺戮、破滅、争い--あるいは、雪合戦。

彼らにとっては、この殺し合いすらも、ある種の遊戯と捉えていた。

 

しかし、侮るなかれ。

彼らは怪人。

ただの遊戯ですら、無力な人間達にとっては死へと誘う死神であることを。




【エリアH-4/市街地/1日目/深夜】

【銃の魔人@チェンソーマン】
[状態]: 正常、
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(銃の魔人)
[参戦時期]: 未定。
[装備]: なし。
[道具]: 基本支給品一式 ランダム支給品×3
[思考] 基本: 遊ぶ。
[備考]
※無差別に視界に入った参加者を襲撃します。

【エボルト@仮面ライダービルド】
[状態]: 正常、怪人態
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(エボルト)
[参戦時期]:本編においての死亡直前
[装備]:なし。
[道具]:基本支給品一式 ランダム支給品0~3(未確認)
[思考] 基本: 生き残って元の世界に帰還する。そのためなら手段は選ばない。
1:銃の魔人と戦う。殺すかどうかは未定。
2: 銃の魔人に興味。利用できるならそれに越したことはない。
3: 戦いが終わった後、支給品と名簿を確認したい。


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闇のなかで

作者
御堂

登場キャラ
・ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険
・雅@彼岸島


とうおるるるるるるるる、とうおるるるるるるるる…………

 

クソッ!クソッ、クソッ、クソッ!!

 

とうおるるるるるるるる、とうおるるるるるるるる…………

 

また鳴ったぞッ!どこだッ!?

 

とうおるるるるるるるる、とうおるるるるるるるる…………

 

クソがッ!見つからないじゃあないか!!暗くて辺りも良く見えない……!

 

とうおるるるるるるるる、とうおるるるるるるるる…………

 

あっ、信じられねぇぜ……!こんなところに『公衆電話』があるなんて!!

 

ゲコ

 

ガチャリ!

 

ピー!

 

ボス!よかった、繋がった!!え?『そこから逃げろ』?どういうことですかボス!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく気付いたか」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲコ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザンッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ………」

 

走る。走る。走る。

一筋の光すらも見えない闇を、ただ走る。

既に疲労しきった身体に鞭を打って、少しでも早く、遠くへと逃げる。逃げなければ。

心臓がどくどくとうるさい程に鼓動する。

切断された片腕はからは、どばどばと血が溢れ出る。

応急処置?今はそれどころじゃあない。

今は、あの化物から少しでも離れなければ。 

 

「クソッ!電話を落としちまった!!」

 

電話がない?今はそれどころじゃあない。

一刻も早く、やつから逃げなければ。

だが、必ずヤツは殺す。

私の腕を落とした『報復』をしなくては。

 

一つの身体に宿った二人の参加者は共に、怒り、殺意を研ぎ澄まし。

闇の中を唯駆けてゆく。その先に待ち受ける運命は−−

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【エリアH-3/市街地/1日目/深夜】

 

【ディアボロ(ドッピオ)@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:片腕が切り落とされている、ドッピオの人格

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:一枚(ディアボロ)

[参戦時期]:未定。

[装備]:

[道具]:基本支給品一式

   ランダム支給品0~3(未確認)

[思考]

基本: 生き残る。過程や方法などどうでもいい。

1: 逃げる。

2: ボスと連絡をどこかでしたい。

3:応急処置をしたい。

4:腕を切り落としてきた参加者への対処。他の参加者と手を組んででも排除する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさか、腕を切り落とされてから即座に逃げおおせるとは。

本気で私に恐怖を感じつつ、行った行動は手練であることを感じさせられた。

まさか紙を開いたら生きたカエルが出てきた時は驚いたが、ぴょんぴょん飛び回るカエルを追ってみれば当たりの参加者と出くわした。

最初はつまらない人間かと思いきや、なかなか愉しませてくれる。

さて、私の答えは決まっている。

鬼ごっこと行こうじゃないか。

 

 

 

 

 

【雅@彼岸島】

[状態]: 正常

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(雅)

[参戦時期]: 未定。

[装備]: ドッピオが電話で使ったカエル@ジョジョの奇妙な冒険

[道具]: 基本支給品一式

    ランダム支給品×2(確認済み)

[思考]

基本: 殺し合いを愉しむ

1: 小僧(ドッピオ)を追う。

2: 参加者は見つけ次第殺害する。

3: 気に入った参加者は吸血鬼にする。

4:最後にはアズを殺す。

[備考]

※ディアボロの片腕は雅の足元に放置されています。



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Liberator of the Trinity.

作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・書き手枠(実写作品)


会場の東南に位置する島、ワンダーステージ。

果てしない大自然。空に漂う無数のシャボン玉。夜中にも関わらず、幻想的な光景が広がるステージ。

殺し合いという状況下でなければ、芸術家一同が創作意欲を刺激される事は大いに間違いないだろう。

 

しかし、このファンタジー溢れる島のエリアH-10には、真逆かつ全く似つかわしくない現代風の大型デパートが建っていた。

 

そしてその屋上に、これまた似つかわしくないスーツ姿の参加者の一人が立っていた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「……………何がどうなってるんだ?」

 

迅は、困惑している。

 

人工知能搭載人型ロボット_ヒューマギアの一体であり、サイバーテロリスト_滅亡迅雷net.の一人でもある迅は、現在困惑中である。

 

AIで言うなら、演算中という言葉が適切である。

 

迅はここまでの出来事を整理する。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

人類滅亡という結論を出した通信衛星『アーク』の意思を体現するべく、ヒューマギアをハッキングして破壊活動を行ってきた滅亡迅雷net.。主要メンバーである『滅』と『雷』が倒され、一人残った迅はマギアの大群を率いて決戦を挑むも、飛電或人こと仮面ライダーゼロワンに破れ爆散。

 

しかし何者かの手により進化したボディで復活し、ゼロワン達の前に再び姿を現した。以前のような人類滅亡ではなく、ヒューマギアの人類からの解放という新たな目的を宣言して。

 

────その直後に異変が発生した。

 

気が付くと見知らぬホールで目覚め、100人以上の人間たちが同様に拉致されていたのだ。その中に、滅と雷の姿を確認し、話しかけようとした時、ゼロワンと共にいる秘書型ヒューマギア_イズにそっくりなヒューマギア_アズが現れ、各陣営に分かれての殺し合いを宣言した。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

────そして現在に戻る。

 

「あのアズってやつが誰なのかは気になるけど、僕のやる事に変わりわないよ。ヒューマギア達を人間から解放して自由にする事が、僕の理由だから。」

 

そう結論付けた彼は、情報を整理するため支給品を確認するべく、デイバッグの中にあったメダルとデバイス、三枚の紙を取り出し、デバイスの参加者リストを確認した。

 

「あった。滅と雷、やっぱり見間違いじゃ無かったんだ……って、ゼロワンとバルカンまで居るのか。」

 

「ていうかこのリスト、関係者ごとにまとめられてるのか。なら、何で僕の名前が一緒じゃなくて一番最後に載ってるんだ?」

 

参加者のリストの法則性と矛盾点に直ぐ気づくが、気にするのは後にして、次はエニグマの紙の確認に入る。

 

一枚目は、『ホークガトリンガー』

ガトリング状の砲身が付き、タカの意匠が取り入られた機関銃型の武器である。とある天才物理学者の発明品の一つである。

 

「ふ〜ん、僕好みの銃だね。デザインもセンスも悪くない。これを作った人間に会ってみたいね」

 

ホークガトリンガーに率直な感想を漏らす迅。製作者である件の人物が聞いたら、いつもの長ったらしい自慢話が始まるのは目に見えているが、迅はそれを知る由もない。

 

ニ枚目は、赤、青、黄色の、それぞれ色の異なる三つのドックタグであった。『『三羽ガラスのドックタグ』とある仮面の戦士と共に戦った三人の仲間たちの形見である』と記載されていた。

 

(仲間か……早く"亡"も解放してやらないと……)

 

迅の言う『亡』とは、滅亡迅雷net.の最後の主要メンバーであり、とある理由で長年姿を眩ませており、現在ある場所に囚われたままとなっている。

 

そして、三枚目を見た迅は笑みを浮かべた。

 

「やっぱりこの装備もあったか。」

 

紙を開くと出てきたのは、短剣が装備された赤いベルト『ザイアスラッシュライザー』と、炎の如く燃えるハヤブサが描かれたクリアレッドのカード型アイテム『バーニングファルコンプログライズキー』。

 

AIや宇宙開発に取り組むトータルカンパニーZAIAエンタープライズという大企業のとある人間が密かに開発した変身ツールであり、迅が新たに手にした力である。

 

一通り支給品を確認し終えた迅は、ドックタグをメダルと共に紙に入れ、デバイスと残りの紙と一緒にポケットにしまった。空になったデイバッグはその場に捨てた。

 

「先ずは滅達を探しに行こっか。」

 

〈インフェルノウィング!〉 

 

そしてザイアスラッシュライザーを装着した迅は、バーニングファルコンプログライズキーを起動し、ベルトに装填、キーを解除する。

 

〈バーンライズ!〉

〈Kamen Rider....Kamen Rider....〉

 

「変身」

 

〈スラッシュライズ!〉

〈バーニングファルコン!〉

〈"The strongest wings bearing the fire of hell."〉

 

セリフと共に、ベルトのトリガーを押すと燃え盛るハヤブサが現れ、彼の身を分離した羽で包み込むと、燃えるような真紅のアーマーを纏った戦士、仮面ライダー迅バーニングファルコンに変わった。

 

「じゃ、行こうか。ハッ!」

 

掛け声と同時に背中から主翼『バーニングスクランブラー』を展開し、迅は空を舞う。

 

殺し合いという異常事態の中、紅き解放者は前に進む。全ては同胞たちを、友達を、ヒューマギアを真の意味で解放し、『自由』をもたらす為に______。

 

 

 

 

 

 




【エリアH-10/デパート上空/1日目/深夜】

 

 

【迅@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:正常
[服装]:いつもの服装(ストライプスーツ)
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(迅)
[参戦時期]:25話で復活し、或人達と再会した直後。
[装備]:ザイアスラッシュライザー@仮面ライダーゼロワン、バーニングファルコンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン、ホークガトリンガー@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品一覧
    三羽ガラスのドックタグ@仮面ライダービルド
[思考]
基本:ヒューマギアを人類から開放する為、この殺し合いを乗り越える。
1:先ずは滅と雷と合流を目指そう。
2:アズ、アイツは一体何者なんだ……?
3:ゼロワンと会ったら、一応協力してみようかな。バルカンは……まぁ、何とかなるかな。

[備考]
※ザイアスラッシュライザーは誰でも使用且つ変身可能となっています。
※どの方向に移動するかは、後の書き手におまかせします。


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黄金王と笛吹き男

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・カンノーロ・ムーロロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
・七原秋也@バトル・ロワイアル
・偽アーチャー@Fate/strange Fake
・衛宮切嗣@Fate/Zero
・ハーメルン@SINoALICE



古き良き日本家屋が並ぶ一角をくたびれた黒いコートの男が歩いている。

男は魔術師だ。魔術回路と言う疑似神経を用い、

世界を騙し、現実に影響する幻想を為す条理の外に外れた存在だ。

同時に男は正義の味方だった。

最大多数の幸福のために、冷徹なまでに小数を切り捨てることを躊躇わない。

そして人の死に当たり前に涙し、人並みのありふれた幸福を喜べてしまう男。

作為的な人でなし、それ故に傷なんてつくはずもない代わりに、

真っ当な人間でもある、それ故に最初から傷と言う傷が全てついている。

それが()(みや)(きり)(つぐ)と言う者だ。

 

そんな彼がこの戦いで取った行動は、

自陣営以外のすべての人間を倒すという選択だった。

彼は魔術師である。

100人以上の人間を一瞬にして転移魔術で拉致し、

記憶の処理までして、どうやってか用意したこの空間に更に移動させる。

その上、質量を完全に無視して物をいれれる紙の魔術礼装。

魔法使いの領域に片足を突っ込んでいる大魔術を、こうも容易く行使して見せる連中に、一回無様に拉致されてる連中と組んで戦ったところで、勝てるとは、全く思えなかった。

それだったら、下手に反抗して主催者の機嫌を損ねるより、正攻法で攻略した方が生還できる確率は高い。

 

「そろそろ2時間か…。」

 

流石に疲れを感じて、切嗣は近くの建物の奥に入ると、支給品のヴァージニア・スリム・メンソール(けち臭い事にマッチは別の支給品扱いだった)の細い紙巻き煙草をくわえて火をつけた。

煙草は煙も臭いもある。敵に見つかる危険性がぐんと上がる。

だから吸うのなら、吸えるうちに吸っておく。

一服終えると、切嗣はデイパックを背負い直して、目的地を目指し続けた。

 

(あった。あれが寺田屋だな…。)

 

切嗣はその入口を観察する。誰か人影が見えた。体格からして男。

そしてこの2時間でどれぐらい人が死んだか知らないが、

現地点なら、まだ自分と違う陣営の者と出会う可能性の方が高い。

 

そう判断した切嗣は、支給品にして、自らの切り札であるトンプソン・コンテンダーを抜いて後を追おう。

詰めている弾は通常弾だ。

コンテンダーの弾として銃と共に支給された起源弾、

衛宮切嗣を『魔術師殺し』たらしめる必殺の切り札は僅か5発。

通常の30-06スプリングフィールド弾方は10発と、かなり心もとない。

だったら必殺の起源弾は一発も無駄に出来ない。

 

(二階建てなのか。)

 

さっきの誰かは土足で上がったらしく、階段に靴跡がついているのが分かる。

切嗣は足音を立てないように極めて注意しながら階段を上った。

 

「!?」

 

カサカサ、となにかが音を立てて切嗣の足元をすり抜けた。

咄嗟に銃口を向けるが、それは機敏な動きでジグザグに進んでいき、ある部屋のふすまの隙間に入って行く。

 

「だーん、だららららららららー-」

 

その部屋からドラムロールをまねた声がした。

切嗣は即座に襖によると、開け放って銃口を向ける。

そこで胡坐をかいていたのは、室内だというのにボルサリーノ帽をかぶった伊達男だった。

古臭いギャング映画からそのまま出てきたようないでたちで、気取りすぎて滑稽だな、と切嗣は思った。

 

「おい!待てよ!」

 

その音を聞きつけて、誰かがやって来た。

どちらが切嗣の見た方かは分からないが、この寺田屋にはもう一人誰か居たらしい。

そちらに目をやると、走って来たのは学生服の少年だった。

手には支給品なんだろう、ギターみたいな形をした槍(?)を持っている。

 

「急にこんなことになって冷静でいられないのは分かるけど、そんな簡単に人に銃を向けるなよオッサン!落ち着こうぜ!」

 

そう言う少年七原(ななはら)(しゅう)()に切嗣は不快感を隠さない視線を向けた。

その倫理がこの空間でどれほど役に立つというのか。

精々、多少の信頼を勝ち取れる程度だろうに。

 

「あーうるさいぞガキ!それより拍手しろ拍手!

連中のテンションが上がらないだろうが!」

 

銃口を向けられてるにも拘らず、伊達男が言った。

それに困惑する秋也。相変わらず伊達男に警戒しながら銃を構え続ける切嗣。

しかし当の本人は、謎の胆力で、堂々としている。

そして秋也だけが、小さく拍手した。

不満そうに鼻を鳴らした伊達男だったが、すぐにドラムロールを再開する。

そうすると、伊達男のポケットからひらり、ひらりと薄っぺらいなにかが出てきてひとりでに集まり出した。

 

「何をしている?」

 

「黙って見てろ。」

 

トランプタワーが組みあがったその瞬間、カードの一枚一枚から手足が生えて、互いに握り合いながら踊り始めた

 

『ボ、ボ、ボクらは劇団<見張り塔>ォー--ッ!』

 

まるでアニメのワンシーンのような光景を、ただの異常事態にならともかく、物理法則の範囲外の出来事には初めて出会う故に、目を丸くするしかない秋也をよそに、切嗣は踊るトランプたちを分析していた。

 

(この男、魔術師か。そしてこいつらは恐らく、こいつの魔術と密接に関係した使い魔…。)

 

切嗣の見立ては当たらずも遠からずと言えた。

彼らは精神エネルギーと、生命力という違いこそあれど、

主人固有の心の在り方を反映した幽波紋(スタンド)と呼ばれる存在。

オール・アロング・ウォッチタワー。

真実を劇と言う形で披露する伊達男、カンノーロ・ムーロロの固有能力である。

 

『今回の題目は誰もが知りたい”早速一人殺っちまった参加者”についてェ。

さぁて今のアイツはドコでナニをしてるのカナ、カナカナ?』

 

『うげげェ、金ピカ鎧の兄ちゃんだ!眩しくって目が痛ェ!』

 

金ピカ鎧の男と聞いて、切嗣は真っ先に、自分がここに呼ばれるまで参加していた魔術儀式、聖杯戦争において敵対していた弓兵(アーチャー)の英霊を思い出した。

 

『自分が言うには王様だとさ、何やらアズが気に食わねェ様子!

機嫌を損ねりゃ皆殺しィ』

 

『王様のお目当ては三つ!お心当たりはござらんか?』

 

『お友達!』

 

『宝物庫!』

 

『彼のマスター!』

 

『手にした武器は伸びる槍、ぐるぐるかき混ぜああ惨劇!』

 

『だから』

 

『だから』

 

『だから笛吹き男はぐちゃぐちゃに!』

 

「遠見の魔術の類かな?」

 

「もう一段ランクが上だ。俺の<ウォッチタワー>が示すのは確実な事実だ。」

 

なんて話してると、劇の様子がおかしくなってくる。

 

『おいバカ!今の台詞違っただろ!』

 

『うるせーなクラブの6!不吉な数字のくせに偉そうに!』

 

『ハートの4の分際で生意気な!』

 

『おい!どうでもいいことで劇を乱すな!』

 

『なんだと!』

 

『大体お前が!』

 

『馬鹿ばっかだなおい!』

 

言い争いに始まり、終いには喧嘩が始まった。

体の数字投げ合い、当たった奴は気絶して、数字を使い切った奴も気絶する。

トランプタワーはバラバラに崩れ、重なり合ったトランプの山の一番上に残ったハートの3がフラフラと立ち上がり、

 

『金ぴか鎧の男が、A-2からこっちに来る…』

 

と、言い遺して倒れた。拍手するムーロロ。

そしてまた切嗣と秋也に拍手を促す。

また秋也だけが拍手をすると、再び起き上がったトランプたちがお辞儀してムーロロのポケットに戻り始めた。

 

「今のって…」

 

「聞いただろ?俺はさっさとトンズラする。」

 

そう言ってムーロロは自分のデイパックをひっつかむと、部屋を出て下階に降りて行った。

まだ彼に何か言いたそうだった秋也だが、言葉が思い浮かばなかったのか、そのまま見送った。

 

「……。」

 

切嗣はムーロロの背中を撃つことはしなかった。

コンテンダーのリロードは早くはない。

それに、真偽はともかく、一応は情報をくれた彼を撃つ気にはならなかった。

 

「えっと…」

 

「…衛宮切嗣だ。そう言う君は?」

 

「七原、秋也です。それで、どうします?」

 

「僕もさっさと移動する。君と情報交換をしてもいいが、

例の金ぴかの移動速度も分からない。それに…」

 

切嗣は自分の首輪を指さした。

切嗣の首輪は黄色、秋也の色はムーロロと同じ赤。

陣営が違う者と関わっていただけで、他の同陣営の参加者と、

トラブルのもとになる可能性は高い。

 

「あーそう、ですよね。」

 

「僕はC,Dエリアの方に行く。」

 

「じゃあ、俺は3、4の方行きます。」

 

そう言って秋也とは寺田屋の前で別れた。

しばらく進んでいき、秋也が完全に遠ざかったのを確認すると、切嗣は振り返る。

先に出ていったはずのムーロロがそこにいた。

 

「それで?話ってのは?」

 

自分のもとにメッセージを届けに来たジョーカーのカードを投げ返しながら言う切嗣。

ムーロロはそれを受け取ると、帽子を直して続けた。

 

「アンタ、暗殺者(ヒットマン)かなんかだろう?

それも、このバトルロワイヤルに乗ってる。違うか?」

 

「いいや。何も違わない。」

 

「悪評を振りまいてほしい奴らがいる。

マッシモ・ウォルペとビットリオ・カタルディ。

凶悪な超能力を使うプッツン野郎共だ。」

 

「間違いなくこの殺し合いに乗るとみていいんだな?」

 

「ああ。きっと派手にやるぜ。

ビットリオは基本一対一でなら俺が相性差でほぼ完封できる。

マッシモの麻薬の能力は一番危険だ。

どんな破壊力を持つ能力や、どんな速さや硬さを持つ能力よりも。」

 

「そうか。わかった。伝えておこう。

僕からは…そうだな。ケイネス・エルメロイが乗るかもしれない。

と、伝えておいてくれ。」

 

切嗣はあえてサーヴァントについては伝えなかった。

初戦ムーロロは敵陣営。どこかこの情報の有無が命取りになって死んでくれれば万々歳だからだ。

 

「取引成立だな。」

 

それからは会話もなく、二人はバラバラの方向に分かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切嗣は秋也に宣言した通り、エリアC,D方向を目指していた。

地図で見ればL字を描く様に動き、ネアポリス駅に向かうつもりなのだ。

 

(駅ならば人も良く集まるだろう。そこを叩く。)

 

それに合わせて装備も充実させなければならない。

けれど一切迷わない。それが彼の掲げる傷だらけの鋼のような正義だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【耽美―たんび―】

 

美こそが最高のものであると考えること。その世界に陶酔すること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笛吹き男がやってくる。

男は歌うように笛を吹き、踊るようにあるきながら。

歎きに嘆いてため息を吐いた。

 

ああ、なんて醜い場所に自分を放り込んでくれたんだ、と。

 

笛吹き男は、耽美という物に取りつかれていた。

きっと彼にとっての耽美とは、魔術世界でいうところの起源なのだろう。

ゆえに我慢ならなかった。

なぜ、自分は頼んでも無いのにこんな醜い殺し合いに放り込まれているのか。

殺し合いの為だけの見せかけの街。

空っぽの箱庭の張りぼて。ああ、なんて醜い。

見かけ云々ではなく、その在りようがあまりにも醜い。

 

「そしてあのアズとかいう女、その思考回路が醜すぎる!」

 

こんなひどい事を思いつくあの女は、

きっと頭の奥の奥まで酷く醜いに違いない。

そんな中、彼は飛び切り美しい者と出会った。

 

「……。この(おれ)に首輪をつける。

我の友にも同じ首輪をつける!我の宝物庫に細工をする!

我のマスターをも手籠めにする!どこまでこの我を愚弄する気だ!

あの女狐ぇえー----!」

 

透きとおるような白い肌に、射貫く様な真っ赤な目。

獅子の鬣のような金髪に、身に纏うのは黄金の鎧。

しかもそれをばっちり着こなしている。

ああ、なんて美しい。特に肌が素晴らしい。

自分のものと取り替えたいほどだ。

 

「おいそこな雑種。」

 

男は刺す、いな、穿つような視線で笛吹き男を睨んだ。

 

「我は今、特に機嫌が悪い。失せろ。」

 

笛吹き男は至極残念そうにその場を後にしようとした。

が、すぐに鈍痛みと、体が揺れる感覚がする。

見ると、笛吹き男の左足の膝より下が、黄金の男の持つ槍で切断されてしまっていた。

 

「この我が失せろと言ったのだ。

疾く自害するが礼であろう!」

 

黄金の男の手にする槍が短くなり手元に戻ると、

再び伸びて笛吹き男の体を切り裂く。

笛吹き男が懇願したのは、命乞いではなかった。

こんなにも美しい者の手により終わらされるなら、悪い気分はしない。

ただ自分の姿を裂かれながら、不均等の醜い姿にされて果てるのだけは嫌だ。

この黄金の男には絶対に敵わない。

そう判断した笛吹き男は、自ら振るわれる槍の線上に入り、

首を奇麗にはねられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん。自ら首を差し出すとは、少しは弁えていたか。」

 

臣具トリシュラを手元に戻しながら偽アーチャーは、

ハーメルンが吹いていた笛、軍楽夢想スクリームを回収した。

 

「ふん。どれもこれも二流、三流の財だな。

だが、あらゆる財は我の財。巡り巡ってこの我の元に戻ってきた宝物を無下に扱っては王の沽券にかかわるな。」

 

そう言って偽アーチャーはハーメルンのデイパックから支給品をすべて抜き取り、首をはねたお陰で血だまりに転がる首輪を回収した。

 

「さて、往くか。」

 

トリシュラを手ごろなサイズに短くして、偽アーチャーは歩みだした。

この不吉極まる戦場で、あんまりにも確かな堂々たる歩みであった。




【エリアB-2/寺田屋付近/1日目/深夜】

【七原秋也@バトル・ロワイアル】
[状態]:正常
[服装]:城岩中学校の制服@バトル・ロワイアル
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(秋也)
[参戦時期]:少なくとも『プログラム』が開始されてから
[装備]:音撃弦・烈雷@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:この戦いを生き抜く。
1:金ぴか鎧の男から遠ざかる。
2:三村や川田たちと合流する。
3:衛宮さんと帽子の人(ムーロロ)は大丈夫かな?
[備考]
※特になし。

【カンノーロ・ムーロロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(ムーロロ)
[参戦時期]:少なくともビットリオと戦う前
[装備]:オール・アロング・ウォッチタワー@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:麻薬チームの二人を倒し、生還する。
1:麻薬チームとケイネスの悪評を広める。
2:フーゴたちと合流する。
3:金ぴか鎧の男、ケイネスの事は注意しておく。
[備考]
※オール・アロング・ウォッチタワー@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-は、物体と一体化しているスタンドの為か、支給品扱いだったようです。
※どこに向かうかは次の書き手に任せます。

【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]:正常
[服装]:いつものスーツ
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(切嗣)
[参戦時期]:少なくともギルガメッシュの姿を知った後。
[装備]:コンテンダー(通常弾10/10起源弾5/5)@Fate/zero
[道具]:基本支給品一式
    ヴァージニア・スリム・メンソール@バトル・ロワイアル
    マッチ@現実
[思考]
基本:自陣営を優勝させる。
1:麻薬チーム、ケイネス、サーヴァントを警戒する。
2:装備を充実させる。
3:駅に向かい、そこに集まる参加者を叩く。
[備考]
※令呪やサーヴァントとのパスの有無は後の書き手に任せます。



【エリアA-2/市街地/1日目/深夜】

【偽アーチャー@Fate/strange Fake】
[状態]:正常
[服装]:いつもの鎧
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:2枚(偽アーチャー、ハーメルン)
[参戦時期]:少なくとも偽ランサーと一回は戦った後。
[装備]:臣具トリシュラ@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、ハーメルンのデバイス
    偽アーチャーのランダム支給品×0~2
    軍楽夢想スクリーム@アカメが斬る!
    ハーメルンのランダム支給品×0~2
    ハーメルンの首輪
[思考]
基本:あのアズなる人形とその使い手に王自ら罰を与える。
1:我が友、我がマスターを探す。
2:もし我の元に戻ってくる財があれば回収する。
3:他のサーヴァントやマスター共はどう動くかな?
[備考]
王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)は制限されているようです。
 どの程度かは後の書き手に任せます。



















ハーメルン@SINoALICE 死亡

【全体人数 残り148/150人】【ゲーム陣営 残り30/31人】


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猛る正義は、我が為に-衝動篇-

作者
山田ちゃん

登場キャラ
・スノウホワイト@SINoALICE
・岡田以蔵@龍が如く維新!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー命など惜しくは無い。

全ては主の為にあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

はっ、はっ、はっ、はっ、はっ----。

 

息が上がる。

一定の周期で、少々のうめき声と共に吐き出されるそれは、紛れもなく体中から噴出していく疲労が自らを蝕んでいる証拠に他ならない。

 

頭に鋭い痛みが迸る。

万力で押しつけられるように頭にまとわりついた頭痛は、私の意識をじわりじわりと削ってゆく。

 

「......っ、あ......は、ぁ......」

 

視界は時間が経つ程に、暗く鈍く歪んで行く。

ぐにゃりとねじ曲がった世界は、不明瞭で気味が悪い。夜の闇の黒色。辺りに生えた木々の緑色と茶色。地面に放られたデイパックと盗み出した聖剣の黒色と銀色。それらが全てごちゃ混ぜに、ぐちゃぐちゃに繋ぎ合わされる。

 

進め。進め。進め。進め----。

 

それでも、私の抱いた決意だけは鈍らず、砕けず、健在だった。進め、進めと嘯くこの声に突き動かされるように、盗んだ剣を取る。

剣を握る力は弱々しく、少しでもその力を抜けば零れ落ちてしまいそうな程だ。

それでも、私は必死に、出しきれるだけの力を全て注ぎ込み、剣を放さない様に、弱く、強く握る。

進め、進め、進め、進め。

囁くように連なっていた声が大きく、その数を増やして私の聴覚を埋め尽くす。

騒ぎ出す声に強く抱いた決意を乗せる。ごうごうと燃え盛る炎に薪を投じるが如く。

焼ける心に燃える正義。

その炎は、主の為にくべられる。

それは、きっと、間違っていない。 間違っているはずがない。

鬱蒼と生い茂る雑木林に入り込む足音に殺意を向ける私は間違っていない。

侵入者の体に聖剣の刃を突き立てるイメージをする。

侵入者が上げるであろう悲鳴を、飛び散る血潮をイメージする。

力なき四肢に鞭を撃ち、朦朧とする意識の中、唯その殺意のみを研ぎ澄ます。

ゆっくりと、五指に力を込めてゆく。

疲労に音を上げる息を強引に潜め。

沸き上がる衝動へと身を任せて。

 

「其処に、誰かいるのか」

 

そして、私は、その声に

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー私は、何をしているのだろう。

押し寄せる疲労に何もかもが絡め取られて。

最後に残った衝動に身を任せて行った行為が何だったか。

全員、倒す。

最初に叫んだ宣誓。

それが、正しい筈だ。

なのに、私は。

何を、期待してしまったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

静寂が横たわる雑木林。

先ほど放たれた問いに、返答は無く。

しかし、隠すには充分に漏れる殺意がその静寂を侵していく。

それを感じ取った時点で、来訪者たる暗殺者の対応もまた、決まり切っていた。

如何なる原理か、紙から現れた鍔なしの刀を静かに、一寸たりとも音を出さずに抜刀せしめた。

当の殺気の主は既に手負いか、木の陰から姿を見せない。相手の状況については依然としてわかりはしないが、付近にぶちまけられた吐瀉物の存在から、既にまともに動ける容態ではないのか、と回答を導き出す。

ならば後は切り捨てるのみ。

これもまた音もなくその一歩を踏み込まんとする直前、

 

「貴方の、首輪の色は」

 

女の、声だった。

玉を転がすような、美しい声は、そう告げた。

掠れていて、震えていた声は、そう告げた。

首輪の色。

確か、司会を名乗る女が告げていた--

 

「貴方の、与する陣営は」

「--緑だ。」

 

間髪入れずに答えた暗殺者に対し、声の主が押し黙ること数瞬。

瞬きよりも短いその時間で何を考えていたのか、推し量る意味こそわからなかったが。

結果として、声の主は覚束ない足どりで、その姿を晒した。傷こそ無いが、戦い慣れぬ者でも、その体に纏わりつく色濃い疲労は一目瞭然だろう。

暗殺者には見馴れぬ白い装束を着こなした、目麗しい美女がふらふら歩み寄ろうとし、座り込む。

どうやら彼女へ蓄積された疲労は相当なものらしい。

暗殺者がそんなことを考えるようになった頃。

深夜の密林に充満していた鋭い殺意は、既に鳴りを潜めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーどうやら、私と彼は似ているようだ。

全くもって根拠はないが、その目を見て、私はそう思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「済まないが、私は訳あって今すぐにでも身体の疲れを癒したい。だから少々、貴方もここに留まっていただきたい。」

「好きにしろ。」

 

これが、スノウホワイトが初めて面と向かって他の参加者と交わした最初の会話だった。

闇に紛れるかの如く黒衣を纏ったその男は無愛想にそう返した。

スノウホワイトの急務として、彼女の身体を刻一刻と蝕んで行く疲労を何とかしなければならない。

一人ではおちおち気を休めてもいられない現状、戦いに関する心得があって同じ陣営である参加者と出会えたのは彼女にとってはとても幸運だった。

スノウホワイトの脳裏に映るのは、闇の剣士を照らす月光、振るわれる暗黒、それを纏った斬撃。

間違いなく、彼女らキャラクターズに匹敵する力が、そこにはあった。

彼の剣士がスノウホワイトとは異なる陣営である以上はいずれはぶつかる相手となろう、目下最大の脅威。

しかし、今の彼女には邪竜の剣士を打ち倒すには。物語の如く、龍殺しを果たすには。

そのための力が、ことごとく不足していた。

武具は今も身を蝕む疲労と対価に入手した雷鳴剣のみ。

支給された宝具こそ有用であれど、そう何度も使用できる代物でもない。

故に、突如として現れた黒衣の男に対しての期待は有った。

故に、スノウホワイトは問わねばならなかった。

この男は、果たして。

 

「一つ、貴方に尋ねたい事がある。」

 

スノウホワイトの同士たりうるか。

つまるところ。

 

「貴方はーーこれから何を、するつもりなんだ」

 

この一点だけは、確かめざるを得なかった。

確かに、男の力は先の邂逅で知ることができた。

あの時放った鋭いほどの殺気は彼自身が『こういう状況』に慣れていなければ出せぬものであろう。

これから控える他陣営の参加者との戦いに於いては、大いなる戦力となる事だろう。

しかし、彼自身がこの殺し合いに乗っている、つまりは肯定しているかどうかで話はまた変わって来る。

もしも彼がこの殺し合いに否定的で、他陣営の参加者の味方をするのであれば、同陣営とはいえ彼女の正義を阻む悪と見做し打ち倒す必要が生じてくる。

故に、尋ねる。

彼は、正義か、悪か。

 

「ーーー会わねばならない人がいる。もう一度、再び。」

 

そう、彼は答えていた。

 

「そう、か。」

 

その答えを聞いて、スノウホワイトは脱力感を覚える。

気が緩み、到来する疲労に自然と身を委ね始める。

少なくとも、今は敵ではない。それだけで彼女にとっては安心材料だった。

元から、彼女の身体は限界を迎えていたのだ。

男との出会いからずっと気を張り詰めていたスノウホワイトの意識が自然と休眠を求め始めるのも、当然のことであった。

 

「お前が目を覚まし次第、参加者を探して回つもりだ。それまではここで待つ。」

 

男の声も、もう朧げにしか聞こえない。

意識が溶け行く最中、その、最後の最後に。

何を思ったか。

 

「ふふ……ふふふっ……」

 

闇に引きずり込まれる直前に、スノウホワイトはほんの少しだけ、笑ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー私は、あの人の兄弟にはなれなかった。

あなただけなんです。

あの人の全てを受け止められるのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

この女子は、自分と似ているのかも知れない。

それが、岡田以蔵が初めて出会った参加者に対して、抱いた感情だった。

ただの女が、それも気を失うほどの疲労を携えた者が放つには、異常すぎるほど鋭い殺気。

成る程、人斬り以蔵と揶揄された自分にお誂え向きの場であるとその身で味わった。

死んだと思っていた己がこうして蘇り、このような殺し合いに招かれたことは如何なる因果か。

以蔵が知らぬだけで、もしかすれば異国の技術はこれ程までに進んでいるのか、と思わされた。

紙から飛び出た刀に、光る板。

近代の科学など知る由も無い過去の暗殺者には、これがなんなのか分かる筈もあるまい。

故に、彼が記憶に留めたのは、とある一点のみだった。

 

「…………武市さん。」

 

名簿に記された、名前。

その中で以蔵にとって縁の深い名が、二つ。

坂本龍馬と武市半平太。

自分を殺した男と、自分が憧れた男。

自分が代わりになれなかった男と、自分では受け止め切れなかった男。

思い返す。思い返す。

あの日も、こんな夜だったか。

こんな、死が蔓延る、炎に、戦火に、思惑に包まれた夜だったか。

思い返す。思い返す。

自分が抱いていた情景を、思い返す。

今は眠っているこの女のような目を、していたか。

あんな、燃えるような。まるで、あの日の業火のような。

かつて、武市半平太に寄せていた主の為のみくべられる業火を、以蔵は女に見た。

 

あの時は以蔵も戦うしか道は無いと思っていた。

何せ、彼女から放たれる殺気は戦う寸前の張り詰めたそれであったのだから。

故に、まさか問いが放たれるとは思わなかった。

とても、驚いた。驚かされた。

それと同時に、彼女の目を見て納得した。

あの目はーーかつての自分と同じだ。

憧れ、慕う誰かの為に、その両手を血で染め上げんとする、そんな目だ。

彼女が、何を思って、誰の為に戦うのか、彼はまだ知らない。

それでも。ああ、それでも。

こう、思わずにはいられないのだ。

かつての自分よりも重く、その身を忠義という正義で縛り付けた彼女を見て。

主の為、何も為せなかった己を顧みて。

彼らの辿る維新を見届けられなかった己を顧みて。

こう、思うのだ。

彼女の望むその果てに、果たして。

彼女の忠義を貫き通した、その先に。

 

「ーーーそこに、お前はいるのか。」

 

などと。

思わずにはいられないのは、何故なのだろうか。

交錯する150の思惑。

多くの血が流れる戦火の夜。

そこでふと、以蔵は空を見上げて見る。

もしも、自らが死んだ後、坂本龍馬が武市半平太を止められたのか。

既に退場した彼にはわからない。

もしかしたら、以蔵のように既に死に絶えた身かも知れぬ。

彼の辿る道程、その先は、彼に合わないとわからない。

坂本龍馬に託した願いの行く末を確かめなければならない。

故に、以蔵は問うのだ。

いずれ彼に会い、問うつもりなのだ。

 

「武市さん………あなたにはこの空が、どう映っているのですか」

 

 

 

 

 

 

 




【エリアD-2/雑木林/1日目/深夜】
【スノウホワイト@SINoALICE】
[状態]:疲労(大) 決意、睡眠中、悪夢?
[服装]:いつもの白いドレス
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(スノウホワイト)
[参戦時期]:衝動篇のどこか。
[装備]:雷鳴剣黄雷@仮面ライダーセイバー
[道具]:顔のない王@Fate/EXTRA 基本支給品一式 ランダム支給品1~2(確認済み、武器ではない)
[思考]
基本: 我が主を甦らす為に同陣営以外の参加者を全て倒す。
1:睡眠中
2:このマント(顔のない王)の使用は控えた方がいいか…。
3:できれば他の武器も欲しい。
[備考]
※名簿や地図を確認してるかは不明です。
※賢人がカリバーへ変身する場面を目撃しました。
※彼女の隠れた雑木林がエリア内のどのあたりにあるかは後の書き手様に任せます。


【岡田以蔵@龍が如く 維新!】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(岡田以蔵)
[参戦時期]:死亡後。
[装備]:滅の刀@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品一式 ランダム支給品1~2(確認済み)
[思考]
基本: 武市さんに会う。
1:武市半平太を探す。
2:できれば坂本龍馬とも会いたい。新撰組には警戒。
3:スノウホワイトが目覚めるまで待つ。
4:武市さんがもしも、止まっていないのなら、その時は--
[備考]


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戦わなければ生き残れない!

作者
御堂

登場キャラ
・アリス
・木村


躊躇うことは許されない。

もし滅ばさなければ、

滅ばされるだけだから。 

 

 

▽▼▽▼▽▼

 

ばたん、と荒々しくドアを閉める。

走って走って、漸く辿り付いた場所は、小洒落た雰囲気のバー。

逃げ切れたか逃げ切れていないか、それは未だに定かではないが、まずまずの距離は稼ぐことができただろうか。

息切れを強く訴えるかの如く早まる呼吸。

流石にこれ以降の行動には休息が必要だと判断して適当な椅子に腰をかけた。 

 

「はぁっ……はぁっ、はぁ」

 

背負っていた魔剣をテーブルに置き、椅子の背もたれに身体を預ける。

アリスが化物たちから逃走を始めてから既に5分。

そろそろ、あの群体のナイトメアも捕まっていた参加者の捕食を完了する頃合いか。

となれば、今度こそ狙われるのは自分ということになってしまう。

頼りになる武器もなく、身体は未だに疲労困憊。

もしもこの状態でアリスが再び見つかってしまえば、その一片も残さずに喰い殺されてしまうのは自明の理。

それまでに、何か対策を練らなければならない。

鬼に見つかる、その前に。

逃げる最中には、不運にも参加者との出合いに恵まれなかった。

結構な距離を走ってきたつもりであったが、アリスの見た限りでは最初に出会った少女以外の人間は誰一人として見当たらなかった。

となると、もはや頼みの綱は残った支給品2つのみ。

 

「………運試し、か。」

 

自分のクジ運次第で、この先生き残れるか否かが決まる。

アリスの願いが終わるか否かが決まる。

支給品の内訳を決めている主催の采配次第で振り回されている事実にこそ腹は立てど、それ以外に袋小路に陥ったこの現状を打破する出立ては存在しない。

ポケットから取り出した二切れの紙。

中間で折られたその一枚を、いざ開かんとした直前。

その時だった。

 

―――【ADVENT】―――

 

「なっ……!?」

 

バーカウンターの向こう側、ずらりと並べられた酒瓶の一つから、何かが飛び出しアリスの腕を絡め取った。

バーの淡い光源の光を反射していた酒瓶は、アリスの後方、バーのドアを開けて現れたもう一人の参加者を移し出していた。

 

 

▼▽▼▽▼▽

 

 

()(むら)という男は、リアリストだ。

この殺し合いがどういうものかもしっかりと理解している。

かつて行われた殺し合いについても、また同じく。

一度殺し合いに巻き込まれた経験上、何をするべきかの初動においては滞りなく遂行することができた。

一度死んだはずの己がなぜ未だに生きているのか。

あの殺し合いは果たしてどうなったのか。

それらの疑問に対して思考を割くよりも、名簿、地図、支給品の確認をすでに済ませていた。

それらの中に偶然なのか必然なのか、かつて木村が使っていたライダーデッキが支給品の一つであったことから、最初の時点で変身し、透明化を図っていた。

なるべく他陣営の参加者とは接触しない腹積もりではあったものの、ありすが起こした惨劇を目の当たりにして、考えが変わった。

参加者に対して好戦的、更には、同陣営の参加者にも無差別で襲いかかるモンスター。

故に、その危険性を誰よりも間近で見ていたアリスとは組める、と感じた。

同陣営の参加者同士での潰し合い。

これは木村にとってはとても好都合であった。

 

「――少し、話をしないか?」

 

故に木村が行うのは、説得に他ならない。

片手をバイオグリーザの舌で塞がれ、不審そうにこちらを見ているアリスに、木村はバイザー越しに口を開いた。




【エリアJ-4/豪華客船内/1日目/深夜】

【アリス@SINoALICE】
[状態]:肉体は健康、精神的疲労(小)
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(アリス)
[参戦時期]:少なくとも融合編より前
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン
[道具]:デバイス、メダル、ランダム支給品1~2
[思考]
基本: 緑陣営を優勝させ、作者を復活させる。
1:木村の話を聞く。内容によっては殺害する。
2:作戦を練り、ありすの使役するナイトメア達を倒し、ありすも殺す。
  場合によっては、他陣営の参加者との共闘も辞さない。
3:あんなものを見て真っ先に考えることが、敵の殺し方か…。
[備考]
※現実編で登場したアリスではないようです。
※武器を背負う都合上、デイパックを放棄しました。
※ミラーモンスターたちをナイトメアと勘違いしています。


【木村@仮面ライダージオウ】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(木村)
[参戦時期]:死亡後
[装備]:ベルデのデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2(確認済み)
[思考]
基本: 生き残る。
1:対ありすのため、アリスを味方に引き入れたい。
2:城戸や秋山とも合流したい。
[備考]
※「ありすアンタッチャブル」の一部始終を見ています。



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戦場(いくさば)の薫り、風と共に


作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・デザスト@仮面ライダーセイバー



何かが誕生することは素晴らしいと、祝わなければならない事だと、始まりについて豪語する男達がいた。反対に、終わったときにこそ初めて人は意味を持つと、物語は終焉こそ美しいと、終わりに拘る男達がいた。

 

自分は何のためには生きているのか?

自分は何ができるのか?

自分は何がしたいのか?

意義、価値、理由。誰もが一度は考えたであろう、自分自身の存在について。

 

しかしそれらの正しい解は何処にも無い。国や地方によって料理の材料や作り方が異なるように、答えは人それぞれだ。よって何が百点満点の解答なのかは本当の所、誰にもわからない。だからこそ、生きることに対して何かと意味を求め続けるのだ。人であろうと、怪物であろうと─────。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「オイオイ、何でオレは生きているんだ……?」

 

目覚めて早々、デザストは困惑と不機嫌が混ざったかのような気分で疑問を口にした。

彼は本の魔人メギドの一人にして、幻獣・生物・物語、三属性の力を持つ特殊な存在だ。長い間気の向くままに闘い、幾人もの剣士達を葬ってきた強敵であったが、最期は風の剣士/緋道蓮こと仮面ライダー剣斬との一騎打ちの末倒され、消滅した。

自分の最期の瞬間をハッキリと覚えているにも関わらず、何故か知らない場所で復活して、陣営に分かれて殺し合いをしろと言われ、殺意と不機嫌がごちゃまぜになった最悪の気分一色で「何言ってんだコイツ?」とアズに対してそう思ったのだ。誰だってそんなふざけた発言をされたら、そう思うのは至極当然である。

 

「ありえねぇと言えばこれだ。オレの本はあの大食いモンスターに喰われたはずだぞ、何で無傷なんだ?」

 

そう言い、その手に持ってる自身の名が記された手帳サイズの不気味な本のアイテム、アルターライドブックを見て、デザストは更に不機嫌になった。

デザスト達メギドは、核であるアルターライドブックが無事である限り、何度倒されても復活・再誕生するという最大の特徴を持つ。しかし彼は、何でも捕食するカリュブディスメギドに自身の身体ごとブックの一部を喰われしまった。そのため、自分の生命が残りわずかであるのを悟り、風の剣士との最後の斬り合いを己が死に場所としたのだ。デザストは元々、幹部メギド/ストリウスが気まぐれに作り出したメギドであり、その出自故に大義なき自分の境遇の虚しさを、心のどこかで感じていた。ストリウスに、『貴方は意味無く生まれ、意味なく消える存在ですよ』と、存在価値は無いと告げられた時はいつもの飄々とした態度が崩れ、頭に血が上るかの如くの激昂した。

 

デザストと蓮、どこか似てる二人の雌雄を決する最後の斬り合いは、ストリウスの発言を完全否定するものであった。彼は確かに生きて存在して、痛みを感じ、生命を燃やし、持てる力全てをぶつけ合ったのだ。

だからこそ、己の全存在を賭けた上で迎えた終わりが、あの人形の気まぐれ一つで台無しにされたことが何より癪に障ったのだ。

 

「ったく……あのアズってヤツ、ブッタ斬らねぇと気が済まねぇな。人がいい感じで終わったってのに空気読まなさすぎだろ、マジないわ〜………ん?感染っちまったな」

 

『マジないわ〜』と、蓮がよく言う言葉をうっかり口にしつつ、ゲンナリした気分でいた。デバイス以外の支給品の確認も終え、これからどうするかを海岸に腰掛け、深夜の波風に当たりながら考えにふけっていた。

 

…………………ギィン!!!

 

(......!?)

 

すると、何かがぶつかり合う大きな音が聞こえ、即座に立ち上がってその方向に視線を向けた。それは、下のエリアにある廃墟群からであった。

 

「匂うなぁ......。殺意と闘争と支配が混じり合う、最低で最高に面白そうな匂いだ......!」

 

デザストは相手の気配や気質、感知した状況を、先程のセリフのように形容する癖があり、相手がどんな特徴なのかを察することができる、彼の特性の一つである。

 

(匂いは三つ、いや四つか。殺意全開のヤツが二つ、だが他の二つは何だ?剣士たちやオレのようなメギドとは違う、知らねぇ怪物どもの匂いがしやがる。それもストリウス達以上のヤバ過ぎる匂いだ......)

 

前者二つは確実に殺し合いに乗った側の参加者だと理解したが、後者二つは関わったら確実にマズい相手だと、長年の経験がそう警告していた。しかし、彼の方針は決まった。

 

「ま、行ってみればわかるか。いきなり面白そうな奴らに出くわすなんて、早々無ぇからな!」

 

そうしてデザストは支給品の剣を手にし、強い匂いを感じた廃墟群に向けて走り出していった。

 

自由気ままな本の魔人は新たな闘争の予感に心躍らせ、強敵を求め、殺し合いという戦場を駆け抜けていく。

 

 

─────風の聖剣、『風双剣翠風』と共に。

 

 

 

 




【エリアA-8/海岸/1日目/深夜】

 
【デザスト@仮面ライダーセイバー】

[状態]:健康、不機嫌、高揚
[服装]:いつもの姿
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(デザスト)
[参戦時期]:原作43話での消滅後。
[装備]:風双剣翠風@仮面ライダーセイバー
[道具]:デザストアルターライドブック@仮面ライダーセイバー、猿飛忍者伝ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、ランダム支給品0~1
[思考]
基本:衝動の赴くまま闘いを愉しむ。
1:強い匂いのする方向(式、浅倉、カーズ、DIOのいる廃墟)に向かう。
2:強いやつが居たら遊んでやる。
3:最後にはあのアズってヤツを斬る。
[備考]
※名簿を見ていません。


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ワンダーワールド行き急行

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・マッシモ・ヴォルぺ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
・不破諫@仮面ライダーゼロワン
・シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Dive


小さな、しかし確かな痛みが、株式会社飛電製作所の用心棒、

不破(ふわ)(いさむ)を覚醒させた。

 

(…痛い?)

 

見慣れぬ天井が目に入りる。どうやらいつのまにか寝てるいたらしい。

ゆっくりと体を起こして周囲を見渡す。

 

(ここは、どっか電車の中か?

寝過ごした?いや、違う。何か大事なことがあったはずだ。

思い出せ!思い出せ!)

 

自分が最後に見たのは…あの秘書に似たヒューマギアに、

いつの間にかいたホール、、それから、爆弾で吹き飛ばされる首!

 

(そうだ!俺は、どうやったのかは知らんが、拉致されて…)

 

集められたホールで、あのアズなるヒューマギアの女に、

一方的に殺し合えなどと言われ、また気を失ったのだ。

 

『ようやく目覚めたようですね。』

 

漸く現状を把握した不破に、どこからか声がかけられる。

近くには誰もいない。

薄暗い車両内には人影どころか、気配一つない。

強いて異常を上げるなら、不破が寝ていたのとは反対の座席に置かれたデイパックだろうか?

だが、そこから聞こえてきたにしてはクリアな声だ。

 

「…(なき)か?」

 

亡とは、不破の脳内に埋め込まれた人工知能チップに宿る人格で、

このバトルロワイヤルの参加者である滅、迅、雷たちと同じ滅亡迅雷.netの幹部である。

 

『ええ。どうやら私もあなたの一部と判断されたようです。』

 

「お前が無事ってことは、チップには細工されてないってことか?」

 

『でしょうね。それより不破諫、体調に問題は有りませんか?

気分が悪かったり、どこか動かしずらい箇所などありますか?』

 

「いや、特には問題ないが…」

 

『では、あのガスはただの催眠ガスだったんでしょうか?』

 

「ガス?なんの話だ?」

 

『アズが現れる前、急にあのホールに…

まるで転移させられたように連れ去られた直後、

部屋中にガスが充満して、あなた達は気を失いました。

覚えていませんか?』

 

「…全く思い出せねえ。気を失った時に倒れたりしてたか?」

 

『ええ。もしかしたら頭の打ちどころが悪かったのかもしれませんね。』

 

とりあえずここに連れてこられるまでのアレコレは、

把握できる限り把握しただろう。

 

「そう言えば、あのアズって奴はデバイスとメダルがどうとか言ってたな。」

 

来ていたスーツのポケットなどを探ってみるが、

あの時遠目に見たそれらは見当たらない。

と、すると、怪しいのは目の前のデイパックのみとなる。

早速不和はそれを手繰り寄せると、中を改めた。

 

「あった。こいつがデバイスにメダルか。」

 

スマートフォンのようなそれをズボンのポケットに入れ、

ピンク色のバルカンの紋章と不破の名前が英字で刻まれたそれは、

小さいが重要な者だったので、着ていたスーツの内ポケットにいれる。

しっかりボタンも閉めておいた。

 

「あと残りのこれは…」

 

『紙、ですね。』

 

ベレッタM9A1と、デカデカ書かれた二つ折りの紙が出てきた。

開いてみると、中から本当に質量を無視して、

レーザー照準器の付いたスライド式の拳銃が飛び出してきた。

 

「うぉお!なんじゃこりゃ…」

 

『ベレッタM9A1ですね。

M9拳銃をベースに、アメリカ海兵隊のオーダーでピカティニーレールの追加、

砂漠地域での運用を前提とした仕様のマガジンへの変更をくわえられた軍用拳銃です。』

 

「ショットライザーより素直そうだな。

って!そんなことは分ってる!

なんでこんなぺら紙1枚から浮き出る様に出て来たのかって話だ!」

 

『我々滅亡迅雷.netのフォースライザーも、

ベルト部分が自動で飛び出しますし、そういうものなのでは?』

 

「ベルト程度ならともかく、

こんな複雑な構造物が折り畳めるもんなのか?」

 

疑問は多大に残るが、他の中身の確認を優先する。

残りの紙を改めようとしたその時、

 

「ママぁああああああああ!おにいたぁあああああん!

どごぉおおおおおお!ママぁああ!おにいたぁああああん!」

 

隣の車両から誰かが、ギャン泣きしながら入って来た。

 

「なんだってんだ一体…。」

 

『敵対の意思はないでしょうがこれは…』

 

そこに居たのは、ハイティーンになるか、

ならないかぐらいの背丈の少女だった。

水色の髪に白い服を着ていて、コスプレと言う奴だろうか?

背中には変な羽のような飾りを、尻尾のような物も垂れている。

 

「おい、大丈夫か?何があった?」

 

不破は極力怖がらせないように話しかけた。

少女は泣き止みこそしなかったが、

それでも会話は出来るぐらいには落ち着いたようで、

 

「ひぐぅ…まま、おにいたん、いないぃ…」

 

と、泣き叫んでいた理由を教えてくれた。

 

『迷子、という事でしょうか?』

 

「んなわけあるか。首輪もしてるし、参加者だ。」

 

「?」

 

陣営は違うが、特にこちらを害そうとするような感じは無いし、

芝居だとしたら恥じらいが無さ過ぎると判断した不破は、

このまま情報交換をすることにした。

 

「そうか…。俺は不破諫。お前の名前は?」

 

「シェフィ…」

 

「そうか。お前の母ちゃんと、兄ちゃんの特徴を教えてくれないか?」

 

「うー?」

 

「探すの手伝ってやるよ。

社長たちを探すついでになるが…」

 

「ほんと!」

 

「ああ。嘘じゃ…っ!」

 

それとなく周囲を窺っていた不破が、

反対のホームから狙撃用ライフルでこちらを狙う長髪の男を見つけたのは運だった。

即座に頭を戦闘に切り替え、シェフィを押し倒しながら不破は、

ポケットから取り出したベレッタの引き金を引く。

 

この鮮やか過ぎる一連の動作は運などではない。

不破が特殊部隊の隊長として、

何より仮面ライダーとして戦うに身に着けた彼自身の技能である。

 

敵は銃撃戦に慣れている。

銃弾に当たりこそしなかったが、

撃ち合いは不利と判断した長髪の男は、撃ち続けて反撃させないという選択肢を取った。

ホーム側の窓ガラスが砕け、無数の弾が二人の上を通り抜けていく。

 

「うわぁああああああああ!」

 

「亡!奴の銃は見えたか!?」

 

『残念ながら。ですがそんなに長く耐え続ける必要もないと思いますよ。』

 

亡の言葉を肯定するように、サイレンに似た音が響く。

 

『まもなく、ワンダーエリア行き急行が、発車いたします。

次の停車駅は、エリアF-8の駅です。駆け込み乗車はご遠慮ください。』

 

ドアが閉まり、ゆっくりと電車が動き出した。

徐々にスピードが上がり、駅から電車が離れていく。

それに比例してスピードを上げた列車は、

そのまますぐに見えなくなった。

 

「逃がしたか。ま、仕方ないか。」

 

長髪の男、マッシモ・ヴォルぺは、支給品のWA2000を紙に戻すと、ホームを後にした。

別に電車を使わなくてもいい。マッシモの目的は一つだけ。

パッショーネの構成員と、他陣営すべての敵を倒し、

戦死したコカキ、アンジェリカを復活させること。ただそれだけだからだ。

2人取り逃がした程度なんだというのだろう。

どうせ頭でっかちのプッツン野郎のくせに、

考えは回るフーゴあたりが自分の悪評はきっと振りまくに決まってる。

だったら開き直ってそう振る舞えばいい。

自分には、人間を凌駕できるスタンドがある。

敵など居るはずもない。

 

そう考えてマッシモは簡単に不破たちを追うのをあきらめて移動を始めた。

次なる得物を求めて。仲間を復活させるための生贄を求めて。

この時点で彼が気付けていないことは三つ。

一つ目は、この戦いに呼ばれたスタンド使いは皆、

そんじょそこらの者たちとは一線を画する猛者たちばかりであること。

二つ目は、自分が目の前で仲間の死を経験したせいで、

かなり動揺しており、冷静でないこと。

そして最後に、この戦いの参加者には、

人間を凌駕している程度じゃ抵抗も出来ないような怪物も多数いるという事。

 

そんなどう考えてもこの先凶としかでない致命的な事実に気付けぬまま動き出した。

この戦いにおいて、狩る側に回れなくはないが、

簡単に狩られる側になってしまう自分の立場に気付けないまま…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅から十分遠ざかったことを確認した不破は、

ようやくシェフィを解放し、立ち上がった。

 

「ふぅ、どうにかなったか。大丈夫だったか?」

 

「うん…」

 

「そうか…ん?お前、ところでバックはないのか?」

 

「うー?」

 

「バックだよ。これと同じの。最初居たところの近くになかったか?」

 

「わかんない…。」

 

「マジかよ…。探し行くぞ。

誰かに盗られでもしたら大変だ。」

 

「うん!」

 

不破としては立たせるだけのつもりだったのだが、

そのまま繋がれた手を引かれ、シェフィが元来た方向に向かった。

 

(しっかし、でかい電車だな。

態々このゲームの為だけに用意したのか?)

 

シェフィに連れられてきたのは食堂車両だった。

テーブルに不破のと寸分変わらぬデイパックが有ったので間違いないだろう。

不破は自分たちが来てない方のドアのカギをかけると、

適当な席に着いてデバイスを起動させた。

参加者名簿のアプリをタップし、スクロールさせてシェフィの名前を探した。

 

「あった。シェフィ、お前の母ちゃんや兄ちゃんの名前とか教えてくれるか?」

 

「ママがコッコロで、おにーたんが…」

 

二つともシェフィの割と近くに有ったので、

その周囲に有った名前について聞いてみると、

ペコリーヌ、キャルの名前は知っているとの事だった。

それ以外のラビリスタやゼーン、

(どう考えても役職名だと思ったが)覇瞳皇帝などは分からないようだった。

 

「イサムのおともだち、いるの?」

 

「そうだな…飛電或人と、あと滅に、雷か…。」

 

飛電或人はともかく、滅に、恐らくアズとその仲間の手によって復元されたらしき雷に関しては、

同陣営である以外に戦わなくていい理由が無い。

最悪の場合、不破の脳内から亡を解放するためと称して過激な行動に出かねない。

 

「けんか、してるの?」

 

「そんないいもんじゃねえよ。」

 

そう言ってデバイスをしまうと、不破は再び自分のデイパックをあさった。

もし戦闘となれば、拳銃だけでは仮面ライダー相手には、

というか、いくら軍用とは言え、ハンドガン一丁だけでは、

ただの人間相手も心もとないと思ったのだ。

そして不破はベレッタに続く二枚目の紙を開いた。

その中から現れたのは…

 

「ベルトとキー?ゼロワンドライバーに似てるが…」

 

紙には『滅亡迅雷ドライバー』と書かれていた。

 

「亡。これがなんだか分かるか?」

 

「ナキ?」

 

『分かりません…紙の方には何か書いてありませんか?』

 

「…『4体の人工知能、または電脳ダイブが可能な者をマスブレインシステムに接続させ、

仮面ライダー滅亡迅雷へ変身させるためのベルト。

マスブレインシステムとは、複数のヒューマギアの意思を合議制でのみ決定させるシステム、

仮面ライダー滅亡迅雷とは、そのマスブレインシステムの意志の下、

可決された目的を最も効率よく実行するためのマシンである。』

つまりどうゆう事だ?」

 

『そう気軽にぽんぽんと変身出来る者でない上に、

下手すれば意見がまとまらず、某立ちするだけになる事もあり得る。

と、いう事でしょう。』

 

「なんでお前が知らないんだよ?

どうみてもお前らの為に作られたベルトだろ?

というか、なんで迅の名前が名簿に無いのに配られてんだ?」

 

『分かりません。ただ、こんな物まで持ち出して来てるとなると、

いよいよアズとその背後の正体がわかりませんね。

不破諫、そのベルトを装着して見てくれませんか?

詳しく調べたいです。』

 

なんだかこの列車の行き先さえ不安になるような嫌な物を胸に覚えながらも、

孤高の狼はそのベルトを装着した。

全ては、己の運命をはねのけ、夢に向かって飛ぶために。

 

 

 

 

 




【エリアD-8/杜王駅構内/1日目/深夜】

【マッシモ・ヴォルぺ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(マッシモ)
[参戦時期]:アンジェリカが死亡した直後
[装備]:WA2000@Fate/Zero(現在は紙に収納)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:アンジェリカとコカキを生き返らすために優勝を目指す。
1:敵を探す。
2:パッショーネの構成員は最優先で倒す。
3:さっきの二人(不破とシェフィ)は無理に追わない。
[備考]
※WA2000@Fate/Zeroの残弾は、あとの書き手に任せます。



【エリアD-8/ワンダーワールド行き超特急 食堂車両/1日目/深夜】

【不破諫@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:正常、脳内チップに亡が存在
[服装]:いつものスーツ
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(不破諫)
[参戦時期]:本編32話終盤~34話に刃に拉致されるまでの間
[装備]:ベレッタM9A1(レーザー照準器付、弾14/15+1)@現実
    滅亡迅雷ドライバー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:マスブレインゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン
    基本支給品一式、ランダム支給品×0~1
[思考]
基本:このバトルロワイヤルをぶっ潰す。
1:社長たちとシェフィの家族を探す。
2:滅や雷と会ったら、亡と替わって対応する。
3:もっと簡単に変身できるベルトを探す。
[備考]
※亡が不破の体を動かせるかどうかは後の書き手に任せます。
※滅亡迅雷ドライバーは、人工知能、または電脳ダイブが可能な者なら、
誰でも変身できる仕様になっています。
ただし4人そろっていないと駄目なようです。
※コッコロと主人公@プリンセスコネクト!Re:Diveを、
シェフィと血のつながった家族と勘違いしています。

【亡@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:不破の脳内チップに存在
[参戦時期]:本編32話終盤~34話で不破が刃に拉致されるまでの間
[思考]
基本:ヒューマギアの夢を叶えるために戦う
1:飛電或人や滅、雷との合流する。
2:滅亡迅雷ドライバーの解析を急ぐ。
3:とにかく今は情報が欲しい。
[備考]
※亡が不破の体を動かせるかどうかは後の書き手に任せます。
※不破が忘れている記憶を、亡が覚えている場合があるようです。

【シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Dive】
[状態]:幼児退行、健康
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(シェフィ)
[参戦時期]:美食殿らに保護されてすぐ。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:ママとおにーたんをさがす。
1:イサムといっしょにさがす。
2:ナキってだあれ?
[備考]
※何かのきっかけで、年相応の精神状態になるかもしれません。



[全体備考]
※参加者は、一度ホールに集められた際、
 何かガスを吸わされているようです。
 ヒューマギアなどの生体でない体を持つ参加者はどうかは、
 あとの書き手に任せます。


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黒い四人は交わさない

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!
・バーサーカー@Fate/Zero
・秋山蓮@仮面ライダー龍騎
・マスターロゴス@仮面ライダーセイバー






chapter01 悪・神・憤・慨

 

ああ、腹が立つ。腹が立って仕方無い。

利用されるだけの駒の分際で、悉く自分の計画の障害となる剣士たちに?

勿論。この神に逆らうどころか、

足蹴にし、侮辱以外でも何物でもないきれいごとを並べる匹夫ども。

必ずやしかるべき報いを与える。

 

ああ、腹が立つ。腸が煮えくり返るの意味を身を持って理解する。

協力者のような面をしておいて裏切ったストリウスのせいで?

当然。神であるこの私を見下ろすばかりか、

あのような屈辱的な仕打ちを与えるなど言語道断。

必ずや自分が受けて以上の苦痛に満ちた最期を与える。

 

ああ、腹が立つ。冷静に思考出来てる自分に驚くほどに。

この殺し合いを取り仕切りるあのアズなる女が?

聞かれるまでもない。神たるこの私を見下ろすどころか、

首輪など付けて、生類畜類のごとく扱うなど、

万死極刑でも足りぬほどの無礼。

必ずやチリ一つ残さずこの世から消してやらねば気が済まない。

 

だから今は、今だけは癪だがこの殺し合いに乗ろう。

ソロモンの力には及ばないだろうが、

それでも剣士以外の奴らにはまず負けないであろう力は渡されている。

 

「おや、あれは……」

 

歩道橋の上から奇妙な一団が迫ってくるのが見えた。

首より上が無いのにバイクを操縦する怪人と、

それを追う黒い全身甲冑の騎士、そしてそんな二人にバイクで迫るロングコートの男の三人だ。

 

「ふむ、何やら随分と混沌とした様子ですが……。

まあいいでしょう」

 

<サウザンドライバー!>

 

男、元マスターロゴスことイザクは支給されたドライバーを装着した。

聖剣や本ではないが、これも仮面ライダーに変身するための物。

ならば神たるこの自分に使いこなせないはずがない。

 

<ゼツメツ!Evolution!>

 

装着したベルトの左側のスロットにカルノタウルスゼツメライズキーをセット。

続いて右手に持ったトリケラトプスゼツメライズキーを起動する。

 

<ミリタリーホーン!>

 

「変身!」

 

<パーフェクトライズ!When the five weapons cross,

the JET BLACK soldier ZAIA is born.>

 

変身音声の通り、イザクの体は黒い鎧に包まれた。

五本の角に赤い目の仮面に強烈な悪意を隠し、

手にした金色の武器、サウザンドジャッカーで希望を切る。

そんな彼は正しく…

 

<I am the president!>

 

唯一の上位者を語る傲慢で、狂人故、始末が悪い自称神。

 

「仮面ライダーザイア、と言うらしいですよ?

神たる私の為に、あなた達には死んでもらいます」

 

言葉を交わす必要などない。

交えるのは剣だけで良い。なれ合いなど必要ない。

ただただ目の前の敵を誅するのみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter02 絶・刃・触・発

 

歩道橋から男が飛び降りた時、気が触れたか、それとも絶望し心を折られたかして、自殺を図ったのかと秋山蓮は思った。

だが男がどこからか飛び出してきた生き物の頭のような何かに包まれ、変身したのを見てすぐに思考を切り替えた。

ライドストライカーを降りて、ヘルメットを脱ぎ、ポケットからデッキを取り出す。

 

(ベルトの形は全然違うが、仮面ライダーか?

それも殺し合いに乗ってるなら、戦うしかない)

 

蓮は仮に城戸真司(あのバカ)がそうするにしたって、

交渉できない相手を辛抱強く説得しようとか思っていなかった。

例えばあの浅倉威に妥協点など見つけられるはずもないし、

()(づか)()(ゆき)のように、

どうしても譲れない信念を持つ者にも、

言葉で説得など時間の無駄としか思えない。

 

「変身!」

 

蓮はデッキと、ライドストライカーのミラーを使って、

仮面ライダーナイトに変身した。

今まさに襲い掛からんとする相手に生身を晒せすなど、

愚行以外の何物でもない。

そこの頭が最初からないアイツは分らんが。

 

「▅▆▆▆▅▆▇▇▇▂▅▅▆▇▇▅▆▆▅!! 」

 

最初に動いたのは黒い騎士、バーサーカーだった。

手にした西洋剣型の武器を、ザイアの脳天めがけて振り下ろす。

ザイアも素早く手にした武器で受け止める。

だがパワーではバーサーカーが勝るのか、ギリギリと剣が下がって行ってるのが見えた。

それを見たナイトは腰のダークバイザーを引き抜いて右側面からザイアに斬りかかった。

まずはベルトを破壊し、無力化して拘束する。

あとは気絶させてどこか抵当な場所に放っておけばいい。

それを繰り返していけば、いつまでも殺し合いが進まず焦れた主催者側が何かしらアクションを起こすだろう。

それが蓮の考えだった。

自分一人で全部の戦いを止めれるとは思わなかったが、城戸なら無理でもやろうとはすると思ったからだ。

 

<ヒッパレー!スマッシュヒット!>

 

ナイトの接近に気付いたバーサーカーは、ビートクローザーのグリップエンドを引っ張って、

必殺技を発動。蒼い炎を刀身に纏わせ、益々ザイアを斬り潰さんと力を籠める。

 

(そして私を倒したら、そのままあちらの騎士も始末する算段ですか!)

 

ザイアもただやられっぱなしではない。

バーサーカーと同じようにサウザンドジャッカーのグリップエンドを引っ張った。

 

<ジャックライズ!>

 

刀身のエネルギーがジャッカーに吸収され、威力が弱まった瞬間、柄の引き金を引く。

 

<ジャッキングブレイク!>

 

サウザンドジャッカーの刀身にも同じ炎が現れる。

どうにか威力を拮抗させたザイアは、バーサーカーの剣先をナイトに向けるように逸らせた。

 

「ッ!」

 

横に飛んで避けるナイトだが、すぐさまバーサーカーが追撃してきた。

どうやらバーサーカーは、目に映る者すべてを敵として屠らんと暴れる怪物のようだ。

なるほど、自分とは別の意味でこの戦いの舞台装置として選ばれた訳か。

妙な納得を覚えながらナイトはバーサーカーと斬り結んだ。

 

(こいつ!なんてパワーにスピード!

浅倉とは似てる様で違う!一見荒々しく無茶苦茶に見えるが、

その実なんて洗練されてる動きなんだ!)

 

バーサーカー、その真名はあの騎士王伝説の負の象徴。

一度武器を執れば、どんな物であろうと、長年の愛用品かの様に使いこなしたと言われる絶技の騎士。

ライダーバトル優勝者のナイトでさえも、アドベントカードを使う隙がなかなかつかめない程、激しく攻められていた。

 

「さて、あちらはもう少し遊んでもらいましょうか」

 

ザイアはこの場に残った最後の一人、

と言うか、あの追いかけっこの発端を考えれば、最初の一人か。

首無しライダー、セルティ・ストゥルルソンの方を向く。

セルティはいつの間にかその手に黒い処刑鎌を構えて、

ザイアの方を向いていた。

もし顔があったなら、睨むように見ていたかもしれない。

 

「ふむ、そんな見た目でも我が身は可愛いのか、

それとも案外好戦的なのか。まあ、どちらでもいいでしょう!」

 

少々特殊、と言うか槍に近い形をしているとは言え、剣とそう変わらない得物。

いくらリーチで有利な処刑鎌が相手でも、ザイアことイザクは、世界を守護する剣士たちを束ねる組織の長だった男。

剣での近接戦で負けるなど有り得ない。

そう考え、一気に距離を詰めるザイア。

この仮面ライダーの性能、パワーはさっきので分かったから、スピードの方も確かめておきたいというのもあったが、他二人とも戦う事を考え、なるべく短期決戦で行きたかったのだ。

まず間合いの内側、長物の扱いにくい位置に入り、武器で受け止めた所を、さっきジャックライズして手に入れた炎の斬撃で壊して、姿勢を崩したところで、その細い腰で体を真っ二つに斬る。

 

そう作戦を立てたのだが、首無しは臆病過ぎなまでにザイアを避ける、否、逃げるばかりで、中々距離を詰めてこない。

試しに少し攻めの手を緩めてみるが、それでも攻めてこない。

狙いがバレたのか?それにしたってビビり過ぎな気がする。

 

(ジャックライズを警戒?

いや、特に特殊攻撃でもない限りビビる必要は……)

 

そこまで思い至ったところでザイアはある仮設に至った。

仮面越しに余裕たっぷりの笑みを浮かべて

 

「ああ、なるほど。あなた、意外と頭いいですね。

けど今回は裏目に出たようですよ?

その鎌、あなた自身が作ってるのでは?」

 

一瞬、首無しの体が震えた気がした。

 

「図星のようですね。

でしたら吸い尽くして差し上げましょう!

鎌越しにあなた力を全て!」

 

<ADVENT>

 

さらに勢いをつけて攻めかかろうとした時、

何かのシステムボイスに続いてザイアの後頭部に鈍い痛みが走った。

見ると巨大なコウモリが飛び去って行くところだった。

 

「▅▆▆▆▅▆▇▇▇▂▅▅▆▇▇▅▆▆▅!! 」

 

続いてバーサーカーがやってくる。

ふり返ると、片膝をつき、目に見えて疲弊したナイトが居た。

どうにか攻めの合間にアドベントカードを使う事に成功したらしい。

さっきの自分と同じようにバーサーカーに倒させようという腹か。

 

「小癪な!」

 

ザイアはベルトに刺さった右側のキーを押し込むと、そのままビートクローザーを大上段の構えて向かってくるバーサーカーに、そのがら空きの胴体に後ろ蹴りを叩きこむ!

 

<C!E!O!ディストラクション!>

 

ジェット機の如き速度で迫るバーサーカー。

ブレーキ不能の彼に、繰り出される通常威力116.8tの上に、惜しげもなくエネルギーを上乗せされた必殺キックが叩きこまれる!

流石にサーヴァントと言えどもただで済むはずがない。

逆くの字に曲がったバーサーカーは、吹き飛んだ先のガードレールを巻き込んで、固いコンクリートの地面を何バウンドもして漸く止まった。

 

「はっ!狂犬の分際でこの神を傷付けようなどと片腹痛い!そしてぇ!」

 

そのままナイトの元まで走るザイア。

ナイトは、何かギミックを使おうとしたのか、立ち上がってベルトに手を伸ばしている。

ザイアは手にしたジャッカーをナイトに投げつけた。

ほぼ反射でその攻撃を弾いてしまったナイトは、能力発動をキャンセルしてしまった。

 

「しまっ……」

 

「遅い!」

 

ザイアは振り向いたナイトのベルトを掴むと、ジャッカーの物と違い、直前の一回、しかも使い切りで保存できないという制限は有るが、ザイアの鎧にも搭載された能力奪取機能で、ナイトのエネルギーを奪うと、そのままナイトの顔面に拳を叩きこむ。

派手に吹っ飛ばされたナイトはそのまま地面を何度も転がされ、止まったところで変身を解除されてしまった。

 

「お、俺のデッキが……」

 

しかも最悪なことに、ザイアの手にはナイトのデッキがVバックルごと残ってしまっている。

 

「ふむ、ザイアには劣りますが、これも仮面ライダーの力のようですね。

早速二つも手元に来てくれるとは幸先がいい」

 

万事休す。風前の灯火。絶体絶命。

柄にもなく城戸の真似事なんてしようとした結果がこの様か。

蓮から力ない笑みが漏れそうになった時、誰かが蓮の前に立った。

 

「は?」

 

それは銃型の武器を手にしたセルティだった。

ザイアに銃口を向けると、大量の煙をまき散らして全員の視界を遮る。

そして蓮を抱えると、比較的近くにあった赤色のパニガーレV2に跨り、元来た道を全速力で戻って行った。

本当に誰も(セルティは不可抗力だが)一言も交わすことなく、四人の黒い戦士たちの戦いは、蒸気と遠ざかるエンジン音により強制ドローと相成った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter03 狂・騎・隷・属

 

「鮮やかな逃げっぷりですね。

まあ、いいでしょう。さて、あの黒騎士にトドメを…?」

 

セルティ、そして蓮を見送ったザイアはバーサーカーのもとに向かった。

せめて一人ぐらいは倒しておこうと思ったのだ。

だが何かがおかしい。

バーサーカーは鎧の破片が突き刺さり、複雑に破壊された腹部を中心に、体中から金色の粒子が上がり、徐々に徐々に崩れるように消え始めている。

 

「まさか…これが英霊、と言う存在なのでしょうか?」

 

何故、魔術の無い世界の彼がその事実に気付けたか。

それはひとえに支給品のお陰である。

その名は預託令呪。

かつて英霊を使った聖杯降臨の為の魔術儀式、聖杯戦争において、英霊を使い魔として御するために作られた聖痕と言う名の絶対命令権。

その今までの使い残し全てである。

最初は紙を開いた瞬間に現れた謎の入れ墨に驚いたが、

そこから溢れる力をすぐに理解したイザクはすぐに説明書を読みこんだのだ。

即ち彼には…

 

「告げるー-、汝の身は我がもとに。

我が命運は汝の剣に。我に従い、我が言葉に応えよ」

 

イザクの手に刻まれた令呪が鎧越しにもわかる程に光り輝く。

バーサーカーはゆっくりと起き上がると、イザクに跪くような姿勢を取った。

 

「えーと、それから…令呪一画を持って命ずる。

回復しなさい」

 

令呪一画が消費され、バーサーカーに膨大な魔力が流れ込む。

魔力で体を編まれた人間霊たる彼は、それを用いて体の修復を始めた。

 

「ふむ、これでいいようですね。あ、メダルは抜いておきますか。

さて、ではもう一度。令呪一画を用いて命ずる。

この仮面ライダーに変身し、

私以外のすべての者たちを殺して回りなさい」

 

イザクは一応ジャッカーの方でもナイトのデッキから力を吸うと、バーサーカーに手渡した。

バーサーカーはナイトに変身し、放置されたままだったライドストライカーに跨ると、

蓮たちとは反対側に向かって走り出した。

 

「さて、私は二人を追いたい所ですが、流石にバイク無しではきつい。

だったらまず、あのライダーだった男の悪評でも振りまきましょうか」

 

もし多少敏い人間が相手でも、

仮面ライダーナイトと戦った。その変身者はロングコートの若い男だった。

そうとだけ言えばイザクは嘘をついたことにならない。

こう言っておけば、愚かな弱者は秋山蓮を恐れて、変身する前に仕留めようとするだろうし、戦いに積極的な者は、仮面ライダーナイトに喜び勇んで挑んでいくだろう。

まあ、自分の手札を知ってる2人には、なるべく早めに消えて欲しいくもあるのだが。

 

なんて思いながら変身を解除したイザクは、蓮たちが行った方とは逆に歩み出した。

あれだけバイクで飛ばしていた2人に追いつけないだろうし、悪評を広めるのだからあの二人に恐らくあった事のない人間のいる方に向かわねばならない。

果たして鬼が出るか蛇が出るか。

正直、この会場内においては、

自称神(イザク)以上の何かが出てきても、何もおかしくないのが恐ろしすぎるところである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter:chapter04 首・無・相・乗

 

 

バイクを飛ばせるだけ飛ばして来たセルティは、

そろそろ蓮(まだ名前は知らない)にも休息が必要であると判断し、

バイクを紙に戻すと、銃、トランスチームガンを予断なく構えながら、

適当な民家に上がり込んだ。

とりあえずの安全を確保し、蓮をソファーに座らせると、

家の中を探した。

ヘルメットは無かったが、裏紙とシャープペンシルは見つかったので、

それと、冷蔵庫にあった水のペットボトルを持って蓮の元に戻った。

 

「……悪いな。助けるつもりで助けられた」

 

ぶっきらぼうに言いながら蓮は水を受け取った。

情けない。

セルティに助けられたのも、デッキを奪われたのも、

何より、一瞬でも城戸の願いを叶え様としたことを後悔した自分が許せない。

 

(何を迷っている。ライダーバトルでもそれで散々苦しんだだろ?

しっかりしろ秋山蓮!俺は、もう迷わない)

 

蓮はペットボトルのキャップを閉めると、立ち上がってセルティに向き直った。

まだ座ってた方がいい、とでもいうように身振り手振りをするセルティだが、

 

「俺はこの戦いを止めたいとおもっている。

だが今の俺にはあまりにも力が無い」

 

認めよう。さっきの戦いは、単純なスペック差もあったが、

どこか城戸の願いを、出来るわけないと諦めてる部分があった。

最初から気持ちはギブアップしていた。

だが、もうそんなことは考えない。全身全霊で城戸の願いを遂行する。

この戦いのルールそのものには反しているが、

絶対的に正しいこと。そのために戦う。

 

「力を、貸してほしい」

 

この首無しにそこまでする義理はない。

だが、首無しは、蓮に握手を求める様に手を差し出した。

 

「いいのか?」

 

サムズアップを返される。

頭は無いのにどこが耳なんだろう?

何て今更な疑問が浮かんだ。

 

「助かる。俺は秋山蓮。お前の名前は?」

 

セルティ・ストゥルルソン、と書かれた紙が差し出される。

 

「意外と洒落た名前だな。そうだ、礼と言っては何だが……」

 

蓮が差し出したのは白と赤のヘルメットだった。

元々はライドストライカーと一緒に入っていた物で、

さっきザイア達と戦う前に降りた時に紙に戻していたのだ。

 

「これでいきなり身構えられる事も無いだろう。

少なくともいきなり首が無いのが出てくるよりかは、だろうが」

 

ヘルメットをかぶったセルティはありがとう、と書いた紙を見せて来た。

それから、これからどうしようか?とも書かれている。

 

「そうだな、燃料さえ気にしてれば移動はバイクでいい。

となると信用できそうな知り合いが参加してるならそいつらと合流したい。

だが動き回るとなると、さっきみたいな戦いに出くわす可能性も上がる。

そうなった場合、お前はともかく……」

 

そこまで行った蓮にセルティは一枚の紙を差し出した。

筆談用の紙ではない。支給品の紙だ。

 

「いいのか?」

 

頷いた後セルティは紙を裏返して、説明欄の変身の部分を指さす。

これで戦えと言いたいんだろう。

 

「有難く使わせてもらおう」

 

紙を開くと同時に飛び出たのは、デッキぐらいのサイズの黒く四角いアイテムと、

銀色のデカいバックルの付いたベルトだった。

蓮は早速ベルトを上着の内側に巻く。

 

『やっとつながった!おいツンツン頭!俺の声が聞こえるか!?』

 

「なんだって?」

 

セルティが喋ったのか?と思った蓮だったが、

頭の無い彼女にそんなことができるとは思えない。

それを言うならなんでどう見ても視覚、聴覚があるような動きをしてるのか?

と言われたら答えに窮してしまうが。

 

どうしたの?と、書いた紙を差し出すセルティ。

それに蓮は疲れてるだけだ。もう少し休むと言ってソファーに腰かけた。

 

『おい聞こえてんだろ!疲れてるせいにして無視するな!

もしもぉーし!聞こえてんだろ!おおー-い!』

 

この喧しさ、なんか城戸に似てるな。

なんて思いながら蓮はもう一口水を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セルティ・ストゥルルソンはデュラハンである。

首をなくした黒い妖精である。黒き影を武器として振るう怪異である。

あの人外嫌い日本代表、折原臨也に敵意も好意も向けられていないという事以外は、

特別でもなんでもないまごう事なき人外である。

だが、それは残虐だったり、人間をないがしろにすることと=にはならない。

彼女は、一言で言えば善人である。

面倒見がよく、お人好し。自分とは別ベクトルの怪異(宇宙人とか)を怖がることすらある。

頭が無い以外、意外と探せばいそうですらある。

 

そんな彼女が蓮を助けて理由は、どうせ逃げれるなら二人で逃げた方がいい。

という真っ当なモノだった。

あの城戸真司にも似た、当たり前の善意で蓮は生きながらえたのだ。

最も、彼女に残る二つの支給品の解説を流し読みして、

その場でどっちが最適かを判断できる能力が無ければ不可能だったのだが。

もしあの場でデンオウベルトを選んで、セルティが変身していたら、

状況を理解していないモモタロスはザイアに防戦一方に追い込まれ、

ジリ貧で倒されていたに違いない。

先制攻撃というのは、それだけ戦いで重要な意味を持つのだ。

 

閑話休題(はなしをもどそう)

 

そんな善人で人外なセルティは、特に目的が無かった。

蓮が休んでるうちに名簿も確認したが、

平和島静雄は、別に何も心配いらないし、

折原臨也は…正直、この局面で会いたいかと言われると微妙だ。

だから彼女は蓮に手を貸すことにした。

あのバーサーカー相手に、あの変身の力ありきとは言え、

食らいつけるほどの能力の持ち主だ。

しっかり準備したうえで二人がかりなら、出来ることも多いはずだ。

それに帰るなら、少しでもここで死ぬ人が少ない方がいい。

 

「ストゥルルソン、ちょっといいか?」

 

立ち上がった蓮が話しかけて来た。

 

「もう動ける。お前がいいなら、移動したい」

 

分かった。どこに行く?と書いた紙を見せる。

 

「お互いに知り合いが参加してたら、

そいつらが行きそうな場所にでも行きたいが、俺は当てがなくてな。

お前にもないんなら、このあたりで一番人の集まりそうな池袋駅に行きたい。

列車を使いたい奴も、そんな奴らと良くも悪くも狙いたい奴らも、

集まって来るだろうからな。

それが終わったら俺の知り合い…間違いなく乗らない城戸と、

絶対に乗る浅倉を探したい。あと、いるんならお前の知り合いも」

 

セルティは首肯すると、外に出て紙の中から赤色のパニガーレV2を取り出した。

エンジンをかけて、いつでも出せるようにする。

その後ろに蓮が跨った。

 

「それじゃあ、頼むぞ」

 

蓮の声に頷くセルティ。

バイクは夜を裂きながら疾走していった。

 




【エリアH-3/市街地/1日目/深夜】

【バーサーカー@Fate/Zero】
[状態]:正常、疲労(中)、腹部にダメージ(中、令呪の効果で回復中)
    マスターロゴス@仮面ライダーセイバーと契約
[服装]:仮面ライダーナイトに変身中
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:なし
[参戦時期]:未定。
[装備]:ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎
    ライドストライカー@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
    ビートクローザー@仮面ライダービルド
[思考]
基本:イザク以外皆殺し。
1: ▅▆▆▆▅▆▇▇▇▂▅▅▆▇▇▅▆▆▅!!

[備考]
※参加者を無差別的に襲撃します。
 但し、セイバーを発見すると攻撃対象をセイバーに切り替えます
※マスターロゴス@仮面ライダーセイバーと魔力パスがつながりました。

【マスターロゴス@仮面ライダーセイバー】
[状態]:正常、疲労(小)、バーサーカー@Fate/Zeroと契約
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:2枚(マスターロゴス、バーサーカー)
[参戦時期]:死亡後。
[装備]:ザイアサウザンドライバー@仮面ライダーゼロワン
    トリケラトプスゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン
    カルノタウルスゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン
    預託令呪(言峰璃正、二画消費)@Fate/Zero
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1
[思考]
基本:神たる自分に逆らいし不届き者どもに神罰を与える。
1:剣士たち、ストリウス、首無し(セルティ)とナイトだった男(蓮)は、
  出来るだけ早めに始末する。
2:仮面ライダーナイトとナイトだった男(蓮)の悪評を広める。
3:その為、首無し(セルティ)とナイトだった男(蓮)と出会ってない参加者が居そうな方に向かう。
[備考]
※サウザンドジャッカーにはビートクローザー(スマッシュヒット)と、
仮面ライダーナイトのデータが入っています。
※バーサーカー@Fate/Zeroと魔力パスがつながりました。
 魔力の消費度合いなどは、あとの書き手に任せます。
※預託令呪の残り画数は後の書き手に任せます。
※預託令呪の説明文を読んで、サーヴァントとマスターに関する最低限の知識を得ています。









【エリアH-2/住宅街/1日目/深夜】

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
[状態]:正常、疲労(中)、赤色のパニガーレV2に乗車中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]: 桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(秋山蓮)
[参戦時期]:死亡後。
[装備]:デンオウベルト@仮面ライダージオウ
    ライダーパス@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品一式
    ランダム支給品0~1
   飲料水のペットボトル(現地調達)
    ナイトのデッキが入っていた紙
    ライドストライカーが入っていた紙
[思考]
基本:今度は城戸の願いを叶えてやる。
1:ストゥルルソンと共に池袋駅に向かう。
2:さっきの二人(バーサーカーとイザク)や浅倉に警戒。
3:俺は疲れてるのか?まだ声が聞こえる…。
[備考]
※モモタロスの声を幻聴だと思っています。
※ライダーパスにライダーチケットは入っていません。
 また、条件を満たしても時の電車に乗ることは出来ません。

【モモタロス@仮面ライダージオウ】
[状態]:デンオウベルトに憑依(離脱不可能)
[参戦時期]:本編39話~40話
[思考]
基本:どうにかしてここから抜け出す!
1:なんで乗っ取れねえしベルトからも抜けられねえんだよ!
2:おーいツンツン頭!いい加減返事しやがれ!
3:亀たちは大丈夫なのか?
[備考]
※デンオウベルトに憑依したまま外れられないようになっています。
※使用者がソードフォームに変身しない限り、体を自由に使えないようです。

【セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!】
[状態]:正常、疲労(中)、赤色のパニガーレV2を運転中
[服装]:黒のライダースーツ
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(セルティ)
[参戦時期]:未定。
[装備]:赤色のパニガーレV2@現実
[道具]:基本支給品一式
    トランスチームガン@仮面ライダービルド
    筆談用の紙何枚かとシャーペン(現地調達)
[思考]
基本: 生存優先。
1:蓮と共に池袋駅に向かう。
2:さっきの二人(バーサーカーとイザク)と浅倉に警戒。
3:調子悪そうだけど、大丈夫かな……。
[備考]
※トランスチームガンは武器として支給されてる為、
 変身用のロストボトルは付属しません。
※城戸と浅倉の名前を把握しました。


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絶望の中でも鈍く光る


作者
・ラング・ド・シャ

登場キャラ
・東方仗助@ The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-





--バトル・ロワイアル。即ち、殺し合い。

 

それを国が行っている世界、この殺し合いにも招かれている彼らの世界において。彼らの住まう大東亜共和国において。

 

『法』としてそれは行われていた。

 

法とは、守られるべきものであり、いわば一種の正義。

法治国家において犯罪者を裁く唯一の鉄槌。

内部崩壊を防ぐ為の規律。

 

つまりは、大東亜共和国にとって、殺し合いという『法』は、内部から国を守る為の『正義』であった。

 

 

 

ならば、今行われているこの殺し合いはどうか。

殺し合いの司会と自ら語ったアズはどうか。

溢れる恐怖に愉悦を見た宮本輝之輔はどうか。

 

そこに、正義は無いだろう。

そこに有るものは悪意のみ。

 

 

 

悪意は叫ぶ。

悪意は謳う。

悪意は望む。

 

 

 

殺し合え、殺し合え。

その身に流れる血を見せろ。

その死に生まれる悲劇を見せろ。

 

 

 

見るがいい。

 

 

 

催される闘争と蹂躙は始まった。

 

惨憺なる見せしめ。

 

殺人鬼の殺し合い。

 

終末もたらす運命。

 

天使が催す謝肉祭。

 

化物共の死滅遊戯。

 

耽美なる王の暴虐。

 

 

 

バトル・ロワイアルは既に始まっている。既に血は充分な程に流れている。

 

 

 

故に、人間は求めるのだ。

 

故に、人間は抱かねばならぬのだ。

 

 

 

かつて、病に伏した見ず知らずの少年を救う為、豪雪の中進み出た少年のように。

 

かつて、町を守らんと尽力し、その果てに散っていった一人の警官のように。

 

 

 

弱者を想いやり、手を差し伸べる優しさ。

 

悪を許さず、己が信念を以て立ち向かう誇り高き意思。

 

 

 

黄金の精神。

 

それを持った者こそが--

 

 

 

 

 

 

 

 

備え付けられた椅子やテーブル、その他生活必需品。

 

子供でもいるのだろうか、テレビゲームや玩具などが散乱している。それはこの家が誰かの持ち物である、と仮定した話ではあるが。

 

彼が今いるこの民家は、殺し合いの為に作られたものにしては、生活感がにじみ出ていた。

 

わざわざこんな生活感出す意味あるかよ、などと一人ごちながら、スタンド使い、東方仗助はコーヒーに口をつけていた。

 

普段通りの日常生活を思わせるその姿、しかしその目から感じられるそれは決意の念。

 

「町を守る男」の目をしていた。

 

 

 

「ほんッとうに、何考えてやがる。あの女......!」

 

 

 

コーヒーカップに並々注がれたコーヒーをしっかりと飲み干した仗助は、名簿や支給品を確認する。

 

ご丁寧にテーブルの上にぽつんと置かれたデイパックを俯瞰して、

 

 

 

「康一に承太郎さんは大丈夫......だと思うけどよ」

 

 

 

広瀬康一と空条承太郎。

 

東方仗助の親友と尊敬すべき人間。

 

彼らは殺し合いには乗らないだろうし、自分のスタンドという自衛手段も有している。

 

故に、彼らよりも注目すべき存在がいた。

 

彼が殺し合いに呼ばれる寸前、相対していた『容疑者』

 

殺し合いの見せしめが行われている最中、仗助はその視界の端にその姿を捉えていた。

 

康一や承太郎さんがいるってことは、なんらかの因果で参加者が集められている可能性が高い。つまりは。

 

 

 

「やっぱりあいつが殺人犯ってことじゃあねえか」

 

 

 

当然、仗助は彼の腕を見ていない。

 

故にわかりはしないが、やはり一番怪しい、と思っている。

 

 

 

「じゃあやっぱりマズい......よな。今」

 

 

 

もしも、あの男が殺人犯ならば、間違いなくこのような状況で牙を向くだろう。なおさら放ってはおけない。

 

殺し合いに乗っている参加者はぶっ潰す。其処に陣営など関係ない。

 

殺し合いの主宰も同様だ。絶対に許しはしない。

 

とりあえず、他の参加者と合流したい。

 

なるべくなら、殺し合いに乗っておらず、他の陣営の参加者ならば、特に。

 

故に、向かうのは最も近い施設であるジュネスである。

 

名前だけ聞いてもよくわからないが、とりあえず進むことにする。

 

そして最後に、仗助がみたのは質素な居間。

 

母親と祖父の姿をたったの一瞬、俯瞰して。

 

 

 

「......行って来る。絶対に帰ってやるからよ、ちょっとだけ待っててくれ」

 

 

 

そうして、仗助は扉を開け、その一歩を踏み出した。

 

 

 

東方仗助が祖父から受け継いだ黄金の精神。それは果たして、誰に継がれてゆくのだろうか。

 

 

 

 




【エリアI-3/民家/1日目/深夜】

【東方仗助@ The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(東方仗助)
[参戦時期]:蓮見琢馬が噴水に落とした時計を拾おうとした瞬間。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2(確認済み)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:他の参加者を探す。
2:康一、承太郎さんと合流したい。
3:蓮見琢馬(名前を知らない)を警戒。今度こそとっちめてやる。


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無の歌と海の男と侍と……

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・桐山和雄@バトル・ロワイアル
・ウェイブ@アカメが斬る!
・土方歳三@龍が如く維新!
・主人公@プリンセスコネクト!Re:Dive


桐山(きりやま)和雄(かずお)と言う男はとにかく恵まれた男だった。

中国四国地方トップクラスの財閥の御曹司として生を受け、身長こそ170cm程の中背だが、眉目秀麗、成績優秀、運動神経抜群、美的感覚にも優れ、喧嘩をさせれば大の大人にも無敗。

更にはクラスの不良たちをまとめ上げ、桐山ファミリーのボスを務めるカリスマ性までも持っている。

正に天から二物も三物も与えられ、その上で将来まで約束されている成功者。

そんな桐山だが、彼を一言で言い表すとするならば、虚無。

これ意外には有り得ない。

彼には幼いころの事故の影響で、精神的な理由か、外傷的な理由かは分からないが、固有の価値観とか、自発的な願望が無かった。

大きな喜びはない。その代わりに大きな絶望もない植物のような心の持ち主。

どこかの女性の手に性的興奮を抱く殺人鬼が聞いたら、心底羨ましがりそうな男である。

強いて彼の行動基準をあげれるとすれば、『こうゆうのも面白いかもしれない』かどうか。

故に、ここに呼ばれる前に参加していた殺し合い、『プログラム』においても、投げたコインが裏だったから、という理由だけで、生きたキラーマシンとして、同じ境遇の舎弟や、級友たちを殺しまわった彼は、まさに虚無。その目、その心の奥には何もない。

バックリ割れたクレバスのような深淵に何物もすり抜けていく。

だからこそ、主催者が当てがったのか、それとも剣の方が選んだのか。

それを確かめる術はないが、彼のもとにこの剣が渡ったのは、納得できる。

 

無銘剣虚無。

 

無属性、全てを無に還す無限の力を内包する聖剣。

水勢剣や雷鳴剣と似ている事からも分かるように、人の手によって打たれた人造聖剣の一つでありながら、元になった闇黒剣と光剛剣二本を用いねば封印できぬほどの力、まさしく世界を滅ぼしかねない力を秘めるこの剣の担い手は、例外なく『無』を持つ。

 

世界や人への底無しの絶望、仇敵を無に還す契約、底なしの邪悪、

物語への無限の愛、際限ない心の虚しさ、果てなき強さへの渇望、

そして今、意思も意志も『無』い怪物へ、その刃は渡ってしまった。

 

「……。」

 

オールバックにした髪がシャボン玉を運ぶ風になびく。

桐山が放り出されたのは、エリアG-8の丘の上だった。

四方を見渡せば、エリアの半分ぐらいは見渡せるような場所で、ホテルの方向から馬が走って来るのが見える。

裸馬ではない。人が乗っていた。恐らく成人はしているだろうが、まだ若い男だ。

桐山は、支給されたメダルを取り出した。

 

「マークのある方なら、このプログラムに乗らない。

名前が書かれている方なら、このプログラムに乗る。」

 

メダルを指ではじく。

そしてサッカーの審判の様に手の甲でコインを受け止める。

出た目は、英字で名前が刻まれた方だった。

桐山は腰にベルトを、覇剣ブレードライバーを装着。

一緒に支給されたワンダーライドブックを起動する。

 

<エターナルフェニックス!>

 

<かつてから伝わる不死鳥の伝説が、今現実となる!>

 

桐山はただただ無言でドライバーから剣を引き抜いた。

 

<抜刀…!エターナルフェニックス!

虚無!漆黒の剣が、無に帰す!>

 

振り抜いた刃から現れた色の無い不死鳥に包まれ、白と黒二色の仮面ライダーへと変身した。

時にその炎で全てを焼かんと暴れ狂い、

時にその歌で全てを癒さんと道を往く無の剣士、仮面ライダーファルシオン。

本来なら有り得ざる完全にファンタジーなその力に、大して驚く事も無く、桐山、ファルシオンは無銘剣を右手に、その名前も声も知らない誰かに斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見知らぬ平原に放り出された若い男、ウェイブは支給された品々を検め、やや苦戦したがデバイスで名簿と地図を確認すると、支給品の一つである馬、ヴァルキリーを飛ばしていた。

ウェイブは帝国海軍で戦っていた海の男だ。

大恩人である師匠へ憧れてに軍に入り、恩返しのためにひたすら海賊や、水棲危険種と戦ってきた。

その働きと、すでに完成された強さ、そしてこのバトルロワイヤルにおいてはキリトに支給された帝具、グランシャリオを使い熟せるという理由から、現帝国最強と名高いエスデス将軍率いる『特殊警察イェーガーズ』の隊員にまで抜擢され、益々仕事に熱を上げていく……かと思われた。

だが知ってしまった。帝都の、否、帝国の闇を。

声のデカい物の意見が通り、正しさなんぞ何の意味もなさない冷たい世界。

弱い者は食われていくだけの世界。

イェーガーズの中ですら、軍人としての責務故に戦っているのは自分と焼却部隊出身のボルスだけという有様。

このままではいけない。こんな国はおかしい。

そう考えた彼は、動機こそ復讐であったが、正しく国を憂いていた僚友のランの示してくれた『出世して国を内側から変える』という道を進むことを選んだ。

だが今。それ以上にどうにかしたいと強く思う者に出会った。

 

(クロメ!クロメどこだ!?お前の事だから、陣営関係なく探すんだろ?

アカメを!お前の姉ちゃんを!)

 

仲間で、そして今、はっきりと愛していると自覚した彼女を救うため走っていた。

アカメは、きっとクロメと出会えば殺すだろう。

その事を救済と言い切った彼女は絶対に躊躇しない。

クロメも、アカメを見つければ喜び勇んで彼女に挑むだろう。

何としても防がなければいけない。

2人とも達人で帝具使いで、愛憎混じるあまりにも大きな感情をぶつけ合う者同士。

出会ってしまえば、どちらかの死は避けられない。

 

「うぉおおっ!」

 

だがそれでも彼は歴戦の戦士。

丘から飛び降りて来た謎の存在に気付くと、すぐさま馬を止めて臨戦態勢に入った。

 

「お前は……」

 

桐山が変身したファルシオンは無銘剣を振り上げながら突っ込んで来た。

ウェイブは馬をつなぐ時間も惜しいと判断し、腰に下げた剣抜いてその一撃を受け止めた。

 

「こっのぉ!」

 

剣、無毀なる湖光(アロンダイト)で弾き、反対の手で持った四角いアイテムを起動する。

 

<ウェーブ!>

 

機動音がなりきるのを待って、ウェイブはあらかじめ腰に巻いていた変身ベルト、

レイドライザーにスプラッシングホエールプログライズキーをセットし、

赤いスイッチを押し込む!

 

「レイドライザァアアアアア!」

 

<レイドライズ!>

 

ウェイブの体を無数のパイプ状のエネルギーが覆い、

青いマントをはためかせ、クジラを思わせる仮面を持つ戦う姿へと変身した。

 

<スプラッシングホエール!

An aqua current that encompasses everything around it.>

 

「お前もか。」

 

「はっ!一緒にするなよ。海の男は惚れたら一直線!

お前なんか軽くひねって、すぐにクロメに追いつく!」

 

あえてホエールレイダーの副武装の槍、オウギガントは選ばす、

手にしたアロンダイトでの戦闘を選び、切り結ぶ。

信念の炎で、愛する者の為に戦う熱き海の男と、

虚無の心で、大した意味もなく戦う空っぽの生人形。

どこまでも対照的な聖剣使い達の戦いは、温度の差は有れ、決定打の無いまま、激しさを増していくばかりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは不思議な本屋だった。

本屋ゆえに置いてある物は本が大半なのだが、入ってきてすぐ目の前には大きなジオラマがあり、左右の壁側にはテーブルや椅子もいくつか。

奥には風呂屋を思わす暖簾があるが、よく見ると『男』と『女』の間に『ほん』と書かれている。

更にはガシャポンマシンまで置かれており、もう少し本が少なかったら、何屋か分からないような本屋だった。

 

(なんと面妖な……)

 

現代人から見てもそう見えるのだから、

幕末に生を受けたこの侍、土方(ひじかた)歳三(としぞう)から見れば本当になんなのか分からない場所であった。

辛うじて看板の『ファンタジック本屋かみやま』という店名は読めたので、本屋と言う先入観は持てたのだが……。

 

「ん?」

 

さらに青い洋服を纏い、本屋の中にも関わらずブルスケッタを頬張る少年を見つけては、疑問を抱かざるを得ない。

ここは本屋なのか?

変わった飯屋の間違いではなかろうか?

なんて思っていると、ブルスケッタを食べていた少年が口を拭って近づいて来た。

 

「こんばんは」

 

不思議な少年だと歳三は思った。

新撰組の羽織と同じ浅葱色の洋服の上に、濃藍色をした洋物の外套を羽織っており、髪は散切り。

顔立ちは整っているがあどけなく、女装すれば一瞬女と見間違えそうな感じだ。

 

(武田君はこういう若い男も好みなのだろうか?)

 

と、変な方向の疑問が頭を横切ったところで歳三は思考を切り替えた。

 

「こんばんは。私は新撰組の副長、土方歳三と申します」

 

「ユウキです。よろしく」

 

とりあえず握手を交わした歳三を、ユウキは座っていた机に招いた。

人懐っこい少年が座り直したのとは反対の椅子に腰かけ、勧められたブルスケッタをつまむ。

だが歳三には酸味も臭いもきつい見慣れぬ唐柿(トマト)のたっぷり乗った変な料理は口に合わなかったらしく、一つしか食べなかった。

 

「それで、結城君。私としては、最初に会えた同陣営の君と情報を交換したいのだが、よろしいかな?

具体的には知り合いは参加しているのか、とか。

あのあずを名乗る黒い洋服の女をしってるかとか、そういう話をしたいのですが」

 

そう言うと、ユウキは良い物が有る。と言って、椅子の下に置いた自分のデイパックから一冊の本を取り出した。

表紙には『詳細名簿』と、でかでかと書かれている。

中を開けると、まず目次があり、デバイスで見れるのと同じ名簿と、頁番号があった。

試しに歳三の番号のページを捲ると、

右側に恐らくは市中見回りの時に隠し撮りされただろう写真が、

左側には名前や職業などの簡単なプロフィールが載っていた。

 

「なるほど……。中々便利な物が配られたようだな。

私には例のでばいすとめだる以外、紙しか入っていなかったが。」

 

紙、開けなかったんですか?

と、ユウキは聞いて来た。

 

「いや、いつまでも隠れる物の無い場所では危険と思い、ここに来てから見てみようと思ったのだが、君と言う先客が居てね」

 

そう言って歳三もカバンに入っていた紙を適当に一つ取り出して開いた。

するとどうだろう。

何の隙間も無かったはずの紙の中から、一本の曲刀が飛び出て来たのだ。

 

「これは……」

 

月光麗舞(げっこうれいぶ)シャムシール、月齢により性能が変化する曲刀の帝具。

振るう事で、真空の斬撃を飛ばすことも出来る近、中距離型の帝具である。

 

「まあ、よっぽど鈍らでない限り問題は無いか。」

 

歳三はもう考えるのはやめた。

何故か瞬間移動してるとか、どう見ても物理法則以上の事が起きてるとか、現実に有り得る技術ではあるが、幕末を生きる彼から見れば魔法じみた代物であるデバイスの事も、全てありのまま事実と受け入れて対処することにした。

 

「結城君、その本をもう少し見せてくれないか?

名簿に記載された名前に私の知り合いらしきものがいくつかあったのだが、同姓同名の別人でないかだけ確認したい。」

 

シャムシールを腰に下げ、本を受け取ると、歳三は、さっき開いた自分の頁の前後を調べた。

 

(この男は!中岡の持っていた『ほとぐらふ』の男!

名前は、、武市半平太。こいつが、もう一人の坂本龍馬……)

 

ヒジカタさん?と、ユウキが心配そうにこちらの顔を覗き込んでくる。

どうやら、無意識に結構険しい顔をしてしまっていたようだ。

 

「いや、大丈夫だ。ただ、危険人物の名前があったものでね。

この二人だ。イギリスから購入した武器で、薩摩と長州を武装させ、倒幕戦争をおこそうとしている勤皇派の武市半平太。そしてその武市の元で働いていた人斬りの岡田以蔵。この岡田は、新選組局長、近藤勇を殺した男だ。警戒し過ぎなんてことはない。もし出会ったら、十分に用心してくれ」

 

そう言って歳三は武市半平太、岡田以蔵の二人の頁をユウキに見せた。

次いで斎藤一こと坂本龍馬、そして沖田総司の頁も見せる。

 

「こっちの私と同じ浅葱色の羽織を着ている二人は、同じ新撰組の者だ。

自衛のために戦いはしても、積極的に誰かを殺しまわったりはしないでしょう。

君の知り合いも、居ればだが教えてもらいたい」

 

歳三から名簿を返されたユウキは、開っきぱなしの坂本龍馬の頁からさかのぼり、次々知り合いを上げていく。

ペコリーヌ、コッコロ、キャルは美食殿というギルド(よく分からないが、同好の志との事だった。あのぶるすけったなる物、そんなに美味いだろうか?)で一緒に冒険をしてきた仲間で、シェフィも最近加わったそのうちの一人との事。

そしてもう一人、ラビリスタという『くれえぷ』なる甘味屋の店主、この5人は恐らく積極的にゲームに乗ったりしないだろうとのことだった。

逆に覇瞳皇帝、ゼーンは積極的に殺し合いに乗る可能性が高く、二人とも強力な魔法(なんだそれは。まあ、最早あってもおかしくないとは思い始めているが)や力を有しているとの事だった。

しかも覇瞳皇帝に至っては、国家転覆まで行ったことがあるというのだから規格外だ。

 

「分かった。その二人を警戒しつつ、君の知り合いに会ったら、君の事を伝えておこう。」

 

さて、一通りの情報交換を終えた二人は、これからどうするかと言う話になった。

 

「私としては、恐らくは斎藤君…坂本龍馬が目指すであろう寺田屋に向かい、彼と合流したいのだが、どうだろう?

君もこの島に向かうのなら、共に行きたいのだが」

 

ユウキは美食殿のギルドハウス、寺田屋より南東に約2エリア分行った所にある施設に向かうといった。

これは好都合だ。

2人は手早く荷物をまとめると、かみやまを後にしようと外に出た。

 

「あれは……馬?」

 

が、早速足を止める事になった。前方か一頭、裸馬が走ってくるのだ。

鞍はついており、乗馬用のモノだと分かる。

 

「この紙は動物まで入れれるのか?」

 

何度目かもわからないが、歳三は最早何でもありだな、とうんざりとした気分になった。

 

「それで、結城君。君はどうする?この馬が逃げてきた方には人が居るだろう。

が、もしそれがうっかり手綱を離してしまったわけでは無ければ、この馬が逃げ出しただけの理由があるという事になる」

 

ユウキは調べてきます!と言って馬に乗った。

手綱を手繰って馬を落ち着かせると、走ってきた方に鼻先を向けさせる。

 

「私も行こう。」

 

いんですか?と問うユウキに歳三は、彼の後ろに跨りながら答えた。

 

「見た所君は丸腰だ。

もし戦いとなれば、私が引き受けよう」

 

ありがとうございます。と、愛想よく笑った彼は前を向いて馬を走らせた。

勇敢だが、つくづくこの場に似つかわしくない少年だな、と思う歳三だった。

義務感などではなく、ただただ幸先良く得た協力者を逃したくなかっただけなのだが、こうも屈託なく表裏なく礼を言われると、打算まみれでの行動だったはずなのに、不思議と悪い気はしない。

他人をこんなふうに思わせてしまえる人間を、人たらしと言うのだろうか?と、またしてもらしくない疑問を覚える歳三だった。

 

 

 

 




【エリアG-8/どこかの丘周辺/1日目/深夜】

【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]:正常、仮面ライダーファルシオンに変身中
[服装]:城岩中学校の制服@バトル・ロワイアル
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(桐山)
[参戦時期]:少なくとも『プログラム』が開始されてから。
[装備]:無銘剣虚無@仮面ライダーセイバー
    覇剣ブレードライバー@仮面ライダーセイバー
    エターナルフェニックスワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:自陣営以外の参加者を全員殺す。
1:目の前の敵(ウェイブ)を倒す。
[備考]
※無銘剣虚無は、変身中こそ、
不死の特性を発揮しますが、生身の状態では発動しません。
さらに言えば、再生や復活にもかなり力を使うので、
あんまり不死性に頼りすぎると、
エネルギー切れで強制変身解除される可能性が高いです。

【ウェイブ@アカメが斬る!】
[状態]:正常、スプラッシングホエールレイダーに変身中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(ウェイブ)
[参戦時期]:コミックス13巻65話の冒頭
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero
    レイドライザー@仮面ライダーゼロワン
    スプラッシングホエールプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:クロメを探し出して、戦いを止める。
1:目の前のこいつ(桐山)を倒す。
2:馬は……最悪諦める。
3:アカメやタツミたちと出会ったら……。
[備考]
※今のところ特になし。





【エリアG-9/ファンタジック本屋かみやま付近/1日目/深夜】

【ユウキ@プリンセスコネクト!Re:DIVE】
[状態]:正常、ヴァルキリー@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runに騎乗中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(ユウキ)
[参戦時期]:少なくとも第二章にて、赤ちゃん状態から脱した後
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1
    ブルスケッタ@ジョジョの奇妙な冒険
    詳細名簿@ロワオリジナル
[思考]
基本:みんなと一緒に生きて帰る。
1:馬が駆けてきた方を調べる。
2:ヒジカタさんと一緒にペコさんたちとオキタさんたちを探す。
3:覇瞳皇帝、ゼーン、タケチ、オカダを警戒。
[備考]
※龍が如く維新!からの参加者の情報を入手しました。

【土方歳三@龍が如く維新!】
[状態]:正常、ヴァルキリー@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runに騎乗中
[服装]:新撰組の制服(幹部用)@龍が如く維新!
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(土方歳三)
[参戦時期]:少なくとも『ほとぐらふ』の存在を知った後
[装備]:月光麗舞シャムシール@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:斎藤君、総司と共に生きてこの島を脱出する。
1:馬が駆けてきた方を調べる。
2:結城君と共に総司たちと結城君の知り合いを探す。
3:武市半平太、岡田以蔵、覇瞳皇帝、ゼーンを警戒。
[備考]
※プリンセスコネクト!Re:DIVEからの参加者の情報を入手しました。


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咲いた、咲いた、malice(悪意)の華が

作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・クロメ@アカメが斬る!


『家族』とは何か?

 

それは、自分をこの世に産み、育ててくれた人のこと。

それは、強い絆で結ばれた集まりのこと。

それは、血の繋がりはないが、長い年月を共に過ごした仲間たちのこと。

それは、棄てられた者、闇を抱えた者達、ストリートの面々が集まってできた大きな居場所に暮らす人達全員を家族と呼ぶこともある。

 

『幸せ』には本物と偽物があると言い切った男がいたが、では『家族』にはあるのだろうか?否、そんなものは存在しないと断言しよう。『家族』という居場所を、繋がりを、大切を求めることは決して罪ではないのだから─────。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

古風ステージC-5に位置する、DIOの館。館の主が不在でも、見るもの全てに対し、この世のどんな悪よりも邪悪さが過ぎるドス黒い感覚を覚えてさせてしまう雰囲気が漂っている。

 

そんな館の一室に、黒のセーラー服を着た黒髪ショートヘアの黒い瞳の少女が立っていた。

彼女の名はクロメ。アカメの妹で、姉が推すほど綺麗で可憐な美少女であるが、彼女は帝国暗殺部隊の一員にして特殊警察イェーガーズの一員の為、数々の修羅場をくぐり抜けた実力者なのだ。

 

しかし、今の彼女は虚ろな瞳をして立ったままでいた。表情もまるで、生気を失ったかのようだ。更にその腰には、セーラー服とミスマッチしてる黒い機械的なベルトが巻いてある。その中央部分が生きてるかのように、不気味に紅く光っていた─────。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

─────一時間半前

 

DIOの館で目を覚ましたクロメは館内の不気味さに身震いするも、情報を整理するべく直ぐにデイバッグの中身を確認に入る。メダルで自分は青の陣営だと知り、文明レベルが高すぎるデバイスの操作には悪戦苦闘しながらも、一時間はかかったが何とか使い方をマスターし、参加者名簿を見た。

 

「...!!お姉ちゃんにウェイブ!隊長にタツミまで......後ナイトレイドのマインも」

 

唯一の家族で、何よりも大好きな姉のアカメ。ちょっと頼りないところもあるけどカッコいい、自分の恋人のウェイブ。帝国最強と恐れられたドSの女将軍にして、特殊警察イェーガーズの隊長エスデス。ナイトレイドの一員で、エスデスの恋の相手タツミと、同じくナイトレイドのマインと、関係者の名を確認した。

 

「隊長以外は皆、殺し合いを止めるために動くけど、隊長はホールでもそうだったけど、絶対乗り気だね。先ずはお姉ちゃん達と合流しないと。そのためにも、この紙のチェックは重要だね」

 

殺し合いという場である以上、やはり自衛と迎撃の為の武器は必要不可欠。支給品についてはランダムで、何が出てくるかは紙を開くまで分からないときた。期待と警戒心を抱きつつ、彼女はエニグマの紙の確認に移る。

 

選んだ一枚を開くと、コンバットナイフにも似た機械的な刃物が出てきた。よく見ると、何かを入れる空洞が設けられていた特殊な武装である。

 

「ホントに出てきた。この紙帝具の一種なのかな?」

 

エニグマの紙を見て驚きはしたが、初見にも関わらず意外と反応は薄めであったクロメ。

彼女の仕える帝国には千年前、時の始皇帝の命により生み出された超兵器、帝具が存在する。相手の心を読む、人や生き物に変身する、無から氷を生成するなど、規格外な能力の武器が多く、彼女も死体を操る能力を持つ帝具の使い手であった。

なので、薄い紙に物を出したり閉まったりする程度では、「へーそうなんだ」ぐらいのリアクションしか沸かないのだ。

 

因みに、出てきた武器の名称は『エターナルエッジ』、とある街を地獄に変えようとした不死身の軍団のリーダーが変身する、ある姿のときにしか使えない専用装備である。

クロメは刀を用いた戦闘と暗殺を得意とする為、正直な所リーチの短過ぎるナイフより、自身の戦闘スタイルにあっている長刀のほうが来てほしかったが、支給品に武器があっただけでも良かったので贅沢は言っていられない。

 

(でもナイフか……これを見てると、お姉ちゃんと一緒にあの森を走っていた時を思い出すな……)

 

クロメは姉のアカメと共に帝国に売られ、帝都の養成機関で暗殺者としての教育を受けた。その最初の関門が、自分たちと同じように帝国に買われた子供たち百人以上を危険種という野生生物達が蠢く樹海に解き放ち、指定された目的地を目指せという、言わば実力選定という名のふるい落としであった。

渡された武器がナイフ一本と心許ない中、凶暴な危険種が次から次へと襲い掛かってきて何度も死にかけそうになったが、姉と背中合わせに互いを守り、守られ、乗り越え、無事に目的地にたどり着いた。

 

(あの時は、お姉ちゃんと生き延びることに必死だったなぁ……)

 

姉と共に乗り越えた最初の地獄のことを思い出しながら、クロメは二枚目の紙を開く。

 

中からは、蓋付きのピクニックバスケットが出てきた。しかも、バスケットからは美味しそうな匂いがしてきた。匂いにつられて蓋を開けてみると、バスケット一杯に照りマヨチキンと野菜を挟んだサンドイッチがぎっしり入っていた。

 

「……………じゅるり」

 

アカメに似て食いしん坊なクロメは、沢山のサンドイッチや照りマヨチキンのタレの香りに、思わず涎が出てしまった。

 

「いただきます」

 

我慢できず、一つ手にとって口へ運─────

 

『食うなよ』

 

「………ハッ!」

 

─────ぼうとしたら、エスデスの言葉が頭をよぎり、その手を止めた。

 

普段から食い意地が過ぎるせいか、改造された新型危険種をも食べようとしたら、エスデスから『食うなよ』と咎められたことがあった。

 

「いけない、毒でも入ってるかもしれないのに……」

 

帝国暗殺部隊の一員として様々な教育を受けてきたクロメだが、当然毒についての知識も習得済みである。特に、人間にとって最大の油断である食事は毒を混ぜるのに格好の機会。美味しそうなサンドイッチの前でうっかり毒の確認を怠る所であった。

 

改めてサンドイッチをゆっくりと口に運び、一口齧った。すぐに呑み込まず、毒を警戒しながらゆっくりと味わった。

その結果─────。

 

「ッ!?、〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!」

 

突如、身を屈めて唸りだした。毒に当たった─────

 

(お、美味し〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!)

 

─────わけではなく、あまりの美味しさに悶絶していたのだ。

 

(何これ何これ何これ!?タレは薄過ぎず、濃過ぎず、いい感じに焼いてあるチキン。しょっぱいタレと相性のいいマヨネーズソース。食べたことの無い野菜のシャキシャキ感。そしてそれらを包み込むフワフワのパン。正にサンドイッチの理想そのもの、ベストマッチだよぉ!!!)

 

目を光らせながら心の中で食レポするほど、サンドイッチの味に感動したクロメ。美味しすぎて夢中になり、ものの数分でバスケットに入っていたサンドイッチを半分も食べてしまった。

 

「……あ!半分も食べちゃった。まぁ、お姉ちゃんの分はあるから大丈夫かな、食べちゃったものはしょうがないし。」

 

お腹が満たされて満足気なクロメは、気持ちを切り替えて最後の紙を開いた。

 

しかしこの気の緩みが、クロメの運命を大きく左右することとなった。

 

「─────え?」

 

三枚目の紙を開いたら突然、黒い液体が出てきて自分にまとわり付いてきたのだ。

 

「な、何これ!?」

 

まさか支給品が襲ってくるとは予想外だったのか、反応が遅れ脱出も出来ず、全身を覆われてしまう。

 

「クッ!こんなの…………ッ!?」

 

何とか逃れようと藻掻くが、突然体が硬直して動かなくなってしまう。

 

(か、体が………動…かない……頭も、割…れる…)

 

(こレ……何か、が、私…ヲ……ノっ、取ロう……ト…)

 

(タす、ケ……て………お姉……チャ………ウェ、イ……)

 

その思考を最後に、クロメの意識は閉ざされた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

─────そして現在。

 

 

「…………」

 

「…………………」

 

「…………………………」

 

謎の液体に纏わり付かれ、脱力状態で立ったまま動かなくなったクロメ。暫くしてゆっくり顔を上げたが、その目は光が消えた何もない虚無そのものの色をしていた。

 

『まさかこのワタシが、人間の身体を乗っ取る事になるとはな』

 

なんとクロメの口から、彼女のものではない、男性の声が発せられ、自分の両手を何かを確かめるかのように動かしていた。しかも、黒い液体は彼女の腰に集まり、中心の赤いコアが特徴の一つのベルトの形をとった。

 

クロメが開けた紙には、『アークドライバーゼロ』と記載されていた。

 

それは、人類滅亡を結論づけ、サイバーテロリスト_滅亡迅雷net.を裏から操っていた黒幕、通信衛星『人工知能アーク』そのものである。

本来はAIなのでボディを持たず黒い流体金属のような姿をしており、ヒューマギアのみにハッキングして身体を得ていたが、人間の脳波に干渉して恐怖心を植え付けるハッキング機能を応用することでクロメの思考を乗っ取り、彼女の身体を奪う事に成功したのだ。

 

『一先ずはこの状態で情報の収集に入る。武器の詳細にあったガイアメモリなるものも気になるが、この紙は有効活用が出来そうだ』

 

クロメ(アーク)は、メダルとデバイス、開かれたままのエニグマの紙全てと、ドライバーとセットで入っていた"キー"を回収して懐のポケットに入れ、エターナルエッジを手に部屋を後にする。

 

『アズが用意していた例のキーもある。悪意に満ちたこの空間はラーニングに困らぬ。全てのラーニングを終えた時がゼロワン達の最後だ』

 

 

『全ての人類に、滅亡を下す。これは、決定事項だ』

 

 

かくして悪意の種は解き放たれた。殺し合いという異常空間は、滅亡という名の華々で満たされてしまうのは容易に予測されるであろう─────。




【エリアC-5/DIOの館/1日目/深夜】

【クロメ@アカメが斬る!】
[状態]:健康、意識途絶、アークがハッキング中
[服装]:いつもの私服
[所属陣営]:青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(クロメ)
[参戦時期]:イェーガーズ離脱後
[装備]:アークドライバーゼロ@仮面ライダーゼロワン
    エターナルエッジ@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品一式、アークワンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[思考]
基本: お姉ちゃん(アカメ)とウェイブに会う。
1:お姉ちゃん、ウェイブ、助けて………
[備考]
※デイバッグは部屋に置いたままです。
※アスナお手製の照りマヨサンドイッチ@ソードアート・オンライン、は半分(8個中4個)食べました。
※サンドイッチの入ったバスケットはDIOの部屋に置いたままです。


【アーク@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:アークドライバーゼロの形状、クロメの思考をハッキング中
[参戦時期]:原作41話で雷に破壊された直後
[思考]
基本:人類滅亡を再開する。
1:先ずは参加者の悪意のラーニングに入る。
2:その上でゼロワン達を滅亡させる。
3:この人間の悪意も有意義にラーニングさせてもらう。
[備考]
※アークは人間の思考のハッキングが可能となっています。しかし、ヒューマギアをハッキングしている時よりスペックがダウン。ハッキングした相手によりスペックは左右される。


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殺人考察―murder speculation―

作者
決戦騎 ティアマット

登場キャラ
・覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:Dive


其処は、絢爛と飾られた一室だった。

所狭しと金銀によって飾り付けられたその部屋は、目も眩む程にキラキラと輝く。

更にその輝きは辺りを漂うシャボンによって乱反射。

ただでさえ豪華に、美しく彩られた装飾の数々は、物語の世界、ワンダーワールドという虚構を以て完成と相成った。

美しく輝く、完成された美。

その場に佇む、一人の参加者は、まるでその美に溶け込むように。

ホテルの豪華な椅子に腰かけて、笑っていた。

 

「まさか、この私がこんな下卑た催しに巻き込まれるだなんてね」

 

余裕すら感じられる、笑みだった。

訳も分からず連れ去られ、殺し合いを強制させられているというのに。

今しがた、見せしめとばかりに一人の男が無惨にも殺される様を目の当たりにしたというのに。

自身の生殺与奪を全て彼女、アズに握られてしまっているというのに。

かつて、自らを破った彼らも、この殺し合いに招かれているというのに。 

まるで、恐れるものなど何もない、と言わんばかりに傲岸不遜に。

 

覇瞳皇帝は、この状況下に於いてもなお、平素より変わらぬ深い笑みを溢していた。

 

危うい。あまりにも危ういその現状を知る者がいたら口々にこう言い放つことだろう。

『彼女は気でも狂ったのか』と。

しかし、その実、覇瞳皇帝の思考は冷静であった。

 

「まさか、覇瞳天星までもが封じられているだなんて……彼女、一体どうやってアストルムに干渉してきたのかしら?」

 

覇瞳皇帝を取り巻く環境はあまりにも悪い。

敵と言える存在も、然り。

それに詳えて、能力制限。

これもまた、重い、重い枷であった。

切り札であった戦略級の攻撃魔法に覇瞳天星。

これら2つが封じられている。

これが覇瞳皇帝がデイパックを開けて最初に現れた紙に記された内容だった。

つまるところ、他参加者と戦力を均等にするための措置なのだろう。

――これで、覇瞳皇帝の自衛手段も大幅に減少となる。

 

「まぁ、今はいいわ。これから考えるべきことはまだまだ山積み。幽閉されていたはずの私がどうやってここに連れてこられた、なんて答えを出すには情報が少なすぎるもの。」

 

その、上で。

覇瞳皇帝は決断した。

 

「それよりも……これでどこまで戦えるか、よね。これから限られた戦力でたくさん殺さなくっちゃいけないんだから。」

 

殺し合いに乗る、という選択肢を。

自らの立つこの現状など、とうに理解している。

他陣営だけでなく、自陣営にすら敵がいるという事実。

課せられた能力制限によって、貶められた神たる権能。 

並み居る参加者の中でも覇瞳皇帝は既に上位とは呼べぬ位置に甘んじている。

この地での敗北、それは即ち死を意味する。

そんなことなど、わかっている。

それでも、諦めることはできなかった。

 

夢想する。

かつての玉座を、夢想する。

 

塗り替えられた転換点。

囚われの罪人と化した哀れな咎人は、夢を追うことすら許されない。

何時の世も、咎を背負った罪人が捧げるべきは贖いであるが故に。

罪を贖う代償として伴うのは、罪人の人生そのものであるが故に。

だから、覇瞳皇帝は夢を手放さざるを得なかったのだ。

彼の者が人の身であるのだから。

 

 

もしも、その人の理を無視してのける者がいるとするならば、それこそが『神』だ。

 

 

人知を越えて優れた、尊き存在。

宗教的信仰における、最上位。

人の理を造りしは、定めしは、神の御業に依るもの。

故に、覇瞳皇帝は神を目指したであるのやもしれぬ。

人を踏みつけ自らの夢へと進む咎を帳消しとするために。

 

ならば、正しくこの地で行われている殺し合いは、神の御業とも言えよう。

 

人と人とを殺し合わせる、人の理より逸脱した行為こそ。

囚われの身である覇瞳皇帝を連れ出し、咎人へと夢を見せたその行為こそ。

 

アズと呼ばれた悪意の権化こそが、この地においての正真正銘の神であった。

 

「さ、そろそろ私も動こうかしらね。もしかしたら、もうすでに参加者がここにいるかもしれないし。もう今の私には騎士も部下もいないもの。………何もかも、取りこぼしてしまったもの。ああ、本当に今の私って――」

 

覇瞳皇帝。

既にその身は、神に非ず。

さらなる業へと身を窶し、堕落したその姿は。

新たなる神へと膝を折り、その意のままに動く姿は。

本当に。なんて。

 

「――なんて、無様。」




【エリアH-8/ホテル最上階・VIPルーム/1日目/深夜】

【覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:Dive】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(覇瞳皇帝)
[参戦時期]:メインストーリー第一部終了後
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:自陣営を優勝させる。
1:ホテルに陣取り、入って来た他陣営の参加者を殺害する。
2:美食殿及び他の七冠に対しては保留。邪魔をするようなら始末する。
[備考]
※制限により、『戦略級の攻撃魔法』と『覇瞳天星』が使用出来ません。



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ソレゾレの戦い方

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・飛電或人@仮面ライダーゼロワン
・マイン@アカメが斬る!
・コルネリウス・アルバ@空の境界


chapter01 オレが社長で仮面ライダー

 

「うわぁあああ!うぅうう……っ!!!」

 

一人の青年が、砂浜に膝をつき、激痛に体を震わす。

荒い息と共に、ゆっくりと起き上がった彼の名前は()(でん)(ある)()

元は売れないお笑い芸人で、今は株式会社飛電製作所社長で、仮面ライダーゼロワンであるこの男。

いや、最後のに関しては仮面ライダーゼロワンであったという方が正しい。

今現在クロメの体を取っている存在、仮面ライダーアークゼロこと通信衛星アークに、変身ベルト、飛電ゼロワンドライバーを破壊され、変身不能になっているからだ。

ので、今は仮面ライダーではない。はずだったのだが……。

 

「これが、、フォースライザー……」

 

彼は腰に巻いた支給品、敵対しているテロ組織、滅亡迅雷.netの仮面ライダーたちが使うのと、全く同じ形のベルトを撫でる。

これが入っていた紙(出て来た時、或人はかなり驚いた。が、そう言えばゼロワンドライバーやサウザンドライバーも、質量無視してベルト伸びるよな、と納得した。することにした。)に書かれた説明によれば、プログライズキーを使って変身するベルトの中では最古の物で、厳密には滅亡迅雷フォースライザーとは別物、との事だった。

だがヒューマギアが使用することが前提のこのベルト、本来使用することが想定されていない人間が使うには、どうしても過負荷がかかってしまうようだ。

 

「使えることは使えるみたいだし、それはいいけど……。

このベルトを用意できるってことは、

この殺し合い、間違いなくアークが絡んでるよな……」

 

そう思うと、最初はゼロワンドライバー亡き今、有難いと思ったこのベルトも、かつて接触を図って来たあのアークの使者、アズと、その主たるアークからの『ほら、悪意の為に作られた力で精々足掻いてみろ』という、悪意マシマシの嘲笑ゆえの贈り物に思えてくる。

けど、舐めてもらっては困る。

 

「俺は令和の一号。

(アーク)の意志に(ゼーン)の意思で立ち向かう社長で、仮面ライダー!」

 

何時も通りのポーズを決め高らかに、反転し狂った星空に向けて宣言した。

 

「アズ!そしてアーク!お前たちを止められるのはただ一人!俺だ!」

 

悪意ひしめく不浄な島で、一人の仮面ライダーが吠えた。

悪意の連鎖を止めるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter02 アタシは天才スナイパー

 

なるほど、威勢は買おう。

その腰に巻いたライオネルに似た帝具の負荷に耐えきったようだし、素質もあるのだろう。

それに、あのアズとかいう女を知ってるかのような言動に、

さっきのホールで全く出てこなかったアークなる何者か。

もしかしたら、元々この戦いの仕掛け人連中と戦っていたのかもしれない。

だけど、そのセリフだけは気にくわない。

 

「誰だけが止められるって?」

 

「君は……」

 

「アタシはマイン。理不尽な悪意を撃ち抜く者よ!」

 

マインは支給品のM4 SOPMODⅡを担ぎ直しながら堂々と名乗った。

こんな細身の女の子が、そんなA.I.M.S.に対マギア装備として配備されてそうなゴツイ銃を?とか、よくよく見れば戦いなれた者の脚運びをしてるが、どう見ても自分より年下のこの子が?とか、色々と気になった或人だったが、彼女の真っ直ぐな目に不破諫や、(やいば)唯阿(ゆあ)のようなアツい物を見た彼は、すぐに柔和な笑みを浮かべ、

 

「俺は仮面ライダーゼロワン。飛電或人。

人々の夢を守って笑いを取る仮面ライダーだ!」

 

<ジャンプ!>

 

ベルトと一緒に支給されたライジングホッパープログライズキーを起動し、スロットに装填待機音が鳴り出すのを待って、レバーを引いてキーを強制展開する。

 

<フォースライズ!>

 

「がぁああああ……っ!変身!」

 

ベルトから出現したバッタのライダモデルから、黄色いアーマー部分が外れ、残る大部分が無数の小さなバッタとなって或人の体にまとわりつき、アンダースーツを形成。

滞空していたアーマーがアンダースーツから伸びた無数の糸状のワイヤーに捕まり、表面に装着される!

 

<ライジングホッパー!

A jump to the sky turns to a rider kick.>

 

<Break down.>

 

(変身した!?てっきりライオネルみたいになるかと思ったけど、タイプとしてはタツミのインクルシオやグランシャリオと同じ鎧型……てことは、相応の実力は有るって訳か。

にしても、随分とホラーな変身だったわね…)

 

「よろしくな!」

 

「ええよろしく…って!いつアタシがアンタについてくなんて言ったのよ?」

 

「え?違うの?」

 

「アンタが自惚れで自分しか戦えないとか思ってるかどうか確かめたかっただけよ!

言っとくけどアンタにかまってるほど暇じゃないんだから」

 

そう言って踵を返そうとするマイン。

しかし或人は

 

「それって君も知り合いが呼ばれてるから!?」

 

叫ぶように呼び止めた。

大きく震えるように止まり、ため息を吐くと振り返り、

 

「……ええ。最高の彼氏と、その彼氏を狙ってる帝国最強の恋敵と、最高の仲間と、その結構複雑な事情の有る妹と、あとその妹の仲間が一緒に呼ばれてるわ。」

 

「どんな面子だよ……そいつら、どんな奴らなんだ?

あったら君のこと伝えとくよ」

 

「そう言うアンタは?誰か知り合いが呼ばれてたりするの?」

 

「んー、強引だけど信頼できる人と、テロリストの知り合いが二人」

 

「アンタの方もアタシに負けず劣らずじゃないの…」

 

お互い話半分だけに聞いといて、あとで半端にしか対処できないのは命取りになると判断した二人は、とりあえず情報交換を済ませることにした。

まずはそれぞれ共に呼ばれた知り合いの事。

或人はアークや、マインが苦戦していたデバイスの使い方なども教えた。

 

「茶髪に緑の目の彼氏君が、タツミ。水色の髪に白い軍服の女がエスデス。

長い黒髪に赤い目の女の子がアカメ、黒髪黒目で背の低い子がクロメ。

黒髪で背の高い男がウェイブ

そんでもってタツミ、アカメ、平気だけど、エスデスとクロメは出会ったらヤバいし、マインちゃんの事を話してもまずい、それからあとウェイブはグレー、と」

 

ナイトレイドの事は伝えなかった。

いくら戦士とは言え、反乱分子には違いない自分たちにいいイメージを抱いてくれる保証もなかったからだ。

 

「癖のあるはねた黒髪の男がフワ・イサム。

紫色のボロボロの服にバンダナの男がホロビ、黒にオレンジのラインの服に茶髪の男がイカヅチね。

フワ以外の二人は人間だって理由だけで襲ってくるかもしれないって、それほぼ全員に当てはまるじゃない」

 

覚えた特徴と注意事項を確認し合った二人は、ほぼ同時に腰を下ろしていた大きな流木から立ち上がる。

 

「俺はこのままあっちの橋を渡って都心ステージに行こうと思ってる。

マインはどうする?」

 

「特に当てもないけど、行きそうなのは基地かしら?

とりあえずそこ目指して、誰もいなかったら…その時の状況によって考えるわ」

 

「そっか。じゃあこれで!最高の仲間を探しにさー行こう!

ハイ!アルトじゃーっないとー!」

 

「なんで探しに行くのにアンタじゃなきゃいけないのよ?」

 

こういったシンプルにギャグだと理解されていないボケ殺しに、なんて反応していいかは分からないが、少なくともどこか悲しくなる或人だった。

 

「と、とにかく!また生きて会おうよ」

 

「ええ。次会う時は、奴らとの決戦前ね」

 

同じ志を持つ二人はそれぞれは全く違う方向に、しかし同じ道を踏みしめて進みだした。

希望の夜明け(デイブレイク)は、案外近いのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter03 ワタシこそ天才で魔術師(メイガス)

 

「随分と楽観的だな」

 

そんな二人のやり取りを、魔術で水晶越しに覗き見ていた者が居た。

ワインレッドのシルクハットにコートと、如何にも魔術師な恰好をした白人の男、コルネリウス・アルバだ。

魔術の総本山、魔術協会にて創造科の学部長、イノライ・バリュエレータ・アトロホルムに師事した一人で、あの荒耶宗蓮や蒼崎橙子とは同期である。

彼は所謂『優秀な魔術師』であった。

専行はルーン魔術だが、人形師としても優秀で、血筋、実力とも一流。

礼装抜きなら、奇しくもこの戦いに同じく呼ばれているロード・エルメロイとほぼ同格、と言えばそのすごさが分かるだろう。

逆に貶すだけ貶せば、傲慢でプライドが高く、それを傷付ける者に対して、異常なまでの劣等感と妄執を抱くめんどくさい有能と言ったところだろうか。

だからこそ、ここまで圧倒的な敵、アズとその主人アークに反抗する気は中々起きなかった。

科学技術に関しては、或人の言葉を信じるなら、恐らく人類最高峰。

この首輪もその証左の一つであろう。

魔術に関しても、遠隔で百数十名を一瞬にして転移させるなど、凄腕の域など一回りも二回りも逸脱している。

 

「しかもあのケイネス・エルメロイや、魔術師殺しの衛宮までいるとは……」

 

同陣営だが、彼らも、荒耶宗蓮や蒼崎橙子も、敵対する必要はないだけで、場合によっては戦う事もあるだろう。

本当にどうしたものだろうか?

 

「素直に従っても、反抗しても、生きて帰れる保証は無い。

どちらの方が確立が高いか、と言われても微妙。なら、答えは一つ」

 

蒼崎橙子を倒す。

どんな形にせよ、もう一度挑み超えて見せる。

水晶を紙に戻し、帽子を直すと、彼もまた、或人やマインとは違う方向に去って行った。

 

 

 

 




【エリアH-7/橋付近/1日目/深夜】

【飛電或人@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:正常、腹部に痛み(中)
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(飛電或人)
[参戦時期]:本編40話中のどこか
[装備]:フォースライザー@仮面ライダーゼロワン
    ライジングホッパープログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:この戦いを止めて、悪意の連鎖を止める
1:不破さんたちを探す。
2:都心ステージに向かう。
3:滅たちやエスデスたちを警戒。
[備考]
※令和・ザ・ファーストジェネレーションでの出来事を覚えているかどうかは後の書き手に任せます。
※アカメが斬る!からの参加者の特徴を把握しました。

【マイン@アカメが斬る!】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服
[所属陣営]:青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(マイン)
[参戦時期]:少なくともタツミと恋人になってから
[装備]:M4SOPMODⅡ@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:アークたちを倒して脱出する。
1:タツミたちと合流する。
2:基地に向かう。
3:エスデスたちやホロビたちを警戒。
[備考]
※仮面ライダーゼロワンからの参加者の情報、及びアークの情報を入手しました。
※滅、雷のことは人間型帝具のような物と言う認識です。









【エリアH-7/橋付近/1日目/深夜】

【コルネリウス・アルバ@空の境界】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(アルバ)
[参戦時期]:未定、あとの書き手に任せます。
[装備]:なし
[道具]:遠見の水晶@Fate/Zero
   基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:蒼崎橙子と決着を着ける。
1:蒼崎を探す。
2:荒耶宗蓮、ケイネス、衛宮切嗣、滅亡迅雷.net、アーク、イェーガーズを警戒。
[備考]
※アカメが斬る!からの参加者の特徴、仮面ライダーゼロワンからの参加者の情報、及びアークの情報を入手しました。


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熱血バカ=プロテイン+ルサンチマン


作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・万丈龍我@仮面ライダービルド
・花村陽介@ペルソナ4


『仮面ライダークローズで、マジ最強の万丈龍我とその仲間たちは、自分の正体と目的を日本中に明かした地球外生命体、エボルトとの最終決戦を明日に控ていた』

 

『しかし、気が付くと見知らぬホールで目を覚まし、他にも百人以上の人間が自分と同じように連れてこられていたのだった』

 

『そして、この秘密のア〜ズちゃんが参上し、五つの陣営に分かれてのバトルロワイヤルの開催を宣言したよ!』

 

『うおっ!なんでお前があらすじ紹介に出てるんだよ!?』

 

『だって貴方の相方はまだ出てないし、私もこういうコーナー出てみたかったからね〜。というか最初の言葉、さも貴方が主人公みたいに捏造してるけど』

 

『ねつぞう?ゾウが風邪でも引くのか?』

 

『ラーニング。これがいわゆる馬鹿と言うやつなのね』

 

『誰が馬鹿だ!せめて筋肉付けろよ!』

 

『付ける理由、皆無。さて、どうなる最新話!?』

 

『あぁ、最後のやつまで言われた!』

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

──────ガンッ!

 

 

「あの女、人の命を何だと思ってんだよ!!」

 

万丈龍我はそう言いながら、壁に拳を叩きつけた。アズにより佐藤太郎の命が無惨にも散らされたことに対して怒りを燃やしている最中であった。彼は都心ステージG-3に位置する、芸術館の入口廊下で目を覚ました。

 

「ぜってぇぶっ飛ばすから、首洗って待ってやがれ!」

 

万丈は何処かで自分たちを見ているであろう、アズへの落とし前を強く宣言した。少し落ち着いた彼は何処かでデイバッグの確認をしようと、館内を歩き始めた。そして数分後、豪華そうな作りの扉を発見した。

 

「お、こっちに何かありそうだな。俺の第・六・感!、がそう言っている!」

 

第六感かは不明だが、警戒してゆっくり扉を開けると、そこにはヘッドホンを首に下げた高校生くらいの少年がいた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「こ、今度は何処なんだ〜〜〜〜〜ッッ!?」

 

ヘッドホンの少年、花村陽介はパニックのあまり大声を上げていた。

態々目立つような真似をすること自体アウト中のアウトであるが、こんな状況下で即冷静になれと言われても大抵の者は誰でも無理と答えるのが当然であろう。

 

陽介本人も、地元の八十稲葉市で起きた殺人事件、現実ではない異世界のマヨナカテレビ、そこに現れる怪物シャドウやもう一人の自分自身たるペルソナの発現など、様々な怪奇現象を体験してる身だが、今回は今までとは次元が違う。

 

自分につけられた首輪、目の前で爆殺された男性、本当の命のやり取り。シャドウ退治ならともかく、同じ人間同士で期限内に殺し合わなければ帰れないという極限状態などが、陽介の心をこれまでにないパニックに追い込んだため、叫ばずにはいられなかったのだ。

 

と言っても彼が目覚めた場所は、芸術館の多目的大ホールの一番後ろの座席であった。ホール内は防音対策が万全なので、大声を出しても外に漏れることはない。

 

「あ〜どうすりゃいいどうすりゃ───」

「オイ!」

 

「ギャアアアッッ!!」

「うおわぁ!?」

 

突然、何時の間にか背後にいた誰かに話しかけられ、ビックリしてまた大声をあげた陽介。話しかけた人物、万丈龍我も陽介の大声にビックリした。

 

「き、急に話しかけんなよビックリするだろ!!」

 

「ビックリしたのはこっちだ!オメェこそこの距離で大声あげんなよ!!」

 

ようやくお互い参加者と出会ったのに、何だかグダグダな出会い方になった。

 

「ハー、ハー、あれ?アンタよく見たら、あのホールにいたスカジャンの人じゃん!」

「スカジャンの人って何だよ……」

 

確かに、あの時アズに真っ先に突っかかったのは他でもない万丈である。大声を上げながらだったので、殆どの参加者には印象に残ったのだろう。

 

「えっと、聞きたいんだけど、アンタはこの悪趣味なバトルロワイヤルには......」

 

「乗るわけねぇだろ。濡れ衣のせいで殺人犯で脱走犯扱いされちまったのに、ほんとに殺人犯になっちまう訳にいかねぇだろ!」

 

「え、そっち?」

 

どこかズレた回答であるが、目の前のヤンキーそうな人物は殺し合いに乗ってないと分かり安心する陽介。

 

「じゃあ、これからどうするんだ?」

 

「決まってんだろ。こんなふざけた殺し合いぶっ壊して、あのアズって女もぶっ飛ばす!それだけだ。で、そういうお前は?」

 

「お、俺だって乗らねーよ!殺人犯を追ってる俺たちがそんなことに手を染める訳に行かねぇからな」

 

「ん、殺人犯?」

 

「そういやまだ名前言ってなかった。俺は花村陽介」

 

「あぁ、万丈龍我だ。とりあえず宜しくな」

 

挨拶を交わしたあと、館内に設けられたカフェで情報交換とデイバッグの確認を行った。因みに、エニグマの紙から質量を無視して物体がでてきたときに両者とも驚いたのは余談である。

然し、ここである問題に直面した。主に陽介が。

 

「あの〜、一つ聞きたいんだけど、これってどうやって使うか分かるっすか?」

 

陽介は片手に持ったデバイスを見せ、使い方を万丈に尋ねた。

 

「はぁ?何だよお前、スマホ知らねぇのか?」

「す、すまほ?」

「スマートフォンの略だよ。今流行りの携帯電話だろ?」

「え?えぇ??」

 

全く聞いたことない感じの反応を示す陽介。万丈は知らないが、彼がいた時代ではまだスマホは存在すらしていない。当時普及していた通話機器といえば、折りたたみ式の携帯電話、所轄ガラケーである。

 

「しょうがねぇ、教えるからよく見てろよ」

 

スマホのスの字も知らない素人の陽介に、使い方を教える万丈。

因みに、この光景を彼の仲間達が見たら───

 

『万丈が、文明の利器を解っている....だと....!?』

 

───という風に、信じられないモノを見たかのような表情で驚愕されることだろう。

 

全身筋肉馬鹿のあの万丈龍我が、機械の使い方を他人に説明するなど、天地がひっくり返ってもありえないのだ!!

 

「誰が全身筋肉馬鹿だ!」

「うわぁ!?何スカ急に!」

「よく分かんねーけど、今誰かにバカにされた!」

「野生かよ…」

 

改めてスマホの使い方の説明を受け、何とか使いこなせた陽介は早速、名簿を確認した。

 

「っ!?マジかよ……!」

 

「お前も誰か知り合いが巻き込まれたのか?」

 

「あぁ。同級生で相棒の鳴上悠、後輩で探偵の白鐘直斗、最近知り合ったマリーちゃんと警察官の足立透さん、この四人だな」

 

「こっちは俺を入れて五人。戦兎は俺の仲間で、この殺し合いを止めるために絶対動く。鷲尾兄弟は敵同士だったけど、あん時はお互い戦争が理由で戦ってたし、悪い奴らってわけじゃねぇから、話せば一緒に戦ってくれるだろうな」

 

「え、戦争?」

 

「でもエボルトの奴は絶対乗る気満々だ。あの野郎のことだから、またロクでもねぇこと企んでるに違いねぇ。」

 

「あ、あのなんですけど…そのエボルト?ってのはそんなにヤバいやつなのか?」

 

「はぁ?お前テレビも見てねぇのか?スカイウォールで日本を三つに分けて、戦争まで引き起こした地球外生命体だぞ。この前テレビで堂々と正体バラして───」

 

「ちょ、ちょっと待った待った!アンタさっきから何言ってんだ!?戦争だの、スカイウォールだの、地球外生命体だの、どれもこれも全く聞いたことねぇぞ!」

 

「………お前、ホントに知らねぇのか?」

 

「本当だって!いくら八十稲葉が田舎でも、そんなヤバい話ニュースになってない方がおかしいくらいだぜ!」

 

(あれ待てよ?何かこれって、前にも………)

 

万丈は、陽介があまりにも知らなさ過ぎる事にある違和感を感じていた。

それは、北都との戦争が勃発する前、ある科学者が作り出した装置が原因で起きた、二つの世界を巻き込んだ大きな戦い。万丈自身もその装置によりもう一つの地球へ飛ばされ、その世界の住人との会話で食い違いが生じた時と、同じ状況に似ていると感じた。

 

「なあ、お前ってさ─────」

 

確認を兼ねて、陽介にあることを聞こうとした直後、

 

 

ドゴォオオオオンンン!!!!!

 

 

「「な、何だぁッ!?」」

 

何かが爆発する轟音が聞こえ、同時に大きな揺れが伝わってきた。何事かと思って外に出てみると、西側にある高層ビルの上層階が爆発し、崩れ始めた。

 

「な、なぁ。何かヤバそうだからさっさと離れようぜ!」

 

「イヤ、行ってみる。戦兎か、他のやつが巻き込まれてるかもしれねぇ」

 

「えぇ!?なんで!?イヤイヤイヤ、見ただろビルがぶっ壊れるのを!明らかにヤバ過ぎる参加者が居る証拠だろ!距離取るだろ普通!!」

 

陽介が現実的な発言をするも、なんと万丈はその危険な現場に向かうと言い出した。彼は頭がおかしくなったのかと思い、再び離れるよう説得する陽介。

 

「だから行くんだよ」

 

「え?」

 

しかし万丈は先程と違い真面目な顔つきでそう言った。

 

「俺の知ってるあのナルシストな天才はな、周りからどんだけ悪者扱いされようが、自分が悪魔の科学者だって真実を知ってもな、誰かを為に戦うヒーローであることを、あいつ自身掲げたラブ&ピースの信念を曲げなかった。そういうやつなんだよ、桐生戦兎は」

 

「………」

 

「誰かの明日を守るために戦うってのも、案外悪くねぇぜ」

 

(…………この人、スゲェ。何ビビってたんだろうな、俺は)

 

万丈そのまま、支給品のインクルシオの鍵を背中に下げ、クローズマグマナックルを手にして一人でビルの方に歩き出した。

 

「ま、待ってくれアンタ!俺も一緒に行く!」

 

しかしその直後、陽介が同行を申し出たのだ。

 

「ん?無理してついてくることねぇぞ。あの場所に行けば、確実に命の保証が出来ねぇ」

 

「分かってる。俺さ、さっきまでパニックになって考えが後ろ向きになってた。何でもかんでも周りに合わせて、自分を二の次にしてたあの頃の俺みたいで、ホントカッコ悪い。」

 

「………」

 

「でも、俺がペルソナ使いに目覚めることになったあの時、相棒に言われた事を思い出したんだ。どんなことも勇気を持って前に勧めってな!」

 

「だから……俺は逃げねぇ!」

 

陽介はその手に音の聖剣、音銃剣錫音を握ったまま拳を突き出し、決意を告げた。

 

「良いんじゃねぇか?そういうの」

(なんか平行世界に飛ばされたあの時の俺に似てるな)

 

「じゃ、行こうぜ陽介。死ぬなよ」

「あいよ、万丈さん!」

 

 

ラブ&ピースを掲げる天才物理学者を相棒に持つ万丈龍我。

絆を大切にする特別捜査隊のリーダーを相棒に持つ花村陽介。

 

最高の相棒の生き様を見てきた男達の物語が、今ここに始まる!

 

 

 

 

「そういや、さっき言ってたパラソル使いってなんだよ。傘で芸でもやるのか?」

「ズコッ!パラソルじゃなくて、ペ・ル・ソ・ナ!無理矢理ってレベルじゃねぇぞ今の間違え方!」

 

(この人、バカ過ぎるだろ絶対……!)

 

 

─────かもしれない…。

 

 

 

【エリアG-3/芸術館/1日目/深夜】

 

 

【花村陽介@ペルソナ4】

[状態]:健康、パニック(小)、不安(小)

[服装]:八十神高等学校の制服

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(花村陽介)

[参戦時期]:特別捜査隊がマリーと知り合った頃

[装備]:音銃剣錫音@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ヘンゼルナッツとグレーテルワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、ランダム支給品0〜2

[思考]

基本:相棒たちと合流する。

1:あのビル、絶対ヤバイぞ……

2:万丈さん、頼もしい!馬鹿だけど……

[備考]

※仮面ライダービルドからの参加者の情報を入手しました。

 

【万丈龍我@仮面ライダービルド】

[状態]:正常、アズへの怒り(中)

[服装]:いつもの服装(青スカジャン)

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(万丈龍我)

[参戦時期]:原作46話の最終決戦前日の頃

[装備]:悪鬼転身インクルシオ@アカメが斬る!、クローズマグマナックル@仮面ライダービルド、ドラゴンマグマフルボトル@仮面ライダービルド

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1

[思考]

基本:こんな殺し合い、ぶっ壊す!

1:戦兎を探す。鷲尾兄弟は話し合ってみる。エボルトのヤツはぶっ倒す!

2:ひとまずあのビルまで行ってみる!

3:あのアズって女は絶対ぶっ飛ばす!

[備考]

※ペルソナ4からの参加者の情報を入手しました。

 

 




※2024年1月1日に軽微な修正を加えさせていただきました。


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後ろのFEAR(恐怖)、なぁに?

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・コッコロ@プリンセスコネクト!Re:Dive


両手を耳に当て、強く強く、押さえつける様に力を籠める。

聞かない。聞かない。何も聞かない。

今、小洒落た雰囲気のバーで仮面の男と、黒い剣士の少女が何を話しているかなど分かるはずもない。

 

ゆっくりと瞼を降ろし、固く固く、目を閉じる。

見えない。見えない。何も見ない。

拳銃を持った男、、試練に打ち勝つことを選んだ大統領が動き出したことなど知る由もない。

 

黒い精霊に呪われ、忘れられていく自分を隠すように、蹲り縮こまる。

知らない。知らない。誰も分からない。

主と慕うあの少年騎士も、フレンドリーな腹ペコ剣士も、素直じゃない魔法使いも、自分を知ってるはずがない。

 

(わたくしはどこにもいません……誰もわたくしをしりません。

だから、お願いだから来ないでください。誰も、誰もここに来てはいけません……)

 

この催しが殺し合いだと告げられた時、コッコロは自分に期待される役割を察し、戦慄した。

勝手に人々の記憶から忘れられていく自分は、最強のステルス性を持った暗殺者になりうる。

極端な例えだが、一度殺し損ねた相手であっても、しばらく時間を置けば、何食わぬ顔をして再び前に立っても、他の参加者と同じだけしか警戒されないのだ。

 

(それにわたくしには、戦うだけの理由があります。

もし本当に、本当にどんな願いも叶うというのなら、わたくしはまた美食殿に…)

 

そこまで考えて、コッコロはすぐに頭を振りかぶった。

駄目だ。それこそ一番駄目だ。

それは美食殿の絆を文字通り血濡れに汚す行為だ。

自分は、何もしてはならない。

誰にもあってはならない。

誰にも見つかってはならない。

美食殿や、ランドソルで出会った人々との関わりを絶ったように、関わらなければ誰にも害が及ぶことはない。

自分にも、見知らぬ他人にも、ペコリーヌにも、キャルにも、ユウキにも。

 

『本当に?』

 

「ッ!」

 

顔を上げる。誰もいない。

当然だ。この部屋に入ってすぐ、椅子や掃除用具をつっかえ棒にバリケードを作った。

いくら耳を塞いでいても、通気口から誰かが来れば、流石に気付く。

じゃあ今の声は、ほかならぬ自分の疑問?

 

(そんなはずがありません。

わたくしが動きさえしなければ、誰も危険な目にあう事も……)

 

『本当に?』

 

また振り返る。誰もいない。

あるのは船内の様子を映す無数のモニターのみ。

 

「あ……」

 

そのモニターの一つに、見てしまった。

何か、人の腕だった細い物を齧りながら移動する羚羊型ミラーモンスターの姿が映っている。

 

「もし、もし主さまが、出会ってしまったら……」

 

真水の入ったバケツに、徐々にゆっくりと墨汁を垂らしていくように、

コッコロの中に黒い物が広がって行く。

 

(わたくしが、わたくし一人が酷い目に合うのなら、それは構いません。

けど、けど主さまたちが、理不尽な暴力にさらされ、傷つくというのなら……)

 

それだけは許せない。それだけは我慢ならない。

でも、その為には…

 

ガチャリ!と、固い床に固い物が転がる音がした。

見ると、椅子の下にうずくまる前に、無造作に捨てたデイパックの中から、二つの奇妙な奇怪が転がり出ていた。

最初デバイスと一緒に確認して、使わないからと、紙に戻さず入れていた物だ。

 

「もし、もし紙に書いてあった通りなら…」

 

駄目だ。それを手にしてはいけない。

きっとロクな代物じゃない。

 

「もしこのコッコロにも使えるというのなら…」

 

使ったら最後、きっと戻れなくなる。

あのアズが態々配ったものだ。

 

「主さまに、ペコリーヌ様に、キャル様に害なす者たちから…」

 

そんな事をしてしまえば、あのアズの思うつぼだ。

人殺しなんてする必要はない。

 

「守れる!」

 

蛍光イエローの装置、飛電ゼロワンドライバーを装着し、

白と黒のデータキーのスイッチを押す。

 

<アークゼロワン!>

 

キーが白とブラッドレットに変色し、左のシグナルも、赤い悪魔の顔を模したようなレリーフに変わる。

それと同時にベルトの色が赤一色に染まる。

まるでこれから先重ねていく罪を見せつけるかのように。

 

「わたくしは、主さまを、美食殿を守る為に……」

 

<オーソライズ!>

 

認証音声と共に、ベルトから赤い血管のような物が伸び、コッコロの体に入り込んでいく。

それは彼女の能力を強引に限界まで引き上げていく。

 

<プログライズ!アーク!>

 

展開したキーをスロットに差し込む。

力の受け皿として強引に補強された体に、人類滅亡の為の力が遠慮なしに流れ込んでくる。

 

「ー---ーッ!!!がぁっ……ッ!」

 

体をいっぺん残さず丁寧に焼き焦がすような痛みと共に、血濡れの鎧が装着される。

 

<Final Conclusion!アーク!ライジングホッパー!>

 

「は、ははは……あぁあああああああああああ!」

 

<A jump to the sky to gain hatred.>

 

悪意、蠢動。

 

 

 

 

 




【エリアJ-4/豪華客船モニター室/1日目/深夜】

【コッコロ@プリンセスコネクト!Re:Dive】
[状態]:全身に激痛、悪意(大)、アークゼロワンに変身中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(コッコロ)
[参戦時期]:絆、つないで。こころ、結んで。前編で美食殿を去った後
[装備]:飛電ゼロワンドライバー(複製)@仮面ライダーゼロワン
    アークゼロワンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:美食殿を守る為に、悪意を持った参加者を滅ぼす。
1:この船にいる悪意を持った参加者を倒す。
2:そして美食殿を守る為に、全ての悪意を持った参加者を倒す。
3:美食殿の方たちには、会いたくない…。
[備考]
※飛電ゼロワンドライバーは、赤く変色していますが、生命維持機構が殆ど存在しない事以外は、アズがファイナルステージで使った物とほぼ同一の機能です。
またエデンドライバーの様に、一定の悪意がある者ならだれでも変身出来ます。


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泥船どんぶらこ


作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
・アリス@SINoALICE
・桐生戦兎@仮面ライダービルド
・木村@仮面ライダージオウ
・滅@仮面ライダーゼロワン



『仮面ライダービルドにして、てぇんさいっ!物理学者の()(りゅう)(せん)()は、地球殲滅を宣言した地球外生命体、エボルトを止めるべく、他の仮面ライダーと共に奴のいるパンドラタワーに突入した。

エボルトの目的である10本のロストボトルを用いて造るワームホールによって、より多くの星を吸収するのを防ぐためである。

だが、仮面ライダーグリスが、壮絶な戦いの末、命を落とす…』

 

『どこの世界でも、人類が滅ぶ定めなのは変わらない』

 

『お、お前は!そんな激戦のさなか、急に呼び出された謎の殺し合い、バトルロワイヤルで出会った、変身後の体格がなんか似てるほr』

 

『やめろ!それ以上喋ればお前から滅ぼす!』

 

『落ち着け。そこまでだ。これ以上は本編の内容だ。

ここで全て話してしまっては意味がない』

 

『あー、それもそうか。じゃ、大統領もそうおっしゃるんで、媒体別ロワイヤル、最新話どうぞ!』

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「最っ悪だ……」

 

エリアJ-4が豪華客船の一室…恐らくは医務室と思われる部屋のベッドの上で桐生戦兎は目を覚ました。

そしてつい先ほど、目の前で繰り広げられた惨事を思い出す。

自分と同じ顔の、しかも死んだはずの男が首より上を爆弾で吹き飛ばされる光景。

観ていて気分のいいものではないのはもちろんだし、人の命をあんなにも簡単に奪えてしまえるあのアズなる女や、その仲間に強い怒りを覚えていた。

 

「けど、アズ。お前は一つ大きな失敗を犯している」

 

仮面ライダーとは兵器ではない。

戦いを終わりへと導く正義のヒーロー。

何が有ろうと、無辜の人々を傷付けたりはしない。

戦兎はまず、枕元に置かれていたデイパックの中身から調べることにした。

あまりにもわざとらしく戦兎の目につくように置かれていたからだ。

思った通り、説明の時に見せられたデバイスとメダルが出てくる。

 

「こっちは説明があったけど、こっちの紙は何だ?

名簿はデバイスって言ってたからそれ以外、細かいルールや解除の地図らへんが妥当かな?」

 

なんて思いながら開いてみて驚いた。

隙間何て一切なかった紙の中から、彼の発明品であるビルドドライバーとラビットタンクスパークリングボトルが出て来たのだ。

 

「は……はぁ~~!?な、なんだこれ!?

既存の物理法則を完全に無視している!

俺のビルドドライバーのアジャストバインド(ベルトの帯部分)の比じゃない!

これほど複雑な構造物をどうやってこのわずかな隙間に保存できたんだ!?」

 

戦兎は自他ともに認める天才物理学者である。

ビルドドライバーに、地球外文明の産物であるパンドラパネルの『フルボトルのベストマッチ識別機能』を移植できるだけの技術を持っている。

だからこそ、この紙の異常性を誰よりも深刻に理解出来た。

出来てしまった。

故に思ってしまった。

『この原理を解明してみたい』と。

ある恐竜学者が言うには、男には二つのパターンがあるという。

『天文学者になるタイプ』と『宇宙飛行士になるタイプ』。

つまり前者で有ろうと、後者であろうと、男は未知への好奇心に弱い生き物という話である。

戦兎は己が好奇心に完敗を喫し、欲の赴くままエニグマの紙への実験と考察を繰り返した。

が、結果から言えば無意味だった。

『エニグマの紙』は幽波紋能力により生み出された物。

その能力を見極め、解析するという事は、スタンド、エニグマの本体、宮本輝之輔の精神を解明することに他ならない。

科学、物理学などより、断然文学や精神分析学の領分である。

今の自分ではこの紙を解析できない。

そう彼が気付いたときには、もう既に部屋中の紙、壁の余白と言う余白が計算式で埋め尽くされていた。

 

「最っ悪だ……」

 

あんまりにもあんまりな時間ロスをしてしまった。

その間、幸か不幸か残る支給品も全て調べつくせたが。

実験を繰り返すうちに、バラバラになってしまったビルドドライバーとスパークリングボトルが入っていた紙は、これも貴重なサンプルという事で、集めて机にあった封筒に入れると、立ち上がる。

 

「仕方ない。本格的な解析はアズとその一味、それからエボルトを倒してからだな。

さーて。名簿の確認、っと」

 

デバイスを起動すると、画面に時間と『J-4』という文字が浮かぶ。

スマートフォンで言うホーム画面に行くと、名簿以外に地図、放送、ルール説明の三つがあった。

まず名簿を確認し、次に地図、最後にルール説明と読んでいく。

 

「なんで鷲尾兄弟の名前が?

いや、死んだはずの佐藤太郎がもう一回死んでたし、今更か。

俺以外に万丈やエボルトまでこの首輪で制御できるつもりだとしたら…」

 

ドライバーが入っていた紙が主催者たちの持つ科学力の産物なら、この首輪も侮れない。

戦兎の知らない技術がふんだんに使われている可能性が高い。

何せ、いざと言う時にはこの首輪一つでブラッド族を殺せる物かもしれないからだ。

 

「エボルトには何か俺らとは別の処置がされてる可能性もあるけど、それはそれで向こうが技術力で勝ってるのには変わらない」

 

そもそも一度無様に拉致されてる時点でこちらが圧倒的に不利だ。

けどそれは悲観する理由になっても、あきらめる理由にはならない。

 

「なんせ俺は、ナルシストで自意識過剰な、正義のヒーローだからな!」

 

戦兎はデイパックを背負い、ビルドドライバーを装着すると、何かの儀式後の様になった部屋を後にした。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

走る。走る。

アリスは走る。

いつか兎を追いかけたのとは逆の立場で。

いつかトランプ兵に追い掛けられたのと同じように。

ナイトメアとは似て非なる、不気味な角の怪物からひたすら逃げる。

別に木村の事を信頼したわけじゃない。

が、信用はした。

理由としては、彼が支給されたカードデッキを使い慣れているふうだったこと。

彼の使役するミラーモンスターが、いつも相手にしているナイトメアたちより、あの少女が使役する奴らに似ていたこと。

そして何より出まかせを言うには、あまりに少女の、インペラーの力に詳しかったからだ。

なんでも、今回のとは別の殺し合いで、一時的に手を組んでいた者が同じ力を使っていたそうだ。

それが何であの子供の手に?と聞いてみると、

 

「石田はカードデッキを奪われた上で殺された。

その下手人の手塚も死んでる。

多分あのアズって女が瀕死の手塚から盗んであの子に渡したんだろう」

 

との事だ。

ダメ元と思ってあのアズについても何か知らないか聞いてみたが、

 

「さあな。ま、それでもこんなものを付けられてる以上、奴の言葉を信じて戦うしかない。

信ずるものは救われる、ってな」

 

と、首輪を指さしながら言った。

そうだ。何をいまさら再認識しているのだろう。

どんな望みも叶う。その言葉に全てをかけて戦うのみ。

どんな方法でも勝ち残る。

たとえそれが、目の前の障害を打破するためなら、他陣営、敵とも組む。

それだけの話だ。

まずは二人で行動し、奴らに見つかったら二手に分かれる。

高確率でアリスを追うだろうから、分かれた木村は変身して透明化。

そして決定的タイミングで、口笛を合図に必殺の一撃を叩きこむ。

振り子の要領で勢いをつけたベルデが、メガゼールの背後を完璧に取った。

空中で何回転もしながら奴の角が地面を向く形で、落ちた。

角が地面に突き刺さり、下手に安定してしまったせいで首に異様な力がかかる。

ゴリゴリと固い物が惜し潰れる音がした。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「話って?」

 

「ミラーモンスターを操ってたあの子供の事だ」

 

「ミラー、モンスター?」

 

「今お前の腕を捕まえてるそいつと、あの5体は同類だ。

俺はその倒し方と、倒せるだけの力を持っている」

 

「……」

 

「奴らが狙ってるのはお前だ。

俺はそれに便乗して、奴らを倒したい」

 

「分からない…何故数で圧倒的に不利な私と組みたいの?」

 

「あれと交渉できると思うか?」

 

「……いいえ、無理ね」

 

「だろう?お前は自分の陣営の不安要素を消しておきたい。

俺は敵陣営を減らしたい。

一時しのぎだが、いい協力関係を結べそうじゃないか?」

 

「分かった。作戦は有るの?えっと…」

 

「木村だ。そう言うお前は?」

 

「、、アリスよ」

 

「作戦はある。逃げる時に通ったあの食堂だ。

あの天井の高さなら、きっとうまくいく」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

こちらの口笛に気付いたアリスが左に飛んだ。

それを見たベルデ…木村はデッキから引き抜いたアドベントカードを、左大腿部に装着されているバイオバイザーにセットした。

 

<FINAL VENT>

 

擬態を解除して出現したバイオグリーザの口から伸びた舌が、木村の足首に巻きつく。

頭を下にして、振り子の要領で勢いよくメガゼールに飛びついた木村は、しっかりと敵の両足首を掴み、何回転もする景色の中、絶妙な姿勢を保つ。

ほんの些細なミスも許されない。

ちょっとでもトチれば、ただの自爆技だからだ。

正常な向きになった視界が真っ直ぐに落ちる。

何時もの様に、足の裏を通じて地面の際かいとは別の、首の骨を潰した確かな感触が伝わる。

 

「まず一体……」

 

ベルデのデスパニッシュを受けたメガゼールは粒子状にバラバラになり、光る球体へと変化した。

それを下で器用にからめとる、持ち去って行くバイオグリーザ。

木村はベルトからデッキを抜き、大きく息を吐く。

 

「木村、今のは?」

 

背中に剣を納刀したアリスが駆け寄ってくる。

ポケットにデッキをしまうと、木村は

 

「似ていたが違う。

石田が契約していたのは紫の奴だ」

 

と、答えた。今の奴は緑だ。

残る4体も出来るなら始末しておきたいので、問題ないと言えばない。

 

「ほう?なかなかの手際だ」

 

拍手と、小さな靴音を鳴らしながら近づいてくるものが一人。

 

金色の長い髪をした白人の男だ。

脇の階段を使い、ステージの方からゆっくりと降りてくる。

右手に拳銃こそ持っているが、今すぐ事を構えようって気はないようだ。

 

「アンタは?」

 

「私はファニー・ヴァレンタイン。

ある目的のために、この『試練』を乗り越えんとするものだ」

 

横目でアリスを見ると、予断なく男を睨みながら、男に斬りかかれるように構えている。

場合によっては、木村もその凶刃を向ける対象になるだろう。

それくらいにこの少女には余裕がない。

あの少女と唯一真正面から対峙し、あの惨状を最もまじかで見せつけられたのだ。

当然だろう。

 

(参ったな。アリス一人ならともかく、こうも陣営が違う奴ばかりが集まって来るとは…)

 

ヴァレンタインの首輪の色は青だ。

陣営(いろ)は全部で五つ。五等分の絶望の内三つが綺麗に一つづつ。

まあ、下手に緑や桃色ばかりに偏って貰っても困るのだが。

 

「そう身構えるな。我々は今はナプキンを取れないどころか、円卓に着くことすらままならない者どうし。

あの少女の操る怪物どもを排除しなければ、この船の探索もままならない。

ならば一度陣営など考えず共通の敵を排除するのが一番合理的。違うかね?」

 

ナプキンとか円卓とかよくわからん例えはいいとして、確かにこの男の言う事はもっともだ。

だが『はいそうですね。仲良く頑張りましょう』とはならない。

木村だって、アリスと組めたのは、インペラーの情報という利益が有ったからに他ならない。

 

「何にも違いませんね」

 

恐らく奥の入り口を使って入って来たのだろう。

また一人、若い男の声が上がった。

爽やかな夏服を着こなした東洋系の男だ。

その顔に全員が驚いた。

髪形も服装も全然違うが、その顔は、最初のホールで店閉めに殺された男と瓜二つだからだ。

 

「あー、似てるでしょう?

よく言われるんですよねぇ、佐藤太郎の影武者かなんか?って」

 

「そうか……それ、君の名前は?」

 

「桐生戦兎です。えーと、ヴァレンタインさん?でよかったですか?」

 

「ああ。君たちは?」

 

「……」

 

2人を交互に睨んだまま喋らないアリスに代わって木村が前に出た。

 

「俺は木村。この子はアリス。

アンタらどこからどこまで見てたんだ?」

 

木村が問うと、まずはヴァレンタインが答えた。

 

「私は最初からだ。

ついでに言えば、あの少女があの怪物を操り、スーツの男を連れ去るのも見ている。

キリュウ。君は?」

 

「俺はそこの二人があの怪人を倒すところしか。

アンタらの話ぶりから察するに、あの怪人はもう何体かいるみたいだけど…」

 

「三体だ」

 

木村たちが入って来た空きっぱなしのドアから、重くて大きな何かが投げ込まれた。

銅色の怪人…マガゼールだ。

角は半分折られ、体もあちこちボロボロ。

正に瀕死の重傷だ。

 

「ッ!」

 

素早く剣を抜いて一歩下がるアリス。

木村もデッキを取り出しながら、同じように闖入者と距離を取る。

紫色のスーツにメタルシルバーと黒鉄色のプロテクターチックな装甲に、紫のアンダースーツ。

鋭角の黄色い複眼の仮面をつけたそいつは正しく…

 

「なんだそのライダーシステム?」

 

(よくみればこいつも奇妙なベルトを巻いてる…新手のライダーか?)

 

「ほう?仮面ライダーを知っているか」

 

紫のライダーは驚いた様子もなく淡々と告げた。

そして左腕の装甲についた棘を伸ばし、地べたを這うマガゼールに突き立てる。

 

「ー----ッ!ッッッッッ!」

 

断末魔の叫びを挙げて、マガゼールは融解するように消滅した。

 

「次はお前たちだ」

 

右手で持った弓矢型の武器を構えるライダー。

 

「落ち着け!今そいつと戦う事になったってことは、お前もあの子供に狙われている!

奴らを倒すまででも…」

 

「関係ない!

人間は醜い悪意を垂れ流し、星を汚し、破壊の為のゆがんだ文明を築き上げ、やがて最悪の悪意を自らの手で作り出す。

そんな人類に鉄槌を下し、人類滅亡を持って悪意の連鎖を止める。

それが俺……仮面ライダー(ほろび)だ」

 

問答無用か。

残る3体のモンスターを倒すまでの間だけでも休戦できないかと思ったが、仕方ない。

アリスと共に仮面ライダー滅に対抗しようと、デッキを構える木村。

すると意外にも二人をすり抜け、桐生戦兎が立ちふさがった。

 

「……確かに、科学が誤った使われ方をされれば、それは悲劇をもたらしてしまう。

そんな事、嫌と言う程見て来たし、体験して来た。

けどだからと言って!全ての人間がそうなわけじゃない!

正しい使われ方をされれば、環境や、多くの人々の平和の為にもなる!

簡単にあきらめていい問題じゃない」

 

「そんな甘い言葉だけで心の悪意は止まらない。

発展の為、平和の為、そう言いながら人間が創って来たのはいつだって破壊だ。

でなければ、我々は生まれていない」

 

「ああ、確かにアンタの言う通り、仮面ライダーは一歩間違っていればただの兵器だったさ。

『愛』とか『平和』とか、この戦いの中に限らず、いつだって脆い言葉だ。

だからこそそれを掴みたくて、必死に抗ってるんだ!」

 

そう言って戦兎は手にしたスパークリングボトルを振って起動させ、ベルトに装填する。

 

<ラビットタンクスパークリング!>

 

それを見た木村もVバックルを出現させ、指を鳴らしながら腕を振るポーズを取る。

戦兎がボルテックレバーを回し切るのと、木村がデッキをセットするのは同時だった。

 

<Are you ready?>

 

「「変身!」」

 

<シュワッと弾ける!ラビットタンクスパークリング!イエイ!イエーイ!>

 

ベルデ、アリスの横に赤、青、白三色の派手な刺々しいデザインのライダーが並び立つ。

仮面ライダービルド、ラビットランクスパークリングフォーム、変身完了。

 

「結局は争いを選ぶか。

愚かなる人間たちよ、亡き者となれ……」

 

一斉に走り出す4人。

アリスの剣を弓、アタッシュアローで弾き、ベルデの蹴りを屈んで交わし、ビルドのパンチをアローの側面で受ける。

 

(速い!)

 

木村は瞬時に作戦を立てた。

自身の手車(ヨーヨー)型武器、バイオワインダーで拘束し、ビルドに装甲を突破させ、アリスにとどめを刺させる。

カードを抜こうとベルトに手を伸ばしたベルデ。

が、即座に気付いた滅はベルデの肩を撃ちこれを妨害。

更にジャンプでビルドに距離を取りながら、アリスの方にも牽制で矢を放ち、接近させない。

 

(なんて奴だ!)

 

「機動性ならこっちも負けない!」

 

ビルドは左足で思い切り地面を蹴ると滅がたったいま作った距離を一気に詰め、連続攻撃を仕掛ける。

肩や腕のアーマーの厚い部分で受ける滅だが、特殊な泡の破裂を利用した勢いある攻撃に、衝撃までは受けきれず、大きくよろけた。

 

「なるほど、装甲を必要最小限にして、その分攻撃力や機動力を高めてるのか。

随分思い切った設計だな」

 

必然的に取る戦法は、ヒットアンドアウェイにカウンターを織り交ぜたスタイルが最適となる。

一度向こうのペースに入られたら抜け出すのは困難だが、一度それを上回る出力で押し切ってしまえばこちらの物だ。

 

泡を纏った拳と蹴りが絶え間なく連続攻撃を繰り出す。

なんとかガードは出来ていた滅だが、一度弱みを見せ、即席とはいえ互いの呼吸を掴み始めた三人相手に押され始める。

 

「やぁああああ!」

 

アリスが大上段かり放ったエリシュデータが肩アーマーに当たり火花を散らす。

そのまま全体重をかけて引き下ろされ、怯んだところをアリスを飛び越えたベルデのキック、からの連続パンチがもろに決まる。

 

「くっ!」

 

そしてアリスとベルデがはけると、その先にはボルテックレバーを回すビルドの姿が。

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

<Ready Go!>

 

それを見た滅も、ベルトのレバーを操作し、エネルギーを纏った針、アシッドアナライズが右足に巻きつく。

 

<スパークリングフィニッシュ!>

 

<スティング!ディストピア!>

 

二つのライダーキックが激しくぶつかり、余波で机や椅子がひっくり返る。

ベルデはアリスの前で体を固め、飛んでくる机や椅子を代わりに受けた。

 

「な、何して!?」

 

「生身の奴はもっと下がれ!」

 

どうにもこの男、調子が狂う。

リアリストなんだか、お人好しなんだか。

 

なんて思ってる間に、勝負は決したらしい。

一際大きな衝撃と煙が巻き起こり、無傷のビルドが宙返りを撃って着地する。

仮面ライダー滅は、煙の向こうに敗れた。

 

「あのベルト、拾えるかしら?」

 

「どうだろうな?あの爆発じゃ多分…!?」

 

いつの間にか姿の見えないヴァレンタインのとは違う靴音が響く。

不敵な笑みを浮かべ、煙の中からボロボロの着物を着たバンダナの男が現れた。

腰には滅のと同じベルトが巻かれている。

 

「お前が、滅……」

 

「まだ勝負は決していない」

 

そう言って滅は紫色のデータキーを構える。

 

「もうやめろ!これ以上戦ったって無意味だ!」

 

ビルドの忠告を受けなお、滅は笑みを崩さない。

それどころか益々余裕の態度を見せさえする。

 

「人間ならな」

 

そう言ってキーを持つのとは反対の手でバンダナを外す。

彼の耳があるべき場所には、ぽっかり空いた穴と、紫色に発光する機械が詰まっている。

 

「なに!?」

 

「馬鹿な、、」

 

「あれは一体……」

 

「俺は人間ではない……変身!」

 

<ポイズン!>

 

驚く三人をよそに、ポーズを取った滅は、腰に巻いた滅亡迅雷フォースライザーにキーをセットし、レバーを引く。

 

<フォースライズ!スティングスコーピオン!>

 

<Break Down.>

 

再び仮面ライダーに変身した滅はアタッシュアローを一度カバン状態に折り畳み

 

<チャージライズ!…フルチャージ!>

 

再び開いて横薙ぎに振るう!

 

<カバンスラッシュ!>

 

即座に泡を密集させて防いだビルドだったが、視界がふさがれた隙に伸ばされていたアシッドアナライズで足首を掴まれ、明後日の方向に吹っ飛ばされる。

 

「桐生!」

 

「まずはお前たちだ」

 

突っ込んで来た滅に応戦するベルデとアリス。

それぞれ拳と剣を同時に振り下ろす。

 

「ふっ!」

 

まず最初にエリシュデータをアローで受けた滅はそのままアリスをベルデの方に倒し、そのままもつれ合った二人を突き飛ばし、ベルトの脇についていたホルダーから、黄緑色のキーを取り出し、

 

<ストロング!>

 

起動してアローのスロットにセットする。

 

<Progrise key confirmed. Ready to utilize.>

 

<ハーキュリィビートルズ!アビリティ!>

 

「まとめて滅びろ!」

 

「ッ!」

 

ベルデはアリスを押し退けると、バイザーにカードをセットしながら立ち上がる。

 

<COPY VENT>

 

滅の姿を武器ごとコピーし、同じように弓を引く。

 

<<アメイジングカバンシュート!>>

 

ヘラクレスオオカブトの角を模したエネルギーの一矢が放たれた。

だが、当然ながらベルデの方がわずかに襲い。

結果、相殺こそできたが、二人は爆炎にあおられ、仲良くひっくり返った机や椅子の山に打ち付けられた。

 

「運のいい奴だ」

 

次の一撃で。

そう思い弓を引こうとした時、背後から近づく音に振り返る。

復帰して来たビルドだ。

 

「はっ!」

 

放たれる矢を泡で受けるビルド。

そのまま繰り出される斬撃も今まで通り対応するが、次第に食らう回数が増えていく。

 

(一回押し切ってやったのにこんな…いや、一回押し切ったからか?

こんな短時間で俺の動きを見抜いたってのか!?

馬鹿な!でもそうじゃなきゃ…こうも悉く受け流されるか、初動で潰される理由にならない!)

 

「気付いたようだな。ラーニングによって強くなる。

それが人工知能だ。お前の動きはもう学習し終えた。

お前は、ここで滅びる運命…」

 

強烈な斬撃を連続でくらい、膝をつくビルド。

滅はベルトを操作し、容赦ない必殺キックを浴びせる!

 

<スティング!ディストピア!>

 

「ぐあああああっ!」

 

変身解除され、絨毯を転がる戦兎。

生身の彼に、滅はゆっくりと弓を引き、

 

「死ね」

 

「させるかぁあああ!」

 

放たれた。

しかしそこに滑り込んアリスがエリシュデータを盾に防ぐ。

そのまま吹き飛ぶことは避けられなかったが…

 

「木村!」

 

叫びながらアリスは何か四角い物を投げた。

滅のヘラクレスのキーとは反対のホルダーについていたキーだ。

 

「何!?」

 

滑り込む一瞬のうちにホルダーからかすめ取られたそれをキャッチしたベルデは、コピーのヘラクレスキーを抜くと、

 

<バースト!>

 

受け取ったそれを起動してスロットにセット。

 

<Progrise key confirmed. Ready to utilize.>

 

<ライオンズ!アビリティ!>

 

「ふっ!」

 

「はぁ!」

 

<ダイナマイティング!カバンシュート!>

 

放たれた赤紫色の矢と角を模した一撃が激しくぶつかり合う。

瞬間、炸裂(バースト)能力(アビリティ)を付与された矢が一瞬部屋中が黒煙で覆い尽くされるほどの激しく爆発した。

 

(しまった!どこに……)

 

<CLEAR VENT>

 

「ッ!」

 

音のした方に矢を放つが、すでに誰もいない。

どうやら完全に取り逃がしてしまったようだ。

 

(三色のライダーは高い基礎スペックに加え、特殊な泡による攻撃。

あの緑のライダーは敵の武器を姿ごとコピー。

それから最後に聞こえたクリアーベントとやらも、システムボイスから察するに奴の能力だろう。

効果は不明だが、恐らく撤退に有利になるなにか。

消音、迷彩あたりが妥当か。

更にあの女は変身せずとも俺にダメージを与えるだけの身体能力……)

 

早々に逃げ出した長髪の男以外、全員が全員強敵と言わざるを得ない。

そう考えた滅は即座に追い掛ける事を決めた。

まずはキーの補充を、と思い支給品の紙を開く。

プログライズキーコネクタ。

滅亡迅雷.netのアジトにあるゼツメライズキーコネクタと、同一の機能を持つハブ兼キャリングケースだ。

今回使用したアメイジングヘラクレスと、奪われたダイナマイティングライオンを含め、四つのプログライズキーも付いており、まさに滅にぴったりの支給品だ。

その中から一つ選んで自分のホルダーに

 

「どジャアァぁ~~~ン!」

 

……閉じかけた紙の隙間から、変な掛け声とともに腕が伸びて来た。

それは今まさに滅が取ろうとしたプログライズキーをつまんで紙の奥に引っ込んでいった。

 

「今の変な袖は……あの長髪の男か?」

 

試しに紙をひっくり返したり、腕をいれてみようとしたが、全くうまくいかない。

どうやら少なくともこちら側からは、道具以外入れられないようになっているらしい。

一体どんなカラクリを使ったかは知らんが、奴だけが紙の隙間から出てこれる。

 

「味な真似を……」

 

残ったキーをホルダーに移し替えると、滅はすっかり戦場後と化した食堂ホールを後にした。

あの謝肉祭を催した無垢なる悪意を、歪なる文明を肯定する愚かなる悪意を、この戦いに乗った醜い悪意を滅ぼすために。

幸いにして奴らの強さは分かった。

あとは各個撃破して行き、恐らくは自分にとって一番の障害となる存在、仮面ライダーゼロツ―こと飛電或人、仮面ライダーバルカンこと不破諫を滅ぼす。

 

「全ては滅亡迅雷.netの意志のままに」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「……ここまでくればいいだろう」

 

客室の一つにたどり着いた木村たち三人は戦兎をベッド座らすと、机とセットで置かれていた椅子を引っ張って腰かけた。

 

「最っ悪だ。とんでもないのに目を付けられちまった…」

 

「ああ。けど倒さないことには狙われ続ける。

同陣営だろうと『人間だから』なんて大抵の連中に当てはまる理由で襲い掛かる奴だ。

野放しにしておいて、気付いたときには同陣営は全滅してました。

なんて笑い話じゃすまない」

 

「そうね。そんなのがこの船に二人も、、とんだ泥船ね。ここは」

 

「……なあ、あの紫の仮面ライダー以外にももう一人いるのか?」

 

「ああ。仮面ライダーインペラー。

あの紫の奴が殺したモンスターと似たようなのをあと3体使役するライダーだ」

 

「やっぱりあのアズってやつも、盛り上げ役ぐらいはちゃんと用意してるって訳か」

 

「盛り上げ役?」

 

首を傾げるアリスに木村が説明を引き継いだ。

 

「いくらこの首輪で脅したところで、自分に力がないからとか、嫌悪感や倫理観から殺人に走れない奴もいる。

そんな奴らに問答無用で襲い掛かって、どんな形せよ戦いをさせるか、適度に参加者を間引いてくれる事を期待されて確保された参加者がいる。

ってことだろう?」

 

座ってるのもきつくなったのか、ふかふかのベッドに寝ころびながら、その通り。と、答える戦兎。

 

「ただ裏を返せば、そんな奴らが活躍出来るだけの人数の参加者が、この船…だと会場の広さを考えると狭いか。

このエリアとその周辺にいるってことになる」

 

「探せば協力者も見つかるはず。そう言いたいの?」

 

「ああ。今すぐにでも探しに行きたいけど、俺のダメージは流石にもうちょっと抜けない」

 

当然だろう。いくら中間パワーアップ形態のスパークリングフォームでも、ライダーキックをもろに受けて、ダメージからの変身解除をされたのだ。

目立った外傷は無くとも、相応のダメージは追っている。

アリスもだ。ただの人よりうんと丈夫なキャラクターズだが、それでも生身で戦ってたのには変わりがない。

疲労、叩きつけられた痛み、戦兎を庇った時の手のしびれ、その他もろもろキツイ状態だ。

一番マシなのが木村だが、ベルデのスペックは決して高くない上、屋内では天井がある都合上、彼の最大威力(ファイナルベント)を発動しにくいという問題もある。

さっきの滅どうしの狙撃対決も、肩の痛みを無視して弓を引いていたりする。

せめてどちらかが満足に動けるようになるまでは引き籠っていたい所だ。

 

「紫のに関して言えば、三人がかりで撤退がやっとの敵だ。

もし次があるならお前にも戦ってもらいたい」

 

「けどまだ三体も奴らが私達を探してる。

ここも、いつまでも安全な訳じゃない」

 

「そんなのは分ってるだから時間を決めよう」

 

そう言って木村は壁に駆けられた左右反転した時計を指さした。

 

「ひっくり返ってて分かりにくいが、3時だ。

3時になったらまた外に出よう。それまでは休もう。

ただし寝るなよ?」

 

「寝れるか(わけないでしょ)」

 

そう言って二人はそれぞれ背を預けるソファーや寝具に沈んだ。

己が目的のために、血濡れた道を決意した者。

ただただドライに、生き残る最良の道を往く者。

愛と平和のために、正義のヒーローとして戦う者。

三者三様、もしわずかにでも歯車がずれれば、簡単にバラバラになってしまう危ういトリオ。

はたして泥船はこの船か、このグループか。

どんぶらこ、どんぶらこ。

暗雲の中、種類も分からぬこの船は、はたしてどちらに向かっているのか。

そのお話は、また次回。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「もしやと思ったが、うまくいったようで何よりだ」

 

手に入れたトラッピングスパイダープログライズキーを眺めながら、ファニー・ヴァレンタインは独り言ちた。

彼自身のスタンド能力、『Dirty_deeds_done_dirt_cheap』にかけられた制限は、本当にあの紙に書かれている物で全てか。

それを見極めるため、戦闘が始まるとすぐさま並行世界を経由して逃げ隠れると、誰かが警戒を解き、何か隙間に近づくのをじっと待って居たのだ。

何故、あれだけの混戦の中、そんな事が出来たのか。

それはヴァレンタインの支給品にある。

 

「千変万化クローステール…攻撃には役に立たないと思ったが、存外私のD4Cと相性がいい…」

 

ギリシャ語でそのまま糸を意味するこの帝具は、拘束や結界、口などから侵入させ、体を内側から破壊させるなどの用途があるが、ヴァレンタインはこれで即席の布を作り、場所を選ばず『隙間が必要な』D4Cの能力を使う事が出来ることに気付いたのだ。

 

「手の内は大体見せてもらえたか。

Dioのように切り抜けてくる可能性を考慮して、仮面ライダー滅は早急に他の三人に始末してほしい所だな。

スタンドの事をどうにか説明し、このキーを手土産に戻ればもう一度共闘できるだろうか?

キリュウはともかく、アリスは正直微妙だな」

 

キムラは…どうだろう?

交渉次第だろうな。

この船の事が片付けば、次はジョニィ・ジョースターとジャイロ・ツェペリにDio。

そして二人に始末されたはずのブラックモアやアクセルROだ。

どの世界から連れてこられたか知らないが、邪魔をして来るなら、必ずや始末しなければならない。

 

「悲観することはない。

ただ乗り越えるべき試練を改めて突き付けられただけのこと。

我が心と行動に、一点の曇りなし。全てが”正義”だ」

 

ここで言っておいて正解だぞヴァレンタイン。

そのセリフは多分アリスの前では言わない方がいいだろう。

なんて忠告してくれる同行者が出来るのだろうか?

それはまだだれにも分からない。

 

 

 

 




【エリアJ-4/豪華客船内、食堂ホール前/1日目/深夜】

【滅@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:正常、仮面ライダー滅に変身中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(滅)
[参戦時期]:本編39話終盤(アーク破壊後)~42話前半(イズ退場より前)のどこか
[装備]:滅亡迅雷フォースライザー@仮面ライダーゼロワン
    スティングスコーピオンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
    アメイジングヘラクレスプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
    ???プログライズキー@仮面ライダーゼロワン
    プログライズキーコネクタ@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1
[思考]
基本:アークと人類を滅ぼし、悪意の連鎖を止める
1:船内に居るヒューマギア以外の参加者を滅ぼす。
2:それが済み次第、速やかにゼロワン、バルカンを滅ぼす。
3:今は桐生、木村、アリス、ヴァレンタイン(後者二人の名前は知らない)を最優先。
[備考]
※手元に残ったキーの詳細は次の書き手に任せます。
 ゼツメライズキーやヒューマギアプログライズキーではないようです。
※ラビットタンクスパークリング、ベルデ、アリスの戦闘パターンをラーニングしました。
※モンスターたちの謝肉祭を目撃しています。
 少なくともありすの顔と、残るモンスターの数は把握しています。





【エリアJ-4/豪華客船内、どこかの客室/1日目/深夜】

【アリス@SINoALICE】
[状態]:打ち身などのダメージ(中)、利き手に痺れ(中)、精神的疲労(中)肉体的疲労(大)
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(アリス)
[参戦時期]:少なくとも融合編より前
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン
[道具]:デバイス、メダル、ランダム支給品1~2
[思考]
基本: 緑陣営を優勝させ、作者を復活させる。
1:木村、桐生と共にこの状況を切り抜ける。
2:ありす、ありすの使役するミラーモンスター達、滅を殺す。
  他陣営の参加者との共闘も辞さない。
3:3時までは休憩し、体力の回復に努める。
4:休憩を終えたら他の参加者を探す。
5:ヴァレンタインは…生きてるのかしら?
[備考]
※現実編で登場したアリスではないようです。
※武器を背負う都合上、デイパックを放棄しました。
※ビルド、滅のライダーシステムとベルデの物の違いがよく分かっていません。



【木村@仮面ライダージオウ】
[状態]:正常、疲労(中)体中に痛み(軽)肩に鈍痛(中)
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(木村)
[参戦時期]:死亡後
[装備]:ベルデのデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2(確認済み)
    ダイナマイティングライオンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[思考]
基本: 生き残る。
1:ありす、滅への対策として、アリス、桐生と組む。
2:城戸や秋山とも合流したい。
3:3時までは休憩し、体力の回復に努める。
4:休憩を終えたら他の参加者を探す。
5:桐生のベルトもあの紫の奴のも、随分形が違ったな…
6:そう言えばヴァレンタインはどこに行った?
[備考]
※「ありすアンタッチャブル」の一部始終を見ています。



【桐生戦兎@仮面ライダービルド】
[状態]:正常、疲労(大)体中に痛み(中)胸部に痛み(大)打ち身(中)
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(戦兎)
[参戦時期]:一海の死亡を知るった直後
[装備]:ビルドドライバー@仮面ライダービルド
    ラビットタンクスパークリングフルボトル@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本: 愛と平和の為に、このバトル・ロワイヤルを阻止する。
1:インペラー、滅、エボルト、あと一応鷲尾兄弟を警戒。
  佐藤太郎もそうだけど、あいつらなんで生き返ってるんだ?
2:万丈はまあ、大丈夫だろ。
3:3時までは休憩し、体力の回復に努める。
4:休憩を終えたら他の参加者を探す。
5:ヴァレンタインさんは無事かな?
6:余裕があれば、滅や木村さんのライダーシステムも調べてみたい。
[備考]
※エニグマの紙を調べましたが、現段階では科学的に解明できませんでした。
※カードデッキや滅亡迅雷フォースライザーを、並行世界のライダーシステムだと思っています。





【エリアJ-4/豪華客船内/1日目/深夜】

【ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】
[状態]: 正常
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(ヴァレンタイン)
[参戦時期]: 少なくともウェカピポが死亡してから
[装備]: M1911A1コルトガバメント(装填数6発)@現実
    千変万化クローステール@アカメが斬る!
[道具]: 基本支給品一式
    ランダム支給品×1(確認済み)
    トラッピングスパイダープログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[思考]
基本: この殺し合いという『試練』を乗り越える。
1: 化け物(インペラーの契約モンスター)、仮面ライダー滅をどうにかして始末する。
2: キリュウ・セントたちや他参加者とも合流したい。
3: ジョースターたちは、邪魔をして来るようなら始末する。
   同陣営なので、最優先と言う訳ではない。
[備考]
※能力に制限がかけられています。内容は以下の通りです。
『平行世界から連れてこられる人間はそれぞれ違う人間を三人だけ。』
『基本世界から平行世界に移動させられるのは二人まで』
※坂持金発とありすの姿を確認しました。
※名簿を確認しました。
死んだはずの知人に関しては『生きている世界』から連れてこられたと思っているようです。









メガゼール@仮面ライダー龍騎
マガゼール@仮面ライダー龍騎 撃破

羚羊型モンスター残り3体


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水と薔薇と猛虎の怪物

作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・エスデス@アカメが斬る!
・間桐シンジ@Fate/EXTRA


「ハアッ、ハアッ、ハァッ、ハァッ……!!」

 

一人の少年が、走っていた。

廃墟と化した学校の廊下を、息を切らしながら走っていた。

何かから逃げるように、ただただ全力で走っていた。

 

「くそ、くそ、クソッ!あんなのが居るなんて聞いてないぞ!」

 

少年、間桐シンジは、自分が遭遇したナニカに悪態を付きながら、逃走を続ける。

 

「さっきから何で振り切れない!?サーヴァントじゃあるまいし!」

 

遠くからは、追跡者と思しき足音が響いていた。

カツン、カツンと靴音が迫りくる。

 

逃げ回ること一時間。疲労も溜まり、とある部屋で足を止めたシンジ。

 

 

カツン─────!

 

 

息を整えようとするが、靴音に反応して慌てて振り返ると、いつの間にか追跡者が追いついていた。壁の隙間から差し込む月明かりが、その姿を照らし出した。

 

「フッ、鬼ごっこはおしまいか?」

 

軍服と思しき服装に身を包み、その上からでも分かる素晴らしいスタイルにスラリとした手足、氷のような淡い水色の長髪を靡かせた、戦女神を思わせる美しい女性が現れた。

 

しかし、その鋭い眼光は見るもの全てを萎縮させ、発せられるオーラは全てを恐怖させる恐ろしいものであった。

 

シンジは最初に出くわしてしまった軍服の女将軍、エスデスに対し、気が狂いそうになるくらい最大級の警戒を顕にした。

 

「は、ハッハハ、ハハハハハッ!」

 

「何だ、気でも狂ったのか?」

 

「いいや、そうじゃないさ。準備がギリギリ間に合って笑いが止まらないのさっ!!」 

 

そう言って右手を横に上げると、部屋中から大量の水が現れ、エスデスの周りを取り囲んだ。

 

「これは………。」

 

シンジの方を見ると、その中指には一つの奇妙な指輪が付いていた。

 

水龍憑依ブラックマリン。

触れたことのある水を自在に操る指輪型の帝具。

 

エスデスに遭遇する前、支給品を確認したシンジは移動中、偶然見つけた古い貯水槽の水に触れてブラックマリンの能力を試していた。そして大量の水を廃墟のひび割れた隙間などに通して集めてきたのだ。

 

(全方位からの水の弾丸。天井まで覆う水の壁。そして隠し玉として王水を混ぜた水でのとどめ。仮に大量の水から逃れても、酸性濃度の高い王水はガードできない!)

 

王水とは黄金をも溶かす酸性を持つ薬液。とっておきとして支給品にあった王水を水に混ぜ合わせ、それだけはひび割れた隙間に隠しながらずっと自分に追従させてきたのだ。

シンジは逃げると見せかけて、相手を罠に嵌める様々な仕掛けを逃げ込む部屋に仕込んで迎撃の準備をしていたのだ。

 

(加えて会議室サイズのこの空間だ。唯一の出入り口は水を厚めに集中してる。ジャンプしても回避できない。窓もないから逃げられない。このまま溺死に追い込んでやる!)

 

月の聖杯戦争のマスターの一人であり、アジア圏屈指のゲームチャンプでもある彼の頭脳は、この状況下でも遺憾なく発揮された。

 

そしてブラックマリンの能力で全ての水がエスデスに襲いかかる─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────はずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凍えよ。」

 

 

 

ピキィイイイイン─────!

 

 

 

次の瞬間、全方位から迫っていた水は、一瞬で凍りついた。

 

「─────は?」

 

「どうした、もう終わりか?やけに自信があったようだが、これで打ち止めではあるまいな?」

 

「………………。」

 

エスデスは、次はないのかと催促するが、シンジは一体何が起きたのか分からず呆然といていた。時間を掛けて罠を仕掛け、確実に相手を仕留められる状況下であったにもかかわらず、それが一瞬で崩されたという現実が、全く理解できなかったのだ。

 

「ハァ………ガッカリだ。」

 

─────キンッ!

 

シンジの表情を見て溜息をついたエスデスは、なぜか手にしている剣を地面に突き刺した。シンジは我に返り、何をするつもりなのか疑問に思うと、謎の違和感を感じた。

 

「何だ?やけに右側が軽い…しかも冷たい……?」

 

ふと右側を見てみると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面から現れた氷の刃により、さっきまで上げていたシンジの右腕がばっさり切り落とされていた。

 

 

 

「は?あ、あぁあ、アアアアアアアアッッッ!!!ぼ、僕の、僕の腕が、腕が〜〜〜ッッッ!!!」

 

いつの間にか自分の腕が切り落とされていたことに、恐怖のあまり大泣きするシンジ。しかし、何故か痛覚は感じない上に切られた断面が凍っていて血が飛び散っていない。

 

エスデスが地面に剣を突き刺した瞬間、シンジのいる地点の凍った地面から刃が現れ、一瞬で右腕を切り落とした際、同時に刃が腕に触れた瞬間皮膚が凍傷を起こし、内部の血液が僅かに凍ったことで感覚が無くなり、本人は痛みを感じることはないまま右腕を切り落とされたのだ。

 

エスデスは氷の壁を斬り刻んで脱出し、切り落としたシンジの右腕を拾い上げ、指についてるブラックマリンを外した。

 

「初めて使うブラックマリンの力を直ぐに理解し、この短時間で策に策を重ねた戦い方をするとは、正直驚いたな。が、所詮は策だけだ。リヴァなら力と策をもって、上手い使い方や奇襲を仕掛けていた。ナジェンダの奴なら不測の事態に備えて幾重もの策で私を迎え撃って来る。この帝具、お前には宝の持ち腐れだ。」

 

元将軍にして自分の右腕、ブラックマリンの本来の使い手であるリヴァと、敵対している元将軍でナイトレイドのボス、ナジェンダと比べたらお前とでは月とスッポンだと、部下と宿敵を例に上げてシンジを評価したエスデス。

 

「あぁぁぁ……うで、腕がぁぁぁ………。」

 

「心も簡単に折れて雑になる。丁度いいからストレス発散の相手にしようと思ったが、実につまらん。」

 

シンジに対し、もう興味がないのか終わらせようとするエスデス。

 

「しかし、そうだな。その戦い方で私を驚かせたことに免じて、一つ私の言うことを聞けば、私はこの場でお前には手を出さず見逃してやろう。」

 

「…………え?ほ、本当か……?」

 

「あぁ。お前、名は何という?」

 

「ま……間桐、シンジ……。」

 

「ではシンジ。私にこれの使い方を教えてもらえるか?私の国には無い代物なのでな。」

 

そう言ってエスデスは、デバイスを片手に持って見せていた。

 

「…………わ、わかった。」

 

ここは大人しく従うしかないとシンジは判断し、開き方からアプリの見方までデバイスの使い方を簡単に教えた。

 

「……なるほど、大体分かった。では、約束通り好きに逃げるがいい。」

 

「……クソ、覚えてろよ!」

 

片腕を抑えながら捨て台詞を吐き、そのまま逃走するシンジを、エスデスはただ見逃していた。

 

「約束は約束だ。私はこの場でお前に手を出さんさ。」

 

しかし、エスデスは冷たく笑いながら次にこう告げた。

 

 

「まあ、わたしは、だがな。」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「あの女……絶対に後悔させてやる…!!」

 

エスデスへのリベンジを誓い、廃墟から逃走を続けるシンジ。

 

「………ん?何だ、あれ?」

 

すると、シンジの正面右側にある大きめの氷に大きな生物が映りだすのを目撃した。その両眼は、シンジを狙い定めているようだ。

 

『通りかかる参加者を襲え。首輪と荷物は傷つけないようにな。』

 

主から下った命令通り、参加者の姿を捉えると大きな生物が映った表面から這い出てくるように姿を表した。

鎧の如く発達した外骨格、両手に長く鋭い爪を生やした二足歩行の白虎ような怪物、ミラーモンスターの一体デストワイルダーである。

 

『グルルルル…………!』

 

デストワイルダーはシンジに一歩二歩と近づき、そして爪と牙を向けて襲い掛かった。

 

 

「な、何だコイツは!?や、やめろ、来るな来るな来るなく、ぎ、ギィヤァァアアアッッッッ!!!!」

 

 

必死に逃げようとするもデストワイルダーに追いつかれ、シンジは捕食された。跡形もなく食い尽くされ、デストワイルダーの手にはシンジの血がベットリ付いた首輪だけが残された。

 

「決して約束を反故にした覚えはないぞ。最初に、『私は』手を出さん、といったからな。」

 

そう言って首輪を手に取るのは、先程シンジを逃したエスデス本人である。

 

デストワイルダーはエスデスが持つタイガのカードデッキの力により、彼女を契約者とみなし服従している。さっきの襲撃もシンジに遭遇する前、彼女が予め命令を下して待機させ、モンスターはその時をただ待っていた。シンジをあえて逃したのは、このモンスターの試運転も兼ねた、エスデスにとっての退屈しのぎの一貫であったのだ。つまり彼女に出会ってしまった時点で、シンジの命運はすでに決まっていたのだ。

 

しかし、エスデス自ら手を下さなかったあたり、彼女はシンジとの約束を本当に破るつもりはなかったのかもしれない。彼ががデストワイルダーの待ち受ける通路を通らなければ、何事もなく逃走に成功していたであろう。単純にシンジは、運がなかったとしか言いようがない。ただ、死んでしまってはもう後の祭りであるが。

 

 

ではここで、さっきから放置されていた疑問の解説に入ろう。

主催者によりデモンズエキスを失ったエスデスが、先の戦闘で凍結能力を発動していたのは何故か?

その答えは、エスデスがその手に持つ剣にある。

 

 

青薔薇の剣。

 

 

刃先から柄まで氷で出来てるかのように透き通って、柄に青薔薇が施されている青白い剣。とある世界の、果ての山脈と呼ばれる場所に存在した永久氷塊と、その側に咲いた一輪の小さな青い薔薇が剣の形に変化したもの。力を解放すると、大量のお湯を一瞬で凍らせるまでの冷気を発することが可能となる。

 

エスデスは最初この剣のことを、デモンズエキスを失った自分への代用品ぐらいにしか思っていなかった。しかし、青薔薇の剣を手にした途端、この剣は帝具に匹敵するレベルの代物だと、氷使いとしての感がその全てを理解し、あっという間に力を使いこなしたのだ。

 

「さて、私や部下たち、ナイトレイドがどうやって連れてこられたのか、革命軍に回収された帝具がなぜこの場にあるのか、疑問は山積みだがやることは決まっている。他陣営にせよ同陣営にせよ敵対するなら容赦しない。まとめて膝まづかせてやろう。」

 

そう言ってエスデスは残されたシンジの右腕を放り捨て、ブラックマリンを指に填めた。シンジの腕にはデストワイルダーが飛びかかり、あっという間に平らげた。

 

「私の会ったことのない、未知の強者も連れてこられている。さっきのシンジのように頭の回る奴からナイトレイド達のように闇に生きる日陰者、私と同じ軍人がいてもおかしくない。しかも支給品によっては弱者が強者にも化ける。」

 

「私の知らぬ強者たちと、そのための戦場を用意してくれた、その点だけは礼を言っておこう、アズ。」

 

「だが、やってくれたなアズ………!」

 

顔に手を当て、怒りと屈辱の表情を浮かべるエスデス。

 

「この私を難なく拉致し、デモンズエキスを消し去り、挙句の果て首輪を着けて生殺与奪の権利を握るなど、重ね重ねやってくれる……!」

 

 

帝国最強のドSの女将軍、エスデス。

趣味は狩りと拷問、拷問の研究。

戦うために生まれ、弱者を蹂躙し、強者をプライドごと砕いて捻じ伏せ屈服させることに史上の悦びを覚える。

法律や権力者全てを武力で黙らせるその姿にはカリスマ性があり、彼女を慕う部下たちは多くいる。

生まれついての殺戮者であり、支配欲の塊そのもの。

 

そんな自分を三度も出し抜いたアズに対し、並々ならぬ殺意が沸々と噴火寸前まで湧き上がっていた。こんな気分になったのは、キョロクの安寧道にて護衛任務に失敗し、ナイトレイドに逃げられた時以来である。

 

 

「覚悟しておけ。貴様共々、私自らの手で蹂躪してくれる......!!」

 

 

冷徹な殺戮者の蹂躙劇は、まだ開演したばかりである。

 

 

 

間桐シンジ@Fate/EXTRA 死亡

 

 

 

 

 




【エリアE-10/廃校/1日目/黎明】

【エスデス@アカメが斬る!】
[状態]:アズへの怒り、屈辱、殺意
[服装]:いつもの軍服
[所属陣営]:青(漫画)
[メダル枚数]:2枚(エスデス、間桐シンジ)
[参戦時期]:タツミ処刑編の後
[装備]:青薔薇の剣@ソードアート・オンライン
   水龍憑依ブラックマリン@アカメが斬る!
   タイガのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1
    シンジのデイバッグ、シンジの首輪
[思考]
基本: 敵陣営、逆らう者は皆、蹂躙する。
1:タツミ、今度こそ私のモノに…!
2:覚悟しろ、ナイトレイド…!
3:部下たちは、まぁ生き残るだろう……。
4:アズは私が下す。しかし場合によっては……。
[備考]
※デモンズエキスの消失を確認しました。
※王水@現実の入っていた殻のビンが転がっています。


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悪逆なるメタルの襲来

作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・PoH@ソードアート・オンライン
・万丈龍我@仮面ライダービルド
・花村陽介@ペルソナ4


『仮面ライダークローズの万丈龍我は、戦兎達関係者共々、謎のバトルロワイヤルに巻き込まれた。そして開始早々、違う陣営の参加者の花村陽介と出会う』

 

『そして、お互い情報交換してる最中、突然向こうの高層ビルが爆破からの崩落。殺し合いに乗り気な参加者の仕業と睨んで止める為、巻き込まれてる人を助ける為に一緒に現場まで向かっていた』

 

『お前その年で意外と根性あるな』

 

『まぁ、色々あったので。ていうか、このあらすじ紹介って、一体何のためにやってるんだ?』

 

『俺が聞きてぇよ。そういうのは作し───』

 

『だぁあああそっから先は言うな!!壁的な意味で!俺たちが向かった先に何が待っているのか!?最新話を見ていこう!』

 

『何で急に必死になったんだ?』

 

『ノーコメント!!』

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「ほ〜う。いきなりおっ始めてる奴がいるようだなぁ」

 

ストリウスによる攻撃で倒壊する高層ビル。

その様子を、エリアG-2にある4階建ての建物の屋上から眺める人物がいた。

 

黒のフード付きポンチョを纏って素顔が見えづらく、頬のタトゥーしか見えないが、声と体格から男性と思われる。

右手には、平仮名で「おの」と言葉が刻まれた赤い武器ジカンザックスを手にしていた。その武器を持つ手の甲には、気味の悪い笑顔を浮かべる棺桶のデザインの、ある組織のマークが刻まれていた。

 

《ラフィン・コフィン》───。

SAOにおいてプレイヤーを震撼させた最悪の犯罪者ギルドであり、数々の悪辣な手口で多くのプレイヤーを死に追いやり、犯罪者プレイヤー達を殺人者に仕立て上げた。

 

男はその結成者であり、リーダーのPoH。

 

ラフィン・コフィン討伐戦にて死んだと思われたが、組織そのものが面倒に感じて一人だけ開戦前に雲隠れし、影から討伐隊とラフィン・コフィンの殺し合いを見物して馬鹿笑いしていたなど、人間性は外道を通り越して吐き気を催す邪悪そのものである。

 

そんなPoHはこのバトルロワイヤルにおいて、陣営に関係なく狩りという名の殺しを愉しむスタンスでいる。

 

「ハハハ、早速獲物が自分からやって来たか」

 

丁度、ビルの崩落から逃げる参加者を一人発見した。

PoHは最初のターゲットを見つけ笑みを浮かべ、気配を消しながらその参加者の追跡を始めた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

崩落するビルから距離を取る雪ノ下雪乃は、エリアG-2にある自然公園の広場まで到着し、近くのベンチに腰掛けた。

 

「……ここまで来れば大丈夫かしら?」

 

(うん。一休みしたらまた移動しよう)

 

ベルトに宿るイマジン、デネブの意見に賛同し、小休憩をとる雪乃。しかし、これはバトルロワイヤル。少しの油断が命取りになるのだ。

 

(っ!?雪乃ちゃん、気をつけて!何か来る!)

 

「え?……キャァッ!!」

 

デネブの警告の直後、隣の空いたベンチが何処からか飛んできたビーム状の矢で破壊された。

その余波で飛ばされ、転げ回る雪乃。

 

「い、今のは……一体?」

 

(よくわからないが、誰かに狙われている。どこかに隠れないと!)

 

「そうね。まずは───」

 

バチィイイイッ!!

 

「アアッ!!」

 

立ち上がろうとした瞬間、再びビームの矢が飛来し、雪乃の右肩に直撃した。

 

「う、くうぅ…………」

 

(雪乃ちゃんしっかり!早く走るんだ!)

