【完結】駄目な部分が目立つ転生者が、何故か周りから好かれる話 (やさぐれショウ)
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特別編
特別編 クリスマスと直喜が産まれた日


OP 〜Mariah Carey『All I Want For Christmas IS You』〜♪


本日は、この物語の主人公『神山 直喜』のお誕生日です。

というわけで、特別編を書きました!


日付は12月25日、この日はクリスマスである。だが、直喜にとってはもう一つ、特別な日があった。それは…

 

直喜(そう言えば、今日は僕の誕生日か…)

 

この日は、直喜の誕生日でもあった。白い雪が降り注ぐクリスマスの夜に、この世に産まれて来た神山 直喜…素直に喜べる優しい子に育って欲しいという願いから、直喜と名付けられたのだ。だが、次第に両親からは可愛がって貰えなくなり、やがて放置されるようになってしまった…その後は祖父母に引き取られ、そこでノビノビと育った。中学卒業後、育ててくれた祖父母が相次いで他界し、今では独り身となった。頼れる親戚も誰も居ない為、自分の事は自分一人でやらなければならなくなった。

 

直喜(確かに僕は一人ぼっちだ…でも悲しくなんかない、だって僕には…ウルトラマンがいるんだもん。)

 

ずっと寂しい思いをしていた彼の心の支えとなっているのは、『ウルトラマン』という存在だ。1966年7月17日、原点にして頂点を行く初代ウルトラマンが、この地球(ホシ)に舞い降りた。そこからウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウと続き、様々なウルトラマン達が地球にやって来た。地球人として暮らしていく中で、地球を、地球人を愛し…地球を守るため、様々な脅威と戦っている。数多くのウルトラマンを見てきた直喜は、そんな彼らに心打たれ…夢中になれる存在を見つけることができたのだ。ウルトラマンのみならず、怪獣や宇宙人、闇のウルトラマンにも夢中になっていった。

 

直喜(だから僕は寂しくなんて…寂しくなんて……)

 

しかし、小中学校時代…友人がいなかった直喜は、友人と特別なことができないと思い、次第に寂しいと思い始める。そんな時、直喜のスマホが鳴った。

 

アカネ『直喜君、メリークリスマス♡今日は日曜日だね、ツツジ台高校に来てね~♪』

 

アカネからL○NEが来ており、ツツジ台高校に来て欲しいとのことだ。

 

直喜「あれ?今日って学校は休みなんじゃ…と、とにかく準備しなきゃ!!」

 

彼女からのメッセージを見た直喜は、慌てて準備を始めた。

 

 

 

担任「おっ、来たか神山。」

 

直喜「せ、先生…?」

 

ツツジ台高校に到着した直喜を待っていたのは、担任の女教員だった。

 

担任「って、制服で来たのか?」

 

直喜「あ、えっと…学校に行くって考えたら、制服が良いかな〜…って、思いました…」

 

担任「そっか、神山は真面目だな、良き良き。さ、1年E組の教室に行き給え。」

 

直喜「…は、はい。」

直喜(忘れ物でもしちゃったかな…うーん、心当たり無いんだけどなぁ……)

 

考え事をしながら、下駄箱で上履きに履き替え…クラスへと向かって行く直喜。

 

担任(よし、アイツらにメッセージを送らないとな…)

 

直喜が上へと上がっていったのを見届けた担任は、LI○Eにてクラスメイト達にメッセージを送った。

 

 

 

亜子「おっ、なおちー来たって!!」

 

蘭萌「早く隠れて!」

 

タツミ「部屋も暗くしろ!!」

 

担任からのメッセージを見たクラスメイト達は、スタンバイする。

 

やがて、教室に直喜が到着した。

 

直喜「あれ?真っ暗だ…まだ明るいのに……と、取り敢えず電気着けなきゃ…」

 

教室に入ると、真っ暗な空間が広がっていた。直喜は手探りでスイッチを探す。

 

直喜「あっ、あったあった…」

 

そして、直喜が教室の電気を着けた次の瞬間……

 

 

 

パァンッ!パァンッ!

 

 

なおちー、メリークリスマ〜ス♪

 

 

ア〜ンド…

 

 

お誕生日、おめでとー!!

 

 

 

クラスメイト達がクラッカーを鳴らし、直喜を祝った。

 

直喜「うひゃあっ!?な、何…!?」

 

ビックリして尻餅をつく直喜に、六花が手を差し伸べた。

 

六花「大丈夫、直喜?」

 

直喜「う、うん…大丈夫……」

 

直喜が立ち上がると、なみことはっすがバースデーハットとタスキを持ってきた。タスキには『本日の主役』と書かれている。

 

なみこ「おめでと直喜♪これかけてかけて♪」

 

はっす「おめでと〜直くん♪」

 

直喜「あ、ありがとう…!」

 

バースデーハットとタスキを身に着けた直喜を、亜子がスマホで撮影した。そこに、担任がやって来る。

 

担任「どうだ、驚いたか神山?」

 

直喜「あ、先生…」

 

担任「クラスメイト達がな、どうしてもお前を祝いたいって言って聞かなくてな…校長から許可を得てここを貸し切ったんだよ。改めて、誕生日おめでとう。」

 

担任の説明とお祝いメッセージを聞いた直喜は、漸く状況に納得し、落ち着きを取り戻し始めた。

 

アカネ「直喜君直喜君♪プレゼントもあるから、こっちに来て♪」

 

アカネは直喜をクラスメイト達の元へ案内する。直喜がやって来ると、クラスメイト達は直喜に各々プレゼントを手渡す。

 

さきる「なおちー!これはウチからのプレゼント、お誕生日おめでとう!!」

 

光「ウチからはこれ、寒くなって来たからね。」

 

将「神山、同じ特撮ファンとしてこれからもよろしく!!」

 

裕太「誕生日おめでとう、直喜君!」

 

なみこ「おめでとう直喜!」

 

はっす「直君おめ〜♪」

 

亜子「おめでとうなおちー♪」

 

蘭萌「クリスマスとなおちんの誕生日、ダブルでお祝いだね♪」

 

さきるからはコンパクトなスポーツボトルを、光からは汗ふきタオルを、将からはウルトラマンの変身シークエンスが描かれたペットボトルホルダー、裕太からは黒い手袋、なみこからはレッグウォーマー、はっすからはアイマスク、亜子からはニット帽、蘭萌からはネックウォーマーを貰った。

 

アカネ「直喜君、お誕生日おめでとう♪」

 

六花「おめでとう直喜♪」

 

アカネから貰ったのは、写真立てなのだが…フレームにはジェットビートルや小型ビートル、宇宙ビートル、ベーターカプセル、初代ウルトラマンが描かれている。六花から貰ったのは、圧力鍋だった。

 

直喜「こ、これ…ホントに、貰っちゃって…良いの…?」汗

 

困惑する直喜に、クラスメイト達は笑顔で頷く。

 

直喜「み、みんな……あ、あり…うぅっ、ありがとう……!!」

 

今まで、大勢から誕生日を祝って貰ったことも、プレゼントを貰ったことも無かった直喜。温かいクラスメイト達から、こうして誕生日を祝われ…涙を流して喜んだ。

 

 

 

その後、教室にて直喜はクラスメイト達と一緒にクリスマスパーティーを行った。

 

なみこ「ねぇ直喜、このケーキさ…実は六花が作ったんだよ?すごくない?」

 

直喜「こ、こんなに大きなケーキを…す、スゴいなぁ…!!」

 

机に置かれているショートケーキは、とても大きいし2つもある。クリスマス&愛しい直喜の誕生日であるということで、六花はいつも以上に気合を入れて作ったのだ。

 

六花「直喜、これ直喜が全部食べても良いんだよ?」

 

直喜「さ、流石にこれは…1人じゃ、食べ切れないな…み、みんなと一緒に、食べたい…」

 

六花「わかった、今切り分けるね♪」

 

直喜の要望を聞いた六花は、すぐにケーキを人数分に切り分けた。1人1切れずつ取り、口へと運んでいく。

 

将「う、美味ぁ〜!!」

 

裕太「六花、これ美味しいよ!」

 

アカネ「ホントだ、ウマ〜♪」

 

六花「当然でしょ?直喜の為に作ったんだから…って、何言わせんの!?」

 

はっす「自分で言ったんだろ…」汗

 

六花の手作りケーキを、クラスメイトは大絶賛する。直喜もケーキを1口食べる。

 

六花「どう直喜、美味しい?」

 

直喜「…うん、すっごく美味しい。」

 

ケーキを食べた直喜は、穏やかな笑みを浮かべていた。そんな彼を見た六花は、「良かった」と胸を撫で下ろす。

 

六花「って、頬にクリーム着いてるよ?」

 

直喜「えぇっ!?ど、どれ…!?」

 

六花「ほら、取ってあげるからじっとしてて。」

 

六花の言葉を素直に聞いた直喜は、じっと待つ。すると、六花は自身の口を直喜に近付け、彼の頬にキスをすると同時に、着いていたクリームを取った。六花が直喜に優しく微笑むと…

 

直喜「あ、あわわわわわわわ…!!///」オロオロ

 

直喜は目に渦巻きを作り、顔を真っ赤にしてテンパり始める。周りはヒューヒューと盛り上がったり、優しく見守ったりと賑やかになった。

 

 

 

クラスメイト達と担任と一緒に、料理を食べたり、ゲームをしたり、そして集合写真を撮影したり…今年のクリスマスは、直喜にとって特別な日となった。そんな時、ツツジ台高校に思わぬ来客が……

 

ユタカ「おいおい、何だあれ?」

 

将「今度はロボット!?…って、あれって円盤生物ゥ!?」

 

何と、ダイナゼノンと12体の円盤生物が飛来してきたのだ。ダイナゼノンからはがウマ隊のメンバーが、円盤生物からは怪獣優生思想の4人が降りてきた。

 

夢芽「メリークリスマス、直喜♪」

 

ちせ「それと、お誕生日おめでとうございます!!」

 

シズム「誕生日おめでとう直喜。これ、俺達からのプレゼントだよ?」

 

ガウマ「あっ!?シズム、お前抜け駆けしやがって…!」

 

蓬「まぁまぁガウマさん…直喜君、ちょっとしか話せてなかったけど、これからもよろしく!それと、お誕生日おめでとう!」

 

暦「いつもちせが世話になってます。後、誕生日おめでとう。」

 

オニジャ「直喜ィ、誕生日おめでとう!!」

 

ムジナ「おめでとう直喜♪」

 

ジュウガ「お誕生日おめでとうございます、直喜。」

 

ガウマ隊からは音楽プレイヤーを、怪獣優生思想からは手作りのぬいぐるみを受け取った。これらのぬいぐるみは、彼らが使役している円盤生物達だ。12体の円盤生物達は、小さくなって直喜の周りを旋回している。円盤生物の登場に、最初はビックリしていたクラスメイト達だったが…直喜が親しそうに接しているのを見て、すぐに慣れた。

 

蘭萌「なおちんの周りにはさ、色んな人が集まって来るね。」

 

亜子「なおちー優しいからね、天使を通り越して神!」

 

はっす「誰とでも仲良くなれるって、直君は本当にスゴイよ♪」

 

なみこ「センセ、直喜はどうです?この学校の誇りですか?」

 

担任「あぁ、そうだな…神山、お前は自慢の生徒だよ。」

 

楽しそうな直喜を見て、担任は涙を堪えている。

 

 

直喜「みんな、本当にありがとう!!」

 

 

大勢の人達に囲まれ、盛大にクリスマスと誕生日を祝って貰えた直喜。彼の周りには、地球の生命、宇宙からの生命、異次元からの生命等々…様々な存在が集まって来る。おっちょこちょいで弱虫で、空回りしやすいタイプではあるが、優しさだけは誰にも負けない。時より見せる勇気と強さも持ち、周囲も自然と彼に救いの手を差し伸べてくれる。

 

 

 

マート「フフッ、良かったわね直喜。」

 

オリシス「ふむふむ、良いことだ…善因善果、誰かに何かを与える者には、救いの手が差し伸べられる。」

 

マート「あの子は本当に優秀…だからこそ、あの子の周りには色んなモノが集まって来るのよね。」

 

オリシス「今の直喜なら、この世界を救えるかもしれんな。」

 

2人の神様も、楽しそうな顔をする直喜を、優しく見守っているのであった。




ED〜ASH DA HERO『Everything(English ver.)』〜♪


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SSSS.GRIDMAN編
第1話 困・惑


OP~OxT『UNION』~♪


俺の名は『転生者 A』……

 

俺は今、猛烈に困惑している…それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「直喜(なおき)、おはよ♡」

 

なみこ「おはよう直喜♡昨日はよく眠れた?夜更かししてない?」

 

はっす「直く~ん、今日も可愛いね~♡」

 

直喜「えっ、あっ…ちょっ、ちょっと!?///」

 

何故かヒロイン達から全く相手にされてないからだ。俺は超絶イケメンで金持ちだってのに…女の子からもモテモテの筈なのに……

 

なのに……なんで、なんで…

 

なんで、あんな奴が…女の子から好かれてんだ!?

 

 

 

この物語の主人公は転生者 Aではない…記憶を失った1人の少年神山(かみやま) 直喜(なおき)である。おっちょこちょいで勉強も運動も苦手であり、同時に人見知りが激しく……慌てやすい性格である。つまり…『駄目な部分が目立つ』タイプなのだ。

 

その昔…両親からは虐待まがいなことをされ、ろくな物が食べられず…よく体調を崩して入退院を繰り返していたため、学校にはあまり通えなかった。結局、両親からは『出来損ない』・『役立たず』・『ゴミ』と罵られ…捨てられてしまった。その後は祖父母に引き取られ、中学を卒業することができたが…その祖父母も亡くなってしまい、独り身となり…安いマンションを借りて自立した生活をおくっている。東京都立ツツジ台高校には、ギリギリ合格したのだが…どういうわけか、グリッドマン同盟のメンバーやクラスメイト達から好かれており、人気者となっている。

 

ちなみに、直喜は…小さい頃から『ウルトラマン』が大好きで、入院していた時は…祖父母が借りてきたウルトラマンのDVDをよく見ていた。中でも、1番大好きなのは『ウルトラマンゼアス』だ。貧弱な戦士として注目されてしまうこともあるが…自分の弱さと向き合い、時には無茶な特訓をしたりと…必死で努力し、周囲の者達と関わって行く中で、一人前のウルトラマンとなっていく姿に一目惚れしたのだ。

 

ウルトラマンを愛する心は、高校生になっても尚…変わっていない。

 

 

将「神山、ちゃんと宿題はやってきたか?」

 

直喜「あっ…ま、まだ…」汗

 

将「おいおい、またかよ~(笑)。俺のノート写せよ?」

 

直喜「あっ、うん…あ、ありがとう……」

 

直喜か鞄からノートを取り出そうと、右手を突っ込む。

 

直喜「…あ、あれ…?ノート…あれ、ノートは…!?」ゴソゴソ…

 

しかし、いくら中を探しても…直喜のノートは何処にも見当たらない。

 

はっす「バッグ裏返してみたら?ワンチャン出てくるかもよ?」

 

はっすの提案を聞いた直喜は、鞄を裏返すと……

 

バラバラバラバラ……

 

直喜の鞄から出てきたのは、大量のウルトラマンや怪獣等のソフビやウルトラマンの変身アイテム、1台のゲーム機だった。その後に、教科書とノートがバサバサと落ちてきた。当然、クラスメイト達は「またか~!」と言わんばかりに大笑いし、直喜は顔を真っ赤に染め…恥ずかしそうにしていた。

 

女教員「おーいお前ら、席につけ!!…って、神山…お前はいつも通りか…ほらほら、ホームルーム始めるぞ~!」

 

転生者 A(くっそぉ、なんであんなグズでノロマな奴が…女の子からキャピキャピされてんだよぉ!!)




ED~ASH DA HERO 『Everything』~♪

※…使用楽曲コードはOxT『UNION』です。


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第2話 悪・者(A)

OP~OxT『UNION』~♪


転生者 A……性別は男…高校1年生である。

 

ジャ○ーズのような清楚系イケメンな見た目。だが、性格は自己中心的で…他人を蹴落としてまで、手柄を自分の物にする程、欲にまみれた男だ。

 

推しのヒロイン達を我が手中におさめ、自分だけのハーレム生活をしてきており…飽きたら別の世界に勝手に出入りしては、原作主人公を必要以上に痛め付け、ヒロイン達を次々と自分の物にしてきた。

 

神様から何度も注意をされても、反省をせず…むしろ、開き直って自分の行動を正当化する始末だ。これに怒りを感じた最高神は、彼に呪いをかけた。まず、彼が持っている能力全てを封じ、世界中から嫌われるようにした。これ以上好き勝手をさせる訳には行かないと判断したのだ。

 

 

 

初めは、転校生として…直喜と共に、ここツツジ台高校にやって来た。彼は直喜よりも先に教室に入り、自己紹介をしてヒロイン達から好印象を受けようとしたのだ。

 

転生者 A「今日から、このクラスメイトになります!Aです!皆さん、よろしくお願いします!!」

 

持ち前のイケメン容姿と、決め手の『イケメンスマイル』で、元気よく自己紹介するA。

 

転生者 A(よしよし、完璧だ!これで、好印象を受けるのは間違い無しだぜ♪六花は俺の嫁なんだからな!!)

 

Aはそう思い、クラスメイト達から黄色い声援が送られると思っていた。しかし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス「「「……。」」」

 

六花「……。」

 

アカネ「……。」

 

クラス中はシーンとしており、生徒達は興味無さそうに窓から景色を眺めたり、スマホを弄ったりしており…Aには全く目を向けておらず…むしろ、Aの存在を認識していないようだった。

 

転校生 A(んなっ!?ど、どうしてだ…今までは、自己紹介しただけで周りから注目されていたのに……何でだ!?どうなってんだ!?)

 

女教員「質問ある奴は居るか?……いないな、よし…A、お前の席はあそこ、新条の後ろだ。」

 

転生者 A「……。」

 

女教員「おい、聞いてるのか?」

 

転生者 A「…えっ!?あっ、はい…」

 

転生者 Aは、納得しないまま…自分の席に移動し、イスに座った。

 

転生者 A(おっ!?すげぇ、本物の『新条 アカネ』じゃねぇか!!)

 

彼の目の前には、『新条 アカネ』がいる。ふと、彼女がこちらへ振り向く。だが、それは好意的な目では無かった。

 

アカネ「ねぇ…さっきから鼻息がうるさいんだけど?気持ち悪いから息しないでくれる?」

 

転生者 A「えっ…?」

 

まるでゴミを見るような冷たい視線でAを見て、吐き気を感じているのか口元を右手で抑えていた。

 

転生者 A(おいおい…俺の第2の嫁であるアカネにまで煙たがれているだと!?)

 

混乱するAをそっちのけで、次は直喜が自己紹介する番がやって来た。

 

女教員「さて、次…入ってこい!」

 

女教員は直喜を呼ぶも…何故か、直喜は教室に入ってくる気配が無い。

 

クラスメイト「「「…?」」」

 

クラスメイト達が困惑し始めたタイミングで、女教員が教室の戸を開けると……

 

 

直喜「……。」

 

 

何故か直喜は、戸の前で立って固まっていた。

 

女教員「んっ、神山?おーい、神山~?」フリフリ…

 

女教員は直喜を呼びながら、彼の目の前で手を振ったりしたが…直喜は何も反応を示さない。

 

女教員(立ったまま、気絶してる…)汗

 

女教員は、弁慶の立ち往生状態の直喜の目の前で…

 

 

パァンッ!!

 

 

…と、手を強く叩いた。約3秒後……

 

直喜「…わっ!?」

 

女教員「いや気付くの遅っ!!」

 

漸く直喜が意識を取り戻したため、思わずツッコミを入れる女教員。

 

クラスメイト「あの子、なんか可愛い…♡」「それに、なんだか面白そうな奴だな!」

 

六花「可愛いなぁ〜♡」

 

アカネ「わぁ、可愛い~♡抱き締めたくなっちゃう~♪」

 

クラスメイト達はクスクスと笑い、直喜に好印象を覚えた。

 

女教員「静粛に!よし神山、お前のタイミングで良いから、自己紹介をしてくれ。」

 

直喜「はっ、はい…!…えっと、その……あ、あうぅ……」

 

女教員「神山ァ、頑張れ…!1回深呼吸しよう、な!?」

 

直喜「ヒッヒッフゥ~…ヒッヒッフゥ~…」

 

女教員「それは出産時に行う呼吸法!!」大汗

 

もはや漫才と化した直喜と女教員のやり取りに、クラス中は大笑いに包まれた。

 

女教員「すまん神山、強引ではあるが…自己紹介よろしく!」

 

直喜「はうっ!?…えっと、ぼ、ぼぼぼ、僕…かみやみゃ、にゃおき……でし、でしゅううぅぅ〜〜!!///」

直喜(あぁ~、やっちゃったぁ~!!)汗

 

自己紹介で盛大に噛んだ直喜は、その後…クラスメイト達から質問攻めを受けた。

 

転生者 A(おかしい…こんなのおかしい!!本来、あの場には俺が立つ筈なのに!!なんであんな弱虫が、注目されてんだよ!?…って、あっ!!…アイツ、六花からもアカネからもスキンシップ受けてんじゃねぇか!!)

 

この状況に、納得いかないAは…クラスメイト達から質問攻めされる直喜に、嫉妬し…逆恨みし始める。

 

 

 

その後の授業では…

 

A(くそぉ…何でだ!?何が一体どうなっている!?)

 

現状に納得行かず、Aは混乱しつつイライラしていた。その為……

 

教員「A、お前だよ…ここの問題、完了形の文章を作ってみろ。」

 

A「えっ、あっ…すいません、どこの問題を?」

 

教員「もう良い。」

 

授業すらまともに聞いていない今のAは完全に上の空状態で、何も良いところを見せられずにいた。

 

教員「じゃあ、神山。完了形の文章、作れるか?」

 

直喜「ひゃいっ!?」ガタッ!

 

答えられなかったAの代わりに、直喜は問題の答えを口にする。

 

教員「緊張しなくて良いぞ?」汗

 

直喜「えっ、えっとぉ…アイ ハブ ジャスト フィニッシュドゥ シューティング スペシウムコウセン…」

 

教員「私は丁度スペシウム光線を撃ち終えた…まぁ、良いだろう。形はあってるが、今度からスペシウム光線じゃなくて別のヤツにしような?」(苦笑)

 

クラスメイト1「けど、ナイス回答だった!!」

 

クラスメイト2「うんうん!よく頑張った!!」

 

なんとか答えることはできたものの、微妙な答えであったため…教員からは苦笑いされてしまった。それでも、一生懸命答えた直喜に、クラスメイト達は「よく頑張った!」と称賛を送った。

 

転生者 A(なっ!?か、神山の奴め…さてはこの状況を狙ったのか!?)

 

勿論、こうなることを狙った訳では無い。彼なりに導き出した答えを言っただけだ。

 

 

…昼休み…

 

直喜は任○堂S○itchのゲーム『ウルトラマン ファイティングエボリューション・ネオ』(通称:ウルトラマンFEN)をやっていた。

 

直喜(パワードバルタン星人だ、よし…負けないぞ…!)

 

そんな彼の元に六花が近付き、声を掛けてきた。

 

六花「へぇ~、直喜…ウルトラマン好きなの?」

 

直喜「…へっ!?あっ、うん…う、ウルトラマン大好き……」

 

六花「そうなんだ!あっ、私は『宝多(たからだ) 六花(りっか)』、よろしくね♪」

 

六花が自己紹介すると、彼女の後ろから2人の女子がひょこっと姿を見せた。1人は、 猫目・猫口と全体的にネコ科を思わせる容姿が特徴で…もう一人は、ボブヘアーに近い髪型と、口元に大きなマスクを付けているのが特徴だ。

 

なみこ「なみこでーす♪」

 

はっす「はっすでーす、よろしくね直君(なおくん)♪」

 

直喜「あっ、うん…よろしく、ね……?」

 

ネコ科を思わせる女子は『なみこ』、口元に大きなマスクを付けている女子は『はっす』と名乗った。

 

六花「あぁごめんごめん、邪魔しちゃったよね…?」

 

直喜「だ、大丈夫!逆転するから…!!」

 

直喜が使っているキャラクターは、『ウルトラマンパワード』だ。蒼き瞳が特徴であり、アメリカで活躍したウルトラマンである。主な必殺技は、初代ウルトラマンの『スペシウム光線』を遥かに上回る『メガスペシウム光線』だ。直喜が操作するパワードは、相手である『パワードバルタン星人』と戦い、次第に追い詰めていく。そして、相手のフラフラゲージが満タンになったタイミングで吹き飛ばし、エネルギーをためる。

 

女子「「「おぉ~!?」」」

 

直喜「よし、トドメだ!!」

 

直喜が操作するパワードは、必殺技『メガスペシウム光線』を発射し…見事、パワードバルタン星人を撃破した。直喜が勝ったことに、六花となみことはっすは大喜びする。

 

アカネ「ねぇねぇ、直喜君?」

 

直喜「はいっ!…あっ…」汗

 

勝利した直喜の元にアカネが近付き、声を掛けてきた。

 

アカネ「んふふ、緊張しなくても良いよ?私『新条 アカネ』、ウルトラ怪獣が大好きなの。よろしくね♪」

 

直喜「そうなんだ…!ぼ、僕…神山 直喜…ウルトラマンも好きだけど、ウルトラ怪獣も魅力的だよね?」

 

アカネの後ろにも、2人の女子の姿がある。

 

亜子「神山君。ウチ、『古間(ふるま) 亜子(あこ)』って言うの。よろしくね♪」

 

蘭萌「ウチは『丸佐(まるさ) 蘭萌(らも)』、気軽に『丸さん』って呼んでね♪」

 

新条 アカネはクラスのアイドル的存在の美少女で、将からは「才色兼備才貌両全の最強女子」「クラス全員に好かれるという奇跡みたいな女」「奇跡の寄せ集めみたいな美少女」と評されている。ウルトラ怪獣が大好きであり、直喜とは話があうようだ。亜子と蘭萌はアカネの友人であり、こちらもかなりの美人である。

 

転生者 A(ちっ、気にくわねぇな…)

 

美女達に囲まれる直喜を妬ましく思ったAは、直喜にイチャモンをぶつける。

 

転生者 A「神山君、オレ今読書してるから静かにしてくれないかな?」

 

直喜「あっ、ご、ごめん……」

 

Aの言葉に対し、すぐに謝罪する直喜。すると…

 

六花「いやいや、それなら君が図書室に行けば良いじゃん。」

 

なみこ「六花の言う通り、休み時間なんだから何をしようが直喜の勝手でしょ?」

 

はっす「てゆーか、君…読書なんてしてないじゃん。さっきからずーっとこっち見てたし…」

 

アカネ「えっ、何イチャモン?…うわぁ、サイテー…」

 

亜子「とゆーかさぁ、それはアンタ個人の都合でしょ?」

 

蘭萌「別にゲームぐらいしたって良いじゃん。」

 

六花達はAに反論し、直喜を庇った。

 

直喜「ま、待って…そうだA君、一緒にゲームやらない?きっと楽しいよ。」

 

直喜は勇気を出して、Aにゲームをやろうと誘った。

 

転生者 A「はっ?誰がそんなクソゲーやるかよ…ウルトラマンとか、ガキが見るモンだろうが。ぶっ殺すぞてめぇ?」

 

直喜「…えっ……あっ、ごめんなさい…」

 

結果、Aから暴言を吐かれてしまい…思わず涙目になってしまった。その時…

 

 

さきる「必殺・エネルギー光球!!」ビュッ!!

 

 

バコォッ!!

 

 

転生者 A「へぶっ!?」

 

クラスメイトの1人『問川(とんかわ) さきる』が、Aの顔面にボールをぶつけたのだ。そして、先程のAの直喜に対する行動に抗議した。

 

さきる「さっきから何なの、君…イチャモンつけたら次は暴言?人間として終わってるよ。」

 

光「さきる、よくやった!!」

 

近くにいた『戸井田 光』は、さきるの行動によくやったと言う。混乱するAの元に、アカネがツカツカと歩み寄る。そして……ハイライトが消えた赤黒い眼差しを向けながら、Aの胸ぐらを掴む。

 

ガシッ!

 

A「ひっ!?」

 

 

アカネ「折角直喜君と喋れたのにさぁ…

 

何で邪魔するのかなぁ?

 

てか、今直喜君を泣かせたよね?

 

許さない…

 

シネ!!

 

 

直後、背負い投げでAを思いっきり投げ飛ばした。アカネに投げられたAは、背中から黒板に激突…黒板消しが顔面に落ちてきて、チョークの粉を被った。その顔は、公家かぶれみたいに真っ白である。

 

亜子「あっはっはっは!!最ッ高!!www」

 

蘭萌「おぉ、派手にやったねぇ…」

 

六花「自業自得だね…」

 

「因果応報とはまさにこのことwww」「Aマジでざまぁwww」

 

クラスメイト達がそんなAを見て笑う中、教員が入ってきた。

 

女教員「おい、これは一体何事だ?」

 

さきる「ヤバッ!?」

 

亜子「アカネ、逃げよ!!」

 

アカネ「OK!」

 

女教員「あっ、おい!お前ら待て!!」

 

教室から飛び出していった女子生徒達を、女教員は慌てて追い掛けていった。

 

直喜「……。」

 

落ち込む直喜に、六花が優しく声をかける。

 

六花「大丈夫、直喜?」

 

直喜「た、宝多さん…僕、何か…悪いこと、しちゃったの…かな……?」

 

六花「直喜はなんも悪くないって。悪いのは全部A(アイツ)なんだから、気にしなくて大丈夫だよ?」

 

直喜「…で、でも……」

 

直喜を慰める六花だが、彼は未だ涙目である。中々元気を出さない直喜に、流石の六花も戸惑い始める。その時……

 

 

裕太「ねぇ、神山 直喜君だよね?俺、『(ひびき) 裕太(ゆうた)』!そのゲーム、良かったら俺にもやらせてくれる?」

 

 

クラスメイトの『響 裕太』が、直喜に声をかけた。彼は【SSSS.GRIDMAN】…つまり、この世界の原作主人公であり、『グリッドマン』に変身する少年である。

 

直喜「…ひ、響君…う、うん!一緒にやろう!!」

 

裕太に声を掛けられ、元気を取り戻した直喜は…コントローラーの1つを裕太に貸し、操作方法を説明しながらゲームをやった。

 

はっす「お~、響君ファインプレーしたね~!」

 

裕太「えっ、何のこと?」

 

なみこ「いや、鈍感か!!」

 

六花「でも良かった…直喜が元気出さなかったら、私心配しちゃうよ~…!」

六花(響君マジでナイス!!)

 

その後、午後の授業でも…直喜はすっかり立ち直っており、最後まで元気であった。




『ウルトラマン ファイティングエボリューション・ネオ』(ウルトラマンFEN)は、僕の頭の中のオリジナルゲームです。

基本的に、ウルトラマン作品に登場するキャラクター全てが使える。無料アップデートがあり、使えるキャラやストーリー、ステージ等が増えていく。

オンライン対戦も可能で、世界中の人達とバトルすることもできる。



ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第3話 悪・者(B)

OP~OxT『UNION』~♪


転生者 B…性別は男…高校2年生である。

 

彼は幾多の転生世界で散々悪事を働いてきた、悪質転生者である。その手口は…他の転生者及び原作主人公(主に男性)の悪い噂を広め、ヒロインズを我が物にしてきた。それだけでは飽きたらず、他転生者や原作主人公を必要以上に痛め付け…優越感に浸っていた。彼も転生者 Aと同様、飽きたら別の世界を転々とし…転生の力を悪用し、懲りずに悪さを続けていた。

 

この行動に、最高神は遂に怒り出し…彼に呪いをかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 B(ちっ、俺は2年のクラスかよ…どの女もブスばっかりだぜ……)

 

自分のクラスにいるBは、今日も不機嫌な表情を見せていた。それがずっと続いていたため、クラスに馴染めず…孤立状態になってしまっている。クラスメイト達はBの存在を認識しておらず、視界に入っても何も反応を示さない。

 

転生者 B(あ~あ…俺も1年のクラスが良かったぜ……六花ちゃんやアカネちゃん、めっちゃくちゃ可愛いもんな~。ま、俺の嫁になるんだから当然だよな。)

 

 

 

学校での日常が終わり、下校の時刻となった。

 

なみこ「じゃあね直喜、知らない人に着いていっちゃダメだよ?」

 

六花「大丈夫だよなみこ、私が家まで送ってくから。」

 

はっす「ズルいぞ~、ウチも行く~!」

 

将「お前ら過保護すぎねぇか?まぁ、無理はねぇよな。」

 

裕太「直喜君、今日はありがとう!また一緒に対戦しようね♪」

 

直喜「う、うん…!!」

 

すっかりクラスの人気者になった直喜は、クラスメイト達からチヤホヤされるようになり…Aは、そんな直喜に嫉妬し、更に逆恨みするようになっていく。

 

転生者 A(くそが…六花達がいるせいで、アイツを殺すタイミングがねぇ…!!)

 

Aは手にカッターナイフを隠し持っており…人気の無い場所で、直喜を殺してしまおうと考えたのだ。しかし…

 

女教員「おいA、何を持ってる?」

 

女教員に見つかってしまい、説教される。

 

女教員「このカッターナイフで、何をするつもりだったんだ?」

 

転生者 A「ち、違うんです…神山君の落とし物だったので届けようとして」

 

女教員「そんな言い訳が通用すると思うか?神山はな、自分の物には必ず名前を書いている。しかし、このカッターナイフには名前が無い…A、今すぐ職員室に来い。」

 

Aは咄嗟に思い付いた言い訳をするが、それは通用せず…職員室へと連行されていった。

 

なみこ「何々?アイツ、また何かやらかしたの?」

 

六花「ほんとバカだよね…何がしたいんだか……」

 

はっす「でもさ、職員室に連れてかれたし、ざまーみろってね。」

 

なみこ「確かに!」

 

そんな無様なAを見て女子達はスカッとし、直喜と話をする。

 

六花「ねぇねぇ、直喜はどのウルトラマンが好きなの?」

 

直喜「えっと…う、ウルトラマンゼアスが…好き。」

 

『ウルトラマンゼアス』…それは、直喜一推しのウルトラマンである。この世界でもウルトラマンは、日常に溶け込んでいる。

 

六花「ゼアスかぁ~、ガソリンスタンドにさ…ゼアス居るよね?」

 

なみこ「あぁ~、居る居る!確か、IDEMITHUだったっけ?」

 

IDEMITSUとは、ガソリンスタンドの事であり…そこでは、ウルトラマンゼアスを見ることができる。しかし、そこにいるのはゼアスだけではない。別のウルトラマンが3人もいる。

 

はっす「そーそー。テレビでやってたよね、あの3人のウルトラマン…名前は、何だったっけ?」

 

直喜「『ウルトラマンHOTTO(ホット)』と『ウルトラマンMOTTO(モット)』と『ウルトラマンKITTO(キット)』だよ。ゼアスとおんなじ『Z95星雲 ピカリの国』から来たウルトラマンなんだ。でね、出光公式のウルトラマンでもあるから、『ウルトラ出光人』って呼ばれてるんだよ?」

 

直喜の解説に、「へぇ~、そうなんだ!」と感心する六花となみことはっす。そんな彼らの背後を、Bが通りかかった。

 

転生者 B(なんだアイツ…俺の嫁に手ェ出しやがって、許さねぇ!!)

 

六花と会話する直喜を見て、カッとなったBは…直喜の元に向かって行く。そして、直喜を殴ろうとしたが…

 

ドゴォッ!!

 

アカネ「あっ、直喜君♪奇遇だね~♪」

 

アカネのライダーキックを顔面に受け、廊下の奥に吹き飛ばされてしまった。

 

直喜「し、新条さん…?…い、今…誰か来たような…?」

 

アカネ「気のせい気のせい♪直喜君、疲れてるんだよ…一緒に帰ろ~♪」

 

直喜「…ぼ、僕で良ければ…」

 

アカネ「やった〜、ありがと~♪」

 

亜子&蘭萌「「ウチらも入れて~♪」」

 

そこに、アカネ、亜子、蘭萌も加わり…ウルトラ出光人やウルトラ怪獣の話で盛り上がった。

 

 

 

転生者 B「……ハッ!?」

 

Bが気が付いた時には、既に日が落ちて…夜になっていた。

 

警備員「こら君!!何をしているんだね、後…手に持っている物はなんだ!?」

 

転生者 B「あわわわ…ご、ごめんなさぁ~い!!」

 

警備員「あっ、待ちなさい!!」




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第4話 悪・者(C)

OP~OxT『UNION』~♪


転生者 C…性別は男…高校1年生。

 

彼は、推しのヒロインが自分の物にならないと気が済まない性格の悪質転生者だ。様々な転生世界で悪事を働き、最悪の場合…他転生者や原作主人公を殺害し、転生世界を崩壊へと導いて来た。ヒロインを我が手中におさめるには、手段を選ばないのだ…彼の行動に、最高神はとうとう、堪忍袋の緒が切れ……AとBより、強力な呪いをかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 C「ゲホッ、ゲホッ…はぁ、またかよ……」

 

とある高級マンションにて、Cがベッドの上で寝込んでいた。彼は体調を崩しやすい体質であり、この日も…学校を休んでいた。ちなみに、コイツが通っている学校は…直喜と同じ、ツツジ台高校である。直喜とは隣のクラスなのだが…

 

転生者 C「よりによって隣のクラスかよ…はぁ、六花とアカネにお触りする機会がねぇじゃねぇか……」

 

彼もAとBと同じく…この世界のヒロインである六花とアカネを狙っている。更に、この世界とよく似た世界線のヒロインも狙い…我が手中におさめてしまおうと企んでいる。だが、生憎…彼は風邪を引いてしまい……高熱を出してしまい、行動が困難になってしまったのだ。

 

 

 

 

 

その頃、ツツジ台高校では…

 

体育の授業が行われており、男子はサッカー…女子はテニスをやることになっていた。

 

将「神山、どこでも良いからとにかくボールを思いっきり蹴り飛ばせ!!」

 

将が直喜にボールをパスする。

 

直喜「へっ!?ちょっ…うひゃあっ!?」ブゥンッ!ステンッ!!

 

直喜は右足を振るったが、背中から地面にスッ転んだ。だが、直喜が蹴ったボールは綺麗なアーチを描き…

 

キーパー「うおっ!?」

 

バサァッ!!

 

見事、ゴールに入った。

 

女子「キャー、直喜くーん!!」「スゴい、ミラクルショットだよ!!」「まるで虹がかかったみたい♪」

 

直喜がシュートを決めると、見ていた女子達は大歓声を上げた。

 

直喜「いたたた…ん、えっ…これは、一体…?」

 

将「神山、お前ゴール決めたんだって!!」

 

裕太「うん!綺麗なアーチだったね!!」

 

直喜「えっ、そうなの…?」

 

男子「「「まさかの無自覚!?」」」汗

 

直喜の言葉に、思わずツッコミを入れる男子達。

 

転生者 A「たまたまシュート決めたぐらいで、調子に乗ってんじゃねぇyブフゥッ!?」

 

Aがイチャモンをぶつけた瞬間、テニスボールが飛んできて…Aの顔面にクリーンヒットした。

 

なみこ「あっ、ごめーん。手が滑っちゃったー。」

 

犯人はなみこであった。

 

六花「何、アイツ…また直喜にイチャモンぶつけてんの?」

 

はっす「直君、何にも悪いことしてないのにね…」

 

相変わらず素行の悪いAに呆れる六花とはっす。しかし、アカネはどんどんハイライトが消えて行き……

 

アカネ「コロス…!!

 

怒りに燃える。

 

六花「ちょいちょい!アカネストップ!!」

 

今にもAの元へ向かい、ラケットを振り下ろそうとするアカネを、慌てておさえつける六花。亜子と蘭萌も駆け付けて一緒に止めようとするが、それでもアカネは怒りがおさまらない。

 

六花「やばっ…直喜~、ちょっと助けて~!!」

 

直喜「…えっ?」

 

直喜は怒っているアカネと慌てている六花を見ると、真っ先に彼女達の元へ駆け付ける。

 

直喜「ど、どうしたの…新条さん、宝多さん…?」

 

アカネ「アイツ、コロスコロスコロス!!

 

直喜「えっ!?こ、ころ…し、新条さん…それは…良くないと……思う、よ…?」

 

オドオドしながらも、アカネに声を掛ける直喜。すると、先程まで怒っていたアカネが…

 

アカネ「わ~ん!ごめんね、直喜く~ん!!」

 

途端に泣き顔を見せた。

 

直喜「あっ…し、新条さん……ご、ごめん…ね…ぼ、僕…言い過ぎた、かな…?」汗

 

六花「直喜、大丈夫。この場合、直喜が正しいんだから。」

 

アカネを心配する直喜に、声を掛ける六花。

 

アカネ「直喜君、ギュッとさせてくれる?」

 

直喜「えっ…?そ、それって…どういう」

 

アカネ「こゆこと♪」ギュッ!

 

直喜「ひゃっ!?」

 

何と、アカネは直喜を抱き締め…彼の顔を自分の胸に優しく置いた。

 

亜子「うわぉ、アカネ大胆♪」

 

蘭萌「ヒュ~♪」

 

それを見て、周りは「ヒューヒュー」と…盛り上がる。

 

直喜「ぷはっ!?し、新条さん!?」

 

アカネ「イヒヒヒ♪どう、ビックリした?」

 

直喜「……///」プシュ~……

 

アカネに抱き締められ、直喜は顔を真っ赤にして…力が抜けて、地面に膝をついた。

 

裕太「ちょっ、直喜君!?大丈夫!?」

 

裕太が声をかけても、直喜は全く反応をしなかった。どうやら、気絶してしまったらしい……

 

六花「あ、アカネ…こうなったら私も!!」

 

将「いや、何故そうなる!?保健室に運ぼうぜ!!」

 

気絶した直喜を抱き締める六花に、将はツッコミを入れ…周りは更に盛り上がる。

 

なみこ「おぉ、六花さんも積極的~♪」

 

はっす「ふふふ~、流石は六花さん♪」

 

その後、直喜は将と裕太によって保健室へと運ばれ…目が覚めたのは、昼休みに入った時だった。

 

え?Aはどうしたって……放置されまちた☆

 

 

 

六花「直喜大丈夫?具合悪くない?」

 

直喜「あう…た、宝多さん…ち、近い…///」

 

六花から心配された直喜は、顔を真っ赤にする。六花が離れると…直喜はゲーム機を取り出し、ウルトラマンのゲームをプレイする。

 

将「おっ、ウルトラマンFENだな?」

 

直喜「う、うん…今日、アップデートの日でね……新しいキャラが追加されたんだ。」

 

直喜はバトルモードを選び、キャラクターを選択し始める。

 

直喜「あっ!?こ、これって…!!」

 

裕太「えっ、どうしたの?」

 

アカネ「何々、直喜君の好きなウルトラマン居た?」

 

直喜「うん!!ゼアスだ…遂に、『ウルトラマンゼアス』が来たよ!!」

 

今日のアップデートで、とうとう…直喜が大好きなウルトラマン、『ウルトラマンゼアス』が使えるようになったのだ。早速直喜はゼアスを選択し、1体目の怪獣『ゼットン』と戦う。

 

アカネ「ほえ~、いきなり最強怪獣だね~?」

 

蘭萌「あぁ、これ見たことある。」

 

亜子「ゼットンだって、何か強そう…」

 

直喜「ううん!!ゼットンなんて、ゼアスの敵じゃないよ!!だってゼアスは…ウルトラマンだから!!」

 

直喜が操作するウルトラマンゼアスは、終始ゼットンを圧倒し…最後は必殺技『スペシュッシュラ光線』でゼットンを撃破した。

 

六花「おぉ~、ゼアスが勝ったよ!!」

 

直喜「えへへっ、流石…ウルトラマンゼアス!!」

 

最強怪獣と呼ばれたゼットンを圧倒し、ご機嫌な直喜…その後、2体目の相手『キングジョー』を『スーパーゼアスキック』で倒し…3体目の超獣『ジャンボキング』は『ウルトラかかと落とし』で難なく撃破……4体目の『ガタノゾーア』をノーダメージで終始圧倒し、トドメは『スペシュッシュラ光線』で撃破……最後の相手は、ゼアスの宿敵『ウルトラマンシャドー』だ。

 

直喜「シャドーが相手かぁ…ゼアスを1度破ってるからなぁ……」

 

なみこ「大丈夫大丈夫!!直喜なら勝てるよ!!」

 

はっす「ウルトラ博士の直君に敗北は無いって~♪直君、頑張って♪」

 

六花「頑張れ直喜!!」

 

アカネ「偽物なんて、直喜君の敵じゃないよ♪」

 

亜子「そうそう、最後は本物が勝つって相場が決まってるんだしさ♪」

 

蘭萌「神山君がんば~♪」

 

女子生徒から応援され、シャドーと戦う直喜。

 

直喜「おっと…流石に、簡単には勝たせてくれないか……」

 

ゼアスを操作する直喜は、シャドーと互角の戦いを見せるが…フラフラゲージが溜まってしまい、シャドーに吹っ飛ばされてしまった。

 

女子「「「あっ!?」」」

 

シャドーはエネルギーを貯め、必殺技『シャドリウム光線』を放って来た。

 

直喜「それは、分かってたんだよね!!」

 

ゼアスはバリアを張り、シャドーの必殺光線を防いだ。

 

六花「あっぶな!!」

 

アカネ「さぁ、反撃だ~♪」

 

直喜はゼアスを操作し、確実に攻撃を当て…フラフラゲージが溜まったタイミングで、シャドーを吹っ飛ばして…エネルギーを貯める。

 

直喜「あっ!?こ、これって…!!」

 

直喜がコントローラーのボタンを押した時、シャドーも光線を撃とうとする。

 

直喜「映画のシーンを再現したヤツだ……よぉし、負けないぞ…!!」

 

画面には『ボタン連打!!』と出ており、直喜は必死にコントローラーのボタンを押し続ける。

 

なみこ「頑張れ、直喜ー!!」

 

はっす「行け行け~!!」

 

亜子&蘭萌「「頑張れっ♪頑張れっ♪」」

 

直喜を応援する女子達。すると、ゼアスにカットインが入り…スペシュッシュラ光線を発射したまま口を開いて気合の一声を上げ、腕をクロスし…太い青い光を放った。これは、ゼアス最強必殺技の『クロススペシュッシュラ光線』である。ゼアスの必殺光線は、シャドーの光線を押し返し…遂に、シャドーを撃破した。

 

六花「ウルトラマンシャドー撃破…スゴいじゃん直喜♪」

 

直喜「そ、そうかな…えへへへ……///」

 

六花に褒められ、照れる直喜。

 

アカネ「よしよし、頑張った直喜君にご褒美♪」

 

アカネはそう言うと、彼の頬にキスをした。

 

直喜「ふぁにゃっ!?///」

 

アカネ「うっそ~♪」

 

アカネの行動に、男子達は口笛を吹き…直喜が顔を真っ赤にしてテンパったのは言うまでもない。




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第5話 日・常

OP~OxT『UNION』~♪


ある日の休日……

 

六花(直喜、ちゃんと起きれてるかな?)

 

六花は、直喜のマンションへと足を運んでいた。そんな彼女の後を、着けている者が1人……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 B(見つけたぜぇ、俺の花嫁…六花ちゅわん…ハァハァ!!)

 

その正体は、Bであった。彼は六花の家を特定し…常に近くに隠れ、彼女をストーカーしていた。ちなみに、アカネの家も特定済みである。

 

六花「……。」コツッ……

 

ふと、六花が足を止めたため…電柱の裏に身を潜めるB。

 

六花(絶対後着けられてるよね…?)

 

Bはバレていないと思っていたが…六花には、既にバレている。

 

六花(しょーがないなぁ……ちょっと、懲らしめちゃおうか…)

 

六花はBを誘い出すために、路地裏へと向かう。

 

転生者 B(ゲヘヘヘ、路地裏に行ったか…コイツぁ好都合だ!!襲っちゃおう♪)

 

案の定、Bはコソコソと後を着けて来る。六花は路地裏の中で足を止めると…

 

六花「はぁ~あ…あっつ~。」パタパタ…

 

たくしあげをしたり、背伸びをしたり…うなじを見せる仕草をして、Bを誘い出す。

 

転生者 B「六花ちゅわぁ~ん!!」

 

そして、Bが飛び出して来た瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「はっ!!」ドッゴォッ!!

 

Bの腹に、ハイキックを入れた。

 

転生者 B「ぐはっ…!?」

 

Bは地面に叩き付けられ、腹をおさえてうずくまっている。

 

六花「そんなに息荒くしてたら、誰だって気付くでしょ…で、何なの?」

 

転生者 B「うぐっ…ゲホッ……お、俺は君を迎えに来たんだ…!!白馬の王子様に何てことを…!?」

 

六花「は?私の王子様は、直喜だけ…寝言は寝てから言って。」

 

転生者 B「…ッ!?」

転生者 B(おい…どういうことだ……イケメンオーラを持った俺を見ただけで、女子達は群がって来るのに…何で…六花ちゃんには通用しないんだ!?)

 

戸惑うBを、ゴミを見るような冷たい視線で見下す六花。

 

六花「うっわ…気持ち悪っ……さっさと退治しないとね~…」

 

その時…六花の腕が青白く光り始める。

 

転生者 B(はっ!?いやいやいやいや…六花ちゃんにそんな能力は無い筈じゃ)

 

Bがヤバいと感じた時には既に遅く……六花は腕を十字に組み、青白く光る光線をBに放った。

 

ドガァァアアアアアアアアアアアアンッ!!

 

光線はBに命中し、大爆発を起こした。

 

六花(流石はウルトラマンのスペシウム光線…)

 

何と、六花が放った光線は…あの初代ウルトラマンの必殺技『スペシウム光線』だった。何故彼女がウルトラマンの光線を使えるのか……謎である。戦闘不能になったBを見た六花は、何事もなかったかのように…路地裏から去って行った。

 

六花(はぁ…早く直喜に会いたいよ……直喜が居ないと、私…おかしくなっちゃう……)

 

 

 

あの後、六花は直喜のマンションに到着し…直喜の部屋の前に、バナナの皮を設置し、階段に身を潜める。時刻は朝の7:00…

 

ドンガラガッシャァァアアアアアアアアアアンッ!!

 

直喜の部屋から、何やら大きな物音が聞こえてきた。

 

直喜『うわぁっ!!もうこんな時間だ!!今日はスーパーで早朝セールがあるのにぃ~!!』

 

次に、直喜の慌てている声が聞こえてくる。

 

ガチャッ!

 

そして、部屋から出てきた直喜は…六花が仕掛けたバナナの皮を踏んでしまう。

 

直喜「ふえっ!?わっ、とっとと…うわぁっ!!」

 

バナナの皮を踏み、滑ってバランスを崩した直喜は…よろけてしまい、階段へと向かって行く。そんな彼の前に、六花が現れると……

 

 

ムニュッ…

 

 

六花「ん♪///」

 

六花は、直喜に胸を鷲掴みにされる状態となった。状況を理解した直喜は、みるみる顔が青ざめて行き……

 

直喜「だにゃぁぁああああああああああ!!

 

…と、叫んでしまった。

 

六花「んもぅ、直喜のエッチ♪」

 

直喜「た、たたた宝多さん!?ご、ごごごごめんなさい!!決してわざとじゃ!!」アタフタ

 

六花「大丈夫だよ♪だから落ち着いて、ね?」

 

漸く落ち着きを取り戻した直喜と一緒に、六花はこの近くのスーパーへ買い物に出掛けた。実は…六花は、直喜とスーパーへ買い物に行く約束をしており……彼を心配して、わざわざマンションまでやって来たのだ。

 

 

 

直喜「あ、あの…た、宝多さん……?」

 

六花「ん~?」

 

直喜「さ、さっきは…ごめんね……?僕が、しっかりしてなかったから……」

 

六花「あれはしょうがないよ、だから気にしないで?」

 

直喜「で、でも…あうぅ……」

 

さっきのことを申し訳なく思っている直喜は、しょんぼりしてしまう。それを見た六花は、とある提案をする。

 

六花「じゃあ…私のこと、『六花』って呼んでくれたら許してあげる♪」

 

直喜「えぇっ!?」

 

六花の提案に、ビックリする直喜。

 

直喜(あんなことをしちゃったんだ…ここは、宝多さん…いや、六花さんの要求を飲もう…!!)

 

…と、言い聞かせ…深呼吸をすると……

 

 

直喜「り…六花、さん…?」

 

 

…六花のことを呼んだ。

 

六花「う~ん…さん付けはちょっとな~……」

 

直喜「あわわわ…ごめんごめん宝多さ……じゃない、六花ちゃん!!」

 

六花「よし、許す♪」

 

名前を…しかも、ちゃん付けで呼ばれたことで…ご機嫌になった六花は、直喜の頭を撫でる。身長は、直喜よりも六花の方が少し高い…155cmの六花に対し、直喜は150cmである。

 

六花(あぁ~、今直喜から六花ちゃんって呼ばれちゃった~!!今夜はそれを子守唄代わりにして寝よ~っと♪)

 

六花はスマホの録音機能を起動させており、直喜の言葉を1つも聞き逃さず、録音に成功した。彼女は、直喜の録音した声を聞いた後に眠るのが日課になっているのだ。

 

六花「直喜♪」

 

直喜「…ん?」

 

六花「な~お~き♪」

 

直喜「な、何…?」

 

六花「な~~おき♪」

 

直喜「…り、六花ちゃん……どうしたの?」

 

六花「ん~ん、何かさ…デートしてるみたいだね♪」

 

直喜「へっ!?で、でででででででデート!?」

 

六花の言葉に、顔を赤くしてアタフタし始める直喜。

 

六花「ひょっとして、直喜…私とデート、嫌だった?」

 

直喜「ま、まさか…そんな……六花ちゃんと…ぼ、僕が…デートだなんて…り、六花ちゃん…みたいな…び、美人さん…僕には……もったいない…というか…その……」モゴモゴ…

 

恥ずかしくなってしまったのか…直喜はモゴモゴと、言葉を詰まらせる。

 

六花(直喜ったら~…褒め上手過ぎだって♪ま、そんな所が好きなんだけど♪)

 

やがて、目的地のスーパーに到着した。この日は、牛肉の半額セールが始まる日だった。

 

六花「スゴい人だね……」

 

直喜「り、六花ちゃん…今日は、戦争に…なるかも…」

 

そう言う直喜は、真剣な表情を見せている。

 

六花(かっこよ!!写真写真!!)パシャッ、パシャッ…

 

こっそり直喜の表情を写真に納めた六花は、撮影した写真を保存した。それに気付いていない直喜は、構えを取っていた。そして、セールが始まり…直喜は人混みを掻き分け、何とか牛肉を獲得に成功した。

 

 

数分で、牛肉はすっからかんになり…直喜は、牛肉を2つ手に入れた。

 

六花「おぉ、お肉ゲットしたんだ♪」

 

直喜「うん…はい、六花ちゃん…これ、あげる…!」

 

戻ってきた直喜は、牛肉のパック1つを六花に渡す。

 

六花「えっ!?いやいや、流石に悪いよ…」

 

直喜「受け取って…!…だ、だって、六花ちゃん…こんなに、朝早くから…き、来てくれたんだから…お願い!!一生のお願い!!」

 

直喜のこの場に、六花は思わずクスッと笑う。

 

直喜「…へっ?」汗

 

六花「ううん、一生のお願いはこんなところで使っちゃダメだってw…でも、ありがとう直喜♡お言葉に甘えちゃうね♪」

 

そして、直喜から牛肉を受け取った。その後、直喜と普通に買い物をし…直喜をマンションまで送ることにした。

 

 

 

直喜の部屋の前にて…

 

直喜「り、六花ちゃん…きょ、今日はありがとう…!!」

 

緊張しながらも、六花にお礼を言う直喜。

 

六花「どういたしまして♪今度、私の家に遊びにおいでよ♪ママもパパもお兄ちゃんも、直喜のこと待ってるからさ♪」

 

直喜「う、うん…ありがとう……」

 

直喜は六花に頭を下げると、部屋に入って行った。直喜を送った六花は、そのまま自宅へ帰ることに……

 

六花(今日は直喜の色んな顔を見れたな~…うん、有意義な時間だった♪)

 

ご機嫌な六花は、鼻歌を歌いながら帰路を……と、思ったら…何故か、たどり着いたのは廃工事だった。その理由は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「もう出てきても良いんじゃない?ストーカーさん…」

 

六花がそう言うと…出入口から、Aが出てきた。

 

転生者 A「や、やだなぁ六花ちゃん…俺はただ、君に悪い虫が寄ってこないか見守ってただけだって…!!」

 

六花「それをストーカーって言うんですよ…というか、気安く名前呼ばないでくれますか?」

 

Aに冷たい言葉を放つ六花の顔は…心なしか、怒っているようにも見えるが…Aは、そんな彼女に気付いていない様子。

 

 

転生者 A(ハァハァ…早く六花ちゃんと抱き合いたい!!エッ◯したい!!セッ◯◯してぇよぉ!!)

 

 

Aの奴…六花と性的な行為をすることしか頭に無く、周りが見えていないようだ。

 

六花「で?何の用ですか?」

 

転生者 A「デヘヘ…ハッ!?ごほん…俺は君をアイツから救いに来たんだ。」

 

六花「アイツ?」

 

転生者 A「そう…神山のことだ。君は騙されているんだ、俺には分かるんだよ…アイツは君を騙して、良いように利用しようとしているんだって。だから、俺の元に来るんだ…今からでも遅くはない、俺は…全力で君を守るからさ。」

 

あたかも、正義のヒーローのように六花に言うA。しかし、そんな事を言われても…六花には、何も響いていないようだ。

 

六花「直喜が私を騙してる?具体的に何が…?どんな方法で騙してるって言うの…?」

 

転生者 A「か…神山は弱いフリをして…その…そう!!君を狙ってるんだって!!俺を信じてくれよ!!」

 

あからさまに動揺するA…それを見抜いた六花は、みるみる眉間にシワを寄せていく。

 

六花「うっさいなぁ!!

 

そして、右手から白い光を放つ小さな光弾を放った。それも、手裏剣のように素早く放つ光弾だ。これは、『ウルトラセブン』の必殺技の1つ…『手裏剣光線』だ。光弾はAの近くで爆発を起こす。

 

転生者 A「うわっ!?ちょっと…待っ!?」

 

ドガァンッ!ドガァンッ!…ドゴォォオオオオオオオンッ!!

 

六花の放つ手裏剣光線に、Aは慌てふためき…とうとうバランスを崩して、転倒してしまった。

 

転生者 A(おい…待てよ……六花は、こんな能力…持ってない筈じゃ!?)

 

鬼のような形相で、ゆっくりと近付いてくる六花に恐怖したAは…腰を抜かしてしまい、起き上がれずにいた。そんな彼の股間を…六花は右足で強く踏みつける。

 

転生者 A「あがっ!?アァァアアアアアアアアアア!!

 

激痛に耐えられず、叫び声を上げるAだが…かえって六花を刺激し、余計に怒らせるだけだった。

 

 

六花「黙って聞いてみれば…

 

直喜の悪口ばっかり…!!

 

お前に直喜の何が分かるんだよ!?

 

直喜は誰よりも強くて、誰よりも優しいんだから!!

 

直喜のことを、バカにするなぁぁああああああああ!!

 

 

六花は右足に赤いオーラを纏い、踏みにじる力を更に強める。

 

転生者 A「アァァアアアアアアアアアア!!じぃぬぅぅうううううううう!!

 

激痛に耐えられず、顔を鼻水と涙でグシャグシャにするA。それを見た六花は、『ウルトラマンレオ』の『レオキック』状態の右足に更に力を込める。

 

 

六花「死ぬ?

 

直喜はお前よりももっと辛い思いをしたんだよ!!

 

散々甘い蜜ばっか吸ってきたくせに、この程度で死ぬ!?

 

ふざけるなぁぁあああああああああ!!

 

 

Aの言葉に、怒りが爆発した六花は…そのままAを殺そうとした。その時…

 

~♪~♪(シュワッチ!ウルトラマンゼアス)

 

六花のスマホが鳴った。

 

六花「!!」

六花(直喜からだ♪)

 

この着信音は、愛しき彼…『神山 直喜』からだ。六花はテレポーテーションで、一瞬でその場から姿を消した。股間を踏み潰されたAは、失禁し…白目を向いた状態で、気絶していた。

 

 

 

自宅の屋根の上に瞬間移動した六花は、すぐに応答する。

 

六花「もしも~し♪」

 

直喜『あっ、もしもし…六花、ちゃん?』

 

六花「うん、六花だよ♪どうしたの直喜?」

 

直喜『あっ、うん…その…ちゃんと、家に…帰れたかな~って…し、心配で……』

 

どうやら直喜…1人で帰って行った六花が心配になり、気になって電話をしてきたようだ。

 

六花「心配してくれたんだ、ありがと♪私ね、結構強いから♪それに、ちゃんと家に着いたから大丈夫♪」

 

直喜『よ、良かった~……』ホッ…

 

電話の向こうでは、直喜がホッと一息を着いていた。

 

六花「じゃあね直喜、また学校で♪」チュッ♥️

 

直喜『はわっ!?///』

 

六花は電話の向こうにいる直喜に投げキッスをし、通話を終えた。

 

六花(よし…感覚は全然鈍ってない……

 

今までどれだけの●●●●を倒してきたんだろう…

 

…でも、それがあったから……

 

こうして、また直喜と会えたんだから…)

 

雲が広がる青空を見上げる六花は…一筋の涙を流していた。一体、彼女に…何があったのだろうか……その真相は……

 

未だ、闇の中である。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪



主人公について…

『神山 直喜』…15歳、男。

誕生日…12月25日

血液型…O型

高校1年生。

身長…150cm

性格…おっちょこちょい、泣き虫、素直、誰にでも優しい

好き…全てのウルトラマンとウルトラ怪獣

いつもオドオドしていて、何をしても空回りすることが多く…とにかく、ダメなことが目立つ少年。しかし、人を疑わない純粋さと、誰に対しても優しく接する心を持っている。

ウルトラマン作品の話が大好きであり、周りからは『ウルトラ博士』と呼ばれている。

夢は『教師』になること。

CV…『山下 大輝』さん


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第6話 英・祭

OP~OxT『UNION』~♪


アカネ「ふふふふふん、ふふ~ん♪ふふふふふん、ふふ~ん♪」

 

アカネが鼻歌で歌っているのは…そう、『ウルトラマンゼアス』のオープニング曲だ。

 

???『どうしたんだい、アカネ君。今日はご機嫌だねぇ?』

 

アカネ「あっ、『アレクシス』じゃん。そうそう分かる?」

 

モニターに映っている謎の人物…いや、そもそも…人なのか、異星人なのか…未だに分からない姿『アレクシス』である。

 

アレクシス『何か良いことでもあったのかい?』

 

アカネ「うん!やっと会えたの…直喜君に会えたんだぁ♪」

 

アレクシス『それって、ずっと言ってた…彼、『神山 直喜』君のことだよね?』

 

アカネ「そう、直喜君!!でも、私のこと…覚えてないみたいなんだよね……でもでも、また友達になれば良いし♪」

 

アレクシス『へぇ~、良かったじゃないか♪私も嬉しいよ!!』

 

直喜と会えて、喜ぶアカネと一緒に喜ぶアレクシス。彼は、直喜を失って壊れてしまったアカネを…近くでずっと支え続けていた。ずっと泣いてばかりいたアカネだったが…今では、よく笑顔を見せるようになっていて…アレクシスは安心していた。

 

アレクシス(直喜君かぁ…どんな子なんだろう、1度会って話がしたいなぁ……)

 

アレクシスは…直喜の顔を知らない。あくまでも、アカネから話を聞いていただけであり…明確な情報は分からない。ただ…『優しい人』ってことだけは、知っている。

 

アカネ「さぁて…ちょっと出掛けて来る~。」

 

アレクシス『あぁ、いってらっしゃい♪』

 

アカネが部屋から出ると、モニターは独りでに消えた。

 

アカネ(直喜君に会えるかな~?あっ、そうだ…今日ってさぁ、ウルフェスやってるよね?ちょっと行ってみよ~っと♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ウルフェス会場では……

 

隆也「いやぁ、直喜…お前マジでつえぇなぁ!!」

 

直喜「あはは…隆也君こそ、強いじゃん。」(笑)

 

遠方にいる友達『阿部(あべ) 隆也(たかや)』と一緒に、直喜はウルフェスに訪れていた。彼らは今、ウルトラマンFENで対戦をしていた。

 

『ウルフェス』…それは『ウルトラマンフェスティバル』の省略であり、ウルトラマンファンにとっては…ビッグイベントである。

 

直喜「そうだ。今日はゼアス&ナイスの漫才があるんだ…隆也君も見る?」

 

隆也「モチのロンさ!!俺、ナイス推しだしな、ハハハ!!」

 

隆也とは、偶々訪れた1回目のウルフェスで出逢い…同じウルトラマンファン同士で意気投合し、友達となった。隆也は頭が良く、東京の国立高校に特待生として通っているのだ。たまにリモートで勉強を教えて貰ったり、一緒に『ウルトラマンFEN』で対戦したりする程の仲である。ちなみに、隆也は『ウルトラマンナイス』が大好きである。

 

隆也「ところでさぁ直喜…どうだ、高校では新しい友達できたか?」

 

直喜「う、うん…えっとね……」

 

直喜は六花達のことについて隆也に話す。

 

隆也「えっ?それってマジ…?」汗

 

直喜「うん、マジ…」

 

隆也「いやいや、それって…もはやお母さんじゃね!?」大汗

 

六花達から溺愛されていることを話した直喜は…気まずそうにしている。彼の話に、思わずツッコミを入れる隆也。

 

隆也「けどさぁ…直喜は優しいからなぁ、俺よりも優しいって!」

 

直喜「そういう隆也君だって、僕にいつも優しくしてくれるじゃん。」

 

いつもはオドオドしている直喜だが、隆也の前では堂々としている。隆也は優しい性格をしているが…とにかく超がつくほどのお節介であり、自分のことを『日本一のお節介』と言っている。しかし、直喜はそんなお人好しな彼を、心から信頼しているのだ。

 

隆也「あっ、そろそろだな!行こうぜ、直喜!!」

 

直喜「うん!!」

 

2人は、『ゼアス&ナイス』の漫才が行われる会場へと足を運んだ。

 

 

 

やがて、会場に着くと…予約した席に座る。

 

「「はいはいどうも~!!」」

 

ステージには、直喜の大好きな『ウルトラマンゼアス』と隆也の大好きな『ウルトラマンナイス』が登場した。そして、お待ちかねの漫才が始まる。

 

ナイス「いやぁ、ゼアス君は本当にキレイ好きだからねぇ。あっ、見てよ…あそこにゴミが落ちてるよ!」

 

ゼアス「えっ?あっ、ホントだ…ササササ……あれっ、こんなところに大きなゴミが落ちてる。」

 

すると、ゼアスはナイスの元に向かい…彼の頭を掴んだ。

 

ゼアス「あよいしょっと…」

 

ナイス「って、それはゴミじゃなくて私だぁ!!」

 

ナイスがツッコミを入れると…

 

 

ゼアス&ナイス「「う~ん、ナ~イス♪」」パフッ…

 

 

2人の漫才と決めポーズ、そして音が…会場の客に笑いを届ける。直喜と隆也は大爆笑…次に、映画関連のネタを繰り広げる。

 

ナイス「ヒカリノクニヲテラスモノタチヨ、イッショニミニイコウ!!」

 

ゼアス「そんな事言ってないよ!!」

 

 

ゼアス&ナイス「「う~ん、ナ~イス♪」」パフッ…

 

 

隆也「ギャハハハハ!!www」

 

直喜「あ~っはっはっはっはっ!!www」

 

隆也と直喜は、お腹を抱えて笑いっぱなしであった。その後も、戦い方に関するネタや怪獣関連のネタを繰り広げ、会場に訪れたウルトラマンファン達を、爆笑の渦へと包んだ。

 

ゼアス&ナイス「「どうも、ありがとうございました~♪」」

 

大勢の客から大きな拍手をされながら、ゼアス&ナイスはステージから去って行った。

 

 

 

隆也「いやぁ、面白かったなぁ!!」

 

直喜「やっぱりゼアス&ナイスの漫才は最高だよ!」

 

隆也「じゃあな直喜!気ぃ付けて帰れよ?」

 

直喜「うん、ありがとう隆也君!!」

 

隆也はこの後、アルバイトがあるため…会場を去って行った。ちなみに、直喜が通うツツジ台高校は、原則としてアルバイトは禁止なのだ。直喜はマンションで独り暮らしをしているが…亡くなった祖父母が残してくれた遺産のおかげで、アルバイト無しで生活ができている。

 

直喜(おじいちゃんとおばあちゃん…お饅頭大好きだったよね?『ウルトラマンジュウ』買って帰ろう。)

 

直喜はお土産店に足を運び…ウルトラマンジュウを1箱手に取る。その時…

 

トントンッ…

 

直喜「…ん?」

 

後ろから誰かに肩を叩かれ、振り向くと……

 

 

 

 

 

 

 

プスッ……

 

アカネ「あっ、やっぱり直喜君だ~♪」

 

直喜の後ろには、アカネが微笑んでいて…直喜の右頬に、右手の人差し指をつき、悪戯を仕掛けたのだ。ポカンとする直喜に、アカネは声を掛ける。

 

アカネ「ウルトラマンフェスティバル…どう、楽しんでる?」

 

直喜「あっ、うん…し、新条さんも…来てたんだ、ね……」

 

アカネ「うん♪私、ウルトラ怪獣大好きだからねぇ~♪」

 

直喜はウルトラマンジュウを購入して来て、アカネとカフェで雑談をすることにした。

 

直喜「新条さんは…あ、悪のウルトラマン…って、好き…?」

 

アカネ「うーん…まぁ、嫌いじゃないかな?実際、ザラブ星人はにせウルトラマンになってたよね?後、ババルウ星人はにせアストラに…ウルトラマンティガでは、あれ…イーヴィルティガが出てきたね。」

 

直喜「す、スゴい…新条さん、結構…ウルトラマン知ってるんだね…」

 

アカネ「ウルトラ博士の直喜君には敵わないよ~♪まぁ、これでも怪獣が好きだからね。」

アカネ(それに…優しい直喜君も…ううん、どんな直喜君のことも好きなんだけどね♪)

 

直喜と話をするアカネは、とても嬉しそうな顔をしている。ウルトラ怪獣の話で弾み…彼に合わせて話をする。他にも、『科学特捜隊』や『ウルトラ警備隊』等の地球防衛軍の話で、盛り上がった。勿論…直喜が大好きなウルトラマンの話でもね?

 

アカネ「あ~楽しかった♪…あっ、直喜君…もしかして、私…邪魔だった?」

 

直喜「そ、そんな事無いよ!!ぼ、僕…話し相手が、欲しかったんだ…嬉しかった……」

 

アカネ「ホント!?やったぁ♪」

アカネ(良かったぁ、直喜君の役に立てて~♪)

 

アカネは直喜をマンションまで送った後、マンションの正門前で足を止める。

 

アカネ「ねぇ、いつまでコソコソしてるの?」

 

アカネが低い声を出すと…物陰に隠れていたCが、アカネの前に姿を現す。

 

転生者 C「アカネ…迎えに来たよ!」

 

アカネ「…は?」

 

Cの言葉に、困惑するアカネ…いや、むしろ…呆れてモノを言えないようだ。

 

転生者 C「君は神山に騙されている!!掌の上で踊らされているんだよ…そんな君を救うために、俺は…ここに来たんだ!!」

 

アカネ「ぷっ…クククク……!!」

 

Cの言葉を聞き、思わずアカネは笑い出す。

 

転生者 C「な、何がおかしい…?」

 

アカネ「私が直喜君に騙されている?掌の上で踊らされている?…あぁ、おかしい……一番笑ったのは、これ…そんな君を救うために、俺はここに来たんだ!!ってwww」

 

すると、さっきまで笑っていたアカネは…急に無表情になる。

 

 

アカネ「もし私が、直喜君に騙されてるなら…

 

私はそれでも構わない。

 

直喜君になら、騙されたって良いし…

 

例えどんな仕打ちをされても…

 

私は平気だから。

 

 

Cにそう言ったアカネは、両手を横に広げ…自分の前で横にクロスさせ、黒いエネルギーを纏うと…逆L字型に腕を組み、黒と紫に光る光線を発射した。

 

転生者C「なっ!?」

転生者 C(これって、イーヴィルティガの!?)

 

Cは爆発に包まれた。そう…アカネが放った光線は、あのイーヴィルティガの必殺技『イーヴィルショット』だ。爆発に包まれた後のCは…服もボロボロとなり、あちこちに傷やアザができ…まさに、ぼろ雑巾と化した状態でうつ伏せに倒れて、意識を失っていた。

 

 

アカネ(私はね…

 

色んな『悪のウルトラマン』の技が使えるんだ…

 

中でもお気に入りは…

 

ウルトラマンシャドーの…

 

『シャドリウム光線』♪

 

直喜君のために…

 

いっぱい、頑張ったんだよ…

 

直喜君…褒めてくれるかな?)

 

 

アカネはそう思うと、瞬間移動でその場から姿を消した。まもなく、警察と救急車が到着し…Cは病院に搬送された。

 

この事件はニュースになったが…警察組織が懸命に捜査するも…犯人の足取りが掴めず、結局…

 

迷宮入りとなったのだった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪



人物紹介…

阿部 隆也…15歳、男。両親と暮らしている。

高校1年生。

性格…お人好し(自称『日本一のお節介』)

好き…特撮(主にウルトラマンシリーズ)、友達

東京の国立高校に主席で合格し、特待生となったエリート中のエリート。直喜とは、ウルトラマンファン同士とのことで、意気投合し…心を許し会える仲になった。

たまに、直喜に勉強を教えたりしており…よく、ウルトラマンFENの対戦相手になっている。

夢は『医者』になること。

CV…『岡本 信彦』さん


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第7話 契・約

OP~OxT『UNION』~♪


???「やぁ、調子はどうだ?」

 

六花「お陰さまで。」

 

アカネ「あっ、『オリシス』じゃん。私も元気だよ?」

 

六花とアカネの近くに、何やら見知らぬ若い男性の姿があった。名は『オリシス』…六花とアカネと契約している神である。

 

アカネ「それしても…この力、スゴいよね~?」

 

六花「確かに…私、ほぼ全ての光の巨人(ウルトラマン)の技が使えるようになったよ。アカネは確か…」

 

アカネ「私は六花と反対…ほぼ全ての闇の巨人(悪トラマン)の力が使えるよ~。」

 

六花「そうだったね。直喜の大好きなゼアスの技だって使えるし…直喜、喜ぶかな?」

 

アカネ「私はシャドーの力が使えるよ?直喜君、褒めてくれるかなぁ?」

 

オリシス「……。」

オリシス(この2人は…直喜と出逢うために、必死になっていたな……今では、●●●●を圧倒するほどの強大な力を持っている。)

 

オリシスは…直喜を失った時の2人の様子を知っている。

 

 

 

かつて…何の変哲も無い、普通な生活を送っていた。その中で、2人は神山 直喜という人物と出逢った。六花は、あまりにもオドオドしている直喜と、嫌々接しており…アカネは「不思議な人だなぁ…」と思うだけで、あまり興味を示さなかった。かつての直喜は、六花の実家のリサイクルショップでアルバイトをしていた。彼女が体調を崩せば、真っ先に自分が代わりにやると率先して行動したり……アカネが怪獣になってしまい、アンチでも救い出せない状況になった時…直喜は恐怖を抱きながらも、自分からアカネの元に向かったりと……誰かを助けようとする思いが強くなっていく彼に、次第に心を惹かれて行った。しかし、そんな時…悲劇が起こった。

 

ある日、直喜が死んでしまったのだ……段々身体が冷たくなっていく直喜を、六花とアカネは何もできず、ただ…看とる事しかできなかったのだ。悲しみに暮れる2人の目の前に現れたのが、『オリシス』だった。オリシスが神であることを知った2人は、涙ながらに…

 

「「彼を生き返らせて欲しい」」

 

…と、望んだが…オリシスは「それはできない」と拒否…それでも、「直喜に会いたい!」「何でもするから、直喜に会わせて欲しい!!」と懇願する2人を見て…オリシスは彼女達と契約した。直喜と再会させることを約束し、彼女達に強大な試練を与えた。それこそが、転生世界にいる『●●●●』の退治である。初めは、やられてばかりいた六花とアカネだったが…無茶な修行を続けて、格闘戦が得意となり……更に無理して過激な特訓を繰り返していた結果……六花とアカネに、不思議なことが起こった。

 

六花には、乳白色の眩い光が宿り…アカネには、黒色の鈍い光が宿ったのだ。その光が宿ったことで…2人は強大な力を身に付けたのだった。六花は、『ほぼ全ての光の巨人(ウルトラマン)の技が撃てるようになった。『ウルトラマンキング』『ウルトラマンレジェンド』『ウルトラマンノア』等々の、伝説の巨人の技も…今では難なく使うことができる。アカネはにせウルトラ戦士を含む、『ほぼ全ての闇の巨人(悪トラマン)の技が撃てるようになった。『ウルトラマンベリアル』『ウルトラマントレギア』『ダークザギ』の技だって、今では難なく使いこなしている。

 

様々な次元を旅しながら、●●●●を退治し…漸く、愛しき彼と出逢うことができた。六花とアカネは彼を見て、大喜びをしたが……彼は2人のことを覚えていなかったのだ。それを知った時、六花とアカネは再び悲しみに飲まれると思っていたオリシスだったが……

 

『彼が忘れてしまっているなら、また友達になれば良い。』

 

…と、アカネが言ったため…六花も彼女の言う通りと判断し、喜びに浸るようになった。

 

 

 

六花「ねぇ…私らの高校に来たアイツら……絶対直喜の命を狙ってるでしょ?」

 

オリシス「何故そう思う?」

 

六花「だって…直喜にイチャモンをぶつけたり、スゴい表情で直喜を睨み付けてるんだもん。特に…Aだったっけ?…直喜が差し伸べた手を、アイツ…!!」ギリリリ……

 

アカネ「六花、血が出てるよ?」

 

六花が強く握りしめた右手の拳からは、真っ赤な血がポタポタ…と、地面に落ちていた。

 

アカネ「ねぇオリシス…直喜君のマンション前に現れたアイツ、殺しちゃっても良いかな?」

 

オリシス「それでは、直喜に嫌われてしまうぞ?」

 

アカネ「えぇ~!!それはやだぁ!!」

 

直喜を襲おうとする3人の転生者を、アカネは一刻も早く葬ってやりたいと思っていた。しかし、そうしてしまえばもう…直喜に会えなくなってしまう。

 

オリシス(掟は守ってもらわねばならない…殺人を犯せば、この2人は二度と直喜には会えなくなる。しかし……)

オリシス「あの3人は今、永遠(とわ)の天罰を受けている。最高神が彼らに、呪いをかけたんだ。だからもう、好き勝手はできない…」

 

アカネ「因果応報って奴だね…直喜君は必死になって努力していたのに……アイツらは、楽な道ばっかり選んだ挙げ句…甘~い蜜ばっかり吸っていたもんね?」

 

六花「ホントそれ…てゆーか、アイツら…鼻息荒くしてキモかった……思考を読んでみれば、エッチなことばっか考えてて…吐き気がする。」

 

アカネ「六花、災難だったね…まぁ、私の前に現れたアイツも六花の前に現れた奴らと、全く同じ考えだったよ?」

 

六花「うっわ……」汗

 

口を開けば、AとBとCの悪口ばかり飛んで来る六花とアカネ。

 

アカネ「ねぇねぇ、それより聞いてよ!ウルトラマンフェスティバルに、直喜君が居たんだ!!」

 

六花「えっ、マジ!?うわぁ、私も行けば良かった~…!!」

 

アカネ「でもね、確か…阿部 隆也君だったっけ?その子と話をしてたよ?」

 

六花「直喜は誰にでも優しいからね、その隆也って奴…変な奴じゃなかった?」

 

アカネ「変な人だよ、良い意味で。」

 

六花「どゆこと?」汗

 

アカネの言葉に、困惑する六花。

 

 

アカネ「隆也君…とにかくお節介でね、直喜君のことを心配してるの。『直喜君、新しい友達できたかな?』とか…『直喜君、勉強順調かな?』とかね?」

 

六花「でもさ…アイツらみたいなクズじゃなくて良かったじゃん。」

 

アカネ「そだね~♪でも、ちょっとヤキモチ妬いちゃうなぁ……直喜君、隆也君と楽しそうに話してるんだもん。」

 

六花「そうなんだ…まぁ、私は直喜が楽しければ別に良いんだけどさ。」

 

 

隆也と楽しそうに話している直喜を見て、アカネはヤキモチを妬いている。反対に、六花は大人な対応である。

 

アカネ「もし隆也君を殺したら、直喜君に嫌われちゃうよね…?」

 

六花「当たり前じゃん、あと懲らしめるのもダメだよ?」

 

アカネ「分かってるって~、六花ァ…私をどう思ってるの?」

 

六花「アカネ…あんた、●●●●を退治してる時…狂乱してたじゃん。」

 

アカネ「そうだっけ?もう、たくさん●●●●を倒してきたし…忘れちゃったぁ♪」

 

直喜を失ったアカネは…壊れて攻撃的な性格になり、嫉妬心が物凄くなってしまった。六花は精神状態が常に不安定であり…周囲には平然を装っているが、1日に1回は直喜の顔を見ないと、途端にギャン泣きしてしまうようになってしまった。

 

オリシス「奴らの監視は私に任せろ。君たちはただ、直喜と過ごせる時間を大事にするように。」

 

オリシスはそう言うと、2人の前から姿を消した。

 

アカネ「ねぇ六花…久しぶりにさぁ、模擬戦しない?勝ったら、直喜君とプールデートをかけて♪」

 

六花「その勝負、乗った。言っておくけど…手加減はしないよ?」

 

六花とアカネは亜空間を生み出し、その中に包まれ…姿を消した。そして、直喜とのデートをかけ…激しく戦いあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある高級マンションにて……

 

AとB、Cがエントランスに集まっていた。

 

転生者 A「お前ら…ひょっとして、六花達を狙って?」

 

転生者 B「だから何だよ?」

 

転生者 C「言っておくが…六花ちゃんとアカネちゃんは、俺の嫁だからな?邪魔するなら、神山もろとも消すぞ?」

 

3人は、推しのヒロインを我が物にすることが目的であるため…互いに敵視していた。そこに……

 

オリシス「誰を消すって?」

 

オリシスが姿を現した。

 

転生者 B「お、お前は…!?」

 

転生者 A「おい!どういうことだ!!六花もアカネも、俺には全く見向きもしねぇじゃねぇか!!」

 

転生者 C「てめぇが何かしてんだろ!?それか、神山の奴が六花とアカネを洗脳してるんだろ!?」

 

AとCの言葉に、オリシスは「バカいえ」と言う。

 

オリシス「何もしていないぞ?彼女達が直喜に優しいのは、彼女達の愛情表現さ。六花とアカネは…それに、なみことはっすも…直喜を我が子のように可愛がっているんだ。お前達には、何故それが分からない?」

 

転生者 B「ふざけんな!!六花ちゃんもアカネちゃんも…なみことはっすも、俺の嫁だぁ!!」

 

転生者 A「納得行かねぇよ!!それなら、俺と神山の立場を入れ替えろ!!」

 

転生者 C「何なら、俺に六花達を洗脳する力を寄越しやがれ!!」

 

3人に怒鳴り声に、オリシスは「ふっ…」と鼻で笑う。

 

オリシス「それはできない相談だな。そもそも、他者を洗脳する力は、既に最高神が封印している。どちらにせよ、お前達に与える力は何も無いんだよ。」

 

転生者 C「ふざけんな!!俺は幾多の世界を救ってきた勇者様だぞ!!」

 

オリシス「なら、その力を使えば良いだろう?そんなに堂々と自分を勇者様(笑)と言えるならなぁw」

 

転生者 B「てめぇバカにしてんのか!?」

 

オリシス「それだけは理解しているようだな?そうさ、私はお前達をバカにしているともww」

 

転生者 A「んだとゴラァッ!!」

 

Aがオリシスに殴りかかったが…攻撃はオリシスの身体をすり抜け、壁を殴ってしまい…右手を怪我してしまった。

 

オリシス「ハハハハハwww所詮は偽りの力に溺れて、現実と夢の区別もできなくなった落ちこぼれ…ということか…随分とまぁ、無様な光景だ。では、精々負け組ライフを満喫するが良いw」

 

オリシスはそう言うと、姿を消した。その後、3人の汚い叫び声が響き渡ったのは言うまでもない。

 

奇行を起こし続けるそんな3人を、正気が無いと周囲の人は感じ、後日…ツツジ台高校にクレームが殺到するのは、別の話である。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪



人物紹介…

宝多 六花…15歳、女。

高校1年生。

身長…155cm

能力…ほぼ全てのウルトラマン(光の巨人)の技を使うことができる

今どきの女子高生ながら少しクールな雰囲気を漂わせる少女であり、何処か気怠げな口調が特徴。普段は直喜を我が子のように可愛がっているが、直喜と2人きりになると…彼にアプローチを積極的に仕掛けたり、甘えてくることもある。
直喜のことを異性として好きになっており、少なくとも1日に1回は彼の顔を見ないと、途端に泣き出してしまう程である。
今では、アカネと共に様々な世界にいた●●●●を倒して来ており、高い戦闘力を身に付けている。直喜を傷付けようとする者は、誰であっても決して許さない。

CV…『宮本 侑芽』さん


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第8話 怪・獣

OP~OxT『UNION』~♪


アレクシス『おっ、アカネ君。今日は作業がスムーズだね?』

 

アカネ「六花と勝負してたんだけど…負けちゃったんだ~……だから、ちょっとアイツらに八つ当たりするつもり。」

 

アレクシス『勝負?それって、直喜君に関することかい?』

 

アカネ「そう!」

 

アカネは眼鏡をかけ、何やら机の上で何かを作っていた。そして、完成したのが…何と、怪獣のフィギュアだった。

 

アカネ「できたぁ!!どうアレクシス?」

 

アレクシス『ほぉーう、情動的で素晴らしい姿だねぇ。では動かそう。』

 

アカネ「待ってアレクシス。」

 

アレクシス『…ん?』

 

アカネ「目的はグリッドマンを倒すことであって、直喜君を倒しちゃダメだよ?」

 

アレクシス『分かってる分かってる。』

 

アレクシスはアカネが作成した怪獣『グールギラス』に魂を吹き込み…巨大化させた。

 

 

 

夕焼けの街中に現れたグールギラスは、建物を破壊し…暴れまわる。

 

直喜「えっ…何の音?」

 

マンションの部屋の窓から、直喜が顔を出すと……

 

直喜「えっ、え…えぇ~!!か、かかか…か、怪獣だぁ!!」

 

街中を暴れまわるグールギラスが見えた。咆哮をあげるグールギラス…街中には、逃げ惑う人々……もう、めちゃくちゃである。

 

直喜「そ、そんな…街が……」

直喜(そうだ…あれを使おう……もしかしたら…!!)

 

直喜が向かったのは、何故か洗面台だった。そして、白色の電動歯ブラシを手に持つと…歯磨きを開始する。

 

直喜「しゅ…シュワッチ!!」

 

歯磨きを終えると、直喜は電動歯ブラシを天に掲げる。しかし、特に何も起こらなかった。

 

直喜(や、やっぱり…ダメか……そ、そうだよね…ウルトラマンは、あくまでも…空想上の存在……でも、それは…分かってるけど……)

 

どうやら直喜は、大好きな『ウルトラマンゼアス』に変身しようと試みたようだった。彼が手に持っている電動歯ブラシは、ウルトラマンゼアスの変身アイテムとして有名な『ピカリブラッシャー』だ。最近、ウルトラマンフェスティバルで購入した物である。

 

直喜「そ、そうだ…六花ちゃんと、新条さんに……!!」

 

すると、直喜のスマホが鳴った。画面を見ると、六花の名前があった。

 

直喜「あっ、り…六花ちゃん、からだ…!!」

 

直喜は電話に応答する。

 

直喜「も、もしもs」

 

六花『あっ、直喜!?今どこにいるの!?』

 

直喜「わぁっ!?り、六花ちゃん…えっと、今…」

 

六花『うん!!』

 

直喜「い、今は…じ、自分の部屋に…いる、よ…?」

 

六花『分かった!!絶対に部屋から出ないでね!!危ないから!!』

 

直喜「わ、分かった…!」

 

六花と通話を終え、直喜は再び洗面台に向かい…ピカリブラッシャーで歯磨きをし、

 

 

直喜「シュワッチ!!」

 

 

もう1度、ゼアスに変身しようとする。しかし、いくらやっても変身はできない…それでも直喜は諦めず、変身しようとしていた。

 

直喜(ダメだ…全然変身できない……ウルトラマン、お願い…この街を助けてよ…!!)

 

その時…夜になった街に、エメラルドグリーンの光が現れたと思うと、そこから巨人が現れ…地上に降り立った。

 

直喜「あ、あれは……ウルトラマン…?」

 

直喜は現れた巨人を、初めは『ウルトラマン』と思ってたが…

 

直喜「あれ?よく見ると、ちょっと違う…」

 

すぐにウルトラマンではないと分かった。現れたのはウルトラマンではなく、『グリッドマン』である。グリッドマンはグールギラスと戦いを開始するが…まだ戦いに慣れていないのか、満足に実力を発揮できず…グールギラスが優勢となっていた。

 

直喜「ッ!!」

直喜(怪獣には、何か弱点があるはず…どこだ、どこに…?)

 

ウルトラマンに登場する怪獣を知り尽くしている直喜は、グールギラスの弱点を探し始める。しかし、中々弱点が見つからず…グリッドマンはとうとう、額のランプが点滅し始める。

 

直喜(あっ、あった…あの怪獣、首の構造が弱いんだ…!!)

 

直喜は怪獣の弱点が首であることを見抜き、グリッドマンに大声で伝える。

 

 

直喜「あの怪獣の弱点は首だよ!!首を狙ってェ!!

 

 

グリッドマン『ッ!?』

 

グリッドマンは怪獣の弱点を叫ぶ直喜に気付き…グールギラスの方を向き、構えを取る。そして、咆哮をあげるグールギラス目掛けて走って行き…グールギラスが吐き出した火球を、右ストレートで打ち消した。その後、グールギラスの首を掴み…チョップで叩き斬った。残ったグールギラス体は超電導キックを受けてよろけ…すかさずグリッドマンは必殺技『グリッドビーム』を発射…グールギラスは破壊されたのだった。グリッドマンの勝利だ。

 

直喜「やっ、やった…!!怪獣をやっつけた…やったやった!!やったぁー!!」

 

グリッドマンの勝利を見届けた直喜は、思わず大喜びする。グリッドマンはそんな直喜を見ると、静かに姿を消して行った。

 

 

 

直喜(あの巨人、強かったなぁ…僕も、強くなりたい……!!)

 

グリッドマンが去った後、直喜は自分も強くなりたいと思い…筋トレを始めたが、気が付いたら…疲れて眠ってしまっていた。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪



人物紹介…

新条 アカネ…15歳、女。

高校1年生。

身長…149cm

能力…にせウルトラ戦士を含む、ほぼ全ての悪トラマンの技を使うことができる

クラスのアイドル的存在の美少女である一方で口調はかなりユルく、天然な一面もあったりする。クラスメイト達が見ていてもお構い無しに、直喜にアプローチをよく仕掛ける。直喜のことを異性として好きである。
嫉妬心が物凄く、直喜と隆也がウルフェスで話をしているのを見て…ヤキモチを妬いてしまう程だ。
直喜を傷付けようとする者が現れると容赦せず、異常な程攻撃的な性格に変わり果て…殺そうとまでするが、それでは直喜に嫌われてしまうと思い…殺人はしない。六花にも、何度も注意されている。

CV…『上田 麗奈』さん


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第9話 殺・意

OP~OxT『UNION』~♪


六花とアカネを初めとするヒロイン達だけでなく…周囲からも好印象を受ける直喜を、快く思っていない人物が…約3名いる。

 

転生者 A「畜生…神山の奴、どんな能力を持ってるんだ!?」

 

その1人は…直喜と同じクラスにいるAである。今までは、自分の思うがままに行動し…全てが上手く行っていた。ハーレムを築き、自堕落な生活をしていた。朝はヒロインが起こしてくれた…食事もヒロインが用意してくれた……身の回りの世話も、全部全部…推しのヒロインがやってくれていた。

 

だが、それが無くなった今…自分のことは、自分でやらなければならない。掃除も洗濯も…食事を作るのも、全て自力でやらなければならないのだ。料理の腕は壊滅的なAは、毎日コンビニ弁当を買って食べていた。飲み物も、ジュースばかり飲んでおり…自慢のシックスパックも、今では皮下脂肪に隠れてしまった。

 

転生者 A(こんな筈じゃ……これも全部、全部…アイツのせいだ!!神山…神山神山カミヤマァ!!)

 

六花達から溺愛される直喜に、Aは逆恨みし…イチャモンをぶつけたり、場合によっては殺そうともしたが…それは周囲の人間に妨害され、失敗続きである。更に…推しのヒロインである六花から、どういうわけかウルトラマンの光線を放たれ、ボコボコにされてしまった。

 

転生者 A「全部全部…神山 直喜、お前のせいだ!!ぜってぇ殺す…ヒヒヒヒ…」ニタァッ…

 

Aはそう言うと、バッグにナイフやマチェーテ、斧等の凶器を詰め込み始めた。だが、彼は今…制裁を受けていることを知らない……何をしても、無駄であることを…愚かな彼は知らないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とあるマンションでは……

 

ガチャッ…

 

直喜「行ってきま~す。」

 

直喜がゴミ袋を持って部屋から出てきた。ゴミ出しに行くようだ。彼の腕には、お守りである『ウルトラマンゼアス』のアクリルキーホルダーが着いている。ゼアスはスペシュッシュラ光線の構えを取っており、彼の右には『一生懸命!』という言葉が刻まれている。

 

直喜「よし、行こう…!」

 

直喜は歩いてではなく、ランニングをしながらゴミ捨て場に向かい、ゴミを置くと…そのままランニングに行った。

 

直喜「ハァッ……ハァッ……」タッタッタッタッ……

 

しかし、体力の無い直喜は…疲れてしまい、ゼェゼェと息を整えていた。

 

直喜(あぁ、もう…ダメだ……ううん、もう1回だけ…)

 

息を整え、軽い準備運動をし…再びランニングを始める直喜。やがて、近くの公園までやって来て…そこで休憩をすることにした。

 

転生者 A「おっ…アイツは、神山だ…!!」

 

そこに、いくつもの凶器を隠し持っているAがやって来てしまう。

 

 

 

六花「もぉ、ママったら…醤油切らしてたなんて。」

 

織江「ごめんごめん…」テヘヘッ…

 

そこに、母と買い物から帰っている六花が通り掛かる。

 

六花「んっ…?あっ、直喜だ…!!」

 

織江「えっ、あらホントだ!」

 

そして、公園のベンチで休んでいる直喜を見つける。だが……

 

六花「ねぇママ…アイツ、何か怪しくない?」

 

織江「あっ、ホントね…何してんだろ?」

 

顔にサングラスとマスクをしたAを発見する。彼の格好は如何にも…

 

『自分は怪しい者です』

 

…と、自己紹介をしているようなモノだ。直喜に忍び寄る彼を危険と判断した六花と織江は、静かに彼に近付いて行く。

 

 

 

転生者 A(よし、誰もいねぇな…死ね、神山ァ!!)

 

Aはポケットに隠し持っていたナイフを出すと、背中を向けている直喜に振り下ろそうとする。だが…

 

 

織江「止めなさい。」パシッ…

 

 

六花の母、『宝多 織江』にナイフを持った右腕を掴まれ…失敗に終わった。

 

直喜「えっ!?」ビクッ!

 

ビックリして振り向く直喜は、六花と織江の姿を確認する。次の瞬間……

 

織江「はっ!!」ブォンッ!!

 

ドサァッ!!

 

転生者 A「がはっ!?」

 

織江は華麗な投げ技で、Aを投げ飛ばし…直喜を守る形でAの前に立ち塞がった。起き上がろうとするAに…

 

六花「死ね…!!

 

六花は『ウルトラマンレオ』の必殺技『レオキック』を撃ち込んだ。

 

ドゴォォオオオオオオオッ!!

 

転生者 A「ぎゃああああぁぁぁぁ…がはっ!!」

 

Aは後方に吹っ飛ばされ、木に激突…受け身が取れず、意識を失い…気絶した。

 

 

 

直喜「…???」汗

 

何がなんだかわからず…困惑する直喜に、織江が優しく声をかける。

 

織江「大丈夫、直喜君?」

 

六花「あっ、ママ!!直喜が困ってるから!!」

 

六花はすぐに直喜の元へ駆け寄り…

 

六花「直喜大丈夫!?ケガしてない!?どこも痛いところ無い!?」

 

…と、直喜の身体をペタペタと触りながら、ケガの有無を確認をする。

 

直喜「ぼ、僕は…大丈、夫……そ、それより…どうして…こ、ここに…?」

 

六花「それはこっちの台詞!直喜こそ、ここで何してるの?」

 

直喜「えっとね…ら、ランニングしてて……ちょっと、休憩……」

 

直喜の言葉を聞いた六花は、織江に提案する。

 

六花「ママ、直喜を家に呼んでも良いでしょ?」

 

織江「もちろん♪直喜君、良かったらウチにおいで♪」

 

織江は六花の言葉に、あっさりOKを出す。直喜は遠慮したが…結局、最後は折れ…六花の家へ行くことに……

 

 

 

 

六花の家に上がると…

 

将「おっ、神山ぁ!!」

 

裕太「あっ、直喜君!!」

 

将と裕太の姿があった。六花の家だが…『グリッドマン同盟』の活動拠点となっているのだ。

 

織江「そうだ…折角直喜君も来てくれたんだし、皆でお昼ご飯食べない?」

 

六花「ナイスアイデア!ね、直喜…遠慮しないで♪」

 

直喜「えっ…あ、うん…あ、ありがとう……」

 

将「いやぁ、悪いな六花。」

 

裕太「すみません、ご馳走になります。」

 

六花「君らは少し遠慮して?」

 

2人「「まさかの塩対応!?」」汗

 

直喜に対して優しい六花だが…将と裕太には塩対応だった。

織江が台所に立つと、そこに直喜がやって来る。

 

直喜「あ、あの…ぼ、僕にも…何か、お手伝い…させて、ください…!!」

 

織江「えっ、良いの?ゆっくりしてて大丈夫なのに~♪」

 

直喜「で、でも…じ、自分だけ楽するのは…ちょっと……ぼ、僕…じ、自炊…してるので…!!」

 

織江「あらそうなの♪偉いじゃん♪」

 

思わず直喜の頭を撫でる織江。そんな彼女を見て、六花はムスッとふくれっ面を見せ…台所に向かった。

 

六花「なら私もやる。直喜と一緒に料理したいし!」

 

そんなこんなで、3人で料理をすることに……直喜は手を洗い、料理を開始する。

 

六花「直喜、この野菜を洗ってくれる?包丁は危ないから私がやるね♪」

 

直喜「わ、分かった。」

 

直喜は食材洗い等、包丁を使わない作業を…六花は包丁を手に取り、直喜が洗った食材を切っていた。織江はコンロ前に立ち、チーズを溶かしていた。彼らが作ったのは、そう……『チーズフォンデュ』だ。直喜と六花は食器類を準備し、完成した料理を織江が運んだ。

 

「「「いただきま~す!」」」

 

完成した料理を、メンバー達は口へと運んでいく。

 

将「うんめぇ~♪」

 

裕太「美味しいです!!」

 

織江「ふふっ、良かったわ♪」

 

六花「直喜が作ったんだもん…美味しいに決まってんじゃん!」

 

直喜「……。」コクッ…

 

将と裕太は美味しそうに料理を頬張り…直喜は静かに料理を口に運んでいた。

 

六花「直喜、口元にチーズついてるよ?」

 

直喜「…ふえっ?」

 

六花は右手の人差し指で、直喜の口元についたチーズを取ると…そのまま自信の口へと運んで行った。

 

 

六花「んふっ、美味し♪」

 

 

織江「あら、六花ったら…大た~ん♪」

 

直喜「あ、あわわわ…///」プシュ~……

 

そんな六花を見て、思わず顔を真っ赤してしまう直喜。

 

将(か、神山…羨まし過ぎるぞぉ!!)

 

裕太「…?」

 

将は直喜の状況を羨ましがり…裕太は首を傾げていた。

 

 

 

その後、食べ終わった食器洗いを…直喜は率先して手伝った。

 

織江「ありがとう直喜君、助かっちゃったわ♪」

 

直喜「い、いえ…こちら、こそ…あ、ありがとうございました……お、美味しかった、です…」

 

織江「あぁ、直喜君がウチの子だったら良いのになぁ~♪もう、抱き締めてあげたい!!」

 

六花「ママ~!!」プンスカッ!!

 

織江「ごめんって六花ぁ~♪」

 

直喜を褒め、頭を撫でる織江を見て…ヤキモチを妬く六花。

 

直喜「あっ、僕…そろそろ、帰ります……」

 

織江「えっ、もう?…六花、直喜君を送ってあげて♪」

 

六花「言われなくてもそうするって~…」

 

こうして、直喜は六花に送られる形で…六花の家を去って行く。

 

 

 

六花の家を出た直喜は、六花と一緒にマンションへと帰っていくが…途中のバス停で休憩することにした。

 

直喜「……。」ウトウト…

 

六花「直喜、眠いの?」

 

直喜「…ハッ!?あっ、ううん!!ね、眠くないよ!!」アタフタ

 

六花「無理しなくても良いよ♪」ポンポンッ…

 

六花が膝に手を置くと、直喜は倒れ込むように眠ってしまった。急に激しい運動をして、疲れてしまったのだろう…直喜は六花から膝枕をされ、スヤスヤと寝息を立てている。

 

六花(直喜…可愛過ぎぃ~♪待って待って、お持ち帰りしたい!!でも、それはちょっとヤバいよね…あっ、そうだ!!)

 

直喜と六花がいるのは、1日に1本程度しか来ない超ローカルバス停だった。今日の運航は既に終了しており、誰もいない。それを確認した六花は、直喜右手を取ると…

 

ハムッ…♪

 

彼の指を優しく咥えた。

 

六花(んふふ~、幸せ~♪)

 

チュルッ…と、時には音を立てながら…彼を堪能する六花。そんな彼女の元に……

 

 

転生者 C「六花ちゃん!!」

 

 

Cが姿を現す。だが、そんな彼をスルーし…尚、直喜を堪能し続ける六花。

 

転生者 C「六花ちゃん!!今すぐソイツから離れるんだ!!今からでも遅くない!!さぁ、早く!!」

 

正義のヒーローのように、六花を説得するC。

 

六花(もぉ、うるさいなぁ……)

 

いい加減鬱陶しいと感じた六花は、Cの思考を読み始める。

 

 

転生者 C(やべぇ、生六花ちゃんだ!!可愛過ぎる…あぁ、早くエッ◯なことしてぇ!!グヒヒヒ…♪)

 

 

案の定…Cは性的な考えをしており、正義のヒーローの皮を被っていることが分かった。

 

六花「ねぇ…貴方も、こんなこと…されたいの?」

 

すると六花は…直喜の右手の指を舌で舐めてみせた。

 

転生者 C(なっ!?り、六花ちゃんが…俺を誘っているだと!?こうなりゃ、選択肢は1つ…!!)

 

そして、愚かに勘違いしたCは…

 

転生者 C「た、頼む!!俺にも…俺にも、同じことしてくれぇぇええええええええ!!」

 

…と、土下座をした。その瞬間…

 

六花「あっはっはっはっはっはっはっは!!」

 

…と、笑い出す六花。

 

六花「さっきまで正義のヒーローぶってたのに、私が罠を仕掛けた途端…あっさりと本性を現したね!バッカじゃないの!?www」

 

六花の言葉を聞いたCは…みるみる顔が青ざめて行った。すると六花は、ウルトラマンの『八つ裂き光輪』と同じ動作で腕を自分の胸の前に出し、右腕をCに向かって突き出した。

 

六花「やぁっ!!

 

直後…六花の右腕からは、青白い光を放つ光線が発射された。これは、『ウルトラ兄弟』の長男であり…『宇宙警備隊の隊長』を勤めている『ウルトラマンゾフィー』の最強必殺技『M87光線』だ。光の国公認の宇宙記録・87万度という超高熱であるため、いかなる怪獣や超獣、宇宙人は勿論のこと…惑星にさえ大きなダメージを与えるため、地球上ではフル出力では撃てない。そのため、地球上では約『1/10(ジュウぶんのイチ)』程に抑えられている。

 

ドッガァァアアアアアアアアアアアンッ!!

 

転生者 C「うぎゃああああぁぁぁぁ…!!」

 

六花の放った光線は爆発を起こし、Cはぼろ雑巾状態となり…意識を失った。

 

だが、先程の爆発音で…直喜がビックリして飛び起き、自分の右手を見てテンパったのは言うまでもない。六花は何とか誤魔化すことに成功し、彼をマンションまで送り届けたのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第10話 変・身

OP~OxT『UNION』~♪


ある日、ツツジ台高校にて……

 

 

なみこ「ねぇ直喜ぃ、私にもそのゲームやらせてよ~♪」

 

直喜「ど、どうぞ…」

 

直喜はなみこにコントローラーを1つ渡し、一緒に『ウルトラマンFEN』をプレイする。

 

はっす「ウチにもやらせてよ、なみこ~。」

 

なみこ「分かってるって~♪」

 

直喜は大好きな『ウルトラマンゼアス』を選択し、なみこは弟が大好きなウルトラマン『ウルトラマントリガー』を選択した。

 

直喜「えっと、操作方法はね……」

 

なみこ「うんうん♪」

 

直喜からの操作説明を聞いて、なみこは理解したようだ。

 

はっす「直君はさ~、人に教えるの上手いよね?」

 

直喜「えっ、そ、そう…かな……?」

 

なみこ「それ思った!直喜の操作説明、めっちゃ分かりやすいもん!!」

 

直喜となみこがやっているゲームは、『タッグモード』である。2人で力を合わせて、怪獣を倒していくモードだ。

 

はっす「おっ、バルタンが光線を撃ってくるよ…!」

 

直喜「だ、大丈夫…!ゼアスには、効かないから…!」

 

直喜がボタンを押すと、ゼアスはバレエの『アティチュード』のような片足立ちの姿勢で超高速回転し、バルタン星人の光線を防ぐと…そのままバルタン星人にぶつかって蹴りつける技『スーパーゼアスキック』を放った。

 

直喜「ふふんっ、これぞ…『反撃・スーパーゼアスキック』!!」ドヤァッ!!

 

ドヤ顔をし、得意気に技名を言う直喜。

 

なみこ「す、スゴッ!?」

 

はっす「流石はウルトラ博士~、カッコいい~♪」

 

その後、なみこははっすと交代し…はっすは『ウルトラマンマックス』を選択、直喜が操作するゼアスと共に、怪獣達を撃破した。

 

亜子「ウチらは観戦でもしよっか。」

 

蘭萌「おぉ、神山君ってゲーム上手いね!!」

 

そこに亜子と蘭萌もやって来て、直喜とはっすのタッグ戦を見守る。

 

転生者 A(ちっ…神山の奴、相変わらず気に入らねぇなぁ……!!)

 

彼女らと楽しそうにゲームをする直喜を、Aは物凄い形相で睨み付けていた。

 

 

アカネ「ねぇ、何で直喜君を睨んでんのかなぁ?

 

 

それにいち早く気付いたアカネは、後ろからAの首を締め付ける。

 

転生者 A「あがっ!?く、くるじぃッ!!」

 

強い力で首を締められ、段々意識が遠のいていくA。

 

直喜「ッ!?し、新条さ」

 

それを見た直喜は、慌ててアカネの元へ向かおうとする。しかし、なみこがそれを止める。

 

なみこ「大丈夫だよ、あれはただのじゃれあいだから。」

 

直喜「でも…A君、苦しそうだよ…や、やめて新条さん…!!」

 

直喜が声を上げると、アカネがこちらに気付く。

 

アカネ「あっ!?ご、ごめんね直喜君!!」

 

直喜に注意されたアカネは、すぐにAを離し、直喜に平謝りした。

 

転生者 A「ゲホッ!!ゲホッ!!」

転生者 A(く、苦しかった……し、死ぬかと思ったぜ…)

 

苦しみから解放され、安堵するAだが…そこに六花が来て……

 

 

六花「偶々直喜が助けてくれたけどさぁ…

 

今後、さっきのようには行かないと思ってよね?

 

 

…と、Aの耳元で呟き、すれ違う形で去って行った。

 

転生者 A「ひっ!?」ビクッ!

 

六花の低く、ドスの効いた声に驚き…Aは腰を抜かしてしまった。六花は怯えているAを睨み付けると、直喜の元に向かう。

 

六花「直喜~、私と勝負しよ♪」

 

直喜「えっ、しょ、勝負…?…うん、良いよ。」

 

六花ははっすからコントローラーを受け取ると、キャラクターを選択し始める。直喜は勿論推しのウルトラマンである『ウルトラマンゼアス』を選択した。対して六花は『ベンゼン星人』を選択した。

 

直喜「あれ、六花ちゃん…今日はウルトラマンじゃないの?」

 

六花「ふふん、今日は悪質宇宙人の気分なんだ♪負けたら、勝った人の言うことを何でも聞ける、どう?」

 

直喜「えぇっ!?」汗

 

六花「ウソウソ、勝った人にジュース一本奢る♪」

 

六花はそう言うと、直喜とバトルを始める。しかし、六花はゲームは初心者であり、対する直喜はゲーム上級者である。

 

六花「えぇっ!?ウソウソ、ちょっと…直喜強っ!?」

 

直喜「トドメはこれ、スペシュッシュラ光線!!」

 

結果として、直喜の圧勝となった。

 

なみこ「あっれれ~、六花さんさぁ?直喜をからかっておきながら…あっさり返り討ちにされちゃいましたねぇ~?」

 

そんな六花を、なみこはからかい…その隣ではっすがクスクスと笑っている。

 

六花「あぁもう…何度でも言ってくださぁ~い…」

 

六花は恥ずかしそうに言う。まもなく、5時間目が始まる時刻となり…直喜は六花となみことはっす、そしてアカネと亜子と蘭萌と共に教室を移動する。

 

ドンッ…

 

直喜「わっ!?」

 

移動してる途中、直喜は誰かとぶつかった。ぶつかった相手は、男性教員であった。どうやら…男性教員は歩きスマホをしており、前を見ていなかったようだ。

 

直喜「あっ、す…すみません……」

 

教員「……。」

 

直喜は真っ先に教員に謝るが……教員はスルーして、立ち去って行った。

 

なみこ「何あれ…?」

 

はっす「うわぁ、感じ悪っ……」

 

なみことはっすがボソッと呟く中…

 

亜子「神山君大丈夫?」

 

蘭萌「怪我は無い?」

 

亜子と蘭萌は直喜を心配していた。

 

直喜「だ、大丈夫……」

 

六花「あの先生、ずっとあんな感じだよね?」

 

なみこ「確かに…」

 

はっす「何考えてるのか分からんし…てか、謝れないとかガキかっての。」

 

さっきの先生への愚痴を溢す六花となみことはっす。その後ろでは……

 

 

アカネ(はっ?何なのアイツ…

 

直喜君にぶつかっておいて…

 

謝らないとか…ゼッタイニコロス。

 

 

アカネが心の奥底で…怒りを燃やしていた。その日、学校が終わると…アカネは真っ先に帰路を急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「…ただいま、アレクシス。」

 

アレクシス『やぁ、おかえり。アカネ君。』

 

アカネは机に向かい、早速怪獣造りに取り掛かった。

 

アレクシス『おっ、今日は手が早いね?』

 

アカネ「アレクシス聞いて?」

 

アレクシス『ん?』

 

アカネ「直喜君にぶつかった癖に、謝らなかった奴がいてね…あぁ、思い出すだけでもイライラするぅ!!」

 

アレクシス『そっかぁ…それは直喜君にぶつかったアイツが悪いねぇ。』

 

アカネ「でしょ?人にぶつかってといて謝らないのは、非常識だよ!」

 

アレクシス『それは良くないねぇ?』

 

アカネ「そうだよね!?よし、できた!!見て、新作!!」

 

アカネが完成させたのは…深海魚の一種:『デメニギス』を彷彿させるドーム型の透明な頭部の中に互い違いにくっついた眼玉を持った怪獣だ。また、下にも一対の青緑色の目が存在している。

 

アレクシス『良いねぇ素晴らしい!!何に使うんだい?』

 

アカネが完成させた怪獣を、アレクシスはべた褒めし…何に使うのか尋ねてみる。

 

アカネ「ヒヒヒヒッ♪…直喜君にぶつかったアイツ、殺そうと思って♪」

 

アレクシス『ほぉ…?因果応報って奴かな?』

 

アカネ「そうそう!!じゃあ、よろしく♪」

 

アレクシス『はいはい♪』

 

 

インスタンス・アブリアクション!

 

 

アレクシスはアカネが作った怪獣に、命を吹き込み…巨大化させた。

 

 

 

巨大化を果たした怪獣は、昼間の街中を徘徊し始める。

 

怪獣「グルグル、ゴロゴロ…!!」

 

現れた怪獣『デバダダン』は、喉を鳴らすような鳴き声を発する。人々が逃げ惑う中、直喜とぶつかったあの教員は…怪獣を見て、唖然としていた。

 

男性教員「…なんだあれ?」

 

そして、スマホをかざして写真を撮ろうとすると…

 

 

デバダダン「グル…ゴロロ…!!」

 

 

不意に、デバダダンと目があった。

 

男性教員「ッ!?」

 

次の瞬間…デバダダンは胸部にある丸い部分から展開する棘から青白いレーザー光線を発射し、街を破壊し始める。

 

アカネ(先生、ちゃんと死んだかなぁ?)

