鏡面のシャングリラ~クソゲーストリーマー、神ゲーに挑まんとす~ (岩木伊吹)
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貴方は何のために配信を観ますか?
世界中の精霊達を捕らえていた邪神グラトーニエが斃れる。
その巨躯の内側から爆ぜるようにして色取り取りの光が世界中に散らばっていく。その様子を涙を流しながら見つめていた少女が喜びの涙と笑顔でこちらへと振り向く。
『ああ、精霊達が解放されていく……世界に色が………貴方のお陰よ、本当にありがとう………!!』
本当に長い旅だった。共に戦ってくれた皆もそう思っていることだろう。彼らの気持ちに答えるべく、
「まずはシステムに感謝しろやこのクソビッチがよぉぉぉぉ!!!!!!」
『草』『それはそう』『俺らの代わりに頼むわ』『草』『どうしてボスを素手で殴らないといけないんですか』『報酬の三分間……実在したのか……』『実感こもってんねぇ!』『草』『草』
「ストーリー上でそうなったから」という
ストーリーシーンであるからこそ彼女にはダメージ判定は無く、彼女の口からはこれまでの物語の総括が紡がれてゆく。壮大なBGMの中で息を切らしながら彼女の命を狙う
「なんで五時間かけて集めた武器全てダメージ効率0.1%にしてんの!有志の計算が無かったら私三倍の時間かけて削ることになってたが!?というかなんでラスボスに一番効く装備がよりにもよって4番目の街のネタ防具なんだよおかしいでしょ!せめて初期装備にしろや!そもそもお前さっきまでどこにいたんだよ声だけ響かせやがって補助魔法くらい使えやぁぁぁ!!!!!」
『みんなとの旅は大変だったけど、楽しかった……!!』
「シナリオもサブクエも全部元凶お前だったけどなぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『それもそう』『楽しんでたのはお前だけ定期』『草』『邪神さんウキウキで草』『フェアクソ真顔で刎ねられてて笑う』『報酬の三分間楽しんでね』『こっちは苦しかったよ』『殴られながら余裕の表情で総括……やはりこいつがラスボスでは?』『草』
壮大な雰囲気などありもしないかのように叫びながら打撃スキルをぶん回す私。
私はこれを観せるために
『フェアリア・クロニクル・オンライン〜妖精姫の祈り〜』、通称『フェアクロ』味方NPCが無能で敵は超有能、そして唐突なバグで進行不能になる箇所が数百箇所。しかもこの仕様の数々の全てを仕様であると言い張っているという本当に売る気があるのか怪しいゲームである。まぁ私は買ったのだが。
それまでの全ての場面において味方であるヒロインに攻撃することは許されず、少し小突いただけで現実時間の一時間以上と大量のゲーム内資産を費やさなくては元の状態に戻らなくなる上に、そのままではゲームが進行しないというストレッサーたる
なんにせよこの三分間を終え、
「もう二度とこんなクソゲーやりません」
『乙』『次のクソゲーは明日?』『いや今日でしょ』『今日は草』『やりかねん』『草』『嘘を吐くな』『い つ も の』『草』『天邪鬼助かる』『乙』
「いやまじでやらないから!なんにせよ今日は寝ます!お前らも寝ろ!!!!チャンネル登録とグッドボタンを押し忘れるなよ!それじゃあまた次の配信で!じゃあな!!」
煽りをやめない
さて、そろそろ自己紹介をしなくてはならないだろう。
私の名前は【
というわけで一章分の書き留めが出来るか更新が1ヶ月無かった時だけ更新がされる二次創作小説、始まります。
配信業 メイク キャバリー・クライシス ゴースト・ライド ワンソード・ハック
■■■・■■■■■■■・オンライン 彼との女帝討伐
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クソゲーストリーマー、神ゲーに挑まんとす
クソゲーをクリアしたあとは気分がとてもいい
そう、先ほどツブヤイターに投稿した「しばらくクソゲーやりません」という投稿が50回ほど引用リツイートされてその誰一人として信用されていないという事実にも菩薩のような気持ちで向き合えるほどだ。いや「大嘘助かる」は流石にわからない。なんで嘘を吐かれて助かってるんだ?
とはいえその思いはこれまでの私を見れば至極全うであるし、フラグ管理としても適正である。唐突なバグで進行不能にならないし、リプライでマウントを取ってもストーリーがちゃんと進む。あぁなんと素晴らしき世界なのだ。
そんな気持ちに浸っている私の元に、知り合いから一件のダイレクトメッセージが届く。
『配信お疲れ!クソゲーやりませんって言ってたけどせっかくなら対極の神ゲー触ってみない?コラボ誘いたいんだけど完全な初心者を連れるのマナー違反って言われちゃうんだよね』
『シャングリラ・フロンティアってゲームなんだけどさ、中々歯ごたえあるんよ。サンラクが好きそうなクソ要素を挙げるなら……サブクエストが多すぎてサービス開始から一年経った今でもメインストーリーが1mmも進んでないこととか?』
「シャンフロ、かぁ……」
シャングリラ・フロンティア
去年の春に発売され、今年の初めに最も多くの人が同時にプレイしたゲームとして世界記録に認定された、フェアクソとは同カテゴリでありながら対極に位置するゲームだ。
宇宙を旅する移民船団が移住したとある星にて、とある戦乱をきっかけに新人類を残し移民した人類が滅亡。その数千年後に降り立った我らプレイヤーは、開拓者として生きていく……という文明レベルが中世並みながらSF要素を無理なく持ち込めるファンタジーな世界観で
良い評価を付ける存在こそがアンチとまで言われるフェアクロと正反対の、僅かなアンチが数十倍のファンに押し流される高評価を得続けている作品だ。
間違っても私みたいなクソゲーム配信者に配信させてはいけないゲームなのだが……
『逆に面白いからありかも』
『まじ!?正直流されると思ってた』
『最初の24時間だけ配信してから反応と内容みて考えるわ』
『りょーかい。凸結構来るから配信遅延丸1日入れときなよ』
配信として面白そう。たったそれだけで私の行動は決まる。幸いにも神ゲーだからこそ、つまらなかったらすぐやめられる。
それはそれとしてこいつ一人に私の配信を決めさせるのは癪なので信用できる先駆者に今のシャンフロについて聞こう。
そう思って私はメッセージアプリを開いた。
まぁとっくにずれてるんですけど
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赤面と能面、素顔はどの面か
連絡する前に彼女のツブヤイターを確認し、今配信をしていないことを確認する。
ロールプレイを重視している彼女にいきなり連絡をして配信事故をさせるわけにはいけない。まだ学生の身であるが、彼女の友人としてやってはいけないラインは理解しているつもりだ。
『今通話大丈夫?』
既読まで0秒。そして返信まで5分。今日はいつもよりも短いな?
『はい!大丈夫です!もういつでも!』
許可が出たので通話をかける。ビデオ通話でも良かったのだが、以前師匠に注意されたことを思い出して止めることにした。『君みたいにクソゲーに女子力吸われてるならともかく、普通の女の子はオフの様子をいきなり映されるのは嫌なんだよ』とのことだ。いや師匠にオフなんてあってないようなものでは……?
そんなことを考えながら通話をかけると、ワンコールも経たずに彼女との電波が繋がる。
『はひ!斎賀でしゅっ!』
「お互いそれはわかってるよ、落ち着いて?」
『は、はい……』
電話の相手は
彼女の配信はシャンフロが中心で、配信中は恥ずかしがり屋な人間とは思えないほど堂々かつ冷静な話し方と行動でギルドのメイン火力として人気をほこっている。
始めて彼女の配信を観たときは本当に同一人物か疑ったくらいだ。配信を観た感想を伝えたあと顔を真っ赤にして配信を2日休んだので、そのときは本当に申し訳ないことをしたと思っている。
「ごめんね、急に電話して。ちょっと聞きたいことがあってさ」
『いえっ!わたしも時間は空いていたので!もういつでもなんでも聞いてください!!』
「あは、ありがと。実は今度シャンフロを触ってみようと思ってさ、イベントの進み具合とか配信するときの注意点とかあれば教えてほしくって電話したんだ」
『ぴっえっしゃっシャンフロですか!?やっと、あ、いえ、でも以前やらないって!』
「いやぁこないだクリアしたクソゲーが中々骨太でさ、ちょっとだけクソゲー以外のゲームもやってみたい気分になったんだよね」
『あっフェアクロですね。確かに疲れ果てているようには思いましたが、そこまでだったんですか』
斎賀さんにフェアクソをプレイする話をしたかな?と少しだけ疑問に思いつつ私は彼女から話を聞き取る。シャンフロの話をするときはロールプレイが前に出るのか、いつもよりも冷静に話しているように感じる。電話の向こうにいるのがいつもの彼女でないことに少しだけ寂しさを感じるが、事実をしっかりと伝えてくれることにはなんの問題も無いので突っ込みは入れない。
「……ふむふむ、今のところユニークは無数にあるけどメインシナリオは進んでないから普通に遊び始めるには問題はない、って感じなんだね」
『はい、わたしもいくつかユニークを所持していますが、レベルキャップ解放やメインシナリオの進行が条件とされていそうなものが多く、先に進むことができないのが現状です。上位陣でも通常のプレイを楽しみつつシナリオの進行方法を探っている状態ですね』
「なるほどねー配信の設定とかも一通り教えてもらったし、これで大丈夫!ありがとう斎賀さん!ある程度進んだら配信外でもいいから一緒に遊ぼうね!それじゃ!」
『はい、こちらこそ……っ!?』
配信すると決めたからにはやることは多い。斎賀さんとの通話を切って、
配信用のサムネイルを作りながら、他の配信者達が行っているシャンフロの配信を確認する。いつ撮影してもある程度画になるイベントが発生するからか、録画よりも生配信の形が多いようだ。放送の数も多いので、新しい視聴者よりも今までの視聴者を気にした方が良いかもしれない。
そして問題の遅延は半分遅延無し、残りは1時間~10分といった所か。たまに3日入れている猛者もいるが、視聴者も多いので有名クランのメンバーか元々有名な人なんだろう。斎賀さんのチャンネルをチラ見したら3日入れていた。まさか超有名人だったりするのか?だとしたら遊びに誘うのも控えた方が良かったりするのだろうか……?
そんなことを考えながらも作業を進め、明日に備える。珍しくクソゲーに食傷ぎみだった今日だが、それでもゲームをしないという選択肢は無かった自分には苦笑するしかない。
話題の神ゲー、シャングリラ・フロンティア。私はこのゲームで視聴者と自分自身を楽しませることができるのだろうか?
そんなことを考えながら目を閉じる。意識が薄くなるのに、時間はかからなかった。
斎賀玲:この二次創作では必ずしもヒロインちゃんとは呼ばれないかもしれないヒロインちゃん。一週間に一回程度共通の話題で会話が出来る現状にとても満足している。そういうとこやぞ
配信者としては新参であるが、トップクランの最前線で戦い、的確な指示を出す彼女の配信は瞬く間にシャンフロ配信でも最前線に立った。最初のころは視聴者を意識するようなことは無く、固い報告書のような配信スタイルであったが、ある時期をきっかけに視聴者へしっかり説明しながら配信するようになったとか。
ちなみに楽羽が通話をかけたタイミングは遅延を入れた配信中。突然スキルをフル活用して周囲の敵を薙ぎ払い「大切な用事が生まれた」といって去っていった彼女に視聴者もクランメンバーも困惑を隠せなかった。
そして一時間後に帰ってきた彼女は妙なやる気を見せていたとか。
あとしばらく更新は無いよ
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昨日は晴れたが明日は槍が降る
翌日、教科書とかいうゲーム攻略書兼取り扱い説明書を読み解いていると学校が終わった。隠し要素が無いゲームであるため刺激は無いが、大抵のクソゲーは本人が隠し要素だと思っていることが表に出てきてクソになっているのでやはりこれもクソゲーなのかもしれない。
教科書をしまい、荷物をまとめて帰宅する。予約しているゲームを取りに行くまでの道のりだけはAGIが倍になっていると思う。
ワクワクとした気持ちを押さえつけて、ロックロールの扉を開く。軽快でPOPな音楽、確か乙女ゲームのゲーム内BGMだったか、以前雑談していたときに二時間ぶっ続けで聞かされた記憶がある。私はクソゲーにも良いBGMが結構あるって話をしただけなのに……。
「岩巻さん、シャンフロ取りに来たよ」
「本当にシャンフロ買いに来たの楽羽ちゃん!?大丈夫?熱でもある??雷にでも撃たれた???」
「扱い酷くないですか岩巻さん」
顔を合わせるなり頭の心配をしてきた無礼なポニーテールは岩巻真奈さん。このゲームショップ「ロックロール」の店長であり、乙女ゲームが好きすぎてゲームショップを開いた変人だ。旦那さんとの恋愛も乙女ゲーム並みの波乱万丈劇であったという話も聞くが、今は割愛する。
「実はフェアクソがイカれすぎててその口直しをしようと思いまして」
「あーそういや昨日最終回やってたもんね。後でまとめかアーカイブ観ようかと思ってたけど……楽羽ちゃんがシャンフロに手を出す位だったんだ?」
「多分もっかいフェアクソの顔見たら3分間じゃ足りないことになると思いますよ」
そう雑談する間にもあの顔を思い返してしまい、思わず右手に力がこもる。奴の顔を記憶の片隅からすら消し去る為に、対極のゲームをするということはクソゲーをするという自分の趣味よりも優先される。つまり甘い薬を自分から買うようなものだ。
「あはは……じゃあクリア後に自動セーブがかかって報酬の3分間を繰り返すことが出来ないってのも本当だったんだね」
「なにそれしらない」
あの悪魔、報酬すら一回しか渡さないらしい。絶対に許さないリストに改めて名前を刻みながら、諭吉様を一枚取り出す。
「もうフェアクソの話はやめましょう。岩巻さん、これで」
「はいはい、じゃあお釣りとシャンフロね。わかってると思うけど……」
「はい、ゲームの前はトイレを済ませてしっかり栄養補給、二時間ごとに休憩も忘れずに、ですね」
「わかってるならよし!毎度ありー」
パッケージを受け取り、ロックロールを後にする。足が軽い帰り道に誰かに会うことも無く、私は自宅へと辿り着いた。
フェアクソのこと忘れたいとか言ってる癖に五秒後に名前刻んでるしやっぱ好きなんですね……
岩巻真奈
配信はアーカイブを1.5倍速で観る派。
乙女ゲームを主食とする偏食家であり、ゲームショップ「ロックロール」の店主。楽羽とは近所のゲーム屋であることや、マイナーな乙女ゲーの仕入れがあることなどから話すようになった。楽羽にとっては近所の姉みたいな存在。
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下準備は短いほど良いが無いと逆に困る
配信をする以上、いきなりゲームを始めることは出来ない。場合によっては配信設定をオンにするだけで1日潰れるようなゲームもあるのだが……
「最初から配信可能設定がオンになってる……?」
昨日斎賀さんからもらった、あまりにも丁寧な配信上の注意点一覧を眺める。そこには一般プレイヤーとのやりとりやゴースティングの対策などが記載されているが、配信設定のオンの方法は書かれていない。長すぎるコマンドを打ち込むことも覚悟していたのだが、まさかの展開に面食らってしまう。
「昔はスクショが使い捨てだったけどそれも何回も使えるようになったらしいし、このゲームもしや配信者に優しい……?」
今の時代、配信という行為をプレイヤーの行動に組み込んだゲームは一定数存在する。最近やったクソゲーであれば、強制的に外部の配信プラットフォームに新しいアカウントが作成され、リアルタイムの視聴者数とコメントでステータスが変動する電脳配信決闘者になる「デュエルストリーマーズ」や、利用規約に配信についてひっそり記載し、エンディング直前の演出でプレイヤーに実写配信をさせて数々の配信事故を巻き起こした「ツーオー:スリーオー」などがそうだ。
こいつらとまでは言わずとも、楽しいこのゲームを世界に発信しよう!と期間限定で「辻斬・狂想曲:オンライン」で配信イベントが発生したり(発生しそうな配信事故を裏で別の事故で片付け続けられた素敵な二週間だったとか)、他の星に助けを求めるという設定で配信が出来る(助けを求められるとは言ってない)「ギャラクシートラベラー」などサブの機能としてある程度ゲームを進めた先で配信が出来るようになるものもちゃんとある。クソゲーではないけど「Nephilim Hollow」も配信が出来たっけ。
とまぁここまで挙げてきたが、何の改造もコマンドも無しにオープニングの時点で配信が出来るフルダイブVRゲームというものはほとんど存在しない。理由は色々あるが、端的に言ってしまえば3Dの主観視点と2Dの配信、そして実際に喋らずに話す実況配信の相性が悪い、それだけのことである。
そんな配信が最初から出来るこのシャンフロというゲームが、VRゲームの配信者にとって破格の対応をしている、ということは伝わったと思う。
「世界観的に配信がメインってわけじゃなさそうだし、完全に宣伝目的で意図的に入れてるのかな。だとしたら……同業者?まさかね」
そんなあまりにも都合のいいゲームに苦笑しながらも、それならばすぐにでもやってやろうかと手早く準備を進める。
予め行うべき配信システム側の準備を終わらせ、サムネを設定し、URLとともに流すように予約投稿を行う。
遅延は……一時間で良いか。私程度ならそれでも多分困らないだろう。
「さぁ見せてもらいましょうか、神ゲーって奴を!」
私が挑む、新しいゲーム。このゲームはどんな世界を私たちに魅せてくれるのか。
配信を、開始する。
没入型VRの配信ってめっちゃむずくねって話です。
恐らく新しいコマンドを半強制的にゲーム内に作り出すくらいじゃないと非対応ゲームだと厳しいのではないかと思われます。カメラもスマホも存在しない世界で動画を撮るような感じ。
なのでこちらのサンラクはコンピュータ技能があちらよりも20くらい高くなってます。いんてりじぇんす。
次回は4/16を予定しています
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【シャングリラ・フロンティア】マジの神ゲーやる【サンラク】
「みんな~!みってる~?」
『エイプリルフール終わったぞ』『わこつ』『わこつです』『もう草』『これクソゲーじゃないよ?』『わこつ』『変な物食べた?』『草』『わこつ』『変な物は昨日食べた(クリアした)だろ!』『草』『変な物(フェアクソ)』
「おーおー遅延あるから全く読めないけどあらんかぎりの罵倒されてるのだけは伝わってきたよ」
少しだけ時間が過ぎ、今私がいるのは白い部屋。VRゲームの初期設定をする場所は「転生部屋」と称されるこの白い部屋か、0と1で囲まれた「マトリクス部屋」の二択が大半を占める。それ以外の場合は神ゲーかクソゲーの両極端なゲームが多い気がする。
「というわけで昨日の有言実行!クソゲーをやらずにシャンフロを少しだけ触ってみようと思います!」
『風邪引いた?』『草』『乗っ取りで通報しました』『草』『草』『存在しない寝言を言うな』『草』『偽物かな?』
「偽物じゃないぞー。本物のサンラクさんだぞー」
放送中に流れているであろうコメントは今の私の元には届いていない。……が、大体の予想を建てることは出来る。そもそも通常の配信でも2秒から40秒程度の遅延はあるのだ。
「実際ちゃんと神ゲーって言われてるゲームを配信でやるの初めてなのでどんな反応なのかは正直怖いところはありますねー。いや、神様が出てくるクソゲーはやったけどあれは別枠だとしてね?」
しかし過去にやったことがない、という点だけはどうしようもない。気にせずに話を続けるしかないだろう。師匠も「堂々としてたら意外となんとかなるもんだよ」って言ってたし度胸だけでそれっぽくしてみることにする。常にロケハン出来るわけじゃないからね。
「にしても見事な白部屋ですねー。実は配信前に顔だけ弄ってたんですけどここまで真っ白だととっとと先に行きたくなってきます」
『顔弄ってたんか』『たしかに』『顔作れて偉い』『先いこうぜ』『ステフリどうすん?』『顔良くて助かる』『顔良くて助からない』『草』『それはそう』
私はゲームのキャラはリアルの姿に近い姿にする派だ。
ゲームとリアルを離して考えたい人もいるだろうし、その気持ちもわからないでもないが、「誰が見てもこの人の配信だとわかる」ことは長く実況を続けていくにあたって最も重要なことだと先輩に教わった。VRではない2D画面のゲーム配信で、多くの配信者がワイプや立ち絵を表示するのもそれが目的で、ある種のキャラ付けのようなものなのだと思う。
最悪イメージカラーさえ統一しておけばそれっぽく見えるので拘りすぎも良くないんだけどね。
「ステフリをどうするかはまだ考えてる所なんだけど、後発組で最低限の攻略情報があることを考えると極端に振ってユニーク狙いにいく方が良いような気がするんですよね。器用貧乏は避けたいので」
「まぁここで話しててもキリが無いですし、とっとと始めちゃいましょうか!」
そう言ってから、一度閉じていた初期設定画面を開く。
「うおっ……職業多いですね。もしかしてこれ全部に派生あるんですか?考察班も大変だろうなこれ」
並ぶ職業に目が泳ぐ。戦士、剣士、闘士、騎士、傭兵に盗賊……しかもそれぞれに武器種の限定まである。
「武器が限定されるとなると、私のスタイルならこれかな。『傭兵(片手剣使い)』」
大抵のゲームでは二刀流よりもDPSが落ちるが、アイテムをより早く使えたり、アクションの面で有利に働くことで差別化が図られている片手剣装備。そして何より私が
「そして出身は決めてたよ。『彷徨う者』」
