デート・ア・リバイス Dealing with the Devil (メンツコアラ)
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短編『デート・ア・リバイス Dealing with the Devil』
三十年前。ユーラシア大陸中央部にて、突如、
後に、世界はこの現象を『空間震』と呼ぶようになった。
そして、現在……混沌渦巻く世界で、一人の青年が悪魔と契約する。
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オーシャンパーク。大型プールと遊園地が併設しているこの場所はいつもなら訪れた若者や家族連れの楽しむ声で溢れ返っている。しかし、今のここにはそう言った声は一つも無く、替りにとでも言うように男達の働く声が響いていた。というのも、施設のあらゆる場所が破壊、炎上しており、多くの作業員達が目も見張るようなスピードで修繕していた。
「派手にやったねぇ」
「五河、施設の人への話し合い終わったぞ」
「ありがとう、門田さん。そのまま作業に移ってください。私は今回の件を報告してくるので」
「了解した」
話し掛けてきたポニーテールの女性『門田
『イツカコトリィィィッ!!』
『折紙を止めるぞ、バイスッ!』
『オッケーッ! 悪い子にはお尻ペンペンしちゃうもんねッ!』
巨大な兵器を纏った禍々しい人型の異形。それに立ち向かう蛍光ピンクの派手な姿の人物と恐竜を思わせるヘルメットを被った黒い刺々しい見た目の人物。
「本当にド派手に暴れたねぇ」
大事はスマホを仕舞うと人気の無い場所に移動。耳につけていたインカムを使って回収を要求する。すると彼女の姿がオーシャンパークから一瞬で消え去り、彼女の目に写る光景はSF映画で見るような機械的な部屋へと変わっていた。
部屋を出た大事はそのまま真っ直ぐに一つの部屋へと向かっていく。扉を開ければ、そこには数名のクルー達が忙しなくキーボードを打つ司令室があった。
「おかえり、大事。御苦労だったね」
「令音さん、その言葉は現場で作業している門田さん達に言ってください」
労いの言葉を投げ掛ける隈が酷い女性は解析官『村雨令音』。
そして、ここは空中戦艦『フラクシナス』。この艦と乗務員たちはある目的のために集められ、作られた。
「そう言えば、琴里は大丈夫なんですか?」
「今、狩崎が検査している所だよ。シンや十香たちも一緒だ」
「そうですか」
「……すまなかった。結果はどうであれ、君の家族を危険にさらした」
「いいんです。その言葉は士道くんに言ってあげてください。頑張って、琴里ちゃんを助けたのは士道くんだから。それじゃあ、私は士道くん達の所に行ってきます」
そう言って、指令室を後にしていく大事だったが、その背中を見た令音は思わず呟いてしまった。
「大事…君は何故そんなにも──」
フラクシナスの医務室前。廊下の壁際に備え付けられた長椅子には長髪少女と青髪のパペット人形を着けた女の子が一人の青年の肩を枕に眠っていた。一方の青年はと言うとブツブツと独り言を喋っていた…否。訂正しよう。独り言ではなく、
『なぁなぁ。いい加減寝たらどうよ。怖い顔してるぜ?』
「してない。バイス、いい加減な事言うな」
『いいや、してるもんねッ! なんなら今の士道の顔を十香達に見せようか? キャアッ! 士道コワイィなんて言うかもしれないぜ?』
「一旦黙れ。十香たちは寝てるんだぞ」
『良いじゃんよぉ。たまにはオレっちの相手もしてくれよぉ』
端から見れば、青年…五河 士道は独り言を喋っているようにしか見えないが、実際は違う。士道の目には自分の体と繋がっている人型の異形が見えていた。
異形の名は『バイス』。士道の中から生まれた
『アタシ、頑張ったのにッ! 士道は一言も誉めてくれないなんてッ!』
「分かったよ。分かったから静かにしてく「何も喋ってないんだけどなぁ」r…て、ハコ姉ッ!?」
