双面の転生喰種 (チュパシャブリーノ四世)
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双面1

「トーカちゃん、珈琲ブラックでちょうだい」

 

俺はこの春はれて社会人となり就職しその職場の特徴と言ってもいい白いコートを着て、アタッシュケースをもって仕事をサボっていた

 

「っ!?」

 

俺は転生と言うものを経験した

 

「イヤー卒業後はCCGにスカウトされてたんだ」

 

俺は灰色の髪をオールバックにした真紅の瞳を持ちスーツの上からでもわかる筋肉質な身体のイケメンである

 

そして俺がトーカと呼んだのは高校の一つ下の後輩、霧嶋薫香である

 

「先輩・・・・CCGに入ったんですか?」

 

トーカとは二年間仲良くやってた

 

からかうと面白い奴だ

 

「おう!スカウト条件で速攻で現場に出させてくれって言ったら二等捜査官になれたぜ」

 

俺は白いアタッシュケースをポンポンと叩く

 

「先輩は!」

 

ダンと音を立てながら机を叩き顔を近づける

 

「先輩は・・・・喰種捜査官がどんな仕事かわかってるんですか」

 

「・・・・・心配してくれるの?トーカちゃん」チュ

 

俺は軽くトーカの頬にキスをすると

 

「っ!////誰がするか!!死ね!!」ドカ

 

俺の腹に蹴りが炸裂する

 

「げふっ!!・・・・いい蹴りだ、俺と世界を取ろうぜ」

 

「は?」

 

冷たい目もまたいい

 

「ゴミを見るような目はステキだが珈琲を1つ」

 

「キモ」

 

「おふっ!」

 

「・・・・・はい」

 

ガチャ

 

そして珈琲を乱暴に置く

 

「・・・・」

 

俺は珈琲を飲む・・・・・うまい

 

そしてもう一口飲み

 

ジト目で見てくるトーカちゃんを眺める

 

「だいたいトーカちゃんは何に怒ってるのさあれか?依子ちゃんとあんなことやこんなっ」グッ

 

「依子になにしたの!」

 

胸ぐらを掴みあげられる

 

お客がいないからと暴れすぎだろ

 

「いえエロトークで盛り上がっただけです!!!!ぐ、ぐるじい」

 

「何してんだこのクソエロ男!!」ゲシ

 

「あべしっ!!」

 

カシャ

 

俺は膝蹴りをくらってしまった

 

「薫香ちゃん、いくら知り合いとはいえお客様に乱暴はいけないよ・・・・・すみませんでした。」

 

そう言い白髪のおじさんがおしぼりを渡し頭を下げてくる

 

「コートのクリーニング代は後ほど支払わせていただきます。」

 

「え?・・・・あ」

 

さっきの膝蹴りの時に珈琲をこぼしてしまったのだがトーカちゃんはきずいていなかったようだ

 

「ああ気にせんでください。こちらも悪かったのでトーカちゃんはこの前まで可愛い後輩だったので調子にのってしまいました。お騒がせして申し訳ありません」

 

「いえ」

 

不意に俺の携帯がなる

 

グールの通報があったとのメールだ

 

「珈琲美味しかったです・・・・・また来ても?」

 

「えぇ、勿論」

 

「ご馳走様でした」

 

俺はアタッシュケース・・・・・コートを脱いで、箱を持つとお金を払い店を出る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、馬鹿だねぇお前も」

 

「そんな、他のグールの根城教えたら逃がしてくれるって」

 

廃ビルのなか十人ほどの喰種の死体の中血で赤く染まった頭と日本刀のようなクインケをもつ俺は何も感じることはなく男を見下ろす

 

いつからだろうか

 

殺しても何も感じなくなったのは

 

「甘いんだよ・・・・・・そんなんだから生き残れないんだよ」

 

「そんなっ」

 

その言葉を最後に男の頭は地面に落ちる

 

「・・・・・・・甘い、弱い、無知、無力・・・・・故に死ぬんだ。なぜならこの世界は残酷だから」

 

俺は繰り返す

 

喰種を殺して

 

殺して

 

殺して

 

殺して

 

殺して

 

殺して

 

殺して

 

殺して

 

殺して

 

殺して

 

「いやあ、異例の出世速度だって俺・・・・どう今夜食事でも」

 

「遠慮します」

 

俺の目の前には黒髪を後ろで縛る女性が食器を洗っている

 

「俺一等捜査官になってお給料も上がったからさあ、ねぇいいでしょ?入見ちゃあん」

 

「すみません。捜査官とは付き合わない事にしてるんです」

 

「え~なんで?」

 

「だって・・・・・・恋人に死なれるなんて嫌ですから」

 

「ふっ、君のためなら内蔵引きずりながらでも逃げ帰るよ」

 

俺はキメ顔で指をパチンとならし囁く

 

「・・・・・・」

 

うむ、入見ちゃんの新底嫌そうな顔で蛆虫を見るめで見てくる

 

あれ?おかしいな珈琲がしょっぱくなったようにかんじるぞ?

 

「なにそれ、口説き文句?キモいんだけど?」

 

冷たいこえがした方を見ると

 

「あ、あら~トーカちゃん。今日も可愛いのにお目目が冷たいよ?お兄ちゃんかなちい」

 

「あっそ」

 

「ねえねえ、俺昇進したのお祝いにデートしてよ」

 

「入見さんと行けば?」

 

そう言いトーカちゃんは歩いて行こうとするので

 

「もう、素直じゃないな!」

 

俺はトーカちゃんのお尻をわしづかみする

 

「キャッ!!!!」

 

「こ、これは!!!なんという張りとやわらかさ!!・・・・まさに極上のし「死ね!!」ぶげぇ!!!」

 

俺の腹をトーカちゃんの足が捉える

 

「や、やるなジョー、せ、世界を取れるぜ」パタ

 

「だれよジョーって」

 

そう言いトーカは俺の懐から財布を取り珈琲代を取るとお釣りを入れ戻す

 

そう言う律儀なところすきだぜ

 

「店長、この馬鹿捨ててきますね」

 

「薫香ちゃんお客様なんだからもう少し丁寧にしないとダメだよ」

 

この店長ももう慣れたのかやんわりとしか止めてくれない

 

「死ね変態」ペイ

 

俺は彼女の勤める店喫茶店【あんていく】の外に置かれる

 

「トーカちゃん・・・・・いい昇任祝いだったぜ。今までで一番のしりだったぜ」

 

俺は痛む腹を抑えながら最後の力でサムズアップする

 

「死ね!!!」

 

「げぶっ」

 

俺の頬に蹴りが炸裂する

 

「二度と来んな馬鹿!」

 

「そんな君が好きだぜ・・・・・ぐふ」

 

俺の視界は店に戻る彼女の尻を最後に真っ暗になる

 

目が覚めると子供に木の棒でつつかれてた

 

「ふーむ口説き文句の何が悪かったのか」

 

俺は夕暮れのビルの屋上で

 

「どれどれお姉さんが聞いてあげよう」

 

「君のためなら内蔵を引きずってでも逃げ帰るよ」

 

「うわぁ、そんなダサい口説き文句私以外の誰にいったのかな?」

 

「ん?そりゃ女の子にだよナンパするためだもん・・・・・ん?」

 

俺は声がした方を見ると

 

「はい、ギルティ」ザクっ

 

「みぎゃーーーーーーーーー!!!!」

 

そこにはフードを被ったミイラがいて赫子で俺の右目を刺しやがった

 

「ぐおおおおお痛え!!!」

 

「おはははは・・・・ケタケタ」

 

「え、愛支・・・・」

 

「もう浮気なんかするからだよ?」

 

そう言い赫子に付いた眼球を食べる

 

「うん、おいしい」

 

「くう・・・・・」

 

俺がこいつにあったのは数年前

 

突如俺の前に現れ

 

『君私と似た匂いがするね・・・・・君なら私の隣にいてくれる』

 

といわれ

 

『俺がお前の隣にいるんじゃねぇ、お前が俺の隣に居ろ俺の大切なものを傷つけなければ隣に置いてやるよ』

 

とか言ってお互いに体を噛んでいろいろしたけど

 

でも断じてエトのものにはなってない

 

エトが俺のものだ

 

ハーレムを作ろうとしても俺は悪くない

 

浮気じゃない

 

「で?君はお仕置きされる気持ちはできたかな?」

 

「お前は俺のだろ?エト」

 

「そうだよ・・・・私はあなたのもの、あなたが大好き、あなたは私のもの」

 

そう言い包帯がはらりと解けていく

 

「それは違う」

 

「何が違うのかな?かなかなかなかなかなかなかなかなかなかな???」

 

「お前は俺の女で俺は俺様のものだ!!!」

 

「ふーーーーーーーーーーーん、そう・・・・・そうなんだ。あははははははは」

 

この時忘れていた

 

基本的に俺は惚れた女に暴力をふるえない

 

つまり

 

物理的にも性的にも美味しく頂かれました

 

まあ性的な部分は勝ちましたが

 

それでも1つ言おう!だるまプレイはもうごめんだ

 

昔のエトはチョロくて可愛かったのにませちゃってたいへんだぜ

 

「ハァハァ、んんっ」

 

「エト・・・・誰がだれのものだって?」

 

「私があなたのもの・・・・・・でも隣に置いておくれよ?」カプ

 

「俺は一度気に入ったのは離さない主義だよ・・・・・そろそろ戻らないとな、お仕事がまだ残ってる」

 

「つれないなぁ・・・・・・」

 

「たく・・・・俺がCCGに入れて貰ったのはお前のためなのによ。わがままなお姫様だ」

 

俺は上に乗っているエトにキスして下を噛む

 

「もう、まはまんほふひへはひはんへ」

 

エトは体を動かし始める

 

舌を噛むのは俺たちの合図である

 

結局次の日まで掛かり報告書を上げずに怒られてしまった

 

クソ!エトめ梟から兎に通称変えろよ

 

あれ?兎はいたような

 

ま、いいか

 

 

 



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双面2

喰種、捜査官共に恐れられている喰種がいた

 

曰く、その喰種は片眼が傷で塞がれた般若面をつけ、ドラゴンの様な体躯をしている

 

曰く、その喰種は喰種と捜査官、犯罪者を好んで喰らっている

 

曰く、その喰種は最強の喰種である

 

その喰種・・・・・SSSレート【隻眼の龍鬼(りゅうき)】

 

男の周りにあるのは大漁の男の喰種、捜査官、囚人服の死体

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・珈琲が今日もうまいな」

 

「・・・・・・こんなところで珈琲飲んでていいの?」

 

「トーカちゃん今日の下着の色当ててあげようか?」

 

「・・・・・・・・」

 

今日は客がいるため罵倒や暴力はないが蛆虫を見るような目で見下ろしてくる

 

季節は巡り俺は異例の出世速度で上等捜査官になっていた

 

普通はこんな人事はないだろう

 

「ねぇ・・・・最近ここらへんってどうなの?」

 

「・・・・俺がさぼれる位には平和かな?」

 

「そうなんだ」

 

カランカラン

 

黒髪の少年と金髪の少年が入ってくる

 

「・・・・・ここがお前の行きつけか」

 

トーカちゃんは注文を取りに行く

 

「珈琲1つ・・・・それと、お名前は?」

 

「霧嶋薫香です」

 

あ?

 

金髪がトーカに近づき

 

「薫香さん!!彼氏はいますか?」

 

「えっと、すいません///」

 

少し頬を染め走りながら奥に行く

 

「・・・・・・」

 

トーカちゃんが?

 

頬を染めていた?

 

トーカを口説こうとしてた?

 

よし

 

殺そう

 

「おいこら金髪!」

 

俺は渾身の笑顔で声を掛ける

 

「ひっ!?」

 

「え、えっと・・・・なんすか?」

 

どうした?

 

俺のハンサムな笑みに対してビビると

 

何事だ

 

「俺の女に手ぇ出したら喰種と間違えちゃうかも」

 

「「ひっ!!!?」

 

「くくくくくくくk」

 

ガンっ!!!!

 

頭に強烈な衝撃が

 

「誰があんたの女だ!!!」

 

「トーカちゃん?」

 

「なっ!?/////ざけんな!いつなったんだよ!!」

 

「初めて君を見た時からアイラブユー」

 

「うわぁ〜〜」

 

ガッ

 

「店長!!!」

 

「またかい?」

 

「お客さん、すいませんでした」

 

トーカちゃんは二人組みに頭を下げ俺を引きずって行く

 

「・・・・・手出したらケツにクインケぶち込むからな」

 

「やめろ馬鹿!!」

 

俺はひっぱたかれ店の外に放り出される

 

放り出された俺はビルの屋上にあがり空を眺める

 

「・・・・・はぁ、面倒だ」

 

「な~にが面倒なの?」

 

「リゼがまさか俺のいきつけと一緒なんてな・・・・・きなくさいんだって?」

 

「・・・・・ピエロが動いてるみたいなんだよねぇ。まっちょっと嗅ぎまわってくれたまえ」

 

「貸3つで手を打とう」

 

「1つと私の体でどうかにゃ?」

 

「最高」

 

「・・・・・で?なんであそこに固執してるんだね?」

 

俺に話掛ける声は不意に冷たくなる

 

「・・・・・将来やりたいことがあるからさ、それに店員が好み」

 

ガン

 

俺がさっきまでいた場所には赫子が刺さっている

 

「それじゃお仕事があるから」

 

「この浮気者!」

 

 

 

その数日後

 

「動いたわ」

 

「そう、面倒だなぁ・・・・なちゃん報告とかまとめてよろ」

 

「金玉食べていいなら」

 

「さて頑張りますか!!」

 

「残念」

 

俺の横にいるのは黒い水着の様なボンテージの様な服に身を包むチャックの付いた目隠しの様な目だけを隠すマスクの黒髪ロングでナイスバディの美人

 

通称ナッツクラッカーの異名を持つレートAグール

 

「下のお口にならたくさん食べさせてあげるけど今夜どう?」

 

「あなたの匂いをつけて報告行ったら梟に私がころされるんだけど?守ってくれるのかしら?」

 

「極力は頑張るよ」

 

「・・・・・ならまた今度ね」

 

俺は肩を落としながら仮面をつける

 

「んふふ」

 

「どうした?」

 

俺の仮面は左目に傷があり閉じている般若の仮面

 

「マスクをつけるとあなたは雰囲気が変わる」

 

「そうか?」

 

「変声機を仕込んだそのマスクをつけた瞬間あなたの纏う空気は今にも殺されそうな程の殺気が漏れていて触れたら肉片1つ残らずに食べられちゃそう」

 

「・・・・・・」

 

「素敵・・・・龍鬼様」

 

俺は白鳩としての仮面を持っている

 

そして

 

もう一つは

 

SSSレート喰種【龍鬼】

 

俺達はただ眺める

 

大食いと呼ばれる喰種が人を襲い

 

ピエロが工事現場を崩し

 

二人を巻き込む

 

そして

 

とある病院で手術が行われ

 

その情報も集める

 

そしてナッツクラッカーとともに消える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は龍なんてすごい存在じゃない

 

俺は鬼なんてかっこいい存在じゃない

 

俺は白鳩なんて綺麗な存在じゃない

 

俺は・・・・ただクソったれなこの世界をただ味わい尽くしたいだけなんだから

 

お前はどうするんだ?

 

かつて読んだ物語の主人公

 

異物がいる世界でお前は主人公でいられるか?

 

巻き込まれちまったな主人公

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は転生するとき東京喰種と神に言われ落ち込んだよ

 

だってさ?隻眼として転生だぜ?

 

面倒だし

 

人肉と珈琲しかダメなんだぜ?