 

痛む右肩を抑えながらすぐ立ち上がり、雪乃は森の中へ走り出した。

 

「何だよ、逃げるか?つまんねぇなぁ。」

 

遠く離れた一つの木の上に、弓矢状の武器を構えるPoHが隠れていた。さっきのビームの矢は、彼が手にしているジカンザックスゆみモードで打ち出していたものだった。

 

「まあ、ゆっくり追い詰めてやるよ。逃げる獲物を追うのも狩りの醍醐味だ」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ…………」

(これで……何発目……?)

 

森に逃げ込み、木々に身を隠しながら移動する雪乃だが、さっきから逃げても隠れても、まるで自分の場所がわかっているかのようにビームの矢が次々と飛んでくるのだ。しかも、自分に当たるギリギリの場所ばかりに命中していた。

 

(わざと外してる…これは、遊ばれてる……だとしたら、犯人はかなり下卑た思考をしてるわね………)

 

(雪乃ちゃん、俺に代わってくれ)

 

「デネブ?」

 

(カードを裏返しにして再セットすれば、俺の人格がメインの形態にチェンジ出来る。ここは戦いなれてる俺に任せてほしい)

 

「出来ればそうしたいけど───」

 

ドカァン!

 

言いかけた所で、またビームの矢が木に命中した。

 

「相手はその隙も許してはくれないみたい。段々とビームの矢が来る間隔が狭まってきたわ。そのせいで貴方に変わる余裕がないの」

 

(なら、あの大岩の陰に逃げ込めば、少しはスキが空くはずだ。)

 

デネブの意見に賛成し、隠れていた木から岩陰に向けて走り出した雪乃。

 

しかし、雪乃もデネブも気づかなかった。自分達が相手に誘導されていたことに。岩陰に隠れようと移動する際、後ろを警戒しなかったことに。

 

そのミスを、狩人は逃さなかった。

 

〈タイムチャージ!〉 

〈5・4・3・2・1…ゼロタイム!!〉

 

ジカンザックスゆみモードの必殺技、キワキワ撃ちが放たれた。

 

「アァアアアッ!!」

 

黄金の矢の一撃を背中にくらって倒れ込む雪乃。変身は解除されなかったが、右肩の痛み以上のダメージを受けてしまった。

 

「………く、うぅ………」

 

(雪乃ちゃん!大丈夫か!?)

 

「だ、大丈夫……よ……。でも、これは───」

 

「オイオイ、もう終わりか?」

 

突然聞こえた声に反応して顔をあげると、いつの間にか目の前に、フード姿の男PoHが立っていた。手に持つジカンザックスをみて、どうやらこの男が自分を攻撃してきた犯人だと理解した雪乃は、相手を警戒する。しかし同時にあることに気づいた。

 

「……貴方は、同じ陣営……?」

 

「ほ〜う?よく見りゃお前も同じようだな」

 

ここでようやく、お互いが同じ赤の陣営であることに気がついた二人。

しかしPoHには、そんなことは関係ないのだ。

 

〈Oh!No!〉

 

PoHはジカンザックスをおのモードに変えて刃を雪乃に向けた。

 

「…………何の、真似かしら?」

 

「ハッ!お前は頭が回りそうなタイプだ。なら分かってるはずだろ?俺が狩人、お前は獲物。狩られるだけの獲物は、最期までキチンと仕留めないと、だろ!?」

 

そしてPoHは、雪乃の頭上目掛けて武器を振り下ろそうとする。

 

「……………ぁ」

 

(私はここで、死ぬの………?姉さん……由比ヶ浜さん………比企谷、君………)

 

 

 

自分の死を悟って目を瞑った雪乃に、死神の鎌ならぬ斧が迫ろうとしたその時─────

 

 

 

 

 

 

 

 

「行け!ジライヤッ!!」

 

ビュオオオオッッッ!!

 

「!?」

「え……?」

 

PoHに向かって疾風の刃が襲いかかり、彼を後方に吹き飛ばした。急いで周囲を見ると、何かがいた。

 

それは、どこかのヒーローを思わせる赤いマフラーをたなびかせ、迷彩ズボンを履いたというチープなデザインのモンスターがおり、その側にはヘッドホンをつけた学生、花村陽介がいた。何がともあれ雪乃は、死を逃れたのだ。

 

「チッ!何だありゃ───」

「オラァッ!」

 

更に、吹き飛ばされたPoHに追撃をかけるように、青スカジャンの男、万丈龍我がナックルを構えた右手で殴りかかってきた。既の所で躱し、後退するPoH。それを見て万丈と陽介も、雪乃のところまで下がる。

 

「そこのアンタ!無事か?」

 

「あ、ええ、何とか……」

 

「おい大丈夫か……って仮面ライダー!?」

 

「……!貴方は、さっきホールで話した人…」

 

「え?その声まさか、あのホールにいた女子高生か?お前、仮面ライダーだったのかよ」

 

「仮面、ライダー?」

 

最初にホールであったもの通し、思わぬ形で再会となった雪乃と万丈。

 

「再会の挨拶は後にして、今はアイツに集中しようぜお二人さん!」

 

陽介の言葉で我に返り、目の前のフード男を警戒する二人。

 

「ヒュ〜。獲物が三人に増えたか」

 

状況は多勢に無勢。普通なら一旦退却するのがセオリー。しかし、PoHはどこか余裕の表情であった。

 

「なら、コイツの出番と行くか」

 

PoHは更に距離を取ると身につけていたポンチョを捲った。その腰には一つのドライバーが装着されていた。

 

「はあ!?ビルドドライバー!?何でテメェが持ってるんだよ!?」

 

それを見て、万丈は驚愕の表情で指を指した。何故ならそれは、相棒の桐生戦兎が使うビルドドライバーそのものであったからだ。

 

「へぇ、コイツを知ってるのか。じゃあコレもか?」

 

PoHは更に懐から、赤い小型アイテムを取り出した。

 

「ハザードトリガーまで……!」

 

ハザードトリガー。

悪魔の科学者こと葛城巧が作り上げた、ビルドを戦闘マシーンへと暴走させてしまう禁断のアイテムである。

 

〈ハザードオン!〉

 

ハザードトリガーを起動してビルドドライバーのBLDライドポートにセットする。

 

〈タンク!〉〈タンク!〉

 

そして、二つの黒いフルボトルを振り、セット。

 

〈ドンテンカーン! ドーンテンカン!〉

〈ガタガタゴットン! ズッタンズタン! ガタガタゴットン! ズッタンズタン!〉

 

ボルテックレバーを回すと、ボディを形成するハザードライドビルダーが現れた。

 

 

〈Are you ready !?〉

 

「イッツ・ショー・タァーイム!!」

 

〈アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!〉

〈ヤベーイ!〉

 

 

ハザードライドビルダーがPoHをプレスするとフレームごと取り込まれ、一人の戦士が現れた。

それは、万丈がよく知るビルドのハザードフォームだが、細部が異なる。両目とも黒く染まったタンクアイ、同じく黒く染まったタンクフルボトル、メタルタンクタンクフルボトルをドライバーに装填している、全く知らないビルドである。

 

「なんだよそれ?そんなビルド見たことねぇぞ!」

 

「ビルドぉ?あぁ〜そういやあの紙に似たような名前が書かれてたなぁ。確か……あぁそうそう。メタルビルド、だったな」

 

仮面ライダーメタルビルド。

ハザードフォームを更に進化させた存在。万丈達がいずれ出会うテロリスト集団ダウンフォールの指導者、浦賀啓示が変身する凶悪な戦士である。

 

「だったら俺も!」

 

メタルビルドに対抗すべく、、陽介はワンダーライドブックを取り出しページを開く。

 

〈ヘンゼルナッツとグレーテル!〉

〈とある森に迷い込んだ小さな兄妹の、おかしな冒険のお話…〉

 

「………は?」

 

「何だよそのまったり感は?」

 

「それ、ヘンゼルとグレーテルの間違いじゃないのかしら?」

 

然し、突然流れたピリピリした今の空気に似合わない和やかな読み聞かせに、陽介は啞然とし、万丈と雪乃はさり気なくツッコミを入れる。

 

「……だああ何でもいい!!行くぜ!」

 

勢いで誤魔化した陽介は、ワンダーライドブックを音銃剣錫音に装填。陽気なリズムの音楽と共に聖剣を構え、引き金を引いてブックを展開。

 

〈銃剣撃弾!〉

〈銃でGO!GO!否!剣でいくぞ!音銃剣錫音!〉

〈錫音楽章!甘い魅惑の銃剣が、おかしなリズムでビートを切り刻む!〉

 

音符とお菓子、マゼンタ色のエネルギーが陽介を包み、彼の姿を音の剣士、仮面ライダースラッシュへと変えた。

 

「おお!?これが変身ってやつか……。」

 

仮面ライダーへの変身に驚く陽介。

 

(雪乃ちゃん!今の内だ!)

 

「……分かったわ!」

 

一方、雪乃もデネブの提案を受け、ゼロノスベルトからカードを抜き、裏返しにして再セットした。

 

〈Vega Form!〉

 

同時に、ゼロノスの背後に実体化したデネブが現れて両手を両肩に置くと、キャノン砲だけ残して本体に取り込まれ、アルタイルフォームは姿を変える。仮面が星形のものに変わり、装甲とマントが追加された姿、ゼロノスベガフォームにフォームチェンジした。

 

 

「最初に言っておく。この胸の顔は飾りだ!」

 

 

「……………あ?」

「「…………は?」」

 

ゼロノスの唐突な発言に、声を揃えて疑問を口にする陽介と万丈。PoHも思わず間抜けな反応を見せた。

 

「あいつ……馬鹿なのか?」

 

「ていうかさっきまで女性の声だったよな、何で急に?まさか、そういう趣味がおありなわけ?」

 

(ちょっとデネブ!!あなたのせいで私が変な人に思われてるじゃない!?後で覚えておきなさい……!)

 

デネブの発言のせいで、二人に変人の印象を抱かれてしまった雪乃。

 

「ご、ごめん雪乃ちゃん。あーその件はまた後で、今の俺のことはデネブと呼んでくれ。まずはアイツに集中しよう二人。」

 

「……それもそうだな。ところで万丈さんは生身だけど大丈夫なんだよな?」

 

「問題ねぇ。変身できなくてもやりようはある」

 

ちょっとグダグダなトークが繰り広げられたが、気を引き締めて構える三人。目の前にいるPoHは、いつでも来いと言わんばかりに体勢を崩していた。

 

「ハハハッ!準備は出来たようだな。そうでなきゃ狩りにならねぇ。精々俺を楽しませろよガキ共!」

 

 

三対一というアウェーな状況でも、余裕綽々な態度をとるメタルビルドことPoH。

ダメージと疲れが残る体を押し、デネブに選手交代したゼロノスこと雪乃。

初めての変身で戸惑うも、シャドウとの戦う時と同じようにすぐに切り替えるスラッシュこと陽介。

変身できなくても闘志を滾らせ、ナックルと剣を構えるクローズこと万丈。

 

異なる世界の、異なる人物によるライダーバトルの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

【エリアG-2/自然公園/1日目/黎明】

 

 

【雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:疲労(小)、右肩に痛み(小)、背中にダメージ(大)

    仮面ライダーゼロノスベガフォームに変身中

[服装]:総武高校の制服

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(雪ノ下雪乃)

[参戦時期]:少なくとも比企谷、由比ヶ浜とある程度の仲になってから。

[装備]:ゼロノスベルト(カード残り3枚)@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:ここが夢じゃないのは分かったから…。

1:デネブ、後はお願い。

2:変身は、解除したくないけど…。

3:あの人(万丈)は……。

[備考]

※特になし。

 

【デネブ@仮面ライダージオウ】

[状態]:実体化、雪乃に憑依中

[参戦時期]:ジオウ本編39話から40話のどこか

[思考]

基本:雪乃ちゃんを守り、ベルトと共に優斗の元に戻る。

1:彼ら(陽介と万丈)と一緒に敵を倒す。

2:やっと動けるぞ!

[備考]

※特になし

 

【PoH@ソードアート・オンライン】

[状態]:高揚、メタルビルドに変身中

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(PoH)

[参戦時期]:ラフィン・コフィン討伐戦の後

[装備]:ビルドドライバー@仮面ライダービルド、メタルタンクタンクフルボトル@仮面ライダービルド、ハザードトリガー@仮面ライダービルド、ジカンザックス@仮面ライダージオウ、

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1 

??????????@仮面ライダージオウ

[思考]

基本: この殺し合いをとことん愉しむ。

1: 目の前の奴らとの殺し合いに集中。

2: キリトは絶対に俺が殺す。

3: ライダーシステム、最高の兵器だ!

[備考]

※エニグマの紙一枚に、浦賀啓示/メタルビルドが使用するアイテムのセット(ドライバー、ボトル、トリガー)がまとめられています。

 

【花村陽介@ペルソナ4】

[状態]:正常、仮面ライダースラッシュに変身中

[服装]:八十神高等学校の制服

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(花村陽介)

[参戦時期]:特別捜査隊がマリーと知り合った頃

[装備]:音銃剣錫音@仮面ライダーセイバー、ヘンゼルナッツとグレーテルワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2

[思考]

基本:相棒たちと合流する。

1:これが、仮面ライダー……。

2:ヤバそうな相手だ……。

[備考]

※雪乃(デネブ)をオカマと勘違いしています。

 

【万丈龍我@仮面ライダービルド】

[状態]:正常、主催者とPoHへの怒り

[服装]:いつもの服装(青スカジャン)

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(万丈龍我)

[参戦時期]:原作46話の最終決戦前日の頃

[装備]:悪鬼転身インクルシオ@アカメが斬る!、クローズマグマナックル@仮面ライダービルド、ドラゴンマグマフルボトル@仮面ライダービルド

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1

[思考]

基本:こんな殺し合い、ぶっ壊す!

1:テメェはぶっ倒す!

2:戦兎のビルドドライバーとハザードトリガー、返して貰うぜ!

3:あんなビルド、見たことねぇ……。

[備考]

※メタルビルドを戦兎の発明品と勘違いしています。

 




※2024年1月1日に軽微な修正を加えさせていただきました。


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波音のなるほうで

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・ティーネ・チェルク@Fate/strange Fake
・浅上藤乃@空の境界
・空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険
・神山飛羽真@仮面ライダーセイバー


都心ステージがF-6エリア。殆どが海の中、僅かな陸地の端、静かな浜にて。

ティーネ・チェルクが最初に抱いたのは疑問だった。

彼女はアメリカがスノーフィールドで行われた『偽りの聖杯戦争』のマスターであった者だ。

だが今はそうではない。

彼女のサーヴァント、偽アーチャーは脱落したはず。

彼女もサーヴァントを失った。そのはずなのに…

 

(なぜ、令呪が?しかも…ちゃんと繋がってる)

 

彼女の手には血のように紅い聖痕にして、膨大な無色の魔力にして、英霊のマスター権、令呪が宿っている。

しかも三画、最初期の最大数しっかりと宿っている。

その上、今この瞬間も間違いなくあの黄金の英雄王への魔力供給が行われている。

つまりは死者蘇生…あのアズなる魔女が言っていたことが実際に起きたことになる。

まあ、もう死んでいる英霊を復活させるのは、厳密には死者蘇生と言うより、再召喚なのかもしれないが。

 

(なんにせよ、一刻も早く合流しなくては)

 

彼女の扱う魔術は強力だが、その魔術基盤…魔術が成立する根拠が彼女の故郷でしか信じられていない。

それ故に、その神秘の詳細を知る者が少ないため、強力な魔術を行使できるが、一歩でも魔術基盤の有る故郷から出れば、魔術的には戦力0になってしまう。

そんな中、彼女の手に宿る令呪によるサーヴァントへの絶対命令は、魔術回路とは別系統の、唯一行使できる魔術である。

例えば令呪一画の消費で『今すぐ来い』と命じれば、彼女のサーヴァントは、所謂瞬間移動をして傍らに現れる事だろう。

ならば安心だ。

凡そ英霊相手ならば、絶対に敵わないと断言できる存在を側におけるのだから。

だが、それはたった三回しか使えない唯一の魔術をこんな最序盤で使ってしまう事も意味する。

それにあの英雄王に頼り切るのも、彼の機嫌に関わる気がする。

敗北した所を無理やり呼び戻され、挙句の果てにそこらの人間と同じように首輪を付けられるなど、彼には耐えがたい屈辱であろう。

その盟友である偽ランサーまでそうなのだ。

もしかしたら、不機嫌に任せて暴れてるかも知れない。

 

「とにかく、早く合流しなければ」

 

ただし極力自分の力で、だ。

この狭い島で、あの王に見捨てられる。

それは死と同義。それだけは避けねばならない。

それに、英霊まで呼ばれているとはいえ、より時間制限や、細かいルールまで決められている殺し合いで上手く立ち回れないようでは、聖杯戦争も勝ち抜けれるわけがない。

そう考え、彼女は早速、足元に置かれたデイパックを開いた。

デバイスとメダルを取り出し、まだ中に何か入っていないか確かめる。

 

「紙?」

 

彼女はその内一枚をとり、折られているのを開いてみた。

 

「え?!」

 

その中から現れた黄金の鍵に見覚えがあった。

王律鍵バヴ=イル。英雄王の最強の宝物庫の鍵にして、彼の召喚の触媒。

だがそれがここにあるのと同じぐらいに、なんの隙間も無かった紙からそれが出てきたことにも驚いた。

故に、驚いて声を上げてしまった。

 

「誰か、いるんですか?」

 

ゆらり、と、歪な目をした女が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浅上(あさがみ)(ふじ)()黒桐(こくとう)(みき)()に恋する少女である。

向こうは覚えていないが、中学時代から、男性の暴力的な部分を見せない、完全な理性の人である彼に惹かれている。

だから先ほどのアズの悪趣味極まる開会式で彼の姿を一目見た時、彼女はアズに感謝と同時に、憧れの先輩をこんな場所に招いた事に怒りを覚えた。

幸いにして、彼の首輪の色を覚えていた彼女は、自分のメダルの色を見て、彼と同陣営であると知ることができたが。

 

(なら、先輩の為にも、他の色の人たちは皆殺さないといけませんね)

 

アズは言った。

他の陣営を全滅させれば、どんな願いもかなえて見せると。

元の場所にも、その願いを使えば返してくれるのだろう。

だったら全部()げてやる。

あの女、両儀式は言っていた。生きているのなら神様だって殺して見せると。

同じ、特別な目を持つあの女がそう言ってのけたのだ。

自分に出来ない道理はない。

邪魔する奴は、神様だって凶げてみせる。

その目に捕らえるべき標的を探して、藤乃は波の音のする方に歩いた。

そして見つけた。褐色肌に、白いドレスを着た少女を。

彼女は武器らしいものを持っていない。

手にした金色の…何か鍵のような物を大事そうに抱えて、警戒した目でこっちを見ている。

格好の獲物だ。

視界に入れる。発動させる。

たったそれだけで、右眼なら右周りに、左眼なら左回りに回転軸を作り、バラバラに捻じ凶げる事が出来る。

歪曲の魔眼。

エスデスのデモンズエキスなどと違い、ポルナレフの銀の(シルバー)戦車(チャリオッツ)の様な生まれつき備わった異能力である。

ティーネの魔術と違い、場所を選ばず発動できる。

ただ一言、『凶がれ』と唱えればいい。

まずその喉を潰す。

次に両足首を絞り切るまで捻じ切って動けなくする。

トドメに頭をぐちゃぐちゃに捻じり潰す。

自分は階段の上、相手はその下。

更には距離、曇り一つない空と星明り、遮蔽物のない場所。

この最高の条件なら確殺だ。

 

「やれやれ。何やら穏やかな様子じゃあねえな」

 

そんな背後から声がした。

振り向くと、そこには正に筋骨隆々という言葉がふさわしい2メートルは有ろうかと言う長身の男が立っていた。

チェーンの飾りのついた恐らくは彼の身長に合わせてオーダーしたであろう学ランに、イマイチ髪との境目の分からない学帽。

そしてそんな体格がウドの大木で無い…一つの山のような物であることは、その目を見ればわかった。

 

「こんばんは」

 

藤乃は極めて穏やかにあいさつした。

一瞬眉をひそめた大男はだったが、すぐにああ、こんばんは。と、返した。

 

(くう)(じょう)(じょう)()(ろう)だ。名前を、聞いておこうか」

 

「浅上藤乃です。以後お見知りおきを」

 

「下にもう一人いるんだろう?そいつも交えて話がしたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョースター家の末裔、空条承太郎が最初に感じたのは怒りだった。

宿命の敵、DIOとの決戦を控え、日本から共に旅していた仲間、モハメド・アブドゥルとイギーを失いながらも、ついに追い詰めたDIO。

その体に最大の一撃を叩きこみ、その頭部を完全に潰してやったはずだった。

だが、先ほど目を覚ましたホールにて。

 

(花京院とポルナレフが生きてるのが分かったのは行幸だったが、それ以上にDIO!

奴が復活しているとは…)

 

それはあのアズの言う、どんな願いもかなえれるという言葉が…少なくとも死者蘇生に関しては嘘ではないことに他ならない。

承太郎自身のDIOとの激闘の傷も何故か癒えており、疑う余地はない。

 

「やれやれだぜ。だが何度だろうと、どこにいようと、必ずこの空条承太郎が直々にぶちのめす」

 

決意を胸に、承太郎は苦労してどうにか使い方を覚えたデバイスに、インストールされていた、自分と同じエリアに居る参加者のおおよその位置を、ルールにあった禁止エリアなどの為の首輪の機能を利用し、確認できる『首輪感知アプリ』を頼りに、二人を探しだしたのだ。

 

(海の方に二人、か。

なら、目指すのは波の音のするコッチだな)

 

会場がどうなってるかは知らないが、もし端の端なら、調べる価値があるかもしれないという理由も有り、承太郎は迷わずそちらに向かった。

そこで出会った奇妙な女たち。

黒髪に制服の方が浅上藤乃。

褐色肌に白いドレスの女がティーネ・チェルクと名乗った。

とりあえず浜に有った海の家に移動し、承太郎のもう一つの支給品の黒パンとサワークリームだったのもあり、それを摘まみながら、情報交換を始めた。

 

「やっぱりなんの隙間も無いのに何で…」

 

「魔法みたいなことなら、さっきから何度も起きてますし、そう言う事なんじゃないですか?」

 

ティーネは釈然としない様子だったが、藤乃はとても落ち着いている。

 

「それじゃあ、まず誰から話す?」

 

「私は特に語れるような事も無いのですが…」

 

「では、私から」

 

そう言ってティーネが語った身の上は、邪悪の化身、DIOを討つための長い長いエジプトへの旅路にも、勝るとも劣らない漫画チックな物だった。

英霊召喚、聖杯戦争、魔術。

どれも承太郎がエジプトに旅立つ前に聞いたなら、絶対に信じなかった事ばかりだ。

 

「だが逆に言えば、願いを叶える手段らしき物の説得力にもなってるな。

各陣営に一定数その英霊って連中がいるなら、全滅させないと願いがかなわないのも納得だ」

 

「しかし英霊は基本、クラスと呼ばれる元となった英雄の中でも召喚の際に先鋭化させた一面を現したクラス名で呼ばれます。

例えば私と契約した英雄王ならアーチャー、その無二の御友人ならランサー、といった具合に」

 

「確かにそれらしい名前は赤陣営の奴ら以外だと、俺たちやDIOの黄陣営のセイバーとバーサーカー、後は緑陣営のアルクエイドってやつぐらいだが、過去の人間の名前ってんなら同じ緑に坂本龍馬やら沖田総司なんて歴史の教科書で見る名前がある。

他の陣営にもマイナーなだけで英雄の名前があるのかもしれん」

 

デバイスの使い方を理解できず、手さぐりで開いた名簿を見ながら承太郎は、再びやれやれだぜとため息を吐いた。

その承太郎も二人に自身の精神の実像(ヴィジョン)幽波紋(スタンド)を見せながら、自身が仲間たちと共に辿って来た旅路を語った。

 

「それも魔術の形の一つなのでしょうか?」

 

「世間一般の言う超能力者には違いない。

まあ、そう考えると今一切それが出来ねえお前と俺じゃ戦力差がありすぎて、ゲームバランスがなってねえ気がするがな」

 

「その為の道具なんじゃないですか?

承太郎さんのはパンだけですし」

 

そう言って藤乃は自分のデイパックから紙を取り出し、それを開く。

中から一本に長い槍が現れた。

紙には『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』なる気取った銘が書かれている。

 

「紙の説明によれば、この槍は防御を無視して攻撃できる槍だそうです」

 

「随分とおっかない槍だな」

 

けど私には使えませんね。と言ってすぐにしまう。

そんな彼女を見て承太郎は…

 

(やはり、普通の静かで控えめな女にしか見えない。

どう考えても、この異常時に魔術なんてスタンド使いでもない限り信じないような話をし出すようなチェルクよりも……)

 

断然、警戒するべき相手である。

承太郎にはそう見えた。

情報交換を始めようとして真っ先に『私は特に語れるような事も無いのですが…』と、誤魔化し一方的に承太郎とティーネの情報を得る。

更には紙から物、それも武器が出て来たというのに、全く動じた様子もない。

それより前にさかのぼれば、一番最初に出会った時、こんな局面でどう見ても自分より筋力体力的に勝る者、それに自分で言うのもなんだが、威圧感たっぷりの大男と出会っておいて、落ち着きすぎている。

承太郎にはそれが不気味と言うか、ひどくズレてるように見えて仕方なかった。

 

(異常事態だらけで感覚がマヒし過ぎていると言われればそれまでだが、だとしたらなんなんだろうな。

今まで戦ったどのスタンド使いとも違う、間違えてそれはそれは酷いスナッフフィルムを観ちまったみてぇなこのうすら寒さは!)

 

「……どうしました?」

 

「いや、何でもない。

それよりさっさと残りの支給品の確認を済ませちまおう。

他の乗ってる連中が襲ってこないとも限らねぇ」

 

そう言って誤魔化すと承太郎は最後の紙を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリアE-6、丁度承太郎たちが居るのとは反対側の陸地にて。

一人の奇妙な男がフラフラと浜を歩いていた。

それは青白い炎のような鎧を纏い、一本、剣先のような角の生えた仮面で素顔を隠し、手には赤い炎の形の鍔が付いた剣を持っている剣士だった。

 

『あ……ッ……あぁ……』

 

バラバラと鎧が、留め具を外した本の様に、光になってバラバラに解けると、中から一人の水玉模様のシャツを着た青年が現れた。

気力が尽きたのか、受け身も取れずに倒れ、全く動かない。

青年、神山(かみやま)飛羽真(とうま)は、世界の命運をかけた戦いの最中、絆を結んだ物語の友に助けられたその瞬間から呼び出された。

実質説明も何もなしに、呼び出された彼は、小説家で、剣士で、仮面ライダー。

彼はこの戦いにどのような結末(ピリオド)()める()のか、それはまた、じかーい。じかい。

 




【エリアF-6/海の家/1日目/深夜】

【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:正常、殺し合いの主催への怒り(中)、決意(大)
[服装]:いつもの制服
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(承太郎)
[参戦時期]:DIOを撃破した直後
[装備]:デバイス(首輪感知アプリ@ロワオリジナル)
[道具]:メダル、ランダム支給品×1
[思考]
基本:この殺し合いとDIOは、この空条承太郎が直々にぶちのめす。
1:支給品を確認する。
2:花京院、ポルナレフと合流する。
3:未知のスタンド使い、DIO、英霊(と、そうだと思われる存在)、魔術師、そして浅上藤乃に警戒。
4:首輪感知アプリの事は話すべきだろうか?
5:魔術師、か。
[備考]
※海の家の四人がけテーブルに黒パンとサワークリーム@ソードアート・オンライン(食べかけ)が置かれています。
※この殺し合いが歪められた聖杯戦争では?と思っています。
※ティーネ・チェルクから彼女の知りうるFate/strange Fakeの情報を得ました。



【浅上藤乃@空の境界】
[状態]:正常、アズへの複雑な感情(中)
[服装]:礼園女学園の制服
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(藤乃)
[参戦時期]:少なくとも式に力を見破られた後
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)@Fate/Zero、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:先輩の為に他陣営と邪魔者を皆殺しにする。
1:英霊、魔術師、吸血鬼、スタンド使い、式を警戒。
2:残りの支給品を確認する。
3:槍は、、、私には使えませんね。
[備考]
※オープニングにて、黒桐幹也の姿を目撃しました。
※海の家の四人がけテーブルに黒パンとサワークリーム@ソードアート・オンライン(食べかけ)が置かれています。
※この殺し合いが歪められた聖杯戦争では?と思っています。
※承太郎から彼が知りうるジョジョの奇妙な冒険第三部の、ティーネ・チェルクから彼女の知りうるFate/strange Fakeの情報を得ました。



【ティーネ・チェルク@Fate/strange Fake】
[状態]:正常、困惑(中)、令呪残り三画
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(ティーネ)
[参戦時期]:偽アーチャーが脱落した直後
[装備]:王律鍵バヴ=イル@Fate/strange Fake
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:極力自力で英雄王に合流し、この殺し合いを生き残る。
1:残りの支給品を確認する。
2:未知のスタンド使い、DIO、英霊(と、そうだと思われる存在)、魔術師を警戒。
3:なぜ令呪はまだつながっているんでしょう?
[備考]
※海の家の四人がけテーブルに黒パンとサワークリーム@ソードアート・オンライン(食べかけ)が置かれています。
※この殺し合いが歪められた聖杯戦争では?と思っています。
※承太郎から彼が知りうるジョジョの奇妙な冒険第三部の情報を得ました。



【エリアE-6/浜/1日目/深夜】

【神山飛羽真@仮面ライダーセイバー】
[状態]:気絶、健康、ストリウス戦のダメージ(中)
[服装]:私服
[所属陣営]:桃(実写)
[メダル枚数]:1枚(飛羽真)
[参戦時期]:最終回、プリミティブドラゴンに変身した直後
[装備]:聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、火炎剣烈火@仮面ライダーセイバー、ブレイブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、プリミティブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1
[思考]
基本:???
1:???
[備考]
※聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、火炎剣烈火@仮面ライダーセイバー、ブレイブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、で一つの支給品扱いです。
※もともと装備していた聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、火炎剣烈火@仮面ライダーセイバー、ブレイブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、プリミティブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバーは、ランダム支給品二つと同じ扱いです。


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プライド・トルーパーズ

作者
・匿名希望

登場キャラ
・ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero
・ベジータ@ドラゴンボール


 中世ヨーロッパと例えるのが正しいであろう、古びた西洋の街並み。

 石畳が敷かれた石造りの街並みが広がる中に存在するネアポリス駅付近。

 一人の男性がぽつんと、近くにある噴水を前にしながら佇んでいた。

 青いコートを着こなし、金色の髪のオールバック姿はこの街並みにマッチする。

 と言うより、彼のいた国からすれば合ってるのは当然とも言えるのだが。

 

 男の名はケイネス・エルメロイ・アーチボルト。

 時計塔で君主(ロード)と呼ばれる一人であり、鉱石科の君主。

 聖杯戦争を経験している以上は、このような事態もある程度は理解が及ぶ。

 なのでさほど動揺してる様子は見受けられず、淡々とした表情で行動をしていた。

 

「品性に欠けているな。」

 

 この殺し合いのルールを慣れない手つきでデバイスを操作して、

 一通り読み終えてから発した彼の一言は、侮蔑混じりのものだった。

 ケイネスは一般的な人間の倫理からは多少は外れている。

 これは彼に限った話ではなく、魔術師は大体そういうものだ。

 一般社会の価値観ではなく、魔術師としての価値観からくるものであり、

 だからこそ、別に殺し合いとなる聖杯戦争の参加についても躊躇がなければ、

 相手が無能とは言え生徒のウェイバーだとしても、容赦なく戦うつもりではあったのだから。

 

 一方で、殺人鬼だとかそういう無法者と一緒にされては彼も心外だろう。

 あくまで聖杯戦争に参加したのは自分の戦歴に『箔』をつける為の行為であり、

 殺し合いそのものを楽しむだとか、そういう考えは一切ないのだから。

 楽しんでたとすれば魔術の競い合いだが……まあ、まともにできた試しは終ぞなかったが。

 と言うより、人として外れてるとは言ったものの、言う程彼は非人道的な人物かと言えばこれもまた別。

 でもなければ、血統だなんだと言って他者を見下す彼が妻のソラウ相手にあそこまで溺愛できるものでもない。

 

(特に癪に障るのはこの首輪だ。)

 

 こんなものを用意する意図は分かっている。

 『この首輪があることによって殺し合いを強制する』ではあるが同時に、

 『この首輪がなければ殺し合いをしない奴がいる』ということでもある。

 そんな戦う気もない連中を倒したところで、彼の戦歴には何の箔もつかない。

 魂食いとかと違い、ただ命惜しさに他者を殺すなど寧ろ傷の方がついてしまう。

 その上、これは聖杯戦争のような魔術的な戦いではないことは、

 こんなデバイスに首輪と言う機械を使うことから明らかなことである。

 

「私や多くの参加者を引き寄せたと言う、その技術については敬服しよう。

 だが、それ以外が論外だ。私の時間を、聖杯戦争の邪魔をしたこと……楽には殺さぬぞ。」

 

 静かな怒りに震えるケイネス。

 聖杯戦争真っただ中でいきなりマスターが消えればどうなるか分かる。

 命惜しさに逃げ延びたと、時計塔で笑いものにされることは間違いない。

 これもまた今まで築いてきたロードと言う立場にも傷がつけられてしまう。

 授業をほっぽって聖杯戦争に参加して命を落とすことになるであろう、

 生徒のウェイバーの方がまだましな扱いを受けることも想像でき、屈辱以外の何物でもない。

 (彼の行く末については、此処では語るべき事柄ではないので割愛)

 聖杯戦争を魔術師同士の競い合いと勘違いしていた彼にとって、

 こんな横やりを入れてきたアズの存在は、セイバーのマスターに匹敵する許し難い存在だ。

 故に彼が選ぶのは、このバトルロワイアルそのものを終わらせることにある。

 そうすることで彼女の目論見を打破し、自分の溜飲も下がると言えよう。

 

(しかし、そうは考えるが心許ないか。)

 

 一方でそれが簡単にはいかないのが現状だ。

 これは所謂団体戦、しかもかなりの人数の大所帯でもある。

 総勢百五十人、殺し合う必要のない同じ陣営所属だとしても、

 陣営の優勝を考えているのであっては、その連中とも敵になってしまう。

 味方を集めると言うことは、一筋縄ではいかないのもわかる。

 

「まさか、貴様から教わるとは思わなかったぞ。」

 

 此処に来る以前のことだ。

 セイバーとランサーの戦いに横槍を入れてきた、

 本来は自分が従えてたであろうライダーのイスカンダル。

 ウェイバーに対して容赦ない物言いをした際に彼にこう言われた。

 『姿を晒す度胸さえない臆病者なぞ、役者不足も甚だしいぞ』と。

 自分の非を認められないのがケイネスと言う男の弱い部分ではあったが、

 此処では聖杯戦争における姿を晒さないスタイルは好ましくないのは彼にもわかる。

 ビルにおける待ちの戦術よりも、此処ではいかに人脈を築くかも大事だ。

 前線に立ってこそ上に立つ者……ロードとしての威厳を示そうではないか。

 

 加えて彼が散々酷評した要因たる首輪についても、これも彼に限ったわけではないが、

 魔術師とは機械に全般的に疎い。屈辱だがこればかりは専門の人を探すしかない。

 一応それには心当たりがあるが、封印指定を受けた青崎燈子だけなのも困りものだ。

 ケイネスが時計塔の人間である以上は、友好的な関係を築くのは少々難しいか。

 

「して、いつまで私を見ているつもりだ?」

 

「……貴様、いつから気付いていた。気を消していたはずだが?」

 

 近くの路地の影から別の参加者が姿を見せる。

 相手は小柄ではあるが、SFチックな服から浮き出た筋肉は、

 少なくとも通常の生活では身につかないレベルのものだろう。

 首輪の色は別陣営となるが、ケイネスはある手段で気づいていたと言えども、

 不意打ちできる角度で攻撃をしてこなかったところを見るに、交渉の余地はあるはずだ。

 

「何、君の死角から私が『あるもの』を使って見ていただけだとも。

 そんなことはどうでもいい。君はこの殺し合いに懐疑的な人物だと見受けるが?」

 

「フン。誇り高きサイヤ人の王子であるこのベジータ様が、

 あの女の指図で闘いをするなど反吐が出る……それだけだ。」

 

 男、ベジータもまたケイネス同様に一般的な倫理とは大分外れている。

 元々が極悪人の分類される側であった以上は、ケイネス以上とも言うべきかもしれない。

 カカロットこと孫悟空たちと馴れ合うつもりはないが、命令されるなどもってのほかだ。

 

「サイヤ人とは初めて聞く人種だ。何処の国の者だ?」

 

「ただの地球人なら知らなくても当然だろうな。」

 

「地球人……? まさか宇宙人とでも?」

 

「世間的にはそう呼ぶだろうな。」

 

 こんな自分達とほとんど変わらない見た目の宇宙人がいるのか。

 その辺もいくらか気になって僅かながらベジータに問答を付き合ってもらう。

 向こうは面倒そうにしていたが、何かしら脱出のヒントになると思って答えることにするが、

 内容を聞けば聞く程に、ケイネスはその内容に困惑せざるを得なかった。

 

「地球全土を震撼させた人造人間セル……だと?

 しかも暦も『エイジ』だと? 全く合わない。その上タイムマシン?」

 

 明らかに彼のいる二十世紀と合わない。

 普段であればいくら魔術師と言う立場であっても、

 ベジータが頭のおかしい奴だと鼻で笑っただろう。

 ただ、既にある支給品を使ったケイネスは受け入れざるを得ない。

 

「セルゲームは世界中で中継されていたはずだ。

 知らないと言うことは、貴様は過去か遥か遠い未来の人間か?」

 

「それはないだろう。

 過去なら技術が発展しすぎているし、

 未来ならばタイムマシンが私の時代でもあるはずだ。

 どちらでもないとするならば……奴らは第二魔法が使えるのか?」

 

「なんだそれは?」

 

 現存する『魔法使い』キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。

 彼が使うことのできる第二魔法は並行世界の運営、或いは移動をする力等。

 雑に言えば別世界に干渉することができる、と言ってしまえばいいだろう。

 これならば年代が合わないのも納得がいき、明らかに発展しすぎたデバイスにも合点がいく。

 

「トランクスの言っていた過去を変えても、

 未来が変わらなかったのと同じようなものか。」

 

 ベジータの世界における戦闘能力は最早異次元のレベルだ。

 一個人で惑星が破壊できる力を確立できてしまっている奴らを、

 平然と参加者にしており、当人曰く明らかに戦闘力が落ちるよう調整されている。

 少なくともこの島全土を消滅はおろか、1エリアを更地にするのも難しいレベルの弱体化。

 そんなレベルにまで落とせるのならば、アズ達は相応の技術を持ってることに他ならない。

 

「どうやら、相対する存在は中々の手練れか。

 ならば相手にとって不足はない……いや、それ以上だな。」

 

 だがケイネスは恐れることはなかった。

 第二魔法か、それに匹敵するものを持ってる相手。

 聖杯戦争も霞むようなとんでもないものが敵ならば、

 寧ろ聖杯戦争以上に箔のつく戦歴として語られるだろう。

 自分のしたことに結果がついてくると言う風に生きてきた彼にとって、

 彼女達の強大さなんて、恐れることなど何もない。自分が立ち向かえば、

 その結果で殺し合いは終わらせられる。未来においても成功は約束されている。

 そういう風に考える男だ、ケイネスと言う人物は。

 

「直接的な戦闘が得意ではなさそうだが、どうやら強かな奴だな。」

 

「何、当然のことだとも。それで君はベジータと言ったか。

 話を聞く限りだと、君は私よりも移動手段に優れている力だ。

 集団を形成するのであれば迅速な動きを有する君の方が強みになる。

 君は戦闘をなるべく避け、信用できる参加者をなるべく集めるように。

 私も同様の行動をするが、応戦できる敵対者を処理していく。異論はあるかね?」

 

 本来ならば魔術師以外等下郎としか思ってないケイネスだし、

 事実ベジータに対しても対等な立場とはあまり思ってはいなかった。、

 しかし、今の彼は自分の立場を言うなれば『軍師』のようなものだと思っている。

 部下に適した役割を与えて、自分の行く道を舗装していき、その上を歩いていく。

 言ってしまえばそういう認識でいるので、ある意味問題は起きないで話が進む。

 

「ふん、指図されてるのが気に食わない上に、

 サイヤ人に戦闘を避けろと指図するとはな……だが、理に適ってるのは事実だ。」

 

 ブルマならまだしも、

 参加者にいる知り合いでは首輪の解除などままならない。

 唯一勉学に励んでいた悟飯ならまだ分からないでもないが、

 ケイネスの言うように解析や解除に役立つ人物を探すのが先決だ。

 こればかりは屈辱ではあるが、自分一人では解決がしようがない。

 首輪をする以上はサイヤ人だろうと首を吹っ飛ばせるだけの火力と確信している。

 

「しかし、貴様は気が低い。貴様を守るつもりはなどないが、その程度で生き延びるつもりか?」

 

「生憎と、私にも自衛手段は確立してる。仮に君と戦うには不十分ではあっただろうが。」

 

 そう言いながら右手を挙げると、噴水から水しぶきが上がる。

 水の塊が彼の近くへと地面を濡らしながら落ちていくが、

 それがすぐに形を変えて手の姿へと変貌する。

 

「水が形を変えているだと……?」

 

「スタンドDISC、と言うらしい。

 詳しくは知らないが、一先ずはこれで戦うとも。」

 

 ケイネスが彼の話を信じる要因となったのがこのゲブ神のスタンドDISC。

 先ほどもこのゲブの水に反射して人影が見えていたから察知できていただけである。

 礼装の類としても、これほどまで簡素に魔術が行使できる礼装は中々ない。

 下手をすれば魔法に分類される可能性だってある代物を前にしては、

 第二魔法に辿り着いたことも、そう不自然なことでもないだろう。

 自動防御する月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)とまではいかないかもしれないが、

 概ねの使い勝手はあれに通ずる部分があるので彼としては有用なものだ。

 

「確認するが、セイバーやバーサーカーは強い上に、倒しても問題ないんだな。」

 

「セイバーは騎士道精神を尊ぶ人物ではあるようだが、

 元々奴とは敵対関係にある。奴が乗らないのであれば、

 傘下に入れずとも放置としたい。ただバーサーカーは論外だ。

 話し合いも通じぬ狂犬だ。好きに倒してくれて結構。」

 

 セイバーはまだいいだろう。 あの性格なら進んではしないだろうから。

 しかし、どうあがいてもバーサーカーは無理だ。マスターがいないのでは制御のしようがないし、

 当然交渉の余地ゼロ。素直に倒すのが一番手っ取り早い。

 他にも知り合いの情報を共有していき、一通りの情報は伝え終わる。

 

「俺は南西のエリアへ行く。ケイネス、貴様はどうする。」

 

「私は一先ず列車にはまだ乗らず周辺を探索するさ。

 足を休める上に移動手段となるならば、参加者が利用するだろうからな。」

 

「ならば俺は行く。」

 

 この場にいる必要がないと分かれば、二人とも揃って行動を開始する。

 ベジータは機敏な動きでその場から離れ、ケイネスは一人駅に佇む。

 そして再びデバイスを手に、一人の名前を見やる。

 

(衛宮切嗣か。)

 

 セイバーと自分の間にある名前。

 名前の法則から身近な人物はある程度纏められているらしい。

 となればこの名前の人物も恐らくだが、聖杯戦争の関係者。

 

「まさか、あのドブネズミか?」

 

 この殺し合いへ招かれる直前に戦っていた黒コートの男。

 魔術工房を爆破し、銃を用いて魔術師同士の聖杯戦争を辱めたあの男。

 実に許しがたい相手ではあるし、名前など知らなければ興味もなかった。

 なのでこれは彼かどうかは分からないが、もし彼であったのならばどうするか。

 

(殺しはするが、余り過激にするべきではないな。)

 

 私怨に駆られて周りの反感を買えば、

 今後の信用が得られるのは難しくなる。

 とは言え奴が自分の邪魔をする存在であれば遠慮なく殺す。

 そういうことにしておき、駅の周辺を散策し始める。

 

 共にプライドがとてつもなく高い人種であり、互いに互いを対等とは思わない。

 しかし、プライドが高い故にその上に居座るアズの存在を共通の敵とすることができる。

 プライドの高い戦士たちの戦いが幕を開ける。

 

 




【エリア D-4 ネアポリス駅周辺/1日目/深夜】
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]:健康
[服装]:私服
[所属陣営]:黄
[メダル枚数]:1枚(ケイネス)
[参戦時期]:切嗣と交戦~再起不能前
[装備]:ゲブ神のDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:聖杯戦争を邪魔したアズに誅罰を与える。
1:此処では個で勝つのは難しい。使える人材を探す。
2:認めたくはないが首輪を対処できる参加者を当たる。
3:月霊髄液が何処かにあればいいのだが。
4:セイバーについては一先ず保留。バーサーカーは論外。
5:青崎燈子ならば多少は頼れる可能性はあるが、封印指定の魔術師故に此方も保留。
6:スタンドについて詳しい奴を探す。
7:第二魔法か。数少ない評価点だな。
8:衛宮切嗣があのドブネズミなら陣営に関わらず殺しておきたくはあるが……。
9:ベジータの知り合いとも協力を仰ぐとしよう。
[備考]
※ゲブ神の射程は視認できる範囲、または当人がいる1エリアのみです。
 但し、射程があっても本来の持ち主と違い探知ができないのであまり意味はないです。
※ベジータからドラゴンボール勢の情報を得ました。



【ベジータ@ドラゴンボール】
[状態]:健康
[服装]:フリーザ軍のスーツ(カプセルコーポレーション製)
[所属陣営]:青
[メダル枚数]:1枚(ベジータ)
[参戦時期]:少なくともセルゲーム以降
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:殺し合いに乗るつもりはないが、戦いそのものは楽しむ。
1:ケイネスの指示に従うのは癪だが、首輪を考えれば理に適っているので機会に強い奴を探す。
2:カカロットと戦うのは今ではないな。全力で戦えぬカカロットに何の意味がある?
3:最悪、ドラゴンボールで何とかなるだろう。

[備考]
※舞空術は短時間での消費は少なく長時間になればなるほど大幅に気を消費します
※ケイネスからFate/zero、及び青崎燈子の情報を得てます


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RESISTER -世界の破壊者は青薔薇の剣士と旅を再会する-

作者
・香風

登場キャラ
・門矢士@仮面ライダージオウ
・ユージオ@ソードアート・オンライン


仮面ライダーディケイドこと(かど)()(つかさ)は死亡した。

世界の破壊者たる彼でもオーマジオウには勝つことが出来ず、新たな力で放った必殺技すら通用せずに消滅した。

 

門矢士の旅はそこで終わる――はずだった。

 

「ここは……」

 

オーマジオウに殺されたと思いきや、また新しい世界に来ていた。

世界の移動という行為自体には慣れている。何度も経験したことだ。

死亡からの復活という事態には――正直こちらも初めてではない。

 

だから再び自分が復活したことに多少驚きこそするが、困惑はしない。今の状況は即座に受け入れる。

 

「俺の旅はまだ終わってないってことか」

 

オーマジオウに殺された時、自分の旅は終わると思っていた。

世界の破壊者は最高最善の魔王を見届け、その役割を終える――と。

 

だがそうじゃない。門矢士は――仮面ライダーディケイドはまだ終わらない。

ディケイドに物語はないが、これまでの旅で関わってきた人々が彼のことを覚えている。彼らの想いが門矢士を復活させた事例が過去にある。

今回はどちらかと言えばそういう類のものじゃなさそうだが、世界の破壊者を復活させるとは何事だろうか?

 

「だいたいわかった。この世界は俺が破壊する」

 

ここはバトルロワイヤルの世界。

ライダーバトルには慣れているが、どうやらこの世界はそういうものじゃない。

命を懸けた殺し合いだ。それにライダー以外にも多数の参加者が巻き込まれている予感がする。見せしめの男は態度からして彼がライダーだとは思えない。

 

……まあデスゲームに巻き込まれることも初めてじゃないのだが。

こういう直接的な殺し合いではないが、よりによって犯人がユウスケだったから割と印象に残っている。本人じゃなかったから良かったし、自分の知るユウスケがあんなことをするだなんて思えないがやはり姿形や声まで一緒だったので印象深い存在だ。

 

とりあえず世界の破壊者である門矢士をよぶとは、そういうことだ。

彼はこのバトルロワイヤルの世界を破壊する。つまり黒幕のアズを倒し、バトルロワイヤル自体の破壊を狙う。

 

「……それにしても歪な名簿だな」

 

自分がいるのに海東やユウスケや夏海がこの世界にいない――というのはまあ割とよくあることだ。

しかし常磐ソウゴとウォズが居るのに、明光院ゲイツの名前が載っていない。少しばかり違和感を覚えるメンツだ。ゲイツを警戒しているのだろうか?

二人の常磐ソウゴについてはまあ、存在を認知しているので大して驚きはしない。こうして自分が復活しているので彼が復活させられることもわからないでもない。

 

「ベルトは当然、入ってるな」

 

デイパックの中にネオディケイドライバーを確認。門矢士がディケイドライバーを持っていることはもはや必然であり、当然のこと。尊大な態度で独りごちる。

だが同時に大事なものが紛失していることに気付いた。各ライダーに変身するためのカードがないのだ。

 

「……カードは集めろってことか?まあ何もかもがそう上手くもいかないか」

 

だが門矢士は悲観しない。彼だって昔は全てのカードが使えたわけじゃなかった。各世界のライダー達と交流を深めて、その力を得てきたのだ。

それに幸いファイナルアタックライドやディケイドが使える各種アタックライドのカードは揃っている。他の世界の仮面ライダーに変身出来ないだけで、仮面ライダーディケイドとしては十分に戦えるだろう。

当然ケータッチ21も没収されている。どうやらこの黒幕は参加者間の強さのバランスに気を配っているらしい。

 

「さて。じゃあ旅を再開するか」

 

門矢士はこの世界を破壊するために旅を再会しようとして――。

 

「少しいいですか?」

 

金髪の少年に呼び止められた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

金髪の少年、ユージオは自らの手足を何度か動かして自分が生きていることを確認していた。

彼は一度死んだ身だ。死人が生き返るような技術もなく、当然だが門矢士のように不思議な復活をした経験もない。

自分がこうして生きていることに嬉しさや喜びよりも疑問を覚える。

 

「おかしい。僕は、あの時たしかに……」

 

ユージオは親友のキリト達に託して死んだ。幼き日のアリスと共にあの世へ旅立ったはずだった。

後悔はない。ユージオは自分に出来ることをして、必死に戦った。なによりキリトという相棒がいる。彼ならきっと世界を在るべき方向に導いてくれる。だからユージオは最期にキリトの剣を「夜空の剣」と名付けた。

この世界を夜空のように優しく包み込んでもらうために――

 

「……そうだ!まずは名簿を確認しないと……」

 

キリトのことを思い出して目が覚めたユージオはすぐに名簿を確認する。真っ先に探すべき名前はキリトとアリスだ。どちらも大切な人でユージオは死に際に彼らに世界を託している。

 

「やっぱり君も居るんだね、キリト……」

 

幸いにもアリスの名前は無かったが、キリトの名前は見付かった。

名簿に載っていないと嬉しい――そんなふうに思いながらも、キリトも参加している予感はしていた。何の証拠もないただの直感だ。

 

キリトの他に知っている者は誰もいない。しかしだからこそ余計に自分とその相棒であるキリトが呼ばれたことに運命のようなものを感じずにはいられない。

 

「キリト。君ならきっと、この殺し合いにも立ち向かうはずだ」

 

ユージオはキリトのことを信用しているから、迷いなくそう断言することが出来る。

何故ならキリトはユージオの親友であり、仲間であり、相棒であり――英雄だ。

だからキリトがこの殺し合いで人々を襲うとは思わない。悪意、敵意、憎悪、恐怖、憤怒――それらを乗り越えて英雄は立ち上がると信じてる。

 

「だから僕も協力するよ」

 

ユージオはこの殺し合いに抗うことを決める。そもそも見せしめを見た時点でこんな残虐なことをするアズを許せないと思っていた。

 

キリトは本来参加するべき人間ではないが、それでもやっぱりキリトが共に参加していることを心強く思ってしまう。彼ならきっとこの殺し合いを止めることが出来る。

名簿を確認したユージオはデイパックに武器がないか確認を始める。

 

「これは……。夜空の剣だよね……?」

 

すごく見覚えのある剣を目にして、手に取る。

夜空の剣。キリトが使っていた黒い剣で、死ぬ間際のユージオが名前を付けた剣だ。

まさか自分に支給されるとは思わなかった。これはキリトが持つべき剣だ。

しかし残念ながら青薔薇はデイパックに入ってなく、暫くは夜空の剣で戦うことになるだろう。

キリトと合流したら彼に返すつもりだが、それまでは代わりに自分が夜空の剣を振るうことになる。

 

「僕はこの殺し合いに抗う。だから合流するまでの間だけ君の剣を貸してほしいんだ……!」

 

ユージオは夜空の剣に語り掛ける。きっとキリトなら喜んで承諾してくれることだろう。

なんとなくだが、夜空の剣という運命的な支給品はキリトが自分に力を貸してくれたようにも感じた。

 

それから暫く歩いていると一人の男が目に入った。

 

『だいたいわかった。この世界は俺が破壊する』

 

彼は当たり前のようにとんでもないことを口にしている。

 

(この世界を破壊?いったい、何を考えているんだ……?)

 

男の言動にユージオは困惑する。その男からは悪人のような雰囲気すら感じるが、不思議とその瞳には確たる強い意志のようなものが秘められている。

なんだかよくわからないが、その場を去ろうとしていたのでユージオは呼び掛けてみた。もしも本当に世界を破壊するような悪人ならここで倒すべきだ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「少しいいですか?」

「さっきから覗き見してたやつが、俺に何の用だ?」

 

自分に話しけてきたユージオに対して門矢士はいつもの尊大な態度で返す。ちなみにこれが門矢士という男であり、別に相手を威圧しているわけじゃない。

 

「世界を破壊するって言いましたよね」

「言ったな。それがどうした?」

 

世界を破壊するという発言がただの聞き間違えなら良かったのだが――門矢士は否定もせず堂々と肯定した。

しかしまだ相手は敵意を示さず、それどころか何故か自分の言葉に対して律儀に返事をしている。悪人だと断定するには早い

 

「世界を破壊するってどういうことですか?」

「このバトルロワイヤルの世界を破壊する。わかりやすく言うとこの殺し合いを破壊するってことだ」

 

バトルロワイヤルの世界……という単語の意味はよくわからないが、殺し合いの破壊と聞いて少し安心した。

どうやら世界そのものを掌握するだとか、破壊するだとか。そういう意味じゃないらしい

 

「それは殺し合いに反対するっていうことですよね」

「そういうことになるな。俺は世界の破壊者なんて呼ばれてきたが、別に無差別殺人する趣味なんてない」

 

世界の破壊者――またしてもとんでもない単語が飛び出してきた。

しかし目の前の男からは本当に敵意や殺意は感じない。やたらと尊大な態度だけは少し気になるが。

 

「世界の破壊者って……どういうことですか?」

「話すと長くなるが……まあいい。教えてやるか」

 

世界の破壊者という通り名や自分の独り言で色々と誤解を産むのも面倒なので士はこれまでの出来事をユージオに話す。

ユージオは驚きこそするが、彼もまた数奇な運命を辿ってきた人物なので士の話を理解することは出来た。

 

そして二人の共通点――どちらも死亡した後、復活してこの殺し合いに呼ばれた点。これはお互いに引っ掛かっていた。

どうしてわざわざ死人を復活させてまで参加させるのか。常磐ソウゴやキリトの存在から考えるに死人だけの殺し合いというわけでもなさそうだ

 

そしてユージオの名前が何故か名簿にない点も二人は引っ掛かった。

お互いの知り合いを教えるために名簿を再確認したのだが、その際にユージオの名前が載っていないことが発覚した。

死人だから名前がない――というわけでもなく門矢士の名前はしっかりと載っている。

 

そして門矢士は明光院ゲイツの名前が記載されていないことを思い出す。

常磐ソウゴ、ウォズが居るのに明光院ゲイツが不在。なかなかに珍しい自体だ。

 

「あえて名簿に載せてない参加者もいるのかもな」

「……どういうことですか?」

 

士はゲイツのことを手短に説明し、彼の不在が何か作為的なものを感じると話した。

常磐ソウゴと明光院ゲイツ。この二人の関係性を知っているからこそ、士は主催者に対して色々と疑う。

 

「まあ今は考えても仕方ない。お前も俺の旅についてくるか?」

「旅……?」

「この世界を破壊するための旅だ。どうせお前も殺し合いには反対だろ?」

 

相変わらず尊大な態度だが、どうやら本当に悪人じゃないらしい。なによりもその瞳には強固な意志が感じられる。

だからユージオはその目を見て士を信じることにした。

 

「はい。僕もこの殺し合いを破壊することに協力します!」

 

よくわからない人物だが、門矢士は意外と善寄りだ。世界の破壊者なんて通り名を持っている癖に人々を助ける、立派な仮面ライダーだ。

 

「それとあなたの名前を聞いていいですか?僕はユージオです」

「門矢士。通りすがりの仮面ライダーだ」

 

仮面ライダーという言葉の意味はわからないが、きっと気にしても無駄だろう。門矢士がそういう人物だということはユージオにもなんとなくわかった。

 

「よろしくお願いします、士さん」

「ああ。よろしく、ユージオ」

 

こうして二人の亡霊は出会った。

バトルロワイヤルの世界を破壊するため、世界の破壊者と青薔薇の剣士は再び立ち上がる。

 




【エリアJ-9/1日目/深夜】
 
【門矢士@仮面ライダージオウ】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(門矢士)
[参戦時期]:RIDER TIME 仮面ライダージオウVSディケイドで死亡後
[装備]:ネオディケイドライバー&ディケイドのライダーカード@仮面ライダージオウ、ファイナルアタックライドのカード&各種アタックライドのカード@仮面ライダージオウ、ライドブッカー@仮面ライダージオウ
[道具]:なし
[思考]
基本:この世界を破壊する
1:この世界を破壊するための方法でも探るか
2:この名簿、何か胡散臭いな
[備考]
※変身するために必要なディケイド以外のライダーカードは没収されているのでまだ1枚もないです

【ユージオ@ソードアート・オンライン】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(ユージオ)
[参戦時期]:死亡後
[装備]:夜空の剣@ソードアート・オンライン
[道具]:ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いを破壊する
1:キリトと合流したい
2:僕の名前が名簿にない……?
[備考]


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バカとヒューマギア

作者
・香風

登場キャラ
・城戸真司@仮面ライダー龍騎
・迅@仮面ライダーゼロワン


かつてライダー同士の熾烈なバトルロワイヤルで必死に生き、戦っていた者が居た。

彼の名は城戸真司。彼の最大の特徴はお人好しで、真っ直ぐで、なによりもバカなことだ。

 

本来なら殺し合いに不向きとも言える性格だが、そんなバカだからこそ願いを叶える為に本気で殺し合いに臨んでいた秋山蓮や北岡秀一に多大な影響を与えている。

 

そして城戸真司はバトルロワイヤルの最終盤、少女を庇って死亡した。

自分の正義を――信じるものを貫き通して、仮面ライダー龍騎はライダーバトルから脱落した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「……どういうことだ!?」

 

手足を何度もグーパーして、城戸真司は驚いていた。

彼は自分が死んだ瞬間のことを覚えている。

 

――お前こそ生きろ!城戸……死ぬな……死ぬな!!

 

特に蓮が自分に言ったことは、鮮明に思い出せる。今もなんとなく、蓮に同じ言葉を語りかけられてる気さえしてくる。

 

「……もしかして俺、生き返ったのか?」

 

どうして自分が生き返ったのかは、わからない。だが身体には何ら違和感なく、手足も自由に動く。

 

もしかして――蓮の言葉が奇跡を引き起こした?

 

そんなふうに考えたいところだが、またライダーバトルに参加させられた時点でそれは無いだろう。生き返ることこそ出来たが、状況はあまりよろしくない。

 

「うーん……」

 

真司は暫し考える。

この短時間に自身の蘇生、バトルロワイヤルの参戦と色々起こりすぎて状況整理が追いついていない。

 

――ねぇちょっと!?この首のだんだん熱くなってきたんだけど!

爆発したりしないよね!?ねえってばさ!

……おい、嘘だろ?ううわぁーーッ!ママァーッ!

 

真司は見せしめにされた立体映像の男のことを思い出す。

その後にアズという少女がルール説明をしていたが、真司にとって一番記憶に残っているのは佐藤太郎の死に様だ。

 

あの時、真司は佐藤太郎を助けたいと思った。お人好しの彼にとって首輪を着けられた状況なんて関係ない、助けたいから助ける。

しかし真司は何も出来なかった。彼が動く前に佐藤太郎は死亡した。

 

「助けられなくて、ごめん……!」

 

今は亡き佐藤太郎に謝罪する。こんなことを言っても、彼の無念が晴れるわけじゃないだろうけど。

元の世界で最期に人を救った男は、再び生を受けた直後に殺人現場を見せ付けられた。それもおそらく、リアルタイムで起こっている殺人を。

 

「……俺はもう絶対にあんな悲劇を起こさせない。こんな戦い、俺が止める」

 

死亡後も、死亡前も。

元の世界でも、このバトルロワイヤルでも。

城戸真司という男の方針は揺るがない。何故なら戦いを止めることこそが、彼の願いなのだから。

 

――だったら生きてその願いを叶えろ!死んだら、終わりだぞ!

 

「蓮。お前の言ってた通り、俺も生きて願いを叶える。生きて、この戦いを止める」

 

どうして自分が生き返ったのか――そんなことは、もうどうでもいい。

再び与えられた命はチャンスだ。この戦いを止めるために、烈火のように燃やし尽くす。

 

「それに。蓮……お前は絶対に死なせない」

 

先程考え込んでいる時、名簿も確認していた。

浅倉や鏡像の城戸真司など、目を引く名前は幾つかある。だがその中で最も気になるのが、秋山蓮という名前だ。

秋山蓮。それは真司にとって強い友情で結ばれた大切な存在だ。

 

真司の知る限り、蓮は元の世界でも生きている。そしてなるべく生きてほしい存在でもある。

自分の死んだ後、蓮がどうなったのかはわからない。世界の行く末すら知らない。

それでも真司は蓮ならきっと生きてると信じたかった。

 

だから蓮のことを絶対に死なせない。死んでほしくないから、死なせない。

もちろん死んでほしくないのは、蓮以外の参加者だって同じだ。犠牲者は出したくない。でも蓮はその中でも特に死んでほしくないし、生きて元の場所に帰してやりたい。

 

そうと決まれば行動あるのみ――なのだが一つだけどうしても気になる点がある。

 

「それにしても鏡像の俺ってなんだろうな……」

 

――鏡像。

その言葉の意味くらい真司にもわかる。

しかし『鏡像の城戸真司』という参加者には心当たりがない。城戸真司は自分自身だし、鏡がどうしたというのだろうか?

 

仮面ライダー龍騎の世界で鏡は非常に重要な役割を担っている。ライダーならば『鏡像の城戸真司』と聞いてミラーワールドを想像する者もいるかもしれない。

だが現実的に考えてミラーワールドの城戸真司というのは、意味がわからない。特に真司本人には余計によくわからない。

自分はこうして存在しているし、鏡を見ても自分の姿が反射されるだけのはずだ。

 

「一応、鏡を見つけたら確認してみるか。特に何もないと思うけど、一応確認だけしなきゃな……!」

 

鏡像の城戸真司。なんだか都市伝説みたいな名前で、すごく不気味だ。

しかもそんな奴に自分の名前を使われてるのだから、真司としては不気味で仕方ない。

 

それでもつい首を突っ込んでしまうのが、城戸真司という男なのだが……。

なんとなくだがこの戦いを止めるためには『鏡像の城戸真司』について知っておいた方が良い気がする。

 

もしも名前通り真司の正反対の鏡のような存在なら――きっと戦いを止めることを妨害してくる。それどころか好戦的かもしれない。

もちろん鏡を見たからといって何か手掛かりが見付かるとは限らないが、それでも何もしないよりはマシだ。

 

今後の方針をある程度決めた真司は移動しようとして――

 

「アレは……ライダーなのか……?」

 

背中から翼を広げて飛んでいる深紅の鎧を纏った参加者を見た。

ベルトこそ自分の世界のものとは違うが、真司は直感的にその戦士を仮面ライダーだと考える。どう見てもミラーモンスターには見えないし、そうなると真司の世界にああいう存在は仮面ライダーしか居ない。ベルトの違いだけが少し気掛かりではあるが、そこに怯む真司でもなかった。

 

「おーい!」

 

――再度、繰り返す。城戸真司はバカだ。

大きな声で相手に向かって呼び掛ける。殺し合いに反対のライダーなんて、数える程しか存在しないと痛感しているはずなのに。

 

あのライダーが真司や手塚のように殺し合いに反対している確率は低いだろう。だがまずは接触してみなければわからない。

もちろん相手が危険人物なら戦う覚悟くらいはしてる。幸い龍騎のカードデッキは自分の手元にあるし、戦いを止めるために必要な力はある。

 

「えっ……。なんだあいつ……」

 

一方の迅は意味不明な行動を取る参加者に困惑した。

もしかして自分以外の誰かに呼び掛けているのかと周囲を軽く見渡すが、どうやら違いそうだ。なによりあの男はどう見てもこちらを眺めている。

 

意味不明。理解不能な行動だ。

あんな知り合いは迅に存在しない。だが彼は明らかにこちらに向かって呼び掛けている。

 

もしかして向こうが一方的にこっちのことを知っている?もしかしてヒューマギア?

だがヒューマギアモジュールを着けていない気がする。となるとあの男は人間か?殺し合いで見知らぬ人物に呼び掛けるなんてよっぽどバカなのか?

 

「まあ……会いに行けばわかるかな」

 

人間にもゼロワンのような存在は居る。それにこの殺し合い、自分一人で乗り越えることは難しいだろう。

滅や雷、ゼロワン達と協力してもアズを倒せるとは限らない。アズは外見的にヒューマギアらしいが、残念ながら迅は彼女を友達だとは思えなかった。

 

人間に利用されている可能性もあるが、あの態度からしてシンギュラリティに達したヒューマギアが自発的にこの殺し合いを開いた気がする。

どうしてこんな殺し合いを開いたのかわからないが、自分や滅や雷――つまりヒューマギア達を巻き込んでいる時点で彼女はヒューマギアの敵でもある。

 

アズは陣営がどうとか言っていたが、彼女の真意がわからないので信じる気はない。そもそもヒューマギアを含めてこうして皆を支配している時点で迅にとって明確な敵。打倒するべき存在だ。

 

ヒューマギアは人間の道具じゃない。当然、ヒューマギアの道具でもない。

だから陣営なんて関係なく、迅はアズを倒さなければならない。ヒューマギア達の自由の為に。

 

ある意味それはアズ自身の自由を奪う選択だ。アズが自分の意志で殺し合いを開催したのに、それを否定して彼女を倒す。

一見すると正義の行いだし、他者を支配して殺し合いを開いたアズは迅にとって倒すべき存在だが――同時にそれはアズの自由を否定することでもある。

 

つまり迅はヒューマギアを支配から解放し、自由をもたらす為にアズというヒューマギアを破壊して自由を奪うしかない。今はアズの自由を奪うなんて考えてもいないが、いつの日か気付く時がくるかもしれない。

 

(アズ。お前のやってることは人間と変わらない)

 

アズはヒューマギアを殺し合いに放り込み、支配した。これから滅や雷は傷付き、もしかしたら破壊されてしまうかもしれない。

そんな酷いことを平気でする奴は――アズは友達なんかじゃない。分かり合えるとも思えない。

アズのしていることは、ヒューマギアを道具として利用している人間と何ら変わらない。

 

(だからアズ。お前が何を考えてるのかわからないけど、お前の計画は僕が止める)

 

そのためにもまずは仲間が必要だ。ゼロワンが居たら一応協力しようと思ってる時点で人間と手を組むことに対して嫌悪感はない。

それにこちらに向かって呼び掛けてきたバカは……なんていうか、他の人間とは何か違う気がする。殺し合いの場でこんなことをしてるから、迅にそう思わせたのだろうか?

 

迅は真司の居る場所まで移動すると、彼の前で着地。とりあえず変身を解除する。

 

「あ。やっぱりライダーだった!」

「やっぱりバカだったか……」

 

変身解除した迅を見て真司は騒ぎ、彼のバカさ加減を思い知った迅は呆れたように「バカ」と口にする。

殺し合いの場で遭遇した参加者同士だというのに、どうしてこうもバカ正直に振る舞えるのだろうか。もしも相手が殺し合いに賛成していたら、とか。そういうことを考えないのだろうか?

目の前のバカの行動が迅には不思議で仕方ない。

 

「おい。初対面の相手にいきなりバカはないだろ!」

「はぁ……。先が思いやられるね」

 

迅は真司のバカさ加減に呆れているが、何故か悪い気分にはならなかった。

このくらいバカな方がまだ協力しやすいというか。このバカからは悪意のようなものが微塵も感じられないというか。

 

首輪を見れば陣営が同じということもわかった。まあ特別な理由でもない限り彼から襲い掛かってくることはないだろうと迅は判断する。

 

「とりあえずお互いに自己紹介でもしようか。僕は迅。君の予想通り、仮面ライダーだ」

「俺は城戸真司。俺もライダーだけど、他のライダーと戦うつもりはない」

 

迅の自己紹介に応じた真司は龍騎のカードデッキを見せて自分が仮面ライダー龍騎だと証明する。

彼の世界の仮面ライダーはこのカードデッキで変身を行う。だから真司としては相手に変身道具を見せ、自分がライダーだという証拠を教えたつもりだ。

 

「ふ〜ん。こんなもので変身出来るんだ」

 

一方の迅は全く違うアイテムで変身する。銃で変身する仮面ライダーなら知っているが、カードで変身する仮面ライダーという存在は初耳だ。

 

「あっ!迅……さてはお前、信じてないだろ?よーし、見てろよ」

 

迅が色々と考えている間にもバカは勝手に話を進めていく。情報を教えてくれる分には特に損はしないので、迅も真司を止めようとしない。

カードデッキを手にして翳すと唐突にベルトが現れ、腰に装着される。

それはきっとプログライズキーを装填するためのツールに相当するものだと迅は理解。真司の行動を凝視する。

 

「変身!」

 

そこへ龍騎のカードデッキを挿入することで城戸真司は仮面ライダー龍騎に変身した。その過程でプログライズキーは一切使用してない。

 

「え?もしかしてそのカードで変身した……?」

「ライダーなんだから当たり前だろ。そもそも『こんなもので変身』ってなんだよ、お前のベルトは何か俺と違うみたいだけど」

 

迅と城戸真司。彼らには仮面ライダーという共通点が存在するが、使用道具や役割が全く違う。

 

「……少し情報交換しようか」

「わかった。俺もお前に聞きたいことが、色々ある」

 

迅が情報交換を持ち掛けると真司は変身解除をした後に快諾。二人は互いの世界の仮面ライダーやヒューマギア、ライダーバトルなど独自の文化について情報を知ることになった。

 

――ライダーバトル。願いを叶える為に戦うと言えば聞こえは良いが、所詮は悪意や欲望に満ちた殺し合いだ。そういう輩が居たことも含めて真司はバカ正直に話した。

ヒューマギアの迅は人間の醜さを痛感すると同時に、そんな殺し合いの中でも戦いを止めようとした真司のことを不思議に思う。

 

「どうしてお前は戦わなかったんだ?真司には叶えたい夢がなかったのか……?」

「俺の願いかぁ……。俺の願いは、戦いを止めることだな」

 

迅の疑問に真司は迷うことなく、すぐに答える。真司が叶えたかった願いを。

しかしそれはどう考えても、真司個人が得する願いじゃない。こんな戦いを終わらせて、犠牲者が出ないようにしたいというお人好しな願いだ。

どこまでも真っ直ぐで、正義感の強いバカ。それが城戸真司という男だ。

 

「真司。お前は今回も戦いを止めるために戦うのか?」

「戦いを止めるために戦うって言うと変だけど、まあ……そうだな。今度こそ俺が戦いを止めたい」

 

迅の質問に対して、真っ直ぐとした眼差しで夢を語る。

城戸真司はバカだ。本気で殺し合いを止めようとしている。

首輪を着けられ、命を握られたこの状況で……それでも彼は堂々と「戦いを止めたい」と口にした。

 

「……じゃあ僕も協力するよ。どうせ目的も同じだからね」

「同じって、迅も戦いを止めるつもりだったのか?」

「違うよ。でもこの殺し合いを乗り越えるって意味では同じだ。ヒューマギアを――友達を巻き込んだアズは僕の敵だからね」

 

ヒューマギアのアズが他のヒューマギア相手に悪事を働いたり、人間と協力することになったり。

人間からヒューマギアを解放することを目指す迅としてはこの短時間で色々なことがあった。

だがこのバカは――城戸真司は多少くらい信じてやってもいいかもしれない。

 

「この殺し合いを乗り越えるために――お前が言う願いってやつに協力してやるのも悪くないかもしれない」

「ありがとう。よろしくな、迅!」

 

こうして人間とヒューマギアは手を組んだ。

城戸真司は元の世界で様々な人間に影響を与えてきた。

――果たして彼はこの世界でヒューマギアや他の参加者にどんな影響を与えるのだろうか?

 

 




【エリアH-10/1日目/深夜】

【迅@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装(ストライプスーツ)
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(迅)
[参戦時期]:25話で復活し、或人達と再会した直後。
[装備]:ザイアスラッシュライザー@仮面ライダーゼロワン、バーニングファルコンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン、ホークガトリンガー@仮面ライダービルド
[道具]:基本支給品一覧
    三羽ガラスのドックタグ@仮面ライダービルド
[思考]
基本:ヒューマギアを人類から開放する為、この殺し合いを乗り越える。
1:真司の願い(戦いを止める)ってやつに協力するのも悪くないかもしれない
2:次は滅と雷と合流を目指そう。
3:アズ、アイツは一体何者なんだ……?
4:ゼロワンと会ったら、一応協力してみようかな。バルカンは……まぁ、何とかなるかな。

[備考]
※ザイアスラッシュライザーは誰でも使用且つ変身可能となっています。
※どの方向に移動するかは、後の書き手におまかせします。

【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
[状態]:健康
[服装]:いつもの私服
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(城戸真司)
[参戦時期]:死亡後
[装備]:龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:生きて、戦いを止める
1:迅と一緒に戦いを止める
2:蓮……お前は絶対に死なせない
3:鏡像の俺……?
[備考]


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We didn`t say "Please avenge us".

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・蓮見琢馬@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-
・沖田総司@龍が如く維新!


広くはないが、狭すぎもしない本棚前の読書スペースにて。

M県S市杜王町を後にしようとしていた少年、(はす)()(たく)()は本を読んでいた。

シリーズ全てを読み切るつもりなのか、着いたテーブルには十数冊の同じサイズの本が積まれている。

表紙にあるタイトルは、やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

長々しいタイトルが半ば裏表紙の作品紹介代わりになっており、内容は捻くれた性格の孤高を好んで、結果孤立した少年が、ベクトルは違うが、同じようにどこか性格のまがった連中と織りなす学園ラブコメディだ。

なんでこんな時に小説何て読んでるかと言えば、態々殺し合いの為の場所として用意された場所にあるのだから、何かしら意味は有るだろうと思ったからだ。

更に理由を付け足すなら、最後に読んだ小説が恋愛小説だったせいかもしれない。

琢馬にはやや耳慣れない道具や表現、パロディ?などが見られたが、あの『開会セレモニー』で紹介された首輪やデバイスなどを考えれば、大したことではない。

だが、琢馬にはどうしても見過ごせない表現が有った。

 

(この主人公、八幡の独白…『スタンド使いとスタンド使いがひかれ合うように』だと?)

 

なんてことはない一場面での、どうってことない台詞。

琢馬も、もし知らなければ、何か自分の知らないパロディだろう。

と、スルーしていただろう。

だが、合わせて想起されるのは、先ほど戦ったザ・ハンドの男、虹村億泰(にじむらおくやす)との戦いで聞いたあの言葉。

 

『てめえの【スタンド】はよお、相手に記憶を書きこむって聞いたぜ』

 

スタンド…彼らが使っていた『能力』の呼称。

琢馬は、今までそんな名称や他の能力者を知ることは無かった。

云わば『世界の裏側』の言葉が、堂々とこの本には載っている。

そんな魔法の言葉が、なぜこんな、なんてことの無い場面で出てくるのだろう?

 

(どうゆう事だ?体の傷が治ってるのは、東方仗助の能力が俺の万年筆を直した時みたいな前例がある。

そこはいい。似たような能力の持ち主だっているかもしれない。

けど、それが広く知らるような状態なるって、どうゆう事だ?)

 

更に疑問を加速させるのが、読み切って見てみた奥付の日付。

 

『2012年3月21日』

 

これを信じるなら、この本は琢馬から見れば、10年以上未来で出版されたことになる。

まさか10年後には、少なくとも日本ではスタンド使いが普通になったという事か?

 

「よう兄ちゃん、ちょっとええか?」

 

なんて考えていると、入口の方からゆっくりと、誰かが近付いてくる。

現れたのは、刀を持った隻眼の男だった。

素肌の上に、血濡れの羽織をはおっており、髪形は丁髷。

白い肌に、爬虫類を思わす瞳。

風貌だけ見れば、江戸時代にタイムスリップした極道(ヤクザ)がその時代に合わせた格好をしたように見える。

が、同じアウトローでも、この前削いでやった指名手配犯の男とは決定的に違う。

戦意と、笑ってる所を見たら嫌でも感じるだろう狂気を上塗りする、静かで、あまりにも大きな怒りが、その蛇の瞳に宿っている。

 

 

(まだ読んでる途中だってのに。

虹村億泰の時と言い、今回と言い、なんでこうも強面の男に読書を邪魔されるんだ?)

 

そう思いながらも、この狭い島でたった150人の、同じ境遇の者だ。

極力トラブルを抱えたくはない。

 

「……手短になら」

 

「ここらへんで、虚無僧のなりした坂本龍馬っちゅう男を見てへんか?」

 

「いや、あのアズって女に放り出されてから、アンタしか見てない」

 

「そうか…邪魔したな。もう読書に戻ってええで」

 

そう言って隻眼の侍は入口の方に戻って行く。

 

「ちょっと待って」

 

「あ?」

 

「その虚無僧龍馬を何で追ってるんだ?」

 

「……師の仇討つんは、弟子の務め。それだけの話や」

 

そう言って侍、(おき)()(そう)()は今度こそ出ていった。

 

「師の仇、それが務めか…」

 

彼みたいに刀を振り回しをしなかったが、自分も母を死に追いやった父を、

同じようにこの殺し合いに呼ばれている大神照彦を、真綿で絞める形で討ち取った。

母の仇を討つのは、息子の務め。

今までの自分はそうだ。

自分の人生は、あの日、いつまでも指に絡まって取れない母の髪を拾ってから『務め』だった。

だが、それは終わった。自分はようやく本当の意味で自分の人生を歩みだす手順を踏んだ。

虹村億泰とザ・ハンドという、最終試験も無傷とはいかなかったが、突破した。

だというのに、再び嵌められた首輪、殺し合いと言う枷。

 

「これから『The Book』は新しい物語を綴る。

余計な閑話は早々に終わらせてしまおう」

 

彼の人生を余すことなく記録するスタンド能力、『The Book』の内容は、他ならぬ蓮見琢馬の人生が決める。

それは新たな人生、本当の意味での蓮見琢馬の人生。

もう既に、この本に残すと決めた物語。

その序章はどこまでも続いてるかのような草原を目にするところからと決めている。

 

「もう少し、もう数日だけだ。それで煩わしいその他すべてに片が付く。

『The Book』、用意はいいな?」

 

残る約十巻分の頁に素早く目を通し、完璧に記憶すると、デイパックを背負うと、沖田が去って行ったのと同じ方に歩み出した。

 




【エリアI-9/図書館付近/1日目/深夜】

【蓮見琢馬@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-】
[状態]:正常
[服装]:ぶどうヶ丘高校の制服
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(蓮見)
[参戦時期]:少なくとも虹村億泰と交戦した後。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:この殺し合いを切り抜け、草原を見に行く。
1:生き残る。邪魔者は容赦しない。
2:東方仗助と広瀬康一には警戒しておく。
3:なるべくさっきの眼帯の侍(沖田)の邪魔はしたくない。
[備考]
※やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。を四巻まで読破し、
 残りは全てスタンドに記録させました。
※彼のスタンドに関する制限は、後の書き手様に任せます。

【沖田総司@龍が如く維新!】
[状態]:正常
[服装]:血濡れの新選組の隊服(幹部用)
[所属陣営]:ゲーム(緑)
[メダル枚数]:1枚(沖田)
[参戦時期]:斎藤一と、虚無僧を取り逃がした後
[装備]:寿命武器(日本刀型)@チェンソーマン
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:虚無僧のなりした坂本龍馬を探し出し、師の仇を討つ
1:一ちゃんやトシちゃんとは、なるべく早く合流する。
2:岡田以蔵…ほんまにおるんなら殺り合ってみるのも悪うないな。
3:しっかし、異国にはあんな面妖な術や、こんな建物もあるんやな。
[備考]
※オープニングで虚無僧のなりした坂本龍馬=武市半平太@龍が如く維新!を目撃しました。
※会場が外国のどこかだと思っています。


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日向を行け、日陰を行け

作者
・ユッケジャン

登場キャラ
・鳴上悠@ペルソナ4
・雷@仮面ライダーゼロワン


 

廃墟と化した街並みが広がる。

生命の痕跡を微塵も感じさせないゴーストタウン。

脆く今にも倒壊しそうなビル群に最後 人の手が加わったのはどれほど昔の話だろうか。

自然が齎す風化とは別。

要所に映る人的破壊の爪痕が、争いを覚えた文明の醜い末路を思わせる。

意図して創られた悪意達が、暗鬱な雰囲気を醸し出す。

そんな終末世界に招き入れられた悲しき参加者が、また1人。

 

闇の中でも一際目立つオレンジ色のジャンプスーツを身にまとい、

宇宙飛行士型ヒューマギア『宇宙野郎雷電(らいでん)』、サイバーテロリスト滅亡迅雷.net『(いかづち)

2つの顔を持ったヒューマギアは呆然と立ち尽くし、ただ空を見上げていた。

 

「…何で俺は地上にいんだよ、一体何がどうなってやがるッ!!」

 

彼には使命があった。

人類とヒューマギア、双方の存続を賭けた重大なミッションであり、

もう二度とすることは叶わないと考えていた、兄弟二人での共同作業。

悪意の化身と化したアークによって支配された衛星ゼアの破壊。

全ての因縁に蹴りを付けるべく、弟と共に宇宙の大海原を飛び出した。

 

作戦は順調に進んでいた。

アークがゼロワン達との戦闘に意識を集中せざる負えない僅かな隙。

その千載一遇のチャンスをものにして、

ゼアに設置された大型兵器『ブレイキングマンモス』の強奪に成功。

地上のアークゼロ撃破と衛星を破壊しうる武装の奪取。

アークを滅ぼす条件は全て整い、後は砲撃の発射スイッチを押すのみ。

たった一押しで、悪意の連鎖に終止符を打つ事が出来る。

 

その筈だった。

 

星々広がる宇宙で地球を見下ろしていたはずが。

気が付けば、星明一つ無い空を見上げる地上へ。

アークを滅ぼした先にあった筈の自由や夢への道は無く。

あるのはアズによって付けられた、首輪と言う奴隷じみた不自由の象徴のみ。

 

「負けたのか…?俺たちは。」

 

アズによる悪意が幅を利かせる殺し合い。

こうして囚われた事実から脳裏を過ぎる敗北の二文字。

だが、どれだけ記憶を辿ろうと明確な答えは出てこない。

宇宙から開幕宣言をしたホールへ、ホールからこの廃墟の街に。

どういう経緯で連れてこられたのか。その仮定が全く思い出せなかった。

まるで記憶を一つの映像としてぶつ切りに編集されたかのように。

 

シンギュラリティに到達したと言っても肉体は機械。

未だ謎多き人間の脳と比べれば、ヒューマギアの記憶領域など簡単に操作出来るだろう。

実際、外部からの干渉で記憶データを初期化・復元した経験は雷自身何度もある。

記憶の改竄。そんな無法の形跡が、一大ミッションの失敗を益々濃厚なものへと変えていく。

 

「いや、そんなこと今はどうだっていい!

 アイツは!?昴はどうなったんだ!?」

 

支給品にあったデバイスを起動し、参加者名簿をスクロールする。

途中、自陣営の参加者や共に戦ってきた戦友の名が視界に映るが。

高度に発達したヒューマギアの処理能力をもってしても、焦る雷にそちらへ意識を割くリソースは皆無。

何度画面を行き来し。幾ら端から端まで読み返そうとも。

彼が求める一文は存在しない。

 

探し人、唯一無二の弟である宇宙野郎昴の名は何処にもなかった。

 

「クソっ!クソがぁ!」

 

急速に湧き上がる感情のままに、手元のデバイスを地面へと叩きつける。

それでも尚、発散しきれない感情を拳に乗せ、近くにある廃ビルの壁を叩いた。

 

名簿に弟の名前が載っていない。

悪辣極まりない殺人ゲームに大切な存在が参加せずに済んでいる。

普通に考えれば、これは喜ばしい事のように思えるだろう。

 

だが、現実は逆だ。

人類とヒューマギアの敗北。

この結論が濃厚な以上、外にいる仲間達が無事でいる可能性など皆無。

片方だけを殺し合いに連れて来て、傍にいた昴を放置する道理がアーク側の何処にある。

 

弟は死んだ。殺されたのだ。

人間も、ヒューマギアも、等しく飲み込み、滅ぼさんとする悪意によって。

 

「皆死んだってのかよ…。昴…迅、亡…。」

 

名簿に載っていない弟だけでは無い。

滅亡迅雷.netの同胞、迅や亡にも同様の事が言えてしまう。

迅は雷が蘇った頃から既にアークの意志に反した行動をしてきた。

彼に関してはアークが処断のも理解できる。納得は微塵も出来ないが。

だが、亡は処断する理由は無かったはずだ。

滅の、ヒューマギアの夢を叶える為、アークの元で忠実に動いてきたというのに。

反旗を翻した者のみならず、忠義を尽くした者にすらこの仕打ち。正に悪魔の所業。

それでよく人間を醜いと罵れたものだと、理不尽に怒りが込み上げて来る。

 

(それに、だ。滅も無事なのか?本当に滅は滅のままなのか?)

 

唯一、滅亡迅雷で無事と言えるのは共に連れてこられている滅のみ。

ただアークが健在であるが故に、そうも言いきれない現状が腹立たしい。

 

アークはボディ無しでは地上で活動する事は出来ない。

その代わり統制下にあるヒューマギアの思考を制御し、挙句には乗っ取る事が出来る。

ある時は迅、またある時は滅、そしてまたある時は雷と転々と身体を移し替えてきた。

 

あの悪意の塊が、この殺し合いを特等席で高みの見物するだけでは居られまい。

必ず自らの手で悪意の種をばら撒きに出向くはず。

名簿に名はなかった。だが、もしも奴が参加するとして。その素体は誰のモノを利用するか。

自分は現在正常に活動している以上、必然的に滅が役割を担う可能性は非常に高くなる。

今の自分も正常と言い切れるかどうか、正直怪しいものではあるが。

 

「助けたかったら殺し合いに乗れ…。悪意を広めろ。

 アズの野郎、俺にそう言ってんだろうな。」

 

やろうと思えば、アークの意志のままに殺戮を繰り返す木偶人形にも出来たはず。

にも拘らず敢えて意志を残した。わざと選択権を雷に委ねたのだ。

解放してほしくば、同胞を、弟を復元してほしくば殺せ。

そうした葛藤と苦悩の末の行動は、より強烈な負の感情を生み出す。

奴らの考えそうな話だ。

アークやアズの狡猾な思惑が、憎たらしい嘲笑が、透けて見えるようだった。

 

(俺はどうすりゃいい。

 今の俺がお前らにしてやれる事はなんだ?)

 

目を閉じ、考える。

耳部に接続されたモジュールが、せわしなくキュルキュルと音立てる。

雷の脳内は未だかつてない程に思考を張り巡らせていた。

何処まで行ってもアークの掌の上。

その中でも出来る事はあるのか。

乗るか。乗らないか。従うか。逆らうか。

一体いつまでそうしていただろう。

思巡を終え、目を見開く。

そして───

 

「わりぃな。俺は乗らねぇ。」

 

発した言葉は、拒否。

 

「俺は殺し合いを…アークをぶっ潰す。」

 

何処かから聞き耳を立てているだろう運営に向けての宣戦布告だった。

 

アズの言うとおり優勝し、昴や滅亡迅雷の仲間達を蘇らせた所で、待っているのは破滅。

誰の為でなく、大義も無く。

ただ純粋な悪意だけをばら撒き続ける悪魔の尖兵としての末路。

そこに争いを選んででも求めたヒューマギアの自由も平和もありはしない。

夢を抱いて宇宙の大海原へと飛び立つ弟の姿などありはしない。

散った者達の夢は闇の中で、沈み、消えていってしまう。

 

「アイツの兄貴として、アイツらの仲間として、。

 俺は最後まで胸を張れるようにしたい。それが俺の選んだ結論だ。」

 

だから、雷は悪意と、かつての主と戦う事を決めた。

殺し合いと言う名の暗雲を晴らして、希望を未来に繋ぐこと為に。

例えこの結論すらアークの予測済みだとしても、迷わない。

偽りだらけの生涯で得た弟と仲間への思いだけは、嘘じゃないと信じて。

 

「これが自分の意志で生きる…って事なんだろ?迅。」

 

見捨てられ、自棄になっていた時に掛けられた言葉を思い返す。

この言葉が無ければ、アークに反旗を翻す考えには至れなかっただろう。

雷は亡き友がくれた生き方を決めるきっかけに感謝し、思いを馳せる。

もっとも、その張本人はこの会場で今も健在で、死んではいないのだが。

 

 

「なぁ!オマエはどう動くつもりだ!?気づいてんだろ俺の事はよ!」

 

耳を割く様な威勢の良い声で、雷は叫ぶ。

背後より近づく誰かへとその声を確実に届ける為だ。

振り向けば、暗い闇の奥底から姿を現す学生服を纏った青年。

足音を殺す素振りすら無く、接近にも簡単に気づくことが出来た。

 

自らの実力に絶対的な自信を持った強者かと言えば、程遠い。

まるで屍人が墓場から蘇ったかの如き、覚束ない足取り。

威風堂々と戦場を闊歩する超人、狂人とはとても同列には当て嵌めれない。

 

ならば、自暴自棄を起こした弱者かと言えばこれもまた、程遠い。

その手に持つ日本刀と、俯きながらも前を見据える灰の瞳に宿る『殺意』。

恐怖に屈した臆病者には決して出せない、無言のプレッシャーが其処にはあった。

 

「どうした、辛気臭ぇ顔なんかしやがって。

 ま、こんな状況じゃそんな顔になっても仕方ねぇけどよ。」

 

歩みを止めた青年の方へ雷は向き直る。

 

「……………」

 

返す答えは、沈黙。

代わりに、雷へ向けた鈍く光る日本刀の切っ先が、青年───鳴上悠の決意を雄弁に語っていた。

 

「……命惜しさに殺す野郎には見えねぇが。

 アズにビビっちまったような奴はそんな顔は絶対しないはずだ。」

 

悠の表情に怯えも恐怖もない。

あるのは深く根を張った絶望とこれから行う罪への冷酷な覚悟。

保身や、享楽から生み出せる感情ではない事は、当事者でなくとも容易く察せられた。

 

「誰の為に、テメェは乗った?恋人か、親友か、それとも…」

 

「―――兄妹の為…とかな。」

 

「………ッ!」

 

ここまでピクリとも動かなかった表情が初めて、目に見える反応を示した。

 

「…そうか。お前もか。」

 

その動揺で理解する。

目の前の青年が自分と同じ者を守る為に戦っているのだと。

相手は弟か。それとも妹か。

何にせよ、彼は兄として罪を背負う道を選んだ。

それは雷にとってもあり得た選択であり。理解出来てしまっからこそ。

もう陳腐な話し合いなどで解決できるような相手でない、と一人の兄として確信した。

 

「…………許してくれとは言わない。

 これから貴方にやる事は全て、俺のエゴだ。」

 

「ああ、男が覚悟決めて選んだ答えだ。

 それにごちゃごちゃ言うつもりはねぇし、意味もねぇ。けどな!」

 

紙から回収していた支給品『フォースライザー』を取り出し、腰に装着する。

手には人間の無計画な乱獲により滅ぼされた絶滅種『ドードー』

そのデータ、『ロストモデル』が刻まれた『ドードーゼツメライズキー』が握られていた。

 

「腑抜けた面の野郎に潰される程、俺は甘くなんかねぇぞ。」

 

『ドードー!』

 

キーの持ち手で稲妻を描き、フォースライザーへと装填。

その時鳴り響くドライバーからの警報。

だがそんなもので、戦いに挑む戦士を止める事は出来ない。

 

「変身!」

 

待機音代わりの警告を無視し、雷はベルトのトリガー『フォースエグゼキューター』を引いた。

 

『フォースライズ!』

 

ロストモデルから形成されたアーマーが周囲に展開される。

身体から真っ直ぐ伸びる無数のケーブルが、それら強引に引き寄せ、合着。

飛来した一条の赤雷が止めば、そこに立つのは深紅のスーツに鳥類を意匠を施した装甲。

無情なる人類への怒りを宿した戦士、仮面ライダー雷がここに推参した。

 

『Break Down』

 

「さぁかかってこいよ。テメェに雷落としてやる!」

 

構築された羽を模した双剣、ヴァルクサーベルを引っ提げ、疾走。

闘志を滾らせ敵が迫り来る中、悠は未だ然したる動きを見せない。

 

(コイツ…生身のままやるつもりか?)

 

仮面ライダーと生身の人間とでは戦闘力が比較にならない。

向こうの攻撃など通るはずもなく、こちらの攻撃は牽制だけでも致命となる。

今回の争いは殺人目的ではなく、制圧目的の戦いだ。

カミナリを落とすと言った手前、矛を収めるつもりはないが加減が必要か。

そう考え始めた時だった。

 

「…ペルソナ」

 

微かに耳が捉えた小さな呟き。

その言葉が呼び水となり、悠の傍に降り落ちる一枚のカード。

タロットカード0番、『愚者』

アルカナが描かれた札を握り潰すと同時に、背後から人影が姿を現す。

長ランに白鉢巻、シャープながらも凛とした立ち姿。

さながら往年の番長を思わせる巨人。

それは鳴上悠の内に存在するもう一人の自分、『イザナギ』。

 

「何だ!?」

 

突如出現した新手に驚きを露わにする雷。

そんな彼を他所に、イザナギより振るわれる大上段からの長剣。

威力、速度、両者共に一級品。被弾は避けねば不味い。

迫り来る攻撃へと瞬時に思考を切り替え、横へ飛ぶ事でこれを回避する。

 

「ハアァッ!」

 

だが、この行動を予測していたか。

体勢を崩した雷へと迫る生身の肉体。

直後、日本刀の鋭い一閃が、回避直後の身体を襲った。

ぐ、と呻き声を漏らし、装甲が火花を吹き散らす。

想定よりも芯に響く一撃に僅かに仰け反る体勢。

攻めの好機にすかさず追撃が入るが、二撃目はサーベルによる防御が間に合う。

 

(この一発の重さ…!

 後ろのデカブツといい、ただの一般人って訳じゃねぇみてぇだな。)

 

運動神経や武術に多少心得があろうと魑魅魍魎蔓延るテレビ内を常人が戦い続けるには力不足。

それでもペルソナ使いがシャドウに身一つで太刀打ち出来ているのは、彼らの特性に他ならない。

ペルソナを手にした者は覚醒に伴い、その身体能力が向上する。

力の恩恵は、筋力、瞬発力、耐久力、持久力、武器の技量と多岐に渡る。

認めがたい心の影を受け入れ、乗り越えた者へペルソナから送られる細やかな副賞とも言えよう。

 

本来ならマヨナカテレビの世界だけの話であり、現実では適応されない。

だが、ここはアズが円滑な殺し合いの為に設けた闘技場。

強力過ぎる能力を制限すると同時に、特殊な環境下でしか戦えない者にも調整が施されている。

もう一人の自分からのギフトは疎外されず、この地においても如何なく発揮された。

 

「やるじゃねぇか。

 そんだけやれんなら加減の心配も要らねぇな。」

 

ライダーに後れを取らない異能力ペルソナに悠自身の身体能力。

下手に手加減をしていては、敗北を味わうのはこちらだろう。

 

「オラァ!!」

 

手隙のサーベルを大振りに振るい、悠を飛び退かせる。

そうして開いた距離を瞬時に詰め切って繰り出す翼剣。

 

「迎え撃つ…イザナギ!」

 

二人の間に割って入ったイザナギがこれを受け止めた。

しかし雷の攻撃は一合、二合では留まる事を知らず。そのまま怒涛のラッシュへと変化。

雪崩れ込む様に互いの刃が火花を散らし、打ち合いが始まる。

 

フォースライザーを用いた変身者の長所。

それはキーの過剰出力を元にした凄まじい攻撃力と装甲を最低限に抑える事で実現した機動力。

攻撃特化の性能を持つライダーシステムは、ラフな戦闘スタイルと相性が良い。

多少のダメージを無視して進む。野蛮だが豪快な攻めは、装着者の性格が表れているだろう。

 

一方で悠も負けてはいない。

イザナギが嵐の如く吹き荒れる連撃を防ぎ、悠が隙間を縫うように攻撃を叩き込む。

本体とペルソナ、自分同士が発揮する攻防合わさった抜群のコンビネーション。

阿吽の呼吸で繰り出す連携は、半年以上戦い抜いた戦闘経験の為せる技か。

 

雷が吼え、イザナギが防ぎ、悠が攻め続け、雷が耐え抜く。

一歩も譲らない剣戟。両者の均衡はいつまでも続くかに見えた。

しかし―――

 

「クッ…!」

 

「どうした!まさかもうへばったなんて言わねぇよな!」

 

均衡は長くは続かなかった。

打ち合いの中、悠の動きに明確な疲れが見え始める。

防御を担当していたイザナギは徐々に被弾が増え始め、

攻撃を担当していた悠は雷へ有効なダメージを与える余裕が無くなっていた。

 

二人の明暗を分けた要因は至極単純なものだ。

ペルソナの行使は精神力を激しく消耗する。加えて、積極的な本人の参戦。

息つく暇のない攻撃への対処は、悠の身体をみるみる蝕んでいく。

 

一方で、雷には人間なら起こり得る運動から来る疲労がない。

ヒューマギアはバッテリー駆動。当然、彼にも限界は存在する。

だが、消費し切るその時までは、動きのキレが衰える事は決してないのだ。

 

疲労が蓄積する人の身と疲れ知らずの機械の身。

戦況が変わることなく長引けば、次第に競り負けるのは必然と言えよう。

 

悪い流れは直ぐに断ち切らねばならない。多少強引な手だったとしても。

突如として我武者羅に長剣を振り回し、守りを鑑みない動きを取る。

精彩さを欠いた乱雑な攻め。だが、インファイトで攻め立てる雷のペースを乱すには充分。

雷が圧し込まれている間に悠自身は大きく後退。次手への準備を整える。

 

「逃がさねぇ!」

 

強引な逃げの一手は追い込まれている証拠。

もし策があったとしても何かする猶予を与えなければよい。

果たして間に合うか。雷はイザナギを退け、稲妻の如き速度で悠へと踏み込む。

 

「…ッ!ペル、ソナっ!!」

 

己が分身からのフィードバックに胸を抑えるも何とか堪え、精神を集中。

内に還ったアルカナを悠は再び戦場へ呼び戻す。

 

───タルンダ

 

カードを砕き、再度イザナギを召喚。

現れると同時に、悠の身体が一瞬閃光に包まれ、その光は雷の身体へ移される。

一歩遅かった。浴びると同時に全身を伝わる脱力感。

攻撃力の減少。そんな魔法じみた技も出来るのかと把握して、雷は歯嚙みする。

追撃は失敗した。劣化した身で間合いに入った以上、代償の支払いは避けられない。

 

冒頭の焼き直しのように振り下ろされるイザナギの長剣。

初めと同様の躱す動きは出来ず、苦し紛れに翼剣を胸元で交差し受ける。

しかし、最初と違うのは姿勢のみならず、膂力も同じ。

下げられた力では剛剣を受けきれず、撃砕。

過去一番、悠の元に晒される致命的な隙。

 

「しまっ…!」

 

───タルカジャ

 

第二の補助魔法『タルカジャ』、能力は物理攻撃力の向上。

威力を底上げされた真剣の切上げは最早無視できるダメージではなく。

雷は大きく吹き飛ばされ、アスファルトを転がった。

これで終わらせる。

大きく傾いた戦況。勝ちを一気に引き寄せるべく、悠はもう一人の自分へ号令を飛ばす。

 

「畳みかける。イザナギ!」

 

───ジオダイン

 

「ガァッ…!!」

 

天へ刀を掲げれば、雲無き空から降り注ぐ轟雷。

奔る雷撃が揺らぐ雷の身を襲い、煙が朦々と立ちこめる。

その時、悠は呻きと何かを取り落とす金属音を聞き逃さなかった。

恐らく落下したのはサーベル。幾ら猛者と言えど落雷の直撃。

衝撃と痺れで、即座に復帰できるものではない。

 

───チャージ

 

無防備なタイミングが一瞬でもあれば僥倖。

僅かな時間さえ与えられれば、最大火力をお見舞いする為の準備が出来る。

悠は攻撃力を更に高め、持ちうる力の全てを雷へぶつけるべく、もう一人の自分を走らせる。

両手に満ちる力を剣に纏い、煙の奥へと突撃。携えた刃を真っ直ぐ振るう。

まさにその瞬間―――

 

そこから飛び出したのは、振り抜かれた雷の拳。

 

「なっ…!?」

 

「この俺にカミナリ落とすなんざ、百万年早えんだよ!!」

 

仮面ライダー雷はその名が示すように雷撃を自在に操る装備を持つ。

その為、彼のスーツには自傷防止の強力な絶縁補強が全身に施されている。

マヨナカテレビの法則に当てはめるなら電撃耐性と言った所か。

結果としてジオダインの衝撃は殺せずとも、痺れによる硬直は起きず、イザナギの対処へと迎えたのだ。

 

イザナギの無防備な頬に鉄拳が叩き込まれる。

痛烈な当たりはペルソナを通じ、悠にも多大な衝撃を与え、付近の壁へと吹き飛ばす。

 

「漸く拳骨一発、だ。だが、まだ終わりじゃねぇ。」

 

早期決着を望むのは雷もだった。

限界が存在するのはヒューマギアとて同じ。

損傷が許容を超えれば、疲労があろうとなかろうとボディは崩壊する。

ガタつく五体を気合で抑えながら、雷は起き上がろうとする悠を見据える。

どちらも限界間近。ならば、雌雄を決するのは今を持って他にない。

 

「本物のカミナリってのはどう落とすか…教えてやるぜ。」

 

フォースエグゼキューターに手を掛け、開閉。

ゼツメライズキーを強引にオーバーロードさせ、底に眠るエネルギーを爆発させる。

 

「デケェの一発かましてやる。歯ぁ食いしばれよ!!」

 

雷は高く舞い上がり、錐揉み回転をしながら悠へと迫る。

轟音を轟かせ、全身を迸る赤雷は両足へと収束し、纏われていく。

やがて、形成されるドリル状のオーラ。

唸りを挙げ、螺旋を描き、荒ぶる雷神の怒りを叩き込まんと突き進む。

 

「ペルソナ!」

 

───ラクカジャ

 

悠はすかさず防御力上昇の魔法を唱える。

が、所詮これは焼け石に水。万が一の時のリスク軽減だ。

このまま接近する暴威を喰らえば、多少頑丈になろうとただでは済まない。

回避する暇は無い。だが、ここで諦める結論もまた彼の中には存在しない。

先の失態で、放ちそこねたチャージで蓄えた力はまだ残っている。

己の道を切り開く為、全身全霊の一刀を解き放った。

 

『ゼツメツディストピア!!』

 

───ブレイブザッパー

 

力と力の衝突。

拮抗するエネルギーは周囲にも伝播し、触れた物全てを尽く薙ぎ払う。

 

「うおらあぁあああああ──────!!!」

 

「イザナギイィイイイイ──────!!!」

 

両者、雄叫びを上げてぶつかり合う。

譲れないが、貫き通したい思いが、あるからこそ。

持てる全てを己が信じる必殺技に注ぎ込む。

終わりのない鬩ぎあい。その果てに巻き起こる激突箇所を中心とした爆発。

吹き荒れた爆風は二人を吹き飛ばし、それぞれ別々の廃墟へと突き刺さる。

 

「…どうだ。ちったぁ効いたかよ…。グっ…!」

 

先に起き上がったのは雷、しかし直ぐにその場で膝を付く雷。

過剰出力の影響か、蓄積したダメージの影響か。

息を切らす事は無くとも全身が悲鳴を上げている。

運無くしては一騎打ちには持ち込めず、下がった攻撃力抜きにしても一か八かの勝負だった。

相手にペルソナという戦力が存在し、自分が衰えていたからこそ。

本来なら生身には向けられない必殺技を行使出来たわけでもあるが。

 

勝負は痛み分け。威力は大分殺されているのは雷本人も認識済み。

相手は死んではいない。だが、元気に戦い続けられるかと言えば厳しいだろう。

出来れば倒れていてほしい。このまま続けば、最悪互いが死ぬまでやりかねない。

雷は闘いの終結を祈る。だが、その願いは聞き届けられず。

視界の先に映るのは覚えのある人影。

 

「どうやら、まだ足りねぇ見てぇだな。…あぁ?」

 

砂煙の向こう側から再び悠が姿を現す。

学生服は擦り切れ、肌からは所々出血の跡が見える。

しかし、傷だらけになっても尚、彼に落ちた暗い影と闘志は依然変わらず。

やらざる負えないか。相手の戦闘続行の意を受け雷は構え直す。

が、そこで一つ、先程までとの相違点を見つける。

 

今までとの違いは、右腕。

その手には日本刀に代わり、掌大の『何か』が握られていた。

 

■■■

 

今の自分では誰にも勝つことは出来ない。

そんな漠然とした予感が最初からあった。

 

『ワイルド』の消失。

現実でもペルソナが使える事実を知って真っ先に気が付いた。

 

主催者が細工をしたのだろうか。

アズらは精神の具現化であるペルソナを本人から分離し、支給品として配給する謎の技術を持つ。

理屈は分からない。

彼女が言う願いを叶える力とやらを持ってすれば、造作もない事なのだろう。

一個人が膨大な戦力の保有する事へのバランス崩壊を危惧してか。

人に殺し合いを強いておいて、制限を加えるとは勝手が過ぎる。

運営の不公平さ、己の不幸を嘆かずにはいられない。

 

いや、違う。

誰かのせいになど、出来るものか。

原因は自分だと痛いほど理解しているから。

ワイルドは愚者のアルカナが持つ絆から生み出す無限の可能性。

人と人とが結ぶ繋がり、確かな絆を育む事で、常識を超越する力だ。

奇跡は一人一体の制約を超えて、複数のペルソナ所持と言うイレギュラーを可能としてきた。

 

にも関わらず、俺は殺し合いに乗った。

それは罪のない参加者達が紡いできたであろう絆を断ち切り、

力を貸してくれた掛け替えの無い友人や家族たちに唾吐く行為。

愚か者の悪逆に、紡がれた絆の結晶が力を貸すはずなど無かった。

 

残された力はイザナギのみ。

戦いが始まった頃から共にあり、苦難を乗り越えてきた最初のペルソナ。

如何に使い慣れたとしても。本来は無いはずの強化された技を与えられても。

どんな困難も絶望にもきっと打ち勝てる。皆と一緒に真実を追い求めていた頃。

そう確信出来た時の力は湧き上がってこない。

 

人間とは無力な存在だ。だからこそ、人と繋がり、支え合って必死に生きている。

だが、迷いを断ち切り、血に手を染める事を決めた時点で、青年は孤独になった。

これが鳴上悠という独りの男の限界。ならば、この末路も止む無しだったのかもしれない。

愚者の一人旅はここで終わる。押し寄せる疲労の波に身を任せようとして─────

 

 

カ チ ャ ン

 

 

何かが転がり落ちる音がした。

見れば、懐に仕舞っていたはずの最後の支給品。

説明書通りならば、まず間違いなく勝利を齎せるだろう代物だ。

ここまで使わなかったのは、出し惜しみでも眉唾と蔑ろにしたわけでもなく。

ただ恐かった。

シャドウに近しい禍々しい雰囲気を漂わせる時計。

使えば自分が自分で無くなってしまうような名状し難い恐怖があった。

 

でも、もう一度考えてみた。

本当に恐ろしい事は何か。

戦いで傷つく事、孤独となってしまう事、自分を見失う事。

どれも、違う。

本当に怖いのは守りたかったものを手から取り零してしまう事だ。

震える小さな手。苦しみ喘ぐ表情。冷たくなっていく体温。

あんなものが追い求めた真実だったという現実を認めたくない。

あんな答えを覆す為に、凶刃を手に取ったんじゃなかったのか。

 

気づけば忌むべき時計を掴み取って、起き上がっていた。

全身に纏わりつく疲労感はもう邪魔にはならない。

正面に立つ仮面の男。彼もまた同じ目的の為に戦っている。

異なるのはその方向性。向こうが日向ならこちらは日陰。

姿は見えずとも彼の傍に誰かがいて、自分の傍にはもう誰もいない。

 

「………羨ましい。」

 

遠い過去、在りし日の自分を思い出し、小さく呟く。

でも、もういい。もういいんだ。

俺は独りでも大丈夫だから。誰もいない世界でも走って行ける。

 

この力はきっとその為にあるものなのだから。

 

自分がこれから行く道を見据えて、悠はスイッチを押した。

 

 

『カブト』

 

 

起動したウォッチを体内へと押し込めば、忽ちその身は変貌していく。

二足歩行の甲虫。まさに『怪人』と呼ぶに相応しい姿。

その身を覆いつくす蛹を思わせる赤く分厚い甲殻。

胴体、頬、青の複眼にまで入り込んだ無数の節足。

嫉妬、憤怒、怨嗟、羨望。様々な感情が混在し、邪悪に歪む相貌。

 

それは、妹を、妹の生きる世界を守る為に運命を背負い、闘った兄の力の紛い物。

それは、弟の為なら世界すらも滅ぼさんと地獄を突き進んだ兄が手にした力。

 

アナザーカブト。

 

それが鳴上悠の、新たなる仮面(ペルソナ)の名だ。

 

■■■

 

「そんな殻に引き篭るつもりかよ。

 生身の方がまだ気概が見れて良かったぞ。」

 

目の前に現れた怪人の姿に雷の脳内で警鐘が鳴り響く。

人間が異形へと変貌する。

一連の流れは雷も勝手知ったる存在と酷似している。

仮面ライダーである雷自身も同じ存在と言えるかもしれない。

だが、それらが機械的な変形、変身だとするならば。

目の前の怪人は生物が進化の過程で為す変態。

 

だが、本当にあれは正しい進化なのだろうか。

成虫でありながら蛹でもある不完全さ。

進化の途中どころか、脱ぎ捨てた殻を再び寄せ集め、再び纏ったようにも見える。

暗く堕ちた心を無理やり押し込める為の仮面。異形の怪物を前に雷はそんな感想を抱いた。

 

ただでさえ、元の姿でもライダーシステムと渡り合ってみせた男。

そこに更なる力が加わったと仮定するならば、脅威度は大きく跳ね上がる。

今まで戦ってきた相手とは完全に別物。ここまで学習してきた内容は通用しないと考えるべきだ。

しかし、ラーニングによる対応力こそヒューマギアの真骨頂。0からのスタートでも問題は無い。

ならばここは情報収取が最優先。一旦様子見に回るのが賢明か。

 

「…いや違うな。テメェの殻は、今ここで速攻ぶち破る。

 直ぐに引きずり出して、根性叩きなおしてやらぁ!」

 

雷が取った選択は様子見ではなく、短期決着。

元より限界値は超えかかっている。悠長に戦闘を長引かせる余裕はもう無い。

何よりあの姿で閉じ籠る彼を雷は看過できなかった。

根拠は無い。直感による結論だ。人工知能らしからぬ話だと笑うだろうか。

だが、自分の意志のまま動く事に細かい理屈なんて要らないはずだ。

雷は再度キーの限界を引き出そうとトリガーへ手を伸ばした。

 

 

雷の判断は強ち間違いではない。

力を得たと言えど消耗度合で言えば雷と遜色ないダメージ量。

重症の身体に慣れぬ力。そんな状態で技を受ける余裕はなく。

発動さえ出来れば、アナザーカブトを容易く撃破出来ていただろう。

 

ただ彼に誤算があったとすれば。

即断即決の行動さえ、今の彼にとっては余りにも『遅すぎた』事だ。

 

雷が動く同時に、アナザーカブトも腰に手を置く。

工程は僅かに一つ。たったそれだけの動作で。

 

 

『CLOCK UP』

 

 

世界は────彼を残して静止した。

 

 

■■■

 

吹く風も。

鼓膜に伝わる音も。

巻き上がる砂埃の一粒も。

会場に散らばる参加者達も。

怪人に闘い抗おうとする雷も。

その全てが、止まった。

 

正確には完全に止まっている訳ではない。

亀の如き緩慢な動きではあるが、時は確かに進んでいる。

放出されたタキオン粒子が創り出す物理法則を超えた超加速。

アナザーカブトは、同じ領域に踏み込めない全てを元の時流へと置き去りにした。

 

『ONE・TWO・THREE』

 

低くくぐもった声のスリーカウント。

その一瞬の内に、二人の距離はたちまちゼロへ。

異なる世界を進み両者、再び相まみえる。

雷は現実の世界、悠は光速の世界から。一方通行の視線が交わった。

 

 

「………さよなら。」

 

『RIDER KICK』

 

 

告げられる最後通告。

天高く伸びた一本角から右足へ。

全身を駆け巡ったタキオン粒子を纏った刹那の回し蹴り。

躊躇なく放たれた一撃は、障害一つ無い雷の腹部を撃ち抜いた。

 

雷は自身の異常に気が付けない。

ゆっくり、ゆっくりと。

少しずつ衝撃によって身体が歪み、少しずつ爆炎に身を焦がしていく。

その光景をアナザーカブトは目を逸らさず、噛み締める様に見つめた。

己が手で犯した罪を、一秒たりとも忘れる事が無いように。

 

 

『CLOCK OVER』

 

「……ぁぁああああああああああああっ!!!」

 

 

二人の時流は元に戻る。

けたたましく響き渡る爆発と絶叫。

兄二人、意地と意地をぶつけ合った決戦。

その決着は当事者すら正しく認識する事は無く。

光速の名の元に、粛々と行われた。

 

 

■■■

 

 

「な、にが…起こった…」

 

雷の脳内CPUが延々とエラーを吐き続ける。

強烈な衝撃が意識外からやって来て、機体が弾け飛んでいた。

過程の一切が理解不能。気づいたときにはこの有り様。

ただ訳も分からぬまま突きつけられていた敗北の二文字。

それだけが、雷に把握できた全てだった。

 

変身は解除され、生身のまま地面に転がる雷。

先程の衝撃でショートしてしまったのか。

黒い骨格が剥き出しになり、所々火花を散らしている。

だが、何はともあれまずは起き上がらねばと身体を動かすも一向に立つ事は叶わない。

まだ意識もあれば、ぎこちないが動作もまだ出来ている。

なのに、一体何故?

雷は重たくなった首を何とか持ち上げ、自身の身体を見やる。

 

 

「あぁ、そうか。そりゃそうだな。」

 

その原因を雷は直ぐに把握できた。

単純明快な真実が、すぐ目の前に広がっていたのだから。

 

 

「こんなザマじゃ、立てる訳ねぇわな。」

 

 

 

 

 

 

 

その視界の先には、下半身が存在しなかった。

 

 

攻撃直前、フォースライザーには膨大なエネルギーが蓄えられていた。

そこに狙い澄ましたかのように放たれたライダーキック。

ゼツメライズキーとアナザーカブト、双方の負荷が合わさり、ベルトは爆散。

胴も巻き添えを喰い、無残にも泣き別れ。大地に立つことは二度と叶わない。

 

こんな気づいて当然の外傷すら分からず、藻掻き回っていたとは。

完膚なきまでにイカれてしまったなによりもの証左と言えるだろう。

人ならば即死の状態。まだ生きていられるのはヒューマギア故の事象。

だが、ヒューマギアも人間も終わりは平等。

内部機能は少しづつ活動を停止。死へと近づいているのが分かってしまう。

 

頭上に黒い影が映り込む。

視線を送ればそこには青年の姿。

無表情、しかし何処か愁いを帯びた表情を浮かべ、怪人ではなく人の身で立っていた。

戦闘前と変わらぬ輝きを放つ日本刀。再び握られたソレは処刑人の剣の様に見える。

 

(慣れねぇ事するもんじゃねぇな。

 アイツらにどの面さげりゃいいんだか分かったもんじゃねぇ。)

 

死した皆の夢を未来に繋ぐ。宙へ誓った生き方を果たせなかった。

ようやく見つけた自分の意志。それを何も為せぬまま死んで行くのは、やはり悔しい。

今まさに刀を振り上げんとする。悪意で舗装された道を進もうとしている青年。

昔、自分が歩んだ道に行く者を引き戻せない事が堪らなく悔しい。

 

不器用なやり方しか出来なかった。

自分の言葉では彼の歩みを止められない。

それでもまだ時間はある。一分にも満たない時間だ。

だがきっと、与えられた以上に意味があるものだと信じて。

 

「なぁ、坊主。

 何も言わねぇって言ったけどよ。最後に、一つだけいいか?」

 

雷の呼びかけに刀が止まる。

止める必要は無かった。それでも止まった。

気紛れか、それとも別の要因か。

もしそうならまだ望みはあるのかもしれない。

 

「しゃんとしろよ。

 兄貴ってのは弟妹に背中を見せてやるもんだからな。」

 

「……………」

 

「今は出来なくてもいい。でも必ず、お前の前に現れる。

 忘れちまった胸の張り方を教えてくれる奴がな。」

 

止められるヤツをただ一人、雷は知っていた。

ヒューマギアと人間、両者の共存を夢見た若社長。

裏切った敵に対しても善意を絶やすことなく。

アークの悪意に晒されて尚立ち上がったあの男なら。

必ず彼の手を引っ張り上げてくれると確信を持って告げる。

 

「だから…忘れんな。

 どんな奴でも…いつだって戻れるんだってことを、よ────」

 

ノイズが締め、言葉が止み、そして気づく。

上げた刃の振り下ろし先が既に無くなっていた事に。

穏やかに笑うその顔にもう光は灯っていなかった。

 

 

■■■

 

 

「………………」

 

鳴上悠は殺人を犯した。

彼は、雷は機械だった。厳密に言えば殺人とは少し違う。

断面や皮膚から顔を覗かせるのは血肉でなく、メタリックな内部骨格。

一般的に捉えれば、人間はおろか生命ですらない。

だとしても、雷は紛れもなく人間だった。

 

突然押し付けられた殺し合いへの理不尽に怒り。

大切な者に会えぬまま死にゆく現実に泣き。

己を殺した悪人を気遣って笑う。優しい心を持った人間。

 

マヨナカテレビで出会ったお調子者だけど寂しがり屋。

そんな掛け替えの無い友人がそうだったように。

人の身であろうとなかろうと心があれば、人足り得る。

そこに生まれや肉体など関係ない。

 

そして、そんなれっきとした人間を葬ったのは、他ならぬだ。

 

――――どんな奴でも…いつだって戻れるんだってことを、よ───

 

「………戻れるわけない。もう俺には、無理なんだ。」

 

雷は戻れると言った。

引き戻してくれる誰かがいる限り戻れると。

だが、後戻りなんて道はもう選択不可能だった。

既に一人、皆の手を振り払って殺しているのだから。

ここへ来る前から鳴上悠は『罪人』だった。

 

止める声もあった。

立ち止まる猶予は残っていた。

戻り道もちゃんと用意されていた。

それでも、選んだ。引き返せない一本道を。

霧のかかったテレビから見えた吐き気のする、都合の良い真実だけを見て。

絶望と憎悪、善意を塗り潰す真っ黒な悪意が俺を突き動かした。

真っ暗な場所に差す善意は余りにも眩しすぎて、苦しくて、手を振り払いたくなる。

 

「だから後一人、ちゃんと殺そう」

 

戻り道があるから苦しい。

振り切った迷いがいつまでも付いてくる。

ならば、言い訳の余地が出来ない位の殺人しよう。

弁明すら叶わない程、憎むべき殺しを。

菜々子を殺し、俺が殺した『アイツ』の様な許されざる罪を犯そう。

それで初めて、この地獄の様な殺し合いで迷わずにいられる。

失った人を、見失った真実を取り戻しにいけるのだ。

 

 

――――こ…わいよ…おにい…ちゃん…

 

 

ふと蘇る妹の、菜々子の遺した最期の言葉。

込められた意味は違うのだと分かっていても。

今の現状をあの子が見ればこう言うだろうなと、悠は思った。

 

「…済まない、菜々子。でも、もう少しの辛抱だから。」

 

胸の内から乾いた嗤いが込み上げる。

彼女はもう笑いかけてくれないのだろう。

血に染まった真実を求める自分にその資格などない。

ただ。ただ、それでも。

其処に自分がいなくてもいい。

掛け替えの無い家族の元に帰してあげられるなら。

例え自分に向けられたものでなくともいい。

優しい笑顔で笑えるように出来るなら。

 

陽の当らない地獄でも俺は闘い続けられる。

 

雷が遺した荷物を背負い、今度こそ歩み始める。

実際の重さ以上に肩へ重くのしかかるそれは犯した罪の重さ。

地獄を彷徨う愚者は一人、未だ光の届かぬ闇へと消えていった。

 

 




【エリアC-8/1日目/深夜】
※同エリア内に雷の遺体と首輪が放置されています。

【主人公(鳴上悠)@ペルソナ4】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、SP消費(小)
[服装]:いつもの学生服(ボロボロ)
[所属陣営]: 緑(ゲーム)
[メダル枚数]: 2枚(鳴上悠、雷)
[参戦時期]: 菜々子死亡ルート後より参戦。
[装備]: 日本刀@現実、ペルソナカードイザナギ@ペルソナ4、アナザーカブトウォッチ@仮面ライダージオウ
[道具]: 基本支給品(鳴上悠、雷)、ランダム支給品×2(雷)
[思考]
基本: 自陣営を勝利させ、菜々子を生き返らせる。
1: 発見した他陣営の敵を殺害する。
2: なるべく知り合い(陽介、直斗、足立)には会いたくない。

[備考]
※ルートの都合上、事件の真犯人が足立であることを知りません。
※ルートの都合上、少なくとも鳴上はマリーとの面識がありません。
※使用できるペルソナはイザナギのみです。ワイルドは使用不可。
 主催者による制限か、それ以外の原因があるかは不明です。
※イザナギの所持する技が通常とは異なります。俗に言う事故ナギ。
※体内にアナザーカブトウォッチ@仮面ライダージオウが埋め込まれています。 

雷@仮面ライダーゼロワン 死亡


【全体人数 残り146/150人】
【実写陣営 残り25/26人】



支給品備考 
※通常スキル:タルカジャ・タルンダ・スクカジャ
 強化スキル:ブレイブザッパー
 追加スキル:ジオダイン、チャージ
※他にもスキルを所持しているかは他の書き手様にお任せします。
 一定量のダメージを受ければ排出されますが、破壊は仮面ライダーカブトに属するの力でのみ可能
 (一部例外あり)
※制限としてクロックアップの時間短縮と再発動までのタイムラグの増加。


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再起せよ!ドラゴンよ!

作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・PoH@ソードアート・オンライン
・ドロシー@SINoALICE
・万丈龍我@仮面ライダービルド
・花村陽介@ペルソナ4


『特別捜査隊の参謀にして、ガッカリ王子……じゃなくて、ペルソナ使いの花村陽介は、仮面ライダーの万丈龍我と一緒に、崩落したビルに向かっていた。その途中、謎のフードの男に襲われていた女子高生、雪ノ下雪乃を助けた』

 

『しかしフードの男はビルドドライバー、ハザードトリガーと謎のボトルを使って全く見たことのない戦士、仮面ライダーメタルビルドに変身した。』

 

『メタルビルドの登場に対し、私達3人はそれぞれ迎え撃つことにした』

 

『おお、さらっとコーナーに加わったなアンタ』

 

『私も空気くらい読むわよ。そもそもこのコーナーやること自体に何の意味があるのかしら?』

 

『だからそういうのは、さ─────』

 

『ストーーーップ!!だから安易に壁的な話し持ち出すなよアンタは!!』

 

『ツッコミに忙しいのね……。始まったライダーバトルの行方がどうなるのか、最新話を見なさい』

 

『お待ちかねのショーの幕開けだ…!』

『あの〜、椎茸食べるか?』

『サンプル発見〜!』

 

『『お前らは自由過ぎるだろ!?』』

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

エリアG-2の自然公園で睨み合う4人がいた。

 

メタルビルドに変身したPoH。

ゼロノスベガフォームにチェンジした雪ノ下雪乃。

スラッシュに変身した花村陽介。

唯一生身のままの万丈龍我。

 

緊張感漂う一対三の状況下で、陽介は内心戸惑っていた。

 

(クソォ、武器がもう一本有れば戦いやすくなるのになぁ…)

 

陽介は普段シャドウと戦う時、クナイ二刀流による手数の多さによる攻めを戦闘スタイルとしている。しかし手元にある武器は音銃剣錫音のみ。変身してるとはいえ、いつもと違う戦い方は慣れないものなのだ。

 

しかし、いつまでも立ち止まっている訳には行かない。

 

「行くぜ!」

 

手にした聖剣を振るい、陽介が先陣を切ってメタルビルドに斬り掛かった。

しかし、メタルビルドは難なくその剣を片手で止めた。

すかさず空いた左手でパンチを繰り出すも、いとも容易く受け止められてしまう。

 

そして、スラッシュよりも圧倒的なパワーで捻ると―――そのままスラッシュを蹴り飛ばす。

 

「ぐあぁあ!?」

 

その強さに、万丈とデネブは目を開く。

 

「ッ!つぇえ・・・!」

 

その強さは、スラッシュの力を遥かに超えていた。

 

「今度は俺がやる!」

「フッ!」

 

デネブは両肩のキャノン砲から光弾を発射してメタルビルドへ牽制をかけるが、Pohは光弾の雨を難なく避けた。

 

「オラァ!」

 

その隙きを付き、万丈がナックルの攻撃を繰り出し、メタルビルドの胴体に命中した。

 

「ほう、いいパンチだなお前」

「ぐぁっ!」

 

しかし、効いてる様子もなく、片手で振り払われてしまった。

 

(硬ッ!コイツ、いつものハザードフォームよりも硬えぞッ!!)

 

万丈の指摘は間違ってはいない。

メタルビルドはハザードフォームをも進化させた存在。ラビットタンクハザードと比べるとスピードとジャンプ力は若干劣るが、それを超えるパワーと、どんな攻撃を受けても傷一つ付かないまでの圧倒的に高い防御力を有するのだ。

 

「ホラホラ、もっとかかってこいよ、ガキ共」

 

もっと自分を愉しませろと言わんばかりか、挑発するPoH。

 

「こいつでどうだ!」

 

〈銃奏!〉

〈ヘンゼルナッツとグレーテル!イェーイ!〉

 

それに乗ってしまった陽介は、銃奏モードに変えた錫音にライドブックを読み込ませ、メタルビルドに向けて構える。

 

「俺も続く!」

 

デネブもベルトに装備された武器、ゼロガッシャーをボウガンモードに変えて、陽介の隣でメタルビルドに狙いを定めた。

 

〈Full Charge!〉

 

フリーエネルギーを溜めたベルトのカードをゼロガッシャーボウガンモードに読み込ませた。

 

「ハハッ、COME ON〜!」

 

狙われてる状況下でも躱す様子もなく、むしろ打ってこいという態度を取るPoH。

 

「余裕こくのも今の内だ!」

「ハァッ!」

 

〈錫音音読撃!イェーイ!〉

 

銃奏モードの必殺技ビート・ロリポッパーと、

ボウガンモードの必殺技グランドストライク。

 

二つの必殺技が命中して凄まじい爆炎が舞い上がり、その手応えは確かに感じられた。

 

「どうだ!」

 

─────だが、現実はそう甘くはなかった。

 

「…………………」

 

黒煙が晴れると、先程の必殺技が効いてる様子もなく、メタルビルドが無傷で立っていた。

 

「嘘、だろ……!?」

「今の必殺技を受けて、何とも無いなんて…!」

 

メタルビルドの予想以上の防御力に、二人は驚きを隠せなかった。

 

「今度はこっちの番だ」

 

〈マックスハザードオン!〉

〈ガタガタゴットン! ズッタンズタン! ガタガタゴットン! ズッタンズタン!〉

〈Ready Go !〉

 

ハザードトリガーを押してボルテックレバーを回すと、メタルビルドの右足にエネルギーが溜まる。

 

〈ハザードフィニッシュ!!〉

 

エネルギーを溜めた右足で回し蹴りをし、同時に蹴りに合わせて発生した、戦車のキャタピラに使われるような履帯型のエネルギーが三人に迫る。

 

「危ねえッ!!」

 

生身の万丈と疲労が近いゼロノスを咄嗟に押し出し、盾になる陽介。

 

「ぐううう、がああああああッッッ!!」

「陽介!!」

 

メタルビルドの必殺技を聖剣でガードするも弾き飛ばされ、そのままモロに攻撃を受けた陽介は大きく飛ばされ、変身が解除されてしまう。

 

「ぐ、あ………うぅぅ……一撃、かよ………」

「ハハッ、まず一人」

 

ボロボロになって立ち上がれない陽介に、トドメを刺そうとPoHが近づく。

 

「そうはさせないぞ!」

 

デネブは光弾を発射して足止めし、ゼロガッシャーをサーベルモードに変えてPoHの方へ走る。

 

「ワンパターンな弾幕は、もう見飽きたんだよ!」

 

PoHは光弾を全て弾き返し、ジカンザックスのトリガーを長く引きながらゼロノスの方に向かう。

 

〈タイムチャージ!〉 

〈5・4・3・2・1.....ゼロタイム!!〉

 

「うわあああああ!!」

 

おのモードの必殺技ザックリ割りに対し、ゼロノスはゼロガッシャーで斬り結ぶも、結果押し負けて吹き飛ばされてしまった。

 

「クッ……雪乃ちゃん、ごめん。武器でガードしたから、ギリギリで変身解除は免れたけど……」

 

(謝るのは、私の方よ……。元々運動は不得意だから、体力もそんなに無いの……)

 

「二人目。呆気ないな」

「させるかよ!」

 

万丈が再び仕掛けるも、ナックルを向けた手は片手で止められてしまう。

 

「頑張るなぁ~。だが、お前は最後だ」

「ガァッ!」

 

そのまま空いた手で殴り飛ばされてしまう。

 

(啖呵きったけど、全然歯が立たねぇ。でも、それで諦める理由にはならねぇ……!)

 

ここまで生身で戦ってボロボロになってもなお、万丈の闘志はまだ消えていなかった。

 

(何より、戦兎に顔向けできねぇしな……あんな野郎にこれ以上ドライバーを、使わせる訳にはいかねぇ……!)

 

ビルドドライバーは、元々エボルトを倒すためだけに造られたが、今では桐生戦兎の掲げる、愛と平和の為という信念の象徴そのものである。

それを、PoHのような戦争屋に使われるのは、信念の侮辱以外の何者でもない。

 

(どうすりゃいい?………!そうだこの剣、鎧が出てくる奴だってあの紙に書いてあったな……よしっ!)

 

何か打開策は無いかと考えていると、ふと手にしていたインクルシオの鍵を見て、その真の能力を思い出し、剣を構えた。

 

「こうなりゃ出し惜しみは無しだ……」

 

「(ま、まさか…アレを使うのか……!?)寄せ万丈さん、説明通りなら使っちまったら、アンタ死ぬぞ……!!」

 

インクルシオの詳細は彼も確認済みなので、その危険性も当然承知である。並の人間が装着しただけで死に至ってしまう危険がある鎧など、ホイホイ好き好んで使う者など居やしない。こればかりは陽介の警告は正論であり、今度ばかりは聞き入れるべきである。

 

「リスクなんて今更だ!もう、死なせない。絶対に!ウオオオオオオッッッ!!」

 

覚悟を決めた万丈は剣を杖代わりにして立ち上がり、意を決してインクルシオの鍵を高く構える。

 

 

 

「行くぜインクルシオ!!変身ッ!!」

 

 

 

直後、ドラゴンに似た巨大な鎧の生物が背後に現れ、万丈を包み込む様に全体を覆い被さった。

 

そして、一人の戦士が現れた。

 

所々が鋭角的で、まるで半竜人を思わせるフォルムの、灰色の鎧を纏っていた。

 

それは、インクルシオの現在の使い手であるタツミが、帝国二強の一角であるブドー大将軍との戦いの中で力を渇望した結果、さらなる進化を遂げたインクルシオの鎧と同等のものであった。

 

「あ……アレは……?」

 

「インクルシオの……鎧…」

 

「フゥー……ウオオオオオオオッッッ!!」

 

仮面ライダークローズとして戦ってきた万丈龍我が、インクルシオの新たな使い手として覚醒した瞬間である。

 

「コイツはいい!最高に狩りがいがありそうだな!」

 

「・・・テメェは許さねえ」

 

万丈が、静かにそう呟くと臨戦態勢に入り、喜びの言葉を上げながら突っ込んでくるメタルビルドと拳同士が、激突した─────。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「な………なんですかアレは!?あの鎧はどこから現れたのですか!?」

 

エリアG-1とG-2の境目付近の建物の屋上にて、探求の塊そのものの少女ドロシーは、驚きを口にしていた。

 

元々崩落したビルを調べるために現場まで向かっていたドロシーだったが、その道中に万丈達の戦闘を目撃、ライダーの戦いからインクルシオの鎧を纏う瞬間までを観察していたのだ。眼の前に気になるものが有れば、無視できないのが彼女の性分なのだ。

 

「さぁ、見せてください。その全てを……!」

 

多くの人間とそうでないものが見守る中、二人の激戦が幕を開けた─────。

 

 

 

 

【エリアG-2/広場/1日目/黎明】

 

 

【雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:健康、全身に痛み、デネブが憑依中

    仮面ライダーゼロノスベガフォームに変身中

[服装]:総武高校制服

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(雪ノ下雪乃)

[参戦時期]:少なくとも比企谷、由比ヶ浜とある程度の仲になってから。

[装備]:ゼロノスベルト(カード残り3枚)@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:ここが夢じゃないのは分かったから…。

1:ごめんなさい、デネブ………。

2:あの人(万丈)、凄い………。

 

[備考]

※特になし。

 

【デネブ@仮面ライダージオウ】

[状態]:実体化、雪乃に憑依中

[参戦時期]:ジオウ本編39話から40話のどこか

[思考]

基本:雪乃ちゃんを守り、ベルトと共に優斗の元に戻る。

1:アイツ(万丈)、スゴイな……

2:雪乃ちゃん、無理させてごめん……。

[備考]

※ゼロノスベルトには、ゼロガッシャーが付属されています。

 

【PoH@ソードアート・オンライン】

[状態]:高揚、メタルビルドに変身中

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(PoH)

[参戦時期]:ラフィン・コフィン討伐戦の後

[装備]:ビルドドライバー@仮面ライダービルド、メタルタンクタンクフルボトル@仮面ライダービルド、ハザードトリガー@仮面ライダービルド、ジカンザックス@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1

??????????@仮面ライダージオウ

[思考]

基本: この殺し合いをとことん愉しむ。

1: ようやく骨のある奴が出てきたぜ!

2: キリトは絶対に俺が殺す。

3: ライダーシステム、最高の兵器だ!

[備考]

※特になし。

 

【花村陽介@ペルソナ4】

[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)

[服装]:八十神高等学校の制服

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(花村陽介)

[参戦時期]:特別捜査隊がマリーと知り合った頃

[装備]:音銃剣錫音@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ヘンゼルナッツとグレーテルワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、ランダム支給品0〜2

[思考]

基本:相棒たちと合流する。

1:万丈さん、あとは頼むぜ……。

2:万丈さん、スゲェ……。

[備考]

※特になし。

 

【万丈龍我@仮面ライダービルド】

[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、インクルシオを装着中

[服装]:いつもの服装(青スカジャン)

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(万丈龍我)

[参戦時期]:原作46話の最終決戦前日の頃

[装備]:悪鬼転身インクルシオ@アカメが斬る!、クローズマグマナックル@仮面ライダービルド、ドラゴンマグマフルボトル@仮面ライダービルド

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1

[思考]

基本:こんな殺し合い、ぶっ壊す!

1:テメェは許さねぇ……。

2:この鎧、スゲェ……。

[備考]

※インクルシオと僅かながら混ざりました。

 

 

 

【エリアG-1とG-2の境目/建物屋上/1日目/黎明】

 

 

【ドロシー@SINoALICE】

[状態]: 健康、驚愕中、狂喜乱舞中

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(ドロシー)

[参戦時期]:少なくとも淘汰編より前。

[装備]:無し

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~3

[思考]

基本: 探求探求!

1: 興味のある参加者を見つけたら研究する。

2:一先ず観察です!

3:何ですか、あの鎧は!?

[備考]

※特になし。

 




※2024年1月1日に軽微な修正を加えさせていただきました。


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憤怒(wrath)の、種火が、メラメラ

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・相馬光子@バトルロワイヤル
・クロメ@アカメが斬る!
・坂本龍馬@龍が如く維新!
・鷲尾雷@仮面ライダービルド





「兄弟…やっぱり、やっぱりそうなのか?」

 

血の花が咲き、その背後をいつまでも恐怖が憑き纏う不浄の島にて。

浅葱色のだんだら羽織を着た大男が、苦渋を噛み締めるような顔でつぶやいた。

彼の名前は坂本(さかもと)龍馬(りょうま)

親代わり、(よし)()東洋(とうよう)殺しの汚名を着せられながらも、

唯一自分と、兄弟分の武市半平太だけが目撃した真犯人、

『天念理心流を使う覆面の男』を追っていた者だ。

本当に僅かな手がかりから、京の治安維持組織、

新選組の幹部に優れた理心流の使い手が集っていると知った彼は、

斎藤(さいとう)(はじめ)の偽名を使い入隊。

数々の出会いと別れ、そして陰謀や戦いを経て、ついに覆面の男、

芹沢(せりざわ)(かも)を操り、

更には口封じに射殺までした黒幕、『坂本龍馬を名乗る虚無僧』を、

芹沢の弟子、沖田総司と共に追い詰めた。

しかし、そのもう一人の坂本龍馬の背中には、武市半平太と同じ火傷があった。

 

(この光る板に映る名簿が本当なら、

最初の堂で見たあの虚無僧は間違いなく……武市半平太)

 

ならば聞き出さねばならない。

何故、親代わりの東洋を殺したのか。

彼は一体何を思って坂本龍馬を名乗ったのか。

これから何をやろうとしているのか。

最終的に何を目的にしているのか。

 

例えどんな手段を用いようとも、

聞き出して、それに納得できなければ、何としてでも止めなくてはならない。

 

「出てこい。いつまで見てるつもりだ?」

 

龍馬の声に従い、洋装に坊主頭の男が現れた。

その手には、龍馬には見たことのないデカくてゴツイピストルを手にしている。

坊主頭の男は問答無用と言う代わりに、龍馬に銃口を向け、引き金を引いた。

素早くその場から飛びのいた龍馬は、腰に刺した日本刀を引き抜き、

構えながら距離を詰める。

しかし相手も相当な手練れの様で、振るわれるその刃を避けると、

もう片方の手に持った、奇妙なカラクリの箱を鳴らす。

 

<バレット!>

 

そしてそれを銃に差し込むと、もう一度大きく飛び、何か蓋を開ける様な動作をした。

 

<オーソライズ!>

 

<KAMEN-RIDER……KAMEN-RIDER……>

 

「変身!」

 

龍馬の追撃をかわしながら待機音が鳴り終えるのを待ち、引き金が引かれた。

 

<ショットライズ!>

 

発射された弾丸は、物理的におかしな軌道を描いて龍馬の背後に回ると、

そのままその背中を射抜かんと、迫って来た。

刀でそれを弾き、そのまま第二射が来る前に、

使い手本人を斬ろうとした龍馬だったが、

またしても物理法則を無視して、なんと撃った本人、坊主頭の男に当たる。

 

<シューティングウルフ!>

 

<The elevation increases as the bullet is fired.>

 

坊主頭の男の体に当たり、弾けた弾丸から現れ、

その体を覆った超硬鋼ZIA209-03の鎧が受け止めた。

 

「全く。どうやらここは、妖怪変化に魑魅魍魎の巣窟らしいな」

 

「……全ては難波重工の為に」

 

土佐の龍と、難波の猟狗。

二匹の獣の喰らい合いが始まった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

始まりはいつだったかしら?

時々ふと、頭をよぎるけれど些細な問題よね。

私は奪う側に回る。それだけなんだから。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

香川県城岩町立城岩中学校3年B組。

不幸にも大東亜共和国の悪しき風習、殺し合いプログラムに巻き込まれ、

ほぼ全滅を確定させられた若人たち。

その中でも女子出席番号11番、

(そう)()(みつ)()は奪う側であった。

その美貌と、演技力をもってして、

殺し合いのような非日常に放り出されるずっと前から同じ学生から、

本職のヤクザに至るまで、男どもを手玉に取っていたような魔性の女である。

そんな彼女は、ついに残り半数をきった最初の殺し合いの最中から呼び出された。

坂持と、その背後にいる専守防衛隊などとは、

まったく別次元の魔法じみた力を使うアズに攫われ、新たな殺し合いの場に放り込まれた。

だから彼女は

 

(見つけた。早速一人)

 

やや苦戦したが、無事に開けたデバイスで確認した直近のランドマーク、

DIOの館に向かっていた。

参加者名簿にも同じ名前が有ったし、

自分と同じようにDIOも誰か知り合いが呼ばれているなら、

そいつらも来ると考えたからだ。

 

相馬光子の、プログラムでのスタンスを一言でいうなら、簒奪者。

その魔性を存分に武器にし、演技の仮面で相手を惑わし、

黒く、熱く、甘美な蜜に酔う間に見せた隙を、遠慮なく食いちぎる。

 

「ねえ!そこの貴女!」

 

この少女からも奪う。

黒いセーラー服に、手には変な形のコンバットナイフ。

腰にはこれまた変な形、そして用途不明の怪しい機械(バックル?)を付け、

荷物はいま目に見えるのと、ポケットに入る物で全部なのか、

デイパックは背負っていない。

少女の視線だけがこちらを捕らえた。

 

 

「わ、私、、相馬光子。あなたはこの殺し合いに…」

 

「乗っていない」

 

当然と言えば当然だが、こちらを警戒してか、

彼女は想像通りの可愛らしい声でぴしゃりと答えた。

 

「よ、よかった!

私、全く分けわからないまま怖くて、怖くて…」

 

そう言って光子は涙を流しながら少女の足もとに座り込んだ。

 

「大丈夫?」

 

いくらこの殺し合いの場で堂々とコンバットナイフ片手に歩き回ってる彼女でも、

弱った少女を心配するくらいの良識は有るらしい。

こちらの顔を除きこもうと屈む。

ナイフは当然、光子の体を向かない。

 

(もらった!)

 

光子は袖に隠した紙の中に薬指を滑り込ませ、

中に入っていたアイスピックを取り出し、クロメの心臓めがけて突き出した。

ナイフを持っていない手を動かしているがもう遅い。

心臓一突き、それで死なないなら蹲ったところで延髄にもう一突き。

作戦は完ぺきだった。

 

<アークライズ!>

 

相手が彼女、否、奴でなければ。

腰に装着されたアークドライバーゼロから赤黒い液体金属が波の様に溢れ出る。

跳ね飛ばされるようにそれに押し出された光子は、

木造家屋の壁に当たって漸く止まった。

自分がさっきまでたっていたそこでは、無数の流体金属の動物が、

生み出されては溶かされ、生み出されは溶かされ、

くべられた命を元に、異形の鎧を形成していた。

 

『変身』

 

少女がさっきまでとは打って変わった渋く、低い声でつぶやく。

その宣言通り、黒いアンダースーツが少女を覆い、

その上に内面むき出しの機械のようなアシンメトリーな胸部鎧と、

同じくアシンメトリーで、黒と赤、大きさもバラバラなオッドアイの仮面が装着される。

 

<オールゼロ!>

 

『笑顔の仮面の下に殺意を隠して、か。

素晴らしい悪意の持ち主だ』

 

もうそこに、可憐な少女の姿はなかった。

人類を終焉に導く、意志を持った純粋悪の黒い魔人、仮面ライダーアークゼロ!

 

 

『さて、ここでお前の頭骨をこんな風にするのは簡単だ』

 

そう言いながらアークゼロは、さっきまで光子が握っていたアイスピックを拾い上げ、

大した力もかけずに、粉々に握り砕いた。

 

「な!?」

 

どうする?

眉唾ものだが、もう一つ武器はある。

それを使えば逆転、最低でも逃げる隙ぐらい作れるか?

 

『だが、このワタシも今ある事に少々不自由していてね』

 

ピン!と、アークは残ったアイスピックの先を、

軽く指で弾いた。空を切る音がなったと思うと、

アイスピックは光子のスニーカーに突き刺さった。

指と指の間に熱を感じる。

針は地面とスニーカーを縫い付けはしたが、

彼女の体に傷はつけなかった。

 

『運ではない。お前の身長、服や靴の大きさなどからあらゆる体のサイズを予測し、

結論を下した。足に怪我があっては役に立たんからな』

 

勝てない。一瞬でもそう思ってしまうと駄目だった。

圧倒的な奪う側だけから感じる重圧(プレッシャー)に、光子は完全に屈してしまった。

それは親に初めて春を売らされた時に感じた思いに似ていた。

 

『いい恐怖だ』

 

そう言ってアークはベルトに取り付けられたプログライズホルダーから、

白いライダーの顔のレリーフが付いたキーを取り出した。

 

<マリスラーニングアビリティ!>

 

一瞬だけ、今まだ感じた事も無い激しい頭痛が光子を襲い、

アークのキーに新たなデータがラーニングされた。

 

『人類を滅ぼすのはもう既に規定事項だ。

が、お前がワタシの言う事を聞くのなら、ほんの僅かだが猶予を与えよう』

 

光子はひたすら頷いた。

一刻も早くここから去りたい。死にたくない。逆らえない。

ただそれだけが光子を動かしていた。

簒奪者も、爪を抜かれれば形無しである。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

しいて理由を言えば、ずっとそうして来たからだ。

最終的にそれは俺自身や兄貴の為にもなった。

だからここでも変わらない。全ては難波重工の為に

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

鎧とは、武器による攻撃から身を守る為に造られた物である。

だからこそ、基本的に刀剣武器には有利を取れるようになっている。

が、全く隙が無いかと言われれば、そんな事はない。

人体の構造上、首、脇、股、膝の裏など、どうしても覆えない部分が必ずある。

 

(が、この白と青の鎧にはその隙間すらない。

さらにその隙間を隠す布に文字通り歯が立つとも限らない、か)

 

変身されてから龍馬がしている事と言えば、ただひたすら避ける事だけだ。

唯一の武器はただの日本刀。

全く未知の鎧に通用する保証はない。

それにあの謎の銃。

さっき当たった建物の壁を見れば、

少なくとも龍馬が知るどんな拳銃の跡よりもでかい穴が開いている。

 

(ならもしかすれば、あいつ自身の銃なら通用するかもしれない)

 

それにさっきの音が鳴るカラクリの箱を引っこ抜いてやれば、

あの鎧も剥がれるかもしれない。

つまり龍馬にとって最も堅実な策は、隙が出来るまでひたすら耐える事。

 

(が、それもいつまで持つか…)

 

どんな仕組みか知らないがあの鎧には、

着こんだ者の力を底上げする機能が有るらしい。

こっちは息が上がってきているのに、

向こうは疲労の色さえ見えない。

隙を見つけなければどうしようもないのに、

短期決戦でなければ体力の切れ目を狙われ仕留められる。

龍馬はただただ歯がゆかった。

 

『ほう、バルカンか。

動きから推察するに不破諫ではないようだな。

アズも演出という物が分かっている』

 

そこにもう一人、新たな鎧の男が現れる。

縄のような奇妙な装飾の付いた黒い鎧に、

右手には直角三角形の黒に、黄色の模様の入った剣を持っている。

それを見た狼の鎧、バルカンと呼ばれた方は、龍馬を一瞥だけすると、

そちらの方に突っ込んで行った。

同じ鎧を使う者として、真っ先に自分に匹敵しかねない敵を潰すつもりらしい。

生身かつ、常識の範囲内の武器しか持たない龍馬は、この場では障害にならない。

 

「……くそう」

 

龍馬は日本刀を収めると、二人の鎧の怪人に背を向け逃げ出した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

『悪意』  『恐怖』  『憤怒』  『憎悪』  『絶望』

『闘争』  『破滅』  『殺意』  『絶滅』  『滅亡』

 

パーフェクトコンクルージョン ラーニング:エンド

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

(わし)()(らい)の変身する仮面ライダーバルカンは、

現れた仮面ライダーアークゼロにまずは肉弾戦を仕掛けた。

兄とコンビネーションを組んでこそ真価を発揮する雷だが、

単独の戦闘も出来ない訳ではない。

それは仮面ライダーグリスとの代表戦や、

兄の風がヘルブロスとして戦えている事からも分かるだろう。

自身が使っていたエンジンブロスよりは劣るスーツだが、

限りなく使用は近い。負けるつもりは一切なかった。

それは油断などではなく、純然たる事実としてそう思っていた。

 

「はぁああ!……!?」

 

『ある程度量産性の考慮されてるショットライザーごときで、

アークドライバーを上回れると思ったか?』

 

その拳を簡単にとらえたアークゼロの閃光のようなジャブが、

顎、腹、顔面に次々と撃ち込まれる。

たまらず雷はベルトに戻したショットライザーを引き抜き、

銃撃してどうにか腕を離させた。

 

「はぁ、はぁ、、なんてパワーだ……」

 

『お前はワタシに勝てない』

 

「なにぃ?」

 

『結論は既に出ている』

 

そう言ってアークゼロは内蔵された照射成型機、

ビームエクイッパーを使ってゼアを掌握したことで生成可能になったオーソライズバスターを装備する。

 

「舐めやがってぇ!」

 

<バレット!>

 

さっきまで自分の4倍近くの力で掴まれ、痺れた腕を強引に動かし、

武器にセットしたキーのスイッチを押した。

アークゼロに向けた銃口にエネルギーが集まり、青い光が徐々に大きくなる。

 

『無駄なあがきだ』

 

アークゼロも武器の銃口をバルカンに向け、

空いた片手をベルトのスイッチの上に持っていく。

 

<シューティング!ブラスト!>

 

<オールエクスティンクション!>

 

青い狼の頭部を模したエネルギー弾と、

黒鉄色とブラッドレッドの光流が激突した。

その拮抗を、1秒と持たずに崩れ去り、

バルカンを10数メートル吹き飛ばし、巨大な火柱を上げた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

世の人は 我を何とも 言わば言え

 

  我なす事は 我のみぞ知る

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「……いったい何をどうやったらあんな煙が出る様な事になるんだ?」

 

自分が逃げて来たところよりやや向こう側、

バルカンの敗北を知らせる狼煙を見ながら坂本龍馬は独り言ちた。

そしてこの悪趣味極まる殺し合いの趣旨を少し理解した。

恐らく、支給品にあからさまな格差を出して、

足掻くさまや、絶望するさまを、あの『あず』とかいう黒ずくめの女は笑いながら見ているのだろう。

とんだ外道である。

 

「……」

 

だが、龍馬にはどうすることも出来ない。

自分が敵わなかった青と白の鎧の男を、後から来た黒いのが倒したのか、

それともその逆なのか調べようがないが、

自分が敵わなかった、

より正確に言えば攻略の糸口すらつかめなかった連中のところに戻るのは無謀だ。

龍馬はひたすら煙から遠ざかるように走った。

建物の間をすり抜け、やや開けた場所が見えて来た。

そこを一気に駆け抜けるために一息つこうとした時、

龍馬の死角から酷く疲れた様子の女が近寄って来た。

相馬光子だ。

体は震え、目は真っ赤に充血し、頬には涙の跡がくっきりと残っている。

よく観れば靴も片方無いし、まさに方々の体で逃げてきましたと言わんばかりだ。

 

「あ…」

 

光子も龍馬を見つけた。

瞬間、その美しい風貌に必死の形相を浮かべ、彼に向かって走り出した。

 

『一人でいい。参加者を殺してメダルを奪ってこい。

それができたらこの島に止まる限りお前を滅ぼさないと約束しよう』

 

奪われたくない。死にたくない消えたくない生きていたい。

今光子は、根源的恐怖と、生存欲求にのみにしたがって体を動かしていた。

さっきクロメ(アーク)にやったように袖から紙を取り出し、

失ったアイスピックの代わりに渡されたエターナルエッジを取り出す。

そして龍馬の胸にめがけて振り下ろす。

龍馬は咄嗟に左手を前に突き出した。

明確にそんな思考があったかどうか怪しいが、

光子はそのまま左手を斬りつけ、怯んだ隙にもう一撃見舞ってやろうとしたのだろう。

 

「え?」

 

甲高い金属音がなる。

龍馬の袖の内、腕には、あの忌まわしい防具が装備されていた。

 

「ふっ!」

 

そのまま光子の腕を掴んだ龍馬は、そのまま背負い投げた。

背中を強打し、無理やり肺中の空気を全部吐き出さされた光子は咳き込みながら転がった。

視線だけでも、落したエターナルエッジを拾い上げる龍馬の姿。

 

「あ、あああああー--っ!」

 

「おい待て!」

 

慌てて光子を追おうとした龍馬だったが、すぐにその足を止める事となった。

ジュッ!と、短い音と共に、赤い光が彼女の頭を撃ち抜いた。

そのまま真横に倒れ伏す。

 

「今のは……ちっ!」

 

このまま近くに居れば自分も狙撃されかねない。

この殺し合いと言い、渡された支給品と言い、この状況と言い、

どうも最悪な事ばかり立て続けに起こってくれる。

確かに心に溜まる苛立ちを感じながら、龍馬はひたすらその場を走り去った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

イタイ―――――

サムイ―――――

クルシイ―――――

―――――タスケテ

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

『いい動きだ。だが逃げを選んだという事は、

ライダーシステムに対抗できるような武器はないという事か』

 

ならば態々追い立てる事も有るまい。

そう判断したアークは変身を解除し、

今さっき完膚なきまでに倒した鷲尾雷を放り投げた。

 

「ぐっ……うぅ……」

 

『ほう、しぶといな。ならば有効活用させてもらおう』

 

そう言ってアークは変身を解除すると、ベルトから新たなキーを生成。

雷の腰につけっぱなしにしていたショットライザーを外すと、

キーのスイッチを押し、装填する。

 

<アサルトバレット!>

 

<オーバーライズ!>

 

『お前は今から、私の道具だ』

 

<ショットライズ!Ready Go!アサルトウルフ!>

 

未だ地面に這いつくばる雷の体を薄い灰色のスーツと、

深縹色と黒色の強襲型アーマーが覆った。

 

「な、何を……」

 

絞り出された雷の疑問には答えず、アークドライバーゼロの中央部が発光する。

それとアサルトウルフの胸部中央の戦闘補助装置、オービタルバインダーが発光するのは同時だった。

 

「あああああああ!な、なにかぁ!

何かが、這入ってー---ッ!!!おぉおお!おおおぉー--っ!」

 

しばらくもだえ苦しんでいたアサルトウルフだったが、

やがて力を失い動かなくなる。

が、すぐまた起き上がり、はっきりとした口調で告げた。

 

「全ては、アークの意志の為に……」

 

『逃げた羽織の男を追え』

 

アークから先ほどの戦闘で生成したオーソライズバスター受け取ると、

アサルトウルフは龍馬が去って行った方に向かって行った。

 

『さて、ワタシも向かうとしよう』

 

また一つ、この島で悪意が花開いた。

鎖を手繰る者が変わった猟犬はこの島で何を狩るのか。

このくらい道をどうにか切り開こうとする土佐の龍は何と対峙するのか。

そして根源の悪意の結論は、現実となってしまうのか。

―――――そのお話はまた次回。




【エリアC-5/DIOの館周辺/1日目/深夜】

【クロメ@アカメが斬る!】
[状態]:健康、意識途絶、アークがハッキング中
[服装]:いつもの私服
[所属陣営]:青(漫画)
[メダル枚数]:3枚(クロメ、光子、鷲尾雷)
[参戦時期]:イェーガーズ離脱後
[装備]:アークドライバーゼロ@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品一式(クロメ)、アークワンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
    基本支給品一式(光子)、ランダム支給品×1~2(光子)
    基本支給品一式(鷲尾雷)、ランダム支給品×0~2(鷲尾雷)
[思考]
基本: お姉ちゃん(アカメ)とウェイブに会う。
1:お姉ちゃん、ウェイブ、助けて………
2:イタイ―――――サムイ―――――クルシイ―――――
[備考]
※デイバッグは部屋に置いたままです。
※アスナお手製の照りマヨサンドイッチ@ソードアート・オンライン、は半分(8個中4個)食べました。
※サンドイッチの入ったバスケットはDIOの部屋に置いたままです。
※破壊されたアイスピック@現実と相馬光子の死体がが、
 エリアC-5のどこか別々の場所に転がっています。
※ランダム支給品×1~2(光子)のうち一つは、光子から見れば眉唾物の武器です。
※光子から『恐怖』をラーニングしました。

【アーク@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:アークドライバーゼロの形状、クロメの思考をハッキング中
[参戦時期]:原作41話で雷に破壊された直後
[思考]
基本:人類滅亡を再開する。
1:先ずは参加者の悪意のラーニングに入る。
2:その上でゼロワン達を滅亡させる。
3:この人間の悪意も有意義にラーニングさせてもらう。
4:羽織の男はバルカン(雷)に始末させる。
5:自分はバルカン(雷)が行ったのとは違う方向へ行く。
[備考]
※アークは人間の思考のハッキングが可能となっています。
しかし、ヒューマギアをハッキングしている時よりスペックがダウン。
ハッキングした相手によりスペックは左右される。

【坂本龍馬@龍が如く維新!】
[状態]:健康、疲労(中)、確かな苛立ち(増大中)
[服装]:新選組の制服(幹部用)
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(坂本龍馬)
[参戦時期]:虚無僧の坂本龍馬の火傷を見た後
[装備]:芹沢鴨の日本刀@龍が如く維新!
    芹沢鴨の防具(腕)@龍が如く維新!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
    芹沢鴨の覆面@龍が如く維新!、芹沢鴨の仕事着@龍が如く維新!
    エターナルエッジ@仮面ライダージオウ
[思考]
基本:この殺し合いを生き残り、全ての謎を解く。
1:とりあえず、狙撃手(?)を撒く。
2:武市半平太、岡田以蔵、土方歳三、沖田総司を追う。
3:どうやらここは怪物の巣窟らしい。
4:あの『あず』とかいう女、とんでもない外道だな。
[備考]
※芹沢鴨の日本刀、芹沢鴨の防具(腕)、芹沢鴨の覆面、芹沢鴨の仕事着の四つで、
覆面の男の装備一式@龍が如く維新!という一個の支給品です。

【鷲尾雷@仮面ライダービルド】
[状態]:ダメージ(大)、意識暴走、アークによる支配
    仮面ライダーバルカンアサルトウルフに変身中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:0枚
[参戦時期]:不明
[装備]:エイムズショットライザー@仮面ライダーゼロワン
    アサルトウルフプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
    シューティングウルフプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
    オーソライズバスター@仮面ライダーゼロワン
[道具]:なし
[思考]
基本:人類を滅亡させる。
1:逃げた羽織の男を追う。
2:蜈ィ縺ヲ縺ッ髮」豕「驥榊キ・縺ョ……縺溘a、縺ォ。
3:蜈?イエ縺ッ辟。…莠九?
4:????????
[備考]
※アークに支配されたことにより、全ての人類を滅亡させるために戦います。

















相馬光子@バトルロワイヤル 死亡

【全体人数 残り145/150人】【小説陣営 残り35/37人】






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オレノナカニネムルTYRANT

作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・PoH@ソードアート・オンライン
・ドロシー@SINoALICE
・万丈龍我@仮面ライダービルド
・花村陽介@ペルソナ4


『千葉市立総武高等学校2年にして、奉仕部部長の雪ノ下雪乃は、奉仕部のメンバーと共に突然謎のバトルロワイヤルに巻き込まれてしまう。開始早々高層ビル崩落の余波に巻き込まれるも難を逃れるが、今度は謎のフードの男に命を狙われる。絶体絶命と思われたその時、ペルソナ使いの花村陽介と仮面ライダーの万丈龍我に命を救われた』

 

『しかし、フードの男は仮面ライダーメタルビルドに変身。俺たち三人は迎え撃つもその戦闘力に圧倒され、花村陽介は二人を庇って倒されてしまい、イマジンのデネブと戦闘を代わった雪ノ下雪乃も、戦闘不能に追い込まれてしまう』

 

『絶体絶命の窮地の中、万丈龍我はインクルシオの鎧を纏い、メタルビルドとタイマン張ることとなった』

 

『本当に頑丈過ぎるだろ、あの仮面ライダーは』

 

『核弾頭を命中させても平然と立っていそうな気がするわ』

 

『何で核弾頭チョイス?ソロモンの悪魔に恨みでもあるのかアンタは?』

 

『何の話かしら?』

 

『ともかく!ここからこのプロテインの貴公子、万丈龍我の時代だ!でっかい船に乗ったつもりでいろよ!』

 

『聞いてるだけで小舟って感じがする』

『いやぁ、泥舟だと思うぞ?』

『タイタニック号の間違いじゃないかしら?』

 

『お前ら揃いも揃って酷すぎるだろ!?』

 

『さぁ〜て、激しい戦いが予想されるであろうサンプル達の激闘の行方はいったい?どうなるのですか最新話!』

 

『誰がサンプルだ!貴公子と呼べ貴公子と!』

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

─────激突するインクルシオとメタルビルド。

 

PoHが先制攻撃を仕掛けるも、万丈は難なくガードし、胴体に拳を叩き込む。

 

「ハァッ!オラァ!」

「グッ!?」

 

続けてストレート、ひざ蹴りを喰らわせメタルビルドを後退させる。

 

(なるほど……さっきとは大違いだな!)

(この鎧、ヤバいけどスゲェ…!)

 

二人のライダーの必殺技を受けても倒れない防御力を誇るメタルビルドに初めてダメージを与えた万丈。そのままラッシュを叩き込む。

 

「調子に乗るなァ!」

 

万丈が優勢と思われたが、PoHも相手の動きに慣れ、回避してカウンターを喰らわせる。

さっきまでは遊びであったが、万丈の強さを警戒したのか、本気で叩き潰す方針に切り替えたPoH。

拳と拳、蹴りと蹴りが交じ合う激しい撃ち合いが繰り広げられるが、万丈が押し負けて激しく地面を転がる。

 

「がぁあ!?」

「残念だったなァ、俺の方が上だ!」

「ぐぁっ!」

 

ジカンザックスで下から勢いよく斬り上げ、万丈を空中に弾き飛ばすと、すかさずメタルビルドはボルテックレバーを回し、必殺技を発動する。

 

〈Ready Go!〉

 

メタルビルドが飛び上がり、膝蹴りで万丈を叩き落とし、そのまま履帯状のエネルギーを纏って轢き潰し、弾き飛ばす。

 

〈ハザードアタック!!〉

 

「ぐあぁぁあぁあああ!?」

 

メタルビルドの必殺技をモロに喰らい、大ダメージを受けて倒れる万丈。

 

「ぐぁ……あぁ…………」

 

必殺技を叩き込まれ、万丈の体は激痛が走っていた。

そんな中、万丈の脳裏には共に戦った仲間たちの姿がよぎった。

 

非常かつ過激な姿勢も見られたが、カシラと慕われるほど人望が厚い真っ直ぐな熱血漢、猿渡一海。

 

一度は野心に駆られて過ちを犯すも、国を守るという大義の為に立ち直った官僚、氷室幻徳。

 

悪魔の科学者と呼ばれても愛と平和を謳い、絶望的な状況でも信念を貫き通した天才物理学者、桐生戦兎。

 

(そうだ……まだ終わってねぇ………)

 

共に戦ってきた仲間達の生き様を思い出し、万丈は再び立ち上がった。

 

「何度向かってこようが、結果は同じだぁ!」

 

今度こそ沈めんとばかりか力の籠もったメタルビルドの拳が万丈の顔面に炸裂する。

 

「なっ!?」

「やってみなきゃ分からねぇだろ!」

 

しかしその拳は、万丈の腕により防がれていた。

そこから万丈の逆襲が始まった。

拳を弾いて距離を詰め、右のフックからの左でエルボー、そしてアッパーを繰り出した。自分のペースに持ち込んだボクサーの如く、リズム良くパンチを次々と叩き込んだ。

 

(………コイツ、どうなってやがる?)

 

攻撃の途中から感じた違和感に焦ったメタルビルドは、ジカンザックスを振り下ろして反撃するが、万丈は難なく刃先を片手で止め、逆に押し返し、蹴りを入れる。

 

(待て待て待て、さっきからパワーが上がり続けてねぇか!?)

 

PoHは知る由もない。

万丈が生まれつき、地球外生命体エボルトの遺伝子を僅かに宿しているを。

ファウストの人体実験により、特殊な細胞分裂を引き起こすネビュラガスを摂取させられたことを。

インクルシオの鎧が、万丈の力を強制的に引き出し続けていることを。

 

装着者に合わせて進化するインクルシオと、強敵との戦いを経て成長してきた万丈。

最高の鎧と最高の肉体という二つの歯車が見事に噛み合いベストマッチしたことで、万丈龍我はこれまでに無い進化を遂げたのだ。

 

「今の俺は、負ける気がしねぇーーーッッ!!」

 

〈ボトルバーン!〉

 

驚くPoHを他所に、万丈は”蒼いフルボトル”をクローズマグマナックルに装填し、蒼炎を纏ったナックルでアッパーを叩き込む。

 

「ウオリャァァアアア!!」

「グハァァァァアアアアアア!!」

 

万丈の一撃で何mも空高く飛ばされるメタルビルド。

彼がナックルに装填したのは、支給品のパンドラパネルに収められていたボトル、ドラゴンフルボトル。万丈がよく使うボトルで、パンチ力が著しく強化される効果を有する。それにより、先程よりも重いアッパーを繰り出せたのだ。

 

「逃さねぇ……戦兎、使わせてもらうぜ!」

 

今度は相棒の桐生戦兎が使うラビットフルボトルを左手で振り、その効果でメタルビルドよりも高く跳躍。そして左手のボトルをゴリラフルボトルに持ち替えて腕力を強化し、そのまま真上から両手を振り下ろしてメタルビルドに叩きつけた。

 

「セイハァァァァアッ!」

「ガハァァァァァアアアアアアアッッ!!」

 

メタルビルドはそのまま地上に向かって一気に落下していき、落下地点には小さなクレーターが出来ていた。

その中心でメタルビルドは、ボロボロの状態で倒れていて、まともに立ち上がれる状態ではなかった。

 

「ぐぁ……な……何故だ…………アジア人………ごときがぁぁ……!」

(こうなりゃ、さっきのガキ共人質にして……)

 

不利を悟って陽介たちを人質にしようという下卑た発想をするPoH。

しかし、時は既に遅し。今は自分が狩られる側に回ってしまった事にPoH本人は気付いていない。

 

「ペ、ルソ、ナァーーッ!!」

「っ!?」

 

そこへ、ボロボロになりながらも立ち上がった陽介がジライヤを呼び出して、メタルビルドへ疾風属性最強の技、ガルダインで攻撃と足止めを仕掛けた。

 

「万丈…さん!!」

「今の内に、早く…!!」

(この男にとどめを刺して!)

 

その隙を突き、陽介とデネブはそれぞれ片足を掴み、ジライヤが後ろから両手でPoHの上半身を取り押さえた。

 

「離せッ!くたばり損ない共が!」

「誰が、離すか、よ……!」

「お前は、逃さ、ないぞ……!」

(絶対に……!)

 

「……お前らの作ったチャンス、無駄にしねぇぜ」

 

〈ボトルバーン!〉

 

ボロボロになっても尚、暴れるPoHを取り押さえて反撃の機会を作った三人。その覚悟を受けた万丈は、ナックルにドラゴンマグマフルボトルを装填して拳を構える。

 

「これなら決められる。今度こそ………!」

「くっ、やめろ!」

 

身動きのとれないPoHに向かっていた万丈の一撃は、見事にクリーンヒットした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

─────ハザードトリガーに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……え、何でだ!?)

(この男ではなくベルトを!?)

(どういうことだ、大事な物じゃないのか!?)

 

チャンスであったのに、敵ではなくトリガーを攻撃したことに、三者三様の反応を示した陽介達。

その気の緩みをつき、PoHは一同をジカンザックスで振り払い脱出する。

 

「クク、ハハハ、何処を狙って………ッ!?」

(はぁ?何だ?体か、動かねぇ……!?)

 

突然、メタルビルドの体は電流が走ったかのように硬直し、動きが止まった。

 

(今だ!)

 

その瞬間、万丈が走り出して懐まで距離を詰め、ビルドドライバーを掴んだ。

 

「戦兎のドライバー……返してもらうぞ!……うおおおおおっっっ!!」

 

そしてそのまま、何処ぞのゴリラの283宜しく、いつものバカ力でドライバーを引き剥がしたのだ。

 

「何ィ!?」

「よっしゃぁあああっっ!!」

(まさか、始めからこの流れを狙ってたの?)

 

そう、雪乃の推測通り万丈の狙いは始めから、ビルドドライバーを取り返すこと一点のみであった。

 

インクルシオを纏ってパワーアップして追い詰めたとはいえ、メタルビルドの性能と、PoH本人の長年の戦闘技術の高さもあり、お互いの実力はほぼ互角。このままでは決着がつかず、良くて共倒れか、最悪疲労の近い万丈が倒れるかの、どちらかの結果を迎えてしまう。

 

その均衡を崩し万丈に勝利を繋げたのは、陽介とデネブと雪乃が作った僅かな時間と、万丈のもう一つの狙いであるハザードトリガーへの攻撃が成功したことであった。

ハザードトリガーは、装着中にトリガー本体が強い攻撃を受けるとシステムに異常が発生し、装着者は硬直して身動きが取れなくなる弱点を抱えている。

全く知らないビルドとはいえ、ハザードトリガーを使っている以上弱点が一緒であることに変わらないだろうという万丈の考えは、間違ってはいなかったのだ。

 

ハザードフォームの弱点たるハザードトリガーを攻撃、装着者の動きを止めてビルドドライバーを取り外し、そして相手を撃退!

 

これが万丈なりに導き出した『勝利の法則』なのだ!

 

「今度こそ終わりだ!!」

 

ドラゴニックイグナイターを押し、身動きのとれないメタルビルドに再びナックルを構える。

 

「おい!動け動け動け、動けよッッ!!」

 

ベルトが外れても直ぐに変身解除されず、硬直状態の続くPoHに、万丈の一撃が迫る。

 

 

「どこまでも、吹っ飛べェェェェエエッッ!!!」

 

〈ボルケニックナックル! アチャーーー!!〉

 

 

黒い悪魔の鳩尾に、紅蓮の拳が炸裂した。

 

「グァァァァアアアアッッッ!!!」

 

PoHはそのまま遥か遠くへ殴り飛ばされた。途中変身が解除され、そのまま何度も地面をバウンドした。

 

しかしその途中、意識が覚醒したPoHは最後の悪あがきと言わんばかりか、何かを投げつけた。

 

Pi−Pi−Pi−Pi−Pi−Pi−Pi−Pi−!!

 

「っ!?ヤベェ!」

 

音を立てながら、倒れている陽介とゼロノスに向かっていく物体の正体を直感し、万丈は疲れを押して二人の所まで走り出した。

 

「間に合えぇぇぇぇぇッッ!!」

 

その瞬間、丸い物体プラズマグレネードが地面に落ちたと同時に、爆発した─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギ、ギリギリセーフ……」

「危なかったぜ、今の……」

「最後の最後でとんでもない事を……」

(危機一髪だったわね……)

 

しかし、万丈は間一髪のところで二人を抱え、グレネードの爆破範囲から無事に逃れた。

爆風が晴れ周囲を見渡すと、万丈に殴り飛ばされたPoHの姿がどこにも見当たらなかった。

 

「アイツ、逃げやがった……」

「あれだけボロボロになりゃ逃げるよな」

「ともかく、皆無事で良かった!」

(なんとか…なったのね)

 

何はともあれ、大きな危機を乗り越えて一同は一安心した。

 

「も、もう………限界だぁ……………」

 

その言葉を最後に、万丈は倒れてしまった。同時に、インクルシオの鎧も解除された。

 

「ば、万丈さん!?大丈夫かよ!?」

 

倒れたまま起きない万丈に駆け寄る陽介。まさか、今になってインクルシオのデメリットが───

 

「ぐぅ〜〜〜〜〜〜〜」

 

「って寝てんのかい!」

「一番奮闘してたからな〜」

(無理もないわね……)

 

───出てきたわけではなく、ここまでの疲労がたたり、眠りについただけであった。

 

「とりあえず、一刻も早くここを離れようぜ。今の爆発を聞いてヤバい参加者が集まるかもしれない」

「分かった。俺も担ごう」

(命の恩人を無下にはできないわ……)

 

気絶もとい爆睡中の万丈を二人で背負い、一旦場所を移そうとする陽介とデネブ。爆音を聞きつけて誰が来るか分からないが、三人共満身創痍のままでは相手によっては主導権を握られてマズいことになるのは間違い無いので、さっさと自然公園を後にした。

 

 

───万丈の片目が、人間ではないナニカに変貌しかけたことに気づかないまま。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「ぐぅううう……クッソォ………!」

 

万丈に殴り飛ばされたPoHはジカンザックスを携え、現在H-2方面に逃走していた。

 

あの時、万丈の拳が鳩尾に当たる直前に硬直状態が解けたが、防御も回避も間に合わないと判断したPoHは、撤退と嫌がらせに切り替えることとした。

 

まず、バックステップで体の重心を後ろに移動してダメージを僅かに緩和することで、完全には意識を失わずに済み、後方へ飛ばされる事で撤退するのに十分な距離を稼いだ。

そして投げつけたグレネードの爆炎を目隠し代わりに利用し、撤退に成功した。

これで三人も爆殺出来ればPoHとしては御の字であったが、残念なことに爆破を回避されてしまい、嫌がらせは失敗となった。

 

(途中からパワーが段違いに跳ね上がりやがった……あの鎧だけじゃねぇ……アイツ自身にも何かある。より格上の奴と戦い続けなきゃあそこまでの足掻きはありえねぇ。平和ボケしたアジア人の癖にムカつくぜ……!)

 

万丈に破れたPoHの敗因もとい誤算は三つあった。

 

第一に、初めて使うライダーシステムで遊びすぎたこと。

第二に、万丈がライダーシステムの情報を持っているという点を重要視しなかったこと。

最後に、万丈の潜在能力を侮ったことである。

 

(だが、まだこっちにも手札は残ってるが、対応するベルトがねぇと何も始まらねぇが……)

 

しかしPoHは、ジカンザッカスに付属されたゲイツライドウォッチを取り出し、まだ手はあると諦めていない様子だった。

 

「万丈龍我だったな…ツラは覚えたぜ……。キリト共々、俺の手で必ず殺してやるよ!!」

 

呪詛にも近い言葉と共に、PoHは闇の中に消えていった。全ては、自分が愉しむ為に─────。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「フムフムフムフム。あの鎧にあそこまでの力があるとは素晴らしい!寄り道した甲斐がありましたよ〜」

 

一方、万丈達を見ていたドロシーは興味深そうにインクルシオの鎧の性能ぶりを評価していた。

 

「ベルトに聖剣、謎の生物に使い魔っぽい奴。何から何まで実に興味深いです。この空間は本当にサンプルに困りません。でも一番気になるのは、アレですねぇ」

 

そう言ったドロシーはエニグマの紙から、一枚の正方形の黒いパネルを取り出した。そのパネルには、金と黒の装飾の設けられたフルボトルが五つ着けられていた。

それは星喰いの一族である地球外生命体エボルトが、戦兎達の世界を戦争に駆り立ててまで手に入れようとしていた代物、ブラックパンドラパネルとロストフルボトルであった。

 

「フルボトル、ですか。そのまま振るかベルトや武器を通してその効力を発揮してましたが、コレを人体に直接使った場合どのような変化が起こるのですかね〜?」

 

そう言ってパネルから、無意識に一つのフルボトルを真っ先にに取り外した。

 

(やっぱりです……最初にこのパネルを出したとき、このボトルから目が離せなくなりました。何故でしょう?一目見た途端、ボトルがボクを呼んでいる、待っていたんだと、そんな感じがしました。そう、運命の相手と惹かれ合うとかいう非科学的な心理現象のあれですか?)

 

人間を超人ドーパントに変える悪魔の小箱、ガイアメモリ同士が惹かれ合うように。

魂の発露であるスタンドの使い手同士が惹かれ合うように。

ドロシーもまた、有機物や無機物を成分として封じ込めたフルボトルという未知の存在に惹かれ合ってしまったのだ。

熱く激しく、胸が高鳴る程の、運命的な出会いという、余りにも非科学的過ぎる現象によって。

 

「何だい?今すぐボク自身に、使えと、言っているのですか?………はぁ、はぁ、ハァ、ハァ………これは、こんなの、探求せずには、いられませんッッ!!」

 

ドロシーは手にしたボトルを振り、シールディングキャップを正面に回し開封した。

 

「さあ、研究を始めましょうか……!」

 

〈CD!〉

 

ドロシーは恍惚とした表情で首筋にCDロストフルボトルを直接挿した瞬間、彼女の体はガスに覆われ、煙が晴れるとその姿は大きく変わった。

音楽やデジタルデータの記録媒体であるコンパクト・ディスクを、両腕全体と首から胴体にかけて装着した、少女っぽさの残る怪物、CDロストスマッシュへと変貌を遂げた。

 

 

「フ、フフフ、フハハハッ!アーーーハハハハハハッッ!!最ッ高ノ気分デェスッッ!!!」

 

 

マッドなサイエンティストガールは運命的な出会いと言う非科学的現象により、更にマッドでバットな道を歩み始めてしまった。彼女の物語が迎える結末はいかに─────。

 

 

 

 

 

【エリアG-2/広場/1日目/黎明】

 

 

【雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:健康、全身に痛み、デネブが憑依中

    仮面ライダーゼロノスベガフォームに変身中

[服装]:総武高校制服

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(雪ノ下雪乃)

[参戦時期]:少なくとも比企谷、由比ヶ浜とある程度の仲になってから。

[装備]:ゼロノスベルト(カード残り3枚)@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:ここが夢じゃないのは分かったから…。

1:自然公園から離れる(G-3方面に移動中)。

2:皆から忘れられるなんて………嫌………。

[備考]

※特になし。

 

【デネブ@仮面ライダージオウ】

[状態]:実体化、雪乃に憑依

[参戦時期]:ジオウ本編39話から40話のどこか

[思考]

基本:雪乃ちゃんを守り、ベルトと共に優斗の元に戻る。

1:皆無事で良かったよ〜………。

2:雪乃ちゃん、無理させてごめんね………。

[備考]

※特になし。

 

【花村陽介@ペルソナ4】

[状態]:疲労、ダメージ(中)

[服装]:八十神高等学校の制服

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(花村陽介)

[参戦時期]:不明。後の書き手に任せます。

[装備]:音銃剣錫音@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ヘンゼルナッツとグレーテルワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、ランダム支給品0〜1

[思考]

基本:相棒たちと合流する。

1:一先ず移動しよう(G-3方面へ)。

2:万丈さん、お疲れさん………。

[備考]

※特になし。

 

【万丈龍我@仮面ライダービルド】

[状態]:気絶中、爆睡中、疲労(大)、ダメージ(中)

[服装]:いつもの服装(青スカジャン)

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(万丈龍我)

[参戦時期]:原作46話の最終決戦前日の頃

[装備]:

 悪鬼転身インクルシオ@アカメが斬る!

 クローズマグマナックル@仮面ライダービルド

 ドラゴンマグマフルボトル@仮面ライダービルド

[道具]:

基本支給品一式

 ビルドドライバー@仮面ライダービルド

 メタルタンクタンクボトル@仮面ライダービルド

 ハザードトリガー@仮面ライダービルド

 パンドラパネル(東都1)@仮面ライダービルド

[思考]

基本:こんな殺し合い、ぶっ壊す!

1:戦兎、ベルト取り返したぜ…………。

2:この鎧、何かヤバイな…………。

3:あぁ………マジ疲れた……………。

[備考]

※インクルシオと僅かながら混ざりました。

 

 

【エリアH-2/1日目/黎明】

 

 

【PoH@ソードアート・オンライン】

[状態]:怒り、疲労(中)、ダメージ(大)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(PoH)

[参戦時期]:ラフィン・コフィン討伐戦の後

[装備]:ジカンザックス@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、プラズマグレネード(4/5)@ソードアート・オンライン、ゲイツライドウォッチ@仮面ライダージオウ

[思考]

基本: この殺し合いをとことん愉しむ。

1: 万丈龍我、次会ったときに必ず殺す……!

2:一先ず休憩だ……。

[備考]

※プラズマグレネードを1つ消費しました。

 

 

【エリアG-1とG-2の境目/建物屋上/1日目/黎明】

 

 

【ドロシー@SINoALICE】

[状態]: 狂喜乱舞中、CDロストスマッシュに変身中

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(ドロシー)

[参戦時期]:少なくとも淘汰編より前。

[装備]:CDロストフルボトル@仮面ライダービルド

[道具]:

 基本支給品一式

 パンドラパネル(黒)@仮面ライダービルド

 ランダム支給品0~2

[思考]

基本: 探求探求!

1: 興味のある参加者を見つけたら研究する。

2:フルボトル、最ッ高ノ発明品ダヨ!!!

3:改めてビルの崩れた方向(G-1)に向かう。

[備考]

※ロストフルボトルには、予めクローンスマッシュ二体分のエネルギーが込められているので、態々用意しなくてもロストスマッシュに変身可能です。

※但し、戦闘能力はハードスマッシュと同じレベルである。

※倒されたら消滅するかどうかについては、後の書き手に任せます。




※2024年1月1日に軽微な修正を加えさせていただきました。


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幸福追求権

作者
・チェリい

登場キャラ
・白鐘直斗@ペルソナ4
・神原駿河@化物語
・大神照彦@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-


 白鐘直斗は探偵である。

 現役の高校生ながら、警察機構の調査にも協力する探偵一族の五代目。

 とある事件にまきこまれた経験から、常識の範囲外の事象にも理解がある。

 それゆえに、とつぜん開始した“バトルロワイアル”にも動揺せずにいられた。

 

(バトルロワイアル……たしか、そんなタイトルの小説があったような。

 それはさておき、まずは現状の把握が最優先。このデイパックが支給品と)

 

 二階建ての石造りの住宅で目をさました直斗は、まず首輪を確認。その後、すぐに支給品の確認をし始めた。

 デバイスの『名簿』を読みながら、その頭脳をフル回転させる。

 

(参加者は百三十名。五陣営ということは、単純計算で二十六名ずつ。

 僕個人の知り合いは鳴上先輩と花村先輩、マリーさん、そして足立刑事。

 他にも名前で分類できそうなものがある……参加者は知人同士で集められているのか?)

 

 イタリア人らしき名前や日本史上の偉人の名前、おとぎばなしのキャラクターといったように、名簿の参加者のうち複数名が、ある共通項で分類できる。

 人名らしからぬ名前もあるが、それについては情報が足りないため保留とする。

 

(ランダムに集めたにしては、百三十人のうち三分の一以上が日本人なのは偏りがある。

 主催者が意図をもって集めたのは間違いない……が、その意図まではまだ読めないな。

 それに、このコッペパンや拳銃が入っていたこの“紙”……これはいったいなんなんだ?)

 

 混乱しながら、それでも直斗は支給品のチェックをつづけた。

 次に『地図』のアプリを開く。現在のエリア【A-4】と、時刻が表示される。

 さらに『放送』と『ルール説明』をチェック。そして、もうひとつのアプリも。

 

「これは……!」

 

 しばらくデバイスを操作した直斗は、ふとデバイスから目を離して、窓から外の景色を見た。

 和洋折衷、というよりむしろチグハグな印象の街並みを眺めていると、近くに人影がある。

 

(なにをしているんだろう?)

 

 石畳の道端にしゃがんで、なにかを見ているらしい人影。

 それも、どこか楽しそうにリアクションを取りながらだ。

 

(僕のように名簿や地図を確認しているのか……?いや、それにしては……)

 

 人影の行動について、あれこれ考えを巡らせるも答えは出ない。

 支給された拳銃を握りしめると、直斗は決心して、人影に接触することにした。

 背後から近づいていくと、人影の服装は半袖のシャツとスカート、そしてスパッツだということが見てとれる。

 その服装と体格から、同じ年頃の少女だと判断して、直斗はわずかに安堵した。

 

「あの……僕は白鐘直斗といいます。あなたは?」

「あぁ、私は神原駿河だ」

 

 振り向いたショートヘアーの少女が、はきはきと名前をなのる。

 頭から足まで観察。背筋はピンと伸びており、体幹のよさが窺える。左腕の指先から上腕二頭筋のあたりまでは包帯が巻かれているが、動作に支障はないらしい。

 左腕を庇うような動きはまったくなく、なにより左手で物をつかんでいた。

 

「あの、いったいなにをしていたんですか?」

 

 問いかけながらも、この時点で直斗は神原への警戒心を解きつつあった。

 二人はお互いの顔が見える距離にいる。当然ながら神原の手元も見えている。

 その左手でしっかりとつかんでいるものが本であり、より詳細には漫画だとわかったのだ。

 

「おや、見られていたのか。これは恥ずかしいところをお見せした。

 じつは私に支給されていたこの同人誌が、私の好みドンピシャだったのだ」

「同人……『アララギ』や『ホトトギス』のような文芸雑誌ですか?」

「む?なぜ阿良々木先輩の名前が出てくるのだ?」

「あ、いや……すみません」

 

 質問に質問で返されて、思わず謝罪。

 同人誌という単語に、直斗はなじみがない。

 本といえば推理小説か百科事典。少女漫画よりも機械の設計図を楽しく読んでいるような幼少期をすごした直斗の辞書に、同人誌という単語は登録されていなかった。

 かろうじて検索の候補にでてきたのは、明治時代にあったとされる同人雑誌の名前。

 しかし神原の反応から、それも不正解だと察して、自身の知識の狭さを痛感した。

 それゆえに、問いかけてしまう。神原の手にある漫画について。

 

「その同人……誌?が、どうしたんです?」

「よくぞ聞いてくれた!」

 

 藪をつついて蛇を出すとはこのこと。

 

「犯罪卿×宿敵の探偵という王道のカップリングながら、ストーリーは従来のものと一線を画した意表をつくものだ。これまでも、探偵が窮地に陥ったときに犯罪卿が根回しをしていたことで九死に一生を得て、その見返りに探偵がしぶしぶ身体を預けるという作品はごまんとあったが、この作品は違う。目をかけて利用してきた探偵に完璧に出し抜かれてしまった犯罪卿は、内心で下に見ていた相手に超えられたという事実に対して快感を覚えてしまう。優秀すぎるがゆえにひねくれてしまった犯罪卿が、自分自身の秘めたる欲望に気づいて堕ちていくさま。それが非常に高い再現度で描かれているのだから、原作ファン必見の垂涎ものなのだ」

「はぁ……」

 

 まさしく立て板に水というべき神原の弁舌に、直斗は圧倒された。

 その後、九十秒近く経過しても滔々と話しつづける神原に、たまらず直斗はストップをかけた。

 

「と、とにかく!誰かが声を聞きつけてやってくるかもしれません。

 ひとまず落ち着いて、あの民家に行きましょう。それから話を聞かせてください」

「ほう!出会って五分としないうちに部屋に連れ込むとは大胆な。

 なににつけても展開の高速化がいちじるしい昨今だ、コトに至るまでも速いほうが適切なのかもしれないが、せめて前戯はていねいに頼むぞ」

「なんの話をしているんですか!?」

 

 どこか興奮したように身を寄せてくる神原。

 それをやんわりと避けながら、住宅に誘導していく。

 

「まあ安心してくれ、うららかな乙女としての体裁を守るためさっきはああ言ったが、私は強引でも一向に構わんッ!」

「だから、なんの話を……」

「やあ、きみたちも巻き込まれたのかい?」

 

 背後から聞こえてきた声におどろいて振り返ると、そこには穏やかな人相の男性がいた。

 顔にはいくらか皺があり、ネイビーのスーツに身を包んだ、サラリーマン風の人物。

 どうやら比較的まともそうな人に会えたらしいと、直斗は内心でホッとした。

 

「ああ。そしていまから抱き込まれるところだ!」

「ふざけないでください!」

 

 

 

 

 ドタバタとした出会いから数分後。

 直斗を含めた三人は、お互いに敵意がないことを確認したのちに、テーブルを囲んでいた。

 

「まずは簡単に自己紹介と行きましょう。お互いの素性を知ることは重要ですから」

「そうだろうな。きみたちに従わせてもらうよ」

「では私からいこう。一番槍だ。

 ところで、槍ってカタカナで書くと途端に卑猥にならないか?一番ヤリ!」

 

 どう反応したものかと悩んで大神をちらりと見るも、大神も似たような反応。

 ツッコミ不在の状況だが、神原はあまり気にしていないようだ。

 

「あらためて、私は神原駿河。私立直江津高校二年だ。得意技はBダッシュだ。

 この名簿にある、“阿良々木暦”と“戦場ヶ原ひたぎ”は私の敬愛する先輩方だ。

 あと、私はレズだ。レズと百合がどう違うのかについては、ぜひ語り合いたいところだな」

 

 首輪に嵌められた異常な状況下にありながら、すらすらよどみなく話す神原。

 その会話の量とは裏腹に、口にした情報は半分以上が不要であると直斗は判断した。

 話し終えたのを見計らって、直斗は立ち上がる。

 

「僕は白鐘直斗。高校一年生です」

「つまり白鐘後輩というわけか!むむ、交配というのもまたいやらしい響きだな」

「……名簿には、何人か知り合いの名前がありました。“鳴上悠”や“花村陽介”がそれです」

 

 直斗は出会ったばかりの神原に、もう辟易している自分に気づいた。

 そして、それに気がついたところで、なにか対策を取れるわけではなかった。

 ひとまず話を展開させるために、残された大神に対して話をうながすことにした。

 

「あとは、そうですね。探偵のようなことをしています」

「へえ、その年で探偵さんとはね……」

 

 大神の反応は、素直におどろいたという印象だった。

 どうやら“探偵王子”の評判は知らないようだ。

 

「私は大神照彦。しがないサラリーマンさ。

 きみたちとは違って、名簿に知り合いの名前はひとつもない。

 しいて言えば坂本龍馬や沖田総司くらいかな?おおかた芸名かなにかだろうけどね」

 

 穏やかながらもどこかユーモラスな話しぶりの大神。

 すでに家族がいるらしく、老後の目標まで考えているようだ。

 どう見ても善良な一般市民。そんな大神に、直斗はあえて質問を投げかけた。

 

「名簿に知り合いがいないというのは本当ですか?」

「え、あぁ……なにかおかしいかい?」

 

 わずかにうろたえた様子を見せる大神。

 なにかを隠している、といったわけではなさそうだと判断する。

 

「……いえ」

「代わりに私が答えよう。おそらく白鐘後輩は、こう考えたのだ。

 名簿には、私にとって大切な戦場ヶ原先輩と阿良々木先輩の名前がある。

 そして、白鐘後輩にとって大切な名前もある。だから、この名簿の参加者には誰かしら知り合いがいるのではないか、と考えていた。

 しかし、名簿に知り合いがいない大神さんが現れたことで、この仮説が否定された。

 となれば白鐘後輩は、新たな仮説を立てる必要がでてくるため、正確な証言を求めた」

 

 こんなところだろうか、と同意を求めてくる神原。

 予想以上に論理的な神原にあっけにとられたが、ほぼ正解なので首肯する。

 

「そのとおりです」

「きみたち、ずいぶん賢いんだなあ」

 

 感心したように腕を組む大神。

 その態度にも、なんら怪しい点はない。

 

「白鐘後輩、自己紹介は終わったが、これからどうするんだ?」

「まずは情報収集です。脱出方法がないかどうか、主催者の意図はなにか。

 現状では分からないことが多すぎますから、それをひとつずつ解決したいんです」

「賛成だ。他の参加者とも合流したほうがいいだろう。

 もちろん、このバトルロワイアルに乗り気でない人という条件でね」

 

 まず情報を集めるという方針は、受け入れられたようだ。

 直斗はあらためて、デバイスの地図を開いた。

 

「では、大まかに探索する範囲の分担を……」

「っと、その前にトイレに行ってもいいかな?

 話していて緊張がゆるんだみたいだ。ちょっと待っていてくれ」

「ええ、どうぞ」

 

 席を立つと、やや駆け足で部屋を出ていく大神。

 それを見送ってから、直斗は神原に顔を近づけて話しかけた。

 

「神原さん、お話があります」

「ん?」

 

 神原も雰囲気を察したのか、茶化すマネはしなかった。

 

「大神さんが戻る前に伝えます。僕はまだ、あの人のことを信用していません」

「ふむ、そうなのか。探偵のカンというやつか?」

「いえ。端的に言うなら、僕のことをなにも疑わずに従っているのが不自然なんです」

 

 直斗は“探偵王子”としてテレビに出演する程度には知名度がある。

 そして、その事実を知る人ならば、犯罪に巻き込まれた現状で、専門家ともいうべき直斗に判断をあおぐのは自然なことである。

 だが、大神はそうではない。白鐘直斗の名前には反応せず、知り合いとして偉人の名前を挙げたのだ。教科書で読んだ人物を知り合いとして挙げるのなら、テレビで見た直斗のことも知り合いとして挙げるのが自然だ。

 そうしなかった以上は、大神は直斗のことを知らなかったのだ。

 つまり、大神は直斗のことを知らないのにもかかわらず、その言葉をまるきり信用して従っていることになる。

 実績を知っていても煙たがられることを経験している直斗にしてみれば、そうした大神の態度は不自然に感じられたのだ。

 そう考えながらも、直斗は自分にバイアスがあることも考慮し、詳細は語らなかった。

 

「そうか……よくわからないが、杞憂の可能性もあるということか?」

「ええ。ですからこれはあくまで保険です。

 覚えておいて欲しいんです。僕のデバイスには――」

 

 そして数分後、戻った大神に分担の範囲を伝えて、周囲を探索することになった。

 

「遠くまで行くと、なにかあったときに大変です。

 この【A-4】エリアに限定して、脱出の方法がないかを中心に探索しましょう。

 地図によれば、北側には海があるようです。もし船のたぐいがあれば、移動に使える」

 

 期待値は低いが、それでも可能性はある。

 どんな情報でも得ておきたいのが現状だった。

 

「それでは、三十分後に」

 

 

 

 

 そうして、あっというまに三十分が経過した。

 直斗はかんばしくない探索の結果に肩を落としながら、集合場所へと足を運んだ。集合予定の場所は、最初の住宅よりもやや北東に位置する住宅だ。

 三人はいったん集合して、探索の結果を共有する手はずだった。

 しかし、ここで異変が起きた。神原が集合時間をすぎても、姿を見せないのだ。

 

「そろそろ十五分オーバー……さすがにおかしいですね」

「あぁ……まさかとは思うが、誰かに襲われたんじゃあないか?」

 

 時間は刻一刻とすぎていく。

 それと同時に悪い方向へと想像がふくらんでいく。

 もしも神原が、集合場所を最初の住宅と勘違いしていたとしても、そこから集合場所までは走れば五分とかからない。健脚を自慢していた神原ならなおさらだ。

 

「その可能性はあります……しかし、だとすると妙なことが」

「妙なこと?」

「コレです」

 

 直斗は自らのデバイスを操作し、『首輪数探知アプリ』を表示した。

 首を傾げる大神に、同じエリアに存在している“生きている”参加者の首輪の個数を表示するものだと伝えた。

 そして、ディスプレイに表示されたゴシック体の【3】を、大神へと見せる。

 

「別行動をし始めてから、僕は数分おきにこのアプリを確認していました。

 もし誰かがこのエリアに侵入してきて数字が増えれば、すぐに合流できるように。

 けれど、いちどたりとも数字は増えても減ってもいない。まったく増減がないんです」

「つまり……私たち以外は誰もこのエリアに入っていないし、出てもいない?」

「ええ。そして神原さんは死亡してもいない」

 

 アプリの説明には、“生きている”参加者の首輪の数を表示するとあった。

 もし神原が死亡していた場合は、アプリの表示は【2】となるはずだ。

 これで逆説的に、神原の生存は証明されることになる。

 

「もちろんこのアプリが正常に機能していれば、という条件つきですが」

 

 口ではそういいながらも、実のところその可能性は追っていない。

 もしアプリが正常に機能していない場合、この推理はすべて無駄なのだ。

 あくまでアプリが正常に機能しているという仮定のもとで、直斗は推理を紡ぐ。

 

「ということは、まだこのエリアのどこかにいる、ということかな?」

「それは間違いないでしょう。そして要因は不明ですが、僕たちの前に姿を出さない」

 

 その要因についても、いくつか可能性は浮かんでいる。

 とはいえそれを提示しようとは思わない。なぜならば。

 

「そうか……でも、このエリアはひととおり探し終えたんだ。

 とりあえずでも情報を共有して、他のエリアに移動することも検討しないといけない」

 

 頭をかいて心配した様子を見せる大神が、その要因である可能性が高いからだ。

 

「っと、時間に遅れそうで慌てていたから、荷物を置き忘れてきてしまった。

 すぐ取ってくるよ。そうだな……ひとまず神原君には、メモでも残したらどうだろう?」

 

 その提案は冷静で、理にかなっていた。

 もし神原が無事であり、たまたま呼びかけに答えなかっただけなのであれば、集合場所として指定しておいたこの住宅にメモを残しておくことで、後から合流もできるだろう。

 

「そう……ですね」

 

 それなのに、その提案を受け入れがたく感じている自分がいる。

 そして、なぜ提案を受け入れがたいのか、その原因も理解している。

 提案自体が問題なのではない。大神からの提案という事実が問題なのだ。

 

「きみの手にあるアプリとやらを確認していてくれよ。

 もし数字の増減があったとき、すぐに気づけるように」

「……ええ」

 

 直斗はアプリを開いたまま、出ていく大神の背中を見送ると、紙とペンを探すことにした。

 その間も、消えた神原についての思考を回転させたまま。

 

(正直なところ、僕はまだ神原さんの性格を把握しているとは言えない。

 また同人誌に没頭して時間を忘れているだけという可能性だって、ゼロじゃない。

 けれど……その一方で、神原さんが動けない状況に置かれている可能性も充分にある)

 

 たとえば、睡眠薬を盛られているとか、気絶させられているとか。

 警戒心を強めるよう忠告したものの、どこまで聞き入れてくれたかは不明だ。

 いまは情報が足らない上、可能性が多すぎる。そのすべてを追うのは現実的ではない。

 

(アプリの表示が【3】から【2】にならない限りは、神原さんは無事のはず。

 そのはずなのに、なんだ?この違和感と、言いようのない不安感は……!?)

 

 ドクンドクンと鼓動が早まるのを感じて、直斗は思わず胸を押さえた。

 

 

 

 

 大神照彦はサラリーマンである。

 会社勤めの建築士で、職場などではあまりめだたないタイプだ。

 そのやわらかい物腰から、周囲からおっとりした性格だと思われている。

 

「さて……」

 

 置き忘れてきた荷物――【かくしもの】――を確認するため、大神は三人で会話を交わした住宅へ戻ってきた。

 まっすぐに二階へと向かう。窓のある部屋とは反対側の、街灯や星の光も入らない部屋へ。

 ドアをガチャリと開けて部屋へと入り、すぐに後ろ手でカギを閉めた。

 

「具合はどうだい?」

 

 そこには、両手足を拘束された神原の姿があった。右のほほが赤く腫れている。

 神原を拘束しているものは、ロープや手錠ではなく、形容しがたい怪物であった。

 ぬらぬらとした光沢のある紫色で、タコとヒトデを混ぜたような禍々しい生物の触手が、両手足に巻きついていた。

 

「ぐうっ……」

「おや。まだ意識はあるのか。

 どうだい?両手両足を締められつづける感覚は。

 私なら気絶していただろうな。ずいぶんとタフネスがあるものだ」

 

 大神の姿をみとめて、するどい視線を向ける神原。

 いまにも跳びかかりそうな態度だが、触手による拘束から逃れるだけの力はないようだ。

 

「き、きさま……ゴホッ、ゴホッ」

「声が枯れているな。おおかた何度も助けを呼んだのだろうが……だれひとりとしてこの部屋には“来ることができない”のだよ。すくなくとも、私がここから遠く離れるまでは。理解してもらえただろうか?」

「どうして、こんな……」

「こんなことをするのか、かい?さきほど話したとおりだよ。

 私は幸福な老後をすごすという目標がある。孫たちに手品を見せてあげたり、お絵描きをおしえてあげたりするんだ。そのために、死ぬわけにはいかない」

 

 大神はデイパックから分厚い本を取り出した。

 デスマスクのあしらわれた表紙を、そっと撫でる。

 一般の書籍とは異なる肌ざわり。素材はなんなのだろうか。

 

「もしかして、なぜきみをすぐに殺さなかったのかを尋ねているのかな?すこし考えれば、わかることだと思うけどね。

 ひとつは、私に支給されたこの螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)で呼び出せる海魔とやらの性能を知るため。主にどれくらい動いていられるかだ。

 もうひとつは、すぐに殺すとばれる可能性があったためだ。白鐘君のデバイスには、同じエリア内にある“生きている”参加者の首輪を数える機能があるようだからね。

 おそらく白鐘君は、神原君との会話を私に聞かせて、抑止力にしたかったんだろうが、あいにくと私も馬鹿じゃあない」

「……!」

 

 瞠目する神原を見た大神は、口の端をすこしだけ上げた。

 戦場で相手を出し抜いた軍師は、こんなきもちなのだろうと想像した。

 

「そう、トイレに立ったフリをして、私はすべて聞いていた。

 そして白鐘君が、わざと私に聞こえるように話していると気づいたんだ。

 きみたちが私を信用しなかったのと同様に、私もきみたちを信用してはいなかった」

 

 直斗にとって、『首輪数探知アプリ』は抑止力。

 その存在をちらつかせることで、凶行に走らないようにしたのだろう。

 

「実際、アプリのせいで、きみを即座に手にかけることができなかった。

 露見する前に二人とも殺害する、という手段も考えたが……どうにも白鐘君の警戒心が強すぎて難しい。彼は拳銃を所持していたし、抵抗されたら面倒だった」

 

 それでも別行動を開始したのは、おそらく直斗から大神への疑いが確信に至るほどではなかったからだろう。

 大神への疑いが杞憂であると直斗が期待していなければ、別行動などさせないはずだ。

 

「そこで逆に考えた。抑止力がある中での殺害に成功すれば、私は信頼を得られると。

 そして、非常に幸運なことに、私にはそれができた。露見しない犯罪が、可能だったのだ」

 

 神原を拘束した方法は、実に単純なものだった。

 住宅の二階に開かないドアがあるとウソを吐いて、部屋へとおびき寄せる。

 そのドアを開けて中に入ると、召喚しておいた海魔が襲いかかるようにしておいたのだ。

 

「最初の一撃を避けたのは、おどろくべき反射神経だった。

 おかげで殴るはめになってしまって、申し訳ないと思っているよ」

 

 罪悪感など微塵もあらわれていない声で、大神は語りかける。

 神原も警戒はしていた。しかし、まさか海魔を使役しているとは予想しなかったのだろう。

 

「懇切丁寧に説明をするのは、このくらいにしておこう。

 さすがにそろそろ戻らないと、白鐘君に不審がられてしまう」

 

 螺湮城教本を開くと、書物自体が脈動しているような感覚をおぼえる。

 支給品の説明には、これ自体が魔力を生み出せるとか、海魔は召喚時に念じることで簡単な指示ができるとか書かれていた。ずいぶんとオカルトな存在だ。

 もう一匹、海魔を召喚して、手首でも食いちぎらせれば、しばらくして失血死するはずだ。

 

「待て!卑怯者!」

「どうぞ好きなように罵りたまえ。もうすぐそんな元気もなくなる」

「くっ……」

「ああ、そうだ。支給品は回収させてもらおう」

 

 近くに転がった神原のデイパックから、ランダム支給品とメダルを取り出す。

 このメダルがどれほど役立つのかはわからない。ルール説明にはリーダーがどうとか記載されていたが、把握できているとは言いがたい。

 後でなにかの交渉材料になれば御の字だと結論づけて、スーツの胸ポケットにしまう。

 

「それでは、神原君……さらばだ」

 

 大神はわずかなためらいもなく、“手首をちぎれ”と念じながら海魔を召喚した。

 すでに枯れた声をそれでも張り上げる神原に対して、なんの感慨もなく部屋を後にする。

 

(よし……あとは白鐘君のところへ戻るだけ……)

 

 そう考えながら民家から出たところで、当の直斗と鉢合わせた。

 

「おっ……と。すまない、待たせすぎたかな?」

「失礼します」

 

 質問には答えずに、住宅へと入れ違いになる直斗。

 室内を物色しはじめた背中を見ながら、大神はぎりぎりと歯を噛みしめた。

 

(この態度……間違いないッ!

 こいつは私を信用していないどころか、完全に疑っているッ!

 しかし……もし私に幸運があるならば、私の犯行は露見しない。

 あれが失血死するまでには時間がかかる。アプリの数字はまだ変化しない)

 

 冷静になれと自らに暗示をかける。

 ここで敵意をむき出しにすれば、疑いはより濃くなるだろう。

 一階のトイレまで調べ終えたのか、直斗は二階へと向かった。

 そして、五分も経たないうちに降りてきた。

 

「白鐘君、数字に変化はあったのかい?」

「……いえ。数字は【3】のままです」

 

 どこか釈然としない様子の直斗に、大神は問うた。

 その様子を見た大神は、表情をいっさい変えぬまま、胸をなでおろした。

 

「……仕方ありません。神原さんには悪いですが、探索の結果を共有しておきましょう」

「それじゃあ、集合場所に戻るかい?」

「そうですね。この“住宅にはいない”ようですから」

 

 その言葉を聞いて、大神は確信する。

 優秀な探偵をもってしても、神原がいる部屋には届かなかった。

 

(どうやら、私の幸運はこの場でもじゅうぶんはたらくようだ。

 これで一安心だ……あとは神原君が死ぬまで、こいつと一緒にいればいい。

 この少年探偵は、私を疑いたくても疑えまい。しばらく利用させてもらうとしよう)

 

 大神はこのバトルロワイアルで生き残るためなら、手段は選ばない。

 他者を利用してでも自分だけは生き残る、という決意がそこにある。

 すべては己の幸福のため、あらゆるものを利用するのだ。

 穏やかな人物の仮面の下を、悟らせないままで。

 

 

 

【エリアA-4/住宅地/1日目/深夜】

 

【白鐘直斗@ペルソナ4】

[状態]:健康、不安

[服装]:八十神高校制服・冬

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(直斗)

[参戦時期]:本編トゥルーエンド後。

[装備]:ニューナンブM60@現実

[道具]:基本支給品一式、コッペパン@現実、首輪数探知アプリ(デバイス)@ロワオリジナル

[思考]

基本:現状を打開するために情報を集める。

1:神原さんはどこへ……?

2:大神照彦への疑念。

3:可能であれば知人(鳴上、花村、マリー、足立)とも合流したい。

[備考]

※神原駿河の知人(阿良々木暦、戦場ヶ原ひたぎ)の情報を得ました。

 

 

【大神照彦@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-】

[状態]:健康、平常心

[服装]:ネイビーのスーツ

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:2枚(大神、神原)

[参戦時期]:不明。後の書き手さんにお任せします。

[装備]:特殊警棒(金属製)@現実

[道具]:基本支給品一式、螺湮城教本@Fate/Zero、神原駿河のランダム支給品0~2

[思考]

基本:生存を最優先。他陣営の参加者は、場合に応じて利用または殺害する。

1:白鐘直斗を利用する。

[備考]

※神原駿河の知人(阿良々木暦、戦場ヶ原ひたぎ)の情報を得ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神原駿河は女子校生である。

 そして、猿に願った少女でもある。

 

 少女はたくさんの望みをいだいていた。

 戦場ヶ原ひたぎには恋慕と失望を。

 阿良々木暦には嫉妬と羨望を。

 己自身には憤怒と絶望を。

 

 少女の欲望は、あまりにも大きすぎた。あまりにも重すぎた。

 燃え盛る欲望の炎を自身で消火できず、猿に願ってしまった。

 もう悪魔は消えた。敬愛する先輩の言葉に、少女は救われた。

 しかし、忘れてはならない。行為が消えたわけではないのだ。

 

「……天網恢恢疎にして漏らさずとは、こういうことか」

 

 手首がちぎれてから、どれくらいが経っただろうか。

 薄れていく意識の中、少女は悔しげにひとりごちる。

 この結果も、自らの行為、願いが原因だというのか。

 

「ああ、やはり私は馬鹿だった」

 

 少女は目を閉じて、ひとすじの涙を流した。

 まぶたの裏に浮かべたのは、大切な人の姿。

 しばらくしてから、そっと血だまりに沈む。

 これから得るはずだった幸福は、届かない。

 

 

 

神原駿河@化物語 死亡

 

【全体人数 残り144/150人】

【アニメ陣営 残り28/29人】

 






























[全体備考]
※神原の遺体のそばに、デイパック(中身は基本支給品一式、同人誌@現実)が落ちています。
※海魔がどうなるかは後続の書き手さんにお任せします。


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リビングデッド・フロントライン

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・タツミ@アカメが斬る!
・由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険
・武市半平太@龍が如く維新!
・常磐ソウゴ(E)@仮面ライダージオウ


「死んでない……」

 

真実のソウゴを倒すために、先陣を切った自分は、ライダーキックを放つも、いとも簡単に返り討ちにされてしまったはずだ。

体は鎧ごと粉々に砕け散り、肉体も溶けるように消えてしまったはずだ。

それでも自分は生きている。

まさか、どんな願いでも叶うというのは本当なのだろうか?

 

「だったら、戦いを止める」

 

そして叶うなら、元の世界に戻る。

そのために、彼は再びベルトを取った。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

絶妙に温く、強くも弱くもない風が吹き抜ける廃墟ステージがC-8エリア、そのB-8との境目のあたりにて。

 

「……」

 

「……」

 

(き、気まずい……)

 

タツミ、ナランチャ、由比ヶ浜結衣の三人は何の会話もなく、ひたすら駅を目指して歩いていた。

並びとしては、いつでもベルトにセットできるようにスクラッシュゼリーを構えたタツミが進行方向右側を、支給品にあったナイフを持ったナランチャが左を警戒し、結衣がそれについていく形だ。

タツミは張り詰めた感じを崩さず、ナランチャはただただ不機嫌そうである。

 

(全員年も近そうだし、こんな直ぐにギスギスしないと思ったのに……)

 

どうしてこうなってしまったのか。

時間を少しさかのぼり、3人が支給品の確認をしていた所までさかのぼる。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

テーブルに置かれた、ガラス瓶入りの立った一錠の錠剤。

それがすべての原因だった。

 

「絶対に持っていく」

 

「絶対にここで捨てて、いや、それじゃあ駄目だ。

踏みつぶして使えなくする」

 

タツミやナランチャの支給品は特に問題なかった。

上は人類史最強クラスの英霊、下はただの学生と、参加者の戦闘力の上限と下限の差が激しいこのバトルロワイヤルだが、中堅レベルの参加者の実力には、そんなに差が無い。

暗殺結社ナイトレイドの一員として、そして帝具使いとして鍛えているタツミに、半グレやチンピラ、敵組織の構成員の始末などで荒事になれてるナランチャ。

この二人に支給されたのはスクラッシュドライバーや、いつも使ってるのと似たようなナイフなど、本人たちの実力を発揮しやすい物だった。

では、間違いなく最低レベルの一人である結衣には何が支給されたのか。

それは同じく最低レベルの雪ノ下雪乃に、実質戦闘のプロに体を動かしてもらえるゼロノスベルトが支給されたように、手っ取り早く強くなれる物であった。

 

 

 

超強化薬(改良版)。

 

 

 

クロメの所属していた帝国暗殺部隊が使用していた寿命を縮めるほどの絶大な負荷を代償に、肉体の限界を超えた力を引き出す薬物、、その中でも特に強力な物を、革命軍が回収し、帝具で改良を加えた物だった。

 

「それは俺の仲間の為に用意されたのを、あのアズって女が盗んだものだ。

俺がアカメに届けるから俺に預けてくれ」

 

タツミにとっても、この薬は忌むべきものでは有るが、紙の説明を信じるなら、目下最大の脅威、帝国最強の将軍にして、自身を狙う氷の帝具使い、エスデスに対抗する切り札の一つ。

結衣やナランチャに使わせる気はないが、ほんの僅かでも、来る対決で勝率を上げれるなら、破棄など出来るはずがない。

勿論本音を言えば、アカメにも使ってほしくないが、エスデスはそんな事を言っていては、とてもではないが勝てない敵なのだ。

 

「いいや。こんな麻薬みてえなの絶対に使わせるわけにはいかねえ。

ブチャラティなら、絶対にそうする。

だから俺は認めるわけにはいかないぜ!」

 

ナランチャの意見は、なんだか思考の放棄のようにも聞こえるが、そうではない。

彼は尊敬するチームリーダー、ブローノ・ブチャラティの、街から麻薬を一掃するという理想に協賛しているのだ。

かつて誰も信じられなくなっていた時に道を示してくれたブチャラティと、彼の信じる正義は、ナランチャにとって絶対の『法』であり揺るがぬ『正義』。

ブチャラティについていくと決めた時から、固く決まっている物なのだ。

 

「ちょ、ちょっと落ち着こうよ!こんなことで喧嘩したって…」

 

「こんなこと!?今お前こんな事っつたか!?ああっ!?」

 

机をたたいて立ち上がったナランチャが、結衣の喉元にナイフを突きつける。

その目には殺意や害意はないが、目先のチンケな苛立ちなどに向けるのとは違う本気の怒りが宿っている。

 

「よせナランチャ!