防御が下がるが、幸運が上がる補正を持つ出身。そして何より「初期位置が初心者用エリアのランダムな場所になる」という特徴がある。実況者でこれを選ばない奴はいないだろう。
「これを選んだらランダムリスポーンになるとは聞いてたんだよね~あ、せっかくだから防具売ってオワタ式にしようか!」
『草』『OSHでももう少しまともだっただろ』『自分からクソゲーにするな』『クソゲーしかできんのか』『回避特化はこのゲームキツいぞ』『草』『草』『これそーゆーゲームじゃねぇから!』『自分から縛りを入れるな』『神ゲーをやるって言いましたよね?』『OSHってなんですか?』『神をクソにする程度の能力』
「まぁ本当の神ゲーなら少々本道から離れても神ゲーとして成り立ってくれるでしょう!」
神ゲーに対する謎の信頼を元に防具を所持金に変える。ステータスを見る限り本当の意味でのオワタ式には出来そうにないが……まぁダメならやめるだけだしね。
「あとは軽く顔を隠せるようなものがあれば良いんだけど……フルフェイスは『
そうして出来上がったアバターを眺めると……なんだろう、傭兵というより限界を迎えた女盗賊って感じだな……。
「出来ない装備じゃないし、他にもやってる先駆者はいるでしょう!恥じらいは捨てた!」
「それでステ振りだけど……どれに片寄らせるかって考えたら、どう考えても
初期のスキルポイントの半分くらいをLUCに叩き込み、残りをVIT以外に割り振った。
最後にプレイヤーネームを入れる。
一切の迷い無く、これまで数多のゲームを、クソゲーをクリアしてきた私の第二の名前……「サンラク」を打ち込む。そしてカメラに顔を改めて向けてこう告げる。
「改めまして皆さま、初めましての方は初めまして、そうでない方はおはようございます!VRゲーム配信者のサンラクと申します。普段はこのような良ゲーをすることはありませんが、ちょっと先日嫌な事件がありましたので少しばかりシャンフロにお邪魔させて頂きます。常連のみんなは……たまには神ゲーやって目を肥やそうぜ!ってことで宜しく!では始めて行きましょう、サンラクのシャングリラ・フロンティア、スタートです!」
最終決定。確認場面を叩き、未来を見据えて言い放つ。
「見せてもらいましょうか!神ゲーの真髄というものを!」
虎獣の祭面:ケット・シーを模したデフォルメ猫のお面。防御力0のファッションアクセサリーとプレイヤーの間で話題。実は店売りよりも初期装備として買った方が割安だが、購入するのは一部の好事家に留まっている。オリジナル装備。
存在しないアクセサリーと存在しないゲームは勝手に設定を盛っても良いってばっちゃが言ってた。ハシビロコウフェイスは流石に無理だったよ……
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デフォルメとリアリティーの境界線
『遥かな太古、神代と呼ばれる時代があった。』
どこにでもある、プロローグ。
『偉大なる神人達は後世に命を紡ぎ、その姿を消した。』
1人なら飛ばしていただろう。
『時は流れ、神人の遺志継ぐ我々は彼らが願ったように地に広がり、そして大いなる命の流れを紡いでいく……』
二人なら……どうだろう、ちょっとわからない。
『今を生きる我々は、歴史と遺跡の中に息づく過去の遺産から神人達の軌跡を辿る。』
兎も角、彼らがいるからこれを観ている。
『貴方は開拓者。東よりの風と共に現れ、幾度となく膝をつき、されど進み続け……そして風と共に消えるかもしれない者。』
休憩のつもりで、流れる文字を観る。
『貴方の生きる意味は?』
少しだけ、心がこわばった。
『一振りの剣に己が身命を託す?』
それは、わたしがやったこと。
『魔道の深淵を覗いて魔道の高みを目指す?』
それは、アタシがやったこと。
『あるいは戦いの道を選ばないことも出来る。』
それは、ボクが許さないこと。
『その全てがここにある。その全ては貴方の中にある。』
これまでの道は、肯定された。
『さぁ、一歩踏み出して。』
心が躍る。
『未知を、未来を、そして可能性を切り拓いて。』
躰が弾む。
『それがこの地に生まれ落ちし、神代よりの子らに課せられた使命なのだから』
命じられた通りのストーリーなんて、
プロローグが終わり、世界に潜った意識に0と1で彩られた身体の感覚が到来する。
「うお、リアルな森ですね!これが『彷徨う者』の初期スポーンってわけですね。さて、事前情報だと、ここから自力で街に到着するか、モンスターに倒される事で「夢オチ」という形で街中でリスポーンできるとのことですが……せっかくなら倒れるまでレベル上げでもしてみましょうか!」
『すご』『描写ガチじゃん』『すげぇ』『風を感じる』『すげぇ』『やば』『なんでここの米欄シャンフロ完全初見の人間こんなにいるの?』『すご』『きれい』
「どうやらお客様も来たようですし……ねっ!」
木の上から感じた音を辿り、片手剣を振るう。カメラの視界に入るか入らないかくらいの場所から飛び降り、襲いかかってきたのは、ファンタジーというジャンルにおいてドラゴンに匹敵するメジャーモンスター。
緑の肌で自然と同化し、素朴な斧を両手で持ち突っ込んでくるそのモンスターの名前は。
「ゴブリン!」
「ガギャッ!」
私の剣とゴブリンの斧がぶつかり合い、鈍い音が響く。
体はスムーズに動く。下手したら思考入力の関係でリアル以上に動きやすいかもしれない。確かゲーム内の動きがリアルに影響を出さないよう毎回ログアウト時に現実の肉体と意識との同期システムがあったけど、むしろ逆の意味で必要になっているのかもしれない。
「ダメージ感覚を知るために一方的に殴られるのもアリですが、今は無茶せず素直に攻撃しましょうか」
半身に構え、腕の可動域を最大まで広げる。ほどよく脱力し、不意の事態に備える。
「ギャグギャギャ!」
一つ。
斧を片手に持ち変えて振るってきたゴブリンの攻撃を、一歩踏み出して剣を振るい弾く。
二つ。
大振りになった攻撃に隙をさらしたゴブリンの肩を切り裂く。痛みで斧を手放しかけたゴブリンの手を切りつけ、背後に回る。
三つ。
一瞬息を吐き、明瞭になった剣先をゴブリンの首に突き立てると、泡のようなポリゴンと化してゴブリンは消えた。
「よしっ!戦闘終了ですね。最初にしてはまぁまぁ動けてたんじゃないでしょうか!」
『動け過ぎ定期』『すご』『すげぇ』『目が優しいのなんで?』『リラックスしてんなぁ』『すご』『スムーズな動きで草生える』『ゴブリンさんかわいそう』
「さて、ドロップアイテムは……っと」
リアリティーのある世界だが、死体が残ったりしないのが良い塩梅なんだろう。クソゲーって大体その辺り吹っ切れてるからか0か100しかないから……
リアリティーを極めすぎていた
【ゴブリンの手斧】
形状:斧 片手剣
サブ装備可能
木の棒に石を蔦紐で巻きつけただけの簡易な石斧。切れ味が悪く、打撃と斬撃の両方の属性を持つ。
「まぁボロだよねぇ……」
対峙していたときから察してはいたが、初期装備並みの攻撃力で耐久はそれ以下の代物だ。初期装備の傭兵の片刃にさえ「長く使うことは想定していない」と書かれているのに、それ以下が予想されるとは一体……。
「とはいえ、まさかゴブリンだけで神ゲーって言われてるはずもないですし、他のエネミーもいるんじゃないでしょうかね!さて、しばらくはレベル上げついでにドロップ確認もしましょうか!」
私は道なき森の中を、レベルアップを目標に一歩踏み出すのだった。
自分で動かせるカメラに対してならいつでも最高の顔を見せられる系女子。なお自撮りをすることは無い模様。
生配信対応により新しく追加され、全プレイヤーに配布されたアクセサリー。
通常スクショや録画ができない場所でも生配信ができる。
思考操作とフルオートの二パターンの配信方法がある。
販売不可。原作にも登場する。
傭兵の片刃
効果:特になし、初期装備ということもあり、比較的耐久力が高く設定されている。
説明:信ずるものは金と己の武のみ。勝利を求め彷徨える傭兵が好んで用いる無骨な剣。無骨故に粗雑であり、長く使うことを想定していない。
解説:所謂初期装備であり、傭兵(片手剣使い)がゲーム開始時から所有している片手剣。盗賊職の初期装備である「盗賊のダガー」と比較して1.6倍の耐久力を誇る。強化する前に破壊されることの多い双刃と異なり、この剣を最終強化まで使用するプレイヤーも多い。原作には登場しない。
あとステータス振り忘れていたので前話を修正してます。内容は原典サンラクと同じなので読まなくても良いです。
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追う鎧、追われる兎、跳ねる猫
時は巻き戻り、配信開始よりほんの少し前。
「『……目が覚めましたか?』いや、こうじゃないですね。『おはようございます、サンラクさん。ようこそ、シャングリラ・フロンティアに。』……いえ、リスポンしてくることも考えるならもっと穏やかに煽らない感じの方が……」
騎士の名はサイガー0。今をときめく人気シャンフロ配信者の一人であり、最前線の攻略クラン『黒狼』のエースプレイヤーである。
「今回の目標はサンラクさんの知り合いであることを視聴者の方に知ってもらうこと、ですかね。私が配信してないので偶然を装うことも可能だろうし、何よりサンラクさんから見つけたと誤解されることもないので荒れることも……ない、ですよね……?」
彼女は気付いていない。既に周囲に『あれサイガー0じゃね?』『ファスティアで何してるんだろ』『配信の下見とか?』と気付かれ始めてSNSで拡散され始めていることに。
「目指すは定番のコンビ!……は難しいかもしれないので定期的に遊んでも違和感がないくらいの関係になれたら、いいなぁ」
彼女は気付いていない。彼女が昨日楽羽に渡した「ネタバレ無し!シャンフロ配信の基本」には
「いつサンラクさんがくるかわからないから配信は流しながらになっちゃうなぁ。集中して観れないのは辛いですけど、この機会を逃したらもう黒狼としての私として応対するしかないですから」
彼女は気付いていない。彼女がこの後配信を観始め、夢中になってその場から微動だにせずに日が暮れてしまうことに。そしてその様子が撮影されGIF画像になりバズることにも。
「がんばれ私!どんなゲームも掴みが肝心!」
彼女は、気付いていない。
時は現在に渡り、跳梁跋扈の森。
「包丁落とせえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
『草』『草』『蛮族?』『顔が迫真すぎる』『草』『作品変わった?』『兎狩りのソロ』『草』『草』『草』『作画担当変わってるんよ』『盗賊でももう少し外面気にするだろ』
そこには兎を追う不審者の姿があった。まぁ私なのだが。
前回の初戦闘から時間が経ち、とりあえずゴブリン以外にも
とはいえ、経験値以上に私が欲しいものがある。ヴォーパルバニーが持っているあの包丁である。
ここまで戦ってきたゴブリン、オークはそれぞれ武器を持っており、最初に手に入れたゴブリンの手斧の他に、ゴブリンの棍棒、オークの戦斧、オークの長棍といったそのキャラクターが持つ武器を落としている。
またアルミラージも武器は持っていなかったが投擲武器としてもわずかなダメージが出るアルミラージの角を落としていることから、ヴォーパルバニーだけが例外として持っている武器を落とさないということは殆ど考えられないだろう。ヴォーパルバニーが持つ包丁もドロップすると断言してもいい筈だ。取り回しも良さそうな大きさ、形状であるし最序盤のメイン武器として欲しいと思って積極的に探していた。
その上でだいたい70匹ほど狩ったと思う。
結果?さっきの発言でわかるでしょう?ゼロですよゼロ。
『はい76体目』『包丁こんな出なかったっけ』『草』『悲しい』『クソゲー?』『76』『包丁出たら教えて』『作業配信だっけこれ』『初見プレイ一日目の姿か?これが……』『運命力ぅ……ですかねぇ……』『草』『76!?』
そうこうしているうちに跳梁跋扈の森の奥深くに入ってしまい、今では最初の街とされるファスティアではなく、二番目の街であるセカンディルに近い場所まで来てしまった。
「いやぁここまでくると逆に出ないでほしい気がしてきますね。まぁ欲しいので出るまではこの辺で狩りを続けますが」
その後草むらに隠れては兎を目掛けて飛び出して首を狩るということを繰り返して30分後。
「やっと……出た……」
【
ヴォーパルバニーが持つ「致命」シリーズの中でも最もポピュラーな武器。餌食となった者達の血を吸ったかのように赤黒い刃を携えている。クリティカル攻撃に成功時、ダメージに補正が入る。
「ポピュラーならもっと早く出て欲しかったなぁ……」
『88888888』『優秀ではあるから(震え)』『記録は138匹でした』『首狩り兎の首を狩る山賊』『おめ』『勝ったな、風呂入ってくる』『おめでとうございます!』『哀愁』『おめ』『おめ』『おめ』『再走まだ?』『おめ』
「さて、流石に一区切りついたと思うのでVRゲームの規定通り15分ほど休憩取ろうと思います。一旦セーブするためには、ここからだとセカンディルが近いらしいのでそちらにむかおうと思いま『エリアボス:貪食の大蛇 と遭遇しました』……はぇ?」
気を完全に抜いて歩いていたが、気が付くと景色は森から外れ、そこにあったのは見事な渓谷とそれを繋ぐ吊り橋。そして吊り橋を塞ぐように立ち塞がる大蛇。彼、あるいは彼女は、舌をチロチロ出しながら次の街へ向かう
「あーっと……ちょっと見逃してそこを通してくださったりは……」
「キシャアァァァア!!!!!」
「しませんよねぇ!?戦闘開始します!」
全く心もアイテムも用意をしていない状態で、私のシャンフロプレイ初めてのボスとの闘いが始まった。
鏡面に映された彼女が目を焼かれた太陽は、楽しみにして駆ける彼の横顔ではなく、楽しんで翔けている彼女の翼であった。
因みに2年ROMってたしその後の垢分けも完璧だった。インターネット技能+30、その他の言語(インターネットミーム)+10
「ネタバレ無し!シャンフロ配信の基本」
斎賀玲が作成した冊子。定期的に更新されており、誰にでも見せられる内容となっているし知り合いに渡したこともあるが、本当に渡したい相手はシャンフロを絶対にやらないクソゲーマニアだったので封印していた。
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無二の剣による生活術
貪食の大蛇。
「
これらのことを知ったのは相当後……夏休みに入ってからになるのだが、少なくともこの時の私に言うことがあるとしたら、あの攻撃を受けなくてよかったね、ということだ。
「構えて……弾くっ!」
頭を突き出し、牙をこちらに向けて飛び掛かってくる貪食の大蛇の攻撃を
そして私はこれから本格的に戦闘をするにあたってしなければならないことがある。
「なんにも用意してないけどアイテムだけはたくさんある!ので捨てる!」
武器を始めとしたアイテムの破棄だ。
『え?』『なんで捨てるの』『アドバンテージが』『重量制限あるか』『え?』『なんで?』『捨てる?』『わからん』『シャンフロ重量のペナルティあるから捨てないと全力で動けないんだよね。俺も経験あるわ』『どゆこと?』『?』『なんで』
「いや実はさっきから妙に動きにくかったんですけど多分これアイテムのペナルティなんですよ危ねぇ!」
尾の薙ぎ払いを剣先で跳ねて避ける。
「神ゲーらしく本当に少しなんですけど初期スポーンよりも動きが鈍くなってます。でさっき手斧が壊れた時にぃっ!その枷が外れた感覚があったので試しに捨ててみたらやっぱりこれが原因みたいでしたぁ!」
牙に平行に刃を滑らし、円を描くように突進のベクトルを変える。
「それでここまで動きに違和感が無くなったなら、さっき覚えたあのスキルを使って
刃の側面を尾と自分の間に置き、躰全体を廻すことで衝撃を受け流す。
ここまでの動きで、
これまでで最も大きなモーションで貪食の大蛇が頭を引き、そのアギトを、牙を、凄まじい勢いでわたしに向けて突撃してくる。
「スクーピアス」
「
「
右手を振るい顎を上向きに叩き切る。大蛇の頭は突進の勢いのまま真上へ吹き飛び、重力に逆らいその巨体を世界に晒した。
「……よし、耐久消費も抑えられましたね。これならもう貴方に負ける要素はございません。さぁ、遠距離でも近距離でもかかってきなさい!」
ワンソード・ハックのクリア報告を世界で初めてネットに挙げ、証拠としてアップした動画から配信者としての道を歩みだした
ワンソード・ハック
剣一本をありとあらゆる用途に利用してハックアンドスラッシュするゲーム。キャッチコピーは「剣だけを信じて」。
盾にする投げるは当然、楽器にしたりピッケルにしたり工芸品を作ったり……全て剣でやる。(ここまで先生のツイート)
右肩より先の部分の思考入力が同世代のどのゲームよりも優れており、シャンフロに迫るか部分的には超えているとも。
イメージはリアリティを追求した剣神ド〇ゴンクエスト。振るだけでなく、弾く、投げる、突くといった一連の動作全てが求められ、特に二番目のボスで必要になるparryという技術は、バットでボールを打ちながらジャグリングをする程度の精密性を求められると噂されている。
毒糞はカットです。
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バイバイゲーム(但しゲームは逃げないものとする)
一本の剣を曲芸のように使いながら生き残る高難易度クソゲー、『ワンソード・ハック』にて使用される小技であり、武器破壊効果を持った敵の技を無効にしながら受ける、二面のボスで必須となるテクニックでもある。掲示板の有志によって現実でも理論上は完全再現が出来ることが発覚したこの技ならば、スキル補正を加えたらシャンフロでも再現が出来るのではないか、そうふと思って試してみたけど……想定以上だったなぁ。
「キシャアァァァア!?」
頭が跳ね上がり、その蛇腹を晒す貪食の大蛇に一息で近づき、追撃を行う。
「『フラッシュカウンター』……からのワンツゥ!」
最初に選ぶスキルはフラッシュカウンター、パリィからのカウンターにダメージ補正が入るスキル。兎狩りの検証中にカウンターの判定は基本的に相手が体制を戻すまでであることがわかった。では今のように大きく弾かれた間はどうなるか?そう、ボーナスタイムというわけだね。
右に揺れ、左に振れ、蛇腹を薙ぐ。前へ突き、剣を引き、鱗を蹴る。距離を取り、一歩を踏み込み、剣先で円を描きながら傷を付ける。
「さぁ!人体の神秘の検証です!」
そう叫び左手にアルミラージの角を持ち、貪食の大蛇の方向へ軽く投げる。投げた先にあるのはつい先ほどわたしが付けた傷跡。ゆっくりと修復していくその傷だが、今となってはその回復はあまりにも遅すぎる。
右手に構えた
「足には腕の三倍の強さがある、では剣を足で振ったらどうなるでしょーか!」
体勢を落とし、両手で大地を踏みしめ、両足を自由にする。確かカポエイラだったかな?
「正解は、」
躰を回転させ、アルミラージの角と致命の包丁が一直線に並ぶその瞬間の鵐目に脚を置く。コイントスと同じ要領で全てを揃えた包丁はその力を余すことなくアルミラージの角へと伝える。
「ダメージの後ォ!!」
剣先以上に鋭いその角は貪食の大蛇の傷に深く突き刺さり、Criticalのエフェクトを眩く放ちながらポリゴンとなって崩れていった。
そして
弾けるように貪食の大蛇の傷口からポリゴンが溢れ、全身へと広がり、その巨体が爆ぜる。
「うっし!勝利ぃ!見ましたか皆さん!初見で
『888888888888』『かっけぇ』『スタイリッシュすぎ』『88888』『かっこヨ』『なお最後』『OSHにあんな技は無いゾ……』『すげぇ』『ダメージ倍率どうなってるんだろ』『足で三倍って敵が使ってた理論じゃねぇかw』『88888888』『8888』
「まぁ足で蹴ったところでダメージが重なってるとは思わないですけどね、気分ですよ気分。それを許したら仲間の足に掴まって魔法を足から放つゲームが始まっちゃいますから……」
環境初期に剣を持った状態で弱キックを打つことで全てを破壊していたゲームの記憶に蓋をしながら、カメラに顔を向ける。
「うん、なんにせよエリアボス突破です!ではセカンディルまで向かって素材売り払って装備を買ったら今回は終了ですかね」
『お疲れー』『半分以上兎狩りじゃなかった?』『初見プレイなのは間違いないけど初見プレイとしては不正解な気がしてきた』『おつー』『おもしろかった』『おつフロ~』『テンプレの行動一切取らないの面白すぎる』『これが強い奴のニューゲームですか』『ファスティア「どうして」』『おつ』『おつかれ』『今北』
ボス戦中にばら撒いたアイテムを回収して、吊り橋を渡りながら今日の感想をまとめ、カメラの向こうに伝える。私の配信では基本的にクソゲーをプレイする関係で少々口が悪く回ることもあるが、最終的には楽しいと思えた部分を抽出して届けるようにしている。私個人としてはクソな部分こそが続ける理由ではあるのだが、配信という他人に伝えるコンテンツである以上一般的な感覚も持ち続けなければならないのだ。
「にしても久しぶりにクソゲー以外をプレイすると口直しって感じで良いですね。別のクソゲーに逃げたくなる感覚に襲われずにプレイするのも久々ですよ」
「これはまた配信でやっても良いかもしれませんね。遅れてきてる反応見てると初見の人も多くいらっしゃってるみたいですし、このままクソゲー沼に初見さんを集めて沈めちゃいましょうか。有識者はオススメのアーカイブか切り抜きをツブヤイターかコメント欄に投稿しておいてくださいね、あ、もちろん今日のシャンフロ以外でね?」
「お、見えてきましたね。あれがセカンディルですか。なんというか、ザ・ナーロッパって感じの街並みですね。私は好きですよあれ」
そう言いながら穏やかにセカンディルに到着した私は、早速装備屋の場所を訪ねて相場を聞こうとしたのだが……
「嬢ちゃん一旦服着たらどうだ?素材しかないなら物々交換でもいいぜ」
「まじですか」
限界を迎えた山賊みたいな状態で入った装備屋にいたおっちゃんの善意で庶民っぽい服一式を兎肉と交換してもらった。もしかしてこのゲームお金いらない?