 

へこんだよ

 

そんな俺が神から転生特典を選ばせてやるといわれ注文した

 

・前世の記憶の完全保管

 

・燃費のいい体

 

・四種類の赫子でそれぞれ能力を注文できる

 

・他の赫包を食べる事により自身の赫包を増やす能力

 

・人、喰種の中で最も優れた肉体

 

まぁ他にもいくつかもらったが

 

喰種に生まれ落ちたことで俺は普通の生活とはおさらばだ

 

まぁ後悔があるとすれば原作の知識は殆ど無く設定と流れを少々、そして主人公の名前くらいだ

 

だからやりたいように生きる

 

カランカラン

 

「いらっしゃいませ・・・・・なんだ先輩か」

 

「それは今日も俺と会えてお股びしょびしょって意味だね・・・・珈琲一つ」スコン

 

「死ね!変態!」

 

トーカちゃんになげられたメニューを読むふりをしながら物思いにふける

 

俺が転生したのは

 

人間の父と喰種の母だった

 

母は俺を産みっきて死んだ

 

本来は母子ともに死ぬが産んでから死んだのだ

 

父は喰種に襲われ目の前で死んだ

 

俺が生まれ日の事だった

 

その日程神に感謝した日は無いだろう生き残れたのは神に生まれてすぐに赫子を使えるようにしてもらったからだ

 

その日程運命を呪った日は無いだろう生まれ落ちてすぐに孤独になったのだから

 

その日程子供の体を恨んだ事はないだろう

 

赤ん坊故に肉が喰えないから血を啜り、肉を赫子でミンチにして飲み込む

 

赤ん坊故に餌を取れなかった故に母を父を仇を喰らい生き延びた

 

 

「・・・・・・世界は残酷だ歯車が周り始めたら誰にも止められないのだから」

 

「なですか、それ?」

 

「・・・・・・・センチっぽく珈琲飲めばカッコいいかなって」

 

「はぁ・・・・・ダサいです」

 

ため息をつきながら珈琲を出して食器をふく

 

「店長」

 

そして・・・・カウンターで珈琲を入れている店長に話かける

 

「なんでしょう」

 

「・・・・・恋愛相談乗ってくれませんか?」

 

「私では力不足かと」

 

「まぁいいじゃないですか」

 

「・・・・・わかりました」

 

もう少しまったりしてても良かったかもしれないが

 

歯車が周りきったら遅いきがするから話す

 

「これは後輩から相談を受けたんですがナンパ中の娘がいてその娘は親御さんが特殊な事情で赤ん坊の頃から他者に預けられて育った」

 

話出すと店長の手が止まる

 

「その娘は大きくなり頑張って成功をおさめました。それを実父に報告しに行ったら父は自分がいなくても幸せそうに笑っていました。」

 

「・・・・・・・」

 

「その娘はそこで絶望を感じました。でも後輩はお父さんと仲直りして絶望をなかったようにできればと考えています。」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

「後輩はどやったら仲直りさせて娘さんをくださいのやり取りにもっていけるか聞いてきたのですが」

 

「・・・・・・」

 

「胃もたれしそうな程重かったので笑ってやりました」

 

「最低か!!!」

 

「・・・・・・・そうですか」

 

俺は珈琲を飲み

 

「店長ならいい知恵ないかなと」

 

「私では力になれそうにないかと」

 

「そうですか・・・・・・話を聞いてくれてありがとうございました」

 

俺はカウンターに紙袋とお代を置く

 

「店長、いつも騒いでるお詫びです。いらなけらなければ誰かにあげるなりしていただいて構いませんができれば全て一度は目を通して欲しいです」

 

「本・・・・ですか」

 

「高槻泉の全巻です・・・・ちなみにサイン入りです」

 

「・・・・・・・」

 

「それでは、またきます」

 

世界は残酷だ

 

だけど残酷な世界の希望は自分で行動すれば希に手が届く

 

だからこそ俺の近くの誰かには手が届いて欲しい

 

「・・・・・・ねぇ」

 

「ん?どうしたのトーカちゃん」

 

「・・・・・・・は」

 

「ん?」

 

トーカちゃはジト目でみながら何か呟く

 

「私にはないんですか」

 

「あ、ごめん」

 

「・・・・・・・」ゲシッ

 

「ぐおおおおお!!!スネがああああ!!!」

 

「ふん」

 

俺は床をゴロゴロころがり痛みをこらえているとトーカちゃんに外に出される

 

 

 

 

 



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双面3

ああ、今日も平和だなぁ

 

俺は今日もあんていくでサボる

 

珈琲が俺の舌と鼻を喜ばせる

 

そして

 

どうやら店長は俺のあげた本を店において誰でも読んでいいようにしてくれているようだ

 

俺は一冊を読みながら珈琲を飲む

 

そういえば最近新しいバイトが入っていた

 

左目に眼帯をした黒髪の青年だ

 

「・・・・・新人君」

 

「は、はい」

 

「珈琲おかわり」

 

「はい」

 

「それと・・・・・君は本は好きかい?」

 

青年は俺の手元を見る

 

「高槻泉ですか・・・・・僕も好きです。繊細な中に力強い一面があって掴みどころがないところがとてもひきこまれるんです。」

 

「黒山羊の卵は呼んだかい?」

 

「はい・・・・小夜時雨がプロトタイプの本ですよね」

 

「・・・・・・俺は【あなたの母は、あなたを育てるのに失敗した】この文が酷く寂しく感じるんだ」

 

「寂しくですか?」

 

「そう」

 

俺は新しくだされた珈琲に口をつける

 

カランカラン

 

「よう金木・・・・・と暴力捜査官!?」

 

「ヒデ!」

 

「トーカちゃんに手をださなきゃ安全だよ・・・・トーカちゃんは俺のだから」スコンッ

 

客から注文を取っていたトーカちゃんから注文票が頭に飛んでくる

 

「それより金髪君、そのケガどうしたんだい?」

 

「え?あぁ~事故にあっちゃいまして」

 

「そうか気をつけなよ人の命なんて一瞬で散るんだから」

 

「うす、そういえば俺グール捜査官に聞いてみたい事あったんですよ」

 

「オフレコにしてくれるなら少しだけいいよ」

 

「まずはグールをどう思ってます?」

 

その言葉に店内の音がなくなる

 

そうか・・・・今日は俺を抜き客は三名金髪以外グールか

 

「それは捜査官としての回答かいそれとも俺個人かい?」

 

「ていうことは二つあるんですね両方聞きたいっす」

 

「CCGとしては一般人を喰らう化物とか悪とか?」

 

「なら貴方個人としては?」

 

「・・・・・食うものが違う事以外人間となんら変わらないさ」

 

「人間と変わらないですか」

 

「そうだよ・・・・彼らには友がいて家族がいて愛する者がいる99パーセントの捜査官は気が付いていない自身が正義の味方であると同時に悪の戦闘員であることを」

 

「・・・・・・」

 

「人も喰種も勘違いしている自身は被害者とでも違う・・・・・喰種を迫害し殺し嫌悪していてる時点で加害者でもあるのだから人を喰らい、傷つけている時点で加害者なのだから・・・・・彼らは人と同じく笑い、泣き、喜び、恐怖し、愛し、眠り、育て、生きている故に何も変わらないのだよ」

 

「・・・・・何もかわらない」

 

「ん?」

 

「金木」

 

そこには涙を流す金木が立っていた

 

「金木君ここはいいから奥で顔を洗っておいで」

 

「え?」

 

「そんな顔をお客に見せるなって店長は言ってんの」

 

「あ、すみません」

 

そして金木は奥に行く

 

「・・・・・本題はこっからなんですけど自分の大切な奴が喰種だったり喰種になったらあなたならどうします?」

 

「・・・・・君の近くにいるなら俺が苦しまずに送ってあげよう。捜査官としてなら君を法のもと処罰しなければならないのだから」

 

俺がそう言ったときのトーカちゃんの顔は悲しそうであり仇をみるような目でみていた

 

「なら個人的には?」

 

「・・・・・・胃もたれしそうなないようでめんどくせぇ」

 

「は?」

 

「ですよね!」

 

金髪君はヘラヘラ笑う

 

「その時でないとわからないけどさ、例えば惚れた女が喰種だったら・・・・・・捜査官をいじでも続けるね」

 

「やっぱ喰種がだめだとか?」

 

「ちがうよ・・・・その娘がどれだけマークされているかを把握してその娘の情報を操作して餌・・・・死体をちょろまかしやすくするためさ」

 

「守るために動くんですか?」

 

「オフレコね」

 

「そうすか」

 

「喰種に興味があるのかい?例えば金木君がそうだったとか?」

 

「最近ニュースで多いじゃないですかもしかしたら大学にもこっそりいるんじゃないかと、まぁ金木は心配してないんですけどねあいつは小学校の時からの親友でハンバーグが大好きなんすよ!喰種なら食えないでしょうしあいつ友達俺以外に見たことないんで」

 

「それは良かった。彼が喰種なら君死んでるしね・・・・・それに今のところ人工喰種なんてきいたことなかったから大変な事件だよそんなのがあったら」

 

「こんどあいつにハンバーグでも奢ってやるかな」

 

そう言い彼はせきを立つ

 

「店長彼の分は俺が」

 

「え?そんな悪いっすよ」

 

「いい暇つぶしのお礼だ。またあったら声を掛けてくれると嬉しいよ。俺は鬼咲(きさき)龍臣(たつおみ)。20区を担当している上等捜査官だ」

 

「そうすか俺はヒデでいいっすよ!鬼咲さん」

 

「おう、またなヒデ君」

 

「うす、ご馳走様です」

 

俺は彼を見送り珈琲の最後の一口を飲むと

 

カチャ

 

トーカちゃんが珈琲をだす

 

「あれ?頼んでたっけ?」

 

「・・・・・・サービス」

 

「珍しいね」

 

「別に・・・・・捜査官なんてやめたら?」

 

「・・・・・・なんで?」

 

「別に・・・・・先輩には似合わないと思ってるから」

 

「そうかな」

 

「・・・・・・うん」

 

「あれ、ヒデは?」

 

「帰ったよ金木君」

 

「そうですか」

 

さて・・・・そろそろ

 

立とうとしたら

 

カランカラン

 

ロングのおとなしそうな綺麗な女性と肩までのばした茶髪の小さい少女がずぶ濡れで入ってくる

 

「「っ!!?」」

 

そして二人は俺を見た瞬間顔色が豹変する

 

「リョーコさん」

 

そしてトーカちゃんは俺を見る

 

しかし俺の動きだした俺はとまらない

 

「リョーコさんというんですねお美しい!!よろしければ今夜お食事でも」

 

俺は片ひざをつきバラの花を一輪差し出す

 

「・・・・・」

 

女性は戸惑っており少女を見ると女性に隠れながら本を抱きしめている

 

この子は

 

「・・・・お嬢ちゃん」

 

絶対美人になる

 

「・・・・・」

 

「それ虹のモノクロだよね?」

 

「雛実行くわよ」

 

リョーコと呼ばれた女性はつれて行こうとするが

 

まだだ!!

 

ここでいかせてはいけない

 

「雛実ちゃんかいい名前だね」

 

俺は急いで席に戻り白いアタッシュケースを取り戻るこの間やく0.1秒

 

「ちょっと!何する気!」

 

トーカちゃんはどなり

 

リョーコさんは雛実を抱きしめ雛実は目を瞑る

 

俺はアタッシュケースを開ける

 

「よかったら好きなの選んでよ」

 

「・・・・・え?」

 

「・・・・・・・本?」

 

「・・・・・・・」

 

雛実は目を開けると中の本を見る

 

「いやぁ高槻作品をその年で読めるなんてすごいね!」

 

俺が話していると金木くんもアタッシュケースを見る

 

「わっ!すごい!全作品揃ってるんですね!」

 

「ふふふ、全部サイン入りでもあるのだよ」

 

「す、すごいよ!羨ましいよ雛実ちゃん!!」

 

「さ、どれでも好きなだけ選んでいいよ」

 

「じゃ、じゃあこれ・・・・・持ってないから」

 

俺は雛実ちゃんに本を差し出す

 

「はい・・・・難しい漢字が多いけど大丈夫かな?」

 

「うん・・・・お母さん教えてもらうから」

 

「そうか、お兄さんにも聞いていいからね。お兄さんこう見えて漢検3級ホルダーだからすごいんだよ」

 

「ぜんぜんすごくない「シャラップ!!!」ような」

 

俺は立ち上がり珈琲を全部飲むとお代を置く

 

「それにしてもトーカちゃんどうしたの?様子が変だけど」

 

「リョーコさんは既婚者なの!変なちょっかい出されて迷惑かけたくないの!」

 

「な、なんだと」

 

俺は膝から崩れ落ちる

 

「はいこれ、トーカちゃんへのお土産」

 

俺は紙袋を渡すと床に伏す

 

「あ、あの」

 

「いや、人妻もそれはそれであり?」

 

「なしだろ!この馬鹿」ゲシ

 

「オグっ」

 

今日は一段とシンに残る蹴りだ

 

「トーカちゃん、君の様子がおかしい理由わかったよ」

 

俺は手帳をだすと頭に片手をあてポーズを取る

 

「な、なに」

 

「俺調べによるとトーカちゃんは今日は生r「死ねクソ変態!!!!」ぶげぇぇえ!?」

 

 

腹を蹴られKOされた俺は雨降るあんていく前に捨てられた

 

雨がちべたいぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~あんていく内~

 

「薫香ちゃん良かったの?」

 

「あ?」

 

「いえ、何でもないです」

 

薫香は不機嫌そうに紙袋を拾う、先ほど視線だけで殺されそうになった金木は何も言えなかった

 

「薫香ちゃん今の白鳩よね?なんで」

 

「・・・・・すいません後で詳しく話ますのでとりあえず奥に、あいつはとりあえず大丈夫ですから」

 

「薫香ちゃん白鳩って?」

 

「ああもう!あんたはだまってろ!」

 

「ねぇ今のお兄ちゃんってお姉ちゃんの恋人?」

 

「なっ!?ちがう!あんな変態クソ浮気野郎が恋人なんてありえないから!!!」

 

「あらあら」

 

「違いますからんリョーコさん」

 

「まぁ、大変そうだけど頑張ってね」

 

「だから違うって」

 

「何もらったの薫香ちゃん」

 

「は?関係ないだろ!!」

 

そう言いつつも袋の中を見る

 

周りも見る

 

中には

 

黒い透け透けの女性ものの下着と激薄と書かれた箱だった

 

「ふん!!!」

 

そして外へ走り

 

『ふっざけんな!!』

 

『ハットトリック!!!???』

 

謎の悲鳴をあげる龍臣の声のみ響いていた

 

「・・・・・これは」

 

「お母さんこれ」

 

「雛実にはまだ少し早いかしら」

 

 

 

 

 

 

 

 



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双面4

昨日トーカちゃんがあんていくを休んでいたので珈琲豆を買い

 

「ピンポーーーーン!!!!トーカちゃん!!!あーーーそーーーーぼーーーー!!!」

 

ドカドカドカ

 

ガチャ!

 

「大声だすな!」ゲシっ!!!

