TSした僕の戦術人形生活 (MGFFM)
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第1話 またしても何も知らない主人公(19)
「うっ・・・ッ⁉︎ぐ・・ああァ"⁉︎」
今までに経験したことの無い酷い頭痛で僕は目が覚めた。まるで脳みそを直接弄られているんじゃないかと思ってしまう程の痛み。目を開けるがぐわんぐわんと視界が揺らぐ。車酔いを100倍酷くした様な感覚にも襲われて気持ちが悪い。頭痛、目眩、吐き気、耳鳴りなどが一気に襲って来る。意識がハッキリしない。視界がぐにゃりと曲がり目の前に何があるのかさえも認識出来ない。今自分がどんな体勢なのかも分からない。
「おえッ・・・うぁ・・・あぐぁ・・・」
永遠にも思える時間の中僕は必死にただひたすらこの症状が収まってくれることを祈り絶えた。どのくらいの時間が経過しただろうか。何時間、いや、もしかしたら何分、何秒の出来事だったかも知れない。段々と頭痛や目眩、吐き気などの症状が治まって来てぐにゃぐにゃだった視界も元に戻って来た。少し落ち着きようやく気が付いたが僕は床にうつ伏せの状態になっていた。唾液を大量に垂れ流していた様で口元にも唾液が付いてしまっていてべとべとだ。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・」
口元を拭い乱れていた息を整えつつ辺りを見る。知らない部屋だ。床が見覚えのない物だったので違和感を感じたが間違いじゃなかった。
「どこだここ・・・?ん?」
そして落ち着きを取り戻した僕は自分の声がいつもと違うことに気がついた。いつもより声が高くなっている様な?
「あーあーあー」
いや、様な?じゃなくて確実に声が変わってるなこれ。可愛らしさも感じる若い女の子の様な声だ。マジかよ僕顔は女っぽくないなか声だけ女っぽくなっちゃったらギャップが酷いことになっちゃうぞこれ。
とか変なことを考えていたが違和感は声だけじゃなかった。身体を起こした時に視界の端に長い黒色の髪が垂れて来た。僕の髪はこんな垂れて来る様な長さじゃなかった筈だ。更に身体を起こしてから胸に重さを感じた。女の様な声に長くなった髪、そして胸に感じる重み・・・いやいやまさかそんな有り得ないだろ。と思うが僕は怖くて下を向いて自分の胸を確認するのが出来なかった。だがどっちにしろ自分の胸は嫌にでも見ることになる。だから僕は意を決して確認することにした。
「わぁ・・・」
下に視線を向けるとそこにあったのは服越しでもハッキリと分かる大きな胸の膨らみ。どう見てもこれはおっぱいです。本当にありがとうございました。一応確認の為に服越しに触ってみる。ムニムニとした柔らかな感触が確かにあった。おぉ・・・これが本物のたわわおっぱいの感触か!と若干の感動を覚えつつ胸を揉むが同時に胸を揉まれていると言う感覚もあった。つまりこれは間違いなくこれは自分のおっぱいだと言うことだ。
って言うかもうここまで証拠が揃っていたらこれはもう確定だろ。全身を確認する為に僕は姿を確認する為の鏡を探す。そして部屋の隅に姿見があるのを見つけた。その前に立って自分の姿を確認してみるとー。
「誰だお前・・・・」
鏡に映ったのは見飽きる程見て来た男の僕の姿じゃなくて見知らぬ黒髪碧眼の巨乳美少女だった。見た目の年齢は20歳程だろうか?大学とかに通っていても違和感の無い年齢だ。黒色の髪は腰辺りまで伸びている。試しに一房手に取って確認してみるとサラサラとした手触りで艶のある綺麗な黒髪だった。男の頃の髪とは大違いだ。色も一緒の筈なのにこの髪の方が綺麗な黒色に見えるし人間の髪って本当に全部同じなのか?と疑問に思ってしまうな。スタイルも良く出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいるボンキュッボンってやつだ。ぶっちゃけ言って滅茶苦茶俺の好み女だ。もし大学とかで出会っていたら一世一代の大勝負とか言って告白していただろう。そしてフラれていただろう。僕はそう言う男だ。
だがそんな美少女が自分自身だってことが全く信じられなかった。と言うか何で僕は女になっているんだ?そしてここは何処なんだ?と色々と疑問が浮かんだがどう言う訳か僕はその答えをもう知っていた。
僕・・・いや、「私」はAMB-17と言う名前のアンドロイドの一種である戦術人形であること。そしてここは廃棄されたI.O.P社の施設であること。この世界は僕のいた世界と似てはいるが全く違う歴史を歩んだ別の世界であること。僕の知らないこの世界の情報を「私」は色々と知っていた。何なんだコレ?正に存在しない記憶ってやつなんだが?
その存在しない記憶に気が付いた僕は他の違和感にも気がついた。僕の中に僕の知らないもう1人の自分が存在することに。何とも言えない変な感じだ。昨日まで普通の大学生だった僕としての記憶と戦術人形AMB-17としての記憶が混在している。そしてそのどっちの記憶も確かに自分自身としての記憶だと言う認識があった。二重人格って訳じゃない。僕は私で私は僕でどっちも確かに自分だって言う認識がある。何を言っているか分からないと思うが自分も分からない。
「なん・・・だ・・?なに・・・これ?」
次々と溢れ出して来る僕の知らない私としての記憶と人格。酷く混乱し僕は私は頭を抱える。落ち着け、僕は戦術人形なんかじゃない。僕はアニメやゲームとかが好きな普通の男子大学生で成績は中の下位で数学とかがちょっと苦手で良く友達に教えてもらったりしてロシア製消音アサルトライフルAMB-17を使用する戦術人形としてI.O.P社で製造され各種機能テストなどを問題なく合格し戦術人形としてグリフィンの基地に配備されることが決定した頃にこの施設が鉄血の襲撃を受け私はスリープモードのまま放置されて・・・って違う!これは僕の記憶じゃない。私は大学の2年生で友達は6人居てよく僕に話しかけて来るI.O.Pの研究者となんだかんだ仲良くなってスリープモードに入る前に彼は僕に「ごめん」って謝って・・・って違う!
2つの記憶が頭の中でグルグルと入り混じり混乱する。本当の自分はどっちだ?私か?僕か?いや、どっちも本物だ。偽物じゃない。大学受験の為に苦手な勉強を夜遅くまで頑張っていた僕もやっと戦術人形として活躍できると思っていたのに何も出来ないままスリープモードに入って悔しい思いをした私も全部本物だ。
「と言うことは僕は異世界に転生したって訳ね・・・」
僕のいた世界と私のいた世界は似てはいるけど全く違う世界だ。そして今のこの状況を考えると僕の意志、ミームがどう言う訳か私に入って来てそして融合したってことになるのか・・な?正直分かんないけど多分そう感じなんだろう。いや、転生と言うより憑依に近いか。
まだ混乱はしていたがある程度今のこの状況を把握した僕はほくそ笑んだ。いや、ほくそ笑んだのは私か。このまま朽ち果てるか他の外的要因で壊れるまで眠ったままだと思っていたけどこうしてまた目覚めることが出来た。それがとても嬉しい。
「取り敢えず着替えますか」
いつまでもこの病院服見たいな格好のままの訳にもいかないしね。私の記憶通りなら着替え服はこのタンスに入っている筈。が、ここで問題が発生。服を入れてあるタンスが電子ロックだった。電気なんてとうの昔に途絶えているから開けることが出来ない。
「どーすっかな〜・・」
何かこじ開けることは出来ないだろうかと思い部屋の中を探すが見つからない。と言うか武器の入っているロッカーも同じく電子ロックだから開かないじゃん!どーすんのよこれ。
「どうせなら開けててよ〜ジャクソンさん」
よく私に話しかけて来て仲良くなったあの男性職員の名前を言う。気を利かせて私が目が覚めた時の為に開けといてくれれば良かったのに。まぁこうして自力で起きちゃうなんて普通思わないし仕方ないか。部屋の中にはロックを外す道具になりそうな物は無かったので部屋を出て探してみることにした。
だがドアを開けてようとするが開かない。鍵が閉まっていると言う訳じゃなくドアの向こう側に何か物があってそれが邪魔してドアが開かなくなっている様だ。押してだめなら引いてみろと言う言葉に従ってドアを引いてみるが開くことはなかった。このドアは押して開けるタイプだった。
「仕方ない。こうなったら無理矢理開けるしかないか」
一度ドアから距離を取りそしてドアに向かって勢い良く走る。戦術人形の脚力を活かして一気に加速しそしてドアに飛び蹴りをお見舞いした。バギャッと言う音と共にドアはくの字に折れ曲がって吹っ飛んだ。ドアの向こうにあったのは割と大きめの瓦礫だった。どうやら天井の一部が崩落してドアの前に落ちた様だ。
にしてもドアを半分に折ってしまうなんて戦術人形の力凄いな。って言うかこんだけ力あるならタンスのロック壊せるんじゃね?見た感じあのタンスはそんな滅茶苦茶丈夫そうな物じゃない普通なヤツに見えるし。
「そりゃッ‼︎」
と言うことでタンスの鍵がある所に向かって渾身のパンチ!哀れタンスは破損!ナムサン!
「いててて・・・」
だけどタンスを殴った右手も痛めてしまった。戦術人形なんだから体も丈夫だろうとたかを括っていたが普通に痛くて泣きそう。
ちゃんと鍵を破壊することが出来たのか引っ張ってみるとちゃんと開いた。良かった。中には服がちゃんと入っていた。しかも服は真空パックの中に入っていて綺麗な状態だった。下着類の入った真空パックと上着類の入った真空パックの2つがあった。先ずは先に下着の方を出す。ブラジャーはヒラヒラの付いた可愛らしい物なのかなと思ったが意外にもそんなことはなく色気なんて無い機能性を重視したであろう白色のスポーツブラだった。僕としては可愛らしいブラジャーとかを着けるとは恥ずかしいから有り難い。でも、もうちょっと可愛いくても良いんじゃ無いかと言う私の意思もあるのが面倒だ。
僕は女性用下着の着方なんて知らなかったが私は知っていたので問題無く着ることが出来た。でも男だった僕が女性用下着を着ると言うのはちょっと恥ずかしいな。ドキドキしながらもブラジャーを付け終わると次に黒色のタイツを履く。タイツを履くのも僕は人生初だ。普通のパンツとは違うちょっと違う履き心地だったが不快感はない。寧ろ足が覆われていることに何とも言えない安心感を感じる。そしてタイツを履いている時に思ったが太ももが割と太いなと思った。僕はそこまで太ももフェチではないがちょっと興奮する。あ、いや、別に僕は変態じゃないです。はい。
その後はショートパンツを履きトレーニングウェア風の白色のトップスとフード付きの黒色のジャケットを着た。最後にタクティカルグローブをつけ、そしてコンバットブーツを履きお着替えは完了した。
鏡の前にもう一度立ち姿を確認してみる。色気なんて無い服装だが普通に似合っているなと僕は思った。そして胸で服が押し上げられてしまっているのがこの胸の大きさを物語っていてそしてその巨乳が今は自分に付いているのかと思うとやっぱりドキドキする。ドキドキするこの感じ・・・これってもしかして・・・不整脈?ってそんな訳ねーだがい。そもそも戦術人形に人間の様な心臓は無いし。いや、人口血液を循環させる為の心臓擬きがあるのか。そりゃ良かったよ。元人間の僕からするとちょっとでも人間らしい所が残っていることに安心を感じる。
はてさて着替えは何とか終わった訳だが私の半身である消音アサルトライフルのAMB-17や装備品が入ったロッカーがまだ開いていない。しかも武器を保管しているだけはあってさっきのタンスより明らかに丈夫そうな見た目だ。さっきタンスを殴って結構痛かったからもう殴るのは勘弁だ。じゃぁどうやって開けようか。殴りがダメなら蹴っちゃうとか?
「アレをやってみるか」
前やろうとした時は僕の身体能力の低さと運動不足が合わさり腰や足とかを痛める羽目になったが戦術人形となった今なら出来るかもしれない。ロッカーを持ち上げて部屋の真ん中に置くとドアから少し距離を取り息を整える。2、3度その場で軽くジャンプした後左足を軸に勢い良く回りそして「チェイサーー‼︎」と叫びながら回転した勢いを利用して右足でロッカーのドアを思いっきり蹴った。
「わわっ!」
蹴ったところまでは良かったがそのままバランスを崩して倒れ尻餅をついてしまった。が見事蹴りは命中しロッカーは倒れドア部分は凹んでいた。昔見たとあるアニメでヒロインが「チェイサーー‼︎」と叫びながら故障した自動販売機に回し蹴りをお見舞いして飲み物を出すシーンがあるのだがそれを見た僕はその回し蹴りに憧れた。まぁ結果はさっきも言った通りだが。
凹んだドアを見てみるが凹んでいるだけでまだ開かない。でも凹んだことで隙間が出来ていた。そこに部屋の外に落ちていた謎の鉄の棒を差し込んだ。
「食らえ必殺!てこの原理!」
ガン!ガン!ガン!と渾身の力を込めて何度も棒を足で踏み付ける。何度も踏んでいると遂にガギャン!と言う金属の音がしてロッカーのドアが開いた。
「ふぃ〜疲れた」
こじ開けたロッカーの中からAMB-17を取り出す。僕は一度も触ったことはおろか見たことも聞いたこともない銃なのにまるで昔から使って来たものかの様に手に馴染み使い方も分かった。なるほど。これがスティグマの力ってことか。そしてこの銃の詳細なスペックなども分かった。これはスティグマのお陰と言うわけでは無く私が知っていたからだ。
そして次にロッカーから出したのはサイドアームの拳銃。名前はGSh-18。AMB-17と同じくロシアで開発されたオートマチックの拳銃で9ミリパラペラム弾以外に高威力高貫通力のロシア製弾薬7N21と7N31を使用することができそれらを18発装填できる。僕は慣れた手付きでAMB-17とGSh-18の動作確認を簡単に済ませるとロッカーから拳銃用のホルスターを出して右の太ももに付けそしてそこにGSh-18を入れな。そして腰にはベルトキットを付けてAMB-17とGSh-18の予備マガジンを入れた。最後に無線機に繋げたスロートマイクを首に付けて受信用のイヤホンを右耳に付けた。
「これで良しっと」
やっと全部の準備を終わらせることが出来た。全く手こずらせやがって。
「さて、これからどうすっか・・・」
自分の服と装備を手に入れたのは良しとしてこれからどうするかだ。仲間も帰る場所も無い自分は一体どうすれば良い?今のところ良い考えは浮かばないがいつまでもここに居る訳にはいかない。そこで僕が考えたのは当てもなく適当に歩くと言うものだった。と言うかそれしかない。施設の中を漁り使えそうな物を拾い集めた僕は施設の外に出ると一本の道を見つけた。この道に沿って行くとしよう。
「さて、それじゃぁ流浪の旅としゃれこみますか」
こうして
ご感想をくださると作者が喜びモチベが上がります。
そしてこちらはAMB-17のイメージイラストとなります。
【挿絵表示】
AMB-17のイラストを描いてくださった夏風シグレさん。ありがとうございました!
簡単なキャラ説明
・僕
ある日突然戦術人形AMB-17に憑依してしまった元男。アニメやゲームが好きなごく普通の大学生。どっちかと言うとインドア派で運動神経の無さもあり運動するのがそこまで好きではない。人と話すことが嫌いな訳ではないが話をするのが苦手で1人でいることが多くなりがちだったが戦術人形になってからは「私」の方の人格に影響されて他の戦術人形などと話したりすることも増える様になる。また、「私」の人格の影響で喋り方が女性ぽくなることがあるが本人は気づかないことが多い。戦闘の時は自然と「私」に切り替わるがこれも本人は殆ど無自覚。
・私
AMB-17を使用する戦術人形として作られるが完成直後に鉄血の攻撃を受けスリープモードのまま眠っていた戦術人形AMB-17本来の人格。明るく快活な性格で誰とでもフレンドリーに接する。仲間思いの優しい娘だが好戦的な面もあり使用する銃の特性上近距離戦闘が多くなるのでCQBやCQCを得意とし回し蹴りを得意技とする。
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第2話 放浪。そしてツインテール美少女との出会い。
はいどうも皆さんこんにちはこんばんはそしてさようなら。あ、いや冗談だから本当に帰らないでくださいお願いします。何でもはしません。と言うことでどうも。僕です。意気揚々と廃棄されたI.O.Pの施設から出て道路に沿ってただひたすら歩いて半日が過ぎ今の時刻はえ〜と夕方でございます。そう。もう夕方です。施設を出たのが昼くらいだったからかれこれ半日ぶっ通しで歩いていたことになる訳だ。前の、まだ戦術人形ではなく男だった頃の僕ならそんな長時間歩き続けていたら間違いなく疲れ切っていただろうけど今は違う。確かに多少の疲れは感じるがまだまだ元気100倍アンパンマンだ。戦術人形って凄い。
さっきからずっと人の居なくなったゴーストタウンを歩いている訳だがマジで誰も居ない。僕の勝手な予想だがこの街は多分戦争が原因で人が居なくなったんだと思う。街の建物のあちこちに弾痕みたいなのがあるし爆発か何かで吹き飛んだ様な跡のある建物もある。取り敢えずこの街で大規模な戦闘があったのは間違いないだろう。
にしても誰も人が居な街は異様に静かでちょっと不気味で怖いな。昔見た映画を思い出す。よくあるゾンビ系の映画でゾンビだらけになって人の居なくなった都市で愛犬と共にたった1人暮らす男の話し。あの映画結構僕好きだったがいざこうして本物のゴーストタウンに来るとあの映画みたいにゾンビに襲われんじゃないかと思うまでしまってちょっと怖い。だが今の僕は戦術人形。そして手には我が半身の消音アサルトライフルがある。もし本当にゾンビが出て来ても9×39ミリ弾で撃ち殺してやる。それはそうと長時間この体で動いていて気がついたとことがあるんだけど聞いてもらえるかな?