アカネ「まぁ、どっちでも良いけど♪」

 

暴れるデバダダンを、カメラ付きドローンで見守るアカネ。デバダダンの前に、グリッドマンが現れると…アカネはベッドから起き上がる。

 

アカネ「あっ、グリッドマンだ!!」

 

グリッドマンはデバダダンに肉弾戦を仕掛けていく。前回、グールギラスとの戦いでは…劣勢になったものの、戦いになれてきたのか優勢に立ち…デバダダンを追い詰める。デバダダンは大きく投げ飛ばされた直後、グリッドマンからの『グリッドビーム』を受ける。しかし…ビームを吸収して、上乗せしたレーザーで逆にグリッドマンを追い詰める。

 

グリッドマン『ぐわっ!?』

 

ビームが跳ね返され、地面に倒れるグリッドマン。

 

アカネ「ビーム対策完璧すぎぃーー!!」

 

アレクシス『流石はアカネ君!!』

 

実はアカネ…前回の反省点を踏まえて、グリッドマンの対抗策を練っていたのだ。

 

転生者 A「ッ!?」

転生者 A(おい、ちょっと待てよ…原作では、この後…グリッドマンキャリバーで逆転する筈じゃ?)

 

グリッドマンとデバダダンの戦いを見守っていたAは、何やら違和感を覚え始める。グリッドマンはデバダダンに追い詰められ続け、姿を消してしまった。

 

デバダダン「グルグル、ガロロロロ!!」

 

アカネ「ッ!!」

 

グリッドマンの敗北を見届けたアカネは思わず……

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「ぃやったぁぁああああああああああああ!!

 

 

…と、大喜びし…高笑いしていた。しかし…

 

アレクシス『ちょっと、アカネ君!!大変だ、これを!!』

 

アカネ「…えっ、何?」

 

アレクシスがモニターを見せると…

 

アカネ「えっ…うそ、直喜君!?どこ行くの!?」

 

モニターには、直喜がデバダダンの方へと向かっていく映像が映し出されていた。

 

アカネ「アレクシス!!怪獣を止めて!!早く!!」

 

アレクシス『わ、分かった!!』

 

アレクシスは不思議な能力を使い、デバダダンを止めようとするが……

 

 

アレクシス『えっ!?何で止まらないの!?』

 

 

何故か、デバダダンは止まるどころか…むしろ、かえって狂暴になるだけだった。

 

アカネ「どうしよう!!このままじゃ、直喜君が!!」

 

 

 

その頃、直喜は……

 

直喜「せ、先生!!」

 

ぶつかって来た先生の元へ駆け付けていた。

 

男性教員「か、神山…どうして!?」

 

直喜「先生を助けに来ました!!ふんぐぐぐ…!!」

 

直喜は、必死に瓦礫を退かそうとするが…大きな瓦礫は、びくともしていない。

 

男性教員「神山!早く逃げろ!!お前まで巻き添えをくらうぞ!!」

 

直喜「嫌です!!先生をほったらかして、逃げるなんて…そんなの、そんなの嫌だぁ!!」

 

直喜は諦めず、瓦礫を退かそうとする。しかし、とうとうデバダダンが来てしまい…

 

アカネ「だ、ダメェェエエエエエエエエエ!!

 

アカネの叫び声を無視して、デバダダンは瓦礫を投げた。

 

直喜「ッ!!」

 

しかし、そんな状況を見ている者が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???『なんて勇敢な少年なんだろう…!彼なら、きっと…!!』

 

 

 

アカネ「な、直喜君!!」

 

直喜は瓦礫の下敷きになり、死んでしまった…と、アカネは思った……泣き出してしまうアカネには、アレクシスの言葉が届いていなかった。

 

 

 

その頃、直喜は……

 

直喜「…えっ?」

直喜(何だろう、ここ…すごくあったかい……)

 

何やら、光に包まれた空間にいた。そこに…

 

 

???『やぁ、神山 直喜君!!』

 

 

赤い顔に、黄色く光る複眼が特徴の『ウルトラマン』が話し掛けてきた。

 

直喜「えっ…えっ…えぇぇえええええええええ!?」

 

直喜はそのウルトラマンを見て驚いた。何故なら…今自分に話し掛けてきたのは……

 

『Z95星雲』からやって来た…

 

大好きなウルトラマン『ウルトラマンゼアス』だからだ。

 

直喜「う、ウソ!?本物の、ウルトラマンゼアス!?」

 

ゼアス『一先ず落ち着いて…って言っても、無理だよね? 』汗

 

ゼアスは直喜に説明を始める。

 

ゼアス『僕は『Z95星雲 ピカリの国』からやって来た、『ウルトラマンゼアス』!!直喜君、危険な状態の中でも…必死に誰かを助けようとする君の勇気に、僕は心を射たれたんだ。』

 

直喜「あっ、そうだ…先生は!?」

 

ゼアス『大丈夫、先生は生きてるよ。』

 

ゼアスの言葉を聞いた直喜は、ホッとする。

 

ゼアス『直喜君、君にお願いがあるんだ。』

 

直喜「お、お願い…?」

 

ゼアス『うん、僕と一心同体になって…この地球(ホシ)を、地球を木端微塵に破壊しようと企む『ベンゼン星人』から守って欲しいんだ。』

 

直喜「ぼ、僕に…?」

 

ゼアス『そう!怪獣が暴れまわる中、君は誰よりも…人を助けようとした!だから僕は、君を選んだんだ!!』

 

直喜「で、でも僕……」

 

すると、直喜の脳裏には…六花達とのやり取りが蘇って来る。

 

 

六花『な~お~き♪』

 

アカネ『直喜く~ん♪』

 

なみこ『直喜!』

 

はっす『直君♪』

 

将『神山!!』

 

裕太『直喜君!!』

 

 

彼らが自分に見せてきた笑顔を思い出した直喜は…覚悟を決めたのか、真剣な表情をゼアスに向ける。

 

直喜「ゼアス…僕、やるよ……僕は、六花ちゃん達に助けられてばかりいた…だけど今度は…

 

 

僕が、皆を助けたい!!

 

お願い、ゼアス!!

 

僕に、力を貸して!!

 

直喜の言葉を聞いたゼアスは、ゆっくりと頷く。

 

ゼアス『分かった、一緒に頑張ろう!!』

 

直喜「う、うんっ!!」

 

直喜が右手を見ると…変身アイテム『ピカリブラッシャー』が握られていた。直喜はピカリブラッシャーで自分の歯を磨き…頭を高速で左右に振る。

 

直喜(よし、やるぞ…!…今まで僕は…皆に助けられてばっかりいた……だから、今度は僕が…僕が……皆を助けるんだ!!)

 

そして、自分の口内環境を綺麗にすると……

 

 

直喜「できた…シュワッチ!!ピカァァアアアアッ!!

 

 

ピカリブラッシャーを空高く掲げる。その時…ブラッシャーからは、目映く優しい乳白色の光が発生した。直喜はその光に包まれて行き、光の戦士『ウルトラマンゼアス』へと変身した。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第11話 Zearth

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


アカネ「うわぁぁああああああああん!!直喜君が…直喜君がぁぁあああああああ!!」

 

アカネは子供のように、声をあげてワンワン泣いていた。

 

アレクシス『あっ、アカネ君!!外を!!』

 

アカネ「ひぐっ…えっ?」

 

漸くアレクシスの言葉が届いたアカネは、慌てて外に出ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

街には…右腕を上に伸ばし、左腕を曲げて頭の横につけている光の巨人の姿があった。

 

アカネ「ッ!!」

アカネ(す、スゴい…本物の、『ウルトラマンゼアス』だぁ!!)

 

そう…それは、直喜が大好きなウルトラマン『ウルトラマンゼアス』だった。

 

人々「おい、あれって…ウルトラマンじゃないか!?」「ほ、ホントだ…本物のウルトラマンだ!!」「すげぇ…ウルトラマンが、ウルトラマンが来てくれたぞ!!」

 

逃げ惑っていた人たちは、現れたゼアスに感動したり…感謝をしたり…笑顔を取り戻していた。

 

アカネ「あっ、そうだ…!!」

 

アカネはゼアスに叫ぶ。

 

 

アカネ「ゼアスー!!直喜君は無事!?」

 

 

アカネに気付いたゼアスは、ゆっくりと頷いた。

 

アカネ「よ、良かった…!!」ポロポロ…

 

アカネは安心し、その場で大粒の涙を流した。ゼアスはデバダダンの方を向くと、初代ウルトラマンと同じ構えを取り、腰をどっしりと落とした前傾姿勢になった。

 

 

 

直喜(ゼアス、あの怪獣には光線が効かない!!お腹の突起物で光線を吸収しているんだ!!)

 

ゼアス(分かった!!)

 

ゼアスはデバダダンに向かって走り、飛び蹴りを浴びせる。

 

ゼアス「シェアッ!!」ドゴォッ!!

 

デバダダン「グルルル…!?」ドドォォオオオオオオオンッ!!

 

ゼアスの蹴りを受けたデバダダンは、地面に叩き付けられた。倒れたデバダダンの両足を持ったゼアスは、そのまま回転し…

 

ゼアス「デヤアッ!!」ブゥンッ!!

 

ハンマー投げのように、デバダダンを思いっきり投げ飛ばした。地面に落ちたデバダダンに、ゼアスは飛び掛かり…マウントポジションを取り、頭部や顔面を殴る…殴る…!!次に、デバダダンを持ち上げると…

 

ブゥンッ!!ドドォォオオオオオオオンッ!!

 

地面に投げ飛ばし…デバダダンを叩き付けた。

 

 

 

転生者 A「んなっ!?う、ウルトラマン!?」

 

デバダダンと戦うゼアスを見て、Aは混乱していた。

 

転生者 A(バカな…ここは、SSSS.GRIDMANの世界だぞ!?ウルトラマンがいるなんて、あり得ねぇ!!)

 

 

 

人々「ウルトラマン頑張れぇー!!」「ウルトラマーン!!」「頑張れウルトラマン!!」

 

街の人々は、ウルトラマンゼアスの勝利を信じ…必死に応援する。

 

直喜(……!!)

 

その時、直喜の脳裏に…とある記憶が蘇ってきた。

 

 

 

それは、ウルトラマンフェスティバルに来たとき…

 

直喜「おじいちゃーん!おばあちゃーん!!」

 

直喜は祖父母と離れ、迷子になってしまったことがあった。その時、寂しさのあまり…思わず泣き出してしまったが……

 

ゼアス『どうしたの?』

 

その時、声を掛けて来たのが…ゼアスだったのだ。

 

直喜「ふぇ…わぁっ、ウルトラマンゼアス!!」

 

ゼアスから声を掛けてもらい、一緒に写真を撮って貰ったのだ。そこで、祖父母と会うことができたのだ。

 

直喜「ゼアスー、ありがとー!!」

 

その後、ウルトラマンゼアスのDVDを見る時は…

 

直喜「ゼアス、頑張れぇ!!」

 

必ず、ウルトラマンゼアスを応援するようになった。ゼアスを大好きになった直喜は、朝も昼も夜も毎日欠かさず歯を磨き…手洗いうがいを欠かさずにやった。いつか自分も…『ウルトラマンゼアス』のような優しい人になれることを、信じて……

 

 

 

直喜(そうか…僕、ゼアスに憧れて……そして、ゼアスを応援して…それから……)

 

その時、デバダダンがゼアスに尻尾を振るって来た。

 

ドガァッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」

 

ドドォォオオオオオオオンッ!!

 

地面に倒れたゼアスに、デバダダンは尻尾を叩きつけ続ける。やがて、ゼアスの『カラータイマー』が青から赤へと変わり、点滅を始めた。

 

直喜(しまった!!このままじゃ…!!)

 

その時…

 

将「ゼアス頑張れー!!」

 

六花「負けないで、ゼアス!!」

 

将と六花が、ゼアスを応援しに駆け付けてきたのだ。更に……

 

 

アカネ「ゼアス、勝ってぇぇええええええ!!

 

 

アカネまで、応援に駆け付けた。

 

直喜(内海君…六花ちゃん…新条さん…!!)

 

ゼアスはデバダダンの尻尾攻撃を避けると、起き上がり…構えを取る。

 

ゼアス「ッ!!」ドスゥンッ!ドスゥンッ!

 

デバダダン目掛けて走ると、空中にジャンプし…

 

ゼアス「デヤッ!!」ドゴォォオオオオンッ!!

 

デバダダン「ガロ!!ガロロロ!?」

 

デバダダンの脳天に、チョップ攻撃を繰り出した。その後、地面を勢いよく蹴り…

 

ドゴォォオオオオンッ!!ドゴォォオオオオンッ!!

 

ゼアス「タアアァァッ!!」ドゴォォオオオオンッ!!

 

デバダダンの顔面に、連続回し蹴りを繰り出した。デバダダンは尻尾を振り回して来たが、ゼアスはバク転で回避…デバダダンと距離を取る。

 

アカネ「ゼアススゴい!!」

 

ゼアスの戦いを見て、目を輝かせるアカネ。

 

将「おおぉぉ!!ゼアスかっけぇー!!」

 

六花「このまま行けば…!!」

 

形成逆転し、希望を持ち始める将と六花。すると……

 

デバダダン「ガロロロ!!」ピカァッ!!ピカァッ!!

 

ゼアス「ッ!?」

 

デバダダンはゼアスにフラッシュ光線を発射した。

 

直喜(よし、こうなったら…あの技でトドメだ!!)

ゼアス「ジェアッ!!

 

すかさずゼアスは、バレエの『アティチュード』のような片足立ちの姿勢を取ると…超高速で回転し、デバダダンの光線を弾き飛ばす。そのまま回転しながら、デバダダンにぶつかり…遥か彼方の上空へと蹴りつけた。必殺技『スーパーゼアスキック』だ。デバダダンは勢いよく回転しながら、宇宙まで飛んで行き…爆散した。ゼアスの勝利だ。

 

アカネ「やった…ゼアスが勝った!!」

 

「「「ワァァアアアアアアアアアアアアア!!」」」

 

ウルトラマンゼアスの勝利を見届けた人々は、皆…大歓声を上げて喜んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『きっと…』

 

『いつか…』

 

『必ず逢えるから…』

 

『光の戦士たち』

 

 

『きっと…』

 

『それは……』

 

『君の心にいるんだ!!』

 

『僕の大好きな…ウルトラマン…!!』

 

『みんな大好きな、ウルトラマン!!』

 

 

 

ウルトラマンゼアスの活躍により、凶悪怪獣は倒された。ゼアスが戦いに勝利したことで、ツツジ台にはまた平穏が訪れた。

 

ゼアス「…。」

 

デバダダンに勝利したゼアスは、両手を腰に当てて…堂々と立っている。

 

人々「ありがとう、ウルトラマーン!!」「ありがとー!!」「スゴかったぞ、ウルトラマン!!」

 

ゼアス「……。」

 

ゼアスが人々の方を見ると…人々は皆笑顔を見せており、ゼアスに手を振っている。

 

六花「ありがとう、ゼアス!!」

 

将「カッコいいぞゼアスゥー!!」

 

アカネ「ゼアスー、大好きー!!」

 

六花と将とアカネも、ゼアスに手を振り…歓声を上げている。

 

ゼアス「……。」コクッ…

 

人々にゆっくりと頷いたゼアスは、晴れた大空を見上げると……静かに、人類の前から姿を消していった。

 

 

 

直喜「……。」

 

直喜は人々から離れた場所に降り立った。そして、持っているピカリブラッシャーと、ゼアスのアクリルキーホルダーを見る。

 

直喜(ありがとう…ウルトラマンゼアス……)

 

そこに…六花達がやって来る。

 

アカネ「わぁぁあああああああん!!直喜君、良かったよぉぉおおおおおおおお!!」ガバッ!!

 

直喜「う、うわぁっ!?」

 

アカネが大泣きしながら直喜にダイブしてきて、直喜は彼女の胸に顔を押し付けられる形となった。

 

六花「直喜、ケガしてない!?」

 

直喜「むぐっ…むぐぐっぐくむむぐぐぐ…むぐぐぐぁぐぁぐぐぇぐぇぐぐぇぐぁぐぉ……」

 

六花「えっ、何々?」汗

 

将「うんっ…間一髪の所で…ゼアスが助けてくれたの……だってさ。」

 

六花「よく分かったね!?」汗

 

アカネに抱き締められる直喜の言葉を、将は聞き取れたようで…六花はビックリしていた。

 

直喜「む、むぐぅ……」ガクッ…

 

アカネ「あぁぁあああああああ!!な、直喜くぅぅううううううううん!!」

 

気絶してしまった直喜を見て、更にテンパったアカネ…そんな彼女に呆れてしまう将と六花であった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第12話 結・成

OP~OxT『UNION』~♪


ある日の休日…とある高級マンションのロビーにて……

 

A、B、Cの3人が対面式で集まっていた。

 

 

転生者 A「単刀直入に言う。俺達で手を組まねぇか?」

 

 

転生者 B「…は?」

 

転生者 C「何言ってんだお前?」

 

Aの一言に、BとCは困惑していた。そんな彼らに、Aは語りかける。

 

転生者 A「まぁ聞けって…今までの俺達はさ、何もかもが上手く行ってたろ?」

 

転生者 B「…言われてみれば、確かに……」

 

転生者 C「…そうだな。今まではな……」

 

Aの話に耳を傾け始めるBとC。

 

転生者 A「何故こうなったか…原因は、アイツ…神山だ。」

 

転生者 B「六花達と楽しそうに話していたあのガキか…」

 

転生者 C「そうか…あの野郎が原因ってのか?」

 

転生者 A「そうだ。アイツ、六花とアカネだけじゃなく…なみことはっすまで洗脳してやがる。だから…」

 

Aは椅子から立ち上がると、BとCにこんなことを言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 A「俺達で、六花達を救うんだ!!」

 

まるで正義のヒーローを気取るかのように、Aは続ける。

 

転生者 A「六花達は神山の奴に洗脳され、助けを求めている!!だから、俺達で六花達を救いだして…あんなことやこんなことをなァ♪」

 

転生者 B「よぉし、乗った!!俺も賛成する、だが…神山をすぐに殺しちゃあ詰まんねぇから、アイツが見てるとこで六花達を襲ってやろうぜ?」

 

転生者 C「ヒヒヒヒ…良いねぇ、神山の泣き叫ぶ姿が目に浮かぶぜェ♪」

 

こうして、3人の転生者達は…手を組むことにし、六花達を救う(?)ために…行動を開始しようとしていた。

 

 

 

そして、どこから入手したのか…とある水上公園にやって来た。その理由は……

 

転生者 A「よし、ここに神山と六花達が来るみてぇだ…」

 

転生者 B「うほほほ…六花達の水着姿を拝めるなんて、最高だぜ♪」

 

転生者 C「後は…神山の泣き叫ぶ姿が見れりゃ、もっと最高だぜ♪」

 

どうやら、ここに六花達が来るようだ……実は、六花とアカネは直喜とのプールデートをかけて、亜空間で勝負し…六花が勝った。そこで、直喜をプールデートに誘ったところ…「なみこさんとはっすさん、新条さんも誘っても良いかな?」と、直喜が提案した。六花は喜んで彼の提案を飲んだのだ。

 

転生者 A「おっ、来たぞ。」

 

転生者 B「んじゃ、作戦開始だ。」

 

彼らが考えた作戦は…題して、『トリプルイケメンスマイル作戦』である。センスねぇなぁおい……

 

失敬…具体的に、何をするのかと言うと……偶然を装って六花達に近づき、持ち前の『イケメンオーラ』と『イケメンスマイル』を全快にし、直喜を仲間外れにするというモノだ。やがて、直喜と歩く六花達が水上公園に入ってくると、3人はそれを待ってたかのように出て来て…

 

 

転生者 A「やぁっ!!奇遇だね!!」

 

転生者 B「こんにちは!」

 

転生者 C「六花ちゃん、アカネちゃん、なみこちゃん、はっすちゃん、俺らと良かったらお茶でもしない?」

 

 

…と、イケメンスマイルで声を掛けた。しかし……

 

 

なみこ「直喜、誘ってくれてありがとうね♪」

 

はっす「直く~ん、超優しいじゃ~ん♪」

 

六花「まぁ、本当は直喜と2人きりが良かったけど…でも、直喜が言うなら仕方ないか♪」

 

アカネ「えへへ~、直喜君とプールデートだ~♪」

 

 

ヒロイン達は3人に目もくれず…完全スルーしていた。

 

転生者「「「んなっ!?」」」

 

3人の転生者は混乱した。3人の力を結集しても、ヒロイン達は振り向かなかったのだ。この状況に、焦りだした3人は…強行手段に出ることに……だが、その判断が仇となってしまうことを、この時の3人は知るよしも無かった。

 

 

転生者 A「おいおい、無視するのは良くないじゃないか。」

 

転生者 B「そうだ、こっちは折角君達の為に話し掛けてあげているのに!!」

 

転生者 C「俺達と来いって!!」

 

 

その時、六花とアカネが足を止め…嫌そうな顔を、3人に向ける。漸く振り向いてくれたことで、3人の転生者は嬉しそうな顔をする。

 

六花「なみこ、はっす…先に行ってて?

 

六花の低く、ドスの効いた声を聞いたなみことはっすは…直喜を連れて、先に行く。

 

 

アカネ「折角直喜君とのデートなのに…

 

また邪魔しに来たんだ?

 

 

アカネは闇のオーラを剥き出しにした状態で、3人の転生者にブチギレていた。

 

六花(あ~あ…アカネはこうなったら、中々止められないんだよね~……)

 

直喜とのプールデートに水を差されたことにキレた六花とアカネは、亜空間を形成……『メタフィールド』と『ダークフィールド』を合わせた『ダークメタフィールド』に3人の転生者を引きずり込んだ。

 

 

 

直喜「あ、あれ…?六花ちゃんと、新条さん…お、遅いね…?」

 

なみこ「多分飲み物でも買いに行ったんじゃない?」

 

はっす「そうだ、待ってる間にさ…これ、やっちゃう?」

 

はっすは自分のゲーム機を出す。それを見た直喜は、すぐに『ウルトラマンFEN』を起動した。六花とアカネを待つ直喜達は…ウルトラマンのゲームで対戦することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「はぁっ!!やぁっ!!」ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

転生者 A「ぐあっ!?がはっ!!」

 

アカネ「死ねシネシネェェエエエエエエ!!

 

転生者「「「うわぁぁああああああああ!!」」」

 

ダークメタフィールドの中では、3人の転生者が…目当てのヒロインにボコボコにされていた。圧倒的な強さを見せる六花とアカネに、転生者達は全く歯が立たず…終始やられっぱなしであった。

 

 

六花&アカネ「「消えろ…!!」」

 

 

六花とアカネは、腕を十字に組み…光線を発射した。六花は『ウルトラマンダイナ』の必殺技『ソルジェント光線』を…アカネは『にせウルトラマンダイナ』の必殺技『ダークソルジェント光線』だ。

 

ドガァァアアアアアアアアアアアンッ!!

 

転生者「「「ギャァァアアアアアアアア!!」」」

 

六花とアカネの光線を諸に受けた3人の転生者は…全身黒焦げになり、ボロボロにされ…行動不能となった。

 

 

六花「はぁ、ほんっとムカつく…

 

アカネ「本当は殺したいけど…

 

それじゃ直喜君に嫌われちゃうから…

 

オリシスに頼んで、適当に捨てて貰おっか?

 

 

六花とアカネがそう言ってすぐ…彼女達の近くに、オリシスが姿を現す。

 

オリシス「おぉ…派手にやったな……」

 

オリシスはボロボロになった3人の転生者と共に姿を消した。その後、六花とアカネは誰にも気付かれることなく元の世界に戻り、直喜達の元へ向かった。

 

 

 

オリシス「……。」

オリシス(直喜に、ウルトラマンが宿っているな…だが、それは黙っておこう。)

 

そう思ったオリシスは、河川敷に3人の転生者を投げ捨て…姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「お待たせ~!」

 

あの後、何事も無かったように戻って来た六花とアカネ。直喜はなみことはっすと一緒にゲームをしていた。

 

なみこ「おっ、お帰り~♪」

 

アカネ「ムゥッ…なみことはっすズルいよ~!!」プンスカッ!

 

はっす「ふふん、これは特権なのだ♪」

 

直喜「と、特権…」汗

 

はっすの言葉に、困惑する直喜。女性陣は、水着に着替えてくると告げ…

 

六花「直喜、ここで待っててね?」

 

アカネ「何かあったら電話してね?すぐに駆け付けるから♪」

 

直喜「う、うん…わ、分かった……」汗

 

六花とアカネが保護者の如く、言い付けをしたが…直喜はそれを素直に飲み込み、ここで待機することに……ちなみに、直喜は既に水着に着替えており…パーカーを羽織っていた。

 

直喜(パーカー持ってきて正解だったなぁ…だらしないお腹見せられないし……)

 

直喜の体型は、標準体型であり…特に、腹筋とかが割れている訳では無いのだ。他者から身体を見られることに抵抗がある彼は、予め適当なパーカーを購入し…それを持参してきたのだ。

 

直喜「……。」

 

待っている間、暇だと感じた直喜は…『ウルトラマンFEN』をやり、時間を潰していた。

 

直喜(やっぱり、ゼアスはカッコいいなぁ……まぁ、ドジなところがあるけど、僕はそっちの方が好きなんだよね~。)

 

ゲームに集中し、周りが見えなくなっていく直喜。そんな彼に、とある人物が声を掛けて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「ゼアス良いよね♪でも、私はネクサスが好きだな~?」

 

 

直喜「えっ…?」

 

直喜が後ろを振り向くと、そこには…赤みがかった栗色のセミロングにアーモンド目で緑色の瞳を持つ少女の姿があり、直喜に優しく微笑んでいた。彼女はピンクのビキニに…白いトップスとショートパンツを身に付けていた。

 

直喜「え、えっと……ど、どちら様…で、しょうか……?」

 

困惑する直喜に、少女は自己紹介をする。

 

 

夢芽「(みなみ) 夢芽(ゆめ)…好きなのは、海洋古生物とウルトラマン…特技は~…ふ・い・う・ち♪」

 

 

直喜に自己紹介した少女『南 夢芽』は、彼に近づくと…頬にキスをした。

 

直喜「ひゃっ!?///」

 

驚いて顔を赤くし…固まった直喜を見て、夢芽は満足したのか…

 

夢芽「また会おうね、直喜♪」

 

…と、彼に手を振り…去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢芽「……。」

夢芽(やっぱり、忘れられちゃってたか…ま、直喜に会えただけでも…嬉しかったな……)

 

水上公園から去っていく夢芽は…どこか、寂しそうな表情を見せていた。

 

夢芽(直喜に悪い虫が付いてるのは…

 

流石に目を瞑れないなぁ……

 

ま、最後に勝つのは…私だけどね♪)

夢芽「ふふっ、スマイルスマイル…♪」




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第13話 嫉・妬

OP~OxT『UNION』~♪


やがて、直喜の元に…水着に着替えた六花達が戻って来た。

 

直喜「あっ、お…おかえり……」

 

六花「ふふっ、ただいま直喜♪」

 

直喜に笑顔を見せる六花。すると…

 

 

アカネ「…?」スンスンッ…

 

 

突如、アカネが匂いを嗅ぎ始めた。そして、直喜に黒ぉ~い笑顔を見せる。

 

 

アカネ「ねぇ、直喜君?

 

怒らないから…

 

正直に話してごらん?

 

他の女に、何かされた?

 

 

アカネは満面の笑顔で直喜に問い掛けるが…目が笑っていない。

 

六花「アカネ、やめなって…ほら、直喜が怖がってるじゃん?」

 

アカネの黒い笑顔に、恐怖を感じた直喜は…なみことはっすの後ろに隠れ、震えていた。

 

アカネ「あぁごめんごめん…それより、早く遊ぼ♪」

 

こうして、直喜とプールで遊ぶことにするのだが……

 

 

直喜「……。」

直喜(ど、どうしよう…僕が、カナヅチであること…言えない……)汗

 

 

運動音痴な直喜はカナヅチである…つまり、泳げないのだ。

 

六花「直喜、もしかして泳げない?」

 

直喜「ギクッ!?」

 

なみこ「いや、隠すの下手か!!」

 

はっす「ウチも泳ぐのは得意じゃないんだよね~…」

 

アカネ「私も泳げない。」

 

六花「それなら、私が教えてあげる♪私に任せて♪」

 

そして、六花は直喜に泳ぎを教えることに…アカネとなみことはっすが羨ましがったが……まぁ、仕方がないと思った。

 

直喜「ハァッ…ハァッ……」バシャバシャ…!

 

六花「そうそう♪上手いじゃん直喜♪」

 

六花の教えは分かりやすく、直喜は次第に泳ぎが様になってきた。そして、クロールで10m程は泳げるようになった。

 

六花「よしよし、頑張った直喜にご褒美♪」チュッ♥️

 

直喜「はわっ!?///」

 

六花は直喜の頬にキスをし、直喜は顔を真っ赤に染めた。

 

 

 

アカネ「…!!」ウググググ…!!

 

なみこ「ちょっ、アカネ!?顔!!顔!!」

 

はっす「女の嫉妬は怖いなぁ~…」

 

六花に泳ぎを教えて貰う直喜を見て、アカネは凄い表情を浮かべ、嫉妬していた。その後、プールから上がり…ウルトラマンのゲームで遊ぶことに……

 

 

 

アカネ「今日はありがとう!じゃあ直喜君、一緒に帰ろ♪」

 

直喜「う、うん……」

 

直喜はアカネに、自宅マンションに送って貰うことになった。夢芽とやり取りを問い詰められると思っていた直喜だったが…アカネがそれを問い詰めて来ることは無かった。

 

転生者 B「ゼェ…ゼェ……や、やっと戻って、来れた…!!」

 

彼らの近くに、Bの姿が……

 

転生者 B「あっ!?てめぇ神山ァ…何で俺のアカネといんだよ!?」

 

そして、アカネと一緒に歩く直喜に文句を言う。彼にビックリした直喜だが…

 

チーンッ!!

 

転生者 B「ッ!?」

 

アカネがBの股関を蹴りあげ…

 

アカネ「直喜君♪あの化け物とバイバイしようね~♪」

 

…と、怯える直喜を子どもをあやすお母さんのような対応をする。

 

転生者 B「あ、アカネ…ま、待ってくれ…!!」

 

アカネ「…チッ。

アカネ(いい加減しつこいなぁ……)

 

しつこく言い寄って来るBに、次第にイライラしてきたアカネは…

 

アカネ「直喜君、目を閉じて?」

 

直喜「えっ?…こ、こう?」

 

アカネ「そうそう上手♪後、後ろを向いて~…耳も防いでおこっか?」

 

直喜「わ、分かった…」

 

アカネの指示に素直に従った直喜を見て、Bの元へ向きを変える。

 

転生者 B「あ、アカネ…?」

 

アカネ「何回言わせんの?

 

気安く名前呼ばないで?

 

怒ったアカネは、拳を握りしめ、腕をL字型に組んで赤い光を放つ光線を放った。これは、『ウルトラマンシャドー』の必殺技『シャドリウム光線』だ。

 

転生者 B「うわっ!?ちょっと待っ」

 

ドガァァアアアアアアアアアアアンッ!!

 

Bが爆発に包まれたことを確認したアカネは、直喜に声をかける。

 

アカネ「直喜君、もう良いよ♪」

 

直喜「…あ、あれ…?さ、さっきの…人は……」

 

アカネ「私が追い払ったから大丈夫だよ~♪」

 

Bをぶっ倒したアカネは、直喜をマンションに送るため…直喜の帰路を、彼と共に歩く。

 

直喜「ね、ねぇ…し、新条さん?」

 

アカネ「アカネ。」

 

直喜「ふ…ふぇっ?」

 

アカネ「六花だけ名前で呼ばれてて羨ましい…だから、私のことも名前で呼んで?」

 

直喜「う、うん…あ、アカネ…ちゃん…?」

 

アカネ「っ!?なぁに直喜君!!」

 

直喜「う、うわぁっ!?」

 

自分の中の名前(しかもちゃん付け)で呼ばれ、アカネは嬉しそうな反応を見せた。

 

直喜「え、えっとね…ま、前にさ…この街に……あ、現れた怪獣を、倒してくれた…きょ、巨人のこと…知ってる?」

 

アカネ「えっ?あぁ、もしかして『グリッドマン』のこと?それとも、『ウルトラマンゼアス』のこと?」

 

直喜「ぐ、グリッドマン……?」

 

アカネ「うん、グリッドマン。あっ、そうそう!ゼアスも来てくれたんだよ!?」

 

直喜「え、えっ!?そ、そうなの…?」

 

必死に演技をする直喜…何故なら、ゼアスに変身しているのは…直喜本人だからである。

 

アカネ「……。」

 

直喜「……。」ドキドキ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「…直喜君?」

 

直喜「は、はいっ!?」ビクッ!

 

アカネ「ひょっとして、私…直喜君に悪いこと、しちゃったかな?」ウルッ…

 

アカネは、直喜に怖い顔をして詰め寄ったことを思い出し…涙目になった。

 

アカネ「わ、私…な、直喜君を……」シクッ……

 

直喜「…!!」

 

今にも泣き出しそうなアカネを見た直喜は咄嗟に……

 

 

ギュッ!!

 

 

アカネ「…!!」

 

アカネを抱き締めた。そして、自分のことを少し話し始める。

 

直喜「ぼ、僕…昔ね……お父さんと、お母さんから…怒られてばっかり、いたんだ…何をしても怒鳴られて、叩かれたり…蹴られたり……それでね…僕が、泣いてる時……おじいちゃんと、おばあちゃんが…こうやって、抱き締めてくれたんだ……」

 

アカネ「…な、直喜君…」

アカネ(それは知ってるんだよね…あのクズ2人、自分の子どもに暴力振るうとか、ホント最低……)

 

アカネは…直喜の過去を知っている。だが、その理由は…まだ、闇の中に眠っている。

 

アカネ「あっ、もう着いたね♪」

 

直喜「う、うん…ありがとう、アカネちゃん……ま、また……」

 

アカネ「…?」

 

 

直喜「ま、また遊ぼうね!!///」

 

 

直喜は精一杯の大きな声で、アカネに言った。

 

アカネ「うん!また遊ぼう、直喜君♪じゃ、バイバイ♪」

 

アカネは直喜のマンションから去って行き、スキップをしながら自宅へと帰って行った。

 

 

 

アカネ宅前にて……

 

???「……。」

 

銀髪と三白眼、身長133㎝、体重30㎏と小柄な体型が特徴的な少年が、アカネを待っていた。首に長いマフラーを巻き、紫色の炎の模様で彩られた学ランのような服を着ている。

 

アカネ「あっ、『アンチ』くんいたの?」

 

アンチ「…ずっといたぞ?」

 

この少年の名前は『アンチ』…人間の見た目をしているが……

 

アンチ「俺も『怪獣』なのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「うん、怪獣。

 

一緒に朝ごはんを食べてくれる怪獣だよ?




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第14話 乱・入

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


アカネ『さて、じゃあ…暴れて良いよ?』

 

アンチ「俺の目的は、グリッドマンを倒すことだ。言われなくたってそうする。」

 

アカネ『待った。』

 

アンチ「…何だ?」

 

アカネ『彼…直喜君を殺したら、許さないからね?』

 

アンチ「誰だソイツ。」

 

アカネ『優しい人!!私の大好きな人だから!!』

 

アンチ「分かった分かった…」

 

アカネの大声に、アンチはスマホを耳から離すと…雄叫びを上げて、怪獣に変身した。いや、正確には…本来の姿に、戻ったと言った方が良いだろう。

 

転生者 C「…いてて…って、おっ?あれって、アンチじゃね?」

 

アンチが現れ、逃げ惑う人々達とは対照的に…Cだけは、落ち着いていた。

 

転生者 C(確か…アイツがグリッドマンを倒して、アカネがアイツの上で高笑いする……その隙に、アンチを洗脳してアカネを拐うか。)ニヤッ…

 

Cが取り出した注射器の中には…緑と黒のおどろおどろしい色合いをした、得たいの知れない液体が入っていた。そして、暴れまわるアンチの元に…歩いて向かった。

 

 

 

アンチ『出てこい!!グリッドマン!!俺と戦えェ!!』

 

派手に暴れるアンチの前に…グリッドマンが姿を現す。

 

アンチ『やっと来たか…死ねぇ!!』

 

素早い動きでグリッドマンを翻弄しながらと戦うアンチは、身体中にある黄色い発光体から紫色の光弾を発射する。

 

グリッドマン『ぐっ!?ま、マズイ…!!』

 

光弾を受けたグリッドマンは、残りエネルギーが少ないのか…額のランプが点滅をはじめた。

 

直喜「…!!ぐ、グリッドマン…た、助けなきゃ!!」

 

グリッドマンが負けそうになるのを、自宅マンションから見た直喜は、洗面台に向かうと…高速で首を左右に動かしながら、『ピカリブラッシャー』で歯磨きを開始…歯磨きが終わると……

 

 

直喜「よし、シュワッチ!!」ピカアアァァッ!!

 

 

ブラッシャーを天に掲げ…目映く、優しい光へと包まれて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンチ『終わりだ、グリッドマン!!』

 

アンチが光線を放とうとしたその時……

 

 

ゼアス「シェアッ!!」ドゴォッ!!

 

 

ウルトラマンゼアスが現れ、アンチに飛び蹴りを繰り出した。

 

アンチ『どわっ!?』ドドォォオオオオオオオオオッ!!

 

蹴られたアンチは、地面に倒れる。

 

グリッドマン『ッ!?』

裕太(あれって…直喜君の大好きな……!?)

 

ゼアス「ジュアッ!!」ビシッ!!

 

ゼアスは構えを取り、アンチをじっと見つめる。

 

アカネ「あっ、ゼアスだ!!」

 

アレクシス『アカネ君…アンチくんは多分、ゼアスにも容赦しないと思う。どうする?』

 

アカネ「うーん…ま、そうなったらゼアスが攻撃したタイミングで、電流を走らせれば良いよ。ゼアスが勝てば、直喜君も喜ぶと思うし♪」

 

アレクシス『はいはい♪それじゃあ、ゼアスを応援しに行くかい?』

 

アカネ「うん、行ってくる!!」

 

アカネは瞬間移動を繰り出し、アレクシスの前から姿を消した。

 

 

 

アンチ『なんだお前!?グリッドマン討伐を邪魔するつもりか!?』

 

現れたゼアスに文句を言うアンチだが…ゼアスは構えを取ったまま、アンチの動きを見ているようだ。

 

直喜(ねぇゼアス…怪獣の中にも、ああやって喋れる怪獣って居た?)

 

ゼアス(ううん、僕が今まで戦ってきた怪獣は殆ど喋らなかったよ?)

 

直喜(そうなんだ…後、あの怪獣…相手をコピーできる能力があるかも。グリッドマンと全く同じ攻撃が多かったから…強敵かもしれない。)

 

ゼアス(うん、分かった!!)

 

怪獣を知り尽くしている直喜と、戦いができるゼアスは、何気に息がピッタリであった。

 

アンチ『邪魔する奴は、こうだぁ!!』

 

アンチは手の甲に刀のような部位を形成し…ゼアスに襲い掛かって来る。

 

ゼアス「ッ!?」サッ!

 

間一髪でアンチの攻撃を避けたゼアスは、反撃の機会をうかがう。

 

アンチ『オラァッ!!』ブゥンッ!!

 

ガシッ!

 

ゼアス「デヤアアァァッ!!」ブォンッ!!

 

アンチが振り下ろしてきた腕を掴んだゼアスは、背負い投げでアンチを投げ飛ばした。

 

直喜(ウルトラマンの技を見てきて良かった~……)

 

ゼアス(流石直喜君、よく投げ飛ばせたね。)

 

それは、直喜が予めウルトラマンを見てきて…戦い方を見よう見まねで披露したのだ。

 

アカネ「よっと…」スタッ…

 

アカネは高層ビルの屋上に降り立つと…

 

 

アカネ「ゼアスー!!頑張れー!!

 

 

…と、ゼアスにエールを送った。

 

ゼアス「…!」コクッ

 

ゼアスはアカネに頷き、再び構えを取る。

 

グリッドマン『…ゼアス…?』

裕太(思い出した、ウルトラマンゼアスだ!!)

 

グリッドマン『う、ウルトラマンだって…?この世界に、ウルトラマンはいない筈じゃ……?』

 

裕太と一体化しているグリッドマンは、少し混乱していた。そんな中、ゼアスはアンチを持ち上げると…

 

ゼアス「ッ!!」ブゥンッ!!

 

ウルトラマンが怪獣『ベムラー』を湖に投げ飛ばした時と同じ投げ技で、アンチを投げ飛ばした。

 

アンチ『くそがぁ…邪魔をするなぁ!!』

 

怒ったアンチは、身体中の発光体を光らせ…光弾を発射しようとする。

 

アカネ(アレクシス。)

 

アレクシス(よし。)

 

その時……

 

 

バチバチバチバチッ!!

 

アンチ『ぐわぁぁああああああああ!?』

 

アンチの身体中に、紫色の稲妻が走った。すると…アンチの額のランプが点滅を開始した。

 

直喜(あの怪獣…もしかして、制限時間があるんだ…!!)

 

突然のことに、ゼアスと一体化している直喜は驚いた。

 

アカネ「ゼアス、今だよ!!」

 

アカネの声を聞き、すかさずゼアスは…まるで、何かを大切に抱えるような独特の動作の後に、腕を逆十字型に組み、アンチに赤い光線を放った後……

 

ゼアス「シェアッ!!」ビィィイイイイイイッ!!

 

赤い光線をたどる形で、青い強力な光線を発射した。必殺技『スペシュッシュラ光線』だ。

 

アンチ『ッ!?』

 

ドゴォッ!!ドガァァアアアアアアアアアアアンッ!!

 

アンチ『ぐわああああぁぁぁぁ…!!

 

ゼアスの光線を受けたアンチは、雄叫びと共に大爆発に包まれていった。

 

アレクシス(アカネ君、ゼアスがアンチを倒したよ♪)

 

アレクシスの言葉を聞き、ゼアスが勝ったことを確信したアカネは…

 

アカネ「ィヤッタァァアアアアアアア!!

 

…と、思わず大喜びした。グリッドマンを敗北寸前に追い詰めたアンチは…乱入してきたウルトラマンゼアスにより倒された。

 

グリッドマン『ウルトラマンゼアス…』

 

ゼアス「…。」

直喜(わぁ、グリッドマン…ゼアスよりも身長大きいなぁ……)

 

身長60mのゼアスだが…グリッドマンは身長70mで、ゼアスよりも10m高い。

 

ゼアス「……。」コクッ…

 

ゼアスはグリッドマンにゆっくり頷くと、上空を見上げ……

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

大空へと飛び立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 C「えっ!?う、ウルトラマンゼアス!?」

転生者 C(どういうことだ!?この世界に、なんでウルトラマンが…!?)

 

グリッドマンが負けると思っていたCだったが、この世界にいない筈のゼアスが現れたことに、混乱していた。

 

六花「……。」

六花(うわっ、最悪…折角のいい気分が台無しじゃん……)

 

彼の背後に、六花の姿があった。六花はまるで、何かを大切に抱えるような独特の動作の後に、腕を逆十字型に組み、Cに赤い光線を放った後……

 

六花(スペシュッシュラ光線!!)

 

…その光線をたどる形で、青く光る光線を発射した。それはまさに、ウルトラマンゼアスの必殺技『スペシュッシュラ光線』だった。

 

転生者 C「えっ?はにゃぁぁあああああああああ…!!」

 

ドガァァアアアアアアアアアアアンッ!!

 

Cをぶっ飛ばした六花は、街を歩き出す。そこに…

 

直喜「あれ…六花、ちゃん?」

 

直喜がヒョコッと姿を現した。

 

六花「!!…直喜~♪」

 

六花は嬉しそうに直喜に駆け寄り、彼を抱き締める。

 

直喜「えっ?う、うわぁっ!?」

 

突然抱き締められ、困惑する直喜。

 

六花「会いたかったよ~、直喜ぃ~♪」

 

直喜(り、六花ちゃん…何か、あったのかな……?)汗

 

六花から話をうかがうと…どうやら最近、六花の実家であるリサイクルショップに、黒いスーツ姿の男女4人がやって来て…彼女の家をたまり場にしているようだ。それに困っているみたいなので…直喜は、六花を散歩に誘った所…彼女はあっさり了承し、直喜と散歩を楽しんだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「おっ、あれって…直喜先輩じゃん。」

 

上空に、赤い複眼を光らせる金色の翼竜の姿があった。その竜の背中に、短い三つ編みおさげでタレ目の左側の口元に艶ぼくろがあるのが特徴の少女が、六花と歩く直喜を見下ろしていた。

 

???「身に付けているウルトラマンゼアスのキーホルダーで、すぐに分かったな~…よし、『ゴルドバーン』…あの女に気付かれないよう、尾行するよ?」

 

少女がそう言うと、金色の翼竜『ゴルドバーン』は…六花と直喜に気付かれないように、彼らの尾行を開始した。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第15話 不・穏

OP~OxT『UNION』~♪


直喜と散歩をする六花は、とても楽しそうにしており…笑顔を崩していなかった。

 

六花「直喜はさ、いつもこうやって散歩してるの?」

 

直喜「う、うん…ら、ランニングは…僕にはちょっと、き…厳しくて……」

 

六花「そっか。でもさ、いきなり激しい運動をするのは健康にも良くないし…直喜の判断は正解だと思う。マイペースで行ければ大丈夫だと思うよ?」

 

六花はそう言うと、鼻歌を歌いながら歩く。

 

直喜「……。」

直喜(不思議だなぁ…六花ちゃんといると、何だか…安心するというか…なんというか……)

 

六花と歩く直喜は、不思議と安心感を覚えており…いつものオドオドした様子はあまり見られなかった。

やがて、近くの公園にまでやって来ると…ベンチに座って休憩をする。

 

六花「ッ!?」

 

ふと、上空に気配を感じた六花は…上を向く。しかし、彼女の視線の先には…何もない。

 

直喜「…どうしたの、六花ちゃん?」

 

六花「へっ…あ、ううん、何でもないよ♪」

 

直喜「そ、そう…?」

 

六花の行動を不思議がった直喜…だが、彼女が『何でもない』と言うので、彼女を信じることにした。そもそも、直喜は人を疑うことを知らず…誰に対しても優しく接する心の持ち主である。しかし、騙されやすいところもあるため…六花やアカネを初めとする女性陣は、そんな彼を心配している。

 

六花「あっ、そうだ…」ゴソゴソ…

 

六花は持っているバッグに右手を入れ、何かを取り出す。それは……

 

 

六花「ジャ~ジャジャ~ン♪」

 

 

直喜と同じゲーム機だった。直喜のは赤とグレーの色に対し、六花のは青とグレーであった。

 

直喜「わっ…そ、そのゲーム機…どうしたの?」

 

六花「ふふんっ、お小遣い貯めて買ったんだ~♪直喜と一緒にゲームしたくって♪」

 

直喜「り、六花ちゃん…」

 

六花「今度は私が誘う番だね♪直喜、一緒にゲームやろ♪」

 

直喜「う、うんっ!!」

 

公園のベンチで、直喜と六花は『ウルトラマンFEN』を一緒にプレイする。タッグモードを選択すると、直喜は『ウルトラマンゼアス』、六花は『ウルトラマンヒカリ』を選択した。

 

 

 

転生者 A(おっ、六花がいる…って、神山もいるじゃねぇか!!)

 

通りかかったAが、ベンチに座っている六花と直喜を発見した。

 

転生者 A(成る程…あのゲーム機で洗脳したってのか……なら、あれをぶっ壊してやる!!)

 

Aが公園に入ろうとした時……

 

 

バッ!!

 

 

突如、何かがAの目の前を通過したと思うと……

 

転生者 A「ほわっ!?ほ、ほわぁぁあああああああああああああああ!?」ジタバタ!!

 

どういうわけか、Aの身体が空中に浮かんでいた。

 

 

???「全く…直喜先輩が楽しくゲームしてんのに、邪魔しようとするなんて…ナンセンスっすよ?」

 

 

転生者 A「ッ!?」

 

Aの頭上から声が聞こえたため、上を向くと……、短い三つ編みおさげでタレ目の左側の口元に艶ぼくろがあるのが特徴の少女の逆さまの顔が見えた。さらに、彼女を乗せる翼竜に襟を咥えられていることを理解した。

 

転生者 A「お、お前は…『飛鳥川(あすかがわ) ちせ』!?」

 

ちせ「うわっ、名前呼ばれた…吐きそう。」

 

黄金の翼竜『ゴルドバーン』に乗っている少女の名前は『飛鳥川 ちせ』……【SSSS.DYNAZENON】に登場するキャラだ。だが、ここは【SSSS.GRIDMAN】の世界…この世界にちせがいるのは不自然だ。

 

転生者 A「お、おい!!ここから降ろせ!!」

 

ちせ「いやいや、あんた…何様っすか?人にモノを頼む態度じゃないっすよね?まぁ、降ろしても良いですけど…ここから落ちたら、奈落へ真っ逆さまっすよぉ~♪」ニヤッ…

 

転生者 A「そ、それは止めてくれ!!頼む!!何でも、何でもするから!!」

 

涙目になり、ちせに懇願するA。

 

ちせ「…ん?今何でもするって言いましたよね?」

 

Aの言葉を聞いたちせは、ニヤリと笑う。

 

ゴルドバーン「グルルルッ……」

 

Aを咥えているゴルドバーンは、何だか不服そうな顔をする。

 

ちせ「えっ?コイツマズイの?」

 

ゴルドバーン「グルッ…(うんっ…)」汗

 

転生者 A「待て待て待て待て!!あっ、いや…待ってください!!」

 

ちせ「んもぉ~うるさいっすねぇ…ゴルドバーン、ちょっとコンビニ寄って?」

 

ちせの言葉を聞いたゴルドバーンは、Aを咥えたまま…近くのコンビニへと向かった。

 

 

 

 

六花「あ~面白かった~♪」

 

直喜「そ、そうだね……あっ…も、もうすぐ…お、昼だ……」

 

時刻は午前11:00…もうすぐ昼である。

 

六花「直喜、良かったら送ってくよ?」

 

直喜「だ、大丈夫…ぼ、僕…も、もう少し、だけ……散歩、する……」

 

六花「そう?分かった、何かあったらすぐに連絡してね?絶対駆け付けるから、約束♪」

 

六花はそう言うと、帰って行った。

 

直喜(あっ、お昼ご飯…どうしようかな……『ウルトラヌードル』でも買ってこうかな?)

 

『ウルトラヌードル』とは…ウルトラマンのラッピングが施されたカップヌードルである。お湯を入れた後、3分待てば…極上のラーメンが食べられるのだ。直喜はベンチから立ち上がり、コンビニへと向かおうとした時……

 

 

トンッ…

 

 

直喜「ッ!?」ビクッ!

 

突如、後ろから軽く肘辺りを叩かれた。ビックリして振り向くと……

 

 

ちせ「あっ、すいません…ビックリしました?」

 

 

短い赤い三つ編みおさげの髪型をした少女『飛鳥川 ちせ』の姿があった。彼女は直喜に、悪戯な笑みを浮かべている。

 

ちせ(うわっ!!本物の直喜先輩じゃん!!いやぁどうしようどうしようっ!!取り敢えず連絡先…あぁいや……えぇっと……)

 

心の中でテンパっているちせに、直喜は声をかける。

 

直喜「あ、あの…」

 

ちせ「うひゃあっ!?」ビクッ!

 

今度はちせが盛大にビックリした。

 

直喜「うわっ!?あっ、ご、ごめんなさい…!!」

 

ちせ「あややや、大丈夫っす大丈夫っす!!あっ、そうだ…」ガサガサ…

 

ちせは持っているコンビニ袋から、大量のお菓子や弁当、パン、おにぎり等を取り出す。

 

ちせ「ちょっとお昼、買いすぎちゃいまして…良かったら食べます?」

 

直喜「あっ、いえ…いいです、自分で買ってきます。」

 

直喜はちせの言葉を断ったが……

 

 

キュルルルル~……

 

 

直喜「…あっ。」汗

 

直喜のお腹が鳴ってしまった。正直者の直喜は、思わず顔を真っ赤に染め上げた。

 

ちせ「やっぱお腹減ってたんすね?あっ、私『飛鳥川 ちせ』って言います♪」

 

直喜「ぼ、僕…か、神山 直喜……こ、高校1年生…です……」

 

ちせ「おぉ、私よりも先輩っすね。直喜先輩♪」

 

直喜「せ、先輩だなんて…そんな……」

 

ちせ「それより、お昼食べましょ?あぁ、お金は大丈夫っすよ?知り合いに買って貰ったんで♪」

 

ちせの押しは思ったより強く、結局断れなかった直喜は…彼女に甘えることにした。

 

 

 

 

六花(やっぱり、直喜が心配!!)

 

そこへ…直喜を心配した六花が急ぎ足で公園に戻って来た。

 

六花「ッ!!」

 

そこで、彼女が見たのは……ちせと一緒に昼食を食べる直喜の姿だった。一見、何とも無い様子なのだが……

 

 

ちせ「……。」ニヤッ…

 

 

六花に気付いたちせが、一瞬こっちを見て…まるで、勝ち誇ったような笑みを見せたのだ。それを見た六花のハイライトが消え…スカイブルーの瞳が、どす黒く暗い青色へと変わり果てて行く……

 

六花(直喜に寄り付く悪い虫…

 

直喜に手を出したら…

 

私が、絶対に潰す…!!)




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第16話 激・突

OP~OxT『UNION』~♪


直喜「えっと…ち、ちせ…ちゃん?」

 

ちせ「ん、どうしました?」

 

直喜「あっ、ううん…その……お、お昼…ありがとう……」

 

ちせ「ふふんっ、直喜先輩の力になれて…自分嬉しいっす♪」

 

直喜にお礼を言われたちせは、ニコッと微笑んだ。

 

直喜「ぼ、僕…そろそろ、帰らなくちゃ……ま、またね…!」

 

直喜はそう言うと、ベンチから立ち上がり…自宅マンションへと帰って行った。

 

ちせ「……。」

 

直喜が帰ったことで、ちせの顔から笑顔が無くなっていく。

 

 

 

ちせ「…もう出て来てもいいんじゃないっすか?」

 

ちせがそう言うと、両手に握り拳を作り…眉間にシワを寄せている六花が姿を現した。

 

六花「ねぇ、直喜に何をしたの?

 

ちせ「何もしてないっすよ?ただ、買いすぎたお昼ご飯を分けただけっすけど。」

 

 

六花「ふざけないで?

 

直喜は私が守るの。

 

部外者は引っ込んでてくれる?

 

 

ちせ「部外者とは失礼な…自分も、直喜先輩と会ったことあるんすよ?」

 

ちせは頼んでいないのに、語り始める。

 

 

 

かつてのちせは、所謂…『不登校』であった。理由は…人間関係で悩んでしまい、学校へ行くのが怖くなってしまったのだ。ある日、公園で悩んでいると…

 

直喜『だ、大丈夫…?』

 

声をかけてきたのが、直喜だった。初めは直喜を怪しんだが…不思議と安心感を覚えたちせは、直喜に自分の悩みを打ち明けた。

 

直喜『へぇ、ウルトラ怪獣が好きなんだ…僕も、ウルトラマンもウルトラ怪獣も大好き!おんなじだね!!』

 

この言葉を聞き、次第に直喜に心を許したちせは…直喜との時間が楽しく、次第に学校へ行く意欲も出てきていた。

 

直喜『自分の好きなことがあるのは、幸せなこと…本気でそれが好きなら、その好きを貫けば良いって…僕は思う。』

 

ちせ『ッ!!』

 

直喜のこの言葉に勇気を貰ったちせは、次の日から積極的に学校に行き初め…勉強も運動も頑張った。学校帰りに、直喜と会うのが楽しみになり、よく話をするようになった。だが、楽しい時間は突如、終わりを告げることになる……

 

直喜が死んでしまったのだ……通り魔に襲われ、ナイフで刺されてしまったのだ。直喜の遺体を見たちせは、仲間達と共に…彼の死を悲しんだ。その日以来…直喜がいない世界で、生きている意味が分からなくなり…また、不登校の道へと戻ってしまったのだ。悲しみに暮れる仲間達の前に、1人の謎の人物が現れた。その人物は、『マート』と名乗り…『●●●●を潰してくれたら、願いを1つ叶えてやろう』と彼らに甘い言葉をかけた。夢芽とちせは迷うことなく、マートの言葉に乗り…契約した。初めは、●●●●と戦っても…負けてしまうことが多く、絶望に暮れていた。そんな時、夢芽とちせに不思議なことが起こった。夢芽は…『ゼットン』や『ジャンボキング』、『ガタノゾーア』等…ほぼ全ての『ウルトラ怪獣及び超獣の技』を使えるようになった。対してちせは、『バルタン星人』や『マグマ星人』、『ババルウ星人』等々…ほぼ全ての『敵の宇宙人の技』が使えるようになったのだ。この力を得て以来、夢芽とちせは●●●●を難なく倒せるようになり…どれくらいの年月が経っただろうか……漸く、直喜との再会を果たした。しかし、直喜本人は彼女達を覚えていなかった。それでも、直喜に会えた喜びが大きく…夢芽とちせは次第に元気を取り戻していったのだった。

 

 

 

ちせ「いやぁ、直喜先輩のあの一言が無かったら…自分、路頭に迷ったかもしんないっすねぇ……」

 

六花「直喜は誰にでも優しいんだよ?私が病気でダウンしてたとき、代わりにお店手伝ってくれたり…病院にまで走っていって先生を呼びに行ってくれたんだよ?」

 

ちせ「あんたに直喜先輩の何が分かるんすか?

 

六花「ブーメラン飛んでるよ?そういう君だって、直喜の何を知ってるっていうの?

 

六花の言葉に怒ったちせは、『サーベル暴君』との異名を持つマグマ星人の自慢の武器『マグマサーベル』を装着する。

 

ちせ「死ねぇ!!

 

ちせは荒い口調になり、マグマサーベルを振るって襲い掛かって来る。六花は攻撃を難なくかわし続け…

 

六花「はぁっ!!」ドゴォッ!!

 

『ウルトラマンレオ』の必殺技『レオキック』でちせを蹴飛ばした。

 

ちせ「かはっ…!?」

 

六花に蹴られたちせは、大きく吹き飛ばされ…木々を薙ぎ倒し、地面に倒れた。

 

六花「ふんっ…口ほどにも無いね?」

 

六花が背を向けたその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュンッ!!パシィッ!!

 

六花「ッ!?」

 

六花の首に、青い光を放つ鞭が巻き付いた。

 

ちせ「これ、『テンペラー星人』のビームウィップっす♪相手を締め上げることだけじゃなくてぇ~…これにも使えるんすよ♪」

 

ちせがそう言うと、電磁鞭から高圧の電気が流れた。

 

バリバリバリバリッ!!

 

六花「がああぁぁ…かはっ!!」

 

ちせの電磁鞭で首を締められ、電気を流された六花は…ボロボロになり、地面に膝をつく。ちせは六花の首から鞭を離すことなく、まだまだ高圧電気を流す。

 

六花「ぐっ…うぅっ!!」

 

ちせ「この勝負、貰ったっすね♪」

 

勝ち誇った顔を見せるちせは、自分の元に六花を無理矢理引き寄せた。しかし……六花は腕を自分の身体の前で交差させると……

 

六花「ッ!!…はぁっ!!」バチィッ!バチィッ!

 

身体から凄まじい電流を発生させた。これは、『帰ってきたウルトラマン』が怪獣『ツインテール』に使用した技『ボディスパーク』だ。

 

ちせ「ッ!?」

 

身体が痺れたちせに、六花は光線を撃ち込んだ。腕をL字型に組んで発射したのは、『シネラマショット』である。

 

ちせ「ッ!?」ブゥンッ!!

 

ちせは咄嗟に『光波バリアー』を張り、六花が放った光線を防いだ。

 

六花「そのバリア…消してあげる。」

 

六花は右手を突き出し、『初代ウルトラマン』が使う技『ウルトラアイスポット』を発射した。本来、ウルトラマンの眼から発射される光線なのだが…六花の場合、右手及び左手から発射するのだ。

 

ちせ「ちぃっ!!」

 

ちせは『ダダ』が使用した武器『ミクロ化機』を取り出し…そこから光線を発射した。六花は瞬時に『リバウンド光線』を張り、ちせの光線を難なく防ぐ。

 

ちせ「ゼェ…ゼェ……」

 

六花「ハァッ…ハァッ……もう、終わり…?」

 

互いにエネルギーを使い、活動の限界が迫りつつある。

 

ちせ「…くぅ…ウルトラマンの技、強すぎっすよ……」

 

六花「な、直喜は…ウルトラマンが、大好きなの…だから、負けるわけには…行かないんだよ……!!」

 

ちせ「…今日の、ところは…見逃すっす……次は、容赦しませんから…!」

 

ちせはテレポートで瞬時に姿を消した。

 

六花(…逃げられちゃったか…)

 

突如現れたちせと勝負した六花だが…思った以上に厄介で、苦戦もした。●●●●退治では、かつては苦戦を強いられたものの…力を身に付けたことで、いかなる●●●●を圧倒してきた。

 

六花(あ~あ、髪もボサボサだし服もボロボロ…早くシャワー浴びたい…)

 

そう思った六花は、テレポーテーションで自宅まで瞬間移動した。

 

アカネ「……。」

アカネ(あの六花が追い詰められるなんてねぇ…ま、初めて戦う相手だから仕方ないかもしれないけど……)

 

六花とちせの戦いを、こっそり見守っていたアカネは…作戦を練るのと同時に、新たな怪獣を作り出すことを決めたのだった。




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第17話 友・達

OP~OxT『UNION』~♪


アンチ「……。」

 

グリッドマンを敗北寸前へと追い詰めたアンチは…突如乱入してきたウルトラマンゼアスに敗れ、途方に暮れていた。

 

アンチ(あの巨人、一体何者だ…?)

 

アンチはウルトラマンゼアスのことを知らず…『あの巨人』と言っていた。

 

直喜「……?」

 

そんな彼の元に、直喜がやって来る。

 

直喜「…だ、大丈夫…?」

 

アンチ「…?」

アンチ(何だコイツ…如何にも、弱そうな奴じゃねぇか……)

 

アンチは直喜を睨み付けたが…何故か、直喜はアンチに怯まず……ゲーム機を取り出す。そして……

 

直喜「ねぇ、良かったらさ…一緒に遊ぼうよ♪」

 

…と、アンチに声をかけた。だが、アンチは静かに首を横に振って、直喜の声掛けに拒否した。

 

直喜「…そ、それじゃあ…僕…また、ここに来るね?つ、次は…一緒に、遊ぼうね。」

 

直喜はそう言うと、自宅マンションへと帰っていった。

 

アンチ「……。」

アンチ(おいおい、アイツ…怪獣である俺に声をかけて来たぞ……そーいや、名前聞き忘れた……明日も、ここに来るって言ってたな……)

 

直喜の言葉を覚えたアンチは…次の日もこの公園に来ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日……

 

アンチ「……。」

アンチ(アイツ、遅ぇな……)

 

アンチは朝からここに来ており、直喜を待っていた。直喜がやって来たのは、夕方頃だった。

 

直喜「あっ、君…!!」

 

直喜は慌てた様子でこちらへ走って来る。

 

直喜「も、もしかして……ず、ずっと…ま、待ってて…くれた、の…?」ゼェゼェ…

 

アンチ「……。」コクッ…

 

直喜「ご、ごめんね…きょ、今日……が、学校があって…!!」

 

アンチは、直喜が遅れてきたことを…別に怒っていなかった。ただ、直喜が本当にここに来たことにビックリしていたのだ。

 

アンチ「おい、お前…名前は?」

 

直喜「…へっ?な、名前…?」

 

アンチ「あぁ…俺『アンチ』……」

 

直喜「ぼ、僕は…か、神山 直喜……」

 

アンチ「かみやま…なおき……名前が2つあるのか?」

 

直喜「ううん、そうじゃなくて…直喜が名前で、神山は僕の名字だよ。」

 

アンチ「…そうか。」

 

直喜の言葉に納得したアンチは、彼に問いかける。

 

 

アンチ「お前は、何故俺に声を掛けた?」

 

 

直喜「…どういうこと?」

 

アンチの問い掛けに、思わず…質問で返してしまう直喜。

 

アンチ「大抵の奴は、俺を見ただけで…遠ざかって行く。だが…お前だけは違った。すぐに俺に近付いて来て、声を掛けてきた…何故俺に声を掛けてきたのか、理由を聞いてるんだ。」

 

直喜「……。」

直喜(アンチ君…もしかして、1人ぼっちで……寂しいのかな?…だったら、僕が…!!)

 

アンチの問い掛けに、直喜はこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「僕、アンチ君と…と、友達に…なりたいから……」

 

アンチ「…は?」汗

 

直喜の言葉に困惑するアンチ。

 

直喜「り、理由なんて…無い、よ…けど、僕……君と、仲良くなりたいって…思ったから……こ、声を…掛けたんだ……」

 

緊張しながらも、アンチに自分の思いを告げた直喜。

 

アンチ「…プッ……クククク……」

 

それを聞いたアンチは、堪えきれず…大笑いした。

 

直喜「…えっ?ぼ、僕…へ、変なこと…言った、かな…?」汗

 

アンチ「あぁ、お前…変な奴だ。けど…悪い奴ではない。こんなに笑ったのは、初めてだ……」

 

いつの間にか、アンチは真顔から笑顔になっていた。

 

アンチ「俺、お前と友達になる!」

 

それを聞いた直喜も、笑顔を見せた。

 

直喜「ありがとう、アンチ君!!」

 

アンチ「こんなことでお礼を言うな。お前、本当に変わり者だな?」

 

直喜「直喜。」

 

アンチ「…えっ?」

 

直喜「お前じゃなくて、神山 直喜。」

 

アンチ「あ、あぁ…“直喜”。」

 

怪獣であるアンチは、人間である直喜に心を開いた。直喜の持ち前の優しさが、彼の心を動かしたのだった。こくして、友達になった直喜とアンチは…直喜が持ってきたゲーム機で遊ぶことに。

 

アンチ「これ、どうやって使うんだ?」

 

直喜「これはね…」

 

アンチ「へぇ、直喜の説明は分かりやすい。」

 

アンチと一緒に『ウルトラマンFEN』を遊ぶ直喜は、楽しそうにしていた。直喜は勿論『ウルトラマンゼアス』を選択し、アンチは『ウルトラマンベリアル』を選択した。ゼアスとベリアルがタッグで地球を守るのは…シュールである(汗)。

 

アンチ(この巨人…ウルトラマンゼアスって言うのか……結構強かった……)

 

ゼアスを操作する直喜は、怪獣の攻撃をモノともせず…終始圧倒している。

 

気が付くと、もう日が暮れて…夜になっていた。

 

直喜「あっ、もうこんな時間か……夢中になっちゃったね。」

 

アンチ「直喜…家まで送ってく。」

 

直喜「えっ、良いの?」

 

アンチ「あぁ…友達だからな?」

 

直喜はアンチの言葉に甘え、彼に自宅マンションまで送って貰うことにした。

直喜の近くを歩くアンチは…まるで、番犬のように目を爛々と光らせ…身構えている。

 

直喜「え、えっと…アンチ君……そんなに、身構えなくても…」

 

アンチ「いや…直喜、もしかしたら…お前の命を狙ってる輩がいるかも知れない?」

アンチ(直喜…お前は、生まれて初めてできた友達…だから、俺は直喜を守る。)

 

直喜「そ、それはちょっと…考え過ぎな気が……」汗

 

困惑する直喜の護衛を、アンチは真剣な眼差しで実行していた。だが、アンチの嫌な予感は的中する。

 

転生者 B「見つけたぜぇ、神山ァ…!!」

 

直喜「へっ!?あっ、B先輩…?」

 

アンチ「ッ!?」ザッ!

 

そこに、Bが現れた。咄嗟に直喜の前に立ち、構えを取るアンチ。

 

転生者 B「お前…アンチだっけ?そこを退け…」

 

アンチ「断る。お前、直喜をどうするつもりだ?」

 

転生者 B「そんな事、知ってどうする?」

 

アンチ「俺は直喜の友達…俺、友達、守る。」

 

段々悪人面になっていくBを見て、アンチは警戒心を強める。

 

転生者 B「ヒヒッ…怪獣じゃねぇお前に何が守れる?俺はそこにいるグズをぶっ殺して…アカネと六花、なみことはっすを嫁にするんだよ。

 

Bは勝ち誇った顔をしながら、鉈を取り出す。

 

直喜「な、鉈…!?」ガタガタガタガタ…

 

あまりの恐怖に、直喜は身体中を振るわせる。そんな彼に…アンチが声をかける。

 

 

アンチ「直喜、俺に任せろ…お前を守る。」

 

 

直喜「…へっ?」

 

アンチの表情を見てみると、真剣な眼差しで…迷いが無いようにも見える。

 

アンチ「確かに俺は怪獣だ…けど、直喜はこんな得たいの知れない俺に声を掛けてくれた……生まれて初めてできた友達…!…だから……」

 

アンチはBに大声あげた。

 

 

アンチ「俺の大切な友達を!!

 

絶対に!!

 

失ってたまるかァァアアアアアア!!

 

 

アンチは高速で、Bの懐に潜り込むと…

 

アンチ「どぉりゃぁぁあああああ!!」ボゴォッ!!

 

転生者 B「んぶっ!?」

 

Bの腹を思い切り殴り、鉈を蹴飛ばした。

 

 

転生者 C「死ねぇ神山ァ!!」

 

 

直喜「えっ!?」

 

その時、電柱に隠れていたCが現れ…直喜にノコギリを振り下ろしてきた。

 

アンチ「直喜!!」ダァンッ!!

 

アンチは地面を蹴ると、Cに飛び蹴りを浴びせ…コンクリートの壁に叩き付けた。

 

転生者 C「があっ!!おっ、お前…は……アン、チ…!!」

 

BとCが戦闘不能になった時……

 

 

転生者 A「そこを退けぇぇええええええ!!」

 

 

斧を持ったAが、直喜目掛けて突っ込んできた。

 

アンチ「ッ!!」

 

アンチは直喜の前に立ち…

 

 

アンチ「俺の友達に!!

 

手を出すなァァアアアア!!

 

 

ドッゴォォオオオオオオオオオッ!!

 

 

襲い掛かって来たAの顔面に右ストレートを放ち、遠くまで吹っ飛ばした。

 

直喜「…!!」

直喜(す、スゴい…アンチ君、カッコイイ!!)

 

アンチ「直喜!!ケガは無いか!?」

 

3人の転生者を返り討ちにしたアンチは、直喜の元に駆け寄り怪我の有無を確認する。

 

直喜「ぼ、僕は…へ、平気…あ、アンチ君は…?」

 

アンチ「大丈夫だ!!」ニッ!

 

アンチはニッと笑い、直喜に元気であることをアピールした。だが、すぐに暗い顔をしてしまう……

 

アンチ「転生者 B(アイツ)が言ってた通り…俺は怪獣だ……いずれは、直喜にも話そうと思ってたんだが…」

 

気まずそうに言うアンチだが……

 

 

直喜「それでも!アンチ君は僕の、大切な…大切な…友達だよ!!今更君が何であろうと関係ない!!アンチ君は…アンチ君は、弱虫な僕の…友達になってくれた……僕を、こんな弱っちい僕を…守ってくれた!!僕は、アンチ君と…友達でいたいよ!!」

 

 

アンチ「ッ!!」

 

直喜の顔を見ると、直喜は大粒の涙を流していた。学校に中々行けなかった直喜は、友達がいなかった…学校に来ても、『汚い』とか『臭い』とか悪口を散々言われ続け…いじめられていた。友達だと思っていた人からも、何度も裏切られて来た。それでも、とあるウルトラマンの…

 

『優しさを失わないでくれ』

 

…と、言う言葉をバネに…どんな人に対しても差別することなく、優しく接してきた。彼を雑巾に例えるとするなら……表にも裏にも、どこにも汚れが無い…真っ白で綺麗なモノだ。

 

アンチ「…。」ツー…

 

気が付くと、アンチの目からは…1筋の涙が、流れていた。人間の優しさに触れ…嬉しかったのだ。アンチは直喜に…何度も何度も「ありがとう!ありがとう!」とお礼を言い…大粒の涙を流していた。

 

 

 

アンチ「悪かった、直喜…お前に、泣き顔見せちまって……」

 

直喜「ううん、気にしないでよ。泣きたい時には、泣いたって良いんだからさ。」

 

アンチ「直喜…お前は面白い奴だ。」

 

すっかり元気を取り戻したアンチは、直喜を自宅マンションに無事に送り届けることができた。

 

直喜「アンチ君、今日はありがとう!また遊ぼうね♪」

 

アンチ「あぁ!!」

 

アンチは空中に飛び上がり、夜の闇に消えていった。この日、新しい友達ができたことを…直喜は嬉しく思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「おっ、アンチくんお帰り…って、どうしたの?」

 

アンチ「初めての友達ができた。」

 

アカネ「ほえ~そうなの?誰?」

 

アンチ「神山 直喜…俺の友達だ。」

 

アンチの言葉を聞いたアカネは「えぇ~!?」と、声を上げて驚いた。

 

アンチ「そういや、お前…直喜のこといつも話してたよな?」

 

アカネ「直喜君と!?何して遊んだの!?どこで会ったの!?ねぇ!?ねぇってば!!」

 

アンチ「お、おい…!」汗

 

アレクシス『いやはや、怪獣とも友達になっちゃうなんて……私も会ってみたいよ、直喜君に。』




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第18話 訪・問

OP~OxT『UNION』~♪


アカネ「ねぇアンチくん?」

 

アンチ「…?」

 

ある日の休日…アカネ宅にて……アカネの部屋は、いくつもの棚が置いてあり、怪獣のフィギュア達がズラリと並んでいる。それと、部屋の所々にはゴミ袋が散乱しており…もはやゴミ屋敷と化していた。

 

アカネ「直喜君と友達なんだよね?」

 

アンチ「…それがどうした?」

 

アカネ「ここに呼んでよ?」

 

アンチ「いや、お前…」

 

アカネ「何、私が造った怪獣の癖に…ご主人様の言うことが聞けないって言うの?」

 

アンチ「違う…この部屋、どうにかしたらどうだ?」汗

 

流石のアンチも、ゴミ袋だらけの部屋に直喜を招くのはどうかと思ったのだ。

 

アカネ「大丈夫だよ~、直喜君は優しいんだからさぁ♪」

 

アンチ「……。」汗

 

アレクシス『アカネ君もこう言ってるんだ。連れてきてくれるかい?』

 

アンチ「…わかった。」

 

アンチは部屋から出ると、直喜の元に向かった。

 

 

アカネ「ウヒヒヒ~♪直喜君が来るよ、アレクシスゥ~♪」

 

アレクシス『楽しみだねアカネ君。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃…とあるマンションにて……

 

直喜「……。」スヤスヤ…

 

直喜がベッドに潜って、気持ち良さそうに眠っていた。そんな時……

 

 

ゴンゴンゴンッ!!

 

 

直喜「ッ!?」バサァッ!!

 

窓を叩く音が聞こえたため、慌てて飛び起きる。

 

直喜(あれっ?ここって、3階だよね…人がいるってあり得ないような……)

 

直喜はそう思い、ベランダを見ると……

 

 

アンチ「直喜!!」

 

 

そこには、アンチの姿があり…窓をゴンゴンッと叩いている。

 

直喜「へっ!?あ、アンチ君…!?」

 

直喜は慌てて鍵を開け、ベランダに顔を出す。

 

直喜「どうしたのアンチ君!?というか、何でベランダに!?」

 

アンチ「ちょっと来い。」

 

直喜「へっ!?あっ、ちょっとうわぁっ!?」

 

アンチは直喜をおぶると、そのままベランダからジャンプし…家の屋根から屋根へと飛び渡る。

 

直喜「ちょっと、どこ行くの!?」

 

アンチ「着いてから話す。」

 

直喜「えぇっ!?」

 

戸惑う直喜だが…そんな彼をお構い無しに、アンチが向かったのは……

 

 

 

スタッ…

 

アンチ「ここだ。」

 

直喜「えっ?あ、アパート?」汗

 

何の変哲もないアパートだった。すると、アパート2階にあるドアの1つがガチャッと開き…

 

 

アカネ「直喜君いらっしゃぁぁああああい!!」ガバァッ!!

 

 

アカネが直喜に向かって飛び付いて来た。

 

直喜「う、うわぁっ!?」

 

アカネ「スゥ~ッ、ハァ~…スゥ~ッ、ハァ~♪んふふふ、スッゴく良い♪直喜君のこの匂い、好き♪」

 

直喜「う…ど、どうも……」汗

 

直喜に抱き付いたアカネは、直喜の匂いを堪能し始めた。

 

アカネ(何だろう…ベビーパウダーのようなほんのり優しくて甘い香り……直喜君の香りだぁ~♪)

 

アンチ「おい、直喜が苦しそうだぞ?」

 

アカネ「あぁごめんね直喜君!!直喜君の匂いをスーハースーハーしたかったんだ…じゃなくて!!何か久しぶりに会った気がして、つい飛び付いちゃった♪」テヘッ♪

 

直喜「あっ、ううん…だ、大丈夫……」

 

アンチ(言い直しても遅いぞ?)汗

 

アカネの言葉にアンチは呆れ、謝罪するアカネを許した直喜。

 

アカネ「…?」

アカネ(誰かに見られてるね…多分、アイツだよね?)

 

茂みから人の気配を感じたアカネは、その茂みをジッと見つめる。

 

直喜「…あ、アカネちゃん…?」

 

アカネ「なぁに直喜君♪」

 

直喜に話しかけられた直後、すぐに機嫌が良くなり…彼に笑顔を見せる。

 

アカネ「あっ、それより上がって上がって♪ちょっと散らかってるけど…」

 

そして、直喜をアパートへ招き…自分の部屋へと招待した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガサッ…

 

夢芽「直喜があのゴミ屋敷に……ゼットンのテレポート使っても、中にいる2人にバレるし…どうしよっかな?」

 

直喜が部屋に入ったのを確認した夢芽は…直喜を連れ出す方法を練ったが、中にはアカネだけじゃなく…アンチとアレクシスもいる。そんな中、アカネの部屋に侵入すれば…自分の存在がバレてしまう。結局、方法が見つからず…もう少し見張ることにした。

 

 

 

直喜「…えっ、えっとぉ……」

 

アカネ「ねぇねぇ直喜君♪これ見て!!私の怪獣コレクション!!スゴいでしょ!?」

 

直喜「う、うん…そう、だね……」汗

直喜(あれ?女の子の部屋って、もっとこう……ファンシーなイメージがあったんだけど……)

 

アカネの怪獣フィギュア達よりも…大量のゴミ袋の方が、直喜は気になって仕方がなかった。

 

アレクシス『アカネ君…直喜君が困惑しているっぽいけど?』

 

直喜「へっ!?うわぁっ、だ…ど、どちら様…ですか?」

 

モニターに映ったアレクシスに名前を尋ねる直喜。

 

アレクシス『あぁ、初めましてだね?私は『アレクシス』…まぁ、アカネ君の相棒的な感じだと思ってくれて構わないよ。』

 

直喜「あっ…は、初め…まして……か、神山…直喜…で、です……」

 

アレクシス『へぇ、君が!!直喜君のこと、アカネ君からよく聞いてるよ。優しそうだね~?』

 

アカネ「アレクシス、あんまり直喜君と話してると…怒るよ?」

 

アレクシス『良いじゃないか、私だって直喜君と話をして見たかったんだから。』

 

直喜と話をするアレクシスに嫉妬したアカネは、アレクシスに文句をぶつける。

 

直喜「そ、それより…ここ、片付けない……?」

 

アカネ「…えっ?」

 

直喜「あ、アカネちゃん…せ、折角…綺麗、なのに……もったいないよ…ぼ、僕も…て、手伝うから……一緒に、やろう……」

 

アカネ「うん!やる!!」

アカネ(不意打ちは反則だよぉ、直喜く~ん♪)

 

アカネは直喜の言葉を受け入れると…急にスイッチが入ったように片付けを開始した。

 

 

 

そして、ゴミ置き場に直喜と手を繋いで歩いていく。

 

 

アカネ「お~て~て~♪つ~ないで~♪の~み~ち~を~ゆ~け~ば~♪み~んな~♪か~わ~いい~♪こ~とり~に~なって~♪う~た~を~う~た~え~ば♪く~つ~が~~鳴る~~♪は~れ~た~み~そ~ら~に♪く~つ~が~~鳴る~♪」

 

 

直喜と手を繋ぎながら歩くアカネは、思わず童謡を歌い…嬉しそうな顔をしていた。

 

直喜(童謡かぁ…ウルトラマン関連の歌しか聞かないから、あんましわかんないや……でも、アカネちゃん…楽しそうにしてるね。)

 

ゴミ置き場にゴミ袋を置き、アパートに戻り…またゴミ置き場にゴミ袋を持ってきては戻ってを繰り返し…終わったのは、午後2:00頃だった。

 

直喜「き、綺麗に…なったね……」

 

アカネ「ありがとう直喜君♪」ムギュ~!!

 

直喜「く、苦しい……」

 

直喜がそう言うと、アカネは慌てて直喜から離れた。

 

アカネ「ちょっとコンビニ行ってくる、何か欲しいのある?」

 

直喜「ほ、欲しいもの……うーん…そうだ…さ、サイダーが…欲しい、かな……?」

 

アカネ「サイダー?分かった、じゃあ買ってくるね♪」

 

アカネはそう言うと、部屋から退室し…コンビニへと向かった。その間、アンチやアレクシスが直喜の話し相手になった。

 

 

 

 

アカネ「~♪」

 

鼻唄を歌いながら歩き、ご機嫌なアカネだが……人が誰もいない広場にやって来て、そこで足を止めた。

 

アカネ「もう出てきても良いんじゃない?

 

アカネがそう言うと、彼女の背後に…夢芽が姿を現した。

 

夢芽「ちょっと…直喜をゴミ屋敷に入れるなんて、何を考えてるの?」

 

 

アカネ「君には関係ないでしょ?

 

後、何で直喜君を知ってるの?

 

 

アカネの問い掛けに、夢芽は長々と語り始める。

 

 

 

彼女と直喜は、フジヨキ台高校に直喜が転校してきた時に出会った。夢芽は自分のことを「どうかしてるんだよ」と言い…適当な男子生徒を「自分の話を聞いてくれる気がした」と称して、どこかに呼び出してはそのままバックレるという行為を日常的に繰り返しており、「嘘をつくのが体質になっている」とまで評され、クラスの女子にも知られている。実際それで人を怒らせることも少なくない。そのターゲットになった直喜は…彼女が来てくれることをずっと信じ、夜になっても待ち続けていたのだが……寒い夜の中、ずっと外にいたため…肺炎を発症してしまい、救急車で病院へと運ばれた。それを知った夢芽は、直喜の元に真っ先に足を運び…涙ながらに彼に謝罪を繰り返した。その時…

 

直喜「泣かないで?君は、笑ってる顔が素敵なんだから…後、やっと来てくれたんだね。僕はずっと、君が来てくれるって信じてたんだ。」

 

あんなに酷いことをしたにも関わらず…自分を許した直喜を見て、夢芽はもう…約束をすっぽかすことを止めた。それ以来、彼女は少しずつ周囲から信頼を取り戻して行き…友達も増えるようになってきた。

 

夢芽(私が変われたのは、直喜のおかげ…今度、お礼をしなきゃ♪)

 

しかし……そう思った矢先、直喜が通り魔に襲われて命を落としたニュースが舞い込んで来たのだ。初めは「そんな筈無い」と否定していた夢芽だったが…彼の遺体を目にした途端……何もかもが真っ白になった。漸く直喜が死んだことを理解した瞬間…声を上げて泣く程、彼の死を悲しんだ。悲しみに暮れる中、『マート』と呼ばれる女神と契約し…●●●●を倒し続け、漸く直喜と出会うことができたのだった。

 

 

 

夢芽「直喜は私のヒーロー…変わり者の私を受け入れてくれて……私が犯した過ちを、許してくれた……」

 

そう言いながら、1筋の涙を流す夢芽だが……

 

 

アカネ「直喜君を病院送りにした?

 

貴様ァ、何してくれたんだぁ!!

 

 

彼女の話を聞いたアカネは激昂し、右手から『カオスウルトラマン』の必殺技の1つ『ダークブレット』を発射…更に、左手からもう1度発射し、右左交互の手を突き出しながら連続で放つ。

 

夢芽「ふっ…!」ブゥンッ!!

 

夢芽は自分の周囲にバリアーを張り、アカネの光線を防いだ。

 

アカネ「ヴァァアアアアアアアア!!」

 

怒って攻撃的になったアカネは発狂しながら、『ウルトラマンコスモス』の『ネイバスター光線』のコピー技『ダーキングショット』を放った。彼女がこの光線を放った時、とうとう夢芽のバリアーが破壊され…光線が夢芽に命中した。

 

夢芽「ッ!?」

 

このチャンスを逃さないアカネは、『ダークブレット』を連続で放ち続け、夢芽を追い詰めて行く。そして、怯んだ夢芽目掛けて、必殺技『インベーディングウェーブ』を発射した。これは、カオスウルトラマンがウルトラマンコスモスの必殺技をコピーした技である。

 

夢芽「ッ!!」

 

 

ドゴォッ!!ドガァァアアアアアアアアアアアンッ!!

 

 

夢芽は爆発へと包まれていった。一見、夢芽を倒したと思われたが……

 

アカネ「…逃げられた。

 

爆発によって発生した砂埃が晴れた時、そこに夢芽の姿はなかった。どうやら、逃げられてしまったようだ。

 

アカネ「…ちっ。」

 

相手を取り逃がしたことで、不機嫌になったアカネは…思わず舌打ちをした。そして、近くのコンビニに入り…買い物を済ませた。

 

 

 

直喜「へぇ、アレクシスさんは不死身なんだ。」

 

アレクシス『そうさ!ウルトラマンと同じ、不死身なんだよ?』

 

アレクシスとすっかり打ち解けられた直喜は、アレクシスとも友達になっていた。そこに…

 

アカネ「直喜君ただいま~♪」

 

アカネが帰って来て、直喜に飛び付いた。

 

アカネ「はいこれ♪直喜君が欲しかったサイダーだよ♪」

 

直喜「わぁ~♪ウルトラサイダーだぁ~♪」

 

アカネが買ってきたのは、直喜の大好きな『ウルトラサイダー』だった。直喜はサイダーを開けると、早速飲み始める。

 

アカネ「……。」

アカネ(可愛いなぁ~…♪)

 

喜んでサイダーを飲む直喜を見守るアカネ。

 

直喜「~♪…ハッ!?あっ、ごめんねアカネちゃん!僕だけサイダー飲んじゃって…」

 

アカネ「謝らなくて良いよ、直喜君の為に見つけて来たんだからさ♪」

 

直喜「そ、そう…?」

 

その後、アカネとアンチと一緒におやつを食べた直喜は…洗面所を借りて、歯磨きをした。彼はおやつを含む食後には、必ず歯を磨くようにしているのだ。

 

直喜「お菓子とサイダーご馳走さま。アカネちゃん、これからは部屋を綺麗にしてね?後、食後には歯磨き…忘れないでね?」

 

アカネ「はいっ♪」

 

アンチ「直喜、送ってくぞ。」

 

アカネ「直喜君、またね♪」

 

アンチと共に、自宅マンションに帰っていく直喜を…アカネは彼の姿が見えなくなるまで見送った。

 

直喜を見送った後、すぐに怪獣造りに取りかかるアカネ。

 

アレクシス『おっ、今日も作業が早いね?』

 

アカネ「直喜君を病院送りにしたクソ野郎がいたんだ…ソイツ、絶対に殺す…!!

 

そして…アカネが完成させた怪獣はこれだ。

 

アカネ「よし、『一角超獣 バキシム』…直喜君を病院送りにしたあの女を消して!!」

 

アカネがそう言った直後、アレクシスがバキシムのフィギュアに命を吹き込み…巨大化させた。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第19話 超・獣

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


ビシッ…ビシッ…バリィィイイイイイインッ!!

 

 

突然夜の空が切り裂かれ……そこから1体の巨大生物が降りてきた。

 

???「グォォオオオオォォオオオオオオッ!!

 

ドクンッ…ドクンッ……

 

まず目を引くのは、青とオレンジの強烈なコントラストの体色。更に…造形的にも対照的で、首から腹部、四肢にかけての青い部分は蛇腹状になっていて、『芋虫』の面影を感じさせ、頭部から背中、尻尾にかけてのオレンジの部分は、鉱物や結晶を思わせる鋭角的なシルエットとなっている。それは、鼓動の音が鳴ると…点滅をする。柔らかそうな青い部分と、硬質なオレンジの部分から、生物的な印象と非生物的な印象を同時に受け、『地球生物と宇宙生物の合成獣』という成り立ちも一目でわかる。手も攻撃に特化したような奇妙な形で、生体兵器として生み出された超獣にふさわしい姿とも言える。

 

 

一角超獣『バキシム』

 

 

突如空を切り裂いて現れる『宇宙生物』と『芋虫』の合体超獣…【ウルトラマンエース】に登場し、少年の姿になっては、超獣攻撃隊『TAC(タック)』を欺き…基地を破壊しようとした。鼻や両手から発射するロケット弾の破壊力は凄まじく…たちまち辺りを、焼け野原にしてしまう程だ。しかし、このバキシムは…不完全な箇所があり、頭部の一角も、継ぎ接ぎされたような後が見られる。更に、両手のトゲも…針金状である。

 

バキシム「グォォオオオオォォオオオオオオッ!!」

 

バキシムは雄叫びを上げ、夜の街中を暴れまわる。

 

直喜「えっ!?あれって、一角超獣バキシム!?」

 

アンチ「何?」

 

その時…暴れまわるバキシムの前にエメラルドグリーンの光が現れたかと思うと、グリッドマンが姿を現した。

 

アンチ(あれは、グリッドマン!!)

 

グリッドマンを見たアンチは、突如姿を消し…夜の街に消えていった。

 

直喜「あっ、アンチ君!!」

直喜(もしかして…人々を助けに……だ、だったら…!!)

 

直喜は『ピカリブラッシャー』を取り出し…口内環境をキレイにする。そして、ブラッシャーを天に掲げ…目映い光へと包まれていった。

 

 

 

グリッドマン『裕太、あの怪獣…今までの怪獣とは、違う!!』

裕太(うん!!でも、倒さないことには代わり無いよ!!)

 

グリッドマンがバキシムと睨み合う中…グリッドマンの右隣に、赤い光がゆっくりと降りてきて……

 

ピカァァアアアアアアアアアアアッ!!

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

その光の中から、ウルトラマンゼアスが姿を現した。

 

裕太(ウルトラマンゼアス!!)

グリッドマン『ゼアス、来てくれてありがとう!!』

 

グリッドマンの感謝に、ゼアスは「えへへ…」と照れる仕草を見せたが…

 

ゼアス「ッ!?」ハッ!?

 

すぐに切り替え、バキシムの方へ向きを変えると…構えを取った。

 

 

 

アンチ(あれは、ウルトラマンゼアス…!?まぁ良い、俺の相手はグリッドマンだ…今日こそ、お前を倒す!!)

 

アンチは雄叫びを上げ、本来の姿になった。

 

 

 

直喜(あれは、あの時の喋る怪獣!!)

 

バキシムとアンチ・怪獣態を交互に見るゼアス。

 

グリッドマン『ゼアス、あの怪獣は私に任せてくれ!!』

 

グリッドマンはそう言うと、『グリッドマンキャリバー』を装備し…アンチと激突する。

 

直喜(よぉし…来い、バキシム!!)

ゼアス「ジュアッ!!」

 

ゼアスはバキシム目掛けて走っていき…肉弾戦を挑む。

 

ゼアス「デヤッ!!ジュアッ!!」ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

バキシム「グオッ!?」

 

ゼアスは気弱な性格であるものの、天才的な才能が花開く時…真の力を発揮する。

 

アカネ「あっ、ゼアスだ!!」

 

ドローンからバキシムを見守っているアカネは、思わず外に出る。見ると…ウルトラマンゼアスとグリッドマンが、2大怪獣と戦っている様子が見られる。

 

アレクシス『アカネ君、『クリエイトバキシム』…どうするかい?』

 

アカネ「ゼアスにだったら、負けちゃっても良いかな~?そうすれば、直喜君は喜ぶだろうし♪」

アカネ(あの女…いつでも倒せるからいっか。)

 

ゼアスが現れたことで、夢芽よりも…ゼアスの勝利が優先となったアカネは、アレクシスと共にタイミングを伺う。

 

 

 

アンチ『死ねぇグリッドマン!!』

 

アンチは両腕の爪を振るい、グリッドマンと互角に戦っている。

 

裕太(は、速い!!)

グリッドマン『くぅ…!!』

 

流石のグリッドマンも、素早く重い一撃を放ってくるアンチに…苦戦を強いられていた。

 

 

 

ゼアス「ジュアッ!!」ドッゴォッ!!

 

クリエイトバキシム「グォォオオオオォォオオオオオオッ!!」ドドォォオオオオオオオッ!!

 

バキシム改めて『クリエイトバキシム』は、ゼアスの回し蹴りを顔面に受け…地面に倒れる。その隙に、ゼアスはツノや耳、目を使って…クリエイトバキシムによって生み出された炎に苦しむ動植物の苦しむ声を聞き取った。

 

ゼアス(大変だ…動物が、植物が泣いてる!!)

 

直喜(ゼアス!あのバキシムは、普通のバキシムよりは強くない!!手の形を見るからに…ミサイルや火炎は撃てない!!)

 

ゼアス(分かった!!)

 

ゼアスは構えを取ると、起き上がったクリエイトバキシム目掛けて走っていき…ジャンプすると……

 

ゼアス「デヤアアァァッ!!」ドッゴォォオオオオオオオッ!!

 

電撃を発生させた右膝で、クリエイトバキシムを蹴った。必殺技『ゼアス・ニーキック』だ。ゼアスに蹴られたクリエイトバキシムは、宇宙の彼方まで勢いよく吹っ飛んでいった。その後、ゼアスは右手から浄化作用を持つ特殊なエネルギー波を放ち…燃えている木々を消火し、元の姿に戻した。

 

グリッドマン『ぐわっ!?』ドドォォオオオオオオオッ!!

 

その後、アンチに追い詰められるグリッドマンを助けるべく…マッハ5.55のスピードでアンチに向かって走っていくと……

 

ゼアス「ジュアッ!!」

 

『ゼアス・キック』を繰り出した。アンチは咄嗟に両腕の爪でガードするも……

 

バキィンッ!!ドッゴォォオオオオオオオッ!!

 

アンチ『ぐわっ!?』ドドォォオオオオオオオッ!!

 

爪が破壊され、ゼアスのキックを諸に受け…地面に倒れた。

 

アンチ『ぐぉ…き、効いた……』

 

そして…紫色の光に包まれ、姿を消した。

 

直喜(えぇっ!?や、やっつけちゃった…!!)

 

 

 

アンチ(くそ…やっぱり、ウルトラマンゼアスは…強いな……)

 

アンチは人間態になり、意識を失って倒れた。

 

アカネ「流石のアンチも…ゼアスには敵わないか……これじゃあ、失敗作だよ。」

 

アカネはアンチを抱えると、自宅アパートに入っていった。

 

 

 

その後、ゼアスは…周囲の水、空気の汚染状況を瞬時に解析し、ミクロサイズのバイ菌をこれまた瞬時に発見し…エネルギーをチャージする。そして……

 

ゼアス「シェアッ!!」ピカァァアアアアアアアッ!!キラキラキラキラ…

 

必殺技『ゼアスキャン』を放ち…周囲のバイ菌を浄化し、空気や水を綺麗にした。

 

裕太(スゴい…空気が、綺麗になっていく…!!)

グリッドマン『これが…ウルトラマンの奇跡…』

 

ゼアス「ジュッ!!」コクッ…

 

無菌状態にしたゼアスは「よしっ!」と言うように頷き…大空へと飛び立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「アンチ君?どこにいるの?」

 

直喜は、いなくなったアンチを探し回っていた。

 

直喜(おかいしなぁ…どこ行っちゃったんだろう?)

 

六花「直喜~?」

 

その時…アンチを探す直喜の元に、六花がやって来た。

 

六花「どうしたのこんな時間に?」

 

直喜「あっ、六花ちゃん…と、友達が…いなくなっちゃって…」

 

六花「えっ、マジ!?だったら、私も一緒に探すよ!!」

 

そして、六花と共にアンチを探すが…どこを探しても、アンチの姿はどこにも見当たらない。

 

六花「いないね…」

 

直喜「そ、そうだ…アカネちゃんに、聞いてみよう…!!」

 

直喜はスマホを取り出すと、アカネに電話をかけ始める。

 

直喜(お願い…出て!!)

 

 

 

その頃、アンチを布団に寝かせたアカネは…

 

アカネ「…ん?誰だろう?」

 

スマホが鳴ったので、見てみると…

 

アカネ「直喜君だ!!アレクシス、直喜君から電話が来たよ!!」

 

アレクシス『これは出るしか無いね?』

 

直喜からの電話だったため、大喜びし…応答する。

 

アカネ「もしもし直喜君♪」

 

直喜『あっ、アカネちゃん!?えっとね、えっと……あ、アンチ君が…アンチ君が居なくなっちゃったんだ…!!…ど、どこに行ったか知ってる!?』

 

電話の向こうからは、慌てた様子の直喜の声が聞こえてくる。

 

アカネ「落ち着いて直喜君?アンチなら、私の家にいるから。今はベッドで寝てる。」

 

直喜『えっ!?』

 

アカネ「大丈夫、疲れて眠ってるだけだから。」

 

アカネがそう言うと、直喜は『よ、良かったぁ…!』と、ホッとした。

 

アカネ「それより、直喜君今一人?」

 

直喜『ううん…り、六花ちゃんと…いるよ。』

 

アカネ「OK、車に気を付けてね?後、知らない人に声を掛けられても着いていっちゃダメだよ?車に乗れって言われても、絶対に乗らないでね?」

 

直喜『う、うん…分かった……』汗

 

そして、通話を終える。

 

 

アカネ(六花と一緒なら別にいっか…でも……

 

六花にちょっと、嫉妬しちゃうなぁ……)




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第20話 敗・北

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


その頃…誰にも知られることの無い……とある場所では……

 

 

???「ここにゼアスが居るのか…」

 

???「えぇ、でも…弱虫と一心同体となってるみたいよ?」

 

 

どでかい頭と赤い複眼が特徴の宇宙人と、クワガタのような頭部と赤い複眼が特徴の宇宙人が…何やら会話を挟んでいた。

 

ベンゼン星人「とはいえ…我々『ベンゼン星人』の企みは変わらない…地球を木っ端微塵にし、ゼアスを倒し……」

 

レディベンゼン星人「ゼアスを倒し?」

 

ベンゼン星人「ゼアスを、倒し……」汗

 

レディベンゼン星人「もしかしてノープラン?」汗

 

ベンゼン星人「そ、そそそそんな訳、ななな無いだろう!?」

 

あからさまに動揺するベンゼン星人に呆れつつも、レディベンゼン星人は優しい言葉をかける。

 

レディベンゼン星人「私たちは夫婦でしょ?一緒に考えましょ?」

 

ベンゼン星人「は、ハニー…!!」

 

レディベンゼン星人「んふふ、ダーリン♪私ね、ゼアスをコピーしたウルトラマンを造ったの、見てみたくなぁい?」

 

ベンゼン星人「見たい!!ハニーが愛を込めて造ったんだろう!?見たくない訳無いじゃないか!!」

 

レディベンゼン星人「ダーリンならそう言ってくれると思った♪こっちこっち、着いてきて!」

 

レディベンゼン星人が案内したのは、地下深くにあるベンゼン星人の秘密基地……そこには、黒と黄色の身体色と赤い複眼が特徴の、『ウルトラマンゼアス』にそっくりな巨人の姿があった。

 

ベンゼン星人「にょわっ!?ぜ、ゼアスゥ!?」

 

レディベンゼン星人「似てるけど違うわ。これはね、ゼアスよりも強い究極の戦士『ウルトラマンシャドー』よ♪」

 

ベンゼン星人「ウルトラマンショドウ?」

 

レディベンゼン星人「ウルトラマンシャドーよ!!」バシッ!

 

ボケをかましたベンゼン星人にツッコミを入れるレディベンゼン星人。

 

ベンゼン星人「いやぁ、ゼアスそっくりだねぇハニー?」

 

レディベンゼン星人「そうよ!コイツを暴れさせて、ゼアスの信頼をダウンさせるのよ!!そして、ゼアスを倒して人類を絶望させる…その人間達を洗脳して、私たちの忠実な下僕にするのよ!!」

 

ベンゼン星人「さっすがはハニー!!」

 

レディベンゼン星人「よし、早速出動よ!私達のウルトラマン!!」

 

レディベンゼン星人がリモコンのスイッチを押した時、シャドーの複眼が禍々しく光り、地上へと飛び立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教師「であって、ここに関しては…」

 

その頃、学校では授業が行われており…皆、ノートを取っていた。約1名を除いて…

 

転生者 A(だぁくそがっ!!六花もアカネも、神山のことばっか見ている…アイツの何が魅力的なんだってんだよ!!)

 

教師「おい、A。聞いてるのか?」

 

転生者 A「…ハッ!?す、すみません…」

 

教師「ここのところ、授業を聞いてないようだな…態度を改めろよ?」

 

Aに関しては、相変わらず授業は上の空…生徒達だけでなく、教師陣からの評判も最悪である。やがて、授業が終わり…昼休みとなった。

 

直喜「……。」

 

直喜は屋上に来ており、街の景色を眺めていた。

 

直喜(ベンゼン星人…一体何をするつもり何だろう?そもそも、地球を壊して何になるって言うのさ……)

 

直喜がそう思っていると、上空から何かがこちらに飛んで来る。

 

 

ズドォォオオオオオオオオオンッ!!

 

 

シャドー「ジュアッ!!」

 

直喜「えっ!?う、…ウルトラマンシャドー!?」

 

突如現れたウルトラマンシャドーに、混乱する直喜。校舎の中からも、「何だあれ!?」「黒いゼアス!?」等々…段々騒がしい声が聞こえてくる。

 

直喜(こ、このままじゃ街が!!)

 

直喜は慌ててピカリブラッシャーを取り出し…

 

直喜「シュワッチ!!」ピカァッ!!

 

目映く優しい光に包まれ、ウルトラマンゼアスへと姿を変えた。

 

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

なみこ「うぇっ!?ぜ、ゼアスが2人!?何々、どうなってんの!?」

 

はっす「もう、訳がわかんない…」

 

六花「今現れたのが本物のゼアスだって!!黒い奴はウルトラマンシャドー!!」

 

六花の説明に納得するクラスメイト達。校舎には逃げ惑う生徒達でいっぱいになっていた。

 

ゼアス「ジュアッ…!!」

直喜(そうか…学校には皆が……!!)

 

ゼアスは学校を守る形で立ち塞がり…構えを取る。そして、シャドーと共に走りだし…相撲の如く、取っ組み合う。

 

シャドー「ッ!!」ドゴォッ!!

 

ゼアス「ッ!?」

 

シャドーはゼアスに蹴りを入れ、投げ飛ばす。

 

ゼアス「ジュアッ!?」ドドォォオオオオオオオッ!!

 

ゼアスは背中から地面に叩き付けられた。そんなゼアスを、シャドーは踏み潰そうとしたが…間一髪のところでゼアスは避ける。

 

直喜(ウルトラマンシャドー…両手にはシャドーメリケンが装備されてるし、そこからはミサイルが撃てる…後、カラータイマーは分厚いシールドで覆われている……しかも制限時間が無い!!)

 

怪獣達を知り尽くし『ウルトラ博士』とも呼ばれている直喜も、シャドーの弱点を探しに探すが…弱点らしき部分はどこにも見当たらない。

 

直喜(くっ…やぁっ!!やぁっ!!)

ゼアス「ッ!!」

 

ゼアスはシャドーに果敢に立ち向かい、パンチを繰り出すも…シャドーはゼアスの攻撃を軽々と受け止める。蹴り技を繰り出しても、シャドーに難なく止められる。

 

シャドー「ッ!!」ブゥンッ!!ドゴォッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」

 

逆にシャドーの蹴り技を受け、怯むゼアス。怯んだゼアスに、シャドーは右手の甲で顔面を殴った。

 

ゼアス「ジェアッ!!」ドガシャァァアアアアアアアッ!!

 

ゼアスはビルに身体を打ち付けられ、倒れてしまう。

 

シャドー「シュアッ!!」

 

そんなゼアスに、飛び蹴りを放ってくるシャドー。ゼアスはこれをかわし、光線を放とうとするが…シャドーはバク転でゼアスに接近し、ゼアスの顎を蹴りあげた。

 

ドガァッ!!

 

ゼアス「ジェアッ!?」

 

ゼアスの身体が空中を舞い、シャドーはゼアスを追って大空へ飛び立つ。

 

 

 

六花「ちょっと、シャドー強すぎない!?」

 

アカネ「そうだ、直喜君ならシャドーの弱点を知ってるかも!!直喜君はどこに!?」

 

なみこ「直喜なら確か…屋上に」

 

アカネ「えっ!?」

 

六花「もしかして逃げ遅れてる!?」

 

アカネと六花は教室を飛び出して行き、慌てて屋上へと向かった。

 

六花「直喜ー!!」

 

アカネ「直喜くーん!!どこー!?」

 

しかし、屋上に直喜の姿は無い…六花とアカネが大空を見上げると、ゼアスとシャドーが空中戦を繰り広げていた。

 

六花(お願いゼアス…直喜を、助けて…!!)

 

アカネ(ゼアス…!!)

 

 

 

シャドーは回転しながらゼアスにキックを放つが、ゼアスはこれをかわし…シャドーへと接近し、パンチを繰り出す。

 

ガッ!ガッ!

 

しかし、またしてもシャドーに止められてしまう。シャドーはゼアスの腕を掴み、膝蹴りを何発もくらわせる。最後は頭突きで下へと落とし、地上へと落下するゼアスに…急降下キックをくらわせた。

 

 

ドッドォォオオオオオオオオオオッ!!

 

 

ゼアスは勢いよく地上へと落下した。六花とアカネはゼアスが落ちてきた衝撃により、転倒してしまう。

 

六花「いったたた…っ!?ゼアス…!!」

 

亜子「ね、ねぇ…なんか、ゼアスヤバくない?」

 

蘭萌「でも、まだ…まだ負けてない!!」

 

アカネ「このままじゃ、ゼアスが…ううん、ゼアスはきっと勝つって!!」

 

六花とアカネは、ゼアスの勝利を信じ続け…心の中で彼の勝利と直喜の無事を願った。ゼアスが落ちてきた後、シャドーはゆっくりと地上に降り立った。

 

ゼアス「…!」フルフルッ…

 

ゼアスは立ち上がり、構えを取る。すると、シャドーは右手に『シャドーメリケン』を装備する。

 

直喜(来るッ!!)

 

そして、ゼアス目掛けて『シャドーメリケンパンチ』を放って来る。

 

ゼアス「ッ!?」

 

それも…マシンガンの如く、右手だけで無数のパンチを放ってきた。ゼアスは避け続けるが……

 

ドゴォッ!!

 

ゼアス「ジェアッ!?」ドドォォオオオオオオオッ!!

 

とうとう、シャドーのメリケンパンチが…左目に命中してしまう。シャドーのパンチが命中した左目は、黄色から赤へと変わった。

 

六花「ッ!!ゼアス!!」

 

アカネ「ゼアス、頑張って!!」

 

六花とアカネからの必死の応援を受け、ゼアスは左目をおさえながらも…何とか立ち上がる。

 

クラスメイト「ゼアス、頑張ってくれ!!」「負けないで、ゼアス!!」

 

クラスメイト達も、教室からゼアスにエールを送る。すかさずゼアスは、光線を放とうと…構えを取る。すると、シャドーも構えを取り……

 

 

ゼアス「シェアッ!!

 

シャドー「ジェアッ!!

 

 

お互いに光線がぶつかりあった。

 

直喜(うぐぐぐ…ま、負けるわけには…!!)

ゼアス「グッ…!!」

 

シャドー「ジュアッ!!」

 

シャドーが力を込めると、シャドーの光線『シャドリウム光線』が…太く、赤い光を輝かせた。

 

ドガァァアアアアアアアアアアアンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼアス「グアッ!?」ドドォォオオオオオオオッ!!

 

 

クラスメイト「「「ッ!?」」」

 

亜子「あっ!!」

 

六花「そ、そんな…!!」

 

アカネ「ぜ、ゼアス…!!」

 

蘭萌「ま、負けちゃった…の?」

 

光線の撃ち合いに勝ったのは、シャドーだった。ゼアスは仰向けに倒れ、ピクリとも動かない…ただ、青から赤へと点滅を始めたカラータイマーの音が鳴り響くだけだった。ゼアスを圧倒したシャドーは、上を見ると…

 

シャドー「ジュアッ!!」

 

大空へと飛び立って行った。

 

 

 

裕太「ぜ、ゼアスが…!!」

 

将「そんな、こんなことが…!!」

 

なみこ「う、ウソ…だよね……」

 

はっす「これは夢…悪い夢だって……」

 

ゼアスが敗北し、クラスメイト達は……いや、人類は皆…言葉を失っていた。やがて、ゼアスは起き上がらないまま…光に包まれ、姿を消していった。

 

 

 

転生者 A(ゼアスが倒れたとこに、何かあるかもしれねぇ…へへっ、チートアイテムだったらいいぜ♪)

 

ゼアスが倒れた場所に、Aがやって来ると……

 

転生者 A「…おっ?」

 

直喜「……。」

 

そこには…ボロボロになり、意識を失った直喜が、仰向けに倒れていた。左目が腫れており、頭部からは出血していた。

 

転生者 A「神山じゃねぇか…っはっは、逃げ遅れたってのか?えぇっ?」

 

Aが直喜の身体を踏みにじっても、直喜は全く動く気配が無い。そこに…

 

転生者 B「おっ!?神山が倒れてんじゃねぇか!!」

 

転生者 C「うほぉっ!!マジだ!!」

 

BとCがやって来た。

 

 

転生者 A「へへっ、六花とアカネに手ェ出した罰だ!!」

 

転生者 B「いや、これは天罰だ!!」

 

転生者 C「今まで調子に乗りやがって、こうしてやる!!」

 

 

ドガッ!ボコッ!バキィッ!!

 

直喜が起きないことを良いことに…3人の転生者達は、意識を手放した直喜の身体を、殴ったり踏みにじったり、蹴ったりした。

 

「「「トドメだ!!」」」

 

そして、隠し持っていたナイフを直喜の身体に突き刺そうとした時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビィィイイイイイイイイイイイッ!!

 

ドガァァアアアアアアアアアアアンッ!!

 

3人「「「どわぁっ!?」」」

 

3人の転生者の元に、光線が飛んで来て…爆発した。

 

六花「直喜ッ!!」

 

アカネ「直喜君!!」

 

光線が飛んで来た後、六花とアカネが意識を失った直喜の元に駆け寄って来た。六花は『ストリウム光線』を、アカネは『ストリウムコピー』を3人の転生者達に放ったのだ。

 

六花「直喜!!直喜!!ねぇ、返事をしてよ!!」

 

アカネ「直喜君…お願いだから、目を開けてよォ!!」

 

六花とアカネは涙ながらに、直喜に呼び掛けるが…それでも、直喜は目を覚まさない。

 

転生者 A「り、六花…アカネ…!!」

 

光線を受けて、ボロボロになっても…3人の転生者達は、まだ諦めていなかった。

 

六花「しつこいんだよ!!あっち行ってよ!!」

 

アカネ「お前らと遊んでる暇は無いんだよ!!このままじゃ、直喜君がぁ…!!」

 

転生者 B「ソイツはもう助からない…けど安心しろって♪」

 

転生者 C「そうだ!俺達がいるじゃないか!!なっ、だから安心して?」

 

BとCが無責任な言葉を放った時……

 

 

六花「黙れよッ!!

 

 

…と、六花が怒鳴り声を上げた。

 

六花「さっきから何なの!?あんた達は、直喜に何の恨みがあるの!?

 

アカネ「直喜君がお前達に何をしたって言うんだよ!?答えろよ!!おい!!

 

発狂しながら、3人に問い詰める六花とアカネ。彼女達の気迫にビビった3人の転生者は…何も答えられず、黙りこくってしまった。

 

六花「直喜…お願いだから、死んじゃヤダよ…!!」ポロポロ…

 

アカネ「直喜君が居ないと、私…何もできないよぉ!!」ポロポロ…

 

目を覚まさない直喜を目の当たりにし、大粒の涙を流す六花とアカネ。やがて…なみことはっすもやって来て、はっすは慌てて救急車を呼んだ。

 

六花「直喜…私もいるから…!!」

 

アカネ「直喜君…直喜くぅん…!!」

 

救急車には六花とアカネが一緒に乗って、直喜は病院へと搬送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベンゼン星人「やったぁぁああああああ!!

 

レディベンゼン星人「流石、ウルトラマンシャドー♪」

 

ベンゼン星人「ハニー、何か食べに行こう!!」

 

レディベンゼン星人「さんせ~い♪」

 

 

ベンゼン星人とレディベンゼン星人は、ゼアスの敗北を喜び…人間に化けると、バイキングレストランへと向かって行った。




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第21話 悲・哀

あの後、病院に運ばれた直喜は…瀕死の重傷を覆い、3ヶ月の入院となってしまった。

 

直喜「……。」

 

身体中に包帯を巻かれ、酸素マスクをつけている直喜の表情は…苦しそうに見えた。

 

六花「…な、直喜…!!」

 

そんな彼の手を取る六花は、目にいっぱい涙を浮かべていた。アカネはショックのあまり…声を上げて泣き出してしまう。直喜の手は、まだ温かかった……

 

六花「直喜…ごめんね……」

 

裕太「な、直喜君……」

 

将「…神山……」

 

この日も、直喜は目を覚ますことはなかった。

 

 

 

直喜が入院して以来…クラス中は、シーンと静まってしまっていた。皆、直喜が居ないことに…寂しさを感じているようだ。

 

転生者 A(こ、こんな時は…えぇっと……そうだ!!)