 

「オブっ!!」

 

いつもの如く腹に一撃くらう

 

「んで?なにしにきたの?」

 

「ん?お見舞い的な?」

 

そういい俺は部屋に上がっていく

 

「かってに入んな!」

 

中に入ると

 

金木君が雛実ちゃんに文字を教えていた

 

「あっ・・・・鬼咲さん?」

 

「・・・・・」

 

俺を見た雛実ちゃんは金木の後ろに隠れる

 

「おっす!さてと最近のトーカちゃんの下着のレパートリーは」

 

早速タンスをあけると

 

 

 

 

ピンク

 

 

 

「おっ、この前あげたのしっかり入ってる」

 

「ざけんな!!」

 

ゲシ

 

「いきなり女の子のタンスあけるとか何考えてんの!/////」

 

「ずびばぜん」

 

「てかお見舞いなのに手ぶらなんだ」

 

俺は懐から珈琲豆をだす

 

「珈琲豆?」

 

「キッチン借りていい?珈琲入れるよ」

 

「部屋漁らないなら」

 

「イエス!!マム!」

 

俺はフライパンをだす

 

焙煎である

 

そしてキッチンを漁ると

 

「このメーカー」

 

「・・・・何」

 

「これ、トーカちゃんが一年の頃にあげた奴だよね?」

 

「だったら?」

 

「まだ使ってくれてたんだ」

 

「・・・・・べつに捨てるのもったいないし////」

 

「そか」

 

二十分程して

 

「そういえば雛実ちゃんって珈琲のめるの?」

 

「だい・・・じょうぶです」

 

「砂糖やミルクは?」

 

「いりません」

 

「わお、大人だね雛実ちゃん」

 

「そんなこと」

 

俺はトーカちゃんと一緒に珈琲を並べる

 

「いやいや、高槻泉を読んでて珈琲のブラックの良さをしるとはもう大人のレディーだよ」

 

「そう・・・かな?」

 

そして少し嬉しそうに微笑む

 

「どれどれお兄さんも字を教えてあげよう」

 

「じゃあ、これなんて読むの?」

 

「ん?」

 

本を見ると

 

紫陽花

 

「・・・・・む、むらさきと日と花」

 

なんだっけ!!想像しろ紫色で太陽と関係のある花

 

「あ、アサガオ?」

 

「アジサイですよ」

 

金木くんが修正してくる

 

「・・・・・・」

 

そして雛実ちゃんの微妙な視線とトーカちゃんの残念な物を見る目

 

「やめて!そんな目であたしを見ないで!!」

 

「お兄ちゃん・・・・これ読める?」

 

薄氷

 

「は、ハクヒョウだろ?」

 

「他は?」

 

「・・・・わかりません」

 

「これはね、ウスライっても読めるんだよ?」

 

「へぇ~、すごいね雛実ちゃん」

 

「これはねぇ金木犀だよ」

 

「え?まじで?」

 

「お花なんだよ」

 

「なるほど・・・・・」

 

雛実ちゃんはどんどん元気になっていき

 

「もう仕方ないからお兄ちゃんには私が漢字教えてあげる!」

 

「よろしくお願いします!雛実先生!!!」

 

「あんたはそれでいいの?」

 

トーカちゃんは至極残念な物を見る目でみてくる

 

べ、べつに本気だせば読めるもん

 

「・・・・おいしい」

 

「これ、いい豆使ってるんですね」

 

「ま、それだけじゃないけどね」

 

「いまはお勉強中でしょ?」

 

「はい!雛実先生!」

 

「ほら雛実もっと厳しくしないとこのお兄ちゃんは反省しないぞ」

 

「あぁーあ、昔のトーカちゃんはセンパーイっていって可愛かったのにな」

 

「すみませんね今は可愛くなくて」

 

雛実ちゃんは指をたてて

 

「もうお兄ちゃんだめだよ?むかしはとかは、今はそうじゃないみたいに聞こえるからお姉ちゃんが好きなら気をつけないと」

 

「はい!雛実先生!」

 

「うむ、よろしい」

 

それを見て金木とトーカちゃんは笑う

 

ピンポーン

 

「誰だろ」

 

トーカちゃんがでると

 

「依子!?なんで!?」

 

あぁこのメンツで見られたら大変そうだな

 

「トーカちゃん学校休んでたから肉じゃが作ってきたんだ」

 

まずい

 

下手したら俺も食わされる

 

「お前ら静かにしてろよ?」

 

「「?」」

 

俺は上裸になる

 

「えっ」

 

「っ////」

 

慌てて二人の口を塞いで静かになるのを見ると

 

「トーカちゃん、何してんの早く続きしようぜ?」

 

玄関にいく

 

「はっ!?」

 

「えっ!?龍臣先輩!?えっ!お邪魔しちゃった?/////」

 

「あれ?依子ちゃん来てたんだ・・・・依子ちゃんもまざる?」

 

「え、遠慮します!トーカちゃんこれ先輩と食べて!」

 

そう言うとドアを閉めようとするが

 

「頑張ってね!先輩激しいって噂だから」

 

そう言い親指を立てる

 

「だからちが!「後でいろいろ教えてね」違うって」

 

最後まで聞く前に扉を閉めていってしまう

 

「ふう、いい仕事をした」

 

俺は額を拭うマネをすると

 

「何」

 

トーカちゃんは鍋をキッチンに置くと

 

「してくれてんだ!!!」

 

「ぐぼおおおおお!!!」

 

俺にまわし蹴りを入れる

 

「依子に勘違いされたでしょ!!」

 

ストンピングの嵐が入る

 

龍臣氏はもうグロッキーである

 

「トーカちゃん、もうそのへんに」

 

「あん?」

 

「ひ、雛実ちゃんもいるんだし」

 

「ちっ」

 

そしてトーカちゃんの攻撃やむ

 

「次変なことしたらその格好のまま放りだすからね」

 

「こんなこととか?」ナデナデ

 

「きゃ!?」

 

俺はトーカちゃんの尻を撫でる

 

「ぬふふふふ良きかな良きかな」ナデナデナデナデ

 

「いつまでさわってんだ!!!」

 

俺はボコボコにされ階段に捨てられた

 

PPPPPPPPPPPPっ!

 

「はい、こちらイケメン捜査官」

 

「鬼咲、最近君の行動で推薦した僕のところに苦情がきてるからすぐに来るんだ」

 

「ラジャ」

 

俺は肩を落としながら本部へ向かう

 

何故素直に従うか

 

「君を囲うのはけっこう大変なんだよそれをわかってくれるとうれしいな」

 

俺は迫り来るペンをよけながら小言をきく

 

「いやいや、貴将。俺も大変なのよ・・・・・それにサボっていると認識された方が何かと都合がいいんだ」

 

「きみの言い分はわかった」

 

ピタ

 

俺の瞳の前でペンが止まる

 

そして貴将の喉元には俺のクインケが添えられている

 

「・・・・・・」

 

「こちらでこれからも対処する。そのかわり暫く減給は覚悟しておけ」

 

「仕方ないか・・・・まぁいつもどおり頼む」

 

「ああ・・・・・それと何で上裸なんだ?」

 

「女にこの状態で放り出された」

 

「そうか」

 

「そうだ」

 

貴将は仕事に戻ろうとするが

 

「服かしてくだし」

 

「・・・・部下に言っておこう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜

 

「服・・・・どうしよう」

 

薫香はベッドに横になりながら龍臣の服を眺めていた

 

「なんでCCGになんかなってんだよバーカ」

 

そう言い抱きしめる服からは何故かグールの様なにおいが混じった美味しそうな人間のかおり、もしくは人間の匂いが混じっているのか

 

「汗臭・・・・・」

 

顔を埋めるとムワリとかおる男の汗の匂い

 

「香水とかつけないもんな」

 

汗臭と男臭さが臭いのに薫香の脳を刺激する

 

「・・・・・/////」スゥー

 

嗅ぐ度に彼に包まれる感覚に陶酔し不意に下半身へと手が伸びる

 

「ほんとに馬鹿だ」

 

 

 

 

 

 

 



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双面5

「ふぁぁぁぁ~」

 

「眠そうだな!鬼咲!!!」

 

マイク越しの爆音が耳をつんざく

 

「すんません・・・・カフェインが補給出来ていないもんで」

 

「てめぇ!会議の内容きてたのか?」

 

「2ヶ月前のジェイソンと20区の大食いのいざこざがうんたらかんたら」

 

「ちっ!今まで成績が良かったからフリーにしておいたが感謝しろ!」

 

「あ?」

 

今はCCGの会議中なのだが丸手特等

 

コイツがまじでうるせぇ

 

「お前は今日から真戸、亜門と組め!」

 

「はぁぁぁぁぁ!!?」

 

「良かったな!クインケ狂いと優秀な新人・・・・20区のサボリ魔には丁度いいだろ!」

 

「ふざけんなハゲ!俺の珈琲ブレイクタイムはどうなるんだよ!!!」

 

「んなもんあるかボケ!!!!あと俺はふさふさだ!!!」

 

「知るか!クソハゲ!!!!」

 

この日俺の平穏は崩れた

 

「やぁ鬼咲一等」

 

「真戸上等・・・・・帰っていいですか?」

 

「ダメに決まってるだろう」

 

彼は怪しい視線で俺を眺めながら笑う

 

「初めまして亜門鋼太郎一等捜査官です」

 

「初めまして、鬼咲龍臣階級はこの前上がって上等なんで真戸上等、亜門君よろしく」

 

「おや、そうだったか・・・・それで、クズどもの巣に心あたりは?まさか本当に日がな1日珈琲を飲んでいた訳じゃないのだろう?別の区画を含めたくさん巣を潰しているのに」

 

「別に20区は巣や喰種が多いから担当してるわけじゃないんだけどね」

 

「そうなんですか?」

 

「彼は女好きだからね・・・・全く早く処分すれば良いクインケ沢山出来そうなのにねぇ」

 

「真戸さん処分とは」

 

「あぁ、君は新人だから知らんのか・・・・・コクリアは知ってるね?」

 

「はい、一部しか知らされていない喰種収容施設ですよね」

 

「私はすべて殺すからどんな気持ちかは知らんが・・・・・自身が捕獲した喰種には所有権が付与されるんだよ。そして倒した喰種の赫子にもね」

 

「それじゃあ・・・・彼は」

 

「女性喰種のみを捕獲して所有権をもったまま飼ってるなんていったいどういうつもりなんだか」

 

別にいいでしょうに

 

俺は真戸達とともにとある場所へと向かう

 

「・・・・そういえば君は今どんなクインケを使っているんだね?」

 

「これっすよ」

 

カシャ

 

アタッシュケースが変形し一本の鞘に収まった日本刀になる

 

「日本刀・・・・昔と変わらないんだね」

 

「生憎自分はこいつが一番馴染むんで」

 

「それは特殊なギミックとかあるんでしょうかやはり」

 

俺は箱に戻すと

 

「いんや?ただ固くて切れる刀」

 

「ただの刀でもないだろう?だってそれは龍鬼から奪った赫子からできているんだろ?」

 

「よく御存知で」

 

「龍鬼ってあのSSSレートのですか?」

 

「有馬特等からの貰いものだよ」

 

「有馬特等の・・・・・そういえば有馬特等からスカウトされた噂は本当なんですか?」

 

「そだよ~。お!良さそうな喫茶店、ちょっとよりません?」

 

「よらないよ」

 

「ちっ」

 

俺は黙って歩く

 

「ここは?」

 

「雑魚で大物が釣れる釣り場かな?」

 

そして着いた場所は

 

ボロい建物であった

 

そして壁が壊れ何かが飛んでくる

 

「ほらまったかいがあった・・・・・雑魚で外道が釣れた。13区の大物ジェイソン」

 

「コイツは・・・・・」

 

「えぇ・・・・めんどくせぇ」

 

あぁ、ジェイソンかどうしようかな?

 

怒られるかな?

 

でも俺コイツ嫌いだしな

 

中からはスーツ姿の大男が現れた

 

そして俺の足元には喰種

 

「大丈夫ですか?」

 

俺は足元の男を見る

 

「さて何故13区の大物がいるか本人に聞くとしようか!」

 

真戸は緑色のクインケを出しそれに続いて亜門と俺もだす

 

「ジェイソン!!!」

 

そして真戸と亜門は突っ込んでいった

 

はぁ

 

これ俺も戦わないといけないやつだよな

 

めんどくせぇな

 

しかし真戸もできれば死んで欲しいんだよな

 

あいつずっと俺が何者か怪しんでるそぶりがあるし

 

・・・・・まとめて二人を殺すか?

 

・・・・・いやいや、ヤモリも鎖に繋ぐのはだりぃからなあいつを殺すか

 

俺が悩んでると亜門がこちらに滑ってくる

 

「よっと・・・・どうした亜門君、スキーか?」

 

「くっ」

 

そして中からでてきたヤモリは俺をみて舌なめずりをする

 

「お前変わった匂いがするな・・・・・旨そうだ」

 

そして

 

「鬼咲上等!!!」

 

亜門の声と共にヤモリの蹴りが俺の頭に向かう

 

「あ?」

 

「上等?」

 

うん正当防衛

 

「俺に手を出すなら死んどけや」

 

ブシャ!!!とこ気味良い音と共にヤモリの胸を切り裂く

 

暖かい血が俺に被さる

 

マズイな俺は右目を閉じながらヤモリを見る

 

「おや?君がやってしまったのかい?」

 

「いんや?まだ生きてますよ」

 

俺は自身のクインケ紅桜を見る

 

黒い刀身に紅い血管の様な線血を吸いより赫くなっていいきフィィィィンと甲高い音をさせている

 

「この音は・・・・・」

 

「俺の紅桜の能力、血を吸うと超高速振動する・・・・・つまりゲームとかにある高周波ブレードなんだよ」

 

「どんな赫子もバターのように斬るカラクリはそれか・・・・・どうだい?今度私のクインケをいくらでも選んでいいから交換しないかね?」

 

「お断りします。他のクインケってデザインセンスが好みじゃないんですよね」

 

「それは残念」

 

話していると

 

「白鳩がぁぁぁ!!!」

 

「うおっ???」

 

「鬼咲上等!!!」

 

俺は襲って来た何かを刀の柄で抑えるが体ごと吹き飛ばされ近くのビルの窓ガラスにぶつかる

 

「やれやれ・・・・かなり飛ばされたな」

 

「お前だけはぶっ壊す!!」

 

そして顔まで赫子で隠した上裸の男

 

やれやれ萎えるね

 

「うおおおおお!!!!」

 

そして赫子を腕に纏わせて殴りかかってくるが

 

遅いよ

 

退屈だな

 

「ふぅ」

 

俺は刀でいなし、刃を滑らせる

 

「うおおおおお」

 

「残念だね」

 

そしてすれ違う

 

「ぐああああああああああ!!!!」

 

ヤモリの腕をと赫子は文字通り真っ二つにスライスされ地面に半分落ちた

 

「よっと」

 

「ひぎゃあああああああ!!!!」

 

そして両足を切り落とす

 

「・・・・・どうするか」

 

こいつ・・・・食っちまおうかな?

 

「あら?ダメよ?」

 

「あ?」

 

俺は脇腹に衝撃を受けて吹き飛ぶ

 

「随分とやられたわね?」

 

「・・・・ニコ」

 

「さぁ帰りましょ」

 

声の方を見るとピエロマスクが大男に自分を食わせると担いで帰る姿だった

 

「まぁいいか・・・・さてと」

 

俺は何も無かったように立ち上がると手鏡を懐からだし目を確認する

 

「よし」

 

そして電話をかける

 

「あ、もしもし真戸上等?」

 

『やぁ、ジェイソンはどうだね?』

 

「いやぁ、オカマ口調のピエロに持ち帰られちゃいました」

 

『そうか、まぁ二体一なら仕方ない。君は無事かね』

 

「そうでもないんで病院に行きますわ」

 

『わかった。お大事に』

 

「亜門君は無事ですか?」

 

『問題ないよ』

 

「あとジェイソンの欠損部位が落ちてるから後片付けよろしくでーす」

 

『赫包が残ってることを期待しているよ』

 

やれやれ

 

これでやっとさぼれる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

 

 

俺は右目に包帯をして左足にギプスをして、あんていくに訪れる

 

「お母さん早く行こう」

 

ドン!