「胸ってこんなに重かったんだな・・・」
そう、胸が重い!巨乳の人の胸は重いとは聞いていたがいざこうして自分自身が体験してみると思ったより重く感じる。最初の頃はこの重さも巨乳の証だってことではしゃいでいたがこうしてずっとこの重さが付き纏って来ると邪魔に思えて来る。巨乳も良いことばかりじゃないぜ。
そして気になって来るのがこの胸のサイズ。皆さんも気になりますよね?男の子なら誰しもが気になる物の一つであるおっぱいの大きさ。もといバストサイズ又はカップサイズ。この戦術人形ABM-17はこの通り結構立派なモノをお持ちな訳だけど何カップあるのか。わたし、気になります!男の頃であれば女性の胸のカップサイズなんて聞こうものなら間違いなく引かれたり幻滅されたり警察呼ばれたりするだろうが自分の胸なら全くもって
と言うことでバストサイズを調べようとしたが生憎今ここにはバストサイズを測るメジャーなる物はない。詰んだ。それでは閉店ガラガラ店仕舞い。と、なりそうなところだがそうは問屋が卸さない。メジャーがなければ他の物で測れば良いじゃない。じゃあ何を使うんだよって話したがAMB-17のストックを使う。これにはマリーアントワネットもビックリだろう。
カップサイズはトップバストからアンダーバストを引いて導き出すことが出来る訳なんだけど今はメジャーとかがないならトップバストもアンダーバストも測ることは出来ない。駄菓子菓子!このAMB-17のストックを使えば完璧にではないがカップサイズを計測することが出来る!方法は簡単だ。先ずAMB-17のストックの長さは250ミリ、つまり25センチ!これを目安にストックに胸を当ててアンダーバストからトップバストまでの長さを測ればある程度のカップサイズが分かるって訳だ。
と言うことでいざ計測!ストックを胸の付け根辺りに持って来て胸に対してなるべく水平になる様に構える。
「ふーむ・・・・大体20〜23くらいかな?」
大体見た感じストックの方が僅かい長い様に感じた。トップバストとアンダーバストの差が20〜23となる最低でもE、下手するとFカップってことになるのか!ヒェェェェ!Fカップか!そりゃ凄い。本当に巨乳じゃないか!確かEカップでも両胸合わせて重量は1キロ以上。そりゃ重いわ。どんな感じなのか気になる健全なる男子諸君は500mlの水の入った水風船を2つ用意して自分の胸に付けてみると巨乳の気分が味わえるかも知れないな。まぁそもそも500mlも入る水風船があるのか知らないけどな。
「って、1人で何してるんだろ」
一通り盛り上がった後興奮が治まり賢者モードに入った僕はそう呟く。空はずっと曇り空。そして日が沈み始めたこともあり辺りは薄暗くなって来ていた。完全に真っ暗になる前にどっか寝れる場所を探した方が良いんだろう。運の良いことに今僕が居るのはゴーストタウン。雨風を凌げる場所は何処にでもある。後はふかふかのベッドがあれば文句はないがそんな物は無いだろう。
「どーれーにーしーよーうーかーなっと。そんじゃ今日はここをキャンプ地とする!」
適当に周りにあった建物を指差して行き今日泊まる建物を決めた。選ばれたのは綾鷹・・ではなく3回建てのマンションみたいな建物だ。一応念の為に銃を構え警戒しつつ建物の中に入る。知らない建物に入っちゃうのは不法侵入だなと一瞬思ったがここではそんなに関係ない。慎重に歩きながら辺りを見渡すが自分の出す物音以外何も音は聞こえないし誰かが居そうな気配もない。
「オールクリアー!」
映画とかで良く聞く掛け声を真似して言ってみる。自分以外はいなさそうなので僕は構えていた銃を下ろして安全装置を掛けた。この街は結構前に放置された様で僕の入った建物の中は埃だらけだった。酷い所だと歩くとまるで雪の上を歩いた時の様に床に積もった埃で足跡が出来る程だ。これしくしゃみしたらここら辺の埃が全部舞い上がって酷いことになりそうだな。と言うかこんな空気の悪そうな所じゃ寝れないや。掃除しようにも今からじゃ時間がかかり過ぎるし掃除道具も無い。どうしたものか・・・。寝床になりそうな場所は無いかなと建物の中を見て回るが長い間放置されたお陰でどこもかしこもぼろぼろの埃まみれ。この調子だと他の建物も同じ様な状態なんだろうな。なら一番綺麗そうな場所を探してそこを寝床にするしかないが何処にしようか。
「あ、こことか良さそう」
見つけたのは3階の隅にあった小さな部屋。一部壁が崩落してしまっていたけどそのお陰かこの部屋はあんまり埃は無かった。ここが良さそうだ。なら次は布団やベッド代わりになる物を探そう。そう思って隣の部屋を覗いてみると大量の段ボールがあった。グジャグジャになっているのもあったがまだ形を保っているのもある。前にネットで聞いた話だと段ボールは保温性が高くて良いと聞いたことがある。確か床に敷いてベッド代わりにすれば冷たい地面や床から体の熱を奪われるのを防いでくれるとかなんとか。なら有り難く頂こう。
目の前の段ボールを手に取り分解して広げる。しかし分解しようと段ボールの一部を破った時、段ボールの断面から何かが出て来た。
「ん?」
それは皆さんご存知、どのご家庭にも一度は出没したことがあるであろう黒い悪魔、通称G。
「ギャァ"ァ"ァ"ァ"ァ"⁉︎」
可愛らしい女の子が出してはいけない様な可愛いさのかけらもないガチの絶叫が部屋に響く。別に僕は虫嫌いって訳じゃないけどGはちょっと苦手と言うか嫌いだ。何で段ボールの中からと思ったがGは雑食だった筈だから恐らく段ボールを食っていたのだろう。最悪だ。床に落ちたGを咄嗟に蹴り飛ばし手に持っていた段ボールを投げ捨てて部屋から飛び出す。
「よし!床に直で寝よう!」
Gの潜む段ボールをベッド代わりにして寝るなんて真似出来訳がない。どうせ一緒に寝るのなら美少女と一緒に寝たい!添い寝して欲しい!あ、てか今僕自身がその美少女になっちゃってる訳か。なら僕が寝れば美少女と一緒に寝たってことになるんじゃ・・・?
「いやいやいや、落ち着け自分!」
突然のGで気が動転してしまっている様でよく分からんことを考えていた。取り敢えずあの部屋のドアを閉めもう一緒開けないことを心に誓った。もし手元にマッチやライターとかが有ればあの段ボール全てを燃やそうとしたかもしれない。布団代わりになる物は無いか探すけどそう都合よく代わりになる物は見つからない。別の部屋で綺麗そうな段ボール
を再び見つけたがさっきのことがあるから使う気にはなれない。
気がつくと外も建物の中に中もすっかり暗くなっていた。建物の中を探索したり寝床の用意をしたりと色々している内に時間が経っていたみたいだ。明かりなんて一切無いので建物の中は真っ暗になる。街の明かりがないとこんなにも夜は暗くなるのか。曇りのせいで月明かりも星明かりも無い今数メートル先も見えないくらいの闇だ。戦術人形になったことで夜目がきく様にはなっているみたいだがそれでも暗い。
「このまま寝るしかないか」
散々探し回って布団やベッドの代わりになるのもを探すことは結局出来なかった。僕は腰に付けていた装備品を外し背負っていたリュックを枕にして上に着ていたジャンパーを布団代わりにして寝ることにした。もし敵が来ても直ぐに銃を構えれる様に手元にAMB-17は置いておく。
枕は硬いしジャンパー一枚じゃ肌寒かったが仕方ない。それと床に直で寝ることで自慢の髪があんまり綺麗とは言えない床に着いてしまうのがちょっと嫌だなと私は思ったけどそれも仕方ないから何処か人の居るちゃんとした建物に入ることが出来たら先ず最初にシャワーを浴びることにしよ。
「お休みなさい」
明日はきっと良い日になるよね?ハ○太郎?
はいと言うことで皆さん。おはよーございます。朝です。寝たりを繰り返している間に朝になっていました。あんまりぐっすりとは寝れていません。
「ん〜〜〜」
起き上がり服や髪に付いた汚れを叩いて落とし背伸びをしながら崩落した壁から差し込む朝日を全身に浴びる。ゴーストタウンに差し込む朝日はとても綺麗でどこか幻想的だ。リュックから朝食の携帯保存食を取り出して食べる。何だかんだで昨日は何も食べていなかったからお腹が空いた。
「頂きまーす。・・・・・まっず・・・」
バニラ味のエナジーバーはそんなに美味くなかった。バニラ独特の味がちょっと俺には合わなかった。と言うか今更だがこのエナジーバー賞味期限とか大丈夫だったのだろうか?まぁ保存食だし大丈夫だと思うことにするか。意味があるかどうかは分からないが軽く準備運動をする。これからまたひたすら歩くことになるからな。
さて、朝食を済ませたことだし行きますか。外していた装備品を付けて布団代わりにしていたジャンパーを着てリュックを背負う。忘れ物が無いのを確認してから僕は建物を出て再び流浪の旅を始めた。
暫く歩いているとゴーストタウンも都市部から離れて郊外の方へ来た様で同じ様な形の住宅が並んでいる。と言うかこんだけあるいてまだ人に出会えていない訳だけど本当に人と出会えるのか?と言うかこの世界もしかしてもう人間なんて居なくなっているんじゃ?いやいや。それは無いだろ。多分。でも流石に1人ぼっちで誰も居ない住宅街を歩くのは寂しい。話し相手が欲しいなと切実に思う。
「どっかんどっかんつーいてーるーどっかんどっかんぱーらだーいすー♪きっとーだーれーもがー昔から住んでる〜♪・・・・んん?」
そんな寂しさを紛わす為に歌を歌っていると遠くから花火の様な音が聞こえて来た。ん?歌詞がおかしいって?気にするな。それより音だ。距離は遠いがハッキリと花火の様な破裂音が連続で聞こえて来る。そして私はそれが花火とかの音ではなく銃声だと言うことに気が付いた。直ぐに手に持っていたAMB-17のマガジンを一度外しちゃんとマガジンの中に弾が入っているのを確認する。そしてチャンバーの中にも弾が装填されているのを確認しセレクターレバーをオートに切り替えていつでも撃てる様にする。右太ももに付けているホルスターからサイドアームGSh-18を取り出しこれも同じ様にちゃんと弾があるかと装填されているかを確認しホルスターに戻す。
音が聞こえて来るのは私から見て東方向。聞こえて来る音から察して少数が複数と撃ち合っているみたい。触らぬ神には祟りなしってことでこのまま無視して歩いて行った方が良いかもしれない。でももしかしたら私に対して友好的な人達がいるかも知れない。それならその人達の援護をすることでことで信頼を勝ち取れるかもしれない。
「どうしよ」
十数秒その場で逡巡した私は銃声の方へ行ってみることにした。辺りを警戒しつつ早歩きで音の鳴る方へ向かう。思ったより激しい戦闘みたいで銃声は途切れない。そらに時々爆発音まで聞こえて来るようになって来た。最初鉄血の部隊が他の部隊と交戦しているのかと思っていたけど鉄血が使うエネルギー武器特有の発砲音は聞こえてこない。と言うことはつまり今戦っているのは同じ人間同士って言う可能性が高い。そうなればどっちを助けるべきかな判断がとても難しくなっちゃう訳だけど・・・うーん面倒だなぁ。
更に進むと武装した人を見つけた。やっと人間に出会えたけど今は見つからない方が良い。私は近くにあった廃車に身を隠してその人達の様子を伺う。AK-100系の銃を持った男4人とM4A1を持った男2人の合計6人が駆け足で私と同じ様に銃声の鳴っている方へ向かっている。銃声は目の前の道路から聞こえて来ていて男達もそこに向かっている。見た感じ男の人達は軍人と言う感じではなくお互い種類の違う服や装備、そして種類の違う銃を使っていて統一感がないし民兵じゃないかな?もしかして少ない物資とかを巡った民兵VS民兵だったりするんじゃ?もしそうだったら何もせずに立ち去ろ。関わるだけ面倒なだけだし。
このまま戦闘の起きているエリアに行くのは危険と判断し戦闘の起こっている道路の右側にあった住宅の中にお邪魔し2階に駆け上る。そして2階の窓から戦闘の様子を伺う。私から見て右側に家を盾にしながら戦うセーラー服を着たツインテールの少女が1人。その反対側にはさっきの民兵達合計14人。まさかの1対14と言う構図だった。
にしても彼女、1人でかなり善戦している。その可愛らしい見た目とは裏腹に正確無比な射撃で敵を怯ませている。その見た目の幼さとは反比例する戦いっぷりを見ていた私は1つの可能性に行き着いた。
「彼女、もしかして戦術人形なんじゃ?」
あのまだ幼さを感じる可愛らしい少女があんなに戦えるとは思えない。と言うことはもしかしたら自分と同じ戦術人形なんじゃないかな?私は今までずっと持ち腐れ状態だった無線機を操作して戦術人形用の周波数に合わせる。と言っても向こうの無線の周波数は分からないから近くに居る全戦術人形に繋がる様にする。受信用のイヤホンを右耳に付けて首に付けたスロートマイクに手を当てながら話す。
「こちら戦術人形のAMB-17。今住宅街で戦っている戦術人形さん。聞こえる?」
もし彼女が戦術人形ならこの通信に反応してくれる筈。暫く待っていると返事が来た。
『はい!聞こえます!こちらはグリフィン所属の戦術人形M14です!今民兵組織に攻撃を受けて追い詰められている状況なんです!至急こちらの援護に来れませんか?』
グリフィン。私が所属する筈だったPMC。これはチャンスだ。M14を助ければそのままグリフィンの基地に拾って貰えるかもしれない。それにここで
「分かった。実は銃声を聞いてもう近くにいるから直ぐに援護するね」
『すいません。お願いします!』
窓を開け銃を構える。敵は全員こっちに気づいている様子は無くてM14との撃ち合いに夢中。こっちからは狙いたい放題だからまさによりどりみどり。セレクターレバーをオートからセミに切り替えてホロサイト越しに1番前で攻撃をしている男の頭に狙いを定める。距離は20メートルってところかな?この位の距離なら射撃試験の時に何度も撃ったことがあるし今敵は動いていないから外すことはない。
「狙い撃つぜ!」
と決め台詞を言ってトリガーを引いた。住宅街に鳴り響くけたたましい発砲音の中にバシュッ!と言う抑制された発砲音が混ざり掻き消される。
音速を超えない亜音速で飛んで行った9×39ミリ弾は狙い通り男の頭に命中。撃たれた男は頭から血を流しながらその場に膝から崩れ落ち頭動かなくなった。銃の消音性が高いお陰でまだ私が撃ったことには気付かれていないみたいだから続けて横に居た男の頭を同じ様に撃ち抜く。まだ気が付かない。更にもう1人撃つ。流石に味方の撃たれる方向がおかしいって思ったのか1人がこっちを向いた。
「遅い!」
目が合った瞬間に私はそいつの胴体に3発食らわせた。だけどそのせいで完全にこっちの場所がバレちゃったみたいで仲間が撃たれるのを見ていた男が「あの家にも居るぞ!」と叫んで滅茶苦茶撃って来た。直ぐに壁に隠れたから撃たれることななかったけどこれは場所を変えた方が良さそう。
「手榴弾があればなぁ」
敵の方に適当に投げて怯んだ隙に陣地転換!って感じのことが出来るんだけど生憎今私は手榴弾は持っていない。それに私ばっかり撃っちゃって良いのかなー?
ダンッ!ダンッ!と言う消音性能を重視した私の銃とは違う重い銃声が右奥から聞こえて来る。M14だ。私の方に注意が向いていた男達はその隙を突かれてM14から撃たれて行く。慌てて男達はM14へ反撃する。私はその隙に家を出て奴らの後ろの方に回り込み無防備な背中に単発で撃ち込んで行く。さっきと同じ様に直ぐには私の銃撃に気が付かない。亜音速弾とサプレッサーの組み合わせでただでさえ銃声は小さいのにこうして激しく撃ち合っている時なんて本当に私の発砲音なんて聞こえっこない。弾の飛んで来る音でさえ聞こえないんだから奴らが直ぐには気がつかないのも仕方ない。
前後から挟まれた男達はどっちの対応をすれば良いのか分からなくなり混乱状態になった。そこに私とM14が攻撃を仕掛け奴らは次々と撃たれて行った。結局残り4人になった時にやっと諦めてくれた様で銃を捨ててどっかに一目散に逃げて行った。追いかけて殺すことも出来たけどそんなことをする必要はない。弾もそんなに沢山は持ってないから節約しないとだしね。
「援護してくれてありがとうございます。助かりました」
初の戦闘が終わり一息ついているとM14が駆け寄って来てそうお礼を言って来た。こっちに歩いて来る時に右足を引きずる様にして歩いていたのが気になって見てみると右足を怪我している様で太ももに包帯を巻いていた。だが出血が酷いのか血が滲んでいる。
「右足、大丈夫?」
「はい。大丈夫です。前の戦闘でちょっと撃たれちゃいまして。ところで貴方は何処の所属の戦術人形なんですか?」
M14の足の怪我が気になるが僕は医者とかじゃないから見てる治してあげることは出来ない。消毒液や包帯とかの治療アイテムも持っていないし。それより今は彼女の問いにどう答えるかだ。まぁここは正直に伝えた方が良いだろう。と言うことで僕はM14に起きてからこれまでのことを簡単に説明した。勿論、僕が元男とか言う話はしていない。信じて貰えないだろうし。
「なら、私の基地に来ませんか?」
おやおや。思ったより話が早くて助かる。もうちょっと色々と交渉とかする必要があるのかなと思っていたんだけど。
「え、良いの?」
「はい!助けてもらった恩もありますし」
「なら・・・お言葉に甘えようかな」
さっさとシャワー浴びてふかふかのベッドの上で眠りたいよ。昨日の夜もあんまり眠れていないし体は汚いし。それじゃさっさと帰りましょうぜ。
「それで、基地にはどうやって?」
そう聞くとM14は困った様な表情で苦笑いした。え、なにその苦笑い。可愛いけど嫌な予感するんだけど?
「それが・・・わたしたちも貴方と同じで迷子なんですよ」
あ、ふーん(絶望)ってことはまだこの放浪生活は続くって訳ね。泣けるぜ。と言うか今彼女、私達って言ったよな。でも今のところ彼女以外姿は見えないしどう言うことだ?
「私達って言ってたけど他に仲間が?」
「あ、いや。そう言う訳ではないんです。ややこしくてすいません」
つまり私達って言うのは彼女の一人称ってことか?じゃぁ何で私達って言う複数形なんだろう?もしかして彼女電波系だったりするんだろうか。色々と気になるが余り詮索しない方が良いだろう。
「で、貴方は何で迷子に?」
「偵察任務で他の戦術人形と一緒にここに来てたんですけど途中でさっきの人達に襲われちゃいまして。一緒に居た仲間のM1911が狙撃でやられちゃって。私も反撃はしたんですけど数が多くて。戦いながらここまで逃げて来たんです。長距離用無線機も慌てて逃げて来たから置いて来ちゃって基地に通信することも出来なくて」
「成る程・・・」
「ちなみここから基地までは近いの?」
「北に約20キロです」
20キロかぁ遠いなぁ。それこそ車とかが欲しくなる。
「因みにM14はどうやって基地からここに来たの?」
「ATVに乗って来ました」
「ATV?」
聞き覚えのない用語だ。乗り物の名前ってことは分かるんだけどどんな乗り物なんだろう?グリフィンが使っている車両だから軍用車両とかだろうか?