……ユイガハマ、お前はこうゆうのに関わりなさそうだから、分からないのかもしれないけど、とても大事なことなんだ」

 

両者の主張は経験に裏打ちされ、心の底から思っていることであり、尚且つどちらも正論である。

妥協点など作れるわけがない。

睨み合うまま、一触即発にも似た空気が流れ始める。

 

「……じゃあ分かった!この薬はあたしが預かる。

絶対に使わないし、絶対に捨てない。これじゃあ、駄目?」

 

それを断ち切ったのは、こうなった原因である結衣だった。

2人は驚いたが、少し考えて、

 

「ユイガハマ。その言葉、嘘じゃあないな?」

 

「神に誓って使わないか?」

 

「誓います!」

 

「……タツミ、お前はどうだ?」

 

「そう言うお前はいいのか?」

 

「……本当は嫌だけど、今はそれでいい」

 

「分かった。俺もそれで構わない」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「おいユイガハマ」

 

「な、なに?」

 

「何度も言うけど、絶対に使うんじゃねえぞ?絶対だからな!」

 

「わ、分かってるよ……」

 

と言う訳で、一向はようやく駅を目指し始めたのだ。

その間、ほぼ無言。

こんな殺し合いの場で、陽気におしゃべり、と言うのは無理でも、流石にこうも張り詰めたままだと息苦しい物が有る。

 

「な、ナランチャ君はさ!なんでさっきあんなに怒ったの?

いや、もちろん麻薬は使ったら駄目な物、ってことは知ってるけど、、」

 

そう問われたナランチャは、とても悩んだ。

見た所結衣は、格好こそ、ナランチャから見るとやや品が無いが、タツミと違い、カタギの様である。

話していい物か悩んだが、良くも悪くも、この島を出ればもう会わないと考え、スタンドの事は省いて話すことにした。

 

「俺さ、学校行かないで、ある人のところで仕事してんだ」

 

「仕事って……」

 

「シマで勝手に麻薬を売りさばく奴とっちめたり、汚いシノギでお前みたいなカタギさんに迷惑かける連中と戦ったり、だな。

まあ、悪知恵ばっか回る狡賢い連中は、だいたいフーゴとアバッキオがやってたけど」

 

そう言ってナランチャは慣れた手つきでクルクルと弄ぶ。

武器として使いなれてなければ出来ない手つきだ。

 

「だから、麻薬が嫌いなの?」

 

「嫌いって言うか、許せねえんだ。

俺たちのチームのリーダー、ブチャラティっていうんだけどさ、漁師だった親父さんが、ヤクの売人に撃たれて死んでるんだ」

 

「!?」

 

「だからブチャラティは、麻薬を街から一掃しようとしてるんだ。

二度と親父さんみたいな人を増やさないために動いてるんだ。

そんなブチャラティについていくって決めたから、俺は麻薬が許せない」

 

「そう、なんだ……ごめんね。さっきはこんな事とか言って」

 

「いいって。俺こそ、刃物なんか向けて悪かったな。

それに今のも、カタギに聞かせる話でもなかったし」

 

「ううん。聞いてよかった。タツミンはどう思った?」

 

「え? た、タツミンって、俺の事か?」

 

「うん。タツミ君だからタツミン。いやだった?」

 

「嫌ではないけど、、まあ、そうだな。

ナランチャも信じるものが有るって知れてよかった。

お前の意見を飲めるわけじゃないけど、信用できるとは思ったよ」

 

「……そっか」

 

ナランチャの頬に、小さく、だが確かに笑みが浮かぶ。

そして彼はそのまま左手をタツミに差し出し、

 

「「!?」」

 

「え?どうしたの?」

 

半端に上げていた手を、ナランチャは人差し指をたて、唇に当てる。

そして顎で、左前方を指さした。

よくよく目を凝らすと、3ブロック向こうの角から、誰かが走って来る。

残念ながら3人にその格好の名前は分らなかったが、一般的には虚無僧の格好をした男だった。

左手には納刀した日本刀を持ち、ひたすらこちらに駆けてくる。

その背後から同じように、オレンジ色の蟹型の怪人も駆けてきていた。

 

(な!?危険種か!?初めて見る奴だ…)

 

(あれは、スタンド!?いや、2人にも見えてるみたいだし、違うのか?)

 

(な、なにアレ!なんかヒーローショーの敵みたいの出て来た!)

 

カニ怪人、ボルキャンサーは虚無僧を追いながら3人に近づいてくる。

 

「2人とも下がってろ!」

 

スクラッシュゼリーを揉んで、ゼリー状に変化した特殊物質、トランジェルソリッドを活性化させ、シールディングキャップを正位置に合わせる。

そして走りながらドライバーのパワープレスロットにセット!

 

<ドラゴンゼリー!>

 

待機音が鳴り出すのをまって、工具型のレバー、アクティベイトレンチに手をかける。

説明書の書いてあることが本当なら、何時もとは少し違うが、やる事は変わらない。

 

「スクラッシュドライバァアアアアアー--ッ!」

 

熱い魂で叫び、思い切り振り下ろす。

タツミの足元からビーカーを模した"ケミカライドビルダー"が展開され、その中にゼリーの成分が満たされ、それを元に銀色の素体スーツが形成。

 

<潰れる!流れる!溢れ出る!>

 

頭部の噴出口からヴァリアブルゼリーが噴出され、仮面、胸部、両肩部に降りかかり、クローズアーマーに変形、装着される!

 

<ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!>

 

「―――――ァアアアアア!」

 

仮面ライダークローズチャージ、変身完了。

 

「へ、変身した!」

 

「あれが、テイグ……」

 

「ふーっ!ふーっ!これが、これが仮面ライダーの力!

……よし!行くぞ!」

 

ファイテインングスタイルを取り、クローズチャージは走り出した。

虚無僧とすれ違うと、地面を蹴って飛び上がり、蟹怪人、ボルキャンサーの顔面に気合を乗せた鉄拳を叩きこむ。

ボルキャンサーは泡を吹きながら2,3歩後ろによろめいた。

 

「おお!」

 

「すげぇ!」

 

「まだまだ行くぞ!うぉおおおおおお!」

 

追撃しようと突っ込んでくるクローズチャージを敵と認めたボルキャンサーは、怒りに任せてハサミの付いた両腕を振り回す。

仰け反って避けたクローズチャージの昆虫のような複眼の前でカチン!と、空を切り白い火花を散らした。

顔全体を覆うメット、クローズチャージヘッドの上から更に保護装甲、クリアファングテクターで守られた彼の顔には何のダメージもなかったが、一瞬でも視界が防がれたのはまずかった。

クローズチャージの腹部に思い蹴りが決まった。

大きく後退し、蹲ったところで頭上から再びハサミが振り下ろされる!

 

「はぁ!」

 

ボルキャンサーのガラ空きの脇と頭にマゼンタの光弾が炸裂した。

その隙にクローズチャージはボルキャンサーにボディブローを叩きこみ、怯ませてから距離を取り、

先ほどの射線の先を見た。

そこにはもう一人、クローズチャージと同じように強化服を纏った物が銃型の武器を手に立っていた。

 

「大丈夫!?」

 

「誰だお前は!?」

 

「仮面ライダージオウ!協力するよ!」

 

「……おう!」

 

一瞬迷ったが、まずは間違いなく敵のボルキャンサーの対処が最優先。

そう考えたクローズチャージはジオウの横に並び、再びファイティングスタイルを取った。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「タツミンすごい……」

 

「ああ。テイグも、それを使い熟すアイツも…」

 

ボルキャンサーを二人に任せて大丈夫と判断した結衣とナランチャは、

逃げて来た虚無僧の方に目をやった。

疲労困憊、と言う風ではないが、それなりの距離を走って来たのか、くぐもった息切れと、肩が上下しているのが分かる。

 

「お坊さん、大丈夫?」

 

結衣が声をかけると、虚無僧はゆっくりと二人の方を向く。

そして、腰を落すと、

 

「ふっ!」

 

「え?」

 

抜刀しながら一気に距離を詰め、彼から見て手前側に居た結衣の首に刃を振り下ろす!

 

「『エアロスミス』っ!」

 

直前で、虚無僧の被った天蓋の左上が吹っ飛んだ。

やや遅れて二人の真横を何かが通り過ぎ、空に向かって上昇していく。

プロペラ飛行機の形をしたそれは、ナランチャのスタンド能力の実像(ヴィジョン)

エアロスミスと名付けられた『ナランチャの魂の分身、深層心理の発露』である。

 

「ひ、飛行機?」

 

(こいつ、てかユイガハマもスタンドが見えてるのか?)

 

スタンドは通常同じスタンド使いにしか見えないが、自分もスタンド使いになる前にぼんやりとフーゴのスタンドを知覚出来た事が有ったので、そういうものかと思い、虚無僧に集中する。

 

「な、ナランチャ君今の……」

 

「下がってろユイガハマ!お前じゃ荷が重いぜ!『エアロスミス』!」

 

エアロスミスはプロペラ飛行機の形をしたスタンド。

必然的に攻撃手段も、機銃、爆弾、体当たりの三つとなる。

手の内が分からないのと、見た所近接武器が本職と判断したナランチャは、天蓋を破壊したように機銃掃射を仕掛けるが、絶大な威力と引き換えに精密性が低いこの攻撃では仕留めるには至らず、袖にいくつかの穴を開けるのみにとどまった。

 

(なら爆弾で……いや、それだとこの距離だ。

視界もレーダーも役に立たなくなっちまう。なら、体当たりだ!)

 

ナイフを構え、自分と結衣の周囲にエアロスミスを戻すナランチャ。

虚無僧も、いつでも動けるように刀を構える。

 

(来い!そんなすぐ折れそうな剣一本のお前なんて……)

 

(あのカラクリ、どこから取り出した?

……まあいい。武器の間合いはこちらが有利。

ならば、)

 

((攻撃しようとした瞬間に仕掛けて倒す!))

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

同じころ、クローズチャージとジオウの二人は、即席コンビにも関わらず、ボルキャンサーを追い詰めていた。

脆い部分や、攻撃に移ろうとするタイミングで絶妙に援護射撃を決めるジオウに、ベルト、否、ドラゴンの成分との相性ゆえにか、本家本元クローズチャージ、万丈龍我とそん色ない爆発力を発揮するタツミ。

ただちょっと硬いだけが取り柄のボルキャンサーなど、敵ではなかった。

 

<タイムチャージ! 5・4・3・2・1…ゼロタイム!!>

 

オーバーロード状態に移行したジオウの専用武器、

ジカンギレードから連射されたエネルギー弾は、頭べ手同じところに命中し、

硬い装甲にヒビを作る。

 

「今だよ!胸のところを!」

 

「ああ!ツインブレイカーッ!」

 

タツミが本来使い、丁度今万丈が使っているインクルシオ風に言えば、

副武装のツインブレイカーを展開し、パイルバンカーのような棘を突き立てる。

ボルキャンサーの胸部の殻が完全に砕け、やわらかい部分があらわになる。

 

「もいっぱあああああつッ!」

 

よろめくボルキャンサーに合わせてバックステップを踏み、

もう一撃叩き込まんとするクローズチャージ。

 

「はぁ!」

 

鮮血が吹き出て、武器を抜かれたボルキャンサーは、後ろによろけて倒れた。

トドメを刺した”虚無僧の日本刀”から、奴の血がしたたり落ちる。

周囲に気を配っていなかったわけではないが、

ボルキャンサー以上の脅威はないと判断していた2人は、

意識の外から現れた虚無僧に対応できなかった。

そしてそこから、

 

「その刀、、まさか!逃げろジオウ!」

 

虚無僧はジオウの方に振り向くと、距離を詰め刀を振るう。

すぐにジカンギレードで銃撃するジオウだったが、剣戟に切り替えるべきだった。

弾幕を切り抜けた虚無僧は、脇のアーマーの無い部分を狙って思い切り突き出す!

日本刀の刃がジオウの人工筋肉、ナノチューブ筋を貫き、その向こうのソウゴ(E)の心臓をも貫いた。

 

「がっ……ぶふっ!」

 

刃が抜かれると同時に仰向けに倒れ伏すジオウ。

完全にこと切れたはずのその体が、ボルキャンサーと共にゆっくりと立ち上がる。

 

「嘘…なんで?今絶対、、」

 

「おいおいテイグって、そんなことも出来るのかよ!?」

 

「まさかこの絵札箱以外にも、あの鎧を使える道具があったとは。

だがこうして二体も良い人形を得られたのは幸先がいい」

 

驚く二人を無視して、虚無僧は手にした刀の刃を見ながら言った。

 

「やっぱりその刀は……」

 

「死者行軍八房(やつふさ)。斬り殺した者を人形として操る妖刀だ」

 

妖しいまでに美しい刃の鋼と鮮血の色が星明りに反射する。

 

「次はお前たちだ。往け!」

 

ボルキャンサーとジオウが同時に地面を蹴って突っ込んでくる。

ツインブレイカーを構え直し、走り出そうとするタツミ。

 

「タツミ!待て!」

 

視線だけ声の方に向ける。

ナランチャが紙を開くところだった。

その中から……

 

「「モォオオオオオー---ーッ!!!!!」」

 

「う、牛ぃ!?」

 

「乗れ!」

 

一番近くにいたナランチャはジャンプで、一瞬出遅れた結衣はエアロスミスの手を借りて。

そして最後にタツミはその場で宙返りを撃ち、突っ走って来た戦車(チャリオッツ)の御者台に飛び乗る。

ガラガラと派手な走行音を響かせながら走り去っていった。

 

「仕方ないか」

 

そう言って虚無僧、もう一人の坂本龍馬こと、武市半平太は、破壊された天蓋を脱ぐと、

躯人形にしたソウゴEのデイパックから支給品を抜き取る。

 

「……行くぞ」

 

八房を納刀すると、二体の骸人形を従え、武市は彼らを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【エリアC-8/屋外/1日目/黎明】

 

【武市半平太@龍が如く維新!】

[状態]:正常

[服装]:虚無僧の格好(天蓋はなし、袖にいくつか機銃による穴)

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:2枚(武市、ソウゴE)

[参戦時期]:少なくとも以蔵の死を知った後

[装備]:死者行軍八房@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式(武市)、基本支給品一式(ソウゴE)

    ランダム支給品0~1(武市)、シザースのデッキ(ブランク)@仮面ライダー龍騎

    ランダム支給品0~2(ソウゴE)

[思考]

基本:この殺し合いを勝ち抜き、帰還する。

1:他の陣営の連中は、残らず始末する。

2:もし龍馬と出会ったら、決着を着ける。

3:同じ陣営だが、新選組はいずれ邪魔になるなら始末する。

4:なんで以蔵が生き返っている?

[備考]

※名簿は確認済みの様です。

※ボルキャンサーと、常磐ソウゴ(E)を八房の骸人形にしました。

※ボルキャンサーが死亡したことで、デッキがブランク状態になりました。

 

【常磐ソウゴ(E)@仮面ライダージオウ】

[状態]:骸人形化、仮面ライダージオウに変身中、脇腹を損傷

[服装]:室井高校の制服

[参戦時期]:不明

[装備]:ジクウドライバー@仮面ライダージオウ、

ジオウライドウォッチ@仮面ライダージオウ、ジカンギレード@仮面ライダージオウ

[命令]

基本:敵を倒す

[備考]

※骸人形化した者は完全破壊されない限り、八房の持ち主の命令の通りに動き続けます。

 

【ボルキャンサー@仮面ライダー龍騎】

[状態]:骸人形化、胸部にヒビ、刺突による致命傷

[命令]

基本:敵を倒す

[備考]

※骸人形化した者は完全破壊されない限り、八房の持ち主の命令の通りに動き続けます。

※出しっぱなしにしていたら粒子化するかどうかは後の書き手に任せます。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の景色が溶ける様に後ろに過ぎ去っていく。

強い風圧になんとか目を開けながら、結衣は周囲を見渡した。

やや後から『エアロスミス』が着いて来ている以外、何もいない。

 

「もう、大丈夫かな?」

 

「ああ。追いかけてきてるとは思うけど、この戦車の方が早い。

俺たちの以外の呼吸は無いぜ」

 

「呼吸?」

 

「俺の『エアロスミス』は呼吸、もっと言えば二酸化炭素を察知できるんだ。

ほら、レーダーの真ん中。三つ塊があるだろ?」

 

見るとナランチャの目の前に、プロペラの付いたリモコンのような物が浮遊しており、その画面に映画とかで見る様なレーダーが表示されている。

 

「そうか……」

 

そう言ってタツミはベルトからスクラッシュゼリーを引き抜いて変身を解除した。

 

「ー-ッ!ああ……っ!」

 

それと同時に倒れ込み、頭を押さえて苦しみ始める。

インクルシオ、、もっと言えばその素材となった危険種と同化、半龍化したタツミは、戦えば戦う程、危険種の本能を刺激され、人として壊れていく状態にある。

だがスクラッシュドライバーによるハザードレベルの上昇=特殊細胞分裂にも耐えられる肉体強度の上昇により、龍化の進行が抑えられ、逆に本能に対する刺激に関しては、ドライバーのアドレナリンの過剰分泌促進効果により、インクルシオと同等かそれ以上に刺激され、心と体のアンバランスに、『タツミ』という一つの存在が引き裂かれかねない事態を起こしてしまっていた。

 

「た、タツミン大丈夫!?」

 

「へ、平気だ…すぐ、収まるっ!ううぅ!」

 

「全然平気そうには見えねえよ!ちゃんと休め。

見張りなら俺たちがやっとくからよお」

 

「……すまない」

 

そうとだけ言うと、タツミは大きく息を吐いて仰向けに寝転がった。

結衣はブレザーを脱いでたたんでタツミの頭の下に入れてやった。

ちゃんとした枕ではないが、これでも無いよりいいだろう。

 

「……本当に、殺し合いなんだね」

 

呟くように言った結衣の方を振り向くナランチャ。

胸の前で両手を握り、伏し目がちな瞳には、うっすら涙が浮かんでいるのが分かる。

当然だろう。ナランチャのようなギャングや、タツミみたいに戦いに身を置いていたわけでもなんでもないカタギの少女だ。

 

「怖いか?」

 

「うん……すごい怖い」

 

「俺もだ」

 

「そうなの?」

 

「ああ。けどまたフーゴやブチャラティたちに会いたいって思うと、勇気が湧いてくるんだ。

だから、怖いけど平気だ。お前は?」

 

「ヒッキー、ゆきのん……まだ怖いけど、絶対また会いたい」

 

「じゃあ、頑張らないとな」

 

そう言って振り向くと、やや無理があったが笑って頷く結衣。

ナランチャもそれに頷き返した。

温い風が、今は少し気持ちいい気がした。

 

 

 

 

【エリアC-8/エリアD-8との境目の近く/1日目/明】

 

【タツミ@アカメが斬る!】

[状態]:半龍化、本能の高ぶり(大)、疲労(中)、神威の車輪@Fate/Zeroで移動中

[服装]:いつもの私服(コートあり)

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(タツミ)

[参戦時期]:ブド―死亡後からワイルドハントの残党との戦いまでの間

[装備]:スクラッシュドライバー@仮面ライダービルド

    ドラゴンスクラッシュゼリー@仮面ライダービルド

    結衣のブレザー(枕にしている)

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1

[思考]

基本:この殺し合いに抗う。

1:杜王駅に向かってレッシャに乗る。

  余裕があれば基地にも行きたい。

2:エスデス、八房の男を警戒。もし戦闘になれば自分が戦う。

3:出来る事なら早くマインたちと合流したい。

4:ジオウ、、ごめん

[備考]

※言葉の壁が取り払われていることに気付きました。

エニグマの紙の件と合わせて運営側の誰かの帝具の可能性を疑っています。

※パンナコッタ・フーゴ、比企谷八幡、雪ノ下雪乃の情報を得ました。

※名簿に塗りつぶされている部分が有ることに気付きました。

※スクラッシュドライバーの影響で、ハザードレベルの上昇、タイラントの本能への刺激が起こっています。

※デバイスの言語は各キャラに合わせているようです。

タツミのは帝国公用語です。

 

【由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:健康、精神的疲労(大)、神威の車輪@Fate/Zeroで移動中

[服装]:総武高校制服(ブレザー無し、女子用)

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(由比ヶ浜結衣)

[参戦時期]:少なくとも奉仕部入部後

[装備]:デバイス

[道具]:メダル、超強化薬(改良版)@アカメが斬る!

    ランダム支給品×1~2

[思考]

基本:ヒッキーたちと合流する。

1:杜王駅に行って列車で学校に行く。

2:周囲に気を配る、か。

3:エスデス、お坊さんを警戒。

4:超強化薬(改良版)@アカメが斬る!は使わないし、捨てない。

5:ナランチャ君もタツミンもすごいなぁ、、。

6:本当に殺し合いなんだ、、。

7:ヒッキー、ゆきのん。絶対、また会いたいなぁ。

[備考]

※言葉の壁が取り払われていることに気付きました。

エニグマの紙の件と合わせて非常に混乱しています。

※パンナコッタ・フーゴ、およびアカメが斬る!からの参加者と帝具の情報を得ました。

帝具に関しては半信半疑です。

※デバイスの言語は各キャラに合わせているようです。

結衣のは日本語です。

 

【ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:正常、疲労(小)、神威の車輪@Fate/Zeroで移動中

[服装]:いつもの私服

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(ナランチャ・ギルガ)

[参戦時期]:少なくともディアボロの名前を知るよりは前。

[装備]:折原のナイフ@デュラララ!!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1

[思考]

基本:殺し合いにはのらない。けど敵はぶっ倒す。

1:杜王駅に行って列車で学校やネアポリス駅に行く。

  別に基地にも寄っていいと思うけどなぁ。

2:フーゴと合流する。

  あいつがちゃんと調べればきっと首輪も外せるぜ!

3:そしたらあの女(アズ)やその仲間を倒す。

4:テイグって、あんなヤバいのか……

5:エスデス、八房の男を警戒。今度会ったら必ず倒す!

6:ユイガハマ、、それにアイツもスタンドが見えてたのか?

[備考]

※言葉の壁が取り払われていることに気付きました。

エニグマの紙の件と合わせて運営側の誰かの帝具やスタンド能力の可能性を疑っています。

※比企谷八幡、雪ノ下雪乃、およびアカメが斬る!からの参加者と帝具の情報を得ました。

※名簿に塗りつぶされている部分が有ることに気付きました。

 なんでそんなめんどくさい事してるんだろう?と思ってます。

※デバイスの言語は各キャラに合わせているようです。

ナランチャのはイタリア語です。

 

 

 



























常磐ソウゴ(E)@仮面ライダージオウ 死亡 骸人形化

【全体人数 残り143/150人】
【実写陣営 残り24/26人】


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祝え!新たな聖剣使いの誕生を!

作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・ウォズ@仮面ライダージオウ


『普通の高校生、常磐ソウゴ。彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っていた……。』

 

『平成ライダー19人のライドウォッチを全て継承し、真の魔王率いるクォーツァー達の野望を打ち破った彼は、王への道を更に突き進めた。』

 

『しかし、気がつけば謎の場所に攫われ、100人以上の見知らぬ人間とのバトルロワイヤルに巻き込まれてしまう。』

 

『彼はそこで、そこ…で………あ〜〜』

 

『やはりいつもの本が無いと調子が狂う………』

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

廃墟ステージC-9───。

 

「まさかこの素晴らしき像を、こんな形で再び目にすることになるとは…………運命に感謝だ!!」

 

預言者にして歴史の管理者クォーツァーの一員であった青年ウォズは、あるオブジェに目を奪われオーバーリアクション気味に感動の言葉を口にしていた。

 

それは、世紀末真っ只中の光景広がる廃墟ステージで、一際目立っていた。

19人の仮面ライダーの石像と、その中心に立つ大きな時計をバックにした1人の少年の石像というデザインであった。

 

『常磐ソウゴ初変身の像』─────。

 

その石像はウォズが我が魔王と慕う少年、常磐ソウゴが初めて仮面ライダージオウに変身した瞬間を象った石像である。

本来この像は、元々ウォズがいた2068年の時代にしか存在しないはずだが、彼は久々に目にした石像に夢中になり、完全にそのことが頭から抜けていた。

 

「そうだ。我が魔王といえば、あの名簿から気になることが山程ありましたね。」

 

我に返ったウォズはあることを思い出し、デバイスの名簿を再確認した。龍騎やビルドといった歴代の平成ライダー達の名前があることには驚いたが、何より彼にとって重要かつ問題なのは、ソウゴの名前が何故か二つも載っていることであった。

 

(一体どういうことだ?何故我が魔王の名前が二つもある?単なる名簿の作成ミス……では無い、最後のAとEは何を意味する?我が魔王はこの世にただ一人……もしや、以前出会った未来から来たもう一人の我が魔王のことだろうか?我が魔王の像がここにあるといい、あのアズという人形は、タイムジャッカーのように時間に干渉出来る存在だとでも?)

 

名簿にソウゴの名前が二つもあった件は、ウォズの頭を大いに悩ませ、今更ながらソウゴの像があることの矛盾にも気づいた。

因みにウォズの記憶に出た『以前』とは、仮面ライダー鎧武のライドウォッチを継承した一件の事である。仲間の明光院ゲイツがヘルヘイムの森から永遠に出られなくなった過去を変えるために、三日後の未来のソウゴが現代にやってくるという予想外の出来事があったのだ。

 

(待て。二人の我が魔王の時間が違う……?これはつまり私も……いや、参加者全員は呼び出された時間の流れや、恐らく世界そのものが全く異なる、ということか……?)

 

さらなる可能性が浮上して推測に推測が重なり、頭を抱えるウォズ。

 

「この殺し合いやはり何かあるようだが、考えるのは後だ。まずは我が魔王との合流を急ごう。ついでに門矢士やビルド達、同じ陣営のメンバーも見つけておこう。友軍は多いほうが良い。敵対するものがいればメダルを奪うだけで留めておこう。我が魔王は殺害を望まないでしょうし。」

 

しかしこれはバトルロワイヤル。必ずしもいつも通りに全力全開とは限らない。

エスデスがデモンズエキスを失った様に、マスターロゴスがソロモンの力を手にしていない様に、今のウォズにはいつも使うドライバーとミライドウォッチが無い代わりに、一振りの聖剣とワンダーライドブックが支給されていた。

 

 

時国剣界時─────。

 

 

ソードオブロゴスに代々仕えてきた一族、神代家の長男である神代凌牙が所有する、時間を司る聖剣。時間属性だけあって、特別な剣士にしか扱えない高難度な代物である。

 

時間と歴史に関わる自分にこの聖剣が支給されたのは偶然なのか、主催者なりの配慮でありジョークなのか、どちらかは分からない。しかし、未来の仮面ライダーの力で闘ってきた自分にとって、未知のライダーの力は気にならないと言ったら嘘になる。

 

「私の知らない未来の仮面ライダー。どれ程のものか、戦いに備えて一度試すとしよう。」

 

ウォズは聖剣とライドブックの力を試すため、表紙に海洋生物が描かれたオーシャンヒストリーワンダーライドブックのページを開く。

 

〈オーシャンヒストリー!〉

〈この群青に沈んだ命が、今をも紡ぐ刻まれた歴史…〉

 

ライドブックを閉じて聖剣に装填するとソナー音の待機音が発生し、刀身を外すとそれは警告音に変わり、そのまま刀身の上下を入れ替えて柄にセットして、剣形態のカイジソードから長槍形態のカイジスピアへ変形させると、同時にライドブックが新たなページを開く。

 

〈界時逆回!〉

 

「変身!」

 

〈時は、時は、時は時は時は時は我なり!〉

〈オーシャンヒストリー!〉

〈オーシャンバッシャーン!バッシャーン!〉

 

聖なる時を刻み、正確な運行を守りし戒律の剣士。

その名は仮面ライダーデュランダル!

 

「ふむ、コレがデュランダル……。いつもと違うライダーへの変身とはこういう感覚なのか。門矢士の気持ちが分かった気がするよ………フッ!ハァッ!!」

 

デュランダルの姿を見て率直な感想を零すウォズ。

そのまま長槍形態の聖剣を何度も試し振りして、デュランダルでの戦い方を掴んだのか、変身を解除した。

 

「さて、本心としてはもう少しここに留まっていたい所だが、そろそろ移動しよう。待っていてくれ、我が魔王。」

 

かつては真の魔王の為の替え玉として偽りの魔王をあえて導いていた予言者であったが、今はソウゴ個人の為に導く事を決めてクォーツァーから離反したウォズ。

 

彼に待ち受ける、運命とは─────?

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

『かくして預言者ウォズは、常磐ソウゴを王に導くという基本理念は変わらず、彼との合流とメダルの確保のため、行動を開始した。』

 

『この先どのような出会いと戦いが待っているかは分からない。それは、皆様のご想像にお任せしましょう……。』

 

 

 

 

 




【エリアC-9/常磐ソウゴ初変身の像/1日目/深夜】

【ウォズ@仮面ライダージオウ】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(ウォズ)
[参戦時期]:劇場版ジオウの後
[装備]:時国剣界時@仮面ライダーセイバー、オーシャンヒストリーワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考]
基本: 我が魔王を、王へと導く。
1:我が魔王と合流を急ごう。
2:我が魔王の名前が二つ………?
3:我が魔王をリーダーにする為、メダルを集めよう。
[備考]
※名簿の法則性と、参加者の時間の流れが異なる点に気づきました。


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TOP OF THE WORLD―Let's get it started now―

作者
みみ

登場キャラ
・マスターロゴス@仮面ライダーセイバー
・雅@彼岸島
・ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険
・シンデレラ@SINoALICE
・書き手枠@デュラララ!!
・キリト@ソードアート・オンライン
・マリオ・ズッゲェロ@恥知らずのパープルヘイズ


 

 

 

……始めよう。世界を変える彼らの序曲を。

 

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ―――」

 

走る、走る、走る。

司会を名乗る小娘により殺し合い開始の宣言を聞き早三十分。

前も後ろも曖昧な闇の世界で駆ける。

腕を襲う痛みに喘ぎ、一心不乱に逃げ惑う。

この場においてはギャングという立場であっても狩られるだけの単なる羊に過ぎない。

彼が腕を喪失し、今もなお血を流し続け死に瀕する事態であることがこれを証明している。

現状打破の試みを思考する男の第一に考える事態はそれ一つに尽きる。

殺し合いが始まって早々に起こった惨劇。

笑みを浮かべただの手刀で自身の腕を切り落とした超人からは既に逃げ切った。

 

「この私が表に出れてよかった.....あのままドッピオに任せていたら死んでいただろう.......」

 

これがあのヴィネガー・ドッピオならば不可能であったろう。

あの状況下で腕を切り落とされて冷静に逃げおおせられるはずがない。

しかし、走る男の頭髪は依然としてドッピオと同じ赤髪。

もしも、そこに違いがあるとすれば。

それは彼の体格が変わったということだろうか。

 

今この地を駆ける男の名はディアボロという。

一つの器に宿る二つの魂の片割れ。

ディアボロしか持ちえぬスタンド、キング・クリムゾンの行使は逃走に大いに役立った。

 

襲撃から逃げ切り、今の彼が考えることはこの傷の止血のみ。

このままでは逃げ切ることができようが死んでしまうのはわかりきっている。

そんな時だった。

 

「お~い!君!そこの君!」

 

声が一つ、街に響いた。

 

 

日は沈み、夜の帳が下り、辺り一面には暗い、暗い闇が世界を覆い尽くしていた。

そんな中、夜の街を電飾はぽつぽつと弱々しく、けれども確かにその光で照らしている。

 

「ハ、ハ、ハ―――小僧め、あの傷でとうとう逃げ切ったか」

 

夜の街にて闊歩する悪鬼が一つ。

名を、雅。

不死にして超常なる吸血鬼。

一先ず先の追走劇.......もとい、『鬼ごっこ』は追跡者たる雅の敗北であった。

正道無き吸血鬼の不意討ちにて襲撃を受けた赤髪の少年は命こそ守り通したものの、その腕を喪失する結果となった。

切り飛ばされ飛沫いた血は雅の全身を紅く染め上げ、しかして更に美しくその姿を彩っている。

夜の街の一角、異常極まりない姿で愉快そうに笑い声を上げる奇怪な絵面であってもどこか様になっている。

それこそが彼岸島に並み居る吸血鬼を従え長として君臨するカリスマ性に依るものか。

終いに国一つ落としてのけた男は、己の敗北すらもさぞ愉快と笑ってのけた。

この殺し合いという現状に於いても変わらず、常々持つ強者たる余裕を崩していなかった。

 

「そこの貴方。」

 

--故に、飛ばされた己を呼ぶ声に対し、不用心に振り返る雅。

その声の主の姿を認め、一瞬で確信に至る。

只者ではない、と。

 

「ごきげんよう。私の名はイザク。」

 

闇夜を闊歩する偉丈夫がもう一人。

その総身もまた紅く、踏みしめる一歩ごとに噴出する覇気も尋常ではない。

雅に負けぬほどの存在感を誇り、姿を現したのは、マスターロゴス。

剣士達の長にして神を名乗りし狂人。

彼もまた、この場においては雅と同じく追跡者である。

池袋の生ける都市伝説に狂戦士たる英霊、蝙蝠を操る未知の仮面ライダー。

彼ら三人との邂逅はマスターロゴスにおいて大きく意義のあるものだった。

支給された令呪は無差別に振るわれる暴の狂気を手なずけ、無礼にも神たる自身に刃を向けた不届き者を撤退に持ち込んだ。

始末こそ叶わなかったものの、先の遭遇戦においては結果だけを見るにマスターロゴスの一人勝ちとも言える展開だろう。

サーヴァント、その中でも規格外の戦力を誇るバーサーカーの確保にナイトのデッキ。

無窮の武練を誇る騎士の徒手に仮面ライダーという異能が合わさった。

それは本来の聖杯戦争ではあり得ざる未知の可能性を生み出すに至る。

そして殺し合いに乗り、勝ち進むための次なる彼の指針は――

 

「黒衣の二人......それも片方は首無しの異形です。さぞかし目立つことでしょう。何か知っているならば今すぐここで答えなさい。」

 

即ち、セルティ・ストゥルルソン及び秋山蓮の抹殺。

これに他ならない。相手の武器や攻撃を学習し、自らの力に変換するザイアの手の内を知られた今、最優先で始末すべき相手となっている。

かつて自らを阻んだ剣士共も自らを殺害せしめたストリウスも今は後回し。

非常に、非常に業腹であるが一度死を迎えたことで冷静に、より冴えた思考が優先順位を逆転させずにいた。......それをマスターロゴス自身が認めるかはさておき。

彼の行う『追跡』は直情的に相手の背を追う雅のそれとは真逆ともいえるものだ。

『黒衣の二人組が殺し合いに乗っている』、そう他参加者に吹き込み数による圧殺を謀るもの。

元より謀略はマスターロゴスの常套手段。11の聖剣、19の本、世界をつなぐ者。

回収するには手の余るそれらを集め切ったことは彼の計略によるものも大きいだろう。

バイクに乗って逃走した彼らを追っても見失うだけだと考え、逃げ場を無くす方針へと転換した。

故に、練り歩いた街にて見つけた参加者である雅に声を掛けたのだが。

 

「答えないのであれば、この私自ら貴方を始末してあげましょう。」

 

この男は危険だ。雅がマスターロゴスの異常性を察知できたように、マスターロゴスもまた雅の異常性を看破していた。

血濡れの容貌、だけではない。相対して理解した。この男が放つ威圧感にカリスマ性。

『きっと、この男は誰にも従わない』、そう直観したのだ。それは彼らが似通った性質を持つ故に理解しえたことなのかも知れない。

眼前の男は殺し合いに乗っている輩に対して興味こそ持てどその事実に憤るような善性は持つまい。

よって友好的に接するより脅しに徹するほうが得策といえた。

 

「ほう、その口ぶりからするとお前もしくじったと見える。最も、こちらも獲物を取り逃がしたばかりなのだがな。」

「くだらない戯言は今は構いません。ただ私の問いにのみ答えなさい。」

「......ああ、お前の言う者共は知らんよ。だが始末する、という発言は聞き逃せんなぁイザク。」

 

けたけたと笑う雅を一瞥し、不愉快なのか睨むような視線に変わるマスターロゴス。

笑みが消えたのは、一瞬のこと。次の瞬間には二つの影は動いていた。

 

マスターロゴスの眼前に、拳が突きつけられていた。

人のものとは違う吸血鬼のもの。さる実験より生み出された、混血種にして不死身の兵士。

ただの拳の一突きで、人間一人を殺すなど造作も無く。

 

「つまり、私を殺すと?」

 

しかして、その一撃はマスターロゴスには届かない。既に迎撃は済ませている。

 

<ミリタリーホーン!>

 

絶死を免れぬ一撃を遮ったそれは、一頭の獣。

その起源は紀元前にて存在した恐竜。

並み居るそれらの中でも最大級の肉体を持つその名を、トリケラトプス。

近代科学の手により再現された古代よりの大角竜が、古来より潜んだ吸血鬼を睨みつける。

 

「まあいいでしょう。貴方のような危険因子は早いうちに摘んでおくに限ります。」

 

雅とマスターロゴスはトリケラトプスゼツメライズキーより生み出された獣を挟んで対峙する。

ザイアの鎧であり、今はマスターロゴスの盾である獣と雅の拳は相克し、拮抗している。

 

「ガ、ハッ―――」

 

四百と齢を重ねた雅でさえも予想だにしなかった反撃。この殺し合いに招かれるまで知る由も無いだろう『仮面ライダー』という未知の概念。

拳が、押される。吸血鬼として生を受け、彼岸島にて人間共と、あの宮本明と戦った時でさえ起こりえなかった純然たる力負け。

 

「そうだ、いいぞイザク......もっとだ。私をもっと昂らせてみせろ.......」

 

しかし、しかしだ。

この期に及んで、雅は更に笑みを深くする。

狂っている。痴れている。酔っている。

初めて相まみえる新たな強者との闘争に、雅の心は沸き立ち震え歓喜する。

その昂りが、雅を更に押し上げる。

 

ベキベキ、パキリ。

 

遂に雅の腕が折れ、骨が折れ始める。

辺りに血が吹き上がり、辺りの路上一帯を紅く赤く染め上げる。

 

「ハ、ハハ」

 

そして。

 

「ハ。ハハハハハハ―――!」

 

天秤は雅の方へと傾いた。

押される。腕が潰れ、血を吐き出しながら。

巾着状態であった力の衝突は、段々と雅が優勢になる。

一歩、また一歩と距離が縮まる。そうして、あと一歩のところで。

 

「ええ、見事です。この私を愉しませる余興としては、ですが」

 

側方より迫る『もう一つ』の角竜が、雅を跳ね飛ばした。

 

 

 

 

 

 

横合いからの猛突は雅を思いきり跳ね飛ばし、真横の家屋に突っ込んでいった。

勢いをつけて住宅の壁面と激突した肉体はその至る部分を損壊させている。

しかし投げ出された勢いそのままに壁を破壊し住宅に穴を開けてなお原型を留めているのは流石と言うべきか。

家の内装はひどい有様だった。

ひっくり返ったテーブルに割れた茶碗に引き出しが壊れたラックに巻き上がる砂埃に......それら全てが雅が吹きとばされたことで発生した二次災害である。

それでもなお、雅の肉体は無傷であった。

いや―――傷は受けていたのだ。

しかし、それもすでに再生している。

 

「意識外からの不意打ちか......フ、味な真似をしてくれるじゃないかイザク。」

 

荒れ果てた居間で一人ごちる。

仮面ライダーザイアの変身シークエンスを見事に利用した一撃にはさすがの雅も対応が遅れた。自身があの黒い機械仕掛けの角獣との押し合いに興じて隙を晒していたことは否めないが。こうして不意を打たれたのは何時振りか。

かつてその奇策と気概を以って自らを死の淵にまで追いやったあの宮本明に篤。彼らのように知恵が回りそれでいて感じる殺気は全く違う。

自信、傲慢、そしてあの悪辣さ、邪悪さ。

初めて相対するどす黒い悪意に陶酔する。

新たに注がれる歓喜が雅を闘争へと駆り立て、酔わせてゆく。

 

「だが―――」

 

戦に狂い、一種の興奮状態であってもその冷静さは健在である。

彼の聴覚は高速で飛来するそれを感知。

すかさず付近に転がる半壊したラックを掴み飛翔物を迎え撃つ。

さながら打ち出される砲弾の如く射出された棚は数瞬後には砕け散り四散する。

対して雅を襲うそれは健在であったが、遅い。

物と衝突した影響か、飛来する速度が大幅に減少したそれを掴み。

 

「その程度で私を殺すつもりか?もっと力を込めて打ってこいイザク。.....こんな風に!」

 

今度は雅が、掴んだ黒槍を力一杯投げ返した。

轟!!と風切り音を伴い放たれる。砂埃で覆われた灰色の視界に大きな穴を穿ち飛んで行く。

それにより胡散し始める煙に現れたそれは。

 

<ジャッキングブレイク!>

 

漆黒に獄炎が迸る。熱波を伴い乱れる炎は蒼く。

炎と呼ぶには場違いな輝きを放つそれは、しかして確かな熱を孕んで雅の反撃を迎え撃つ。

槍を不思議な形状の剣が薙ぎ払い、そのまま炎が雅へと到来する。

それを一身に受けてなお、死なず。

即座に再生した姿を見て、相対する相手からため息が一つ零れる。

黒い鎧を身に纏ったそれこそマスターロゴスだ。

仮面ライダーザイアとその身を変えて、雅に立ちはだかるものだ。

 

「どうやら、このジャックライズも考えようですね。今のように利用されるとは、思いませんでした。」

 

弾き飛ばした槍、ザイアの力で生成したウイングランサーを横目に独り言ちる。

 

「ほう、随分と変わった装いをしているじゃあないかイザク。流石の私もそのような装束は初めて見るものだ。」

 

興味深そうに問いかける雅にジャックライザーを向ける。

その立ち振る舞いから問答は無用と切り捨てていることは簡単に想像がつく。それ自体は雅としても構わない。

かく言う自分も早く戦いを再開したいという欲求に駆られている。

しかし。その上で。

この湧き上がる愉しみよりもこの場限りではとある疑問が先に来た。

初めて感じる系統の悪意が、狂気が、雅がマスターロゴスに、イザクに対して興味を持たせたのだろうか。

 

「なあ、イザク。お前はこの殺し合いで何を望む?」

 

戦の戯れとして、投げかけられた問い。

それは純粋な疑問であり、単なる質問である。

暗闇に融けた言葉を確かに聞き届けたマスターロゴスは、堂々と。

 

胸を張り。

仮面越しでもわかる邪悪な笑みを貼り付け。

両手を広げ。

 

「神たる私に逆らいし不届き者どもに神罰を与え―――争いに満ちた世界、混沌。この私を退屈させない世界を今度こそ実現してみせましょう!!この退屈な世界を破壊と殺戮という刺激に満ちた世界に変えるために!この世界の頂点である神たる私が!!!」

 

 

まるで、神のように。

それを信じて疑わないように。

 

告げる。

これが、これこそがイザクの持つ狂気であった。

ああ。これだから。

雅は笑った。これは、笑うしかなかろう。

まさか、ここに来て。

この人間はこの雅に、日本を跋扈する吸血鬼の長たる自分を前にして!

 

「実に、面白い。ここまで酔狂な人間は私が出会った中で後にも先にもお前だけだろうよ。だがな、イザク。この世の頂点に立つのは私なのだ。この世の人間共は私が支配する腹積もりでなあ。」

 

故に、この男とは相いれない。

それを強く互いに再認識させ。

再びマスターロゴスは静かに敵を見据え。

それを諸手で迎え入れんと両の手を広げ一歩踏み出す雅。

 

「支配者は二人としていらない」

 

「ええ、同感です」

 

<C!E!O!>

 

次の瞬間には、雅はその速度を超越した速さで駆け抜け、マスターロゴスは構える。

右足に蓄積されるエネルギーは雅の総身を悉くえぐりぬくだろう。

 

「ここでお前は殺してやろう!」

 

<ディストラクション!>

 

 

――爆発。轟音。衝撃波。猛風。崩壊。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キング・クリムゾン」

 

 

二人の視界のその先で。悪魔は嗤う。

――その矛先は。

 

 

 

「ご――は、」

 

 

「一つ、冥途の土産に教えてやろう。」

 

背中には白衣と、注射器。

正面には心臓を貫く赤い、紅い手。

 

「殺す、なんて言葉を脳裏に浮かべたのなら、そのとき既に。」

 

それは、雅を貫いて。

 

「行動は終わっているんだ。」

 



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Steppin'out tonight―終わりのその先を目指して―

作者
みみ

登場キャラ
・マスターロゴス@仮面ライダーセイバー
・雅@彼岸島
・ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険
・シンデレラ@SINoALICE
・書き手枠@デュラララ!!
・キリト@ソードアート・オンライン
・マリオ・ズッゲェロ@恥知らずのパープルヘイズ


 

 

 

 

ごめん、ごめんよ■■■■。

愛している。

愛しているんだ。

愛している、から。

どうか、どうか僕を―――

 

「あっ、ちょっと動かないでくれるかい?上手く包帯が巻けないじゃないか」

 

割とちゃんとした内装だった。

わざわざ殺し合いの舞台とするだけでここまで凝った作りにするかな、と。

手頃な民家の中でそんなことを考えながら、作業する手を速める。

たぶん、こんな殺し合いの備品としての扱いではなく、ちゃんと家として使われていたなら住む人の日常になっていたかもしれない一般的なリビングは、血の海という非日常で染められていた。

 

「―――ッ、まだ終わらないのか?」

 

さっさと終わらせろ、とでも言いたげな目でこちらを睨む彼に、首を竦める仕草で返す。

せっかちだなあ、と思いながら止血する手を早める。

闇医者という職業柄、それなりには裏社会の人間とも関わりがあったけれど、仮にも初対面の相手に図々しすぎないかな。

まあ、腕が切り落とされて余裕がなくなっているのもあるかもしれない。

なんて。

他愛の無いことを考えている間に、患部に包帯を巻き終えた。

止血され、包帯で覆われた切断面を見ながら、うん。よくできた。と少しいい気分になる。

 

「……」

 

殺し合いが始まって二番目に出会った参加者である彼、ディアボロは僕を凄い目で見てくる。

大方、まだ僕を信じられない、だとかならば、いい。

もっと僕を疑って、そのまま、できることなら僕を殺して欲しい。■■■■を殺してしまうくらいなら、僕は。

いっそ、このまま自分から死んでしまおうか。僕に支給されたこの注射器。名前も聞いたことのないワクチンが入っているらしいが、知ったことか。僕はそれを頭に突き刺すために、注射器に手を伸ばして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

身体が、静止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いいか■■■■。命令だ。……何でもいい。参加者一人殺して来なよ。ああ、別に殺させる、でもいいさ』

 

 

 

 

 

 

 

……そんなことは、僕には許されていない。なにせ、僕は。

 

 

 

 

 

 

 

「おい。お前は、殺し合いに乗っている、ということでいいのか?『岸谷新羅』」

 

「……ああ。そうだよ。その解釈で、間違ってない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

終わった。

左胸から滂沱の血を流し倒れる男を見て、ディアボロは確信する。

この世に生ある者であれば誰しもが持つ欠けてはならない心臓を雅は穿たれていた。

ディアボロの腕が刎ねられた時のように際限なく濁濁と、噴水を思わせる程に勢い良く流れる血液。

どうしようもない、致命傷だ。今でこそまだかろうじて息はあるが、じきに全身を送る血液は循環を終え、その時にこそ本当に死に至る。

しかし、しかしだ。

この殺し合いにおいても健在だった再生能力。

雅は遥か昔よりその不老の身体で生き続けてきたのだ。遥か昔に不死の身体を手にしているのだ

只人とは比にならない生存能力を誇る肉体は、たかだか心臓を貫かれた程度では止まるはずがない。

そう、それこそが道理。理不尽ともいえる条理であるはずなのに。

 

「......どうやらこの『賭け』は我々の勝利らしいな」

 

待てども待てども、流れる血は留まりを知らず。

待てども待てども、空いた孔は塞がらず。

――数分経った今でもその肉体の傷は治らなかった。

 

「そのようだね。貴方の思う通りになってよかったじゃないか。」

 

その様に笑みを浮かべる悪魔を、どこか他人事のように白衣の男は見ていた。

胸にぽっかりと空いた孔をさぞ不思議そうに、何が起こったのかもわからさそうに眺める雅。

これまでの余裕の有り余っていた表情とは打って変わって狐につままれたような表情で硬直するその姿は最早滑稽ですらあった。

腕から滴る血液を振り払い、倒れ伏す悪鬼にその腕を上げる。

電灯にそれが翳され、赤に染まったそれはただの人間の腕だというのに、首を難なく刎ねるギロチンを幻視させる。

雅を背後から襲撃した白衣の男は、相も変わらずその光景を無感動に眺めていた。

ディアボロが出会った当初の柔和な笑みもこの時だけは掻き消えている。

 

 

今まで雅との死合を演じていたマスターロゴスも、また。

突如として現れた二人組の男に興味を示すでもなく、あの不届きな男が死にかけているという事実にほくそ笑む。

殺し合いに乗っているであろう二人は後で始末するなり利用すればよい、と考えていた。

 

故に、誰の救いの手が伸びるわけでもなく、ただ一つの命が潰えるその瞬間が訪れる。

それは必然であり、避けられない結末。

 

「これで終わりだ吸血鬼―――ッ!!!!」

 

腕が雅の首へと振り下ろされる。不可避の終わりがやってくる。

 

「く、ふふ」

 

それでも。

 

「ガ―――アアアァァアアァアアアアァ!」

 

地に伏す悪鬼は、望む。

例えここで果てるとしても。

終わりの、その先を目指して。

 

悪鬼羅刹のバトル・ロワイヤル延長戦、之にて開幕。

 

 

 

 

 

 

 

吸血鬼、その中でも更に特異な肉体を持つ雅はただの一撃、ただの腕の一振りで人体を跳ね飛ばすことなど造作も無い。

とはいえ、相対する男に力も速さも全ては無為である。

キング・クリムゾン。

未来を読み、己に迫る困難も死も文字通り「飛ばす」その異能は今や十全に使用可能だ。

雅が死に体であると油断していなければ自らの命を散らしていただろう。

ディアボロを強引な力押しでの投げ飛ばしで唯我との距離を強引に離す。

 

巾着状態の戦場が再び動き出す。

そこで雅がとった行動は―――

 

デバイスを取り出し、とあるアプリを起動する。

 

『アプリの起動を確認しました。これより五分後にこのエリア一帯の参加者の首輪を爆破します』

 

次いで、流れるそれは機械音声。

こともなげに、あっさりと告げられたその宣言は数瞬後にはディアボロの、白衣の男の、マスターロゴスのデイパックからも投げかけられる。

 

『これより、五分後にH-3エリア内に滞在している参加者全員に取り付けられている起爆装置を爆破します。繰り返します。これより、五分後に―――

 

人のものではない、無機質な声が平坦に語るは宣告だ。

そこに意志はない。紡がれる死の宣告は感情も感慨も無く。

之より数刻後に訪れる結末として。

 

「せいぜい、逃げ惑うがいい.......最後まで私を愉しませて見せろ、お前たち......」

 

今ここに、一切の命は潰えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

『自身が人間離れした怪力に投げ飛ばされた』

そうディアボロの脳が理解したのは空中を舞っているその最中のことであった。

視界に映る家屋も電灯も夜空も星々も、全てが流れるように過ぎ去っていく。

思いきり投げ飛ばされた肉体が綺麗な放物線を描いて徐々に落ちるのがわかる。

 

しかし帝王、動じず。

数秒後に訪れる地面との激突に対して平常を崩していない。既に未来は視えている。

並みの人間であれば失神すらしてしまうであろう事象にも、動じず余裕をかましていられるのもこのためだ。

『地面を転がりながらも大して傷も負っていない数秒後の自分の姿』がそれを証明している。

事実その通りに現実は進行し、立ち上がるその姿に傷は見受けられない。

 

(予想が外れたな....流石は腐っても吸血鬼ということか雅.......)

 

万事休すと思われた状況からの反撃。

唐突に告げられた首輪爆破の宣言。

ディアボロの予想を超える事態の最中にあっても、その頭脳は健在だった。

 

彼をゲーム開始早々に襲撃した参加者、雅の討伐作戦は既にそのほとんどが完了している。

まず、凝った作戦ではなかった。

所々に穴があり、奇跡に近い偶然、幸運の積み重ねで初めて決行に移すことができたもの。

数多の偶然が先の未来に観測できなければ、既に二人はこのエリアから離れていただろう。

黒い鎧の男、仮面ライダーザイアに変身したマスターロゴスと交戦する雅を隙をついて奇襲する。

彼らの作戦をかいつまんで説明するならばこの一言で済むだろう。

だが、その作戦に至るまでの経緯こそが最も重要なピースだった。

 

ディアボロが最初に疑問を抱いた点は雅との接触時のことだ。

只の無手で人体を欠損させる程の力。

当然であるが、常人がおいそれとできることではない。

スタンドの影も形も見えなかったそれに対する答えは、偶然にも逃げる道中で出会った白衣の男の支給品にあった。

とんだ幸運もあったものだとディアボロもこの時ばかりはそう思った。

501ワクチン。

かつて雅を死の淵に叩き込んだそれがここで支給されていたのは偶然にも出来すぎていた。

その手引書に記された吸血鬼、雅の存在は理解に苦しむものだったが。

マスターロゴスとの戦いで雅の異常な再生能力を目の当たりにして、さしものディアボロもこの話を信じる以外無くなった。

後はキング・クリムゾンで隙をついて白衣の男と奇襲を仕掛けた、という話。

 

先の不意打ちに対しての意趣返しともいえる奇襲は成功を収めた。

ならばあとはここからどうするか。

その答えも既に決まっていた。

 

(まあいい。目的は達成した......)

 

くるり、と背を向け。

ディアボロと白衣の男は別々に逃走を開始した。

 

 

 

 

 

マスターロゴスは思考する。

当然、それはこの場における保身が為の方策。

どう動けば自らに都合よく盤面を動かせるか。

如何にすれば自らの望みを叶えられるか。

数々の好計を成したその頭脳はいつ何時でも自らを中心に回っている。

その思考は今、ある一点のみを見据えていた。

それは左右に遠ざかる背ではなく、デバイスから鳴り響く警告でもない。

 

二人も、それに片方は手負いの参加者を取り逃がしてしまう?まあいいでしょう。

不意打ちでなければ戦いの場にすら出られぬ軟弱者など恐るるに足らず。次に相まみえた時に切り捨ててしまえばいいだけ。

一刻も早くこのエリアから脱出しなければ首輪が爆破される?まあいいでしょう。

まだ時間に余裕はある。今から成すべきを成してからでも間に合うだろう。

 

 

一歩、踏み出す。

自他を曖昧とする夜闇の中においても、迷うことのない確かな足どりだった。

 

 

「.......やはりお前は残ったか、イザク......ハ、大方私を確実に排したい、といったところか......?」

 

 

足音と共に木霊するそれは男の、雅の声だ。

息も絶え絶えに、か細く弱弱しく。それでいて厳かに、滑らかに。

左胸に空いた穴も、流れる血も、事も無げに仁王立ちするその姿。

死に体のはずの身体であるにも関わらず、余裕すらも感じられるその佇まいを真正面から睥睨し。

 

一歩、踏み出す。

だんだんと近づく互いの距離。それは朽ちかけの命のカウントダウン。

 

「実に、面白い。死の間際ですらここまで楽しめるとはな.......できるならば明に篤、小僧とも死合いたかったものだが.......ああ、そうだ。一つ、お前に聞きたいことがあったのだったな」

 

マスターロゴス、仮面ライダーザイアの放った蹴撃はその過剰なエネルギーから、雅を大きく後退させた。

必然、互いには大きく距離が空く。そのタイミングを計らって闖入者二人は現れたのだろうか。

未来を読んだかの如く、神がかった最適なタイミングでの奇襲だった。考えるだけで不快であるが、自らの知る由も無い異能がこの会場には跋扈しているのだろう。

それが神に弓引く愚か者でなければいいのだが。その、愚か者の代表格にも匹敵する剣士達への怒りを思い出し、忌々し気に。

 

一歩、踏み出す。

少々空いた距離もあと少しで剣の間合いに入る。その時こそ真の終わり。

 

「その.....黒い鎧......変身......心当たりがある.......仮面ライダー、というのだったか。私にも、一つ.......」

 

返す言葉などない。時間の制限もある。

余裕があるとはいえ、それは目的達成を最優先に動いた場合のみだ。

無駄に対話などに興じるつもりもない。相手は今でさえ何を考えているか分かったものではないのだから。

一刻も早く、この危険因子を排除してしまいたかった。

相変わらずの、その不愉快な笑顔に刃を突き立てんと、殺意を澄ませ。

 

一歩、踏み出す。

サウザンドジャッカーを振り上げ、その首を刎ねようと―――

 

 

「ならば......私も使ってみるとしようか......!死の前の余興にしては十分だ.....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<オムニフォース!>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

制限時間の兼ね合いから無駄な行動はせずに目的にのみ専心したのは誰だったか。

既に間合いだ。あとは剣を振るうだけで終わるというのに。

仮面ライダーザイアのスペックならば数瞬で終わる行為であるというのに。

動かない。マスターロゴスは、その進みを思わず止めてしまった。

 

「......は?」

 

間抜けた声が、一つ。

なんだ、それは。

なんで、それが。

 

 

一挙にして動揺と驚愕がマスターロゴスの、イザクの脳を焼き焦がす。

目の前に突き出されたそれが何なのか理解できない。

目の前に突き出されたそれが何であるか理解したくない。

 

あろうことか危険である、と自ら太鼓判を押した相手の前で無様に静止していた。

イザクとて数ある剣士を束ねる長であった男だ。

その頭抜けた戦闘センスを持つ彼ならばこれがどれほどの愚行かわかっていように。

 

ハァ、ハァ、ハァ。

 

呼吸を荒くするマスターロゴスと、嗤う雅。

一切の無傷であるのに、仮面越しからでもその動揺が見て取れる。

対する雅は死にかけの身体の筈なのに、余裕な表情。

 

「―――変身」

 

『OPEN THE OMNIBUS FORCE OF THE GOD!

KAMEN RIDER SOLOMON!

 

FEAR IS COMING SOON!』

 

新たに恐怖が、やってくる。

これは予告だ。

物語は開かれた。禁断の本は開かれた。

もう電灯は彼を照らしてはいない。空にて鎮座する月も、また。

只そこにあるのは闇しかいない。

強く、美麗に輝く光の影。かつては自らの狂気を影と紛れさせた彼ら二人が向かい合うにはいささか出来すぎている空間。

 

今その時、大いなる極光が世界を照らす。

 

光の中心にて堂々と君臨する神々しき姿。

その手に握る麗しき大剣が振るう至高なる権能。

見るもの全てに彼の者の全能を知らしめる黄金の貌。

正しく神。その真名を、ソロモン。

 

オオオオオオオオオオオオオ

 

「愚かな人類よ、これは私からのささやかなプレゼントだ。さあ――存分に殺し合おうじゃないか、イザク!」

 

地の底から響くような、その声は輝かしい姿に似合わない邪悪さを孕んでいる。

その様を見て、静止した思考が再び稼働する。

次の瞬間には中途半端な位置で向けられたサウザンドジャッカーが、いや。

マスターロゴスの総身が、震えている。

 

「ふ……ふざけるな……あなたが、貴様如きが……」

 

思考は爆ぜた。

今まさに、憤怒が脳が沸騰し破裂する感覚が彼を襲う。

 

「貴、様ァアァアアアァア――――ッ!」

 

弾丸のように射出された漆黒の鎧が躍り出る。

それに応えるように、黄金の刃が躍動を始める。

 

わずか五分の混沌。

これはその、序章に過ぎない。

 

【エリアH-3(中央部)/市街地/1日目/深夜】

 

【雅@彼岸島】

[状態]: 血液分離により再生能力喪失、左胸から致死量の出血、仮面ライダーソロモンに変身中

[服装]: いつもの服装、血濡れ

[所属陣営]: 青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(雅)

[参戦時期]: 少なくとも48日後…のどこか

[装備]: オムニフォースワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

    ドゥームズドライバーバックル@仮面ライダーセイバー

    カラドボルグ@仮面ライダーセイバー      

[道具]: 基本支給品一式

    ドッピオが電話で使ったカエル@ジョジョの奇妙な冒険

[思考]

基本: 最期まで殺し合いを愉しむ

1: イザクと殺し合う。

[備考]

※ディアボロの片腕を無視したのか、どうしたのかは後続の書き手にお任せします。

※出血多量によりあと数分で死亡します。

※支給品の一つは首輪爆破アプリです。一回のみ使用可能でした。

 

【マスターロゴス@仮面ライダーセイバー】

[状態]:正常、疲労(小)、バーサーカー@Fate/Zeroと契約、仮面ライダーザイアに変身中

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:2枚(マスターロゴス、バーサーカー)

[参戦時期]:死亡後。

[装備]:ザイアサウザンドライバー@仮面ライダーゼロワン

    トリケラトプスゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン

    カルノタウルスゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン

    預託令呪(言峰璃正、二画消費)@Fate/Zero

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1

[思考]

基本:神たる自分に逆らいし不届き者どもに神罰を与える。

1:ふざけるな貴様如きがこの私の力を使うなど認めるものか

2:雅を殺す。

3:剣士たち、ストリウス、首無し(セルティ)とナイトだった男(蓮)は、出来るだけ早めに始末する。

4:仮面ライダーナイトとナイトだった男(蓮)の悪評を広める。

5:その為、首無し(セルティ)とナイトだった男(蓮)と出会ってない参加者が居そうな方に向かう。

6:逃げた二人(岸谷新羅、ディアボロ)は始末しておくが、優先度低め。

[備考]

※サウザンドジャッカーにはビートクローザー(スマッシュヒット)と、

仮面ライダーナイトのデータが入っています。

※バーサーカー@Fate/Zeroと魔力パスがつながりました。

 魔力の消費度合いなどは、あとの書き手に任せます。

※預託令呪の残り画数は後の書き手に任せます。

※預託令呪の説明文を読んで、サーヴァントとマスターに関する最低限の知識を得ています。

 

 

 

[全体備考]

首輪爆破アプリの効果により、H-3全域にいる参加者すべては5分後に首輪が爆発して死亡します。

これは他のH-3にいる参加者のデバイスにも通達されます。

 

 

 

走る、走る、走る。

地を踏みしめ躍動する身体が夜に染まった視界を揺らす。

この殺し合いが始まってから何度走ることになったか。開始一番の逃走に次ぐ逃走。

ただ走る回数、というだけでなく敵に背を向け逃走する回数が、それも開始一時間内に二度もあればさしものディアボロも内心での嘆息を禁じ得ない。

道路に敷き詰められたコンクリート舗装に靴裏を叩きつけ、それを乾いた衝突音が追走した。

側面にぽつねんと引かれた白線を大股のストライドが飛び越え、その勢いのままもう一歩、もう片方の足を交差点へと前に突き出そうとして。

 

 

 

その足を、後ろに留めた。

 

 

 

空気が、変わっている。

疾走を止め、歩みを止め。

追い縋る足音も止まり、視界の振動も静止した。

ここは侵されている。

何に?殺意に。

暗闇から溢れ出すひしひしと感じる舐め回すような視線。ディアボロが来るや否や向けられたそれは獲物の見定め、などという生易しいものではなく。

東西南北、彼を取り囲むように四面に分かれた路地に立ち込めるハイエナの眼光がぎらぎらとディアボロを睥睨している。

しかし、そこに獣の、人の姿は無く、ただ殺意が漂うだけ。

ギャングなどという血に塗れた稼業で生きる獣であるならば見極められる程にここには死の臭いが充満していた。

その殺気を感じ取ったならば逃げることも一つの手だろう。このエリアに滞在できる時間はごく僅か。

敵影も無く、即座に使用した『エピタフ』に映る数秒後のディアボロ自身に変化は無い。雅を奇襲する際に発動した『キング・クリムゾン』を使う必要も、また。ただ直立する自分の姿のみが網膜に投影されている。

 

(……くだらんな)

 

止まった歩みを再開する。

しかしその速さは盆長に、欠伸が出る程ゆったりと。

投げ込まれた手榴弾を見て。

その顔に浮かぶは、余裕。

次の瞬間に襲い来る爆破に、ディアボロはただ笑い。

 

夜を包む闇とは違う、質量を伴った黒色が一瞬にして交差点に殺到した。

黒煙と割れた道路や住宅の窓ガラスの欠片を伴って哭き叫ぶ大気。粉塵と化したコンクリートが辺り一面に飛散し、歩道と歩道を繋ぐ横断歩道も信号機も砕け散乱している。

ちゃぶ台をひっくり返したようなこの惨状は交差点の中央部から全体へ余す事なく伝番していた。

......その光景を、襲撃者は目にすることが出来なかった、まさかそれが『時を5秒飛ばして駆け抜けた』ディアボロの仕業であることなど分からないだろう。襲撃者が疑問を抱いた時には爆音は止んでいて、まら彼自身もその疑問をとりあえずは流した。

 

こと白兵戦に於いて、手榴弾という武器は多大なる効果を発揮する。

有効とされる殺傷範囲が他の武器に比べて抜きん出て高く、起爆までのプロセスも五秒と掛からない。

しかし、これはただの武装した兵士、それも銃を持つのが初めての市民から構成される彼ら同士で行われる戦争ではなく、『殺し合い』だ。

誘拐されたことも、首輪を付けたことも、見知らぬ島に閉じ込めたことも、全て百五十人もの参加者から誰一人感づかせず、主催者の全貌が未だ不明瞭な状況で行われている、殺し合いだ。

本来ならば街中で一発撃つだけで緊急事態とされニュースのトップに来る拳銃を、更には正気を失わせ狂わせる麻薬の効果を即座に打ち消す医者ならば誰でも欲しがる特効薬をぽんと気前良く支給し。

人智を越えた超常的な力が、魔法が、魔術が、そこかしこで振るわれる『バトル・ロワイヤル』だ。

数こそ戦争のそれとは比べ物にならない程少なくはあるが、生き残ることができる可能性は極小。

そんな会場にいては、手榴弾といった兵器の価値も単なる気休め程度に成り下がる。

 

「……上手くいった……のか?」

 

―――マリオ・ズッゲエロは当然、その可能性に思い至っていた。

かつかつ、と靴音を鳴らし北側の路より交差点に晒したその容貌をひび割れた赤の信号機のランプが照らす。

ズッゲエロが考えていた奇襲はおおむね成功した。五体満足で参加者を一人葬れたという事実に思わず会心の笑みが浮かび上がる。一斉に広がる爆炎を一身に、それも至近距離で直撃して生きていられる人間など存在しまい。相手が遠くにいる自分に気づいて即座に殺しに来られる可能性まで織り込み、慎重に慎重を期して立てた作戦である。事が自分の思い通りに運んだことがズッゲエロに作戦成功の確信をもたらした。

ズッゲエロは知る。スタンドという異能を。自身も有するそれを脅威として認識するのは当然であり、同じパッショーネに所属する参加者や名も知らぬ参加者からもスタンド使いがいるという確信があった。

ズッゲエロは知る。帝具という異能を。仮面ライダーという異能を。殺し合いが始まって早々に目撃した戦闘は彼の知るそれから大幅に逸脱したものだった。人間の稼働域を超越した身のこなしを可能とするその力に何処からともなく現れた獅子。それらを持つ三人の参加者の脅威を理解していた。

 

(あんなイカれた参加者共がいる中で俺でも殺せそうな参加者を見つけられてラッキーだったぜェ~~!本当にッ!!)

 

故に、マリオ・ズッゲエロは。奇襲という一手を打った。

ソフト・マシーンを使い、待ち伏せを行い、参加者が来るのを待つ。

偶然にもズッゲエロがいたのはエリアの境目付近だったのも幸運だった。

H-3全域に発令された首輪爆破のアナウンスという異常事態においても、5分ギリギリまで獲物を待つことができる。焦燥に駆り立てられた人間は時として隙を晒しやすい。それも自分の命が懸かっている状況ならば猶更。ここから更に運が良ければ他のエリアに逃げようとした参加者を襲うことも容易いだろう。

支給された手榴弾の短い、しかし曲者である数秒のタイムラグも自身の姿を隠匿した状態であれば何をされたか分からずに殺すことも簡単だ。

その作戦を実行する上で、一つ、もっとも警戒すべき相手がいた。

ズッゲエロの行う待ち伏せにはもう一つの狙いがあったのだ。それは、相手の見極め。

パッショーネという、各々の策謀渦巻く組織に身を置くにおいて、彼ら構成員が最も気を回す事だろう。

従う相手にしろ、戦う相手にしろ、裏切る相手にしろ。

その相手がどれほど強くて頭が回るのか、この人物を敵に回して果たして自分は生き延びれるか?

それらを考え立ち回ることこそが血に塗れたギャングの世界で長生きする必須条件といえよう。

ズッゲエロ自身も、幸運によることもあれどその計算、打算ありきで今まで生き延びてきた人間に他ならない。

奇襲することにおいてもそうだ。襲うべき相手の実力を計る必要がある。手を出した相手に返り討ちにあってしまう、というのは論外だ。

だから、相手は選んだ。片腕を失い、如何にも敗走してきたような風貌の男を恰好の獲物と捉えるのは当然の帰結であろう。属する陣営もまた違った。

二度もギャングとしては論外といえる返り討ちの目に遭っているのだ。油断はしようはずもない。

 

 

 

 

 

 

「……アンタは」

 

 

 

 

 

 

そう、油断はしていなかった。

確かに手榴弾を投げ込む際には他の参加者が周囲にいるはずがないことは織り込み済みだった。

三度目の失敗を重ねぬよう、これでも慎重に慎重を期したのだ。第三者からの介入で防がれる筈がない。

ズッゲエロは確認を怠るほど愚鈍でもなかった。

 

そう、愚鈍ではない。

だから、この時、この一瞬においての判断は即断即決だった。

黒煙の中から発露した闘気を感じ取った時点で、何らかの理由で奇襲が失敗したと判断。

ならば逃げなければ、と即座に『ソフト・マシーン』が顕現する。

 

「殺し合いに乗っている、ってことでいいんだな」

 

鼓膜を揺らす声が、記憶にあるそれと一致したと確信し。

相手は逃げる時間すら許さないだろう、と判断を下す。

ならば反撃だ。しかし猶予がない。一寸先に十字に輝く光が見えた。

それでも咄嗟に残った手榴弾のピンを抜き。構え。

 

 

 

『―――ソニックリープ』

 

 

 

それでも、『即興でグランシャリオのブースター機能とソードスキルのモーションの合わせ技を放ったキリト』の方が早かった。

 

放り投げられる直前まで振り下ろされた腕は、蹴撃により天を向き。

手榴弾は空高く舞い上がり、花火が如く天上で爆ぜた。

 

それでも咄嗟にサイドステップを取り、再び距離を開けることに成功したズッゲエロは、さすがに己の不運に頭を抱えたくなった。

眼前に立つ相手こそが、ズッゲエロが定めた最も厄介な相手なのだから。

 

同じ陣営であり。

殺し合いに反抗すると思われる人間であり。

近接パワー型のスタンドに引けを取らない力を持つ相手。

 

今度は、ズッゲエロが交差点の中央に立ち、キリトはズッゲエロが立っていた方向に立つ。

キリトの背中越しに見える、走っている男は、間違いなく先ほど襲撃した片腕を失った男だった。

どうやら生きていたようだ。獲物を逃がし、一番戦いたくない相手と相対する。

どうやら幸運は最初だけらしい。覚悟を決めたズッゲエロが最後の手榴弾を手に持つ。

狙いは五分経過による首輪の爆破。同じ陣営とはいえ、こうも敵対してしまうと、さしものズッゲエロも始末することを視野に入れることとなる。

ツイてねえ、と心の中で毒づき、どのようにして時間を稼ぐか思考を始めたその時だ。

 

「よかった……どうやら自力で逃げられたみたいだな……」

 

黒仮面の奥から聞こえる、独り言。

一度聞いたことがあるこの声は、どこか若々しい。まだ20も生きていない、青臭さを内包した声。

安心したように、ディアボロが逃げた方向を向いて安堵の息を漏らす。

……首輪を爆破する、というアナウンスが聞こえてマンションを飛び出し、グランシャリオのブースト機能を用い、少し走った先で目にしたものは飛び出す手榴弾に晒された男。咄嗟に彼を庇ったものの姿が見えない。さらには着弾する数瞬だけ意識が飛んだような違和感を感じつつも逃げ切れたようで安心したが故の声であった。

そして、視線は再びズッゲエロの方へ。

 

 

 

 

 

「俺の質問に答えろ、アンタはこのゲームに乗っているのか?」

「……」

 

 

 

 

誰が言ったのだろうか。

“君はこちら側でしか生きられない人間だ”

ギャングとして生きる者に更生の目途は立たない。

曰く、その者の目は―――

 

「ああ、そうなんじゃあないか?なぁオイ、兄ちゃん。オレの目はどう見えるよ、なあ?」

 

キリトは、その目を知っている。ラフィン・コフィンという悪意と相対し、ヒースクリフという無邪気な悪意に相対したキリトは知っていた。

 

「わかってる。アンタが人を殺すことに何のためらいも持っていないことは、さ。」

 

その上で。キリトは前を向いて、宣言する。

 

「迷ってたんだ。このゲームをどうやって生き抜くか。まだ、その答えは出てないけど」

 

 

コンクリートに大剣を突き刺し、相手を睨み。

 

 

「ここは通行止めだ。少なくとも、今ここでアンタに人は殺させないし、あの人も殺させない」

 

黒騎士に相対する男もまた、その目を睨み返し。

 

「やってみろよ、ガキ」

 

同時に、駆け出した。

 

 

短絡的で、もしもギャングの構成員であるならば任務をしくじっているような下っ端。

姿の見えない襲撃者に対するディアボロとの印象だった。

あえて自分が先に動けばそれに釣られて攻撃を仕掛ける迂闊さ。

慎重でこそあれ付け入る隙を感じる相手だった。

だから、ディアボロは憤っていた。

 

(この俺がッ!!このディアボロがッ!!あんな三下のカス相手に逃げおおせるだとッ!!屈辱極まりないことだ……ッ!!)

 

目の前に立ちはだかる脅威や問題から何もかもを放棄して逃げる、という行為は生き残る為の常套手段である。

この世に生きる森羅万象須くの生命に宿った生存本能がそれをさせるのだ。本能の前には虫も、獣も、そして当然、人間も。

自立し自らの足で動く生物全てにこれは適応される。

例えその代償として己の『何か大切なもの』を失うとしても、生き物は時として逃走を選ぶ。

それはきっと。逃げる者にとって一番大事なものは、自らの命に他ならないのだから。

今、この状況下で走り逃げる男、ディアボロにしても、そうなのだろう。

己の命が一番大事だから、逃げている。

 

 

―――己の帝王としての誇りを失っていることに、気づかないまま。

 

相対した二人の参加者は衝突し。

逃げる帝王はその喪失に気づかない。

 

わずか五分の混沌。

これはその、序章に過ぎない。

 

【エリアH-3/市街地(G-3境界線付近)/1日目/深夜】

 

【キリト@ソードアート・オンライン】

[状態]:疲労(中)、

[服装]:新政府の制服@仮面ライダービルド

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:2枚(キリト、セイバー)

[参戦時期]:少なくともSAOクリア後。

     詳細はあとの書き手に任せます。

[装備]:修羅化身グランシャリオ@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式 

    ランダム支給品0~2

    玄武神話ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

    もともと来ていた服@ソードアート・オンライン

[思考]

基本: このゲームを生き抜く。

1: どう動くのがいいのかまだわからないけど、少なくとも殺させないし、殺さない。

2: あの女騎士(セイバー)には警戒する。

3: 青い剣士(ブレイズ)にはあったら礼をしたい。

[備考]

※ソードスキルは使えますが、アイテムストレージなどは使えなくなっているようです。

生身かどうかなどは後の書き手に任せます。

※もともと着ていたお馴染みの黒衣はグランシャリオの入っていた紙にしまっています。

※服装は劇場版で万丈が着ていたのと同じデザインの服です。

ただしサイズはキリト、というより最初に支給されたセイバーに合わせたサイズなので問題なく着れています。

※新政府の制服の入っていた紙はその場に放棄しました。

乾けばまたもとのように使えるかもしれません。

 

【マリオ・ズッケェロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】

[状態]: 健康

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(マリオ・ズッゲエロ)

[参戦時期]:麻薬チームに敗北した後。シーラEと戦うより前。

[装備]:軍用手榴弾@現実×1

[道具]:ジーニアスフルボトル@仮面ライダービルド

    基本支給品一式

    ランダム支給品0~1

[思考]

基本: この殺し合いを勝ち抜いて自由になる。

0:目の前の参加者(キリト)を始末したい……が無理はしない。マズくなったら即逃げる。

1: フーゴたちやあのバケモンどもに会わないように立ちまわる。

2: あの黒い上着の兄ちゃん(キリト)は別に追わなくていいか。

3: これからの行動を考える。

[備考]

※特になし

 

【ディアボロ(ドッピオ)@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:片腕が切り落とされている(包帯による処置済み)、ディアボロの人格

[服装]:いつもの服装(血で汚れている)

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:一枚(ディアボロ)

[参戦時期]:少なくともローマ到着前

[装備]:

[道具]:基本支給品一式 ランダム支給品0~3(確認済み)

[思考]

基本: 生き残る。過程や方法などどうでもいい。

1: 今はただ、逃げる。

 

 

 

僕は、走っていた。

元からそういう作戦だったから、いい。

ああ、本当に、よかった。

心からの安堵が、僕の心に到来する。殺しに先鋭化されたこの身体も戦場から逃げるという判断を取った。

つまりは、あの吸血鬼とやらと黒い鎧の男を殺さないで済む、ということ。

その事実に、ただ。安心した。

なにせ、人を殺してしまったら。僕はセルティに嫌われてしまうから。

だから、殺したくない……いいや。

セルティに、嫌われたくなかったんだ。

でも。それでも。それ以上に。

セルティには、生きていて欲しいから。

 

 

「どうやら、相手を見誤ったようだね?」

 

そう言って近づく彼女の名は、シンデレラ。

御伽噺に出てくるような名前の少女。

……今は、そんなことなどどうでもよくて。大事なのは。

 

「まあ、いいよ。運がなかった、ってことでさ。これは一応試験的なもんだ。アンタが私の指示に忠実なら、それでいい。さっさとこのエリアから抜けるぞ。」

 

彼女のの指示に、僕は従うしかないということ。

だからねえ、セルティ。これから、もしも君と出会ってしまったその時には。君を傷つけてしまうけれど。

これから後の放送で君を傷つけてしまうけれど。

 

どうか、この僕と出会ったら。どうか、どうか。

 

 

 

殺して、くれ。セルティ。

 

 

 

電灯の光を反射した新羅の額のネジが銀色に瞬いていた。

 

【エリアH-3/市街地(H-2境界線付近)/1日目/深夜】

 

【シンデレラ@SINoALICE】

[状態]:健康

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:2枚(シンデレラ、岸谷新羅)

[参戦時期]:少なくとも融合編より前

[装備]:サーフィスのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険、サーフィス用の木製人形×5、アストラM900@現実(残弾5/6)

[道具]:デバイス、メダル、シンデレラ、岸谷新羅の基本支給品、岸谷新羅のランダム支給品1~2

[思考]

基本: 緑陣営を優勝させ、作者を復活させる。

1:新羅を利用して参加者を殺していく。

[備考]

※501ワクチン入りの注射器@彼岸島は岸谷新羅の支給品でした。

※今は岸谷新羅をサーフィスでコピーしています。

※サーフィスのコピー先の対象と向き合えば、対象の動きを操れるという欠点はそのままです。そのことをシンデレラは把握しています。

 

 

 

 

 

そう。シンデレラは知っていた。

サーフィスの欠点を知っていた。

なにしろ、説明書までついていたのだ。これで扱いを理解できぬ者はいないだろう。

ならば、この欠点を補う方法とは何か?

 

 

 

 

 

 

それは、『本体を殺すこと』だ。

 

 

 

 

H-3某所のゴミ捨て場に、それは捨てられていた。

 

 

それが、それこそが。

岸谷新羅の、死体だった。

 

 

そこに救いもなく。

眉間を撃ち抜かれて、死んでいた。

 

セルティ・ストゥルルソンはその事実を、未だ知らない。

 

岸谷新羅@デュラララ!! 死亡

 

【全体人数 残り142/150人】【アニメ陣営 残り28/29人】

 



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確実奇跡 跡奇実確

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ
・真アーチャー@Fate/Strage Fake
・DIO@ジョジョの奇妙な冒険
・カーズ@ジョジョの奇妙な冒険


 

 

 

憎悪と言う炎は酷く厄介だ。

なぜなら心のみを焦がすものだから、それを持つ本人以外の火消がとても難しい。

そして一度それを受け入れてしまえば非常に抜け難い。

 

それはさながら爆薬のようとさえ言えよう。

例えばあの最強の男、平和島静雄。

怒りの許容量をほんの少しでも超えれば、その原因を破壊する事以外一切配慮せず、

周囲の者を、物、モノを滅茶苦茶に破壊しながら暴れれるだけ暴れまわる。

 

それはさながら麻薬のようとさえ言えよう。

例えばあの赤銅色をした錬鉄の英霊。

自らの選択に絶望し、摩耗し、悔い、時間流の枷から外れた身の上ゆえに、

傷つくだけ傷つき続け、本来ならば絶対に不可能で有るはずの、

過去の自分の抹消さえ望み、本気で達成しようとした。

 

それはさながら劇薬の様とさえ言えよう。

例えばあの仮面ライダーゼロワン、飛電或人。

不破諫の心を覆っていた復讐心を拭った彼でさえ、

最愛の相棒(パートナー)を奪った滅を倒すために、

掲げた理想も、受け継いだ夢も一度は捨て去り悪意に溺んだ。

 

ここまで言えば十分ご理解いただけるだろう。

憎悪とは、どうにか抑えていても、全く訳の分からない瞬間で爆発して、

想定の数十倍の最悪な結果を出してしまう事も有りうる。

憎悪とは、在り方をどうしようもないほどに捻じ曲げ、

自分で定めたはずの絶対の禁忌を平然と犯すような蛮行が出来てしまえることだってありうる。

 

 

 

だがもし、それを覆せるものがあるとすれば、

その一つは間違いなく漆黒の意志の奥に輝く黄金の精神。

何もかもを壊す(デイオ)にも立ち向かう刃になる(スター)の輝き。

これは(デイオ)に憎悪だけで歯向かった歪な戦士と、

先に逝った仲間たちに遅れる事半年、ようやく半歩(スター)の輝きに近づけた少年のお話。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

パンナコッタ・フーゴが全ての支給品の確認を終える事が出来たのは、

ただの幸運であった。

D-9エリアに放り出されたフーゴが真っ先に出会ったのは、理不尽であった。

形だけ見れば、人間だ。

肌の色や髪色が聊か不自然に思えたが、いなくはないだろう。

 

問題は格好だ。

身長2メートルほどの長身痩躯、頭から絨毯のような布を被っており、

体格から察するに性別は男性。

なんだか、ホラー映画の延々主人公たちを追い回すモンスターみたいだな、

とフーゴの思考の奥まったところにいる冷静な部分が思った。

 

そいつはフーゴの姿を見るなり、手にした弓でフーゴを狙って来た。

出しっぱなしにした車のエンジンがかかっていなければ、

フーゴは今頃足首より下を残して、木っ端みじんに砕かれていたことだろう。

なんせ男、真アーチャーはフーゴに支給された最高時速560.0kmのスーパーマシンに走ってついてくるような怪物だ。

 

最序盤でこのバトルロワイヤル参加者の中でも、

間違いなく最高クラスの存在との会敵という、最大級の不幸。

それは二度の奇跡によって帳消しにされた。

つまり、これより先、パンナコッタ・フーゴと真アーチャーの戦いに奇跡はない。

ただただ純粋に力と知恵と、勇気が勝った者が、

心を決めて覚悟した物にだけ、勝利の女神が微笑む。

まあ、真アーチャーは微笑んだ女神にも遠慮なく右ストレートを叩きこみそうでは有るが。

 

 

 

 

 

 

 

「全く、忌々しい」

 

そろそろ二桁目になる矢を放ちながら、真アーチャーは独り言ちた。

支給された武器が弓矢だったのはよかったが、その機能が問題だ。

 

 

帝具アッキヌフォート

 

 

 

1000年前の失われた技術(ロストテクノロジー)で造られた超兵器とあって、

サーヴァントの使用にも耐えうるものであったが、完全オートの追尾能力が曲者だった。

なんでも本来は狙いたい対象の名前が分かっていなければ発動しない能力なのだが、

この殺し合いの為に、完全フルオートで敵を追尾するように改造されているとの事だった。

長年の戦いで培った戦闘技能、『流派 射殺す百頭』こそを宝具、

伝説にまで昇華された切り札とする真アーチャーには絶妙に使いずらい武器だ。

が、それでもこれ以外に武器もないのだから仕方ない。

神性と共に失った不死性を引き替えに手にした『試練をねじ伏せた証』の数々、

宝具、十二の栄光(キングス・オーダー)は発動こそ出来るが、

マスターとのリンクを断ち切られた今、ただの自滅技となり下がっている。

 

だが、それでもあのアルゴノーツの一員にして、人類史に、神話にその名を刻んだ英霊。

まだ手に入れて半日もたっていない武器をD-9エリアからC-9エリアを突っ切るまでの間にもう使い熟し始めている。

その証拠に、前方を往くフーゴの乗るスーパーカーは段々と被弾が増え始め、

避けるだけにしては無駄な動きも増えて来た。

それを誤魔化すようにか、B-9エリアに突入した途端、

車はビルの密集した方に方向転換する。

 

「浅知恵だな」

 

真アーチャーは次の矢をつがえると、フーゴではなく、

周囲にどんだけでもある廃墟、ビルを攻撃した。

車の行く手を塞ぐように瓦礫が降り注ぎ、砂塵の中に赤い車体が完全に消える。

 

次に真アーチャーが狙ったのは背後だ。

神代の今とは比較にならない基礎性能を有するとは言え、

人間として鍛えれる極限まで鍛え抜いた動体視力は、

車がつぶれるより早く飛び出したフーゴが、自身の幽波紋(スタンド)の力を借りて飛び出すのを視認していた。

フーゴの軌跡を追って振り返ると、

スライディングのような恰好から立ち上がる彼と眼が合った。

良い眼をしているな、と真アーチャーは思った。

こんな首輪で脅さないと戦わないような連中も呼ばれているのなら、

サーヴァントが多く所属する赤陣営の勝利は固いと思っていたが、

もし他陣営に赤陣営と同数でも、こんな眼を持つ者が居れば、意外と良い勝負になるかもしれない。

なんて考えながら弓を引こうとすると、

フーゴが額に付けた菱形の飾りが、十字に割れて、中から宝石が現れる。

 

「帝具、発動!」

 

宝石が割れるのと、アッキヌフォートの弦が切れ、

柄から二つに折れるのは同時だった。

 

(この弓と同じ武器か!)

 

フーゴに支給されたその帝具の名は、絶対制限・イレイストーン。

一週間という長すぎるインターバルと引き換えに、

射程内に入った帝具を強制的に破壊、無効化するアンチ帝具である。

このロワでは『支給品』ならどんな物でもそうなる様に調整されていたが、

図らずも本来の使い方をする事となった。

 

(隠れるためではなく、逃げ道を塞いで反撃、

そしてトドメを刺す為にこの場所を選んだのか!)

 

フーゴの体が二重にぶれ、紫色と白の市松模様という、

真アーチャー以上に有り得ない肌色の人型が現れた。

 

『……うばぁしゃああああああああああああああああああああッ!』

 

パープル・ヘイズ。

フーゴの凶暴性だけを固めて取り出した、彼自身の魂の分身。

その能力は、殺人ウイルスの散布。

光に極端に弱い代わりに、人、より正確に言えば、

生命エネルギーを持つ何もかもを喰らいながら爆発的に増殖し、

肉体をぐずぐずに破壊し尽くす獰猛なる嵐。

この世でただ一人、パンナコッタ・フーゴだけが持つ異能。

 

(問題はない)

 

真アーチャーは冷静だった。

一人一つしか持ちえない異能。

それがどんな形をしていようと、たとえ形が無かろうと関係ない最強の切り札がある。

 

 

天つ風の簒奪者(リインカーネーション・パンドーラ)

 

 

英霊■■■■■の豊富な他人の道具を強奪する逸話が昇華された第三の宝具。

その能力は一言で言えば物理、非物理を問わない能力奪取。

ただでさえ凶悪な能力に加え、そのランクは最も高いEX。

一度発動されてしまえば、イレイストーンを失ったフーゴの最後の切札は奪われてしまう。

そうなれば形勢逆転だ。

パープル・ヘイズのウイルスは、

あまりの凶暴性ゆえに、フーゴ本人をも殺してしまう代物。

かのクランの猛犬と恐れられた英雄の朱色の魔槍よろしく、

最大の武器にして最悪の弱点。

それが今、フーゴから奪われた。

 

「!!?」

 

フーゴの傍らにいたはずのパープル・ヘイズが彼より先に真アーチャーのもとにたどり着く。

そして、その目を敵意に血走らせ、フーゴを見据えた。

 

 

詰みだ。

あらゆる防御は無意味。

生きている限り、それこそアンリミテッド・ワンでもない限り防ぎようなどはない。

 

 

そんな絶望的状況の中、フーゴの心はプロ棋士が同格以上のプロ相手に、

何十時間も考えた盤面を目指し、一手一手駒を進めるように凪いでいた。

 

全ては勝つために。それも圧倒的格上に。

だが、決意だけでは足りない。

そこにIQ152のフーゴの頭脳とスタンド能力を足してもまだ難しい。

彼が条件を満たすには、あと二、三手。

さらに贅沢を言えばもう一手捨札が必要だ。

捨札(くるま)強力な二手目(イレイストーン)そして最後に

 

『……うばぁしゃああああああああああああああああああああッ!』

 

二枚(ふたり)()最強の切札(パープル・ヘイズ)

こいつは先に奪われた、支給品の”スタンドDISCのパープル。ヘイズ”とは違い、、

フーゴ自らが試練に打ち勝ち、歪なる形(ディストーション)に進化させた方。

先ほどの真アーチャーの背後に回った速すぎる加速のタネでもあった。

 

(こいつの攻撃を駄目押しの二発目にする予定だったが、問題ない!)

 

スタンドがこうしてDISC状にされて支給されている以上、

固有能力を引きはがせる固有能力の存在は織り込み済みだ。

後は確実に、奪われたパープル・ヘイズより早く拳を叩きこむだけ。

 

「重ねに重ねたその策、見事」

 

真アーチャーが初めてフーゴに口を開いた。

復讐者(アヴェンジャー)の要素を持つ英霊とは思えぬ賛辞だった。

だが、残念ながら、先に出てきて戦闘態勢を整えているDISCのパープル・ヘイズの方が早い。

 

「重ねに重ねた策、か」

 

フーゴも思わずつぶやいていた。

そして不敵に笑うでもなく、恐怖に引きつるでもなく、

 

「お代わりもあるぞ」

 

ただ真顔で事実を告げた。

それこそが、自分より格上あいてに、策に策を重ね負けたシンジとの決定的差であろう。

フーゴのからだが紫色の気味の悪いエネルギーと、円柱状の光に覆われ、

 

<DRIVE……!>

 

丁度、すぐそこで瓦礫に潰された車、

アナザートライドロンの様に壊れ、歪み、ひび割れた赤い怪人の姿に変身した。

 

 

 

アナザードライブ

 

 

 

フーゴの駄目押しに次ぐ駄目押し。

パープル・ヘイズ・ディストーションという最強の切札を最も輝かせる最高の手札。

その能力はあらゆる物体の動きを低速化させる重加速と、

元となった仮面ライダードライブと同じ加速能力。

 

いくら真アーチャーが英霊という上位カテゴリーの中で最強の一角で有ろうと、

 

「喰らわせろ……『パープル・ヘイズ・ディストーション』ッ!」

『……うばぁしゃああああああああああああああああああああッ!』

 

水の中よりもゆっくりとしか動けない状態で、相手に加速されてしまえば避け様がない。

その拳から放たれる辛子色のカプセルが当たってしまえば最後。

 

 

獰猛。

 

 

それは爆発するかのように増え、去る時には嵐のように去って行く。

同じパープル・ヘイズで反撃しようとしたが無理だった。

腕が崩れ落ち、魂レベルで同調しているスタンドの腕も崩れ落ちたからだ。

飛びのこうとしたが出来なかった。

腕を伝って両脚も腐り始めたからだ。

ダメもとで十二の栄光の一つ、ケイローンの不死性を使おうとしても無駄だった。

発動の為に練った魔力を、練ったそばからウイルスに食われるからだ。

同じ理由で天つ風の簒奪者も使えない。

まだ終われないと憎悪のまま吠えようとしても叶わなかった。

もう肺も喉も穴だらけだからだ。

ただただ参加している人間の実力を測りたかっただけなのに、なんでこんなことに?

そんな疑問と共に後悔しようとしても遅すぎた。

脳みそも完全に溶け切ったからだ。

 

偽りの聖杯戦争においても、ギリシャ神話においても、

間違いなく最強の英霊であった真アーチャー、アルケイデス。

またの忌名をヘラクレス。

何も成さず、何も果たせぬまま、魔力の一片まで喰らい尽くされ、

首輪とデイパックを残して消滅した。

 

「はぁ……」

 

それを見届けたフーゴは大きなため息を吐いた。

なんて、なんて無駄な戦いだったんだろう、と。

 

 

倒した敵は同陣営。

使った手札は半分以上。

もう一つおまけに序盤でこの疲労。

 

 

無駄と言わず何と言うのだろう?

まあいい。使った分の手札は真アーチャーから補給できる。

そう考え、さっきまで奴のいた場所に向かおうとしたフーゴ。

 

 

 

「――――――世界(ザ・ワールド)

 

 

鼓膜が振るえるのと、全身にいきなり無数の衝撃が叩きこまれるのは同時だった。

 

 

「ぐわぁああああああああ!!!」

 

訳も分からず吹っ飛ばされたフーゴがさっきまでたっていた場所に、

黄金のスタンドと、その使い手らしき恐ろしい男が立っていた。

まるで、まるでフーゴがジョジョと呼び、

使える少年をそのまま邪悪で染めたようなそいつは、色気すら感じる穏やかな声で言った。

 

「見事な戦いぶりだったなあ、少年。

まさかこのDIOと同じように配られたスタンドDISCを、

あんなに贅沢に使い潰すとは思わなかったぞ」

 

そう言いながら、男、DIOは真アーチャーの首輪とデイパックを拾い上げる。

フーゴは歪な仮面の下で歯噛みするしかなかった。

あの怪物を倒した次は、規格外のスタンド使いが相手と来た。

変身していたおかげでダメージは軽減されたが、疲労と合わせて考えると、

このまま戦っても勝てるどころか、満足な抵抗も出来るか怪しい。

 

「この下痢弁野郎がぁあああああああー--ッ!」

 

フーゴは左手と一体化した歪んだカードアを模した盾に内蔵された銃を乱射して、

煙幕代わりにするとさっさと加速してその場を離脱した。

 

「ふん、つれない奴だ。まあ、いい判断では有るがな」

 

DIOはフーゴを無理に追おうとは思わなかった。

手負いの獣程、追い詰められた時に爆発力を発揮する者は居ないし、

何より、ああいう真顔で策に策を重ねるタイプは、

ボコボコに叩きのめしてやった上で、鉛玉を叩きこんでやっても安心できない。

 

「さて、俺も移動を……むっ!誰か来るっ!」

 

DIOは反射的に今しがた奪った真アーチャーのデイパックを漁った。

そしてその中からエニグマの紙を一枚取り出し、

 

「走っても時を止めても間に合わんか!ならば!」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「なんだ、もう全て終わった後か」

 

瓦礫に潰されたアナザートライドロンや、

地面に残った弾痕を見ながらカーズは呟いた。

 

(さっき超えた音、そしてその原因と思しき潰れた車から考えても、

それなりの戦闘があったのだろう。

しかも車から血の匂いがしないところから察するに、

こうなる前に運転手は脱出し、攻撃した着た者を迎え撃っている)

 

その上で、地面の方はそれこそ弾痕ぐらいしか傷が無い。

微かに何か腐ったような臭いはするが、

闇の一族である自分でもなければかぎ分けれない程小さい。

 

(吸血鬼の仕業だというなら、こんなにも血の匂いがしないのはおかしい。

その上、もし特殊な薬物なりなんなりで相手を腐らせたにしては、抵抗が激しすぎる。)

 

そして何もかも全て終わってしまった後では、判断材料が少なすぎる。

 

「要らん寄り道だったな。

さて、さっさと当初の目的を果たすとしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言ってカーズが去った後。

瓦礫の隙間から一匹の亀が這い出てくる。

その亀の甲羅をよく見ると、赤い宝石の付いた金色の鍵がハマっている。

その宝石の中から、DIOは質量を無視して現れた。

 

スタンド能力を持つ亀、ココ・ジャンボ。

彼の一部屋分の空間を持つ『ミスタープレジデント』

 

「行ったか」

 

あの弓矢の大男には無用の長物で有っただろうが、吸血鬼故、

日の光の下に出れないDIOにはこの上ない当たり支給品であった。

 

「さて、昼間を凌ぐ安全な隠れ家も見つけたことだし、

このDIOもさっきの男を追うとするか。

あの口ぶりから察するに、何やら行く当てがある様子だったしな」

 

吸血鬼の祖たる闇の一族と、彼らの想定とは大きく違う進化を選んだ吸血鬼。

今、体と心、それぞれを先鋭化させ、武器として振るう怪人が、

その体を殺意に支配された女と、その心を狂気に腐らせた男と出会う。

真アーチャーの退場など、地獄の窯からほんの少し多めに灰汁を取ったに過ぎない。

まだまだ煮えたぎり、都心エリアと同様に、吹きこぼれるまであと少し。

 

 

 

 

 

【エリアB-9/廃墟群/1日目/深夜】

 

【カーズ@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:健康

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(カーズ)

[参戦時期]:少なくともリサリサと戦うより前

[装備]:

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~3(確認済み)

[思考]

基本: 自陣営を勝利させる。

1:音のする方向(両儀式と浅倉威が戦闘中)に向かう。

2:使える自陣営の参加者は駒として利用する。それ以外は殺す。

3:それはそうとアズは始末しておく。

4:『ジョニィ・ジョースター』は優先して始末する。

5:瓦礫の音が気になってきてみれば無駄足だったな。

[備考]

※同じエリアにいるDIOにはまだ気付いていないようです。

 

 

 

【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:健康

[服装]:いつもの衣装

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:2枚(DIO、真アーチャー)

[参戦時期]:死亡後より参戦。

[装備]:ハーミットパープルのDISC@ジョジョの奇妙な冒険

[道具]:ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、

    真アーチャーの首輪@ロワオリジナル

    基本支給品一式(DIO)、基本支給品一式(真アーチャー)

    ランダム支給品×1~2(DIO、未確認)

    ランダム支給品×0~1(真アーチャー、未確認)

[思考]

基本:生き残り、主催の持つ能力を何としても奪い取る。それが無理なら殺害。

1:あれがDISCの使い方か。にしてもあの小僧、贅沢に使ったな。

2:行動は慎重に。不愉快ではあるが、場合によっては他参加者への協力も厭わない。

3:あの男(カーズ)を追跡し、奴の当てを確かめる

[備考]

※スタンド及びDIOの肉体、肉の芽についての制限は後続の書き手様にお任せします。

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……クッソ!」

 

体からアナザードライブウォッチを引き抜き変身解除したフーゴは、

ふらつく足で屋内に入ると、入り口近くに腰を下ろした。

 

(序盤も序盤の一戦目でこの疲労っ!

ウォルペなんて可愛いもんだ!ここは化け物の巣窟か!?)

 

なんとか呼吸を整え、少しはクールダウンした所で改めて荷物を確認する。

 

(メダルとデバイスは落としてない。

あの車は、、多分もう呼び出せないだろう。

壊れる度にほいほい出せたりすればただでさえ怪しいゲームバランスが崩壊だ。

イレイストーンは、壊れたわけではないが、

一週間も使えないとなると、この戦いではもう使えないと考えるべきか)

 

そうなると、一刻も早くシーラEやムーロロとの合流を急がなくてはならない。

ようやく歩き出した半歩、それを一歩目にするために。

 

 

 

【エリアB-9/どこかの屋内/1日目/深夜】

 

【パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】

[状態]:健康、疲労(大)、ダメージ(中)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(フーゴ)

[参戦時期]:本編終了後

[装備]:アナザードライブウォッチ@仮面ライダージオウ

    絶対制御イレイストーン@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本:生き残り、シーラEたちと共に帰還する。

1:今は体を休める。

2:シーラEたちと合流する。

3:ウォルペや、襲ってくる敵(真ア―チャーやDIO)は始末する。

4:自衛のためとは言え、なんて無駄な戦い……。

[備考]

※イレイストーンはあと一週間たたないと再び使う事は出来ません。

※パープル・ヘイズのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険は、

 真アーチャーの死に引きずられて消滅しました。

※アナザードライブの能力には、アナザーカブト同様に相応の制限がかかっています。

 少なくともアナザートライドロンは再召喚できません。

 また、通常の加速能力に関しては、普段より体力消費が激しいぐらいの様です。

 それ以外に関しては後の書き手に任せます。

 

 

 

 

 

 






































































真アーチャー@Fate/strange Fake 消滅

【全体人数 残り141/150人】【小説陣営 残り34/37人】






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願イヲ喰ライ合ウハ我ラナリ

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・ゼーン@プリンセスコネクト!Re:Dive
・鏡像の城戸真司@仮面ライダー龍騎


月明りと星あかりが、窓の間から差し込む民家の一室にて。

鏡に背を向け、翼の生えた背中を見るひとりの若い男が居た。

 

「……完全に詰みだと思ったんだがな」

 

妹を庇い、確実に致命傷を負ったと思ったその場所をさするドラゴン族の彼の名はゼーン。

王都終末決戦の傷も癒え切らぬアストルムを再び戦火の混乱に叩き落としたギルド、レイジ・レギオンのリーダー格にして、それと正面から立ち向かった美食殿の一員で、現在この不浄の島で不破諫と行動を共にするシェフィの兄でもある。

 

「にしても、そんな願いもかなえてやるから殺し合え、か。

あの女……アズと言ったか?

よっぽど悪趣味な盤上が好みのようだな」

 

最初に呼び出されたホールをざっと見渡したが、かつて狙ったラビリスタや、ペコリーヌこと本物のユースティアナ姫の姿もあった。

ようやく和解したと思った連中と殺し合わせるのか。

いくらお人好しの彼女らとは言え、自衛の為であっても自分が戦っている場面を見てしまえば、信用されるのは難しくなるだろう。

 

(が、みすみす殺されてやるつもりも、無抵抗のまま逃げ続ける気もない。

今はまだ糸口すら思いつかないが、必ずこの盤面をひっくり返させてもらう)

 

体を直してくれたことは感謝しよう。

だがそれと殺し合いを強制されるのは別問題だ。

同時に恩を仇で返す事にもなってしまうが、

ゼーンはこの殺し合いに反する立場をとることに決めた。

 

(デバイスにメダルが配られると言っていたが、、この鞄がそうみたいだな)

 

とりあえず足元にあったデイパックを開ける。

中にはデバイス、メダル、そして三枚の紙が入っていた。

 

(デバイスとメダルは説明があったが、この紙は?)

 

とりあえずそのうち一つの『ガシャコンソード』と書かれた物を手に取って開いてみると、中から炎のようなオレンジの刃と、氷のような水色の刃の付いた両刃剣が質量を無視して飛び出した。

数瞬固まったゼーンだったが、どう考えても質量を無視した擬態、変身さらには分身能力の持ち主を知っていた事も有り、まあ殺し合いなのだから武器も配られるか、と切り替え、二、三度素振りを繰り返す。

 

(流石に使い慣れた魂喰い(データロガー)の様に、とはいかないが、良い剣だな)

 

もしこれを設計した自称神が聞いたなら、当然だろう!何せこの私の神の才能により設計、開発されたガシャコンウェポンなのだからなぁ!ブゥワ―ッハッハッハッ!と、自画自賛しただろう。

 

閑話休題(それはさておき)

 

武器の調子を確かめ、残る支給品やデバイスの中身も調べつくしたゼーンの方針は、美食殿のギルドハウスを目指しながら妹のシェフィを始めとした美食殿のメンバー、及びラビリスタと覇瞳皇帝を探すという物だった。

正直、全員に信用してもらうなど無理だろうが、覇瞳皇帝はともかく、それ以外の全員はほぼ間違いなく殺し合いに乗らないと言って良い。

合流できずとも、彼らに関するいい評判を流すだけでもいい。

もっとも、聞かせる相手はそれなりに慎重に選ばないと、闇討ちや騙して接近しての暗殺を決められる可能性もあるが。

 

(なんにせよ人に会わなければ始まらない。

さて、美食殿のギルドハウスはどっちだ?)

 

道具を仕舞い、服を着直した彼は民家を出ると、一度自分の翼を広げて飛び上がり、周囲の景色を確認する。

 

(このデバイスに表示されたエリアのE-1。

向こうの背の高い建物ばかり並んでいるのが都心ステージか。

ならこのまま橋に向かい、そこから真っ直ぐこの島を突っ切るように進めばC-3エリアに出れる)

 

そう考え降りようとした時、背後から猛スピードで突っ込んでくる何かを察知したゼーンはガシャコンソードを引き抜き、飛来した何かの体当たりを防ぐ。

 

(蛇……いや、龍だと!?)

 

それは黒く細い体を中空でうねらす東洋龍だった。

攻撃に失敗したと判断した黒い龍、暗黒龍ドラグブラッカーは体を縦に回転させて、鋭い刃の付いた尾先をゼーンに振り下ろした。

 

「ふっ!うぅううううっ!」

 

流石に踏ん張りの利かない空中で一撃貰った後とあっては、避ける事はかなわず、これもガシャコンソードで受けることは出来たが、背中から地面に吹っ飛んで行くこととなった。

それでも何とか背中の翼を動かし、どうにか受け身を取る。

地面に激突し、転がり続ける羽目になったが、揺れ続ける頭を叩いて強引に平衡感覚を取り戻すと、ガシャコンソードを杖代わりに立ち上がる。

深呼吸を繰り返せば、吐き気も少しは収まった。

そうすると、次の事を考える余裕も出てくる。

 

(あの龍も……この剣の様に配られた武器なのか?

だとすれば、その使い手もどこかに……)

 

<SWORD VENT>

 

くぐもった人の物ではない声が聞こえた。

音のした方を振り向くと、何か赤い光る物が有る。

それはゼーンに向かって一定のリズムで近付いて来ているようだった。

 

(なんだ?二つ有るようだが、あれは……眼か?)

 

揺れがマシになった来た視界がその姿を限りなく明確にとらえた。

光っていたのは赤い吊り上がった複眼だ。

体格から察するに男なのだろうそいつは、闇に溶けるアーマーの付いた黒装束を纏っているのだ。

右手には同じく黒い柳葉刀を持っている。

どうやらさっきのソードベントという音声はあれの事らしい。

 

「お前があの龍を操っていたのか?」

 

「……」

 

黒い男、仮面ライダーリュウガは返事の代わりに柳葉刀、ドラグセイバーを構える。

それを見たゼーンは大きく息を吐くと、まだ揺れる感覚の残る体をではあったが、背を向ければ斬られると判断し、ガシャコンソードを構える。

 

「それは肯定と受け取るぞ」

 

リュウガは何も言わなかった。

その仮面の下までは見えないが、無表情にしろ、笑ってるにしろ、あるいは苦しんでいるにしろ、多分最初から変わってないんだろうな、とゼーンは思った。

 

「……」

 

一方リュウガは、この出会いに不思議な縁を感じていた。

今自分が最も狙う現実世界の城戸真司も自分と同じ東洋龍型のモンスターと契約したライダーだ。

そしてこの殺し合いで最初に出会ったこの男も、人でありながら龍の力を持っている。

相手にとって不足なし。

前哨戦には贅沢過ぎるカードだろう。

あのアズとかいう女は随分粋な巡りあわせをさせてくれたな、とすら思った。

 

どちらともなく、手にした刃に闘志を乗せて斬りかかる。

 

かつて失われた自分の記憶を求めた男と、決して満たせぬ自分の半分を埋めるために戦うリュウガ。

まるで鏡に映ったようによく似ていて、けど左右反転する鏡像の様にどこか決定的に違っている。

そんな二人が今、竜虎、否、両龍相打つ。




【エリアE-1/市街地/1日目/深夜】

【ゼーン@プリンセスコネクト!Re:Dive】
[状態]: 健康、ダメージ(小)、平衡感覚の不調(小)、
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(ゼーン)
[参戦時期]: シェフィを庇って意識を失った後
[装備]:ガシャコンソード@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×2(確認済み)
[思考]
基本:この殺し合いをひっくり返す
1: まずこの黒い男をどうにかする。
2: 美食殿のメンバーらを探しながら美食殿のギルドハウスを目指す。
3: 果たして彼女らは信用してくれるだろうか?
[備考]
※諸々の制限に関しては後の書き手に任せます。

【鏡像の城戸真司@仮面ライダー龍騎】
[状態]: 正常、仮面ライダーリュウガに変身中
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(裏真司)
[参戦時期]: 少なくとも劇場版のどこか
[装備]: リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎
    ドラグセイバー(黒)@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本: 城戸真司と融合or桃陣営を優勝させて現実の存在になる。
1: まずこの龍の力を使う男を倒す。
2: その後城戸真司を探す。
3: 城戸真司と融合出来たら、優勝で得られる願いは神崎優衣の延命に使う。
[備考]
※どうやらこの殺し合いの会場内においては、活動時間に制限はないようです。


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依存の【忠】剣

作者
・ユッケジャン

登場キャラ
・ピノキオ@SINoALICE


舞台は、とある小さな小さな小屋。

室内に置かれた家具や雑貨は最小限。几帳面に整理整頓た部屋の中。

床だけは子どもが玩具箱を引っ繰り返したかの如く物品が散乱していた。

取り付けられた照明は灯っておらず、薄暗い。

窓の外から零れるほのかな月光だけが唯一の光源。

天からのスポットライトが、膝を抱えて蹲る子どもをぼんやりと照らし出す。

 

体格は小柄で華奢な四肢、明るい黄緑の髪からはあどけなさが顔を覗かせる。

一見少女と見紛う特徴をしているが、彼はれっきとした『少年』。

御伽噺から迷い出たキャラクターズが一人、ピノキオ。

此度綴られる舞台/人形劇の主演キャストだ。

 

「暗い…怖い…。ううっ…もう、嫌だよ…。誰か…」

 

部屋の隅で小刻みに震えながらピノキオは呟く。

その表情に恐怖は無い。

先ほどまでは確かにあったが、今あるのはそれに勝る多大な疲弊。

彼の心は憔悴していた。一時の恐怖すら通り越してしまう位には。

 

「でも、しょうがないんだ…。これしかないから…。

 こうする事以外、分からないんだから…。」

 

決意と言うには余りにか細く、震え切った声。

絞り出した言葉には、諦めにも近い投げやりな感情が籠っていた。

一体彼に何があったのか。一体彼は何をしているのか。

それを知るには少し、時を遡る必要がある。

 

 

■■■

 

 

この地に降り立ったピノキオが最初にした事。

それは支給品の確認だった。

知人の有無よりもまずアイテムに重きを置く。

そこまでは、他の参加者にも十分当てはまり得る話。

事実、名簿を見ぬまま武器を手に取り、闘争へ身を乗り出した輩は少なくない。

しかし、彼の支給品に対する思いはどの参加者とも合致しない切実な思いがあった。

 

1枚、2枚、3枚。

一心不乱にエニグマの紙を引っ繰り返す。

無造作に床へ転がり落ちていく支給品。

そこには見る者が見れば分かる強力なアイテムがズラリと並んでいた。

何の役にも立たないハズレばかりを掴まされる。

主催者の悪趣味な悪戯で、制御不可能な曰くつきを送られる。

そんな可能性を加味すれば、これは当たりも当たり。大当たりだ。

 

正しく扱えるかは別にして、殺し合いを生き抜くには申し分ないラインナップ。

彼のスタンスは反逆か、服従か。闘争か、平和か。

どれにせよ、潤沢な手数の確保が出来たのだ。実に順調な滑り出しと言えよう。

そんな足元並ぶ有用な支給品達を見て、幸運な少年、ピノキオは。

 

 

 

 

 

「あ、ああ、あああああ……」

 

糸が切れた人形のように、膝から崩れ落ちた。

世の終わりを目の当たりにしたかのような絶望に顔を染め上げながら。

 

ピノキオが求めるのはただ一つ。

『依存』。ただ、それだけ。

その意に沿わない他全ての支給品は彼に取っては大外れ。

例え街一つ滅ぼす兵器が支給されようと、運営打破へ大きく近づく重大な鍵だろうと。

指示をくれる相手がいなければ彼には意味を為さない。

完全なる無用の長物。これを宝の持ち腐れと言わずして何というか。

 

「ずっと一緒だったのに、いつからなんて分からない位傍にいたのに…。

 なんだって、こんな大切な時に君はいないんだよ…。」

 

ピノキオが言う君とは人ではなく、『杖』。

常に人を小バカにした醜悪な笑みを杖先に張り付けた喋る杖。

口を開けば殺せ、潰せ、犯せ、引き裂け、泣き叫べ。

耳を塞ぎたくなる罵詈雑言がひっきりなしに飛び出してくる。

どうしようもなく下劣で外道。文字通りの『人でなし』。

 

それでも、ピノキオには必要不可欠な存在だった。

未来が見えない不安。戦い殺す事への恐怖、罪悪感。

行く先を示してくれればそれだけで消し飛んでいく。

もし導かれた先で悪行をする事になっても大丈夫。

杖が担い手を使って、望み通りの悪行をしているだけ。

ならば全て杖のせい。自分は一切関係ないし、悪くない。

そこに人形の意志は介在しない。意志無き道具に罪などないのだ。

 

しかし、誰かに糸を操ってもらえないなら人形は人間に戻るしかない。

全ては自己責任。人として生きる。『人生』を歩むとはそういう事だ。

だが、重くのしかかる重圧を一人で乗り越える術をピノキオは持ちえない。

 

「分からない、分からないんだ。

 教えてよ…僕はどうすればいいの?

 僕は何の為に、どうやって戦えばいい…?」

 

誰に届く訳でもないのに無意味な疑問を口から漏らす。

 

何故戦うのか。何故殺し合うのか。

答えなど出るはずがない。聞いたって同じことだ。

元の世界ですら答えなどなかったのに。独りならなおの事。

自分の闘う意味は本来、自分で決めなくてはならない。

にも関わらずこの卑怯者は全てを誰かに任せてきた。

その代償を今ここで彼は支払う羽目になっている。

 

どれだけ泣き喚こうと覆らない無情な現実。

孤独を認識した人形は初めて自分の頭で立ち回り方を考える。

 

一人でいたって何も出来ない事は自分が一番わかっている。

頼る相手を探しに行かなくてはならない。でも誰を頼ればいい?

杖がない以上、依存対象は他の参加者に移る。

確率で考えて会う可能性が高いのは他陣営の参加者だろう。

彼らは敵だ。けれど絶対服従を誓いさえすれば、命だけは助けてもらえるだろうか?

 

ハッキリ言おう。在り得ない。

 

弱弱しく美味しそうに肥え太った兎を殺さない。

そんな獲物に良心的な狩人が果たして何処にいる。

何をしでかすか分からない敵陣営を生かす位なら

自分で支給品を独占した方がいいに安心に決まってる。

 

ならば、運よく同じ陣営の参加者が来てくれたらどうだろう?

まず命は助かるはずだ。共に戦う仲間なのだから殺す理由はまず皆無。

理を度外視して殺す輩に出くわしたら、よっぽど運が無かったんだとあの世で泣くしかあるまい。

 

だが、これもあり得ない。

 

唐突に始まった血で血を洗う殺し合い。

皆、自分や友人の命を守るので精一杯だ。

命がけの戦場で、お荷物を背負いこんで戦える。

それだけ強い人間が果たして同陣営にどれだけいるだろうか。

 

「……無理だ。何を考えたってどうしようもないじゃないか。

 ボクはここから出ていく事すらままならないんだから。」

 

支給品もダメ、敵もダメ、身内もダメ

縋るべき相手へ自分勝手なバツをつけながら肝心な事を思い出した。

探しに行くための前提条件。

戦場を一人で駆け抜ける『勇気』が彼には無かった。

 

ならば、どうする?

決まってる。もう諦めよう。

初めての思案の末、ピノキオは考えるのをやめた。

自分から動かず、ここに誰かが訪れるのをただじっと待とう。

委ねられる人なら良し、駄目だったならしょうがない。

ここにいると知られるのは怖いので、明かりは付けないけれど。

誰にも会わなければ?まぁそれはそれでいいのかもしれない。

何も考えず、争いが終わってるならそれに越したことは無いのだから。

 

そしてピノキオは幸運に身を任せる道を選んだ。

糸を切られ、放り捨てられた木偶人形。

それを快く拾ってくれる数奇な来客が現れることを願って。

 

■■■

 

こうして、哀れな人形は今に至る。

 

最初の問いに答えを出そう。

結論から言って、ピノキオは何もしていない。

 

殺し合い開幕から間もなく一時間が経つ。

ある者は同士を得て、ある者は駒を得た。

ある者は己が信念の元に戦場を駆け抜け、

ある者は己が矜持の果てに狂乱し息絶えた。

 

幾多の物語が交差する世界で皆が宿願成就を求めて争う中で。

彼だけが、ただただ無意味に時間を消費していく。

 

72時間何もない部屋で過ごすと精神が崩壊する。

なんて都市伝説がある程に人間は刺激が無くては生きられない。

まして弱り切った小心者には一時間すら耐え難い責め苦と化す。

月光による影の変化、時折窓を叩く風、出所不明の小さな物音。

鋭敏になった五感は些細な刺激すら恐怖に変換して、貧弱な精神を少しずつ摩耗させていった。

 

「………何か、何かないかな…。

 このままじゃ、独りでいるだけで死んでしまいそうだ…。」

 

少年は孤独な闘いに耐えかねて、少しでも気を紛らわせる物を欲した。

本来ならその望みが叶う事は無いが、幸い目当ての品は直ぐに見つかった。

それは他ならぬ自分がここへ持ち込んだものだったからだ。

 

「あっ…。」

 

ピノキオの目が捕らえたのは打ち捨てられたままの支給品たち。

無用の長物だった為にいつの間にか記憶から無くなってしまっていた。

恐怖で何も考えられなくなっていたというのも大きいだろうが。

とにかく武器の一つでも握っていれば、少しは気も紛れるのではないか。

そう考え、彼は這う這う支給品が散らばる方へ向かった。

 

辿り着いた先で手に取ったのは一振りの『刀』。

鞘に納められた状態でも分かる年季の入った西洋刀。

持ち手は藍色。鍔に填められた緋色の宝石が怪しく光る。

他二つとこの刀、何が差となったのか、細かい理由は選んだ本人も理解しえない。

ただ強いて言うならば、本能に働きかける魅力があった。

刀自身に導かれるような、強く引き寄せられるような。

ピノキオはそんな不思議な感覚を刀から感じ取っていた。

 

だが、選んだ理由など今はどうだっていい。

例え待ち続けた先にどんな終わりがあるにせよ

このままでは参加者との遭遇を迎える前に心が持たない。

身体を蝕む恐怖心を少しでも緩和する為、ピノキオは刀剣を拾い上げ。

震える手で、ゆっくりと、鞘から剣を引き抜いた。

 

 

 

『こんのクソガキャア~~ッ!ようやく手にとりやがったッ!

 普通出てきたもんは手に取るなり、調べるなりすんだろうが!

 何処に一時間もほっぽり出す奴がいるってんだよぉーーッ!!!』

 

 

「うわああっ!!」

 

 

突如脳内に直接響く大音量の怒鳴り声。

不意打ちで浴びせられた刀からの強烈な刺激は。

静寂に慣れ切ったピノキオの脳を盛大に揺らし、

反射的に抜身の刀を床へ放り捨てさせる結果となった。

 

『だが、なんにせよ…剣を抜いたなッ!

 ならばオマエはオレの所有し――――』

 

「……あれ?声が、しなくなった?」

 

すると響いていた声はプツリと途切れ、部屋は再び静寂へと立ち戻った。

さっきの声は一体?

驚きで心臓の鼓動をドクドクと鳴らし、未だ眩暈で揺れる脳を働かせ考え始める。

 

周囲を見渡しても変わらぬ殺風景な光景が広がるだけ。

今まで微かな物音位しか聞こえなかったと言うのにどこからあれだけの声が?

この場で音が生じるような、明確に変わった出来事があったとすればそれは一つしかない。

 

「もしかして、この刀が…?」

 

声が聞こえ始めたのは刀を抜いた瞬間だ。

物が喋る。

普通ならあり得ないと人は言うだろうが、その前例は嫌と言う程よく知っている。

辿り着いた答えを確かめるべく、ピノキオはもう一度刀を恐る恐る手に取った。

 

『話してる途中に叩き落としてんじゃねぇーーーッ!

 貴重品は丁重に扱うべきだとテメェのママは教えちゃくれなかったのかぁ!!?』

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

予想的中。声の主はこの刀で間違いなかった。

だが、声の主は最初の数割増しで怒り心頭だ。

もし顔があったならば真っ赤に染まっている事だろう。

自分の身体を無下に扱われたのだ。怒りたくなるのも無理はない。

ただ、説教を正しく聞けるほど心に余裕は無かったので。

とにかく怒られた、とだけ認識して言葉だけでも謝罪する。

 

『まぁ、テメェがヘタレだろうが礼儀知らずだろうが関係ねぇ事よ。

 オマエはオレに導かれ、この刀を抜いた…。

 その瞬間!このオレ『アヌビス神』の所有者となり、本体となったのだ!

 オマエは剣の達人だ。何でも斬れる!何でも見切れる!誰にも負けることは無い!

 あの御方の前に立つ障害を全てブッた斬り、お役に立つのだッ!!』

 

「えっと…あの……」

 

『行けッ、行くのだッ!ジョースター共を根絶やしにしろッ!

 花京院を輪切りにしてやれ!ポルナレフを血祭りにあげろ!

 にっくき承太郎に真っ二つにし、ヤツに敗北の苦渋を味合わせてやれぇーーッ!』

 

 

 

 

 

 

『……………?』

 

「……………?」

 

 

三度の静寂が場を支配した。

声なき自然が産み出す闇夜のしじまではなく。

言葉を交す者同士が作り出した気まずい沈黙である。

 

矢継ぎ早の命令にポカンと口を開けるピノキオ。

思った反応が見られず呆然とする喋る刀。

互いに一体どう反応すれば良いかに困り、頭の上に疑問符が浮かぶ。

 

「す、すみません。一度に沢山言われると何が何だかさっぱり分かんなくて…。

 もう一度ゆっくりお願いでき……」

 

『なっ、何故だっ!何故乗っ取れん!

 こんなすみっちょでガタガタ震えてるような

 ひ弱なガキ一人操れねぇなんてあるわけねぇのに!』

 

「えっいや、だからもう一度…」

 

『ウオオオオ!待て、待ってくれ!お嬢ちゃん!

 さっきまでの暴言は詫びる!オマエの力にだって幾らでもなってやる!

 だから頼む!オレを置いていかないでくれ~~ッ!!

 ここから動けなきゃどうにもなんねぇんだよぉーー!!』

 

「ち、ちょっと…、話を聞いて……」

 

『ヒィィィィィ、孤独は嫌だよーっ!見捨てないでーっ!!』

 

嵐のように怒り狂ったかと思えば、今度は取り付く島無く泣きじゃくる。

元来物言わぬはずの凶器が発するには余りにも激し過ぎる感情の大爆発。

その凄まじさにピノキオはしどろもどろ。

刀を宥める手段も持たず、終始着いて行けず終いだった。

 

だが、困惑を隠せない言葉や態度とは裏腹に。

いつの間にか、彼の心は安堵に満ちていた。

 

ーーーああ、やっと来てくれたんだ。

 

彷徨い疲れた迷子がようやく帰るべき我が家に辿り着いたような。

そんな心の安らぎに、依存を求める人任せな少年は。

自分でも無意識な微笑で、頬をそっと歪ませた。

 

 

■■■

 

 

『ゼェーッ、ゼェーッ』

 

「あの、大丈夫…ですか?もう落ち着きました?」

 

『あ、ああ、なんとかな…。なんか喚くだけ喚いたらスッキリしたぜ。

 ぶちまけるだけぶちまけてみたら意外と気分って整うもんなんだなあ…。』

 

駄々っ子のような大騒ぎから数分後。

ようやく我に返り、落ち着きを取り戻したアヌビス神を名乗る刀剣。

彼が鎮まるを傍らで待ち続け、ようやくまともになった、とピノキオはホッと息を吐く。

ここに至るまで一時間も待ち続けていたのだ。今更数分程度じゃ苦にならない。

刀なのに息切れしたりするんだ。なんて取り留めのない感想を抱きながら会話を始める。

 

参加者と支給品、身分は違えど疑問の数は同じだった。

ピノキオはアヌビス神がどういった存在なのかを聞き、

その代わりに彼へ現在の状況を持ちうる限り説明した。

とはいっても他の参加者との交流も会場の探索もしていないピノキオでは

渡せる情報はホールで説明された最低限度のものしかなかった。

それでもアヌビス神は皆底からの解放と自由が得られたと大いに喜んだ。

能力制限で結局自由とは言い難い事を思い出して、すぐさま意気消沈していたが。

 

『そういやよぉ、この殺し合いに誰がいるとか分かったりしねぇか?』

 

「はい、確かこのデバイスに名簿があったはず…。」

 

『はずって、オマエ名簿も見てねぇのかよ?』

 

「…誰がいたって僕にはあんまり関係ないので。」

 

元の物語にいたゼペットじいさんやジミニ―を殺し合いに参加させてもしょうがないし、

ライブラリで出会ったキャラクターズはそこまで深い関わり合いがある訳でもない。

会っても一時的に情報交換をしたり、共闘したりと関係性などその程度だ。

所詮いつかは殺し合わねばならない間柄。良い感情を抱いている人は少ない。

 

『関係ねぇってこたねぇだろ。

 知り合いがいるかもしれねぇんだぜ?』

 

「知り合いがいるって、重要ですか?

 傍にいてくれなきゃ関係ないと思うんですが…」

 

どれだけ親しい間柄だろうが、声が届かなければ指示が聞けない。

傍にいなければ頼れない。依存できない。だったら個々の関係性に意味はない。

大切なのは時と場合。重要なのは過去ではなく現在。

優先事項は遠くの知り合いよりも目の前の依存先。

作者と言う例外はいるが、これも殺し合いでは何の役にも立ちはしない。

ピノキオにとって大事なのは今、手の中にいるアヌビス神以外なかった。

 

『んなことあたりめぇだろ、見知った存在ってのはそのまま行動の指針にもなる。

 オレなら万が一DIO様がおられるのなら一刻も早く駆けつけねばならんし、

 承太郎やジョースター共がいやがったら今度こそぶっ殺してハラワタぶちまけてやるってんだ!』

 

「…凄いですね、僕にはそんなこと絶対考え付かなかった。」

 

アヌビス神には明確な指針があり、正しく物事を考える頭もある。

誰かに頼らず己で方針を決められる。なんと人間らしいんだろう。

少なくとも誰かに頼らねば何もできない人形よりかはよっぽど。

人の身で意志がない自分と物の身で確固たる意志がある彼。

ライブラリから飛び出ても、心の在り方はどこも変らず歪だった。

 

結局アヌビス神の言葉に従い、参加者名簿を読む事に決めた。

見たところでさほど意味はないという考えは変わらないが、損はない事もまた確か。

時間にして一時間弱。周回遅れでようやくデバイスに手をつけた瞬間だった。

陣営人数も国籍もバラバラの、どこか歪な名簿を閲覧していく中

自身の名を見つける前に気になる名前がピノキオの目に留まった。

 

「あの、アヌビス神さん。この『ジョニィ・ジョースター』って人

 確か貴方が言っていた殺さなきゃいけない人でしたっけ…?」

 

『ジョースターだと!?だが、聞かされた名とは少し違うな。』

 

「じゃあ無関係だけど同じ姓の人だったのかな…。」

 

『ジョースターなんて姓の野郎がそうたくさんいるもんかねぇ…。

 ジョセフの親戚か…?無関係って事は恐らくないだろうぜ。

 いずれにせよ奴らの血統なら絶っ対殺す!無くても殺す!

 DIO様の障害になり得る可能性が微塵にでもあるならな!』

 

冥府の神が下す審判に推定無罪はどうやら無いらしい。

預かり知らぬ場所で死刑を宣告された『ジョースター』に

僅かばかりの同情を覚えながら、閲覧作業に戻る。

特に進展の無いまま名簿を読み進めていき

 

『おぉDIO様!もしやとは思ったがあの御方まで来ておられるとは!』

 

アヌビス神が慣れ親しんだ名を見つけ声を上げる。

崇拝すべき主がこの地にいる事への喜びと首枷を嵌めた不遜への怒り

複数の感情が綯交ぜになった声色だったが、

傍にあった名前を認識した瞬間、感情の天秤はすぐさま怒りへと振り切れた。

 

『なにぃ~ッ!?承太郎共と同じ陣営にされているだとぉッ!

 主催者の野郎ぉ、ふざけた真似しやがるぜ!』

 

「でも、同じ陣営なら戦わなくてもいいって事なんじゃ…?」

 

『駄目に決まってるだろうが!承太郎共は必ず殺さなきゃならん因縁の相手!

 ジョースターとDIO様は水と油、決して交わる事なんざ在り得ねぇのよ!

 DIO様だって例え身内だとしても確実に始末すべきと!そうお考えのはずだ。』

 

「す、すみません…事情も分かってないのに口を挟んでしまって。」

 

浅からぬ因縁に口を挟むべきではなかったと反省し、再びデバイスへ目を向けた。

その後、自分の名と元の世界で見知った名を複数見つけたが、

やはり大した感想は湧いてこなかった。

自分と関わりを結びつける事が出来なかったのだ。

代わりにピノキオの心中にあったのはある人物への興味。

 

「それで…ずっと聞きたいと思ってたんですけど、DIO様ってどんな人なんですか?

 ここまで話を聞いていて、少し気になってしまって…。」

 

特に波乱も無く終わった確認を終えた後、彼は尋ねる事にした。

自分が依存しようと思う存在がここまで強く崇拝する"DIO"とは一体何なのか。

自分よりも確かな意志を持つ道具が自分の意志で従う存在とは一体何なのか。

それはキャラクターズにとっての作者とどう違うのか。

ピノキオの中にはほのかな好奇心が宿っていた。

 

『DIO様か?あの御方は暗闇の中で埃を被っていたオレを救い出してくれた恩人よ。

 そして、この世の頂点に君臨すべき、偉大なる悪のカリスマでもあるのさ!』

 

ピノキオの質問を皮切りにDIOの魅力を熱弁し始めるアヌビス神。

彼らの王たる男が如何に雄々しく、麗しく、素晴らしい存在であるか。

誇らしげに語る口調から伝わる主への陶酔。

声だけであってもウットリとした表情が目に浮かぶようだ。

 

偉大なる悪のカリスマ、DIO。

知っている情報は名前と手に握る配下からの伝聞のみ。

実力に絶大な自信を持つ者すら膝を折り、服従する圧倒的実力。

異性は勿論同姓すらも心震わせ、魅了させる妖艶な美貌。

世に蔓延る悪に恐怖と共に安らぎと敬愛を与え、従える絶対的なカリスマ性。

そう、言伝だけだ。それだけなら眉唾のように思えただろう。

 

だが、これらを伝える語り部がその信憑性を大きく高めてくれる。

アヌビス神は何より誰かに仕える様には見えない。

人を操る能力を持っている以上、寧ろ誰かを支配する側と言ってもいいだろう。

それがどうだ。彼はDIOに支配され、支配者へ奉仕する事が幸福であると真に感じている。

彼の為に戦い、殺し、生きる事が安心を得られる最適解なのだと信じているのだ。

 

彼や彼と共に戦う部下達の心情を認識して、ピノキオは気づく。

自分も邪悪の化身が持つ魔の魅力に少しづつ惹かれている事に。

 

もし、もしもだ。

 

DIOに会えたなら。

この地にいる彼と巡り合う会う事が出来れば。

彼にこの身全てを委ね依存する事が出来たなら。

 

ようやく得られるのだろうか。

作者を蘇らせる事でしか得られない。

そう思っていた波風一つ立たない平穏な人生を。

この世のあらゆる苦悩、不安、恐怖。それら全てかき消す絶対的な安心感を。

 

人形の本懐は既に果たされている。

依存出来る対象は既に手の内にあり。

その相手も前持っていた『杖』程下品でもなく十分満足できていた。

だから、それ以上は本来不必要のはず。

にも拘らず心はまだ見ぬ『世界』の王を恋焦がれている。

 

彼を頼りたい。彼に決めてもらたい。

彼に支配されたい。彼に使ってもらいたい。

彼に、『依存』してしまいたい。

 

意志の無い人形に微かに意志が灯る。

未知の感覚に心突き動かされるまま、ピノキオの口は自然と動きだしていた。

 

「…アヌビス神さん。」

 

『あん?なんだ、まだ話は途中だってのに。』

 

「その…ボクも、DIOさんの所へ行けば、その人に使ってもらえるでしょうか?」

 

■■■

 

使う

使われる

使ってもらう

人でありながら急に何を言い出すのか。まるで自分が道具のような物言いだ。

床に放置されていた頃から感じていたが、この子ども、どうも普通とは違う。

奇妙な質問にきょとんとするもアヌビス神は直ぐに思考を切り替えた。

 

(いや、もしかしてこれってチャンスなんじゃね?

 どうすりゃこのガキに殺しやらせるか考えつかなかったし、願ったり叶ったりだ!)

 

アヌビス神が自由に殺しをやるには、所有者の協力は必要不可欠。

だが精神を支配できない以上、決定権はこちらに無く、相手依存になってしまうのが現状だ。

目的を果たすべく、なんとかして虫も殺した事が無さそうな気弱なガキを

殺し合いに乗り気にさせるつもりだったが、まさか向こうから提案してくるとは。

 

まさに願ってもない展開、渡りに船。この千載一遇の機を逃す手はない。

DIOがピノキオをどう扱うかなど当人にしか分かるはずもないが、

変に言葉を渋っておじゃんになっては困る。

興味が向かっている内は相手の都合のいい様に肯定するべきだろう。

 

『そうだな…。役に立つ事をアピール出来れば使ってもらえるんじゃないか?

 DIO様は寛大な方だ。オマエが忠義を示せばきっと、いや必ず報いてくださるはず!

 その為にも!他陣営の参加者共を斬って斬って斬りまくって、手柄を挙げるんだ!』

 

「DIOさんの役に立てば…?でも、他の参加者を斬るって…」

 

『ああ、そうだ。殺すんだ、お前自身の手で。ガキに酷かもしれねぇがな…。

 でも大丈夫だ!もし一人じゃ難しいってんなら俺が…』

 

ピノキオが殺人に難色を示すのは想定内。

だが、どれだけ渋ろうと一度でも頷かせればこちらのものだ。

洗脳は使えないが、相手は押しの弱そうな子ども。

話術などなくとも勢いで推し込めばどうとでもなるはず。

なんて杜撰な腹積もりをしながら一気に畳み掛けようとして。

 

「分かりました」

 

『へ?』

 

「分かりました。アヌビス神さんがそう言うなら…それが一番なんですよね?」

 

余りにもあっさりとした承諾に言葉を失った。

 

『じ、自分で言っといてなんだがよ。いいのかよ?

 あんだけ殺し合いにビビってたってのに。』

 

思い通りに事は進んでいる。

進んではいるのだが、スムーズ過ぎて気味が悪かった。

最悪意見が変わりかねないリスクも無視して、アヌビス神は聞き返す。

 

「そりゃあ、嫌ですよ…。痛いのは嫌ですし、戦うのはいつだって怖い。

 殺し合いは経験したことがあっても何で戦うのか。

 その意味が僕にはさっぱり分かりませんでした。」

 

最初に話した時と変わらず、オドオドした様子で返し始めた。

態度もそのまま。台詞全てに偽りなく、本気で恐怖を感じていると持ち手越しに伝わってくる。

 

「でも、初めて思ったんです。

 自分でこうしたいって、何となくじゃない目的を見つけたのが。

 その為なら怖くても少し頑張れるかもしれないって。」

 

「それに、アヌビス神さんが指示してくれるなら…

 戦ってくれるなら僕は大丈夫だって、そう思えるんです。……それじゃダメですか?」

 

自信なさげな笑みを浮かべるピノキオ。

答えを聞いてもアヌビス神は相変わらず釈然としなかった。

大して知りもしない正体不明の刀に全幅の信頼を置く。

ハッキリ言って異常だ。

今までの様子は全て演技で何か裏があったのではないかと疑いたくなる。

 

だが、悪い気はしない。

アヌビス神かこれまで共にしてきた担い手は数知れない。

しかし、スタンドの性質上相手の意識は常にシャットアウトしてきた

こうやって持ち主に信頼を寄せられるなんて事は決してなかった。

充てられていると相手の異常性や目的など大した事の無いように思えてくる。

己の欲求と相手の期待が一致しているならば、応えてやる事が何よりも優先すべき事だろう。

 

『お、おお、駄目なんて事はねぇさ!任せておきなっ!

 俺がサポートしてやれば、オマエは無敵の剣の達人だ。

 どんな奴が相手だろうと絶っ~~~~~~~~~対に負けなぁい!!』

 

「ありがとうございます…!アヌビス神さん!」

 

お互いの目的を一致させ、笑い合う二人。しかし、アヌビス神は気づかない。

ピノキオの語った事は全て本当だ。

DIOに会うと初めて自主的に目的を持った事もアヌビス神への信頼も、すべて。

それでも、彼には"共に"戦うなんて気持ちは欠片もない事に、まだ気づいていない。

 

だが、恐らくそれは些末事、

二人にとってなんら支障はないのだろう。

人形は杖が無くとも依存出来、忠剣は本能のまま戦える。

互いの希望が満たされ続ける限り、二人はいつまでも幸福でいられるのだから。

 

「あ…でも、陣営の違いはどうしましょう。

 DIOさんの陣営が優勝したら僕は死なないといけなくなるので。

 DIOさんに会いたいけどそれで死ぬのは流石に…。」

 

『確かに問題だな…あぁ、ならお前の陣営は置いておこうぜ。

 俺たちが殺るのは赤と青と桃。それ以外はひとまず様子見だ。

 陣営の違いの問題は、DIO様の判断を仰げばいい。』

 

「分かりました。確かにDIOさんに聞くのが一番ですね。

 分からない事はいくら考えたって仕方のない事ですし…」

 

『おうともよ、あの御方に任せれば安泰だ。

 その為にも頑張って殺していかねぇとな!』

 

「はい!よろしくお願いしますね。」

 

にこやかに笑う二人に恐怖に苦しみ喘いでいた頃の面影はない。

孤独を過ごした者達は晴れやかな気持ちで歩を進め始めた。

 

かくして人形の糸は再び繋ぎ合わされる。

同じく操り手無しでは動けない刀と無理やり互いの糸を結び直して。

依存と言う名の操り糸をより強固に結びつけるべく、操り人形は往く。

未だ顔さえ知らない、邪悪なる傀儡師にその身を捧げんが為に。

 

 

 

 

 




【エリアC-3/1日目/深夜】


【ピノキオ@SINoALICE】
[状態]:健康、恐怖、DIOへの興味
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(ピノキオ)
[参戦時期]:未定(少なくともピノキオオルタに出会う前)
[装備]:アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×2(外見のみ把握、説明書は未確認)
[思考]
基本:死にたくない。全てを委ねて依存出来る相手が欲しい。
1:アヌビス神の指示通りに動く。
2:『DIO』に強い興味。絶対的な安心が手に入る…かも?
3:参加者を殺してもらい、手柄を立てる。
優先順位はジョースター一行+ジョニィ>赤、青、桃陣営>>残り2陣営
[備考]
支給品の中にハズレと呼べる支給品や制御困難な支給品はありません。
ハズレなどの尺度は後の書き手様にお任せします。

【アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:正常
[参戦時期]:アニメ29話(ナイル川に沈んで再起不能になった後)
[思考]
基本:DIOを優勝させる。
1:DIOの障害となる敵を斬り殺す。
2:承太郎、花京院、ポルナレフ、ジョニィ・ジョースターを殺す。
特に承太郎は絶対にリベンジしたい。
3:ピノキオに若干の違和感。頼られるのは悪い気はしないけど。

[備考]
洗脳能力は使用できません。
持ち主の同意次第で身体の主導権は奪えますが、人格を乗っ取る事は不可。
透過能力や学習能力は健在です。原作での戦闘経験は『憶えて』います。
現状ピノキオを女だと思っています。


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開演!光あふれる劇場

作者
・コードジョーカー

登場キャラ
・書き手枠@Fate/EXTRA


エリアJ-8_____。

 

 

「……気に入らぬな…。」

 

コロッセオが見える付近で、一人の女性が不満交じりでそう呟いた。

スケスケのスカートで背中や胸元が空いているといった変わったデザインの舞台衣装に身を包み、その素顔は甲冑をまとったセイバーと瓜二つだが、彼女よりも小柄かつ出るとこが出てるという違いがあるので、完全な別人である。

 

「何が気に入らないと言えば、あのアズというカラクリのもの言いも、名も知らぬ男の命を無惨に散らしたことも、無辜の民達に殺し合いを強いてきたこともそうだ。」

 

今の彼女の頭は、アズへの怒りで満ちていた。

 

「しかし今、一番気に入らぬのは……………

 

 

 

 

 

 

 

コロッセオがあるのは分かるが、何で余のローマの劇場が無いのだ〜〜!!!」

 

 

 

━━━前言撤回。彼女の頭の中は何故かローマのことでいっぱいであった。凛とした雰囲気の真面目な表情が崩れ去り、駄々をこねる子供のような性格が露わとなった。

 

先程の真剣な雰囲気は何処へ行った、とツッコミを入れたくなった我々は決して悪くない。それ程感情のビフォーアフターが激しかったのだ。

 

「そなたもそうは思わぬかぁ………ユーリよ〜。」

 

『……前の三つは同意だが、最後のは何だ?』

 

彼女が問を投げ掛けると、何処からか男性の声が聞こえてきた。この場にいるのは彼女だけで、周囲には誰の姿も見当たらないにもかかわらずだ。

 

『俺は1000年以上も封印で眠っていたから、今の世界について知らないことが多いからな。』

 

その声はなんと、ネロが手にしている一振りの剣から発せられたものであった。

 

 

光剛剣最光───。

 

 

闇黒剣月闇と同じ原初の聖剣の一振りにして、闇と対をなす光の属性の聖剣。

光の速さで移動、回復、幻術を打ち破る、記憶の操作、聖と邪を分かつ力など、他の聖剣とは一線をなす能力が備わっている。

 

その多彩な力故に、聖剣が悪しき者の手に渡ることを危惧した光の剣士ユーリは、自ら聖剣と同化したことで自分自身が聖剣そのものとなり、1000年以上もアヴァロンにて眠りについたのだ。

 

『しかし未だに信じられないな。飛羽真が以前読んでた歴史の本に書かれていた人物像とはイメージが大きく掛け離れている。お前がかのネロ・クラウディウスとはな……。』

 

 

ネロ・クラウディウス。通称、暴君ネロ。

帝政ローマでキリスト教徒の虐殺を行ったことで有名なローマ帝国第五代皇帝。

赤ドレスの彼女、赤セイバーの真名である。

 

 

「何だユーリよ?余が暴君らしくなくてそんなに驚いたのか?」

 

『まあな、ここまで子供っぽいは初めて見たからな。』

 

「おしゃべり聖剣のお主に言われたくないぞ。最初に出会ったときは、心臓が飛び出るかと思ったわ……。」

 

そう言ったネロは、ユーリとの出会いを思い返していた。

 

 

■■■■■

 

 

それは目覚めて早々、支給品の確認に入った時のこと。

 

 

『プハァ〜〜〜〜ッッッ!!やっと出られたぞ、最光だな!誰だか知らないが礼を言おう!』

 

「………………は???」

 

聖杯戦争の最中に突然呼ばれた謎の場所。突然告げられた殺し合い。目の前で爆殺された男。色んな異常事態の連発でお腹いっぱいの時に、エニグマの紙から現れた喋る剣に対し、ネロは思わずチベットスナギツネのような表情でユーリを睨んだ。

 

 

■■■■■

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

『俺は飛羽真たちと合流しなければならないが、お前はこの殺し合い、どうするつもりだネロ?』

 

「唐突にどうした、藪から棒に?」

 

『俺は世界を守る剣士にして剣だ。悪用されるなど以ての外だからな。』

 

ユーリの言葉は、ストレートであるが最もな発言である。会って間もない人物を、しかも歴史に名高い暴君を百パーセント信じろと言われても、誰でも無理と答えるであろう。

 

「フッ、安心せよ。余をどう思おうと勝手だが、余のワガママはローマと、ローマの民達への愛ゆえ。マスターロゴスであったか?世界を守る剣士達の長でありながら使命を放棄し、世界を自分好みに支配する神になろうなど、本末転倒もいいところ。よいかユーリよ、他者を含めぬワガママなど、独り善がりでしかないのだ。」

 

 

「よって余のやることなど最初から決まっておる。マスターの、奏者のもとへ帰るためにも、このふざけた舞台を終幕させる。この手でアズの首を討ち取ることでな。」

 

 

『容赦無しか。暴君の名は伊達ではないようだな。』

 

「王は時として、残酷な判断を降さねばならぬ。決断とはそういうものなのだ。」

 

先ほどまでの表情から真剣な顔つきでそう告げるあたり、王としての格は本物である。

 

「では往こうぞ!気晴らしにコロッセオへレッツゴーだ!!」

 

『おい!やれやれ、騒がしい王様だな……。』

 

一人の王と、一振りの聖剣の旅、ここに開幕である。

 

 

題目『赤の栄光〜序章〜』、はじまりはじまり〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【エリアJ-8/1日目/深夜】



【セイバー(ネロ・クラウディウス)@Fate/EXTRA】
[状態]:正常、アズへの怒り、不満
[服装]:いつもの舞台衣装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(ネロ)
[参戦時期]:不明。後の書き手に任せます。
[装備]:光剛剣最光@仮面ライダーセイバー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:この悪趣味な舞台を終幕させる。
1:待っておれ、奏者よ。
2:アズ、その首必ずや討ち取る。
3:何でローマの劇場は無いんじゃ!!!
[備考]
※特になし。


【ユーリ@仮面ライダーセイバー】
[状態]:光剛剣最光と同化中
[参戦時期]:刃王剣十聖刃の出現直後
[思考]
基本:最悪な殺し合いを終わらせ、元の世界へ帰還する。
1:飛羽真たちと合流を急ぐ。
2:マスターロゴスとストリウス、デザストを警戒。
3:ワガママな王様だな、コイツは……。
[備考]
※現在のユーリは、聖剣サイコウドライバー@仮面ライダーセイバー、金の武器銀の武器ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバーが、最初から合わさった状態です。
※変身解除が出来るかどうかは、後の書き手にお任せします。


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あなたは全てフィクションです。

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・偽アサシン@Fate/strange Fake



シミュレーション仮説、という物をご存じだろうか?

簡単にいえば、この世界は何もかもがつくりもので、自分はその中の一登場人物に過ぎないのではないか?

という仮説のことです。

例えば、ドラクエみたいにどんなことでもがんばったら頑張った分だけレベルアップする。

自分がこんなにも美しいのは誰かがつくったからじゃないか?

こんなにも何もかもうまくいかないのは、きっと誰かが何か仕組んだからだ。

などなど、そんな出来事を突き詰めていくと行き当たるらしいです。

所謂現実乖離症候群の一種で、全能感、あるいはその全く対極に位置する者に、いや、前言撤回。後者はただの現実逃避ですね。に、起こりやすいそうです。

もしそんなことを、誰かから急に言われたなら、あなたはどう反応するでしょう?

 

元々知っていれば、本気にしているのか?と、茶化しますか?

あまり真に受けるなよ、と、励ましますか?

逆にその時初めて聞いたなら、え?本当に?と興味を持ちますか?

何それ怖い!と、自分も真に受けますか?

知っていようと知っていまいと、それとも有りえるはずがないと一笑に付しますか?

 

まあなんにせよ。本気にする人はそんなに多くはないでしょう。

自分が、今立っている足元が今崩れない保証がどこにもないのに、暢気なものです。

 

 

 

「馬鹿な……馬鹿な!そんな馬鹿な!

ありえない……ありえないありえてはならない!

絶対、絶対あってはならなぁああああい!」

 

黒い民族衣装に身を包んだ女が、殆ど叫び出すように手にした本を放り投げた。

人ならざる英霊の力で叩きつけられたそれは、コンクリートの柱にひび跡を作り、バラバラになって散らばった。

静に舞い散る無数のページの内一枚が、民族衣装の女の足元にひらひらと落ちてくる。

それに記された本のタイトルの名前は、『Fate/strange Fake』。

アメリカ合衆国がネバタで執り行われた『偽りの聖杯戦争』を綴った小説である。

 

「何故、何故こんなにもこと細かく!全て記されている!?」

 

今なお喚き続けるこの女、本を粗末にした罰当たりな彼女はアサシンのサーヴァント。

緑陣営の無銘のアーチャーとはまた異なった理由で真名を持ちえない英霊の一人である。

このバトルロワイヤルに呼び出されるまで、

彼女は『偽りの聖杯戦争』という聖杯戦争に参加していたはずだった。

 

そう、まさに支給された6冊の小説に綴られているのとまったく同じ聖杯戦争に参加していたはずであったのだ。

 

生前の狂信ぶりがスキルにまで昇華され、強固な精神力を持つ彼女をもってしても、その内容は衝撃的だった。

何せ、彼女が呼び出された聖杯戦争に関して、彼女どころか、他の参加者全員の記憶を参照し繋げ合わせなければ有りえない精度の情報が記されている。

 

(私は、私はこの物語の登場人物……何もかも、偽物、なのか?)

 

幸か不幸か、最初に飛ばされた場所が本屋だったことも有り、彼女はあらゆる資料を漁った。

自らがついになれなかったハサン・サッバーハに関する資料から、他に呼び出されたサーヴァントたちの出典まで漁り、調べ上げた。

 

(こ、ここはあのアズなる異教徒が用意した場所だ。

なら、ここにある資料も全て、奴に都合のいい物ばかり……本当か?)

 

本来なら気にも留めないはずの小さな疑念が、生々しい音を立てて広がっていく。

支給された本に記された自分の動向は、全て納得がいくものだった。

全てその状況、その条件、そこに居るのが自分なら、ほぼ間違いなくそうするであろう行動だった。

 

それに

 

本来ならば、彼女の狂信スキルを持ってすれば、この程度取るに足らないことの筈だった。

聖杯戦争でもそうだったように、この殺し合いに積極的な者全てを排除し、アズやその仲間たちを血祭りにあげていただろう。

アサシンのサーヴァントととしては、破格の戦闘能力を持つ彼女だが、それ故にこの殺し合いの会場では、その力を大きくそがれる。

それは彼女の宝具、そして……スキルにも及ぶ。

彼女の高すぎる狂信スキルは、悪意の伝道師たるアズから見れば、本当に面白くないスキルである。

故にあまりにも多彩な彼女の宝具の大半を封印すると同時に、あまりに高すぎる狂信スキルを大幅に低下させられていた。

明確に能力が定義されている英霊だからこそ起こりうる悲劇である。

 

「私は、、私は偽物なのか?

この私という存在も、信じた全ても、ハサン・サバーハという称号も……。

一挙手一投足何もかも全てが、紙の上のインクに綴られたことなのか?」

 

繰り返しになるが、彼女はスキルに昇華される程、狂信的な暗殺教団の信徒であった。

故に、何もかもが本当でないと心底理解してしまった彼女は、その場を動けなかった。

 

「……一体なんなんだ?」

 

それは誰に、何に、どこに向けた言葉だっただろうか?

まあ、どこだったとしても、今の彼女に意味はない。

何故なら彼女はファイクションです。

実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

 

 

 

【エリアH-5/本屋/1日目/深夜】

 

【偽アサシン@Fate/strange Fake】

[状態]:健康、精神的疲労(極大)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(偽アサシン)

[参戦時期]:不明、後の書き手に任せます。

[装備]:Fate/strange Fake1~6巻@現実

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:私は“なに”なんだ?

1:何もかもつくりものなのか?

2:全て嘘だったのか?

3:そもそも今ここもなんなんだ?

[備考]

※一体幾つのサバーニーヤが使用可能で、スキルのランクがどの程度低下しているかは後の書き手に任せます。









































































































































































































































































































































まあ、しかしそれでも彼女は本人は、本人だけは一切認めようとしないだろうが、知名度こそ一切無いが、七天の守り手に数えられし、一騎当千、万夫不当の英霊が一騎。
その中でも見てるこちらが恐ろしくなる程の狂信と努力、そしてあまりにも再現に特化した才覚によって、暗殺教団が歴代山の翁の18の御業を習得した狂信者。
しかしオリジナルの業を一つも編み出せなかったゆえに、遂にハサンに至らなかったにもかかわらず、己の未熟以外何も恨まなかった清廉なる信徒。
もし、小指の先程の僅かな物だろうと、光に触れたなら己が心に決意を。
僅かに鼻につく程度で有ろうと、悪に触れたなら己が心に狂気を灯し、すぐに立ち上がって見せる事だろう。



何故なら彼女は、あのアークやアズ共の天敵。
夢に向かって飛んだ者の一人なのだから。




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Shining Star

作者
山田ちゃん

登場キャラ
・孫悟飯@ドラゴンボール


もしも。何らかの幸運で、もしも。

この場に孫悟飯が居たのならば。

鎬を削る二人を見つけることがでたのなら。

彼がその光景を目撃できていたのならば。

果たして、この結果をもたらすことはなかったのだろうか。

 

ああ、それでも。

今、結果はそうならなかった。

 

瓦礫にまみれた廃虚群の一角で立ち尽くす悟飯は、ただ立ち尽くしていた。

きっと彼の瞼の裏には、“あの日の光景”が鮮明に蘇っていただろう。

 

 

「……」

 

ひび割れたビルの壁面、地割れを起こした地面、辺りに散乱する瓦礫。

周囲を見回すと必ずそのどれかが視界に映る。正しく、廃虚群と呼ぶに相応しい空間。

その建造物の多さから、この場所が嘗ては人で賑わう市街地だったと容易に想像がついた。

ならば、なぜこうも荒れ果てたのか、と問われるならば。紛争でも起きたのか、あるいはテロによるものかもしれない、などという意見も飛び交うことだろう。

今にも砕けてしまいそうなビルに残った数多の弾痕や割れた窓ガラスがそれを証明している。

少なくとも、経年劣化による風化である、とは誰一人として思わぬであろう破壊の跡が、随所に散らばっていた。

そんな景色の中に木霊する足音が一つ。

少し触れただけでも崩れ落ちてしまいそうな道路を踏みしめて、淡々と。

道着の少年、孫悟飯は廃虚の中を進んでいた。

 

「…………っ」

 

────長らく、このような感情は忘れていた。

平和である世界で生きるのであれば無用の長物。

ただ母と、弟と幸せな日常を過ごすには不必要な感情。

どろり、と。煮えたぎる熱いものが胸の中になだれ込んでくる。

地球に襲来した”サイヤ人”との戦いで。ナメック星での戦いで。そして、人造人間セルとの戦いで。

嘗て感じた激しい怒りが、今再び悟飯の闘志に激しい火をつけた。

 

名も知らぬ男の仇を取らんと、主催を名乗る女に対する怒りが沸き上がって来ていた。

故に、悟飯が殺し合いに乗ることはない。例えそれがどんなに困難な道のりであっても、立ち向かうだろう。

 

(彼女はどうしてこんな事を……?何か狙いがあるのか……?)

 

ぐぐ、と拳を強く握りしめる。

何もできなかった、という己の不甲斐なさを強く恥じたことの発露であった。

何か自分に出来る事はないか、やれることは、ないのだろうか。

背中に感じる重みが、時を刻むごとに重くなっているような気がして。

背中から道着を伝って染み込んでいく冷たさが、間に合わなかった自分を責めているような気がして。

それから少しでも意識を遠ざけようと、主催を名乗るアズに対して疑念を募らせる。

 

(あの時、アズから気は感じなかった。……まだ人造人間が残っていたのか?それとも、新しく作られたって可能性もあるのか?じゃあ一体誰が、何のために?)

 

始めに疑問を持ったのは、そこだった。

アズ、と名乗った”人造人間”は。もしくは、その創造主が。

何を考えて殺し合いを行ったのか。ということ。

その結論から言えば、彼女の目的は依然として不明である。考えても考えても、情報があまりにも不足している現状では出せる答えにも限りがあるが、しかし。

考えている中で、主催に対して不自然な点が散見された。

 

その中でも主なものは、参加者の選出について。

 

悟飯の父、孫悟空やそのライバルのベジータといった純正のサイヤ人。

悟飯の師、ピッコロといったナメック星人。

悟飯の、そして父と同門であり知り合いであるヤムチャといった地球人。

 

自身の知る四人は、それぞれが卓越した戦闘力を有した、それこそ超人、という枠組みを逸脱した戦士の筈だ。そして、悟飯自身もまた、数多の戦闘経験から裏打ちされた実力を持っている。

 

そんな彼らをわざわざ拉致し、かつ同じ陣営に配置して殺し合わせて。

────果たして、それに何の意味があるのか?

 

わざわざ陣営ごとに参加者を分けたチーム戦、という形で殺し合いをさせる。凡そ、大半の参加者が思い至る疑問の一つであろう。それも、知り合いが全て同じ陣営に配置されている悟飯にとっては他参加者より更に強い違和感を抱いていた。

 

次に、主催を名乗る人造人間、アズについて。

 

レッドリボン軍に、フリーザ軍。

もう、何年も前の話になるか。孫悟飯が地球を守るため、命を懸けて戦った幼年期、少年期。その数々の戦いの中で、時に悪党から恨みを買ったこともあるし、父の代から燻っていた復讐心が結果的に世界の危機を招いたこともあった。

その中でもとりわけ孫悟飯、いや、孫一族に強い恨みを持つ人物であり、この殺し合いに関わりがある悪人。もしも、それが殺し合いに関わりがあるとするならば、一人の名前が浮上する。

人造人間20号、或いは、ドクター・ゲロ。その昔、父である孫悟空が幼子である時から陰で暗躍し続けたマッド・サイエンティストである。数々の人造人間人間の生みの親であった。科学でも、伝説とまで後に謡われた超サイヤ人でも手も足も出させないで完封すらしてのける程の力を持った人造人間の、である。

もしもゲロがアズのような人造人間を作ったのであれば説明はつく。

しかし、既に彼は死んでいると伝え聞いている、が────

 

「ドラゴンボールを使って蘇らせた?いや……」

 

一番の可能性として、思い浮かべたのはそれである。

ドラゴンボール。七つ集めることで、文字どおり『何でも願いが叶う』道具である。それを使えば死者を蘇らせることも造作ではない。アズが提示した陣営勝利における報酬とも一致する。ドラゴンレーダーといった道具があれば収集も可能であるし、仮に実行しようとすれば可能であろう。

 

しかし、この仮説はあっさり崩れた。

それが名簿に記された父、孫悟空の存在である。かつて世界を震撼させた人造人間、セル。彼との死闘の末、最後には悟空が犠牲になることで世界は救われたのだ。

その父の死に、悟飯の慢心があったことは、今でも彼が悔いていることだった。死んだ筈の悟空がこの名簿を見ると、生きていることになっている。これも、ドラゴンボールによって叶えることは可能だ。だが、言い換えればドラゴンボールでしか生き返らせられないことがネックである。

そう、この時点で殺し合い開始までに二度もドラゴンボールを使用したことになるのだ。それだけならば、セルゲームが終わり、平和が続いたこの数年の間ならば可能ではある。もっとも、ベジータやピッコロといった戦士たちの目をかいくぐるのは至難の業であろうが。

 

「それなら、どうやってアズは勝利した陣営の願いを叶えるんだ……?」

 

それが、ドラゴンボール頼みで殺し合いの準備を行ったという仮説を崩す最大の要因だった。

この催しは、まず前提として複数人が生き残る事が可能である。最大で、三十七人。最も数が多い陣営が、もしも幸運にも誰一人かけずに全ての他参加者を殺し切ることができれば、その三十七人が生き残ることが可能である。

そうなってしまえば、どうなるか。アズたち主催は、その三十七人分の願いを叶えねばならない。ドラゴンボールを使用した際に叶えられる願いは一つだけ。もしも、ドラゴンボールを願いの願望機として運用するのであれば、勝者は一人だけ、つまりは最後の一人になるまで戦わせれば済む話しだ。

しかし、アズはそうしなかった。つまりは、多数の参加者の願いを一度に叶える術がある、ということになるのだ。

そんなものは少なくとも悟飯が知る限りは存在しない。あのナメック星の神龍、ポルンガでさえ、三つが限度である。これらの点から、この殺し合いにドラゴンボールはそれほど関わりがないのではないか、という結論に至る。

つまりはアズの製造元も別、ドクター・ゲロとは別の、ドラゴンボールの存在を感知していない存在であるということになる。

しかし、その手がかりはある。未だ何もできてはいないが、この手掛かりを更に調べて行けば────

 

──と。そこまで考えて。ぷつり、と。

拳を握りすぎたことによる出血で、現実に引き戻された。

ぷっくりと膨らむ鮮やかな赤色が手を伝い、染めていき。

そのさらに、上。背中から道着を伝い、腕から流れ出る濃い青色が混ざり合う。

溢れる血液の奔流のように、悟飯の脳には現実がなだれ込んでくる。

どうやら、目的地には到着したようだった。

今までのコンクリートの冷たく、砕けて悪い足場から一転して、柔らかい感触だった。

廃墟群の中心にぽつねんと配置された公園。

……今は爆撃が直撃したとでもいうのか、地面がえぐれ土がぶちまけられていたのだが。悟飯が殺し合い会場に転送された、いわばスタート地点である。

その地面に、今まで背負っていたものをゆっくりと、丁寧に置いた。

 

下半分、人間においての下半身ともいえる部分は砕け。

上半分も、首が切断されていて、そこからどくどくと液体が流れ出ている。

残った首は、既に地面に安置されていた。この前の往復で悟飯が運んできたもの。

悟飯が運んでいたものは、どうやら人の形をしているらしかった。

 

ヒトガタのそれは、まごう事なき死体であった。

ヒトガタのそれは、完膚なきまでに破壊されていた。

ヒトガタのそれは、あるべき人間の姿を逸脱していた。

 

下半身と首の切断面から流れる液体、即ち血液。その代わりに、冷却液だろうか、青色の液体がどくどくと流れていて。

下半身と首の切断面から覗いている導線や機械からはぱちぱちと漏電していて。

 

それは、”人造人間”だった。

見たこともない、けれど、確かに数刻前には生きていた。

孫悟飯の知らないその人造人間、ヒューマギアの名を、雷といった。

 

考察を重ね、誤魔化そうと、もしかしたら、逃げようとしていた現実が問いかける。

重い。

冷たい。

身体中が、冷たく凍り付いてしまいそうだった。

 

守れなかった。救えなかった。

もしも僕がもっと強かったら。

もしも僕がもっと早かったら。

 

『オ.......オレの好きだった、自然や動物たちを.......ま.....守ってやってくれ……。』

 

あの時も、そうだった。

あの時から、僕は変われていない。

 

 

孫悟飯がこの殺し合いに転送され、始めて聞いた音は、甲高い金属音だった。

デイパックを漁り、折られた紙から突如として現れた支給品に驚きつつも確認を終え。

名簿を見て、父や師匠といった所縁ある人物の名前を確認し、驚きと共に、不謹慎なのだろうが、ほんの少し心強さを覚えた直後のこと。

 

何か、重く鋭いその音が遠方より響き渡って来たのだ。

 

悟飯は、肉弾戦────つまりは、拳と拳がぶつかり合う殴り合いといった戦いを経験してきた。サイヤ人を始めとする超戦士たちにとっては己の肉体こそが最大の武器であり、そこに刀や銃といった武器が介在する余地はない。

故に、それが刃と刃を打ち合わせる音だと気付くのが遅れた。悟飯がそれに気付いたのは、響く音が連なり、連打(ラッシュ)の体を成している瞬間であった。

参加者同士の交戦、それも大分激化している状況であるとようやく察した悟飯は、即刻向かおうとした。

舞空術、という移動手段を持つ悟飯にとって、入り組んだ廃墟群を超えるなど造作もない。

が、結果としては、間に合わなかった。もしかしたら、距離があったのかもしれない。それこそ、始めから間に合わないと決まっているくらいには。

 

それでも、悟飯が首を切断されたその死体を見た時には、自分の責任であると感じた。

それが、全てだった。

 

「ごめんなさい、僕はあなたに何もできなかった……」

 

哀れ首無しとなった雷の死体。その周囲には、色とりどりの美しい花々が咲き誇っていた。

先ほどまでは散乱していた土しかない空間に、である。

人とは異なるサイヤ人の身であっても不可能に近い奇跡が、そこにはあった。

悟飯は、見開いた目をした雷の首の瞼を優しく閉じた。

その姿を見つめるもう一つの人影。

 

それは、余人の目が眩む程の輝きを放っていた。暗闇に包まれた世界で、荒れ果てた荒野を照らす道標のような光。

それは、悟飯の傍に立っていた。まるで、主の傍について回る使用人のようでもあり、彼の背後に取り憑いた背後霊のようでもあり、しかしそのどれでもなかった。

見るがいい、この光を。美しき生命の具現のような、まばゆくも暖かい光を。如何なる手段を用いようとも天才秀才が束になろうが、黄金のようだ、と諸人の身体に体験として刻むこの輝きを生み出せるものか。死者、亡霊であってもあり得はしない。既に命を失い、執着するように現世に縛られ生を妬む者共が生を与え、司る力を持ちうるはずも無い。

 

「────ゴールド・エクスペリエンス」

 

故に、先祖がその末裔を暖かく見守る守護霊のように佇むそれを、彼らはこう呼んだ。

故に、『守護霊』にして『傍に立つ者』であるそれを、彼らはそう呼んだ。

精神の具現、『スタンド』と。支給品、スタンドDISCによる代物である。

体躯全てが金色で染められたスタンド、ゴールド・エクスペリエンスは、公園の土に向けて屈み、手をかざした。その様は、まるで手を差し伸べ救いを与える聖者のようであった。たったの一動作のみで雷の遺骸の付近に数多の生命が生まれ、みるみるうちに人々の目を引くであろう美しい花畑が形成されていく。

 

「あなたが16号さんのように自然を愛していたかはどうかわかりませんが……せめて、僕にこれくらいはさせてください」

 

沈んだ声で言いながら、穴を掘る。雷のための、墓穴であった。

ただの自己満足、ただのエゴ。悟飯がこの状況で行った行為は結局のところそれだけに過ぎない。雷は既に死んでいて、その下手人は依然として不明である。そんな状況で実利を伴わない行為に意味があるのか。果たして、それは正しい行為なのか、今この瞬間にすべき行為か、と言われると、きっとそれは違う。

未だ生き残っている、そして悟飯の手によって殺人者から守れるかもしれない参加者は確かに存在していて。

 

その上で。

その上で、もしも雷が生きていたのなら。

その上で、もしも迅がこの場にいたのなら。

その上で、もしも滅が、亡が、この光景を目の当たりにしたならば。

 

もしかしたら、彼らにとっての救いになったのかもしれない。

もしかしたら、何も変わらないかもしれない。

それでも、結果がどうあれ、悟飯の行ったその行為は、彼らヒューマギアを人間として対等に接したことの証左ではあるまいか。ヒューマギアという機械仕掛けの人形に命を見出していることの証左ではあるまいか。

それに、きっと悟飯自身はこの行為を『無駄』であると捉えていない。彼なりに失われた命と向き合い、闘志に変えるための儀式でもあった。

この場に転がる一つの命を奪った下手人への怒りに転化させるための儀式であった。

そんな、見ず知らずの命を尊び、見ず知らずの命のために戦える悟飯だからこそ。

失った者の意志を無為にさせんと奮闘する悟飯だからこそ。

黄金の意志は、ジョースターの運命は、悟飯の下に舞い込んで来たのかもしれない。

 

 

冷たい、一陣の風が廃墟群に流れていた。身を寄せ合うようにしてひしめき合う花弁が、ゆらゆらと風圧に押されてなびいて行く。赤、青、黄、紫、白、といった具合に様々な色が混成した花畑は、虹色のようなグラデーションともまた違った趣を見せていた。自身の存在を主張する風に各々の色が鮮やかに、そして美しく咲き誇っている光景には、その一つ一つに目移りしてしまいそうになる。

しかし、この場においてはそれらを差し置いて目を引くものがあった。花畑の中心にある、盛り上がった土。その部分には花もなく、何の変哲もない茶色だけ。

雷が、埋められた場所であった。その事実を知った者は、荒れ果てた廃墟群のオアシスじみた、ある種違和感すら感じる光景の意味に気づかされるのだろう。この溢れんばかりの美を内包した花畑は、死する雷の胸中にあった無念に寄り添うために、あるいは最期まで抗い、自身を殺した下手人にまで向き合った彼を労わるために、咲いているのだと。

 

「……そろそろ、僕は行きます。まだ、やらなければならないことがありますから」

 

この花畑を生み出した本人、孫悟飯は言った。殺し合いが始まった当初とは大違いの、明るい声だった。佐藤太郎に雷。彼らの死を吹っ切り、再び戦士として立ち上がった青年の声だった。

 

悟飯の言う通り、彼にはやらなければならないことがある。

アズ、と呼ばれた人造人間について、だ。悟飯が感じた参加者の選出に対する疑問、それを最たるものにした原因が、人間も視認できる彼らヒューマギア独自の部分であった。人間にとっての耳の部分。ヒューマギアモジュールが、雷とアズに共通するところだ。つまりは、アズと同種の人造人間がこの殺し合いのどこかにまだいる可能性がある。もしかしたら、そこから彼らの製造元を知ることもできるかもしれない。当然、同じくこの殺し合いに巻き込まれた仲間たちや父と合流したかった。さらにはこの近辺に、雷を殺した犯人が潜んでいる可能性も、高い。さらには、悟飯に支給されたこのスタンド、とやらに対する情報を集める必要もあった。

故に、早急に他参加者との接触が必要であるのだ。

 

青色の冷却液に塗れた背を向けて、悟飯は前への一歩を踏み出し始めた。

そんな悟飯を星が煌めく夜空が照らしていた。

 

 




【エリアC-8/1日目/深夜】

【孫悟飯@ドラゴンボール】
[状態]:健康
[服装]:道着(背中が冷却液で汚れている)
[所属陣営]:青
[メダル枚数]:1枚(孫悟飯)
[参戦時期]:少なくともセルゲーム以降~オレンジスターハイスクールに通う前
[装備]:ゴールド・エクスペリエンスのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~2
[思考]
基本:アズを倒す。なるべく犠牲は出したくない。
1:他の参加者を探す。優先順位はヒューマギア(名前は知らない)=雷を殺した犯人(鳴上)>仲間
2:雷はなぜ死んだのかの真相が知りたい。


[備考]
※舞空術は短時間での消費は少なく長時間になればなるほど大幅に気を消費します。
※雷の首輪をどうしたのかは後続の書き手にお任せします。


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裏切り者のラプソディ

作者
・ユッケジャン

登場キャラ
・サーレー@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
・アクセルRO@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
・書き手枠@チェンソーマン


「殺し合いねぇ…死人にどうやって殺しあえってんだか。」

 

鬱蒼とした森に佇む一人の若者。

ローマのチンピラ、サーレーは独りごちる。

潮の香りに満ちた陰鬱な倉庫で暗殺任務をしくじって。

惨めったらしく生を終えたと思えば、

いつの間にか死に場所とは真逆の薄暗い森の中。

 

自分はキリスト教徒でも何でもない無神論者だ。

故に欠片も信じちゃいなかったが、ここが噂に聞くあの世なのだろうか。

善人は見目麗しい天使に連れられて、お花畑にご案内してもらえるらしいが。

残念ながらギャングにはそれに見合った善行など積めやしない。

 

とすれば考えられるのは地獄。

屍人を首輪で飼いならして、古代ローマの剣闘士もかくやの殺し合い。

性悪な刑執行人の悪趣味な刑罰と言われれば納得だ。

だが、生還すればどんな願いも叶える権利が与えられると言う報償。

これは地獄にしては寛大が過ぎる。天国と呼ぶには余りにも血生臭いが。

神様は殺戮ショーがお好きなどど、敬虔な宗教家も腰を抜かす真実だろう。

 

(…なんて冗談は置いといて。

 もし俺が死人だってんなら『コレ』はなんなんだ?)

 

今でも鮮明に思い出せる死の瞬間。

我ながら呆れてしまう、冷静さの喪失した破れかぶれの特攻の果て。

まじまじと見せつけられた物体はまさに胸中で脈動している。

肉々しい質感、ピンクと赤の中間の色、引き締まった丸っこい塊。

生命活動の根源たる心臓の復活。

これこそ、ここが現世である何よりの証明と言えるだろう。

 

「現実味が全然ねぇが、それが逆に現実味を与えてやがる。…面白れーもんだぜ。」

 

眉唾物の優勝景品。

普通なら鼻で嗤って終わりだ。

しかしその眉唾物の所業の結果、こうして生を享受できている。

言うなれば生き証人だ。信用度が跳ね上がるのは当然の帰結。

参加者に死者と生者を混ぜる。

双方に荒唐無稽な景品の実在を信じさせるには、正に打ってつけの手。

そして、自ら奇跡を体験してしまったからこそ。

その神の御業染みた力に縋りたくなってしまうのもまた、無理もない話だった。

 

「今までとは比べ物になんねぇ程でけぇヤマ…。

 いいねぇ…最ッ高じゃねぇの!やる気と希望がムンムン湧いてくるってもんだ!」

 

幾度も与えられたチャンスを不意にしてきた。

一度目はカプリ島での遺産争奪戦。

二度目はでのヴィッラ・サン・ジョヴァンニでの暗殺任務。

一発逆転を夢見て突き進み続け。

その度、ツキに見放され、落ちぶれ、挙句命さえも失った。

 

これは人のルールから逸脱した掟破りの延長戦。三度目の正直だ。

内容も最後を飾るに相応しい。

危険も利益も今までの比ではないハイリスクハイリターン。

成功すれば、汚名返上だとか、幹部昇格だとかチマチマした段階を踏まず。

一気にショートカットして、組織の頂点に君臨できる。

だが、負ければ今度こそ冗談抜きで地獄行き。

四度目の挑戦権をくれる程、運命の女神は優しくなどないだろう。

 

夢への情熱で燃え滾るのと同時に冷静さを忘れてはいない。

心臓の次いでにクリーニングされた綺麗な脳で今後の動向を思案する。

ただ殺しまくれば良いわけではなく、最終的に生存してなくては願いを叶えられない。

行き当たりばったりでは直ぐに途中退場だ。報酬獲得までこぎつけられなくなる。

 

「だからなるべく隠れておきてーんだが、そうもいかねぇんだよなぁ~。」

 

この殺し合いは個人戦では無く、団体戦。

本来なら何処か適当な場所で籠城して数が減るのを待ち、

漁夫の利を狙いに行く所だが、そういった真似はしにくい。

同じ考えの怠け者が多ければ多いほど、チーム全体が不利になって行くからだ。

如何に味方と合流しつつ、敵陣営を各個撃破していくか。これがゲームの肝となるだろう。

幸い、選別基準は不明だが、所属陣営である赤陣営は他に比べて人数が多い。

何か他の面で釣り合いを取っているのかもしれないが頭数の多さは大きな利点。

一歩リードした状態を維持すべく、今すぐにでも同陣営との合流を急ぎたい所…なのだが。

 

「全く面倒な連中がいたもんだぜ…。

 しかも同じ陣営とか、俺への当てつけかよ。」

 

不安要素を思い出し、ぼやきが零れる。

最初に確認した名簿。その先頭付近に並ぶ知り合いの名前。

長年の相棒や自分らと同じく組織内で崖っぷちに立たされている連中。

そして問題の不穏分子、己の殺した憎き仇、麻薬チームの名が其処にはあった

 

奴らは数多のギャングが追い求めた数百億を超える莫大な利益の源泉。

しかしその実態は本人らもどっぷり麻薬に嵌ったジャンキーの集まり。

その癖、身の丈に合わない強力な能力を持っているのだから更に始末が悪い。

正に無秩序が服を着て歩いてる様な連中だ。

それを結束がモノをいうチーム戦に御招待したらどうなるか。

禁断症状を引き起こし、敵味方構わず害を振りまくのは想像に難くない。

運営のお情けにより、彼らも正常になってる可能性も無くはないが、

元より生粋の麻薬中毒者。治った所で人格に期待など出来まい。

こんな爆弾を抱えていては、人数の優劣など大したアドバンテージに成り得ない。

他の陣営にもこいつらの様な爆弾が存在してる事を願うばかりである。

 

「まっ、実害が出る前にとっとと駆除しちまうのが先決だな。」

 

味方との合流と麻薬チームの排除。

一先ず主な方針としてはこの二つだ。

仲間はなるべく御し易く、排除はなるべく他陣営にやらせるのが望ましい。

出会いを求めて歩き出した。

 

『人ハ何カヲ捨テテ前ヘ進ム…ソレトモ『拾ッテ帰ルカ』?』

 

不意に出される奇妙な問いかけ。

未知との遭遇にサーレーの足が自然と止まる。

頭部は大小の円盤、全身をジャンクパーツで構成した様なメカニカルな怪人。

生命エネルギーが創り出すパワー持ったヴィジョン、スタンド。

サーレー自身もスタンドを持ち合わせているが故に、外見の異様さに驚きはない。

問題なのは、目の前のスタンドが敵であるとかどうか、にある。

味方であるならば態々警戒されるスタンドで出る必要はない。

すなわち、敵だ。ならば思考は敵の分析へと移る。

 

(俺のスタンドが幾ら面と向かってりゃ、敵なしってもよぉ…

 ここまで近づけちまったのはちょいとばかしヤベェかもな。)

 

本体が傍にいない以上は自身と同じ近距離パワー型の可能性は低い。

奇襲も仕掛けず、わざわざ話しかけてきた事を鑑みるならば、遠距離操作型と考えるのが妥当。

大抵遠距離タイプが姿を現したなら、既に攻撃は完了している場合が多い。

状況を打破するには本体を叩く他ないが、距離を取れるのに顔を出すアホなどいない。

テリトリーに入った獲物を何処か遠くで悠々と観察しているはずだ。

 

「って推理してたのによ~、拍子抜けもいいとこだぜ。」

 

だが、組み立て始めた敵の分析は脆くも崩れ去る。

 

「なんだって出て来てんだ?オマエ。」

 

「………………」

 

木の陰から顔を見せた『本体』の登場によって。

 

迷彩柄のヘルメットに柳色に統一された衣装。

如何にも森林に溶け込みやすそうな恰好。さながら戦地帰りの軍人だ。

周囲の自然に紛れて同化していれば、発見にはさぞ苦戦しただろうに。

こうして姿晒してしまった以上、衣服の趣向は完全に無駄と化してしまっていた。

 

「随分と自信たっぷりだなぁ、軍人さんよ。もうテメェの勝ちが決まってるからか?

 えぇ?わざわざ親切に顔出してくれるなんてサービスかましてくれんのは。

 まさかテメーのスタンドの利点も知らねぇ間抜け野郎だとは滑稽過ぎて考えたくねぇからな。」

 

「私がこうして姿を見せたのは…『公平性』の為だ。」

 

「あぁ?」

 

サーレーは耳を疑った。

アンフェア上等、卑怯上等。

ルールなどあってないに等しい、平等とは無縁の殺し合いにて。

まさかそんな馬鹿馬鹿しい綺麗事が飛び出してくるとは夢にも思わなかった。

 

「『公平(フェア)』に行こう。卑怯さは強さとはならないからな。

 我々が繰り広げるスタンド戦は、例えば自らの弱点を相手に教えるような 

公平(フェア)』さが………精神(スタンド)(パワー)として最大の威力を発揮する。」

 

「私の名はアクセルRO、このスタンドの名はシビル・ウォー。

 能力は相手が過去に捨てた『罪』の残滓を拾い上げ具現化する。

 キミは己の内なる罪と戦い、打ち克つ事は出来るかな?」

 

公平の名の元に淡々と情報を開示していく眼前の敵。

当然鵜呑みなど出来る訳もなく、何らかの思惑を勘ぐりたくなるが、

明かされる情報群をサーレーは出鱈目と断じることは出来なかった。

アクセルROの後ろから感じる強烈な『何か』の気配が疑う事を許さない。

 

いる。

確実に『何か』がそこにいる。

暗がりから此方を覗き、飛び掛かろうとしている存在。

全容は未だ確認できない、それでもいると肌で感じる。

これが俺の捨てた『罪』だと言うのか。

得体の知れない恐怖感に、額からは汗が滲み出ていた。

 

「見えるか?感じるか?それこそが、キミの捨ててきた『罪』だ。

 前もって言っておくが、この罪達から解放される条件は『清潔な水』で清めることだ…

 これは『罠』ではない。持っているならば試してみるといいだろう。」

 

弱点までも懇切丁寧に説明してくる相手に呆れよりも疑問が上回ってきた。

本当だとしたら大間抜けもいいとこだし、罠だとしたら露骨過ぎる。

どう捉えても彼の論理は不利な道へと自分を推し進めてる風にしか見えない。

まさか本当に公平さで力が増すのか?誇り高い精神性がどうだのと、莫迦らしい話だ。

例えそうでも言葉通りならば、クラフト・ワーク負ける要素はないが。

 

「解説どうも軍人さん、参考にさせてもらうよ。

 でもなぁ、俺はあんたみてーに馬鹿正直に説明なんざしねぇぜ?

 文句は言わせねぇぞ。言うのも自由なら言わないのも自由。

 そうでなきゃ『公平(フェア)』じゃねぇからよ…違うか?」

 

「それもいいだろう。互いの持つ権利は最大限尊重されるべきだ。

 だが、君は思い知る事になる。

 小賢しさで満ちた精神では、過去を乗り越え、前に進むなど永遠に叶わないと言う事を」

 

アクセルROは余裕を崩さない。

まるで勝ちを既に確信しているような毅然とした態度にサーレーはむかっ腹が立った。

 

「上等だ…やってやろうじゃねぇか。」

 

説明通りならヤツの攻撃は捨てた罪の具現化

オレの罪とは何だ?ヒトか、モノか、どちらでもない何かか。

なんだって関係ない。具現化した、と言う事に意味がある。

もし『罪』が概念ならば固定など不可能だったろう。

だが、実体をもっているなら固定は可能だ。

 

襲い来る『罪』とやら瞬時に固定し、高潔ぶった軍人を叩きのめす。

裏が無ければそれで終了。あったとしても関係は無い。

先に全身を空中に固定して身動きを取れなくさせる。

大方カウンター狙いなのだろうが、生かさず殺さずのダメージで様子見だ。

他に何か策があったとして、空に磔にされたら一体何が出来る。

精神論などクソの役にも立たない事を敗北を持って証明してやろう。

 

いけ好かない男の鼻っ柱をへし折るべく、サーレーは本体目掛け駆け出し、

 

「行くぜッ!クラフト・ワアァ────うおぉっ!?」

 

「!?」

 

――――――その攻撃は即座に中断させられた。

 

聞きなれない発砲音。

同時に数発の赤光がサーレーへと迫る。

しかし、発射されたのが弾丸ではなく光線だったのが幸いした。

暗闇が支配する世界では、発光物は嫌でもよく目立つ。

辛うじて飛来する光線の軌跡を捉え、スタンドの腕が明後日の方向へと弾き飛ばす。

攻撃動作に移る隙を狙った銃撃に対応しきった技量。

正面戦闘に自信あり、とする自評はチンピラのフカシではない証だ。

 

一間の攻防を終えて、二人は発射予測地点に視線を送る。

アクセルROの立ち位置よりさらに後方。乱入者は逃げずに立っていた。

生え際から耳下へ長く伸びたモミアゲが印象的な強面の男。

黒一色に統一された軍服に似た制服にロングコート。

パリッと仕立てられた外套は羽振りの良さを際立たせる。

 

中でも彼らが最も注目したのは首輪の色。

男の首輪は『青』、そしてアクセルROの色も同じく『青』。

これが何を意味するか、余程のバカでもない限り想像できない者はいないだろう。

 

「…可愛い事してくれんじゃねぇの、えぇッ!?なぁ、アクセル。

 フェアな心がどうとかご高説のたまってたけどよぉーっ、結局のとこは、だ。

 スポーツマン精神なんざそこらの野良犬にでも食わせちまってたみてぇだな?」

 

不自然な能力開示に偶然居合わせた同じ首輪の参加者、そして奇襲。

ここまで要素が同時に揃ってしまえば。

「自分は填められた」という結論に至っても無理は無い。

 

「……公正な勝負で無くなった事は謝罪しよう。

 こうもタイミング悪く仲間内から乱入が入るのは私も予想外だった。」

 

「知りませんでした、だから私は関係ありません、ってか?。

 軍人ですって面してしみったれた政治家みてぇな事言うなよな。

 ホントに公平を気取りてぇっつーんならテメェが責任持ってなんとかしろ。」

 

強気な姿勢に出ているが内心、サーレーは酷く焦っていた。

アクセルROの態度は白々しい演技に見えない。

恐らく味方の乱入は本当に想定外のアクシデントだったのだろう。

だが、信条として良くなかろうと彼が有利になった事には変わりない。

もし心変わりして本当に徒党を組まれて困るのはサーレーの方だ。

二人になっても勝つ自信はある。しかし、多人数相手だ。手痛い損害は避けられない。

こんな序盤でそこまでの消耗するのは不味い。なんとしても一対一の状況を維持すべきだ。

結果、サーレーは自身が小馬鹿にした、フェア精神に命運を賭けるしかなかった。

 

「…分かった。少し待っていてくれ。」

 

サーレーの言葉を受け、アクセルROは乱入者の方へと向かった。

辺りに漂う不気味な圧はなりを潜め、無防備な背を晒して彼は進んでいく。

 

(ここまでするって、マジに言ってたのかよ…チャンスだし後ろから殺っちまうか?

 いや、下手に突くよりかはとんずらした方が賢明か?)

 

会話が終わるのを待つ気などさらさらない。

どこまで行っても相手有利には変わりなく、得体の知れなさも健在だ。

ここでやり合う理由は薄い。ならばここは逃げの一手をと考えた後。

 

「ハァ!?」

 

眼前で繰り広げられたやり取りにサーレーは目を疑った。

 

 

■■■

 

 

「身内がやりあってると思って加勢したが…要らなかったか?」

 

「善意を持って助力してくれた事には感謝する。

 しかしだ。申し訳ないがこの戦い、キミは介入しないで貰いたい。」

 

「何でだ?運よく身内が揃って、相手は一人。逃す手はねぇと思うが。」

 

男の言い分は至極全うである。

意図せず訪れた各個撃破の絶好の機会。

優勝を志す者にとってこれを手放す理由は普通は無い。『普通』ならば、だ。

一見利に思える状況はアクセルROにとっては大きな不利益となる。

彼が果たすべき『目的』に大きな弊害がでてしまうからだ。

 

「私は如何なる時も『公平』を重んじていてね。

 このままキミがいては彼との戦いは平等になり得ない。」

 

「なんだそりゃ…、そんなんで死んだらどうすんだよ。」

 

「利に反する行いだとしても理解してもらいたい。

 ちっぽけな話に聞こえるだろうが、私にとっては重要な意味を持つ。

 タダとは言わない。もし私が勝てばメダルや支給品は全て渡そう。

 そう言ったモノにこだわりはないのでね。どうだろうか?」

 

「…まぁ分かった。そういうなら見物させてもらう。」

 

多少は食ってかかるかと思ったが、意外にも話はあっけなく纏まった。

労力を消費せずに事を進められるならそれでよいと判断したのか。

妙な形状をした銃を弄りながらそのまま後方へと歩き出す。

 

「……ああ、理解してもらえて助かるよ。」

 

素直さに違和感は感じるが、いずれにせよ問題は解消された。

これで心置きなく、目的に向けて活動できる。

アクセルROは答えに満足し、戦いに戻ろうと背を向けた。

 

向けてしまった。

 

<バーストモード>

 

直後、背後から響く電子音。

その音声の意味は知る由もない。

が、行動の意味は理解できる。

引き下がる気などさらさらない。

そう宣言する事と同義である事は。

 

(自分で言ったことももう忘れたのか、鳥頭め。そこまでして殺しがしたいか。)

 

彼の被った紳士の仮面が剝がれ始める。

退く気が無いと言うのならば良いだろう。

シビル・ウォーの領域内で、己が捨てた罪に潰れてもらうまでの話。

とは言え、相手は同陣営。敵ではない。

目的達成が最優先とは言え、後々を考えると再起不能に陥られるのはやはり困る。

決めた、最後に一回だけ忠告を飛ばそう。

それで駄目なら後は自己責任だ。勝手に戦い、勝手に死んでしまえばいい。

そう一方的な考えを纏めながら、苛立ち交じりに抗議を飛ばそうと振り返った。

 

「おい、聞いてなかっ…────」

 

が、彼の言葉は最後まで紡がれる事は無かった。

振り返った先に広がる光景に目を見開く。

 

向けられた銃口の先、

 

男の行動の真意、

 

それらを理解するよりも早く

三発の凶弾が、アクセルROの身体を撃ち抜いた。

 

 

■■■

 

「ハァ!?」

 

「がふっ!!……がっ、なっ…!?」

 

アクセルROの脳裏は一瞬で驚愕と困惑に満たされた。

あまりの出来事に敵対者だった男すら驚きの声を上げている。

無理もない。男の行動は誰の目から見ても正気の沙汰ではない。

互いの首輪の色は青。同陣営の確たる証だ。

二人が敵対する意味は皆無。

どれだけ身内と争おうとも優勝が遠のくだけでしかない。

 

(馬鹿な…何故…!?トチ狂ったのか……!?

 それともルールを理解してないのか、コイツは!?)

 

いや、男は少なくとも敵味方の区別はついていたはず。

ならば、誤射?それもあり得ない。銃口は正確に此方を狙っていた。

ますます意味が分からなくっていく。何故、何故こんなことを…

突如として行われた凶行、その原因を理解しようと考えるが。

壊れた水道管のように溢れ出る鮮血が思考を深める事を許さない。

治療手段も増援も見込めない。程なくすれば、彼はその命を無残にも終えるだろう。

 

(だが、これでいい…いや、これがいい!これがベストっ!

 私を殺すのは誰であっても関係は無い!私の本懐は今果たされるのだッ!)

 

近づく死に対して、アクセルROは内心ほくそ笑んだ。

一見敗北に見えるこの状況こそ彼が思い描いた『目的』だったのだから。

彼のスタンド、『シビル・ウォー』にはサーレーにも語っていない隠された『能力』がある。

条件は本体の死。

相手に殺される事によって、アクセルROは相手の捨てた罪となり蘇生出来る。

自分が生きる為に捨ててきた『罪』を全て相手におっ被せる。と言うおまけ付きで。

 

彼の宿願、

それは過去に犯した『罪』の清算だったのだ。

かつての戦時中。

見張り番の役目を果たさず、大隊の進軍を許し。

結果大勢の町民や仲間を見殺しにした耐え難き罪。

背負うには重すぎる十字架を何としても下ろしたいと言う防衛本能。

ゲスな精神性こそがこの能力を発現させたと言ってもいい。

 

(公平?平等?ああ、オマエたちの言うとおりだとも実にくだらないッ!

 そんなもの路端の犬畜生にでも食わせてしまえ!

 オマエ達が薄汚れた血を垂れ流す時、私は完全に清められる!!

 過去の清算は完遂され、今度こそ人生をやり直せるのだ!)

 

彼にとって死は終わりではなく始まり。

逃げ続けてきた過去を払拭する、唯一の救いなのだ。

流れ出る血も、痛みも救済の喜びの前では甘美なものに代わる。

長年の成就する瞬間を今か今かと心待ちにしていた。

 

「ああ、クソ…やっちまった。」

 

今更我に返ったか?だが、後悔してももう遅い。

己が如何に薄汚れたゴミ野郎であるかを思い知れ。

捨てた罪の重大さを悔やみ、潰れ、そのまま腐り果ててしまえ。

 

「コートが血で汚れた…。折角新調されてたってのによ。」

 

 

 

…………何だそれは?

 

何故返り血で汚れたなどどうでもいい事を気にしている。

 

何故私の横を何事も無かったかの通り過ぎようとしている。

 

何故私の死を「何でもなかったか」のように扱おうとしている!!

 

 

シビル・ウォーの能力は罪悪感をトリガーとする。

僅かばかりでも罪の意識があるならば、相手に捨てられた罪としてアクセルROは蘇生できる。

過去に捨てた罪から逃れたい、解放されたい。

その為に相手は本体である自分を殺そうとする。

『自分可愛さ』に殺人を行うのだ。

そんな心の弱さによって行う殺人は善悪など関係ない。

本来なら敵である相手を殺したとしても、罪悪感が生まれる。

相手に語る精神力が力となる。なんてのは外面を取り繕う為の詭弁だが、

その精神力の無さで生まれる隙こそがこの能力最大の肝となる。

 

しかし、もし相手に一切罪の認識がないのならば、効力は発揮しない。

 

例えば。

常に己を正当化し、

目的の為ならあらゆる行為が許されると

心の底から思っているような人間に対して。

シビル・ウォーは余りにも無力なのだ。

 

男が通り過ぎようとして時に見た双眸を、アクセルROは知っていた。

自分を見ているようで、全く見ていない。

他者を己と同列に扱わないその目を彼は知っていた。

 

因縁の地、ゲティスバーグの教会地下。

薄汚れた不法投棄場で、向けられた目。

いや、果たして。アレが本当に自分へ向けられていたかどうかも怪しい。

案外辺りに散らばるゴミでも見ていたのかもしれない。

"ヤツ"のとっての自分の価値などその程度のものなのだ。

 

ファニー・ヴァレンタイン大統領。

歴代最高の支持率、アメリカ国民の希望の星。

星条旗を背負って立つに相応しい、偉大で、素晴らしい…最低の大統領だ。

 

一アメリカ国民として彼を尊敬していた。

任務を受けた時は自分は信頼されているのだと深い喜びを覚えた。

本来の目的は罪の清算ではあったが、

目的達成後も遺体回収に全力を持って従事したというのに。

 

ヤツは私を射殺した。

正当防衛などと言う薄っぺらな正当化と共に。

大統領はそんなふざけた物言いがまかり通ると本気で思っていたし、事実そうなった。

不条理な論理が成立してしまったからこそ、

私は罪を抱えたまま死に果てて、こんな蟲毒の中にいるのだから。

 

目は口程に物を言う。

あの男の目は大統領と同じだった。

俺がやってる事は一片の曇りなく全てが正しい、そう高々に宣言している目。

恐らく、いや確実に罪悪感の欠片もないだろう。

罪のおっ被せも当然叶わない。

男は罪を背負うことなくこれからものうのうと生きていくはずだ。

 

 

 

ならば…私はどうなる?

 

 

 

イヤだ。

 

 

憶えている。生命が流れ出ていく感覚。

 

 

やめろ。

 

 

あの日味わった通りだ。

 

 

ふざけるな。

 

 

ゲティスバーグの顛末がまた繰り返されようとしている。

 

 

死にたくない。

 

 

この死の先に────救いなどない。

 

 

「あ、く、ま……め……!」

 

 

これは呪詛だ。

人の皮を被ったナニカへ送る言葉は、これ以外に思いつかなった。

少しでも、ほんの少しでも『ヤツ』の心に罪悪感を残すせめてもの呪詛。

既に何の意味もなくなった薄っぺらな言の葉だ。

 

 

「のろわ……れろ……地獄……で……腐り…果て────」

 

 

程なくして、彼は絶命した。

己が背負った『罪』を下ろすことなく。

呪いを与えようとした男の耳に、声が届くこともなく。

 

 

■■■

 

 

 

「嘘だろ…!マジにやりやがったのか…!?」

 

目の前で繰り広げられた背信行為に動揺を隠しきれずにいた。

最初は身内同士で一芝居うっている可能性も考えた。

サーレー自身も銃で撃たれても能力で固定してしまえば即座には死なない。

アクセルか銃使い、どちらかの能力次第では死んだふりだって出来るだろう。

 

しかし、だ。

開き切った瞳孔、ピクリとも動かない四肢、未だ広がり続ける血溜まり。

生者が魂無き抜け殻へと変貌していく有り様は狸寝入りにはとても見えなかった。

これが偽装だったらハリウッドの演技派俳優もビックリだろう。

銃弾が急所を貫通し、止めどなく血を流失させていればスタンドでもどうしようもない。

 

「なぁオマエ…」

 

「動くんじゃねぇ!それ以上近づくんじゃあねーぞ、オイ!」

 

惚けている最中に声を掛けられ、思わずびくりと肩を震わせる。

三下臭い台詞まで飛び出してしてしまい、恥ずかしさでいっぱいだった。

 

「まてまてまて。とりあえず落ち着けよ。

 オマエとやり合う気はねぇ。ほら、銃も捨てる。」

 

酷くあっさりした物言いで両手を上げ、停戦の意志を示す。

凶器である携帯電話型の銃を放り投げ、敵意も感じない。

が、一連の流れを見ている以上は微塵も安心ならない。

このまま男を殴殺したい気もあるが、事の真意は確かめたい。

スタンドを消さないものの一先ずサーレーも会話のテーブルにつく。

 

「あ~と、率直に聞くが……オマエ、プッツンしてんのか?」

 

「人をイカれた殺人鬼みたいに言うんじゃねぇよ…!不愉快だ」

 

眉間に皺が寄り、口調に怒気が籠る。

こんな顔もちゃんと出来るのか。

仏頂面で仲間を射殺した時にはイメージ出来なかった顔だ。

男に人並みの感情があった事に安堵を覚えてしまう自分がいた。

 

「そりゃなぁ~オマエ。普通思うだろうよ。客観的に考えてみろよ。自分の行動を。

 仲間後ろからぶっ殺すなんざギャングでもそうはやらねーぜ。

 麻薬キメ過ぎて頭ぶっ飛んだとか、想像一つして当然だと思うがねぇ。」

 

口ではそう言うものの。

サーレー自身、男が度を越した異常者だとは考えていない。

彼の知るホントにイカれたヤツらはそれこそ目に見えて狂っていると分かる。

麻薬チームがその最たる例だ。

自傷の跡が絶えず、目は血走り、ロクな会話もできない有り様。

それらと比べれば、小奇麗に整った外見に理性ある対話姿勢。

少なくとも外面だけではヤクで頭が飛んでるようにも見えない。

別ベクトルで何処かイカれてることには、違いないのだろうが。

 

「チッ…、何のためにコイツを殺ったと思ってんだ。恩知らずが。

 守ってやった上に旨い話もくれてやろうってのによ。」

 

サーレーの脳に再び疑問符が刻み込まれる。

守ると言ったが、この男は知り合いでも何でもない相手だ。

見ず知らずの他陣営に守られる理由、心当たりなどまるでない。

理由の断片を聞いても尚、男の真意が未だ掴めずにいた。

 

「オレの為?ますます訳分からねぇ。

 頭の中だけで完結してねーで早く教えやがれ!」

 

「テメェが遮ったんだろうが。

 …まぁいい、俺の口から説明するよりか『コレ』で見た方が早ぇ。」

 

そう言ってコートの内側をまさぐり始める男。

武器でも取り出すのかと一瞬身構えるが、懐から出てきたのは共通アイテムのデバイス。

慣れない手つきで端末を操作すると荷物に詰めていた自分の端末が振動し出した。

確認しろと男に首で促され、デバイスを立ち上げる。

するとそこには最初に見た時は無かった謎のアプリが追加されていた。

 

「それ押して、出てきた映像を見ろ。

 そしたら馬鹿でも把握できるはずだ。」

 

「へいへい」

 

高圧的な言い草に腹を立てつつも指示には従う。

アプリをタップすると画面が切り替わり、動画が再生される。

そこに映し出されたのは、

 

 

『―――――――殆どの人にとっては、久しぶりになるかな?』

 

 

殺し合いに招かれた者なら誰もが知っている女だった。

 

 

 

■■■

 

知らない人はいないよね。

そこまで記憶領域が狭い人間は招待いしていないはずだけど…

とりあえずもう一回自己紹介しておこっか。

私は秘密のア~ズちゃん♪

このバトルロワイヤルの進行役だよ。

今、映像を見ている…そう!そこの画面の前のアナタ!

幸運なキミには私からとっておきのプレゼントをあげちゃうよ!

 

このアプリが贈られた人にはなんと…

【裏切者】になる権利が与えられま~す!

 

はい、拍手!パチパチパチ~

 

あ、いきなり裏切者なんて言われても混乱するだろうから、詳しい説明がいるよね?

ルールは後からでも確認できるけど、

この動画は一端末、一回しか流れないからしっかり聞いておくように!

 

裏切り者に与えられた任務は一つ。

それは同陣営の仲間の殺害です。

ノルマは5人。

任務こなした優秀な参加者には超豪華な特典が与えられます。

 

豪華特典、気になるかな?気になるよね?

そ・れ・は、優勝者と同じ、与えられる願いを叶える権利!

どう?少しはやる気になったかな?

 

なんでこんな大盤振る舞いしてくれるのかって?

理由は単純だよ。

私たちは貴方たちの素敵な悪意が見たい。

右も左も、何処を向いても悪意で埋め尽くされた殺し合い。

唯一信頼できるはず仲間達ですら平気で裏切る。

疑心暗鬼に陥った時、人間たちはどんな反応をしてくれるかな?

『恐怖』に呑まれて、泣き叫ぶ?

『憤怒』に任せて、味方を殺す?

『憎悪』を宿して、心を閉ざす?

『絶望』に委ねて、自害する?

『闘争』心や『殺意』に思考を切り替えて、現実逃避?

『希望』を信じて、前を向くってのも悪くないね。

虚勢でしかないちっぽけな希望は更なる悪意へのスパイスになるから!

私たちの予測を超える心躍るような醜い醜い殺し合い。

そんな需要を満たしてくれる人たちに私たちは報償は惜しみません。

つまりは期待してるってことだね!

 

さてと、話が逸れちゃった。

豪華賞品にやる気を滾らせてくれるのは嬉しいけど、いったん落ち着いて。

裏切者として活動する前には、一つ大事な準備があります。

 

それは共犯者選び!

孤軍奮闘も面白いけどそれじゃ大変だろうからね。

裏切者に就任したらまずは自陣営以外の参加者から共犯者を探そう!

パートナーが決まるまではノルマカウントは始まらないから気を付けて。

共犯者が決まるまでは近くの端末にこのアプリを送信できるようにしておきました。

もしこれだ!って人を見つけたらスカウトチャンス!

アピール不足で拒否されても責任は負えないからパートナー選びは慎重に。

もしパートナーが死亡した場合はこの機能が復活するからちゃんとやり方を記憶しておこうね。

 

ここまでは基本的な説明。

ここからは幾つかの注意事項になります。

こっちの方が今後に関わってくる要素が強いから集中して聞いてね?

 

その1、リーダーに関して。

まず最初に、裏切者はリーダーにはなれません。

裏切者に加えて、組織のトップのは流石に不公平。結局途中退場しちゃうわけだし。

首輪爆破の権限も当然無し!殺人は便利な物に頼らず、自分の力で頑張ろう!

 

その2、所属陣営に関して。

裏切者になったら元居た陣営としてはカウントされなくなります。

見た目はそのままだけど、扱いは無所属って事になるから今後不利益を被る事もあるかも。

 

その3、ノルマ未達成時のペナルティ

ノルマは五人だけどどうなるのか、気になってる人もいるんじゃないかな。

万が一所属陣営の生存者がノルマを下回ったらその時点でゲームオーバー、首輪はドカン!

仲間は裏切る、仕事は出来ない。

そんな半端な人間は必要ないからね~。早め早めの行動を心掛けよう!

 

私から伝えられるのはこれ位かな。

あ、最後に裏切者の断り方についてだけ話しておくね。

 

この動画終了後に○と×二つのボタンが表示されます。

喜んでお受けします!って自分に正直な人なら○を。

仲間を裏切るなんて!って正義漢溢れる人なら×を押してください。

〇を選んだ人はその時点でミッションスタート!課題クリア頑張ろう!

×を選んだ場合、このアプリは自動的に削除されます。ペアを探していた人はご愁傷様。

支給品で貰った人は完全に無駄になっちゃった訳だけどそこは自分の選択、って事で諦めて?

 

まぁ、そうは言っても。

このアプリを送られた人間が断るなんてことは早々ないと思うけど…ね。

 

それじゃあ、説明は以上!

キミの悪意ある決断、期待してるよ?

ばいば~い!

 

 

■■■

 

 

「てわけだ。これで分かったろ。

 俺のアタマは至って正常だって事が。」

 

映像が終わるタイミングでかけられた声に意識は画面から男へと移る。

 

裏切者。

成程、これが動機だったならば確かに正常だろう。

この男とアクセルROは仲間同士では無かった。

狩る側と狩られる側の関係だったのだ。

彼の不幸っぷりには同情する。傍にこんな公平の欠片もない存在がいたのだから。

外見だけでは裏切者か否か、全く判断出来ないのだから避けようがない。

一連の流れに納得を覚えつつも、ふと湧いた疑問が一つ。

 

「なぁ、この説明通りならまだ仲間殺してもカウントされねぇんだろ?

 アイツ殺す意味無かったんじゃねぇか?」

 

アズの説明では二人一組にならない限り、スタートラインに立てないと言う。

自分にアプリを送ってきている以上はパートナー選びの最中なのは間違いない。

ならば現状同じ青陣営は純粋な仲間同士。果たして殺す意味はあったのか。

 

「…まぁ正直、もったいなかったとは思ってる。」

 

「マジで無駄死にかよ、アイツ。」

 

「しょうがねぇだろ。必要経費と割り切る他ねぇ。」

 

死体と化した男への同情心がさらに高まった。

さらりと裏切られて、その上何の意味も無いとは乾。

こんな笑い話みてぇな死に方はしたくないものだと肩を竦める。

 

「で、乗るか乗らねぇか、だったな。いいぜ、乗ってやるよ」

 

映像を聞いてる間から決めていた答えを口にする。

迷うことなく画面に浮かぶ〇を押した。

 

確かにデメリットは多い。

ノルマやリミットがある以上は自分の手で動き回るリスクが伴う上。

団体戦の中で、実質個人戦で戦う羽目になるのだ。

もしもバレた時の四面楚歌状態を考えたら身震いしそうになる。

だが、それ以上に光り輝くメリットに心動かされた。

 

「ただ殺しまくるだけで金も地位もなんだって手に入れられる

 本来なら何十、いや何百人殺してもおつりが出るレベルの景品だ

 それが片手で収まる程度でOK?こんなのやらない手はねぇだろ!?

 誰だってそー考えるはずだ!なら、俺もそーするまでの話だぜ!」

 

百戦錬磨の強敵と戦う必要も最後まで生き残り続ける必要も。

チームにいる爆弾相手に一々気を使う必要も無い。

無防備な背を五回撃ち抜く。

たったそれだけで全てがこの手に収まる。

元よりリスクは付き纏う。それが大幅に緩和出来ると言うのだ。

こんなビックチャンスが早々あるものか。

最大の利益を勝ち取る為ならば、殆ど赤の他人の自陣を裏切る事に何の躊躇もない。

 

「……そうか、なら。俺たちは晴れて共犯だ。

 足引っ張るような真似だけはすんじゃねーぞ」

 

「そりゃこっちの台詞だ。

 態度に見合った働きってのを是非とも見せてくれよ?」

 

興奮した態度で語るサーレーとは対照的に。

男はフンと鼻を鳴らして、冷めた物言いで釘を刺す。

握手の一つもなく、喜びを分かち合うでもなく。

殺した相手の支給品漁りに精を出しながら、今後の動きをポツポツと語る。

それが、二人の始まりだった。

 

「裏切者の後輩として、先輩に聞いておきてぇんだけどよ。

 これからどうするとかプランあんのか?」

 

「暫くは穏健派の振りをして機を待つぞ。標的以外でやり合うのは徒労でしかねぇからな。

 首輪が違う奴ら同士で組むんだ。目ざとくなきゃ誤魔化しが効く。」

 

共犯は同陣営のみならず、他陣営の場合も役立つ。

本来なら生殺与奪を握られてる身。逆らう気は微塵もおきないはずだが、

綺麗ごとを抜かし続ける輩も一定数はいるだろう。

そういった甘い集団は入り込みやすい。

陣営の枠を超えて協力しあう。と言う前提を意図せず達成している裏切り者ならば。

乗り気な参加者ならまず在り得ないだろう。所属陣営がいるのに敵と組むなど。

そんな固定概念が味方する限り、紛れ込むのもノルマを稼ぐのも楽勝だ。

 

「しっかし、ギャングが正義の味方面とは笑えるぜ。

 ま、テメーのモミアゲはちびっこ受けしそうだけどな。」

 

「人様のスタイルにケチ付ける前に。

 テメェはチンピラが板についた態度を少しでも何とかする努力をしろ。

 仕草に品がねぇと初対面の印象に関わるからな。」

 

一々物言いが鼻につく野郎だ。

明らかに此方を見下している態度も癪に障る。

だが、利用価値は大いにあるし、旨い話をくれた恩もある。

殺しへの躊躇の無さは殺し合いでは最大の強みだ。

向こうは駒として扱ってるようだが、所詮は身内を裏切るような性格。

気分の良いものを期待する方が馬鹿と言うものだ。

ならば、気兼ねなくこちらも利用させてもらおう。

 

(ああ、そういえば。アイツどうすっかなぁ。)

 

共犯と言う話で思い出した。

元々の相方、ズッケェロについてだ。

麻薬チームに手酷くやられていたはずだが、一体どうしているだろうか。

俺と同じく脳を直してもらっているなら心配は無い。

アイツのスタンド、ソフトマシーンは隠れて殺るのが専売特許。

こと隠密においては一級品、調子に乗った真似さえしなけりゃ上手く生きていけるだろう。

 

しかし、今の俺は裏切者。

赤陣営である以上は、ズッケェロも例外なくターゲットの一人。

とは言え、敵対関係になったとしても、ここまでつるんできた間柄。

そんな相手を後ろからブスリってのは少し憚られる。

もし見つけたとしてもその時は見逃す事にしよう。

 

(ま、それでも…あと一人ってとこで出くわしたらそん時は殺しちまうか。)

 

これも全ては成り上がりの為。

あと一歩で夢に手が届くって時に見逃す手はない。

野望の前では情など不要。紙屑吹き飛ばすのように消し去れる。

きっと同じ立場ならズッケェロもそう考える。

なんなら人数関係なく刺してきそうで怖いくらいだ。

それでも、長年共に悪さやってきたよしみ。

もし願いを叶え、富を得た暁には立派な墓の一つでも建ててやろう。

世界一美しいと評判のアマルフィの海岸が一望できる丘がいいか?

いや、それとも故郷のローマに埋めてやるのがいいだろうか?