「シィー…十香ちゃん達、起きちゃうよ?」
「ッ……いつからそこに?」
「一旦黙れの所から。私、一言も喋ってないのに」
「いや、今のは……」
「分かってる。バイスちゃんでしょ? 大変だね」
「まぁ、そうかも」
『ヒドイッ!?』
「ホント、お疲れ様。今日はもう帰ってもいいんだよ?」
「……いや。琴里が心配だから」
「そっか……」
二人の会話が終わり、ほんの十数秒だけの沈黙(※一匹の悪魔を除いて)が流れる。が、医務室の扉が開き、中から出てきたサングラスの長身男性がそれを遮った。
「司令の検査、終わったよ」
「狩崎さん、琴里はッ!?」
「No program。何処にも問題はない。明日、明後日には復帰出来るさ。ついでに、あの
そう言って、サングラスの男性…『ジョージ・狩崎』は士道にカマキリの絵が彫られたスタンプ…カマキリバイスタンプを渡す。
「誰なんでしょうか? 折紙にバイスタンプを渡した奴って」
「恐らく、デッドマンズである可能性は高いがどうやって接触したかは謎だ」
『デッドマンズ』。平穏な世界の滅亡を望む悪魔崇拝組織。5~6ヶ月前、ある機関の研究施設から調整前のバイスタンプを奪い、怒りや憎悪等の負の感情の強い者達にそれを与え、己の中に住まう悪魔を召喚、暴走させている世界の問題の一つ。
「Perv girlが持っていたバイスタンプを含め、盗まれた内の四つが戻ってきた。恐らく、デッドマンズはより過激になってくるだろう──と、噂をすれば」
『もしもーしッ! 電話だよッ! 令音から連絡来たぜッ!』
話の途中で士道のズボンから……正確には士道のポケットにしまった携帯型アイテム『ガンデフォン50』からバイスの声が聞こえる。
『シン。デッドマンだ。すまないが──』
「分かりました…ハコ姉、ごめんだけど」
「うん。十香ちゃん達は任せて。十香ちゃん。四糸乃ちゃん、お部屋いきましょうね」
「んん…大事か?」
「ふぁい……」
十香達を大事に預け、士道は転移装置のある部屋へ向かうのだった。
そろそろ疑問に思う者たちも居るだろう。
何故、デッドマンズの対処に士道が向かっているのか。それを説明するには、まず十香達について語らねばならない。
彼女たちは
彼女らは精霊。こことは違う別世界から現れる少女達。彼女らがこちらの世界に現界する際、空間震が起こることが確認されている。これに対し、政府は武力を持って、彼女達を排除しようとするが、彼女たちは皆、特殊な力を持つために難しいとされている。デッドマンズに対しても同様だ。
しかし、方法は他にもある。それが彼ら、『ラタトクス機関』である。精霊との対話によって平和的解決、並びにデッドマンズ撲滅を目的として結成されたこの組織は現に三名の精霊を無力化することに成功している。尤もこれは五河士道の力あっての功績だ。
五河士道には二つの力がある。
一つ。一定の条件を満たすことで、己の中に精霊の力を封印することが出来る事。
そして、もう一つは──
「行くぞ、バイスッ!」
『へっへ~んだッ! オレっちが全員ぶっ倒しちゃうもんねッ!』
【 REX!】
「──変身ッ!!」
【仮面ライダー!
リバイ! バイス!
リバイス!!】
「ヤッホーッ! オレっちバイスッ! そんで持って、派手なのがリバイねッ!
二人合わせて、仮面ライダーリバイスッ! ヨロシクッ!」
「何言ってんだ?」
「宣伝だよ。SE☆N☆DE☆Nッ! 画面の向こうのみんなの反応が良かったらオレたち、シリーズ化するんだぜッ!」
「おまッ!? そう言うメタい話はするなってッ!」
「いいじゃんッ! いいじゃんッ!
というわけで、『デート・ア・リバイス Dealing with the Devil』、応援ヨロシクなッ! 悪魔のオレとの契約だぜッ?! ブハハハッ! ハハハハハハハハハッ!」
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