「言っとくがこれは特例で、基本的には金と素材どっちも貰うからな?」
あ、はーい。
「で、装備だったな?うちで置いてるのはこんなもんだ。どうする?」
そういいながらおっちゃんに渡された板には謎の文字が書かれていたが、近づくと普通に日本語で表示された。きっと翻訳班とかいるんだろうなぁ
・蛇革装備一式(個別購入可):12,000マーニ
・ハードチェーン装備一式(装備個別購入可):6,000マーニ
・黒道の黒衣装備一式(個別購入不可):9,000マーニ
・白道の白衣装備一式(個別購入不可):9,000マーニ
・隔て刃の皮服装備一式(個別購入不可):4,000マーニ
「じゃあこれを……」
私は一つの装備を選択して、宿屋に向かってセーブポイントを登録し、一時的な休憩をすることにした。さて、軽くエゴサでもしましょうかね?
勢いで書いたので多分改稿します(宣言)(多分しない)(時間がない)(ちくわ大明神)
最初は軽く捻ってみました。まぁやってることは全く軽くないんですけど
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【クソゲー】サンラクちゃんの奇行を眺めるスレPart4【プレイヤー】
1:名無しの視聴者
こちらはクソゲー配信者「サンラク」さんの配信やツブヤイター、切り抜きを眺めながらコメントで打つほどでもない雑談をするスレです。
荒らし暴言はスルー、クソゲーかどうかの議論は別スレでお願いします。
前スレ↓
nllqz://nuo.5th.net/text/read.cgi/myutuber/5442687/03
サンラクさんの配信チャンネル↓
nllqz//vvv.myutube.com/c/Sunluckcat
203:名無しの視聴者
いやぁ、フェアクソは強敵でしたね……
204:名無しの視聴者
見てるだけのこっちがイラついてるんだからサンラクちゃんの苛立ちは言わずもがなって感じだよな
3分間で満足できると思う方がおかしいと思う
205:名無しの視聴者
スレチだけど別の配信者が「三分で満足できるわけねぇだろうがカスがよぉ!」って叫んでてまぁそうか……ってなったわ コメントは草一色だったけど
206:名無しの視聴者
それ切り抜きで見たわ 対人のオンゲー配信ばっかだから敬遠してたけどあれ見て登録した 多分フェアクソプレイ済みの面子って大抵そんな感じの反応だし悪口だけで酒のつまみには困らなそうだなって思っちゃった
207:名無しの視聴者
草 話を戻すついでにフェアクソ最終日のまとめ切り抜き作ったから確認してくれ 全部のまとめは他の奴に任せるから素材必要ならツブヤイターの方に頼む
nllqz://vvv.nyaovideo.jp/watch/zn38720478
208:名無しの視聴者
有能助かる 切り抜きも再生数の平均ちょっとずつ増えてるしこのまま有名になって欲しいけどなー
209:名無しの視聴者
本人がクソゲーを好んで食うタイプの偏食家だから案件が来ない+本当のクソゲーは表に出ないから大会なんて絶対にやらない っていう二重の罠で伸びるきっかけが少ないのがな……
210:名無しの視聴者
大会で出たのもキャバクラくらい?でそれも一位ってわけじゃないしな。タイトルも「知り合いに名前がクソゲーって騙されました」だったし触ったゲームは一区切りつくまではやるけど本当にやりたいクソゲーやってるときのテンションにはならないんよ
211:名無しの視聴者
前一回だけ馬と戯れたくなったって言いながら雑談配信の合間にやってたけど顔が完全に乗馬クラブに馬見に来てる一般ガールだったのは笑った あれが大会二位って言われても誰も気づかないわ
212:名無しの視聴者
並み居るプロゲーマーやら実況者やらを抑えて二位ってのは充分評価されるべきだと思うんだけどな。一位も慧きゅんだし実質一位みたいなもんでしょ
213:名無しの視聴者
全一に勝てないからって自分のこと雑魚扱いしてるけど慧くん大半のゲームに適応して日本一の称号を譲る予定も気配も一切ないバケモンだからな やる気ないサンラクが勝てなかったのも当然ではある
214:名無しの視聴者
逆にやる気あったらどうなってたんだろう
215:名無しの視聴者
それは永遠の謎。実際競技シーンと配信者がガチで戦うことってほとんどないだろうし慧選手がクソゲー側に興味を持たない限り実現できなさそう。便秘の沼にでもハメてもらうか
216:名無しの視聴者
便秘の沼にハメる……?
217:名無しの視聴者
言い方があるだろ言い方が それだと深淵の腐海から上がってくるぞ
218:名無しの視聴者
慧きゅんが便秘に負けてハメられると聞いてきました
219:名無しの視聴者
ほら~~~~~~~やっぱりきたよ 格ゲーの名前だから腐海にお帰り。
220:名無しの視聴者
今ツブヤイター更新されたけど次は神ゲーするらしいぞ
221:名無しの視聴者
神ゲーってことは神モチーフか 前やってたトラスピとは別なんかな
222:名無しの視聴者
いやマジの神ゲー、最高のゲームの意味の神ゲーらしい。ほれ
https://tbytter.com/Sunluckcat/status/1258360517288005633
223:名無しの視聴者
ふぁ!?そんなフェアクソのダメージでかかったんか?
224:名無しの視聴者
そりゃでかくないわけがないでしょ……あれやぞ?
225:名無しの視聴者
サンラクが配信で神ゲーやるの初めてじゃないか?
226:名無しの視聴者
ネフホロも良ゲーだしなぁ
227:名無しの視聴者
あ?ネフホロは神ゲーだが?
228:名無しの視聴者
事前の段階からだと初だなぁ
229:名無しの視聴者
でも改めて考えると大衆に認められた神ゲーって上澄みでしかないんだなって思うわ
230:名無しの視聴者
何するんだろうな
231:名無しの視聴者
これでフェアクソ再開したら流石に笑うわ
232:名無しの視聴者
え?????シャンフロ!?!?!?
掲示板回なので初投稿です。違和感はスルースキルで受け流してください。
フロラジは悲しい事件でしたね……こんフロとおつフロの魂だけは引き継いで行こうと思います。
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二番目の街でラスボスとかライバルに出会いがち
「配信開始~っと!みんなちゃんと集まってる~?」
『わこつ』『再開助かる』『ぴったりの時間だし有能か?』『飯倒した』『セカンディル何があるんだろ』『わこつ』『いるよー』『わこつです~』『新鮮なシャンフロ配信だぁ』『わこつ』『初見です』『わこつです』
VRゲームのルール通りの休憩を終えて配信を再開する。それにしてもシャンフロの配信機能って本当に配信者に優しいな……カットインフォームから休憩中のBGMまで配信可能なもので全部用意してあるし検索機能も充実している。こっちで準備や用意するものもなく、自分で持っている素材も簡単に登録出来るという、もはや一つのプラットフォームのようになっているのだ。……これに慣れたら他のゲームで配信出来ないかもしれない、そう思ってしまうほど便利である。
「というわけで休憩明けて攻略再開です!さきほどセカンディルに到着したところからですね。一旦先ほど買った防具を見ていきましょうか」
今いるのはセカンディルの宿屋であり、個室であるからこそゆっくりと説明が出来る。私は装備欄を開きカメラを調整し、視聴者に見えるようにしながら説明文を読み上げる。
・隔て刃の皮ベスト
四駆八駆の沼荒野に生息するマッドフロッグの皮から作られたベスト。一定以下の切れ味の斬撃に対して抵抗を持つ。
肌に吸い付く感触は賛否両論。
・隔て刃の皮ベルト
四駆八駆の沼荒野に生息するマッドフロッグの皮から作られたベルト。マッドフロッグの背中の皮だけを使っているため刺突に対して抵抗を持つ。
通は全身にこれを巻く。きつく、もっと!!
・隔て刃の皮ズボン
四駆八駆の沼荒野に生息するマッドフロッグの皮から作られたズボン。装備者の動きを阻害しない作り。
ベストと比べて防御は薄い。
「野生の蛮族から都会の不審者にランクアップ……って感じですかね」
しかも場合によっては野生の蛮族の方がゲーム的には強い可能性があるのがいたたまれない。ファッション的にもあり得ない寄りの恰好ではあるが、ゲームの序盤なんてこんなもんである。私は妹とは違うのだ。
「実はこの隔て刃セット、頭装備もあるんですけど流石に覆面マスクは配信的にやめときました。せっかくなら初見さんにも顔覚えて欲しいですからね」
初心者セットみたいな装備で揃えたし、このタイミングで虎獣の祭面も外しても良いのだが、ユニークが沢山あると噂のシャンフロである。猫系の何かと戦う時の補正を期待してつけっぱなしにしておくことにする。こういうのはアクセサリー枠が足りなくなってから考えればいいのですよ。
「それじゃあ防具も確認したところですし、直近の目標を決める為に武器屋にでも行きましょうか!」
宿屋から出てまだ明るい外に出る。
……つもりだったのだが、なんか暗くない?
宿屋の扉を開けたその場所には、長身の西洋鎧に身を包んだ騎士がいた。
「……あーっと……宿屋に入る感じ、ですかね?」
「……。」
衝撃から心を取り戻して声をかけるも、鎧の人は動かない。何も言わない。
「じゃあ私、ちょっと行くところあるんで、横失礼しますね」
「……。」
オブジェクトのように動かないし反応しない鎧の人の横をすり抜けて、武器屋に向かう。確か装備屋の横にあったのでさっきの道を逆にたどれば良いのだろう。
「……あっ、サンラクさ……」
「この辺で目標になるような珍しいもん?そうだなぁ、なら沼棺の化石なんてどうだ?」
武器屋はあった。装備屋の中に。扉こそ二つあるものの、どうやら同じおっちゃんが受付をしているらしい。さっき防具を交換してもらったおっちゃんだったので気楽に声をかける。
「沼棺の化石?化石ってことは高く売れる感じなの?どっちかっていうと武器の材料になる感じのが良いんだけど」
「まぁ高く売れるのは売れるが、嬢ちゃんのお求めの武器の材料としての使い方が大きいな。こういうのが作れるぞ」
そういっておっちゃんはウィンドウを開き、こちらに見せてくれる。カメラ側にも小さいウィンドウを展開している有能っぷりに心の涙が止まらない。恐らく同じ内容が視聴者にも見えていることだろう。
「『湖沼の短剣』、か……おっちゃん、これの刃が長いのとかあったりする?」
「いや、結局化石を削って作るもんだからな。あんまりでかいのは作れん。沼棺の大化石なんかがあればいけるだろうが、この辺じゃ見かけねぇからな」
「ふーん、そうなんだ。ありがとね!じゃあまずはこれ作ってから考えることにするね」
「あぁ、そうしてくれ。あと化石掘りにいくならこれ持ってきな、サービスだ」
そういっておっちゃんが渡してくれたのはピッケル。ファンタジーゲームでは必須のアイテムであり、序盤に使いにくい状態であったピッケルがゲームを進める毎に使いやすくなり、場合によっては元の大きさよりも多くのアイテムをドロップさせることでお馴染みでもあるだろう。
おっちゃんにお礼を告げ、私は新たなマップ、「四駆八駆の沼荒野」へと足を向けた。
この単語解説要るんじゃない?みたいなものがあったらTwitterの方にDMかスクショ貼るか感想の縦読みとかで頂けると参考になって嬉しいかもしれません(感想で直接展開や内容の修正を提案すると何かにひっかかる恐れがあるのでやめといてくださいね)
勿論意図的に説明してない所もあるので全部反映されることはないことはご了承下さい。
一番嬉しいのは違和感無いぜって一言なんですけど……
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物欲センサーは常に取れ高を見極めている
「化石出ないが!?!?!?!?」
『知 っ て た』『さっき観た』『プレイ一日目の姿か?これが……』『親の顔より見た光景』『*再放送*』『作業配信だったか』『草』『もっと親の顔見ろ』『悲しいなぁ』『初見です』『草』『草』
私がおっちゃんから貰ったピッケルを担いで向かった「四駆八駆の沼荒野」は名前通り多数の沼が点在する荒野であり、
鉱石と言えばどんなRPGでも鉄板の強化アイテムであり、タイトルによっては水以上に湯水のように使われるため戦闘時間より採取時間の方が長くなることも多々ある。どうして剣を一本作るのに鉄鉱石を合計一万個も消費するんですか?
そんな別ゲーのことは置いておくとして、この四駆八駆の沼荒野である。どうやらここで掘れる鉱石の発掘ポイントは荒野の端や洞窟内にあるわけではなく、沼のど真ん中に、鉱石っぽい輝きを放つ岩の塊として生えているのだ。当然採掘の為には沼に入る必要があり、そこでピッケルを振るうことになるのだが、
正直それだけならそうでもないのだが、問題はこいつだ。
「ゲゴゴッ、グエッ?」
愛嬌だけはある丸々としたカエル型モンスター、
「ああああああまた斧壊れたし乱数3発で安定しないし別の沼からわざわざこっちにきて泥をかけて鳴くなかまってちゃんかお前はぁ!!!!!!!」
ゴブリンの手斧自体が質が悪くすぐに破損して使い物にならなくなること、そして片手での攻撃では
さらにだいたい2分毎にリスポーンして来るので今の自分では常に採掘に集中することは出来ない。沼では移動が歩き固定になるので周囲の
そして出ないまま20分が経過して冒頭に戻る。
「無言作業したーい疲れたーシャワー浴びたーいちゃんと戦闘したーい」
『やばい脳が死に始めた』『草』『脳死作業配信……?』『■REC』『まだ浴びてない定期』『浴びててもアウトだろ』『終わったら通知入れといて』『閃いた』『通報した』『草』『その流れで戦闘するのか……』『やっぱり蛮族じゃないか』
そこからさらに5分後
・沼棺の化石
おそらく何かのモンスターの一部であろう化石。
四駆八駆の沼荒野に乱立する沼棺は遥かな太古に在った生物の記憶を内包していることがある。
掘り当てたそれがただ過去の残滓なのか、過去からの遺産なのかは運次第……
「やったーーー!!!!終了!完!サンラク先生の次回作にご期待くだざい!」
やっとのことで掘り当てた私はマッドフロッグの皮を抱えて沼から出て、駆け足でセカンディルへと戻るのであった。
ちなみにライズの村クエクリアできてないです
それと!!!!!!!!!!!なんとミラシャンのFAをいただいてしまったのでご紹介したいと思います!!!!!!!!!!!どうして?(宇宙猫)
https://twitter.com/re_simadA_800/status/1542748711247220736
公式B済みとのことなので見れない方はTwitterをログアウトしてから見てきてください
それと明言してなかったのですがミラシャンの更新は毎月1日と16日、あと文字が消えた時と筆が乗ってる時になります。月二回の最低保証付きなので安心してね?(ストックを溶かしながら)
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一期一会から二会を生む
「といわけでおっちゃん、湖沼の短剣を二本おねがい!」
というわけで戻ってきましたセカンディル!素材もある程度売って金には余裕がある。とっとと作ってもらって狩りに出かけないとストレス値で爆発しそうだ。
「あいよ。それにしてもずいぶんと掘ってきたんだな」
「……(スッと目のハイライトが消える)」
「お、おう、すまねぇ……」
シャンフロノNPCノAIハユウシュウダナー。
「とはいえ、これだけ材料あれば色々装備も作れそうだと思ってな。猫の嬢ちゃん軽い装備が良いんだろ?隔て刃と同じだけの重量で防御が高い防具なんかでも行けるぞ」
「えっほんと?」
これは朗報だ。素材と交換でおっちゃんから貰った隔て刃装備だが、斬撃、刺突には強いが素の防御力が殆ど初期装備と変わらないほど低い。……私はそれすらつけていなかったという指摘は後にしてもらいたい。それが高くなるというのはこれから出会うであろう打撃系の攻撃を仕掛けてくるモンスターとの戦闘で少しでも有利になる可能性があるということだ。濡れたティッシュが画用紙くらいになるだけであってもその僅かな差で勝負が付くこともある。
「じゃあお願いしようかな。どれくらいで出来るの?」
「夜までには作っておくよ。そのころにまた来てくれな!」
「というわけで夜まで時間が空いてしまいました」
『何する?』『戦闘民族の眼をしている……』『対戦か無双系?』『ネフホロから逃げるな』『なにすんのさ』『兎狩る?』『包丁増やしとくか』『別ゲーいっとくか』『目力つよ』『何するの』『作画担当変わった?』『寝るという選択肢無さそう』
今のテンションは寝てなんとかなるテンションではない。不幸にも休憩をちゃんと取ったのでやる気は充分である。
「正直夜までレベル上げも択ではあるんですけど、今は兎に角全員ぶっ倒すタイプのゲームやりたいので枠変えてなんかやります。やるゲームについては枠立てるまで待っててね~」
そういって蓋絵で閉じて、配信を終了し、宿屋でセーブをしてログアウトを行った。
0と1で彩られた世界から浮き上がり、意識が戻っていく。指先に神経が通る感覚と、仮想世界よりも強い気圧が私の体が現実にあるということを再認識させてくれる。
VRゴーグルを外して先ほどまで寝ていたベッドから置き上がる。遅延を入れている関係で
私の部屋の棚にあるゲームカセットを並べるためだけのスペースに立つクソゲーの数々。先日クリアしたフェアクソ、FPS視点で敵が360度から無限リスポーンで襲い掛かってくるコスモ・バスター、普通に良ゲーだった乗馬系格ゲーのキャバクラ……そして目に止まる「サバイバル・ガンマン」。
「ううん、この
少しだけソフトを奥に押し込んで、その隣にあるゲームを手に取った。
「今の気分はこれかな」
そう呟いて手に取ったのは「マグニフィセント・ノートブレイブ」。音ゲーと無双ゲームを組み合わせたリズム破壊TAゲーム。タイミングさえ気にしなければ今私が望む無双ゲームである。
配信するゲームを決めて汎用のサムネで配信枠を遅延を入れて建てておく。未来の配信画面に映る自分と、今フルダイブを行おうとする自分が0と1の世界で重なって溶けていく。
さぁ、配信を始めよう。
私もわたしもあたしもボクも。みんな一人であるのには変わりないから。
次回更新は多分16日です
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静寂と爆音を繰り返す温度差
人型の虹色実態「ノート」を切り裂くと同時に世界が止まる。先ほどまで流れていた軽快な音楽が止まり、世界が静寂に包まれる。
世界を再開する。軽快な音楽が再開し、目の前に現れた「ノート」を切り捨て世界が再び無音となる。
ポップな音楽が一時停止されながら虹色が拡散していく。
マグニフィセント・ノートブレイブ。BGMに合わせてマップに点在する「ノート」を破壊していく音ゲーであり、マップ中に出現する無数の「ノート」を破壊することで徐々に攻撃力が高まっていく無双ゲームである。
これだけなら普通のVRゲームだが、ノーツを破壊するまでに必要な時間が、ある1キャラクター以外では僅かに不足しており、通常のプレイで倒すだけだとミスとなりボスキャラの討伐が音楽が終了した後となってしまう無味なゲームとして一度プレイしたあとやめてしまうプレイヤーが後を絶たなかった。しかし音楽の出来は非常に良く、ラストアタックと音楽のラストが噛み合った瞬間の気持ちよさに中毒となった一部の有志によってより多くのプレイヤーにラストアタックを味わってもらうために様々な検証が行われた結果、ポーズ中にグリッチ移動することで確実にPerfectを取りながらボス面に到達できることが判明した。それによってボス面を攻撃力最高の状態で迎えることができるようになったが、正直プレイしている側としてはボス面までが無味であるかボス面を含めた終盤が無味であるかの違いでしかない。
なら先ほど言った1キャラクターでやれば良いのでは?と思うかもしれないがそのキャラクターが2Dゲームのコラボキャラクターということで動きが移動とその場ジャンプ、
とはいえ全く人気が無いかというとそんなことはなく、以前動画サイトに投稿されたプレイ動画がバズったことから覚えている人もいる、程度の知名度となった過去がある。三人称視点のゲーム内カメラプログラムによって撮影されたその動画は、音楽に合わせて瞬間移動しながらノーツを破壊していくストレスフリーの無双プレイとなっており、多数の賞賛のコメントが寄せられた。なおその後投稿された主観視点の動画には困惑のコメントが寄せられたという。
まぁここまで説明しておいてなんだがつまりこのゲームでやることとは単純である。
グリッチ移動に必要な秒数を数えながら蹂躙する、それだけだ。
「うおぉLaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAAA!!!!」
『鼓膜ないなった』『すげ』『肺活量よ』『鼓膜の予備買っててよかった』『薬局の鼓膜売り切れてたんだけど』『草』『音ないなった』『すご』『鼓膜はダース単位で買っておけ』『実質歌枠』『びびった』『うお』
ノーツを破壊して溜まったゲージを確認した直後、雑魚ノーツが集合している中心に
私が今使っているキャラクターはマイク機能付きナイフを両手に一つづつ携えたスピードタイプのキャラクター。攻略するだけならノーツへの攻撃回数が少ないパワータイプの方が楽だが、スピードタイプは倒さなくても問題ないクリア・ノーツが配置されている関係で攻撃力が最大になる効率が良い他、攻撃回数が増えてセッションとしての爽快感が大きいので配信でやるときはスピードタイプを使うことが多い。そんな裏事情を脳裏に
右手のナイフをハウリングさせながらクリア・ノーツに叩きつけダッシュの体制に入った瞬間に一時停止する。音が奪われた世界に音楽を取り戻すという世界観であるにも関わらず音を奪うのはプレイヤーという矛盾から目を逸らしながらポーズ画面の裏で動いていく背景を秒数を数えながら眺める。
「ねぇ、これ本当に鼓膜に悪いゲームだね……みんな替えの鼓膜は大丈夫だと思うけど、それはそれとしてボリューム控えめにしてね?」
マイクに囁きかけるような小さな声で画面の向こうに語り掛ける。この小声に合わせて音量調節した
「それじゃあ最後まで最大音量で飛ばしてくよぉ!!!」
『音量調節バーないなった』『ASMRどこ……ここ……?』『爆音ライブ会場ASMR』『なんも聞こえん』『住んでる寮に響いてて草』『猫がどっかいったんだけど』『草』『風邪ひくわ』『目キンキンに冴えた』『閃いた』『鼓膜の替え足りねぇw』『通報した』
私はそのままリスナーとのセッションを夜まで楽しんだのであった。あと切り抜きがASMRタグで投稿されて謎の小バズリを見せたらしい。知らんがな。
クソゲーでも神ゲーでも許されるシャンフロのゲーム版、正直ズルだと思う。普通くらいが一番評価に困るので兎に角突き抜けて欲しい。
忘れてなければアニメ化後に表現箇所を主題歌に差し替えます。それまではニコニコに挙がってる「おまえら外道節」を流しておいてください。神曲。
Q.なんでノーツ叩くの間に合わないの?開発中に気付かないの?