 

こんな状況にあっても、空気の読めないAは…自分を引き立てることで精一杯であり…

 

転生者 A「か、神山なら…大丈夫だって!!な、元気出そうよ!!」

 

…と、明るい表情で無責任な発言を言い放つ。

 

なみこ「ねぇ、あんたさ…何を根拠に直喜が大丈夫だって思ってんの?」

 

彼の言葉に、なみこは怒って彼に問い詰める。

 

転生者 A「そ、それは……」

 

案の定、Aは何も言えない…それを見たクラスメイト達は、Aへの怒りが強くなっていく。

 

はっす「君さ…いっつも直君に暴言吐いてるもんね?何、直君が君に何をしたって言うの?」

 

将「そもそも、お前は…神山が可哀想だって思わねぇのかよ!?」

 

裕太「そうだよ!!大怪我までして、学校にも来れなくなった直喜君を…君は、可哀想だと思わないのかよ!?」

 

クラスメイト「そうだそうだ!!」「てか、お前マジで消えろよ!!」「そういう無責任な所がウザイんだよ!!」

 

直喜のクラス中では、Aへの罵声大会へと発展してしまった。教員が止めても、Aへの罵声大会は止むことはなかった。別のクラスでも、BとCへの罵声大会が勃発していた。

 

 

 

その後、職員会議では……

 

教員A「え~…先日ですね、我が校にクレームがありました。男子生徒が奇声を上げて叫んでいる…ナイフ類を隠し持っては、女生徒を付きまとっている等々……」

 

教員Aの言葉に、他の教師達はため息を着いてしまう。

 

教員B「例の3人のことか……いっそのこと、停学…いや、退学にした方が……」

 

教員C「しかし、明確な証拠が無い…だから、無理やたらに退学にはできないと校長が……」

 

教員D「くっ…転校生を受け入れたのは、失敗だったのか……?」

 

度々問題行動を起こすA、B、Cは…ツツジ台高校屈指の問題児として、悪名が広がってしまっていた。彼らの行動に、教職員達はいつも…頭を悩まされている。

 

教員A「けど…神山だけは違うぞ。」

 

次に、直喜の話題になるのだが…その時、先程の重苦しい空気が一気に消えていった。

 

教員A「神山は、まぁ…おっちょこちょいな所があるけど、授業も真面目に受けてるし、困ってる生徒を真っ先に助けに行ったりもしている♪」

 

教員C「英語でも、頑張って答えてるし…テンパってるところが可愛いんだよな。」

 

教員B「えぇ♪クラス中の人気者ですし、すくすくと育って行ってますね♪」

 

教員D「おいおい、それでは神山が子どもみたいじゃないですか♪」

 

直喜の様子を楽しそうに話す教職員だが…すぐに笑顔が消えてしまう。

 

教頭「ですが、神山君は今…」

 

教員A「あぁ…入院、しているんです…よね…?」

 

教員D「神山がいなくなってから、クラス中がシーンとしてるんですよね……」

 

教員B「何だか…寂しいです……」

 

教員A「うちのクラスメイトの1人が言い放った言葉を引き金に…ソイツに対する罵声大会が始まってましたよ……私が止めに入っても、全く止まなくて……」

 

教員C「こっちのクラスでも全く同じことがありました…」

 

教員D「神山には、一刻でも早く…戻って来て欲しいですね……」

 

直喜が居ないことに寂しさを感じているのは…クラス中だけでなく、教職員達もだった。直喜は真面目に授業を受け、分からないことがあればすぐに聞きに来る。それも、職員室にまで足を運んでくる程だ…彼のように、質問をしにくる生徒は殆どおらず…直喜はいつの間にか、ツツジ台高校でちょっとした有名人になっているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜『……。』

 

???『……き君…!…直喜君…!!』

 

直喜『……?』

 

直喜が目を覚ますと…

 

直喜(あれ?ここは、地球……とは、違うな…何か、見たこと無い植物がいっぱいある……)

 

見知らぬ場所に降り立っていた。すると、彼の目の前に目映い光が現れ…それが段々人の形になっていく。

 

ゼアス『直喜君…』

 

直喜『う、ウルトラマンゼアス……』

 

それは、直喜と一心同体となっている『ウルトラマンゼアス』だった。

 

直喜『ゼアス…ぼ、僕……』

 

ゼアス『直喜君、君は十分頑張ったよ…だから気にしないで欲しい……僕も、実力不足だったし……』

 

直喜『…ぜ、ゼアス……』

 

直喜は涙を流しそうになるが、ぐっと堪えていた。

 

ゼアス『直喜君…我慢しなくても良いんだよ…?』

 

直喜『で、でも僕……』

 

直喜はゼアスに話した……

 

 

かつて、実の両親からは罵詈雑言の嵐は日常茶飯事…笑っても泣いても暴力を振るわれる…話し掛けても「うるさい」と言われるだけで…愛情も注がれなかった。食事も、500円玉1枚だけを置いていかれ…家でも1人ぼっちだった。父親は仕事人間であり、自分には興味も感心も示さなかった。母親は無職で、いつも出掛けて行ったり…たまに知らない男を連れてきては、自分を家から追い出したりした。それを父親に話しても、父親は聞く耳を持たず…どうしようもなかった。それが10年以上続き…諦めかけていた時、近所の人が通報して…両親は保護責任者遺棄罪で逮捕され、実刑判決が下った。身寄りがいなくなった自分を、祖父母が引き取ってくれたが…中学卒業と同時に、祖父母は病気で亡くなってしまい…また、1人ぼっちになってしまった。友達もおらず…悩みを打ち明けられる人も、誰もいなかった。

 

 

直喜『ぼ、僕ね…ウル…トラマン…を、みて…ゆ、勇気…を……もらっ、た……』ポロポロ…

 

直喜の目からは大粒の涙がこぼれ落ちていた。ずっと1人ぼっちだった彼の心の支えとなっていたのは『ウルトラマン』の存在だった。地球を守るために、怪獣達と戦い…人類に送ったメッセージは、直喜の心を大きく動かしているのだ。

 

ゼアス『うん…分かったよ…でもね、直喜君……時には、弱音を吐いたって良いんだよ……泣きたい時には、泣いたって良いんだよ……』

 

ゼアスが彼を優しく抱き締めると…直喜は声を上げて号泣した。今までずっと我慢していたモノが、爆発したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方……

 

六花「直喜…」

 

学校帰りの六花が、お見舞いに来てくれた。アカネも一緒だ…なみことはっすも、亜子と蘭萌も、裕太と将もいる。

 

アカネ「うっ…ひっく…直喜、くん……」ポロポロ…

 

落ち込む六花に、なみことはっすが…泣き出してしまうアカネに、亜子と蘭萌が寄り添った。彼らは、毎日毎日…直喜のお見舞いに来てくれている。直喜がまた、元気な姿になって戻って来てくれることを…彼らは信じ続けていた。




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第22話 罵・倒

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直喜が目を覚ましたのは、約1週間後のことだった。それを耳にした六花達は…すぐに直喜の元に向かった。

 

六花「直喜!!」

 

直喜「……。」

 

直喜は確かに目を覚ましていた…それに安堵した六花は、すぐに彼の近くに行く。

 

六花「直喜、良かった…!」

 

直喜「……。」

 

六花「直喜が気が付かなかった時…私、寂しかったよ……でも良かった、目を覚ましてくれて……!」

 

直喜「……。」

 

六花「1日でも早く、元気になれるよう…一緒に頑張ろ?」

 

直喜「……。」

 

六花「…直喜?…どうしたの、直喜?」

 

いくら六花が声をかけても、直喜は何も言わず…ずっと黙っていた。

 

アカネ「良かったよ直喜君…目を覚ましてくれたんだね?」

 

アカネが直喜の右手に触れようとした…その瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチンッ!

 

「「「ッ!?」」」

 

病室に、鈍い音が響いた。

 

アカネ「な、直喜…君…?」

 

何と、直喜が…アカネの手を叩いたのだ。

 

直喜「……わんないで…」

 

アカネ「……え…?」

 

 

直喜「触んないでよ!!

 

 

直喜の表情を見てみると、普段では見せない…怒った顔をしていた。その後すぐに、彼の目からは涙が流れ落ちる。

 

直喜「僕…今までずっと…誰にも理解されないまま、生きてきたんだ…!!…お父さんもお母さんも僕を怒ってばっかりいて、ちっとも構ってくれない!!何をしても怒られるし、僕の何がいけないのか全然分かんないよ!!勉強も運動も、何をやっても空回りしてばっかり…もう、どうしたら良いか分かんないよぉ!!泣くことも笑うことも許されない!!もうやだよ!!」

 

支離滅裂な発言をする直喜は、声を上げて泣いていた。

 

六花「な、直喜…直喜…!!」

 

六花が直喜を抱き締めようとするも…直喜は彼女を突き飛ばした。

 

 

直喜「僕のことはもう…ほっといてよ!!そっとしてよ!!もう嫌い…みんな、みんな…

 

大っ嫌いだぁぁああああああ!!

 

 

声を上げて泣き叫ぶ直喜を見て、裕太と将は顔を合わせて頷き…六花とアカネを病室の外へと連れ出す。

 

六花「ま、待って…直喜、直喜!!」

 

アカネ「直喜君…私、謝るから…嫌いにならないで!!」

 

涙を流す六花とアカネを見て、心苦しく思ったが…かえって直喜を不穏にさせてしまうと思い、病室から連れ出した。

 

 

 

六花「なんで…何で外に連れてきたの!?」

 

アカネ「響君も内海君も酷いよ!!」

 

病院の外に出た途端、裕太と将に文句を言う六花とアカネ。

 

裕太「今の直喜君の様子を見たの?」

 

六花「見たよ!!すっごく辛そうにしてたもん…!」

 

将「けど、神山ははっきり言ったよな?ほっといてくれって…そっとしておいてくれって……2人はそれを受け入れたのか?」

 

アカネ「無理だって!!じゃあ、誰が直喜君の面倒を見るの?誰が直喜君の味方になるの!?誰が…誰が、直喜君を守るの!!?ねぇ!!」

 

裕太と将の言葉に対し、六花とアカネは涙を流しながら大声で抗議する。

 

裕太「今の直喜君には…1人で考える時間が必要なんだよ……あんまり構ってばっかりいても、かえって直喜君を怒らせちゃうだけだ!!俺達は、直喜君がいつでも帰ってこれるよう…環境を整えようよ!!」

 

裕太の言葉を聞き、漸く大人しくなった六花とアカネ……そして、この日は病院前で解散した。

 

 

 

あれ以来…直喜は食事を少ししか食べなくなり……リハビリにも拒否を示すようになった。そして、遂には食事を取らなくなる日が長く続き…結局、自宅待機となってしまった。

 

直喜「……。」

直喜(うぅっ…あの時の光景が……また…!!)

 

自宅に戻った直喜は、ウルトラマンシャドーに敗れたことにショックを受けてしまい…戦うことが怖くなってしまったのだ。シャドーによる攻撃がフラッシュバックし…トラウマとなってしまった……また、家から1歩も出ず…学校も休むことが多くなってしまった。テレビを着けても…ゼアスが敗れたニュースでいっぱいになっている。中には…

 

「所詮貧弱戦士か…」

 

「前から思ってたんだけど、ゼアスって弱いよね?」

 

「ウルトラマン失格www」

 

等々…心無い言葉を投げてくる人もいた。それがトドメとなったのか…直喜は次第に……大好きな『ウルトラマン』に興味が向かなくなり……何をするにも、億劫になってしまった。所謂…『鬱』である。

 

直喜「……。」

 

ピンポーン…

 

そんな彼を気にかけて、足を運ぶ者がいた。

 

 

六花『直喜…お弁当作って来たんだ。良かったら、食べて?あっ、無理に食べなくても良いからさ……』

 

アカネ『直喜君…直喜君の大好きなウルトラサイダー……持ってきたよ?後、お菓子もあるよ…?』

 

 

六花とアカネだ。彼女達は、直喜から「大嫌い」と言われ…落ち込んでしまったのだが……それでも、直喜と向き合おうと、行動を起こしたのだ。なみことはっすは、授業のプリントを、亜子と蘭萌はクラスメイト達からのメッセージカードを届けに来てくれるようになった。六花は弁当を作っては直喜の元に持ってきたり…アカネはお菓子や飲み物を持ってきてくれた。

 

隆也『直喜、最近元気か?』

 

L○NEでは、親友の隆也が…毎日直喜にメッセージを送ってくれるようになった。しかし…直喜は結局……六花の弁当に手をつけず、アカネが持ってきたサイダーも飲むことはなかった。隆也からのメッセージも…見る気力が無く、スルー状態となっていた。直喜はベッドに潜り、寝込んでしまうことが多くなっており…テレビ番組にも、次第に興味を示さなくなった。

 

アンチ「……。」

 

たまに、アンチが様子を見に来るのだが……

 

アンチ(直喜…落ち込んでる。)

 

彼が落ち込んでいることは、アンチにもすぐに分かった。

 

直喜「……。」

 

直喜は夜…眠れないことが多くなっており、ウルトラマンシャドーに敗れたあの出来事が……夢にもでてきてしまうのだ。それ以来…眠ることすら怖くなってしまった。その為…生活も昼夜逆転し……昼間、居眠りしてしまうことが増えていた。

 

 

 

六花「……。」

 

この日も…直喜のマンションに訪れた六花は、玄関のドアに手をかけた。だが…

 

ガチャガチャ……

 

鍵が掛かっていたため、中には入れなかった。

 

六花(直喜…大丈夫かな……一瞬だけでも良いから、顔が見たいよ……)

 

六花は直喜の顔が見たいと思い、今日も弁当を作って来た…だが、直喜が顔を出すことは無く……六花はトボトボ帰って行った。彼女が帰った数分後、直喜の部屋近くに不審な人影が迫っていた。

 

転生者 A(成る程…ここが、神山の家か……随分とまぁ、貧相な家だなぁ?)

 

その正体は、直喜を逆恨みし、彼の殺害を企んでいる転生者 A、転生者 B、転生者 Cだった。六花やアカネらが頻繁にここを訪れているため…とうとう、直喜の家が3人の転生者に特定されてしまったのだ。彼らは、人々が寝静まった夜を狙い…直喜のマンションの玄関に現れた。顔をサングラスとマスクで隠し、手頃なポケットナイフを隠し持っていた。ナップザックには、玄関のドアを壊すための道具が入っている。

 

転生者 B(へっへっへっ…神山ァ、とうとうお前もここまでのようだなぁ?)

 

Bが直喜の玄関を怖そうと、ハンマーを振り下ろそうとした時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ!!

 

転生者 B「ッ!?」

 

何者かに、腕を掴まれた。それも、物凄い力で……気が付くと、AとCが気絶させられていた。

 

 

夢芽「こんな時間に、何してるの?

 

 

転生者 B「ッ!!」

 

Bの腕を掴んでいたのは…『南 夢芽』だった。彼女は偶々ここを通りかかった時…3人の転生者を見かけたのだ。彼らを怪しいと思った彼女は、3人が来るのを隠れて待っていたのだ。

 

転生者 B「ゆ、夢芽…ち、違うんだ…これは、その……」

 

夢芽「そういうの良いから…」

 

夢芽はそう言うと、魔法陣のような円形のゲートを生み出し…3人の転生者をその中へ引きずり込んだ。

 

 

ガチャッ…

 

 

直喜「……?」

 

彼らが姿を消した直後…不審に思った直喜が、玄関を開けて顔を覗かせた。しかし、そこには誰もいない。

 

直喜(…物騒だなぁ……)

 

直喜はすぐに家の中に入り、玄関の鍵を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢芽(確か…『ギャラクトロン』だっけ?便利な技いっぱい持ってるな~……)

 

そう思う夢芽の目の前には…身体と口元を縛られ、身動きが取れなくなった3人の転生者の姿があった。

 

ちせ「あっ、南さん…コイツらっすよね?直喜先輩に危害を加えようとしたバカ連中は?」

 

夢芽「あぁ、ちせちゃん……そうだよ。」

 

 

3人「「「むぐっ!!むぐー!!」」」

 

 

3人の転生者は、顔を涙と鼻水でグシャグシャにしながら…何かを叫んでいる。しかし、口が塞がれているため、喋ることが困難になっている。

 

ちせ「さぁて…おいお前ら、直喜先輩に何をしようとした?ゴルドバーンの餌になるか、あ?

 

ちせがそう言うと、彼女の後ろから巨大化したゴルドバーンが現れ…「グルルルル…」と、うなり声を上げていた。

 

3人「「「むぅぅうううううううううっ!!」」」

 

そんなちせとゴルドバーンに恐怖を感じた3人の転生者は…叫びたくても叫べず……あまりの恐怖に、おしっこを漏らしてしまった。

 

ちせ「あ~あ…とうとう漏らしちゃいましたねぇ?みっともな…

 

そんな3人に呆れたちせは、ため息をつくと…夢芽に話し掛ける。

 

ちせ「南さん、コイツらどうします?」

 

夢芽「そこに放置しといて良いんじゃない?あの2人の光線に耐えられるんだもん…死にはしないでしょ。」

 

ちせ「りょ~かいっす。」

 

夢芽「それよりさ…私、良いとこ見つけたんだ。直喜もきっとビックリすると思うよ?」

 

ちせ「ホントですか!?ゴルドバーン、早速行こう!!」

 

夢芽とちせはゴルドバーンに乗り、夢芽の言う『良いとこ』に向かった。

 

 

え?AとBとCはどうしたって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知らね!!




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第23話 外・出

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直喜が家に引きこもって…1週間が経過した頃……

 

ガチャッ……

 

直喜「……。」

直喜(あぁ…六花ちゃん……今日もお弁当作って来てくれたんだ……)

 

直喜は外の空気を浴びようと…玄関から顔を出すと、そこには六花が作って来た弁当が置いてあった。今までは全く手を着けなかったが……

 

 

スッ……

 

 

直喜は六花の弁当を手に取ると、部屋に入って行った。直喜が部屋に入って数分後…彼の様子を見に来た六花が、玄関前にやって来た。

 

六花「…!」

六花(弁当箱が無い…直喜、やっと取ってくれたんだ……)

 

一週間も弁当を取らなかった直喜に…六花は心配していた。弁当が玄関に置いたままだった時…六花は弁当を持って帰って、自分で食べていた。だが、今日は弁当がなかった。漸く、直喜が六花の弁当を手に取ったのだ。

 

六花(あっ、確かに直喜が取ったね…アカネのドローン、便利すぎだって。)

 

アカネから送られてきた動画を見てみると…直喜が玄関から顔を出し、六花が置いた弁当を手に取った瞬間が確かに映っていた。

 

六花(直喜…痩せちゃってるね……それに、目の下にクマができてるし……)

 

中々直喜の顔を見れなかった六花は…夜、眠れず……1日中枕を濡らしながら…直喜が心配でたまらなかった。そんな彼女に、アカネがドローンを使って直喜の玄関前を撮影しようと提案してきた。理由は…彼の家に怪しい者が居ないか、チェックすることと…彼の安否を確認するためだ。

 

 

 

 

その頃、直喜は…六花が作って来た弁当を広げていた。

 

直喜(わぁ…スゴい、どれも美味しそうだ……)

 

弁当を見てみると…ご飯にミニハンバーグ、タコウインナー、卵焼き、野菜炒めが綺麗にトッピングされていた。直喜は箸を手に取り…六花が作って来て弁当のおかずを1つ、口の中へと運んでいく。

 

直喜「……。」ツー……

 

口に運び、咀嚼した時…直喜の目からは一筋の涙が流れ落ちた。

 

直喜「…お、美味しい……」ポロポロ……

 

その後も、直喜は涙を流しながら六花の弁当を食べ…米粒一つ残さず、綺麗に完食した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「……。」

六花(直喜…大丈夫かな……?)

 

この日の夕方…帰宅途中の六花は、直喜のマンションに寄った。

 

六花「…!!」

 

その時、直喜の玄関前に…六花の弁当箱と、1枚の紙切れが置いてあった。六花はすぐに紙切れを開いて見る。

 

六花(て、手紙…?)

 

紙切れには、こう書いてあった。

 

 

 

『六花ちゃんへ

 

お弁当を作って来てくれてありがとう。とっても美味しかった。それと、心配をかけちゃってごめんね。僕、六花ちゃんに辛く当たっちゃったよね。今度、直接会ってちゃんと謝りたい。こんな僕を、心配してくれてありがとう。

 

直喜より』

 

 

 

 

六花「…な、直喜…!!」ポロポロ…

 

直喜からの手紙を見た六花は、大粒の涙を流し…その場で泣いた。数分間泣いていた六花は、目を腫らしていたが…

 

六花「…直喜…お弁当食べてくれて、ありがとう…!」

 

…と、お礼を言い…マンションから去って行った。

 

ヴーッ…ヴーッ……

 

六花(おっ、アカネからだ…)

 

六花は電話に応答する。

 

六花「もしもし?」

 

アカネ『あっ、六花?どう、直喜君……?』

 

六花「あぁうん…やっと、お弁当食べてくれたよ。後、アカネが置いていったサイダーやお菓子も、ちゃんと持って行ってくれた。」

 

アカネ『良かった~…私さ、直喜君いないと…何もできないよ……』

 

六花「私も全く同じ…直喜の顔が見れなかった日は、ずっと泣いてたもん……」

 

アカネ『てか…直喜君の身体に触ったあのキモ男3人……どこ行ったんだろうね?』

 

六花「わかんない…まぁ、直喜のマンションには来てないみたいだから……大丈夫じゃないかな?」

 

アカネ『そっかぁ…まぁ良いや……ありがとね六花~、お休み~♪』

 

六花「うん、お休み♪」

 

アカネと通話を終えた六花は、自宅へと帰って行った。

 

 

 

その日の夜……

 

直喜「…外…出てみようかな……?」

 

直喜はそう言うと、玄関を開け……夜の街に繰り出そうとした。そこに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢芽「こ~ら♪こんな時間に出掛けようとするなんて、危ないよ♪」

 

いつの間にか、夢芽が来ていた。

 

直喜「えっ……き、君は…確か……」

 

夢芽「南 夢芽、久しぶりだね直喜♪」

 

直喜「あっ、うん…ひ、久しぶり……」

 

夢芽「どうしたの、元気無さそうだけど…?」

 

夢芽の問い掛けに、直喜は黙りこくってしまう。そんな彼を見た夢芽は、1つ提案をする。

 

夢芽「そうだ、直喜…今からさ、良いとこに行こうよ♪」

 

直喜「い、良いとこ…?」汗

 

夢芽「そう。私が見つけたの♪直喜もきっと驚くと思うよ♪」

 

直喜「……。」

直喜(僕も驚くと思う…か……)

 

直喜は玄関から出て来て、夢芽に着いていくことにした。

 

直喜(知らない人に着いてっちゃダメってアカネちゃんやなみこさんは言ってたけど…もういいや……)

 

夢芽「良いの直喜…?…知らない人に着いてっちゃダメって言われてるでしょ?」

 

直喜「君は…夢芽ちゃんは、もう……知らない人じゃない……だからいいんだ……」

 

夢芽「…そう?わかった、じゃあ着いてきて♪」

 

夢芽に誘い込まれる形で、直喜は彼女に着いていった。街を歩くと…今度は足元が悪い山道を、登っていく。

 

夢芽「直喜、大丈夫?疲れてない?」

 

直喜「…大丈夫……」

 

山道を登る直喜は運動音痴であるのだが…どういうわけか、疲れを感じていなかった。夢芽も彼のペースに合わせ、ゆっくり歩いてくれている。その後もしばらく歩き…頂上までやって来たのは、夜明けの直前だった。

 

直喜「…あれ?何も無いよ…?」

 

夢芽「ここからだよ…直喜が驚くのは……」

 

夢芽がそう言うと……直喜の手を引き、案内する。彼女に誘われ…直喜が見たものは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「…!!」

 

昇ってくる目映い朝日…そして、大空に広がる雲海だった。

 

直喜「わぁ~!!」

 

目の前に広がる幻想的な世界を見て、直喜は思わず声を出して驚いた。

 

夢芽「ね、スゴいでしょ♪」

 

直喜「う、うん!!ありがとう夢芽ちゃん!!」

 

夢芽にお礼を言う直喜は、子どものような笑顔を見せていた。

 

夢芽(良かった、直喜…元気を取り戻してくれたみたい。)

 

ちせ「あっ、直喜先ぱ~い♪」

 

上空から声が聞こえたと思うと、ゴルドバーンに乗ったちせがこちらへやって来た。

 

直喜「ちせちゃ……って、えっ!?…わぁっ!?な、何あれ…!?」

 

ゴルドバーンを見て混乱する直喜。

 

夢芽「大丈夫だよ直喜♪心配しないで?」

 

夢芽はそんな直喜に声をかけ、彼を落ち着かせた。ゴルドバーンが静かに地面に降り立つと、背中からちせが降りてきた。

 

直喜「ち、ちせちゃん!?」

 

ちせ「久しぶりですね、直喜先輩♪」

 

直喜「う、うん……で、その竜…何?」汗

 

ちせ「あぁ、そういえばまだ紹介してませんでしたよね?名前は『ゴルドバーン』て言います!!私の相棒です!!ほらほら、ゴルドバーンの顔…宇宙竜『ナース』に似てません?」

 

直喜「い、言われてみれば…た、確かに……」

 

ゴルドバーン「……。」

 

直喜「あっ、それより見てよちせちゃん!!ほら、スッゴい景色!!」

 

ちせ「おぉ!!ホントにスゴいっす!!」

 

夜中の街を歩き、やって来た場所は…夢芽とちせが見つけた『秘密の場所』だった。そこにたどり着いた直喜は、少しずつではあるが…段々元気を取り戻して来ていた。




ED~Kobasoro『スパークル』~♪


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第24話 家・出

OP~Kobasoro『スパークル』~♪


あの後、直喜はこの秘密の場所にある夢芽とちせの秘密基地に案内された。

 

直喜「わっ…ほ、本格的……」

 

それはツリーハウスと岩のイグルーであった。中に入ってみると、地下へ続くハシゴがあったので、降りてみると……

 

直喜「わぁ…へ、部屋が……」

 

ちせ「映画館みたいにしました♪」

 

部屋は思った以上に広く…まるで映画館に来たような感じになる。

 

ちせ「あっ、何か見ます?」

 

ちせはDVDを何枚か取り出す。映画のブルーレイだ。ほとんどは直喜の大好きなウルトラマンの映画であるが、『イ○ゲーム』や『ゴ○ラ』、『仮○ライダー』等の映画もちらほらある。

 

直喜「…というか、で…電気代とか、大丈夫……?」

 

ちせ「大丈夫っすよ♪ちゃんと払ってるんで♪」

ちせ(ま、南さんの能力のお陰で…年中無料なんすけどね~。)

 

ここの電気が使い放題の理由は…夢芽にある。彼女はほぼ全てのウルトラ怪獣の技が使えるため、『エレキング』の電気パワーで、ほぼ永久に電気が使いたい放題なのだ。直喜は夢芽とちせと一緒に、ウルトラマンの映画を見ることに……

 

直喜(それにしても、ここ……居心地が良いなぁ…)

 

夢芽「どう直喜?ここ、気に入ってくれた?」

 

直喜「う、うん。スッゴく居心地が良い…」

 

ちせ「良かったっす♪」

 

夢芽「直喜、気が済むまでここにいて良いんだよ?気持ちが落ち着くまで、ガス抜きしとこ♪」

 

直喜「う、うん…ありがとう……」

 

夢芽とちせの言葉に安心した直喜は、しばらくここで過ごすことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「どう!?直喜いた!?」

 

なみこ『ううん、いない!!』

 

はっす『まさか…誰かに拐われたとか……?』

 

六花「ちょっとやめてよ!!もしそうだったらどーすんの!?」

 

その頃、街中では…六花達による、直喜の捜索が行われていた。朝、直喜の様子を見に行った六花が彼のマンションに訪れたところ…彼の部屋のドアが開いたままだった。異変を感じた六花が彼の部屋に入ると……そこには、直喜の姿はなかった。名前を呼んでも、彼の返事が返ってくることは無い…どこを探しても、誰も隠れていない。焦りを感じた六花は、すぐになみことはっすに連絡……アカネと裕太と将にも連絡した。

 

六花(直喜…お願い、無事でいて…!!)

 

一刻も早く、直喜の無事を確認したい六花は…血眼になってまで彼を探し回った。しかし……ウルトラマンの能力を使って探しても、彼を発見することはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、夢芽とちせの秘密の場所では……

 

直喜「わぁ…ち、小さくなった…!?」

 

ちせ「そうなんですよ!ゴルドバーンは自身の大きさを変えたり、口から発射する光線で命中した物の大きさを変えることもできるんです♪」

 

直喜「……噛み付かない?」

 

ちせ「大丈夫っすよ!!ゴルドバーンも直喜先輩のこと知ってますから!」

 

ちせに忠実なゴルドバーンは…何故か直喜にも忠実であった。直喜の指示にも従い、噛み付かず…それどころか、彼にすっかり懐いている。

 

直喜「そうだ…ゴルドバーン、夢芽ちゃん、ちせちゃん……僕のお願い…聞いてくれる?」

 

ゴルドバーン「…グルッ?」

 

直喜がゴルドバーンに…そして、夢芽とちせにお願いしたこと……それは…………

 

 

 

 

直喜「うぅっ……や、やぁぁあああああああ!!

 

それは、『特訓相手になって欲しい』とのことだった。

 

ちせ「な、直喜先輩…いくらなんでもそれは無茶じゃ」

 

直喜「無茶じゃない!!できる!!

 

泥だらけになった直喜は、ちせの言葉を遮る。

 

直喜「ゴルドバーン!!もっと高く上がって!!」

 

ゴルドバーン「グルルルッ……!!」

 

ボールを足で掴んだゴルドバーンは、直喜の指示に従い…10m程の高さに上がっていく。雄叫びを上げる直喜は、ゴルドバーンに目掛けて走っていき…ジャンプすると、ゴルドバーンが持っているボールを蹴ろうとする。しかし……

 

直喜「ぐぅっ!!」ドシャッ!!

 

ボールを蹴れず、背中から地面に激突してしまう。

 

夢芽「直喜っ!!」

 

直喜「くぅ…ま、まだ……まだやる!!」

 

ヨロけて立ち上がる直喜を、慌てて支える夢芽。

 

直喜「ゆ、夢芽ちゃん…僕……必ず、やって見せるから…!!」

 

夢芽「……直喜…」

 

直喜「だから…僕を……僕を信じて…!!」

 

直喜は夢芽から離れると…再び、ゴルドバーンの方を見て、腰を低く落とすと助走をつける。そして、ゴルドバーンが掴むボールを蹴るため…何度も何度も地面を蹴ってジャンプしては、泥だらけになった。身体中が痛くても…直喜はグッと泣くことを堪え、ボールを蹴れるまで…休むこと無く、飛び続ける。

 

直喜「ゲッホォ…ゴホッ!ゴホッ!」

 

夢芽「直喜!!無茶だよ…お願い、もう休んで?」

 

直喜「嫌だ!!やるって決めたらやるの!!」

 

ちせ「直喜先輩…!!」

 

本当は疲れている…本当は苦しくて痛くて泣きたい……それでも……

 

 

直喜「不可能を可能にする…それが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンなんだ!!

 

 

直喜はそう叫んで気合いを入れると…ゴルドバーンが掴むボールに向かって走り、地面を蹴って右足を伸ばす。

 

直喜「うぉぉおおおおおおおお!!

 

雄叫びを上げてジャンプした直喜の右足は……

 

 

ドッゴォォオオオオオオオオッ!!

 

 

ゴルドバーンが掴むボールをしっかりと捕らえた。

 

夢芽「な、直喜…!!」

 

ちせ「やったやったぁ!!」

 

ゴルドバーン「グルルルッ♪」

 

直喜「や、やった……」

 

直喜は仰向けになったまま、そのまま眠ってしまった。ずっと無理していたため、疲れが溜まってしまったのだ。夢芽はそんな直喜に膝枕をする。

 

ちせ「南さん、ちっとアイツらのとこに行って来るっす。」

 

夢芽「バカ男達のとこに?でも、どうするつもり?」

 

ちせ「有り金ぜぇ~んぶ使ってやるんすよ。今まで散々甘い蜜を吸って来た罰として♪」

 

ちせは悪い笑みを浮かべると、ゴルドバーンに乗って飛び去っていった。

 

夢芽(不可能を可能にする…それが、ウルトラマンか……直喜らしいね…♪)

 

スヤスヤと寝息を立てる直喜の顔を、夢芽は優しく撫で…母親のような優しい笑顔を見せるのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第25話 特・訓

OP~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


直喜「ハァッ…ハァッ……夢芽ちゃん…ちせちゃん……お願い…!!」

 

夢芽「…ッ!!」ビシィッ!!

夢芽(本当は直喜を攻撃したくない……だけど…!!)

 

ちせ「くぅ…!!」ビシィッ!!

ちせ(直喜先輩の頼みなら…!!)

 

夢芽とちせの秘密の場所では…幻想的な景色をバックに、直喜が彼女達と手合わせをしていた。初めは…彼女達の攻撃を受けてばかりいた直喜だったが…次第に彼女達の動きを読めるようになり…

 

直喜「ふっ…それ!!」ドゴッ!

 

夢芽「がはっ!?」

 

直喜「ほっ…やぁっ!!」ガッ!

 

ちせ「ぐっ!?」

 

今では、彼女達を圧倒できるようになっていた。

 

夢芽「…あはっ、やっぱり直喜は強いね♪」

 

ちせ「スゴいですよ直喜先輩!!まるで、本物のウルトラマンみたいでした♪」

 

直喜「ゼェ…ゼェ……そ、そう…かな……?」

 

やっとのことで夢芽とちせに勝てた直喜は、ヨロけて転びそうになった。だが、ゴルドバーンが咄嗟に支えたことで、直喜は転ばずにすんだ。

 

直喜「あ、ありがとう…ゴルドバーン……」

 

ゴルドバーン「グルッ♪」

 

直喜が強くなったことを、ゴルドバーンも喜んでいるようだ。気が付くと、もう既に日が暮れ始めていた。

 

夢芽「よし…それじゃ、そろそろご飯にしよ♪」

 

ちせ「さんせ~い♪ささっ、直喜先輩こちらへ♪」

 

直喜「うん、ありがとう。」

 

ちせは直喜をツリーハウスに案内し、夢芽は地下室に向かって食事の準備を始めることに……

 

 

 

直喜「うわぁっ…まるで家みたい……って、ツリーハウスだから家だよね。」汗

 

ちせ「直喜先輩面白いこと言いますねw」

 

ツリーハウスで談笑する直喜とちせ。そこに、小さくなったゴルドバーンが入ってきた。

 

直喜「あっ、そっか…ゴルドバーンって確か……」

 

ちせ「自分の身体のサイズも自在に変えられるっす♪」

 

小さくなったゴルドバーンは、直喜の膝の上に降り立ち…その上で眠った。

 

直喜「ねぇ、ちせちゃん…?」

 

ちせ「ん?」

 

直喜「ゴルドバーンって、何でこんなに僕に心を許してるの?」

 

ちせ「…それはですね……直喜先輩が優しいからですよ♪」

ちせ(まぁ、ゴルドバーンも直喜先輩のこと…知ってるんだけど…)

 

実は、ゴルドバーンも直喜のことを知っているのだ。

 

 

直喜に心を開いたちせは、自身の相棒である『ゴルドバーン』を直喜に紹介した。その時の直喜は、目を輝かせていて……

 

直喜『スゴい!!顔が宇宙竜『ナース』にそっくり!!』

 

…と、声をあげた。直喜が命を落とした時、ゴルドバーンも悲しみ……本来の力を出せずにいた日々が続いていた。しかし、今では直喜と再会を果たしたことで…すっかり元気になっていた。

 

 

自分の姿を見ると、人々は逃げていくが…直喜だけは違った。ウルトラマンもウルトラ怪獣も大好きな彼は、ゴルドバーンを全く怖がらなかったのだ。そんな直喜を、ゴルドバーンは気に入り……今では、ちせ以上に忠誠心が強くなっている。

 

ゴルドバーン「……♪」Zzz~……

 

ちせ「ゴルドバーン、直喜先輩が困ってるから~!」

 

直喜「大丈夫だよ。」(苦笑)

 

直喜の膝の上で居眠りをするゴルドバーンに抗議するちせ…そんな彼女を、苦笑いしながら制止する直喜…抗議してくる主人に構い無く、直喜の膝の上で眠るゴルドバーン。

 

夢芽「お待たせ~♪」

 

そこに、夢芽がやって来る。彼女が作って来たのは、パンの器の中に入った熱々のビーフシチューだった。

 

ちせ「おぉ~!!さっすが南さん!!」

 

直喜「ぱ、パンが…お皿になってる…!?」

 

夢芽「ふふんっ、直喜を驚かそうと思って作ったんだ~♪さ、食べよ食べよ♪」

 

3人は、ツリーハウスの中で夕食を摂ることに……

 

 

 

ちせ「んふっ♪美味しいです…!」

 

夢芽「良かった♪」

 

直喜「……。」モグッ……

 

夢芽「どう直喜、美味しい?」

 

直喜「…うん、とっても美味しい…!!」

 

夢芽「ふふっ、良かった♪」

 

夢芽が作ったビーフシチューに、ちせと直喜は舌を巻いていた。その後、ちせが準備してくれたドラム缶風呂に入って疲れを癒す直喜。

 

直喜「…ふぅ~……」

直喜(スゴいなぁ…ドラム缶に、こんな使い道があったなんて……まるで冒険してるみたいだよ。)

 

初めてのドラム缶風呂に戸惑っていた直喜だったが…数分後には、落ち着きを取り戻していた。

 

直喜(今頃…六花ちゃん達、僕を探してるのかな?…戻ったら、ちゃんと謝らないといけないな……)

 

夜空を見上げながら考え事をする直喜の元に……

 

 

夢芽「直喜♪」

 

ちせ「直喜先輩♪」

 

 

直喜「…えっ?う、うひゃあっ!?」ザパッ!!

 

夢芽とちせがやって来たため、直喜は慌てて湯船に潜った。

 

夢芽「大丈夫大丈夫♪ちゃんと水着着てるから♪」

 

ちせ「全く、直喜先輩ったら~♪」

 

夢芽「直喜の慌てん坊さん♪」

 

直喜「ぷはっ!!」ザパァッ!!

直喜(何で両サイドにドラム缶風呂があるのかと思ったら…このためだったんだ……)汗

 

直喜の両サイドには、何故かドラム缶風呂があった。それは、夢芽とちせが入るために用意された物であったのだ。夢芽とちせもドラム缶風呂に入り、直喜に声を掛ける。

 

ちせ「お湯加減どうっすか、直喜先輩?」

 

直喜「えっ?あぁうん…ちょ、丁度良い…」

 

ちせ「それは良かったっす♪いやぁ、頑張って用意した甲斐がありましたよ♪」

 

直喜「えっ!?こ、これ…ちせちゃんが、用意してくれたの…!?」

 

ちせ「そっすよ?後、ゴルドバーンも♪」

 

ゴルドバーン「グルルルッ♪」

 

ちせ「シャワーもあれば良かったんすけど…残念ながら、用意できませんでした…」汗

 

夢芽「まぁ、それは残念だったけどさ…直喜とこうして入れれば十分だって♪」

 

夜空を見上げると、そこには…満天の星空が広がっていた。

 

直喜(六花ちゃん達に、なんて謝ろう……)

 

夢芽「直喜、もしかして悩み事?」

 

直喜「…えっ!?な、何で分かったの!?」

 

夢芽「だって、表情に出てるよ?」

 

直喜の表情を伺った夢芽は、彼には何か悩み事があると見抜いたのだ。直喜は、夢芽とちせに…病院で入院していた時のことと、ここに来ようと思った理由を話し始めた。

 

 

 

夢芽「…そうだったんだ。」

 

直喜「うん……それで、僕…何もかもが嫌になっちゃって……」

 

夢芽「まぁ…生きていけば、嫌なことだってあるよね……でもさ、楽しいこともあるって思わない?」

 

ちせ「例えば…私と南さんは、今…スッゴく楽しいですよ♪直喜先輩とこうして話ができてますし♪」

 

直喜「楽、しい……」

 

直喜は、今まで六花達との関わって来た出来事を思い出していた。彼女達と過ごす時間は、直喜にとっては…とても楽しい時間だった。否定をせず、ありのままを受け入れてくれる…自分のペースに合わせてくれる……そして、迷わず自分に声をかけてきてくれる……

 

直喜(僕、六花ちゃん達が声をかけてくれなかったら…ずっとひとりぼっちだったかもしれないなぁ……)

 

夢芽「直喜にはさ、しっかり謝りたいって言う気持ちがあるんでしょ?」

 

直喜「…う、うん。」

 

夢芽「じゃあそれで良いじゃん、素直に謝ろ♪」

 

ちせ「そうっすよ♪直喜先輩の気持ちは、きっと…ちゃんと伝わりますって♪直喜先輩は優しいですし♪」

 

直喜「…夢芽ちゃん…ちせちゃん……」

 

夢芽とちせに背中を押してもらい、直喜は勇気を持てるようになっていた。

 

 

直喜「ありがとう…!僕…ちゃんと謝るよ…!!」

 

夢芽「うん♪」

 

ちせ「はい♪」

 

 

その後、寝室になった地下室で…直喜は夢芽とちせとゴルドバーンと共に、眠りについたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人「フフフッ、ゼアスが負けて…人間達は絶望してるわ♪」

 

ベンゼン星人「へへっ、ざまぁみろ!!」

 

レディベンゼン星人「もうすぐ地球は終わり…明日、またシャドーを出撃させるわよ?」

 

ベンゼン星人「ガッテン承知の助!!」




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第26話 再・戦

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


次の日…早起きした直喜は、筋トレを行い…身体を温めていた。

 

直喜(ゼアス…ベンゼン星人達はどう?)

 

ゼアス(今夜、またシャドーを出撃させるつもりみたい。)

 

直喜(……。)

 

直喜の脳裏には…シャドーとの戦いが再び、フラッシュバックする。全く歯が立たず…終始圧倒され、心まで折られたあの日が……また、甦って来る。

 

直喜「…!」フルフルッ!

直喜(負けることじゃなくて、勝つことを考えなきゃ…!!)

 

シャドーへの恐れを押し退け…直喜は作戦を考え始める。

 

直喜(シャドーには弱点といえるようなヵ所がほとんど無い…カラータイマーには強力なシールドが装備されているし、1度僕達を倒す程の戦闘力がある……)

 

『ウルトラ博士』と呼ばれている直喜は、怪獣を知り尽くした頭脳を震わせ…作戦を考え続ける。

 

直喜(…考えろ……考えるんだ、僕…!!)

 

ちせ「おっ、直喜先ぱ」

 

サッ…

 

ちせ「おわっ!?み、南さん…脅かさないでくださいよ~?」

 

夢芽「ちせちゃん…直喜の異名を知ってる?」

 

ちせ「ほえ?」

 

夢芽「直喜はね…全てのウルトラ怪獣を知り尽くしている『ウルトラ博士』なの。今、作戦を考えてるんだと思う。」

 

ちせ「あぁ~、成る程…そういや、直喜先輩は『ウルトラ博士』でしたね。」

 

作戦を練る直喜を、見守ることにした夢芽とちせ。

 

 

直喜(…あっ、そうだ…!!)

 

 

数時間考えた直喜は、漸く作戦を思い付いたようだ。彼が考えた作戦とは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜(そっか……弱点が無いなら…弱点を作れば良いんだ!!その手があった!!)

 

…弱点を作ると言うのだ。具体的に何をするかと言うと……

 

直喜(シャドーはロボットだ…なら、頭を狙おう……カラータイマーがダメなら、頭ならいけるかもしれない!!空中に上がった時がチャンス…よし、それで行こう!!)

 

シャドー攻略のプランが思い付いた直喜は、地面から立ち上がり……勇ましい表情をしていた。

 

夢芽「直喜、おはよ♪」

 

直喜「あっ、おはよう夢芽ちゃん。」

 

ちせ「直喜先ぱ~い♪」

 

直喜「ちせちゃんもおはよう。」

 

夢芽とちせに挨拶を済ませた直喜は、「特訓する」と言い出した。

 

夢芽「もしさ、戦うなら…それまで休んでいたらどうかな?」

 

直喜「…えっ?」

 

ちせ「私も南さんに賛成します。直喜先輩、しっかり休んでいつでも全力を出せるようにしときましょ♪焦ったって良いこと無いですよ?」

 

直喜「…い、言われてみれば…確かに……」

 

夢芽とちせの言葉に一理あると感じた直喜は、今夜…決戦の一時まで、休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「直喜ー!!」

六花(直喜、どこ…?…お願いだから、返事をして……直喜が居ないと、私……!)

 

いくら探しても、見つからない直喜に…六花は次第に焦り始めていた。

 

アカネ「直喜くーん!!」

 

それは、アカネも同じだった。アンチに捜索を依頼しているが…アンチでも発見できないようだ。アレクシスには遠隔でドローンを操作して貰い、それで直喜を探して貰っている。だが、それでも発見できていない。

 

アカネ「どうしよう…直喜君が……直喜君が、居ない…ねぇ、お願いだから……直喜君、会いたいよぉ…!!」

 

六花「神様…お願い……どうか、直喜だけは…無事でいさせてください……!!私の身体は、どうなっても良いから……」

 

探している内に、夜になってしまった。夜になれば、辺りが暗くなり…直喜を発見することは、更に困難になる。その夜の街に……

 

 

シャドー「ジェアッ!!」ズドォォオオオオオオオオオンッ!!

 

 

ゼアスを敗った張本人『ウルトラマンシャドー』が降り立った。

 

六花「あ、あれは…」

 

アカネ「う、ウルトラマンシャドー…!!」

 

破壊活動を開始しようとした時、グリッドマンが出現…シャドーと交戦する。

 

グリッドマン『はぁっ!!』

 

シャドー「ジュッ!!」

 

グリッドマンの攻撃を軽々と受け止めるシャドー。そして、グリッドマンから距離を取ると…

 

 

シャドー「……。」クイッ…クイッ……

 

 

まるで「来い。」と言うように、ジェスチャーでグリッドマンを挑発する。グリッドマンは『グリッドマンキャリバー』を装備し、シャドー目掛けて走り出す。

 

グリッドマン『はっ!やっ!』

 

グリッドマンの素早い突き技を、軽々と避けるシャドー。そして、シャドーメリケンを装備すると、グリッドマン目掛けて『シャドーメリケンパンチ』を放ってきた。

 

ガキィンッ!!

 

グリッドマンはキャリバーでガードし、攻撃を防いだ。だが、残りエネルギーが少ないのか…額のランプが点滅を始めた。

 

 

 

レディベンゼン星人「ふ~ん、あれがグリッドマンねぇ…でも、グリッドマンには用は無いのよね~。用があるのは、ゼアスちゃんだけよ?」

 

 

 

シャドー「ジュッ…ジェアッ!!」

 

シャドーは『シャドーメリケンミサイル』を、グリッドマン目掛けて乱射した。

 

グリッドマン『ぐっ!?ぐああああぁぁぁぁ…!!』

 

シャドーから放たれる無数のミサイルを防げず…グリッドマンは、シャドーに敗れてしまった。

 

 

 

ベンゼン星人「あっはっはっは!!すげぇよシャドー…グリッドマンまで敗っちまうなんて…もはや無敵じゃね?」

 

レディベンゼン星人「いいえダーリン…本番は、ここからよ……ゼアスちゃんはきっと来る。」

 

ベンゼン星人「大丈夫だよハニー!君が作ったシャドーが、負けるわけ無いじゃないか!!」

 

勝ち誇ったように言うベンゼン星人。一方、レディベンゼン星人は警戒心を剥き出しにしつつ、ゼアスの登場を待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜(ウルトラマンシャドー…グリッドマンでも勝てないなんて…!!)

 

その頃、夢芽とちせと別れた直喜は…ゴルドバーンに近くの高層ビルまで送って貰っていた。

 

直喜「ありがとうゴルドバーン。」

 

ゴルドバーン「グルッ……」

 

直喜「悲しまないで?また、会えるよ…その時は、一緒に遊ぼう♪」

 

ゴルドバーン「…グルッ!」

 

ゴルドバーンは目から涙を流し、直喜との別れを惜しむ。そして…直喜に背を向けると、ちせの元へ飛び去っていった。

 

直喜(よし…!)

 

直喜は街で暴れまわるシャドーに目を向ける。

 

直喜「闇夜の街を徘徊する黒き悪魔よ……この夜の闇と共に、僕は……」

 

 

お前を倒す!!

 

 

そして、ピカリブラッシャーを取り出すと…歯磨きを開始し、自身の口内環境を綺麗にする。やがて、歯磨きを終えると…

 

直喜「ォォオオオオオオオオ!!ピカァァアアアアアアアアッ!!

 

ピカリブラッシャーを天に掲げた。ブラッシャーからは今まで以上に目映い光が発生し…直喜の身体を優しく包んでいく。やがて、目映く優しい光から…光の戦士『ウルトラマンゼアス』が降臨する。

 

 

 

シャドー「ッ!?」

 

突如、光の球体がシャドーの前に現れると…それが、段々人の姿になって行き…シャドーの前にゆっくりと降りて来る。地面に降り立つと、目映い光が消えて行き…赤と銀の身体に、黄色い瞳を光らせるウルトラマンが出現した。

 

六花「ッ!!…ウルトラマンゼアス…!!」

 

アカネ「ゼアスが来てくれた…!!」

 

そう…現れたのは、直喜が大好きなヒーロー『ウルトラマンゼアス』だ。

 

直喜(ウルトラマンシャドー、勝負だ!)

ゼアス「ジュアッ!!」ビシィッ!!

 

ゼアスは構えを取り、シャドーを睨む。シャドーも構えを取ると、ゼアスに襲い掛かって来る。

 

ブンッ!ブンッ!

 

ゼアス「ッ!!」ガッ!ガッ!

 

シャドーのパンチを受け流すゼアス。その後、シャドーのパンチ、キックからのパンチを避けると…

 

ブンッ!ドゴォッ!!

 

シャドー「グアッ!?」

 

シャドーの腹部に、右手の拳を命中させた。その後、怯んだシャドーに蹴り技を放つ。

 

ゼアス「デヤッ!!」ドゴォッ!!

 

シャドー「グオッ!!」ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

ゼアスの蹴り技は見事、シャドーに命中…地面に倒れるシャドー。シャドーはシャドーメリケンからミサイルをゼアス目掛けて乱射する。ゼアスはそれをバク転で回避した。

 

シャドー「ジュアッ!!」

 

ゼアス「ジュアッ!!」

 

側転するシャドーと宙返りをするゼアスがすれ違い…構えを取った状態で、お互いに睨み合う。

 

 

 

六花「スゴい…ゼアスが押してる!!」

 

アカネ「頑張れー、ゼアスー!!」

 

アカネの言葉を引き金に、人々もゼアスにエールを送り始める。

 

人々「ゼアス頑張れェ!!」「いけぇゼアスー!!」

 

 

 

直喜(皆…ありがとう……僕、絶対に勝つ!!)

 

その時、シャドーがゼアスに攻撃を仕掛けて来た。シャドーの蹴りを受け止めたゼアスは、シャドーの脇腹に蹴りを放つ。しかし、シャドーに受け止められた。

 

直喜(頭ががら空きだよ!!)

ゼアス「ジュアッ!!」ドゴォッ!!

 

シャドー「ガアッ!?」

 

またもゼアスに攻撃を許してしまったシャドーは、ゼアスに反撃を仕掛けるも…

 

ガッ!ガッ!

 

全ての攻撃をゼアスに受け止められ…

 

 

直喜(やぁぁああああっ!!)

ゼアス「タァァアアアアッ!!

 

ブゥンッ!!ドガァッ!!

 

背中に踵を落とされた。

 

シャドー「グォアッ!?」ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

うつ伏せに倒れたシャドーは、すぐに起き上がり…再び構えを取る。その後も、ゼアスからの蹴りを受け、次の蹴り技を受け止めたが…

 

ゼアス「ジュアッ!!」ドゴォッ!!

 

シャドー「ッ!?」ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

後頭部にゼアスキックを受け、再び地面に倒れる。

 

直喜(よし、特訓の成果が出てる…この調子で…!!)

 

 

 

なみこ「スゴいよゼアス!!」

 

はっす「おぉ、シャドーを圧倒してる…!!」

 

亜子「今度は形成逆転だ!!」

 

蘭萌「この調子なら、きっと…!!」

 

急激に強くなったゼアスに、人々は歓声を上げる。彼らは皆…ゼアスの勝利を信じていた。

 

 

 

シャドー「!!」

 

ゼアス「!!」ビシッ!

 

起き上がったシャドーに構えを取るゼアス。すると、シャドーは両手に拳を作り…ガッツポーズのような姿勢を取った。

 

直喜(あれは、空を飛ぶ合図だ…!)

 

シャドー「ジュアッ!!」

 

直喜の読み通り…大空へと飛び立って行くシャドー。

 

ゼアス「ジュアッ!!」

 

シャドーを追って、ゼアスも飛び立つ。遥か彼方の上空に来た時、シャドーは右手に『シャドーメリケン』を装備する。

 

ゼアス「ッ!!」

直喜(来る…!!)

 

そして、シャドーはゼアス目掛けて『シャドーメリケンパンチ』を放ってきた。

 

ゼアス「ッ!!」サッ!

 

1発目を避けたゼアスは、次の攻撃に備える。そして、身体を丸めてボールのように回転し、シャドーの横を通過し…シャドーに構えを取る。

 

直喜(受けてみろ…必殺『ウルトラかかと落とし』!!)

ゼアス「ジェアッ!!」

 

ゼアスは空中で縦に猛回転しながらシャドーに突進し、エネルギーを纏わせた強烈なかかと落としを何発も見舞う。

 

ドゴォッ!!ドゴォッ!!ドガジャァァアアアアアアッ!!

 

シャドー「グォォアアアアァァァァァァ…!!」

 

ゼアスのかかと落としを頭部に受けたシャドーは、地上へと落下していく。シャドーを追って、ゼアスも地上へと向かう。

 

 

 

ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

背中から地上へと落下したシャドーは、胸のカラータイマーが点滅していた。対してゼアスはゆっくりと地上に降り立った。カラータイマーの色は、まだ青い光を放っている。

 

 

 

 

レディベンゼン星人「どうしたのゼアスちゃん…頼もしくなっちゃって。でも、これで勝ったなんて思わないでよね?」

 

その頃、ゼアスとシャドーの戦いを見守るレディベンゼン星人は、スイッチを押した。

 

 

 

すると、上空から赤い稲妻が発生し…シャドーに落ちた。シャドーの身体がビクンッと揺れ…カラータイマーの点滅が消えると、独りでに起き上がった。

 

シャドー「……。」バチバチッ…

 

シャドーの頭は割れており、機械部品が露出している。

 

 

 

将「えっ、ロボット!?あ、そっか…別名:宇宙戦闘ロボットだったよな……」

 

裕太「ウルトラマンシャドーって、ロボットだったの!?」

 

ボラー「おい連敗キッズ…お前もゼアスを見習って特訓でもしたらどうだ?」

 

サムライ・キャリバー「…やるな、ウルトラマンゼアス。」

 

ヴィット「でも、油断は禁物だよね?」

 

マックス「あぁ…だが、私はゼアスの勝利を信じる!頑張れ、ウルトラマンゼアス!!」

 

将と裕太、そして『新世紀中学生』のメンバー達も…ゼアスとシャドーの戦いを見守っていた。

 

 

 

シャドー「ッ!!」

 

拳を握りしめるシャドー。

 

直喜(シャドリウム光線を撃ってくるつもりだ…!)

 

 

 

人々「おい、ヤバいんじゃないか…?」「ゼアス、逃げて!!」

 

人々は、ゼアスを敗北へと導いたシャドーの光線を思い出し、慌て始める。

 

六花(ゼアス…!!)

六花「…ゼアス、ゼアス…ゼアスゼアスゼアス…ゼアス、ゼアス…ゼアスゼアスゼアス…!!」

 

アカネ「…ゼアス、ゼアス…ゼアスゼアスゼアス…ゼアス、ゼアス…ゼアスゼアスゼアス…!!」

 

六花とアカネが『ゼアスコール』を始めると…

 

 

人々「「「ゼアス、ゼアス…ゼアスゼアスゼアス!!ゼアスゼアス…ゼアスゼアスゼアス!!」」」

 

 

彼女達に釣られた人々も、『ゼアスコール』を始めた。

 

将「ゼアス、ゼアス!!ゼアスゼアスゼアス!!」

 

裕太「ゼアス、ゼアス!!ゼアスゼアスゼアス!!」

 

新世紀中学生「「「「ゼアス、ゼアス!!ゼアスゼアスゼアス!!」」」」

 

将、裕太、新世紀中学生の4人も…ゼアスの勝利を信じ、『ゼアスコール』を始める。

 

 

 

直喜(皆は…ゼアスの勝利を信じてる……不可能を可能にし、人類に希望の光を照らす…それが、僕の大好きな…ううん、みんな大好きな『ウルトラマン』だ!!)

 

ゼアス「ッ!!」

 

人々からの声援を受けるゼアスも、まるで何かを大切に抱えるような独特の動作の後に…

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

逆十字に腕を組み、必殺技『スペシュッシュラ光線』を発射した。

 

シャドー「ジェアッ!!」

 

それと同時に、シャドーは腕をL字に組み『シャドリウム光線』を発射した。2人のウルトラマンの光線がぶつかり合いを始める。

 

 

 

レディベンゼン星人「くっ……しぶといわね。」

 

レディベンゼン星人は椅子から立ち上がり、装置の元へ足を運ぶ。

 

レディベンゼン星人「シャドリウムエネルギー全開よ!!」

 

そう言って、装置のレバーを一番上まで上げた。

 

 

 

シャドー「ッ!!」

 

シャドリウム光線が太く赤い光を放ち、ゼアスのスペシュッシュラ光線を押し始める。

 

ゼアス「ッ!!」

 

人々「「「ゼアス、ゼアス!!ゼアスゼアスゼアス!!ゼアス、ゼアス!!ゼアスゼアスゼアス!!」」」

 

ゼアスの勝利を信じる者達の思いは…1つになっていた。

 

 

直喜(シャドー…これが、人類とウルトラマンの絆だ!!)

ゼアス「シェアッ!!

 

シャドーがゼアスの光線を押しきる直前…ゼアスが口を開いて気合の一声を上げ、腕を逆十字からクロスに組み、太く青い光を放つ光線で…シャドーの光線を押し返す。これは、ゼアスの究極必殺技『クロススペシュッシュラ光線』だ。ゼアスの光線がシャドーの光線を押し切り、シャドーに命中する。ゼアスの必殺光線を受けたシャドーは……

 

 

ドガァンッ!ドガァンッ!ドッガァァアアアアアアアアアアンッ!!

 

 

激しい大爆発を起こし、夜の街に散った。ゼアスの勝利だ。

 

人々「やったぁぁああああああ!!」「ゼアスが…ゼアスが勝ったぞぉー!!」

 

「「「ワァァアアアアアアアア!!」」」

 

ゼアスの勝利を見届けた人々は、彼の勝利を喜び…大歓声を上げる。

 

六花「ウルトラマンシャドー撃破…ゼアスが、勝った!!」

 

アカネ「やったぁぁああああああ!!

 

なみこ「あははは!やったやったぁぁああああ!!」

 

はっす「ゼアスカッコいい~♪」

 

亜子「ゼアスが勝ったんだ!!」

 

蘭萌「ウルトラマンって、ホントにスゴいよ!!」

 

将「ィヨッシャァァアアアアアア!!」

 

裕太「ゼアスが勝った!!直喜君も喜ぶこと、間違いなしだ!!」

 

サムライ・キャリバー「やったな…!」

 

ボラー「やったぜぇぇええええええ!!」

 

ヴィット「流石、ウルトラマンゼアス♪」

 

マックス「見事だ、ウルトラマンゼアス!!」

 

六花、アカネ、なみこ、はっす、亜子、蘭萌、将、裕太、新世紀中学生もゼアスの勝利に大喜びしていた。

 

 

 

ゼアス「……。」

 

ゼアスが両手を腰に当て、堂々としたポーズを取った時……人々の目には、『初代ウルトラマン』の面影が見えた気がした。

 

ゼアス「……。」

 

人々「ありがとうゼアスー!!」「ゼアス、ありがとー!!」「大好きだよー!!」

 

ゼアスに手を振る人々は皆、笑顔を見せていた。それを見届けたゼアスは、空中に飛び上がり…人々を見下ろす。そして、感謝を述べる人々に見送られ…

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

大空へと飛び立って行った。

 

 

 

レディベンゼン星人「そ、そんな…私の最高傑作、ウルトラマンシャドーが……」

 

シャドーが負けたことにショックを受けたレディベンゼン星人は、その場で倒れ…気絶してしまった。

 

ベンゼン星人「あぁっ!!は、ハニー!!」

 

そんな彼女に、慌てて駆け寄るベンゼン星人。

 

ベンゼン星人「おのれウルトラマンゼアス…次は、こうは行かないぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼアス『ありがとう、直喜君。』

 

光に包まれた空間で、ゼアスと話す直喜。

 

直喜『お礼を言うのは、僕の方だよ……ゼアス、いつも僕たちに勇気をくれて…諦めないことの大切さを教えてくれて……ありがとう!!』

 

ゼアスにお礼を言う直喜は、今まで見せなかった最高の笑顔を見せていた。

 

ゼアス『僕も、直喜君のおかげで…漸く、自分を信じることができるようになったよ。これからも、一緒に戦おう!!』

 

直喜『うんっ!!』

 

ゼアス『さぁ、早く六花ちゃん達のところへ戻ってあげて。大丈夫、直喜君の思いはきっと伝わるよ。』

 

直喜『ゼアス…ありがとう!!』

 

 

 

ゼアスと話を終えた直喜は、六花達の背後に降り立った。

 

六花「ッ!!な、直喜ー!!」

 

直喜の姿を見た六花は、真っ先に彼に駆け寄り…彼を抱き締める。

 

ボラー「おっ、お前が『神山 直喜』か!俺は『ボラー』…って、めっちゃくちゃ弱そうだな……」

 

アカネ「直喜君をバカにするな!!

 

何やら、揉め始めるアカネとボラー。

 

六花「直喜…!!」

 

直喜「み、みんな…えっと……ご、ごめんなさい…!!」

 

直喜はメンバー達に謝罪し、ペコッとお辞儀をした。

 

 

直喜「と、遠くに…行っちゃって……し、心配、かけて…ごめんなさい……そ、それに…り、六花ちゃんや…アカネちゃんにも……つ、辛く…当たって……ごめんなさい…ごめんなさいぃ…!!」

 

 

メンバー達に謝る直喜の目からは、涙が流れ落ちていた。

 

六花「直喜…」

 

六花は直喜を抱き締め、優しく声をかける。

 

六花「もう大丈夫だよ…直喜はケガも無く、こうして無事に帰って来てくれてんだから…だからさ…ね?戻っておいでよ。」

 

六花の言葉に、頷くメンバー達。

 

直喜「う、うん…!!」

 

こうして直喜は、メンバー達の元に戻って来ることができた。

 

 

だが、後日…溜まりに溜まった課題に苦労したのは、言うまでも無かった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第27話 立・腹

OP~OxT『UNION』~♪


直喜「…はぁ……や、やっと…終わったぁ……」

 

溜まりに溜まった課題を漸く終えた直喜は、机に突っ伏していた。

 

六花「お疲れ様、直喜♪」

 

アカネ「はい、これ…ウルトラサイダー♪」

 

居残りで課題をやっていた直喜だが…何故か六花とアカネ、なみことはっす、亜子と蘭萌の姿もあった。勉強ができる六花や蘭萌にも手助けして貰いながら、何とか課題を終わらせることができたのだ。アカネと亜子、なみことはっすは頑張る直喜を見守っていた。

 

直喜「あ、あれ…?皆は、居残りじゃないんじゃ…?」

 

なみこ「あぁ、今日暇だったからね~。」

 

はっす「そ~そ~、1人じゃ詰まんないし。」

 

六花「みんな、直喜と一緒にいたいんだよ。」

 

アカネ「うんうん♪直喜君と一緒にいる方が楽しいし♪」

 

亜子「マジそれな!!」

 

蘭萌「補習が無いとさ、油断しちゃうし…わかんない問題やうろ覚えの問題を神山君と一緒に確認できたからWin-Winだよ。」

 

直喜「そ、そう…?」

直喜(僕といても、面白いことなんて何もないんだけどなぁ…何でだろ?ま、いいや…)

 

少しだけ考えた直喜だが、考えるのを辞めた。

 

直喜「…あっ、そうだ。」

 

直喜がゲーム機を取り出すと、6人はそれを待ってましたと言わんばかりに、ゲーム機を取り出した。それは、直喜の大好きなゲーム『ウルトラマンFEN』だ。今回、7人がやっていくのは…『地球防衛軍モード』である。これは、最大8人まで遊べるモードで、『科学特捜隊』や『ウルトラ警備隊』、『MAT(マット)』、『TAC(タック)』等々、数多くの防衛チームを選択し、怪獣や宇宙人から地球を守っていく内容である。

 

直喜「皆、どのチームが良い?」

 

なみこ「うーん…そうだ、直喜が決めてよ♪」

 

直喜「…へっ?」汗

 

はっす「うんうん、それか良いね。ウルトラ博士の直君に、ウチらは着いてくよ♪」

 

六花「私たちを勝利へ導いて、直喜隊長♪」

 

アカネ「直喜君が隊長かぁ…頼もしいね~♪」

 

直喜が選択したのは、【ウルトラマンA(エース)】に登場した超獣攻撃隊『TAC』だ。ステージを選択し、ミッションが始まる。

 

直喜「僕が『タックファルコン』を操縦する。皆は『タックアロー』と『タックスペース』の操縦をお願い!」

 

6人「「「「「「了解!!」」」」」」

 

隊長的役割となった直喜が使う戦闘機は『タックファルコン』…全長210mのTACの大型戦闘機であり、宇宙空間でも航行可能…また、内部に『タックアロー』を2機搭載できる空母でもあるのだ。『タックスペース』をアカネ…六花となみことはっす、亜子と蘭萌は『タックアロー』を使うことになった。直喜の的確な指示で、任務は順調に進み…あっさりクリアできてしまった。

 

アカネ「確かTACって…メンタルがゴリゴリ削られる『ナイトレイダー』や全滅した『MAC』と並んで働きたくない防衛チームの上位に入ってるんだよね?」

 

直喜「うん、北斗星司が超獣を見たって言うのに、山中隊員は「ぶったるんどるぞ!」とか言ってたからね…」汗

 

六花「うわぁ…聞く耳持たなかったんだ……」汗

 

蘭萌「それ絶対自分にも帰って来るタイプじゃん…」汗

 

直喜「そうだね。山中隊員が超獣を見たって言っても、誰も信じてくれてなかったんだ。」

 

亜子「あはっ、特大ブーメランじゃんwww」

 

TACの隊員の1人、『山中 一郎』…射撃の実力は本物ではある。しかし、一方で少々怒りっぽく、現実主義者のため怪現象に対しては否定的で、同僚や目撃者の証言を信じないことが多く、それ故に北斗と対立したり、直喜が言った台詞で叱責することが多い。更に、いざ自分が怪現象を目撃し、隊員達に言っても・・・誰からも信じて貰えなかったこともあった。ウルトラマンFENで遊び、学校を出た直喜は…6人に送られる形で自宅マンションにたどり着いた。

 

直喜(さて、明日は校外学習か……ま、準備は済ませてあるから良いんだけどさ…)

 

明日からは校外学習なのだ。既に準備を完了させていた直喜は、窓から星空を見ることにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

アカネ「……。」イライラ…

アカネ(マジで最悪最悪最悪…!!)

 

アカネは何やらイライラしながら、怪獣製作に当たっていた。

 

アカネ(あのバカ男共…直喜君をバカにしやがって……お前らより直喜君の方がイケメンだし……)

 

アレクシス『おやアカネ君、どうしたんだい?』

 

アカネ「あぁアレクシス…ちょっと聞いてよ~!!」

 

アカネはアレクシスに愚痴を話し始める。

 

 

アレクシス『へぇ、合コンにねぇ…それで、来た男達が直喜君のことをバカにしたと?』

 

 

アカネ「そう!!マジで最悪…そういうの良くないよね?」

 

アレクシス『良くないねぇ…彼をバカにするんなら、私も黙っちゃおけないなぁ?』

 

どうやらアカネは…合コンに行ってきたらしく、そこでやって来た大学生四人組のユーチューバー集団『Arcadia』に不快な絡みをされた上、六花からグリッドマンの情報を聞き出す妨害までされ…何より、自身のスマホの待ち受け画面にしている愛しき彼『神山 直喜』をバカにした彼らに腹を立てたのだ。

 

アカネ「できた…アレクシス、お願い。」

 

アレクシス『はいはい。』

 

アレクシスはアカネが完成させた怪獣のフィギュアに魂を吹き込むと…巨大化させた。

 

 

 

街に…何やら濃い霧が発生したと思うと…その中から、無数の触手のような物が伸びてきた。

 

タカト「ん?何だ…って、うわぁっ!!」

 

今井「お、おいタカt…ギャアッ!!」

 

有井「はっ?何があっtンギャアッ!?」

 

濃い霧に包まれた3人は、どこからともなく伸びてくる触手に次々と殺害されていく。やがて、霧の中からは…頭頂部に巨大な一つ目を持ち、足に該当する部分にも巨大な顔を持つ昆虫に似た怪獣が姿を現した。体の各所からまるでコードの束のような光る触手を放って相手を攻撃したり、捕縛する。

 

怪獣「ギャァァオオオオッ!!」

 

怪獣の存在に気付き始めた人々は、慌てて逃げ出す。濃い霧は街へどんどん広がって行き、周囲の人間達をたちまち混乱へと導いた。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪

今回、中途半端に終わりましたが…次回は、怪獣との戦闘に入って行きます。


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第28話 乱・闘

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


街中に突如現れた怪獣は、濃い霧に紛れながら…破壊活動を開始する。

 

やまと「な、何だよ…あれ…!!」

 

怪獣「グルルル…」

 

怪獣はやまとに気付くと、彼の元へ向かって来る。

 

やまと「う、うわぁっ!!あぁ、ああああああ!!」

 

自身の元へ向かって来る怪獣に恐怖し、逃げ始めるやまとだが…足元の石に躓き、転んでしまった。そんな彼を、踏み潰そうと足を降ろしてくる怪獣。

 

やまと「う、うわぁぁぁああああ!!

 

その時…怪獣の元に、黄金と黒のカラーリングが施された大剣が飛んできて…独りでに攻撃を開始した。

 

やまと「えっ、今度は何…!?」

 

六花「早く逃げて!!」

 

やまと「へっ…り、六花ちゃん…?」

 

六花「2回も言わせないで、ほら早く!!」

 

やまと「あっ、う、うん…!!」

 

六花が怒鳴り声を上げると、やまとは逃げていった。

 

六花「さぁて…それじゃ、グリッドマンが来るまで足止めと行きますか!!」

 

六花はそう言うと、上半身を左に大きく捻った後…腕をL字型に組み、7色の光を放つ光線を発射した。『ウルトラマンエース』の必殺技『メタリウム光線』だ。『ウルトラセブン』の『ワイドショット』や『ウルトラマンジャック』の『シネラマショット』よりも強力かつ高威力な光線は、怪獣の足止めには十分過ぎた。そこに、グリッドマンが現れ…怪獣と戦闘を始める。だが、グリッドマンへの対策なのか…触手でグリッドマンの動きを封じたり、鞭のように振るったする等、善戦している。

 

直喜「あっ、グリッドマン!!それに、何だ…あの怪獣…?」

 

直喜がマンションから戦いを見ていた時、そこにアンチ怪獣態が現れ…怪獣を攻撃し始めた。戦いを妨害された怪獣は、アンチに攻撃を始める。所謂…仲間割れである。

 

直喜「グリッドマンを助けるなら、今しかない!!」

 

それを見た直喜は、『ピカリブラッシャー』を取り出し…歯磨きを開始する。頭を高速で左右に振りながら、自身の口内環境をキレイにすると……

 

 

直喜「ゼアアァァス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

雄叫びと共にブラッシャーを天に掲げた。ブラッシャーから発生した目映く優しい光に包まれ…大好きなウルトラマン『ウルトラマンゼアス』へと姿を変えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃…2体の怪獣に対抗してアシストウェポン(新世紀中学生)が全員で出撃するが…ジャンクが処理落ちを起こし、グリットマン側が全員動けなくなってしまった。動けなくなったグリッドマンにアンチが怪獣『ゴングリー』をジャイアントスイングで投げつけて攻撃し、グリッドマンを追い詰める。そんなグリッドマンに、救いの手が舞い降りて来る。

 

 

ゼアス「シェアッ!!

 

 

ウルトラマンゼアスだ。

 

アンチ『むっ!?ウルトラマンゼアス…また来たのか!!』

 

ゼアス「ッ!?」

直喜(えっ、その声…アンチ君!?…今すぐ元に戻さないと…!!)

 

2大怪獣が暴れ、混乱する街中に現れたウルトラマンゼアス…しかし、1体の怪獣が友達のアンチであることに気付き…混乱していた。

 

直喜(グリッドマンが復活するまで、僕が時間を稼ごう…よし、行くぞ!!)

ゼアス「ジュアッ!!」ビシッ!!

 

ゼアスは構えを取ると、ゴングリーとアンチに向かって走り出す。

 

直喜(アンチ君、ごめんっ!!)

ゼアス「デヤッ!!」ドゴォッ!!

 

アンチ『んがっ!?』

 

まず、アンチに蹴り技を入れ…ゴングリーにチョップ攻撃を繰り出す。

 

ゴングリー「ギャァァオオオオッ!!」

 

ゼアス「ッ!?」サッ!

 

ゴングリーがゼアスの足に噛み付こうとしたが、それを見抜いたゼアスはジャンプして、ゴングリーから距離を取る。

 

直喜(あの怪獣…『ツインテール』みたい…あっ、そうだ!!)

 

作戦を思い付いたゼアス(直喜)は、ゴングリーに向かって助走を着け、空中へ飛び上がると……

 

ゼアス「タァァアアアアッ!!

 

まるで落ちてくる流れ星のようなキックを放った。これは、『ウルトラマンジャック』が怪獣『キングザウルス三世』のバリアを破った必殺技『流星キック』だ。

 

ドゴォッ!!

 

ゴングリー「ギャオンッ!?」

 

ゼアスのキックはゴングリーの頭に命中…ゴングリーは目に渦巻きを作り、気絶してしまった。

 

 

 

六花「って、ウルトラマンゼアス!?」

 

将「えっ!?マジ!?って、それより…ジャンクがおかしくなったぞ!!やっべぇ、このままじゃグリッドマンが活動できなくなる!!どうしよぉぉおおおおおお!!」

 

その頃、おかしくなったジャンクを治そうと…将が頭を抱えていた。しかし、六花だけは冷静であり…プラグの元へ歩いて行くと、プラグを引っこ抜いた。

 

将「へっ!?」

 

ジャンクの画面が消え、混乱する将。そんな彼に、彼女は言う。

 

六花「一旦切れば良いじゃん。」

 

将「うぉぉおおおおおおおおい!!

 

六花に叫ぶ将だが…彼女はもう1度、プラグを差し込む。将はキーボードを操作し、ジャンクを治そうと試みるも…中々治らない。六花はこれまた冷静に、ジャンクを足で蹴って衝撃を与える。

 

六花「せいっ。」ガツンッ…

 

将「うおぉいっ!!蹴るなよ!!昭和の家電じゃないんだから!!

 

そんな彼女に抗議する将。すると、ジャンクが再起動し…その中から、裕太と新世紀中学生のメンバー達が出てきた。

 

裕太「あいったたたた……」

 

将「ええぇぇええええええ!?

 

まさかの出来事に、驚く将。

 

裕太「えっ!?か、怪獣は!?」

 

六花「ゼアスが戦ってくれてる。」

 

マックス「な、何と!?」

 

新世紀中学生のメンバーが外を見ると、そこには…

 

 

ゼアス「ジュア…ッ!!」ビシッ!!

 

アンチ『……。』

 

 

構えを取り、アンチと睨み合うゼアスの姿があった。

 

ボラー「おぉウルトラマンゼアス!!良いところで来てくれんじゃねぇか!!」

 

ヴィット「あれ、怪獣が1体戦闘不能になってる気が…?」汗

 

ボラー「あっ、起きた…」

 

ゴングリーは起き上がったのだが…

 

 

ゴングリー「ギ、ギャオ……」フラフラ…ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

 

余程ゼアスのキックが痛かったのか、フラフラしており…再び地面に倒れた。

 

キャリバー「…倒れたな。」

 

将「おいおい!!ゼアスがチャンスを作ってくれたんだぞ!!倒すなら今しかねぇだろ!!」

 

将の言葉を聞き、慌ててグリッドマンに変身する裕太。

 

 

 

その頃、ゼアスはと言うと…

 

アンチ『なぁゼアス…俺と勝負しろ。』

 

ゼアス「…?」汗

直喜(しょ、勝負…?)

 

馴れ合いのように話し掛けてくるアンチに、困惑していた。

 

アンチ『…相撲をする、どうだ?』

 

ゼアス「ジュ…ジュア。」汗

 

アンチの提案に頷くゼアス。アンチはしこを踏もうと、足を上げるが…

 

ゼアス「ジュアッ!!」サッ!

 

ゼアスがすかさず待ったをかける。

 

アンチ『何だ?』

 

ゼアス「ジュアッ!」

 

アンチ『もしかして、違う場所が良いのか?』

 

アンチの言葉に頷くゼアス。そして、アンチと共に街中から離れた山の方へと飛んでいった。彼らが飛び去った後、グリッドマンが出現し、気絶したゴングリーの始末に取り掛かる。ゴングリーはバトルトラクトマックスと合体した『マックスグリッドマン』の『超電撃キック』を受け爆死した。

 

 

 

一方…人気の無い山脈ステージにやって来たゼアスと安全は、相撲で勝負することになった。ルールは至ってシンプル…先に地面に倒れた方が負けである。構えを取り、取っ組み合いを始めるゼアスとアンチ。

 

アンチ『どぉらぁっ!!』ブゥンッ!!

 

アンチはゼアスを投げ飛ばすが…ゼアスは宙返りをし、地面に着地した。

 

アンチ『お前…中々やるな…!』

 

ゼアス「!!」

 

ゼアスは正面からパワー勝負を仕掛ける。

 

アンチ『ふんぐぐぐぐぐ…!!』

 

パワーはゼアスの方が強く、アンチは徐々に押され始める。やがて、お互い時間が無いのか…ゼアスのカラータイマーが点滅を始め、アンチも額のランプが点滅を開始した。

 

直喜(そこだ!!)

ゼアス「シェアッ!!」

 

アンチの懐に素早く入ったゼアスは、内側からアンチの足を刈ってバランスを崩し、後ろ側へ倒した。これは、柔道の技の1つ『大内刈』だ。

 

アンチ『うおっ!?』ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

アンチはバランスを立て直せず…とうとう地面に倒れた。この勝負…ゼアスの勝ちだ。アンチは怪獣の姿から人間の姿になり…意識を失った。

 

直喜(あっ、元に戻った……でも、気絶しちゃったからな……)

 

ゼアスは気絶したアンチを右手に乗せ、街へと飛んでいく。

 

 

 

マックスグリッドマン『あれは…ウルトラマンゼアス。』

 

街へ戻って来たゼアスは、意識を失ったアンチを…ベンチの上に降ろした。

 

マックスグリッドマン『ありがとう、ウルトラマンゼアス。』

 

ゼアス「……。」コクッ…

 

ゼアスは壊れた街を修復すると…上を見上げ、大空へと飛び立って行った。

 

 

 

 

 

アカネ「あ~あ…やっぱりゼアスは強いなぁ。」

 

アレクシス『流石、直喜君の大好きなウルトラマンだねぇ。』

 

アカネ「ま、でも…グリッドマンじゃなくてゼアスに倒されるなら、別に良いや。」

 

アレクシス『直喜君もきっと喜ぶだろうね。』

 

アカネ「…そうだね。直喜君の笑ってる顔が見られれば良っか。」




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第29話 遠・足

OP~OxT『UNION』~♪


アカネ「ねぇアレクシス、見て見て♪」

 

アレクシス『おぉ、素敵だねぇ!』

 

アカネは明日の校外学習で着ていくために購入した水着に身を包み、アレクシスにお披露目していた。

 

アレクシス『プールでも行くのかい?』

 

アカネ「校外学習。」

 

アレクシス『あぁ校外学習…』

 

アカネ「ウチの班はラフティングなんだ。」

 

アレクシス『へぇ、直喜君も一緒かな?』

 

アカネ「そう!直喜君も一緒~♪」

 

直喜の話になった途端、急にご機嫌になるアカネ。

 

アレクシス(直喜君には不思議な力があるのかもしれないねぇ…話しをしてみたら楽しかったし……)

 

アレクシスは直喜と初めて喋った日のことを思い出す。

 

アレクシス(この際、世界征服とかどうでも良くなってきたなぁ……)

 

アレクシス『ところでアカネ君。』

 

アカネ「ん~?」

 

アレクシス『アカネ君は、直喜君に…どうして欲しいとか、願いはあったりするかな?』

 

アカネ「どうしたの急に?」

 

アレクシスの質問に、アカネは迷わずこう答える。

 

 

アカネ「私はねぇ…直喜君には幸せでいて欲しいって思ってるよ~?昔の直喜君…本当に可哀想だったもん…」

 

 

アカネは●●●●退治に行く際…オリシスに直喜の過去を見せて貰った。そのため、彼の過去を知っている。それは、六花も同じだ。当時の直喜は、両親から虐待され…ろくな物を食べさせて貰えなかった。そのため、近くのファミリーレストランに足を運んでは…外にあるメニューや料理のサンプルを見ているだけで済ませていた。

 

 

直喜「…よし、まんぞくした……かえろう……」

 

 

そんな彼を抱き締めようとしたアカネだが…彼女の身体が彼をすり抜けてしまい、それは叶わなかった。いくら声を掛けても、彼には全く聞こえず……オリシス曰く、『あくまでも彼の記憶であって、何をしようとしても無駄。』であると……

 

 

 

アレクシス『直喜君の両親は確か…』

 

アカネ「うん、死んだよ?刑務所生活が嫌になって自殺したんだってさ……」

 

今まで直喜にしてきた仕打ちが全てバレ、逮捕された直喜の両親は経歴に傷が付き…懲役刑が下った。そのうち、刑務所から出られないことに嫌になった2人は『死ねば楽になる』と思い…自殺したのだった。だが、そんな彼らに待っていたのは天国では無かった。

 

アカネ(あのクズ2人、死んで楽になろうとしてたみたいだけど…待っていたのは地獄だったねぇ~?今まで直喜君を虐めていたバチが当たったんだよね…ホント、ざまぁみろって話♪)

 

彼らに待っていたのは紛れもなく地獄であった。永遠の苦しみを味わい続ける運命となった彼らは、今ではボロボロになり…顔を涙と鼻水でグシャグシャにしながら、直喜に助けを求めているらしい。

 

アレクシス『まぁ、直喜君との遠足…楽しみだね♪』

 

アカネ「うん!この水着…直喜君褒めてくれると良いなぁ~♪」

 

すっかりご機嫌になったアカネはパジャマに着替え、ベッドに入って眠りについた。

 

アレクシス(直喜君が幸せでいて欲しい…ねぇ……それじゃあ、私は何をしようかな?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、とあるマンションにて……

 

直喜「ぃやったぁぁああああ!!早起きできたぞぉ!!目覚まし時計10個セットしておいた甲斐があったなぁ♪」

 

いつも朝寝坊の直喜だが、今日は校外学習の日……目覚まし時計を10個もセットし、早く起きることができたのだ。朝食を簡単に済ませ、歯磨きをし…顔を洗うと、忘れ物が無いかチェックする。

 

直喜「しおりも持った…筆箱も持った…着替えも持った…おやつも持った…ゲーム機も持った……よし、準備OK!!」

 

直喜はカバンを背負うと、戸締りを済ませ…マンションを出た。

 

六花「おはよ直喜♪」

 

直喜「うひゃあっ!?えっ、り、六花ちゃん…?そ、それに…な、なみこちゃんも…は、はっすちゃんも…?」

 

なみこ「直喜がちゃんと起きれるか心配して来たんだ~♪」

 

直喜「だ、大丈夫!目覚まし時計10個セットしといたから!!」

 

はっす「おぉ~、流石は直く~ん♪エライぞ♪」

 

はっすが直喜の頭を撫でると、恥ずかしそうに照れる直喜。

 

六花「はっす~…直喜が困ってる。」

 

はっす「そんな事言っちゃって~…また直君を独り占めするつもりだろ~?」

 

なみこ「うんうん、顔に書いてありますなぁ~?」

 

六花「もぉ~なみこまで…」

 

直喜「そ、それより…行かない?電車来ちゃうんじゃ…」

 

直喜がそう言うと、「「「あぁ~!!」」」と慌てる3人。直喜にすっかり夢中になり、忘れていたようだ。慌てて駅へ走っていく4人。何とかたどり着き、電車に乗ることができたが……

 

 

直喜「ゼェ…ゼェ……つ、疲れた…」

 

六花「ハァッ……ハァッ……ご、ごめんね…な、直喜……」

 

はっす「うぅ…も、もうダメ……」

 

なみこ「何だよみんな~、だらしないぞ~?」

 

 

なみこ以外は皆、ドッと疲れていた。

 

直喜「で、でも…電車には乗れたし…え、駅までまだ時間あるし……これ、やらない?」

 

六花「やるやる♪」

 

はっす「そう来なくちゃ♪」

 

なみこ「やっぱこれ持ってきて正解だったね!」

 

4人は駅に着くまで、『ウルトラマンFEN』で遊び、時間を潰した。やがて、目的地の駅に到着し…改札口を出る4人。

 

直喜「…!」ソワソワ…

 

周りは緑豊かな自然に囲まれており、青空には雲が浮かんでいる。見たこともない景色を見て、ソワソワし始める直喜。

 

直喜(わぁ~!大自然だぁ!!空気も美味しいし、今日は晴れて良かったなぁ~♪)

 

六花「直喜、ここスッゴく良いところだね♪」

 

直喜「う、うんっ!!」

 

なみこ「直喜、嬉しそうだね♪」

 

はっす「直君が嬉しいなら、ウチも嬉しいよ♪」

 

やがて、駅には続々とクラスメイト達が到着するが…そこには、Aの姿は無かった。

 

直喜(あれ、A君がいないな…どうしたんだろう?)

 

Aがいないことを心配する直喜。あんなにクラス中からヘイトを買っているにも関わらず…直喜だけは、純粋に彼を心配していた。Aと別のクラスのCは…日頃の授業態度も悪く、成績も悪いため…補修となっているのだ。

 

教員「じゃあ、移動しまーす!!」

 

全員揃ったところで、移動を開始する。橋を渡り、そこからの景色を見てみると…大きな川が見える。更に、山の方には緑がずっと広がっていた。やがて、レジャー施設に到着した一同は、更衣室で水着に着替えることに……

 

直喜(よし…!)

 

直喜はグレーのパーカーを羽織り、グレーと赤が特徴の…まるで、ウルトラマンを彷彿とさせるサーフパンツに身を包んだ。

 

裕太「内海。」

 

将「ん?」

 

裕太「めっちゃ腹出てんぞ?」

 

裕太が将にそう言うと…

 

 

将「うっせぇよ…!」

 

 

将は裕太の背中に日焼け止めを塗り始める。余程くすぐったいのか、「くすぐったい!」と言ってケラケラ笑う裕太。

 

裕太「あっははは!…あっ、直喜君!良かったら一緒に行かない?」

 

直喜「あっ、うん。行く。」

 

将「神山ァ…響の奴、腹出てるとか言ってきたんだぜ?」

 

直喜「あ、あはは…僕も出てるよ。」(苦笑)

 

将「マジで?ちょっと失礼!!」

 

直喜「へっ?う、うわぁっ!?」

 

将は直喜のパーカーのチャックを降ろす。

 

 

将「いや、全然出てねぇじゃねぇか!!」

 

裕太「うわぁっ!!直喜君腹筋割れてるよ!!どうしたの!?」

 

直喜「へっ…?」

 

 

将と裕太の言葉を聞き、自分の腹部を見てみる直喜。

 

直喜「あっ、ホントだ。何でだろ?」

 

裕太&将「「無自覚!?」」大汗

 

直喜の言葉にツッコミを入れる裕太と将。どうやら直喜…家出して、無茶な特訓を続けた結果…いつの間にか細マッチョになっていたのだ。それは、直喜自身も今日まで気が付かなかった。

 

 

 

河原に集合すると、ラフティングの説明が始まった。パドルの漕ぎ方を教わり、準備が完了したところで…なみことはっすが将の元へ寄ってくる。その理由は……

 

なみこ「柔らけ~♪」プニプニ…

 

はっす「触り心地良いね~♪」プニプニ…

 

将の腹部の脂肪を掴むためだ。

 

 

将「おぉい!!何してんだお前ら、やめろぉ!!

 

 

なみことはっすに抗議する将だが、2人は中々やめてくれない。

 

なみこ「六花も触ってみたら~♪餅みたいだよ~♪」

 

六花「みりゃ分かるよ。てか絶対に嫌…」汗

 

六花は将の腹部を触らなかった…そもそも、興味を示さなかった。だが……

 

 

アカネ「えぇ~マジで~?」

 

 

アカネは興味を示し、将の腹部に左手を伸ばし…彼の腹を摘まむ。

 

アカネ「ホントだ気持ち良い~♪」プニプニ…

 

将「…///」

 

アカネに腹を摘ままれ、顔を真っ赤にする将。

 

直喜(う、内海君…大変だね……)汗

 

なみこ「あっ、そういえばさ直喜~?」

 

直喜「は、はい?」汗

 

なみこは直喜の近くに行くと、彼に問い詰める。

 

なみこ「直喜ってさ、いつもパーカー羽織ってるけど…直喜のお腹はどうなのさ~?」ニヤニヤ

 

直喜「えっ…えっとぉ……」汗

 

なみこの問い掛けに、困惑する直喜。

 

なみこ「こうなったら、見せろ~♪」

 

直喜「へっ!?ちょっ、なみこちゃん!?」

 

なみこが直喜のパーカーのチャックを降ろすと、直喜のお腹が露になる。

 

 

なみこ「んなっ!?」

 

はっす「何々、どしたn…って!?」

 

 

直喜のお腹を見て、驚くなみことはっす。

 

六花「もう、直喜が困ってるでしょ?」

 

六花はそう言うと、直喜の正面に移動する。そして、彼のお腹を見た途端……

 

 

六花「!!///」ブシュッ!!

 

 

鼻血を吹き出した。

 

直喜「うわぁっ!?り、六花ちゃん大丈夫!?」

 

直喜は慌ててティッシュを六花に渡す。

 

六花「だ、大丈夫…ね、熱中症かなぁ、あははは……」(苦笑)

六花(ウソ、直喜カッコよすぎ!!ヤバい、めっちゃ興奮したなんて口が裂けても言えない…!!)

 

どうやら六花…直喜のキレイなシックスパックを目の当たりにし、興奮してしまった様子。それに気付いていない直喜は、六花を心配し…オロオロしている。

 

アカネ「え?六花どうしたの…ッ!?な、直喜君カッコい///」ブシュッ!!

 

直喜「えぇっ!?あ、アカネちゃんも!?」アワアワ

 

アカネも直喜のシックスパックを見た直後、鼻血を吹き出した。直喜は慌ててティッシュをアカネに渡した。

 

クラスメイト「か、神山…お前鍛えてるのか?」「うわぁ…俺も腹筋割っときゃ良かったぜ。」

 

直喜「えっ…ぼ、僕…運動、ニガテ……」汗

 

クラスメイト達からの質問攻めに、カタコトになっていく直喜。そこに、亜子と蘭萌がやって来る。亜子はパステルカラーのビキニに身を包み、蘭萌は上下黒のシンプルなビキニを着ていた。

 

亜子「おぉ〜!神山君、細マッチョだったんだ!!」

 

蘭萌「えっ、すごっ…!腹筋触ってみても良い?」

 

直喜「あ、えっと…それは、ちょっと……無理、かな…」汗

 

アカネ「亜子と蘭萌、直喜君を誘惑するの禁止〜!!ねぇねぇ直喜君、この水着どう?」

 

六花「あっ…な、直喜!!どう、私の水着似合ってる!?」

 

ちゃっかり鼻血が止まったアカネと六花も直喜の元に来ると、モデルのようなポージングを取って、彼にアピールをし始める。当然ながら、直喜はオロオロしている。

 

なみこ「コラコラ、直喜が困ってるぞ?」

 

はっす「お前らカマチョか…」汗

 

そんなアカネと六花をなみこが優しく注意し、はっすは呆れてジト目を向ける。

 

将「くぅ…か、神山……羨まけしからん!!」グヌヌ…!

 

裕太「あ、あははは……」(苦笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 A「やっと戻って来れたと思ったら…補修かよぉぉおおおおおお!!」

 

転生者 C「ち、ちくしょぉぉおおおおおおおお!!」

 

教員「オラァッ!!まだ終わってねぇぞ!!」

 

A&C((六花とアカネの水着姿…見たかったぁぁああああああああ!!))




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第30話 甘・時

OP~OxT『UNION』~♪


あの後、六花とアカネは問題なくラフティングに参加した。

 

「「「1、2、1、2!」」」

 

メンバー達は声を掛けながら、パドルを漕ぎ…ラフティングを楽しむ。中にはバランスを崩し、ボートから落ちてしまう者もいた。

 

生徒1「せーの!」

 

ザパァッ!!

 

その1人がアカネであった。水を飲んでしまったのか、「ケホッ、ケホッ…」と、咳をしている。

 

アカネ「マジ最悪…

 

六花「アカネ、大丈夫?」

 

アカネ「大丈夫!!」

 

ラフティングが終わった後、自由時間となり…川で遊ぶことにした。岩の上に登り、手押し相撲をして川に落ちたり…浅い場所で水を掛け合ったりした。

 

男子生徒1「オラッ!!」パァンッ!

 

男子生徒2「うわっとと…うおっ!?」ザパァンッ!!

 

男子生徒3「ちゃんとやれよタツミィ!!www」

 

六花&なみこ「「ちゃんとやれぇ!www」」

 

男子と一緒になって笑う六花となみこ。

 

直喜「…。」

 

そんな彼らを、直喜は木陰から見守っていた。

 

直喜(僕は陰キャだから、あの輪には入れないや…いやぁ、みんな元気だなぁ……)

 

岩に座り、足をプラプラと揺らしながらくつろぐ直喜。

 

直喜「…それにしても、良い天気だなぁ……あぁ、今日はここに来れて良かった良かった。」

 

ふと、右の方に視線を向けると…裕太とアカネが何やら話をしている。

 

直喜(何を話してるんだろ…?…気になるけど、盗み聞きするのは良くないよね?)

 

彼らの話の内容が気になった直喜だが…聞かないことにした。

 

 

 

その頃…

 

なみこ「ねぇ、直喜が退屈そうにしてるよ?」

 

はっす「ん~?あっ、ホントだ。直君が来てくれたら嬉しいのにな~。」

 

亜子「どうする、神山君誘う?」

 

蘭萌「うん、何か仲間外れにされてるって思ってたら可哀想だよね?」

 

木陰に1人でいる直喜を見たなみことはっすが声を上げ、亜子と蘭萌は彼をここに呼ぼうとしているのだが…クラスメイトの1人が、何かを思い付いたのか、口を開き始める。

 

男子生徒3「おっ、そうだ…なぁ、ちょっと神山を試してみねぇか?」

 

六花「試すって…どゆこと?」汗

 

男子生徒3「宝多、お前泳げるだろ?溺れたフリをしてさ、神山が来てくれるか確かめるんだよ。あそこさ、深くもなく浅くもない場所だからさ…どうだ?」

 

六花「いやいや、それは……」

六花(ちょっと待って…直喜は少しだけ泳げるよね?…優しい直喜だから、きっと来てくれるかも……)

 

六花は少し考えた後…

 

六花「ちょっとやってみる。」

 

男子生徒3「おいおい、ホントにやるのか?」汗

 

六花「言い出しっぺはそっちでしょw」

 

なみこ「はっす、もしかして…」ヒソッ…

 

はっす「多分、直君に構って欲しいのかも♪」ヒソッ…

 

六花は河原に移動し、川に入っていく。そして……

 

 

六花「ヤバッ、足つった!?ちょっ、な、直喜助けて!!」

 

 

足がつって溺れたフリを始める。

 

直喜「ッ!?」

直喜(た、大変だ…六花ちゃんが!!)

 

直喜はすぐに立ち上がり、六花の方へ向かって走っていく。そして、躊躇うことなく川に入り…彼女の元へ泳いでいく。

 

直喜「!!」バシャバシャッ!!

直喜(六花ちゃん、今助けるから…!!)

 

直喜は六花の近くに到達し…彼女を助けようと手を伸ばす。だが…

 

六花(隙あり♪)

 

直喜「えっ、うわぁっ!?」ザパァッ!!

 

六花に右手を掴まれ、彼女と共に水中に潜ってしまう。そして六花は、直喜の顔を両手で挟むと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「♪」ハムッ♥️

 

直喜「ムグッ!?」

 

彼の口に、自身の唇を押し付け…濃厚なキスをした。

 

六花(フフフッ、直喜の初めて…奪っちゃった♪)

六花「ぷはぁ…♪」

 

直喜「ゴボッ!?」

 

慌てふためる直喜に…妖艶な笑みを浮かべ、頬を赤く染める六花。そのまま直喜に掴まった状態で、水面へと上がっていく六花。

 

なみこ「おーい、大丈夫!?」

 

六花「大丈夫!直喜が助けてくれたから!!」

 

水面から顔を出した時には、いつもの六花に戻っていた。

 

直喜「???」汗

 

先程の状況が全く理解できていない直喜は、キョトンとしていた。

 

 

六花「続き、またしようね♪

 

 

六花は直喜にしか聞こえない声で、彼の耳元で囁いた。それを聞いた直喜の顔はみるみる真っ赤に染まっていった。

 

直喜「は、はわわわわ…!!///」アタフタ

 

六花「さ、みんなのとこに行こ♪」

 

そして、川から上がった六花は直喜と共にメンバー達の元へ向かった。

 

 

男子生徒3「おい神山ァ、お前カッコ良かったぞ!!」

 

女子生徒1「ね♪真っ先に助けに行ったもんね♪」

 

女子生徒2「流石は神山君、ウチも惚れちゃった♪」

 

男子生徒4「おいタツミィ、お前も神山を見習えよな?w」

 

タツミ「お、おう…そうだな…!!」

 

六花を助けた(?)直喜は、クラスメイト達から栄光を称えられ…黄色い声援を受けていた。当の直喜本人は、訳がわからずきょとんとしている。

 

亜子「神山君はさ、やっぱりスゴいよね?」

 

蘭萌「ウチも思った。さっきみたいに行動するって、中々出来ないことだよ?」

 

アカネ「フフンッ、直喜君はかっこいいんだぞ♪ウルトラマンと同じ…うーん、それ以上に♪」

 

なみこ「何でアカネが得意気なのさ〜?w」

 

六花「でも事実だよね。さっきはありがと、直喜♪」

 

直喜「へっ!?あ…う、うん……」汗

 

はっす「直君、緊張すんな♪六花を助けたんだから、堂々としてれば良いんだぞ~♪」

 

クラスメイト「よっ!ヒーロー神山!!」「兄貴、弟子入りさせてくださぇ!!」

 

バーベキューでは、直喜が六花を助けたシーンの話で盛り上がり…それを耳にした担任から「良くやったな神山、偉いぞ。」と、直喜は頭を撫でられた。その展開に、顔を真っ赤にする直喜だった。

 

 

 

昼食を済ませた一同は、休憩をすることになった。友人と雑談したり、浅瀬で遊んだりして、時間を潰す一同。

 

アカネ「ねぇねぇ直喜君?」

 

直喜「…?」

 

アカネ「私さ、とっておきの場所を見つけたんだ♪一緒に行こうよ♪」

 

直喜「と、とっておきの…場所…?」

 

アカネ「そうそう♪ね、良いでしょ?」

 

直喜「む、むしろ…ぼ、僕なんかで…良いの…?」

 

アカネ「直喜君じゃないとやなの!六花も誘ったからさ、行こう♪」

 

直喜「う、うん…」

 

アカネはそう言うと、六花を呼び…とっておきの場所へと案内していく。

 

 

 

やがて、彼らがたどり着いたのは……美しく、幻想的な世界が広がる渓流だった。

 

直喜「わぁっ!!す、スゴい…!!」

 

アカネ「ふふんっ、ね?スゴいでしょ?」

 

アカネは直喜に笑顔を見せると…彼の前に立ち、クルッと1回回って見せた。

 

直喜「…?」

 

アカネ「どう、この水着…似合ってる?」

 

直喜「へっ?あ、あぁうん…も、もちろん…!!」

 

アカネ「やったぁ♪」

 

直喜に水着を褒められ、嬉しそうな顔をするアカネ。

 

アカネ(あぁ、直喜君可愛い!!…もう我慢できないや……甘ぁ~い悪戯をしちゃおっと♪)

 

アカネは直喜の元に歩いていくと…

 

 

アカネ「えいっ♪」ダキッ!

 

直喜「えっ?あ、あわっ!?」ドサッ!

 

 

彼に抱き付き、そのまま押し倒した。

 

直喜「ちょっ…あ、アカネ…ちゃん…?」汗

 

突然の出来事に、困惑する直喜。そんな彼に、アカネは甘い甘い悪戯を仕掛け始める。まず、彼の身体の隅々を優しくなぞるように撫で回す。

 

直喜「ッ!?」

 

その後、彼の耳を優しく甘噛みし…フッと息を優しく吹き掛ける。

 

直喜「~~ッ!!??」

 

仕上げに…テンパる彼の顔を見つめ、彼の唇と自身の唇を重ね、彼の舌と自身の舌と絡め…濃厚なキスをした。

 

アカネ「んはぁっ♪」

 

キスを終えた後、サキュバスのように舌なめずりをし…妖艶な笑みを見せる。

 

直喜「ふぁ…ふぁぁああああああっ!?///」アワアワ

 

アカネに甘いキスをされ、顔を赤く染めていく直喜。

 

六花「アカネ、私にも変わって。」

 

アカネ「OK~♪」

 

次に…六花が直喜の元に向かい、仰向けになっている直喜に壁ドンならぬ『床ドン』をする。その後、直喜を抱き締め…自身の身体を直喜の身体に、まるで蛇のように絡ませていく。

 

六花「直喜、大好き♪」ハムッ♥️

 

直喜「!!!!????」

 

トドメは、彼の耳元で囁き…その直後、彼に甘い甘いキスをした。彼女達の行動に…とうとう直喜は、顔を真っ赤にし…目に渦巻きを作って、気絶してしまった。

 

アカネ「あれ、直喜く~ん?」

 

六花「ヤバッ…ちょっとヤりすぎたかも。」汗

 

アカネ「でも仕方ないよ…だって、あまりにも直喜君が可愛いんだもん♪」

 

六花「それもそっか♪」

 

顔を見合わせ、微笑む六花とアカネ。そこに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 A「見~ちゃった~♪

 

転生者 C「おやおやぁ、王子様を差し置いて…何をシているのかなぁ?それは俺らにヤるべきなのになぁ♪

 

 

スマホを片手に持ったAと…気持ち悪い笑みを浮かべたCが現れた。彼らは補修を受けているのだが…隙を見て抜け出して来たようだ。彼らが登場した途端、優しくて妖艶な笑みが無くなり…目の光が消えて、無表情へと変わっていく六花とアカネ。

 

六花「何なの王子様って、くだらない…

 

アカネ「お前らはキモいし、王子様を名乗る資格なんて無いでしょ?てか、私の王子様は直喜君だけだし…

 

ゴミを見るような冷たい視線を向けてくる彼女達に、Aはこう言った。

 

転生者 A「おいおい、そんなこと言って良いのかなぁ?これ…ネットにバラまかれたら、君たちはどうなるんだろうねぇ~?」

 

Aはスマホをプラプラと揺らしながら言う。どうやら、先程の状況を撮影していたようだ。、

 

六花「うっわ…脅迫とか、まさにゴキブリがやることじゃん。

 

転生者 A「脅迫ゥ?フヒヒ、そんな事言わないでくれよぉ~?」

 

転生者 C「そうだぜぇプリンセス達ィ?これをバラまかれたくなかったらァ…さっきの甘ぁ~い甘ぁ~いこと、俺たちにもしてくれよぉ~♪」

 

気色悪い笑顔を見せながら、ジリジリと寄ってくる2人の転生者達。

 

六花(うっぷ…もうダメ、吐きそう……)

 

アカネ(コイツら、自分のことしか考えてないじゃん…それに、その笑顔……2度と見たくない……)

 

ジリジリと迫ってくる2人の転生者に、吐き気を覚える六花とアカネ。

 

 

転生者「「さぁ、俺達にも甘いプレイをォォオオオオオオオ!!」

 

 

そして、欲望がままに飛びかかってくる転生者達…そんな彼らの股間を、六花とアカネはエネルギーを纏った足で思い切り蹴り上げた。

 

転生者「「!!!!????」」

 

激痛に襲われた2人の転生者は、股間を押さえながらのたうち回る。その隙に、六花は『ウルトラマンゼロ』の必殺技『エメリウムスラッシュ』で、Aのスマホを破壊した。

 

 

転生者 A「お、俺の伝家の宝刀がぁぁああああああああ!!」

 

転生者 C「俺の、俺のエクスカリバーがぁぁああああああああ!!」

 

 

訳の分からないことを口ずさみながら悶える2人を踏みにじる六花とアカネ。

 

 

六花「何が伝家の宝刀だよ!?そんなモノ振るわせて迫るとか、気色悪いんだよ!!

 

アカネ「こんな汚物がエクスカリバー?笑えねぇ冗談言ってんじゃねぇぞォ!!

 

 

その後は、六花とアカネにフルボッコにされたAとC…数分後、彼らはボロ雑巾の如く…泥と傷とアザまみれになり、ボロボロになっていた。そんな彼らに背を向け、直喜の元へ歩いていく六花とアカネ。

 

転生者 A「お、俺の家は高級マンションだぞ!!風呂にはジェットバスがついてる!!軽く10人以上は入れるぞぉ!!」

 

Aは六花とアカネにそう叫ぶ。しかし…

 

アカネ「で?

 

六花「だから何?

 

彼女達には、何も響いていない様子。

 

転生者 C「俺には高級車が沢山あるぞ!!リムジンだってあるし、専属の執事やメイドも居るぜ!!」

 

六花「は?

 

アカネ「だからさぁ、それが何だって言うの?

 

転生者 A「俺達には金はいくらだってあるんだ!!そんな貧乏人と居るより俺らと居る方が人生イージーモードなんだぜぇ!?」

 

転生者 C「欲しい物は何だって手に入る!!何一つ不自由なんてねぇ!!俺らと勝ち組になろうぜぇ!!」

 

アカネ「あぁ、そういうこと?そういうの要らないや。

 

六花「そんな事で私達を釣れるとでも思ったの?随分安く見られてたんだね…?

 

2人の転生者は、有ること無いこと言っては…自分は金持ちアピールをしたのだが……そんな事をしても、六花とアカネの心には何も響いて来なかった。その時…AとCは気絶している直喜の方を見て……

 

 

転生者 A「こんなグズでノロマの何が魅力的なんだってんだよ!!

 

転生者 C「コイツは勉強も運動もダメで、泣き虫で弱虫じゃねぇか!!所詮は求めてばっかりで自分じゃ何も生み出せねぇ社会のゴミなんだよ!!そんなコイツの何が良いんだよ!?

 

 

…と、彼の悪口を叫んだ。その行動が、六花とアカネの逆鱗に触れることに気付かず……彼らの発言を一言一句聞き逃さなかった六花とアカネは、遂に激怒した。

 

 

六花「さっきから黙って聞いてれば直喜の悪口ばっかり!!誰よりも純粋で優しい直喜の方が遥かに魅力的に決まってんだろ!!

 

アカネ「お前達に直喜君の何が分かるんだよ!!直喜君の事何にも知らないくせに、知ったような口を叩くなぁぁああああああああ!!

 

 

六花とアカネは、地面に突っ伏していた転生者を片手で軽々と持ち上げ…殴ったり蹴ったりする。六花はAを容赦なく攻撃し、Aを空中に投げると…腕を十字に組み、金色の光線『ルービウム光線』を発射した。アカネも六花と同じようにCをボコボコにし、空中に投げると…腕を広げてハートマークを作り、腕を十字に組んで紫色の光線『ダークオリジウム光線』を発射した。

 

 

 

転生者 A「……。」

 

転生者 C「……。」

 

六花「…。」ガスッ!ドゴッ!

 

アカネ「…。」ガッ!ボコッ!

 

ボロボロになり、動かなくなったAとCの身体を踏みにじったり蹴ったりした六花とアカネは…ため息をつく。

 

六花「あ~あ、マジ最悪…」

 

アカネ「ホントだよ…直喜君との時間を邪魔されて……ホント気分悪い……」

 

直喜「…ん、うぅん…?」

 

その時、直喜が漸く目を覚ました。

 

直喜「あ、あれ…僕、何をしてたんだっけ…?」

 

どうやら、記憶が曖昧になっているようだ。

 

六花「直喜~ビックリしたよ、急に倒れちゃうなんて!!」

 

アカネ「きっと熱中症を起こしちゃったんだよ!みんなのとこに戻ろう?」

 

直喜「う、うん…そうだね……」

 

六花&アカネ((よし、誤魔化しはバッチリ…!))

 

六花とアカネは直喜を支えながら、クラスメイト達の元へ戻って行った。

 

 

えっ?AとCはどうなったって…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SHIRANE(知らね)




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第31話 巨・獣

OP~OxT『UNION』~♪

明けましておめでとうございます。


六花とアカネから甘い悪戯をされた直喜は、そのことを覚えておらず…六花とアカネの戯言をすっかり信じていた。そして、メンバー達の元へ戻って来た。

 

なみこ「おっ、直喜お帰り~♪」

 

はっす「おやおや~?六花さんもアカネさんも、直君を誘ってどこへ行ってたのかなぁ~?」

 

六花「教えてあげない♪」

 

アカネ「ひ・み・つ♪」

 

すると、アカネは「ちょっと忘れ物したから取ってくる」と告げ…去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ(やっぱり間違ってなかった。全てが繋がった…!)

 

クラスメイト達の前から姿を消し、森の中へやって来たアカネは……水着のトップスからスマホを取り出し、とある人物に電話をかける。

 

アカネ「あっ、もしもしアレクシス?」

 

それは、アカネの保護者的立ち位置にいるアレクシスであった。

 

アカネ「うん、じゃあお願い。」

 

 

 

アレクシス『では…インスタンス・アブリアクション!

 

アレクシスがそう叫ぶと……

 

 

 

ゴゴゴゴゴ……!!

 

突如、山の一部が轟音と共に動き始めた。突然の出来事に、混乱するクラスメイト達。

 

男子生徒1「念のため、川から離れようぜ!」

 

はっす「山が動きよる……!」

 

なみこ「か、怪獣だ!!」

 

やがて、山から姿を現した怪獣と思わしき生命体が…クラスメイト達の前に姿を現した。

 

直喜「か、怪獣…!?」

 

六花「やっぱあれって怪獣だよね?」

 

裕太「山みたいにデカい…!」

 

将「いや…ほぼ山だろアレ……!」

 

突然現れた巨大怪獣は、背中の噴火口を赤く光らせ…巨大な火炎弾を発射した。火炎弾は山のふもとに命中すると、爆発を起こし…木々を炎へと包んでいく。火炎弾が落ちた衝撃は、風となってクラスメイト達に襲い掛かる。

 

将「あれ…新条は?」

 

直喜「あ、あれ…アカネちゃん、どこにいるの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アカネは……

 

アカネ「そうそう!」

 

アレクシス『グリッドマンを圧倒することを考えたんだね、私は感動したよ!』

 

アカネ「スケール違いは邪道だけど、向こうのお客さんも邪道だしね。」

 

アカネ(ねぇグリッドマン…この怪獣相手にどう戦いたい?あっ、そうだ…直喜君との時間を邪魔したアイツらを踏み潰しちゃっても良いんだよ?)

 

 

 

裕太「ヤバッ、どうしよう!グリッドマンを呼ばないと!!でもジャンクが無いから、グリッドマンと合体できないよ!!」

 

六花「今からお店戻るの無理じゃない!?」

 

将「それなら、マックスさん達に連絡しよう!」

 

裕太「そっか!ジャンクを届けて貰えたら…!!」

 

直喜(…えっ?グリッドマンと合体できない?まさか、グリッドマンって…響君が変身してたの?ジャンクって、何?)