「
「へぇ〜」
「それに長距離用の無線機やその他装備品を載せてたんですけど運転をしていたM1911が撃たれちゃて・・・・」
そのままここまで逃げて来たって訳か。それじゃぁその置いて来たATVの所に行けば長距離用無線機を使うことが出来るんじゃ?
「そのATVの所に行って無線機を回収出来ないの?
「多分もう無いと思います」
「なんで?」
「あの人達はハイエナって私達は呼んでいる人達で私達とかを襲って食料やお金になりそうな物を全部盗んで行くんです。私達戦術人形も殺して部品を売ったりもしているみたいで・・・」
人間って怖い(小並感)。食料や金になりそうな物資とかを襲って盗むのはまだ分かるけど戦術人形を殺してその部品を売るのはヤバいだろ。って、ちょっとまて。なら彼女の仲間の狙撃されたって言うM1911も・・・。それに戦術人形を殺して部品を売ってでも金を稼ごうとする連中なんだ。ATVに乗せてあった無線機なんてとっくの昔に盗まれただろう。
「成る程・・・まぁ取り敢えず移動しようか。いつまでもここに居たらまた奴らが仲間を引き連れて来るかもしれないし。確か基地は北の方向なんだよね?遠いけど歩いて行こっか」
「・・・・」
M14からの返事が来ない。聞こえなかったのかなと思ったが何か言いたげな表情の彼女を見た感じそう言う訳では無さそうだ。
「どうした?」
「あの・・・貴方にちょっと頼みたいことがあって・・・・」
「何?」
彼女の思い詰めた様子を見た感じ何か頼み辛いことだって言うのは予想が出来た。
「M1911を助けに行くのを手伝って欲しいんです」
「え?でもM1911は狙撃されたって・・・」
「はい。運転中に頭を撃たれて完全に活動は停止しています。でも。でも!仲間がバラバラにされて売られると思うと許せないんです!」
成る程。彼女の言いたいことは凄く分かる。例えもう死んでいたとしても大切な仲間がバラバラにされてパーツとして売られるのは嫌だろう。
「本当は私だけで行きたかったんですけど右足を撃たれちゃっているし弾も残り少ないから正直厳しくて・・・助けられた分際ですけどM1911を助けるのを手伝って欲しいんです!」
敵はまだまだ沢山いるだろう。たった2人でしかも1人は負傷している状態で挑むのは無謀かもしれない。でも、可愛い美少女の頼みなんだ。それを断ることなんて出来ないだろう?
「分かった。M1911を助けよう!」
M14可愛いよM14。M14は胸が大きいことに注目されがちですが大破絵などで見えるムチムチの太ももと大きめのお尻も良いんですよね。私の推しの1人です。そして彼女の一人称の話は詳細はM14のMODストーリーを見ると分かります。
因みあの段ボールのハプニングは実際に自分が遭遇した事故です。あの時は心臓が止まりかけましたw
ご感想などお待ちしております!
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第3話 仲間を訪ねて3000里
どうも、グリフィン&クルーガー所属の戦術人形ツインテールが可愛いM14ちゃんの頼みを聞いてM1911の遺体を助けに行くことになったAMB-17です。ノリと勢いと上目遣いで見て来たM14の可愛さに負けて頼みを聞いちゃったけどぶっちゃけどうすれば良いんだろうねこれ。
「それで・・・あいつらの拠点とかは知ってたりする?」
「拠点となっているであろう場所の候補が幾つかあります」
あ、完全に拠点を特定はしていない感じですかそうですか。それじゃぁM1911が何処に運ばれたのか分かんないな。M14は端末を取り出すと地図を見せてくれた。って言うか地図がホノグラムなんですけど。SF映画とかでしか見たことなかったぞコレ。地図にはその拠点であろう候補地点がマーキングされている。マーキングの数は全部で9つ。
「多くない?」
「あの人達はお金のない貧困の人達が集まっているだけなのであちこちに似た様な拠点があるんです」
「ダメ元で聞くけどM1911が何処に連れて行かれたのか分かる?」
「ごめんなさい。分かんないです」
まぁそうだよね。
「いや、謝んなくて良いよ。ダメ元で聞いただけだから」
ならどうしようか・・・
う〜ん・・・何か良い案はないか?流石に9つもある拠点をしらみ潰しに一つづつ見て行く訳にもいかないだろうし。
「いっそ相手に聞いてみる?貴方の持って行った戦術人形は何処に運びましたかって」
「・・・それ、良い考えですね」
「え?」
冗談のつもりで言ったんだがまさかの採用ですかい?マジで?だけど本当にアイツらにそんなこと聞いても答えてくれる訳ないだろう。襲われるだけだ。
「いや、今のは冗談で言ったからね?本当に聞きに言ったら襲われるだけだよ?」
「流石に普通に聞きには行きませんよ」
それからM14が考えた作戦を僕は聞いたがそれ本当に大丈夫なの?と言いたくなる様な物だった。
住宅街を通る幹線道路。そこに乗り捨てられたバギーカータイプのATVがあった。ATVの周りにはAK-74M持った男1人とM4A1を持った男1人とM870を持った男1人の合計3人が集まっていてATVの中を何か金になる物がないか物色していた。
「おーい!」
そこに黒色のジャンパーのフードを目深に被った人がやって来た。ジャンパーの下に着ている白色トップスの胸の部分が大きく膨らんでいる為その人が女性であると言うことは一目で分かるだろう。もう皆さんは察したと思うけどM14が考えた作戦と言うのは僕が奴らの仲間のフリをして場所を聞き出すと言う物だ。僕だけが言ったら怪しまれるだろうと言うことでM14を捕まえた風に装う。計画通り男達は僕よりも拘束した状態で連れて来ていたM14に注目していた。
「やーっと捕まえたよ」
怪しまれない様にフレンドリーに言いつつ僕はワザと乱雑にM14を男達の方に突き飛ばした。突き飛ばされたM14はバランスを崩し地面に倒れてしまう。両手をロープでガッチリ拘束されていたM14は受け身も取れずに地面に倒れ小さく悲鳴を上げた。ごめんねM14。
「やったな!大手柄じゃねぇか!」
AK-74Mを持っていた若い男がそう言って僕の肩を叩いて来た。
「散々戦って弱ってたみたいでね。弾も無くなっていたみたいで案外簡単に捕まえることが出来たよ」
「それににしても良く生捕りに出来たな」
「弾が無くなったら諦めたみたいでね。あっさり投降して来た。殺した方が良かった?」
「いや。コイツには色々と恨みがあるからな。殺す前に痛めつけたいと思ってたんだ」
M870を持っていた別の男がそう言って来ると地面に倒れるM14に憎悪の篭った目を向けた。
「散々仲間を殺しやがってこのクズ鉄がッ!」
男の1人が罵倒しながら倒れていたM14の腹に蹴りを入れた。僕はそれを止めようとしたがM14は俺の方を見て来た。「私は気にしないで」と言って来ている様に言っている様に見えた。
「がはっ⁉︎」
勢い良く腹を蹴られ苦しそうに咳き込むM14。だがそんなのを気にせずに男は腹に何度も腹に蹴りを入れる。
「オラっ!さっきまでの威勢はどうしたよ!許さないとか言ってたよな?えぇ⁉︎お前が腹を撃って殺したデイブは俺のダチだったんだぞ!」
「ごふっ・・・がっ・・・・あがっ!」
何度も腹を蹴られたM14は苦痛で表情を歪ませながら咳き込む。男は蹴り疲れた様で荒れた息を整えると持っていたM870の銃身部分を持つとストックでM14を叩いた。僕は止めたい衝動をグッと堪えてその様子を見ていた。
「え、えっと。ちょっと聞きたいことがあるんだけどコイツと一緒にいた戦術人形を何処に連れて行ったのか知ってる?コイツも同じ所に運べって言われたんだけど私場所知らなくて」
さっさと情報を聞き出さないとM14が酷い目に遭うばかりだ。僕はAK-74Mを持っている青年に聞いた。
「何だ。場所知らないのか?」
「え、えぇ。私は最近ここに来たからからまだあんまり慣れてなくて」
「確かに言われてみればお前見ない顔だな。君みたいな女性なら一目見れば忘れないだろうからな」
と言いつつ男は僕の胸の方をチラリと見た。まぁコイツの言いたいことは分かるよ。君みたいな巨乳の女性なら忘れないってことだろ?下心隠す気もないだろコイツ。
「でしょ?前にいた所でここら辺は金が稼げるって聞いて来たんだよね〜」
「まぁ確かにそれなりに稼げてるな。人形の部品は良い稼ぎになるよ」
「それで場所を教えてくれない?」
「ここから南西に行った所にあるホテルだ。デカい建物だから直ぐに分かる」
ポケットから折り畳まれた地図を取り出すと黒色のペンで丸く囲まれた所を指差しながら答えた。
「親切にありがとう」
「どういたしまして」
2人が話している間ももう1人の男はM14に罵倒を浴びせながら蹴ったりM870のストックで叩いたりしていたが流石に疲れた様で息切れしていた。相当恨みがあるみたいだが元はと言えばM14達を襲って来たお前らのせいだからな。
「なぁ今日の夜暇か?ちょっと一緒に飲まないか?良い酒持ってんだ」
いや絶対酒で酔わせた後にあわよくば抱こうとか思ってるだろコイツ。って思ったけどいくら何でもそれは僕の考え過ぎか。ただ単にナンパして来ているだけだろう多分。
「う〜ん考えとくね」
「なぁ。何でお前フード被ってんだ?」
今まで黙っていたM4A1を持った帽子を被った男が聞いて来た。流石にフードを被っていたのは怪し過ぎたか。さっき戦った時は僕の姿は見られて居ない筈なんだけど一応と言うことで顔を隠して居たんだけど逆効果だったか。
「いや、特に深い訳はないよ。強いて言うなら紫外線を防ぐ為とか?」
適当なことを言いつつ僕はフードを脱いで見せた。因みに長い髪はジャンパーの下に入れて収めている。帽子を被った男は俺の方をじっと見て来る。いや滅茶苦茶緊張するんですけど!
「何だ、お前コイツが気になるのか?」
「いや、あんだけの数がこの人形を追いかけていたってのに捕まえて来たのはコイツ1人って何かおかしくないか?」
あーこりゃ完全に怪しまれちゃってるパターンですね本当にありがとうございます。なんだよもう。上手く行っていると思ったのに。ここはこの巨乳美少女に免じて見逃してくれなのかよ?これ以上はちょっと騙し続けるのは厳しそうだし聞きたいことは聞いたことだし逃げるか。いや、相手は武装していて人数でも向こうが多い。それに今無理にM14を連れてどっかに行こうとするのも怪しまれて最悪仲間だとバレて撃たれる可能性があるし・・・・ここは私が倒しちゃうしかないか。
「あぁそうだ。後もう一つ皆んなに見せたい物があったんだよね」
と言いつつ私は何気ない自然な動作でズボンの後ろに右手を回して隠していたGSh-18を手に取り素早く抜き取った。先ず狙うのは警戒していていつでもM4A1を撃てる様にトリガーに指を掛けていた帽子を被った男。正確な狙いをつける暇はないから取り敢えず腹当たりに向かって3発撃った。スティグマ対応外の銃だけど1メートルもないこの距離なら初心者でも当たることは出来る。次に驚いて固まっていたAK-74Mを持っていた若い男の腹にも3発食らわせる。最後に驚き慌ててM870を構えて撃とうとしていた男の胸に3発食らわせた。約1秒程の出来事だったけど何とか全員倒すことが出来た。
私は口と腹から血を流して倒れているAK-74Mを持っていた若い男に近づき「ごめんね」と謝ってからこれ以上苦しまない様に頭に1発撃ち込んだ。残りの2人も同じ様に頭に撃ってトドメを刺した。
自分で殺しといて言うのもなんだけどこの人達には酷い事をしてしまったな。こんな世界じゃなければ、彼らも幸せに生きれたかも知れないのに。だけどこの世界は僕の居た平和な世界とはまるっきり違う弱肉強食の世界。仕方なかったんだ。3人に合掌したから僕はM14の方に駆け寄り手に結んでいたロープを解いてあげた。
「大丈夫?」
あの男に蹴られたりストックで殴られたりしたM14はロボロボな状態だった。
「は・・・い。ごほっ!ごほっ!大丈夫です」
そう言う彼女だが咳き込むと微量の血を吐き出した。僕がもうちょっと上手くあの人達と話すことが出来ればM14もこんな酷い目に遭わずに済んだかもしれないのに。
「ごめん。もうちょっと上手く聞き出せとけば君もこんな酷い目に遭わずに済んだのに」
「貴方は充分上手く聞き出せてましたよ。それにこうされるのは覚悟の上でしたから」
「ごめんね・・・」
「だから貴方は悪くないですって。それより早く行きましょう!」
「そうだね」
僕とM14はATVに乗り込む。僕はATVの運転なんて分からなかったが一応自動車教習所には通っていたから車の運転の仕方は分かる。M14に軽く操作方法を教えてもらってから僕はATVを発進させた。
次回の投稿はちょっと遅れてしまうと思います。申し訳ないです。
ご感想お待ちしております!
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第4話 男の人っていつもそうですよね!胸ばっかり見て女を何だと思っているんですか!
男から聞いた場所にATVで向かった僕とM14は目的のマンションが見える建物の中からマンションの様子を伺っていた。地図が正しければ今僕達の目の前に見えてる窓ガラスが無くなっているボロボロのマンションが目的の場所だ。武装した民兵が大勢警備している要塞の様な所を想像していたんだけど想像と違って周りに警備兵らしき人は殆ど居なくて、マンションの前にドラム缶で焚き火をしていてその火の周りにホームレスみたいな人が集まっていた。
「見た感じ警備は多くなさそうだね」
「見える範囲だと屋上に2人、正面玄関前に2人ですね。それと焚き火の近くで暖をとっている人の中にAKを持っている人が5人居ますね」
屋上や玄関前に居るのは僕でも分かっていたけど暖をとっている人達の中に銃を持っているのは気付かなかった。流石グリフィン所属の戦術人形だな。
「どうやって中に潜入する?」
「さっきと同じ手でやりません?」
「いや〜流石に無理じゃない?」
また僕が民兵のフリをしてあのマンションに潜入するのは流石に無理じゃないですかね?それに僕的にも敵の拠点に潜入するなんて言う危ない事をあんまりやりたくないって言うのもあるし。
「そうですかね?確かにさっきみたいに私を囮にして行くのはちょっと無理があるかもですけど貴方1人だけなら潜入出来ると思いますよ」
「いやいやいや無理だって」
「服とかだってありますから」
そう言ってM14は自分の持っていたリュックから使い古された服と帽子、そして奴らが使っていた武器であろうAKS-74Uを出した。
「いやそれ何処から持って来たの?」
「実は貴方と会う前に私が変装してM1911を探そうと考えてて倒した人から拝借してきたんです」
「な、成る程・・・」
見た目はツインテールの可愛らしい少女なんだけど死んだ人から服を奪ったりするのを当たり前の様にするのはやっぱり彼女は戦術人形なんだなと実感させられるよ。いや、それを言うならば僕もだ。もう既に何人もの人を撃ち殺したって言うのに余り罪悪感とかは湧いて来ない。ちょっと酷いことしちゃったかなレベルだ。変わったのはこの身体だけじゃなく心も人間から戦術人形に変わっていたってことだ。でも今の僕は私でもある。心も変わってしまうのは仕方ないことだよ。
「いやでもああ言う人達って仲間の顔とかは覚えているでしょ。幾ら服を変えて変装したって見慣れない顔だってことでバレちゃうと思うんだけど」
「大丈夫ですよ。さっきだって別の所から来たんだって言ったら信じて貰えたじゃないですか!」
「いやまぁそれはそうだけど・・・」
ちょっとやだ奥さん本気みたいですよこの娘。
「不安なのは分かりますけど正面切って多数の人と戦うよりは潜入する方が良いですよ。それにもし危険な状態になっても私が援護して見せますから。こう見えても私中距離の狙撃は得意なんですよ?」
そう言って得意げな顔をするM14。くそっ、可愛いな。いや今はそれどころじゃなくてだな。援護して貰うのは嬉しいけどマンションの中に入ってしまったら流石の彼女も援護射撃をすることは出来ないだろう。つまりマンション内で僕は完全なる孤立無援の四面楚歌な状態だってことだ。でも、M14の言う通りアイツら全員と戦うよりは潜入してこっそりとM1911を持ち帰った方が良いよな。
「うーん・・・でも仮にもし上手く潜入してM1911を見つけ出すことが出来たとしてもどうやってマンションの外まで持ち出すの?」
「袋か何かに入れて持ち帰れないですかね?」
「いや無理があるでしょ」
「なら私がマンションの正面で騒ぎを起こしてその間に裏から逃げるっていうのはどうですか?」
「う、う〜ん・・・」
それならどうにかなりそうな気がしなくもない。やっぱりこの作戦はあんまりやりたくないけど他に良い作戦を思いつく訳でもないしいい加減覚悟を決めるしかないか。
「分かった。その作戦で行こう」
「分かりました!なら先ず極力怪しまれない様に服を着替えましょう!」
と言うことで3分程で変装と言う名の着替えは終わった。ズボンはジーンズを履き上は白シャツの上に灰色のパーカーを着てキャップタイプの帽子を被り髪はポニーテールに結んだ。
「どう?」
「良い感じです!」
着替え終わりM14の方を向いて聞いてみるとM14は親指を立てて答えた。他人の着ていた服を着るって言うのに少し抵抗を覚えるけど仕方ない。って言うかこの服ちょっと臭くね?って思ったけどろくに洗濯もしていないであろう服なんだから臭って当然だ。
「何も知らない人が今の貴方を見たらアイツらの仲間だと思うと思いますよ」
「なら良いんだけど。それじゃぁもしもの時の援護と敵の誘導よろしく」
「はい。任せて下さい!」
僕はズボンの後ろにGSh-18を入れ上着で隠しAKS-74Uを手に持った。
「すいません。貴方ばかりに無理をさせてしまって」
「気にしないで良いよ。私は可愛い娘の頼みは断れない性分だから」
「え//私可愛いですかね?」
僕にそう言われて顔を赤くするM14。この反応を見る感じ余り可愛いなどと他人から言われ慣れていないみたいだな。
「そうやって照れてるところも可愛いよ」
「もう!そんなに煽てても何も出ませんよ!」
「ふふっ。それじゃ、行ってくる」
「はい。幸運を!」
建物から出て僕は堂々と正面からマンションへ歩いて行く。あたかも仲間の様に自然に。大丈夫だ。バレたりしない。変にビビって挙動不審になる方がかえって見つかり易くなる。ドラム缶で焚き火をしている人達の横を通過する。1人が僕の方をチラリと見て来てドキッとしてしまうがなるべく表情には出さない様に努める。そのお陰か何か言われる訳でもなくチラッと見ただけで特に何もしてこなかった。そのまま歩きマンションの正面玄関の目の前まで来る。玄関前に立っていたガリルを持った警備兵2人が歩いて来た僕を見て来る。
だがその視線は僕自身と言うよりは僕の胸に言っている様なら感じがする。やっぱり男なら誰でも巨乳が目の前にあったら見てしまうよな。見てしまう気持ちは良く分かるよ。
「見ない顔だか何処から来たんだ?」
そのままマンションの中に入ろうとしたが直前で警備兵の1人に聞かれた。
「南の方から。私はお金を稼げそうな所を転々としているんですよ。ここは人形の部品とかを売って結構稼いでいるって聞いたから来てみたんです」
「南か。俺達はこの街から出たことないんだがどんな感じなんだ?」
「どこも同じ様な感じですよ」
「まぁそうだよな。ここにはどのくらい居るつもりなんだ?」
「正確には決めてないんですよね。ある程度まとまった金額をここで稼げるまではここに居ると思います。それで・・・ここに戦術人形を運んで来たって聞いたんですけど何処にあるか知ってます?ちょっと興味があって」
「それなら一階の奥に作業室って書いている広めの部屋があるんだがそこにあると思うぞ」
意外と上手くM1911の居るであろう場所を聞くことが出来た。マンションの一階なのは嬉しいな。もしこれで最上階とかだったら逃げる時に苦労することになっていた。
「そうなんですね。ありがとうございます」
「なぁ。今夜暇か?暇なら一緒に酒でも飲まないか?実は今夜仲間と一緒に飲み会をする予定なんだ」
「そうなんですね。う〜んどうしようかなー。考えておきます」