A.攻撃をする前後の動きを計算に入れてなかった。2D発勁おじさんは社長の肝要りということでテストプレイされていたが最速で近づいてノーモーションで寸勁を繰り出すことが特徴の為他キャラの時間調整に活かされなかった模様。
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沈む夜に赤の花束を
「おっちゃん!こしょたん出来た?」
「こしょ……た……?あぁ、湖沼の短剣か。出来てるぜ、ほら」
「さっすがー!ありがとね!」
こしょうのたんけんなのでこしょたんである。異論は認める。RPG特有の何も持ってない手を動かしてこちらに渡したような描写を挟んでインベントリに直接入ったこしょたんを確認する。
・湖沼の短剣
澱めど輝きの欠片を見せる短剣。
沼荒野の良質な鉱石から作られたそれは戦士の長き友となるであろう。
この剣に輝きを宿せるかは使い手次第。
クリティカル攻撃に成功時、一定時間耐久値の減少が半分になる。
「良い仕事だねぇおっちゃん!」
「喜んでくれたようで何よりだ。またなんかあれば来てくれよな」
これから使い続けるという一点においてこれ以上に有用な武器はこの序盤には無いだろう。つい先ほど師匠からもらった情報にも書かれていたのでわかっていたことではあるが、これは想定以上だ。
師匠からもらった話ではこのゲームに自力で耐久値を回復する手段は無いとのことなのでこれから武器を取り扱って行くにあたっては明確な指標を立てた方が未知のユニークに出会いやすいとのこと。既に不可能だが武器を一つも壊さずにある町に辿り着くことで発生するユニークもあるとか。せっかくシャンフロをするならユニークを発見して新規さんに出会うきっかけになりたい。欲望。
そんなわけでひとまずは「同じ武器を適切な場面で使い続ける」ことを指標としてやっていこうと思う。
さて、新しい武器を手に入れた時にまずするべきことがある。
試し切りだ。
さてやってきました四駆八駆の沼荒野。……の外れ。沼地だと上手く動けないので比較的ぬかるんでいない場所まで移動した。周囲は既に暗くなっており、昼には上空を旋回していた鳥も、夜になり地上に降りている。そして何よりも大きい違いがこいつらだ。
「グギャガギャゴ!」
「ゴブリン、それもレッドキャップゴブリン、ね……」
シャンフロの
「はぁっ!」
「ギャガッ!?」
スキルの動きを再現して動いているだけなのでなんとか対処が出来る。ゲーム的にはスキル頼りのプレイヤーを選別するための敵なのだろうが……
「「「ギャギャグギャギャ!」」」
「群れでその動きをするのはちょーっとズルじゃないですか……?」
こいつら、仲間を呼んで複数体で叩いてくるのだ。そのため回避のためのスキルが使えないまま対応する必要がある。とはいっても攻撃そのものは単調なので対応は出来る。時間がかかりそうだな、そう思った瞬間
夜が落ちてくる香りがした
無意識に体が動く。赤帽子が意識から消える。こいつらじゃない。左手の湖沼の短剣を構え直す。右手は少しだけ前に出す。今迫っている死から生きる為の最適解。コンマ数秒のカウントダウンが始まり、口からは詠唱がこぼれ出す。
3 2 1
「ジャストパリィ…っ!」
現れたそれに向けて武器を押し出す。圧倒的な質量の闇が視界を塞ぎ、相応のダメージが入ろうとしていたが、わたし自身をスキルの補正を含めてその場から
慌てて
改めて正面を見定める。視界の端に映る吹き飛んだ
夜の闇よりも黒い漆黒の毛並みに黒い牙。その体の中で際立つ真っ赤な口腔と黄色い眼がまるで狼の形をした暗闇の中に口と目だけがあるようにも錯覚させられる。
斎賀さんからも、師匠からも聞いた、夜の闇と共に現れるそのモンスターの名前は
『ユニークモンスター「夜襲のリュカオーン」に遭遇しました。』
「いや確かにユニーク発見したいとは言ったけどさぁ……」
3話くらい先の話と12話くらい先の話だけ出来てます。なんで?
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常闇に輝く原点S
こういうときに感謝とか喜びとか驚きよりも恐怖の感情が先に出る事を知ったので初投稿です
さて、ここで私が今使える手札を確認しよう。
回復薬数個、リキャスト待ちの回避用スキル、初期装備の傭兵の片刃、
「無理ゲーくさいけど敗北イベントとかほぼ無いらしいんだよねシャンフロ……」
『ひえ』『いけんのこれ』『序盤の敵じゃなくない?』『クソゲーの気配がしてきた』『こわ』『えぇ……』『勝てる?』『こわ』『黒いな』『くろわんこ』『かわいい』『ひえ』
せめて復活アイテムがあれば多少はマシだったのだろうがめちゃくちゃ高かった上に個数も限定されていた。恐らくプレイヤーに頒布する予定は全く無いかMMO的にストーリーがそこまで進んでいないかのどちらかだろう。サービス開始からまだ一年らしいし後者の可能性もあるかもね。
「とりあえず
左手に
自分に出来る最高速で包丁を振り上げ爪を弾いた
「前段階あってないようなもんじゃんこれ!?」
動きから攻撃に入るまでの速度が速すぎて対応が追い付かない。スキル補正無しで弾いた左手にしびれが走り、ダメージが入っていることを嫌でも理解させられる。守りに入るだけだとただダメージを重ねるだけだと判断し、包丁を右手に持ち替えてリュカオーンに接近、横っ面を叩く。
「……硬っ!?」
まるで毛の一本一本がヒヒイロカネの鎧を連ねているかのように硬い。クリティカルの表示が出ているのにも関わらずダメージが本体に届いている感覚が一切無い。今のレベルは兎狩りの影響で19まで上がっているが、恐らく適正レベルで言うなら今のレベル上限の99よりも上だろう。未だ一体も討伐されていないという事実がそれを裏付けている。
なら顔以外ならどうか、そう思い別の箇所を狙うも怯む様子はない。その代わりといってはなんだが少しづつ攻撃速度が上がっている気がする。おもちゃを見つけた猫か何かか?……猫の面をつけているのは私なのだが。
徐々に加速していく攻撃を回避し、弾きながらこちらも攻撃を重ねる。明らかに攻撃の幅が広がったリュカオーンに対してこちらは初日の
「まずっ」
攻防の間に場所を移動した関係で泥に脚を取られる。弾幕ゲーでスキマが無いくぼみに入ってしまった時のような、速度がMAXの落ち物パズルゲーで一手ミスをしてしまった時のような、あの無限にして一瞬の感覚が訪れ、リュカオーンの前足が私の体を捕え
「剣 神 断 覇」
白銀が夜を裂いた
「間に……合った……っ!!!!」
凛とした声とともにそこに立っていたのはどこか見覚えのある白い鎧の騎士。
「大丈夫……ですか?加勢、します……っ!」
明らかに私よりもレベルの高い防具を身にまとっている彼、あるいは彼女はこちらを一度確認してからリュカオーンに相対する。
送られてきたパーティー申請によると「サイガー0」というらしいその騎士の背中を確認してまずは回復薬を飲み干す。
直後、
ほぼ無い(無いとは言ってない)
Q.なんでわからないの?
A.ゲーム中にリアルフレンドが助けに来るという発想がそもそも無い。あと「ゼロチャンネル」名義で普通に雑談してる配信を観たのが最後なのでハンドルネームが「サイガー0」だということを覚えていないらしい。
改めまして、少なくない人数にお気に入り登録をしていただいたので自己紹介をさせて頂きます。Twitterにてシャンフロの強火オタクをしている朝シャンbotという手動botの別名義の岩木伊吹と申します。これまでは「Twitter経由の人間が9割9分やろ笑」の気持ちで投稿しておりましたが、これからは不特定多数が見ているんだぞ<◎><◎>の気持ちを再認識して、不要な部分はしっかりとユザパり、その上でエタら無いよう努力して参りますので宜しくお願い致します。
今日は本編更新が無かった分の更新なので明日通常更新あります。
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初見殺しの対策は心の余裕
一人暮らし用の、一室。一人の男が画面を眺めながら安酒を煽っていた。
「はぁ?こいついきなり何やらかしてんだ本当に……」
画面の中に写し出されるのは猫面の少女と巨大な漆黒の狼。彼にとってはどちらも馴染みのある存在である……彼女らにとってどうかはわからないが。
「サイガー0まで出てくるとか、こりゃクソガキ……元リーダーも口挟んで行きそうだな。まぁ鉛筆の野郎が適当に抑えるか、場合によっちゃそのまま爆発させるかもな」
「『弱小myutuberとその囲い程度潰してしまえ』くらい言っちまいそうな感じはあるが……クク、あの『
「こりゃ俺も本腰入れて情報集めるしかねぇか。とっとと追い付いて来いよ、
飲み干したカップ酒が片手でぐしゃりと潰される。歓喜に満ちた彼の目の中からは、獣のような狂気が溢れだそうとしていた。
夜が、満ちていく
「キツくないこれぇ!?」
黒い狼……リュカオーンのかぎ爪を再び弾きながら悲鳴を上げる。サイガー0と名乗る不審騎士が合流して多少ヘイト分散はしたものの、火力も耐久もリソースも足りていない。もう1人いればパーティー申請を確認する時間もあっただろうが、そもそもこれが初めての集団戦闘で勝手がわからない状態で今動かしているカメラに加えて新システムの理解に気を向ける余裕は無い。というかカメラの余裕も無くなってきたのでカメラは今自動にした。
右、左、なぎ払って左、リュカオーンの攻撃は苛烈さを増し、私は変わらず防戦を強いられる。正直なところ犬としての動きを越えていないからまだ対応できているが、あの騎士が来てからリュカオーンも「もう面倒だから遊ぶのやめようかな……」みたいな空気感になってきている。もっと余裕かましてくれないか?その間にぶっ倒すからさぁ!
「サイガー0さぁん!!」
「はいっ!?なんでしょうか!」
「こいつの攻略の手段なんか知ってる?」
「それがわかってたら姉もあれほどまで拗れていないと思います……っ!」
姉が誰かはわからないが多分私よりも進んでいるであろう彼……彼女?が言うなら私が知る余地もない。素直に突撃を再開しようかと思いリュカオーンに脚を向け一飛びした瞬間、夜に包まれたその目が薄笑いを浮かべ、遠吠えが周囲に響き、動けなくなった私は食われて叩きつけられたあと、お手をされて死んだ。
は?
『「リュカオーンの
「いや悪いことしちゃったなぁ……」
『しゃーない』『サイガー0配信付けてなくて草』『お互い配信者ってことで』『あっけなさ過ぎて草』『初見殺し』『リュカオーンの配信を観に来たらもう終わってて草』『草』『草』『しゃーなし』『咆哮を映像に残したの初じゃない?』『あんな行動するんだ』『わんこかわいかった』
リスポーンして目覚めたのはセカンディルの宿屋。胴の防具が消えていることとか気になることはいくつかあるが、一先ずサイガー0さんに謝罪の
「……またシステムを理解したころに一緒に遊ばせてください、っと。こんなところかな」
フクロウが飛んでいくのを確認したあと、改めて今の状況を確かめる。
アバターとして存在している私は上半身が以前の蛮族スタイルで、謎の刻印が胴から顔にかけて大きく刻まれている。多分これがリスポーン前に聞いたアナウンスにあった呪いとやらだろう。
防具欄を開き、説明を読む。
・リュカオーンの
夜襲のリュカオーンは強敵をこそ好む。そこに善悪賢愚は考慮されず、ただ己の存在を示した者にリュカオーンは自身の呪いを刻みつける。
それは己の獲物であるという徴であり、傷跡の呪いより発せられる黒狼の気配は半端な存在に大いなる力の残滓を示す。
呪いは、黒狼を超える力にて解呪するか、黒狼を打倒する他に解く術なし。
「リュカオーンの呪いが付与された部位は装備品を装備することができません。」
「リュカオーンの呪いを持つキャラ以下のレベルのモンスターはキャラから逃亡します。」
「リュカオーンの呪いを持つキャラは他の呪いに対して強い抵抗を得ます。」
「リュカオーンの呪いを持つキャラはNPCとの会話で補正がかかります。」
「センサーが反応してるんだけど本当に神ゲーかなこれ……?」
クソゲーをやっているとき特有のワクワクを感じてしまったこの神ゲーが本当に全ての面で神ゲーであるか、という点に少しだけ疑問に思いながらも、明日も学校なので配信をしめて一旦寝ることにした。
狼さんが沼広野に出るかもしれないからこれから向かうと聞いていた鎧さん「姉さんたちが来るまで保ちそうにないんでもう少し待ってくれませんか?」
既に遊びに飽きている狼さん「ダメです(わおーん)」
というわけでリュカ刻印です。彼は胴と足でしたが、彼女は頭と胴です。顔隠せないねぇ……
次回は学校です。投稿は他の進捗次第。9/1にはいつも通り出します。
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一日一回驚くと寿命が延びるらしい
「……ってことがあったんだよ厚木ちゃん!」
「そう、良かったわね陽務さん」
昨日は中々ハードな夜だった。初日からクライマックスすぎて配信終了後もしばらく呆けていたが、寝て起きたらすぐ学校である。エゴサをする時間もなく、感想は帰ってから呟くという旨だけを呟いてから食パンをかじり校舎に向かう。配信者的には厳しい日程であるが、これも社会の試練だと思い返して見た目だけは真面目に授業を受ける。
そんなこんなでやってきた昼休み、私はサンドイッチを片手に隣の厚木さんと話している。年中冬の制服を着ている名に体質を乗っ取られた彼女だが、ネットには強いらしくたまに私の配信の反応について一歩離れたところからアドバイスしてくれる。自分の界隈から離れたところの評価なんて中々見れないし、見たとしても強い言葉のことが多いから掘削が控えめになりがちなので正直助かっている。
「いやーそれにしてもちゃんと神ゲーしてたねシャンフロ。七つの最強種とやらはクソゲーの気配感じてワクワクしたけどそれ以外のクオリティがすさまじかったね~今VRアスレチックやったら最高記録でそうかも。にしても最後に来てくれた騎士さんには悪いことしたなぁ。ちゃんと帰れたかな?」
「帰れたんじゃない?調べてないからわからないけど」
これくらい一方的に喋ってもスマホを片手にほどほどに聞いてくれるから厚木さんといるのは楽だ。全部聞き返されるとペースが乱れるのでほんの少し困る。そしてそれはお互いわかっているのでこれくらいの比率で喋り続ける。配信のコメント反応もこれくらいだしね。なんなら昨日は存在しないコメントに反応してたし「あの、陽務さん、厚木さん」……んにゃ?
そこにいたのは斎賀玲さんだ。お弁当の包みを持って所在なさげにこちらを見ている。
「お、斎賀さんじゃん、座りなよ。今日得間ちゃんは?」
「あ、えっと……今日食堂らしくて。昨日Rainしてくれたみたいなんだけどわたしが見忘れてて、それで……」
「斎賀さんが見忘れるなんて珍しいねー。昨日配信でもしてたの?」
「いえ、あの、えっと、その……」
そういえば斎賀さんにシャンフロの感想を言えていない。せっかく資料を送ってくれたのだ。シャンフロに誘ってくれたのはあの人だが、奴よりも先に忙しい時間を縫って教えてくれた彼女に感謝をしなければ。
「そうそう斎賀さん、一昨日教えてもらったシャンフロなんだけどめっちゃ面白かったよ!でも7つの奴のリュカオーンってのにエンカしていきなり頭と胴に刻印を付けられたのは流石にクソゲーって感じかも?」
「あっそれは良かったで……頭と胴って言いました?」
「え?うん。上半身の装備付けられなくなっちゃった」
何事も無さげに返すと斎賀さんは何か言いたげな、そして悩みの種が増えたようなよくわからない顔をして頬を赤らめながら困惑した目でこちらを見ていた。どんな感情?
「あー……と、その、リュカオーンの刻印そのものを付けられるプレイヤー自体は多い……です。うちのギルドでも付けられた経験のあるプレイヤーはいました。ただ二ヶ所って話は聞いたことが無いんですよね」
「あ、そうなんだ?」
指に付いたパンくずを舐めながら斎賀さんの話を聞く。やっぱりシャンフロの話をしている彼女はいつもより落ち着いて話が出来ているように思える。
「ミッ……あ、はい。そうなんです。なのでサン……陽務さんがどんなフラグを踏んだかはわかりませんが、リュカオーンに気に入られるような行動であったのは間違いないかと思います」
「気に入られる行動、ねぇ……?」
「正直な所、刻印についてはうちのギルドのコネを使って解除することも考えたのですが、多分……陽務さんは余りそういうツテを使うのが好きではないと思いますし、なんなら陽務さんが初めて踏んだユニークの可能性もあるので、ゆっくり判断した方が良い、かと……」
なるほどなぁ。いつ見かけてもシャンフロ配信をしている斎賀さんが言うなら間違いは無いんだろう。当然秘匿されている可能性もあるだろうが、私が配信で映した以上似たような事をするプレイヤーも増えると思われる。
「だとしたらあの騎士の人には悪いことしちゃったかなぁ。クエストも出なかったし、パーティー申請に手間取ったせいで回復とか出来なかったし、先にキルされたせいで大分負担だったろうしで私だけ得しちゃったかも」
「ア、イエ、多分……ウレシカッタのでは、無いですか、ネ……?」
「?」
どういうことだろうか。まさかあの高レベルプレイヤーと思われる騎士の人が私のファンということも無いだろうし……
「いや、流石に無理があるでしょ斎賀さん……」
謎の緊張を破ったのはスマホを弄っていた厚木ちゃんだった。無理?どういうことか聞くために顔を向けるとスマホの画面を見せてくれた。何々?
「『サイガー0サンラクの配信にいて草』『なんでサイガー0がセカンディルにいるんですか(困惑)』『サイガー0、黒狼メンツより先に野良の配信者と一緒に配信外でリュカとエンカして倒されてるのおもろすぎる』……有名人だったのあの騎士さん?」
「まぁ有名人ではあるわね……サイガー0。有名クラン『黒狼《ヴォルフシュバルツ》』のサブリーダーで、配信を通じた広報を担当している。端的な報告書のような配信であるが、その分非常に分かりやすくまとめてあるのが特徴。装備が強すぎるせいで配信中(というより戦闘中)にヘルムを外すことは無いが、姉に負けずとも劣らない銀髪碧眼の美人アバターを使っている、らしいけど?」
厚木ちゃんが詳しく話をする度に斎賀さんの顔色が不明な感情に包まれていく。もしかして……
「
「はいぃ……」
スタミナ空っぽの状態で追加の回避をNPCにさせた時に絞り出されたような声が、
楽羽ちゃんの距離詰めRTA、はーじまーるよー。まずは玲さんの情緒を破壊します。この時恥じらったり控えめにすると友人ではなく限界オタクが産まれるので注意しましょう(三敗)
次回は破壊から。
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【シャングリラ・フロンティア】これが神ゲー一日目の質量ちゃんですか【サンラク】
コラボ相手:ゼロちゃんねる:サイガー0さん
0ちゃん視点:nllqz//vvv.myutube.com/watch?v=9XuecAVgIgE
「というわけで始めていきましょうシャンフロ二日目!いやぁリュカオーンは強敵でしたね」
『わこつ』『こんフロ~』『お前のような一日目があってたまるか』『わこつ』『コラボで草』『ちゃんと教えてもらえ』『わこつ』『初見です』『こんフロ』『コラボマジ?』『恥女スタート助かる』『恥じらいを持て』『わこ』『0様から』『初見』『草』
「正直二回目無理にやるつもり無かったんですけどワンコロにこんな挑発されてやめまーすは配信の流儀に反するので続きやっていきます。そのうえで多分長期シリーズになることを見越して今日は先生に来てもらいました!」
「先生は……ちょっと言い過ぎじゃないですかね……?サン……ラクちゃん」
配信モード解けかけてるよれいちゃん!?前雑談配信してたときもっとビシッとズバッとクーラーな感じだったじゃん!