 

裕太がグリッドマンであることを知った直喜…だが、そこで戸惑っている場合ではない。

 

六花「じゃあ早く…って、あ……」

 

裕太「携帯無いし…」

 

将「ロッカーの中だ…」

 

裕太「取りに行くしか無いけど……」

 

彼らの前には…グリッドマンやウルトラマンよりも遥かに大きい怪獣がいる。

 

直喜「…だ、だったら…僕が囮になるから、響君達はその隙に携帯を取りに行って!!」

 

裕太「えぇっ!?でも直喜君…君はどうするの!?」

 

直喜「アカネちゃんを探しに行く!!」

 

直喜はそう言うと、怪獣の方へ走っていった。

 

六花「あっ、直喜待って!!」

 

その頃、彼らの後ろには何台もの車が来ており…教員が生徒達を避難誘導していた。

 

裕太「直喜君がチャンスを作ろうとしている…俺、行ってくる!!」

 

将「俺も行く!グリッドマン同盟だからな!!」

 

裕太「六花は他の人といっしょに逃げて!」

 

裕太と将も、怪獣の方へと走っていく。

 

なみこ「六花、早く!!」

 

はっす「アイツら何やってんだよ~…!?」

 

なみこ&はっす「「六花!!」」

 

六花「……。」

六花(どうしよう…また、直喜が…直喜が……いなくなっちゃう……私、どうしたら良いの…!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「おっそいなぁ~…何でグリッドマン出てこないの~?」

 

アカネはアレクシスが召喚した怪獣『ゴーヤベック』の方へと歩きながら、グリッドマンが来るのを待っていた。しかし、グリッドマンはまだ現れない。

 

アカネ「後、ゼアスも来ないし……」

 

グリッドマンもウルトラマンゼアスがいないこの時間は、アカネにとって退屈な時間だった。

 

 

 

将「くそっ、思った以上に遠いんだけど!!」

 

裕太「川下り、5キロのコースって言ってたし!」

 

将「5キロ!?」

 

裕太の言葉にビックリする将。彼らのラフティングは、約5kmの川を下っていくコースなのだ。その為、更衣室からはかなり離れている。

 

裕太「あっ、あれ!!」

 

その時、裕太はあるものを発見した。それは……

 

 

将「あっ、電話!!これで連絡取れるな!!」

 

 

公衆電話だ。将は小銭を取り出し、裕太に渡す。しかし、彼らにはある問題があった。

 

裕太「あっ…でも、俺番号知らないし……」

 

将「お、俺も…」

 

マックスの電話番号を知らないのだ。もはやこれまでかと思ったが……

 

 

「ねぇ!!」

 

 

彼らに救いの手が舞い降りて来た。

 

裕太&将「「六花!!」」

 

そう、六花がやって来たのだ。走ってきたのか、汗だくである。

 

六花「うちの店の番号なら、私分かるから!!」ハァ…ハァ…!

 

将「お、おい…少し休んだらどうだ?」汗

 

六花「いやいや、あんな巨大怪獣がいるんだから休んでる暇無いって!!」

六花(よしよし、川で身体濡らしてきて正解だったね…この2人に私の能力、知られたくないし。)

 

一見汗だくに見えるが…彼女の身体が濡れているのは汗のせいではない。川の水を浴び、あたかも急いで走ってきたかのようにカモフラージュしたのだ。後、彼女の演技……ほぼ全てのウルトラ戦士の技を使える彼女は、テレポーテーションを使ってここまでやって来たのだ。それを知らない裕太と将にバレることはなかった。

 

六花は公衆電話に入り、店に電話をかける。

 

六花「あっ、もしもしママ?」

 

そして、マックスに代わってもらい…ジャンクをここに持ってくるよう頼んだ。電話を終えると、六花はマックス達がジャンクを持ってきてくれると裕太と将に伝えた。

 

裕太「ありがとう!」

 

将「よし、駅に向かおう!」

 

そして、駅に向かっていく裕太と将を見送ると…耳を澄ませ始める。

 

「アカネちゃーん!!」

 

六花(直喜、今行くから!!)

 

直喜の声が聞こえた方角を向くと、腕をクロスしてすぐに解いた。すると、六花の身体は下半身から徐々に姿を消し、瞬間移動をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「あ、アカネちゃーん!!」

 

その頃、直喜はゴーヤベックの方へと走りながら、アカネを呼ぶ。

 

直喜「か、川下りって確か…5kmだったよね?と、遠い…!!」

 

ずっと走りっぱなしであった直喜は、疲れてしまい…息を整え始める。

 

直喜(困ったなぁ…スマホ置いてきちゃったし、アカネちゃんに電話できないよ……)

 

スマホを持っていない直喜は、途方に暮れてしまう。そこに……

 

 

六花「直喜ー!!」

 

 

六花が彼の元にやって来る。

 

直喜「えっ、六花ちゃん!?どうしてここに!?」

 

六花「直喜が心配だからだよ!!後、さっきアカネから電話があったんだけど、避難してるって!!」

 

直喜「えっ、ホント!?よ、良かったぁ~…」

 

六花の言葉を聞き、安心する直喜。だが……

 

 

直喜「ッ!?六花ちゃん危ない!!」

 

 

ゴーヤベックが火炎弾を飛ばしてきたのだ。それにいち早く気付いた直喜は、六花と共に地面に倒れた。

 

 

ドガァァアアアアアアアアアアアアンッ!!

 

 

火炎弾は直喜と六花の近くで爆発し、彼らを黒煙に包んでいく。

 

六花「ケホッ!ケホッ!」

 

直喜「六花ちゃん!?」

 

六花「だ、大丈夫…!!だから…逃げて……!!」

 

六花は黒煙をかなり吸ってしまったのか、意識を失ってしまった。

 

直喜「六花ちゃん…六花ちゃん!!」

 

直喜がいくら呼び掛けても、六花は目を覚まさない。

 

直喜(そんな…僕がもっと早く気付いていたら……!!)

 

思わず自分を責めてしまう直喜だが…今、それどころではない。

 

直喜(怪獣め…よくも、よくも六花ちゃんを…!!)

 

直喜はピカリブラッシャーを取り出すと、高速で首を左右に振りながら、歯磨きを開始した。歯磨きを終えると…

 

 

直喜「ゼアアアァァス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

雄叫びと共にブラッシャーを天に掲げ、目映く優しい光へと包まれ…ウルトラマンゼアスへと姿を変えていく。

 

 

六花「……?」

六花(な、直喜…?)




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪

今年も、よろしくお願いします。


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第32話 予・感

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


生徒達が避難する中、怪獣『ゴーヤベック』はゆっくりと移動を開始する。

 

なみこ「ねぇ、アイツこっちに来てない?」

 

はっす「六花も居ないし直君も居ないし…どうすれば……!!」

 

ゴーヤベックは、なみこ達の方へとゆっくり向かって来ていた。絶対絶命と思われたその時…目映い光が、彼女達の近くに降り立った。

 

ゼアス「……。」

 

なみこ「おぉっ!!ウルトラマンゼアス!!」

 

はっす「良いときに来てくれるじゃ~ん♪」

 

光の中からウルトラマンゼアスが現れ、右手をそっと地上に降ろした。

 

なみこ「六花!!」

 

意識を失った六花に駆け寄るなみことはっす。

 

なみこ「六花!六花!!」

 

六花「…ん……ぅ…?」

 

はっす「良かった…!」

 

六花は漸く目を覚まし、なみことはっすを見る。

 

六花「…私……」

 

はっす「見て、六花♪」

 

はっすの視線の先を見ると……ウルトラマンゼアスがしゃがんでおり、六花達を見守っていた。

 

 

六花「…ウルトラマン…ゼアス……」

六花(ひょっとして……直喜なの…?)

 

 

六花を見下ろすゼアス。彼女には…自分に対して「もう大丈夫だよ。」と、優しく微笑む直喜に見えた。ゼアスはゆっくりと立ち上がると、迫り来るゴーヤベックの方を向き…構えを取った。

 

直喜(まずは、背中の噴火口を壊さないと…!!)

ゼアス「シェアッ!!」

 

ゼアスは大空へ飛び立つと、ゴーヤベックの背中へと向かっていく。そして、シャドーを大破させた技『ウルトラかかと落とし』を繰り出した。

 

ドゴォッ!!ドゴォッ!!ガキィィイイイイイイイッ!!

 

ゼアスのかかとはゴーヤベックの背中にある噴火口に命中し、粉々に砕けた。

 

ゼアス「ジュアッ…!!」

直喜(これは大きい…スペシュッシュラ光線が通用しないかもしれない……考えろ…きっと、何か弱点はあるはずだから…!)

 

ゼアスは再び大空を飛び、ゴーヤベックをなみこ達から離れた場所に誘導する。ゴーヤベックは、ゼアスを追って…

 

ノロ……ノロ……

 

…と、超絶鈍足で歩いていく。

 

ゼアス「……!?」汗

直喜(えぇっ!?…お、遅すぎない!?)

 

あまりにもゆっくりな怪獣に、戸惑うゼアス。

 

 

 

アカネ「あっ、ゼアスだ。でも、どうしてグリッドマン出てこないの?」

 

上空にいるゼアスを見たアカネは、黒煙を吸わないよう…右手で口元をおさえながら歩いていく。しかし、彼女がたどり着いた場所は…木々が倒れて、この先には進めない場所だった。所謂『行き止まり』である。

 

アカネ「…最悪。」

 

思わずその場にしゃがみこんでしまうアカネ。

 

アンチ「おい。」

 

そんな彼女の元に、アンチがやって来た。

 

アカネ「何しにきたの?まだグリッドマンは現れてないよ?」

 

アンチ「乗れ。」

 

アンチはアカネの近くに移動し、しゃがむ。どうやら、彼女をおぶろうとしているようだ。アカネが背中に乗った時、アンチはジャンプして移動を開始した。

 

 

 

ゼアス「!!」

直喜(あっ、アカネちゃん!!良かった、アンチ君が助けてくれたんだ…!!)

 

アカネが無事であることを知り、ホッとする直喜。だが、そんな彼に…ゴーヤベックは尻尾を振り下ろしてきた。

 

ドガァッ!!

 

ゼアス「グワッ!?」ドドォォオオオオオオッ!!

 

ゴーヤベックの尻尾を受け、地面に叩き付けられるゼアス。

 

ゼアス「グッ……!!」

直喜(いててて…余所見してる場合じゃないか……)

 

地面から立ち上がったゼアスは、ゴーヤベックを観察し…弱点を探す。

 

 

 

なみこ「流石のゼアスでも、あんなに大きな相手はキツイかぁ……」

 

はっす「う~ん、ウルトラ博士の直君なら…アイツの弱点、分かるかも知れないなぁ…でも、スマホが手元に無いから連絡できないんだよね……」

 

六花「……。」

六花(直喜…)

 

ゼアスの戦いを見守る3人…なみことはっすは複雑そうな顔をし、六花は祈るように手を組み…ゼアスの勝利を願っていた。

 

 

 

その頃、駅前では…

 

ジャンクを運んできた新世紀中学生のメンバー達が来ていた。

 

ヴィット「おぉ、派手に燃えてるなぁ……」

 

ボラー「アイツらおっせぇなぁ…折角ここまで来てやったのに……」

 

サムライ・キャリバー「じ、時間が、ない……」

 

ジャンクを運んできたものの…駅前に、裕太の姿は無い。その時……

 

「おーい!!」

 

裕太が走ってきた。

 

ボラー「アイツ、何で服着てねぇんだ?」汗

 

裕太「ありがとうございます!ジャンクを持ってきてくれて…!」

 

ジャンクは既に、電源と繋いであるため…いつでも使える。やがて、電源が入ると…画面の向こうで、グリッドマンがキョロキョロと辺りを見渡している。

 

グリッドマン『ここはどこだ?』

 

裕太「説明は後、準備は良いグリッドマン!?」

 

グリッドマン『もちろん!共に戦おう、裕太!!』

 

グリッドマンは既に準備万端である。

 

裕太「ありがとう…でも、いつもより怪獣がデカいんだ。あの怪獣と同じ大きさになれないの?」

 

グリッドマン『私の最大出力サイズでも、70mが限界だ。さらに大きくなると、より多くのエネルギーが消耗され、裕太とのアクセスフラッシュが維持できない。』

 

裕太「どうしよう……」

 

すると……

 

 

 

ゼアス「ジュアッ!!」

 

大空を飛び回り、怪獣に小さな光線を放つゼアスが見えた。

 

裕太「ッ!?…ウルトラマンゼアス!!」

 

グリッドマン『成る程…ここまで来るのに、時間を稼いでくれていたようだ。』

 

裕太「ゼアスが戦ってる…俺も行かなくちゃいけない……けど……」

 

その時、ボラーが裕太に話しかける。

 

ボラー「おい。」

 

裕太「ッ!?」

 

ボラー「俺が手伝ってやるから、早く行くぞ!」

 

どうやら、ボラーも裕太と一緒に戦ってくれるようだ。新世紀中学生のメンバー達は…見た目は人間であるが、人間ではない。グリッドマンをアシストする『アシストウェポン』なのだ。

 

裕太「はいっ!!」

 

覚悟を決めた裕太は…

 

裕太「アクセス・フラッシュ!!

 

ボラー「アクセスコード・バスターボラー!!

 

グリッドマンに変身し、『バスターボラー』となったボラーと共に地上に降り立った。

 

 

 

ゼアス「!!」

直喜(あっ、グリッドマンだ!!後、あのマシンは何だろう…?)

 

グリッドマンに気付いたゼアスも、地上に降り立ち…グリッドマンと共に構えを取る。

 

将「グリッドマンだ!!ゼアスと並んで登場…燃えてきたぜ!!」

 

ゼアス「ッ?」

直喜(あっ!内海君だ…みんなのとこに送ってかないと!!)

 

ゼアスは将の元に移動し、彼に右手を差し伸べる。

 

将「おっ、乗れってことか?」

 

ゼアス「…。」コクッ…

 

将「マジで…お、俺…ウルトラマンに乗せて貰っちゃった……うぅっ!!」

 

ゼアス「…?」汗

 

何故か泣き出す将に困惑するゼアス。将が泣いている理由だが…小さい頃から、ウルトラマンと一緒に空を飛ぶことを夢見ていた。それが叶ったと感じたからだ。しかし、ゼアスは空を飛ばず…歩いて駅前へ移動し、将を降ろした。

 

将「よっと…ゼアス、ありがとう!!」

 

ゼアス「…。」コクッ…

直喜(と、とりあえず…泣き止んだみたい…)汗

 

ゼアスは空へ飛び立ち、エネルギー光弾をゴーヤベック目掛けて撃つ。ゼアスが放つ光弾は、ゴーヤベックの足に命中し…ゴーヤベックは足を止めた。

 

 

 

アカネ「あっ、やっと出て来た!」

 

アンチ「ゼアスもいる。」

 

アカネ「頑張れー、ゼアスー♪」

 

アンチにおんぶされた状態で、アカネはゼアスの応援を開始した。

 

 

 

ボラー『くそっ!足場が悪くて動けねぇ!!』

 

バスターボラーの足元はぬかるんでおり、進むことができないようだ。

 

ゼアス「ジュアッ!!」

 

ゼアスは右手から『ゼアスキャン』を放ち、バスターボラー周辺の地面を除菌し、キレイにした。

 

バスターボラー『おっ!?スゲェ…サンキュー、ウルトラマンゼアス!!』

 

バスターボラーはゼアスにお礼を言うと、『フォレスター消火弾』を発射し、山火事を消していく。ゴーヤベックは、グリッドマン目掛けて巨大な足を降ろしてくる。

 

グリッドマン『負けやしない!!』

 

グリッドマンはゴーヤベックの足を受け止めたが…

 

グリッドマン『グワッ!!』

 

ゴーヤベックのパワーに押し負け、地面を転がった。

 

直喜(グリッドマン!!こうなったら、あの怪獣の体内に入って…内部から衝撃を与えるしか無い…!!)

ゼアス「シェアッ!!」

 

ゼアスはゴーヤベック目掛けて飛んで行き、口の中から体内へ入って行った。

 

バスターボラー『あっ、おい!!ゼアス!?』

 

グリッドマン『ウルトラマンゼアス!!』

 

ゼアスの行動に混乱し始めるバスターボラーとグリッドマン。

 

 

 

アカネ「えっ!?ゼアス何してんの!?」

 

アカネも、ゼアスの予想外の行動に混乱していた。そんな彼女を降ろしたアンチは…マフラーを彼女に投げ渡し、どこかへ去っていった。

 

アカネ「…。」スンッ…

 

アカネはアンチのマフラーの匂いを嗅ぎ……

 

 

アカネ「臭い…」

 

 

…と、呟いた。

 

 

 

その頃、ゼアスは……

 

ゴーヤベックの体内にいた。その体内は、途方もない超圧力を持っており、あらゆる物質を原子圧縮してしまう。

 

ゼアス(直喜君、ここに長時間いるのは危険だ!!急ごう!!)

直喜(う、うんっ!!)

 

やがて、ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり…点滅を始めた。

 

直喜(僕に考えがあるんだ!!)

ゼアス「ジュアッ!!」

 

ゼアスは両腕を左右から上にあげ、胸の前に高密度に超高熱の光エネルギー粒子を集めると……

 

ゼアス「タァァアアアアッ!!

 

ゴーヤベックの体内に向かって放った。そして、急いでゴーヤベックの体内から脱出を図った。

 

 

 

ゴーヤベックの身体に稲妻が放ったと思った直後…ゴーヤベックは大爆発を起こし、木っ端微塵になった。

 

グリッドマン『そんな…ウルトラマンゼアス…!!』

 

バスターボラー『おいおい…嘘だろ…!?』

 

なみこ「あっ、ゼアスが…!!」

 

はっす「そ、そんな……」

 

将「いや、そんな訳ない…ウルトラマンは、不死身だ!!ゼアスは生きてる!!」

 

六花「ッ!!」

六花(な、直喜…!!)

 

ゴーヤベックは倒されたものの、ゼアスが爆発に巻き込まれてしまった……かと、思われたが……

 

将「あっ、あれは…!!」

 

爆発の中から、1つの光が現れ…ゆっくりと地上に降りて来た。

 

パァァアアアアッ!!

 

ゼアス「……。」

 

ウルトラマンゼアスだった。ゼアスはゴーヤベックの体内に光線を放ち、内部から衝撃を与えて倒すことを考えたのだ。

 

将「ウルトラマンゼアス、無事だったんだな!!」

 

六花「よ、良かった…!」

 

なみこ「やったぁ!!」

 

はっす「スゴい、あんな大きい怪獣まで倒しちゃうなんて…!」

 

ゼアスが無事だと分かり、安心するメンバー達。

 

グリッドマン『ウルトラマンゼアス。』

 

ゼアス「……。」コクッ…

 

バスターボラー『てか、俺殆ど出番無かったような…』汗

 

バスターボラーは呆然としているが…そこに……

 

 

アンチ『グリッドマン!!今日こそ貴様を倒す!!』

 

 

怪獣形態となったアンチが姿を現した。

 

グリッドマン『またお前か!?』

 

アンチ『また俺だぁぁああああ!!』

 

アンチは雄叫びと共に光弾をグリッドマン目掛けて乱射した。グリッドマンはバク宙返りで光弾を交わす。

 

アンチ『今日こそは!今日こそ殺してやるぞ、グリッドマン!!』

 

アンチの光線を、防ごうとするグリッドマン。

 

ゼアス「ジュアッ!!」ブゥゥウウウウンッ!!

 

すかさずゼアスがグリッドマンの前に立ち、バリアを張ってアンチの攻撃を防いだ。

 

将「今回は脱落しないのか?」汗

 

アンチの登場に、困惑する将。

 

アンチ『くっ…ウルトラマンゼアス、また邪魔をするのか!?』

 

ゼアス「……。」汗

直喜(全く…グリッドマンを倒してどうするのさ……)汗

 

バスターボラー『シドニー粘着キャノン!』

 

バスターボラーはアンチの足元を狙ってミサイルを放った。ミサイルは爆発すると、アンチの足元を固めて…動きを封じた。

 

アンチ『何だこれは、動けない!!』

 

バスターボラー『大人しくゼアスにやられろ。今のうちに、ほら…スペシウム光線だっけ?あぁとにかく、ゼアス…アンチをやっつけろ!!』

 

ゼアスはまるで何かを大切に抱えるような独特の動作の後に…腕を逆十字に組み、必殺技『スペシュッシュラ光線』を発射した。グリッドマンはバスターボラーと合体し、『バスターグリッドマン』になると…

 

グリッドマン『バスターグリッドミサイル!!』

 

アンチ目掛けてミサイルを乱射する。

 

アンチ『うぐぐぐ…いい気になるな!!』

 

しかし、アンチにコピーされるという厄介な事態となってしまった。ミサイルはゼアスをすり抜け、グリッドマンだけに飛んで行く。

 

直喜(マズい!!グリッドマンが負けちゃう…!!)

 

アンチ『消えろ!!消えろぉ!!跡形もなく消え去れェェエエエエ!!』

 

がむしゃらにミサイルを放つアンチ。ゼアスはスペシュッシュラ光線でアンチのミサイルを破壊し、アンチ目掛けて再度スペシュッシュラ光線を放つ。

 

バスターボラー『こっちも無限の火力でアイツをやっつけるぞ!!』

 

バスターボラーはそう言うと、『ツインドリル』をバスターモードにし

 

バスターボラー『ツインバスター…!!』

 

グリッドマン『グリッド!!』

 

ボラー&グリッドマン『『ビーム!!』』

 

必殺技『ツインバスターグリッドビーム』を、アンチ目掛けて発射した。

 

アンチ『ぐああああぁぁぁぁ!!覚えてろよ…!!』

 

アンチは捨て台詞を吐き捨てると、大爆発に包まれていった。

 

 

 

アカネ「おぉっ、グリッドマンとゼアスの合体技かぁ…成る程ね。」

 

ゼアスとグリッドマンの勝利を見届けたアカネはそう言うと…アンチのマフラーを脱ぎ捨て、どこかへ去っていった。

 

 

 

ゼアス「……。」

直喜(はぁ…やっと勝ったぁ……)

 

ゼアスのカラータイマーの点滅が、次第に早くなっていく。

 

グリッドマン『ありがとう、ウルトラマンゼアス。』

 

ボラー『ゼアス、お前ってつえぇんだな!!』

 

お礼を言うグリッドマンと感心を示すボラーに頷いたゼアスは…上を見上げ、大空へと飛び立って行く。

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

飛び去って行くゼアスを見送ったグリッドマンとボラーも、姿を消していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「あれっ、アカネちゃんいないの?」

 

巨大怪獣を倒し、アンチを撃退した後…何事も無かったように駅前に姿を見せる直喜。

 

転生者 A(…あっ、神山……!!)

 

転生者 C(きょ、今日こそはてめぇを…!!)

 

たまたま彼の後ろにいたAとCは、彼の背後から静かに忍び寄り…彼に危害を加えようとしたが……

 

 

なみこ「直喜!!」ドゴォッ!!

 

はっす「直君、無事で良かった…!」ドゴォッ!!

 

 

なみことはっすのライダーキックを受け、路地裏に吹っ飛ばされた。

 

直喜「あっ、なみこちゃんとはっすちゃん…?」

 

六花「直喜!!良かった…ケガは無い!?」

 

そこに六花も来て、直喜の身体をペタペタと触りながら外傷の有無を確認する。直喜はどこも怪我しておらず、無事であった。

 

直喜「か、間一髪のところで…ゼアスが、助けてくれたんだ……」

 

ボラー「おぉ神山ァ!!お前も見たか!?バスターボラー、スゴかっただろ!?」

 

直喜「あっ、ご、ごめん…見てなかった……」

 

ボラー「えぇっ!?何だよ~…!!」

 

ヴィット「あはは…とにかく、神山君が無事で良かったよ。」

 

サムライ・キャリバー「ふあぁ……」

 

直喜「あっ、響君…!!」

 

六花「ま、響君は無事だよね?」

 

 

裕太「いやいや、直喜君の時と態度違くない!?」汗

 

 

相変わらずの塩対応に、思わずツッコミを入れる裕太。

 

将「裕太!良かった…心配したんだぞ!!」

 

裕太「ありがとう。みんなの助けがあったお陰だよ。」

 

ボラー「そうさ!俺のドリルに感謝しな!!」ドヤァッ!

 

裕太の隣で、ボラーはドヤ顔をしながら得意気に言った。

 

直喜「あ…貴方が、グリッドマンですか?」

 

ジャンクに気付いた直喜は、画面からこちらを見守るグリッドマンに話し掛ける。

 

グリッドマン『あぁ、私がグリッドマンだ。初めましてだね?』

 

直喜「あっ、は、初めまして…!か、神山 直喜です…!」

 

緊張しながらも、グリッドマンに自己紹介する直喜。

 

ボラー「オドオドすんなって!男ならもっと堂々としたらどうだ!?」

 

直喜「うわっと!?えっと、君は…?」

 

ボラー「俺はボラーだ!!よく女と間違えられるけど、男だぜ?」

 

サムライ・キャリバー「お…俺は『サムライ・キャリバー』…」

 

ボラー「いやお前もオドオドすんな!!」

 

ヴィット「俺は『ヴィット』、神山君のことはよく聞いてるよ?」

 

マックス「私は『マックス』、よろしく!!」

 

直喜「うん、僕『神山 直喜』…って、いててて!!ボラーさん痛いよ!!」

 

ボラー「何だよつれねぇなぁ?折角神山に会えたんだから、もっと仲良くしよーぜ♪」

 

そこに、教員がやって来る。

 

教員「あぁ、君たち心配したよ!!どこへ行ってたんだ?」

 

裕太「す、すいません…」汗

 

六花「う、ウチらはぐれちゃって…」汗

 

教員に平謝りする裕太と、理由を説明する六花。そんな彼女を、なみことはっすがからかい始める。

 

 

なみこ「ねぇ…六花さんさぁ~?」

 

はっす「フフフフフフ~…♪」

 

なみこ「そんなカッコで、まぁた男と一緒かよ~?直喜がいるってのにさ~♪」

 

 

直喜「っ!?」汗

 

六花「あぁもぅ何度でも言ってください…///」

 

なみこの言葉に困惑する直喜と…耳を塞いで、恥ずかしながらも開き直る六花。

 

将「やっぱり、新条がいないな。」

 

アカネがいないことに、違和感を感じる将。

 

直喜「えっ?アカネちゃんなら、先に避難してるって六花ちゃんから聞いたんだけど……」

 

なみこ「アカネなら、1個前の電車で帰ったよ?もう運転再開してるし…」

 

どうやら、電車で帰ったようだ。直喜は納得するも、将はどこか納得行かない顔をしていた。

 

 

 

あの後、メンバー達は普段着に着替え終えると…一緒の電車に乗って帰って行った。

 

直喜「Zzz~…」スヤァッ…

 

直喜は余程疲れたのか、眠ってしまっていた。

 

六花「…んふふ~、にゃ~お~き…♪」ムニャ……

 

六花は直喜にくっついて眠っていた。寝言を言うと、直喜の腕に自身の腕を絡ませた。他のメンバー達も眠っている中、マックスだけは起きていた。

 

 

マックス(何故彼らの周りばかりに…

 

…怪獣が現れるのか?

 

怪獣はどこから来るのか…?)

 

 

彼は1人、考え事をしていた。これまで、怪獣のほとんどは直喜達の周りに現れていた。その怪獣達は、グリッドマンやウルトラマンゼアスによって倒されている。

 

マックス「……。」チラッ…

 

マックスは隣で眠っている裕太を見た後、正面の座席で眠る直喜を見る。

 

マックス(流石に…疲れたか……)

 

そして、目を閉じると…眠りについた。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第33話 宿・泊

OP~OxT『UNION』~♪


校外学習が終わり、数日が経ったある日の金曜日……

 

 

4人「「「「ムムムム~…!!」」」」バチバチ…!!

 

 

何やら六花とアカネ、なみことはっすが火花を散らしながら睨み合っている。その理由は……

 

 

 

今から遡ること数分前……

 

はっす「ねぇねぇ、前から思ってたんだけどさ~…直君の部屋って、中どうなってんだろうね~?」

 

はっすのこの言葉に、六花とアカネとなみこが食い付いた。

 

六花「あぁそれ分かる!!私も気になってたんだよね!!」

 

アカネ「どんな部屋なんだろう?」

 

なみこ「案外普通か…それとも、個性的か……気になるな~?直喜、どんな感じ?」

 

直喜「お、教えない…」汗

 

直喜がそう言うと、なみこがとある提案を出した。

 

 

なみこ「だったらさ、直喜の部屋に泊まりた~い!!」

 

 

それは、直喜の家に泊まりに行くというのだ。だが、直喜はマンション暮らしのため…あまり大人数では泊まれない。それを考慮し、じゃんけんで真剣勝負をすることに……ちなみに、勝ち残った1人が直喜の部屋に泊まりに行くことができる(直喜からも了承済み)。

 

回想終了……

 

 

 

六花「……!」ドクンッ…

 

アカネ「……!」ドクンッ…

 

なみこ「……!」ドクンッ…

 

はっす「……!」ドクンッ…

 

 

額に汗を流しながら、緊張感に包まれる女性陣。

 

「「「「じゃんけんポンッ!!」」」」

 

その結果……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「ぃやったぁぁああああ!!

 

 

六花、なみこ、はっすが『パー』に対し…アカネが出したのは『チョキ』だった。つまり、アカネの一人勝ちである。勝利した彼女は、大喜びし…高笑いしていた。

 

亜子「アカネおめ~♪」

 

蘭萌「おめでとうアカネ♪」

 

そんなアカネを祝福する亜子と蘭萌。

 

3人「「「……。」」」チーン……

 

反対に、六花となみことはっすは…ガックシと床に膝を着き、落ち込んでいた。

 

転生者 A「だ、だったら俺の家においでよ!!高級マンションなんだぜ!?」

 

落ち込む六花達に、Aは明るく話し掛ける。しかし…

 

 

六花「は?喧嘩売ってんの?

 

なみこ「あんたのとこなんて、死んでも嫌。

 

はっす「どうせまたエッチなこととか考えてんだろ?

 

 

3人はハイライトの消えた目を向け、ドスの効いた低い声をAに放った。最後のはっすの言葉に、次第に表情が青ざめていくA。

 

六花「……。」ガシッ!

 

転生者 A「あっ、おい六花…ま、待て!!待て待て待て!!」アセアセ

 

右腕一本で、Aの首元を掴んでは…軽々と持ち上げる六花。

 

転生者 A(いやいや、六花は非戦闘ヒロインだろ!?こんな細い腕で、俺を軽々と持ち上げるとか……どんだけパワーあるんだよ!?てか、この世界なんだかおかしいzってうわぁっ!!?)

 

そして、黒板に投げられ…顔面から激突し、教壇の上にうつ伏せにずり落ちた。

 

六花「あぁ、スッキリした。」

 

なみこ「よっ!六花さん最強~♪」

 

はっす「姉御~、一生ついて行くでやんす♪」

 

右肩を回しながら言う六花に、なみことはっすは言う。

 

 

クラスメイト(((こ、コイツらを怒らせちゃダメだ…!)))ガタガタ…

 

 

そんな彼女達を見て、震え上がるクラスメイト達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「ンフフフ~♪」ルンルンッ♪

 

アレクシス『おやアカネ君、随分な大荷物だね?どこかお出掛けかい?』

 

アカネ「聞いてよアレクシスぅ~♪今日はさ、直喜君家にお泊まりに行くんだぁ~♪」

 

アレクシス『へぇ~!そうなのかい!?』

 

自宅に帰ったアカネは、帰って来てすぐ準備を始めた。

 

アカネ「直喜君と一緒の部屋で2人っきりで、あんなことやこんなことを……キャー♪///」

 

アレクシス『おーい、アカネく~ん…戻っておいで~?』汗

 

妄想の世界に入って行ったアカネを呼び戻すアレクシス。

 

アカネ「よ~し、準備OK~♪あっ、忘れ物あったら届けに来てね?」

 

アンチ「おい…」汗

 

パシりにされるアンチは、アカネにツッコミを入れる。そして、旅行バッグを持ったアカネは自宅を出て…直喜のマンションに向かうのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「……。」

アカネ(あ~あ、折角良い気分だったのに……)

 

転生者 B「あ、アカネ!!待つんだ!!神山のとこに行ってはいけない!!」

 

アカネの自宅前には、何故かBがいた。しかも、どこから情報を聞き出したのか…直喜の元へ行くことも知られている。

 

アカネ「はぁ…また邪魔しに来たんだ?

 

転生者 B「な、何を言うんだ!!俺は君を、神山の魔の手から救いに来たんだ!!俺は君だけのヒーローになりたいんだ!!」

 

アカネ「フッ…良い台詞、感動的だね?でも、無意味だよ。

 

アカネは自身の正面で腕をクロスすると、ゆっくりと腕を左右に開いた。すると、彼女の両隣に…禍々しいオーラが現れ、それが段々人の姿に変わっていく。1人は、『ウルトラマンタロウ』に酷似した黒いウルトラマンで…もう1人は『初代ウルトラマン』に酷似した黒いウルトラマンであった。

 

転生者 B「ッ!?」

転生者 B(何だ、このウルトラマン!?まさか、神山の力か!?)

 

アカネ「これ、私の力なんだ。さ、アイツをやっつけて?」

 

アカネがそう言うと、2人の黒いウルトラマンは構えを取り、Bに向かって走り出した。その間に、アカネはさっさと直喜のマンションに向かって行った。

 

転生者 B「あっ、アカネ!!って、うおっ!?」

 

???1「!!」ブゥンッ!!

 

初代ウルトラマンに酷似した黒いウルトラマンが攻撃を行うと、まるで金属音のような音が鳴り響く。

 

???2「!!」ガシッ!!

 

ウルトラマンタロウに酷似した黒いウルトラマンがBを捕らえると、初代ウルトラマンに酷似した黒いウルトラマン目掛けて投げ飛ばす。飛んで来たBに、初代ウルトラマンに酷似した黒いウルトラマンが瓦割りを繰り出し…勢いよく地面に叩き付けた。

 

転生者 B「あが……が…ぁ……」

 

戦闘不能になったBを、ウルトラマンタロウに酷似した黒いウルトラマンが勢いよく踏みつけ…

 

 

???2「ワッハッハッハッハッハ!!

 

 

…と、まるで「ざまぁみろ!」と言うように、不気味な笑い声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「到ちゃ~く♪」

 

漸く直喜のマンションに到着したアカネは、彼の部屋の玄関前に行き、インターホンを押す。

 

ピンポーン♪

 

『はーい!』

 

部屋からは、紛れもなく直喜の声が聞こえて…

 

ガチャッ…

 

直喜「あっ、アカネちゃん…い、いらっしゃい。」

 

ドアが開き、直喜が顔を出した。

 

アカネ「ウフフフ、来たよ~♪」

 

直喜「あっ、ど…どうぞ上がって。」

 

女の子を自分の部屋に招待するのは初めてな直喜は、少々緊張している様子。

 

アカネ「わ~いお邪魔しま~す♪」

 

アカネは嬉しそうに直喜の部屋に入っていく。

 

アカネ(緊張してるねぇ…そんなに緊張すること無いのに~……あっ、そうだ!)

 

アカネは玄関で靴を脱ぎ、直喜が用意したスリッパに履き替えると……

 

アカネ「直喜君直喜君!」

 

直喜「な、何かな…?」

 

アカネ「今から、ちょっとしたマジックをするから…見てて?」

 

直喜「ま、マジック…?」汗

 

アカネはカバンから毛布を取り出して広げ…数十秒後、毛布を降ろした。

 

直喜「えっ!?」

 

毛布を降ろした後、直喜はビックリしていた。その理由は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「どう、ビックリした?」

 

???3「ジュアッ。

 

アカネ以外誰もいなかった玄関に…『ウルトラセブン』に酷似した黒いウルトラマンの姿があったからだ。

 

直喜「か、『カオスロイドS』!?」

 

それは、『メフィラス星人』が『カオスヘッダー』を使って作り出したウルトラ兄弟のコピー『カオスロイド』である。アカネがマジックと称して直喜の目の前に登場させたのは、ウルトラセブンの姿をコピーした『カオスロイドS』だった。

 

アカネ「心配しないで?見た目は恐ろしいけど、直喜君の味方だよ♪」

 

アカネの言葉に、ゆっくりと頷くカオスロイドS。

 

直喜「……。」汗

 

カオスロイドの登場に、困惑する直喜だが…アカネを信じ、カオスロイドSにもスリッパを用意した。すると、カオスロイドSはホワイトボードとペンを生み出し、何かを書き始める。そして、直喜に見せた。

 

『お気遣いありがとう。』

 

直喜「…ど、どういたしまして…」汗

 

言葉を発しない代わりに、文字で意思を伝えようとしたのだ。

 

 

 

リビングに着くと、アカネは部屋中を見回す。

 

アカネ「結構キレイだね~?あっ、これってウルトラマンゼアスのポスター?スゴ~い♪」

 

直喜「いや、アカネちゃんの手品の方がスゴい気が…」汗

 

アカネ「あんなの大したことじゃないって~w」

アカネ(ま、手品じゃなくて本当に生み出してるんだけどね~?)

 

ちなみに…アカネが生み出したカオスロイドSは、『本物』である。洗い物や洗濯物等、直喜の手伝いをしてくれている。念力で服を浮かせ、キレイに畳んでいく。

 

直喜「あっ!?ちょっと待って!!それは!!」

 

アカネ「わぉ♥️」

 

直喜の服だけでなく、下着までフヨフヨと宙に浮かせては畳んでいく。直喜は慌ててボクサーパンツを取り、せっせと畳んでいく。

 

カオスロイドS「…?」

 

直喜「ぼ、僕がやるから君はゆっくりしてて!!」アセアセ

 

カオスロイドS「…。」コクッ…

 

テンパる直喜の言葉に頷いたカオスロイドSは、リビングの床に向かい…正座して座った。

 

アカネ(へぇ~…直喜君、如何にも男性って感じのパンツ履いてるんだね。)

 

直喜「…ふぅ、終わったぁ……さて、そろそろご飯作んないと…」

 

洗濯物を終えた直喜は、台所へ向かい…冷蔵庫を見る。

 

アカネ「あっ直喜君。夕食、私が作るよ♪」

 

直喜「えっ?」

 

アカネ「いっぱい料理練習したんだ~♪ね、お願い!」

 

直喜「そ、それなら…お言葉に甘えて……」

 

アカネは自前のエプロンを身に付けると、キッチンに向かい…料理を始める。その間に、直喜はカオスロイドSと共に食器の準備をする。

 

直喜「あっ、君も食べる?」

 

カオスロイドS「……。」

 

直喜の問い掛けに、ゆっくりと首を横に振るカオスロイドS。そして、ホワイトボードに何かを書く。

 

『俺は食事を摂る必要が無い体質なんだ。』

 

直喜「そ、そうなんだ…」汗

 

カオスロイドSの言葉に、納得する直喜だが…闇の巨人が自分の部屋に居るのは、あまりにもシュールである。

 

アカネ「ふふ~ん♪ふふ~ん♪ふふ~ん♪ふふ~ん♪」ジュワァァアアアアアアッ…

 

アカネは鼻歌で『ウルトラセブンの歌』を歌いながら…玉子焼きを作っている。そして、料理を終えると…皿に盛り付け、テーブルに配膳する。

 

アカネ「直喜君、できたよ♪」

 

直喜「わぁ~!玉子焼きだ!!」

 

アカネが作ったキレイな玉子焼きを見て、目を輝かせる直喜。どうやら直喜…玉子焼きが大好物のようだ。

 

アカネ「あっ、君は巡回に行ってくれるかな?直喜君のマンションに変なヤツがいないか見てきてよ。」

 

カオスロイドS「……。」コクッ…

 

カオスロイドSはアカネの言葉に頷き、直喜の部屋を出た。

 

直喜「カオスロイドSが居るってことは…TとUも?」

 

アカネ「うん、いるよ♪それより、食べよ♪」

 

直喜「あっ、うん…」

 

そして、直喜とアカネは同じテーブルの上で夕食をいただく。

 

アカネ「どう直喜君、美味しい?」

 

直喜「おぉ…スッゴく美味しい…!!」

 

アカネが作った玉子焼きは直喜の口にベストマッチし、直喜は箸を止めずに玉子焼きを口の中へ運び続ける。

 

アカネ「……♪」

 

直喜「うん♪…ハッ!?」

 

玉子焼きを食べる自分を見守るアカネに、直喜はハッとする。

 

直喜「あっ、ごめんねアカネちゃん!」

 

アカネ「ほえ、何が?」

 

直喜「いや、その…僕だけ、アカネちゃんが作った玉子焼きをパクパク食べちゃってて…なんか、申し訳ないなって思って……」

 

アカネ「謝ることないよ♪だって、直喜君のために作ったんだからさ♪」

 

直喜「あ、アカネちゃん…ありがとう……」

 

アカネの言葉を聞き、元気を取り戻した直喜。そして、アカネお手製の玉子焼きをじっくり味わい、お腹も心も満たした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオスロイドS「……。」

 

転生者 A「んなっ!?ウルトラマンセブン!?」

 

直喜のマンションに、Aが姿を現した。ウルトラマンをあまり知らない彼は、セブンのことを『ウルトラマンセブン』と言う。だが、彼の目の前にいるのはウルトラセブンではない…カオスロイドSだ。

 

カオスロイドS「ジュアッ!!

 

Aを不審者と認識したカオスロイドSは、額のビームランプから紫色の光線『エメリウム・コピー』を発射した。

 

転生者 A「おわっ!?あっぶね!!」

 

間一髪で避けたA。しかし…

 

カオスロイドS「デュアアァァッ!!

 

転生者 A「ぬおっ!?な、何だこりゃ…!!」

 

カオスロイドSは右手を突き出し、念力でAを浮かせると…ゴミを放り投げるように、Aを3階から地上へ落とした。その後、起き上がったAを睨み付け…Aを撃退する事に成功した。

 

 

 

ガチャッ…

 

カオスロイドS「……。」

 

アカネ「あっ、お帰り~♪」

 

カオスロイドS「……。」コクッ…

 

Aを撃退したカオスロイドSは、台所に向かうと洗い物を開始した。

 

直喜「あぁ…僕がやるのに……」

 

アカネ「カオスロイドSは、直喜君の力になりたいんだよ…そうだよね?」

 

アカネの言葉に、背を向けたままゆっくりと頷くカオスロイドS。

 

直喜「あっ、そうだ…アカネちゃん、お風呂沸いてるから入っておいでよ?」

 

アカネ「う~ん……それならさ、いっそのこと…一緒に入ろうよ♪」

 

直喜「っ!?い、一緒に…?」大汗

 

アカネ「…ダメ?」

 

直喜「そ、そんな目で見られると…」汗

 

アカネ「私は直喜君になら、身体見られても平気だよ?なんなら、見てみる?」

 

直喜「ちょちょちょちょ!!アカネちゃんストップストップ!!」アセアセ

 

服を脱ごうとするアカネを慌てて止める直喜。

 

アカネ「あっ、そうだ!いいこと思い付いた!!」

 

アカネが思い付いた考え…それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「じゃ~ん♪」

 

直喜「……。」汗

直喜(これはこれで…余計恥ずかしい……まぁ、裸ん坊よりはマシか…)

 

それは、水着に着替えて入浴するという考えだ。アカネは校外学習で着ていった白い水着に身を包み、直喜の背中を流している。

 

アカネ「痒いところは無い?」

 

直喜「だ、大丈夫……」

 

アカネはたまに胸を押し当てて、直喜の背中を洗ったりした。直喜は必死にウルトラマン作品に登場する宇宙人を頭の中で数えながら、必死に耐えた。

 

アカネ「OK、それじゃあ流すよ?」

 

やがて、身体を洗い終え…泡を流すと、アカネと対面する形で浴槽に入る。

 

直喜(うぅっ…き、気まずい……)汗

 

アカネ「ねぇねぇ直喜君♪」

 

直喜「は、はいぃっ!?」

 

急に呼ばれ、声が裏返ってしまう直喜。

 

アカネ「ちょっとゲームしない?」

 

直喜「へっ…?…げ、ゲーム…?」

 

アカネ「そう♪ん~と…じゃあ、悪トラマンやニセウルトラマンをひたすら言うゲーム。おんなじヤツを言ったり、10秒経っても名前が分からなかったら負け。どう、やる?」

 

直喜「う、うん…やる…」

 

こうして、アカネの考案したゲームを始める直喜。初めは順調に悪トラマンやニセウルトラマンの名前をコロコロ出していたが…次第に、浮かばなくなってきていた。何故なら…

 

直喜(め、目の前には水着姿の女の子…うぅ、やっぱり無理…!!)

 

自分の目の前には、水着に身を包んだ美女がいる。それに耐えられなくなった直喜は、顔を真っ赤にし…気絶してしまった。

 

アカネ「あれ?お~い直喜く~ん?」

アカネ(んもぅ、直喜君ったら…恥ずかしがり屋さんだなぁ~♪)

 

アカネはウルトラマンタロウに酷似した黒いウルトラマン『カオスロイドT』と、初代ウルトラマンに酷似した黒いウルトラマン『カオスロイドU』を召喚し、直喜を脱衣場まで運ばせた。そして、自分は彼をパジャマに着替えさせた。

 

 

 

彼の更衣介助を終えると、自分もパジャマに着替えて…2人のカオスロイドに指示を出し、寝室まで運ばせた。2人のカオスロイドは、丁寧に直喜をベッドまで運び…アカネの後ろに立つ。そこへ、洗い物を終えたカオスロイドSもやって来る。

 

直喜「……ん?」パチッ…

 

アカネ「あっ、大丈夫直喜君?」

 

直喜「…あれ…ぼ、僕……」

 

アカネ「あぁ無理に起きなくて良いよ?」

 

直喜「大丈b…って、えぇっ!?か、カオスロイドTとカオスロイドU!?い、いつの間に!?」ガバッ!

 

何故か自分の部屋にいる新たなカオスロイドにビックリする直喜。カオスロイドTとカオスロイドUも、カオスロイドSと同様…直喜の味方である。ちなみに、『本物』だ。

 

アカネ「大丈夫大丈夫、TとUも直喜君の味方だよ♪」

 

アカネの説明に、直喜は納得する。

 

直喜「あっ…僕、床で寝るから…アカネちゃん、僕のベッド使ってよ。」

 

アカネ「そんなに気ぃ遣わなくて良いって♪またいいこと思い付いたから♪」

 

アカネはそう言うと、直喜の隣に入ってきた。所謂『添い寝』である。アカネがベッドに入ったのを見届けた3人のカオスロイド達は、部屋を退室した。

 

直喜「あれ?カオスロイド達、どこ行くんだろ?」

 

アカネ「あれだよ、あれ…えっと、そうそう!門番だよ♪直喜君家に変なヤツが来ないよう、守ってくれるよ♪」

 

直喜「むしろ、誰も近付けないんじゃ…」汗

 

アカネ「まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしない♪」

 

アカネは直喜の背中を優しく叩き、子守唄を歌い始める。それを聞いた直喜は、ウトウトし始め…すぐに眠った。

 

アカネ(よしよし、ちゃんと寝てくれたね?)

 

アカネはソロソロとベッドから出てくると…どういうわけか、自身の股をおさえる。

 

アカネ(もう直喜君可愛すぎだって~…あ~あ、パンツ濡れちゃった…ま、替えのヤツ持ってきたから良いんだけどさ。)

 

そして、音を立てずに直喜の寝室から出て…トイレへと向かった。

 

 

 

数分後、トイレから戻ったアカネは…再び直喜の隣に入ってくる。

 

アカネ(ふぅ、スッキリした…またイっちゃったらどうしよう……)汗

 

ふと、直喜はゴロンと体位を変え、アカネの方に寝顔を見せる。

 

アカネ(直喜君、やっぱり可愛いなぁ~♪)

 

直喜の寝顔を見たアカネは、思わず彼の顔をそっと撫でる。

 

アカネ(あぁ、夢見心地だぁ…直喜君と1つ屋根の下でこうやって過ごすなんて……この時を、どれだけ待ちわびたんだろう。)

 

直喜を亡くし…彼がいない世界を過ごしてきたアカネは、毎日のように泣いていた。直喜に助けられたのに、自分は彼を助けられなかったという自身の無力さを感じ…そして、彼に優しくできなかったことを後悔する気持ちが混濁し…遂に、コワレてしまった。コワレた感覚のまま、闇の巨人の力を駆使して…●●●●を倒し続けて、数十年…数百年……数千年と時が経過し、漸く…愛しき彼『神山 直喜』と再会を果たした。

 

アカネ(やっと会えたんだ…私の、私の王子様に…直喜君、私を守ってくれたもんね~?…だから、今度は私が…直喜君を、守るからね。)

 

スヤスヤと眠る直喜に微笑むアカネは、母親のような慈愛深い目を向けていた。直喜のマンションの守衛を、カオスロイド達に任せ……直喜に抱きついて幸せそうな顔をし、夢の世界へと旅立つアカネであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第34話 心・友

OP~OxT『UNION』~♪


直喜の家に泊まったアカネは、彼と朝食を食べた後…彼にお礼を言い、カオスロイド達と共に帰っていった。カオスロイド達は恐ろしい見た目とは裏腹に、直喜に対して温厚であり、彼の手助けをしてくれた。

 

直喜(ふぅ…それにしても、お泊まり会って、こんな感じ…じゃ、ない…よね…?)汗

 

初めて友人を呼んで泊まって貰った直喜は考え事を始めるが…考えてもキリがないと感じ、考えることをやめた。

 

直喜(あっ、今日は土曜日か……うーん、家でゲームするのも良いけど……うん、散歩にでも行こうかな…)

 

直喜はそう思うと、動きやすい服装に着替え…散歩に出かけた。

 

 

 

青空には雲が浮かんでおり、ゆっくりと流れている。

 

直喜(今日も良い天気だなぁ…最近晴れ続きだから、気分も良いなぁ……)

 

そう思いつつ、トコトコと道を歩く直喜。ふと、前方右の電柱に、白い軍服風の衣装と、その下に紺の無地Tシャツを身に着けた、背の低い褐色肌の少年の姿が見えた。金髪一本三つ編みおさげで瞳の色は赤である。

 

直喜(…ん?誰だろう、変わった服装だなぁ……)

 

その少年が気になった直喜…すると、不意に少年と目があった。次の瞬間……

 

直喜(…!?)ザッ…

 

直喜は思わず足を止めた。その理由は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜(き、気のせい…かな…?…い、今…こっちを見て、笑ったような……)

 

直喜と目があった瞬間、その少年が自分に向かって微笑んでみせたのだった。再び足を進め、段々少年と距離が縮まって行く。足早に通り過ぎようとしたが…直喜が近くに来ると、少年はスススッと近付いて来た。

 

少年「ちょっと良いかな?」

 

直喜「は、はい…!?」

 

声を掛けられ、ビックリする直喜。

 

 

シズム「俺は『シズム』、ちょっと道に迷っちゃって…道を教えてくれないかな?」

 

 

その少年は『シズム』と名乗り…直喜に道を尋ねてくる。

 

直喜「え、えっと…ど、どこまで……い、行きたいんですか…?」

 

シズム「そうだね……ツツジ台公園に行きたいんだ。友達と待ち合わせしてて。」

 

直喜「そ、それなら…こ、ここの……近く…です……」

 

緊張しながらも、直喜はシズムをツツジ台公園まで案内を開始する。

 

シズム(やっぱりここにいたんだ…俺達の、ベストフレンド……直喜。)

 

 

 

数分後、無事にツツジ台公園に到着した直喜とシズム。

 

直喜「あ、あれ…と、友達は……?」

 

シズム「まだ来てないみたい…じゃあさ、そこのベンチで話でもしない?」

 

直喜「は、はい……」

 

シズムに誘われる形で、彼と共にベンチに移動して座る直喜。話を伺ってみると…シズムは直喜と同い年で、都内の高校に通っているらしい。

 

シズム(ま、本当は5000歳なんだけど…それじゃあ直喜がビックリしちゃうし…嘘も方便ってヤツだね。)

 

直喜「あっ、ぼ…僕…か、神山…直喜……」

 

シズム「知ってるよ。」

 

直喜「へっ?な、何で僕を知ってるの…?」汗

 

シズム「風の噂。」

 

直喜「え…えぇ……」汗

 

シズムの返答に困ってしまう直喜。

 

 

シズム(おっと、直喜が困っちゃったな……ウルトラマンとか勉強してくれば良かった…)汗

 

 

直喜を困らせてしまったことを後悔するシズム。そこに……

 

 

???「あっ!?おいシズム!!どこ行ってたんだよ!!探したんだぞ!?」

 

 

シズムと同じ、白い軍服風の衣装に身を包み、その下には白い無地のTシャツを着て、赤いモヒカン風に頭の左半分だけ伸ばした長い髪を全て前に垂らすという独特のヘアスタイルが特徴の…ヤンキーやチンピラ染みた男が現れた。

 

直喜「ッ!?」

 

彼の大声にビックリした直喜は、思わずシズムの後ろに隠れる。それを見逃さなかったシズムは、現れた男に注意する。

 

シズム「直喜が怖がってるじゃないか…何してくれてんの、オニジャ?」

 

オニジャ「あぁわりぃわりぃ!!って、お前…直喜、神山 直喜か!?」

 

直喜「ひえっ!?あっ、は…はい……」

 

オニジャ「うぉぉおおおおお!!マジだ、本物の…直喜じゃねぇか!!やっと会えたぜ!!よっしゃぁ!!」

 

現れた男『オニジャ』は、直喜を見た瞬間…何故か大喜びし始める。

 

直喜「…???」汗

 

シズム「直喜、コイツはこれでも俺の友達だよ。名前は『オニジャ』…ヤンキーっぽい見た目だけど、本当は寂しがりやなんだ。」

 

オニジャ「誰がヤンキーだ!?」

 

オニジャのデカい声にビックリした直喜は、思わずシズムの後ろに隠れた。

 

シズム「オニジャ…?

 

オニジャ「あわわわ悪かった!悪かったから怒んないでくれ!!怒っちゃやーよ!!」ザザザザザッ!!

 

静かにブチキレるシズムに、ダイナミック土下座をして謝るオニジャ…やはり、相変わらず声はデカい。

 

 

???「何してるんですか?」

 

???「いや、どういう状況?」汗

 

 

そこに…海軍の白い軍服風の衣装を身に着け、その下にはワイシャツにループタイという出で立ちの長身で眼鏡の男と……上半身は白い軍服を思わせる衣装を身に着けている一方で、下半身はその太い太ももの足を大胆にも全て晒しているのが特徴の青目でスタイルの良い女が現れた。

 

シズム「あっ、『ジュウガ』『ムジナ』…どこをほっつき歩いてたの?」

 

ジュウガ「それはこっちのセリフですよ、シズム。」

 

ムジナ「って、シズムの後ろに隠れてるのは…ひょっとして直喜?」

 

オニジャ「おう!!そうだぜ直喜だぜ!!オラ、喜べって!!」

 

ジュウガ「……本当に、直喜ですね。会えて光栄です。」

 

ムジナ「直喜~、会いたかったよ~♪」

 

直喜「…???」汗

 

ジュウガとムジナも、直喜と会っては嬉しそうにしている。その状況に着いていけず、混乱する直喜。

 

シズム「直喜、緊張しなくて大丈夫。こっちの眼鏡は『ジュウガ』、こっちの女は『ムジナ』、俺の友達だよ。」

 

直喜「えっ…そ、そうなの……?」

 

シズム「うん…いつも4人でいるんだ。」

 

シズムから話を聞くと…『ジュウガ』と『オニジャ』と『ムジナ』は、友達であり…いつも一緒につるんでいるとのこと……彼らも、自分と同い年らしい。

 

直喜「……。」

直喜(シズム君達…何だか不思議だなぁ……何で軍人みたいな格好してるんだろ?)

 

彼らが何故軍服のような衣装なのか、疑問に思っている直喜。

 

ジュウガ「俺達の格好が気になりますか?この格好についてですが…まぁ、あれですよ。お揃いみたいな感じです。」

 

直喜「サラッと僕の心読まないでくれるかな…?」汗

 

ジュウガの言葉に、思わずツッコミを入れる直喜。

 

ムジナ「ねぇ、折角直喜と会えたんだし…どこか遊びにでも行かない?」

 

オニジャ「おっ!それ良いな!!」

 

シズム「それじゃあ直喜が疲れちゃうよ。ほら、疲れた顔してるでしょ?」

 

ジュウガ「俺もシズムと同じ意見です。直喜の意思を尊重すべきだと思いますが?」

 

シズムとジュウガの言葉に、「ケチ!!」「どケチ!!」と言うオニジャとムジナ。

 

直喜「……。」

 

直喜の左隣に座ったジュウガは、彼に話し掛ける。

 

ジュウガ「直喜は、怪獣とかは好きですか?」

 

直喜「えっ?あ、うん…ぼ、僕…ウルトラ怪獣、好き……で、でも…う、ウルトラマンは…もっと、好き……」

 

ジュウガ「ウルトラマン…良いですね。どのウルトラマンが好きですか?」

 

直喜「ぜ、ゼアス…」

 

オニジャ「ゼアス良いよな!!ちなみに俺は、パワード推しだぜ!!」

 

ムジナ「私はガイア、後アグルも好き。」

 

シズム「俺はコスモスだね。怪獣を倒すんじゃなくて、優しさで怪獣を救ったりするのがカッコいい。」

 

ジュウガ「俺はゾフィーです。」

 

オニジャ「ゾフィーって確か、『ミスターファイヤーヘッド』だったよな?」

 

オニジャのこのことばに反応した直喜は……

 

 

直喜「み、ミスターファイヤーヘッド!?そんな訳無いじゃないか!!ゾフィーはウルトラ兄弟の長男で宇宙警備隊の隊長でもあるんだよ!?必殺技は『ミラクル』のMに、光の国公認の宇宙記録・87万度という超高熱を記録したM87光線!!どんな怪獣だってそれを受ければ木っ端微塵さ!!僕達ウルトラマンファンにその言葉は禁句だよ!!?」

 

 

…と、早口でオニジャに言った。

 

ムジナ「な、直喜が怒った…」汗

 

オニジャ「お、おう…ごめ……あ、いや…すいませんでした……」チーン…

 

怒った直喜に困惑するムジナと、直喜に土下座するオニジャ。

 

直喜「…ハッ!?ぼ、僕…何か言ったかな?」汗

 

先程のことを、直喜は覚えておらず…ハッとしてはジュウガ達に問い掛ける。

 

ジュウガ「いいえ、何にも。」

 

シズム「ムジナとオニジャ、漫才の練習してるんだよ。」

 

オニジャ「ちg…あぁそうそう!!最近漫才にハマっててさぁっはははは!」汗

 

ムジナ「え、えぇそうね!オニジャがボケ担当で私がツッコミ担当…あ、あは…あははは…!」汗

 

直喜の豹変ぶりを見た4人は、彼にウルトラマンをバカにする発言をしないよう、心に誓った。

 

 

 

正午まで、直喜と話をした4人は…帰っていく直喜を見送った。

 

ジュウガ「いやはや…ビックリですね、本当に直喜と会えたなんて。」

 

シズム「でしょ?多分だけど、この近辺に住んでると思う。」

 

オニジャ「直喜は俺達のベストフレンドだからな…今度は、死なせやしねぇぜ!!」

 

ムジナ「けど…直喜の命を狙ってるバカが3人いるっぽい……ま、直喜とつるんでる娘達にボコされてるんだけどさ…」

 

オニジャ「っはは、ざまぁねぇな!!」

 

シズム「ホント…ざまぁみろってね?」

 

ジュウガ「俺達は、怪獣を……直喜を守るために、使いましょう…今度こそ、直喜を死なせないために……」




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


この世界の『怪獣優生思想』について……

直喜を『ベストフレンド』と呼び、親しんでいる。人類に敵対することは無い。ただし…直喜を傷付けようとする者には、容赦しない。


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第35話 見・捨

OP~OxT『UNION』~♪


女子A『キャァァアアアア!!A君よ~!!♪』

 

女子B『Aくーん!こっち向いてー!!』

 

女子C『おはようA君!!』

 

転生者 A『やぁ皆、おはよう♪』

 

黄色い声援を送る女子達に、持ち前のイケメンスマイルを披露するA。彼の笑顔を見た者は、皆…歓声を上げる。そんな彼女達を見たAの心の中はこうだ……

 

 

転生者 A(そうだ…もっと俺に注目してくれ!!もっと俺にその声援を送ってくれぇぇええええ!!)

 

 

それは、もっと自分を見て欲しいという欲にまみれていた。

 

 

 

こちらでは……

 

女子1『ちょっと、Bは私のモノよ?』

 

女子2『何言ってんの!?B君は私の!!』

 

女子3『違います、私のBです。』

 

Bをめぐって争いをする女子達。そんな彼女達を、Bがやんわりと止める。

 

転生者 B『ははっ、全員抱くよ♪俺は皆のモノさ♪』

 

しかし、本当は……

 

 

転生者 B(良いぞ良いぞ!もっと俺を取り合ってくれぇぇええええ!!そして俺は、キャッキャッウフフしてやるんだぁぁああああ!!)

 

 

自分をめぐった取り合いを見て、「もっとやれ」と思っており…ヒロインを全員抱き、ハーレムを築くいたいという欲が渦巻いていた。

 

 

 

そしてこちらでは…

 

転生者 C『美味い!美味い!みんな俺の好物ばっかりだぜ!!』

 

ヒロインが作ってきた弁当にガツつくC。しかし、本当の本当は……

 

 

転生者 C(味付けが微妙だな…40点ぐらいだな……)

 

 

…と、料理に点数をつけ…ありがたみすら感じていなかった。

 

 

 

彼らはチート級の特典を悪用しては他転生者や原作主人公の恋路を邪魔し…時には必要以上に痛め付け、最悪の場合は殺害し、優越感に浸っていた。だが、それらを続けた結果…転生世界が崩壊し、場合によっては別の世界同士がくっついて、1つの世界になってしまった。しかも彼らは、飽きたら別の世界に行っては散々悪事を働いては世界を壊し…別世界に行ってはその世界を壊し……これを繰り返してきたため、最高神の怒りを買った。最高神は彼らに呪いをかけ、彼らのチート特典を全て封印…散々悪事を犯した彼らに相応しい罰を与えることに……

 

 

 

 

オリシス(やや、あれは六花とアカネ…なみことはっすも居るな……亜子と蘭萌に…おっ、直喜も居るぞ。)

 

オリシスの視線の先には、テーブルを挟み…お茶を飲みながら楽しそうに談笑する六花達と直喜の姿があった。

 

オリシス(六花とアカネが強くなったのは、紛れもなく直喜のお陰だ…それに、ここが中々面白い世界になったのも彼のお陰……私から彼に、何かお礼ができないだろうか……ま、気付かれないようにな…)

 

六花達と楽しそうに話す直喜を見て、思わず笑みがこぼれるオリシス。そんな彼に、横槍を入れる者達が約3名…現れる。

 

 

転生者 A「おいっ!!」

 

転生者 B「やっと見つけたぞ…!!」

 

転生者 C「てめぇ、どこをほっつき歩いてたんだ!?」

 

 

そう、転生者トリオだった。彼らは皆、怒った顔をしている。そんな彼らを見たオリシスは……無表情となり、ため息をつく。

 

オリシス「やぁ、元気そうで何よりだよ…」

 

転生者 A「それより俺に能力を寄越せ!!」

 

あまりにもデカい声で怒鳴る転生者トリオにイライラしながらも、グッと堪えたオリシスは…指パッチンを行い、場所を変えることに…

 

 

直喜「……?」

 

ふと、直喜が後ろを振り返ると…そこには、誰もいない。

 

六花「どうしたの、直喜?」

 

直喜「…ううん、何でもない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリシス(まったく…コイツらは空気も読めないのか……)イライラ…

 

転生者 B「おい!!俺に六花達を洗脳する力を寄越しやがれ!!」

 

転生者 C「後、夢芽とちせとムジナを洗脳する力も寄越せ!!」

 

オリシス「…言った筈だ。洗脳する力は既に最高神が封印した。だからもう、そんな都合の良い力は無い。」

 

オリシスが説明しても、彼らはそれに納得することは無い。

 

転生者 A「てめぇも神だろうが!!さっさと使えるようにしろよ!!」

 

オリシス「それは出来ない相談だな。どうせ六花達を洗脳してはエッ◯して…飽きたら別の世界に行っては勝手放題するつもりなんだろう?」

 

転生者 B「それが何だって言うんだよ!?何をしようが俺の勝手だろうが!!」

 

オリシス「あのなぁ…物事にも限度と言うモノがある。行動する前に考えることもできないのか?」

 

転生者 C「んなこと知るか!!それよりも俺に能力を寄越せよ!!」

 

転生者 B「そうだ!!俺に能力を寄越せっつってんだろうが!!」

 

転生者 A「早くしろ!!俺は一刻でも早く六花を抱きてぇんだよ!!」

 

ギヤーギャー騒ぐ転生者トリオに、いよいよ我慢の限界が近付いて来たオリシスは…強大な力で彼らを消し飛ばそうと思った。だが、その気持ちはすぐに失せることになる。

 

 

転生者 C「さっさと寄越せ!!この無能がぁ!!

 

 

怒り狂ったCのこの言葉が…転生者トリオに災いを起こす。

 

オリシス「無能?…フンッ、そうか…私は無能か。」

 

Cの言葉を聞いたオリシスは、ニヤリと笑う。

 

オリシス「なら、お前達に私の力は必要無いようだな?」

 

オリシスはそう言うと、空中に浮かび上がって行き…転生者トリオを見下ろし、こう言った。

 

 

 

オリシス「さらばだ!!

 

全知全能な転生者諸君よ!!

 

 

 

そして、曇り空に飲み込まれるように姿を消していった。

 

転生者 A「ま、待て!!」

 

転生者 B「おいやめろ…お前がいなくなったら……」

 

転生者 C「て、訂正する!!お前は無能なんかじゃない!!だから頼む!!待てっておい!!」

 

曇り空に飲み込まれていくオリシスを追おうとする転生者トリオだが…彼らに空を飛ぶ力は無い…ましてや、オリシスを呼び戻す力も無い…オリシスとテレパシーで会話をする能力等…都合の良い力は1つも無い……そのため、どうすることもできなかった。所謂『詰み』である

 

転生者 C「そ、そんな……お、俺の…ハーレム計画が…俺の、薔薇色人生が……」

 

転生者 B「り、六花…あ、アカネ……」

 

転生者 A「お、俺の…ヒーローアカデミアが……」

 

オリシスから見放され、絶望する転生者トリオ。そして始めたのは……殴り合いだ。

 

 

転生者 A「お、お前のせいだ…お前がアイツに無能とか言わなかったらこんなことにならなかったんだ!!どう責任取るんだ!?」ボコォッ!!

 

転生者 C「いっ……何すんだゴラァッ!!そもそも、てめぇらが無能なのが悪いんだろうが!!」ボコォッ!!ボコォッ!!

 

転生者 B「あがっ!?ふざけんじゃねぇ!!お前達のせいで…俺の人生はめちゃくちゃになったんだ!!お前達と組んだのが間違いだったんだ!!時間返せ!!」ボコォッ!!ボコォッ!!

 

 

それは…身勝手な責任転嫁……醜い責任の擦り付け合いだった。

 

 

 

 

 

 

 

転生者 A「ゼェ……ゼェ……」

 

転生者 B「ヒィ……ヒィ……」

 

転生者 C「ハァ……ハァ……」

 

数時間もの間、殴り合いを続けていた転生者トリオの顔はボコボコに腫れ上がり…人にみせられない程の醜い顔になってしまい、イケメン面が台無しである。

 

転生者 B「…ちっ……」

 

バツが悪くなったのか、その場から去っていくB。AとCも、これ以上コイツらと居るのはゴメンだと思い…去っていった。自分には大量の財産がある…生活には困らないと思っていたが……

 

 

 

転生者 A「はっ!?退去だと…どういうことだよ!?」

 

コンシェルジュ「家賃の滞納が続いています。何度もお手紙で通告させて頂きましたが…全く返事が無いどころか、連絡がありませんでした。それに、他の住人達からも貴方への苦情が殺到しているんですよ。そもそも、家賃滞納が2ヶ月も続いていれば…もう、これ以上貴方をここに受け入れることはできません。」

 

転生者 A「待て!!金は払う!!いくらだ、いくら必要なんだ!?」

 

コンシェルジュ「もう遅いです。とにかく、荷物纏めてすぐに出ていってくださいね?」

 

Aに有無を言わさず、バッサリと切り捨てるコンシェルジュ。そしてすぐに…Aの荷物がドサドサと運ばれてきた。

 

コンシェルジュ「おやおや…凶器ばかりじゃありませんか?これでは貴方をここの住人と認識することはできませんね。では……」

 

高級マンションを追い出されたAは、慌てて銀行に向かい…残高を確認する。

 

転生者 A(おい嘘だろ…残高がたった500円だと!?)

 

残り金は僅か500円しか無かった……

 

転生者 A(くっそぉ!!ちせの奴に飯やお菓子を爆買いされたことを忘れていた……どうすりゃいいんだ…!?)

 

手持ち金が無いことに、混乱し始めるA。これでは、学費が払えなくなる…そもそも、彼が通うツツジ台高校は原則アルバイトは禁止である。このままでは退学せざるを得ない状況になってしまう。それは、BとCも同じであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、直喜はヒロインズの満足そうな笑顔を見ながら帰路を歩いていた。

 

六花「あぁ、楽しかった~♪」

 

アカネ「確かに♪でも私は直喜君家で楽しい楽しいお泊まり会をして来たからなぁ~♪」

 

なみこ「おっとアカネが六花にマウントを取っていく~!!」

 

はっす「さぁて、六花さんどう出るかぁ~?」

 

蘭萌「てか、男の子の部屋に泊まりに行ったって、スゴくない?」

 

亜子「確かに!!」

 

直喜「……。」汗

 

六花「うぐぐぐぐ…!!」

六花(な~んてね…実は、最近…ガラポン抽選機で温泉旅行ペア宿泊券が当たったんだ~♪絶対に直喜を誘うって決めたし♪)

 

六花は表では悔しそうな顔をしているが、裏では直喜と2人きりで温泉旅行に行こうと計画を立てていたのだった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第36話 無・力

OP~OxT『UNION』~♪


六花(あぁ、早く休みにならないかな~?直喜との温泉旅行、超楽しみ♪ま、これから直喜を誘うんだけどさ。)

 

学校帰り、六花はウキウキしながら帰路を歩いていた。温泉旅行ペア宿泊券が当たったので、絶対に直喜を誘うと決めていたのだ。アカネが直喜の家にお泊まりしたのを羨ましがった彼女は…今度は、こっちがアカネからマウントを取ってやろうじゃないかと思ったのだ。

 

六花(熱海温泉かぁ~…直喜、喜んでくれるかな?)

 

そんな彼女の後を着けている者が1人……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 C(いた…宝多 六花!!)

 

そう、転生者 Cである。オリシスに無能と言い、見放された挙げ句……手持ちのお金がほとんど無くなり、高級マンションを追い出され、ホームレス生活を余儀なくされた哀れな男である。彼の右手には、禍々しい色をした謎の薬液が入った注射器があった。

 

転生者 C(これを打ち込めば…六花は、俺のモノになる!!まだだ…落ち着いて動けば……)

 

Cは六花に気付かれないよう、ゆっくりと忍び寄る。ふと、小石を見つけたため…それを1つ拾うと、彼女の右隣にある電柱に向かって投げた。

 

 

カツンッ!

 

 

六花「ッ!?」

 

思わず電柱の方を見る六花。しかし、そこには誰もいない。

 

六花(気のせいか…)

 

だが、彼女の真後ろにはCが迫っているのを…この時の彼女は知らなかった。Cは六花の首に注射器を刺し、禍々しい薬液を注入していく。

 

六花「ッ!!」ビクッ!

 

転生者 C「はははは…やった、やったぞ!!これで六花は、俺のモノだぜ!!アハハハハハハハ!!」

 

それは、他者を洗脳するための薬であった。これを注入された者は、注入した者の意のままに操られる。それを注入することに成功し、大声をあげて笑うC。

 

転生者 C(キヒヒヒ…これで、神山は泣き叫ぶこと確定だぁ!!アイツの泣き顔を見るのが楽しみだぜぇフヒャハハハハ!!)

 

しかし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「……。」ガシィッ!!

 

転生者 C「ヴッ!?」

 

六花はハイライトが消えた冷たい視線をCに向け、片手で彼の首を掴んで持ち上げる。

 

 

六花「そんな玩具ごときで…

 

私を洗脳できるとでも思ったの?

 

 

なんと、Cから注入された洗脳薬は…六花には全く効力が発揮されなかったのだ。

 

転生者 C(な、何故だ…何で効かねぇんだよ!?)

 

六花「何で効かないか教えてあげる……『フルムーンレクト』と『マザー光線』を予め自分に撃ってるからだよ?『ウルトラマンコスモス』の力で私は私の意思を貫き、『ウルトラの母』の力で私の身体には傷もアザも1つも無い。直喜には、私の綺麗な身体を見てもらいたいからさ…?

 

六花は普段から、『ウルトラマンコスモス』の必殺技『フルムーンレクト』と…『ウルトラの母』の必殺技『マザー光線』を自分に撃ち込んでるのだ。そのため、Cの洗脳薬の成分は瞬時に浄化され…注射器で刺された刺し傷も、すぐに手当てされ…元に戻ったのだ。

 

転生者 C「な、何でだよ……何で俺は、いつもいつも上手くいかねぇんだよ…!?」

 

六花「自分で考えたら?その猿以下の小さな小さな脳ミソでね……

 

六花はそう言うと、Cをブロック塀まで勢いよく投げ飛ばした。

 

ドゴォッ!!

 

転生者 C「…が……ぁ、ぁあ……!!」

 

背中から勢いよく叩き付けられたCは、激痛により…中々動けなくなった。そんな彼の元に、ツカツカと歩いていく六花。彼女の冷たく、暗い視線を見たCは…助けを呼ぼうとするも、恐怖のあまり声が出なかった。

 

六花「さて…どう調理してやろうかな?

 

数分考えた六花は……

 

六花「…決めた。

 

右手を突き出し、念力を駆使してCの身体を軽々と宙に浮かせる。Cを宙に浮かせた後…

 

六花「フッ!ハァァアアアア……!!」キランッ!ピカァァアアアアアアアアッ!!

 

両腕を交差させてエネルギーを溜め、それを右腕に移すと……

 

六花「ハァッ!!

 

右腕を突き出し、黄金色の光線を発射した。『ウルトラマンコスモス(エクリプスモード)』の最大の技にして、特撮界でも並ぶものなきチート光線『コズミューム光線』だ。通常の破壊光線としてもコロナモードのネイバスター光線以上の威力を誇るだけでなく、カオスヘッダー等の邪悪な敵だけを倒せる超便利光線である。他にも、身体に入った毒物を取り除いたり、ピンポイントで打ち抜くこともできたり、相手の光線を分散させることもできるのだ。

 

六花「ッ!!」ザザザザザッ!!

 

六花が光線を放った時、その反動で六花の身体が少し後ろに下がった。

 

転生者 C「ぎゃぁぁああああああ!!

 

六花の放ったコズミューム光線と共に…Cは空の彼方へふっ飛んでいった。

 

六花(あ~あ、折角いい気分だったのに…直喜に電話でもしようかな?)

 

六花がそう思った、まさにその時だった。

 

 

~♪~♪(シュワッチ!ウルトラマンゼアス)

 

 

六花のスマホから、『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』の曲が流れた。

 

六花(直喜からだ♪)

 

この曲が流れると、直喜からの着信である証だ。

 

六花「もしも~し♪」

 

直喜『あっ、六花ちゃん?直喜だけど…』

 

六花「知ってるよ♪どうしたの?」

 

直喜『あっ、えっとね…その……僕が、家に引きこもってた時、毎日お弁当を作ってきてくれたよね……そのお礼が言いたくて…でも、中々言えなくて……』

 

六花「気にしないで?あっ、そうだ…ちょっと直喜の家寄っても良いかな?」

 

直喜『う、うん。良いよ…』

 

六花「ありがと♪それじゃあ、すぐ行くから待っててね♪」

 

直喜と通話を終えた六花は、テレポーテーションを発動し…直喜のマンション近くに瞬間移動した。

 

六花(おっ、直喜いたいた♪わざわざ外で待っててくれたんだ♪)

 

六花が外にいる直喜に手を振ると、直喜はこちらに気付き…降りてきた。

 

直喜「り、六花ちゃん…どうしたの…?」

 

六花「フフッ、良いものを手に入れたんだ♪これ!」

 

六花は温泉旅行ペア宿泊券を直喜に見せた。

 

直喜「わぁ…す、スゴい…!!それ、どうしたの?」

 

六花「抽選機で当たったの!」

 

直喜「そうなんだ。」

 

六花(頑張れ六花!!直喜を誘うだけだから…!!)

 

いよいよ直喜を温泉旅行に誘う時が近付くにつれ、緊張してくる六花。

 

六花「え、えっとね…な、直喜…///」

 

直喜「…?」

 

六花(か、顔が暑いなぁ…もしかして私、顔真っ赤?)

 

直喜「どうしたの六花ちゃん?顔赤いけど……」

 

六花(やっぱり!?こうなったら…)

 

六花は温泉旅行ペア宿泊券を直喜に渡す形で、漸く言いたかったことを言う。

 

 

六花「こ、今度の長期休み…わ、私と一緒に温泉旅行に行ってください!!」

 

 

六花の言葉と行動に、直喜は驚いた顔をしている。

 

直喜「ぼ、僕…?」汗

 

六花「うん!!私、直喜と一緒に行きたいの!!…だ、ダメかな?」

 

直喜「そ、そんな顔をされると……」汗

 

六花は涙目になり、直喜を覗き込むような目線を向けてくる。押しに弱い直喜は、中々断れず…思わず自虐してしまう。

 

直喜「ぼ、僕なんかで…良いの?ノロマだしグズだし、それに…弱虫だし……」

 

六花「私は直喜と行きたい!それに…直喜は弱虫なんかじゃないって…誰にでも優しいし、それは強い心があるからできるんだよ。私はそんな直喜の優しいところが好きなの!!一緒にいたいし退屈なんて一切無い…お願い、私は絶対に直喜と行きたい!!」

 

かつて、直喜に嫌々接していた六花だったが……誰よりもすぐに駆け付け、手を差し伸べてくれたのが直喜だった。それに気付いたのは、彼が命を落とした時だった……今まで嫌々接していた自分を責め続け、ワンワン泣いていた毎日……オリシスと契約し、●●●●の討伐をすることに……だが、初めは●●●●と戦っても負けてしまい…犯される寸前に追い詰められていた。オリシスの助けがあって何とかヤられなかったものの…弱い自分を責め、また泣いてしまう日々が続いた。そんな中、直喜から掛けられた数々の優しさをバネに、無茶な特訓をし続けた結果……ほぼ全ての『ウルトラ戦士の力』を使えるようになった。日々続けていた無茶な特訓のお陰で、超人的な体力と身体能力がついており、伝説の巨人の技も難なく使いこなせるようになっていた。そのため、多くの●●●●の討伐に成功していた。アカネと共に●●●●討伐を続けて数年…数十年……数百年………数千年…………漸く、直喜との再会を果たした。直喜は記憶を失っているが…それでも、彼と再び会えた喜びの方が大きかった。

 

六花(昔は、直喜に何度も助けられた……だから、今度は私が…直喜を守る番……絶対に、直喜を死なせない…!!)

 

直喜「……。」

 

直喜は六花を見て…1度深呼吸をする。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「ぼ、僕で…良ければ……」

 

彼女の言葉を、受け入れた。直喜の言葉を聞き、嬉しそうな顔をする六花。

 

こうして、六花は直喜と共に…熱海に温泉旅行へ行くことが確定した。だが、それはまた…別の話である。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第37話 温・泉

OP~OxT『UNION』~♪


時刻は、午前5:30……

 

 

直喜「…ん?」パチッ…

 

いつも朝寝坊の直喜だが…この日は、珍しく目覚まし時計無しで早起きした。その理由は……

 

直喜(今日は六花ちゃんと温泉旅行の日だ……えっと、忘れものは……無いね。よし、行こう。)

 

待ち合わせ場所は、東京駅である。旅行バッグを持った直喜は、戸締りをし…玄関から出る。

 

 

直喜「うわぁっ!?」ビクッ!

 

 

玄関を出ようとドアを開けた途端、何かにビックリして尻餅をつく直喜。彼を待っていたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオスロイドU「シュワッ!

 

 

初代ウルトラマンに酷似した黒いウルトラマン『カオスロイドU』だった。

 

直喜「か、カオスロイドU!?ど、どうしてここに…?」汗

 

困惑する直喜を見たカオスロイドUは、生み出したホワイトボードとペンで何かを書き、彼に見せる。

 

『お嬢の、アカネの指示で来た。』

 

どうやら、直喜を心配したアカネが…見守り及び護衛のため、直喜の元に行くように言ったらしい。納得した表情をみせた直喜に、カオスロイドUは背中を向けてしゃがむ。

 

直喜「の、乗れってこと?」

 

カオスロイドU「ヘッ。」コクッ…

 

躊躇いながらも、カオスロイドUの背中に乗る直喜。すると、カオスロイドUは空中に飛び上がり…高速で空を飛んだ。

 

直喜「うわぁぁあああああああああ!?

 

直喜を乗せた状態で、ジェットコースターのように猛スピードで空を飛ぶカオスロイドU。彼が落ちないように配慮をしながら飛び…そして、降り立ったのは……

 

直喜「あ、あれ…もしかして、送ってくれたの?」

 

東京駅だった。どうやら、カオスロイドUは…直喜を東京駅まで送り届けてくれたようだ。

 

六花「あっ、直喜~♪」

 

到着した直後、私服に身を包んだ六花がやって来た。

 

六花「っと…カオスロイドU、さてはアカネだな?」

 

直喜「えっ、どうして分かったの?」

 

六花「私も見せて貰ったことあるの。『ちょっとしたマジックをやるから』ってね。」

 

六花の言葉に、「そうなんだ」と納得する直喜。

 

六花(実際に戦ったこともあったけど、ホント厄介な奴らだったよ…ま、今では私の方が強いけどさ。)

 

●●●●退治をしていた時、六花は3体のカオスロイド相手に戦ったことがあった。カオスロイド達は想像以上に強く、初めは苦戦していたが…次第に彼らの動きを見れるようになり、今では3体同時に相手をしても勝てるレベルまで成長している。

 

『久しぶりだな、宝多 六花。』

 

六花「うん、久しぶり。」

 

『直喜と出掛けるのか?』

 

六花「そう、直喜と温泉旅行に行くんだ♪しかも2泊3日、良いでしょ?」

 

『お嬢が聞いたら、間違いなく嫉妬するぞ?』

 

六花「アカネは直喜の家でお泊まりしたじゃん。ま、とにかく…直喜を送ってくれてありがとう。」

 

『大したことは無い。』

 

六花と会話を終えたカオスロイドUは、どこかへ飛び去って行った。

 

六花「直喜、朝御飯まだだよね?買いに行こ♪」

 

直喜「う、うん…!」

 

六花と直喜は駅弁を購入し、在来線ホームへと向かう。そして、特急列車に乗って熱海を目指した。

 

 

 

やがて、熱海駅に到着すると…

 

六花「直喜、こっちだよ♪」

 

六花は直喜を温泉旅館に案内する。到着した旅館は海の近くにあり、オーシャンビューが可能である。チェックインを済ますと…宿泊する部屋に荷物を置く。

 

直喜「…!」ソワソワ…

 

六花(初めての場所でソワソワする直喜…可愛すぎだって♪)

 

ソワソワする直喜を可愛らしいと思う六花は、彼との時間を過ごし…気が付くと、もう日が暮れ始めていた。

 

 

 

六花(フフンッ、ここの部屋には貸し切りの露天風呂があるんだよね~♪だから、直喜とゆっくり入浴できる…でも、直喜は優しいから先に入って良いよって言うよね?)

六花「直喜、ここの部屋にはさ…貸し切りの露天風呂があるんだって♪」

 

直喜「えっ、そうなの!?じゃあ、六花ちゃんが先に入っておいでよ。」

 

六花(やっぱり。でも、そんな時は…♪)

六花「ここ、水着で入る必要があるんだって♪」

 

直喜「あ、そうなんだ!で、でも…」汗

 

六花「一緒に入ろ、ね♪」

 

六花が押したことで、直喜は折れ…混浴をすることとなった。

 

直喜「……。」汗

 

六花「~♪」

六花(あぁ、幸せ…直喜と一緒に入るお風呂♪もう最高過ぎ!!)

 

女子との混浴(2回目)に、緊張しっぱなしの直喜。反対に、嬉しそうな顔をする六花。直喜はというと……

 

 

直喜(し、シルバーブルーメ、ブラックドーム、アブソーバ、デモス、ブラックガロン、ブリザード、ハングラー、ブラックテリナ、サタンモア、ノーバ、星人・ブニョ、ブラックエンド、ロベルガー、ロベルガー2世……あ、後は…えぇっと……)

 

 

頭の中でひたすら『円盤生物』の名前を唱え、緊張を紛らわそうとしていた。だが、彼の目の前には水着に着替えた美女がいる。そのため…緊張が晴れることは無い。

 

六花「直喜はさ…」

 

直喜「ひゃいぃっ!?」

 

六花「あはっ♪緊張しなくても大丈夫だって~♪直喜はさ、円盤生物の中で何が一番好き?」

 

直喜「え、円盤生物で…?」

 

六花「うん。私はノーバが好き…てるてる坊主みたいな見た目で可愛いから♪」

 

直喜「ぼ、僕は…さ、サタンモアが、好き…かな…?」

 

六花「サタンモアかぁ~、どんなところが好き?」

 

直喜「えっとね…乗ったら、目的地まですぐに行けそう…だから……?」

 

六花「成る程…サタンモアって確か、時速3000kmで飛ぶもんね?後は、体内に収納してる小型円盤生物『リトルモア』…あの大群はひとたまりも無いよね。」

 

直喜の大好きなウルトラマン作品の話で盛り上がり、身体が温まった頃…2人は露天風呂からあがり、夕食を召し上がることに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃…熱海の温泉街では、怪獣優生思想が観光をしていた。

 

オニジャ「ベンザイ星人、何だそりゃ?」

 

ジュウガ「ベンゼン星人です。慢性ガス過多症宇宙人で、地球を破壊しようと企む悪質な宇宙人です。ウルトラマンシャドーを送り込んだ張本人とも言えます。」

 

ムジナ「何で分かるの?」

 

シズム「俺の円盤生物を調査に行かせたんだ…そしたら、見事に真っ黒だったよ。」

 

シズムの隣には、銀色の身体に赤い触手を生やしたクラゲのような物体がフヨフヨと飛んでいる。

 

ジュウガ「直喜を守るために、円盤生物を使うとは…シズムも考えましたね。」

 

シズム「けど、問題なのは…直喜にコイツらを味方と認識して貰うにはどうすれば良いかって話……ね、『シルバーブルーメ』?」

 

 

シズムの言葉に、頷くようなリアクションをする小型飛行物体…それは、紛れもなく『シルバーブルーメ』である。地球防衛軍の宇宙ステーション『MACステーション』を壊滅させ、『ウルトラシリーズ最悪のトラウマ怪獣』との別名がある。

 

シズム「俺が使役してるのは『シルバーブルーメ』と『アブソーバ』と『デモス』……ジュウガは『ブラックガロン』と『ブリザード』と『星人・ブニョ』で…ムジナが『ブラックドーム』と『ブラックテリナ』と『ノーバ』…オニジャは『ハングラー』と『サタンモア』と『ブラックエンド』でしょ?」

 

オニジャ「おう!!コイツら、めっちゃ従順で可愛いんだよな~♪」

 

ムジナ「私はノーバちゃんがお気に入り♪」

 

ジュウガ「俺はブリザードを気に入っている。星人・ブニョは知能があります。ブラックガロンは舌が弱点であるから特攻兵器みたいな役割です。」

 

彼らの近くには、合計12体の円盤生物がおり…それぞれ3体ずつ使役しているようだ。この円盤生物達は…主である彼らに非常に従順で、直喜のことも知っている。

 

オニジャ「けどよぉ…もう1つ問題あるんじゃねぇか?」

 

シズム「何?」

 

ムジナ「直喜の近くには、黒髪の女がいる。確か…りっかって言ってたような……」

 

オニジャ「そうだそうだ!!アイツに見つかったら、間違いなくコイツらやられるよな…?」

 

ジュウガ「でしたら…直喜が1人になったタイミングで俺達が姿を見せ、円盤生物が味方であることを直喜に教えるのはどうでしょう?」

 

シズム「…そうだね、それが一番かも。」

 

作戦がある程度決まった彼らは…

 

ムジナ「よぉし…温泉行こ♪」

 

オニジャ「賛成賛成!!」

 

ジュウガ「おいおい、それで良いのか…?」汗

 

シズム「良いじゃないか。円盤生物にはエネルギーを蓄えて貰わないといけないし…それまでの間、ゆっくりしてようよ。」

 

円盤生物達が活動するためのエネルギーを補給するため、高速で大空へと飛び去って行くのを見届け……怪獣優生思想の4人は、熱海温泉を満喫するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「…!?」

 

ふと、窓の外を見る六花だが…彼女の視線の先には何も無い。

 

直喜「…ど、どうしたの、六花ちゃん?」

 

六花「…あ、ううん…何でもない♪」

六花(今、何かが空に飛んでったような……まさか、直喜を狙ってる輩がいる?)

 

普通に夕食を食べる直喜…反対に、六花は妙な胸騒ぎを感じ…中々落ち着きを取り戻せずにいた。

 

直喜「六花ちゃん…何か、僕にも…六花ちゃんの力になれるかな?」

 

六花「…ッ!?ふぇっ?」

 

直喜に声を掛けられ、間抜けな声を出してしまう六花。

 

直喜「き、気のせいだったら、申し訳ないんだけど…何か、落ち着きが無いように…感じるから……」

 

六花「……。」

六花(直喜、よく見てるな~……これは、一本取られたか……)

 

落ち着きが無いことを直喜に見抜かれた六花は、少しの間考え込み……そして、一つの提案を思いつく。

 

六花「じゃあさ、直喜……」

 

直喜「…?」

 

六花「はい、あ~ん♪」

 

直喜「へっ…!?///」

 

六花からの「あ~ん」にドキッとした直喜だったが…彼女のためだと思い、受け入れた。

 

六花(あぁ、直喜…守ってあげたい、ううん…守らないと、昔は私のことを沢山助けてくれたんだし……今度は、私が…直喜を守らなきゃ!!)




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪

この物語に登場する『怪獣優生思想』は円盤生物を扱う。12体いるため、それぞれ3体ずつ使役している。


ジュウガ➡ブラックガロン、ブリザード、星人ブニョ

オニジャ➡ハングラー、サタンモア、ブラックエンド

ムジナ➡ブラックドーム、ブラックテリナ、ノーバ

シズム➡シルバーブルーメ、アブソーバ、デモス


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第38話 捜・索

OP~OxT『UNION』~♪


次の日、熱海周辺を観光することにした直喜と六花。

 

六花「直喜、どこか行きたいところとかある?」

 

直喜「そ、そうだね…うーんと……」

 

六花「あはは、実は私もまだ決めてない♪だからさ、一緒に決めよ♪」

 

直喜「う、うん…!」

 

観光パンフレットを見ながら、行き先を決める直喜と六花。そして、目的地が決まると…カップルのように手を繋いで歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢芽「あの女…妬ましい……

 

 

たまたま熱海に来ていた夢芽は、遠くから直喜と手を繋いで歩く六花を見て…嫉妬していた。

 

夢芽(私の直喜なのに……

 

私の直喜なのに……

 

…許さない…!!)

 

ハイライトが消え、どす黒い緑色の目となった夢芽は…彼らの尾行を開始した。

 

 

 

六花「…?」

 

ふと、背後を振り返る六花。しかし、怪しげな人物の姿はどこにも無い。

 

直喜「六花ちゃん…?」

 

六花「なぁに、直喜♪」

 

直喜に声を掛けられると、すぐに彼の呼び掛けに応答する六花。

 

直喜「な、何か、気になるとこでも、あったの…?」

 

六花「ううん、何でもないよ♪」

 

直喜「そ、そう…?」

 

六花「ふふっ♪」

 

直喜「う、嬉しそうだね。」

 

六花「だって、こうして直喜と手を繋いで歩けてるんだし…カップルみたいだね♪」

 

六花の言葉に、顔を真っ赤にしていく直喜。そんな彼に癒されながら、海景色を楽しむ六花。

やがて、海浜公園に到着し…近くのベンチで一休みすることにした。六花は飲み物を買ってくると言い、席を外した。

 

六花「…。」ザッ…

 

彼女がやって来たのは、人気の無い路地裏…何故ここへ来たのかと言うと……

 

 

 

六花「いい加減出てきたら?ずっと着いてきてるの、分かってるんだけど…」

 

 

夢芽「ちっ、勘の鋭い女……!」

 

 

 

夢芽に尾行されていたことを、初めから知っていたのだ。苦虫を噛み潰したような顔をしながら姿を現した夢芽は……ゲートを生み出し、その中に六花を引き摺り込んだ。

 

六花「ッ!!」

 

夢芽の空間に呑み込まれた六花は構えを取ると…スペシウムエネルギーを刃状にした『八つ裂き光輪』を発射する。しかし、夢芽は身体を回転させて攻撃をガードしたと思うと……小さな青い光線を六花目掛けていくつも撃ってきた。六花はバク転で光線をかわし、夢芽と距離を取る。

 

六花(多分あれ『ギラススピン』だよね…困ったなぁ……)

 

夢芽が繰り出した技は、紛れもなく『ギラススピン』であった。双子怪獣の『レッドギラス』と『ブラックギラス』が仕様する技であり…セブンのアイスラッガーを跳ね返すだけでなく、角から光線を発射したり、サンドイッチのように相手を挟んで目回しさせることもできる。更に、回転をしたまま相手に体当たりすることも可能だ。

 

夢芽「……。」ニヤッ…

 

夢芽はニヤッと笑うと、テレポートを発動させ…姿を消す。そして、六花の背後に瞬間移動したが…

 

六花「はっ!!」ドカッ!

 

夢芽「がっ!?」

 

背後に来ると予感した六花の攻撃を受けてしまった。攻撃に怯んだ夢芽に対し、六花は両手にチアガールのポンポンのようなエネルギー『フラッシュハンド』を纏って打撃を強化し、猛攻を仕掛けていく。

 

夢芽「ぐっ…!!」

 

六花「言っておくけど…私と貴女では、通ってき次元が違うの。私は直喜を守るために、何千年も●●●●と戦って来た…直喜は、私が守るの!!」

 

六花はそう言うと、夢芽を持ち上げ…思い切り投げ飛ばした。その後、夢芽に再び攻撃を仕掛けようと接近していく。だが、次の瞬間……

 

 

ゴォォオオオオオオオオオッ!!

 

 

夢芽は口から白い噴煙を吐き出した。

 

六花「ッ!?うっ…!!」

 

その噴煙を吸ってしまった六花は、喉をおさえ…膝をついた。どうやら、夢芽が発生させたのは…毒噴煙であり、六花は一時的に呼吸ができなくなってしまったのだ。

 

夢芽「その程度で直喜を守る?…笑わせないで?」

 

苦しむ六花の背後にゆっくり近付く夢芽。そして、口元の牙を光らせ…

 

ググググググググッ……

 

六花の首筋辺りに、ゆっくりと食い込ませて行く。

 

六花「…!!」

六花(ち、力…が……)

 

夢芽は六花のエネルギーを吸い始めたのだ…エネルギーを吸われ始め、ピンチに陥る六花。夢芽が六花を離すと…

 

……ドサッ……

 

六花はゆっくりと地面に倒れ、うつぶせになった。

 

六花(か、身体に…力が……入…ら、ない……!)

 

夢芽「あはっ♪その程度で次元が違うって、よく言えたね?」

 

起き上がろうとしてはまた地面に倒れる六花を見下す夢芽は、勝ち誇った顔を見せていた。

 

六花「…くっ……うぅっ…!!」

 

漸く呼吸ができるようになり、自分に鞭を打ちながら立ち上がった六花。

 

夢芽「まだ立ち上がるんだ…エネルギー全部吸い取れば良かったかな……?」

夢芽(でも、それじゃあコイツ死ぬからなぁ~…直喜に嫌われないためだ、殺せないのは仕方ないか……)

 

六花「…ち、調子に…乗るなァ!!」

 

六花は右腕のシュシュを天に飛ばした。すると、シュシュからは昼間の太陽のような眩い光が発生し、夢芽を照らした。

 

夢芽「ッ!?」

 

眩い光を浴びた瞬間…

 

 

夢芽「イヤァァアアアアアアアアア!!

 

 

…と、絶叫する夢芽。吸血宇宙星人『ドラキュラス』の力を使っている間、彼女は光に弱くなってしまうのだ。

 

六花「残念だったね…?」

 

六花は胸まで引いた左腕に上から右腕を添え、霧状の光線『フォッグビーム』を発射した。六花が放った光は、夢芽に命中する。

 

夢芽「が…ぁ……!」ドサッ…

 

光線を受けた夢芽は、うつぶせに倒れ…戦闘不能となった。

 

六花「……。」ハァッ…ハァッ……

六花(え、エネルギー吸われたから…もう、限界……少し休んでから…でも…直喜……が……)

 

六花は力尽き…意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「……。」

直喜(六花ちゃん、遅いなぁ…どうしたんだろう?)

 

六花が中々戻って来ないことを心配した直喜は、ベンチから立ち上がり…彼女を探しに行こうとする。

 

直喜(も、もしかして…何か、事件とかに……さ、探さなきゃ…!!でも…ど、どうすれば……)

 

そこへ……

 

 

オニジャ「よぉっ、直喜!!」

 

 

オニジャを先頭に、怪獣優生思想の4人が姿を現した。

 

直喜「お、オニジャ君達…!!」

 

ジュウガ「直喜、どうしました?」

 

直喜「あ、あのね…」

 

直喜は4人に六花がいなくなってしまったことを話した。

 

直喜「僕も…僕も一緒に…一緒に、着いて、いけばっ…ズズッ…よ、良かった……さ、探しったい…けど…ど、どこを、探せば…良いか…グスッ…わ、分からなくって……」

 

泣き出してしまう直喜に、ムジナとシズムが優しく声を掛ける。

 

ムジナ「安心して直喜?私達も一緒に探すから…ね?」

 

直喜「えっ…ほ、ホント…?」

 

シズム「本当だよ。俺達は直喜の味方…君は俺達のベストフレンドだからさ。」

 

直喜「み、みんな…ありがとう…!!」

 

漸く泣き止み、笑顔を取り戻した直喜。

 

 

オニジャ「よし、そうと決まれば…

 

来い!ハングラー!!サタンモア!!ブラックエンド!!

 

 

オニジャがそう叫ぶと、空の彼方から…3つの飛行物体が現れ、オニジャの近くに到着した。続いて、ジュウガとムジナとシズムも…

 

 

ジュウガ「ブラックガロン!!ブリザード!!ブニョ!!

 

ムジナ「ブラックドームちゃん!!ブラックテリナちゃん!!ノーバちゃん!!

 

シズム「シルバーブルーメ!アブソーバ!デモス!

 

 

使役している円盤生物を呼んだ。まもなく、ジュウガとムジナとシズムの近くにも円盤生物が到着した。

 

直喜「ふぇっ!?え、円盤生物…ほ、本物!!?」

 

本物の円盤生物が現れ、思わず目を丸くして驚く直喜。

 

ジュウガ「怖がらなくても大丈夫です。この円盤生物は、貴方の味方ですから。」

 

彼らが呼んだ円盤生物達は、直喜の周りをグルグルと旋回している。そのうち、アブソーバが直喜の右手に触手を伸ばしてきた。

 

シズム「アブソーバ…何、直喜と握手したいの?」

 

直喜「…か、噛み付かない?」

 

シズム「噛まない噛まないw」

 

直喜と握手しようとするアブソーバに、「邪魔だ!」「俺も直喜と握手するんだ!!」と言うように…ノーバとブラックテリナとブラックドームが喧嘩を始める。

 

ムジナ「こらこら、喧嘩しないの!!」

 

ムジナが止めに入っても、全く言うことを聞かない円盤生物達。

 

直喜「き、君たち…け、喧嘩は…ダメだよ…?」

 

直喜がそう言った瞬間、喧嘩をしていた円盤生物達は地面に降り、直喜に土下座をして謝った。茶番が終わり、円盤生物達は六花の特徴を直喜から聞くと…熱海の上空に飛んで行き、六花の捜索を開始した。中でも、小さくなったサタンモアは…自分よりも更に小さい円盤生物『リトルモア』を大量に放ち、幅広い領域の捜索を展開していく。デモスは自身の分身体『デモスQ』を3体生み出し、東西南をデモスQに…マスターデモスとなった自身は北の方角の捜索を始める。

 

直喜「と、ところで……」

 

4人「「「「…?」」」」

 

直喜「その……円盤生物達が街中を飛び回ると…お、大騒ぎになるんじゃ……」汗

 

ジュウガ「大丈夫ですよ。彼らは透明化が可能であって、一般市民やレーダーから探知されることはありません。」

 

直喜「で、でも…何で僕には見えるの?」

 

ジュウガ「それはですね…直喜、貴方の心がキレイだからですよ。」

 

怪獣優生思想のメンバーが使役する円盤生物は、直喜以外の市民には姿を見ることができない特殊な透明化能力を身に付けており…直喜だけには見えるのだ。

 

ジュウガ(間違った道を進んでしまった俺達を、連れ戻してくれたのは…直喜だった……俺達が悪役になっても、誰よりも俺達を信じ続け……邪道から引き上げてくれた。一生返すことができない仮ができてしまったな……)

 

元々、直喜は人を疑わない性格であり…かつて、怪獣優生思想の4人も彼と関わっていた。だが、1度…直喜を裏切り、怪獣達を暴れさせた。それでも直喜は、彼らに失望することなく……

 

直喜『僕はもう1度、君達と友達になりたい!!僕、ジュウガ君達を信じてるから…ずっと待ってるから!!』

 

…と、優しい言葉を投げた。彼の優しさに触れ、怪獣を暴れさせるのを辞めた怪獣優生思想の4人は…彼にお礼を言おうと…彼の友達になろうと、彼の元へ向かった。だが、そこで待っていたのは……真っ赤な鮮血を流し、冷たい身体となり…遺体へと変わり果てた直喜だった。彼を裏切ったことを激しく後悔した怪獣優生思想のメンバー達は、自分達の国を離れ……長い長い旅へ…………

 

様々な『ウルトラマン』の世界を転々とし、幾多の怪獣達とウルトラマン達の戦いを見てきた。世界を旅してたどり着いた答えは……

 

 

『直喜を守るために、怪獣を扱う』

 

 

…最後まで友達でいてくれた直喜を、守ることだった。長い旅を続け、円盤生物達を使役させることに成功…たどり着いたこの世界で、直喜と再会できた。彼と別れた後、再会できたことを大いに喜んだ4人は…思わず号泣する程、直喜との再会を嬉しく思っていた。

 

オニジャ(こんなバカな俺でも、直喜は…直喜は、友達でいてくれたんだ…!!)

 

ムジナ(思い出しただけで、泣いちゃう…直喜が優しくしてくれたこと、私達は嬉しかったんだから……)

 

シズム(もう、直喜を死なせない…直喜を、裏切らない…)

 

怪獣優生思想のメンバー達は、今日も直喜を守るために…行動をする……

 

ノーバ「キュオオォォッ!!」

 

ムジナ「ん?ノーバちゃん、どうしたの?」

 

ムジナの元に戻ってきたノーバは、ヒソヒソと彼女の耳元で話をする。それを聞いたムジナは、ニコッと笑顔になる。

 

ムジナ「直喜!六花ちゃん見つかったって!!」

 

直喜「えっ、ホント!?すぐに行かないと!!」

 

ノーバは5人を六花の元へ案内する。怪獣優生思想の4人は散らばった円盤生物達を呼び戻し、直喜と共に…ノーバの後を着いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃…

 

六花(な、何とか…戻って、これた……)

 

六花は夢芽に引き摺り込まれた空間から脱出することに成功し…熱海の地に降り立った。だが…疲れた顔をしており、顔色もあまり良くなかった。

 

「六花ちゃーん!!」

 

すると、直喜の声が聞こえてきたと思うと…六花の元に直喜が走って来た。彼の後ろには4人の男女の姿がある。

 

六花「な…直、喜……」

 

壁につかまりながら、直喜の元へ歩こうとする六花。そんな彼女の元に、直喜は駆け寄る。

 

直喜「六花ちゃん!!」

 

六花「…な、おき……ごめんね……」

 

直喜「ううん!悪いのは僕だよ!!僕が、一緒に行ってれば…」

 

六花「優しいなぁ…直喜は……でも、自分を…責めないで…?」

 

自虐的な直喜を慰める六花。

 

六花「…そ、その人…たち、は……?」

 

直喜「紹介するよ。こっちがジュウガ君、こっちがオニジャ君、こっちがムジナちゃん、こっちがシズム君。みんな、僕の友達だから安心して?」

 

六花「…そっか……直喜…友達作りが、上手だね…♪」

 

怪獣優生思想の4人が直喜の友人であると認識した六花は、緊張がほどけ…眠ってしまった。

 

直喜「あれっ…り、六花ちゃん…!?」

 

シズム「大丈夫。疲れて眠ってるだけだから…」

 

直喜「そ、それなら…旅館に戻ろう…!」

 

オニジャ「俺が六花を運ぶぞ?」

 

直喜「いや、僕に運ばせて…!」

 

ジュウガ「ここは、直喜の意思を尊重しましょう。」

 

ムジナ「分かった。」

 

こうして、直喜は六花を背負うと…宿泊している旅館に、彼女を運んだ。怪獣優生思想の4人は、直喜のボディーガードとなり、使役している円盤生物達と共に…彼に同行した。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第39話 逆・襲

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


ベンゼン星人「は、ハニー!!大丈夫か!?」

 

レディベンゼン星人「…うぅ……」

 

自慢の『ウルトラマンシャドー』がゼアスに倒された後…レディベンゼン星人は倒れ、寝込んでしまっていた。そんな彼女を看病するベンゼン星人。

 

ベンゼン星人(そろそろ、『UF-0』が戻ってくる頃だな…あっ、噂をすれば…)

 

ベンゼン星人の元に、ワタリガニ(もしくはザリガニ)に似たの謎の円盤生物がやって来た。これこそ、ベンゼン星人が使役している円盤生物の1体『UF-0』である。

 

ベンゼン星人「何ッ!?ゼアスが熱海にいるぅ!?」

 

ベンゼン星人の言葉に、コクンッと頷くUF-0。

 

ベンゼン星人「すぐに向かえ!!ゼアスを誘い出して市民が見ている中で潰せェ!!」

 

ベンゼン星人の言葉に、基地から出ていくUF-0は…ゼアスと戦うために、熱海へと向かった。

 

ベンゼン星人「おいおいおいおい!!待て待て待て待て!!俺も行くんだよ!!おい、待てっておい!!」

 

ベンゼン星人は慌ててUF-0の後を追い掛けた。

 

 

UF-0(いやいや、お前が行けって言ったんだろ?)汗

 

 

慌てん坊のベンゼン星人に呆れつつ、彼をコックピットに乗せ…今度こそ、熱海へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「…ん…ぅう……ん?」パチッ…

 

直喜「あっ、気が付いた?」

 

六花が気が付くと、旅館に戻っており…布団に寝かされていた。

 

六花「な、直喜…もしかして、ずっと側にいてくれたの?」

 

直喜「うん。だって…六花ちゃんが、心配だから…」

 

六花「…そっか…ありがとう、直喜…」

六花(直喜を守るって決めたのに……また直喜に、助けられちゃったな……)

 

直喜を守ることを決意したものの…守れなかったことに、落ち込んだ表情をみせる六花。そんな彼女に、直喜は声を掛ける。

 

直喜「も、もしかして…六花ちゃん、落ち込んでる……?」

 

六花「…!?」

 

落ち込んでることを直喜に見抜かれた六花は、思わず驚いた顔をみせる。

 

 

直喜「僕ね…六花ちゃんに、助けられてばかりいてね……学校に行っても友達ができるか不安だったんだ…六花ちゃんが話し掛けてくれなかったら、僕…ずっと一人ぼっちだったかもしれない……六花ちゃんが僕を、楽しい場所に連れてってくれたから…僕、楽しいって思えるんだ……」

 

 

臆病な性格の直喜は、とにかく駄目な部分が目立ってしまう(本人自覚済み)ため…クラスに馴染めるのか、誰よりも不安を抱えていたのだ。だが、六花に声を掛けられたことをきっかけに…クラスに馴染むことができたのだ。

 

直喜「だ、だから…僕も、六花ちゃんのお手伝いができたらなって思って……僕、あんまり役に立てないけど…」

 

六花「…直喜……」

 

六花は布団から起き上がり、直喜を抱き締める。

 

六花「直喜、嬉しいよ…♪」

 

直喜「えっ、ちょうわぁっ!?」ドサッ!

 

六花は直喜を抱き締めたまま彼を押し倒すと…

 

 

六花(もう我慢できない…ごめんね、直喜…私、悪い娘になっちゃう♪)

 

 

直喜の唇に自分の唇を重ね……濃厚なディープキスをした。

 

 

 

ムジナ「…!!///」

 

六花と直喜がイチャイチャ(六花が一方的にイチャついてきてる)を、ムジナは顔を両手で隠しながら見ていた。

 

ジュウガ「ムジナ、もう見ない方が良いですよ?」汗

 

六花が直喜に甘える中…完全に空気と化していた怪獣優生思想のメンバー達は、そっと部屋から退室した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベンゼン星人「ここが熱海かぁ…フヘヘヘ、人がわんさか居やがる…!!」

 

UF-0に乗ったベンゼン星人は、熱海上空に姿を現すと…破壊活動を開始する。UF-0は目と触角から破壊光線を放ち、街を攻撃し始める。

 

ベンゼン星人「ナハハハハ!!さぁさぁ地球人共、泣け…叫べ…そしてママを呼べェ!!」

 

 

 

直喜「ッ!?あれは…UF-0…!!」

 

六花「えっ、嘘マジで!?」

六花(折角良いところだったのに…)

 

直喜は慌てて街へ繰り出そうとするが…六花に止められる。

 

六花「待って直喜…ねぇ、どこ行くの?」

 

直喜「ど、どこって…助けを求めてる人達のところへ……」

 

六花「その人達を助けて、その後どうやって帰ってくるの?」

 

直喜「そ、それは……」

 

六花の問い掛けに、黙り込んでしまう直喜。

 

六花「多分、ゼアスが来てくれると思うけど…必ず来てくれるとは限らないし……」

 

直喜「……。」

 

六花「このまま、直喜が戻って来なかったら…私……」ジワッ…

 

直喜「……。」

直喜(…どうしよう、僕がゼアスだってことを六花ちゃんが知ったら……で、でも…今頃…沢山の人達が…!!)

 

ゼアスに変身したいところだが……目の前には六花がいるため、変身を躊躇ってしまう。彼は今…2つの選択肢を迫られていた。

 

 

真実を伝え、人々を助けるか……

 

 

真実を隠し、人々を見捨てるか……

 

 

だが、純粋で優しい性格の直喜に…見捨てるという選択肢は無い。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「六花ちゃん…実は僕……『ウルトラマンゼアス』なんだ…」

 

 

とうとう、六花に…自分がゼアスであることを告げた。

 

六花「……そうだったんだ。」

 

直喜「だ、黙っててごめん……ぼ、僕…」

 

六花は直喜の手を優しく握り、声を掛ける。

 

 

六花「あの時、助けてくれたのは…やっぱり直喜だったんだね。私さ…ゼアスの顔を見たとき、直喜が『もう大丈夫だよ』って優しく微笑んでくれた気がしたんだ。だから、だから…私、直喜にずっと…お礼が言いたかった…!ありがとう…私を、助けてくれて…!!直喜は…私の……『永遠のヒーロー』だよ♪」

 

 

涙ながらにお礼を言う六花を見た直喜は…

 

直喜「じゃあ、僕…行ってくるよ……」

 

…と、六花に告げ…ピカリブラッシャーを取り出す。そこに、怪獣優生思想の4人も来て…直喜の近くに立つ。

 

オニジャ「俺達もついてるぜ、直喜!!」

 

シズム「直喜は、俺達のベストフレンド…君が背負うモノは、俺達も一緒に背負うよ。」

 

ジュウガ「直喜の全ては、俺達の全てです。」

 

ムジナ「直喜が守りたいモノは、私達も守るよ!」

 

 

インスタンス・ドミネーション

 

 

使役している円盤生物を巨大化させ、UF-0の元へ飛ばしていく。

 

直喜「みんな、ありがとう…」

 

直喜は高速で首を左右に振りながら、ピカリブラッシャーで自身の口腔環境を綺麗にする。そして…

 

 

直喜「ゼアアァァス!!」ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

ブラッシャーを天に掲げ…目映く、優しい光に包まれていくと……光の戦士『ウルトラマンゼアス』へと変身を果たした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

夜になった熱海の街中に…人類の希望であり、永遠のヒーロー『ウルトラマンゼアス』が遂に、姿を現した。

 

ベンゼン星人「フハハハ!!とうとう現れたな、ウルトラマンゼアス!!」

 

ゼアスが出現してすぐ、12体の円盤生物達が一斉に姿を現す。

 

ベンゼン星人「おっ!?援軍か!?まさかの援軍!!これは勝ち確だぁ!!」

 

現れた円盤生物達を、自分の味方だと思い…調子に乗り始めるベンゼン星人。しかし……

 

ノーバ「キュオオォォッ!!」ビィィイイイイッ!!

 

ドガァンッ!!

 

ノーバが目から怪光線を、UF-0目掛けて発射した。

 

ベンゼン星人「ドゥウェェエエエエ!?み、味方じゃないのォ!?」

 

続いて……ブラックドームとデモスが、溶解泡を放ち…UF-0の鋭利な爪『ゼロカッター』を瞬時に溶かした。

 

ベンゼン星人「あらららら!!溶けたよ!!溶けちゃったよ!!」

 

武器が破壊され、焦り始めるベンゼン星人。

 

直喜(みんな、行くよ!!あの巨大円盤からベンゼン星人を引き摺り出すんだ!!)

ゼアス「ジュアッ!!」

 

ゼアスが空中に飛び上がると、円盤生物達もゼアスを援護するため…大空へ飛び立つ。

 

ゼアス「デヤッ!!ヘアッ!!」ドゴッ!バキィッ!!