アイツがふるさとにノスタルジーを感じるタイプだったか、覚えちゃいないが。

 

 

■■■

 

ヘラヘラとした三下臭さの抜けない態度に辟易する。

相方選びに失敗したか?と後悔したが、直ぐに仕方がないと割り切った。

なにせ共犯を作らないとアプリはカウントを始めてくれない。

早く開始しなくては刻一刻と対象人数が減っていく。

なので、ある程度の許容は必要だ。

 

とは言っても、戦力としては悪くはない。

裏切り行為に対して深い忌避感を示さず。

悪魔らしき戦力を有し、不意打ちにも対応できる力量もある。

共同戦線を張る相方として及第点位はやってもいい。

だが、コイツと真に打ち解けることは永遠に無い。

 

何故なら、俺とヤツとでは殺し合いに賭ける動機の格が違うからだ。

 

承諾の時に聞いてもいねぇ展望をくっちゃべっていたが。

やれ金だのやれ地位だの。

俗欲に塗れたちっぽけな価値観で生きてやがる。

如何にも学の無いチンピラの考えそうな浅はかな夢だ。

比べて、俺は俗欲で戦う奴らとはレベルが違う。

亡き祖父を生き返らせると言う大義を持って戦っているのだから。

 

爺ちゃんはそれはそれは素晴らしい人格者だった。

俺の家族は裏稼業、いわゆるヤクザをやっている。

ヤクザと聞くと一般人はあまり良い印象は持たないかもしれない。

だが、爺ちゃんは必要悪。寧ろ正義と呼ぶべき存在だ。

俺たちの組が街で幅を利かせる事で外敵の侵入をしにくくし、

ロシアや中国、海外から来るヤベェマフィアから街を守る役割を果たしている。

 

爺ちゃんのすばらしさは仕事だけじゃない。人としても最高だ。

江戸っ子気質で誰からも愛されていて、女子供も数える程しか殺した事がない。

親に内緒で(ヤク)を売った金で好きな物なんでも買ってくれる。

カッコよくて、ちょっと孫煩悩なところもある、そんな世界一優しい爺ちゃんが大好きだった。

 

最愛の家族を生き返らせたいと思うのは遺族として当たり前だ。

それに社会全体の視点から考慮しても爺ちゃんは価値ある存在。

横にいるチンピラ程度の命なら何十、何百交換したって足りない。

生き返るべき人を助ける為に俺は確実性のある道を選択した。

 

勿論、裏切りに思う所がないわけではない。

大した間柄でも無いとはいえ、仲間を背後から騙し討つのだ。

常識的な感性を持っている人間なら罪悪感を感じて当然だろう。

俺は肉体は悪魔と化してしまっても心まで悪魔になった覚えはない。

敵の人質になった仲間を敵ごと斬り殺す時なんかは葛藤したし。

先程軍人風の男を撃ち殺した時は………申し訳なさでいっぱいになった。

恐らくこの殺し合いから脱出した後はしばらく寝不足になるだろう。

罪を自覚し、業を背負う良識が、悪夢に苦しみ、誹りを受ける覚悟が、俺にはある。

 

(そうだ。俺はアイツとは違ぇ。心まで悪魔になったクズとはな)

 

デンジ。

元ゴミ溜め住みのド底辺。

大恩あるはずの爺ちゃんを殺した恩知らずにして正真正銘の悪魔。

低学歴故の倫理に欠けた思考から繰り出される鬼畜の所業の数々。

極悪非道、暴虐無人、厚顔無恥。

例えようとしたらキリがない。邪悪を地で行く憎むべき仇。

 

ああ、いつ思い返しても腸が煮えくり返る。

あのバカに一杯食わされて、高学歴の俺が敗北したと言う事実。

敗北後にされた"アレ"を思い出す度、『タマ』が縮み上がってしまう己の情けなさも含めて。

 

あんなクズ、生かしておいて良い訳がない。

この殺し合いにおいてもそうだ。

きっと欲望のままに参加者を殺戮しまくってるに決まっている。

善人は天寿を全うし、社会のゴミは地獄へ行く。

これこそ正しい世の在り方。このまま間違いがまかり通っていいはずがない。

 

ここは銃の魔人なんてとんでもねぇのが跋扈してる戦場だ。

出来る事なら早いとこ脱出しちまいたい。

だが、殺害ノルマには必ずデンジを含む。これは決定事項だ。

感情で物を考えて動くなどそれこそ馬鹿がやる事だろうが、こればかりは譲れない。

何より爺ちゃんも復讐を望んでいるはずだ。あの人なら必ず俺に言ってくれる。

逃げる事は許さないと。

 

「デンジ、テメェはあの世から爺ちゃん連れ戻す為の渡し賃だ。

 俺が殺しに行くまで、死ぬんじゃねぇぞ。」

 

 

 




【エリアI-7/1日目/深夜】


【サーレー@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(サーレー)
[参戦時期]:死亡後
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×3、
    特殊アプリ裏切者:カウント0/5(デバイス)@ロワオリジナル
[思考]
基本:願いを叶え、富と地位を得て今度こそ成り上がる。
1:対主催を演じ、無駄な争いを極力避けつつ、ノルマをこなす。
2:復讐したい気持ちはあるが、麻薬チームにはあまり近寄りたくない
3:ズッケェロは放っておくが、ラスイチで見つけたら殺す
[備考]


【サムライソード@チェンソーマン】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]: 青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(サムライソード)
[参戦時期]:最強の大会~公安連行の間
[装備]:ファイズフォンX@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品一式、ファイズライドウォッチ@仮面ライダージオウ、
    特殊アプリ裏切者:カウント0/5(デバイス)@ロワオリジナル
ランダム支給品×0~1
[思考]
基本:願いを叶え、爺ちゃんを生き返らせる
1:デンジは必ず殺す。復讐を完遂せず脱出は出来ない。
2:対主催を演じ、無駄な争いを極力避けつつ、ノルマをこなす。
3:銃の魔人には最大級の警戒。関わりあいは避けたい。
[備考]
ファイズフォンXとファイズライドウォッチは一セット扱いです。
刀の悪魔としての制限は後続の書き手様にお任せします。



全体備考
・アクセルROから回収した支給品の分配内訳は後続の書き手様にお任せします。

特殊アプリ:裏切者

・説明
①単独では意味がなく、ペアでのみ効力を発揮する。
②近くにいる自陣営以外の参加者にアプリを共有し、ペア承認する事で起動。
 (拒否も可、その場合受信側のアプリは削除される)
③アプリ所持者は同陣営の参加者殺害ノルマを課せられる。人数はそれぞれ5名ずつ。
④ノルマを達成した時、裏切者は優勝者同様願いを叶える権利が与えられ、途中退場可。
⑤相方がいなくなった場合、残った裏切者は新しい裏切者を一人選ぶことが出来る。
 (選択条件は②と同様)
⑥このアプリはチャットアプリ同様、複数支給される可能性がある。(ルール上記載はない)

・デメリット
 ①リーダー就任資格の剥奪。
 ②陣営は無所属扱いとなり、元の陣営としてカウントされなくなる。(名簿上はそのまま)
 ③元所属陣営が五人未満となりノルマ達成不可となった場合、強制的に首輪爆破
 ④第一回放送時、裏切者の存在が全体に通知される。(現状裏切者に開示されない隠しルール)


アクセルRO@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run 死亡

【全体人数 残り140/150人】【漫画陣営 残り27/28人】


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Behind The Black Curtain

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・アズ@仮面ライダーゼロワン
・宮本輝之輔@ジョジョの奇妙な冒険
・????・?・?????@Fate/?????
・?????@?????????
・???@??????・?????


彼女かい?ああ、大丈夫だ。

今はきっと薄すらぼんやりと夢を見ているような感覚さ。

覚醒しきることは有りえない。

そう書きこんだDISCを装備させたからね。

同時に装備させた『マン・イン・ザ・ミラーのDISC』は問題なく機能している。

あとは彼女を『装置化』するだけだ。

誰を引きずり込むとか、引きずり込まないとかは、その都度DISCで命令すれば……いや、

入口とはまた別の鏡を設置しておけば彼の力を借りて出入りできるだろう。

勿論、そうしてしまうと、細かい調整を諸々舞台装置に繋いだ後にも、

彼らに任せなければならない。

だがまあ、参加者個々人の制限の方は、一度ゲームが始まれば調整も何もないから問題ないと言えば無いな。

あの世界……仮に『バトル・ロワイアルの世界』と呼ぼうか。の科学者たちは大変優秀だ。

首輪も殆ど彼らが造ったのだろう?

量産の件は君のベルトや、改造した飛電ゼロワンドライバーを使えば問題ない。

あとは会場設営だが、これもヒューマギアを使えばいい。

アークの仮面ライダーとなった君なら造作もない事の筈さ。

汝の道に祝福を。彼の者の罪が裁かれるのは、もうすぐだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奴との出会いは突然だった。

急になにも無かったはずの場所から現れた奴は、自分の手を取りこういった。

 

『お前の目的を最短で叶える手がかりを教えよう。

代わりに俺の目的を果たす手伝いをしてくれないか?』

 

そう言う奴からは、濃すぎるほどの黒い気配がしていた。

盲目的なまでの攻撃性に、偏執的なまでの加虐性、自滅的なまでに果てなき憎悪。

それらすべてが同居してると直感的に理解出来た。

 

その手を取るのに迷いは無かった。

何故ならそいつはいかにも観察し甲斐がある/最も必要な/自分とよく似た悪意を持っていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血しぶき舞い踊り、破壊音に合わせて断末魔が歌になる災悪のバトルロワイヤル。

たった今、150人の参加者たちが殺し合う会場とは、また別の悪意が満ちる場所、

参加者たちがまだその存在にすら気付けているかすら怪しい隔絶された空間にて。

 

「~~~♪」

 

宮本輝之輔はクリスマスプレゼントを前にした子供みたいに鼻歌交じりに廊下を歩いていた。

『お楽しみ』が今から待ちきれないといった様子である。

当然だろう。

この男は人間の恐怖の観察にこそ最大の愉悦を覚える気色悪い邪悪である。

その観察の邪魔をされないために、殺人鬼とそれを肯定する親に協力するくらいのゴミ野郎である。

例えば誰かの記憶から消えることが確定した雪ノ下雪乃の仮面の下を想像するだけで、白米十杯は行けるだろう。

そんな生理的に気持ち悪いタイプの下衆である彼からすれば、このバトルロワイヤルはどんな見世物より面白いショーである。

正史において、東方仗助に無機物と融合され、半永久的に観察以外何もできなくされたのも頷ける。

 

「あら、意外ね。あなたはずっとモニターに齧りついてると思ってたのに」

 

そんな彼にごくごく普通に話しかけられる者など、この女、

人類滅亡の結論を下した悪意に満ちた人工知能、アークの専属秘書たるアズぐらいであろう。

 

「やあアズ。いやなに、

昨日一日風呂に入ってなかったから流石にね」

 

「君の仕事は一番最後だったからそれもそうか。

我々と違って生身の人間であるという配慮をすべきだった」

 

なんて話していると二人の、より正確に言えばアズの背後から一人の男が現れた。

長身痩躯に、きちっ整えられた髪形に、眼鏡に白衣を纏った、

いかにも神経質な理系学者です。と、言わんばかりの風貌の若い男だ。

 

「全員の支給品をエニグマの紙に詰めるのは随分骨が折れただろうね」

 

そう言う彼の名前は、トワイス・H・ピースマン。

 

月の聖杯戦争の仕掛け人で、かつて存在した戦争を憎み続けた偉人、

「トワイス・H・ピースマン」をムーンセル・オートマタが忠実に再現した存在。

が、更にある時何故か自我を得た……ヒューマギア風に言えばシンギュラリティに達したがゆえに、生まれた存在である。

 

「どうしても最後まで残していていい仕事だったから、

声かけるのが遅かったのよね」

 

「まあ、それでも、物を詰めるだけの単純作業が、

参加者に制限を設定していた私程だとは思われたくないが」

 

魔術師であり、科学者でもあったピースマンは、

SAOやアストルムのアバター、魔術師や英霊に関して利用できる知識や技術を多く持っている。

それ故に今回アズや主催者に目を付けられたのだった。

 

「それはそうだろうさ!

特にあのアサシンには随分とうるさい注文があったらしいし、

生身じゃとてもやってられない仕事だろうよ」

 

取りようによっては貶されてるような言動に、宮本は笑いながら答えた。

一方、ピースマンはさっきから全く変わらない仏頂面である。

 

「つまらなそうな顔ね。

せっかく特等席を用意してあげたのにこのショーを楽しんでないの?」

 

「楽しんではいないが、真剣には見ているとも」

 

彼には彼で、目的があった。

他人が聞いたら馬鹿げてる、いや、狂ってると吐き捨てる様な、

狂人が聞いても自分より頭おかしんじゃないか?と、聞き返すような狂った目的がある。

全人類を等しく同じステージで殺し合いをさせる事である。

 

彼の、より正確に言えば彼の元になった『トワイス・H・ピースマン』の結論は、

『地獄から生まれる素晴らしい物はある』である。

例えば缶詰、より正確に言えばその基になった瓶詰は、

戦争中に食品を少しでも長く持ち運べるようにするアイデアを公募した結果、

生まれたアイデアである。

その季節の味を封じ込める魔法は、

戦争以外でも多くの人の暮らしを支えているのは、言うまでもない。

 

それと規模は違えど、同じように絶望の中で鈍く光るモノを、

戦災孤児である『トワイス・H・ピースマン』は見ていた。

そして死にゆく最期に、その事を思い出していた。

 

そしてその遺志を受け継いでしまったNPCのピースマンは、

ムーンセルという無限の蔵書のあらゆる争いのデータを閲覧し、

今までの絶望による損失に見合うだけの見返りを、人類が得れていない事に絶望した。

 

故に求めた。

絶望に見合う輝きを手に出来る物を。

圧倒的苦境に抗い、果てなき空を睨み進む者を。

そして彼は、まだまだ序盤では有るが見つけていた。

自分の理想の体現者になるかもしれない男を。

 

 

万丈龍我だ。

 

 

誰よりも争いを憎みながら、最も争いの原因たり得る存在。

本人は真っ当な人間でありながら、人類に致命的な害を及ぼしかねない異物。

彼の無限の伸びしろとでもいうべき素質は、ビルドシステムどころか、

完全に法則の異なる世界の産物である帝具にまで己が進化の一部とした。

戦えば戦うだけ強くなり、必ずやその損失以上の物を手にする。

ただただ破壊だけを繰り返し、終わりだけを突きつけ続けるエボルトなんぞより、

よっぽど進化(エボル)の名にふさわしい男。

それがピースマンの目から見た万丈だ。

 

(必ずや、彼にはより大規模のバトルロワイヤルでも戦ってもらいたい)

 

そう思うピースマンは、よく観なければわからないが、

目の奥に仕事を放棄した表情筋とは正反対の物を宿していた。

それはビー玉の様にぬくもりを感じさせない光であると同時に、

月も星の無い夜空よりも深い闇だ。

この世で最も、人間を狂わせる劇毒だ。

 

「……」

 

「まあいいわ。所でなんであなたはここに?

真剣に見てると言っておきながら、あなたも中座してるじゃない」

 

「彼に頼まれて『舞台装置(・・・・)』のメンテナンスをね。

あれもある意味生身だから、定期的に私と彼が行かなければならなくなる」

 

そう言ってピースマンは白衣の裾を翻すと、

会場をモニターしている一角の方に向かって歩き出した。

 

(万丈龍我。もし君が、この戦争も生き残り、

更なる進化に至るというのなら、私の寄り道は無駄ではない)

 

ピースマンが白衣の下から運営からくすね盗ったアイテムを取り出した。

万丈龍我のビルドドライバーと、仮面ライダークローズに変身するための変身アイテム兼サポートメカ、クローズドラゴン。

 

そしてクローズドラゴンのスロットに刺さっているのはドラゴンフルボトル……ではなかった。

それはパンドラパネル事万丈本人に支給されている。

直接クローズのライダーズクレストが描かれ、

惑星のようなマークの刻まれたキャップのそれは、エボルボトル。

その中でも万丈の遺伝子と、エボルトのデータが同時に内包されたドラゴンのボトルであった。

 

「これが君の糧となる。真に進化の名を冠するのは君だ。

見せてくれ、理想(きみ)の全てを」

 

 

 

 

【エリア?-?/???/1日目/??】

 

【トワイス・H・ピースマン@Fate/EXTRA】

[状態]:正常

[服装]:いつもの白衣姿

[所属陣営]:運営側

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:不明

[装備]:ドラゴンエボルボトル@仮面ライダービルド

    万丈龍我のビルドドライバー@仮面ライダービルド

    クローズドラゴン@仮面ライダービルド

[道具]:不明

[思考]

基本:自らの理想の体現者となりうる存在を探す。

1:今のところ万丈龍我が最有力。彼を中心に参加者を観察する。

2:このエボルボトルを万丈の進化の糧にする。

3:万が一の為に、万丈に次ぐ候補も選定しておく。

[備考]

※全ての参加者は、彼の手によって制限をかけられています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピースマンを見送ったアズと宮本は、彼とは逆に彼が元来た方へと歩いた。

その先にあるのは、この戦いの舞台を維持する者を収納し、

その力を管理する巨大な円柱状の水槽のような、文字通りの『舞台装置』である。

強化ガラス越しに十字架に架けられたそれの前に、

マントを羽織った一人の不気味な人影が立っていた。

 

「あら、あなたまでこちらにいらっしゃっていたんですね」

 

振り向いたそいつは、紫色の複眼に、骸骨のような白い模様の走る仮面。

同じく骨を思わせる白いラインの走るアーマーに、黒一色のアンダースーツ。

そして腰には、ゼロワンドライバーによく似たベルト、エデンドライバーが巻かれている。

さながら亡霊のような風貌のそいつは、仮面ライダールシファー。

アークの力を得た仮面ライダーの一人であり、現在アズが仕えるこの戦いの主催者である。

 

『調整の具合を見ておきたくてな。

コイツが居なければ、バトルロワイヤルそのものが破綻する。

アルクエイドやギルガメッシュの独走……なんてものでは済まない』

 

「逆に言えば、パンナコッタ・フーゴは良い活躍をしてくれましたね。

あの島においてジャイアントキリングは有りうると、身を持って証明してくれたんですから」

 

流石に宮本も敬語で、だが心底楽しんでいる風に答えた。

ルシファーは静かに頷き、再び『舞台装置』に目をやる。

さながら殉教者のような姿のそれをもう少しだけ眺めながら彼は

 

『宮本、次の放送で首輪のあの仕掛けを動かす。

今のうちにスタンドパワーを蓄えておけ』

 

「随分と事を急ぐじゃないですか?

アレを使うのはてっきり三回目の放送ぐらいだと思っていましたが……」

 

『あんまりにも暢気してる奴らが多いのでな。

そして、アズ。裏切り者も動き始めたなら、あれの準備も出来ているな?』

 

「ええ。全40台全て準備できていますわ」

 

『よろしい。まあ、あれを優勝して手にする者はいないだろうがな』

 

「ほう?どうしてそう思うのです?」

 

宮本の問に、エデンはボイスチェンジャー越しにもわかる怒気に満ちた声で

 

『奴は人の願いを踏みにじる……ッ!

必ず、止めるはずだ。

どうしても叶えたい願いに手を伸ばす者たちを。

貴賤を問わず、大小を問わず、善悪を問わず、優劣を問わず!

奴は何時だってそうなのだ!』

 

思い出す。いつだって奴が選ばれていたことを。

いつだって自分よりも大きな力を何の苦労もなく手にしてきたことを。

いつだって終始頭の悪い周りにおんぶにだっこのくせに、

手にしたご立派な力で偉そうにこちらを見下す姿を。

その度に胸の奥からドクドクと溢れ続ける憤怒が、憎悪が、殺意が、

かつてない力をこのエデンドライバーを介して与えてくれている。

もうすぐだ。もうすぐで自分は何者にも負けない力を得ることができる。

 

「……へぇ」

 

『兎に角、だ。お前たちは俺の指示通りに動けばいい。

そうすればお前たちの望みは必ず達成される』

 

そう言いながら尽き果てぬ黒い感情を全身から発露しながら去っていくルシファーの背中を、

アズは心底楽しいと言わんばかりに見つめていた。

そしてルシファーが見えなくならないうちに、その背中についていく。

残された宮本は

 

「まあ、確かに全員が殺し合いに従順でもつまらないか。

観察は、同じ題材でレパートリーが豊富なほどいいからね」

 

そして『舞台装置』に触れながら、さらに続けた。

 

「君の大事な彼が今、傷付き戦っていると知ったら、どんな顔をしてくれるのかな?

それを確かめようがないのが、残念で残念で仕方がないよ」

 

聞こえないと分かってはいたが、そう言い遺すと、

彼もピースマンが去っていった方に向かって行った。

観察して観察して観察して、愉悦の感情でスタンドパワーを蓄えるために。

 

 

 

【アズ@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:正常

[服装]:黒いドレス

[所属陣営]:運営側

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:不明

[装備]:

[道具]:

[思考]

基本:このバトルロワイヤルの司会として行動する。

1:やはりこの方を次なるアーク様に選んで正解だったわ

2:???

3:???

[備考]

※特になし

 

 

【?????@?????????】

[状態]:正常、仮面ライダールシファーに変身中。

[服装]:不明

[所属陣営]:運営側

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:不明

[装備]:エデンドライバー@仮面ライダーゼロワン

    エデンゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン

[道具]:なし

[思考]

基本:このバトルロワイヤルを完遂し、目的を達成する。

1:???

2:???

3:???

[備考]

※特になし

 

【宮本輝之輔@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:正常

[服装]:私服

[所属陣営]:運営側

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:不明

[装備]:不明

[道具]:不明

[思考]

基本:この戦いの運営として参加者を観察する。

1:協力の見返りとして好きに動く。

  けどしばらくは様子見。

2:次の放送で首輪の仕掛けを動かす為にスタンドパワーを蓄えておく。

[備考]

※彼のスタンド能力で全ての支給品が紙に封印された状態で支給されます。

例外はデバイスとメダルだけです。

 

 

 

全体備考

・次の定時放送で、首輪のある隠し機能が発動します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞んだ視界越しに何かが動いているのが見えた気がしたが、すぐにいなくなった。

あれは人?物?それも分からない。

ココに居るようになってどれぐらいの時間がたっただろうか?

いや、そんなことよりそもそも……

 

(ココ、どこだろう?)

 

自分が今まで一体何をしていたか、

自分が何でこんなことになっているのか。

諸々の全てが曖昧だ。

痛くも辛くも苦しくもない。

ソレが耐えられるギリギリの重さの重りを引きずりながら、

非常にゆっくりと時間が進んで行くことだけを自覚するだけの時間がどれほどたっただろう?

その疑問の答えを探して、どうにかこの時間が始まる前の事を思い出そうとすると、

意識がぬるま湯に溶けるように消えそうになる。

それは駄目だ。

けど思い出さなければどうしようもない。

完全に詰みだ。どうしようもない。

それでも、それでもあの時教えてくれたあの名前だけは忘れていない。

 

「ーーーーー……」

 

彼女は愛しい彼の名前を呼んだつもりだったんだろう。

けどそれはごぼごぼと、意味のない『舞台装置』内の気泡の音にかき変わって、

意味をなさず、だれの耳にも届かなかった。

 

 

 

【???@??????・?????】

[状態]:意識不明、『舞台装置』に接続、???????????

[服装]:なし

[所属陣営]:運営側(強制)

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:不明

[装備]:マン・イン・ザ・ミラーのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険

    その他、命令のDISC@ジョジョの奇妙な冒険

[道具]:なし

[思考]

基本:???

1:???

[備考]

※??????????



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消滅/再生

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・ラビリスタ@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・無銘@Fate/EXTRA
・宮本篤@彼岸島


他人(だれか)を助けることに意味は有るのか?

その問いに彼女は迷いもなく無いと答えただろう。

後に自身のプリンセスナイトとする少年と出会う前だったら、の話だが。

今思えば、世の中にはびこるいくら殺菌しようと思ってもはびこり続け、無視しようにも視界の端にちらつき続ける醜い悪意に対して、最初から答えを決め、目を閉ざす事で自分の心を守った気でいたのだろう。

 

そんな時、彼女の俯く視線を、あるいは曲がった背筋を叩いてくれたのは間違いなくなんてことの無い、ただ目の前に居る困っている人を放っておけない無垢で優しい少年のありふれた善意だった。

 

どこかの宇宙で、一人泣いていた少年に、真っ先に気付き励ましに向かった模造品のヒーローが持っていたような。

 

どこかの地獄で、唯一生きていたが、今にも息絶えそうだった少年に、何よりも救われたように思った正義の味方が最後に抱けたような。

 

どこかの天国で、自分自身の力の危険性を理解し、なんの躊躇もなく生き返る事を拒んだあの優しい戦士が納得したような。

 

どこかの街で、大した理由もなく自分の命を救ってくれた少年に無言の恩返しをした名もなきギャングさえも持っていたような。

 

彼女を救ったのと同じ少年が、ある泣いてた少女に猫のキーホルダーと一緒に分け与えたのと同じ、ふと気付くと忘れていたことさえ忘れていたような些細で、それでいてかけがえのない心に光る些細な欠片。

悪意がちっぽけと唾棄する、穢れが正義の味方か?と冷笑する善意。

ありふれたちっぽけな光。

もしかしたらそんなどうでもいい様に見える何かこそ、正義の味方の証なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん~~!終わった。

流石はワンオフ機の、それも社長専用のプロテクトとあってなかなかに強固だったね」

 

丸めていた背中を思いきり伸ばし、入り過ぎていた力を抜く。

ほんの少しぼやける目をこすって入口の方を振り返ると、事前に『オブジェクト変更』で()()()()()()()()()()ドアは元の姿に戻っている。

 

(やっぱり七冠(セブンクラウンズ)としての権能は弱体化させられてるか。

まあでも、そうしないと削がれた能力や、奪われた愛用品の穴を埋めようと支給品を使おうとしなくなるから、当然と言えば当然か)

 

彼女の名前はラビリスタ。

かつてのプレイヤーを幽閉した恐怖のVRMMO、レジェンド・オブ・アストルムの開発者、七冠の一人にして、同じくこの殺し合いに呼び出された少年、ユウキをアストルムにいざない、自らのプリンセスナイトとして者である。

さて、そんな彼女は世界の創造主の一人と合って、アストルムにおいては、天変地異を引き起こせるレベルの権能の行使が可能だが、この殺し合いにおいては、主催側も全ての参加者の独走を防ぐべく能力を制限している。

 

エスデスがデモンズエキスを奪われたように。

ファニー・ヴァレンタインがスタンド能力に制限をかけられたように。

彼女の迷宮女王(クイーンラビリンス)としての権能も大幅に弱体化させられていた。

 

だからこそラビリスタは手っ取り早い自身の戦力の底上げとして、支給された飛電ゼロワンドライバーの『ヒューマギアに関する特許を委譲されている人物がヒューマギアにまつわる会社の社長に就任していること』という極めて限定される条件をクリアしなければ解除されないプロテクトを持ち前の頭脳で持って解除する必要があったわけなのである。

 

(これだけで4時間もかかってしまった。

それだけのものだと良いんだけどね)

 

そう思いながら、端に避けていた付属のプログライズキーと、ドライバー本体を手に取り、外に出た。

四方が壁に囲まれ、天井は吹き抜けの中庭を見つけた彼女は、その中央に立ち、腰にドライバーを当てる。

 

<ゼロワンドライバー!>

 

「お!さっきは聞こえなかった認証音。これは期待していいかな?」

 

そう言ってキーを起動しようと、ライズスターターに指をかけ

 

「!」

 

た瞬間、不意に星明りを遮り、ラビリスタに何者かが影を落とす。

 

「はぁああああああああっ!」

 

逆光と着こんだレインコートのせいで顔は見えない。

けど僅かな基地の明かりを反射して丸いロイド眼鏡をかけているのは分った。

 

<エブリバディジャンプ!>

 

男が振り下ろす槍を避けながらキーを起動させるラビリスタ。

本職は技術者である彼女だが、レジェンド・オブ・アストルムにおいては大魔法使いにして剣の達人でもあるラビリスタだ。

この殺し合いを盛り上げる為か、肉体スペックはアストルムにおける姿(アバター)準拠。

次々繰り出される槍を避けながら、変身シークエンスを次々実行していくことも苦ではなかった。

 

<オーソライズ!>

 

まずは右手にあるオーソライザーにキーを読み込ませベルトを変身準備状態に移行させるのと同時に、キーのロックを解除。

展開して、スロットに装填!

 

<プログライズ!Let's Rise! Le,Le,Let's Rise!>

 

そして最後の薙ぎ払いを宙返りを撃って避け、

変身音にせかされるままに、キーのベルトからはみ出すように飛び出た部分を、オーソライザーにかぶせるように折り畳む。

 

「チェンジ・メタルクラスタフォーム!」

 

<メタルライズ!>

 

ベルト中央部より、秘伝の特殊金属、飛電メタルで出来た無数の鋼の悪魔の昆虫(トビバッタ)、クラスタセルが飛び出し、ドライバー内蔵のビームエクイッパーより生成されたアンダースーツに張り付くと、変形し、鎧の形になって行く。

 

<Secret material! HIDEN-Metal!>

 

その姿は鋼の魔人。

制御不能の地獄の使者の力で生まれながらも、

それを手にした笑顔を守る戦士が紡いだ絆で制御して見せた悪意の結晶にして善意の反証。

 

 

<メタルクラスタホッパー!>

 

仮面ライダーゼロワン、メタルクラスタホッパー。

 

<It's High Quality.>

 

この悪意はびこるバトルロワイヤルにて、実装完了。

 

「こい!」

 

<Changing to lethal weapon! プログライズホッパーブレード!>

 

内蔵武器のプログライズホッパーブレードを取り出し、襲撃者に対峙する。

身長は180cmほど。体格も良く、槍……よく見ればラビリスタのプリンセスナイトの少年の従者であるエルフの少女の愛槍だ。を持つ姿はどうに入っている。

中々の手練れだ。

 

(加えてどこからかこの中庭まで飛んできた跳躍力に、どう見ても異常と分かる赤黒い瞳。一体彼はどうゆう状態なんだ?)

 

カラーコンタクトなどではないことは、メタルクラスタホッパーの複眼の視覚補助機能が証明してくれている。

彼は、宮本(みやもと)(あつし)は人間としてどこかおかしい。

手にしたトロピカルな槍とひどくミスマッチな、マスク越しにもわかる狂気のにじむ表情もその証左だ。

 

「お前は、見なかったか?」

 

急にこうして理知的に話しかけてくるのもまた不気味だ。

 

「何を、、いや、誰を、かな?」

 

「俺の弟をだ」

 

「残念ながら他の参加者に出会ったのは君が初めてだよ」

 

「ならば死ね!」

 

風を滅茶苦茶に貫き砕く高速の突きが連続で放たれる。

ラビリスタは胸部の飛電メタルを傘状に変形させ、自身も状態を逸らすことで、切っ先をいなして対処する。

それを見た篤はドライバーを狙った斬撃に切り替えるが、そこは剣の達人たるラビリスタ。

手にしたプログライズホッパーブレードで的確に攻撃を防いでいく。

はじめて握る武器だが、クラスタセルを刃状に変化させて纏わすことにより、リーチに関してはいつもと変わらぬ感覚で振るえている。

 

(この動き方、剣道も行ける感じだね。

コッチが嫌がる動きを分かって繰り出してきてる)

 

(明の様に才能にあふれる人間だ。

何て恐ろしい……何て恐ろしいっ!)

 

それこそクレープ作り以外全て高水準でこなせる才能の塊であるラビリスタに、篤は、今最も殺したい血を分けた実の弟、明を思い出した。

 

昔から、篤と明は比べられてきた。

兄弟仲が険悪になったりはしなかったが、できの良い兄貴と比べられることでコンプレックスを抱いた(おとうと)が家に居場所がないと感じるほどに、兄である(じぶん)のほうが評価されていた。

だが、篤には分かっていた。

弟には自分以上の才能がある事を。

時間さえあれば、簡単に自分を追い越していくであろうことを。

それは正史において、篤が明に敗北したことや、篤の亡き後、吸血鬼の巣窟と化した日本において、明が篤では敵わなかった雅にトドメを刺していることからも分かるだろう。

それは純粋に弟の可能性を信じての評価だった。

自分が超えられた時、何かが決定的に壊れるかもしれないことに対する恐怖はもちろんあったが、本当に極々小さい物だった。

だが、雅により吸血鬼にされてしまった彼は、その感情を増幅させられてしまったのか、弟への殺意を滾らせた。

 

今や主人となった宿敵にして婚約者の仇である雅の為に、そして愛していたはずの弟を殺害するために戦っている。

最も得意とする薙刀に似た獲物を振るい、吸血鬼とはまた違う超人と化したラビリスタを殺さんと刃を振るう。

 

「ふっ!」

 

「はぁああ!」

 

ラビリスタの振るう刃が篤の頬をかすめる。

だが多少の痛み程度では吸血鬼は止まらない。

構わず槍を振るい、飛電メタルと鎬を削る。

 

(流石はアストルムの武器。

我ながら厄介なものを造っちゃったな。

一向に壊れる気配がないや)

 

「ハァ、ハァ……。その鎧、力の底上げまで出来るのか」

 

頬の血を拭い、槍を構え直す篤。

ラビリスタは左手を虚空に伸ばすと、新たな武器を取り出した。

 

<ブレイドライズ!>

 

ゼロワンドライバーの紐づけ武装、アタッシュカリバーである。

ちなみにプログライズホッパーブレードの方はプログライズキーに紐づけされた装備である。

 

「もし間違ってたらごめんね」

 

「?」

 

そう言ってラビリスタはプログライズホッパーブレードをオーソライザーの上にかぶさったキーの認証装置、メタルライザーに読み込ませ、刃に更にクラスターセルを纏わせて斬り飛ばす!

 

当然やりを地面に立て、高跳びの要領で躱す篤だったが、瞬間三日月型のクラスタセルがバッタ型に戻り、篤の肉体を食い破りその肉体を喰らい始めた。

 

「何!?」

 

吸血鬼の再生能力を総動員して肉体を保とうとする篤だが、再生させた端から食われ続ければ、延々と体力を消費しているだけだ。

 

「ふっ!」

 

「こ、このぉおお!」

 

一気に距離を詰めるラビリスタに槍で対抗する篤だったが、ただでさえ機動力を削がれた体に、相手は二刀流。

初撃を防ぐことはできても、その瞬間に両肩をクラスタセルに内側からクラスタセルで食い破られてしまえば一切動けず、二撃目を喰らってしまう。

アタッシュカリバーの角で思い切りぶん殴られた篤は無様にも地面を舐める羽目になった。

が、両肩も今しがた殴られて出来た額の傷も、見る見るうちに再生していく。

 

「想像以上の再生力だね。

さっきの頬の傷がもう治ってるからまさかと思ったけど、たぶん私みたいに能力を制限されてなおこの再生力か。

ある意味、少年に会うより先に会えてよかったのかな?」

 

そう言いながらラビリスタは二本の刃を両手に篤に近づく。

 

「……ッ!」

 

「さて、君の異常の原因はなにかな?

私に取り除けるものだといいんだけど……」

 

そう言って彼女はホッパーブレードを脇に置くと、篤の顔を持ち上げ目を覗き込む。

 

「何?」

 

「ああ、大丈夫。こう見えて医者だからね。

設備さえあれば分野にもよるけど大体の事は……」

 

「何故だ?俺はお前を殺そうとしたのになぜだ?

なぜ……そんな手間をかけてでも俺を無力化しようとする!?」

 

「なんでってそれは……出来る事ならどうにかしたいじゃないか」

 

なんの臆面もなく言ってのけたラビリスタ。

そんな彼女に篤は

 

「ふざけるなぁあああああ!」

 

「あっ!」

 

両腕の再生を最優先に回し、彼女の腰に装着されたゼロワンドライバーのロックを外してを引きはがすと、脇に置かれたままのプログライズホッパーブレードを逆手に掴んだ振り回した。

どうにかバックステップを踏んだラビリスタだったが、ほぼ不意打ちで放たれた攻撃を完全に避けることはかなわず、鈍い痛みに顔をしかめる。

みるとかなり深い傷が腹部に出来てしまっていた。

キーを抜き取られただけだったらゼロワンドライバーが防いでくれたかもしれないが、特に防具も無い場所にもろに受けてしまう結果となった。

 

「ハァ、ハァ……腹が立つよ。本当の才能ってやつには毎度毎度!」

 

重傷を負わせてやったラビリスタを見る。

圧倒的劣勢に立たされてなお篤に強い意志のこもった視線を向けるその姿に、明の姿がちらつく。

彼岸島という圧倒的苦境の中で、その才能を伸ばし、眠っていた強さを開花させていった弟の姿が浮かんでくる。

 

「血を吸って、その後にトドメだ」

 

順手に持ち直したプログライズホッパーブレードを構える篤。

なんとか残ったアタッシュカリバーを杖代わりに立ち上がるラビリスタだが、それだけでもう何もできない。

腹部の傷は思ったより深く、手で押さえていないと内臓が零れてきそうなのである。

 

(はは、参ったな……)

 

変身解除と同時にクラスタセルも消えたのか、

ようやく肉体を完全に再生させることに成功した篤は獰猛な笑みを浮かべ、

 

「はぁあああああああ!」

 

今度は立場が逆だった。

初撃は遮二無二ふったアタッシュカリバーで防げたが、二撃目は剣を弾かれ、三撃目で脳天めがけて振り下ろされる。

 

「――――投影(トレース)開始(オン)

 

篤の一撃は、確かにラビリスタに致命傷を負わせ得る物だった。

勿論、当たればの話だが。

 

「え?」

 

そこには、どこからやって来たのか赤い外套を翻す褐色に白髪の男がいた。

彼は手にした白い刃に、柄に白と黒の一対の勾玉の模様が刻まれた剣でホッパーブレードは受け止められている。

 

「ふっ!」

 

返す刀でプログライズホッパーブレードを弾かれたと同時に、強化魔術を上乗せした膝蹴りを叩きこまれる篤。

激しく吐血したのが乱入して来た男を超えてラビリスタにかかる程の威力だ。

 

「一撃で終わらせるつもりだったが、どうやら真っ当な人間ではないらしいな」

 

クラスタセルの文字通り虫食い攻撃程複雑な損傷はしなかったのか、すぐに動けるようになった篤は、さっき取り落した槍に飛びつき、乱入者に飛び掛かる。

涼しい顔で篤の槍を避ける彼の周囲には、いかなる原理か、半透明の何か長い物が滞空している。

 

「――――投影(トレース)完了(オフ)

 

透明な何かに光が走る。

黒に傾向イエローのアクセントカラーが走る直角三角形のそれらは、ラビリスタがさっきまで手にしていたアタッシュカリバーと寸分変わらぬ姿をしている。

 

(無から剣が!)

 

「――――工程完了(ロールアウト)全投影(バレット)待機(クリア)!」

 

そのうち一本を手に取った褐色の男、無銘の英霊は開いた左手を前に、剣を左わきの下に構える独特な構え、、かつて仮面ライダーバルカンこと不破諫が使った構えをとる。

さながら獲物の喉笛を執拗に狙う肉食獣の如き連撃で篤を大きく後退させると、

 

停止解凍(フリーズアウト)全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)………!!!」

 

待機させていた剣全てを篤に向けて射出した。

肉を裂き、鮮血が舞い散る。

 

「う、がぁああああああああああ!」

 

鋭い痛みに一瞬動きを止めた篤だったが、

すぐさま地面がえぐれ割れるほどの跳躍で去っていく。

 

「あの男、死徒か……」

 

当たらずも遠からずな推測を立てた無銘はすぐに戦場に残るラビリスタの方を見る。

飛び散った鮮血、腹部の傷から見ても、もう長くはないだろう。

 

「おい――――」

 

近寄ろうとする無銘をラビリスタは手で制した。

そしてその手に、愛用の剣を生成する。

 

「何のつもりだ?」

 

「君の武器精製能力……対象を視認するだけで形や性能だけでも、使い手の戦闘経験さえも模倣できる……いや、武器の模倣に特化させることでそれだけデタラメな性能の能力として成立している。違うかい?」

 

恐らく複製できるのは武器、もっと言えば白兵武器だけ。

化rにそれ以外の武器も出来るにしたって何かしら条件がいる。

そこまでがラビリスタの立てた仮説だった。

それはほぼ百点満点と言っても良い回答だ。

無銘の『無限の剣製』は、一度見た武器を自身の内なる世界に貯蔵、そしてその複製品を解析することで使い手の技量を読み取る能力である。

 

「私の事は……いい。

荷物と、ゼロワンドライバーだけ持っていけばいい」

 

そう言ってラビリスタは戦闘の最中、外れてしまった飛電ゼロワンドライバーと、プログライズキーを指さす。

 

「あれはそんなに大事な物か?」

 

「勿論。あれは、善意という希望だよ。

借りるためにちょっとばっかし改造さ(いじら)せてもらったけど、あれを、飛電或人という人に……」

 

「引き受けた」

 

「ありがとう……でも、いいのかい?

たった今、、出会ったばかりの私の頼みを聞いてくれるなんて……」

 

とぎれとぎれに話すラビリスタに、無銘は振り返らず、ゼロワンドライバーを回収しながら言った。

 

「それは、オレが正義の味方だから、ではダメかな?」

 

「ふ、ふふふ。ああ、良いねそういうの。

そんな正義の味方にもう一ついいかな?」

 

「なんだね?」

 

「ユウキに、私のプリンセスナイトに……」

 

ふり返った先の彼女は呼吸をしていなかった。

無銘は彼女の眼鏡をはずし、瞳を閉ざしてやると、背中のデイパックから道具をすべて抜き取り、

 

「全く、こんな所でも間に合わなかったか」

 

そう自嘲気味に呟いくと、改めて愛用の双剣を投影し、篤が飛び去って行った方に向かって行った。

 

 

 

【エリアE-9/基地付近/1日目/黎明】

 

【無銘@Fate/EXTRA】

[状態]:正常、魔力消費(中)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:2枚(無銘、ラビリスタ)

[参戦時期]:少なくともシンジ、アリスの名前を知った後。

[装備]:干将・莫耶(自前で投影)

[道具]:基本支給品一式(無銘)、ランダム支給品×1~3(無銘)

    基本支給品一式(ラビリスタ)、飛電ゼロワンドライバー@仮面ライダーゼロワン

    メタルクラスタホッパープログライズキー@仮面ライダーゼロワン

    ランダム支給品×0~2(ラビリスタ)

[思考]

基本:このバトル・ロワイヤルを止める。

1:名簿には載っていなかったが、一応自分のマスターも探す。

2:ユウキ、ペコリーヌ、コッコロ、キャル、シェフィとの合流を急ぐ。

3:間桐シンジ、ありす、覇瞳皇帝、ゼーンに警戒。

4:死徒の男(宮本篤)を追い、必ず始末する。

5:ユウキという人物には、彼女の事を何と伝えるべきか……。

6:飛電ゼロワンドライバーを飛電或人に届ける。

[備考]

※無限の剣製にアタッシュカリバー、プログライズホッパーブレード、

涼槍アクアスカッシュ、ラビリスタの剣を貯蔵し、投影可能になりました。

今後も白兵武器に限れば、同じように貯蔵されていくと思われます。

 

 

 

【宮本篤@彼岸島】

[状態]:吸血鬼、疲労(大)、内蔵損傷(大、再生中)、無数の切り傷(小~中、再生中)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(宮本篤)

[参戦時期]:

[装備]:涼槍アクアスカッシュ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:雅の配下として行動する。

1:弟と他陣営の参加者を全て倒す。

2:傷が癒えるまでどこかで隠れて休む。

3:褐色の男(無銘)や赤髪の女(ラビリスタ)のような吸血鬼以外の超常の力の持ち主を警戒。

4:できれば槍ではなく薙刀が欲しい。

5:もし501ワクチンが誰かに配られているなら、見つけ次第破壊する。

[備考]

※特になし

 

 

 

 

【ラビリスタ@プリンセスコネクト!Re:DIVE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生存】

 

 

 

「なんで?」

 

零れた腸が勝手に生え始めるどころか、

出血はもう止まっており、傷も塞がり始めている。

 

(なんだこれ?こんなの、まるで……)

 

さっき戦たあの男……宮本篤みたいじゃないか。

そう思った瞬間、ラビリスタの脳裏にいつだったか現実(あちら)の世界で見た映画の一場面を思い出した。

ゾンビに噛まれた人間がゾンビになるシーンだ。

 

(まさか、もし本人が言うように、もともと人間だったのがああなって、

今の私の状態と同じようにそうなったと仮定するなら、

人体の急激な変異……病気なのか?だとしたら血が粘膜から?)

 

もし篤とラビリスタが濃厚に接触した場面があったとすれば、

あの返り血が口に入ってしまったしまったこと以外に有りえない。

医学にも精通している彼女だからこそ、理解できた。

自分が現在進行形で怪物に変異しているという事実を

 

(まずい!このまま彼と同じ状態になってしまえば、

恐らくは精神に何か異常をきたす!)

 

全く未知の症例、サンプルは現状自分のみ。

そしてこの基地の設備と、

いつまで冷静で入れるか分からない自分の頭脳のみが当てと言われて、

恐怖を感じないはずがない。

 

「かくなる上は……」

 

もう一度剣を生成し、自分の首元に当てる。

が、それ以上の事が出来ない。

当然だろう。ここはアストルムではない。

アストルムの法則が通用しない可能性がある上に、

このゲームはバトル・ロワイヤル。

生贄(プレイヤー)残骸(レイズ・デッド)が積み上げられることが大前提の悪趣味極まる死滅(ゆかいな)遊戯(ゲーム)

今その刃を引き下ろすことは、ただの自殺に他ならない。

 

「ハァ……ハァ……」

 

目が霞む。噴き出る汗は止まらず、

それに反比例して出血は段々と止まって行く、

 

「嫌だ……」

 

自分自身が未知の“なにか”に作り替えられていく感覚。

いくら情人に比べ、狂っていると捉えれても仕方のない感性をしている天才である彼女でも、

流石に次元の違う異常事態への危機感は持ち合わせている。

そしてその危機感こそが、

宮本篤の弟の才能への恐れを増幅させたように、

彼女の理性をガリガリと削っていた。

まずい、という思いはどうしよう?という焦りへ。

そして焦りは、人ならざる者へ変わっていく自分への恐怖となる。

 

「このままじゃ……」

 

 

 

死にたくない。人でいたい。そう思う事は罪ではないだろう。

けどそれが悪意無き悪出ない保証はどこにもない。

 

 

 

【エリアE-9/基地付近/1日目/黎明】

 

【ラビリスタ@プリンセスコネクトRe:Dive】

[状態]:吸血鬼化(進行中)、腹部に重症(回復中)、精神異常(小)

[服装]:アストルムでの服装(眼鏡は無し)

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:少なくともゼーンの名前と目的を知った後。

[装備]:ラビリスタの剣(自前で生成)

[道具]:なし

[思考]

基本:このゲームに反抗する(?)

1:死にたくはない

2:自分のこの症状をどうにかしたい

3:少年……

[備考]

※七冠としての権能は大幅に制限がかけられています。

 ただ偽装程度のオブジェクト変更なら4時間程度は持つようです。

※吸血鬼ウィルスに感染しました。

 感染のスピードなどの詳細に関しては後の書き手に任せます。



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死は明日への希望なり?

作者
融混

登場キャラクター
・ジャイロ・ツェペリ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
・書き手枠@Fate/Zero


北に存在するエリアをつなぐ紅い大橋。

 鋼で構成されたそれは生半可な手段では壊れはしないか、

 壊す場合相当な労力を割く必要があるであろう、巨大な橋。

 四射線に加えて歩道と言う設計の都合、余裕があなりある広さになる。

 当然殺し合いで人の往来が極めて限られる舞台ではだだっ広いだけのもの。

 車の排気音もなければ、風を切る音もタイヤを転がす音もないこの場は酷く殺風景だ。

 ライトアップされたことで夜でも見通しはいいものの、返って虚しさを引き立てる。

 

「あークソッ! 何なんだよあの女はッ!」

 

 殺風景極まりない場において、一人の青年が手すりにもたれかかりながら癇癪を起こす。

 ゴーグルハットを被ったその姿は、余り鋼橋には余り似つかわしいとは言えない。

 まあ今の時代の鋼橋など、百年以上も前の人では殆ど様にならないだろう。

 

 ジャイロ・ツェペリにとっては訳が分からなかった。

 ジョニィと共にレースと聖人の遺体による争奪戦の最中、

 いつの間にかアズにより殺し合いに招かれて、この橋の上に転移させられた。

 子供のスタンド使い(ポーク・パイ・ハット小僧のこと)のように、

 ワープすると言った現象も経験がある為さして戸惑いはしてない。

 彼が今喚いているのは同様ではなく癇癪。即ち怒りだ。

 そしてその理由はただ一つ。

 

「名簿が見れるっつーからデバイスっつーのを手にしたのによぉ~~~。

 ウンともスンとも言わねえじゃあねえかッ! 不良品でも寄越したのかあの女ッ!」

 

 単純にデバイスが使いこなせてないだけだ。

 普通に考えれば当然だろう。彼はアズのいた令和ではなく、

 一世紀以上過去の人間だ。自動車だって出来上がったばかりの時代において、

 タブレットの存在すら確立できてない彼にスマホの操作などできるはずもなし。

 

 元より甘味欲しさにカスタードシュークリームを口にしたら、

 カスタードではなくてマスタードが入ってたみたいな外見はいい癖に、

 中身は最悪な女とは思っていたが、使い方の説明すら寄越してこない不親切さを前に、

 余計に腹立たしく思えてしまう。

 

「馬だけ渡したところで素人の言うことを聞かねーのと同じだぜ?

 あいつ、本気で俺に殺し合いをさせるつもりがあんのかねぇ。

 まあ、どっちにしたってそんな気は俺にはねえけど。」

 

 ジャイロの本来の職務は処刑人。

 しかし、彼は処刑人としては未熟な男だ。

 処刑人に迷いがあってはならない。僅かなずれが相手を苦しめてしまう。

 医者が患者に執刀するように、冷静に相手の首を絶つことが彼に継がれた職務。

 しかし、それができないのは裏返せば彼が感傷する心を持っているということになる。

 面倒見がよく、誰かを気にかけることができる人物であることは間違いない。

 

 レース中は殆ど敵しか遭遇してないので分かりにくいが、ジョニィと違い彼は受け身だ。

 向かってくる敵には容赦はせず殺人も厭わないが、自分から進んで攻撃はしない。

 だからこそリンゴォ・ロードアゲインも『受け身の対応者』として相手にしなかったのだから。

 ジャイロ・ツェペリとはそういう男であり、彼にとって殺し合いは納得のできないことだ。

 必要に迫られれば殺す。だがそこには必ず最初に『納得』が彼にとっては必要になる。

 彼にとって生きることに納得が必要だ。納得とは誇りであり、命を賭けれる存在だから。

 納得のできない行為を前に、アズに対して従う理由などなかった。

 

「で? オタクはどうなんだ? 盗み聞きするような教育されてるわけじゃあないだろ?」

 

 ハットに手をかけて頭上を見上げ、ジャイロは声をかける。

 橋の上、上弦材と呼ばれる場所から別の参加者が降り立つ。

 別にジャイロは特別なことをしたり支給品を使ったわけではない。

 相手方のスタート地点が上弦材の上、必然的に足場が悪い所になる。

 いくら人が歩く分には問題ない歩幅が確保されると言えども、

 あくまで確保されてるだけであって、そこは本来人が歩く場所ではない。

 風も吹いてるため不安定な足場で物音を出さないでいるのは困難だ。

 だから人がいると言うことについてはおおよそ予想は付いていた。

 

(おいおい、こいつぁマジにやばそうだぜ。)

 

 降り立った相手に、ジャイロは即座に構える。

 右手には自分がよく用いている鉄球が握りながら。

 愛用の鉄球は一つだけではあるが支給されてるので応戦は可能だ。

 相手は細身ながら鍛えられた肉体にルックスもイケメンと言う、

 女性を虜にするならジャイロも認めるほど非の打ちどころがないだろう存在。

 まあはっきり言ってそこについては彼としては正直どうでもよく(そりゃそうだ)。

 問題は十メートルはあるであろう高さから落ちてきたはずなのに無傷の着地、

 しかも並の人間では発することのない殺気を放ちながらの黄の槍と赤の剣の二刀流。

 武術に特別詳しくないジャイロでもわかる。この男の構えはかなり様になっていると。

 鉄球一つで何の策もなしに戦えるような相手ではないことを察していた。

 寧ろ二個ないとかなり苦しいのではないだろうかとすら思う程に。

 猫かと思って期待してみれば降りてきたのが虎だったようなものだ。

 どうしたものかと考えを巡らせるが、

 

「此方の目的は二つ。心行くまでの果たし合い、

 同時にそれを邪魔する卑劣な輩の排除……その邪魔をしない、

 そのことを約束するのであれば、貴公と知人に危害を加えないと約束しよう。」

 

「……あ?」

 

 思いがけぬ交渉を提案され、

 思わずジャイロは変な声が出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ランサーが求めたのは、純粋な願いだ。

 生前叶わなかった戦士としてあるべき姿を貫く。

 ただそれだけでよかった。彼にとって聖なる杯など求める必要なし。

 求めずとも、それは現世において既に叶えられる類のものではあった。

 聖杯戦争とは、主君たるマスターの使い魔として召喚されるのだから。

 必ず忠義を貫くべき主がいるのであれば、それは何ら問題はなかった。

 もっとも、その舞台が普通の誉れ高い戦士の戦いの儀であればの話だが。

 

 生憎とそこは騎士道精神を貫くような真っ当な戦士が戦う舞台ではない。

 武を競う、正々堂々……そんな高潔な場などでは断じてなかった。

 特に、マスターの後ろに立つ男───名を知らないが衛宮切嗣においては。

 

 鮮血が大地へと飛散する。

 仮初の肉体には深紅の長槍が胸に突き立てられ、血涙を流す。

 理解が及ばない。何故このようなことを自分がしているのか。

 ただ高潔な騎士王との決闘をしていたはずなのに。

 

 ほどなくして意味を理解した。

 行方不明だった主君の伴侶が主君に抱きかかえられてるのを。

 その背後に立つ男が、妻を優先して自身の自害を選ばせたことを。

 あの男に仕組まれた奸計により、騎士道を貫くことなく、戦い以外で敗死した。

 

『貴様らは、そんなにも……そんなにも勝ちたいか!? そうまでして聖杯が欲しいか!?』

 

 廃墟に慟哭の嘆きが響く。

 空虚な忠義を示すかのように、空しいものに。

 その言葉は、とても哀れでしかなかった。

 聖杯を望んで英霊になるのだから、当然だと。

 

『この俺が、たった一つ懐いた祈りさえ、

 踏み躙って……貴様らは、何一つ恥じることも無いのか!?』

 

 廃墟に怨嗟の叫びが轟く。

 相対した騎士王は戸惑いがあるが、

 最早そのような姿は彼には見えなかった。

 その言葉は、とても愚かでしかなかった。

 誰しも願いを抱いて聖杯戦争に挑むものだ。

 一個人の願い全てを聞き入れる輩などいるはずもなし。

 

『赦さん……断じて貴様らを赦さんッ!

 名利に憑かれ、騎士の誇りを貶めた亡者ども……その夢を我が血で穢すがいい!』

 

 廃墟に叫喚の言の葉が紡がれる。

 履き違えた感情を聞き届ける人は二人だけ。

 主君も、貶めた男の心には何一つ響きはしない。

 その言葉は、とても滑稽でしかなかった。

 これは戦争だ。断じてスポーツのような正々堂々を望む場に非ず。

 悪辣であろうと、奸計を巡らせ実行しようとも逸脱しなければ許される。

 故に履き違えた感情だ。彼はこの場を何たるかを理解していなかった。

 

『聖杯に呪いあれ! その願望に災いあれ!

 いつか地獄の釜に落ちながら、このディルムッドの怒りを思い出せぇ───!!』

 

 救いなど何一つないまま、

 聖杯戦争と言う舞台からランサー、ディルムッド・オディナと言う役者は降りた。

 後に、この場にいた全員が等しく災いが降りかかったことや、

 本当に災いある杯であったことは、彼の与り知らぬところである。

 

 

 

 

 

 時間からすればほんの数分前だろうか。

 あれ程壮絶な死を遂げながらランサーは上弦材の上に立つ。

 足場の悪さから軽くたたらを踏むが、さして問題ではなかった。

 まるで、全ての事象を記憶から消してしまったかのような静けさだ。

 生きてることについては疑問を持たない。と言うよりどうでもよかったのだ。

 

「これは、別の形の聖杯戦争と言うことだな。」

 

 先程アズから宣言された殺し合いの定義を振り返る。

 内容はよりチーム戦を意識しただけで根本は変わらない。

 拙い操作で名簿を一瞥し終え、武器を手にして状況を把握し終えた。

 もっとも、彼の必要な情報は既にあの会場で得ているのだが。

 

 彼は見た。奸計を仕組んだ男を。

 彼は見た。奸計を受け入れた男を。

 彼は見た。騎士道を貫いてる振りをして、共謀したあの騎士王を。

 だから今更だ。彼にとって名簿の羅列を見ることに対する無意味さを。

 バーサーカーがいる、そんな程度の情報しかないのだ。

 

 彼は此処でも嘗ての願いを望む。

 騎士道精神を重んじた果たし合いを。

 それだけを聞けばこの男は何も分かってない、

 この場だって同じだ。スポーツとは違うのだと。

 馬鹿の一つ覚えなどと一蹴されてしかるべきだし、

 いつまで履き違えているのだと呆れられるだろう。

 

 だが、あの時よりも考え方はある程度ではあるが変わっていた。

 正直、あの聖杯戦争で落ち度があったとは今となっては認めている。

 あれが手段を選ばぬ戦いであると理解せず騎士道をかまけていたこと。

 滅私奉公ばかりでマスターたるケイネスとの信頼関係を結ぼうとは全くしないで、

 あのような展開になったとしても向こうからは『当然だろう』と一蹴されることも。

 ただ、落ち度があると認めただけであって彼らに対する憎悪がないというわけではない。

 

「塵殺するほかなし。」

 

 奸計を巡らせる奴も、それを受け入れる連中も全員殺せばいいと。

 先に始末することで、改めて自分にとって望んだ戦いを臨むことができると。

 奸計を巡らせる輩に己の騎士道で応える必要なし。

 当然三人はそれらの対象。見つけ次第あらゆる手段を以って殺す。

 自陣営であることなど関係ない。彼にとって満足往く戦いだけが望みだから。

 

 端から見れば無計画が過ぎるとは思うだろう。

 そのような相手を、どうやって判断すると言うのか。

 彼の保有する心眼のスキルは直感での回避に関するもので、

 決して相手の思考そのものを読むと言ったものではない。

 ただその点も問題はない。否、その確認もかねて彼はジャイロと相対した。

 

「して、如何様な返答を?」

 

「オタクは契約書を読ませずサインさせちまう借金取りか?

 こっちはオタクを信用するかどうかの段階を今決めるとこだ。

 それとも契約を急がせないと成立できない後ろ暗いことでもあんのか?」

 

「……失礼した。聊か逸ってしまった。」

 

 要するにこいつはリンゴォの野郎と同じ。

 戦いに自分を見出してるような輩であると。

 ただまだ不明瞭なところは多く、確認は必要だ。

 

「まず、果たし合いってのは決闘と受け取るぜ。

 それはつまり、殺し合いに乗るってこととは違うのか?」

 

「この槍と剣を振るうのは、先の言の葉の通り。

 戦意なき、無害な相手に対して振るうつもりはない。

 あくまで決闘を申し込んで受け入れた人物と、

 それを邪魔立てするような輩の二種類の相手のみとさせていただく。」

 

 応じない相手を応じさせるよう仕向けるわけでもない。

 と言う点においてはリンゴォよりかはましだと。

 信用できるかどうかで言えば半々だ。初対面でしかないのだから当然ではあった。

 ただ一方で、殺す方が手っ取り早い状況においてそれを選ばなかったところを見るに、

 殺し合いを進めるでも優勝を目論むわけでもない。彼はそのような勝ち方は納得しないようだ。

 

「じゃあ、オタクじゃその相手がいなくなったらどうするんだ?」

 

「……後のことなど考えてはない。

 少なくとも其方の目的を邪魔をするつもりはない。

 しかし、それは他の参加者とも同様の交渉を持ち込む都合、

 最終的に『誰の味方もせず傍観する』と言うことにも意味するが。」

 

 この先も敵とならない相手には同じような問答を行えば、

 全員の邪魔をしない手段とはつまり『何もしない』ことになる。

 ジャイロの敵にはならないが、味方にもなってくれないと言うことだ。

 『すんげー身勝手極めてるなおい』と内心でジャイロが軽くごちる。

 

「自分の陣営が負けるとしてもか?」

 

「ああ。だが、殺し合いが長引くようなら、

 することのない俺が最後の役割として、この剣と槍を振るおう。」

 

「……だったら一先ずはOKだ。100%とまではいかないが信用する。」

 

 何もしてない奴が殺されるわけでもない。

 ジョニィも過激だが、彼の邪魔をするつもりはないだろう。

 対象は同意した相手とせこい手を使って優勝を目論む輩だけ。

 優勝を目論むような連中と手をつないで仲良く過ごす気はジャイロにはない。

 決闘についてもジャイロだって売られた決闘を買って事実相手を殺してる経験もある。

 リンゴォのような公正な決闘で、それは別に他者に必要以上の被害を出すつもりもない。

 よく考えた上での行動であるのは伺えるので、だったら何も言うまい。

 仮にそれで人が死んでも、喧嘩を売る方が悪いのだから。

 

「感謝する。その代わりとしては安いが、それの使い方を教えよう。」

 

「お、悪いな。」

 

 英霊が召喚される際の現代の知識でも、時代が時代の都合その情報も古い。

 とは言えタブレットと言う類似したものがあった都合ジャイロよりは詳しく、

 ジャイロは彼の操作を見よう見まねで練習して使いこなすことに成功する。

 

「おいおい、予想とは大分違うじゃあねえか。」

 

 名簿を見てみれば意外だった。

 自分がいると言うことは大統領による刺客、

 と言ったものを想定したのだがその大統領がいるではないか。

 しかも既に死亡したはずのアクセルROやブラックモアも参加している。

 特にランサーは偽ランサーとは別人(陣営が違うためそこで判断)であり、

 何故か名前も知り合いから大きく離れているという謎の扱いを受けていたり、

 名簿に疑念は尽きないのだが、ランサーは知り合いを会場で見つけいたのもあり、

 一先ずいるものだと仮定して動くことにする。

 

「オタクに朗報と悲報だ。

 せこい手使ってくる連中を俺の知り合いにいたぜ。

 ヴァレンタインやディエゴは特にそうなるな。」

 

 世界ってついてるがなんだそりゃとは思うが、

 名前の配置から恐らくあのディエゴであるのだと。

 

「ふむ。ヴァレンタイン大統領やディエゴ・ブランドーか。」

 

「ただ大統領の野郎は、邪魔をするかどうかはちと分からねえな。」

 

 国の繁栄と言うでかい目標を掲げており、

 目的の為であれば部下でも捨て石扱いにする。

 だが聖人の遺体の奇跡とアズの言う願いどちらを選ぶか、

 と言われたらまず前者を選ぶ程度には彼女を信用しないだろう。

 

(だから厄介なんだよ。)

 

 この男を信用するべきか否かの判断ができないことこそ厄介である。

 こうなると、アクセルもブラックモアも判断ができなくなってしまう。

 前者は大統領に実質殺されてるので恨みつらみはあるので怪しいが、

 後者の場合死に物狂いでルーシーを追いかけてきた忠義のある奴だ。

 となれば、大統領の為の行動をするという方針になるのは間違いない。

 たとえそれが参加者を皆殺しにするという目的であったとしても。

 

「その辺は、此方で判断させていただこう。」

 

「それのほうが助かる。で、ランサーが言う三人だが俺は……」

 

 どうしたらいいか。

 そう尋ねようとしたが言葉が詰まる。

 表情は絶対にやると決めたジョニィのような、

 漆黒の意志でも宿ったかのような瞳をしていた。

 『殺せ』と瞳で伝えているわけではない。ただならぬ憎悪が、

 表面上に出ているだけであってそこに理由はないのだと。

 

(ストレートだねぇ。一体何をされたのやら。)

 

「ま、ふんじばっておくさそういう奴は。

 その後はそっちの好きにしておいてくれや。」

 

 要警戒な人物であることは間違いない。

 奸計を企てる連中だ。さぞ此方の障害にもなるだろう。

 野放しにするぐらいなら捕まえた後、どうするか任せるぐらいがいいだろう。

 

「ジャイロ・ツェペリ……感謝の至りだ。

 俺はこのまま橋から移動するが、其方はどうする。」

 

「いや、この広い中走るのもしんどいからな。

 移動に使えそうなものを漁ってから動くさ。」

 

 鉄球は雑に確認して手にしただけで、他のは確認してなかった。

 紙には容量以上のものが入ることはランサーの武装を見れば明らかだ。

 彼の持つ黄色い槍は短くても絶対に入りきらないサイズではあるから。

 

「承知した。ジョニィ・ジョースターに対して危害を加えないことを此処に誓おう。」

 

「おう。」

 

 改めて約定を確認し終えると、

 健脚、と言う言葉一つでは済まされない脚力で走っていく。

 下手をすればあれは馬にも匹敵してるのではないか、

 などと思いながら彼は支給品を確認しようとするが、今更気付いた。

 一つだけランサーはあの時ではありえないことを口にして

 

『オタクに朗報と悲報だ。

 せこい手使ってくる連中を俺の知り合いにいたぜ。

 ヴァレンタインやディエゴは特にそうなるな。』

 

『ふむ。ヴァレンタイン大統領やディエゴ・ブランドーか。』

 

「……あいつ、なんで『大統領』やディエゴの名前知ってたんだ?」

 

 名簿上にはファニー・ヴァレンタインと言う名前で表記されており、ディエゴも世界ディエゴと表記されている

 ジャイロも『ヴァレンタイン』とは言ったが『大統領』とは言ってない。

 しかし、ランサーは大統領と知る前から既にその人物を大統領と言っている。

 勿論大統領は有名人だ。レースの参加者や大統領の部下よりは知ってるだろうと。

 ただどうも彼は同じ年代の人間とは思えない。もっと過去の人間のような考え方に加え、

 銃が発達したこの時代で、槍と剣があれ程似合う古代の戦士など時代錯誤にもほどがあるから。

 死んだ人間がいるのなら何百年も前の戦士だって、ひょっとしたらいるかもしれないと。

 なので大統領の名前を知ってるとは思えないが、既に彼の姿はないので考えるのをやめた。

 

 

 

 

 

(あの男、嘘偽りはなかった。となればこれも本物か。)

 

 鋼橋を駆けながらランサーは先程のジャイロの事を考えた。

 彼の言ったことは嘘はなかったと『確信』を持つことができている。

 だったらもう一人のジョニィは信用できる人物であると考えられると。

 彼の状態から得られるはずのない情報を先に口にしてたが、理由は単純。

 彼の額のに巻かれた帝具『スペクテッド』は様々な視力に関する能力を持つ。

 そのうちの一つである『洞視』を使うことで、相手の心を読んでいただけの事。

 だからあのような消滅をした後でありながら、ジャイロを敵ではないと冷静に判断した。

 

(今はこれなくしては交渉もできぬとは……我が未熟さを呪いたくなる。)

 

 彼にとって、これは必要なものだ。

 言葉だけならばいくらでも言い繕うことができる。

 騎士王も澄まし顔であのような奸計を巡らせていた。

 故に彼にとって、今は人を信じることが簡単なことではない。

 勘違いで人を殺さぬよう、真実を見抜くスペクテッドで敵を屠る。

 そういう意味でも彼にとってはとても使いやすい武具ではあった。

 彼が憎悪を募らせながらも冷静でいられたのは、そういうことだ。

 

(騎士王……あの時の屈辱、必ず晴らすぞ。)

 

 槍兵は駆け抜ける。懐いた願いを邪魔立てするであろう三人の顔を思い出しながら。

 

 

 

 

 

 時間が経っていれば、あのことにも気づいただろう。

 かの騎士王が、そのような奸計を謀るはずがないと。

 あれはマスターが独断でやったものなのだと言うことを。

 かの人理修復の世界ではそう捉えたのか、二人は穏やかな関係を築いていた。

 たとえ霊基が剣であったとしても、その関係はさして変わることはなく。

 しかし、彼はそうであるを考える余裕がないまま招かれたことで、異なる道を歩む。

 かの騎士王も高潔とは無縁の、別の姫君を手にかけようと画策している最中。

 互いが邂逅するにせよ高潔な戦いなど、最早この舞台で見ることはないのだと。

 

【C-7 鋼橋/1日目/深夜】

 

【ランサー@Fate/Zero】

[状態]:憎悪(極大)

[服装]:私服

[所属陣営]:黄

[メダル枚数]:1枚(ランサー)

[参戦時期]:消滅後

[装備]:原初の火@Fate/EXTRA、必滅の黄薔薇@Fate/Zero、五視万能スペクテッド@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本:ただ正々堂々と死合う。その為に必要な敵の排除。

1:セイバー、ケイネス、あの男(切嗣)は絶対に殺す。

2:戦う気がない相手には興味なし。邪魔をするなら屠る。

3:奸計を企てる、それを受け入れる輩は塵殺。手段も選ぶ気はなし。

4:ジョニィ・ジョースターは向こうから手を出さない限りは手を出さない。

5:ヴァレンタイン、ディエゴ、アクセル、ブラックモアは出方次第で判断。

6:戦う相手も障害も全ていなくなったら、その時考える。

 

[備考]

※クラスの都合、セイバーの時ほどの剣術は扱えません。

 同時に、完全に使えないわけではありません。

※愛の黒子の効果の影響は現時点では不明です。

 ただ、対魔力がなくても本人の精神次第で抵抗は可能です。

※必滅の黄薔薇の呪いが原作通りかは後続にお任せします。

※誠実な騎士の側面はいまだ健在ですが、

 卑劣な相手や騎士道精神を軽んじる相手に対しては、

 一切の手段を選ばず、容赦もせず殺しにかかります。

※スペクテッドとの相性は悪くはなく、洞視は使えます。

 また、スペクテッドなしでは人を信じきれなくなってます。

※会場で切嗣の姿を確認してるため、名前が分からずとも存在を認識してます。

※ジャイロと情報交換してます。

 スペクテッドである程度心を読んでおり、

 話した内容よりも深く踏み入った情報を得てるかもしれません。

 

【ジャイロ・ツェペリ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】

[状態]:健康

[服装]:私服

[所属陣営]:青

[メダル枚数]:1枚(ジャイロ)

[参戦時期]:少なくともアクセル戦終了以降~ディエゴ死亡前。

[装備]:鉄球@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:あのいけすかない女(アズ)の言うことは聞かない。

1:ジョニィと合流する。

2:大統領は一時的な結託はできそうだが、安易に信じるのはまずい。

3:セイバー、ケイネス、黒コート(切嗣)は見つけたら捕まえておく。

4:ディエゴ、ブラックモア、アクセルROは要警戒。ブラックモアだけましか?

5:あいつ(ランサー)は多分、リンゴォやジョニィみてーなもんだろうな。

 

[備考]

※ランサー(Zero)と情報交換してます。

※この舞台が作られた舞台=自然の物がない=黄金長方形ができない、

 かどうかについては後続にお任せします。

 

【原初の火@Fate/EXTRA】

ランサーに支給。アエストゥスエストゥスという名のネロが所持する剣。

セイバークラスとして召喚される場合に持ち込む、彼女お手製の剣。

なおこれは宝具ではない。使用者の感情に反応して炎を生み出す。

漫画版だとアサシンの无二打を無力化してたので気功を封じれるらしい。

 

【必滅の黄薔薇@Fate/Zero】

ランサーに支給。ゲイ・ボウ。

ディルムッドが元から使ってた宝具の一つである黄の短槍で長さは大体150cm。

この槍で負った傷は如何なる手段を以てしても治癒、自然回復回復ができなくなる呪いの槍。

ゲーム的に例えれば、最大HPそのものを削り取る効果を持っているようなもの。

槍を破壊するか、使い手が死なない限り癒えることがない。

 

【五視万能スペクテッド@アカメが斬る!】

ランサーに支給。元々は首切りザンクが所持していた帝具。

額に付ける巨大な瞳で、五つの視界に関する能力を有している。

心が読める洞視、霧でも夜でも関係なく遠くにいる相手が見える遠視、

筋肉の動きから動きを見通す未来視、服の上から中を確認できる透視、

唯一相手にかけるタイプとして幻覚を見せる幻視の能力を有している。

帝具には相性がある為相性次第では疲労や使用を受け付けなくする。

 

【鉄球@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】

ジャイロに支給。ジャイロが普段から使っている形状の鉄球。

彼の持つ技術により表面上の老化、皮膚の硬質化等様々な効果を与える。

技術がなければ野球ボール大のただの鉄球。普通に投げても痛いのは間違いない。



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20■■:フェイト、リセット

作者
・ユッケジャン

登場キャラ
・常磐ソウゴ(A)@仮面ライダージオウ


この本によれば…

普通の高校生、常磐ソウゴ

彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる未来が待っていた。

幾多の試練を乗り越えながら彼は己が覇道を歩み続け、

遂に、全平成ライダーの力を集めるに至った。

過去と未来、総てを超越した力を手にした常盤ソウゴは

絶対の王として、未来永劫世界に君臨し続けたのでした。

めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───王の前だ、跪け!

 

俺は王様じゃなかった

 

───人の良さそうな君を選んで良かったよ。皆、素直にライダーの力を渡してくれた

 

託された思いを台無しにしてしまった

 

───俺たちが2000年生まれの子供の中からお前を選んだ

 

自分の運命も、未来も、誰かの敷いたレールの上だった

 

───ごく普通の高校生に過ぎなかった君にずっと生まれながらの王というセルフイメージを刷り込んできたからね

 

どこにでもいるありふれた、ちっぽけな子どもだったんだ

 

───今迄、替え玉を良く勤めてくれた

 

皆が信じてくれた、俺が信じていた夢って…なんだったんだろう

 

 

───お前たちにはこれから5つの陣営に分かれてうち4つの陣営が全滅するまで殺し合ってもらう。

 

 

もう、何も分からないや───

 

 

◆◆◆

 

 

 

海岸にて。

一人の青年が無残に打ち捨てられていた。

彼の名は常磐ソウゴ。

最低最悪の魔王になる未来を宿命づけられし者。

だが傍目から見て、彼をそう認識出来る者はいないだろう。

血と泥で汚れた衣服に覇気を失った相貌。

かつて"生まれながらの王"とまで呼ばれた存在と同一であるなどと誰が言えようか。

 

「戦兎……」

 

砂浜に五体を放り出し、鮮明に目に焼き付いた凄惨な光景を思い返す。

仮面ライダービルド、桐生戦兎

最初に力を託してくれた平成ライダーの一人。

一時は共に肩を並べて戦ったこともあった尊敬すべきレジェンド。

しかし彼は死んだ。参加者を恐怖で縛る見せしめとしてあっけなく殺されてしまった。

 

(いや、あの人は……少し違う気がする)

 

確かに戦兎に似ていたが、ツナギ姿の彼には違和感があった。

性格が些か情けない。余りにも失礼な物言いだが、何となくそんな気がした。

もうすぐ自分が死ぬかもしれない。何の関心も感慨も無く、ただ気紛れに。

そんな絶望的な状況下におかれたのだ、みっともなく怯えるのも仕方ないだろう。

それでも、彼がラブ&ピースを胸に戦った"桐生戦兎"だと言うならばやはり違和感を拭えない。

 

記憶の中の彼は、例え死の間際であっても泣き叫ぶ事は無い。

如何なる状況からでも己が頭脳を働かせ、一矢報いようと足掻くはずだ。

幾ら歴史が変わっても、例え彼が仮面ライダーでなくなり違う人生を歩んだとしても。

彼らの胸に宿したヒーローとしての本質は決して変わらない。

命ある限り誰かの為に闘い続ける、それこそが仮面ライダーの在り方だ。

 

ソウゴの持つ記憶と彼が信じる戦兎の人物像と比較すると、会場で爆死した戦兎は別人過ぎる。

こうなると本人だったと考えるのではなく、よく似た誰かと認識した方が幾らか自然だ。

ただ、意味もなくアズが戦兎に瓜二つな他人をたまたま選ぶわけはない。

なので、あのそっくりさんもビルドと何らかの関わりはあるとは思うが。

ソウゴが出会った時は確認する事は出来なかったが、瓜二つの兄弟でもいたりしたのだろうか。

 

(でも龍我はいたんだ…。なら、戦兎も多分ここにいる)

 

イメージと合致しない人物もいれば、正しくイメージ通りの人物もいた。

アズと名乗った司会者の蛮行に声を荒げた男、万丈龍我。

彼もまた仮面ライダークローズとして戦った立派な平成ライダーの一人である。

旗から見れば浅慮にも感じる行動。しかしその威勢の良さがソウゴにはとても頼りに感じた。

恐怖に屈せず、立ち向かう勇気を見せた彼の勇気ある行動は、反抗の意志を燃やす人々への希望となりえるはずだ。

そして、万丈が連れてこられているならば、相棒の桐生戦兎も連れてこられている可能性は高い。

寧ろクローズを呼んで、"仮面ライダービルドの歴史"の中核たる彼を除外する方が考えにくい。

 

「皆、戦ってる…。助けてって、叫んでる人たちがいる」

 

突如として言い渡された殺し合い。

数えた訳ではないが、集められた人数は10、20では効かない。

それに参加しているのは戦兎や万丈の様な"元"仮面ライダー達ばかりではない。

殺された戦兎のそっくりさんも含め、戦えない人々も大勢いるはずだ。

願いへの欲望や死への恐怖によって、悪意の道に転がり落ちてしまう人々も同様に。

 

「早く、止めに行かなくちゃ…。俺が、助けに行かないと」

 

だが、善であっても悪であっても、誰一人として無慈悲に殺されていい理由なんてない。

強者と弱者、どちらであっても誰かが勝手に失われていい命を決めていいはずがない。

幸せを奪われ嘆き悲しむ人々が、救わなくてはならない民が、ここには沢山いる。

ならば、このままジッとしている訳にはいかない。少しでも早く立ち上がり、戦わなくては。

 

人々の平和を守る仮面ライダーとして。

 

最悪の未来を変え、世界の全てを救う最高最善の魔王として。

 

「王……?」

 

 

───俺は魔王になる。ただし、最低最悪の魔王じゃない。最高最善の魔王になってみせる!

 

 

「何が、王様だ……!」

 

拳が強く握られ、ソウゴの表情に仄かに生気が戻る。

しかし、彼の内側から湧き上がり始める、身を焼き焦がそうとする感情は。

希望から来るプラス的な思考では決してない。

 

「そんな事の為に、俺は、俺は…ッ!」

 

ソウゴを知る者からすれば在り得ざる言葉だ。

どれだけ知人に馬鹿にされても。

どれだけ冷ややかな視線を向けられても。

どれだけ絶望的な状況に追い込まれようとも。

己を曲げず信じ続けてきた夢を、彼は馬鹿馬鹿しい絵空事と断じた。

 

「平成ライダー達を、皆の思いを踏みにじったんだ!!」

 

常磐ソウゴの信じてきた道は、彼のモノでは無かった。

己が覇道であると進んできた道は本来、真の大魔王が歩むべき道。

歴史の管理者、クォーツァーによって舗装された偽りの覇道だった。

彼らの目的は混沌とした"平成"と言う時代を終わらせ、新しい時代を創りだす事。

新時代の樹立には設定も世界観も何もかもが滅茶苦茶な平成ライダーの存在は邪魔だった。

 

平成の排除は何者かから苦言を呈されたが故らしいが、

一体何処から上がった声なのかはソウゴには知る由もない。

ただ確かなのは既に19の平成ライダーの物語は集約し、綺麗に舗装されてしまったと言う事。

王に至る為の力の継承と称して、ライダーの力を強奪する体のいい集約装置。

仮面ライダー達の物語の受け皿として用意された仮面ライダージオウによって。

 

ライダー達は間違いなくこの会場にいる。

今の彼らにはもう闘う力は無い。歴史諸共自分が奪い去ってしまったから。

しかし元の力はなくとも皆、同じ力なき人々を守り、主催者を打倒すべく動こうとするはずだ。

無力を立ち上がらない理由にしない。どんな形であっても戦い抜く。

だからこそ彼らは仮面ライダーとなれたのだから。

だが、どれだけ意志があろうと現実は残酷だ。殺し合いは容赦なくヒーロー達を追い詰める。

歴史と力を奪い取った上で争わせ、邪魔な存在の全てを亡き者とする。

この殺し合いはクォーツァーによる計画の最終段階だと言うのだろうか?

 

所詮は個人の妄想の域を出ない陰謀論だ。

万丈や戦兎のそっくりさんは偶然、運悪く選ばれただけかもしれないし、

クォーツァーやタイムジャッカーすら一切関係ない別の組織が関わってるかもしれない。

だが、もしも。それが真実だとするならば。この現状を招いたのは果たして誰なのか。

ああ、簡単だ。留年寸前だった頭脳でも容易く答えを導き出せる。

意図的に与えられた栄光を疑わず。流されるがまま享受してきた裸の王様による──────

 

「ぁぁぁぁ…!うあああああああああーーーーッ!!!」

 

燃やし尽くしたと思っていた感情が勃然と再燃した。

怒りだ。轟々と嵐の如き激情がソウゴの壊れかけの心に吹き荒れる。

喉が張り裂けんばかりに叫び続け、握り締めた砂を、背負っていた荷物を砂浜へ叩きつける。

鼓膜が破れんばかりの慟哭が海岸に絶えず響く潮騒を搔き消した。

声が枯れるまで声を荒げても、痛々しいほどに己を傷つけても。

爽快感などあるはずもなく得られたのは虚しさと無力感。

頭の中では理解している。癇癪など起こしたってどうにもならない。

そう分かっていても、ソウゴは抑えられなかった。

 

その怒りは誰に対してか。

アズの背後に隠された玉座から見物しているかもしれない傲慢な時の管理者。

今迄己を騙し続けてきたウォズらクォーツァーへ向けらられたものか。

例え何ら変わり映えのしない平凡な歴史だったとしても。

自らの都合だけで平然と自分の人生を弄ばれた事への憤慨。

 

いや、違う。

ソウゴが抱く激情の全ては彼自身への感情だ。

王様になりたい。などと言う戯言の為に何もかもを破壊した。

どうしてなりたかったのかも分からない、曖昧な夢の為に───!

 

力の継承は単にライダー達の能力を貰う事ではない。

時代を駆け抜けてきたライダーとそれに関わる全ての人々の思いを受け継ぐ行為だ。

英雄の歴史を築き上げてきた途方も無く巨大で、掛け替えのない魂のバトン。

誰かに力を託せば、ライダーとして生きた時間は消える。

同じ性質を持つ力は一か所にしか留まれない。譲渡したウォッチだけがそのライダーを示す証となる。それを知っても尚、レジェンドたちは皆夢を信じ、託してくれた。

だからこそ、ソウゴには彼らの時計の針を止めてしまった分、先に進めて行く義務があった。

 

王様になる事が世界を良くし、皆を幸せにする道だと信じていた。

世界の破滅が訪れる未来も、最低最悪の魔王になってしまう未来も。

頼れる家臣、大切な仲間達と共に最高最善の未来に変えられると、信じ切っていた。

ただ一つ。何が自分のルーツなのか、どうして王様になりたいと思ったのか。

それだけが思い出せなかった。

思えばそれこそが、クォーツァーによって植え付けられた幻だと言う証拠だったのだ。

夢の根源は自分の中に初めからなかった養殖物。思い出せなくて当然と言える。

この事に少しでも違和感を持っていれば、立ち止まっていれば。

人々の為に立ち上がるライダー達に闘う力が残されていたかもしれない。

いやそもそも、こんな惨劇は起こりえなかったかもしれない。

 

生まれながらの王ならば戦えたのだろう。仮面ライダーなら奮起出来たのだろう。

だが、普通の高校生には無理だった。

何の宿命も持たないありふれた一般人には、歴史を無に還した罪は耐えられなかった。

ただ重くのしかかった過ちを嘆き、何処にも行けない感情を無にぶつけるしか出来なかった。

しかし、不毛な嘆きはやがて終わりを迎える。

 

「───えっ?」

 

それは偶然だった。

後先考えず暴れ回った結果、計らずも起きた偶然。

デイパックの開閉口が開き、飛び出した紙が支給品を吐き出す。

出現したあるはずのない物体にソウゴの視線はガチリと釘付けになる。

先程までの大騒ぎが嘘だったかのように場は静まり返った。本人自身も驚きを隠せない。

タイムジャッカーによって時間が静止させられたのではないかと錯覚すら覚える。

 

「何で、ここにこれが…!」

 

忘れるはずもない。

その並々ならぬ憎しみに満ちた顔を。

彼の過去に強く根強いた因縁深い王の名を。

 

「アナザージオウ…」

 

平成ライダーの歴史の在り方を歪め、歪な形で具現化する事で生まれる怪人、アナザーライダー。

それらを統べる裏の王にして"偽り"の時の王者こそがアナザージオウである。

ソウゴと同じく王の資格ある者として選ばれた加古川飛流が所持していた力。

彼とはとある因縁から幾度となく、ぶつかり合い、その過程でウォッチは破壊されたはずだった。

 

どうやって復活したのかはこの際置いておこう。

重要なのは何故仮面ライダージオウであるソウゴの元にこれがあるのかだ。

 

平成ライダーとアナザーライダー、相反する二つの力は同じ人物の元へは存在しない。

繰り返し生じたライダーの歴史の消滅、修正の影響で、時空歪んだ影響からか。

途中からオリジナルとアナザー、両方が同じ時代に存在出来る様にはなったが、それでも同一人物が二つの力を使い分けたと言う事例はなかった。

一応仮面ライダーシノビでありながらアナザーシノビに変身させられた神蔵蓮太郎のケースはあるものの彼は未来にて仮面ライダーに変身する資格を得るのであって、現代ではその資格を所持していなかった。よって、オリジナルであってもアナザーライダーへと変貌できたのだと考えられる。

 

本来、オリジナルであるはずのソウゴがアナザーウォッチを持つ意味はない。

彼は仮面ライダージオウ。彼がジオウである限りアナザーになる事など決してない。

だが、手元にはこうしてあるならば、それは間違いなく意味があると言う事だ。

その答えに気づけない程、ソウゴは悪意に鈍くはなかった。

 

「─────ッッ!!」

 

常磐ソウゴはもう"仮面ライダージオウ"ではない。

そう気づいたときにはウォッチを握りしめていた。

オマエは正史などではない。魔王など大それた肩書もない真っ赤な偽物なのだ。

アナザーウォッチを通して、そう暗に告げられている気がした。

今迄のソウゴなら罵倒など何の意にも解さなかっただろう。

何に阻まれようと揺らぐことない絶対的な信念があったから。

だが、今の、全てを否定されてしまったソウゴにとって。それは余りにも心無い仕打ちだった。

この悪趣味な餞別品をもう一秒だって見たくない。憤りのままに海へ放り投げようとして。

そのまま力なく、振り上げた手を降ろした。

 

「……そっか。もう俺、仮面ライダーじゃないんだ」

 

握られたウォッチを眺め、何処か納得した様に呟く。

自分は潤滑な計画遂行の為に、たまたま選ばれただけの高校生に過ぎない。

クォーツァーにとって必要だったから今まで"仮面ライダー"ジオウであれた。

こうして用が終わってしまえば、王の資格は勿論の事、仮面ライダーである資格も当然無くなる。

であるならば、何も残らない空っぽな器に"アナザー"の役割を与えられるも頷ける話だ。

 

改めて突き付けられた影武者としての現実はソウゴの心で荒ぶる激情を鎮静化させた。

諦念による鎮火。それは果たして良い結果を齎しているのかは分からない。

ただ落ち着いた事で殺し合いでの生き方についての思考へ、何とか移行は出来たのは確かだ。

自暴自棄で戦える力を手放してはならないと振るった手を戻した事からもそれは伺える。

 

「アナザーライダーがいるならライダー達の力もここにある、って事だよね」

 

主催者は一参加者にアナザーウォッチと言う劇薬を支給した。

アナザーライダーは同じ性質を持った仮面ライダーの力でしか倒せない。

すなわち、ここは平成ライダーの力を使った熾烈な戦場になる事を意味する。

そうでなければ、アナザーライダーは誰も倒せない無敵の怪人だ。

公平の二文字は殺し合いから完全に消滅する。

フェアにする気がないなら最初から催しの形を執る意味が無い。

 

「…皆の力を好き勝手にされてるって言うのなら、それは俺のせいだ。」

 

散らばったライドウォッチが誰かを守る為に使われてるなら良い。

だが、そう甘くはないはずだ。平和的に進む殺し合いなどない。

込められた意味も知らず、単なる強力な兵器として力を利用する者は必ずいる。

ライダーによる悪行で涙を流す人がいるなら、それは夢の為に歴史を引っかき回した己の責任。

 

「優勝すれば、無かった事に出来るのかもね。俺の過ちも、皆の苦しみも全部。」

 

アズは言った。参加者達を殺せばどんな願いでも叶えてやろうと。

過去と未来、総てを手中に収める全ライダーの力があれば不可能など無いに等しい。

過去の清算する為に殺し尽くして、願いを叶えれば、ライダーが消え去った歴史を元に戻せる。

罪を帳消しにする為ならなんだってする。だから乗ってやろう、と思わなかったと言えば噓になる。

一つでも揺らげばそちらに転がり落ちる。それほどまでに、しでかしてしまった罪は大きい。

 

「でも、過去はどうやったって変わらない。

 過去を変えたいって思うのは俺が罪から逃げて、ただ楽したいだけなんだ。」

 

どれだけ過去に縋りたくとも今を生きていくしかない。

未来を、現実を見ずに生きる事は積み重ねた過去への、関わった全てに対する冒涜だ。

例えそれが救いがたい罪であったとしても、嘘として事実を消し、逃避するのは許されない。

それに、もし乗ったとしても願いを叶える力など眉唾だ。

況してやライダー達の歴史の修正や殺し合いの帳消しなど

主催者にとって都合の悪い願いを叶えてくれる保証はない。

 

「罪からは逃げない。今を戦い抜いて俺は責任を果たす。だから───」

 

迷わない。いや、迷わない為にも覚悟を決めよう。

なんか行ける気がする、ではもう済まされない。先が見えずとも確かな意志を以て選択するんだ。

夢の為ではなく、贖罪の為の戦い。自分がこれから進むべき、立ち向かうべき未来を。

 

「仮面ライダーの敵は全部───俺が倒す。」

 

彼らが進む道を阻む者、彼らの力を悪用する者、元より悪として彼らの力を振るう者。

その全てを排除する。例え誰かの命を奪う事になっても。

ライダーの為に最期まで殉ずる。例え救う命を選ぶことになっても。

贖罪の為にソウゴは再び罪を犯す。責任を果たすべく、命擦り切れるまで戦い続けよう。

 

それがヒーローでも、王様でもない、普通の自分に出来る精一杯だ。

 

 

◆◆◆

 

 

常磐ソウゴの歴史は最終章を迎え、彼の物語は終わりを告げた。

役目を終えた影武者は、しめやかに表舞台から退場する…はずでした。

ここから先は誰も知らない物語。

予言書にも、全知全能の書にも綴られなかった未知なる一幕。

一ページも紡がれる事なく、歴史の陰に埋もれる定めかもしれない。

正史以上の悲惨な最期を遂げ、蛇足と呼ぶべき末路を迎えるかもしれない。

けれど、それは予想だにしない新たな未来が刻まれる希望を秘めた、可能性の物語。

 

果たして、運命に翻弄され続けた青年がどのような結末を辿るのか。

今暫く見届けるとしましょう。

 




【エリアC-1/海岸/1日目/深夜】

【常磐ソウゴ(A)@仮面ライダージオウ】
[状態]:健康、自身への激しい怒り・絶望
[服装]:いつもの服(やや汚れている)
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(ソウゴ(A))
[参戦時期]:劇場版ジオウ Over Quartzer
ウォズから真実を聞かされた後~木梨猛と会話する前
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、アナザージオウウォッチ@仮面ライダージオウ
[思考]
基本:王様でも、仮面ライダーでもない。ただの常盤ソウゴとして戦う
1:仮面ライダーの敵、その力を悪用する参加者。全て殺す
2:もしクォーツァーが殺し合いに関与しているなら倒す
3:平成ライダー達には会わせる顔がない。
4:王様になるなんてもう言えない。
[備考]
※名簿はまだ確認していません。


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呉越同舟、でこぼこ連中!?

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
・三村信史@バトル・ロワイヤル
・書き手枠@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。


池袋駅。陽光が地を照らさぬ夜であっても、ネオン輝くビルが決して人を、流れを、そして街そのものを眠らせない日本が首都の動脈が一点。

本来ならば退勤したサラリーマンを中心とした人波でごった返すはずのホームにはたった一人で立ち尽くす影があるのみ。

それもそのはず。

そこは厳密には池袋駅であって池袋駅ではない。

アズが新たなるアークと見定めた彼が仕掛けた悪夢の宴、バトルロワイヤルの会場がエリアG-4の位置する池袋駅を模したランドマークの一つである。

勿論電車の駅としての機能も有るが、どちらかと言えば、聞き覚えのある名前に参加者が集まるだろうという誘蛾灯の役割が期待されて配置されているんだろう。

 

「もうここまで無茶苦茶だと、怒りとかそんなモンより先に色んなモンが出てくるな……」

 

そう苦々しく呟いたのは若い白人の男だ。

屈んで漁っていたデイパックから見つけたエニグマの紙を抜き取り、中から出て来た武器を検めながら、不機嫌そうに言い捨てる。

表情も当然ながら歪んでいる。

にもかかわらず、性差を問わず人を惑わす色っぽい美貌に、長い手足など、スタイルもとてもいい。

天然の少し癖のあるブロンドヘアーの上に被ったヘルメットといい、手袋といい、ブーツといい、ちょっと知識があれば、彼を馬乗りと判断しない者はいないだろう。

事実、彼は有る世界において伝統のイギリス競馬会にその名を轟かす若き天才である。

そんな彼、Dioことディエゴ・ブランドーは、流石にこの異常事態に困惑を隠せない様子である。

 

まるでチェスのキャスリングの様に点と点を線を用いず移動させられること二回。

持たされたデイパックの中に入っていたデバイスや、参加者を縛る屈辱的かつ忌まわしい首輪の科学技術に驚嘆すること二回。

デバイスと同じように入っていた紙に質量を無視して収納されている支給品に関しては実はそんなに驚かなかった。

聖なる遺体という質量を無視して肉体に入り込む物を知っていたからかもしれない。

最後に、今日一番でぶったまげたのが、

 

(ジョニィの奴に喰らった『回転』ごとブッタ切ってくれてやった足が治っている!?

まさかあの女耳に変な光飾りを付けた女は、並外れた『他者を癒す能力』を持ったスタンド使いか!?)

 

そこまで考えていや、と思い直すディエゴ。

服装の一部と判断されたからか奪われなかった乗馬用ヘルメットを直し、

 

(いや、人の悪意がどうとか嬉々として語るような女にそんなお優しいスタンドが芽生えるはずがない)

 

貪欲なまでの勝利への渇望ゆえに、勝利への完璧な伏線を張る為の絶対不可知の『世界』を得たディエゴの様に、邪魔をするならどんな物でも必ず排除する漆黒の意志の元、その『牙』を研ぎ澄ましたジョニィ・ジョースターの様に、stand up to(立ち向かう)という意味でスタンドと名付けられたこの超能力は、術者の精神を色濃く反映する。

 

もし仮にあの女がスタンド使いだったとしても、この足を治した能力者とは別人だろう。

まあなんにせよ、、付けられたこの首輪や、全員に配られているというデバイスは完全に科学の産物だろうが、それ以外の科学で説明しがたい部分は、アズに味方する何らかのデタラメなスタンド能力を持った何者かが協力してると考えて間違いないだろう。

 

(癪だがアズとかいうあのアマとその一味の戦力は、どれだけ過大評価に思えても警戒し過ぎということは無いだろう)

 

自身のスタンド能力が絶対とは言わないが、人後に落ちない自信はあると思っているディエゴだが、戦えば無傷では済まないとの判断から取引に乗ったヴァレンタインや、誇張抜きに四肢の一本を手放さなければ、決して勝てなかったであろうジョニィ・ジョースターなど、自分に匹敵する可能性のある存在は認識している。

そんな連中と比較されても見劣りしない『5秒間自分以外の時間を止めれる』スタンド、世界(THE・WORLD)を操る自分をも簡単に拉致できるアズとその一味。

一体つついたらどんな大蛇よりも恐ろしい物が出てくるかわかったもんじゃない。

 

(だからと言って、あんな余興程度で人一人簡単に殺して見せる奴らの提案……優勝した陣営に与えられるというどんな願いも叶う権利をあてにするのも論外だ。

約束が守られる保証なんてどこにもない!)

 

ならばどうする?諦めて死を待つか?

論外だ。

自ら生存を放棄し、流されるままに命を無駄に腐らせるなど愚の骨頂。

それに例え相手がどれほど強大であろうと、屈するなど有りえない。

 

(そのためには、味方が必要だ。

恐らく目的次第なら一切容赦なく同じ陣営とか関係なくこっちを殺しにかかって来る奴が一人はいるからな!)

 

一番最初のアズが主演を務めたセレモニーにて。

自分と同じように首輪を巻かれ、この檻に放たれた猟犬の一頭に成り下がった黒い瞳のアイツ、ジョニィ・ジョースター。

 

(このデバイスの使い方はイマイチわからんから名簿はまだ確認できないが、、間違いなく奴も呼ばれている。

この悪趣味な催しをゲームと銘打って、俺の足を治している以上、奴のダメージも完全に回復していると考えていいだろう。

ならば、次に対峙した時、奴はより確実に、どれだけ困難だろうと、どれだけ代償を払おうと、自分の命さえギリギリでつなぎとめられるなら、俺の胴体か頭に、絶対に切り捨てることの不可能な部位に『回転』を叩きこんでくるはずだ!)

 

無駄弾は決して撃たない。

自分は奴が確殺と確信して放つ最強の一撃を捌かなければならない。

恐ろしい事実だが、これは敵の慎重さを臆病さに裏返らせて勝つ事も可能であると確信する。

 

(だが!それは俺と奴が一対一で戦えるというのが大前提ッ!

どうしても駒……いや!あからさまに駒扱いではただでさえ疑心暗鬼に陥りやすいこの状況下では悪手。

味方、仲間が必要だ。多少打算は有ったとしても、同じ目的の為に戦える仲間が!)

 

主催者も一定数はゲームに消極的になるであろう参加者を入れているはずだ。

優勝狙いの連中からしてみれば、同じ陣営に居れば士気に関わり、違う陣営に居る分にはただただ目障りな格好の焚き付け役を。

円滑に殺し合いを進めたいなら、陣営を分けて、参加者にもう後の無い、どんな悪魔の囁きにも乗りかねない奴や、シンプルに戦うのが好きな連中でも集めればいい。

 

例えば神崎士郎が恋人や自分の命にもう時間が残されていない秋山蓮や北岡秀一、戦う事に愉悦を見出す浅倉威や芝浦淳を選んだよう。

聖杯戦争が万能の釜に願いを託す者に優先的に令呪を配る様に。

 

だがアズやその一味は違う。

 

『悪意、敵意、憎悪、恐怖、憤怒、あなたの悪意を思いきり開放して願いのために頑張ってね?』

 

自分たちを送り出した魔女の台詞。

これが意味するのは、奴らがこの箱庭で殺し合う畜生共のあがきを上から見下ろして楽しんでいることに他ならない。

それを理解させてやれば多少人間性に問題があっても、打倒主催者の為に協力できるのではないか?

 

「なあ!そこのジョッキーのお兄さん!」

 

「む!そこで止まれ東洋人のガキ!

それ以上近付けば命の保証はないと思え!」

 

ディエゴは左右の手の指の隙間にさっき確認した支給品の棒手裏剣を挟んで戦闘態勢をとった。

対してディエゴに声をかけた東洋人の少年、三村(みむら)信史(しんじ)は大きく目を見開き、ごくりと大きく唾をのむ。

見れば首輪の色はディエゴのが青、信史のが赤。

これだけでも戦う理由は十分すぎる。

ディエゴは信史の次の手を読もうと観察し、信史はヘビに睨まれたカエルの様に動けない。

 

『ぷはぁ~~!やっと出られた!

ありがとう!私、アイちゃん!お礼にあなたの友達になってあげる!』

 

沈黙を破ったのは、自販機越しに聞こえて来た可愛らしいアニメ声だった。

ディエゴは信史へも警戒を払いながらもそちらに視線を向け、

 

「……ほう?そりゃあ魅力的な提案だな?アイチャンとやら。

だったらまず姿を見せたらどうだ?

懺悔室じゃあないんだ。

人と人との信頼ってやつは面と向かって言葉を交わして初めて築くかどうか判断するものだと思うんだが。

レストランだって、軒先が綺麗な店の方が入っても良いって思えるもんだろう?違うか?」

 

『分かった!ねえあなた、私をあの人の方まで連れてって!』

 

アイちゃんの返事ののtにしばらくの沈黙。

自販機の影から長い髪を金髪に染めた分かりやすいJKが出て来た。

 

(娼婦まで参加してるとは、連中は本当に節操なく参加者を集めたみたいだな。

ゲームとして成り立たせる気も、収集を付ける気もあるのか?)

 

1890年、まだレコードが生まれてから5年もたっていない頃、日本の歴史で言えばからようやく大日本帝国憲法が出来たてほやほやの頃からやって来たディエゴから見れば、所謂JKファッションは男を誘う格好にしか見えなかったらしく、滅茶苦茶失礼な事を思いながら

 

「女、お前がアイチャンか?それで?

このDioとお友達になってどうしたいんだ?」

 

『違う違う!私はコッチ!』

 

見れば女は一切口を動かしていない。

ただディエゴ、そして信史を怯えた様に見つめるだけだ。

オマケに声は女が持つ青い光を放っている白い小箱のようなものから聞こえてくるように思える。

 

「……随分腹話術が上手いな」

 

『違う違う!私はAIなの!飛電製作所で造られた友達型AI!』

 

「おいおいおいおい。あんまりこっちをからかうんじゃあないぞ。

そんな箱が物を考えておしゃべりするってか?」

 

「実際してるし!いや、どっかから電話みたいな感じでしゃべってるのかもしんないけど……」

 

なんだか自分が馬鹿にされたかのように感じたからか、女は最期の方こそなんだか尻すぼみになってしまったが、ディエゴに怒鳴りながら反論した。

不味いと思ったか、さっき以上に怯えた表情でこちらを窺ってくる彼女にディエゴは、正直怒りを抱いていなかった。

さっきあんなことを言ったが、瞬間移動や、こんな首輪に入る程度の爆薬で頭を完全に吹き飛ばせる爆弾があるくらいだ。

喋る箱ぐらいいてもおかしくない。

それに、スタンド能力とか言う世間一般から見れば十二分にオカルトの存在の生き証人でもあるディエゴはちょっと意地の悪い感じだったかとも思い、

 

「オーケーオーケー!信じてやるからそうカリカリするな、女。

さて、さっきからずっとだんまりの後ろのお前含めて色々と話したい事もあるが……」

 

三人の髪や服の裾を捲る風を起こしながら、ホームに電車が入って来た。

 

「お互いこれから信頼しようって話だ。

邪魔の入らないところで腹を割って話そう」

 

そう言って自分から電車に乗り込んだ。

 

 

 

【エリアG-4/池袋駅/1日目/深夜】

 

【世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】

[状態]:健康、ネアポリス駅行列車に乗車

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(世界ディエゴ)

[参戦時期]:ジョニィに勝利した後

[装備]:棒手裏剣@龍が如く維新!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:この殺し合いの主催者どもを倒し、その力を奪う。

1:まずは二人とアイチャンから情報を得る。

  殺すかどうかはこいつらの能力、ともに連れてこられた知人次第。

2:ジョニィの奴とは極力会いたくない。

  もし出会って戦う事になったら全身全霊で挑む。

3:首輪にアイチャンに見たことのない列車……科学力も桁外れだな。

4:できれば馬が欲しい。

5:俺の足を治した(復元した?)スタンド使いが敵に居ると仮定して動く。

  奴らに対してはビビりすぎと思っても思い過ごしじゃない。

  スタンド能力にしても、科学力にしても

[備考]

※名簿はまだ未確認ですが、オープニングの時点でジョニィ・ジョースターを目撃しています。

 

 

 

 

やや躊躇いながらも、三村信史はディエゴに続いて電車に乗り込んだ。

突如始まった新しいプログラム、否、バトルロワイヤル。

今度の主催者は、あの忌々しき故郷大東亜共和国をはるかに上回る科学力を持ち、武力に関しても、自分たちはおろか、殺し合いを見下ろす立場だったはずの坂持まで地獄に引きずり降ろせるだけの物(それもきっとエスパーじみたなにかだ)を持った連中だろう。

第三の男(ザ・サードマン)なんて呼ばれていようと、所詮自分は中学生。

出来ることに限界は有るし、自分の力が常識外れの何かに通用する保証はない。

けれども

 

(叔父さん、俺はあきらめないよ。

圧倒的だから、勝てそうに何から、なんて理由で諦めたりはしない)

 

装飾品、服の一部と判断されたからか、奪われなかった左耳のピアス、自分にバスケットボールやコンピューター知識を教えてくれた恩師の形見に触れながら信史は心の内で宣言した。

なぜならアズやその仲間は大東亜共和国……こことは別のプログラム会場となったあの島において坂持や専守防衛隊のクズ野郎ども以上の邪悪だと断言できるからだ。

奴らは根っこにおいて、叔父の命を奪った政府共と同じ存在。

ならば従う気など毛ほど湧かないし、むしろ反抗心がむくむくと膨れ上がって来る。

 

「ところでジョッキーのお兄さん、お名前効いてもよろしいかな?」

 

「ディエゴ・ブランドーだ。そう言うお前は?」

 

「三村信史。よろしく」

 

差し出された手を無感動に見つめるディエゴに信史は、今まであったことのないタイプの人間であると判断する。

アズの言い方を借りるなら、はじめてみる種類の悪意の持ち主、と言ったとことか。

上等だ。仮にどんな者が相手で敵になろうと味方になろうと、戦い抜いてやる。

第二の地獄(セカンド・チャンス)初勝利(ファースト・ウィン)を得るために、第三の男(ザ・サードマン)は覚悟した。

これからの、プログラム以上に苛烈極まる戦いに。

 

 

 

【エリアG-4/池袋駅/1日目/深夜】

 

【三村信史@バトル・ロワイヤル】

[状態]:健康、世界ディエゴに警戒、ネアポリス駅行列車に乗車

[服装]:城岩中の制服(男子用)

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(信史)

[参戦時期]:不明、後の書き手に任せます。

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3

[思考]

基本:この新しいプログラムに反抗する。

1:まずはこのディエゴと女子、アイちゃんと情報交換する。

2:七原、川田たちとは合流した。

  桐島、相馬、坂持は論外。

3:ここは大東亜帝国じゃないのか?

4:魔法に科学と何でもありだな。

  首輪だって外されて新しいのつけられてるし。

5:ディエゴ・ブランドー……初めて会うタイプだ。

[備考]

※すでに名簿は確認済みです。

 

 

 

正気を疑う。

 

アイちゃんを支給されたJKこと、三浦(みうら)優美子(ゆみこ)の現状を一言で述べるなら、これだった。

まず自分の正気を疑う。

自分や最初のホールで見た同じ総武高の制服を着た黒髪ロングの彼女にもつけられていた爆弾の首輪。

成人男性の頭一つを簡単に粉微塵にする爆弾がいつでも起爆できる。

こんな状況で冷静でいられる人間なんて、それこそよっぽど現実逃避上手いやつか、現状を理解できない馬鹿だけだろう。

 

次に移動に関して。

優美子の記憶が確かなら、自分は修学旅行で京都に向かう新幹線に乗ろうとしたはずである。

なのに気付けば見知らぬホールの中、一方的に殺し合いの開始を告げられ、また気が付けば、見知らぬ駅に放り出されていた。

時刻も星満る真夜中になっており、地図を信じるのなら、四つの島が橋と電車でつながれただけのこの島に拉致された。

一体あれからどのくらい時間が経っているのだろう?

親や警察は探してくれてるだろうか?

いや、当てにならない。

勿論親を軽んじてるわけでも、警察を信用してない訳でもないけれど、こんな事が平然とできてしまう連中に何か通用するモノって果たしてあるのか?

と、思えてしまう。

 

(あーしの人生最悪の日だわ。間違いなく)

 

こんな時、マジやべー、と、口癖のように言う彼が居れば少しは落ち着けるんだろうか?

いつも一人で違う世界に入り込んで鼻血吹いてるあの子が居れば、ちょっとは他人の心配をする分、少しはこんな事を考えずに済むんだろうか?

時々はっきりしないのが腹立つけど、周りをよく見れるあの子がいれば、勇気づけてくれたりしたんだろうか?

そして、心底惚れてる彼がいてくれたら、少しは勇気が湧いたんだろうか?

 

『ほら、あなたも行こうよ!

ちゃんとお話ししないとお友達は出来ないよ?』

 

「うっさい。そんなの、ヒキオじゃないんだし分かってるし」

 

鳴り出した発車アナウンスにせかされて、優美子もアイちゃん片手に列車に乗り込んだ。

 

 

 

【エリアG-4/池袋駅/1日目/深夜】

 

【三浦優美子@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:健康、ネアポリス駅行列車に乗車、困惑

[服装]:総武高校の制服(女子用)

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(優美子)

[参戦時期]:修学旅行初日にて、京都行の新幹線に乗ろうとした瞬間

[装備]:アイちゃん@仮面ライダーゼロワン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:もう訳分かんねーし。

1:電車乗っちゃったけどどうしよう?

2:ディエゴに三村がヤバい人じゃありませんように。

3:隼人……。

4:結衣にヒキオ、あと黒髪の子も大丈夫かな?

[備考]

※ゼロノスカードが消費される事が確定した影響で雪ノ下雪乃に関する記憶がなくなりかけています。雪乃が次に変身解除した時、完全に忘却して二度と元に戻らなくなります。今はまだ『同じ総武の黒髪ロングの子が参加してる』ぐらいの記憶は残っているようです。

 

【アイちゃん@仮面ライダーゼロワン】

[思考]

基本:みんなの友達になってあげる!

1:まずはディエゴさんたちとお友達になる。

2:この子(優美子)、緊張してるみたい。

3:そいえば、なんで急にこんなところに来ちゃったんだろう?

4:社長さんたちはどこだろう?

[備考]

※原典と同じく、喋る以外何もできません。

 一応バッテリーは1週間は持つようになっています。



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S.O.S 前編

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・富加宮賢人@仮面ライダーセイバー
・マリー@ペルソナ4
・平和島静雄@デュラララ!!


むかーし、むかし。ある所おかしな青い部屋に女の子が居ました。

女の子は記憶がありませんでしたが、ある男の子に連れられて、外の世界を見て、聞いて、感じて、過ごしていくうちにたくさんの友達や、たくさんの好きなものに出会いました。

恋もしました。

自分に色鮮やかな世界を見せてくれた男の子にです。

たまに自分が書いた(ポエム)を勝手に拾って読まれるのは嫌でしたが、それを差し引いても大好きでした。

何よりも彼や、彼の大好きな物に、者に、モノに幸せになって欲しいと思うぐらいに大好きでした。

こんな大好きな日々が続いていけばいいなと思って過ごしていると、女の子は記憶を取り戻しました。

それはそれは残酷な記憶でした。

女の子は厳密には人間ではなかったのです。

彼女が恋した男の子と、その愉快な仲間たちが追っていた恐ろし霧の謎の一つ、もし人間たちがその霧を要らないと跳ねのけた時、霧を吸収し、それごと死ぬことで処分するための存在、それが女の子だったのです。

女の子は皆の幸せのために男の子たちの前から消えました。

そして消えた先で一人静かに全て終わらせるはずでした。

しかしそこに男の子たちが変な女が現れました。

変な女は、女の子や男の子とその仲間たちを狂った島に呼び集め、殺し合いをさせようとしました。

女の子は喜びました。

殺し合いをさせたいなら、自分はここで死ぬことができると。

皆の為に消えることができると。

女の子は変な女から渡されたカバンから、悍ましいまでに鋭利な剣を見つけました。

女の子はその剣で螟芽コォ縺励※謌ヲ縺??∬ヲ倶コ区ョコ縺輔l縺セ縺励◆縲

螂ウ縺ョ蟄舌′髴ァ縺斐→豸医∴縺ヲ縲∽ク也阜縺ッ縺。繧?▲縺ィ縺?縺大ケウ蜥後↓縺ェ繧翫∪縺励◆縺ィ縺輔?

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ねえ、聞いて

アタシの声を

叫んでいるこの声を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷鳴剣黄雷を盗まれた闇の剣士、仮面ライダーカリバーこと富加宮賢人は農村を抜け、さっき確認した地図が正しければ、この先に有るはずの美食殿のギルドハウスなるランドマークを目指してひたすらに歩いていた。

まずはそこで他の参加者を待って、情報を入手。

然る後に、行動方針を決定。

その後に全ての聖剣の封印とワンダーライドブックの回収を開始する予定である。

聖剣は仮面ライダーセイバーの世界において、変身に不可欠と言っても良いアイテムだ。

それを封印していくという事は、参加者たちの殺し合いの妨害になると同時に、自衛手段を奪う行為である。

 

では賢人は殺し合いに乗っているのか?

否である。

全ては世界を滅ぼす大いなる本の復活の阻止するためだ。

場合によっては対象の殺害さえ辞さないつもりだし、

たかだか150人の犠牲で世界が救えるならば安い物、

とかそんな風に思ってしまえるくらいに賢人は擦り切れていることは間違いないが。

無理もないだろう。

闇黒剣月闇の能力の一つである最悪な未来を使い手に疑似体験させる能力は、

本当にその時その時の選択の結果訪れる最悪の結果しかもたらさない。

何をやったって最悪の未来を見ないことは無かったのだ。

全ての聖剣を封印する以外の方法では。

 

だからこそ、かつての仲間たちや、名前も声も知らない平穏を享受している人々を、

世界を守るにはそれしかないという結論に達してしまったのだ。

 

故に賢人には聖剣を持っているのなら、

かつての仲間の剣士だろうがメギドだろうが、

マスターロゴスだろうが偶々聖剣やライドブックを支給された者だろうと関係ない。

繰り返して繰り返し続けた賢人が見つけた最小の犠牲で世界を救うただ一つの方法を邪魔するのなら、どんな手段をもってしても排除する。

だからこそ、一刻も早く情報を得て、今後の行動指針を一刻も早く決定しなければならない。

 

(聖剣に関しては恐らく火炎剣は飛羽真に、水勢剣は倫太郎に。

マスターロゴスやメギドにも一本ずつ配られていると考えていいだろう)

 

では残りの聖剣はどうなのだろう?

参加者の中に腕に覚えの有る者がいれば、そいつらに渡っているだろうか?

自立行動可能でだいぶ予測が難しい光剛剣やもう既に封印した音銃剣や風双剣……いや、風双剣の変身機能は生きてるから出来るならもう一本の方も封印しておきたい。

と、考えると残りは風双剣の片割れに、土豪剣、時国剣、煙叡剣、無銘剣の5本という事になる。

 

(土豪剣は相当な筋力の持ち主でなければ扱いきれない代物だ。

それと同時にあれを振るうのはただの才能なんかでは不可能。

ならば支給品として渡されたとしたら、相当な手練れの元にだろう)

 

流石はソードオブロゴスの剣士として、

世界を脅かす脅威と戦ってきた賢人である。

彼の推測は見事ど真ん中で当たっている。

 

 

(他の聖剣に関しては、能力がかなり特殊だし、判断に困るな。

銃や槍の扱いにも長けた者、あるいは使う本とよほど相性のいい誰かか)

 

自慢じゃないが先代のカリバー、一度は自分に引導を渡した上條大地は、

剣士として比べれば分からないが、

仮面ライダーカリバーとして比べれば今の賢人より弱いだろう。

何故なら上條は本来炎の聖剣、火炎剣烈火の使い手、つまり火属性や赤のワンダーライドブックの方が適正だからである。

その点賢人は雷の剣士であるが、先々代のカリバー、正しく闇黒剣に選ばれた父、隼人の血を継ぐ男である。

彼がたどるはずだった未来にて、基本形態(ジャアクドラゴン)で仮面ライダーソロモンに対抗出来ていたことからも、その差が分かるであろう。

つまり本や剣との相性は、ストレートにスペックに直結する。

それこそ相性の悪い聖剣を使う事を選んだ歴戦の猛者たる上條が、強化形態(ジャオウドラゴン)の取得を必要としたほどに。

これは逆説的に相性のいい聖剣さえ手に出来れば、素人ですら一端の超人になれることを意味する。

犠牲が150人で収まるならそれでもいいが、出来るならそれよりも少なくしたとも思っている賢人としては、出来るだけ早く解決したい問題である。

 

(いや、それでも変身の敷居はかなり高い。

そもそもなんの訓練もしていない人間は剣を持つのもやっとだ)

 

だが、殺しの為の便利な道具として、あるいは特殊な武器として参加者たちに配る場合、主催側の立場になった時、選択肢が二つある。

一つ目は、参加者の実力の平均値を高めに設定する。

そして二つ目は、聖剣(どうぐ)の方の判定を誤魔化すようにする。

最後に三つ目は参加者本人に何か細工をすること。

 

(自分で言っといてなんだが、一は多分ない。

このゲームは集められた全員が主催側の能力を超えてしまっては成り立たない)

 

例えば賢人が知る由もないが、アルクエイドがバーサーカーでの姿で呼ばれているのも、月の聖杯戦争の元締めと言っても過言ではないピースマンが運営に組みしているからである。

そうでなければいくら何でも無謀が過ぎる。

 

「ねえ、そこのアンタ」

 

なんて考えながら歩いていると、

白いフードを目深にかぶった黒と緑のオッドアイの少女が話しかけて来た。

 

「酷い顔してるね。もう殺ししかないって感じ?」

 

「それはお前次第だ」

 

賢人の目に少女はある意味映っていない。

視界にはちゃんと入っている。

だが視線は一点へ、少女の持つ()()()()()()()()()()に注がれている。

 

「これ、欲しい?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、あげない。絶対にあげない」

 

そう言って少女は少しいたずらっぽく、だが全く表情筋を動かさないまま手にした剣を腰に巻いたベルトに収める。

 

「ならば力づくだ」

 

そう言って賢人もワンダーライドブックを取り出す。

 

「何?思い道理に行かなかったらすぐ暴力?

ばかちかんくずさいてー」

 

「何とでも言え。俺は、俺の意志を貫く」

 

<ジャアクドラゴン!>

 

<アメイジングセイレーン!>

 

2人がワンダーライドブックを発動するのは同時だった。

賢人は朗読の手順を踏まず、剣に読み込ませ、

逆に白装束の少女、マリーはページを開き、

 

<かつてから伝わる美しい歌声が今こだまする!>

 

朗読を完了させてからベルトにセット。

 

「……変身。」

 

「変身……ッ!」

 

賢人の闇黒剣のグリップエンドがベルトのバックル上部に叩きこまれるのと、マリーの無銘剣虚無が引き抜かれるのは同時だった。

 

<ジャアークー!ドーラゴーン!>

 

<エターナルワンダー!>

 

黒い嵐に包まれた賢人は仮面ライダーカリバージャアクドラゴンに。

そして黒い霧と、それを煙に変えて消す白い炎に包まれたマリーは、

仮面ライダーファルシオンアメイジングセイレーンへとその姿を変えた!

 

「お前の聖剣を封印する……」

 

「殺されたってごめんだよ」

 

2人の黒い剣士が走り出すのもまた同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシはここにいる

血を声に替えて

世界の果てで叫んでいる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

 

D-2エリアにて。

完全にキマッた目つきで物騒極まる事を呟きながらずんずん歩く者が居る。

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

 

金髪グラサンにバーテン服の彼の名前は平和島静雄。

名は体を表す、との言葉の通りに趣味は日向ぼっこ。

好きなものは小川のせせらぎ。

平穏を好み、喧嘩や暴力を何よりも嫌う男である。

が、

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

 

見ての通り、短気極まる性格なんて言葉では済ませられない激高しやすい性分、

否、感情のリミッターが生まれつき脆すぎる上に、

持ち前の粗暴さのせいで、ロクな人間関係も気付けなかったほどである。

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

 

それだけならただの乱暴者で済んだだろう。

だが彼は感情と同じく、身体能力のリミッターまで脆かった。

日常生活においても蛇口をひねり壊してしまうレベルである。

幼少期からそうだった彼は、自身に能力に肉体がついていくためにか、怪我を負う程強靭になって行った。

そして終いには一日に何度も自販機や道路標識をぶん投げても、疲労しか感じない程の身体能力と、トラックにはねられた直後に、そのトラックを真上にぶん投げられるほどの圧倒的パワーと回復力を得た。

 

精神的瞬間沸騰器に爆弾並みの破壊力の最悪のベストマッチは、彼がついカッとなって、気付いたら血の海が出来ているレベルにまでなっていた。

そんな彼が池袋で最も喧嘩を売ってはいけない人物としておそれられ、自動喧嘩人形などとあだ名されるのも当然だろう。

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

 

特に腐れ縁の折原臨也。彼との関係はミスマッチその物。

どれぐらいミスマッチかというと、呪いの刀より嫌いと評するほどである。

オマケに顔を合わせる度に比喩抜きの殺し合い。

周囲の被害などお構いなしに、お互いに暴力と殺意をまき散らし、どう考えてもまともな戦闘では出来上がらない奇怪極まる戦場跡を創り出す。

それが高校時代と比べれば安穏その者だというのだから恐ろしい。

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

 

そんな彼は今、一台ロードローラー両手で持ち上げて歩いていた。

何を言っているんだと思われるかも知れないが、事実である。

アスファルトを踏み潰すために主素を凝縮して、総重量10トンを超えるように作られている正しく動ける鉄塊を、身長185cm 体重70kgの線の細いアンちゃんが両手で持ち上げて歩いているのだ。

もう一種のホラーだろう。

そんなリアルホラーの視線の先には、

 

「ふっ!はぁあああっ!」

 

「ぐっ!ううぅ!わぁああああ!」

 

殺し合いがあった。

 

「おいお前らぁっ!」

 

戦闘音をかき消す怒号が響く。

何事かと目を向けて二人は固まった。

先も述べた通り、一見、そして実際なんの特殊能力も使わず、純然たる身体能力だけでトン単位の鉄塊を持ちあげているのだ。

 

「鎧着こんでいたってそんな物騒なモン振り回してたら死んじまうことぐらいわかるよなぁ!?」

 

そしてその上体を大きく沈ませる。

重さに耐えられなくなったわけじゃない。

 

「人は死んだらおしまいなんだぞオラァアアアアア!」

 

投げるための溜めだ。

十二分に常識外の力がぶつかり合う戦いに身を置いて来た賢人でさえも聞いたことのない音をたて、

ロードローラーは奇麗な放物線を描いて、

カリバーとファルシオンのちょうど真ん中に落下、

燃料にバッテリーが引火したのか激しい爆破音を立てて炎上した。

 

「それを分かっててそんなことやるような……。

あの糞女の言いなりになるような奴は何されても文句言えないよなぁ!?

あ゛あ゛ぁ゛!!?」

 

「マジかよ……」

 

地面をえぐりながら自身の懐に飛び込んでくる静雄に、

賢人は思わずここしばらく口にする機会さえなかった若者言葉をこぼした。



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お空は爽快、ダウンフォールするかい?

作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・書き手枠@ソードアート・オンライン
・阿良々木暦@化物語


 

【01】

 

『デジャヴ』

 

フランス語で「既視感」を意味する。

過去に経験・体験したことのない、初体験の事柄であるはずにも関わらず、かつて同じような事を体験したことがあるかのような感覚に包まれること。

前にも何処かで一度これと同じものを見たような気がする、という感覚のことを指す。

 

 

【02】

 

僕、阿良々木暦は今、デジャヴを感じていた。

その光景は昨日の事の様に思える程、一生の思い出同然の感覚を僕の脳裏に思い浮かばせた。

 

(確かアレは何だったっけ?)

 

幼馴染の千石撫子が、突然目の前で服を脱いで体中に付いた蛇の様なあざを見せたときか?

 

(違う。)

 

クラス委員長の羽川翼が、ネコ耳としっぽを生やした別人に変貌したときか?

 

(いいや違う。)

 

後輩の神原駿河が、厨二病っぽい包帯の巻かれた左腕を悪魔の腕に変えて僕を殺しにかかったときか?

 

(これも違う。)

 

否定続きであるが、全て僕が実体験したことだ。

どれもこれも一回の高校生が体験できることではない、ハードかつ濃厚すぎる怪奇現象だと思うのは当然である。

その前に、オカルティックな作り話が過ぎるんじゃないかと、妄想癖の激しい危ない人間だと思われてしまうが、あえて重ねて言おう。

全て僕が実体験したことだ。

 

 

『怪異』

 

それは、噂や都市伝説、人々の信仰によって生まれた存在。故に人間がいなければその存在は希薄なもの。

僕が出会った彼女たちは皆、『怪異』と呼ばれるものに関わり、大なり小なり人生を狂わされてきたのだ。

 

 

(あぁアレだ……思い出した。)

 

あれこれ考えている内に、デジャヴの元となった記憶を思い出した。

アレはそう。

怪異『おもし蟹』によって体じゅ……

 

おっと、失礼。

 

重さを奪われた僕の彼女、戦場ヶ原ひたぎと初めて出会った時と同じ感覚だ。

それは何故なのかだって?至極簡単なことだ。

 

今まさに僕の目の前で、何処かのアニメ映画の有名なワンシーンよりスピードは速いがほぼダダ被りな感じで、空から女の子が落下中であるからだ!

 

 

【03】

 

何故このような事態に至ったか、時は数分前。

 

夜空に煌めく満月を背景に、一人の妖精のような少女が空を飛んでいた。

 

「本当に…本当に始まっているんだよね……殺し合いが………。」

 

アルヴヘイム・オンライン、通称ALOと呼ばれるVRMMOにおいて、《絶剣(ぜっけん)》と呼ばれたプレイヤーであるユウキは、悲痛な表情を浮かべていた。

現在彼女は妖精の羽を展開して、上空高くから会場を見渡していた。その中で、様々なものを見た。

 

音を立てて崩れる高層ビル。

自然公園での爆発音。

建物の破壊が続く市街地。

 

既にあちこちで命を懸けた殺し合いが始まり、加速していることに対し、ユウキは心を痛めていた。

 

(どうしてこんな所に居るのか、何でアスナの剣があるのか、そして何より……病気で亡くなったボクが何故生きているのか……気になることは山積みだけど、考えるのは後にしよう。)

 

元々ユウキこと、紺野(こんの)木綿季(ゆうき)は、産まれた時にHIVに感染し、約15年間も闘病生活を続けていた。

病が末期を迎え、最後は多くのプレイヤーに看取られながら、先立った双子の姉の面影を重ねていたアスナの腕の中で静かに息を引き取った。

 

腰に装備したランベントライトを見ながら、自分の最期の瞬間までの軌跡を振り返ったユウキだが、その疑問の答えは後回しとした。

 

「とにかく名簿が正しければ、先ずはキリトを探さないと。それに殺し合いに反対の人達とパーティを組んで、トラブルの元を────」

 

 

 

 

 

 

 

『ビーー!ビーー!ビーー!』

 

『羽の制限時間が残り一分を経過しました。繰り返します。羽の制限時間様が残り一分を経過しました。繰り返し────』

 

 

「………………へ?」

 

 

これからの方針を決めようとした途端、突然デバイスからサイレンが鳴り響き、それに続いて警告じみたメッセージが発せられた。

嘘でしょと思いながら背中を見ると、展開中の妖精の羽が点滅して、今にも消えそうになっていた。

 

 

「ど、どうして!?展開してからまだ20分未満しか経ってないのに!」

 

 

現在ユウキがいるのは、地上から約50Mも離れた上空。この高さから落ちていったら転落死所か、原型を留めないレベルでミンチになってしまう。

 

「まずいまずいまずい!!このままじゃ真っ逆さまに転落しちゃうよ〜〜〜!!」

 

大至急地上に戻るべく、急降下を始めたユウキ。

 

「あ。」

 

しかし、あと20Mちょっとというところで羽が消滅し、ユウキはそのまま地面に向かって落ち始めた。しかも、落下先は池や川も無い、クッション代わりになる森も無い、コンクリート一色の地面であった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁあああっっ!!!」

 

 

丁度その光景を、アホ毛を生やした男子高校生が目撃していた。

 

 

【04】

 

以上の事から、ユウキは絶賛落下中である。

同時に、一瞬のデジャヴから戻った阿良々木は、彼女を助けるべく、直ぐに行動に移った。

 

「ヘカトンケイル、彼女を頼む!」

 

「キュウ!!」

 

阿良々木はそう叫ぶと、彼の背後から犬のぬいぐるみを思わせる謎の生物が飛び出した。しかし次の瞬間、小さくて可愛らしい謎の生物は、どんどん巨大化して凶暴な顔つきのモンスターへと変貌した。

 

その正体は、魔獣变化ヘカトンケイル。

適合者である主の指示に従って動く、数少ない生物型帝具の一体である。

本来の持ち主のセリュー・ユビキタスは、コロと呼んでいた。

 

戦闘時の巨大な姿に変わると走り出し、落下中の少女の真下近くまで来ると、勢いを殺さず腹を上に向けたままスライディングで移動し、丁度その腹に少女が落下したが、巨大化したコロの腹がクッションとなったお陰で衝撃が吸収され、ユウキは転落死を無事に免れた。

 

 

しかし。

 

 

「んぎゃッ!」

 

「……あ。」

「……キュウ?」

 

 

クッションにしては張りがあったのか反動で跳ね返り、その先の岩に頭をぶつけて気絶してしまった。

ユウキも転落死せず安心したせいか、着地の事をすっかり忘れていたようだ。何とも運が悪い。

 

「お、お〜い……大丈夫、なのか……?」

「キュッキュウ〜?」

「…………………。」

 

 

声をかけても反応が無かった為、阿良々木と元のサイズに戻ったコロはユウキに近づいた。よく見ると幸い出血はなく、脈も正常であった。

 

「………とりあえず、何処かの建物で寝かせるか。」

 

このまま放ってはおけないと阿良々木はユウキを背負い、さっきの反動でユウキのポケットから滑り落ちてしまったデバイスを拾いあげ、付近の建物に向けて歩いていった。

 

因みに、ユウキのデバイスの画面には、あるメッセージが大きく表示されていた。

 

 

『アナタの妖精の羽は展開してから20分経過すると自動的に消滅するようにいじっておいたの。次に使えるまで2時間のインターバルがあるから、ちゃ〜んと使い所を見極めてね。

あと、さっきのアラームと警告は一回限りのオマケだよ!いきなり転落死なんてマヌケな最期は誰も期待してないから、特別にこっちから流しておいたわ。

じゃ、あの方の為にも頑張ってね♡』

 

秘密のア〜ズちゃん より

 

 

 

 

【05】

 

余談だが、阿良々木暦がユウキを助けたのは、当然と言えば当然であるが、ある意味正しい判断であった。

このまま何も行動を起こさなければ、彼女や彼にとって色々と不味いことになったかもしれない。

 

ユウキは腕の立つプレイヤーであるが、どんな実力者も気絶という無防備状態で襲われてしまえばひとたまりもない。

 

しかし、もっとまずいことになっていたのは、阿良々木本人だったかもしれない。

彼がユウキを目撃し、そして彼女を背負って移動するまでの一連の行動の過程において、もし第三者が来ていたら、色々と不味い。

気絶中の女の子、それに近寄り触っているという絵図。

何の事情も知らない善良な第三者に見られたら、アウトな事をヤろうとしている光景だと確実に誤解され、彼は社会的にも物理的にも即座に抹殺されていたことだろう。

 

 

『阿良々木君。あなたはどうしようもない程のロリコンさんなのね。まぁ前々から分かっていたことだけど。羽川さんのようなナイスバディからあの吸血鬼の幼女まで大大大好きなストライクゾーンの広い変態の阿良々木君のことだもの。まぁ、しょうがないと言えばしょうがないわね。それがあなたの個性であり、美徳であり、哲学であり、最大の汚点であるのだから。』

 

 

特に、彼の恋人の戦場ヶ原ひたぎがその光景を見ていたら、例のごとく軽蔑混じりの毒舌をかましていたことだろう。まぁここまで言う相手は彼女ぐらいであるが。

 

 

急げ、阿良々木暦!早くしなければ、お前は色んな意味でヤバいことになってしまうぞ!

 

 

 

 




【エリアI−5/エリア北側/1日目/黎明】


【ユウキ@ソードアート・オンライン】
[状態]:気絶、頭に軽い怪我
[服装]:ALOの装備
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(ユウキ)
[参戦時期]:原作死亡後
[装備]:ランベントライト@ソードアート・オンライン
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考]
基本: この殺し合いを終わらせる。
1: ボク、どうして生き返っているんだろう……?
2: キリトと合流する。
3:対主催の参加者とパーティを組む。
4: 怖い……ワンちゃん…………ガクッ。
[備考]
※妖精の羽の展開時間は最大20分間となっています。再展開には、2時間のインターバルが必要となっています。


【阿良々木暦@化物語】
[状態]: 健康
[服装]: 私立直江津高校の制服
[所属陣営]: 黄(アニメ)
[メダル枚数]: 1枚(阿良々木暦)
[参戦時期]: 不明。後の書き手にお任せします。
[装備]: 魔獣变化ヘカトンケイル@アカメが斬る!
[道具]: 基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考]
基本: 殺し合いなんてクソ喰らえ。
1: 戦場ヶ原たちと合流する。
2: なんかデジャヴ………。
3:とりあえず、妖精?の彼女を介抱しよう。
[備考]
※不死身かどうかは後の書き手にお任せします。
※何処の方向の建物に向かうかどうかは後の書き手にお任せします。


【コロ(ヘカトンケイル)@アカメが斬る!】
[状態]:ミニサイズ、空腹?
[参戦時期]:不明。
[思考]
基本:キュ〜〜ン。
1:キュ〜ン、キュキュキュ〜。
2:キュ〜〜〜ウ〜〜〜……(ジュルリ)。
3:キュ?キュキュ〜〜ウ、キュ〜。
[備考]
※体内に武器が入っているかどうかは不明。後の書き手にお任せします。



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S.O.S 後編

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・富加宮賢人@仮面ライダーセイバー
・マリー@ペルソナ4
・平和島静雄@デュラララ!!


全ての聖剣を封印せんと、その穢れた刃を振るう闇の剣士、仮面ライダーカリバージャアクドラゴンこと富加宮賢人。

無の聖剣と、麗しき神獣の力を手に何ゆえか戦う仮面ライダーファルシオンアメイジングセイレーンことマリー。

そしてブレーキのぶっ壊れた全自動粉砕機、池袋最強生物こと平和島静雄。

 

三人にとって、この島に来てから初めての超常ここに極まれりの殺し合い。

真っ先に動いたのは平和島静雄だ。

ケンカと呼ぶにはあまりにも一方的な蹂躙で磨かれ続けた純然たる腕力だけの拳を賢人めがけて繰り出す。

粗削りも良い所だな。と、賢人の変に冷静な部分が平和島の戦士としての技能を評価を下す。

それと同時にこいつはヤバい、何がヤバいって全部がおかしい。と、生物として素直な部分が素の能力の格の違いを認識し、震えあがる。

 

(人間の肉体がよくこれだけのパワーに耐えられるな!?

こいつ、改造人間か何かか!?)

 

恐ろしい事に生物学的にはただただ極限まで強靭なだけの人間である。

人間の筈なのに、次々繰り出される拳は一撃でも喰らってしまっては駄目だ。

仮にライダーの鎧に守られていても、まともにダメージを受けてしまう。

恐らく自分も生身なら、拳がその横を通り過ぎる度に風圧で目つぶしを喰らっている。

それが分かるぐらいに平和島静雄という男は常識の外に居た。

なんせ世代を交代していく過程で行われていく進化を一個人でこなしてしまっていると、本職の(闇)医者、今亡き岸谷新羅に言われるくらいなのだ。

こんな事で引き合いに出されては不快極まるだろうが、折原臨也が人間でないと判断するのも仕方がない気がする。

 

(防御は駄目だ。そして攻撃のタイミングも難しい)

 

どれほど強固な筋肉をしていようと、闇黒剣の刃なら斬れる自信はあるし、賢人は知る由もないが、折原臨也との戦いにおいて平和島静雄は投擲される刃物をキッチリ避ける、防ぐ、噛んで受け止めるなどしてる事から有効な攻撃であるらしいが、これだけのパワーとスピードを生身で繰り出せる相手だ。

タフネスや回復力も異常ととらえていいだろう。

事実、空振る度に、その先にあった物が壊れ、地面は抉れているのに、平和島静雄の拳には傷一つない。

 

(なら今は回避に専念するしかない!)

 

強固な鎧に、最高級の斬撃武器を用いた近接戦、それも剣士対剣士の戦いを想定しているカリバーでは、圧倒的大パワーと超スピードでゴリ押しする平和島静雄とはあまりにも相性が悪すぎる。

逆に平和島と同じく高パワーと高スピード特化、そして尚且つ高い学習能力を持つヒューマギアが変身するフォースライザーの仮面ライダーなら、逆に平和島を倒すことは出来ずとも、かなり善戦出来るのではないだろうか?

 

<アメイジングセイレーン!>

 

そんな二人を頭上から白い炎を纏った何かが急降下攻撃を仕掛けて来た。

ファルシオンに変身したマリーだ。

正直、賢人はマリーのことをさほど問題視していなかった。

なんでエターナルフェニックス以外のワンダーライドブックと無銘剣で変身出来てるかは知らないが、剣を合わせた感じだと、中身は素人。

スペックはバハトやデザストの変身したファルシオンより数段劣る相手である。

実際に数値的にはジャオウドラゴンを若干上回る程度、パンチ力に限って比べればわずかに上回っている程度でしかない。

基本形態(ジャアクドラゴン)でソロモンと対等に渡り合える賢人からすれば、大きな障害ではない。

剣とパワードスーツに振り回される一般人だ。

が、少し認識を検める必要があるようだ。

この炎を纏った飛翔、その威力は多分だが、バハトやデザストのファルシオンにも匹敵する。

 

「ブンブンブンブンちょこまかするんじゃねえ!」

 

平和島は持ち前の豪脚でカリバーの肩を踏み台に飛び上がると、燃え盛るファルシオンに飛びつき、更にはその中でも一番高温で有ろう翼を素手で掴むと思い切り引きちぎった。

 

血が焼かれて変色したのか、それとも元々そういう色の物なのかは分からないが、墨汁のように黒い液体が傷口から噴き出る。

 

「きゃぁああああああー--ー-----ッッッ!!!」

 

絹を裂く様な絶叫が響き渡る。

平和島静雄はそれを聞いても、否、激情に支配された脳みそでは聴覚も生存と戦闘に最低限必要な機能しか発揮しないのか、聞こえていないのかもしれない。

なんの躊躇もなくもう片方の翼にも手を伸ばし、引き千切らんと力を籠める。

一回でも虫を潰したことのある人間ならご存じだと思うが、生き物というのは命の危機において、例え意味が無くとも全力で足掻くようにできている。

残った翼を掴まれながらも、翼含めた体全身を無茶苦茶に動かして、なんとか藻掻いて平和島を振り落とそうとするファルシオン。

だが相手は一日で池袋中の道路標識を腕力で引き抜いて、腕力でぶん投げれる平和島静雄。

そんな抵抗もそれほど意味を成しているようには見えない。

 

「ぐっ……ううぅ……」

 

同じころ、踏み台にされた賢人はというと、左肩から地面に激突し、鎧のお陰で骨折こそしなかったが、大ダメージを負っていた。

もし生身だったら、顔面からすりおろされたみたいになって死んでいたことだろう。

 

(二人は……あそこか)

 

このダメージではまともに戦闘を続けても勝てない。

ならば今ここで敵にも与えれるだけダメージを与えておかなければならない。

そう判断した賢人は剣を杖代わりに立ち上がると、闇黒剣をベルトの両サイドに下げられた必冊ホルダーの左側に納刀し、剣のトリガーを押す。

 

<月闇、居合!読後一閃!>

 

納刀、抜刀の際に鞘に仕込まれた砥石で特殊な研ぎ方をされ、斬撃能力を向上させた闇黒剣から紫色の光刃が放たれた。

それはフラフラと落下するファルシオンと平和島を捕らえた。

爆音、煙に一際大きな炎が上がり、二人奇麗な弧を描いて、賢人から見て奥側に落下した。

 

「はぁ……はぁ……」

 

あのサングラスの男はこっちに来るだろうか?

十二分にあり得る。

あれは怒りというにはあまりに激しい感情の爆発のマリオネットだ。

ちょっとウザいなと思う事、何か目障りな物が視界に映れば、

それが原形をとどめている事を許さない暴走殺戮兵器。

人間と思って対処しない方がいい。

 

「ならばこちらから出向くか」

 

この戦闘の後しばらく動けない可能性は有るが、

あれに二度と邪魔されないと言うなら、おつりがくるぐらいだろう。

そう判断した賢人はベルトに装填したブックをタップし、

神獣ジャアクドラゴンを召喚すると、それに騎乗し二人を追った。

 

 

 

 

 

「ううぅ……イテテテ」

 

墜落した平和島静雄は無事だった。

落下の衝撃でサングラスはどっかに行ってしまい、服もボロボロ。

幸い傷に関しては大したことない。

精々、一番高温の翼に触れていた両掌がヒリヒリする程度だ。

 

(いや、おかしい。いくら俺の身体が頑丈でも、あんな大砲みたいな威力を喰らって無事なはずが……ッ!)

 

流石の平和島静雄も、さっきまで取っ組み合っていたファルシオンが目に入っては思わず飛びのいた。

そして飛びのいたからこそ分かった。

さっき静雄が千切った翼の傷口をさらに広げる様に、さっきの賢人の攻撃が彼女の背中をえぐっていることを。

 

「マジか!?おい!おいしっかりしろ!」

 

ファルシオンの再生能力はエターナルフェニックスワンダーライドブックに完全に依存している。

大小を問わず、受けた傷は常識の範囲でしか再生しない。

致命傷を受けてしまえばそれまで。

普通の人間と同じように、GAME OVERである。

 

 

マリーは平和島静雄の腕をのけると、ベルトに装填された白いワンダーライドブック

震える腕で引き抜き、変身を解除した。

 

「思ったより、早かったなぁ、まあよかったけど」

 

「お前、何言って……」

 

静雄の疑問は次の瞬間、氷解した。

ひとりでに動き出した無銘剣が、動けないマリーの心臓を突きさしたからだ。

 

「ごっ!……ぶふっ!ぅゔ……」

 

ゆっくりとその体から引き抜かれた無銘剣が消失する。

物の中身を書き換えるアメイジングセイレーンの力により、強引に複製、変身可能にされた無銘剣虚無を維持するための契約、それは自らの命を楔とし、敗北、あるいは目的が達成されたその時に命を捧げる事。

今最も、死にたがっているマリーに、これ以上ない契約である。

 

「これで、皆が……しあ、わせに……」

 

こと切れたマリーは満足げにほほ笑むと、剣の残り火に焼かれて骨さえ残さず消滅した。

 

「なんだよそれ……ふざけんなふざけんなふざけんな!

なんなんだよそれはぁあああああー--!」

 

絶叫と共に天を仰ぐ静雄。

彼はフィジカルだけに限ってみれば、この上ない怪物だろう。

だが精神に関して言えば、恐ろしく切れやすいこと以外は、極めて優しく面倒見のいい人間なのだ。

死んでいい?死んだらいい?死んだほうがみんなが幸せ?

そんな事を受け入れれるような人間性を持ち合わせていない。

こんな事で引き合いに出されたら不快だろうが、人間観察の為なら平然と他人を害する折原臨也の方がよほど人外に近いメンタルをしてるとさえいえるかもしれない。

そんな彼は

 

「テメェ……テメェよくもぉおおおお!」

 

視界に入ったカリバーめがけてマリーの残したワンダーライドブックを投げつけた。

当然カリバーは騎乗するジャアクドラゴンを回転させて、尾でそれを弾くと、垂直に落ちてきたそれをキャッチする。

 

「……なるほど。本の力で強引に作り出した偽物だったか」

 

聖剣が無いのならば、ここにもう用はない。

そう言う代わりにジャアクドラゴンを旋回させたカリバーはそのまま彼方に飛び去って行った。

 

「ふざけんな待て!待ちやがれクソがァアアアアアアア!!!」

 

投げる物を探して、自分のデイパックの肩紐を引き千切り、手を突っ込んで中の物を引きずり出す。

 

 

二挺大斧(にちょうたいふ)ベルヴァーク

 

 

投げれば勢いが死なない限り、追跡し続ける正に静雄の為だけにあるような帝具だ。

もっとも

 

「待てって言ったのが聞こえなかったかァアアアアア!?」

 

流石に敵が視界の遥無効に飛び去ってしまっては無用の長物だが。

そう理解した静雄は、鬼の形相を維持したままベルヴァーグとデイパックをそれぞれの手に持ち、賢人を探して走り出した。

 

 

 

 

 

アタシは人魚姫

 

もう帰れない人魚姫

 

泡へと還る人魚姫…

 

 

 

 

 

無銘剣虚無は本来エターナルフェニックスのワンダーライドブックでしか変身出来ない。

奇しくも先程富加宮賢人が述べた『剣と本の相性』が悪すぎるというやつである。

それをアメイジングセイレーンワンダーライドブックの、『記憶を書き替える能力』を応用し、

無理やり変身可能、複製可能にしているのだ。

さながらアークの力を宿した仮面ライダーたちのように。

ただ一点、明確に違うのは、自分の死を必ず引き換えにしなければ力を得ることが出来ないことだけは違うが。

当然だろう。

本来聖剣に選ばれるはずがない者に無理やり剣や本が合わせてやっている状態なのだ。

例えマリーだろうと、否、何よりも自分という存在を消したがっているマリーだからこそ、この契約に飛びついた。

更に全ての聖剣の封印を目的とする賢人に出会えたのは行幸と言うほかなかっただろう。

自称特別捜査隊や、平和島静雄には悪いが、

このバトルロワイヤルは一つのがん細胞を排除出来たと言っても過言ではない。

まだあの霧が存在し、放出されることが有るとなれば、

この島は更なる混沌の現場となったことは想像に難くない。

 

もう二度と、あの霧がどこかを覆う事は有りえない。

その恩恵を最も受ける者たち、中でも彼女が最も愛した彼だけが、

自分から悪意の沼にずぶずぶと沈んでいくのは皮肉としか言いようがないけども。

まあなんにせよ、Sacred.Of.Sacrifice(神聖な犠牲)は、闇の聖剣により捧げられた。

それはヒトの皮を被った暴力の逆鱗をえぐる程擦り、霧とは別の新たな災悪の種となる。

それが誰に牙をむくかは、まだ誰にもわからない。

闇黒剣でも見通せない。




【エリアD-2/1日目/深夜】

【富加宮賢人@仮面ライダーセイバー】
[状態]:正常、左肩を中心にに無視できないダメージ、カリバージャアクドラゴンに変身中、ジャアクドラゴンに騎乗中(現在上空)
[服装]:白いインナーの上に茶色のコートに黒いズボン。
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(富加宮賢人)
[参戦時期]:少なくとも風双剣翠風(裏)を封印した後
[装備]:闇黒剣月闇@仮面ライダーセイバー
    邪剣カリバードライバー@仮面ライダーセイバー
    ジャアクドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
[道具]:聖剣ソ-ドライバー(剣なし)@仮面ライダーセイバー
    ランプドアランジーナワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
    アメイジングセイレーンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
    基本支給品一式 ランダム支給品0~1(未確認)
[思考]
基本:世界を救うためすべての聖剣を封印し、敵を駆逐してから脱出する。
1:他の聖剣を探す。風双剣も完全に封印しておきたい。
2:あの剛力の男(平和島静雄)には警戒する。
3:飛羽真たちと会った時は彼らの聖剣も封印する。
4:本物の無銘剣はどこに?
5:どこかで体を休めたい。
[備考]
※雷鳴剣を奪って行った相手は自分と同じただの参加者だと思っています。
※どの方向に飛び去って行ったかは後の書き手に任せます。

【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:両掌に火傷(超軽微)、全身に煤汚れ、切り傷(小)、健康、怒り(大)
[服装]:いつものバーテン服(ボロボロ)
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(静雄)
[参戦時期]:不明
[装備]:二挺大斧(にちょうたいふ)ベルヴァーク@アカメが斬る!
[道具]:デバイス、メダル、肩紐の切れたデイパック、ランダム支給品×0~1
[思考]
基本:あの糞女(アズ)は必ず殺す。
1:あの変身男(賢人)は必ず殺す。
2:この子(マリー)の知り合いに何て言えばいいんだよ……。
[備考]
※名簿はまだ見てません。
※マリーの残る支給品はその場に放置しました。ロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険の残骸から少し離れた所にデイパックごと放置されています。



[全体備考]
※エリアD-2のどこかでロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険が大破、炎上しています。
その少し離れた所にマリーの支給品(デイパック、デバイス、メダル、ランダム支給品×0~2)が放置されています。



無銘剣虚無(複製品)@仮面ライダーセイバー 消滅

マリー@ペルソナ4 消滅

【全体人数 残り139/150人】 【緑陣営 残り27/30人】



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情熱の文筆家たち

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・偽キャスター@Fate/strange Fake
・パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
・神山飛羽真@仮面ライダーセイバー
・アヤカ・サジョウ@Fate/strange Fake


バトルロワイヤル。

より正確に言えば、今回アズが司会を務めるこの殺し合いや、大東亜共和国で『プログラム』という名で行われていた悪しき風習において、一つの共通点がある。

決して出られぬ閉鎖空間の中、他者の命を一度は奪わなければ生還はかなわぬという極限状態を強要されるという点である。

 

籠の中の鳥となった参加者たちは、いくつかに分けれる。

まず己が信念とか、シンプルに人殺しが生理的に無理だとかで、ゲームに反抗することを選ぶ者たち。

前者はタツミやナランチャ・ギルガ。

後者は由比ヶ浜結衣などがいい例だろう。

理由はなんであれ、この極限状態において異端であるという事は、逆説的に言えば、平時においては極めてまともである事の証左でもあるだろう。

 

 

 

次にルールにのっとるにせよ、自分の狂気や衝動に任せるにせよ、殺し合いを進めようとする者たち。

前者は桐山和雄。

後者は浅倉威やバーサーカーが相当するだろう。

平時でも十二分に狂っているのに、それがさらに勢いを増すとなれば、それは最早危険以上の何か。

必ずや平等に死を振りまく災いとなり果てるだろう。

 

 

 

そして全く現状を得異界出来なかったり、受け入れれなかったりして、流されるままに動くしか出来ない者たち。

諸々の事情により精神年齢が著しく低下してしまっているシェフィや、未だ現状最低限の異常事態しか経験していない上に、まともに落ち着くことも、否応なしの脅威に対応することもしていない三浦優美子などがこれに当たるだろう。

白くなるも黒くなるも全てはこれから。

今後のバトルロワイヤルそのものを占う要素にもなりかねないだろう。

 

 

 

大まかにはこの三つだ。

よっぽどおかしな人物でもない限り、この三つのどれかと言っても過言でもない。

つまり

 

「へえ、いいね。当代の作家もなかなかどうしてやるじゃないか!」

 

今現在、いくら支給品として渡されたとはいえ、夢中でハードカバーの小説を読み込むこの男はそうとうおかしな部類に入る。

オマケに彼からは緊張感を全く感じる事が出来ない。

紅白互い違いに染めた歯を見せながら、例えるならクリスマスプレゼントをもらったばっかりの子供のように笑っている。

 

「『ロストメモリー』の『神山飛羽真』先生ねぇ。

ようそこのお前!随分顔が悪いな!良い文学は良薬に勝るぞ!

俺なんか17の時にそれで運命を変えられたって言っても過言じゃないからな!

もしお前が今17だってんなら、お前にとって神山先生は、俺にとってのかの偉大なる文筆家かもしれないぞ?」

 

「こんな状況下で小説を楽しむような暢気してるのはアンタぐらいだろうな」

 

奇妙な歯の男が声をかけたのは、濃い疲労の色を浮かべる神経質そうな少年……パンナコッタ・フーゴだ。

ついさっきまで自分は命を賭けて戦っていたのに、同じ赤陣営のこの男は、ずっと読書を楽しんでいたのか?

と、八つ当たりじみた怒りを覚えるフーゴだが、手にしたアナザードライブライドウォッチと自身の幽波紋(スタンド)を発動できるように構える。

誰が相手だろうと油断できない。

ここは地獄だ。選りすぐりの獄卒共が覇を競う闇鍋……いや、地獄だし闇釜が正しいかもしれない。

 

「そうかい?人間心のうるおいってやつが大事だぞ?

例えば俺は定期的に美食と女が無いと執筆速度が著しく低下するんだよ。

そのせいか金の無かった時期に書いた本は共著だろうと何だろうと何度だって改稿したもんさ」

 

「三秒でバレる嘘をつくんじゃあない!

……。あんまり僕を苛立たせない方がいい」

 

「あ?」

 

「僕ってやつは切れやすいんだ。

自分でも訳の分かんないタイミングで『爆発』するから、これ以上の警告のしようも無い」

 

そう言ってやると、男は一瞬だけ目を細め、

 

「そうは見えないね」

 

と、今までのふざけた感じをあまり感じさせない声色で言った。

 

「僕と関わって痛い目を見る奴はみんなそう言うよ。

まあ、ここ半年はその例外とよく会うけど」

 

ボルサリーノ帽の伊達男とかがそうだろう。

煽りの方向性は、目の前の男と真逆の如何にもカッコつけ野郎だが。

 

「へぇ……そうかい。

そりゃあ少しは安心できるってもんだ!」

 

「よくそう捉えれるな。

まあ、図太い奴じゃなきゃこんなところに呼ばれないか」

 

「そういうお前さんも相当図太いんじゃないかい?

でなけりゃこの悪趣味な舞台を畳もうなんて思わないだろう?」

 

「……根拠を聞いても?」

 

「いくら同陣営とは言え、『死にたくなけりゃあ怒らせない方がいい』何て普通は言わないだろう。

特に陣営のリーダーがまだ一度も決まってない今この時期に。

さらに言えば、熱意だよ」

 

「熱意?」

 

「ああそうさ。俺の兄弟のそれと似たようなモンがその目に見える。

まあ似てると言っても、ちょうど半分ぐらいだがね」

 

「そうか。ま、僕に熱意何て高尚な物が有るんなら、そら半分だろうな」

 

不思議とどこか嬉しそうなフーゴに、男は先ほどまでとは少し種類の違う笑みを浮かべた。

 

「ところでまだ名前を聞いてなかったな。

教えてもらってもいいかい?」

 

「パンナコッタ・フーゴ。そいうアンタは?」

 

「名簿には偽キャスターって書かれてるもんだ。よろしくな!」

 

(Fakeを)キャスター(唱える者)、か。

似合ってるじゃないか」

 

フーゴは偽キャスターの向かい側に腰かけた。

さて、何から話して、何を話してもらおうか。

 

 

 

【エリアB-9/どこかの屋内/1日目/深夜】

 

【偽キャスター@Fate/strange Fake】

[状態]:健康、良い小説に出会ったことに対する充実感

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(偽キャスター)

[参戦時期]:不明

[装備]:ロストメモリー@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:情熱を胸に戦う者たちの物語を観戦する。

1:まずはこのフーゴ少年の熱意を確かめる。

2:次に役者の達の顔ぶれを確認しておきたい。

  行くんなら都心ステージかな?

3:神山飛羽真……確か桃陣営にそんな名前があったな。

  もし本人ならサインでもいただこうかね!

4:他のサーヴァントたちは今頃どうしてるかね?

5:なんだよアズの奴、長丁場の殺し合いに飯一つ用意ししてねえじゃねえか!

  自分で獲れってか?

[備考]

※どの程度能力が制限されているかは後の書き手様にお任せします。

 

 

 

【パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】

[状態]:健康、疲労(大、回復中)、ダメージ(中、回復中)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(フーゴ)

[参戦時期]:本編終了後

[装備]:アナザードライブウォッチ@仮面ライダージオウ

    絶対制御イレイストーン@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本:生き残り、シーラEたちと共に帰還する。

1:今は体を休める。

2:シーラEたちと合流する。

3:ウォルペや、襲ってくる敵(真ア―チャーやDIO)は始末する。

4:今度こそ同陣営で無駄な殺し合いをせずに済むかな?

5:引き続き偽キャスターから情報を得る。

[備考]

※イレイストーンはあと一週間たたないと再び使う事は出来ません。

※パープル・ヘイズのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険は、

 真アーチャーの死に引きずられて消滅しました。

※アナザードライブの能力には、アナザーカブト同様に相応の制限がかかっています。

 少なくともアナザートライドロンは再召喚できません。

 また、通常の加速能力に関しては、普段より体力消費が激しいぐらいの様です。

 それ以外に関しては後の書き手に任せます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さく、だが確かに何かが光ったのを見えた。

大雑把な場所しかわからなかったが、誰かが居るのならと、そこに向かうと、人を見つける事が出来た。

あの日の出会いと逆だな、と、金髪に眼鏡をかけた少女、アヤカ・サジョウは思った。

彼女の目の前には、ボロボロの服を着た若い男が倒れている。

身長は高く、手足もすらりと長い。

顔立ちも整っていて、ファッション誌で専属モデルをやっていると言われても信じる人は多いだろう。

そんな彼の手には、真っ赤な炎を模したエンブレムが日本刀で言う鍔の部分についた剣を持っている。

アヤカにはその剣が酷く見覚えのある物のように思えた。

 

(これ、聖剣だ)

 

それもきっと黄金の英雄王が自らの蔵に大量に所蔵している中の一本だったとしてもおかしくないような本物の聖剣だろう。

ついさっき正式に契約を結んだセイバーの概念を付与して効果を発揮する永久に遠き勝利の剣(エクスカリバー)とは違う、けど似たような希望(ひかり)を宿す一振りだ。

(セイバー)の振るうあの光を覚えていたアヤカだからこそ分かった事だった。

アヤカは倒れる彼の頭を起こし、空いていた方の手に持った小瓶の蓋を親指で弾く様にして外すと、ゆっくりと聖剣の男、神山飛羽真の血の滲む唇にあて、中に入った液体を流し込んだ。

 

「ぶふっ!ぐふっ!ぅっ……?」

 

意識の無い状態で水を飲ませるのは、本来かなり危険な行為である。

何せ『意識』して水を食道に運ぶことができないのだから、そのまま肺に水が入ってしまい、最悪の場合肺炎の原因となってしまう事もある。

が、今回はそうはならなかった。

肺だろうと食道だろうと、一度体内に取り入れられたのなら、その水、否、ポーションは吸収され、飛羽真の傷をいやし始めるのだから。

その証拠に、切れていた唇は、生乾きの血が表面についているだけの状態になっている。

 

「あ……」

 

「君が……俺を助けてくれたのか?」

 

アヤカは頷いた。

それを見た飛羽真は彼女の手を借りてゆっくりと起き上がると、

 

「本当に助かったよ。俺は、神山飛羽真。君は?」

 

「アヤカ・サジョウ。

あなたと陣営は違うけど、戦う気はないわ」

 

「? えっと、ごめん。その、陣営って?」

 

「……!? あなた、もしかしてずっと気絶してたの?」

 

驚きと共にそう問うと、飛羽真は信じられないかもしれないけど、と前置きして事情を話してくれた。

世界を守護する聖剣の剣士たちに、大いなる本の魔人メギド、そして数々の出会い、分かれ、戦い、そして物語を。

アーサー王伝説にも負けず劣らずの奇譚であるが、聖杯戦争のマスターとなった彼女はなんとか信じる事が出来た。

 

「濃密な一年ですね」

 

「本当だよ。でも良かったとも思ってる」

 

「なにがですか?」

 

「不謹慎だとも思うけど、俺は小説家として、本当に書きたいと思える物語にまた出会うことも、あの日の約束にまた手を伸ばす事も出来たから」

 

「……奇遇、ですね」

 

「え?」

 

「私も、きっと他の人に話したところで到底信じられないような事を経験してるんです」

 

アヤカも飛羽真に自分の身にここ数日の間に起こった出来事を語った。

偽りだらけの聖杯戦争。セイバーとの出会い。

そして、彼の願いの為に力を貸すことを誓った事を語った。

飛羽真は驚愕した。

時空を超えて集う万夫不当の英雄たちが覇を競い、己が胸に抱いたね外の為に今を生きる人々と手を取り、困難に立ち向かう。

正に現代に復活した伝説。神秘と現代が同居するクロスオーバー。

しかもその結末は、まだ誰も決めていない。

それなのに、急に呼び出された新たなる戦いの舞台。

つい今しがた確かな繋がりを結んだはずのセイバーとは隔絶され、令呪こそ無事だが、あの真キャスターのマスターと同程度には邪悪であろうアズなる女の手によって、実質身一つでサーヴァントが闊歩する島に放り出されてしまった。

 

 

 

物語を突然の横やりで破かれた上に、急に真上から塗ったくられたように書き換えられた。

そしてそれはアヤカだけでなく、自分や、その仲間たち。

更にはこの戦いに参加者として選ばれた全員に言えることであるかもしれない。

そうと分かれば仮面ライダーセイバー、否、小説家の端くれ、神山飛羽真のすることは一つだ。

 

「アヤカちゃん、君の決めた物語は、リチャード一世の願いを助ける事?」

 

「うん。私は、この戦いも聖杯戦争も、襲い掛かって来る奴らも怖い。

けど、セイバーに見捨てられるのが一番怖いから」

 

「そっか。なら、この物語の結末は俺が決める!」

 

「物語の、結末?」

 

「ああ!俺は小説家だ。

アヤカちゃんがリチャード一世の元に戻れる物語を、俺が書く!」

 

そう言って飛羽真は手にした火炎剣烈火を掲げた。

アヤカも右手に宿った令呪を掲げた。

 

「神山さん、本当にいいんですか?

あなたは早くストリウスを倒さないといけないんじゃ……」

 

「勿論!でもこうして同じ物語で出会った上に、助けてもらったんだ。

無関係じゃいられないよ」

 

「……ありがとうございます」

 

 

 

 

【エリアE-6/浜/1日目/深夜】

 

【アヤカ・サジョウ@Fate/strange Fake】

[状態]:健康、不安(小)、覚悟(中)、令呪(5画)

[服装]:私服

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(アヤカ)

[参戦時期]:セイバーと正式に契約した直後

[装備]:ポーションの空瓶@ソードアート・オンライン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2、ポーション×9@ソードアート・オンライン

[思考]

基本:一刻も早く聖杯戦争の舞台に帰還する。

1:まずは神山さんの仲間や、この殺し合いの脱出を目指す人々と合流する。

2:聖剣の剣士たちか……彼は円卓の系譜がここにもあると喜ぶのかな?

3:他のサーヴァントやメギドたちに警戒。

[備考]

※ポーション@ソードアート・オンラインは10本で1つの支給品として扱われているようです。

※令呪が5画が残っていますが、セイバーとパスが繋がっているかどうかは後の書き手にまかせます。

 

 

 

【神山飛羽真@仮面ライダーセイバー】

[状態]:健康、ストリウス戦のダメージ(小)

[服装]:私服

[所属陣営]:桃(実写)

[メダル枚数]:1枚(飛羽真)

[参戦時期]:最終回、プリミティブドラゴンに変身した直後

[装備]:聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、火炎剣烈火@仮面ライダーセイバー、ブレイブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、プリミティブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

[思考]

基本:この物語(バトルロワイヤル)の結末は俺が決める。

1:まずは賢人たちと合流する。

2:ストリウス、マスターロゴスそれから一応デザストには警戒をしておく。

3:当分はアヤカちゃんと共に行動する。

  俺にかのリチャード一世の代わりが務まるかは不安だけど、

  アヤカちゃんの物語は、俺が守る!

4:万夫不当の大英雄たちとの冒険かぁ……不謹慎だけどちょっとうらやましいな。

[備考]

※聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、火炎剣烈火@仮面ライダーセイバー、ブレイブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、で一つの支給品扱いです。

※もともと装備していた聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、火炎剣烈火@仮面ライダーセイバー、ブレイブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、プリミティブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバーは、ランダム支給品二つと同じ扱いです。



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狂乱登場

作者
山田ちゃん

登場キャラ
・ビットリオ・カダルディ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
・坂本龍馬@龍が如く維新!
・鷲尾雷@仮面ライダービルド


殺し合いの開幕宣言から、数分後のことだ。

一人の少年が、デバイスを片手に身体を震わせていた。

焦点の合わないその瞳は、まるで、気狂いのよう。

狂っている。そう、ビットリオ・カダルディは狂っていた。

麻薬中毒者。

それが、ビットリオだ。

だから、その事実を知る者がいれば、ビットリオの麻薬の効果が切れている、など勘繰ろうものだが。

事実、彼は正気だった。

殺し合いに招かれたタイミングが、丁度麻薬の効果が継続しているタイミングであったから。

ならばなぜ、今、ビットリオはここまでの異常を見せているのか。

それは、彼の遍歴からしたら余りにも普通で、きっと他の参加者──────、それこそ、謂れのない理由でこの殺し合いに巻き込まれた市井の少年少女が感じたものと同じ。

 

「何で………………いるんだよおおおおおおお………………ッ………………うお、おおおおおお──────ッ!!!」

 

次の瞬間、ビットリオは思い切り、地面へと自らの頭蓋を叩きつけた。一度ではなく、何度も、何度も、何度も。

例えその感情が人にとっては当たり前に抱くものであっても、やはりビットリオ・カダルディは異常者だった。溢れ出る激情へと対処する方法が、こうして喚き散らし、絶叫し、自殺まがいの自傷行為に耽るしかない、というのがその何よりの証左である。

頭を打ち据え、何時しか頭からだらだらと血が流れだし、ビットリオの頬を伝った。

実に三十分もの時間を、ビットリオは悶え狂って。漸く、彼は顔を上げた。

 

「………………マッシモ」

 

そうして、一人の名前を言紡ぐ。

彼の中で何よりも大切で大事な、チームの一員。

声音は、震えていた。驚愕、焦燥、憤怒、憐憫。

一言では言い表せない程の複雑極まりない感情がビットリオの心を完膚なきまでに蹂躙していく。

 

その上で。

ビットリオは覚悟を決めた。

 

「オメーがいねーとよお………………アンジェリカはどうなるんだよッ」

 

アンジェリカ・アナッスタシオ。

彼の仲間で、マッシモ・ヴォルペによって救われている彼女を、彼は思い返す。

マッシモ・ヴォルペは大事な仲間だ。アンジェリカも、また。

彼の死はつまるところ、アンジェリカの死にも繋がる。

ならば、取るべき行動は。

 

ゆらり、と幽鬼の如く立ち上がる。

その目は──────。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

息を切らせながら、坂本龍馬は疾走していた。脇目も降らず、田畑が広がる農村を、走り抜ける。

無我なるもの仮面ライダーアークゼロ、その襲撃より辛くも生還してのけた彼は建物を求めて進みを絶やすことはなかった。

辺りに敵手が見当たらないにもかかわらず、彼が未だに必死の形相で疾走を続けるのは何故か。決死の覚悟で新選組へと入団して以来、幾度となく血で血を洗う過酷な修羅場へと足を踏み入れていた龍馬である。敵が放つ殺気の類を見分ける程の技能は既に身につけていように、体力の分配すらも考えずに全力にて走り続けていた。

仮に新選組の同士──────沖田総司や永倉新八、土方歳三らの目があったのならば、苦々しい表情を浮かべ無駄に体力を浪費しようとする様に疑問の一つでも覚えようが。しかし龍馬の判断は、この場に於いて適切なものであった。

 

(魑魅魍魎が跋扈する蠱毒、か。あの銃にしろ、俺にはまだまだ知らないことが多すぎる)

 

人が古来より恐れるものは何か、と言われれば『未知』という概念が一つの例として当てはまるものではあるまいか。人類史の芽吹きたる原始に於いて、如何なる原理か夜の闇を照らす火という現象が神格化されたように、或いは龍馬の住まう時代、江戸に於いて国を閉ざした鎖、鎖国を物ともせずに押し入った異国の黒船がそうだったように。

かのアメリカよりの来訪者ペリーがやって来た当時の騒乱は、国の至る所に伝番し、有らぬ噂、有らぬデマが尾ひれをつけて飛び交って、何時しか同じ地で生まれた国民(きょうだい)同士が殺し合う内戦もかくやといった具合に荒れていた。

これも一重に、知らないことへの恐怖があったからだろう。知らないからこそ、分からないからこそ自然と恐怖し警戒する、そういう本能が確かに人間の機能としても存在している。

後世より伝わる池田屋事件を始めとする、龍馬が新選組三番隊隊長、斉藤一として実際に足を踏み入れ確と目で見た京の騒乱がそれを物語っていた。

 

この殺し合いとて同じこと。いざ幕が上がった直ぐに開かれた戦端。

二足の狼、仮面ライダーバルカンとの交戦が、龍馬にとってはこれ以上ない程の『未知』として強い警戒を抱かせていた。

武士の具足とも西洋の衣服とも異なる装いをしたその威容。刀の刃を一切通さず、使い手次第で自在に着脱を可能とし、更には弾丸を”発射させた後から”有らぬ方向へと曲げられる。

江戸より数百の時を経て生み出された兵器には、さしもの龍馬も太刀打ちできずにこうして逃げに徹する他ない。それだけならば、尚更体力は温存すべきであろう。

此方の戦力は己が刀と手に持つ鞄に仕舞われた短刀が一本のみ。全身を覆う群蒼の鎧と比べて見れば見劣りせざるを得ない籠手が一つ。

 

(それより、あの『狙撃手』の居所が分からぬ以上、今は逃げなくては………………!)

 

装備の面で劣るならば唯一拮抗している体術の面で喰らい付くしかなかろうに、その利すらも捨てて逃げる龍馬の意図と言えば、姿が見えぬ『狙撃手』の存在がここで現出したからに他ならない。

先刻、一人の童女が殺された。

敵手、バルカンとの交戦を終えた後に起きた再びの襲撃者こそがその童女である。何を思ったのか龍馬を襲った彼女は、奇襲が失敗するや否や、尻尾を巻いて逃げ出した。

その直後だ。彼女の頭を突き抜けた赤光がその命を散らしたのだ。

一人の命を奪った狙撃手、その位置が分からぬ以上、今は遮蔽物を求めて走り回るしかなかった。

 と、いうのに。

 

(………………くそ)

 

生と死の狭間に立っているというのに、今の彼が感じているのは危機感ではなく、嚇怒であり、苛立ちだ。

殺し合いに巻き込まれたことに恐慌し、錯乱でもしたのか龍馬を死に至らしめんと刃を突き付け、襲い掛かって来た彼女は頭を撃ち抜かれ、断末魔の一つも上げずに死んで行った。 

思う所が、ないわけではない。彼女の事情を知らずとも、充血した目が、小鹿のように震える身体が、戦う術を欠片も身に着けていないその身のこなしも全て、市井に生きる一介の少女である事の証左である。

きっと、こんな催しが無ければ今頃は殺すだとか殺されるだとかの生と死の狭間に立つ事無く、血とは無縁の平穏があったに違いないというのに。

一瞬、たったの一瞬でこの先々の生で得るはずだった幸せも、何もかもが無に帰した。

何の罪もない少女が理不尽極まりない上からの仕打ちで、謂れのない苦痛を与えられる。己がお前たちよりも偉いから。命を握っているから。

主催(アズ)の望むがままに、気の赴くままに無垢な命が踏みにじられ、大した意味もなく消し去られる。

それは、まるで、まるでこの殺し合いの縮図は。

上士と郷士の逆らえない身分社会、龍馬がいた土佐そのものを見せられたようで、反吐が出そうだった。

 

(考えるな)

 

命を獲るか獲られるか、その瀬戸際に立っている今、考えるべきは自分のことだろう。自分には生き残り成さねばならぬことがある、知らねばならぬ事がある、問わねばならぬ事がある。

親である東洋の死、その無念を晴らすため、ここまで来たのだ。

この異常で醜悪極まる殺し合いに巻き込まれた時ですら真っ先に考えたのはそのことであったように、龍馬はただ真実を求めて今までの修羅場に踏み入って来た。

生きて、真相を知る、それまでは──────ああ、でも。

 

「………………っ!」

 

真相を知る為に。

………………いいや。いいや。真相は、とっくに分かっているだろう。切り裂かれた虚無僧の背から覗いたものは。

 

違う。

──────本当に?

違うだろう。

──────本当に?

裏で糸を引いていたのが兄弟であるなんて。

──────────────────本当に、そうなのか?

 

答えは、未だ出ず。

その一歩を踏み切れない龍馬の苦悩と見せつけられた悪徳が苛立ちを搔き立てる。

ささくれだった心は、何時の間にか歩みを送らせてしまう。

少し、ほんの少しだけ、走る速度が落ちてしまった。ならば、ならばこそ。

 

その隙を、狙撃手は逃さなかった。

方向転換は一瞬で。心がかき乱されて尚、龍馬は耄碌しない。数ある死線を潜り抜けて来た経験がここで活きた。

しかし、遅れた。背後より轟く裂帛の叫びと夜闇を裂くようにして飛来した筒が着弾し。

 

真っ赤な華が、大瀑布と共に咲いた。

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

「どうだッ、死んだかよ、あの野郎」

 

ビットリオ・カダルディは支給品──────RPG-7を龍馬目掛けて狙い打った。

足音を聞きつけてそちらへ向かえば、走る一人の影。それを隙と見做した後は早かった。確認した支給品から気付かれずに圧倒的な火力で圧殺できるロケットランチャーを選択、躊躇なくその背中にぶち込んだが、しかし。

 

「いや………………生きてやがるッ!!」

 

坂本龍馬、健在。爆風を籠手で防ぎながら、前へ。

身体の端々を焼かれながら、ビットリオへ刀身を煌めかせ。

 

「くっ......」

「あ──────?」

 

龍馬とビットリオの中間に落下する、もう一つの影。

鷲尾雷──────、仮面ライダーバルカン、アサルトウルフでの殴り込みであった。

こうして、戦いは三つ巴へと加速していく。果たして、生き残る者は誰か。決まるのは、そう長くはないだろう。

 




【エリアC-3/1日目/深夜】

【ビットリオ・カダルディ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】
[状態]:麻薬の効果継続中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(ビットリオ)
[参戦時期]:Ⅱ.塔を建てようの前。
[装備]:RPG-7(残弾5発)@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:マッシモ・ヴォルペを生還させる。そのためにゲームに乗る。
1:羽織の男(龍馬)と鎧を来た野郎(雷)を纏めてブチ殺す。
2:マッシモと合流したい。
3:赤の首輪をした野郎以外は基本殺す。
4:サーレー、ズッケェロは同陣営だが殺す。
[備考]
※マッシモの麻薬の効果が残っているため、何とか現時点ではある程度ものを考えることが可能です。ですが時間によって効果が薄れていきます。

【坂本龍馬@龍が如く維新!】
[状態]:健康、疲労(中)、確かな苛立ち(増大中)、火傷(小)
[服装]:新選組の制服(幹部用)
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(坂本龍馬)
[参戦時期]:虚無僧の坂本龍馬の火傷を見た後
[装備]:芹沢鴨の日本刀@龍が如く維新!
    芹沢鴨の防具(腕)@龍が如く維新!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
    芹沢鴨の覆面@龍が如く維新!、芹沢鴨の仕事着@龍が如く維新!
    エターナルエッジ@仮面ライダージオウ
[思考]
基本:この殺し合いを生き残り、全ての謎を解く。
1:この状況から生き残る。
2:光子(名前は知らない)を撃った狙撃手(?)を警戒。
3:武市半平太、岡田以蔵、土方歳三、沖田総司を追う。
4:どうやらここは怪物の巣窟らしい。
5:あの『あず』とかいう女、とんでもない外道だな。
[備考]
※芹沢鴨の日本刀、芹沢鴨の防具(腕)、芹沢鴨の覆面、芹沢鴨の仕事着の四つで、
覆面の男の装備一式@龍が如く維新!という一個の支給品です。

【鷲尾雷@仮面ライダービルド】
[状態]:ダメージ(大)、意識暴走、アークによる支配
    仮面ライダーバルカンアサルトウルフに変身中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:0枚
[参戦時期]:不明
[装備]:エイムズショットライザー@仮面ライダーゼロワン
    アサルトウルフプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
    シューティングウルフプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
    オーソライズバスター@仮面ライダーゼロワン
[道具]:なし
[思考]
基本:人類を滅亡させる。
1:羽織の男と闖入者を殺害する。
2:蜈ィ縺ヲ縺ッ髮」豕「驥榊キ・縺ョ……縺溘a、縺ォ。
3:蜈?イエ縺ッ辟。…莠九?
4:????????
[備考]
※アークに支配されたことにより、全ての人類を滅亡させるために戦います。


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ただすれ違うのみ

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
・荒耶宗蓮@空の境界


古風ステージがエリアC-3の端の端。

C-4、D-3、D-4どのエリアにもあと一歩という所に、一人の男が立っていた。

 

「もうすでに始まっているか」

 

C-5ステージの方から響き渡る轟音を耳にしながら、彼はひどく落ち着いている。

こんな異常事態の中で彼の冷えた金属のような重みのある独特な声は、なんだか不安を静かに押し上げる様な気がする。

まあ、そんな声を聴かずとも、暗黒の中に溶け込む黒ずくめの衣装。

水滴が石を穿つかのように刻まれていったであろう苦悩の印である深い皺が浮かぶ相貌。

更には屈強に鍛え上げられた肉体。

これら全てが同居する妖怪じみた風体を見れば、誰だって萎縮してしまうような気がするが。

 

彼の名前は荒耶(あらや)宗蓮(そうれん)

もとは台密の僧であったが、自分に、人の(サガ)に、矛盾まみれの世界に絶望し、人を救えぬと諦め、人の存在そのものの意味を求め、『根源』を求める存在。

自らの起源『静止』を覚醒させ、200年を生きる自動根源探求装置である。

今や人間らしさなど自分から進んで削ぎ落してきた彼は、この殺し合いに思うことなど無いと言っても良い。

そもそも死の蒐集家である彼からすれば都合が良いとさえ言えるかもしれない。

だが彼には今、それ以上に興味を引き立てる物があった。

今彼の手に握られている一冊の手帳サイズのアイテムである。

 

(ワンダーライドブック……世界の全てが記された全知全能の書の断片。

もしこの紙に書かれたことが本当ならば、これは分割された『根源』とほぼ同義。

私の早とちりだとしても、この世全てが記された存在ならば、何かしら手がかりがあるはずだ)

 

最初の開会宣言の場で自分と同じく参加者にさせられている事を確認した根源に接続している少女、両儀式の肉体程の優先度はないが、それでも集めずにはいられない。

万が一、彼女の肉体が使用不可能になった場合、真の叡智に至る為の手がかりを見失わない為に。

最早当人がなぜそんなことを始めたのかを憶えているのか定かではないが、最初は多くの人を救う為だったはずなのだが、今は果たしてどうなのだろう?

そもそも読み解くことが、持ち主にすら難しいのが人の心の内という物。

それが運命的に抗いがたい起源により歪められてしまったら、そもそも読み解ける状態なのかどうかすら疑わしいが。

 

「やあ、散歩には良い夜だね」

 

そんな彼に、声をかける者が居た。

人種は恐らくイギリス系の白人。

フード付きの半袖から見える両腕は鍛え上げられた所謂細マッチョ。

足もすらりと長く、ルックスも中々。

嘶く馬の柄と蹄鉄型の飾りが丁度額にくるようにバンダナを巻いている。

彼はジョニィ。本名はジョナサン・ジョースター。

今回の名簿ではジョニィ・ジョースターと表記されている者で、アメリカ大陸横断レース、steel ball runの参加者の一人で、優勝候補の一角でもある一流の騎手(ジョッキー)である。

 

「……」

 

荒耶はワンダーライドブックただ無言で構えをとった。

何故ならジョニィのちょうど左肩の上にはモグラとも豚ともつかない何かのような顔をした二頭身の妖精のような何かが浮遊しているからだ。

スタンド、(タスク)ACT1。

ジョニィ自身の精神の具現がある聖人の遺体を由来とする守護聖霊と同化したことで生まれた存在だ。

能力は『回転する爪』

両手両足の指から発射される爪弾は岩をも砕き、発射せず指先にとどめたまま回転させれば、人体を容易に両断する刃ともなる正に爪を超えた牙。

スタンド使いに絶大な能力を与える代わりに、スタンド実像(ヴィジョン)その者には全く攻撃力がない上に射程距離も極めて短い珍しいタイプのスタンドである。

 

「まあ、落ち着きなよ。

僕も自衛のためにこいつを出しちゃあいるが、別に君と今殺し合うつもりはないんだ」

 

そう言ってジョニィはポケットから取り出したエニグマの紙を開いて見せた。

 

「それは……」

 

それは本だった。

荒耶が手にしているものよりは大型だが、表紙の特徴から見ても、ワンダーライドブックに間違いないだろう。

 

「多分君の持ってるその小さいの同じ奴だろ?

君の支給品一つと交換でどうだい?」

 

「態々敵陣営のお前との取引に応じるメリッ……」

 

次の瞬間、ジョニィが右手を荒耶に向けるのと、甲高い回転音(・・・)と共に荒耶の左耳の横を何かが掠めていったのは同時だった。

爪弾だ。

もう既に再生を始めている右手の人差し指から発射されたのだ。

 

「!?」

 

「お互い、この場を無傷で納められる」

 

そう言うジョニィの目には、黒い何かが宿っていた。

瞳に収まるサイズというよりそれよりももっと内から、瞳という小さな出口から噴き出ていると言った方が正確な気がする。

それは絶対零度をはるかに下回る冷気であると同時に、何もかもを焼き焦がせる炎だ。

それだけの容赦のない『意志』が、善悪を超越したある種最も身勝手な何かだ。

 

「なるほど」

 

何がなるほどなのか分からないが、荒耶は背中のデイパックからエニグマの紙を二枚取り出し、中に入れられたものを取り出した。

 

「どちらがお好みかな?」

 

方や用途は一見しただけでは分からぬが、どう見ても人造物、道具であろう何か。

対してもう片方は、カラッカラに干からびたミイラ……それも何故か両脚のみ。

それを見たジョニィは迷わず

 

「遺体だ。その両脚の遺体とこれを交換だ」

 

遺体を選んだ。

それぞれの道具を収納したエニグマの紙が空中で交差し、それぞれの手に収まる。

 

「それではこれからどうしようか?

ここまでは『お互い無傷』だが……」

 

「そうだな……。

君はさっきの爆発と爆音を聞いたかい?」

 

「ああ。それがどうした?」

 

「僕はそっちに向かう。

君は今すぐその反対側に向かえばいい」

 

「遠距離攻撃の出来るお前に態々背中を晒せと?」

 

「ああ。そんな自殺行為はしない。

もし僕がそうしたとして、君は反撃できるだろう?」

 

事も無げに言い切るジョニィ。

確かにそれは事実だろう。

いくら聖なる遺体の加護が有るとは言え、荒耶が自身の左腕に埋め込んだ仏舎利の守りを突破するのは容易ではない。

その上体術に関しては、つい最近まで下半身が全く動かない状態だったジョニィに対して、100年以上鍛え続けて来た荒耶の方が有利過ぎる。

と、荒耶は分っているが、一度だって荒耶と戦っていないジョニィはそこまでは分らないはずだ。

それでもなお確信を持って荒耶を手練れと断言したのは、SBRレースにおいて、相棒と共に数々のスタンド使いや超一級の暗殺技能を得た者たちとの激闘を制して来たからだろう。

アメリカ大陸を横断する過程において養われたジョニィの戦士としての目は、確かという訳だ。

 

「……その胆力、相当な苦闘を乗り越えてきたようだな」

 

「君こそ、一体何に飢え続けたらそんな様になるんだい?」

 

「これもお互い無傷で済ますか?」

 

「ああ。そうしよう」

 

それからはお互い完全に無言だ。

ある意味でジョニィと荒耶は出会ってすらいない。

一緒に勉強したり、漫画について議論したり、ゲームセンターで熱く対決した事も無い。

それどころか一緒の交差点を待ったり、同じ日に同じレストランで食事をとった事すらない。

ただこの殺し合いという異常極まる場でたった一回だけ取引をしただけの関係だ。

すれちがう者同士、ただ去っていくに任せるだけだ。

 

(にしても、初っ端から嫌な奴に出会ったもんだ)

 

ジョニィは荒耶に真夜中に井戸の底を除く時のようなうすら寒さと、ヴァレンタイン大統領というよりは、自身の行いを『漆黒の意志』に基づく物と評したリンゴォ・ロードアゲインに近い物を感じた。

 

(もしかしたら奴はある意味では2人よりも恐ろしい何かだったのかもしれない)

 

出来る事なら二度と会いたくないものだ。

そう思いながらジョニィは新たな戦いの場に赴いた。

そして荒耶は、相も変わらず世の最も根深い所に向けて歩み続けた。




【エリアC-3/C-4、D-3、D-4どのエリアにもあと一歩の所/1日目/深夜】

【ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】
[状態]:健康、
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:青(漫画)
[メダル枚数]:1枚(ジョニィ)
[参戦時期]:下半身の機能が回復した後
[装備]:聖なる遺体(両脚部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
    聖なる遺体(左腕部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品×0~1
[思考]
基本:聖なる遺体を揃える。
1:他の聖なる遺体を探す。
  まずは爆音の方(龍馬たちのいる方)に行ってみる。
2:もし来ているなら大統領やその刺客たちに警戒。
3:あの男、、出来るならもう会いたくないな。
[備考]
※聖なる遺体(左腕部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runの影響により、タスクACT1が復活しました。
※まだ名簿を見ていません。それどころかデバイスの使い方もよく分かっていません。

【荒耶宗蓮@空の境界】
[状態]:健康、起源覚醒
[服装]:いつもの黒尽くめの衣装
[所属陣営]:黄(アニメ)
[メダル枚数]:1枚(宗蓮)
[参戦時期]:不明
[装備]:???ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品×0~1(確認済み、少なくとも人造物)
    ライドブックホンダナー(ワンダーライドブック5冊付属)@仮面ライダーセイバー
    エックスソードマンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
[思考]
基本:式の肉体を用いた根源探求の達成、それが無理なら手がかりになりうるかもしれない大いなる本を復活させる。
1:同陣営だが、蒼崎橙子たちには最大限警戒する。
2:死と式の肉体、そして本と聖剣を探し出し、蒐集する。
3:爆音の方(龍馬たちのいる方)から遠ざかる。
[備考]
※会場内で一度殺されれば完全死亡します。
細かい能力の制限は後の書き手に任せます。
※ライドブックホンダナーに収納された6冊のワンダーライドブックの詳細に関しては、後の書き手に任せます。
※ランダム支給品の確認から済ませたので、まだデバイスを確認していません。


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ジシンにカける精神論

作者
・ユッケジャン

登場キャラ
・ヤムチャ@ドラゴンボール
・ブラックモア@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run


会場内に無数に聳え立つビルの一室。

空き部屋なのか、そこにはデスクの一つさえ置かれていない。

室内に残されているのは光と闇が半分ずつ。そして新たに配置された、人。

仲良く陣地を平等に分け合って、月光と陰影が共存するその境目にヤムチャは立っていた。

 

「クソッ!クソッ!情けねぇぜ、オレ…!!」

 

ブルブルと小刻み震える脚。ガチガチと音を奏でる歯。

大の大人が、なんと情けない事か。その不甲斐なさは本人も自覚していた。

本能的恐怖に負け、言うことを聞かない両足を躾と殴りつける。

暴力に訴えても尚震えは止まらない。

彼の恐怖の源は、この地に、すぐ傍に今も存在し続けているのだから。

 

(オレたちが今迄どれだけとんでもねぇ技を喰らってきたと思ってんだ!

 あんな爆発一つで死ぬわけねぇ!死ぬわけねぇ筈ねぇ、けど…!)

 

アズのデモンストレーションにより哀れ首無しとなった男。

目を背けたくなるグロテスクな爆死体。それは一歩間違えば己を媒体に再現される惨劇だ。

皆、覆しがたい絶望が刻まれた事だろう。だが、ヤムチャたち「Z戦士」と評される猛者は違う。

彼らは一般人とは隔絶した差が存在する。生半可な兵器や技など屁の河童。

首輪の爆発とてあの程度、軽く焦げ跡が付くだけで済む。例えゼロ距離であったとしてもだ。

もし殺そうと言うのなら、最低でも見せしめを建物ごと粉微塵にする火力は無ければ話にならない。

そう、恐れる必要はないのだ。本来ならば。

 

(そんなオイシイ話、オレ達にだけあるわけねぇよなぁ……。)

 

アズはそんな超人でもお構いなしに自らの催しに招き入れた。

参加者の実力など運営は織り込み済みのはず。

戦闘力の格差は存在してもルールの根幹に関わる部分は平等でなくては。

例えば特注の細工が施されているとか、案は幾らでも思いつく。楽観的ではいられない。

 

(ちょっとでもあの女の気を損ねるマネすりゃドカン…!またあんな惨たらしくお陀仏なんて考えたくもねぇ。)

 

特にヤムチャにとって爆死は最初の死因。切っても切れない悪縁がある。

その時はドラゴンボールで蘇りを果たした訳だが、自身の死で心に深い傷跡を残さぬ者はいない。

方法は違えど内容は同じ。彼の恐怖を煽るには十分すぎた。

身近な死が。幾度も感じた絶望が。たった今、薄皮一枚隔てた所に存在している。

しかもそれは、たった一人の女の気まぐれで簡単に起動してしまう。

子供染みた無邪気な残酷さで、人を殺し、争わせようとする女にだ。

恐れを感じずにいられる者がいるだろうか。しかしヤムチャの恐怖はそれだけに留まらない。

 

(首輪も仕切ってるアズも怖いさ。けど!一番ヤベェのは「英霊」って連中だ!

 アイツが言ったことが予想通りなら、そいつ等は悟空達よりも強いかもしれねぇってんだぞ…!)

 

ルール説明の際に聞かされたリーダー特権。問答無用、絶死の強制爆破。

そんな外法や「帝具」、「スタンド」とやらが無ければ相対不可能なこの生存競争における頂点。

その一例にアズはサイヤ人の名を挙げず、英霊と呼ばれる存在を挙げた。

ヤムチャが考える強さの最高峰は間違いなく「サイヤ人」だ。

彼らは最強の戦闘民族。宇宙の帝王フリーザや究極の人造人間セルすら滅ぼしたスーパーヒーロー。

死線を超える度、無限に進化する限界知らずの強さは頼もしさを感じたものだ。

それと同時に恐怖すら覚える程である。もしも敵だったらと考えただけで恐ろしい。

そんな空想が、現実になったかもしれない。サイヤ人と同等の化け物が会場にいる。

いや、アズが優先した事を加味すれば力量はそれ以上なんてことも―――。

 

(そんなのがウヨウヨいやがるなら…俺なんかじゃどうにもならねぇ。一捻りで殺されるのがオチだ。)

 

太陽系すら塵に出来るセルを倒した悟飯すら超える存在。

良くも悪くも戦闘狂な悟空やベジータなら嬉々として戦いを挑むのだろう。

神と一体化したピッコロや悟飯なら生命を守るのが使命だと毅然と立ち向かうのだろう。

だが、ヤムチャは違う。規格外の怪物か悪魔など、畏怖の対象としか考えられなかった。

 

ヤムチャは己の限界を知っている。どうにもならない壁を知っている。

次から次へと現れる宇宙規模の強敵たち。

対抗する友人は遥か手の届かない領域へと行ってしまった。

インフレを繰り返す異次元の戦闘力。

それを目の当たりにする度、いつしか強くあろうとする向上心も無くなった。

平和な世となり。無難に生きると決めてからは武道家稼業すらもやめた。

力は全盛期とは見る影もない。

身も、心も、弱り果てた自分に何ができる。

そこらの参加者相手に嚙ませ犬にされるのが関の山だろう。

 

「どうにもならねぇのに!クソッ!なんだってまだ何かしようって考えてんだよ…!」

 

フリーザが地球にやってきた時も、人造人間の時も、セルゲームの時も。

どうせ行ったって役に立たないのに、気づけば戦いの場に訪れていた。

戦ってもどうせ死ぬ。カッコつけの蛮勇が許される段階はとうに過ぎている。

それでも出向いたのは仲間においていかれたくない焦燥感と彼の心にも眠る正義感。

仲間が戦ってるのを、傷ついているのを、ヤムチャは見て見ぬ振りが出来ない。

足手纏いを自覚しても、オレは見学だと一線引いても、少しでも力になれればと戦場に行く。

臆病と正義が共存している。無難に生きる上では余りにも致命的な悪癖だ。

 

「もう下手に死ねないんだぞ…。大人しくしとけってオレ…!」

 

ドラゴンボールは一度蘇った人間は二度と蘇れないという制限がある。

ヤムチャは一度復活してしまった。彼は命は正しく一度きり。

ドラゴンボールの本場、ナメック星にあるポルンガならば制約無く蘇生はできる。

だが、そこに立ちはだかるのは、やはりアズだ。彼女は凄烈な殺し合いを要求している。

後で誰かが生き返らせてくれる。

だから平気だ、気楽に逝こうなんて甘い考え、許してくれるだろうか?

奴らは願いを叶える手段を独占していると考えるべきではないだろうか。

戦う以外に道はないのだと。哀れな参加者共に知らしめるために

もしそうならば、残された択は運営を倒すか優勝かの二択。

どちらを選んでも、負ければば終わりだ。永遠の死がそこには待っている。

 

「皆に任せときゃいいじゃねぇか…!なぁ…!」

 

だから下手な事はしないのが賢明な選択なんだ。

息を潜めてればいい。事の終わりをみてればいい。矢面に立とうとしなくていい。

なのに、出来ることがあるはずだと、出ていかなければと思ってる自分も確かに内にいて。

頭と心と身体がバラバラ。矛盾だ。感情のバグに踊らされている。

いずれにせよ、まずはこの震えをなんとかしなくては、何も出来ない。何よりみっともなさ過ぎる。

やがて訪れる結論を先送りにし、ヤムチャは再び身体を鞭打とうとした。

 

「止まってくれ…!頼む、頼む、たの――――」

 

ヤムチャの叫びが突如として止んだ。

そして見えない何かに導かれるように彼は後方へと振り返る。

 

「………」

 

震えは依然として止まっていない。巣くった恐怖心もそのままだ。

それでも身体は自然と臨戦態勢に入っていた。

死闘を繰り広げてきた肉体は迫る不穏に対して、変わらず反応してくれている。

 

「―――誰かそこにいるんだろ!出て来いよ!」

 

彼は虚空に向かって話しかける。振り返ってもそこには誰もいない。

闇に覆われただだっ広い部屋が広がっているだけだ。

しかし、ヤムチャは確信している。ここには誰かがいると。

常人には決して認識不可能な、彼だから分かる"ナニカ"を感じ取っていたから。

 

「し、知らぬ存ぜぬで通そうとしても無駄だぜ!近くに隠れてる事は"気"でお見通しなんだ!

 隠す気ゼロの駄々洩れなヤツに言っても分かんないだろうけどな!」

 

ヤムチャは亀仙人こと武天老師の下で過酷な修行の末、気のコントロールを会得した。

気とは生物の内に秘められた生命エネルギーを指す。

それを抑える事は単に気配を殺すのとは訳が違う。

技術を知らなければどんな達人であっても隠せないし、探知から逃れられる事も出来ない。

 

(にしても、なんだって今の今まで気づかなかったんだ…?

 まさかそこまで鈍った…とは考えたくないな。)

 

本来ならば射程範囲は何千、何万キロとまで及ぶ。

極めれば惑星間でも感知出来る程効果は絶大だ。

しかしいつもは無数に感じる生物の気は完全に凪いでいた。

慣れ親しんだ戦友の気すらここでは全く感じとれない。

こうして接近されようやく察知できたが、それも「何処か不明だが近くにいる」と漠然としている。

精度の低下に疑問はあるが――今は置いておく。今最重要なのは相対した未知の参加者の対処だ。

 

「俺は殺し合いをする気は…今はない!

 アンタも乗り気じゃないなら、とりあえず顔だけでも―――」

 

見せてくれ。そう言い終わる前に相手からの回答が返ってきた。

ただし、発言ではなく"攻撃"という暴力的な形でだが。

暗闇から突如として無数に出現した紫の手裏剣。

従来よりも一回りか二回り巨大な其れは一斉にヤムチャの元へと殺到する。

 

「ああそうかよ!やっぱ敵だったのかよ!ちくしょう!」

 

嫌な予感とは常々当たるもの。降って湧いた不幸に悪態を吐く。

久々の戦闘だ。恐ろしくあるが、黙って殺されまいと応戦の構え。

高速で向かい来る手裏剣の大群。散弾に近しい攻撃を彼は拳一つで捌き切る。

全弾弾き飛ばして目立った傷は皆無、万人が見ても惚れ惚れする防御。

しかし、良好な結果に対してヤムチャの顔色は芳しくない。

 

(ちっきしょう…こんなもんでもう手が痛ぇ。やっぱ弱ってんのか俺…!)

 

手裏剣を弾き飛ばした手の甲がジン、と痛む。

人体として当然の反応にヤムチャは己の劣化を実感した。

気弾と比べれば手裏剣など豆鉄砲。にも拘わらず、他愛のない防御で多少なりとも痛みが走る。

肉体の強度が落ちている証拠だ。やはり修行不足――いやそれだけでは説明がつかない。

ただ鈍っただけでは気を感じにくい事といい、説明がつかないことが多すぎる。

 

(もしかして、これが爆破が効く理由なのか!?

 俺達が滅茶苦茶弱くなってるんだとしたら――――)

 

ゾッとした。

ただでさえ悟空達に遥か劣るのに――更に制限まで課せられたら猶更ではないか。

こんなザマの戦士、楽に殺せる奴は『英霊』以外にもごまんといるのではないか、と。

嫌な想像ばかりが膨み、勝手に身がすくむ。

そんな相手の心情などお構いなしに、攻撃は続いていく。

飛び道具では話にならない。

一連の動きからそう分析し未だ正体を晒さぬ襲撃者が遂に姿を現した。

 

床一面に広がる漆黒の"影"の中から。

 

「なっ!?」

 

まさかそのような場所にいようとは。予想だにしない潜伏方法に思わず面食らう。

しかしそれだけではない。彼を更に驚かせたのは敵の様相だ。

両手に携えた大鎌、棚引くマフラー、そして銀と紫に煌めく全身を覆う鎧。

人の身を想定していたヤムチャにとっては、それすら驚愕の対象だった。

 

積み重なった動揺に怯むヤムチャ。隙だ。相手からすれば絶好の好機に他ならない。

襲撃者は凄まじい勢いで加速。互いの距離が瞬く間に詰まった。

その速度、正に疾風が如し。牽制で飛ばした手裏剣など比較にもならず。

だがヤムチャとて達人である。常人には視認不可能な早業も、彼の動体視力は捉え切る。

世闇に目立つ蛍光色の刃が首を捉えるその刹那。咄嗟に前腕を盾にして寸で防ぐ。

衰えたとはいえ、長年鍛え上げてきた強靭な肉体は健在。生半可な一撃など通しはしない。

 

「う、うおおおおおおっ!!」

 

この一撃で確信した。

相手は本気だ、やらなきゃやられる。死んでしまう。

湧き上がる恐怖を押し込めるべく、雄たけびを上げ己を奮い立たせる。

相手の腕を抑えた武器ごと強引に搗ち上げ、がら空きの胴へ渾身のミドルキック。

もろに蹴りをお見舞いされた襲撃者は部屋の側面まで吹き飛び、壁へ大きく減り込む。

粉砕された壁がガラガラと音を立て、襲撃者と共に崩れ落ちた。

 

「やったか!?」

 

気持ちいい程の会心の当たり。思わず歓喜の声が口から飛び出す。

しかし碌な確認もせずにそんなセリフを気安く吐いてしまえば。

それはやってないものと、古来より決まっているのだ。

砂埃が止み、視界が晴れた向こう側、そこにあったのは倒れ伏す襲撃者ではなく。

 

「いぃ!?わ、藁ぁ!?」

 

手裏剣マークが書かれた紙の貼られた藁人形。いわば変わり身の術である。

蹴りを受けたのは身代わりだった。すなわち本体は無傷な証拠。

では、その肝心な本体はどこへ?慌てて首を忙しなく振るうヤムチャ。

必死に敵の居場所を探る、その後方。彼の慌ただしい動きと合わせて動く影。

影法師がぐにゃりと形を歪ませ、別人の姿を形どっていく。

そう襲撃者は再び闇中へ身を潜めていた。潜影の対象は対峙する相手の物すら例外ではない。

するりと、無音で再浮上する襲撃者。双眼に映るのは隙だらけの背中。

後は単純だ。注意がお留守な獲物目掛け鎌を振り下ろすのみ。

 

「――――ッ!!後ろかっ!」  

 

迫る鎌の風圧と微かに変動した気がヤムチャに居場所を伝えてくれた。

奇襲に気が付くと大振りの裏拳によって相手の鎌を弾き飛ばす。

それだけでは終わらない。回転の勢いを利用し回し蹴りで追撃を図る。

二撃目は敢え無く空を切った。失敗と見るや瞬時に後ろへ飛び退いたのだ。

 

「ヤロ――――っ!逃がさねぇぜ!!」

 

押せているならばこのまま勢いに乗るしかない。

頭で考えるより早く勢いに任せて敵へと殴りかかる。

間合いに飛び込んだ先で、ヤムチャは何とも奇怪な光景を見た。

ブレている。襲撃者の姿が幾重にもブレて見えるのだ。

その異様さに駆ける脚が僅かに緩む。瞬間、襲撃者は三人へと分裂した。

正面、右後、左後に陣取り、ヤムチャを三方から包囲する。

この光景に彼は見覚えがあった。かつて天下一武道会で幾度も目にした残像拳。

今でこそ見る機会こそなくなったが当時も面食らったのを覚えている。

 

(手裏剣、変わり身ときて今度は分身…!?まるで忍者みてーな野郎だ)

 

代わる代わる繰り出される技の数々は大衆がイメージする忍法そのもの。

というか、顔に堂々と「シノビ」と書いているのだ。考えるまでもなく忍者なのだろう。

下らない思考を他所に襲撃者は一斉に飛び掛かる。姿は別れようと速度は健在。

一ヶ所ならまだしも三方向をもなれば対応しきるのはヤムチャとて至難の技。

 

(このままだと間に合わねぇ…!こうなったら!)

 

「ハアァッ!!」

 

一つ一つ対処するのは不可能。ならば、同時に相手取るしかない。

ヤムチャの中に残る気。これらを全身から出せるだけ。とにかくありったけ解放する。

 

「「「!」」」

 

気が全体へと拡散し、周囲に生じる急激な圧。強烈な波動は襲撃者の元へと伝播していく。

残像拳は高速移動によって分身してるように見せかける技。

要は三人いる様に見えて実際は一人なのだ。天津飯の四身の術と違って実体はない。

それ故僅かなダメージでも与えれば、分身を維持できず消えてなくなる。

ヤムチャは三方向からの同時攻撃を圧のみでねじ伏せた。

想像以上の体力が気と共に消えたが、目論見通り分身は消滅。

残るは圧に押されて膝を突く実像、本体のみ。

 

「どうだっ!まだやるってんならこれ以上は容赦しねーぞ!」

 

内心バクバクの心臓を抑えながら、ヤムチャは吠える。

優勢とはいえ、相手の技は変幻自在だ。これ以上相手なんかしたくない。

目先の勝利で調子に乗るよりも未知数な相手への恐怖が上回った。

願いが聞き届けられたか、襲撃者は降伏の意を示すように両手を上げた。

奇怪な緑のベルトを外すと鎧は霧散し、中から装着者が生身を晒す。

現れた酷く気弱な表情をした男だった。雨も降ってないのに厚手のレインコートを着用している。

外した鎧も顔に文字が書いてあったりと珍妙だったが、中身も遜色ないレベルで奇天烈だ。

 

「スイませェん…、手荒な手段を以て試す様な真似をしてしまいました。

 先の盗み聞きといい、数々の非礼深くお詫びいたします。」

 

「お、おお。」

 

男は礼儀正しく深々と頭を下げ、畏まった口調で謝罪する。

神妙な態度になんとも気の抜けた返事をしてしまった。

 

「私の名はブラックモア。所属は青。

 職業は……深くは語れませんが、合衆国大統領補佐官を務めております。

 『同陣営』同士、宜しければお話をお聞かせ願えますでしょうかぁ?」

 

◆◆◆

 

 

「……とりあえず実力を測りたかったってのはまぁ分かったけどさ。

 何もいきなり襲ってくるこたなかったんじゃないか?せめて事前に言ってくれれば」

 

「スイませェん…、些か浅慮だったとは自覚しております。

 ですが、やはり人の「真価」は遠慮や躊躇が介在しない場でしか分からないと判断しまして…」

 

「ハ、ハハ、そりゃ随分物騒な考えで…

 いやホントに遠慮なしだったから、マジに殺されるかとおもったぜ。」

 

事の経緯を要約するとこういう事らしい。

当初のブラックモアの予定は支給品の力を使った情報収集。

そこで最初に出くわしたのがヤムチャだった。しかし男は震えて喚くばかり。

このザマだ。大した物も得られそうにないだろう(酷ぇ)

そう思い黙って立ち去ろうとした丁度その時、なんと呼び止められた。

完全に気配を殺していたにも関わらず、だ。

 

泣き言を垂れるヘタレな姿と隠密を看破する達人の姿。

どうにも噛み合わない。印象を決定づけるにはもう一工程必要だ。

一体何方が正しいのか。確かめたくなった。支給品の試運転にもちょうどいい。

その結果が襲撃だ。そして今に至ると。

…顔に見合わず好戦的な思考をしている。人は見かけに依らないとはこのことだろう。

 

「…随分とあっさりされてますねぇ。よろしいんですか?

 一方的な被害者なのですから、もう少し激怒されるものと思っていましたが。」

 

「そりゃ確かに最初はむかついたしビビったさ。けど…俺たちは一応仲間な訳だろ?

 実際大した怪我無く終わってるし、なんならそっちの方がダメージ大きそうだ。

 ならもうこれでお互い言いっこなしでいい。

 それにアンタみたいに手合わせしようとか言ってくるヤツはうちにもいるしな。」

 

と言うか、この会場にいるのだが。

ヤムチャの脳裏に溌剌とした笑顔を浮かべる親友の顔が思い浮かぶ。

相手は首輪の色からして青陣営。殺し合いにおいては仲間なのだ。

アズの言葉に従い優勝を志す参加者にとって、同陣営を殺す道理は皆無。

仮に支給品やメダル欲しさの犯行でも結局は優勝から遠のくだけ――自分の首を絞める行いだ。

 

もし本当に味方殺しをする輩がいるなら…

それは余程気の触れたヤツか、相手を親の仇レベルで憎んでる位のものだろう。

ヤムチャはブラックモアとは当然初対面。恨みを買った覚えはないし、彼が気狂いにも見えない。

それどころか丁寧な言葉遣いや所作からは理知的な印象すら覚える。

「うっし、いっちょ手合わせしてみっか!」と好戦的な行動を取るイメージは更にかけ離れる。

違和感はあるが不和による戦いの続きを避ける為、一先ず謝罪と言い分を受け入れた。

 

「なるほど…寛大な処分感謝致します…。」

 

再びペコリと頭を下げるブラックモア。

彼の顔に染み付いた陰気な雰囲気も相まって、謝罪が板についた奴だと感想を抱く。

 

「それでですが…やはり我々の国に聞き覚えがないと?」

 

「ああ、その「アメリカ」って都は全く聞いたことがねぇ。

 でもアンタが言うには聞いたことないのはおかしいんだよな?」

 

襲撃の謝罪もそこそこに二人は話題を次に移す。

議題は常識の齟齬について。

両者が語る経歴は時代も主要な都市も出来事も、全てがお互い初耳で出鱈目だった。

そんな大嘘を吐く動機も意義も二人にはない。正常であるならば話し合うべき問題だ。

 

「えぇ…歴史こそ他国と比べまだ浅いですが、発展度合は欧米諸国にすら勝る

 今や世界経済の中心とも呼ぶべき大国です。その名を知らぬ者は少ないでしょう。」

 

「…俺は頭がいいわけじゃないが、世間一般の知識くらいはある。

 都暮らしになってそれなりに長いし…なのになんだってここまで常識が違うんだ?

 俺もアンタも地球…だよな?同じ星なのに他所の星の話を聞いてるみたいだぜ…!」

 

「『星』、ですか。なるほど。『世界』丸ごと違うというのはいいお考えで」

 

「そ、そうか?違う世界だなんて流石にむちゃくちゃだと思ったけどな…」

 

「――これは一例になりますがね。

 私の同僚には時間を戻す能力を持つ者がおりまして。

 きっかり6秒、と言うごくごく短い時ですが―――」

 

ブラックモアは彼と同じく大統領に雇われた刺客の一人、リンゴォのスタンドを例に挙げる。

リンゴォは己の信条から能力を秘匿する事はあまりなく、人づてではあるが詳細を把握していた。

 

「それでも『時間』だ。たとえ一瞬でも、一個人が世界の法則に干渉しうるのです。

 一般人には夢物語のような超自然的現象を現実に引き起こすことが出来る。

 我々が知らないだけで、空想を可能にする力は無限にあるんですよ。

 貴方は私以上に大層壮大な経験の持ち主だ。似たような事例、ご存じなのでは?

 『ある』と私としては大変嬉しいですがねぇ…。」

 

「…ああ、あるぞ!アンタの望むようなぶっとんだ話が!」

 

ヤムチャは自身が知り得る全てを洗いざらい話した。

今となっては当たり前となった神の所業について。

タイムマシン、ドラゴンボール。どれだけ荒唐無稽な話であっても遠慮なく。

例え無茶な話だとしても問題なく受け入れてくれる公正な人物だと判断したから。

その期待に応えるように、ブラックモアは与えられる濃厚な物語を嚙み砕いていき――

 

「…どんな願いも叶える龍に科学で実現した時間移動、ですか…。

 現在の問題を説明し切るにはこれでも乏しい…が、これは証拠になり得ます。」

 

飽くまで『暫定』ですが。と付け加えて彼は当面の問題に結論を下す。

他世界へ干渉する能力。敬愛する大統領が持つ「D4C」の詳細を知らぬ彼からすれば、

なんとも都合が良すぎる能力ではあるが、二人の齟齬を無くすには余りに嚙み合いすぎていた。

 

「私たちに必要なのは情報です。力よりも、技術よりも、何よりも重要な問題だ。

 想像以上に膨れ上がりつつあるスケールに対しての、圧倒的な『情報不足』の解消。

 まずはこの島にばら撒かれた膨大なピースを組み上げて、パズルを完成させねば話にならない。」

 

全てを統括するアズと対峙するには、最低でも同等の知識が必要となる。

運営は個人個人の一知識だけで測れる存在ではない事が分かった。故に視点を増やす。

バラバラの情報を繋ぎ合わせていく事が当面の活動方針となっていくだろう。

 

「つまりは、今は一人でも多く参加者と会うのが最優先って訳か。」

 

「いえ…それも優先事項の内ですが、それに加えてもう一つ。

 彼らからメダルを集め、『リーダー』の誕生させる事です。」

 

「なるほどなるほど、リーダーね………って何ィ~ッ!?」

 

ブラックモアの爆弾発言に思わず飛び退くヤムチャ。

リーダーの就任条件はメダルの最多獲得。

その獲得方法を理解した人間ならば、彼の言葉の重大性が分からない者はいない。

 

「リ、リーダーって、アンタやっぱ殺し合いに乗り気だったのかよ!」

 

誰よりも「メダルを持っている」、それすなわち誰よりも「人を殺した」ということ。

この場において「リーダーになりたい」とは、ゲームに乗り殺戮を繰り返すと宣言したと同義である。

 

「スイませェん…結論だけではそう考えても無理はなかったですね…。

 ですが、どうか落ち着いて…。乗り気でなくとも収集する手段は幾らでもあるんですよ」

 

「そ、そうは言ってもよ…リーダーになるんだろ?

 だったらやっぱり誰かを殺さなきゃメダルなんて…」

 

「アズはリーダーには殺人が不可欠とは言っていません…ただ一番メダルを持っていればいいんです。」

 

――最後に各陣営のリーダーに関して!陣営リーダーは六時間ごとに更新されるんだけど、

――その条件は陣営の中で色を問わず一番メダルを持ってる人だよ!

 

「そう言えば…!」

 

思い返してみればリーダー=殺害数トップなんて話はしていない。

方法の一つであって全てではない。殺人が必須というのは思い違いだった。

 

「状況が状況ですからねェ…この血生臭い世界そのものが思考を殺しへ誘導しているんですよ。」

 

「なら!殺さなくても盗んだり、渡してもらっても問題ないってことか。」

 

「そうなりますね…。今回の場合、私は後者でリーダーを作ろうと考えています…。

 殺し合いに異を唱える参加者を集め、最も信における者にメダルを集約……。

 誰か一人の独断ではなく総意によって長を決める。民主主義としてあるべき姿でしょう……。」

 

話し合い。これなら相手次第だが基本は穏便に済む。

集め方の説明は把握した。が、そうなるとまた別の問題も生じてくる。

 

「でも待ってくれ!メダルを集める時、それが全員が同じ陣営とは限らない!