「というわけで私サンラクにシャンフロ配信のイロハを教えてくれた大先輩、0ちゃんことサイガー0先生に来て頂きました拍手!」
「えと……はい、皆さんこんにちは。0ちゃんねるのサイガー0です。正直このままわたしなんかが介入せずにみている方が面白いというか楽しみではあるのですが、サンラクさんたっての希望で残念ながらシャンフロのことを教えることになりました。せ…先生とか、先輩とか言われていますが配信という全体でみるとわたしの方が学ぶことが多いと思いますので胸を借り……借り!?いえ、借りるつもりで配信のお供をさせて頂きます」
『緊張してない?』『オタク特有の早口か?』『草』『?』『指先ぐるぐるしててかわいいな』『かわいい』
フルフェイスで見えてないけど今頭装備取ったら目もいつもみたいにぐるぐるしてるんだろうな……配信の場だからなんとか耐えてるみたいだから話す時は画角からはなるべく外さないでおこうかな。あと休憩も早めに入れよう。私がいないプライベート空間でロールプレイ入れ直す時間が必要かもだからね。
「はい!ありがとうね0ちゃん先輩♪「コヒュ」というわけでシャンフロのトップクラン黒狼のサブマスターのサイガー0さんに忙しい時間を縫って来て頂きました!ここで皆さん気になっているかもしれませんがなんでこんなクソゲーマーが0ちゃんみたいなトッププレイヤーと知り合いなのかと言うと、実は
「は……い。恐れ多くも……?週一くらいで、お話をさせて頂いております……」
「とまぁこんな感じで対面で話してる時はすっごい緊張されちゃうんだけど普段の配信ではもっとビシッとしてるから、0ちゃんねるをご視聴の皆さんはいつもと違う0ちゃんを楽しんで欲しいし、うちのリスナーは全アーカイブ見てシャンフロの知識を付けてから指示厨しろよなー?いやそもそも指示厨するなって話ではあるけどね?」
ここで以前から増えた視聴者に一応釘を刺しておく。このタイミングで増えたのは恐らくシャンフロそのものが好きな方か、れいちゃんのリスナーだ。れいちゃんのリスナーは私のリスナーと層は違うだろうから、反応によってはそもそも表のコラボ回数を減らして裏で遊べば良い。彼女が配信を続けていれば彼らは満足するだろうからね。でもシャンフロそのものが好きな方は違う。彼らは新しい情報か、面白い行動を求めて様々な配信をさすらっている。その上で「今日は積極的に新しい情報を出すつもりは無いよ」と先に暗に示しておくことで期待を下回る結果にならないようにして、数回の面白い行動で期待を上回る。そして浮遊客を固定客に出来れば、私とれいちゃんのリスナーが誕生するってわけだ。
「ありがとう……ございます。それにわたしが出した動画はサンラクさん用ではないので、それを元にサンラクさんに話をするのもやめてくださいね」
「あれ、そうなんだ?結構テンプレに沿った行動してたと思ってたんだけど」
「……テンプレはチュートリアルを飛ばしていきなり二番目の町まで行かないと……思います。
「すきる……がーでなー……?」
「スキルの連結……あるいは合成という言い方が正しいでしょうか。それを行ってより強力なスキルに変化させることが出来る設備の事です。あとはスキルそのものも販売していますね」
「めちゃくちゃ重要じゃん!?」
「はい。なのでそういったネタバレにならないけどこのゲームを全力で遊ぶ為に必要な要素をかいつまみながらサードレマまで向かうのが今日の目標になりますね」
「ありがてぇ……」
そんな流れから、私とれいちゃんのセカンディル散策は始まったのであった。
~あのあと学校にて~
「昨日のあれ斎賀さんだったんだね!」
「あ、はぃ……」
「ありがとう!あの乱入が無かったら昨日の配信中途半端な感じで終わっちゃう感じだったと思うし助かったよ」
「いや、それは……」
「あ、そういえば一昨日通話したとき一緒に遊ぼうって話してたの覚えてる?良かったらコラボしつつうちのリスナーにシャンフロの話をして欲しいんだけどダメかな?」
「ぴぇ、はい、良いです、よ……?」
「良かったぁ、私も友人に聞いたって形でちょくちょく話してたんだけどやっぱり有識者の方が分かりやすくてさぁ。そうだ!呼び方どうしよう?
「リャイビ」
「れいちゃん、れいちゃん、れいちゃん……うん!しっくり来る!これから宜しくね、れいちゃん!」
「……ぴゃい」
「ところで今日の夜なんだけど……」
「…………()」
楽郎はパッケージ版への拘りがありますが楽羽は無い設定にしています。オリジナルクソゲーを出したいので 趣味人としてゲームの
ここから先、
Q.なんでサンラクこんなこと知ってるの?
には全て
A.れいちゃんから聞いた
で脳内解決させておいて下さい
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強化には痛みを伴うし弱化はそれ自体が痛み
配信は和やかな雰囲気で続いていた。
「……という感じでここ
「コマンドゲーなら近いうちに結論構成が出来る奴じゃん……」
『また別ゲーの話してる……』『大丈夫?運要素絡んでない?』『草』『脳のカートリッジ変えろ』『80%を10回引けば勝てるゲームの話してる?』『草』『草』『1%……必殺……』『ガブガルゲンバシャケボルトスイクン?』『バイキルトスタンか?』『バスター殴り楽しいなぁ!?』『2Dゲームでハメ技されてそう』『古代ゲーマーわらわらで草』『テーブルゲームか何か?』
先ほどから時は進み、今私たちがいるのはセカンディルの
「シャンフロは実際に体を動かす分スキルでの行動補正が良くも悪くも大きく働くので、補正が少なく、簡単にマニュアル起動が出来るシンプルな自然所得特技を長く使い続けるのも良いかと思います」
れいちゃんが妙に機械的な説明をしているのを片手に、ベールを纏った女性が店主を勤める
「とはいっても、今は弾いて被弾を避けるのが最優先……っと。じゃあこの組み合わせで!」
「おや、決まったかい呪い付きのお嬢ちゃん。じゃあこれを飲みな。一気にだよ」
そう言われ渡されたのは一杯の湯飲み。中身は……うわぁ。
『うわ』『ヘドロ?』『底なし沼(一杯)』『うへ』『やだなぁ』『くさそう』『薬草がゆ?』『濃すぎる緑茶じゃん』『一面のクソミドリ』『うわぁ』『なんか覗いてね?』『これまじでゴミ』『シャンフロのクソ要素:無駄なリアリティ』『ドロッとしてる』『抹茶スムージー』
どうやら複数種類の薬草のようなものを混ぜ合わせて煎じたもののようだが……見た目は苔の生えた泥沼の水って感じだ。量が少ないのは救いだが、もう少しましな見た目にできなかったのだろうか?
「これもう少しましな見た目の店無いのかな0ちゃん?」
「……そして同じスキルを使い続けることでも進化をすることがあり……ぴえ!?は、はい!こちらの最後にスキルを固定するために接種する方法はそれぞれの街で違うので見た目だけなら千差万別でございます!ですが個人的には一番摂取量が少なくてすむここがオススメでしゅ!」
「そ、そうなんだ……」
ええい、今までどれだけの毒を飲み干してきたと思ってるんだ!この間やったクソゲーだと効果が反転するせいで常にヘドロをすすってたしこんなの今更だろう!女は度胸!
「い、いただきます!」
意を決して湯飲みを煽る。
うぼぁ
抹茶味のローカロリーエナドリの味がした。
月2投稿維持いけるか……?
あと文の違和感が抜けないので後で直すと思います。
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蝋で溶けた感覚も、こびり付いた純情も
何が起こっているのだろうか
鎧騎士は隣で晴れやかに笑う猫面の少女をなるべく視界に入れないようにしながら複窓視聴で鍛えた並列思考で脳内を転げまわっていた。才能の無駄遣いである。
元々は中学生の頃の男子生徒の雑談で話題に挙がっていたのが始まりだった。
「ゲームで食ってくならもう配信とかしてないといけないのかなぁ」
「そりゃそうでしょ!俺小学生の配信者とか知ってるし」
「小学生マジ?設定とか無理だろ~親とかにやってもらってんのかな」
「あ、でも隣のクラスの陽務とかやってるらしいよ。前誰かに聞いた」
「陽務って……え、女子だろ?すごくねぇか流石に嘘だろ」
「いやマジだって。確かハンドルネームは……」
それまでは別のクラスで、話す機会も無かった陽務という彼女。ぷろげーまー?げーむはいしん?という職業が人気を得ているということは知識として知っていたが、彼女の友人や知り合いにそれを目指す者がいなかった為深く知る機会は無かった。
せっかくのタイミングなので見てみようかと思い、検索をかけてしまったのが彼女の沼の淵であった。
『なんやこのクソゲー!?!?!?』『これをこうして……こうでしょ!』『決まれよこれで!お互いストックもリソースも尽きたでしょうが!』『味がやばい……感覚全部吸われてる感覚がする……』『あ、でもこれ美味しい気がしてきた』『味リセットぉ!さぁここで決めます最後に苦みと渋みを取って……ぼえ!』『クソゲーなんて二度とやりません。次回は土曜日の夕方を予定しています』
春の日差しのように優しく、夏の太陽のように熱く、秋の斜陽のように鋭く、冬の光のように鋭い
それからのことは詳しく覚えていない。熱に押されるように配信にかぶりつき、似たゲームをプレイし挫折し、姉に誘われてシャンフロを始め、そのシステムを使って配信者となった。光を感じた植物が、少しでも光の元へ近づこうとするかのように。
いつかはコラボをしてみたいと夢想していたし、シャンフロに万が一入ってくれた時の為に資料を作ってはいたのだが……まだ少し、
食事の後味が長く響かないのはこのゲームの良い点だと思う。前やった食事系パズルゲームは重ねた味が対戦終了まで消えなかったからボス戦とか消す順番まで考えないといけなかったからね……
というわけで
「ここからは別の街に移りながらクエスト発生させてけば良い感じ?」
「そう……ですね。プレイヤーに依るとは思いますし、それぞれの街のコンテンツも多数ありますが、サンラクさんが『リュカオーンを倒す』ことを目標に一人旅を続けるのであれば移動できる場所を増やすのが一番だと思います。私が所属しているギルド『
「お、硬いお仕事が出来ないというディスかな?」
「ち、ちちち違いますよぉ!ただその……ノルマとかどうしてもあるので他のゲーム配信をするのが難しくてですね……」
「そりゃトップクランらしいし多少はあるよねぇ……」
机の上に体を預けてお茶の残りを啜る。うーん味の無色透明祭。
「ん?ってことは0ちゃんこんな場末の配信にいちゃダメじゃん!」
「あ、いえそのための時間は取ってますし、配信をする関係で結構裁量は任されてるのでなんとかなるんですよね。(実力で黙らせればいいだけですし)なのでまずは選択肢の幅を広げるために、セカンディルを超えてサードレマまで向かうのをオススメします。そこからは進む先が複数あるのでクエストと気分によってサンラクさんが決めて自由に進めます。もちろん戻ることも出来ますからね!」
「すっごいRPGっぽい……」
「あとこれは私としてはどちらでも良いのですが、ボス攻略をお手伝いするにあたって私がいたほうが良いかどうかという問題がありますね。私はもちろん攻略方法は知っているので、サンラクさんが初見をソロ、あるいは別パーティーでやりたいというのであれば一度離れて一人の視聴者に戻りますし、構わないなら是非ご一緒させて欲しい……です」
「あー……どうしようかなぁ……」
町案内とシステム紹介をしてもらうのは考えてたけど、そこから先は考えてなかったな……配信で忙しそうだから終わったら解散だと思ってたかも。反省。でもれいちゃんの言う通り初見でなんとかしてみたい気持ちもあるんだよなぁ~
「うーん……一回一人で挑んでくるよ!そのあとどうするかは場合によるけど……失敗しても成功してもすぐ連絡するから!なるべく粘る予定だから20分以上かかるようなら今日は解散でまた攻略考えるね!」
「そう、ですか……はい!わかりました!ではコメント欄で皆さんと一緒に応援してますね!」
『ようこそ』『悲しいなぁ』『流石にチートか』『最大火力に二番目に近いプレイヤーの補助、初心者には過剰すぎる』『0ちゃんねる:というわけでここからは一緒に観ましょうね』『本人で草』『コメント待ちきれなくて草』『はやい』『草』『草』『草』『遅延を隠せ』『草』『ええ……』『よ う こ そ』
そういうわけで一度れいちゃんと別れてボスに挑むことにした。
限界オタク感情:友人感情=6:3
くらいの感覚
……え?残りの1?ちょっとわからないですね
セカンディル→三番目の街のボスの描写をどうするか迷ってるので一応アンケートで確認取ります。よかったらワンポチ、ご協力ください
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不意の即死技は必中だし自分の選出予想は外れる
むくり。
セカンディルの宿屋で目を覚ます。
息を吸う。息を吐く。
静かな部屋の中で、感情を整理する。
心に残った気持ちを、今叫びたい言葉を掴み取る。
「無理でしょあれーーー!!!!!!」
『草』『草』『しゃーない』『草』『運営「パーティー作れや」』『草』『正規ルートがコミュ障殺しに来てる』『悲しいなぁ』『草』『草』『つれぇよ』『草』『移動不可きつくね』『泥の下は弾けないの痛すぎるな』
「もぐら叩きになるのは想定してたけど移動不可はちょっと専用のビルドにしないとソロだと無理かもなぁ……」
この顛末を説明するためには、少し前に戻る必要がある。
地図に従いエリアボスがいるであろうところまで移動している。セカンディルのボス、つまり沼荒野のヌシは
れいちゃんからボスの詰みポイントについての話をしてもよいかとのDMが来たが、そう簡単に詰みポイントが発生するようなゲームプランにしてないだろうし断ることにした(慢心ポイント+2)
ボスをみてから細かいことは考える(慢心ポイント+3)として、辿り着いたエリアボスの範囲を確認すると、やはり沼の中にボスはいるようである。他の箇所と同じく足を取られそうな大沼に足を踏み入れ、
沼が大きく揺れ、躰に振動が伝わってくる。楽しみという感情と、愉しいという心が重なり、自然と笑みが浮かんでくる。沼が膨れ上がり、真下からそれは現れた。
「シァァァァァァァァァッ!!」
「どんなデザインンンン!?」
鮫頭の
「シュラァァァ!」
「
先ずは相手の確認!レペルカウンターで半ば無理やり……クリティカル発動を成功させ、ノックバック効果を発動するスキルで距離を取る。
物理的な潜行ではなく、なんらかの不思議パワー(ゲームだからといえばそれまでだが)で地面に潜り込んでいるのか、私の太もも辺りまでしか沈み込まない沼の浅瀬まで弾いた
「サメは殴って解決!っとぉ!」
沼に足を取られ、まともに動かない体を動かし、こちらを食いちぎらんとする
「おーりゃりゃりゃりゃりゃあぁ!!」
噛みついてこようとした
おっちゃんから追加で買ったナイフを刺しながら、足場を増やしていく。安定していく足元に攻撃を繰り返し、沼の中の竜に自分を刻み込む。刺し、貫き、切り、叩き、壊せるように願い打った。
そうして時間を過ごしていた所、
「倒せた……わけじゃなっ!?」
広い沼全域が突如として震えだし、体がシステムじみた強制力によって縛り付けられその場から一歩も動けなくなる。
「これもしかしなくても発動した時点で確定で食らうタイプの特殊行動ぉ!!!」
次の瞬間、私の足元の感覚は途絶え、夕暮れの宙の逆バンジーに案内された。世界は丸かった。
アンケートめっちゃ楽しく観てるんですけど本編読んでない方はこれ読むの時間の無駄なので今すぐこれ閉じて本編読みにいってくれ
なろう版は登録不要の完全無料だし漫画版は画力で殴られて実質無料みたいなところあるから……
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困った時は元凶を巻き込めと古事記にも記されているらしい
世界の丸さを知ったところで出来ることが変わるわけでもなく、落下ダメージで体力が全壊して宿にリスポンしたわけだが。
「どうするかなぁ~」
現状打てる手段は大きく分けて3つ。野良パーティーを組む。れいちゃんを始めとした知り合いを喚ぶ。そしてレベルを上げる。なんにせよ土竜の下からの攻撃を耐えるか迎撃出来る何かが必要なわけだ。
昨日リュカオーンと戦った際の最後。私は食われて叩きつけられた
配信的にはコラボはメインコンテンツに成り得るから二番目の案を煮詰めていくとして、れいちゃんはトップクランだからフレンドもそれなりのレベルだろうし、師匠は縛りプレイは出来るだろうけど最後の部分で信用出来ない。初心者に付き合わせて視聴者的に面白くて罪悪感が無い手加減も出来る奴と言えば……あ、いるじゃん。私をシャンフロに誘ったそもそもの元凶が。
『セカンディル入口。10分以内』
『唐突すぎない?行けるけど』
外部ツールを開いてダイレクトメッセージを送った。れいちゃんにももう少し穏やかな文面を送った。これで三人集まることになるし文殊の知恵くらいなら出せるだろう。
とりあえず配信活動とシャンフロの先輩として五種類くらいは案を出してもらおうかな?
DMを送って三分ほど時間を潰してセカンディルの入口に。そこには直立不動で騎士の置物になっているれいちゃんがいた。早くない?
「あっ!サササンラクさん!すみません待たせてしまって!」
「うん、それ多分私が言うべきセリフだね」
こちらに体を向ける
あらためて見てみると「でかいなぁ……」
「ふぇっ!?」
『ド直球さん!?』『草』『セクハラで草』『炎サンラク炎』『もっとあるだろ』『でっっっ』『まずいですよ!』『草』『セクハラクさん!?』『f(^^;)』『失望しましたサイガー0のチャンネル登録します』『草』『草原メラメラで草』『草』『草』
「……?あ!いやちがくて!違うから!アバターの背が大きいって話!」
流石にクラスメイトとはいえ初コラボでハラスメントはまずい。一旦話を本筋に戻さなくては。
「ウウン!とにかく!
「あっ、ハイ。でももう一人が来ていないようですが進めてて良いのでしょうか?」
「しばらくしたら来ると思うから大丈夫……と、アレじゃないかな?」
街の入り口に歩いてくる、背中に二本の剣を背負った男性アバターを見つけ顔を向ける。
「
そう呼びかけると露骨に嫌そうな顔をして小走りでこちらに寄ってくるそのプレイヤーは、私に一昨日DMを送ってきた張本人であり、国内でも有名なプロゲーマー兼配信者。以前行われた
「お兄さんだサンラク。はぁ。というわけで皆さんこんにちは。カイ速特急チャンネルのカイソクです。最近シャンフロにドはまりしてノリでサンラクを誘ったら即決されてビビってました。今日はサンラクにアイテムを売りつけるか貸しを売りつけるかして今後の配信に活かせていければなぁと考えてます。よろしくねー」
「というわけでリビルドしすぎて器用貧乏に近づいてると噂のカイソクおじさんなら手加減できるかなぁという甘い期待の上で呼んじゃいました!大会呼ばれなくて暇そうだったのもあります!」
「暇じゃないが!?時間は空いてたけども!」
『プロゲーマーさん!?』『カイソクじゃん』『おじさんやっほー』『器用貧乏も否定しろ』『草』『馬でサンラクに負けてから配信頻度あがったおじさんじゃん』『草』『草』『苦労人おじさん』『おっちゃん』『カイソクシャンフロ以外もやれー』『草』
「というわけで!この3人で文殊の知恵を出せれば出します!多分縛りプレイみたいになるけどそこのところはサンラク個人のツテってことで批判は私だけにね!」
結論から言うと会議は踊ったし私は借りを買い取ることになった。どうして?