 

格闘戦を仕掛けるゼアス。

 

ベンゼン星人「その程度か?ならば今度はこっちの……って、あれっ?何で動かないの!?ねぇ何で動かないのォ!?」

 

UF-0を操るベンゼン星人は、ゼアスに反撃しようとするが…どういうわけか、UF-0の腕が全く動かない。その理由は……シルバーブルーメの触手と、星人・ブニョの宇宙ロープに…いつの間にかグルグル巻きにされていたからだ。

 

サタンモア「!!」キィィイイイイイイイインッ!!

 

完全に身動きが封じられたUF-0に、サタンモアがクチバシ攻撃『クラッシュアタック』を繰り出した。サタンモアの攻撃により、UF-0は破壊された。それと同時に…

 

ベンゼン星人「うわわわわ!!落ちる落ちる落ちるぅぅうううううう!!」

 

中からベンゼン星人が排出され、地上へと落下していった。

 

 

 

ドドォォオオオオオオオオンッ!!

 

ベンゼン星人「あいってぇぇええええ!!こ、腰がぁ…!!」

 

ベンゼン星人が地上に落ちてきた後、ゼアスがゆっくりと地上に降り立った。

 

ベンゼン星人「うぐぐぐ…!!」

 

ベンゼン星人がゼアスの方を見た途端…

 

 

ハングラー「ギュオオォォッ!!」チカッ!!

 

ゼアスの後ろにいたハングラーが、頭部の触角をフラッシュさせた。

 

ベンゼン星人「うぎゃあっ!?め、目がァ!!」

 

ハングラーの目潰しに怯んだベンゼン星人に、ゼアスが走っていく。

 

ゼアス「タアアアアァァァァッ!!」

 

ベンゼン星人の腹に飛び蹴りを食らわせ、華麗に着地する。

 

ベンゼン星人「オゴオオォォ…は、腹がぁ…!!」

 

ブラックガロン「キヤアアアアァァァァッ!!」ボコォッ!!ボコォッ!!

 

ベンゼン星人「あだっ!?ちょっと待っtあ痛ァ!?」

 

踞るベンゼン星人に、ブラックガロンが蹴り技を仕掛け…まるでサッカーボールのように転がした。

 

ベンゼン星人「あ、あぁ~…じ、地面が揺れるぅ~……」

 

両目に渦巻きを作り、目を回したベンゼン星人に…ブラックテリナが飛んで行き……

 

 

ドゴォォオオオオオオンッ!!

 

 

触手に着いている爪で、ベンゼン星人の右目を攻撃した。

 

ベンゼン星人「あぎゃあっ!?目が、目が痛い!!」

 

右目を抑えるベンゼン星人に次の攻撃を仕掛けたのは、ブリザードだ。

 

ブリザード「キュォォオオオオオオッ!!」

 

青い噴射口から零下100℃の凍結ガスを発射し、ベンゼン星人を氷点下の世界へと誘う。

 

ベンゼン星人「ブルブルブルブルブルブルブルブル…!!さ、寒い…へっ、へっ…ヘェックショォォオオオオイッ!!」

 

寒さに凍えるベンゼン星人に、アブソーバとブラックエンドが高熱火炎を吐き出した。

 

ベンゼン星人「あぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃ!!あちっ!!あちっ!!」

 

尻に炎を纏わせ、走り回るベンゼン星人の姿は…滑稽だ。

 

ベンゼン星人「み、水!水!あっ、あったぞ!!」

 

ベンゼン星人が尻を突っ込んだ湖は…

 

 

ベンゼン星人「あっぢィィイイイイイイ!!これお湯じゃねぇかぁ!!

 

 

そこは、熱々の温泉だった。温泉に尻を突っ込んだせいで、ベンゼン星人の尻は猿のように真っ赤になっていた。

 

ゼアス「シュアッ!!デヤァッ!!」ドゴッ!ドゴッ!

 

ベンゼン星人「ぐおっ!?あだぁっ!?」

 

怯んだベンゼン星人に、ゼアスは猛攻を仕掛け…終始圧倒していた。

 

 

 

ムジナ「あははっ♪みんな凄いよ!!」

 

シズム「ベンゼン星人…アイツ、バカだね。」

 

オニジャ「だっはっはっはっは!!アイツだっせぇ!!ウルトラマンゼアスの方がカッケェぞ!!」

 

ジュウガ「当たり前じゃないですか。」

 

ウルトラマンゼアスと、ゼアスを援護する円盤生物達の戦いを見守る怪獣優生思想の4人。

 

六花「…直喜、頑張って…!!」

 

六花は両手を組んで祈り…ゼアスの勝利を信じていた。

 

 

 

ベンゼン星人「ひいいぃぃ……!!」

 

ゼアス「…!!」

直喜(ベンゼン星人…温泉地をめちゃくちゃにした罰だ!!)

 

ゼアスはバレエのアティチュードのような片足立ちの姿勢で超高速回転しながら、ベンゼン星人へと接近していく。

 

ベンゼン星人「あっ!?そ、その技は…や、ヤメテェェエエエエエ!!」

 

ゼアス「シェアッ!!」ドッゴォォオオオオオオオオッ!!

 

ベンゼン星人「あれええええぇぇぇぇ……!!」キランッ…

 

ベンゼン星人の叫びは虚しく…ゼアスの必殺技『スーパーゼアスキック』によって、大きくぶっ飛ばされた。ゼアスの勝利を見届けた市民は、皆大喜びしていた。ちなみに、円盤生物達のことも味方であると認識している。

 

オニジャ「おっしゃぁぁああああ!!ゼアスが勝ったぞぉぉおおおお!!」

 

ムジナ「やったぁぁああああああ!!」

 

シズム「円盤生物達も、ゼアスの勝利を喜んでるよ。」

 

ジュウガ「これで、一先ずは安心ですね。」

 

ゼアスの勝利に歓声を上げるオニジャとムジナ…微笑む市民とジュウガ。

 

六花「……!!」

 

六花の視線の先には、両手を腰に当てて堂々と立っているウルトラマンゼアスと…彼の周りを飛び回る円盤生物達が見えていた。ゼアスは右手から『ゼアスキャン』を発射し、熱海周辺を除菌した後…破壊された街を元に戻す光線を発射し、街をキレイサッパリ元通りにした。12体の円盤生物達も、街の修復を開始し…元通りにした。そして…

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

大勢の人類から感謝されながら見送られる形で、満点の星空に吸い込まれるように、大空へと飛び立って行った。ゼアスを見送った円盤生物達は、身体を小さくし…主達の元へと帰還した。

 

 

 

直喜「おーい!!」

 

ムジナ「あっ、直喜だ!!」

 

円盤生物達が戻って来た後、直喜が手を振りながらこちらへ駆けてくる。そんな彼の元に、いち早く向かったのは…

 

六花「直喜ー!!」

 

六花だった。走ってきた直喜に抱き付き、優しく声を掛ける。

 

六花「お帰り…直喜…!!」

 

直喜「た、ただいま…!!」

 

六花「直喜、カッコ良かったよ♪」

 

直喜「か、カッコいいのは僕じゃなくてゼアスだよ…」苦笑

 

シズム「そのゼアスに変身したのは直喜じゃないか。」

 

オニジャ「シズム、お前上手いこと言ったなぁおい!!」

 

ムジナ「それよりさ、ご飯でも食べに行こうよ!!直喜の勝利を祝うために!!」

 

ジュウガ「賛成します。」

 

戦いから帰還した直喜を迎えたメンバー達は、ベンゼン星人に勝ったお祝いをするため…夕御飯を食べに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベンゼン星人「い、いててて……お、おのれぇ…ウルトラマンゼアスめぇ…!!…次は、こうは行かないぞ…!!」涙目




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第40話 信・力

OP~AHS DA HERO『Everything』~♪


熱海に来て3日目となった今日……

 

 

 

六花「直喜、こっちこっち♪」

 

直喜「あっ、待ってよ六花ちゃん…!」アセアセ

 

六花と直喜…そして、怪獣優生思想のメンバー達がやって来たのは、温泉もあるマリンスパ施設であった。

 

オニジャ「なぁ…俺ら、完全に…空気だよな……?」汗

 

ムジナ「…今更気付いたの?」汗

 

シズム「まぁまぁ、折角直喜と一緒に行動できてるんだしさ…見守ってようよ?」

 

ジュウガ「そうですね。六花さんは直喜と一緒に旅行に来たと話してましたし…俺達が首を突っ込むのはナンセンスです。」

 

プールではしゃぐ六花と直喜を、怪獣優生思想の4人は見守ることにした。

 

シズム「ほら、直喜…楽しそうにしてるよ?」

 

オニジャ「へへっ、直喜が楽しいなら…俺らも楽しいよな!!」

 

ムジナ「成る程…直喜に合わせてる感じ?」

 

ジュウガ「気を遣いっぱなしだと、こっちが疲れてしまいますよ?多分ですけど…お互いに気を遣いあってる感じですね。」

 

 

 

六花「あははは、えいっ!」バシャッ!

 

直喜「あっ、やったな?それっ!!」バシャッ!

 

六花「冷たっ!?あっははは♪」

六花(あぁ、そっか……私は今…直喜と一緒に、遊んでるんだ。やっと…やっと……やりたかったことが、叶ったな…♪)

 

●●●●を倒し続けて数千年もの時を…幾多の次元を旅し……漸く、直喜と再会を果たした六花。彼と再会する前…彼女は……

 

『直喜と会ったら、やりたいこと』

 

とノートに書き…彼と再会を果たしたらやりたいことありったけを、書き込んだ。そして、いよいよ直喜との再会の時が近付く中……ツツジ台高校に、転校生としてやって来るのが直喜であることを知った時には、声を上げて泣く程…それを喜んだ。

 

『直喜に話し掛ける』

 

『直喜と話をする』

 

『直喜と一緒に下校する』

 

『直喜と一緒に出掛ける』

 

…いくつものやりたいことが叶い、喜びを感じる六花だが…直喜と共にツツジ台高校にやって来たA、B、Cの3人が…直喜の命を奪おうとしていると予感し、彼を守ることを決心した。

 

 

 

六花(でも、アイツら弱い癖に…邪魔ばっかりしてくるんだよね~……ま、ここには居ないみたいだし、いっか。)

 

直喜「六花ちゃん、そろそろ休憩の時間だから…も、戻ろう…!」

 

六花「は~い♪」

 

休憩のアナウンスが響き、プールから上がる六花と直喜。

 

 

 

シズム「あ、お帰り。」

 

六花「ただいま…んん~っ!!楽し~♪」ググググッ!

 

伸びの動作を行った後、レジャーシートに座る六花。

 

ムジナ「ねぇ、さっき係の人からこんなの貰ったんだけど。」

 

ムジナが見せてきたのは、イベントのチラシだった。どうやら、大プールを舞台に…何やらバトルが行われるようだ。水上に『ランド』と呼ばれるステージを水上に設置し、参加者は胸や尻を駆使して戦い…最後のまでランドに立っている者が勝利となる。

 

オニジャ「おっ!?これ面白そうじゃねぇか!!」

 

ジュウガ「オニジャ、よく見てください…」

 

オニジャ「あっ?…って、おいおい!!女限定かよ!!」

 

そう…このイベントは、女性のみが参加可能で、男性は参加不可能なのだ。

 

ムジナ「優勝者には賞金が出るんだって…でも、私はパスする。こっちよりも直喜といる方が一番だし♪」

 

六花「ふーん……」

六花(優勝賞金は10万円か……あっ、そうだ…これで、直喜に何かプレゼントでも買おっと。)

 

六花はムジナが貰ってきたチラシを見て、考え事を始める。

 

直喜「り、六花ちゃん…?」

 

六花「ねぇ直喜…私、これに参加してみようと思うんだけど……どうかな?」

 

直喜「ど、どうって……」汗

 

六花「ウソウソ♪直喜から応援されたいから出るよ♪」

 

六花はそう言うと、大プール近くにある受付に向かった。

 

 

 

まもなく…イベントが始まり、参加者は30人近くと…かなりの人数がいる。中には、競女育成高校に通う選手もいる。1回戦目に、その選手と当たってしまった。

 

六花(いきなり強敵…って、言いたいところだけど…!!)

 

舞「やっ!!」

 

競女育成高校に通う選手『里中 舞』は、次々と選手をランドから落とし…遂に、六花と一騎打ちに……

 

直喜「六花ちゃん、頑張れぇ!!」

 

六花「!!」

六花(直喜が応援してくれてる…よし、これで行ける!!)

 

直喜からの声援を受け、六花は本気を出し始める。

 

舞「えいっ!やぁっ!!」

 

六花「ッ!!」サッ!スッ!

 

舞の攻撃を意図も簡単に避け続け、反撃の機会をうかがう。

 

舞「ハァッ…ハァッ……う、ウソ…あの娘、速すぎる…!!」

 

六花(チャンスだね、一気に決めるよ!!)

 

スタミナ切れとなった舞に、六花は舞に尻を突き出す……と、見せ掛ける。

 

舞「ッ!?」

 

六花(よし、かかった!!)

 

フェイントに引っ掛かった舞に、六花は自身の尻を大きく薙ぎ払った。

 

舞「しまっ…!!」ザッパァァアアアアンッ!!

 

1回戦目は、六花が頂点となった。

 

観客「うおっ!?あの娘つえぇぞ…!!」「相手は競女育成高校の選手よ!?」「もしかして、経験者?」

 

先程倒した選手は、競女界の中ではかなり有名な選手のようで…彼女を難なく撃破した六花は、瞬く間に観客からの注目を集めた。続く準々決勝、準決勝も六花は生き残り…決勝戦へ突入する。決勝戦は、六花を除いた3人が…競女選手である。

 

シズム「決勝か…相手は確か、競女全国大会にも出てる強豪揃いだよ?」

 

オニジャ「おい、それヤバくねぇか?」

 

直喜「大丈夫!!」

 

直喜の声に、ビックリするシズムとオニジャ。

 

 

直喜「僕、六花ちゃんを信じる…六花ちゃんは、絶対に勝ってくれるって…だからさ、シズム君もオニジャ君も、ジュウガ君もムジナちゃんも…六花ちゃんを精一杯応援しようよ!!」

 

 

ジュウガ「ふっ、そうですね。」

 

ムジナ「直喜の言うことは、『絶対』だもん♪」

 

シズム「流石は直喜だね。」

 

オニジャ「そうと決まれば…六花ァ、行けェ!!」

 

 

 

六花(うるさ…オニジャさんの声、よく聞こえるっての…)汗

 

オニジャの応援に、迷惑そうな顔をする六花だが……

 

直喜「六花ちゃぁん!!が、頑張ってェ!!」

 

六花「ありがと~直喜~♪頑張るから、見ててね~♪」チュッ♥️

 

直喜からの応援は素直に受け取り、彼に投げキッスを飛ばした。顔を真っ赤にする直喜を見届けた後、スタンバイする。

 

ジョーヌ「よろしくお願い致しますわ!」

 

力乃「おうっ!よろしくな!!」

 

啓子「よろしくお願いします!」

 

決勝戦の相手は、全国大会出場経験がある3名だ。『ジョーヌ・ベアール』には優勝経験があり、『桜井 力乃』と『海道 啓子』は準優勝経験がある強敵だ。試合開始のホイッスルが響き渡った直後…

 

ジョーヌ「お覚悟ですわ!!」

 

力乃「まずはお前からだ!!」

 

啓子「行きますっ!!」

 

3人は六花に襲い掛かった。それを見抜いた六花は瞬時に攻撃を避け、距離を取る。

 

六花「よろしく…さぁ、掛かって来なよ?」

 

そして、3人に挑発すると…

 

 

ギロッ!

 

 

3人「「「ッ!?」」」ビリリッ!!

 

凄まじい覇気を剥き出しにする。

 

力乃(な、なんて凄まじい覇気だ…!!)

 

ジョーヌ(か、彼女…タダ者ではありませんわ…!!)

 

啓子(す、スゴい…で、でも負けるわけには!!)

 

六花の凄まじい覇気に怯んだ3人だが…己を鼓舞し、再び戦いを開始する。

 

六花「!!」

 

六花は掛かってきた3人を前に、両手を腰に当てて…迎え撃った。

 

バコォッ!!

 

ジョーヌ「うぇっ!?」

 

力乃「おい、マジかよ…!!」

 

啓子「3人係りで攻撃しても、びくともしないなんて…!!」

 

競女全国大会出場経験のある選手3人の一斉攻撃に、びくともしない六花。

 

六花(今まで散々特訓してきたんだもん…簡単にやられてたまるもんですか…!)

 

六花は低い体勢を取ると、空中に飛び上がった。

 

六花(ウルトラマンタロウの力、とくとご覧あれ!!…なんてね。)

 

ランドに落ちるタイミングで…まずは啓子にヒップアタックを繰り出し、ランドから落とす。続いて、もう一度空中に飛び上がり…今度はジョーヌにヒップアタックを仕掛け、ランドから落とす。最後に、アクロバティックに空中で回転しながら…力乃にヒップアタックを繰り出し、ランドから落とした。

 

六花(スワローキックならぬ…『スワローヒップ』ってね?)

 

六花の優勝が確定した瞬間、周りは大歓声へと包まれた。

 

 

 

ムジナ「やったぁ!!六花が勝ったよ!!」

 

直喜「やったやった…六花ちゃんの勝ちだぁー!!」

 

オニジャ「おっしゃぁぁああああ!!」

 

シズム「これが、誰かを信じる力…直喜、君はスゴいよ。」

 

ジュウガ「信じる力…興味深いですね。」

 

六花の優勝を見届け、直喜はムジナとオニジャと一緒に大喜びしていた。シズムとジュウガは、直喜に更に興味を示すことに……

 

六花「直喜~、勝ったよ~♪」

 

直喜「おめでとう六花ちゃ…って、うわぁっ!?」

 

六花は嬉しさのあまり、直喜に抱き付いた。こうして…マリンスパ施設で行われたイベントは無事に閉会し、幕を降ろしたのだった。

 

 

 

日がくれ始めた頃、熱海駅へとやって来た直喜と六花と怪獣優生思想のメンバー達。帰りは同じ列車で、帰ったのは言うまでもない…

 

六花(楽しかったなぁ~…直喜と一緒に過ごせる日々、本当に夢みたいだよ…今まで頑張って来て良かった♪)

 

六花の隣には、遊び疲れてスヤスヤと眠る直喜の姿があった。

 

 

六花(直喜を守るんだ…直喜のためなら、私はいくらでも頑張れる。直喜…今度こそ、私は直喜のこと……守るからね?)

 

眠っている直喜の右手を取り、優しく包む六花は…母親のような優しい笑顔を向けるのであった。

 

 

 

オニジャ「…で、俺達この後どうするよ?」汗

 

ムジナ「…さぁね。」汗

 

シズム「結局、俺達最後まで空気だったね…」汗

 

ジュウガ「ま、まぁ…直喜が楽しめたなら、それで良いんじゃないんですか?」汗




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SSSS.DYNAZENON編
第41話 退学って、なに?


OP~ASH DA HERO『Everything』~♪


ある日の平日……

 

 

 

この日は学校があるのだが…職員室に、3人の転生者達が呼び出されていた。

 

教員「お前達、何故ここに呼ばれたか…分かるか?」

 

3人「「「……。」」」

 

教員の問い掛けに、黙りこくる3人。

 

教員「お前達は授業態度も悪いし、最近は学費を滞納しているそうじゃないか…それに、お前達への苦情が殺到しているんだ。これが続くなら、停学…最悪の場合、退学になる。」

 

どうやら、3人は成績が悪いだけでなく…度々起こしている問題行動が明るみになったり、それが原因でツツジ台高校に苦情が来ている……これらを問題視した教員が、彼らを呼び出したのだ。その後、教頭を交えて…3人の転生者達を説教を開始したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「……。」

 

その頃、直喜は…屋上におり、景色を眺めていた。

 

直喜(僕がゼアスであることを、六花ちゃんは受け入れてくれた…後、シズム君達も……でも…アカネちゃん達は、どう思うんだろうなぁ…………)

 

熱海旅行の際、ベンゼン星人が現れたため…直喜はゼアスに変身し、ベンゼン星人を撃退した。だが、その時…六花に、自分がゼアスであることを告げた。彼女はそれを受け入れ、守秘義務を守ってくれている。怪獣優生思想の4人も、直喜がゼアスであることを知り…守秘義務を貫いてくれている。

 

アンチ「直喜。」

 

直喜「へっ?…あ、アンチ君…!」

 

アカネ「私もいるよ~♪」

 

そこに、アンチとアカネがやって来る。

 

アカネ「直喜君久しぶり~!!」

 

直喜「わぷっ!?」

 

アカネ「スゥ~、ハァ~…スゥ~、ハァ~♪はぁ、幸せぇ~~~~♪」

 

直喜を見るや否や、彼に抱き付き…匂いを嗅ぎ始めるアカネ。

 

アカネ「直喜君って良い匂いだねぇ~♪」

 

直喜「ど、どうも……」汗

 

アンチ「おい、直喜が困ってる。」

 

アカネ「君も嗅いでみてよ、直喜君良い匂いなんだから♪」

 

アンチ「え、遠慮する…」汗

 

アカネ「はぁっ!?何、直喜君が臭いって言うの!?なぁ、おい!!

 

アンチ「そんな事言ってない…」汗

 

アカネが豹変しても、アンチは冷静にツッコミを入れる。

 

直喜(そんなに良い匂いなの、僕…?)汗

 

アカネ「良い匂いだよ直喜君はぁ~♪ベビーパウダーとか粉ミルクみたいな優しくて甘い香り…幸せ♪」

 

 

六花「って、何やってんの、アカネ…?」汗

 

 

そこに、六花がやって来て…アカネの行動に少々引いていた。

 

アカネ「あっ、六花ぁ~♪ねぇねぇ、直喜君スッゴく良い匂いなのぉ~♪」

 

六花「う、うん…わかった、わかったから……1回直喜から離れようか。」汗

 

アカネ「えぇ~、や~だ~♪」ムギュゥゥウウウウッ!!

 

直喜「うぐっ!?く、苦しい…!!」

 

直喜が苦しがったため、六花が慌ててアカネを引き剥がした。

 

直喜「…び、ビックリした……」

 

アンチ「大丈夫か?」

 

直喜「う、うん…大丈夫……」

 

直喜に心配する後ろでは、六花がアカネに説教をしている。アカネは正座させられ、六花に平謝りしている。

 

 

 

転生者 A「…あれは、六花とアカネ……何やってんだ?」汗

 

転生者 B「見たところ、六花がアカネを説教してるっぽいぞ…」汗

 

転生者 C「よりによって正座かよ…見えねぇじゃねぇか……」チッ…

 

そんな彼らを、屋上の出入口から覗く転生者3人。

 

転生者 A「…なぁ、俺らさ…どのみち退学になるんだしさ……」

 

転生者 B「…確かに……それなら、今神山いるし…六花達をここでヤッちまうか?」

 

転生者 C「それ良いな♪」

 

退学を免れないと覚ったバカ3人は、ここで六花とアカネを襲おうと考えたようだ。そして、直喜を絶望させた後、彼を抹殺するため…凶器を隠し持つ。Aは鎌、Bは出刃包丁、Cはメスを隠し……

 

 

3人「「「ヒャッハァァアアアアアア!!」」」

 

 

…と、まるで猿のような寄生を上げながら六花とアカネに飛び掛かった。

 

六花「ッ!!」

 

アカネ「はっ!!」

 

六花とアカネは飛び掛かってきた3人を攻撃し、返り討ちにした。

 

六花「はぁ…またアンタら…?

 

アカネ「至福の時を、邪魔するツモリカ…?

 

当然、戦闘力も身体能力も…3人の転生者達より、六花とアカネの方が遥かに上である。

 

アンチ「…!」ザッ…

 

アンチは直喜の前に立ち、彼を守る。

 

六花「アカネ、行くよ?

 

アカネ「オッケ~。

 

六花とアカネは、右手に光の剣を生み出した。六花の剣は青い光を放ち、アカネの剣は紫の光を放っている。

 

直喜「あれって…あ、『アグルブレード』…!?」

 

何と、六花とアカネが出したのは…『ウルトラマンアグル』が使用する光の剣『アグルブレード』だった。

 

直喜「ど、どういうこと…あれ、明らかにマジックじゃない…よね……?」

 

六花&アカネ「「……。」」

 

混乱する直喜の声を聞き、今まで黙っていたことを後悔する六花とアカネ。だが、今はそんな余裕は無い…A、B、Cという3人の悪魔から愛しき彼を守らなければならない。

 

転生者 A「く、くそ…こ、こうなったら!!」

 

転生者 B「強行手段だ!!」

 

転生者 C「何がなんでも、六花とアカネを抱いてやるぅぅうううう!!」

 

自棄になった3バカは、隠し持っていた凶器を取り出すと…直喜を殺そうと彼に向かって走り出す。しかし、それを瞬時に見抜いた六花とアカネが彼らの行動を許すことなく……

 

 

六花「直喜に近付くなァ!!

 

アカネ「シネ…!!

 

 

アグルブレードを振るい、直喜から遠ざけた。

 

転生者 A「り、六花…アカネ……どうしてなんだ!?」

 

転生者 B「俺達は、君たちを救おうとしているのに…どうして分からないんだ!?」

 

転生者 C「勇者からの救いの手を、どうして受け取らないんだ!?」

 

分からず屋のバカ3人は、正義のヒーロー気取りで六花とアカネに問い掛ける。それは、彼女達には既にお見通しである。

 

六花「そういうの要らないからさ…ほら、本当の事言っちゃいなよ?

 

アカネ「どうせエッチなことでばっか考えてるんでしょ?

 

六花とアカネはブレードをしまい、念力を発動させると…3バカの本心を暴く。

 

 

転生者 A「ゲヘヘヘッ、早く六花とアカネを犯してぇぜぇ!!ヒャハハハハ!!」

 

転生者 B「うひょぉ~♪六花のその魅惑の太ももに巨乳、たまんねぇぜ…早く、俺とベッドファイしてくれぇぇええええ!!」

 

転生者 C「フヘッ、フヘッ、フヘヘヘッ!!アカネのムチムチボディに胸元の豊満な果実に挟まれてぇ!!早く、早く…俺とセッ◯◯してくれぇ!!」

 

 

直喜「セッ、セッ…セッ!?///」アワアワ

 

アンチ「直喜、俺が着いてる。」

 

下ネタワードを放った3人の言葉に、直喜はアワアワし始める。そんな彼を、落ち着かせるアンチ。

 

六花「やっぱりね…てか、直喜の前で下ネタとかマジ無いわ…

 

アカネ「キモ…

 

3人の本性を聞いた六花とアカネは、彼らに冷たい視線を向ける。

 

転生者 A「ハッ!?お、俺…何か言ったか…?」

 

転生者 B「な、何だったんだ…!?」

 

転生者 C「こ、これも…神山の力なのか…!?」

 

自分の意思とは関係なく、本心が飛び出したことに困惑する3バカ。そこに……

 

 

女教員「お前ら何をしている!?まぁ、状況はすぐに分かったが…」

 

 

タイミングよく、女教員と老教員が屋上にやって来た。

 

なみこ「直喜、大丈夫!?」

 

はっす「先生達呼んで正解だったよ。」

 

どうやら、屋上が騒がしいと感じたなみことはっすが呼んでくれたようだった。3バカの手には、凶器が握られている。これを校長に見られたら、もう言い逃れはできない……

 

女教員「校長!!」

 

 

校長「えぇ!A君、B君、C君…もう、君たちをこの学校に置いておけません……今日をもって、君たちは退学です!!」

 

 

老教員は校長先生だった。校長から退学を突き付けられ…絶望し、膝をつく3バカ。

 

女教員「神山、こっちに来い!!」

 

その隙に、女教員は直喜の元に駆け寄り…なみことはっすと共に屋上から避難した。3バカは、校長の方を向くと…発狂しながら凶器を振り下ろしてきた。

 

校長「ッ!?」

 

だが、六花とアカネとアンチが3バカの攻撃を受け止め…校長を助けた。

 

六花「校長先生、逃げてください…!」

 

校長「…た、宝多さん…新条さん…!!」

 

アカネ「大丈夫大丈夫、私達…格闘技習ってるから♪警察呼びましょ?」

 

校長「…わ、わかった…!!」

 

校長も屋上を離れていったところで、六花とアカネは本気を出し始める。

 

 

六花「さ、覚悟…できてるよね?

 

アカネ「ま、答えは聞かないけどね?

 

 

六花のメタフィールドとアカネのダークフィールドが合体し、光と闇が行き来する亜空間『ダークメタフィールド』に3人バカを引き摺りこみ…

 

ズガガガガガガガガガッ!!

 

3バカ「「「うぎゃぁぁああああああ!!」」」

 

圧倒的な力で、3バカをボロボロにする。

 

六花「私達は既に救われたの…直喜って言う真の勇者に、救われたの!!」

 

アカネ「直喜君は私達を絶望から何度も引き上げてくれた…だから、私も頑張れた!!」

 

六花「だから…!!」

 

アカネ「今度は…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『私達が、直喜(君)を救う番!!』』

 

 

六花はアルファベットの『V』を描くように腕を広げた後、右手首に左拳を打ちつけるように腕を十字型に組み、黄金色に輝く光線を発射した。アカネはアルファベットの『V』を逆さまにしたようなモノを描くように腕を広げた後、右手の拳を左肘に打ち付けるように腕を逆L字型に組み、赤黒色に輝く光線を発射した。

 

六花が放った光線は、大宇宙に伝わる伝説の巨人『ウルトラマンノア』が使用する光線『ライトニング・ノア』だ。対してアカネが放った光線は、そのウルトラマンノアに酷似した姿を持つ暗黒破壊神『ダークザギ』が使用する光線『ライトニング・ザギ』だ。

 

3バカ「「「ぎゃぁぁあああああああああ…!!」」」

 

3バカの叫びは、六花とアカネが放った光線に呑み込まれ…掻き消された。

 

 

 

 

あの後、屋上には教職員と警察が駆け付け…3バカは逮捕され、パトカーに乗せられた後連行された。屋上にて…力の負荷によって倒れ、意識を失った六花とアカネは、病院に搬送された。

 

 

六花「……。」

 

アカネ「……。」

 

 

直喜「六花ちゃん!!アカネちゃん!!しっかりして!!ねぇ、目を開けてよぉ!!」

 

なみこ「直喜…」

 

はっす「直君、1回落ち着こ…?六花とアカネは、きっと大丈夫だから。」

 

意識を取り戻さない六花とアカネに、直喜は大粒の涙を流しながら彼女達の名前を呼び続ける。そんな彼を落ち着かせようと、なみことはっすは励まし続けた。

 

 

退学となったあの3バカ…この先、就職活動も進学…はたまた、高卒認定試験を受けるのも困難になるだろう……




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第42話 憩いの場って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


その日の夜……

 

 

直喜はとある友人と電話で話をしていた。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隆也『あっ、よぉ直喜。元気か?』

 

直喜「うん、おかげさまで。」

 

それは、同じウルトラマンファンの親友『阿部 隆也』だった。

 

隆也『いやぁ、L◯NE送っても中々返信来なかったから心配しちまったよ。』

 

直喜「ごめん、ちょっと悩み事してて……」

 

隆也『マジで!?大丈夫か?』

 

直喜「今はもう大丈夫!!」

 

直喜が返信しなくても、隆也は最後まで気にかけてくれていた。

 

隆也『明日さぁ、ウルフェスの日だろ?どうだ、直喜も来るか?』

 

直喜「うん、行く!!」

 

隆也『おぉし、久しぶりに…対戦でもしようぜ?』

 

直喜「喜んで!」

 

こうして、明日のウルフェスに行く約束(現地集合)をし、眠りにつく直喜。

 

 

 

翌日…

 

隆也「おーい!!」

 

直喜「あっ、隆也君!!」

 

ウルフェス会場前にて、無事に合流した直喜と隆也。入場料を支払い…会場内へと入っていく。彼らが向かったのは、休憩スペースだ。

 

隆也「んじゃ、やるか。」

 

直喜「うん!!」

 

ゲーム機を取り出した2人は、早速『ウルトラマンFEN』を起動させ、対戦を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちせ「おぉ~、結構人来てますね?」

 

夢芽「そりゃそうだよ、ウルトラマンフェスティバルだよ?ウルトラマンファンにとってビッグ過ぎるイベントだし。」

 

今回のウルフェスには、夢芽とちせも訪れていた。彼女達は、直喜と話を弾ませるべく…ウルトラマン作品を勉強するために、ここにやって来たのだ。様々な場所を回り、ジオラマコーナーで防衛基地の模型やウルトラメカのミニチュアを見て学ぶ。

 

夢芽「こっちがジェットビートルで、こっちが宇宙ビートル…どれも同じっぽいなぁ……」

 

ちせ「これは小型ビートルっすね、うへぇ~ちっさ…!」

 

まずは科学特捜隊の基地を見て回ると、次にウルトラ警備隊、MAT、TAC、ZATの基地を順番に見てウルトラ作品について勉強する。

 

ちせ「南さん、そろそろ休憩しません?」

 

夢芽「そうだね…うぅ、少し頭痛い……」

 

勉強に疲れた2人は、休憩スペースに足を運んだ。

 

ちせ「おっ、あれ直喜先輩っすよね…?」

 

夢芽「えっ、どこどこ?…あっ、ホントだ。」

 

ふと、ちせの視線の先を見てみると…隆也と一緒にゲームで遊ぶ直喜の姿があった。

 

夢芽「一緒にいる人、誰だろうね…?」

 

ちせ「直喜先輩の友達であることは、明らかっぽいですね。」

 

しばらくの間、隆也と一緒にゲームする直喜を見守ることにした夢芽とちせ。

 

 

 

直喜「よしっ、トドメだ!!」

 

隆也「バリア張ったぜ!!って、それは防げねぇ!!」

 

『ウルトラマンゼアス』を操作する直喜は、『ウルトラマンナイス』を操作する隆也に勝利した。

 

隆也「だぁくそぉっ!!直喜、お前やっぱつえぇよ…!!」

 

直喜「隆也君、分かりやすいんだもん。有利になった時や何か手がある時、表情に出てるよ?」

 

隆也「そんなに出てるか?」

 

直喜「うん、スッゴく良い笑顔。」

 

隆也「マジで!?いやぁ、高校の小テストで満点を取れる問題だった時、ついついにやけちゃうんだよなぁ…」(苦笑)

 

直喜「その学力、僕も欲しいよ…」(苦笑)

 

お互いに「アハハハハ!」と笑う直喜と隆也。そして、今度はタッグモードを選択し、怪獣や悪質宇宙人退治に……

 

 

 

夢芽「へぇ、直喜ってあんな顔して笑うんだね。」

 

ちせ「めっちゃ楽しそうっすね♪私らもあのゲーム機買います?」

 

夢芽「いや、お金あるの?」

 

ちせ「たんまりあるっす!あのバカ連中から許可得て貰ったんですし…窃盗にはならないっすよ。」

 

ちせの手元には、大金があるのだが……それは、3バカから強引に貰ったのだ。

 

ちせ「何でもするって言ったんですし…」

 

夢芽「強引だってw」

 

ちせ「ま、今まで散々甘い蜜ばっか吸ってたんですし…現実の厳しさを身を持って痛感してもらいましょうよ?」

 

夢芽「それもそっか…」

 

直喜の家に乗り込もうとした挙げ句、彼を殺害しようとした3バカに対して…夢芽が『ギャラクトロン』の力を使って彼らを捕らえ…ちせが相棒の『ゴルドバーン』と共に彼らに制裁をした。その結果、大金を手にする事ができたのだ。

 

ちせ「えっと、直喜先輩がやってるゲームって…どんなタイトルでしたっけ?」

 

夢芽「ウルトラマンFEN(ファイティングエボリューションネオ)。」

 

ちせ「えっとどれどれ…って、うわ高っ!?」

 

夢芽「今度中古屋さんに行こうよ、売ってるかもよ?」

 

ちせ「そ、そっすね…」

 

メル◯リで購入しようとしたちせだが、予想以上の高額であったため、今度夢芽と一緒に中古ショップに行くことにした。

 

 

 

ゲームで遊んだ直喜と隆也は、ウルフェスで知り合った人達とウルトラマン作品に関する話をしたり…ジオラマコーナーを見て回ったり、アトラクションで身体を動かしたりと…ウルフェスを全身で楽しんだ。

 

直喜「隆也君、どっち狙う?」

 

隆也「ツインテール狙うわ。アイツ、食ったらエビの味するみたいだしw」

 

直喜「確かに、1度で良いから食べてみたいねw」

 

隆也「ハハハ!確かにwww」

 

カラーボールプールの奥には、バルタン星人とツインテールの姿があり…赤い的に当てると、鳴き声を発して動く仕組みである。

 

 

 

夢芽「へぇ~、あんなのもあるんだ。」

 

ちせ「何か、今にも動き出しそうですね?」

 

カラーボールプールにて、的当てを楽しむ直喜と隆也を見守る夢芽とちせ。彼女たちは近くの売店にいた。

 

ちせ「私達も遊びます?あれ、面白そうっすね。」

 

夢芽「そうだね。あっ、直喜達移動した。」

 

直喜と隆也が別のアトラクションに向かったタイミングで、的当てを行う夢芽とちせ。やってみたら意外と面白く、すっかりはまってしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

転生者 A「くそ…くそ…くそ……こ、こんな筈じゃ……こんな筈じゃなかった…!!」

 

高校を退学させられ、刑務所生活を余儀なくされたAは……頭を抱えていた。それは、BとCも同じであった。

 

転生者 A(こうなったら、You◯ubeで炎上配信して収入を稼ぐしか…!!)

 

頭が足りないバカは、またまた…愚かな発想をし、楽な道へと進もうとしているのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第43話 契約って、なに?

ある日の平日…こんなニュースが舞い込んで来た。

 

 

 

『謎の円盤、刑務所を襲撃』

 

 

映像には平べったい円盤が、刑務所に向かって赤い怪光弾を放ち…3人の囚人を誘拐していく様子が映し出されていた。それだけでなく、刑務所にいた人間達は次々と虐殺されていく様子も映し出されていた。何故3人だけを誘拐したのか…何故彼ら以外の者達を殺したのか……真相は、謎に包まれたままである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刑務所を襲撃した円盤がたどり着いたのは…地球の地下深くに存在する『ベンゼン星人』の秘密基地だった。

 

円盤?「……。」ポイッ…

 

ドササッ!!

 

転生者 A「いでっ!?」

 

転生者 B「あだっ!?」

 

転生者 C「うおっ!?」

 

ベンゼン星人「よくやった『ロベルガー』!!」

 

刑務所を襲撃した円盤の正体は、生物だった。円盤生物『ロベルガー』……ベンゼン星人が使役する円盤生物の1種である。ゼアスに撃退され…無人島に流れ着いたベンゼン星人を基地まで運んだのも、このロベルガーである。

 

転生者 C「おい、ここはどこだよ?」

 

ベンゼン星人「まぁ待てって、俺様はベンゼン星人だ…この地球を木っ端微塵にしようと企んでいるんだぜ?どうだ、怖いだろ?」

 

3バカ「「「……。」」」汗

 

ベンゼン星人の自己紹介を聞き、困惑する3バカ。

 

ベンゼン星人「あれ、怖くないの?」汗

 

転生者 B「それより、ここはどこなんだよ?」

 

ベンゼン星人「いやいや、それより俺様が怖くないの!?ねぇ!?」

 

転生者 A「だからここはどこだって?後、何で俺達を連れてきたんだ?」

 

ベンゼン星人「ねぇねぇ教えて!!俺様怖くない!?」

 

 

3バカ「「「しつけぇんだよ!!」」」

 

 

あまりにもしつこく、質問に全く答えないベンゼン星人にイライラした3バカは、彼を怒鳴り付けた。

 

レディベンゼン星人「ちょっと、私のダーリンに何を言ってるのかなぁ?

 

そこに、レディベンゼン星人がやって来る。

 

ベンゼン星人「は、ハニー!?」

 

レディベンゼン星人「寝てなくて良いの、ダーリン?」

 

ベンゼン星人「大丈夫大丈夫!!それより、良さそうな奴ら連れてきたよ!!」

 

レディベンゼン星人「えっ?こんなヘボそうな奴らのこと?」

 

転生者 B「誰がヘボだとゴラァッ!!?」

 

レディベンゼン星人に怒鳴るB。だが…

 

 

レディベンゼン星人「うっさいわねぇ?

 

 

彼の声を聞き、怒ったレディベンゼン星人は…彼の足元に光線を放った。

 

転生者 B「うおあっぶね!?」

 

レディベンゼン星人「言っておくけどねぇ、アンタ達は私達の従順な下僕なの…私達に逆らったら、どうなるか分かってるわよね?」

 

3バカ「「「!?」」」

 

レディベンゼン星人から発せられるオーラを見た3バカは…流石にヤバいと感じ、漸く大人しくなった。

 

ベンゼン星人「お前達は幾多の世界を救ってきた勇者様なんだろう?」

 

転生者 C「そ、そうだ…!!」

 

ベンゼン星人「なら話は速い、俺様達のことを救ってくれよ。これは取引だ…俺様達は『ウルトラマンゼアス』を倒し、この星を破壊する。俺様達と組めば、お前達の望むモノは何だって手に入るぞ?」ウンウンッ!

 

ベンゼン星人の誘惑を耳にした3バカは、今の自分達の状況と照らし合わせて考え事を始める。

 

転生者 A(俺達は神山のせいで、こんな目にあっている……)

 

転生者 B(六花とアカネ達は、未だ神山の奴に洗脳されたまま……)

 

転生者 C(本来、あそこには俺がいるべきポジション…コイツらと組めば、俺はまた…勇者様になれる!!)

 

そして、ニタァッ…と、気持ち悪い笑顔を浮かべる。

 

ベンゼン星人「うわっ、気持ち悪…」汗

 

レディベンゼン星人「私もそう思った。でも、アイツら…上手く利用できそうじゃない?

 

ベンゼン星人「でしょでしょ?意外とチョロいし…

 

レディベンゼン星人「確かし!それに、アイツらからは…邪悪で欲望にまみれたオーラが出てる。怪獣使いになるにはうってつけ過ぎ♪

 

 

転生者 B「デヘヘヘ……って、おいおい。何コソコソ話してるんだ?」

 

レディベンゼン星人「あら失礼?ところで…アンタ達、力が欲しい?」

 

レディベンゼン星人の問い掛けに、3バカは「「「欲しい!!」」」と躊躇うこと無く答えた。

 

レディベンゼン星人「それなら、この誓約書にサインして頂戴?よぉ~く読んでね?

 

レディベンゼン星人は3バカに誓約書を渡したのだが…3バカは誓約書を読まず、あっさりとサインした。その瞬間…3バカの身体を、赤黒いオーラが包み込んでいく。

 

転生者 A「フハハハハハハハハ!!感じる、感じるゾォォオオオオオオオオオオ!!

 

転生者 B「これで俺は、無敵だァァアアアアアアアア!!

 

転生者 C「ヘッヘッヘッ、んじゃあ早速シネェェエエエエエエエエ!!

 

Cの言葉を合図に、3バカはベンゼン星人とレディベンゼン星人に攻撃しようと襲い掛かる。だが、その瞬間……

 

 

バリバリバリバリッ!!

 

 

3バカ「「「ギョェェエエエエエエエエ!!」」」

 

3バカの身体中に、凄まじい電流が流れた。

 

転生者 A「お、おい!!何をしたんだ!?」

 

レディベンゼン星人「言ったでしょ?誓約書、よぉく読んでねって…あの誓約書は私達との契約の証……私達への服従は絶対、ちょっとでも逆らおうとしたらさっきみたいになるわよ?」

 

転生者 C「て、てめぇら…騙したなぁ!?

 

ベンゼン星人「騙したとは失敬な。お前達が誓約書をちゃんと読まなかったのが悪いんだろ?」汗

 

転生者 B「うるせぇ!!今すぐ元に戻せ!!」

 

Bがベンゼン夫婦に掴みかかろうとすれば、彼の身体中に高圧電流が流れる。

 

レディベンゼン星人「もう誓約書にサインしたじゃん?自分から力を求めておきながら、今度は元に戻せ?掌返し早すぎて草www」

 

ベンゼン星人「アハハハハ!愉快愉快www」

 

こうして、3バカはベンゼン夫婦の従順な下僕になってしまった。刑務所から出れたと思った矢先、再び地獄が待っていた……

 

 

 

どんどん堕ちていく3バカ、この先どうなることやら……



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第44話 フジヨキ台って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


ウルフェスで遊び疲れた直喜は、帰宅のため…電車に乗った。隆也とは違う路線であるため、ウルフェスの最寄り駅で別れることに……

 

直喜「Zzz~……」

 

よほど疲れていたのか…直喜はウトウトし始め、そのまま眠ってしまった。そこに…怪しい動きをする老人が直喜の元に近付いていく。

 

老人(ふぇっふぇっふぇ…バカそうなガキだ、呑気に寝ておるのう?)

 

どうやら、この老人……スリの常習犯らしい。寝ている直喜のカバンを開き、手を突っ込むと……

 

老人(あったぞあったぞ♪)

 

彼の財布を取り出した。そして、次の駅で降りようとした時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシッ…

 

夢芽「どこへ行くんですか?

 

ハイライトの消えた目を向けた夢芽が、老人を捕らえる。

 

老人「なんじゃ、何をするんだ?」

 

夢芽「私、見てましたけど?

 

老人「何をみたんじゃ?」

 

夢芽「とぼけても無駄ですよ?貴方、スリしましたよね?

 

老人「スリじゃと?そんなもん知らんわい!!お主ら警察に突き出すぞ!?」

 

イライラした老人は、夢芽を脅すが…

 

夢芽「良いですよ?ま、貴方に勝ち目なんてありませんけど……

 

そんなの、夢芽には何の脅しにもなっていなかった。その理由は……

 

 

ちせ「おいクソジジイ、お前直喜先輩の財布を盗りやがったな?

 

 

ちせが老人のスリの瞬間を動画に撮影していたからだ。

 

ちせ「お前に選択肢は2つある……

 

 

大人しくお縄にかかるか…

 

勝率0%の裁判で無駄金を手放すか…

 

 

さっさと選べよ?

 

ちせの行動と発言、そしてハイライトの失せた目を見た老人は……どんどん顔を青ざめていき、ヘナヘナと床に崩れ落ちた。

 

終点のフジヨキ台駅に到着すると、夢芽は寝ている直喜をおんぶし、ちせは老人を連れ…駅員の元へ……老人は「ワシは悪くない!!盗られる方が悪い!!」と、ギャーギャー喚いていたが…そんな理屈が通用することは無く、結局逮捕された。幸い、直喜の財布から何も盗られていなかった。

 

ちせ「南さん、直喜先輩どうします?」

 

夢芽「流石にガウマさんのとこは…マズイよね?」汗

 

ちせ「あぁダメですね、論外っす。」

 

夢芽「…だよね?」

 

ちせ「じゃあじゃあ…自分らの秘密の場所はどうっすか?ほら、普段から訓練してる山奥に作ったじゃないですか。」

 

夢芽「そうだね、そうしよっか。」

 

直喜をどうするか決まると…ちせはゴルドバーンを呼ぶ。まもなく、ゴルドバーンが到着し…3人の前に降り立った。直喜を見て大喜びしたゴルドバーンは、3人を乗せて…秘密の場所へと飛び立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

直喜「…ハッ!?しまった!!」ガバッ!!

 

目を覚ました直喜は、慌てて飛び起きたが…

 

 

直喜「…あ、あれ?…ここ、なんか見覚えがあるような無いような……」

 

 

周囲を見てみると…電車内ではなく、何やら地下室のような空間にいた。

 

ちせ「あっ、おはようございます。直喜先輩♪」

 

そこに、ちせがやって来た。

 

直喜「ち、ちせちゃん!?ここって……」

 

ちせ「秘密の場所っす♪南さんも居ますよ?」

 

どうやらここは…以前、家出した時に夢芽に誘われてたどり着いた『秘密の場所』のようだ。居心地の良い地下室には、映画館のような雰囲気が出ており…歴代ウルトラマン作品は勿論、『イ◯ゲーム』、『仮◯ライダー』、『ゴ◯ラ』、『ジ◯リ作品』等々の多彩な映画もある。

 

直喜「それより、僕…何でここに…?」

 

ちせ「直喜先輩、電車の中で寝てるんですもん…風邪引いちゃいますよ?」

 

夢芽「あっ、良かった。ちゃんと起きたんだ♪」

 

そんな時、朝食を持った夢芽が地下室へとやって来た。

 

直喜「ゆ、夢芽ちゃん…!?」

 

夢芽「おはよ直喜♪」

 

自分は何故ここにいるのかと2人に尋ねたところ……どうやら、直喜はスリの被害にあう寸前であった。だが、たまたま同じ電車に乗っていた夢芽とちせにより、スリ犯は逮捕され、直喜は助かった。だが、直喜は自宅マンションの最寄り駅に降りず、寝過ごしてしまい…夢芽とちせがここまで運んできたと言うのだ……

 

直喜「…ご、ご迷惑…おかけ、しました……」汗

 

状況を理解した直喜は、夢芽とちせに謝罪し、深々と頭を下げた。

 

夢芽「気にしなくていいよ♪」

 

ちせ「そうですよ直喜先輩、またこうして会えたんですし…ゆっくりしてってください♪」

 

直喜「……。」

 

迷った直喜だが、財布を見てみると…帰りの電車の切符を買うお金が足りないことに気付き……彼女達にお言葉に甘えることにした。

 

 

 

外に出ると……

 

ゴルドバーン「ギャロロロッ!!ギャロロロッ!!♪♪」

 

直喜「わっ!?ご、ゴルドバーン…!?」

 

ゴルドバーンが直喜に飛び付いて来た。どうやら、久しぶりに直喜と会えたことを喜んでいるようだ。

 

直喜「あはっ、あははは!くすぐったいよゴルドバーン!!」

 

ゴルドバーン「グルルルッ♪」

 

頬を擦りつけてくるゴルドバーンは、直喜の顔を見て嬉しそうな声をあげる。

 

ちせ「ゴルドバーン!直喜先輩が困ってるから~!!」

 

ちせがそう言っても、ゴルドバーンは全く言うことを聞かない。いつもはちせに従順なゴルドバーンだが…ちせよりも直喜の方が良いみたいだ。

 

夢芽「ゴルドバーンも寂しかったんじゃない?直喜と会えなくて。」

 

ちせ「それはそうなんですけど…ムムム、なんか複雑っす……」

 

ちせ…直喜と戯れるゴルドバーンを見て、ヤキモチを妬いているようだ。

 

夢芽「もしかして、ヤキモチ妬いてる?」

 

ちせ「べっつにぃ、妬いてないですよ~だ…」ムスッ…

 

ふてくされた顔をするちせを見て、夢芽はとある提案を出す。

 

夢芽「ねぇ、ちせちゃん?」

 

ちせ「はい?」

 

夢芽「ゴルドバーンと一緒にさ、直喜をフジヨキ台に案内しない?そうすれば、ちせちゃんも直喜と一緒にいられるでしょ?」

 

夢芽の提案を聞いたちせは、ニッコリ笑って…

 

 

ちせ「南さん…ナイスアイデア!!あざます!!」

 

 

…と、夢芽にお礼を言った。

 

ちせ「ゴルドバーン!直喜先輩をフジヨキ台に案内したいから、協力してくれる?」

 

ゴルドバーン「グルルッ!」

 

ちせの言葉を聞いたゴルドバーンは、自身の大きさを変えると直喜の近くに伏せた。

 

ちせ「直喜先輩、今からゴルドバーンと一緒に私達が住んでる『フジヨキ台』を案内するっす♪どうっすか?」

 

直喜「えっ、良いの?」

 

ちせ「もちろんですよ!!快適な空の旅、してみたくないっすか?」

 

直喜「…う、うん!!」

 

直喜から同意を得て、夢芽とちせは直喜と共にゴルドバーンの背中に乗る。3人を乗せたゴルドバーンは、飛行機が飛び立つように離陸した。

 

 

 

BGM~AHS DA HERO『Everything』~♪

 

 

直喜「わぁ~!スゴいスゴい、絶景だぁー!!」

 

ちせ「そっすね!!めっちゃ分かります♪」

 

飛翔するゴルドバーンの背中から眺める景色は、絶景であり…例えるなら、東京ス◯イツリーの上にいるようだ。

 

夢芽「あれが私の通う高校、『フジヨキ台高校』だよ♪」

 

現在、ゴルドバーンが飛んでいるのは…夢芽が通っている都立高校『フジヨキ台高校』である。どこにでもありそうなごく普通の学校で、ツツジ台高校同様に、制服はブレザー系で私服での登校は認められている模様。ちなみに、女子には制服リボンがある。校門真向かいには、2階にファミレスが入っているビルがあり、生徒達もよく足を運んでいるようだ。

 

直喜「そ、そういえば…夢芽ちゃんやちせちゃんに、一緒にいる人達って、いるの…?」

 

夢芽「うん、居るよ?」

 

ちせ「まぁ、居るっすよ?」

 

彼女達から話を聞いてみると、とある巨大ロボットを操縦する『ガウマ隊』というグループで行動することが多いようだ。怪獣使いを名乗る『ガウマ』を中心とし、麻中(あさなか) (よもぎ)山中(やまなか) (こよみ)というメンバーがいる。

 

直喜「へぇ、そうなんだ。麻中君って、どんな人なの?」

 

夢芽「蓬君?蓬君はね…」

夢芽(やっぱり覚えてないか…蓬君は直喜のこと、覚えてるのに……)

 

夢芽は直喜に、蓬について話し始める。蓬は良くも悪くも特に目立ったところのないごく普通の少年であるが、学友たちからは『度の過ぎたお人好し』とも評されている人物だそうだ。

 

直喜「なんか、隆也君みたいな人なんだね。」

 

夢芽&ちせ「「隆也君?」」

 

直喜「あっ、隆也君は僕の友達なんだ。頭良くて、たまにリモートで勉強を教えてもらったりしてるの。後は、同じウルトラマンファンでね、『ウルトラマンFEN』の対戦相手になってくれるんだ。とっても良い友達だよ。」

 

ちせ「そういえば、昨日のウルフェス…直喜先輩見ましたよ!」

 

直喜「えっ、そうなの!?」

 

ちせ「はい。あぁ、あの人が隆也君…いや、隆也先輩ですね?」

 

夢芽「隆也君は、直喜と同い年なの?」

 

直喜「うん、僕と同じ高校1年生。通ってる学校は違うんだけどね…」

 

ちせ「ちなみに、直喜先輩はどこの高校に通ってるんですか?」

 

直喜「僕?ツツジ台高校だけど…」

 

夢芽「ツツジ台?うーん、わかんないなぁ……」

 

ツツジ台…東京都のネリマ市という場所にある街である。対してフジヨキ台は、東京都内のアヤナシ市という都市にある街だ。同じ東京であっても、夢芽とちせにはツツジ台は分からないようである。

 

その後も、夢芽とちせはフジヨキ台のスポットを案内し、バスガイドの如く解説しながら紹介するのであった。直喜を乗せたゴルドバーンは、最後までご機嫌であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、夢芽とちせはガウマの拠点である河川敷に来ていた。

 

ガウマ「よぉ、夢芽にちせ…お前らから来るなんて、珍しいじゃねぇか?…って、お前ら機嫌良くねぇか?」汗

 

夢芽「わかりますガウマさん?遂に逢えたんですよ。」

 

ちせ「えぇ、直喜先輩に逢ってきました!!」

 

ガウマ「マジで!?おいおい、何で言ってくれなかったんだよ!!?」

 

夢芽「いや、前から言ってましたけど?」汗

 

ちせ「ガウマ隊長…いっくら言っても『そんなの嘘だ』って聞く耳持たなかったじゃないですか。」汗

 

???2「南さん、直喜君に逢ったって…ホントなの?」

 

夢芽「うん、本当。これが証拠だよ、蓬君。」

 

夢芽がスマホを見せると、そこにはゴルドバーンの背中でニッコリと笑う直喜が映っていた。左隣に夢芽、右隣にちせが映っている。蓬の左から暦も夢芽のスマホを覗き込む。

 

暦「これ、ホントに直喜君なの?」汗

 

ちせ「あっ、信じてないっすね先輩?正真正銘、本当に直喜先輩っすよ!!直喜先輩のおかげで、私は今も中学校に通ってるんですし…先輩も無職から脱出したらどうっすか?」

 

暦「うるせぇよ…」汗

 

ガウマ「なぁなぁ!!次直喜に会いに行く日はいつだ!?俺も1秒でも早く、直喜の顔がみてぇよ!!」

 

夢芽「直喜から同意得ないとダメですよ、ガウマさん。というか、私達から直喜に話すので待っててください。」汗

 

夢芽とちせの話を聞き、直喜に早く会いたいと落ち着かないガウマであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪

※楽曲コードはオーイシマサヨシ『インパーフェクト』です。


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第45話 ダイナゼノンって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


ある日……

 

直喜は、電話で六花とアカネが目を覚ましたことを知った。だが、ツツジ台に戻るための資金が無く、そっちには戻れないことを告げると……

 

 

六花『ウソでしょ…直喜!?ねぇ、大丈夫!?お腹空かせてない!?怪我とか病気とか無い!?』

 

アカネ『直喜君と会えないなんて、そんなの…そんなの嫌ぁぁあああああああああああああ!!』

 

 

六花は過剰に直喜を心配し、アカネは発狂した。

 

直喜「…え、えっと……」汗

 

なみこ『あっ、直喜?六花とアカネはウチらに任せてね♪』

 

はっす『その代わり…ちゃんと無事に帰って来るんだぞ、直君♪』

 

なみことはっすの言葉に安心した直喜。電話が切れると、直喜は外へ出る。今、彼がいる場所は…夢芽とちせが言う『秘密の場所』である。

 

直喜(今日も晴れ空だ……いつも晴れ続きのような気がするんだけどなぁ………)

 

直喜がいるフジヨキ台は、今日も晴れである。ツツジ台にいた時も、晴れ続きであった。

 

直喜(不思議だなぁ…まるで、神様が……いや、神様なんて居るわけ無いか……)

 

???「いいえ、居るわよ?」

 

直喜「…えっ?」

 

ふと、背後から声を掛けられたため振り向くと……エジプト神話風の衣装に身を包んだ女性が立っていた。

 

直喜「…だ、誰?」

 

マート「私は『マート』…夢芽とちせと契約している神よ?」

 

直喜「け、契約…ど、どういうこと…?」

 

マートに尋ねてみると……夢芽とちせは、『ほぼ全てのウルトラ怪獣及び宇宙人の力を使える』とのこと……彼女達は、『●●●●』と呼ばれる悪質転生者を始末する使命を達成し、直喜と再会させたと……

 

マート「どう、ビックリした?」

 

直喜「び、ビックリするも何も…ぼ、僕はこうして……生きてるじゃないか……僕、そんなの…信じないよ…?」

 

マート「ま、信じるか信じないかは…直喜次第なんだけどさ。」

 

マートは「フフッ。」と笑うと…直喜の前から姿を消した。

 

直喜(ゆ、夢芽ちゃんとちせちゃんが…か、怪獣達の力を……?)

 

直喜が疑問を抱いていると、そこに夢芽とちせがやって来た。

 

 

夢芽「直喜~♪」

 

ちせ「直喜先ぱ~い♪」

 

彼女達は、笑顔で手を振りながら直喜の元に駆けて来る。

 

直喜「…あ、夢芽ちゃんとちせちゃん……」

 

夢芽「…?…どうしたの、直喜?」

 

直喜「ううん、何でもない…そ、それより…よ、用件は…なにかな?」

 

ちせ「直喜先輩にどぉ~しても会いたいって人達を連れてきました。どうっすか?大丈夫そうですか?」

 

直喜「う、うん…だ、大丈夫…だよ…?」

 

直喜の言葉を聞いた夢芽とちせは、彼に会いに来た人物を呼ぶ。まもなく、この秘密の場所に…3人の男性が姿を現した。

 

 

ガウマ「おぉっ!!直喜だ…マジで直喜じゃねぇか!!」

 

夢芽「ガウマさん…声。」汗

 

蓬「か、神山 直喜君だよね?南さんとちせちゃんから聞いてるよ。俺は『麻中 蓬』、よろしくね!」

 

暦「お、俺は『山中 暦』…よ、よろしく。」

 

ちせ「先輩、緊張し過ぎですってwww」

 

ガウマは直喜を見た途端に大喜びし、蓬は直喜に自己紹介し、暦は緊張した様子で直喜に自己紹介した。

 

夢芽「あ~…えっと、ごめんね直喜?ガウマさんうるさかったよね?」

 

直喜「大丈夫、僕『神山 直喜』…よ、よろしく、お願いしま…す…?」

 

ガウマ「何で疑問系なんだよ?俺は『ガウマ』って言うんだ!!…ぐっ、うぅっ……嬉しいぜ、直喜に逢えて…!!」ポロポロ…

 

蓬「ガウマさん…」汗

 

暦「えっ、泣いてる…?」汗

 

ガウマは直喜と逢えたのが余程嬉しかったのか…遂に泣き出し、その場でうずくまった。

 

ちせ「えっと、ですね…こ、これでも私の友達でもあるんですよ、あははは…」苦笑

 

ちせが苦笑いしながら言うと…

 

 

直喜「ふふっ、なんだか…愉快な人達だね。」

 

 

…と、直喜は笑った。その後、夢芽とちせが企画した交流会を通じて…直喜は段々ガウマ達と打ち解けていった。

 

直喜「というか、ここ…ほぼ何でもあるよね…?」汗

 

ちせ「ま、秘密の場所ですからね~♪」

 

暦「理由になってない…」

 

ちせの言葉に、静かにツッコミを入れる暦。

 

蓬「ところでさ、直喜君はどのウルトラマンが好きなの?」

 

直喜「僕はゼアスが好き、麻中君は?」

 

蓬「俺?俺はオーブかな。色んなウルトラマンの力を使って戦う姿がカッコいいから。」

 

ガウマ「俺はマックスだ!!最強最速、とにかくカッコいいぜ!!」

 

ウルトラマンの話で盛り上がろうとしている中…

 

 

ガウマ「ッ!?怪獣か…ちっ、折角直喜と喋ってんのによぉ…!!」

 

 

タイミング悪く、怪獣が現れたようだ。

 

ガウマ「直喜、今からスッゲェの見せっからよぉ、よく見ててくれよ?」

 

直喜「えっ、あ…はい……」汗

 

ガウマが手の平サイズの小さなメカを取り出すと、他のメンバー達もそれぞれのメカを取り出し、空高く掲げ『アクセスモード』で巨大化した。

 

直喜「そ、それは…!?」

 

ガウマ『これは俺達が操縦するメカ『ダイナゼノン』だ!!』

 

夢芽「直喜、ここで待っててね?必ず戻るから。」

 

夢芽が『ダイナウイング』から直喜にそう言うと、他のメカと共に…怪獣が出現した街へと飛び去っていった。

 

直喜(怪獣…ここにも現れるなんて……って、これは!?)

 

直喜はスマホを見て驚いた。そして、ピカリブラッシャーを取り出し、歯磨きを開始……口腔環境を綺麗にすると…

 

直喜「ゼアスッ!!」ピカァァアアアアッ!!

 

ブラッシャーを天に掲げ、眩く優しい光へと包まれて行く。光に包まれた直喜は『ウルトラマンゼアス』へと姿を変え…巨大化を果たした。

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

ゼアスは大空へと飛び立つと、夢芽達が向かった方角へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、フジヨキ台の街中では…

 

怪獣「グォォオオオオオオオオッ!!」

 

1体の怪獣が、破壊活動を行っていた。悪趣味な純金製のトゲ付きプロテクターを身に纏い、弱点であろうと思われる腹部をカバーしており、頭部には2本の角が生えている。

 

転生者 A「スゲェ…俺、怪獣を操ってんじゃねぇか!!」

 

街中で暴れまわる怪獣『ダークラー』を操っているのは『転生者 A』だ。そこに、4機のメカが登場すると…合体を開始、巨大ロボへと姿を変えた。

 

 

ガウマ『ダイナゼノン!!バトルゴー!!

 

 

ダイナドラゴンに似た頭部を持つ赤い竜人型ロボット『ダイナソルジャー』、レーシングカーに近いフォルムをした赤い車型メカ『ダイナストライカー』、ステルス戦闘機に近いフォルムをした赤い戦闘機型メカ『ダイナウイング』、潜水艦に近いフォルムをしたメカ『ダイナダイバー』が合体し、誕生した巨大ロボット…それが『ダイナゼノン』だ。

 

転生者 A(ダイナゼノン、来たか…ダイナウイングには夢芽が乗ってる……ダイナソルジャーにはちせが乗ってる可能性が高ぇよな…なら、ガウマと蓬と暦は殺して…夢芽とちせを俺の物にしてやるぜ!!)

 

Aは両目を赤く光らせ、ダークラーを操る。ダークラーは空を飛び回り、角から発射する光線『クラクラビーム』で空中からダイナゼノンを攻撃する。

 

ガウマ『どわっ!?何なんだコイツ…!!』

 

蓬『1度分離しましょう!!』

 

蓬の言葉に、ダイナゼノンは合体を解除し…4つのメカに分離する。ダイナソルジャーは空中を飛ぶダークラーを捕らえ、噛み付き攻撃を繰り出す。ダイナダイバーは上部のハッチを開くことでダイナランチャーを展開し、そこからバーストミサイルを…ダイナストライカーは前方の機関砲からエネルギー弾を…ダイナウイングは4門の機関砲から実弾を乱射する。

 

転生者 A「ヒャハハハハ!!効かねぇ効かねぇ…そんなショボい攻撃、ダークラーには効かねぇよぉ!!」

 

Aがそう叫ぶと、ダークラーはダイナソルジャーを投げ飛ばし…ダイナウイングへ向かって高速で迫る。

 

夢芽『ッ!?』

 

夢芽はダークラーを振り切ろうとするが、とうとうダークラーの両腕がダイナウイングの翼を捕らえた。

 

ガウマ『夢芽!!』

 

蓬&暦『『南さん!!』』

 

ダークラーがダイナウイングを掴んでいるため、ガウマ達は迂闊に攻撃ができなかった。下手をすれば、自分達の攻撃がダイナウイングに…つまり、夢芽に当たってしまう可能性がある。

 

夢芽『私に構わず撃って!!じゃないと、街が…!!』

 

ガウマ『バカッ!!んなこと、できるかよ!!』

 

絶対絶命へと陥ったガウマ達…そんな彼らを見て、勝ち誇ったように笑うA。

 

転生者 A「ハハハハハ!!やったぞやったぞ…遂に、夢芽が俺の嫁にぃぃいいいいいい!!」

 

その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東の空から、赤い光を放つ球体が飛んで来ると……

 

 

ドガァッ!!

 

 

ダークラー「グギャッ!?」

 

ダークラーの背中に体当たりした。ダークラーはダイナウイングから手を離し、地上へと落下した。

 

夢芽『な、何!?』

 

ガウマ『ま、まさか…新たな敵か!?』

 

暦『い、いや…違うっぽいです。』

 

赤い球体は、落下したダークラーに向かって青く光る攻撃を発射した。ダークラーが光線に怯むと…球体はゆっくりと地上に降り……段々人の姿へと変わっていく。

 

蓬『…あれは、まさか…!?』




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第46話 ウルトラマンって、なに?

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


ダークラーが光線に怯むと…球体はゆっくりと地上に降り……段々人の姿へと変わっていく。

 

蓬『…あれは、まさか…!?』

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

球体から姿を現したのは…赤と銀の2色のシンボルカラーに、胸部に着いている青い光を放つランプ…黄色い光を放つ複眼が特徴の巨人であった。

 

ちせ『あれって…』

 

暦『ちせ、知ってるのか?』

 

ちせ『もちろんですよ!!あれは…間違いないっす!!』

 

ガウマ『だから何なんだよ!?』

 

 

ちせ『ウルトラマンっす!!ウルトラマンゼアスですよ!!』

 

 

赤い球体から現れた巨人は…紛れもなく、本物の『ウルトラマンゼアス』だ。

 

人々「ウルトラマンだ!」「ウルトラマンが来てくれたぞ!!」「あれは、ウルトラマンゼアス…!!」

 

人々はウルトラマンの登場に、安心感を覚え…歓声を上げたり、ゼアスに感謝の言葉を叫んでいる。

 

転生者 A「なっ!?ウルトラマン…邪魔をする気かぁぁああああああああああ!!」

 

Aが発狂すると、ダークラーは雄叫びを上げ…ゼアス目掛けて突進してくる。

 

ガシィッ!!

 

ゼアスはダークラーの頭を抑え、パワー勝負を仕掛ける。

 

ゼアス「ジュアッ!!」

 

ゼアスはダークラーを前に押し返すと…

 

 

ゼアス「デヤッ!!」ドゴォッ!!

 

 

ダークラーの顔面に回し蹴りをくらわせた。ゼアスの蹴りでダークラーの角が破壊され、ダークラーは地面へと叩き付けられた。

 

蓬『す、スゴい…ゼアス強い!!』

 

ガウマ『味方なら頼もしいぜ…ウルトラマンを援護するぞ!!』

 

暦『は、はい!!』

 

夢芽『言われなくてもそうします…!!』

 

ダークラーに肉弾戦を仕掛けるゼアスの援護を、4機のメカは開始する。ウイングとストライカーはダークラーの背後に移動し、機関砲からエネルギー弾を発射する。

 

ダークラー「グォォオオオオオオオオッ!!」

 

転生者 A「ぐっ!?おいダークラー、しっかりしろ!!」

 

Aは両目を光らせ、ダークラーの角を再生に成功…角が元に戻ったダークラーはクラクラビームをゼアスに向かって発射した。

 

バチィッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」

 

転生者 A「よし、そのまま押し返せ!!」

 

光線に怯んだゼアスに、ダークラーは肉弾戦を挑み…反撃を開始した。

 

暦『ダメです、機銃が効かない!!』

 

蓬『俺が行きます!!』

 

ゼアスを攻撃するダークラーに、ダイナソルジャーが向かう。鋭い爪でダークラーを引っ掻き、最後にドロップキックをくらわせ…ゼアスを助けた。

 

ゼアス「ッ!?」

 

蓬『ゼアス、一緒に戦おう!!』

 

ゼアス「…!!」

 

蓬の言葉に頷いたゼアスは立ち上がると、構えを取った。

 

ガウマ『よし、合体だ!!この戦い、ぜってぇ勝つぞ!!』

 

4機のメカは空中で合体を開始し、巨大ロボットへと変貌した。

 

 

『『『『合体竜人・ダイナゼノン!!』』』』

 

 

ダイナゼノンとなった時、ゼアスの隣に降り立ち…構えを取る。

 

直喜(わぁ、これがダイナゼノン…スゴいロボットだなぁ…!!)

 

ゼアス(僕も驚いてるけど…今は、あの怪獣を倒そう!!)

 

直喜(そ、そうだね…!!)

 

ダイナゼノンと共に、ダークラーへと立ち向かうゼアス。ダイナゼノンはダークラーの腹部にパンチを繰り出すが…

 

ガウマ『コイツ、腹は効かねぇ!!』

 

ダークラーはびくともしていなかった。

 

直喜(なら、これならどうだ!!)

 

ゼアスは助走をつけると…

 

ゼアス「デヤァッ!!」ドゴォッ!!

 

ダークラーの腹部に赤い稲妻を纏った膝蹴りを繰り出した。

 

ダークラー「グォオオオ……!!」

 

ゼアスの技『ゼアスニーキック』は、ダークラーに効いたようだ。その証拠に、ダークラーは腹部を、おさえ…うずくまっている。

 

ちせ『おぉ!!やばいですって!!ゼアスめちゃくちゃ強いですよ!!』

 

ガウマ『す、すげぇ…ダイナゼノンじゃびくともしなかったのに…!!だが、ダイナゼノンも負けちゃいねぇぜ!!』

 

ダイナゼノンはうずくまるダークラーに向かって走り出し、頭に飛び蹴りを入れる。その後、ダークラーに馬乗りになり、パンチやチョップを繰り出す。ある程度攻撃し、ダークラーから距離を取った時…

 

夢芽『なんとかビーム!!

 

ダイナゼノンが両肩の『ペネトレーターガン』からレーザーを放つ。レーザーに怯んだタイミングで、ゼアスがダークラーに『ゼアス・ドロップキック』を浴びせた。

 

転生者 A「くそ……このままじゃ…!!」

 

Aが限界を感じた時…ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を始める。

 

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上いることができないのだ。

 

時間は…残り少ない……

 

 

ガウマ『そろそろ決めるぞ…ダイナゼノン・フルバースト!!』

 

ダイナゼノンは全身の武装を展開し、一斉発射する。ダイナゼノンから放たれるミサイル、ビーム、エネルギー弾はダークラーに命中し、爆発を起こす。

 

蓬『やった!!』

 

夢芽『…待って!』

 

爆煙の中からは、ダークラーがもうスピードでこちらへ突進してくる。

 

ガウマ『まだ終わってねぇ!!』

 

ゼアス「ッ!!」

 

すかさずゼアスは、まるで何かを大事に抱えるような独特の動作を開始する。『スペシュッシュラ光線』の発射合図だ。ダイナゼノンはすぐさま、『合体強竜・ダイナレックス』へと変形した。その直後、ゼアスは腕を逆十字に組み青く光る必殺光線『スペシュッシュラ光線』をダークラーに放った。

 

『『『『『必焼大火炎レックスロアー』』』』』

 

ゼアス「シェアッ!!」ビィィイイイイッ!!

 

ゼアスのスペシュッシュラ光線と同時に、ダイナレックスは口から強力な火炎放射『必焼大火炎レックスロアー』をダークラー目掛けて放った。

 

ダークラー「グォォオオオオオオオオッ!!」

 

ゼアスとダイナレックスの必殺技を受けたダークラーは、断末魔を上げると…仰向けに地面に倒れ、大爆発を起こした。

 

ちせ『やったやったぁぁああああああ!!』

 

夢芽『流石だね、ウルトラマンゼアス♪』

 

ガウマ『ウルトラマンもそうだけど、ダイナゼノンも流石だろ!?』

 

ゼアスをべた褒めするちせと夢芽に抗議するガウマ。ゼアスは右手から『ゼアスキャン』を発射し、周囲を除菌する。次に、壊れた街を元に戻す光線を発射した。破壊された街は、あっという間に元通りとなった。

 

暦『す、すご…!!』

 

蓬『街が、元に戻った…!!』

 

ゼアスの力を見た暦と蓬は、驚きのあまり…言葉を失っていた。街が元に戻ったことを確認したゼアスは、上空を見上げると……

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

快晴の大空へと飛び立って行った。

 

 

 

転生者 A「ちっ、使えねぇ怪獣だな……!!」

 

ダークラーが負け、Aは逃げるようにその場から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「…ふぅ。」

直喜(それにしても、こんなところにも怪獣が出たなんて……もしかしたら、ベンゼン星人が動き出してるかもしれない…)

 

戦いを終えた直喜は、夢芽とちせの秘密の場所に戻っていた。そこに、4機のメカが到着し…ガウマ隊のメンバー達が地上に降り立った。

 

夢芽「直喜~♪」

 

ちせ「直喜先ぱぁ~い!!」

 

夢芽とちせは真っ先に直喜に駆け寄り、彼に抱き付いた。彼女達の大胆な行動に、直喜は顔を真っ赤にしてテンパったのは言うまでもない……




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第47話 誓いって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


直喜「…はぁ。」

直喜(どうしよう、着替え持ってきてないからなぁ……流石にずっと同じ服装でいるのって変だよね?)

 

直喜は困っていた。それは、服装について……私服でいる直喜なのだが、着替えを持ってきておらず……かといって、買いに行きたいと思っても、資金が底を尽きそうであるため、それも叶わないのだ。

 

直喜(着替え持っとけば良かったなぁ……どうしようか……)

 

現在、夢芽とちせはガウマ隊と訓練に出掛けている。その時だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オニジャ「おっ!?おーい、直喜ー!!」

 

 

オニジャを先頭に、『怪獣優生思想』の4人がこちらへ駆けて来る。

 

直喜「…えっ?あっ、オニジャ君達。」

 

ジュウガ「まさか、ここで直喜に逢えるなんて…光栄です。」

 

シズム「俺達の普段の行いが良いのかもね。」

 

オニジャ「自分で言うのかそれ…」汗

 

ムジナ「こんなところで何してんの?」

 

直喜「えっと、実はね……」

 

直喜は4人に悩んでいることを話し始める。彼の話を聞いた4人は、直喜を責めることは決してせず…「どうしようか…」と、一緒に考える。

 

シズム「そうだ…ならさ、ジュウガの衣装の1つを直喜にプレゼントしたら?あの衣装、全然着てないでしょ?」

 

シズムがそう言うと、直喜は「流石に貰うのはちょっと…」と、遠慮し始める。

 

ジュウガ「それは良い考えですね。では直喜、この衣装を貴方にプレゼントします。」

 

シズムの提案をあっさり受け入れたジュウガは、直喜に軍服のような衣装を渡す。

 

直喜「だ、だったらお金…」

 

オニジャ「大丈夫だってw気にしねぇで貰ってくれよ、な?」

 

ムジナ「その衣装…伸縮自在だから、いつまでも着れるんだ♪洗濯機にかけても乾燥機にかけても大丈夫♪」

 

ジュウガ「俺達は、直喜と逢える日をいつも楽しみにしているんです。」

 

シズム「こうして直喜と出逢えたのも、何かの縁だよ。だからさ、貰ってくれないかな?」

 

4人の推し(穏やかな)に折れた直喜は、ジュウガの衣装を貰うことに…その後、地下室に入っていくと……

 

 

直喜「ど、どうかな…?」

 

 

ジュウガから貰った軍服に着替えて戻ってきた。それを見た怪獣優生思想の4人は……

 

 

 

オニジャ「おぉ!!かっこいいじゃねぇか直喜!!」

 

ジュウガ「よくお似合いですね♪」

 

ムジナ「ちょっと待って、写真撮っても良い?」

 

シズム「直喜、ちょっとポーズ取ってよ。」

 

 

 

大絶賛し、ムジナはスマホを向けて写真を撮り始める。

 

直喜「ふえっ!?しゃ、写真!?」

 

直喜は恥ずかしくなって顔を真っ赤にしながらアタフタし始める。

 

シズム「直喜、これ…このポーズ。」

 

直喜「へっ?こ、こう…?」

 

ムジナ「良いね良いね♪直喜輝いてるぅ~♪」パシャッ!パシャッ!

 

シズム「次はそうだね…このポーズやってみようか?」

 

直喜「こ、こう…?」

 

いつの間にか…秘密の場所は、撮影会場と化していた。ムジナが撮影担当、シズムはポーズの指示担当、直喜はモデル…オニジャとジュウガは盛り上げ担当となっていた。

 

 

 

数十分後、撮影を終えて疲れた直喜は休憩をすることに……

 

シズム「そういえば、直喜はどこの学校に通ってるの?」

 

直喜「ぼ、僕…?…都立ツツジ台高校、だよ?」

 

オニジャ「マジっ!?1回そこの前通ったことあるぞ!?なぁ、ジュウガ?」

 

ジュウガ「そうですね。まさか、その高校に通っていたなんて…」

 

シズム「俺もそこに行けば良かった…」

 

ムジナ「シズムが落ち込んでる…」汗

 

落ち込むシズムを珍しいモノを見たような目で見るムジナ。シズムはフジヨキ台高校に、交換留学生として通っているのだ。直喜がツツジ台高校に通っていることを知り、同じ学校に行けば良かったと後悔しているようである。

 

オニジャ「そういや直喜、六花はいねぇのか?」

 

直喜「あぁ…えっと、六花ちゃんはね……」

 

オニジャ「…おぉ。」

 

直喜は六花が入院していることを彼らに言おうか迷った。だが、六花のことを考えると入院していると伝えるのは良くないと思ったのか……

 

 

直喜「り、六花ちゃん…今日はちょっと、用事があるんだよね。最近忙しいとかなんとか……」

 

 

…と、言った。

 

オニジャ「ほぉ~、そうなのか。アイツも大変だな?」

 

直喜の話を全く疑わず、納得するオニジャ。

 

ジュウガ「直喜、貴方の好きな食べ物って何ですか?」

 

直喜「好きな食べ物?えっと…た、玉子焼き…後、ホットケーキが好き。」

 

ジュウガ「玉子焼きとホットケーキですか。良いですね、俺も好きですよ。」

 

ムジナ「ちょー分かる!!ほんのりとした甘さがたまらないんだよね~♪」

 

玉子焼きとホットケーキ…それらは、直喜の大好物である。ジュウガとムジナも、玉子焼きとホットケーキが大好きなようだ。

 

シズム「料理担当は、確か…オニジャだったよね?」

 

直喜「えっ、そうなの!?」

 

オニジャ「おう!何だって作れるぜ!!」

 

話を聞いてみると……怪獣優生思想の4人の中で、オニジャは料理担当であり、彼らのお財布的な役割でもある。

 

直喜「ところで…オニジャ君達は、どうやってお金を稼いでるの?」汗

 

シズム「随分生々しい質問だねw」

 

直喜の質問に笑うシズム。普段は感情表現が乏しく、ムジナ同様に口数は少ない彼だが…直喜と話している時には、本当に楽しそうにしている。

 

ムジナ「ショーのアルバイトしてるの、ウルトラマンとかのね?パフォーマンスも披露したりするよ?」

 

どうやら、彼らはウルトラマンショー等でアルバイトをして資金を稼いでいるみたいだ。

 

ジュウガ「そういえば、このフジヨキ台にも怪獣が現れたみたいですね。」

 

オニジャ「マジで?けど、俺らは直喜を守るために怪獣を使ってるし…破壊活動なんてしてねぇぞ?」

 

ムジナ「でも、ゼアスがやっつけてくれたじゃん。ダイナゼノンと一緒に…」

 

シズム「俺達が操ってないってことは…別の誰かが怪獣を操ってる可能性が高いよね。」

 

直喜「でも、いったい誰が…何のために……」

 

疑問を抱く直喜に、シズムはこう言った。

 

 

シズム「俺の推測だけど、怪獣を操ってるのは恐らく…直喜を憎み、逆恨みしている奴であって、直喜を倒すためにやってる。」

 

 

オニジャ「おいおい、そりゃおかしいだろ!?そもそも直喜は、何も悪いことしてねぇだろ!?」

 

ジュウガ「そうですね……俺達のベストフレンドが、悪さをするなんてあり得ない。」

 

ムジナ「ソイツを早く見つけて、ぶっ飛ばしてやりたいわ…!」

 

怪獣優生思想…本来、ガウマ隊にとって敵なのだが……今の彼らは、自分達のベストフレンドである直喜を守るために行動をしている。

 

ジュウガ(昔は、ガウマさんに憧れ…彼をこちらへ迎え入れようとしていましたが……今は、俺達のベストフレンド…直喜と共に歩むことが、俺達の生き甲斐……一刻も早く、怪獣を操る輩を潰さなければいけませんね。)

 

ムジナ「ねぇ、直喜と連絡先交換しとかない?直喜、私達はね…ベンゼン星人の基地を探してるんだ。」

 

直喜「へぇ、そうなんだ。って、えぇっ!?そ、そうだったの!?」

 

シズム「黙っててごめん。俺達も、ちょっとでも直喜の力になりたいからさ…」

 

直喜「ど、どうしてそこまで…僕に優しくしてくれるの…?」

 

思わず4人に問い掛ける直喜に、4人はこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュウガ「この世界に来た時、俺達は貴方にこの身を捧げると誓っていましたから。」

 

オニジャ「言ったろ?直喜の全ては、俺達の全てだって。直喜が守りてぇモンは、俺達も一緒に守ってみせるぜ♪」

 

ムジナ「直喜が背負うモノは、私達も一緒に背負うからさ♪」

 

シズム「直喜が俺達のベストフレンドになってくれたから…今度は俺達が、直喜のベストフレンドになるよ。」

 

 

それは…最後まで自分達を信じてくれた直喜に救われたからこそ、彼らが誓った堅い決意だった。

 

直喜「みんな…ありがとう……」

 

直喜は4人と連絡先を交換し、彼らのL○NEグループに招待してもらった。

 

ジュウガ「あっ、直喜。オニジャはこう見えてかなりの寂しがり屋なので…沢山メッセージを送ってくるかもしれません。ご了承を…」

 

オニジャ「おいジュウガ!!それは言わねぇ御約束だろ!?」

 

シズム「あんまり直喜を困らせちゃダメだよ?」

 

ムジナ「直喜~♪」ダキッ!

 

オニジャ「おい早速困らせてるぞ~。」

 

シズム「ムジナ…」

 

直喜「あ、あははは……」汗




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第48話 円盤生物って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


~♪~♪(シュワッチ!ウルトラマンゼアス)

 

 

直喜「…ん?あっ、夢芽ちゃんからだ。」

 

スマホが鳴ったため、直喜はスマホを取り出して通話を開始する。

 

直喜「も、もしもし?」

 

夢芽『あっ、直喜?ごめん、訓練が長引いちゃって…そっちに戻るまでもう少し掛かりそうなんだ……』

 

直喜「う、うん…わかった。」

 

夢芽『大丈夫?お腹空いてない?寂しくない?』

 

直喜「だ、大丈夫…」汗

 

過剰に心配する夢芽の質問に、困惑しながら返答する直喜。

 

夢芽『もしお腹空いちゃったら、冷蔵庫の物食べても良いからね?』

 

直喜「あ、ありがとう…じゃあ、き…気を付けて…」

 

夢芽『は~い♪』

 

そして、通話は切れた。

 

ムジナ「確か、夢芽って娘……」

 

オニジャ「あぁ…ガウマとつるんでる奴だろ?」

 

シズム「まぁ、俺達には直喜と円盤生物がいるし…もっとも、ガウマ達と戦うつもりも無いんだけどね。」

 

ジュウガ「それもそうですね。俺達には、直喜がいますから。」

 

夢芽と言うワードに反応した怪獣優生思想のメンバー達…だが、彼らには彼女達と戦う理由は無い。今は、直喜という生き甲斐を見つけ、夢中になっているのだ。

 

直喜「が、ガウマさんと皆は…友達、なの?」

 

オニジャ「元々はな…今は、まぁ…そうだな……ちょっと、喧嘩してるって感じか?」

 

直喜「け、喧嘩…?」

 

ムジナ「何て言うか、その…価値観の食い違いって奴、的なね…?」

 

直喜「そ、そうなんだ…仲直りしなくて、良いの?」

 

シズム「今はお互いに考えてる時間なんだ。」

 

ジュウガ「いつかは、仲直りするつもりです。」

 

直喜「そっかぁ…じゃあ、僕が首を突っ込む必要は…無いかな……なんか、ごめんね…?」

 

オニジャ「おいおい、直喜が謝る必要ねぇって。なぁ?」

 

ムジナ「そうだよ、気にかけてくれたんだよね?ありがとう直喜♪」

 

シズム「やっぱり、直喜は優しいね。」

 

ジュウガ「流石は、俺達のベストフレンドです。」

 

直喜のことを『ベストフレンド』と呼ぶ怪獣優生思想……彼らも紛うこと無き『怪獣使い』なのだ。その名の如く…かつては怪獣を使役し、ガウマたちダイナゼノンの操縦者たちと対立していた。また、常人以上の高い身体能力も兼ね備えており…肉弾戦も得意中の得意である。その昔…人類にとっても敵勢力という立場に立っていたのだが……それでも、たった1人だけ…彼らと仲良くなりたいと駆けてきたのが『神山 直喜』だった。初めは『変わり者』という見方で接していたのだが…人を疑わない純粋さと優しさに、徐々に惹かれていった。しかし、自分達は人類の敵『怪獣優生思想』なのだ…そのため、自分達と関わっていれば、直喜までも人類の敵とみなされてしまう……それを恐れた彼らは、直喜との約束…

 

■■■で、友達になろう

 

…これを破ったのだ。つまり、彼を裏切ったのだ……怪獣を操り、ダイナゼノンと戦っている中…そこに、直喜がやって来てしまった。人類の敵である怪獣を操っていたこともバレてしまい、彼からは失望されると思っていたのだが……それでも、直喜は最後まで怪獣優生思想を信じ続け、友達になることを夢見ていたのだった。彼の思いを聞いた怪獣優生思想は、1週間後に…■■■に行くと約束した。直喜はこれに大喜びしていたが…その1週間後、通り魔に襲われ、変わり果てた姿で彼らを待っていた。眠るように目をぐったり閉じ、身体中が冷たくなって動かなくなった直喜を見た彼らは…『あの時、彼との約束を守っていれば…彼と本当の友達になれたのに……』と、直喜を裏切ったことを、激しく後悔した。ムジナとオニジャは声を上げて大泣きし…シズムとジュウガは目の前が真っ暗になり、誰の声も届かない程、絶望していた。

 

5000年前の世界からこの世界に来たように、次元を旅すれば…いつかは直喜と再会できると考えた彼らは、長い長い旅へと歩みだしたのだ。数千年の時を超え、漸く…神山 直喜(ベストフレンド)と再会を果たした。彼の元気な姿を見た瞬間…怪獣優生思想の4人は、声を上げて泣き出す程、喜んだのだ。そして、タイミングを見計らって彼に声を掛け、今では親しい仲となっている。

 

 

 

夢芽達がここに戻って来るまで、時間が掛かるそうなので…怪獣優生思想は直喜の話し相手になることに……

 

シズム「そうだ。直喜、君は確か…『ウルトラ博士』っていう異名があるんだよね?」

 

直喜「い、異名って…」汗

 

ジュウガ「ウルトラ怪獣や宇宙人を知り尽くしている程ですからね…もし、良ければ…俺達にも、ウルトラ怪獣について教えてくれませんか?」

 

ムジナ「はいは~い!私、円盤生物について知りた~い♪」

 

オニジャ「おっしゃ!なら、早速頼むぜ直喜…いや、直喜先生!!」

 

直喜「せ、先生だなんて…そんな……」汗

 

怪獣優生思想の4人を見ると、その場で体育座りし…メモを準備している。

 

直喜「と、とりあえず…まずは…ば、場所を…変えようかな…?」

 

直喜は映画館の雰囲気が溢れる地下室へ、怪獣優生思想の4人と一緒に向かった。

 

 

 

地下室に降りてすぐに、席に着く怪獣優生思想。

 

シズム「起立…礼。」

 

オニジャ「お願いします!!」

 

ジュウガ「よろしくお願いします。」

 

ムジナ「お願いしま~す♪」

 

シズム「よろしくね。」

 

学校の授業開始のような号令を掛け、再び着席する4人。

 

直喜「そ、それじゃあ…え、円盤生物について…僕の考察を中心に話していくね?」

 

まずは、『シルバーブルーメ』について話そうとする直喜。

 

シズム「シルバーブルーメ、出て来て。」

 

シズムがそう言うと、どこからともなくシルバーブルーメが現れ、直喜の元へフヨフヨと飛んでいった。

 

直喜「わぁっ!?し、シルバーブルーメ…!?」

 

シルバーブルーメ「~♪」フヨフヨ~…

 

円盤形態となって、直喜の右隣にスタンバイするシルバーブルーメ。

 

直喜「えっと…シルバーブルーメは、ガラス製の風鈴かクラゲ、イソギンチャクに似た外見が特徴の円盤生物の第1号機なんだ。この円盤形態になっていると、高速飛行能力があってね…それでね、ウルトラマンレオに出てくる宇宙ステーション『MACステーション』のレーダーで補足されてから、僅か14秒程でステーションに取り付く程なんだよ。戦闘形態になると、伸縮自在の無数の触手や口から出す黄色い溶解液を武器にして戦うんだ。」

 

直喜の説明後、シルバーブルーメはいつの間にか戦闘形態になっており…触手を伸び縮みさせた。ちなみに、溶解液は出さなかった。流石のシルバーブルーメも、直喜に迷惑をかける訳にはいかないと思ったのだろう……次に、ブラックドームの説明が始まる。ブラックドームは直喜の左隣に移動する。

 

直喜「ブラックドームは、カブトガニやカニのような姿をした円盤生物第2号機。主な武器は右手の巨大な鋏と、口から吐く何でも溶かすペプシン溶解泡『バブルバーン』。後、体からは威嚇のためにフラッシュを放つ事もあるんだよ。だけど、強い光に反応する性質を持っているから、扱いには要注意…かな?」

 

ムジナ「成る程、だからこの前私の言うこと聞かなかったんだ。」フムフム…

 

直喜が説明を終えると、ブラックドームはご主人であるムジナの元に戻って行った。その後、アブソーバ、デモス……星人ブニョ、ブラックエンドと…地球に飛来した順番で円盤生物全ての解説をした直喜。

 

シズム「へぇ、円盤生物って奥が深いね。直喜の解説、とても分かりやすかったよ。」

 

ジュウガ「この12体以外にも、円盤生物がいたとは…正直驚きました。」

 

オニジャ「ちょっと待てよ…こないだニュースでやってたよな?刑務所を円盤が襲撃って…まさか……」

 

直喜「うん、あれこそが『ロベルガー』だよ。」

 

ムジナ「多分、ベンゼン星人の手先だよね?ブラックテリナちゃん、調査してきてくれる?」

 

直喜の解説により…刑務所を襲った円盤が生物であることがわかった。ムジナはブラックテリナを出撃させ、ベンゼン星人達の調査を依頼した。

 

直喜「あれ?円盤生物達は、ベンゼン星人の拠点が分かるの?」

 

ジュウガ「えぇ。シズムのシルバーブルーメが、最初に見つけました。何なら、直喜にも教えましょうか?」

 

直喜「い、いや…大丈夫……」汗

 

オニジャ「まぁ、直喜は学校に通ってるからな。やることが多すぎたら疲れちまうぞ?」

 

ムジナ「ベンゼン星人達は、私達に任せて。」

 

シズム「動きがあったら、L○NEで連絡するから。」

 

怪獣優生思想の4人は、ベンゼン星人達の基地を見つけており…直喜の役に立とうと、調査を続けている。彼らが使役する円盤生物達も、味方になれば頼もしい存在だ。

 

シズム「直喜、早速動きがあった。」

 

直喜「えっ!?」

 

シズム「デモスを調査に行かせたんだ、街中に怪獣が出たよ。今はダイナゼノンと戦ってる。」

 

ジュウガ「俺のブリザードも、他の怪獣の気配を察知しています。ダイナゼノンの方に向かっているみたいです。」

 

直喜「た、大変だ…すぐに助けに行かないと…!!」

 

シズムとジュウガの言葉を聞いた直喜は、地上に上がると…ピカリブラッシャーを取り出し、高速で首を左右に振りながら自身の口腔環境をキレイにする。そして、ブラッシャーを天に高く掲げ…

 

 

直喜「ゼアアァァス!!ピカァァアアアアッ!!

 

眩く、優しい光へと包まれていき…光の戦士『ウルトラマンゼアス』へと変身した。

 

オニジャ「俺達も行こうぜ!!」

 

ムジナ「言われなくても!!」

 

怪獣優生思想の4人は円盤生物に乗り、ゼアスと共に凶悪怪獣が現れた街へと向かった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第49話 2大怪獣って、なに?

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


その頃、街中では……

 

怪獣「グォォオオオオオオオオ!!」

 

直立したメカニカルな亀に似た姿、背中にはピンク色に光る菱形の背鰭が生えているのが特徴の怪獣が…ダイナゼノンと交戦していた。

 

ガウマ『コイツ…まさか、アイツらか?だったら、これ以上暴れさせる訳にはいかねぇぜ!!』

 

ダイナゼノンは現れた怪獣『シャルバンデス』と掴み合いになり…頭突きでシャルバンデスを怯ませた後、飛び蹴りを浴びせた。

 

ドゴォッ!!

 

ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

シャルバンデスの身体は地面に強く叩き付けられた。すると、シャルバンデスは頭部から光の粒子を放って周囲の重力を操って物体を浮かび上がらせる。その直後…

 

蓬『ちょっと!?これ、浮かんでません!?』

 

ガウマ『くっそ…あの怪獣の力か…!?』

 

ダイナゼノンの巨体が、フワフワと宙を舞い始めたのだ。更に…

 

夢芽『前方から、何か来ます!!』

 

ダイナゼノンの前方から、謎の円盤が現れたと思うと…シャルバンデスの近くに何かを落とし、飛び去って行った。

 

ドゴォォオオオオオオオオンッ!!

 

爆発が起こった後……

 

怪獣2「キュウウゥゥウウウウッ!!

 

そこから、地球のヘラジカを思わせる外見をした怪獣が現れた。両手には、強く発達した鋭利な爪が生えている。

 

暦『べ、別の怪獣…!?』

 

ガウマ『1回分離するぞ!!』

 

ガウマの指示で、ダイナゼノンは4機のメカに分離し、攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

転生者 B「分裂したって、無駄なんだよぉぉおおおおおおおおおおおおお!!」ギィン!!

 

シャルバンデスの次に現れた怪獣『ファイアブレス』を操るのは、転生者 Bだ。両目を赤く光らせ、ファイアブレスに指令を送る。

 

転生者 B(ダイナソルジャーとダイナウイングを狙え!!ちせと夢芽が乗ってる筈だ!!)

 

Bからの指令を受けたファイアブレスは、向かってくるダイナソルジャーに対し…両手の爪を振り回す。

 

蓬『ぐっ!?コイツ、早いぞ…!!』

 

ちせ『ヨモさん、一旦距離を取りましょう!!』

 

ちせの言葉を聞いた操縦者の蓬は、ファイアブレスと距離を取る。その直後…

 

 

ズダダダダダダダッ!!

 

 

夢芽が操縦するダイナウイングが、機関砲からエネルギー弾をファイアブレス目掛けて乱射した。すると、ファイアブレスは口から高熱火炎を吐き出してきた。間一髪で避けたダイナウイング。

 

夢芽『ガウマさん…!暦さん…!』

 

一方、シャルバンデスと戦闘するガウマと暦だが…またも宙に浮かせられてしまい、激しく地面に叩き付けられていた。

 

ガウマ『くそが…厄介な奴だぜ…!!』

 

暦『このままじゃヤバいですよ…!!』

 

ガウマ『分かってる!!だが……』

 

現れた2大怪獣に苦戦を強いられるガウマ隊。そこへ、救世主が姿を現す。

 

夢芽『あっ、あれは…!!』

 

南の方角から、何かがこちらへ飛んでくる。初めは分からなかったが、段々近付いてくるにつれて…正体が明らかになる。

 

 

蓬『あれは…ウルトラマンゼアス!!』

 

 

そう、我らがヒーロー『ウルトラマンゼアス』であった。

 

ゼアス「シェアッ!!」ドッゴォォオオオオッ!!

 

シャルバンデス「ッ!?」

 

シャルバンデスの顔面に飛び蹴りを浴びせ、地上に降り立ったゼアスは…

 

直喜(受けてみろ、『スラシュッシュラ光線』!!)

ゼアス「ジュアッ!!」

 

掌を合わせて青い光を放つ鏃型の光弾を、ファイアブレス目掛けて連続発射した。

 

ドガガガガッ!!…ドゴォォオオオオオオンッ!!

 

ファイアブレス「キュウウゥゥウウウウッ!!」

 

よほど痛かったのか、凄まじい断末魔を上げるファイアブレス。

 

夢芽『ゼアス、来てくれたんだ♪』

 

ガウマ『待ってたぜ、ウルトラマン!!』

 

だが、救援に駆け付けたのは…ゼアスだけではなかった。

 

 

ムジナ「ブラックドームちゃん、バブルバーン!!」

 

ブラックドーム「!!」プシュゥゥウウウウウウッ!!

 

ジュウガ「ブニョ、宇宙ロープで怪獣を縛りつけろ!!」

 

星人ブニョ「ギュヨヨヨヨ!!」シュルルルルッ!!

 

オニジャ「ブラックエンド!!デスマグマだぁ!!」

 

ブラックエンド「ギャォォオオオオオオ!!」ゴォォオオオオオオオッ!!

 

シズム「デモス、バブラーであの怪獣を溶かして。」

 

デモス「!!」ブシュゥゥウウウウウウッ!!

 

 

円盤生物に乗った怪獣優生思想の4人も、自身の円盤生物に指示を出して戦う。円盤生物達は直喜の味方…つまり、ゼアスの味方なのだ。凶悪怪獣を攻撃し、ゼアスの援護を開始する。

 

転生者 B「なっ!?ど、どうなってやがる…!?」

転生者 B(シャルバンデス!!)

 

Bがシャルバンデスに指令を出すと…シャルバンデスは円盤生物達に向かって進行する。実は、シャルバンデスを操っていたのもBなのだ。

 

ゼアス「ゼヤッ!!」ガシィッ!!

 

進行してくるシャルバンデスに対し、正面からパワー勝負を仕掛けるゼアス。

 

シャルバンデス「グォォオオオオオオオオ!!」キラァッ!!

 

シャルバンデスは頭部から光の粒子を放つと、ゼアスの身体を宙に浮かせた。

 

ゼアス「ッ!?」

ゼアス(し、しまった…!!)

 

しかし……

 

直喜(ウルトラかかと落としをやろう!!この状態なら、確実に当たる!!)

 

ウルトラ怪獣を知り尽くす直喜の提案を聞き、ゼアスは空中で縦に猛回転しながらシャルバンデスに突進し、強烈なかかと落としを何発も見舞った。

 

 

ドゴォッ!!ドゴォッ!!ドゴォォオオオオオオオオッ!!

 

 

ゼアスのウルトラかかと落としを頭部に受けたシャルバンデスは、地面にゆっくりと倒れ…目の光が消えて絶命した。

 

暦『あの怪獣が倒れた…!!』

 

ガウマ『残るはファイアブレス(アイツだけ)だ!!』

 

ゼアスによってシャルバンデスが倒れた今…倒すべき敵は、ファイアブレスのみとなった。4機のメカは、合体しようと動き始める。だが…

 

転生者 B「させるかよぉぉおおおおおおおおおお!!」ギロッ!!

 

ファイアブレス「キュウウゥゥウウウウッ!!」ゴォォオオオオオオオッ!!

 

ファイアブレスが口から火炎を吐き出し、合体を妨害する。

 

直喜(これじゃあダイナゼノンが合体できない…こうなったら、あれをやろう!!)

ゼアス「ッ!!」

 

ゼアスは腕をクロスすると、ゆっくりと横に広げて行き…最後は両腕を天に高く掲げた。

 

ゼアス「デヤッ!!」

 

すると、ほんの僅かな間だけだが、周辺の時間の流れが遅くなった。ゼアスの特殊能力『ウルトラブレンダー』だ。

 

蓬『ゼアスがチャンスを作ってくれた…今です!!』

 

ガウマ『おうっ!!』

 

ゼアスが作った一瞬の隙を見逃さなかったガウマ隊は、合体を開始する。

 

 

 

『『『『『合体竜人・ダイナゼノン!!』』』』』

 

 

 

ダイナゼノンに合体が完了すると、ファイアブレス目掛けて走り、肉弾戦を開始する。

 

ゼアス「グアッ…!」ピコンッ…ピコンッ…

 

『ウルトラブレンダー』を使用したせいか…ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を始める。

 

 

カラータイマーが青から赤に変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

時間は…残り少ない……

 

 

転生者 B「ウルトラマンもそろそろエネルギー切れかぁ…ヒヒヒヒ、ファイアブレス…ウルトラマンを殺せぇ!!」

 

ファイアブレス「キュウウゥゥウウウウッ!!」ドゴォッ!!

 

ガウマ『うおっ!?』

 

ファイアブレスはダイナゼノンを押し退け、ゼアスに攻撃を仕掛ける。

 

ファイアブレス「キュウウゥゥウウウウッ!!」ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

ゼアス「ゼヤッ!?グアッ!!」

 

ジュウガ「くっ、ブニョの宇宙ロープが効かない…!」

 

ムジナ「なら、ブラックドームちゃん!!ゼアスを助けて!!」

 

ブラックドームはファイアブレス目掛けて飛んで行くと、右腕の巨大な鋏でファイアブレスの角を折った。

 

ファイアブレス「キュウウゥゥウウウウッ!!」

 

その後、怯んだファイアブレス目掛けてバブルバーンを発射した。

 

ムジナ「ゼアス!!」

 

ゼアス「ッ!?」

 

ブラックドーム「♪」スッ…

 

ブラックドームの差し伸べた鋏に捕まり、立ち上がったゼアス。

 

ガウマ『あ、アイツら…ウルトラマンを助けた…?』

 

蓬『それより、怪獣が弱ってます!!倒すなら今しか無いですよ!!』

 

ファイアブレスはブラックドームのバブルバーンをまともに受けてしまい…今にも絶命しそうである。

 

ガウマ『よし…ダイナゼノン・フルバースt』

 

夢芽『なんとかビーム!!

 

ガウマ『なっ!?おい夢芽!!?』

 

ダイナゼノンが両肩の『ペネトレーターガン』から発射された光線は、ファイアブレスに命中し…爆発を起こす。ファイアブレスは仰向けに地面に倒れると、大爆発に包まれた。この戦い、ダイナゼノンとウルトラマンゼアスの勝利である。

 

ガウマ『おい、お前ら…何の真似だ?』

 

ジュウガ「勘違いしないでくださいね?俺達はガウマさんを助けた訳ではありません。俺達は直喜の喜ぶ顔が見たいだけ…直喜が守るモノは、俺達の守るモノでもあるんです。つまり、直喜を助けたんですよ?」

 

ガウマ『おまっ!?上等だ、俺達だって直喜を守ってんだからな!?なぁ!?』

 

オニジャ「黙れ!!直喜はなぁ、スゲェ奴なんだぞ!?こんな俺達に、誰よりも優しく手ェ差し伸べて、友達になろうとしてくれたんだぞ!?今じゃベストフレンドだ!!」

 

ガウマ『俺だって直喜に救われたんだ!!腹ペコだった俺に『ツインテール天丼弁当』をくれたんだぞ!?エビの天ぷらなんだけどよ…けど、美味かった!!今まで食ってきたどの飯よりも、極上だったんだからな!!?』

 

ムジナ「何それ羨まし…じゃなくて、私は直喜の授業を受けたのよ!!円盤生物について解説してくれたんだけど、スッゴく分かりやすかったんだから!!」

 

何やらギャーギャー喚き、揉め始めるガウマとジュウガ達。

 

ゼアス「……。」┐(-へ-;)┌

 

ゼアスは思わず『ヤレヤレ…』のポーズをすると…破壊された街を修復し、元通りにする。

 

ちせ『うへぇ、スゴいっすね~…あんなに壊れた街があっという間に元通りですよ…!』

 

暦『これが…ウルトラマンの、奇跡…』

 

夢芽『ウルトラマンはスゴいですよ暦さん。「不可能を可能にする」…そう教えてくれたのは…直喜ですから。』

 

蓬『本当にスゴいよ…ウルトラマンって……』

 

街が元に戻ったのを確認したゼアスは、上空を見上げると……

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

夕焼けの大空へと飛び立って行った。ゼアスが去った後も、揉め続けていたガウマ達だが……蓬、夢芽、暦、ちせ、シズムによって止められ…撤収するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 B「くそがっ!!何で勝てなかったんだよ…!!」

 

操っていた怪獣が倒され、Bは周りの物に当たり散らしながらどこかへ去っていった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪

※…ファイアブレスの鳴き声は、昆虫怪獣『ノコギリン』と同じにしました。


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第50話 役に立つって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


レディベンゼン星人「さて…何でアンタ達がここに呼ばれたか、分かる?」

 

レディベンゼン星人の前に呼び出されているのは、AとBの2人だ。その理由は……

 

 

レディベンゼン星人「ゼアスちゃんを前に、2度も負けるなんて…アンタ達、本当に勇者なの?」

 

 

ゼアス討伐(ダイナゼノンはついで)のために、怪獣使いとなったAとBを怪獣と共に送ったが…負けてしまったことを責めているのだ。

 

転生者 A「お、俺は神山に力を奪われてんだよ!!」

 

ベンゼン星人「えっ、ちょっと待って?ここに来て人のせいにするの?うわぁ、そりゃ無いぜ…」汗

 

転生者 B「神山のせいだ!!俺らはなんも悪くねぇ!!」

 

レディベンゼン星人「責任擦り付けてんじゃないよ!!」

 

自分達の過ちを認めず、責任転嫁を始めるAとBに…ベンゼン星人は呆れ、レディベンゼン星人はキレた。

 

レディベンゼン星人「神山だかか○やまだかなんだか知らないけどねぇ…そうやってすぐ他人のせいにすんじゃないよ。それだからいつまで経っても成虫になれないんでしょうが。」

 

ベンゼン星人「か○やまの唐揚げって美味しいよね♪」ジュルリ…

 

レディベンゼン星人「今度また買いにいこうねダーリン。さて…次はアンタだよ。」

 

レディベンゼン星人の視線の先には、Cがいる。

 

レディベンゼン星人「この際、ダイナゼノンはどうだって良いわ…ゼアスちゃんが現れたら確実に倒しなさい?」

 

転生者 C「それは分かってる。けど、ダイナウイングとかダイナソルジャーは狙ったって良いだろ?そこには俺の推しのヒロインがいるからな。」

 

レディベンゼン星人「ゼアスちゃんを倒した後にやれば良いじゃない。小娘ぐらい、いつでも拐えるでしょ?」

 

転生者 C「いや、早く俺の元に来させないとダメなんだ!!夢芽もちせも、六花もアカネも神山に洗脳されてSOSを出してる!!だから、俺が救ってあげないといけねぇんだよ!!」

 

悪質宇宙人に魂を売っても、自分はまだ『正義のヒーロー』だと思い込んでいるC。

 

レディベンゼン星人「あっそ…勝手にすれば?」汗

 

転生者 C「へへっ…よし、それじゃあ行くぜ!!」

 

Cは円盤形態となったロベルガーに乗ると、出撃していった。

 

 

レディベンゼン星人「ちょっとダーリン…コイツら全然役に立たないんだけど…!?

 

ベンゼン星人「最初はそんなモンでしょ…ま、ハニーの言うとおり役立たずだけど……利用する手段はいくらでもあるよ。

 

レディベンゼン星人「…そう?

 

ベンゼン星人「そうとも…今はそれをやる時じゃ無いけどさ……

 

 

コソコソ話をするベンゼン夫婦。ベンゼン星人は、パソコンを使って何やら調べものをする。

 

ベンゼン星人「ハニー、アイツらにお仕置きしちゃう?

 

レディベンゼン星人「ダーリン、よく分かってるじゃない♪

 

ベンゼン星人「お仕置き方法を調べたんだけどさ…どう、何か良さそうなのあった?

 

レディベンゼン星人「…はっはぁん…これ、面白そうねぇ?

 

レディベンゼン星人は、役に立たなかったAとBを呼び出し(というか無理矢理引き摺って)……早速お仕置きをすることに……拷問部屋と思わしき場所からは、AとBの断末魔が聞こえてきていた。

 

ベンゼン星人(きったない声だなぁ…ま、アイツらは心も身体も汚いんだけどさ…だからこそ、利用する価値があるんだよね~♪俺様みたいな宇宙人からしたらの話だけど♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方…

 

夢芽「直喜、こっちにはカラオケもあるよ♪」

 

ちせ「折角なんですし、歌いましょうよ!!」

 

怪獣退治を終えたガウマ隊と怪獣優生思想のメンバー達が集まっていた。

 

ガウマ「おい、夢芽とちせはお前達を呼んでねぇだろうがよ…」

 

ジュウガ「俺達は直喜に直々に呼ばれたんですよ?何を勘違いしているんですか?」

 

ガウマ「うぐぐぐぐ…!!」

 

ジュウガに言い返され、ぐうの音も出ないガウマは悔しそうにジュウガを睨んでいた。

 

オニジャ「あっ、そういや直喜…」

 

直喜「……?」

 

オニジャ「これ、授業料だ。受け取ってくれ。」

 

直喜「え…えぇっ!?いやいや、流石にそれは受け取れないよ!!」アセアセ

 

オニジャが直喜に渡したのは、現金10万円である。10万という大金を手に取ったことがない直喜は、受け取れないとオニジャに言う。

 

オニジャ「直喜、これは俺達からの感謝の印だ。金ってのは、初めて誰かの役に立った時に貰える…お前は俺達の役に立ったんだ、だからさ…受け取ってくれよ、これで帰りの特急券でも買ってな?」

 

結局、オニジャの押しに負けて受け取った直喜……

 

直喜「うぅ…でも、こんな大金、やっぱり受け取れない…!!」

 

しかし、大金を受け取るには抵抗があったようで…シズムに返した。

 

ちせ「何なら、ゴルドバーンで送ってくっすよ?もちろん無料で♪」

 

ゴルドバーン「グルルッ♪」

 

ちせの言葉に、乗り気でいるゴルドバーン。

 

直喜「良いの、ゴルドバーン…?」

 

ゴルドバーン「グルッ♪」

 

直喜の問い掛けに、ゴルドバーンは『もちろん!』と答えているようだ。

 

直喜「そ、それなら…明日、お願いしても…い、良いかな?」

 

今日は夕方である…ここから直喜の故郷の街、ツツジ台に着くまで片道で2時間程掛かる(普通列車を使ったら)。そのため、明日の朝…ゴルドバーンに送って貰うことにした。その後は、ガウマ隊と怪獣優生思想と直喜を交えて…カラオケで朝まで遊んだ。

 

 

シズム「直喜、朝だよ?」

 

直喜「……んむ~?」

 

シズムに声を掛けられ、眠そうに身体を起こす直喜。

 

直喜「んぇ…?も、もう朝……?」

 

シズム「うん、ちせとゴルドバーンも待ってるよ?」

 

直喜「うん…今、行く……」

 

眠そうに目を擦りながら外に出ると……

 

 

 

ちせ「あっ、直喜先ぱ~い!!」

 

夢芽「今日で帰るって言うから、皆で来ちゃった♪」

 

 

 

外には、ガウマ隊は勿論のこと…怪獣優生思想のメンバー達もいた。どうやら彼らは、直喜のお見送りに来てくれたようである。直喜がゴルドバーンに乗ると、ちせと夢芽も一緒に乗った。

 

 

ゴルドバーン「ギャォォオオオオオオッ!!