 

「おっと」

 

俺はこしにあたった衝撃で尻餅をつく

 

「あ・・・・ごめんなさい」

 

「こら雛実!すいません大丈夫ですか?」

 

「えぇ、雛実ちゃん怪我はない?」

 

「・・・・・うん」

 

「ならよかった・・・・今日はお出かけ?」

 

「うん!」

 

「そっか、気をつけるんだよ?」

 

俺は雛実ちゃんを撫でると席につく

 

「その怪我・・・・どうしたんですか?」

 

トーカちゃんが珈琲をだしながら聞いてくる

 

「喰種にやられたよ・・・・・20区では見ない喰種だったから他から厄介なのが入り込んだみたいだ」

 

「それって・・・・・どんな喰種なんですか?」

 

「ん?気になるの?」

 

「ほら、私たちも襲われるかもしれないから」

 

「13区のジェイソンのマスクをつけているやつだよ。白スーツで指を鳴らす癖のある大男には気をつけてね」

 

「っ!!!?」

 

「まぁ、俺が君を命に変えても守るよ」

 

俺が笑い掛けるとトーカちゃんは驚いた顔をする

 

「だったら・・・・・嬉しいな」

 

その微笑みはどこか寂しそうであった

 



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双面6

「あのさ、結構前に服忘れていったでしょ?」

 

「ん?そいえばそうだね」

 

「持ってくるから待ってて」

 

そう言いトーカちゃんは店から出ていく

 

だが体調は悪そうだな

 

無理して出てきているのかな?

 

「トーカちゃんは体調わるくても無理にでてきたみたいですよ。最近休んでたけど今日は来そうな気がするからって」

 

「イリミさん」

 

「あんまり他の子にちょっかいかけてたら泣いちゃうかもしれませんよ?彼女」

 

「大切に思われて泣かれるより、嫌いになって泣かれた方が痛くなさそうですから」

 

「・・・・・彼女泣かせたら許しませんから」

 

そういい奥に下がり店は誰もいなくなる

 

PPPPPPPP

 

「はい、こちらナイスガイ捜査官の鬼咲」

 

『やぁ鬼咲上等、真戸だが。この前ヤモリと戦った時の雑魚は覚えているかい』

 

「えぇ」

 

『今、その家族がつれたよ。君好みだから一応教えておこうかとね』

 

「へぇ、可愛いんですか?」

 

『それは知らんが母娘だよ。まぁすぐに片付くだろうが興味があったら商店街にいるからよりたまえよ」

 

商店街

 

家族

 

まさかな

 

買い物

 

母子

 

「真戸上等相手ならけがしてる俺が行く頃には肉塊でしょう?」

 

『ふふ、そうかもね』

 

俺は電話を切るとカップの下に千円札を挟み店を出る

 

「コートも忘れちまったな」

 

俺はあんていくから少し離れた裏路地に上着とギプス、松葉杖を捨てると大きく跳び上がる

 

般若の面をつけ

 

赫子をだす

 

ドラゴンのようなデカい翼が広がる

 

上部真ん中にはドリルのように捻じれた骨のようなもの羽の下には小さい穴のあいたトゲが複数

 

穴の空いた部分からは空気が出ている

 

肩甲骨から出た赫子からは雷が迸り手に巻き付き龍の手の様になり肘手首から肩にかけ刃のような物が伸びている

 

腰からはウロコのような物が纏われた先端が大きく丸みをおびているより赤く輝いた赫子が複数出てきてカラダに巻き付き鎧のようになり、最終的にドラゴンの様になる。

 

尾てい骨からは細めの尻尾が出てきて先端が刀のようになっている

 

それは次から次へと出てきて絡まり太く棘のついた尻尾えと変わる

 

そして顔は右目だけの竜の顔となる

 

翼の噴射で飛んでいる姿はまさしくドラゴンである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天高く飛び

 

恐ろしい程の高速のなか

 

ビルのかげ

 

路地裏にて見つける

 

血を流し膝をつく女性

 

囲むのはスーツの男二人と真戸、亜門

 

「やはりか」

 

俺は急降下し口を開ける

 

真戸が鞭剣のようなクインケを振るう

 

ズドン!!!と音をたて俺は四人の前に降りる

 

竜の口からは血の味がする

 

近くには女性の両腕と赫子の一部と思わしき物が落ちている

 

当然である

 

彼女は俺の口の中に広がっているのだから

 

『・・・・彼女の赫子は渡さない』

 

「龍鬼・・・・なんだ?まさか喰種が助けあいか!?」

 

『彼女の赫子が武器にされれば我らの驚異だそれに喰種は我のご馳走・・・・死にたてはうまかったぞ?調理ご苦労飯炊きども』

 

「できればいいクインケになるから吐き出してくれたまえよ」

 

『雑魚が吠える』

 

俺は尾赫でなぎ払う

 

「「ぐあぁぁっ!!!!」」

 

真戸、亜門は紙一重で防ぐが吹き飛ばされいしきを失う

 

カンカンカンカンカンカン

 

後ろの二人は銃で撃ってくるが

 

「CCG・・・・俺の餌になりたくなければ大人しくしておけ。人も喰種も等しく俺の餌なのだから」

 

そして俺は飛びその場を後にする

 

あそこで殺せば20区に集まるな

 

別の場所で姿を現して情報操作するか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某場所

 

「うん・・・」

 

「目が覚めたか」

 

「ここは・・・・・雛実」

 

リョーコは目を開けるときょろきょろする

 

「食え」

 

俺は鱗赫の先端を差し出す

 

「はぁ」

 

リョーコは驚いて固まっていてうごかないので先端を切り離す

 

俺の鱗赫は特典で鎧になる他先端は余分なRc細胞貯蔵庫になり重症を負えばそれのRc細胞を使い瞬間回復する道具になっており、味を前世の記憶にあるものに変えれる。もしくは極上のあじになるが問題点は勝手に赫子越しに吸収され自分で喰うと何故か激マズになり特典の一部が意味が自分には意味がないことになってしまったくらいだだろうか

 

Rc細胞を与えれば回復の助けになるだろう

 

「ほら」

 

俺はウロコを剥き口に押し込む

 

「むぐ!?」

 

切り離した見た目はドラゴンフルーツのようだ

 

「うっ・・・・」

 

そして彼女の欠損がどんどん治っていく

 

「手が・・・・あの助けてくれてありがとうございます」

 

「勘違いするな」

 

「え?」

 

「これからお前には二つの選択子が与えられる」

 

女性は困惑している

 

「一、俺らの仲間になる・・・・・それには条件がある、秘密厳守、掟は絶対、そして強者になる」

 

「二、死んで赫包を喰種捜査官に献上される」

 

「そんな!娘がいるんです他のことなら何でもしますので娘のところに・・・」

 

彼女が俺に掴み掛かろうとすると二つの赫子が彼女の首にそえられる

 

「ダメよ?質問には答えなくちゃ」

 

「・・・・・」

 

「・・・・ゴクッ」

 

「ナッツ、三枚刃、収めろ」

 

俺は彼女のめを見て言う

 

「・・・・・うちに入るには最低でもAレート、欲をいえばSレートまで育ってもらう。見返りはお前が手を汚し強くなれば娘と共に入れる」

 

「雛実と?」

 

「・・・・今回のようなことがあっても娘を守れる」

 

「雛実を」

 

「そう、餓えさせず、手を汚させないで済む」

 

「・・・・・」

 

「弱いから奪われる・・・・・なら強くなればいい」

 

「強く」

 

「喰種なら誰でも強くなれる・・・・・・選べ死か、幸せか」

 

「・・・・・わかりました」

 

「どう、わかったんだ?」

 

彼女の目は強い光を放っていた

 

「私を仲間にしてください」

 

俺は笑って般若面を外す

 

「今ここに宣言しよう・・・・隻眼の龍鬼の名のもとに君を百鬼夜行に迎え入れよう。隻眼の龍鬼率いる百鬼夜行がこれより君の後ろ盾だ」

 

「あなたは・・・・捜査官の」

 

「鬼咲龍臣だ。・・・・・ナッツ、三枚刃、掟を教えて身支度をさせろ。地下の修練場に一時間後だ」

 

「はーーい」

 

「わかった」

 

俺は部屋を後にする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下室

 

「・・・・・・・・ふぅ~」

 

俺は袴のみで深く一気に息を肺に入れ

 

体をゆっくり動かしながら

 

ゆっくり時間を掛け

 

切れない様に息を吐く

 

「ふぅ~~~~」

 

ゆっくり動かし

 

体を点検する

 

「龍鬼様」

 

「準備できたか」

 

俺は後ろを向くと

 

ラバースーツ姿のリョーコが現れる

 

「脱げ」

 

「え・・・・」

 

俺は面をつけ命じる

 

「聞いてないのか?地下での俺は師範だ・・・・脱げ」

 

「・・・・・はい/////」

 

「・・・・・・・」

 

俺は一糸纏わぬリョーコを眺める

 

筋肉が全体的に少ない

 

「両手を大きく開き息を全力で吸込め」

 

「すぅーーーーー/////」

 

「できるだけゆっくり吐け」

 

「はぁーーーーーー/////」

 

「・・・・・・・」

 

肺活量も並み以下

 

使い物になるまで時間がかかるな

 

「動くなよ」

 

「っ!/////・・・・ん/////」

 

俺はくまなく体全体を触っていき把握する

 

「よし・・・・把握出来た。服を着ろ」

 

「はい//////」

 

俺は着替え終わるのを待ち見据える

 

「最終確認だ・・・・これからする訓練は残酷だ、非人道的だ、過酷、劣悪、しかし確実に強くなる。覚悟や如何に」

 

「・・・・雛実を守れるんですよね?主人のようにならない様に出来るんですよね?雛実をこれから手を汚さなくて済むように出来るんですよね?」

 

「お前が強くなればできる。お前が仲間を従わせる事ができればできる」

 

「なら覚悟は決まっています」

 

その目は母としての強い光を灯している

 

「・・・・・これから先、限界が来たら思い出せ笑う娘を!」

 

「・・・・・」コクリ

 

「返事をしろ!」

 

「はい!」

 

「心が折れそうになったら思い出せ!喜ぶ娘を」

 

「はい!」

 

「お前が折れた時!諦めた時!娘から・・・・・それが消えると思え!!!!」

 

「はい!!!」

 

希望は絶望へのスパイスではない

 

希望は更なる幸福を求める欲望の種であると知れ

 

 

「ではステップ1・・・・何をしてもいいから赫子を使わない俺に一撃当てろ」

 

「え?」

 

俺は茫然としたリョーコの顔面に蹴りを放つ

 

「ぶっ!?」

 

ドオオオン!!!

 

リョーコは壁にめり込む

 

「おい・・・・・寝るには早いぞ?」

 

「うぐぅ」

 

「カラダにムチを入れろ!敵の前で意識を失えば死だ!!!貴様の娘は連れさらわれ拷問され弄ばれる」

 

「そんなことさせない!!!」

 

俺の膝に内蔵が潰れる感触が伝わる

 

「動かなくなるのは死と同義だ!!!」

 

「がはっ!!」

 

「お前が動かなければ娘の笑顔が消える!!」

 

俺の手に眼球の潰れる感触が伝わる

 

「あああああああああああああああ!!!!!」

 

「夫の様に娘を奪われるのか!」

 

拳に歯の折れる感触が伝わる

 

「い゛や゛あああああああああああああ!!!!!!!」

 

大きい蝶の羽根のような赫子が一気になぎ払うが俺は既に回避済である

 

「なら希望を捨てずに地獄のデートに最後まで付き合えよ」

 

「う゛あああああああああ!!!!!!」

 

さあ踊ろう

 

 



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双面7

ここ最近は篭もりきりだな

 

俺は百鬼夜行に狩ってこさせた人と喰種を喰らう

 

俺の鱗赫は消耗が激しい

 

「・・・・・あぁ、あんていくの珈琲が飲みたい」

 

「・・・・・龍鬼様今日もよろしくお願いします」

 

「あぁ」

 

そして・・・・・今日も鍛える

 

しかし予想よりペースがいい

 

「リョーコ」

 

「はい」

 

「これを」

 

「これは?」

 

「予想よりいいペースだ。ご褒美だ」

 

俺が渡したのは蝶の形のマスク

 

「お前は今日から胡蝶と名乗れ」

 

「はい!」

 

「明日からステップ2な?」

 

「・・・・・・はい」

 

そろそろ他にも顔を出さないとな

 

俺は20区へと向かう

 

PPPPPPP

 

「こちら休暇中の二枚目捜査官」

 

『あいかわらずふざけた返答だね、君が休暇を楽しんでいる間に一人の捜査官が死に昨日その星であるラビットの目撃情報があった・・・・・場所はクインケの使いづらい場所』

 

「臭うと?」

 

『今回は来るかい?』

 

「そうですね・・・・・怪我人でよければ」

 

『冗談はよしたまへ、君がグールとの戦闘で怪我したなぞ聞いたこともないどうせサボるための嘘だろう?前回は君の嘘に付き合ったまでだよ』

 

「組んだこと一度もありませんよね?」

 

『君については前から調べていたからね何も出ないことこの上なしなんだよねぇ・・・・・ふしぎなんだよねぇ?君・・・・・何か隠してる?』

 

「はて?俺なんかしましたっけ?とりあえず場所送ってくださいよ」

 

『場所は20区の小学校近くの水路だ』

 

「・・・・・なる程」

 

俺は電話をきり向かう

 

たく・・・・ムカつく野郎だぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が水路につくと

 

「遅かったね?」

 

「どうもすんません!女がなかなか離してくれなくて」

 

「安心したまえ君好みのがあそこにいるだろ?」

 

少し離れた先には雛実がバッグをだいて泣いていた

 

「あの中にはなにが?」

 

「彼女の父親の首と母親の両腕だよ」

 

「おぇ、趣味ワル」

 

俺は近くに座る

 

「で?あれをどうするんですか?」

 

「・・・・・しっ、そろそろ本命が釣れる」

 

それから真戸は息を潜め気配を溶け込ませる

 

「・・・・・」

 

驚いたなこれほどまで人は溶け込めるのか

 

「・・・・・・」

 

十分くらいたっただろうか

 

「雛実!!!」

 

あぁ・・・・世界はなんと残酷なんだろうか

 

「雛実それは・・・・」

 

「・・・・・お母さんとお父さん」

 

「・・・・・ねぇ、喰種って生きてちゃだめなのかな?」

 

「・・・・・・」

 

「お母さんに会いたいよ!!・・・・・お母さんとお父さんのところに連れて行って」

 

世界はなんと酷いのだろうか

 

「行こうか」

 

「・・・・・」

 

そして何故このタイミングなのだろうか

 

「・・・・・」

 

俺は哀れな男の背を見送りたたずむ

 

哀れか・・・・どんな口で言うのか

 

「なら連れて行ってあげようお父さんのところまで」

 

残酷な言葉だ

 

「親子は一緒にいないとねぇ・・・・・クインケとして親子一緒にいればいいさ!!!」

 

「貴様!!!!」

 

トーカちゃんの赫子初めて見たな

 

燃えさかるれっかのようでありつつ

 

宝石の様に美しい

 

そして真戸上等は鞭剣のようなクインケ

 

【笛口】

 

泣いて蹲る少女の父を使い

 

トーカちゃんと踊っている

 

俺は少女になんと声を掛けたらいいのだろうか

 

「・・・・・胃もたれしそうだぜ」

 

戦いは白熱していく

 

そんな中、真戸のクインケが水路の柱に絡まる

 

「いい加減一緒にゴミ掃除しないかね?鬼咲上等?」

 

「・・・・・俺、あんたの戦いかた嫌いだわ」

 

俺は頭をポリポリかきながら出ていく

 

「っ!?・・・・んで」

 

「残酷すぎるっしょ」

 