ポケモンやりたいので12/1の投稿楽しても良いですか?良いよあり
というわけで鏡面の鰹枠ことカイソクおじさんです。本編開始前に
ちなみにミラシャンのプロットにカイソクが出てきたのが2021年の11月とかなのでこの時にはまだおじさんのプライド(笑)回が更新される前でした。解釈一致だなぁと思いながら読んだ記憶があるしツイートしてた気もする。
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閑話:芸術の秋、古からの最新の文化
「バーチャル学園祭?」
それは、game∞の広報担当であるアヤさんからもらった連絡が最初だった。
「そう!学園祭。サンラクちゃんせっかく高校生で配信者なんだから、それを活かしてみるのもいいと思うのですよ!」
「いやでも私もれいちゃんも若さを活かした配信とかしてないしキャピキャピ(死語)を求めるならもっと別の配信者がいるんじゃない?」
「あやや、現役にしか出せない空気ってやっぱりあるのですよ……」
割と悲痛な声が通話ごしに聞こえてくる……何か若さにトラウマでもあるのだろうかアヤさん?まだ若かった記憶があるのだが。
「まぁアヤさんから来たイベントなら安全面は問題ないんだろうけど、バーチャルってことはVRサロンでやるの?どこの奴?」
VRサロン。それは没入型VRが開発される前から開発され続けている、アバターを用いてオンライン上の他者と体感でコミュニケーションを取れるソフトウェアの総称である。過去には立体視を利用していたらしく、当時の体感型VRゲームには操作性の面で怪しいクソゲーが多い。閑話休題。オンラインゲームほど複雑な行動を取る必要が無く、メインとなるのは感情表現と通話であるので発展がゲームよりも早かった没入型VRサロンは、その方向性から多様な発展を遂げている……らしい。らしいというのは私がそちらの界隈にあまり詳しくないからだ。バイバアルの話を聞く限り魚臣慧の掲示板が上澄みに感じる本当の魔境らしいので、少なくとも成人してからにしようとは思っている。
「フフフ…聞いて驚かないようにするですよ?今回はなんと、先行体験で"The 会議室β"を使用できるのですよ!」
「ざ、かいぎしつべーた……?」
「あ、聞き覚えない感じ……?」
私の脳内に無いということはクソゲーでも配信関係でも無いということだろう。アヤさんの説明を促す。
「オホン!"The 会議室β"とは、シンプルさと拡張性の高さから20代のシェア80%、学生でも48%のシェアを持つ"The 会議室α"の後継として発表され、あのシャンフロシステムとバベルシステムを搭載する初めてのVRサロンなのですよ!」
「VRサロンにシャンフロシステム、要るんですか……?」
「敬語ガチトーンやめて!年代の差を感じるのです!……動きやすさというのは結構大切なのですよ?普通の会議でもそうですし、あと"The 会議室"は若者が友人同士で集まってボードゲームをしたりするのにも使われてるのです。その幅が広がって、レトロゲームをインストールして一緒に遊んだり、バベルを使用して国外の友人と遊んだりもできると良いこと尽くめなのですよ」
「あ、けっこういいかも」
「さらにさらに!この"The 会議室β"では大手企業複数社と提携して現実の約100分の1のお値段で家具やその他実用品を購入可能!舞台装置の仮組や寝具の寝心地のお試しもできるのです!」
「正気????」
いやデータなのだから複製できるとはいえ、シャンフロシステムでそれができるならそれは実際に買うのと同じだろう。しかもそれがバベル込みで可能なら海外のものも気にせず買えるわけだ。社会人でない私でもわかる。これはヤバい奴だと。
「本来なら6人掛けの会議室程度の広さを使用できるVRサロンなのですが、今回は特別に有料コンテンツである10人掛け版、30人掛け版、そして体育館版を複数使用して現実と差異の無い、あるいは現実以上の学園祭を作り上げよう!というのが今回の概要なのですよ!あ、これ企画書のPDFです」
アヤさんから送られたPDFを開く。流石は国内最大級のゲーム関連メディアといったところか。参加者の数は1000人を超え、三日間常に放送が行われメインステージでは豪華ゲストを呼んだパフォーマンスも行われる。
「それで私は参加者の一人として放送すれば良いってこと?」
「いえ、もちろん参加者としても楽しんでもらいたいのですが、サンラクちゃんにはこちらのブースで出展して欲しいのですよ!」
「『(仮題)有名NPCも続々登場!シャンフロ喫茶スペース』……ユートピア社によく許可取れましたね?」
「そこはその……同期の歌姫狂いの広報担当が大立ち回りをしたらしく……」
アヤさんは遠い目をしている。game∞も大変なんだな。そんなことを考えながらも、私はPDFの概要に目を通すことにした。
から始まる合法学園祭編。シャンフロシステムを導入したことで兎も蛇も偶像もきっと来れる。多分このペースだと4年後くらいの導入部分ですがこの設定はフリー素材なのでシャ二次に自由に使ってください。ミラシャンでこの続きを見たいって方は……耐えろ。頑張れ。俺も頑張る。
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宝物は向こうからは歩いてこない
どうすれば
「スキル全使用縛り……かぁ……」
「使用できる回数は一回だけ、罰ゲームは過不足の数×10本の
「自爆系のスキルもまだ無かったはずですし、派手で角の無い縛りだと私も思います。サンラクさんが剪定したスキルの御披露目にもなります!」
「視聴者的にもそれくらいが良いだろ?計測班も楽しめそうだ」
『助かる』『計測は任せろーバリバリ』『ままえやろ』『うんうん』『おk』『うんうん』『了解』『とりあえずスキル一覧見せて?見せろ♪』『かしこ』『りょ』『助かる』『助かる』『草』
踊った会議で出た結論は「スキルを全て一度ずつ使って
「それであの突き上げ行動なんだけど……」
「うん、少し先のアイテムになるけどこれを使う。セカンディルでもたまに出回るらしいから問題は無いってのはさっき言った通り。とはいえオークションだと値段がはね上がるから貸しってことで」
「アッハイ」
沼が掘り返され画面を揺らす。鯉が滝を昇るかのように、その竜は大地を昇り私の前に姿を見せる。
「シァァァァァァァァァッ!!」
「まさか鳴き声のパターン1種類しかないとか言わないよねぇ!『アクセル』」
兎狩りで使い続けた結果Lv.4まで上がったSTRとAGIを一時的に上げるスキルを発動させ、距離を詰めて一閃。攻撃力を上げた一薙ぎを、速さを加えた二薙ぎへと変えて
「それでもっ!」
「並走する自動車だって動くだけの壁判定だろう!?『エッジクライム』」
反重力装置を使った立体レースゲームを頭の片隅に思い浮かべながら
『エッジクライム』の効果時間は結構長い。戦闘中に積極的に使うスキルではないことと、一瞬で効果が切れると登り切れないからだろう。だがその少し長い数秒が今回は大切だ。なぜならその数秒で
「二度目の突進までスキル圏内ぃ……っ!」
連続突進までスキルの効果が続く。それならスキルも一度で良いし、縛りも関係ない。回数に囚われないスキルの良い点である。悪用すべき点ともいうが、今回のは流石に想定内だろう。土竜の背を左手で掴み、右手の武器をしまい幸運を繰り出す。
「最初のお披露目、一旦ここで頼むよ!『ハンド・オブ・フォーチュン』!」
セカンディルの
「そのまま潜って確定行動!このパターンなら『ベストステップ』で地面から距離を取るっ」
不安定な場所でも
「ここでっ」
取り出したのは無骨な木の板。ただその用途は空を泳ぐこと。「
「シァァァァァァァァァッ!!」
「『レペルカウンター』」
「
「
一匹しか出ないモグラ叩きなら、やる方もやられる方も経験済みだ。引っ込むときよりも出始めに叩きこむ方が威力が高いのは世の常のようで。
「シァァァァァァァァァッ!?」
ポリゴンとなり、弾ける様子を、
あ、スパイラルエッジ忘れてた
本日12月16日にコミカライズ版シャングリラ・フロンティア11巻が発売です!該当話は深淵のクタおじさん序章とコミックオリジナルの「貴方はなんのためにゲームをしますか?」ペンシルゴンとカッツオの楽しみかた、生き方が活き活きとした表情で知れる最高の話なのでweb版のみの方も是非購入してください!せっかくならエキスパンションパスまで買ってしまうのも良いと思います。カードゲームそれしかやったことない鉛筆かわいいね……。このSSよりも面白いので投げ銭のつもりで気楽に購入しましょうね
スキル把握難しすぎて死って感じなので対策を考えます
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【シャソフロ】サンラクちゃんの奇行を眺めるスレPart5【始めました】
1:名無しの視聴者
こちらはクソゲー配信者「サンラク」さんの配信やツブヤイター、切り抜きを眺めながらコメントで打つほどでもない雑談をするスレです。
荒らし暴言はスルー、クソゲーかどうかの議論は別スレでお願いします。
前スレ↓
nllqz://nuo.5th.net/text/read.cgi/myutuber/5442687/03
サンラクさんの配信チャンネル↓
nllqz//vvv.myutube.com/c/Sunluckcat
21:名無しの視聴者
昨日は遅いからって配信終わったけどこれから無限兎狩り編始まるの楽しみすぎる
22:名無しの視聴者
シャやってないからわからんのだけど実際兎包丁のドロップ率ってどんなもんなん?
23:名無しの視聴者
卯滅の刃やめろ
24:名無しの視聴者
<<22 20匹狩ったら1本は落ちるくらいのイメージ。だから10本なら200匹くらい?昨日の発見速度なら1匹40秒の8000秒、2時間半あれば終わると思う。クソ運発動しなければ……
25:名無しの視聴者
あっ……
26:名無しの視聴者
これは徹夜コースですねぇ……
27:名無しの視聴者
ちゃんと終わるかもしれないだろ!上振れて1時間とかの可能性だって……ある……多分……メイビー……
28:名無しの視聴者
視聴者は音madを作りながら座して待つしかないのじゃ
29:名無しの視聴者
それ本当に座してる?
30:名無しの視聴者
音madニキは無理せず毎秒投稿しろ 素材は無限にあるんだから
31:名無しの視聴者
ぼちぼちか、コメント欄いつもより速くね?
32:名無しの視聴者
0カイソク効果で結構視聴者流れてきてるっぽい。昨日の続きみたいなもんだしな
33:名無しの視聴者
でもここは変わらずの様子、と
34:名無しの視聴者
コメント欄あるのにわざわざここに書き込んでる陰の者の時点で察するべきだろ
35:名無しの視聴者
急に刺すじゃん……
46:名無しの視聴者
始まったな こないだの森か?
47:名無しの視聴者
違う。サードレマの先にある方の森だな。少しだけレベル上がってるけど入口辺りは若干致命兎の出現率が高い。カイソク辺りにでも聞いたのか?
48:名無しの視聴者
誰に聞いたかはどうでもいいけど少しでも時間短くしようとしてる努力は理解した。なお
49:名無しの視聴者
なんでや!まだクソ運とは限らんやろ!
50:名無しの視聴者
俺知ってるよ。これそもそも兎がエンカウントしてくれない奴でしょ
51:名無しの視聴者
まさか桃じゃあるまいし……
52:名無しの視聴者
桃は配合は合ってるのに純粋に運無くて一週間近くかかってたからな……
53:名無しの視聴者
3日目にwiki編集班に連絡行って考察通話始まった話好き
54:名無しの視聴者
RTAのイベントで走行予定だった人があれ偶然見て申請取り下げた話好き
55:名無しの視聴者
ここ好きポイントがクソゲー脳すぎる
56:名無しの視聴者
お、1体目からドロップしてるじゃん
57:名無しの視聴者
これもしかしてTAコースか?
58:名無しの視聴者
順調で怖すぎる
59:名無しの視聴者
開始5分で二本目?マジ?
60:名無しの視聴者
なんかいたな今
61:名無しの視聴者
兎刈ってれば出るシナリオってあったっけ
62:名無しの視聴者
作業中にシナリオを出すの良くないよシャンフロくん
63:名無しの視聴者
山で兎を追うサンラク少女(蛮族スタイル)
64:名無しの視聴者
山中パルクール始まった?
65:名無しの視聴者
山の中だから追うのしんどそう
66:名無しの視聴者
止まった……というかなんか表記出て見れないんだけど!?
67:名無しの視聴者
「このシーンは現在配信できません」じゃないがシャンフロ!?
68:名無しの視聴者
おい見せろ!!!!!!!!!
69:名無しの視聴者
扉の先にあるもんちゃんと見せてくれ!!!!!
70:名無しの視聴者
始めてみたなこの表記 シャンフロって全部配信okじゃなかったのか
264:名無しの視聴者
再開した?
265:名無しの視聴者
した…けどなんだここ?森じゃないな。建物の中っぽい
266:名無しの視聴者
電波悪くてまだ見れん;;
267:名無しの視聴者
<<266 配信自体はずっと続いてるからちゃんとリロードしな?
268:名無しの視聴者
?
269:名無しの視聴者
兎めっちゃ喋るやん……
270:名無しの視聴者
こんな喋るもんなの?
271:名無しの視聴者
シャンフロやってるけど知らんわ
272:名無しの視聴者
シャンフロやってるから知ってる。これ蛇退治のシナリオじゃね?
273:名無しの視聴者
蛇退治って動物園のクランが動画で出してなかったっけ
274:名無しの視聴者
じゃあなんでサンラクちゃんは放送出来なかったんですか
275:名無しの視聴者
知らん……
276:名無しの視聴者
荒れそうな感じ?
277:名無しの視聴者
荒れるかも。放送してなかった、というか放送止められてたのが逆にユニーク隠しに見られる可能性がある
278:名無しの視聴者
本人の意思で止めてなくてもユニーク隠しになるんか……(困惑)
279:名無しの視聴者
クソゲーに戻ってこいサンラク。こっちは良いぞ
280:名無しの視聴者
良いのにクソとはこれいかに
281:名無しの視聴者
厄介な視聴者は……いなくはないけど少ないからなクソゲーの方が
282:名無しの視聴者
(視聴者の数が違うだけとも言う)
283:名無しの視聴者
(リスナーがちゃんと鍛えられてるからかもしれないだろ!)
284:名無しの視聴者
延びるためには初見の存在は必要だから排斥しないようにしような!(クソレースゲー配信で視聴者を弾き飛ばしながら)
285:名無しの視聴者
視聴者までパリィしなくてええんやで
286:名無しの視聴者
で兎なわけだが
287:名無しの視聴者
ここまでの話が無いから流石にわからんな。付いてくるってことなんだろうけど
288:名無しの視聴者
明らかにユニークだもんな
289:名無しの視聴者
これがユニークじゃなかったら怖すぎるだろシャンフロの兎界隈
290:名無しの視聴者
貴様の頭で餅つきじゃけぇ……
291:名無しの視聴者
†ライドオンサンラク†
292:名無しの視聴者
帽子作ろうぜ!お前毛皮な!
354:名無しの視聴者
残念だけどこれ10本耐久配信なんだよな
来年も宜しくお願い致します。良いお年を。
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【フィッシングフェスティバル】釣り尋問【サンラク・カイソク】
ピチョン。
投げ込んだウキが川面に飛び込み、浮き上がる。
無言の時間が過ぎ、水の流れる音が響く。
「配信始まった?」
「うん、始まったねぇ……」
引きが弱い。多分水の流れと葉っぱだな。
「すごいリラックスしてるところ悪いけどこれ尋問配信なんだよサンラク」
「いやまぁそれは知ってるんだけど私あれ悪くなくない?」
「うん、そこの説明からしないとリスナー何もわからないでしょ」
「そうかな……そうかも……」
お、かかった。やっぱりマルチだと微妙にヒット判定が広いんだねこのゲーム。基本ソロでのんびりやるだけだからわからなかった。
「それじゃあ最初から話そうか?私としてもそこははっきりさせておいた方が良さそうだしね」
そう、まずは昨日の配信の最初から話さないといけない……
サードレマからほど近い
「よっこいせぇ!」
その辺を歩いていたヴォーパルバニーの首を刈り取る。さっそく
「……ってん?なんかいたね今」
ふと視界の端に入ったのはヴォーパルバニーの耳。千紫万紅の樹海窟から離れるようにぴょこぴょこ揺れるそれは、見え隠れしながら移動している。
「様子を見ようか。まずは尾行します。巣があるならそこを突いた方が早いので」
木々の隙間、好き好んで通りたいとは思えない細い獣道を進むように追いかけると、視線の先で目が合った。顔を上げて、明らかに私だけを見てひょいひょいと手招きをして、そいつは走りだした。
「あっちょっと待て!!」
獣道を走り込み、木々のスキマを抜けて、倒木を飛び越えて追いかける。……時間制限付きの脱出ゲームやってたときこんな感じだったな。
新緑の暗がりを抜けて広間のような森のギャップが前方に見える。「そこで止まってくださいね……ってうわ!?」
広間に踏み入れようとした瞬間に前方のヴォーパルバニーは手を体の前に翳し、扉をくぐっていった。扉は兎と私の間を仕切り、静かに鎮座している。どうしようか一瞬迷った私の目の前に突如としてウィンドウが開かれる。
『ユニークシナリオ「兎の国からの招待」を開始しますか?』
「うっそでしょ!?」
大声を上げたあとに口を手で押さえ、辺りをさりげなく見回す。
ユニークシナリオ。
シャンフロが神ゲーたる所以であり、シャンフロの配信者が配信の個性とする一大要素。
出現条件不明、受諾条件不明、しかしてその恩恵は最大。
シャンフロは「世界の開拓」が大きなメインのストーリーであるが、それとは別に無数のサイドクエストが存在する。その中でもユニークシナリオは何処でいつどのように誰がフラグとなるのか全く明らかになっていない未知のシナリオである。
でも、ユニークシナリオをクリアする事で獲得できる装備、スキル、魔法……そう言ったものはどれも一級品の性能を誇り、ユニークシナリオを探すためだけのクランも存在するらしい。
師匠とおじさん、そしてれいちゃんから聞いた話を統合した感想だけど……絶対にここを逃すわけにはいかない。
「えーここで出てくるとは思っていませんでしたが、機会をもらったならやっていきたいと思います。今日の耐久配信は後日に回して一旦こちらに集中しますね。まぁ、手に入りそうなら狙っていきますが……」
「いやぁまっさかワシの足にもちゃんとついてこれるとは思わんかったけぇ驚いたわ!流石あの夜の王に挑むだけのことはあるなぁ猫の人!今ウチじゃああんたのことで持ち切りなんじゃ!あの爪を捌き切って致命の一撃を与え続けるその目と技量は伊達じゃないってことじゃな!オヤジ……あぁ、オカシラからも見どころ在りそうなら連れてこいたぁ言われてたがこりゃ兄貴や姉貴達より良い掘り出し物をしたかもしれんなぁ!」
めっちゃ喋る。流石に斬れないねこれ……
ダブリュア
設定考えてないらしいので自由にしてもいいと判断したごめんなさい
手杵(通称兎杵)を使う武闘派……ではなく杖として使用する魔法職。ディアレに憧れているが師事したことはない。ビィラックの工房で遊ぶことが多く、手杵もそこで見つけてもらったらしい。方言に関しては4割くらい筆者の地元の岡山に寄せることで手癖で書けるようにしてますので少々のミスに関しては許して欲しいなって
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干支の主役は我々だ
「にしても猫の人おめぇここ最近で急に出てきていきなり夜の王に挑んだらしいなぁ!いやはやほんとすごい話じゃわ。ワシはきょーだいの中では若いほうじゃけぇあれやめとけこれやめとけ言われるんじゃけどいやぁ改めて魂感じる一刀だったわ!ありゃあカシラが呼び出すのも当然のヴォーパル魂が込められてたと姉貴も言ってたし先にワシが話せてほんまうれしいわ」
先ほどから私の横で無限に喋っているこの兎、ダブリュアというらしいが非常にキラキラした目でこちらを見て話してくれる。王道のようなジャパニーズホワイトの毛並みに赤目、背中には月で餅突いてる時に使ってそうな杵。そして魔法使いのようなローブに袴という属性迷子を現実にしたような兎獣人(ケモ度3~4)が私のことを嬉しそうに話している様子はとても微笑ましい。視聴者のケモナーも大喜びだと思われる。個人的にスクショも撮っておくか……
「どうしたんじゃ猫の人?」
「いや、なんでもないよ。少し装備を確認してただけだから。あと猫の人じゃなくてサンラクって呼んでくれると嬉しいな。」
「おう!宜しくなぁサンラクさん。……っと着いたわ!」
和風ローブ兎のダブリュアに連れられて辿り着いた先にあったものは、所々に兎の意匠が施された純和風建築のおやしろ。ここまでの道のりでもヴォーパルバニーやその幼体が歩いていた様子もあったし、私がいまいる町は別ゲーで言うエルフの隠れ里みたいなものなんだろう。
「ここがオカシラたちの住む『兎御殿』じゃ!開拓者で入るのはワシの知る限りじゃとサンラクが初めてじゃからこっちとしても慣れとらん所もあるじゃろうが……まぁ兄貴達も姉貴達も良い奴ばっかじゃけぇ気楽に過ごしてくれると良いけぇのぉ」
……今こいつ初めてって言ったか??????
「ちち……オカシラ!例のヴォーパル魂のある人間サンを連れてきたけぇ!」
「おうダブリュアが連れてきたのか、ようやった」
兎御殿の名に相応しい和風な作りの通路を抜けた先、謁見の間にそれはいた。これこそがハーレムであると言わんばかりに雌兎を侍らせた、夜襲のリュカオーン程ではないにしろ相当の力を、殺気も無しに感じさせる一匹の兎。
他の兎と違い、プレイヤーと同じくらいの大きさでありながら、円らな瞳や全身を覆う白い毛並みはドスの効いたバリトンボイス*1と激しく噛み合わない……かと思いきや、片目を潰すように刻まれた傷跡や、手触りが悪そうなゴワゴワとした毛という要素で不思議と違和感なく威圧感と愛嬌を両立させている。
「
一応中世ファンタジー的な舞台のはずのシャンフロにおいて、あまりにも極道なボス兎……ヴァイスアッシュがにまりと笑みを浮かべる。おおう、草食動物のくせに下手な肉食動物より怖い顔してるねぇ。
「聞いたぜ、あのワンコロと殺り合って
あれおしっこ扱いなんだ……とヴォーパル魂ってなんだ……という感情が混ざり合って微妙な表情をしてしまう。これは認められている、というより期待をかけられている状態だろう。つまりこの後の回答で
「おめぇらはすぅぐ強くなってヴォーパル魂を無くしちまうのが気に食わなかったんだがよう、こうも将来有望な奴がいるなら俺直々に鍛えるのも一興と思ってな……っつーわけでどうだい?
「……なるほど、そいつは良い話だねぇ」
一度目を閉じ、前を見据える。これは特訓クエストの導入。何も無くても普通にクリアは出来る、だが回答次第で更に上のクリアも出来る。しかもこれはシャンフロだ。そこから繋がる
ここは彼の町。彼こそが王で、彼こそが強者。そして彼から教わるのなら、彼のことをこう呼ぶべきであろう。
「あぁ、こちらからも頼みたい。センセイ、アタシにその技を教えてくれやしませんか」
先に進み、生きる存在に、敬意を払わぬ理由などない。教わった技でアタシは道を拓くのだから。
assnbotの方のツイートで15日更新予定って書いてますがミスなので普通にこれからも16日投稿です
お気に入り登録者数が1000人を越えてしまいました。皆様本当にありがとうございます。プレッシャーに負けないよう頑張っていきますので、皆様もランキングに乗らない程度の評価と感想を宜しくお願い致します。
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秘匿ステータスの管理は大変
アタシが顔を向けると、
「センセイ……なぁ……」
影になっているせいで顔色は伺えない。まさか選択肢ミスった……?
「その言葉には少々思う所があるが、まぁ
一歩、二歩、音もなく近づいてきたセンセイが、どこからか取り出した剣の鞘でアタシの顎を引き、顔を近付ける。光を映さない眼が、アタシを鑑定するかのように観察している。
「よおし!良い目してるじゃねぇかおめぇさん。気に入った!」
セーーーーーフ!ミスと構えさせてからの大成功判定!クソゲー神ゲー限らずよくある描写だけどこれ本当にプレイヤーが喜ぶと思ってんのかなぁ!?
「気に入ったぜ!
「お、押忍!」
ロールプレイ的には多分正解だったんだろうけど妙に釈然としねぇ……
「ダブリュア!コイツに街のこと教えてやりな!せっかくここまで連れてきたんだ、おめぇが先に立ってやんな!」
「うす!ワシに任せてくれや!」
ダブリュアがルビーのような赤目をきらめかせて小さな手でアタシのズボンの端を掴む。
「それじゃあサンラクさん、うちの街を紹介するけぇ付いてきてくれなぁ」
「ああ、わかったよ」
そう答えて外に出ようとするアタシたちに
「あぁそうだダブリュア、外から来たならウチの祭りのこともちゃんと教えときな。修行付けるにせよその後だ」
「!ワシも参加してええんか!?」
「いや未だだ。サンラクと旅してもっと力付けたら考えてもいいけどなぁ。今はまだ早い」
「うす……」
テンションが下がって耳を垂らすダブリュアだが、その目は力への欲望に溢れていた。今悪魔の契約的なものを持ちかけたらすぐ堕ちそうでかわいいね
「あとおめぇさんも今回は祭り不参加だ。サンラク。外の面子もいるから戦力は足りてるからなぁ。ヴォーパル魂は大切だが、無謀はヴォーパル魂の無駄遣いってことだ」
ヴォーパル魂ってほんとうになんなんですかねぇ!?