 

 

ゴルドバーンは雄叫びを上げると、大空へと飛び立って行く。

 

蓬「神山君、気を付けてねー!!」

 

ガウマ「また遊びに来いよぉー!!」

 

直喜「う、うんっ!!」

 

直喜は見送るメンバー達に手を振り、ツツジ台へと帰っていった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第51話 落ち着くって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪

あとがきに、直喜の容姿(イメージ)をちょこっと書きました♥️


直喜を乗せたゴルドバーンは、彼の自宅マンションの屋上に降り立った。

 

直喜「スゴい…あっという間に着いちゃった……ありがとう、ゴルドバーン…!」

 

ゴルドバーン「グルルッ♪」

 

お礼を直喜に、ゴルドバーンは頬を擦り付ける。

 

夢芽「あっ、そうだ…」

 

何かを思い出した夢芽は、スマホを取り出すと……

 

 

夢芽「直喜。連絡先交換、しとかない?」

 

 

…と、直喜に聞く。

 

直喜「……。」

直喜(シャドーに勝てたのは…間違いなく夢芽ちゃんとちせちゃんとゴルドバーンのおかげ……)

 

ちせ「何か困ったことがあったら、いつでも連絡してくださいよ♪」

 

直喜「…う、うん…ありがとう……」

 

こうして、直喜は夢芽とちせとL○NE交換をし、彼女達の連絡先を確保した。

 

ゴルドバーン「グルルル……」

 

ゴルドバーンは直喜とお別れするのが寂しいのか、悲しげな声を上げる。

 

ちせ「ゴルドバーン…直喜先輩の連絡先あるんだから、いつでも会えるよ?」

 

ちせの言葉を聞いたゴルドバーンは、彼女の顔に頬を擦り付けて喜んだ。

 

夢芽「んふふ♪」

 

直喜「ど、どうしたの…夢芽ちゃん…?」

 

夢芽「ん~ん、これでさ……」

 

すると、夢芽は直喜に近付き……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢芽「いつでもどこでも、話ができるようになったね♥️

 

…と、彼の耳元で囁くと…彼の頬にキスをした。

 

直喜「は、はわわわわ…!!///」カァ~…

 

夢芽の突然の不意打ちに、思わず顔を真っ赤にする直喜。そんな直喜を見て微笑んだ夢芽は、ちせと共にゴルドバーンに乗り…ツツジ台を去っていった。

 

 

 

夢芽達の姿が見えなくなるまで見送った直喜は、久しぶりの自宅マンションに帰って来た。

 

直喜(あぁ…やっぱり自分の家が一番落ち着くなぁ~……)

 

部屋に入って、リビングへと向かっていく直喜。

 

 

ガチャッ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「…あれ?部屋が綺麗だ……何日もここに居なかったのに、何でだろ…ま、いっか…」

 

直喜はDVDレコーダーを操作し、ソファーに座って大好きな『ウルトラマンゼアス』を見ることにした。

 

直喜(あっ、そうだ…六花ちゃんとアカネちゃんにちゃんと帰って来れたことを伝えよっと…きっと、心配してる…よね……?)汗

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ツツジ台総合病院では……

 

裕太「ね、ねぇ…六花と新条さん、大丈夫…?」汗

 

なみこ「いや、逆に大丈夫に見える?」汗

 

将「…いや、全然…」汗

 

ここでは、六花とアカネが入院しているのだが……

 

 

六花「直喜…会いたいよ……直喜…

 

あぁ、どうしよう…直喜がいないと、私……

 

…おかしくなっちゃうよ……

 

 

アカネ「直喜君直喜君なおきくんなおきくんなおきクンナオキクンナオキクンナオキクンナオキクンナオキクン……

 

 

この病室には、六花とアカネが直喜を恋しがっていた。彼に会いたいと思うがあまり、2人のハイライトは消え失せている。六花は目にいっぱい涙を浮かべ、今にも泣き出しそうであり……アカネは壊れたラジオの如く、直喜の名前を連呼している。相当落ち着きが無い様子だ。

 

はっす「うわぁ、どうしよう…直君、ヘルプウィー…!!」

 

はっすがそう言ったタイミングで、六花とアカネのスマホが鳴った。すぐにL○NEを起動すると…

 

直喜『僕、ちゃんと帰って来れたよ。心配かけちゃって、ごめんなさい。』

 

…と、直喜からメッセージが来ていた。それを見た六花とアカネは、急いで直喜に電話を掛けた。

 

 

直喜『も、もしもし?』

 

 

電話を掛けてすぐに、直喜は電話に出てくれた。

 

六花「直喜!!お願い、顔を見せて!!」

 

やっと直喜の声が聞けた六花は、涙をボロボロ溢しながら言う。

 

直喜『えっ?か、顔…?』

 

なみこ「多分だけど、ビデオ通話になってるよ?」

 

直喜『あっ、そういうこと…?』汗

 

どうやら直喜はスマホを耳に当てて話していたようだ。スマホを耳から離すと、六花とアカネの顔が見える。

 

六花「ッ!!…あぁ、直喜……ケガしてない?どこか具合悪くない?お腹空いてない?喉渇いてない?寂しくなかった!?大丈夫!?」

 

アカネ「ほわぁ…な、直喜君だ……直喜君だ…その二重に、野原のような緑色の綺麗な瞳……本物の直喜だよ……!!」

 

直喜の顔を見れた六花とアカネの目からはポロポロと大粒の涙が零れ落ちる。

 

直喜『だ、大丈夫……後…ほ、本物も何も…僕は正真正銘、神山 直喜だけど……』汗

 

六花とアカネの言葉に、困惑しながらも…元気そうな様子を見せる直喜。

 

はっす「お~い直く~ん?あっ、元気そうだな~…ウチとの約束、ちゃんと守ってくれたね♪」

 

直喜『ぶ、無事に帰って来てね…だったよね?』

 

はっす「そそ♪しっかり覚えてて、偉いゾ♪」

 

なみこ「いやぁ、直喜が無事で良かったよ。てかさぁ、ウチらをほったらかしてどこ行ってたんだい?」ニヒヒッ♪

 

直喜を褒めるはっすに対し、直喜をからかうなみこ。

 

直喜『ほ、ほったらかしてだなんて…そんな……ただ、僕は……』

 

直喜は六花達に、電車内で寝過ごして『フジヨキ台』と言う場所まで行ってしまったこと……そこで新しく知り合った友達に世話になっていたことを話した。

 

六花「良かったぁ…新しい場所でも友達ができたんだね……直喜はホントに、友達作りが上手いね…♪」

 

アカネ「ねぇねぇ、それって女友達?彼女?ねぇ直喜君?」

 

六花「アカネやめて…直喜が困ってる。」汗

 

アカネの瞳の色がどす黒く変色しているが…直喜の言葉を信じている六花は、ホッとしていた。

 

将「それにしても、フジヨキ台かぁ…聞いたこと無い場所だな……」

 

直喜『えっ?ツツジ台と同じ東京都にあるんだよ!?』

 

裕太「えっ、そうなの?…うーん……」

 

直喜『分かんない?そっかぁ……』

直喜(内海君も響君も変なの…意外と近くにあるのに……)

 

直喜が滞在していたフジヨキ台だが…ツツジ台の近くにある街であった。にも関わらず…裕太も将も、フジヨキ台を知らないと言う。それは、なみことはっすも同じであった。

 

なみこ「まぁ良いじゃん!直喜の無事が分かったんだからさ~♪」

 

はっす「そ~そ~、これ以上質問攻めすると…直君、もっと疲れちゃうよ?」

 

六花「なみことはっすの言うとおりだよね。」

 

アカネ「確かに~♪無事で良ければ、全て良し…だね♪」

 

六花「それを言うなら…『終わり良ければ全て良し』でしょ?」

 

アカネ「そうともゆ~♪」

 

直喜の安否を漸く確認できたことと、直喜の声が聞けたこと…更に、直喜の顔が見れたことに、漸く落ち着きを取り戻した六花とアカネ。

 

なみこ(直喜はピンチの時に、すぐに手を差し伸べてくれるねぇ。)

 

はっす(そういうとこ…なんだろう、ウルトラマンの面影があるような……)

 

お人好しとツツジ台高校では評判の直喜…なみことはっすが見る直喜には、心なしか……ウルトラマンにも見えた気がした。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪



『神山 直喜』の容姿…モチーフは【僕のヒーローアカデミア】の主人公『緑谷 出久』です。見た目はそのまんま出久ですが、髪色は黒で頬にそばかすがありません。


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第52話 怪獣少女って、なに?

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


直喜が戻って来た後、六花とアカネは順調に回復していに…漸く、退院することができた。だが、彼女達を担当した病院の医師や看護師達が…何故かげっそりしていた。その理由は、分からない……

 

なみこ「何はともあれ、退院おめでとうお二方♪」

 

はっす「んじゃ、退院祝いに…ご飯でも食べに行く?」

 

六花「良いねサイコー♪」

 

アカネ「あれ、直喜君は?」

 

なみこ「直喜なら、今日用事あるって言ってたよ?」

 

六花「マジ?珍しいね…」

 

はっす「ん~…直君居ないとつまんないよな…ご飯食べに行くのは、また今度にしよっか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「あっ、シズム君?怪獣が出たって場所に来てみたんだけど…」

 

シズム『なら、俺達も直喜のとこに行くよ。そこで待ってて、すぐに来るから。』

 

直喜「あっ、ちょっと待っ…切れちゃった……」

 

その頃、直喜はシズムからの連絡で…怪獣が現れた現場へと来ていた。場所は、とある山にある自然公園だ。シズムとの電話が終わった、まさにその直後だった。

 

 

オニジャ「おーい、直喜ィー!!」

 

 

サタンモアに乗った怪獣優生思想の4人が、直喜の元に飛んで来た。

 

直喜「ほ、ホントに…すぐ来た……」汗

 

このサタンモアは、オニジャが使役している円盤生物だ。高速で大空を飛び回るため、偵察役を任されることもしばしばである。

 

オニジャ「よっと、サンキューなサタンモア。」

 

4人を降ろした後、すぐに小さくなるサタンモア。その小ささは、リトルモアよりも小さい。小さくなったサタンモアは、早速直喜の元へ飛んで行き…彼の周囲を旋回し始める。

 

直喜「と、ところで…シズム君達の円盤生物は、何で僕に友好的なの?」

 

シズム「簡単なことだよ。直喜は俺達の『ベストフレンド』…だから、円盤生物達にとっても直喜はベストフレンドさ。」

 

直喜「い、意味が分からない……」汗

 

シズムの返答に困惑する直喜。円盤生物達からしたら…『主人の友達は、自分達の友達』である。シズムはそう言いたいのだろう……直喜がそれを理解するまで、少々時間がかかった。

 

オニジャ「そういや…六花は元気にしてるか?」

 

直喜「へっ?あぁ、うん…元気だよ?」

 

オニジャ「そりゃあ良かったぜ。」ニッ!

 

直喜の言葉を聞き、ニカッと笑うオニジャ。

 

直喜「そ、それより怪獣は…?」

 

ジュウガ「今、俺達の円盤生物達が怪獣を探しています。焦らずゆっくり探しましょう。」

 

直喜「いや、円盤生物も一応怪獣だけど……」汗

 

ジュウガ「……。」

 

直喜の言葉に、黙り込むジュウガ。

 

オニジャ「いや、黙るなよ!?都合が悪くなったら黙ったぞコイツ!!」大汗

 

ジュウガ「ぐぅの音も出ませんね。」

 

ムジナ「ぐぅ音出して…」汗

 

ジュウガ「…ぐぅ。」

 

ムジナ「いやそうじゃなくて!!」汗

 

ボケありツッコミありなやり取りをしている中……

 

 

少女「…やっと会えた。」

 

 

褐色肌に黒髪おさげの小学生位の見た目の少女が現れた。茶色に一部緑が混ざったフード付きのコートを纏い、胸部分にト音記号の模様が描かれた服を着ている事が特徴。また、背中にはランドセルを背負い、緑色のイヤホンを付けている。

 

直喜「…き、君は?」

 

少女「私、怪獣だよ?」

 

直喜「か、怪獣…?」

 

直喜が戸惑うと、その少女は「うぇへへへへへへ」とクセの強い笑い方をする。

 

少女「ねぇ、君ってさ…『ウルトラマン』だよね?」

 

直喜「えっ…?」

 

少女「分かるよ。君からはキレイなオーラがキラキラと出てるから……」

 

少女はニッコリ笑いながら直喜に言う。

 

オニジャ「仮に直喜がウルトラマンだとしたら、何だってんだ?」

 

アノシラス「私ね、『アノシラス』って名前の怪獣なんだけど…ここで暮らしててね、でも……怪獣使いを名乗る変な男が突然現れて、凶悪な怪獣を出したんだ。それで、ママがケガしちゃって……お願い、助けて欲しいんだ。」

 

その少女は、怪獣『アノシラス』の子供であり…母親が凶悪怪獣に襲撃され、ケガをしてしまったのだった。更に話を聞くと、怪獣の特徴は…腕にハサミが生えている事以外はダークラーに酷似しているようだ。ダークラーと違う点として、硬い鎧のような甲羅に覆われているとのこと……

 

 

 

直喜「多分、その怪獣は甲殻怪獣『バブボムラー』だと思う…分かった、君のお母さんを助けるよ。」

 

アノシラス「ホント!?うわぁ~い♪」

 

ジュウガ「直喜、良いんですか?」

 

直喜「うん、困っているなら人だろうが怪獣だろうが関係ない。余計なお世話かもしれないけど、困ってるなら放っておけないよ。」

 

シズム「お人好しだね、直喜。君がそうするなら、俺達も着いていくよ。」

 

アノシラスを助けると決めたそのタイミングで、怪獣『バブボムラー』が姿を現した。

 

 

バブボムラー「ギャォォオオオオオオッ!!」

 

 

両腕の鋏をシャキンシャキンと鳴らしながら、口と鋏から泡を吐き出す。泡が地上の木々に落ちた時…植物が瞬時に枯れてしまった。

 

直喜「…!!」

 

直喜はピカリブラッシャーを取り出すと、歯磨きを開始…口腔環境をキレイにする。歯磨きを終えると、ブラッシャーを天に高く掲げ…

 

 

直喜「ゼアスッ!!」ピカァァアアアアアッ!!

 

 

眩く、優しい光へと包まれていく。それは段々巨大化していき…人の姿へと変わって行く。やがて…温かく優しい光から光の戦士が君臨する。

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

右腕を上に伸ばし、左腕を曲げて頭の横につけ…構えを取る巨人。その名は『ウルトラマンゼアス』だ。

 

アノシラス「うわぁ…すごい、私も…私もウルトラマンに会えたぁ~!!」

 

本物のウルトラマンゼアスの姿を見たアノシラスは大喜びする。ゼアスとバブボムラーは互いに睨み合うと、相撲のように取っ組み合いを始め…バブボムラーはゼアスに投げられる。

 

ドドォォオオオオオオオッ!!

 

轟音を立てて倒れたバブボムラーに、ゼアスは飛び掛かり…チョップ攻撃を繰り出す。

 

 

オニジャ「よし!そこだ!!いけいけ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!」

 

3人「「「…!!」」」

 

アノシラスと共に…ゼアスの戦いを見守る怪獣優生思想のメンバー達。やがて、ゼアスとバブボムラーは掴み合った状態で地面を転がり…湖に入水する。

 

オニジャ「あぁ…!!お、おいジュウガ!!ムジナ!!シズム!!」

 

ゼアスはバブボムラーにマウントポジションを取られたが…バブボムラーを何とか押し退け、立ち上がる。更にバブボムラーと取っ組み合い…

 

ゼアス「ゼヤァッ!!

 

雄叫びと共に、後ろへと下がる。

 

バブボムラー「ギャォォオオオオオオッ!!」

 

バブボムラーはゼアス目掛けて泡を放つが……ゼアスは咄嗟にバリアを張り、バブボムラーの攻撃を防ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 C「来やがったかウルトラマンゼアス…良いぞ、そのままエネルギーを使え…!」

 

その頃、山の頂上と思わしき場所では…Cがゼアスとバブボムラーの戦いを見ていた。彼の右手には、真珠のような物が握られている。ゼアスはバブボムラーを陸上に誘導し、次第にバブボムラーを押し始める。バブボムラーは陸上でも活動はできるが…水分を摂取できなくなる為か、弱ってしまうのだ。

 

転生者 C「捨てゴマがやられるな…そろそろ行くぜ、ヒヒヒヒ…!!」

 

Cは真珠のような物を上に投げると…

 

 

転生者 C「インスタンス・ベンゼネーション!!

 

 

両目を赤く光らせ…もう1体の怪獣を出現させた。

 

 

 

ズダァァアアアアアアアアンッ!!

 

怪獣2「ガロロロッ!!」

 

サイケデリックなカラーの蛾や蝉、蜻蛉やタガメ等複数の昆虫を思わせる要素が入った人型怪獣が姿を現すと、バブボムラーを押し退け…ゼアス目掛けてズンズン歩いていく。

 

ゼアス「ッ!?」

 

ガシィッ!!

 

突如乱入してきた怪獣『グレージョム』と交戦するゼアス。

 

ゼアス「ジュアッ!!」ブゥンッ!!

 

ゼアスが回し蹴りを繰り出すと…グレージョムは背中の翼を広げ、その場から一瞬で姿を消した。

 

ゼアス「ッ!?」

 

周囲を見渡すゼアスだが…グレージョムの姿はどこにも無い。だが…

 

ドゴォッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」ドドォォオオオオオオオッ!!

 

グレージョムはゼアスの背後に現れ、背中を蹴って地面に倒す。

 

ゼアス(あの怪獣、素早いよ!!)

 

直喜(いや、待って…多分あの翼を広げて、ワープしてるんだ!!)

 

ウルトラ博士と呼ばれている直喜の言葉通り、グレージョムは背中の翼を広げた直後…その場から姿を消す。

 

直喜(翼から粒子が……そこかっ!!)

ゼアス「デヤッ!!」ドゴォッ!!

 

グレージョム「ッ!?」ドドォォオオオオオオオッ!!

 

直喜はグレージョムが背後から来ることを予測し、蹴りを入れると…見事、攻撃はグレージョムを捉えた。

 

転生者 C「なっ!?おいマジかよ…貧弱戦士の癖に!!」ギロッ!!

 

Cは目を光らせると…2体の怪獣を、ゼアスへ向かわせる。流石のゼアスも、2大怪獣の猛攻に押され始める。そして……

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を始めた。

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

時間は、残り少ない……

 

 

 

アノシラス「どうしよう…ウルトラマンが、負けちゃう…!」

 

カラータイマーが点滅しても、怪獣達は容赦なくゼアスを攻撃する。

 

ジュウガ「直喜!!今、俺のブリザードを向かわせます!!」

 

ジュウガがブリザードを出撃させようとすると…ゼアスは「ダメだ」と言うように首を横に振った。

 

ジュウガ「そ、そんな…どうして……!!」

 

オニジャ「直喜!!俺達はもう、お前を死なせたくねぇんだよ!!頼むから…出撃させてくれよ!!」

 

ムジナ「お願い直喜!!私達も、直喜の力になりたいの…!!」

 

シズム「…ッ!?あれは…!」

 

シズムの視線の先から……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガウマ『ウルトラマン!今行くぜ!!』

 

ガウマ隊のメンバー達がやって来たのだ。夢芽と暦が操作するメカは、機関砲から火を吹き…エネルギー弾を2大怪獣目掛けて乱射する。

 

ちせ「燃え上がれ、ゴルドバーン!!」

 

ゴルドバーン「ギャォォオオオオオオッ!!

 

ゴルドバーンが口から青い光線を放つと…夢芽と暦が放ったエネルギー弾が巨大化し、怪獣に命中して爆発を起こす。

 

バブボムラー「ギャォォオオオオオオッ!?」

 

グレージョム「ガロッ!!ガロロロッ!?」

 

巨大化したエネルギー弾は凄まじい威力であり…怪獣達の部位を容易く破壊した。バブボムラーの両腕の鋏は折れ、グレージョムの背中の翼も破壊されていた。

 

オニジャ「なっ!?あ、アイツら…!!」

 

ムジナ「ちょっと、ゼアスの援護は私達が」

 

ガウマ『うっせぇ!!何もしてねぇじゃねぇか!!』

 

オニジャとムジナに怒鳴ったガウマは、ガウマ隊に指示を出す。

 

ガウマ『ウルトラマンを援護する!!』

 

暦『はいっ!!』

 

夢芽『言われなくても…!!』

 

蓬『了解です!!』

 

ダイナソルジャーはグレージョムの方へと走り、格闘戦を仕掛ける。両手の鋭い爪で攻撃を仕掛けるが、グレージョムは刃状になっている両腕で攻撃を受け止め…胸部からビームを発射した。

 

蓬『うわっ!?』

 

夢芽『蓬君!!』

 

ガウマ『蓬ィ、1回下がれ!!』

 

暦『一斉攻撃をしましょう!!ちせ!!』

 

ちせ「りょーかいっす、ゴルドバーン!!」

 

ダイナウイングとダイナストライカー、ダイナダイバーが同時にエネルギー弾を放つと…ゴルドバーンは口から吐き出した青い光線で、エネルギー弾を巨大化させた。

 

ズドォォオオオオンッ!!ズドォォオオオオンッ!!ドゴォォオオオオオオオオオオンッ!!

 

ガウマ隊の一斉攻撃により、2大怪獣は弱っていた。

 

ガウマ『今だウルトラマン!!』

 

ゼアス「ッ!!」

直喜(ぐっ…か、身体中が痛い……で、でも…ここで倒れたら、ここで暮らす怪獣を助けられない…!!後、少しだ…頑張れ……頑張れ僕…ギリギリまで、頑張れ……ギリギリまで、踏ん張れ…!!)

 

カラータイマーの点滅が次第に早くなっていく中、ゼアスは何かを大事に抱えるような独特な動作を取る。

 

 

転生者 C「させるかよ!!」ギロッ!!

 

グレージョム「ガロロロッ!!ガロロロッ!!」

 

グレージョムがゼアス目掛けてビームを発射すると……

 

 

ゴルドバーン「ギャォォオオオオオオッ!!」

 

 

ゴルドバーンがゼアスの前に移動し、盾のような形に変形した。

 

直喜(ご、ゴルドバーン!!)

 

ちせ「ゼアス!!ゴルドバーンは頑丈だから大丈夫!!だから、勝って!!」

 

直喜(ち、ちせちゃん…)

ゼアス「!!」コクッ!

 

グレージョムの光線を防いだゴルドバーンがゼアスの前から退くと…ゼアスは腕を逆十字型に組み、青い光を放つ必殺光線『スペシュッシュラ光線』を2大怪獣目掛けて発射した。光線は怪獣達に命中…2大怪獣はゆっくりと仰向けに倒れると、大爆発を起こした。

 

アノシラス「や、やった…ウルトラマンが、勝ったぁ…!!」

 

オニジャ「おっしゃぁぁああああああああ!!」

 

ムジナ「やったやったぁぁああああああ!!」

 

ジュウガ「良かった。」

 

シズム「ダイナゼノンの救援があったけど、直喜は勝ったんだ。」

 

ゼアスの勝利を見届けたアノシラスと怪獣優生思想は大喜びした。ゼアスは『ゼアスキャン』を放ち、枯れ果てた植物を元通りにした。そして、地面に膝を着くと…ゆっくりと姿を消した。

 

 

直喜「ゼェ……ゼェ……な、何とか…勝てた……」

 

オニジャ「な、直喜!!」

 

疲れ果てた直喜の元に駆け寄るメンバー達。

 

直喜「あ、アノシラス…これで……」

 

アノシラス「うん…ママは助かったよ!ありがとう……ありがとう…ウルトラマン…!!」

 

アノシラスは本気で直喜に感謝すると…大粒の涙を流し、大泣きした。

 

直喜「……。」

直喜(良かった…アノシラスも安心しているっぽい……)

 

ズズゥンッ……ズズゥンッ……

 

直喜「…ん?」

 

すると、どこからか地響きが聞こえて来ると…それが段々こちらへ近付いて来ていることが分かった。それは、頑丈な皮膚を持ち、2本の大きな角を持つ怪獣だった。

 

アノシラス「あっ、ママ!!」

 

現れたこの怪獣こそ、音波怪獣『アノシラス』であり…怪獣少女『アノシラス』の母親である。どうやら、直喜にお礼を言いに来たようだ。

 

直喜「……。」

 

アノシラスに微笑む直喜。そこに……

 

夢芽『直喜、家まで送ってくよ?』

 

ダイナウイングが直喜の頭上に止まると、直喜を乗せる。

 

オニジャ「んなっ!?」

 

夢芽『それじゃ、後は私達に任せてください。』

 

強引に直喜を乗せた夢芽は、ダイナウイングを操作して直喜の自宅マンションに向かった。

 

ムジナ「…むぅ……」ムスッ…

 

シズム「強引だなぁ…」汗

 

ジュウガ「何でしょう…この感じ……」

 

オニジャ「な、何か…悔しいな……」

 

アノシラス「「……?」」




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪

※…バブボムラーの鳴き声は磁力怪獣『アントラー』と同じにしました。


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第53話 力って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


この日…直喜は六花とアカネに呼び出され、近くの公園へと足を運んでいた。

 

直喜(話があるって言ってたね…あのアグルブレードのことかな……?)

 

待ち合わせ場所の公園に着くと、六花とアカネも来ていた。

 

六花「あっ、直喜…」

 

アカネ「良かった…来てくれたんだ。」

 

直喜「そ、それで…話って、前に出したアグルブレードのこと?」

 

直喜がそう言うと、六花とアカネは黙りこくった。そして、重い口を開く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「ずっと黙ってたんだけどさ…私ね、ウルトラマン達の技を使うことができるんだ。勿論、直喜の大好きなゼアスのスペシュッシュラ光線もね…」

 

アカネ「私はね…闇の巨人の技が使えるんだ。ベリアルやトレギアは勿論…ヒュドラムとダーゴンとカルミラの技も使えるよ?後、前に直喜君の目の前に出したカオスロイド達…本当はマジックじゃなくて、本物なんだ…」

 

 

彼女達の口から語られたこと……六花はほぼ全ての光の巨人の技を使うことができ、アカネはほぼ全ての闇の巨人の技を使うことができる。この間見せたアグルブレードも、本物である。アカネが直喜の自宅マンションに泊まりに来た際に出現させたカオスロイド達も、紛れもなく本物だ。

 

直喜「……。」

 

六花「信じられないかもしれないけど、ホントだよ。例えば……」

 

六花は足元に落ちていた小石を拾うと、上に投げる。その後、腕を十字に組み…青白く光る光線を放って、小石を破壊した。

 

直喜「す、スペシウム光線……」

 

六花「うん、後『マリンスペシウム光線』も撃てるよ。」

 

マリンスペシウム光線とは…初代ウルトラマンの技の中では伝説であり、最強必殺技でもある。

 

アカネ「私もやってみるね?」

 

アカネは両手を広げ、自身の前に魔法陣や赤い稲妻を発生させる。そして、全身のエネルギーを両腕に集めて光線を放った。これは、『ウルトラマントレギア』が使う技『トレラアルティガイザー』だ。

 

直喜「で、でも…どうして六花ちゃんとアカネちゃんにそんな力が……」

 

 

『それについては、私から説明しよう。』

 

 

直喜「えっ!?だ、誰…!?」

 

どこからともなく声が聞こえてきたと思ったら……何やら、古代ギリシャ風の衣装を身に纏った男が姿を現した。

 

 

オリシス「私はオリシス…六花とアカネと契約している神だ。」

 

 

直喜「あ、あれ…前にも、似たような展開に遭遇したような……」

 

突然現れたオリシスに困惑する直喜だが…マートと出会った時と比べると、比較的落ち着いている様子であった。

 

オリシス(さては…マートが直喜に接触した可能性が高いな……まぁ良い…)

 

オリシスは直喜に説明を始める。今、ここにいる六花とアカネは、数千年以上前の時を超え、直喜と出逢うためにやって来た存在であること……●●●●を退治する際、ウルトラマンや悪トラマンの力が宿り、強大な戦闘力を持っていることを……

 

直喜「そ、そんな事言われても……」

 

オリシス「信じられないのも無理はない…」

オリシス(そりゃそうだ…人間の寿命は非常に短いし、数千年も生きられる筈も無いからな……)

 

オリシスの説明を聞いた直喜……しかし、人を疑わない流石の直喜でも…それはあまりにもファンタジック(馬鹿馬鹿し)過ぎる話であることはすぐに分かる。何故なら、今自分の目の前に居る六花とアカネは…自分と同い年であるからだ。

 

六花「…黙ってて、ごめんね…直喜……」

 

アカネ「直喜君を心配させたくなかったから、中々話せなかったの……」

 

直喜「いや、多分…話したとしても、僕はすぐには信じられないよ……それに、アカネちゃんに隠してること…僕にはあるし…」

 

直喜がそう言うと、アカネは慌てた様子で彼に問い詰め始める。

 

アカネ「えっ!?何、直喜君…もしかして彼女できたの?それとも脅されてるの?ねぇ?ねぇ?

 

六花「アカネ、ちゃんと直喜の話を聞いてあげなさい。」

 

六花がアカネを落ち着かせた所で、直喜はアカネに話し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜「ぼ、僕ね……う、ウルトラマンゼアスに…変身、できるんだ……」

 

そして、アカネにも…自分が『ウルトラマンゼアス』であることを話したのだった。

 

アカネ「え~!?そうだったの!?」

 

直喜の話をすぐに信じたアカネは、どことなく嬉しそうな顔をしていた。

 

アカネ「というか、六花は知ってたの?」

 

六花「うん、知ってた。直喜が勇気を出して教えてくれたからね。」

 

六花の話を聞いたアカネは、何故か「ぐぬぬぬ…」と悔しそうな表情を見せた。

 

六花「アカネは聞き方が怖いんだって…私もさっき見てたけど……直喜、とっても怖がってたよ?気付いてた?」

 

アカネ「ねぇ六花…ちょっと1回バトルしない?勝ったら直喜君と1日一緒にウルフェス行けることをかけてさ……」

 

直喜「あ、アカネちゃん…り、六花ちゃん…!」オロオロ

 

ただならぬ雰囲気に、直喜はオロオロしてしまうだけであった。それに……

 

 

六花「その話、乗った。言い出しっぺはそっちだからね?ごねるのも恨みっこも無しだよ?」

 

 

六花も乗ってしまったらさぁ大変…

 

直喜「えぇっと…お、オリシス…さん……どう、したら……」

 

オリシス「済まない…私にもどうすることもできないんだ。」汗

 

直喜「そ、そんなぁ~……」汗

 

オリシスに対応を聞いてみるも…彼にもどうすることもできないのだ。六花とアカネは構えを取り、互いに睨み合う。

 

アカネ「さぁて…出番だよ、カオスロイド達。」

 

アカネは、3体のカオスロイドを召喚すると…六花の元へ向かわせた。

 

カオスロイドT「ンンッ!!」ブゥンッ!!

 

カオスロイドS「デュアアァァッ!!

 

カオスロイドU「シュアッ!!」ブゥンッ!!ブゥンッ!!

 

六花「はっ!…せいっ!ふっ!はぁっ!!」

 

3人係りで襲い掛かって来るカオスロイド達にものともせず…返り討ちにした六花。すると、カオスロイド達はエネルギーをチャージし始めると……

 

 

カオスロイドU「シュワッ!!

 

カオスロイドT「タロオォォッ!!

 

カオスロイドS「ジュアッ!!

 

 

闇のエネルギーを纏った光線を一斉に放ってきた。カオスロイドUは『カオススペシウム光線』…カオスロイドTは『ストリウムコピー』…カオスロイドSは『ワイドショットコピー』だ。

 

六花「……。」ニヤッ…

 

六花はバリアを張らず、カオスロイド達の光線の餌食に……

 

 

直喜「り、六花ちゃん!!」

 

 

思わず六花に叫ぶ直喜。しかし……

 

 

 

六花『大丈夫だよ、直喜♪私を信じて?』

 

六花は空中を浮遊しながら、3体のカオスロイドの光線を吸収していた。カオスロイド達の近くにやって来ると…六花は体を捻り、全身からエメラルドグリーンの光波エネルギーを放った。これは、伝説の巨人『ウルトラマンレジェンド』が使用する宇宙最強の必殺技『スパークレジェンド』だ。

 

アカネ「あぁ~!!私の自慢のカオスロイド達が!!」

 

六花「ふふんっ…さぁ、掛かって来なさいアカネ?」

 

アカネ「むぬぬぬぅ~!!」

 

アカネは両腕を大きく広げて紫色のエネルギーを集めると、右腕を前に突き出して光線を放った。これは、『カオスウルトラマンカラミティ』が使用する『コズミューム光線』のコピー技『カラミュームショット』だ。

 

六花「甘いよ、アカネ。」

 

六花は両腕を交差させてエネルギーを溜め、右腕を突き出すと…そこから黄金色の光を放つ光線が発射された。『コズミューム光線』だ。アカネの『カラミュームショット』と六花の『コズミューム光線』がぶつかり合い…光線の撃ち合いと化す。

 

直喜「あ、あわわわ…!!」大汗

直喜(どうなっちゃうの!?)

 

戸惑う直喜を他所に…六花のコズミューム光線が、次第にアカネのカラミュームショットを押し返し始める。

 

アカネ「ッ!!」

 

アカネは右腕に力を込め、光線を強化するも……

 

六花「そう来ると思ったよ…はっ!!」

 

六花が更に光線を強化し、アカネの光線を瞬時に押し返した。

 

 

ドガァァアアアアアアアアアアンッ!!

 

 

アカネ「キャァァアアアアアアアア!!

 

コズミューム光線はアカネに命中したが…彼女には傷1つ無い。

 

アカネ「うわぁぁああああああああん!!また負けた、また負けちゃったよぉぉおおおおおお!!」

 

彼女は子どものように泣きじゃくり、手足をじたばたさせて悔しそうにしていた。

 

直喜「アカネちゃん、大丈夫…!?」

 

直喜はアカネに駆け寄るが…彼女は元気そうだ。

 

アカネ「心配してくれたの?ありがとう直喜くぅぅうううううううん!!」ムギュゥゥウウウウウウッ!!

 

直喜に心配されると、すぐに泣き止み…直喜を思い切り抱き締める。

 

直喜「むぐぅっ!?」

 

顔をアカネの胸に挟まれ、次第に顔色が青くなっていく直喜。

 

六花「アカネ、直喜が苦しそうだよ!?」

 

アカネ「へっ…ああああ!!直喜くぅぅうううううううん!!」

 

パニックになったアカネは再びカオスロイド達を呼び出し、更に『カオスウルトラマン』も呼び出した。幸い、六花が放った『フルムーンレクト』と『マザー光線』の融合技『マザーフルムーンレクト』により、直喜は元気を取り戻した。

 

直喜「あれ?僕は一体何を……って、えぇっ!?か、カオスウルトラマン!?」

 

カオスウルトラマンを見るや否や、目を輝かせ始める直喜。そんな直喜を見たカオスウルトラマンは、直喜に右手を差し伸べ…握手を交わした。

 

六花「良かった、直喜が元気になって。」

 

アカネ「カオスウルトラマン出して正解だったなぁ~♪」

 

 

カオスロイド「「「……。」」」

 

 

直喜がカオスウルトラマンに感心を見せているためか…完全に空気と化したカオスロイド達は、呆然と立ち尽くしていた。

 

直喜「うわぁっ!!本物のカオスウルトラマンだぁ!!カッコいいなぁ~♪」

 

カオスウルトラマン「フンッ!(よろしく!)」

 

直喜「近くで見てみると、コスモスのコロナモードにそっくりだなぁ~!!」

 

カオスウルトラマンも、カオスロイド達と同様…恐ろしい見た目とは裏腹に、直喜に対しては温厚であり、彼の味方だ。

 

ちなみに…紛れもなく本物だ。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪



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第54話 3バカって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


ある日の平日……

 

 

 

転生者 C「ちっきしょお……」

 

怪獣を使ってもゼアスに勝てず、負け続きのCが…まるで何かを探しているかのように街を歩いていた。ちなみに彼…AとBと共に、指名手配されている。

 

転生者 C(高校は退学させられるし…住居も追い出されるし…金も使われるし…何より、六花とアカネ、夢芽とちせとムジナを抱けねぇし……これも全部、神山のせいだ…!!)

 

彼のこれまでの悪事の中でも、特に酷かったのは……大正時代を舞台にした世界にて、『鬼殺隊』の中の最高幹部と言われている『柱』と呼ばれる存在を半殺しにした。特に男を……女の柱や鬼殺隊は洗脳し、欲望がままに操った。ヒロイン達を手に入れても、数日で飽きた彼は……この世界にやって来た。しかし、そこで彼を待っていたのは地獄だった。

 

転生者 C(しっかしあちぃなぁ……川の水でも飲むか。)

 

自販機があっても、手持ち金が僅かであるため…躊躇うことなく飲み物を買えないC。そんな彼の選択肢は、『我慢する』か『川の水を飲む』の2択であった。

 

転生者 C「ズズッ……っあぁ、うめぇ……」

 

一見キレイに見える川の水……しかし、動物の糞尿であったり、寄生虫等が入っていることがある。そのため、1度煮沸してから飲むのが安全だ。だが、今まで散々楽な道を進んでばかりいたCに、そんな事は当然知らない。

 

転生者 C「さて…腹も減ったなぁ……どこかに、畑は……おっ?あれは…!!」

 

Cの視線の先には、買い物から帰っている途中の直喜の姿があった。

 

転生者 C(六花もアカネもいねぇし…それどころか、周りに人がいねぇ!!殺すなら今だ!!)

 

Cは直喜の元へ向かい、彼の目の前に姿を現す。

 

 

転生者 C「おいコラ神山ァ!!」

 

 

直喜「うわっ!?し、C君…!?」

 

突然Cが目の前に現れ、ビックリする直喜。人を疑わない直喜だが、そんな彼でも…今のCはまともでは無いことは一目で分かった。

 

転生者 C「今日こそ、お前の最期だ…死ねぇ!!」ダッ!!

 

直喜「ッ!?」

 

Cは両手をガッツポーズのように振り上げながら直喜目掛けて走って来る。その時……直喜の目の前に、何やら光の粒子が現れたと思うと……それが、段々人の姿へと変わって行く。

 

転生者 C「むっ!?」ザザザッ…

 

Cはその粒子にビックリして、足を止める。粒子からは、青と黒を基調とした体色に、赤い目が特徴のウルトラマンと思わしきナニカが現れた。

 

直喜「えっ!?…か、カオスウルトラマン…!?」

 

そう…直喜とCの前に姿を現したのは、紛れもなく『カオスウルトラマン』である。

 

 

カオスウルトラマン「ォォオオオオッ……ハァッ!!」ビシィッ!!

 

 

カオスウルトラマンは、Cの方を向いており…低く、不気味な唸り声を上げると、掛け声と共に構えを取った。

 

転生者 C「ちっ…カオスウルトラマン、こっちの味方じゃねぇのかよ…!!」

 

カオスウルトラマンはC目掛けて走ると、彼に攻撃を仕掛けていく。

 

カオスウルトラマン「タァッ!ハァッ!

 

転生者 C「うぉっ!?あぶね!?」

 

初めは、カオスウルトラマンの攻撃を何とか避け続けたC。だが、次第に動きを読まれて行き……

 

カオスウルトラマン「ッ!!」

 

転生者 C「おっt…って、あら?」

 

カオスウルトラマン「ハァッ!!」ドゴォッ!!

 

転生者 C「ぐあっ!?」

 

遂には、カオスウルトラマンのフェイントに引っ掛かり…顔面にパンチを見舞われた。Cを転ばせたカオスウルトラマンは、直喜の前に降り立ち…彼を守る形で立ち塞がる。

 

直喜「か、カオスウルトラマン…どうして?」

 

カオスウルトラマン「…。」

 

直喜の問い掛けに、カオスウルトラマンはホワイトボードとペンを生み出し、何かを書き始める。そして…

 

 

『直喜を守る。それが、私の使命だ。』

 

 

…と、彼に伝える。

 

直喜「も、もしかして…僕を、助けに…来てくれたの…?」

 

カオスウルトラマン「…。」コクッ…

 

直喜の言葉に頷くカオスウルトラマン…そして、再びCを捉え…

 

カオスウルトラマン「ハァッ!!」ビシィッ!!

 

構えを取り、Cを睨む。

 

転生者 C「ぐぅ……俺に、食い物を寄越せぇぇええええええ!!」

 

カオスウルトラマン「フンッ!」ガシィッ!!

 

走って来たCに掴み掛かるカオスウルトラマン。

 

転生者 C「おりゃあっ!!」ブゥンッ!!

 

カオスウルトラマン「ハァッ!!

 

Cに投げられても、側転を繰り出して体勢を立て直すカオスウルトラマン。

 

転生者 C「負けるか…オラァッ!!せいっ!!」ブゥンッ!!ブォンッ!!

 

カオスウルトラマン「!!」サッ!サッ!

 

Cのパンチと蹴りを、バク転で避けたカオスウルトラマンは…

 

カオスウルトラマン「ハァッ!!」ドスゥッ!!

 

転生者 C「がはっ!?」

 

Cの腹にヤクザキックを繰り出し、Cを地面に転がす。すかさず、光線を放とうとするカオスウルトラマン。しかし…

 

カオスウルトラマン「ッ!?」

 

何かを察知し、カオスヘッダーに戻り…瞬時に直喜の前に立った。

 

直喜「わわっ!?」

 

その直後……

 

 

ボカンッ!!

 

カオスウルトラマン「グアッ!?

 

カオスウルトラマンの背中に、実弾が命中し…爆発を起こした。

 

転生者 B「ちっ…外したか……」

 

転生者 A「だが、この偽ウルトラマンだけなら…そうでもなさそうだぜ。」

 

そこに、BとAが現れた。Bの右手には、どこから入手したのか…拳銃が握られていた。

 

転生者 B「おい神山ァ…今から俺達に土下座して謝れや!!『六花とアカネを洗脳してごめんなさい』ってなぁ?そしたら半殺しで許してやるよ、ギャハハハ!!」

 

転生者 A「ヒャハハハ!!さぁさぁ謝れ!!お前なんかに拒否権はねぇんだよ!!」

 

勝ち誇ったように嗤うBとA……

 

カオスウルトラマン「グゥゥウウウウ…!!

 

カオスウルトラマンは直喜を守るように彼の前に立ち、構えを取る。だが、カオスウルトラマンのカラータイマーが…黄色から赤に変わり、点滅を始めた。

 

転生者 C「ハッハッハァ!!カオスウルトラマン、偽りのヒーローのお前なんかに…守れるモノなんて何一つねぇんだよ!!お前の後ろに居る弱虫と共に、あの世行きだなァ…ガハハハハ!!」

 

カラータイマーの音を聞き、更に勝ち誇った顔を浮かべる3バカ。

 

直喜「か、カオスウルトラマン…」

 

カオスウルトラマン「ナオキ…お前ヲ、守ル…!!

 

カラータイマーが鳴ると、すぐに撤退を選ぶカオスウルトラマン…しかし、今の彼には『神山 直喜』を守らなければならない。例え、ウルトラマンの偽物であっても…守るべきモノは、守る……それが、今のカオスウルトラマンの使命なのだ。

 

転生者 B「死ねぇ死ねぇ!!カオスウルトラマン死ねぇ!!」ダァンッ!ダァンッ!

 

カオスウルトラマン「グワッ!?ガアッ!!

 

カオスウルトラマンの身体には、次々と弾丸が命中する。それでもカオスウルトラマンは、決して直喜の前を退こうとしなかった。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビィィイイイイイイイイッ!!

 

 

3バカに向かって黄色い光線が飛んで来た。その光線は、爆発を起こすと同時に魔方陣を出現させた。

 

ドガァァアアアアアアアアンッ!!

 

3バカ「「「どわぁぁああああああ!?」」」

 

3バカは空中に飛ばされ、地面に叩き付けられる。

 

直喜「い、今のって…『ギャラクトロン』の!?」

 

夢芽「直喜!!」

 

ちせ「直喜先輩!!」

 

光線が飛んで来た後、直喜の近くに夢芽とちせが降り立つ。

 

夢芽「って…カオスウルトラマン!?直喜に近付か無いd」

 

直喜「待って夢芽ちゃん!!カオスウルトラマンは僕を助けてくれた、カオスウルトラマンは味方だよ!!」

 

夢芽「え…そ、そうなの?」汗

 

ちせ「南さん、見てなかったんですか?カオスウルトラマンはあそこに突っ伏してるバカ3人から直喜先輩を助けてましたよ?」

 

夢芽「うっ…」汗

 

直喜の言葉を聞き、漸くカオスウルトラマンが味方であると認識した夢芽。ちせからも突かれ、ぐうの音も出なくなった。

 

カオスウルトラマン「……。」┐( ̄ヘ ̄)┌

 

思わずヤレヤレのポーズを取ったカオスウルトラマンは、一旦カオスヘッダーの姿に戻ると…再び姿を現した。カラータイマーも黄色に戻っている。

 

夢芽「それじゃ、あの3バカを成敗しよっか?」

 

ちせ「言われなくても、そうするつもりですよ。」

 

夢芽は魔法陣を複数纏わせた右腕を天に伸ばし、上空に浮かび上がって行く。その後、エネルギーを充填し始め…周囲には何やら優しく、穏やかな曲が流れ始める。

 

直喜「ゆ、夢芽ちゃん…」

 

夢芽「私ね…ウルトラ怪獣達の技が使えるの。この力、直喜を守るために使うよ。」

 

ちせ「直喜先輩、私は色んな宇宙人の力が使えるんですよ。例えば…はい、マグマサーベルに……『バロッサ星人』の力で、『ギルファス』の剣だったり、『コダイゴンジアザー』の鯛砲も出せますよ♪」

 

鯛砲『商売繁盛!!商売繁盛!!

 

ちせは『バロッサ星人』の力を使い…様々な武器を出すことができるのだ。鯛砲は『商売繁盛!!商売繁盛!!』と言いながら、3バカに襲い掛かる。

 

転生者 A「うわっ!?何なんだコイツ!?」

 

転生者 B「どわっ!?あっちいけ!!」

 

転生者 C「ば、バカこっちに投げるな!!」

 

鯛砲『商売繁盛!!商売繁盛!!商売繁盛!!商売繁盛!!

 

鯛砲に追い掛け回され、パニックになる3バカ。

 

ちせ「南さん、今っす!!」

 

夢芽「うんっ!!」

 

夢芽は胸の前にエネルギー光球を作り出すと…そこから破壊光線を放った。カオスウルトラマンも、『ダーキングショット』を発射し…3バカを大爆発へと包んでいった。

 

ちせ「ぃよしっ!!」

 

鯛砲『商売繁盛!!商売繁盛!!』

 

ちせが召喚した鯛砲は、主であるちせの元に戻って来た。やがて、爆風が晴れると…ボロ雑巾と化した3バカが戦闘不能になっていた。

 

直喜「ありがとう夢芽ちゃん、ちせちゃん、カオスウルトラマン!!」

 

助けてくれた3人にお礼を言う直喜。

 

夢芽「ううん、気にしないで♪」

 

ちせ「ガウマ隊長の訓練をサボ…じゃなくて、休んで正解でしたね♪」

 

夢芽「でも、そろそろ戻らないとね…またね、直喜♪」

 

夢芽はダイナウイングを召喚し、ちせと共に乗り込むと…どこかへ飛び去って行った。

 

直喜「あっ、カオスウルトラマン…大丈夫?」

 

カオスウルトラマン「……。」

 

『私は不死身…だから大丈夫だ。』

 

カオスウルトラマンの言葉に、ホッとする直喜。その後、直喜はカオスウルトラマンに付き添われ…無事に自宅マンションにたどり着くことができた。彼を送り届けたカオスウルトラマンは、カオスヘッダーとなってどこかへ飛び去って行くのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第55話 助けたいって、なに?

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


転生者 C「おい!!何で神山を撃たなかったんだ!?」

 

転生者 B「仕方ねぇだろ!!カオスウルトラマンが邪魔すんだからよぉ!!」

 

転生者 A「そんなのどうにかしてやりゃあ良いだろうが!!」

 

転生者 B「だったら、お前だったらできたのかよ!?神山をスムーズに殺せたのかよ、なぁ!?」

 

またも直喜の殺害に失敗し、揉めに揉める3バカ。そんな彼らに…レディベンゼン星人から指令が降された。

 

 

転生者 A「おっ?千葉県の田園地帯にある鉄塔に行け?」

 

 

スマホを見ると、指定された場所に行けとの指示が書かれたメッセージがあった。

 

ベンゼン星人「おーい!ドジなお前らの為に、ロベルガーで迎えに来てやったぞぉ!!」

 

その時、円盤形態となったロベルガーに乗ったベンゼン星人がやって来る。

 

転生者 B「おいお前…俺達にもソイツ使わせろよ。」

 

ベンゼン星人「うーん…それはできない相談だな。だってお前ら、怪獣を全然使いこなせてないぢゃん…」

 

ベンゼン星人の言葉を聞き、都合が悪くなったのか黙り込む3バカ。

 

ベンゼン星人「さぁ乗れ乗れ!!」

 

ロベルガーが3バカを吸収したことで、田園地帯へと向かうベンゼン星人。

 

ベンゼン星人(まずはコイツらが怪獣を使いこなせなきゃなぁ…全く、世話の焼ける奴らだぜ。)

 

 

 

 

 

人気の無い場所で降ろしたロベルガーは、ベンゼン星人を乗せたまま、何処かへ飛び去って行った。

 

転生者 A「おいおい、こんなとこに怪獣なんているのk……あ。」

 

転生者 B「あ。」

 

転生者 C「あ。」

 

3バカの視線の先には…怪獣(ヤツ)がいた。鉄塔に、セミの如く掴まってじっとしている…胸部に目の無い顔を持つ、腕の無い二等身体型の小さな怪獣だ。そこには、人だかりができており…皆、珍しいモノを見たような目をしている。

 

警官「あの集まっちゃうと危ないんで、ちょっと下がってください。」

 

警官が人々の対応をするも…周囲の人は余計集まってくるだけだった。怪獣は眠いのか、欠伸をすると…昼寝を始めた。

 

転生者 B「おい、アイツ寝たぞ…」汗

 

転生者 C「バカッ、操るなら今がチャンスだろ…!」

 

転生者 A「取りあえず、隠れるぞ。」

 

3バカは茂みの中に身を潜めると……

 

 

「「「インスタンス・ベンゼネーション…!!」」」

 

 

手の指をぴったりと付けて怪獣に向かって腕を伸ばし、中指と薬指の間で開きながら両面を赤く光らせた。すると、さっきまで眠っていた怪獣の目が赤く光り…

 

ゴゴゴゴゴーーッ!!

 

怪獣「ギャオオォォッ!!」

 

身長60m程に巨大化し、咆哮を上げた。そして、頭部にあるアンテナのような部分から光の輪を放つと…周囲に爆発が発生した。突如巨大化し、狂暴になった怪獣に…人々は悲鳴を上げながら逃げ惑う。

 

転生者 B「へへっ、滑稽だぜ。」

 

転生者 A「これ、どうやって操るんだ?」

 

転生者 C「いや、既に操ってんだろ。…てか、さっきの爆発どうするんだ?」

 

コイツらは、“一応”怪獣使いであるが…未だに怪獣を上手く使いこなせずにいる。

 

転生者 C「と、とにかく爆発しろ!!」

 

Cがそう叫ぶと、怪獣はアンテナから光の粒子を放つ。それは周辺で爆発を起こした。

 

転生者 C「これ、何だ…怪獣に叫べば良いのか?動け!!歩け!!」

 

転生者 B「おい、全然動かねぇぞ。」

 

転生者 C「お、おい!!お前らも何とかしろよ!!」

 

転生者 A「やってるよ!!やってるけど……あっ、おいこら!!踊るな!!踊るなって!!」アセアセ

 

3バカが操る怪獣『バーナドドン』は…片足立ちでケンケンしながら、踊るようにフラフラしている。

 

転生者 B「俺達の力を集結させるぞ!!せーの!!」

 

転生者 C「あっ、おい待てって!!」

 

転生者 A「急に指示出すんじゃねぇよ!!」

 

相変わらず連携の悪さが目立つ3バカ。そして、バーナドドンはとうとう転倒してしまった。その後、起き上がり様に再び光の粒子を放ち、周囲に爆発を起こし始めた。そこに、ガウマ隊が操る4機のメカがやって来る。

 

転生者 A「おい!!ダイナゼノンが来ちまったぞ!!どーすんだよ!?」

 

転生者 B「とにかく、怪獣を立たせろ!!」

 

転生者 C「よし、立ったぞ…って、また踊り出したぞ!!おい大人しくしろ!!」

 

どうにかバーナドドンを立たせることに成功した3バカ…しかし、バーナドドンは何故かまた踊り始めた。

 

 

蓬『お、踊ってる…?』汗

 

夢芽『でも、攻撃するなら…』

 

ガウマ『あぁ、今がチャンスだ!!行くぞ!!』

 

4機のメカは、踊り始めるバーナドドンに攻撃を仕掛ける。ダイバーとウイングとストライカーがミサイルやエネルギー弾を撃ち、ソルジャーが肉弾戦を挑むべくバーナドドンに接近する。すると…

 

バーナドドン「ギャオオォォッ!!」キラァッ……ズドドドドドドドォォオオオオオオオオオオンッ!!

 

バーナドドンは頭部のアンテナから光の粒子を飛ばし、周囲に爆発を起こす。

 

蓬『うわっ!?あっぶね…!!』

 

さらに、光の粒子を放つバーナドドンは…ソルジャーとストライカーとダイバーを爆発の嵐へと包んでいく。

 

ガウマ隊『うわぁっ!?』『ぐっ!!』『ッ!?』

 

夢芽『全然近付けない…!』

 

ガウマ『めちゃくちゃ厄介な力持ってる怪獣だな…!!こうなったら、合体して』

 

暦『ちょっと待ってください…あの怪獣、何だか様子がおかしいです。』

 

ガウマ『どういうことだよ?』

 

暦『何といいますか…その……何かに抵抗しているような気がするんですよ。それに、こっちを襲って来ようとしてないですし…』

 

暦の言葉を聞いたガウマ達は、バーナドドンの様子を伺う。確かにこっちを襲って来ようとしていない…それどころか、踊っている様子はまるで何かに抗おうとしているように見えた。

 

 

 

転生者 C「くっそ…おい動け!!ダイナウイングを落として夢芽を連れてこい!!」ギロッ!!

 

Cは目を光らせ、バーナドドンを操ろうとする。

 

バーナドドン「ギャオオォォッ!!ギャオオォォッ!!」

 

バーナドドンは顔を横に振りながら、まるで『嫌だ!!嫌だ!!』と言うように咆哮を上げる。

 

オニジャ「おいてめぇら!!何してんだ!?」

 

そこに、怪獣優生思想の4人がやって来る。

 

ムジナ「怪獣を操ってたのは、やっぱりアンタ達だったんだね?」

 

直喜「えっ…え、A君にB先輩、それにC君まで…!!」

 

怪獣優生思想の後ろからは、直喜が出てきて…言葉を失っていた。

 

転生者 A「おっ、獲物が自ら火に飛び込んで来やがったか。」

 

ジュウガ「させません。」

 

ジュウガが直喜の前に立ち、彼を守る。

 

転生者 B「ふん…ならば死ね。」

 

Bは拳銃のハンマーを起こし、引き金に人差し指を添えた。だか、その瞬間……

 

シュルッ!!バシィッ!!

 

転生者 B「何!?」

 

シズム「お前の好きにはさせないし…お前らのような雑魚に、俺達のベストフレンドは殺させない。」

 

シズムの隣には、円盤形態のシルバーブルーメがいて…触手でBの手から拳銃をはたき落とし、その直後に拳銃を飲み込んでしまった。

 

直喜(あの怪獣……もしかして、助けて欲しいんじゃ…)

 

バーナドドンを見ると、赤く光る目のようなコアから涙を流しているのが見えた。

 

直喜「ね、ねぇ…何で……何で、こんな事をするの…?」

 

やっとのことで、3バカに問い詰める直喜。

 

転生者 A「てめぇには関係ねぇって言いてぇとこだが…特別に教えてやるよ。」

 

直喜の問い詰めに、3バカを代表したAは…悪びれも無く、ペラペラと話し始める。

 

 

 

転生者 A「俺達はなぁ、六花達をてめぇの魔の手から救うために怪獣を操ってんだよ。てめぇのせいで、俺達は六花を…アカネを…夢芽をちせを抱けねぇんだ!!ムジナだって抱けねぇ!!全部全部、てめぇのせいなんだよ!!あの怪獣だってなぁ、てめぇをぶっ殺すための道具に過ぎねぇんだよ、ギャハハハ!!

 

半狂乱で叫ぶAは、もはやまともではない。怪獣を操る理由は、あまりにも身勝手極まりないモノだった。

 

直喜「そ、そんな……」

 

転生者 B「怪獣が死んだって、代わりはいくらでもいる!!死んだら死んだで役に立たなかったって証だしなぁwww

 

転生者 C「怪獣なんてこの世界にとっては害悪!!それを操って人間界から切り離す俺達は正義なんだよぉ!!wwwwww

 

クズ中のクズ発言をしながら、汚い声で笑う3バカ。

 

オニジャ「コイツら許せねぇ…直喜、コイツらは俺達に任せろ!!」

 

直喜「えっ!?で、でも…」

 

ジュウガ「大丈夫です。俺達は格闘戦が得意なので…その代わり、直喜はあの怪獣を止めてください!!」

 

ムジナ「さぁて…覚悟、できてる?」

 

シズム「直喜の優しさを汲み取って、殺さないであげる…でも、殺すつもりでお前達を潰すから……」

 

直喜が怪獣とダイナゼノンの元へ向かったと同時に、怪獣優生思想は3バカ目掛けて走り出し、持ち前の身体能力を発揮し…3バカをボコボコのギタギタにする。

 

直喜「…!!」ザッ…

直喜(ねぇゼアス…狂暴になった怪獣を落ち着かせる技ってある?)

 

ゼアス(ううん、今は無いんだ…)

 

直喜(無い……あっ、そうだ…僕に考えがあるんだ。ゼアス、協力してくれる?)

 

ゼアス(もちろんさ!!)

 

直喜(ありがとう、ゼアス…)

 

 

 

 

ガウマ『くそ…どうすりゃ良いんだ?』

 

ガウマ隊はダイナゼノンとなってバーナドドンに向かおうとするも…周辺で発生する爆発のせいで、中々接近できなかった。その時、ダイナゼノンの右隣に……眩く、温かい光が現れると…

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

光の巨人『ウルトラマンゼアス』が君臨した。

 

暦『ウルトラマンゼアス…!!』

 

蓬『ゼアスが来てくれた!!』

 

夢芽『良いとこで来てくれるじゃん♪』

 

ガウマ『よし、ウルトラマンがいりゃあ…100人力…いや、1000人力だぁ!!』

 

ゼアスの登場に、次第に安心感を覚え始めるガウマ隊。すると…ゼアスは腕を正面でクロスし、ガッツポーズのような構えを取った。その直後……

 

ガウマ『ぬおっ!?な、なんだこりゃ!?』

 

ゼアスを中心に…ダイナゼノンとバーナドドンが黄金色の輝きを放つ幻想的な空間へと包まれた。ゼアスは『ウルトラストレッチ』を繰り出し、亜空間を作り出したのだ。

 

バーナドドン「ギャオオォォッ!!」キラァッ……

 

バーナドドンは頭部のアンテナから、光の粒子を出した。

 

ガウマ『ヤバイッ!!』

 

ダイナゼノンはガードの構えを取るが、ゼアスは何もしなかった。

 

蓬『あれ…爆発が来ませんよ?』

 

ゼアスが作り出した亜空間の中にいるせいか…バーナドドンの放った粒子は、爆発を起こさない。

 

夢芽『攻撃するなら、今しか無いです…!』

 

ガウマ『よし、行くぜウルトラマン!!』

 

ゼアスと共にバーナドドンに接近していくダイナゼノン。まず、ゼアスが掴んだバーナドドンを…ダイナゼノンが飛び蹴りを浴びせる。

 

バーナドドン「ギャオオォォッ!!」ドドォォオオオオオオオッ!!

 

地面に倒れたバーナドドンの目を、ゼアスは見る。

 

ゼアス(あの怪獣…『ベンゼン成分』のせいで操られているんだ!!あれを取り除けば…助けられる!!)

 

直喜(僕も、あの怪獣を助けたい…!!いや、助けるんだ!!)

 

すると、バーナドドンは起き上がり…ゼアスに咆哮を上げた。

 

ガウマ『ウルトラマンを援護するぞ!!』

 

ダイナゼノンはバーナドドン目掛けてミサイルを放とうとする。その時…

 

 

ゼアス「!!」

 

 

ゼアスがバーナドドンの前に立ち、ジェスチャーで『撃たないで!!』とダイナゼノンに訴える。

 

ガウマ『おいおい、倒さなくて良いのか?』

 

暦『一体何を…?』

 

戸惑うガウマ隊を背に…バーナドドンをじっと見つめるゼアス。

 

バーナドドン「ギャオオォォッ!!ギャオオォォッ!!」

 

バーナドドンの赤く光る目のようなコアからは、大粒の涙が流れ落ちている。

 

バーナドドン(お願い助けて!!ウルトラマン、僕を助けて!!)

 

ゼアス「…。」コクッ…

 

頭頂部の角、耳、そして黄色い光を放つ目で…ベンゼン成分によって苦しむバーナドドンの声を聞き取ったゼアスは……両腕を天に掲げると、まるで何かを大切に抱えるようにゆっくりと胸の前に降ろす。そして、両手をゆっくりと前に突き出し…乳白色に輝く、眩く温かい光をバーナドドン目掛けて放った。光が晴れると…

 

バーナドドン「キャオオォォッ!♪」ピョンッ!ピョンッ!

 

元の大きさに戻ったバーナドドンが、まるで『ありがとう!!』と言っているように元気に跳ねていた。

 

蓬『す、スゴい…あんなに狂暴になった怪獣が…!!』

 

暦『元に、戻った…!』

 

夢芽『流石だね、直喜の大好きなウルトラマン♪』

 

ガウマ『あぁ…ウルトラマンって、ホントすげぇよ!!』

 

ゼアスと直喜の『怪獣を助けたい』という思いが、奇跡を起こしたのだった。元に戻ったバーナドドンを大事に抱えたゼアスは…

 

ゼアス「ジュアッ!!」ピカァァアアアアアアッ!!

 

黄色い複眼を光らせ、ダイナゼノンとバーナドドンと共に…元の世界へ帰って行った。

 

 

 

オニジャ「おっ!!ゼアスが戻ってきたぞ!!」

 

ジュウガ「あの怪獣…!!」

 

ムジナ「スゴいスゴい!!元に戻ったんだ!!」

 

シズム「直喜…ウルトラマンって、スゴいね。」

 

怪獣優生思想の前には、ボロ雑巾と化した3バカが転がっていた。

 

直喜(えっと…この怪獣、どうしよう……)汗

 

ゼアス(うーん…お家が分からないからなぁ……)汗

 

ゼアスの手の中でスヤスヤ眠るバーナドドンをどうするか…直喜とゼアスは困っていた。すると…

 

オニジャ「おーいゼアスゥー!!その怪獣、俺達が面倒見るから!!安心してくれェー!!」

 

…と、オニジャがゼアスに呼び掛けた。

 

直喜(ありがとう、オニジャ君…!)

 

ゼアス(彼らなら、この怪獣も安心できるね!)

 

ゼアスは怪獣優生思想の4人に歩み寄ると、バーナドドンを降ろした。ムジナがバーナドドンを抱き抱えた。

 

ムジナ「この子可愛すぎ♪」

 

ジュウガ「そうでもな……いえ、少し分かる気がします。」

 

シズム「名前、どうしようか?」

 

オニジャ「うーん…ポチなんてどうだ?」

 

ムジナ「それじゃあ犬みたいじゃん。」汗

 

オニジャ「おっ、そっか…なら、ミーはどうだ?それかミケ!!」

 

ジュウガ「それでは猫になっちゃいますよ…」汗

 

オニジャ「ぐぬぬ…直喜に決めて貰うか。」

 

このバーナドドンにどんな名前をつけようか、頭を悩ます怪獣優生思想。それを見て、ゆっくりと頷くゼアス。

 

 

ガウマ『な、なぁウルトラマン…!!』

 

ゼアス「…?」

 

 

そんなゼアスに、ダイナゼノンに乗ったガウマが緊張した様子で話し掛けて来た。

 

ガウマ『さ…サインくれねぇか!?』

 

ゼアス「!?」汗

直喜&ゼアス((えっ!?))

 

蓬『が、ガウマさん!!ゼアスが困ってますって…!!』

 

暦『握手なら、良いかもしれませんね…』汗

 

夢芽『サインなら、いつでも貰えますって…ゼアスに逢えればの話ですけど…』

 

ガウマ『お、おう…そうだな……という訳で、握手してくれウルトラマン!!』

 

困惑しながらも、ダイナゼノンと握手を交わしたゼアス。その様子を、テレビ局の人達が見ていた。

 

 

レポーター「こちら現場です!狂暴な怪獣から、地球を守ってくれたヒーロー達が…今、握手を交わしています!!すみませーん!!貴方方のお名前は!?」

 

 

レポーターはダイナゼノンとゼアスにマイクを向けた。

 

ガウマ『えっ…が、合体竜人・ダイナゼノンだ!!』

 

夢芽『こっちはウルトラマンゼアスです。』

 

レポーター「へっ…う、ウルトラマン!?な、何ということでしょう!!この赤い巨人は、あの『ウルトラマン』でありました!!以前は、フジヨキ台に来てくれましたよね!?」

 

この世界でも、『ウルトラマン』は有名であり…本物のゼアスを目の当たりにしたレポーターもカメラマンも記者達も、目を輝かせていた。

 

ガウマ『な、何か俺達…知名度低くね?』汗

 

蓬『普通が一番ですよ、ガウマさん…』汗

 

何やらガウマ隊はボソボソと話をしているが……ゼアスは燃えている野原や木々を、ゼアスキャンで元の緑豊かな自然風景へと戻した。そして、上空を見上げると…

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

快晴の大空へ、飛び立って行った。

 

 

 

 

直喜(ゼアス、あの怪獣…助けられたね!!)

 

ゼアス(直喜君の『助けたい』っていう優しさが届いたんだよ。ありがとう!!)

 

戦いを終え、テレパシーでゼアスと会話をする直喜。そこに…

 

オニジャ「おーい!!」

 

怪獣優生思想の4人がやって来た。ムジナに抱かれたバーナドドンは、ぐっすり眠っている。

 

直喜「み、皆…!!」

 

ジュウガ「この怪獣、今はすっかり眠ってます。」

 

ムジナ「ねぇねぇ、この怪獣の名前…直喜がつけてくれないかな?」

 

シズム「俺達も考えたんだけど…良いのが思い浮かばなかったんだ。」

 

ムジナ「オニジャ、センス無さすぎ。」

 

オニジャ「し、仕方ねぇだろ…!?」汗

 

直喜「あっ、そうだ…ゼアスはピカリの国出身……この怪獣はゼアスに助けられたから…『ピカリ』って名前なんてどうかな?」

 

ジュウガ「ピカリ…良い響きですね。」

 

オニジャ「流石俺達のベストフレンドだぜ!!」

 

直喜により、このバーナドドンは『ピカリ』と命名されたのだった。

 

シズム「オニジャもさ、直喜を見習ったらどう?」

 

ムジナ「それ私も思った!直喜は優しいしセンスも良い、はたまた想像力も豊かだし♪」

 

オニジャ「お前ら流石に言い過ぎじゃねぇか…?」汗

 

直喜「あ、あははは……」(苦笑)




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第56話 怪獣酒場って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


ある日の休日……

 

 

六花「フフッ、直喜とウルフェスかぁ…嬉しいな~♪」

 

直喜「そ、そう…?」

 

この日は、ウルトラマンファンにとって…つまり、直喜にとってのビッグイベント『ウルトラマンフェスティバル』の日だった。

 

隆也「直喜ィ!!」

 

そこに、直喜の親友『阿部 隆也』がやって来た。

 

直喜「隆也君!!あっ、六花ちゃん、紹介するよ。ぼ、僕の友達の『阿部 隆也』君。隆也君、僕の友達でクラスメイトの『宝多 六花』ちゃんだよ?」

 

六花「初めまして、宝多 六花です。直喜がいつもお世話になってます。」

 

隆也「いやお母さんか!?あっ、失礼…俺は『阿部 隆也』です!!初めまして!!」

 

六花の自己紹介に思わずツッコミを入れた隆也だが…慌てて訂正し、元気ハツラツな自己紹介をした。何故こうなったのかというと……

 

 

 

【~回想~】

 

それは、ウルフェス前日の夜のこと……

 

直喜「あっ、もしもし隆也君?」

 

隆也『おう直喜!!どうした?』

 

直喜「明日のウルフェスなんだけど…」

 

隆也『おん。』

 

直喜「ぼ、僕の友達でクラスメイトの人が一緒に来るんだけど…だ、大丈夫かな?」

 

隆也『あぁ全然大丈夫だぜ!んで、誰が来るんだ?』

 

直喜「えっとね…り、六花ちゃん。」

 

隆也『それって、前に直喜が話してた…』

 

直喜「そうそう。」

 

こうして、ウルフェスに六花が来ることを納得した隆也。

 

【~回想終了~】

 

 

 

そして、今に至る。

 

直喜「そ、それじゃあ行こう!!」

 

六花「は~い♪」

 

隆也「おう!!」

 

直喜を先頭に、ウルフェス会場へ入っていく六花と隆也。

 

六花「へぇ~、色んなのがあるね。隆也君もさ、直喜と一緒に教えてよ。オススメのスポットとかさ?」

 

隆也「そうだな~…あっ、あそこだな。なぁ直喜。」

 

直喜「うん!あそこだね!!それじゃあ案内するよ!!」

 

直喜と隆也に案内された場所…それは……

 

 

直喜「ここだよ。」

 

六花「わぁ、これってアボラスだよね?」

 

隆也「そうそう。ちなみにここは、『スペシウム光線』コーナー。SNSでもかなりバズってるんだ。」

 

それは、ウルトラマンファン達の間ではかなり有名なスポット『スペシウム光線コーナー』である。白目を向いている怪獣アボラスがおり、近くには『今だ、スペシウム光線を撃つんだ!』と書かれた立て札が置いてある。説明を見てみると…

 

“はるか彼方遠い宇宙にあるブラックホールが大爆発を起こし、このウルフェス会場に怪獣軍団を出現させてしまったのだ。さあ、腕を十字に組んだら、暴れるアボラスにむけて“スペシウム光線”を発射だ!”

 

…と、書かれている。

 

直喜「それじゃあ隆也君、お手本を。」

 

隆也「よっしゃあ!!」

 

隆也は持ち場にスタンバイすると、腕を十字に組んだ。そんな彼を、スマホで撮影する直喜。

 

六花「へぇ~、こんな感じになるんだ。」

 

直喜「そうそう。」

 

隆也「どんな感じだ?おっ、結構上手く撮れてるじゃねぇか。」

 

スペシウム光線の発射ポーズをする隆也は、楽しそうな顔をしていた。次に隆也がスペシウム光線のポーズをする直喜を撮影したのだが…直喜は真剣な顔をしている。

 

隆也「様になってるなぁ!!」

 

六花(ホントだね、直喜カッコ良すぎだって♪)

 

隆也が撮影した写真を見て微笑む六花。

 

隆也「直喜、夏休みの宿題やってるか?」

 

直喜「あ…まだ……」

 

隆也「俺もまだやってねぇwww」

 

直喜「えぇ!?www」

 

隆也の言葉に、思わず笑う直喜。

 

隆也「あっ、六花さん楽しんでる?」

 

六花「うん、おかげさまで。」

六花(何か、アカネがヤキモチ妬く理由が分かったかも…)

 

隆也と楽しそうに話す直喜を見た六花は…少しヤキモチを妬いていた。

 

 

 

 

 

なみこ「おっ、六花と直喜はっけ~ん♪」

 

はっす「尾行ナウ~♪」

 

 

今回のウルフェスには、なみことはっすも来ており…直喜達の尾行が目的である。

 

はっす「なみこ、ウチらもあれやってみない?」

 

なみこ「やるやる!ウルトラマンになった気分になれるもんね♪あっ、直喜達移動した。」

 

直喜達が場所を移動したタイミングで、なみことはっすもスペシウム光線コーナーで写真撮影をした。ちなみに、はっすは動画で配信(施設関係者からは許可を得ている)もしたのだった。

 

 

 

今回のウルフェスになみことはっすが来ていることを知らない直喜は……

 

直喜「隆也君、左左!!」

 

隆也「うおっとぉ!?」

 

直喜「六花ちゃん右!!」

 

六花「OK!!」

 

ウルフェスのアトラクションの一つ『モンスターシューター』を楽しんでいた。銃を使ったシューティングゲームであり、最大4人まで遊ぶことができる。映像に怪獣や悪質宇宙人が現れ、撃つと点数を獲得できる。ちなみに、ウルトラマンを撃ってしまうと、減点である。制限時間は3分、その間にどれだけ多くの怪獣達を倒せるかを競うのだ。

 

直喜「次はラッシュだよ…僕は真ん中を担当しても良いかな?」

 

隆也「むしろ直喜が一番適任だって。俺は左担当。」

 

六花「私は右を担当する。直喜、ピンチになったらいつでも言ってね?」

 

ポジションとして…真ん中に直喜、左に隆也、右に六花である。そして、ラッシュが始まり多くの怪獣や宇宙人達が出てくる。真ん中にいる直喜の指示は的確で、3人は史上最高得点を獲得することができた。

 

隆也「おいおい…100万点だってよ!!俺が以前来たときは2万程度しか取れなかったぞ!?」

 

六花「それは隆也君1人だったからじゃ…?」汗

 

隆也「あっ、そうだった。ちなみに直喜は、9万点も取ったんだぜ?スゴくね?」

 

直喜「あ、あははは…あれは、まぐれだって……」(苦笑)

 

隆也の言葉に、苦笑いする直喜。ウルトラマンFENをやっているため、ゲームがとても上手く…このゲームでは、現状トップに君臨しているのだ。彼の記録を破った者は、誰もいない。

 

六花「スゴいじゃん直喜~♪自信持ちなよ♪」

 

六花は直喜をべた褒めし、頭を撫でている。

 

隆也(おぉ……直喜が言った通り、ホントにお母さんみてぇだな……)汗

 

まるで我が子を可愛がるような光景に、隆也は困惑していた。

 

 

 

直喜達が移動すると、なみことはっすもシューティングゲームをやる。

 

なみこ「うひゃあっ!?めっちゃ怪獣出てくるじゃん!?」

 

はっす「うぅ…このゲーム、ウチには向いてないかも……」

 

2人プレイで遊んだ彼女達の点数は…5000点と、ボロボロだった。

 

 

 

時刻は11:30……もうすぐお昼である。

 

直喜「そうだ…隆也君、六花ちゃんをあのお店に案内したい。」

 

隆也「おっ、良いねぇ。あそこだろ?」

 

六花「えっ、何々怖いんだけど…」汗

 

直喜「大丈夫だよ。」

 

隆也「まぁまぁ、着いてきてよ?」

 

直喜と隆也に誘われた場所とは……

 

 

 

 

 

 

六花「ここって…居酒屋……?」

 

 

それは、如何にも『居酒屋』と書かれた店だった。もう1度言おう…『居酒屋』と書かれている店だ。

 

直喜「ここはね、『怪獣酒場』って言うお店なんだ。」

 

隆也「ここの大将が面白いんだよな。後、料理も美味いんだぜ?ちなみに、俺と直喜は常連さ!」

 

そこは、『怪獣酒場』であり…ウルトラ作品に登場する怪獣をネタにした料理が提供される、ウルトラマンファンにはうってつけの店である。直喜と隆也は常連となっており、ここで多くのウルトラマンファン達と知り合ってきた。店に入ると……

 

 

ダダ「いらっしゃい!おっ、直喜様と隆也様ではありませんか。今日も来てくれてありがとうございます!!」

 

 

三面怪人『ダダ』が彼らを出迎えた。

 

ダダ「おやっ、今日は可愛らしいお嬢さんとご一緒ですね。」

 

直喜「はい、僕の友達でクラスメイトの宝多 六花ちゃんです。」

 

六花「た、宝多 六花です…」汗

 

ダダ「六花様ですね、初めまして。私はここでアルバイトをしている『ダダ』と申します。怪獣酒場にようこそおいでくださいました!」

 

想像以上の展開に、困惑する六花。ダダは3人をいつもの席に案内した。そこは、カウンター席であった。

 

ゼットン「おっ、可愛いお嬢さんじゃないか!」

 

やって来たのは宇宙恐竜『ゼットン』だ。初代ウルトラマンを圧倒し、最強怪獣との異名を持っている恐ろしいヤツだ。だが、ここでのゼットンは温厚であり…直喜と隆也と六花におしぼりと水を運んできた。

 

ダダ「本当に可愛らしいお客様で、眩しいですねぇ♪」

 

???「こらこら、ダダ君にゼットン君…相手はお客様なんだぞ?失礼の無いように。」

 

そこへ、首から下は地球人に近いが、目は左右の位置がズレており、違う方向を向く事ができるほか、後頭部左側にも第三の目があるという不気味な見た目をしている宇宙人が姿を現した。

 

六花「えぇっ!?け、ケムール人!?」汗

 

ケムール人「おや、私のことを存知ていただけて嬉しいです。如何にも、私はここ『怪獣酒場』のチーフをしております『ケムール人』です。よろしくお願いいたします。」

 

その正体は、誘拐宇宙人との別名がある宇宙人『ケムール人』だ。注文を済ませた後、直喜と隆也は六花に怪獣酒場について教えることに……

 

直喜「ここの怪獣酒場はね…ウルフェスにいる怪獣達が来る憩いの場でもあるんだ。」

 

隆也「怪獣だけじゃなくて、にせウルトラ戦士とかベリアルやトレギアといった闇の戦士もたまに来る。」

 

六花「へぇ~、そうなんだ。」

 

話しているうちに、注文した料理が届いた。直喜が頼んだのは、怪獣酒場に来たら必ず食べる『ツインテール天丼』だ。隆也は『バードン唐揚げ定食』、六花は『レイキュバス海鮮アヒージョ』を注文した。

 

直喜「うん、やっぱり美味しい。」

 

隆也「直喜、俺の唐揚げ1個と天ぷら1個交換しねぇか?」

 

直喜「良いよ。この唐揚げも美味しいね。」

 

隆也「確かに、こっちの天ぷらも美味いや。」

 

直喜「六花ちゃんも1つどう?」

 

六花「ありがとう直喜♪それじゃあ…」

 

六花はパンを棒に刺し、アヒージョをつけると……

 

 

 

 

 

六花「はい、あ~ん♪」

 

 

俗に言う『あーん』を直喜にした。直喜は恥ずかしがったが…空気を読み(?)、六花からのあーんを素直に受けた。

 

隆也「ふぅ~♪熱いなぁ♪」

 

顔を真っ赤にする直喜を少しからかいながら、隆也は優しく見守っていた。

 

ケムール人「おぉ…直喜様、青春してますねぇ。」

 

ダダ「なんだか、羨ましいですねぇ…」

 

ゼットン「絶世の美女からあーんされるの…憧れる……」

 

六花からあーん攻撃を受けた直喜を、羨ましがったり優しく見守る怪獣酒場の店員達……

 

 

なみこ「お~、六花さん大胆♪」

 

はっす「撮影もOK♪」

 

 

遠くでは、いつの間にか入店していたなみことはっすが悪戯な笑みを見せていた。

 

 

六花「んもぅ、直喜ったら…可愛い♪」

 

恥ずかしそうにする直喜に、母親のように優しく微笑む六花だが……

 

 

 

 

 

 

六花(あわわわやっちゃったぁ~!!何考えてんの、私のバカバカ!!///)

 

心の中では、先程の行動を後悔し…アタフタしながら自分を責めてしまうのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第57話 プレゼントって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


ウルフェスを満喫した直喜は隆也と別れ、六花と帰路を歩いていた。

 

六花「直喜、楽しかったね♪」

 

直喜「そうだね!…って、六花ちゃんも楽しめた?」

 

六花「もちろん♪直喜と一緒なら、どこだって楽しいよ♪」

 

直喜と会話しているうちに、直喜の自宅マンションに到着した。

 

六花(あ~あ、もう着いちゃったか……直喜との時間、あっという間だなぁ……)

 

直喜と会話しているうちに、いつの間にか直喜の自宅マンションに到着していた。

 

直喜「じゃあ、六花ちゃん…今日はありがとう。」

 

六花「あっ、待って直喜!」

 

六花は鞄に右手を入れ、何かを取り出すと…それを直喜に渡す。

 

 

六花「これ、私から直喜にプレゼント♪」

 

 

直喜「これ、なn…って、えぇっ!?う、嘘!?これって……ウルトラレプリカの…!!」

 

 

六花が直喜に渡したのは、とあるネットショッピングで限定販売されている物『ウルトラレプリカ』の『ベーターカプセル』であった。値段は高いが、非常に人気な商品であるため…今では入手が困難になっているのだ。

 

六花「直喜と遊びにいったあのプールでさ、大会があったじゃん?」

 

直喜「う、うん…」

 

六花「あの時の優勝賞金で買ったんだ♪丁度最後の1つだったから…」

 

直喜「そ、そうだったんだ…でも、こんな豪華な物…受け取れないよ……僕、六花ちゃんに何もプレゼントできてないし……」

 

六花「ううん、そんな事無いよ。」

 

直喜「…えっ?」

 

六花は直喜の目を真っ直ぐ見つめながら、こう言った。

 

 

 

 

六花「困っている人がいたら、真っ先に駆け付けて手を差し伸べる…そんな直喜の優しさと勇気を見るとさ、私も勇気が貰えるんだ♪それに、直喜を見ると癒されるし…なみことはっすも言ってたよ?『直喜と一緒にいると、いつも楽しい』って…だからさ、これは私からの些細な気持ち。受け取ってくれるかな?」

 

 

直喜「…ほ、本当に…貰っちゃって、良いの…?」

 

六花「うん、貰っちゃって♪」

 

直喜は六花から、ウルトラレプリカのベーターカプセルを受け取った。そんな彼らの元に……

 

 

 

転生者 C「んがぁぁああああ!!

 

 

 

気が狂ったように叫ぶCが現れた。

 

転生者 C「神山ァ…てめぇ六花からプレゼント貰いやがって!!俺に寄越せぇ!!」

 

そして、狂乱状態で直喜に向かって走ってくる。

 

六花「直喜に近付かないで!!」バッ!!

 

転生者 C「ぬおっ!?り、六花ァ…!!」

 

六花は右手を前に突き出し、『ウルトラ念力』でCを宙に浮かせる。その後、Cの身体を勢いよく地面に叩き付けた。

 

転生者 C「がはぁっ!!」ドサァッ!!

 

六花「直喜、家に入ってて!!コイツは私が追い払うから!!」

 

直喜「り、六花ちゃん…」

 

六花「大丈夫!私を信じて?」

 

六花の言葉を信じることにした直喜は、自宅マンションへと避難した。

 

転生者 C「フヒヒヒ…神山の奴、ビビって逃げやがったか…みっともねぇなぁ、みっともねぇなぁおい?」

 

六花「は?アンタの方がよっぽどみっともないじゃん。

 

転生者 C「…は?」汗

 

驚くCに、六花は冷たい視線を向けながらこう言い放つ。

 

 

 

六花「アンタさ、前に直喜にこう言ってたよね?

 

求めてばかりいて、自分では何も生み出せないって……

 

それって、アンタのことじゃん?

 

他人を蹴落としてまで欲しいモノを求めて求めて……

 

 

でさ、アンタは周りに何を与えたの?

 

転生者 C「……。」

 

六花の言葉に、黙り込むC。

 

六花「ほらね、そーゆーところ…

 

自分じゃ何も生み出せない証だよ。

 

人にとやかく言う前にさ…

 

自分の今までの愚行を見つめ直したらどう?

 

転生者 C「……ッ!!」

 

図星を突かれ、とうとう表情を青ざめたC。それもそのはず……

 

 

 

彼は自分の推しのヒロインが自分のモノにならないと気が済まず、ヒロインを手に入れるためなら…手段を選ばない。今まで数々のヒロイン達を、我が手中に納め…優越感に浸っていた。ヒロイン達から奉仕され、己の欲望をさらけ出していた。しかし……ありのままの自分に尽くしてくれるヒロイン達に対して、感謝1つするどころか…プレゼントをすることも無かった。

 

 

 

所詮は求めてばかりで…

 

自分は何も生み出せない…

 

 

 

誰かに与えない者は、いつか誰からも貰えなくなる…欲しがってばかりいる彼は、何も持っていないのと同じ…自分では何も生み出せないから、誰かに何も与えられない……

 

皮肉にも、直喜を罵倒するために言い放った言葉が…まるでブーメランのように、そのまま自分に返ってきた…今の彼には、お似合いの言葉だ。

 

 

転生者 C「…ッ!!」

 

六花「何か言い残すこと無いの?ま、あっても言わせないけど…ふっ、はぁぁああああ……!!」

 

六花は右腕を天に掲げると同時に、左腕を胸の辺りに持ってくると…左腕を前に出し、右腕を後ろに伸ばしてエネルギーを集め、両腕を大きく振りかぶって両手を身体の前で合わせると…右手を下にずらした。すると、六花が合掌した状態から右手を下にずらしたことで生まれた隙間から、赤い光を放つ光線が発射された。ウルトラマンガイアが使う必殺技『フォトンストリーム』だ。

 

転生者 C「ッ!?」

 

まもなく、Cは大爆発に包まれて行った。爆煙が晴れると、そこにはCの姿は無かった。

 

六花「……。」

六花(…逃がしちゃったか…今の光線久しぶりに撃ったからなぁ、練習しとけば良かったかも…)

 

どうやら、Cには逃げられてしまったようだが…直喜を守ることはできた。ほぼ全ての『ウルトラマン』達の技が使える六花は、数々の必殺技を使って●●●●を倒してきている。

 

六花「弱い癖に、逃げ足だけは速い…まるでゴキブリだなぁ……」

 

直喜「…り、六花ちゃん…」キィ……

 

その時、玄関から直喜が顔を出した。

 

六花「あっ、直喜!アイツのこと追い払ったから、安心して♪」

 

直喜「う、うん…ありがとう……」

 

その時…六花のスマホが鳴ったため、画面を見てみると…

 

 

六花(アカネから?)

 

 

相手はアカネであったため、応答すると…

 

アカネ『あっ、六花~?』

 

六花「どうしたの、アカネ?」

 

アカネ『いやぁ、私の家の前に変な男が2人いて困ってるんだよね~…殺しちゃうかもしれない…』

 

六花「それはダメだって!!私もそっちに行くから、何とか堪えて!!」

 

アカネ『分かった、なるべく早めに来てね?』

 

それを最後に、アカネからの通話が切れた。

 

六花「ごめん直喜、ちょっと急用を思い出したから、そろそろ帰るね!!」

 

直喜「あっ、うん…き、気を付けてね…!」

 

六花「ありがと直喜♪」チュッ♥️

 

直喜「はにゃっ!?///」

 

直喜に投げキッスした六花は、マンションから降りていくと…人気の無い場所に移動する。そして、テレポーテーションを発動し、アカネの自宅付近に向かった。

 

 

 

その頃、アカネの自宅前では……

 

 

「アカネ!!俺の話を聞いてくれ!!」

 

「俺は君を退屈から救いに来たんだ!!」

 

何やら、2人の男の声がアカネの部屋に響いていた。

 

アカネ「うっさいなぁ…今何時だと思ってんの?」

 

時刻は午後6:30…もうすぐ日没である。

 

アレクシス『アカネ君、眉間にシワが寄ってるけど…大丈夫、では無いね?』汗

 

アカネ「ウフフフ、アレクシスよく分かってるぅ~♪」

 

アカネはアレクシスに笑顔を見せるが、目が笑っていない。

 

アカネ「もう我慢の限界…殺しちゃう。」

 

アカネは玄関に向かうと、外履きに履き替え…玄関前に出てきた。

 

転生者 A「あっ、アカネ!!」

 

転生者 B「やっと出て来てくれたか…!!」

 

アカネ「今何時だと思ってんの?君達の汚い大声がうるさくて作業に集中できないんだけど…

 

転生者 A「そんな事どうでも良いじゃないか!!」

 

転生者 B「そうだ!!そんな事どうだっていい!!」

 

バカ2人には、アカネがどんな事情を抱えていようがお構い無しのようだ。

 

アカネ(あぁ、こういう奴マジで大っ嫌い…今すぐ殺したい!!)

 

我慢の限界が近付いて来たアカネは、紫色に光る『アグルブレード』を出す。

 

 

六花「アカネ、ちょっと待った!!」

 

 

そんな彼女の左隣に、六花が降り立った。

 

アカネ「あっ、六花!直喜君とのウルフェスどうだったの?」

 

六花「楽しかったよ…それより、あの2人をどうにかしないとね。」

 

六花が来たことで、漸く落ち着きを取り戻したアカネは、アグルブレードをしまった。

 

転生者 A「り、六花…!!」

 

転生者 B「もしかして、俺達を助けに…!?」

 

 

六花「は?そんな訳無いじゃん。

 

友達を殺人犯にしたくないから来たんだけど?

 

どんだけ頭お花畑なの?

 

 

目を輝かせるバカ2人に、ハイライトの消えた目を向けて怒りを露にする六花。

 

アカネ「六花、アイツらは私がぶっ飛ばす。大丈夫、殺しはしないから…」

 

アカネはおでこの前で腕をクロスすると、右腕を天に掲げ、左腕を下に掲げる。その時、アカネの頭部から紫色の光の刃が垂直に伸びて行き…

 

アカネ「はぁぁああああああああ!!」

 

それをアカネは、バカ2人に向けて光線として放った。必殺技『フェイク・フォトンクラッシャー』だ。

 

2バカ「「う、うわぁぁああああああ…!!」」

 

 

ドガァァアアアアアアアアアアンッ!!

 

 

アカネが放った光線は、バカ2人の近くで爆発し…バカ2人はどこかへすっ飛んで行った。

 

アカネ「はぁ~、スッキリした♪」

 

六花「全く、ヒヤッとする発言は控えてよね?」汗

 

アカネ「ごめんって~♪怒っちゃや~だ♪」

 

バカ2人が居なくなったことで、闇のオーラ出まくりだったアカネはいつもののほほんとした彼女に戻った。家が隣同士ということで、六花は帰宅した。

 

アカネ「直喜君とウルフェスかぁ~…私も行きた~い!!」

 

 

 

 

 

直喜「ヘプシッ!!…っとと、誰かが僕の噂を……ま、良いや…」

 

直喜は六花からプレゼントされたウルトラレプリカ『ベーターカプセル』を開封していた。

 

直喜「おぉ!!原作のベーターカプセルそのものだ!!」

 

電源を入れて、天に掲げてボタンを押すと…変身音と共に乳白色の光を放つベーターカプセル。

 

直喜「わぁ~!!スゴいなぁ~!!」

 

超絶的なクオリティに感動した直喜は、終始目を輝かせ…寝る時には、ベーターカプセルを抱き枕代わりに眠ったのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第58話 ガウマ隊って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


翌日……

 

直喜「…ハッ!?」ガバッ!!

直喜(な、なんだ夢か……良かったぁ……)

 

怖い夢に魘されていた直喜が、ベッドから飛び起きた。しかし、夢だと分かって再びベッドに入ろうとすると……

 

 

 

 

 

ピンポーン♪

 

インターホンが鳴り響いた。どうやら、誰か来たようだ。

 

直喜「…うぅ…まだ5:00なのに……」

 

眠い目を擦りながらも、直喜は玄関に向かって覗き穴を見ると……

 

直喜「…あれ、この人って確か……」

 

玄関前には、体に巻かれた拘束具に似た黄色いさらしに傷のある顔、鋭い三白眼というやたら物騒な風体の長身の男が立っていた。

 

 

 

ガウマ(直喜の奴、全然出てこねぇな……まだ寝てんのか?)

 

30分程待っていたガウマだが、直喜が出てこなかったため…まだ寝てると思い、退散していった。

 

 

 

直喜「…な、何だったんだろう……」

 

時刻は5:30…ガウマを不審に思った直喜は、玄関から出ないことにし、覗き穴から彼の様子を伺っていた。帰って行くと、ホッと一息ついた。

 

直喜(2度寝しようと思ったけど、やっぱいいや…)

 

直喜はリビングに戻ると、DVDプレイヤーを動かし…大好きなウルトラ作品【ウルトラマンゼアス】を見ることにした。

 

直喜「……。」

直喜(このウルトラマンゼアス…お笑い的な要素も入ってるし、ウルトラ作品としてもしっかりしてるし…まさに究極のウルトラマンだよ。)

 

ゼアスにすっかり夢中になり、時間も忘れ始めた頃……

 

 

ピンポーン♪

 

 

直喜「…ん?」

 

再びインターホンが鳴り、誰かが直喜を訪ねてきた。

 

アカネ『直喜く~ん♪一緒に朝ごはん食べよ♪』

 

声の主がアカネだと分かると、すぐに玄関に向かう直喜。覗き穴から覗くと…

 

直喜(あっ、アンチ君も一緒だ!!)

 

アカネの左隣には、アンチの姿もあった。玄関を開けると…

 

アカネ「直喜君おはよぉぉおおおお♪」ガバッ!!

 

直喜「う、うわぁっ!?」

 

アカネが直喜を見るや否や、飛び付いてきた。

 

アンチ「大丈夫か、直喜?」

 

直喜「だ、大丈夫…」

 

取り敢えず、直喜はアカネとアンチを自宅マンションに招くことに……部屋に入ると、アカネは3体のカオスロイドを召喚し、料理や家事をさせる。

 

直喜「か、カオスロイド達……」

 

アカネ「私のカオスロイド達はね、何でもできるんだよ?あっ、T君はウルトラベル持ってないから安心して?」

 

このカオスロイド達は、“本物”だ。アカネ及び直喜に従順であり、彼らを傷付けようとする者には容赦しない。ちなみに…Tが料理を担当し、Sが掃除を担当し、Uが布団干しや洗濯物を担当している。彼らは食事を摂らなくても良い体質であるため、直喜とアカネとアンチ(3人分)の料理を作っている。

 

アカネ「あっ、できたんだね♪ありがと♪」

 

カオスロイドT「…。」コクッ…

 

カオスロイドTが作ったのは、まるで高級ホテルにでも出てくるようなオムレツやプチパン、デザートにはカットしたフルーツであった。豪華な朝食に満足した直喜は、少し休憩することに……

 

アカネ「どうだった直喜君?カオスロイド達の料理の腕前は?」

 

直喜「えっ…あぁ、そうだね……あんなに豪華な食事、食べたこと無かったから…うん、美味しかったよ。」

 

アカネ「良かった~♪T君、グッドだよグッド♪」

 

カオスロイドTにグッドサインを見せるアカネ。彼女の行動に、ゆっくりと頷くカオスロイドT。

 

アンチ「おい、そろそろ…」

 

アカネ「ん?あっ、もうこんな時間だ。それじゃあ直喜君、いきなり上がり込んでごめんね?」

 

直喜「あっ、ううん全然。」

 

アカネ「それじゃあ、またね♪」

 

アカネと共に、アンチと3体のカオスロイド達も退散していった。

 

直喜(このまま家にいても退屈だからなぁ……散歩にでも行こうかな?)

 

そう思った直喜はスマホと財布を持ち、戸締りをする。戸締り完了後、外履きに履き替えて散歩へと出掛けた。

 

 

 

直喜(今日も良い天気だなぁ…けど、暑い……)

 

外は雲一つ無い快晴であり、太陽が地上をキラキラと照らしている。セミの鳴き声が響き、まさに夏景色である。暑さに耐えられないと思った直喜は、近くの公園に向かい…自販機の方へと歩いていく。そして、飲み物を購入しようと100円玉を自販機に入れようとした時……

 

 

 

 

 

 

ピトッ…

 

直喜「ひゃあっ!?」

 

突然、右頬に冷たい物を当てられた。ビックリして振り向くと…

 

夢芽「おはよう直喜♪」

 

冷たい飲み物を持った夢芽が、直喜に微笑んでいた。

 

直喜「ゆ、夢芽…ちゃん……?」

 

ちせ「直喜先ぱ~い!!」

 

直喜「ふぇ…?」

 

上からちせの声が聞こえてきたため、見上げると……

 

 

 

ゴルドバーン「ギャオオオオォォッ!!

 

 

 

上空から、ゴルドバーンがこちらに向かって来ている。そのゴルドバーンの背中には…

 

ちせ「直喜先ぱ~い!!♪」

 

ちせの姿があり、直喜に手を振っている。

 

直喜「ちせちゃん、ゴルドバーン…!!」

 

ちせを乗せたゴルドバーンは、直喜の近くにゆっくりと降り立った。

 

ちせ「直喜先輩、今朝ガウマ隊長が来ませんでした?」

 

直喜「そ、そういえば…来てた。何の用だったんだろう……」

 

夢芽「何か…急に直喜に会いに行くって言い出して……」

 

直喜「えっ、何それコワイ…」汗

 

ちせ「何なら、この後ガウマ隊長と特訓がありますし…ちっとガウマ隊長に文句でも言いに行きましょ♪」

 

直喜「えぇっ!?で、でも……」

 

夢芽「大丈夫直喜、私が守るから♪」

 

こうして、直喜は夢芽とちせと共にゴルドバーンに乗り…ガウマ隊の修行を見学することになった。

 

 

 

 

その頃……

 

ガウマ「夢芽もちせもおっせぇなぁ…アイツら何やってんだ……?」

 

修行の舞台となっている川にある橋の上には、ガウマと蓬と暦が夢芽とちせの到着を待っていた。ガウマ隊とは、巨大ロボット『ダイナゼノン』を操縦するメンバー達のことであり、怪獣退治を使命としている。

 

蓬「あっ、ガウマさんあれ。」

 

ガウマ「あ?…おっ、漸く来たか。」

 

暦「…ん?何か、増えてません…?」汗

 

ガウマ「どういうことd…って、なっ!?なっ!?直喜ィ!?」

 

やがて、夢芽とちせと直喜を乗せたゴルドバーンが雄叫びを上げながらこちらへやって来た。直喜がいることに、ビックリするガウマ。

 

ちせ「ちょっとガウマ隊長!!アポなしで直喜先輩ん家に凸するってどういうことっすか!?」

 

夢芽「そうですよ!!せめて電話とかして直喜から同意を得てからにしないと失礼じゃないですか!!」

 

ガウマ「……。」汗

 

女子中学生と女子高生に説教される5000歳のフリーター。彼女達の文句に、ガウマはぐうの音も出ないようだ。

 

蓬「直喜君、久しぶり!」

 

直喜「うぇ?…あっ、君は確か…よ、蓬君だよね?」

 

蓬「そうそう!」

 

暦「えっと、神山 直喜君だよね?俺は『山中 暦』…まぁ、これでもちせの従兄なんだ。」

 

直喜「知ってまs…えぇっ!?そ、そうだったんですか!?」

 

ちせ「そっすよ。ちなみに先輩無職です。」

 

暦「いやいや、ちせだって不登校じゃん…」汗

 

ちせ「不登校ではありませぇ~ん!ちゃんと学校行ってますぅ~!!」

 

ガウマ「オラオラ!!一旦お喋りは止めにして、特訓するぞ!!」

 

夢芽「え~…もう少し直喜と話してても良いじゃないですか…」

 

ちせ「ぶーぶー!!」

 

ガウマの言葉に文句タラタラの夢芽とちせ。ゴルドバーンも猫のように「フシャー!!」とガウマに威嚇している。

 

ガウマ「特訓しながらでもできんだろ、直喜と話す時間が欲しけりゃさっさと終わらせるぞ!!」

 

ガウマの言葉に、メンバー達はそれぞれのメカに乗り…ちせはゴルドバーンに乗り、特訓を開始する。

 

直喜「……。」

 

ガウマ隊の特訓の様子を、見学する直喜。

 

直喜(というか、こんなところで特訓してて近所迷惑には…ならないか……)

 

彼らの特訓の舞台となっているのは、山地に囲まれた川である。周囲は自然に包まれており、民家は1つも無い。

 

ガウマ『よぉし、お前らあの頃と比べるとだいぶ成長したな。』

 

ダイナダイバーを操るガウマはメンバー達に言う。ダイナソルジャーを操る蓬は、頭や手足に乗せたドラム缶を落とすことなく、バランスがキープできている。そのまま動ける程、操縦できる程だ。ダイナウイングを操る夢芽は、旋回やローリングが上手くなっており、素早く武装を切り替えることもできている。ダイナストライカーを操る暦は、ドリフトをしながら素早く動き回り、操縦テクニックを上げていた。ちせとゴルドバーンは息がピッタリであり、今ではちせの思ったことをゴルドバーンができる程、信頼関係が十分に構築されている。

 

直喜(スゴいなぁ…夢芽ちゃんもちせちゃんも……まぁ、あの2人が居てくれたから、僕はシャドーを倒すことができたんだ。でも、ベンゼン星人は強敵かもしれない…それに、A君達が怪獣を操るようになっちゃった…この前は元に戻せても、次も同じように行くとは限らない……だったら、僕には…何ができるんだろう……)

 

直喜が考え事をしていると、ガウマがちせに声をかける。

 

ガウマ『そういやちせ、お前ダイナソルジャーの扱いに慣れたか?』

 

ちせ「へっ?…あ、あぁ…そ、そうっすね……」汗

 

ガウマ『ホントに大丈夫か?』汗

 

ちせ「だだだ大丈夫ですってぇ~…えへへへ……」大汗

 

ちせは目線を泳がせまくりで、大汗を流していた。

 

ガウマ『お前、居残りな。』

 

ちせ「ガーン!!」

 

ガウマ『よーし、蓬ぃ!ちせと交代だ。』

 

蓬『わ、分かりました。』

 

ゴルドバーンはダイナソルジャーの近くに移動し、ちせがダイナソルジャーに乗り、蓬がゴルドバーンに乗った。その後、ゴルドバーンは橋の上で蓬を降ろすと…

 

ゴルドバーン「ギャオオオオォォッ!!」

 

直喜の元へ飛び付いてきた。

 

直喜「おっと!?」

 

ゴルドバーン「グルルッ!グルルッ!!♪」

 

直喜「あははは!くすぐったいよぉ、ゴルドバーン!!」

 

頬に顔を擦り付けて来るゴルドバーンを受け止め、笑顔を見せる直喜。

 

ちせ『あっ!!ゴルドバーン、直喜先輩が困って…なさそうだな…』汗

 

夢芽『もしかして、ゴルドバーン…直喜と遊びたいんじゃ無いかな?』

 

暦『スゴい直喜君に懐いてるような…』汗

 

蓬「やっぱり、ゴルドバーンにも良い人と悪い人が分かるんだね。」

 

ちせ『ちょっとヨモさ~ん、それじゃ私が悪い人みたいじゃないっすか~!』

 

ガウマ『安心しろ、俺はゴルドバーンにちっとも懐かれてねぇから。』

 

暦『いや、何のフォローにもなってないですよ…』汗

 

夢芽『でも、ゴルドバーンが直喜のことを好きになるのも分かる気がします。直喜は誰にたいしても優しいですし♪』

 

ちせ『それが直喜先輩の良いところなんですよ!!他にも挙げても挙げてもキリがないぐらい、良いところありますよ!!』

 

ガウマ『はいはいほらちせ!!まずは歩いてみろ。』

 

ちせ『あぁ了解っす…って、うわぁっ!?』ドバシャァァアアアアアアン!!

 

直喜の話で夢中になりすぎたのか、ちせが操るガウマソルジャーは転倒してしまった。ご主人がメカの操縦に苦戦していても、直喜から中々離れないゴルドバーンであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第59話 風邪気味って、なに?

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


転生者 C「ぶえぇっくしゅん!!

 

転生者 B「ぶわあぁっくしょぉぉおおい!!

 

転生者 A「何だよお前ら…ひょっとして風邪か?」

 

突然、おっちゃんみてぇなどでけぇくしゃみをするCとBに…ジト目を向けるA。

 

転生者 B「し、仕方ねぇだろ…着られるモンも限られてるし……」

 

転生者 C「それに、ろくなモン食えてねぇし……」

 

転生者 A「ま、まぁ…それは一理あるな……」汗

 

自給自足もできなければ、料理すらできない彼らは…まともな料理を食べることができていない。料理に挑戦しても、焦げ肉や焦げ野菜、焦げ飯等々食材を焦がしてしまったり…逆に肉も野菜も生焼けの状態になったりと、とにかく料理がヘタクソなのだ。その後の食器洗いすらも、彼らはできない。逆に何ができんの…?(汗)

 

 

 

 

 

 

その頃、とあるマンションにて……

 

直喜「よっ!…あわわわ、っとと…!!」

 

直喜はキッチンに立ち、朝食を作っていた。今日の朝食は、ホットケーキである。ホットケーキミックス、卵、牛乳があれば簡単に作ることができるぞ!

 

直喜「よし、こんな感じで良いかな?」

 

ホットケーキを皿に乗せた後、小さく切ったバターを乗せ、その上からメープルシロップをたっぷりかけ、完成した。

 

直喜「いただきま~す♪」

 

完成した朝食を、早速口の中へ運ぶ直喜。

 

直喜「ん~♪ほっぺが落ちちゃいそう…!!」

 

その美味しさに舌を巻きつつ、あっという間に間食した。朝食後、食器洗いを始める。

親に捨てられ、祖父母の元で育った直喜は…よく家の手伝いをしていた。祖母の隣で料理を見ている内に、『ぼくもやりたい!』とお願いし、祖母から料理を優しく教えてもらった。その結果、簡単な料理を作れるようになったのだ。祖父母が亡くなった今でも、彼の料理の腕は全く落ちていない。家事もある程度でき、食器洗いも洗濯もこなせるようになっている。

 

直喜「はくしゅっ!!…ズズッ、誰かが僕の噂でも……それは無いか…」

 

洗い物を終えた直喜は、散歩をするため準備を済ませ、マンションを出た。

 

 

 

この日も、空は快晴で…雲一つ無い。周囲には、アブラゼミやミンミンゼミの鳴き声が響いている。

 

直喜(こんなに暑いんだ…風邪なんて引くわけ無い、よね……?)

 

夏休みに入り、蒸し暑い日々が続いている。直喜はあまり外に出ず、冷房の効いた部屋でゲームをすることが多い。

 

直喜「あっついなぁ…やっぱり家に籠ってゲームしてれば良かったかも……」

 

そう呟き、マンションに帰ろうとする直喜。

 

 

なみこ「コラ、直喜♪」

 

 

直喜「うわぁっ!?」ビクッ!

 

背後から急に声を掛けられ、ビックリする直喜。直喜の視線の先には、なみことはっすが悪戯な笑みを浮かべていた。

 

はっす「おぉ~、直君じゃん♪どしたの?」

 

直喜「どうもこうも…ぼ、僕…散歩してるだけだけど……」

 

なみこ「おやおやぁ?さっきまで『家に籠ってゲームしてれば良かったかも』って呟いたのは、どこの誰だったかなぁ~?」

 

直喜「うぐ……言い返せない……」汗

 

なみこの言葉に、ぐうの音も出ない直喜。

 

はっす「なみこ、そこまでにしとこ?」

 

なみこ「そだね~。これ以上直喜を弄ると可哀想だし…ハッ!?何より、六花とアカネに怒られる…直喜、このことはどうか…六花とアカネには言わないでください!!」ガバッ!!

 

直喜「うん、分かったから…土下座辞めようか、なみこちゃん……」汗

 

慌てて土下座をするなみこを落ち着かせる直喜。なみことはっすも、直喜のクラスメイトであり…直喜がツツジ台高校に転校して来た時、六花と共に最初に声を掛けてくれた者である。

 

 

ここで、ツツジ台コソコソ話…『なみこ』、『はっす』の2人は…プライベートで六花と同行することから、『六花さん軍団』とも呼ばれているぞ。

 

 

なみこ「ねぇねぇ、折角こうして直喜と逢えたんだしさ…どっか遊びに行かない?あっ、都合が悪かったら無理しなくて大丈夫だよ。」

 

直喜「い、良いよ。僕、今日…予定、無いから…」

 

はっす「そうこなくっちゃ♪」

 

こうして、散歩から遊びにいくことへとグレードアップし…直喜はなみことはっすと出掛けることに。やって来たのは、アスレチック公園だ。入場料を支払い、スタート地点に足を踏み入れる。

 

はっす「あっ、動画撮っても良いかな?」

 

なみこ「ウチは全然OKだよ!直喜は?顔映すの嫌?」

 

直喜「ぼ、僕…顔はちょっと……」

 

はっす「りょ~かい、編集で顔隠しとくね♪」

 

はっすが撮影を開始したところで、アスレチックを満喫することに。順調に進み、筏飛びにやって来た。なみこはスイスイと突き進み、あっという間にゴールについた。

 

直喜(し、しまった…着替えを持ってくるの忘れてた……いやいや、そもそもこうなることを予測してなかったからなぁ……)汗

 

考え事を始め、中々進めない直喜。

 

なみこ「直喜~、がんばれ~♪」

 

はっす「直君ガンバ~♪」

 

そんな直喜を応援するなみことはっす。

 

直喜「な、なみこちゃん…はっすちゃん……よ、よし…!!」

 

直喜は深呼吸し、筏飛びを進み始める。

 

直喜(落ち着け…大丈夫大丈夫、一歩一歩確実に進んでいこう…!!)

 

ゆっくりではあるが、直喜は筏を飛び渡り…確実にゴールへと近付いていた。

 

直喜「よっと…ふぅ、やっとゴールだぁ……」ホッ…

 

なみこ「直喜ぃ~!!よく頑張ったね~!!♪」ヨシヨシ!!

 

はっす「うんうん、頑張った頑張った♪直君は本当によく頑張ってるぞ♪」

 

ゴールまでたどり着いた直喜を抱き締め、頭を撫でるなちゃんと、ゴールへたどり着いた直喜を労うはっす。

 

直喜「はっ、はっ…ハックシュ!!」

 

なみこ「おっと…直喜、もしかして風邪?」

 

直喜「だ、大丈夫大丈夫…ふぇっくしゅ!!」

 

はっす「いや、大丈夫には見えないな……ごめんね、直君。ウチらが連れ回したから……」

 

直喜「そんな事無いよ…ぼ、僕…楽しかったよ…!」

 

子供のような無邪気な笑顔を見せる直喜。

 

なみこ(て、天使だ!!今、ウチらの目の前に天使がいるよ…!!)

 

はっす(直君…そう言って貰えて、ウチらは嬉しいよ…♪)

 

なみこ「直喜…もう1回抱き締めても良い?てか、抱き締めちゃう♪」ムギュッ!

 

直喜「うぐっ!?」

 

はっす「おいおい、直君がビックリしてるよ?」汗

 

 

 

転生者 A「おっ、あれはなみことはっすじゃねぇか。六花とアカネが駄目なら…あの2人なら、抱けるかもな♪」

 

さっきまでBとCと共にいたはずのAが、アスレチック公園に来ていた。その理由は……

 

転生者 A(ここに怪獣がいんだよな…コイツを使ってなみことはっすだけでも…!)

 

駐車場には、肩から2本の突起が突き出した亀のような、四足歩行の怪獣がうずくまっている。Aは茂みに隠れると…

 

 

転生者 A「インスタンス・ベンゼネーション…!!

 

 

両目を赤く光らせ、怪獣を凶暴化させた。間もなく、怪獣の目が赤く光り…少しずつ巨大化を開始した。

 

 

 

 

 

なみことはっすと遊んだ後、くしゃみを頻繁にしていた直喜は…自宅マンションに帰ることにした。

 

直喜(うぅ…エアコン効いた部屋でいたせいか…さ、寒い……)

直喜「へっ、へっ…へっくしょん!!」

 

その時……

 

 

メキィィイイイイッ…ゴゴゴゴゴゴゴゴーー!!

 

 

背後から轟音が響き渡ったため、振り向くと……

 

怪獣「グォォオオオオオオオ!!」

 

背後には、巨大化した怪獣の姿があり…咆哮をあげた。

 

直喜(えぇ~!!こんな時に、怪獣…!?)

 

怪獣は街をアスレチック公園から街へと向かおうと移動を開始した。その時…

 

 

アクセスモード・ダイナストライカー!

 

アクセスモード・ダイナダイバー!

 

 

どこからともなく、ダイナストライカーとダイナダイバーが現れ、怪獣に攻撃を開始する。

 

転生者 A「来やがったか…かかって来いやぁ!!」

 

Aがそう叫ぶと同時に、怪獣も叫ぶ。ダイナストライカーは空中に飛び上がり、怪獣に向かってエネルギー弾を放ち…怪獣の背中を走って地上へと降りる。次に、ダイナダイバーが機体上部のハッチを開いてダイナランチャーを展開し、そこからバーストミサイルを発射する。

 

転生者 A「…ちっ…!!」ブゥンッ!