「クズ相手に感傷的になるなんてまだまだだね君も」

 

「今年就職したてなんですが?」

 

「おや?ついわすれてしまっていたようだ」

 

俺たちが呑気に話していると

 

「何であんたがいるのよ!!!」

 

悲痛な叫び声をあげるトーカちゃん

 

「・・・・・・泣かないでよ。可愛い顔が・・・・いや、泣いていても可愛いよ」

 

こちらを親の仇をみるように睨むトーカちゃん

 

涙が溢れている瞳

 

いつからだろうか君をこんなにも愛おしく思ったのは

 

「私を守ってくれるならリョーコさんも守ってよ!!!」

 

「クハハハハハハハ喰種が恋愛ごっこか!?これは愉快!」

 

「・・・・・・・」

 

わかったよ君の大切な者も今度はできる限り守ろう

 

「雛実も守ってよ!!!!」

 

「君は喰種まで落としていたとはとんだ色男だ!こうやって今まで狩っていたのかい?」

 

「・・・・・・・・」カチッ

 

俺はクインケ【紅桜】を腰に構え居合の形を取る

 

いいよ君が守ってほしいと望めば極力全てを助けだそう

 

「・・・・・・私にそんなもん向けるくらいなら守るっていうなよ!!!」

 

「いやぁ、笑わせてもらったよ・・・・君が前衛、私が後衛で行こうか」

 

「・・・・・・いつでも」

 

真戸は俺の半歩後ろにさがる

 

「・・・・・ふざけんなよクソが」

 

「最高の見世物だったぞクズが!」

 

「ふっ!」

 

真戸が笛口を振るおうとする

 

「お父さんをそんな風につかわないで!!!!!」

 

俺の目の前に血しぶきがまい

 

俺の斬撃で腕と首が胴と別れる

 

そして少女から伸びる赫子が胴を貫いていた

 

ついさっき迄生きていたが

 

今は骸である

 

「・・・・・俺の嫌いな者を教えてやるよ」

 

俺は転がる死体の目を見て言う

 

「女子供を平気で泣かせる奴・・・・・それとパンドラの匣を開けようとする奴」

 

「俺は匣・・・・であんたは最後に残った希望を見る前に死んだ哀れな人間」

 

俺は転がる男の瞳を見て吐き捨てる

 

「え?」

 

「・・・・・言ったでしょ?俺は死んでも君を守るって」

 

「・・・・・・」

 

トーカちゃんは歩いて俺のところまで来る

 

パンッ

 

俺の頬から乾いた音がする

 

「・・・・・・何であんなマネしたの」

 

「しら・・・・止められなくてゴメン」

 

「・・・・っ」

 

トーカちゃんは俺の胸ぐらを掴みながら胸の中で泣く

 

「何で・・・・リョーコさんは何もしてないじゃん!雛実は何もしてないじゃん!人殺しの私なら殺されても仕方ない!!なのに何で二人が!!!」

 

「・・・・・そうだね。君が望むのなら雛実を守ろう・・・・・すべては無理でも極力多くを守るよ」

 

俺は啜り泣く彼女を優しく抱きしめる

 

「ねぇ・・・・お兄ちゃん」

 

少女は泣きながら近いてくる

 

「私達は生きてちゃいけないの?」

 

俺は少女に合わせてしゃがむ

 

さあ・・・・・マスクをつけよう

 

心に仮面を

 

「・・・・・そんな事ないよ」

 

「ならお母さんを返してよ!!!」

 

少女の拳は俺の胸を捉える

 

「お父さんを返して!!!」

 

その拳は今まで受けたどんな拳より痛かった

 

「お願いだからお母さんに合わせてよ」

 

涙声のその言葉はどんな物よりも重く俺にのし掛かる

 

「・・・・・」

 

「一人は寂しいよ・・・・・・」

 

「そうだね。一人は寂しいよね」

 

その場で泣く少女に打ち明ければ救われるだろう

 

しかしそれではダメだ

 

だから・・・・・嘘吐きの仮面を被ろう

 

「・・・・・君が成人した時まだ寂しかったら俺を殺していいよ。それでも君さえ良ければ君の寂しさを埋めてくれる人が現れるまで俺がその努力をしよう」

 

「・・・・・・」

 

俺は泣き続ける少女を尻目に電話を掛ける

 

「こちら鬼咲上等捜査官」

 

掛けている相手はCCG

 

「真戸上等と共に地下水路でラビットと戦闘・・・・途中SSSレート隻眼の龍鬼が乱入しラビットと共に逃走、真戸上等は殉職。これより龍鬼を追います。俺が明後日までに戻らなければラビットと龍鬼は共闘関係にあるとし20区だけでなく一つの区を残し全区域を捜査してください龍鬼は捜査官のいないところ、もしくは少ないところに現れています。・・・・・遺言書は既に預けてますので」

 

それを言い俺は雛実を抱きあげる

 

「急いで逃げるぞ」

 

「・・・・・なんで」

 

「・・・・まぁ、守るっていったから」

 

トーカちゃんの手を掴み走り出す

 

 

 



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双面8

俺達が逃げて来たのはトーカちゃんの部屋である

 

結局ここが最適であった

 

 

「・・・・・ねぇ、これからどうすんの?」

 

「・・・・・・」

 

トーカちゃんはタオルで頭を拭きながら目線は合わせようとしない

 

「なんとか言ってよ」

 

「・・・・・・胃がもたれてきた」

 

「ふざけないで・・・・雛実も今はお風呂入ってるし大丈夫だから」

 

「俺も入ってくる」

 

トーカちゃんは胸ぐらを掴み睨んでくる

 

雰囲気はいつもとまるで違う

 

これは真剣に答えないといけなやつか

 

「・・・・・CCGに戻る」

 

「なら二度と私達の前に現れないで・・・・・捜査官には何も出来ないから」

 

「・・・・・・店長達も喰種なのか?流石にそれだとまm「ちがう!!」・・・・」

 

「店長達にバレたくない・・・・良くしてもらってるから」

 

「他に喰種はいないんだな」

 

いると言わせるわけにはいかない

 

守りきれないから

 

「・・・・いない」

 

「・・・・・それなら俺は君達を守るよ。」

 

「・・・・・・」

 

「君が調べられて居づらくなるなら調べない」

 

「・・・・・・」

 

トーカちゃんは俺を放す

 

「お姉ちゃん上がったよ」

 

「・・・・シャワーで頭冷やしてくる」

 

雛実ちゃんは机の前に座ってくれたので珈琲をだす

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

沈黙が空間を支配する

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

時間だけが過ぎる

 

「ねぇ」

 

「ん?」

 

「お兄ちゃんのお父さんやお母さんはどんな人だったの?」

 

「どんな人だったんだろね」

 

「え?」

 

「・・・・・俺の母親は俺を産むことでしんだ。父親は俺の生まれた日に喰種に襲われた」

 

「・・・・・」

 

「だから・・・・1番辛いのは君だろう」

 

「え?」

 

「・・・・・知らなければ痛みがわからない。無い痛みは知っていても失う痛みを知らない」

 

雛実は俯き珈琲を眺めている

 

「俺を恨んでいい」

 

「・・・・・・・」

 

「俺を憎んでいい」

 

「・・・・・・・」

 

「君は君の思うように生きればいい」

 

「・・・・・・・」

 

「俺が捜査官になったのはとある一人の女の子の夢のためだった」

 

「それって薫香お姉ちゃん?」

 

「残念・・・・その娘は初めて出来た本当の繋がりだった」

 

「・・・・・今は?」

 

「お兄ちゃんは欲張りだからいっぱい繋がりが欲しくなったんだ」

 

「繋がりはできたの?」

 

「どうだろう・・・・トーカちゃんとは結局繋がりは出来なかったしね」

 

「繋がりって?」

 

「・・・・なんだろうね。ただ俺が繋がりと感じてるのは独占欲なんだろうね」

 

「独占欲?」

 

「・・・・その人が欲しいから自分のものにしたくて仕方がない自分だけのものに」

 

「・・・・・・」

 

「誰しもが持ってる欲・・・・・それが俺は他より強くて、他より多い。それは大多数の者は不快だろうね」

 

「・・・・・」

 

「少し難しかったかな」

 

俺は珈琲を二人分入れる

 

「ねぇ・・・・お兄ちゃんは何で喰種を殺すの?」

 

「・・・・生活、夢への一歩、生きるため、理由なんていくらでも出るさ。俺は死ぬときは惨めってらしく死ぬだろうしロクな死に方はしないだろうな。

皆に平等なのは生と死・・・・生きるということは奪うことだ」

 

「・・・・そんなの嫌だな」

 

「そっか・・・・・君は優しいね。・・・・・・・・そんな君は生きるべきだ」

 

「っ!?・・・・・・ふぐぅ」

 

彼女は静かに泣き出す

 

俺はそっと彼女を撫で

 

彼女はそれを受け入れてくれた

 

「・・・・・俺は恐らく喰種に大切な奴ができたら人を殺す事に何も思わないだろうね。今でさえ感情が動いていないんだから」

 

いつからだろうか

 

人も

 

喰種も

 

殺しても心が動かなくなったのは

 

当然になったのは

 

「その優しさを忘れちゃいけないよ?・・・・・・でないと俺のような欠落した壊れた生き物になるから」

 

「・・・・・」

 

カチャ

 

「ここでまってて・・・・・雛実来て」

 

トーカちゃんはシャワーからでると雛実を連れて出ていく

 

「・・・・さぁ、どうするか。」

 

俺はこれからを予測していく

 

最良から最悪・・・・・そしてあらゆるパターンを

 

俺が満たされるためのルートを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~あんていく~

 

 

「さて、どうしたものか」

 

そこにはあんていくのメンバーが揃い薫香と雛実は俯いている

 

「・・・・・あいつをどうするんですか?」

 

「・・・・・・・」

 

「まさか・・・・・殺すんですか?」

 

「・・・・・・・・」

 

「あいつは!私と雛実を守ってくれたんです!同僚を殺してまで!!」

 

薫香は必死に訴えるが誰も答えない

 

「・・・・・何で誰も答えないんですか。あいつは調べないって言ってくれた!!!もう関わるなと言えば私は関わらない・・・・・・」

 

「お前の頭は馬糞でもつまってるのか?気づいてるに決まってるだろ?もうバレちまってるんだ殺るしかないんだよ」

 

「お前に殺れんのかよクソ錦!!!」

 

二人の目は赫眼となり睨み合う

 

「落ち着くんだ二人とも」

 

「それに錦君?彼を殺すということは20区により多くの白鳩を呼び寄せるということよ」

 

「じゃあどうするんすか?このまま捜査官に襲われるのを待てって言うんですか?イリミさん」

 

「今のところ彼は薫香ちゃんを守ろうとしているわ・・・・・それが続くまでは下手な動きはしないはずよ。でないと薫香ちゃんに嫌われるから」

 

イリミが言うと錦は小馬鹿にするように鼻で笑う

 

「こいつにんな魅力があるとでも?遊ばれてるだけでしょ、その内飽きて箱にされるだけですよ」

 

「んだとクソ錦!!!」

 

「人間は裏切るんだよ!!」

 

「じゃあテメェの彼女はどうなんだよ!!」

 

「関係ないね!俺はあの人間は信用できねぇし巻き込まれるのはゴメンだね」

 

「・・・・・・落ち着きなさい」

 

店長のその言葉で音が聞こえる

 

「彼を殺す事は危険だ・・・・・しかし放置もできない。いつ矛先がこちらに向くともしれない」

 

「本来であれば白鳩に手をだした時点でこれは薫香ちゃん個人の問題になっていたが事はそれにおさまらない」

 

店長は深呼吸をすると

 

「・・・・・・彼は薫香ちゃんに対処してもらう。そして常に影から彼を監視・・・・・これは古間君と入見君にお願いしたい」

 

「わかりました」

 

「やれやれついに魔猿の復活か」

 

「そして四方君には雛実ちゃんの護衛を頼む」

 

「わかりました」

 

「・・・・・いざとなれば私が必ず君達を守る」

 

店長はそう言うと珈琲を飲み始める

 

「・・・・・お前は良いのかよ雛実」

 

「・・・・・・」

 

「お前の親の仇の仲間なんだろ?・・・・・お前が言えば何人かは殺す側につくかもしれないぞ?」

 

「そんなのどうでもいい」

 

「あ?」

 

「仇とか復讐とか!どうでもいい!!!・・・・・一人になりたくない!、あのお兄ちゃんは言ってくれたもん!私の寂しさを埋める人が現れるまで埋めてくれるって!!生きた方がいいって!!みんな殺す殺さないとか!私はそんなの望んでない!私は悲しくて!寂しいだけ・・・・・だから一人になるくらいなら、あのお兄ちゃんと一緒のほうがいい!!」

 

その悲痛な叫びに誰も何も言えなくなってしまった

 

「まぁ、みんな夜も遅いし一旦解散しよう」

 

その言葉で散りじりになり後に残るのは薫香と雛実、そして金木である

 

「ねぇ薫香ちゃん・・・・・・・鬼咲さんてどんな人なの?」

 

「あんたに関係ないでしょ」

 

「知りたいんだ・・・・・彼のことを知らずに否定しちゃいけない気がして、君にとってとても大切な人なんでしょ?これからどうなるにしてもしっかり知っておきたいんだ」

 

「・・・・・・」

 

「お姉ちゃん・・・・・私も知りたい」

 

その言葉でポツリポツリと話始める

 

 



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双面9

「・・・・・人間の学校か」

 

その日少女は億劫な気持ちを抑えつつ歩いていた

 

入学式の翌日のことであった

 

「へい!そこのツンデレそうなレディ!俺と珈琲ブレイクしようぜ!!」

 

そこには灰色の髪をオールバックにしている真紅の瞳をもった鍛え抜かれた体を持つイケメンの

 

「・・・・・・しない」

 

変態がいた

 

「な・・・・んだと」

 

変態は崩れ落ちる

 

「・・・・・てか、なんでフンドシだけなの?あんた」

 

「俺の肉体に君の思春期の欲情が爆発すると思って」

 

「死ねば?」

 

変態の馬鹿な発現に心底不快そうに少女は答える

 

「君、新入生だろ?俺は2年の鬼咲龍臣だよろしく」

 

「・・・・あっそ」

 

少女はつまらなそうに歩いていく

 

その後も男は話し掛けてくるが無視をする

 

最悪食べてもいいかと考える

 

それが彼女と彼の出会いであった

 

少女は学校に馴染めずにいた

 

人との関わりかたをしらなかったのだ

 

そんなある日1人の少女が声を掛けてきた

 

「一緒にごはん食べよう」

 

少女のはじめての友達である

 

「へいへいへいへい!!!なんで俺の誘い断るのにその子は良いの?ツンデレ少女!!!」

 

そして空気を読まない馬鹿は初日からいくら無視しても付きまとってきていた

 

少女は友人の手をとり彼を無視し続ける

 

「ツンデレ少女!連れションしようぜ!!」

 

そして毎度毎度彼女はうっとおしく思っていた

 

「・・・・・・・・・」

 

当然だ一ヶ月無視しても話しかけてくるなんて以上だ

 

それに初対面の印象が最悪

 

会話内容はキモくてセクハラでデリカシーの欠片もない

 

「もう鬼咲先輩、女の子にそんなこと言ったらダメですよ?」

 

「依子ちゃんは今日も可愛いねぇ!ツンデレ少女も笑えばもっと可愛くなるのに・・・・恐らく女神級と予測する」

 

「そうですよね!トーカちゃん可愛いですよね!!」

 

「うんうん!あ、依子ちゃん今日のパンツの色何?」

 

「教える訳ないじゃないですか!!セクハラですよ!鬼咲先輩!!」

 

「俺の予想でわねぇ・・・・・依子ちゃんはピンク!トーカちゃんは白だね!!」

 

「もう!先輩最低です!!」

 

「ふふふ図星と見た」

 

「知りません!!」

 

少女はいつの間にか自分の友達と仲良くなっている彼を不快に思った

 

「依子、そんなの無視しなよ」

 

「駄目だよ?トーカちゃん・・・・・・ちゃんと先輩って言わないと、それに無視は良くないと思うな」

 

「なんでそんな奴かばってんの?」

 

「だって鬼咲先輩って最低だけど面白いところあるし悪い人じゃないよ?」

 

「そうよ?ツンコちゃん」

 

少女のストレスは限界を迎えていた

 

「いい加減にしろよ!!」

 

少女の蹴りが彼の顔面を捉え

 

「ぐはっ」

 

「トーカちゃん!?」

 

彼は鼻血をだしながら吹っ飛び、倒れる

 

彼女はしまったと思った

 

依子に怖がられるかと

 

仮にも喰種である自分がかなりの力でけってしまった

 

依子の前で殺してしまっただろうか

 

「依子ちゃん・・・・・水色だった」

 

「先輩・・・・・やっぱり最低ですよ?」

 

「君の優しい対応と中に隠れる棘が心に刺さるぜ」

 

彼は何事も無いように話しはじめる

 

そんな彼からは不思議な匂いがした

 

「・・・・あんた何?」

 

「イケメンです」

 

「先輩自分でそれ言うんですか?鼻血出してなければ確かにかっこいいですけど」

 

「はい!依子ちゃんからかっこいいいただき!!!」

 

「そう言うところですよ先輩」

 

それからも変わらず彼は話し掛けてきた

 

相変わらず最低ではあるが

 

少女は分からなかった友人が彼と何故楽しそうに話せるのか

 

そんなある日転機が訪れた

 

少女達の前に喰種が現れたのだ

 

「依子逃げて!」

 

少女は友人にバレたくなかった

 

自分も喰種である事を

 

自分なら勝てる相手

 

でも初めて出来た友人を失うのは怖かったのだ

 

「依子こっち!!あんたも早く逃げ「逃がさないよ!!」な」

 

少女の前には喰種の尾赫が迫っていた

 

喰種は自分も殺しここを餌場にしようとしていると考えた

 

尾赫はこのままでは依子に当たってしまう

 

そう思った時

 

ズン!!!