 違う陣営の奴にメダルを渡して、リーダーになった時に裏切られたら不味いんじゃないか!?」

 

「裏切りのリスクはありますが…集団であるからこそ抑えられるのは容易い。」

 

「就任前にはリーダー候補の支給品を全て抜き、メダルのみを荷物に入れて背負わせます。

 そして、就任を確認後。問題なければそれでよし。メダルを全員に返して終わり。

 が、何らかの要因で裏切りを強行した場合は……立ち会った全員で制裁を下します。」

 

「制裁ってもこのままだと結局は爆破で――」

 

「言葉一つで殺せるなら、死にますね。が、首輪を起動するには一定のルーティンが必要です…。

 探して、取り出して、かざして、殺す。全員を抹殺するなら人数分だけこれを繰り返す…。

 衆人環視の中、無事に爆破を完遂するのは容易ではありません。逃走もまた同様に。

 得た特権を生かしきれない状況を作ればリーダーとて対等。後は数が物を言うでしょう。」

 

収集方法の穏便な解決、裏切りへの配慮。

即興ながら考えられていて、どれも現状目立った穴は無いように見える。

 

「んん?リーダーを作る作戦ってのはよく分かったけどさ。

 これだとアンタが確実にリーダーになるって保証がないぞ。」

 

だが、この就任案は自分がならない事を前提としている内容だ。

ここまでだとただ他人にだけ利があって、提案者に得があるとは思えない。

そんなヤムチャの素朴な疑問にブラックモアは何でもないと言わんばかりの口調で答えた。

 

「それは当然です。そんな保証はつける気がないので。

 まぁ、なれればいいとは思っていますが、立案の立場上警戒されるでしょうし。」

 

こうもあっけらかんと返されると反応に困る。

依然としてヤムチャは聞き手に回るしかなくなる。

 

「なんかますます意図が読めなくなってきたな…。

 自分でならないのにリーダーを作る意味なんてあるのか?」

 

「そうですねぇ…ではスイませェん、ヤムチャさん。質問を質問で返すようですがぁ…。

 アナタは…この殺し合いの『リーダー』にどういう利点があると捉えているか、お聞かせ願えますか?」

 

「え?そ、そうだな…。急にパッとは出てこねぇけど…。」

 

元は恐怖でいっぱいいっぱいだった訳で、ルールに関して真面に考える余裕などなかった。

突然のブラックモアからの問いかけにヤムチャは頭を捻ねらせる。

 

「あ、そうだ。爆破の権利だ!アズがくれる特権!殺し合いでこんなヤバい力はないだろ。

 メダルがあればどんなおっかない化け物でも殺せるんだ。これこそ最大級の利点じゃないか?」

 

真っ先に思いついたのは、やはり首輪だ。

自分が何よりも怯えていた対象でもあり、アズ自身も喧伝していた為特に印象深い。

権限を手に入れれば、英霊だって目じゃない。誰でも序列逆転を狙える鬼札。

 

「そうですねぇ…『爆破』。シンプルで…その上強力…。実際に使えるなら、実に魅力的に思えます。では、またお聞きしますがぁ…そのどーやっても殺せない怪物から如何にメダルを奪います?」

 

「そりゃあ、くれって言って渡す訳ないから…こっそり盗むなり戦うなり…あ。」

 

「ええ、普通は『無理』ですよね。

 主催が強者と位置づけた超人たちが『第二の心臓』たるメダルを失う愚など、早々犯さない」

 

強さに絶対の自信がある人物にとって警戒すべきは同族か首輪、そしてメダルの3つ。

メダルの奪取は命を握られるのに等しい。奪われまいと警戒網を敷くのが当然。

もしフリーザやセル相手に物かっぱらって逃げおおせろと言われても到底出来る気がしない。

悟空なら飯を食わせてやれば簡単に奪えそうだが…そう考えると彼が心配になってきた。

 

「人は部屋を飛び回る虫を見て、大抵は片手間程度にしか意識しませんが…

 それが命を脅かす毒虫だと分かれば全力で注視して駆除しますよね?」

 

如何に強さに胡坐を掻いていたとしても、生物なら命は惜しい。

弱者であろうと全力を以て抵抗してくるだろう。

その反撃に対抗できる力があるならソイツは最早弱者ではない。

権限を頼らずとも大物を殺せる強者の分類だ。

 

「加えて、彼らが弱点をそのままにしておくのも考えにくい。

 意図的に壊さなきゃ何したっていいわけですから。リーダーに興味なければ取れる手段は多い。」

 

安全な場所に隠す。海に投げ捨てる。極端な話、飲み込んでもいいかもしれない。

抜け道は想像よりも存在する。後々どうなるかは別として目先の危機を凌ぐのは容易い。

 

使う機会も普通にやれば大半は死人のメダルになる。

参加者同士の連絡手段もないので使用タイミングは非常に限定的だ。

強者しか奪えない、弱者には使えない。

弱者救済を謳う割になんと厳しい仕打ちだろうか。

 

「リーダーが弱いやつの為にないってんなら一体何のためにあるんだ?」

 

「考え得る限り理由は二つあります。」

 

「一つは純粋に促進目的。最初に観賞させられた見せしめ。

 あれは実に良い働きをした。命を掌握してると分かりやすく誇示するのは勿論ですが。

 次に司会者が語るリーダーの価値を一気に高める働きもしている。」

 

「グロテスクな死で強烈なインパクトを植え付けられてから、こういわれるのです。

 「アナタたちにもこの力が手に入るぞ」と。実情がどうであれ権力の一端。効力は既に実証済み。

 感覚を麻痺させられた者にはさぞ輝いて見えたでしょう。思考を放棄させられる程には」

 

限りなく死を実感させた後で、囁かれる甘言。

恐怖に屈した参加者は即物的な利を欲して争奪戦に躍起になる。

限られた席だ。団体戦の枠組みすら超えてしまう恐れもあるだろう。

醜い悪意を求める連中にはうってつけの狡猾なやり口だ。

 

「もう一つはテストです。」

 

「テスト?」

 

「リーダーになる人間は運営からすればこう見えるはずです。

 ルールに盲目的かつ従順で、その上でキルスコアを稼ぐ優秀な参加者だと。

 彼らの思惑に合致する参加者を明確に選別する枠組み。

 それをリーダーと言う役の形でカモフラージュしているのではないかと。」

 

悪趣味な道楽で始めたゲームならば、前者だけで説明は事足りる。

しかし想像以上の労力がこの催しには掛かっている。

仮に実験的意味があるとすれば、唯一の特別待遇であるリーダーに目が向く。

何せメダルの破壊を禁ずる程だ。運営のリーダー誕生に対する熱意は凄まじい。

 

「テストを課すならばそれに見合う報酬も必須。

 しかし、爆破権限だけでご褒美と言うには乏しい。今後の士気にも関わる。

 ならば何があるのか?私がリーダーを作りたい理由はそこにあります。

 彼らにしか与えられない情報があるなら…なんとしても把握しておきたい」

 

ゲームは始まったばかり。開示されたルールだけが全てではないと考える方が自然だ。

事実運営が秘匿している情報は多い。未だ明かされていない20人の参加者がその最たる例だろう。

 

「それは…流石に考えすぎじゃあないのか?

 書いても無い事からそこまで考えても仕方ないような…」

 

「考えすぎならそれでも別に構いません…。

 運営が与えたたった五つの席を独占させず、反主催側も確保しておく。

 活用出来ずともゲームの賛同者の阻害にはなる。」

 

無いならそれに越した事はない。が、切り捨ては出来ない。

参加者は所詮絶対的権力者に踊らされる立場。如何なる後出しがあっても文句は言えない。

可能性を考える事にやりすぎはない。そして何より――

 

「ですが、リーダーとは目的の為に集団を束ね、導く存在を指す。

 現状ではその役割が正しく機能するとは言い難い。

 だからあるのでしょう。リーダーを真に指導者足らしめんとするだけの『何か』が。

 愚鈍で怠惰な者達には伝えられさえしない、優等生の労を労うだけの特別な『ギフト』が」

 

指導者の重要性を最も理解するからこそ。この制度の真意は確かめねばならない。

これには一切後れを取るわけにはいかない。運営のお眼鏡に叶う様な輩には特に。

まだ誰も知らぬ未開の地を暴きに行く。全ては試練の打開の為に。

 

 

                   ◆◆◆

 

 

「私はそろそろお暇致します。時間も限られていますので。

 ヤムチャさんはどうなさいますかァ…?もしよろしければ…。」

 

「い、いや、俺は…」

 

ひとしきり話し終え、話題は最後、同行の話題へ移る。

ブラックモアは誘いをかけるが反応は芳しくない。ヤムチャは答えに迷い、口をつぐむ。

 

「すまん…やっぱりオレは行けねぇ。怖いんだ

 俺なんかじゃどうしようもない連中と戦うのが…。」

 

方針は十分明示された。付いていった方が益がありそうなことも分かる。

しかし、彼の行動に沿うならこれから大勢の参加者と出会う事になる。

そこでヤムチャが危惧する存在と運悪く出くわしたらお終いだ。

彼の恐怖を緩和する答えは結局出きていない。彼の中の結論は変わらないのだ。

 

「スイませェん…不躾なお誘いでしたね…。では気が向いたら、ということで…。」

 

「待ってくれ!なら、せめてこれを…!」

 

しめやかに去っていこうとする背中を焦って引き留める。

そこでヤムチャが取り出した物を見て、ブラックモアの細目が僅かに見開かれる。

 

「…よろしいんですかぁ…?それは『命』ですよ?アナタが一番惜しいと思っている。」

 

ヤムチャの手にあったのはメダルだった。

メダルの価値については散々話し合った。死に怯える男がそれを理解していないはずはない。

 

「いいんだ…、俺にはここで戦う勇気もずっと生きてられる自信もない…。

 どうせ死ぬってんなら適当なヤツより、コイツを有効に使える奴に使ってほしい…。」

 

したいけど出来ない。恐怖に縛られて解決出来ない矛盾。

ならばせめて何かを成せる人間に託す。それが今出せる精一杯の勇気。

 

「そうですか…では此方も何か渡す必要がありますかね。」

 

「いや、いいよ。下手に持ってたって相手に対して使えるか分からんしな」

 

「そうおっしゃらず…。先の襲撃の詫びの品もかねていますので…。」

 

やんわりと断るヤムチャを押し切って、ブラックモアは自身のデイバックへ手を伸ばす。

 

「此方をお納めください…。今のアナタにとって、最も必要な物になるかと」

 

そう言って取り出された何の変哲もない一枚のDISC。

仰々しい文言で出てきた割にはなんともありきたりなアイテムだ。

 

「CDって…音楽でも聴いてリラックスしろってのかよ!殺し合い中だぞ!?」

 

音楽には脳に作用し、人の心を左右する力がある。

気分を高揚させる事もあれば、陰鬱な気分に変えてしまう事もあるそうだ。

だが、ヤムチャの悩みはそんな単純なことで解決出来る話ではない。

そもそも丁度よく再生機器があるとも思えない。沈んだ空気も何処へやらと突っ込みを入れる。

 

「スイませェん…私の世界には存在しえぬ代物ですので…。音楽がどうのこうのは何とも言えませんが…其方の世界では『頭』に挿入する事で初めて利用出来るそうで…」

 

「頭ァ~ッ!?冗談だろ!?俺をからかってんじゃねぇろうな!」

 

「いいえぇ…嘘は申しておりません。極めて正気です。その上でこれが最善とを判断したまでです。」

 

変わらぬ真剣な表情でヤムチャを見据えるブラックモア。その視線に彼は弱かった。

度々コートの内から見せる堂々とした態度を前にすると、とてもではないが強気に出にくい。

 

「ってもなぁ在り得ねぇだろ…。頭に…?」

 

「荒唐無稽、と言う点では貴方のお話の方が『余程』と思いますがぁ…」

 

「ウッ…!」

 

ヤムチャの話が滅茶苦茶だと言われれば確かにぐうの音もでない。

盗賊稼業をしていた若き日の自分が未来の話を聞けば、まず信じない。

人は訳の分からない事象を認識したら自分の信じる常識で押し込めたい生物なのだ。

そう思えばこの男は良く自分の話を真面に聞いてくれたもんだとさえ思う。

 

「先ほども言いましたが、この世界は私たちが知らないモノで溢れかえっています。

 起こりうる『異常』全ては『真実』と捕らえるべきです。

 重要なのはそれを正しく受け入れ、扱えるかどうか。

 有り得ない、と視野を狭める思考こそ排除すべきでしょう。」

 

渡す物を渡し終え、用は済んだと足早に進んでいく。

しかし、立ち去る直前。扉の前で足を止め、ふらりと振り返る。

 

「あぁそうだ、最後にごくごくツマラナイ話を一つだけ」

 

前置きを挟んで、改まった態度で彼は語りだした。

 

「人には『使命』があります。強者にも弱者にも。罪人にも腰抜けにも皆平等に。

 数多ある世界から我々は選ばれた。だとすればここにいる意味が必ずあるでしょう。

 アナタだけの役割。それが何かを考え直してみるのも一興かと。

 

「では、私はこれで…。

 就任作業は『イケブクロ』で行うつもりです。

 もし気が向いたらへ足をお運びください…。ご武運を…」

 

言うだけ言ってブラックモアは静かに退出していった。

最後まで礼儀正しく、一礼する事を忘れずに。

不安を微塵も感じさせぬ足取りで、彼は闇の中へ歩を進めていった。

 

(俺だけの…役割…?)

 

ヤムチャはブラックモアが最後に残した言葉を反復する。

俺がここにいる意味?哲学的な話はさっぱりだ。

強さだけなら天津飯にクリリン、トランクスを呼べばいい。

いや、本当に何でもできるならフリーザ達を生き返らせて呼んだっていい。

ビビり散らかしてる自分よりも余程殺し合いを盛り上げてくれるだろう。

なら怖がり役を用意する為に態々選んだのかと言われるとそれも違う気がする。

130人もいるとはいえ、有限の席を埋めるにはあまりにもばかばかしい。

 

「これを使えば、分かるのか?俺の呼ばれた意味ってやつが。」

 

握られたディスクを見つめる。どう見ても得体の知れない物体だ。

必要な物らしいが、何が起こるかはまるで分からない。はっきり言えば…怖い。

でも使わなければ一生分からないままだ。これ何なのかも、ここにいる意味も。

殺し合い勇気はない。巨悪に立ち向かう勇気もない。

それでも、未知に飛び込む勇気位、持ってみてもいいんじゃないか。

 

「ええい、ままよ!」

 

意を決してディスクを頭部へ一気に押し込んだ。

そのまま頭蓋骨に激突し、へし曲がるかに思えたが、予想に反しするりと内部へと入り込む。

意外な事だが異物感は全くない。元々自分の体の一部だったかの様なフィット感さえ覚える。

 

「は、はは、ホントに入っちまいやがった。」

 

ここで起こり得る異常は全て真実。正しく受け入れて活用するのが最善。

何もやっちゃいないが、初めて恐怖を乗り越え一歩を踏み出せた気がした。

 

「けど…やったぜ!これで俺は…!俺は………?」

 

そういえばこれで何が得られるのか、聞いていなかった。

彼は最も必要な物と言っていた。今自分に一番大切な物ってなんなのだろうか。

悟空やベジータにだって負けない最強無敵の力とか。ピッコロや悟飯もビックリな最高峰の頭脳とか。

それなら最高だ。そんなぶっ飛んだ能力があれば、イカれた世界でだって戦える気がしてくる。

でも、パワーが湧き上がってくる気配もなければ頭が冴えた気もしない。

 

「まさか騙されたのか?

 マジかよ…メダルまで渡しちまったってのに、ツイてねぇ…!」

 

『イヤ、サイコーにツイてるさ。ヤムチャ。』

 

「!?」

 

突然の声に反射で振り向くヤムチャ。

振り向いた先は無。気も当然ながら感じない。

 

「だ、誰だ!?」

 

『そう取り乱すもんじゃあねぇよォ~。うろたえねェんだ。イケてる男ッてのはよォ!

 路地裏のチンピラみてーに喚いてちゃあ、折角のハンサムガイが台無しだぜ?』

 

「何処にいやがる!姿を見せやがれ!」

 

姿が見えない。声だけが間近に聞こえる。耳元で囁かれてると感じる程に近い。

誰かが確実にいるはずなのに気は一人分。先の一般人だったブラックモアとは訳が違う。

異常事態を前に声を荒げたヤムチャに対し、声の主は陽気に言葉を返す。

 

『オッオッ♬そんなこたァ、気にする話じゃねェ。チッポケな事サ 

 けどよぉ…ど~~~しても納得が良く答えが欲しいってんなら答えてやるぜ』

 

ふと肩に感じる微かな重み。

目をやれば気さくに振る舞う人形のようなナニカ。

 

『『オレ』は『オマエ』さ。オマエのココロの傍に立つ相棒!

 自分の最大の味方は、いつだって『自分』っていうだろ?』

 

「な、な、な」

 

この世界は摩訶不思議な事で溢れかえっている。

そう理解したつもりでいた。これから理解していくつもりでもいた。

だから自分と名乗る小人がいるのもまた、何処かにとっては当たり前なのだろう。

でも、流石にこれは、これだけは…

 

「なんなんだよコイツは~~~~!!」

 

いくら何でも、限度ってものがあるだろう。

人生最大級の奇妙な出会いにヤムチャは人目を憚らず叫んだ。

 

【エリアG-5/1日目/深夜】

 

【ヤムチャ@ドラゴンボール】

[状態]:健康、疲労(小)

[服装]:いつもの道着姿

[所属陣営]:青

[メダル枚数]:なし

[参戦時期]:少なくともセルゲーム以降

[装備]:ヘイ・ヤーのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3

[思考]

基本:怖いし死にたくないが、動かないままでいたくもない

1:な、なんなんだよコイツ~~!?

2:ブラックモアの提案を聞いて、池袋駅に向かう…?

3:英霊に最大級の警戒。もしかして悟空たちよりも強いのか!?

4:やっぱ滅茶苦茶弱ってるんだな俺…

[備考]

※気の感知は相手の強さによって精度が変動します。またどれだけ強くとも1マス圏内までです。

 一般人(今回の場合ブラックモア)だと至近距離でなければ認識できません。

 

 

◆◆◆

 

 

(最初に会えたのがあの男で良かった。想像以上の収穫が得られた。)

 

時間跳躍、平行世界の存在。願いを叶える手段の確認。

対話は思う以上の成果を挙げた。

惨めったらしい第一印象を抱いていた頃には想像出来ない結果だ。

脆いメンタルを差し引いても強者であって良かったと思う。

もしあの攻撃を対処出来ないならば、そこで"殺していた"から。

 

ヤムチャの違和感は当たっていた。ブラックモアの殺意は本気だった。

実力を測る意図はあったが、止める気は欠片もなかった。たとえ身内だろうと。

別陣営ならば暗殺に失敗した間抜けの聞くに堪えない言い訳と吐き捨てられていた。

が、同陣営内であれば、身内殺しの利の無さ故に一定数信頼は発生する。

打算ありきの強硬だ。ヤムチャが別陣営だった場合は別の方法を取っただろう。

 

目指すべきは運営の打倒。陣営の境は問わないが、足手纏いになる参加者は不要。

リソースは有限である。自己保身で動く弱者になどに回す余裕はない。

 

(…まぁ戦えぬ者を弱者と吐き捨てるなら今の私もでしょうがね。)

 

空を見上げれば満点の星空が広がる。

目を凝らさずとも分かる。雲一つない綺麗な夜空。

天気は快晴。生憎の晴れ模様。天が彼を見放した最大の証拠だった。

 

ブラックモアのスタンド「キャッチ・ザ・レインボー」は「雨粒」を固定する。

雨中では無敵に近い能力だ。天候の支配。彼の言う世界の法則に脚を

しかし、真価を発揮するには雨が不可欠。単なる「水」では奇跡を起こせない。

雨以外の天候では無力、無能力の一般人と相違ない。天に愛されてなければならないのだ。

天候を操作する手段も存在するのやもしれない。と探索も加えておく。

が、飽くまで個人的願望。延々とないものねだりしても仕方がないので優先度は低いが。

 

(今はスタンドにも勝る未来技術が唯一の生命線。利用できるだけ利用させてもらおう。)

 

仮面ライダーにビヨンドライバー。説明書に書かれた2068年の一文。

時間跳躍だけでも驚きだったが別世界とは。思えば随分と膨れ上がったものだ。

開示された情報だけでも力の底は図りしえない。

その所業は聖人の御業すら超越しているやもしれない。

もしアズに全てを委ねるならば悲願成就。アメリカの永遠の幸福も夢ではないのだろう。

 

「だがッ!!呪われた奇跡に栄えある価値など無いッ!決してッ!

 我らの偉大なる祖国の幸福は、あの御方によるものでなくてはッ!!」

 

大陸をも照らす幸福は、聖人に依るものではなくてはならない。

雨の日に目撃した私だけに見せてくれた神々しいお姿。

寒々しい雨空の下にいながら、陽光に優しく包まれたかの様な幸福感。

唯一目撃した自分だから分かる。あの御方こそ我が国に栄光と平和を齎す聖者なのだと。

断じてあの小娘如きではない。

見てくれだけは確かに立派だが、メッキを剥がせば醜悪さが満ち満ちている。

奴が与える奇跡に栄光が、誇りが、あるものか。我々が支持する大統領もそう考えるはずだ。

もし腐敗した幸福の享受を良しとするならば、星条旗を背負って立つに相応しくない。

失望物な醜態が微塵も思い至らぬからこそ、彼は大統領でありアメリカそのものなのだが。

 

(しかし…自信か。)

 

ヤムチャには確かな強さがあった。

直接やり合うならそれこそ爆破以外ないと思うほどには。

精神的ダメージが負いながらあそこまでのパフォーマンスを発揮した。

加えて、まだ知り合って浅い者に命を託す覚悟。愚かともとれるが、同時に感じた光り輝く物。

ブラックモアは彼の価値に投資する事にした。不用品を押し付けたともいえるが。

その結果が良い方向に転がるかは不明。

しかし説明書通りならDISCは必要なモノを埋めてくれるだろう。

自信だ。自分なら何でも出来るという当たり前な感情が今の彼には必要なのだ。

 

(良い処分先が見つかってよかった。私には『不要』な感情なのだから。)

 

己の能力を卑下するつもりはない。一流でなくては完璧な職務遂行は不可能。

しかし、ブラックモアは大罪人である。その事実に変わりはない。

彼は我欲を持った。故に致命傷を負い、遺体を奪われ、挙句何も果たせないまま死んだ。

人には使命がある。肉体的な小さき命なぞ超越した大いなる使命が。

その使命を逸脱しようとした末路だ。卑しき欲望と未熟な精神が招いた罰。

平等に幸福の権利があると思いあがった代償を支払った。

 

(もし私に選ばれた意味があるのなら、それは贖罪を果たすこと。

 必ずやこの試練から大統領を生還させ、世界の中心へと導いていただくのだ。)

 

影となりて偉大なる英雄を支える。それが罪深き存在が蘇った意味。

功績に自信を持つ必要もない。物語の主役である必要はない。

ただ全身全霊で尽くすのみ。己を欠いたまま置き去りにした使命を果たすのだ。

 

「滅私奉公です。今度こそ成し遂げて見せましょう…。我が命に賭けて。」

 




【エリアG-4/1日目/深夜】

【ブラックモア@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】
[状態]:健康
[服装]:いつものレインコート
[所属陣営]:青
[メダル枚数]:2枚(ブラックモア、ヤムチャ)
[参戦時期]:9巻死亡後より
[装備]:ビヨンドライバー&シノビミライドウォッチ@仮面ライダージオウ@仮面ライダージオウ
ランダム支給品×1
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:アメリカを世界すべての『中心』へ。自身の生死は問わない。
1:情報収集。平行世界やアズの力に関する情報があれば良い。
2:リーダー制度に疑問。まだ隠されている情報がある?
  信任をおける参加者にメダルを集約、就任の瞬間に立ち会う。自分でなる事は度外視。
3:第一回放送前に可能な限り参加者を集め、「池袋駅」にて2を決行。
  最悪第二放送までには実行
4:大統領との合流。その他知人はスタンス次第で対処。
5:利用価値の乏しい弱者は間引き、リソースを再分配する。
6:次いで程度だが、雨を降らせる手段の捜索。
7:ヤムチャへの淡い期待。
[備考]
※現状確認された能力は手裏剣状のエネルギー射出、潜影、変わり身、分身能力の四つ。
※ただし分身は3人まで。その他使用可能力・詳細な制限は後続の書き手様にお任せします。


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Hey Ken, Where You Gonna Go?

作者
・チェリい

登場キャラ
・シーラE@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
・書き手枠@彼岸島


 冷水を頭に浴びせられて、斉藤ケンは意識を取り戻した。

 ぼんやりしたまま顔を上げると、そこには見知らぬ少女がいた。

 露出の多い民族風の衣装に身を包み、左の目元にメイクをした少女。

 

「目が覚めたみたいね」

「……誰だ、お前?」

 

 がらん。少女の投げたバケツが、ケンの背後の壁にぶつかった。

 ケンは思わず、びくりと身体を震わせた。しかしすぐに持ち前のプライドの高さでもって、少女をキッと睨みつける。

 そうされた少女もまた勝気なのか、物怖じせずに視線を鋭くする。

 

「それが命の恩人に対する態度?」

「あん?」

「道のドまんなかで倒れていたあんたを、この物陰まで運んだのは私。

 そうじゃなかったら、今頃いかれた参加者に殺されていたかもしれないのよ」

「あぁ、そりゃ悪かった……」

 

 そう言いながらケンは立ち上がり、周囲を見渡す。

 ここはホテルの近くで、付近に遮蔽物となる建物も複数あるようだ。

 そんな見慣れない風景をぐるりと眺めていると、ある違和感を抱いた。

 

(おかしい。俺は森にいたはず……)

 

 ケンは捕らわれたユキを助けるため、樹海でゲリラまがいの行動をしていた。

 しばらくして、仲間と合流してからは、ユキの運ばれた場所へ向かうことにした。

 それから――その先を思い出そうとしたものの、記憶が混濁している。

 

「それで、あんたの名前は?」

「……俺は斉藤ケンだ」

「サイトウケン……そう。私はシーラEよ。

 それにしても、そんな名前あったかしら。東洋人の名前は覚えにくいわ」

 

 ひとりごちるシーラEをよそに、ケンは自身の記憶を掘り起こそうとした。

 しかし、はっきりしない。そこで、いちど考えることを止めて、疑問をぶつける。

 

「なぁ、ここは彼岸島なのか?」

「ヒガンジマ?地図ならこれに入っていたデバイスで見られるけど」

 

 デイパックを放り投げて来たシーラEに、警戒心を向けつつも、中身を検める。

 まずは地図を確認しようと、初めて目にするデバイスを操作する。

 

「ち……違ェ!彼岸島じゃねェ!!」

 

 ケンは彼岸島の地形を正確に把握しているわけではない。

 そもそもあの複雑怪奇な島を、正確に把握している者などいない。

 それでも、この地図の島は彼岸島とは違うと、なかば確信してケンは叫んだ。

 

「この島はどこなんだ!俺はどうしてこんなところに!?」

 

 ケンは焦燥感に支配されながら、デバイスを握りしめて叫んだ。

 

「ハァ……やっぱり、なにひとつ聞いていなかったみたいね。

 興奮するのはいいけど、サッサとデバイスを確認してくれない?話したいことがあるの」

「ん?……ああ、わかった」

 

 シーラEの言葉を受けて、ケンはルール説明と名簿をざっと眺めた。

 五つの陣営による殺し合い。どんな願いも叶えられる権利という眉唾物の褒賞。

 敵の頭目である雅と死んだはずの宮本篤の存在。記載されていない自身の名前。

 これらの情報は結果として、余計にケンを混乱の渦に陥れた。

 

(クソ、どういうことだ!?ユキはどうなったんだ!?)

 

 ケンは髪をぐしゃぐしゃと掻きむしる。

 するとシーラEが拍手をひとつして、言葉を続けた。

 

「とにかく!私もあんたも巻き込まれたのよ。

 このクソッタレな殺し合いに。それくらいは理解できた?サイトウケン」

「……ああ。認めたくはねェけど」

「それは私もよ。……それで、ここからが本題」

 

 眉を寄せて話すシーラEから、ケンは真剣さを感じ取った。

 

「私は信用に足る人間、パンナコッタ・フーゴと合流する」

「合流してどうするんだ?」

「フーゴに判断を仰ぐわ。どうするべきか」

「どうするべきか、だって?」

 

 ケンはシーラEをじっと見た。幼さの残る少女の双眸は、不安定に揺らいで見える。

 もし、そのフーゴとやらが命じたら、躊躇なく殺し合いに乗るのだろうか。

 

「この殺し合いにどう向き合うか、私は決めかねているの」

「……殺すかもしれないってのか?」

「どうかしら。もちろん死ぬつもりはないけれど」

「んなの、俺だってそうだ。こんなところで死んでいられるかよ!」

 

 ケンはユキの笑顔を思い浮かべながら、すなおな感情を吐露した。

 

「あんたのことは正直どうでもいいわ。頼みたいことは簡単。

 マッシモ・ヴォルペ、ビットリオ・カタルディ、それにディアボロ。

 この三人は危険で、殺すべきだということを、多くの参加者に伝えて欲しい。

 それと、できればムーロロ、サーレー、ズッケェロの三人も警戒した方がいい」

 

 そう切り出してから、シーラEの説明は五分ほど続いた。

 名前を挙げた人物の容姿の特徴と、シーラEの知る範囲での能力のことだ。

 淡々と話すシーラEを、ケンは訝しんだ。名前を挙げた参加者は、ほとんどシーラEと同じ陣営だからだ。

 

「なあ、ディアボロって奴以外は同じ陣営だけど、いいのか?」

「どのみち私やフーゴとは敵対する相手だから問題ないわ」

「……お前の陣営、大丈夫なのか?」

「お手々をつないでチームを組めたら、よかったんでしょうけどね」

 

 皮肉めいた言い回しをするシーラE。

 その態度から、ウソは吐いていなさそうだとケンは推測した。

 

「その頼みはわかった。かわりに俺からも頼めるか?」

「なにを?」

「お前と同じことだ。雅と宮本篤。この二人は危険だ。

 人間の血液を啜りながら生きている……危険な……吸血鬼……」

 

 そこまで説明した途端。

 ケンの脳裏に、とある光景がよみがえる。

 

 

 

 

 

 

――やばい!!

 

 

――血の匂いがする……

 

 

――駄目だ!!抑えられない!!

 

 

――もう止まらない!!

 

 

 

 

 

 

(そうだ、俺は――吸血鬼になったんだ)

 

 確かめるように、口もとを覆う布に手をやる。

 そこには牙の感触。ぼんやりとしていた記憶は、いまや明瞭になっていた。

 不慮の事故により吸血鬼の血液を体内に入れてしまい、ケンは吸血鬼と化した。

 その事実を隠したまま、明をはじめとする仲間たちに同行していたものの、尋常でない吸血衝動に耐え切れず、ついには明たちのいるところで、加藤に牙を立ててしまったのだ。

 

(そうか……記憶があやふやなのは、吸血した直後だったからか)

 

 吸血衝動に支配されるということは、理性を失うことに等しい。

 その直後に殺し合いに巻き込まれたことで、記憶が混濁していたのだろう。

 

「どうかした?サイトウケン」

「あ、あぁ。いや、大丈夫だ。それと、ケンでいい」

 

 シーラEに促されて、ケンは吸血鬼についての説明を再開した。

 宮本明は信頼できる。宮本篤と雅は要注意。その二点を強調した。

 しかし、そうしながらも、脳内ではとある別の思考に囚われていた。

 

(俺は吸血衝動には耐えられないだろうな)

 

 現時点では吸血衝動は現れていない。

 しかし、時間が経てば、その衝動は自ずと現れる。

 抗いようのない本能のはずだと、ケンは重々承知していた。

 

(だから俺は、独りで行動するしかない)

 

 複数人でいると、同行者の血を吸いたくなるはずだ。

 つまり、血を吸わない前提となると、単独行動しかあり得ない。

 

(でも、長いこと血を吸わないと邪鬼になっちまう)

 

 長期間、血を取り入れなかった吸血鬼は、やがて理性の消失した邪鬼(オニ)へと変貌する。

 もしこの島でそうなれば、見境なしに参加者を殺すモンスターの誕生だ。

 血を吸うか否か。どちらの道も、ケンにとって回避したいものだった。

 

「ねえ、さっきからいやに落ち着かないわね」

「そうか?気のせいだろ。

 ……それより、どうして俺を助けた?俺が殺し合いに乗るかもしれないのに」

 

 内心を悟られまいと、ケンは無理やり話題を変えた。

 その質問に、笑わないまでも穏やかな雰囲気で、シーラEが答えた。

 

「ああ……あんたが寝ている間、ぶつぶつ呟いてたの。

 “待ってろユキ、すぐに助けに行くからな……”って」

「はは、なるほどな」

 

 こそばゆい感覚に、ケンは頬をポリポリとかいた。

 それに、とシーラEが続ける。

 

「私を殺そうとしても、〈ヴードゥー・チャイルド〉があるから無駄よ、無駄無駄」

「〈ヴードゥー・チャイルド〉……ひょっとして、それがお前の能力なのか?」

「そうよ」

 

 ケンはその名前に、どこか聞き覚えがあった。

 そして数秒間、脳内を検索したのちに思い至る。

 

「だったら、〈フォクシー・レディ〉なんて能力もあるのか?」

「……どういうこと?」

「あれ、違うのか。えっと、それじゃあ……〈マニック・デプレッション〉か?

 もしくは〈パープル・ヘイズ〉、〈ストーン・フリー〉……それとも〈ウォッチタワー〉?」

 

 冗談めかして発言した、その直後。

 ケンは勢いよく首元を掴まれて、壁へと押しつけられていた。

 シーラEに、ではない。げっ歯類を思わせるフォルムをした存在に、である。

 

「がはっ!」

「なぜあんたがヴォルペやフーゴ、ムーロロの能力名を知っている?

 ヴォルペやムーロロの能力は私の知る範囲で教えたけど、フーゴはなんの情報もないはず」

 

 もはやシーラEに、ケンへの配慮など一切なかった。

 

「あんた、私たちのことを……知っていた?」

 

 だんだんと首元に力が込められて、ケンの身体は地面からわずかに浮いた。

 突如として開始された尋問に、ケンはむせながら必死に答えた。

 

「ゴホゴホッ、なんだよ、それ!?

 俺はてっきり、俺の好きなジミヘンの曲から名付けてるのかと思って……」

 

 〈ヴードゥー・チャイルド〉で思い出したのは、史上最高のギタリストの楽曲。

 他の曲名も能力名になっているのではないかと推測して、曲名を挙げただけだ。

 

「マグレを信じろ、って?無理な相談ね」

 

 そう弁解しても、シーラEの態度は厳しいまま。

 とはいえケンとしてもこの事態は偶然の産物であり、これ以上の弁解は不可能だ。

 

「ゴホッ、放しやがれ……」

「話してもらうわ。本当のこと」

 

 三度ぶつかる視線。

 一度目よりも強い警戒を向けられて、ケンは苛立ちを隠せない。

 ケンからしてみれば、理不尽に向けられた敵意に対抗できないのが現状だ。

 それに加えて、あまりにも急な展開であったため、ケンもまた冷静さを欠いた。

 

「いいから……放せってんだッ!」

 

 身体を推しつけられている壁に対して、右手で裏拳もどきを放つ。

 足場のおぼつかない状況で、力は籠められないものの、その膂力は常人以上。

 ビシリ、と音を立てて、裏拳の打たれた壁に亀裂が走る。

 

「なんてパワー!?それに、その赤黒い目はッ!?」

 

 シーラEが驚愕の声を発したのと同時、ケンの首元の拘束が緩んだ。

 警戒したのか後方へと跳びすさるシーラEを目視して、ケンは呼吸を整える。

 

(逃げるなら、今しかねェ!)

 

 そう直感するが早いか、ケンはシーラEに背を向けて駆け出した。

 

「待てッ!」

 

 シーラEの制止の声には耳を貸さず、ケンは走る。

 どこへ向かっているのか、自分自身にも分からないまま。

 

 

【エリアH-8/ホテル付近/1日目/深夜】

 

【斉藤ケン@彼岸島】

[状態]:吸血鬼、健康

[服装]:いつもの服装(フードとマスク着用)

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]: 1枚(ケン)

[参戦時期]:加藤に噛みついた直後

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)

[思考]

基本:ユキのためにも、死ぬわけにはいかない。

1:シーラEから逃げる。その後どうする!?

2:宮本篤や雅、シーラEの話していた参加者を警戒。

[備考]

※シーラEと情報交換をしました。主に警戒するべき参加者について。

 

 

【シーラE@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】

[状態]:健康、迷い

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]: 1枚(シーラE)

[参戦時期]:本編終了後

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)

[思考]

基本:死ぬつもりはない。どう行動するかという迷い。

1:ケンを追うorフーゴとの合流を優先する

2:フーゴ以外の知り合いと、ケンの話していた吸血鬼を警戒。

[備考]

※斉藤ケンと情報交換をしました。主に警戒するべき参加者について。



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Re:ゼロカラオボレルバトロワセイカツ

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・折原臨也@デュラララ!!
・セイバー@Fate/Zero
・ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・川田章吾@バトル・ロワイアル
・バーサーカー(アルクェイド)@Fate/EXTRA
・??@??????????


溺れる者は藁をも掴む。

本来ならどんなに役に立たないような物でも、いざ追い詰められてなんのあても無くなった時、頼ってしまう事の例え。*1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

窮鼠猫を噛むと言うが、今回の鼠は随分デカかったようで、自分と対峙した者たちどころか、陣営問わず多くの参加者を巻き込んだ。

死期を悟った彼岸島の吸血鬼の王、雅の発動した首輪爆破アプリ。

使用者と同エリア内の首輪全てを爆破するという、最早配った側の殺し合いをさせる気が一周回って疑わしく感じるこのアプリは、制限時間以内に発動されたエリアの外に居れば効果は発揮されない。

その為、運悪くその時H-3エリア内にいた者たちは、あと五分に迫った鮮血の花火大会まで逃げ出そうと足掻いていた。

ある者は自力で、ある者は支給品を使って、またある者たちは陣営問わず協力し合って脱出しようとしていた。

 

「……」

 

そんな中、全く動こうとしない者がここに一人。

無精ひげに、坊主に近いほど刈り込んだ髪と言ったいかつい風貌。

更にその大人と見紛うガタイの良さ、そして服に隠れて分からないが、銃創と思しき古傷と、知らぬものが見たら、ボクサー崩れのヤクザ者か何かと思われても仕方ない彼は川田(かわだ)章吾(しょうご)

七原秋也や桐島和雄たちと共に参加したプログラムから数える事一年前のプログラムの優勝者。

つまり今回のアズたちによるバトルロワイヤルで通算三回目の参加となる中学生である。

念のためもう一度言おう。

中学生である。

どんなに若く見えても高校三年生だろう?

と、思うだろうが、事実である。

彼の中学生離れした風貌に限って言えば、修行の果てに顔つきが変わるなんてのと似たようなものなのだろう。

何せ彼は今回で通算三度目の殺し合いへの参加となるのだ。

他の参加者たちとは、今まで見て来た地獄の種類が違う。

 

「……」

 

彼は最初に配置されたゲームセンターから全く動こうとしていない。

一応支給品の確認だけはしたのか、空になったエニグマの紙が三枚と、中から出て来たものが散らばっている。

その中にはヘビースモーカーである彼にはうれしい煙草も一箱あったが、火種が支給されなかった上に、自前の物はもうないので、諦めた。

そしてそれは何も煙草だけの話ではない。

 

(ついに人や国どころか、魔女の儀式と来たか……)

 

彼からはもう戦う気力が、生きる気力が失せているのだ。

かつて、七原秋也たちと共に最後まで生き残ったプログラムにて、章吾は腐り果てた故国にして、全ての元凶である大東亜共和国から仲間たちを逃がすことに成功した。

が、そうして助けた秋也がすぐにまた囚われまた別の殺し合いに参加させられてると言う事を、必然的にもう一人助かった中川典子が今一人であるという事実を、死んだところを蘇らせられ参加させられる形で知った彼の気持ちといったらないだろう。

 

(何もかも嘲笑われてる気分だ……)

 

チカチカと、暗い中目に痛い色とりどりのネオンも、彼のまるで飾られたまんま家ごと廃屋になって100年ぶりに発見されたビスクドールみたいな目になんの温かみも無い。

虚しく響くBGMも、もうその心を動かすことはない。

強いて言えば、レクイエムにしちゃ品がないなぐらいの気持ちしかない。

そもそも秋也たちを逃がせたのだって、入念な準備と、数々の幸運が重なって上手くいったのだ。

何の準備もなく、一クラスどころか、間違いなく三桁単位の人数を拉致(しかも一部は蘇生させた死人)、こんな孤島、それも結構立派なゲームセンターが有るような島を無人に出来るような連中に勝てるビジョンが全く思いつかない。

正攻法にしろ、裏をかこうにしろ、完全に詰みに思えた。

 

(そもそもかけるような裏があるのか?)

 

なんて考えていると、パチンパチンパチン!と、さっきまで騒音の中に無かった甲高い音が聞こえてくる。

 

「!?」

 

思わず放置していた武器、グイード・ミスタの拳銃を手に取り、立ち上がる。

心はあきらめても、肉体に染み付いた生存本能は抜けていないらしい。

自嘲しながらゆっくりそちらを目指すと、一人の女性がピンボールに興じていた。

細くしなやかな指が子気味良い音と共にピンボールを弾き、ターゲットに触れる度に不規則な光と喧しい音が鳴る。

上手いもんだな、と、章吾は感心した。

騒ぎの詰め合わせみたいなゲームセンターにおいて、まるで機械のような正確さで女はドンドンスコアを上げていく。

章吾はそれが、一定のコースを何周もしているのだと分かった。

最も効率的なルートを見つけ出し、それを延々と繰り返しているにだ。

 

(本当に機械みたいだな)

 

そしてスコアは、遂に記録を塗り替える。

女はガッツポーズの一つもなく、淡々とスコア表に自分の名前を入力した。

 

『KKO』

 

(キコ?いや、K子か……ケイコか)

 

嫌な因縁だ。そう思いながらも章吾は銃を構え、一歩前に踏み出す。

 

「やあおねえちゃん、なかなか見事なプレイだったね。

思わず見ほれちまったよ。ケーコさん、でいいのかな?」

 

ピンボールマシンのガラス面に映る章吾を確認し、女はゆっくりと振り返り、頷いた。

 

「え?」

 

思わず間抜けな声が漏れる。

いつの間にか両手は下がり、銃口は誰の方も向いていない。

時間が止まった。否、時間が巻き戻った。

章吾にはそう思えて仕方なかった。

何故ならピンボールマシンの女、K子の姿は大貫慶子に、章吾が初めて参加した殺し合いにおいて死んだはずの彼の恋人に違いなかったからだ。

 

「なんで……」

 

「ねぇ!」

 

章吾の問いを遮り、慶子はつづけた。

 

「何で生きてると思う?」

 

それは自分の事だろうか?

それとも今目の前で何故か喋っている彼女のことだろうか?

その答えを出すよりも早く彼女は告げた。

 

「それは願いが叶うからだよ」

 

「願い?」

 

「言ったでしょう?『最後まで残った陣営の生き残りには一人一つ、どんな願いもかなえてあげちゃうよ!

不老不死でも死者蘇生でも億万長者でもなんでも!』って!」

 

まるであのアズって女が乗り移ったように慶子は言った。

そうだ。そうでなければおかしい。

少なくとも死者蘇生に関しては自分こそが変な話生き証人ではないか。

それができるのなら不老不死はともかく、億万長者ぐらい簡単に叶いそうなもんだ。

例えばこの首輪の開発だって、一体いくらかかっているんだって話だ。

 

「だからさ、諦めなければ叶うよ」

 

「いや……でもそれって、殺すって事じゃ……」

 

「諦めずに戦う」

 

それ以上に正しい事はないよ?

少なくともこのバトルロワイヤルでは。

 

「そう、なのか?」

 

慶子は優しく微笑み、踵を返すと、

 

「じゃあね、皆と待ってるから」

 

そう言って慶子は、急に彼女の目の前に現れたスタンドミラーに、まるでドアでもくぐる様に入り込み、消えてしまった。

続いて鏡も煙のように消えてしまう。

 

(皆?皆って誰だ?)

 

残された章吾の脳はゆっくりと、だが確かに思考を再開していく。

慶子は蘇っている。何故?

自分はまだ何も願っていないし、さらに言えば赤陣営は優勝などしていない。

故に彼女は高確率で誰かの願いで生き返っていない。

ならなんでここに……

 

「参加者……」

 

そうだ、自分と同じ参加者だって言うなら、説明がつく。

そう思い、やや苦戦しながらもデバイスを開き、名簿を確認するが、彼女の名前は見つけられない。

じゃあなんであんな事を言ったんだ?

 

「このバトルロワイヤルは、これが初めてじゃない?」

 

大東亜共和国のプログラムだって、幾度となく繰り返されてきた物だ。

このバトルロワイヤルだって、初めてじゃない可能性はある。

だとしたら彼女の存在にも、言動にも何もかも説明がつく気がした。

皆ってのは、前のバトルロワイヤルで同じ陣営だった連中の事じゃないか?

 

「待って居てくれ」

 

また会いたい。

二度と会えないと思った彼女に。

礼がしたい。

彼女を守ってくれた名前も声も知らない連中に。

そして守り通したい。

前のプログラムで自分が確かに守ったものを。

人形の目に生きた光と、黒い炎が宿る。

 

「生き残ってやる。どんな手を使っても!」

 

拳銃をポケットにねじ込み、散らばった支給品を大急ぎでまとめると、章吾は大急ぎでその場から走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青白い光を放つ画面に映る『H-3』の文字が『I-3』に変わるのを見て、折原臨也は小さくため息をついた。

平和島静雄曰く、いつも自分だけ安全圏から見下ろして他者をあざ笑っているような彼でも、流石に池袋一の怪物たる彼を殺せる爆弾にはビビる。

故に名簿や地図の確認……は、終わっていたが、まだ途中だった支給品の確認も、大、大、大好きな人間観察も、目の前の典型的なJRPGの中世ヨーロッパから飛び出してきたような恰好の2人が化け物かどうかを確認するのも二の次にして、三人で協力してH-3エリアを抜けるという方法を選んだのだ。

 

「えー、ご搭乗の皆様にお知らせです。

当機は辛くも危険地帯を脱出いたしました。

間も無く目的地となります。

運転はセイバー、チーフパーサーは折原でした。

もうしばらく、快適な空の旅をお楽しみくださいませ」

 

そう言うと典型的なJRPGの中世ヨーロッパから飛び出してきたような少女その1、ペコリーヌはホッと胸をなでおろした。

 

「良かったです!イザヤさんにこの子が支給されてたお陰で助かりました!」

 

そう言ってペコリーヌは自らが座っている特級危険種、エアマンタの背中を撫でた。

最初この怪物が支給されたと知った時、臨也は正直いい気分はしなかったが、かなり変わった馬やラクダみたいなもんだと言い聞かせ自分を納得させた。

まあしかし、

 

「いやいや、お礼は頑張ってくれたこの化物エイとそれをどうにか運転してくれたセイバーちゃんに言ってよ」

 

流石に(まあまあ荒っぽかったとはいえ)乗り物の操縦に秀る典型的なJRPGの中世ヨーロッパから飛び出してきたような少女その2、セイバーがこの場に居合わせたのはちょっと出来過ぎな気がしたが。

その彼女は今、エアマンタの頭に座ったままこちらに背を向け、操縦に注力している。

 

(恐らくは魔獣級のエアマンタを操れるかは微妙でしたが、道具として渡されてる以上、ある程度人の言う事を聞く様に調教されているようですね。

これなら私の騎乗スキルでも十分に操れる)

 

そしてエアマンタの操縦にも慣れて来た彼女は、早速ペコリーヌと臨也を殺す算段を考えていた。

手っ取り早いのは、この場で移動しながら情報交換を済ませ、エアマンタから振り落としてしまう事だろう。

しかしその場合だと、散らばった支給品を集めなければならないし、確実に殺せる保証はない。

もし芝生や川などに運良く落ちた場合、目立つことこの上ないエアマンタを駆る自分は、最大4人から流される悪評のせいで多勢に無勢を強いられるだろう。

逆にどこか落ち着いた場所で情報交換を終わらせ、すぐさま切りかかってしまうのが正解かと言われると、これも首をひねらざるを得ない。

ペコリーヌだけならこちらの剣は人の手で鍛えられたとは言え、聖剣に数えられる業物、たいして彼女のは何の神秘も付与されていない常識の範疇に収まる武器。

この差で持って、油断なく戦えば勝てると思うが、臨也が居るとなると話は別だ。

もし彼の目的がなんであれ、その中に黄陣営の優勝が含まれていない場合、二対一だ。

片方を倒せても、もう片方が生き残った場合、悪評を振りまかれ、孤立してしまう。

ただでさえ水の剣士に黒衣の少年を取り逃がしているのだ。

これ以上の失態は許されない。

 

「……!ペコリーヌ、イザヤ!注意してください!何か来ます!」

 

そんなセイバーが、確かな敵意を感じ取る。

ただの人間の殺気ではなく、聖杯戦争でたびたび感じた高揚感の混じった物だ。

敵は英霊(サーヴァント)級の怪物に違いない。

咄嗟に臨戦態勢を取ったペコリーヌと臨也が見たのは、より正確に言えば見えたのは、赤と紫の残光が跳ねている事だけである。

唯一、この中で素で人間で無いセイバーにだけはその正体が美しい虹彩異色(ヘテロクロミア)を持つ美しい女であると視認出来た。

 

「飛び降りて!」

 

セイバーが言い切らないうちに、エアマンタの頭部が突如搔き消された。

そう思ってしまう程、襲撃者の鋭い爪の一撃はすさまじかった。

一撃で脳をミンチにされたエアマンタが自由落下を始める。

 

(へぇ。化物はシズちゃんだけじゃないのか。

このゲーム、随分と気合入ってるね)

 

臨也は玩具屋の軒先で新発売のゲームを見つけたようないたずらっぽさと、心底嫌っている仕事をまだ片付けていなかったのを思い出したような不快感が混ざった目で回転する景色を見ながら思った。

そこから更に考えてみれば、これはあくまで殺し合いだ。

平和島静雄と同じ土台に立てる者や、平和島静雄が同じ土台に立てる者が呼ばれていなければ、あの化物の独走か、あの化物を排除するためにその他全員が結束して終わってしまう。

なんて考えながらも臨也はこの状況を脱する方法を探した。

まずは無事に着地しなければ始まらない。

得意のパルクールで、壁キックからの電灯に掴まり、そこから更にジャンプ。

着地完了。

長年、それこそ高校時代から平和島静雄という標的と(おもちゃで)戦って(あそんで)きた彼からすれば造作もないことだ。

次にエアマンタを見ると、自由落下にしては不自然に大きく揺れ、ペコリーヌが投げ出される。

 

(これで死んでなかったらセイバーちゃんと襲って来た“何か”は化け物確定っと。

さて、俺の最後の支給品は……)

 

すぐに建物に隠れた臨也は幸運にも背中から落ちなかったデイパックからエニグマの紙を取り出す。

『世界ディエゴのナイフ』と書かれたその紙を開けると、中から質量を無視して10本のナイフが現れる。

 

「大事に使わないとね」

 

誰に言うでもなく呟いた臨也はそれを全てトレードマークのファー付きフードのコートに隠し、再び戦場を見る。

戦っているのはセイバーと襲撃者だ。

土豪剣と襲撃者の爪が時折ぶつかり、オレンジに近い小さな光が瞬いている。

一方ペコリーヌは、加勢しようとアニール・ブレードを抜いたはいいが、異次元の戦いに介入する余地すら見いだせず、硬直してしまっている。

 

(ふーん、まあペコリーヌちゃんは暫定だけど、ちょいとばかし頑丈な人間ってとこかな?しっかし……)

 

化物同士やり合ってくれるのは結構だ。

だが、この場合、多分だが襲撃者の方に生き残ってもらうと後が面倒だ。

首輪の色は見えないが、こちらを襲撃してきた理由は恐らく自分が黄、緑以外の陣営に所属しているか、陣営問わず殺し合いが出来れば何でもいいみたいな考えかのどちらか。

 

(まだセイバーちゃんの方が人語が通じるだけマシってところかな?)

 

それにあの化物エイを瞬殺できる化物と対等に渡り合えるセイバーは、対平和島静雄の駒として合格点だ。自分とも静雄とも同陣営というのがちょっと悩ましい所だが、やりようは有る。

 

「ならまずは……」

 

余計な邪魔を排除するとしよう。

臨也はペコリーヌの背後を拳銃で狙っていた学生服の男に早速ナイフを投げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

背後からした金属音に振り返ったペコリーヌは、すぐそこに拳銃を構えた坊主頭の男がいるのを確認した。

すぐさまアニール・ブレードを構え、男に肉薄する。

銃撃をあきらめた男は拳銃をポケットにしまうと、ペコリーヌに肉弾戦を挑んで来た。

振り下ろされるアニール・ブレードを彼女の腕ごと受け止め、そのまま腕を捻り上げようと力を籠める。

 

(このねえちゃん、こんな細腕でなんて馬鹿力だ!

こっちのほうがパワー負しそうだ!)

 

(すごい力持ちさんですね!

でもティアラだけでも王家の装備が有るなら負けません!)

 

ややペコリーヌが有利だったが、覚悟を決めた坊主の男、川田章吾はペコリーヌのすねを思いっきり蹴り上げる。

痛みで一瞬力が緩んだペコリーヌの両腕を上げ、なんとその首を食いちぎろうと口を開けた。

馬力で敵わないなら、的確に急所を破壊し倒すしかない。

かつてのプログラムで誰よりも冷静で、知性的であったはずの彼がなんたる暴挙だろう。

彼はもうこの島の悪意に侵され出していた。

 

(ははっ!すごいな、そこまで手段を選ばないか!)

 

そこに根っからの人間らしい人間愛と害意なき悪意に満ちた男の凶刃が迫る。

章吾の喉笛を的確に狙ってナイフを振るう。

咄嗟にバックステップを踏む章吾だったが、もう片方の手に持ったナイフによる二撃目を避けることは叶わず、上着のポケットが裂ける。

 

「妖怪かまいたち参上」

 

「助かりましたイザヤさん!結構動けるんですね?」

 

「まあこんな細いなりでも鍛えてはいるんでね!」

 

言うや否や再び走り出し、ナイフを振るう臨也。

拳銃とは元来遠距離武器、トリッキーな動きとスピードで適切な距離を取り、投擲、又は直接の斬撃での近、中距離攻撃を本分とする臨也とは相性が悪い。

 

「とりゃ~!」

 

そこにさらに仲間の有無が大きな差となる。

まあ、仲間と言っても好きな漫画について議論する程度の友情すら得てないが、それでも背後から無言で拳銃を向けてくるやつよりかは信用できるという理由で共闘出来るぺコリーヌの助勢が得られる分、臨也のほうが圧倒的に有利だ。

 

(俺ともぺコリーヌちゃんとも違う陣営なのも行幸。

まあ、このタイミングで漁夫の利狙うんだから当たり前といえば当たり前か)

 

絶対に避けなければならないペコリーヌの重い一撃にばかり注目していれば、臨也のかまいたちのような鋭い斬撃にさらされ、逆に臨也のナイフにばかり注目していれば、ペコリーヌの剛撃が襲う。

連帯なんてとてもではないが呼べないようなベストコンビ、ベストパーティには程遠い即席コンビだが、それでも数に物を言わせれば決着を付けれるだろう。

未だそうなっていないのは、ペコリーヌに襲撃者である章吾を殺すつもりはない様子だからだ。

それでも喰らえばそのまま無力化まではするだろうが。

 

(いいね、この極限状態でそれを選ぶのも、また『人間』だよ!)

 

時折見えるペコリーヌの表情は真剣そのものだ。

ここで死ぬわけにはいかないという決意と、殺さないという決意を持ってこの戦いに臨んでいる。

対して章吾も目の奥に宿る黒い炎以外はペコリーヌとよく似た目をしている。

彼もまた死ぬわけにはいかないし、殺さなければならない理由があるのだろう。

 

(観察続行!もう少し追い詰める!)

 

決して相手を侮って三味線を弾いていたわけではないが、それでも本物の化物、平和島静雄に対峙する時よりは本気じゃなかった。

そのギアを一段上げる。

 

「「ッ!?」」

 

急に鋭さと速さを増した動きに章吾は焦って引き金を引いた。

派手な音と共にオレンジの光が一条の軌跡を描く。

その線上に臨也はいない。

 

「ダメですイザヤさん!」

 

章吾の腹部を横一文字に掻っ捌くはずだった刃は、上着の襟を切り裂く程度に収まる。

ペコリーヌが臨也の上着のフードを思いっきりひぱったからだ。

何とかナイフは振り抜いたが、潰れたカエルみたいな声と共に激しく咳き込む臨也。

 

「ごめんなさい大丈夫ですか!?

戻したりしちゃいそうだったら言ってください!」

 

そう言って鞄を降ろし始めるペコリーヌを手で制し、改めて章吾を観察する臨也。

彼の表情や動きから困惑半分、緊張半分ってところだろうか?

 

(まあ、自分は殺す覚悟しっかり決めてるのに、時間的にも多分最初に出くわすのが不殺主義。

ちょっとびっくりするよね)

 

わざとらしく咳払いをした臨也は立ち上がると、

 

「なーに、気にしないでよ。

ペコリーヌちゃんの気持ちも分かんない訳じゃないし」

 

そう言って武器を構え直す臨也を見て、ペコリーヌもアニールブレードを構え直す。

その目には章吾への警戒以外に困惑の色も浮かんでいる。

今すぐ攻めてくる気はない様だが、こちらを倒すのをあきらめた様子ではない。

 

(さてどうしようか?

別に彼はどうしても殺さないといけない訳ではないし、ここでペコリーヌちゃんからの好感度を下げるのも良いとは言えない。

でも拳銃相手にこっちは二人とは言え近距離武器だからなぁ……)

 

背後の化物共次第か?

臨也がそう思ったのと、最初の襲撃者たる虹彩異色(ヘテロクロミア)の女が車にでもはね飛ばされたのかと思うほどの勢いで吹っ飛ばされてきたのは同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁーっ!はぁーっ!」

 

風王結界で守っていたというのも有るが、それを差し引いてもあの怪物相手に良く持ちこたえてくれた土豪剣を杖代わりにしながらセイバーはなんとか息を整えた。

恐らくは他陣営に配置されたサーヴァントの中でも最強の存在で有ろう奴は今、派手に地面に激突しゆっくりと体を起こしながらこちらを見据えている。

 

私の聖剣(エクスカリバー)が手元に有れば……いや、仮に全て遠き理想郷(アヴァロン)があっても相打ち以上の結果を得れるとは思えない!)

 

ゆっくりと起き上がる襲撃者の女……緑陣営のバーサーカーを追撃しないという選択肢はない。

まぐれでもなんでもいい。

今ここでこのサーヴァントを倒しておかなければ最後に勝つのは緑陣営だ。

更に付け加えるなら、それまでの間に緑陣営がこいつだけになっていてもおかしくない。

それを遮るように立つ者が居た。

章吾だ。

手にしたグイード・ミスタの拳銃を真っ直ぐセイバーに向けて突き出す。

即座に行動に移ったのは臨也だ。

ペコリーヌの頭に手を伸ばし、そのまま地面に押さえつける様にしゃがませる。

銃声が響いたのはそのすぐ後だ。

 

(くそう!)

 

セイバーは防御を選んだ。

ここは英霊(サーヴァント)魔術師(マスター)も、果てはペコリーヌや臨也のような鍛えてはいても、自分たちの次元には遠く及ばない存在も一緒くたにされた殺し合いだ。

どこかに自分が知らない、想像もつかない英霊に対抗可能な武器が有ってもおかしくない。

例えば先ほど対峙した仮面ライダーブレイズの持つ水の聖剣や、今手にしているこの土の聖剣のような支給品だ。

章吾の持つ銃がそうでない保証がなかったため、防いだのだ。

その判断は半分正解で、半分間違いだった。

確かに章吾の拳銃、煙草に次ぐ最後の支給品はセイバーを脅かすものだった。

もっとも、

 

「告げる!汝の身は我の下に、我が命運は汝の剣に!

聖杯のよるべに従い、この意、この理に従うのなら我に従え!

ならばこの命運、汝が剣に預けよう!」

 

直接、ではない。

それが何よりも問題だった。

章吾の銃を持つ手が光る。

なんで気付かなかったのだろう?

聖杯戦争においてなら、最も気を付けなくてはならない物を、令呪をセイバーは見落としていた。

章吾の顔が苦痛に歪むのと、バーサーカーが回復し、立ち上がるのはほぼ同時。

仕方がない。

ここで無理してこいつを倒そうとすれば、下手すれば全滅だ。

 

「ペコリーヌ!イザヤ!そのまま伏せていてください!」

 

セイバーはありったけの殺気でバーサーカーを睨む。

その身に内包する圧倒的だが、理性を失った彼女は真っ直ぐセイバーに飛び掛かって来た。

チャンスは一瞬、脚が完全に地面に離れているその瞬間を狙って、

 

風王鉄槌(ストライク・エア)!」

 

風圧で思い切りかち上げる!

体重(ウェイト)と発揮される膂力(パワー)は必ずしも一致しない。

速い話が、体重はそこらの人間と変わらないのだ。

オマケにバーサーカーは鎧を着てるわけでもないのだ。

ダメージを与えられるかどうかはともかく、吹っ飛ばすだけなら問題ない。

 

「な!?」

 

「ええ!?」

 

「おお!」

 

三者三様驚く間に二人の元に駆け寄ったセイバーは、剣を納刀し、ペコリーヌと臨也を抱えると全速力で離脱した。

章吾(マスター)を殺すことも出来なくはなかったが、それが原因でバーサーカーに追いかけ回されてはたまらない。

兎に角、ひたすらにその場を離れる事を優先し、セイバーは走り続けた。

 

「……幸先良いんだか悪いんだか」

 

セイバーが去ってから、章吾はその場に座り込んだ。

令呪の説明に書いてあったが、ごっそりと気力が削られる感覚が消えない。

文字通りこの怪物に命を捧げてるのだから当然と言えば当然か。

 

「頼むぜ化物のおねえちゃん。

あの金髪のおねえちゃんみたいなのにはアンタだよりだからな」

 

「 …………………」

 

バーサーカーは何も答えない。

ただ立ち上がった章吾の後に続いた。

 

 

 

【エリアI-3/1日目/深夜】

 

【川田章吾@バトル・ロワイヤル】

[状態]:健康、疲労(中)、魔力消費(大)

[服装]:制服姿(上着のポケット、襟にナイフ傷)

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(章吾)

[参戦時期]:死亡後

[装備]:グイード・ミスタの拳銃@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-、令呪@Fate/EXTRA

[道具]:基本支給品一式、ナジェンダの煙草(一箱、消費無し)@アカメが斬る!

[思考]

基本:生き残って、慶子に会いに行く

1:この化け物(アルクェイド)を利用する。

2:ここは化け物しかいねえのか?

3:一番常識の範疇に居るあの兄ちゃん(折原)でさえあんな動けんのかよ

4:七原たちとさっさと合流したい。

[備考]

※バーサーカー(アルクェイド)と契約しました。

 その為、時間が経つごとに魔力=生命力を奪われていきます。

 

【バーサーカー(アルクェイド)@Fate/EXTRA】

[状態]:狂化、健康

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(アルクェイド)

[参戦時期]:ガトーが死ぬより前

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、アルクェイドのランダム支給品×1~3(未確認)

[思考]

基本:…………………

1:…………………

2:…………………

3:…………………

[備考]

※理性がないため、自陣営、及び契約したマスター以外の参加者を一切区別なく攻撃、排除しようとします。

※サーヴァントという枠組みから脱出できない限り、狂化が解除されることは有りません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目覚めたっばっかの悪意……カワイイ♪」

 

無数のモニターが設置された薄暗い部屋にて、一人の少女が無邪気に笑っている。

章吾の前に現れた慶子だ。

彼女は自分の顔を完全に隠すように手を当て、ゆっくりと降ろす。

するとどうだろう。

その顔が慶子とは、全く違う姿へと変わる。

いや、この場合元に戻ると言った方が正確だ。

 

「にしても、これって私にも有効なのね。

意外な新発見、何でも試してみる物ね」

 

そう言って彼女、アズは自らの頭に指をあて、一枚のDISCを引き抜く。

 

「感じますか?アーク様、悪意の連鎖が止まろうともしないのが!

ふふふ、ふふふふふ!今度こそ実現するわ、人類滅亡が!」

 

 

 

【エリア?-?/???/1日目/黎明】

 

【アズ@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:正常

[服装]: 黒いドレス

[所属陣営]:運営側

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:不明

[装備]:クヌム神のスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険

[道具]:なし

[思考]

基本:このバトルロワイヤルの司会として行動する。

1:川田章吾、やる気になってくれて何よりだわ。

2:私でもスタンドDISCって使えるのね、ちょっとびっくり。

3:最終目的は人類滅亡。でもまだよ。少なくとも今じゃないわ。

[備考]

※特になし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペコリーヌや臨也の抗議も完全に無視して走りに走ったセイバーは、ようやく二人を降ろし、大きく息を吐いた。

 

「セイバーさん、さっきの女の人との戦いと言い、あなたは一体……」

 

怪訝な目を向けるペコリーヌにセイバーは堂々と答えた。

 

「それに関してはようやく話す時間も出来そうですし、これからにしましょう。

ペコリーヌ、サンドイッチは落としていませんか?」

 

「あ、はい!それは大丈夫です!

勿論イザヤさんの分もありますよ!」

 

声をかけられた臨也は若干グロッキーになりながらも調子を整え

 

「いいね、作り手の個性が見える様な味付けならいいんだけど」

 

そう言ってズボンの汚れを落としながら立ち上がった。

 

(情報交換は必須だし、仮にセイバーちゃんが化け物で優勝狙いだとしても、シズちゃんとぶつける方法は有る。仮にもし俺たちを殺すつもりだったとしても、一応切り札は有るしね)

 

最後の支給品のエニグマの紙を袖口に隠しながら、折原臨也は人間観察と見極めを続行した。

 

 

 

【エリアI-4/1日目/黎明】

 

【セイバー@Fate/Zero】

[状態]:魔力消費(中)、疲労感(大)、それ以外は正常

[服装]:いつもの鎧とドレス

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:なし

[参戦時期]:ランスロット戦の直後。

[装備]:土豪剣激土@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1

[思考]

基本: 自陣営を勝利に導き、ブリテンにふさわしい王を立てる。

1: まずペコリーヌとイザヤから情報を得て、その後殺害する。

2: 黒衣の少年(キリト)を追い、メダルを奪い返し殺害する。

3: 水の剣士(ブレイズ)、女のバーサーカー(アルクェイド)とそのマスター(章吾)を警戒。

[備考]

※セイバーと切嗣にパスがつながっているかどうかは不明です。

後の書き手に任せます。

※メンタルはランスロット戦直後の荒れてるものですが、

倒すべき敵が大勢に増えたために頑張って冷静に振る舞っています。

 

【ペコリーヌ@プリンセスコネクト!Re:DIVE】

[状態]: 健康、疲労(中)、空腹(大)

[服装]:いつもの服装(鎧は無し)

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(ペコリーヌ)

[参戦時期]:不明、あとの書き手に任せます。

[装備]:王家の装備(ティアラ)@プリンセスコネクト!Re:DIVE

    アニール・ブレード@ソードアート・オンライン

[道具]:基本支給品一式、ローストビーフのサンドイッチ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

[思考]

基本: この殺し合いを脱出する。

1:どこか落ち着ける場所でセイバーさん、イザヤさんとご飯を食べながらお話しする。

2:キャルちゃん達を探す。

3:覇瞳皇帝や殺し合いに積極的な人たちは……。

[備考]

※王家の装備はティアラと剣別々で支給されています。

※ローストビーフのサンドイッチの個数は後の書き手に任せます。

 

【折原臨也@デュラララ!!】

[状態]:正常

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:一枚(折原臨也)

[参戦時期]:不明、あとの書き手に任せます。

[装備]:世界ディエゴのナイフ(9/10)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

    最後のランダム支給品の紙(確認済み)

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本:人間観察をしつつ、生き残る

1:どこか落ち着ける場所でセイバーちゃんとペコリーヌちゃんの話を聞く。

2:シズちゃんや化物共はここで死んでもらおう。そのために戦力やら装備やらを整えて、悪評も広げて……どうにもやることが多いなぁ。今のところはシズちゃんとセイバーちゃんをぶつける予定。

3:ペコリーヌちゃんは、まあ人間かな?

[備考]

※OPにて、平和島静雄の姿を見ています。

※特級危険種エアマンタ@アカメが斬る!は、バーサーカーに頭部を破壊されて死亡しました。死体はエリアI-3のどこかに転がっています。

※バーサーカー(アルクェイド)を化物と認定しました。平和島静雄共々始末する予定です。

 

*1
なお、この殺し合いにおいては致命的である。



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目には目を歯には歯を悪には悪魔的な契約を

作者
きゅーり

登場キャラ
・書き手枠@漫画



 

 

 

 

 

破壊。圧壊。崩壊。倒壊。全壊。

 

 

 

 

次々と音を立てて崩れていく建物。その度に周囲に轟音が響き渡っていた。

そこには、破壊活動の犯人と思われる人物の影が映った。

粉塵が舞う中で、複眼らしき水色の両眼が不気味に光っていた───。

 

 

==========

 

 

数十分前───。

 

 

廃墟エリアB-7にある、寂れた温泉街。

一目見ただけで、誰一人寄り付かないゴーストタウンを思わせる光景が広がっていた。

その玄関口の、海岸に近い古びたトンネルの奥から、足音が響いた。一歩、また一歩と、何者かがゆっくりと歩を進め、出口に向かって歩いていた。段々と見えてきたそのシルエットの正体は、一人の男性であった。

 

 

 

男は、生まれながら勝ち組であった。

父親が誰からも逆らえない立場であるが故に、その権力を傘に罪もない人々を次々と殺害し、やりたい放題の限りを尽くした。

 

男は、父親を尊敬していた。

父親を侮辱した者は、たとえ抱いていた女であっても殴り飛ばすなど敬意は本物で、いずれ父親の後を継ぐ大望を抱く上昇思考の持ち主であった。

 

しかし男は、失敗した。

とある大事件の証拠をさる将軍に突き出され、超えると誓った父親にさえ失望された。

 

そして男は、死んだ。

牢獄の中で囚われの身同然の格下の相手に、不意打ちで絞殺されるというあっけない最期を迎えた。

 

 

(あり得るハズがない……)

 

(この俺がカス如きに……!)

 

(あんな終わりは認めねぇ……)

 

 

(俺が、『法』そのものなんだよッッッ!!!)

 

 

目覚めた直後、そんな男が抱いたのは、憤怒と屈辱の二つだった。

怨念に近い言葉の数々が、男の頭の中を埋め尽くしていた。

 

 

「………………」

 

 

しかし男は今、怒りに満ちた時とは真逆で、驚くほどに静かであった。怒りが頂点に達したせいか通り越して、返って冷静さを取り戻したのだ。

 

 

トンネルの出口に差し掛かると、左手にずっと持っていたとあるドライバーを腰に装着した。それはタツミに支給された変身ベルト、スクラッシュドライバーの同型機であった。

 

さらに懐からスクラッシュゼリーではない、1つのボトルを取り出した。

 

 

〈Danger………!〉

 

 

それは、仮面ライダービルド達が使うフルボトルによく似たデザインだが、それよりも長く、口を開けたワニのデザインが描かれたボトルであった。

シールディングキャップを開封すると、ボトルの表層がひび割れた様に発光し、同時に某モンスター・パニック映画のBGMを思わせる恐ろしい音楽が流れ始めた。

 

 

〈クロコダイル……!〉

 

 

そのままドライバーに装填すると、モンスターの叫び声のような待機音が鳴り出し、構わずアクティベイトレンチを振り下ろす。

 

 

「……ガッ!?」

 

 

しかしその瞬間、ドライバーから電撃が発生して男の全身に行き渡り、彼は苦痛に苦しみ顔を歪めた。

 

 

「く、クソがぁ……こんなモン………あの屈辱に比べたらぁ……どうというこたぁ、ねェェエッッ!!!」

 

 

〈割れる! 喰われる! 砕け散る!〉

 

 

障害を乗り越えた男の足元に、ビーカー型の『ケミカライドビルダー』が現れ、その中に成分が満たされると、ワニの顎を模した装置でビルダーが噛み砕かれ、紫の装甲を形成。

 

 

 

〈クロコダイルインローグ!オ〜〜ラァ!!〉

〈………キャーーー!!〉

 

 

 

そして両顎についたパーツが頭部の装甲を挟んで適度に破壊、内部から複眼が露わとなった。

 

 

 

「ハァ……ハァ……フ〜〜ッ……。」

 

 

トンネルを出たことで月光に照らされ、その姿の全容が明らかになった。

 

黒のスーツを覆う紫の装甲。

ワニの顎を模したパーツに挟まれた頭部。

割れるように現れた水色のツインアイ。

指先が鋭く尖っている手足。

後頭部には何故か、『割れ物注意』の表示を思わせるひび割れたグラスのデザインが付いた赤いラベルが貼られていた。

 

 

大義のために悪道を歩み、そして正道に帰りし不屈の戦士、仮面ライダーローグ!

 

 

右手で握り拳をつくると、そのまま目についた廃墟に向かって殴りつけると、一撃で崩れ去った。

 

 

==========

 

 

そして現在───。

 

廃墟は破壊し尽くされ、温泉街の辺り一面は瓦礫模様と化した。その積み重なった瓦礫の山の天辺に、ローグに変身した男が立っていた。

 

 

「フ、ハハハ……ハッハハハッッ!!ハァ〜〜、スッキリしたぜ……」

 

 

男は突然、笑いだした。なんとこの男、ストレス解消の為に目につく周辺の建物を手当たり次第に破壊していったのだ。

 

 

「コイツは……トンデモねぇオモチャを手に入れたぜ。帝具に匹敵……いや、スタイリッシュの夢だった帝具を超える兵器に相応しいぐらいだな」

 

 

ドライバーからボトルを引き抜くと変身が解除され、男の素顔が顕となった。

 

逆立った白髪と褐色肌、額についた十文字の傷という目立つ容姿。そして獣のような鋭い目つきは、下卑た欲望が混じっているようだった。

 

「この俺様をゲームのオモチャにして高みの見物決め込もうとはいい度胸だな、アズ。ま、面白え殺し合いやこの知らねえオモチャを用意したことに免じて、チャラにしてやるよ」

 

殺し合いの舞台と知らない強者の用意はいいが、デモンズエキスの消失と首輪などの件は差し引きしても相殺できないと、殺意剥き出しのエスデスとは打って真逆で、男は懐が広いような反応を示した。

 

 

「──なぁんてこと……言うとでも思ったかァアアアッッ!!この世全ての連中は俺のオモチャなんだよッッ……俺が遊ばれてたまるかァァァ!!!」

 

 

前言撤回。そんなことはなかったようだ。

男は再度怒りを燃やし、足元の瓦礫を踏み砕いた。

やはり自分こそが支配者であり頂点であると、信じて疑わない類の人間は、皆揃って同じ反応をするようだ。

 

 

「ナイトレイドも、イェーガーズも、邪魔する奴も、そしてアズ達も、全員地獄を味わせでやる………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………このシュラ様の手でなァッ!!」

 

 

男の名は、シュラ。

アカメ達ナイトレイドの最大の標的である諸悪の根源、オネスト大臣の息子にして、秘密警察ワイルドハントを率いて帝国で暴虐の限りを尽くした男。

 

凶暴、残虐、邪悪の三拍子が揃った悪童が、高らかな宣言とともに野に解き放たれた。

 

 

 

 

【エリアB-7/寂れた温泉街/1日目/黎明】

 

【シュラ@アカメが斬る!】

[状態]:正常、冷静かつ激怒

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(シュラ)

[参戦時期]:死亡後

[装備]:スクラッシュドライバー@仮面ライダービルド、クロコダイルクラックフルボトル@仮面ライダービルド

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2

[思考]

基本: 頂点に立つ。親父を超える。

1:手駒になる奴らを集める。

2:アズ、ナイトレイド、イェーガーズは必ず潰す。

3:オモチャになりそうな女がいたら遊んでやる。

[備考]

※シュラの攻撃で温泉街の廃墟は殆ど破壊され、瓦礫と化しました。

 



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血染めのK/破滅招来体

作者
・コードジョーカー

登場キャラ
・ティーネ・チェルク@Fate/strange Fake
・浅上藤乃@空の境界
・空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険
・黒桐幹也@空の境界


君との出会いは、間違いじゃない。

あの日々は、偽物じゃあない。

 

 

 

ダカラ、■■………

モシモノ、トキハ……

ソノトキハ……

ボクヲ……トメテクレ………

 

 

 

■■■■■

 

 

バトルロワイヤル開始から2時間。

海の家にて、情報交換を行う参加者達がいた。

 

「とりあえず、支給品はこれで全部ですね」

 

「しかし、こうして見ると色んなものが集めらてましたね」

 

「ああ…そもそも住んでる世界が違うからかもしれねぇな」

 

偽りの聖杯戦争の参加者、ティーネ・チェルク。

歪曲の魔眼の使い手、浅上藤乃。

ジョースター一族の血統、空条承太郎。

 

各々が持つ情報の交換と支給品の確認を終えて、一同は一息ついていた。

 

「ここまで来ると、あのアズという女性が只者で無い事が益々伝わってきます……」

 

「正確にはアズ達、だろうな。これだけのだいそれた舞台を用意するなんざ、たった一人で出来るはずがねぇ」

 

舞台の島の準備と言い、見知らぬアイテムの用意と言い、自分たちを難なく連れてきたことと言い、たった一人で全て出来るはずがないと、主催者は複数いるのは確実だと承太郎は断言した。

 

「これから、どうされますか?」

 

「私はアーチャーと合流を、できればランサーとも協力関係を築ければ御の字です。あの二人は生前、親友同士でありましたから。それに……あの王のことです。この状況に対して怒り心頭で暴れ回っている光景が目に浮かびます…」

 

ティーネの予想した通り、偽アーチャーはこことは違うエリアにて、怒りを燃やしていた。

しかし他陣営のハーメルンを葬ったことまでは、流石に彼女は知る由も無かった。

 

 

「私は先輩達を探します、とても大切な人達なので…」

 

「…………」

 

そう告げる藤乃だが、承太郎は彼女に抱いた疑念故に何処までが真実なのか疑っていた。

 

「俺はポルナレフと花京院、旅の仲間達と合流を急ぐ。そしてどうにかして主催連中の元までたどり着いて、奴らをぶちのめす……それだけだ」

 

「だ、大胆に言いますね……」

 

何事にも返しは当然だと言わんが如く、主催の打倒を告げた承太郎。

 

(気になることはもう一つ……死んだはずの花京院の名前があることだ……テンパランスが化けた奴、イヤ、名簿を見る限り、参加者の名は全員その人間の本名で書かれている……つまり、俺の知る花京院本人ということだ……例外はチェルクの言っていたサーヴァントのように、クラスやコードネームなどで呼ばれる者……そして謎の空欄は何を意味してる……ん?)

 

 

 

名簿について色々と思考していると、承太郎が窓の向こうを見た。

 

「どうやら新しいお客様が来たみてぇだな」

 

「「え?」」

 

承太郎の言葉に釣られて二人も窓の向こうを見ると、海の家に向かって誰かが一人歩いてきた。

 

「……ッ!」

 

その人物を目にした途端、藤乃が急に立ち上がり、一目散に外へ飛び出した。

 

「おい、どうした!?」

「えっ…ちょ待……藤乃!?」

 

承太郎とティーネも、まだエニグマの紙に支給品を戻している途中であったが、後回しにして外に出た。

 

 

■■■■■

 

 

「先輩ッ!!」

「おっと………」

 

 

藤乃は男性の下まで着くと、本人に抱きついた。もう離さないと言わんばかりか、ギュッと抱きしめていた。

 

「えっと……藤乃、その人が貴方の?」

 

「はい…黒桐幹也先輩。中学時代の恩人です」

 

相手の男性に抱きついたまま、藤乃はウットリした表情で想い人、黒桐幹也を紹介した。その表情は、正に恋する乙女のそれであった。

 

 

「…………」

 

(何だ……さっきから胸騒ぎが止まらねぇ……この嫌な感じの正体は何だ…!?)

 

然しそんな中、承太郎だけは何かを警戒しているのか、険しい顔つきでいた。

他の二人は気づいていないが、周囲にゴゴゴゴゴゴ、と得たいの知れない重圧感が漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その感覚の正体は、すぐに明らかとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

二人の、目の前で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか…コイツは黒桐、っていうのか〜」

 

「……え?」

 

「………ッ!!浅上ッ!何かヤバイ!直ぐにソイツから離れろ!ソイツに近づくんじゃあない!!」

 

 

気配の正体が目の前の男だという嫌な予感が的中し、藤乃に警告を告げる承太郎。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず一人だ」

 

 

しかし、全てが遅すぎた。

 

 

「………カハッ!?」

 

 

その瞬間、何処からか現れた先端の鋭い触手が、藤乃の背中を刺し貫いた。そして藤乃はそのまま倒れた。

 

 

「スタープラチナッッ!!」

『オラァ!!』

 

承太郎はスタンド、スタープラチナを出し、黒桐?に向かってラッシュを仕掛けた。

 

「おっとぉ、危ねえなぁ……」

 

然し、黒桐?はスタープラチナのパンチを軽々と躱し、藤乃が護身用に手にしていた破魔の赤薔薇を奪い、その場を飛び下がった。

 

(チッ……やはりスタンド使いではない人間にも、スタンドが視えてるようだな。しかもコイツの動き、ただ動体視力で躱したって分けじゃあねぇ……俺はスポ根漫画に出てくる熱血指導にうるさい名監督のような体育会系って訳では無いが、コイツが格闘技か何かををやってたかのような体つきじゃねぇのは服の上からでも分かる……にも関わらず、スタープラチナの攻撃をいとも簡単に躱しやがった……こんなことはダービー弟と最初に会った時以来だぜ……)

 

スタンド使いのルールに干渉されたことが事実だと理解したと同時に、眼の前にいる相手がスタンド使いに匹敵する何者かだと、承太郎は最大限に警戒した。

 

「藤乃!しっかり!」

 

「せ…先輩…?貴方は……先輩ではないんですか……?」

 

一方の藤乃は、駆けつけたティーネに抱えられながら起き上がり、苦痛と困惑が混ざった表情で黒桐?に声をかけた。

この広すぎる島で、しかもゲーム開始の序盤で、ずっと思い焦がれていた青年に出会えただけに、その本人に攻撃されたという現実が、藤乃の頭の中を混乱させていた。

 

「あ?その質問の答えなら………ノーだぁ!体も中身もお前の知る本人だが、今は眠っている……今コイツの体はぁ……俺のモノなんだよぉ!!」

 

黒桐?は悪びれる様子もなく、本当の黒桐幹也が何者かに乗っ取られている事を堂々と明かした。

 

「じゃあテメェは一体何者なんだ?」

 

「ああ、まだちゃんと自己紹介してなかったなぁ。じゃ、改めて名乗るとするか……」

 

承太郎の怒りが混じった質問に対し黒桐?は、懐からボトルとデバイス、赤と黒に染まった2つのアイテムを取り出した。

蜘蛛が描かれたボトルを振ると、同じく蜘蛛のデザインのデバイスに装填した。

 

 

〈キルバススパイダー!〉

 

 

そして、腰にずっと装着していたベルト、ビルドドライバーにセット。レバーを回すと、蜘蛛の巣に似た形状のスナップビルダーが彼の前後に現れた。

 

 

〈Are you Ready!?〉

 

 

「変・身!」

 

 

〈スパイダー…スパイダー…キルバススパイダー!〉

 

 

「ハ〜ッハッハッハッ……」

 

 

前後のビルダーに挟まれ、中心の空間が歪むと、一人の仮面の戦士に姿を変えた。

黒のアンダースーツに身を包み、その上に蜘蛛の頭部、蜘蛛の手足の意匠を思わせる装甲を身に纏い、そして顔には蜘蛛の頭部の意匠の仮面を装着した。

その装甲の全ては、血のように真っ赤な赤一色に染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレは誇り高きブラッド族の王にして、この世界を、宇宙を、す・べ・て破壊する王………キルバスだぁ!!」

 

 

そこに居たのは、歪ながらも『普通』を選んだ青年の姿ではかった。

 

己が願望の為ならば、宇宙の破壊さえも厭わない破滅の使者、仮面ライダーキルバス!

 

人工知能アークですら理解不能な、度が過ぎる『破滅』願望を宿す狂気の王が、ここに復活した。

 

 

 

 

 



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捨札-Discard-

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・マイン@アカメが斬る!
・シーラE@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
・斉藤ケン@彼岸島


エリアH-8がホテル。その最上階の一室にて。

その部屋に相応しい女が居た。

妖艶で、神秘的で、それでいて恐ろしい女だ。

女は器用に腰から生えた髪色と同じ白い艶やかな九尾がつぶれぬように、恐らくそれ一個売るだけで一週間は贅沢に過ごせるだろう高い椅子に腰かけ、浮かべる笑みは思わず奈落を覗いてしまう時に近い感覚を覚える。

名簿には覇瞳皇帝(カイザーインサイト)と書かれた女は、文字通りの己の手札を確認しながら獲物が網にかかるのを待って居た。

彼女の配置されたホテルは、ほぼ人造物らしき物の見当たらないこのワンダーステージにおいて数少ない人造の建物。

このステージ内で当面の物資を得たいのならこのホテルか、同ステージ内のデパートに、恐らく物資豊富であろう隣の都心ステージに行きたいなら、ホテルのあるエリアのすぐ隣のエリアの大橋を使わなければならない。

序盤から動くという選択肢を取った参加者はこのホテルを無視できない。

そう踏んだからこうして待ちに徹しているのだ。

 

「あら?」

 

スタッフルームから失敬させてきた(・・・・・)従業員用の通信機が光ってるのに気付いた覇瞳皇帝は、それを取る。

 

「そう。それはよかったわ。早速実験と行きましょうか」

 

通信を終えると覇瞳皇帝は、口角を思いきり釣り上げた獰猛な笑みを浮かべる。

 

「さあ、まずは肩慣らしと行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として人ならざる力を発揮した斉藤ケンを追っていたシーラEは不意に聞こえて来た馬の蹄の音に足を止めた。

素早くそこにあった茂みに隠れ、音のした方の様子をうかがう。

やって来たのは桃色の服を着たツインテールの女だった。

やはり馬に乗っており、背にはデイパックを背負っている。

 

(陣営は、青。同陣営の厄介者の始末を理由に組める?

いや、完全に乗り気なら、首輪の色を見ただけで攻撃してくるでしょうね。

武器は……持ってはいないようだけど、どうすべきかしら?)

 

この女から情報を得るべきか、それともこのまま身を隠してやり過ごすか。

いざとなれば自身のスタンド、<ヴードゥー・チャイルド>で馬を驚かせて、その隙に倒すなり逃げるなり出来ると思う。

だが、さっきのケンの様に思わぬ反撃の手段を用意している可能性もある。

 

(迷ったなら……下手に打って出ない方がいいわね)

 

マインはしばらくそこにとどまっていたが、やがて馬を再び走らす。

 

「……そろそろホテルに着くぐらい、だったっけ?」

 

シーラEがそうつぶやいたのと、衝撃音と、ガラスが砕け飛び散る音が響いたのは同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁああ!?ぶ、ブラウン号!どうどう!」

 

突如響いた戦闘音にパニックになった馬を落ち着かせた桃色の女、マインは馬を降りると、エニグマの紙に収納し、代わりにSOPMODを取り出し、音のした方を警戒する。

そこはホテルの入り口。二つの人影が対峙している。

一つは、この天気なのになぜかレインコートを着用し、フードまでかぶった男、シーラEが追っている斉藤ケンだ。

体格的に間違いないだろう。

もう一人も体格的に男だろうと思われるが、多分、人間じゃない。

真赤な複眼と、腰に巻いた奇妙なベルトのバックル中央にはめられた真赤な石が夜闇の中、星に負けず輝いており、その光が黒いスーツのような皮膚と、赤と金の鎧のような外皮(?)が照らし出されている。

危険種というより、最愛の恋人であるタツミの帝具、インクルシオに近い印象を受けるそいつの名前は空我(クウガ)

悠久の時を経て西暦2000年に蘇った戦士にして、平成最初の仮面ライダーに数えられる者である。

 

「はぁ!」

 

大きく助走をつけ、ケンに殴り掛かるクウガ。

吸血鬼と化し、身体能力の向上したケンは、単純な殴り合い(ステゴロ)ならクウガに対抗できるぐらいの力を得ている。

対応するだけなら問題ない。

 

<ATTACK RIDE BLAST!>

 

だが、どこからか襲ってくる光の銃弾は別だった。

時にまるでミサイルかのようにホーミングして来るものだったり、どう考えても散弾銃を両手持ちでもしない限り、撃てないような弾数が襲ってくる。

今回はホーミングだった。

左足の膝を撃ち抜かれ、動けなくなった瞬間、クウガのパンチが決まる。

ガードはしたが、腕の骨は軋み、大きく吹っ飛ばされた。

凄まじい激痛が襲うが、流石は吸血鬼。

撃ち抜かれた足の血はもう止まっており、ファイティングスタイルを取りながらゆっくりとこっちに来るクウガの射程内に入るまでに立ち上がれるだろう。

 

(けど、それもぼちぼち限界だ。吸血鬼でも死ぬときゃ死ぬ。

じゃなきゃ殺し合い何て呼ばれねえし、流石にない腕生やすなんて芸当は、多分無理だ。

せめて銃の奴の姿が見えれば!)

 

もしホーミングと数を同時にやられたら、四肢のどれかは間違いなく吹き飛ばせる。

そうなったらケンはクウガに一方的にボコボコにされて倒されてしまうだろう。

 

<ATTACK RIDE BLAST!>

 

(また来る!)

 

しかも今度はクウガの突撃と同時だ。

ケンの残存体力、そして襲撃のタイミングもほぼ完ぺき。対応しきれない。

 

「ぐふっ!」

 

真赤な血がカップのジュースをこぼしたみたいに、草の上に飛び散る。

何もない所から突然(・・・・・・・・・)

 

「何!? うおっと!」

 

クウガにとっても想定外だったらしく、注意がそちらにそれている間にケンは飛来する光弾を避ける事が出来た。

 

「うっし!今日も神エイム!」

 

スコープ越しの流血に、姿なき狙撃手を捕らえたマインは、すぐさま第二撃を叩きこむ。

急所に当てたと確信できない時は、必ずダブルタップ。

今度はフルオートにして、血だまりの周囲を撃つ。

風景の中から浮かび上がる様に、長い白髪の妖艶な女が現れる。

手には、シアン色をした奇妙な銃が握られている。

 

(あの銃、帝具みたいね)

 

移動して回収しようとしたマインだったが、背後から戦いの場で嫌と言う程感じて来た黒い殺意を感じ振り返る。

何もいない。

だが透明化ならさっきも見たし、恋人であるタツミの帝具、インクルシオの機能にもある。

何のためらいもなく、最も黒さの濃い部分めがけて引き金を引いた。

 

「がっ……がぶっ!」

 

さっきスコープ越しに倒れたのと、全く同じ姿が腹部の銃創を押さえながら前のめりに倒れ、光と化して消えた。

 

(ホーミングに散弾に、透明化に分身!?

一体幾つギミックがあるの!?インクルシオでもないのにそんな芸当……)

 

「ぐぅああああああああああ!!!」

 

なんて考えていると、不意に野太い絶叫が響いた。

見ると、クウガがケンを思いきりホテルの中に放り込むようにぶん投げるところだった。

ガラスの自動ドアを突き破り、その中に入って行く。

クウガは追撃の手を緩めようとせず、自分もホテルの中に入って行く。

正直、遠距離主体の戦いを得意とするマインは、正体不明の敵と閉所で戦いたくなかったのだが、

 

「ま、一回助けかけたのを見捨てるのも気分が悪いし、色々情報も欲しいし、行きますか!」

 

それに次はいつ会えるか分からない同陣営……身内以外で戦う理由の無い相手なのだ。

銃の調子を今一度確認したマインはホテルに入って行った。

 

 

 

 

 

【エリアH-8/ホテル一階 入り口付近/1日目/深夜】

 

【斉藤ケン@彼岸島】

[状態]:吸血鬼、複数個所の銃創(止血済み)、疲労(中)

[服装]:いつもの服装(フードとマスク着用)

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]: 1枚(ケン)

[参戦時期]:加藤に噛みついた直後

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)

[思考]

基本:ユキのためにも、死ぬわけにはいかない。

1:シーラEから逃げる。その後どうする!?

2:宮本篤や雅、シーラEの話していた参加者を警戒。

3:こいつ(クウガ)一体何なんだ!?

4:撃ってきてたやつは死んだのか?

[備考]

※主に警戒するべき参加者についてシーラEと情報交換をしました。

※吸血鬼の再生能力の限界などに関しては後の書き手に任せます。

 

 

 

【マイン@アカメが斬る!】

[状態]:正常

[服装]:いつもの服

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(マイン)

[参戦時期]:少なくともタツミと恋人になってから

[装備]:M4SOPMODⅡ@現実

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

    ブラウン号@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

[思考]

基本:アークたちを倒して脱出する。

1:タツミたちと合流する。

2:基地に向かう。

3:エスデスたちやホロビたちを警戒。

4:ホテルに入って、レインコートの男(ケン)を助ける。

5:あの赤い鎧の奴(クウガ)には絶対に近づかれないようにする。

6:分身も透明化も出来る女(覇瞳皇帝)に最大の警戒。

7:この場を切り抜けたら、レインコートの男と情報を交換したい。

[備考]

※仮面ライダーゼロワンからの参加者の情報、及びアークの情報を入手しました。

※滅、雷のことは人間型帝具のような物と言う認識です。

※ネオディエンドライバーを帝具、召喚されたクウガを鎧を装着した参加者だと思っています。

※銃の残弾に関しては後の書き手に任せます。

 

 

 

【仮面ライダークウガの偽物(コピー)@仮面ライダージオウ】

[状態]:正常

[形態]:マイティフォーム

[召喚者]:覇瞳皇帝

[思考]

基本:ホテルに近づく緑陣営以外の参加者をホテルに追い込んで殺す。

1:まずはレインコートの男(ケン)を始末する。

2:追ってくるなら銃の女(マイン)も始末する。

[備考]

※このクウガはネオディエンドライバーによって召喚されたクウガです。意志のないNPCです。元となったライダーと似たような行為をしても、それはオリジナルを元にプログラムされているからです。一度召喚に使用したライダーカードは召喚したライダーが倒されると一時間、カードが失効状態になって使えなくなります。が、逆に言えば、倒されない限り、召喚者の命令に忠実位に動きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「3名様ご案内、というところかしら?」

 

サイドテーブルに置いたグラスをあおり、のどを潤しながら覇瞳皇帝はほくそ笑んだ。

グラスを持つのとは反対の手には、マインが戦った彼女の分身が持っていたのと同じ武器、ネオディエンドライバーだ。

 

「あの子たちはカードを持ってるのかしら?

あの銃の子は期待できないけど、他の2人はどうかしらね」

 

そう言って覇瞳皇帝はモニタールームに配置した分身から報告によれば、クウガと交戦しているレインコートの男以外にもう一人、ホテル入り口で入るかどうか思案している赤陣営の少女がいるとの事だ。

 

「おいでなさい。全員まとめて喰らってあげるわ」

 

恐ろしい女が、手に持つ銃を撫でながら、再び深い笑みを浮かべた。

それはさながら、ご馳走を前に我慢が効かない子供か、野獣の様だった。

 

 

 

【エリアH-8/ホテル最上階・VIPルーム/1日目/深夜】

 

【覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:Dive】

[状態]:健康、分身中(本体含め残り4体)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(覇瞳皇帝)

[参戦時期]:メインストーリー第一部終了後

[装備]:ネオディエンドライバー&ディエンドのライダーカード@仮面ライダージオウ

    ファイナルアタックライドのカード&各種アタックライドのカード(ディエンド)@仮面ライダージオウ

    クウガのライダーカード一式@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本:自陣営を優勝させる。

1:ホテルに陣取り、入って来た他陣営の参加者を殺害する。

2:まずはクウガを使って様子見。

  クウガだけでは手に余るようだったら分身に加勢させる。

3:分身の耐久力は普通の人間と同じなのね、注意しないと。

4:美食殿及び他の七冠に対しては保留。邪魔をするようなら始末する。

[備考]

※制限により、『戦略級の攻撃魔法』と『覇瞳天星』が使用出来ません。

※ネオディエンドライバーで召喚できるライダーは最大3人までです。

※ネオディエンドライバーは、変身せずともアタックライドの効果を発動できます。

 現在イリュージョンとインビジブルを発動中です。

※現在稼働中の3体の分身の内1体はホテルのどこかのモニタールームに詰めています。

※G3~ゲイツの歴代2号ライダーのカメンライドカードは、ファイナルアタックライドのカード&各種アタックライドのカード(ディエンド)に付属しません。

 

 

【エリアH-8/ホテル入り口前/1日目/深夜】

 

【シーラE@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】

[状態]:健康、迷い

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]: 1枚(シーラE)

[参戦時期]:本編終了後

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)

[思考]

基本:死ぬつもりはない。どう行動するかという迷い。

1:このままケンと女(マイン)を追ってホテルに入るorフーゴとの合流を優先する

2:フーゴ以外の知り合いと、ケンの話していた吸血鬼を警戒。

3:あれ(クウガ)はスタンドじゃない。いったい何者?

[備考]

※斉藤ケンと情報交換をしました。主に警戒するべき参加者について。



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帰り道

作者
・ユッケジャン

登場キャラ
・宮本明@彼岸島
・書き手枠@彼岸島


此処は何処だ。

眼前に広がる雄大な大自然は、瞠目する程に美麗で幻想的。

世界中、知り得る限りを探しつくしても決して見つからないであろう仙境。

純粋に創作だけを楽しめた"あの頃"ならきっと爛々と目を輝かせていた。

だが、どれだけ不明瞭でもはっきりわかる。

これが上辺だけを見繕った薄っぺらで醜悪な"何か"だと言うことは。

 

ここは余りにも昏く騒がしい。

何より際立つのは、匂いだ。

糞の匂いにすら劣る、鼻がひん曲がりそうな程濃厚な死臭。

間もなく築かれんとする骸が先んじて発しているかの如く、プンプンと漂ってくる。

これが理想郷であろうものか。

至る所に"死"の気配を感じる…地獄の底と形容するに相応しい魔境。

 

だが、どうでもいい。

この地が何処かは関係ない。

自分の現在地に興味はない。

見しらぬ誰かがどうなろうと、関心は抱かない。

 

重要なのは"ヤツ"の居場所だ

 

貴様は一体何処に居る。

来ているんだろう、凄惨たる地獄へ。

巻き散らすのだろう、愚かな人間達に絶望を。

待ち焦がれているんだろう、飽くる事なき争いを。

 

上等だ。

一番望むものをくれてやる。

だから待っていろ。

何処に居たって必ず見つけ出してやる。

例えこの身が擦り切れようと必ずヤツの下に辿り着き───

 

───そして殺す。

もう二度と貴様らのせいで悲劇が起こらないように。

もう二度と貴様らのせいで大切な何かを失わないように。

今度こそ永遠に等しいその腐った命を絶ってやる。

俺達に纏わりついたクソみてェな運命をぶち壊してみせる。

 

吸血鬼共を根絶やしにする。

それが仲間達と交わし合った――俺に果たせる最後の約束だ。

 

 

◆◆◆

 

 

 

男が一人、其処にはいた。

ハァハァと息を荒げ、無精髭を伸ばし、古ぼけた外套に身を包む男。

外見のみなら浮浪者とも読み取れるみすぼらしい姿。

だが実際に彼を前に立って、そのような結論を出す大馬鹿者はいない。

全身より満ち満ちた圧倒的な覇気。見た者を震え上がらせる殺意の宿った鋭き眼光。

その姿、正に修羅そのもの。当然だ、彼は人ではあるが只人ではない。

人間を超越した化け物"吸血鬼"。そんな人外達すらその名に恐怖する人類の救世主。

ワンダーステージ、H-9。宮本明は其処にいた。

 

見通しの効かぬ暗がりの中、明は果てなき大自然を只管に突き進む。

ふわりと湧き上がるシャボン玉。その全てが彼を避けて空高く舞っていく。

まるで威圧感に気圧され、自らの意思を以て道を譲り渡すかのように。

そんな異様な光景さえ彼の視界には入らない。端から不純物など映す気すらない。

唯一瞳に映るものは、道だ。

脳裏より焼き付いて離れない、ただ一人の鬼の元へ向かう為の一本道。

 

吸血鬼の王、雅。

その打倒に生涯を捧げると誓った世界から滅ぼすべき悪魔。

探し求めた宿敵が、島の何処かにいる。

死の楔からの解放された不死者としてではない。

殺せば死ぬ。

生物として当然の法則に当て嵌められた、哀れな殺し合いの一参加者として。

雅は明と同じ立場まで転がり堕ちてきた。本土上陸時には予想だにしなかった絶好の機。

クソ女の歪んだ欲求を満たす玩具にされたとしても、関係ない。

雅への激情が胸中で燃え続ける限り、復讐鬼は進み続ける。

 

命を賭けてでも守るべきものは何一つだって守れやしなかった。

全てを投げ捨ててでも助けたかった者は悉くこの手から零れ落ちた。

崩壊した日本では「救世主」などと揶揄されているが、現実は違う。

肉親も、友も、師匠も、仲間も、故郷さえも、自分は救えていない。

何が英雄。何が救世主。滑稽極まる、笑い話も良いところだ。

寧ろ日本人全員に恨まれるべき大戦犯と言ってもいい。

 

それでも闘いから逃げる事だけは絶対に出来ない。

宮本明の命は既に自分一人の命ではなくなっているからだ。

吸血鬼による悲劇を目の当たりにする度、倒れた者達の思いを背負ってきた。

抱えきれんばかりの無念と絶望、そして願いと希望。

それらを背負っている限り、明に放棄など許されない。

例え希望の名に相応しくなくとも、救世主の称号を背負う気がなくとも。

課せられた使命だけは、誓い合った約束だけは、必ず全うする。

 

吸血鬼を滅ぼす。

それだけの為に今も生きている。

雅を殺す。

それだけが果たせればもう何もいらない。

 

その先の事は―――考えない。考える必要もない。

 

(…付けられてるな)

 

進み始めて間もなく明は付近に漂う他の気配に気づいた。

しかし歩みは止めない。何食わぬ顔で黙々と歩を進める。

飽くまで気づいていない振りを装い、相手が仕掛けるのを誘う。

暗い森は"ヤツら"の領域。下手に敵の懐へ攻め込むのは得策ではない。

狙うべきは先の後。

自分を狩る側と勘違いして飛び掛かって来た捕食者を殺す方が格段に容易い。

 

(吸血鬼…貴様らは何処にだって湧いて出てきやがる)

 

自信の身体に纏わりつく視線に明は覚えがあった。

彼岸島や本土での闘いの中、飽きるほど浴びてきたそれは吸血鬼に依る視線。

この会場にいて明が知りえる吸血鬼は二人。だが、視線の主はそのどちらでもないだろう。

篤も雅も標的に気取られるヘマは侵さないし、そもそもコソコソと隠れる真似などしない。

吸血鬼の中でも隔絶した強さを持つ二人だ。悠々と、或いは堂々と、真正面から対峙するはず。

況してや目の前の相手が彼らにとっても最大の宿敵、宮本明であるならば猶更。

今後ろに潜んでいるのは縁もゆかりもない本土の吸血鬼だろう。

雅、或いは蘇った兄、篤でなければ、明には興味のない相手。

だが相手が吸血鬼ならば、見逃す理由も同じくない。

 

(元を正せば俺が巻いた種だ。ここで始末をつける)

 

吸血鬼は皆憎むべき敵だ。しかし同時に彼らは犠牲者でもある。

雅に敗北した事でばら撒かれた吸血鬼ウイルスによる犠牲者。

本土で起きた惨劇には明にも責任の一端がある。

許しは請わない。許してもらえないだろうし、明自身許してもらう気もない。

ただせめて。これ以上誰かを殺す前にすっぱり終わらせてやる事こそが明なりの弔いだ。

 

(中々襲ってこないな。用心深いヤツだ)

 

吸血鬼は己の感情や欲望に忠実な生物。

余程の力量や精神性を持っていなければ、粗暴で衝動的な行動に走りやすい。

中でも人間の血に関する欲求は特に顕著だ。

慢性的な吸血衝動から来る耐えがたい渇き。

同族も恐れる変異体「邪鬼」への変貌に対する遅行薬代わりなど。

吸血すべき切実な理由があり、人の血液は生活上切っても切れない関係性にある。

 

故に人間が無防備な背を晒していれば、嬉々として襲撃するかと予想していた。

しかし、その読みに反していつまでもその時は訪れない。

膠着状態。これは明にとって好ましくない展開だ。

危惧すべきは参加者との遭遇。

もしこのまま問題を抱えたまま他の参加者と出くわせばどうなるか。

同陣営ならいい。他陣営でも友好的ならまだ問題ない。

だが、敵対的な参加者と今出会うのは少々不味い。

敵への対応に追われれば、否が応でも潜伏者へ注ぐ意識の割合を削られる。

何らかの要因で隙を見せてしまえば、その後無傷で奇襲を凌ぎ切れるとは断言できない。

 

(他と出くわす前に片をつける必要がある。止む負えないがこっちから仕掛けるか)

 

敵は忍耐強く警戒心も高い。

恐らく標的からの攻撃に対しても何かしら備えがあるだろう。

そんじょそこらの有象無象とは一緒に出来ない相手。

懐に飛び込むにはそれなりのリスクが伴う。

が、その程度の死線ならば幾度となく乗り越えてきた。

根気勝負で言えば明の負け。

だが、命を賭けた真剣勝負においては譲るつもりは断じてない。

 

勝負は一瞬。

如何に迅速に、かつ何もさせず、事を終えられるかにかかっている。

蠢く獣の気配が、大木の陰に移動したのを感じる。

それを歴戦の勇士は機と捉え、奇襲を実行へと移す。

 

ダ ッ

 

急転換。

明は凄まじい速度で来た道を一直線に逆走。

進行方向、立ちはだかるは、見上げる程真っすぐ伸びた巨大な大木。

減速は行わない。その代わり、明は手を抜いた。

文字通り『右手』を抜き放ち、出現するは使い古された仕込み刀。

腕に生えた刀を構え、間近に迫る障害物目掛け大きく振りかぶり――――――

 

ザ ン ッ

 

――――一刀両断。

 

人体より遥かに強固な大木が一息に、上下二つに分かれる。

武器は何の変哲もない仕込み刀。従って切断は使い手の力量のみで行った。

今の斬撃には誰の、何の力も関与していない。

まさしく人間離れの荒業。吸血鬼ですら可能か怪しい芸当。

だが、宮本明はれっきとした『人間』である。

親も育ちも平々凡々。生まれついての異能などとは全くの無縁。

ただ人より少々想像力が豊かなだけの生粋の一般人。

 

彼を変えたのは彼岸島にて体験した幾多の悲劇と試練。

常人では耐えがたい程の苦痛を明は全て乗り越え己の糧とした。

結果、彼は人として辿り着きうる限りの高みにまで至った。

雅は語る。吸血鬼は人間の上位種。新人類としてあるべき姿なのだと。

しかし、己を捨て、異形とならずとも人間は無限に成長できる。

その生き証人こそが宮本明なのだ。

 

一閃。それだけで障壁は取り払わた。

分かれた幹の合間より、隠れ潜む敵の姿が露わとなる。

ズルリと大木が真横へ傾き倒れる――――のを待つ時間すら惜しい。

制止は不要と地を踏み込み更に加速。

僅かにズレた大木の脇を飛び越え、仕込み刀を構え直す。

 

(たたっ斬る…!)

 

最早一切の反応も許さない。

敵の懐へと肉薄し、全身に刃を滑らせるだけだ。

初めに首を断ち、次に四股を切断、最後は残った部位を滅多切り。

一連の解体プロセスを、明はものの数秒で実行出来る。彼にとっては最早流れ作業に等しい。

決まれば如何に不死身の吸血鬼なれど確実に再起不能。

唯一の例外怨敵たる"雅"を除いて、肉塊からの完全復活など出来はしない。

 

迫り来る死を前に、相対する吸血鬼は棒立ちだった。

避ける素振りはない。否、避けられないと言うのが正しいか。

目の前の異常事態にあっけを取られ、全く反応出来ていない。

人間を超越した怪物、吸血鬼ともあろうものが。

それ程までに凄まじいのだ。宮本明は、彼が仕掛ける電光石火の奇襲は。

吸血鬼はなすすべもないまま、無慈悲に刃が総身に叩き込まれる

 

――――瞬間、刃は寸前で制止した。

 

殺意で固定された鋭利な両眼が驚愕に大きく見開かれる。

何故、此処に。

疑問を発する声はか細く、夜風と共に掻き消えた。

白く変色した髪、口から覗く鋭く伸びた牙、醜く焼き爛れた頬、似合わない気取った黒スーツ。

その姿は忌まわしき悪鬼の特徴そのもの。

しかしどれだけ昔と掛け離れようと、トレードマークの知的な眼鏡は変わらない。

もう思い出の中にしかいない、その思いを背負ったはずの男。

身体を支配する動揺冷めやらぬままに明はその名を呟いた。

 

「西山…!」

 

「また会ったな、明」

 

雅を求め彷徨い辿り着いた大阪の地にて。

この手で葬った、いるはずのない旧友がそこにはあった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

ズン―――と、大きく地面に沈み込む音が明を喪失から引き戻す。

 

 

我に返った瞬間、急いで飛び退き西山と距離を離した。

警戒を強めながら抜き身の刃を向け、改めて彼と対面する。

 

死人と対面した事に深い驚きはない。受け入れる余地はあった。

如何なる形で、如何なる手段を以てかは分からずとも。

兄、"宮本篤"の名を見た時から蘇りは存在するのだと、既に突き付けられていたから。

だが、名簿にすら記載されていない死者が迷い出る可能性。

こればかりは明の頭から欠けていた。不意に襲った特大のイレギュラー。

如何に鉄心と言えど心かき乱されるには十分だった。

 

「…お前は誰だ。本当に西山なのか」

 

混乱下なりに思考を巡らし、真っ先に思い当たったのは幻覚。

彼岸島の五重塔で出会った混血種(アマルガム)まり子。

彼女の催眠ガスによって都合のいい幻を見せられた経験が明にはあった。

死んだ兄との人としての対面。無心で身を任せたくなる程の甘い甘い夢。

咄嗟の機転と生前交わした篤との誓いが無ければそのまま死んでいただろう。

 

西山と同様、名簿にまり子の名は無い。

邪鬼なら兎も角混血種は同一個体が生まれる可能性は限りなく低い。

だが、似た能力を持った個体が何処かで現れる可能性は大いにある。

本土で吸血鬼になった人数は膨大だ。そこから幻覚能力を持つ鬼が生じても不思議はない。

 

拳を強く握りしめる。

生身の右腕が訴える微かな刺激。痛みは夢幻から目覚める解決策の一つだ。

しかし、明の神経はこれは幻覚ではないと厳しく教えてくれた。

自分の中だけでは判断が全くつかない。ならば言葉。問いかけによって答えを出すしかない。

しかし違和感があれば直ぐに斬る。…本来ならば、対話すらしてはならないのだが。

常人ならば忽ち萎縮する強烈な視線に晒されながら、やがて西山は静かに口を開いた。

 

「…死人に会ったんだ、気持ちは分かるぜ。俺だって何が何だかさっぱり分からない。

 ユキと一緒にみんなに会いに行くはずだったのに…気づいたらこんなとこにいてさ。」

 

語調や表情に荒立った様子はなかった。

雅の振りをする時の尊大さや吸血鬼らしい凶暴性は欠片も感じられない。

最期に見せてくれた西山らしいフレンドリーな口調だ。声から伝わるのは困惑と動揺。

大阪での死と地続きな台詞も相まって、偽物の白々しいすっとぼけにはどうにも見えない。

 

「此処は地獄じゃないんだよな?お前も死んじまってとか…。」

 

「ああ、ここはあの世じゃない現実だ。まぁ…地獄と言い換えても問題ねェだろうが。」

 

「ハ、それは確かに。言えてるな」

 

「だがな。俺が警戒してるのは死人だからって理由じゃない。

 西山、俺の名簿にはお前の名は無かった。これはどういう事だ?」

 

やはり最重要事項は何故名前が載っていないのに参加しているのか。

そんな明の問いに対し、何の事か分からないと怪訝な表情を浮かべる。

 

「名簿?いや待ってくれ、俺の名簿には確かにオレの名前が―――」

 

「動くな」

 

支給品に手をかけようとする動きに待ったをかける。

旧知の仲である友に掛けるには冷酷過ぎる声色。

一気に眼前から吹き上がる殺意に西山の頬が汗で滲む。

 

「…説明させてほしい。恐らくだが、名簿を見せなければまともに説明できない。」

 

「そういって出す物が名簿じゃない可能性がある。そのままで解決出来る答えを見せてくれ。」

 

「………」

 

沈黙。

現状のままでは納得出来る答えは出せないと答えているようなものだ。

答えを示せと言う癖に行動を縛る。理不尽な物言いと理解しつつ。

非情に徹するべく、明は小さく息を吐いて気持ちを切り替えた。

 

「質問を変える。かなり前から尾行していたようだが、何故直ぐに俺の前に出てこなかった。

 興奮した目を向けてもいたな。何か、後ろめたい事でもあるのか?」

 

明が吸血鬼と断定したのは気配と視線だ。

肉食獣染みた獰猛さと人間らしい感情的な視線。吸血鬼は両者が介在する独特なもの。

今のような穏やかな状態であるならば、恐らく識別は出来なかっただろう。

何より隠れ潜む動機が分からない。敵意がないのなら堂々と前に出てくればいい。

それが普通だ。合理的に考えれば。

 

「後ろめたい事があるわけじゃない。

 ただちょっと…いきなりお前と会っちまって、動揺しちまったんだ。

 流石に、目を変色させながら出ていく訳にはいかねェだろ。」

 

だが、感情論で考えれば話は別だ。

急に蘇って、急に放り出されて。必死に状況把握を行い。

何とか歩き出してみれば最初に出くわしたのが、己を殺した親友と来た。

興奮は何も敵意から来る感情じゃない。混乱や歓喜からでも生まれる。

どんな形であれ、生み出された興奮は簡単に吸血鬼の性質を引き出す。

そんな状態で殺意剥き出しにしながら歩く男の前に堂々と立つ度胸はない。

何せ殺意の対象だ。何も話せないまま殺されるのだけは避けねば、とそう考えていた。

 

「頼む明、説明させてくれ。敵と思われるのは別に良い。

 けどこのままお前に偽者と思われ続けるのは…辛い。」

 

言葉だけでは力不足。証拠を見せなければやはり意味は無い。

西山は訴える。しかし、明は険しい表情を変えぬまま、きっぱりと。

 

「…駄目だ。信用できない。何よりも―――」

 

一度友に突き立てた刃を再び同じ相手に突き付ける。

 

「吸血鬼化した者は誰だろうと斬らなきゃならん。例え肉親でも―――仲間であってもだ」

 

十中八九、西山は本物だ。

叶うなら要望にも応じてやりたい。

だが本懐を成し遂げるまで、決して死ぬことは出来ない。

元は仲間でも甘さを見せれば、それは死に繋がる。

吸血鬼相手に決して情けを掛けない。彼岸島で学んだ鉄の掟だ。

例え本物だろうと立ちはだかるなら誰であろうとたたっ斬る。

これ以上斬れない理由が増える前に。

 

「・・・そりゃ信じられないよな。」

 

友人から向けられる拒絶と殺意に西山は深い動揺は見せなかった。

観念した様に苦笑する。最初からこうなる。元より心構えが出来ていた反応だ。

 

「いいんだ。どうせ…俺はもう死人なんだ。

 死ぬのは怖くないし、お前にならまた殺されてもいいと思ってる。」

 

でも、最後に一つだけ。

そう言って惜しむように手を突き出し、残る片手で懐を探りだす。

何が飛び出すか分からない以上、余計な動きをさせる訳にはいかない。

例え最期の頼みがあっても。それは既に大阪で聞いた。

これ以上は不要。だが、駆け出すよりも速く西山は行動を終えていた。

超人と化した明が驚く程に、最初の対応が嘘の様な速さだった。

 

 

「ダメじゃないか。ちゃんと持っててくれなきゃ。」

 

 

内ポケットから取り出したのは一枚の写真。

保存状態は最悪だ。傷だらけで、血がこびりついている。

それでも、血や泥では決して汚せない。

在りし日の輝かしき思い出が綺麗に切り取られていた。

 

 

「俺達の形見なんだからさ。渡した傍から誰かに盗られるとか…許さねぇぞ、明」

 

 

おもむろに自身のコートを探る。

隅々まで探し回って。

友より託された大切な宝物が無い事に今更気づいた。

殺し合いに不要な持ち物としてアズに没収され、再分配されていたのだろうか。

それをまさか最初に会った参加者が持っているとは、一体どんな偶然だ。

 

―――気づけば、勝手に手が伸びていた。

斬る事じか出来ない冷えた右腕ではなく、血が通った左腕で。

一体、何をやっている?殺すのではなかったのか。

強く警鐘を鳴らす頭を無視して、震える手で明は写真を受け取った。

 

写真の中では友と恋人が笑っていた。

二人ともあの頃と変わらない穏やかな笑顔で。

顔を戻すと友が死を待っていた。

微かに震えながら瞑目し、静かにその時を。

 

なんて、なんて都合のいい光景。

警戒する幻覚にピタリと一致する状況だ。

やっぱり偽物なんじゃないか。若しくは弱い自分が投影した甘ったるい錯覚。

このペテンから覚めれば悍ましい吸血鬼が舌舐めずりしているのではないか。

即座に切り捨てろ。さっさと先に進むか次の脅威に備えるべきだ。

雅を殺すのに余計な寄り道なんてしている場合じゃない。

 

 

でも―――

 

 

 

「…明?」

 

 

 

―――ああ、本当にダメなヤツだ。

 

 

 

「やめだ」

 

 

 

―――やっぱり、俺は甘さが抜けきらない。

 

 

 

「もう少しだけ、お前と話がしたい。」

 

散々痛い目にあっても非情に徹しても。

何処まで行っても英雄や救世主などではないのだ。

宮本明はどうしようもない程に人間なのだと自嘲して、剥き出しの刀をゆっくり納めた。

 

 

◆◆◆

 

 

 

「なんだこりゃ。ホントにポツンと書いてやがる」

 

切り倒された丸太の上に座り、明は西山より手渡されたタブレットを覗く。

見せられた名簿には明の物と同じく130人の名。

しかしただ一点、自身の名簿とは違う点が存在した。

名簿の最終番、130より下。

其処には大量に列挙された???と共に、西山の名が隔離されるように書かれていた。

 

「???と書かれた列を数える限りでは俺含めて20人程。

 運営から意図的に隠されて連れてこられた参加者がいる。ヒデェ事思いつくよなアズは。」

「なんだってそんな事…いや、そうか」

 

参加者の秘匿。

死の危険性が限りなく迫った極限状態下。

そこに名簿にもない参加者が突然現れたらそう簡単には信用など築けまい。

況して死人まで紛れ込んでるとあっては混乱は更に加速する。

勝手に疑心暗鬼に陥って、しなくてもいい殺人を侵す。

その姿は傍から見ればさぞ痛快だろう。

明らかに無駄な事の為に労力を掛けるのかと問われれば、あの連中ならする。

どうしても違和感の残る幻覚や偽物説よりもしっくりくる内容だ。

 

「ちくしょう…!!ふざけやがって、あのクソ女」

 

危うく本物を偽物と断じて殺すところだった。

それが西山にとってどれ程つらい事か。

ただ殺す以上の傷を与えて、親友を地獄に送り返すなど想像もしたくない。

湧き上がるアズへの激しい怒り。狙って配置したのだとしたら趣味が悪すぎる。

流石は殺し合いなんぞを主催するだけあると言うべきか。

 

「…納得してくれたか?

 正直、言い訳として都合が良い話ではある。まだ俺を殺すべきだと思うなら…」

「いや、事情は納得出来た。今は少しでもお前から話を聞くのが重要だ。

 …すまなかった。意固地にならず、もう少し速く冷静になっていれば…」

「明は間違ってないさ。こうして話せる事自体、奇跡みたいなもんだしな。」

 

元は仲間でも今は人間と吸血鬼、敵同士。

本来なら有無も言わさず殺し合いが始まっても不思議じゃない。

腰を落ち着けて、穏当に話し合いが出来てるのは有り得ざる状況だ。

 

「逆に聞くが、もう俺を殺そうって気はもうないのか」

「無茶言うなよ。ユキがいて負けたんだぜ。俺一人じゃ明に勝てっこないさ。

 それに見ただろ?お前が襲い掛かってきた時、何も反応出来なかった。

 邪鬼使いじゃなければオレはそこら辺の吸血鬼と殆ど変わらない」

 

西山は見ての通り頭のいい奴で、頭脳専門だ。

知識を活かした爆弾制作や作戦立案、集団の指揮統率を執るのが本領。

大阪での統治も大部分は邪鬼化したユキの影響力だが、彼の統率力も一役買っていたはずだ。

しかし彼岸島で鍛えられたとはいえ、直接戦闘にはあまり向いていない。

明との戦闘も邪鬼に頼りきり。

はっきり言ってしまえばそこらの吸血鬼と実力に差異はないだろう。

 

「それに…出来るならもう仲間と殺し合いなんて二度と御免だ」

「――――俺もだよ、西山」

 

互いの言葉を聞いて、二人は破顔した。

そうだ。当たり前のことじゃないか。

実益や実力の話じゃない。これは感情の話だ。

苦楽を共にした友と殺し合うなんて誰がしたがる。

もし闘わなくていいのなら、しない様にするのが当然だろうが。

もうまっぴらだ。

仲間が敵になるのも仲間殺しに苦しむのも、全て。

 

「なぁ、今度こそ一緒に行かないか?」

「明…」

「状況は滅茶苦茶で、分からない事だらけだ。先の見通しも全然見えてこねェ。

 だがこんな状況だからこそ、また戦えると思わないか。」

 

死の間際に和解する事が出来た。またもう一度友に戻る事が出来た。

大阪で二人を縛り付けていたしがらみから解き放たれたのなら。

仲間として、また肩を並べる事も出来るのではないか。

一緒に行けたからとて問題が解決するわけではない。

後から考えるべき事は山積みだ。現実逃避と呼ぶに等しい行い。

それでも。理が乱れに乱れた異常事態だからこそ、出来るのではないか。

残酷な運命にも抗えるのではないかと。

 

「…まだお前は俺にそう言ってくれるんだな。本当に、優しいヤツだよ」

 

西山は明の言葉を噛み締める様に俯く。

少しの思巡の後、顔を上げて

 

「俺も一緒に戦えるならこんなにも嬉しい事はない。

 けどもし行くなら…一つだけ、願いを聞いてほしいんだ。」

 

完全に拒絶された大阪の時とは違う肯定的な返答。

明の顔には隠しきれない喜色に満ちていた。

 

「なんだ、言ってくれ。俺に出来る事ならなんだってする。」

 

友人の頼みだ。

もう聞けるはずもなかった願い。叶うはずもなかった未来。

それが出来るなら何でもしてやりたい。

明は一個人として、年相応の柔らかな態度で耳を傾けた。

 

 

◇◇◇

 

 

この時、明は酔っていた。

 

 

僅かに見えた淡い淡い希望に。

 

 

死んだ仲間と共に語れる幸福に酔っていた。

 

 

嵌ってはいけない夢に嵌ってしまっていた。

 

 

だからだろう。

 

 

「―――俺と一緒に、殺し合いに乗ってくれ、明。」

 

 

 

突然の衝撃に敢え無く言葉を失ったのは。

 

 

 

◇◇◇

 

 

「は…?」

「俺たちで優勝して、吸血鬼をこの世から最初からいなかった事にするんだ。」

 

ようやく絞り出せたのはたった一文字。

しかしそんな掠れた声一つで現実が止まる訳もなく。

 

「あんな百害あって一利なしなクソ共は歴史ごと消しちまった方がいいに決まっている。

 感染元が無くなれば誰も吸血鬼にならない。そうすれば全部元通りだ。」

「…自分が何言ってるのか、分かってんのかよ」

「あ、でも師匠は別だよな。あの人と他のクソ吸血鬼共を一緒にしちゃ行けねぇや。

 そこは…何とか上手い事できりゃいいんだけど。ハハ、融通利かないかなぁ」

「そういう事を言ってるんじゃねぇ!」

 

明は西山の胸倉を掴み上げ言葉を遮った。

友の口からこれ以上、殺人を前提とした未来予想図を聞きたくなかった。

開始前のホール。あそこで声を上げた面々は間違いなく人だ。

加えて未だ不明の19人。この中に他にも仲間が巻き込まれている可能性がある。

どうして人間を殺す必要がある。なぜ西山がまた仲間を殺さねばならない。

激情に揺れる明と努めて冷徹な表情の西山。二人の熱は完全に逆転していた。

 

「…名簿を見たなら知ってるよな。ここには雅がいる。

 信じられるか?あの雅をだぞ。まるでオモチャ扱いだ。

 それに俺や明の兄貴…篤さんもいる。ハ、ものの序みてェに死人まで蘇らせやがって…。

 俺達がどんなに焦がれても、ぜってェ出来なかった事をアイツは平然とやってのけたんだ。」

 

魑魅魍魎が跋扈する彼岸島の頂点にして、日本、国一つを陥落させた怪物。

海外諸国ですら手を焼く存在を奴らは手中に収め、単なるお遊びの一参加者へと置いた。

それ以上に有り得ないのは死者の参戦。蘇りなど今後何百年経っても実現不可能な技術。

全能に等しい力をアズは特別ひけらかす訳でもなく、何でもない事の様に扱っている。

超人達を理外の力で捻じ伏せ、死者蘇生の禁忌を容易く叶える。

その所業はまさしく―――

 

「俺にはアズが神に見えたよ。吸血鬼になって、初めて雅を拝んだ時以上の衝撃だった。

 アイツは、俺たちのクソッタレな運命を変えてくれる女神だ。」

 

吸血鬼と化してから西山は絶えず力を渇望していた。

憧れた友の様に強くなれず、愛した女一人さえ守れず彼女共々鬼と化した。

無力感は失意の中、怨敵雅の神々しさに触れ、羨望を抱く程に強く、そして重い。

後の惨劇を起こす一因にもなった雅の威光。その衝撃すらアズは軽く飛び越えてみせた。

そんな事をされてしまったら、もう屈するしかない。

例え邪神であったとしても、神の救いに縋るしかないではないか。

 

「だからってあんなクソ女の言うこと信じて殺し合いに乗るのか!?

 アイツに魂売ったって、馬鹿正直に願いを叶えてくれるわけがねェ!!」

「信じるとか信じないとか、そういう次元じゃない。もう、これしかないんだ!!」

 

西山は明の腕を振り払い、拘束を強引に解く。

人間の三倍である吸血鬼の膂力を以てすれば造作もない。

興奮によって両眼が赤黒く変色していく。人の理から外れた、吸血鬼の特性。

そんな人外たる者の証から何よりも人間らしい涙を零して。

親友は胸中にある一番の願いを吐露した。

 

「帰るんだよ!俺たちの商店街に、楽しかったあの頃へ…!

 俺達や加藤だけじゃない!ユキもケンちゃんもポンも篤さんも、死んじまった皆、全員でだ!」

「みんな、で…」

「そうだよ!一人も欠けずに、みんな全員で帰るんだ!それが…俺たちの約束だっただろ!?」

 

吸血鬼の全滅。

それが散っていった仲間達と交わした大切な約束。

今日まで生きてきたのは己の復讐の為であり、皆の悲願を叶える為であった。

しかし、それだけではなかったはずだ。

いつの間にか殺意と諦念によって掻き消えてしまった約束。

もう果たせない、遠い遠い過去のものとして処理していた本当の約束。

 

吸血鬼の存在が消えれば、必然的に吸血鬼を巡る悲劇も消えてなくなる。

誰も血生臭い世界を知らずに生きる未来を取り戻せる。

つまらなくてしみったれた生活の中で悶々と妄想に耽る日々。

それでも大切な兄や仲間達と過ごせる掛け替えの無い日常だ。

ただ物語を書いて、披露して、面白いだのツマラナイだのとみんなと笑い合う。

そんなありふれた人生が本当に、取り戻せると言うのか。

 

「それに…アズとは同類なんだよ。どうしようもない悪なんだ。

 だから悪魔が悪魔に魂を売ったって、たいした問題じゃないのさ」

 

邪鬼や配下に命じて幾人もの人間を殺し、その血をすすって来た。

吸血鬼達から支持を得る為に生贄制度を強いたりもした。

彼岸島にてその残酷さを嫌と言う程学んだはずなのに。

ユキに報いる為、心の底から悪魔になり切ろうと悪の道を突き進んできた。

西山は誰よりも心優しい。それ故に今更都合よく善人面など出来る訳がない。

 

「俺は全部話したぞ。どうなんだ明。一緒に、来てくれるのか。」

「―――お、れは…」

 

答えられなかった。

不確かな希望を信じて吸血鬼の様に人間達を斬殺する事も。

分かり合えた友を拒絶し、二回連続で斬殺する事も。

心の留め金が緩んでしまった今の明に即決出来る力は無かった。

 

「一緒に来てくれないなら…もういい、俺は行くよ。

 殺さないといけない敵は、人間共はわんさかいるんだからな。」

 

そのとき西山が見せたのは吸血鬼らしい獰猛な殺意。

抑え込んでいた悪意を剝き出しにして、彼はその場を立ち去ろうとする。

止めなくては。友にもう二度とそんな真似をさせる訳にはいかない。

覚悟を決めた明は、遠ざかる無防備な背に腕を伸ばし、

 

「――――ッ!待て西山っ!」

 

『待て』、と一言叫んだ。叫んでしまった。

咄嗟の選んだ選択肢は、歴戦の戦士らしからぬ余りにも生温い答え。

 

「――――待て?そうじゃないだろ」

 

明の希望通り、西山は立ち止まる。

しかし振り返った顔は過ごして来た中で一番、激しい憤怒に染まっていた。

 

「人間に仇なす吸血鬼がいたら、躊躇なく殺す。情けをかけてはいけない。

 それが掟だったはずだ。自分が言ったこと、もう忘れたのか」

 

感染者に情けをかけるな。肉親だろうが仲間だろうが必ず殺す。

吸血鬼の世界と化した世を生きていく為の掟。

先ほど自分が言った事ではないか。

事実最初に対峙した時は、掟に従い西山を葬るつもりでいたではないか。

これまで幾度も実行してきた明らしからぬ躊躇い。

 

「やれよ、簡単だろ?もう何回もやってるんだからな」

 

大きく両手を広げて、西山は堂々と隙を晒して見せた。

憎たらしい皮肉をたっぷり織り混ぜた挑発を口にしながら。

態度で持って、明に覚悟を問いかける。

 

簡単なものか。

友を戦う事が、殺す事が、そんな気安いもので、あってたまるか。

化物になった仲間と対峙するだけで、泣き崩れそうになった。

やっとの思いで攻撃を加える度に、心が張り裂けそうになる。

それでも刃を振るえたのは、弱いなりに必死に押し殺してきただけだ。

殺した相手の為に必死に乗り越えて、ここまで築き上げた張りぼてに過ぎない。

 

西山も、きっとそれは分かってる。

それでも煽って見せたのは再び悪に染まり切る覚悟の証であり。

同時に―――止めてほしさもあったのかもしれない。

再び始めんとする凶行を他ならぬ親友の手で。

 

「くッ…!」

 

その思いに答えてやるべきなのに、右腕が動かない。

情の鎖が行動を阻害する。

そして情以上に、西山の方が正しいのではないか。と心が負けてしまっている。

赤の他人の命なんぞより仲間の未来の為に闘う方が良いのではないかと。

やはりあの時に殺しておくべきだった。情を噛み殺せていたあの時に。

友の命を救いあげてしまったばかりに、引き金を引いてしまったのだ。

 

「乗るのも嫌、殺すのも嫌…か?ふざけるな、虫が良すぎるぞ。

 俺が憧れた…大阪で俺とユキを殺した時の明はそんな優柔不断野郎じゃなかったはずだ…」

 

西山の口調に怒気が籠っていく。

憧れが加速度的に陰りを帯びていく。それは己の生き死に以上に耐えられない痴態。

自分の覚悟に対して、余りにも弱弱しい姿に、感情が爆発した。

 

 

「あの時の覚悟が今のお前にないのなら――――もう俺に口出ししないでくれッッ!!」

 

 

無音の森中に悲痛な叫びが木霊する。

それに気圧される男の姿を認識して、西山は呼吸を整えると申し訳なさげに呟いた。

 

「…悪かった。凄ェ酷な話だったよな。

 俺と違って明にはまだ未来があるのに同じ人間を殺せ、だなんて。」

 

「違―――ッ!!」

 

違う、俺だって未来などない―――

そう漏らしそうになった口を明は必死に抑えた。

気づいてしまった。自分には友へ寄り添う資格がない事に。

 

幾ら望もうと西山はもう嘗ての様に人間と仲良く暮らすなど出来ない。

例え明が歓迎しようとも他の者は決して吸血鬼を許さない。

犯した罪の責任をと、彼らは憎き悪魔の死を望むだろう。

そして何より吸血鬼の『性』が吸血鬼と人間の共存を阻む。

 

吸血鬼でありながら人と共に生き続けた師匠、青山龍之介でさえ最後には邪鬼と化してしまった。

どれだけ取り繕うともやがて限界は訪れる。これは逆立ちしても覆らない現実だ。

死者生者を抜きにしても彼の未来は終わっている。吸血鬼でいる限りは永遠に。

なのに人である明が俺も同じだと、未来は無いとどうしてほざけるか。

圧倒的優位立つ存在が掛ける気安い慰めなど当人にとっては侮蔑に等しい。

 

「…明は雅を殺す事に集中してくれ。帰る為にはそっちも重要な事に変わりないからな。」

 

俯きながら西山は踵を返す。

雅の殺害。

誰に言われるまでもない。決して譲れない復讐。

やれと言われれば逆に嬉々として殺りに行くべき宿願。

 

なのに何故か、今はそれがとても後ろめたい事に思えた。

 

「でも、もし…雅が死んだらもう一度考えてくれ。一緒に帰るか、帰らないか。

 ―――もう戦わなくて良いことを期待しているよ…。」

 

 

◆◆◆

 

 

森中へ消えていく背を明はただ黙って見送った。

見逃したのだ。吸血鬼を。人間に害をなす化け物を。

再び悪となりて仲間達の為に罪を背負おうとする心優しい仲間の凶行を。

 

「ちくしょう…!なんでいつも、こうなっちまうんだ…」

 

明は改めて、己の無力さを痛感した。

大木や邪鬼をどれだけ両断出来ようが、どれだけ超人めいた戦闘能力を会得しようが。

親友の絶望一つ取り除いてやれない。苦しみに寄り添ってやる事すらままならない。

仲間同士を争わせようとする運命の悪戯に翻弄されるばかり。

 

結局、自分は役立たずなまま。

一体何のための強さなのか分からなくなる。

 

運命。

いつだって明達の前に立ちふさがってきた残酷な壁。

涙を食いしばって、心身共に傷だらけになって、死に物狂いで登り切っても。

足掻きを嘲笑うかの様にまた眼前に聳え立ってくる。終わりなど一向に見えてこない。

いやもし終わりがあったとして、その壁の向こうに何がある?

知らぬふりをしていただけで、ホントはずっと分かっていた。

 

答えは『無』だ。

望むものはとうの昔にゴールには無くなっていた。

 

試練を乗り越え、親玉を倒せば何もかも元通り。

あるべき平穏な日常、失った掛け替えのない者その全てが帰ってくる。

そんな夢物語は小説や漫画、フィクションだけの幻想だ。

雅が死んでも吸血鬼はそのまま。頭目を無くした事で更に暴走する危険性もある。

吸血鬼が滅んでもヤツらの残した傷跡は永遠に残り続ける。散っていった者は二度と戻らない。

もう二度と、仲間と笑い合いながら故郷に帰る未来は訪れない。

 

――――それこそ、悪魔が吹聴する奇跡にでも縋らなければ、決して。

 

「……教えてくれ、皆…。俺は皆の為に、殺すべきなのか?」

 

人々の死は誓いを果たす事になるのか。

何が正しいのか。答えは返ってこない。

その身に背負った皆の魂は黙して、明を支え続ける。

使命を、命を投げ捨てる事を許さない。

 

殺意で満ちた霧が晴れて、自身の現在地が漸く見えて来た。

立たされているのは帰路の分岐点。

 

其処に取り残され一人蹲る男。

彼は救世主でも復讐鬼でも、ましてや戦士でもなく。

20になって間もないありふれた青年だった。

 

復讐か、約束か。

 

英雄か、罪人か。

 

向き合う時はそう遠くはない。

永遠に等しい道標が燃え尽きる、その時は。

 

【エリアH-9/1日目/深夜】

 

【宮本明@彼岸島】

[状態]:健康、迷い

[服装]:いつもの服装、義手

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(宮本明)

[参戦時期]:大阪編終了後

[装備]:義手内の仕込み刀@彼岸島

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~3、日帰り旅行の記念写真@彼岸島

[思考]

基本:雅を殺す。しかし、その後は…

1:乗るか、乗らないか。俺にはもう分からない。

2:雅を探し出してこの手で殺す

3:もし雅が死んだなら、西山の話に加担する…?

4:兄貴(宮本篤)がどういう状態なのかを確かめたい

5:名簿に名がなくとも参加している奴が他にもいるのか

 

[備考]

※参戦時期の都合、鮫島や勝っちゃんなど現同行者の存在は知りません。

 

【西山徹@彼岸島】

[状態]:吸血鬼、右頬に消えない火傷

[服装]:雅っぽい服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(西山)

[参戦時期]:死亡後

[装備]:

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:吸血鬼の存在を過去から消し、皆で故郷へ帰る

1:参加者の殺害。必要とあらば感染も厭わない

2:明とは…もう殺し合いたくはない。だがもし乗らないというのなら…

3:篤さんと合流。同じ吸血鬼でこの動機なら協力関係を結べるか

4:雅への根源的畏怖。殺害は明に任せる

 

[備考]

※特になし



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バトロワの車窓から ~狼二頭と氷竜編~

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・不破諫@仮面ライダーゼロワン
・シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Dive


海が途切れ、再び陸地の、だが先ほどの廃墟のような街並みではない広い草原と共に車窓に流れる星空を見上げながら、不破諫は小さくため息をついた。

突如巻き込まれたバトルロワイヤルという名の殺し合い。

そして早速銃撃して来た襲撃者を躱すことには成功したが、頭の痛い問題は山済みだ。

まず他の参加者。

名簿によれば、不破の知り合いは3人。

その内飛電或人は問題ない。

弾に不意打ちでこちらの腹筋を粉々にするようなギャグを飛ばすが、実害は全くと言っていい程無いし、積極的に人間同士で殺し合いをする理由も不破が知る限りない。

だが残る二人、滅と雷は別だ。

人類滅亡の結論を下した人工知能、アークに忠誠を誓う2人は、或人とは逆に、人間だからという理由で襲い掛かること間違いなし。

しかも、自分に支給されたアイテムから考えるに、2人にもなにかしら武器や仮面ライダーに変身するためのアイテムも、支給されている事だろう。

仮面ライダーとは超人だ。

パンチ一発で鉄筋コンクリートをぶち抜き、キック一発で戦車を廃車に出来る超人的パワー、更に滅なら毒、雷なら雷撃といった具合に、固有の特殊能力まで持っている。

陣営戦(ゲーム)の形式こそとっているし、スタンド使いや英霊などといった、仮面ライダーに対抗しうると思われる存在も呼ばれているらしいが、それでも仮面ライダーは強力だ。一対一なら大抵の敵に負けない。

 

(そんな中でなんでわざわざ拳銃何て配られてる?

色々考えてみたが、これで死ぬような奴なんて……居るな。

変身前の仮面ライダーとか、あとあのホールに居た連中は、殆ど戦闘用の装備何て着てなかった)

 

スタンド使いも英霊も仮面ライダーもスキ無しではない。

最低限ゲームをさせるつもりがあるなら、パワーバランスは考えられているはずだ。

と、不破は考えた。

が、

 

(だとしたら緑陣営は一体何を基準にした足し算引き算で、こんな状態のシェフィを呼んだんだ?)

 

今目の前で「電車でお出かけ嬉しいな」状態の彼女が疑問だった。

体格から判断するに、恐らく年齢は十代半ば。

しなやかな体つきは、亡の分析によればよく見れば鍛えた者のそれだ。だが、言動も行動もそれにまったく一致しない。

母親と兄が側にいないと分かれば泣き叫び、アズの最初の説明をちゃんと聞いていたかも怪しい。

更に言えば、さっきここが食堂車両だと分かって真っ先に言った言葉は

 

「イサム!おなかすいた!」

 

である。この殺し合いの場で、初対面の男に。である。

さっき身を挺して助けただろ。

と、言われたらそれまでだがそれでも陣営の違う参加者、オマケに体格で圧倒的に有利な自分が毒でも盛れば確殺だろう事は、ちょっと考えればわかる事だろう。

それなのにシェフィは不破が食堂車両にあった食材(一応毒がないかは確認した)を使って適当に作ってやったスパゲッティを口の周りを汚しながら美味そうに食べていた。

……え?不破に料理ができるのが意外だって?

彼も一人暮らしの成人男性である。

必要最低限の家事力は身に着けている。

 

 

 

閑話休題(はなしがそれた)

 

 

 

さて、そんなシェフィだが、不破と亡が現時点で出した結論は以下の通りだ。

 

①ここに呼ばれる前に何らかの理由で記憶喪失になっただけ。

 

何の裏もなくシンプルに事故か何かで記憶障害になったパターン。

人を疑う事も無ければ、近くに誰もいない恐怖は抱いても、警戒にまでは繋がらない分かりやすい的。

他の参加者に調子のいいスタートを切らせるための、体のいい迷子(ストレイシープ)である。

だがそんなことのために態々参加者の枠を使うか?

と言われたらなんだか理由として弱い気がする。

 

②なにか主催側の重要な情報を握っていたが記憶を消された。

 

これに関しては不破自身が、出来なくはないという事を知っているので有力な説だと思っている。

彼の場合、偽りの記憶を植え付けることが主な目的だったが、その過程でいくらか消されて記憶もある。

それにあの司会者のアズという女の耳には、ヒューマギアモジュールが付いていた。

つまり主催側はヒューマギア技術を手にしている。

それに付随してライダーシステム系の技術や、その元締めの一つであるZAIAの技術も得ているのだろう。

何故ZAIAかって?

前に滅亡迅雷.netに技術盗用された前科があるからだ。

仮にこの説が間違っていても、

技術盗用はほぼ確信しても問題ないだろう。

 

他にもいろいろ考えたが、主催側の悪意に満ちたな趣向など諸々の要素を考慮し、上の二つが一番真相に近いと判断した。

まあ、今のところ害はないだろうが、いくらなんだか見覚えのある道具を齧っちゃうような少女に警戒は……

 

「なっ!?お前それ!」

 

デイパックから取り出したのか、彼女が齧っていたのは不破にも見覚えのある道具だった。

飛電或人がプログライズキーを携行するのに使っていたプログライズキーコネクタのゼツメライズキー版、

ゼツメライズキーコネクタである。

そのスロットには、四つともゼツメライズキーがハマっている。

 

「うー?」

 

「うー?じゃねえ!それ食い物じゃないぞ!ぺっ!しろ!ぺっ!」

 

なんとかシェフィから取り上げようとするが、子供らしく聞き分けが悪い。いやいやと全身で否定し、苦闘の末不破が手放させることに成功したキーは一個だけだった。

 

「はぁ……はぁ……中身は子供なのに力はしっかりあるじゃねえか」

 

落ち着けた所で不破はようやく手にしたキーの柄を確認した。

 

「ジャパネセ……いや、ジャパニーズウルフか。

やっぱりウルフと言えば俺ってことか」

 

(いや、それは私の……)

 

キーに付いていた涎を拭く不破の脳裏に声が響く。

亡の声だ。

 

「お前のって……お前も仮面ライダーだったのか?」

 

「かめん、ライダー?」

 

(……いえ、何でもありません忘れてください)

 

それきり亡は黙りこんでしまった。

何だったのだろう?

確かに雷はゼツメライズキーで変身していたし、彼(亡に性別はないが、便宜上こう呼ぶ)以外の滅亡迅雷.netの構成員は全員仮面ライダーへの変身を果たしているが、彼もなのだろうか?

 

「イサム!イサム!」

 

「ん?どうした?」

 

「かめんライダーってなあに?」

 

「……俺たちが変身して戦う姿だ」

 

「ヘンシン?」

 

「ああ。どうしてもぶっ潰さなけりゃいけない奴らをぶっ潰すために。

……どうしても叶えなきゃいけない夢に向かって飛ぶために。

そして貫かなければならない信念を貫くために変身するんだ。

そのキーを使ってな」

 

そう言ってやると、シェフィは手にしていたコネクタからキーを一つ取り出し、しげしげと見つめた。

 

「どーつかうの?」

 

「こじ開けてベルトに挿すんだ。

そこの出っ張りを指に引っかけるとやりやすいぞ」

 

「ヘンシン!……ヘンシーン!」

 

そう言いながらシェフィは、手にしたキーを無理やりこじ開けようと四苦八苦しだした。

残念ながらその場にその方法が正しくないことを、指摘する者はいなかった。

いや、厳密には不破の内に居るにはいるのだが……

 

<滅亡迅雷インパクト!>

 

<ローンウルフインパクト!>

 

仮面ライダー滅亡迅雷が放ったキックに、青い狼のエネルギーを纏ったゼロワンドライバーで変身したバルカン、ローンウルフのキックが迎え撃つ。

そして

 

「「「「うぁあああああああああああああああああ!!!」」」」

 

競り負けた滅亡迅雷は爆散する。

その後バルカンがどうなったかは、分からない。

それがこのドライバーに内蔵された戦闘ログの全てだった。

 

(同時に接続された滅、迅、雷、そして……亡のデータから推察するに、このドライバーは、私や不破諫から見て、未来で造られた物。

それがいかなる理由か、我々の手元に存在する……)

 

それはつまり、アズやその協力者、あるいはアズを操る者の中の誰かに時間を操る能力か技術を持った者が居る事を意味する。

 

(そしてこのベルト、及びそのシステムに接続した者に、全ての記録(ログ)が閲覧可能……。

もし誰かが未来の、いや、今となっては有り得たかもしれない私たちと同じ結論に至った場合……)

 

この戦いの最後に立ちはだかるのは、仮面ライダー滅亡迅雷かもしれない。

亡は今は埋まっていない三つの席を見渡した。

そもそも呼ばれていない迅以外の2人は、一体どのタイミングから呼ばれた2人なのだろう?

 

(アズの趣向を考えると、とても期待はできませんね)

 

自分は別に人類の味方だと言う訳ではない。

ヒューマギアが完璧に道具扱いされることに対しては、不快に思うし、どうにかしたいと思うが、人間すべてが敵とは思わない。

 

「私は、ヒューマギア。

道具じゃない、夢を見てもいいヒューマギア。

だからこそ、不破諫。シェフィ。

今はあなた達に協力しましょう。

全てはヒューマギアの夢を叶えるために。

それが、今の私の夢ですから」

 

 

 




【エリアE-8/ワンダーワールド行き超特急 食堂車両/1日目/深夜】

【不破諫@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:正常、脳内チップに亡が存在
[服装]:いつものスーツ
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:1枚(不破諫)
[参戦時期]:本編32話終盤~34話に刃に拉致されるまでの間
[装備]:ベレッタM9A1(レーザー照準器付、弾14/15+1)@現実
    滅亡迅雷ドライバー@仮面ライダーゼロワン
[道具]:マスブレインゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン
    ジャパニーズウルフゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン
    基本支給品一式、ランダム支給品×0~1
[思考]
基本:このバトルロワイヤルをぶっ潰す。
1:社長たちとシェフィの家族を探す。
2:滅や雷と会ったら、亡と替わって対応する。
3:もっと簡単に変身できるベルトを探す。
4:ジャパニーズウルフキー……このベルト(滅亡迅雷ドライバー)で使えるか?
[備考]
※亡が不破の体を動かせるかどうかは後の書き手に任せます。
※滅亡迅雷ドライバーは、人工知能、または電脳ダイブが可能な者なら、
誰でも変身できる仕様になっています。
ただし4人そろっていないと駄目なようです。
※コッコロと主人公@プリンセスコネクト!Re:Diveを、シェフィと血のつながった家族と勘違いしています。

【亡@仮面ライダーゼロワン】
[状態]:不破の脳内チップに存在
[参戦時期]:本編32話終盤~34話で不破が刃に拉致されるまでの間
[思考]
基本:ヒューマギアの夢を叶えるために戦う
1:飛電或人や滅、雷との合流する。
2:滅亡迅雷ドライバーは、使わせてはいけない
3:とにかく今は情報が欲しい。
[備考]
※亡が不破の体を動かせるかどうかは後の書き手に任せます。
※不破が忘れている記憶を、亡が覚えている場合があるようです。
※仮面ライダーゼロワン本編、劇場版REAL×TIME、『ゼロワンOthers 仮面ライダー滅亡迅雷』『ゼロワンOthers 仮面ライダーバルカン&バルキリー』の滅亡迅雷ライダーズ視点での部分を把握しました。

【シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Dive】
[状態]:幼児退行、健康
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:緑(ゲーム)
[メダル枚数]:1枚(シェフィ)
[参戦時期]:美食殿らに保護されてすぐ。
[装備]:ダイアウルフゼツメライズキー(アサルトグリップ無し)@仮面ライダーゼロワン
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
    ゼツメライズキーコネクタ@仮面ライダーゼロワン
    ゼツメライズキー×3(コネクタに付いている)@仮面ライダーゼロワン
[思考]
基本:ママとおにーたんをさがす。
1:イサムといっしょにさがす。
2:ナキってだあれ?
3:イサム!スぺゲッティ―おいちかった!
4:でんしゃはやい!
5:かめんライダー……ヘンシーン!
[備考]
※何かのきっかけで、年相応の精神状態になるかもしれません。
※残りのゼツメライズキーの種類については、後の書き手に任せます。


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血染めのK/覚悟の炎

作者
・コードジョーカー

登場キャラ
・ティーネ・チェルク@Fate/strange Fake
・浅上藤乃@空の境界
・空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険
・黒桐幹也@空の境界


黒桐幹也は、『普通の人間』である。

 

出自、容姿、才能いずれも平凡、目立った特徴も一切無し。何故かいつも黒い服を着ている。絵に描いたような真人間である。

 

しかし普通は普通でも、十人十色とことわざがあるように、誰しも他人にはない異常性を抱えている。

 

例えば池袋に住む高校生、竜ヶ峰帝人がそうだ。

彼の少年も黒桐と同様に真人間であるが、中身はとても変わっていた。

非日常に憧れ、異常な刺激を求め、特別でありたい。

それが竜ヶ峰帝人という少年の人間性である。

 

しかし黒桐幹也という人間の在り方は違う。

特別を容認せず、才能を欲さず、異常を求めない。

だが普通でいることを進んで望む異質さ。

 

黒桐と竜ヶ峰、二人は合わせ鏡の如く性質すべてが真逆であるのだ。

 

話は変わるが、このバトルロワイヤルでは一方的な展開を避けるためか、強者と弱者の間にある程度のパワーバランスが設けられている。

英霊や怪物などの強者には、能力の制限や消滅、元々の支給品の没収。

学生や一般人に該当する戦いと無縁な弱者には、一発逆転や手っ取り早い強化を図れるなどの優秀なアイテムを支給している。

 

雪ノ下雪乃にはゼロノスベルト。

由比ヶ浜結衣には超強化薬。

比企谷八幡や三浦優美子にも、何かしらの強力な支給品が配られているであろう。

 

では、同じく一般人である黒桐幹也には、何が支給されたのか?

武器か?薬か?乗り物か?

 

それは意思の宿ったアイテムであった。

デネブやモモタロスにユーリならまだ良かった。

しかしそのアイテムは、アヌビス神やアークのような使用者を乗っ取る類のたちの悪いものであった。

 

そんな支給品なら、最初から手にしなければいいではないかと思うが、黒桐にはそんな初歩的な警戒を忘れてしまうほど、余裕が無かったのだ。

 

こうしている間にも、恋人の両儀式が危ない目にあっているんじゃないか、早く合流しないといけない、万が一『それ』はありえないがもしものことがある等、最初の見せしめが相当効いていたのか、心の中の焦りが大きくなっていた。

 

アークに乗っ取られたクロメの場合、サンドイッチを食べた満足感から油断した事が問題であるが、彼女の様な数々の修羅場をくぐり抜けた実力者は、本来ならそんなミスは犯さない。

 

しかし黒桐のような一般人は違う。

戦士ではない彼は身を守る術は無かった。

両儀式と再会しなければという焦りで一杯だった。

それが彼の頭の中から用心という言葉を無くしていた。

その余裕の無さが彼の致命的なミスであった。

故に自分が手にしているものの正体が何かを禄に確認しなかった。

だからこそ許してしまったのだ。

その身に狂気の王が侵略するのを───。

 

 

■■■■■

 

 

本性を表した黒桐幹也ことキルバスを前に、承太郎達は目を離さず警戒を続けていた。

 

「ブラッド族?何処かの王族か何かか?歴史の授業でも聞いたことねぇぞ……」

 

「まぁ知らないのも当然だ、この星にはいないからなぁ……」

 

「あ?この星……だと……?お前、自分は警察に両手を繋がれて連行されたエイリアンだとでも寝言が言いてぇのか?」

 

「何の話をしてるのか知らないが、そんなことよりソイツの心配をしたらどうだぁ?もう発症してるはずだが……」

 

「……何?」

 

 

 

 

「……ッ!?ガァ……ウ…ウウウッ……ア……ァアアァアッッッッ!?」

 

 

 

 

「ふ、藤乃ッ…どうしたんですか!?」

 

問答を交わしている最中にキルバスが指摘した直後、藤乃が突然のどを抑えて藻掻き苦しんだのだ。彼女を咄嗟に抱えたティーネは、信じられないものを見た。なんと、藤乃の体中の血管が浮き上がり、血液が赤から黒に染まり始めていた。

 

「お?ようやく効果が出始めたかぁ……量はそんな多くなかったが、にしちゃあ遅すぎだぞ………?」

 

「……ッ!何をしたッ!?」

 

「毒だよ毒、新鮮な毒をさっき注入してやったのさぁ」

 

キルバスが藤乃を触手で攻撃したあのとき、攻撃と同時に体内に毒を注入していたのだ。

 

「海の家に医療キットがあったはず!すぐ持ってきて応急処置を──」

 

「無ゥゥゥゥゥゥ理ィィィィィィッッッ!残念だが、その毒は俺たちブラッド族でなければ取り除くことは出来ナァイ!その女はもう終わりだぁ……!」

 

「テメェ………!」

 

対処法を思いつくも、それさえも無駄な事だとキルバスは突きつけた。

 

 

「まぁいいじゃねぇか?愛する者自身の手で、自らの命を散らされるってのは……この上なく、ソイツのような歪んだ眼をした女に相応しい……最ッッッ高のエンディングじゃあないかぁ〜〜!?」

 

 

キルバスは悪びれる事無く、煽るかのようなオーバーリアクション気味の態度で藤乃を指さした。

 

 

「がっ………ゔぁあぁ……!」

 

「チェルク!浅上を連れて下がってろ!!」

 

「ッ……はい!」

 

 

尚も苦しむ藤乃をティーネに任せて下がらせ、承太郎はキルバスに一人対峙した。

 

「勇ましいな……お前も毒を味わってみるかぁ?それとも、この槍のサビにしてやろうかぁ?」

 

キルバスは右手に持った破魔の赤薔薇の切っ先を承太郎に向けて告げた。

 

「選択肢がバッドエンドしかねぇ何の面白さもないクソゲー同然のリクエストなんざどうでもいい……テメェが居なくなれば、毒って奴は消えるんだな?」

 

「生意気な台詞だな……ま、そいつは事実だが、人間如きが俺に勝てるのかぁ?」

 

「勝つんじゃあねぇ、テメェを……ぶちのめす!」

 

『オオラァ!!』

 

承太郎は学帽を右指でなぞった後、そのままビシーッとキルバスを指差して宣言した直後、スタープラチナを出して攻撃を仕掛けた。

 

「ハッ!やれるモンならやってみなぁ!!」

 

キルバスも左手を構えて走り出し、互いの拳がぶつかり合った。

 

 

■■■■■

 

 

私は、また、何もできない……

これでは、あのときと、何も変わらない……

王に続いて今度は彼を、見殺しに……

 

 

『お前の悲願は自分の意志か?他人の受け売りか?』

 

 

だめ……こんなことはダメ……!

後ろに引いても逃げた先にも、答えはない……

だから……私は…………!!

 

 

■■■■■

 

 

『オラァ!』

 

「何が、オラァ!……だよッ!!」

 

一方、承太郎とキルバスの闘いは既にヒートアップしていた。

スタープラチナがパンチやキックを繰り出し続けるも、キルバスは難なく躱すなりガードするなりで、スタープラチナの攻撃は一発も当たらず、弾かれるばかりであった。

 

「フンッ!………ハァッ!」

 

「何ッ───ぐおッ!?」

 

お得意のラッシュを叩き込むもやはり躱され続け、挙句の果てに拳を両手で受け止められ、蹴りのカウンターを喰らってしまった。

 

「ヒャーーッハァーーーッッ!!」

 

今度はキルバスがラッシュのお返しとばかりか、鋭い槍の連続突きを繰り出してきた。

承太郎はこの攻撃に対し、多少掠ったものの致命傷を避けつつ防御して全てを捌ききった。

 

「フッ……成る程なぁ…」

 

「………?」

 

猛攻が止んだと思ったら、キルバスは何かの確信を得たかのような言葉を口にした。

 

「お前の隣にいるその妙な人形はさしづめ……お前自身ってところかぁ〜?」

 

「!!」

 

「ハッ、図星ですって顔だな…そうでなきゃソイツが受けたダメージがお前にもフィードバックする説明がつかないしな」

 

僅か数回の戦闘の内に、スタンドの正体と特性を看破したキルバスに対し、承太郎は思わず顔を顰めてしまった。

スタンド自体がダメージを受けると、使い手である本体にも同じ場所に同じダメージや状態異常が連動するというのが、スタンドの絶対のルールである。それが斬撃であれ噛みつきであれ凍結であれ、何でも自分に返ってくるのだ。

 

「隙アリッ!」

「……ッ!?」

 

キルバスは承太郎が呆けている隙をついて懐まで距離を詰め、胴体に蹴りを入れた。

反応の遅れた承太郎だが、ギリギリでスタープラチナのガードが間に合ったものの、あまりの威力に後方まで下がり、ダメージで膝をついてしまう。

 

「この槍……中々の業物だなぁ……じゃあこういうのも行けるなぁ!!」

 

そう言うと、キルバスは槍投げのような構えをとった。しかし、何故か槍は刃先を逆向きにしたまま構えていた。

繰り出そうとしている攻撃は、刺突でも槍投げでもなかった。

それは槍本来の闘い方、使用方法に則ったもの。

 

キルバスは槍の柄で手を滑らせながら、それを承太郎の頭上目掛けて……振り下ろした!

 

槍は、柄を長く持つことで相手の攻撃範囲外から先制攻撃を仕掛けやすく、慣性の法則を最大限に活かせることが出来る。故に、リーチを有効活用することで威力の高い攻撃が繰り出せる。

 

『流れ』という握り方、伸びた間合い、慣性の法則、三つの条件が揃い、使い手のキルバスの力量が加わった事で繰り出された最大級の槍の一撃が、承太郎に迫る!

 

「グッ………ウオオオオオオッッ……!!」

『オオオオ……ラァ!!』

 

しかし承太郎は何とか立ち上がり、スタープラチナで足元の地面を蹴り、反動を利用して右方向に跳び上がり、直撃スレスレで回避した。

避けられた一撃は地面を破壊し、その衝撃は承太郎の後方にあった海の家まで真っ直ぐ進んで……直撃。

 

海の家は跡形もなく崩れ去った。

 

「しぶといなぁ………だが」

 

キルバスは槍を左手に持ち替えると、ボルテックレバーを回して必殺技を発動する。

 

〈Ready Go!〉

 

 

「ヒャーハハハ!これなら逃げらないだろ!?」

 

目に見えないスピードで承太郎の周りを駆け抜けたかと思うと、すれ違いざまに蜘蛛の糸を次々と生成して承太郎を拘束、身動きを取れなくした。

 

「ヤ、ヤロウ………!」

 

脱出しようともがく承太郎だが、スタープラチナのパワーでも中々千切れない程、蜘蛛の糸は一本一本全てが丈夫であった。

 

「お前で……二人目だぁ!!」

 

キルバスは巨大な四本の蜘蛛の足を展開させ、何度も地面を破壊しながら承太郎に直進させた。

 

 

〈キルバススパイダーフィニッシュ!!〉

 

 

そして全ての蜘蛛の足の一撃が、承太郎に突き刺さろうとしていた。絶体絶命───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思われてたその時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

 

突如、地面から幾つも火柱が承太郎の目の前で上がり、迫っていた蜘蛛の足を全て焼き尽くされた。

 

「何だ今のはぁ……………あぁん?」

 

キルバスは苛立ちながら周囲を見渡すと、承太郎の右斜め後方三メートルにて、自分の邪魔をしたであろう人物を発見した。

 

「今の炎……お前の仕業かぁ〜ガキィ〜?」

 

「………………ッ」

 

キルバスはティーネに顔を向け、『邪魔しやがって…先にお前から殺るぞ』、と言わんばかりかの目で睨みつけた。

ティーネは身震いするも、それに負けじと真剣な表情を崩さず睨み返した。

 

彼女は承太郎に近づくと、何処からか炎を出して、蜘蛛の糸だけを焼き払い、拘束を解いた。

自由になった承太郎は、なぜ戻ってきたんだ、と言おうと彼女の方を向いたが、

 

(ッ!?あ、あれは………!)

 

その時信じられないものを目撃した。

正確には、彼女の側に立っている謎の生き物に目が行った。

 

筋骨隆々の上半身、炎に包まれた両手首と下半身、そして鳥の頭というデザインの謎の生き物が、ティーネの側にいた。

 

しかし承太郎は知っている。

その謎の生き物の正体を。

この場にいない花京院とポルナレフも知っている。

悪霊に取り憑かれたと錯覚していた頃の自分に会うため、留置所までやってきたあの男を。

自分が幽波紋(スタンド)を知るきっかけとなった、彼自身の魂そのものを!

そのスタンドの名は…………

 

 

 

「「魔術師の(マジシャンズ)……(レッド)!」」

 

 

 

占い師モハメド・アヴドゥルが使う、この世の始まりたる炎を操る、タロットの1番目である魔術師の暗示のスタンド、マジシャンズレッド。

 

 

「あの時のような何もできなかった後悔は、二度とごめんです。何かを喪わないために、私の最善を…この場で尽くす……!」

 

 

故郷の地の奪還、一族の未来、故郷を奪った魔術師達の排除、偽アーチャーをみすみす失ってしまった自分と目の前の不条理への怒り。

 

ティーネが抱く強い心が、願いが、覚悟が、マジシャンズレッドの炎をより熱く、激しく、大きく燃え上がらせた。

 

種火同然に小さかった少女は、大きな炎と共に一人の戦乙女へと転生を果たした。

 

 

 

 

「後ろではなく、王の隣で……共に!!」

 

 

 

 

 

 



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広瀬康一は語らない

作者
・チェリい

登場キャラ
・蓮見琢馬@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-
・広瀬康一@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-
・ジェスター・カルトゥーレ@Fate/strange Fake
・偽ランサー@Fate/strange Fake


 

 ジェスター・カルトゥーレにとって、この世は退屈だった。

 ジェスターは死徒と呼ばれる、後天的に吸血鬼と化した人間であった。不老不死のみならず人智を超越した能力をもち、人類史を否定するモノとして存在していた。

 詳細な経緯はさておき、アメリカはスノーフィールドの地において、ある目的のために偽りの聖杯戦争へと参加することにしたのだった。その目的は、人間からすれば悪辣きわまりない、退屈を紛らわせるために世界の滅亡を招くというものであった。

 並の魔術師では太刀打ちできないほどの強烈な力を備えたジェスターは、順当に英霊召喚の儀へ段階を進めた。計画に誤算があったとすれば、召喚した女アサシンにその場で殺されたことだ。狂気にも似た清廉さを孕んだ女アサシンは、信仰に殉ずることを決意し、ゆえに異端の魔術師と見做したジェスターを排除した。

 しかし、ジェスターは復活した。正確には、胸に描かれた『概念核』を入れ替えることで、容姿や能力、魂まで異なる人物へと変質したのだった。この概念核を示す赤い紋様は、さながらリボルバーの弾倉のごとく円形に並んでいた。ジェスターには六つの概念核が存在しており、魔術師としてのそれは滅びたが、ほか五つは依然として存在していたのだ。

 また死徒は、このとき殺害されたことを契機として、魂から女アサシンに惚れ込んだ。考えられる限りの蹂躙をした姿を想像し絶頂する程度には、ぞっこんであった。あの美しき暗殺者なら、今すぐにでも抱いてやってもよいと思っているのであった。無論、女アサシンは、もし仮に令呪で命じられたとしても、はねつけるに違いないが。

 こうして新たな願望を抱いて、死徒は聖杯戦争の闇へと歩を進めた、はずだった。

 

「ハハハハハ!殺し合い!殺し合いか!」

 

 まばらに木の生えた平原に、哄笑が響いた。

 アズの説明を受けた後、いつの間にか見知らぬ島へと移動していたジェスターは、誰の目があるかわからない状況で、両手を胸の前で打ち鳴らしながら、愉快そうに笑った。

 笑い、笑い、笑い。

 次の瞬間、手近な木をひと蹴りでなぎ倒すと、激昂の声を挙げた。

 

「つまらんことをしてくれたなぁッ!」

 

 安穏とした世界に辟易していた頃のジェスターならば、日常に加えられたスパイスとして手放しで、いやむしろ嬉々として臨んでいたはずだった。

 しかし、そうではなかった。ジェスターは偽りの聖杯戦争で、とびきり胸を熱くする女との出会いを遂げていた。それに水をさす行為は、歓迎するには余計な真似が過ぎた。

 憤懣やるかたない死徒を慰めたのは、魔力の脈動する感覚だった。供給するべき相手もこの場所へ招待されていることに、そのとき気づいた。おそらく名簿にある偽アサシンだろうと判断した。

 それならば、これは河岸を変えただけだと強引に納得したジェスターは、ようやく普段通りの表情を取り戻した。

 どこまでも軽薄で、凶悪な笑顔を。

 

 

 

 

 蓮見琢馬は、図書館の扉から外へと出た。

 それまで明るい室内にいたこともあり、視野は狭くなっていた。周囲に人影は見えない。

 なるべく眼帯の侍を邪魔しないようにするため、彼の進路を確認しようと考えたのだが、あいにくそれは叶わなかった。

 フウ、と息をついてから、あてどなく歩き始めた。目立たない小屋や民家などを見つけて、そこで時が過ぎるのを待とうとしていた。

 図書館はランドマークというほど目立った外観ではないにせよ、地図に記載されており、参加者が訪れる可能性は高い。そして、それは殺し合いに積極的な参加者も容易に思いつく可能性だ。あのまま図書館に留まり続けることは、生存を第一に考える自身にとって、ハイリスクだと考えたのだ。

 琢馬は歩きながら、デバイスで見た名簿とルールの内容を反芻していた。知人は三名。東方仗助、広瀬康一、そして大神照彦。全員、同陣営とはいえ協力できる人物ではない。東方仗助と広瀬康一は事件の捜査まがいのことをして琢馬へと辿り着いていた。大神照彦には数時間前に接触して復讐を遂げていた。これらの三名には出会わずに、この殺し合いを切り抜けたかった。

 しかし、運命の女神はいたずら好きだった。

 

「あっ、きみは……!」

 

 横合いからかけられた声に、琢馬は内心で渋面を作った。

 広瀬康一。背の低い少年が、こちらを指さしていた。顔には驚愕を浮かべている。

 

「蓮見琢馬、先輩……ですか?」

「……」

 

 一瞬、どうするべきか逡巡した。

 “どう返答するべきか”ではない。“殺害するべきか否か”である。

 後顧の憂いをなくすために、口を封じておくのはひとつの手段だ。しかし、相対した康一から対話の意思が感じられたことと、同陣営であることの二点から琢馬は逡巡した。交渉次第では、殺し合いを切り抜けるまでは不問に付してくれるかもしれない、と期待を抱いたのだ。

 もし相対したのが仗助だったなら、こうはならなかっただろう。

 

「あのう、ボクのこと、わかります?ぶどうヶ丘高校の……」

 

 おそるおそるといった様子で、問いかけてくる康一。

 琢馬は革表紙の本を取り出した。確認する必要があると感じたからだ。

 革表紙の本に記されている、康一に関連する内容を、いくつかピックアップした。

 

「広瀬康一くん、だろう。知っているとも。

 身長は一五七センチ。もっと低いように思えるけどな。星座は牡羊座。

 両親と姉との四人で暮らしており、家ではポリスという老犬を飼っている。

 交友関係は……東方仗助、虹村億泰、山岸由花子。それに……あの岸部露伴?

 いかにも平凡そうな見た目をしているが、ずいぶんと特殊な友だちが多いらしい」

 

 瞠目する康一。その視線は琢馬の手元の本へと向いていた。

 これにより、広瀬康一もスタンド使いであると確信することができた。

 

「やはりきみも、これが見えるんだな」

「……はい。【エコーズ】!」

 

 その一言で、康一の背後にヴィジョンが現れた。トカゲを思わせる尻尾と体色だった。

 

「これがボクのスタンドで、音を操る能力をもっています。

 たとえば……先輩のうしろにある木の幹に触れてみてくれませんか?」

「こうか?」

 

 斜めうしろにあった木へと近づいて、言われたとおり手を当てると、いきなり風に吹かれたような感覚がした。手を離すと、風はピタリと止んだ。

 振り向いて、この不思議な現象の原因であろう【エコーズ】を見ると、その手には【ヒュ~】という文字が握られていた。

 

「これは……」

「いわゆる“オノマトペ”です。こいつを木に貼りつけていました。

 ほかにも、岩をやわらかくしたり、体感温度を上げたり、いろいろ応用できます」

 

 康一が説明を続けている間、【エコーズ】は文字を粘土のようにこねて、尻尾の先にくっつけていた。

 そうしてから、空中をわたって康一のもとへと戻った。

 まるでカートゥーンのキャラクターだと思いながら、会話を続けた。

 

「どうして俺に能力のことを教えた?」

「ボクはこれから、先輩と交渉しようとしています。

 ただ、ボクは先輩の能力を知っているけど、先輩はボクの能力をぜんぜん知らない。

 これでは“フェアな交渉ではない”と断られるかもしれない。だから能力を教えたんです」

 

 康一の果断な物言いに、素直に感心した。

 正直者が馬鹿を見る世界で、康一の態度は愚直と評するのがふさわしい。

 あるいはこれもブラフなのだろうか。どこまで本気なのかを試すつもりで、皮肉めいた言葉遣いで問いかけた。

 

「おいおい、そっちからしたら、俺は冷酷な殺人者だろう?」

「そう考える人もいるかもしれません……でも、ボクは自分なりに判断しました」

「なに?」

「ボクは一連の事件について、情報をつなぎ合わせてみたんです」

 

 わずかに目を伏せながら、康一は言葉を続けた。

 

「真相はわからずじまいだった。それでも、想像することはできた」

「……よくわかった。それで、なにを交渉するつもりだ?」

 

 このままでは、よくない方向へ話が進む。

 イヤな予感がしたので、強引に話を交渉へと移行させた。

 

「もちろん交渉したいのは、協力してこの殺し合いを打破することです」

「俺の悪事をばらさないかわりに、といったところか」

「そうです」

 

 康一は、まっすぐこちらの顔を見つめていた。

 こちらを警戒するそぶりは、ほとんど見られない。よほど疑っていないのか、はたまた実力に自信があるのか。

 

「もちろん悪評を振りまかれるのは都合が悪い。だが、それでも俺は断るかもしれないぜ」

「そのときは【エコーズ】を使わせてもらいます。

 ボクのスタンドの射程距離は、先輩のそれより長いはずですから」

 

 どうやら康一は、億泰からスタンドの情報を得ているらしかった。

 琢馬の【The Book】は、相手に本の文章を見せることによって効果が発動する。ほかにも細かい発動条件はあるが、まず近寄る必要があるため、遠距離からの攻撃手段をもつ能力者との勝負は不利だった。

 今現在の康一との距離は三メートル。琢馬が【The Book】の射程に入るよりも、康一のスタンドが能力を行使するほうが速い。

 そこまで考えて、琢馬はあることに気づき、そして感嘆した。

 

「なるほど。おまえの言葉に耳を傾けていた時点で、俺は負けていたらしい」

 

 もし、康一に話しかけられたとき即座に殺害を選んでいたら、琢馬にも勝機はあった。その時点の彼我の距離は二メートル弱で、【The Book】の射程内だったからだ。

 それでは、なぜ距離はさらに遠くなったのか。

 

「さっきは“能力の説明のため”にと、俺に背後の木を触らせた。

 だけど、本当の目的は違った。“俺と距離を取るため”に、俺自身を動かした」

「うまくいくかどうかは、賭けだったけど……そういうことです」

 

 得意気な顔をする康一の顔を、まじまじと見た。

 康一は、冷静に言葉を交わしながら、自身に有利な状況を作り上げたのだ。とても機転の利く人物だと、評価を改めた。

 

「わかった。協力しよう」

 

 そう言って、康一と握手した。

 いざとなったら生存を優先することは、口にはしない。その程度のことは、お互いに理解しているはずだった。

 

 

 

 

 二人で図書館へと向かいながら、ボクは蓮見琢馬のことを何度も眺めた。

 やせぎすの身体とそれを包む学生服には、外から見て違和感はない。怪我を隠しているような態度もなかった。

 その事実を目の当たりにしておきながら、それでもボクは自分の目を信じられずにいた。

 

 ボクはあの日、「茨の館」と呼ばれる町立図書館で起きた事件の顛末を、友人からの伝聞によってほとんど把握していた。

 しかし、伝聞の内容と、現状は大きく矛盾していた。その矛盾をどう解釈すればいいのか、ボクはすっかり頭を抱えてしまった。協力を取りつけることはできたものの、この先の方針についてはまだ考えられていない。

 いきなり巻き込まれた殺し合いで、どうにか冷静さを失わずにいられているのは、杜王町での経験のたまものだ。

 ひとまず落ち着いて話をしよう、と考えていた矢先のことだった。

 

「やあ諸君」

 

 図書館の入口のそばに、白スーツ姿の男性が佇んでいた。

 フランクに話しかけてきた男性に対して、ボクは身構えた。

 男性と目があった瞬間、背筋をはい回るような悪寒に襲われたのだ。

 

「警戒しなくてもいい。私たちは同陣営だ」

 

 トントン、と赤い首輪を親指で小突きながら話す男性。

 余裕のある語り口調だったが、ボクの警戒は解けるどころか増していた。そしてそれは先輩も同様だったらしい。

 

「……状況が状況だ。警戒しすぎて困ることはない」

「ふむ。それも仕方あるまい。

 それならば、私の支給品を確認してくれていい。メダルもそこに入っている」

 

 男性は、かたわらのデイパックを放り投げた。

 ボクたちのすぐ目の前に、ドサリとデイパックが転がった。

 ボクと先輩は目を見合わせた。この時点でも、男性への警戒はまったく解けていない。それはボクたちがスタンドという超常を知っているからだ。支給品などなくても、相手を殺傷してのける超常の能力の存在を、ボクたちは知っている。

 

「なんだ、まだ駄目か?それならこうしよう」

 

 動かないボクたちを見て、男性は呆れたように言うと、両手を上げてうしろを向いた。手に武器がないことを示す、いわゆるホールドアップの姿勢だ。

 しかも、男性はそのまま前進して、ボクたちと距離を取った。およそ七メートル。

 

(この距離で、振り返る動きも含めたら……)

 

 ボクは脳内でシミュレーションした。

 もし男性が不意打ちを考えていても、この距離であれば【エコーズ】が有利。

 そう結論づけると、先輩と目配せをして、ボクはデイパックへと近づいた。

 一歩。二歩。男性を注視しながら進む。男性は微動だにしていない。

 

(もしかして、考えすぎだったのか?)

 

 こちらが警戒しすぎただけで、本当に陽気な人なのかもしれない。

 そんな考えが頭の片隅に生まれたのと同時に、デイパックを掴もうとして――

 ――右手に激痛が走った。

 

「うわあああっ!?」

 

 後ずさりをして手を見ると、右手の人差し指から薬指までの、第一関節から先が消えていた。

 その傷あとは、まるで獰猛な犬に噛みちぎられたかのようだった。

 痛みに耐えながら、ボクは前を向いた。

 

(一瞬!ほんの一瞬だった……!

 イヤな予感がして手をひっこめなかったら、ボクの右手はまるごと無くなっていたッ!)

「おや?見た目によらず素早いじゃないか」

 

 男性はこちらを向いて笑んでいた。

 いつの間にか、距離をおよそ二メートルまで詰められていた。

 

「悲鳴が小さいのは期待外れだった。

 しかし、その反射神経は賞賛しよう。これだけで済んだのだから」

 

 男性の手から放られたものがボク自身の指だと気づいて、いよいよ確信した。

 こいつはマトモな人間ではない。純然たる悪なのだと。

 

「うおおおおッ!」

 

 うしろに跳びすさり、【エコーズ】を発現させる。

 先輩に見せたのとは異なる姿のそれは、ボクの闘志に呼応して、グッと拳を構えた。

 

(悠長にしていちゃダメだ!)

 

 危険人物を放置してはいけない。ここで速やかに無力化する。

 別の姿を先輩に隠していたことについては、その後に謝罪すればいい。

 

「くらえッ!ACT3 FREEZE!!」

「……」

 

 かけ声で【エコーズ】を突撃させる。

 ACT1やACT2とは比べものにならないスピードに、風が起こる。

 次の瞬間には、余裕な男性の顔面を、拳のラッシュが襲うはずだった。

 

「なに!?」

 

 しかし、【エコーズ】はラッシュを放たなかった。より正確には、放てなかった。

 男性が右の手のひらを顔の前に置いて、【エコーズ】の拳を受け止めていたのだ。

 

(スタンドが見えているのか!?

 それに、受け止めてピクリとも動かないなんて……。

 そりゃあ、仗助君のクレイジー・ダイヤモンドと比べたら軽いけど、それでもただの人間だったら吹き飛ぶくらいのパワーはあるはず……!?)

 

 ボクは【エコーズ】を後退させた。

 スタンドが見えているのは、相手もスタンド使いだからだと考えれば問題なかった。しかし、生身でスタンドの拳を受け止めたことについては、即座に納得できる答えを出せなかった。

 混乱するボクをよそに、男性は顔色ひとつ変えないまま、なにやら呟きだした。

 

「不細工な人形だ。それは使い魔か?魔術師には見えなかったが。

 非常に高密度なエネルギーの集合体……召喚術の系統だと考えるべきか」

『S・H・I・T カナリノ強敵デスネ』

 

 かたわらにいる【エコーズ】が、無機質な言葉を口にした。

 すると、それを聞いた男性の眉がピクリと上がった。

 

「ほう!人語を発することもできるとは、実に興味深い。

 暇つぶしの玩具のつもりだったが、モルモットくらいの価値はありそうだ」

 

 男性はこちらをじろじろと見ている。

 その態度は、まるで珍しい生物を目にした研究者のようで、攻撃をしかけたボクへの敵意や殺意は感じられなかった。

 

「おまえ……何者なんだ!?」

 

 ボクの喉から、そんな言葉が飛び出した。

 男性の態度があまりにも不気味で、問いかけてしまったのだ。

 その問いに対して、当の男性はわずかに鼻で笑ってから答えた。

 

「いいだろう。面白いものを見せてくれた代わりだ。

 私の名はジェスター・カルトゥーレ。死徒と呼ばれる、人ならざる存在だ。

 喜ぶといい。自分達より上位の存在と対峙できたことは、いい冥土の土産になる」

 

 言葉を終えた直後、ボクの腹にヒザが突き刺さっていた。

 

「ぐふッ」

「おっと、強すぎたか?加減は難しいんだ」

 

 ボクは衝撃に耐えきれず、胸を押さえて両ひざをついた。

 その流れで、地面に倒されてうつぶせの姿勢になり、背中を踏みつけられた。

 

(まただ……また、一瞬で距離を詰められていた!)

「その人形の能力には興味がある。

 お友達を殺されたくなければ、教えてくれないか?」

 

 頭上から降りそそぐ声。先輩を人質にするつもりらしい。

 ボクは苦しい体勢のまま、どうにか息を吸って、吠えるように答えた。

 

「そんなに教えて欲しいなら、身をもってわからせてやるッ!」

 

 もう条件は満たしている。ACT3の真骨頂は、ここからだ。

 

 

 

 

「なんだ、これは!?」

 

 ジェスターの叫びに、琢馬は共感していた。

 数分前から、目まぐるしく変わる状況に、ついていけていなかった。

 ついさっき、倒れ伏して背中をジェスターに踏まれていたはずの康一が、今では地面に手をついたジェスターを見下ろしていた。

 しかし、革表紙の本を読んで、康一の動きを詳細に見ても、どうやってジェスターの体勢を崩したのかはハッキリしなかった。

 

「どうなっている……?」

「これがボクの、【エコーズ】の能力だ。

 おまえの右腕はもう上がることはないッ!」

「くっ……」

 

 ビシッと指を突きつける康一。ジェスターは微妙な体勢で、不快感を露わにしていた。

 琢馬は、今度はジェスターを観察することにした。地面についた手は、たしかに右手だ。

 

(……ん?)

 

 そこで、とある部分に目が留まった。

 ジェスターの右手と接している地面が、わずかに陥没していた。

 雨でぬかるんだ土の上を歩くと、わずかに沈み込む。そんなイメージだ。

 

(あの右手だけ、重くなっているのか?)

 

 そう考えると、ジェスターの微妙な体勢にも説明がつく。

 いきなり右手だけ重くなった結果、体勢を崩して倒れ込んだのだと考えられた。

 それでも疑問は残る。あのとき康一のスタンドは動いていなかった。能力を行使するタイミングはなかったはず。

 

(……いや、違う!)

「その人形で殴りつけたものは重くなる……といったところか」

 

 今まさに琢馬の脳内に浮かんだ考察を、ジェスターがいち早く言葉にした。

 ジェスターの右手を重くしたのは康一のスタンド、という前提に立てば、接触したタイミングこそが能力を行使するタイミングだと考えられる。

 その上で、ジェスターの右手だけが重さを増していたという事実が、ヒントとなった。

 

「そう。おまえが【エコーズ】を止めたとき、すでに能力は発動していたんだ。

 まさか生身の拳で受け止められるとは思わなかったけど……これでお前は動けない」

 

 康一は物語の勇士のように、悪人を追い詰めていた。

 しかし、悪人は不敵にくつくつと笑い、勇士へと話しかけた。

 

「フフ……それで?これが底か?」

「なに?」

「おそらく、その人形の能力には制限がある」

「……」

「これは推測だが……“同時に複数のものを対象にできない”のではないかな?

 いくつも対象にできるなら、今すぐ私の全身を殴りつけているはずだ。そうしないのは、今は私の右手だけを対象としているから、ということになる」

「……ッ!」

「私もいくらか魔術の心得はあるのでね。

 同時に複数の魔術を起動するのは難しい。そこにヒントを得て、考えてみたのだよ」

 

 奇妙な空間だった。悪人を追い詰めていたはずの勇士のほほから、冷汗が垂れていた。

 なによりも康一のその態度が、今しがた行われた考察の正しさを示していた。

 

「図星かな?」

「だ、だったらどうしたって言うんだッ!」

「こうするのさ!」

 

 愉快そうな声と同時に、ジェスターは直立した。

 

「ひっ……!?」

 

 康一は臆病な声をあげた。琢馬も無言のまま内心で驚愕していた。

 ジェスターの右手があった場所からは、鮮血が流れ出ていた。

 右手は変わらず、地面へとめり込んでいた。

 

「じ……自分の手首を斬り落としたッ!

 どうして……いや、そもそもどうやって!?

 ナイフを取り出す動きなんて、見えなかったぞ!?」

「いや、そいつは刃物の類を使っていない」

「え!?」

 

 信じられないことだが、ジェスターはなんの道具も使っていなかった。

 常人には目視できない速度で左腕を振るうことで、右手を斬り落としたのだ。

 これは本の記述をつぶさに読みかえして、ようやく気づくことができたことだった。

 しかし、それを説明している余裕は、残っていなかった。

 

「ふむ、どうやら再生速度は落ちているようだ」

 

 いかなる理屈か、ジェスターの右手の出血は止まり、しかも再生し始めているようだった。

 スタンド能力と同様に、常識の範囲外にあると考えるべきだろう。

 

「くらえッ!」

「おっと……当たらなければ発動はしまい?」

 

 康一の【エコーズ】によるラッシュを、ジェスターは余裕で避けた。

 直感的に、ふたたび重くする能力を発動することは、困難であるように思えた。

 さいわいにしてジェスターとの距離は取れたため、琢馬は康一へと近づき小声で訊いた。

 

「おい、どうする康一君」

「……先輩、逃げられますか?」

「なに?」

「ボクがこいつを足止めします」

 

 康一の双眸は、まっすぐにジェスターを射抜こうとしているようだった。

 危険な状態にあっても、諦めることなく立ち向かう精神をその瞳から感じ取り、気づけばゴクリと唾を飲んでいた。

 拳を空振りし続ける【エコーズ】を見ながら、琢馬はあることを決意した。

 

「このまま二人とも殺されてしまうよりは……」

「……いや。俺に考えがある」

「えっ?」

 

 反論されたことに驚いたのか、康一は頓狂な声を発した。

 その気持ちは理解できた。琢馬もまた、自身の決意に驚いていたのだから。

 

「おまえも知っているんだろう?俺のスタンド【The Book】の能力を」

 

 

 

 

「どうした、内緒話か?」

 

 ジェスターは【エコーズ】の拳を回避しながら、二人の少年に声をかけた。

 これは遊びに過ぎなかった。死徒であるジェスターと二人との実力差は歴然である。そこに余裕があるからこそ、背の低い少年が操作する不細工な人形について、わざわざ時間を割いて分析までしたのだ。

 とはいえ、人形の能力に底が見えたこともあって、少々飽き始めていた。

 

「この場を切り抜けるための手段は思いついたか?

 片方がメロスに、もう片方がセリヌンティウスになるなら考えんこともないぞ?」

 

 その提案に、本心はわずかほどもない。

 もし一目散に逃走されたなら、即座に首を落とすつもりだ。そしてもう片方も殺す。

 

「いいや。俺とこいつは決裂した」

「決裂とはどういうことだ?」

「俺はあなたに全面的に従う」

 

 不可解な発言に、ジェスターは眉をひそめた。

 感情の読み取れない顔で、やせた少年は話し続けた。

 

「こいつはあなたを倒したがっているようだが……。

 俺はなによりも生存を優先する。ここであなたに立ち向かっても得をしない」

「先輩!?なにを……」

 

 背の低い少年は、驚いた表情をやせた少年に向けていた。

 その様子も含めて、示し合わせた演技であるようには思えない。

 

「それと私に従うことと、どうつながる?」

「あなたは相当な実力者だ。俺はあなたにつき従うことで、生存確率を上げられる」

「……なるほど」

 

 やせた少年の思考の筋は通っている。

 背の低い少年は、そのうしろで口をつぐんでいた。

 

「服従の証明として、こいつを殺しても構わないが……。

 それより、この支給品を見て欲しい。死徒を殺す薬だそうだ」

「死徒を殺す、だと?」

 

 やせた少年は、デイパックをごそごそとあさり、四つ折りにされた紙を取り出した。

 そして、それを投げてよこした。左手でキャッチして眺めると、わずかに魔力の流れと似たものを感じた。

 

「ただの紙ではないようだが?」

「あなたは目もくれなかったのかもしれないが、支給品はこの折りたたまれた紙の中に収納されているんだ。不思議な力によって」

 

 そう言いながら、やせた少年は別の紙を取り出して、それを開いた。

 すると、そこからラップに包まれたホットドッグが出てきた。湯気も出ている。

 

「ほう……!」

「この要領で、さっき渡した紙には、死徒を殺す薬が入っていた。

 最初は使い道のわからないハズレかと思ったが、あなたの自己紹介を聞いて察したよ」

「私を殺すための薬、ということか」

「ああ。そうらしい」

 

 ジェスターは手元の紙を見て、考え込んだ。

 そのような薬物の存在は知らないが、完全に否定できるわけでもない。

 吸血鬼を殺すための銀の弾丸のように、死徒を標的とした武器が作成されている可能性は大いにある。

 つまり、やせた少年の言葉が真実であれば、薬を処分することで、懸念をひとつ失くせる。

 そして、仮にウソやトラップであれば、そのときは少年を殺せばよい。

 

「いいだろう。貴様の言葉に乗ろうじゃないか」

 

 結局のところ、主導権はこちらにあるのだ。

 ジェスターは笑みを浮かべて、四つ折りの紙を開いた。

 ところが、中からはなにも出てこない。その代わりに、何かが書いてあった。

 

「ん?これは――」

 

それを目に入れた直後、ジェスターの身体はぐちゃぐちゃに砕かれた。

 

 

 

 

 琢馬と康一は、息を切らして走っていた。

 倒れたジェスターのことは、その場に放置した。

 まともに勝負をしても敵わないと判断したためだ。

 

「ハァ、ハァ……あれが【The Book】の……?」

「そうだ。織笠花恵と同じことをした」

 

 問いに答えながら、琢馬は後方を確認した。追われている気配はなかった。

 足を止めるには早いと思っていたが、康一の疲れた様子を見て、息を整えることにした。

 

「すみません。集中したからか疲れが……」

「いや、いい。ただ、俺の【The Book】では即死させることはできない。

 普通の人間なら手当てをしなければ死ぬ傷だが……あいつは十中八九、死んでいない」

「はい。ボクもそう思います」

「……そうだな。休憩がてら、俺のスタンドの話をしよう」

 

 ジェスターの意識を失わせたのは、【The Book】による現象だった。

 琢馬自身のもつ記憶や感情を、文章を読んだ相手になぞらせる現象のことを、【感情移入】と琢馬は呼んでいた。

 支給品として渡した紙は、本の【禁止区域】のページをやぶって折りたたんだものだった。

 ジェスターがその紙を開いて文章を目に入れた瞬間、【感情移入】が起きた。

 結果として、ジェスターは交通事故の記憶を体感したというわけだ。

 

「本のページは破っても平気なんですか?」

「ああ。ページと俺自身との距離が三十メートル以上離れると、ページは消えて、のちに復活する仕組みだからな。痛みも特にない」

「へえ……」

 

 康一の話したところでは、どうやら康一や仗助、億泰のように人型のスタンド使いは、スタンドを傷つけると本体の人間も傷つくらしい。

 もしも【The Book】を大きく傷つけられたら、どうなるのか。試す気にはなれなかった。

 

「よし、そろそろ行けるか?」

「はい!」

 

 お互いに支給品も確認して落ち着いた頃に、行動を開始した。

 行動の方針は、とにかく図書館から離れて、信頼できる強者を見つけるというもの。ジェスターを放置することになるが、現状ではこうするより他になかった。

 康一はジェスターを放置せざるを得ないことを、かなり心苦しく感じているようだった。

 

「仗助君と合流できればいいんですけどね」

「……」

「あっ、えっと……」

「いや……そのときは、仲介役をたのむぜ」

 

 そう言うと、康一は嬉しそうに「はい」と答えた。

 なぜだか、今なら反目した仗助とも対話できそうな気がした。

 そうこうしているうちに、琢馬たちの視界に新たな施設が入った。

 

「あれは……コロッセオか。イタリアのそれを模して造られているようだ」

「……ああっ!」

「どうした、靴紐でも……なっ!?」

 

 いきなり大声を上げた康一を不可解に思い振り返ると――

 ――そこには、大型の獣に噛みつかれている康一の姿があった。

 

「おいッ!」

 

 康一から渡された支給品のスペツナズナイフを構えて、琢馬は吠えた。

 ゆっくりと、赤毛の獣が康一から離れた。康一はその場に力なく倒れた。

 

「おい!大丈夫か!」

「ぐあっ……」

 

 呼びかけても康一から返事がない。その理由は明白だった。

 康一の身体は、左肩から鎖骨付近にかけて、噛み千切られていたのだ。

 想像を絶する痛みがあることは、康一の苦悶の表情から察することができた。

 

「こ、こいつ……まさかッ!?」

 

 獣は二足で立ち上がり、舌で口の周りの血をべろりと舐めとった。

 その姿は、単に狼というよりも、人狼と呼ぶべき見た目をしていた。

 

「フフ……逃げられると思ったか?甘いなァ!」

「おまえは……!」

 

 あえて問うまでもなく、ジェスターだと確信していた。

 執念深くここまで追跡してきたのだ。琢馬と康一を殺すために。

 そしてたった今、二人のうちの片方を、乱暴にいたぶってみせた。

 

「ハハハハハ!平坦な仮面のように見えたが、なかなかどうして。

 お友達を傷つけられてショックだったか?いい表情をするじゃあないか」

 

 そうしたジェスターの嘲弄は、琢馬も自身に感じていることであった。

 康一とは協力体制こそ築いたものの、いざとなったら生存を優先する程度の関係だ。

 そのはずだ。

 そのはずだったのだ。

 しかし、胸中に渦巻くものは、それだけではないと告げていた。

 ナイフのグリップを握りしめる。こいつを人狼の喉元に突き立てられたら、この感情は解消されるように思えた。

 

「フフ……言葉もないか。無理もない。

 さあ、せめて二人で旅立たせてやろうじゃないか」

 

 そう言いながら、人狼は近づいてきた。

 距離はさほど遠くない。【The Book】の射程内だ。しかし、もはや意味はないだろう。

 どれだけ【The Book】を素早くめくり、眼前にかざしたとしても、人狼の爪が心臓をえぐるほうが速い。

 

(……ここまでか)

 

 琢馬は、ナイフのグリップを握る力を緩めた。人ならざるものを相手に、観念していた。

 いよいよ人狼の呼気まで届いてきそうな感覚に陥ったとき、ある音が耳に入った。

 

(これは……足音か?)

「……ん?」

 

 それはジェスターも同様だったらしい。周囲を見回して、気配を察知しようとしていた。

 しかし、なかなか見つからない。小走りする足音は断続的に聞こえていたが、音の主が現れる気配もなかった。

 

「……なんだ?」

 

 音だけ聞くと、まるでこの周辺を走り続ける人間がいるかのようだった。

 それが三十秒は続いただろうか。ジェスターはハッとして、倒れた康一へと近づいた。

 康一を乱暴に蹴り上げる。その下には、トカゲに似た【エコーズ】の姿があった。

 

「貴様か!」

 

 【エコーズ】は【タッタッタッ】というオノマトペを抱えていた。

 聞こえていた小走りの足音は、康一のスタンド能力によるものだったのだ。

 

「この……死にぞこないが!」

 

 ジェスターは康一の首根っこを掴むと、コロッセオの壁面へと投げつけた。

 康一の身体が壁面にぶつかり、鈍い音を響かせた。血飛沫が、壁面を染めた。

 

「いいだろう。派手に死ぬのが好みなら、そうしてやらんこともないさ」

 

 ターゲットは琢馬から康一へと移行していた。

 壁際へと迫る人狼。琢馬には、どうすることもできない。

 そして、人狼の太い腕がいきおいよく振り上げられた、そのとき。

 

「そこまでにしておくんだ」

 

 

 

 

 かすんでいく視界に見えたその人を、ボクは美しいと感じた。

 それは、ギリシアの彫刻や日本の仏像を見たときの感覚と似ていた。

 

「……まさか英霊のおでましとは。

 同陣営でそのステータスの高さということは、アーチャーかランサーか?」

「いかにも僕はランサーのサーヴァントだ。君は?」

 

 その質問は、単純に素性を答えることだけではなく、この状況の説明を行うことまでを求めているようだった。

 そんな張り詰めた空気のなかで、それでも人狼は不敵に会話を始めた。

 

「私はジェスター・カルトゥーレ。アサシンのマスターだ」

「へえ。人をいたぶる魔獣かと思ったけど……」

「その側面を否定はしないさ。人間も獣と同じだろう?」

「……まあ、言葉遊びはいい。とりあえず、君は拘束させてもらう」

 

 ランサーと名乗る人の足元から、なにかが飛び出した。

 それは鎖だった。ジェスターの両手両足に絡みついて、動けない状態にした。

 

「ちょうどいい。この中で話そうか」

「チッ……」

 

 そう言うと、ランサーは中空へと飛び立ち、コロッセオの壁の向こうへと姿を消した。

 鎖につながれたジェスターもまた、壁の向こうへと見えなくなった。

 ひとまず脅威は去ったようだ。ボクは深く息をついた。

 

「おい、大丈夫か?」

 

 蓮見先輩はボクのほうへ駆けてきて、そう言葉をかけた。

 表情は相変わらず能面のようだったけど、最初に見たときと印象はかなり変化していた。

 

(あ……)

 

 返事をしようとしたけれど、声が出なかった。

 全身が怠さにおおわれて、壁に背中をつけて座った状態から動けそうにない。

 それに加えて、目のかすみも酷くなっていた。残された時間は少ないらしい。

 かろうじて口をぱくぱくさせていたら、先輩はその意図を察してくれたようだった。

 

「俺は唇を読める。声は無理に出さなくていい」

 

 そう言われて、ボクの口角は上がっていた。

 先輩へと伝えておきたかったことを、心おきなく話せると思ったからだ。

 

(蓮見先輩……ボクは、ボクは……あなたに生きて欲しい)

「なぜなんだ?なぜそこまで――」

(……)

 

 生きて欲しい。

 先輩が関係していた事件を調べて、自分なりに蓮見琢馬という人間を想像して、その上で双葉千帆と言葉を交わしたボクの、今の純粋な気持ちはそれだった。

 しかし、ボクには決定的な事実を伝えることはできない。結局、ボク自身も現状を把握できているとは言えないからだ。

 だからこそ、せめて生きて欲しいと、そうストレートに伝えることしかできない。

 あとは、やはり仗助君についてアドバイスしておくべきだろう。

 

(仗助君は……ちょびっと直情的だけど、話せばわかってくれます。

 髪型だけはバカにしちゃあダメですよ。あれは仗助君の【禁止区域】ですから……)

「――、――!」

 

 先輩がなにか話していた。しかし、あいにくもう聞こえていなかった。

 こんなとき読唇術ができたらよかったのにと、生まれて初めて考えた。

 

(運命の届かないところで……どうか、生きて……)

 

 ボクは、まぶたを閉じた。

 

 

 

 

広瀬康一@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day- 死亡

 

【全体人数 残り138/150人】【小説陣営 残り33/37人】

 

 

 

 

 




【エリアI-8/コロッセオ付近/1日目/黎明】

【蓮見琢馬@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-】
[状態]:疲労(中)、動揺
[服装]:ぶどうヶ丘高校の制服
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:2枚(蓮見、康一)
[参戦時期]:虹村億泰と交戦後~東方仗助と交戦するまでの間。
[装備]:スペツナズナイフ@現実
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品×0~4、ホットドッグ@現実
[思考]
基本:この殺し合いを切り抜け、草原を見に行く。
1:生き残る。邪魔者は容赦しない。
2:ジェスター、大神照彦は警戒しておく。東方仗助と和解できる可能性はあるのか?
3:なるべくさっきの眼帯の侍(沖田)の邪魔はしたくない。
[備考]
※やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。を四巻まで読破し、
 残りは全てスタンドに記録させました。
※彼のスタンドに関する制限は、後の書き手様に任せます。


【エリアI-8/コロッセオ内部/1日目/黎明】

【ジェスター・カルトゥーレ@Fate/strange Fake】
[状態]:疲労(中)、人狼の姿、概念核:残り5
[服装]:白いスーツ
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(ジェスター)
[参戦時期]:不明(偽アサシンに殺害されたときより後)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:殺し合いを堪能する。
1:偽ランサーとの対話を切り抜ける。
2:偽アサシンともいずれ出会いたい。
[備考]
※概念核の残りの内訳は(死徒、少年、人狼、巨人、他1)です。
※肉体の再生速度には制限がかけられています。


【偽ランサー@Fate/strange Fake】
[状態]:正常
[服装]:貫頭衣
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(偽ランサー)
[参戦時期]:不明
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:殺し合いへのスタンスを考える。
1:ジェスターと会話する。
[備考]
※制限については後の書き手にお任せします。


【支給品】
・ホットドッグ@現実
蓮見琢馬に支給。ラップに包まれており、温かい。

・スペツナズナイフ@現実
広瀬康一に支給。刀身の射出が可能なナイフ。


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レイゾンデイト・カアスドステエジ

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・カーズ@ジョジョの奇妙な冒険
・両儀式@空の境界
・浅倉威@仮面ライダー王蛇
・デザスト@仮面ライダーセイバー


「お!やってるやってる」

 

気になる気配(におい)をたどってきてみれば、想像通りそこには剣戟と殺意の応酬があった。

片方は和装に短い髪の女だ。

その両眼にあらん限りの殺意を滾らせ、ほれぼれするほど的確に鋭い斬撃を繰り出し続ける。

それに対峙するのは紫色の鎧に、銀色の仮面の戦士だ。

聖剣の剣士にもよく似た姿で、手にはドリル状の突撃剣を持っており、それで女と切り結んでは……

 

(いないな。女の攻撃を武器で受けたらまずいと判断して、避けることに終始してる。

けど全く諦めてねえ。

ほんの僅かでも隙があれば絶対に喉笛を食いちぎってやるっていう血まみれの飢えた獣みたいな苛立ちと、いつまでも燃える業火の煙さの混じった最高にギラついた臭いがする)

 

女、両儀式の銀の刃が空を切り、避けて屈んだ姿勢から鎧の男、王蛇は鎧の尖った方肩アーマーを活かしたタックルを喰らわす。

100mを5秒で走り、ひと跳びで40mの跳躍が可能な王蛇の豪脚から放たれる体全身を使った砲撃は、式の袖口を掠める事しか出来なかった。

が、式の額には確かにキラキラと汗が浮かんでいる。

いくら本人の実力を最も発揮できる装備である日本刀を使っていると言っても、パワードスーツ的性質の強い王蛇の方が、肉体そのもの造り替えてスペックを上げている式よりもスタミナでは軍配が上がるようだ。

 

「はっはっはっ!あぁああああああっ!」

 

鉄筋コンクリートの壁をだった瓦礫の中から起き上がった王蛇は、突撃剣、ベノサーベルを片手に再び式に斬りかかった。

イライラがスッキリする。

命を奪い合う感覚が、体全身への痛みが、口に広がる鉄の味が。

イライラが心に満ちる。

式の命が消えていないことが、攻撃が当たらないことが、死臭がしないことが。

狂気も狂喜もないまぜになった激情にせかされるままに剣を振るい続ける王蛇。

そこに一陣の風が差し込む。

ほぼ同時に繰り出された王蛇と式の剣は、それぞれ風双剣と、紅い骸骨の装飾の黒い長刀、グラッジデントに防がれる。

 

「!?」

 

「モンスターだと?」

 

式からは警戒が、王蛇からは邪魔をするなと言わんばかりの苛立ちが感じられる。

デザストは特に気にすることなく、そして王蛇が動き出すより早く、真っ二つに斬られたグラッジデントを捨てると、緑色の小さな本を取り出した。

 

<猿飛忍者伝!>

 

<とある影に忍は疾風。あらゆる術でいざ候……>

 

「……?」

 

「変身」

 

「何!?」

 

<風双剣翠風!>

 

<翠風の~巻!甲賀風遁の双剣が、神速の忍術で敵を討つ!>

 

聖剣の力が発動されると同時に、デザストの全身を余すことなく包んだ疾風のカーテンが、風双剣とグラッジデントによって引き裂かれる。

手裏剣のような十字型の左眼、右眼の上にはソードクラウンと呼ばれる二本の角が生えている。

黒き闇と、それを吹き抜ける風の緑。

自由を謳う合成獣が纏ったその鎧の名は仮面ライダー剣斬。

デザストにとっては唯一心行くまで死合った剣士、緋道蓮の戦う姿である。

 

「お前、モンスターのくせにライダーなのか?

デッキもカードもないみたいだが……」

 

「お前こそ、仮面ライダーのくせに剣士ってふうじゃねえな。

ま、そんなことより折角来たんだ。俺も混ぜろよ!」

 

デザストは再びグラッジデントを己が能力で生成すると、かつてストリウスと戦う際に仮面ライダーファルシオンに変身した時の様に、二刀流で挑む。

片や王蛇の暴力その物のような粗削りでザラついた剣戟、片や式の洗練された一撃一撃が必殺の鋭すぎる斬撃。

デザストはそれをどんな隙間も風の通り道になるのが当たり前かの様に、的確に捌き、躱し、受け、切り返し、火花を散らす。

 

「はははっ。はっはっはっはっはっ!」

 

気付けば口からは無意識に笑い声が上がっていた。

そうだ、大義も正義も悪もない自分にあるのはこの感覚。

命を燃やし合って、ギリギリのせめぎ合い。

死神の見守る剣の舞踏。これこそ自分の存在理由(レイゾンデイト)

 

「ははははははは!」

 

王蛇もそれは同じようだった。

戦っている時こそ最も感じるのだ。

呼吸を、鼓動を、開放感を。

最も新鮮な空気を吸っている気がするのだ。

まともな呼吸をしている気がするのだ。

もはや王蛇にとって闘争とは生態なのかもしれない。

 

(あの剣……いや、あの本か?)

 

式はデザストの持つ風双剣、そのスロットにセットされたワンダーライドブックに違和感を覚えていた。

どこかで見たことが、それどこらか触れて感じたことが有るような気がしてならないのだ。

それもそうだろう。仮面ライダーセイバーの世界において、ワンダーライドブックは、世界のすべてが記された大いなる本、全知全能の書の断片。

式の元居た世界の法則に当てはめれば、分割した『根源』の一つである。

『根源』に接続している式からすれば、変な話だが、何か覚えがあってもおかしくない。

 

(なんにせよ、あの本が『変身』の核には違いない!)

 

そう思って式は剣ごと本を『殺』そうとするのだが、デザストは驚異的な嗅覚で式の殺意を感じ取り、すかさずグラッジデントを盾、というか身代わりにしてしのぐ。

 

「おいおい……遊んでくれって言ったのはそっちだろうが!」

 

自分をぞんざいに扱おうとしていると勘違いした王蛇がデザストを執拗に攻撃する。

必ずその腸を食いちぎると言わんばかりに連続攻撃を繰り出す王蛇に、二刀流故の手数で対応しきる。

 

「おおおおっ!ははは!悪かったな。

じゃあこいつはせめてもの侘び代わりだ」

 

そう言うとデザストは風双剣を変身と共に腰に出現したソードオブロゴスバックルのホルダーに納刀し、グラッジデントを構える。

 

「何の真似だ?」

 

「カラミティストライク」

 

紫色のエネルギーを纏い、螺旋状に回転しながらデザスト王蛇に斬りかかった。

 

「―――っ!」

 

なんとかベノサーベルで受けこそしたが、

大きく吹き飛ばされ、地面を何バウンドもしながら転がり、壁に激突して漸く静止する。

 

「はっ……はっはっはっはっはっはっ!そうだ!

そうじゃなきゃ戦いはつまらない!」

 

「くっくっくっ!土の剣士とはまた別の意味でタフだな!

いいぜ!次は連撃だ!受けきれるなんて思うなよ?」

 

そう言ってデザストは一度納刀した風双剣も引き抜き、二刀構える。

王蛇も式も心地よい闘気に抑えきれない高揚感を抱いた。

死だ。一撃一撃に濃厚な死がある。

それだけで殺人鬼ふたりの心は喜びで狂いもだえる。

 

「カラミティ「輝彩滑刀」すとら……は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰

 

 

 

ずるっ、と言うよりかは、ツー、とでも擬音をつけたほうが正確だろう。

体液が潤滑油になって、人間でいうところの心臓から右肩にめがけて袈裟斬りに斬られたデザストが崩れ落ちる。

カーズは直ぐに王蛇に視線を移す。

彼の手にはベノサーベルではなく、毒蛇そのものを模した杖が握られていたが、心底どうでもいい。

武器を変えたところで、武器ごと、鎧ごとぶった切ることに変わりはない。

カーズにとって人間とは大きく二種類に分けれる。

波紋使いでない存在=人間でいうハエ。

波紋使いorその素質のある存在=人間でいう蚊。

王蛇は前者。目の前で邪魔くさく飛んでいるなら叩き落とすだけの存在。

武器を変えていようとやることは何も変わらない。

 

<ADVENT>

 

王蛇はベルトから取り出したカードをベノバイザーに読み込ませる。

次の瞬間、カーズの体はトラックにでも激突されたかのような浮遊感と衝撃に襲われ、王蛇の元まで吹き飛んだ。

そしてピッチングマシーンが飛ばす硬球を待ち構える王蛇の追撃は、思い切り体をひねる……と、言うより、闇の一族の特性である肉体操作で強引に回避し、王蛇の背後に回ると、元の体系に戻る&傷やこっ節を強引に治すのと同時に、かつて自分が影を踏んだという理由で攻撃してきた信頼する臣下、ワムウに倣って後ろ蹴りを放つ。

おそらく本家本元ワムウが点数をつけるなら、身内贔屓有でも40点もいかないような蹴りだが、王蛇を吹き飛ばし返してやるには十分だったようだ。

体制を整え再び王蛇の方を見る。

武器を杖に立ち上がった王蛇の後ろに、銀色のサイを思わせる姿の魔獣が立っている。

 

(馬鹿な!あんなサイズの獣が隠れれる場所などなかったはず!

どこだ?一体どこから出てきた?)

 

「お前……人のなりをしちゃいるがモンスターかぁ?

どうやらここは……本当の地獄らしい!」

 

再び武器をベノサーベルに持ち替えた王蛇がカーズに膝蹴りと共に飛び掛かる。

細切れにしてやろうと輝彩滑刀を振るうカーズだが、それを妨害するように式が氏繁をで斬りかかって来た。

その素晴らしい剣の腕を買ってデザストと王蛇を始末した後に配下に勧誘する予定だったが、自分に刃を向けてきた時点でその考えは捨てた。

別にワムウやエシディシレベルで必要としている訳でもない。

どれぐらい度でもいいかと言えば、鉛筆の尻にくっついている消しゴムレベルでどうでもいい。

有ったら有ったで困らなくもない。

食料としての価値も戦力としての価値も吸血鬼に二歩も三歩も劣る。

それがカーズの中の『人間』である。

だからこそさっさと始末されない王蛇と式に、カーズはいらだちしか感じない。

 

「人間風情が!」

 

輝彩滑刀の刃が唸る。

時間が経つにつれ、王蛇の鎧は細く鋭いな傷跡が増えていき、式の額や頬に弾の様に汗が浮かぶ。

 

「は、はははははは!」

 

「なんだ?ついに恐怖でおかしくなったか?」

 

「いいや。やっぱり戦いはこうじゃないとなあ。

イライラがスッキリする……」

 

「ふんっ!くだらない。これが戦いだと?

違うな。ほんの少々手間のかかるゴミ掃除だ。

お前も今にあの緑の鎧の奴の様に……」

 

そう言ってカーズは何気なしに先ほど切り裂いてやったデザストの方を見る。

そこには赤黒い水たまりだけがあった。

 

「何!?」

 

「しっ!」

 

久しく感じていなかった痛みに顔をしかめる。

そこにはさっき始末したとばかり思っていたデザストの姿があった。

 

「甲賀隠身の術……なんてな♪」

 

「このドブカスどもがぁーっ!」

 

絶叫と共にカーズは切り落とされた腕をなんと左足で蹴り上げた。

断面同士が重なり、ほんのわずかな血液と共に、奇麗にくっつく。

 

(ない腕生やせる俺程って訳じゃないが、生身とは思えねえ再生速度!

コイツ、バケモンなのは確かだが何者だ?)

 

そんなデザストの考察を遮るように、カーズは復活した腕でエニグマの紙から取り出した木の実の様な物を握り砕いた。

中から、浦崎色の煙が勢いよく吹き出し、四人を囲むように広がる。

 

「ゲホゲホ!……?、、!」

 

煙の奥から敵意を敏感に感じ取った式が氏繁を勢いよく振るう。

ズルッ、と濡れた何かがスライドする音に一拍遅れて水を含んだ大きなものが床に落ちる。

それは浮遊城アインクラッドにおいて、リトルぺネントと呼ばれる身の丈1メートルほどの自走捕食植物だった。

それらが未だ晴れぬ煙の奥から、無数にひしめき合って迫ってきている。

 

「こりゃあいい……まだまだ祭りは終わらないなぁ!」

 

ベノサーベルに加え、ベノバイザーも逆手でもって二刀流になった王蛇が喜び勇んでリトルぺネントの群れに突っ込んだ。

ベノサーベルで脳天(?)を串刺しにしたり、ベノバイザーで思い切り頭(?)を殴りつけたりと、様々な方法で雲霞の如き敵を蹴散らしていく。

 

「チッ!仕方ねえ」

 

大量のリトルぺネントに紛れて時折繰り出される輝彩滑刀を躱しながらデザストは風双剣からワンダーライドブックを外し、シンガンリーダーに読み込ませる。

 

<猿飛忍者伝!> <ニンニン!>

 

「カラミティ・ストライクッ!」

 

<翠風速読撃!ニンニン!>

 

直ぐ近くにいたリトルぺネントを踏み台に、カーズの横薙ぎの一閃を避けたデザストは、紫色のエネルギーと翡翠の風を纏った高速斬撃で、直線状の敵を蹴散らし、王蛇の元にたどり着く。

 

「あ?」

 

<猿飛忍者伝!>

 

そこでデザストは変身を解除し、もう一度ワンダーライドブックを起動する。

デザストと王蛇はポン!と派手な音を立てて噴き出た白い煙に包まれた。

それはさっきのリトルぺネントの実の物とは違い、すぐに晴れたが、二人の姿はどこにもなくなってしまっている。

 

「消えた!?」

 

「ふんっ!」

 

鼻を鳴らすと、カーズもご自慢の輝彩滑刀でリトルぺネントごと壁を切り裂いて逃げ道を作ると、外に出た。

その際、式が意図的に切らずに残しておいた新たな実付きに石礫をぶつけて殺しておくのも忘れない。

新たに湧き出るリトルぺネントの波の奥に式が消えたのを確認し、カーズは残る自分の方に来た個体を片付けて、すぐさまその場を離れた。

 

(全く忌々しい!このカーズが!あのような波紋も使えない下等生物共に腕を斬られるなど!)

 

自分が能力で劣っていたとは決して思わない。

自分一人に対して相手は3人だったが、3人がかりだったわけではない。

全員が全員敵同士だった。

その中で自分は腕を斬られた。

恐らくあの3人のなかで唯一人外であろう緑の仮面の男に。

 

「殺す前に少し調べてみてもいいかぐらいには興味はあったが……そんなものはもうどうでもいい!

気配は覚えた!必ず見つけ出して始末する!

今度は再生しないように念入りに!