「あとさっきからおめぇさんの周りを飛び回ってるそれ、ここの中ではまだ映らねぇから外の様子をしっかり映してやんな」
「嘘ぉ!!!!????」
「悪いとは思うが未だ早い。もっとヴォーパル魂鍛えて
「うう……」
ここ来てから結構経ってるからなぁ。どれくらい配信止まってるか記憶が正直怪しい。私はここからどうしようか頭を巡らせながら、ダブリュアに引かれた手に従って城下へと降りて行った。
この調子で進めてコミカライズ版に追いつけるのはいつになるんですかねぇ岩木さんさぁ!?
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出たウキは食われるまで沈まない
ウキが沈む。今の反応は波の都合で動いただけ。これで釣り上げるのは素人……カイソクおじさん引っかかってるなぁ……
「それでその兎御殿ってところから出たのは良いけど中々カメラが繋がってくれなくってさぁ」
「ツッコミどころ完全に見逃してるんだが想像の5倍はユニークしてたなサンラクちゃん!?」
おー叫ぶ叫ぶ。
「といっても語る所は兎御殿に行った事くらいじゃないのかなって思ってるよ私。この配信の前に軽く調べたんだけどラビッツへはツアーとやらで短期で行けるんでしょ?」
「『兎の国ツアー』は確かにあるけどね。少なくとも喋るヴォーパルバニーは初めて発見されたし、これでラビッツが新大陸側にあることが有力になったんだよ」
「新大陸?」
「そう。これまではゲーム内の噂程度に語られていた新大陸にいる亜人種。その一つが喋るヴォーパルバニーだとすると、今僕たちがいる大陸ではなく新大陸にラビッツが存在し、そこにワープゲートが繋がっていると考えるのが妥当なんじゃないかなって話が出てきたんだよ。実際こちらの大陸、仮に旧大陸とすると、旧大陸にはラビッツがありそうなスペースが無いし、
「あー考察の裏付けになったってこと?なら良かったけどそれだけ?」
未だいけない未発見エリアへのワープゲート代わりにダブリュア達がなる、と言うなら確かにオンラインゲームにおける人権、最近はドレスコードって言うんだっけ?まぁそれになるわけだ。ただ今回の案件だとラビッツの外に出られそうには無さそうだったし、今の私のレベル帯で新大陸とやらに出る事をセンセイが許すとも思えない。ヴォーパル魂とやらが何を基準にしているのかはわからないけど、無謀を許容するような基準では無さそうだし。
「僕の目線ではそれだけではあるね。そこに動物好きクランの欲望とか考察好きクランの羨望とか配信者の面倒とかが組み合わさってよくわからないことになりかけてるけど」
「うわぁ……」
うわぁ……
「これ私普通にシャンフロ続けてて大丈夫?なんか心配になってきたんだけど」
「普通は無理かも……とりあえず遅延は必須、サードレマから脱出するタイミングは考えておいた方がいいかもね。後で個別で相談しよう、流石に配信に載せる内容じゃない」
「脱出が必要なレベルだったかぁ~」
これ思ってたより厄介なプレイヤーが蔓延ってる感じだな?配信を辞める方が荒れるっていう嫌なタイプの状況に足突っ込んじゃったかもしれない。いやシャンフロはまだやりたいけどさ
「リスナーが聞きたいことはこれで大体聞けただろうし後はサンラクちゃんの配信待ちかなー。これ見てる皆は凸とかせずにのんびり待ってくださいね。この通り説明する気はあるので気長に待ってもらえると嬉しいです。僕も協力しますしね」
「んー了解!ありがとねカイソクおじさん。考えはだいぶ纏まってきたし後は裏で最低限の作戦会議かなぁ。初見リスナーの皆もありがとうございます。良かったらチャンネル登録とツブヤイターのフォローもよろしくね。おじさんからなんかある?」
「じゃあ一つだけ。明後日大型の案件コラボの告知があるからツブヤイター見てね」
あぁ、
「うらやましいなー。というわけでちゃんとツブヤイターの方は通知をオンにして待っておいてください!次回の配信は作戦会議してからツブヤイターにて告知をしますので、同じくオンにしてお待ちください!クソゲーに戻るかシャンフロするかも未定だけど、出来ればシャンフロを進めたいと思ってまーす」
水面が揺れる。集まっていた魚もゆっくりと離れていく。
「それでは今日のところはここまで!お疲れさまでした!」
「おつかれさまでした!」
蓋絵を出して配信を閉じる。配信で出していた微妙に燃え切らないやる気をしまいこんで、カイソクに話しかける。
「で、このまま普通に配信は厳しいらしいけどどう思うカイソクさん?」
「正直わからないよ。その辺りのバランス感覚は僕には必要なかった部分だからな。それこそ
「それは確かにそうかー」
「僕から言えるのは情報を出しながら後発組の再現が行われるのを待つのが一番良いだろうってこと。その過程で再生数は変な伸び方するだろうけど非公開にする方が逆効果だろうし」
「それもそうかーとりあえず師匠呼ぶね?」
「わかった。それにしても師匠はないだろあいつに」
「師匠は師匠だからね、少々性格が終わってても猫被りと世間受けの能力だけは日本一、場合によっては世界一まであるから教わるに越したことは無いからねー。教わることは多いよ」
「まぁそれも……そうか……」
その日は3人で釣りをしながら作戦会議に付き合ってもらって1日が終わった。私のダイレクトメッセージに、もっと大きなウキが浮かんでいることを知ることも無く。
朝シャンbotの文字消えと通常更新が重なった時ってどうするのが正解だったんですかね
まぁもう文字が消える事なんてないやろガハハ
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んC←何て呼んでる?
今日の配信開始は移動の後にしよう
師匠との通話で方針を決めた私は、翌日いつも以上の即帰宅をかまし、つぶやいたーで帰りが遅くなる旨と、ラビッツ探検をする!と書いたサムネを世界に伝え、シャンフロにログインする。
ログインした先は兎御殿の麓にあるラビッツの街、その一角。私はそこにあるあばら屋を現在拠点として借りている。
「おう、サンラクサン。戻ったんじゃな。今日ははいしん?とやらをするのか?」
「ただいまーダブリュア。今日は一旦TAしてから配信するつもりだよ」
「てぃーえー……とはなんじゃ?」
「タイムアタック、誰よりも速く、何よりも強い証明をすることだよ。私はね、今日中にエイドルトまで走り抜けるから」
「ほうエイドルト。……エイドルトぉ!?」
「初めて会う相手に一番欲しい情報をもらえたら、人間はそれだけで信用してしまう。相手が二番目と三番目を隠しているとはそもそも思わないわけだからね」とは師匠の話だ。少なくとも今回の騒動で私のことを始めて知った人はラビッツで何が出来るのかを私から一番欲しがっている。それ以上に欲しいであろうこのユニークを開始する方法については配信でノーカットで流しているわけだから、それを解析しているらしい考察クラン(ライブラリというらしい)と、プレイヤーメイドの新聞屋クランにその声は行く。というか行かせている。師匠の世論誘導力を甘く見てはいけないのだ。
DMに連絡をしてきた彼らの多くには「しばらくラビッツに滞在したいから今は直接会って話すことは出来ません。ラビッツに来たら質問には答えさせていただきますが、配信以上のことは無かったため考察クランの結論をお待ちください。宜しければ私にも考察結果を共有していただけると、リツイートなどでご協力できることもあるかもしれないので、またご連絡いただけると幸いです」といった内容で返している……とまぁそんなことはいいか。今は走ることの方が重要だからね。
「じゃあ早速ゲート開いてダブリュア。誰より早く合流する」
「いきなりじゃなサンラクサン……まぁええけぇ少しはまたれぇな」
ダブリュアが少し呆れたような顔をするが、今の私には関係ない。初見でも最速を狙い、再走の必要なんてぶち壊す。
さていこうか、ダブリュアがゲートを開け、まずは千紫万紅の樹海窟を最速でぶち抜く。途中で女王バチとカブトムシの喧嘩に巻き込まれそうになったけど無視して進む。あの蜜ぶつけたらカブトムシがどっかいったりしないのかな。
それはそうとしてボス戦に突入。まだ早い時間なので並んでいるプレイヤーは少なく、ここで飯テロをしても変わらないとしてすぐに挑めた。ボスの名はクラウンスパイダー。大木の上部に巣を張るボスだが、戻るタイミングでスキルを後頭部にぶつけてクラウンスパイダーを倒し切った時のダブリュアの微妙な顔が忘れられなかったな。
さぁこの後はフォスフォシエ、配信開始まで残りは、5時間。
2月、短い、この話はもっと短い
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大海の騎士、井の中の猫を知る
流石に短編でお茶濁させてくれ
「『配信終わったの確認したら合流するからのんびり釣りして待っててね』……っと」
いつの間にか仕事用の端末と同じくらい使うようになった
「たった二人だけで討伐に来たときはなんだと思ったけどねぇ、まさか配信者が二人も自作のプログラムで配信オンにして来るのは想定してなかったなぁ。でもあの経験で加工も編集も出来ない生配信の強さも、弱さもしれたのは収穫だったね!なにより可愛くて教えがいのある弟子が出来たし」
端末を布団に放り投げて、パソコンを開いて動画サイトを立ち上げる。通知は12件。どうでもいい配信者の通知を消して、本命を開く。まだチャンネル登録者数は少ないし、つぶやいたーのフォロワーなんて私の1分も無い、そんな彼女の配信は、それでも見せることに、魅せることに妥協されていない全力が込められたまっすぐな、楽しいという感情が伝わってくるモノであった。こんなまっすぐに歪んだ攻略を突き付けてくるのなら、まっすぐに負けてしまうのも良いかもな、なんて当時の私が一瞬思ってしまうほどに。そんなことをしてたら多分今頃彼女の師匠なんてものをしてなかったんだろうけど。
カメラが映す顔と、カメラに映る貌。レンズに反射する
「サンラクちゃんには結構期待してるんだよ?私くらい超えてってもらわないとインフルエンサーの先輩としては物足りないからね」
配信が終了の合図を告げる。1分も観ていない配信だけど、そこさえ確認できたなら最初のころは誤差みたいなものだ。どうしても気になるならアーカイブも残っている。口約束だけで次の仕事が決まっていくファッション界と比べたらずっと優しい、そして厳しいこの世界で輝こうと走る、そんな彼女の行く先に暗いものが待っているなら。
「ミスが残り続けるインターネット。この私が身バレのリスクを負ってまで赤の軍団動かしてプロパガンダ打ってるんだ。そうそうミスしたら許さないぜ馬鹿弟子」
VRゴーグルを付けて携帯の横に寝転がる。この身を捨てる瞬間だけは慣れないが、これこそがVRの醍醐味でもある。私に出来ないことを私がやる。これ以上に楽しいことがあるだろうか?
一瞬の輝きのために世界を暗くするのではなく、世界を輝かせることでその先を目指し続ける。きっとどんな世界でも変わらない、私の
さて、
文字が減っていけば近日中にもう一度更新あるのでそこまでに推敲しとくね……
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【シャングリラ・フロンティア】のんびりラビッツ観光【サンラク】
「みんな~みってる~?」
『わこつ』『みてるよー』『こんフロ』『ユニークの出し方教えろ』『こんフロ~』『伸びたね~』『こんフロ』『町楽しみ!』『ラビッツちゃんと観るの初めて』『おじゃまします~』『秘匿やめろカス』『わこつつつつ』『わこつ』『初見』『こんフロ~』『こんにちは』『こん』『わこつ』『初見!』『はじめまして』『楽しみ』『今日のクソゲーどこ……?ここ……?』『こんばんわ!』『初見』
「待機場所の人数倍になってて驚いてるけど普通に進めてくよ!とりあえず今日はラビッツの観光をしていきますね!」
前回からつぶやいたーのフォローは絶妙に伸びて、配信の宣伝の呟きを拡散してくれた初動も3倍くらい。実際に観てくれる人はそこから減るとして待機所はそれくらいだろう。
私も勘違いしていたのだが、ラビッツは国の名前であり街の名前である。下町にファンシーな家が立ち並び、中心に生えた巨木の上に和風の兎御殿が建っているのだが、これ日照権とか存在してるんだろうか?してないんだろうなぁ……王様があのセンセイだし……。
今日の配信タイトルにもしたけど今日の主役は私じゃなくてそんなラビッツ。これがクソゲーの町紹介ならNPCの挙動がバグってる所を見せるだけで話題も尽きないし楽しいんだけど、神ゲーとなると安易にからかって遊ぶ事も出来ない。そもそもバグってないから普通の町として楽しむことになるわけだ。普通の町って何をして楽しめばいいの?判定機械側が音痴なクソカラオケでもする?
「本当なら兎御殿の中を紹介できれば良かったんですけど、この兎御殿に続く木の中の道のこk」
【このシーンは現在配信できません】
「の部分からこんな風に配信ができたりできn」
【このシーンは現在配信できません】
「たりするんですよね。ちょっと知り合いに頼んでこの部分の検証してたから今日遅れたのはあr」
【このシーンは現在配信できません】
『草』『草』『草』『www』『草』『草』『草』『えぇ……』『草』『草』『草』『笑』『草』『検証班さん!?』『草』『そんな検証はいいから(善意)』『草』『草』『草』『笑』『wwwwwwwwwww』『草』『w』『草』
「というわけでやっていきましょうラビッツ観光!今日からバディとしてすごしていくであろうこの子のお披露目もあるからね!バッチリ決めていきたいと思います!」
「わ、わしはダブリュアというモンじゃ!!サンラクサンに近づくヤツはぶっとばすぞコノヤロー!」
飛び回している
「はーい。今向こうにいるのは一部を除いてみんな敵じゃないからねぇ」
「敵がおるんか!ならこいつで「だめだよ~」……おう」
これなにしていいかわからなくてアがってるだけだな?
「ところで兎御殿で他の兎たちになんか色々言われてたけどなんかおつかいとかある?」
「いや、丁度エムル姉に皆頼んでたみたいでワシに頼みたいってもんは一つだけじゃったけぇな」
「あ、そうなんだ……ちなみにそのエムルって兎さんは?」
「エムル姉は24つのお使いをする旅をするために朝のウチに出てってから戻れてないって聞いとるが」
なお、今は既に夜である
「……ちなみにご兄弟は何匹ほどで?」
「26匹じゃな!」
兄弟全員から押し付けられるタイプのパシリだったかぁ……
「じゃあおつかいがてら町歩きしようか!ちなみにどこのお店なの?」
「『四方人参巡り詰め合わせ』!エルク姉から頼まれたんじゃ!」
「それ結局町全部回る奴じゃない??」
町は一周したし人参巡り詰め合わせは専用の籠を中央の店に買いにいかないとアイテムとして成立しなかった。なんで?
花粉、強すぎ
ラビッツの内容は一部想像も含まれていました(過去形)ので全部書き直しました(現在形) なんで?
シャングリラ・フロンティアコミカライズ版12巻、好評発売中!エキスパンションパスでは岩木伊吹が脳を焼かれた「ラビッツおつかい奔走録」が収録されていますよ!
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むしよけスプレーには学習装置は付いていない
それでもっと目立つ上半身装備だけど……これは思わぬ所で解決した。そのためにも少し彼の話を聞いてみよう。
「次にサンラクサンが行く
謎のボイスを出す丈の短い白のファーコート。それは街に入る前に声をかけた結果であり、私の嬉しい誤算である。
「大丈夫だよダブリュア。最速で突破するしここは検証済みらしいから」
そう、ラビッツ出身和風マジシャンのダブリュアだが、時間を限定して全身の毛を延ばして私に掴まることでコートのように見せかける事が出来るのだ。……とはいえ、骨格は変わらないので顔が動くとすぐわかるんだけど。
今の私は背中に手杵を背負った白装備のマスクガール。怪しさこそあるだろうけど、片手剣を使う配信者サンラクとイコールで繋げる人はいないだろう。
そんなこんなでラビッツの商品を少しだけ転売しながらフォスフォシェを抜けて先を目指した。
さて、今回私が装備…装備?を変えて見た目を変える必要になった原因の一つであるリュカオーンの「
「……?なんかサンラクサンの回りだけ空気がきれーじゃねぇか?」
「よし、成功だね。これで聖水は節約出来る」
それは記載されている「夜襲のリュカオーン以下の力による魔術、呪術の干渉を防ぐ」という効果が
「近くにいればダブリュアも問題ないし、聖水は戦闘の時くらいで良いってわけ。話によるとここの敵はそこまで来ないらしいし……あれぇ?」
瘴気を払いながらモーゼのように歩いているといつのまにか敵にかこまれていた。
ワイバーンのような骨格のゾンビ。どこのゲームにでもいるであろう包帯に包まれたミイラ。
「ここの相手は今のサンラクサンより上か同じくらいしかおらんけぇ囲まれとんじゃ!兎に角ここを抜けるぞサンラクサァン!」
「よく仕様わかってんじゃんダブリュアくんさぁ!」
そう言いながら剣を抜く。配信終了まで、残り一時間と少し。
進んでくれストーリー
なんで一年も書いてるのにユニークワンコだけなんだ
胡蝶の夜面
アクセサリー装備。幸運+2。夜の陽に舞う鱗翅と成りて、蝶と名乗りて翔ぶ帳の花。花を呼び、蜜を喚ぶその面の舞を、止める者など居はしない。
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薬の作り手が薬を飲んでると思うな
段落を付けるために後で改稿します
このシャングリラ・フロンティアというゲームは、ステータスよりもスキルの方が重要な要素となっている。
もちろんステータスを割合で底上げをするスキルが存在する以上ステータスを無視出来る良いわけではないが、スキルのレベルを上げることでステータス以上の能力を発揮することが出来るわけだ。
だからこそ最前線のプレイヤーはレベルダウンを行ってスキルを鍛えるし、
スキルを上手く利用することで、レベルを越えた理想の動きを行えるし、逆にスキルを回せなければ本人にいくら能力があっても、レベルに課せられた制限以上の行動は出来ないわけだ。
で、私が何故いきなりこんなことを語り始めたのかというと、
「こっちに来るゾンビ多いってぇ!!!!!!あ今
「
「違うけど結果オーーーッライ!お互い足りてない部分ここで鍛えきるよダブリュア!」
NPCもスキルで強化出来る、という当たり前のことだ。
シャンフロにおいて、スキルを新しく入手するタイミングはレベルを上げた瞬間だけだ。それまではどれだけ素振りをしようと脳トレをしようとスキルを手に入れる事はない。そしてある程度変な行動を取りながら戦っている自覚がある私は、今は何よりもレベルアップをして私に合った新しいスキルでこの場を切り抜けたい。一方のダブリュアは、ラビッツで鍛えられる部分は鍛えきったもののそれ以上の応用が無く、今レベルアップしても新しいスキルを覚える可能性が薄い。
というわけでここに、スキル所得に余計な戦闘をせずにレベルを上げたいプレイヤーと、スキル所得にいつもと違う戦闘をしたいNPCが揃った。ならゲーマーとしてやることは一つ。
「下から上に振り上げ!杵なんだからしっかり振り抜く!」
「うぐぉぉぉ!!!!」
「月の兎なら死ぬまで死なない!薬もあるんだ今はコラテラルで右回りに突撃ィ!」
「ひぎぃぃぃぃ!!!!」
こっちに近付いてくるゾンビを処理しながら、ダブリュアに指示を飛ばす。今まで出てきた敵mobと骨格は変わらないが体力が多く、多少動きが遅い(犬みたいな例外はある)。スキル習得にはもってこいの相手になるこの大量ゾンビを倒すことで、ダブリュアもきっとスキルを……ん?
「ハァ……ハァ……終わったけぇの、サンラクサン……」
「おし、じゃあ次いこうか!ここのボスの後からは迎えがあるから頑張ろうね!」
「おう……おう……?てことは
「あ、なんかレアそうな骨馬いるじゃん!ついでに挑んどこうよダブリュア」
「サンラクサン!?!?」
「向こうの脳無し騎士は私が抑えとくから馬の処理してからこっちに来てね~」
「サンラクサン!!!!!」
さて、遅延配信は後30分も無いし、とっととここを駆け抜けるとしましょうか!
基本スキル。自身の
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光陰矢の如し、だが光陰も待てない
「ひ、ひどいめにあったぁ……」
「お疲れさま、しばらく休んでてね」
疲れ果てて精神年齢が下がっているダブリュアを近くの壁に寄りかからせながら、ステータスを確認する。
————————————
PN:サンラク
LV:58(100)
JOB:傭兵(片手剣使い)
36200マーニ
HP(体力):30
MP(魔力):10
STM (スタミナ):40
STR(筋力):35
DEX(器用):44
AGI(敏捷):60
TEC(技量):44
VIT(耐久力):2
LUC(幸運):68
————————————
「とりあえずこれだけレベルがあれば
先ほどまで異様なほど纏わりついて襲ってきていた腐敗したワイバーンが、どったどったと覚束ない足取りで逃げ去って行く様子を確認して、息を吐く。
夜襲のリュカオーン以下の力による魔術、呪術の干渉無効という効果。
当人のレベル以下のモンスターは「呪い」保持者から逃げ出すという効果。
さっきは後者が逆の方向にかかっていた結果、モンスターハウスもビックリの状態に巻き込まれた訳だが、レベルが充分に上がったおかげで本来の効果が発動したのだ。
「よし、それじゃあレベルも上がったことだしエリアボスに挑「……遅すぎ。」うぇ?」
「あまりにも遅すぎる。依頼を受けたのだから早く来るべき。間もなく表側の配信も終わる。ここから先は
「ちょ、ちょちょちょい待って!待って
「無い。時間の無駄。貴女が既にシャンフロ内でも一部有名人に成りかけている以上、同じ場所に長い間留まる必要は無い。何よりネフホロを盛り上げる事とシャンフロの攻略を進める事でどちらが優先なのかは考えるまでもない。いや貴女の中での優先度があるという事実は理解しているが私の依頼を受けた以上最速でネフホロ以外の事象を片付ける必要があるということは貴女も理解しているはず。というわけで行く。さあ。はやく」
突然現れて殺意も無く背中を押してくる少女に背中を押されてバランスを崩す。慌ててその姿を視認すると、褐色肌に銀髪のショートボブ、背中には大柄な弓といかにもなダークエルフ風の小柄な少女がぐいぐいと私の背中を押してエリアボスの要るであろう方向へと向かわせていた。
ルスト。その名前は一部の界隈では「適合者」として認識されている。それは操作難易度が非常に高い
「ところでモルドくんは?彼いないとここ収まる気がしないんだけど」
「モルドは次のマップ、古城骸の入り口で待っている。サンラクのペースがあるから待ってと言っていたように覚えているけど正直どうでもいい。依頼最優先で動くのがあなたの
「わ、わかったよ、わかった。ダブリュア!ごめん休憩終わり!」
「うぇ!?お、おうわかったけぇ首元を掴むなサンラクさん!」
「ごめん私も掴まれてるからおあいこってことで!」
「な、なんじゃこの弓つかいは!?敵か?」
「敵じゃない。彼女の依頼人。……準備も出来たから、早く進む」
ルスト が パーティー に加わった!