 

「おいおい何受け止めてんの?」

 

「君達ここはお兄さんに任せな」

 

いつものキモいおちゃらけた男は別人の様になっていた

 

「依子!」

 

「トーカちゃん先輩が!」

 

少女は友人を逃がした後戻る

 

そこには死体が転がっていた

 

凄惨な死体だ

 

「・・・・・なんで」

 

「・・・・確かに喰種の体は硬かったけど関節を壊せば関係なかったよ」

 

死体は四肢の関節が外れており、首が回転していた

 

「怪我とかしてないよね?」

 

彼はボロボロの服装でヘラヘラと笑いながら聞いてくる

 

「ケガしてるの自分じゃん」

 

「これはけがじゃねぇ」

 

「は?」

 

「いい女二人を守るために着いた勲章っていうんだぜ」

 

「・・・・・なにそれ、馬鹿じゃないの」

 

「知らねぇのか?いい男ってのは馬鹿なんだぜ?」

 

「あっそ」

 

少女は翌日学校で友人に馬鹿と一緒に怒られていた

 

「本当に二人とも無事でよかった。でも喰種を素手で倒すなんて凄いですね」

 

「俺は、柔術、剣術、居合、合気術、空手にムエタイ、コマンドサンボを修め、さらには宇宙の力を体内に取り込んで闘うペケポン流護身術と無我の極地座禅と呼吸方でサルでも強くなれるクサモサモサ流護身術を通信教育で毎月五万づつ出して受けてるからな無敵だぜ」

 

「・・・・後半のはよくわかりませんが助けてくれてありがとうございました」

 

「感謝はスリーサイズでいいぜ」

 

少女は男を軽く蹴る

 

「いて」

 

「そう言うところをキモいって言ってんの先輩」

 

「「・・・・・・」」

 

少女の言葉に二人は絶句する

 

「もう一回」

 

「は?」

 

「もう一回先輩って言ってくれツンデレ娘!!」

 

「なんでだよ!」

 

「トーカちゃん先輩相手にタメ口は駄目だよ?」

 

「べつにこいつにならいいだろ」

 

「もう、助けてもらったんだから」

 

「・・・・・・先輩」

 

「・・・・・・・ツンデレ娘がでれた」ダバーーーーーっ

 

「霧嶋薫香・・・・です」

 

彼はパアァっと明るく笑い

 

「よろしくね。トーカちゃん」

 

それから彼と依子と一緒にいるようになった

 

それはとても心地のよい空間だった

 

彼が馬鹿をやったり

 

馬鹿な事を言ったりして

 

少女と依子がおこり

 

笑い

 

呆れる

 

きっと普通の生き方とはこんなことを言うのだろうと思った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~あんていく~

 

「あいつは昔から変わらない・・・・・バカやって私の心をかき乱す馬鹿な奴だよ」

 

薫香は過去のほんの一部を語る

 

「今思えば不安でつまらなそうな私に初めて声を掛けてくれったんだ。・・・・・・・そして昔も今も守ってくれたんだよ。だから・・・・・私はあいつに生きていて欲しい」

 

「「・・・・・・・」」

 

金木は薫香に近づくと

 

「トーカちゃん、きっと・・・・鬼咲さんなら大丈夫なんじゃないかな?君の話をきいて僕はそう思ったよ」

 

「・・・・・ああ!もう!なんでこんな話ししてるんだか・・・・行くよ雛実!あのバカが部屋を荒らしてないか心配になってきた」

 

「うん!」

 

それを見送る金木は笑い

 

出ていく彼女を影から優しい微笑みで見守るいくつかの瞳

 

そして彼女は部屋に戻る

 

そこには先ほどまで過去を振り返り今一度大切さを思い出した男

 

「・・・・・・何してんの?」

 

「・・・・・・・れ、錬金術?」

 

彼女は昔の思い出の一部を誰かに話した事を今日ほど後悔した日はない

 

「・・・・・裸で?私のパンツを被りながら?」

 

「・・・・・・・はい」

 

男が全裸で尻を向け床にパンツやブラを並べ、一枚のパンツを被りガニ股で腰を下ろし合掌した手を額当たりのところで力を入れ続けていたのだ

 

「何を錬金しようとしてたの?」

 

「トーカちゃんに履いて欲しい下着を錬成できるかなと」

 

「・・・・・できた?」

 

「後一時間位かな」

 

「・・・・・・・・他に何か言うことはある?」

 

「・・・・・・痛くしないでね♥」

 

この日男の断末魔が20区全体に響きわたり

 

あんていくの裏路地に捨てられている男をゴミ収集の業者が発見してちょっとした騒ぎになったのだ



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双面10

俺は今日は意気揚々とあんていくへ向かう

 

カランカラン

 

「いらっしゃいませ」

 

中に入ると今日は入見さん一人だった

 

 

「珈琲ブラック一つ・・・・後君の笑顔を」

 

俺は指をならしながら言う

 

「かしこまりました」

 

そう言い彼女は珈琲を入れはじめる

 

「あ、お兄ちゃん!」

 

俺がどんな猥談をしようか考えていると奥から雛実ちゃんがでてきた

 

「お、雛実ちゃん、今日も可愛いね?」

 

「ありがとう」

 

そういうと雛実は俺の前でくるりと回った

 

「ねぇ、どお?」

 

「ん?」

 

俺は何がどう?なのか全くわからない

 

「・・・・・・むぅ」

 

しかしどんどん雛実の頬が膨らんでいく

 

「あ!」

 

「なに?」

 

わからんがこういう時はとりあえず

 

1、髪きった?

 

2、おっぱい大きくなった?

 

3、痩せた?

 

4、ブラ付け始めた?

 

5、初潮きた?

 

俺選択肢を間違えるなよ?

 

「おっぱ「当店では子供にセクハラしたら即通報しますよ?」い・・・・・じゃなく」

 

「お兄ちゃん?」

 

雛実ちゃんの目がジトーとしてくる

 

結構可愛いな

 

「髪きった?」

 

「うん!トーカお姉ちゃんに切って貰ったんだ!」

 

彼女は嬉しそうに回る

 

「そっかー、似合ってるよ。俺も切って欲しいくらいだよ」

 

「今度お姉ちゃんに頼んでみたら?」

 

「そうだねぇ」

 

雛実ちゃんはカウンターの方に行くと

 

「入見さん何か手伝いますか?」

 

「大丈夫よ、ありがとう雛実ちゃん」

 

俺はトーカちゃんが来るまで時間を潰すためどうしようかと考えていると

 

「お兄ちゃん!また雛実が字を教えてあげようか」

 

「お願いします!雛実先生!!」

 

「それじゃあね」

 

そう言い彼女は俺の横に来て自身のノートを開く

 

「・・・・・雛実ちゃん字上手だね?」

 

「そうかな?」

 

俺は感心する。

 

普通に綺麗なじなのだ

 

俺・・・・帰ったら習字始めようかな

 

雛実ちゃんから字を教わりながらまったり過ごす

 

少女を先生と呼び教えを乞う背徳感

 

そして仕事をサボって飲む珈琲の旨さ

 

まさに至福の時間である

 

「お待たせしました」

 

「あれ?笑顔は?」

 

「当店にそのようなサービスはありません」

 

そう言いカウンターに戻ってしまう

 

「・・・・・ねぇ雛実ちゃん」

 

「なに?」

 

「今日俺休みだしどっか連れて行ってあげようか?」

 

「・・・・・・ううん、大丈夫」

 

「・・・・・そっか」

 

俺は少女に漢字を教えて貰いながら珈琲

 

そう言えば・・・・CCGからちょろまかしてきたものがあったな

 

「雛実ちゃん・・・・これを君に返すよ」

 

俺は二つの指輪がついたネックレスを取り出す

 

「これ・・・・」

 

「こっそり持ってきちゃった」

 

俺は苦笑いしながら言う

 

「・・・・迷惑だったかな?君のお父さんとお母さんの指輪」

 

「・・・・・・ありがとうお兄ちゃん」

 

「・・・・・どういたしまして」

 

それから少女は大事そうに指輪を握り締める

 

「・・・・・・・」コク

 

珈琲の苦味と香りを楽しみながら俺は少女を眺める

 

静かな空間

 

こんな静寂は悪くない

 

そんな中無粋な音がなる

 

俺の携帯である

 

「はいもしもし?休暇中のイケメン捜査官ですが?」

 

『だれがてめぇに休暇やった!!!鬼咲!!・・・・・いいか一度だけ言う、11区が占拠されたこれから対策会議をする。・・・・・・いいかこれをサボるようならいくら上がなんと言おうが俺は許さねぇ」

 

ちっ!!

 

丸手特等のどすの効いた声から真剣な様子が伝わってくる

 

そして電話は切られる

 

「・・・・・ゴメン雛実ちゃん」

 

「・・・・・雛実は大丈夫だよ」

 

「・・・・・・君が寂しいなら」

 

「・・・・・大丈夫!」

 

そこにある笑顔は明るく輝いていたがどこか作り物のようでもあった

 

「これ、君ように契約した携帯・・・・・俺の連絡先入れてるから何か困ったら連絡して」

 

俺は1台の携帯をテーブルに置くと金を置きCCGへと向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CCG対策室

 

「11区が壊滅したこれが一般人に広がれば混乱は避けられないだろう」

 

丸手特等の声がする室内に入っていく

 

「・・・・・・」

 

無言で入る俺に捜査官達の冷たい視線が刺さる

 

「よう、20区のサボリ魔。おそかったなぁ」

 

「・・・・・これでも急いで来たんですが?それに11区のことでしょうに20区担当の俺に何の関係が?」

 

「お前はめでたく11区特別対策部隊に入れて貰えたんだ・・・・・・・20区のサボリ魔じゃなくCCGの赤鬼として働け」

 

なんだそれ?初めて聞いた二つ名だ

 

「赤鬼ってなんですか?」

 

「あ?自分の事なのに知らんのか?・・・・・たまに仕事すると服も髪も帰り血で真っ赤にして死にゆく仲間すら気にかけず殺しまくってるのを喰種の間で噂になってるそうだぞ?それを採用してやったんだよ」

 

その言葉で視線がきつくなる捜査官がちらほらいる

 

恐らく俺は彼らの関係者を多く見捨ててきたのだろう

 

「そうですか」

 

「ちっ!いいか!今からでも乗り込みたいところだが我慢のしどころだ!11区の住民をすべて避難させる!それには警察を使え!マスコミ対応は俺に任せろ!!・・・・・てめぇらの命を俺に預けろ」

 

そう言い解散の号令で皆が忙しそうに出ていく

 

「おい!鬼咲!」

 

声の方を見ると篠原特等に肩を掴まれながら丸手特等が歩いてくる

 

「なんですか?」

 

「次の作戦てめぇが殺した喰種の数しだいでてめぇの好きなメス喰種どもを追加で無期限所有させて貰えるよう上に掛け合ってやった・・・・・これでお前の玩具箱はもっとたくさんの玩具がしまえるんだぜ?俺に感謝しろ」

 

「へぇ?・・・・・丸手特等、何匹殺せばいい?」

 

「全体の1割殺す毎に1匹、Sレート以上も1体につき1匹増やしてやる。今お前の玩具は何個だった?」

 

「無期限10匹、期間が残ってるのが20匹程だったかと」

 

「けっ!あんなの生かしておいて何考えてんだか・・・・・・・いいか、お前の戦闘能力には期待してる俺の交渉を無駄にするんじゃねぇぞ」

 

「えぇ・・・・・誤解してましたよ。あなたは最高の上司だ」

 

俺が笑顔で言うと特等二人はドン引きしたような顔をして去っていく

 

「あなたも迷子だったですか?」

 

「?・・・・俺はサボリだよおしゃれなバッテン少年」

 

俺の目の前には白髪で目に隈のある線の細い少年がいた

 

ただ体を縫いいいとでデコレーションしている不気味なやつだ

 

「ありがとです。これをほめられのは中々ないので嬉しいです」

 

「・・・・・お菓子食うか?」

 

「いいんですか?」

 

俺がポケットからお菓子をだすと嬉しそうに食べ始める

 

不気味さの一つがわかった

 

いような幼さがあるのだ

 

精神的に

 

「・・・・・僕は鈴屋什造っていいます」

 

「・・・・・俺は鬼咲階級は上等だ」

 

俺は追加でお菓子をだす

 

こういうたぐいは下手に扱うと危険である

 

故に懐柔すれば便利な道具に化ける時がたにある

 

「これは!僕よりも偉い人だったですか」

 

「まぁな」

 

「そう言えばさっき赤鬼っていわれてましたが・・・・・どんなクインケ使ってるです?」

 

「よく斬れる刀」

 

「いいですね!いいですね!・・・・早く僕も強いクインケが欲しいです」

 

「見つかるといいな?」

 

「そうですね・・・・・・今回はたくさんゲット出来そうです」

 

そういう彼はどこか夢心地のようであった

 

これで女の子だったらなぁ

 

俺は少年に別れを告げその場を離れとある場所へと移動する

 

それは墓場である

 

ここに眠るのは殉職者達

 

俺は一人一人眺めて行くととある墓が目に止まる

 

真戸上等の墓である

 

「・・・・・・因果応報ってあると思いますか?真戸上等」

 

話しかけても返答はない

 

会話に意味はない

 

俺にとって墓参りは確認作業である

 

「・・・・・あんたの墓に来てもなんも感じれねぇよ、まぁ絡みなんてなかったし当然だろうけどさ」

 