口に手を当てて考える様な動作をしてから僕は笑顔でそう言った。今夜一緒に飲まないかと誘われるのはさっきと合わせてこれで2回目だ。こんなにも誘われるのはやっぱり今の僕の容姿が美少女だからと言う理由が主な原因なんだろうな。
「分かった。もし来る気になったらこのマンションの4階の中央階段を登ってから左にある部屋に来てくれ」
「分かりました」
まぁ兄さんには悪いけどその飲み会に行くことは無いけどね。僕は「それではまた」と言って警備兵と別れてマンションの中に入った。後ろから警備兵2人の話し声が聞こえて来る。
「今の娘胸大きかったな」
「だな。と言うかお前よく初対面の女を飲み会に誘おうとか思ったよな」
「そりゃ野郎共と飲むよりは可愛い女の子と飲みたいだろ」
「まぁ確かにあの娘可愛かったな」
「お前にはやらんぞ。俺が最初に声をかけたわだからな」
どうやら僕のことで話は結構盛り上がっているみたいだ。何か元々男の僕がこうして女の子として見られるのは複雑な心境だな。素直に喜べないや。と言うか僕は男なんだから自分の容姿が可愛いとか言われているのを嬉しく思うのはちょっとおかしくないか?でも今の自分は女なんだから可愛いって言われて喜ぶのは別におかしくない・・・のか?自分でも分かんなくなって来た。
だが今はそんなことを考えている場合じゃない。正体がバレる前にさっさとM1911を見つけてここからトンズラするんだ。警備兵の男の言葉通り廊下を歩いて奥の方に行くと入り口の前に「作業室」と書かれた部屋があった。ドアなどは無く部屋の中には色々な機材や部品などがそこら中に散乱していた。そして部屋の中央、病院とかで見る様な手術台が置かれていてそこに1人の少女が横たわっていた。部屋の中に誰もいないのを確認し中に入る。そして手術台に寝かされている少女の姿を確認する。金髪ショートの少女で白色のシャツの上に黒色のジャケットを着ていてネクタイはアメリカ国家になっている。顔を確認しようとしたが右半分が大きく破損した状態だった。M14が狙撃されたと言っていたからそのせいだろう。中身の機械が見えてしまっているが漏れ出ている人工血液のお陰で整体部品や機械の部分が赤く染まりグロく見えてしまう。
そう言えば僕はM1911と言う名前を知っているだけで容姿については殆ど教えてもらっていなかった。写真とか見せて貰えば良かったな。M14に聞くか。実を言うと戦術人形同士は無線機などを使わなくてもある程度の距離なら通信を行うことが可能だ。
「M14聞こえる?」
『はい!聞こえています。どうかしました?何か問題が?』
M14の声が頭に直接響く様な感じで聞こえて来る。初めて人形同士の通信をやったけど普通の無線機とは違う変な感じだ。だけど一々無線機を使わないで良いのは無線機を使うな為に手を使う必要がないから良い。
「いや、M1911らしき人を見つけたんだけどそう言えば私名前を知っているだけで容姿を知らなかった」
M14の「あっ!」と言う声が聞こえて来た。僕もバカだ。人を探すんだからその見た目を聞くのは当たり前だって言うのに。
「一応見つけた娘の特徴を言うと金髪のショートで目の色は青。アメリカ国家をあしらったネクタイを付けてる」
『その人で間違いないです』
「分かったじゃぁ今すぐー「誰か居るのか?」ッ⁉︎」
いきなり僕から見て後ろの部屋の入り口の方から知らない男性の声が聞こえ僕は咄嗟に通信を切ってそして私は何もしていませんよって顔をして振り返った。そこにいたのは血で汚れたツナギを来た白い髭を生やした中年男性だった。
「すいません。お邪魔しています」
「誰だ?」
「ただの金欲しさに戦っている民兵ですよ」
と言って僕は手に持っていたAKS-74Uを軽く持ち上げて見せた。男は興味無さそうにしながらこっちに歩いて来た。
「何でこんな所に居る?」
「ここに戦術人形が運び込まれたって聞いてちょっと興味があって。コレなんて言う戦術人形なんですか?」
「持っていた武器から察するにM1911だ。戦術人形は使っている銃の名前がそのまま人形の名前になるから分かり易くて良い」
どうやら僕は怪しまれていない様だけどコレじゃぁM1911を回収する事が出来ない。取り敢えず今は適当に話をして時間を稼ぐか。
「ここで人形を解体してきるんですか?貴方1人で?」
「まぁな。人形の部品は闇市で高値で売れるからってことで人形の構造や部品に詳しい俺が解体を任されているんだ。けどなぁ人形の解体ってのは結構疲れるんたぞ?」
「そうなんですか?」
「あぁ。それと疲れるって言うのは何も体力的な話だけじゃねぇ。精神的にも疲れる」
と話しながら男は手術台の近くにあった丸椅子にどかっと勢い良く座った。
「と言うと?」
「見ての通り戦術人形、と言うか人形ってのはこうして中身を見ない限りは普通の人間と何も変わらねぇ。それに生体部品やら人工血液やら使っているから余計に人間に見える。だからこうして解体する時は本当の人間を解体している様に感じてしまう時があって嫌になる」
「成る程」
「それに元々俺は人形を解体するんじゃなくて作りたくて知識を身に付けたって言うのに・・・」
ため息を吐きながら男は胸ポケットからくしゃくしゃになったタバコの箱を取り出し中からタバコを一本取り出すと口に咥えて火をつけた。
「ふぅー。こんな所に来る奴は少なくてよ。特にお前みたいな可愛子ちゃんは。それに俺はほぼ毎日ここにいるもんだから人と話す機会も少なくてな。だからちょっと俺の与太話つーかグチに付き合ってくれよ。そんな長話しにはならねぇからよ」
「良いですよ」
僕的にはさっさとどっかに行って欲しいんだけどこの感じはどっかに行ってくれそうにはないね。こうなったら時間はかかるかもだけどこの人の話を大人しく聞くしかないか。
「元々俺はI.O.Pや鉄血、じゃなくても何か人形に携わる仕事をしたいと思ってたんだよ。んで学生の頃から必死こいて勉強したんだ。自慢じゃねぇがあの頃俺は学年でほぼトップの成績だったんだぜ?それで人形のことについて学べる大学に入学してそこでも勉強したんだが第三次世界大戦が起きたんだ。俺の住んでいた街の戦場になって住む家も通う学校も友達も家族も全部吹っ飛んだ。俺は難民になって路頭に迷うことになったんだ。そっからは生きる為にどんなことでもやった。夜飯の為に人を殺したことだってあった。そんなこんなで生活していたら気がつくと俺はこんな事をしていた。人形を作る筈がそこら辺から掻っ払って来た民間用の人形やこう言う戦闘用の戦術人形を解体してパーツを売り捌いている。人生どうなるか分からないとは良く聞くが正にその通りだよ」
そう言って自傷気味に笑う男。分かっているつもりだったが彼も苦労し生きる為に必死だったんだなと改めて思い知らされた。私の仲間である人形を解体するのは許さないが彼も生きる為にやっていたんだ。
「そんでこの話を人形に話すことになるとは思って居なかったよ」
「なっ⁉︎」
僕は男の言い放った言葉に驚愕した。いたコイツ僕のことを人形って言ったよな⁉︎まさかバレてたのか⁉︎後ろに後退りAKS-74Uを構え銃口を男に向ける。
「何で分かったの?」
私は何か男が変な動きをしたら直ぐに撃てる様にトリガーに指を掛け男から2メートル程距離を取ってから聞いた。
「言っただろ?俺は人形を作りたくて勉強したって。だから人間と人形の違いだって分かる。って偉そうに言ったが実は確かな証拠とかはなくて引っかかるかなと思ってあんなことを言ったんだが見事に引っかかったな」
「・・・」
迂闊だった。あの時「何言っているんですか私は人間ですよ」とか言ってはぐらかせば良かった。
「確かに人形は生体部品を使って人間そっくりに作ってはいるが所詮作り物だ。分かる人がよく見れば偽物だと気づく。俺の場合お前の綺麗な目を見ていて違和感を感じたんだ。でも確かな確証がある訳じゃなかったから引っ掛けてみたってことだ」
「死にたくなければ騒がないで」
こうなったら強硬手段だ。彼を脅すか最悪殺してでも黙らせてM1911を回収して逃げる。
「まぁそう怖い顔するなって。別に俺は何もしねぇよ。それに今ここで撃っちまったら周りの奴らに聞こえるぞ。あと、ついでに言うと今お前が構えているAK、セーフティーが掛かったまんまだぞ」
私を油断させる為の罠かもしれなかったが私はチラッと一瞬だけAKS-74Uのセレクターレバーの位置を確認した。確かにレバーはセーフの位置にあった。これじゃぁ引き金を引いても撃つことは出来ない。スティグマ適応外の銃だからどうも使い方に慣れていない。私はセレクターレバーを切り替えてフルオートで撃てる様にした。
「これである程度は信じて貰えたかな?もし俺が敵意があったら安全装置のことなんて言わずに襲ってただろう?」
確かにそうだ。わざわざ自分が不利になることを普通言わない。敵意があったら彼の言う通りトリガーを引いて撃てないことに動揺している間に襲ったりとかしていた筈だ。
「・・・何が目的?」
でも彼の目的が分からない。敵意がないのは分かったけど何がしたいのか分からない分警戒はする。
「ワルだって時には良いことをしたくなるもんさ。お前コイツを回収しに来たんだろ?俺は何も見てないことにすっからさっさと持って行きな。あぁそれと普通に持って帰ろうとしたら見張りにバレるだろうからここを使え。ちと汚いがな」
と言って男がコンコンとノックしたのはダストシュートだった。ダストシュートの大きさは小柄な人ならなんとか倒れるくらいの大きさがあった。
「下は色んなゴミが溜まっているから勢い良く落ちてもそれがクッションになってくれる筈だ」
まだ完全にはこの人を信じきれないが嘘を言っている様にもあまり見えない。取り敢えず僕はM14に再び通信を繋げた。
「聞こえる?」
『はい。突然通信が切れたので心配してましたよ!』
「ごめん。それよりM14は狙撃しなくて良いよ。ダストシュートを見つけたからそこからひっそり逃げる」
『分かりました。援護が必要になったら呼んで下さい!』
「分かった」
「お仲間との通信か?」
「まぁね」
「それじゃぁさっさと行きな。いつ他の奴が来るかも分からねぇ。お前が先に行け。後から仲間を滑らせる」
「分かった」
僕はダストシュートの蓋を開けると滑り台の時の様に足を入れた。
「まぁ俺が言うのも何だが悪かったな。仲間をこんなにしちまって」
「許さない。って言いたいところだけど貴方も生きる為だったし仕方ないから許す」
「そりゃ嬉しいね」
「それじゃぁまた縁があったら会いましょ」
「バラされたくなかったら俺に会わない方がいいぞ」
「なら2度と合わないことを祈ることにする。ありがとう」
「礼を言われる様な男じゃないよ俺は。じゃぁな」
「それじゃ」
仰向けの姿勢で僕はダストシュートの中に入った。人が滑ることなんか一切考えられていないから滑り台なんかよりも急な、と言うか殆ど垂直に近い状態で僕は暗いダストシュートの中を滑ってと言うか落下して行きそしてゴシャッと言う音を鳴らしてゴミの山に落ちた。多分僕が着地したのは生ゴミの上だったんだろう。凄い臭い。
「落として!」
とダストシュートに向かって叫ぶと少しの間の後M1911も滑り落ちて来た。僕はそれをキャッチすると担ぎ上げてファイヤーマンズキャリーの状態でM1911を運ぶ。どうやらこのゴミ溜めの所には人は居ないらしく僕は見張りに見つからない様に気をつけながらM14の待つ建物へ向かった。
悪役には悪役の理由がある。この言葉どこで聞いたか分からないんですけど覚えています。悪役にも悪役になった理由が存在して悪役だからと言うことだけで片付けてしまうのはダメだなと思っています。まぁ私の小説ではそこまで深い意味は込められていませんけどねw
ご感想などお待ちしております!
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第5話 R14地区基地
そしてお待たせしました第5話です!
「M14達が帰って来た⁉︎」
終わりの見えない大量の書類仕事に追われ若干疲労困憊気味だった私は副官のスオミからの報告を聞いて長時間のデスクワークで溜まっていた疲れも忘れ驚きの余り座っていた椅子から立ち上がっていた。ゴーストタウンへの哨戒任務に行かせて以降定時連絡も来ず一切の通信が出来ずに消息不明になってから半日が過ぎようとしていた時に来た朗報だった。
「はい。ATVに乗って」
「怪我とかは?」
「M1911はハイエナ達の襲撃に遭い頭を撃たれて機能停止。M14は右足の太ももを撃たれていて体のあちこちを殴られたりした様です」
「そう・・・M1911が・・・」
M1911がやられたと言う報告を聞き私はどかっと椅子に座り込んだ。戦術人形M1911。私のことをハニーと呼んで来る快活で元気な娘。頑張り屋でどんな任務でも一生懸命こなすとても良い娘だ。彼女が撃たれて機能停止してしまったと言うのはとてもショックだった。M1911の記憶のバックアップは勿論用意しているから今回の哨戒任務より前の記憶は全て元に戻すことが出来るけど、バックアップを取ってから撃たれるまでの記憶は消えるから全部ではないけど大切な記憶がなくなっていると言うことも悲しかった。
指揮官によっては戦術人形はただの人形、道具に過ぎないと考えている者も居るけど私はそう思えなかった。私は感情もあるし個性もある彼女達を私達と同じ生きた人間だと思っている。例え同じ個体が何体もあってもその育った環境とかで人形の性格とかは変わる。例え同じ個体だったとしても中身まで一緒ということじゃない。この基地に所属する戦術人形達は変えの利かない大切な仲間なんだ。だから私は皆に出来る限り優しく接して彼女達が少しでも死なない様に、安心して基地で暮らせる様にと頑張っている。そのお陰かこの基地に所属する戦術人形達も一部は私に好意を向けてくれたりもしてくれている。
私に笑いかけたり楽しそうに仲間のことを話す彼女達の姿を見るとあぁ頑張った甲斐があったなと思える。
「それとM14は無所属の戦術人形に助けられてここまで来たみたいです」
「無所属の戦術人形?」
「はい。M14の話によると廃棄されたI.O.P施設で目を覚ました戦術人形らしくM14を助けて、更にハイエナ達に持って行かれていたM1911のボディーを回収した後ここまで連れて来たみたいです」
「今その娘は何処に?」
その戦術人形がどんな娘なのか知りたいし大切な仲間を助けてくれたのならお礼も言いたい。
「恐らくM14と一緒に医務室だと」
「その娘、負傷しているの?」
「いえ。特に負傷したとの報告は無いです」
「分かった。M14の様子も見たいしちょっと行って来る」
「分かりました、ついて行きます」
私はまだ途中だった書類仕事を中断すると席から立ち上がり執務室を出て行った。医務室に着くとベッドの上に寝かされたM14の姿を直ぐに見つけて私は思わず駆け寄った。来ていた服はボロボロになっていて体のあちこちには痣が出来ていた。スオミの報告通り右足の太ももを撃たれているみたいで巻かれた包帯が真っ赤に染まっていた。痛々しい姿のM14に私は罪悪感に苛まれた。
「M14、大丈夫?」
「指揮官!はい。大丈夫です!」
全身ボロボロで痛いだろうに私の姿を見たM14はにこやかな笑顔を私に向けて来た。
「ごめんなさい。油断してしまったせいでM1911が・・・」
「貴方のせいじゃない。ハイエナ達の動向を把握しきれていなかった私のせい。貴方だけでも無事に帰って来てくれて良かった」
私はM14に抱き着いた。身体中怪我をしているからなるべく優しめに。彼女の温かい体温を感じられて彼女が
黒い艶のあるサラサラとした髪を腰辺りまで伸ばして、サファイヤの様な綺麗な水色の瞳と可愛らしい顔立ちの美少女。本当、戦術人形の皆は可愛いかったり綺麗な人ばかりだから羨ましいなぁ。
それに彼女は服越しでも分かるくらいスタイルも良くて特に胸がおっきい。いやまぁかく言う私も胸は大きい方なんだけどね。だからか一部の戦術人形からはいきなり背後から胸を揉まれたりして大変なんだけど彼女もその被害に遭うんだろうな。
そんなことを考えながら彼女の表情を見ると指揮官である私を前にして緊張しているのが直ぐに分かった。その気持ち凄い分かるよ。私も昔はどっちかと言うと陰キャだったから大学の先生とかの目上の人とかに話すのが苦手だったんだよねぇ。
「あ、えっと戦術人形のAMB-17です」
そう名乗った少女は慣れない手つきで私に敬礼をして来た。私も敬礼し返すと簡単な自己紹介をする。
「R14地区基地の指揮官エミリー・ネルソンです。隣にいるのは副官のスオミ。先ずはM14を助けてくれたことに感謝するわ。ありがとう」
「そんな感謝されることはしていませんよ。自分はI.O.Pの施設で目が覚めて何処に行けば良いかも分からず彷徨っている時にたまたまM14と出会って、それで彼女を助ければ私がグリフィンに拾って貰えるかなと思った訳で、悪い言い方をするなら自分の為にM14を利用したと言うことです。それに私の力不足でM14が酷い目にあってこんな状態になってしまいました…すいません。」
少し驚いた。彼女の話した内容に驚いたと言う訳じゃなくて馬鹿正直に話したことに驚いていた。本当にグリフィンに入れて貰いたかったら指揮官である私に好印象を与える為にちょっとは嘘を付く筈。同じ立場なら私もそうすると思う。きっと彼女はあんまり嘘が付けないタイプなんだろうな。私はなるべく彼女を怖がらせない様に優しく笑って話しかけた。
「謝ることなんてないわ。今のご時世、自分の為に他人を利用するなんてことは良くあることだから。このグリフィンだって一部の指揮官とかは地位や名誉とかの為に人を利用しまくっているしね。それに本当に自分の私利私欲の為に他人を利用する人はそんな正直に言ったりはしないから。でも正直に言ってくれてありがとうね。それで、色々と手続きをして貴方を正式にここに迎え入れようかと思うけど良いかな?」
それを聞いたAMB-17は顔を輝かせて喜んだ。
「本当ですか?ありがとうございます!」
「初めての戦闘で疲れたでしょうから食事を用意させるから今日の所はゆっくりしてて。部屋にはスオミが案内するから。あ、その前に体が汚れているだろうからシャワーを浴びた方が良いかな?スオミ、シャワー室にも案内しといて。それとあんまり水を使い過ぎない様にね。他に何か聞きたいこととかはある?」
「あの、M14は大丈夫でしょうか?彼女M1911を助ける為に囮になったりして男達に蹴られたりしていたので・・・」
「心配しなくても大丈夫よ。怪我は明日には治ると思うから」
M14の負傷具合を見る感じ確かにボロボロになってはいるけど手足を欠損していたり重大な所を負傷している訳ではないから今までの経験から察するに遅くても明日にはこの体の怪我は治すことが出来ると思う。私の話を聞いたAMB-17は安心した様子で「そうですか」と言った。
「なら良かったです」
「他に何か聞きたいことはある?」
「いえ。ありません」
「よし、それじゃ後は自由にしてて良いよ。でも基地の外には出ない様にしてね」
「分かりました」
すっげぇ緊張したぁぁ!基地の指揮官だから凄い厳しそうな人をイメージしていたんだけど優しそうな若い美人な女の人で良かった。そして胸が大きかった。気になってチラッと胸の方を見ちゃったのはバレてないかな?まぁそれは良いとして思ったよりすんなり話が進んで良かった。多分このまま僕はこの基地の所属になるだろうしひとまず安心かな。M14の方も指揮官が言うには大丈夫だそうだから良かった良かった。
そして今僕の前を歩いて兵舎と呼ばれる所まで案内してくれているスオミちゃん。金髪碧眼の美少女!とても可愛らしい娘で清楚そうな雰囲気だ。
「ところで・・・貴方はロシアで開発された銃だと聞いたのですがそれは本当ですか?」
突然スオミがそんなことを聞いて来た。僕はそんなこと知らなかったが私は知っていた。僕が使用しているアサルトライフル、AMB-17はスオミの言う通りロシアで開発された銃だ。
「そうですね」
そう言った瞬間スオミの雰囲気が変わった。いきなり歩みを止めるとこっちの方をチラッと見て来る。あ・・あの女の目・・・養豚場のブタでもみるかのように冷たい目だ。残酷な目だ・・・。さっきまでの優しそうな雰囲気は何処はやら。僕のことを仲間とは思ってなさそうな冷酷な表情だ。え、何か僕しちゃいました?