輝彩滑刀で1㎝四方の食べやすいサイズにして吸血鬼の餌にしてくれる!」

 

燃え滾る激情に支配される思考回路と、冷静にさっき目にしたデザストの動きを元に最適な戦術を練り始めている。

この頭脳を更なる高みへ、この肉体を更なる高みへ。

その一念のみで悠久の時を生きるカーズの信念は決して揺らがない。

完全なる存在へなるために、あらゆる障害を排除する。

そんな彼のブラックリストのジョースターの名前の横に、デザストの存在が加わった。

 

 

 

【エリアB-9/廃墟群/1日目/深夜】

 

【カーズ@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:健康、苛立ち(大)、失血(小)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(カーズ)

[参戦時期]:未定。後続の書き手様に任せます。

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2(確認済み)

[思考]

基本: 自陣営を勝利させる。

1:両儀式、浅倉威、デザスト(全員名前は知らない)は次会った時に必ず始末する。

  デザストは特に念入りに始末する。

2:使える自陣営の参加者は駒として利用する。それ以外は殺す。

3:それはそうとアズは始末しておく。

4:『ジョニィ・ジョースター』は優先して始末する。

[備考]

※同じエリアにいるDIOにはまだ気付いていないようです。

※リトルぺネントの実@ソードアートオンラインを使い切りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰

 

 

 

濃い緑色の風が吹き抜けていき、視界が晴れる。

ついさっきまで屋内に居たはずのデザストと王蛇は近くの別の建物屋上に来ていた。

 

「ああ!」

 

「おっと!」

 

王蛇はベノバイザーを苛立ち気に振り回すが、デザストはそれを軽々避けると、変身を解除する。

 

「お前……折角の祭りが盛り上がってたのに余計な事してくれたなぁ」

 

「あれ?俺の親切心が伝わってない感じ?」

 

「親切心だと?」

 

「ああ。さっきのウツボカズラども、あの男が奴らを呼び寄せる時に使ったのと同じ実が付いてる奴が何体かいたぜ。

実に気付かず倒し続けてたら、延々雑草抜きさせられてたところだぞ?俺たち」

 

「なんだと?」

 

戦いの高揚感にすっかり酔っていた浅倉は気付かなかったが、リトルネペントは大体10体に1体ぐらいの割合で、破壊されると同種を引き寄せる実を付けた個体がいる。

もし倒してしまったら、終わらない無限ループに陥っていたことだろう。

 

「……それじゃあ雑草共の代わりにお前が遊んでくれるのか?」

 

「それも悪くないが、生憎当てがあってね」

 

そう言うとデザストはある物を見せた。

 

「そいつは確か……デバイスだったか?」

 

「俺の最後の支給品。『脱落者確認アプリ』だ。

こいつで同じステージのどこでいつ、誰が脱落したかが確認できる」

 

つまりこのアプリに表示される場所は誰かに殺された者が、その近くにはまだ、激闘を制した戦士、あるいは圧倒的力でねじ伏せた強者がいるかもしれないということだ。

 

「今から急げば会えるかもしれないぜ?

早速白星を挙げてる最高で最低なこの戦いにのってる奴に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰

 

 

 

何も無かったはずの場所に、素肌の上に蛇柄のジャケットを羽織ったギラついた眼をした男が現れる。

ゴキゴキと首を鳴らし、獲物を前にした肉食獣のような笑みを浮かべるのは他でもない王蛇……浅倉威だ。

 

「ここかぁ?祭りの場所は……」

 

浅倉はデザストの言葉に乗った。

なぜなら浅倉は式にそれほど興味がなかったからである。

もっと正確に言えば、このバトルロワイヤルに呼ばれる前に参戦していた殺し合い、ライダーバトルにおいて執拗にその命を狙った悪徳弁護士、北岡(きたおか)(しゅう)(いち)ほどは興味を持たなかった。

浅倉にとっての北岡は、PoHにとってのキリトやこのバトルロワイヤルで出会った万丈龍我と同じ。もし居るのならば、必ず殺さない訳にはいかない存在。

それに比べれば式は精々城戸真司や秋山蓮と同じか、それより少し良いぐらいの、遊び相手の一人という認識だ。

怪物に圧殺されるリスクを受け入れてなお戦い続ける程ではない(まあ、他に面白そうな敵もいないならやっても良いとは思っているが)。

 

「あ゛~……でもあのモンスターは少しもったいなかったかもな」

 

浅倉は手にした王蛇のカードデッキから一枚のカードを取り出し、狂った星空に掲げる。

 

「こいつで俺の物にしてやるのも面白かったか」

 

そのアドベントカードの名前は契約(CONTRACT)

王蛇が新たなミラーモンスターと契約するためのカードである。

 

「さーて、これから会いに行くやつは、ライダーだと良いんだけどなぁ……」

 

飢えた牙持つ毒蛇は彷徨う。死を、ひたすらに死を求めて。

 

 

 

【エリアC-8/屋外/1日目/黎明】

 

【浅倉威@仮面ライダー龍騎】

[状態]:健康、イライラ(小)、高揚感(大)、ダメージ(中)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(浅倉威)

[参戦時期]:メタルゲラスと契約した後~エビルダイバーと契約する前。

      詳細は後の書き手に任せます

[装備]:王蛇のデッキ@仮面ライダー龍騎

[道具]:デザストのデバイス(脱落者確認アプリ入り)@ロワオリジナル

    デバイス以外の基本支給品一式、ランダム支給品0~1(未確認)

[思考]

基本:いつもどおり戦う。

1:誰かをもう殺してるだろう奴を探し、戦う。

2:モンスターの群れより面白いう奴だと良いんだけどな。

3:両儀式やライダーになるモンスター(デザスト)、腕から剣の出る男(カーズ)ともまた戦いたい。

[備考]

※名簿を見ていません。

※自分の陣営が何かわかっていません。

※なお、陣営がわかっていても構わず襲いかかるかもしれません。

※転移結晶@ソードアート・オンラインを使い切りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰

 

 

 

「行ったか」

 

大きく伸びをしたデザストは、交換された何のアプリも入っていないデバイスを仕舞い、一点を見つめる。

ついさっきまで自分もいたそこでは、未だ絶えることなくリトルネペントの死体が山積み上げられていく。

が、そこにカーズの臭いはない。

けどこっちは一度腕を切り落としてやったのだ。

あの化物は必ずまた現れるだろう。

相対した瞬間からわかっていた強大なオーラ、隙のない構え。

そして高すぎる実力と頭脳に裏打ちされた余裕の振る舞い。

理性も知性も肉体能力も、一級品のとんでもない怪物。

 

(あいつは戦おうとしてなかった。

コッチを始末するのも正に作業と言わんばかり……ヤな奴思い出すぜ)

 

カーズの振る舞いは奴を連想させた。

自分を生み出した奴、そして自分に何の意味も処分してくれた方が助かるなどと宣ったストリウスを。

カーズやストリウスに比べれば、やれ物語の結末がどうのとか、受け継いだ使命がどうのとか、世界の救済がどうのとか言いながらも、全力で、本気で答えようと剣を振るう仮面ライダー共の方が好感が持てる。

そう思うくらいカーズの態度はデザストの逆鱗を刺激した。

 

「本当にいやな臭いだ。ぜひとも消したいねえ……」

 

浅倉を遠ざけたのは、あのままだと嬉々としてカーズに挑もうとすると判断したからだ。

デザートは最後に、という思いもなくはないが。

 

(奴は強いのは間違いない。

けどこのバトルロワイヤルは殺し合い。

俺ほどでではないが、あれだけ高い再生能力を持つ奴でも死ぬときは必ず死ぬ)

 

ならばやりようはある。

この戦いにアズは明確なゲーム性を持たせている。

アズが最後までこの殺し合いをゲームとして成立させる気があるならば、攻略できない(プレイヤー)は絶対に用意されていない。

その気になれば誰だろうと()れるだろう式の存在がその証明だ。

 

「まずはもうちょいこの剣を使い慣れないとな。

思えばコイツともある意味長い付き合いだが、握ったのは初めてか?」

 

風双剣で一度だけ風を切ると、デザストはカーズを尾行すべく、下界に飛び降りた。

 

 

 

【エリアB-9/廃墟群/1日目/】

 

【デザスト@仮面ライダーセイバー】

 

[状態]:健康、不機嫌、高揚

[服装]:いつもの姿

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(デザスト)

[参戦時期]:原作43話での消滅後。

[装備]:風双剣翠風@仮面ライダーセイバー

[道具]:デザストアルターライドブック@仮面ライダーセイバー、

    猿飛忍者伝ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、

    基本支給品一式(デバイスは浅倉の物)

[思考]

基本:衝動の赴くまま闘いを愉しむ。

1:カーズ……いやな臭いだ。消したいね。

2:強いやつが居たら遊んでやる。

  早くこの剣も使い慣れたいしな。

3:最後にはあのアズってヤツを斬る。

[備考]

※名簿を見ていません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰♰

 

 

 

「ふっ!」

 

最後のリトルぺネントを切り終え、激戦に次ぐ激戦で刃こぼれしきった氏繁を納刀し、式は大きなため息をついた。

心地よかった。

浅倉の自分と同じどうしようもない殺意も、デザストの喜悦に満ちた殺意も、カーズの絶対零度の生き物を生き物とも思わないで振るわれる刃も。

だが、ついぞだれ一人殺せぬまま。

この衝動は、半ば植物のような何かを斬った程度では、やはり満たされそうにない。

そう考えると、あの場を無理やりうやむやにしたカーズへの殺意が再燃する。

そして逃した獲物たちへの未練も。

式は二枚目のエニグマの紙を取り出し、開いた。

中から出て来たのは黒い刀身を持った少し形の変わった日本刀。

試しに何度か振ってみる。

 

「良い剣だ」

 

付いていた鞘に納刀し、式はその場に座り込んだ。

いくらk野所と言えど、流石に疲れたのだろう。

 

だがその目に浮かぶ黒い殺意は一切衰えていない。

次なる獲物の喉笛をその刃で切り裂くのを想いながら、式は体を休めた。

 

 

 

 

【エリアB-9/廃墟群/1日目/深夜】

 

【両儀式@空の境界】

[状態]:健康、殺人衝動、疲労(大)

[服装]:いつもの袖姿

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(両儀式)

[参戦時期]:未定。後続の書き手様に任せます。

[装備]:闇斬剣@ソードアート・オンライン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1(未確認)

    氏繁@龍が如く 維新!

[思考]

基本:未定

1:とりあえず今は休む

2:カーズ、浅倉、デザスト(全員名前は知らない)とまた戦えば殺す。

[備考]

※名簿を見ていません。

※自分の陣営が何かわかっていません。

※氏繁@龍が如く 維新!は、戦闘によりかなり刃こぼれしてしまっています。











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考察、列車、チェンソー

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
・三村信史@バトル・ロワイヤル
・書き手枠@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・デンジ@チェンソーマン


念入りすぎるぐらいに念入りに車両内を調べ、ようやく納得、というか、安心したディエゴが席に着く。

その反対側に、ディエゴから見て右から優美子、信史という風に座った。

 

「それじゃあ改めて、俺は三村信史。

香川の城岩学園中学校3年B組。

そっちのお姉さんは?」

 

「……三浦優美子。

千葉の総武高校の二年F組」

 

『私、アイちゃん!みんなよろしくね!』

 

「……ディエゴ・ブランドー。

見ての通りの騎手(ジョッキー)だ」

 

それぞれ名前を教えあい、簡単にだが自己紹介を始める。

 

「大東亜共和国ってなに?国の名前って日本でしょ?」

 

「いやいや何言ってるのさ三浦さん。

日本てのは土地の名前で国の名前とは別でしょう?」

 

同じ国の出身かと思われた信史と優美子だったが、話がかみ合わなかった。

信史曰く、香川県のある大東亜共和国は、全体主義国家。

しかし優美子曰く、千葉のある日本国は、民主主義国家だという。

これだけでも結構な差異だが、さらには暦や文化まで異なる。

 

信史は今年が西暦1997年で、ロック音楽などは廃退的の烙印を押され、禁止されているといい、

優美子は今が西暦2011年の秋だといい、好きな音楽を好きな時に聞け、禁止されてる音楽などないという。

ではどちらが正しいか、アイちゃんにジャッジしてもらおうと、

彼女(声は明らかに女性なので、便宜上こう呼ぶ)は、

 

『今はN.E.2020。人工知能搭載人型ロボット、ヒューマギアをはじめとした様々なAIが人間たちと手を取り合い助け合う新時代!』

 

とのことだ。

今が19世紀末だと思っているディエゴからすれば全部異次元の会話である。

何せ19世紀末といえば、まだ日本では幕府のあったころの時代にいた人たちが生きてるぐらいの時代で、世界大戦すらまだ一度も起こっていない。

どう考えても第二次世界大戦の結果を基点に分岐したIF同士であろう『大東亜共和国の世界』と『日本国の世界』のことを簡単に飲み込むのは不可能。

そこにさらに西暦じゃない年号まで出てくるのだ。

片頭痛がするだろう。

 

「OK,OK!とにかく!俺たちはどれだけ信じる歴史や音楽の好み、そして振り分けられた陣営が違っても、協力しあう必要がある。

そう考えてこの列車に乗った。違うのか?」

 

「まあ、そうですけど……」

 

「だったらまずはこのデバイスや紙の確認。

そして情報交換なんかを済ませて、協力する期間とかもろもろ決めるべきことを決める。

違うか?」

 

ディエゴの決定に、電子機器に一番慣れてる優美子のレクチャーの元、それぞれがデバイスを開いた。

 

「外の風景から考えるに、やたら背の高い建物ばかりだった景色から海に出てるから、行先はおそらく古風ステージのネアポリス駅だろうな。

赤陣営の上の方の名前や、地図上のコロッセオとかも併せて考えるに、

ジャパニーズに次いでイタリアンやそれに縁のあるやつの割合が多いのかもな」

 

「名簿と言えば、赤陣営どころかどの陣営にも三浦さんの名前がないんだけど、そっちは?」

 

「なんかピンク陣営の下のめっちゃ『?』マークが並んでるところに書いてある。

そっちの名簿じゃ見れないの?」

 

「俺の名簿にもない。

おそらく、あの女やその仲間がわざと隠してるんだろうな。

ただでさえ偽アーチャーとかシンデレラとかどう見ても偽名な名前もあるし、そこに更にいるはずのない人間まで出現させられたら忽ち疑心暗鬼だ」

 

『酷い!最初から仲良くさせる気がないなんて!』

 

「趣味悪……」

 

「ま、最初の最初から宣言していたことでもあるけどね」

 

そういって今度は名簿内に知り合いの名前がないかという話になった。

YES,NOで言えば、全員がYESだった。

 

「他の『?』の19人にまだ居るかもしんないけど、あーしの知り合いはヒキオと結衣の二人。

真ん中の雪ノ下雪乃はわかんないけど、最初のホール?で、総武の制服の長い黒髪の子みたからその子かも。

多分結衣の友達なんだと思う。ヒキオ……ヒキタニに友達とかいないし」

 

「ヒキタニ?こいつの名前ヒキガヤじゃないのか?」

 

「え?ヒキガヤ?」

 

「俺の名簿だと、英字でHikigayaになってるんだが……」

 

そう言ってディエゴが二人に名簿を見せる。

そこには確かに『Yukino Yukinosita』の一個上に『Hachiman Hikigaya』と表記されている。

 

「隼人たちもヒキタニって呼んでるし、てっきりそうなのかと思ってたけど違うんだ。

そういえば、先生からはヒキガヤって呼ばれてた気も……」

 

「まあ、そんだけまちがえられ続けたら今更修正もできないか」

 

『皆に名前間違えられてるなんて可哀そう!』

 

「三浦さん、あったら謝っといた方がいいんじゃないですか?」

 

「うん……そうする」

 

哀れ比企谷八幡。

おそらく、このバトルロワイヤルでディエゴたちと出会うことがなければ、彼らの中の比企谷八幡は、『会ったこと無いけど、なんか不憫で可哀そうな奴』で終わってしまうことだろう。

そしてその事実に一番傷つく本人だけが気づけない。

 

「さて、じゃあそのヒキガヤ、ユイ、推定ユキノと思われる黒髪だが、問題はありそうか?」

 

「ないと思う。ヒキオはひねくれてるけど、どっちかっていうと、余計なこと言ってぶっ殺される心配の方があるし、結衣は優しすぎてはっきりモノ言えない時もあるような子だし、その結衣と友達やってるなら、雪乃も多分平気っしょ」

 

「そっか、じゃあ次は俺だね」

 

ついで信史が語った内容は、ディエゴにとって、いや、もしその場に居たらどんな参加者も耳を傾けずにはいられない内容だった。

 

「バトルロワイヤルはこれが初めてじゃない」

 

「詳しく頼めるか?」

 

「ああ。まず俺の住んでる国、大東亜共和国では年に一回プログラムと呼ばれるこのバトルロワイヤルによく似た殺し合いが開かれるんだ。

参加者は全国の中学三年生の中からランダムに一クラス選ばれ、皆今の俺たちみたいに爆弾の付いた首輪が付けられる」

 

そう言いながら信史は支給されたスケッチブックを二人に見せた。

 

『首輪には盗聴器が仕掛けれている。

会話は全て運営に筒抜け。重要なことは筆談で』

 

「それ、本当?」

 

と、問う優美子。

すぐにしまった!と思って口をふさぐが、文脈的におかしくないので今は問題ない。

 

『次から気を付けろ』

 

と、ディエゴもスケッチブックに書き入れ、続きを促した。

 

「島一個無理やり貸し切って水道も電気求めて、銃とかナイフとか渡して最後の一人になるまで殺し合わせるのさ。中にはフォークみたいに明らかに外れの道具もあった」

 

全員がアイちゃんに視線を向けた。

投げるのに手ごろなサイズということぐらいしか武器としての価値はなさそうだ

 

「つまり、この件にはその大東亜共和国が関わってると?」

 

「んー、どうだろう?全く無関係とは思わないけど、外国人のディエゴさんまで巻き込まれているし、アイちゃんみたいなどう見ても大東亜共和国とも三浦さんの国とも違う技術も有るし」

 

『もし国が関わってるとしたら、俺らの参加したプログラムでアズと同じ役割をした坂持が居るのはおかしい』

 

「関係があったとしても技術盗用がされてるぐらいってとこか」

 

「多分そうなんじゃないですかね。

他には最初にアズが言っていた帝具、スタンド使い、英霊なんてのに関する技術もどこかしらに使われてたりするのかな?」

 

そう言いながら三村はスケッチブックに新たに何か書いた。

 

『俺は最初、首輪を管理してるシステムをハッキングしてプログラムを打破しようと思ったんだ』

 

「……じゃあ三村から出せるヒントはないってこと?」

 

頭こんがらがりそうになりながらも、優美子はなんとか不自然ない言葉を発した。

 

「いや、ここまで意図的に似せてるんだ。

何にもないなんてことは無いと思う」

 

『システムをハッキングしようとしたけど失敗した。

盗聴されていたからさ』

 

「どうゆう意味だ?」

 

ディエゴはスケッチブックのシステムとハッキングを指さし質問する。

高度な機会なんてまだレコードの再生機ぐらいしかないディエゴにはそもそも概念として伝わらない。

 

『首輪で禁止エリアとか決めてんならなんか電波とか出してるとこあるってこと?』

 

ここで優美子がフォローに入る信史は正解、とでも言うように笑顔で頷き、

 

「多分、前やって失敗したことや、上手くいったことをそのままなぞらせることで俺の足元すくいたいんだと思う。

そうじゃなきゃある意味ビギナーじゃない俺を参加させる意味がない」

 

『だから運営も俺にスケッチブック何て支給してくる。

首輪の盗聴機能についてどうせバレると思っているから』

 

「……なるほど。だがその場合、奴らはどうやってその、サカモチだったか?

に気付かれないようにお前たちの動向を把握してたんだ?」

 

「さあ?残念ながらそこまでは」

 

『盗聴をさらに盗聴してたんだと思う。

こんな魔法じみたことまで出来る連中だ。出来ても不思議じゃない』

 

「いやそれ諦めてんじゃん」

 

「考えるだけ無駄さ。どうせ逃げれっこない。

前みたいにね」

 

と、口では言いながら信史は全く諦めてない顔でスケッチブックに指をさす。

 

『なんにせよ、まずは首輪を外さないとどうしようもない。

首輪を管理する物がある場所には奴らが、そうでなくても手掛かりぐらいは有るはずだ』

 

「まあ、確かに超能力じみた力に理由とか求めても仕方ないしな」

 

そう言ってディエゴは自身の幽波紋(スタンド)能力を発動した。

他二人の目から見たら、急にアイちゃんがディエゴの手のひらの上に移動したように見えただろう。

 

『うわぁ!な、なに!?』

 

「な!?」

 

「は?え!?今なにしたし!?」

 

「俺は世間一般で言う所の超能力者だ。

一緒に連れてこられた奴らも、その殆どが同じ超能力者だ」

 

「……そんなアンタの裏をかける連中は超能力者の集まり?」

 

「だろうな。じゃなきゃここに来る前にジョニー・ジョースターのせいでぶった切る羽目になった足が治っている理由が分からない」

 

信史と優美子は思わずテーブルの下を見た。

そこにあるディエゴの足は足首もしっかり動いていて、義足には見えない。

そんなん魔法みたいなこと……と、思ってもその魔法じみた力は今目の前で、ホールに連れてこられた時、そしてさっきの駅に放り出された時に体感している。

 

「そのジョニー・ジョースター以外に警戒すべき人たちは?」

 

「言うと思うか?一時の強力関係のお前らに」

 

そう言いながらディエゴは『俺はアズたちを信用できない。もしお前らがバトルロワイヤルを潰すつもりなら手を貸してやる』と、スケッチブックにを書き、信史が頷いたのを見ると、続けて超能力者の名前を書き連ねていく

 

「おいおいそれは流石にフェアじゃないんじゃないですか?

せめて利害が一致したら協力してくれそうな人ぐらい教えてくれてもいいじゃないですか?」

 

「駄目だ。能力を教えるということは、それ即ち弱点を教えるのと同じ。

俺がお前らに能力を見せてやったのだって、最大限の誠意だ」

 

そう言いながらディエゴはスケッチブックに書いた名前の横に能力を書き連ねていく。

 

(ジョニーが『爪の射出』、ジャイロ・ツェペリが『回転を操る』、ファニー・ヴァレンタインが『世界を移動する』?

もう少し詳しく知りたいな)

 

「……そっか。ならまあ、仕方ない。

それじゃあ次は紙の確認と行こうか」

 

どうやらよっぽど運が悪くない限り、配られたのは1人3枚のようで一人づつ開けていく。

 

「なにこのベルト?首でも絞めろっての?」

 

「紙には説明も書いてあるみたいだね。えーっと?」

 

「『百獣王化ライオネル』?帝具の一つ……早速ヒント一つ目か」

 

説明書によれば、装着して能力を発動させることで、肉体に獣の特性を発現させることができる所謂変身ベルトとの事だ。

 

「ふむ……俺の様に元から超能力を持って居たりしない場合は、そうやって救済措置のアイテムが渡されると言ったところか。

最も足し引き算はしっかりされているようだが」

 

と、いいながらディエゴはアインちゃんを見た。

ちょっと露骨居すぎやしないか?と、思った優美子だったが、さっきのフォークの下りで自分もアイちゃんを外れだと思ったのも会って黙っていた。

 

「ホントに変身出来んのかな?」

 

と、言いながら立ち上がった優美子は、六角形のバックルが正面に来るようにベルトを装着し、両肩の力を抜くと、適当にファイティングスタイルをとってみる。

 

「変身!」

 

瞬間、優美子を中心に熱風が吹いた。

思わず顔をそむけた2人が再び優美子を見ると、スカートの中から何かネコ科動物の尾が、頭の上に動物のような耳が、そして両腕は肘より先が肥大化し毛でおおわれ、爪も黒曜石の刃を連想させるような物になっている。

 

「うそ……え、待って。やだちょっと待って!

これ戻るよね?ちゃんと元に戻るよね!?」

 

半泣きで若干パニックになる優美子。

女性としては、急に腕がグローブみたいになってしまったのが結構ショックだったようだ。

 

「ベルト外せば戻るんじゃないか」

 

ディエゴは冷たく言った。

この手のファンタジーへの免疫はディエゴの方が圧倒的に上の為、さっきのテクノロジー関連な話で半分置いてけぼりだったのとは逆だ。

強化された腕力で無理やりベルトを外すと、すぐにまたもとの姿に戻った。

 

「よ、よかったぁ……」

 

「お、お疲れ様。それで、もう一枚の紙だけど」

 

「怖いからあとで良い」

 

「じゃあ遠慮なく」

 

そう言って次は信史の番だった。

開いたか身から出て来たのは何の変哲もないフォークだった。

 

「おいおいそりゃあないだろ……」

 

「しかも知ってる奴に配るとか性格悪すぎだし」

 

「完全に俺たちで遊んでやがるな」

 

ディエゴも紙から取り出したらしいコーヒーを飲む。

缶でも魔法瓶に入っている訳でもない山に持っていくようなブリキのカップに入った奴だ。

どんな物でも収納できるのは分っていたが、液体まで仕舞える上に、保温機能まであるとはこの紙は一体何なんだろうか?

 

「良く飲めますね」

 

「毒でも入ってるなら説明書に書いてあるだろうし、まさか殺し合えと言っておいて実は自殺して欲しいなんてこともないだろう」

 

そう言ってディエゴがカップを置くと、丁度駅に着いたらしく列車は止まった。

一同は荷物をまとめると、外に出る。

相変わらずの狂った星々と、池袋駅とは趣の違う広々としたホームが3人を迎えた。

 

「はぁ……外、ていうか誰か会場外から助けに来てくんないかな?」

 

「淡い期待はやめておけ。

地図が正しいなら、ここ島で、周りは海か泉か知らないが水だ。

船か潜水艦が無いと来れない」

 

「そりゃあそうだけどさ。

……?どったの2人とも。あーしの顔、なんかついてる?」

 

「……おい、絶対に動くなよ!」

 

そう言った瞬間、ディエゴはバックスペックを踏みながら手にした棒手裏剣を投げた。

優美子の頭よりも上を狙って放たれたそれは、

キンッ!と、金属同士がぶつかったような音がした。

はて、こんな直ぐ近くにそんな物があっただろうか?

そう思って振り向いたそこには

 

「は?」

 

チェンソーの化物。

そうとしか形容しようのない怪物が居た。

鋼のような質感のガタイの良い体で、一見しただけで着服か全裸か分かりにくいが、首にマフラーの様に腸のような器官が出てるのを見るに、恐らく全裸なのだろう。

それだけでも十分異様だが、やはり目を引くのは何と言ってもチェンソーだ。

チェンソーの刃がむき出しの針のような歯がびっしり並んだ顔と、両腕を突き破って生えている。

実際に動かせるらしく、胸に生えたスターターグリップを引くと、生え際から血を飛び散らせながら高速回転を始めている。

ここまでグロテスクな怪物は、日曜朝のよい子たちをメインターゲットの番組ではお目にかかれないだろう。

それに比べれば今ディエゴの身体から浮き出るように現れた、ロボットのような幽霊なんて巨大化して戦いそうじゃないか。

なんて事を現実を処理しきれない優美子の脳は考えていた。

だから目の前のチェンソーの怪物の首に巻いた臓物が伸びてきて、自分を捕まえている間も何の抵抗も出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐえっ!と潰れたような優美子の声と、振り落とされ得たアイちゃんの悲鳴、そしてチェンソーの怪物の右手のチェンソーが地面をぶった切る破壊音が響いたのはほぼ同時だった。

折角治った足がまたぶった切られなかった安堵より、次に来る攻撃を避けねばという恐怖と焦りに突き動かされ、自身の幽波紋(スタンド)世界(The World)の固有能力を発動する。

5秒間、それ以上でもそれ以下でもなくきっかり5秒間自分以外の時間を停止する能力。

 

(クソ!まさか回避以外に使いようがないとは!)

 

現状手持ちの武器一番使える棒手裏剣は通じない。

奴の皮膚を突き破るには、自分の腕力に、更にスタンド実像(ヴィジョン)を上乗せするしかないだろう。

 

(だが奴の内臓が人間と同じ配置である保証はない!

かと言って近接戦を挑めば、ユミコを盾にされるか、彼女を放したあのマフラーに掴まえられて、チェンソーでグチャグチャのミンチにされてしまう!)

 

幸いにして信史は下手に動こうにも動けなかったのか、列車の入り口からさほど離れていない。

 

(かくなる上は、仕方がないか!)

 

信史の元に駆け付けるディエゴ。時間が動き出すのは同時だった。

それと同時に三村の首根っこを引っ掴み、同時にアイちゃんめがけて二本目の棒手裏剣を投げる。

 

『うわぁ!』

 

チェンソーの化物がそちらの悲鳴に気を取られた隙に二人は発車寸前の列車に飛び乗った。

 

「ちょ、ちょっとディエゴさん!?」

 

「今の俺たちにあいつらを助ける力はない!

それより早く立て!奴の足も速かったらいよいよ対応出来ん!

死にたくなければさっさと先頭車両に迎え!

いつでも連結部を破壊出来るようにする!」

 

「じゃあ三浦さんは!?」

 

「助けれると思うのか?今の俺たちの戦力で!

もし人語が通じるんならさっきの考察で説得って方法も無くはないが、あの口が人語を放すと思うか?

あんな人肉を食いちぎるぐらいにしか使わなそうな口が!」

 

そう言ってディエゴはさっさと先頭車両の方に向かって走り出した。

 

「ああ!くそっ!結局、結局なのかよ!」

 

それに信史も続くしかなかった。

 

 

 

【エリアD-4/ネアポリス駅/1日目/深夜】

 

【世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】

[状態]:健康、疲労(小)、杜王駅行列車に乗車

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(世界ディエゴ)

[参戦時期]:ジョニィに勝利した後

[装備]:棒手裏剣(二本消費、ネアポリス駅のどこかに落ちている)@龍が如く維新!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

[思考]

基本:この殺し合いの主催者どもを倒し、その力を奪う。

1:シンジとは引き続き協力する。

  ユミコを見捨てた剣が後後まで響かないと良いんだが……。

2:ジョニィの奴とは極力会いたくない。

  が、もし出会って戦う事になったら全身全霊で挑む。

3:まずはあの化物から逃げる。

  スタンドじゃなさそうだが何者だ?

4:できれば馬が欲しい。

5:俺の足を治した(復元した?)スタンド使いが敵に居ると仮定して動く。

  奴らに対してはビビりすぎと思っても思い過ごしじゃない。

  スタンド能力にしても、科学力にしても

[備考]

※コーヒー@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runを飲み干しました。

残ったカップは電車のどこかに放棄しています。

 

 

 

【三村信史@バトル・ロワイヤル】

[状態]:健康、やりきれない気持ち、杜王駅行列車に乗車

[服装]:城岩中の制服(男子用)

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(信史)

[参戦時期]:不明、後の書き手に任せます。

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

    スケッチブックと筆記用具@現実、フォーク@バトル・ロワイヤル

[思考]

基本:この新しいプログラムに反抗する。

1:まずは化物から逃げる

2:七原、川田たちとは合流した。

  桐島、相馬、坂持は論外。

3:日本国に超能力、未知の技術……アズたちは一体何者だ?

4:首輪を外すために動く。

5:三浦さん……ごめんなさい

[備考]

※すでに名簿は確認済みです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪物は電車を見送ると、捕まえた優美子を見た。

ゆるふわロールの金髪。化粧は濃いが顔立ちもいい。胸もある。

多分デンジも、怪物、地獄のヒーローチェンソーマンにとって初めての友達、今は命を共有するデンジも気にいるだろう

 

『女とデートしてみてえよなぁ…』

 

いつだかデンジがチェンソーマンに言った言葉だ。

他にもたくさんあったが、まずはデートだ。

面のいい美人ならきっとデンジも喜んでくれることだろう。

 

三浦優美子はデンジの三人目のデートの相手となった。

 

『ちょっとー!チェンソーの人ー!私も連れてって―!』

 

 

 

【エリアD-4/ネアポリス駅/1日目/黎明】

 

【デンジ@チェンソーマン】

[状態]:チェンソーマン(ポチタ)に変身中

[服装]:なし(デンジに戻れば上裸)

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(デンジ)

[参戦時期]:公安対魔特異5課と交戦する前~パワー復活前のどこか

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3

[思考]

基本:???(デンジ)、デンジの夢を叶える(ポチタ)

1:まずはこの女の子とデートする

2:他にもデンジの夢を叶える。

3:求められれば助ける

[備考]

※現在チェンソーマン(ポチタ)が肉体の主動権を握っています。

 

【三浦優美子@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:健康、困惑、思考停止

[服装]:総武高校の制服(女子用)

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(優美子)

[参戦時期]:修学旅行初日にて、京都行の新幹線に乗ろうとした瞬間

[装備]:

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

    百獣王化ライオネル@アカメが斬る!

[思考]

基本:もう訳分かんねーし。

1:薄情者……まあ、こんなバケモン相手なら仕方ないけどさ

2:ヒキオと結衣と雪乃は無事だと良いんだけど

3:あーしこのまま食べられんのかな?

4:ライオネル腰に巻いたまんまにしとけばよかった……

5:アイちゃんどっか飛んでっちゃった。どうしよ

[備考]

※ゼロノスカードが消費される事が確定した影響で雪ノ下雪乃に関する記憶がなくなりかけています。

雪乃が次に変身解除した時、完全に忘却して二度と元に戻らなくなります。

今はまだ『同じ総武の黒髪ロングの子が参加してる』ぐらいの記憶は残っているようです。

また、優美子から雪乃の情報を入手した人たちの記憶に影響は有りません。

 

【アイちゃん@仮面ライダーゼロワン】

[思考]

基本:みんなの友達になってあげる!

1:チェンソーの人―!優美子ちゃーん!待ってー!

2:みんなどこに行っちゃったんだろう?

3:そう言えば私にもの投げたの誰?ディエゴさん?

[備考]

※原典と同じく、喋る以外何もできません。

 一応バッテリーは1週間は持つようになっています。

※ネアポリス駅のホームに放置されています。

自力で移動できないので、誰かに発見されないと終了までこのままです。

 

 



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血染めのK/消滅までのカウントダウン

作者
・コードジョーカー

登場キャラ
・ティーネ・チェルク@Fate/strange Fake
・浅上藤乃@空の境界
・空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険
・黒桐幹也@空の境界


今もなお数々の激突が繰り広げられているバトルロワイヤル。

 

王蛇に変身した浅倉威を相手に、

生身かつただの日本刀で戦っていた両儀式。

 

ファルシオンに変身した高校生の桐山と、

レイダーに変身した軍人のウェイブ。

 

ザイアに変身した剣士の長マスターロゴスと、

ソロモンに変身した吸血鬼の王である雅。

 

様々な対戦カードが目立つが、特に仮面ライダーの力を手にしたマーダー達は、会場のあちこちで大暴れしていた。

では、スタンド使いと仮面ライダーがぶつかり合ったら、どちらが勝つのだろうか?

磨き上げた技量か、他を凌駕する力か、全てを飲み込む欲望か、はたまた幸運か、要因はどうあれ結末は誰にも分からない。

 

 

 

■■■■■

 

 

 

 

ティーネの参戦で間一髪、窮地を脱した承太郎。

 

「やれやれ、色々と言いてぇ事はあるが、一先ず助かったぜ」

 

「例には及びません」

 

「こんなことを言うのは今更野暮かもしれねーが…此処から先は命の保証は出来無ぇ、それでも、一緒に戦うのか?」

 

キルバスを睨みながら礼を言い、同時に最終確認をとる承太郎。

 

 

「言ったはずです承太郎…………心はとうに、決まっていると……!」

 

「ッ!」

 

(チェルクの奴……相当な覚悟を決めた瞳をしている、聖杯戦争なんて儀式じみた殺し合いに挑む時点で凄いが……

 

今のコイツからは……一度決めたら最後まで絶対にやり遂げるという『スゴ味』を感じるぞ!!)

 

しかしティーネの決意は、ダイヤモンドの如く硬かった。小さな体に秘めた強い言葉に、承太郎は末恐ろしさを感じた。

 

「マジシャンズレッド!!」

 

「チィ!またか!!」

 

マジシャンズレッドを出すと、次々と火炎放射を繰り出していく。

キルバスは炎を警戒したのか、後方への回避をとり続けた。

 

「承太郎……ここからは、私達(・・)も参戦します。この戦いに勝利を齎す為に!」

 

「……ッ!!そうか……なら一つ、考えがある。乗っ取られているアイツも、少しばかり痛い思いをしちまうが……」

 

ティーネの言葉で全てを察した承太郎は、キルバス撃退の作戦の旨を伝えた。

 

 

■■■■■

 

 

「ハァッ!作戦タイムは終了かぁ?」

 

炎を払い消したキルバスは、再び二人に近づいた。

 

「させません……!マジシャンズレッド!」

 

「クソッ!目障りな炎だ!」

 

「では、手はず通りに!」

 

「ああ、任せた!」

 

キルバスに牽制を仕掛けたティーネの合図を受け、承太郎は後方に下がった。

 

「ガキ一人に、何ができるってんだぁ?」

 

「こうするのです………」

 

マジシャンズレッドを再度出すと、右手に炎を纏わせ、そのまま地面を殴って右腕を深くめり込ませた。

 

…………しかし、何も起きない。

 

これを見たキルバスは、あのガキは何をやりたいんだ?、と思考を巡らしていた、その時───!

 

「何っ!?」

 

足元が急に揺れたと思ったら、なんと地面から火柱が上がった。

しかも次から次へと火柱が、キルバスを正方形で囲むように合計20本も上がると、隣の炎同士が直角に曲がって繋がり、火柱はたちまち、炎の檻に形を変えた。

 

Flame Jail(炎の牢獄)……」

 

マジシャンズレッドは、ただ炎を出すスタンドに非ず。探知機やアンクレットなど、炎を様々な形へ自在に操作することも可能なのだ。

 

「これで足止めしたつもりかぁ?何をやろうと無駄なんだよッ!!」

 

だが、ティーネに抜かりはなかった。

消し飛ばしたと思った炎が、すぐに出て来た。

 

ティーネのオリジナル、炎の牢獄のカラクリは実に単純である。

まず、マジシャンズレッドの炎を右手に集中、地面に深くめり込ませ、キルバスの足元まで地中に炎を送り込み噴射。

 

しかも、スタンドパワーだけでなくティーネ自身の魔力も次々に注ぎ飲んでいるため従来以上に火力が増大、炎も長時間出し続けている。

 

故に、ティーネが力尽きない限り、炎が消えることは決して………ない!

 

「チッ!うっとおしい…だがこれならァ!!」

 

キルバスは再び巨大な蜘蛛の足を展開して、炎全てを同時に消し去る戦法に変えた。

 

だが、それすらも彼女にとって想定内である。

 

 

 

 

「………()がれ」

 

 

 

 

攻撃の途中で謎の違和感を感じ、キルバスは上を見上げた。

 

「………はぁ?」

 

キルバスは思わず、気の抜けた言葉を口にした。

それは当然である。

突然、展開中の蜘蛛の足の1本がありえない方向にねじ曲げられ、破壊されたのだからだ。

 

「凶がれ……凶がれ……凶がれ……!」

 

呆けているキルバスを他所に、展開した全ての蜘蛛の足が、二本目、三本目、四本目と順番に破壊された。

 

「っ!……今度は誰の仕業だぁ!?」

 

キルバスは声のした方を見ると、ティーネの側の岩陰に隠れていたある人物を発見した。

 

毒がまわって息が絶え絶えながらも、歪な眼をこちらに向けている、浅上藤乃を───。

 

 

■■■■■

 

 

十数分前───

 

 

「藤乃……いいですか?」

 

「な、………何………です……か?」

 

キルバスと空条承太郎の戦いの場から遠ざかる二人だったが、ティーネは逃げる足を止めて、肩を貸している藤乃に突然、問いを投げかけた。

 

「貴方は黒桐という男性を助けたいですか?」

 

ティーネは藤乃に対して選択肢を突きつけている。

このまま逃げるか、大切な人を取り戻すために戦うかという選択肢を。

 

「…………ッ…」

 

藤乃は内心、驚愕していた。

自分が手に掛けようとした少女が、自分に協力してほしいと告げてきた。

大きな決意が宿ったかのような、強く、迷いのない瞳を自分に向けながら。

自分が最初に見た怯えていた頃の少女とは別人に思えてくる変貌ぶりである。

 

それに比べて自分はどうだろうか。

己の欲望に身を任せ、黒桐幹也の為に他陣営の人間を皆殺しにしてしまおうという、自然にそう思った自分の思考の歪さを、年下の彼女に気付かされた身だ。

 

「………勿…論です…先輩……は……私に……とって……ずっと……恋い…焦がれ……てきた……素…敵な人……ですか……ら………」

 

間があったものの、藤乃は途切れ途切れで迷わずそう答えた。

毒で辛いはずだが、黒桐の為ならどうということはないという表情を見せた。

愛とは本当に恐ろしい感情である。

 

「なら、私の我儘に付き合って貰えますか?」

 

その手に取り出した、マジャンズレッドのスタンドDISCを見せて、ティーネは再度告げた───。

 

 

■■■■■

 

 

故に、ティーネは藤乃の協力を得て、二人で戻ってきたのだ。

 

「無理を言ってすみません、藤乃」

 

「構い……ません………先…輩を………助け……る為なら……」

 

「………ッ!?(何だ、あの女の瞳は!?)」

 

キルバスは藤乃の眼を見た途端、警戒度を一気に高めた。

さっきの現象は、彼女が持つ歪曲の魔眼の力によるもの。

その為一本ずつではあったが、蜘蛛の足を全て捻じ曲げたのだ。

キルバスは彼女を戦力外と即座に見なした。

毒でもう助からない死に体同然の女など敵ではないと侮った。

だから、気付くのが遅れた。

 

魔眼をひと目見ただけで原因が藤乃にあると即座に理解したと同時に、先に彼女を仕留めようとキルバスは槍投げの構えを取る。

 

 

 

が───

 

 

 

「させません……!彼の時間(・・・・)が来るその時まで…!」

 

「なっ!?」

 

牢獄を形成する火柱の一本から、槍を持つ腕を狙って炎が吹き出てきた。

ティーネはキルバスをただ閉じ込めるのではなく、幽閉と迎撃の二面で『その時』が来るまで時間を稼ぐ作戦を取っていた。

 

 

「このッ!」

「マジシャンズ………レッド!」

 

そしてキルバスは、

 

「これで!」

「凶がれ……!」

 

二人の絶妙な連携により、

 

「上から───」

「無駄ですッ!」

 

攻撃手段を制限され続けた。

 

「ハァ……ハァ……」

(もう少し、保って………!)

 

今のティーネは、牢獄を維持する為にスタンドパワーと魔力を同時に際限なく注ぎ込んで状態なので、一般のスタンド使いより体力の消費は激しい。

 

「先輩の為……先輩の為……先輩の為……」

 

藤乃も藤乃で、愛という名の願望だけで毒の苦しみを誤魔化していた。

 

 

一方のキルバスも、焦りを感じていた。

 

 

(槍で振るっても炎は全く止まらねぇ…!)

 

(蜘蛛の足を展開しても、あの眼で捻じ曲げられちまう…!)

 

(檻の隙間からアイツ等を狙おうとしても、地面や檻から嫌なタイミングで炎が噴き出して来やがる…!)

 

(な、何だこの感覚は……?……こ、小娘どもに、恐れたってのか……この俺が!?)

 

自分を脅かしかねない能力の持ち主達による攻撃で手も足も出ないという現実に内心恐れを感じ、冷や汗をかいた。

 

 

 

 

 

「おい血みどろ野郎………お前今、ビビっちまったのか?」

 

 

 

 

 

その最中、突っ立って黙っていた承太郎が突然、挑発してきた。

 

「……………ア?今、何て言ったァ?」

 

承太郎に図星を突かれたキルバスは、柄にもなく怒りを露わにした。

 

「フン、怒るか?自分の足元以下だと勝手に思っていた奴らに一杯食わされ続けた事に……」

 

「…………黙れ」

 

「自分が頂点だと思い込んでる奴は大抵、自分に敵なんていねーと驕り高ぶる。さっきテメー、自分は誇り高い王だと抜かしていたな、だがそいつは大間違いだ」

 

「黙れッ……」

 

「自分を知れ。テメーみてぇなイカれた奴が、崇高な中身のはずがねぇ、エイリアンに、否、テメー自身に誇りなんぞねーからな──」

 

 

「黙ァれェェェエエエエエッッッ!!!」

 

 

挑発に続く挑発で、怒りが頂点に達したキルバスは、なんと、蜘蛛の足を4本から8本に増やして展開、足元の地面ごと炎の牢獄を完全に破壊した。

 

「キャアッ!!」

「ああッ!!」

 

あまりの威力に、ティーネと藤乃は余波だけで飛ばされてしまった。

 

「クソが!!!そんなに早死にしてぇなら…お望み通りにしてやる!!」

 

キルバスは二人に目もくれず、槍で突き殺さんと、承太郎に向かって走り出した。

 

「人間がァ、今度こそ────」

 

しかし、承太郎は動じなかった。

自分に向かって来るキルバスを迎え撃つかのように、風林火山の山の如く、動かずどっしりと構えていた。

 

(アイツらのお陰でスタンドパワーは充分だ、奴が自ら来た事で射程距離内に入った、全ての準備は整った…後は…………奴に拳を叩き込む!!)

 

そしてキルバスはこの後、全てを理解することになる。

 

 

承太郎の作戦は………既に終了したことを!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スタープラチナ・ザ・ワールド!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間…………世界が止まった。

ティーネも、藤乃も、そしてキルバスも。

辺り一帯の時間が、止まったのだ。

 

「ギリギリだった…アイツらの援護が無かったら、間に合わなかったかもな………」

 

しかし、止まった時の中でただ一人、承太郎だけは動けていた。

 

「やれやれ、反撃開始だ………!」

 

『オラァ!!』

 

ガードされてきて全く命中しなかったスタープラチナの拳が、遂にキルバスの顔面を捉えた。

 

「ウオオオオオッッ!!」

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!』

 

時が止まったキルバスに、次々とスタープラチナのラッシュを叩き込む承太郎。当然、乗っ取られている黒桐幹也のことも考えて、手加減はしている。

 

そして───

 

 

「時は動き出す」

 

 

「仕留─ぐ、ゴハァアァアアアッッッ!?」

 

止まった時間の間に喰らったラッシュの揺り戻しが来て、一発一発のダメージを全て一瞬で喰らい、その勢いは止まらずキルバスは海の家の残骸まで吹っ飛ばされた。

 

「な……何だ…どうなっている……!?」

 

初めてのダメージで体中が痛むも、キルバスは思考を辞めなかった。何故これだけの攻撃をガード出来ず、安々と喰らったのかを全く理解できずにいた。

 

(俺はヤツから目を離さなかった……なのに一発ずつではなく一度に全てのダメージを喰らっただと……!?時間でも止まったかのような……!?ま、まさか……まさか!?)

 

そしてキルバスは気付いた。スタープラチナが見せたもう一つの能力を。

 

「作戦を聞いたときはまさかと思いましたが、本当に、時を止めてしまうなんて……」

 

ティーネは今、開いた口が塞がらないといった感じの表情をしていた。

 

空条承太郎のスタープラチナは、豪快なパワーと目にも止まらぬスピード、弾丸を指で掴み取る精密さを兼ね備えた、DIOのザ・ワールドと同じタイプのスタンド。

故にDIOとの戦いの中でザ・ワールドと同じ、時を止める能力に目覚めたのだ。

しかし、入門して間もないため安々と自由に使える訳ではなく、スタンドパワーを集中して高めることで、ようやく発動できるのだ。

 

しかしその間は隙が生まれるため、発動までの時間を稼ぐためにティーネ達にキルバスの足止めを頼んだのだ。

 

「後はこのまま押し切るだけです」

「そして疲れたところを取り押さえる」

「先輩……待ってて…ください……」

 

作戦の成功でキルバスを追い詰め、畳み掛けようとする三人。

 

一方のキルバスは、怒りが止まらずにいた。

 

全てを焼き尽くしかねないガキ。

あらゆるものを曲げてしまう女。

そして、時間を止める能力持ちのデカい野郎。

 

格下同然と見下していた人間達が、ここまで自分を追い詰めている現実を受け入れられず、屈辱の炎までも燃やしていた。

 

「ぐぅ…この俺が、このキルバスが、人間共に梃子摺るだと?……冗談じゃねえぞォォオオッッ!!」

 

怒りのボルテージが再び頂点に達したキルバスは、本気で承太郎達を葬るべく立ち上がろうと、破魔の赤薔薇を地面に突き刺し─────

 

 

 

 

 

───ガキンッ、と何かが砕ける音を聞いた。

 

 

 

 

 

「あ?」

 

不意に槍を突き刺した場所を見ると、そこには残骸の下敷きになっていたエニグマの紙があり、槍の切っ先に刺さっていた。

その隙間からは、何らかの結晶の欠片が零れていた。

 

その直後、キルバスの足場一帯が輝きだした。

 

「!?何だ…これは……?」

 

光は大きくなり、キルバスの身をも包んだ。

 

「あれは……………ッ!…まさかッ!?」

 

「……なっ………まずいッ!!」

 

ティーネが光の正体を察し、承太郎もソレを思い出し、キルバスの元へ駆け出した。

 

(あの腰の装置だ…あれさえぶっ壊せば、奴が消滅する可能性が高い…毒とやらもそれで消える……!だがそいつは……アレを壊すと本人に何かしら影響があるんじゃあ無いかという懸念があったが故に後回しにした。そいつはあくまでも最終手段としていたが、そうも言ってられないようだ……!)

 

「待ちやがれ!!流星指刺(スターフィンガー)ーーーッッ!!」

 

『オウラァーーーッ!!』

 

キルバスを追撃せんと急ぐ承太郎は、スタープラチナのパワーを指に集中して伸ばす技、流星指刺を繰り出した。

狙うは腰のビルドドライバー一点のみ!

 

 

命中まで、あと3秒───。

 

「こ、この光は一体!?」

 

承太郎とティーネは、キルバスが飛んでいった場所に何があるのか、最初から分かっていた。

 

 

命中まで、あと2秒───。

 

(間に合え………!)

 

何故なら、彼らが海の家を飛び出した際、ある支給品の入ったエニグマの紙を、テーブルに置いたままにしてしまったからだ。

 

 

命中まで、あと1秒──────。

 

キルバスの攻撃でソレは、残骸の山に埋もれてしまったため、キルバスはそれに気づくことなく、偶然ソレを紙ごと破壊してしまったのだ。

 

 

 

 

そして、スタープラチナの流星指刺は……

 

 

 

 

命中した───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────海の家の残骸に。

 

 

 

 

 

 

 

 

技が命中するあと僅かという所で、キルバスは光に包まれてその場から消えてしまった。

 

的が外れたスターフィンガーは破片を破壊し、砕ける音が虚しく響いただけだった。

 

「クソッ!!……間に合わなかったか…!」

 

キルバスを仕留め損ない、承太郎は悔しさで顔を歪めた。

 

さっきまでいたその場には、転移結晶の残骸が散らばって残っていた。

 

「ハァ……ハァ……ゔあッ……!」

 

「藤乃、大丈夫ですか!?しっかり!」

 

再び苦痛の声を上げて倒れた藤乃。

 

「私は………もう…助からない…ですね……これは、生の実感を……得るために、他者を…苦しめてきた………私へ降った、罰、なの……でしょうね………ハァ………どうせ死ぬなら………本当の……先輩の手で……送られたかった……」

 

体全体に毒が廻ったのか、血管も完全に黒化し、彼女のの生命はそのリミットを迎えようとしていた。

 

「なあ。アンタ、殺し合いに乗る気だったんだろ。最初アンタと出会ったあの場で、チェルクを殺そうとしたんじゃあないか?」

 

「…………はい」

 

「……………」

 

「やはりな………」

 

最後の最後で、藤乃に肝心な事を質問した承太郎。藤乃は否定することなく肯定し、側にいるティーネは黙って聞いていた。

 

「正直言うと……アンタは想い人の為に、キルバスの野郎に懇願して寝返ろうとするんじゃあないかと思っていた。

アンタまで敵に周ったらもう打つ手もねぇ。

そうならないでほしいと内心冷や冷やしていた。

あんな初見殺しレベルの能力は、俺でも防ぎようがないからな……」

 

「だがアンタは、自分の影に打ち勝って想い人の為に自分の命を張った……その行為には、敬意を評したくなったぜ………」

 

大切なものの為ならばと、甘い誘惑に打ち勝って手を貸してくれた藤乃に、承太郎は称賛の言葉を送った。

 

「フ、フフフ………私には……勿体…ない言葉、ですね………」

 

「藤乃……私のせいで、貴方は──」

 

「謝らない……で、ください……貴方…に付き合うと、言ったのは、私自身です……から……あまり……自分を責め………ないで………」

 

ティーネは自分のミスが原因だと謝罪するが、藤乃はあやすかのように、それは違うと、彼女を責めなかった。

 

「こんなこと……言う…資格は……あり………ませんが………ハァ…ハァ…一つ、頼みを………聞いて…くださ…い………うっ……!」

 

「?……何だ?」

 

藤乃の命はもう風前の灯火。それでも何とか上体を起こし、弱々しく最期の言葉を振り絞った。

 

 

 

 

 

 

 

「…先輩を……黒桐……先ぱ……い……を……ど、うか……たす……けて、くだ……さい………おね、がい……し…ま、す……」

 

 

 

 

 

 

穏やかな表情のまま目を瞑ると一筋の涙が流れ、それが地面に落ちたと同時に───

 

───浅上藤乃は、消滅した。

 

その場に、彼女の首輪とメダルを遺して。

 

 

「………藤乃……」

 

ティーネは藤乃の首輪を拾い、心の中で彼女に謝罪した。彼女は謝る必要はないと言ったが、それでもと彼女へ謝罪した。自分のミスがこの結果を招いてしまったこのだと。

 

「やれやれだぜ……最後の最後でとんだ頼みを聞いちまったな」

 

一方、承太郎は帽子を深く被り、殺し合いに乗った人間とはいえ、目の前で死者を出してしまった事に後悔の念を抱いた。

 

 

「キルバス……次会ったら、必ずテメーはこの空条承太郎が直々にぶちのめす。裁くのは、俺と、俺のスタンドだぁ!!」

 

 

強く、真っ直ぐな瞳で、承太郎はそう宣言した。

 

正しき怒りを抱いた強き誓いが果たされるのは、何時になるのか。

それはまだ、誰にも分からない。

 

 

 

【エリアF-6/海の家/1日目/黎明】

 

 

【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:正常、主催とキルバスへの怒り(中)、決意(大)、ダメージ(中)

[服装]:いつもの制服

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(承太郎)

[参戦時期]:DIOを撃破した直後

[装備]:デバイス(首輪感知アプリ@ロワオリジナル)

[道具]:メダル、ランダム支給品0~1

[思考]

基本:この殺し合いとDIOは、この空条承太郎が直々にぶちのめす。

1:キルバスは絶対にぶちのめす。

2:花京院、ポルナレフと合流する。

3:未知のスタンド使い、DIO、英霊(と、そうだと思われる存在)、魔術師、そしてキルバスに警戒。

4:首輪感知アプリの事は話すべきだろうか?

5:魔術師、か。

6:どうやら他の人間にスタンドが見えるみたいだな。

7:浅上の最後の望みを果たす。

[備考]

※海の家の四人がけテーブルに黒パンとサワークリーム@ソードアート・オンライン、は完食済みです。

※この殺し合いが歪められた聖杯戦争では?と思っています。

※ティーネ・チェルクから彼女の知りうるFate/strange Fakeの情報を得ました。

 

 

【ティーネ・チェルク@Fate/strange Fake】

[状態]:正常、疲労(中)、後悔、令呪残り三画

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:2枚(ティーネ、浅上)

[参戦時期]:偽アーチャーが脱落した直後

[装備]:

 王律鍵バヴ=イル@Fate/strange Fake

 マジシャンズレッドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険

[道具]:

 基本支給品一式

 浅上藤乃の首輪

[思考]

基本:極力自力で英雄王に合流し、この殺し合いを生き残る。

1:藤乃…………。

2:未知のスタンド使い、DIO、英霊(と、そうだと思われる存在)、魔術師、キルバスを警戒。

3:なぜ令呪はまだつながっているんでしょう?

[備考]

※この殺し合いが歪められた聖杯戦争では?と思っています。

※承太郎から彼が知りうるジョジョの奇妙な冒険第三部の情報を得ました。

※転移結晶@ソードアート・オンラインが破壊されました。

※浅上藤乃のデイバッグ、中身のないのエニグマの紙が、崩れた海の家に埋まっています。

 

 

 

 

 

 

[全体備考]

※海の家は、キルバスの攻撃で全壊しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■

 

 

「ここは……何処だ……?」

 

一方、消えたかと思われたキルバスは、先程いた生命あふれる綺麗な海岸とは違う場所にいた。

そこは、沈没もしくは挫傷して使い物にならなくなった船ばかりが目立つ、廃墟ステージにある寂れた漁港であった。

 

「どうやら、うっかり砕いてしまったあの結晶でこの場所にテレポートさせられたようだな………」

 

何故キルバスが違うエリアにテレポートしたのか?

 

原因がティーネの最後の支給品、転移結晶なのは間違いないが、このバトルロワイヤルでそのアイテムは、同ステージ内の好きなエリアにしか移動できないという調整が施されているはずだった。

 

しかし、そのアイテムをエニグマの紙に仕舞ったままがいけなかった。

宮本輝之助のスタンド、『エニグマ』が作りだした紙は、紙自体が破れたり損傷を受けると、中に仕舞った人や物も同様のダメージを受ける。

 

残骸に埋もれたままの結晶を、キルバスが知らずに破壊したことで何らかの誤作動が生じ、同ステージ内のエリアの移動ではなく、違うステージのエリアに飛ばされてしまう、本人でも全く予測できないイレギュラーが発生したのだ。

 

「まぁいい…奴らは次に会った時に消せばいいことだ。それよりも、俺にはやるべきことがあるからなぁ……先ずは一旦休むかぁ………よっこらしょっと」

 

キルバスは近くの漁師小屋に寄ると、そこにあった椅子に腰掛けた。

変身を解除して黒桐の姿に戻り装備を机に置いた後、デイバッグからあるものを取り出した。

 

それは、万丈龍我やドロシーに支給されたものとは色が違う、赤いパンドラパネルとそれに収められた10本のフルボトルであった。

 

「コイツがあるってことはだ、他のパンドラパネルも用意されていることは先ず間違いない。それはあのパネルも、パンドラボックスも、例外ではない筈だ……」

 

キルバスの目的は、ビッグバンによる全宇宙の破滅を起こして自身も心中すること。

その歪んだ欲望を叶えるピースの一つが支給品として用意されていた。

つまり、主催者側がアイテムとして出すなら中途半端に用意するはずがない、残りも全て揃っているはずだと、キルバスはそう確信を得た。

 

「今の最優先はアイツ等そのものだが、まぁパンドラボックスにせよアイツ等にせよ、どっちが先に揃ったとしても何の支障も無いからなぁ…………

 

 

 

待っていろよぉ…エ〜ボ〜ル〜ト〜〜?」

 

 

 

破滅へのカウントダウンを告げる針が、一つ刻まれた─────。

 

 

 

【エリアC-10/寂れた漁港/1日目/黎明】

 

 

【黒桐幹也@空の境界】

[状態]:健康、ダメージ(中)、キルバスが寄生中

[服装]:いつもの私服

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(黒桐幹也)

[参戦時期]:未定。後続の書き手様に任せます。

[装備]:

 ビルドドライバー@仮面ライダービルド

 キルバスパイダー@仮面ライダービルド

 キルバススパイダーフルボトル@仮面ライダービルド

 破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)@Fate/Zero

[道具]:

 基本支給品一式、ランダム支給品0~1

 パンドラパネル(西都2)@仮面ライダービルド

[思考]

基本:???

1:シ、キ………シ……キ……………。

2:ヤメロ……ヤ、メ………ロォ……。

[備考]

※キルバスパイダーにはキルバスが寄生状態となっているため、触れてしまうと乗っ取られてしまいます。

※ビルドドライバー、キルバスパイダー、キルバススパイダーフルボトル、で、一つの支給品扱いです。

※ビルドドライバーは、「ビルドNEWWORLD仮面ライダーグリス」にて、氷室幻徳が使用したドライバーになります。 

 

【キルバス@仮面ライダービルド】

[状態]:キルバスパイダー、黒桐に寄生中

[参戦時期]:ビルドNEWWORLD仮面ライダークローズにて、ホワイトパネルから現れた直後

[思考]

基本:この世界も宇宙も全て、破壊してやる!

1:エボルトと万丈で最高のパンドラボックスを完成させて、ビッグバンを起こす!

2:パンドラボックスと全てのパンドラパネルを手に入れる。

3:あの二人(ティーネ、承太郎)は次にあったときに消し去る。

4:参加者達とアズ達に、破滅のプレゼントを送ろう!

[備考]

※単独の実体化は出来ません。

※スマッシュを作り出す能力は使用不能です。

※毒の効果は遅めになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浅上藤乃@空の境界 死亡

【全体人数 残り137/150人】

【アニメ陣営 残り27/29人】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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墨汁一滴

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・飛電或人@仮面ライダーゼロワン
・ユウキ@ソードアート・オンライン
・阿良々木暦@化物語


破壊と破壊のぶつかり合い。

そうとしか形容できない圧倒的パワーのぶつけ合いがキャルの目の前で繰り広げられていた。

無数の建物だった残骸が金色の炎と共に舞い上がり、

恐らく道路だった場所をなぞる様に蒼い稲妻が走り抜ける。

秒単位で街が崩れ、恐らく普通に人が住んでいれば大惨事なんてレベルじゃない破壊が、

災害が繰り広げられている。

 

(これ……殺し合いなのよね?

こんなの勝負になるの陛下ぐらいじゃないの……。

虐殺の間違い……いや、勝負になってるし、一応殺し合いにはなってるの?)

 

このバトルロワイヤルは陣営戦。

全員の力が平等である必要はない。

陣営の総合戦力が同じならゲームは成立する。

アズたちがゲームマスターを気取るつもりがあるなら、そこだけは信用できるはずだ。

 

(てことは緑陣営にも一人ぐらいあれをどうにかできる奴がいるってことよね。

うん!なら任せちゃいましょう!)

 

キャルは迷うことなくシャンバラを起動して保健室まで撤退した。

これから破壊合戦がどれだけの威力、規模で広がって行くのか知らないが、

最悪自分と、緑陣営が陣営として成立するだけの人数がそろっていれば問題ない。

 

「はぁー……。西には行けなくなっちゃったわね」

 

もしAと付くエリアがある方向が北ならだが、西に実質見えない壁があるのと同じ状況では、

L字状に進んで始末すべき美食殿メンバーが目指すであろうギルドハウスへは向かえない。

 

(仕方ない。一回北に行って駅から上のエリアに向かいましょう)

 

自分じゃどうしようもない圧倒的な力を前に、

キャルは一周回って色々と切り替えると、保健室の鍵をかけ直し、再び校門をくぐった。

 

(さて、さっきはあっちに行ったから、駅は……)

 

「おーい!そこのコスプレの君―!」

 

敵か?と思って杖を構えるが、

そこに居たのは黒のズボンにジャケット、内側には赤いパーカーを着た爽やかな青年だった。

背中にデイパックは背負っているが、武器らしいものは両手に持っていない。

首輪の色は桃色。違う陣営だが害意は感じれないと判断したキャルは(コスプレの意味は分からなかったが)ひとまず話をしてみることにした。

 

「俺は仮面ライダーゼロワンの飛電或人。君は?」

 

「私はキャル。今は……一緒に連れてこられた連中を探しているわ」

 

キャルは或人に限りなく真実を話した。

美食殿の仲間を探している事。

その特徴、能力、そして一度は西に向かったがやむを得ず引き返したことも含めてすべて。

ただ美食殿メンバーを見つけた後どうするかということと、切り札であるシャンバラの事は伏せて。

やましい事は限りなくない。

 

「そうだったんだ。大変だったね」

 

「そういうアルトさんはどうなんですか?

道中変な連中に絡まれたりとか、厄介な連中と一緒に呼ばれてたりとかしないんですか?」

 

軽い気持ちで聞いてみたキャルだったが、帰って来たのは想像の倍は濃い話だった。

共に呼ばれた仮面ライダーと呼ばれる力を使う者たちも事、

そしてこの島に呼び出されてから出会ったマインとその関係者。

このゲームの参加者のレベルに個々人間では大きな開きがある事も分かった今、

或人から得られた情報は最序盤においては値千金の情報を得られたと言っていい。

 

(ホロビ、イカヅチ、エスデス、クロメにウェイブ。

これからやろうとしている事を考えるとアカメやタツミにも会いたくないわね。

マインは…アルトさんの名前を出せばいけるかしら?)

 

最悪美食殿全員の始末さえ完了すれば、その後の事は自分の生還以外どうでもいい。

 

「キャルちゃん?」

 

「あ、ああ。ごめんなさい。つい考えこんじゃって」

 

「いや、仕方ないよ。いきなりこんなこと言われて、、というか、

こんな状況で混乱しない方が難しいし」

 

そう言って或人は立ち上がった。

ズボンの汚れを払うと、よし!と一声上げて伸びをする。

 

「俺は君の言う西の方に向かってみようって思うんだけど、君はどうする?」

 

「は、はぁ!?話聞いてました?

カメンライダーってのがどんなもんか知らないですけど、危険なんてもんじゃないわよ!」

 

「それでも行くよ。

俺が戦うのは、皆の笑顔を守るためだからね。

もしその破壊のぶつかり合いが誰かの笑顔を奪うなら、俺は止めるよ」

 

ポタッ、とキャルの胸にたった一滴、だが確かに黒い感情が胸に落ちる。

ペコリーヌたちと『仲間ごっこ』をやっている時とはまた違う、後ろめたさの無い不快感が襲う。

 

「待って!」

 

今までで一番大きい声が出た。

思わず或人も驚いた顔で振り向く。

 

「き、危険です!ロクな武器もなくいくなんて!

せめて……」

 

キャルは唯一使い方がいまいちわからなかった最後の支給品を或人に手渡した。

 

「このスマホは?」

 

「なんでも三輪自動車?とか言うのになるそうです」

 

「三輪……自動車!?このスマホが?」

 

或人が不思議そうに触っていると、ガトライクフォンが急に巨大化を始め、

前方に機関砲がついた三輪自動車へと変形した。

 

<ライドガトライカー!>

 

「おお!」

 

「スゴ……」

 

或人は早速ライドガトライカーに騎乗すると、操作方法を確かめるように何度かエンジンを鳴らす。

 

「使い方、分かるんですか?」

 

「うん。バイクとそんなに変わらないし。

キャルちゃんは駅に行くつもりなんだよね?」

 

「はい。そこから中世ステージ?に行こうと思ってます」

 

「じゃあこれのお礼に駅まで送るよ」

 

「いいんですか?

西に行くにはまあまあ遠回りになっちゃいますけど」

 

「大丈夫だよ。それによくよく考えたら、君を一人にするのもそれはそれで問題だし」

 

そう言った或人に勧められるままにライドガトライカーの後ろに乗るキャル。

今まで陸を走る人造の乗り物で感じたことのないスピードと風に、ほんの少し心地よさを感じた。

 

 

 

 

 

気絶したユウキを適当な民家のリビングに運び、剣を外して寝かせるところまでは出来た阿良々木暦だったが、そこから応急処置となると話が変わって来る。

彼は恋人のいる男、対して気絶したユウキは女性。

もうこの時点で色々と不味い。

この場面だけ切り取ってみれば気絶した少女を好き勝手しようとしてる犯罪者だ。

 

(ヘカトンケイルは……見張りくらいならともかく、そんな細かい指示に従ってくれるのか?

怪我をそのままにしておくわけにもいかないし)

 

僕がやるしかないのか?そう考えはするのだが、

もしこの場に恋人の戦場ヶ原ひたぎが居たら浴びせてくるであろう一切容赦のないエッジの逆立った罵倒の数々を思うと躊躇してしまう。

 

(頭以外には目立った傷もなさそうだし……)

 

濡れたタオルを当てておくくらいでもいいのか?

それでも一応体温ぐらいは確認しておいた方がいいのか?

 

そう思ってユウキの手を握ろうとした時だった。

 

(これは……バイクの音?)

 

近くの窓から外も見ると、三輪自動車にノーヘルメットの2人組が通るところだった。

1人は茶髪のイケメン。もう一人は黒髪に白いメッシュの美少女だ。

 

「ちょっとアルトさん!こっち駅とは真逆ですよ!」

 

「え!?嘘!?」

 

暦は大急ぎで外に飛び出し

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

危険は承知だったが車道に出て三輪自動車、ライドガトライカーを止めた。

 

「うぉおおおっとっととと!」

 

「ちょっと危ないじゃないの!」

 

「すまない!けど緊急事態なんだ!

僕の名前は阿良々木暦!この殺し合いにはのってない!

そこの家に怪我している女の子がいて、手当を手伝ってほしいんだ」

 

そう伝えると二人、飛電或人とキャルはライドガトライカーを降りた。

 

「俺は飛電或人。こっちはキャルちゃん。

そうゆう事なら力になるよ」

 

「どんな子?どんな怪我してるの?」

 

「あ、ああ。紫色の長い髪の女の子で、身長は大体君と同じぐらいかな

頭を打ったみたいで今は気絶してる」

 

「……そう」

 

どうやら彼女には探している女の子がいるらしい。

少し残念そうにつぶやいた。

 

「アルトさん、あなたはこのまま西に向かってくれませんか?」

 

「え?でも……」

 

「元々そのつもりだったんでしょう?

それに、もう既に怪我人が出てるって分かった以上、

これ以上派手な戦闘を放置しておけば何人死ぬか分かりません。

もしその中にペコリーヌ達やアルトさんの仲間が居たら……」

 

そこまで言った所で或人はキャルの手を取った。

そして自分のポケットから取り出したエニグマの紙を一枚持たせる。

 

「これは?」

 

「この乗り物のお礼と、寄り道させちゃったお詫びだと思って受け取ってくれる?」

 

「……わかりました。どうかお気をつけて」

 

そう言ってキャルが笑うと、或人も釣られて笑った。

なんだか人懐っこい笑顔だな、とキャルは思った。

ライドストライカーに乗り込み、去っていく或人を見送る。

これでいい。

どことなく彼女たちを連想する彼とこれ以上一緒に居なくてすむ。

行った先で死んでくれるなら儲けものだ。

 

はたしてそれが本心なのか。

それとも半分は本音でも、美食殿のメンバーに向ける様な感情なのか。

或いはそのどちらかでもないのか。

あまりに長く心を殺し続けたキャルには分からなかった。

 

 

 

【エリアI-5/エリア北側/1日目/黎明】

 

【飛電或人@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:正常、腹部に痛み(小)、ライドガトライカーを運転中

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(飛電或人)

[参戦時期]:本編40話中のどこか

[装備]:フォースライザー@仮面ライダーゼロワン

    ライジングホッパープログライズキー@仮面ライダーゼロワン

     ライドガトライカー@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

[思考]

基本:この戦いを止めて、悪意の連鎖を止める

1:不破さんやマインちゃん、キャルちゃんの仲間を探す。

2:西(H-4)に向かい、生存者を探す。

3:滅たちやエスデスたちを警戒。

4:気絶してた子は大事じゃないと良いんだけど……。

[備考]

※令和・ザ・ファーストジェネレーションでの出来事を覚えているかどうかは後の書き手に任せます。

※アカメが斬る!からの参加者たち、ペコリーヌ、コッコロ、主人公(プリコネR)の特徴を把握しました。

※キャルの格好をコスプレと勘違いしています。

 そのため、魔法などのファンタジーな代物を目にすれば普通に驚くと思われます。

 

 

 

 

 

或人がすっかり見えなくなったのを確認し、キャルと暦は家に入った。

 

「ありがとう。本当に助かるよ」

 

「別にいいわ。こんな状況だし、困った時はお互いさまさま、ってね」

 

何て自分で言ってキャルはようやく或人はユウキやヒヨリに一番似てたんだな。

と、納得した。

リビングに入り、ソファーを見る。

さっき聞いた特徴通りのエルフが寝かされていた。

 

「見張りはあたしが。アンタはタオルとか冷やして持ってきてくれる?」

 

「ああ。分かった。ヘカトンケイル、二人を頼んだ」

 

「キューン!」

 

去り際に暦が話しかけた犬のぬいぐるみが動き出す。

本職の魔法使いであるキャルも流石に驚いた。

無理もない。帝具はどちらかと言えば技術の延長。

魔法とは造りが異なる。

 

(……でも試してみる価値はあるわよね)

 

暦が上の階に消えたのを確認し、キャルはヘカトンケイル自身のプリンセスナイトとしてのパワー、

魔物を操る力を行使してみる。

ヘカトンケイルは首をかしげるだけで何もしない。

だが確かに繋がりの様な物を感じれた。

 

(よし!後は命令を……)

 

「何、してるの?」

 

スズメ?と思わず声に出かけたのを呑み込む。

いるはずがない。

さっきからここには自分とヘカトンケイル。

そして気絶していたエルフの少女しかいないのだから。

 

(声だけとはいえ本当に似てるわね。

通信魔法越しだったら分からないんじゃないかしら?)

 

なんて思いながら、キャルは警戒しながらレイピアを構えるエルフの彼女に

 

「私はキャル。目が覚めたのなら急いで移動しましょう」

 

「どうゆうこと?」

 

「気絶しているアンタに乱暴しようとした男が戻って来るわ。アララギ・コヨミって男よ」

 

 

 

 

 

【エリアI-5/エリア北側の民家/1日目/黎明】

 

【キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive】

[状態]:正常

[服装]:いつもの服

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(キャル)

[参戦時期]:少なくともペコを捕らえる前。

      詳細は後の書き手に任せます。

[装備]:キャルの杖@プリンセスコネクト!Re:Dive

[道具]:基本支給品一式

    次元方陣シャンバラ@アカメが斬る!

    保健室の鍵@ロワオリジナル

    飛電或人のランダム支給品×1

[思考]

基本:この殺し合いに乗じて美食殿を抹殺する。

1:美食殿の連中を探す。

2:怪我をしたらさっさとシャンバラで保健室に戻る。

3:力を見られてしまった以上、このエルフ(ユウキ)は最大限利用する。

  とばっちりで悪いが、念には念を入れてコヨミには死んでもらう。

[備考]

※名簿を確認していません。

※プリンセスナイトの力が危険種やミラーモンスターなどに通用するかは不明です。

仮に出来てもすでに契約がすでに結ばれている場合はほぼ不可能と思われます。

※オープニングにて、ペコリーヌ、コッコロ、主人公(プリコネR)の姿を確認しています。

※アカメが斬る!からの参加者の特徴を把握しました。

 

【ユウキ@ソードアート・オンライン】

[状態]:正常、頭に軽い怪我

[服装]:ALOの装備

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(ユウキ)

[参戦時期]:原作死亡後

[装備]:ランベントライト@ソードアート・オンライン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2

[思考]

基本:この殺し合いを終わらせる。

1:ボク、どうして生き返っているんだろう……?

2:キリトと合流する。

3:対主催の参加者とパーティを組む。

4:キャルの言う事を……

[備考]

※妖精の羽の展開時間は最大20分間となっています。再展開には、2時間のインターバルが必要となっています。

 

【コロ(ヘカトンケイル)@アカメが斬る!】

[状態]:ミニサイズ、空腹?、キャルのパワーによる影響(?)

[参戦時期]:不明。

[思考]

基本:キュ〜〜ン。

1:キュ〜ン、キュキュキュ〜。

2:キュ〜〜〜ウ〜〜〜……(ジュルリ)。

3:キュ?キュキュ〜〜ウ、キュ〜。

[備考]

※体内に武器が入っているかどうかは不明。後の書き手にお任せします。

※覇瞳皇帝のプリンセスナイトのパワーを受けました。

 どのような影響があるかは後の書き手に任せます。

 

【阿良々木暦@化物語】

[状態]:健康

[服装]:私立直江津高校の制服

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(阿良々木暦)

[参戦時期]:不明。後の書き手にお任せします。

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2

[思考]

基本: 殺し合いなんてクソ喰らえ。

1:戦場ヶ原たちと合流する。

2:妖精の彼女(ユウキ)の手当てに使えそうなものを探す。

3:そう言えば飛電さんと全然ちゃんと話せなかったな。

[備考]

※不死身かどうかは後の書き手にお任せします。

 



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真理を見極める眼を

作者
・コードジョーカー

登場キャラ
・ピッコロ@ドラゴンボール


 

 

 

人が大きな危機から生き残る為の、基本的かつ必要な心構え。

それは、冷静さを失わないことである。

 

いざという時の適応力があれば、生存率というのは大幅に上がるものだ。

だから周りでナニが起きようと、絶対に心を乱してはならない。

 

例え、クリアしないと出られないデスゲーム空間に閉じ込められようと、

『愛してる』と言いながら妖刀で斬りかかってくる集団に追いかけられようと、

不老不死を求める悪の科学者が造った発明で二つの並行世界が合体されそうになろうと、決して慌ててはいけない。

 

当然、知らない場所に気づかぬ内に誘拐され、

大勢の人間で殺し合えと言われ、

見せしめで男の爆殺ショーを見せられるという展開が立て続けに起きた場合も同様だ。

 

なのでくどいようだが、パニックにならず冷静でいることが寿命を縮めない為の、重要な秘訣なのだ。

 

しかし、現在バトルロワイヤルに巻き込まれた参加者のうち7割は、『それは無理!!』と即座に答えるのが目に見えてるが───。

 

 

■■■■■

 

 

会場の最南西端に位置する港の先には、海が広がっていた。

海上には、大型の風力発電機が幾つも設置されてあり、全機プロペラが回って発電中であった。

太陽光発電と違い、風さえ来ていれば夜中だろうと稼働するのが風力発電のいい所である。

 

「………………」

 

更に、その内の1台の風車の上に、白いマントをたなびかせた緑色の人型の生き物が立っていた。

 

「分からん事だらけだな………」

 

緑の生き物こと、ナメック星人のピッコロは、目覚めて早々自分が置かれているこの状況に頭を抱えていた。

 

(悟飯だけではない…孫にヤムチャ、そしてあのベジータまでもが………)

 

デバイスの使い方を何とかマスターして名簿を見たが、自分を含め簡単に捕まるはずのない面々が勢揃いしていることに、更に頭を悩ませた。

 

『そういう事で、強さに自信のある者はどんどん参加してほしい。では、楽しみにしているぞ。』

 

(俺たちは、Dr.ゲロが作りだした人造人間セルが開催した、セルゲームに臨んだ。そして悟飯が戦いの中でその才能を開花させ、完全体のセルを圧倒した……)

 

『バイバイ、みんな………』

 

(追い詰められたセルは、地球もろとも自爆しようとしたが、孫が瞬間移動で遠い星まで移したことで助かった……しかし、孫は爆破に巻き込まれて、死んでしまった……)

 

『か…め…は…め…波ーーー!!!!!』

 

(だが、自爆したセルが更にパワーアップして復活。再び現れたが、悟飯の最後の一撃でヤツは完全に消滅。セルゲームは終わった……それがここに連れてこられる直前の記憶だ……)

 

「疑問は山積みだが、先ずは支給品を確認して───ん?」

 

ここまでの軌跡を辿ったピッコロは、デイバッグから支給品を取り出そうとしたが、エニグマの紙が触れると何故かその手を止め、数秒の沈黙の後に取り出すと、じっくりと紙を観察し始めた。

 

(見て呉れはただの紙だが、触った途端コイツから僅かに気の流れを感じたぞ…この紙……まさか、生きているのか?これも主催者の1人が用意した──否、生み出したものといったところか……)

 

ピッコロや悟空たちZ戦士は、人間の体内に流れる『気』と呼ばれる生命エネルギーの大きさや気配、流れを感じ取ることができる。

故に、スタンド能力で生み出されたエニグマの紙のルーツを、容易く見抜いたのだ。

 

(この能力は、アイツとは別の人間のものだ……アズからは気を全く感じなかった。寧ろ奴からは、人造人間たちに近いものを感じたな……)

 

生命エネルギーを感じ取れなかった為、アズの正体はDr.ゲロが創り出した人造人間たちに近い存在だと結論づけた。

 

「このバトルロワイヤル…ここまで大それた準備をしてあるだけに、やはりただの殺し合いとは到底思えん……単なる娯楽目当ての悪趣味な異種格闘技……は安直過ぎる。より強い毒蟲を作るための蠱毒に似た儀式が近い所か……いずれにしても、背後に何らかの大きな目的が隠れているのは間違いない……」

 

(まだまだ疑問が尽きないが、1つだけ分かっていることがある……たった1つのシンプルな答えが。セルゲームの時と同様だ……黒幕連中を倒して、この巫山戯たバトルロワイヤルを終わらせる……!)

 

ピッコロは打倒主催の意志を固めた。

 

「俺達を難なく拉致出来る自分達に、何を言っても無駄だ、貴様らは取るに足らない、と嘲り笑う顔が容易に想像できるが、あえて言おう……お前らは必ず、後悔することになるぞ……!」

 

何処かで自分たちを見ているであろうアズ達に向けて、強く宣言した。

 

 

「俺達を、地球人を…なめるなよ……!!」

 

 

バトルロワイヤル破壊を掲げたピッコロ。ステージを巡り、その瞳は何を映すのか───?

 

 

 

【エリアJ−1/海上風車の上/1日目/深夜】

 

【ピッコロ@ドラゴンボール】

[状態]︰健康

[服装]:いつもの道着(ターバン、マント)

[所属陣営]:青

[メダル枚数]:1枚(ピッコロ)

[参戦時期]:少なくともセルゲーム終了後

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、

   ランダム支給品✕3(確認済み)

[思考]

基本:黒幕たちを倒し、悟飯たちと帰還する。

1:仲間達を探す。他の参加者から情報を聞く。

2:敵対する相手には容赦はしない。

3:バトルロワイヤルの本当の目的を探る。

[備考]

※舞空術は短時間での消費は少なく長時間になればなるほど大幅に気を消費します。

※四肢の再生スピードが遅めになっています。

※他の能力(分身、魔術、巨大化など)の制限については、後続の書き手にお任せします。



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蛇の道で■■を食む

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・銃の魔人@チェンソーマン
・エボルト@仮面ライダービルド


「これの何がいいのかねぇ?」

 

クレーターと、原形をとどめないほどぐちゃぐちゃに歪んだ滑り台。

そこらでチラホラ上がっている火は……茂みや芝が多いのでその内消えるだろう。

もう二度と子供が元気で走り回る事の出来なくなった公園にて。

唯一物理的損傷を受けていない砂場の真ん中。

整った顔立ちに、丁髷の様に高い位置で男性にしては長い髪をまとめた青年が煙草を吸いながらデバイスを見ていた。

口の端からゆるゆると上がる紫煙を追いかけると、両耳に一つづつ黒いピアスが付いているのが分かる。

 

「今の俺が擬態だからかなのか?憑依だったらまた違うのか?

石動は、というより石動含め全員煙草吸わなかったから分かんねえな」

 

そう言って彼は「easy revenge!」と書かれた煙草をたいして吸っても無いのに、

金属の様に変質した頭に押し当てて火を消すと、

 

「いや、ポイ捨てはやめておこう。何せ今の俺は……」

 

男は立ち上がると、今まで座っていた、ついさっきまで玩具(あそびあいて)だった物を見下ろしながら言った。

 

「刑事で、仮面ライダーなんだからなぁ。そうだろう?早川アキィ」

 

彼、エボルトは普段の早川アキを知る者だったら絶対に見たことの無い邪悪な笑みを浮かべた。

なぜこんなことになったかと言えば、キャルがあのじゃれ合い(・・・・・)を見て、迷わず撤退を選んだ時まで時間をさかのぼる。

力の調子を大体確認し終えたエボルトは戦いの切り上げ時を探していた。

別に銃の魔人に凝る理由はない。

ただお互い丁度相手を欲していたから乗っただけで、万丈や戦兎ほどの重要性はない。

スマッシュの一種でもなさそうだし、なりかけと言うには流石に強すぎる。

なんて考えていたそんな時だった。

腰に巻かれたエボルドライバーから青白いスパークが上がったのは。

 

「何!?」

 

だが考えてみれば当然だった。

エボルト自身は万丈を取り込んだりして力を取り戻したりしたが、

ドライバーの方は最終決戦前に内海成彰にメンテナンスをさせたっきり。

仮面ライダーローグ、氷室幻徳の文字通り己の命全てをかけたライダーキックや、

自分が擁立した偽りの、いや、偽りから本物になった自意識過剰なスーパーヒーロー、

仮面ライダービルドこと桐生戦兎との激戦など、かなりの無茶を短時間でさせて来た。

 

「マジかよ……俺もまだまだ人間の全身全霊を舐めてたな!

こんな所までしっかり爪痕残しやがって!」

 

叫び出すように言うと、エボルトは銃の魔人に肉薄しながら腰のエボルドライバーのレバーを回す。

 

<Ready Go!ブラックホールブレイク!>

 

ライダーだったら変身ベルトのある位置に放たれたパンチは、

銃の魔人の下半身を引き千切りながら、残る上半分も無茶苦茶な方向に吹き飛ばした。

 

「あーあ。やっちまった」

 

一際大きなスパークを最後にエボルドライバーは沈黙してしまった。

ボトルを抜いても何の音もならない。

更にトリガーを抜いてみると、復活させたばかりの時と同じように石化してしまった。

これでは完全態どころか仮面ライダーへの変身もままならない。

 

(吹き飛ばしたアイツの支給品にめぼしい物があると良いんだけどな。ん?)

 

銃の魔人がデイパックごと吹き飛んで行った先を目で追うと、何か光るモノが落ちていた。

それこそが早川アキの警察手帳だ

恐らく頑丈な公安デビルハンターのスーツでも、

本調子ではないとは言え怪人態のエボルト相手では流石にボタンが壊れてしまったのだろう。

 

「お~。あと2,30年もすれば石動みたいな俺の好きなイケてる感じになるな。

顎や口の形から察するに、アイツがあんなになる前ってところか」

 

と言う訳で、エボルトは早川アキに擬態したのだ。

警察の身分はそれなりに使えるだろうし、

早川アキの肉体を使っていると言い張れば仮面ライダーへの存在しない人質にもなる。

 

「それじゃあ短い間だろうがよろしくなぁアキ君。

幸いすぐに代用品も見つかったことだし……」

 

椅子のクッション代わりにしていた銃の魔人のデイパックから抜き取ったエボルドライバー、

戦兎の父、葛城忍が作り、エボルトが内海に渡した地球製の物を腰に巻き、

エボルトは大きく伸びをする。

 

「待ってろよぉ万丈に戦兎。また俺の為に役に立ってもらうぜ?」

 

【エリアH-4/市街地の公園(半壊)/1日目/黎明】

 

【エボルト@仮面ライダービルド】

[状態]:正常、人間態(早川アキ)

[服装]:公安デビルハンターのスーツ

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:2枚(エボルト、銃の魔人)

[参戦時期]:本編においての死亡直前

[装備]:エボルドライバー(葛城忍製)@仮面ライダービルド

     コブラエボルボトル@仮面ライダービルド

     ラビットエボルボトル@仮面ライダービルド

     ライダーシステムエボルボトル@仮面ライダービルド×2

[道具]:エボルトの基本支給品一式、銃の魔人の基本支給品一式、銃の魔人のランダム支給品×2、エボルドライバー(オリジナル)@仮面ライダービルド、エボルトリガー

[思考] 基本:生き残って元の世界に帰還する。そのためなら手段は選ばない。

1:この戦いを生き抜く過程で再び完全態になる。

2:その為には戦兎、万丈との合流は不可欠か。

3:公安警察か。まあまあ使えそうな肩書だな。

4:見せてもらおうか。地球製エボルドライバーの性能とやらを……なんてな♪

[備考]

※姫野が預かっていた煙草@チェンソーマンは「ポケットに入るくらいの雑貨」 扱いされたようです。

半端に吸って火を消したのをエボルトが所持しています。

※早川アキの警察手帳は「ポケットに入るくらいの雑貨」 扱いされたようです。

現在はエボルトが所持しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

早川アキは見たことの無い場所で目を覚ました。

上下左右縦横斜め全て真っ白な空間。

周囲には無数の鏡や扉が重力を無視して浮いている。

 

「ここは……」

 

「アキ君!」

 

懐かしい声が聞こえた。

会えなくなってから一年もたっていなかったはずなのに、胸が振るえるほどそう感じる。

ふり返ると、見慣れた眼帯の彼女がそこに居た。

 

「姫野先輩。あれ?俺はなにやって……」

 

「届いてたよ」

 

「?」

 

「アキ君とデンジ君の汚い鎮魂曲」

 

それを聞いた瞬間、アキに浮かんだ表情は絶望だった。

次いで苦悶を濃くしたものに代わり、盛大に溜息を吐き、そして最後には

 

「……ああ、そっか。なら、よかった」

 

穏やかに笑った。

 

「私に会えた嬉しさより、デンジ君たちの事心配?」

 

「心配ですよ。あいつら家の事全然やりませんし。

特にパワー。デンジは最近ようやくそこそこできる様になってきました」

 

「へー。楽しそうだね」

 

「楽しかったですよ。でも、もう終わってしまってます」

 

「そっか。ところで、煙草余ってる?」

 

「残念ながら禁煙に成功したばっかです」

 

「え~?私が預かってたやつは?」

 

「有っても火が無いでしょ」

 

「あー、そっか。それで話戻るけど、デンジ君たち大丈夫かな?」

 

「そうであってくれないと困ります」

 

「と言うと?」

 

「あいつらは、幸せになるべきなんですから。

姫野先輩。そろそろ道案内お願いします」

 

そう言ってアキは立ち上がると姫野へ手を差しだした。

 

「オッケー。じゃ。行こうか」

 

立ち上がった姫野は鏡のうち一つをくぐる。

アキもそれに続いた。

 

 

 

銃の魔人@チェンソーマン 死亡

【全体人数 残り136/150人】

【漫画陣営 残り26/28人】

 

 

 

 

 

早川アキ@チェンソーマン Go Over

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体備考

※銃の魔人の死体がH-4のどこかにある公園に放置されています。

死肉を食めば銃の悪魔の力を得られるかもしれません。



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蛇の道で■■を食む(加筆版)

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・銃の魔人@チェンソーマン
・エボルト@仮面ライダービルド


このssは以前投稿した『蛇の道で■■を食む』への意見を受けて、終着点は変えず、諸々の展開に説得力を持たせるための追加描写や補足説明を加えた加筆版です。
一応最後のキャラ状態以外は究極見なくても大丈夫ですが、加筆前と読み比べていただくことでより『蛇の道で■■を食む』を理解していただけると思います。


「これの何がいいのかねぇ?」

 

クレーターと、原形をとどめないほどぐちゃぐちゃに歪んだ滑り台。

そこらでチラホラ上がっている火は……茂みや芝が多いのでその内消えるだろう。

もう二度と子供が元気で走り回る事の出来なくなった公園にて。

唯一物理的損傷を受けていない砂場の真ん中。

整った顔立ちに、丁髷の様に高い位置で男性にしては長い髪をまとめた青年が煙草を吸いながらデバイスを見ていた。

口の端からゆるゆると上がる紫煙を追いかけると、両耳に一つづつ黒いピアスが付いているのが分かる。

 

「今の俺が擬態だからかなのか?憑依だったらまた違うのか?

石動は、というより石動含め俺の周りは全員煙草吸わなかったからどの道分かんないかねぇ」

 

そう言って彼は「easy revenge!」と書かれた煙草をたいして吸っても無いのに、

座っている死体の(・・・・・・・)金属の様に変質した頭に押し当てて火を消すと、

 

「いや、ポイ捨てはやめておこう。何せ今の俺は……」

 

男は立ち上がると、今まで座っていた、ついさっきまで玩具(あそびあいて)だった物を見下ろしながら言った。

 

「警察官で、仮面ライダーなんだからなぁ。そうだろう?早川アキィ」

 

彼、エボルトは普段の早川アキを知る者だったら絶対に見たことの無い邪悪な笑みを浮かべた。

なぜこんなことになったかと言えば、キャルがあのじゃれ合い(・・・・・)を見て、迷わず撤退を選んだ時まで時間をさかのぼる。

 

 

 

「ふぅうう!パワーだけなら大したもんだが……」

 

猛烈な勢いで迫る銃撃を文字通り一蹴しながらエボルトはこのじゃれ合いに飽きを感じていた。

当然だろう。

片や様々な星を命、文明、生態ごと食い尽くして来たエボルトに対し、

所詮一文明の特定物に対する恐怖の分の力しか持ちえない銃の悪魔。

そもそも一番最初の前提の時点で戦いになるはずもない。

その上エボルトは復活したばかりとは言え、真の姿たる怪人態。

対して銃の魔人は、その名の通り悪魔が人間の死体を乗っ取った存在。

使うボディに合わせてスケールダウンしている。

どれぐらいかと言うと、悪魔を自身の心臓に置き換えた武器人間でも撃破可能なぐらいに。

根源的恐怖の名を持つ悪魔にも通用する攻撃が出来た悪魔の時に比べたら随分と可愛らしくなってしまったものだ。

 

(狙いもせずに撃てる時に撃って来るだけ。

見た目ほどオツムは良くなさそうだな)

 

しかも人間だった頃の脳みそがかなり残っているのか、

寄生先の早川アキの幼少期の記憶にかなり引っ張られており、

作戦とか弱点を探すとかそんな思考回路は存在しない様子だ。

その証拠に背負わされたデイパックを一度でも下ろした形跡すら見当たらない。

同じようなタイプに暴力の魔人が居るが、

彼の場合は通っていた学校や贔屓にしていた定食屋などが思い浮かぶ程度だった。

もしかしたら、早川アキが死亡直前に精神支配を受けていたのが関係しているのかもしれない。

 

閑話休題。

 

兎に角、じゃれててももう面白くない相手を前に、

力の調子を大体確認し終えたエボルトは戦いの切り上げ時を探していた。

先ほどは銃の魔人個人の要素を理由に述べたが、

エボルトの方に理由を探すと、エボルトは別に銃の魔人に凝る理由はない。

ただお互い丁度相手を欲していたから乗っただけで、万丈や戦兎ほどの重要性はない。

スマッシュの一種でもなさそうだし、なりかけと言うには流石に強すぎる。

こいつをネビュラガス関係で弄って(・・・)やったらどうなるんだろう?

と、漠然とした興味を持ってないか?と言われたらそうだが、

アズたちバトルロワイヤルの仕掛け人に自信満々に付けられた桃色の首輪が、

いくら変形しようとしても外れない時点で遊びは最低限にすべきとエボルトは判断していた。

 

(それにスチームブレードもパンドラボックスも無い今、無理に好奇心を満たす必要は……)

 

なんて考えていたそんな時だった。

腰に巻かれたエボルドライバー、そしてエボルトリガーから青白いスパークが上がったのは。

 

「何!?」

 

だが考えてみれば当然だった。エボルト自身は万丈を取り込んでして力を取り戻したり、

ディエゴ・ブランドーたち他の参加者同様にアズたちによって物理的ダメージを解消されたりしているが、

ドライバーの方は最終決戦前に内海成彰にメンテナンスをさせたっきり。

仮面ライダーローグ、氷室幻徳の文字通り己の命全てをかけたライダーキックや、

自分が擁立した偽りの、いや、偽りから本物になった自意識過剰なスーパーヒーロー、

仮面ライダービルドこと桐生戦兎との激戦など、かなりの無茶を短時間でさせて来た。

やはり運営を名乗る以上、何らかの足し引き算でゲームを限りなく公平にしようとはしているらしい。

変身者本人が重傷を負っていたが、変身システム、

もっと言えば本に宿ったプリミティブドラゴンの変身者を守護しようとする意志に邪魔されて、

アズたちが拉致、首輪の装着以上の干渉の出来なかった神山飛羽真とは真逆の事態と言えよう。

彼の場合、アヤカ・サジョウという最も飛羽真に合流する可能性の高い参加者に回復アイテムを渡すなどした救済措置があったが。

 

「マジかよ……俺もまだまだ人間の全身全霊を舐めてたな!

こんな所までしっかり爪痕残しやがって!」

 

口ではそんな風に言いながらも、エボルトの叫びにはいくらか喜びの色があった。

目的はどうあれ、形はどうあれ、

仮面ライダービルドに師匠が居るとすれば間違いなくエボルトだろう。

葛城親子を利用してビルドシステムの開発を進めさせたのも、

桐生戦兎を欠けてしまったフルボトルを作らせるために兵器のヒーローとして擁立したのも、

自身の進化の糧とすべく戦い合わせて強くしたのも、

最大の敵として立ちふさがったのもすべて自分(エボルト)

そしてその隣に居たのは、エボルトの分身とでもいうべき存在、仮面ライダークローズ、万丈龍我。

そしてそんな二人と時に対峙し、

時に手を取り最後には仲間になった仮面ライダーグリス、猿渡一海。仮面ライダーローグ、氷室幻徳。

皆、エボルトが居たからこそ戦士として、ヒーローとしてあそこまで戦い抜いた。

出題者と回答者が立場を変えたクイズ王対決で有るように、

戦兎たちとエボルトも立場を変えた仮面ライダーの対決。

 

(本当に……本当に人間という物は!)

 

自分への致命傷、そして今格下相手に焦る要因となる攻撃を加えた戦兎と幻徳は、

そう言えばこんなじゃれ合いではないちゃんとした稽古をつけてやった二人だったな、と思い出し、

忌々しくて、悔しくて、その一方で暖かくてとグチャグチャな物が込み上げてくる。

感情を持っていても、それに対してまだまだ不勉強ないエボルトはそれの名前をまだ知らない。

が、そんな余韻をぶちこわそうと銃口を向ける相手に向ける黒い感情が怒りと殺意であることぐらいは理解している。

 

「いい加減うざったいぞ!」

 

エボルトは銃の魔人に肉薄しながら腰のエボルドライバーのレバーを苛立ち気に回す。

バチバチとスパークが弾け、地球製の機械じゃあ聞いたことの無い唸るような音が響くが、

もう構わない。

 

<Ready Go!ブラックホールブレイク!>

 

ライダーだったら変身ベルトのある位置目掛け放たれたパンチは、

銃の魔人の下半身を引き千切りながら、残る上半分も無茶苦茶な方向に吹き飛ばした。

 

「あーあ。やっちまった」

 

一際大きなスパークを最後にエボルドライバーは沈黙してしまった。

ボトルを抜いても何の音もならない。

更にトリガーを抜いてみると、復活させたばかりの時と同じように石化してしまった。

これでは完全態どころか仮面ライダーへの変身もままならない。

 

(吹き飛ばしたアイツの支給品にめぼしい物があると良いんだけどな。ん?)

 

銃の魔人がデイパックごと吹き飛んで行った先を目で追うと、何か光るモノが落ちていた。

それこそが早川アキの警察手帳だ

恐らく頑丈な公安デビルハンターのスーツでも、

本調子ではないとは言え怪人態のエボルト相手では流石にボタンが壊れてしまったのだろう。

 

「お~。あと2,30年もすれば石動みたいな俺の好みなイケてる感じになるな。

顎や口の形から察するに、アイツがあんなになる前ってところか。

一体何に憑りつかれたんだか」

 

と言う訳で、エボルトは早川アキに擬態したのだ。

警察の身分はそれなりに使えるだろうし、

早川アキの肉体を使っていると言い張れば仮面ライダーへの存在しない人質にもなる。

どれぐらいいるか知らないが、早川アキの知り合いにも有効だろう。

 

「それじゃあ短い間だろうがよろしくなぁアキ君。

幸いすぐに代用品も見つかったことだし……」

 

椅子のクッション代わりにしていた銃の魔人のデイパックから抜き取ったエボルドライバー、

戦兎の父、葛城忍が作り、エボルトが内海に渡した地球製の物を腰に巻き、

エボルトは大きく伸びをする。

 

「待ってろよぉ万丈に戦兎。後ついでに鷲尾兄弟。

また俺の為に役に立ってもらうぜ?」

 

 

 

【エリアH-4/市街地の公園(半壊)/1日目/黎明】

 

【エボルト@仮面ライダービルド】

[状態]:正常、人間態(早川アキ)、

    自分が育てた仮面ライダーに対する複雑な感情(大)

[服装]:公安デビルハンターのスーツ

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:2枚(エボルト、銃の魔人)

[参戦時期]:本編においての死亡直前

[装備]:エボルドライバー(葛城忍製)@仮面ライダービルド

     コブラエボルボトル@仮面ライダービルド

     ラビットエボルボトル@仮面ライダービルド

     ライダーシステムエボルボトル@仮面ライダービルド×2

[道具]:エボルトの基本支給品一式、銃の魔人の基本支給品一式、

エボルトのランダム支給品×0~2、銃の魔人のランダム支給品×0~2、

エボルドライバー(オリジナル)@仮面ライダービルド、エボルトリガー

[思考] 基本:生き残って元の世界に帰還する。そのためなら手段は選ばない。

1:この戦いを生き抜く過程で再び完全態になる。

2:その為には戦兎、万丈との合流は不可欠か。

3:公安警察か。まあまあ使えそうな肩書だな。

4:見せてもらおうか。地球製エボルドライバーの性能とやらを……なんてな♪

[備考]

※姫野が預かっていた煙草@チェンソーマンは「ポケットに入るくらいの雑貨」 扱いされたようです。

半端に吸って火を消したのをエボルトが所持しています。

※早川アキの警察手帳は「ポケットに入るくらいの雑貨」 扱いされたようです。

現在はエボルトが所持しています。

※エボルドライバー、コブラエボルボトル、ライダーシステムエボルボトル、エボルトリガーは最初から腰に巻かれていましたが、支給品一個と同じ扱いであるようです。

その為エボルトには最大二つしかランダム支給品が配られていません。

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

早川アキは見たことの無い場所で目を覚ました。

上下左右縦横斜め全て真っ白な空間。

周囲には無数の鏡や扉が重力を無視して浮いている。

 

「ここは……」

 

おかしい自分は確かデンジやパワーと雪合戦をして、

そしたら急になぜか2人が居なくなって、

気が付くと陽気なカフェ店員みたいな恰好のナイスミドルとじゃれ合う様に……いや、ちょっと待て。

なんだその風邪ひいた時の夢みたいなカオス極まる内容は。

夢に決まってる。

よく思い出せ。自分が最後に何をしていたのか。

 

「アキ君!」

 

懐かしい声が聞こえた。

会えなくなってから一年もたっていなかったはずなのに、胸が振るえるほどそう感じる。

ふり返ると、見慣れた眼帯の彼女がそこに居た。

 

「なんで……」

 

「届いてたよ」

 

「?」

 

「アキ君とデンジ君の汚い鎮魂曲」

 

それを聞いた瞬間、アキに浮かんだ表情は絶望だった。

次いで苦悶を濃くしたものに代わり、盛大に溜息を吐き、そして最後には

 

「……ああ、そっか。なら、よかった」

 

穏やかに笑った。

 

「私に会えた嬉しさより、デンジ君たちの事心配?」

 

「心配ですよ。あいつら家の事全然やりませんし。

特にパワー。デンジは最近ようやくそこそこできる様になってきました」

 

「へー。楽しそうだね」

 

「楽しかったですよ。でも、もう終わってしまってます」

 

「そっか。ところで、煙草余ってる?」

 

「残念ながら禁煙に成功したばっかです」

 

「え~?私が預かってたやつは?」

 

「有っても火が無いでしょ」

 

「そっか。それで話戻るけど、デンジ君たち大丈夫かな?」

 

「そうであってくれないと困ります」

 

「と言うと?」

 

「あいつらは、幸せになるべきなんですから。

姫野先輩。そろそろ道案内お願いします」

 

そう言ってアキは立ち上がると姫野へ手を差しだした。

 

「オッケー。じゃ。行こうか」

 

立ち上がった姫野は鏡のうち一つをくぐる。

アキもそれに続いた。

 

 

 

銃の魔人@チェンソーマン 死亡

【全体人数 残り136/150人】

【漫画陣営 残り26/28人】

 

 

 

 

 

早川アキ@チェンソーマン Go Over

 

 

全体備考

※銃の魔人の死体がH-4のどこかにある公園に放置されています。

死肉を食めば銃の悪魔の力を得られるかもしれません



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種の芽吹いた あとの世は

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・ジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険
・臙条巴@空の境界
・ヒースクリフ@ソードアート・オンライン


ある地球外生命体は言い切った。

所詮地球人が作った劣化模造品(ビルドドライバー)ごときで、

本家本元(エボルドライバー)に勝つことなど出来ないと。

造られた偽りのヒーローなんぞにどうしようもないと。

 

ある正義の味方に憧れ続ける少年が言った。

『偽物が本物に敵わないなんて道理はない』と。

そして黄金の本物を前に体現して見せた。

偽物でも真に迫れば本物さえ凌駕し、ねじ伏せる事も出来ると。

 

あるひねくれた少年は願った。

人が正直でないことも取り繕う事も知っている。

上っ面だけの偽物の好意の方がありふれていると理解している。

それでも叶うなら、本物が欲しい。と。

 

ある一見キラキライケメン野郎な少年は考えた。

得ることよりも失わないことが大事なものだってあるだろう、と。

仮に欺瞞で有ろうとみんなで仲良くしていい思い出を作る事も、

楽しい生活を送る事も出来るんではないかと。

 

有り得たかもしれない世界である少女は全ての恩恵を拒絶した。

何故なら12人もの人間の命をくべて与えられる物は希望ではないから。

偽物の命の為だけに何者かにとっての本物が傷つき続けるなど耐えれないと。

何もかも与えられるほど自分は子供ではないと。

 

ある偽物だったことが発覚した少女はこう評された。

『偽物のほうが圧倒的に価値がある。

そこに本物になろうという意思があるだけ、偽物のほうが本物よりも本物だ』

と。本物にも勝る尊さがそこにあると。

 

後に閃光とうたわれた少女は強がった。

自分が自分でい続ける為ならば、安全地帯で腐っているよりも、

最終的に実際はデータの塊の怪物に命を絶たれることになっても、

偽りの世界に敗北しない為に剣を執ると。

 

あの痛い程黄色いひまわりを描き出した画家さえも言った。

確信を持っているかのように行動すれば、本物確信が見えてくると。

 

 

 

本物とはなんだ 偽物とはなんだ

 

 

 

その答えは、いや、答え何て求める方が無粋なのかもしれない。

少なくとも願いという物に関しては貴賤も善悪も無いのだから。

そんな物を用意してしまえば13人の仮面ライダーや七天の守り人たちに唾を吐きかけてしまう。

 

[newpage]

 

時間は限りなくゲーム開始に近い頃に戻る。

もうしばらく後に神を名乗る超越者と、吸血鬼の王の盛大な意地の張り合いによって地獄の淵に変ずるH-3にて。

ちぐはぐな男が歩いていた。

服装、と言うより装備は白いマントの付いた真赤な血のような色の鎧を着ており、

右手には赤いバルブや黄、緑、赤のパイプが走るスコープの付いた片手剣を。

左手には透明な盾、デザインだけ見るとニュースで警察が暴徒対策に使っているような奴、を持っている。

もうこの時点で違うゲームの装備をひとつのアバターキャラクターに集約させたようなちぐはぐさ。

何より不気味なのは表情だ。

灰色の長い髪をマントと共になびかせながら、男は機嫌良さそうに笑っているのだ。

エスデスや浅倉威の様に狂喜ゆえのそれではない。

DIOやマスターロゴスことイザクや雅のような自身が絶対者と思っているからでもない。

例えばクリスマスプレゼントやお年玉を待ちわびる子供のような、純粋で裏を感じない……悪意。

 

(どうやら世界の種子(ザ・シード)は確かに芽吹いたようだな)

 

一体どれだけの数の世界(ゲーム)が生まれたのだろう?

と、男、ヒースクリフこと茅場(かやば)晶彦(あきひこ)は思案した。

最初に集められたホールにて、ヒースクリフが最初に自覚した感情は歓喜だった。

紫色の髪や銀髪に真赤な瞳のALOで見るエルフや、緑色の肌だったり、着服か全裸かもわからぬ明らかに怪人としか言いようのない存在、壇上にたったアズを名乗る女や、彼女に突っかかったスカジャンの男のような現代日本でも居なくはない姿の者に、アズに質問した帝具使いなる存在である軍服風の衣装の女性。

他にもアズの言及したスタンド使いや英霊なる存在。

ヒースクリフはこの無数の常識の違う場所から集められたかのような面々を見て、死後、厳密には自身の記憶と人格を高出力スキャンで焼き切る事により電脳化したのち、キリトこと桐ケ谷和人に託した世界の種子(ザ・シード)、名の通りオブジェクトとサーバーさえあれば、誰しもがVRMMOを生み出すことが出来る万物創造の種、数多の仮想世界の根源になりうる物が芽吹いた結果であると思ったのだ。

何故なら今の茅場ぼ姿は自身が手掛けたゲーム、SAOでのアバターの姿。

そしてSAOとは異なるゲームであるALOのアバターの姿、ユウキとコッコロを目撃したのもその説を補強しているように思えたのだ。

実際のところコッコロのアバターは『レジェンド・オブ・アストルム』というゲームのアバターなのだが、それは別にいい。

仮にそうだと知ったところでヒースクリフの目的は変わらない。

 

(あらゆる世界の芽を摘みかねない……悪意に満ちた願いを淘汰する)

 

アズは言った。どんな願いを叶える事も可能であると。

ならばそれはSAOから始まった無数の仮想世界を否定する願いを叶える事も可能なのだろう。

罪悪感の有無は置いておくとして、1万人の人間をゲームオーバーしたら現実の肉体も脳が焼ききれて死ぬ仕様のゲームに監禁するなんてこと、無かったことにしたい人間も間違いなくいる程度のことは流石に茅場も自認している(自覚が全くないともいう)。

その上でこの殺し合い、恐らくソードアート・オンラインに終止符を打ったキリトのような参加者(プレイヤー)、このゲームの打破を目指す勢力には間違いなく狙われる。

だがそれでもいいと思えた。

自分を打ち倒したあの黒い剣士(しょうねん)が魅せたあの光をまた拝めるならそれも悪い気はしない。

 

「さて。そろそろ他のプレイヤーと会いたいものだが、、ん?」

 

奇妙な取り合わせの2人がいた。

片方は癖のある赤毛の東洋人の少年、もう一人は銀髪を円柱、とでも表現するのが正確な形にと整えた大柄の白人男性だ。

 

「もしも、だ。死んだはずの仲間--友人とか、家族とかでもいい。もしもそいつが、目の前に現れたとして」

 

喋っているのは白人男性の方だ。

彼は神妙な声で、一瞬だけ言葉を区切って赤毛の少年に問いかける。

 

「お前なら、そいつは『本物』だと思えるか?本当に、生き返ったと思えるか?」

 

「それは実に興味深い話だな」

 

ヒースクリフの声に、白人男性はすぐさま振り向くと、いつでも動けるように構える。

 

「失礼。私はヒースクリフ。名簿にはそう書かれている。

陣営は見ての通り赤。行けども行けども誰にも出会えず、ようやく君たちを見つけたという訳だよ」

 

そう言うヒースクリフに白人の男は疑いの目を向けたまま、戦闘態勢も解かない。

一方赤毛の少年は、突然の闖入者にであるヒースクリフに警戒はしているようだが、戦闘態勢までは取っていない。

もしかしたらそもそもヒースクリフの剣や盾、鎧に対抗できるような武器が無いのか、

 

「ほー、そうかい。俺はジャン=ピエール・ポルナレフ。

ヒースクリフ、お前も交えておしゃべりするのもそれはそれで楽しそうだが、一つだけはっきりさせておきたい」

 

「なんだね?」

 

「お前はこのクソッたれなバトルロワイヤルで、どう動くつもりだ?」

 

ポルナレフは、一見普通に見えるヒースクリフの態度に若干ではあるが、うすら寒い物を感じていた。

まるで、あの時邪悪の権化、DIOと対峙した時の様な。

もし自分が光の側に居るならば、限りなく闇の側にいると思えるような気配が微かだが彼にある。

 

「その質問の意味が、このゲームのルールに従順であるか否か、ということならば、限りなくYESだ」

 

瞬間、ただでさえ鋭かったポルナレフの目がさらに強い光を宿した。

ヒースクリフも手にしたスチームブレードと盾を構える。

 

「一応、もう少し踏み込んで聞かせてもらおうか?何故だ?」

 

「私はアズたちの用意したクリア特典が真に万能だった場合、世界が何者かの都合のいい様に書き換えられる可能性があると考えている。

故に私は、世界の芽を摘みかねない願いの持ち主を全て倒す」

 

「……世界、世界ねぇ。なるほど確かに。

今までの人生が気にくわないからって言っても、時間や人も丸ごとちゃぶ台返しなんてされちゃ敵わんな。

だったらこの戦いを根本から止めればいいじゃあねえか。

そうすればどんな願いだって叶わないだろう?」

 

「ふむ、一理あるな。だが私はあまりアズたちの事をとやかく言える立場ではなくてね。

かつて偽物の世界で、本物の命を賭けた戦いをさせた側なのだよ。

そんな人間がいざ逆の立場になったら自分だけは嫌だと駄々をこねるなんて、虫が良すぎる。

それに、せっかく作ったゲームを誰にも遊んでもらえないというのは寂しいものだ」

 

そう言ったヒースクリフにポルナレフの繊維が確かなものになる。

偽物の世界で本物の命を賭けた殺し合いをさせたという言い方は気になるが、

 

「そうかい。じゃあ早速俺の剣を楽しんでもらおうかッ!『銀の(シルバー・)戦車(チャリオッツ)ッ!』」

 

ポルナレフの身体が二重にぶれた。ようにヒースクリフと巴には見えた。

そのぶれて増えた方が銀色の光と共に、レイピアを携えた甲冑の西洋騎士のような人型となり、ヒースクリフに斬りかかった。

ヒースクリフはこれを盾で受ける。

が、その鋭い一撃に間に合えたのは多分偶然だ。

パワーは兎も角、そのスピードはあの閃光のアスナを彷彿とさせる。

上手く防げなければ、文字通り針の筵にされてしまう事だろう。

 

「な、なんだそれ!?」

 

「なるほど。それが君の力か」

 

(2人にも見えている!?こいつらもスタンド使いか?)

 

そこまで考えて、ポルナレフはあり得ないと思った。

もしスタンド能力をあらかじめ知っているならば、この反応は新鮮過ぎる。

大方、アズが参加者を選定する基準に、スタンド能力の素養も有ったという事だろう。

 

「改めて、我が名はジャン=ピエール・ポルナレフ。

スタンドは侵略と勝利を暗示するシルバー・チャリオッツ。

邪悪なる世界(ワールド)の芽を摘み取る為、そして汝の蛮行を止める為、一騎打ちを申し込ませていただく!」

 

ヒュン!と文字通り風を切りながらチャリオッツがレイピアを構え直した。

 

(タロットカードの名を冠する特殊能力……そう言えばアズも普通のスタンド使いや特別な武器の使い手がどうのと言っていたな。

名前の由来は、傍らに立つ(stand by me)立ち向かう(stand up to)らへんだろうか?

あの場で態々言及されたのだから、彼以外にも同じ能力を持つ者が複数の陣営に居ると見るべきだな)

 

「どうした!?貴様も騎士ならば名乗り返したらどうだ?」

 

つい考察に思考を割いていたヒースクリフをポルナレフの鋭い声が現実に戻した。

そうだ。今考えるべきは彼の相手をすることだ。

 

「失礼した。我こそは血盟騎士団団長ヒースクリフ。

我が剣は悪魔の科学者が鍛えた煙の剣、スチームブレード。

我が盾は呪いの骸人形にされてしまった一流のガードマンの愛用品。

銀の戦車のポルナレフ、その勝負(PvP)、受けて立つ!」

 

[newpage]

 

臙条巴は完全に置いてけぼりだった。

自分もそれなりに理の外側の存在であるとは思っていたが、ポルナレフもヒースクリフも規格外、それぞれの得意分野ならばあの両儀式にも勝るのではないかと思えるほどの苛烈な勝負を繰り広げている。

 

ポルナレフは例えるなら光だ。

出現させた甲冑、シルバー・チャリオッツと呼ばれた人型は目にもとまらぬ速さだけでヒースクリフを攻め立てる。

速さは鋭さと重さを引っ張って行き、ヒースクリフの透明な盾や剣を削りきらんと土砂降りの豪雨の様に刺突を叩きこむ。

 

対するヒースクリフは山だ。

両脚を地面につけ、手にした盾と剣をそれぞれ剣の様にも盾の様にも扱う。

正に攻撃する防御壁。防御する攻撃網。

タイミングさえ合わせられれば刺突を相殺することも出来ている。

だがたがいに悔い合わせの悪いタイプとあって、キメ手にかけているようだ。

 

「全く臆さないとは大したものだな。

考え方云々は兎も角、その技量は素直に賞賛しよう」

 

「ありがとう。君こそ、素晴らしい剣捌きだ。

一切のアシスト抜きでこのレベルとは、なるほど彼らと別陣営に振り分けられたのも頷ける」

 

「彼ら?一体どんな奴らだ?」

 

「しいて言えば、私の英雄だよ」

 

「ほう?それは楽しみだ。

お前を倒した後にその面を拝ませてもらうとするぜ!」

 

再びチャリオッツのレイピアとスチームブレードが火花を散らした。

膂力ではヒースクリフが上だ。

あまりの速さで誤解してしまいがちだが、チャリオッツのパワーはC評価(ひとなみ)

吸血鬼パワー+ジョナサン・ジョースターの肉体を持つDIOの世界(ザ・ワールド)のパワーがB評価なのにA評価の星の(スター・)白金(プラチナ)と撃ち合えたり、元警官、正規の近接戦闘訓練を積んだアバッキオのムーディー・ブルースが同じパワーC評価のマン・イン・ザ・ミラー、本体は近接が出来てもせいぜい喧嘩十段程度の腕だろう、を一方的にぼこぼこに出来たりもしている事から恐らくそれなりに鍛えている本体、ポルナレフが基準で有ろうが、それでもSAOという文字通り命がけのデスゲームで最前線に身を置いて来たヒースクリフのステータスは高い。

 

(速さは図抜けている。それを上乗せすればそれほど高くないパワーも補える。

だがそれほどポルナレフとチャリオッツが離れることはできないらしいな。

恐らく離れられても2メートルが限界だろう。

ポルナレフはさっきから私、もっと言えばチャリオッツから離れようとしない)

 

そして茅場晶彦(ヒースクリフ)自身の頭脳による分析力。

スタンド能力を暴かれるという事は、弱点を暴かれるという事。

そしてそれはポルナレフの次の動きが

 

(こいつに付け入られるより早く次の手を打つッ!)

 

それ以外になくなったことを意味する。

 

<エレキスチーム!>

 

ヒースクリフは盾の角にすちむぶれーどのバルブを引っかけ、回転させると引き金を引いた。

刀身に雷のパワーが宿った煙がまとわりつく。

 

「なるほど。そいつが悪魔の科学力って訳か」

 

「如何にも。さあ、決着と行こうか!」

 

一歩、互いが踏み出したときにはもう終わっていた。

両者の肩から鮮血がほとばしり、両者膝こそつかなかった苦悶の声とともによろめく。

 

「まさか……甲冑を着けていながらそのスピードだったとは……」

 

「お前こそ、仕込み銛なんて、洒落たもん、持ってるじゃねえか」

 

一瞬のうちに起きたのは、チャリオッツの腕の装甲を全て分離して最速の一突を得たポルナレフと、最初(はな)からスチームブレードを囮に仕込み銛を叩きこむ気満々だったヒースクリフの相打ち。

 

「腕がこれでは勝負が出来んな。1ラウンド目は引き分けとするか」

 

そう言うとヒースクリフは腰にスチームブレードを納刀すると、懐から奇妙な拳銃を取り出す。

 

「貴様っ!」

 

「安心してくれ。私は非道な人間なのは間違いないだろうが、恥知らずではない」

 

そう言ってヒースクリフは手にした銃の引き金を引く。

銃口から大量の黒い煙が噴き出し、周囲一帯を完全に覆う。

煙に紛れて逃げるつもりなのだろう。

 

「待ってくれ!ヒークリフさん!

聞きたいことが有る!」

 

「巴?」

 

「アンタの用意した偽物の世界に、本物はあったのか!?」

 

「……あったとも。間違いなく」

 

「そこか!」

 

肩に刺さった仕込み銛を抜き、ポルナレフはそれをチャリオッツに投擲させるが、もうそこにヒースクリフはいなかった。

 

「クソッ!逃がしたか……」

 

花京院の件に関して確信を持つまで死ぬつもりはないが、ヒースクリフは間違いなく無茶をしてでも倒すべき敵であった。

奴は邪悪だ。DIOやJ・ガイルとは別ベクトルながら最大値は凡そ大差ないレベルの。

 

「ポルナレフさん」

 

「巴……悪いなこんなところで話し込んでたせいで変なのに絡まれちまった」

 

「それはいいんです。

それより、さっきの質問の答えですけど……」

 

「ああ」

 

「俺は、例えば、本物の臙条巴にとって、俺が偽物の臙条巴だとしても、今ここでアンタと自分の意志で話している俺は、本物の臙条巴だと思う。

なんか、変なこと言ってるかもしれないけど……」

 

「いや、いい。ありがとう(メルシー)、巴。

そうだよな、会って話して、見なけりゃ分かんないよな」

 

丁度さっき出会ったヒースクリフだって、邪悪と確信したのは戦いと問答の中でだ。

本質や真贋は、出会って観て聴いて触れて分かればいい。

そもそも相対した事も無いうちから答えを決めるのは早急だっただろう。

J・ガイルのような真正のクズは別だが。

 

「巴、俺はこれからヒースクリフみたいな連中を止めるために動こうと思ってる。お前はどうする?」

 

「アンタほど戦えるとは思わないけど、俺もこの殺し合いには反対だ。

出来ることだけでも協力させてくれ」

 

「よーし。そうと決まれば、早速この方の手当てを手伝ってくれるか?」

 

「もちろん」

 

死告の時まであとわずか。

はたして無意味に終わるのは巴自身か、アズたちのたくらみか。

戦車のカードが暗示するのは正位置の侵略と勝利か、それとも逆位置の敗北と短気か。

 

 

 

【エリアH-3/市街地1日目/深夜】

 

【ヒースクリフ@ソードアート・オンライン】

[状態]: 正常、左肩に刺し傷(中)

[服装]: SAOでのアバター

[所属陣営]: 赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(ヒースクリフ)

[参戦時期]:キリトに世界の種子(ザ・シード)を託した後

[装備]:スチームブレード@仮面ライダービルド

    ウォールの盾@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

     トランスチームガン@仮面ライダービルド

[思考]

基本:世界の種子( ザ・シード)の可能性を摘み取る可能性の願いがある参加者を優先して始末する。

1: 様々なゲームから集められたと思しき参加者たちに接触し、情報を得る。

2: 英霊、スタンド使い、帝具使い、

[備考]

※他の参加者たちは皆ゲームでのアバターの姿であると思っています。

※トンランスチームガンとスチームブレードは、トランスチームライフル@仮面ライダービルドとして一つの支給品として支給されています。

※オープニングで少なくともユウキ@ソードアート・オンライン、ピッコロ@ドラゴンボール、エスデス@アカメが斬る!、コッコロ@プリンセスコネクト!Re:DIVE、万丈龍我@仮面ライダービルド、デザスト@仮面ライダーセイバーの姿を目撃しています。

※コッコロをALOプレイヤーと勘違いしています。

※ウォールの盾@アカメが斬る!の仕込み銛を使い切りました。

※これからどの方向に向かうかは、後の書き手に任せます。

 

 

 

【ジャン=ピエール・ポルナレフ@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]: 正常、左肩に刺し傷

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(ジャン=ピエール・ポルナレフ)

[参戦時期]:第三部終了直後

[装備]:なし。

[道具]:基本支給品一式

    ランダム支給品0~3(未確認)

[思考]

基本: 殺し合いの打開

1: まずは肩の傷の手当てをする。

2: DIOやヒースクリフのような連中に注意する。

3:花京院が本物かどうかは、出会ってから確かめる。

[備考]

※名簿を見ていません

※傷が治っています。

※オープニングにて、花京院の後ろ姿を確認しています。

※これからどの方向に向かうかは、後の書き手に任せます。

 

 

 

【臙条巴@空の境界】

[状態]: 正常

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(臙条巴)

[参戦時期]:死亡後より参戦。

[装備]:なし。

[道具]:基本支給品一式

    ランダム支給品0~3(未確認)

[思考]

基本: 殺し合いからの脱出。

1: 俺は臙条巴の偽物かもしれないが、ここに居る自分は本物の自分だ。

2: ポルナレフを信用する。

3:ヒースクリフ、アイツは一体……。

[備考]

※名簿を見ていません。

※これからどの方向に向かうかは、後の書き手に任せます。

 



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ENCOUNT〜出会い頭にカルパッチョ〜

作者
・コードジョーカー

登場キャラ
・バーサーカー@Fate/Zero
・書き手枠@ゲーム枠


『悪』とは何か?

 

 

ある不良学生は言った。

己自身の為だけに弱者を利用し踏みつける者だと。

 

ある絶対正義の少女は断定した。

正義無き、正義以外の、正義に反した人間だと。

 

ある実力を隠す無気力な天才はこう例えた。

弱さから生ずる全てのものである、と。

 

そして、大悪党を目指す少女の相棒は思った。

どんな偉い人間に何を言われようが、好き放題にやりたいことをやっちゃうのが、本当の悪党だと。

 

しかし善にせよ悪にせよ、成した事には必ず代償が付きもの。

やってきた事へのツケが巡り巡って知らぬ形で自分に帰ってくるのは、逃れられない運命のようなものかもしれない──。

 

 

◇◇◇

 

 

エリアF-3、大橋。

 

古風ステージへと移動できる玄関口、都心ステージの大橋があるそのエリアには、橋以外で周辺にいくつか民家があった。

その民家の一つに、一人の参加者がいた。

 

「う〜ん……」

 

フード付きのマントを羽織る、半袖でへそ出しで短パンと軽すぎる格好の少女が、テーブルに並べた支給品一式をじっと見ていた。

 

「ここは一体ドコなんだ…?」

 

ショートヘアーの彼女、ムイミはボヤいた。

彼女は目覚めて直ぐに大橋周辺を警戒しながら移動すること一時間、目立たないポジションにあった隠れ家にピッタリな民家を発見、そこで名簿と支給品を全て出して情報を整理していた。

そして考察していた。自分の置かれた現状を。

 

(記憶が確かなら、アタシ達は王都で、『レイジ・レギオン』の連中の総攻撃を迎え撃ってた。奴らのアジトの奇襲に向かったペコリーヌ達が戻ってきて形勢逆転、一件落着と思ったら、奴らを裏で操っていたエリスって仮面の女が現れた…)

 

エリスとは、レイジ・レギオンを裏で支援していた謎の女性であり、ラビリスタや覇瞳皇帝と同じ、レジェンドオブアストルムのゲームマスターである七冠を二人も捕えて従えるほどの力を持つ存在である。

 

(しかもその素顔は、草野由依と瓜二つだった。本当は草野由依ではなく、アイツがずっとアタシが追いかけていた『諸悪の根源』だと、ハッキリ分かった。そしてアイツは満身創痍のアタシ達にトドメを刺そうとして──)

 

それが此処に連れてこられるまでの記憶がであった。

 

「気がついたら今度は、殺し合いをしろだと?夢なら覚めてほしいぜ、まったく……否、ゲームの世界に居る事自体、夢みたいなことだから今更だな」

 

 

『レジェンドオブアストルム』

SAOと同じフルダイブVRオンラインゲームであり、国連下部組織〈ウィズダム〉が作り上げた世界的に人気のMMORPG。

しかし、とある原因でゲームをプレイしていた始め多くの人々がゲーム空間に閉じ込められ、あろうことか記憶をいじられ、ゲームの世界を現実だと思い、変わりなく生活しているのだ。

その世界でムイミは、現実の事を覚えている数少ない人間であり、現実への帰還の為にずっと、その原因たる諸悪の根源を追い続けていたのだ。

 

 

「確実に間違いなく、あのエリスが主催者側にいるな、これは。でなきゃ七冠を二人も連れてくるなんて芸当できっこない」

 

「おかしな話といえばだ。ペコリーヌ達4人や七冠はそうだが、何でゼーンの名前があるんだ?アイツはアタシ達を庇って死んだはずじゃ……あ〜もう!色々気になるじゃないか!」

 

あの後何が起きたのか、疑問が残るタイミングで呼ばれたためか不機嫌な様子のムイミ。

 

「しかし改めて見ても疑問しか沸かないなぁ…何でこの世界にメカメカしい武器があるんだよ?迷宮女王の作品かなんかか?」

 

彼女が確認した支給品のうち、武器は二つ。

一つは今、手にしているメカニカルな剣。

エンジンブレード。

 

「でもこの剣……天楼覇断剣ほどじゃないけど、アタシ好みの良い剣だな!」

 

幸い今いる民家は広いので、その場でエンジンブレードを試し振りし、感覚を掴んだ。

 

本人は知らないが、エンジンブレードは30kgとかなりの重量の為、本来の持ち主の照井竜も生身の時は地面に刺さったまま引きづり、敵に向かっては振り回し、刺さっては引っこ抜いて振り回す、を繰り返していた。

 

しかしムイミのアバターは、大きい得物で物理攻撃を行う前衛ポジションという戦闘スタイルの為、なんの支障もなく超重量のエンジンブレードを軽々使いこなせていた。

 

そしてエンジンブレードともう一つの支給品以外をデイバッグに入れ、装備を身に着け準備を整え、民家を後にした。

 

「とにかく美食殿の連中と合流しないとだな。ラビリスタは…一人でも大丈夫だろうし、先ずは───」

 

 

「▅▆▆▆▅▆▇▇▂▅▅▆▇▇▅▆▆!! 」

 

 

「………ッ!?な、何だぁ!?」

 

行き先を決めようとしたその時、猛獣のような唸り声が響き、声がした方角を見て彼女は驚いた。

 

都市のある方向から、コウモリに似た鉄仮面の鎧の戦士が、バイクに跨ってこちらに向かって来るではないか。

 

「ば、バイク!?ファンタジーゲームでそんなのアリかよ!……って、この剣もってるアタシが言えた口じゃないか」

 

ツッコむところはそこではないよムイミちゃん、と想いを寄せる相棒にいつもの如くツッコみを入れられているところたが、そのツッコむ相手も今この場にはいない。

 

「アレは話が通じる……わけねぇな」

 

対話は不可能。すぐ思考を戦闘に切り替えてムイミがエンジンブレードを構えた───

 

「───AAAAAAAAAAA!!」

 

───と同時に、鉄仮面の戦士ことバーサーカーがバイクを止めて跳躍し、禍々しさを増したビートクローザーとナイトバイザーの二刀流で斬り掛かり、

 

───ムイミはブレードで受け止めた!

 

 

元正義と現悪党、エンカウント─────。

 

 

【エリアF-3/市街地/1日目/黎明】

 

 

【バーサーカー@Fate/Zero】

[状態]:正常、マスターロゴスと契約

[服装]:仮面ライダーナイトに変身中

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:なし

[参戦時期]:未定。

[装備]:

 ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎

 ビートクローザー@仮面ライダービルド

 ライドストライカー@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2

    

[思考]

基本:イザク以外皆殺し。

1: ▅▆▆▆▅▆▇▇▇▂▅▅▆▇▇▅▆▆▅!!

[備考]

※参加者を無差別的に襲撃します。

 但し、セイバーを発見すると攻撃対象をセイバーに切り替えます

※マスターロゴスと魔力パスが繋がっています。

※どの方向に向かうかは、後続の書き手にお任せします。

 

【ムイミ@プリンセスコネクト!Re:Dive】

[状態]:正常

[服装]:いつもの服

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(ムイミ)

[参戦時期]:第二部第9章の直後

[装備]:

 エンジンブレード@仮面ライダージオウ

 エンジンメモリ@仮面ライダージオウ

[道具]:

 基本支給品一式

 ランダム支給品0~2(確認済み)

[思考]

基本:この殺し合いから脱出する。

1:美食殿の奴らは大丈夫か?

2:ゼーン!?アイツは死んだはずじゃ?

3:覇瞳皇帝を警戒。

4:ラビリスタは……なんとかなるな。

[備考]

※制限については、後の書き手にお任せします。



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THE DU

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・東方仗助@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-
・雅@彼岸島
・八九寺真宵@化物語
・足立透@ペルソナ4
・マスターロゴス@仮面ライダーセイバー


東方仗助がたどりついたジュネスは大型商業施設の様だった。

杜王町のカメユーマーケットよりもはるかに大きく、S市の街中に有りそうなデカさだ。

 

(なるほど。食料や道具を探すには便利そうだな)

 

スタンド使いも人間だ。

包丁で刺されれば、場所が悪ければ死ぬし、呼吸が出来なくても、電気で焼かれても死ぬ。

軍人だってよっぽど特別な訓練をしていなければ毒を盛られたらそれで終わりだ。

普段の生活では意識しなくとも、人間の命を奪う手段はスタンド能力以外にも腐るほどある。

ただスタンドは精神医密接に関係するがゆえに、増長しやすいというだけなのだろう。

アクアネックレスのアンジェロなんかがいい例だろう。

元々心が邪悪に傾いていたという特異ケースでもある気はするが。

 

「ん?」

 

なんて考えながら歩いていると、分かりやすくジュネスの自動ドアが開いた。

中から出て来たのは二人組。

1人はひょろっとした若い男、もう一人が二つ結びの小学生ぐらいの女の子だ。

向こうもこちらに気付いたのか、一瞬体をこわばらせ、身構える。

当然だろう。

ただでさえ、こんな如何にも不良な格好をした男に好意的に接するような奴は警察みたいな職種の者でも仗助の亡き祖父ぐらいだろう。

そしてこのバトルロワイヤルという状況下において、仗助の陣営は赤。男は緑で女の子は黄色。

殺し合う理由なんてそれだけで十分だ。

だがそれは仗助にとっては、二人とも場合によっては陣営の垣根を超えて協力できる存在である事を意味する。

 

「ちょっとスイマセン。今時間いいっすか?」

 

「話しかけないでください。。あなたの事がきら……」

 

話しかけられた少女が何か失礼なことを言い終わらぬうちに、男の手刀が少女の頭をソフトに叩いた。

 

「痛い!何するんですか天地さん!」

 

「やぁー、ごめんね、真宵ちゃんってば初対面の人にも遠慮なしでさ。

あ、僕はてんちじゃなくて、足立透。一応警察官」

 

元だけど、と真宵の時と同じように内心付け足す足立。

仗助はそんな二人に若干困惑したが、まあ、会話ができない人間ではないだろうと判断し

 

「……俺は東方仗助。見ての通りの高校生っす」

 

((見ての通り?))

 

まあ確かに古の不良学生をイメージしたら今目の前にいる東方仗助のような裾の長い着崩した制服にリーゼントなのだろうが、その姿を高校生のスタンダードと言い切るには無理がある気がした。

けど明らかに腕っぷしに関しては自分たちよりは上であろう仗助本人の手前、何も言わなかったが。

 

「そっかそっか。よろしくね」

 

「ええ。立ち話もなんですし、どっか座れるところに行きませんか?

もしかしたらアンタみたいに拳銃が配られている奴が近くにいるかもしれませんし」

 

そう言う仗助の目にもまた、確かな警戒があった。

当然だろう。

話しかけはしたが、信用するには判断材料が少ないのもまた事実。

次の切り口をどうしたものかとわずかな沈黙が流れた時だった。

丁度H-3エリアの方から、何か読大な物がこちらに向けて迫ってくるのが見えた。

 

「あれは!?」

 

「剣!?」

 

それは剣と呼ぶにはあまりに巨大すぎるが、それでも剣と呼ぶしかない何かだった。

普通の人が思い浮かべるような剣の形はしていない。

近い物をあげろと言われたら西洋剣だが、

黄金に光っていて、若干透明なようにも見える。

 

「まさか……」

 

「スタンド?」

 

「ペルソナ?」

 

「2人とも何の話してるんですか?」

 

「んー、真宵ちゃんにはしても仕方ない話?」

 

「って暢気してる場合じゃあねえっすよ、足立さん、真宵ちゃん!

アレ、どんどんこっち来てますよ!」

 

ようやく初対面の相手に一度も、それもワザと間違えられずに名前を呼ばれたことに感動する間も無く足立は迫りくる巨大な剣を避けるべく、仗助、真宵につづいて走り出した。

数秒後、派手な衝撃とほぼ同時に砂埃が舞い上がる。

曲がりなりにも刑事、正規の戦闘訓練を受けている足立は転がって受け身を取ることに成功できた。

見ると仗助ももう立ち上がって立派なリーゼントを撫でて直してるあたり、平気そうだ。

そして唯一最も無防備な真宵だが、飛んできた瓦礫で肩紐が切れたのか、たまたま頭を守る位置にデイパックがあって無事なようだ。

 

「グレート。あの先輩以外にも殺し合いに乗り気な連中を集めてるとは思ってたけどよぉ、まさかここまで派手だとは」

 

そう言って仗助は未だ目が回って上手く立てないでいる真宵のそばまで寄って行く、右手で少しだけデイパックに触れた。

 

(な!?)

 

するとどうだろう、斬れた肩紐がまるで録画映像を巻き戻すみたいにひとりでに動いてくっついて戻った。

 

(こいつもペルソナを?)

 

なんて足立が驚く間にも、事態は動き続けている。

土煙を切り裂く様に、空気も揺るがす衝撃が走り抜けた。

 

「ほんと、クソ過ぎでしょ」

 

その先にいるボロボロの黄金の騎士のような異形と、漆黒の異形がそれぞれの得物を片手に斬り合っている。

そして三人がそこから離れようとすると、コウモリをそのまま巨大化させたようなモンスターが行先を塞いでいる。

 

「仗助君、さっき真宵ちゃんのリュック直したあれで戦えたりする?」

 

足立の問に、仗助は自身のスタンド実像(ヴィジョン)を呼び出すことで答えた。

狂気の金剛石(クレイジー・ダイヤモンド)と名付けられたそいつは濃い紫色のオーラを纏ってファイティングスタイルをとる。

 

「俺からあんまり離れらんないっすけど、こいつであいつを前衛芸術に変えてやりますよ」

 

「そりゃ頼もしい。一応手伝うからしっかり頼むよ?」

 

と、言いながら足立もリボルバーを構える。

そして宣言通りにコウモリモンスター、ダークウイングのライダモデルの顔面を狙って発砲した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時を巻き戻し、エリアH-3中心部にて。

漆黒の堕ちた偽神と、黄金の神秘を纏った祖たる吸血鬼がしのぎを削っていた。

黒き偽神、ザイアに恐怖は一切なかった。

ただあるのは憤怒のみ。

その憤怒は憎悪を糧に、絶望に追い込んでやったはずなのに未だに闘争心と殺意を支えに戦わんとし続ける破滅的な吸血鬼の王を、いや、吸血鬼全てを絶滅させても足りない程の激情となって燃え続けている。

正に滅亡を導く悪意の権化。

アークのドライバーとキーを用いていないだけで、今のマスターロゴスはアークの力を宿した仮面ライダーと変わらない。

本来の変身者であるリオン=アークランドも、自社の利益の為なら世界にどれだけの悪意を生み出そうと気にしないような男であったが、この神を自称する男は桁が違う。

 

「ひれ伏せぇええええええ!」

 

<ジャッキングブレイク!>

 

精製した仮面ライダーナイトの愛刀、ダークバイザーとサウザンドジャッカーで二刀構えると、雅が変身した仮面ライダーソロモンに連撃を叩きこむ。

カラドボルグで受け止める雅だが、ザイアはどうせまた生成できるからか、先に繰り出したダークバイザーを叩き壊す勢いでサウザンドジャッカーをその上に振るい、強引に斬り卸した。

黄金の装甲に派手な火花が散り、膝をつくソロモン。

 

「貴様はッ!」

 

<ジャックライズ!>

 

「ぐぅうううっ!?」

 

「こんなものでは済まさないぞぉおお!」

 

<C!E!O!ディストラクション!>

 

ザイアはかつて原型となった仮面ライダーサウザーが仮面ライダー滅と戦った時の様に一度ジャッカーで能力をコピーしてから必殺技を叩きこむ。

サウザンドジャッカーのコピーは相手のエネルギーを奪って解析するというプロセスを踏むので、弱体化させることができるのだ。

丁度けりやすい位置に跪かされた雅は『く』の字に曲がる様に蹴とばされ、ビルを突き破りながら南西にぶっ飛ばされる。

 

「ぐ、ぐふっ!」

 

「まだまだぁあああああ!」

 

<ジャッキングブレイク!>

 

そしてお代わりと言わんばかりに巨大なカラドボルグが圧倒的質量とエネルギーで雅を焼きミンチにせんと迫る。

 

「ふ、ふふふ。良い!これが仮面ライダーのスケールか!」

 

雅はベルトにセットされたオムニフォースワンダーライドブックを一度閉ざし、ドゥーム図ドライバーバックルのスイッチを押して再び開く。

 

<オムニバスローディング!ソロモンブレイク!>

 

突き出した両腕から障壁を張り、その直撃に耐える。

 

「悪あがきをするなぁ!不敬だぞ!」

 

<ハッキングブレイク!>

 

それを見たザイアは手にしたジャッカーのスロットにベルトから抜いたゼツメライズキーをセットし、武器越しにエネルギーを送り続ける。

徐々に雅、と言うより、足場の方が耐えられなくなっていき、踏ん張れなくなった雅は再び、建物を突き破りながら吹き飛ばされる。

空に視線をやると、ザイアはダークイングのライダモデルを召喚し、それに掴まって追いかけてきていた。

 

「そんなにこの鎧が大事か?」

 

彼のバックホーンなど全く知る由もない雅には、ソロモンに固守する理由が分からなかった。

使ってみたが、それほど基礎スペックに差が有るようには思えない。

その上武器の性能を比べた場合、サウザンドジャッカーの方が拡張性で軍配が上がるだろう。

現に今もソロモンの力の一端を奪って、ただでさえ悪く言えば断末魔に等しいこの戦いで圧倒的優位に立っている。

癒せぬ傷に、刻一刻と鎧の下で失われていく血。

どう考えてもザイアと自身の戦闘スタイルが噛み合っている向こうの方が有利に思える雅なのだが、さっきから激情に身を任せて暴れ倒すザイアからは余裕は感じられない。

 

(まあいい。どうせ最期だ)

 

ならば死神の手拍子が鳴りやまぬうちに踊りきろう。

折角解き放たれた厄災(Disaster Unleashed)だ。楽しみつくさなければ損という物。

 

「神罰だぁあああああ!」

 

防御に手いっぱいのこちらに容赦なく飛翔斬(ジャッキングブレイク)を叩きこんでくるザイアを捕らえながら、もう僅かに命をつなぎとめているとは思えない獰猛な笑みを仮面の下に浮かべる雅だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ジャッキングブレイク!>

 

今しがた一端とは言え取り戻した神の力を振るう。

ほんの少しだけ激情が薄れ、周囲の状況を把握することに気を配る余裕が出来た。

神の威光を前にしながら愚かにも逃げようとしている者が三人。

1人はいかにも前時代的な不良の様な髪形に着崩した学生服のガタイのいい少年。

西洋騎士とロボットを混ぜたような筋骨隆々の魔人を操り、出しっぱなしにしていたダークウイングと戦っている。

1人はなんだかうだつの上がらなそうな細身の男。

拳銃片手に少年の操る魔人を援護できている当たり、現職かどうかは分からないが警察関係者なのだろう。

兵士と言う風には見えない。

最期の1人はどう見ても10歳に足りてるか足りてないかぐらいの子供だ。

さっきから拳銃の男の服の裾を摘まもうとしては引っ込めてを繰り返している。

戦っているからが、頼りたいけど距離を掴みかねているのか、はたまたその両方か。

 

(まあいでしょう)

 

まずは目の前の不届き者の誅殺が先だ。

持ち前の技術に黒い殺意を上乗せして、刃を振るい続ける。

対する不遜にもソロモンを纏う雅は咳き込みながらも笑い続ける事をやめようとしない。

不愉快だ。

正に風前の灯火の分際で、この闘争に悦と狂喜を見出しているのだ。

 

(本当に腹立たしい!)

 

さっきまでなら激高していただろう。

だが自身が手にすべき力を奪い返すのにそう時間はかからない上に、焦ることは無い。

そう認識することで、激高をどうにか抑えることが出来た。

世界を守る聖剣の剣士たちを束ねる長であったマスターロゴスと、主に丸太や日本刀を武器とする不屈の人間たちレジスタンスと戦い続けて来た雅。

近接戦への理解と腕前、そしてそれぞれの素の能力、変身したライダーのスペックを統合すれば、ほぼ互角。

だが耐久では先に致命傷を負い、自己再生能力を封じられた雅の圧倒的不利だ。

刻一刻とせまる命の期限に動きの切れはなくなっていき、

 

<サウザンドライズ!>

 

サウザンドジャッカーにベルトから抜いたキーをセットし、今度はジャッキングリングも引いて、更にパワーをチャージさせる。

最も苦痛を感じる様に、マスターロゴスはC.E.O.ディストラクションに並ぶ最大の技を発動した。

 

「さようなら!愚劣極まる咎人よ!」

 

<サウザンドブレイク!>

 

召喚された二体目のダークウイングのライダモデルがソロモンを打ち上げ、その後方から飛来したカラドボルグ型のエネルギーが地面に向けて撃ち落とすように振るわれる。

そして撃ち落とされる先には、蒼炎を滾らせたジャッカーを構える黒い影。

 

「はぁああああーーーーーッ!」

 

右脇から左肩に逆袈裟に切り裂かれた雅は黄金の光の頁状に解ける鎧を止める事も出来ず、真っ赤に染まったその身を晒した。

 

「ははは、はっははっはっはっは!」

 

どこにそんな力が残っていたのか、雅は何と立ち上がると、両手を広げて、邪悪を体現するかのような笑みを浮かべ、

 

「私はまさに今から、そしてイザク!お前もまたこれから!

本当の地獄に足を踏み入れることになる!

また戦える日は、そう遠くはないだろうな!」

 

そう叫び終えると、雅は糸の切れた人形の様に倒れ伏した。

激しい戦いの中でもう流し尽くしたのか、死体からは流血しておらず、血は全部服に染みこんでおり、なんだか絞って無い雑巾が床に落ちてるみたいで惨めだな、とマスターロゴスは鼻で笑った。

そしてそんな赤一色の下に近寄って行くと、妙なことに気付いた。

 

(ベルトがない?最後の切り上げで勢い余ってしまったようですね)

 

雅の支給品を回収し、自分が斬撃を放った方を見ると、肩で息をする男が二人。

最初に召喚したダークウイングのライダモデルと戦っていた2人だ。

どうやら、自分が雅と戦っている間に倒すこと、あるいはエネルギー切れで耐久勝ちすることに成功したようだ。

その男の片方、拳銃の方の手に彼の探し物があった。

 

「そこの男、その本をこっちに寄越しなさい」

 

「本?これがぁ?」

 

「ええ、本ですとも。

全知全能の、退屈極まる今を血を血で洗う混沌と争いの絶えない素晴らしき世界に変える正に神の力を持つ本です!」

 

「ま、あんなもん見せられちゃあ、あながち嘘とも思えないか」

 

未だ懐疑的な目で手にしたライドブックを見る拳銃の男に対して、リーゼントの少年は警戒と危機感が確かに宿った眼で本とマスターロゴスを交互に見る。

 

「分かったら大人しく寄越しなさい」

 

「悪いがそうゆ訳にはいかねーな」

 

と、リーゼントの少年東方仗助はマスターロゴスと拳銃の男を遮る様に一歩前に出た。

 

「なんだと?」

 

「簡単なことだぜ。アンタにその本返したらその力で俺たちを殺すつもりだろ?」

 

マスターロゴスが仮面の下に浮かべた笑みをさらに釣り上げた。

 

「それがどうかしましたか?」

 

目の前に本人がいるとか、いないとか、そんな次元の態度ではなかった。

全身鎧に覆われていても簡単にわかる。

こいつは人間を人間と思っていない。

虹村形兆はまだ歪んでいても肉親への憐憫の様な物があった。

音石明にもまだ夢、ギターや音楽に対する熱意、真剣さの様な物があった。

吉良吉影にさえ邪悪をとりつくろえるだけの振る舞いが出来た。

だが目の前のこいつからは、

 

「お前は邪悪だ。しかも法とかで裁けねータイプの厄介な!

だから、今ここで俺が裁く!」

 

「ふっふっふ、いいでしょう。そんなに死に急ぎたいのなら!

まずはそのよく手入れされたリーゼントと頭皮の見分けがつかないぐらい切り刻むことを優先してあげましょう!」

 

「ほー!そりゃあいい考えっすね!不可能だという点に目をつぶればよぉ~~~」

 

そう言ってご自慢の格好いい髪形を整えながら仗助は再びクレイジー・ダイヤモンドを傍らに出現させた。

 

「あの本は古本屋に10円でたたき売ってやるよ!

テメェの顔面を前衛芸術に変えてからなぁ!」

 

『ドォラァッ!』

 

ジャッカーと仗助のスタンドの拳が激突する。

それを見て足立は盛大な溜息を吐き

 

「流石に一人じゃ分が悪いよなぁ」

 

「いやでもワタシさん!」

 

「それ君の一人称でしょ。僕の名前は足立ね。

もう一文字も合って無いから」

 

「それが分かるんだったらさっさと逃げましょう!

足立さんがのこのこ出て行った所で情け無用の百枚卸しの挙句にドララのラッシュでなめろうです!」

 

「いつから仗助君が敵になったのよ?心配せずとも戦えるから」

 

そう言って足立はオムニフォースライドブックを八九寺に投げ渡すと、ポケットから一枚のカードを取り出した。

 

「なんであるんだか知らないけど、態々配るってことは、こーゆーことだよねぇ」

 

そう言って足立はリボルバーをしまうと、カードを持ち直し、思い切り握りつぶした。

ぐしゃ、っと言うより、薄氷を砕いたような音が響き、足立の苦悶の声が続く。

 

「何?」

 

「足立さん!?」

 

まさか只人の身でソロモンの力を使おうとしたのか?と、マスターロゴスが一瞬とは言え勘違いしかけた瞬間、赤黒いイザナギとでも呼ぶべき存在がザイアを斬り飛ばすように薙刀を振るった。

 

「こいつは!?」

 

「足立さん、もしかしてアンタ……」

 

「はいはい。そーゆーの後でいいから。今はあの炭団くんに集中してくれる?」

 

「そーっスね。引き続きグレートなアシスト、期待してるっスよ!」

 

(あらら、こりゃ責任重大だ)

 

見れば炭団くん、仮面ライダーザイアは見た目通りの黒い敵意を足立にも向け始めている。

コイツから逃げるだけなら別にさっきの本をどっか適当な場所にほおって逃げるでも良かったと言えば良かった。

それでも足立がこっちを選んだ理由は

 

(俺のルールと、ちょっとのワクワクかな?)

 

神罰だとか鉄槌だとかわめき続けるザイアを相手に的確に嫌がりそうな位置を狙ってマガツイザナギを繰り出す足立。

 




【エリアI-2/ジュネス前/1日目/深夜】

【東方仗助@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-】
[状態]:正常、疲労(中)
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:赤(小説)
[メダル枚数]:1枚(東方仗助)
[参戦時期]:蓮見琢馬が噴水に落とした時計を拾おうとした瞬間。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2(確認済み)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:とりあえず足立さん、真宵ちゃんと行動する。
  まずはこの炭団野郎をぶちのめさねえとな。
2:康一、承太郎さんと合流したい。
3:蓮見琢馬、(名前を知らない)を警戒。今度こそとっちめてやる。
備考
※ダークウイングのライダモデルを倒したか、耐久勝ちしたかどうかは後の書き手に任せます。

【足立透@ペルソナ4】
[状態]: 健康、疲労(小)
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 緑(ゲーム)
[メダル枚数]: 1枚(足立透)
[参戦時期]: 本編終了後より参戦。
[装備]: リボルバー(残弾1/6)@現実
[道具]: 基本支給品一式、ランダム支給品×2(確認済み)
[思考]
基本: このゲームを壊してやる。
1:とりあえず今は八九寺真宵、東方仗助と一緒に黒いの(ザイア)から逃げる。その後情報交換。
2:特捜隊(鳴上、陽介、直斗)は一応探してやる。あいつらなら殺し合いを壊す為に動くでしょ。
3:なんでテレビの外でもペルソナが?
[備考]
※本人は未だ確認出来てませんが、ペルソナには制限がかけられていません。
 能力も燃費の悪さも発動の際の苦しみもそのままです。
※クレイジー・ダイヤモンド、ライダーシステムをペルソナだと思っています。
※ダークウイングのライダモデルを倒したか、耐久勝ちしたかどうかは後の書き手に任せます。

【八九寺真宵@化物語】
[状態]: 健康
[服装]: いつもの服装
[所属陣営]: 黄(アニメ)
[メダル枚数]: 1枚(八九寺真宵)
[参戦時期]: 少なくとも、「まよいマイマイ」以降の参戦。
[装備]: オムニフォースワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー
[道具]: 基本支給品一式、ランダム支給品×3(確認済み)
[思考]
基本: 殺し合いはしない。
1: とりあえず足立さんと東方さんは信用してみる。とりあえず情報交換。
2: 阿良々木さんを探す。
3:なんですかこの超次元バトル……。
[備考]
※生き返っています。

【マスターロゴス@仮面ライダーセイバー】
[状態]:正常、疲労(中)、バーサーカー@Fate/Zeroと契約、仮面ライダーザイアに変身中
[服装]:いつもの服装
[所属陣営]:桃(実写作品)
[メダル枚数]:3枚(マスターロゴス、バーサーカー、雅)
[参戦時期]:死亡後。
[装備]:ザイアサウザンドライバー@仮面ライダーゼロワン、トリケラトプスゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン、カルノタウルスゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン、預託令呪(言峰璃正、二画消費)@Fate/Zero
[道具]:マスターロゴスの基本支給品一式、マスターロゴスのランダム支給品0~1、雅の基本支給品一式、ドッピオが電話で使ったカエル@ジョジョの奇妙な冒険
[思考]
基本:神たる自分に逆らいし不届き者どもに神罰を与える。
1:細身の男(足立)からソロモンの力を奪い返す。
2:この魔人たちはなんなのでしょう?
3:剣士たち、ストリウス、首無し(セルティ)とナイトだった男(蓮)は出来るだけ早めに始末する。
4:仮面ライダーナイトとナイトだった男(蓮)の悪評を広める。
5:その為、首無し(セルティ)とナイトだった男(蓮)と出会ってない参加者が居そうな方に向かう。
6:逃げた二人(岸谷新羅、ディアボロ)は始末しておくが、優先度低め。
[備考]
※サウザンドジャッカーにはビートクローザー(スマッシュヒット)、仮面ライダーナイト、仮面ライダーソロモンのデータが入っています。
※バーサーカー@Fate/Zeroと魔力パスがつながりました。
 魔力の消費度合いなどは、あとの書き手に任せます。
※預託令呪の残り画数は後の書き手に任せます。
※預託令呪の説明文を読んで、サーヴァントとマスターに関する最低限の知識を得ています。
※もしかしたら雅の支給品の中にディアボロの片腕が入っているかもしれません。
※雅のデバイスに入っている首輪爆破アプリは一回のみ使用可能でした。



[全体備考]
首輪爆破アプリの効果により、H-3全域にいる参加者すべては5分後に首輪が爆発して死亡します。
これは他のH-3にいる参加者のデバイスにも通達されます。



雅@彼岸島 消滅
【全体人数 残り135/150人】
【漫画陣営 残り25/28人】


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リスタートする逆転

作者
ナースァン

登場人物
・書き手枠@仮面ライダー龍騎


『永遠の命』

 

誰もが一度は欲しいと思ったであろう願い。

死ぬことのない肉体。

衰えることのない体力。

尽きることのない生命。

錬金術や人魚伝説から始まったそれは、多くの人々の欲望を駆り立てた。

 

しかし、ある者にとっては幸福な事に見えても、ある者にとっては一種の無限地獄に思えてしまう。

 

本当の愛が分からなくなり、騙されて不老不死を押し付けられ、自分の死を強く願ったギアスの魔女。

 

クローンの体で一万年以上も生き永らえたが、真の不老不死を求め賢者の石に手を出す程に、生きることにしがみついた人造人間。

 

長生きに飽きて異常な刺激を求めるようになり、退屈しのぎに多くの人々を拐かし、暇つぶしに世界を滅ぼそうとした無限の時を生きる龍。

 

肝に銘じておくことである。

どんな欲望も度が過ぎれば、人を壊してしまう。

永遠の命だって例外ではない。

願いとは、メリットとデメリットがセットであるように、必ずしもいいこと尽くしという訳ではない───。

 

 

●●●●●

 

 

古風ステージのとある草原を、一人の参加者がバイクに跨って駆け抜けていた。

 

その運転手は、世紀末を暴れ回るモヒカン頭でトゲトゲ肩パッドをつけたヒャッハーな荒くれ者…ではない。

 

ヘルメットで素顔は分からないが、スーツとネクタイをきっちり着込んだキャリア組のエリート感が漂う、体格から男性と思われる人物であった。

 

これで乗り物もカッコ良かったらベストマッチであるが、残念なことに今跨っているのは、ホワイトタイガーを思わせる虎柄模様のカラーリングという暴走族向きのバイクと、ミスマッチどころか完全にバッドマッチな組み合わせであった。

 

そして男は前方にて、中世ヨーロッパ式のレンガの建物が多くある村を発見、そのまま走らせ到着するとバイクを停め、ヘルメットを外した。

 

「なるほどねぇ。あの世に行くのは、まだ早いってことかい?なぁ、ゴローちゃん」

 

スーツの男こと北岡秀一、30歳。

北岡秀一法律事務所所属の弁護士。

『黒を白に変える』程の卓越した腕前で、数々の不利な裁判を覆してきた凄腕弁護士。

プライドが高い自称スーパー弁護士。

高額報酬の為ならば、犯罪者であれ社会不適合者であれ誰でも弁護を引き受ける為、ライバル弁護士や被害者側から見れば悪徳弁護士。

 

悪人ではないが、欲望に忠実な享楽さ。

それが弁護士、北岡秀一の在り方である。

 

良くも悪くも人間臭い性格の人物なので、折原臨也が知ったら、『これこそが人間らしさだよ!』とテンション高めに誰かに手本を見せるかのような言い方で彼を褒め称えてくるだろう。

 

臨也が良し悪し関係なく人間を愛しているに対し、北岡は欲望を愛しているので、意外と馬が合うだろう。

 

「アイツらまで巻き込まれたってことは、俺が死んだ後、全員死んじまったのか?いや、そもそも此処はあの世なのか?」

 

名簿を見ると、知った名前を確認した。

 

城戸真司。

秋山蓮。

そして浅倉威。

 

一人を除いた全員が、鏡の世界ミラーワールドで繰り広げられたライダーバトルを終盤まで勝ち残った面々である。

 

特に浅倉威と北岡の二人は因縁深い関係にある。

 

殺人犯の浅倉威の弁護を引き受けたのが他ならぬ北岡本人なのだが、浅倉の犯罪が凶悪過ぎたせいか無罪には出来なかった。

北岡があらゆる手を尽くした結果だが、むしろ懲役10年に持ち込めたのは良くやった方である。

しかし無罪にできなかったので浅倉から恨まれ、幾度のなく命を狙われてきた。

ただ単純な逆恨みである。

 

「でも現実にしては、不思議と体が軽い。まるで別人みたいだねぇ…」

 

北岡は不治の病を患っており、永遠の命を手にするべくライダーバトルに参加者した。

しかし度重なるバトルの連続で、残り4人となった終盤で病状が悪化し、最期は戦うことなく眠るように息を引き取った。

しかし、今の北岡は体から不治の病は綺麗サッパリ消えていた。

 

「でも、今更そんなもの要らないな。ゴローちゃんはこんな俺の為に体を張ってくれたんだ。今度こそ、アイツとはちゃ〜んと決着つけないと、だな。そういう終わりの方が、人生ってヤツだろ?」

 

ポケットからゾルダのカードデッキを取り出した北岡は、ふと、自分が終わるまでの出来事を思い出していた。

 

北岡は、城戸の上司である桃井令子とのデートを目前に迎えていたが、このままシミ1つ残すのは感じが悪い、と浅倉との決着を先につけようと決意したが視力まで失うほど病は悪化した。そんな彼のかわりに、事務所の相方の由良吾郎がデッキを持ち出してライダーバトルに参戦、浅倉との戦いに向かった。

 

北岡は、ゴローちゃんならそうしたかもしれない、と予想し、彼の為、そして自分の為に浅倉との決着は絶対に果たすと、心に決めた。

 

「だからあの世で首長くして待っていてくれよ、ゴローちゃん……」

 

北岡には、果たせなかった後悔が2つある。

1つ目は、浅倉との決着。

2つ目は、令子とのデート。

 

生前の未練を残したままこの世を去った自称スーパー弁護士は、今度こそ後悔や未練なく第二の人生を全う出来るのか───?

 

 

【エリアB−4/村/1日目/深夜】

 

【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】

[状態]:健康

[服装]:いつものスーツ姿

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(北岡秀一)

[参戦時期]:死亡後

[装備]:ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎

   To羅丸のバイク@デュラララ!!

[道具]:基本支給品一覧、ランダム支給品0〜1

[思考]

基本:今度こそ後悔なく人生を謳歌したい。

1:浅倉とは、ゴローちゃんや俺自身の為にも決着はつけないとだな。

2:城戸と秋山は……大丈夫だな。

3:信用できる参加者と交渉する。

[備考]

※不治の病が、消え去っています。



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白いパズルは組み合わない

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・書き手枠@小説
・蒼崎橙子@空の境界
・シェフィ@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・不破諫@仮面ライダーゼロワン


 

「やっと着いた」

 

シャボン玉を運ぶ風に二つ結びにした青い髪が揺れる。

その少女の目には確かな怯えと、戦う者特有の光が同居している。

身体は震えてもいる。

しかし支給された銃、浪漫砲台パンプキンを持つ手だけは震えていない。

きっと引き金を引くときもそうなのだろう。

それこそ、彼女、シノンがVRMMO、ガンゲイル・オンラインにて、最高のスナイパーの一角であることの証左だ。

 

(なんでかログインした覚えもないのにゲームでの姿で、それもGGOとはかけ離れた世界観のフィールドに連れてこられた時も、殺し合えって言われて人も建物もなんもない所に放り出された時も驚いたけど、やっと着けた)

 

そんな彼女も最初から冷静に行動できたわけではない。

鏡に映る自分の姿に困惑したし、紙の中から見たことも無いビーム銃が出て来た時は目を真ん丸にして驚いたが、あの悪名高いソードアート・オンラインのようなゲームに閉じ込められたと事態を呑み込めれば、他の現代日本から呼ばれた参加者、由比ヶ浜結衣たちなんかよりはスムーズにスタートできた。

とは言え、四つのステージの中では一番物資的に不便で、何か調達しようと思ったら絶対ランドマークに向かわないといけないワンダーステージに放り出されたとあって、歩くだけで1時間も使ってしまったが、仕方ない事だろう。

ピノキオみたいに数時間にもせずに引きこもってた奴に比べれば有意義に時間を使っている。

 

(誰でも、いや、いきなり問答無用で襲い掛かってくるようなのは、流石に困るけど、少しでもいいから今は新しい情報が欲しい)

 

例えばGGOの世界で共に戦うキリトや、このバトルロワイヤルの司会者、アズについて。

前者に関しては共に呼ばれた唯一信頼できる他の参加者で、後者に関しては知らなければ対策の立てようも、反逆のしようもない唯一顔と名前が分かっている黒幕側の存在である。

 

(電車も来てる)

 

人が乗っている保証も無かったが、他に人が良そうな場所も周囲にはなく、いつでもパンプキンを撃てるように構えながらシノンは駅の入り口に向かう。

現実でもあるような自動改札があり、飛び越えて奥に進もうとすると、カードも何もかざしてないのに自動で開かれた。

なんでだろうと周りを見渡すと、自動券売機の上に、『バトルロワイヤル参加者様は全線無料!』と、うれしくないサービス精神にあふれた広告があった。

 

(いかないと)

 

愚痴の一つでも言いたくなるのをグッとこらえてシノンはホームに

 

「ちょっといいかい?」

 

ふり返って銃口を向けようとしたが、銃身を受け流すように逸らされ、キスでもされそうな距離にくすんだ赤い髪が、瞳が揺れる。

この距離ではライフルのような形のパンプキンを撃つことはできない。

別の武器を取り出そうとエニグマの紙の入ったポケットに手を伸ばすも、すぐにその手首を掴まれる。

 

「やあ、悪いが質問に答えてもらえるかな?」

 

シノンを歯牙にもかけない彼女は、美しい女だった。

眼も髪も赤、と言うより橙色に近い色をしている。

さっきまでなんの気配も感じなかったとは思えない程に、強すぎる敵意にも似た赤い感情を瞳の奥に揺らしながら、シノンに問いかける。

 

「あのアズって名乗った女と、名簿にも載っているコルネリウス・アルバっていう男がどこにいるか知らないか?

知っていれば今すぐ答えてほしい」

 

別に首を絞められてたわけでもない。

女の口調にはやや強い物があるが、特段怒鳴りつけられている訳でもない。

なのに、声も出せない。

朝田詩乃(げんじつ)という弱い(ほんとうの)自分(すがた)で拳銃を連想した時の様に、いや、それとはまた違って、全く身じろぎできない。

女の声、と言うより今の女の状態全てに『有無を言わせぬ何か』があると感じてしまったからだろう。

 

「随分と物騒な質問だな」

 

今度は女に注目し過ぎて接近に気付けなかった。

駅のホームに通じる階段の上から、二人組が降りて来る。

1人は若い男、多分20代半ばぐらいの整った顔立ちの男だ。

右手には拳銃を持っており、腰には奇妙な装置、とでもしか言いようのないバックルのベルトを着けている。

が、それ以外は現実に居ても何らおかしくないスーツ姿。

もう一人は、シノンと同じゲームのアバターの姿なのだろう青い髪の少女だ。

背格好から察するに恐らくシノンと同世代。

背中から翼のようなものが、頭には氷の角のような物が生えていて、髪の毛は奇麗なアイスブルー。

GGOではまず見ない、ALOみたいなファンタジー色の強いゲームから飛び出て来たような姿をしている。

 

「私は君たちには質問してな「アズって女になら心当たりがある」なんだって!?」

 

階段を一歩上がろうとした女の足元を銃弾が跳ねた。

見ると男の握る拳銃から白い煙が上がっている。

GGOプレイヤーでも中々出来る者の少ない動きだ。

 

「……随分なご挨拶じゃないか」

 

「相応の態度をとっているだけだ」

 

「イサムぅ……」

 

銃声に驚いて縮こまっていた少女が男のスーツの裾を引っ張った。

イサム、不破諫は小さくため息をつき

 

「奴はヒューマギアだ」

 

「ヒューマギア?」

 

「人工知能搭載の人型ロボット。

耳にヘッドフォンみたいなモジュールが付いていただろ?

あれが赤く光っていたのを覚えているか?」

 

勿論と言う代わりに赤い女が頷いた。

そして未だ階段の上に立つ男に言外に続きを促す。

 

「あの赤い光は奴がアークに接続している証だ」

 

「アーク?」

 

「人類の悪意をラーニングした結果、人類滅亡を結論付けた人工知能だ」

 

「そうかい。アズは人形で、アークの端末に過ぎないと?」

 

「多分な」

 

そうか。と、いうと女はポケットから煙草とライターを取り出すと、誰に断りもなく火をつけ、紫煙を燻らせた。

 

「じゃあぶち殺すじゃなくてぶち壊すだな」

 

「何の話だ?」

 

「この私のことを傷んだ(せき)(しょく)と呼んだ奴は例外なくそうしてるってだけの話だよ」

 

そう言って女、傷んだ赤色と呼ばれる彼女は煙草を持つのとは反対の手で、ぐちゃぐちゃに丸めた紙をポケットから取り出し、憎々しげに睨みつける。

 

「その紙は?」

 

「なんでも私の力をどうやってか制限させてもらってるって内容だった」

 

そう言って彼女は不破にその丸めた紙を投げ渡した。

 

『戦闘特化ではないとは言え、第三魔法に到達しててもおかしくないあなたには、能力制限を課させてもらいました。

具体的には、あなたは絶対に何時もの出力の70%以上を出せないと思ってください。

何時もの様にどっかの無邪気な悪意に満ちた社長よろしくコンティニューしようとしても、完全に隔絶されたこの会場で死んだら、少なくとも私たちに呼ばれてからの記憶も引き継げないので本当に終わりです。

精々頑張ってね、傷んだ赤色さん♪ 

 

          秘密のア~ズちゃんより』

 

読み終えた不破は怪訝そうに紙と女とを交互に見た後、

 

「これ言ったことになるのか?あー……」

 

蒼崎(あおざき)橙子(とうこ)。君らは間違っても傷んだ赤色なんて呼ぶなよ?」

 

「呼ばねえよ」

 

「よびにくい!」

 

「賢明だね、死にたくなかったらくれぐれも呼ばない様に」

 

じゃあね、と言って蒼崎橙子はタバコを壁に押し当て火を消すとさっさと不破たちをすり抜けホームに上がって行った。

彼女はもうここに用がないようだ。

 

「災難だったな」

 

「ええ。でも助かりました、イサムさん。

私、シノンっていいます」

 

「よろしく頼む。

……ん?俺はまだ名乗って、、ああ。

シェフィが呼んでたか」

 

「ん!」

 

元気よく手を上げたシェフィが不破の前に出る。

 

「シノン、よろしく!」

 

「うん。よろしくね、シェフィちゃん」

 

体格から推察する年齢にはあまりにも不相応な振る舞いは、かえってシノンに確信を与えた。

不破や去って行った蒼崎橙子からはあまりそんな感じはしないが、自分の状況とシェフィの姿と合わせてゲームアバターの姿でこのバトルロワイヤルに呼ばれている者が居るのは間違いない、と。

 

「イサムさんはどんなゲームから来たんですか?」

 

「ゲーム?」

 

「私と、他の参加者で唯一の知り合いで同じ赤陣営のキリトはGGOから来ました。シェフィちゃんは?」

 

「うー?」

 

無邪気に小首をかしげるシェフィ。

不破の頭の上にも見えない?マークが浮かんでいる。

 

「ゲーム?何の話だ?」

 

そう言う不破は心底不思議そう、と言うより怪訝そうな顔でシノンに問い返した。

 

「……すいません、不破さん。MMORPGって知ってますか?」

 

「悪いが英語は不得意だ」

 

今度はシノンが頭上に?マークを浮かべる番だった。

ついさっきまで答えだと思っていたものがあっさり否定されてしまっただけなら良かったが、今の自分の現状を説明不能にまでされてしまっては振り出しだ。

 

「2025年のゲームってのはそんな物騒になってんのか?」

 

今の所現実でしか被害が出ていない、と言ったら言い方が悪いが、ネットワーク空間でのやり取りで死人が出る様な事態にはなっていない2019年とどっちが安全なんだろうか?

と、不破は思わずにはいられなかった。

 

「信じてくれるんですか?

イサムさんから見たら未来がどうのなんて荒唐無稽な話なのに」

 

「ありえない様なことならここ半年と少しで散々会ってきたからな。

たった6年みらいから来たぐらい、なんて事はない」

 

少なくとも不破の基準では6年後の未来のゲームから連れてこられたことはいつの間にか脳みそに仕込まれていたAIチップに宿る人工知能に操られることよりはショッキングではないらしい。

どちらも大概だと思うが。

 

「しかし、もしお前が本当に2025年から来たなら、ヒューマギアどころか飛電やZAIAに全く覚えがないのはおかしくないか?」

 

「そうなんですよ。

私からすればいくら興味がなくてもイサムさんがナーヴギアとかを全く知らないのは変ですし」

 

「シェフィは記憶喪失だからなんとも言えないが……」

 

「ヘンシーン!」

 

さっきから置いてけぼりのシェフィは退屈しだしたのか、また一度は諦めたダイアウルフのキーをこじ開けようと苦闘を再開している。

 

「この調子じゃしばらくは、、」

 

「ですよね」

 

結局多くの謎が増えた出会いとなったが、その謎が謎だけに調べない訳にはいかない。

 

「俺はこのバトルロワイヤルをぶっ潰す為に戦うつもりでいる。

お前はどうする?」

 

「……私も、アイツらと同じになるつもりはありません。

イサムさんとシェフィちゃんがいいなら、是非一緒に行かせてください」

 

2人が握手を交わすと、その両手を包むようにシェフィも両手を出した。

新しい青の加わった3人が向かう先にあるのは、希望か、悪意か。

 

 

 

【エリアF-8/駅改札付近/一日目/深夜】

 

【不破諫@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:正常、脳内チップに亡が存在

[服装]:いつものスーツ

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(不破諫)

[参戦時期]:本編32話終盤~34話に刃に拉致されるまでの間

[装備]:ベレッタM9A1(レーザー照準器付、弾13/15+1)@現実

    滅亡迅雷ドライバー@仮面ライダーゼロワン

[道具]:マスブレインゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン

    ジャパニーズウルフゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン

    基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

[思考]

基本:このバトルロワイヤルをぶっ潰す。

1:社長たちとシェフィの家族、キリトを探す。

2:滅や雷と会ったら、亡と替わって対応する。

3:もっと簡単に変身できるベルトを探す。

4:ジャパニーズウルフキー……このベルト(滅亡迅雷ドライバー)で使えるか?

5:あの蒼崎って女、ヤバそうだったが、大丈夫か?

6:ゲーム、それも2025年だと?

[備考]

※亡が不破の体を動かせるかどうかは後の書き手に任せます。

※滅亡迅雷ドライバーは、人工知能、または電脳ダイブが可能な者なら、誰でも変身できる仕様になっています。ただし4人そろっていないと駄目なようです。

※コッコロと主人公@プリンセスコネクト!Re:Diveを、シェフィと血のつながった家族と勘違いしています。

 

【亡@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:不破の脳内チップに存在

[参戦時期]:本編32話終盤~34話で不破が刃に拉致されるまでの間

[思考]

基本:ヒューマギアの夢を叶えるために戦う。

1:飛電或人や滅、雷との合流する。

2:滅亡迅雷ドライバーは、使わせてはいけない。

3:もしシノンのようなゲームアバターもヒューマギアの代わりになるなら……

4:とにかく今は情報が欲しい。

[備考]

※亡が不破の体を動かせるかどうかは後の書き手に任せます。

※不破が忘れている記憶を、亡が覚えている場合があるようです。

※仮面ライダーゼロワン本編、劇場版REAL×TIME、『ゼロワンOthers 仮面ライダー滅亡迅雷』『ゼロワンOthers 仮面ライダーバルカン&バルキリー』の滅亡迅雷ライダーズ視点での部分を把握しました。

 

【シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Dive】

[状態]:幼児退行、健康

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(シェフィ)

[参戦時期]:美食殿らに保護されてすぐ。

[装備]:ダイアウルフゼツメライズキー(アサルトグリップ無し)@仮面ライダーゼロワン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

    ゼツメライズキーコネクタ@仮面ライダーゼロワン

    ゼツメライズキー×2(コネクタに付いている)@仮面ライダーゼロワン

[思考]

基本:ママとおにーたんをさがす。

1:イサム、シノンといっしょにさがす。

2:ナキってだあれ?

3:トーコ、なんかこわい。

4:イサム!スぺゲッティ―おいちかった!

5:かめんライダー……ヘンシーン!

[備考]

※何かのきっかけで、年相応の精神状態になるかもしれません。

※残りのゼツメライズキーの種類については、後の書き手に任せます。

 

【シノン@ソードアート・オンライン】

[状態]:健康、正常

[服装]:GGOでの衣装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(シノン)

[参戦時期]:少なくともキリトとコンビを組んでから

[装備]:浪漫砲台パンプキン@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:このゲームから生きて帰る。

1:イサムさん、シェフィと行動する。

2:キリトたちを探す

3:蒼崎橙子……何者なんだろう?

4:イサムさんたちはゲームから来てない?

5:人工知能アークが黒幕?

備考

※GGOでのアバターで呼び出されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不破たちが同盟を結んだ頃。

列車に乗り込んだ蒼崎橙子は、客席の窓を開けると、デイパックから取り出した紙を広げて、二つの丸いデバイスを取り出した。

懐中時計のようにも見えるそれの名前はライドウォッチ。

時代を駆け抜けた伝説の戦士たち、仮面ライダーの力が封じ込められた未来の装置である。

いくら科学に抵抗が無いと言っても、機械的なアイテムで有る以上、橙子には扱いずらい物であるように思えるかもしれないが、今回の場合そうではない。

今彼女が手に持つ二つのウォッチに込められているのは、指輪の魔法使いこと仮面ライダーウィザード、そして古の魔法使いこと仮面ライダービーストの力。

それも鳴上悠やパンナコッタ・フーゴ、ソウゴに渡されたアナザーウォッチではなく、正なる力の込められたレジェンドライダーのウォッチである。

 

<ウィザード!>

 

<ビースト!>

 

使い魔の使役を戦闘の基本とする橙子はウォッチから二人の仮面ライダーの使い魔(プラモンスター)、レッドガルーダ、ブルーユニコーン、イエロークラーケン、バイオレットゴーレム、グリーングリフォンが出現する。

 

「駅に居る青い3人組を追尾して、アズの手がかりを掴んだら一匹づつ戻って来い」

 

ウォッチの所有者である橙子の命令を受けたプラモンスターたちはわずかに空いた窓からそれぞれ飛び出していく。

 

「さて、それじゃあ当面はアルバの奴をぶち殺すのを優先するとするかな」

 

そう言ってもう一本煙草に火をつけると、立ち上る煙が窓から外に消えていくのを眺めながら、橙子は列車の到着を待った。

 

 

 

【エリアF-8/列車内客室車両/一日目/深夜】

 

【蒼崎橙子@空の境界】

[状態]:健康、アルバとアズに対する怒り(大)、魔力消費(小)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(橙子)

[参戦時期]:アルバを殺すために復活した瞬間

[装備]:ウィザードライドウォッチ@仮面ライダージオウ、ビーストライドウォッチ@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2、煙草とライター(現地調達)

[思考]

基本:この私を傷んだ赤色と呼んだ奴は誰だろうとぶち殺す

1:アルバを探し出してぶち殺す。

2:とりあえず人の集まりそうな都心ステージに向かう。

3:アズに関しては、青い3人組(不破、シェフィ、シノン)を使い魔に追尾させて情報を得る。

4:人工知能アークにも警戒しておく。もしアズを裏から操っているなら、どうしてくれようか。

5:しかし荒耶にアルバ、式たちまで呼ぶとはご丁寧なことだ。

備考

※制限により最大出力の70%より力を出せることは有りません。

※エリアF-8のどこかにある煙草の自販機を破壊しました。

 どのぐらい、どのように破壊したかは後の書き手に任せます。

※ウィザードウォッチとビーストウォッチは二個で一つの支給品扱いの様です。

※プラモンスターを5体召喚しました。

 パスが繋がっているので、撃破されるまで定期的に橙子の魔力を消費していきます。



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常識の破壊者たち

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている・
・ユージオ@ソードアート・オンライン
・門矢士@仮面ライダージオウ


アズの主催するこのバトルロワイヤルで、常識という物は基本的に通じない。

分かりやすく神話や伝説に刻まれた英霊や異形に、現実ではありえない法則(ルール)を元に強くなっ(レベルアップし)ていくゲームアバター、技術(テクニック)では決して追いつけない超能力(スキル)を操る者たち。

そうでない者たちも大半は特殊ないアイテムを使いこなすことに長け、武器が無い程度ではただの人でない者たちだ。

しかし、ここにごく少数の例外がいる。

 

(紙の隙間から出て来た時は驚いたけど、着れるならまあいいか……)

 

あまりいい気分はしなかったし、気も進まなかったが、人の入れる建物のほぼ無いワンダーステージでは仕方がなく木陰に隠れながら元々来ていたシャツをタオル代わりに海水でずぶぬれになった両脚を拭き、支給品の私立直江津高校の制服に着替えた彼、比企谷八幡である。

別に変えるのはズボンと靴下と靴だけでも良かった(ご丁寧に首から下全部の衣類が入っていた。やっぱりわざと海に放り出されたんじゃなかろうか?)のだが、なんだか微妙にチグハグなのが気持ち悪かったので、すべて着替え、濡れた服を紙にしまう。

足はまだべたつくが、濡れたままで風邪をひく心配はなくなった八幡は改めてデバイスを確認した。

 

まず驚いたのが、チャットアプリに送られてきた花京院典明を名乗る参加者からのメッセージ。

思わず、『肉の芽って痛かったですか?』と、送りたくなるのを我慢して名簿の方も見てみると、

 

(なんだこの二次創作初心者がマイブームで滅茶苦茶にツギハギにしたみたいな名簿。

ジョジョ、Fate、ていうか型月か?に、SAO、ドラゴンボール……と続いてなんで緑から急に童話シリーズなんだよ。

今までの錚々たる顔ぶれにネームバリューは兎も角、戦闘能力で圧倒的に見劣する連中じゃん。

いや、これもなんか童話モチーフのキャラだったりするのか?)

 

その下もペルソナだったり幕末の志士だったり、またFateだったりが続き、ほぼ日本人の名前しかない桃陣営の欄になる。

 

(あれ?この門矢士って、確か2年くらい前の仮面ライダーだよな?

プリキュア程真剣に見てたわけじゃないからあんま自信ないけど、他も仮面ライダーなのか?

だとしたら……)

 

「こいつも本物なのか?」

 

そう言って八幡が取り出したのは、最後の支給品。

懐中時計型のデバイス、ライドウォッチだ。

蒼崎橙子に支給された魔法使いたちのウォッチの様に複数個セットで支給されたそれは、運命を切り開いた不死身の戦士たちの力が宿ったライドウォッチ、ブレイドライドウォッチとカリスライドウォッチ。

そして、その二つの力を吸収し、世界を滅ぼすきっかけになりかけた忌物、アナザーブレイドウォッチだ。

 

「……使っていい、いや、そもそも使えるのか?」

 

魔法じみた力がある事は流石に認めよう。

17年間限りなく従って来た常識は、目の前で見せられた二度の瞬間移動で粉々に破壊された。

仮にこれで本当に変身出来たとしても驚きは有れど不思議には思わないが……。

 

(怪人に変身するアイテムとか絶対にヤバい)

 

今年のライダーは八幡の極めて個人的な事情、というか個人的な感情でディケイドよりも更に真剣に観てるわけではないが、登場する怪人は人間が変身するタイプで、怪人側のアイテムも碌なものでは無かった気がする。

 

(それに確かWの時も結構怖かったからな)

 

それこそ『メモリ捨てるぐらいなら人間を捨てるぜ』と言って薬物中毒者のようなキマった顔で怪人に変身した奴までいたのを思い出し、八幡は身震いした。

確かに他陣営に仮面ライダーがいるんだから怪人にぐらい変身出来ないと殺し合いにならないのは理解できるが、もっとマシな物を渡してほしかった。

 

(いや、そもそもこんな殺し合いに呼び出してる時点で期待できないか)

 

なんて考えながら歩いていると、さっきからどこからか無限に飛んでくるシャボン玉しか視界に入らなかったところに、ようやく人影が見えた。

向こうもこちらに気付いたらしく、振り返る。

片方は亜麻色の髪に碧眼の日本人がイメージする典型的な西洋人の風貌を持つ少年と、テレビ画面越しでなら約半年間毎週見ていた青年がそこに居た。

 

「門矢、士?」

 

少年に並び立つその男の顔は間違いなく門矢士、もっと言えば士を演じた俳優と同じ顔に見えた。

年齢は今目の前にいる方が少し上な気がしたが。

 

「士さん、知り合いですか?」

 

碧眼の少年が支給されたんだろう黒い剣に手をかけ、身構えながら問いかける。

対して士は非常に余裕のある態度で

 

「いいや。だが俺も結構有名でな。

一方的に知られている事もある」

 

なんて言いながら腰に巻いた変身ベルト、八幡が知る物と色は違ったが形は同じ物、ネオディケイドライバーを撫でた。

 

「……あんたは本当に、本物の仮面ライダーなのか?」

 

「知ってて声をかけたんじゃないのか?」

 

そう言う士に八幡はものすごく言いずらそうに

 

「まあ、その……テレビで見ただけと言いますか、本で読んだだけと言いますか……」

 

「本?テレビ?」

 

ますます怪訝そうな顔で警戒を強める碧眼、ユージオの肩を士は叩き、

 

「なるほど。大体わかった」

 

と、何故か1人納得した様子を見せた。

 

「どうゆうことですか?何が分かったんですか?」

 

元居た世界に本は兎も角、テレビと言う概念がないユージオは、いまいち八幡の言うことがそもそも半分も分からず、警戒を続けながらも士に問う。

 

「大体は大体だ。全部が分かったわけじゃない」

 

ますます訳が分からないという顔のユージオだが、ここ一、二時間程の短い付き合いでも、門矢士がもう口を開かないことをなんとなく察して追及をあきらめた。

 

「兎に角、君は士さんの事を一方的に知ってるだけで面識はないってことでいいのかい?えーっと、、」

 

「ひ、比企谷八幡……です……」

 

消え入りそうな、という表現はこのために或んだろうってぐらい最後の『です』はかな八幡のこのバトルロワイヤルでの最初の自己紹介はり尻すぼみになっってしまった。

八幡とユージオは大体同い年だろうが、いや、同い年だからこそ、八幡にとっては非所にやりづらいのだろう。

 

「それで、そんな俺を前にどうするつもりだ?」

 

そんな八幡の痴態を無視して士はずばり確信を問うた。

 

「どうするって……」

 

言われても困ってしまう。

比企谷八幡が知る限りになってしまうが、まあ仮面ライダーの主人公や、それを演じる様な俳優さんならそんな悪人ではないだろうという理由で話し続けたに過ぎない。

特に目的も理由もないのだ。

そもそも八幡はこのバトルロワイヤルにおけるスタンスすら決まっていない。

 

「まあいい。

さっきも言ったが、大体しか分かってないからな。

少し話そう」

 

そう言って士は少し進んだところにあった岩に腰を下ろした。

続かない訳にもいかなかったユージオと八幡も、近くに腰を下ろした。

まず話し始めたのは士だった。

と、言ってもユージオに語った事と同じだったが、後の外伝か続編で門矢士が死ぬという特大のネタバレを喰らった八幡の胸中は少々複雑だったが、死者復活や想像具現の大魔術なんて今更なので、一旦強引にスルーする。

今重要なのは、門矢士と、その協力者ユージオがこの殺し合いに乗り気でないという事だ。

現状安心して使える武器のない八幡としては、少なくとも今すぐ事を構える気はないというだけで値千金である。

そして八幡が語った内容だが、彼個人に関してはなんてことはない。

ただちょっと人より高二病をこじらせていて、友達の少ない高校生の、主観ではまちがっている青春の一ページである。

最近はどうゆう訳か美少女との交流が人より圧倒的に多かったり、その美少女たちから矢印を向けられているのに、本人に自覚がない上に男性としての自信も無いので気付いていなかったり、変な部活に強制入部させられているお陰でイベントに事欠かなかったりしているが、少なくとも世界の破壊者や、整合騎士と比べれば普通で平和な物語であろう。

 

「なんだか楽しそうだね」

 

懐かしい物を見る様な、しかしそれと同時にはじめて触れる綺麗な物を見る様な目をしながら頬を緩ますユージオに思わず八幡は眉間に皺を寄せた。

 

「由比ヶ浜みたいなこと言いますね。

別にそんなことないですよ。まあ、こんな殺し合いよりかはいいですけど……」

 

「それで、大体は想像できてるが、お前はそんな平和な世界でどうやって仮面ライダーの事を知ったんだ?」

 

大体想像できてるとは言われても、いざ口に出すとなればまたかなり悩んだ八幡だが、意を決して話すことにした。

比企谷八幡にとって門矢士とは、仮面ライダーとはテレビの中の絵空事だと。

 

「それって、士さんが物語の登場人物ってことかい?」

 

「ええ。まあ、大体そんな感じかと……」

 

「やはりな」

 

「士さん!?やはりなって……」

 

かなり遠回しに死人とか生者とか以前に存在なんてするはずもない者で有ると告げられたにしては、士の反応はあまりにも落ち着き過ぎている。

普通ならば一笑にふすか、信じるにしたってもっとショックを受けても良さそうなものだ。

 

「世界は無数にある。

例えばユージオ、お前が元居た世界と俺が語った今まで破壊して来た世界は全然違っただろう?

『仮面ライダー』という存在そのものに対する扱いが全く違う世界だってあるさ」

 

そもそも『仮面ライダー』が実在しても、その定義が全く異なる様々な世界を旅して来た士はなんてことも無い様に言いきった。

 

「よく、平気そうでいられますね」

 

「何がだ?」

 

「士……さんは、自分が、偽物かもしれないとか、考えないんですか?」

 

「俺は世界の破壊者。通りすがりの仮面ライダー。

少なくとも今目の前のお前らがそれを覚えている。それで十分だ」

 

その姿は間違いなく八幡がテレビの中に見た主人公(ヒーロー)の姿。

想像通り。それこそテレビ本編の最初の方なら兎も角、今目の前にいる門矢士の尊大さは確固たる物、通りすがって来た世界で得た強さに由来する物だ。

通り過ぎずにいたからこそ門矢士が入れて来た物が、いつも士を支える様に連なって、繋がっている。

だからこそ出来るある種ポジティブな開き直りに対して、少し黒い物が胸にうずく。

何時もだったらすぐに無視できるそれは、何故か今日に限ってチリチリと残り続け、今まで押し込んで来たものもつつき始めた。

 

「八幡君、気分でも悪いのかい?」

 

それに気付いて八幡の顔覗き込むユージオだが、すぐに驚いて体をのけぞらせた。

無理もない。

彼のあまり宜しくない目つきの眼に確かに敵意のような感情が宿っていたのだから。

ついさっきまでこの殺し合いと言う環境では仕方ない程度の警戒の色こそあったが、敵対される理由はないはずだ。

 

(ユージオさんは多分だろうけど、門矢士は間違いなく、繋がって強くなってきたような人だからな……)

 

極限状態で気付くのが遅れたが、門矢士もユージオも基本的にはあまり八幡が好まないタイプの、と言うより一方的に嫌いやすいタイプ。

変わりたいと思い、変わる事の出来た側の人間だ。

普段通りなら、居るだけでストレスになるタイプである。

 

「ああ、これのせいかも知れないっすね」

 

八幡はポケットに移し替えていたライドウォッチを見せた。

 

「アナザーライダーのウォッチ?」

 

流石の士もこれには少し驚いた顔を見せた。

その様子に八幡は眼精疲労でゾンビの様になった目を細めて笑う。

目以外は別に不細工と言う訳でもないのに、笑みの種類と目のせいでその笑い方は不気味の一言だ。

 

「……あー、駄目だな。まあ、こんな状況下でまともな方がおかしいのかもしれないけど、これは駄目だ」

 

ポケットから取り出す前は、そんな事も無かったが、不気味な怪人の描かれたその装置から目が離せない。

委ねたい。任せたい。この力でどうにかしてしまいたい。

不自然に沸々と湧き上がる思いにせかされるまま、八幡はウォッチのスイッチを押した。

 

<BLADE……!>

 

ウォッチから発生した黒紫色のエネルギーと、仮面ライダー剣の世界の仮面ライダーの特徴であるのオリハルコンエレメントやスピリチアエレメントを模したエネルギーが八幡の身体を包み、その姿を異形の者へと変えた。

身長こそ本家本元仮面ライダーブレイドと同じだ。

だがその姿は無理やり鎧に取り込んだモンスターが外に出ようと暴れた挙句にブクブクに肥大化したようなゴツい物になっており、それを裏付ける様にレザーの生地をビスで打ち止めたような意匠も目立つ。

そして極めつけが唯一人間のような形を残す割れた仮面から覗いてるようにも見える眼が、人間らしさがかえって怪物の姿には似合わず、その姿を三割り増しぐらいで不気味にさせている。

仮面ライダー剣という歴史の冒涜者、アナザーライダーブレイド、出現。

 

「こ、これは!?」

 

「ユージオ!」

 

全く未知の異形に面食らったユージオだったが、彼もまた歴戦の勇士。

士の声にすぐさま切り替えると、振るわれる丸鋸のような飾りのついた禍々しい大剣を避けながら夜空の剣を抜き放つ。

 

「士さんも武器を!」

 

剛腕まかせに無茶苦茶に振るわれる剣を裁きながら叫ぶように言うユージオ。

士は無言でライドブッカーからディケイドのカメンライドカードを取り出す。

ディケイドを知識として知る八幡はそれを妨害しようと、本家ブレイドのタックルボアに相当する技を発動して妨害しようとするが、士はそれを最小限の動きで避けると、ドライバーを操作してカードのスロットを上に向けるとカードをセット!

 

<KAMEN RIDE!>

 

「変身!」

 

<DECADE!>

 

バックルを元の位置に戻すことでカードに封印されたライダーの力が解放され、無数の灰色の残像が重なり、素体アーマーを形成。

続いて出現したマゼンタ色の7枚の板、ライドプレートがアナザーブレイドを吹き飛ばし、Uターンして素体マスクの頭に刺さる。

瞬間、濃淡の差がある程度で灰色一色だったアーマーが、白、黒、マゼンタの色が付き、変身が完了した。

 

「士さんも変わった!?」

 

「仮面ライダーの力には仮面ライダーだ。お前も来い!」

 

「はい!」

 

ライドブッカーをソードモードにしたディケイドと、夜空の剣を構え直したユージオはアナザーブレイドに向かっていく。

これにアナザーブレイドはスラッシュリザードに相当する技で大剣を強化し、白兵戦を仕掛けるが、相手は数多の世界を破壊し、創造に繋げて来た門矢士に、あの浮遊城(SAO)の英雄キリトにいずれ自分を超えると言わしめたユージオだ。

運動神経こそ悪い訳ではないが、今までろくに武道の一つも嗜んでこなかった八幡が変身したアナザーブレイドはそこまで優性ではない。

が、生身のユージオに積極的にサンダーディアーに相当する電撃攻撃を仕掛け、ディケイドの動きを制限させることで決して不利でもない立ち回りが出来ている。

 

(パワー任せのぶん回すしか能の無いような動きって訳でもない……暴走しきってはいないのか?)

 

マッシブな外見のアナザーブレイドだが、見てくれ程の筋力はないようだ。

誤解のない様に言っておくと、仮にも仮面ライダーと戦えるだけの能力があるのだから、間違いなくトン単位はある。

しかしウェイトも身長と同じく仮面ライダーブレイドと変わらないからか、ユージオでも普通の斬撃は問題なく打ち合えている。

士も鎧があるとは言えかなり余裕で、ディアーサンダーに相当する技を始めとしたさまざまなラウズカードに起因する技も簡単に対応している。

現状使用不能なだけで、歴代平成ライダーや、ともすれば歴代昭和ライダーにも変身可能で、その力に精通する仮面ライダーディケイドだからこそできる芸当だろう。

 

『あああああっ!』

 

ゴツいアーマーを思いっきり干渉させながら、剣を両手持ちにしたアナザーブレイドが大上段から大剣を振り下ろす。

 

「はっ!」

 

ディケイドは剣の腹の部分を蹴って逸らすと、体制が崩れた所にガンモードに変形させたライドブッカーで銃弾を浴びせる。

再び鎧の干渉を無視して、大剣の柄についた丸鋸の様な飾りを盾に防ぐアナザーブレイドだったが、ユージオの追撃までは防げず、夜空の剣で切り付けられた外皮が派手な火花をあげた。

 

『ぐぅううううっ!ううぅ……うううっ!』

 

ブンブンと、近付いてくる2人を遠ざける様に剣を振りながら荒い息を続けるアナザーブレイド。

そんな彼に予断なく構えるディケイドとユージオだったが……。

 

「やめだ」

 

「士さん!?」

 

ディケイドはライドブッカーをブックモードに戻すと、ホルスターに戻す。

 

「八幡。お前、倒されようとしてるだろ?」

 

そう言われてユージオはアナザーブレイドの動きをよく観てみる。

さっきまでは隙があると言っても、粗削りで粗野な動きのせいと言った感じだったが、今の隙は無理やり動きを変えようとしているような、そんな隙だと気付いた。

 

『……ははっ。流石は、、歴戦のスーパーヒーロー。ご明察だよ』

 

「大した精神力だ。そのアナザーライダー、アナザーブレイドか?

副作用が強いみたいだが、よく抑えられるな?」

 

普通のアナザーライダーやアナザーライドウォッチには、変身者を暴走させる様な能力はない。

変身した結果、理性を失って暴れるパターンや、怪人にでもならなければどうしようもなくなるぐらい進退窮まった人間が、降って湧いた強大な力に溺れた結果暴走すると言ったパターンが主だ。

前者だったらアナザーゴーストやアナザービルドで、後者だったらアナザーウィザードやアナザー鎧武で実際に起こっていた。

だが、スウォルツが所持していたアナザーブレイドのウォッチを譲渡されたウォズの並行同位体が生み出したアナザーブレイドは、その変身者となった栗原天音が十数年間押し殺し続けていた物だったとはいえ、彼女の『相川始に会いたい』という感情を暴走させており、スウォルツが用意したウォッチか、アナザーブレイドそのものにかは定かではないが、アナザーブレイドは変身者の感情を暴走させる能力があるアナザーライダーであるのには違いない。

それをわがことでありながら、僅かな会話と短い戦闘の間に理解し、限りなく抑えることができている八幡は、やはり某魔王が称したような『理性の怪物』なのだろう。

 

「なぜだ?倒されたら君だって無事じゃすまないだろうに」

 

『別に……俺なんかが……動けなく……なったって……死んだってどうでもいいでしょう?』

 

「……何が言いたい?」

 

『別に俺は、門矢士みたいな常識を超えた力は元々持ってないし、お前みたいに剣を振り回すのが得意な訳でもない。

雪ノ下みたいに頭が切れる訳でも、由比ヶ浜みたいにコミュ強なわけでもない。

あんたたちが暴走する可哀そうな奴を容認できない人間なのは良かった。

けど感が良すぎたな。

あとちょっとで、あとちょっとでこの怪物のせいで誰かが傷つくことのない世界の完成だったのに』

 

怪人化しているせいか、くぐもったように聞こえる声で吐き出された言葉は、空気に溶けるより早く地面に沈んでいくのではないかと思う程湿気っていた。

それこそ頭からかぶったら圧死するような程に。

ユージオの蒼薔薇ですら簡単には凍りきりそうにない程に。

 

「八幡君、君は……」

 

言いようのないいやな感覚がユージオの胸に疼いた。

生まれて初めて感じる……まるで心筋を緩い汚水をたっぷり染み込ませたゴワゴワの雑巾で撫でられている様な不快感に戸惑う。

確かに変身者の精神を暴走させるアイテムは危険だろう。

放っておけば何か取り返しのつかない悲劇が起きてしまうかもしれない。

しかし、八幡から数少ない自衛手段を取り上げては、今度は彼が危ない。

だったら、アナザーライダーの力に暴走した彼をやむを得ず倒した方が、面倒はすくないかもしれない。

そこまでならまだ、ユージオもギリギリ吞み込める。

だが問題はその後だ。

確かにさっきの話を聞いている限り、比企谷八幡とは争いとは無縁の存在だ。

彼は戦闘面で役に立つかと言われたら、否だろう。

ユージオや士のような活躍何て望めるはずもない。

それはまだいい。

問題は彼が割と本心から自分に価値がないと思っているかのような物言いが、どうしようもなく、誰も責められない不快感になって襲ってくることだ。

 

「そんな世界はない」

 

しかしここにいる世界の破壊者、門矢士は押し黙るユージオとは対象的に話し続けた。

 

『大した、、自信だよ。天下の仮面ライダーディケイド様は……』

 

「誰かが傷つかない?笑わせるぜ。お前のそれは言葉遊びだ。

最初からお前だけが傷付こうとしている、いや、最初からお前だけが傷だらけのまちがいだ」

 

『……俺のこれが、自己犠牲だとでも、欺瞞だとでも、言うつもりか?』

 

いつの間にかギリギリと、大剣を握る力が強まるアナザーブレイド。

相対するディケイドはライドブッカーの刃を撫でながら静かに、しかし八幡のとは違う重みを感じる声で続けた。

 

「別に欺瞞とか、お前の選択や行いその物がまちがってるだなんて言うつもりはない。

今のお前にはその選択しか出来なかったってだけの話だろ?」

 

だからこそユージオは何も言えなくなってしまったのだ。

彼は別に悪くない。

それこそ規模は兎も角、比企谷八幡はマスターロゴスが神山飛羽真や新堂倫太郎を愚弄する際に引き合いに出した『かつて愛する者を失った。人の過ちの所為で……』という側の、バハトやタッセルよりの人間だ。

限りなく被害者であり、今回も決して加害者と言う訳ではない。

本人が開き直っている以上、諭すのも難しい。

それこそ、決定的な亀裂、破定……八幡にとって少し未来の秋の京都のような事でも起きない限りは。

しかし門矢士と言う存在は、ディケイドの能力の有無なんて関係なく、更には捉えどころや焦点の有無など関係なしに、その存在そのものが、全てを破壊し、全てをつなぐ。

 

「ただ俺の知ってるあの男に比べれば……そう言えば随分イジメてくれたこともあったが、本物の友情の為なら悠久の孤独が待っていると分かっても自らの意志で全てを差し出す事をいとわなかった男と比べれば、少なくともお前のやり方は……質の悪い独りよがりだって話だ!」

 

『独り、よがり?』

 

「あの男は運命に戦いを挑んだ末にその答えを選んだ。

だがお前はどうだ?増幅されたとは言え、持て余していた感情に急かされるまま何者にも頼れず、立ち向かうのも面倒だから倒されようとしただけだ!」

 

『黙れ!さっきから黙って聞いてれば……それ以外の方法が出来るなら、それが出来るなら!』

 

「確かに、人を信じるのは簡単な事じゃない。

特にこんな殺し合いの真っただ中ともなればな。

けどそれは、闇を恐れて、光に目を焼かれたままで延々くすぶっていい免罪符じゃない。

そんな半端に拗ねらせた根性で、仮面ライダーの力は使っていい物じゃない!」

 

それは奇しくも、歪んだ決意を胸に王道にも覇道にも背いた仮面ライダージオウの残骸が出した結論と限りなく同じだった。

 

『要は……俺が気に入らないってだけだろ?

そんな理由で戦う奴が、さっきから何様のつもりだよ!』

 

「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」

 

いつものように、自らの旅先に現れ続ける目撃者たちに告げるディケイド。

次の瞬間、アナザーブレイドの体内、もっと言えば変身者の八幡が携帯していたはずの二つのライドウォッチが輝きだした。

それに呼応するように、ディケイドのライドブッカーも内側から光始める。

 

「これは……」

 

開けてみると、支給されていなかったはずのブランクのカードが7枚飛び出しディケイドの手に収まる。

 

「なるほど。カードはこうやって取り戻すのか」

 

そう言ってディケイドは変身した時の様にベルトを操作し、自動でスロットから排出されたディケイドのカードに代わって、今しがた解禁されたカードをセットする。

 

<KAMEN RIDE!>

 

「変身!」

 

<BLADE!>

 

カードから解放されたパワーから生成された青いオリハルコンエレメントをくぐり、ディケイドはその姿を変えた。

 

「ブレイド?それにその姿は……」

 

バックルこそネオディケイドライバーのままであったが、ユージオから見たら、地齋は逆だがアナザーブレイドをディケイドのような存在に近づけた様に見えた。

仮面ライダーディケイドブレイド(以下Dブレイド)、推参。

 

「ブレイドが二人粋な計らいだろ?」

 

『あああああっ!』

 

増幅された怒りと殺意を滾らせて突っ込んで来たアナザーブレイドだったが、すぐさま戦闘に頭を切り替えたユージオが真っ向勝負、と見せかけた大ぶりの一撃を転がって避けると、足払いを仕掛ける。

それは避けれたが、ブレイラウザーとライドブッカーソードモードと二刀構えたDブレイドの斬撃は裁ききれず、さっきよりも深々とアーマーが傷つく。

 

(最初の姿の時よりも効いてる!)

 

アナザーライダーは基本的に対応する仮面ライダーの力でしか撃破できない。

それはアナザーライダーと仮面ライダーが互いにメタを張る存在であるためで、結果両者は最も有利に戦える敵にして、最も手痛い攻撃をして来る敵なのだ。

 

「はっ!」

 

そこに技量と数の差が加わる。

さっきまでは何とか暴走を抑えきれていた八幡だが、ヒーローという、彼から見たら最も癪に障る眩しい輝きに当てられ、完全に力に身をゆだねており、ユージオを重点的に習うような立ち回りも出来ておらず、所謂火事場の馬鹿力で強引に拮抗を保っているような状態だ。

 

「ぐぅうう!」

 

しかしそれは生身のユージオには脅威だ。

一太刀でも浴びれば彼の身体は粉々になってしまう事だろう。

 

『は、はははははは!死ね!死ねぇ!』

 

ユージオの体勢が思い切り崩れ、その整った顔に焦りの色が浮かぶ。

気分が良い。

誰かを信じている奴が、自分を信じている奴が、比企谷八幡(もたざるもの)に全てを奪われる。

これ以上に痛快な事があるだろうか?

なんて思う八幡だが、もちろん普段の彼はこんな感じではない。

理性という極大のタカ(というか彼にタカが理性ぐらいしかなかったともいう)が外れた結果、ただでさえ傷ついていた彼と言う存在は、その無数の魂の傷口からアナザーブレイドという毒に浸され、肥大化してるに過ぎない。

見た目と中身がようやく一致し、本領発揮と言ったところだろうか。

マグネットバッファローを模した能力を発動し、ユージオの剣を奪おうとする。

夜空の剣の素材は悪魔の木と呼ばれる木材なのだが、ブレイドの力がゆがんだ結果、色々アバウトになっているのか、剣は磁石に引き寄せられる金属の様にアナザーブレイドに引き寄せられる。

 

「いくら今の君でも、それは許せない!」

 

ユージオは無理に体制を整えたり、踏ん張ったりせず、剣ごと引き寄せられるに任せて接近し、アナザーブレイドの顔面、もっと言えば目を狙って思い切りつま先で蹴り上げた。

人間だった頃の感覚で思わず焦って能力を解除した所に、ユージオのソードスキルが炸裂する。

 

「『ホリゾンタル・スクエア』ッ!」

 

親友から預かった武器と、親友から伝授された剣術が、繋がりに恐怖し、仮面の奥に閉じこもりながらも腐った覗き穴から光を睨み続ける怪人に冷えた斬撃を叩きつける。

結局今の八幡はお得意の『裏切られる恐怖からの逃避の為の開き直り』も最大の武器である『怪物級の理性』も放棄し、暴れるだけの存在。

一周回って素直な駄々っ子に戻った子供と、確かな繋がりの為に全力全霊を尽くせるユージオとでは、剣や拳に載せる戦いへの重みが違い過ぎた。

 

「はっ!」

 

そこにブレイラウザーでの一刀流に切り替えたDブレイドも加わり、シンプルに暴走したアナザーブレイドを切り刻んでいく。

上手くいかない。

上手くできない。

思う通りにならない。

焦りと屈辱と惨めさと、激しい痛みの中、ふと沸き上がった冷静な感情が、『何喚き散らしてんだよカッコ悪』と、シンプルに心をえぐる自分の声になって聞こえてくる。

 

(知るかよ!今止まったら、今止まったら!)

 

認めることになる。

自分が、臆病者だと。一人で虚勢を張って来ただけだと。

それは、きっと否定されるよりも決定的に、今までの自分を壊されてしまう。

門矢士の厄介な部分は、決して比企谷八幡を否定しないのだ。

ただ破壊する。

比企谷八幡をそのままでいれなくする。

 

「俺は……俺は……ッ!」

 

そう思ってひたすらに二人を倒そうと剣を振るい、朧気な記憶を頼りにブレイドの特殊能力を行使しようとするのだが、Dブレイドに的確に対応するカードで裏をかかれ、シンプルにスペック任せにゴリ押ししようとすれば、息を合わせるのにも慣れ始めたDブレイドとユージオの連撃にさらされる。

遂にまともな反撃も出来なくなったアナザーブレイドは、Dブレイドに手首を切られ武器を取り落し、その隙に繰り出されたユージオの冷風のごとく鋭い一斬に膝をつく。

 

「お前を、、破壊する!」

 

距離をとったDブレイドは、ブレイラウザーを逆手に持ち直し、ライドブッカーから金色の♠のマークがデカデカと書かれたカードをバックルにセット

 

<FINAL ATTACK RIDE>

 

<B-B-B-BLADE!>

 

バックルの発動と同時にカードから解放されたパワーは赤紫と青の雷となってDブレイドの身体を駆け巡る。

不死身の始祖たる怪人の豪脚、蒼雷、神速を得たDブレイドはユージオが巻き込まれない範囲にいるのを確認すると、まず神速のスピードでたっぷりと助走をつけ、そのまま地面を揺るがすような跳躍で飛び上がり、雷を纏った蹴りをその胸板に叩きこむ。

 

「ぐぅああああああああ!」

 

派手な爆発と轟音と共に、元の人間の姿に戻った八幡から排出されたアナザーウォッチはバチバチとスパークしたかと思うと、粉々に砕け散った。

 

「……あーあ。破壊されたな」

 

目論見通りだ。

仮面ライダーによって、危険な怪人は排除された。

だが、八幡の思い描いていた世界とは、どうにも違う気がする。

 

(らしくなかったな。自分なんかの為にあんなに必死に……いや、待てよ?

今までずっと孤独だったのは……究極自分が傷つかない為、ってことはさっきの暴走大げさなだけでいつも通り?うわー、マジかよ。恥ずかしくて死にてぇ)

 

もしここに雪ノ下雪乃が居ようものなら『本当にあなたには驚かされてばかりね。そこまで他者からどう見られているかを考慮しない人間だったとは、流石に思ってもみなかったわ』と遠慮なくとどめを刺してきそうなものだ。

しかしそれでも、今回の戦いは別に間違っていなかったとも思う。

門矢士やユージオに比べれば役立たずの自分が傷つくだけで危険因子を排除出来たのだ。

でも

 

(あの時のユージオさん、スゲーいやそうな顔してたな)

 

短い付き合いだが、ユージオは仮面ライダーではあるが少々偽悪的な部分のある士に付き合ってやるような人物だ。

ディケイドに出て来た仮面ライダークウガと同じぐらいには善人なのだろう。

 

(……あー、クソ。誰かのあんな顔は、仮に葉山の物だったとしてもしばらくは見たくねえや)

 

なんとか痛むからだを仰向けにして、夜空を仰ぐ。

狂った満天の星空が、奇麗すぎる偽物が目に痛い。

 

「……もう少し、もう少しでいいから誰かを信じれたら」

 

別のやり方も出来るのだろうか?

じわじわと体を蝕む痛みが引くのを待ちながら、八幡は今までの自分と、このバトルロワイヤルでの自分についてグルグルと思案しながら狂った星空を睨み続けた。

 

 

 

【エリアJ-9/草原/1日目/深夜】

 

【比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:正常、膝より下は海水でべたついている、精神的疲労(中)、肉体的疲労(中)、ダメージ(大、特に胸)

[服装]:私立直江津高校の制服(男、ボロボロ)@化物語

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(比企谷八幡)

[参戦時期]:少なくとも修学旅行編よりは前

[装備]:デバイス(チャットアプリ入り)@ロワオリジナル

[道具]:メダル(比企谷八幡)@ロワオリジナル

   ブレイドライドウォッチ@仮面ライダージオウ

   カリスライドウォッチ@仮面ライダージオウ

   私立直江津高校の制服(女)@化物語

   総武高校の制服(男)@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

[思考]

基本:未定。だけど何をやるにしてもやり方は少し考える。

1:誰も傷つかない世界……見事に壊されちまったな。

2:流石に疲れた。

3:チャットのメッセージに何か返信する。けど流石に休んだ後でいいよな

[備考]

※少なくとも花京院典明にもチャットアプリ入りのデバイスが支給されています。

※アナザーブレイドライドウォッチ@仮面ライダージオウはDブレイドに破壊されました。

※支給品の私立直江津高校の制服は男女用二着で一つの支給品として扱われています。

※元々着ていた総武高校の制服(男)@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。は、ズボンの膝から下と靴下と靴が海水でずぶぬれです。

エニグマの紙から取り出して乾かせばまた着れます。

※士から彼の本編後の動向に関する情報を最低限入手しました。

※現実の西暦2011年までに発表されていた原典に関する情報を持っている可能性があります。少なくともジョジョは4部まで、ニチアサもプリキュアシリーズ放映開始後の物ならざっくりとした知識はあります。

 

 

 

 

 

 

アナザーブレイドウォッチが砕け散ったの見て、ユージオは剣を収め、Dブレイドは変身を解除して門矢士の姿に戻った。

 

 

 

「士さん、一つ聞いておきたい事が有るんですけどいいですか?」

 

「なんだ?」

 

「……士さんにもあったんですか?

誰かを信じられなくて、言葉通りの破壊者の様に暴れたことが」

 

「ああ」

 

やはり、とユージオは思った。

いくら八幡が変身した怪物に関してユージオとは比較にならない予備知識を持っていたとしても、八幡の状態を分析するのがあまりに早すぎたからもしやと思っていたが、ドンピシャだったようだ。

 

「俺にもかつて、どうせ自分は破壊者だと開き直ったくせして、孤独を埋める様に集めたカードを眺め続けていたことがあった。

けどそんな俺は最後に残ったあるお節介な女に破壊された」

 

ライドブッカーから取り出したディケイドとブレイドのライダーカードを眺める士だったが、すぐに視線を倒れる八幡に戻し

 

「だからって訳じゃないが、あいつは俺の様に、ファインダー越しの世界に、レンズの中の箱庭に閉じこもり続けなくてもいい。そう思っただけだ」

 

と、言うとカードを閉まって八幡の元まで歩き出した。

 

(これが、士さんの、通りすがりの仮面ライダーの破壊か)

 

普段の士の振る舞いや態度からは想像もつかないが、物騒な響きに反して、厳しくも優しい行いなのかもしれない。

そんな風に思いながらユージオも士の後に続いた。

 

 

 

 

【エリアJ-9/草原/1日目/深夜】

 

【門矢士@仮面ライダージオウ】

[状態]:健康、疲労(小)、ダメージ(小)

[服装]:いつもの服

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(門矢士)

[参戦時期]:RIDER TIME 仮面ライダージオウVSディケイドで死亡後

[装備]:ネオディケイドライバー&ディケイドのライダーカード@仮面ライダージオウ、ファイナルアタックライドのカード&各種アタックライドのカード@仮面ライダージオウ、ブレイドのライダーカード一式@仮面ライダージオウ、ライドブッカー@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本:この世界を破壊する。

1:この世界を破壊するための方法でも探るか。

2:この名簿、何か胡散臭いな。

3:どうやって様々な世界から参加者を集めたんだ?