RiJもお疲れさまでした!(なお執筆時点では開始前)
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体は闘争を求める
さて、ルストという少女と私の関係を説明するために必要なゲーム、ネフィリム・ホロウについて説明しておこう。
それは一部の界隈でカルト的な人気を保ち続けている超高難易度ロボットアクションゲームであり、彼女
では何故このゲームがクソゲー評価をされがちなのかというと、操作が難しい。という一点で評価が乱れている。操作性が悪い、ではなく操作が複雑なのだ。
界隈では「
例えば両肩と両腕にビームサーベルを装備していたとしよう。これが
だが
CPUに頼ってオートで武装を動かすこともできるが、対人戦の勝率が代償となってしまう。
そんなネフィリム・ホロウが神ゲーなのかクソゲーなのかという談義はコメント欄と掲示板で無限回行われており、最終的に必ずクソと判別される
話が逸れたが、ルストちゃんに出会ったのはそんなネフィリム・ホロウの中。当時から界隈の知り合いとの間でクソゲー寄りの神ゲーと見せかけた良ゲーと話題になっていたが、公式で配信が可能になったという話を聞いてとりあえずランキングに潜っていた時に引き分けてからの仲である。配信が出来るとはいっても対戦中、ネフィリムと呼ばれるロボットに関する他の操作をしながら自分でも動かさなければならないという縛りの上で行われていたので私以外に適応出来た配信者が片手で収まるほどしかいなかったという実績があった。しかもその中で新規は私だけという……。
そんな私の数回の配信を観てネフィリム・ホロウに興味を持った人が片手より少し多いくらいネフィリム・ホロウをプレイした、という実績を知ったルストちゃんが粘着一歩手前くらいの頻度でまたネフホロを配信しろと付きまとい、それを知ったモルドくんが謝りにきて、それに対してネフホロを配信する代わりに情報を集めてもらったり……ということを何度かしていたところ、なんやかんやで仲良くなった。
頼みを聞いてもらう替わりにネフホロの配信をする、という言ってしまえば案件みたいな関係だが、それでもプレイのコツを教えてもらったりと仲良くやれていると思う。
で、そんなルストちゃんに引きずられている現在なわけですが……
「ねぇールストちゃーん?そろそろ離して欲しいなぁって思うわけなんですけど」
「日程を間に合わせたいと言ったのはそっちのはず。自分で交渉材料にしたいなら先入りして情報を全部まとめとくくらいはした方がいい。サンラクが以前言っていたこと」
「確かに言ったけどさぁ」
「それに刻印で弾かれる程度にレベルが上がったのならレベリングをする意味もあまり無い。それまで待っただけ褒めて欲しい。なのでこれから戦うボス、
「お、おっけー……」
最近ネフホロの配信を出来ていないからかルストちゃんの押しが強い。シャンフロに良い感じのロボットでもあればそれをオトリにして話を逸らせると思うのだがどっかに無いものか。
「そこのウサギは魔法職のNPCってことでいい?」
「お、おう、ダブリュアじゃ、よろしゅうな」
「ん、私はルスト。よろしく。
「はいな」
「回避盾でヘイト稼いどいて」
「お荷物……ってコト!?まぁ物理効かないならそうだよねぇ。了解。ところで魔法職必須っぽいのになんでモルドくん置いてきたの?」
「……そういうこともある」
「(忘れてたな……)」
そんな話をしながら対策を練り、私たちはエリアボスの間に続く霧の濃いエリアの前へと辿り着いた。
ルスト/佐備 夏蓮
配信は大会動画のPVを見て満足するタイプ。配信の力を知って広報を他のプレイヤーにさせることを覚えた。
なお自分では配信はしない模様
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嘘の歌は15年もあれば本当になるらしい
消えるな 更新して♪
レベル上げに伴って使った聖水にはまだ残りがある。具体的にはボスで使って余るようなら引きずられている間崖上に見えた光ってるっぽい何かを探索しにいけるくらいに。
なんてことを話していたらルストちゃんに馬鹿をみる眼で見られた。ちくせう。
そんなこんなで私の中の「依頼終わったらやるリスト」に崖上調査を加えながら辿り着いた、ドーム状の黒い霧に包まれた入り口っぽい煙幕。入り口っぽい煙幕って口に出すと意味のわからない日本語だけどゲーマー的には共通認識になってるんだよねこれ。多分2Dゲームの頃からあった「先の見えない扉=次のエリアへのワープゲート」みたいな
「この先がボス。瘴気の元とされているからか、エリア内の瘴気は他よりも濃くなっている。……
「こ、これを潜るんか……」
「そこになにがあるかわからないなら命を賭けて一旦見に行くのが
「ちべてぃ!」
「それじゃあレッツゴー!」
聖水をダブリュアにかけてから霧の中へと突き進む。数秒間煙に包まれたかと思うと、視界は少しだけ拓け、丸く削り取られた戦場に佇む黒の番人がその姿を現した。
そして武器として、人の下顎骨をまるで冠のように飾り付けた、様々な生き物の骨で彩られた杖を握っていた。
「
「
「ふたりともくっちゃべっとる場合じゃねぇじゃろう!まずは足を止めるけぇ追撃頼む!アトラス・バインド!」
ダブリュアが放つ三角形の鎖が重なりあい、
「『魔法弓』『
ルストちゃんの魔法の矢が二筋の光となって矢よりも遅く、しかし走るよりも速い速度で
「物理無効でもその杖が骨なら弾けるんじゃない?お披露目いくよ剣舞【流刃】!……あーんど聖水直かけ!!」
ルストちゃんの矢が当たる直後に合わせて体をひねり、回転するように
バインドは解けた。杖を失った
さあ、第二ラウンドだ。
魔法弓:ルストのメイン武器なのに説明が殆どない。どうして?ほぼオリジナル設定。MPと矢の両方を消費して魔法の矢を発射するロマン武器であるが、その本質は武闘家が纏う拳気以上のカスタム性にある。25色の魔法を最大3色乗せることの出来る魔法矢を射つことで、通常の魔法よりも性能を特化させて対象に魔法を届ける。その代わりに通常の弓矢以上に狙いがシビアとなり、現実で流鏑馬を当てる以上の難易度であるとも。ルスト曰く高速型ネフィリムに乗ってビーム当てるより簡単らしい。お前は何を言っているんだ?
剣舞【流刃】:オリジナル。上位スキルに原作サイガー0が使用した剣舞【流旋】がある。
5/17にシャングリラ・フロンティアコミカライズ版13巻が発売しています!エキスパンションパスはP〇ケモン!いやK社様これ大丈夫!?!?
クタくんに早く会いたいよ
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1人7役に脳は耐えれれない(アンデット)
多分私よりも先に進んでいるであろうルストちゃんの攻撃で一気に削った感触があったし、何よりこの明らかに「有効なアイテムを使い分けましょう」と運営から告げられているこの
そんなことを考えながら相手を伺う中、
「グギガ、ギギギギギ……」
「クケケケケケケッ! ケケカッ! カカッ!」
「グゴォォォォァァァァァァァアアアアアアアア!!!」
「イイィィィィィィ!」
「ゲガガガッ! ガガグッ、ガガガガガ!」
「アガ————ラァ—————!」
「なるほど、ここからが第二ステージ、PVPの訓練でもさせられるのかな?」
「盾持ちが少し厄介。前線で炎のブレスを撃ってくるから注意」
「お、おーし!やったるぞサンラクサン!弓のヒト!」
私が思う対パーティー戦の基本その壱、反射できたり軌道を逸らせる攻撃は全部弾く。相手の範囲攻撃に巻き込まれず、なおかつ味方のフォローも出来る場所に位置取るのがパーティーの基本であるが、だからこそ味方に任せる場面が出てくる。その味方が対応している相手が全体攻撃をするときは知らせてくれるし、それ以外なら任せるという流れになるわけだ。では自分の攻撃が逸らされた時に攻撃の行き先まで気を配って声かけをするかというと、出来る奴は滅多にいない。相手に集中している時にそこまで出来る奴がいたらそれは純粋に盤面把握が上手い人か、攻撃に集中できてない奴なわけで……っ!
「
後方から射ってくる矢を弾いて双剣持ちの髑髏へと飛ばす。羽の付いた矢なら空気抵抗で上手く返せないが、ただの矢ならまだ弾ける。
「さあ飛ばしてくよ!スキル【ドリフトステップ】」
うお……戦闘中に使うの初めてだけどこれ重力の感覚動くんだね。重力変えられるのは後で悪さに使えるかも……と、そんなことは後で良い。今はただ道じゃない場所を道に変えるのが重要なわけで!
「さぁこっちを見て!スキル【ハンドオブフォーチュン】!」
物理攻撃が通らないなら魔法を加えて反応を見る!反応があるならヘイトがこっち向いてるし反応が無いなら聖水ぶっかけて全員溶かす!
「カカカッカカカカカッ!」
よしこっち向いた!ダメージはまともに通ってないけどヘイトが来たなら……!
「『魔法弓』『
ルストちゃんの魔法の矢が
「ラァーーーーーー」
「イィ!」
最後まで抗おうとする
「それは」「通さないけぇ!」
一人と一匹で絶対に通さない。
「
それは自分を守るための技術。
「
剣を持って槍を弾き、杵を以て斧を突く。
「『魔法弓』「
ルストちゃんに火力任せ過ぎた疑惑はあるけど、それでも今回はいいだろう。なにより優先しないといけないことが来週にあるのだ。それには絶対に間に合わせたい。
霧がゆっくり晴れる中で、私たちは次の町へと向かうのであった。
がんばってかく深夜三時の平日
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閑話:「サンラク」が産まれた日
【のんびり】難易度クソなゲームを共有するスレPart287【sage進行】
1:名無しのゲーマー
こちらは高難易度に飢えたゲーマーに餌を与えるスレです。
荒らし暴言はスルー、ストーリー上のクソゲー及び熱が入った場合は別スレでお願いします。
前スレ↓
nllqz://nuo.5th.net/text/read.cgi/famicom/1650880083/
21:名無しのゲーマー
ワンドード・ハックってゲームプレイした猛者おりゅ?。?突然剣でお手玉を要求されて詰んだんだけど
22:名無しのゲーマー
知らんゲームだから調べたけどwikiの編集途中で終わってないか?まさか攻略できてないとかあるん???<<ワンソード・ハック
23:名無しのゲーマー
マジで編集途中で草 発売半年前って書かれてるんですが……
24:名無しのゲーマー
普通に知らんゲームだわ<<ワンソード・ハック
25:名無しのゲーマー
とりあえずDLするわ
26:名無しのゲーマー
<<25レビュー頼む
27:名無しのゲーマー
ところで剣でお手玉って何?????なんで誰も突っ込んでないんだ
28:21
斬撃が通らない敵に対して敵の魔法を剣で弾いて反撃するんだけど耐性がコロコロ変わるから通る耐性に変わる時まで魔法をストックしないといけない
でも魔法を物理的に持つことは出来ないからお手玉みたいに上に弾いてストックしようねって言われた
29:名無しのゲーマー
ワクワクしてきたな
30:名無しのゲーマー
ちょっと想像の上だったな(天井を見上げながら)
31:名無しのゲーマー
容量まぁまぁあって草 まさか物理演算マシマシにしてないだろうなこのゲーム???
32:名無しのゲーマー
がんばれー
33:名無しのゲーマー
プレイ動画もあがってないな……インディーズならそういうこともあるのか?
34:名無しのゲーマー
ワンソード・ハッククリア済ワイ将、困惑 場合によっては人生初の動画投稿をしないといけなさそうな流れかこれ????
35:名無しのゲーマー
おっ
36:名無しのゲーマー
有識者きたじゃん
37:名無しのゲーマー
始めては草 ゆっくり準備して今すぐ配信しろ
38:名無しのゲーマー
一応wikiの編集画面開いとくか
39:25
俺は俺でプレイするわ 初見の感想もあった方がいいだろ
197:34
34だけどワンソード・ハック久々にやる ミスったらスマン。コメントとかは向こうで頼む
nllqz//vvv.myutube.com/watch?v=a5vjqgp-m68
【ワンソード・ハック プレイ動画】
[xx]全体公開 サンラク
「……あー、マイクテスマイクテス」
「とゆーわけでワンソード・ハックやっていきます。配信コマンドはそのへんからコピペして突っ込んだだけなのでミスってたらすいません」
「視界大事だからってコメント機能オフにしたの失敗だったな……出来てるかどうかわかんないや」
「まぁ最悪録画は出来てるでしょ。さくっとやっていきます」
「まず最初の面です」
「そいやっさっと」
「……あー、状況説明しないといけないのか、配信ってむずかしいな」
「このゲーム、一本だけある剣を右手と左手を使って切り替えながら固定で沸く敵を倒して進んでいくゲームです」
「剣が一本しかない上に本体が貧弱で回避も出来ないので敵の攻撃は全部剣一本で弾きます。基本の動きですね。ゲーム上では
「この三面から敵が弾幕を貼ってきます。これも全部
「四面がスレにあった魔法お手玉が必要な所ですね。剣の角度さえ調整すれば上手く弾けるので比較的楽です。落としてもゲームオーバーにはならないので。」
「個人的にはこの六面からがしんどいところですね。敵が武器を色々投げつけてきます。これも耐性がある上に落としたり弾く場所を間違えるとゲームオーバーです。最大で6本ストック出来るのでゲーム上では本体の剣を合わせて
………………
「というわけでクリアです。個人的には経験繰り返せばなんとかなる範疇だと思ってます。……コメントだけ見て終わろうかな」
『ヤバすぎ』『人間?』『声かわいい』『開発者きてて草』『無理ダゾ……』『日本トレンド97位おめでとう』『あ~wikiが充実する音~』『草』『おめ』『おめ』『おつ』『草』『実質RTAでは?』『無茶言うな』『乙』『要求値高杉』『むずくね』『簡単じゃんwww』『無茶苦茶』『いわんや一位』『どうしろと』『簡単でしょ?(ヘルモード)』『包丁が無い世界線?』『草』『草』『むっず』『これはクソゲー、納得した』『マジ?』『魔王(一般人)』『生活術としての剣』『厳しすぎる』『草』『おつー』
「………………え?」
なんかコメント多くない?もしかしてなにか間違えた?
続きません
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反射系スキルは反射出来ない
アニメ二期開始には間に合わせたかったので初投稿です
アニメが終わったので初投稿です
※ここまでのあらすじ※
中堅クソVRゲーム配信者のサンラクこと陽勤楽羽は、クソゲー疲れからか神ゲーと呼ばれるシャングリラ・フロンティアに挑んでしまう。
配信開始直後にユニークモンスターであるリュカオーンに出会い、傷物にされるなど波乱の開始を迎えたサンラクだが、配信を面白くするため配信をせずに現状行ける最後の町まで進むことを決めた。
それは彼女のもとに届いたいくつかのメッセージが原因のようだが……
ともあれメッセージを送った一人であるルストに
瘴気は晴れ、谷の先が開けて遠くには
しかし今の私にはゆっくり景色を眺めるのを許してくれない相方さんがいてですね
「イレベンタルまでは最速で進める。気にすべきは古城骸だけどモルドがなんとかしてくれるから進める。今晩中にはフィフティシアに到着出来る見込み。なので感動している暇はない。モルドと合流したらすぐに出るから」
「アッハイ」
いつもなら押せ押せ殴れ殴れで頭脳労働はモルドくんに任せてるルストちゃんに道理で殴られるの違和感がすごい。いや依頼の内容みて受けたの私だし時間制限の条件付け足したのも私なんだけどさ。
エイドルト。周囲を海で囲まれた城塞都市であり、市内には水路が巡り色とりどりの小舟が訪れる者の目を楽しませる。水晶で作られたレンガっぽい作りの街並みは欧州の風を感じさせ、そう、あれだ……ヴェネツィアだ。水の都。あんなイメージだね。
そんな街でモルドくんと合流することになってるんだけど……
「あれか」
「あれ」
「あれかいな」
待ち合わせ場所にいたのは線の細い優男。背こそ高いものの、魔導士然としたその服装や体形からは相手を打ち倒すような戦士には見えない。そんな彼は、見目麗しいお姉さまから話しかけられている。逆ナンパかな?
「三兄弟の宿屋!」
「この通りをまっすぐいって赤い屋根の建物を右にいったところに二軒」
「えーじゃあ、ヤクモさんちの鍛冶屋!」
「南の門から入って左に曲がって三件目!あ、僕の連れが来ましたね。暇つぶしに付き合って頂きありがとうございます」
「えーこっちこそありがとー!でも悔しいなぁ、結局勝てなかった……ってあれ?連れってサンラクちゃんだったんだ」
「カリントウさん?どうしてこんなところに?」
モルドくん(仮定)に話しかけていた彼女の頭の上には『徹夜騎士カリントウ』の文字が浮かんでいた。
徹夜騎士カリントウ……カリントウさんは、今回私が声をかけた配信者のひとりで、絶対に諦めないプレイスタイルで耐久配信の度に話題に挙がる人だ。謎のミニゲームを永遠にプレイし続けることでも有名……あっ(モルドくん(多分)と話していた内容を思い返す)
まぁいいか、モルドくん(推定)が疲労するだけだし。
「フィフティシアで集合って話じゃなかったでしたっけ」
「えーだって私じっと待つの性に合わないし、あんなこと教えられてじっとしていられないもん」
「……それで、私と合流できる保証も無いのにここまで?」
「うん!」
まぶしい笑顔だぁ……これがタレントって奴なのかな、師匠とは真反対のタイプだけど見習うところはあるかもね、うん
「合流できたからいいことにしようか。それじゃ自己紹介しながらイレベンタルに進むってことでいい?」
ルストくん(
エイドルトは寄るだけなので早速去栄の残骸遺道。巨大な竜の骨格の中を進むエリアで、スタミナが削られない程度の速足で進みながら話は進んでいた。
「それにしてもまさか辻クイズを挑んできた人がサンラクさんの知り合いとは知らなかったよ。暇つぶしにもなったから良かったけど」
「まぁまだ決着ついてないから私としては嬉しいけどね~」
「えっ」
やっぱり負けず嫌い発動してんなカリントウさん……負けるまでは負けてないとはよくいったもので。
「じゃあ改めて今回の目的と達成点を確認しようか。今回の目的はフィフティシアにて受注できるクエストである、
の情報公開動画と、EXクエストへの挑戦動画の撮影。」
「……情報は私達が持っているから、それを提供する。クエスト受注をしたときと同じことをして再現性を確認するところまでが私達の仕事。報酬はネフホロの配信をすることと、一定人数への布教。そこまで見届けたら離脱する予定だから、あとは好きにしたらいい」
「その一定人数への布教、ってので私は呼ばれた感じだね~。動きづらいのは苦手だけど、ちょっと楽しみかも!予定としては来週にある
「うん、合ってる。で、そのために突破しないといけないのが……」
「去栄の残骸遺道に眠る巨人、オーバドレス・ゴーレムじゃな!サンラクサンたちのゆぅとることはあんまわからんけど、こやつを倒さんとフィフティシアどころかイレベンタルにも行けれんけぇ!」
そうして駆け抜けた先、去栄の残骸遺道の終点たる巨大骨格の尻の端……何か巨大なものが潰れたその上に瓦礫が積もり重なったような広場。そしてその瓦礫の山のど真ん中に空間を作るように丸くぽっかりと開いた円形のコロシアム。
「サンラク、弱点はさっき伝えた通り」
「りょーかい!」
瓦礫が崩れ、頸を持ち上げるその姿は、ただの巨人と形容するには異形すぎ、しかし化け物とするには無機質すぎる。
「じゃあ早速いかせてもらうよ!
湖沼の短剣を振り、眼前に十字を描く。その斬撃はオーバドレス・ゴーレムの背後に当たったようで、ギシリと音を立てて動きを変える。でももう終わってるんだよね、対応なんてさせない。
「『メロスティック・フット』『遮那王憑き』『グレイトオブクライム』これだけあれば、すぐに動けるっ!」
「『魔法弓』『
「バフをありったけ、いけるね?ダブリュアくん」
「当り前じゃ!いくぞ杖のヒト!」
一人ならTAモドキでもしてたんだろうけど、五人もいればパーティープレイが出来る。役割分担をして突破する。明確すぎる弱点がわかっているから、1分どころか10秒も要らない。
先ほど起き上がったばかりの瓦礫が、何事もなかったかのように、崩れ、ポリゴンと変わっていく。
「去栄の残骸遺道、突破!イレベンタルは通り過ぎて古城骸を進もう!」
「「「「了解!」」」」
案件コラボ開始まで、あと三日。
楽羽としてのメリットは他のユニークシナリオの情報が流れることで自分への追及が減ることです
減ることです(大事なことなので2回)
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