「なら・・・貴方は敵ですね」
「えぇ⁉︎」
え、敵?エネミー?僕スオミちゃんに殺されちゃうの?なんて事だ、もう助からないゾ♡
「でも指揮官からの命令なので部屋には案内します」
何で嫌われちゃったのか分からないままその後スオミは僕に口を聞いてくれなくなってしまった。必死に今までのやり取りを思い出すが彼女に嫌われてしまうことはしていない。会話の内容から察するにロシア製だと言うのがダメだったのか?でも何でだ?わけがわからないよ。その後何とか仲直り出来ないか話しかけてみるもスオミの機嫌が直ることはなくシャワー室の場所を説明した後僕の部屋に到着するまでまともに口を聞いてくれなかった。
「ここが貴方の部屋です。食事は今から用意するので先にシャワーでも浴びておいてください。では」
早口で説明するとスオミはさっさと部屋から出て行ってしまった。
「えぇ・・・」
これは後で指揮官に相談してみるのが良さそうだ。さて、部屋は思っていたより質素で狭い。ベッドと服とかを入れるロッカーと机と丸椅子だけしかない。ロッカーの中を見てみると着替えと思われるジャージが入っていた。グリフィンの制服の色と同じ赤を基調としたジャージだ。この部屋に居てもやることは無いし、シャワー室に行くことにするか。
にしてもシャワーか。シャワーを浴びると言うことは当たり前だけど裸になる必要がある訳でと言うことは僕は女の裸を直で見ることになる。自慢ではないけど僕は女性経験が殆ど無いただの童貞だ。そんな僕が女性の裸なんて見た日には卒倒してしまうかもしれない。
でも今日も含めて2日間まともに身体を洗えてないから早く身体を綺麗にしたいとも思っている。
「行くしかないかぁ・・・」
服を着替えることは出来たんだ。裸になって身体を洗うことだって出来るさ。と言うことで僕はシャワー室へとやって来た。中を覗いてみるとシャワーが横一列に並んでおりその間は壁で区切られていた。良くみる感じのシャワー室だ。グリフィンの基地のシャワー室だからもっと豪華な感じかと思ったけどそうでもなかった。
でも暖かいシャワーを浴びて身体を洗うことが出来るだけで充分だと野宿を体験して来た今は思える。
「さて・・・・着替えるか」
先ずタクティカルグローブを外してフード付きのジャケットを脱ぎトップスも脱ぐ。そして次にショートパンツを脱いで続けてタイツも脱いだ。これで後は下着を脱げば裸になる。
「・・・よし、脱ぐか」
覚悟を決めて僕は白色のスポーツブラとショーツを脱いだ。瞑っていた目を開けて脱衣所に置いてあった姿見の方を見てみる。女の子特有の丸みを帯びた身体、くびれた腰に、男の時より大きくなった様に見えるお尻。そして形の良い大きな胸。自分の母親以外で生の胸を見たのはコレが人生で初めてだ。その光景は正に壮観。そして生の巨乳の方ばかりに注目してしまうがむっちりとした太ももの方も素晴らしい。
思わず見惚れていたがハッと我に帰った僕は視線を鏡から晒した。自分の姿に見惚れるって何なんだよ。と言うか自分の身体なんだけどやっぱり裸の女の子を見て僕は真っ赤になっていた。
落ち着け、COOLになれ僕。自分の身体なんだ恥ずかしがることは無い!僕は脱衣所のドアを開けてシャワー室に入った。水の温度を上げてからハンドルを回し温水を出す。ちゃんと水が温かいのを確認してからシャワーを頭から被る。2日振りのシャワーはとても気持ち良い。シャワーが気持ち良いと思ったのは結構久し振りだ。身体のラインに沿ってお湯が流れて行きその感覚で僕の女性の物へと変わった身体の形を感じる。
目を閉じてシャンプーボトルを押して髪をわしゃわしゃと洗う。いつもの感覚で洗っていたけど男の時と違って髪が倍以上伸びていたから男の時より大量のシャンプーと時間を消費して髪の毛を洗って行った。長い髪を全部綺麗に洗うのは思っていたより大変だ。
粗方髪を洗い終えるとシャワーで髪に付いていた泡を全部流して行く。これも髪が長い分時間がかかってしまう。髪の次は体だ。壁に掛けてあったスポンジを手に取りボディーソープを付けて洗う。だけど体を洗うと言うことは勿論胸も洗うことになる訳で少し勇気が必要だ。取り敢えずは普通に体を洗って行く。
腕とかを洗っている時に気がついたが男の頃とは肌の質感が違った。すべすべで柔らかい女性らしい肌だ。そして問題の胸も洗う。なるべく意識しない様に洗うが手に当たる胸の柔らかな感触が嫌でも感じて胸の存在を意識してしまう。初めての女体にドギマギしながらも何とか洗い終えることが出来たが精神的に凄い疲れた。
体に付いた泡を綺麗に洗い流し持って来ていたタオルで髪を拭いて行くが髪を拭いただけでタオル一枚がびっしょりになった。それから何度もタオルを絞って水を抜いて髪を拭きを繰り返した。
「はぁ。長い髪ってのも大変なんだな」
次からはバスタオルを持って来た方が良いな。髪を何とか拭き終わると体も拭き脱衣所に入った。着替えのパンツ履きスポーツブラも付けてその上からジャージを着た。なんだかんだジャージを着るのも久しぶりだな。
着替え終わった僕は部屋に戻って食事が来るまでゆっくりしておくことにした。ベッドの上に座って一息ついていると今まで溜まっていた疲れのせいか自分でも気が付かない内にベッドに横になって眠ってしまっていた。
キャラ説明!
・エミリー・ネルソン。R14地区基地の女性指揮官。身長は167cm。黒色の髪をポニーテールに纏めている。バストサイズはFで結構ある。戦術人形達をとても大切に思っており戦術人形皆に分け隔て無くフレンドリーに接している。優しく頼りになるエミリー指揮官に惹かれ好意を持っている戦術人形達も少なからず居る。
【挿絵表示】
エミリー指揮官のイメージイラストを描いてくださったこまりんさんありがとうございます!
ご感想お待ちしております!(`・ω・´)
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第6話 食いしん坊キャラの少女って大体巨乳な気がする。それよりあんまり注目されないけどM21って可愛くない?
これからも頑張って投稿していくので是非とも読みに来てください。
はいどうも皆さんおはようございます。無事基地で保護してもらえる様になって一安心しているAMB-17です。今の時間は午前の7時の早朝です。基地に来てから1日が経った訳だけど今日は基地の案内をして貰う予定だ。だが先ずはお腹が減ったから食堂に向かっていた。腹が減っては戦はできぬって言うしね!
だけど食堂が何処にあるのかいまいちよく分からず僕は基地の中で迷子になってしまっていた。いやこの基地思ったより広くて昨日来たばかりの僕には何処が何処だか分かんないだわ。でもこう言う基地みたいな施設には初めて来たから何だかワクワクしている。
そんな感じであちこち見ながらぶらぶらと適当に基地の中を歩いていると「おーい」と後ろから声を掛けられた。
「見ない顔だけどここで何してるの?」
振り返ってみるとそこに居たのは黒色の服を着た銀髪赤目の少女が居た。何より目を引くのはそのたわわに実った大きなお胸。指揮官と言いここの基地には巨乳のお方が多いんだろうか?まぁ今の自分も巨乳美少女になってしまっている訳だから人のこと言えないけど。
「昨日この基地に来た戦術人形のAMB-17です。ちょっと食堂に行こうとしてたんですけど場所が分からなくて・・・」
「そうなんだ!私も食堂に行くところだったから一緒に行こ!」
「ありがとうございます。えっと・・・すいません貴方の名前は?」
「あ、ごめん教えてなかったね。私はSPAS-12。よろしくね」
そう笑顔で自己紹介をしてくれた彼女も名前から察するに戦術人形なんだろう。
「よろしくお願いします」
と言うことでSPAS-12に連れられて僕はやっと食堂に来ることが出来た。食堂は結構広く沢山の長テーブルと椅子が並んでいて大勢の人間と人形達がご飯を食べていた。僕はSPAS-12と一緒に食べることになったんだけどSPAS-12の食事の量がおかしい。
どうやら彼女はジャンクフードが好きな様でハンバーガーとポテトを食べてコーラを飲んでいた。まぁそれだけならまだ分かるんだけどハンバーガーは何段重ねなのか分からない程の特大サイズでポテトもそれパーティー用じゃないの?って思うくらいの量でそれに合わせてコーラもLサイズ・・・よりも大きい様に見えるサイズになっている。そりゃそんだけ食べてたら胸も大きくなるわなと僕は彼女の食べっぷりをみて納得した。
でも幸せそうにハンバーガーを食べている彼女の姿は可愛らしかった。なんかこう自分の分のご飯をあげて喜ばせたいと思ってしまうな。
一方僕は何を食べているのかと言うと流石に朝からジャンクフードを食べる気にはならなかったからサンドイッチを食べている。飲み物は普通サイズの牛乳だ。
それとこれは食事にはあんまり関係の無い話だけど今猛烈に胸が邪魔だなと思っている。机の高さがちょうど俺の胸のある位置で男の時の感覚で座っている椅子を机に寄せるとFカップの大きな胸が机に当たってしまい邪魔になってしまう。かと言って胸に当たらない様に机から少し距離を取ると次はサンドイッチを置いている机からも遠くなり食事がし辛い。これはどうするのが正解なんだ?と考えているとそう言えば同じく胸が大きくて食事をしている人が目の前にいるのを思い出した。
と言うことで絶賛ハンバーガーを美味しそうに食べているSPAS-12を見てみると胸を机の上に置いて食べていた。やっぱりそうなるのか。でも何か自分の胸を机に置くって言うのは恥ずかしい。だから俺は机に胸が当たらない様にしつつサンドイッチを食べ進めて行った。
「ねぇねぇAMB-17は何の銃なの?」
黙々とサンドイッチを食べ進めているとSPAS-12が聞いて来た。
「えっと、消音アサルトライフルですね」
「消音アサルトライフルってことはサプレッサーが付いている銃なの?」
「ですね」
僕自身余り他人と話すのが苦手なせいもなんか全部短い返事をするだけで終わってしまっている。こう言うのってもうちょっと話の話題を広げた方が良いんだろうけど。
「因みに私はショットガンなんだけどポンプアクションも出来るしセミオートで撃つことも出来る凄い銃なんだよ!」
「へぇ〜そうなんですか」
「あ!もしかして貴方がAMB-17?」
SPAS-12と話しているとまた後ろから突然声をかけられた。振り返ると外側が茶色で内側が赤色のインナーカラーの髪の毛が特徴的な少女がいた。と言うか僕の名前を知っているって何者?
「えっとそうですけど貴方は?」
「私はM21。M14とは友達なんだけど貴方が助けてくれたんだってね。M14を助けてくれてありがとう!」
成る程彼女はM14の友達だったか。
「いえ、自分はたまたまM14と出会ってなり行きで一緒に行動することになっただけなので」
「それでもM14を助けてくれたのには変わらないから。ありがとうね」
「あ、貴方がM14を助けて来た戦術人形だったんだね!」
どうやら僕がM14を助けたと言う話はこの基地中に出回っているみたいだ。何かこうも皆んなにお礼を言われるのは慣れていないからちょっと恥ずかしいな。
「確かこの基地の所属になったんだよね。これから宜しくね!」
「はい。よろしくお願いします」
「何か分かんない事とか困ったことがあったら先輩の私に頼って良いからね!」
「あ、なら早速一つ相談したいことがあるんですけど良いですか?」
「なになに?」
僕の横の席に座って来たテンション高めのM21に僕は昨日のスオミとの一件を話した。何で彼女に嫌われてしまったのか今だに分からないままでいたから彼女達に聞けば原因が分かるかもしれない。僕が話し合えるとM21が聞いて来た。
「ねぇ。一つ聞きたいんだけど貴方の銃はどこ製?」
「ロシアですけど?」
そう言えばスオミにもどこ製なのか聞かれてそれを応えた後に彼女の態度が変貌したけどどこ製なのかが問題なのか?僕が答えると2人はあちゃーと言いたげな表情した。え、もしかしてロシア製って言うのがダメなの?
「スオミは基本的には真面目で良い子なんだけどね。ロシア製の銃器を使う戦術人形が嫌いなの」
「何でですか?」
「スオミの使ってる銃は昔からソ連軍と戦った歴史があってそのせいじゃないかって言われてる」
「つまりソ連、と言うかロシアを今でも敵視していると?」
「敵視とまでは行かないけど嫌っているね」
「どうにか仲直りとかは・・・」
ずっと嫌われたままって言うのは嫌だしどうにかしたら仲直りできるんじゃ無いかと思い訪ねるがM21は首を横に振った。
「これ以上嫌われない様には出来るけどスオミのロシア嫌いは筋金入りだからねぇ。それに9A-91のこともあるしねー」
「9A-91って言うのは?」
「貴方と同じロシア製のアサルトライフルを使う戦術人形のこと。それでスオミと9A-91は指揮官のことが大好きでね。いつも指揮官を取り合っているの。それもあってスオミのロシア嫌いは加速気味」
好きな指揮官の取り合いか美人ばかりの戦術人形達に好かれて指揮官は羨ましいな。ん?と言うか指揮官も女性だけどそれってつまりキマシタワーってコト⁉︎ あら^〜。指揮官と戦術人形どっちが受けでどっちが責め何だろうなとか思ったがあの指揮官の性格的に手を出すことは無さそうだな。まぁそれはそれとしてM21の話を聞く感じ確かに彼女と仲良くなるのは無理そうだ。せめてこれ以上嫌われない様に気をつけよう。
「AMB-17は今日何か予定あるの?」
「指揮官から基地の案内をするって聞いてますね」
「それじゃぁ私が案内するよ!指揮官には私から説明しとくから」
「良いんですか?」
「良いの良いの!SPASも来る?」
「ごめん。今日はちょっと用事があるから無理だね」
「そっか〜じゃぁ指揮官の所に行こっか」
「え、あ、はい」
朝食を食べ終えていた僕はM21に連れられて食堂を出て指揮官の居るであろう執務室へ向かった。と言うか何度かM21と喋って思ったけど彼女は俗言う陽キャって奴だな。初対面の僕にもグイグイ来る。どっちかと言うと陰キャラだから僕は彼女みたいな行動は出来ないな。執務室に来たM21はドアをノックして指揮官から「どうぞ」と言う返事が来ると同時にドアを開けた。
「失礼しまーす」
「失礼します」
指揮官の執務机には大量の書類が置いてあり指揮官はそれを一枚ずつ処理している所だったみたいだ。にしてもあの量の書類を1人でしないといけないのは大変だな。指揮官は書くのを止めると顔を上げて僕達の方に優しい顔を向けて来た。
「どうしたの?って言うかもうAMB-17と仲良くなったの?」
「まぁね。それより今日はAMB-17に基地の案内をするんでしょ?私にやらせてよ!」
「丁度良かった。スオミが嫌がってたから誰かに頼みたいなと思っていたところなの。AMB-17もゴメンね。貴方がロシア製の銃だって知ってたらスオミじゃなくて他の娘を呼んだんだけどあの時はまだ知らなくて。スオミも良い子なんだけどどうしても旧ソ連製やロシア製の銃を使う戦術人形を毛嫌いしちゃって」
あーやっぱり嫌われてんのね僕。悲しいなぁ。
「大丈夫ですよ」
「本当にごめんね。それじゃぁお願いしても良いかな?全部は紹介しなくても良いから頻繁に使う主要な所に案内して」
「はーい。それじゃ、行こっか」
「あ、はい。失礼しました!」
M21に手を引っ張られる形で僕は執務室を後にした。と言うか彼女指揮官に対しての態度が軽過ぎないか?相手は上官なのにまるで友達とかに話す様な口調だった。指揮官も気にしていない様子だったしここではそれが当たり前なんだろうか?