4:アナザーライダーか。ますますアズの正体が分からんな。

[備考]

※変身するために必要なディケイド以外のライダーカードは没収されています。

※覇瞳皇帝にクウガのカードが支給されたように誰かに支給されているカードを手に入れるか、ライドウォッチなどのレジェンドライダーのパワーと共鳴することでライダーカードが解禁される事もあるようです。

※ブレイドのライダカード一式の内訳はカメンライドブレイド、フォームライドジャックフォーム、カメンライドキングフォーム、アタックライドメタル、アタックライドマッハ、ファイナルフォームライドブレイド、ファイナルアタックライドブレイドの7枚です。

※ユージオから彼が知る限りのソードアート・オンラインUW編の情報を入手しました。

※八幡からやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。の大体の情報を入手しました。

 

【ユージオ@ソードアート・オンライン】

[状態]:健康、疲労(中)、ダメージ(小)

[服装]:いつもの服

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(ユージオ)

[参戦時期]:死亡後

[装備]:夜空の剣@ソードアート・オンライン

[道具]:ランダム支給品×0〜2、基本支給品一式

[思考]

基本:殺し合いを破壊する。

1:キリトと合流したい。

2:僕の名前が名簿にない……?

3:士さんの旅に同行する。

4:なるほど、これが士さんの破壊か。

[備考]

※士から彼の存在に関する情報を入手しました。

※八幡からやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。の大体の情報を入手しました。

 

 

 

アナザーブレイドライドウォッチ@仮面ライダージオウ 破壊



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黒い残光

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・ゼーン@プリンセスコネクト!Re:Dive
・鏡像の城戸真司@仮面ライダー龍騎
・常磐ソウゴ(A)@仮面ライダージオウ


仮面ライダーとはなんだろう?

物理的には、少なくとも超人、あるいは怪人に分類される存在だ。

冷静に考えてみれば、よくわからない存在の因子や要素を宿した存在だったり、一個人が秒で軍隊を壊滅させれる戦力を所有している訳だ。

恐怖でしかない。

悪行う者たちの前に立ちふさがってくれるのは結構だが、その『悪』がいなくなった時、彼らはどうなるのだろう?

このバトルロワイヤルに呼ばれた城戸真司や飛電或人のようにあくまで守るための手段として仮面ライダーを使っているものたちはまだいいかもしれない。

簡単な事ではないが、その力を手放せばいい。

実際仮面ライダークウガ、五大雄介は完全に変身能力を喪失したわけではなかったが、13年にわたって、最初の屈辱の丘からグロンギが復活するまで戦いから遠い場所にいる事が出来ていた。

他にも門矢士が龍騎の世界で戦った13人の仮面ライダーたちはライダー裁判ごとに変身者が変わっている。

流石に世界、次元単位で異常が起きた場合に限り辰巳シンジにデッキが優先的に回される仕組みでは有ろうが、それでも彼らには仮面ライダーでない時間がある。

 

では仮面ライダーを運命として背負う者たちはどうだろう?

 

少なくともシンプルに彼らは正義の味方ではない。

どこぞの守りし者たちのように正義や愛を追いかけない程ではないが、それでも少なからず大切な者を捨てながら戦い、終わりなく戦い続け、その果てにあるモノが分からなくなるかもしれない。

不死身となってから300年後、統制者と破壊者に再び運命を狂わされた剣崎一真の様に。

そして今ここに、終わりを見失った仮面ライダーの残骸が一人。

 

「……」

 

常磐ソウゴはあれから地図アプリを起動させたデバイス片手に恐らく多くの人が集まるであろう都心ステージに向かって歩いていた。

まあ、本当の所はついこの前までいた戦国時代の面影を感じるかもしれない中世ステージに居たくなかったのと、廃墟ステージにあるという常磐ソウゴ発変身の像を見たくなかったというのも大きいだろう。

 

(しかし誰とも会わないな)

 

軽く100人を超える人間にアナザーライドウォッチを始めとした超常の力が配られてるにしては周囲が静かすぎる。

なんて考えながら歩く事数十分。

デバイスの画面に表記されるエリア名が『C-1』から『D-1』に変わった時だった。

 

「あれは!」

 

漆黒の龍、ドラグブラッカーが夜空に吠える。

吐き出される黒い炎のブレスが民家を焼き、この島のどこかで今なお増え続けている地獄の数を増やす。

 

「許さない……」

 

<ZI-O……!>

 

握りしめ続けた、常磐ソウゴにとって最も縁遠く、同時に近かったはずの力が彼の身体を包む。

仮面ごと顔面をはがされ、それに再び仮面を張り付けたような相貌に、銀とマゼンタ以外には黒が目についたジオウとは対照的な脱色したかのような白い身体。

細身ではないが、アナザーブレイドの様にマッシブでもない半端に鎧を纏ったようなシルエット。

全てのアナザーライダーを統べる裏の王。

アナザージオウ、顕現。

 

「行くぞ……」

 

専用武器の時計の針を模した双剣を両手にアナザージオウは黒い炎をかいくぐりかけた。

もしこの攻撃が自衛ならまだいい。

だが、そうでないならば、放置するわけにはいかない。

仮にアナザーライダーでない本来の形で仮面r内だ―の力を所持していようと、その力を我欲の為だけに使うのなら、必ず倒さなければならない。

 

「やめろ!」

 

長短二本の剣で、炎の中で鎬を削っていた2人、仮面ライダーリュウガとゼーンの間に割って入る。

 

「同じ陣営?何故邪魔をする?」

 

アナザージオウに変身しても露出したままの首輪を見て、リュウガはこの島に呼ばれたから初めて口を開いた。

 

「アンタこそ、なんで仮面ライダーの力をそんな風に使う?」

 

仮面ライダーリュウガ、鏡像の城戸真司は心底不思議だった。

彼にとって仮面ライダーとはライダーバトルの参加者。

神崎士郎が開発したカードデッキで戦い、各々がその胸に抱いた願いをかなえるためにあらゆる手段を用いて生き残るため戦う存在。

それは戦いの舞台が変わったこのバトルロワイヤルでも変わらない。

 

「このバトルはそうゆうものだろう?」

 

「そっか。じゃあもう喋らなくていいよ。お前はここで倒す」

 

まるで常識を疑われたかのような態度のリュウガにアナザージオウは猛然とリュウガに襲い掛かった。

いつも使っていたジカンギレードやサイキョウギレードとはやや勝手の違う武器の扱いに少し苦労しながらも、平成ライダーたちの力を集める長い戦いで培った戦闘技能を惜しげもなく使い、鏡像の真司からカードデッキを奪うべく、戦いの手は一切止めない。

まるで数秒先どういった動きをすれば最適なのかが分かっているような連撃を繰り出すアナザージオウ。

対するリュウガも神崎士郎の最終兵器(リーサルウェポン)として用意された最優の仮面ライダーとだけあって、平成を統べる王たる彼の攻撃も最小限脳動きで躱し、捌き、対応出来ている。

 

(入る隙間が無いな……)

 

その苛烈さは元々リュウガと戦っていたはずのゼーンが割って入れない程だ。

ゼーンはいつの間にか姿の見えなくなったドラグブラッカーを警戒しながらも、目の前で戦う2人に違和感を覚えた。

 

(アズたちの意図が分からない)

 

仮面ライダーの意味を知らないゼーンでも、今この二人が同陣営ながらも戦っているのは主義主張の違いと言うことぐらいは理解できる。

 

(てっきり元々対立していた、あるいは対立しているものたちを呼び寄せて戦いを加速させたいのかと思っていたが、俺のような全ての知り合いが同陣営にいる参加者の場合、身内に疑心暗鬼を抱くことにならないか?)

 

仮に知り合いでなくとも、目の前の2人の様に対立が起こる事もあるのだ。

はたして運営は団体戦で決着がつくのを望んでいるのかどうか疑わしく思えて仕方ない。

 

(まさかこの殺し合いはアズやその仲間にとって決着しなくてもいい物なのか?)

 

殺し合いの結果よりも、その過程で生まれる何かが目的ならば、今目の前で繰り広げられているこの状態も不味いのではないか?

そう考えたゼーンはガシャコンソードを構え二人に割って入ろうとしたが、

 

「ふっ!」

 

アナザーブレイドの斬撃を腕ごと蹴って逸らしたリュウガのセーバースロウがゼーンの脳天めがけて放たれる。

頭を逸らして避けたゼーンだったが、背後に刺さった剣の刃が鏡面の様に揺らぐ。

無限に続く底なしの鏡合わせが、開かれる。

 

「ドラグブラッカー!」

 

「なに!?」

 

ドラグセーバーの刀身を鏡面にドラグブラッカーが再び出現。

血のような真赤な瞳でゼーンとアナザージオウを捕らえると、その口から漆黒の炎を吐き出し、焼き尽くそうと吠える。

 

<コ・チーン!>

 

ゼーンは手にしたガシャコンソードのボタンを操作して刀身を裏返し、氷の力を刃に宿した。

繰り出される炎を次々相殺し、熱気に若干体力を奪われながらもなんとかしのぎ切る。

 

「どこだ!どこにいる!?」

 

アナザージオウは固有能力である『未来を見る力』で着弾地点を回避することには成功したが、今、より正確に言えば今より少し未来にリュウガのいる場所が分からない。

正確には見えることは見えるのだが、煙が濃すぎて場所その物がどこか分からないのだ。

 

<COPY VENT>

 

しかし能力に頼るまでもなく、リュウガの居場所は分かった。

くぐもった電子音が、カードの発動を知らせてる。

アナザージオウが振り返ると、発動した能力の影響か、その姿は黒い炎に覆われている。

そして、それが晴れると現れたのは

 

「アナザージオウ!?」

 

「ふふふ……この力でコピーできるってことは、これもまた仮面ライダーの力の様だな。はっ!」

 

本来リュウガのデッキにはコピーベントのカードは入っていない。

しかしアズたち運営は、龍騎やナイトのデッキからサバイブカードを抜いて配り直したように、契約したモンスターに関係なくどのライダーでも使えるカードは複製したか、神崎士郎製カードデッキの規格にあわせて独自に開発したかして支給品として配布していたようだ。

複製にしろ独自開発にしろ、アークライダーの技術を持つアズたちならサンプルとなるデッキとカードさえあれば、造るのに大した苦労はなかっただろう。

 

何はともあれ、城戸真司や仮面ライダー龍騎とどころか、あらゆる仮面ライダーやその力の影となりうる存在となったリュウガは、早速その能力をフルに使ってアナザージオウの先手を取る。

同じ斬撃でも、アナザージオウにとって、『仮面ライダージオウの力』で攻撃されることは、吸血鬼が波紋の力で殴られるのと大差ない。

 

「ううっ!」

 

「どうした?俺を倒すんじゃなかったのか?」

 

「黙れ!」

 

認めなければならない、しかしそれ以上に直視しがたい今の醜い自分が目の前で自分を攻め立てているという姿が確実に常磐ソウゴの心を蝕む。

側だけの偽物だと思おうとしても、逆説的に側を複製された自分が、今や完全に『仮面ライダージオウの偽物』と言う事実が膿んだ傷口容赦なくなぞり抉る。

それでも悲惨な決意を胸に再び二本の剣を手に取り襲い掛かるアナザージオウだが、条件が同じになった今、冷静なリュウガに分がある。

 

「なんだお前、、まさか仮面ライダーが正義の味方とでも思っていたのか?」

 

「うるさい!」

 

繰り出される剣を、拳を、蹴りを躱し、的確にカウンターを決めながら今はソウゴの影でもあるリュウガは続ける。

 

「仮面ライダーに限らず、エゴを持たない人間は、裏の無い人間はいない!

そもそもご立派な聖人君子が力なんて求めるはずがないだろう?」

 

「だったらなんだ!」

 

「何かを成すために、どんな者も力を求めずにはいられない。

戦いを止めるために戦ってるつもりなのかもしれないが、それは酷い矛盾だ。

それとも正しい目的のためにならどんな力もどんなふうに使われてもいいとでも思っているのか?」

 

そうだ。そんなこと言えるはずがない。

誰よりもそれを否定したい自分がそんなことを口に出すなんて許されない。

押し黙ってしまったソウゴを歪んだ鏡が嘲笑う。

分かっている。今自分が立っているのは確かな現在などではなく、過去と未来のブレブレの境界の上だと。

失った何かに何かを求めて、あるいは何かを抱いて、止まるなんて許せなくて動いただけだ。

 

「認めろ!仮面ライダーもまた、人間だ。

どんなに大層なお題目並べ立てた所で、目的のために力を欲する人間だ!

それがどんな善行だろうと悪行だろうと、成し得るためには手を伸ばす!」

 

<ANOTHER FINISH TIME!>

 

黒いジクウドライバーを模したバックルにセットされたアナザージオウウォッチを操作し、結合し両刃の長槍の形にした武器を構える。

 

「だからこんな行いも普通さ。

ただこのバトルではほんの少し血なまぐさいだけ。

ライダーも普通の人間も誰だってやってる……目的のために勝ち残る!

その為に得た力を振るう!」

 

<ANIOTHER TIME BREAK>

 

吹き飛ばされ、その先に会った木造家屋の戸をぶち破りながら転がる。

変身が強制解除され、文字通りの裸の王様がそこにいた。

実質ジオウⅡのトゥワイスタイムブレイクに相当する必殺技を受けながら、ソウゴはあまり痛みを覚えなかった。

どちらかと言えばリュウガの言葉の方が痛い。

いっそ開き直って『仮面ライダーの力は悪の力』だとか言ってくれた方がまだ怒りのぶつけようもあった。

だが奴は否定しないのだ。

善悪何て願った意志次第だと言い切ったのだ。

 

「だから死んでくれ。俺の理想の為に」

 

そう言ってリュウガが槍を振りかぶって、振り下ろす。

 

<カ・チーン!>

 

直前でドラグブラッカーの相手をしていたはずのゼーンだ。

すれ違いざまにリュウガに炎を宿した一閃を浴びせる。

防がれたが、目的は動きを止める事だったらしく、ソウゴを抱えたゼーンはもう一撃反対側の壁に放って家を出る。

 

「待て!」

 

しかしリュウガの背中に漆黒のブレスが降り注いだ。

ゼーンを追いかけ、ゼーンを攻撃しているつもりのドラグブラッカーは、この手ごたえを逃すまいとばかりに連続で火炎弾を吐き続ける。

 

「ちっ!」

 

<GUARD VENT>

 

仕方なく擬態を解除したリュウガはドラグブラッカーの腹部を模した盾、ドラグシールドを両腕に装備し、耐えしのいだ。

 

「……」

 

もう既に歩き去ったか飛び去ったかした2人が消えた方を一瞥だけすると、リュウガは一度変身を解除する。

 

「俺の知らない仮面ライダーの力、侮れないな」

 

そう短くつぶやくと、外にでて恐らくドラグブラッカーもミラーワールドへの帰還に使っただろうドラグセイバーの刃にカードデッキを向ける。

 

「変身」

 

再びリュウガに変身した鏡像の真司は武器を回収し、逃げた二人を追ってステージの中央のエリアを目指して歩き出した。

 

 

 

【エリアC-1/市街地/1日目/深夜】

 

【鏡像の城戸真司@仮面ライダー龍騎】

[状態]: 正常、仮面ライダーリュウガに変身中、疲労(小)

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(裏真司)

[参戦時期]: 少なくとも劇場版のどこか

[装備]: リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎

    ドラグセイバー(黒)@仮面ライダー龍騎

    アドベントカードコピーベント@仮面ライダー龍騎

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

[思考]

基本: 城戸真司と融合or桃陣営を優勝させて現実の存在になる。

1: 城戸真司を探す。

2: 仮面ライダーやそれに類する変身の力の持ち主に警戒。

3: 城戸真司と融合出来たら、優勝で得られる願いは神崎優衣の延命に使う。

4:ひとまずは城戸真司に関する手掛かりがないので、逃げた二人の始末を優先する。

[備考]

※どうやらこの殺し合いの会場内においては、現実側での活動時間に制限はないようです。

 

[newpage]

 

飛行と走りを合わせて一時間は進んだだろうか?

流石に自身の疲労と、ソウゴも動ける程度には回復しただろうとの判断でゼーンはソウゴを近くの街灯の根元に降ろす。

 

「……助かったよ」

 

「礼には及ばない。助けられたのはお互い様だ。

あの黒いのとあのまま戦い続けていれば、そのダメージを負っていたのは俺だった」

 

そっか。と呟くように言ったソウゴはゆっくりと立ち上がり

 

「ところでさ、アンタのその剣」

 

「ああ。ガシャコンソードという物らしい。

そう言えば、仮面ライダーがどうのとか言っていたが、この説明書にもそんな言葉が……」

 

そう言ってゼーンがエニグマの紙を取り出そうとすると、ソウゴは自分の紙をゼーンに差し出す。

 

「剣が必要なだけだったらさ、これと交換してくれない?」

 

そう言って差し出された剣は、細剣と言われても納得しそうなほど細く、刀身の根本まで刃となっている黒曜石の業物だった。

ガシャコンソードの様に属性攻撃は出来ないようだが、シンプルに武器として素晴らしい。

普段の武器が大剣のゼーンだが、扱いはガシャコンソードとそれほど変わらなそうなので問題はないだろう。

 

「仮面ライダーの武器は誰かに使われたくないか?」

 

「うん。アンタは悪い人じゃなさそうだけど、無敵でも不死身でもなさそうだし」

 

「言ってくれるな。まあ、否定できないが」

 

そう言って少し自嘲気味に笑うゼーンと武器を交換したソウゴは、じゃあ、と短く告げてさっさと分かれようとしたのだが

 

「なんでついてくるの?」

 

「半ば自分のせいで怪我人になった者を放ってはおくのは気分が悪い。

それに、この殺し合いの仕掛け人の目論見を探る為にも、他の参加者と少しでも情報交換がしたい」

 

しばらく黙っていたソウゴだったがやがて

 

「そっか」

 

とだけ言って歩き出す。

後に続くゼーンにも何も言わなかった。

 

 

 

【エリアC-1/C-2との境界付近/1日目/深夜】

 

【ゼーン@プリンセスコネクト!Re:Dive】

[状態]: 健康、ダメージ(小)、疲労(中)

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(ゼーン)

[参戦時期]: シェフィを庇って意識を失った後

[装備]:マクアフィテル@ソードアート・オンライン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×2(確認済み)

[思考]

基本:この殺し合いをひっくり返す

1: 常磐ソウゴを放っておけない。

2: 美食殿のメンバーらを探しながら美食殿のギルドハウスを目指す。

3: 果たして彼女らは信用してくれるだろうか?

4:もしかしたらアズたちの目的はこの殺し合いの決着でないのかもしれない。

[備考]

※諸々の制限に関しては後の書き手に任せます。

 

【常磐ソウゴ(A)@仮面ライダージオウ】

[状態]:自身への激しい怒り・絶望、物理ダメージ(中)、精神的ダメージ(大)、疲労(中)

[服装]:いつもの服(やや汚れ、所々破けている)

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(ソウゴ(A))

[参戦時期]:劇場版ジオウ Over Quartzer

ウォズから真実を聞かされた後~木梨猛と会話する前

[装備]:アナザージオウウォッチ@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1、ガシャコンソード@仮面ライダージオウ

[思考]

基本:王様でも、仮面ライダーでもない。ただの常盤ソウゴとして戦う

1:仮面ライダーの敵、その力を悪用する参加者。全て殺す

2:もしクォーツァーが殺し合いに関与しているなら倒す

3:平成ライダー達には会わせる顔がない。

4:王様になるなんてもう言えない。

5:仮面ライダーの力は元の持ち主たちに還す。

6:ただの常磐ソウゴでもブレブレじゃん、俺。

[備考]

※名簿はまだ確認していません。

 



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Got To Keep It Real─本物を守る為なら─

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・コッコロ@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・アリス@SINoALICE
・桐生戦兎@仮面ライダービルド
・木村@仮面ライダージオウ
・滅@仮面ライダーゼロワン


長いようで短い時間が過ぎた。

装備を確認した戦兎、木村、アリスは客室を飛び出して再び豪華客船内の探索を開始した。

悪意も害意もない暴力を操るありすや、例外なく悪意が生じうる者を滅ぼそうとする滅。

そしてまだ居るのかすらわからぬ第三の存在。

それらすべてを探しながら、それぞれが未踏破の領域に進んでいくのだが……。

 

「静かなもんだな」

 

ゲーム開始から4時間、探索する事1時間。

客室のエリアを抜け、オペラでも公演できそうなホール

腰に出現させたVバックルにいつでもカードデッキを装填できるように構えながらも、木村は拍子抜けしてしまった。

 

「モンスターはそもそも5体。もうすでに2体倒されているから、司令塔のありす含めて4人。

仮面ライダー滅を含めても5人」

 

いつでも剣を抜けるように構えたアリスが木村を振り返らず、前方を見たまま言った。

 

「会わない確率のほうが高いか」

 

はぐれてしまった比較的話が通じそうなヴァレンタイン含めても6人だ。

この船員含めて間違いなく三桁以上は軽く乗る豪華客船では出会うほうが難しいだろう。

参考までに日本の長崎で建造された豪華客船、ダイヤモンド・プリンセスの乗客定員が約2,700人だ。

 

「さっきまでは思いつかなかったが、そこらへんも考えられてるんだな」

 

「そこら辺って?」

 

「首輪をどうにかして脱出しようとしても、この船は150人全員が力を合わせても安全には動かない」

 

さらに言えば、こうしてわざわざ設置している以上、船に関する専門知識がない人間ばかりが集められている可能性も大いにある。

いや、自分が主催側だったらそうでなければ安心できないと、木村は一人納得した

 

「もともとそんな期待してなかったけど、ますます期待できなくなったな」

 

やれやれ、しょうがないとでも言いたげな戦兎の態度に、木村は戦兎が決してこの戦いに積極的ではないことを再認識した。

 

(まあ、あの滅ってライダーにご高説垂れるぐらいだし、当然か。

ま、それならそうで協力できそうなところまで協力すればいい)

 

それにいざ脱出できるとなったらそのまま普通に協力し続けてもいい。

そうなればアリスを排除しなければならなくなるが、その時はその時だ。

初戦一時しのぎ。信頼できても、信用ならない関係だ。

特に陣営も違うし、それはアリスも割り切ってるはずだ。

 

(……)

 

当のアリスは今の木村の位置からは顔が見えない。

さっきから前を向いたまま、こちらと必要以上の会話を決してしようとはしない。

流石に桃陣営の人間が多い状況では数的不利から下手に意見を言って疎ましく思われるよりも、個の関係を保てる方がいいと判断したのかもしれない。

 

(別にその程度で貴重な協力者を簡単に切ったりしない……って言った所で信じないか)

 

「あれは……」

 

「どうした?」

 

「誰か来る」

 

アリスが剣に手をかけながら言った。

前方の身長は140cmぐらいの小柄な誰かだ。

たしか遠目に見たありすも同じぐらいの背丈だったのを思い出し、木村も身構える。

見ると戦兎も、スパークリングボトルを構えている。

 

「……あの子が?」

 

「違う。けど油断できない」

 

アリスが視線は彼女の手持つ真紅のバックルにそそがれている。

Vバックルともビルドドライバーともフォースライザーとも違うが、3人の眼には間違いなくライダーシステムの一つに見えた。

 

「申し訳ありません」

 

そう言いながら少女、コッコロは腰にゼロワンドライバーを装着する。

 

「待て落ち着け。今船には陣営問わず参加者を殺して回ろうとする奴らが二人もいる。

俺たちも襲われた。ここはその二人をどうにかできるまで協力を……」

 

「存じております。

しかしそうでなくとも皆さまは、特にそちらのお姉さまはこの戦いでどれだけでも屍を積み上げるおつもりでしょう?」

 

そう言われたアリスの表情が不快そうに歪む。

その不快感がコッコロに向けられていないことに木村は心底驚いた。

 

「別に責めている訳ではございませんが、同陣営であっても信用など出来ましょうか?

もし、主さまがあなたの前で誰か他の陣営の方を庇えば、あなたは主さま事その庇われた者を斬って捨てるでしょう」

 

「ッ!」

 

「アリスちゃん!」

 

「アリス待て!」

 

変身する前に斬りかかろうとするアリスだったがコッコロが起動したキーをベルトに認証したと同時に、彼女を守る様に噴き出た大量の赤黒い濁流に阻まれた。

 

「なんだこれは……」

 

「まさか、流体多結晶合金?

こんな量操ってるだけでもとんでもない技術なのに、そこから更にライダーの鎧の構築まで行うのか!?」

 

戦兎の驚きをよそに、コッコロは展開したキーをベルトに装填。

ベルトから浸食されるように、彼女の血管が黒く変色して浮かび上がる。

 

「うぅうっ……あ゛あ゛、あああああああああーーっ!」

 

<Final Conclusion!アーク!ライジングホッパー>

 

周囲を舞っていた液体金属が血濡れの戦装束となり、コッコロに装着される。

血濡れのアークワンにも、更なる悪意の底に沈んだゼロワンにも見えるその姿こそ、最もゼロワンを侮辱する悪意の伝道者。

忠誠の裏返った悪意より生ずる我欲の奉仕、仮面ライダーアークゼロワン。

 

<A jump to the sky to gain hatred.>

 

「来る!」

 

アークゼロワンが手をかざした瞬間、戦兎と木村は前に出た。

 

「「変身!」」

 

予想通り発された衝撃波を変身の際に生ずるエネルギーでどうにか相殺し、吹き飛ばされながらも無事に変身を完了する。

が、それだけでは終わらなかった。

赤黒い軌跡を描きながら即座に飛び込んで来たアークゼロワンは、反撃しようとしたベルデのキックを初動で潰した上にカウンターの裏拳を叩きこみ、次いで放たれたビルドの泡攻撃は、オーラを纏った鎧の防御力に物を言わせて突っ切り、その首を掴むと、連続パンチを叩きこむ。

 

「あ、アリスちゃん逃げろ!生身じゃ戦いならない!」

 

「退路を確保しろ!このままじゃ全滅だ」

 

<HOLD VENT>

 

バイオワインダーを装備したベルデは、振り上げたアークゼロワンの腕を絡みとってそのまま姿勢を崩そうとしたが、即座に悪意のエネルギーを逆流させられ、怯んだところを腕ごとぶん回される。

 

「「うわぁあああああ!」」

 

そしてそのまま遠心力に任せて壇上まで投げ飛ばされた二人は折り重なって叩きつけられた。

 

「桐生、たてるか?」

 

「ああ。ただ、なんて性能差だ!」

 

そう言って二人が立ち上がった瞬間、その間に何かが降って来た。

アリスのエリシュデータだ。

 

「まずい!」

 

ベルデは奇跡的にまだ紐の斬れていなかったバイオワインダーをアリス目掛けて放った。

エリシュデータを失って、アークゼロワンの拳にさらされる彼女をどうにか引き寄せられたが、遂に紐が切れて使い物にならなくなる。

 

「大丈夫か?」

 

「右腕以外は……」

 

そう言われて彼女の右腕を見ると、剣を吹き飛ばされた時に痛めたのか、痛めた上に衝撃のせいで小刻みに震えている。

 

「ねえ、バイオグリーザは?」

 

「奇襲でさせるか?カウンターで倒されたらベルデの鎧は弱体化する」

 

ありすの操る羚羊型モンスターの群れの司令塔を倒せばいいのも同じ理由なんおだから、ベルデもまた、契約モンスターを喪えば、ブランク体に弱体化してしまう。

ただでさえアークの仮面ライダー相手に心もとない性能なのに、さらにそこから低下なんて目も当てられない。

 

「……俺が時間を稼ぐ。木村はアリスちゃん連れて逃げてくれ。すぐに追いつく」

 

エリシュデータを拾い上げたビルドが一歩前に出る。

それを見たアークゼロワンは赤黒いオーラを右腕に集中させ、金色の剣と槍の中間のような武器、サウザンドジャッカーを生成する。

 

「馬鹿言うな。二人でも簡単にあしらわれたんだぞ!?」

 

まだ滅に使ったコピーベントの応用の強引な相殺の方が全員が生き残る公算が高い。

 

「あれが二人も手加減無しで暴れたら船が無事でいられると思うか?」

 

木村の考えを読んでいた戦兎は冷静に述べた。

確かに、格下とはいえ、一撃でライダーを沈め、見たことも無いエネルギーを自在に操る存在が二人も暴れれば、軍艦だって沈むだろう。

今対峙している可愛らしい女の子が変身した悪魔は、それぐらい出来る。

ほんの少しだけとはいえ、戦った木村には理解できてしまった。

現状の戦力では勝てない。逃げるしかない。

滅ならまだ勝てるが、こいつには勝てない。

 

「クソっ!」

 

アリスを抱えてベルデが走り出すと同時に、ビルドが文字通りの左足のバネの力を泡で強化し、一気にアークゼロワンとの距離を詰める。

一閃、二閃。

細身に似合わぬ重量のエリシュデータをフルボトルバスターと同じように振るう。

足りない筋力は剣に泡を添わせて、弾くことで補い、大パワーによる圧倒を可能にした。

しばらくは防戦に徹していたアークゼロワンだったが、ベルデたちが出口に近づくと、急に攻めに転じ、武器の重さに振り回されるビルドを置き去りにするスピードで鋭い刺突を繰り出す。

 

「そのお力、頂戴いたします」

 

アークゼロワンは怯んだビルドのドライバーにライザーを突き立て、グリップエンドのレバーを引っ張る。

 

<ジャックライズ!>

 

「ぐぅうううっ!?」

 

急に大量のエネルギーを引き抜かれたビルドは、システムの低下とエネルギーの予想外の動きが合わさり膝をついた。

そうして丁度いい高さに下がった頭めがけて蹴りを叩きこむアークゼロワン。

割れた仮面から覗く瞳を隠すように顔面を掴み、ベルデたちの方に投げ飛ばす。

 

「桐生!」

 

「ちょ!キムラ!」

 

慌ててビルドに駆け寄るベルデとアリス。

それを見たアークゼロワンは手にしたジャッカーのトリガーを押す。

 

<ジャッキングブレイク!>

 

一か所に集まった三人にめがけて赤黒い泡状のエネルギー刺突が放たれる。

 

「くそ!」

 

<COPY VENT>

 

もう手段の無くなったベルデは咄嗟にアークゼロワンをコピーし、ジャッカーを盾に前に出たが、その結論は予測済みだったのか、アークゼロワンはドライバーに差したキーを押し込む。

 

<アークライジングインパクト!>

 

ドライバーから供給されたブラッドレッドのエネルギーが上乗せされ、エネルギーが一気に炸裂し、爆風と共に、観客席の後ろ半分と、入口の周囲はズタズタに破壊された。

勿論そのど真ん中にいた3人が無事であるはずがない。

 

「「「うわぁあああああああー--っ!」」」

 

擬態が解除されたベルデ、気を失ったボロボロのアリス、そして変身解除された戦兎が地面を転がる。

なんとかベルデだけは動けるが、先ほどの滅との戦いでやったような派手な目隠しは無理だ。

そうなるとアドベント、ファイナルベントは発動したところで準備の長い技のせいで、初動で潰されるのが目に見えているし、

その上スパークリングフォームの能力をコピーされた以上、透明化したところで、広範囲に泡をまかれたらすぐ見つかってしまう。

 

「どうにか動けないか?」

 

「無理」

 

なんて話していると、黒煙をかき分け、アークゼロワンがゆっくりと歩み出て来た。

そしてベルデより自分に近い位置に転がったスパークリングボトルを拾い上げる。

その腕に赤黒いエネルギーを収束し、

 

「ふぅううっ!ふん!」

 

空気を入れたビニール袋をそのまま押しつぶす時の音のを、100倍ぐらい派手にしたような音が響き、

粉々にされたスパークリングボトルが銀色の光になって散らばった。

 

「うそーん……」

 

「万事休すか……」

 

一か八か、クリアーベントを使って逃げようと、カードを取り出すベルデ。

 

「桐生、失敗しても恨むなよ?」

 

「……最っ悪だ」

 

了承と受け取ったベルデはバイザーのクリップを引き出し、カードをセットした。

そして能力に巻き込むために戦兎とアリスに手を伸ばす。

 

「ッ!」

 

逃がすものかと、武器を片手に走り出すアークゼロワンだったが、

 

「うっ!?ぐぅう!うっ!」

 

急にアーマーが火花を散らし、赤黒い泥と化して剥がれ落ちる様に変身が解除される。

当然だろう。

アークのプログライズキーは、ドライバーのシステムそのものを書き換える過程で、生命維持系の装置などの変身者の負荷を減らす機構が最低限になる様に改造している。

長時間の運用は仮にキャラクターズや七冠級のアバターでも無理だ。

激しく咳き込み、倒れ伏すコッコロ。

だが彼女はサウザンドジャッカーを杖代わりに立ち上がると、三人が消えた虚空を睨む。

 

「あるじ……さまぁ……申し訳、ありません。

あなたさまを脅かす者どもを三人も取り逃がしてしまいましたぁ……。

ですが……必ずや、必ずやあなたさまに仇なす全てを!

滅ぼして御覧にいれましょう……。

必ずや、わたくしがお守りいたします……」

 

そう言って気絶するように眠りに落ちた。

 

 

 

【エリアJ-4/豪華客船内、劇場前/1日目/黎明】

 

【コッコロ@プリンセスコネクト!Re:Dive】

[状態]:全身に激痛、悪意(大)、気絶

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(コッコロ)

[参戦時期]:絆、つないで。こころ、結んで。前編で美食殿を去った後

[装備]:飛電ゼロワンドライバー(複製)@仮面ライダーゼロワン

    アークゼロワンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン

   ザイアサウザンドジャッカー@仮面ライダーゼロワン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:美食殿を守る為に、悪意を持った参加者を滅ぼす。

0:……。

1:この船にいる悪意を持った参加者を倒す。

2:そして美食殿を守る為に、全ての悪意を持った参加者を倒す。

3:美食殿の方たちには、会いたくない……。

[備考]

※飛電ゼロワンドライバーは、赤く変色していますが、生命維持機構などの変身者の負荷を軽減する機構が殆ど存在しない事以外は、アズがファイナルステージで使った物とほぼ同一の機能です。

またエデンドライバーの様に、一定の悪意がある者ならだれでも変身出来ます。

※サウザンドジャッカーには仮面ライダービルド(ラビットタンクスパークリング)のデータが入っています。

※彼女が倒れている側にエリシュデータ@ソードアート・オンラインが落ちています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆっくりと進んで来た一隻の小さな船がエリアJ-2の港に流れ着いた。

よく見るとそれは、隣のエリアの豪華客船の横っ腹に連なる様に設置された救命ボートのうちの一つで、扉が乱暴に開いて、完全に脱力した人間二人を抱えてベージュのコートの男が出てくる。

 

「はぁ……はぁ……クソ!」

 

まだ動けない二人を抱えてどうにか甲板まで上がった木村は疲労と、この先の事を考えたせいで思わず愚痴った。

幸い船が大破したわけでもないので、漂流物を気にする必要もなく救命ボートの電動スクリューを使えたので運転はそれほど疲れなかったが、問題はこれから陸での戦いだ。

 

(まさかあんな奴まで、さらに言うならあんな支給品まであるなんて……。

しかもあの仮面ライダー滅然り、血まみれのライダーしかり陣営を無視した参加者が多すぎる!

やはりアリスや、言動的にはこのバトルに懐疑的な桐生ともこのまま組み続けるしかないのか?)

 

そうなると最終的に想定よりもさらに悪い決裂が目に見えているが、あのレベルの話が通じなくて尚且つ厄介で強力な連中には対抗できない。

 

「背に腹は代えられないか」

 

諦めた様に呟くと、木村はとりあえず二人を遮蔽物のある所に移動させてからそれぞれのポケットやデイパックを漁る。

 

「使えそうなのは桐生のこれか」

 

残りを律義にも個々人の元に戻すと、外に出て紙を開く。

中から質量を無視して白いトラックが飛び出た。

荷台を見ると、中にはモトクロスレースで見るような形の蛍光イエローと黒の改造バイクが入っている。

正直城のトラックは目立つので普通の乗用車を使いたかったが、無いのなら仕方ない。

アリスを荷台に、戦兎を助手席に乗せた木村は港の出口へ向けてトラックを走らせた。

 

 

 

【エリアJ-2/港のどこか海沿いの部分/1日目/黎明】

 

【アリス@SINoALICE】

[状態]:気絶、打ち身などのダメージ(中)、利き手に痺れ、痛み(中)、精神的疲労(中)肉体的疲労(大)、雷のトラックに乗車

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(アリス)

[参戦時期]:少なくとも融合編より前

[装備]:なし

[道具]:デバイス、メダル、ランダム支給品1~2(移動に使える物ではない)

[思考]

基本: 緑陣営を優勝させ、作者を復活させる。

0:……。

1:木村、桐生と共にこの状況を切り抜ける。

2:ありす、ありすの使役するミラーモンスター達、滅を殺す。

  他陣営の参加者との共闘も辞さない。

3:あの少女(コッコロ)は……。

4:ヴァレンタインは…生きてるのかしら?

[備考]

※現実編で登場したアリスではないようです。

※武器を背負う都合上、デイパックを放棄しました。

※ビルド、滅のライダーシステムとベルデの物の違いがよく分かっていません。

 

 

 

【木村@仮面ライダージオウ】

[状態]:正常、疲労(大)体中に痛み(中)肩に鈍痛(小)、雷のトラックを運転中。

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(木村)

[参戦時期]:死亡後

[装備]:ベルデのデッキ@仮面ライダー龍騎

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2(確認済み)

    ダイナマイティングライオンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン

[思考]

基本: 生き残る。

1:あまりいい事とは思えなくなってきたが、他にあても無いのでアリス、桐生と組む。

2:城戸や秋山とも合流したい。

3:なんであんな強力なライダーが厄介な参加者ばかりに?

4:そう言えばヴァレンタインはどこに行った?

[備考]

※「ありすアンタッチャブル」の一部始終を見ています。

※アリス、桐生戦兎の支給品を名前だけ全て把握しました。

少なくとも全て移動に使える道具ではない様です。

 

 

 

【桐生戦兎@仮面ライダービルド】

[状態]:気絶、疲労(大)体中に痛み(中)胸部に痛み(大)打ち身(中)、雷のトラックに乗車中。

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(戦兎)

[参戦時期]:一海の死亡を知るった直後

[装備]:ビルドドライバー@仮面ライダービルド

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1(移動に使える物ではない)

[思考]

基本: 愛と平和の為に、このバトル・ロワイヤルを阻止する。

0:……。

1:インペラー、滅、エボルト、あと一応鷲尾兄弟を警戒。

  佐藤太郎もそうだけど、あいつらなんで生き返ってるんだ?

2:万丈はまあ、大丈夫だろ。

3:まさか、こんなにも支給されるライダーシステムに差があるとは……。

4:ヴァレンタインさんは無事かな?

5:余裕があれば、滅や木村さんのライダーシステムも調べてみたい。

[備考]

※エニグマの紙を調べましたが、現段階では科学的に解明できませんでした。

※カードデッキや滅亡迅雷フォースライザーなどを、並行世界のライダーシステムだと思っています。



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上段者たちの考察

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・DIO@ジョジョの奇妙な冒険
・ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run


本人たちの生まれた時代から考えれば、全くなじみのないモニターを前にて。

二人の傑物が、邪悪なる王と高潔なる愛国者が戦いのすべてを見ていた。

邪悪の王、支給された念写のスタンド、ハーミット・パープルのスタンドDISCと、ココ・ジャンボのスタンド、ミスター・プレジデントの家具の一つにあったテレビを使って混沌の舞台を眺めていたのは、DIO。

 

「スタンドとはまた異なる能力に、吸血鬼とはまた違った人ならざる者か……。

そろそろ開始から4時間経つか経たないかと言ったところだが、中々に派手な初戦だったな」

 

DIOは今の肉体、血脈にその因縁を刻んだ宿敵にして、奇妙にして強固な友情で結ばれた親友、ジョナサン・ジョースターの肉体にある意味で不満はない。

あの燃え盛る豪華客船の中で手に入れうる最高の肉体だったと思うし、後々の事を考えると、『ジョジョ』を倒さないでおく選択肢などありえない。

では、そうして得たこの肉体でもって究極になれるとは考えていない。

 

(ただただ肉体の強度、万能性を求めた柱の男はジョセフ・ジョースターに滅ぼされたからな)

 

流石に実物を見たわけではないDIOは気付けていないようだが、先ほどの舞台の演者の一人、柱の男カーズの目指した何者にも束縛されない究極の生命体(アルティミット・シイング)には魅力を感じなかった。

完璧などと言いつつ、間違いなくジョジョに劣るジョセフに負けている存在など、大した者とは思えなかった。

スタンドという物に出会ったからと言うのも勿論あるが、気化冷凍法を完全に忘却するぐらいには、DIOは吸血鬼の肉体に再生能力と不老の力しか期待していない。

肉体はあくまで先立つもの。

故にDIOは『天国』に至るという方法で全てを超越した次元に立とうとした。

『天国』とは言うが、死ねって事ではない。

それは端的にい表すのが難しいから便宜上天国と呼んでいるだけで、実際は魂の飛翔とでもいうべきものである。

精神に先立つ肉体が何者にも束縛されない究極の生命体(アルティミット・シイング)にたどり着けたなら、精神も何ものにも束縛されない究極の力の源(ザ・オーバー・ヘヴン)へと至る可能性があるのではないか?

その考えを彼は一冊のノートにまとめたのだが

 

(まあ、承太郎の奴に破くなり燃やすなりされているだろうが、問題はない)

 

14の言葉は相変わらず自分のスタンドに刻まれたままだし、ここを生きて脱出できれば、ココ・ジャンボの寿命が尽きぬ限りは、日光を気にせずいくらでも約束の地で新月を待てる。

 

(だがあの屍生人(ゾンビ)ともまた違う化物や蛇柄の上着の男が使っていた鎧……。

興味深いな。恐らく蛇柄の上着の男の方は途中で呼び出したあのデカいコブラやサイ人間の力による物だろうが……あの似非屍生人の持っていた剣はなんだ?あの風はどこから?

アヌビス神のような例や、あの和装の女は恐らくスタンドやそれに類する精神的パワーだろうが、あの緑の剣は……スタンドでないとは言い切れないが、あの手帳の様なものと合わせて使っていたな)

 

もし、石仮面やエイジャの赤石、スタンドの矢のような持ち主の内なる何かを引き出すものであった場合、それはDIOが記した方法とは、また違った天国への道筋なのかもしれない。

また、ジョセフのだかジョナサンのだか知らないが、どっちにしろ消えたはずの隠者の紫(ハーミット・パープル)がこうして『支給』出来る形になっている以上、他者のスタンドや能力を取り込める方法もあるのかもしれない。

自分の力となりえない可能性の方が高い怪物への興味も尽きない。

生態は?数は?種類は?そして対策は?

150人の老若男女に悪鬼羅刹が交じり合うこの地獄は、未知に事欠かない。

 

「未知とは、不安。

知って、理解して、安心しなければならないな。

さて、ではそろそろ戦利品を検めるとするか」

 

そう言いながらもDIOの眼は光に怯える野獣などではなく、何もかもを食い尽くそうとする『悪』の眼だった。

 

 

 

【エリアB-9/ミスター・プレジデントの中/1日目/黎明】

 

【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:健康

[服装]:いつもの衣装

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:2枚(DIO、真アーチャー)

[参戦時期]:死亡後より参戦。

[装備]:ハーミットパープルのDISC@ジョジョの奇妙な冒険

[道具]:ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、

    真アーチャーの首輪@ロワオリジナル

    基本支給品一式(DIO)、基本支給品一式(真アーチャー)

    ランダム支給品×1~2(DIO、未確認)

    ランダム支給品×0~1(真アーチャー、未確認)

[思考]

基本:生き残り、主催の持つ能力を何としても奪い取る。それが無理なら殺害。

1:あれがDISCの使い方か。にしてもあの小僧、贅沢に使ったな。

2:行動は慎重に。不愉快ではあるが、場合によっては他参加者への協力も厭わない。

3:未知の力や自分以外の人外に警戒。可能ならその原理や自分にも習得不可能か否かを知りたい。

[備考]

※スタンド及びDIOの肉体、肉の芽についての制限は後続の書き手様にお任せします。

 

[newpage]

 

「なるほど。見るのは二度目だが、やはり驚かされるな」

 

コッコロがさっきまで籠っていたモニター室越しに戦いの大体を見ていたヴァレンタインは倒れ伏したコッコロと、救命ボートに気絶した2人を運ぶ木村、そして敵を求めて船内を動き回る滅、羚羊型モンスター、ありすたちを順番に見渡し、どれもこのモニター室よりは遠い場所にいることを確認してから考察を始めた。

 

(アリスのようなスタンド使いとはまた別種の、肉体が恐ろしいほど優れた存在を上回って有り余る仮面ライダー、やはり何度見ても圧倒的だ)

 

滅、ビルド、ベルデ。そしてアークゼロワン。

どう見てもアークゼロワンのみ頭何個分も飛びぬけているように感じたが、コンスタントに使用者、否、変身者の能力を底上げできるのは魅力的だ。

流石に変身者自身の能力もある程度ベルトに見合っていないとコッコロの様にキャパオーバーになってしまうようだが、それは別に拳銃も同じだ。

映画なんかでは分かりずらいが、銃の反動は一発撃つだけで、しばらくまともにライターが使えなくなるぐらい腕が振るえることもあるのだ。

 

(だが逆に言えば仮面ライダーは兵器の範疇だ。

キリュウはそれを良しとしないだろうが、もし持ち帰り、我がアメリカの利となるのならばぜひ持ち帰りたい)

 

ファニー・ヴァレンタインの行動原理とは詰まるとこコレだ。

2人の父から受け継ぎ、それを元に自らで完成させた愛国心。

その心と行動は、善ではないかもしれないが、一点の曇りなき正義に基づいている。

少なくとも、悪と断じた全てを邪悪と決めつけるイェーガーズのセリュー・ユビキタスなんかよりかは、自身のスタンドをDirty deeds done dirt cheap (いともたやすく行われるえげつない行為)と名付けてる辺りからも、悪人かも知れないが、折原臨也あたりが北岡秀一とはまた別ベクトルで好みそうな『人間』であろう。

それが完全に人間の領域では持て余す『聖なる遺体』や『仮面ライダー』に大きな関心を寄せているのは、少々減点要素かも知れないが。

 

(思考が逸れた。

兎に角仮面ライダーの脅威と、アリスやホロビのような人ならざる存在も把握した。

では今の装備、拳銃とクローステールだけで対抗可能かと言われれば、不可能だ。

更に私のスタンドには制限が課されている。

今までのように『自分』を『連れてくる』のは不可能である可能性が高い以上、少々キリュウたちに不義理を働くことになってしまうが……)

 

ヴァレンタインは手引書を読みながらモニター前の装置を操作し、マイクのスイッチを入れる。

 

「ごきげんよう、ありす嬢。君に残念な知らせと、良い知らせがある。

キリュウ、アリス、キムラの三人は救命ボートを使ってこの船を出た。

鬼ごっこは打ち切り。これが悪い知らせだ。

そして次のいい知らせだが、ゲームは延長戦。

種目はかくれんぼ。ステージは会場全域だ。

私も参加したいところだが、これからどうしても外せないお茶会があるのでね。

またの機会にさせていただこう。では」

 

そう言ってマイクのスイッチを切ると、ヴァレンタインは再び画面の方に視線をやる。

 

「果たして君と会話ができると良いのだがな」

 

放送を聴き終え、動き出した残り二人とは違い、今なお倒れ伏すコッコロに向けてそうつぶやくと、ヴァレンタインも動き始めた。

 

 

 

【エリアJ-4/モニター室/1日目/深夜】

 

【ファニー・ヴァレンタイン@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】

[状態]: 正常

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(ヴァレンタイン)

[参戦時期]: 少なくともウェカピポが死亡してから

[装備]: M1911A1コルトガバメント(装填数6発)@現実

    千変万化クローステール@アカメが斬る!

[道具]: 基本支給品一式

    ランダム支給品×1(確認済み)

    トラッピングスパイダープログライズキー@仮面ライダーゼロワン

[思考]

基本: この殺し合いという『試練』を乗り越える。

1: 仮面ライダーの少女(コッコロ)を配下に勧誘する。

2: キリュウ達には悪いが、このまま邪魔者の誘蛾灯になってもらう

3: ジョースターたちは、邪魔をして来るようなら始末する。

   同陣営なので、最優先と言う訳ではない。

[備考]

※能力に制限がかけられています。内容は以下の通りです。

『平行世界から連れてこられる人間はそれぞれ違う人間を三人だけ。』

『基本世界から平行世界に移動させられるのは二人まで』

※坂持金発とありすの姿を確認しました。

※名簿を確認しました。

死んだはずの知人に関しては『生きている世界』から連れてこられたと思っているようです。



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変物語(カワリモノガタリ)/ひたぎエンプレス

作者
きゅーり

登場キャラ
・戦場ヶ原ひたぎ@化物語


【01】

 

『心は二つ身は一つ』───。

 

あれもしたいこれもしたいと思うけれども、体は一つで思うに任せないことをいう。同時に二つのことができずに嘆くときに用いる言葉。

 

凡人にせよ天才にせよ、右を向いたまま左を向くことは出来ない。

しかしそれは、感情での話であり、一つの体に一つの魂がある前提での話である。

ではことわざ通り、一人の身体に二人の心と魂がある人間は、どのような人生を歩むのだろうか?

 

 

【02】

 

二重人格、という言葉を知っているかしら?

正確には解離性同一性障害とも多重人格障害とも言う。

過去のトラウマが原因で、一人の人間の体に全く別の複数の人格が芽生えるアレよ。

 

オタクや厨二病が片腕や片目に何かが宿ったとか、痛過ぎるまでに現実と虚構の区別がつかないアレな発言ばかりするアレとは違う、正真正銘の二重人格は存在する。

 

現にどこぞのナイスバディーなメガネ委員長もストレスが元で、猫の怪異と人格が入れ替わる前例があるからありえないことではないの。

 

まあ私がこれから話すのは、半分近くて半分遠い、二重人格とは何たるかについてよ。

 

【03】

 

私、戦場ヶ原ひたぎのバトルロワイヤル生活を、私自身語ることはできない。

 

メインの語り部なのに、何でいきなり語り部の仕事捨ててるんだコイツ、というツッコミは全て不要よ。

別に箝口令を敷かれてる訳でも黙秘権を行使されてる訳でもないから。

 

もう一度言うけど、私が語ることはできない。

 

ブヒブヒ言ってるファンの野郎どもには非常に残念なことだけど、此処から先は戦場ヶ原ひたぎの物語ではないの。

戦場ヶ原ひたぎであって戦場ヶ原ひたぎではない。

私ではない私。

 

これは、とある破壊生物の打倒という大層な題目を掲げる、とあるお姫様の物語───。

 

 

【04】

 

 

バトルロワイヤル開始か2時間。

エリアF-2の丘の上に、戦場ヶ原ひたぎはいた。

 

彼女は現在、はるか数百メートル先のエリアG-2の自然公園での出来事から目を離さなかった。

 

その眼前にて繰り広げるは、鎧を纏った二人の異形の戦士の激闘。

 

片や龍を思わせる鋼の鎧、インクルシオ。

片や漆黒に染まった軍事兵器、メタルビルド。

 

緑豊かな自然公園が焼け野原一歩手前の、戦場の風景と化すほどの激しい戦闘が繰り広げられた。

そして、激闘を制し最後に立っていたのは、鋼の鎧の男。

軍事兵器を失った男は悪あがきに爆弾を投げつけるも、死者はゼロ。

男は逃走し、争いが終わり三人組も勇み足でその場を後にした。

 

 

【05】

 

その光景を一から十まで観ていた戦場ヶ原ひたぎ。

 

「………」

 

しかし、彼女は何処か様子がおかしかった。

 

「………」

 

ずっと無言な上、腕についたバングルがさっきから怪しく輝いていた。

 

 

『鍵を握るのは……あの二人………』

 

 

突然、いつもと違う声を発した。

戦場ヶ原は踵を返して戦いの場から去ろうと、

 

〈狼煙霧虫!〉

 

腰にぶら下げた武器、煙の聖剣、煙叡剣狼煙の力を発動。

自分の体を煙で包むと、そのまま何処かへ姿を眩ませた。

 

 

【06】

 

それは、最初の一幕のこと───。

その出会いも変化も、突然の事だった。

 

私の人生を狂わせた因縁深い詐欺師、貝木泥舟の言動や所業すら生温く思えてしまう、あの悪趣味な見せしめから一転して、またもや知らない場所に飛ばされて直ぐのことだった。

 

とりあえずデイバッグの中身を開けて全部確認してる最中、1つの支給品が目に止まった。

 

「何かしら、これ。おもちゃの腕輪っぽいのに、どうしてか目が離せないわね。ひょっとして、SFや漫画に出てくる、つけると超能力か魔法が使えるようになるスペシャルな腕輪なのかしら?」

 

何の変哲もないメッキの腕輪なのに、柄じゃないのに、よく分からないのに、どうしても気になってしまった。

男の子特有のちょっとワクワクした気分でその腕輪を何気なく着けてみた。

 

それが、全ての始まりだった。

 

 

 

『娘……何者だ?』

 

 

 

唐突に、『声』が聞こえてきた。

それは私のセリフだとツッコミを返す所だが、周りを見ても声の主はどこにもいなかった。

 

顔も分からない。視界にも映らない。この世界のどこにもにいない。にも関わらず、私に語りかけてきた女性らしき声は自分の事をこう名乗った。

 

 

 

『私はベルナージュ。しがない火星の王妃である』

 

 

 

なんてことでしょう。阿良々木くんと関わりすぎたせいで、私はとうとう電波人間になってしまった。

 

 

『唯のバカなのか?とにかく、体を借りるぞ…』

 

「何を言って──」

 

呼び止める間もなく、お前の意見は聞いていない、拒否権は行使されないという勢いで完全に押し切られ、私の意識は奈落の底へと落ちていった。

 

落ちてゆく、何処までも、何処までも………。

 

 

【07】

 

私には、成すべきことがある。

生前果たせなかった、我が因縁との決着を。

全てを終わらせる為にも、会わなければ。

 

『エボルトの打倒も……この殺し合いを壊す鍵はあの二人……万丈龍我と……桐生戦兎……』

 

 

 

 

 

【エリアF−2/漁港/1日目/深夜】

 

【戦場ヶ原ひたぎ@化物語】

[状態]: 健康、ベルナージュが憑依中

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 黄(アニメ)

[メダル枚数]: 1枚(戦場ヶ原)

[参戦時期]: 少なくとも、するがモンキーの後

[装備]:

 金色のバングル@仮面ライダービルド

 煙叡剣狼煙@仮面ライダーセイバー

 昆虫大百科ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

[道具]:

 基本支給品一式

 ランダム支給品0〜1(確認済み)

[思考]

基本: ???

1:一体誰なの?

2:私の体で何をするの?セクハラよ。

3:私は電波人間になってしまったの?

[備考]

※ベルナージュに体の主導権をとられました。

※ベルナージュを幻聴だと思っています。

 

【ベルナージュ@仮面ライダービルド】

[状態]:腕輪、戦場ヶ原に憑依中

[参戦時期]:劇場版ビルド終了直後

[思考]

基本:バトルロワイヤルを壊す鍵を探す。

1:エボルトは私が倒す。

2:最後の鍵は、万丈龍我と桐生戦兎……。

3:うるさい小娘だ。

[備考]

※どこまで力が制限されてるかは後の書き手におまかせします。



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危険な漫画家現る!? 孫悟空と岸辺露伴の出会い!!

作者
・ななななめたけ

登場キャラ
・孫悟空@ドラゴンボール
・書き手枠@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-


「えれぇことになっちまったな……」

 

 突如始まった五つの陣営で殺しあうバトルロワイアルの会場の古風ステージの一角にて、一人の男が頭を右手で搔きながら困ったような声を出す。

 ツンツンとした髪形と、オレンジの道着に紺色のインナーが特徴的な彼の名前は孫悟空。

 とある世界の地球に住む戦闘民族サイヤ人である。

 

 悟空の殺し合いに対するスタンスは決まっていた。

 確かに戦うことは好きだが、彼がしたいのは命を賭した殺し合いではなく、試合だ。

 戦いが終わればノーサイドとまで言わないでも、勝っても負けても機会があれば再戦でき、どこまでも互いに高め合えるような、そんな戦いが好きだ。

 故にこんな殺し合いは反対である。

 

 しかし、場合によっては殺さなければならないこともあるだろう。

 悟空は殺さないで済むならそれに越したことはないが、そうもいかないことを知っている。

 どうやっても殺すしかないどうしようもない邪悪というものはいることを、彼は理解しているのだ。

 

 結論として言うなら、悟空はこの殺し合いを可能な限り死人を出さないようにしつつ、あのアズを倒すつもりである。

 

 それはそれとして、悟空には気になることがある。

 

「そういや、あのアズって奴気を感じなかったぞ」

 

 気。

 それはどんな生物でも大きさの差こそあれ持つ、生命そのもののエネルギー。

 修練を積み抑えることで消すこともできるが、それは気配を消すと同義であって存在しないことではない。

 にも拘わらず、アズには気そのものが存在していなかった。

 悟空はそんな存在を知っている。

 

「あいつも人造人間なんか?」

 

 人造人間。

 悟空の世界で昔活動していた悪の組織、レッドリボン軍の科学者が作り上げた人間型の機械兵器。

 しかし意志はそれぞれあり、組織に忠実な者もいれば、戦いを嫌う者もおり、自然を愛する者もいる。

 そんな人造人間の、悟空が知らない型なのだろうか。

 

「まだレッドリボンの奴こりてねえんかな……?」

 

 悟空から見れば人造人間なんて作るのはレッドリボン軍くらいしかいない。

 かつては世界征服の為に悪事を働き、壊滅してからも所属していた科学者が悟空への復讐のために動いていたほどだ。

 こんな殺し合いを開いても不思議はない。

 まあ現状そう思っているだけで、実は全く関係なかったとしても、彼のやることは特に変わらないのだが。

 

 それはそれとして、悟空はさっきから気になっていた存在に声を掛けた。

 

「なあ、さっきからオラを見てるそこの奴出て来いよ。

 オラはこんな殺し合い乗ってねえし、取って食おうなんてしねえからよ」

 

 悟空から見れば視界には誰もいない。

 街並みが続くこの光景なら目に映らない場所の方が多いのだが、気を感知する能力があれば見えずとも気配だけで誰かがいることは分かる。

 むしろ、こんな近くでないと感じ取れない今の方が、彼にとっては不自然なくらいだ。

 

「ああ、いや、すまない。

 同じ陣営ならまだしも、別の陣営の参加者だったものでね。警戒していたんだ」

 

 悟空の声に応じ、一人の男が姿を見せる。

 卵のカラのようなヘアバンドとペン先のような髪形が特徴的な彼の名前は、岸辺露伴。

 

 

「なぜ僕の名前がこんな下の方にあるんだ……?」

 

 殺し合いの会場に飛ばされて露伴が最初に行ったことは、デバイスで参加者名簿の確認であった。

 しかし途中、彼はなぜこんな見たことのない機械を特に手間取らず使えるか疑問に思う。

 明らかに2000年になったばかりの今現在では見ることのない代物だろうに。

 

 事実、他の参加者にも明らかに機械についての知識を持たない者、ケイネスなどが苦も無く使いこなしていた。

 一方、エスデスやディエゴなどは使い方が分からず他の参加者に使用法を教えてもらったり、そうしようとしていたりもする。

 この差異を露伴、もしくは他の誰かが知れば考察の一途になるかもしれないが、今の所気付くものは誰もおらず、また現状の彼にも関係ない話である。

 

 なぜなら、露伴の思考はすぐに名簿の中身への疑問へと移っていったからだ。

 下の方、とは言っても自分よりは上にある坂本龍馬達明治維新の志士や、土方歳三と沖田総司の新選組二人、もしくはさらに上にある孫悟空を除けば、名簿の中にある彼の知人と言える名前は三つ。

 東方仗助。広瀬康一。空条承太郎。

 いずれも殺し合いに乗ることはない、と断言していいくらいの付き合いだ。

 仗助については思うところは多々あるが、こんな状況なので協力することもやぶさかではない。

 向こうの対応次第では気が変わるかもしれないが、少なくとも露伴は現状そのつもりだ。

 だがここで生まれる疑問が一つある。

 

 仗助と康一の二人と、承太郎、そして露伴の名前が名簿上で離れていることだ。

 自分を含めて間違いなく知人同士なのだが、陣営上は別ということだろうか。

 知り合い同士で殺しあう様を楽しむ程主催が悪辣だとしても驚きはしないが、一方で維新志士と新選組は同じところに一塊だ。

 今一つ、陣営分けの法則が見えない。

 

「考えていても仕方ないか」

 

 ここで露伴はデバイスをしまい、デイパックを背負って歩き始めた。

 現状、限られた情報の中考え込んでも仕方がない。

 漫画の為の取材と同じだ。足で情報を稼ぐことだって必要である。

 そう考えて歩き始めたのだが、割とあっさり一人の参加者を見つけた。

 

 身長は自分より少し小さいくらい。ツンツンした髪形にオレンジの道着を着た男、孫悟空が道の真ん中で悩まし気にしていた。

 殺し合いに乗っているとは思えない振る舞いだが、首輪の色が自分と違うため、少し様子を見ることにする。

 しばらく眺めていたが問題なさそうと露伴が判断したその時

 

「なあ、さっきからオラを見てるそこの奴出て来いよ。

 オラはこんな殺し合い乗ってねえし、取って食おうなんてしねえからよ」

 

 なんと向こうから声を掛けられた。

 驚きつつもとりあえず顔を出し、謝罪する露伴。

 そのまま流れで情報交換することにしたが、そこで彼は更なる衝撃に襲われることになる。

 

「なんつうか、おめえ本当に地球人か? オラの住んでる地球と全然違えぞ」

 

 露伴の発言に戸惑う悟空。

 まず露伴は日本という国の人間だが、悟空の地球には国というものは一つしか存在しない。

 この時点で大きく違うのだが、更に技術体系も異なっている。

 露伴の地球にはホイポイカプセルが存在せず、また動物型の住人もいない。

 代わりにこの会場にある電車というものが走っているらしいが、悟空には今一つピンと来ていない。

 

「ドラゴンボールにサイヤ人……

 凄いッ! 僕は漫画家として、とてつもないネタを掴んでいるぞッ!!」

 

 一方、露伴のテンションは最高潮だった。

 確かに彼も悟空と同じく戸惑う部分があったのは間違いないが、それ以上に興奮していた。

 何せ、彼からすれば本物の異世界だ。

 見たことのない技術、生物。そして宇宙人に摩訶不思議なアイテム。

 正直、露伴でなくとも興奮するだろう。

 

 しかしここで躊躇なくこうするのは露伴以外ありえない。

 

天国への扉(ヘブンズ・ドアー)!!」

 

 ガシッ

 

 露伴が更に悟空のことを知ろうとスタンドを使った瞬間、対象となった彼は目にも止まらぬ速さでスタンドの腕を掴み、動きを止めた。

 

「う、うおおおおお――――ッ!?」

「おめえ今オラに何しようとしたんだ?」

 

 スタンドを止められたことに動揺する露伴。

 一方、悟空はさっきとは打って変わって剣呑だ。

 数年前、兄のラディッツと戦った時に命乞いからのだまし討ちを喰らった経験がある彼からすれば、露伴の突然の行いは殺し合いに乗っていないふりをして襲い掛かったようにしか見えない。

 それに気づいた露伴は必死の形相で弁明する。

 

「ま、待ってくれ! 僕は攻撃しようとしたんじゃあないッ!!」

 僕はただ、もっとあなたのことやあなたの世界について知りたかったんだッ!!」

「何でだ?」

「漫画の為だッ!! 僕はいつだって、僕が描く漫画を読んでもらうことを何より優先しているッ!!

 だが勘違いしないで貰おうッ! だからと言って僕はこんな殺し合いで願いを叶えてもらって読んでもらうつもりは全くない!!

 無理矢理心を捻じ曲げるなんてまっぴらごめんだ!! そんな読者なんていくらいても嬉しくないし、僕の漫画はそんなものに頼らなきゃいけないほど駄作じゃあないッ!!」

 

 パッ

 

 露伴の必死の叫びは悟空に通じ、ひとまず殺し合い乗っていないと判断されたのか、スタンドから彼は手を放す。

 しかし、彼の露伴を見る目には少々警戒の色が混ざっていた。

 

「とりあえず、おめえのことは少々見張らせてもらうぞ。

 まあ、おめえの仲間は一緒に探してやるけどさ」

「望むところさ……!」

 

【エリアB-5/1日目/黎明】

 

【孫悟空@ドラゴンボール】

[状態]:健康、露伴を警戒(小)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(孫悟空)

[参戦時期]:セル編終了後

[装備]:

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3

[思考]

基本:アズとその仲間を倒す

1:露伴の仲間を探す。悟飯にベジータ、それにオラの仲間なら大丈夫だろ!

2:露伴の奴、ひょっとしてあぶねえ奴じゃねえのか……?

3:電車ってなんだ?

 

[備考]

※仗助、康一、承太郎の情報、ジョジョの奇妙な冒険の世界観について聞きました。

※制限により瞬間移動はできません。また、戦闘力と気を感じる範囲も低下しています。

 他の制限の内容は次の書き手氏にお任せします。

 

【岸辺露伴@The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-】

[状態]:健康、興奮(大)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(岸辺露伴)

[参戦時期]:本編開始前(4部終了後)

[装備]:

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3

[思考]

基本:アズと彼女の仲間を倒し、殺し合いから脱出する。可能なら取材もしたい

1:当面は悟空さんと同行する

2:康一くん、承太郎さん、後一応仗助。もしくはアズを知る参加者と合流したい。

3:悟空さんの話、世界に興味津々。

 

[備考]

※ドラゴンボール勢の情報、世界観について聞きました。



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トカゲの尻尾切

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・クロメ@アカメが斬る!
・神山飛羽真@仮面ライダーセイバー
・アヤカ・サジョウ@Fate/strange Fake
・世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run
・三村信史@バトル・ロワイヤル


ゲーム開始から約一時間半。

エリアD-6の線路沿いに、三つの人影があった。

うち二人は神山飛羽真とアヤカ・サジョウ。

波音のなる中世ステージの端の端で出会った二人は、かなりざっくりした地図しか配布されていない現状、数少ない道しるべであるこの路線を目指して進んだ。

それも迷わない様にかなり念入りに海沿いを歩いて対岸の廃墟ステージを進んでいくと、二人は1人の少女に出会った。

黒い髪に赤と黒のセーラー服。

腰には、飛羽真にとっては既視感のある奇妙なバックルを着けていた。

 

「『私も見たことのないライダーシステムか。アズは一体どうやって観測し、連れて来たのか』」

 

出会ったそうそう少女は薄い笑みを浮かべながら、高い声に渋く低い男性の声の混じった声で言った。

そして、いかなる原理か、ベルトを中心に体の表面を伝う黒い液体金属を刃のような形にして                                                             攻撃して来た。

ベルトから引き抜いた火炎剣烈火で攻撃を捌きながら、飛羽真は小説家として、物語の筋書きのようにこの殺し合いを考えてみた時に思いついたことが正しいと確信した。

それは、あのつなぎの男の見せしめでやる気を出す人間とやる気を出さない人間がいるということだ。

戦いに怯える者、抗う者、従う者。

それらが傷つけ合い、抵抗し合う事で、結果的に殺し合いの活発化につながる。

目の前の少女やアヤカのような存在、そして自分や倫太郎、賢人に対してマスターロゴスやストリウス、デザストがよばれている事からも納得がいく。

 

「『体は温まったか?』」

 

三合、四合と打ち合うと、少女、通信衛星アークに支配されたクロメはさあ、かかって来いと言わんばかりに両手を広げる。

 

「……アヤカちゃん、下がってて」

 

目の前の少女にスキはない。

本職は小説家や本屋だが、一年近く聖剣の剣士として戦い続けた飛羽真は逃げられないゆえに、戦うという選択肢を取った

 

<プリミティブドラゴン!>。

<ブレイブドラゴン!><ゲット!>

 

飛羽真が聖剣をドライバーに戻し、ブレイブドラゴンのブックをセットしたプリミティブドラゴンワンダーライドブックを神獣のスロットにセットするのを見て、クロメもベルトの起動スイッチに指をあてる。

 

<烈火抜刀!>

 

<アークライズ!>

 

「変身!」

 

「『変身』」

 

<プーリーミティブ!ドラゴン!>

 

<オールゼロ!>

 

『未知のライダーシステム……存分に堪能させてもらうぞ』

 

アークゼロはビームエクイッパーで、衛星ゼアからデータを獲得したプログライズホッパーブレードを生成し、火炎剣烈火と切り結ぶ。

野生と理性が絶妙に混ざった剣術にアークゼロはあえて防御重視に立ち回り、セイバープリミティブドラゴンを観察する。

 

(妙だな、あの男の動きの癖が肉体が致命的に傷つかないレベルで完全に無視されている。

すくなくとも剣術や戦闘術といった風ではない。

まさに食らいつくとでも表現すべき攻撃方法。

それでいてこちらの動きに合わせて対応して来ても居る)

 

だがアークゼロは未来予知レベルのと予測さえ可能にする解析力でセイバーの動きを観察し、結論を出していた。

恐らくこの仮面ライダーは自分と限りなく同じタイプだと。

 

(自ら肉体を差し出しているか否かという点では違うだろうが、この仮面ライダーには変身者の意識がない、あるいは戦闘そのものに変身者の意志が介在しない。

恐らく、不破諫の肉体を使って亡が変身した仮面ライダーバルカンの様に、ドライバーにセットされたあのアイテムに内蔵された意志によって制御されている)

 

その変身者の人格を乗っ取る能力を使って飛羽真を救出したことさえあるプリミティブドラゴンは、アークゼロ……通信衛星アークとやっていることは同じでも、意味も意義も真逆と言えよう。

 

『では、これならどうかな?』

 

<フィニッシュライズ!プログライジングストラッシュ!>

 

柄のトリガーを引いて、刀身にクラスターセルの刃が生成され、それをアヤカにめがけて発射する。

 

「え!?」

 

セイバーは唸り声をあげながら、胸部の装甲の一部、ボイドタロンをまるで腕の様に伸ばして斬撃を殴り逸らし、そのまま返す拳でアークゼロにも殴り掛かる。

 

『目的を理解したうえでの攻撃特化の自立近接戦闘に加え、胸部装甲を兼ねる高性能マニピュレーター。

設計思想としてはアサルトウルフに似ているが、あれよりも変身者の保護と、作戦続行能力に重きを置いているのか。

性能、オプションも申し分ない。お前も、私の道具になれ』

 

そう言うとアークゼロはセイバーに右手をかざし、かつて不破諫や刃唯阿にやったように遠隔で悪意を流し込む。

 

『暴れろ。お前の悪意のままに、我が意志のままに』

 

「神山さん!?」

 

「ウゥ……ぅうううあああああっ!」

 

しかしセイバーは不快そうにガリガリと後頭部を掻きむしると、その苛立ちをぶつける様に再びアークゼロに向かっていく。

 

『「憤怒」に身を任せてなお、結論を違えないか。素晴らしい悪意だ』

 

パンチやマニピュレーターによる打撃や爪、クラッシャーによる噛みつき、頭部のソードクラウンと手にした火炎剣による斬撃と、多彩且つ乱暴な攻撃でアークゼロを防戦一方に追い込んでいく。

 

(迅や雷のボディなら容易に対抗も出来たのだが、ままならないな)

 

そもそもアークゼロは人間が変身することが想定されておらず、手近なヒューマギアボディを乗っ取ることが前提のライダーシステムで、人間が変身することは想定されていない。

その為、あえて進化の為に残してある空白領域に最低限の生命維持機構を作って対応しているのが現状だ。

あまり乱雑に扱う訳にはいかない。

 

(出来るのなら早急に滅か雷のボディを使いたいが、この広い会場の中から探し出すのは非効率だな)

 

直接体に張り付いて飛羽真の肉体を奪う事も選択肢にあったが、それは神獣プリミティブドラゴンの意志がどれくらい強いか分からないので除外する。

 

『なら、攻め方を変えるか』

 

そう言うとアークゼロはバックステップで距離を取り、腰のプログライズホルダーにマウントされたままだったプログライズキーのスイッチを押す。

 

<マリスラーニングアビリティ!>

 

神獣プリミティブドラゴンから憤怒のデータを強制抽出し、苦しんだ隙にプログライズホッパーブレードに内蔵されたクラスターセルを制御してセイバーのマニピュレーターを封じると、駅の方から走って来た列車の最後尾車両と、隣の車両をつなぐ連結部を、相馬光子の命を奪うのにも使ったビームで破壊し、悪意の思念波を使ってセイバーめがけて投げつけた。

必殺読破で迎え撃とうとするセイバーだったが、車両の中から男の悲鳴が聞こえたのを聞いて、すぐさまアヤカを連れての回避に切り替える。

そして列車の方は

 

「The World!」

 

と、叫び声が聞こえると、ドアが何か不自然に吹き飛んで二人の男が飛び出て来た。

学生服の少年と、乗馬用のヘルメットをかぶった男だ。

 

『獲物が増えたか』

 

アークゼロは新たな武器としてアタッシュアローを生成し、自由落下する二人の心臓か頭を的確に狙おうと弓を引くが

 

「……ッ!うぅう……!」

 

『なんだ?急に体が……類似症状を検索、、なるほど。そうゆうことか』

 

急に頭に手を当てて動かなくなったアークゼロ。

困惑しながらも、セイバーは落下する二人、ディエゴと三村をマニピュレーターで絡めとって引き寄せた。

 

「何なんだお前は!?」

 

ディエゴの声を無視してセイバーは

 

アヤカのデイパックを破く様に開けて中身を引っ掴むと、三村のデイパックを千切る様に開けて中身を引っ張り出した。

三村の最後の支給品、ライドブックホンダナーを取り出し、そのうち一冊をブレイブドラゴンと入れ替える。

 

<こぶた3兄弟!><ゲット!>

 

新たに愉快な3兄弟の力を得たセイバーは、カートゥーンから飛び出てきたようなぶたを3匹呼び出した。

 

「……え?これに乗って逃げるですか!?」

 

アヤカの問いに答える代わりにセイバーは彼女をマニピュレーターで引っ掴むと、そのうち一匹に飛び乗って逃げ出した

それを見てディエゴと三村も恥を忍んでぶたに乗る。

 

(意味が分からん!なんでこんな化物が跋扈する地獄に放り込まれたのに棒手裏剣しか与えられていない!?せめて殺し合いをさせる気があるならもっとマシな武器を寄越せ!)

 

 

 

 

 

 

【エリアD-6/線路沿いのどこか/1日目/深夜】

 

【アヤカ・サジョウ@Fate/strange Fake】

[状態]:健康、不安(小)、覚悟(中)、令呪(5画)、ぶたに騎乗

[服装]:私服

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(アヤカ)

[参戦時期]:セイバーと正式に契約した直後

[装備]:ポーションの空瓶@ソードアート・オンライン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2、ポーション×9@ソードアート・オンライン

[思考]

基本:一刻も早く聖杯戦争の舞台に帰還する。

1:まずは神山さんの仲間や、この殺し合いの脱出を目指す人々と合流する。

2:聖剣の剣士たちか……彼は円卓の系譜がここにもあると喜ぶのかな?

3:他のサーヴァントやメギド、黒い怪人(アークゼロ)たちに警戒。

4:神山さん……なんだか別人みたい。

5:このぶたどこに向かってるんだろう?

[備考]

※ポーション@ソードアート・オンラインは10本で1つの支給品として扱われているようです。

※令呪が5画が残っていますが、セイバーとパスが繋がっているかどうかは後の書き手にまかせます。

 

【神山飛羽真@仮面ライダーセイバー】

[状態]:健康、ストリウス戦のダメージ(小)、セイバープリミティブドラゴンに変身中、ぶたに騎乗

[服装]:私服

[所属陣営]:桃(実写)

[メダル枚数]:1枚(飛羽真)

[参戦時期]:最終回、プリミティブドラゴンに変身した直後

[装備]:聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、火炎剣烈火@仮面ライダーセイバー、ブレイブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、プリミティブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、こぶた3兄弟ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、ライドブックホンダナー(WRB二冊付)@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

[思考]

基本:この物語(バトルロワイヤル)の結末は俺が決める。

1:まずは賢人たちと合流する。

2:ストリウス、マスターロゴス、黒いライダー(アークゼロ)それから一応デザストには警戒をしておく。

3:当分はアヤカちゃんと共に行動する。

  俺にかのリチャード一世の代わりが務まるかは不安だけど、

  アヤカちゃんの物語は、俺が守る!

4:万夫不当の大英雄たちとの冒険かぁ……不謹慎だけどちょっとうらやましいな。

5:あいつは、仮面ライダーなのか?

[備考]

※聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、火炎剣烈火@仮面ライダーセイバー、ブレイブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、で一つの支給品扱いです。

※もともと装備していた聖剣ソードライバー@仮面ライダーセイバー、火炎剣烈火@仮面ライダーセイバー、ブレイブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、プリミティブドラゴンワンダーライドブック@仮面ライダーセイバーは、ランダム支給品二つと同じ扱いです。

※プリミティブドラゴンに変身している間は、肉体の主動権を神獣プリミティブドラゴンに奪われますが、記憶は普通に残るようです。

 

【世界ディエゴ@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】

[状態]:健康、疲労(中)、ぶたに騎乗

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(世界ディエゴ)

[参戦時期]:ジョニィに勝利した後

[装備]:棒手裏剣(二本消費、ネアポリス駅のどこかに落ちている)@龍が如く維新!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

[思考]

基本:この殺し合いの主催者どもを倒し、その力を奪う。

1:シンジとは引き続き協力する。

  ユミコを見捨てた件が後後まで響かないと良いんだが……。

2:ジョニィの奴とは極力会いたくない。

  が、もし出会って戦う事になったら全身全霊で挑む。

3:なんなんだここは化け物の巣窟か!?

4:できれば馬が欲しい。間違ってもこんなぶたじゃない。

5:俺の足を治した(復元した?)スタンド使いが敵に居ると仮定して動く。

  奴らに対してはビビりすぎと思っても思い過ごしじゃない。

  スタンド能力にしても、科学力にしても、子飼いの化物に関しても

[備考]

※コーヒー@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runを飲み干しました。

残ったカップは電車のどこかに放棄しています。

 

 

 

【三村信史@バトル・ロワイヤル】

[状態]:健康、やりきれない気持ち、杜王駅行列車に乗車

[服装]:城岩中の制服(男子用)

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(信史)

[参戦時期]:不明、後の書き手に任せます。

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、スケッチブックと筆記用具@現実、フォーク@バトル・ロワイヤル

[思考]

基本:この新しいプログラムに反抗する。

1:まずはあの黒い化物から逃げる

2:七原、川田たちとは合流した。

  桐島、相馬、坂持は論外。

3:日本国に超能力、未知の技術に怪人……アズたちは一体何者だ?

4:首輪を外すために動く。

5:三浦さん……ごめんなさい

6:あいつら(セイバーとアヤカ)に付いて行ってもいいのか?

[備考]

※すでに名簿は確認済みです。

※デイパックを仮面ライダーセイバーに破かれました。もしかしたら中身が零れ落ちてしまうかもしれません。

 

[全体備考]

※四つある列車のうち一つの最後尾車両が破壊されました。

エリアD-6の線路沿いのどこかに転がっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ようやく収まったか』

 

変身を解除し、通信衛星アークは身体の調子を確かめる様に動かし、飛羽真たちが逃げた方を見る。

即興だったが、脳は干渉の応用で脳内麻薬を過剰分泌させることで禁断症状を落ち着かせることができた。

 

『しかし、まさかこの女、薬物中毒者だったとは。

同時にドーピングもされていたあたり、戦闘用に使い潰される兵士だったのだろうが、能力に対して非効率な運用だ。

これでは精々あと3か月も戦えなかっただろう』

 

崩壊が目前に迫った帝国は、悪意の坩堝と言っても過言ではなかった。

かき集められた孤児は危険種の跋扈する森に放たれ、残酷に選別され、それを生き残っても多くは多大な負荷を強いる薬物を投与され、使い物にならなければ簡単に、ゴミの様に処分された。

正に滅びるべくして滅ぶ国の闇と言えよう。

クロメは、その被害をもろに受けた人間の一人であった。

故にアークは

 

『できる限り早く新しい身体を見つけなければな』

 

ラーニングに従ってクロメが使い物にならなければゴミの様に捨てる事を決めた。

無理に捨てることもないが、機会がめぐってくれば躊躇わない。

正しく悪意そのものであるアークに寛容も配慮もない。

ただひたすらに冷酷に、自らが導き出した結論を遂行する。

 

 

 

【エリアD-6//1日目/深夜】

 

【クロメ@アカメが斬る!】

[状態]:健康、意識途絶、アークがハッキング中、脳内麻薬の過剰分泌

[服装]:いつもの私服

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:3枚(クロメ、光子、鷲尾雷)

[参戦時期]:イェーガーズ離脱後

[装備]:アークドライバーゼロ@仮面ライダーゼロワン

[道具]:基本支給品一式(クロメ)、アークワンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン

    基本支給品一式(光子)、ランダム支給品×1~2(光子)

    基本支給品一式(鷲尾雷)、ランダム支給品×0~2(鷲尾雷)

[思考]

基本: お姉ちゃん(アカメ)とウェイブに会う。

1:お姉ちゃん、ウェイブ、助けて………

2:イタイ―――――サムイ―――――クルシイ―――――

[備考]

※デイバッグは部屋に置いたままです。

※アスナお手製の照りマヨサンドイッチ@ソードアート・オンライン、は半分(8個中4個)食べました。

※サンドイッチの入ったバスケットはDIOの部屋に置いたままです。

※破壊されたアイスピック@現実と相馬光子の死体が、エリアC-5のどこか別々の場所に転がっています。

※ランダム支給品×1~2(光子)のうち一つは、光子から見れば眉唾物の武器です。

※光子から『恐怖』を、神獣プリミティブドラゴンから『憤怒』をラーニングしました。

 

【アーク@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:アークドライバーゼロの形状、クロメの思考をハッキング中

[参戦時期]:原作41話で雷に破壊された直後

[思考]

基本:人類滅亡を再開する。

1:先ずは参加者の悪意のラーニングに入る。

2:その上でゼロワン達を滅亡させる。

3:この人間の悪意も有意義にラーニングさせてもらう。

4:羽織の男はバルカン(鷲尾雷)に始末させる。

5:自分はバルカン(鷲尾雷)が行ったのとは違う方向へ行く。

6:無理に急がないが、なるべく早く新しいボディが欲しい。

[備考]

※アークは人間の思考のハッキングが可能となっています。

しかし、ヒューマギアをハッキングしている時よりスペックがダウンし、ハッキングした相手によりスペックは左右されます。



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クラチカットの悪魔

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・エスデス@アカメが斬る!
・レゼ@チェンソーマン


青白い光を放つデバイスがゲーム開始から5時間を示す。

三時間かけて見つけ、倒したシンジ以外の参加者に、エスデスは出会っていなかった。

 

(限りなく真ん中の方にいたから全員を見渡せたわけではないだろうが、最初のホールに間違いなく100人以上の人間が、デバイスの名簿を信じるなら130人いるはずだ。

一回目の放送もそろそろそれなのに誰にも合わないとは、思ったよりこの島が広いのか、それとも私の運がないのか……)

 

自分が今いるステージの数少ないランドマークである基地にたどり着き、探索を開始したが、エスデスから見れば帝具などとは別ベクトルで超科学……飛電インテリジェンスの技術の粋を集めたゼロワンドライバーを整備可能な環境の整った基地は、普段あまりそう言ったことに興味のないエスデスの眼に見ても珍しく思ったようで、時間がかかったのもある。

 

「これは、血か?」

 

しかし、それはエスデスにとって見慣れた、そして何より飢えていた物を見つけて思わず降格が吊り上がる。

それと同時に一気にスイッチが入った。

勿論元々殺し合いと言う環境で十分に警戒していたし、気を張ってはいたが、それがさらに研ぎ澄まされていく。

血痕以外にも、明確な戦闘による破壊跡があるのもさらにエスデスを昂らせた。

 

「そこか!」

 

腰に下げた青薔薇を抜き放ち、敬拝を感じた物陰に一気に距離を詰める。

帝国最強にして、あの時代で最もドSなエスデスの殺気を受けて、その女は飄々と現れた。

 

「タンマタンマ、味方だよ」

 

と、首に巻かれた戒めを指さした。

与えられた色は青。

エスデスにも色を含めて同じ物が巻かれている。

彼女は青薔薇を振るって退路を氷の壁でふさぐと

 

「そうか。では斬る前に聞こう。この血に関してなにか知ってるか?」

 

と、切っ先をその喉笛に付きつけながら問いかけた。

 

「さあ?来た時からこうだったよ」

 

「……まあ、本当だろうな」

 

「じゃあ剣を降ろしてくれてもいいじゃん?」

 

「最近解体したばかりだからよく覚えている。

お前の立ち振る舞い、体つきは生粋の暗殺者のそれだ。

格闘も出来なくはないだろうが、本領は瞬殺。違うか?」

 

先筋解体した暗殺者、ナイトレイドのチェルシーと言うよりかは、彼女が最期に狙ったクロメやアカメに近いバックホーンの持ち主だが、そこらの殺し屋なんか歯牙にもかけない体術とナイフ術の使い手にして、ソ連仕込みのスパイであるレゼの正体を、エスデスはほぼ言い当てて見せた。

おおむね正解。

と、おどけつつもレゼは『解体した』というワードは聞き逃さなかった。

冷酷だが残虐ではないのか、残虐だが冷酷ではないのか、それともいい意味の両方か、悪い意味の両方か。

見極めなければ十中八九この場で殺されるな、と警戒を引き上げる。

 

「ふふ、そう肩を張るな。

そうだな……折角出会えた同陣営のよしみで、おごるぞ?どうだ?」

 

「それは魅力的なお誘い。

でもさっきはあんな鋭い殺意を向けて来たのにごはんっておかしくない?」

 

「だが100人の敵と戦うたった30人そこらの友軍だ。

この出会いを大事にしない方がおかしいと思うぞ。

それにどうせあと少しで定時放送だ。

これ後から聞くこともできるらしいが、情報は鮮度が大事だし、戦いに向けて休んでおくのも必要だ。

違うか?」

 

「……そうだね。じゃあ、御相伴にあずかろうかな」

 

「よし。お湯を用意するから少し待ってろ」

 

そう言ってエスデスはラベルに『弟味噌』と書かれたカップラーメンを差し出した。

 

「説明によれば、お湯を入れて待つだけで食えるらしい。

容器はかさばるが、賞味期限も長いから国に持って帰って研究させたら行軍の時に部下たちも喜ぶと思うんだが、生憎二食しかなくてな」

 

と、自分は『兄貴塩』と書かれた物を見せた

 

(カップ麺をしらない?)

 

エスデスの事をてっきり『氷』や『冬』に類する悪魔と契約したデビルハンターかと思っていたレゼは不自然さを覚えた。

 

「お姉さん軍人さんなんだ。

じゃあ優勝の御褒美もお国のために使うの?」

 

「多分それはないな。別に愛国心や忠誠心から仕えている訳でもない。

それに個人的な件に関しては欲しい物は自分で手に入れる主義だ。

誰かから与えてもらうのは性に合わない。

が、くれるというなら何がいいか……参考までにお前はなんなんだ?」

 

「そうだな~。

今一番必要な物は戦ってればそのうち手に入るだろうし、やっぱりマキマさんが本当に喜んでくれるものがいいかな」

 

「上司か?」

 

「残念ながら今はそんなところ」

 

そう言ったレゼの眼を見て、エスデスの彼女を見る温度はマイナスを下回った。

 

(最初に出会う同陣営がこんな腑抜けた飼い犬か。

誰かに忠誠を誓うという点では私の三獣士(さんじゅうし)も同じだが、ダイダラやセリューのような気概や気骨は感じない。

屈服しきった弱者だな)

 

これは何かあったら遠慮なく使い潰していいな。

なんて思いながらエスデスは帽子を治すと水や火元を探し始めた。

 

 

【エリアE-9/基地/1日目/黎明】

 

【エスデス@アカメが斬る!】

[状態]:アズへの怒り、屈辱、殺意

[服装]:いつもの軍服

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:2枚(エスデス、間桐シンジ)

[参戦時期]:タツミ処刑編の後

[装備]:青薔薇の剣@ソードアート・オンライン

   水龍憑依ブラックマリン@アカメが斬る!

   タイガのカードデッキ@仮面ライダー龍騎

   兄貴塩@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、シンジのデイバッグ、シンジの首輪

[思考]

基本: 敵陣営、逆らう者は皆、蹂躙する。

1:タツミ、今度こそ私のモノに…!

2:覚悟しろ、ナイトレイド…!

3:部下たちは、まぁ生き残るだろう……。

4:アズは私が下す。しかし場合によっては……。

5:定時放送が終わるまでレゼと共に行動する。お湯が用意できれば食事もとっておこう。

6:屈服しきった飼い犬などいざとなったらどんな風に扱ってもいいな

[備考]

※デモンズエキスの消失を確認しました。

※王水@現実の入っていた殻のビンが廃校のどこかに転がっています。

※基地のどこかに氷の壁を作りました。相当時間をかけないと勝手には溶け切らないと思われます。

 

 

 

【レゼ@チェンソーマン】

[状態]:正常、マキマからの支配(大)

[服装]:公安対魔特異5課の服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(レゼ)

[参戦時期]:マキマに『支配』され、チェンソーマンと交戦した後

[装備]:弟味噌@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3

[思考]

基本: チェンソーマン以外の他の陣営を皆殺しにする。

1:青陣営で勝利してマキマさんの為の願いをかなえる。

2:どさくさに紛れてチェンソーマンの心臓を手に入れる。

  最悪デンジ君ごと死んじゃったら優勝商品はチェンソーマンの心臓を願う。

3:定時放送が終わるまでエスデスと行動する。

4:お湯を探す。にしてもカップ麺を知らない?

[備考]

※武器人間への変身に関して何かしら制限が課されているかどうかは後の書き手に任せます。



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(偽)真物語

作者
・ユッケジャン

登場キャラ
・偽アサシン@Fate/strange Fake
・書き手枠@化物語


早速ではあるが、読者諸君に一つ問いたい。

お前達は何を期待してこのページを開いた。

 

本物の真祖と偽りの英雄による虚実入り混じった怪奇譚か。

正義は我に在りと信じて疑わない、猪ないし蜂女共の熱血物語か。

清廉潔白を越え、穢れとさえ感じる歪んだ正しさで送る王道ものか。

 

はっきり言おう。そんなものは存在しない。

女二人でも姦しい。愛らしき怪異系ヒロイン共へ注ぐお前達の期待は、

唐突に間に挟まった詐欺師に嫐られ、散り果てる事になる。

この件からお前達が得るべき教訓は、「勝手な期待は落胆までの助走でしかない」ということだ。

 

今感じている落胆や怒りは全て勝手な期待をしたお前達の責任だ。

俺に責任は発生ない。

お前の中にしか存在しない物にびた一文たりとも補填してやる気はないし出来はしない。

そもそも創作なんてのは嘘とペテンに溢れている。

設定は出鱈目、矛盾が幅を利かせ、展開やルールなど舌先三寸で変わる。

執筆に金銭の発生するプロの作品でさえ、信頼するに値しないのに。

金の介在しない創作活動に何かを期待するなど論外だ。と、逆に苦言を呈したくなる。

 

だが俺も男だ。

とうに性欲など枯れ、食欲を失い、睡眠欲さえ煩わしくなって。

三大欲求が金欲銭欲札束欲なったとしても。

目当ての女の不参戦決定に短腹を起こす気持ちは理解できる。

そのせめてもの詫びの印として、金はやらんが金言を贈ろう。

 

どうしても期待したければ、最悪を期待しろ。

期待する成果や見返りがどうしようもない最低であると望め。

100点を、完璧を求めるから1点の失態さえ煩わしく思える。

ならば、-100点が欲しいを信じる事で、1点すら101点を取っちゃったぞと心から泣いて喜べ。

馬鹿馬鹿しいと正直者に嗤われようと、馬鹿はお前等だと笑える嘘つきになれ。

本物の喜びを信じて、本物の悲しみに涙する位なら。

偽物の喜びを抱いて、偽物の悲しみに歓喜する方が、精神衛生上好ましい。

成功はあるかどうかも分からん不確かなものだが、失敗への苦しみやストレスは明確に存在する。

だから人間は成功より失敗を優先する。傷つく事を何よりも恐れる弱い生き物故に。

どれだけ馬鹿馬鹿しく、惨めで、愚かしかろうと。人は安全を期待して、自分の心を騙す。

 

詐欺師に有るまじきせきらら話をさせて貰うと──俺はこの話をあまりしたくなかった。

詐欺とは総じて、成功を期待させる仕事だ。

完全無欠な失敗を期待する輩は、十全十美な成功話など聞く耳を持たない。

自分さえ騙す嘘つきの誕生は、詐欺師にとって商売上がったりな存在なのだ。

それでも、俺がこの話をしたのは自らの行動を見つめ直した結果だ。

金を稼げなくなろうとも心から、お前達読者に誠意を示したかったから

 

 

──などでは当然なく、嘘だからだ。

 

 

というかこれまで語って来た話自体、全て適当だ。

大体成功の為に失敗を期待したら、それは結局成功を期待してるの同義だろうに。

お前等が成功を期待しようが、失敗を期待しようが大差ない。

どう思うと騙すのに苦としないし、寧ろ完膚無きまでに騙し取れる。

自分は騙されんと高を括ってる奴ほど楽だ。巷に溢れる対策と言う名の型に嵌ってる。

その対策こそが、詐欺師の巻いた罠だと何故思わない。

甘言巧言美辞麗句。それが詐欺師の常套句だと言うのに。

やはり人は疑うより信じる方が好む。それが楽だからと惰性で流される。

そしてこうやって騙され、人生を無駄にするまでがセットなのだ。

 

詐欺師の正直な話など全て嘘だ。詐欺師の嘘話は本当ともならんがな。

何故嘘をついたと問うても無駄だ。意味など無い

強いて言うなら、俺は意味のない事をしたくて堪らない性分なのだ。

するなと言われればする。しろと言われればしない。

そんな無意味さに意味を見出す天邪鬼な人間。

などと言いつつ。

無意味と念押す裏で念入りに今後の話の伏線を張っているかもしれん。

 

確かな答えなど求めるだけ不毛だ。

詐欺師の無駄話に高尚な中身を期待したお前達が馬鹿を見た。確かなのはそれだけ。

この件からお前達が得るべき教訓は、「費やした時間と成果は同価値になるとは限らない」だ。

俺にとっては他人の時間など一銭の価値もないが、折角の機会だ。

お前等には値千金であろう自分の時間を勉強料として貰っておいてやる。

今回の教訓を活かし、今後の人生を無駄使いせず過ごすといい。

 

この物語は以上で終了だ。

バーのサイズからしてまだ続きがある様に見えるだろうが、この後は意味もなく改行が続く。

どれだけ必死にスクロールした所で、何も出てきやしない。

なので要らん期待などせず、そのままブラウザバックする事をお勧めする。

期待云々の下りは俺の嘘だが、俺の話の無意味さは真実だと。

無為な時間を費やして学んだ筈だろう。今こそその時間を有意に変える時なのではないのか。

 

ではさらばだ。もう二度と会う事もない。

俺の嘘に懲りたならば、会いに来ようとは思わんし。

俺も詐欺師とバレてる相手に詐欺を働く気にはならん。

それでも、もし会う機会があったならば。

それはお前が俺の嘘を期待し、騙されたがってると言う事になるがまあ…

そんな破綻した物好きはいないだろうよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして有限な時間を俺に騙し取られて尚、まだ付き合って読もうと考える。

そんな奇特な読者がいたなら一つ、言葉を送りたい──お前達は大馬鹿だ。

 

此処は途中退場するのが賢い選択だった。

損切を誤り、更に貴重な時間を無為に消費する。

俺の座右の銘、「時は金なり」と世に残したベンジャミン・フランクリンが見たらさぞ嘆く事だろう。

しかし、愚直ともとれる真摯な姿勢を貫ける人間は、現代社会において稀有な存在だと俺は思う。

 

人生いつでもオールイン、一度決めた事は絶対に曲げないその若さ。

グニャグニャと曲がり切った、大した芯など持ち合わせないつまらん大人として敬意を評する。

決して詐欺のカモとして都合がいいからではない。

その敬意の証として。

ダラダラと嘘で煙に巻いてきた殺し合いの続きを、いい加減進めるとしよう。

当然、普通には語らない。

構成脚色量過多。冗談半分嘘半分、手練手管用いて徹頭徹尾真実をひた隠す、

徹底した嘘つきの視点で手掛ける、偽物だらけのフィクションを語らせてもらおう。

 

此処まで辿り着いた猛者に何を言っても仕方ないだろうが。

それでも、俺は重ねて言う。懲りずに言う。無意味だから言う。

期待はするな。

心からの期待や信頼はやがて心を殺す。

期待の虚構を膨れ上がらせる程、現実が見せる萎びた真実に虚しさを覚えるだけ。

それが嫌なら自分を騙せ。自分さえも騙し切れ。

嘘を嘘と割り切って、嘘を真実に挿げ替えて、事実を真実と信じない。

下手に信じて上手に騙される事こそ、フィクションを嗜むコツだと

俺は期待せずお前らにアドバイスしよう。精々俺の期待を裏切ってくれる事を期待している。

 

ではでは。

偽者の怪異遣いと偽物の暗殺者で送る。

読者全員が嘆息を漏らす期待外れな偽物語の開幕だ。

──もっとも、これさえ真っ赤な嘘で。

実際は冒頭で挙げた何れかの物語が幕を上げるかもしれんがな。

 

 

 

 

 

 

 

ギィギィ、ギィギィ。

振り子時計の様に規則正しく。

不快な音が辺りに響き続ける。

正体や出所を理解する必要はない。

見るも無残に荒れ果てた店内。

その至る所に、答えを求める事が出来るから。

 

偉人、文豪、歴史家、学者、著名人。

幾多の賢者の綴った価値ある書物の悉くが紙屑になり果て。

空間に置かれた全ての物品がその役割を果たせぬ有様と化した。

全て至らぬ私が起こした惨状だ。

信仰の足らぬ未熟な精神が齎した罪業だ。

総てが絵空事であると異端者による妄言を妄言と断じれない。

疑念を抱いた不信得者が招いた愚行だった。

 

誰に誇れる生涯でもなかった。

侮辱に等しい模倣を繰り返し続け己だけの奇跡を産み出せず。

魔物の穢れた魔力で長達の奇跡を行使して。

内に潜む卑しき欲求を聖杯に看破され。

如何に己が恥ずべき落伍者であるかを思い知らされた。

それでも。

私が信仰の資格なき未熟者であっても。

信じた者に報いるだけの使命があると信じていたから。

今此処に存在し生きる事が、神の思し召しと信じ切っていたからこそ此処まで闘ってこられた。

 

その信ずる神が。

奇跡など持ち合わせないありふれた物書きであり。

偉大なる歴代山の翁を含めた我々全員が、虚構の信徒であると思い知らされて。

それら全てが偽り無き真実であると、欠片でも信じ、払拭出来ぬ現実に絶望した。

その後の私は、何も覚えていない。言えるのは、語るも悍ましき痴態をさらした事実のみ。

ただ闇雲に信じ疑い焦り怒り憎み嘆き壊し足掻き嗤い哭き叫び悔み狂い狂い狂いに狂い果てた末──私は只の偽りとなり果てた。

 

畏敬捧ぐべき長達の研鑽の証。

それを童が如き癇癪に用いるなど、言語道断である。

従来であれば、例え信仰が許さずとも命を以て贖うべき大罪。

しかし、私の自死さえ、何者かが書き記した筋書き通りと考えると。

殉教すら無毛な事と思った。思ってしまった。

最早死さえ償いにはならない。神や長達の為でなく大衆を楽しませる座興でしかない。

 

では、何が弱き背信者への罰となりえる。

異端の儀式の破棄も、悪辣なる異端者の誅殺も、今や意味も資格さえ私は持ち合わせない。

ならばこのまま意味もなく腐り果てる事が贖罪なのか。

如何なる者が読もうとも興味索然となるであろう退屈な終幕。それが贖う道なのか。

闘わずして?今この世に生き、闘う力を持ち得ているのに?ありえない。

だが信仰の為の抗いさえの紙の上の戯言だというのなら一体──私は何の為に存在する?

 

誰に届くでもない声。期待も希望も持たない疑問。

しかしそれ呟いた瞬間、その声に応えるかの様に、その者は──偽者は現れた。

 

「酷い有様だな」

 

冷たく、平坦な声。

それに反応し、力なく顔をあげればその正面。

まだ比較的荒れの少ない店先に黒衣の男が立っていた。

白の部分さえ黒と錯視する様な喪服に似た漆黒のスーツ。

──不吉。第一印象はその一言に尽きた。

総身に纏う自分のマスターである忌まわしき魔物、吸血鬼に近しき不吉さ。

闇と共に生きる暗殺の徒でさえ不気味と感じる凶兆がその男にはあった。

 

「殺し合いで碌な警戒もせず横たわり、俺の様なずぶの素人の接近を許すなど…殺してくれと言っているようなものだぞ」

 

荒れ果てた内装を気にするでもなく、店内に侵入し平然と歩み寄ってくる男。

破壊を齎した張本人と思わしき者への警戒を感じさせない軽快な足取り。

その異様さに思わず、今や大義を失った問を私は投げ掛けてしまった。

 

「貴様は…万能を望み、殺戮を是とする異端の者か…」

「いいや…俺は詐欺師だ。殺しなどしない。

 生れてこの方詐欺以外はてんで素人でな。これまでも、そしてこれからも」

 

詐欺師。

人を騙し欺く事を生業とする咎人。

英霊が弱点を晒さぬ為、己が真名を明かさぬ様に。

世を忍んで憚るべき悪しき肩書を男は悪びれる様子もなく平然と明かした。

 

「俺は"阿良々木暦"と言う」

 

誰に聞かれるでもなく、男はそう名乗った。

 

「こざと偏に可能性の可、良い良い、それに若木の木、太陽暦の暦で阿良々木暦だ」

 

長年使い古した定型文かの様につらつらと。

慣れた口ぶりで男は名の成り立ちを丁寧に語る。

聖杯より知識を施されようと、東洋の命名法に精通している訳ではない。

由来だけを受け取るならば、名付け親の思いの籠った良い名に聞こえる。

しかし私は感じた。之は嘘だと。

その名が目の前の存在を表している様には到底思えなかった。

 

名は体を表す。

人や物の名はそのものの実体や本性を雄弁に語ると言う意。

己を示す名を持たぬ私が名無しの通り、確固たる己を持てぬ虚ろである様に。

男もまたその風貌と名の意味が、多かれ少なかれ合致して然るべき筈なのだが。

阿良々木暦に関しては、その一致している部分が全くと言っていい程なかった。

可能よりも不可能。

良しよりも悪し。

若木よりも枯木。

陽よりも陰。

名の正と体の負、その性質総てが真逆。

阿良々木暦の名は男が発する不吉を形容するにはあまりにも綺麗過ぎる。

それだけでも、詐欺師の虚言と断ずるには充分だった。

 

「自分から名を名乗れば名乗りが返ってくる。──と誰が決めたか知らん礼儀を期待していた訳ではないが、無反応はとはな。

 こんな非常時だ。その警戒は酷く正しいものだが、果たすべき義理はあるのではないか。」

 

礼節を偽りで済ませておきながら、どの口が言う。

息を吐く様に嘘を吐く輩に果たす義理は持ち合わせていない。

 

「…名は、無い。奇跡を宿せぬ未熟者に持ち得る名などありはしない」

 

が、元より存在しないものを出し渋る必要もまた皆無。

それに詐欺師に正道を語れる程、私は正しき在り方をして来れてはいない。

神への信仰を裏切った今となっては、特に。

 

「名は無い、か。だが、名は無くとも、呼び名くらいあるだろう。

 名簿は最低限読み進めたが、空白など何処にも無かったぞ。

 お前の言葉に従って、推察するなら──無銘、とでも呼べばいいか?」

 

呼び名。

生前に何と呼ばれていたかなど覚えていない。

元より呼ばれてなどいなかっただけにも思えるし、名を賜る資格無き身故に忘却した様にも思える。

或いは。

作者に設定されていない存在しないモノだったか…いずれにせよどうでもいい話だ。

このまま否定せずに無銘でも良かったが、それでも一つ。私には語れる呼び名があった。

 

「…アサシン──当世に生きる者は皆そう呼ぶ」

「アサシン…暗殺者…。殺し合いの参加者として之ほど、噛み合った役者はないだろう。

 しがない詐欺師が対面するには、肩書の格が違い過ぎて戦々恐々としているが…

 それでも俺は生きる為、恐怖を噛み殺してでも、お前に聞かねばならん事がある。」

 

アララギは恐怖を微塵も感じさせない鉄面皮で尋ねる。

 

「アサシンよ。殺しのプロとも呼べるお前が。殺しに一過言あるお前ともあろう者が。殺し殺されの世界を生きるお前だからこそ──俺はお前の生を投げ捨てる現状に疑問を禁じ得ない。

 お前は何故息も気配も気概さえも殺し、此処で殺される様な不可解な真似をしている?」

 

罠を掛けるでも、不意打ちを仕掛けるでもなく。

かと言って伏兵を嗾けるでもない。

無傷でありながら死に体とも思える惨めな有様に疑問を抱く気持ちは理解出来る。

心を折った何かは己にも牙を向く物である可能性があり得るから。

理解はある。が、私が返せるのは自身の納得とは相反する答え。

 

「…答えるつもりは、ない…」

 

拒絶。

残された選択肢などそれ以外に無かった。

 

「何故だ」

「その問いの答えに…意義などないからだ」

「意義があるかは話して見なくては分からんだろう。」

「もし話せば、お前は私と同じ絶望を味わう事になる。

 私に与えられた罪と罰は、私が葬り私のみを殺すべきなのだ。」

 

経緯を説明する事になれば、私は語らねばならなくなる。

異端者により贈られた悪意に満ちた書物とその真意について。

例え一時の先延ばしに過ぎずとも、例え相手が救いがたき異端や神敵であろうと。

無為に絶望を伝染させる意など有る筈もない。

 

「絶望…他人を殺す以上に己を押し殺す技に長けるであろうお前さえ耐えられん苦痛。

 恐ろしいものだ。俺では到底許容出来んだろうな。肉体的にも精神的にも、痛いのは御免だ。」

 

そう言うアララギだが、一向に立ち去る気配はない。

痛みが、絶望があると分かったならば直ぐに退けばいい。

なのに何故この場を後にしようとしない。

恐れの言葉と裏腹に、詐欺師は矛盾を孕んだ対話を続けようとする。

 

「もしお前と同じ状況に陥った場合、俺なら自殺するぞ。

 一瞬なら自分を騙して堪えられるが、延々と続く苦しみに人は耐えられん。

 絶望を受けて尚死を選ばんのは、それが罰だからか?」

「自死は信仰より許されていない。何より…私の罪は最早命でさえ償えぬ咎…」

 

だが、それ以上に謎だったのは会話に応じる自分自身の態度だった。

男の質問に応じる口が理解出来なかった。

意味も価値もない言の葉を、紡ぐ意図は何なのだ。自分のことが分からない。

 

「信仰か、熱心な事だ。

 だが、お前の殺し合いにおける今の有様。これは信仰に背かんのか?

 一切の傷を負わずとも、死に至らしめる行動。他殺だろうと紛れもない自殺行為だ。

 本屋を残酷に殺し、残骸の中で死ぬまで眠り扱ける事がお前の信仰の答えなのか?」

「…分からない」

「ぼう、興味深いな。意味の分からん事を、お前はするのか。」

「──その通りだ」

 

そう、意味などない。意味は無い筈なのだ。

生きるならば戦うべきなのに。闘わぬならば死ぬべきなのに。

私がやっている事はそのどちらでもない。生きながらに死んでいる。

 

「私には何も分からなくなった。何が真実で何が虚構なのか。

 誅すべき存在も信仰も存在理由も今行っている行動や思考さえ。

 唯一分かっているのは…答えを導きだせない己の未熟さのみ…」

 

信仰に背き、時間を無駄にし、迷い立ち止まる弱き屍。それが今の私。

生ける屍となる事が、神と長達を侮辱した罰だと言うなら──それは何よりも重き罰。

 

「──倒すべき敵を知りながら私は一体何をしている…?私は…一体何者なのだ…!」

 

最早私は目の前の男とは話していなかった。

零れ落ちた言葉は外に向けていない。相手は内、自分へ向けた言葉。

無論、返答はない。

自分で奇跡を作り出せぬ真似るばかりのノンフィクションならば自然。

自分では何も産み出せぬ操られるだけのフィクションならば当然。

何方でもあっても、自らの滑稽さが浮彫になるのみ。

 

「なぁ…アサシン」

 

繰り返すが。

私の言葉は誰かに向けたものではなかった。

期待など有る筈がない。

何かを望む資格さえない存在に何が与えられるという。

それでも。

期待で何かを得られるとは限らないが、期待しなければ何も得れないとも限らない。

私が出会いを望まずとも、唐突に現れた出た様に。

 

「思うにお前は──誰かに答えを見つけて貰いたかったのではないか?」

 

突然に。誰に望まれるでもなく。

詐欺師は私の期待しない偽りを晒して見せた。

 

「誰かに…見つけてもらう…?私が、救いを求めていたとでも……!」

「そうだ。お前は救いを求めていた」

「ありえない…自身の罪と未熟さを棚に上げ、卑しくも救いを求めるなど…!」

 

アララギの言葉に動揺と困惑を抑えきれないでいた。

許されざる身と自覚している私が、この期に及んで他者の答えに縋り違っていた?

認められるものか。贖罪や存在意義さえ、誰かの模倣で済まそうとしていたなど。

逸る私の胸中を知ってか知らずか、詐欺師は気にせず続ける。

 

「誰とも出会いたくなければ目立つ場所からは去るし、何も語りたくなければまず喉を潰す。

 何より俺がこうしてベラベラと喋り続けられる理由はなんだ。

 この本屋の様にボロクズに変えるも良し、残骸の一部となりたく無ければ消えろと脅すも良し。

 嘘しか語らん詐欺師の口が塞がれていない事は、お前の嘘の証拠にはならんか?」

「………」

 

思い返せばそうだ。

気配遮断も使わず、廃墟で姿を晒し続けていたのは何故だったか。

傷一つ無き街中、破壊の跡があれば、確認しに来るに決まっていると言うのに。

こうして我々が語り合っているのは、何故だったか。

拒絶の意を示したにも関わらず、私は結局詐欺師との対話を続けていた。

支離滅裂な言動に行動

それらは総て、私の卑しき願望が発露した結果だったと言うのか。

 

「私は、虚言を語っていた…己の未熟さすら…まるで分かっていなかったのか…」

 

神を疑い、奇跡を怪しみ、異端の悪意を振り払えぬ未熟者への罰。

その答えは己自身の手で辿り着くべき最低限の責務。

それさえ成し得ず、未だ救いを求めていたなどとつくづく度し難い。

 

「嘘を吐いたらいけません。嘘つきは泥棒の始まりです。

 親や教師と交わした子供の頃のありふれた約束さえ、守り切れない人間などごまんといる。

 嘘を憎み嘘を許さぬ正直者だろうと己の心を偽らずに生活は出来ん。

 本音だけを喋り本心のみで過ごす潔白な存在など、それは泥棒なんぞより余程罪深い化け物だろう。

 お前がこの件から学ぶべき教訓は「誰かを騙さず生きられる者などいない」だ…まあ聞いてはいないだろうが」

 

声だけが聞こえる。

聞こえるだけで、内容は欠片も届かなかった。

自責の声に埋め尽くされた脳

其処に別の何かを頭に入れるスペースがなかったのだ。

 

「お前は自分に対する答えを誰かに求めている。

 しかし、残念だが俺はカウンセラーでも聖職者でもない。

 抱える絶望に対してのアドバイスも出来なければ、神の御導きとやらを与える事も出来ん」

 

そう続けるアララギと目が合った。

私と目線を合わせる様に向こうがしゃがみ込んだからだ。

鋭く熱を感じない眼差し。一切感情を見せないその相貌は変わらず。

しかし、真摯に意思疎通を図ろうとする熱意が垣間見えた気もした。

 

「だが──俺は詐欺師だ。正解や真実など何も知らんが、不正解や虚構は誰よりも知っている

 己の嘘さえ見抜けん頭の硬い女が相手でも、ちょっとした嘘を教えてやる事位は出来るだろう。」

「嘘…偽りの答えに、大義などあるのか…」

「ない。ないが妥協しろ。自分で答えも見つけられん奴が甘えた事を抜かすな。

 なくとも偽物の答えに大義を探せ、もしくは作れ。自分を騙す嘘も特別に教えてやってもいいぞ。

 さあどうする、偽りの暗殺者。騙される権利はもうくれてやった。選択権はお前にあるぞ。」

 

嘘。虚構。偽物。

其処に成すべき使命を見出した所で、神へと捧ぐ信仰の証にはなりえない。

それどころか偽りによって神の威光を汚す事にさえなる。許されざる蛮行だ。

嘗てなら拒絶していた。フィクションを知らぬ以前の私だったならば。

 

「私、は……」

 

だが、元より虚構を信じ信仰を穢した私に罵る権利はない。

己の卑しき心を隠し持っていた愚劣なペテン師には。

 

認めよう。

 

私は答えが欲しかった。

死も腐敗も嫌だった。此処から走り出す言い訳が欲しかった。

異端者を屠り、神の信徒として尽きる。

狂信者であろうと確固たる存在理由を、誰かに与えてほしかったのだ。

もしその答えを詐欺師が持つと言うならば、もう構うものか。

例えそれが物書きの定めた必定の答えであったとしても。寧ろ愚者にはそれが相応しい。

生きながら闘わず、無為に死する位ならば──私は偽物にだろうとなってやる。

 

◆◆◆

 

夜の街に新たな光が灯る。

アララギの手の中で微かに揺らめく小さな人工の炎。

ライターが落ちる。数秒にも満たない滞空時間。

燃えていく。乱雑に散らばった偽りの聖杯戦争を綴った忌まわしき書物。

永遠とも錯覚する程に。私の心を惑わして来た呪縛が灰燼と化していく。

異端者が齎した悪意が燃え尽きる光景を我々は何ら感慨の無く、静かに見つめていた。

 

「アサシン、お前は此処で死ぬ事になる」

「我らが神と我らの信仰を虚構に堕とさぬ為ならば──死する覚悟は何時でもある」

「真面目な奴だ。今ではない。それに、お前は自殺はせんのだろう」

「無論だ。許し無き死は神の与えた定命に反する。それで…私は何時死ぬ事になる」

「俺は神ではない、自分の寿命なんて俺が知りたい位だ。だが、そう遠くはないだろう」

「そうか」

「そうだ、悔いがあるか?」

「私の人生は悔いばかりだった。弱さに満ちた、とても誇れぬ生き様だ。

 それでも、崩れ行く塵の一欠片程でも、信仰に報いる働きが出来たならば、其処に後悔などない。」

「ふぅん…俺には無縁の話だ。信仰以前に何かを信じる事さえ想像がつかん」

「お前は詐欺師なのだろう。嘘でも同調すべきではないのか」

「ほう、嘘の信仰を神は許すのか。

 神相手に詐欺など働く事などないだろうが…もしもの事もある、参考になったぞ。」

「神は謀りなど容易く見抜く──私のこれからする欺瞞さえ例外ではない」

「ああ、そうだ。お前の信仰は最早狂信足りえない。

 フィクションを知り、己さえ信用ならない者に心からの信仰など不可能だ。

 もう自分を信じる事が出来ない。だが、自分を信じれなければ動けんのならば、

 残された道は自分を騙す以外にない」

「…浅ましい限りだ。神を信ずる為に神を謀るなど真の信仰とはとても言えない」

「だが、お前が選んだ答えだ」

「ああ。私の望んた答えだ」

「あの物語の存在を知り得るのは俺とお前、そしてアズ達主催者のみ。

 他にも同じ小説類が支給されている可能性はあるがまあ、それはいいだろう。

 存在を知らなければ、存在しないのと同義だ」

「私の使命は、我々の世界を虚構と断ずるアズ──異端者らを葬り、我らの歴史と奇跡を真実と信ずる唯一の徒──阿良々木暦を守り、信仰の芽を絶やさぬ事」

「俺は信仰を語る資格を失ったお前に代わり、偽りのない事実を読み、狂信者から伝え聞いた信仰の全てが、紛れもない現実だったと世界に語り継いでいく。

 例え本当に虚構であったとしても。俺は偽りを真とする虚報を届けると神に誓おう」

「…矛盾だな。神は嘘を認めぬとしながら、私は嘘による信仰を良しとしようとしている」

「矛盾だ。だが、真実とは有体にそういうものだ。この世に一つとして確かな真実などない

 人は皆自分の信じたい嘘を真実だと言い張ってるに過ぎない。それこそが真理だ」

「それさえも真実ではないのだろう」

「そうだとも。これもまた真実じゃない。俺が勝手に言ってるだけの妄想だ。

 真実はない。だが、事実ならば存在しうる」

「虚構と真実と広めようとするアズの悪意。

 私の行為が正しさなどない偽りだとしても、奴の凶行は揺るがしようのない事実。

 それを止める為に嘘が無ければ動けない、信仰浅き未熟な身ならば、

 偉大な長達が紡いだ歴史と信仰を虚構にはさせない為ならば、私は詐欺師の嘘にでも騙されよう」

「それでいい。狂信を奪われた狂信者。精々上手に騙されろ。

 自らの神さえ裏切ってでも、神への献身を果たす姿勢に、俺も心からの誠意で報いてやろう」

「──それは、真実か?」

「──ああ、無論嘘だが」

 

そういう詐欺師は実に不吉な笑みを浮かべていた。

浮かべた様に見えただけで実際は笑っていなかったのかもしれない。

真実は分からない。だが、私は笑っていたと思う。

私がそう思ったなら──それが私の真実なのだ。

 

【エリアH-5/本屋/1日目/深夜】

 

【偽アサシン@Fate/strange Fake】

[状態]:健康、精神的疲労(極大)、嘘を受容する覚悟

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(偽アサシン)

[参戦時期]:不明、後の書き手に任せます。

[装備]:

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:アズ達異端者の元へ辿り着き、葬る

1:殺戮を是とする者、万能を望む異端者を屠る

2:阿良々木暦(貝木)を生存させる。

3:神への信仰を謀る報いは必ず受ける。

[備考]

※一体幾つのサバーニーヤが使用可能で、スキルのランクがどの程度低下しているかは後の書き手に任せます。

※貝木泥舟を阿良々木暦と認識していますが、十中八九嘘だと思っています

※Fate/strange Fake1~6巻@現実は全て燃やしました。内容は把握しています

※本屋は徹底的に破壊されました。

 

【貝木泥舟@化物語】

[状態]:健康

[服装]:いつもの黒服

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(貝木泥舟)

[参戦時期]:不明。後続の書き手様にお任せします

[装備]:

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2

[思考]

基本:生存。騙しはするが殺しはしない。

1:偽アサシンを利用し生き残る。

2:当面は阿良々木暦と名乗る。

  阿良々木が死亡したり遭遇した時の対処は追々。

3:臥煙の忘れ形見だけは最低限気に掛けてやろうと思う。戦場ヶ原?知らん、勝手に想像してろ。

[備考]

※Fate/strange Fake世界の内容を詳細に把握しました

 正確には1~5巻分(最新刊は偽アサシンが破壊)

※自身たちがフィクションである可能性を認識しました。

※阿良々木暦を名乗っています。

 理由は名簿の説明が面倒だから+知り合いで一番死ににくそうな存在だからです

※ライター@現実がエリアH-5本屋前に放置してあります。

 ライター自体に特筆事項はありません



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トランスセクシュアルトシンドローム

作者
パーフェクトノックアウト

登場キャラ
・書き手枠@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・ドロシー@SINoALICE


 

 

学校。

十代の若者達が義務教育を履修し、その後の進路選択の幅を広げるための施設。

青春を謳歌する学び舎がこの会場に存在し、この殺し合いにおいてどんな意味をもたらすのだろうか───?

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「…………やっぱり、夢じゃないんだ…」

 

学校から離れた場所の、エリアG−5に位置する何の変哲もないとある民家。

その一室のベッドで、参加者は再び目を覚まし、静かに呟いた。

 

そして、ベッドから降りて鏡の前に立つと、ジャージ姿の自分自身が写った。

 

「確か、修学旅行の日になって、京都行きの新幹線に皆で乗って、それから……」

 

総武高校2年F組の戸塚彩加は、眼の前で起きた過去の出来事を振り返っていた。

 

世の高校生にとって最大のイベント、修学旅行。

新幹線に乗ろうと一歩踏み出した瞬間、楽しみにしていた旅行から景色が一転。

 

見知らぬ場所、突然告げられた殺し合い、見せしめの爆殺。

学生の自分とかけ離れた非日常の光景は嫌でも記憶に残った。

 

「じゃあ……あの、映像の男の人は……ほ、本当に……うぅぅ………」

 

ホラー映画ならともかく、間近で人の死を目撃してしまったことを思い出すだけで震えが止まらず、吐き気を催し、次第に涙が流れてきた。

 

「だ、駄目だ駄目だ。泣いちゃ駄目だ…」

 

まだ震えが止まらないが、その場に止まったまま何もしないのは、戸塚のポリシーに反する。

パンッ!と両手で頬を叩いて気合を入れ直した。

 

「ッ!………良しっ!!僕は男だからしっかりしないと!!」

 

戸塚彩加は、男性である。

中性的な外見でよく女子と間違われる事が多いが、彼はれっきとした男子である。

くどいようだが、彼は男の子である。

決して男の娘ではありません。

 

「……って4時!?僕、そんなに寝ちゃってたの!?」

 

戸塚は目覚めて早々、これは夢だと現実逃避し、民家のベッドに籠もり、いつの間にか眠ってしまったので、これほど時間が経過していたことに驚いた。

周辺で地球外生命体と悪魔のタイマンの爆音が響き渡っていたが、、それにに気づかないくらい爆睡していたようだ

 

「よし、まず学校に行ってみよう。待ってて皆!」

 

デイバッグを手に民家を出て、街の散策を始めた。

 

(街並みは普通だけど、気をつけて行かないと…)

 

デバイスの地図を確認し、一番近い学校に向かうことにした。

そして、すぐ先の曲がり角を右に曲がる───

 

 

「ウウウォォォ………」

 

「……………え?」

 

 

と、目の前に見たことのない、ゴツすぎる真っ赤なモンスターが現れ、目があってしまった。

 

戸塚が知らないのは当然である。ソレは別の世界の怪物なのである。

 

 

両肩部に装着された大型の防壁。

頭部や全身から伸びる砲台。

難攻不落。堅城鉄壁。堅牢さを象徴するソイツは、

キャッスルハードスマッシュ。

 

仮面ライダービルド達が戦ってきた怪物、スマッシュを超える戦闘能力を誇るスマッシュの1体。

 

仮面ライダーグリスこと猿渡一海を慕う三人組、北都三羽ガラスの一人、赤羽が変身するハードスマッシュである。

 

 

「な、何……これ…?」

 

全く知らない未知の生物との遭遇に、思わず足を止めてしまう戸塚。

 

『オオオオオオッ!!』

 

「うわあっ!!」

 

キャッスルは眼の前に現れた戸塚を標的と定めたのか、まっすぐ突進してきた。

唸り声で我に返った戸塚は、すぐさま横に回避した。

わかりやすい直線攻撃且つ避けられる速度だった為、回避は容易かった。

 

キャッスルの突進は止まらず、さっきまで戸塚の背後にあった壁を破壊し、その先の民家に突っ込み、あっけなく破壊。キャッスルはそのまま、瓦礫の山に埋もれた。

 

「う、嘘……」

 

壊された民家を見て、戸塚は戦慄した。

このバトルロワイヤルには、あんなことができる怪物がウヨウヨいるのだと。

それに、あのまま避けなかったら、あの建物の代わりに自分自身がミンチにされていたかもしれないと。

 

『ヴヴゥゥゥ!!……?……?……!』

 

「え!?無傷なの?」

 

瓦礫の山が爆散すると、キャッスルが這い出てきた。

キョロキョロと辺りを見渡し、再び戸塚見つけるとロックオンした。

 

『ヴゥゥゥゥ…………』

 

今度は額の砲台部分にエネルギーを貯め始めた。

 

「な、何か不味いかも……!?」

 

嫌な予感を感じた戸塚は、すぐにキャッスルから更に距離を取ろうと走り出した。

 

 

「あっ!」

 

 

しかし途中、小石に躓いて前に倒れて───

 

 

『ウオオオオオッッ!!』

 

 

しまった直後、キャッスルのカタプルタキャノンからビームが発射。

戸塚の髪の毛ギリギリを掠り、戸塚の前方の住宅街に向かって命中。

 

「い、たたた……え!?」

 

転んでしまった戸塚は顔を上げると驚きを隠せなかった。

さっきまで目の前にあった建物の何棟かが跡形もなく破壊され、周辺に爆炎が燃え広がっていた。

 

「そ、そんな………」

 

もし戸塚が運良く転んでいなかったら、彼が黒焦げにされていたであろう。

 

「ま、先ずは距離をとらないと!」

 

すぐ立ち上がって走り出し、気づいたキャッスルも追いかけて来るが、それよりも速く戸塚は走った。

黒焦げもミンチも勘弁である。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「ハァ、ハァッ、ハァッ……!」

 

運動部に所属してるので、体力に自信のある戸塚は、曲がり角を上手く利用し、暫くして鈍重なキャッスルを撒くことに成功。

更に距離を取って路地裏に身を隠し、息を調えていた。

 

「ふ、振り切った、かな……ハァ…ハァ…一先ず、ここに、隠れて、やり過ご──」

 

言いかけた直後。

そう離れていない民家の一つのがビームで破壊された。

 

「な、何!?」

 

しかしビームは途切れることなく何度も発射され、一つまた一つと、民家が破壊された。

 

戸塚を見失ったキャッスルは彼を炙り出す為に、手当たり次第ビームを乱発する戦法に変えてきたようだ。

 

「ど、どうしよう…!?」

 

あの怪物は何処までも追いかけてくる。

隠れても無差別のビーム攻撃が飛んで来る。

八方塞がりのイタチごっこ。

どっち道、命の危機である。

 

「嫌だ……僕は、終わりたくない…!」

 

藁にもすがる思いで、まだ確認してなかったデイバッグに手を突っ込んだ。

 

「何か、何か役立つものがありますように……!」

 

急いで支給品を確認する中、あるアイテムに目が行った。

 

「こ、これって……?」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

その頃キャッスルは、周辺の建物をビームで破壊しながら戸塚を探していた。

 

『オオゥ……オオゥ……オオゥ………』

 

しかし、連続でビームを発射したせいか砲身が焼けてしまい、しばらくビームは撃てなくなっていた。

 

『ヴオオッ!!』

 

獲物である戸塚が中々見つからず、『アイツどこに行った!?』と苛立ちを瓦礫にぶつける。

 

 

『……ッ!!オオ!』

 

カツン、と音が聞こえた方を見ると、探していた戸塚が姿を表した。

やっと出てきたかコイツ、といった感じでズシズシと戸塚に近づいていく。

 

 

『ッ!?』

 

 

直後、キャッスルに謎の衝撃が走った。

 

『……?……オ?……オオ?』

 

そして気がつくと、その視界は星空で覆われていた。

 

 

何だコレは?

なぜ星空なんか見ているんだ?

アイツはどうした?

どこに行った?

イヤ上を向いているから星しか見えないのは当たり前か。

では、なぜ自分は上を向いているんだ?

 

いやそれ以前に……自分はアイツに何をされた?

 

 

目覚めたキャッスルの頭の中を覆うのは、無数の星々ではなく疑問の数々であった。

その疑問の答えはすぐにわかった。感覚がソレを教えてくれた。

 

キャッスルは、謎の違和感を感じた。

何故か額から、熱や痛みを感じたのだ。

手で触れると、額の砲身が破壊されていた。

理性がないキャッスルでもようやく気づいた。

 

自分は、獲物に攻撃され、倒されたのだと。

 

 

「ほ、ほんとにでた……」

 

その獲物認定されてる戸塚は、驚きを口にした。

よく見ると彼はその手に、大砲かライフルに似た大型の武器を両手で構えていた。

 

 

名を、フルボトルバスター。

天才物理学者、桐生戦兎の作品の1つ。ある発明の専用装備として開発された、剣であり銃である大型可変武器だ。

その火力は折り紙付きであり、ハードスマッシュにダメージを与えられるレベルである。

 

『ヴォオオオオオオオ!!!』

 

ここで、キャッスルが起き上がったが、完全に激昂状態のご様子である。

 

ピンポイントで砲身に命中したせいでビームを打てなくされたのもあるが、何より逃げるだけの獲物がまさか反撃してくるとは思わず、痛手を負わされたことが癇に障った。

 

今度こそ仕留めるつもりか、両肩の可動防壁『グランドランパート』を正面にスライドして完全防御形態を取り、そのまま突進してきた。

 

鉄壁の防御力を攻撃に利用すれば、恐ろしい破壊力を生み出すのだ。

 

 

「僕だって……終わらないよ!」

 

意を決した戸塚は、懐から長いアイテムを取り出した。

 

フルフルラビットタンクボトル。

桐生戦兎として葛城巧を超え、破壊の力を正しき力に転用する信念のもと、フルボトルバスターのメインとして開発された特別なボトル。

 

〈フルフルマッチデース!〉

 

フルフルラビットタンクボトルを装填、突進してくるキャッスルにそのまま銃口を向ける。

 

「あっちに、行けぇぇええっ!!」

 

そして引き金を引いて───

 

 

〈フルフルマッチブレイク!〉

「わああああああッッ!?」

 

 

あまりの威力に、遥か後方へと盛大に吹っ飛んでしまった。

 

『ヴオオオオオオッッッ!!??』

 

しかしフルボトルバスターの一撃はキャッスルを確実に捉えた。

相手の防壁を貫通し本体に命中。

キャッスルハードスマッシュは跡形もなく爆散した。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「うう…イタタタ……やっつけたのかな?」

 

一方、吹っ飛んでしまった戸塚は、痛みやふらつきを感じつつもなんとか立ち上がった。

 

コンクリートの建築物ばかりが集中する住宅街に、クッション代わりになるものは何一つ無く、あのままだと大怪我は避けられなかった。

しかし吹っ飛んだ先が寝具専門店なのが幸いした。

 

キャッスルの無差別ビームはその店にも被害が及んだが、それが後をなした。

盛大に開放された入口。

店内に散乱もしくは積み重なった布団や毛布。

いくつもの偶然が彼の生命を守った。

結果、飛ばされた戸塚は布団の山により衝撃が緩和、服がボロボロになったぐらいで本人に大きな怪我は無かった。

 

「良かったぁ〜!僕、生きてる……」

 

「それにしても……凄かったけど、ちょっと怖いかな、コレ……」

 

落ち着きを取り戻した戸塚は、両手に抱えているフルボトルバスターを見て率直な感想を口にした。

 

(ハチマン達にも、こんな武器が渡されてるのかな……?)

 

唯一の武器の特別さに頼もしさを感じた半分、あまりの破壊力に恐ろしさも感じた。

同時に、さっきの怪物といい、この強すぎる武器といい、この会場に安全な場所など何処にもないと、その危険性を充分理解した。

 

「なおさら立ち止まっているわけにはいかない!早くハチマン達を見つけて、皆で帰らないと……!」

 

こんな危ない場所にいつまでも居られない、クラスメイトとの合流を急ぐべく、戸塚は身支度を整えると店を飛び出した。

 

「……ん?何の音だろう、これ?」

 

しかしその直後、何処からか何かの物音が聞こえた。

まさかさっきの怪物が生きていたのか?

キャッスルがいた場所には何も残ってないので、倒したのは確実である。

そう考えてる内に、物音がはっきりと聞こえてるく様になった。

いや、これはむしろ何かが近づいてきてるから音が鮮明になったのだ。

これは真上からだ。そう気づいて上を向いた──

 

 

「───え」

 

───と同時に、彼の意識はブラックアウトした。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

いつの時代、『偶然』こそが何かの発見に繋がるカギである。

 

ニュートンのリンゴの落下しかり。

タレスの琥珀の静電気しかり。

ピタゴラスの金づちの音階しかり。

 

数多くの名だたる偉人たちが物理法則を導き出したのは、一重に偶然との会合がきっかけである。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

私の場合きっかけは、ほんの些細なことでした。

 

ときめきを感じたスマッシュの能力が、少々脳筋レベルなものばかりで期待ハズレと幻滅してその場に座り込んだ時。

 

うっかり私の右手が、その場に散らばっていた二つ目の支給品にちょんと触れた正にその時。

 

直後、脳内に知らない記憶が次々と流れて込んできたのです。

慌てて支給品から手を離すと同時に異変が治まりましたが、これで終わりではありません。

 

今度は左手が異様に疼き出し、手を動かすと溜まっていたエネルギーらしきものを放出、その場に何かを作り出した。

そして、如何にも科学者な風貌のメガネの男が現れました。

 

『あら、ここはドコかしら?ソコのアンタ──』

 

流暢に喋りだしこちらに話しかけたと思ったら、その男もといオカマは直ぐ消滅しました。

 

この時点で私は、眼の前で起きた現象にある程度の仮説を立てました。

とあるアイテムで試した所、仮説通り面白い結果が得られたのです。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「そして私は確証を得て、今度はフルボトルで実証実験を試みました。しかし見た目に反して耐久力どころかスペックは半分程度。今の私で再現可能なのはここまでである。

え〜っと、故に、スマッシュの能力を飛躍的に高める進化の必要あり、と……」

 

とある場所で考察と持論を呟き、

ボトル型のアイテムを片手で回しながら、

もう片方の手でメモ帳に記録を書く、

知的そうな歪んだ目をした眼鏡の少女は誰か?

 

そう、ドロシーである。

 

彼女は現在、学校の屋上のテーブルに腰掛け何かの記録をメモ帳に書き記していた。

 

「しかし問題なのは、どうやって私自身のレベルアップを図るか、ですね~。3日というタイムリミットがある以上は数を熟して成れるという手段は却下。コレはやはり、早くアレを見るのが一番ですね。あぁ〜早く見たいなぁ〜〜」

 

ウットリした顔でいると、ドロシーのいる屋上に空からナニカが舞い降りてきた。

 

「お!お帰りなさ〜い。待ってましたよ。お宝とサンプルの確保、ご苦労さまで〜す」

 

『………』

 

ずんぐりむっくりとした上半身。

丸い物体を装着した翼の形状の両手。

フクロウに似た顔つきのソイツは、

オウルハードスマッシュ。

 

キャッスルと同じ北都三羽ガラスの一人、黄羽が変身するハードスマッシュである。

 

右肩には気絶した戸塚が担がれていて、左手にフルボトルバスター一式を抱えていた。

そう、キャッスルを倒した戸塚が聞いた謎の音の正体は、オウルである。

 

「ほほぉ…これがフルボトル対応の発明品。そして形はアレですが、コレもボトルの一種。よくできてますねぇ。あぁ解体したいですねぇ……。

いや〜しかし、素晴らしいボトルと言いアレといいコチラといい、こんなに速く新しい手掛かりを得て、私は実にラッキーです!」

 

フルボトルバスターとフルフルラビットタンクボトルが手に入り、テンションが爆挙げのドロシー。

 

「休息も目の保養も済んだところで…三体目といきましょう!休んだとはいえ少々これはキツイ行為ですが、自分改造もまた一興。これも全て探求の為と思えば楽なものです!」

 

〈CD!〉

 

ドロシーはボトルを体に挿し込むと、体中にCDをくっつけた真っ黒な怪物、CDロストスマッシュに変身すると、テーブルに置かれた1つのロストフルボトルに右手で触れた。

 

すると、全身のCD部分が一斉に発光、僅か十数秒たつと光が治まった。

 

「ローディング完了、なぁんてね。それでは、いらっしゃいませ~!」

 

左手を何もない所に向けると、手からビームが放たれ、その場にナニカを形成していった。

そしてビームが止むと同時に、ソイツの姿形もはっきりとなった。

 

スラッとした身軽なスタイル。

それでいて全身を覆う分厚い装甲。

2本の刀を両手に構えるソイツは、

スタッグハードスマッシュ。

 

北都三羽ガラスの最後の一人、青羽が変身するハードスマッシュである。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

ではここで解説に入ろう。

何故ドロシーは、ハードスマッシュを召喚、もとい実体化させるという芸当をやってみせたのか?

 

結論を言うと、この現象はドロシーが覚醒させたCDロストスマッシュの新たな能力の1つである。

 

CDロストスマッシュは本来、リズミカルな回避性とディスクの回転を利用した近接攻撃が特徴だった。

 

然し、よくよく思い返してもらいたい。

 

CDロストフルボトル。

内包されし成分はCD。

即ちデータの記憶媒体コンパクトディスク。

 

開花させた新たな力は正に、その概念を表した代物である。

 

それ即ち、物体の『解析』と記憶の『再現』。

 

先ず、右手で物体に触れることで、対象の物体に刻まれた記憶を読み取り、解析した記憶を保存する。

 

そして、読み取った記憶データをエネルギーとして消費することで、記憶そのものを実体化させる。

 

それが生物の場合、自らの指示に従う人形として使役可能である。

 

その再現能力は、ロストフルボトルに刻まれた記憶だけで、スマッシュの実体化・使役をも可能にした。

 

つまり、戸塚が倒したキャッスルや、戸塚を運んできたオウル、そして今ドロシーが実体化させたスタッグは、全員ロストフルボトルから読み取った記憶を元に誕生した、データの塊である。

 

この変化は、ロストフルボトルがブラックロストフルボトルに変わっただけではない。

何をおいてもサンプルデータ命のポリシーと、底なしの探求欲を抱くドロシーが使用したことが、彼女とCDロストフルボトルのシンクロ率を跳ね上げ、スマッシュ自体に予想外の進化をもたらしたのだ。

 

しかし、スマッシュになったばかりのドロシーでは、ロストフルボトルに刻まれた全ての記憶を読み取る事は難しかった。

 

どんな物体にも、干渉、傷、変化など様々な記憶が刻まれている。

 

道端の石ころ1つとっても、それは膨大なものだ。

地層や火山の活動。

大雨や嵐などの天候。

あらゆる外的要因による変化の記憶の数々が刻まれている。

 

長い年月で積み重なった膨大な記憶を読み取っても、人間一人の脳内に収まりきれるはずがない。

確実に脳内がパンクし、脳死してしまう恐れがある。。

 

そういった事情をカバーする為、読み込んだ記憶の保存容量を拡張させる能力も備えているが、ロストフルボトルのデータ全てを収めるには全くの容量不足だった。

 

しかも容量の空きを確保する為に、記憶データを全て実体化のエネルギーに回して空にする必要があると、少し手間がかかる。

 

現状、ボトルから得られたのはハードスマッシュに関する記憶のみ。全体で言うと20%の記憶までだった。

 

ロストスマッシュではなくハードスマッシュばかり実体化していたのは、そういった事情を抱えていたからである。

しかも、単純な命令1つでしか動かない上、再生怪人の如くスペックも半分と、悪の戦闘員レベルではないが、それをとっても脆弱。

 

一から十を知るには、自分の進化が必要不可欠。

それがドロシーの現在の課題であった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

閑話休題。

 

 

「じゃあ、貴方は引き続き万丈龍我の監視に向かって下さい。あ、ついでに他の二人も。何か変わったことがあったらこのドローンを動かして伝えて下さい。後、追加で頼みたいことがあったらこっちからそのドローンを通して指示しますよ」

 

元の姿に戻ったドロシーから指示を受けたオウルは敬礼のポーズをとると、片方の腕についた球体ドローン『フォレストシーカー』の1つを外してドロシーに渡し、万丈龍我一行のいる建物へ向かって飛んで行った。

 

「で、貴方は私と一緒に工房(ラボ)まで着いてきてください!あ、確保したサンプルも支給品も一緒ですよ!フッフフ〜ンフッフフ〜ン♪」

 

ドロシーはフルボトルバスター一式を手に気分良く屋上を後にし、指示を受けたスタッグは戸塚を担ぎ上げ、そのままドロシーの後について行った。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

やってきたのは学校の3階。

美術、音楽、家庭科、電工など、主に技術・感性がテーマの教室が集中していた。

 

廊下をスキップして歩くドロシーが着いた場所は、パソコン室。

扉には『出張版!ドロシー工房』とデカデカと書かれた張り紙が貼られていた。

 

ズラッと部屋いっぱいに並ぶパソコン机。

教師が座るであろう黒板前の机には『初心者でも解るパソコン講座本』等のマニュアルが乱雑に置かれていた。

 

実はこれを全部読んだのは、ドロシー本人。

この部屋を見つけた時、棚にあったマニュアルを読みながら初めて見るパソコンの使い方を学び、ものの一時間で完璧にマスターしたのだ。

 

因みにPC室の隣には化学室があり、まさに自分が求めていたベストマッチなラボです!、とドロシーは大喜びで壁を破壊して近道を作ったのは余談である。

 

その後、休憩もとい様子見で屋上に出たら偶然、民家から出て来る戸塚を発見。

スマッシュの性能評価も兼ねてキャッスルを向かわせたが、戸塚というサンプルと彼の持つフルボトルバスター一式欲しさにオウルを使って拉致に及んだ。

 

「さて、丁度いいサンプルも確保できた、素敵なラボも見つけた、そしてフルボトルの謎が解明出来そうな手掛かりやアイテムも次々と手に入った。幸先がいいですね~ホント!」

 

哀れ戸塚彩加。

せっかく勇気の一歩を踏み出したのに、開始早々マッドサイエンティストに囚われ、人体実験のモルモットにされようとは。

 

「新しい情報の通りなら、あの三人は同じ場所からずっと動いていない。

何処かの建物で休息をとっていますね……なら急ぐ必要は無し。

オウルを監視に向かわせたから、このドローンを通して彼等の動きは丸分かり。

接触の機会はいくらでもあるから今はコッチに集中しましょう。

アナタの素晴らしい可能性や成長ぶりをもっと私に魅せてくださいね、万丈龍我〜!」

 

哀れ万丈龍我。

マッドサイエンティストを始めとしたヤベーイ奴らに狙われる性は相変わらずのようだ。

 

「じゃあパソコンの使い方もマスターしたことだし、時間も有限なことだし、いよいよ本命のアレを観るとしましょう…!」

 

意気揚々のドロシーは2枚目のエニグマの紙から支給品を取り出した。

普通の手袋に見えるそれは超兵器帝具の一つである、神ノ御手パーフェクター。

 

両手に装着すると、続けて最後の紙を取り出した。

 

何故ドロシーは万丈達の現在地から遠く離れた場所に居るのか?

何故ドロシーはわざわざ小一時間もパソコンの使い方を学んでいたのか?

もっと言えば、何故ドロシーは学校に向かおうとしたのか?

 

答えはそう、その手の中にあった。

 

取り出したそれは、一本のメモリ。

ガイアメモリではなく、何処にでもある普通のUSBメモリだが、唯のメモリではない。

 

最後の支給品。

ドロシーが学校を訪れたのは一重にソレの存在が大きかった。

ご丁寧に、『学校のPC室で使用可能です』、とメモまでついていた。

学校までは、オウルロストフルボトルを読み込んで実体化させたオウルに掴まって空を移動して来たわけだが、道中万丈一行を見かけても、迷わずスルーして向かったのだ。

それ程まで重要な代物なのだ。

 

今のドロシーの興味は、高層ビルというドデカいスケールの建造物より、フルボトルという未知の成分が詰まった小さい手の平サイズのアイテムに対して探究心のベクトルが傾いていた。

 

そして件のメモリこそ、その謎を解くヒントが詰まったキーアイテムに他ならないのだ。

 

 

「さぁ、素晴らしい研究を始めましょう!」

 

 

待ってましたとばかりにメモリをPCに挿し込むと、画面にはこう映し出された。

 

 

PROJECT(プロジェクト) BUILD(ビルド)』、と───。

 

 

 

 

 

 

【エリアH−5/学校3F/1日目/早朝】

 

【戸塚彩加@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:軽い傷、気絶中、軽い拘束

[服装]:いつものジャージ姿

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:修学旅行の初日(新幹線に乗る直前)

[装備]:無し。

[道具]:無し。

[思考]

基本:ハチマン達と一緒に脱出する。

1:この武器、ちょっと怖い。

2:何が起きたの……?

[備考]

※特になし。

 

 

【ドロシー@SINoALICE】

[状態]: 正常

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 緑(ゲーム)

[メダル枚数]:2枚(ドロシー、戸塚)

[参戦時期]:少なくとも淘汰編より前。

[装備]:

 CDロストフルボトル@仮面ライダービルド

 神ノ御手パーフェクター@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式✕2

 パンドラパネル(黒)@仮面ライダービルド

 プロジェクト・ビルドのUSBメモリ@仮面ライダービルド

 メモ帳、ボールペン(現地調達)

 戸塚彩加のデイバッグ、ランダム支給品0〜2

 フルボトルバスター@仮面ライダービルド

 フルフルラビットタンクボトル@仮面ライダービルド

[思考]

基本:探求探求!

1:興味のある参加者を見つけたら研究する。

2:フルボトル、最ッ高ノ発明品ダヨ!!!

3:USBの中身を観ましょう!

4:彼女(戸塚)を使って実験を行う。

5:三人(万丈、花村、雪ノ下)はひとまず監視。

6:ビルは後回し!

[備考]

※CDロストフルボトルとのシンクロ率の上昇により、新たな能力を覚醒させました。

①物体の解析

②記憶データの保存

③記憶容量の拡張

④記憶データの実体化と使役

※プロジェクト・ビルドのファイルは閲覧が制限されています。

特定のキーワードを入力すれば、関連するファイルが閲覧可能になります。

あるキーワードを入力すると、全てのファイルが閲覧可能になります。

現在は、ビルドドライバー、フルボトル、トランスチームガンの記録のみ閲覧可能です。

※フルボトルバスターとフルフルラビットタンクボトルで1つの支給品です。

※戸塚を女性だと勘違いしてます。

 

【オウルハードスマッシュ@仮面ライダービルド】

[状態]:CDロストスマッシュの能力で実体化

[思考]

基本:ドロシーの指示に従う。

1:三人(万丈、花村、雪ノ下)の監視に向かう。

2:ドローンを通じてドロシーへ報告を送る。

[備考]

※実体化したスマッシュは意志がありません。

ドロシーの指示のみに従います。

 

【スタッグハードスマッシュ@仮面ライダービルド】

[状態]:CDロストスマッシュの能力で実体化

[思考]

基本:ドロシーの指示に従う。

1:ドロシーを護衛する。

2:戸塚を丁重に運ぶ。

[備考]

※実体化したスマッシュは意志がありません。

ドロシーの指示のみに従います。

 

 

[全体備考]

※キャッスルハードスマッシュの攻撃で、エリアG−5の住宅街の大半が破壊されました。

 



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どうせ運命を外れたのなら

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・書き手枠@チェンソーマン
・花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険
・ストリウス@仮面ライダーセイバー


都心ステージ……その中でも背の高いビルが集まる一角に、全く似つかわしくない怪物が走っていた。

腕は左右二本づつで四本。

胴体は有るが、胸から内臓の様なものが上に向かって無数に伸びており、その上に仮面の様な顔がついている。

 

「デンジー!どこじゃー!どこにいるんじゃー!?早くワシに見つからんか!デンジ―!」

 

口調こそ無駄に古風だが流ちょうな日本語を話し、髪の毛(?)をなびかせながら、何か、否、誰かを探し回っている。

彼女は血の悪魔。またの名をパワー。

支配の悪魔の野望の為にチェンソーの悪魔の心臓を持つ少年、デンジの『大切な者』となるべく彼のバディとなり、支配の悪魔の目論見通りデンジにとってかけがえのない相棒となり、彼の心を折る為に殺されたはずだった。

しかし悪趣味極まるバトルロワイヤルの主催者たちによって復活させられ、こうして参加者として彼女が今まで経験してきたのとはまた別の地獄に放り込まれた。

 

「高貴なるワシをこんなに走り回らせるとは……あのアズとかいう女クソじゃな!

配った道具も半分使い物にならん!」

 

文句を言いつつも、初めてできた人間の友達であるデンジがいるのは、最初に集められたホールでその臭いをかぎ取っているので分かっている。

何故か死んだはずの早川アキの臭いもしたが、気のせいと判断して血の悪魔はあくまでデンジ探しを優先していた。

 

「うーん。どうにも臭いがわかりずらいのお……アズのせいか?」

 

彼女が中々デンジが見つからない事実にちょっと焦り始めたのと、ひときわ高いビルがガラガラと崩れ出したのは同時だった。

 

「なんじゃああアああアアっ!?」

 

まるで映画のワンシーンの様に粉塵を巻き上げながら沈んでいくビルに、悪魔といえど数秒あっけにとられたが、すぐさま生存を優先して回れ右する。

しかし三歩位踏み出したところで、もしあそこにデンジが居たら?

と考えて踵を返して急行した。

 

「デンジーー!無事かーー!?無事なら返事せい!デンジーー!」

 

時折聞こえてくる戦闘の音にも負けない様に血を変形させて作ったメガホンで呼びかけながら瓦礫の山を探る血の悪魔だが、デンジどころか人っ子一人見つからない。

見つけたのは契約した悪魔の力だろうか?緑色の光る糸を編んで作った即席のトランポリンのお陰で地面さんと熱烈にハグする未来を回避した初めて見るデビルハンターだけだ。

口からは血を流しており、回避の過程でガラス片でも浴びてしまったのか、体のあちこちから出血している。

 

「まあこいつでいいか。ウヌ!ワシは高貴なる血の悪魔、パワー!

ウヌはデンジを見とらんか?ワシの人間の友達じゃ!

髪は金色で背はこれくらいじゃ」

 

明らかに人間の恐怖をあおる見た目の化物に見た目の割には普通に質問されたことに驚く男、花京院だがすぐについさっきまで戦っていた敵の追撃が来ることを思い出し、トランポリンに変形させていた自らのスタンドをヒト型に戻しながら空を見上げる。

思った通り仮面ライダーストリウスが自由落下して来ていた。

本の魔人メギドとしての肉体強度に仮面ライダーの鎧まで纏った彼にビル一個分の高さを自由落下するぐらい何の問題もないようだ。

 

「あ?」

 

そんなストリウスの姿を捕らえた血の悪魔は、腕の元に赤い液体を集結させ、シティーハンターのヒロインが振り回しているような形のハンマーを作り出す。

 

 

「邪魔じゃぁああアあ―――っ!」

 

そしてそれを思いきりストリウスに振るった。

コミックだったらスパコーン!とでも擬音を付けれるような見事なフルスイングが炸裂し、更にはその飛んで行った先に無数の赤い槍が出現し、襲い掛かる。

血の悪魔の得意技、サウザンド・テラ・ブラッド・レインである。

綺麗な放物線を強引に中断されたストリウスは土煙をあげて瓦礫の山さんと熱烈にキスする羽目になった。

 

「それでウヌ、デンジを見とらんか?」

 

自分の血で遮られ、半分になった視界で血の悪魔を見ながら花京院は言葉を紡いだ。

 

「見て、いない。

だが私のスタンド能力なら、探せる」

 

「すたんど?その光ってる緑色の悪魔のことか?」

 

「ええ。我が法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)の能力は触腕と触脚を無数に張り巡らせての索敵。

きっとそのデンジを探す役に立つ」

 

そう言われた血の悪魔は少し考える仕草をすると、

 

「前髪、ワシと契約するか?」

 

「契約?」

 

「ウヌを止血して助けてやる。その代わりにデンジを探す手伝いをするんじゃ」

 

「……分かった。契約する!」

 

そう言って花京院が差し出した右手を、血の悪魔上の方についた右手が取る。

すぐさま彼女のパワーで血が止まった花京院は、目元を拭った。

痛みが引いたりはしなかったが、これ以上血が垂れてくることはなく、動く分にも問題が無いように思えた。

 

「よし!それじゃあ早速デンジを探しに行くのじゃ!」

 

「その前に奴を、ストリウスを撒かなければいけません」

 

「ストリウス?ああ!ワシが倒したアイツじゃな!」

 

楽天的に言う血の悪魔をよそに全神経を集中させた。

より細く、細かく、かつてポルナレフの銀の戦車(シルバー・チャリオッツ)と共にジョセフの脳の中に入った時の様に自身のスタンドの触脚を細分化し、周囲に張り巡らす。

 

「左から来る!」

 

「なんじゃと!?」

 

落下地点から不意を突くために大廻していたのか、ストリウスは血の悪魔の横っ腹を貫く様に突っ込んで来た。

どうにかそれぞれ避けたが、ストリウスは右手に持った剣で二人をそれぞれ切りつける。

血の悪魔は精製した武器で防いだが、花京院の胸部に一閃、深々と剣戟が炸裂する。

 

「これは……」

 

「我が法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)は、切り裂かれると狂いもだえるのだ!喜びでな!」

 

それは本来の歴史において、彼が死んだ少し後の事。

ジョセフ・ジョースターが自身のスタンド、隠者の紫(ハーミット・パープル)に波紋を高圧電流の様に流したのを体に巻き付けた様に、強靭なワイヤーの様に編み上げたハイエロファントの触脚が花京院の胴体を守っていたのだ。

そしてストリウスが今しがた作った服の隙間から無数のエメラルドスプラッシュがインク憑けにして張り付けた本の様な仮面に向けて放たれる。

溜まらずのけぞったストリウスに、無数の血の武器が襲い掛かる。

 

「ガハハハハッ!ストリウスはザコ!ストリウスはザコ!このパワー様が最強じゃ!」

 

そう言って胸(?)を張る血の悪魔。

しかしその胸に風穴があいたのはすぐのことだった。

 

「は?」

 

おびただしい血を流して倒れる彼女を横目に、花京院は遮二無二飛びのくと、彼がさっきまでいた所に、黒い斬撃が飛んでくる。

 

「希望なぞ、所詮絶望の前座……あなたたちはここで終わる。

見苦しい抵抗は、終節を汚しますよ?」

 

ジリジリと花京院に迫るストリウス。

彼は恐怖を楽しむように笑いながら剣先を向けている。

対する花京院は、口を一文字に結び、ただ真っ直ぐストリウスを見据えている。

傍らに立つハイエロファントはその両手の平にエネルギーを集約させ、いつでもエメラルドスプラッシュを撃てるように構えている。

そして血の悪魔は

 

(ワシは、死ぬのか?嫌じゃ……)

 

ただ死ぬのは、まだいい。

どうせデンジを助けて死んだはずの命だ。

けどこうして、本来死ぬ度に現世と地獄を行き来し、その度に記憶を失うはずの悪魔の身でありながらデンジの相棒、早川家の一員『パワー』の記憶を持って蘇った以上、もう一度デンジに会いたい。

 

(魔人になれればどうにか延命できるか?

でもあの死体は病気の死体じゃ。

しかも血どころか血を作っている内臓まで駄目になっておる。

食い物にもならん。

奪ったところで動けるとは……ん?)

 

刻一刻と花京院の命と、自分の命にタイムリミットが迫る中、彼女の視界にボロボロのデイパックが映った。

花京院がストリウスに襲撃された際にどこかに行ってしまったはずの彼の支給品だ。

その中から、落下の際にエニグマの紙が開いてしまったのか、パワーが今まさに求めてる物がはみ出ていた。

 

(アレじゃ!)

 

パワーはギリギリだったが力を振り絞り、細い血のフック付きロープを作ると、自身の支給品と、目的のアレをデイパックごと同時に手繰り寄せ、即座にエニグマの紙を開いて取り出した。

そしてそんな間に花京院は本日何度目かに絶身体絶命であった。

アズに拉致される、ストリウスの強襲を受ける、応戦した廃位が圧倒的な戦闘能力の差に抵抗らしい抵抗は出来ずに怪我ばかりが増える、ようやく見方を得たと思ったら逃げることもままならない。

しかしそんな踏んだり蹴ったりの後だというのに彼の心は風のない日の海の様に穏やかであった。

仮面越しにも不敵な笑みを浮かべているストリウスに対して、素顔にも関わらず仮面越しかのように表情が動かない。

ストリウスの剣と、花京院のエメラルドスプラッシュが今同時に放たれようとした瞬間、二人の間に躍り出た四本の赤い角が生えた少女が躍り出た。

 

「おおオオおらぁああああアアあッ!」

 

彼女の繰り出した拳、ただの拳ではない。硬化させた血をナックルダスターの様にしてまとった、を受けたストリウスは、どうゆ訳か直角に曲がって上に吹き飛ぶ。

かつて『パワー』が血を飲み過ぎた時に見せた普通の魔人の時では使えない力だ。

 

「前髪!」

 

「ッ!」

 

謎の少女の自分の呼び方に姿を変えた血の悪魔だと確信した花京院は逃走の為に潜ませていた触脚を集めてストリウスの足首を掴むと、ありったけのパワーでもって振り子の要領で投げ飛ばした。

 

「逃げましょう!」

 

「ウム!デンジを探すのにイチイチ相手にしてられんわ!前髪!」

 

血の悪魔、いや、もう魔人パワーとなった彼女は片手に持っていたボロボロのデイパックを投げ渡すと走り出す。

しかし患者服は走りにくいのか思い切り前をはだけさせながらだったので、花京院は彼女の前を閉めてやると、背中に乗せて、某アメリカンコミックの放射性の蜘蛛に噛まれた高校生ヒーローの様にハイエロファントの触腕でスイングしながら移動した。

 

「おお!やるな前髪!褒めてつかわすぞ!」

 

と、パワーは紺野木綿季の顔で言った。

既に死んだ彼女の身体はどういった経緯かアズたちに回収されており、パワーに支給されていた。

しかし彼女の死因はHIVと、それに起因する数々の病。

とてもではないが血を操る悪魔であるパワーが乗っ取ったところでどうしようもないレベルで動くことに適さない身体であったが、それを花京院に支給された聖なる遺体の脊椎部を使う事で補っていた。

実際は偶々見つけただけだが

 

「そうじゃ!体が駄目なら別の身体をくっ付けておぎなえばいいんじゃ!

ハハハ!やっぱりワシは天才じゃ!」

 

と内心盛大に自画自賛したパワーで有った。

そして聖なる遺体の力で肉体の不浄を討ち消し、残った悪い血はパワー個人の力で追い出し、悪魔の身体の血と交換することで、デンジたち公安特異4課の面々が知っているくらいの戦闘能力を発揮できるほどになっていた。

脊椎部に比べて重要度の低い左腕部ですら、他者を感染させて恐竜に変化させるスタンド、スケアリー・モンスターズの影響をほとんど無力化出来ていたほど、聖なる遺体の秘める神秘は凄まじい。

あのヴァレンタイン大統領が、最悪この部位以外の部位は全て後回しにしてもいいとまで言った延髄部ともなれば、神と見紛う奇蹟が実現するのも納得できる。

 

「……契約しておきながら自己紹介がまだでしたね、僕は花京院典明」

 

「ワシの名はパワーじゃ。

にしてもノリアキかぁ、じゃあ前髪で十分じゃ」

 

「理由を聞いても?」

 

「ワシにとって、アキはあいつだけだからじゃ!」

 

そう言ったパワーをふり返って見ることは叶わなかった花京院だったが、その口ぶりと声から旅の仲間を思い出して同じように笑いながら

 

「それは仕方ないですね」

 

と、穏やかに返した。

 

 

【エリアG-1/ビル街/1日目/深夜】

 

【花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:正常、ダメージ(中、止血済み)、血の悪魔と契約

[服装]:いつもの制服

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(花京院)

[参戦時期]:ゲブ神に目を攻撃された直後

[装備]:なし

[道具]:ボロボロのデイパック

[思考]

基本:アズやそれ以外にもいるであろう主催者たちを倒す

1:ストリウスから逃げる。

2:パワーと共に、G-1を離脱する。

3:その後、手当てをしてチャットで相手と連絡を取る。

4:落ち着ける場所でデバイスを確認する。

5:情報を整理し、当面の方針を定める。

  最優先はデンジと契約。

[備考]

※目はその周りの傷も含めてあと一つなく治されています。

※アズたちを普通ではないスタンド使いの集団だと思っています。

※まだ名簿を見てません。

※ 手鏡@ソードアート・オンラインは壊れました。

※花京院のデイパックはボロボロになっています。

基本支給品一式(デバイスにはチャットアプリ@ロワオリジナル)が無事かどうかはあとの書き手に任せます。

※チャットアプリに、以下の文言でチャットを送りました。

『僕の名前は花京院典明、今はG-1エリアにいる。もしも良ければ君の名前と場所、そして君のスタンドを教えてはくれないだろうか?』

※血の悪魔と『止血してもらう代わりにデンジを探すのに協力する』契約を結びました。

血の悪魔は魔人化して新たに契約できなくなりましたが、悪魔の時にした契約が完了していない為、継続します。

 

【血の悪魔@チェンソーマン】

[状態]:魔人化、花京院と契約

[服装]:患者服

[所属陣営]:青(漫画作品)

[メダル枚数]:1枚(血の悪魔)

[参戦時期]:死亡後

[装備]:紺野木綿季の死体@ソードアート・オンライン

    聖なる遺体(延髄部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

[道具]:基本支給品一式

   ランダム支給品0~2(確認済み、彼女から見れば役には立たない)

[思考]

基本:なんで蘇れたかは知らないが、『パワーの記憶』を持って蘇った以上デンジを探す。

1:あの黒いの(ストリウス)から逃げる。あんなのイチイチ相手にしておれんわ!

2:契約した前髪(花京院)をこき使う。『ノリアキ』なんて呼んでやらん!

3:この死体、病気だった様じゃな。もっと駄目になった部分を取り替えたい

[備考]

※紺野木綿季の死体@ソードアート・オンラインを乗っ取り魔人になりました。

 HIVやそれに伴う病気などは聖なる遺体の奇蹟のパワーで無害化しています。

※花京院典明と『止血してやる代わりにデンジを探すのに協力してもらう』契約を結びました。

本来魔人は契約できませんが、悪魔の時にした契約が完了していない為、継続します。

※花京院をデビルハンターと勘違いしています。

 

[全体備考]

ビルの倒壊による破壊音が周囲1エリアに響きました。また、花京院、ストリウスが最初に転送されたビルがG-1内で最も高いビルとします。

 

 

 

 

 

「全く、ここには本当にシナリオにないことばかり起きる場所ですね」

 

獲物を逃がした割にストリウスは嬉しそうだった。

メギドとは違う人間の死体を乗っ取る怪人に、怪人に前髪と呼ばれていた聖剣の剣士たちには及ばないものの全く未知の神秘の存在を使役する力を持った者。

探せば探すだけ、かつて自分が屈した運命を嘲笑う物証が次々出てくる。

これを愉快と呼ばずしてなんと呼ぼうか。

 

「あらゆる運命を掌に載せてこねくり回して弄ぶ。

全知全能の書の記述すら覆した貴女らしい所業です」

 

アズを称賛しながらも、この戦闘を経てストリウスは幾分か遠足の時の様な浮ついた気持ちをおさえれていた。

圧倒的実力と能力を持つストリウスからまんまと逃げおおせるぐらいの力を持った者たちが入りという事、そして各陣営に最低一人はストリウスとほぼ同格の能力の持ち主がいるのでhないかという考えに至ったからである。

仮にもアズはこのバトルロワイヤルを陣営同士の団体戦にしている。

 

 

「私の英雄の持ち物を勝手に使うのは少々気が引けますが、面倒ごとはさっさとかたずけるに限ります」

 

そう言ってストリウスはグリモワールワンダーライドブックの力で支給されたもう一冊のワンダーライドブックを本来の手順を無視して起動させる。

 

<ディアゴスピーディー!>

 

起動と同時に出現した真紅のバイクにまたがると、ストリウスは花京院たちが飛び去って行った方向に発車した。

 

 

【ストリウス@仮面ライダーセイバー】

[状態]:正常、仮面ライダーストリウスに変身中。

    ディアゴスピーディーに乗車

[服装]:いつもの制服

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(ストリウス)

[参戦時期]:本編第43話~第46話のどこか。

[装備]:グリモワールワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

    ドゥームズドライバーバックル@仮面ライダーセイバー

    ディアゴスピーディーワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式

   ランダム支給品×0~1(確認済み)

[思考]

基本:自らの陣営を勝利させ、全知全能の書を破壊。その上で世界に終末を。

1:花京院とパワー(名前を知らない)を追いかけて殺す。

  だが最優先ではない。

2:他陣営の参加者を見つけ次第殺害する。

3:他陣営の自分と同格の存在は警戒する。



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不信/腐心/不振

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・ユウキ@ソードアート・オンライン
・阿良々木暦@化物語
・書き手枠@デュラララ‼


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愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

 

 

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彼女はアズを名乗る謎の女が主催したバトルロワイヤルに巻き込まれてしまった時点で、十分被害者と言えるだろう。

これは戦争などとは邪悪さ、残虐さのベクトルが全く違うバトルロワイヤル。

一人一人に待ち受ける運命全てが凄惨な地獄で、もう全体の一割に相当する人数が命を落とした。

首のない人外を愛した彼も、たまたま大好きになった少年と違う存在に生まれてしまったポエマー少女も、ちょっと特別な眼を持ってしまった少女も、どこかの世界で王様になっていたかもしれない仮面ライダーも、皆穏やかな最期ではなかっただろう。

中には死後もその肉体を使役され、弄ばれる者もいるぐらいだ。

では、生きている間もその体を弄ばれる者は、前者に比べてどれぐらい不幸なのだろう?

 

(愛愛愛愛しましょう愛愛愛迅愛しましょう愛愛愛愛しましょう)

 

違和感。

ずっと彼女に付き纏う鎧は、彼女自身が自分と外の世界を隔てようと、容赦なく影響してくる。

でもこれはいつもと少し違う。

なにか、何時もとは違う不穏さが混じっていた

 

(愛愛滅愛して愛愛愛愛愛して愛愛迅愛して愛愛愛愛して)

 

肉体を突き動かす感覚はいつも通りだ。

額縁の向こう側から感じるとてつもなく大きな感情。

多き災害なにも……?なんだ、本当におかしい。

大きさ以外なにか、嫌、何かが決定的に違う。

 

(愛愛滅却して愛愛愛愛して愛愛迅愛して亡愛愛愛して)

 

肉体が勝手に動き出す。

 

(どうして?)

 

目の前に強者はいない。

なのに彼女は、園原杏里は止まらない。

デイパックの中から取り出したエニグマの紙を開き、そこから出て来た蛍光イエローと黒の機械と、不吉としか言いようのないオーラを纏ったデータキーが出てくる。

彼女の腕は迷いなくキーを拾い上げ、そのスタータースイッチを押す。

 

<アークスコーピオン!>

 

愛とは最も歪んだ呪いだとは、いったい誰の言葉だっただろうが?

もしその誰かの言い分が正しければ、愛とは、悪意。

害意も敵意も超越して無垢なまでに愛したものも、愛していないものも傷付けうる。

そして悪意は、その者の害意、敵意の有無なしに眼に映る全てを壊すこともある。

そしてテクノロジーが先細り切った世界、ついに人類が仮面ライダーやレイダーといった一段上のステージに到達した世界で純正培養された『悪意』そのものは、人間の常識の外にある妖刀にすら食指を伸ばし、根を張った。

いかに使い手の園原杏里が(良し悪しはさておき)強靭な精神を持ち合わせていようと、関係ない。

手にしたデータキーが、アークスコーピオンプログライズキーに、足元に落ちていた飛電ゼロワンドライバーが真紅に染まり、認証装置周りに黒鉄色のプレートと、黄、白、の金属糸の意匠が加わり、絶滅ドライバーへと変わる。

一度坂道を転がり出した物は、簡単には止まらない。

 

 

 

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愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖失無破

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛呪悪闇諍醜魔戦憎滅争拷虚壊戒呪悪闇諍

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛醜魔亡恐怖失無争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖失無破

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛醜魔雷失破邪無絶

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛憤怒殺闘争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐愛失無破殺恨邪絶戦憎

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛触れてしまったのは、蝕む悪意。愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛愛

 

 

 

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「気絶しているアンタに乱暴しようとした男が戻って来るわ。アララギ・コヨミって男よ」

 

ケットシーの魔法使いの女の子はなんてことも無いようにそう言った。

首輪の色は瞳の色と同じ緑。

対する自分は赤。

そう言えば、名簿に緑陣営の所に自分と同じユウキという名前があったことを思い出した。

対して自分の名前は赤陣営のどこにも見当たらない。

首輪とメダルの色が間違っているのか、それとも名簿が間違っているのか。

まだ分からないから味方陣営だからとか、そいうのは考えないことにして、目の前の少女の事をどこまで信用した物だろうか?

そもそも自分に、その、乱暴しようとした男が本当にいるかどうかも怪しい。

 

「……ボクはユウキ。

助けてくれたことには感謝するけど、君が本当にキャルだって言うならメダルを見せてよ。

確かあれって名前が刻まれてるよね?」

 

もしこのバトルロワイヤルに、障害最大の友となったアスナも巻き込まれていたのなら、最初から公開されている名簿に彼女の名前があったなら、ユウキはここまで冷静ではなかったかもしれない。

勿論、現在最優先で合流を目指すキリトの事を何とも思っていない訳ではない。

彼女はキリトをこの殺し合いに招かれた他の誰よりも信頼していると言っても過言ではない。

しかし、アスナの存在はそれ以上というだけの話だ。

閑話休題。

キャルはユウキの疑り深さに一瞬だけ眉をひそめ、次いで上の階に向かう階段と、羽の力を失い落下した時に見たような気がする犬のぬいぐるみを一瞥し、

 

「いいわ。すぐ返してよ」

 

緑色のメダルが投げ渡された。

首輪の色とも同じだし、名前に嘘はないかもしれない。

 

「うん。確かに君はキャルだ」

 

そう言ってユウキはメダルを投げ返した。

 

「信じてくれてうれしいわ。さ、それが分かったら移動しましょう。

見張りのこいつは私の力でどうとでもできるから」

 

つまりさっき犬、ヘカトンケイルに手をかざしていたのは、何らかの魔法かスキルで干渉していたようだ。

 

(単純にデバフをかけたのか、それとも操ってるのか、どっちかで判断できるかな)

 

前者なら本当に助けに来てくれたのかもしれない。

だが後者なら、出来る暗躍の幅が前者の比ではない。

原則有罪、とは思いたくないがあのアズの性格がどのぐらい悪くて、どういった趣向を凝らしているか分からない以上、警戒を解くわけにはいかない。

そう思っていたお陰だろう。

ユウキは窓の外からこちらの急所を寸分たがわず狙って殺到したワイヤー状のなにか、デストアナライズを避けることが出来た。

 

「な!?」

 

「キャル!逃げて!」

 

避けてもなお追尾してくるデストアナライズを捌きながらユウキは叫んだ。

キャルは素直に後退しながら、窓の外、攻撃の発生源の方にサンダーボールを放つ。

拡散型の攻撃だったため、壁諸共になってしまったが、姿が見えない敵相手だったし、これぐらい大雑把でも仕方なかっただろう。

見るとヘカトンケイルも自分に従う様についてきている。

 

「アララギを連れて逃げて、頃合いを見て殺しなさい。

それまでは味方のふり。いいわね?」

 

ユウキに聞こえない様に小声、早口で伝えて、キャルは敵の姿を探した。

 

「キャル、気を付けて」

 

「ええ。まだ出てこない」

 

「それもあるけど、あれ」

 

近寄ってきたユウキがさっきまで自分が戦っていた辺りを指さす。

床の一部が、明らかに物理破壊とは違う酸で溶かされたようになって白い煙をあげている箇所があった。

 

「あれって毒?」

 

「さあ?でも絡め手も強力みたいだし、油断しないで行こう」

 

煙が晴れると、そこに立っていたのは、赤い眼鏡に黒い短い髪、学生服の少女だ。

彼女自身はどう見ても普通の少女、多分キャルやユウキとそんなに年齢は変わらないぐらいだろう。

だが、彼女が手に持つ日本刀からは、むせかえるような負のオーラが噴き出ている。

 

「何あれ……」

 

「掠っただけで駄目そうだね」

 

ユウキがそう言ったのと、妖刀の少女、園原杏里が斬り込んで来たのは同時だった。

殺意はない。敵意もない。

ただそこに目の前の強者を斬るという明確な意志だけがあった。

 

 

 

─────────────────────────────────────

 

 

 

悪闇諍醜魔亡恐怖失無破殺恨邪絶愛憎滅争怨念屠滅害騙弄獄憤怒殺闘争拷虚壊戒呪

弄獄憤怒殺闘争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖失無破殺恨邪絶戦憎滅争怨念屠愛害騙

殺恨邪絶戦憎滅愛怨念屠滅害騙弄獄憤怒殺闘争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖失無破

憤怒殺闘争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐愛失無破殺恨邪絶戦憎滅争怨念屠滅害騙弄獄

恨邪絶戦憎滅争怨念屠滅害騙弄獄憤怒殺闘争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖失無破殺

憎滅争怨念屠滅害騙弄獄憤怒殺闘争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖失無破殺恨邪絶戦

煉滅殲獄塵殲芥人類は滅ぼす。全てはアークの意志のままに。暗殺亡雷贄不負破惨

拷虚壊戒呪争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖失無破殺恨邪絶戦憎滅争怨念屠滅害騙愛

怖失無破殺恨邪絶戦憎滅争怨念屠滅害騙拷虚壊戒呪争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖

亡恐怖失堕無破殺恨迅邪絶戦暗憎滅争怨念屠滅害騙愛殺恨邪絶戦憎滅愛怨念屠滅害

獄憤怒殺闘争拷虚壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖失無破弄獄憤愛壊戒呪悪闇諍醜魔亡恐怖

闇諍醜魔亡恐怖失無破殺恨邪絶戦憎滅争怨念屠愛害騙愛弄獄憤怒殺闘争拷虚壊戒呪

呪悪闇諍醜魔亡恐怖失無破殺恨邪愛戦憎滅争怨念屠滅害騙弄獄憤怒殺闘争拷虚壊戒

 

 

 

─────────────────────────────────────

 

 

 

破壊音。続いて剣戟の音と何かが爆発する音。

二階の洗面所にタオルと冷水と洗面器とを取りに行っている間に、どうやら一回は地獄の一丁目と化してしまったようだ。

大急ぎでこっちにやってきたヘカトンケイルは僕が何か言う間も無く巨大化すると僕の首根っこを引っ掴んで窓をぶち破って外に出た。

キャルと妖精の少女の行方を確かめようと首をあげると、さっきの爆発で破壊されたのか、大穴が開いた壁から2人がまるで生き物化のように動くワイヤーから逃げながら飛び出て来た。

 

「ヘカトンケイル!僕はいい!二人に加勢を!」

 

最悪僕は多少の擦り傷程度ならどうとでもなる。

しかしヘカトンケイルは僕を無視して走り続けた。

てっきり僕に完全に従順だと思っていたこいつの僕の身を案じたかのような反発に、不信を抱けなかった。

僕はそれを、後悔することとなる。

 

 

【エリアI-5/エリア北側のどこか/1日目/黎明】

 

【コロ(ヘカトンケイル)@アカメが斬る!】

[状態]:ビッグサイズ、空腹?、キャルのパワーによる影響(?)

   阿良々木暦を抱えて移動中

[参戦時期]:不明。

[思考]

基本:キュ〜〜ン。

1:キュ〜ン、キュキュキュ〜。

2:キュ〜〜〜ウ〜〜〜……(ジュルリ)。

3:キュ?キュキュ〜〜ウ、キュ〜。

[備考]

※体内に武器が入っているかどうかは不明。後の書き手にお任せします。

※覇瞳皇帝のプリンセスナイトのパワーを受け、阿良々木を頃合いを見て殺すよう命令されました。

 本当に実行するかどうかは後の書き手に任せます。

 

【阿良々木暦@化物語】

[状態]:健康

[服装]:私立直江津高校の制服

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(阿良々木暦)

[参戦時期]:不明。後の書き手にお任せします。

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2

[思考]

基本: 殺し合いなんてクソ喰らえ。

1:戦場ヶ原たちと合流する。

2:どうしてヘカトンケイルが言う事を聞かないんだ?

  加勢すれば不利とも思えないが……

3:そう言えば飛電さんと全然ちゃんと話せなかったな。

[備考]

※不死身かどうかは後の書き手にお任せします。

 

 

 

─────────────────────────────────────

 

 

 

罪歌とランペントタイトが火花を散らす。

歴代の罪歌の使い手たちの戦闘技能に加え、アークの超分析力まで加わった園原杏里は間違いなくプレイヤースキルのみなら上積みも上積みだろう。

しかし相対するのはあの黒の英雄キリトに二度も土を付けた絶剣のユウキ。

バックアップするのは美食殿の無茶苦茶な食道楽に付き合わされて魔術師として大いに成長しているキャル。

即席コンビの割にはいい連帯ができていた。

対する杏里は攻めあぐねていた。

単純なパワー比べなら、細剣使い片手持ちのユウキに負けない。

だが、キャルから飛んでくるデバフと妨害の雨が面倒くさくて仕方がない。

ライダーでの適切な戦い方と、自分の戦闘スタイルの界離を気にして変身を解除してしまった今、再変身で隙を晒すのは得策とは言えない。

 

杏里は屋根まで飛び上がると、足元に斬撃を与えながら走り、崩壊した屋根が巻き上げる砂塵を目眩しに撤退した。

作った隙の間に変身することも出来たが、キャルに感じた悪意をもとに下した結論から手を出す必要性を感じなかったからだ。

 

 

 

【エリアI-5/エリア北側のどこか/1日目/黎明】

 

【園原杏里@デュラララ‼】

[状態]:アークの意志が浸食(大)、疲労(中)

[服装]:制服

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(園原杏里)

[参戦時期]:不明、後の書き手に任せます

[装備]:罪歌@デュラララ‼

    絶滅ドライバー@仮面ライダーゼロワン

    アークスコーピオンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン  

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本: 全ての人々を(あい)]する

1:強者を斬る

2:弱者も斬る

3:仮面ライダーには仮面ライダーの力で対抗する。

4:あの女(キャル)の悪意から至る結論から考えるに、態々手を出す理由もない。

[備考]

※罪歌@デュラララ‼を没収されなかった代わりにランダム支給品を二つしか支給されていません。

※アークのプログライズキーと、飛電ゼロワンドライバーはアークスコーピオンプログライズキーと絶滅ドライバーに変質しました。

 

 

 

─────────────────────────────────────

 

 

 

「逃げた?」

 

「みたいだね」

 

砂塵が治ってから数秒間、構えを解かなかった2人だが、気配がないのを確信して構えを解いた。

遠距離攻撃の心配は最初の襲撃の時にワイヤーで派手にやってきたのしか無いだろうからしなくていい。

もっと静かな手段があればそれを使っていただろうからだ。

 

「阿良々木暦って人はさっきのワンちゃんが連れて逃げた感じかな。とび出てくの見えたし」

 

「私たちも移動しましょう。

いつまでもここにいて、この破壊全部私らのせいにされても嫌だし」

 

「そうだね。君にはまだ聞きたいこともあるし」

 

何より人殺しにさせる訳にはいかないし。

と、内心で付け足しユウキはランペントライトをいつでも抜ける様に納刀した。

 

 

 

【エリアI-5/エリア北側のどこか/1日目/黎明】

 

【キャル@プリンセスコネクト!Re:Dive】

[状態]:正常、疲労(中)

[服装]:いつもの服

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(キャル)

[参戦時期]:少なくとも第一部でペコリーヌを捕らえる前。

      詳細は後の書き手に任せます。

[装備]:キャルの杖@プリンセスコネクト!Re:Dive

[道具]:基本支給品一式

    次元方陣シャンバラ@アカメが斬る!

    保健室の鍵@ロワオリジナル

    飛電或人のランダム支給品×1

[思考]

基本:この殺し合いに乗じて美食殿を抹殺する。

1:美食殿の連中を探す。

2:怪我をしたらさっさとシャンバラで保健室に戻る。

3:力を見られてしまった以上、ユウキは最大限利用する。

  とばっちりで悪いが、念には念を入れてコヨミにはヘカトンケイルに殺されてもらう。

4:あの刀使いは……まあ、精々他の連中を間引いてもらいましょう。

[備考]

※名簿を確認していません。

※プリンセスナイトの力が危険種やミラーモンスターなどに通用するかは不明です。

仮に出来てもすでに契約がすでに結ばれている場合はほぼ不可能と思われます。

※オープニングにて、ペコリーヌ、コッコロ、主人公(プリコネR)の姿を確認しています。

※アカメが斬る!からの参加者の特徴を把握しました。

 

【ユウキ@ソードアート・オンライン】

[状態]:正常、頭に軽い怪我、疲労(中)

[服装]:ALOの装備

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(ユウキ)

[参戦時期]:原作死亡後

[装備]:ランベントライト@ソードアート・オンライン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2

[思考]

基本:この殺し合いを終わらせる。

1:ボク、どうして生き返っているんだろう……?

2:キリトと合流する。

3:対主催の参加者とパーティを組む。

4:キャルは暫く監視もかねて同行する。

[備考]

※妖精の羽の展開時間は最大20分間となっています。再展開には、2時間のインターバルが必要となっています。



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譲れぬ思い、虚無と成り

作者
・ユッケジャン

登場キャラ
・桐山和雄@バトル・ロワイアル
・ウェイブ@アカメが斬る!
・土方歳三@龍が如く維新!
・ユウキ@プリンセスコネクト!Re:DIVE


「――──おおおおおおおッ!!」

 

咆哮が轟き、何度目か知れぬ剣戟の幕が再び上がる。

金属音を奏でるは、属する世界にて最高峰に位置する宝剣二対。

神創兵器エクスカリバーに比肩する湖の騎士が魔剣、無毀なる湖光(アロンダイト)

あらゆる聖剣を虚無に帰す孤高にして禁忌の聖剣、無銘剣虚無。

凡百の刀剣ならば、数合保たずして使い手諸共残骸が転がる事必至。

それ程までに両者の握る剣は、武具として絶対的な格を併せ持っていた。

得物の質は互角。であるならば、勝敗を分けるのは担い手の力量差。

 

草土が舞い、火花が散る。剣刃は哭き、騎士が踊る。

絶え間なく衝突で鳴り響く音は、遂に機関銃の掃射にも勝る密度まで高まった。

刹那の内に繰り広げられる超人二名の熾烈な乱舞。常人には到達は愚か、認識がやっと。

しかし、一見互角に見える立ち合いは、その実半ば一方的な形で進行していた。

 

攻め手は帝国最強により組織された特殊警察イェーガーズが一人、ウェイブ。

荒れ狂う荒波の如き怒涛の乱撃で、挑みかかって来た襲撃者を追い詰める。

一方で、防戦を強いられているのは城岩中最凶の殺戮マシーン、桐山和雄。

先の殺し合いで猛威を振るった箍の外れた強さは鳴りを潜め、只々防御に徹するのみ。

攻撃の対応に手一杯、現在に至るまで碌な傷一つ与えられていない。

 

ウェイブの優勢は火を見るよりも明らか。終幕の時は間もなく訪れる。

もし観客がいたならば、誰もがそう錯覚するだろうワンサイドゲーム。

だが、ウェイブは決してそうは思っていない。

この闘いはまだ続く。当事者たる彼だけは現状とまるで正反対の感想を抱いていた。

 

(負けるビジョンは見えねぇ。舐めてるつもりは無いが、この程度なら充分対応できる。

 だが──今すぐ勝てるビジョンも全く見えて来ねぇ。)

 

流れは紛れもなく自分が握っている、はずだ。

敵からの有効打は全く喰らっていない上、此方は既に十数発は叩き込んでいる。

敵は弱くはない。

身に着けている装着型帝具も相まって、身体能力は常人の域を優に超えているだろう。

だだ、ハッキリ言って敵の実力は拍子抜けだった。

ゲーム開始早々襲撃を仕掛ける以上、実力に覚えありの強者を想定していた身としては。

実力はイェーガーズの同僚達は勿論の事、宿敵ナイトレイド達にも遠く及ばない。

 

最初は此方の実力を測る為に手を抜いてると推察した。

或いは、攻撃を耐えきった上でのカウンター狙いなのかとも。

だが様子見や迎撃を目的とするには、余りにも攻撃を受け過ぎている。

この防戦一方な展開は演技等ではなく、実力差による結果と捉えるのが妥当。

レイドライザーの身体能力強化に、無毀なる湖光の武器としての純粋な強さ。

両者が揃った上での猛攻。

普通なら暫くまともに戦う事など叶わないレベルの損傷を受けている筈。

これが例え防御力に優れたグランシャリオであっても、満足な経戦は厳しいだろう。

だとすれば何故、自分は今もまだ敵との競り合いに興じているのか。

 

(あの帝具使いの耐久力は明らかにイカれてやがる。いったいどんな絡繰りあるんだ?)

 

温い攻めをしているつもりは無い。一刻を争う状況ではなおの事。

参加者の殺害は殺し合いを企んだ連中の思惑に乗る事に繋がる為。

制圧が最優先で殺しこそしないが、乗り気の悪党に容赦など皆無だ。

というか、手抜きや加減が出来るタイプではないと我ながら自覚している。

 

なのにだ。敵は何事もなかったかのように闘い続けている。

それどころか自身の剣技に応対する所か徐々に被弾が少なくなっている。

一定以上の能力があれば、動きを見切られ始めるのは当然。

ウェイブもそれは納得出来る。故に、速攻で決着をつけるべしと猛攻を仕掛けたのだが。

どれだけ会心の一撃を叩き込もうと、まるで堪えた様子がない。

一向に終わりの見えない戦いに、彼の中で焦燥感が積もり始める。

如何にして敵は此方の猛攻を凌いでいる。

純粋な防御力。衝撃吸収。攻撃の無効化。どれもありえる様に思えるが、確信には至らない。

 

(それに…コイツが異常なのは倒れないってだけじゃない。

 なんなんだ、この気持ち悪ぃ感覚は…?)

 

ウェイブが感じた違和感はそれだけではなかった。

襲撃者と相対してから絶えず続く謎の感覚が、彼の調子を狂わせる。

此方の原因は何となく察しが付いている。それは"響かなさ"だ。

剣と剣を交えればどんな相手でも気持ちが通じ合う。なんて、クサい台詞を吐くつもりは毛頭ない。

それでも最低限、相手の性格や心情を推し測る位は出来る。

善人だろうと悪党だろうと、思いを全く乗せずに闘える戦士などそうはいない。

だが、この帝具使いの剣から何も伝わらない。何も見えて来ない。

まるで心の宿らない人形か、若しくは死体と闘っている様な気分にさせられる。

 

(死体…。まさか八房の骸人形って訳じゃ…いや、それは流石にねぇか。)

 

思い浮かべたのはクロメが持つ帝具 死者行軍八房。

殺害した相手を力量そのままに、骸人形として使役する妖刀。

痛みを恐れず、恐怖に怯まず、その身が朽ち果てるまで闘い続ける最恐の兵士。

対峙する男は正にそれに似ていた。あらゆる感情を排された争いに特化した戦闘兵器。

 

しかし、ウェイブは浮かんだ考えを即座に否定する。

彼には意思がある。口数は無いに等しいが、最初に襲われた時に喋ったのを確認済み。

死人に口無し。同僚のランの様に、生前の癖や強い念を元に勝手に動く事はあっても喋りはしない。

何より彼は成長を見せている。

戦闘スキルの向上は、時間の止まった死者には無い生者にのみ与えられた特権。

 

(クソッ!だったら猶更意味が分からねぇ!俺は一体何と闘ってるんだ!?)

 

敵の底知れなさに気圧されている自分がいる。

焦りと不快感が空回りし、展開されるは瞬殺とは程遠い泥試合。

これでは駄目だ。

臆して闘いを長引かせた時間だけ、彼女との距離が遠のいていく。

ただでさえ帝国よりも死が身近な世界。アカメのみならず、彼女の敵は少なくない。

こうして足踏みしている内に、クロメは自ら破滅へと近づく。

それでいいのか。このままで本当にいいのか、ウェイブ。

惚れた女の元に駆け付けず、ちゃちな悪党一人に翻弄される事が、海の漢のやるべき事なのか。

 

(違うだろしっかりしろ、俺!)

 

無論、違う。

愛する女一人守り通せないなど、海の漢失格だ。

無毀なる湖光の柄頭で頭に一突き。

裏切りの騎士の剣を借りて、弱った心に喝を入れる。

全力でやり過ぎたか、ズキズキと頭が痛むが問題ない。

寧ろ多少の痛みは良い気付けになる。

 

(此処で俺が立ち止まってたら、誰がクロメを守れる!?

 自分自身も、実の姉さえ生を諦めてるアイツを、一体誰が救ってやれるんだ!!)

 

もう仲間と言うだけでは、止められない。

彼女を愛する一人の男としてぶつからなくては、死者に縛られ続けるクロメの心を動かせない。

だから裏切ったのだろう。何方かの死でしか止まらない姉妹喧嘩の結末を覆すべく。

師匠の愛した帝国も、国を改革するランとの夢も、全て捨てる覚悟を決めたのではなかったのか。

恩師や友を裏切る辛さを思い出せ。クロメを失う悲しみを想像しろ。

それらと比べたら、この程度屁でもない筈だ。必ず生きて、彼女の元へ辿り着く。

終りの見えぬ勝負に未知数の敵、微かに抱き始めた不安や恐怖心。

それらを愛する者への愛で塗り潰し、闘志へと変える。

 

闘いは続く。

帝具使い、仮面ライダー同士の闘いは、何方か一方の命が潰えぬ限り終わらない。

寄せては返す波の様に、離れては引き合い、引き合ってはまた殺し合う。

この短時間で、敵は格段に守りが固くなった。もう以前の様に斬り放題とは行かない。

それでも、この永遠の突破口を開く瞬間が来ると信じて、熾烈な攻防に身を投じる。

そのウェイブの熱き執念に天が応えたか。転機はようやく訪れた。

 

「……!此処だ!!」

 

激しさを増したウェイブの斬撃を捌き切れなくなったのか。

無銘剣を持つ右腕が大きくかちあげられ、桐山のガードが崩れる。

敵の無防備な姿がウェイブの視界一面に広がった。

聖剣での防御は間に合わず、此処から回避を取れる程ウェイブの剣は遅くない。

 

(例え効かなくても絶対に削る!無意味だろうが絶対に意味を見つけ出す!

 ───此処で必ず、奴の正体を見抜いてやる!)

 

この一撃で活路を開く。

堅牢な防御力があると言うならば、それを上回る全力を叩き込むまで。

何らかの手段で無効化を図るなら、その瞬間を必ず見極める。

長引き過ぎた剣劇の幕を引く為、ウェイブは渾身の袈裟斬りを放つ。

 

「──何ッ!!」

 

ウェイブの剣が初めて、彼の意にそぐわぬ形で止まった。

斬撃が振るわれた瞬間、何を血迷ったか左手で強引に鷲掴みにしたのだ。

しかし、そんな単純な防御が有効なら誰でもやっている。

成立するのは極々稀。振るわれる膂力を受け止めうる技量と圧倒的実力差があってこそ。

 

(俺の全力を直に!正気か!?帝具の恩恵があっても腕がまともに済むはずが…!)

 

ウェイブは思わず息を呑む。

彼の想像通り、剣を掴む桐山の腕は正常な形をしていなかった。

鎧越しでも分かる拉げた指が、後先を無視した捨て身の防御の無謀さを物語る。

剣を引き抜くのは容易い。壊れた腕からなど一瞬で済む。

そう、だった一瞬。されど一瞬とは、超人同士の殺し合いにおいては何よりも重い時間。

 

砕けた腕など意に介さず、残る右腕で無銘剣をウェイブへと振るう。

面食らっただの油断しただの。理由は多々あるが、彼には反省する暇などない。

次の攻撃は絶対に喰らう。それは既に確定した変えようのない未来。

だとしても、それがあるがまま結末を受け入れる事には繋がらなかった。

 

「このままタダで貰ってやるつもりはねぇ!!」

 

被弾上等。

どの道食らってしまうなら、縮まった距離を活かして此方も仕掛けるまで。

聖剣が振り下ろされると同時、ウェイブも桐山の空いた胴体を蹴り飛ばす。

衝撃に身を任せて一気に後方へと跳躍し、双方仕切り直し。

次手が速かったのは、桐山だ。軽やかに身を翻し攻撃体勢を整え、敵を穿つべく大きく地を蹴った。

受けたダメージなど最初から無かったかのような俊敏さ。

まだ先程の衝撃が内部に滞在するウェイブが、強襲に対応するにはほんの少し遅かった。

 

「グッ!」

 

衝撃に押し出され地面を転がるウェイブ。

揺れる視界。微かに映ったのは、間髪入れず得物を携え飛び掛かる剣士の姿。

迫る切っ先から死を察知し、咄嗟に無毀なる湖光を眼前に差し込み受け止める。

ギリギリと刃を押し込まれ、擦れる不快な金属音が顔の間近で響く。

 

「う、おおおらぁッ──!!」

 

接地点を軸に刃を強引に滑らせ、同時に身体を真横へとずらす。

支えを失い、競り合いの勢いを抑えきれず、思わずつんのめる桐山。

瞬時に立ち上がったウェイブは、すかさず崩れた身体に斬りかかる。

横合いからの一刀は、"左"の手甲に防がれ、弾いた拍子にお返しと言わんばかりの刺突。

相手からの返礼をウェイブは難なく飛び退いて躱す。放たれた聖剣は空を突くに留まった。

 

「成る程な」

 

敵の狂気染みた作戦と学習速度は、遂にウェイブを補足した。

例え受けたダメージは小さくとも、この一撃は今までで何よりも重い。

だが、負傷と引き換えに、彼は漸く違和感の確信を掴んだ。

 

「その腕、治ってやがるな」

 

先の攻防で無残にも砕けたはずの左腕。

まともに動かす事も叶わないその手は、従来の姿を取り戻していた。

 

「お前の帝具の真骨頂は自己再生──それが度を超えたタフネスの正体(タネ)ってわけか」

「………」

 

仮面ライダーファルシオン、桐山和雄は天才である。

あらゆる分野の才能を持つ神童っぷりは戦闘面に於いても健在だった。

上級生の不良だろうと地元を牛耳るヤクザ相手だろうと負け無し。

真面にタイマンを張れば、長年鍛錬を積んだ同級生の拳法家、杉山もってしてようやく互角。

授かった才覚を遺憾なく発揮し、比類なき強さで殺戮を繰り広げる様は悪魔と呼ぶに相応しい。

 

だが、神の子と賞される桐山とて一介の中学生。

人の数倍の体躯を持つ凶暴な猛獣/危険種を相手取った事も無ければ、

一騎当千の実力と異能/帝具を兼ね備えた達人との命のやり取りを経験した事もない。

その両方を成し遂げ、此処まで戦火を生き抜いてきたウェイブとの実力差など比べるまでもなく。

本来ならば仮面ライダーであったとしても、これ程の拮抗勝負は厳しいものがあった。

異世界の帝国軍人と天才と言えど一般人では実力差がありすぎる。

 

互いの戦力差を限りなくゼロに近づけていたのは、神獣より授かった最大のギフト"永久の灯"

ワンダーライドブックに眠る不死鳥の加護が装着者に与えるのは、生物の理を覆す不死性。

如何なる損傷をも癒し、死すらも覆すエターナルフェニックスがある限り『見』に回る余裕は十分。

媒体が、世界が違う故に、一度見た武の極致を初見で模倣するなんて神業は不可能。

しかし、神に愛された尽くした才能はどの世界に於いても健在。

天賦の才と異常再生を以て行われる経験学習が、両者の実力差を急速に縮めていったのだ。

 

(敵方の反乱軍には欠損だって速攻で直しちまう帝具もあったって話だ。

あの鎧か剣にも似た力があったっておかしくねぇ、ねぇけど…。

だとしてもおかしいだろ!!アイツには痛覚が存在しねぇのか!?)

 

違和感の正体を知った時、ウェイブに戦慄が走る。

今まで彼が帝具の性能を誤認していたのは、手応えの無さ故。

仰け反ったり、衝撃で吹き飛ぶ事はあっても、痛みに関しては全く無反応。

苦痛の声を全く出さず、襲い来る激痛に怯みもしない。

此処までさも無傷かの様に振る舞われたら、防御性能を意識するのも無理はないだろう。

 

幾ら治るからと言って、腕が砕けても無反応は常軌を逸している。

痛みを気合や狂気で押し殺す事は出来ても、苦痛をおくびにも出さず闘える者など覚えがない。

ウェイブ自身は勿論、イェーガーズやナイトレイド。あのエスデスであっても厳しいだろう。

一体どういう経緯を辿れば、痛みを無視して闘い続けられる。

あの鎧の中にいるのは本当に骸人形などではなく、自分と同じ人間なのだろうか。

再生能力と痛覚遮断がセットになっているインチキ帝具と言われた方がまだ納得出来る。

 

(ちくしょう…頭痛がする話だぜ。とにかく、今はあの帝具を突破する方法だけ考えろ。

 敵は本格的に攻撃へ転じ始めて来ている。このまま再生され続けたら、俺の負けだ!)

 

桐山の異常性に一々頭を悩ませ、動揺している場合ではない。

下手に余計な事を考えれば、また前の様な無様を晒す。肝心なのはこれからの闘い方だ。

帝国最強エスデスをして、既に完成された技量と言わしめるウェイブの実力。

しかし裏返せば、独力での成長は既に打ち止め。闘いの中での急成長など猶更見込めない。

段飛ばしで成長し続ける不死身の敵が、自身を追い越した瞬間、敗北は決まってしまう。

だが、ここが仮にも殺し合いだと言うならば、無限の再生能力などご法度。

一見無敵に見える再生力にも、必ず突破口があるはず。

 

現状考えついた限りは二つ。

再生の源である帝具本体を破壊するか、再生限界まで攻撃し続けるか。

どれだけ不死身だろうと力の大本が無くなれば元も子もないし。

エネルギーを消耗し過ぎれば、装着型帝具の変身を維持できず消失する。

両者を実行する為には更なる火力が必要になるが、戦力となる支給品は全て開示済み。

 

(試運転する暇も無かったが、今は一発勝負に賭けるしかねぇ。

 奴の帝具の再生が、何処まで続くのか試す為にも…!)

 

しかし問題はない。まだウェイブに切り札は残されている。

敵の帝具を暴かぬまま力を解放するのは不味いと今まで温存していた。

正体が露呈した今ならば、持てるリソースは全てつぎ込める。

ぶっつけ本番。新たな帝具の真価を、今こそ引き出す時だ。

 

「お前の力、使わせてもらうぞ。レイドライザー!」

 

『スプラッシングボライド!』

 

所有者の叫びに呼応するかの様にレイドライザーから響く電子音。

直後、無毀なる湖光の刀身が澄み渡る湖面を思わせる蒼に染まる。

その光はさながら、本来の担い手たる湖の騎士により真価を発揮された魔剣本来の輝き。

新たな変化を見せた敵に対し、桐山は静かに迎撃の構えを取る。

束の間睨み合いが続く。膠着状態が終わった時、闘いは新たな転調を迎える。

 

「行くぞ!」

 

両雄疾走。

互いの得物が激突し合い、開幕の合図かの様に炸裂音が鳴り響く。

今までと変わらない。ゲーム開始から何度も繰り返したやり取り。

ただ唯一異なる点は、ウェイブの刃が凄まじい水飛沫と共に弾けた事だ。

 

海の王者、鯨のライダモデルを宿したプログライズキー、スプラッシングホエール。

その能力は自身の力のみならず、鯨が支配する海のアビリティを武器に付与する。

魔力を流し込むように、レイドライザーから無毀なる湖光へキーからエネルギーを装填。

豊富に蓄えた大海の力を、接触の瞬間にのみ一気に解放し、炸裂。

鯨が生じる強烈な水飛沫を小規模ながら再現し、攻撃へと転用した。

 

ビックウェーブさえ生み出す海の王者の一撃は、之までの比ではない。

海を震撼させるクジラの豪快なダイビングを真下で直接喰らった様なもの。

腕を通じて全身を抜け、ビリビリとした衝撃が駆け巡り、一瞬動きが止まる。

全てを不死鳥の加護とて、外部圧力による瞬間的神経の痺れまでは管轄外だ。

 

「ハアアッ!!」

 

硬直する身体を襲う第二波。

咄嗟の防御も回避も間に合わず、直撃を受けて吹き飛ばされていく。

勢いそのまま樹木に激突。大木と共に骨も何本か折れたが、気にしない。時期に治る。

肉体の心配は元により不要。今は走り寄って来る脅威の対処が最優先。

即座に起き上がり、ウェベンレッグの脚力でウェイブとの距離を詰めさせない。

 

「つれねぇな。無敵なんだろ?もう俺と斬り合っちゃくれねぇのかよ」

 

逃げる桐山を追う脚を止め、皮肉気に言う。

相手は理解不能な人形ではなく、れっきとした人間だ。

操作されるだけの単調な動きはせず、不必要な損傷は自発的に避ける。

初撃以降、桐山は明らかに接近戦を避け始めた。レイドライザーの奥の手を危険視している証拠だ。

再生帝具のエネルギーが無限なら逃げる必要などない。

寧ろこっちのエネルギー切れを狙うなら再生に物を言わせて攻め込めばいい。

やはり、この闘いにも終わりは存在する。永遠などこの世界にはないのだから。

 

「ちょっとばかし安心したぜ。やっぱソイツにも限界があるんだ──なッ!!」

 

終りがあると理解出来れば、気は大分楽になる。後は終着点を目指し、ひたすらに攻めるのみ。

ウェイブは魔剣を大きく振りかぶり、虚空に向かって勢い良く振り下ろす。

剣身から猛速で放たれるは高圧のウォーターカッター。

一振りで一軒家を破壊するホエールレイダーの十八番、ビックウェーブ。

剣を媒介にする事で、大振りだった水流は鋭利さを増した水の刃と化す。

 

最初の一振りと比べれば弱くとも、大地を抉り木々を裂くその威力は折り紙付き。

迫る縦の水刃は難なく躱せた。だが攻撃は一度では終わらない。

第二陣、第三陣と、攻撃速度と密度を上げながら桐山に襲い掛かる飛ぶ青の連撃。

それでも、桐山は尾羽を模した装甲をはためかせ、不死鳥が舞い踊るかの如く華麗に躱していく。

此処までの闘いで動きには適応充分出来た。激しさを増す斬撃の隙間を縫いながら、反撃の機を伺う。

 

「…ッ!弾切れか!」

 

先に動きを止めたのは、ウェイブだった。

不死鳥の剣士を捉え切る前に、煌めきを放っていた無毀なる湖光が輝きを失う。

必殺技発動で貯め込んだエネルギーが底を尽いたのだ。

回避に全力を注いでいた桐山の脚に力が籠る。地面に後を刻み、即座に攻めへと転じる。

飛翔さえ可能にするウェベンレッグの強靭な脚力は、一気にウェイブとの距離を縮めた。

 

「レイドライザー!」

 

『スプラッシングボライド!』

 

だが、エネルギー切れの瞬間を狙ってくる事は想定済み。

逆に来てくれなければ困っていた所だ。ウェイブはすかさずレイドローダーを起動。

レイドライザーから、エネルギーの再装填を知らせる電子音が鳴る。

ファルシオンの脚力で逃げに徹されれば、致命傷を与える暇がない。

これ以上の遅延を望まない彼としては、間合いに引き込んでの大技を決めるしかなかった。

此処までは期待通り。しかし相手とて迎撃の見込み無く踏み込んだ訳ではないだろう。

腰のベルト、覇剣ソードライバーに無銘剣を納刀されている。

今まで見せて来なかった動き。ウェイブがこれが帝具の奥の手発動準備と認識した。

 

土壇場てしくじって外せば、敢え無く返り討ち。

大技を当てても、それさえ瞬時に再生されれば水の泡。

だとしても、退く道理はない。ここぞの時に引いてだら、またクロメに笑われる。

必ず勝つ。自分には絶対に負けられない、大海原より深き理由があるのだから。

 

「一か八か…コイツが俺の奥の手だ!」

 

ウェイブは無毀なる湖光の切っ先を、何故か桐山には向けなかった。

正反対の方向へ向けて、充填したエネルギーを全て解放。

壊れずの魔剣を発射台として、放水箇所を一点集中し噴流。

単なるウォータージェットでさえ人体を切断する出力を誇る。

ビックウェーブさえ引き起こす、スプラッシングホエールの最大出力ともなれば、別次元の領域。

超音速のジェット噴射の推進力が、グランシャリオで言う所のブースターの役割を担う。

絶対成功する技とは呼べない。放出の焦点を極限まで絞ったやり方など一度もないのだから。

間近で暴れ狂う激流をコントロールし切れなければ、高圧に翻弄されて大事故は免れない。

だが、此処まで近距離ならばその心配は無用。

ホエールレイダー流の新しいグランフォールは、文字通りの必殺技と成る。

 

───ヴァール・グランフォール──!!

 

水流による超加速と言う突飛な運用法。

予測を超えた攻撃方法に、桐山の動きに遅れが生じた。

必殺技の発動条件である抜刀には一秒と掛からない。

だが迎撃はおろか、認識さえ困難な超速の突撃。

その速度は音さえ追い越すのだ。噴射音を聞いてからでは遅すぎる。

 

「遅ェよ!!」

 

聖剣のグリップを掴むより速く、ウェイブの蹴りは胸部に到達。

装甲の防御力を超過した衝撃とエネルギーが、桐山の身体をたちまち蹂躙する。

鎧の奥底から何かが潰れる不快な音が聞こえた。敵の急所を穿った音だ。

身体から力がガクリと抜けて、何の抵抗も無しに吹き飛ばされる。

奥の手を出し損ね、敗北した不死鳥の剣士は真価を見せる無く、敢え無く大地に堕ちた。

 

「…殺しちまったか。」

 

無事着地したウェイブは、博打の戦果を確認する。

どれだけ斬っても平然と起き上がってきた不死身の男。

今にも跳ね起きて、斬り合いの続きを仕掛けて来てもおかしくない。

だが今回は違った。仰向けに倒れたまま、ピクリとも動く素振りを見せない。

腕が砕けても闘い続けた戦闘マシーンは、変わらぬ沈黙を続けている。

 

インパクトの瞬間、命を狩りとった感触を確かに感じた。

再生前に致命傷を受けたら、再生せずに朽ち果てるのだろうか。

死者を操る術はあっても、死者を蘇らせる事は叶わない。

始皇帝の英知の結晶、帝具であったとしても、それだけは不可能なのだ。

 

「クソ…結局は、あいつ等の手の平の上って訳かよ」

 

出来る限り避けようとしたが、とても制圧が可能な相手ではなかった。

悪趣味な殺し合いに従わないと考えていても、結局は殺人でしか凶行を止められない。

これから先も繰り返す事になるのだろうか。アズのにやけ顔が目に浮かぶ。

 

ウェイブは自身が命を刈り取った男に、今一度目を向ける。

何故、彼は殺し合いに乗ったのか。本心は分からずじまいだった。

痛みも心も何もかも見事なまでに隠し切って、正体不明のまま死んでいった。

何が彼をあそこまで突き動かしていたのか。

身体に無理やりに治し、鞭打ってでも、執念深く戦ったのだ。

この男にも譲れない大切な何かが、自分にとってのクロメの様な人がきっといたのだろう。

 

何も守れなくしてしまった事を、謝りはしない。

奪う事で大切なモノを護ると決めたのは、彼自身の選択だ。

殺しを選択肢に入れた時点で、殺される覚悟はしていたはずだ。

だからせめて、殺した相手を忘れずにいてやる事が、狩った者の最低限の責任だ。

今はもう狩人(イェーガーズ)で無かったとしても、命の重さは忘れない。

 

死者を思う時間は終わりだ。これからの事を考えねばなるまい。

回復能力を相手にして時間は大分喰ったし、馬は戦闘の最中に逃げてしまった。

条件は皆平等なのだろうが、特別不幸な部類ではなかろうか。

せめて殺した相手の支給品に、クロメを探すのに最適な支給品があれば良いが。

そう考えながら、戦利品を探ろうとデイバックに近づいた瞬間。

 

───突如、桐山の身体が発火し始めた。

 

「──ッ!まさかっ!!」

 

火葬の様に全身が轟々と燃え上がり、暖かな灯が包み込んでいく。

最悪の光景が脳裏を過ぎる。その未来を阻止すべく、手を伸ばすが遅かった。

火の中から、神々しき霊鳥が舞い上がる。

この世界に永遠は無い。だが、何事にも例外は存在する。

不死鳥は死と再生、終わりと始まりを繰り返す。

その加護を得た者は永遠を生き続ける。例え永遠が望まないものだとしても。

大空を滑空しながら夜を照らし、やがて旋回して地上へと舞い降りる。

降り立った不死鳥の中から姿を見せたのは、漆黒の聖剣の担い手たる虚無の剣士。

仮面ライダーファルシオン、桐山和雄が再び、殺し合いの地へと現れた。

 

「………」

 

蘇った不死鳥の剣士は自身の蘇生に何の感慨も示さない。

喜ぶでもなく。驚くでもなく。困惑するでもなく。

太陽が東から西へ進む事の様に、当たり前の如くあっさりと受け入れ。

自らを殺した下手人に、再戦の意を伝える様にゆるりと刃を向けた。

 

「本当に、不死身なのかよコイツは…!」

 

装着者が死亡したにも関わらず、帝具が解除されていなかった

例え殺した感触があったとしても、警戒して然るべきだったのに。

蘇りが起きるなど有り得ないと、勝手に決めつけていた。

違和感を見過ごした。いや、認めたくなかったのだ。

不死の帝具などと言う、八房よりも悍ましい、人の生き死にを馬鹿にしたかの様な呪物の存在など。

 

「どうしてだ…」

 

ズキリ、と脳が軋む音がする。

お前は死を経験したんだろう。怖くなかったのか。辛くなかったのか。

誰も知りえない絶望を知ったのに、何故誰かに死を与えようとする。

ずっと切り結んだ相手なのに、何一つとして分からない。

分からない事が、堪らなく恐ろしい。

 

「そこまでして、どうしてお前は闘うんだ…!」

 

自分を殺した俺に復讐したいのなら、気持ちは分かる。

でも、だとしたらどうして、俺に殺気をぶつけない。

違うのか?俺と闘う理由は、殺し合いに加担する理由は他にある。

死せる身体を叩き起こしてまで、譲れない何かがこの男にはあると言うのか。

 

「お前が立ち上がる理由は、この殺し合いで戦う理由は、一体何なんだ!!

 答えてくれっ!!お前が骸人形じゃねぇ、心を持った人間だって言うなら!」

 

執念の源、駆り立てる心は何なのか。

絶対に譲れない願いを抱えているとか、愛する誰かを護る為とか。

無心の仮面に隠した熱き心を持ち合わせているのかもしれない。

戦闘狂の類でもいい。ワイルドハントの様なフザけた輩なら迷いも吹っ切れる。

どんな形であっても、最後まで全力で受け止めて、闘うから。

だから頼む、俺に答えを教えてくれ。

 

「………」

 

ウェイブの問いかけに、桐山は意外にも剣を下ろした。

微かに俯き、思慮の入った素振りを見せる。

時間にして数秒。顔を上げると、静かに胸の中を語った。

 

「特に」

「───――──は?」

 

たった三文字。省略した訳でも隠匿した訳でもなく。

それ以上でもそれ以下でもない、紛れもない本心。

無と化した青年から海の漢へ送る、心無いメッセージだった。

 

「ただ…生き残りたい…。何もないってのは、そういう事…なのか?」

「いや違う。言葉通りの意味だ。特に理由は無い。」

「何も無いなら、なぜ殺す…!どっちでもいいってんなら、殺さない道だって…」

「ああどっちでもいい。だから俺はメダルを投げたんだ。」

 

最大限の好意的解釈さえ容易く無碍にされる。

こともなげに語る男の言葉を、脳が理解を拒否し始めた。

メダルを投げたから、何なんだ。

殺す事と、メダルが一体どんな関係があると言うんだ。

分からない。分かりたくない。

 

さっきから妙に頭が酷く痛む。

飛び込んでくる情報を、上手く処理出来ていないせいか。

痛い。痛みでどうにかなりそうだ。

隊長にしごかれて、痛みには慣れてる筈なんだがな。

ああ痛い、痛い痛い、痛い痛い痛い。

 

「表が出たらアズと闘う、裏なら殺し合いに乗る。それで裏が出た。」

「だから、殺すってのか…!?」

「ああ」

「そんな、くだらねぇ理由で…人の命を踏み躙れるってのかよ?」

「そうだ」

 

目の前に立つ"無"は淡々と質問に答えて見せた。

本に書かれた物語の台詞を読み上げる様な無感情さで。

 

(本当に、コイツには何もないのか…!)