冷たいかぜが吹き声をかき消す

 

「龍の逆鱗に触れた感想とか聴きたかったんだけどな」

 

俺は答えるはずもない墓に問う

 

「なぁ・・・・・・雛実の絶望してる姿は面白かったかよ?どうだ?その結果同僚に殺されるのは」

 

怒りも

 

喜びも

 

罪悪感すら

 

湧いてこない

 

「・・・・・・・まぁ、あんた嫌いだから嫌味いいにまた来るよ」

 

俺は来た道を戻ろうとすると一人の女性が歩いてくる

 

「父の墓になにかようか?」

 

金髪の美しい女性だった

 

「まぁ、暇つぶしに話をしに来ただけだよ」

 

「暇は潰せたか?鬼咲上等」

 

「おや、貴女の様な素敵な女性に名前を覚えておいて貰えるとは」

 

「覚えているさ・・・・・・・父が調べていた相手で父を死に追いやった二人の内一人なのだから」

 

父を死に追いやったか

 

俺は何人におもわれているか

 

「・・・・・・・」

 

俺は謝る訳にはいかないだろう

 

それは過去の俺を無にする言葉だ

 

俺は謝ってはいけない

 

まだ何も感じていないのだから

 

「何か言ったらどうだ?・・・・・・・お前が見捨てたから死んだ男の話しだぞ?」

 

その言葉の直後携帯がなる

 

「失礼」

 

俺は電話に出ると

 

『お兄ちゃん・・・・・・どうしよう』

 

「・・・・詳しい話を聞きに行くよ」

 

俺は電話を切ると

 

「美しきレディ、また機会がれば」

 

俺は一礼してその場をあとにする

 



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双面11

俺は急いでトーカちゃんの部屋に行った

 

雛実ちゃんから場所はトーカちゃんの部屋にしてくれと言われたからだ

 

俺がチャイムを鳴らすとトーカちゃんが出てくる

 

「もう話はついたから帰んなよ」

 

そういい出てくるトーカちゃんからはほんのりと血の香がした

 

「・・・・・ケガ、したの?」

 

「は?どこもしてないけど?」

 

「あんていく・・・・・ボロボロだったの見たよ」

 

「だから?」

 

「制服の切れ端が落ちてた・・・・・血も沢山」

 

「だったら何」

 

「君はいったよね・・・・・他は人間だって。なら君が怪我をしたとおもうだろ?通報されてないし」

 

「・・・・・はぁ」

 

トーカちゃんはやっと部屋に入れてくれる

 

「お兄ちゃんゴメンなさい・・・・・私びっくりしちゃって」

 

「いいよ雛実ちゃん」

 

「ほら雛実も大丈夫だから」

 

さて・・・・・雛実ちゃんが連絡するものの口止めされる

 

トーカちゃんが負ける・・・・もしくは手傷を終わされる程の強さ

 

現在のCCGでの情報

 

俺はあらゆる情報をピースにしてはめていく

 

まずはこのピースから

 

「・・・・・ヤモリがあんていくに来のか」

 

そう最近20区に来ていた大物はそのくらいである

 

「っ!?」

 

あたりか

 

「そして・・・・・何かを奪われた」

 

その言葉にトーカちゃんは苦虫を噛み潰したようになる

 

「・・・・・雛実ちゃんが口止めをされた事を考えると喰種・・・・・そう、あんていくにいる三人目の仲間がいたと想定される。」

 

「・・・・・・・」

 

「答えは君ともう一人がいて、そこへヤモリの襲撃、もう一人が拐われたときき雛実が焦って俺に電話・・・・・しかし俺がCCGであることから身内で片付けるために口止めと言ったところか」

 

「・・・・・・」

 

トーカちゃんは不機嫌そうにそっぽを向く

 

「最後の確認だ・・・・・・・トーカちゃんはヤモリに傷つけられた。間違いない?」

 

「そうだよ・・・・・・全部あってる」

 

「トーカちゃん・・・・・ヤモリは俺が殺してあげるからこの件から手を引いたほうがいい」

 

「あんたには関係ないことでしょ!!・・・・・もうほっといてよ」

 

「・・・・・・・・俺は」

 

「お願いだから・・・・・・ほっといて」

 

深く探りすぎたか

 

「雛実ちゃん・・・・これ」

 

俺はドラゴンフルーツのような形をしたものを差し出す

 

それは俺の鱗赫である

 

「なにこれ?」

 

「・・・・・俺のクインケ、まぁ特殊なやり方で人間の食べ物の味とか凄い旨そうな匂いとかいろいろ面白い能力の詰まったクインケなんだ。

鱗を向いて中身を食べてみてよ・・・・・今日はケーキの味にしたから、大丈夫喰種でも美味しく食べれるのは実証済だから」

 

 

「え?・・・・本当?」

 

「あぁ、だから元気だしてさ。また困ったことがあったら電話してくれよ」

 

俺は雛実ちゃんを撫でるとトーカちゃんの部屋からでる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間後

 

時は来た

 

11区青桐の樹掃討作戦

 

丸手特等指揮の下

 

他は一足早く戦闘に入っている

 

「・・・・・・・この数奇な運命に感謝しよう」

 

俺は戦闘衣装に身を包む

 

俺だけが人側として本気で闘うと心に決めたときの格好

 

「ヤモリ・・・・・お前が俺の逆鱗に触れてくれた。故に・・・・・・俺は本気をだせる」

 

純白の袴の帯をしめ腹にサラシを巻く

 

「俺はお前が嫌いだ・・・・・・故に殺せるこの運命に感謝しよう」

 

俺は純白のコートを見に纏い

 

クインケ【紅桜】を手にもち

 

ゆっくりと踏み締めてあるきだす

 

「さぁ・・・・・・・・祭りだ祭りだ、楽しい祭りが始まるよ」

 

俺は先行した部隊が戦ってる中ゆっくり歩きながら現場へと歩いていく

 

「あ?・・・・・随分と寒そうな格好のわりに遅刻か?鬼咲」

 

「くくくく・・・・・・楽しい楽しい祭りが始まってるよ」

 

「ちっ!・・・・・総員!道をあけろ!」

 

その言葉に全員が急いで動く

 

そんな目で見るなよ

 

今日は祭りだろ?

 

「さぁ!敵も味方も踊り狂おう!!祭りを楽しもう!!!」

 

どうした?笑って逝こうぜ?

 

俺のまわりに銃弾が飛んでくる

 

「今日は楽しい!!!血祭りの夜なんだから!!!」

 

「・・・・・イカレてる」

 

ポツリポツリと聞こえる罵声は祭りの笛の音の様だ

 

「ははっ!」

 

俺は楯を近くの捜査官から奪うと走り出す

 

頭の上から響く

 

カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン

 

祭りの太鼓の音が鳴り響くよ

 

「さぁ!踊って!騒いで!狂って!呑んで!喰らって!騒ごうぜ!」

 

目の前の建物に突っ込んでいく

 

ここは青桐の樹のアジト

 

ヤモリの居場所である

 

「楽しまなきゃ損!損!」

 

俺は入口に出てくる喰種を見つける

 

建物の入口

 

銃弾は飛んでこない

 

10体くらいだろうか

 

俺は盾を捨て

 

紅桜を鞘から抜くと

 

斬りふせる

 

花火が弾けた

 

真っ赤な花火が暗闇に咲いた

 

「綺麗な花火だ」

 

俺に花火の残骸が降ってくる

 

「お前も呑め紅桜」

 

俺は近くの喰種に刺すと

 

脈打ちながら血を吸い上げる

 

近くのガラスに写る俺は灰色の髪も純白の衣装真紅に染まりつつある

 

「・・・・・そうか足りないか」

 

俺が紅桜を引き抜くと死体は干からびていた

 

フィィィィィィィと甲高い音が手元から聞こえる

 

「今夜は祭りだ潰れるまで呑みまくろうぜ・・・・・紅桜」

 

とりあえず殺すか

 

俺は

 

斬って

 

殺して

 

刺して

 

抉って

 

バラバラにして

 

染まる

 

そして俺はたどり着く

 

「・・・・・・やぁ、金木君で良かったかな?」

 

べちゃべちゃと気持ちのいい音を立てながら俺は一つの部屋に入っていく

 

「・・・・・・あなたは鬼咲さん。そこをどいてくれますか?あなたを殺したくない」

 

俺は彼を無視してヤモリのもとへ行く

 

彼は喰われ無残な姿になっている

 

しかし虫の息であった

 

素晴らしい

 

「・・・・・やぁ、ヤモリ。これわかる?」

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・り、龍の・・・・宝玉」

 

俺は一つのドラゴンフルーツの形をしたものを出す

 

「これRc細胞の塊なのは知ってるよね?」

 

「そ・・・・それを・・・・喰わせろ!!!」

 

俺はヤモリの顔の近くに落とす

 

「・・・・いいよ」

 

その瞬間俺の方に何かが飛んでくる

 

「ん?」

 

俺は紅桜で防ぐと何かが目の前を通る

 

「足?」

 

俺の前を飛んでいったのは足のようだ

 

ゆっくり後ろを振り向くと

 

「どういうつもりですか?鬼咲さん」

 

「金木君・・・・・こそ喰種だとは」

 

「・・・・・・」

 

「知ってたけどね?」

 

「え・・・・」

 

「まぁどうでもいいわ、俺の玩具はコイツだから。それとも君が遊んでくれるかい?片脚で」

 

「・・・・・・」ぐじゅぐじゅ

 

彼の足はすぐさま生え変わった

 

「・・・・・・」ちらっ

 

俺がヤモリを見ると徐々に回復を始めている

 

「1分やる、消えるか、死ぬか選ばせてやるよ」

 

「すみませんが気絶してもらいます」

 

彼は赫子を出すが

 

遅いよ

 

欠伸が出そうだ

 

「ふあぁ~~~~」

 

俺はゆっくり手足を切り落す

 

「え?」

 

「さてと・・・・・・メインディッシュと行こうか」

 

俺が待ちかねたご馳走がゆっくりと起き上がる

 

「ふぅ!ふぅ!・・・・・捜査官!!!金木!!!どっちも喰ってや「うるさいよ」っ!?」

 

起き上がった鼻から上をヘルメットみたいに赫子をかぶり右腕に纏わせる大男の下顎を切り落とす

 

「ヤモリ・・・・・お前は俺の女を傷つけた。だから今宵の祭りの主役はお前だ」

 

「ああああああああああああ!!!!」

 

右腕に纏わせた赫子を俺に突き刺そうとしてくるが

 

俺は真っ二つに斬る

 

「ひぎゃあああああああああ!!!!!」

 

「それ」

 

残った半分の右腕を斬りおとす

 

「ああああああああああ!!!」

 

「次は左」

 

「ああああああああああああ!!!!!」

 

俺は四肢を丁寧につけねから斬り落とす

 

「あああぐううう」

 

「弱いな・・・・・ヤモリ」

 

俺は右目に刃をゆっくりとさしていく

 

「ぎゃあ”あ”あ”あああああああああああ!!!!!」

 

あぁ・・・・・・つまんね

 

やっぱ痛めつけてもなんにも思えねぇ

 

「弱くてつまんねぇから死んで良いよ?」

 

俺は首を斬り

 

体を縦に真っ二つにする

 

そして斬った頭に張り紙をして金木を見る

 

「じゃあね」

 

「こ・・・・殺さないんですか?」

 

「え?だって君まだレートないし、弱いし、つまんないし・・・・・・・なにより君程度の存在いくら強くても簡単にいつでも殺せるからね。俺は今日はトーカちゃんを傷つけたコイツを殺しに来ただけだし」

 

俺は四肢が生え代わりつつあるのを軽く眺めその場を去る

 

これでトーカちゃんを傷つけた奴がいなくなった

 

余は満足じゃ

 

すうっと晴れた心を空いっぱいに発散させようと屋上へと足を進める

 

びっちゃびっちゃと足が弾む

 

俺の前に現れる花火台が

 

俺の爽快感を祝うように大量の花火が闇の中で咲き乱れる

 

ばんっ!!!

 

俺が屋上の扉を開けると

 

「・・・・・・は?」

 

そこには涙を流しながら炎が揺らめいているような美しい翼を出して組み伏せられるトーカちゃん

 

そして組み伏しているイケメンが喰い散らかしていた

 

「・・・・・てめぇ!俺の女に何してんだ?」

 

俺は紅桜を肩に担ぎながらイケメンを睨む

 

「てめぇ・・・・・血で真紅に染まった吹くに黒い刃に血管がついてるようなキモい見た目の刀、最近噂のCCGのイカレ捜査官【赤鬼】か。

俺の女?・・・・知ってるのか?コイツが喰種だって!!!」

 

そういいイケメンはトーカちゃんの髪を掴み頭を持ち上げて俺に見せる

 

「てぇめぇが人間に拘る理由が男だとはな!!この阿婆擦れが!!てめぇの男が死ぬとこをよく見ろや!」

 

「先輩!!!!」

 

イケメンから無数の尖った塊が飛んでくる

 

 

 



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双面12

飛んでくる羽赫の攻撃を俺は

 

「ぬおおおおお!!!」

 

紅桜と鞘を使い全て叩き落とす

 

「てめぇ・・・・・俺の女を放して名乗れやクソイケメン野郎」

 

「あ?・・・・侍気取りか?」

 

「あ?てめぇのレート次第でお給料が変わって特別ボーナス出んだよ死ぬのは決まってんだからとっとと名乗れよ雑魚そうな面しやがって!顔面男性器野郎!!!」

 

俺はゆっくりと歩いて行く

 

「はっ!!じゃあコイツにもレートがあったら金にでもするか?」

 

後20歩

 

「お前もあれだろ?弱いくせに生き残っちゃったパターンの坊やだろ?」

 

俺は紅桜を鞘に納め優しい笑顔をつくり歩いて行く

 

後10歩

 

「ざけんな!!俺は親父や馬鹿なこい「あめぇんだよガキが」つ!?」

 

俺は喚き散らしているうちに一気に距離を詰め

 

「しっ!!」

 

「くっ!?」

 

居合で紅桜を振る

 

イケメンは咄嗟によけるが左の羽赫と腕を落す

 

「もーらい」

 

俺はトーカちゃんを抱えると距離を取る

 

「てめぇ!!!」

 

「無事?俺の可愛い兎ちゃん」

 

「なんで・・・・ここに20区担当だったんじゃ」

 

「・・・・・いやぁ特別対策班に引き抜かれちゃって」

 

「・・・・・・」

 

「肉必要なら俺をかじっていいぜ」

 

「大丈夫」

 

俺はトーカちゃんを降ろすと男に刃を向ける

 

「選びな・・・・・・絶望してから死ぬか、一瞬で死ぬか」

 

「舐めやがって・・・・」

 

俺が動こうとすると横から気配を感じて避ける

 

「・・・・・やっぱこいつ危険過ぎるわ。殺しておいた方がいいだろ」

 

フードで顔を隠し先端が二股に別れる尾赫の持ち主が言う

 

「邪魔すんじゃねぇ・・・・・こいつの次はお前らだ大人しくまってろ」

 

そういいイケメンボーイは羽赫を出す

 

「ここは逃げて貰えませんか?鬼咲さんこの状況だと本当に死んでしまいます。」パキ

 

そして頭が真っ白になって変な指の鳴らし方をする金木研

 

「ふむ」

 

「まって!!コイツは私が制御する!!だから「「黙れクソトーカ!!」」っ」

 

奇しくも二人の声はかぶり金木は赫子を出す

 

「トーカちゃん、彼はCCGだ。これからも多くの喰種を殺すだろう、彼は君をまもるだろう・・・・・でもそれ以外は殺すだろう他の喰種と同じように・・・・・僕はみんなを守りたいんだ。

鬼咲さん手加減していたらこちらが殺されますもしやるなら殺す気でいきます」

 

そう言い冷たく睨んでくる

 

その目はまるで悲劇の主人公だ

 

「おい、何を笑ってやがる・・・・・イカレ捜査官」

 

俺はコートを脱ぎトーカちゃんの方へ投げる

 

そうか笑ってるか

 

俺は紅桜の柄に手を乗せ腰を卸し前屈みになる

 

左手で少し紅桜を押し出すと聞こえる紅桜の鳴声・・・・・喰うのが楽しみか?紅桜

 

「・・・・・・・三体か最近退屈してたんだよ。

退屈で、退屈で、退屈で、退屈で、退屈で・・・・・・退屈だったから歯ごたえがあると嬉しいな」

 

 

俺はきっと万面の笑みだろう

 

本気で殺すというなら

 

3分はもってくれよ?