「それじゃぁ先ず何処に行こうかな〜食堂はさっき行った宿舎も知ってるでしょ?後は・・・あ、ブリーフィングルームはまだ行ったことないでしょ?」
「ですね」
とう言うことで先ず案内されたのは執務室から少し歩いた所にあった薄暗い広い部屋に来た。部屋には大量のパイプ椅子が並べてあってその正面の壁には大型スクリーンが設置されていている。映画とかアニメで見るようないかにもブリーフィングルームって感じの場所だ。
「ここがブリーフィングルーム。作戦会議をする時は大体ここだね。指揮官があのスクリーンの前に指揮官が立って地図とか敵の情報とかをスクリーンに出しながら説明する感じだね。ま、例外もあって緊急時の時とかはここで作戦会議をせず直ぐにヘリに乗ってヘリの中で作戦会議をしたりする時もあるけど。それじゃ、次行こ!」
ブリーフィングルームに来て1分程で俺は次の場所へと案内された。もうちょっとスローペースでも良いと思うんだけどな?
「あ、そう言えば説明し忘れていたんだけどこの基地の施設は大きく分けて3つの棟で分けられているんだ。一つが今私達のいるメインの1号棟、そして宿舎や食堂のある2号棟、んで私達のメンテナンスや修理とかをする医務室とかがある3号棟。3号棟は戦闘で破損したり不具合が見つかったりしない限りは利用することはないけどね」
「医務室には昨日M14を運び込んだ時に行きました」
「あ、そうだったね!なら紹介しなくても大丈夫か。因みに医務室は通称で正式なは修復室って名前なんだよね。でも指揮官が修復室って名前は貴方達戦術人形を物として扱ってみるみたいで嫌だってことで医務室って呼び名にしてるんだよね。本当、ウチの指揮官は優し過ぎるよ」
やれやれと言った感じでわざとらしく肩をすくませて見せるM21。怪我をしてボロボロになったM14を抱き締めていた時や直接話した時にも思ったがやっぱりあの人はとても優しい人なんだな。
「あ、それと医務室の奥には修復用カプセルがあって腕が吹き飛んだり腹に大きな風穴が開いたりしてメインフレームが大きく破損したりした時はそこの中に入れられて修理をすることになるね」
「その修理って痛かったりするんですか?」
人間の手術と人形の修理は全く違う物だと言うのは僕にも分かる。元人間の僕としてはその人形の修理がどんな物なのか凄く気になる。痛かったりするのは嫌だなぁ。
「あれ、意外とそう言うのは苦手なタイプ?」
「まぁ好きではないですね」
「大丈夫。修理されている時はスリープモードになっているから意識はないよ」
「そうなんですか。良かった」
「それじゃぁ次に私がよく行く所を教えるね」
そう言って連れて来られたのはカフェだった。まさか基地の中にこんなお洒落な感じのカフェがあるとは予想外だな。店内を覗き込んでみると思ったよりお客さんが多く席は殆ど埋まっている。結構人気みたいだな。
「ここはスプリングフィールドさんがやってるカフェなんだけどコーヒーは勿論お菓子とかも美味しいんだよね。あ、さっきサンドイッチ食べてたでしょ?ここのサンドイッチはとても美味しいから今度食べてみてよ」
別にサンドイッチが好物って訳ではないがそんなに美味しいなら今度食べに来てみようかな。
「落ち着いたい時とかゆっくりしたい時とかに来ると良いよ。それにスプリングフィールドさんはとても優しくて頼りになる人だから何か悩んでいることとが有れば相談してみることも良いかも。因みに今カウンターで笑顔で男の人と喋ってる優しそうな女の人がスプリングフィールドさんね」
M21の言う通りカウンターには柔和な笑み浮かべてお客さんの若い男の人と話しているいかにも優しそうな感じの、茶色のエプロンに三角巾姿のカフェ店員が居た。彼女がスプリングフィールドだろう。
「スプリングフィールドさんも戦術人形だから任務とかでカフェが空いてないことはよくあるんだけだけど凄い人気で見て分かる通り戦術人形だけじゃなくて基地で働いている人間もよく来ているんだよね。だからスプリングフィールドさんが長期の任務から帰って来て久しぶりにカフェを開けた時なんて開く前から並んでないと席が少ないこともあって直ぐに満員になっちゃうんだよね。酷い時はカフェ渋滞が発生するし。他にもこのカフェにまつわる面白い話でスプリングフィールドさんが長期の任務でカフェが閉まっている間スプリングフィールドさんのカフェに行けないことに基地の人形や職員が苛立ち始めて治安が悪化するって言う噂があるんだよね」
それ程までに人気のスプリングフィールドのカフェ。気になって来たな。
「にしてもこの数のお客さんをスプリングフィールドだけで対応するのは大変そうだね」
「今日はスプリングフィールドさんだけだけど手伝いを呼ぶこともあるんだよね。先週はわーちゃんが手伝いをしていたし」
「わーちゃん?」
「WA2000って言うセミオートスナイパーライフルを使う戦術人形のこと。うざいとか気安く触らないでとか足引っ張らないでよねとか刺々しいことを言うけど実は仲間思いで指揮官の方が好きな娘なの。まぁ俗に言うツンデレだね。まぁ本人は否定しているけど」
ツンデレキャラですか成る程。それは是非とも会ってみたいですな。
「さて、それじゃ基地案内の戻るけどこのカフェの向こう側にある少し広めの部屋があるんだけどそこは娯楽室。皆んなが集まって色々喋ったりゲームしたりしてるね」
実際娯楽室の中を見てみると誰も居なかったがゲーム機や雑誌、色んなジャンルの本、トランプカード、チェス板、人をダメにするソファーなど色んな物が置かれていた。
「ここに置かれている物の殆どは誰かが持ち込んで来た物なんだよね。例えばあのチェス板はXM8って娘が持って来たのだしあのゲーム機はRFBが持って来たやつだし。あの人をダメにするソファーは指揮官が持って来た物だし。だから何か貴方も置きたい物が有れば好きに置いて良いよ」
「分かりました」
と返事はしたけど僕は特にここに置く物は無いかなぁ。まぁ後々そう言うのを手に入れるかも知れないけど。と言うかあの人をダメにするソファー指揮官が持って来た物なのかい。と言うか指揮官もこの娯楽室使うのかい。
「それじゃ次は射撃場に行こう!」
そう言ってM21は1号棟の奥の方のエリアに僕を案内した。扉の前には「射撃練習場」と書いてあった。ドアの向こう側からはくぐもった発砲音が微かに聞こえて来る。ドアを開け廊下を進むとそこは室内の射撃練習場だった。何人かがレンジに立ち25メートル程離れた的に向かって撃ったり次々に出て来る複数の的を撃ったりと色々な練習をしていた。
「ここは見ての通りの室内の射撃練習場。レンジの数は8。最大距離は50メートル。ここ以外にも外に野外射撃練習場があってそこはここよりもっと広くて1番遠い的は1000メートルもあるんだ。それに野外射撃練習場はだだっ広いからヘリボーンとか車の運転練習とか射撃練習以外にも色々出来るね。私はセミオートのスナイパーライフルを使っているからここで射撃練習することはあんまりないから一緒に練習したい時とか私を探す時は野外射撃練習場を探せば良いよ」
流石に射撃練習場は室内で音が篭りやすいと言うこともあってうるさかったから僕とM21は直ぐに部屋を出た。
「それと、基地では基本的に銃火器も持ち込みや所持は禁止だから射撃練習をしたい時は指揮官に許可を貰わないとだから気をつけて」
「分かりました」
「さてと。これで大体貴方が使いそうな場所とかは案内したけど何か質問とかある?」
「いえ。わざわざ案内してくれてありがとうございます」
「そんな礼を言わなくても良いよ。私が好きで案内したんだし。もし何か分かんないこととかあったらいつでも聞いてよ。教えて上がるから」
「分かりました。ありがとうございます」
スオミの事もあってこの基地で上手く仲間を作れるのか不安だったけどこうしてM21と接して何とかなりそうだなと僕は思った。
今回M21を登場させて思ったんですがM21ちゃんって普通に可愛いと思うんですよ。個人的には立ち絵の付け根辺りまで見えているムチムチの太ももがちょっとエッチで良いと思うんですよ。後ギャグとかを言ったりする明るいキャラなのも好きな所。
そして知っている人は多いと思いますがM21はM14をスナイパーライフルにしたモデルです。なのでストックの部分の素材が違ったり3ー9倍率のスコープが標準装備されていたりと改造が施されています。なのでM21がドルフロでライフル枠なのは分かるんですがM21の元となったM14もライフル枠なのはどうなんだ?と思うんですよね。確かにM14は中距離での命中精度が良く、中距離での戦闘を想定して作られた物ですがあくまで歩兵の使う小銃として作られた訳で分類もバトルライフルです。なのでドルフロではアサルトライフル枠でも良いんじゃないかなと思ってしまうんでよね。
まぁ彼女はゲームではライフルとして普通に優秀な性能を持っていたので重宝しましたが。
ご感想お待ちしております(`・ω・´)
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第7話 初任務
突然ですが男だったら誰しもが一度は胸の大きな女性に興味を持ったことはあると思う。かく言う僕もアニメとかに登場する巨乳のキャラが結構好きで叶わない夢と分かっていても巨乳美少女の彼女欲しいなーと思っていたりもした。
でもまさか自分自身がその巨乳の美少女になってしまうとは思わなんだ。でもこうして自分が巨乳の女性になって気づいたこともある。それは日常生活をしているとこの大きな胸がとても邪魔だと言うことだ。先ず不便に感じたのがうつ伏せになると胸が圧迫されること。僕はうつ伏せの体勢で寝ることが多いんだけど男の頃の感覚でうつ伏せになろうとすると胸が邪魔になる。だから最近は仰向けで寝る様にしている。他にもブラを付けていないと少し体を動かしただけで胸が揺れ動いて邪魔だったりして色々と大変な思いをしている。私としても大きい胸は邪魔に思うことが多々あるからもうちょっと小さくても良かったと思う。でも僕としては巨乳でも良かったとも思うから難しい所だ。取り敢えずこの身体で過ごした感想としては巨乳も大変だってことだ。
でもこの体になって良かったこともある。例えば美少女達のいるグリフィンにこうして入ることが出来たってことだ。更に今の僕自身も女の子になっているお陰だ他の女の子を見ていても男の時見たいにゴミを見る様な目で見られることもないのも良いことだ。あ、別に俺は女の子を付け狙う変態って訳じゃないからそこら辺勘違いしない様にお願いしますね。
「AMB-17さーん!」
「うわっ⁉︎」
朝食を食べ終えてM21と一緒に雑談をしながら歩いていると後ろから元気な声と共に僕の背中に何かがぶつかって来た。後ろを見るとそこには満面の笑みのM14が僕に抱きついて来ていた。屈託のない笑みで抱きつく姿はまるで人懐っこい犬みたいで愛くるしい。だがそんな彼女は以外にも大きな胸の膨らみを持っていた。僕の背中に抱き付いているせいでその彼女の膨らみが背中に押し当てられてその大きさと弾力を感じられる。こんな体験が出来るのもこの身体になったお陰と言えるだろう。
「身体はもう大丈夫なの?」
「お陰様で五体満足!」
「それは良かった」
「元気そうで安心したよ〜」
M21も元気なM14の姿を見て安心している様子だ。僕も彼女が元気になって嬉しい。あれだけ傷だらけだった体も元通りになっている様だしどんなに怪我しても元通りになるのは人形ならではだなと思う。
「そう言えばM21はAMB-17と知り合いだったの?」
「いや、昨日知り合ったばかりだよ」
「そうだったんだ。紹介しようと思っていたけどその必要は無かったんだね。あ、そう言えばAMB-17はこの基地の所属になるって指揮官から聞いたよ!これから宜しくね!」
「うん。よろしく」
「それとね、もう1人紹介したい人が居るの」
「誰?」
「読んで来るからちょっと待ってて!」
そう言われて待っているとM14が手を引いて見覚えのある娘を連れて来た。僕がM14と一緒に敵の拠点に潜り込んで解体されてしまう前に回収したM1911だ。確か敵に頭を狙撃されて死んでしまったとM14から聞いた。でもバックアップさえ用意していればその任務の前の記憶は全て復元させることが出来ると言うから凄い。
「貴方がAMB-17さんですね!今回はありがとうございました!」
ぼくが助けた時は既に事切れていてこうして元気に動いている姿は初めて見るな。
「私のメインフレームをハイエナ達から取り返してくれたとM14から聞きました。ありがとうございます!」
「いえ、元々はM14がやろうとしていたことを自分が代わりにやっただけだから」
「でもハイエナ達の拠点に乗り込んで誰にも見つかることなく私のメインフレームを回収して来たそうじゃないですか。凄いと思います!」
本当は誰にも見つからなかった訳じゃないんだけどね。あの僕を助けてくれたオジサンは元気にやっているだろうか。
「ま、まぁ貴方が思っているよりそんな凄いことはしてないよ」
「そんなことないですよ!」
なんかこのM1911って娘テンションが高いな。M14に聞いてみるとどうやらM1911に話す時に少し盛って話をしたらしい。なのでM1911のイメージだと隠密大得意な凄い戦術人形だと言うことになっているらしい。って言うかM1911から凄い羨望の眼差しで見られるんだけど⁉︎やめて!そんな目で見ないで!
そんなこんなで皆んなで楽しく話していると突然放送で複数人の戦術人形の名前が呼ばれた。その中には僕とM21の名前もあった。放送の内容ではブリーフィングルームに来る様にと言うことだったけど場所とかを考えるに僕も初の任務を言い渡されるって感じかな。何か緊張して来たな。
M21と共にブリーフィングルームに来て恐る恐る入ってみると既に僕以外にも思ったより沢山の戦術人形が集まっていた。適当な椅子に座ると目の前に立っていた指揮官が話し始めた。
「それじゃぁみんな集まったから説明を始めるわね。先ず最初に今入って来た娘が昨日から正式にここの所属となった新人の戦術人形のAMB-17よ」
「消音アサルトライフルのAMB-17です!よろしくお願いします!」
まさか僕の自己紹介がされるとは思わず僕は慌てて座っていたパイプ椅子から立ち上がると皆の方に向かって挨拶をして頭を下げた。すると3人からバラバラに「よろしく」と返事が来た。
「まぁ見ての通り良い子だから皆んなも優しくしてあげてね。それじゃぁ任務の話をするわね」
指揮官はそう言うと手に持っていたリモコンを押した。すると指揮官の後ろにあった大型スクリーンが点き何処かの地図が表示された。
「これは基地から北西に35キロ行った所にある地点の地図よ。この真ん中にある道は旧幹線道路。整備こそ殆どされていないけど今でも輸送用トラックとかが使っている道ね」
どうやらこの地図は航空写真を繋ぎ合わせて使った物の様で旧幹線道路に沿って廃墟となった街が幾つも点在しているのが分かる。
「この基地に色々な物資を運んでいるトラックもこの道をよく利用するんだけど、ここ最近この道でその色んな物資を積んだトラックを狙う盗賊による襲撃が頻発しているみたいなの。5日前もウチとは別のPMCが護衛する大型トラック3台が襲われて護衛のPMCが応戦したんだけど正体不明の腕の良いスナイパーと廃墟に隠れていた盗賊によって8人居た護衛は1人を除いて全滅。トラックの運転手も殺されて積荷は全部盗られた。更に盗賊は殺したPMCやトラックの運転手の身に付けていた物も全部盗ったみたいで発見した時は服しか残っていなかったそうよ」
資料としてその殺された運転手やPMCの職員や大型トラックの写真がスクリーンに表示される。更にPMCが乗っていたであろう大破した四駆の写真や盗賊であろう人の死体の写真も出て来た。どうやら盗賊は死んだ味方の持っていた物も全部持って行った様で本当に金ならなさそうな服しか残っていない。
「もう察したと思うけど今回の我々の任務は今日の昼、正確には午後2時30分頃にこの地図の所を通過するトラックの護衛」
指揮官が地図の道路をレーザーポインターで指しながら説明していると突然1人の戦術人形が手を上げた。僕よりも身長が低い短い銀髪の髪の茶色のジャケットを着た娘だ。
「どうしたの?」
「あの・・・何で護衛するのがこの地点だけなんですか?普通なら車に乗って並走したりとかする筈ですよね?」
「スナイパーのM200とかは知らないかもだけどいつもトラックの護衛はサブマシンガンやアサルトライフルを使う戦術人形にさせてるの。M200の言った通りハンヴィーに乗せてトラックと並走している。今回の任務でもスナイパー組とは別でいつもの様にハンヴィーに乗ってトラックを出発地点から基地まで護衛して貰うわ。それはM200から見て左側に座っているMP5、IDW、FAL、XM8が担当するわ。コールサインはアルファよ」
「それじゃぁ何で今回は貴方達スナイパーを呼んだかと言うとさっき話した時にチラッと登場した正体不明のスナイパーを倒す為よ。今まで起きた輸送トラック襲撃のデータからスナイパーはこの旧幹線道路を挟んで緩やかな谷間になっている所の何処かに潜んで狙撃していると予想しているの。襲撃地点もこの谷間に集中しているしね。でも襲われたトラックの運転手やPMCの話を聞くと証言がバラバラで複数方向から撃たれたって言う話も有れば同じ方向から連続で撃たれたって言う話もあったりでスナイパーが何人いるかは不明よ。でも2人は確実に居る可能性が極めて高いからスナイパーは最低でも2人いるのを前提として動いて」
指揮官は「その証拠に」と言うと手に持っていたリモコンを操作してスクリーンに新たに車体に出来た弾痕らしき穴の写真と潰れた金属の塊の写真を出した。
「さっきも話した5日前に襲撃されたトラックとPMCの乗っていた四駆の車体や付近の地面から7.62×54R弾と14.5×114ミリ弾が見つかっているの。盗賊と戦ったPMCの話だと襲って来た敵が持っていたのはAK系統だったと言う話から察するにこの2種類の弾丸はスナイパーの放った物と推測されるわ。面倒なのは敵が14.5ミリ弾を使う対物ライフルを使用していらってことね。14.5ミリ弾ならウチが使っている装甲強化型のハンヴィーでも流石に貫通するだろうし人間より丈夫な戦術人形でも1発食らえばボディーがバラバラになるわ。だからスナイパー組の皆んなには敵が撃つ前にソイツを見つけ出して倒して欲しいの」
そんな何処にいるかも分からないスナイパーを見つけ出して倒せって言うのは無理な話なんじゃないんですかね?それに話か聞いた感じ滅茶苦茶強い弾を使って来るんでしょう?ヤバいじゃん(恐怖)。
「スナイパーチームはM21とトカレフのブラボー1、M200とグリズリーのブラボー2の2チームで動いて貰うわ。何処に陣取るかは皆んなに任せるから。それとスナイパーチームのコールサインはブラボーよ」
ん?スナイパーチームの方もハンヴィーに乗ってトラックを護衛するチームの方にも僕の名前が無いのは何でなんだ?気になったから僕は手を上げて聞いてみることにした。
「あのー・・・今のところ自分の名前が呼ばれて無いんですけど自分は何をするれば良いんですか?」
「丁度それを今から話すとこだったの。AMB-17と9A-91とAS Valの3人は遊撃隊として動いて貰うわ。コールサインはチャーリー。任務はトラックを直接襲って来る敵を貴方達の使う銃の消音性を生かして側面や背後から奇襲して倒して欲しいの」
成る程、僕達は遊撃部隊ですか。ちゃんとやれるだろうか?と言うか同じ遊撃部隊9A-91って確かスオミと喧嘩している相手だったよな?大丈夫だろうか?と言うかどの娘が9A-91なんだろうか?気になった僕は隣に座っているM21に会議の邪魔にならない様に小声で尋ねた。
「すいません。9A-91ってどの娘なんですか?」
「えーっと・・・あ、いたいた。あそこにいる娘」
M21が小さく指差した方を見てみると白色のインナーの上に青色のワンピースを着て赤色のベレー帽とマフラーを付けた可愛らしい見た目の少女が礼儀正しく座っていた。
「・・・・ん?」
その少女を見ていて気がついたが彼女の着ている白色のインナー透けてね?おへそが透けて見えているんだけど凄い格好してるな。意外に痴女みたいな性格だったりするんだろうか?