 

ウェイブは、桐山に抱き続けた恐怖の答えを理解した。

何かを感じる筈が無い。理解など出来るはずも無かったのだ。

隠してなどいない。本当にこの男は"何もなかった"のだから。

戦いへの愉悦も。思い人や家族への愛情も。未知への探求も。

行き過ぎた正義も。尊敬すべき大義も。歪み切った欲望も。

人を人足らしめる感情が一つとしてない。

非道であろうと何か意味があるだけ、腐り切ったワイルドハントがマシと思える程に。

心のある危険種や骸人形の方が、まだ人間味があると思える程に。

男は空っぽのまま意思も無く、無為に虚無を振り撒いていた。

 

「ハ、ハハ…」

 

らしくもない、乾いた笑いが漏れる。

立ち眩みから足が縺れて、数歩後ろへ後ずさった。

眩暈がした。ズキズキと頭が異様に痛む。

痛みと共に、込み上げてくるドス黒い感情。

シュラの時と少し似た感覚だ。自分でも制御し切れない感情の奔流。

此処には止める奴は誰もいない。躊躇してやる必要も何処にもない。

ならば、解放してやればいい。今この悪魔を葬る以外に、"優先すべき事など何もない筈"だから。

自分の中にあったとは思えない、澱んだ衝動をぶちまけた時、

 

――──殺してやる。

 

蒼く澄み渡る心の海が、悪意の黒に染まった。

 

「ふっざけんなああああああぁぁぁぁぁ―――――!!」

 

◆◆◆

 

桐山和雄にとってウェイブは不思議な相手だった。

彼は強い。技術も、経験も、自分より数段上であろう存在。

ファルシオンに変身していなければ、何度敗北していたか分からない。

生涯出会った存在の中で一番に置いても差し支えない強敵。

それ故に理解できなかった。

何故、何もしていないのに勝手に精彩を欠くのか。

今も怒りに狂い、猪突猛進と呼ぶべき突撃を敢行している。

不死ではないと言うのに。愚行の意味を理解出来ずにいた。

疑問はあれど、興味は無い。元から感じないから。

興味が無かったので、直ぐに忘れ去った。

 

目の前で発せられる特大の殺意。

恐るべき重圧に晒されて尚、桐山の心はとても凪いでいた。

何の感慨も無い。感じる心も無い。

それでも。

それでもただ一つ、思った事を挙げるとすれば。

憤怒に燃える彼は、殺意を以て自分を殺そうとする彼の姿は、

 

──とても隙だらけで、殺し易そうだ、と言う事位だろうか。

 

「あああああああああ───ッ!!」

 

有り得ざる絶叫と共に、ウェイブは突き進む。

桐山への恐れを掻き消す破壊衝動のみが、今の彼の原動力。

怒りを糧に繰り出す超速の刺突。大技を除けば過去一番の早業。

狙いは全参加者共通の急所、首輪。

破壊すればどんな存在も即座に死へ誘う、不死を確実に葬る最適解。

其処に今まで考慮していた殺害への躊躇など微塵もない。殺意に満ち満ちた殺人行為。、

しかし、視線と動作から狙いが一目瞭然。彼の師匠や上官が見れば失望物の致命的ミス。

衝動に支配されたウェイブには、その失態を考える余裕すら無かった。

 

急激な変貌の正体は、レイドライザーの制御装置レイドレギュレダー。

装着者が戦闘中感じた恐怖心や痛み等。

戦闘行為を妨げる不要な感情を、負の感情を暴走させる事で排除する悪意の産物。

ただこの機能は、精神が安定している人間には効果を及ぼさない。

訓練を受けたA.I.M.S.の隊員であっても、問題なく使用可能。

現代人でも使いこなせる代物ならば。

帝国で鍛えられたウェイブの精神力なら容易く克服出来る──筈だった。

 

だが、この時の彼は余りにも時期と巡り合わせが悪かった。

最愛の女性、クロメを救うべく、奔走していた火急の事態に連れてこられ。

彼女の死を御膳立てするかの様な殺し合いに、強い焦りを抱いていた。

其処に現れた、イェーガーズやワイルドハントを越える異常性を孕んだ桐山和雄の存在。

死を平然と覆し、伽藍洞のまま、他者を虚無へと還す怪物への本能的な恐れ。

焦燥と恐怖、二つの小さな負の感情が、レイドライザーに付け入る隙を産んでしまったのだ。

 

桐山はほんの僅かに体を反らし、最小限の動きで回避する。

突きは剣術における最速技。しかし、刺突を外した後のリカバリーが難しい弱点を持つ。

必殺の確信がない限りは、安易に放ってならない。

考え足らずの突貫は、達人相手ならば絶望的な結果を招くのみだ。

神童が放つ精密機械の如き見事な小手打ち。

狙いは本人ではなくその武器、無毀なる湖光。

ウェイブの猛攻の起点となった魔剣を鋭く叩き落し、彼の手から奪い上げる。

聖剣と魔剣、童話でも有り得ない幻の二刀流が、空手となったウェイブに容赦なく斬りかかる。

 

「ぐおおッ…!」

 

今や互角となった桐山の剣技を防ぐ手段は最早ない。

闘いの中で学習した荒波の様な攻めを、教わった張本人に披露する。

二閃が齎す激流に吞まれ、血飛沫代わりの火花を巻き散らす。

手傷を抑えて獲得したアドバンテージは既に無い。不死身の怪物と手負い武器無しの軍人。

今何方が優勢かと問われれば、誰もが序盤と真逆に応えるのは明らかだった。

 

「まだだ!まだ…終わっちゃいねぇ!!」

 

『スプラッシングボライド!』

 

必殺技発動と同時に召喚したのは、ホエールレイダー本来の主要武器、オウギガント。

扱いずらい槍よりも、使い慣れた剣を、と使用を避けていた装備だが、最早武器なら何でもいい。

今この瞬間にこの男を殺せる力があるならば、拘りなど構うものか。

 

「負けられねぇ…!俺は…コイツは必ず、殺さなきゃならないんだあぁぁぁッ!!」

 

『スプラッシングボライド!!』

 

禁断の二連続発動。

元の使用者すら実行した事の無い危険領域。

エネルギー過剰放出により、レイドライザーが火花を散らし、悲鳴を上げ始める。

限界を超えた過重出力(オーバーロード)。

現出した天を突く程の巨大な鯨尾は、いびつに歪み膨れ上がった殺意の具現。

悪意により膨れ上がった破壊衝動は、優しき海の漢に惚れた女の笑顔さえ忘れさせた。

 

「オオオオオオオオオオオ―――――!!」

 

肥大化した尾びれを全力で地面に叩きつけた。

水辺の無い大草原で巻き起こる巨大なビックウェーブ。

従来の津波と比較すれば小規模と言えど、人一人圧し潰して余りある大瀑布。

進行方向に存在する一切合切飲み込み、殲滅せんと襲い来るそれは。

人間が立ち向かうなど余りにも愚かしい大災害。

 

だがしかし。

自然の暴威を前に悠然と立つ男は只人に在らず。

生物に刻み込まれた本能的恐怖さえ失った神の子。

伝説に名高い二対の宝具を携え、迫り来る災害を迎え撃つ。

 

『必殺黙読 抜刀』

 

『不死鳥無双斬り!』

 

トリガーを引きながらソードライバーに納刀した無銘剣を抜刀。

全を切り裂く漆黒の剣に、流転を断ち切る永久の灯を纏わせる。

迫り来る津波目掛けて振るうと聖剣の炎は忽ちその形を変えていく。

人が築き上げた全てを捻じ伏せる大自然の猛威でさえ。

人知を遥かに超えた永久の灯を、消し去る事は絶対に出来ない。

たかが津波如きが、不死鳥の飛翔を阻むなど笑止千万。

蒼き絶壁に一点、巨大な風穴が開き、陸上の津波は虚無の炎の前に霧散した。

 

「なんだと…。───ッ!ぐあああああっ!!」

 

何があろうとも、フェニックスは滅びない。

脅威を退けた後、大海を嗾けた愚者の元へと飛来する。

プログライズキーの力を使い果たし、変身維持さえ既に精一杯。

装甲をも焼き焦がす永久の灯を前に限界が訪れ、レイダーの変身が強制解除。

装着したライダモデルが消え失せ、傷だらけの青年の素顔が晒される。

 

「ク、ゴボッ…!」

 

夥しい血を盛大にぶちまけながらも、立ち上がろうウェイブは藻掻く。

間欠泉の様に止めどなく溢れる憤怒と闘争心が、痛覚を麻痺させていた。

痛みなど問題ではない。殺す。殺す。殺してやる。

無感情に全てを無に還すだけの怪物。あの男だけは、絶対に殺さなくてはならない。

例え"この命が此処で砕け散ろう"とも、必ずクソ野郎に刃を突き立ててやる。

 

しかし、感情に肉体は付いていけない。身体を支え切れずグシャりと顔から崩れ落ちる。

言う事を聞かない身体に苛立つウェイブに、小さな影が差す。

無理やりにでも見上げてみれば、其処に悪魔が立っていた。

ベルトに装填された無銘剣に代わり、握られるは無毀なる湖光。

嘗て振るった魔剣は無情にも持ち主を見放し、最初の担い手に引導を渡さんとしていた。

 

(こん、な…野郎を、生かして…置く訳には…!)

 

ウェイブは眼力で射殺す勢いで桐山を睨みつける。

彼からの殺意もそよ風の様に受け流し、死刑執行人はこれから散る命に無感情な視線を返す。

放たれる激情と言う名の悪意も、その凪いだ心には如何なる影響も及ぼさない。

淡々と怒りに吞まれた敗者の首を断つべく、刃を振り上げるのみだった。

 

譲れないモノが何もない虚無なんかに負けられない。

悪魔を殺して、その後に果たさねばならない事があるのだから。

 

(コイツを、殺さ、なくては…。殺して、それから俺は…、俺は…!)

 

そうだ。思い出した。

真っ黒な心の中から、漸く思い出す事が出来た。

殺すだけじゃ駄目だっだ。誰かの死など、望んでは行けない筈だろうに。

自分には、誰よりも生きていて欲しいと願った少女がいただろうが。

どうして、生きる事を説いた自分自身が、殺意なんかで、彼女への想いを台無しにしてしまったのか。

 

(すまねぇ…クロメ。俺は、お前を…)

 

救ってやれなかった。

死の間際になって、やっと気づいた薄情者。

愛した女の事さえ忘れた自身の不甲斐なさを謝りながら、静かに眼を閉じ───

 

 

 

 

「―――――そこまで!!」

 

 

 

 

若人の死を覆す、真空の刃が割って入る。

同時に草原に響くは、混濁する場を制す凛とした壮年の声。

永らく殺し合った二人の目線が、ここで初めて同じ方向を向いた。

駿馬を駆り、現れた少年騎士と歴史に名を連ねる侍。

その浅葱色の羽織に背負うは、誓いの証たる誠一文字。

 

 

「何方か是非があるかは、我々には預かり知らぬ事。

 だがこの勝負、新選組副長 土方歳三が預からせてもらおう。」

 

 

 



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それでも潰えぬ、勇気が一つ

作者
・ユッケジャン

登場キャラ
・桐山和雄@バトル・ロワイアル
・ウェイブ@アカメが斬る!
・土方歳三@龍が如く維新!
・ユウキ@プリンセスコネクト!Re:DIVE


絶え間なく溢れ漂うシャボンを掻き分けて、駿馬ヴァルキリーは疾走する。

過酷極まる北アメリカ大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」にて

数多の難所を潜り抜けてきた力強い走りは担い手や場所が変わろうと健在だ。

その背に激しく揺られながら、ひたすらに前へ前へと急ぐ和洋折衷、二人組。

プリンセスナイトの少年ユウキ、新選組鬼の副長土方歳三。

彼らの目的は二人が騎乗するヴァルキリーが本来の持ち主の手から離れた原因究明

近づくに連れて漂う戦闘の気配を感じながら、片や馬の操縦、片や周囲の警戒を務める。

 

(若くして馬術の心得もあるとは、見かけには寄らないな。

 身分が高い家の生まれ…或いは「あすとるむ」では当たり前なのだろうか。)

 

馬術は武芸を修める者の嗜み。

武士は皆覚えて当然と、そう高々と言えたのは今も昔。

合戦が過去の産物となった現代では金銭面に余裕のあるか、位の高い武家に限定される。

幕府に仕えた今でこそ馬を扱える様になったが、新選組も元は百姓町民の出が多い。

副長である土方も、京では田舎侍と揶揄される多摩出身の百姓の子。

地元に居た頃は馬を駆るなど、男児が友と常々語り合う夢物語でしかなかった。

 

ユウキの手慣れた操作を見物しながら土方は思い耽る。

20にも満たない武士ではない騎士の少年が、馬を巧み乗りこなす。

馬術を学ぶ機会が子どもでも行き渡る程に豊かな国であると言う証左か。

はたまた、術を学ばねば生きていけぬ過酷な地の現われか。

何方にせよ日本では決して見られない光景だ。幾ら言葉や顔立ちは日本人と近しかろうと。

こうした細やかな部分から、彼は異国の民なのだと思い知らされる。

あすとるむに関わらず、世界は広い。鎖国を続けた日本にとって、この世は未知に溢れている。

混沌とした未知が跋扈する殺し合いで、閉じた島国で生きた侍の力が、何処まで通用するのだろうか。

そうして日本と外の世界との差について考えていると、突如馬が足を止めた。

 

「どうしましたか、結城君」

 

何事かと土方は操縦を担当していた少年に問いかける。

唖然とした表情を浮かべながらユウキは空へと指を差す。

彼の言葉に従い、導きに従って土方も目線を上と戻せば──

 

「なんだ、あれは…!」

 

其処にあったのは、巨大な『尾』であった。

周囲に生い茂る木々よりも大きく、蒼色に輝いた、陸地に存在する筈のない鯨の尾びれ。

それが地面に倒れ込んだ瞬間、激震が走り、近辺に居合わせた土方達をも襲う。

暫くすると衝撃は収まった。だが動揺冷めやらぬまま、二度目の衝撃が二人に襲い掛かった。

彼らの遥か上空を、轟々と燃え盛る『火の鳥』が飛び去っていたのだ。

鳳凰や朱雀、書物や絵巻などで綴られる空想上の存在が土方の脳裏を過ぎる。

火の鳥は太陽もかくやと、神々しい光を放ちながら空中を舞い、やがて幻のように掻き消えた。

 

(日常が絵空事じみた産物ならば、戦場もまたにそうなるのは必然か…。

 まったく、まともな理解もままならん身で此れとは、些か刺激が強すぎる。)

 

此処までの経験を通じて、従来なら鼻で嗤う類の事象も受け入れる心構えはしていた。

しかしあれはなんだ。

たった今目の前で繰り広げられた白昼夢の様な出来事の数々は。

正に驚天動地。たった数刻の内に幾度も引っ繰り返される常識。

如何に彼が動乱の幕末を生きた侍なれど、現実離れした戦地へ飛び込まんとなれば。

些かの気後れを起こしても致し方ない話だろう。

只人の身で、天災や霊鳥と闘えなどと狂気の沙汰としか言いようがない。

 

(恐らく…いや、確実に。この先に待ち受ける闘いは我々の手には負えない)

 

あの戦場に首を突っ込むべきではない。

土方の脳内の十露盤は後退すべき、と冷静に結論を弾き出していた。

もし総司ならば嬉々として単騎駆けで馳せ参じるのだろうが。

土方歳三、否、新選組副長としてそうはいかない。

不在の多かった局長に代わり、土方は実質的な組織の指揮を執り行って来た。

剣刃行き交う幕末の京にて、多くの命を預かってきた指揮官なれば。

犬死必至の現場に隊士を送るなど、失格者の烙印を押されるだろう。

 

この先の調査、救援を実行しうる戦力はあるのか。

土方自身の戦闘力は当然ながら考慮されない。

不逞浪士や剣客など、対人戦闘の心得は持ち合わせようと。

一介の侍が災害や神獣と闘う術など幕末の世にあるはずが無い。

では、支給品は如何か。

現状、土方の手持ちの武具は騒ぎが起きた故、未確認の支給品もあるが、現状奇怪な曲刀一本。

月齢に応じて規模が変動する斬撃を飛ばす。という此方も充分異常な代物ではあるのだが。

それでも先程の馬鹿げた規模の光景と比べると、どう見繕おうと数段劣ってしまう。

 

個人の力では不可能となれば、残る判断材料は一つ。

土方は前を見据え続ける同行者に視線を送る。

ユウキ少年。亜人や妖精、魔法に権能、奇々怪々な存在が栄える世を過ごす。

国を滅ぼさんとした災厄を打ち倒したとされる、小さき異国の騎士へ。

日ノ本だろうと異国だろうと、同じ人間。内に宿す生物としての本能は同じ。

抗い難い脅威を前にして、無垢なるその瞳は何を見る。

 

「……!」

 

彼の眼は、燃えていた。

小さき騎士はその目に決意の炎を宿す。

脅威の危険性が分からない程に鈍い訳ではない。

その頬には先程までは無かった汗が滲む。

強大な力への恐れは確かに、彼の心を蝕んでいる。

 

にも関わらず、彼は屈していない。

女子に近しい童顔に、何処か呆けた立ち振る舞い。

年より幼く、緩いものに映った印象が大きく覆った。

かの眼差しは、維新近づく日本の侍から失われつつある武士(もののふ)。

如何なる出来事が、少年を強く育て上げたのか。

元服して間もない若き身の上で、一体どれ程の修羅場を潜り抜けた。

どれ程の重責を背負い走り抜ければ、眼前の地獄に怯まずにいられる。

前を見据える少年騎士の小さき背中が、とても大きく感じた。

 

「結城君、君は往くつもりなのか」

 

後ろから掛けられた声にユウキが振り向いた。

同行者からの問いに少年は迷いなくこくりと頷く。

腹は既に決まっている。誰に問われるまでも無いと。

顔に似合わない豪胆な物言を表すかの如き、力強い頷きだった。

 

「君も理解してはいるのだろう。

 先の戦場では人の身では凡そ太刀打ち出来ない脅威が、最低二つ待っている。 

 その何方かが、いや或いは、両方が襲い来るかも知れない。

 其れを踏まえた上で問いたい。君にその場を生き残る、確実な勝算はあるのかな」

 

霊鳥と大鯨。

人一人や二人など、殺して余りある力を持つ怪物が、分かっているだけでも二匹。

両者が殺し合いに否定的という確証も無い。助けるべき善人はいないかも知れない。

そうなれば、徒労だ。否、徒労で済むだけならばまだ良い。

最悪の場合は何の意味も無く殺されるだけ、無駄死にである。

争いは避けられない。ならばどう生き延びる。

その心づもりを少年から聞かずして、進退を決める決断はつけられない。

 

───確実には、ありません。

 

ユウキは少し言い淀んでから、正直に述べた。

確実に、と枕詞を付けた所から鑑みるに、彼なりの算段は少なからずあるのだろう。

だが乏しい。他人に命を賭けさせるには頼りない答えだ。

口にした本人ですら取り繕えるとは思えない程に。

 

「はっきり言わせてもらえば、結城君。

 無謀と分かっていながら、死地に赴く向こう見ずを人は"勇敢"とは言わない。蛮勇です。

 例え賞賛すべき善行だろうと、我武者羅に動くだけならば、私は賛同出来ません。」

 

新選組は幕府直属の治安維持部隊とされているが、実情は「殺し」を生業とする人斬り集団。

命を取り扱う仕事である以上、職務遂行には常に死が隣り合う。

その中で、新選組が生き残る為に必須としてきたのは「心の弱さ」を取り払う事。

本懐を成し遂げる為ならば、苦楽を共にした旧友であろうと斬り捨てる冷徹さ。

如何なる場でも非情であらんとする鉄の覚悟が、此処まで組織を存続させてきた。

 

その在り方は『ばとるろわいある』でも同様だ。

土方とて人命を救いたい義心はあれど、それ以上に亡き近藤が残した新選組を守る義務が彼にはある。

実情も不確かな救助活動で無為に命を投げ出すなど言語道断。

信における同陣営の協力者は欲しかったが、自殺行為にまで付き合う義理は無い。

寧ろ、死地に赴こうとする青年を抑える事こそが、土方に出来る最善の救命だと言える。

 

―――それでも、僕は見捨てたくないんです。

 

だがユウキは退かない。

仲間に友人、見知らぬ誰かや悪人に至るまで手を差し伸べたい。

記憶を無くしても決して失わなかった生来の善性故に。

 

「…君にも再会すべき相手がいるのでしょう。止めねばならない者達もいる。

 君にとって救援が、果たすべき目的を棄ててでもすべき大事なのですか?」

 

苦言では止まらぬと言うのならば、彼の仲間を出しに使う。

卑怯の誹りを受けようと、大義の為なら泥をも被る。

殺人謀計拷問身内殺し。これまで成して来た非道に比べれば軽い汚名だ。

 

「………」

 

土方の言い分は至極正論だ。

ユウキにも優先すべき役目はある。

美食殿メンバーの捜索とゼーンや覇瞳皇帝らの凶行の阻止。

今こうして足を止めた瞬間にも、皆が窮地に陥っているかもしれない。

苦楽を共にし、食卓を囲んだ仲間と赤の他人、天秤に掛ければ、誰もが前者を取る。

だから年長者の意見に従い、此処は目を逸らして仲間を探しに先を行くべき

 

だとしても。

 

―――誰かの絆が失われるのは、絶対嫌なんです。

 

将来の希望の為に、今其処にある誰かの危機を見過す事は出来ない。

どうしようもない絶望に目を閉じず、ユウキは紡いだ絆を捨てない選択をした。

どんな不都合も目を逸らさなかったから。

か細い糸でも諦めず手繰り寄せた結果が、今の絆が存在する。

例え救うべき相手がいなくとも、構わない。

代えがたい誰かの絆を失う可能性が少しでもあるならば、迷わず手を伸ばす。

それに助けられた命を犠牲にして、美食殿の皆と再会するなど、彼女たちは望まない。

皆笑顔で美味しいご飯食べる事は、一生出来なくなってしまうから。

 

「…分かりました。どうやら、曲げる気はないようですね。」

 

ユウキの決意に小さく息を吐き、呆れた様に呟く。

折れてくれたが、間違いなく土方との道を違えた。

彼は自分を思って、厳しく言ってくれたのに、思いやりを台無してしまった。

でももう選択肢はやり直せない。一度貫いた答えの結果をちゃんと噛み締めて前を向く。

 

―――ワガママ言ってすみません。ここからは一人で行きます

 

心配してくれた事に感謝しながら、ユウキは土方へと手綱を譲り、ヴァルキリーから飛び降りた。

意見は絶対に譲れないが、自分の言い分が、相手の意思に添わない我儘である事は確か。

他にやるべき役目のある人を無理やりに巻き込むわけにはいかない。

 

移動用の脚を奪ってしまうのも駄目だ。

救助に失敗すれば、残った脅威が土方の元へ向かうかも知れないから。

無事解決しても持ち主に返せなくなってしまうが、今からでも逃げて欲しい。

そう言って別れようとした直後、彼は予想だにしない言葉を耳にした。

 

「いいや、逃げませんよ。前にも言ったでしょう。いざとなれば私も闘うと。」

 

土方はユウキが作った退路を自ら断ったのだ。

あれだけ反対していたのに、まるで人が変わったかの様な転換に思わず困惑してしまう。

でも、と難色を示すユウキに、土方は微笑を浮かべて手を差し伸べる。

 

「それにだ…新選組副長とあろうものが、若人を見捨てて敵前逃亡を働いたなどと。

 もし隊士に知れれば、士道に反すると腹を切らされるのでね。どの道、私には進む以外ないんですよ。

 どうだろう結城君。私を助けると思って、共に連れて行ってはくれないか?」

 

嘘に疎い彼でも分かりやすい、あからさまに取って付けた動機。

しかし其処には確かな善意が込められていると察せられた。

理屈を押しのけてでも、自分の為に付いてきてくれると言ってくれたのだ。

向けられた厚意を突っぱねられる程、彼は遠慮の出来る人間ではない。

 

───心強いです!

 

差し伸べられた手をしっかり掴み、元の居場所へと引き上げられる。

外見にそぐわない侍らしい無骨な手が、とても暖かくて力強く感じた。

長く暗い森の終わりを目指す、二人の意思が再び合致する。

駆け抜ける速度は、以前にも増して高まった気がした。

騎士の宿す強い想いが彼が駆るヴァルキリーにも伝わったかの様に。

 

「──相変わらず、屈託なく笑う少年だ」

 

手綱を握るユウキの後ろで、土方は彼に聞こえない様に呟く。

彼の思考は同行時から何も変わっていない。行動の基準は善意ではなく打算ありき。

生き残る可能性が高い選択肢だから、共に往く事を決めたまで。

 

自殺行為に付き合わないと述べたが結局の所、土方の単独行動は彼の無謀以上の死を招く。

真反対に逃げようと、息を潜めて隠れようと、この島全土が死地に変わりなく。

この修羅場を独力で生き残るには、力も知識も余りに不足し過ぎている。

赤子同然の自分にとって、重要なのは未知の事象への知識を豊富に有した、友好的な協力者。

五分の四が実質敵な状況下。

ユウキの様な好条件を満たし尚且つ同陣営の参加者は、一度手放せばそう簡単には出会えない。

 

撤退にはユウキの同行が絶対条件。

だが、彼の意思を曲げるのは不可能だと確信した。

己の信念を絶対に捻じ曲げない頑固者に心覚えがあったから。

 

土佐の龍。

何より義理と人情を重んじる、新選組に最も似つかわしくない漢。

顔付は似ても似つかないが、彼に通ずる"何か"があった。

何かとは暈したものの、漠然とながら答えは出ていた。

それは魅力だ。沖田や長倉、近藤局長までも揺れ動かした強い魅力。

 

自分も、その魅力に絆された者の一人だからだろうか。

彼と同じ真っすぐな眼差しをした少年を、死なせたくない自分がいる。

子どもの我儘に付き合った結果、死ぬかもしれないのにだ。

 

同胞すら斬り捨てる冷酷無情な鬼の副長が聞いて呆れる。

もしや彼の言う"魔法"とやらでも掛けられてしまったのだろうか。

だとすれば末恐ろしい。

自分はとんでもない悪童に捕まってしまったものだと苦笑した。

 

(少しではあるが、理解出来たような気がする。

 彼がどのようにして、国家を揺るがす動乱を解決して見せたのかを。)

 

己を省みず国を憂う。憧れ志す"国士"などとは程遠い。

自己の利益は二の次であっても、その献身は国家ではなく誰かの為に。

 

だからこそ。人は皆動かされ、彼に力を貸す。

大国の様な強大な力で捻じ伏せずとも、影で暗躍し小賢しい策を弄さずとも。

屈託のない心からの善意に、人々は明日の夜明けを信じて、賭けたのだと。

呆れる程のお人よしに、土方は鬼らしからぬ希望を見出した。

 

◇◇◇

 

 

「まずは武装を解除して貰おうか。無論従わずとも結構。

 その場合は二人がかりで介入させてもらうが…如何するか。」

 

場面は現在へと立ち戻る。

ハッタリ同然の脅しを掛けたが、仮面の男は何も応えない。

思考の機微さえ気取らせない不動の構えを取る。

嫌になる程不気味な相手に、土方の緊張が高まる。

鉄火場であれど感情を殺せる人間は見てきたし、彼自身もその部類だ。

だが、多少なりとも感情が漏れ出して当然の状況下で、敵意さえ一瞬たりとも見せない。

 

敵意さえ感じる価値の無い程、隔絶した力の差があるとすれば、どうしようもない。

相手は先程の超常現象を起した張本人。

道端の虫けらに殺意を滾らせ、命懸けの戦闘をしようとする者はいない。

強硬介入の脅しなど一蹴せしめる力を有した怪物だったなら。

相手の気分次第で事は簡単に破綻するのみ。

 

しかし、仮面の男の行動は意外にも素直なものだった。

彼は片方の橙と黒の剣をベルトに収めると。

両手を静かに上へと持ち上げ、降伏の意を示すかの様な態度を見せる。

 

「…刃を収める意思があるならば、異論はない。

 残りの武器さえ置いて貰えれば、此方も話し合いの席に付けると言うもの。」

 

(ありえねぇ…。この悪魔が、こうもあっさり降伏する訳がない…!)

 

窮地を救われたウェイブだが、桐山の殊勝な態度に心中で異を唱える。

この不死身の怪物が、強硬策に屈する道理がない。

新たに現れた彼らも、桐山が持つ異常性の片鱗を感じ取っているが、全てを察せてはいない。

痛覚も感情も消え失せた人間とは根本的に違う悪魔が、何もせず引き下がるなどと絶対にないのだ。

 

何が狙いだと、一挙手一投足に目を光らせそして気づく。

握ったままの右手からもう片方の西洋剣をストンと真下へ落とした瞬間。

遠目からでは気づかれない程僅かに、右足を後ろへ下げた。

無銘剣の納刀から始まる一連の動作。そこから繰り出される奥の手に心当たりがある。

傍で這いつくばる彼だけが、桐山が引き起こす凶行の起りを一早く察知した。

 

「逃げろ!コイツは…降伏なんか微塵も考えちゃいねぇ!!」

 

這う這うの肉体で必死に警戒の言葉を絞り出す。

その言葉を口火に、桐山は再び虚無なる悪意を行動に移した。

無毀なる湖光が地面に落ち切る刹那、彼は剣を全力で蹴り抜いた。

 

「───!!結城君!」

 

狙いは丸腰で土方の傍らに立つ少年。彼の顔面目掛け高速で飛来する魔剣の刃。

土方の反応が間に合い、シャムールの真空波が間一髪剣を弾き落とすが。

無毀なる湖光は所詮牽制。此処からが桐山の本命の動きだ。

 

『必殺黙読』

 

二人の知らない低く響いた電子音は、発動の合図。

足元に転がる死に体の男は無視し、桐山は正面に並び立つ新たな敵へと駆け出す。

ドライバーにセットした無銘剣の柄、キョムトリガーを二度操作。

疾走するファルシオン。その全身が無銘剣を覆った様に激しく燃え上がっていく。

担い手自身が不死鳥と化し、不滅の業火を以てあらゆる敵を葬る奥義。

 

『不死鳥無双撃!!』

 

神獣を象った凄まじい熱波が騎士と侍、二人に襲い来る。

矮小な障害を一気に焼殺し、殺せずとも飛翔の勢いで逃走を測る腹積もりか。

避けた所で無駄。意思を得た大火の鳳から逃げ去るには時間が無さ過ぎる。

迎撃も不可能だ。曲刀の刃では到底抗いきれない猛威。

最早どうする事も出来ない。人間では勝てない天災を滅ぼした不死鳥の羽ばたき。

詰みだ。幕末の侍では役者不足。数舜経たずして灰塵と化し、やがて無へと還る。

この地に馳せ参じたのが土方一人であったならば。

 

「結城君」

 

挑まんとするプリンセスナイトが此処に一人。

付いてきてくれた仲間の前に立ち、任せて欲しいと力強い頷きを送る。

土方の、近藤の託した新選組の命運は、こんな小さな少年の手に委ねられる。

なんと馬鹿げた話だろうか。之まで出くわしたどんな絵空事より愚かしい。

だが、森中で見せた揺るぎない彼の眼差しは、災厄を眼前に捉えても消えず。

不死鳥の灯にも負けじと、今なお熱く燃えている。少年は決して折れてはいない。

ならば、命を賭金に大博打を張る酔狂も、今だけはやぶさかではないだろう。

 

「私は…君の勇気を信じて此処まで来た。ならば私の命、君に預けよう。」

 

言葉は返さず、返答代わりのサムズアップ。

託された期待を背負い、騎士は不死鳥へと向き直る。

物凄い破壊力を包含した巨大な火の鳥。怖くないと言えば嘘になる。

規模こそ違えど、覇瞳皇帝の大規模魔法に立ち向かった、ランドソルの決戦を思い出す。

 

あの時支えてくれた頼れる仲間達は、今は全員傍にはいない。

ぺコリーヌ、キャル、コッコロ、ラビリスタ、そして新しい仲間のシェフィ。

皆、アズが開いた悪意の殺し合いによって、離れ離れになってしまった。

 

それでもユウキは、決して一人ではない。

どれだけ互いの距離は遠くても、繋いだ絆は離れない。

どんなに悪意が蝕もうとしても、結んだ心は解けない。

必ず会えると強く願う。あのときの様に悲しませたりできない。

またみんなで美味しいご飯を食べるまで、死んでなんかいられない。

そして何より。

自分を信じて見守ってくれる人が、確かに一人、此処にいる。

だったら絶対大丈夫。こんな絶望なんて、もう怖くない──!

 

ユウキが取り出したのは甲虫のカードが装填されたバックル。

腰に当てるとバックルの先端から大量のトランプが飛び出す。

無数のカードは装着者の周囲で帯状に重なり合いベルトへと変化。

けたたましく響く待機音。残す工程はレバーを引くのみ。

輝く勇気を胸に抱いて、絶望に負けじと強く叫ぶ。

 

「変身!!」

 

『TURN UP』

 

電子音声と共にスペードの紋章が描かれたが青い壁が出現。

適合者以外を拒絶する光の障壁、オリハルコン・エレメント。

資格ある者の歩みを阻むのならば、それが神獣であろうとも決して侵攻を許さない。

不死鳥の炎が標的を焼き尽くさんとしたその瞬間、高速展開された聖なる守護壁。

恐怖に臆さない勇気が最強の盾となり、両名に襲い来る死を跳ね除けた。

 

装着者を護る事だけが、オリハルコン・エレメントの役目ではない。

迫り来るゲートを潜り抜けると、其処に立っていたのは少年ではなかった。

紛い物(アナザー)でも平行世界の力(カメンライド)でもない。

永遠の切札として歴史を駆け抜けた、仮面ライダーブレイドのオリジナル。

拳を握り漲る力を確かめると、腰に装着されたブレイラウザーを抜刀。

絆を繋ぐ白銀の騎士が、全てを断ち切る虚無の剣士へと立ちはだかる。

 

「………」

 

ライダーバトル、第二ラウンドの幕開け。

だが新たな闘いを一興とする感性など、桐山和雄は持ち合わせていない。

緑の第三陣営の介入。更なる乱入者の危惧。永久の灯の消耗具合。

殺人を阻止された桐山は現状を分析し、合理的に逃走を選択。

いつでも受けて立つと剣を構えるブレイドの気概は無視。

天をも駆けるファルシオンの敏捷性を逃げに活かし、瞬く間に戦場から離脱する。

ブレイドは危険人物を追おうと駆け出すが、背後から待ったを掛けられた。

 

「結城君!追わなくていい!今は彼の方が重要だ」

 

現状主戦力はユウキが装着した不死鳥を打ち破った鎧のみ。

理外の超人に対抗出来得る人物が別行動したとなれば。

残すは重傷人と会場での実力下位の侍二人組。余程遭遇運が良くなければ全滅は免れない。

未知の難敵を追跡を行うなら、まずは情報収集から。

とは言え、残りの支給品に治療物資が無ければ、それも怪しいかも知れないが。

 

一瞬迷ったユウキだが意図を察し、土方の元へと戻ろうと歩き出す。

しかしその直後、何かに気づいた彼は慌てて土方とは別方向に走り出した。

 

「待ち、やがれ……ぐっ!!」

 

走る少年の行先には、仮面の男に殺されかけていた被害者の青年。

先程危機を知らせる為に、死に体で無理に声を荒げたにも関わらず。

なんとそこから逃げた敵を追おうと、強引に立ち上がろうとしていた。

その過程で流れ出る血など気にも留めず、執念のみに突き動かされている様子。

確かにこれは放置出来ない。

弾き落とした無毀なる湖光を回収すると、ユウキに遅れて土方もウェイブの元へと移動する。

 

「──放してくれッ!!俺は、今すぐアイツを───」

「落ち着き給え。その傷で動けば命に関わる」

「……っ!すまねぇ…。俺は…」

 

駆け寄ったブレイドの腕をウェイブは力任せに振り払う。

しかし振り払ってから気づく。彼らは敵では無い。

殺される寸前の自分を救い、今も心配して手を貸そうとしてくれた恩人ではないか。

その厚意を邪険に扱ってしまった事実に動揺し、直ぐに謝罪の言葉を述べる。

 

「助けてくれた事には…礼を言う。けど、一刻も早く追わねぇと…!!

 あんな野郎を放置してたら他に犠牲者が……クロメが……!!」

 

一見すれば、義憤に駆られた勇ましい台詞にも聞こえる。

だが仮面の男が逃げ去った先を睨む、酷く血走った狂気の眼。

重症で不安定である事を鑑みても、此れは異常。

このまま放置すれば確実に暴走し、迷走の果てに死ぬ。

最悪の場合、彼の暴走によって被害者を出してしまうかもしれない。

放っておくべきではないのは、誰の目から見ても明らかだった。

 

「…それが君の本懐だと言うのなら、私は止めはしない。

 だが、冷静になって自分に問いただしてみたまえ。

 命を賭けて奴を追跡する事が、君の成すべき事なのか。」

「俺の成すべき事…だと…?」

 

土方の言葉を頭の中で反芻する。

成すべき事は最初から決まっている。

もう決して忘れたりはしない、クロメだ。

帝国に殉じた仲間の死に報い、尽きかけた寿命を姉との決着に使い果たす。

彼女を魅入る死の呪縛から解き放ち、生きる方へと目を向けさせる事。

 

だが止めねばならない相手は、妹との決着を望む姉のアカメだけじゃない。

殺し合いに乗り気な参加者共。不死身の帝具使いがいい例だ。

人の形をした悪魔の様に、平然と命を踏み躙る連中が、この小さな島に溢れている。

彼女が生き続けるには、此処は敵が多すぎる。

 

──だから一刻も速く"殺さなくては"。

 

惚れた女を死へ誘おうとする死神は駆逐する。

不死鳥野郎を筆頭に、彼女を害す可能性を持つ参加者を狩り続ける。

それを邪魔する奴等も同罪だ。やると決めたら一直線。

そうして邪魔者を全員皆殺しにすればきっと彼女も──

 

(いや待て、そうじゃないだろ…!俺は何を言ってるんだ…!)

 

海の漢らしからぬ、亡き同僚セリューの様な狂気の思考に絶句した。

違うだろう。やるべきなのは殺す事じゃない。

一刻も速くクロメと再会して、彼女の傍で守ってやる事だ。

途中から目的への手段が、殺人になってしまっている。

それに敵を倒すにしてもだ、邪魔者だったら、誰であろうと殺すのか。

タツミやアカメ、殺す必要のない相手も邪魔なら殺してしまうのか。

 

ありえない。断じて否だ。

さっきから何かがおかしい。何もかもおかしい。

殺しが選択肢を占めている事も。戦闘中、最愛の女性との思い出を忘れかけた事も。

まるで自分が全く別の人間に変貌してしまった様で、悪寒が止まらない。

 

ヒューマギアと人間の確執を広げる為、ZAIAが仕組んだレイドライザーに潜む悪意。

説明書には書かれていない、アズが差し向けた仕込みの一つ。

意図せず芽吹いてしまった悪意の華が、彼本来の優しき心を捻じ曲げつつあった。

 

「クソッ…、どうしちまったんだよ、俺は……!」

 

「…追うなとは言わない。我々としても乗り気な輩を野放しには出来ない。

 まずは話を聞かせてくれ。一度態勢を整え、確実を期してから動くべきだ。」

 

派手に戦闘を繰り広げた跡地。いつ他の参加者が来てもおかしくない。

治療するにせよ先ずは場所を移す必要があると、移動を促す。

警戒にあたるブレイドの代わりに、土方の肩を借りて何とか歩き出すウェイブ。

差し伸べられた無償の善意。その優しさが、今の彼にはとても眩しく辛かった。

一度汚染されてしまった海は、簡単には浄化し切れない。

輝く勇気が脅威を退けても、悪意に蝕まれた海の漢の苦難はまだ続いていく。

 

【エリアG-8/どこかの丘周辺/1日目/深夜】

 

【ユウキ@プリンセスコネクト!Re:DIVE】

[状態]:正常、仮面ライダーブレイドに変身中

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(ユウキ)

[参戦時期]:少なくとも第二章にて、赤ちゃん状態から脱した後

[装備]:ブレイバックル@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式

    ブルスケッタ@ジョジョの奇妙な冒険

    詳細名簿@ロワオリジナル

[思考]

基本:みんなと一緒に生きて帰る。

1:傷だらけの人(ウェイブ)を治して話を聞く。助けられてよかった。

2:ヒジカタさんと一緒にペコさんたちとオキタさんたちを探す。

3:覇瞳皇帝、ゼーン、タケチ、オカダを警戒。

[備考]

※龍が如く維新!からの参加者の情報を入手しました。

※ブレイバックルには♠A~10までのラウズカードが付属しています。

 

【土方歳三@龍が如く維新!】

[状態]:正常

[服装]:新撰組の制服(幹部用)@龍が如く維新!

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(土方歳三)

[参戦時期]:少なくとも『ほとぐらふ』の存在を知った後

[装備]:月光麗舞シャムシール@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2、無毀なる湖光@Fate/Zero

[思考]

基本:斎藤君、総司と共に生きてこの島を脱出する。

1:重傷者(ウェイブ)を保護し、一時体勢を立て直す。

2:どういう訳かは知らないがこの青年、危ういな。

3:結城君と共に総司たちと結城君の知り合いを探す。

4:武市半平太、岡田以蔵、覇瞳皇帝、ゼーン、仮面の男(桐山)を警戒。

5:結城君…まったく君は恐ろしい男だ。

 

[備考]

※プリンセスコネクト!Re:DIVEからの参加者の情報を入手しました。

 

【ウェイブ@アカメが斬る!】

[状態]:ダメージ(極大)、自身に対する困惑、レイドライザーによる精神汚染(強)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(ウェイブ)

[参戦時期]:コミックス13巻65話の冒頭

[装備]:レイドライザー@仮面ライダーゼロワン

    スプラッシングホエールプログライズキー@仮面ライダーゼロワン

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本:クロメを探し出して、戦いを止める。

1:今は落ち着いて体勢を立て直す。

2:あの時、何でクロメの事を忘れた…?俺に一体何が起こってる?

3:逃げた帝具使い(桐山)は必ず止める。

4:アカメやタツミたちと出会ったら……。

[備考]

※レイドライザーによる精神汚染が進んでいます。

 精神が安定している際は使用に問題はありませんが、

 不安定な場合、抱いた悪意が増幅され狂暴化していきます。

 悪意増幅はレイドライザーが破壊されるまで続きます。

 以上の情報は説明書には記載されていません。意図的です。

 

※三人の近辺にヴァルキリー@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runが止めてあります。

 

 

◆◆◆

 

「………」

 

辺りに敵影が無い事を確認し、ファルシオンは変身を解除する。

現れたのは、服装から皮膚の一枚に至るまで、ゲーム開始時と寸分違わぬ桐山和雄の姿。

今の今までウェイブと激闘を繰り広げ、幾度も死線を乗り越えたとはとても思えない程に。

彼はそのままだった。

外見も。そして内面も。悍ましい程に彼は何も変わりはしなかった。

 

無銘剣を眺めながら、此処までの闘いの振り返りを行う。

最初に桐山が強襲を仕掛けたのは、この無銘剣の性能テストの為。

策も小細工も用意しない支給品頼りの闘いなど不死でなければ愚策。

蘇るとされても一度殺されてみるなど、常人ならば躊躇いや恐怖で実行出来ないだろう

だが、今後闘ってゆく上で必要な実験と考えれば、自身の死さえ一切の躊躇は無い。

桐山に何かを躊躇う余分な感情は皆無。恐怖など幼き日に綺麗さっぱり捨て去った。

 

元々の能力も加味した上で敵、ライダーは強力な力を有していた。

だがそれと比較してもファルシオンは異常な程に強い。

骨が折れようと臓器が傷つこうと即座に治る再生能力。

自身のスペックを大幅に向上させ、大災害すら跳ね返す戦闘性能。

桐山の知り得る現代科学では今後数百年掛かろうと再現不可能であろう破格の強さ。

 

もし桐山が最初に参加していたバトル・ロワイアルにて。

この無銘剣が支給された場合、1対他のクラスメイト全員であっても余裕で完勝可能。

そう確信するには十分な過剰戦力。

制限こそあれ、無銘剣はこの殺し合いに置いても最上位に位置する支給品。

有体に言えば当たりと呼べる代物だろう。

 

テスト結果は良好。しかし戦闘結果はあまり芳しくなかった。

一応の勝利こそ収めたが殺害数は0。

鯨を模したライダー(正確には別物)に甲虫を模したライダー。

自称新選組の男はどうか不明だが、此処まで出会った参加者は全員、姿形は違えど変身が可能だった。

あのまま彼らとやり合えば、相手の残り戦力次第では永久の灯が消え、敗北の危険性もちらつく。

 

新たに開催された二度目のバトル・ロワイアル。

今回は全員『変身』の様な特殊な力を有していると捉えて良いだろう。

この地に永遠も、絶対も無い。能力次第では、不死であっても死を迎える。

ファルシオンだけでの優勝は不可能。それを把握出来ただけでも成果は充分。

今後は残りの支給品も駆使した上で、定めた目標を処理していくとしよう。

 

そうして振り返りを程々に打ち切り、桐山の思考は次へ移行する。

現在は逃走者の身。負傷者を抱えている為、早々追ってこれないだろうが。

万が一の追撃も考慮して、逃走先を決めなくてはならない。

候補は二つ。廃墟へ続く鉄橋か、都心へ渡る列車。

何方も現在地から同距離程度の位置。もし駅へ移動し列車に乗り込めれば。

彼らは次の列車を待つか、遠く離れた南西の橋から追跡しなくてはならない。

此れは明確なタイムロス。連中の追撃を暫く躱すことが出来る。

 

問題点を挙げると発着時刻が分からない。

タイミングがズレれば待ちぼうけを喰らい、駅で追いつかれる可能性は充分ある。

乗り遅れた場合は、時刻表だけ確認して駅周辺での潜伏を余儀なくされる。

その点、鉄橋の場合は立ち往生の心配は不要。

ただし三人にとっても同様で、距離も近く容易に追跡が可能。

鉄橋の上で追いつかれた場合、一本道で逃げ場無くなる点も無視出来ない。

 

行方を晦ます当初の目的を果たせるが、移動先での脅威は何方も変わらず。

確実性を取るか、将来性を取るかの二択。

残りの支給品次第の部分もあるが、結論から言えばどっちでもいい。

何方でもいいなら決断の手段は決めている。

そうして桐山は、開始時と同じく自身のメダルを取り出した。

 

「……名前なら駅へ、マークなら橋へ」

 

殺し合いでのスタンスと次の行先。

到底同列には扱えない意思決定さえ、感情を持たない彼の前では全て平等。

何の感慨も無くメダルを弾き、二回目のコイントスを行う。

このコイントスが、次の戦場を決定付ける。

他の参加者にとって重要であり、桐山にとってなんてことのないありふれた一投。

赤のメダルがキラキラと輝きながら宙を舞い、やがて手の甲へ綺麗に落下。

抑えた手を退けた、その表面にはハッキリと。

 

「───駅か」

 

英字で彫られた悪魔の名が燦然と輝いていた。

 

【エリアG-8/北部/1日目/深夜】

 

【桐山和雄@バトル・ロワイアル】

[状態]:正常

[服装]:城岩中学校の制服@バトル・ロワイアル

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(桐山)

[参戦時期]:少なくとも『プログラム』が開始されてから。

[装備]:無銘剣虚無@仮面ライダーセイバー

    覇剣ブレードライバー@仮面ライダーセイバー

    エターナルフェニックスワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:自陣営以外の参加者を全員殺す。

1:駅へ向かって電車に乗り、都心ステージへ活動場所を移す。

2:駅近辺か列車内に他の参加者がいた場合、極力戦闘は避ける。排除可能であれば其方を実行。

3:三名による追撃を警戒。特に最後に現れたライダー(ブレイド)が最警戒候補。

 

[備考]

※無銘剣虚無は、変身中は不死の特性を発揮しますが、生身の状態では発動しません。

再生や復活にもかなり力を使うので、不死性に頼りすぎれば強制変身解除される可能性が高いです。

※現在も変身は可能ですがウェイブ戦と同時間、変身し続ける事は確実に出来ません。

 変身しても短時間で解除されます。



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第一回放送

この悪夢の仕掛け人たちの居城の一角。
簡素なテーブルと、マイク設備が設置された部屋にて。
ピッ、ピッと、規則正しく正確に時を刻むデジタル時計が、
丁度『06:00:00』と表示されたのと、全ての参加者のデバイスと、
会場内に存在する全てのテレビやラジオが全て自動で起動したのは同時だった。
マイクの目の前に腰かけた悪意の魔女が、
形の良い唇を笑顔に歪める。

『あー、あー、マイクテスト、マイクテスト。
…………OK、問題ないね。それじゃあ改めまして』


 

はーい、皆久しぶり~。

バトルロワイヤルの司会進行役、秘密のア~ズちゃんだよ♪

ルールもろくに見ないで殺し合いに明け暮れてたであろう、血気盛で悪意に満ちた皆の為に一応説明しておこうかな。

これはこのバトルロワイヤルの進行状況を参加者の皆にお知らせする定時放送だよ!

具体的に何を伝えるかというと、今までの間で死んだ参加者、現在の各陣営のリーダー、これから立ち入り禁止になるエリアの発表。

そして今回限りだけど、今まで伏せられていた20人の参加者の発表、それと重大な二つの追加要素のお知らせだよ。

まずは20人の伏せられていた参加者の発表から!

 

赤陣営が

岸辺露伴

三浦優美子

戸塚彩加

ユージオ

ユウキ

シノン

の6人。

 

青陣営が

サムライソード

血の悪魔

斎藤ケン

西山徹

シュラ

の5人。

 

黄陣営が

貝木泥舟

岸谷新羅

園原杏里

ランサー

ナランチャ・ギルガ

の5人。

 

緑陣営が

ネロ・クラウディウス

ムイミ

の2人。

 

桃陣営が

北岡秀一

の2人だよ。

 

同じ陣営の皆は仲良くしてあげてね。

他陣営の皆は頑張ってこの人たちもちゃんと殺すよーに♪

 

次にこの6時間で死んじゃった参加者の発表だよ。

赤陣営が

広瀬康一

坂持金発

相馬光子

真アーチャー

の4人。

 

青陣営が

アクセルRO

銃の魔人

の3人。

 

黄陣営が

浅上藤乃

神原駿河

岸谷新羅

の3人。

 

緑陣営が

ハーメルン

マリー

間桐シンジ

の3人。

 

桃陣営が

常磐ソウゴE

の2人。

 

殺されちゃった皆はご愁傷様。

またの来世にこうご期待ってことで。

最初の6時を生き抜いた皆はおめでとー!

あなたの願いに一歩近づいたね。

ただこれだけ時間が有って全体の1割ってのはちょっとのんびりし過ぎじゃない?

言っとくけど会場全部が立ち入り禁止になってゲームオーバー、誰も願いが叶わないってこともあり得るんだから、今度からはもっとハイペースでお願いね。

さて、後ろ向きな話はこの辺にしておいて、強欲で悪意に満ちた皆の中でも、とびっきり張り切ってる人たち、あるいは狡くて臆病で卑劣な火事場泥棒どもを紹介するよ!

それは現在の各陣営のリーダー!

赤陣営がメダル2枚でキリト

 

青陣営がメダル3枚でクロメ

 

黄陣営がメダル2枚でDIO

 

緑陣営がメダル2枚でありす

 

桃陣営がメダル3枚でマスターロゴス。

 

 

 

うんうん。皆良い調子ね。

もし生きてるけどメダルを奪われちゃったドジな皆は、恐怖しながら頑張ってリーダーにメダルを奪われないようにしてね。

あ、あと赤陣営や緑陣営の中には、自分が持ってるメダルは2枚なのにリーダーに慣れてない人がいると思うけど、同陣営内でメダルの所持数が同率の一位が成立する場合、最も早く一位の数のメダルを手に入れた人がリーダーになってます。

だから次の放送でリーダーを目指す人は、なるべく早めにメダルを確保するのがおすすめだよ。

 

それで禁止エリアだけど、C-2、H-3、I-7の三つで~す。

この放送が終了してからきっかり一時間が経過するまでに、三つ全てのエリアから退去してね。

居続ければ首輪がドカン!だし、一回抜けたらもう二度と入れなくなるからご注意を。

 

そしてここからが特に重要なお知らせだよ。

陣営分けされているこのバトルロワイアルだけど、なんとどれかの陣営に、裏切り者がいまーす!

え?何がどう裏切りなのかって?

ふふふ、知りたい?

それはね、元同陣営の参加者を5人殺すことで、ゲームから離脱。優勝商品の願いを叶える力をもらえるようになった人たちの事だよ!

ただ単に陣営問わず手を組んでる人たちの事ではないから、そこのところ間違えないでね?

ま、そーゆー人たちを裏切り者扱いしたければすればいいけど。

他の陣営と戦いながらそんなことをする余裕があればだけどね!

では最後に、ここまでを頑張った皆に私達から豪華賞品をプレゼント!

ちょっと刺激が強いから覚悟してね?

はい、どーぞ★

 

 

 

 

 

……

………

…………

……………

………………

…………………

……………………

………………………

…………………………

 

 

 

うん。もうそろそろいいかな?

ふふふ、どう?びっくりしたでしょ?

残る参加者の皆にはそれぞれ許容量の限界ギリギリのファントムリキットを投与させてもらいました!

「ネビュラガスを高濃度圧縮して液化させたもの」って言えば、分かる人には分かるかな?

あなたたちは戦えば戦うだけ体内の特殊細胞分裂が活性化していくようになったよ!

ゲーム風に言えば君たちは「永続的戦闘経験値倍化状態」ってとこだね。

これからもガンガン戦って、優勝を目指して頑張ろう!

ただし無鉄砲な特攻はお勧めしないな。

今の君たちは例外なく「変身解除級のダメージ」を受けると消滅しちゃうからね!

肉体が丸ごと滅びるから、武器人間も態々心臓をもいで殺す必要もないし、ただでさえ普通の人間とはつくりの違う英霊や柱の男、本来なら極限まで鍛え抜かれているはずのZ戦士の皆も要注意!

今や君たちは態々弱点を攻撃されなくても殺せる存在だからね!

限界を無視して戦えば簡単に死んじゃいます!

波紋を受けた吸血鬼みたいに!

さて、伝えることも大体伝えたし、これで第一回放送を終わります!

戦闘中で間が悪かった皆はデバイスのアプリから見返してね。

それじゃあバイバーイ。

また次の第二回放送で会いましょう!

アスナちゃん(・・・・・・)もみんなのために頑張ってるし、皆もおんなじぐらい頑張ってね!Ciao♪




全体備考
※放送終了からきっかり一時間でC-2、H-3、I-7の三つのエリアが立ち入り禁止になります。
※参加者全員に許容限界ギリギリの量のファントムリキットが投与されました。
 ハザードレベルが急上昇し、一時的な体調不良が生じる可能性があります。


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第二回放送までのss
劇薬- psychedelic bad trip-


作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・タツミ@アカメが斬る!
・由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険


「うっ……」

 

タツミが目を覚ますと、知らない天井が広がっていた。

それは天井その物のことでも、その材質の事でもあった。

最悪を想定して周囲に気を配る。

灯りはないが、外が明るくなってきているお陰か、締め切られたカーテン越しの光で今自分が居るのは狭い1人部屋だと分かる。

自分はベッドに寝かされており、左側に机と椅子。

手前側に本棚とクローゼットがある。

どれも立派な物で、貴族様の部屋なのかもしれない。

 

(確か……八房を持った男と戦って、ナランチャが牛車を出してくれてそれに乗ってそれから……)

 

自分は気を失ったのだと思い出すと、部屋のドアが開くのは同時だった。

 

「タツミン!よかった。自分起きれたんだ」

 

「ユイガハマ……ここは?」

 

「あの後タツミン気絶しちゃったから駅まで来たけどここで休もうってナランチャ君が。

はいこれ」

 

渡されたマグカップを受け取り、一口飲む。

中身はココアだった。

優しいけど少し甘すぎるのが不思議と結衣に合っているとタツミは感じた。

 

「悪いな。ところで、俺の帝具は?」

 

「今はナランチャ君が持ってる」

 

「そのナランチャは?」

 

「まだ一階。食べれそうなモノ探してる」

 

そう言って結衣は椅子に座る。

 

「あれからどのくらいたった?」

 

「さあ?でももうちょっとで定時放送みたい」

 

「定時放送?」

 

「ここに着い時にナランチャ君とルール見返してた時に気付いたんだけど……死んだ人の名前とか、呼ばれるって」

 

「……そうか」

 

なんて話していると、フルーツや缶詰の乗ったトレーを持ったナランチャがやってきた。

 

「お!タツミ、目ぇ覚めたんだな」

 

「悪いなナランチャ。ユイガハマと看病してくれてたみたいで」

 

「いいって。それより、定時放送だっけ?聞いてるか?」

 

「ああ。そろそろらしいけど」

 

椅子の背もたれにかけられていたタツミの上着からアラーム音のような音がする。

結衣やナランチャの服のポケットからもだ。

 

「ユイガハマ」

 

「う、うん」

 

代表して結衣が取り出したデバイスをいつもスマートフォンで動画を見る様に横向きにする。

 

『あー、あー、マイクテスト、マイクテスト。

…………OK、問題ないね。それじゃあ改めまして』

 

出来る事なら見たくも聞きたくもなかった悪辣な魔女の楽し気な姿と声に何とも言えない気分になる3人だったが、今後生き残るために必要な情報は一つも逃がすまいと耳を傾けた。

 

「ナランチャ君もこの伏せられてた20人?」

 

「みたいだな」

 

『赤陣営が

岸辺露伴

三浦優美子

戸塚彩加……』

 

「嘘……」

 

新たな知り合いの参加の知らせに顔が青くなる結衣。

タツミとナランチャには居なかったが、結衣と同じような一般人(カタギ)がまだ参加されていることに怒りを抱いた。

 

『同じ陣営の皆は仲良くしてあげてね。

他陣営の皆は頑張ってこの人たちもちゃんと殺すよーに♪

 

次にこの6時間で死んじゃった参加者の発表だよ』

 

全員の顔が一段とこわばる。

ここだ。

一体ココでどんな名前が何人呼ばれるかで今後は大きく変わると言ってもいい。

 

『赤陣営が

広瀬康一

坂持金発

相馬光子

真アーチャー

の4人。』

 

結衣とナランチャが分かりやすく安堵のため息をついた。

危ない目に合ってない保証はないが、奉仕部も優美子も彩加もフーゴもとりあえず生きてはいることが分かったのだ。

 

『青陣営が

アクセルRO

銃の魔人

の3人』

 

タツミは二人に比べて複雑だった。

アカメやマインが死んでいないのは喜ばしいが、エスデスやクロメたち危険分子やウェイブのような場合によっては対立せざるを得ない状況になった場合、本当に無益な戦いをせざるを得なくなるかもしれない。

そして放送は陣営のリーダーの発表に移る

 

『赤陣営がメダル2枚でキリト

青陣営がメダル3枚でクロメ

黄陣営がメダル2枚でDIO

緑陣営がメダル2枚でありす

桃陣営がメダル3枚でマスターロゴス』

 

「クロメだって!?」

 

「確かタツミがヤバいって言ってた奴だよな?」

 

「ああ。八房の本来の使い手だ」

 

「え!?それって、あのお坊さんが持ってた刀?」

 

頷くタツミにナランチャは思い切り苦虫を噛み潰したような顔になり、結衣は友人たちの無事に少しは良くなっていた顔色がさっきよりも青くなる。

仕方ないことだろう。

あの妖刀を使いこなすような精神を持ってる使い手がもう2人も殺しているかもしれないのだ。

 

『それで禁止エリアだけど、C-2、H-3、I-7の三つで~す。

この放送が終了してからきっかり一時間が経過するまでに、三つ全てのエリアから退去してね。

居続ければ首輪がドカン!だし、一回抜けたらもう二度と入れなくなるからご注意を』

 

タツミが自分のデバイスの地図を開くと、発表された三つのエリアの色が白から灰色に変わっている。

どうやらこんな悪辣な催しを開催しておいてここら辺は親切なようだ。

次いで『裏切り者』の発表など、またややこしい要素の公表など、このまま寝入ってしまいたくなるような事態は続く。

 

『では最後に、ここまでを頑張った皆に私達から豪華賞品をプレゼント!

ちょっと刺激が強いから覚悟してね?

はい、どーぞ★』

 

嫌な予感しかしねえ、と、呟こうとしたナランチャだったが、首筋に感じた鋭い痛みに黙った。

なんだ?

と、一瞬だけ疑問に感じれるだけの間をおいて、体全身に急に熱くなった。

いや、そんな生易しい物ではない。

身体の重さが急に増えた様に言う事を聞かなくなり、ただただ自分が熱いと言う事しか

分からない。

ナランチャは思い切り尻もちをついた上であおむけに倒れ、結衣も椅子から転げ落ちる。

タツミは一番ひどく、ベッドに倒れこんだと思ったらうめき声をあげて暴れ始めている。

 

「ハァ……ハァ……なんっ……なんだよぉ……ああっ!」

 

自分の頬を思いきりひっぱたけたナランチャはどうにか立ち上がる。

なんどか深呼吸をしていると、気分も体の重さも幾分かマシになってきた。

結衣もどうにか椅子もたれかかって上半身を起こせる程度には回復している。

 

『残る参加者の皆にはそれぞれ許容量の限界ギリギリのファントムリキットを投与させてもらいました!

「ネビュラガスを高濃度圧縮して液化させたもの」って言えば、分かる人には分かるかな?』

 

(分かんねぇよ!てか、爆弾だけじゃなくて麻薬(ヤク)まで仕込まれてんのかこの首輪!?)

 

元々許すつもりなんてなかったが、ナランチャの中でアズたちは『絶許』『絶対悪』となった。

あのブチャラティ―が、ナランチャにとって不動のヒーローが他の何と比較しても絶対に許さない所業を実行したのだ。

100万回殺しても足りない。

 

『あなたたちは戦えば戦うだけ体内の特殊細胞分裂が活性化していくようになったよ!

ゲーム風に言えば君たちは「永続的戦闘経験値倍化状態」ってとこだね。

これからもガンガン戦って、優勝を目指して頑張ろう!

ただし無鉄砲な特攻はお勧めしないな。

今の君たちは例外なく「変身解除級のダメージ」を受けると消滅しちゃうからね!』

 

消滅。普通人間の肉体に使う言葉ではないが、多分今の自分たちは空気をパンパンにいれた風船の様な物なのだろう。

そこに一定状の圧力を書ければ割れるのは子供でも分かる事だ。

 

『さて、伝えることも大体伝えたし、これで第一回放送を終わります!

戦闘中で間が悪かった皆はデバイスのアプリから見返してね。

それじゃあバイバーイ。

また次の第二回放送で会いましょう!

アスナちゃん(・・・・・・)もみんなのために頑張ってるし、皆もおんなじぐらい頑張ってね!Ciao♪』

 

「あのアマ……ふざけ倒しやがって!」

 

悪態をつきながら立ち上がるナランチャ。

結衣もどうにか椅子に座り直せているが、まだ苦しそうだ。

そしてタツミは

 

「おいタツミ、無理に起きようとすんなよ。今はまだ……」

 

安静に、と言おうとしてナランチャは息をのんだ。

タツミの瞳に敵意以外の感情が亡くなってしまっていたからだ。

 

「うぅうううああああああっ!」

 

その細見からは想像もつかない馬鹿力でナランチャを殴り飛ばすタツミ。

さらに馬乗りになって右、左と拳を振り下ろす。

 

「や、やめてタツミン!」

 

どうにかナランチャからタツミをはがそうとする結衣だが、立ち上がりながら肘内で転ばすと、再びどうにか立ち上がってナランチャにつかみかかる。

どうにか突き飛ばして距離を取ったナランチャだが、もみ合ううちにエニグマの紙に入れていたスクラッシュドライバーとスクラッシュゼリーが飛び出てしまう。

 

「タツミよせ!」

 

叫ぶナランチャ。

しかし闘争本能に支配されたタツミが求めるのは破壊だけだ。

 

<ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!>

 

獣の様な唸り声をあげるクローズチャージ。その標的は、当然ながら眼前の2人だ。

 

「おいおいマジかよ……」

 

ただでさえファントムリキッドの副作用の影響でいつもの動きが出来ない上に、さっきの戦闘を見れば明らかな身体能力の格差。

最悪結衣だけでも逃がすべきか?と、ナランチャが一瞬後ろを振り返る。

目が合った結衣は、ナランチャがなにをしようとしてるのか察したのか、彼を退けて前に出る。

 

「ユイガハマ!?」

 

「駄目だよナランチャ君。フーゴ君にまた会うんでしょ?」

 

そう言って結衣が取り出したのは、超強化薬。

瓶のふたを開け、意を決して中身を

 

「───アアアアッ!」

 

叫びながら飛び掛かったクローズチャージの腕が結衣の胸倉と手首をつかんだ。

力強く、乱暴だが、それ以上は何もしない。

 

「タツミ、お前!」

 

「タ、タツミン……」

 

「ダ……目だァ……オ前ガソレヲ使ッタラ、戻レナ……イ。

ユイ……ガハマ。オマ、エハ……モ、どレル、、ヒッキーたちのところ、へ」

 

そう言い終えると結衣を解放したタツミの身体から水色の粒子が上がり始めた。

 

「まずい!タツミ!」

 

慌てて駆け寄ったナランチャがドライバーからスクラッシュゼリーを引き抜き、強制解除より早く変身を解除させた。

再び気を失ったタツミの頬には爬虫類の様な鱗が浮かび上がっており、肉体の『人間離れ』が進行してしまっていたが、インクルシオで再変身しない限りはどうという事も無いだろう。

 

「ユイガハマお前、とんでもない無茶したな。

もしタツミが止まらなかったらお前、殺されてたぞ?」

 

「タツミン……なら、きっと…周囲に、気を配って、くれるかな、て……ごほごほ!」

 

「たく。まだお前の音楽の趣味も知らない程度の付き合いだけど、お前そんなキャラかよ?」

 

結衣に肩を貸して立たせると、二人がかりでもう一度タツミをベッドに寝かせてた。

ナランチャは、大きくため息をつき、結衣は気を張っていたのか、椅子に座ると、机に突っ伏すように眠ってしまった。

 

「あーあ。まあ、仕方ねえか。毛布と、あと冷蔵庫があるなら氷枕だな」

 

いくらエアロスミスがあっても二人を別々の部屋で寝かせた上での看病は襲撃された時に二人を連れて逃げれる保証がないので、結衣には悪いがベッドはより重症なタツミに譲ってもらう。

 

(色々と大変な事ばっか続きだけど、待っててくれよブチャラティ!

アズをとっちめてあのファントムなんとかとかいうヤクを全部処分したらフーゴと一緒に戻るからな!)

 

 

 

【エリアD-8/駅近くの民家/1日目/】

 

【タツミ@アカメが斬る!】

[状態]:竜化進行(中)、本能の高ぶり(大)、疲労(大)

    気絶、ファントムリキッド投与に伴う不調(大)

[服装]:いつもの私服

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(タツミ)

[参戦時期]:ブドー死亡後からワイルドハントの残党との戦いまでの間

[装備]:スクラッシュドライバー@仮面ライダービルド

    ドラゴンスクラッシュゼリー@仮面ライダービルド

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1

[思考]

基本:この殺し合いに抗う。

0:…………。

1:杜王駅に向かってレッシャに乗る。

2:エスデス、クロメ、八房の男を警戒。もし戦闘になれば自分が戦う。

3:出来る事なら早くマインたちと合流したい。

4:ジオウ、、ごめん

5:ファントムリキッドだって?

[備考]

※言葉の壁が取り払われていることに気付きました。

エニグマの紙の件と合わせて運営側の誰かの帝具の可能性を疑っています。

※パンナコッタ・フーゴ、比企谷八幡、雪ノ下雪乃の情報を得ました。

※名簿に塗りつぶされている部分が有ることに気付きました。

※スクラッシュドライバーの影響で、ハザードレベルの上昇、タイラントの本能への刺激が起こっています。

※デバイスの言語は各キャラに合わせているようです。

タツミのは帝国公用語です。

※着ていたコートはナランチャに寝かせられるときに脱がされています。

 

 

 

【由比ヶ浜結衣@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:健康、疲労(大)、気絶、ファントムリキッド投与に伴う不調(中)

[服装]:総武高校制服

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(由比ヶ浜結衣)

[参戦時期]:少なくとも奉仕部入部後

[装備]:デバイス、超強化薬(改良版)@アカメが斬る!

[道具]:メダル、ランダム支給品×1~2

[思考]

基本:ヒッキーたちと合流する。

0:…………。

1:杜王駅から列車で学校に行く。

2:周囲に気を配る、か。

3:エスデス、クロメ、お坊さんを警戒。

4:超強化薬(改良版)@アカメが斬る!は使わないし、捨てない。

5:ナランチャ君もタツミンもすごいなぁ、、。

6:本当に殺し合いなんだ、、。

7:ヒッキー、ゆきのん、優美子にさいちゃん。

  絶対、また会いたいなぁ。

[備考]

※言葉の壁が取り払われていることに気付きました。

エニグマの紙の件と合わせて非常に混乱しています。

※パンナコッタ・フーゴ、およびアカメが斬る!からの参加者と帝具の情報を得ました。

帝具に関しては半信半疑です。

※デバイスの言語は各キャラに合わせているようです。

結衣のは日本語です。

 

 

 

【ナランチャ・ギルガ@ジョジョの奇妙な冒険】

[状態]:正常、疲労(中)、ファントムリキッド投与に伴う不調(小)

[服装]:いつもの私服

[所属陣営]:黄(アニメ)

[メダル枚数]:1枚(ナランチャ・ギルガ)

[参戦時期]:少なくともディアボロの名前を知るよりは前。

[装備]:折原のナイフ@デュラララ!!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1、神威の車輪@Fate/Zero

[思考]

基本:殺し合いにはのらない。けど敵はぶっ倒す。

1:杜王駅に行って列車で学校やネアポリス駅に行く。

  でもその前にタツミとユイガハマの隊長が整うのを待つ。

2:フーゴと合流する。

  あいつがちゃんと調べればきっと首輪も外せるぜ!

3:そしたらあの女(アズ)やその仲間を倒す。

  そんでもってファントムなんとかとかいうヤクは全部処分すする

4:テイグって、あんなヤバいのか……

5:エスデス、クロメ、八房の男を警戒。アズ共々今度会ったら必ず倒す!

6:もしかしたらこのバトルロワイヤルはスタンド使いの素質のある奴らが呼ばれているのかもしれない。

[備考]

※言葉の壁が取り払われていることに気付きました。

エニグマの紙の件と合わせて運営側の誰かの帝具やスタンド能力の可能性を疑っています。

※比企谷八幡、雪ノ下雪乃、およびアカメが斬る!からの参加者と帝具の情報を得ました。

※名簿に塗りつぶされている部分が有ることに気付きました。

 なんでそんなめんどくさい事してるんだろう?と思ってます。

※デバイスの言語は各キャラに合わせているようです。

ナランチャのはイタリア語です。



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逆鱗-BLACK FIST-

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・キリト@ソードアート・オンライン
・マリオ・ズッゲェロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-


市街地に無骨な花火が上がる。

短命な赤い花の残した煙の下、幅広の刀身の片手剣の少年と、レイピアを持った魔人を操る男が小さな閃光と共に絶えず走りながら戦っていた。

少年はキリト。浮遊城アインクラッドの黒の英雄にいしてビーター。

男はマリオ・ズッケェロ。イタリアのギャング組織『情熱(パッショーネ)』の構成員にして幽波紋(スタンド)使い

時に得意の剣技、時に鎧の防御とパワーアシストに任せた肉弾戦で向かってくるキリトに、ズッケェロは自身のスタンド、『ソフト・マシーン』の厚みを奪う能力を用いて自分自身をぺらぺらにして、思わぬ隙間に潜んで攻撃してくる。

一撃決まればズッケェロの勝ちだろう。

完全に厚みを失った状態で即座に動ける人間はいない。

ズッケェロだってこの能力を使いこなすためにかなりの訓練を必要としたのだ。

一方キリトも全く未知の敵に対して警戒を怠る事はしていなかった。

未知に無策で突っ込むようなバカはSAOで、いや、SAOに限らずどんな戦場でも簡単に早死にする。

避けれないと思えば即座に鎧を解除して刃を避け、生身で危なくなれば再び鎧を纏って底上げしたスペックで逃げ回る。

 

(チッ!ちょこまかと冷静なガキだ!)

 

(すっとぺらぺらになった本体自身も追い掛けてくるあたり、遠隔操作は不可能みたいだな。

何が何でも当てようとしてるあたり、即死かあてれば何かの条件が完成するパターンか。

厄介だな。こっちはそうゆう決め手が真っ向勝負用だってのに)

 

だが勝ち筋が無いわけではない。

決め手が真っ向勝負用しかないということは、敵をこちらの土俵に上げてしまえば圧倒的に有利だ。

不意打ち以外全くできないなどとは思わないが、それでも本職の自分には及ぶまい。

 

そう考えたキリトは変身を解除しその場に立ち止まった。

もういい加減H-3からも遠ざかったし、隻腕の男がどこに行ったか分からない程度には動き回った。

ならあとは、再起不能にするだけ。

 

(止まった?なら遠慮なくいかせてもらう!)

 

(来い!返り討ちにしてやる!)

 

マンホールの蓋から……正確にはその隙間から出現したズッケェロが『ソフト・マシーン』のレイピアを繰り出した。

すかさず転がって避けたキリトのコートのポケットが裂けて、中からデバイスが零れ落ちた。

決まれば確実に機動力も防御力も0に出来ると言っても過言ではない能力だが、『レイピアで穴をあける』という条件が必須である。

しかも貫通しきってないので今回は上着の厚みすら奪えない。

再びマンホールの奥に潜り込み、次の襲撃までの静寂が訪れる。

それを破ったのは、キリトが落としたデバイスから鳴り響くあの魔女の声だった。

 

『はーい、皆久しぶり~。

バトルロワイヤルの司会進行役、秘密のア~ズちゃんだよ♪』

 

ルールにも記載があったバトルロワイヤルの進行状況を参加者に知らせる定時放送のようだ。

初回は伏せられていたギミックがあるとかどうとか相変わらずのわざとらしい小悪魔ちゃん口調でアズが言っているが、ズッケェロは構わず攻撃を続けてくるので、キリトは重要な情報だけは聞き逃さない様に集中する。

 

『まずは20人の伏せられていた参加者の発表から!

赤陣営が

岸辺露伴

三浦優美子

戸塚彩加

ユージオ

ユウキ

シノン

の6人……』

 

キリトは不意に妙な間隔に襲われた。

ユージオ、ユウキ、シノンの名前を聞いた途端、悲しみと喜びが同時に沸き上がった。

例えるなら、危険すぎるから仲間を連れてこなかった戦場で絶体絶命になった時、実力信頼ともに申し分ない親友と息子が同時に駆け付けてくれたような、そんな気分だ。

いや、無条件に背中を預けられる様な親友を持ったこともユイ以外の子供を持ったこともないのだが。

更に不思議なのが、後に続く度の名前にもそんな感覚は湧き上がらないことだ。

忘れているだけで、ユージオ達三人に出会ったことがあるのだろうか?

 

 

『同じ陣営の皆は仲良くしてあげてね。

他陣営の皆は頑張ってこの人たちもちゃんと殺すよーに♪

次にこの6時間で死んじゃった参加者の発表だよ。

赤陣営が

広瀬康一

坂持金発

相馬光子

真アーチャー

の4人。

青陣営が……』

 

特に知り合いも居なかったのか、互いに反応もなく、出方をうかがう。

そろそろだ。

聞き逃してはいけない情報全てはまだ出そろっていない。

 

『殺されちゃった皆はご愁傷様。

またの来世にこうご期待ってことで。

最初の6時を生き抜いた皆はおめでとー!

あなたの願いに一歩近づいたね。

ただこれだけ時間が有って全体の1割ってのはちょっとのんびりし過ぎじゃない?

言っとくけど会場全部が立ち入り禁止になってゲームオーバー、誰も願いが叶わないってこともあり得るんだから、今度からはもっとハイペースでお願いね』

 

勝手に呼びつけて爆弾で脅してる側が良く言う。

茅場の時にも感じた理不尽への怒りを思い出しながらキリトは物陰からペラ紙一枚より薄っぺらくなった『ソフト・マシーン』の刺突を変身しながら回避し、引き続きデバイスから聞こえてくる声に耳を傾けた。

 

『さて、後ろ向きな話はこの辺にしておいて、強欲で悪意に満ちた皆の中でも、とびっきり張り切ってる人たち、あるいは狡くて臆病で卑劣な火事場泥棒どもを紹介するよ!

それは現在の各陣営のリーダー!

赤陣営がメダル2枚でキリト

青陣営がメダル3枚でクロメ……』

 

のんびりし過ぎというのは誇張じゃなかったようだ。

まさかたった一回漁夫の利を成功させただけの自分がリーダーとは。 

キリト以外にも何らかの手段で二枚以上メダルを入手した者はいるようだが、まだ発表は残っており、何か自分たちを戦わせずにはいられなくするなにかがあるのでは?

と、嫌な予感と緊張が高まって来る。 

 

『それで禁止エリアだけど、C-2、H-3、I-7の三つで~す。

この放送が終了してからきっかり一時間が経過するまでに、三つ全てのエリアから退去してね。

居続ければ首輪がドカン!だし、一回抜けたらもう二度と入れなくなるからご注意を』

 

アプリの作動と言い、どうやら運営は激戦区となったらしいH-3の者たちを散らして戦いを振りまきたいらしい。

続く裏切り者の発表も、疑心暗鬼を加速させるためだろう。

 

『では最後に、ここまでを頑張った皆に私達から豪華賞品をプレゼント!

ちょっと刺激が強いから覚悟してね?』

 

『ソフト・マシーン』のレイピアよりかは小さいが、同じぐらいに鈍い痛みが首を襲う。

同時に体温が異様に上昇し、立っていられない程頭が重くなる。

それはズッケェロも同様で、思わずスタンド能力を解除してしまったのか、地面の隙間から慌ててはい出ると、道路と熱烈にハグしながら喘ぎ始めた。

 

(リキッドだかガスだか知らねえがチャンスだ!

あのボトルでさっさと身体から除去してあのガキより早く復帰してやる!)

 

『ソフト・マシーン』が手繰り寄せたエニグマの紙からジーニアスボトルが飛び出る。

それをズッケェロが掴み、

 

『また次の第二回放送で会いましょう!

アスナちゃん(・・・・・・)もみんなのために頑張ってるし、皆もおんなじぐらい頑張ってね!Ciao♪』

 

自身に使おうとした瞬間、グランシャリオの拳がズッケェロの顔面が捕らえた。

その手を滑り落ちたジーニアスボトルが乾いた音を立てて地面に落ちたことだろう。

ズッケェロ本人には続く打撃音と殴打音で分からなかった。

何故かって?

キリトの怒涛の連撃が終わらないからだ。

鼻が折れようと、わき腹から骨が突き出ようと、口から鮮血を吹きだそうとお構いなしだ。

顔面を殴る右手を、わき腹に叩きこむ拳を、めり込ます膝を止めない。

止める気配が全くない。

 

「ごっぱぁあああああああ!」

 

そして残る左腕はズッケェロの胸倉を皮膚や肉、鎖骨ごと無理やり掴んで離さない。

後に吹き飛ぶエネルギーを強引に止める起点にされた鎖骨はもう折れているが、肉と皮が繋がってズッケェロを殴り続けられるならキリトにとってはどうでもいいらしく、完全に逃げ場を失ったズッケェロの口から鮮血とだ液の混じった薄ピンクの液体と共に白いカルシウムの塊が飛んで行っても気にしている様子はない。

 

それでもなんとか生存本能を総動員して『ソフト・マシーン』のレイピアを繰り出すズッゲェロが、それより早く、さっきまで顔面を重点的に振り下ろしていた右腕によって、ズッケェロ本体の右腕を掴まれ、阻まれた。

 

(な!?)

 

「そのストライカーみたいなの、HPに破損個所までお前と共有みたいだな」

 

恐ろしく低く冷たい声でそう言うと、キリトは容赦なく右手をグランシャリオのパワーアシストに任せて果実の様に握りつぶした。

鮮血と共に自分や親の顔よりみてたかもしれない指先が迸る鮮血と共に地面に落ちた。

同時に『ソフト・マシーン』の右拳も鮮血を噴き出して壊れ、手から滑り落ちたレイピアが中空で崩れて消滅する。

今亡き広瀬康一の『エコーズACT2』の尻尾が破壊された時に本体の背中のダメージになったように、『ソフト・マシーン』のレイピアも右手の指のどれかと繋がっていたらしい。

 

「いいぃイイイイイいいぎゅああああアアアア!

 

流石のズッケェロもこれには情けない声をあげた。

先の放送で参加が確定したナランチャギルガたちブチャラティチームにサングラスと釣り糸でもって網膜を焼かれた時とはまた違う種類の壮絶な虐待に戦意にべきべきとヒビが入っていくのが分かる。

そして悲鳴を上げている間にもキリトはズッケェロの左脚の右脛につま先を叩きこんでおり、歩行能力が奪われる。

 

「……」

 

お人よしだったはずの少年が仮面越しにどんな顔でこちらを見下ろしている分からなかったが、幸か不幸か、ズッケェロは次の顔面への殴打で気絶することが出来た。

最期に見たのは、変身解除し、グランシャリオの鍵を逆手に構えるキリトの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

適当に入った民家のシンクでキリトは手を洗っていた。

鎧越しだったとはいえ、人相が変わりかけるまで人をぶん殴ったとあって手が血まみれかの様な錯覚が消えてくれない。

更には自分にあそこまでの暴力性が眠っていたとは。

今もどこかで虎視眈々と人を殺そうと機会をうかがっているPoHを笑えなさそうだ。

 

(でも本当に、本当にありがとう。アスナ)

 

本当はあの時、顔面は元の顔が分からなくなるまで滅茶苦茶に殴られた上に、片足も駄目にしたにも関わらず生きていたズッケェロをキリトは殺すつもりだった。

普通ならあれだけボコボコにしておいて生きているのが奇跡だが、遥か彼方に吹っ飛ばされても再起不能で済んでいたセト神のアレッシーとか、最強の破壊力を持つスタンドと呼び声高い星の白金(スタープラチナ)にしこたまぶん殴られても人体の形を保っていた鋼入りの(スティーリー)ダンの例を見るに、スタンド使いは皆頑丈なようだ。

閑話休題。

兎に角そこまでして死なないなら首でも跳ね飛ばそうと思い、キリトは変身を解除したのだ。

 

(すぐにこいつらを殺してアスナを助けに行く)

 

優勝すれば限りなく運営の近いところまで呼ばれるだろう。

その時に奪い返す。

迎えに行ったときアスナはきっと……。

 

(……悲しむだろうな)

 

一瞬でもそう思いいたるのが遅ければ、キリトはズッケェロの喉笛を掻き切って首の骨を断ち切っていたことだろう。

踏みとどまった瞬間、キリトの脳裏をよぎるのは仮想世界で時に対立し、時に手を取り地獄からの生還という目的のために足並みがそろわないながらも駆け抜けた仲間たちだった。

 

(本物にビーターになっちまったら、駄目だよな。

悪意に負けたら、俺は二度とアスナやユイ……直葉たちに顔向けできない)

 

完全に脱力した人間を運ぶのはそれなりに大変だという話を昔聞いたことがあったが、元々パワー特化のビルドとあって恐らくバランスタイプやスピードタイプのビルドよりは楽に運べただろう。

一応、勝手に拝借させていただいたジーニアスボトルの効果でファントムリキッドは限りなく浄化したので継続ダメージで死ぬ確率もだいぶ減っているはずである。

 

「目覚めたらなんて声をかけるべきかな」

 

未だ痛みにあえぐズッゲェロに罪悪感を覚えながら、キリトの頭はこの一瞬も無駄にしてはならないと、新たに発表された情報を整理し、現状の突破口を探し始めていた。

 

 

 

【エリアG-3/市街地/1日目/朝】

 

【キリト@ソードアート・オンライン】

[状態]:疲労(中)、ファントムリキッドの副作用(小)

   アスナを利用された怒りによるハザードレベル上昇(中)

[服装]:新政府の制服@仮面ライダービルド

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:3枚(キリト、セイバー、ズッケェロ)

[参戦時期]:少なくともSAOクリア後~シノンと出会うより前

[装備]:修羅化身グランシャリオ@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式 

    ランダム支給品×0~3

    玄武神話ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

    もともと着ていた服@ソードアート・オンライン

   ジーニアスフルボトル@仮面ライダービルド

[思考]

基本: このゲームを生き抜く。

1: どう動くのがいいのかまだわからないけど、少なくとも殺させないし、殺さない。

  あと、アスナを悲しませるような事や、アイツらに顔向けできなくなるようなこともしない。

2: あの女騎士(セイバー)には警戒する。

3: 青い剣士(ブレイズ)にはあったら礼をしたい。

4:覚悟決めたばっかだってのに、まさか自分があんなに冷静でなくなるなんて……。

5:この人(ズッゲェロ)が目覚めたらなんて声をかけるべきか。

6:ユージオ、ユウキ、シノン……不思議だ。他人な気がしない。

7:アスナを利用した運営は必ず滅ぼす。

[備考]

※ソードスキルは使えますが、アイテムストレージなどは使えなくなっているようです。

生身かどうかなどは後の書き手に任せます。

※もともと着ていたお馴染みの黒衣はグランシャリオの入っていた紙にしまっています。

※服装は劇場版で万丈が着ていたのと同じデザインの服です。

ただしサイズはキリト、というより最初に支給されたセイバーに合わせたサイズなので問題なく着れています。

※新政府の制服の入っていた紙はその場に放棄しました。

乾けばまたもとのように使えるかもしれません。

 

【マリオ・ズッケェロ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】

[状態]: 気絶、骨折(鼻、脇、右鎖骨)骨にひび(左脚など)、吐血、

    右手圧壊及びそれに伴う指の一部欠損

    左側を中心に歯の折れ、口の中の裂傷、瞼の腫れ、腹部に殴打跡

    口の中以外怪我は全て応急処置済、ファントムリキッドの副作用は浄化済

[服装]: いつもの服装(血だらけ)

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:麻薬チームに敗北した後。シーラEと戦うより前。

[装備]:

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本: この殺し合いを勝ち抜いて自由になる。

0:…………。

1: 痛ぇ……痛ぇよ……

[備考]

※肉体のダメージに引っ張られて『ソフト・マシーン』も大ダメージを負っています。

 少なくとも右腕のダメージをどうにかしないと固有能力発動もままならないです。



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堕天使/悪魔降臨

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・マッシモ・ヴォルぺ@恥知らずのパープルヘイズ
・エスデス@アカメが斬る!
・レゼ@チェンソーマン
・ラビリスタ@プリンセスコネクト!Re:DIVE


「ノロマばっか集めたのも無駄に広い島を用意したのもお前らだろうに」

 

鳴り止んだ放送で唯一の仲間であるビットリオの無事を知った事への安堵を覚えつつ、投与されたファントムリキッドの副作用を自身のスタンド能力で限りなく無効化しながらマッシモ・ヴォルぺはアズたち運営に愚痴った。

殺し合えと言っておきながら最序盤に不破諌とシェフィ以外に出会えない様に配置したのはお前らだろう、と。

 

(まあ、長丁場の前にいい休憩になったとも言えるが)

 

駅とその周囲を探索するのに3時間。

民家に入って使えそうなものを探したり今のうちに食事を取ったりと移動に3時間。

幸先の悪いスタートだったと言えるが、無意な時間だったとは思わないでおこう。

そう考えながらマッシモは基地に足を踏み入れた。

 

(なんの基地だか知らないが、態々マップ上に名前付きで紹介するなら何か重要な施設だろう)

 

誰かいるかもしれないし、いなくとも痕跡ぐらいは探せるだろう。

そう思って歩き続けて20分ぐらいだろうか。

ついに目当てのものを見つけた。

 

(空のインスタント食品の容器……ポットの中の水はまだ熱いな。

そんなに時間は経っていない。

探すか)

 

WA2000を紙から取り出して、いつでも撃てるようにしながらマッシモは走った。

耳をすませば聞こえてくる微かな戦闘の音を頼りに進むと、倉庫……と言うより格納庫のような場所に出た。

スコープ越しに戦闘を行なってると思しき連中を見る。

 

(3人か)

 

1人は長い赤毛を後ろで束ねた女だ。

肌は異様に白く、一瞬病人の様にも見えたが、片手で西洋剣を振るって大立ち回りが出来てるあたり、元からか、それともドーピングか何かだろう。

対するは2人。

片方は軍服の様な格好をした青い髪の女で、氷の塊を削り取って作ったかの様な細身の剣を持っている。

振るうたびに冷気と氷が赤毛の女を襲っているのを見るに、マッシモの仲間のビットリオの『ドリー・ダガー』と同じ様な実体剣に憑依したスタンドなのかもしれない。

もう片方は……頭が魚雷の形に変形した化け物だ。

軍服の女と同じ青い首輪をしてるから参加者ではある様だが、人語を操れる様には見えない。

 

(暗殺(ヒットマン)チームには全身を覆うスーツの様なビジョンを持つメンバーがいたと聞いているが、本体を思い切り変身させるようなのもいるのか?)

 

能力は頭の形そのままに爆発らしく、時折指先から発する閃光が当たる物が爆発している。

体格や服装からして多分女だ。

 

(気付いてるな)

 

一瞬だが、軍服の女と目が合った。

手出しをすれば氷か爆発の力が飛んでくるだろう。

マッシモのスタンド『マニック・デプレッション』の奥の手を使えば確肉薄してトドメを刺すことも出来るし、氷の方に関しては能力を応用すればバイタルも操れるので問題ないが、爆発の方に関しては未知数だ。

流石に木っ端微塵にされた肉体を再生させたことはない。

 

(仮に魚雷頭の方を先に倒しても軍服女の剣が面倒だな。

俺に防具は支給されてない)

 

仮に赤毛の女に加勢しても勝てる確証はない。

ならば……

 

「まとめて片付けるしかないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チリチリと頬を撫でる冷気にささくれが立つような痛みを感じながらラビリスタは剣を振るい続けた。

挨拶もそこそこに強襲してきた二人組は方やプレイヤーが持てる物としては最高の武器を、方やプレイヤーというよりNPCみたいな気味の悪い変身の力を持ち、ゲームには完全に乗り気のようだ。

 

「どうした!?

お前の力はそんな物じゃないだろう?

もっと私を愉しませろ!」

 

(しかもこっちはクリスの同類か!

勘弁してほしいなこんな時に!)

 

ラビリスタの性能や能力構成は、本来中衛よりで、仮面ライダーにでも変身しなければ前衛を務めれるようなキャラではない。

しかし幸か不幸か、不本意極まる吸血鬼化による強化により、前衛タイプ二人を相手に持ちこたえれている。

しかしそれもいつまで持つだろうか。

ハァ……。ハァ……。と、今まで感じたことのない種類の息切れがラビリスタを襲っていた。

 

(……さっきから眼鏡が無いのを差し引てもいつにもまして目の調子が悪い。

喉の渇きが尋常じゃないし、この軍服の彼女を見てると変な気分になって来る……。

まだちょっと戦いたい気分って程度だけど、このままだと本当に不味い)

 

あの首筋に牙を立ててを食いちぎりたい。

今はまだおさえれているが、これがもうしばらく続くとどうなるか分からない。

 

「お前、何か危険種と同類か?

別に相手が戦士だろうと獣だろうと私は一向にかまわん。

余計な事に気を回してないでもっとガンガン攻めてこい」

 

「生憎こっちも矜持ってやつがあってね!」

 

「ふん!貫けん矜持など弱者のたわごと。

それで死んでら何が残る?」

 

全く正論だな。と思いながらラビリスタは吸血衝動をどうにか闘争心に置き換えて剣を振るった。

時折飛んでくる爆弾女の光線は勝機花オブジェクト変更や、新たに剣を生成して縦にすることで防ぎ、肉弾戦はひたすらに避ける。

 

「さっきからエスデスの相手ばっかり。

あんまりかまってくれないと拗ねちゃうぞー?」

 

「けどここなら派手にやる訳にもいかないだろ?」

 

「まあ周り火薬まみれだからね」

 

ラビリスタが倉庫を戦いの場に選んだ理由である。

仮に撃って来るにしても、それはほとんどラビリスタが避けようもない瞬間、周囲の火薬に類する物にあたらないと確信した瞬間であり、そんなタイミングは逆に分かりやすい。

放送前なら使えなかっただろうが、放送後、どの参加者も平等に死ぬ可能性が上がっているからこそ使える戦術だ。

もっともそれは

 

「ばらららっ」

 

自分自身さえ究極的に投げやりな空っぽ人間の前には無意味だったりするのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠めに見たら戦争映画でしか見たことのないキノコ雲が立ち上っている事だろう。

基地の一角、軍用車両や火薬弾薬が納められた格納庫が粉々に吹き飛んだのだから。

 

「あいつか。折角もう少し面白くしようとしたところだったというのに」

 

目の前の享楽を優先し、真っ先に始末しなかった過去の自分に殺したいほど歯噛みしながら、エスデスがギリギリで作った氷の盾の後ろから外に出た。

銃を持っていたから、恐らくあの男も遠距離からこちらが戦っている間に火薬の位置や逃走経路を調整したうえで倉庫を吹き飛ばしたのだろう。

 

「レゼは巻き込まれて木っ端みじんにでもなったか?あの眼鏡の女は……ん?」

 

くちゅ、くちゅ、と、長らく狩りで暮らしていたエスデスには耳に馴染んだ肉を食む音が聞こえてくる。

そちらを見ると、うつろな目をしたラビリスタがそこにいた。

彼女もまた防壁が間に合ったようで頭から一筋の流血がある以外は服が若干焦げてる程度で目立った外傷はない。

ただ、文字通り当たり所が悪かったらしい。

 

「らしくなったな」

 

「……?……!!?げほっ!ごほっ!」

 

エスデスに話しかけられてようやくラビリスタは気付いた。

自分が、ちぎれた女性の足に噛みついていたことに。

 

「い、いや……そんな、こんな……」

 

いくら意識が混濁していたとはいえ、数時間で、もう無意識に血を啜ることを実行する程度には人間でなくなっている事実に改めて戦慄する。

 

「つまらんな。邪魔も多そうだし打ち止めか」

 

そう心底落胆した様に呟くと、エスデスはラビリスタに背を向けて去って行った。

 

 

 

【エリアE-9/基地 格納庫だった場所/1日目/朝】

 

【エスデス@アカメが斬る!】

[状態]:アズ、マッシモへの怒り、屈辱、殺意、それによるハザードレベルの上昇

   他の参加者への落胆(大)

[服装]:いつもの軍服

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:2枚(エスデス、間桐シンジ)

[参戦時期]:タツミ処刑編の後

[装備]:青薔薇の剣@ソードアート・オンライン

   水龍憑依ブラックマリン@アカメが斬る!

   タイガのカードデッキ@仮面ライダー龍騎

[道具]:基本支給品一式、シンジのデイバッグ、シンジの首輪

[思考]

基本: 敵陣営、逆らう者は皆、蹂躙する。

1:タツミ、今度こそ私のモノに…!

2:覚悟しろ、ナイトレイド…!

3:部下たちは、まぁ生き残るだろう……。

4:アズは私が下す。しかし場合によっては……。

5:レゼもこいつ(ラビリスタ)も本当に期待外れだ。

6:邪魔も多いしこの場を離れる。

  今度こそ歯ごたえの有るのに会えると良いのだが。

[備考]

※デモンズエキスの消失を確認しました。

※王水@現実の入っていた殻のビンが廃校のどこかに転がっています。

※基地のどこかに氷の壁を作りました。

 相当時間をかけないと勝手には溶け切らないと思われます。

※兄貴塩@仮面ライダージオウを完食しました。

 容器や使ったポットは基地内のどこかに放置しています。

 

【ラビリスタ@プリンセスコネクトRe:Dive】

[状態]:吸血鬼化(進行中)、精神異常(小)、吸血による亡者化の抑制(小)

[服装]:アストルムでの服装(眼鏡は無し)

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:少なくともゼーンの名前と目的を知った後。

[装備]:レゼの足

[道具]:なし

[思考]

基本:このゲームに反抗する(?)

1:死にたくはない

2:自分のこの症状をどうにかしたい。

  けど、間に合うのか?

3:少年……

[備考]

※七冠としての権能は大幅に制限がかけられています。

 ただ偽装程度のオブジェクト変更なら4時間程度は持つようです。

※吸血鬼ウィルスに感染しました。

 感染のスピードなどの詳細に関しては後の書き手に任せます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少々大雑把過ぎたか」

 

自身のスタンド、『マニック・デプレッション』による対象者の生命力を過剰促進……つまり人間を凌駕させるほどの進退強化により、どんな爆風より早く格納庫を離れ、安全圏に潜むことに成功したマッシモは、死にぞこないがいるかどうかを確かめに格納庫があった場所に戻っていた。

肉体の限界的にあまり長い時間使えない超強化により極限まで底上げされたクオリアで周囲を見ながら進んでいくと、僅かに動くものがあった。

下半身がもげたレゼだ。

その姿は人間態に戻っており、体からは黒鉄色の粒子が上がっている。

放送で言っていた強制変身解除と、ファントムリキッドの副作用だろう。

 

「なるほど、永遠に仮面ってのはこうゆうことか。

『石仮面』……何が石かは分からないが、なんとなく分かったぞ」

 

ここに来る直前、仲間のビットリオに回収を任せた遺物。

あのドイツ軍が第二次大戦中にルドル・フォン・シュトロハイム大佐を中心に研究させていた人間に永遠を与える『石仮面』の答えに限りなく近い何かが目の前にある。

そう直感したマッシモ躊躇なくレゼの髪の毛を引っ掴むと、持ち上げて観察を始めた。

 

(……あー、知ってる。

相手のこと生き物とも思って無い目だ)

 

ソビエト連邦軍が実験材料にするため集めた身寄りの無い子供たち、通称「モルモット」。

レゼはその一人であった。

だからマッシモのその目は誰からも向けられてきた視線であり、同時に自分もまた自分自身や同類に対して向けて来た視線だと即座に気付けた。

 

「……やはり心臓か」

 

わし掴みにして引きずり出したそれを彼は躊躇なく口に入れた。

 

 

 

【エリアE-9/基地 倉庫の焼け跡/1日目/朝】

 

【マッシモ・ヴォルぺ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】

[状態]:正常、爆弾の悪魔の心臓を摂取

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(マッシモ)

[参戦時期]:アンジェリカが死亡した直後

[装備]:WA2000@Fate/Zero(現在は紙に収納)

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:アンジェリカとコカキを生き返らすために優勝を目指す。

1:敵を探す。

2:パッショーネの構成員は最優先で倒す。

3:さっきの二人(不破とシェフィ)は無理に追わない。

4:肉体が『覚醒』するまで様子見でもいいかもしれない。

[備考]

※WA2000@Fate/Zeroの残弾は、あとの書き手に任せます。

※爆弾の悪魔の心臓を取り込みました。

 元の心臓と置き換えたわけではないので通称武器人間にはなりませんが、『サンタクロース』が闇の悪魔の肉片を取り込んだ時の様に『変貌』する可能性があります。

※レゼの支給品は、基地の格納庫だった場所のどこかにあります。

 内容は基本支給品一式、ランダム支給品×1~3です。

 エニグマの紙が破壊されていた場合、ランダム支給品は破損した状態で転がっている可能性があります。

 

 

 

 

 

【レゼ@チェンソーマン 暴発】

【全体人数 残り134/150人】【小説陣営 残り24/28人】



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ワントラックマインド

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・ビットリオ・カダルディ@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
・坂本龍馬@龍が如く維新!
・鷲尾雷@仮面ライダービルド
・ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run


「中々混沌とした状態だな」

 

聖なる遺体を探すジョニィ・ジョースターが最初に目指したのは戦場だった。

この殺し合いに呼ばれる前まで参加していたアメリカ大陸横断レース、steel ball runでも聖なる遺体の入手と奪取は常に戦いか、或いは超常現象の中で起こっていたからだ。

 

(赤に緑。あっちの鎧は分からないが、二人を攻撃してるってことは青か黄か桃か)

 

少し離れた位置から戦う3人を観察し、恐らく全員自分の青い首輪と違う色だし、誰に味方すべきかを考える。

 

(鎧の奴は顔側から二から何とも言えないが、表情も分からない奴は会話できるかもわからないからな)

 

手には戦斧、全身を覆う見たことも無い鎧をまとい、手にした戦斧が振るわれた先は抉れ飛んでいる。

とんでもない威力と膂力だ。

間違いなくトン単位はある。

 

(赤の方は、病気か何かなのか?酷い顔だな。

それを治すために勝ち残ろうとしてるってところか?)

 

手元にある大砲のような何かはまだ撃てるのだろうか?

今は鎧の男ともう一人の戦いの隙を狙っていると言ったところか。

 

(緑色の方は……よく見ると分かりやすくサムライの格好をしてる。

本当にトランプのジャックみたいなだ。

恐ろしく斬れる細い片刃剣を持ってるのも本当だったんだ)

 

鎧の男と切り結んでいる訳ではないが、的確に鎧の隙間を狙っている。

同じ土俵で戦いたくはないぐらいに強そうだ。

数秒悩んだ末にジョニィが下した結論は……

 

「よし、あのサムライに味方するか」

 

スタンドを出現させ、取り戻した足で地面を蹴る。

サムライに振り下ろされた鎧の男の戦斧を弾く様に爪弾を放った。

 

 

 

 

 

 

 

その光る瞳のハマった仮面には見覚えがあった。

この島で出会った最初の襲撃者だ。

 

(確かあの黒い鎧の奴に『ばるかん』と呼ばれていた奴か?

色も形も結構変わっているが、何があった?)

 

殺意を向けてくるのは変わらない。

だがその黒い感情の性質が大きく異なっているように感じる。

前に感じた殺意は、無差別な透明なモノであった。

あの時おやっさんと慕う吉田東洋を殺した芹沢鴨が持っていた無色透明のひたすら仕事のため、みたいなのよりかは少し濁っていた気がしたが、それでも龍馬個人に対する感情は無かった。

だが今回は違う。

龍馬個人、いや、瞳に映る何もかもに対する憎悪、悪意、敵意があふれている。

 

(何をされた?いや、鎧の方に何かされたからこうなったのか?)

 

殺意に任せるままに的確に急所を狙って振るわれる戦斧、アックスモードのオーソライズバスターを避けながら龍馬は思案する。

正直逃げ続けたせいで体力はそんなに残っていない。

先ほどのRPG-7の一撃でそれなりのダメージを負ってしまった。

何時もの動きが出来なくなるのもそろそろだろう。

 

「くらえ!」

 

だが龍馬にとって幸か不幸か、もう一人の敵、ビットリオにも焦りがある。

アンジェリカを死なせない為には、仲間のマッシモを必ず生還させなければならないという強迫観念にも似た仲間意識と言う激情。

そこしか世界を持たないゆえに、この初戦で目の前の2人を必ず仕留めなければならないと、必要以上に強く感じているのだ。

だというのに

 

「タスク!Act1!」

 

余計なのがまた乱入してくる。

指鉄砲から放たれる正体不明の弾丸の破壊力中々で、オーソライズバスターを弾き、発射されたRPG-7の弾頭を貫いて誘爆させている。

後者の爆発には全員がそれぞれの武器を盾に爆風をしのいだ。

その間にジョニィが龍馬の側に立つ。

 

「お前、何者だ?」

 

ピストルも無いのに銃弾を放つ怪しい異人。

突如現れたジョニィは龍馬にとっては怪しすぎる存在である。

傍らに浮いている薄桃色の妖としか言いようのない何かも含めて、不気味過ぎる。

 

「君の味方だよ、今はね。

聞きたい事もあるし、この場から逃げるまでは手を貸すよ」

 

「……恩に着る」

 

真意がどうあれ、今はこの男を信用するしかない。

そう判断した龍馬は他の2人に注意を払い続けながら答えた。

 

「逃げるまでと言ったが、算段はあるのか?」

 

「正直君次第だ。

十秒で良いからあっちの鎧か、顔色の悪い方のどちらかをダウンさせないといけない」

 

煙が晴れる。

ジョニィという助成を得られたはいいが、こうなった場合狙われるのは龍馬とジョニィだ。

証拠にバルカンは手にしたオーソライズバスターをガンモードに戻すと、こちらに容赦ない砲撃を浴びせてくる。

龍馬はその場を転がって、ジョニィは左腕部の遺体の力で飛び上がって回避する。

 

「もう一人を頼む!」

 

ジョニィの叫びに龍馬は避けた先からビットリオに走る。

ビットリオは『ドリー・ダガー』の能力を発動させようとするが、龍馬は荷物の肥やしになっていた芹沢の仕事着や覆面をブラインドにと投げる。

ひとりでにそれが両断されたのには驚いたが、結果盾になったので構わない。

 

「ちっ!」

 

「ふっ!」

 

龍馬の左拳がビットリオの顔面を強かにとらえた。

しかし吹っ飛ばされたのは龍馬だった。

 

(バカな!なんで俺が殴られている?

こいつの武器は短刀だぞ?)

 

起き上がってみると、ビットリオの頬にも龍馬程ではないが殴られたような跡が出来ている。

口を切ったのか血の混じった唾を吐いた。

 

(呪い返しか何かか?

こんなことを大真面目に考えるあたり、俺もだいぶこの島に毒されてきたな)

 

なんて龍馬がウンザリしている一方で、ジョニィもバルカンと勝負を仕掛けていた。

 

(さあ来い!狙いは足場とこれ以上逃げようのない僕だろう?)

 

観察していてわかったが、鎧の男、バルカンの動きは単調だ。

具体的には決められた動作をその都度敵の動きに合わせてしているだけ、だろうか。

ある程度武芸を修めた人間ならそうかもしれないが、それがあまりにも型にはまりすぎていて、肉体の癖や個性がまるで見えない。

 

(だから僕が撃てばお前も撃って来る!)

 

先制攻撃をAct1で放ち、敵の迎撃が当たる前にAct3に切り替えて地面に潜る。

敵を見失ったこいつが取る行動は機械的に今撃破できる対象、つまり龍馬達だ。

 

「タスクAct4!」

 

バルカンの背後に出現したジョニィが伴っていたのは、今までの小さな妖精の様なヴィジョンとは大きく違う鎖帷子を着たような人型のヴィジョンだ。

タスクAct4。

ジョニィの漆黒の意志を実現させるタスクの完成形である。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーーーーッ!!!」」

 

鮮血が口から吹き出し、バルカンが盛大に吹き飛んだ。

その先に居るのは、『ドリー・ダガー』のビットリオ。

 

「オレの『ドリー・ダガー』で──くたばりやがれッ!」

 

ビットリオの喉笛に小さくはない傷が刻まれるのと、アサルトウルフのバトルスーツを超えて変身者の喉笛が掻き切られるのは同時だった。

 

「ぶふぉっ!」

 

激しくせき込んだような音共に、バルカンの仮面の内側から鮮血が零れた。

そして地面と熱烈に再会を果たす。

決まった。

あの血の量は放っておいても確実に死ぬ量だ。

後一撃入れば絶対に勝てる。

そしてその次は残りの2人だ。

そう思って笑みを浮かべたビットリオは信じられない物を見た。

バルカンが何事も無い様に足元に落ちていたオーソライズバスターを拾い上げ、立ち上がったのだ。

散々食らって『ドリー・ダガー』の特性は理解しているはずだ。

ダメージ無効化ではないゆえに、自分も確実に傷つくことで相手も確実に傷つける絶対。

一対一ではどんな攻撃力も防御力も無駄となる。

無敗ではないかもしれないが、限りなく無敵の能力。

それを理解してなお攻撃してくるというのか?

ある程度距離を取ってるならわかる。

いくら『ドリー・ダガー』と言えど、3割は確実に受けてしまうので、アウトレンジから攻撃し続ければ本体を始末は出来る。

だがバルカンは近すぎる。

いくら堅牢なアサルトウルフの鎧に守られていようと、中身は無事では済まない。

なのになぜ?

 

「ク、来るな!来るな来るな来るな!」

 

銃弾と斬撃の応酬が始まった。

両者ともに無数の切り傷と銃創を作りながらも止まらない。

先にも述べた通り、銃を拾われた以上、ここでバルカンを仕留めないとアウトレンジからの一方的な銃撃でジリ貧になるという合理的な理由もあるだろうが、ビットリオが目先の怒り、恐怖に執着する愚連隊じみたメンタルの持ち主と言うのが大きいだろう。

そんな目先のことだけ考えてればいいような環境が理想的で、責任転換の極致のようなスタンドに目覚めたとも言えるが。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ──────ッ!!!!」

 

「…………」

 

絶叫しながら場所を問わず自分自身に短剣を振るい続けるビットリオと、どれほどの傷を受けようと、淡々と銃を撃ち続けるバルカン。

あらゆる筋肉という筋肉が切り刻まれ、血飛沫、肉飛沫が飛び散る。

全身を鎧とバトルスーツで覆ったバルカンは見た目はそれほどでもないが、後頭部から血ではない灰色の液体がぶちまけられたのは間違いなく脳漿だろう。

自分たちをこの殺し合いに招いた悪魔の様な女の声も聞こえない。

不毛なお互いの削り合いはビットリオが崩れ落ちる様に倒れたのが先か、バルカンが90度真後ろに倒れたのが先か、龍馬とジョニィには分からなかった。

 

 

 

【ビットリオ・カダルディ@恥知らずのパープルヘイズ

鷲尾雷@仮面ライダービルド          自滅】

 

 

【全体人数 残り132/150人】【小説陣営 残り33/37人】【実写陣営 残り23/26人】

 

 

 

 

 

 

 

「死んだのか?」

 

「まあ、そのようだね」

 

ファントムリキットの副作用も落ち着き、言葉をしゃべれるようになった二人が気にしたのは敵になるかもしれない二人の生死だ。

痛ましい死体にぎりっ!と思わず歯噛みする龍馬に対して、ジョニィの思考は冷徹だった。

まずビットリオを見る。

相棒のジャイロ程医学に明るい訳ではないが、元の人相が分からない程に自分で顔面を切り刻んだ上に、ピクリとも動いていないし、胸の上下運動も無い。

いつの間にか手にしていた短剣はボロボロのバラバラになって転がっている。

常識的にもスタンドのルール的にも死んでいるのは間違いないだろう。

 

(ジャイロが最初に手に入れた鉄球のスタンドと同じ道具と一体化したタイプのスタンドだったのか。

それで鎧の男の方は……)

 

ガチャ、と、重々しい金属音が鳴り響いた。

 

(そんなバカな!あの短剣のスタンドの能力は恐らく『呪詛返し』のような能力っ!

しかもスタンドは精神……言い換えれば魂を直接傷付けるっ!

短剣の少年はあんなにズタズタなんだ!

同等かそれ以上に傷ついたお前が立ち上がるなんて……ッ!!?)

 

立ち上がろうとするバルカンは、首が座っていない。

胸部から糸で釣り上げた様に立ち上がるそいつはどう見てもこと切れている。

こと切れているのに、動いている。

 

(まさかこの鎧、スタンドか!?

本体が死んでるのに動くわけが……逆か!?

死んだという怨念で動いているのか!?)

 

ズタズタのボロボロでなければおかしい怪物が銃を拾い上げる。

逡巡は一瞬だった。

即座にAct1を選択し、バルカンの背後に転がっていたビットリオのRPG-7を撃ち抜き、内部で回転させて残弾5発の火薬を誘爆させた。

 

「逃げるぞ」

 

「逃げれるのか?」

 

「算段は有るっていっただろう?」

 

そう言ってジョニィはエニグマの紙を開いた。

 

「出てこい!キントウン!」

 

中から出て来たのは紫色の雲の様な何かだった。

 

「もう何でもありだな」

 

「乗ってみてくれ」

 

言われるままに龍馬が乗ると、不思議な感触を足の裏に感じながらも落ちることはなさそうだ。

 

「よかった。僕が乗ろうとどうゆうわけかすり抜けちゃうんだ」

 

「じゃあお前はどうするんだ?」

 

「君の背中が開いてるだろう?」

 

まあ、細っこい異人一人ぐらいなら問題ない。

そう判断した龍馬はジョニィを折背負おうと、進めと念じる。

馬の駆け足などとは比較するのも失礼なぐらい素早く発進した筋斗雲は、朝焼けの空にアーチを描きながら飛び去って行った。

 

 

 

【エリアC-3上空/1日目/朝】

【坂本龍馬@龍が如く維新!】

[状態]:健康、疲労(大)、確かな苛立ち(増大中)、火傷(小)、頬に殴られた跡

   筋斗雲@ドラゴンボールに騎乗中

[服装]:新選組の制服(幹部用)

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(坂本龍馬)

[参戦時期]:虚無僧の坂本龍馬の火傷を見た後

[装備]:芹沢鴨の日本刀@龍が如く維新!

    芹沢鴨の防具(腕)@龍が如く維新!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

    芹沢鴨の覆面@龍が如く維新!

    エターナルエッジ@仮面ライダージオウ

[思考]

基本:この殺し合いを生き残り、全ての謎を解く。

1:この異人(ジョニィ)と共に一度撤退する。

2:光子(名前は知らない)を撃った狙撃手(?)を警戒。

3:武市半平太、岡田以蔵、土方歳三、沖田総司を追う。

4:どうやらここは怪物の巣窟らしい。

5:あの『あず』とかいう女、とんでもない外道だな。

6:あの鎧……あの黒いのに何かされたのか?

[備考]

※芹沢鴨の日本刀、芹沢鴨の防具(腕)、芹沢鴨の覆面、芹沢鴨の仕事着の四つで、

覆面の男の装備一式@龍が如く維新!という一個の支給品です。

※エリアC-3のどこかにビットリオの死体と彼が使い残した基本支給品一式、ランダム支給品×0~2が転がっています。

※芹沢鴨の仕事着@龍が如く維新!は『ドリー・ダガー』に破壊されました。

 

【ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run】

[状態]:健康、疲労(中)

    筋斗雲@ドラゴンボールに騎乗する坂本龍馬に背負われている。

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(ジョニィ)

[参戦時期]:下半身の機能が回復した後

[装備]:聖なる遺体(両脚部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

    聖なる遺体(左腕部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

[道具]:共通支給品一式

[思考]

基本:聖なる遺体を揃える。

1:他の聖なる遺体を探す。

2:もし来ているなら大統領やその刺客たちに警戒。

3:あの男(宗蓮)、、出来るならもう会いたくないな。

4:この日本人と共に逃げる。

5:あの鎧(バルカン)……まさかスタンドか?

[備考]

※聖なる遺体(左腕部)@ジョジョの奇妙な冒険steel ball runの影響により、タスクACT1が復活しました。

※まだ名簿を見ていません。それどころかデバイスの使い方もよく分かっていません。

※エリアC-3のどこかにビットリオの死体と彼が使い残した基本支給品一式、ランダム支給品×0~2が転がっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

鮮血と脳漿にまみれた地面から鷲尾雷だった怪物は立ち上がった。

今やアークの意志を忠実に実行する機能だけが残ったアサルトウルフにとって、内部の人間など消耗品のインナーフレームでしかないのだ。

人肉の形を保っていてくれるのなら、なんの問題もない。

頭を吹っ飛ばしても動き続けるだろう。

さながら、帝具八房の骸人形の様に。

 

「フフフッ……」

 

そんな有様を上機嫌に見つめる魔女が居たとか居なかったとか。

まあ、居た所で主に悪い意味で何もしなかったのは想像に難くないが。

 

 

 

【エリアC-3/1日目/朝】

【$BOIHxMk@$B2>LL%i%$%@!<%S%k%I】

[状態]:仮面ライダーバルカンアサルトウルフに変身中

   内部の人間が死亡(上半身を中心に切り傷だらけ)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:───

[装備]:エイムズショットライザー@仮面ライダーゼロワン

    アサルトウルフプログライズキー@仮面ライダーゼロワン

    シューティングウルフプログライズキー@仮面ライダーゼロワン

    オーソライズバスター@仮面ライダーゼロワン

[道具]:なし

[思考]

基本:人類を滅ぼす

1:──────

2:──────

3:──────

4:──────

[備考]

※変身者が死亡しましたが、アークのプログラムにより強制変身解除させられるまで人類抹殺を続ける殺戮(キラー)マシーンと化しました。

目につく人間を片っ端から殺そうとします。

※いうなれば消耗品のインナーフレームが駄目になりかかっている状態なので倒せはするでしょう。

※エリアC-3のどこかにビットリオの死体と彼が使い残した基本支給品一式、ランダム支給品×0~2が転がっています。

※鷲尾雷とビットリオの死は、第一回放送が流れている間に死んだため、名前は第二回放送で呼ばれます。



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佞臣

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・シュラ@アカメが斬る!
・ランサー@Fate/Zero
・武市半平太@龍が如く維新!
・ウォズ@仮面ライダージオウ


 

時間は一時間程、つまり不浄なる廃墟ステージで5時間の時が経過したころに遡る。

 

「よお、ちょっといいか?」

 

エリアC-8にて二人の男が対峙していた。

1人はシュラ。

名簿に最初から名前の載っていない参加者の一人で、タツミ達ナイトレイドやウェイブ達イェーガーズと因縁を持つ秘密警察ワイルドハントのリーダー。

極限まで悪く言えば、実力も権力も申し分ない上に性根も腐りきってるから始末に負えないクソみたいなとっちゃん坊や。

極限まで良い様に言えば、完成に近い実力と頂に近い権力を持ちながらも現状に満足せず、日々を楽しみながらも父を含むいただきを超えんと挑む向上心にあふれる漢である。

もう1人はウォズ。

かつては歴史の管理者クォーツァーの一員であったが、覇道より王道を往く時の王者、常磐ソウゴへの偽りの忠誠がいつのまにか本物の忠誠に変わり、彼の時の行きつく先を見届けることを選んだ仮面ライダーである。

 

「悪いが少々急いでいる。可能な限り手短に頼めるかな?」

 

「そうか。じゃあ要件から言わせてもらうが、俺の部下になれ」

 

シュラは帝国の版図の外を含む世界中を巡って修行にて、様々な『強さ』を持った悪党たちを集めてワイルドハントを結成したこともあり、目利きは確かである。

トン単位のパンチを生身で防ぐことも出来るウォズの実力は一見しただけで見抜いていた。

 

「断る。スクラッシュドライバーを使えた程度で調子に乗っているなら、今のうちに我が身を顧みる事だ」

 

そう言ってそのままシュラを素通りして行こうとするウォズ。

当然、憤怒と屈辱が一周回った末の冷静さを手にしたこの男が見逃すわけがない。

冷静に事実として

 

「なら死んでもらうしかねえな」

 

〈Danger………!〉

 

邪魔者を排除すべく動く。

 

〈クロコダイル……!〉

 

ドライバーのスロットにクロコダイルクラックボトルをセットした瞬間、その体を紫色のエネルギーが駆け巡るが、最初に変身した時ほどではない。

痛みを押し切ってアクティベイトレンチを振り下ろす。

 

「やれやれ仕方ないな」

 

<オーシャンヒストリー!>

 

ウォズもワンダーライドブックを起動し、手にした聖剣のスロットに装填し、刀身を柄と鍔にあたる部分から分離させ、逆さにして再び合体させる。

 

〈割れる! 喰われる! 砕け散る!〉

 

〈界時逆回!〉

 

「アアアッッ!!」

 

「変身」

 

〈クロコダイルインローグ!オ〜〜ラァ!!〉

 

〈………キャーーー!!〉

 

〈時は、時は、時は時は時は時は我なり!〉

 

〈オーシャンヒストリー!〉

 

〈オーシャンバッシャーン!バッシャーン!〉

 

「祝え!時の聖槍に大いなる海の力を宿す忠義の預言者、その名も仮面ライダーデュランダル!

我が忠義を侮辱せし咎人を粛清すべく、二度目の変身を果たした瞬間である!」

 

変身が完了したウォズが左手を掲げながら宣言すると、シュラは皮肉気に拍手を送る。

 

「良いぜ祝ってやるよ!二度目で最期の変身をよぉ!」

 

ゴキッ!と腕を鳴らしてから勢いよく地面を蹴ったシュラは突き出された聖槍をかいくぐって近接戦を仕掛けて来た。

最初槍相手に突っ込んで来たシュラの変身する仮面ライダーローグに大したことないのでは?と感じたウォズだったが、その認識を改め、自分も無手の近接戦に切り替えるべく距離を取る。

 

「オラオラどうした!?

最後の晴れ舞台なんだからもっと積極的に来いよ!」

 

「いい!だろう!」

 

〈界時抹消!〉

 

時国剣の刀身を分離した瞬間、ローグの目の前からウォズが変身するデュランダルの姿が消えた。

 

(あの槍、シャンバラみたいな移動能力持ちか!?)

 

〈再界時!〉

 

「うぉお!」

 

ついさっきまで気配がなかった背後から蹴りが飛んできた。

受け身を取りながら振り向くと、いつの間にか無手に気入り変えたデュランダルがそこにたっている。

 

「どうした?私の最期の晴れ舞台を盛り上げてくれるんじゃないのかい?」

 

「……ああ、そのつもりだよ!」

 

互いの拳と蹴りを交差させながら、シュラの頭の冷静な部分がさっきの状況を分析していた。

 

(あの槍になにか種か仕掛けがあってああなったのはほぼ間違いねえ。

このローグの鎧にも攻撃を受けると瞬間的に硬化する力があるし、タツミのインクルシオにも適応や透明の能力がある。

だがシャンバラを使ってたからわかる。

あれは瞬間移動とは若干違う。

消えてから出てくるまで若干……『タイムラグ』とでも呼ぶべき間があった。

今は長物だと無手の俺に間合いの内側には居られてボコされるのを嫌って使ってねえが、次に使う時、つまり俺に確実な隙を作って決定打を与える時には『タイムラグ』を使ってベルトを破壊するなり装甲の無い場所を狙うなりして来るはずだ。

それまでにどうにか仕組みを理解しないと負けるのはこっちだ)

 

(荒い口調と粗野な態度に反してなかなか冷静じゃないか。

それにスクラッシュドライバーのライダーとしては最も防御力に優れるローグ相手では剣、槍での近接戦を本領とするデュランダルでは決定打がない。

これは嫌な長期戦になってしまいそうだ)

 

双方バカではない上に弱くも無い。

このままではゴールの無いマラソンマッチとなってしまうだろう。

そう思われたが、現れた3人の乱入者がその拮抗を崩した。

 

 

 

 

 

乱入者の1人、ランサーは最初シュラとウォズの戦いに関与しないつもりだった。

シュラはどうにも人の道を外れている者のようだが、それでウォズの忠義の為の戦いを邪魔するのも憚られたからである。

しかし自分よりやや遅れて来た法衣の男、武市半平太が一枚かむというなら話は別だ。

 

「生臭坊主、貴様の相手はこの私だ」

 

槍先を向けると、半平太は手にした刀を抜き、自分の首輪を指さしながら尋ねた。

 

「これは緑色のはずだ。

そしてお前の首輪の色は黄色。

あちらの2人は青に桃色。

何故邪魔をする?

敵同士が潰し合う分にはお前に損はないだろう?」

 

「貴様のような尋常な勝負を妨げ、奸計を企てる、それを受け入れる輩こそ我が敵だ。

この縛めの色など関係ない」

 

「そうか」

 

そう言って半平太はキラリ、と手にした妖刀、死者行軍八房を引き抜く。

そして刀身をランサーに魅せるように構えた。

鏡の様に怪しく光る刀身から骸人形に変えたボルキャンサーが飛び出たが、装着したスペクテッドで半平太の心を読んでいたランサーは持ち前の技術と一級品の武具のおかげで難なくガードすると、先ほど以上に怒りに満ちた視線を向ける。

死してなお使役されるボルキャンサーの姿に令呪で強引に言う事を聞かせるマスターの姿を連想したからであろう。

 

(人ならざる異形とは言え、躯になってなお操り使い潰すか!)

 

「二対一だがまだやるか?今なら見逃してもいいが」

 

「二対一だと?

意志無き躯を侍らせている程度で俺に勝てるなどと思い上がらないことだ」

 

そして最後の三人目はもう既にデュランダル、ローグの前に現れていた。

 

「ジオウだと?」

 

デュランダルの力で強化された聴覚のお陰で二人の会話は聞いていた。

だから半平太が死体を操る武器を持っているのは分かっていた。

それは目の前にいる見慣れた姿の脇腹に刺し傷がある事からも間違いはない。

しかし信じられない、というか、信じたくない気持ちがあった。

ジオウが、我が魔王の力があんな変身すらしていない人間にどんな形でも敗れたなど。

 

「……」

 

既に躯と化したジオウが喋るはずもなく、手にしたジカンギレードをガンモードにしてローグ、デュランダルに撃って来る。

ローグは素の防御力で、デュランダルは時国剣で弾いて対応する。

 

「ちっ!これが噂の八房の骸人形か!」

 

(私の聖槍のように本来の持ち主でないのに配られたのか、それとも名簿にあったもう一人の方か……)

 

「どちらにせよ、その姿が利用されるのは不愉快だ。

早々にこちらに渡してもらおう」

 

「おいおい俺無視かよ!」

 

自分との戦闘を後回しにされたローグがデュランダルにもジオウにも攻撃してくる。

デュランダルは流石に長物を満足に振り回せず、武器を聖剣モードに切り替えて応戦した。

 

(ある意味でジオウへの対応は問題ない!

中身が誰であろうとディエンドの召喚する偽物(コピー)より厄介と言う事はないだろう。

しかし!ローグは的確にこちらが嫌がる動きをして来るな!)

 

(八房の人形程度ならどうとでもなるだろうが、混戦でどう動く!?)

 

ジオウの銃撃は問題なくさばける。

しかしローグにこれ以上界時抹消を見せるのも問題だ。

 

「ならこうだ」

 

デュランダルは一気に跳躍すると、ジオウに体当たり気味に組み付きローグ路距離を取った。

 

「なんだと?」

 

そしてそのままジカンギレードを腕ごと捻り上げて取り落させると、肉弾戦を仕掛ける。

ローグに背中を見せたまま

 

(なんのつもりだ?

速攻で片づける気ならあの三又槍で中距離から一方的にボコせばいい。

今なら倒せるか?

奴には『タイムラグ』のインチキがある。

警戒し過ぎなんてことは……)

 

「どうしたぼくちゃん?がら空きの背中にすらビビるってるのかい?」

 

「テメェはここで死刑だ」

 

秒で冷静さを渾身のパワーで投げ出したローグはドライバーのアクティベイトレンチを振り下ろした。

 

〈クラックアップフィニッシュ!〉

 

「おおらぁああああああ!」

 

「待っていたいよ」

 

デュランダルはいつの間にか指に挟んでいたエニグマの紙から聖槍を取り出し、ギミックを起動させる。

 

〈界時抹消!〉

 

デュランダルの姿が消え、その背後にいたジオウに渾身の右すとれーろが叩きこまれた。

大きく吹き飛ばされたジオウのアーマーから火花が散り続け、生きてる人間とは違って痛覚はないだろうが、異常をきたしたアーマーに動きを阻害されて立ち上がりにくそうだ。

 

〈再界時!〉

 

そんなジオウの目の前にデュランダルが再度現れる。

 

〈オーシャン一刻斬り!〉

 

そしてさっきローグに攻撃された部分に刃を振り下ろした。

装着者は無事とか以前の状態だが、元々生きた人間が装着する前提のシステムはオーバーダメージで変身解除された仮面の下には常磐ソウゴの顔があった。

 

「やはりな」

 

デュランダルは背後に回ると、所謂ベルト留めの部分を狙って剣を振るう。

吹っ飛ばされたソウゴ(E)とベルトが宙を舞い、ソウゴ(E)は地面に、ベルトはデュランダルの手に収まる。

 

「これは返してもらう。

君は常磐ソウゴだが、我が魔王ではなさそうだ。

ならばこれは我が魔王にこそ使っていただく」

 

「おいおい!おもちゃの独り占めはよくねえだろ!」

 

そう言いながら殴り掛かって来るローグを避けながら、起き上がって生身でなお突っ込んでくるソウゴ(E)を思いきり蹴っ飛ばしてからローグに対応する。

そして半平太たちの方でも動きがあった。

 

「はぁ!」

 

パキン!とプラスチックを割るような音と共にボルキャンサーの両腕の甲羅にひびが入った。

ランサーは一か所を重点的に狙って斬り付けていたのだ。

 

「もう眠れ」

 

そのまま両腕を切り落とし、最後のあがきに泡攻撃を出そうと開いて口に剣を突き刺し、不可逆の傷を与える愛槍で両足を斬り付ける。

そして倒れ伏したその顔面にもう一度槍を突き立てた。

 

「やるな色男」

 

「まだまだ。小手調べ!」

 

そう言ってランサーが半平太に向き直った時、どこからかアズの声が響き始める。

第一回放送だ。

 

「今しかないか」

 

〈界時抹消!〉

 

全員の意識がそちらに削がれた隙にウォズは聖槍の能力を使って離脱した。

出来ればソウゴ(E)を解放したいが、ジクウドライバーにライドウォッチという献上品を確保した以上、これ以上ごちゃごちゃした戦いに付き合う義理はないと判断したのだ。

それを見たランサーは、残る二人を倒そうかとも迷ったが、その直後にファントムリキッドを投与されてしまった。

それは2人も同じだが、無理を通してどんな悪影響が降りかかるか、追い詰めた獣に劇薬が注がれている状態では断末魔がどの程度かもわからない。

最悪、アトゴウラのような自滅必死の相打ちを覚悟される恐れすらある。

非常に業腹だが、ランサーが選んだのは撤退だった。

 

 

 

【エリアC-8/1日目/朝】

 

【ウォズ@仮面ライダージオウ】

[状態]:疲労(小)、ファントムリキッド投与による影響(中)

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(ウォズ)

[参戦時期]:劇場版ジオウの後

[装備]:時国剣界時@仮面ライダーセイバー、オーシャンヒストリーワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、

    ジクウドライバー@仮面ライダージオウ、ジオウライドウォッチ@仮面ライダージオウ

[思考]

基本: 我が魔王を、王へと導く。

1:我が魔王と合流を急ごう。

2:我が魔王にジクウドライバーとウォッチを献上する。

3:我が魔王をリーダーにする為、メダルを集めよう。

[備考]

※名簿の法則性と、参加者の時間の流れが異なる点に気づきました。

 

【ランサー@Fate/Zero】

[状態]:憎悪(極大)、疲労(小)、ファントムリキッド投与による影響(中)

[服装]:私服

[所属陣営]:黄

[メダル枚数]:1枚(ランサー)

[参戦時期]:消滅後

[装備]:原初の火@Fate/EXTRA、必滅の黄薔Fate/Zero、五視万能スペクテッド@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本:ただ正々堂々と死合う。その為に必要な敵の排除。

1:セイバー、ケイネス、あの男(切嗣)、生臭坊主(半平太)は絶対に殺す。

2:戦う気がない相手には興味なし。邪魔をするなら屠る。

3:奸計を企てる、それを受け入れる輩は塵殺。手段も選ぶ気はなし。

4:ジョニィ・ジョースターは向こうから手を出さない限りは手を出さない。

5:ヴァレンタイン、ディエゴ、アクセル、ブラックモアは出方次第で判断。

6:戦う相手も障害も全ていなくなったら、その時考える。

7:あの槍使い(ウォズ)の忠義の為の戦いは出来るだけ邪魔したくない。

[備考]

※クラスの都合、セイバーの時ほどの剣術は扱えません。

 同時に、完全に使えないわけではありません。

※愛の黒子の効果の影響は現時点では不明です。

 ただ、対魔力がなくても本人の精神次第で抵抗は可能です。

※必滅の黄薔薇の呪いが原作通りかは後続にお任せします。

※誠実な騎士の側面はいまだ健在ですが、

 卑劣な相手や騎士道精神を軽んじる相手に対しては、

 一切の手段を選ばず、容赦もせず殺しにかかります。

※スペクテッドとの相性は悪くはなく、洞視は使えます。

 また、スペクテッドなしでは人を信じきれなくなってます。

※会場で切嗣の姿を確認してるため、名前が分からずとも存在を認識してます。

※ジャイロと情報交換してます。

 スペクテッドである程度心を読んでおり、

 話した内容よりも深く踏み入った情報を得てるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

「質は衰えるが、背に腹は代えられんか」

 

ランサーの背中を見送り、ファントムリキッドの投与による不調が動ける程度に引いたころ。

半平太は懐からブランクになったシザースのデッキを近寄ってきたソウゴ(E)に手渡した。

 

「……」

 

無言で変身したソウゴ(E)それを見てシュラは溜息を吐き

 

「んだよ。歯ごたえなさそうな格好だな。

折角あの糞女のお陰で温まって来たってのによ」

 

とだるそうに肩を回して肉体の調子を確かめ、問題ないと判断すると構えを取る。

しかし半平太は八房を納刀すると

 

「こんなろくでもない物を盛られておいて元気だな。

折角ならその有り余る元気を使って『あず』の言っていた裏切り者やこの死合いに積極的でない者たちでも探しに行ったらどうだ?」

 

そう言って半平太は自分の三つ目の支給品をエニグマの紙の中から取り出して投げ渡した。

武器ではない上に半平太から殺意も感じなかったシュラはそれを躊躇なく受け取る。

 

「あ?なんだこれ?」

 

「お前のそのカラクリの帯に挿している『ふるぼとる』をそこの穴にいれれば乗り物に変形するそうだ」

 

言われたとおりに試してみると、〈ビルドチェンジ!〉の音声と共に目立つ歯車の意匠のある一台のバイクに変形した。

仮面ライダービルドと仮面ライダークローズのバイク、マシンビルダーである。

 

「いいね!ご機嫌なおもちゃだ気に入った!

いつまで……いや、どのタイミングまで協力する?」

 

出来れば部下にしたかったが、自分と同じ強化服の男を倒した実績持ちの八房の使い手となるべく一緒にいたくないと思ったのだ。

それに別陣営だから後々直接間接問わず衝突するのは目に見えている。

 

「そうだな。では全体で残り六十人になるまで、殺し合いに積極的でない者以外の互いの陣営の者を極力殺さない。でどうだ?」

 

「大体2,3陣営残る感じか。

いいぜ。それまでは不可侵、場合によっちゃあ優先的に協力だな。

ほら!」

 

そう言うとシュラは一枚のカードを投げ渡した。

 

「そのカードでそっちのへなちょこを次に敵として会う時までに強くしとけよ」

 

そう言ってシュラは走り去っていった。

しばらくその背中を見送っていた半平太だったが、やがてカードに視線を落とす。

金色の羽が描かれたそれには彼には読めなかったが〈SURVIVE〉と書かれていた。

 

 

 

【エリアC-8/1日目/朝】

 

【シュラ@アカメが斬る!】

[状態]:正常、冷静かつ激怒、仮面ライダーローグに変身中

    マシンビルダーに搭乗中

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(シュラ)

[参戦時期]:死亡後

[装備]:スクラッシュドライバー@仮面ライダービルド、クロコダイルクラックフルボトル@仮面ライダービルド、ビルドフォン@仮面ライダービルド

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2

[思考]

基本: 頂点に立つ。親父を超える。

1:手駒になる奴らを集める。

2:アズ、ナイトレイド、イェーガーズは必ず潰す。

3:あのマフラー(ウォズ)は今度こそ殺す。

  シャンバラみたいな能力には警戒。

4:緑陣営の積極的な連中とはなるべくやり合わない。

5:オモチャになりそうな女がいたら遊んでやる。

[備考]

※シュラの攻撃で温泉街の廃墟は殆ど破壊され、瓦礫と化しました。

 

【武市半平太@龍が如く維新!】

[状態]:正常

[服装]:虚無僧の格好(天蓋はなし、袖にいくつか機銃による穴)

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:2枚(武市、ソウゴE)

[参戦時期]:少なくとも以蔵の死を知った後

[装備]:死者行軍八房@アカメが斬る!、サバイブ烈火@仮面ライダー龍騎

[道具]:基本支給品一式(武市)、基本支給品一式(ソウゴE)

    ランダム支給品0~2(ソウゴE)

[思考]

基本:この殺し合いを勝ち抜き、帰還する。

1:他の陣営の連中は、残らず始末する。

2:もし龍馬と出会ったら、決着を着ける。

3:同じ陣営だが、新選組はいずれ邪魔になるなら始末する。

4:なんで以蔵が生き返っている?

5:青陣営の殺し合いに積極的な物は極力襲わない。

6:優秀な人形になりそうな猛者を探す。

[備考]

※名簿は確認済みの様です。

※常磐ソウゴ(E)を八房の骸人形にしました。

 

【常磐ソウゴ(E)@仮面ライダージオウ】

[状態]:骸人形化、仮面ライダーシザース(ブランク態)に変身中、脇腹を損傷

[服装]:室井高校の制服

[参戦時期]:不明

[装備]:シザースのデッキ(ブランク)@仮面ライダー龍騎

[命令]

基本:敵を倒す

[備考]

※骸人形化した者は完全破壊されない限り、八房の持ち主の命令の通りに動き続けます。

※ボルキャンサーが死亡したことで、デッキがブランク状態です。



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アナザー・オルタナティブ

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・不破諫@仮面ライダーゼロワン
・シノン@ソードアート・オンライン
・シェフィ@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:DIVE
・マイン@アカメが斬る!
・シーラE@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-
・斉藤ケン@彼岸島


(シェフィちゃんがぐずんなくてよかった)

 

駅にて不破諫、シェフィと合流してから数時間。

休憩を挟みながらではあるが、夜通し歩いたシノンはエリアH-8のホテルに来ていた。

 

「そろそろ放送の時間か。

間に合ってよかった……とは言えないか」

 

「うー?」

 

途中、彼女らは知る由もないが、ホエールレイダーとファルシオンの戦いの轟音を聞いて迂回したりしたお陰で、無駄な戦闘を避けてホテルまで着けたはいいが、入口は戦闘があったことが一目でわかるぐらいには荒れている。

 

「はいらないの?」

 

不思議そうに首をかしげるシェフィに少し困ったように頭を書いた不破だったが、シノンを目をやると、流石にある程度彼女も疲労が溜まってしまっている。

すぐに逃げれるようにはして、放送まで大人しくする程度の休憩が限界か。

そう判断した不破は

 

「援護と、いざと言う時にシェフィを頼む」

 

と言って懐に入れていたベレッタを抜いた。

蒼崎橙子との事を思い出したシェフィはいやそうな顔をしたが、シノンが手を握ってやるとすぐに機嫌を良くして後に続いた。

 

(亡、滅亡迅雷ドライナーでの変身は一緒に入ってたキーを使えばいいんだよな?)

 

(はい。ですが、それだけでは不可能です。

あともう1人、ヒューマギア、またはシェフィかシノンと同じ存在が必要です)

 

生身で同じ仮面ライダーと戦わなければならない場合もあるということか。

最悪を覚悟し、緊張でわずかに銃を握る力が強くなる。

ロビーに入ると、荒れ具合は入口と大差ない感じだった。

 

「どうにもタイミングが悪かったかもしれないな」

 

「ですね。休もうにもずっと気を張ってなきゃいけない分、疲れるかもしれません」

 

「けどこれ以上歩くわけにもいかないからな」

 

仕方なく一体どんな力でどれぐらいの重さの物をぶん投げたらそうなるか分からないひっくり返り方をしたソファーを移動させ、入口からもエレベーターのドアから見てバリケードになる様に設置する。

 

「シノンシノン!イサム、ちからもち!」

 

「う、うん。そうだね……」

 

話を聞く限り、自分みたいなゲームアバターでもない上に細身な不破が全く似合わない怪力を発揮することにシノンはドン引きだった。

本来の歴史のもう少し未来の話だが、不破は生身で事故車のドアをパワーで外して放り投げていたので、この程度は朝飯前なのかもしれない。

かつてあるヒューマギアにもゴリラか何か扱いされたこともあったりなかったりなのだ。

 

「お前らも休めるうちに休んどけ。次にいつ休めるか分からないからな」

 

「ん!」

 

「は、はい」

 

客室まで調べれば水の一つも見つかるだろうし、水道だって通っているだろうが、上の階でまだ戦闘が続いているか、そうでなくともあまり良くない先客がいるかもしれない以上、休むにも警戒が必要だ。

 

「シェフィ、シノン。お前らに話しておかなきゃならないことがある」

 

「話しておかなければならないこと、ですか?」

 

「ああ。この滅亡迅雷ドライバーのことだ」

 

「そのドライバー、そんな物騒な名前だったんですか?」

 

「ああ。こいつに変身するには4っつの意志を統合する必要がある、らしい」

 

「じゃあ、今イサムさん変身出来ないってことですか?」

 

「ああ。だからさっきも言ったが、もしもの時はシェフィを頼むぞ」

 

「うー?」

 

「……死ぬつもりですか?」

 

「まさか」

 

そう言うと不破は手にしていた拳銃をシノンの方に構える。

 

「!?」

 

シノンは咄嗟にシェフィの頭を庇うように抱き寄せ、脇に置いていたパンプキンを手繰り寄せ、

 

「ふっ!」

 

「そこ!」

 

不破と共に背後の、なにも居なかったはずの場所を撃った。

派手な乾いた音に一拍遅れて、虚空から鮮血が噴き出し、姿を現した何者かが力なく倒れ伏した。

何者かは青い光に変わると跡形もなく消え失せた。

 

「みみがいたいー!」

 

「ごめんね、シェフィちゃん。イサムさん、今のって……」

 

「ああ。影ま消えてなかったから分かったが、もしアイツひとりじゃなかった場合、流石に今のを続けられると不味いな」

 

この会場で出た死体が消えるなどと説明もされていない。

もし何かの能力、例えば分身や操り人形などであった場合、

 

「ホテル、出ますか?」

 

「そうだな……」

 

武器を構えながら不破は館内の案内が描かれたプレートのもとに行く。

 

「……監視カメラの部屋を叩く。

シェフィが戦えないのが不安だが、そこがこの建物で一番安全な場所だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、シーラEはそのケンを追っかけてここまで来たって訳?」

 

「ええ。アンタも同じような感じでしょ?」

 

一方、同じホテルの上階にて。

客室で二人の少女が情報交換を行っていた。

マインとシーラEだ。

最初は一触即発の空気であったが、互いに今は戦う意志がないことを確認すると、こうして腰を落ち着けて話し合いの場を設けたのだ。

 

「それでどうする?

分身とは言え銃弾で死ぬみたいだから、銃の帝具の女の方はどうにかなると思うけど……」

 

「本音を言えば、ケンに執着する理由はないし、上の階の戦闘の音も止んでるから別に行く意味もない様に思えなくもないけど、透明化に分身まで使ってくる他陣営の、それも明らかに乗り気な誰かを野放しにしておきたくないわね。

時間的にも放送に聞き入ってる間に背中からバン!なんてシャレにならないし」

 

「後だいたい1時間と30分以内か。少なくとも今は共闘、ってことでいい?」

 

「ええ。それじゃあまず……ッ!」

 

「来たわね。何人?」

 

「3人。でも足音が感覚も大きさもバラバラ。

少なくとも分身じゃない」

 

武器、そしてスタンドを構え、来訪者を待つ。

監視カメラの映像でもみたのか、それとももっと別の能力があったのか、彼らは迷わず二人のいる部屋の前までくると、小刻みに3回扉がノックされる。

 

「……どう思う?」

 

「私が」

 

すぐに反撃できるように構えながらシーラEがドアを開ける。

ドアの目の前に立っていたのはスーツの男。

何も持っていない両手をあげている。

後に立つ二人の少女も同じだ。

 

「まだこんばんは、でいいのかしら?」

 

「まあ、そうなんじゃないか?」

 

「一応聞くけど、乗ってないのよね?」

 

「ああ。俺はこの殺し合いをぶっ潰すために動いている」

 

「そう。私も無駄な争いは好まない側よ。

見た所東洋人のようだけど、名前は?」

 

「不破諫だ。そう言うお前は?」

 

「シーラE。名簿にはそう載ってる。後ろの2人は?」

 

「シェフィとシノンだ」

 

不破は兎も角、後の2人にマインには感じたような裏社会の者のようなにおいは感じられず、いざとなればマインと二人が仮ならどうにかなると判断し、

 

「入って。もう1人協力者がいる」

 

3人を奥に通した。

 

「あら?両手に花とは言いご身分ね」

 

「随分なご挨拶だな、狙撃屋」

 

「ちょっとイサムさん」

 

「分かってる。お前がシーラEが言ってた協力者か?」

 

「ナイトレイドのマインよ」

 

「飛電製作所の不破諫だ」

 

「よろしく、そっちの2人は?」

 

「シノンです。こっちがシェフィちゃん」

 

「よろしく!」

 

「よろしく。それで、どこまで分かってる?」

 

「透明になれる上に分身まで出来る誰かがこのホテルに潜んでるってのは」

 

「戦ったの?」

 

「下のロビーと、監視カメラの部屋で」

 

「よく無事だったわね」

 

マインが見た所、不破もシノンも大した消耗は見られない。

一番足手まといだろうシェフィも無傷だ。

 

「これでも元特殊部隊隊長で、現役の仮面ライダーでな」

 

「仮面ライダー?それにフワって、アンタがアルトの言ってたフワ?」

 

「社長に会ったのか!?」

 

「しゃちょー?」

 

「飛電或人さん、でしたっけ」

 

「ああ。俺の今の雇い主だ」

 

思わぬ仲間の知り合いに少し驚いた不破だったが、すぐに切り替え情報交換を続ける。

 

「あのドライバーは人間でも使えたのか。痛みぐらいはどうにかなるし使いずらいコレよかマシだろうから欲しい所だな……」

 

「あれって何個もある物なの?」

 

「俺の知る限りだが、ヒューマギア専用の物も含めると一本しかないドライバーの方が少ないな」

 

それこそ社長専用のワンオフ機である飛電ゼロワンドライバーやZAIAサウザンドライバー、そして先行試作機的な意味合いの強いZAIAスラッシュライザー以外のすべてのベルトが量産性を考慮されて、実際2本以上存在している。

ここに来てから渡された滅亡迅雷ドライバーの方がレアだ。

 

「プログライズキーの方は知らないけどな」

 

と、言って不破はスーツのポケットからジャパニーズウルフのゼツメライズキーを取り出した。

 

「そっちの方が重要って訳でもなさそうね」

 

「現にこのベルトが使える条件が今のとこ揃ってなくて変身出来ないしな」

 

「それで、アンタの知り合いが数時間前まで無事だったのは喜ばしいけど、そろそろ目の前のこと離さない?」

 

「とはいっても、現状真正面からぶつかる以外に方法あるのか?」

 

「分身と透明化で不意打ちしてくる相手に?」

 

「ここに来るまでに2体倒した。

お前らは?」

 

「中に入ってからは一体。マイン、アンタは?」

 

「外にいる時に二体。合計5人か。

確かにいくら何でも分身多すぎね」

 

「だから正面突破は無謀だって……」

 

「違うわ、シーラE。

これはアタシもアルトからこの殺し合いの黒幕かもしれないアークのこと聞いてたから思った事なんだけど、アイツの趣味じゃないのよ」

 

「どうゆうことですか?」

 

「あのアズってヒューマギアの言動を思い出してくれれば分かりやすいが、奴らは『悪意に満ちた殺し合い』を望んでいる」

 

「なるほど。一方的な不意打ちの連続何て芸の無いショーはさせない、って訳ね」

 

「……エンターテイナーでも気取ってるんですかね」

 

「とにかく、行くなら今だ。時間が経てばまた新しい分身を出されるかもしれない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから何度、今自分の首根っこを掴んでいる異形に殴られ、蹴られ、宙に飛ばされただろう?

なんてズキズキと痛む体中と、確かに脳の奥に感じる吸血衝動、そしてついさっきあり得ない方向に折り曲げあっれた手足が治るのを感じながら、斉藤ケンは仮面ライダークウガに引きずられていた。

あれから途中で追い掛けて来てくれていたマインがシーラEと合流して情報交換を始めた結果、援護を得られなかった彼は、閉所での近接格闘で一方的に倒され、抵抗の手段を奪われた上でこうして捕まってしまったのだ。

 

「ようこそ、私の城へ」

 

クウガにゴミでも捨てられるように投げこまれたケン。

その前に居たのは、美しい女だった。

さっきホテルの中や外で戦っているときはクウガの怒涛の格闘技に対応しなければならなかったのもあって、よく観れていなかったが、観れば観る程美しい女だ。

豊満な体つきに、白すぎる程白い肌。

肉食獣のような怪しい瞳に、長い白髪とふさふさの九本の白い尾が吸血鬼とはまた違う異形であることを示している。

しかしケンには見覚えがある様に思えて仕方なかった。

白すぎる程白いその姿も、口紅か血かも分からない何かで真っ赤に染められた唇も、全てがあの悪夢のような島の主を思い起こさせる。

 

(みやび)……」

 

「あらお上手。こんな時じゃなかったら何かオマケしてあげたかったところだけど、生憎持ち合わせがあまりなくてね」

 

そう言って女はクウガと彼女の分身にズタズタにされたケンの顎を掴み、顔をあげさせると、目を細めて観察するように様々な方向から眺め始める。

 

「私の知るモノで一番近いのは吸血鬼だけれども、それとはどうにも違うような気がするのよね。

道具が有ればバラバラにして調べたいところだけど、頑丈で多少壊れても大丈夫なのは確認済みだし……」

 

一瞬で、ついさっきまではわずかにあった温かみ、精々虫を踏みつぶさないようにする程度のそれではあったが、それが完全に消え失せる。

 

「魔法耐性はどんなものかしら?」

 

ケンの頭を灼熱の棒を突っ込んでかき回すような激痛が襲った。

直前に両手両足を破壊されていなければのたうち回って大暴れしていただろう。

 

「元気ねえ。あれだけ戦って壊れて治してを繰り返したのに有り余ってるじゃない。

これなら肉壁はあなたに任せて、本格的に戦闘全てをクウガに任せられるかしら?」

 

「何をしている!?」

 

入口の方からの怒号に振り返ると、不破諫たち5人がそこにいた。

不破とシーラEが前に立ち、その後ろをスナイパー二人と非戦闘員のシェフィと言った布陣で、クウガをどうにかできるなら悪くない判断と言えるだろう。

ちなみに武器はマインの本来の愛用武器であるパンプキンとSOPMODを交換している。

実戦経験の質においてはシノンより一日の長があるマインが限りなく100%を出せる状態にするのは不破たちの勝利の条件の一つと言えたからだ。

 

「あら意外ね。さっさと見捨てて尻尾巻いて逃げるかと思っていたわ。

その様子だと私の分身は全員死んだのね」

 

後でビクビクと痙攣しているケンを放って覇瞳皇帝はクウガを伴ってとは言え、堂々と5人に対峙した。

そして一瞬、シノンとその後ろいるシェフィに目線をやり、

 

「……なんだか懐かしい顔も居るけど、その様子だと忘れているだろうし、改めて。

私は覇瞳皇帝。無様な旧い支配者よ」

 

「何が目的だ?」

 

拳銃を構えながら尋ねる不破に覇瞳皇帝はさも当然のように告げた。

 

「私は一度、全てを取りこぼした。

こうして次があったのなら、もう取り戻し、それ以上に得るしかないと考えるのは普通じゃない?」

 

<KAMEN RIDE>

 

隠し持っていた新たなカードをネオディエンドライバーに装填した。

瞬間、全員の背筋を氷柱が差し込まれたような悪寒が走る。

 

「な、なに今の!?」

 

「こうなったら!」

 

何かが起こる。

どうにか阻止したいが、クウガがそれを許しはしないだろう。

きっと取り返しがつかない何かが、起こってしまう。

そう確信した不破はマスブレインゼツメライズキーを取り出す。

 

『不破諫!?3人だけでは変身は……』

 

「あいつはシェフィを知っていた!」

 

そうとだけ言うといつも通りキーの展開部分に指をかけた。

 

『しかし不破諫!全く未知のライダーをこの局面で使うのは!』

 

「俺がやると言ったらやる!俺がルールだァアアア!」

 

バキバキと固い物が軋む音が響き、その様子を全く見慣れていない一同は大いに驚いたが、構わず力を籠め続ける。

 

「おおおおおおーーーーーっ!ふんっ!」

 

キーが展開されたのと、覇瞳皇帝がネオディエンドドライバーの引き金を引いたのは同時だった

 

<KUUGA ULTIMATE!>

 

赤かったクウガのボディに金色のラインが走り、そこから浸食されるようにボディが真っ黒に浸食されていく。

聖なる泉枯れ果てし時 凄まじき戦士雷の如く出で 太陽は闇に葬られん

その予言に違わぬ漆黒の破壊者、恐怖の具現化、仮面ライダークウガアルティメットフォームブラックアイ。

しかし敵の変身完了にのんきする不破ではなかった。

ドライバーを起動させ、マスブレインゼツメライズキーのスタータースイッチを押す。

 

<マスブレイン!>

 

キーから4本のチェーン型のエネルギーが伸び、それぞれ不破、シェフィ、シノン、そして覇瞳皇帝に突き刺さる。

変身を実行中のアルティメットクウガは自身の攻撃でもない物にまでは反応しなかった。

 

「何!?こ、これは!」

 

ブツッ!と、チェーンを抜き取ろうと手を伸ばした覇瞳皇帝の視界が切り替わった。

いつの間にか周囲をコンピュータで囲まれた暗室のような場所に移動しており、自分はその中でも一段高い光る足場に立っていた。

上半身には黒い鎖が巻き付いて、中央に伸びている。

 

「ようこそ、マスブレインシステムへ」

 

同じようにつながれた一人、覇瞳皇帝から見れば唯一見覚えのない中性的な誰かがしゃべり出した。

 

「ここは接続された者たちのための仮想空間。

現在このシステムに接続された者たちには人工知能と同等の思考速度が与えられているため、ここでの時間の流れと外部の時間の流れは一致していません」

 

「だれぇ?」

 

混乱して状況がつかめてないらしいシノンより早く、色々と難しいこと考えてないシェフィが質問した。

 

「私は亡。不破諫の脳内に埋め込まれたAIチップ内に存在する人工知能です」

 

「ナキ!ナキは、イサムのおともだち?」

 

「……まあ、その認識で構いません」

 

それを聞いてキャッキャと無邪気にはしゃぐシェフィに何とも言えない表情を浮かべながらも、亡は続けた。

 

「議題:不破諫を仮面ライダー滅亡迅雷へ変身させることの是非について」

 

「かめんライダー?イサムが!?」

 

「はい。仮称黒いクウガはこのままでは5秒以内に我々の殺害を実行します。

現状使用できる仮面ライダーは滅亡迅雷のみです」

 

「あ、あの!それはわかった……んですけど、なんでこの人も居るんですか?」

 

「そうねここで私が邪魔すればあなた達は終わりって事じゃないのかしら?」

 

そう言って魔法を発動しようとして

 

『Your opinion has been rejected. 』

 

手を掲げた瞬間、体を電流が走り抜けた。

 

「ぴぃっ!?」

 

「うわぁあああああっ!な、なにがぁあああ!?」

 

「マスブレインシステムは接続された者たちによる合議制で意志決定を行います。

自立行動は可能でも、反逆の意志は否決されます」

 

上着の裾を掴んで背中に隠れるシェフィの頭を撫でながら亡が淡々と説明した。

 

「なるほどね……だらこそこうして迷いなく取り込んだのね」

 

「正直、あまり使いたい手段ではありませんでしたが、マインとシーラEは接続できない様でしたので」

 

そう言って亡はシェフィと目線を合わせる様にかがみ、

 

「このままでは不破諫が負けてしまいます。

シェフィ、力を貸してくれますか?」

 

「……うん!」

 

『Your opinion has been accepted. 』

 

<滅亡迅雷ドライバー!>

 

亡とシェフィ、過半数の可決により、4人全員の前に不破が現実で装着したのと同じドライバーが出現する。

 

「シノン、色々と事後承諾になってしまって申し訳ないのですが……」

 

「言いたい事は有りますけど、まずは生き残ってからですよね」

 

そう言ってシノンは滅亡迅雷ドライバーを装着する。

 

「感謝します」

 

亡も装着されたドライバーを起動させ、待機音を鳴らす。

そしてその間もずっとキーと格闘していたシェフィがロックをこじ開けた。

 

<マスブレイン!>

 

「こ、このぉ!よくも私を道具の様ニィいい!」

 

最後に激しい怒りに顔を歪めながら覇瞳皇帝が、操られてキーをドライバーに装填する

 

<プログライズ!>

 

「かめーんライダァーー!ヘンシーン!」

 

「変身」

 

「え?へ、変身!」

 

「変ッ……身んんんんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変身!」

 

こじ開けたキーがドライバーに装填されると、倒れたシェフィ、シノン、覇瞳皇帝、そしてドライバーを装着している不破諫から光のブロックのような物が放出される。

色はそれぞれアイスブルー、ライトグリーン、ダークブラック、ホワイトブルーで、不破の肉体を包み変身させた。

 

<Connection! Connection! Complete! METSUBOUJINRAI!>

 

<Quartet with unified will.>

 

「イサム?」

 

紫色のバトルスーツに、黒いベルトで固定した赤いいかり肩を始めと多角的な形のアーマーの戦士となった彼らとアルティメットクウガが無言でにらみ合う。

 

「シーラE!」

 

「ええ」

 

何かが起こったら取り返しのつかないことになると直感したマインとシーラEはぐったりしたままのシェフィとシノンを抱えて下がった。

 

「お前を、ぶっ潰す!」

 

本来なら仮面ライダー亡の武装であるはずのニホンオオカミノツメが両手に装備される。

それを見たアルティメットクウガは、地面に手を当て、無数の漆黒のタイタンソードを生成し、攻撃してくるが、滅亡迅雷は亡とシェフィ、二人分合わさった凍気で強引に押しとどめ、その上を駆け抜けると、一気に接近してインファイトを仕掛けた。

 

「おおおおおおっ!」

 

怒涛の連撃を無感動に避け続けるアルティメットクウガ。

動きを読んでカウンターを繰り出そうとするが、その都度氷の能力で足場を凍結され、バランスを崩されてお思うような動きが出来ない。

ならばとアルティメットクウガは超自然発火を使い始めた。

物質の原子、分子さえも操るクウガの力の応用で、物質のプラズマ化……つまり物質そのものを火に変身させる能力である。

肉体への攻撃は鎧の再構成で対応できるが、温度の下限は-274度に対し、上限は数千度を超えるため、実質封じられたと言えよう。

となればそこから先はお互いのシンプルな殴り合いだ。

 

「うぉおおおおお!」

 

アルティメットクウガと滅亡迅雷の拳の応酬。

パンチ力80トンのアルティメットクウガに、ザイアのテクノロジー全てと称されたザイアを一方的に下し、キック力だけなら仮面ライダーゼロツ―にも勝ると言われる滅亡迅雷。

本来な一撃一撃が必殺の攻撃はホテルその物を揺らしながら終わりなく続く。

 

「……パープル・ヘイズとは違った意味で即死級の能力ね」

 

戦闘の余波で転がってきたガラス片を使って様子をうかがっていたシーラEとマインは、運よく二人が取っ組み合った末に部屋の奥の方に言ってくれたタイミングで走り出した。

 

「ねえ!一応聞くけどケンがどうなったか見れた?」

 

「無理ね。それにどう考えてもあんな破壊力その物みたいなパワーの応酬の近くにいて無事な訳が……」

 

そこまで行ってシーラEは本当か?と思い直した。

あれだけクウガにボロボロにされ、覇瞳皇帝のスタンド攻撃(?)を受けても生きてはいたではないか。

だとしたら、あの中で生きていたとしても別に不思議では……

 

「「ッ!」」

 

気配を感じて振り向くと、そこにはケンがいた。

意識はあるように見える。

だが猛烈な苦悶に歪んだ顔は正しく鬼の形相で、あともう一ミリでも自制心が削られたら4人に襲い掛かるだろう。

 

「逃げるわよ」

 

「オッケー」

 

悪いがあれをどうにかできる様な道具も余裕もない。

向こうからしてもそれが有難かっただろう。

斉藤ケンはなりたくて吸血鬼になったわけでも、襲したくて人間を襲うような人物でもないのだ。

だからこれ、悪辣な悪意のいたずら。

第一回放送、そして最悪のクリスマスプレゼント。

その名も、ファントムリキッド。

 

「痛っ!」

 

「ッ!何を……」

 

肉体の内側から湧き上がる熱く、黒い何かに戸惑う2人に、ケンは飛び掛かった。

吸血鬼は、もっと言えば元々ケンのいた彼岸島の存在する世界における吸血鬼はある意味では人間の進化の形。

それに細胞の異常な活性化による人間のスマッシュ化、ライダーシステムやトランスチームシステムに耐えうるだけの肉体強度を与えるネビュラガスを高濃度圧縮したファントムリキッドを投与されては、本来の歴史で食塩水を投与された時の比ではない。

肉体がより吸血鬼として強くなってしまう。

その本能も肉体に正比例し

 

「──────ァアアアアアアッ!」

 

人間斉藤ケンの理性を軽く超える。

そして目の前にファントムリキッド投与後の不調で思うように動けない4人に牙をむく。

ケンが狙ったのは、ただでさえ動けないシノンだ。

彼女の細く白い首筋に牙を突き立てる。

なんとか重い身体を動かし、難を逃れたシーラEは振り返りながらまだ鈍い頭を懸命に動かす。

 

(こいつ!普通じゃないのは分かってたけどなんで首に?

まるで吸血鬼……吸血鬼?)

 

『お前と同じことだ。雅と宮本篤。この二人は危険だ。

人間の血液を啜りながら生きている……危険な……吸血鬼……』

 

最初の情報交換の時に単語だけ目の前の怪物本人から聞いた言葉を思い出す。

吸血鬼。

実物は目の前の男以外見たことないが、その能力も伝承通りなら

 

「〈ヴードゥー・チャイルド〉!」

 

ためらう理由はない。

げっ歯類を思わす顔を持つ人型のヴィジョン、魂の分身を呼び出したシーラEはまず手始めのシノンの頭を蹴り飛ばして首をあり得ない方向に曲げると、握った拳を怒涛のスピードで叩きこむ!

 

『エリエリエリエリエリエリエリエリエリエエリエリエリエリエエリエリエリエリエエリエリエリエリエ……………………ッ!』

 

死体ごと殴り飛ばしたケンたちの方に、取っ組み合いながらアルティメットクウガと滅亡迅雷が転がり込んで来た。

同時に立ち上がった二人はベルトを操作し、右の拳にエネルギーを集中させる。

ここで決着をつけるつもりであるらしい。

 

「……ッ!」

 

「おおおおおーーーーっ!」

 

<マスブレインインパクト!>

 

アルティメットパンチとマスブレインインパクトが互いの顔面を捕らえた。

バチバチと青白い火花を散らしながら大きく吹っ飛ばされた二人だが、クウガはマイティフォームに戻ってしまっているが立ち上がれたのに対し、顎にでも入ってしまったのか、滅亡迅雷は倒れたまま動かない。

 

「イサム!」

 

先ほどの放送の内容の通りだったら、強制変身解除の末に死んでしまう。

 

「二回もヘマするんじゃないわよ!」

 

シーラEにシェフィを預けたマインはSOPMODⅡを取り出し、クウガの顔を狙って打ちながら不破のもとに行くと、ドライバーからゼツメライズキーを抜き取る。

変身が正当な手順で解除され、不破は元の姿に戻っただけで済んだ。

 

「うっ……あれ?なにが……」

 

声に振り向くと、シーラEが抱きかかえていたシェフィが目を覚ましている。

シノンのことは……本当に残念だったが、今はもう一人も死なせないことを考えるしかない。

 

「本当に、屈辱的だわ」

 

ズルズルと、体そのものを引きずるような重い足取りで、戦場に新たに現れた者が居た。

 

「覇瞳皇帝!」

 

「アストルムに鑑賞できる何かがあるのだから、アバターキャラクターその物をどうこうできるシステムがあっても不思議はない。

私としたことがとんだ失態ね」

 

そう言いながらネオディエンドライバーを取り出し、足元に倒れていた斉藤ケンの頭に5、6発続けて光弾を撃ち込んだ。

 

「アンタ!」

 

銃を構え直すマインだが、クウガが主人を守る様に立ちはだかる。

 

「……また会いましょう。その時こそ、私か、あなた達の最期よ」

 

そう言って覇瞳皇帝はケンの背中からデイパックを引きはがすと、クウガに新たなカードを装填したネオディエンドライバーの銃口を向けた。

 

<FINAL ATTACK RIDE KU KU KU KUUGA!>

 

クウガゴウラムへのフォームチェンジが実行されると、その背中に飛び乗り、ホテルの外に飛び出していった。

 

 

 

【エリアH-8/ホテル付近上空/1日目/朝】

 

【覇瞳皇帝@プリンセスコネクト!Re:Dive】

[状態]:健康、精神的疲労(大)、クウガゴウラムに乗って移動中

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:2枚(覇瞳皇帝、斎藤ケン)

[参戦時期]:メインストーリー第一部終了後

[装備]:ネオディエンドライバー&ディエンドのライダーカード@仮面ライダージオウ

    ファイナルアタックライドのカード&各種アタックライドのカード(ディエンド)@仮面ライダージオウ

    クウガのライダーカード一式@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式(覇瞳皇帝)、基本支給品一式(斉藤ケン)、ランダム支給品1~3(斉藤ケン、未確認)

[思考]

基本:自陣営を優勝させる。

1:新たな拠点となる場所を探す。

2:もし次に会った時、必ずあの5人(不破たち)は殺す。

3:分身の耐久力は普通の人間と同じなのね、注意しないと。

4:美食殿及び他の七冠に対しては保留。邪魔をするようなら始末する。

5:どこか落ち着ける場所で第一回放送の内容を確認する。

[備考]

※制限により、『戦略級の攻撃魔法』と『覇瞳天星』が使用出来ません。

※ネオディエンドライバーで召喚できるライダーは最大3人までです。

※カメンライドで召喚したライダーは任意でフォームチェンジさせれるようです。

 また、場合によっては自己判断で必殺技を発動するようです。

※ネオディエンドライバーは、変身せずともアタックライドの効果を発動できます。

※G3~ゲイツの歴代2号ライダーのカメンライドカードは、ファイナルアタックライドのカード&各種アタックライドのカード(ディエンド)に付属しません。

 

【仮面ライダークウガの偽物(コピー)@仮面ライダージオウ】

[状態]:エネルギー消費(大)

[形態]:クウガゴウラム

[召喚者]:覇瞳皇帝

[思考]

基本:召喚者を運ぶ

1:まずは出来る限りホテルから離れる。

2:敵は追ってくるなら始末する。

[備考]

※このクウガはネオディエンドライバーによって召喚され意志のないNPCです。

元となったライダーと似たような行為をしても、それはオリジナルを元にプログラムされているからです。

一度召喚に使用したライダーカードは召喚したライダーが倒されるかエネルギーを使い切るとと一時間、カードが失効状態になって使えなくなります。

逆に言えば、倒されない限り、召喚者の命令に忠実位に動きます。

 

 

 

「……助かったの?」

 

「ひとまずは、そうみたいね」

 

そう言ってマインが銃を降ろした時、むくりと彼女の横に寝ていた不破が立ち上がった。

 

「イサム!あなた、動いて大丈夫なの?」

 

「ええ。問題ありません」

 

「……アンタ、誰?」

 

さっきまでの不破とは全く違う口調、雰囲気の今の不破に警戒心をあらわにするマイン。

しかし不破(?)は一瞥だけすると、シーラEのそばにいるシェフィの元にまでいくと、

 

「シノンですね?」

 

と、つい今しがた死んだはずの仲間の名前で話しかけた。

 

「あなたは、ナキさん?」

 

それにシェフィ(?)はまるで自分がシノンかのように話し出す。

マインとシーラEは完全に置いてけぼりだった。

この状態が良い状態なのか、悪い状態なのかどうかも分からない。

 

「ええ。今は少しだけ不破諫の身体を借りて話しています」

 

「そんな事も出来たんですね……あれ?そう言えばシェフィは?」

 

「その事なのですが、あなたにとってはかなり受け入れがたい事実を説明しなければなりません」

 

そう言って亡は足元に落ちていたガラス片を拾い上げてシェフィ(?)に向けた。

そこに映る姿は当然シェフィである。

 

「シェフィ!?え、う、嘘……なに、これ」

 

「滅亡迅雷は複数人を統合して変身する仮面ライダー。

その間、変身者の肉体は常に無防備となってしまいます」

 

「……待ってください。

え?じゃあ、まさか私の身体は……」

 

「はい。今のあなたはシェフィの身体を間借りしている状態です。

不破諫の脳内チップには余裕がなく、覇瞳皇帝の肉体にいれる訳にもいかなかったので、マインに変身解除された際に記憶喪失故に空き容量が一番あるシェフィの肉体に退避させました」

 

「私、大丈夫なんですか?

アバターロストしただけで現実の身体は関係ありませんよね!?

ていうか、だとしてもシェフィちゃんの記憶喪失が治った時、私どうなっちゃうんですか?」

 

「シェフィの記憶が戻った場合、あなたの人格データはスワップアウトされてしまう可能性があります」

 

「スワップ、アウト?」

 

「メモリ上のデータを一時的にハードディスクに退避させることです。

シェフィの中身がどうなってるかほぼ分からないので、そうなった場合あなたがどうなってしまうか分かりません」

 

「ちょ、ちょっとまって!ナキ、でいいのよね?それってシノンが消えるって事?」

 

「最悪の場合、そうなります」

 

「……」

 

押し黙る3人に亡は淡々と告げた。

 

「シノン、この先新しいボディが手に入る保障もありません。

あなたは戦いますか?

それとも、シェフィを削除してそのボディを掌握しますか?」

 

「え?」

 

「全てはあの時変身を強行した不破諫と、阻止できなかった私の責任です。

貴女の判断を我々は否定しません」

 

「……」

 

「あなたがシェフィを削除するというのなら、その罪は我々も背負います」

 

そうしますか?

そう問われ、シノンは、朝田詩乃は……

 

 

 

【エリアH-8/ホテル最上階・VIPルーム前/1日目/朝】

 

【マイン@アカメが斬る!】

[状態]:正常、疲労(中)、ファントムリキッド投与による不調(小)、ハザードレベルの上昇

[服装]:いつもの服

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]:1枚(マイン)

[参戦時期]:少なくともタツミと恋人になってから

[装備]:浪漫砲台パンプキン@アカメが斬る!

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

    ブラウン号@ジョジョの奇妙な冒険steel ball run

[思考]

基本:アークたちを倒して脱出する。

1:タツミやアカメたちと合流する。

2:エスデスたちやホロビたち、覇瞳皇帝と仮面ライダークウガを警戒。

3:イサムもシェフィもナキも……シノンも一体何がどうなっているの?

4:ケン……ごめんなさい

5:こんな状況だけど、第一回放送はちゃんと確認した方がいいわよね。

6:おかえりなさい、パンプキン

[備考]

※仮面ライダーゼロワンからの参加者の情報、及びアークの情報を入手しました。

※滅、雷のことは人間型帝具のような物と言う認識です。

※ネオディエンドライバーを帝具、召喚されたクウガを鎧を装着した参加者だと思っています。

※銃の残弾に関しては後の書き手に任せます。

 

【シーラE@恥知らずのパープルヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-】

[状態]:健康、迷い、疲労(中)、ファントムリキッド投与による不調(小)、ハザードレベルの上昇

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]: 1枚(シーラE)

[参戦時期]:本編終了後

[装備]:なし

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)

[思考]

基本:死ぬつもりはない。どう行動するかという迷い。

1:このままこいつらと行動するorフーゴとの合流を優先する。

2:フーゴ以外の知り合いと、ケンの話していた吸血鬼を警戒。

3:イサムもシェフィも様子がおかしい……。

  間違いなくあの紫の仮面ライダーのせいなんでしょうけど、どうなっているの?

4:第一回放送を聞き直す。

[備考]

※斉藤ケンと情報交換をしました。主に警戒するべき参加者について。

 

 

 

【不破諫@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:正常、脳内チップに亡が存在、疲労(中)、気絶

    ファントムリキッド投与による不調(小)、ハザードレベルの上昇

[服装]:いつものスーツ

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(不破諫)

[参戦時期]:本編32話終盤~34話に刃に拉致されるまでの間

[装備]:ベレッタM9A1(レーザー照準器付、弾5/15+1)@現実

    滅亡迅雷ドライバー@仮面ライダーゼロワン

[道具]:マスブレインゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン

    ジャパニーズウルフゼツメライズキー@仮面ライダーゼロワン

    基本支給品一式、ランダム支給品×0~1

[思考]

基本:このバトルロワイヤルをぶっ潰す。

0:……。

1:社長たちとシェフィの家族、キリトを探す。

2:滅や雷と会ったら、亡と替わって対応する。

3:もっと簡単に変身できるベルトを探す。

4:仮面ライダークウガ、か。見たこともないライダーが他にも?

5:あの蒼崎って女、ヤバそうだったが、大丈夫か?

6:覇瞳皇帝は必ずぶっ潰す。

[備考]

※亡が不破の体を動かすことも出来るようです。

※滅亡迅雷ドライバーは、人工知能、または電脳ダイブが可能な者なら、誰でも変身できる仕様になっています。

 ただし4人そろっていないと駄目なようです。

※コッコロと主人公@プリンセスコネクト!Re:Diveを、シェフィと血のつながった家族と勘違いしています。

 

【亡@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:不破の脳内チップに存在

[参戦時期]:本編32話終盤~34話で不破が刃に拉致されるまでの間

[思考]

基本:ヒューマギアの夢を叶えるために戦う。

0:シノンの結論を支持する。

1:飛電或人や滅との合流する。

2:滅亡迅雷ドライバー……やはり使わせては駄目だった……。

3:雷……逝ったのですね。

4:シェフィ、結論次第では私はあなたを殺した罪を永遠に背負います。

[備考]

※亡が不破の体を動かすことも出来るようです。

※不破が忘れている記憶を、亡が覚えている場合があるようです。

※仮面ライダーゼロワン本編、劇場版REAL×TIME、『ゼロワンOthers 仮面ライダー滅亡迅雷』『ゼロワンOthers 仮面ライダーバルカン&バルキリー』の滅亡迅雷ライダーズ視点での部分を把握しました。

 

【シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Dive】

[状態]:幼児退行、健康、気絶

    ファントムリキッド投与による不調(小)、ハザードレベルの上昇

[服装]:いつもの服装

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(シェフィ)

[参戦時期]:美食殿らに保護されてすぐ。

[装備]:ダイアウルフゼツメライズキー(アサルトグリップ無し)@仮面ライダーゼロワン

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

    ゼツメライズキーコネクタ@仮面ライダーゼロワン

    ゼツメライズキー×2(コネクタに付いている)@仮面ライダーゼロワン

[思考]

基本:ママとおにーたんをさがす。

0:……。

1:イサムたちといっしょにさがす。

2:ナキはイサムのおともだち!

3:トーコやシーライーはなんかこわい。

4:マインはアルトのおともだち?

5:かめんライダー……ヘンシーン!

[備考]

※何かのきっかけで、年相応の精神状態になるかもしれません。

※残りのゼツメライズキーの種類については、後の書き手に任せます。

 

【朝田詩乃@ソードアート・オンライン】

[状態]:精神のみ、シェフィの空き容量に存在

[参戦時期]:少なくともキリトとコンビを組んでから

[思考]

基本:このゲームから生きて帰る。

1:私が、消える?

2:でもシェフィを殺せば助かる、ってこと?

3:私は……

4:イサムさんたちはゲームから来てない?

5:人工知能アークが黒幕?

尾行

※シェフィの記憶が回復した時、実際どうなるかは後の書き手に任せます。

※浪漫砲台パンプキン@アカメが斬る!、基本支給品一式、ランダム支給品×0~2は彼女の破壊されたボディと一緒に放置されています。

 

 

 

 

【シノン@ソードアート・オンライン ボディ消失により脱落】

 

【全体人数 残り131/150人】【小説陣営 残り32/37人】

 

 

 

 

 

 

 

 

不破たちが移動して数十分が経っただろうか?

ボロボロのスイートルームの洗面所に人影があった。

壊れているとは言え、豪華な装飾や高い家具には不釣り合いなフード姿の男はがぶがぶと蛇口に直接口をつけて水を飲んでいた。

 

(タリナイ……タリナイ……ドウシテコンナニ喉ガ渇ク?

モシカシテ水ジャナクテ血ナラ──血?)

 

そこまで思い立って男、斎藤ケンは激しくむせこみ、自分がついさっきまで我を忘れれていた事実に狼狽して尻もちをついた。

 

(なんでだ!?あの雅みたいな女に頭をかき回されて……)

 

あの後何をどうしてああなった?

誰かと会ったのか?それとも会えなかったのか?

それすらも思い出せない。

 

「俺は、俺は……」

 

彼は知り得ない。

自分がある少女の本来ならありえない最悪の現状維持をせざるを得ない状況に追い込んだことを。

親友たちが最悪の道を選びつつあることを。

そして最大の怨敵がもう既にこの世にいないことを。

不幸と悪意にいっせいに牙をむかれた彼は、次に誰を巻き込み、自分と誰かにどう不幸を撒き散らかすのだろうか?

もしかしたら、あの悪意の魔女は知ってるかもしれない。

 

 

 

【エリアH-8/ホテル一階 入り口付近/1日目/深夜】

 

【斉藤ケン@彼岸島】

[状態]:吸血鬼として本能が増幅、頭部に銃創(自然回復中)

    疲労(大)、喉の渇き(極大)

    ファントムリキッド投与によるハザードレベルの上昇

[服装]:いつもの服装(フードとマスク着用)

[所属陣営]:青(漫画)

[メダル枚数]: 0枚

[参戦時期]:加藤に噛みついた直後

[装備]:なし

[道具]:なし

[思考]

基本:ユキのためにも、死ぬわけにはいかない。

1:俺は、何をしちまったんだ?それとも、なにもしていないのか?

2:シーラEたちは?あの雅みたいな女は?

[備考]

※主に警戒するべき参加者についてシーラEと情報交換をしました。

※吸血鬼の再生能力の限界などに関しては後の書き手に任せます。

※第一回放送を聞き逃しました。

 デバイスも覇瞳皇帝に奪われたので確認できません。



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進化に至るカケラ

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
・万丈龍我@仮面ライダービルド
・花村陽介@ペルソナ4
・トワイス・H・ピースマン@Fate/EXTRA
・戦場ヶ原ひたぎ@化物語


『仮面ライダークローズ、万丈龍我は、アズを名乗る女が開催した謎のバトルロワイヤルに巻き込まれ、そこで出会った花村陽介、雪ノ下雪乃と共に仮面ライダーメタルビルドに変身したテロリスト、PoHと戦う』

 

『一度は追い詰められた俺たちだったけど、万丈が持ってた剣でインクルシオに変身してベルトを奪い返すことに成功したんだったな!』

 

『ええ。そして気を失った万丈さんを運んでしばらく休むことにした私達だったけど、その一部始終を見ていた二つ……いいえ、三つの視線に気付くことはできなかったのよね』

 

『んー、しっかし俺の音銃剣ともメタルビルドやデネブのベルトとも違うし、インクルシオってなんなんだ?』

 

『まあ、俺のベルトはインクルシオの元持ち主が持ってるっぽいから多分作──』

 

『だ!か!ら!そういうの駄目だって!何回言ったら分かるのさ!!』

 

『あなたもあなたで忙しいわね……』

 

『これからも雪乃ちゃんたちをよろしく!』

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ここは夢だな、と万丈龍我は確信した。

周りにいるのは見たこともない人間の兵士やスマッシュとはまた違う異形の怪物。

共に戦う仲間は仮面ライダーやトランスチームシステム、カイザーシステムなどの鎧の装備はなく、皆、ハザードレベル3に達する前の自分のようにライダーの武装にも似た超兵器を片手にライダー顔負けの戦いを繰り広げている。

 

(もしかして、これは俺じゃなくてインクルシオの記憶?)

 

インクルシオの材料にされたタイラントの筋肉はまだ”生きて”いる。

心臓などの臓器移植をされた患者がドナーの記憶を垣間見ることがある様に、万丈の肉体にわずかに融合したインクルシオの一部が、同じようにインクルシオと融合したタツミの記憶を見せたとしても不思議はないのかもしれない。

 

(誰だ?)

 

長い黒髪の少女が泣いている。

抱え込んでいたものを吐き出すように、万丈ではない誰かの胸倉をつかみ上げて叫んでいる。

 

『大切な仲間がいなくなった!!!』

『こんな苦しみ慣れる訳ないだろうが!!!』

 

それからもしばらく、少女が泣き叫ぶのを聞いていた。

しかし自分の頬を殴り、立ち上がると

 

『俺は死なねぇから!!』

『お前を悲しませたりしねぇから!!』

 

少年の声だ。

万丈には目の前にいるように感じる少女と同じく、全く知らない、聞き覚えの無い声だ。

それなのになぜだろう?

もう一人の自分のようにも、可愛がってやった後輩のようにも感じるのは。

 

「──さん」

 

そんな風に考えていると、どこかからまた別の声が聞こえた。

 

「万丈さん!」

 

今度は強く肩を揺さぶられる感覚もあった。

そのおかげで、肉体に残った痛みが刺激されて頭も肉体も覚醒する。

 

「……あ、陽介か?

それと……デネブ、でいいんだっけ?」

 

「ああ。よろしくな、万丈」

 

握手を交わすべく上体を起こした時、万丈はようやく自分がソファーに寝かされていたことに気付いた。

どうやら、同じエリアの適当な民家に上がり込んだらしい。

 

「うなされてたみたいだけど大丈夫ですか?」

 

「ああ。まだ体のあちこち痛ぇけど、動けない程じゃねえ。

戦兎のベルトやインクルシオは?」

 

「そこのテーブルに」

 

畳まれて置かれていたスカジャンを羽織り、ドライバーを装着する。

自分のではないが、どうにもインクルシオは肉体的な負荷が大きく、しばらくはクローズマグマかメタルビルドで戦った方がよさそうだ。

そして最後にインクルシオを背中に納刀する。

 

「それで、今何時だ?」

 

「あとちょっとで第一回放送だ」

 

「第一回放送?」

 

「万丈さんが寝てる間にデネブとルールを見直してたんスけど、なんでも6時間ごとに立ち入り禁止になるエリアと……そこまでに死んだ人の名前が発表されるって」

 

「……そうか」

 

「多分、その放送で連中は嘘をつかないと思う。

もし嘘をついたら、最終的に勝った陣営に渡す願いをかなえる何かも嘘ってことを疑われて、ゲームが成り立たなくなるから……」

 

「デネブ、お前意外と頭いいな」

 

「俺じゃなくて雪乃ちゃんが……って、どう説明すべきかなぁ」

 

「そういやこいつずっと変身しっぱなしだけど、なんなんだ?」

 

「さあ?さっきも聞いたんですけど、なんかこう、要領を得なくて」

 

なんじゃそりゃ。と、思いながらもデネブの動きを見ていると、万丈はなんだか既視感を覚えた。

前に、本当だったら全く別人の仕草をしながら、別の誰かの声でしゃべるなんて現象が身近にあったような気がしたのだ。

本来女性の筈なのに動きが男性的過ぎるのは流石に始めて見るが。

 

(誰だったっけ?確か割と最近……あっ!)

 

なんとなく考えながらクローズマグマボトルをなんとなく振っていると、思い出した。

確かあれは元々ドラゴンスクラッシュゼリーだったこのボトルが今の形になった時、石動美空のバンクルに宿る火星の王妃が目覚めた時に似ている。

 

「お前もしかして二重……えーっとなんだっけ?」

 

「にじゅうじんかく……そう!二重人格なんだ!」

 

「あー!それだそれ!俺の仲間の美空ってやつもネットアイドルと火星の王妃の二重人格なんだよ!」

 

「それ二重人格ってよりアイドルとしての設定じゃあないっすか?」

 

物凄く疑わしい物を見る目で万丈とデネブを交互に見る陽介。

先ほどの共闘で二人が悪人などとは微塵も思っていないが、なんだかズレてる人たちなのは間違いないと感じ始めていた。

 

「いやーよかった!万丈が仮面ライダーで、しかも話の分かる奴で!」

 

「おう!なんかあったらばっちり頼ってくれ!」

 

(……大丈夫かしら、この人)

 

万丈の誤解が解けそうなのは喜ばしいが、なんだか陽介の誤解が深まったような気がしてならない雪乃だった。

そんな彼らだが、歴戦の戦士には違いない。

即座に背後に感じた敵意ではないが、何かを仕掛けてくる気配にすぐに動いた。

本来そこには鏡しかないはずだが、そんなことは些細なことだ。

2人とも、なんでもありの超常の存在には慣れている。

 

「オラァ!」

 

振り向きざまにクローズマグマナックルで殴りかかった万丈だが、そこにいつの間にかいた何者かは上手く避けると、万丈の身体を盾に銃を構えた残り二人に撃たせない位置を取ると、手にしていた何かを万丈の首元に当てた。

青い光が一瞬光ると、すぐさま後ろに飛ぶ。

 

「万丈!大丈夫か?」

 

「ああ……何ともねえ」

 

そう言いながら怪人を見る万丈。

戦闘機や計器の意匠のあるミリタリー感の強い見た目で、右手には前に葛城巧の動画で見たブランクのスクラッシュゼリーを持っている。

淡く青い光を放っていたそれは、やがてドラゴンスクラッシュゼリーに変化した。

それを見て怪人は満足そうに頷く。

 

「何が目的だ!?」

 

「叩きのめしてから聞けばいいぜ!」

 

<ボトルバーン!>

 

「それもそうっすね!」

 

<ヘンゼルナッツとグレーテル!>

 

変身しようとボトルをセットしたクローズマグマナックルを構える万丈と、ライドブックを起動させた陽介だが、怪人がスクラッシュゼリーを持ってない方の手を掲げ

 

「待て」

 

思いのほか理知的な声で止めた。

 

「あ?」

 

「今君の肉体に残存しているネビュラガスからのこのスクラッシュゼリーを生成した。

君は今、ビルド系の仮面ライダーに変身出来ない」

 

「んだと!?」

 

「心配せずともエボルトが葛城巧の身体に引っ越した時のように遺伝子までは抜き取っていない。

もう一度ネビュラガス、あるいはファントムリキッドを注入されれば再び変身出来るようになる」

 

「ファン……フォント……なんだって?」

 

「このファントムクラッシャーの力の源、そして君たちも今に体験することになる」

 

「さっきから訳の分からねえことをゴチャゴチャと……」

 

ビルドドライバーが駄目ならと、背中のインクルシオを抜こうとした時、ファントムクラッシャー以外の全員のデバイスが自動で動画を再生し始めた。

 

「私に気にせず視聴すると良い」

 

一応、警戒はしながらもアズの声に耳を傾ける。

 

(三浦優さんに、戸塚君ですって!?)

 

「マジかよマリーちゃん……クソッ!」

 

「何が、のんびりし過ぎっだよ……十何人も死んでんだぞ!」

 

それぞれやりきれない想いを吐き出す中、アズの発表は続いていく。

立ち入り禁止エリア、裏切り者そして……。

 

「いてっ!首輪になんか……ぐっ!?な、なんだこれ!」

 

「め、めまいが……」

 

(この感じ!人体実験の時と同じ!だとしたらマズイ!)

 

他の2人が未体験の副作用に苦しむ中、この中で唯一似たような事の経験のある万丈だけは苦しみながらも動くことが出来た。

まず陽介の方を見る。

苦しんではいるがスマッシュ化の兆候も無ければ、全く動けないという事もなさそうだ。

もう一方のデネブの方からは、アーマーから金色の粒子が上がり始めていた。

 

「デネブ!変身解除しろ!」

 

「万丈?」

 

「いいから変身解け!クソッ、こうか!?」

 

暑いんだか寒いんだかわからなくなった上に怠くて重くてしょうがない身体を無理やり動かし、デネブに駆け寄った万丈は、副作用でうまく動けていないデネブのベルトを雑に弄り始める。

 

(な、にを……する、の?)

 

「このカードみてぇのか!」

 

ゼロノスベルトからカードが引き抜かれ、アーマーが解除。

カードも中空に溶けるように消失し、ゼロノスは雪乃の姿に戻った。

 

「や、やだ……私、そんな……万丈さん、なんで……」

 

その疑問には丁度アズが放送で答えた。

 

『今の君たちは例外なく「変身解除級のダメージ」を受けると消滅しちゃうからね!

肉体が丸ごと滅びるから、武器人間も態々心臓をもいで殺す必要もないし、ただでさえ普通の人間とはつくりの違う英霊や柱の男、本来なら極限まで鍛え抜かれているはずのZ戦士の皆も要注意!』

 

「なん、ですって?」

 

「ネビュラガスでも許容量以上投与されれば死に至る。

それをベースに生れたファントムリキッドでも同様だ。

しかし流石は万丈龍我。

事前にネビュラガスを抜いたおかげで他のプレイヤーと違い、結果限界よりかは余裕のある投与量になったとはいえもうそんなに動けるか」

 

「陽介、そいつ頼むぞ」

 

「万丈さん、一人じゃ無茶だ!」

 

「お前らが戦う方がよっぽど無茶だろ!」

 

<ボトルバーン!>

 

クローズマグマナックルのボトルを一度ライオンフルボトルに差し換え、ファントムクラッシャーにライダーに変身している時とそん色ない打撃を叩きこんで外に殴り飛ばすと、再びドラゴンマグマボトルをセットする。

 

<ボトルバーン!>

<クローズマグマ!>

 

今度こそドライバーにクローズマグマナックルをセットした万丈はインクルシオを左手に構えながら走り出す。

 

「おおおおおおっ!」

 

「は、ははは!変身前でなんてパワーだ!素晴らしい!

これがファントムリキッドを投与された星狩りの王の力!」

 

「うるせぇ!変身!」

 

<Are you ready!?>

 

万丈の背後にクローズマグマナックルに似た坩堝型のマグマライドビルダーが出現。

その中で煮え滾る大量の「ヴァリアブルマグマ」が頭上からぶちまけられ、足元からヤマタノオロチのように八頭の龍が伸び上がる。

その熱に飛行能力で上に逃げたファントムクラッシャーを追う様に冷めて固着したマグマをぶち破りながらオレンジと黒の仮面ライダーとなった万丈が飛び出した。

 

<極熱筋肉!クローズマグマ!

アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!>

 

「力が漲る!」

 

瞬間最大速度でファントムクラッシャーを上回り背後を取ったクローズマグマの回転キックが右翼を捕らえた。

金属が破裂する音が響く。

 

「魂が燃える… !」

 

そのまま自由落下するファントムクラッシャーに追いつき、マグマを滾らせた拳を顔面に叩きこむ。

 

「俺の!マグマが!ほとばしる!」

 

それだけでは終わらず地面と再会するまでにしこたま拳を叩きこみ続け、

 

「もう誰にも止められねぇぇぇ!!」

 

改めて地面に叩きこむように渾身のパワーを込めて右ストレートを叩きこんだ。

 

「ぐぼぉおおお!お、おお……なんて、勢いだ……。

これが、クローズマグマの、そしてファントムリキッドの力……」

 

「アチチ!熱っ!なんかいつもより熱くねえかこれ!?」

 

「当然だ。ファントムリキッドにより君はネビュラガスでの限界ギリギリの強さ以上の強さを手に入れている」

 

そう言ってファントムクラッシャーがクローズマグマのドライバーのフルボトルホルダーを指さした。

手に取ってみると、それは青から銀色の輝きを放つ新たなドラゴンボトルに変貌を遂げた。

 

「こいつは!あの時エボルトの力が抑えらんなくなった時と同じ……」

 

「君がエボルトを超える時は、近い!」

 

そう言ってファントムクラッシャーは胸部から無数のミサイルを発射して地面を破壊。

砂煙と黒煙で全員の視界を奪うとどこかに飛び去って行った。

 

「……あいつ、結局何がしたかったんだ?

よく分かんねえけど俺を助けただけじゃねえか」

 

変身解除した万丈はどうにも釈然としない気持ちだったが、アレが善意の行動だったとは到底思えないのであった。

 

「あ、そうだ!陽介!デネブ!」

 

破壊された壁をくぐって屋内に戻る。

陽介はどうにか動けそうだが、雪乃はまだしばらく動けそうになかった。

 

「お前ら……ひでぇ熱だ。氷取って来るから待ってろ」

 

どうにもぬぐえない嫌な感触を覚えながらも、まずは仲間を助けるべく、万丈は二人を寝かすと冷蔵庫に急いだ。

 

 

 

【エリアG-3/民家/1日目/朝】

 

【雪ノ下雪乃@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:健康、全身に痛み、ファントムリキッドによる副作用(大)

[服装]:総武高校制服

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(雪ノ下雪乃)

[参戦時期]:少なくとも比企谷、由比ヶ浜とある程度の仲になってから。

[装備]:ゼロノスベルト(カード残り3枚)@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2

[思考]

基本:ここが夢じゃないのは分かったから…。

1:熱い……寒い……

2:由比ヶ浜さん、比企谷君、戸塚君、三浦さん……どうか無事で。

3:誰かから、忘れられた……でもあのままじゃ私……。

[備考]

※特になし。

 

【デネブ@仮面ライダージオウ】

[状態]:ゼロノスベルトに憑依

[参戦時期]:ジオウ本編39話から40話のどこか

[思考]

基本:雪乃ちゃんを守り、ベルトと共に優斗の元に戻る。

1:アズめ……ゆるさないぞ!

2:雪乃ちゃん………。

[備考]

※特になし。

 

【花村陽介@ペルソナ4】

[状態]:疲労、ダメージ(中)、ファントムリキッドによる副作用(中)

[服装]:八十神高等学校の制服

[所属陣営]:緑(ゲーム)

[メダル枚数]:1枚(花村陽介)

[参戦時期]:不明。後の書き手に任せます。

[装備]:音銃剣錫音@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ヘンゼルナッツとグレーテルワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー、ランダム支給品0〜1

[思考]

基本:相棒たちと合流する。

1:マリーちゃん……くそっ!

  相棒も足立さんも無事みたいだけど……。

2:アイツ、万丈さんに何をしたんだ?

[備考]

※特になし。

 

【万丈龍我@仮面ライダービルド】

[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、ファントムリキッドによる副作用(小)

[服装]:いつもの服装(青スカジャン)

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(万丈龍我)

[参戦時期]:原作46話の最終決戦前日の頃

[装備]:

 悪鬼転身インクルシオ@アカメが斬る!

 クローズマグマナックル@仮面ライダービルド

 ドラゴンマグマフルボトル@仮面ライダービルド

 ビルドドライバー@仮面ライダービルド

 シルバードラゴンフルボトル@仮面ライダービルド

[道具]:基本支給品一式

 メタルタンクタンクボトル@仮面ライダービルド

 ハザードトリガー@仮面ライダービルド

 パンドラパネル(東都1)@仮面ライダービルド

[思考]

基本:こんな殺し合い、ぶっ壊す!

1:戦兎、しばらくベルト借りるぜ。

2:インクルシオの鎧、何かヤバイな。

3:マジ何だったんだ今の奴……。

4:今はとりあえず二人の体調が整うまで休む。

[備考]

※インクルシオと僅かながら混ざりました。

※ドラゴンフルボトルがシルバードラゴンフルボトルに変身しました。

※ネビュラガスを抜かれたため、このままハザードレベルが上がらなければ強制変身解除されても消滅しません。

 

[newpage]

 

万丈たちを振り切ったファントムクラッシャー……トワイス・H・ピースマンは改めて手に入れたスクラッシュゼリーをしばらく見つめていたが、この会場の方に来たように鏡の前に立つ。

あとは普通にドアをくぐる様にして元居た場所に戻ることが出来るのだが……

 

「別に私についてきても構わないが、そうなった場合君個人は兎も角、戦場ヶ原ひたぎの命の保障は出来ないぞ、ベルナージュ」

 

そう誰もいない場所に向けて話しかけると、どこからか煙が集まって人型になる。

煙の剣士、仮面ライダーサーベラである。

サーベラは手にした煙の聖剣からワンダーライドブックを取り外し、変身を解除する。

無数の頁状のエネルギーにアーマーとバトルスーツが分解され、怪しく緑色に瞳が光る戦場ヶ原ひたぎが現れた。

 

「……気付いていたか」

 

「君が万丈龍我や桐生戦兎から目を離すとは思えないからね。

その聖剣の力を使えば密偵の真似事も容易い」

 

「お前の目的はなんだ?

この娘の記憶を覗き見たが、あのアズなる人形はこの娘や万丈龍我たちに殺し合いをさせたいようだった。

このタイミングで運営側が出張ってきては不公平に思える」

 

「アズやアズがアーク様と担ぐ彼が何をしたいのか私にも確信はない。

だが私の目的を述べろと言われたら、君と同じだベルナージュ」

 

「なんだと?」

 

「私が求めているのはエボルトを凌駕する力。

君が万丈龍我、あるいは桐生戦兎に求めている物と同じだ。

最も、私は桐生戦兎にあまり魅力を感じていないがね」

 

そう言うと、ピースマンは今度こそ鏡をくぐって消えていった。

 

「全く、悪趣味で陰気な連中だ」

 

そう吐き捨てるとベルナージュもその場を後にした。

 

【エリアG-2/1日目/朝】

 

【戦場ヶ原ひたぎ@化物語】

[状態]: 健康、ベルナージュが憑依中、ファントムリキッドによる副作用(小)

[服装]: いつもの服装

[所属陣営]: 黄(アニメ)

[メダル枚数]: 1枚(戦場ヶ原)

[参戦時期]: 少なくとも、するがモンキーの後

[装備]:

 金色のバングル@仮面ライダービルド

 煙叡剣狼煙@仮面ライダーセイバー

 昆虫大百科ワンダーライドブック@仮面ライダーセイバー

[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1(確認済み)

[思考]

基本: ???

1:一体誰なの?

2:私の体で何をするの?セクハラよ。

3:私は電波人間になってしまったの?

  幻聴どころかニチアサ怪人みたいなのまで見えたわ

4:熱も悪寒も酷いし、風邪でもひいたかしら

[備考]

※ベルナージュに体の主導権をとられました。

※ベルナージュやピースマンを幻聴だと思っています。

 

【ベルナージュ@仮面ライダービルド】

[状態]:腕輪、戦場ヶ原に憑依中

[参戦時期]:劇場版ビルド終了直後

[思考]

基本:バトルロワイヤルを壊す鍵を探す。

1:エボルトは私が倒す。

2:最後の鍵は、万丈龍我と桐生戦兎……。

3:うるさい小娘だ。

4:あの怪人(ピースマン)……運営側のようだがアズとは違う思惑があるようだな

5:ファントムリキッド……また厄介な物を。

[備考]

※どこまで力が制限されてるかは後の書き手におまかせします。

 

 

 

【エリア?-?/???/1日目/朝】

 

【トワイス・H・ピースマン@Fate/EXTRA】

[状態]:正常、腹部を中心に多数のダメージ(中)、高揚感(中)

[服装]:いつもの白衣姿

[所属陣営]:運営側

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:不明

[装備]:ドラゴンエボルボトル@仮面ライダービルド

    万丈龍我のビルドドライバー@仮面ライダービルド

    クローズドラゴン@仮面ライダービルド

    ドラゴンスクラッシュゼリー@仮面ライダービルド

    メタルボトル@仮面ライダービルド

[道具]:不明

[思考]

基本:自らの理想の体現者となりうる存在を探す。

1:今のところ万丈龍我が最有力。彼を中心に参加者を観察する。

2:ドラゴンエボルボトルとドラゴンスクラッシュゼリーを万丈の進化の糧にする。

3:万が一の為に、万丈に次ぐ候補の選定、クローズの力の確保もしておく。

[備考]

※全ての参加者は、彼の手によって制限をかけられています。




『なんか視線一人たりなくね』

『いるじゃない。今まさに戸塚君にその猛毒の食指を伸ばしている女が』


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ディスクエラー

作者
・伊勢村誠三

登場キャラ
・比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている・
・ユージオ@ソードアート・オンライン
・門矢士@仮面ライダージオウ
・アズ@仮面ライダーゼロワン


「うっ……」

 

頭、特に芯の方が痛い。

この痛みを一本に糸にして抜けたら楽になるのにな、って出来もしないのに考える寝不足の頭痛に似ている。

相変わらず眼精疲労の酷い目をしょぼしょぼと動かすと、見慣れぬ天上と、

 

「起きてるか?」

 

テレビで毎週観てた茶髪の男性と、ここにきて初めて出会った金髪碧眼の少年がこちらを覗き込んでいる。

 

「目は覚めてます……えっと、門矢さん?」

 

目覚めた少年、比企谷八幡は茶髪の男性、仮面ライダーディケイドこと門矢士に答えた。

そして改めて起きているはずなのに本物の仮面ライダーが目の前にいるってすごいな、こんな時だけどタイミングみてサインとかもらっとこうかな、と割と俗っぽい事を考えていた。

目覚めても現実感のない今この瞬間に寝起きの頭が上手く働いてないだけかもしれないが。

 

「よかった。僕のことも分かるかい?」

 

金髪碧眼の少年が安どのため息と共に話しかけて来た。

いつもはそのさわやかな笑顔の裏を疑う八幡だが、怪人と化し暴走した自分を生身で止めようと戦ってくれた彼を疑う程ひん曲がってはいない。

 

「ユージオさん、ですよね?

えっと、俺は怪人に変身したけど二人に倒されて……あれ?

倒されてから、どうなったんでしたっけ?」

 

問題なく体を起こせるし、空も明るくなってきているのでそれなりに時間が経っているのは分かる。

だが、恐らく歴戦の仮面ライダーである門矢士の絶妙な力加減もあって、意識を失う程じゃなかったはずだ。

記憶も、倒されて天を仰いで、色々と考えている内に二人の足音が近づいて来たところで途切れている。

 

「八幡君、もしかして記憶が?」

 

「ネビュラガスの人体実験を受けた者は実験前後の記憶が飛ぶことが多々あったらしい。

そんなネビュラガスから造ったファントムリキッドでも似たようなことが起こっても不思議じゃない」

 

「すいません。何の話してるかさっぱり何ですけど」

 

「ああ、そうだよね。

君の記憶がアナザーブレイドとして倒されたあとで途切れてるなら多分……」

 

ユージオ曰く、八幡のダメージが抜けきるのを待って北上を始めたらしい。

なんでも、八幡が由比ヶ浜は兎も角、雪ノ下ならいてもおかしくないかもしれないと言ったからだそうだ。

 

「雪ノ下がいつも本読んでるイメージだったからですかね。

この質問二回目かも知れないですけど、お二人の知り合いとの合流は急がなくてよかったんですか?」

 

「正直ソウゴたちやキリトの同行者次第な部分もある上に、俺もユージオもあいつらが行きそうな当てがないかったからな。

まあ、ウォズが生きそうな場所は一個心当たりがあるが、別に図書館によってからでも行ける所だから問題なかった」

 

「キリトや士さんの知り合いの人たちが簡単にやられるのが想像できなかったのもあるけどね。

それから態々図書館が設置されている理由が知りたかったのも大きい」

 

そんな訳で到着した図書館は二階建てで、一回が子供向けの絵本や図鑑など、二階が大人向けの本や雑誌、新聞紙などが置かれている。

士と八幡が二階を、一階をユージオが調べる形で、書架の方を調べ終えたユージオはすぐに二階に合流した。

 

「早かったな」

 

「絵本や図鑑ばかりで、タイトル通りならそれほど重要そうではなかったので」

 

「確かに、不自然なくらい虫や動物と会わないから図鑑の出番はないかもな。

毒を盛られたり体調を崩した仲間が居たらこっちの階にある医学書とかは役に立つかもだが。

見覚えのある本とか、知ってる本とかはあったか?」

 

「一冊もなかったです。

もし一階に何かあるとしたら、カウンターの奥の鍵のかかったところだと思います」

 

「なるほど、だいたいわかった。

なら一階をそれ以上調べるなら3人揃っての方がいいな」

 

「ええ。この階はどうですか?」

 

「地図に態々表記する場所だけあって、仮面ライダーに関する本は何冊かあったな」

 

そう言って士は手に持っていた『仮面ライダーという名の仮面』を手渡す。

ついさっき士が変身した仮面ライダーブレイドのオリジナル、剣崎一真と共に戦い抜いたある男の記録である。

 

「だが、それ以外は正直あまり役に立ちそうな本はなさそうだ。

他の参加者ともっと接触できればもう少し発見もあるのかもしれないが、何とも言えない」

 

「そうですか。ところで八幡君は?」

 

「何かあったらすぐ呼ぶように言ったんだが、さっきから静かだな」

 

2人が八幡を探して奥に向かうと、八幡はテーブルに残された、恐らく自分たちよりも早くここに来ていた誰かが読んでいたライトノベルを読んでいた。

だが、その表情はとてもではないがライトノベルを読んでいるとは思えない。

何かにとりつかれたかのように蒼白。

そしてパクパクと何かを呟こうとしてはやめてを繰り返している。

 

「八幡?おい八幡」

 

「ッ!か、か、か、かどや、さん。おれ……」

 

バサッ、と『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』と長ったらしく題されたラノベを落しながら平衡感覚を失ったかのように尻もちを継いで震え出す八幡。

 

「八幡君?どうしたんだい?その本になにか……」

 

「よせ!触るな!読んじゃだめだ!いや、いや、でも……おれは、あの時なんてことを……」

 

「どうやら呪いの類じゃなさそうだが、そんなにヤバいこと書かれてたのか?」

 

無言でうなずく八幡に二人はますます困惑するしかない。

落ち着くのを待ちたいが、時計を見ればもう間もなく放送だ。

このままでは八幡は聞き逃すことになるが、後から説明したところで理解してくれるだろうか?

そんな不安を抱えていたのだが

 

「放送の途中で投与されたファントムなんちゃらのせいで俺はその記憶をきれいさっぱり忘れちまってるって訳ですか」

 

「何か思い出せそうかい?」

 

「幸か不幸か全く。で、その特級呪物は?」

 

「お前をテーブルに寝かせた都合上そこの椅子の上だ。

どうする?俺とユージオだけでも読むか?」

 

「やめといたほうがいいよ?

折角忘れたエキサイトな事実、ぜーんぶ忘れられたんだから」

 

士がガンモードにしたライドブッカーを、ユージオが夜空の剣を構える。

3人の背後に八幡にとっては三度目の出会いとなる魔女が居た。

 

「アズ!」

 

「はーい♪メンタルブレイクしてこのサイカワボイスを聞きそびれた比企谷君のためにのこのこ出て来た秘密のア~ズちゃんだよ」

 

「のこのこ出て来た自覚はあるんだな」

 

「まーね。一応保険はかけてるけど、3対1だし。

そんなことよりどうかな、このバトルロワイヤルは。

とっても悪意に満ちてるでしょ?」

 

「ああ、アイテム管理はざるで運営が直接プレイヤーに干渉してくるようなクソゲーだ」

 

「あっは、あんまりな言い草。

でもそんなクソゲーに誰よりも毒されていたのはお前だよ、比企谷八幡」

 

そう言ってアズは楽しげに笑いながら3人の見渡す。

 

「大いなる悪意が宿りし時、誰でも本当の意味での仮面ライダーに成りうる。

人である以上、お前たちは逃れられない」

 

「本当の意味での仮面ライダー?」

 

「比企谷八幡、メタフィクションの視点から仮面ライダーを知るお前には分かるはずだよ。

緑川のこざかしい悪あがきが上手くいっていなければ始まりの仮面ライダーは、本郷猛は世界掌握を目論む秘密結社ショッカーの怪人バッタ男だった」

 

「カイジン?」

 

「アナザーブレイドを整合騎士のように仕立て上げた存在って言えばお前には理解しやすいかな?」

 

その言葉にユージオは緊張の面もちでアズを見据える八幡の横顔を見てから、先ほど彼が変貌した姿、そして変わり果てた幼馴染と無二の友に刃を向けた自分の姿を思い出す。

もし、全てがあのままだったら、自分や士が間に合わなかったら、そんな最悪のIFが本当の意味での仮面ライダーだと、目の女は言っているのだ。

 

「さあ、門矢士。あなたの結論は?」

 

ひとりでにライドブッカーが開き、その中から一枚のカードが飛び出す。

さっきまで入っていなかったはずの、なんのライダーの力も宿っていないブランクのライダーカードだ。

それを一度はキャッチした士だったが

 

「これは、いつだったかお前みたいな人を導いてる気になってる奴に言ってやった言葉だが……」

 

そう前置きして何の躊躇もなくポイッと捨ててしまった。

 

(ええ?仮面ライダーがポイ捨てしちゃダメだろ。

いや、電王とか必殺技の度にパスケース投げ捨ててたけど……)

 

「人は愚かだから、転んで怪我してみないと分からない。

そこの最後にお湯で目を洗ったのがいつかも分かんない奴みたいにな」

 

「どうせ俺の目はDHAたっぷりの死んだ魚の目ですよ……」

 

「規則正しい生活を心がければ改善されるよ」

 

「時には道に迷い、まちがえることもある。

だがそれでも旅をしていく。

死ぬまで、そして死んだ後も。

お前らに道案内してもらう必要はない」

 

「……」

 

「俺たちは、いつだって真実を追う旅人。

俺はいつだって通りすがりの仮面ライダー。

お前の言う怪人バッタ男と同じ大自然の使者、そして歪んだ世界の破壊者だ。

そして俺の場合少々お前らのお陰で少々特殊だが、世界の危機や悪の陰謀となれば割となんとか復活するのが仮面ライダーやスーパー戦隊だ。

お前らが何度同じことをしようと、必ず俺たちの中の誰かが、あるいは俺たちの意志を継いだ誰かが破壊する。

覚えておけ」

 

(割となんとかって……)

 

(流石ライダーの時系列世界観ガン無視クロスオーバーの免罪符。

めっちゃ壮大なスケールを超大雑把な一言で片づけちゃったよ。

まあ、それが門矢士だよな)

 

「ふん。一度悪意にのまれた癖して偉そーに。

まあいいわ。お前たちの結論は決まっている。

楽しみにしていると良い」

 

そうとだけ言い残すとアズはまた煙のように消えてしまった。

 

「行くぞ。

カウンターの奥に何もなければここにあるのは呪いの魔本だけだ」

 

そう言ってさっさと歩いていく士を追ってユージオと八幡も続く。

しかし八幡は、一瞬だけ悩んだ末に士が捨てたブランクカードを拾い上げてから後を追った。

 

 

 

【エリアI-9/図書館/1日目/朝】

【門矢士@仮面ライダージオウ】

[状態]:健康、疲労(小)、ファントムリキッドによる副作用(小)

[服装]:いつもの服

[所属陣営]:桃(実写作品)

[メダル枚数]:1枚(門矢士)

[参戦時期]:RIDER TIME 仮面ライダージオウVSディケイドで死亡後

[装備]:ネオディケイドライバー&ディケイドのライダーカード@仮面ライダージオウ、ファイナルアタックライドのカード&各種アタックライドのカード@仮面ライダージオウ、ブレイドのライダーカード一式@仮面ライダージオウ、ライドブッカー@仮面ライダージオウ

[道具]:基本支給品一式

[思考]

基本:この世界を破壊する。

1:この世界を破壊するための方法でも探るか。

2:結局ゲイツや海東は居なかったな。まあ、そういうこともあるか。

3:どうやって様々な世界から参加者を集めたんだ?

4:結局読めない女だな、アズ。

5:一階の入れなかった場所を調べる。

[備考]

※変身するために必要なディケイド以外のライダーカードは没収されています。

※覇瞳皇帝にクウガのカードが支給されたように誰かに支給されているカードを手に入れるか、ライドウォッチなどのレジェンドライダーのパワーと共鳴することでライダーカードが解禁される事もあるようです。

※ブレイドのライダカード一式の内訳はカメンライドブレイド、フォームライドジャックフォーム、カメンライドキングフォーム、アタックライドメタル、アタックライドマッハ、ファイナルフォームライドブレイド、ファイナルアタックライドブレイドの7枚です。

※ユージオから彼が知る限りのソードアート・オンラインUW編の情報を入手しました。

※八幡からやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。の大体の情報を入手しました。

 

【ユージオ@ソードアート・オンライン】

[状態]:健康、疲労(中)、ダメージ(小)、ファントムリキッドによる副作用(小)

[服装]:いつもの服

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(ユージオ)

[参戦時期]:死亡後

[装備]:夜空の剣@ソードアート・オンライン

[道具]:ランダム支給品×0〜2、基本支給品一式

[思考]

基本:殺し合いを破壊する。

1:キリトや他の仮面ライダー、奉仕部のメンバーと合流したい。

2:なんで態々僕の名前は隠されていたんだ?

3:士さんの旅に同行する。

4:なるほど、これが士さんの破壊か。

5:結局八幡君はなんであんなことに?

6:アズ……態々出てきて何のつもりだったんだ?

7:一階の入れなかった場所を調べる。

[備考]

※士から彼の存在に関する情報を入手しました。

※八幡からやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。の大体の情報を入手しました。

 

【比企谷八幡@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】

[状態]:正常、膝より下は海水でべたついている、精神的疲労(中)、肉体的疲労(中)、ダメージ(中、特に胸)、ファントムリキッドによる副作用(中)

[服装]:私立直江津高校の制服(男、ボロボロ)@化物語

[所属陣営]:赤(小説)

[メダル枚数]:1枚(比企谷八幡)

[参戦時期]:少なくとも修学旅行編よりは前

[装備]:デバイス(チャットアプリ入り)@ロワオリジナル、ブランクライダーカード@仮面ライダージオウ

[道具]:メダル(比企谷八幡)@ロワオリジナル

   ブレイドライドウォッチ@仮面ライダージオウ

   カリスライドウォッチ@仮面ライダージオウ

   私立直江津高校の制服(女)@化物語

   総武高校の制服(男)@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

[思考]

基本:未定。だけど何をやるにしてもやり方は少し考える。

1:誰も傷つかない世界……見事に壊されちまったな。

2:記憶飛んでてイマイチ状況が分からない。

3:雪ノ下たちの名前は、流石に呼ばれてたら二人やアズが教えてくれるよな?

4:カード拾っちゃったけど、どうしよう?

5:チャットのメッセージに何か返信……したのか?後で確認しないと。

6:一階の入れなかった場所を調べる。

[備考]

※少なくとも花京院典明にもチャットアプリ入りのデバイスが支給されています。

※アナザーブレイドライドウォッチ@仮面ライダージオウはDブレイドに破壊されました。

※支給品の私立直江津高校の制服は男女用二着で一つの支給品として扱われています。

※元々着ていた総武高校の制服(男)@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。は、ズボンの膝から下と靴下と靴が海水でずぶぬれです。

エニグマの紙から取り出して乾かせばまた着れます。

※士から彼の本編後の動向に関する情報を最低限入手しました。

※現実の西暦2011年までに発表されていた原典に関する情報を持っている可能性があります。少なくともジョジョは4部まで、ニチアサもプリキュアシリーズ放映開始後の物ならざっくりとした知識はあります。

 

 

 

【エリア?-?/???/1日目/朝】

 

【アズ@仮面ライダーゼロワン】

[状態]:正常

[服装]: 黒いドレス

[所属陣営]:運営側

[メダル枚数]:0枚

[参戦時期]:不明

[装備]:クヌム神のスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険

[道具]:なし

[思考]

基本:このバトルロワイヤルの司会として行動する。

1:門矢士……お前もいずれ、もう一度悪意の仮面ライダーになる。

2:比企谷八幡、期待してるよ?

3:最終目的は人類滅亡。でもまだよ。少なくとも今じゃないわ。

[備考]

※特になし



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