 

Aが両目の光を強めると…怪獣『ディドラス』は金色に輝く2本の角から、光の粒子を放った。ダイナダイバーの放ったミサイルがその粒子に触れた瞬間…アニメのように2次元化し、ホログラムのように他の物体をすり抜ける。

 

ガウマ『ミサイルがすり抜けた!?何でだよ畜生…!!』

 

メカを操縦するガウマ達に、トラブルが降り注ぐ。

 

夢芽『ガウマさん!蓬君やっぱ風邪でダメそうです!!』

 

それは、ダイナソルジャーのパイロットである蓬が風邪でダウンしていることだ。ダイナゼノンに合体するには、4機のメカに最低1人のパイロットが搭乗していなければならない。つまり、1人が欠けてしまえば…ダイナゼノンが現れることは無いのだ。

 

ガウマ『マジかよ…どーすんだ!?合体するには誰かが乗らんと…!!』

 

だが、問題はすぐに解決される。

 

ちせ『どうみても自分の出番ですよね!?』

 

暦『い、いつからそこに!?』

 

暦が搭乗するダイナストライカーには、いつの間にかちせが乗っていたのだ。

 

ガウマ『ちせ、お前は確か』

 

ちせ『南さん私に…『飛鳥川 ちせ』にダイナソルジャーを!!』

 

夢芽『うん、お願い!!』

 

夢芽が搭乗するダイナウイングは地上を走るダイナストライカーの頭上に近付き、ダイナソルジャーを託して再び大空へと上がっていく。

 

 

ちせ『アクセスモード・ダイナソルジャー!!』

 

 

ちせが搭乗したことにより、地上に出現するダイナソルジャー。

 

ちせ『乗れた…私乗れましたよ!!』

 

ガウマ『よし…早く合体するぞって、おいちせ!!何やってんだよ!?』

 

ちせ『えっ、あっ…えぇっ!?』

 

しかし、またもやトラブルが発生する。ちせはダイナソルジャーに搭乗に成功したのだが…操縦をこなせていなかったのだ。そのため、ダイナソルジャーは気を付けの姿勢のまま、ただひたすら前へと走るだけである。

 

転生者 A「あそこにちせが乗ってるのか…へへへへ、捕まえて人質にして、夢芽も捕まえりゃあ…Win-Winだぜ♪」

 

ディドラス「グォォオオオオオオオ!!」

 

ちせ『えぇっと、ここをこうして…』

 

ちせはダイナソルジャーの操縦に必死になり、回りが見えなくなっていた。そんなダイナソルジャーに、ディドラスが迫る。

 

ちせ『う、うわぁぁああああああ!?

 

暦『ちせぇぇええええええ

 

ダイナストライカーが急ぎ救出に向かうも、ダイナソルジャーはディドラスに押し潰された……

 

 

 

 

…かに、思われた。

 

ちせ『ありがとう先輩…』

 

ダイナソルジャーは、ダイナストライカーによって救出され…何とか押し潰されずに済んだ。

 

暦『これ以上法事を増やすなよ…』汗

 

しかし、ディドラスはダイナソルジャーを狙って迫り来る。ダイナストライカーはそんなダイナソルジャーを乗せて走り回る。

 

ガウマ(くっそぉ…ミサイルはすり抜けるし、他のメカがいるせいで攻撃ができねぇ!!)

 

ディドラスの近くに、ダイナソルジャーとダイナストライカーがいるため…下手したらダイナダイバーとダイナウイングの攻撃が当たってしまう可能性がある。そう考えると、攻撃ができないのだ。

 

直喜(こ、このままじゃガウマさん達がやられちゃう!!)

 

直喜は公衆トイレに入り、人がいないことを確認する。ピカリブラッシャーで歯磨きを開始し、自身の口の中をキレイにすると、ブラッシャーを天に掲げる。

 

直喜「へくしゅっ!!…ぜ、ゼアス!!ピカァァアアアアッ!!

 

 

ブラッシャーから発せられる眩く、優しい光へと包まれていく直喜は…光の戦士『ウルトラマンゼアス』へと姿が変わっていく。

 

 

 

ガウマ『おっ!?あの光は…まさか…!!』

 

ちせ『ふぇっ?…ほわぁ、ウルトラマンゼアス!!』

 

暦『良い時に来てくれんじゃん…!』

 

ウルトラマンゼアスが地上に降り立ち、安心するガウマ達。

 

夢芽『私、今のうちに蓬君を連れてくるので時間稼ぎよろしくお願いします!!』

 

ガウマ『なっ!?おい夢芽!?』

 

ゼアスが現れ、好機を感じた夢芽は…急ぎ蓬の元へと向かった。

 

転生者 A「くそ…またウルトラマンか、行けぇ怪獣!!」

 

ディドラス「グォォオオオオオオオ!!」

 

ディドラスは咆哮をあげると、ゼアスに向かっていく。

 

ガシィッ!!

 

ゼアス「…!!」

 

迫り来るディドラスの角を掴んだゼアスは、正面からパワー勝負を仕掛ける。

 

暦『こ、攻撃するなら今じゃないですか…?』

 

ガウマ『よし、ウルトラマンを援護する!!』

 

ゼアスに角を掴まれ、粒子を放てないディドラスに…ダイナストライカーとダイナダイバーはエネルギー弾やミサイルを放つ。エネルギー弾とミサイルはディドラスの背中に命中し、ディドラスの胴体にある丸ノコのような構造の回転が止まった。

 

ゼアス「デヤッ!ジュアッ!!」ドゴォッ!ドゴォッ!

 

ゼアスはディドラスの顔面に、膝蹴りを繰り出す。

 

ディドラス「グォォオオオオオオオ!!」ガブッ!!

 

ゼアス「グアッ…!?」

 

その時、ディドラスはゼアスの右足に噛み付いた。

 

 

転生者 A「よしよし、良いぞ…そのままウルトラマンを噛み続けろ!!」

 

 

ディドラスに足を噛み付かれても、ゼアスはディドラスの角から手を離さない。

 

直喜(ここで角を離したら、ミサイルが無効化されちゃう…いてててて!!)

 

ガウマ『くっそぉ…ウルトラマンを離しやがれ!!』

 

ガウマはダイナダイバーから再びミサイルを放ち、ディドラスを攻撃する。それでもディドラスは、ゼアスを離さない。そこに…

 

 

蓬『ちせちゃん交代!!』

 

 

蓬を乗せたダイナウイングが戻ってきた。

 

ちせ『ありがとうございます、お願いします。』

 

ちせと蓬が交代したところで、ダイナソルジャーとダイナウイングは合体を開始…『ダイナソルジャー・ウイングコンバイン』となった。

 

ちせ『よ、ヨモさん大丈夫なんですか!?』

 

蓬『だ、大丈夫、じゃない…!!』

 

ウイングコンバインとなったダイナソルジャーは、空中から流星キックを繰り出し、ディドラスを蹴る。

 

ドッゴォォオオオオオオオオッ!!

 

ディドラス「グォォオオオオオオオ!!」ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

ダイナソルジャーに蹴られ…ゼアスから口を離し、地面を転がるディドラス。

 

ガウマ『よし、合体するぞ!!』

 

その隙に、4機のメカは合体を開始…

 

『『『『『合体竜人・ダイナゼノン!!』』』』』ゲホゴホッ…

 

蓬が咳をしたが、ダイナゼノンはディドラスの背後に移動すると…

 

夢芽『なんとかビーム!

 

ガウマ『ペネトレーターガン!!』

 

光線を顔面に受け、再び地面を転がるディドラス。

 

直喜(よし、受けてみrゴホッゴホッ!!…ぜ、ゼアスラッシュ!!)

ゼアス「シェアッ!!」

 

ゼアスは右手から回転する丸ノコ状の青い刃を放ち、ディドラスの角を切断、更に尻尾も切断に成功した。

 

転生者 A「ちぃっ!!」

 

Aが集中を始めると、ディドラスは2足で立ち上がり、咆哮をあげる。そこに、ダイナゼノンが襲い来る。

 

ガウマ『バーストミサイルキック!!』

 

ダイナゼノンの蹴りを受け、再び地面を転がるディドラス。

 

ガウマ『トドメ刺すぞ!!』

 

ガウマの言葉に、夢芽と暦は返事をし、蓬は返事代わりにくしゃみをした。ダイナゼノンは、『ダイナレックス』に変わり、ディドラスに噛み付いて持ち上げる。そこに、ゼアスも駆け付け、ウルトラリフターで持ち上げるのを手助けする。

 

ガウマ『くらえぇ!!必焼大火炎・レックスロアー!!』

 

ダイナレックスが火炎放射をすると同時に…

 

ゼアス「シェアッ!!ビィィイイイイイイイイッ!!

 

ゼアスは腕を逆十字型に組み、必殺技『スペシュッシュラ光線』をディドラス目掛けて発射した。ダイナレックスとウルトラマンゼアスの必殺技を同時に受け、ディドラスは空中で爆発を起こした。ディドラスとの戦いに勝利したダイナレックスは咆哮を上げ、ゼアスは街を元に戻す光線を発射し、2次元化した車や建物を元通りにした。街を元に戻したゼアスは、上を見上げると…

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

大空へと飛び立って行った。

 

 

 

転生者 A「くそがぁっ!!」

 

Aは石ころを蹴り、八つ当たりする。だが…

 

ゴスッ!!

 

転生者 A「あだぁっ!?」

 

自分が蹴った石ころが、木に当たって自分に跳ね返って来るというハプニングが起き、額にたんこぶができてしまった。

 

 

 

その日の夕方、ガウマの拠点がある河川敷では……

 

ちせ「あざました!!ヨモさんのおかげで助かりました!!これから私も、補欠としてダイナソルジャー練習します!!」

 

蓬「いや良いよ…」汗

 

ちせ「明後日いや明日からでも」

 

ちせは蓬に感謝し、ダイナソルジャーの操縦を練習すると言う。そんな彼女に、困惑する蓬。ガウマは小さくなったダイナダイバーを見て、考え事をしている。

 

夢芽「送ってこうか?」

 

蓬「…えっ?」

 

こうして、蓬は夢芽によって自宅へと送られた。

 

 

 

 

 

 

次の日…ツツジ台高校にて……

 

「起立!気を付け、礼!」

 

夏休みの補習授業が行われていた。だが…

 

六花(あれ?直喜が居ない…ひょっとして、遅刻?)

 

アカネ(え~、直喜君居ないの…?逢うの楽しみにしてたのにな~……)

 

直喜の席に…直喜の姿がなかった。その理由は……

 

 

 

 

 

 

直喜「ハックシュン!!…うぅ…か、風邪引いちゃったよぉ……」チーン…

 

直喜は風邪を引いてしまったのだ。学校を休み、ベッドに横たわっていた。

 

 

 

一方、こちらでも…

 

夢芽「はくしゅっ!!…うぅ……やっぱ移った…」チーン…

 

蓬の風邪が、夢芽に移ってしまったのだ。

 

夏になっても、風邪には注意しなければならないと改めて認識させられた直喜と夢芽であった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第60話 Happinessって、なに?

OP~ASH DA HERO『Everything』~♪


直喜「はっ…はっ……はっくしょん!!」

 

風邪を引いてしまった直喜は、ベッドに横になっていた。

 

直喜「うぅ…ひ、冷えピタ……」

 

重い身体に鞭を打ちながら冷蔵庫に向かう直喜。漸くたどり着き、冷蔵庫を開けると……

 

 

 

直喜「そ、そんな……」ガーン……

 

中には、冷えピタが入っていなかった。いつの間にか、切らしてしまったようだ。

 

直喜(どうしよう…買いに行かないと無いもんね……)

 

冷えピタが無く、絶望してしまう直喜。だが、彼の日頃の行いが良い影響か…そんな彼の元に、救いの手が舞い降りて来る。

 

 

ピンポーン♪

 

 

直喜「ケホッ…ん、誰だろ…?」

 

直喜は玄関に向かい、ドアを開ける。

 

六花「な、直喜!?ちょっと大丈夫!?顔色悪いよ!!」

 

玄関には、六花の姿があった。

 

六花「なみこ、冷えピタとインゼリー買ってきてくれる!?はっすは飲み物を、直喜が好きそうな奴をお願い!!」

 

なみこ&はっす「「アイアイサー!!」」

 

六花の後ろにはなみことはっすもおり、急いで六花のお使いを頼まれた。

 

アカネ「直喜君!?ひょっとして風邪!?きゅ、救急車を!!」

 

六花「待ってアカネ!!…と、とりあえず直喜、ほら…私に掴まって?」

 

直喜「ゲホッ、ゴホッ…う、うん……」

 

六花の肩を借りながら、部屋へと入っていく直喜。アカネはスマホを取り出し、ある人物に連絡をする。

 

アカネ「あっ、もしもしアレクシス?」

 

アレクシス『はいはいアカネ君、どうしたんだい?』

 

アカネ「実はさ~、直喜君が風邪引いちゃったんだ…」

 

アレクシス『えぇっ!?だ、大丈夫なのかい?』

 

アカネ「心配だから私達が看病する。冷蔵庫にさ、ジュースとかプリンとかあるじゃん?それをポッ○ーやTOP○Oが入ってる袋に入れてドローンで直喜君のマンションまで来て?」

 

アレクシス『わかった、すぐに向かう!!』

 

そして、通話が終わった。その直後…

 

アカネ「おっ、もう着いたんだ。」

 

アレクシス『直喜君が大変な状況だからね。』ブーン…

 

モニター付きドローンと化したアレクシスが、アカネに頼まれた物を持ってきた。それを確認したアカネは、直喜のマンションに入っていった。

 

アレクシス『私も着いていく~。』ブブブブーン…

 

 

 

直喜「…うーん……」ハァ…ハァ…

 

六花「おでこ熱いね?ちょっと熱計ってみようか?」

 

直喜「…そ、そうする……」

 

六花から体温計を受け取った直喜は、それを脇に挟み…数分後、体温計が鳴った。

 

六花「ちょっと見せてもらって良い?」

 

直喜「…うん……」

 

六花「39度5分、スゴい熱……直喜、苦しい?」

 

直喜「…あ、頭が、ガンガン…する……」

 

六花「今なみことはっすが買い物に行ってくれてるから、ちょっと待ってt」

 

なみこ「六花さん!!冷えピタとインゼリー買ってきました!!」

 

はっす「飲み物も買ってきたぜ!!後、お粥の材料も!!」

 

六花「なみこありがとう!!はっす、ナイスだよ!!」

 

直喜が辛いと訴えたタイミングで、なみことはっすが戻ってきた。六花は冷えピタを直喜のおでこに貼り付け、飲み物とストローを用意する。

 

直喜「…あ、ありがとう……じ、自分で…飲む、から……」クラッ…

 

上半身を起こす直喜だが、すぐにフラついてしまう。

 

アカネ「わっと、大丈夫直喜君?」

 

そこに、タイミング良く入ってきたアカネが…咄嗟に直喜を支えた。

 

えっ、どこで支えてるかって?言わねぇよ。

 

直喜「…あ、あれ?…こ、こんなところに…ふ、布団なんて…あったっけ……?」

 

六花「なみこ、はっす…クッションを持ってきて。直喜が飲み物を飲みやすい体勢にするから!」

 

なみこ&はっす「「アイアイサー!!」」

 

なみことはっすは目にも止まらぬスピードで、クッションをいくつか持って来た。

 

六花「直喜、ちょっと背中にクッション入れるよ?」

 

直喜「…ふぁ…ふぁい……」

 

アカネ「あっ、私直喜君支えてるね?」

 

アカネが直喜を支えている間に、六花はクッションを直喜の背中に設置…楽にベッドに座れるようにした。

 

直喜「…ふぇ……あっ…ら、楽に…なった…?」

 

六花「さて…私、お粥作って来ちゃうね?」

 

なみこ「ウチも手伝うよ♪」

 

六花となみこが料理をし、アカネとはっすは直喜の見守り及び飲水介助をすることに。

 

はっす「直君、これスポーツドリンク。どう、飲めそう?」

 

直喜「…あ、ありがとう……」

 

スポーツドリンクが入っているコップをはっすが持ち、直喜はストローを咥えると…ゆっくりと飲み始める。

 

六花「直喜~、お粥作ったよ~?」

 

そこに、お粥を作った六花となみこがやって来る。なみこは器にお粥をよそると、六花に渡す。

 

六花「ありがとうなみこ、助かったよ。」

 

なみこ「大したこと無いって~♪ウチは直喜の為だったら、火の中にだって飛び込めるよ?」

 

直喜「…そ、それは…危ないって……」

 

はっす「こんなに辛い中でも、なみこを思う直君…天使を越して神だ…!!」

 

アカネ「直喜君、お粥食べれる?」

 

直喜「…うん……うん…た、食べれる……」

 

目に渦巻きを作りながら答える直喜。だが、顔は真っ赤である。それもその筈、何故なら……

 

直喜(ぼ、僕だって…男なんだ……周りに綺麗な人達がいたら、緊張しちゃうよぉ~…!!)汗

 

直喜の周り(それも近く)には、4人も美女がいるのだ。そんな彼に追い討ちを掛けるように、六花が直喜の元に……そして……

 

 

六花「ふー…ふー……はい、あ~ん♪」

 

 

温かいお粥に息を吹き込んである程度冷まし、直喜に『あーん』をしてきた。

 

直喜(こうなってしまったら…もう、仕方ない…か……)

 

本当は自分で食べようと思った直喜だが…頭どころか、全身が重く…怠さに襲われ、身体が言うことを聞かなくなっていた。そのため、空気を読んで口を開けた。まもなく、直喜の口の中には…丁度良い温かさになったお粥が運ばれて来た。

 

 

 

 

 

 

その頃、ベンゼン星人の秘密基地では……

 

転生者 B「だあぁぁっくしょぉぉおおおおい!!

 

転生者 C「くちゅんっ!!

 

ベンゼン星人「うわ、可愛くね…」汗

 

こちらでも、風邪を引いたBとCがベッドに横たわっていた。

 

レディベンゼン星人「全く、情けないったらありゃしない……」汗

 

転生者 A「……。」汗

 

そんな彼らを看病してくれる者は、誰もいなかった。

 

B&C((六花とアカネに看病されてぇぇええええええ!!お粥ふーふーされながら、『はい、あ~ん♪』ってされてぇぇええええええ!!))

 

 

 

 

 

なみこ「お~、直喜キレイに完食したね♪偉いぞ♪」ナデナデ

 

六花「良かった。直喜、無理してない?大丈夫?」

 

直喜「…お、おかげさまで……」

 

はっす「でも、直君いっぱい汗かいてるよ?着替えないと風邪が悪化しちゃうんじゃ…?」

 

アカネ「なら、お着替え手伝ってあげる♪」

 

アカネの言葉に、直喜は……

 

直喜「さ、流石にそれは恥ずかしいから…」

 

…と、拒否を示した。泣き虫かつ弱虫な直喜だが、彼にも『プライド』があるのだ。

 

六花「とはいっても、この状態で1人にしておくのは危ないから……」

 

なみこ「いっそのこと、男装する?」

 

六花「いやいや、変わんないっしょ!?」汗

 

はっす「それなら、男口調にして男のフリをする。」

 

六花「もっとダメだわ!!」大汗

 

なみことはっすのボケに、ツッコミを入れる六花。

 

アカネ「あっ、私良いこと思い付いた♪ちょっと待っててね?」

 

アカネは部屋を退室し、数十秒後……

 

 

アカネ「さ、入って来て?」

 

 

戻ってきた。彼女の後に続いて入ってきたのは……

 

カオスロイド「デュワッ!!」「ンンッ!!」「シュワッ!!

 

3人の黒いウルトラマン達だ。黒いウルトラマン達の登場に、なみことはっすはビックリする。

 

 

なみこ「うぇっ!?な、何…!?」

 

はっす「く、黒い…ウルトラマン…?」

 

 

ウルトラセブンに酷似した『カオスロイドS』、ウルトラマンタロウに酷似した『カオスロイドT』、初代ウルトラマンに酷似した『カオスロイドU』の3人だった。ちなみに、このカオスロイド達は“ホンモノ”だ。

 

六花(って、ちょっとちょっと…なみことはっすがビックリしてるよ!?)汗

 

アカネ「そんな驚かなくても大丈夫だってぇ~♪このカオスロイド達、直喜君の味方だから♪」

 

なみこ「な、なんだそうだったんだ~。」

 

はっす「直君の味方なら、安心だね♪」

 

六花(な、納得した!?)大汗

 

アカネの言葉にあっさり納得したなみことはっす。

 

アカネ「さて、私たちは一旦ここを出よ?それじゃあ、よろしくね♪」

 

カオスロイド「「「……。」」」コクッ…

 

女性陣が部屋を出たタイミングで、着替えを始める直喜。ズボンを履き替える際…

 

直喜「…ふぁあっ!?」ヨロッ…

 

バランスを崩して転倒しそうになった。その直後…

 

カオスロイドS「ジュアッ!!

 

カオスロイドSが咄嗟に念力を発動したため、直喜の身体は宙に浮き…転ばずに済んだ。

 

直喜「あ、ありがとう…」

 

カオスロイドS「……。」コクッ…

 

その後も、やはり何度かフラついて転びそうになったため…カオスロイド達が彼を支えつつ、時には然り気無く手助けをしたことで、直喜はスムーズに着替えることができた。

 

 

 

直喜「…も、もう良いよ……」

 

直喜がそう言うと、女性陣はすぐに部屋に入ってきた。

 

六花「直喜大丈夫?」

 

直喜「…う、うん……だいぶ…楽に、なったよ……」

 

直喜の顔色を伺うと、前よりも少し良くなっていた。

 

直喜「…そ、それより…皆、家に帰らなくて…良いの…?」

 

なみこ「あはは、それは気にしなくても大丈夫だって♪家族に電話して許可得てるから平気♪」

 

なみこの言葉に頷く六花とアカネとはっす。

 

直喜「…何か…ご、ごめんね……?」汗

 

六花「謝んなくて大丈夫だよ♪」

 

アカネ「そうだよ~♪直喜君は何も悪くないんだから♪」

 

はっす「ウチらはさ、直君が元気になってくれたらそれで良いんだよ♪」

 

直喜「……。」

 

彼女達の温かい言葉を聞いた直喜は…本当は思い出したくも無かった、幼い頃を思い出す。

 

 

 

実の両親から愛情を注がれなかった直喜は、例え体調を崩しても…看病どころか心配すらして貰えなかった。

 

母親『良かったわぁ~♪これで安心して出掛けられるわぁ♪』オホホホ♪

 

父親『今日は大人しくしてろよ?』

 

両親はそんな彼を放置し、旅行へと出掛けてしまったのだ。

 

直喜『ま、まって…お、おとうさん…おかあさん……ぼ、ぼくを……おいて……いかない……で…………』

 

そんな直喜の願いは届かず、さっさと家を出ていってしまった両親。頼れる人が誰もいなくなってしまい、どうしようも無くなった時……直喜が目覚めた場所は、病室だった。側には祖父母が泣いていた。TVには、『体調を崩した幼い我が子を放置』とデカデカと表示され…直喜の両親が逮捕されたことが報道されている。

 

祖父『ぐぅ…な、直喜……すまなかった…本当に、すまない…!!』

 

祖母『うちのバカ息子達が…ごめんねぇ、直喜ちゃん!!』

 

逮捕されたことで、直喜に虐待をしていたことがバレた両親は…保護責任者遺棄罪で逮捕され、実刑判決が下った。その時も…

 

あんな出来損ないなんていらない

 

あの役立たずのゴミのせいでこうなった

 

…と、自分のことを棚に上げ、直喜のせいにしていた。そんな彼らを見て激怒した祖父母は彼らに平手打ちをし、ボコボコにしようとしたが…警官に止められ、直喜を引き取ることにしたのだ。祖父母に優しく抱き締められたことで、直喜は漸く…

 

 

自分は両親から愛されていなかった

 

 

…と、気付いた。そして、今までの悲しみを示すように…声を上げて大泣きしたのだった。ワンワン泣く直喜を、祖父母は優しく受け止めてくれたのだった。

 

 

 

直喜「…うっ、うぅっ……」ポロポロ…

 

そして、遂に泣き出してしまう。

 

六花「えっ!?どうしたの直喜!?」

 

なみこ「へっ!?う、ウチ…何か嫌なことしちゃった!?」

 

はっす「大丈夫、直君!?」サスサス

 

アカネ「も、もしかして…私達の看病、嫌だった!?」

 

4人は慌てふため、咄嗟に直喜の背中を擦るはっす。

 

直喜「…う、ううん…そっ、そうじゃなくて……」

 

零れる涙を拭いながら4人に思いを伝えようとする直喜。しかし、どんなに涙を拭っても…直喜の目から流れる涙は止まらなかった。不覚にも泣いてしまい、上手く思いを伝えられないと思った直喜は…今言える精一杯の思いを、彼女達に告げた。

 

 

直喜「こ、こんな…僕の、ために……あっ、あり……ありが、とう…!!」

 

 

そして、またも大粒の涙を流してしまう直喜。しかし、そんな彼の感謝は…4人にはしっかりと伝わった。

 

六花「な、直喜…!!」

 

なみこ「直喜ぃ~!!」

 

はっす「うっ、うぅ…な、直君…!!」

 

アカネ「うわぁぁああああああああん!!直喜君!直喜くぅぅううううううううん!!」

 

六花、なみこ、はっす、アカネも貰い泣きし…直喜を優しく抱き締めた。しばらく直喜と一緒に泣いているうちに、疲れて眠ってしまった。

 

 

アレクシス『……。』

アレクシス(直喜君…君はやはり、不思議な力を持っているみたいだね。だからアカネ君も、夢中になるわけだ…)

 

直喜に寄り添う形でスヤスヤと眠るアカネを見たアレクシスには……『グリッドマン討伐』も『世界征服』も無かった。ただ1つだけあるのは……

 

 

 

 

直喜君(アカネの命の恩人)を…

 

守らなければ……

 

 

…という、大いなる使命だけであった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver)』~♪


ヒロイン達の、直喜の呼び方…

六花…『直喜』

アカネ…『直喜君』

なみこ…『直喜』

はっす…『直君』


夢芽…『直喜』

ちせ…『直喜先輩』

ムジナ…『直喜』


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第61話 争いって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


六花、アカネ、なみこ、はっすの懸命な看病により…すっかり風邪も治り、元気になった直喜。帰って行く彼女達を見送った彼は、部屋に入ってゆっくりしていた。

 

直喜(うーん…夏休みっていってもなぁ……正直、ほとんど遊びに行ってないし、行ったとすれば……ウルフェスぐらい?)

 

夏休みはまだ終わっていない…しかし、インドア派の直喜は、遊びに行こうと思っても…ウルフェスぐらいしか思い浮かばず、出掛けるのが段々億劫になってきている。

 

直喜(まぁ…風邪治ったばかりだし、今日はゆっくりしてよ……)

 

治ったにも関わらず、再び風邪を引くのはゴメンだと感じた直喜は…この日、家でゆっくりすることにした。

 

 

 

 

 

アカネ「直喜君が元気になって良かったね!!」

 

六花「ホントだよ~…直喜が死んじゃったら、私…もう……」

 

なみこ「こらこら、勝手に直喜を殺すな。」汗

 

はっす「そうだよ、直君を信じてあげないとダメじゃん?」

 

直喜が元気になったことで、ヒロインズは安心していた。そんな彼女達に、ご褒美が……

 

 

アレクシス『お嬢さん方、これこれ…『東京ビーチランド』の無料クーポンが当たったよ。よかったら、息抜きに行っておいで?』ブブブブーン…

 

 

 

アカネ「えっ、ホント!?」

 

なみこ「ガチじゃん!?えっと…どちら様?」汗

 

アカネ「私の友達でね、『アレクシス』ってあだ名なの。本名は教えないでって言われてるんだ~。」

 

アカネの説明に、まあまあ納得するなみことはっす。

 

アカネ「明日さ、皆空いてる?」

 

六花「うん、私は空いてるよ。」

 

なみこ「ウチも空いてる!」

 

はっす「ウチも暇してるよ~。」

 

偶然にも、全員空いていたことで…明日、4人で東京ビーチランドに遊びに行くことになった。

 

六花(直喜も誘いたいけど…風邪が悪化しちゃったら大変だもんね?)

 

アカネ(アレクシス…直喜君の分、無いの?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日……

 

 

直喜「…んむぅ……?」

 

珍しく早起きした直喜は…ふと、スマホを見る。その時……

 

 

~♪~♪(シュワッチ!ウルトラマンゼアス)

 

 

着信音が鳴ったため、見てみると…

 

直喜(ち、ちせちゃんからだ…何だろう?)

 

相手はちせで、着信に応答する。

 

直喜「も、もしもし…?」

 

ちせ『あっ、おはようございます直喜先輩!今日って、時間ありますか?』

 

直喜「う、うん…空いてる、けど……」

 

ちせ『でしたら、一緒にプール行きません!?東京ビーチランド!!』

 

直喜「うぇ…い、良いけど…場所分かんないし…」

 

ちせ『安心してください!今、ゴルドバーンと夢芽さんといっしょにこっちに向かってるんで♪』

 

直喜「えっ?あ、後…どれくらいで、着く…?」汗

 

ちせ『もう直喜先輩のマンション見えました♪』

 

直喜「えぇっ!?じゃ、じゃあすぐに準備しなきゃじゃん!?」

 

ちせ達がもうすぐそこまで来ていることが分かった直喜は、慌てて準備を開始する。まもなく、直喜の自宅マンションにゴルドバーンが到着…夢芽とちせが部屋にお邪魔し、直喜の準備を手伝ってくれた。

 

 

 

準備が完了した後、ゴルドバーンに乗り…東京ビーチランドに向かうことに……ちなみに、ガウマ達も来るようだが…現地集合のようだ。

 

直喜「な、何か…ごめんね……準備まで手伝って貰っちゃって……」汗

 

夢芽「いや、ちせちゃんが突然言い出したから…謝るのはこっちだし……突然来ちゃってごめんね。」

 

ちせ「マジでごめんなさい、直喜先輩!!」

 

ゴルドバーン「グルル……」汗

 

直喜に平謝りする夢芽とちせに…まるで『ヤレヤレ』と言うような何とも言えない声を出すゴルドバーン。やがて、東京ビーチランドに到着し、3人を降ろしたゴルドバーンはどこかへ飛び去って行った。

 

ガウマ「おっ、直喜じゃねぇか!!どうしたんだ!?」

 

夢芽「ちせちゃんが誘ってくれたんです。ま、強引にですけど…」汗

 

直喜「だ、大丈夫だよ…あはは……ぼ、僕、今日暇だったし…」

 

暦「何か、悪いね…直喜君。」汗

 

ちせ「先輩が謝ってどーするんですか!?てか、直喜先輩は大丈夫だって言ってますし…!!」

 

蓬「ち、ちせちゃん…そんなに直喜君を誘いたかったんだ……」苦笑

 

色々あったが、無事に集合したメンバー達……と、思いきや……

 

 

ガウマ「そーいや、シズムはどうした?アイツも来るんじゃねぇのか?」

 

 

まだ、来ていないメンバーが1人……それは、シズムだった。

 

シズム「あれ、直喜?」

 

噂をすれば、シズムが到着し…直喜がいることに、驚いていた。

 

直喜「し、シズム君。僕も、来ることになってたんだ。」

 

シズム「へぇ…俗に言う『サプライズ』ってヤツ?嬉しいよ、俺のベストフレンドが来ていたなんて。」

 

今度こそ、全員集合したメンバー達は…無料クーポンで入場し、更衣室で水着に着替えた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃…ベンゼン星人の秘密基地では……

 

ガッシャーン!!

 

ベンゼン星人「あぁもうっ!!また皿割ったのかよ!?」

 

転生者 A「し、仕方ねぇだろ!!俺ら皿洗いわかんねぇんだし!!」

 

ベンゼン星人「いや謝罪も無しかよ!!」大汗

 

レディベンゼン星人「ったくもう…いい?こうやってやるんだよ。」

 

転生者 B「こ、こうか…?」

 

レディベンゼン星人「違う違う!!それじゃあ油がついちゃうでしょ!?こっちのスポンジを使うの!!」

 

転生者 C「ぐぅ……!!」

 

風邪が治った3バカは、早速ベンゼン星人夫婦にこき使われていた。周りの家事を、失敗しながら行っている。ベンゼン星人達が何度も何度も説明しても、ミスを連続する3バカ……

 

3バカ(((プールか海行きてぇぇええええ!!夢芽とかムジナの水着姿見たかったぁぁああああああああ!!)))

 

散々悪さをしてきた彼らに、夏休みなんて無いのだ。

 

 

 

 

 

その頃、東京ビーチランドにて……

 

 

直喜(ふぅ…やっぱりパーカー持ってきて良かった~……)

 

水着に着替えた直喜は、メンバー達を待っていた。自慢だった腹筋も、今はすっかり隠れてしまっていた。

 

直喜(だらしないお腹見せられないし…見られるのも、抵抗あるんだよなぁ……)汗

 

シズム「ねぇ直喜、鍵ってどっちの腕に着けるの?」

 

直喜「ふぇ?…あ、あぁ…えっと……どっちでも、良いと思うよ。」

 

シズム「ふーん…直喜の利き手はどっち?」

 

直喜「み、右。」

 

シズム「なら、右に着けるよ。」

 

そう言うと、ロッカーの鍵を右腕に着けるシズム。直喜もロッカーの鍵を右腕に身に付けている。

 

ちせ「お待たせしました~!」

 

そこに、他のメンバー達がやって来る。

 

夢芽「直喜、どう?私の水着、似合ってる?」

 

ここぞとばかりに、夢芽はモデルのようなポーシングをしながら直喜に水着の感想を聞く。

 

直喜「あう…え、えぇっと……」

 

 

夢芽「隙あり♪」チュッ♥️

 

直喜「はにゃっ!?///」

 

 

恥ずかしがる直喜の右頬にキスをする夢芽。彼女の不意討ちに、更に顔を真っ赤にする直喜。そんな彼を愛しい我が子を見守る母親のような優しい笑顔で見守る夢芽。その後ろでは、何やらちせが悔しそうな顔をしている。その理由は、分からない……

 

ちせ「と、とりあえず…まずは軽めの方から行きましょう!!」

 

ちせの言葉を号令に、メンバー達はアトラクションへと足を運ぶ。ウォータースライダーを滑るちせと暦、流れるプールを楽しむ蓬と夢芽…会話をしながら施設を探索する直喜とシズム…そんな彼らの後を着いていくガウマ、途中監視員から注意をされていたが……

 

六花「…あれ、直喜?えっ、ウソマジで!?」

 

直喜「へっ、その声……って、六花ちゃん!?」

 

偶然にも、六花とバッタリ会った。

 

六花「偶然!直喜も遊びに来てたんだ♪」

 

直喜「う、うん…!」

 

六花「ならさ、こっちに合流しない?アカネ達もきっと喜ぶから♪あっ、シズム君もどう?」

 

シズム「直喜が行くなら、俺も行くよ。」

 

直喜(そう言えば、六花ちゃん達はまだ…夢芽ちゃん達のこと、知らないよね?話してみよっかな…?)

 

直喜が六花に、夢芽のことを話そうと決めた…まさに、その時だった……

 

 

 

夢芽「ねぇ、私の直喜に何してんの?

 

 

直喜の後ろには、ハイライトの消えた虚ろな瞳を向けた夢芽が立っており…低く、ドスの効いた声を出した。

 

 

六花「は?何が私の直喜よ?

 

直喜は物じゃないんだけど。

 

 

夢芽の言葉を効いた六花も…ハイライトが消えた虚ろな瞳を向ける。

 

直喜(あ、あれ…ど、どうしたの…六花ちゃんも夢芽ちゃんも……)汗

直喜「り、六花…ちゃん……ゆ、夢芽…ちゃん……?」大汗

 

ただならぬ不穏な気配に…やっとのことで、声を出す直喜。

 

六花「なぁに直喜♪」

 

夢芽「どうしたの直喜♪」

 

直喜に声を掛けられると、すぐにご機嫌になる六花と夢芽。

 

アカネ「あっ、直喜君だ~♪」

 

そこに、アカネが直喜に手を振りながらやって来た。そして、夢芽の姿を見るなり…どす黒く染まった虚ろな瞳になる。

 

 

アカネ「誰だお前…なに直喜君に気安く近付いてんの?

 

アカネの言葉に、負けじと言い返す夢芽。

 

夢芽「私は直喜と遊びに来てるの、それに直喜からちゃんと同意も得たし…

 

貴女には関係ないでしょ?

 

そして、直喜を自分の元に抱き寄せた。それを見たアカネは、思わず両腕に紫色の光を纏い始める。

 

六花「アカネ、堪えて!!

 

アカネ「無理。

 

六花の声掛けに即答するアカネ。六花は急いで『メタフィールド』を生み出してメンバー達を包み込み…瞬時にその場から姿を消した。

 

 

 

直喜「こ、ここって…『メタフィールド』の中!?」

 

シズム「落ち着いて直喜、俺がいるから。」

 

落ち着きが無い直喜に対し、落ち着いた様子のシズム。

 

 

アカネ「直喜君から……

 

ハナレロォォオオオオオオ!!

 

ビィィイイイイイイイーー!!

 

闇のオーラを剥き出しにし、ぶちギレたアカネは…腕を十字型に組み、『カオススペシウム光線』を夢芽目掛けて発射した。

 

夢芽「ッ!!」ブゥンッ!!

 

夢芽は咄嗟に『全方位バリヤー』を張り、アカネの攻撃を防ぐも……

 

夢芽(な、なんて威力…!!)

 

次第にバリヤーにヒビが入ってきた。すかさず夢芽はテレポートで瞬間移動し、その直後にバリヤーが壊れた。

 

アカネ「ちぃっ!!

 

背後に現れた夢芽に対し、アカネは右腕から『カオス八つ裂き光輪』を放つ。夢芽はキングザウルス三世が使うバリアを張って防ぐ。

 

夢芽「貴女には、これをプレゼントするよ!!」

 

夢芽が放ったのは……

 

 

鯛砲『商売繁盛!!商売繁盛!!』

 

 

コダイゴンジアザーが使う武器『鯛砲』だ。『商売繁盛!!商売繁盛!!』と言いながら、アカネに迫ると……

 

ガブッ!!

 

アカネ「うぐっ…!?」

 

彼女のお腹に噛み付いた。アカネは鯛砲を引き剥がそうとするが、鯛砲はアカネに噛み付いたまま離れない。

 

 

六花「アカネ!!」

 

 

そこに、六花が駆け付け…ハンドスライサーで鯛砲を攻撃し、アカネを助けた。六花は停止した鯛砲を叩き付けた後、その辺に放り投げた。

 

アカネ「いたたた…ありがとう六花。」

 

六花「ううん、早く夢芽(あの女)を倒そう?」

 

アカネ「うん!!」

 

六花は両腕を下方で交差させてからゆっくりと広げてエネルギーを生み出し、天に掲げた後…腕をL字型に組んで『オーバーレイ・シュトローム』を発射した。アカネも腕を正面で交差させて闇のエネルギーを生み出し、両腕を回転させた後…腕を逆L字型に組み、『ダークレイ・シュトローム』を放った。

 

夢芽「私も、簡単に負ける訳にはいかないんだよね!!」

 

夢芽は胸の前で太陽のような球体を生み出し、そこから光線を発射した。これは、『デスフェイサー』が使う『ネオマキシマ砲』だ。六花とアカネの合体光線と、夢芽の光線がぶつかり合った時……

 

 

 

直喜「あっ!!」

 

そこに、直喜とシズムが現れる。そして…

 

直喜「や、やめてよ!!こんな事して何になるのさ!?」

 

…と、強い口調で3人に言い放った。直喜の言葉を耳にし、光線の打ち合いを辞める3人。

 

六花「直喜…」

 

直喜「折角仲良くなれると思ったのに、喧嘩するなんて……僕、すっごく悲しいよ…!!」

 

彼の言葉を聞き、彼女達は漸く理解した。

 

『直喜はただ…皆と仲良くしたかっただけ』

 

なのだと……

 

夢芽「…直喜。」

 

アカネ「そうだったんだ……」

 

今にも泣きそうな直喜の背中を擦りながら、シズムはこう言った。

 

 

シズム「君たちの友達である直喜は…

 

俺のベストフレンドでもあるんだ。

 

ベストフレンドを泣かす奴なら…

 

例え直喜の友達であっても……

 

俺は許さないよ?

 

 

シズムが低い声を出すと、彼の背後から『シルバーブルーメ』、『アブソーバ』、『デモス』の…3体の円盤生物が出現する。

 

3人「「「……。」」」

 

直喜「ねぇ、お願いだから……仲良くしようよ!!」

 

六花、アカネ、夢芽には…『愛しき存在』を奪おうとした奴を、一刻も早く始末し、最愛の直喜を独り占めしたいと思う気持ちがあった。だが、当の直喜は…自分達が争うことを望んでいない…むしろ、手を取り合って欲しいという願いがあったのだ。愛しき彼の願いであれば、無視することはできない…そう考えた3人は、争いを一旦辞めることにした。

 

 

その後、問題なくビーチランドに戻って来たのだが……

 

六花&夢芽「「…!!」」バチバチ…

 

アカネ&ちせ「「…!!」」バチバチ…

 

ちせが加わり、何やら火花を散らしている。

 

直喜「…何でそんなに怖い顔してるの?」

 

なみこ「おやおや、直喜は気付いていないか。」

 

はっす「女の戦いは、恐ろしいぜ~…」

 

なみことはっすがそう言っても、直喜には何のことだかサッパリ分からなかった。




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第62話 このギスギスした雰囲気って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


直喜が声をあげたことで、一時休戦となったものの……

 

 

 

六花&夢芽「「!!」」バチバチバチバチ……

 

アカネ&ちせ「「!!」」バチバチバチバチ……

 

ヒロインズは互いににらみ合い、何やら火花を散らしていた。

 

裕太「何で六花達は火花散らしてるの?」汗

 

将「さ、さぁ…」汗

 

蓬「多分、直喜君のことでじゃないかな?」

 

暦「俺もそう思う…」汗

 

ヒロインズとは反対に、裕太達はいつの間にか打ち解けていた。

 

直喜(まだ打ち解けられてないな…どうしよう……)

直喜「そ、そうだ…あれ、やらない…?」

 

直喜はゲームを通じて、六花達と夢芽達の仲を繋げようと考え…『ウルトラマンFEN』をやることに……

 

六花「久しぶりにやるね♪」

 

夢芽「このゲーム機買っておいて正解だったね。」

 

ヒロインズもゲーム機を取り出したところで、キャラクターを選択し始める直喜。選んだのは当然、『ウルトラマンゼアス』だ。六花は『ウルトラマンティガ』を、アカネは『ウルトラマンダイナ』を選択した。夢芽は『ウルトラマンネクサス』、ちせは『ウルトラマンジャスティス』を選択した。彼らがやっているのは『トーナメントモード』、その名如く、トーナメント形式でバトルを行うモードである。始めにコンピューターと対戦し、次に六花VS夢芽となった。

 

六花「言っておくけどね、ティガの魂は令和になっても受け継がれたの。まるで、私と直喜の愛みたいにね?」

 

夢芽「それなら、ネクサスは受け継がれていく光なんだけど?直喜との友情も絆も、ネクサスのように受け継がれているの。」

 

六花「は?

 

夢芽「あ?

 

互いに不穏オーラ剥き出しにしながら戦う六花と夢芽。結果……

 

 

 

夢芽「……!!」ウググググ…!!

 

六花「…フンッ。」ドヤァッ!

 

六花の圧勝となった。夢芽は、最近『ウルトラマンFEN』を購入したばかりであったため、操作に慣れていなかったのだ。それでも、六花は容赦しなかった。ドヤ顔をする六花に対し、悔しそうに表情を歪ませる夢芽。

 

ちせ「ジャスティスは正義のジャスティス!!お前なんかビクトリューム光線で葬ってやる…!!

 

アカネ「ダマレ!!ウルトラマンダイナは新たなる光…てめぇごとき、足元にも及ばないんだよ…!!

 

ゲームで遊んでいても、不穏なのはこの2人だ。互いに罵り合いながら勝負をした結果……

 

 

ちせ「ィヨォォオオオオシ!!」

 

アカネ「……。」チーン……

 

 

勝ったのはちせだった。普段は部屋に籠ってゲーム三昧の毎日を送っているためか、ゲームの腕前はアカネよりも上であったようだ。喜ぶちせとは反対に、項垂れるアカネ。その後、六花とちせは次々とコンピューターを破り…遂に、対決となった。

 

 

ちせ「さぁて、直喜先輩とウォータースライダーを掛けた戦い…制するのは、この飛鳥川 ちせです!!」

 

六花「どうかな?私、宝多 六花は…直喜の全てを理解している。好きなもの、嫌いなもの、悲しみ、優しさ、強さ…直喜の隣に立つのに相応しいのは、直喜の理解者である私よ!!」

 

 

一見、熱い勝負に思うが……

 

直喜「えっ?あ、あれ…滑る、の…???」滝汗

 

当の直喜は、これから滑るであろうと思われるウォータースライダーを見て、まるで流れ落ちる滝のような大汗をかいている。彼の視線の先に見えるウォータースライダーは、東京ビーチランド1の大きさを誇る超巨大コースだ。弱虫な直喜は、絶叫系のアトラクションやお化け屋敷は…大の苦手である。

 

直喜「ね、ねぇ響君…響君は、ああいうのって…と、得意……?

 

裕太「ん?いや、あんまりかな……」汗

 

直喜「う、内海君…は……?

 

将「いや、苦手だな……」

 

直喜「そ、それじゃあ…よ、蓬君は……?

 

蓬「俺も苦手だな~…」

 

直喜「こ、暦さん…

 

暦「絶対無理…」

 

直喜「そ、そんなぁ……

直喜(うぅ…ど、どうしよう……ぼ、僕…絶叫系無理なのにぃ……)

 

どうしようどうしようと悩んでいるうちに、勝負が決まった。トーナメントを制したのは……

 

 

 

 

 

 

ちせ「やったやったぁぁああああ!!直喜先輩、ジブン勝ちましたよ!!」

 

 

ヒロインズ屈指のゲーム上級者であるちせだった。嬉しそうに直喜に報告するが…

 

ちせ「って、あれ?どうしました、直喜先輩?」

 

青ざめた顔をする直喜を見て、疑問を抱く。

 

ちせ「も、もしかして…具合悪いんですか!?」

 

直喜「!!」フルフル…!!

 

ちせの問い掛けに、首を横に振る直喜。

 

アカネ「ひょっとして、お腹空いたの?」

 

直喜「!!」フルフル…!!

 

夢芽「もしかして、私達と遊ぶの…嫌だった?」

 

直喜「!!」フルフル…!!

 

どんなに問い掛けても、首を横に振ってばかりいる直喜に…ヒロインズも裕太達も困惑し始める。

 

 

六花「直喜…もしかして、絶叫系苦手?」

 

 

ふと、六花がそう問い掛けると……

 

 

直喜「ギクッ!?」

 

 

…と、図星を突かれた反応をする直喜。

 

なみこ「いや隠すの下手か!!」

 

そんな彼に、思わずツッコミを入れるなみこ。

 

はっす「なぁ~んだ、苦手なら苦手って言ってくれれば良かったのに~♪」

 

そういうはっすは、朗らかに微笑んでいた。

 

ちせ「それなら…流れるプールにでも行きましょ♪ジブン、直喜先輩とならどこに行っても楽しいですから!!」

 

こうして、ちせと直喜は2人乗りの浮き輪をレンタルし…流れるプールを楽しむのだった。直喜と楽しそうにするちせを、トーナメントに敗れたヒロインズは嫉妬心剥き出しの眼差しで睨んでいたのは言うまでもない……

 

 

 

将「…今まではモテたいと思ってたけど…もういいや……」汗

 

裕太「ふ、普通が一番…だよな……あは、あははは……」汗

 

蓬「に、人気者は…辛いなぁ……」汗

 

暦「…普通で良かったよ……」汗

 

 

ガウマ「お前ら何やってんだ?」汗




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第63話 至福の一時って、なに?

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


ウルトラマンFENで対戦し、直喜と二人きりになれる権利を獲得したちせ。そろそろ交代の時間になるのだが……

 

 

 

 

 

夢芽「ちせちゃん、そろそろ交代なんだけど…」

 

ちせ「えぇ~!!もうちょっとだけ、何なら後2時間は欲しいです!!」

 

アカネ「長過ぎぃ!!」プンプンッ!

 

六花「君の言うもうちょっとは、どうなってんのさ…」汗

 

 

夢芽が交代だと言っても、ちせはごねてばかりいた。中々交代しないちせに、直喜はこう言った。

 

直喜「ちせちゃん、約束は守らないと…」汗

 

ちせ「ごめんなさい直喜先輩!!!!」

 

直喜の言葉にあっさり従ったちせは、交代した。

 

夢芽「今度は私と二人きりだね、直喜♪

 

直喜「ふにゃあっ!?///」

 

夢芽が直喜の近くに来て耳元で囁くと…次第に顔を真っ赤にし始める直喜。

 

 

アカネ(あの泥棒猫…直喜君を誘惑しやがって……!!)ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

六花「アカネ!オーラ出てるって…!!」アセアセ

 

 

直喜とイチャイチャ(?)タイムを始める夢芽を見て、目の光が消えて嫉妬心を燃やすアカネ。彼女からは、闇のオーラが出ている…六花が彼女を落ち着かせようとしても、アカネは中々落ち着きを取り戻さない。

 

夢芽「…。」ベッ!

 

そんな彼女に向かって夢芽が舌を出すのだから、いよいよアカネはブチキレた。

 

アカネ「調子に乗るなァァアアアア!!

 

怒ったアカネを羽交い締めにして押さえる六花。なみことはっすも慌ててアカネを押さえつけて、アカネを落ち着かせる。流石のアカネも、公共の場で…ましてや直喜が見ている中で暴れるのは良くないと思ったのか…少しずつ、落ち着き始めた。

 

現在、直喜は夢芽と共に波のプールにいる。浮き輪に乗り、プカプカと波に浮かんでいる。そんな彼らを見守るのは……

 

 

ガウマ「直喜の奴、何か疲れた顔してねぇか?」

 

蓬「ガウマさんもそう思います?」

 

将「まぁ…美女達に振り回されてるからなぁ……」

 

裕太「内海…」汗

 

シズム「まぁ、直喜が楽しければ良いんじゃない?」

 

 

男性陣だった。火花を散らすヒロインズとは正反対に、彼等はすっかり打ち解け、友達となっていた。

 

直喜「……。」ハワァ……

 

波に揺られる直喜は、眠気と戦っているのか…よく欠伸をしている。

 

夢芽「直喜、眠いの?」

 

直喜「ふわぁ……ハッ!?ね、寝てないよ!?」

 

夢芽「ふふっ、欠伸ばっかりしてるじゃん♪もしかして、夏休みだからゲーム三昧かな?」

 

直喜「うっ……」汗

 

夢芽「んもぅ、正直だなぁ♪」

 

直喜は嘘をつこうとするとき、目が明後日の方角を向く癖がある。夢芽に図星を突かれ、目線が泳ぎまくった後…明後日の方角を見る直喜。そんな彼を見て、クスクスと笑う夢芽。やがて直喜は、ウトウトし始め…居眠りを始めた。

 

夢芽「……。」

夢芽(寝ちゃったか…もっと直喜と話したかったな……ま、直喜の可愛い寝顔が見れたから良しとしようかな?スマホスマホ♪)パシャシャシャシャ…

 

眠っている直喜の顔をスマホで連写する夢芽。

 

夢芽(フフフッ、よだれが出ちゃってる…もう直喜可愛すぎだって~♪)

 

直喜の寝顔に癒され、ご機嫌な夢芽。

 

夢芽(ヤバい…めっちゃ興奮する♪///)

 

夢芽はプールに潜り、股をおさえる。少しして水面に顔を出す夢芽。そこに……

 

 

DQN1「ねぇ、君可愛いね?」

 

DQN2「良かったらさぁ…俺達と一緒に遊ばない?」

 

 

派手な髪色をした男達がやって来る。

 

夢芽「…ちっ。」

 

DQN1「君さ、めっちゃスタイル良いね?モデルさん?」

 

DQN2「ねぇねぇ、連絡先交換しようよ♪」

 

男達の目を見ると、あからさまに下心が見え見えであることが分かった。腰に手を回そうとしてくる2人のDQNに、イライラした夢芽は……左手を光らせ、軽い津波を発生させる。

 

DQN1「えっ!?ちょっtうわぁっ……!?」

 

DQN2「はっ?いやいやなになn…ゴボボボ……」

 

DQN2人は、夢芽が発生させた津波に拐われ…岸に打ち上げられた。

 

夢芽(私の身体に触れて良いのは直喜だけ……下心丸出しのクズに触られてたまるかって話……)

 

ちせ「南さ~ん!そろそろ交代っすよ~!!」

 

夢芽「うん、分かった~!!」

 

交代の時間になったタイミングで、直喜は漸く起きて…夢芽と一緒に他のメンバー達の元に戻った。見守り役となっていたガウマ達もプールから上がり、メンバー達の元へ戻った。

 

 

 

その頃……

 

???「……。」トコトコトコトコ……

 

茂みの側を、何やら小さな謎の生き物がトコトコと歩いていた。そして、郵便局にあるポストの前で足を止めると……

 

キラキラキラキラ……

 

何やら、白い光を放つ粒子を発生させた。次の瞬間……

 

ギィ……ドロッ……ベシャッ……

 

何故かポストが、まるで溶けたアイスのようにドロドロになり…地面に倒れてしまった。

 

ベンゼン星人「ワァァアアアアアアアア!?ぽ、ポストが…とけ、とけ……溶けてるぅぅうううう!?

 

そこに、偶々通りかかったベンゼン星人(人間に擬態済)が現れ…ふにゃふにゃになったポストを見て、ムンクの叫びのように驚いていた。

 

転生者 B「さっさと操ろうぜ?てか、お前にも何かしら怪獣居ねぇのか?」

 

ベンゼン星人「え?居るけど?」

 

転生者 B「なら、ソイツも出しちゃえよ…ウルトラマンを倒すんだろ?」

 

ベンゼン星人「フヘヘヘ、お前…普段は役立たずだけどさ、よぉく分かってんじゃん!」

 

転生者 B「うるせぇよ…」

 

ポストをふにゃふにゃにした犯人である…頭にアンテナのような角が生えた、水色のメンダコに似た怪獣に右手を向けるB。ベンゼン星人は、何やらカプセルのような物を取り出して天に掲げ……

 

 

インスタンス・ベンゼネーション!!

 

 

…と叫んだ。直後、街中には巨大化した2体の怪獣が現れた。

 

怪獣A「ミャァァアアアアアアア!!

 

怪獣B「ウゥゥゥゥオオォォォォォォォ!!

 

1体目は、頭にアンテナのような角が生えた、水色のメンダコに似た怪獣『ネオフォビア』……2体目は、翼竜と猛禽類の要素を合わせた怪獣『ガルーヴァ』(別名:飛翔怪獣)だ。現れた2大怪獣は、街中を暴れまわり…破壊活動を開始する。

 

 

 

 

 

ガウマ「!?…か、怪獣!?」

 

直喜「えっ…か、怪獣…?」

 

怪獣出現を知ったガウマ隊は、走らずに更衣室へと急ぐ。そして、4機のメカに乗り…出撃していく。

 

直喜「き、着替えてる場合じゃ…無い、よね……?」

 

直喜が向かったのは…トイレである。洗面台前に立つと、ピカリブラッシャーを取り出し、高速で首を左右に振りながら自身の口腔環境をピカピカにする。

 

 

直喜「ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアッ!!

 

 

ブラッシャーを天に掲げると、直喜は眩く優しい光へと包まれていった。直後、東京ビーチランドから…ウルトラマンゼアスが出現、ガウマ隊の後を追う形で飛び立った。

 

 

 

 

転生者 B「やっぱりすぐ来たか…!!」

 

ネオフォビアを操るBは、ダイナゼノンが来ることを待ってましたと言わんばかりに…

 

転生者 B「おい怪獣!!ダイナウイングを狙え!!南 夢芽は…俺の嫁だぁぁああああああああ!!

 

目を光らせ、ネオフォビアに指令を送る。ネオフォビアは合体しようとする4機を妨害するため、アンテナから緑色のレーザーを放つ。

 

夢芽『ッ!?』

 

夢芽が操縦するダイナウイングは、間一髪でレーザーをかわす。しかし、ネオフォビアはダイナウイングを集中攻撃し、レーザーを放ち続ける。

 

ガウマ『夢芽ばっか狙ってんじゃねぇぇええええ!!』

 

ガウマはダイナダイバーからミサイルを放つ。しかし、ネオフォビアが放った光の粒子に触れた途端…ミサイルは全てふにゃふにゃになり、地上に落下した。

 

ガウマ『なっ!?くっそぉ…!!』

 

ベンゼン星人「フヘヘヘ!!ガルーヴァ、お前の力を見せてやれぇ!!」

 

ガルーヴァ「ウゥゥゥゥオオォォォォォォォッ!!」

 

ベンゼン星人がそう叫ぶと、ガルーヴァは口から火炎弾を放ち…ダイナウイング以外のメカを攻撃する。

 

ガウマ『ぐあっ!?』

 

蓬『ぐっ!?』

 

暦『うわっ!?』

 

火炎弾の餌食になったダイナダイバーとダイナソルジャー、ダイナストライカーは地面をバウンドしながら転がった。

 

夢芽『ガウマさん!!蓬君!!暦さん!!…ッ!?』

 

仲間を心配する夢芽の元には、ネオフォビアが放つレーザーが飛んで来る。

 

夢芽(このままじゃ…!!)

 

その時……東の方角から、青い光を放つ楔型の光線が飛んで来て、レーザーを破壊した。

 

夢芽『今のは…もしかして……!!』

 

光線が飛んで来た方角見ると…赤と銀の身体に、胸部にある空色の光を放つランプ、黄色い瞳が特徴の戦士がこちらへ向かって来る姿があった。

 

 

夢芽『ウルトラマンゼアス!!』

 

 

救援に駆け付けたゼアスは……

 

ゼアス「セヤァッ!!

 

ドッゴォォオオオオオオオオッ!!…ドドォォオオオオオオオッ!!

 

ネオフォビアに飛び蹴りを繰り出し、地面に転ばせた。

 

転生者 B「んなっ!?ウルトラマンが来やがった…!!」

 

ベンゼン星人「行けガルーヴァ!!」

 

ガルーヴァ「ウゥゥゥゥオオォォォォォォォッ!!」

 

ガルーヴァは雄叫びを上げると、ゼアス目掛けて走ってくる。

 

ガシィッ!!

 

その後、相撲のようにゼアスと取っ組み合いを始め……

 

ゼアス「ゼアッ!!」ブゥンッ!!

 

ゼアスの巴投げで、投げ飛ばされた。ゼアスとガルーヴァが戦っている間に…

 

ネオフォビア「ミャァァアアアアアアアアア!!」

 

ネオフォビアは起き上がり、ダイナウイング目掛けてホーミングレーザーを発射した。

 

蓬『南さんッ!!』

 

蓬が操縦するダイナソルジャーは慌てて地面から立ち上がり、ダイナストライカーと共に走っていく。

 

蓬『ゼアスは別の怪獣と戦ってるし…こっちも、遠くから怪獣を攻撃できれば…!!』

 

走りながら考える蓬…彼の後ろには、ちせもいる。その時…蓬が何かを閃く。

 

蓬『暦さん!!この間試したヤツ!!』

 

暦『えっ!?あ、あれで大丈夫なの!?』

 

蓬の言葉に困惑する暦だが…

 

 

暦『分かった!!』

 

 

…すぐに了承し、ダイナソルジャーと合体を始める。

 

ダイナソルジャー・ストライカーコンバイン!!

 

両腕にダイナストライカーを装着した『ダイナソルジャー・ストライカーコンバイン』となったが……重心のせいかバランスが悪く、まともに立つことすら難しい状態なのが弱点だ。ダイナウイングに迫り来るホーミングレーザーを狙うため、両腕の武装をネオフォビアに向けるが…今にも倒れそうである。

 

ガウマ『堪えろ!!蓬ィ!!』

 

ベンゼン星人「そうは行かねぇよ…ガルーヴァ、あのメカを倒せ!!」

 

蓬達目掛けて、火炎弾を放とうとするガルーヴァ。

 

直喜(させないよ!!)

ゼアス「タアアァァッ!!」

 

ゼアスはジャンプすると、ガルーヴァの脳天に右手を振り下ろした。

 

ゴチィンッ!!

 

ガルーヴァ「ウオォォオオォォ!?」

 

ゼアスが放ったチョップ技『ゼアシュトー』を受けたガルーヴァは、火炎弾を地面に放ってしまい…勢いよく吹き飛んだ。

 

蓬『だ、ダイナソルジャー・ストライカーストームα!!』

 

暦『ストライカーストームβ!!』

 

 

発射ァァアアアア!!

 

 

その隙に、ダイナソルジャーは熱線を放った。熱線はネオフォビアに命中し、ホーミングレーザーは空の彼方へと飛んでいった。

 

ドドォォオオオオオオオッ!!

 

暦『うわわわっ!?』

 

蓬『がっ!?』

 

ちせ『いったああぁぁ……!!』

 

熱線を撃った直後、ダイナソルジャーはバランスを崩し…地面に仰向けに倒れた。

 

ガウマ『よし、もう一回合体だ!!』

 

ダイナウイングの救出に成功し、ダイナゼノンへと合体を遂げた4機のメカ。

 

転生者 B「くっそぉ…ダイナゼノンの合体を許しちまった……殺れぇ、怪獣!!」

 

ネオフォビア「ミャァァアアアアアアアアア!!」

 

ネオフォビアは咆哮を上げ、ダイナゼノンに突撃してくる。ダイナゼノンは両手の先からエネルギー弾を放ちながら、正面からネオフォビアを迎え撃つ。しかし、ネオフォビアはエネルギー弾に怯まず…ダイナゼノンに接近に成功…そんなネオフォビアに、パワー勝負を仕掛けるダイナゼノン。やがて、ネオフォビアを投げ飛ばし…地面にバウンドさせた。すると、ネオフォビアは裏返しになり…コウモリダコに似た姿となった。下半身にもう一つの顔があるため、4本の触手で歩行しながらダイナゼノンに飛び付き…噛み付き攻撃を繰り出す。

 

ガウマ『おいおいおい、何なんだコイツは!?』

 

ゼアス「ッ!!」

直喜(ガウマさん達が…助けなきゃ!!)

 

ゼアスはダイナゼノンを助けるため、走り出す。そして、地面を蹴って空高くジャンプし……

 

ゼアス「シェアッ!!

 

ドッゴォォオオオオオオオオッ!!

 

ネオフォビア目掛けて『ゼアス・ドロップキック』を繰り出した。ゼアスのキックを受け、地面をバウンドするネオフォビア。

 

ガウマ『サンキューウルトラマン!!』

 

助けてくれたゼアスにお礼を言うガウマ。その時……

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を開始した。

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

時間は、残り少ない……

 

 

ガウマ『怪獣達は弱ってる!一気に行くぞ!!』

 

ダイナゼノンはダイナレックスへと変形すると、ネオフォビアに接近し……

 

ガウマ『必焼大火炎・レックスロアー!!

 

強力な火炎放射を放った。火炎に包まれたネオフォビアは爆発を起こし、散っていった。

 

直喜(後はガルーヴァだけ…よし、受けてみろ!!)

ゼアス「ジュアッ!!」

 

すかさずゼアスは両腕を斜め下から上にあげてエネルギーを集め、胸の前で青い球体状にする。

 

直喜(必殺…『デラシュッシュラ光流』!!)

ゼアス「シェアッ!!

 

そして、青い光球を宿した右手を、大きく振りかぶってからガルーヴァへまっすぐ伸ばし、光熱の奔流として発射した。『デラシュッシュラ光流』…これは、直喜が考案したオリジナル必殺技で、【ウルトラマンティガ】及び【ウルトラマントリガー】が使用する必殺技『デラシウム光流』を参考にした技だ。ゼアスが放った青い奔流は、ガルーヴァに命中する。

 

ガルーヴァ「ウゥゥゥゥオオォォォォォォォッ!!」

 

ガルーヴァはゆっくりと仰向けに倒れると、大爆発に包まれた。

 

 

転生者 B「ば、バカな…またやられた!?」

 

ベンゼン星人「えぇっ!?ゼアスの奴に、あんな技無かったよぉ!?」

 

怪獣が敗れ…Bとベンゼン星人は撤退していった。

 

 

怪獣を倒した後、ゼアスは街を元に戻す光線を発射した。破壊された街は、みるみる元に戻って行く。やがて、完全元通りになると…

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

ウルトラマンゼアスは、大空へ飛び上がり…空の彼方へと飛び去って行った。ゼアスを見送ったダイナレックスも大空へ飛び立ち、山奥へと向かった。

 

 

 

 

 

直喜(ふぅ…何とか勝てたよぉ……)

 

ゼアス(直喜君、いつの間にあんなに凄い技考えたの!?)

 

直喜(ティガとトリガーの真似をしただけだよ…あははは……)

 

ゼアス(よし…僕も、ウルトラマンさんみたいにならないと!!)

 

怪獣を倒し、何事も無かったように東京ビーチランドへ戻って来た直喜。

 

直喜「はっ…はっ…ハクションッ!!」

 

そして、お手本のようなくしゃみをした。

 

 

???「コラッ♪そんな格好でどこをつき歩いてたの?」

 

 

直喜「…ふぇ?」

 

すると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえたため、振り向くと……

 

 

オニジャ「直喜ィー!!」

 

ジュウガ「奇遇ですね、直喜。」

 

ムジナ「やっほ~♪」

 

 

オニジャを先頭に、ジュウガとムジナがやって来た。

 

直喜「あれ、オニジャ君達…」

 

オニジャ「六花達と合流してな、お前を探してたんだよ。アイツら、すっげぇ心配してたぜ?」

 

直喜「あ、後で…謝らないと……」

 

オニジャ達と共に、六花達の元へと戻った直喜は、無事に合流することができた。

 

 

 

 

その頃…とある河原では……

 

ちせ「あぁ~、もう少し泳ぎたかったなぁ……」

 

ガウマ「直喜と話せなかったなぁ……」

 

暦「この後荷物取りに行かないといけないじゃん……」

 

着替える間もなく、出撃したガウマ隊は…水着のままであったため、途方にくれていた。

 

夢芽「さっき、ありがと。」

 

蓬「えっ?」

 

夢芽からの突然の抽象的なお礼を聞き、固まった蓬…そんな彼を捕まえたガウマは…崖からダイブした。

 

蓬「えぇぇえええ!?うわぁぁああああああああ!!??」

 

ザッパァァアアアアアアアアンッ!!

 

そして、池に…いや、自然の天然プールに着水した。それを見たちせは、暦の後ろに立つと……

 

ちせ「飛び込まないで、くださぁぁああああああああい!!

 

暦「のわぁぁあああああああああ!!」

 

暦と共に、天然プールにダイブした。天然プールに着水したガウマと共に楽しそうに笑うちせは…

 

ちせ「南さんも~!!」

 

…と、夢芽を呼ぶ。夢芽は微笑むと、ダイブする……と、思いきや……

 

 

夢芽「あれ?…何か忘れてるような……あっ!?」

 

 

何やら考え事を始め、何かを思い出したようなリアクションをする。

 

ちせ「忘れ物ですか~!?何を……あっ…ああぁぁああああああああ!!」

 

夢芽に何か言おうとしたちせだが、何かを思い出したのか声を上げる。夢芽とちせが忘れたのは……

 

 

 

夢芽「な、直喜…!!」

 

ちせ「直喜先ぱぁぁああああい!!

 

愛しの直喜だった……

 

 

 

その頃、東京ビーチランドでは……

 

直喜「ハクシュンッ!!…っとと……だ、誰かに噂でもされてるのかな……?」

 

六花達と合流した直喜が、温泉でゆっくりしていた。

 

アカネ「そんな事よりぃ~…直喜くぅ~ん、私とイイコト、しよ♪」

 

やっと直喜との至福の時を向かえられたアカネは、公共の場でもお構い無しに…直喜にアプローチを仕掛ける。具体的に何をしているのかというと…腕を絡ませて直喜に密着し、胸やお腹を直喜に押し当てている。

 

直喜「い、良いことって…なに?」

 

アカネ「んふふ、知りたい?それはねぇ……」

 

アカネは耳元で直喜に『イイコト』を言う。彼女の言葉を聞いた途端……

 

 

直喜「は、はわわわ…!!///」カァ~……

 

 

みるみる顔を真っ赤にする直喜。

 

六花「ちょっとアカネ!?直喜に何を教えたの!?」

 

アカネ「六花も分かってるでしょ♪」

 

六花「アカネ~!!」

 

直喜には、エッチな内容について…全く耐性が無い。そもそも、そんな事考えたことも無いのだ。

 

六花「大丈夫直喜!?…あぁ、おでこが熱い…42度はあるんじゃ!?」

 

なみこ「いやいや、ここ温泉だけど?」

 

はっす「おっと六花さん、アカネに負けじと直君にアプローチを仕掛けていくぅ~♪」

 

六花「何でバレた!?じゃなくて、私は直喜が心配で!!」

 

なみこは六花にツッコミを入れ、はっすは六花をからかう。そんな彼らを見守るのは、怪獣優生思想の4人と、将と裕太だ。

 

ムジナ「はぁ~…良いお湯…♪」

 

シズム「楽しそうだね、直喜達。」

 

オニジャ「はっはっはっはっ!直喜が楽しいなら、俺達も楽しいよな!!」

 

ジュウガ「当然です。直喜の楽しみは、俺達の楽しみでもありますから。」

 

将「響…どうしたら神山みたいに人気者になれるかな?」

 

裕太「いや、普通で良いと思うよ…?」汗




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


※…ガルーヴァの鳴き声は『火山怪鳥 バードン』と同じです。

ベンゼン星人のイメージCV…『木村 昴』さん

レディベンゼン星人のイメージCV…『沢城 みゆき』さん


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第64話 あげたいって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


東京ビーチランドで気分転換をした直喜は、とても満足していた。

 

直喜「楽しかったなぁ…何か、漸く夏休みらしいことができた気がする……のかな?」

 

アカネ「直喜君、一緒に帰ろ~♪」

 

 

3人「「「ぐぬぬぬぬ……!!」」」

 

 

 

ご機嫌な様子で直喜の元にやってくるアカネとは正反対に、六花となみことはっすは何故か悔しそうな顔をしている。

 

実は、『誰が直喜を家に送り届けるか』をかけてジャンケン勝負をした結果…アカネが勝ち抜けしたのだった。最後までご機嫌だったアカネは、無事に直喜を自宅マンションまで送り届けることに成功した。

 

直喜「そ、それじゃあ…ま、またね…アカネちゃん…!!」

 

アカネ「うん、またn…あっ、ちょっと待って直喜君!!」

 

何かを思い出したアカネは、ゴソゴソと鞄を探り…

 

 

アカネ「んふふ、じゃんじゃじゃ~ん♪」

 

 

鞄から箱を取り出した。箱を見た直喜は、目を丸くしている。

 

直喜「そ、それって…!!」

 

アカネ「うん!『ブラックスパークレンス』『カミーラスパークレンス』♪勿論、ウルトラレプリカのね♪」

 

それは、知る人ぞ知るとあるネットショッピングで限定販売されている『ウルトラレプリカ』版の『ブラックスパークレンス』と『スパークレンス(カミーラ ver.)』であった。ウルトラレプリカは、限りなく原作に近付けた物であり、値段も高い…そのため、直喜には手の届かない存在だった。

 

アカネ「これ、私から直喜君にプレゼント♪」

 

直喜「そ、そんなに高価な物…さ、流石に貰えないよ…!!」アセアセ

 

アカネ「大丈夫大丈夫!!私からのほんの気持ち…一緒にゲームで遊んでくれたり、ウルトラマン作品の話をしてくれたり…いつもありがとう直喜君♪だから、貰って?ね?」

 

初めは遠慮していた直喜だったが……

 

直喜「ほ、ホントに…貰っちゃっても、良いの……?」汗

 

アカネ「勿論だってぇ~♪だって直喜君にあげたいんだもん♪だから、はいっ♪」

 

アカネの押しに折れてしまい、貰うことになった。

 

直喜「こ、こんなに豪華なプレゼント…あ、ありがとう…アカネちゃん…!!」

 

終始目をまん丸にしたまま、アカネにお礼を言う直喜。

 

アカネ「んふふふ、これくらいどうってこと無いよぉ~♪」

 

直喜にお礼を言われたアカネは、嬉しそうな顔をしている。そこに……

 

 

転生者 A「オラァ神山ァ!!てめぇ何アカネからプレゼントされとんじゃぁぁああああああああ!!」

 

 

発狂しながら、Aがズンズンとやって来る。

 

アカネ「…ちっ。」イラッ…

アカネ(折角直喜君の喜ぶ顔が見れたのに……

 

また邪魔するんだ?)

 

空気も読めないAの行動に腸が煮えくり返ったアカネは、右手から青白い光を放つ鞭状の武器を形成する。

 

直喜「それ…もしかして、『カミーラウィップ』?」

 

アカネ「あったり~♪」

 

それは、愛憎戦士(あいぞうせんし)との別名がある闇の巨人『カミーラ』が使う技の1つ『カミーラウィップ』だ。氷の鞭とも言われており、触れたら人溜まりもない。

 

アカネ「いやっ!!せやっ!!」ヒュンッ!ヒュンッ!

 

転生者 A「ぐわっ!?がはっ!!」

 

カミーラウィップを振るうアカネは、自身のイライラをぶつけるようにAを攻撃する。

 

アカネ「死ね…!!

 

怒ったアカネは右腕を天に掲げると、青い稲妻を纏わせる。そして、青紫色の光を放つ…まるで突風のような光線を発射した。俊敏戦士(しゅんびんせんし)という別名を持つ闇の巨人『ヒュドラ』の必殺技だ。

 

転生者 A「どわっ!?ちょっと待っtはにゃぁぁああああああん…!?

 

アカネの技をもろに受けたAは、夕焼けの空に吸い込まれるように飛んでいった。

 

 

 

アカネ「あ~、スッキリした♪」

 

直喜「……。」汗

直喜(え、A君…大丈夫かな……?)

 

スカッとした様子のアカネとは反対に、ぶっ飛ばされたAのことを心配する直喜。そんな彼を見て、面白くないと思ったのか…

 

アカネ「ねぇねぇ直喜君?さっき追い払ったアイツ、直喜君を殺そうとしてきたんだよ?どうしてそんな奴の心配ができるの?」

 

…と、直喜に尋ねる。

 

直喜「僕、ただ…A君とも仲良くなりたいって…思ってるからさ……あっちが信じてなくても、僕は…A君と仲良くなれることを…信じてるから……」

 

アカネ「…直喜君。」

 

神山 直喜…彼は、人を疑うことを知らない……どんなに自分のことを嫌っている人がいても、いつかはその人と仲良くなれることを…ずっと信じ続けていたのだ。

 

アカネ(アイツらは自分たちのことばっか考えてるし…直喜君のその優しさを利用しそうだなぁ……ま、そんな事をしたら…

 

消すけどね?

 

例え直喜君に嫌われたとしても…私が、直喜君を守らないといけないからねぇ……)

 

直喜は未だにA達と仲良くしたいと思っているが…アカネは、そんな彼の考えにあまり賛成はしていないようだ。

 

直喜との再会を果たすため、幾多の次元や世界を旅してきた彼女は…A達の本性を既に知っている。自分にとって都合の良い結果に向かうために、手段を選ばず…他人を蹴落としてまで手柄を横取りし、鼻を伸ばそうとする……それだけではなく、欲しがってばかりいて…自分は他人に何も与えないという…正真正銘『クズ』なのだ。

 

アカネ(でも、直喜君に嫌われたくないからなぁ……アイツら、もう少し泳がせておこうかな?)

 

アカネ「それじゃあ、またね直喜君♪」フリフリ

 

直喜に手を振ったアカネは、自宅へと帰っていった。

 

 

 

直喜「す、凄いなぁ…本物みたい、ううん……もはや本物だよ……」

 

アカネから貰ったプレゼントを開封し、電源をつけると…早速遊び始める直喜。

 

直喜「うわぁっ!!動きに合わせて音が鳴る!!発光もキレイだし、ティガの声も聞ける!!それにそれに、ティガトルネードにもティガブラストにもなれる!!必殺技遊びも出来るし、BGMも聞ける!!宝物だぁ!!」

 

ブラックスパークレンスだけでも、興奮が止まらない直喜。

 

直喜「後は、カミーラスパークレンスだね!!おぉっ!!これも凄いなぁ!!ちゃんと変身も出来るし、カミーラの声も聞ける!!カミーラウィップも出せるし、デモンゾーアにもなれる!!…ちょっと不気味だけど、これも宝物だよ!!」

 

2つのお宝に、子どものようにはしゃぐ直喜であった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第65話 対面って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


その日、直喜も眠っている程の時刻になった夜……

 

 

 

オリシス「……。」

 

マート「…んふふ。」

 

直喜の自宅マンションの屋上では、神であるオリシスとマートが対面していた。

 

オリシス「マート…【SSSS.GRIDMAN】の世界と【SSSS.DYNAZENON】の世界をくっつけたのはお前か?」

 

マート「そんな訳無いでしょ…2つの世界を1つにしてきたのは、“アイツら”よ。散々好き勝手してきて世界を壊し続けて来たんだし…」

 

オリシス「ならば、何故この世界に南 夢芽と飛鳥川 ちせらがいる?」

 

マート「だぁかぁらぁ…全ての原因は“アイツら”なんだから……ま、アイツらのおかげで…夢芽とちせは直喜との再会を果たせたんだけどね。」

 

マートの言う“アイツら”とは、●●●●のことであろう…彼らは自分の欲望を満たすためなら、手段を選ばないどうしようも無いクズ連中だ。

 

オリシス「それなら、この世界を元通りに」

 

 

マート「ダメよ、そんなんじゃ夢芽とちせが報われないじゃない?」

 

 

この世界は既にバグが発生している。そのため、オリシスは一刻も早く元通りにしようとしていたが…彼のやり方を、マートは許さなかった。

 

マート「この世界を元通りにしたら、夢芽とちせは直喜に逢えなくなる…彼女達が悲しむのは確実よ?」

 

この世界は【SSSS.GRIDMAN】の世界……しかし、夢芽とちせはこの世界の住民ではない。そのため、この世界を元に戻すと…夢芽とちせは永遠に直喜と逢えなくなってしまうのだ。

 

マート「ちゃんと直喜の言葉も聞くべき…そう思わない?」

 

オリシス「…貴様、全ては彼次第と言いたいのか?」

 

マート「その通り。あの娘達だって精一杯頑張っていたもの…なのに、報われないっておかしくない?」

 

オリシス「……。」

オリシス(六花とアカネも…直喜に会うため、必死に頑張っていた……マート(コイツ)の言葉も一理ある…だが……)

 

直喜と会うため…頑張っていた六花とアカネ。時には挫折し、時には絶望し…それでも、『もう一度直喜に逢いたい』と言う気持ちをバネに、どんなに精神的に辛い時であっても…どんなに声を上げて泣きたい時であっても…愛しい彼のため、突っ走り続けていたのだ。

 

マート「ふふ、ねぇオリシス?貴方も見てみたいと思わない?」

 

オリシス「…何をだ?」

 

マート「あの娘達の未来…全ては直喜の選択次第、心優しい彼がどんな未来を生み出すのか、私は楽しみなの。それを、一緒に見届けない?」

 

オリシス「……。」

 

マート「あっ、勿論アイツらが邪魔をするなら、私は容赦しないわ。人様の幸せを壊してきたバカ共なんかに、生きる価値なんて無い…堕ちるとこまで堕ちて行けば良い、アイツらの場合は因果応報よ?」

 

オリシス「……。」

 

何も言えなかったオリシスの前から姿を消すマート。

 

オリシス(もしこの世界が元通りになった時…直喜は夢芽とちせと逢えなくなる……ここは、彼に直接聞いてみるのが良いだろう…)

 

そう思ったオリシスは、マンションの屋上から姿を消した。

 

 

 

次の日……

 

直喜「……。」

直喜(やっぱり、ウルトラマンって凄いなぁ……あっ、この技参考にできるかも…)

 

直喜は録画したウルトラマン作品やウルトラマン作品のDVDを見て過ごしていた。一通りの家事を終えたご褒美だ。1人暮らしをしているため、身の回りのことは自分でしているのだ。テレビに夢中になっていると……

 

ピンポーンッ…

 

インターホンが鳴った。

 

直喜「はーい!」

 

直喜はトテトテと玄関に向かい、覗き穴を覗く。

 

直喜(あれ?この人、どこかで見たような……?)

 

玄関前には、見覚えのある女性の姿がある。恐る恐る、玄関を開けると……

 

 

マート「やっほ♪」フリフリ…

 

 

マートはまるで…小さい子に向けるような優しい笑顔を見せ、直喜に手を振った。

 

直喜「あ、貴女は…えっと……」

 

マート「マートよ♪」

 

直喜「あっ、そうだそうだ……ま、マートさん…立ち話も疲れると思いますので…あ、上がります…?」

 

マート「良いの、やった♪」

 

直喜の言葉に甘えたマートは、嬉しそうに彼の自宅マンションへと上がった。

 

 

 

直喜「お、お茶…どうぞ……」

 

マート「あら、どうもありがと♪」

 

直喜が出した緑茶を飲むマート。

 

マート「直喜…貴方、お茶淹れるの上手じゃない!このお茶、今まで飲んできたお茶の中で1番飲みやすいわ♪」

 

直喜「へっ…そ、そう…ですか……?」汗

 

大袈裟とも言えるマートの褒め言葉に、困惑する直喜。そんな彼に、マートはこんな質問をしてみた。

 

 

マート「直喜はさ…夢芽とちせと一緒にいて、楽しい?」

 

 

直喜「えっ?あ、はい…それは、もちろん…です……」

 

マート(フムフム…成る程。)

 

直喜の返答を聞いたマートは、頷いてみせる。

 

マート「じゃあさ…もしも、夢芽とちせと逢えなくなっちゃったら…直喜は寂しい?」

 

直喜「えっ!?そんなの嫌ですよ!!折角仲良くなれたのに…!!」

 

マートの言葉に、思わず早口になる直喜。

 

マート(やっぱりそうよね…仲良しになった人と逢えなくなるのって、寂しいわよね……でも、直喜なら…未来を変えられるかもしれないわね。)

 

今にも泣きそうな直喜に、優しい笑顔を向けるマート。

 

マート「直喜は、夢芽とちせが六花とアカネ達と仲良くなれることを信じてる…違う?」

 

直喜「ち、違くない……皆が仲良くなって欲しいんだ…でも、僕には何もできなくて……」

 

直喜の言葉を聞いたマートは、彼にこう言った。

 

 

マート「おめでとう、直喜♪」

 

 

直喜「ふぇ?それって…どういう……」

 

マート「んふふ、さぁ…どんな意味でしょう?お茶、ご馳走さま♪」

 

疑問を浮かべる直喜の前から、マートは姿を消した。

 

直喜「な、何だったんだろう…」

 

オリシス「マートが接触したか…」

 

直喜「うわあっ!?」ビクッ!!

 

いつの間に隣にいたオリシスにビックリして、尻餅をつく直喜。

 

オリシス「あぁ、すまない直喜…驚かすつもりは無かったんだ…」汗

 

直喜「だ、大丈夫…です……イテテテ……」

 

お尻をおさえながら立ち上がる直喜。

 

オリシス「突然だが…直喜は、六花とアカネには…夢芽とちせと仲良くなって欲しいか?」

 

直喜「ふぇっ?あっ…は、はい…でも、僕……どうしたら良いのか…」

 

オリシス「焦る必要は無い。君は、六花とアカネに勇気と感動を与え続けている…それは2人も分かっている。」

 

直喜「ねぇ、オリシスさん…ぼ、僕の願い…届くかな……弱虫の僕でも、願いは…届くかな…?」

 

直喜の言葉に、オリシスはこう言った。

 

 

オリシス「それは、君次第だ。」

 

 

そして、彼の目の前から姿を消した。

 

直喜「…ぼ、僕次第……」

直喜(…えっと……六花ちゃん達が仲良くなるには、まず…話し合いが……け、けどなぁ……)

 

どうすれば、『皆仲良し』を実現できるか考える直喜……そして、1つの答えにたどり着いた。答えにたどり着いた直喜は、ある人物に電話をかけた。

 

 

 

その頃……ベンゼン星人の秘密基地では…

 

レディベンゼン星人(あ~あ…アイツら、結局使い物にならないじゃない……ま、ダーリンがおっちょこちょいなのは知ってるけど…)

 

レディベンゼン星人が…宿敵『ウルトラマンゼアス』を中々倒してこない3バカに、いい加減イライラしていた。

 

ベンゼン星人「ハニー、そんな顔しないでくれよ。まぁ、俺はどんな顔のハニーも大好きだぜ!!」

 

レディベンゼン星人「んもぉ、ダーリンったら…褒め上手♪」

 

ベンゼン星人「アイツら、確かにちっとも役に立たないけどさ……でも、アイツらの邪悪な心は確実に成長してる…」

 

レディベンゼン星人「どういうこと?」

 

ベンゼン星人「俺様に考えがあるんだよ…」ニヤッ…

 

ベンゼン星人はそう言うと、レディベンゼン星人の部屋から退室した。

 

レディベンゼン星人(ダーリンの考えって、もしかして……)

 

1人になったレディベンゼン星人は、考え事を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人(ヤバ…全然分かんないわ……)汗

 

いや、分からんのかい!!




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第66話 仲良くって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


日曜日……

 

この日は、直喜にとって特別な日である。その理由は……

 

 

直喜(土曜日はウルトラマンの日!!今日…ううん、日曜日は『ウルフェス』の日!!)

 

『ウルフェス』…それは、『ウルトラマンフェスティバル』の略語であり、毎週日曜日に開催される。ウルトラマンファン達にとって、この日は特別な日なのだ。根っからのウルトラマンファンの直喜は、日曜日が来るのを楽しみにしている。

 

直喜(上手く行くと良いんだけどなぁ……)

 

楽しみと不安を抱えながら、直喜は現地へと足を運んだ。

 

 

 

隆也「よぉ、直喜ィ!!」

 

直喜「あっ、隆也君!!」

 

現地に到着すると、そこには直喜の親友『阿部 隆也』の姿があった。

 

隆也「今日はあれだろ?宝多さんに新条さん…後は確か、南さんって子と飛鳥川さんって子が来るんだよな?」

 

直喜「そうそう。六花ちゃん達と夢芽ちゃん達が、少しでも仲良くなれたらな~って…」

 

隆也「よし、親友のために俺も一肌脱ぐか!!なんせ俺は、自称:日本一のお節介だからな!!」

 

直喜「ありがとうね、隆也君。」

 

隆也「おいおい、まだ礼を言うのは早いだろw」

 

直喜「ご、ごめんごめんw」

 

今回のウルフェスをきっかけに、六花達と夢芽達が仲良くなることを目的としている直喜。1人では心細いと思い、隆也にも来てもらったのだ。自称『日本一のお節介』の隆也は、直喜からのお願いをあっさり承諾…こうして今に至る。

 

 

「「直喜~♪」」

 

「直喜く~ん♪」

 

「直喜先ぱ~い♪」

 

 

そこに、六花とアカネ…夢芽とちせがやって来る。

 

隆也「おっ、姫様達の御成りだな。」

 

直喜「あっ、ホントだ。おーい!こっちこっち!!」

 

4人の姫達は、笑顔を見せながら直喜の元に駆け寄って来る。

 

直喜「夢芽ちゃん、ちせちゃん…紹介するね。僕の友達の阿部 隆也君。六花ちゃんは知ってると思うんだけど…アカネちゃんは、初めて会う、よね?」

 

隆也「初めてましての人は、初めまして!会ったことある人は、ご無沙汰してます!俺は阿部 隆也、よろしく!!」

 

アカネ「私『新条 アカネ』、よろしくね隆也君。」

 

夢芽「こんにちは、『南 夢芽』です。」

 

ちせ「隆也先輩っすね?自分『飛鳥川 ちせ』です、よろしくお願いします!!」

 

軽い自己紹介を終えると、会場の中へと入っていく6人。入場料を払い、ウルフェスへと足を踏み入れる。

 

 

 

まずは、ジオラマコーナーでウルトラマンの世界を覗いてみることに…

 

六花&夢芽「「…!!」」バチバチ…

 

アカネ&ちせ「「…!!」」バチバチ…

 

だが、未だに悪い雰囲気な彼女達は…直喜を巡って、火花を散らしていた。そんな彼女達を見た直喜は、さっそく声を掛けていく。

 

直喜「そ、そうだ!折角隆也君にも会えたんだし、何か聞きたいこととかある?」

 

隆也「おう、何でも聞いてくれ!!」

 

自身の胸をドンと叩きながら言う隆也。

 

 

六花(阿部君だったら、直喜についてもっと知ってるかもしれない…でも、聞きたいこといっぱいあるからなぁ……)

 

アカネ(直喜君と仲良くなる秘訣は…って、もう既に直喜君とは仲良しこよしだったw)

 

夢芽(何を聞こうかな…えっと……)

 

ちせ(落ち着けちせ…直喜先輩について聞けば良いんだ……け、けど……)

 

 

4人は、何を聞こうか悩んでいた。そんな中、口を開いたのは……

 

六花「はい質問!!直喜をウルトラマンに例えるなら、どのウルトラマン?」

 

六花だった。

 

隆也「そうだな~…ウルトラマンゼアス、だな!」

 

六花(って、直喜はゼアスだった…ヤバ、質問ミスったかな……)

 

心の中で焦ったことを後悔する六花。次に、アカネが口を開く。

 

アカネ「はいは~い♪隆也君にとって、直喜君の良いところは何?」

 

隆也「例えばそうだな…何か分からないことがあったら、すぐに聞きに行くところだな。後は、いつも身だしなみがきちんとしてるとことか…とにかく色々ある!」

 

アカネ(言われてみれば確かにそうだなぁ…直喜君、いっつもきちんとしてるし。ま、良い収穫ができた気がする♪)

 

そんな彼女達に負けじと、夢芽とちせも隆也に質問をぶつける。

 

夢芽「はい。直喜ともっと仲良くしたいんですけど、どうすれば良いですか?」

 

ちせ「直喜先輩と接する時、どんなことに気を付けてますか?」

 

隆也「それなら、直喜の話は頭ごなしに否定しないこと。しっかり話を聞くこと…まぁ、自分がされたら嫌なことをしないことだな。」

 

直喜「えっと、僕のことだけじゃなくて…例えば、隆也君の趣味とか特技とか、聞かなくて良いの?」汗

 

六花「阿部君の趣味は何?」

 

アカネ「隆也君は、どんなことが得意なの?」

 

隆也「趣味は、もちろん『ウルトラマン作品を見る』こと!!後、ゲームも好きだぜ?得意なこと…まぁ、勉強はできるぞ?」

 

隆也…通ってる高校では、特待生であり…成績は学年トップになるほど、とにかく頭が良いのだ。

 

直喜「隆也君は頭良いから…僕、オンライン通話でたまに勉強を教えて貰ったりしてるんだ。」

 

直喜の言葉を聞いた4人は何だか複雑そうな顔をし始める。

 

 

六花(料理も家事も戦いも、直喜のために頑張って来たけど…)

 

アカネ(これと言った特技が無いからなぁ……)

 

夢芽(隆也君は、自分の特技を活かして直喜を支えてる…私にも、何かあればな……)

 

ちせ(うわぁ、自分ゲームが特技なんだけど…直喜先輩の方が強いんだよなぁ……)

 

 

彼女達は、『直喜のため』をバネに…様々なことをやって来ている。だが、自慢できる特技は無いと思っている。

 

あの~…生身でウルトラマンやウルトラ怪獣の技使えるのって……絶対誰にも真似できないことなんすけど……(汗)

 

隆也「おっ、そろそろ昼か…お嬢様方、あそこに行きましょうか。な、直喜?」

 

直喜「うん、あそこに行こう!!」

 

11:55…彼らがやって来たのは、まるで居酒屋のような雰囲気を漂わせる飲食店『怪獣酒場』だ。

 

ガララッ…

 

ダダ「いらっしゃいませ!直喜様も隆也様も、いつもご贔屓してくださってありがとうございます。」

 

ここでは、一部ウルトラ怪獣や宇宙人が店員として働いている。実際に会話もできるため、ファン達からは絶大な人気を誇る。

 

ゼットン「おっ!!可愛い子が4人もいるじゃないか!!ささ、こちらのお席にどうぞ♪」

 

ゼットンはメンバー達を席に案内し、おしぼりと水を配った。

 

アカネ「わぁ~、怪獣がいっぱいだぁ~♪」キラキラ

 

この日、沢山のウルトラ怪獣達が客として訪れていたため…直喜と怪獣が大好きなアカネは、目を輝かせて喜んでいる。

 

直喜「あっ、そうだ。メニューは既に頼んであるんだ。ここでパーティーをやるって大将に頼んだら、あっさりOKしてくれたの。ね、隆也君?」

 

隆也「その通り!!ウルトラ作品に登場する怪獣や宇宙人をモチーフにした料理が来る!!

 

普通の料理だから安心してくれ?

 

怪獣酒場が人気な理由…それは、ウルトラ作品に登場する怪獣及び宇宙人がモチーフとなった料理が出てくることだ。どれもクオリティが高く、味も美味しいため…ウルトラマンファンじゃなくても、十分楽しむことができる。

 

ケムール人「お待たせ致しました、まずはドリンクバーでございます。そしてこちらの料理をどうぞ♪バードンの唐揚げ山積みでございます。」

 

隆也「あざっす、大将!!」

 

ケムール人「今日は賑やかですね、お友達ですか?」

 

直喜「はいっ!!皆僕の友達なんですよ!!」

 

ケムール人「直喜様も隆也様も、両手に花ですね♪」

 

3人「「「あはははは!!」」」

 

料理を運んできたケムール人は、この怪獣酒場のチーフである。恐ろしい見た目とは裏腹に、親切で愉快な大将としてファン達からは大人気なのだ。

 

ゼットン「お待たせ致しました!!ベロクロンの山盛りポテトです!!」

 

アカネ「わぁ、ゼットン!!握手しても良いですか!?」

 

ゼットン「勿論ですとも!!あぁ、こんな素敵な別嬪さんと握手できるなんて、俺もう死んでも良いや♪」

 

ケムール人「まだ死なないでね?」

 

ゼットンの言葉にツッコミを入れるケムール人。その場では思わず笑いが起こった。

 

 

 

直喜「あぁ、やっぱり大将は面白いやw」

 

隆也「それなぁ!w」

 

4人((((直喜(君)(先輩)の笑ってる顔、やっぱり良い♪ずっと眺めていたいな…))))

 

まだ仲良くなれてない4人だが…直喜に対する思いやりや優しさは、いつの間にか1つになっていた。

 

直喜「よし、それじゃあ食べよう!!」

 

隆也「おう!いただきます!!」

 

「「「いただきます!」」」

 

直喜の音頭を合図に、メンバー達は料理を口の中へ運んでいく。

 

夢芽「お、美味しい…!」

 

アカネ「バードンを食べてるって思うと、何だか強くなれそうだなぁ~♪」

 

ちせ「確かにそうっすね!…って、あっ……」

 

アカネ「ふえ…?」

 

思いがけない出来事に、目を丸くするアカネとちせ。

 

直喜(あっ、アカネちゃんとちせちゃんが仲良くなれそう!これはチャンスだ!!)

直喜「ねぇねぇ、アカネちゃんもちせちゃんもここに来るのは初めてだよね?どう、気に入った?」

 

アカネ「勿論だよぉ!!連れてきてくれてありがとう♪」

 

ちせ「ここ、気に入りました…あざます、直喜先輩!!隆也先輩!!」

 

アカネもちせも、本当に楽しそうな顔をしている。

 

隆也「そうだ、俺さ…いくつかゲーム考えて来たんだ、皆で一緒にやらないか?」

 

六花「ゲーム?」

 

夢芽「どんなゲーム、ですか?」

 

隆也「ウルトラマンゲームだ!!あれだよ、何から始まる楽しいリズムでって奴。んで、『ウルトラマン』って言ったら、手拍子の後で全員『シュワッチ!』って言うんだ。勿論、ポーズもとってな?じゃ、一回やってみようぜ!」

 

ある程度料理を食べて、休憩がてらにレクリエーションをやるメンバー達。

 

 

隆也「なおから始まる楽しいリズムで♪」

 

パンッパンッ!

 

隆也「なお3!」

 

パンッ!

 

直喜「シャッ!シャッ!シャッ!」

 

パンッパンッ!

 

直喜「ウルトラマン!」

 

パンッパンッ!

 

メンバー「「「シュワッチ!!」」」

 

パンッパンッ!

 

直喜「りか2!」

 

パンッ!パンッ!

 

六花「シャッ!シャッ!」

 

パンッ!パンッ!

 

六花「夢芽2!」

 

パンッパンッ!

 

夢芽「シャッ!シャッ!」

 

パンッパンッ!

 

夢芽「アカネ2!」

 

パンッパンッ!

 

アカネ「ガオ♪ガオ♪」

 

パンッパンッ!

 

アカネ「ちせ4♪」

 

ちせ「シャッ!シャッ!シャッ!シャッ!」

 

パンッパンッ!

 

ちせ「ウルトラマン!」

 

パンッパンッ!

 

メンバー「「「シュワッチ!!」」」

 

 

一通りやり、「あはははは!!」と笑うメンバー達。楽しんではいるが、一番の理由は直喜が楽しそうにしているからである。今回のこの企画、直喜と隆也が考えた。その目的は、六花とアカネ、夢芽とちせ全員が仲良くなることだ。

 

ダダ「失礼しま~す!こちら、ウルトラ夏祭りセットでございま~す♪」

 

そこに、ダダがやって来てたこ焼きや焼そば、ベビーカステラ等、夏祭りの屋台で売られている料理が1つの器に乗ったてんこ盛りセットを運んできた。他にも、直喜が絶対に頼む『ツインテール天丼』が6つ来て、皆お揃いで食べた。

 

直喜「ん~♪やっぱりこれ最高!!」

 

六花「ふふっ、直喜が舌を巻く程だもんね♪」

 

夢芽「確かに、これは美味しい♪」

 

アカネ「ツインテールは海老の味がするって言ってたけど…」

 

ちせ「どうやら、マジみたいですね♪」

 

隆也「んおっ!?これ美味すぎ!!」

 

メンバー達はツインテール天丼の美味しさに、満足している。ふと、六花と夢芽の目が合う。

 

六花「…。」ニコッ

 

夢芽「…。」ニコッ

 

いつもは、喧嘩をする2人だが…公共の場であるため空気を読んでいるのか…それとも、少しは気の合う部分が見つかったのか、お互いに微笑んだ。

 

直喜(これがきっかけで…皆、少しは仲良くなれたかな?)

 

 

 

ケムール人「直喜様、そんな願いが…」

 

ダダ「優しいですなぁ~♪」

 

ゼットン「直喜君、君の願いが叶いますように…神様、お願いします…!」カミダノミ




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第67話 アレクシスって、なに?

OP~上田 麗奈『もっと君を知りたい』~♪


ウルフェスを満喫した直喜は親友の隆也と協力して、怪獣酒場で皆が仲良くなれるようなきっかけを作ろうとした。結果として、六花とアカネ、夢芽とちせの4人は…互いを罵り合うことをしなくなったようだ。しかし、直喜を巡って火花を散らすのは、相変わらずのようだった……

 

 

 

次の日、月曜日は平日の始まり…

 

直喜「あぁ…月曜日かぁ……」

 

平日の始まりに、直喜は憂鬱な気分のようだ。

 

直喜「って、今は夏休みだった…宿題は、うん…終わってる。隆也君と一緒に勉強して良かった……」

 

夏休みの宿題も無事に終わらせ、漸くホッと一息つけるようになった。

 

直喜「六花ちゃん達と夢芽ちゃん達…早く仲良くなれると良いな……よし、少し歩こう。」

 

直喜は動きやすい服装に着替え、ウォーキングに出掛けた。

 

 

 

ミーンミンミンミンミー…!!

 

ジー!ジー!

 

外を歩くと、どこからともなくセミの鳴き声が聞こえてくる。

 

直喜(それにしても、暑い……あっ、お茶持ってくるの忘れちゃった……って、あっ…お財布も置いてきちゃった……)

 

マンションを出る時、戸締りは完璧にしてきた。しかし、飲み物を持ってくるのを忘れてしまい…更には、飲み物を買うためのお金も忘れてきてしまった直喜。

 

直喜(ど、どうしよう…今から取りに行くか……あぅ…で、でもマンションから随分離れちゃったし…うわぁ……終わった……)

 

絶望する直喜だが…そんな彼の元に、救いの手が舞い降りて来る。

 

 

???「おや、君は…直喜君じゃないか。」

 

 

直喜「…ふぇっ?」

 

直喜の後ろには…全身真っ黒で、頭や肩から何本も角が生えた悪魔や魔王を思わせる姿…サングラスを思わせる赤い目を持ち後頭部からは青い炎のようなオーラが発生しており、口元は歯のような電飾モニターになっており、腕に当たる部分が肩で途切れ、そこから長いケーブルのようなものが接続されており、両肩に鎖が絡みついている異様な姿をした者が立っていた。彼が言葉を発すると、口元が不規則に青白く点滅する。

 

直喜「あ、貴方は…た、確か……」

 

アレクシス「覚えてるかい?私は『アレクシス・ケリヴ』、いつもアカネ君がお世話になってます♪」

 

直喜「あ、そうだ…アレクシスさんだ!!」

 

アレクシス「ところで直喜君、何かお困りのようだね?」

 

直喜「あぁ…えっと……」汗

 

直喜はアレクシスに話し始める。

 

 

~~少年事情説明中~~

 

 

直喜の話を聞いたアレクシスは…

 

アレクシス「おやおや、それは困ったね。それなら、私が君に飲み物を買ってあげよう。何が飲みたい?」

 

直喜に飲み物を買ってくれるようだ。

 

直喜「へぇっ!?さ、流石に悪いような…」

 

アレクシス「遠慮しなくても大丈夫だよwアカネ君に笑顔が戻ったのはね…直喜君、君のおかげなんだ。だから、私も何か君に恩返しがしたいのさ。あっ、お茶で良いかな?」

 

直喜「へっ…?あ、はい……」

 

結局、アレクシスからお茶をご馳走になった直喜…その後、アレクシスは直喜をアカネの自宅へと案内した。そこで彼を待っていたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「直喜君いらっしゃぁぁああああい!!」ガバァッ!!

 

直喜「うわああぁぁっ!?」

 

ドサァッ!!

 

アンチ「…お、直喜。」

 

直喜「お、お邪魔します…」

 

家主のアカネと、同居人(?)のアンチだった。現在、直喜はアカネに抱き付かれてそのまま床に押し倒されている。

 

アカネ「スゥ~ッ、ハァ~…スゥ~ッ、ハァ~♪…はぁ、直喜君の香り…最高、幸せ♪」

 

直喜の香りを直々に堪能したアカネは、頬を赤く染めて目がトロンとしている。

 

アンチ「おい、そろそろ降りたらどうだ?」汗

 

アカネ「えっ?…ああぁぁっ!!直喜君!!」

 

直喜「……。」チーン…

 

ずっとアカネに乗っかられていた直喜は、目に渦巻きを作って気絶していた。テンパるアカネを退かし、アンチは直喜を軽々と持ち上げ、ベッドへと運んだ。

 

 

 

直喜「……ハッ!?あ、あれ…ここは……」

 

アンチ「アカネ(コイツ)のベッド上。」

 

アカネ「直喜君大丈夫!?」

 

直喜「う、うん…大丈夫……」

 

直喜はベッドから身体を起こすと、そこに座った。直喜の隣にポフッと座るアカネ。そこに、アレクシスもやって来た。

 

直喜「あっ、あの…アレクシス、さん…?」

 

アレクシス「ん?どうしたのかな?」

 

直喜「アレクシスさんって…一体、何者なんですか…?」

直喜(何だろう…人間って感じがしないような……で、でも…見た目だけで判断するのは、良くないよね…?)

 

直喜はアレクシスが何者なのかずっと気になっており、思いきって聞いてみることにした。

 

アレクシス「私が何者なのか?…そうだねぇ……アカネ君のお手伝いさんさ。」

 

アカネ「お手伝いさんって言うよりかは、保護者だよね?」

 

アレクシス「そうとも言う。」

 

直喜「そ、そうなんですね…」

直喜(へ、へぇ……アカネちゃんの、ということは…アンチ君の保護者でもあるのかな?)

 

アカネ「アンチの保護者でもあるんだよ♪」

 

直喜「今僕の心の中読んだ?」汗

 

アカネ「ううん、私ね…直喜君のことなら、“何でも”知ってるよ?そう、“何でも”ね?」

 

そう言うと、舌舐めずりをするアカネ。

 

アカネ(直喜君、やっぱり可愛いなぁ~♪食べちゃいたいぐらい可愛い…どんな悪戯しちゃおっかなぁ~♪)

 

アレクシス「アカネ君…何やら悪い顔してるけど……」汗

 

アンチ「何をするつもりだ…?」

 

アカネ「2人共、ちょっと直喜君の話し相手になってて?やらないといけないこと思い出したから。」

 

アカネはそう言うと、自室から出ていってしまった。

 

アレクシス「…あぁ、そうだ。直喜君、何か私やアンチ君に聞きたいこととか、無いのかい?」

 

アンチ「答えられる範囲でなら、直喜の質問に答える。」

 

直喜「えっと…そ、そうだなぁ……」

 

急に聞かれても中々答えられない…何を聞こうか考えていると……

 

アンチ「俺から、直喜に聞いても良いか?」

 

…と、アンチは言う。

 

アレクシス「アンチ君、今は直喜君が質問する立場だが」

 

直喜「い、良いよ…!」

 

アレクシス「…あぁ、直喜君が良いなら良いか。」

 

直喜の言葉を聞き、黙るアレクシス。アンチは直喜に質問をする。

 

アンチ「何故…何故直喜は、怪獣の俺と…トモダチになってくれた?」

 

アンチの質問に、直喜はこう答えた。

 

 

直喜「前にも言ったと思うけど…理由は、ただ…僕がアンチ君と仲良くなりたかったからだよ。」

 

 

直喜は続ける。

 

直喜「僕ね…昔、友達が居なかったんだ……お父さんもお母さんも、いつも僕のことを怒ってばっかりいて…ご飯も食べられなかったし、お風呂にも入れなかった……それで、周りから『汚い』とか『臭い』とか言われて…虐められてばっかりいたんだ……それでも僕は、誰かと友達になって…一緒に遊びたかった……友達だからこそ、できることをしてみたかったんだ……」

 

アンチ「……。」

 

アレクシス「……。」

 

直喜「お父さんとお母さんにも、いっぱい甘えたかった…褒められたかった……でも、僕が幼稚園の頃だったかな…僕はお父さんとお母さんから愛されていなかったってことに気付いたんだ……その時は、おじいちゃんとおばあちゃんがいたから…安心したんだけど……おじいちゃんもおばあちゃんも、もうお空に逝っちゃったから…僕、また1人ぼっちになっちゃうのかな…って、不安になっちゃって……」

 

アレクシス「……。」

アレクシス(アカネ君から彼の話を聞いたが…本当に、可哀想だ……)

 

アンチ「……。」

 

直喜「でも、僕…高校生になって、本当に良かったって思ってる……友達もできたし、周りは優しい人が多くて……あっ、ごめん…こんな話を長々と……」

 

話を終えた直喜の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。大好きな『ウルトラマン』を心の拠り所としていたが…それでも、寂しいという気持ちは拭えなかったのだ。

 

アンチ(直喜…きっと寂しいんだろう……俺にも、何かできないだろうか……ここまで来ると、グリッドマン討伐よりも…直喜を守ることが先決だろう…)

 

アレクシス「…よし。直喜君、何か困ったことがあったらいつでも話して欲しい。これ、私の連絡先だよ。」

 

直喜「あっ…ありがとう、ございます……」

 

アレクシスの連絡先を入手した直喜。すると、部屋のドアが開き……

 

 

アカネ「な~お~き~君♪」ヒョコッ…

 

 

ドアの向こうから、アカネがヒョコッと顔を覗かせた。彼女は、頭に何やらウルトラマンの面影を感じさせる顔のようなキャップを被っている。それだけではなく、両頬には涙のような太いラインがある。

 

直喜(あ、あれ…アカネちゃんが被ってるそれ、どこかで見たような……)

 

直喜がそう思うと、アカネは部屋に入ってきて…全身を露にした。

 

アカネ「じゃ~ん♪どうどう、似合ってる?」

 

直喜「う、うん…似合ってる……あっ!!それって、もしかして…か、『カルミラ』!?」

 

アカネ「あったり~♪この『カルミラスーツ』、アレクシスに頼んで作って貰ったんだぁ~♪えへへへ、直喜君に似合ってるって褒められちゃったぁ~♪」

 

コスプレとも言える衣装『カルミラスーツ』に身を包んだアカネは、直喜から褒められ…イヤンイヤンと身体をくねらせて喜んでいた。その衣装は、【ウルトラマントリガー】に登場する闇の巨人『カルミラ』をモチーフにした衣装で、アレクシスのお手製である。

 

アカネ「ねぇねぇ直喜君♪私ね、筋トレして腹筋もついてきたんだぁ♪ほら、触ってみる?」

 

直喜「…だ、大丈夫…」汗

 

アカネ「えぇ~、どうして~?」

 

アカネが身に付けているカルミラスーツは、かなりピッチリしており…身体のラインや胸、尻、太もも等が強調されている。

 

3バカがこれを見たら、間違いなく発狂しながら喜ぶだろう……

 

アレクシス(いやぁ、大変だったけど…直喜君とアカネ君が喜ぶ顔が見れて良かった良かった♪)

 

アンチ(アイツ…このために筋トレやってたのか……)汗

 

アカネのカルミラ姿は、ウルトラマンファンの直喜を喜ばせるのには十分過ぎる程のクオリティだった。

 

直喜「す、凄いよ…アカネちゃん、カッコいい!!」

 

アカネ「きゃ~♪///」

アカネ(直喜君が私を見てくれてる…私を褒めてくれてる…あぁ、幸せ…♪)

 

直喜に褒められ、ご満悦のアカネは…

 

 

アカネ「私…直喜君のヒーローになれるよう、頑張る♪だから、困った時があったらいつでも駆け付けるから…応援してね、直喜君♪」

 

 

…と、直喜に言った。その後、カルミラスーツのまま直喜と密着し、彼を気絶させてしまったのは言うまでも無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 A「……。」

転生者 A(くそ…六花達も夢芽達も全然俺のモノにできねぇ……どこで、道を踏み外したんだ…!?)

 

その頃、ベンゼン星人の秘密基地近くの山では…Aが夜空を眺めていた。これまで、全てが自分にとって良い方向に進んでいた。だが、今ではその逆である。

 

オリシス「やぁやぁ、全知全能君。」

 

そこに、オリシスが現れる。

 

転生者 A「んなっ!?て、てめぇは…!!」

 

オリシス「お前に良いものを見せてやろうと思ってなぁ?」

 

オリシスはそう言うと、映像を作り出し…カルミラスーツに身を包んだアカネが、直喜に身体を密着させたりキスをしたりするシーンを見せた。

 

 

転生者 A「きぃぃいいやぁぁああああああああ!!

 

神山め神山めぇぇええええ!!

 

羨ましけしからんぞぉぉおおおお!!

 

 

映像を見たAは、発狂して羨ましがり…何故かか服を脱ぎ出し、素っ裸となった。

 

レディベンゼン星人「うっさい!!今何時だと思ってんのよ!?」

 

Aは奇声とも言える大声を上げたため、レディベンゼン星人に怒られた。それを見たオリシスは、悪戯な笑みを浮かべ…静かに姿を消した。

 

転生者 A「ああぁぁあああああああああああ!!

 

俺もアカネから甘い誘惑をォォオオオオオオオオオ!!

 

ベンゼン星人「うるせぇぞ!!眠れねぇじゃねぇか!!」




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第68話 ヒーローって、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


あの後、たっぷり直喜を堪能したアカネだったが……

 

 

アカネ「う~ん、直喜君起きないなぁ~……」

 

アンチ「…お前のせいだろ。」汗

 

アカネ「あ?何か言った…?」ゴゴゴゴ…

 

アレクシス「怖いなぁ…どーどーだよ、アカネ君?」

 

直喜は目に渦巻きを作ったまま、起きる気配が無い。

 

アカネ「アンチ、直喜君をおんぶして?家まで送るから。」

 

アンチ「わかった。」

 

気絶した直喜をアンチがおんぶし、アカネはカルミラスーツのまま直喜をマンションまで送ることにした。

 

アレクシス「気を付けて行ってくるんだよ?」

 

アカネ「は~い♪」

 

 

 

外はすっかり夜になっており、空には数多の星が輝きを放っている。

 

アンチ「お前…その格好で来たのか?」汗

 

アカネ「当たり前だよ。こっちの方が動きやすいし、直喜君を守りやすいじゃん。」

 

アカネが身に付けているカルミラスーツは特殊な素材で作られているため、伸縮自在でいつまでも着れるのだ。

 

アカネ(アイツら、来なさそうだね…やっぱヘタレだなぁ……ん?)

 

ふと、背後に何者かの気配を感じたアカネは、思わず足を止めた。

 

アンチ「…どうした?」

 

アカネ「誰か来る。」

 

気配がする方に向きを変えるアカネ。やがて、前方の闇の中から…1人の男が姿を現した。

 

転生者 A「うぉっほぉ!!マジでピッチリスーツじゃねぇかあ!!」

 

現れたのは、顔を赤く染めて鼻息を荒くし、口からヨダレを垂らしているAだった。見るからに、如何にも…

 

『自分は不審者です』

 

…と、自己紹介しているようなものだ。

 

アカネ「うっぷ…」

アカネ(キッモ…何なのあの顔、見るだけで吐き気を引き起こす天才…ううん、もはや災害だね……)

 

そんなAを見て、左手で自身の口元をおさえるアカネ。

 

転生者 A「アカネェ…その衣装、めっちゃ似合ってるゾォ!!」

 

アカネ「キモいから喋んないでくれる?」

 

転生者 A「カアアァァッ!!アカネにそう言われるの、ご褒美!!コーフンするぅ~♪」

 

アカネ「ヴッ!?…!!」

 

あまりにもAがキモかったのか…アカネは吐き気を堪えられず、ついには嘔吐してしまった。

 

アンチ「おい…!」

 

アカネ「ケホッ、ケホッ…アンチ、早く行って!!」

 

アンチ「わかった…!」

 

アカネの指示に忠実なアンチは、直喜を背負ったまま…空高くジャンプして家の屋根から屋根を飛び渡り、夜の闇に消えた。

 

アカネ「はぁ…はぁ……うっ!?」

 

転生者 A「大丈夫かぁアカネぇ~?今俺がぁ、背中擦ってやるからなぁ♪あっ、ついでにィ~♪スベスベなお腹も擦ってあげよう、キヒヒヒ♪」

 

アカネ「…サイアク…」

 

鼻息を更に荒くしてゆっくりと近付いて来るAに、更に吐き気を感じるアカネ。必死で堪えつつ、右手に鞭状の光線『カルミラウィップ』を召喚した。

 

転生者 A「ヒャアアァァハハハハハハハァァアアアアアア♪

 

Aは奇声を上げながら、アカネに飛び掛かって来る。

 

アカネ「ッ!!」ヒュンッ!!