「あのーすいません。9A-91ってどんな娘なんですかね?」
「基本的には真面目な娘だよ。まぁ指揮官関連になると暴走することもあるけど」
「そうなんですか。あんな格好しているからてっきり・・・」
「9A-91のあの格好は昔からの謎だよ」
謎なのね。まぁ気にしてはいけない系のやつなんだろう。
「それと敵は何人か殺さずに捕まえて欲しいの。色々と聞きたいことがあるからね。これで作戦の説明はお終いだけど誰か聞きたいことはある?」
指揮官が皆に聞いてみるが誰も質問をする人は居なかった。
「無いみたいだね。それじゃ、皆んな気張って行こう!」
指揮官の説明が終わり僕達は席を立つとM21と一緒にブリーフィングルームから出た。すると後ろから声を掛けられた。
「すいません。貴方がAMB-17ですか?」
振り返ってみるとそこには9A-91が立っていた。更にその後ろにはこれまたとんでもない格好をした熊の人形を持った少女がいた。その格好と言うのが茶色のコートの下に縞模様のボーダービキニとミニスカを着ていると言うもので首には9A-91と同じ様に赤色のマフラーを付けている。コートの下に着ているのが水着だけってどう言うことなんだろうか?
と言うか9A-91の立っている姿を間近で見て気がついたんだけど黒色のパンツまでもが透けて見えてしまっているし。でも9A-91の後ろにいる娘の方が水着と言う格好のせいで9A-91より圧倒的に肌色率が高い。この娘も格好的には痴女に見えるな。
「あ、はい。そうです」
「私は9A-91です。後ろにいるのはAS Valです。今回はよろしくお願いしますね」
「よ、よろしく・・・お願いします・・・・」
礼儀正しく9A-91は挨拶して来てAS Valはオドオドとした様子で熊の人形を握り締めて小声で挨拶して来た。こんな痴女みたいな格好をしている癖に気弱な性格なんだな。
「それじゃ、私も準備しに行かなきゃだから先に行っとくね」
「分かった」
M21は僕の方に手を振るとそのまま廊下を歩いて行った。
「AMB-17さんはロシア製の銃なんですよね?」
「あ、はい。そうですね」
「私達もロシア製の銃なのでこれから仲良くやって行きましょう」
「そ、そうですね」
9A-91と仲良くやるのは僕的には別に良いんだがそんなことをしているとまたスオミに嫌われてしまいそうだな。って言うかAS Valもロシア製の銃だったのか。有名な銃なら知ってるんだけどそれ以外の武器や兵器は全く分からないから勉強する必要があるな。
「それじゃ私達も準備しましょうか」
「そうですね」
僕達3人は武器庫に行くと武器と装備品の準備をする。僕は先ず右の太ももにホルスターを付ける。そしてガンラックからGSh-18を取り出すと9パラの入ったマガジンを入れてスライドを後ろに引き初弾をチャンバーに装填しホルスターに入れる。腰にベルトキットを付けてAMB-17の予備マガジンを4個とGSh-18の予備マガジンを2個入れた。最後に無線機に繋げたスロートマイクを首に付けて受信用のイヤホンを右耳に付けた。こうして準備していると本当に今から戦いに行くんだと言う感じがして緊張してくるなぁ。9A-91とAS Valの方も準備が終わった様だ。武器庫から基地の外に移動した僕達だったが僕はそこでふとあることに気がついた。
「そう言えば移動手段は?」
「これに乗って行きます」
「あーこれね」
そこにあったのはM14と一緒に乗ったのと同じバギータイプのATVだ。ATVは2台あってもう一台にはスナイパーチームのブラボー部隊の皆様が乗って行くみたいだ。銃を持ったM21が僕の方に駆け寄って来た。
「それじゃ、今日はよろしくね!」
「そっちこそ。敵のスナイパーをやっつけてよね」
「まっかせてよ!仲間を撃たせたりなんかしないから」
そう自信満々に話すM21。これは頼りになるな。M21と別れた僕はATVに乗り込む。9A-91が運転するそうで助手席にAS Valが座り後部座席に僕が座った。その後、僕達チャーリー部隊はスナイパーチームのブラボー部隊と共に敵の襲撃予想ポイントへ向かった。
書いてて思ったんですけど私が登場させて主人公と絡ませているキャラは大体私の推しキャラなんですけど今のところライフル人形が多くね?因みにライフル人形ではM200とM14の2人が1番の推しです!
そして次回は戦闘回です。お楽しみに!
感想お待ちしております( *¯ ꒳¯*)
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第8話 初任務 後編
皆さんもコロナなどもありすし体調管理には気をつけて下さい!
どうも皆さん。初の任務で内心緊張で死にそうになっているAMB-17です。9A-91、AS Valと共にATVに乗って道なき道を進み、凸凹道をかなりのスピードで爆速した結果僕は若干車酔いになった。勘違いされない様に言っておくと9A-91の運転がひどい訳じゃ無い。寧ろ彼女の運転は上手い方だと思う。悪路を見事なアクセルワークと素早いギアチェンジそして的確なハンドル捌きでグングン進んで行く。だが舗装されていない悪路を走っているからどうしても車内はガッタンガッタンと揺れる訳で余りこう言う道の走行に慣れていない僕は車酔いをしていた。
助手席に座るAS Valの様子を見てみるとクマの人形を大事そうに持って何とも無い様な表情で座っている。若干グロッキーになっている僕とは大違いだ。無論運転手の9A-91も車酔いをしている様子もなく僕は目的地に到着するまで外の景色を見て気を紛らわせていた。
さて、そんなこんなで何とか目的地に着いた訳ですけど今僕は今どこにいるでしょーか?こっこでーすここここ。正解は敵の襲撃地点にある村の近くで潜伏していまーす。ブラボーチームは護衛対象のトラックが通る旧幹線道路から横に約250メートル離れた所にある小高い山の上でスタンバイしている。
一方僕達はと言うと旧幹線道路の真横にある廃れた村の近くに来ていた。車列を襲うなら敵部隊はこの村で待ち伏せを絶対するだろうと言う指揮官の考えを信じて僕達は来てみたが見た感じ誰もいない様に見える。因みに僕達は敵を見つけたら敵の側面か裏に回り込んで倒す作戦だ。更に余裕があれば敵のスナイパーを探し出して倒す。
村に入る前に一度手に持っているAMB-17の安全装置がちゃんと解除されているのを確認する。今僕は初めての任務ってことで凄い緊張してしまっている。もしかしたら殺されてしまうんじゃないかっていう不安もある。
《こちらアルファチーム。襲撃予想ポイントまで約5分。今のところこちらは特に異常なし》
輸送トラックを護衛しているアルファチームのFALから連絡が来た。こっちもさっさと動かないと手遅れになってしまうかもしれない。
《こちらブラボーチーム。ブラボー1、2共に今の所敵スナイパーと敵部隊の姿は確認出来ていません」
ブラボーチームのM200の返答と後に9A-91が人形用無線を使ってアルファチームに報告した。
「こちらチャーリー。今から村に突入します」
《こちらブラボーチーム。敵スナイパーにこちらの位置を悟られたくないのでこちらからの援護射撃は出来ません》
「了解」
《こちらオメガ6。チャーリーチームは人数が少ないから無理そうなら直ぐに撤退して》
9A-91よ通話の後に基地に居る指揮官から無線が来た。オメガ
「了解しました。私の活躍、見ててくださいね」
うわ〜今指揮官に話す9A-91の表情が完全に恋する乙女の顔と声色してましたよ。明らかに僕や他の人達と話している時と声色が違ったけどこんなにも違うのか。
《ええ。期待しているわ》
「‼︎はいッ!ご期待に応えれる様に頑張ります!」
そんで指揮官に期待しているって言われたら明らかにテンションが高くなっているし分かりやす過ぎるだろ。僕はAS Valの横に立つと9A-91に聞こえ無い様に小声でAS Valに話しかけた。
「9A-91って本当に指揮官のことが好きなんだね」
「そ、そうですね。本当に・・・9A-91は指揮官のことが大好きで、昔・・・指揮官が秘書を9A-91から別の戦術人形に変えるって話になった時は指揮官を人質にとって執務室に立て籠ったことも・・あります」
「えぇ・・・(困惑)」
指揮官を人質に取って立て籠るってどう言うことだよ。それもう行き過ぎた愛ですやん。と言うかヤンデレ入ってませんかねそれ。9A-91の指揮官に対する行きすぎた愛情に若干引いたが今は任務中なので気を引き締める。姿勢を低くしながら村に接近していると先頭を歩いていた9A-91が突然右腕を上に上げた。止まれの合図だ。
「前方、1時方向の家の側に人影が見えました」
一時の方向と言われて右斜め前にあった平屋建ての家に銃を構えながら見る。しかし僕が見た感じは何処にも人らしき物体は見えなかった。何処に居るのか分からない見えない敵の存在は僕に恐怖心を与える。何時、何処から攻撃を受けるのだろうとビクビクしてしまう。
「ごめん。こっちからは何も見えない」
「私も・・同じです」
「アレは確かに人だったと思うので注意してください。この村には既に住んでいる人は居ないので人を見たら敵と思った方が良いです」
「分かった」
「了解」
僕達以外に近くに居る味方もいないから誤射の心配も無い。いつでも撃てる様に引き金に人差し指をかける。僕達3人は横に広がってから銃を構えたまま慎重にゆっくりと村へ入って行く。
村の中に入ってからは先頭の警戒は9A-91が、建物の上の警戒は9A-91の後ろに居るAS Valが、後方の警戒はAS Valの後ろを歩く僕がしながら不気味な静かさの中廃墟を一つづつ敵が隠れていないか静かに素早くクリアリングして行く。
そして村の中をある程度歩いたその時だった。いきなり目の前の家から人が飛び出して来た。
「!?︎」
「伏せて下さい!!」
僕は咄嵯の判断で身を屈めると9A-91が銃を撃っていた。バシュッ!っとサプレッサーで抑制された発砲音が鳴った後に僕達が居る所から20メートル程離れた所にある家の陰に居た男が倒れた。恐らく僕達に気付かれないようにあそこに隠れていたんだろう。にしてもそれに気がついたのは凄いなと思う。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ。助かったよ。ありがとう」
「当然のことをしたまでですよ」
そう言ってニコリと笑って答えた9A-91の表情は姉の様な優しさを含んだ微笑みだった。今の状況じゃなければ可愛いなぁとか思ってしまうところだが今はそれどころじゃない。敵はまだ一人だけとは限らない。さっきみたいに不意打ちを仕掛けてくるかもしれない。そう思って辺りを警戒しているとさっき男がいた所ら辺からわらわらとAK系統のアサルトライフルを持った人達が現れて来た。
「何者だお前ら!」
「殺せ!」
AS Valは僕達の方に怒声を上げながら真っ直ぐ走って来る人達に向かって銃を構えると横薙ぎにフルオートで撃った。遮蔽物に隠れようともせずに自分に真っ直ぐ突っ込んで来る敵程撃ち易い的もそうない。毎分900発の速さで撃ち出された9×39ミリ弾は次々と命中していき先頭からバタバタと倒れて行く。
遅れて私もAMB-17を構えてフルオートで同じ様に撃つ。敵の方も流石にこのままだとただ撃たれるだけと考えたのか近くにあった遮蔽物に隠れて撃ち返して来た。私達の方も建物の裏に隠れつつ牽制射撃を加える。
「こちらチャーリー!村の中央でアンブッシュしていた敵と接敵しました!現在交戦中!敵の数は見えるだけでも10人以上!」
《了解。貴方達と接敵したお陰で既に敵の待ち伏せのタイミングを外させることには成功したからさっきも言った通り無理せず撤退して》
「了解!皆さん!スモークを投げてください!」
「「了解!」」
私達はスモークグレネードを取り出すと安全ピンを外して敵と自分達の間辺りに投げる。直ぐに投げて地面に転がったスモークグレネードから濃い白色の煙がモクモクと噴出して行く。暫くすると敵と自分達の間に煙が立ち込め視界が遮られる。
「撤退します。敵に制圧射撃をしながら後ろに下がってください!」
9A-91に言われた通り敵の方に向けて銃を乱射しながら私達は後ろへ後退して行く。敵からするとスモークで敵の正確な位置が分からない上に弾が飛んで来るから下手に動けなくなる。
そうして敵との距離もある程度空き9A-91を先頭に走って逃げようとした時、横から飛来して来た弾丸が9A-91の胴体を貫いた。
「ぐっ⁉︎」
予想外の方向からの銃撃に私は驚いた。弾丸の飛んで来たであろう方向を見てみるけど敵の姿は全く見えない。一体何処から撃って来たって言うの?幾ら探しても9A-91を撃った敵の姿は見えない。
撃たれた9A-91は近くにあった木製の建物の中に入った。私とAS Valも敵が居ないか辺りを警戒しながら建物の中に入ってAS Valは直ぐに9A-91の治療を始めた。
「痛いと思うけど、動かないで!」
「ゔぅ⁉︎」
その間に私は敵が近づいて来ないか監視しながら指揮官の方に状況を報告する。
「こちら
《こちらブラボー。チャーリー1を撃ったのは例のスナイパーの可能性が高いです。東側の山を警戒して下さい。こちらも見つけ次第撃ちます》
「お願いね!」
《任せて下さい》
「聞こえてたと思うけど東側の山の方に敵スナイパーが居るそうだから気をt」
気をつけてと言い終えるより前に建物の壁を貫いて来た弾丸が床に当たった。床に寝ていた9A-91の側に着弾したから凄いヒヤッとした。と言うかそうじゃん!この建物木製だからライフル弾なんて簡単に貫通するじゃん!
「こっちに、急いで!」
AS Valは9A-91を部屋の隅の方に運ぶ。多分敵のスナイパーは私達がこの建物の中に入ったのを見ていて適当に撃って来たんだ。しかも1発だけでは無く連続で何発も撃って来る。
「ちょっと!めっちゃこっち撃たれているんだけど⁉︎」
《それだけ連続で撃てていると言うことはマークスマンライフルの様なセミオートの銃でしょうね。7.62×54Rを使う銃でセミオートの狙撃銃ならドラグノフ系の可能性が高いですね》
「何冷静に相手の銃の判別しちゃってんの⁉︎」
《ピンチの時こそ冷静で有るべきと言う言葉もありますよ。敵は適当に撃っているだけなのでちゃんと隠れていれば当たることはそうそうありません。だから下手にスナイパーに対して反撃しようとかしないで下さいね。逆にそちらの位置を教えることになりますから》
「そもそもこっちの使ってる弾は遠距離性なんてないサブソニック弾だから反撃しようとは思わないよ!」
私の使う9×39ミリ弾は高い消音性能を出す為に音速を突破しない程度の弾速にしてある。そのお陰でサプレッサーを内蔵したこの銃の発砲音はとても小さいけど弾速が遅いせいで弾道は遠くに行くほど落ち込む。だからこの銃の有効射程は400メートルと短めになっている。そんな弾で明らかに400メートル以上先に居るであろう何処に居るか分からない敵スナイパー相手に撃とうとは思わない。
M200と話していると煙幕の中から敵がわらわらと出て来た。しかも運悪く敵の1人と目が合ってしまった。もうこっちの居場所がバレるのは確実だから撃たれる前に撃った。当然仲間が撃たれた事で他の敵達もこちらの存在がバレたけど敵が撃って来る前に次は手榴弾を投げ込んだ。殆どの敵は爆発する前に逃げたけど3人が手榴弾の爆発に巻き込まれた。
「こっち来るな!」
敵がこれ以上近づいて来ない様に牽制射撃しつつ手榴弾を敵が隠れている所へ投げ込んで吹き飛ばす。9A-91の応急処置を終えたAS Valも撃ってくれる。敵と撃ち合っていて気がついたがそもそも敵の大半は余り戦い慣れていない様子だ。アサルトライフルを脇に挟んで撃ったりちゃんと狙わずにやたらめったらに撃ちまくったりしている。中にはちゃんと構えて狙い撃っている人もいるけど全体的に練度が低い様に見える。そのお陰で人数で負けている割に敵を押さえ込むことが出来ている。
《こちら
《こちらオメガ6、
《大丈夫です。もうスナイパーは補足しています》
M200がそう言ってから数秒後、敵からの狙撃がピタリと止んだ。敵スナイパーを狙撃してくれたのかな?