 

「死ぬ気であがけや!!!雑魚ども!!」

 

俺が飛びだすと羽赫が飛んでくる

 

走る中で瞬時に安全なルートを見極め走りぬける

 

すべて薄皮一枚で

 

そして抜けた先で紅桜を振るう

 

「やらせませんよ?」

 

俺の目の前に鱗赫が現れる

 

「待っていたよ」

 

必ずこの攻撃の瞬間に来ると思っていた

 

鞘で防ぎつつ紅桜を声の方に投擲する

 

「ぐあっ!!」

 

俺は鱗赫で吹き飛ばされ壁に激突する

 

受けみはとったが結構衝撃がきたな

 

口も軽く斬ったか

 

「ぺっ!・・・・・紅桜の味はいかがかな?金木君」

 

「くっ・・・・・」

 

彼は刃を抜こうとするが

 

「なっ・・・・力が」

 

「早く抜かないと死んじゃうよ?」

 

「なら先にお前を殺してゆっくり抜くとすっか」

 

俺の目の前に顔を表し尾赫を振るフードの男

 

「あぁ、あんていくにいた雑魚そうなメガネ店員くんか」

 

俺は鞘で尾赫を弾くと

 

グチャ!!

 

鞘を右目に押し込み

 

「ぐあっ!?」

 

「おいおいへばるなよ」

 

「おごっ!?」

 

膝で金的をして

 

鞘で

 

コメカミ

 

 

ミゾオチ

 

等を攻撃し

 

「死ねや!!」

 

「お前がな」

 

俺は飛んで来る羽赫をすべてメガネ君で防ぎ

 

「返して貰うよ」

 

「ぐあっ」

 

ドンドン飛んでくる羽赫をすべてメガネ君でまもりながら突っ込み紅桜を回収

 

「まずは1匹」

 

俺はまず両羽を斬り落とし

 

「ぐあああ!!」

 

メガネを金木に投げつけるのを一連の動作で行う

 

「がんばったね・・・・丁度三分だ」

 

 

俺は頭から真っ二つにするべく振り下ろすが

 

「やめて!!!」

 

ピタ

 

寸前で止まる

 

「・・・・・危ないよトーカちゃん」

 

俺の紅桜が数ミリ近ければ彼女は切れていた

 

「・・・・・お願い先輩ここにいる全員見逃して」

 

「・・・・でもそいつは君を傷つけ泣かせた」

 

「弟なんだ・・・・最後の家族なんだ。」

 

「・・・・・お願いだから、先輩を憎ませないで」

 

「・・・・・・はぁ」

 

俺はため息をつき仕方なと言おうとした瞬間

 

ブシャ!

 

今まで沢山見てきて物が俺から飛び散る

 

それが六ヶ所くらい

 

俺は襲ってきたものの勢いで吹き飛ばされ地面に転がる

 

「先輩?」

 

「・・・・・命乞いなんてしてんじゃねぇよ」

 

そう言う声は彼女が弟と言った存在だった

 

「・・・・・・・・・・」

 

俺は倒れたまま空を眺める

 

どうするかなぁ

 

トーカちゃんの弟か

 

「あやと!!!!」

 

彼女の声と赫子の音が聞こえる

 

「目覚ませよ!!!奴は人間だ!!いずれあそこに倒れるのは喰種だったんだ」

 

「うっさいんだよ!!!!」

 

どうしたもんかな

 

弟殺しちゃったらトーカちゃん泣いちゃうよな

 

あぁ・・・・・・胃もたれしそうな程面倒だ

 

 

俺が空を眺めていると

 

「ノロ!!!はなせ!!ノロ!!!」

 

PPPPPP

 

タイマーの音が聞こえる

 

何の音だろうか

 

地面が揺れている?

 

揺れはドンドン激しくなる

 

「・・・・・・・やれやれって奴か?」

 

まわりでは声が騒がしくなっていく

 

これはトーカちゃんの声か?

 

「先輩が!!!」

 

「ほっとけ!!死にてぇのか!!!金木も自分だけで限界だ!!」

 

「私は一人でだいじょうぶだから!!!」

 

「まともに動けねぇだろ!俺も二人も担ぐのは無理だ!!」

 

あぁこれは俺起き上がった方がいいのかな?

 

そう思っていると建物が崩れる音がする

 

「・・・・・・・・」

 

「先輩!!!先輩!!!」

 

そんな叫ばなくても今起きるから

 

俺が起き上がろうとすると

 

がら

 

あら?

 

俺のいた場所は崩れ俺は屋内に落下していく

 

「先輩!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ギャグですかいな」

 

俺は落ちた後瓦礫を避け

 

壁を紅桜で切り裂きながら逃げ回る

 

「なんか昔こんなゲームがあったような無かったような

 

走って

 

避けて

 

逃げて

 

そして

 

「うん・・・・・・詰んだ?」

 

俺の上に無数の瓦礫が落ちてくる

 

「こんなことならオッパイ揉んどけば良かったな」

 

俺はため息をついてヤレヤレと首を振る

 

そして

 

大きな音と

 

黙々と上がる煙

 

それが俺の感覚を潰す



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双面13

俺は百鬼夜行のアジトでベッドの上でゴロゴロしながらテレビをみていた

 

『昨日11区の喰種のアジトによりCCGは多くの被害を出しました。現在も倒壊した建物の撤去と発見されていない職員の捜査が行われております。現在まで死亡した職員は・・・・・・・』

 

昨日のニュースである

 

「ふぅ~ん、結構しんでるなぁ」

 

俺が珈琲を飲んでいるとモゾモゾと動き出す

 

「ぷは・・・・・君はなにがしたいのかね?龍臣君?」

 

「ん~、愛支のオッパイに挟まれたい」

 

「君は相変わらず正直だね」

 

そう言うと裸のエトが布団の中から出てきて俺の後ろにまわると俺の頭を胸の谷間に挟んでくれる

 

「それで?なんでヤモリを殺したの」

 

「逆鱗にふれたから」

 

「そっかそっか、なら仕方ないねぇ・・・・・お、君が出てるよ?」

 

ニュースには名前のみであるが俺が生死不明で今だに発見されてないと出ている

 

「これで暫く休めるねぇ」

 

「なら私も休むとしようか」

 

「本は良いのか?」

 

「既に出来ているとも・・・・・・これは君の分、新作吊し人のマクガフィン」

 

「いつもの、サイン入のもあるか?」

 

「二つともサインいりだよ」

 

彼女は本を俺に渡すと嬉しそうに俺の頭を抱きしめる

 

「そのサイン本いつもどうしてるんだい?」

 

「一つは俺の愛読書・・・・・もう一つはお前が父親と仲直りしたときにでも聞かせてやるよ」

 

「喧嘩なんかしてないのに君もしつこいなぁ・・・・・あっちは私がいなくても幸せ、私も君がいるから幸せ、どうでもいいじゃないか。しつこい男は嫌われるよ。」

 

「・・・・・・俺はお前と親父さんが仲良くしてるのが見たいよ」

 

「・・・・・みてどうするんだい?」

 

「これから娘との新しい生活一歩踏み出そうとしたところで結婚します娘をくださいってのをやってみたい」

 

「・・・・・君本当にいい性格してるよ」

 

「そうか?」

 

彼女は俺の頭に顎を乗せ俺は彼女の本を見る

 

「私が君を主人公にするのは骨が折れそうだ・・・・・・肌に合わないから読まないけどラノベの主人公はおそらく君のような連中なんだろうね」

 

「それはどうも・・・・・お前の作る作品は好きだが俺は悲劇の主人公はゴメンだからな。俺が求めているのは俺が好き勝手にに生きる人生だからな」

 

「それが君らしく生きることかい?」

 

「どうだろうな・・・・・自分らしいってなんだと思う?」

 

「それは哲学かい?」

 

「・・・・・・ちげぇよ」

 

「拗ねるなよぉ」

 

彼女はウリウリと頭を撫でてくる

 

それはとても心地の良い感覚であった

 

それから数日俺はアジトでゆっくりと過ごす

 

「・・・・・・・暇だ」

 

俺は布団で横になるエトを撫でながら珈琲を飲む

 

「・・・・・・」

 

こいつがいると他の娘は俺の相手はしてくれないんだよなぁ

 

給仕はしてくれるんだがな

 

「・・・・・そろそろ職場に顔出さないとな」

 

「・・・・・・んむぅ」

 

俺は珈琲を飲みつつ寝顔をながめていると

 

ゆっくりと焦点が合わない目が俺を見る

 

「・・・・・乙女の寝顔を見るなんて、助平だなぁ君は」

 

「エト、今日は仕事とか?言ってなかったか?」

 

「あ、しまった・・・・・遅刻だなこれは」

 

エトは布団からムクリと抜け出す

 

「龍臣君、シャワーして」

 

「はいよ、お姫様」

 

俺はエトを抱き上げ浴室へと向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CCG

 

俺が歩くとザワザワと声が聞こえてくる

 

「おいおい、ついに幽霊が現れるのか?ここは」

 

「丸手特等、俺のボーナスは?」

 

「早速それか?赤鬼さんよう。無事なら連絡しろ」

 

「つい最近まで瓦礫のせいで寝たきりだったので」

 

「そうかよ」

 

彼は表情を引き締めると

 

「今回の功績でお前の玩具箱4匹プラスされ・・・・・お前はめでたく准特等だ」

 

「そうですか」

 

「なんだ嬉しそうじゃないな」

 

「・・・・・また、退屈になりそうなんで。赫包は俺一つもいらないんで」

 

「まぁサボリ魔に渡すよりは有効活用してやるよ」

 

俺は一礼するとその場を去る

 

挨拶は済ませたし俺は古巣へと戻る

 

20区CCG支部である

 

「・・・・・」カチャ

 

俺が扉を開けると見慣れない顔が増えていた

 

「おお無事だったか鬼咲」

 

「連絡くらいしてほしかったんですがね鬼咲君」

 

「お久しぶりですね鬼咲上等」

 

前にいた面々が俺に声を掛けてきて

 

「あの!俺!滝澤政道です!御噂はいろいろきいています!驚異の出世速度で赤鬼の異名を持つ鬼咲さんと御一緒できるなんて光栄です!!」

 

「ありがとう滝澤君・・・・・今は准特等になっちゃったよ」

 

「すごいじゃないですか!やっぱり特等とか目指してるんですよね」

 

彼はキラキラした目でみてくる

 

「まぁ、便利な立場だからね一応欲しいけど・・・・・階級なんて便利道具程度に思っていたほうがいいよ」

 

「便利な道具ですか?」

 

「あぁ、階級が上になればそれだけ足かせも増えるが出来ることが増える。だけど下の階級なら上より現場に入れる自分の目的にあった階級にいることが大切なんだよ。」

 

「目的にあった階級・・・・・・」

 

「喰種と戦い戦いたければ上等あたりまでそれ以上は作戦を立てたり人を使いたかったらやればいい階級なんてそんなもんくらいの認識しか俺はないね」

 

俺が言うと篠原特等は苦笑いをしている

 

「おいおい、勘弁してくれよ鬼咲」

 

「あぁ!お久しぶりです!鈴屋什造です!ジェイソンありがとうです!」

 

「お、ジェイソンを拾ったのか良かったな鈴屋」

 

そう言うと彼は近づいてきて手を出す

 

「ほい」

 

俺はポケットからいくつかのお菓子を出して渡す

 

「ありがとーです」

 

「生きていたのだな。鬼咲准特等」

 

「・・・・・まずは名前を聞いても美しいお嬢さん」

 

「真戸アキラ、階級は二等捜査官だ」

 

「よろしくねアキラちゃん」

 

「あぁ、よろしく頼む」

 

俺が挨拶を済ませると

 

「まぁ、鬼咲は今までどおり余っちゃたから・・・・そうだね亜門とアッキーラとくんでよ」

 

「え?フリーでいいじゃないですか」

 

「ダメダメ、サボるでしょ?鬼咲」

 

「了解」

 

俺はため息をつく

 

その後は20区についての会議であったが俺は上の空である

 

あぁ・・・・・リョーコさんの稽古ペース上げるかな?でもかなりの速度で強くなってるしな

 

「・・・・・さん」

 

「・・・・・・・」

 

「鬼咲さん」

 

「んあ?亜門上等?どうした?」

 

亜門はこちらを見下ろしている

 

「どうですか?このあと飯でも」

 

俺は時計を確認をする

 

21時

 

「・・・・・悪い亜門君、これから約束があってな」

 

俺は小指を立てる

 

「そう・・・・でしたか」

 

「また今度誘ってくれ」

 

俺は席を立つ

 

いつの間にか日はどっぷりと暮れていた

 

いつ以来だろうな真面目に仕事場にいたの

 

「・・・・・・」

 

俺は遠回りをし

 

着替え

 

再度遠回りをして

 

アジトに帰る

 

「おかえりなさませ、龍鬼様」

 

「ただいま、胡蝶」

 

俺は出迎えるリョーコさんに荷物を渡す

 

「ねぇ、龍鬼様?私おこずかいが欲しいんだけど」

 

そう言いナッツが俺の腕を胸で挟む

 

ふっ・・・・俺がそんな見え見えのおねだりに引っかかるとでも?

 

「とりあえず百万でいいならカバンに入ってるぞ」

 

「ありがとう!わたしの百万」チュ

 

俺にキスをして彼女はカバンを漁る

 

「はぁ、相変わらずだな龍鬼様」

 

「三枚刃・・・・・これは男のさがってもんさ」

 

そういう俺を何言ってんだコイツみたいな目でみてくる

 

「・・・・胡蝶」

 

「はい?」

 

「・・・・・・最近頑張っているな」

 

「・・・・・娘と会いたいですから」

 

「・・・・・俺は女との約束は極力守る、時期は近いぞ?励めよ」

 

「っ!?・・・・・はい!」

 

俺は珈琲を楽しみながら

 

読書をする

 

最近は退屈だ

 

退屈で

 

退屈で

 

飢えそうだ

 

そう考えていると電話がなる

 

『もっしもーし・・・・・ねぇ、明日コクリア襲撃するけど君どうする』

 

それはエトからの声だった

 

「・・・・・・なら捜査官側としてかなぁ」

 

『おや?どうしてだい?』

 

「ん?・・・・・最近暇してるし、ここらでもう少し働いた方が動きやすくなる局面なんだよね」

 

『ほうほう』

 

「それにおそらく招集されるしね・・・・・まぁそういうことで」

 

『わかったよ。ほどほどにしてくれたまえよ?』

 

「もちろんさ」

 

俺は電話を切ると早速準備をする

 

もって行くクインケはそうだな

 

【紅桜】

 

そして俺の鱗赫から作ったクインケ

 

【宝玉】

 

よしこの二つにしよう

 

あぁ・・・・明日が愉しみだな

 

明日こそは血湧き肉躍る祭りになるかな?

 

 

 

 



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