《チャーリーとオメガ6へ、チャーリーを攻撃していた敵スナイパーを狙撃しました》
数十秒後にM200から敵スナイパーを倒したと言う報告が来た。
《了解。でも後1人は最低でもいる筈だから気を付けて。ブラボー1はチャーリーの援護をして》
《了解!》
直ぐにM21は私達の目の前にたむろしていた敵の背中を撃つ。突然の後ろからの狙撃に敵は慌てふためき目の前の私達か後ろのスナイパーかどっちを対処すれば良いのか分からなくなり大混乱となる。そこに私はスモークグレネードを投げ込み視界を奪って更に混乱させる。
「今の内に逃げるよ。掴まって!」
私は敵があわあわしている間に9A-91に肩を貸してAS Valに援護して貰いながら隠れていた家からそそくさと出る。その間もM21は私達に近づいたり攻撃したりしようとする敵を狙撃して行く。皆んなの援護のお陰で私とM21は敵に撃たれることもなく建物から出て安全な場所まで移動することが出来た。
《こちらアルファ。後1分で襲撃予定地点を通過するわ。そちらの状況は?》
《こちらオメガ6。スナイパーは1人排除。村に隠れていた敵はチャーリーチームと交戦しながら撤退中。アルファチームは止まらずアクセル全開で通過して》
《了解》
《ブラボーチームは残りの敵スナイパーをトラックが撃たれる前に探し出して》
そうこうしている内に物資を乗せたトラックが来てしまったらしい。でも当初の予定通り待ち伏せしていた敵を炙り出すのには成功した。それに今敵のヘイトは私達の方に向いているからトラックが襲われる可能性も低くなるしもし襲われても全速力で走り抜ければなんとかなる・・・と思う。
やがて村の奥から車のエンジン音が聞こえて来た。敵も音に気が付いた様で私達への攻撃をやめて慌てて道のある方へ走って行く。でも敵さん、私達が目の前にいるのに車の方に注意を向けたから隙が出来た。すかさず私とAS Valと9A-91の3人で反撃する。撃たれたことで敵は私達の対応をしなくちゃいけなくなりその間に護衛のアルファチームの乗ったハンヴィーと大型トラック2台が土煙を上げながら猛スピードで村の横にある道を通り抜けて行く。
敵の何人かがハンヴィーやトラックに向かって撃っていたがAKの弾数発食らっただけで止まる訳も無い。2台目のトラックが私達の横を通り過ぎて襲撃予定地点を通過出来たと思った時、1台目のトラックからガギャッ!と言う金属がひしゃげる様な音が聞こえた。
《こちらアルファ!トラックのエンジンに大口径弾が当たった!例のスナイパーの仕業じゃないの⁉︎》
《こちら
《了解。直ちに無力化して。アルファはそのまま走り抜けて。1発食らったくらいでコンボイトラックのエンジンは止まらないから》
《了解。このまま走り抜けるわ!》
ハンヴィーとトラック2台は司令官の指示通りそのままの速度を維持したまま走り抜けて行く。トラックを止めれなかったことで当初の目的を達成出来なかった敵達は我先にと逃げて行く。逃げて行く敵に銃口を向けるけど撃ちはしない。一応警戒の為に構えておくだけだ。無闇な殺しはしない。完全に敵が逃げて行ったのを確認した私は何とか生き残れたことに安堵してため息を吐いた。
「こちらチャーリー。敵部隊の撤退を確認。我々もこれより帰投します」
《了解。悪いんだけど撤退の前に敵スナイパーの遺体を確認して欲しいんだけど良いかな?》
「了解しました」
負傷した9A-91をATVの助手席に座らせると意外なことにAS Valが運転席に座った。「運転出来るんだ?」と聞いてみたら「それなりに・・・」と答えた。オドオドした人見知りの性格のAS Valが乗り物を運転するとは思ってなかった。そうしてAS Valに運転して貰った僕達は敵がスナイパーの居た山に向かった。9A-91はATVに乗せたままにして無線でM200に案内して貰いながらM200が狙撃した敵がスナイパーの元へ向かった。先ず見つけたのは僕達を散々撃ちまくっていた敵だ。腹を撃たれていて地面には血溜まりが出来ていた。
「・・・腎臓、撃たれてますね」
僕にはただ腹を撃たれたとしか分からなかったけどAS Valはもっと正確に内臓の何処を撃たれたかまで分かっている様だ。
「これは・・・ドラグノフ?」
その腎臓を撃たれたらしい敵が持っていた銃を僕は手に取る。僕の数少ない銃の知識から判断するに敵の持っていたこの狙撃銃はドラグノフ狙撃銃、通称SVDに似ていた。そう言えばM200もドラグノフの可能性があるって言ってたな。流石だ。指揮官から敵の銃は回収しておいてと言われたから敵に合掌してからこのまま持って行く。
次にトラックのエンジンを撃ったらしいもう1人のスナイパーの方へ向かった。1人目のスナイパーの居た所から思っていたより離れた所に2人目は居た。岩と岩の間から銃を出して狙っていたみたいでよくもまぁ500メートル程離れた所にいたコイツを見つけて狙撃出来たな。
スナイパーの方は伏せていたせいか左肩を撃たれていた。弾痕を見た感じ左肩に当たった弾丸はそのまま体内を通過して行ったみたいだ。体内がどうなったのかはあんまり想像したくないな。
「って、何だこれ?」
同じ様に敵の持っていた狙撃銃を見てみるとが僕の全く知らない銃だった。人の身長程の長さのある銃でいかにも強そうな感じだったけど何というか手作り感満載の銃だった。銃に付けてある部品も統一性が無くて別々の部品を組み合わせて作っている様に見える。
「えっと・・・2人目のスナイパーなんですけど多分これ手作りの狙撃銃ですね」
《成る程。手作りの銃は偶にあるんですよね》
「そうなんだ」
《手作りって言って舐めない方が良いですよ。中には普通に性能の良い物もあるので》
「敵さんも頑張ってるってことだなぁ」
この敵にも合掌して銃を回収する。この手作り狙撃銃は大きくて重かったのでAS Valにも一緒に持って貰って9A-91の待つATVに持って行った。敵から回収した銃を乗せてから僕達は基地への帰路へ着いた。
「今日はありがとうございました。お陰で助かりました」
その途中、助手席に座っていた9A-91がそう僕にお礼を言って来た。お礼を言われるとは思っていなかった僕は驚き「はぇ⁉︎」と素っ頓狂な声を出してしまった。
「い、いえ。当たり前のことをしたまでですから」
「そんなに謙遜しなくて良いですよ。貴方は敵が迫り来る中、負傷した仲間を置いて行くことなく勇敢に戦ってくれたんですから」
9A-91の言葉を聞いて少し嬉しくなって頬が緩む。やっぱりこう言う風に褒められると嬉しいものだ。思ったより9A-91は良い人なのかも知れないなと僕は思うと同時にこれからも仲間を大切にして行こうと思った。
この話した書いててもうちょっとがAS Valはオドオドしたキャラとして書いた方が良いのかな?と思ったりしたんですけどどうなんですかね?自分のイメージだと仲間には結構喋ると言うイメージなんですよね。
はてさてそして次回なんですが新たにオリジナル戦術人形を登場させようと思っています。キャラ紹介用のイラストも用意しているのでお楽しみに!
ご感想お待ちしております!
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第9話 基地での出会い
どうも皆さん。輸送トラックの護衛任務から2日が経って特に新しい任務とかも来ず何もすることが無くてぶっちゃけ暇になっているAMB-17です。まぁ軍人が暇を持て余しているのは平和な証拠と言う言葉があるしこうして僕が暇しているのは世の中が少しでも平和な証拠なんだろう。と、何かカッコつけたことを言ったけど暇なのには変わりはない。自室でネットサーフィンするのにも飽きた僕はパソコンのキーボードから手を離すと背伸びをする。
「ん〜〜っと・・・暇だなぁ」
昨日までなら前回の任務で負傷した9A-91の見舞いに行ったりしたんだけど流石グリフィンと言うべきか彼女の怪我は1日で完全に治った。今では傷跡も無く元気そのものだ。更に9A-91からは改めて助けてくれてありがとうと言われた。M21から聞いた話からやべー奴って言うイメージがあったけど本当は真面目な良い子なんだなと思った。まぁ指揮官関係になると暴走することもあるけどね。「ぬぁ〜」とうめき声を上げながら机に突っ伏する。だが男の頃の感覚で突っ伏したせいで頭より先にその大きな胸が机に当たりむにゅっと潰れた。
僕は起き上がると溜め息を吐きつつ自分の巨乳と言える大きさの胸を軽く揉んだ。巨乳の女が好きかと聞かれたら答えはYesだ。男なら誰しも一度は巨乳の美人な女に夢を見るものだ。だけど自分がその巨乳の美少女になって巨乳の大変さを思い知らされた。日常生活でこの胸は邪魔しかしない。この女の体にもある程度は慣れたつもりだったけどやっぱりまだ慣れていないみたいだ。
「散歩でもしますか」
気分転換と暇潰しを兼ねて散歩することにした。この基地はそれなりに広くまだ僕の行ったことの無い場所が結構ある。暇な時間を潰すなら基地探検は丁度良いだろう。僕が小学生だった時は良く友達と夜に学校探検とかをしていたなぁ。あん時は夜だってこともあってワクワクしながら探検していたっけな。僕はパソコンの電源を落として席から降りると着慣れてきた黒色のパーカーを羽織って部屋の外へ出た。
部屋を出て食堂を通り過ぎ、さらに基地内の廊下を適当に歩いているとM14と見知らぬ戦術人形が前から歩いて来た。どうやら2人は何か話していた様だったがM14は僕のことに気がつくと「AMB-17さーん!」と言って満面の笑みでこっちを手をブンブンと振って来た。僕も笑って手を振り返す。
「何してるんです?」
「特に何も。暇潰しに基地内を散歩してただけ。っで、そちらの方は?」
僕はM14の横に立っている僕やM14よりも身長の高い茶髪の長い髪を青色のリボンで結んでサイドテールに纏めた女性の方を見る。彼女の着ている服の胸元が開いており胸の谷間が完全に見えてしまっている。胸の谷間も気になるところだけど何で片足だけニーソを穿いているんだろう?と言う疑問が浮かんだけどこれは本人に聞いたら怒られそうだからやめとく。
「私はFALよ。貴方がAMB-17ね。話はM14から聞いてるわ」
「2人は何を?」
「一緒に射撃訓練をしてたんです。FALさん狙撃も上手いんですよ」
「へぇ〜そうなんですか」
「ま、500メートル以内なら百発百中よ」
ふふんと自信満々に話すFAL。ふと、彼女の肩に白色の動物が乗っていることに気がついた。
「ん?その肩に乗っているイタチは?」
「この子はフェレットよ。名前はフェル」
「へぇ。可愛いですね。触ってみても良いですか?」
「良いわよ」
そう言ってFALは僕がフェルを撫でやすい様に屈んでくれた。僕はお礼を言ってからなるべく優しく頭を撫でてみる。もしかして噛まれたらするかな?と思っていたがそんなことは無く大人しく撫でさせてくれた。撫心地は良く綺麗な毛並みからも大切にされているのが分かった。
「すいません。ありがとうございました」
「このくらい良いってことよ」
「あ、そうだ。SA-58って奴が居るんだけど貴方に会いたがっていたわよ」
「自分に?何でですか?」
そんなSA-58って言う名前の戦術人形は知らないしその人が僕に会いたがる理由も思い当たらないんだけどな。
「私がAMB-17さんの話をしたら会ってみたいって言ってたんです」
「成る程」
M21にFALにM1911にSA-58。M14は結構仲の良い友達が多い様だ。中、高校生時代の僕より友達が多いな。ちょっと羨ましいなと思ったけど彼女みたいな真面目で可愛い娘に人が集まるのは納得出来るなとも思った。
「そのSA-58はどこに居るとか分かりますかね?」
「う〜ん・・・今の時間帯なら屋上とかで昼寝でもしてるんじゃない?」
「分かりました。行ってみますね」
「あ、もしSA-58に会うなら伝言を頼める?」
「良いですよ」
「貸した香水返せって伝えといて」
「了解しました」
「それじゃぁまた!」
手を振って来るM14に手を振り返して2人と別れた僕は階段を登って屋上へ向かった。この基地の屋上に来るのは初めてだったけど特に何か珍しい物があるって訳でも無く落下防止用のフェンスとベンチがあるくらいのごく普通の屋上だった。そして屋上を見回してみるが特に人影は見当たらない。人が隠れられそうな場所も限られているし見た感じ屋上には居ないみたいだ。
他を当たるか。そう思い踵を返して階段の方に戻ろうとすると後ろから何か重いものが落ちる音がして、次の瞬間誰かに両胸を掴まれた。同時に「隙あり!」と後ろから声が聞こえた。突然胸を揉まれ更に大声を出されたことで僕は驚き「ヒェッ⁉︎」と変な声を出してしまった。急いで胸を揉んでいた手を振り解き距離を取ってから後ろを振り返るとしてやったりと言った感じで笑みを浮かべて両手をワキワキと動かしている少女が立っていた。背中辺りまで伸ばしたプラチナブロンドの綺麗な紙と宝石みたいに綺麗な水色瞳を持った少女だ。
「上にも気をつけた方が良いよ」
どうやら階段のある塔屋の上に居て僕が階段に戻ろうとした瞬間に飛び降りて僕の背後を取った様だ。
「・・戦闘中ならまだしも日常で上に誰かいるかもって気をつけることなんて無いですよ。って言うかもしかして貴方がSA-58?」
「そうだよ〜。そんで黒色のパーカーを着た胸の大きい黒髪ロングってことは貴方がAMB-17?」
「えぇまぁ・・そうですけど」
M14よ、もしかして僕の容姿の説明をする時に黒色のパーカーを着た胸の大きい黒髪ロングの娘って説明してたの?もうちょっと他に良い説明があったと思うんだけど、確かに今の僕の特徴を捉えてはいる。
「まさかそっちから会いに来てくれるとはね」
「貴方が会いたがっているって話をFALとM14から聞いたので」
「あー2人から聞いてたのね。にしてもわざわざ会いに来てくれるなんて嬉しいな。前の任務の活躍は聞いたよ」
「活躍って言ってもあんまり戦えてなかったですけどね」
「別に敵と戦う事だけが活躍っていう訳じゃないから。撃たれた9A-91を敵に追われる中助けたんでしょ?充分な活躍じゃん」
「いやまぁ仲間を助けるのは当たり前のことって言うか」
「その当たり前のことを戦闘って言う緊急時に出来るのが凄いんじゃん。そんな謙遜しないでいいよ」
そう言ってニッと笑いかけて来るSA-58。僕はその笑顔がとても眩しく見えた。
「んで、今そっちは暇?」
「まぁ暇ですね」
「それじゃぁ色々話し聞かせてよ。ここに来るまでの話。興味あるんだよね」
「M14から聞いてないんですか?」
「詳しくは聞けてないんだよね。それに噂で聞いたんだけど廃棄されたI.O.Pの施設で目覚めたってそれは本当?」
「まぁそうですね。廃棄されたI.O.Pの施設で目が覚めましたね」
「そこら辺ちょっと詳しく」
別に隠す様なことでも無いし指揮官からもこの話を他の人とかに話すなって言われている訳でもなかったから僕は「私」の記憶も辿ってAMB-17として作られてから一度スリープモードで放置されてから再起動し、M14と出会ってこの基地に来るまでの話をした。
「で、今に余るって感じですね」
「成る程ねぇ。面白かった。話してくれてありがとね」
「まぁ別に隠す様な内容でも無いので」
「それじゃ、面白い話を聞かせてくれたお礼に貴方の方も私に何でも聞いて良いよ」
うーん。突然そんなこと言われても特に彼女に聞きたいことがある訳でも無いから何にも思いつかない。
「えーっと・・・・特に聞きたいことはないですね」
「えー。何も無いの?例えば私のスリーサイズとか胸のサイズとか。色々聞くことはあるでしょ」
「何で例えが全部女好きの男が聞きそうな内容なんですか」
普通仲が良くてもスリーサイズだの胸のサイズだのって聞かないだろ。僕がツッコミを入れると「素早いツッコミ。良いねー」と言ってサムズアップして来た。
「まぁ今の話は勿論冗談だから安心して」
「冗談で良かったですよ。価値観の違うヤバい人かと思いましたよ」
「まぁそんな奴も居るかもだけど私は多分まともだから安心して」
「何で多分なんですか」
「自分がまともかどうかなんて分かんないじゃん。自分がまともだと思っているサイコキラーだっているんだし」
「言われてみれば確かに。それに天井の上によじ登って上から奇襲して来る人がまともな訳ないですね」
「アレはタダのおふざけじゃん」
「それと初対面の人の胸を揉むのもどうかと思います」
「大きな胸があったら揉んでみたくなるものでしょ?」
「何当たり前のこと言ってるの?みたいな感じで言わないで下さい。って言うかコレ立派な痴漢行為だと思うんですけど」
「仲間同士のおふざけだと思えばセーフ」
「相手が痴漢だと思ったらそれはもう痴漢ですよ。それに貴方も充分な大きさの胸を持っているじゃないですか」
そう言って僕はSA-58の胸を指差した。彼女の着ている白色のタンクトップが決して小さくない胸に押し上げられてその形を浮き上がらせている。
「自分のを揉んだって意味ないじゃん」
「はぁ・・。もうこの話はやめにしましょう。終わりが見えない。あ、じゃぁ貴方の銃について聞いて良いですか?SA-58ってアサルトライフルですか?」
「そうだね。まぁ正確に言うとバトルライフルって言った方が正しいかな。簡単に説明するとFALのクローンがSA-58。そして私が使っているのはOSWって言うそれの近代化させた独自改造モデル」
FALのクローンモデルがSA-58なのか。そもそもFALにクローンモデルがあるのを知らなかった。
「と言うことは戦術人形の方のFALとも結構関わりがある感じで?」
FALが香水を貸すくらいだし仲が悪いって訳じゃ無さそうだけどな。って言うかFALに言われた伝言を伝えるの忘れてた。
「まぁそうだね。ちょくちょく一緒に任務に行ったりもしてるし」
「そのFALから伝言で貸してた香水を返せって言ってましたよ」
「あーそう言えば借りっぱなしだっな。早く返さないとまた色々言われそうだなぁ」
「そう言えばFALは狙撃が上手いってM14が言ってたんですけど貴方も狙撃が上手いんですか?」
同じFAL系の銃ならFALと同じ様に中距離の狙撃が上手いのかも知れないなと思って聞いてみたがSA-58は首を横に振った。
「いや全く。って言うか私の使っているのは13インチモデルだから弾が充分な加速を得られないんだよね。つまり遠距離戦は無理ってこと。だから私の専門はCQBとかだね」
「そうなんですか。自分も近距離戦が主なのでこれから一緒に戦うこともありそうですね」
「だね。その時はよろしく」
「こちらこそ。頼りにしてますよ先輩」
「先輩かー。あんまり私は先輩ってキャラじゃないんだけどなぁ」
その後も僕とSA-58は雑談を続けた。彼女は人の話を聞くのが上手くて接し易い感雰囲気と相まって僕の話は弾んだ。男の頃はこんな美少女と仲良く話が出来る様になるとは思ってなかったな。
キャラ説明!
【挿絵表示】
・SA-58。プラチナブランドの髪と水色の瞳を持つ名前の通りアメリカのDSA社製のSA-58OSW(13インチモデル)を使用する戦術人形。明るい性格で誰とでも仲良くなれる。元の銃がFALのクローンモデルと言うこともありFALとも関わりがあり仲は普通に良い。
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