 

バチィッ!!

 

転生者 A「んぎゃあっ!?」ドサッ!!

 

アカネは右手のカルミラウィップを振るい、飛び掛かって来たAをはたき落とした。次に、カルミラウィップを『カルミラバトン』に変え、片手で勢いよく回転させる。そして、起き上がったAの額目掛けてカルミラバトンを突き出した。バトンは如意棒のようにグングン伸びていき、Aの額に見事命中する。

 

転生者 A「がぁっ…!!」

 

アカネの攻撃を受け、仰向けに倒れるA。

 

アカネ「ただでさえ弱い癖に…生きてる価値なんか無い癖に……!!

 

アカネは歯軋りをしながら、カルミラバトンを地面に打ち付ける。

 

転生者 A「アァガァネェェエエエエ…おうじざまにィ、ナニをずるんだぁぁああああ!!」

 

Aの口から真っ赤な血が流れ落ち、歯もボロボロになっていた。

 

 

アカネ「私の王子様はぁ……

 

直喜君だけだぁぁああああああああ!!

 

 

アカネがそう叫ぶと、彼女の全身から黒と赤の禍々しい光が発生する。禍々しいオーラは、無数の鞭状の光線に変わり…それは触手の如く、Aへと伸びていく。

 

バチィッ!!ビリィッ!!

 

転生者 A「アギャアアアアアアアアァァァァァァァァ!!

 

Aは身体中に無数の鞭を打ち付けられ、服はボロボロに……いや、身体中は傷だらけにボロボロになっていった。アカネの全身から発する無数のカルミラウィップは、断末魔を上げるAの身体を容赦なくズタズタにしていく。やがて、Aが身に付けていた服はあっという間にバラバラになり、Aは傷だらけの全裸を晒す状態でうつ伏せに倒れた。

 

 

 

アカネ「はぁ……はぁ……っ!?」

 

Aを倒したものの、気持ち悪い表情で近付いて来た時のことを思い出し…再び吐いてしまう。

 

アカネ「ゲッホゲホッ!」

アカネ(最悪…ほんっとサイアク!!)

 

カルミラスーツの胸部に着いているコアが、青から赤へと変わり…点滅を開始した。実は、このコアはカラータイマーのような役割を果たしており、装着者のバイタル及びメンタルが危険になった時に赤い光を放つ。

 

アカネが危機にさらされた時…彼女の元に救世主が現れる。

 

 

「あ、アカネちゃーん!!」

 

 

アカネの元に走ってくる人影…それは……

 

アカネ「…!!…な、直喜君…!!」

 

紛れもなく、直喜だった。

 

アンチ「おい、直喜!」

 

そんな直喜の後を追って、アンチもやって来た。

 

直喜「アカネちゃん!!」

 

直喜は慌てた様子で、アカネの元に駆け寄った。

 

直喜「だ、大丈夫…!?」

 

アカネ「ッ!!」ガバッ!!

 

直喜「ひゃあっ!?あ、アカネ…ちゃん……?」

 

アカネは直喜に抱き付くと、声を上げて泣いた。

 

直喜「…アカネちゃん……」

 

アカネ「直喜くぅん…怖かった、怖かったよぉ~!!」

 

よほど怖かったのか…直喜の胸に顔を埋め、「うぇ~ん!」と泣くアカネ。しかし、彼女が身に付けているカルミラスーツのコアは、赤く点滅していたのが…いつの間にか、青い光に戻っていた。泣きじゃくるアカネを、直喜は彼女が泣き止むまで抱きしめていた。

 

 

 

アカネ「クスンッ…クスンッ……直喜君、ごめんね…泣き顔見せちゃって……」

 

直喜「大丈夫、誰だって泣きたい時くらいあるよ。」

 

アカネ「うんっ…そう言って貰えると、気が楽になるよ……」

 

数分後、アカネは漸く落ち着きを取り戻し…泣き止んだ。

 

直喜「あっ、そうだ…アカネちゃんのそのスーツ、カラータイマーも鳴るの?」

 

アカネ「ほぇっ?あぁ、これ?うん、鳴るよ鳴るよ。ほら♪」

 

アカネがそう言うと、スーツの胸部にあるコアが赤に変わり、点滅を始めた。どうやら、アカネの意思でコアを点滅させることができるようだ。

 

どういう仕組みなの…?

 

直喜「わぁ~、スゴ~い!!」

 

直喜の喜ぶ顔を見たアカネは、すっかり元気を取り戻していた。

 

アカネ(直喜君が笑ってる♪良かったぁ、私…少しは直喜君のヒーローになれたかな?)

 

アンチ「直喜、行こう。」

 

アカネ「あっ、もう9:30じゃん。直喜君、帰ったらお風呂入って寝ないとね♪」

 

直喜「その前に、歯磨きもしないと。」

 

その後、アカネはアンチと共に…直喜を自宅マンションまで送り届けた。直喜は怪我もしていなく、元気である。

 

直喜「アカネちゃん、アンチ君、どうもありがとう!気を付けてね?」

 

アカネ「うん!またね直喜君♪」

 

アンチ「おやすみ。」

 

直喜を自宅マンションまで送り届けたアカネとアンチは、帰って行く。

 

 

アカネ(アイツは余裕で倒せたけど…

 

あのキモい顔に異常な行動…トラウマになっちゃいそう……

 

…そうだ!直喜君の笑った顔を思い出せば…!!

 

うん!良い考えだね♪よし、解決♪)

 

 

Aの異常さにトラウマを抱きそうになったアカネだが、すっかり解決したようだ。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第69話 アレって、なに?

ベンゼン星人の秘密基地にて……

 

 

転生者 B(俺とC(コイツ)が呼ばれたのは何故だ…?)

 

転生者 C(何故呼ばれたんだ…?)

 

BとCが、何やら広い空間に呼ばれていた。彼らの近くには、ボロボロになったAもいる。やがて、広い空間にベンゼン星人とレディベンゼン星人が入ってきた。

 

レディベンゼン星人「……。」ギシッ…

 

レディベンゼン星人は椅子に座ると、ゴミを見るような冷たい視線を3バカに向ける。

 

 

レディベンゼン星人「頭を垂れて蹲いなさい?

 

 

3バカ「「「ッ!!??」」」

 

レディベンゼン星人の圧は凄まじく、3バカは無意識に…土下座をする。

 

転生者 B(な、何なんだ…この圧力……これも、まさか…神山の仕業なのか…?)

 

相変わらず人のせいにするB。すると、レディベンゼン星人が口を開き始める。

 

レディベンゼン星人「ずっと気になってたんだけどさぁ…?

 

あんたらって、本当に勇者なの?

 

勇者なのに、何でこんなに弱っちいのかしら?

 

何でこんなに役立たずなのかしら?

 

これまで、ウルトラマンゼアスを倒すため…怪獣使いとなった3バカを送り込んだベンゼン星人夫婦。しかし、当の3バカはゼアス討伐どころか…自分の欲を優先し、結局ゼアスを倒せず、怪獣達を次々と失っていったのだ。

 

ベンゼン星人「うぅ…ごめんよハニー…俺様の見る目が無かったぜ……」

 

レディベンゼン星人「大丈夫よダーリン。まだ利用する価値、あるんでしょ?」

 

ベンゼン星人「う、うん……」

 

レディベンゼン星人「なら良いじゃない♪アタシは、ダーリンのこと…信じてるから♥️」

 

ベンゼン星人「は、ハニー…!!」

 

レディベンゼン星人の役に立てず、落ち込むベンゼン星人だが…レディベンゼン星人に慰められ、涙線が崩壊した。

 

レディベンゼン星人「んもぅ、ダーリンったら…でも、泣いてるダーリンもす・て・き♪」

 

ベンゼン星人「うぅ…あ、ありがとう……ハニー…!!」ボロボロッ…

 

なにやらイチャつき始めるベンゼン夫婦だが…3バカは未だに頭を上げられずにいた。

 

転生者 B(くっそぉ、こんな筈じゃ……)

 

転生者 C(てか、ウルトラマンゼアス…貧弱戦士なら貧弱らしくやられろよ……何であんなに(つえ)ぇんだよ…)

 

ベンゼン星人「いよぉし、そんじゃバカ3人!俺様に着いてこい!!お前らみたいなモンに、更に強力な力をくれてやる!!どうだ、欲しいか?」

 

未だ頭を垂れて蹲っている3人にベンゼン星人に問いかける。

 

3バカ「「「…!!」」」

 

ベンゼン星人の問い掛けに、身体をピクリと動かす3バカ。

 

ベンゼン星人「力が欲しいんだろ?確かにお前ら役立たずだけどよぉ…もう1度チャンスをくれてやる。お前らが望むモノ、今度こそ手に入るかもしれないぜ?いや、確実に手に入る!どうだ、欲しいだろう?なぁ?」

 

3バカ(((俺らが欲しいモノが確実に…けど、今までは全然手に入らなかったのに……いや、だが今度こそ…神山を殺して、六花達を俺の嫁に!!)))

 

ベンゼン星人の誘惑に、次第に表情が曇ってくる3バカ。そして遂に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3バカ「「「ほ、欲しい!!」」」

 

 

ベンゼン星人の誘惑に負け、力を欲した。

 

ベンゼン星人「へへへへ…お望み通り、力をくれてやろう!!」

 

ベンゼン星人はそう言うと、3バカに電撃光線を放った。光線を浴びた3バカは意識を手放し、気絶してしまった。

 

レディベンゼン星人「ダーリン、この役立たず共…一体どうするつもりなの?」

 

ベンゼン星人「それはだねハニー…“アレ”を呼び起こすためのエネルギーにするのさ!!終いには、アレの餌に、クフフフ♪」

 

怪しげな笑い声をあげるベンゼン星人は、気絶した3バカを地下深くの部屋へと運んでいった。

 

 

 

そこは、研究室のような場所であり…中には大型のカプセルがあり、その中に怪獣らしき生命体が眠っている。

 

レディベンゼン星人「遂に、コイツを使うのね。」

 

ベンゼン星人「あぁ、コイツは全身が爆弾だからねぇ…ゼアスも迂闊に攻撃できない。それに…ただコイツを出撃させるだけじゃなくて…ゼアスに変身している奴を探して、ソイツの大切な人を誘拐して監禁すれば……ウフフフ、必ず勝てる!!いやぁ、徹夜して考えた甲斐があったなぁ♪」

 

レディベンゼン星人「だから目の下にクマができてたのねぇ……」

 

ベンゼン星人「ぃよいしょぉ…!!…うっわ、コイツら重っ…!?」

 

気絶した3バカを、カプセルの中に入れ…幾つもの管を彼らに繋いだ。

 

ベンゼン星人「さてさて、コイツにエネルギーを与えないといけないからな!!ポチッとな♪」ポチッ!

 

3バカが入ったカプセルの近くにある装置のボタンを押すベンゼン星人。すると、カプセルから赤い稲妻が発生し…それが3バカから怪獣に向かって流れて行く。

 

ベンゼン星人「後は放置でOK☆この役立たず共、いずれはコイツに取り込まれて行くから♪」

 

レディベンゼン星人「お疲れ様ダーリン♪」

 

ベンゼン星人「おう!そんじゃ、俺様は寝~よおっと。」

 

レディベンゼン星人「アタシも仮眠取ろうかしら。」

 

3バカをカプセルに放り込んだ後、ベンゼン夫婦は睡眠するため…寝室へと向かったのだった。

 

 

 

そして、誰も居なくなったこの場所に…

 

 

オリシス「……。」

 

 

オリシスが静かに姿を現した。

 

オリシス(辛く苦しい現実と向き合わなかった者共の末路…いや、末路はもう少し先か……お前達は本当に救いようが無いな…)

 

カプセルの中で眠る3バカを見たオリシスは、静かに姿を消していった。

 

 

 

どうなる3バカ……



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第70話 特訓って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


ある日の平日……

 

 

 

直喜(やっぱり僕には、歩くことが一番だなぁ…走ると、疲れちゃうし……)

 

直喜は動きやすい服装に着替え、ウォーキングをしていた。近場を歩いたおかげで、自分の家の周辺にある店や公園、公共施設等をある程度覚えられた。

 

直喜(今日はどこに行こうかな?たまには、少し遠くに行くのも良いかもしれない。)

 

歩きながら目的地を考える直喜。そんな彼の元に……

 

 

オニジャ「おっ、直喜ィ!!」

 

 

オニジャを先頭に、『怪獣優生思想』の4人がやって来た。彼らの近くには、バーナドドンもいる。

 

直喜「あっ、皆…!!」

 

シズム「久しぶりだね、直喜。」

 

直喜「う、うん…!!あっ、その怪獣…」

 

ムジナ「うん、ピカリちゃん!歩けるようになったんだよ♪」

 

ムジナの側には、小さくなったバーナドドン…かつて3バカに無理矢理操られていたが、ウルトラマンゼアスと直喜によって救われ、『ピカリ』と名付けられた怪獣である。

 

ピカリ「ッ!!」

 

ピカリは直喜の姿を見ると、真っ先に駆け寄って来て…彼の周りをピョンピョン跳ね回る。

 

直喜「わわっ!?ピカリは僕を怖がらないの?」

 

シズム「怖がらないってw」

 

直喜の言葉に苦笑いするシズム。

 

シズム「ピカリには直喜がウルトラマンだって分かるんだよ。」

 

直喜「えっ、そうなの?」

 

ジュウガ「はい、シズムは怪獣の声を聞くことができますから。」

 

実はシズム…怪獣の声を聞くことができ、怪獣達の意志疎通の手助けをしているのだ。

 

オニジャ「ピカリの奴、どうしても直喜にお礼が言いたかったんだとよ。」

 

ムジナ「きっと直喜にお礼を言ってるんだよ♪」

 

直喜「そうだったんだ。」

 

直喜はしゃがみ、ピカリの頭を優しく撫でた。直喜に撫でられるピカリは、心地いいのか『グルルルル…♪』と、喉を鳴らしている。

 

直喜「ピカリのお世話は、皆でしてるの?」

 

オニジャ「おう!コイツ、野菜が好きみてぇなんだよな!!」

 

ジュウガ「とても利口ですよ?例えば、洗濯かごを運んでくれたり、焚き火に火を着けてくれたり…最近では、野菜畑に来る鳥や猪を追い払ったりしてくれます。」

 

直喜「じ、自給自足してるの!?」

 

ムジナ「うん♪貯まったお金で土地を買って畑を作ったの♪ちなみに、野菜達を育ててるのは私♪今度直喜にも、野菜分けてあげるね♪」

 

直喜「あっ、ありがとう…」

直喜(あれ?そう言えばシズム君達って…どこに住んでるんだろ?)

 

疑問を感じた直喜は、4人に尋ねることに。

 

直喜「ちょっ、ちょっと聞いても良いかな…?」

 

ジュウガ「どうぞ。」

 

直喜「えっと…ジュウガ君達は、どこに住んでるの?」

 

ジュウガ「フジヨキ台駅近くにある一軒家です。」

 

直喜「そうなんだ…お金、大丈夫だったの…?」汗

 

ジュウガ「えぇ、問題ありません。」

ジュウガ(家を買うために断食することもあったなんて、口が裂けても言えませんね…)

 

ショーでのアルバイトでお金を稼いでいる4人は、家を買うため…食事を抜くこともあった。ひもじい思いをしてきたが、『直喜の為』と斜め上な考えをバネに…必死になって働いて来た。ショーだけではなく、荷物等の仕分けやピッキング、商品の箱詰め及び袋詰め、警備(夜勤)等々、様々な仕事をしてはお金を貯め、遂に念願の一軒家を購入することができたのだ。

 

オニジャ(ここで余計なこと言ったら、直喜に心配かけちまうからなぁ…)汗

 

ムジナ(直喜が悲しむ顔、もう見たくないし…)

 

シズム(直喜は俺達のベストフレンド…その直喜を悲しませるのは、絶対に許されないことだからね。)

 

直喜のベストフレンドであるからこそ、彼を悲しませることは…決して許されることは無い。そう思っている怪獣優生思想は、直喜が気持ちよく過ごせるよう言葉や仕草には気を付けているのだ。

 

直喜「と、ところで…皆も、散歩してたの?」

 

オニジャ「へっ?あ、あぁそうだぜ!」アセアセ

 

ムジナ「そうそう!気分転換もそうだし、ピカリちゃんにもいっぱい歩いて欲しいし!」アセアセ

 

直喜「…?」

直喜(オニジャ君とムジナちゃん、なんで慌ててるの?)汗

 

シズム「実はさ…この近辺、まだ把握できてなくてさ……迷子になりかけてたんだよね。直喜、良かったら俺達を案内して欲しいんだけど、良いかな?」

 

直喜「うん、僕で良ければ…!」

 

怪獣優生思想の4人の思いを汲み取った直喜は、彼らを案内すると同時に…彼らと散歩をすることにした。

 

 

 

怪獣優生思想の4人と会話を挟みながら、ツツジ台を歩く直喜。ピカリも元気に飛んだり跳ねたりしながら歩いている。

 

ムジナ「へぇ、ここには大きいショッピングモールがあるんだ~♪」

 

直喜「そうそう。このショッピングモールの中には、ゲームセンターや映画館や本屋、飲食店やカフェ…とにかく何でもあるんだよ。」

 

シズム「直喜はさ、買い物とかする?」

 

直喜「勿論。でも、このショッピングモールじゃなくて…近所のスーパーでいつも買い物してる。」

 

オニジャ「スーパーで買い物…直喜、お前料理もできるのか?」

 

直喜「あはは…簡単な物しか作れないけどねw」(苦笑)

 

ジュウガ「簡単な物であっても、料理ができる男性はモテますよ?」

 

直喜「えっ、そうなの?…あれ、僕って…モテない…よね?」

 

オニジャ「俺だって料理できるぜ?けど、何でモテねぇんだ?」汗

 

ムジナ「見た目がちょっとね~…」

 

シズム「俺がもし女性だとしたら、迷わず直喜を選ぶよ。」

 

直喜「ムジナちゃんもシズム君もそこまでにしよ!!ほ、ほら…オニジャ君落ち込んじゃった…」汗

 

オニジャ「……。」チーン…

 

ムジナとシズムの言葉を聞き、項垂れるオニジャ。

 

直喜「えっと…お、オニジャ君……ここのカフェにあるカフェラテ、結構美味しいんだって…の、飲まない?」

 

オニジャ「う、うおおぉぉ直喜ィィイイイイ!!」ドバァァアアアアアアアアッ!!

 

直喜が優しく声を掛けると、オニジャは滝のような勢いで涙を流した。その後、近くのカフェでティータイムを楽しんだ。

 

 

えっ?ピカリはどうしたって?

 

ぬいぐるみのフリをしてオニジャのカバンの中に隠れました。

 

 

 

オニジャ「直喜の言ってた通り…あそこのカフェのカフェラテ、相当美味かったな!!」

 

ベストフレンドと飲むカフェラテは格別だったのか…すっかり機嫌が良くなったオニジャ。再び街を歩くことにしたメンバー達だったが……

 

裕太「あれ、直喜君?」

 

偶々通りかかった裕太と将、新世紀中学生のメンバーと遭遇した。

 

直喜「ひ、響君に内海君!偶然だね!!」

 

将「よぉ神山!…って、そちらの方々は?」

 

直喜「僕の友達だよ?」

 

直喜はジュウガ、オニジャ、ムジナ、シズムのことを裕太達に紹介する。

 

 

ボラー「へぇ…くせ者かと思っていたが、そうじゃねぇみてぇだな?」

 

オニジャ「く、くせ者だと!?」

 

裕太「ぼ、ボラーさん!!」アセアセ

 

直喜「オニジャ君も落ち着いて!?」アセアセ

 

危うく喧嘩しそうになるボラーを裕太が止め、オニジャを直喜が止めた。

 

直喜「そ、それで…響君達も散歩してるの?」

 

裕太「ううん、今から特訓に行こうと思ってね?」

 

どうやら裕太…新世紀中学生のメンバー達と特訓をするようだ。将は付き添いで来ているとのこと。

 

ボラー「そんならさぁ、神山も裕太(コイツ)の特訓相手になってやってくれよ!お前はウルトラマンなんだろ?」

 

 

直喜「っ!?そ、それは…」

 

 

裕太「えっ、どういうこと?」

 

将「か、神山…お前まさか…!?」

 

直喜(えぇ、こんなところでバレちゃうなんて…仕方ない、説明しよう。)汗

 

直喜は裕太達に、自分は『ウルトラマンゼアス』であることを説明した。

 

 

 

裕太「そうだったんだ…!」

 

将「俺もウルトラマンに、なりたかった…」

 

ボラー「神山、お前マジでウルトラマンだったのか!?」

 

直喜「えっ!?知ってたんじゃなかったんですか!?」

 

ボラー「知らなかったぞ?からかおうとして言ったんだけど……」汗

 

どうやらボラーは、直喜をからかおうとしたようだ。

 

マックス「ボラー、言葉には気を付けた方が良い。口は災いの元ということわざがあるからな。」

 

ボラー「わーったわーった、気を付けるよ。」

 

マックスに軽く説教を受けたボラーは、面倒くさそうな反応をしている。

 

直喜「ねぇ、オニジャ君達?」

 

怪獣優生思想「「「「…?」」」」

 

直喜は怪獣優生思想のメンバーに、お願いをする。

 

直喜「きゅ、急で申し訳無いんだけど…僕も、響君の特訓に付き添っても良いかな?」

 

直喜のお願いに対して、4人は……

 

 

ジュウガ「勿論です。」

 

オニジャ「あぁ、全然OKだぜ!!」

 

ムジナ「それなら私達も行こうよ♪」

 

シズム「直喜が行くなら俺も同行するよ。」

 

 

あっさりOKし…裕太の特訓に、直喜と共に着いていくことになった。

 

 

 

やって来たのは、山の中にある自然に囲まれた場所。

 

ボラー「おいおい、そんなんじゃ次も勝てねぇぞ?」

 

裕太「ちょ、ちょっと、待って…ください……」ゼェ…ゼェ……

 

ボラーのやり方は、とにかくスパルタであり…裕太は既にバテていた。

 

ボラー「なぁ神山、お前はどんな特訓をしてたんだ?」

 

直喜「ぼ、僕…?」

 

ボラー「あぁ、参考にしてぇって思ってな!」

 

直喜「僕は…と、友達に協力してもらって……高い所にボールを設置してもらって、それを蹴れるまで何度もジャンプしたり…あ、後は…稽古をつけてもらいました。」

 

ボラー「ふんふん…よし連敗キッズ、俺らと稽古をするぞ、今から!!」

 

裕太「へっ!?い、今ですか!?」

 

ボラー「ゴタゴタ言ってねぇでやるぞ!!」

 

その後、1対1で戦った裕太だったが…全敗した。

 

ボラー「よし、一旦休憩だ!」

 

将「お、おい…大丈夫か、響?」汗

 

裕太「……。」チーン……

 

将に心配される裕太は、ピクリとも動かない。でも、生きてます…何とかね?

 

シズム「直喜は特訓しないの?」

 

直喜「と、特訓…?うーん…ぼ、僕も何かやろうかな…?」

 

ジュウガ「それなら、俺達か俺達の円盤生物が相手になりますよ?」

 

ジュウガがそう言うと、空の彼方から12体の円盤生物達がこちらに飛んできた。

 

将「っておいおいおいおい!!円盤生物達じゃねぇか!!」

 

直喜「大丈夫!この円盤生物達は、僕達の味方だよ。ほら!!」

 

直喜がそう言うと、円盤生物達は直喜の周りを旋回したり…直喜と握手をしたりした。

 

将「す、スゲェ…怪獣とも友達になってる……」汗

 

そんな彼を見て、口をあんぐりと開ける将。

 

オニジャ「直喜、どいつと特訓したいんだ?」

 

直喜「ブラックガロンと戦ってみたい。格闘戦が得意なら、良い戦いができそうだから。ブラックガロン、先に地面に倒れた方が負けってことで良いかな?」

 

ブラックガロン「キヤアアァァッ!!」コクンッ!

 

直喜の言葉に頷いたブラックガロンは、定位置につく。

 

オニジャ「そんじゃあ、行くぜ?…よーい、始め!!」

 

直喜とブラックガロンはお互いに走り、相撲のように取っ組み合う。

 

直喜(…あっ、そうだ…!)

 

直喜はブラックガロンの腰をガッチリと掴むと、自分の体重を後ろに持っていき…ブラックガロンを持ち上げる。そのままケンケンするように回転し、ブラックガロンに覆い被さるようにする形でブラックガロンを地面に倒した。

 

ムジナ「やったぁ~!!直喜が勝ったぁ~♪」

 

ジュウガ「流石ですね、直喜。」

 

直喜の勝利を目の当たりにし、喜ぶムジナとジュウガ。

 

直喜(民族格闘技について偶々TVでやってたから、見といて良かったぁ…)

 

シズム「今のは確か…モンゴル相撲の技だっけ?」

 

直喜「そうそう。まぁ、見よう見まねだけど…」

 

シズム「見よう見まねでブラックガロンを倒したのはスゴいな。俺、感動したよ。」ニコッ…

 

円盤生物を破った直喜に、シズムは感動して拍手をした。

 

サムライ・キャリバー「…民族格闘技、か……」

 

ヴィット「へぇ、良いんじゃない?」

 

ボラー「よし、連敗キッズ!あれをやるぞ!!打撃が効かねぇ奴には、投げ技が有効だ!!…って、神山が言ってたぜ?」

 

裕太「お、お手柔らかに…」

 

マックス「程々にしておくんだぞ?」汗

 

その後、新世紀中学生に投げ技の特訓を教わった裕太だが…終わる頃にはヘトヘトになったのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第71話 悪い夢って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


六花『待って……直喜、お願い……』

 

 

直喜が…私から、遠ざかっていく……

 

 

折角会えたのに……

 

 

私、また…一人ぼっちになっちゃうの……?

 

 

嫌だよ…直喜……

 

 

私を、置いてかないで……

 

 

お願いだから…もう……

 

 

 

私を、一人にしないでよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「ッ!?」ガバッ!

 

自室のベッド上で目を覚ました六花。

 

六花「…ゆ、夢……」

六花(最悪…嫌な夢見ちゃった……)

 

項垂れていると、そこに織江が入ってくる。

 

織江「六花、大丈夫?」

 

六花「ママ…う、うん…大丈夫……」

 

織江「大丈夫って…顔色悪いよ?鏡見てみたら?」

 

六花は手鏡を手にとって、自分の顔色を伺う。その顔色は、不安と絶望にまみれたように青ざめていた。

 

織江「六花、今日はゆっくり休んでなさい?夏休みの課題も終わってるでしょ?じゃあ、私仕事してるからね?」

 

六花「う、うん……」

 

織江が部屋から退室し、少し一人でいたが……

 

六花「……!!」ガタガタ…

 

身体の震えが止まらなくなってしまう。

 

六花(直喜…直喜に会いたい…!!…このままじゃ私、おかしくなっちゃう……今すぐ直喜に会いたい…!!)

 

今にも泣き出しそうな顔をする六花は、急いで準備すると…こっそり家を脱け出し、直喜を探しに行った。

 

 

 

その頃、直喜は……

 

直喜(うーん、今日は何をしようかな…)

 

自宅マンションでゆっくりしていた。

 

直喜(食材も日用品も買ってあるし…今日は家でゆっくりしてよっと。)

 

今日はどこにも出掛けないと決めた直喜は、ゲーム機を取り出して『ウルトラマンFEN』をやることにした。早速ゲーム機を起動させると……

 

 

ピンポーン…

 

 

インターホンが鳴った。

 

直喜「は~い!」

 

直喜は玄関に行って、ドアの覗き穴を見る。

 

直喜(あれ、六花ちゃんだ…どうしたんだろう?)

 

ドアを開けると…

 

六花「な、直喜…!」

 

六花は目に涙を浮かべ、直喜の名前を呼ぶ。

 

直喜「り、六花ちゃん…?…か、顔色が……」

 

六花「!!」ガバッ!!

 

直喜が何かを言いかけた時、突然六花は直喜に抱き付いた。そして、声を押し殺して泣いた。

 

直喜「……。」

直喜(六花ちゃん…どうしたんだろう……ぼ、僕に…できることは……)

 

泣きじゃくる六花に、直喜はこう言った。

 

 

直喜「り、六花ちゃん…僕で良ければ…話、聞くから……何でも話して?」

 

 

直喜の言葉に六花は、「うん…うん……」と辛うじて返事をした。

 

 

 

直喜は六花をマンションに上げ、お茶を用意した。

 

直喜「はいこれ、温かい緑茶だよ。」

 

六花「…ありがとう、直喜……」

 

漸く泣き止んだ六花だが…ずっと俯いたままである。そんな彼女の隣に座る直喜。

 

六花「…!」

六花(直喜…!!)

 

直喜「あっ…もしかして、迷惑だった…かな…?」

 

隣に座ったことで驚いた顔をする六花から離れようとする直喜。すると…

 

 

六花「ダメッ…!!」ギュッ!

 

 

六花はまるで『行っちゃ嫌』と言うように直喜を抱き止めた。そして、直喜に今朝見た夢のことを話し始める。

 

六花「あのね…直喜、聞いてくれる?」

 

直喜「も、もちろん…!」

 

六花「私、今朝ね…怖い夢を見ちゃって……」

 

直喜「…こ、怖い夢…?」

 

六花「うん…真っ暗な空間の中で……直喜が、私から遠ざかっていっちゃう夢……私、不安になっちゃって……」ジワッ…

 

話している途中、目にいっぱい涙を浮かべ…今にも泣きそうになる六花。それでも直喜は、彼女を突き放したりはさず…彼女の話に耳を傾ける。

 

六花「な、直喜…」

 

直喜「……!」ギュッ!

 

直喜は六花を抱き締めると、ゆったりとしたリズムで背中を優しく叩き始めた。

 

直喜「六花ちゃん、あのね…僕、昔は両親に怒られてばっかりいて…落ち込んでた時、おじいちゃんとおばあちゃんに…こうやって抱き締めてもらって、優しく背中を叩いて貰ってたんだ……これ、僕…すっごく落ち着くんだ…六花ちゃんは、どう…?」

 

六花「…直喜……うん、そうだね…私も、すっごく落ち着く…ねぇ、直喜……そのまま、動かないで欲しいな……」

 

直喜「…わかった。」

 

何かを察したのか、直喜は六花の言葉に従った。そしてすぐ、六花は直喜の胸の中で泣きじゃくった。

 

 

 

数十分後…六花は漸く泣き止み、落ち着きを取り戻した。

 

六花「ごめんね、直喜…連絡もしないで突然押し掛けてきちゃって……」

 

直喜「ううん、気にしないで。」

 

六花はアポ無し凸をした御詫びに、直喜の家事を手伝った。洗濯物を直喜が畳み、六花は食器洗いや掃除をやった。

 

直喜「あ、ありがとう六花ちゃん…助かったよ。」

 

六花「ううん、むしろこれくらいのことしかできなくてごめん…本当は相談料とか渡したかったんだけど、何なら今渡そうか。」

 

直喜「いやいやいやいや、お金は受け取れないって!」アセアセ

 

六花「ふふふ、冗談だよ冗談♪」

 

家事を終えた後、直喜と六花はテレビを見て過ごすことにし、直喜の大好きな『ウルトラマンゼアス』を見ていた。

 

直喜「わぁ…!!」

直喜(いつ見ても、やっぱりゼアスはカッコいいなぁ…!!)

 

今見ているのは、映画『ウルトラマンゼアス』の第一作目であり…ゼアスが怪獣『コッテンポッペ』と戦っているシーンが映し出されている。直喜は大好きなゼアスの勇姿を見て、ニコニコしていた。

 

六花「……。」

六花(どんな直喜も素敵だけど…やっぱ、笑ってる顔が一番だなぁ。)

 

ニコニコする直喜を優しく見守る六花。今朝、悪夢に魘され…不安と絶望に飲まれそうになったが、直喜と対面し…悪夢のことを打ち明けたことで、少しずつ元気を取り戻しつつあった。その時、電話が鳴った。

 

直喜「僕が出る。」

 

直喜は電話の方に向かい、電話を手に取った。

 

直喜「もしもし神山です。」

 

織江『あっ、もしもし直喜君?六花の母で~す♪』

 

相手は六花の母『宝多 織江』だった。

 

直喜「り、六花ちゃんママ…こ、こんにちは…!」

 

織江『はいっ、こんにちは♪』

 

緊張しながら織江に挨拶をする直喜。

 

織江『ねぇねぇ直喜君?六花、そっちに来てたりする?』

 

直喜「ふえっ!?」

 

織江の言葉を聞いた直喜は、思わず六花の方を見る。六花は直喜の顔をみると、『いるって言って大丈夫』と口パクで伝えた。

 

直喜「は、はい…来てます……」

 

織江『やっぱりかぁ…どう、迷惑かけてない?』

 

直喜「め、迷惑だなんてそんな…む、むしろ…助けられちゃいました…!」

 

織江『助けられちゃった…?』

 

直喜の言葉に、困惑する織江。

 

直喜「は、はい…実は僕…最近、家事ができてなくて…洗濯物とか洗い物が溜まったり、掃除とかができてなくて…り…六花ちゃんが…か、家事を手伝ってくれたんです…!」

 

緊張しながら、織江に話す直喜。

 

織江『そうだったのね。直喜君に迷惑かけてたら、六花を叱ろうと思ってたんだけど…』

 

直喜「あ、あの…僕が、言うのも…あ、あれですけど…人って、誰かに迷惑をかけないと…その……生きて行けないと、思います…だ、だから…!」

 

織江『うん、直喜君の言うとおり!叱るのはやめにするわ。私も小さい頃は色んな人に迷惑かけて来たからね~。あ、そうだ。直喜君、六花に伝言して貰って良い?』

 

直喜「で、伝言…ですか…?」

 

織江『そう、帰るついでに味噌と味の素買ってきてって…ごめんね、迷惑かけちゃって♪』

 

直喜「わ、わかりました。伝えておきます。」

 

織江『よろしくね♪あ、そうだ直喜君…たまにはウチにも遊びにおいでよ♪いつでも歓迎するから♪それじゃあね♪』

 

そして、通話は切れた。

 

六花「直喜、ママ何か言ってた?」

 

直喜「えっとね…か、帰るついでに…味噌と味の素を買ってきて欲しい…って、言ってたよ。」

 

六花「了解…はぁ、勝手に家脱け出して来たから、絶対怒られるってぇ……」汗

 

気だるげに言う六花。それでも、その道を選んだのは自分自身である。

 

六花「まぁ良いや…それじゃ、直喜…お茶ごちそうさま。私そろそろ帰るから、また来るね♪」

 

直喜「う、うん…気を付けてね?」

 

六花を見送った直喜は、時計を見る。時刻は午前11:30…もうすぐ昼だ。

 

直喜(折角だから、お昼ごちそうすれば良かったかも…まぁ、冷凍炒飯ぐらいしか無いけど…)汗

 

直喜は冷凍庫から冷凍炒飯を取りだし、それを温めて昼食を食べた。

 

 

 

その頃、六花は…

 

六花「…よし、これでOKかな?」

六花(ここのスーパーは安いなぁ…そりゃあ直喜も愛用するわ。)

 

買い物を済ませた六花は、帰路を歩いていた。

 

 

???「…。」

 

 

帰路を歩く自分を見ている存在があることを知らずに……




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第72話 ロベルガーって、なに?

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


ベンゼン星人「成る程…この娘、あのバカ共が言ってた…確か、りっか…だったか?」

 

秘密基地にて、ベンゼン星人はモニターをチェックしていた。

 

ベンゼン星人(もしかしたら、ウルトラマンゼアスが出てくるかも知れねぇな…)

ベンゼン星人「よし、ロベルガー行けぇ!!ウルトラマンゼアス抹殺だぁ!!」

 

ベンゼン星人が指令を出すと、1機の円盤がツツジ台の街中に姿を現した。

 

 

 

その頃、ツツジ台の街中では…

 

人々「ねぇ、あれなに?」「UFOか?」「こっちに来るぞ…!!」

 

上空に謎の円盤が現れたかと思うと、それが変形し…二足歩行する生命体へと変わった。

 

???「ギャオオォォッ!!」

 

その生命体は雄叫びを上げてズシンッ!と足踏みすると、人々は悲鳴を上げて一斉に逃げ出す。突如として現れたこの生命体は、ベンゼン星人の配下の円盤生物『ロベルガー』だ。ウルトラマンゼアスも、普段は人間界に紛れていると予感したベンゼン星人によって放たれた…理由はただ1つ……ゼアスを誘い出すためである。

 

ロベルガー『ウルトラマンゼアス…マッサツ…

 

ロボットのようにベンゼン星人からの指令を復唱しながら暴れまわるロベルガー。そこに、グリッドマンが出現した。

 

グリッドマン「はぁっ!」ドゴッ!

 

グリッドマンの飛び蹴りを受けたロベルガーは仰向けに倒れるが…すぐに起き上がった。そして、グリッドマンに格闘戦を仕掛けていく。

 

ロベルガー「ギャオオォォッ!!」

 

グリッドマン「ふっ!はっ!」ガッ!ガッ!

 

ロベルガーからの攻撃を受け流しながら、グリッドマンは反撃を仕掛ける。ロベルガーの腕を掴んで背負い投げを繰り出すと、倒れたロベルガーに馬乗りし、殴り付ける。

 

 

 

ベンゼン星人「くそぉ…グリッドマンめ、邪魔をする気か…なら、ロベルガーⅡ世行け!!グリッドマンを排除しろォ!!」

 

 

 

グリッドマンがロベルガーと戦う中…もう1体のロベルガーが姿を現した。先程現れたロベルガーとの違いは、頭の角が2本増え、体色が黄色っぽくなっている。これは、『ロベルガーⅡ世』である。ロベルガーを援護し、邪魔なグリッドマンを始末することが使命である。

 

ロベルガーⅡ世『グリッドマン…ハイジョ…

 

ドゴォッ!

 

グリッドマン「ぐあっ!?」

 

ロベルガーⅡ世はグリッドマンを吹っ飛ばすと、グリッドマンに接近…攻撃を仕掛ける。その隙に、ロベルガーは独りでに起き上がり…

 

ロベルガー『ウルトラマンゼアス…マッサツ…

 

掌から手裏剣状の光弾を乱射し、破壊活動を開始する。

 

 

 

六花「か、怪獣!?」

六花(ここじゃ光線が撃てない……!!)

 

ロベルガーを見た六花は、ウルトラ戦士達の光線技を使おうとしたが…周りには逃げ惑う人々がいるため、光線が撃てずにいた。

 

六花(こんな時…どうすれば…!!)

 

方法を考えていると…

 

男の子「ママー、どこにいるのー!?」

 

母親とはぐれたと思われる男の子の姿を見つけた。六花は慌ててその子の元へ駆け寄る。

 

六花「大丈夫!?」

 

男の子「お、お姉ちゃん…誰?」

 

六花「宝多 六花、私も君のお母さんを探すの手伝うから安心して?」

 

男の子「う、うん!」

 

六花の声かけに、男の子は安心して泣き止む。しかし、2体のロベルガー達は街中を暴れている。

 

六花(グリッドマンだけじゃキツそうだなぁ…)

 

そんな時……

 

男の子「ウルトラマーン、僕達を助けてー!!」

 

男の子は大空を見上げ、ウルトラマンを呼び始めた。

 

 

 

直喜「…!!」

 

その声は、直喜の耳に入った。直喜が外を見ると…

 

直喜「あれは…ろ、ロベルガー!?グリッドマンが戦ってる…!!」

直喜(それに、ウルトラマンを呼ぶ声が聞こえた…行かなくちゃ!!)

 

直喜は洗面台に向かい、ピカリブラッシャーで口腔環境を綺麗にする。そして…

 

 

直喜「ゼアァァアアス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

ピカリブラッシャーを天に高く掲げ、眩く優しい光へと包まれていった。

 

 

 

男の子「ウルトラマーン!!」

 

六花(お願い…直喜、私達を助けて…!!)

 

どんなに呼んでも、ウルトラマンは現れない…あくまでもウルトラマンは空想上の存在……

 

グリッドマン「ぐぅっ…!!」

 

ロベルガー『ウルトラマンゼアス…マッサツ…

 

ロベルガーⅡ世『グリッドマン…ハイジョ…

 

流石のグリッドマンも、2体相手に苦戦をしていた。その時……

 

ドカァンッ!ドカァンッ!

 

どこからか光線が飛んできて、それが2体のロベルガーに命中する。直後、グリッドマンの隣に光の球が現れ…それが眩く光ると、段々人の姿へと変わっていく。

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

男の子「わぁああ…ウルトラマンだぁ!!」

 

六花「…!!」

六花(な、直喜…!!)

 

人々「おぉ、ウルトラマンだ!!」「ウルトラマンが…ウルトラマンが来てくれた!!」

 

ウルトラマンゼアスが登場すると、人々からは笑顔が溢れていった。

 

グリッドマン「ウルトラマンゼアス…!」

 

ゼアス「…。」コクッ…

 

ゼアスはグリッドマンに頷くと、構えを取った。2人の戦士達は、ロベルガー目掛けて走っていく。

 

ロベルガー『ウルトラマンゼアス…マッサツ…

 

ロベルガーⅡ世『グリッドマン…ハイジョ…

 

2体のロベルガーも、ゼアスとグリッドマン目掛けて走っていく。

 

直喜(ゼアス、ロベルガーⅡ世を狙おう!!)

 

ゼアス(えっ!?でも、僕はロベルガーに狙われてるんだよ?)

 

直喜(僕に考えがあるんだ、お願い!!)

 

ゼアス(わかった!!)

 

段々距離が縮まって行くと、ゼアスはロベルガーⅡ世に掴みかかった。

 

ロベルガー「ッ!?」

 

グリッドマン「はぁっ!!」ガシッ!

 

動きが鈍ったロベルガーに、グリッドマンは掴みかかる。

 

ゼアス「デヤッ!ジュアッ!」ドゴォッ!バキィッ!

 

ロベルガーⅡ世に格闘戦を仕掛けるゼアス。

 

ロベルガーⅡ世『グリッドマン…ハイジョ…

 

ロベルガーⅡ世はゼアスを押し退け、グリッドマンの元へ向かおうとする。しかし、ゼアスはロベルガーⅡ世の背後から掴みかかり…

 

ゼアス「タアアァァッ!!

 

ドドォォオオオオオオッ!!

 

ドラゴンスープレックスでロベルガーⅡ世を投げ、グリッドマンに接近することを阻止した。

 

 

 

グリッドマン「ふっ!せやっ!」ドゴォッ!ドゴォッ!

 

ロベルガー『ウルトラマンゼアス…マッサツ…

 

グリッドマンはゼアスに接近しようとするロベルガーと格闘戦を繰り広げていた。肉弾戦でロベルガーを攻撃し、次に投げ技でロベルガーを投げ飛ばす。

 

グリッドマン(そうか…そういうことか…!!)

 

裕太(何かわかったの、グリッドマン?)

 

グリッドマン(おそらくだが…ゼアスはこの怪獣達を混乱させようとしているんだ。だから、敢えて自分を狙わない怪獣を攻撃したんだ。)

 

裕太(成る程。)

 

ゼアスの作戦を漸く理解したグリッドマンは、その後もロベルガーに攻撃を仕掛ける。ゼアス…いや、直喜の作戦はこうだ。

 

『自分を狙わない敵を攻撃し続けることで、混乱を招く。』

 

ベンゼン星人の指令に忠実に従うロベルガー達の裏をかいた作戦だ。ロベルガーは指令に従って行動するため、臨機応変な対応が苦手な傾向にあるのだ。直喜が考案した作戦は、大成功だった。

 

 

 

ゼアス「デヤッ!」ドッゴォッ!!

 

ロベルガーⅡ世『グ、グリッ…グrrrrリッ…dddド、マ…ン…

 

ロベルガーⅡ世は腹部に『ゼアスニーキック』を受け、身体中に稲妻を走らせ…フラフラになっていた。

 

グリッドマン「デヤァァアアアアッ!!」ドッゴォッ!!

 

ロベルガー『ウル、ウル…ウrrrrrrン…ゼzzzz、ア…ssス……mmmmマッ…サt…

 

ロベルガーはグリッドマンのかかと落としを脳天に受け、弱っていた。

 

ゼアス「!!」ガシッ!

 

ゼアスはロベルガーⅡ世を掴むと、グリッドマンの方を見る。

 

グリッドマン「!!」コクッ…ガシッ!

 

何かを察したグリッドマンはゼアスに頷き、ロベルガーを掴む。怪獣を掴んだゼアスとグリッドマンは、お互い目掛けて走っていき…

 

 

ドゴォォオオオオオオオオンッ!!

 

 

プロレスのように、ロベルガー達の脳天を正面衝突させた。

 

ロベルガー「ギュロロロロォォ……!!」

 

ロベルガーⅡ世「ギャロロロロォォ……!!」

 

2体のロベルガーは赤い目が光を失うと…ゆっくりとうつ伏せに倒れ、絶命した。ゼアスとグリッドマンの勝利である。

 

六花(良かった…ゼアスとグリッドマンが勝ったんだ!!)

 

男の子「やったぁ!!ウルトラマンが勝ったよ!!」

 

ウルトラマンゼアスとグリッドマンの勝利を見届けた人々は、一斉に歓声を上げた。ゼアスは右手から七色に光る光線を、破壊された街に向かって発射する。街はみるみる元の状態へと戻って行く。

 

母親「健太!!」

 

男の子「あっ、ママ!!」

 

街が元に戻ったタイミングで、男の子は無事に母親と再会した。母親と男の子は六花にお礼を言い、六花は母親と男の子に微笑んだ。

 

男の子「ウルトラマーン、ありがとー!!」

 

男の子がゼアスにお礼を言うと…

 

人々「ありがとう、ウルトラマン!!」「ウルトラマーン、ありがとー!!」「隣にいる巨人も、ありがとう!!」

 

人々はゼアスとグリッドマンにお礼を言い、手を振った

 

 

 

ゼアス「…。」コクッ…

 

グリッドマン「…。」コクッ…

 

人々に頷くゼアスとグリッドマン。グリッドマンは静かに姿を消していき、ゼアスは大空へと飛び立って行った。

 

 

 

ベンゼン星人「くそぉ!!そう言えばロベルガーは1度指令を送ったら変えられないってことを忘れてた!!あぁ、俺様の移動手段がぁ…!!」

 

ゼアスを誘い出すことには成功したものの、ロベルガー達はあっさり破れてしまった。

 

ベンゼン星人「まぁ良い…もうすぐだ、もうすぐ……」

 

 

 

コイツが目を覚ます…!!




ED~ASH DA HERO『Everything~(English ver.)』~♪


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第73話 女の勘って、なに?

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


レディベンゼン星人「ふぅ~ん…成る程ねぇ……」

 

レディベンゼン星人はモニターを見ながら首をかしげていた。ロベルガーに搭載されたモニターには、六花が映っている。

 

レディベンゼン星人(この娘、何かありそうね…)

 

ベンゼン星人「んぉ?ハニー、どうかしたのかい?」

 

そこに、ベンゼン星人がやって来る。

 

レディベンゼン星人「ねぇダーリン?ちょっとこの娘のこと、尾行しようと思ってるんだけど…どうかしら?」

 

ベンゼン星人「へへっ、良いと思うぜ☆ハニーの目に狂いはねぇからな!!」

 

レディベンゼン星人「んもぅ、ダーリンったら褒め上手♪それじゃあ行ってくるわ。」

 

レディベンゼン星人は基地を出て、ツツジ台へと向かって行った。

 

え?何で行ったって?それは勿論……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影美「ゼェ…ゼェ……つ、着いたぁ…」

影美(ツツジ台遠すぎ…ロベルガーを失ったのは痛いわね…!!)

 

徒歩で1時間近くかけてツツジ台にやって来たレディベンゼン星人は、『悪神(おがみ) 影美(かげみ)』として人間に化けていた。

 

影美(えっと…ベンチ…てか、座る場所……あ、あった…ちょ、ちょっとタンマ…)

 

この星に来てから、全く運動をしていなかったレディベンゼン星人…いや、影美。座れる場所に真っ先に向かい、腰かけた。

 

影美(こ、これじゃあ…六花って娘を探すどころじゃ……)

 

そんな彼女の元に、誰かがやって来る。

 

六花「あの…大丈夫ですか?」

 

影美「…へっ?」

 

影美が顔をあげると、そこには探していた六花の姿があった。彼女は、影美のことを不思議そうな表情で見ている。

 

影美(えぇ~!?こんなにあっさり見つかっちゃうのぉ!?)汗

 

六花「えっと…私の顔に、何かついてます?」汗

 

影美「ふぇっ!?あ、いいえ…ごめんなさいね、貴女結構な美人さんだからつい…」(苦笑)

 

六花「……。」汗

 

影美の言葉を聞いた六花は、軽く引いていた。

 

影美(うわっ、引かれた…何なのよぉ、人が折角褒めてるってのに…!!)

 

六花の態度に、心の中ではイライラする影美。

 

六花(何だろうこの人…失礼かも知れないけど……何だか気持ち悪い…)

 

影美を怪しく思う六花。そんな時……

 

 

直喜「おーい、六花ちゃーん!」

 

 

直喜がこちらへ駆けてきた。

 

六花「っ!?直喜~♪」

 

直喜が来た瞬間、嬉しそうな顔をする六花。

 

直喜「はぁっ…はぁっ…ご、ごめん…ね、寝坊しちゃって…急いで来たんだ…!!」

 

六花「ふ~ん、さては遅くまでゲームしてたでしょ?」

 

直喜「ギクッ!?」

 

六花「まぁ良いや、ちゃんと時間通りに来れて偉いじゃん♪」ナデナデ

 

寝坊しても、しっかり時間通りに来た直喜を撫でる六花。

 

影美(えっ?何…?私は今、母親と子どもの幸せな一時を見せられてるの…?)汗

 

直喜と六花のやり取りを見て、困惑する影美。

 

六花「それじゃあ行こうか♪」

 

直喜「う、うん…!」

 

よくみると、直喜と六花はランニングウェアに身を包んでおり…遠くへ出掛けるとは考えにくい。そして2人は、歩き始めた。

 

影美(…どこへ行くのかしら?)

 

影美は2人に気付かれないよう、静かに尾行を開始した。

 

 

 

直喜と六花は何をしているのかと言うと…

 

六花「直喜、疲れてない?大丈夫?」

 

直喜「平気、六花ちゃんは?」

 

六花「全然♪」

 

一緒にウォーキングをしていた。朝のウォーキングは直喜の日課となっている。直喜の日課を六花が一緒にやりたいとリクエストし、今に至る。

 

影美「……。」汗

影美(何をしていると思ったら…まぁた歩くの…?)

 

歩くことに疲れた影美の足は、既に限界を迎えている。そのため、直喜と六花からどんどん離されていく。

 

影美(あの2人早っ…ちょ、ちょっと待ってって…!!)

 

尾行の筈が…2人の後を着いていくことに必死な影美だった。

 

 

 

六花「……。」

六花(誰か着いてきてる……)

 

後ろから誰かが着いてきている気配を感じた六花は、スマホを取りだし、直喜にL○NEを送った。

 

ヴーッヴヴッ…

 

直喜「…?」

 

『誰かが着いてきてるみたい。気付いてないフリをして様子をうかがおうか。

 

いざとなったとき、私が直喜を守るから安心して?』

 

六花からのL○NEを確認した直喜は、思わず六花の顔を見る。六花は直喜を見て、優しい笑顔で頷いた。まるで、『私に任せて。』と言っているように…

 

六花「直喜、こっちに曲がろう。」

 

直喜「わ、わかった。」

 

六花は直喜にしか聞こえない声で、直喜の誘導を開始する。まず、十字路を右に曲がり、次の路地を左に曲がったり…とにかく複雑なルートを歩いた。勿論、直喜のペースに合わせてだ。その結果……

 

 

 

影美(あら?あの2人は…)

 

影美から振り切ることに成功したのだった。

 

影美(まぁ良いわ…あの娘と一緒にいたガキが、ゼアスちゃんで間違いない…どことなく、ゼアスちゃんそっくりだし?んで、あの娘は恐らく…あのガキのことを好きみたいね。これぞ、『女の勘』ってヤツよ♪)

 

良い収穫ができたと思った影美は、秘密基地へと帰っていった。え?何で帰ったって…?徒歩です…

 

 

徒歩DESHU☆

 

 

 

六花(上手く撒けたみたい…何だったんだろ…?)

 

直喜「だ、誰が着いてきてたの?」

 

六花「最初に見かけたあの怪しい女の人。」

 

直喜「あ、怪しい…」

 

六花「うん、女の勘ってヤツ…?…さっきの人、何かありそうな気がするんだよね。」

 

直喜「へ、へぇ…」汗

 

影美から上手く撒くことに成功した直喜と六花は、ツツジ台駅前に来ていた。あっちこっちを曲がり続けて、ここまでたどり着いたようだ。

 

六花「あ…な、直喜…疲れてない?」汗

 

直喜「はぁ…う、うん…さ、流石にちょっと…つ、疲れちゃった、かも……」

 

六花(ヤバッ!!直喜を疲れさせちゃった…!!うわぁ、私のバカバカ!!これじゃあ直喜にフラれちゃうじゃん!!)

 

影美から逃げ切ることに精一杯だった六花は、直喜を疲れさせてしまったことを後悔し、思わず自虐的になってしまう。

 

六花(直喜に嫌われちゃったら、私…私……)

 

遂には精神が不安定になったその時…六花を救ったのは……

 

 

直喜「で、でも…い、良い運動になった…!!六花ちゃんの、おかげだよ…!!また、一緒に歩こう…!!」

 

 

直喜だった。直喜は続ける。

 

直喜「ま、前まではね…い、家の周辺しか…歩いてなかった。け、けど…つ、ツツジ台のね…色んなとこを、歩けたから……た、楽しかった…!!」

 

六花「な、直喜…!!」

六花(なみことはっすが直喜のことを天使って言ってたけど…まさにそうだよ!!あぁ、今私の目の前には…直喜(天使)がいる…!!)

 

直喜の笑った顔を見た六花は思わず…

 

六花「ねぇ直喜…何か欲しい物ある?何でも買ってあげる♪」

 

…と、甘やかす。

 

直喜「い、いや…今欲しい物は、無い…かな……」汗

 

六花からの甘やかしに困惑する直喜は、やんわりと断った。

 

六花「ホント?何でも良いんだよ?」

 

それでも、六花の押しは強い。

 

直喜(えぇ…ど、どうしよう……ウルトラレプリカは高いし……ううんと…うんと……)

 

少し悩んで、漸く答えを出す直喜。

 

直喜「そ、それじゃあ…えっと……り、六花ちゃんと……ゆ、ゆっくりする…時間が…ほ、欲しい…」

 

六花「んふふっ、OK♪」

 

直喜の答えに納得した六花は、彼と共に近くにあるカフェへ入っていった。

 

 

 

その頃、ベンゼン星人の秘密基地では…

 

ベンゼン星人「おっ、ハニーおかえり!」

 

影美「た、ただいま…だ、ダーリン……」ゼェ…ゼェ……

 

徒歩で戻ってきた影美…いや、レディベンゼン星人は既にヘトヘトになっていた。

 

ベンゼン星人「ハニー、風呂沸いてるぜ?サッパリしてきてくれよぅ!!」

 

影美「だ、ダーリン…ありがとー…!!」キラキラ

 

ベンゼン星人「後、変装も解いて大丈夫だぞ?」汗

 

ベンゼン星人の言葉を聞き、慌てて元の姿に戻ったレディベンゼン星人。

 

レディベンゼン星人「六花って娘、直喜っていうガキんちょと一緒につるんでたわ。」

 

ベンゼン星人「直喜?」

 

レディベンゼン星人「えぇ…名字はわかんなかったけど、とにかく頼り無さそうな見た目の男の子。」

 

ベンゼン星人「フムフム…」φ(..)

 

レディベンゼン星人「これは私の勘だけど…その直喜ってガキが、ゼアスちゃんかも知れないの。」

 

ベンゼン星人「えっ、マジ!?」

 

レディベンゼン星人「何かね、どことなくゼアスちゃんに似てる気がするのよね~…ま、あくまでも勘で、確信では無いけど…それじゃ、一番風呂…いただきま~す♪」

 

ベンゼン星人に報告を終えたレディベンゼン星人は、風呂へと向かった。

 

ベンゼン星人(ハニーの勘は、だいたい的中するからなぁ…俺様もその直喜ってヤツを尾行してみるか。いや、まずは六花って奴を捕まえれば…ゼアスは来るに違いない!!ありったけの怪獣軍団を放って、ゼアスを妨害するか…)

 

ベンゼン星人は巨大なカプセルの中に眠る怪獣を見ながら思う。

 

ベンゼン星人(まずは、フィールドを作らねぇとな…)

 

そして、何やら機械を操作すると…ゼアスを迎え撃つためのフィールドを作り始めた。

 

彼が作るフィールド、果たしてどんな仕上がりになるのだろうか……




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第74話 偽りの楽園って、なに?

ベンゼン星人(うーん…その直喜って奴、ツツジ台のどこにいるんだ?ハニーにもっと聞けば良かった…いや、ハニーは疲れてるんだし、悪いよなぁ……)

 

ベンゼン星人は直喜を尾行しようと思うも…秘密基地からツツジ台までは遠く、移動手段であったロベルガーを失った今…己の足で歩かなければならない。片道で1時間程掛かる上、直喜の居場所がどこなのか分からない状況である。

 

ベンゼン星人(そうだ!そろそろ“アイツ”が目を覚ましたかな~ん♪ちょっと見てくるか!!)

 

ベンゼン星人は地下へと移動し、怪獣が眠っていると思われる巨大なカプセルへと向かった。

 

 

 

ベンゼン星人「よっと…ふへへ、おんやぁ?アイツら、とうとう取り込まれたか♪」

 

怪獣が眠っている巨大カプセルの手前には、大人サイズの人間が入れる程の大きさがあるカプセルが3つある。ここには、3バカが入っていたのだが…カプセルの中に3バカの姿は無い。

 

 

ベンゼン星人「さてと…おーい、『ゴルドルボムルス』!気分はどうだ~い!!?」

 

 

ベンゼン星人がそう言うと…カプセルの中に眠る怪獣の両目が、赤い光を放った。そして……

 

 

バリィィイイイイイイイインッ!!パラパラ……

 

ズシィンッ…ズシィンッ…!!

 

 

カプセルをブチ破り、中から怪獣が出てきた。

 

???「グォォオオオオオオッ!!

 

カプセルから出てきた怪獣は、凄まじい雄叫びを上げた。

 

ベンゼン星人「どうだゴルドルボムルス、お目覚めの気分は?」

 

『ゴルドルボムルス』…眠りから覚めた怪獣の名称で ベンゼン星人が患っている『慢性ガス過多症』の特効薬となる『金』を強奪するために連れてきた宇宙怪獣で、ベンゼン星では金エネルギーを生み出す家畜としてベンゼン星の総人口に比例した数が飼育されているらしい。

 

ゴルドルボムルス「グォォオオオオオオオオッ!!」

 

ベンゼン星人「うえっ?ちょ、ちょっとゴルドルボムルス?何で俺様を咥えるの?」汗

 

ゴルドルボムルスはベンゼン星人を咥えると、まるでおもちゃで遊ぶようにブンブンと振り回す。

 

ベンゼン星人「うわああああぁぁぁぁっ!?ちょ、ちょっと待って!!誰か止めてぇぇええええええ!!」

 

ゴルドルボムルス「♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 A『……?』

 

ヒロイン『Aくーん!!』『キャー、A君よ!!』『A君、こっち向いてー!!』

 

転生者 A『…!!』

転生者 A(おいおい、これって…もしかして……)

 

Aの周りには美人なヒロイン達が居て、彼を囲んでいた。

 

転生者 A(漸く…あの時の輝きが……オレの薔薇色人生が、戻ってきたのか…!!)

 

ヒロイン達から囲まれるAは、欲望がままにヒロイン達に飛び付いた。

 

 

 

転生者 B『…こ、ここは…?』

 

ヒロイン1『ちょっとあんた、あたしと付き合いなさい!!』

 

ヒロイン2『何勝手に決めてんの!?Bは私と付き合うのよ!!』

 

ヒロイン3『B君、あの…わ、私と付き合って欲しいな~…なんて///』

 

ヒロイン4『Bさん、どうか(わたくし)とお付き合いしていただけないでしょうか?お父様もBさんのことを大変気に入っています。何でしたら、ご結婚の準備も整っておりますよ♪』

 

BもAと同じように、美人なヒロイン達に囲まれている…しかも、美女達から一斉に告白を受けていた。

 

転生者 B(オレはやっと、やっと…あの辛い地獄から解放されたのか…!!)

転生者 B『オレは皆の物さ♪さぁ、おいで!!』

 

そして、一斉告白してきたヒロイン達を迎えるため、両手を広げた。ヒロイン達はBの元へ走って来た。

 

 

 

転生者 C『…あれ?オレは確か…あれ、思い出せねぇ……』

 

ヒロイン『C君…C君のために、お弁当作って来たんだ。良かったら、食べて?』

 

転生者 C『…んえっ!?』

転生者 C(SSSS.GRIDMANの世界に来た時には、こんなこと無かったぞ…懐かしい、手作り弁当を貰ったのは…)

 

ヒロイン『どうしたの、C君?』

 

転生者 C『い、いや…何でもない。頂くよ?』

 

Cはヒロインから弁当を受け取ると、蓋を開けておかずを食べ始める。

 

転生者 C『う、うめぇ…!!』

 

ヒロイン『ふふっ、良かった♪』

 

ヒロインからの手作り弁当をじっくり味わうCは、目から大粒の涙を流していた。

 

 

 

だが、数分後…

 

転生者 A『もっとオレを……って、あら…?』

 

さっきまでAの周りにいたヒロイン達の姿は無かった。

 

転生者 B『さぁ、オレと一緒に……って、えっ?誰も、いない……?』

 

こちらでも、Bを囲んでいたヒロイン達の姿は、いつの間にか消えていた。

 

転生者 C『ごちそうさm……あれ…?…って、弁当箱が…』

 

それはCも同じ…隣にいたヒロインの姿はどこにも見当たらず、弁当箱も無くなっていた。

 

転生者 A(ど、どうなってる?)

 

転生者 B(一体何が…?)

 

転生者 C(これも神山の仕業なのか…?)

 

急にヒロイン達の姿が無くなり、混乱する3バカ。そんな時、彼らの前には幾多のヒロイン達が現れ…彼等を呼ぶ。【SSSS.GRIDMAN】の世界に来てから、彼らの人生は狂ってしまった。狂ってしまったがため、辛い生活を余儀なくされた…だからこそ、彼らは今の状況を楽しむことにした。そこに、オリシスが現れる。

 

 

オリシス『お前達、今すぐにここから出ろ!!目を覚ませ!!でなければ、取り返しのつかない事態になる!!』

 

 

慌てた様子で3バカの説得を開始するオリシス。しかし…

 

転生者 A『は?今更なんなんだよ?』

 

転生者 B『オレ達を見捨てておいて、今更掌返しってか?』

 

転生者 C『冗談じゃねぇ、オレらは十分苦しんだんだ…好きにしたって良いだろ?』

 

3バカは聞く耳を持たない。

 

オリシス『これは夢だ!ベンゼン星人がお前達に見せている偽りの楽園だ!!このままでは、お前達の生命も精神も全て怪獣に取り込まれるぞ!!』

 

オリシスが必死に説明しても…全く聞く耳を持たない3バカ。

 

 

オリシス『お前達!!最後の警告だ…!

 

今すぐにこっちへ来るんだ!!』

 

 

3回目の警告をしたオリシス。しかし、3バカの意思は…

 

 

転生者 A『来るわけねぇだろバーカ!!』

 

転生者 B『そうだ!!ここは偽りなんかじゃねぇ!!ヒロイン達は皆、オレにメロメロじゃねぇか!!』

 

転生者 C『また地獄に戻れってのか?冗談も大概にしろ!!使えねぇ神なんざ、オレ達には必要ねぇんだよ!!わかったらとっとと消えろ!!』

 

 

…変わらなかった。そんな3バカを見たオリシスはため息をつくと…

 

オリシス『…わかった、後悔しても知らんぞ?』

 

…と言い残し、姿を消した。

 

 

 

偽りの楽園

 

 

一体、どういうことなのか…これから何が起きようとしているのか…



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第75話 予想外って、なに?

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


アカネ「ふふふふふんふふ~ん♪」

 

夏休みもそろそろ終わりに近付いて来る頃、アカネは自宅で鼻歌を歌いながらフィギュア作成をしていた。歌っているのは勿論…直喜の大好きな歌『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』だ。

 

アカネ「よし、か~んせ~い♪」

 

アレクシス『おっ、それは『コッテンポッペ』かい?』

 

アカネ「そうそう♪直喜君、ゼアスが大好きだからさぁ…今度プレゼントしようと思って作ったんだ~♪」

 

アレクシス『良いじゃないか!直喜君もきっと喜ぶよ♪』

 

アレクシスはアカネに共感しながら、彼女を褒める。アレクシスに共感されながら褒められ、嬉しそうな顔をするアカネ。その時…

 

ピンポーン♪

 

インターホンが鳴り、誰かが訪ねてきた。アカネは玄関に向かい、対応しに行ったのだが……

 

 

 

その頃、六花宅では…

 

六花「…ふぅ。」

六花(今日は何だか変わったお客さんが来たなぁ…)

 

六花は家の手伝いをしていた。普段は客があまり来ないのだが、この日は珍しい客が来たのだ。

 

六花(椅子と机をくれって言って、すんごい大金置いていって…挙げ句『釣は要らない』……変なお客さんだったなぁ……)

 

椅子と机を物凄い大金で買い取り、お釣を受け取らずに帰っていった。織江はルンルンであり、六花は不思議がっていた。その時…リサイクルショップのインターホンがなった。

 

織江「六花、ちょっと対応お願いしてもいい?」

 

六花「わかった。」

 

家事で手が離せない織江の代わりに、六花が来客の対応をすることになったが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とあるマンションにて……

 

直喜「へぇ~、夏祭りかぁ…行ったこと無いから、行ってみたいなぁ…」

 

直喜は自宅でテレビを見ていた。夏祭りのことが報道されており、直喜は興味津々だった。だが、その時…

 

プツンッ……

 

テレビが突然消えてしまう。

 

直喜「あれっ?何でだ?」

 

直喜はテレビを叩いたのだが…テレビは一向に点かず……

 

直喜「あいたたた…叩いてもダメかぁ、買い換えなきゃ…でも、お金が……」汗

 

手を痛めてしまった。だが次の瞬間、テレビが再起動した。

 

直喜「あっ、点いた…良かったぁ、治ったんだ。」

 

しかし、番組は放送されず……

 

 

直喜「…えっ!?な、何これ…!?」

 

 

画面に奇妙なモノが映し出された。

 

 

 

ベンゼン星人『ウルトラマンゼアス…お前が人間界に紛れていることは既に知っているぞ?見ろ、この光景をォ!!』

 

 

 

画面にベンゼン星人の顔が映ったと思うと…次に映し出されたのは、荒れ地に囲まれた地帯だった。そこには、枯れた植物…汚れた水が溜まった湖があり、湖の真ん中には島がある。

 

直喜「ッ!!」

 

その島にある何かを見て、言葉を失う直喜。なんと…島には、六花とアカネが椅子に縛られていたのだ。

 

直喜(り、六花ちゃん…アカネちゃん…!!)

 

ベンゼン星人『ウルトラマンゼアス…コイツらを助けたければ、この場所に来い。来なければ、コイツらがどうなるか…分からないぜぇ?フヘヘヘ♪』

 

その言葉を最後に、テレビが消え…何事も無かったかのように、番組が再開した。

 

直喜(ど、どうしよう…でも、場所が分からないし……)

 

今すぐにでも六花とアカネを助けに向かいたい直喜だったが…場所が分からない。そんな直喜に、救いの手が舞い降りる。

 

ヴーッ、ヴーッ…

 

スマホが鳴り、通話ボタンを押すと…

 

オニジャ『よぉ、直喜か!?俺だ、オニジャだ!!』

 

相手は『怪獣優生思想』のメンバー『オニジャ』だった。

 

直喜「あっ、オニジャ君!?大変だよ、六花ちゃんとアカネちゃんが…!!」

 

オニジャ『落ち着け直喜!取り敢えず、ツツジ台駅に集合しよう!!な?』

 

直喜「う、うん…!!」

 

直喜は急ぎ、ツツジ台駅に向かって走った。

 

 

 

駅に着くと、そこには怪獣優生思想のメンバー達の姿があった。

 

直喜「み、皆っ!!」

 

ムジナ「直喜!!」

 

シズム「取り敢えず、場所を変えよう。ここで話すのはちょっと…」

 

ジュウガ「そうですね。では、こちらへ…」

 

直喜と怪獣優生思想が全員集合すると、カラオケボックスへと入っていった。

 

シズム「ここなら、防音が着いてるし…話を聞かれることはないから。」

 

直喜「う、うん…皆、六花ちゃんとアカネちゃんが…!!」

 

ジュウガ「俺達も見ました。ベンゼン星人、俺達のベストフレンドを悲しませるなんて…許せませんね。」

 

オニジャ「直喜、六花とアカネがいる場所は俺達の円盤生物が知っている。だから、安心してくれ。」

 

オニジャはそう言うとパソコンを操作し、六花とアカネがいる場所を直喜に教えた。

 

直喜「ここは…ツツジ台にこんな場所があるなんて……」

 

ムジナ「元々、ここは自然豊かな場所だったんだよ?でも、ベンゼン星人がゼアスと戦うためのフィールドにしたの…しかも、自分達が有利な空間にしてね…」

 

シズム「それに、ゼアスをここに近付けるつもりは更々無いんだ。近くに手下の怪獣達を放ってる。ズル賢いよね…」

 

怪獣優生思想の4人は、使役している円盤生物達を使ってベンゼン星人の動向を調査している。どうやら奴は、ゼアスを誘い出す為に六花とアカネを誘拐し…最悪の環境に彼女達を閉じ込めた。更に、その近辺に手下の怪獣達をスタンバイさせ、ゼアスを妨害しようと企んでいたのだ。

 

ジュウガ「俺達が怪獣の足止めをします。その隙に、直喜は六花さんとアカネさんの元へ向かってください。」

 

直喜「ジュウガ君…ありがとう…!」

 

直喜は立ち上がり、ピカリブラッシャーを取り出す。そして、高速で首を左右に振りながら自身の口腔環境を綺麗にすると…

 

 

直喜「ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアッ!!

 

 

ブラッシャーを天に高く掲げ、『ウルトラマンゼアス』へと姿を変えた。怪獣優生思想の4人は、円盤生物達を巨大化させ…ゼアスと共に六花とアカネが閉じ込められている場所へと向かった。

 

 

 

現場付近では、ベンゼン星人の配下の怪獣達が暴れている。ゼアスを見るや否や、攻撃をしてくるが…ノーバ、サタンモアが光線を放ち、怪獣達の攻撃を防いだ。そして、ベンゼン星人の配下の怪獣達と戦った。怪獣優生思想と円盤生物達に戦いを任せ、ゼアスとなった直喜はベンゼン星人のの元へと向かう。

 

直喜(皆、どうか無事で…!!)

 

ゼアスは更に奥へと進み…六花とアカネが閉じ込められている場所へ近付いていく。

 

 

 

ベンゼン星人「おっ、来た来た♪」

 

汚染されたフィールドにいるベンゼン星人は、こちらへ向かってくるゼアスの姿を確認する。

 

六花「ッ!!」

六花(う、動けない…!!)

 

アカネ「おいてめぇ…今すぐ私と六花を放せ!!

 

ベンゼン星人「えぇ~、ど~しよっかなぁ~?」

 

アカネが威嚇しても、ベンゼン星人は全く怯まない。

 

ベンゼン星人「しょうがねぇなぁ…」

 

そして、六花とアカネを椅子から放したのだが…

 

ガシャァンッ!!ガシャァンッ!!

 

六花&アカネ「「ッ!?」」

 

椅子から放した直後、今度は十字架に磔たのだ。

 

ベンゼン星人「俺様、放すことには同意したけどさぁ…解放するなんて一言も言ってねぇからな!!」

 

六花「ッ!!きったない…!!」

 

アカネ「フザケルナァァ!!

 

ベンゼン星人「フヘヘヘ、あっかんべー♪」

 

ブチキレる六花とアカネにあっかんべーをしたベンゼン星人は…

 

ベンゼン星人「さぁ、マスターナ、サノボドズ、ゲソジャック行けェ!!ウルトラマンゼアスを殺せェ!!」

 

配下の怪獣を放った。

 

 

 

怪獣「「「グォォオオオオオオオオッ!!」」」

 

ゼアス(また怪獣…ベンゼン星人、僕らを近付けるつもりは無さそうだ…!!)

 

直喜(ここでエネルギーを使うわけには…!!)

 

その時……

 

ガウマ「くらええぇぇっ!!」ドッゴォッ!!

 

ダイナゼノンが現れ、マスターナに飛び蹴りを入れた。次にグリッドマンが現れ…

 

グリッドマン「はぁっ!!」ズパァッ!!

 

ゲソジャックの触手をグリッドマンキャリバーで切断した。更に…

 

アレクシス「ゼアス君、ここは私達に任せるんだ!!早くアカネ君達を!!」

 

巨大化したアレクシスがサノボドズにホーミングを放った。

 

直喜(ガウマさん達にグリッドマン…アレクシスさんまで…!!ゼアス、行こう!!)

 

ゼアス(わかった!!)

 

ゼアスは3人に合図を出し、六花とアカネが捕らえられている場所へ飛ぶ。

 

グリッドマン「あ、アレクシス!?」

 

アレクシス「今は争っている場合ではない…グリッドマン、共に戦おうじゃないか!!」

 

 

 

ベンゼン星人「えぇっ!?あんなのってアリ!?」

ベンゼン星人(いや、グリッドマンやダイナゼノンは分かってたけどさぁ…何なんだあの黒い巨人!?って、あっ!!何か変な怪獣も来たぞ!?)

 

ベンゼン星人は焦っていた。配下の怪獣達が円盤生物達に、グリッドマンに、ダイナゼノンに攻撃されるのは予想していたが……アレクシスとアンチに攻撃されることまでは、予想していなかったのだ。

 

そして、決戦の地に…宿敵、ウルトラマンゼアスが舞い降りた。



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第76話 コッテンポッペって、なに?

決戦の地に、ウルトラマンゼアスが舞い降りた。

 

ゼアス「ッ!?」

直喜(六花ちゃん、アカネちゃん…!!)

 

 

 

六花「う、ウルトラマンゼアス…!!」

 

アカネ「助けに来てくれたんだ…!!」

 

ゼアスが舞い降りたことで、安心感を覚える六花とアカネ。

 

ベンゼン星人「まぁ良い…こうなったら、ゴルドルボムルス行けェ!!」

 

ベンゼン星人がそう叫ぶと…

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

 

地面が揺れ始め…そこから怪獣が出現した。額と身体の左右に角が生えているのが特徴の、赤い目をした怪獣だ。

 

直喜(あれは…『コッテンポッペ』!!)

 

現れた怪獣は吸金爆獣『コッテンポッペ』…正式名称は『ゴルドルボムルス』だ。

 

コッテンポッペ「グォォオオオオオオオオッ!!」

 

咆哮を上げるコッテンポッペ。その後、ベンゼン星人はゼアスにこう言った。

 

ベンゼン星人「やい、ウルトラマンゼアス!!ゴルドルボムルスはなぁ…全身が爆弾なんだ!!高熱や衝撃を与えれば…ドカァァアアアアアンッ!!って、爆発するんだぜぇ?地球は木っ端微塵になっちまうぞぉ?」

 

コッテンポッペ…何と、全体が爆弾となっており…その威力は、地球が意図も簡単に滅んでしまう程らしい。

 

ベンゼン星人「更に!!あの3バカを取り込んだんだ!!アイツらの邪悪な心をエネルギーとし、ゴルドルボムルスは強化されている!!さぁ、俺様のゴルドルボムルスに勝てるかなぁ?」

 

このコッテンポッペは、転生者 A…転生者 B…転生者 Cを取り込んでおり……彼らの生命や精神、更には邪悪な心をエネルギーとしている。よくみると、コッテンポッペの角は長くなっており…手足の爪も更に鋭くなっている。更に、尻尾が伸び縮みしていた。

 

ゼアス「…!!」

直喜(そ、それじゃあ…どうやってコッテンポッペを倒せば良いんだ?)

 

ゼアス(直喜君、来るよ!!)

 

コッテンポッペはゼアスに向かってくる。ゼアスはコッテンポッペの攻撃を受け流したり、避けたりするが…このままでは時間切れになってしまう。

 

直喜(考えろ…考えるんだ……何か弱点は……)

 

次第に、コッテンポッペはゼアスの動きを察知できるようになってくる。

 

ドカァッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」

 

ドドォォオオオオオオッ!!

 

コッテンポッペ「グォォオオオオオオオオッ!!」ゴォォオオオオオオッ!!

 

ゼアス「ッ!?」

 

全身が爆弾のコッテンポッペに、迂闊に攻撃できないゼアス。コッテンポッペは中々攻撃してこないゼアスに、火炎を放ってくる。

 

六花「…ゼアス!!」

 

アカネ「ゼアス、頑張って!!」

 

六花とアカネは、ただ…ゼアスの勝利を信じ、必死に応援する。

 

ベンゼン星人(念のため、特殊な力を持った鎖で縛ったけど…その判断は正しかったみてぇだな♪さて、ゴルドルボムルスに取り込まれた3バカはどうなってるんだろ~なぁ~♪)

 

ベンゼン星人は透視能力で、コッテンポッペの身体の中を覗く。

 

 

 

ベンゼン星人『おんやぁ?居ましたよ…!』

 

ベンゼン星人の視線の先には……

 

 

転生者 A『ヒャハハハハ!!死ねぇウルトラマン!!』

 

転生者 B『ほらほらどうしたどうしたぁ!?ウルトラマンの癖に、手も足も出ねぇのかぁ!?ギャハハハハ!!』

 

転生者 C『やっぱり所詮貧弱戦士…弱すぎなんだよ、ウルトラマンゼアスさんよぉ!!ガハハハハ!!』

 

 

幾多のヒロイン達に囲まれ、欲望を満たしたであろう3バカは…苦しむゼアスを見て、大笑いしていた。

 

ベンゼン星人『コイツらの欲求が満たされれば満たされる程、ゴルドルボムルスは強くなる…このまま夢を見させてやるか。』

 

ベンゼン星人は満足したのか、透視を止めて戻ってくる。

 

ベンゼン星人「はい報こ~く!本能がままに暴れ、イキがっていました~♪」

 

六花「ど、どういうこと…!?」

 

ベンゼン星人「ん~?あぁ、お前達にはまだ言ってなかったよな?教えてやるよ。」

 

ベンゼン星人は六花とアカネに、自身が使役しているコッテンポッペについて語り始める。

 

 

ベンゼン星人「俺様のゴルドルボムルス…AとBとCの3バカを取り込んでるんだぜ?ゼアスにも話したけど…アイツらの欲望が満たされれば満たされる程、ゴルドルボムルスは強くなる。最後に、お前達を取り込んでしまえば…ゴルドルボムルスは太陽系を滅ぼす程の爆弾となる!!俺様にとって、破壊こそが芸術だからなぁ!!グワッハッハッハッハッハッハ!!」

 

 

ベンゼン星人の話を聞いた六花とアカネは、背筋が凍る程の寒気を感じた。

 

六花(冗談じゃない…あのキモ男達の欲を満たすための道具にされるってこと!?それに、この地球(ホシ)だけじゃくて、太陽系を滅ぼすための道具に…!?)

 

アカネ(うっぷ…想像しただけで、吐き気が…!!)

 

自分達は3バカの欲求を満たすため…太陽系を木っ端微塵にするための道具として…利用されることになるのだ。

 

 

 

コッテンポッペ「グォォオオオオオオオオッ!!」

 

ゼアス「グッ…!!」

 

一方、コッテンポッペは終始ゼアスを圧倒していた。そして…

 

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を始めた。

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

 

時間は、残り少ない……

 

 

直喜(か、カラータイマーが…!!)

 

ゼアス(それでも、僕は戦う…この地球のために、人類のために…!!)

 

カラータイマーが点滅しても、ゼアスはコッテンポッペに構えを取る。

 

ベンゼン星人(このままゼアスを倒しても、面白くないからなぁ…あっ、そうだ!!)

 

すると、ベンゼン星人はコッテンポッペをヘドロの湖に呼ぶ。

 

コッテンポッペ「グォォオオオオオオオオッ!!」ズシィンッ…ズシィンッ…

 

コッテンポッペはヘドロの湖に入っていった。

 

ベンゼン星人「おいウルトラマンゼアス!!この小娘達を助けたければ、ここまで来やがれィ!!」ベロベロベ~♪

ベンゼン星人(ゼアス…お前が極度の潔癖症なのはよぉく知っている…ここには来れねぇだろ、クフフフッ♪)

 

ベンゼン星人はゼアスが超がつくほどの潔癖症であることを予感している。そこで、ヘドロで汚れた湖にゼアスを誘きだして、そこでゼアスを倒してしまおうと企んだ。

 

ゼアス「ッ!!」

ゼアス(こ、この湖…ヘドロで汚れてる…!!)

 

直喜(ぜ、ゼアス!?)

 

ベンゼン星人の予感は見事的中…ゼアスはまだ潔癖症を克服できておらず、ヘドロの湖に入るのを躊躇っている。

 

直喜(ゼアス!!お願いだよ、六花ちゃんとアカネちゃんを助けたいんだ!!)

 

ゼアス(それは分かってるんだけど…)

 

直喜(こ、こうなったら…えぇいっ!!)

 

ゼアス(あっ!?ちょっと直喜君!?)

 

ゼアスは漸く、ヘドロの湖に足を踏み入れた。だが、それが罠であることに…ゼアスと直喜は気付いていなかった。

 

ザブッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」

直喜(うわっ!?な、何これ…身体が沈んで…!!)

 

六花&アカネ「「ッ!!」」

 

六花とアカネが見守る中…ゼアスはとうとう、ヘドロの湖に沈んでしまった。

 

 

 

六花「そ、そんな…!!」

 

アカネ「ぜ、ゼアス…!!」

 

目の前でゼアスが沈んで行き、絶望する六花とアカネ。そんな彼女達に、コッテンポッペが近付いていく。

 

コッテンポッペ「ガロロロ…///」

 

コッテンポッペは発情しているのか、顔を真っ赤に染め…ヨダレをダラダラと垂らしている。

 

転生者 A『うほほほぉっ!!遂に六花とアカネが…』

 

転生者 B『オレ達の物に!!』

 

転生者 C『神山の泣き叫ぶ顔が見れなかったのは残念だが…もう良い!!六花、アカネ…今から抱いてやるぜぇ、クケケケ♪』

 

コッテンポッペは六花とアカネを取り込もうとしているのか、彼女達に手を伸ばして来る。身動きが取れない六花とアカネ…もはやこれまでか……

 

 

 

…と、思っていたら……

 

???「はぁぁああああああっ!!」

 

ドッゴォッ!!

 

コッテンポッペ「ッ!?」

 

ザバァァアアアアアアンッ!!

 

コッテンポッペが何者かに攻撃され、ヘドロの湖に倒れた。次の瞬間…

 

ズダァンッ!!

 

六花とアカネの目の前に、黒と紫のメインカラーが特徴の謎の巨人が降り立った。



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第77話 グリッドナイトって、なに?

六花とアカネの目の前に、黒と紫のメインカラーが特徴の謎の巨人が降り立った。

 

ベンゼン星人「ヴェエエエッ!?き、貴様何者ォ!?」

 

ベンゼン星人は現れた巨人に問い詰める。

 

 

グリッドナイト「俺の名は『グリッドナイト』……俺はグリッドマンを倒すために…そして、友達の直喜を守るために生まれ、グリッドマンを倒すために…直喜を守るために生きている!!」

 

 

現れた巨人の名は『グリッドナイト』…グリッドマンにそっくりな見た目をしているが、その正体は…そして、何故直喜を知っているのか…

 

ベンゼン星人「ぐぬぬぬ…こうなったら、俺様も行ってやる!!」

 

次々と現れる邪魔者に怒りを露にしたベンゼン星人はとうとう巨大化した。

 

グリッドナイト「…来い!!」ビシッ!!

 

グリッドナイトが構えを取った時…ベンゼン星人とコッテンポッペがグリッドナイトに襲いかかって来た。

 

ベンゼン星人「うぉぉおおおおおお!!」

 

ガシィッ!!

 

グリッドナイト「せやぁっ!!」ブゥンッ!!

 

ベンゼン星人「ダァアララララアアアアァァァァッ!?」

 

ドドォォオオオオオオッ!!

 

グリッドナイトに襲い掛かったベンゼン星人だが、意図も簡単に投げ飛ばされ、背中から地面に叩き付けられた。

 

コッテンポッペ「グォォオオオオオオオオッ!!」

 

ベンゼン星人の後ろからは、コッテンポッペが走ってくる。

 

グリッドナイト「はぁっ!!」ドゴォッ!!

 

グリッドナイトはコッテンポッペの腹部に蹴りを入れ、返り討ちにする。

 

コッテンポッペ「グゴォォオオオオオオッ!!」

 

コッテンポッペは額の角と左右の角を光らせ、光線を発射する。

 

グリッドナイト「ぐっ!?」バチィッ!!

 

グリッドナイトは光線を防げず、地面を転がる。

 

六花「ッ!?」

六花(ベンゼン星人は衝撃を与えればコッテンポッペは爆発するって言ってたよね…なのに、何で爆発しないの!?)汗

 

グリッドナイトと戦うコッテンポッペを見て、六花はベンゼン星人の発言に疑問を持ち始める。

 

ベンゼン星人(いててて…しまった、俺様のハッタリがバレちまった…!!)

 

起き上がったベンゼン星人は、自身のハッタリがバレたと思う。

 

グキィッ!!

 

ベンゼン星人「あいだぁ!?こ、腰がぁ…!!」

 

どうやら、グリッドナイトに投げられたことが原因で…ギックリ腰になってしまったようだ。

 

 

 

グリッドナイト「ベンゼン星人!貴様のことは既に知っている…いくらハッタリを言おうが無駄だ。その怪獣のことも、俺は既に知っているからな。」

 

コッテンポッペが地面に横たわる中、グリッドナイトはベンゼン星人を追い詰めていく。

 

ベンゼン星人「な、何だと…!?」

 

グリッドナイト「貴様は本当にバカだ…“俺達”が貴様の基地に潜入していることにも気付かず、愛しき妻と営みをしているとは…随分呑気なことだ。」

 

何と、グリッドナイトは…ベンゼン星人の秘密基地にいち早く潜入しており、コッテンポッペの秘密も既に理解しているのだ。だからこそ、躊躇うことなく攻撃ができるのだ。だが、光線技を使ってはいない。

 

グリッドナイト「この怪獣の爆発条件は、『光線が命中する』こと…だろう?」

 

ベンゼン星人「んなっ!?」

 

グリッドナイトの言葉を聞き、青ざめた顔をするベンゼン星人。

 

グリッドナイト「その反応…図星のようだな。」

 

ベンゼン星人「こ、こうなったら…!!」

 

ベンゼン星人は頭部にあるガス抜き穴から、蛍光色に輝く光線をコッテンポッペ目掛けて発射した。これは、ベンゼン星人の武器『ベンゼン光線』だ。

 

グリッドナイト「むっ!?」

 

グリッドナイトはコッテンポッペの前に立ち、光線を防ぐ。

 

ベンゼン光線「行けェゴルドルボムルス!!」

 

コッテンポッペ「グゴォォオオオオオオッ!!」

 

ドゴォッ!!

 

グリッドナイト「がっ!?」

 

ベンゼン星人の光線を防いだグリッドナイトだが…背後が無防備だった。その隙を見抜いたベンゼン星人は、コッテンポッペに攻撃指示を出した。コッテンポッペの攻撃はグリッドナイトに命中し、グリッドナイトは地面に倒れる。そんなグリッドナイトに馬乗りになったコッテンポッペは、更にグリッドナイトを攻撃する。中々反撃できずにいるグリッドナイト…そのうち、額のランプが点滅を開始した。

 

六花「こ、このままじゃ…グリッドナイトまで……!!」

 

アカネ「ど、どうすれば…」

 

どうすることもできず、ただ見ることしかできない六花とアカネ。その時……

 

 

ゴルドバーン「ギャォォオオオオッ!!

 

 

 

ゴルドバーンがベンゼン星人の方へと突撃していった。ゴルドバーンが六花とアカネの頭上に来たと同時に、上空から2つの人影が降りてきた。

 

夢芽「何絶望してんの?」

 

ちせ「ちょっとちょっと、直喜先輩を守るんじゃないんですか?」

 

降りてきたのは、六花とアカネと対立関係にある夢芽とちせだった。夢芽は六花を、ちせはアカネを十字架から解放する。

 

六花「な、何で…?」

 

夢芽「直喜のためだけど?」

 

ちせ「直喜先輩は、自分らの争い…見たくないんですよ。だから、手を取り合いましょう!!」

 

夢芽とちせは六花とアカネを解放すると…

 

 

夢芽「直喜、お願いだから立って!!」

 

ちせ「直喜先輩!!宝多さんと新条さんは自分らが助けました!!だから、頑張ってくださーい!!」

 

 

…と、ヘドロの湖に向かって呼び掛ける。彼女達に釣られ、六花とアカネもヘドロの湖の底にいるゼアスに呼び掛ける。

 

六花「直喜!!私達は、直喜が必ず勝つって信じてるよ!!だから、頑張って!!」

 

アカネ「お願い直喜君!!立って!!勝って!!私は、直喜君のこと…ずっと応援してるから!!勝って、直喜君!!」

 

 

 

ベンゼン星人「あっ!?人質がいつの間に…」

 

ゴルドバーン「ギャォォオオオオッ!!」

 

ベンゼン星人「うわわっ!?な、何なんだコイツ!?あっ、ちょやめろやめろ!!」

 

次々と起こる予想外の出来事に、混乱しっぱなしのベンゼン星人。そんなベンゼン星人は、ゴルドバーンの相手となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜(…ん?)

 

直喜が目を覚ますと、そこは…暗く、音の無い世界だった。

 

直喜(た、確か…僕……六花ちゃんとアカネちゃんを助けようと…そうだ、ゼアス…!!)

 

直喜はゼアスを呼ぶが、ゼアスの返事は返ってこない。

 

直喜(ゼアス…ゼアス!!)

 

それでも直喜は、希望を捨てず…ゼアスの名を呼び続けた。

 

直喜(ウルトラマンは不可能を可能にするんだ…どんなに絶望的な状況でも、必ず勝つ……お願い、ゼアス…僕は皆を助けたい…一緒に、戦ってよ!!)

 

その時……

 

 

夢芽『直喜!!お願いだから立って!!』

 

 

夢芽の声が、聞こえてきた。次に…ちせの声が聞こえてくる。

 

 

ちせ『直喜先輩!!宝多さんと新条さんは自分らが助けました!!だから、頑張ってくださーい!!』

 

直喜(ゆ、夢芽ちゃんに…ちせちゃん……!)

 

更に…

 

 

六花『直喜!!私達は、直喜が必ず勝つって信じてるよ!!だから、頑張って!!』

 

 

アカネ『お願い直喜君!!立って!!勝って!!私は、直喜君のこと…ずっと応援してるから!!勝って、直喜君!!』

 

 

六花とアカネの声も聞こえてきた。

 

直喜(り、六花ちゃん…アカネちゃん……もしかして、夢芽ちゃんとちせちゃんと仲良くなれたのかな…?)

 

そう思った直喜だが…ふと、右手に違和感を感じたため…見てみると……

 

直喜(こ、これって…!!)

 

カラーリングがゼアスの体色と同じ赤色になった電動歯ブラシ『ピカリブラッシャー2』が握られていた。

 

ゼアス(直喜君!!君の思い、確かに受け取ったよ!!僕もこの美しい地球(ホシ)を守りたい!!一緒に戦おう、直喜君!!)

 

直喜(ぜ、ゼアス…う、うん!!)

 

ゼアスと直喜の思いは、既に1つとなっていた。直喜はピカリブラッシャー2で歯磨きを開始し、自身の口腔環境内をピカピカにした。そして…

 

 

直喜「ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアアアアアッ!!

 

 

ピカリブラッシャー2を天に高く掲げ、目映く優しい光へと包まれていった。



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第78話 奇跡って、なに?

グリッドナイト「ぐっ…うぅ……」

 

ベンゼン星人の卑怯な作戦と、コッテンポッペに追い詰められたグリッドナイトは…うつ伏せになって倒れていた。

 

ベンゼン星人「とうとうくたばったか!!グリッドナイト!!俺様のゴルドルボムルスには、敵わねぇようだな!!」

 

勝ち誇ったように両手を腰に当て、「ガハハハハッ!!」と笑うベンゼン星人。その時……

 

 

ゴボゴボゴボゴボッ!!

 

 

ヘドロの湖が、突如…不気味な音を立て始める。

 

ベンゼン星人「…ん、何だ?」

 

ベンゼン星人がヘドロの湖の方を振り向いた次の瞬間……

 

 

ピカァァアアアアアアアアッ!!

 

 

湖から目映い光が発生した。その直後……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼアス「シェアッ!!

 

 

湖の中から、ウルトラマンゼアスが降臨した。点滅していたカラータイマーは、青に戻っている。

 

六花「直喜…!!」

 

アカネ「直喜君!!」

 

夢芽「…直喜♪」

 

ちせ「直喜先ぱーい!!」

 

ゼアスの登場に、笑顔になる六花とアカネと夢芽とちせ。

 

ベンゼン星人「そ、そんなバカな…!!」

 

ベンゼン星人が混乱する中、ゼアスはコッテンポッペに飛び蹴りを入れた。

 

コッテンポッペ「グゴォォオオッ!?」

 

ドドォォオオオオオオッ!!

 

地面を転がるコッテンポッペ。

 

ゼアス「…ジュアッ!」

 

ゼアスはカラータイマーに両手を近付け、グリッドナイトに光を飛ばした。すると、グリッドナイトのランプの点滅が止まった。

 

グリッドナイト「ありがとう、直喜…!!」

 

ゼアス「…!?」

直喜(えっ?な、何で僕のことを知ってるの…?)汗

 

グリッドナイトに名前を呼ばれ、困惑する直喜。

 

グリッドナイト「あの人から話は伺ってる…過去に、母と共に助けてくれた命の恩人だと…」

 

直喜(えっ…どういうこと…?)汗

 

 

???「おーい、ナイトくーん!!」

 

 

湖の方を見ると、OLのようにパンツスーツとネームプレートを着用し、縁無し眼鏡をかけた女性がこちらに手を振っていた。彼女の近くには、助けられた六花とアカネと夢芽とちせの姿があった。

 

グリッドナイト「感謝します、『2代目』さん。」

 

直喜(に、2代目…さん…?)汗

 

2代目…あのスーツ姿の女性のことであろう。

 

2代目「あの怪獣は光線が命中しない限り、爆発することはありません!!ウルトラマン、頑張ってください!!」

 

2代目がそう言うと、グリッドナイトはゼアスにこう言った。

 

グリッドナイト「俺は2代目さんと共に、ベンゼン星人の秘密基地を潜入調査していた。だからあの怪獣のことも知ってる。信じてくれ、直喜。」

 

ゼアス「……。」

直喜(この声…それにその雰囲気……もしかして…)

 

グリッドナイトの声や雰囲気を聞いたり見たりして…直喜はとある人物を思い浮かべた。そして…

 

ゼアス「…!」コクッ!

直喜(うん、信じる…!!)

 

グリッドナイトと2代目を信じることにした。グリッドナイトはゼアスの右隣に立ち、彼と共に構えを取る。

 

グリッドナイト「直喜、星人は任せろ。怪獣を頼む。」

 

ゼアス「ッ!!」コクッ!

直喜(わかった!!)

 

ベンゼン星人「くそぉ…俺様の計画が……こうなったrあいたたたた…~~ッ!!」

 

ベンゼン星人は腰をおさえながら、迫り来るグリッドナイトを迎え撃つ。

 

 

 

~グリッドナイト side~

 

 

グリッドナイト「貴様には、この姿で戦おう。」

 

グリッドナイトがそう言うと、彼の身体が紫色の光に包まれていく。そして、段々姿が変わっていくと…光が消え、姿が明らかになる。

 

ベンゼン星人「えぇっ!?な、何それ!?」ガーン!!

 

ベンゼン星人が見たグリッドナイトの姿…それは……

 

 

黒と紫のメインカラーに、胸部には紫色の光を放つコアがあり、赤い三日月型の複眼を光らせる…ウルトラマンゼアスにそっくりな姿だった。

 

ナイトゼアス「ウルトラナイトゼアス…この姿は、直喜を守るための姿だ!!」

 

これは、グリッドナイトがウルトラマンゼアスそのものをコピーした姿…その名は……

 

ウルトラナイトゼアス

 

直喜の大好きなヒーローを彷彿とさせたその姿は、ゼアスの偽物ではない…『ウルトラナイトゼアス』という、1人のヒーローだ。

 

ベンゼン星人「所詮はゼアスの偽物…偽物なんかに、俺様が負けるかぁ!!」

 

そう叫び、ウルトラナイトゼアスに襲い掛かるベンゼン星人。

 

ナイトゼアス「ふっ!!」ガシィッ!!

 

ベンゼン星人を正面から受け止めたナイトゼアスは、パワー勝負を仕掛ける。

 

六花「ウソ、あれってゼアス!?」

 

2代目「確かに見た目はゼアスですが…あれは、ナイト君の真の姿『ウルトラナイトゼアス』です。大切な友人を守るために、無茶な特訓を重ねてあの姿になったんですよ。」

 

アカネ「ほえ~…でも、ナイトさんの大切な友人って…誰なんだろ?」

 

2代目「気になったら、本人に直接聞いて…というか、もう既に喋ってますよw」

 

2代目と共にウルトラマンゼアスとウルトラナイトゼアスの戦いを見守る六花達。そこに…

 

なみこ「あっ、六花!!アカネ!!」

 

はっす「おーい、けがは無い!?」

 

なみことはっすがやって来た。

 

六花「な、なみこにはっす!?どうしてここに…!?」

 

なみこ「親友があんな状態だったんだもん、じっとなんてしてらんないよ!!」

 

はっす「2人共無事!?」

 

アカネ「うん!直喜く…じゃなくて、ゼアスが助けてくれたから♪」

 

なみこ&はっす「「えっ?」」

 

なみことはっすは、コッテンポッペとベンゼン星人と戦うゼアスとナイトゼアスを見る。

 

なみこ「あれ?ゼアスが2人いる!?」

 

はっす「いや、1人は偽物だって…」汗

 

2代目(あらあら…ナイト君も大変ですね。)(苦笑)

 

 

 

ナイトゼアス「はぁっ!!」

 

ベンゼン星人「どわぁっ!?」ドドォォオオオオオオッ!!

 

ナイトゼアスはベンゼン星人を華麗な投げ技で投げ飛ばす。

 

ベンゼン星人「ぐぅ…受けてみろ、ベンゼン光線!!」ビカァッ!!ビカァッ!!

 

ナイトゼアス「ぐっ!?」

 

ベンゼン星人「フヘヘヘ、どうだウルトラナイトゼアス!!」

 

ベンゼン光線を発射し続けるベンゼン星人。すると、ナイトゼアスは…

 

ナイトゼアス「はっ!」ビシッ!

 

バレエのアティチュードのような片足立ちの姿勢で超高速回転しながら、ベンゼン星人へと接近していく。ベンゼン光線はことごとく弾き返され、地面へと衝突していく。

 

ベンゼン星人「えっ!?ちょっと待って…その技だけはトラウマなの!!やめて、やめてぇぇええええ!!」

 

ナイトゼアス「スーパーナイトゼアスキィィイイイイック!!」

 

ドッゴォォオオオオオオオオオオッ!!

 

ベンゼン星人「ああああれええええぇぇぇぇ…!!」キランッ!

 

ナイトゼアスが放った必殺技『スーパーナイトゼアスキック』により、ベンゼン星人は宇宙の彼方へと飛ばされた。ベンゼン星人を撃退したウルトラナイトゼアス…もとい、グリッドナイトは、腕組をしながら立っていた。

 

 

~グリッドナイト side OFF~

 

 

 

~ウルトラマンゼアス side~

 

 

コッテンポッペと戦うゼアスは、バク転をしながらコッテンポッペへと接近し…

 

ゼアス「デヤッ!!」ドゴォッ!!

 

コッテンポッペの腹部にハイキックを撃ち込んだ。

 

転生者 A『ぐほぉっ!?…く、くそがぁ!!』

 

転生者 B『はっ!?何で急に強くなってんだよ!?』

 

転生者 C『こんな貧弱戦士に、オレ達の楽園を壊されてたまるかァ!!』

 

コッテンポッペ「グォォオオオオオオオオッ!!」

 

コッテンポッペはゼアスを威嚇するように咆哮をあげるが、ゼアスは全く怯まない。ゼアスは地面を蹴ってジャンプすると、その勢いを利用して回転蹴りを放った。

 

直喜(はぁぁああああああっ!!やぁっ!!)

ゼアス「デヤァッ!!」ドゴォッ!!

 

ゼアスの回転蹴りは、コッテンポッペの顔面に命中する。続けてゼアスはもう一度…更にもう一度…またまたもう一度回転蹴りを何度もコッテンポッペの顔面に撃ち込む。必殺技『マシンガンキック』だ。ゼアスがコッテンポッペに蹴りをぶつけると、コッテンポッペからは火花が飛び散った。

 

転生者 A『がぼぉええっ!?』

 

転生者 B『ぐぱがっ!?』

 

転生者 C『ごはぁっ!?』

 

コッテンポッペがダメージを受けると、そのダメージは…3バカにも影響されるようだ。左頬が腫れ上がり、血を吐く3バカ。

 

3バカ『『『ああああああああ!!』』』

 

ムキになった3バカは発狂しながら、ゼアスを攻撃しようとする。

 

コッテンポッペ「グゴォォオオオオオオッ!!」

 

ガッ!ガッ!

 

ゼアス「ゼアッ!!」ゴスゥッ!!

 

攻撃はゼアスに全て受け止められ、頭部に頭突きをくらうコッテンポッペ。尖った角で攻撃されたため、相当痛いだろう…ゼアスはコッテンポッペから距離を取ると、助走をつけてジャンプする。

 

ゼアス「シェアッ!!

 

そして、必殺技『ゼアス・ドロップキック』をコッテンポッペ目掛けて放つ。

 

ドッゴォォオオオオオオオオオオッ!!

 

コッテンポッペ「グォォオオオオオオオオッ!!」

 

3バカ『『『ぐわああああぁぁぁぁっ!!』』』

 

右側にある角が切断されてしまい、コッテンポッペは光線が使えなくなってしまった。ゼアスは素早く起き上がり、コッテンポッペに連続蹴りを繰り出す。

 

ゼアス「デヤッ!セヤッ!ヘアッ!!」ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!

 

最後に、強烈なキックをコッテンポッペの脇腹に撃ち込む。

 

ゼアス「デヤァッ!!」ドゴォッ!!

 

コッテンポッペ「グゴォォオオオオッ!!」ドドォォオオオオオオッ!!

 

ゼアスのキックを受け、とうとう地面に倒れるコッテンポッペ。

 

 

 

ちせ「凄いですよ!!ゼアスが圧倒してますよ!!」

 

夢芽「ちせちゃん…ウルトラマンって、やっぱりすごいね!!」

 

ちせ「はいっ!!」

 

六花「直喜ー、頑張れぇぇええええ!!」

 

アカネ「頑張って、直喜くぅぅううううん!!」

 

なみこ「えっ!?ちょっと待って…ウルトラマンゼアスの正体は…な、直喜だったのォ!?」汗

 

はっす「え、マジ…!?な、直君が変身してるの…?」汗

 

六花&アカネ「「あっ…」」汗

 

なみことはっすは、直喜がゼアスであることを知らない。対して、六花とアカネは直喜がゼアスであることを知っている。そのため、ついゼアスを直喜と呼んでしまったのだ。その結果…直喜がウルトラマンであることが、なみことはっすにバレたのである。

 

もう一度言おう…バレたのである。

 

2代目「…本当に凄いです…ウルトラマンは……直喜さんが教えてくれた通り…ウルトラマンは私達の永遠のヒーローです…!」

 

 

 

初めはゼアスを圧倒していたコッテンポッペだが…今度は逆に、ゼアスに圧倒されていた。

 

転生者 A『ぐ、ぐぉぉお……』

 

転生者 B『お、オレ達の楽園…!!』

 

転生者 C『楽園を、守るんだ…オレ達の、幸せを…!!』

 

コッテンポッペに取り込まれている3バカは、既にボロボロになっていた。

 

直喜(はぁぁああああああっ…はぁっ!!)

ゼアス「デヤァァアアアアッ!!ドッゴォッ!!

 

すかさずゼアスは、起き上がったコッテンポッペの腹目掛けて、電撃を纏ったキック『ゼアス・ニーキック』を放った。

 

コッテンポッペ「グォォオオオオオオオオ……!!」

 

コッテンポッペは口から白い煙を出し、地面にその巨体を沈めた。目の光も消え、ピクリとも動かなくなったコッテンポッペは…意識を手放し、戦闘不能となった。この戦い、ウルトラマンゼアスが勝利を掴んだのだった。

 

 

~ウルトラマンゼアス side OFF~

 

 

 

ちせ「やったやったぁ!!ゼアスが勝ちましたよ!!」

 

夢芽「流石だね、ウルトラマンゼアス♪」

 

六花「ちょっと待って、あの怪獣…どうするの?」

 

アカネ「全身が爆弾だから、ここでは倒せないよね?」

 

なみこ「ねぇ、ゼアス!!その怪獣、どーするのー?」

 

すると、ゼアスはコッテンポッペを持ち上げると…大空へと飛び去って行く。

 

はっす「成る程~、安全を考えて宇宙空間で倒すんだね?流石はウルトラマン…いや、直君♪」

 

宇宙へと飛んでいくゼアスを見守るヒロイン達。

 

 

 

ゼアスは宇宙空間に到着すると、地球から遠く遠く離れた空間でコッテンポッペを投げ飛ばす。

 

直喜(今度こそ、確実に倒すんだ!!)

 

そして、まるで何かを抱えるような独特な動作を取ると、両腕を広げ…腕を逆十字型に組む。

 

ゼアス「シェアッ!!

 

すると、ゼアスの腕からは赤い光線が発射され…その光線を辿る形で、青い光線が発射された。必殺技『スペシュッシュラ光線』だ。ゼアスの必殺光線は、コッテンポッペに命中し…コッテンポッペは大爆発を起こした。コッテンポッペを撃破したゼアスは、地球へと飛んでいった。

 

 

ベンゼン星人「これからどーしよっか…って、え?」

 

 

宇宙空間をさ迷っていたベンゼン星人の視線の先には…巨大な爆発が、こちらに迫って来ているのが見えた。

 

ベンゼン星人「いやぁぁああああ!!死にたくない!!死にたくない!!死にたくない死にたくないしにたくないしにたくないシニタクナイシニタk……」

 

ベンゼン星人はがむしゃらに泳ぎ、爆発から逃れようとしたが…とうとう、爆発に飲み込まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼアスに敗れたコッテンポッペ……そのコッテンポッペに取り込まれた3バカは、六花達の様子を見ていた。

 

六花『直喜!!』

 

アカネ『な、直喜君!!』

 

なみこ『直喜ー!!』

 

はっす『な、直く~ん!!』

 

夢芽『直喜!!』

 

ちせ『直喜先ぱーい!!』

 

裕太『な、直喜君!!』

 

将『神山!!』

 

ガウマ『直喜ィ!!』

 

蓬『直喜君!!』

 

暦『な、直喜君!!』

 

怪獣優生思想『『『『直喜!!』』』』

 

アレクシス『直喜君!!』

 

アンチ&ナイト『直喜!!』

 

2代目『直喜さん!!』

 

気絶した直喜の元には、六花をはじめ…様々な人達が集まって来ている。

 

3バカ(((そ、そんな…おかしい、こんなのおかしいぞ……オレは、あんなグズで弱虫で泣き虫でノロマなんかよりも、断然優れていると言うに…なのに、なのに……何であんな奴の元に、人が集まって来るんだ!?耐えられない耐えられない!!そんな事、受け入れられるか!!)))

 

混乱する3バカの近くに、オリシスとマートが姿を現す。そして、3バカにこう言った。

 

 

オリシス『誰かに何かを与えない者は

 

いつか、人から何も貰えなくなる。

 

欲しがってばかりいるお前達は

 

結局何も持っていないのと同じ。

 

自分では何も生み出せないから。

 

 

3バカ『『『ッ!?』』』

 

 

マート『直喜はね…

 

アンタらよりもよっぽど優秀よ?

 

どんなに辛くて苦しいことにも

 

全力でぶつかっていって

 

人から喜ばれることを沢山してきた。

 

けど、アンタらは違う。

 

求めてばっかりいる癖に

 

人から喜ばれることを何もしないどころか

 

都合が悪くなれば誰かのせいにして

 

散々逃げてきたじゃない。

 

だからアンタらの元から人が離れていくのよ?

 

 

3バカ『『『……。』』』

 

 

オリシスとマートの言葉に、何も言い返せない3バカは…とうとう黙り込んだ。

 

 

前世での彼らは、これといった才能が無く…勉強も運動も全然できず、容姿もイケメンとは正反対だった。

 

普段から何もせず、ゲームばっかりやっており…そこに登場する美女キャラやアニメ等のヒロイン達とイチャイチャしたいという欲望を抱えていた。

 

勉強も全くやらず、洗濯や風呂掃除、食器洗い等の家の手伝いもしておらず…それどころか、アルバイトやボランティアもしてこなかった。

 

テストで点数が悪かったり、運動会でビリになったり等…自分にとって都合が悪い結果になれば、常に誰かのせいにして、自分にも非があることを一切認めなかった。そのため、周りからは嫌われ…最悪の場合、いじめにもあっていた。

 

そんな人生を生きてきて、この世での暮らしが嫌になった彼らは…自殺をしたのだった。

 

そして、転生世界へとやって来て…神々にありとあらゆる願いを叶えて貰っては、優越感に浸っていた。

 

これに味を占めた彼らは、転生の力を悪用するようになり…幸せを求めるがあまり、他人から幸せを奪ってまで、自分だけ幸せになろうとした。

 

ヒロイン達を我が手中に収める中、彼女達に…いや、様々な人達に何かを与えることはして来なかった。それどころか、与えようともしなかった。

 

この世界の住人達が、そんな自分達からどんどん離れていっていることに気付かず…自分よりも劣っている存在と勝手に決めつけた『神山 直喜』によって、最期は倒された。

 

皮肉なことに…

 

自分より劣っていると思っていた者から

 

自分を越えられてしまう

 

…という、3バカにとってあまりにも悲惨で、最低で最悪な末路であった。

 

 

オリシス『今まで散々見下していた奴に負けるとは…

 

…惨めなものだな。

 

マート『アンタらクズに生きる価値なんて無い…

 

さ、夢から覚める時間よ。

 

 

3バカ『『『~~ッ!!』』』

 

 

オリシスとマートからの皮肉に、3バカは悔しそうに何かを叫びながら…灰となって宇宙空間に消えていったのだった。



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第79話 心配って、なに?

直喜『ゼアス、ありがとう!!』

 

光に包まれた空間の中で、直喜はゼアスと話していた。

 

ゼアス『お礼をいうのは僕の方だよ。『皆を助けたい』っていう直喜の強い正義と、皆の応援があったからこそ…僕は漸く、潔癖症を克服できた。だからコッテンポッペにもベンゼン星人にも勝てたんだ。ありがとう、直喜君!君は本当に素敵な人達に囲まれてるね!』

 

直喜『…ゼアス。』

 

ゼアス『さぁ、皆のところへ行ってあげて?皆、直喜君のことを待ってるよ。』

 

直喜『…うん!!』

 

ゼアスがそう言うと、直喜は目映い光に包まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「……き!…おき!!」

 

直喜「……?」

 

直喜がゆっくり目を開くと…彼の目の前には、沢山の人達の顔が見える。

 

六花「直喜!!」

 

直喜「…り、六花…ちゃん…?」

 

アカネ「直喜君!私が分かる!?」

 

直喜「う、うん…アカネ、ちゃん……」

 

将「神山、大丈夫か!?」

 

裕太「直喜君!!」

 

夢芽「直喜!!」

 

ちせ「直喜先輩!!」

 

直喜の周りには、グリッドマン同盟のメンバーや新世紀中学生、ガウマ隊、怪獣優生思想等々…多くの者が集まっていた。

 

直喜「も、もしかして……心配…してくれたの……?」

 

六花「当たり前じゃん…!皆が直喜のこと、待ってたんだから…!!」

 

目に涙を浮かべながらも、直喜に微笑む六花。

 

アカネ「直喜君、起きれる?」

 

直喜「ご、ごめん…ちょっと、動けないや……」

 

アカネ「えっ!?嫌、直喜君…死んじゃ嫌だよぉ!!」

 

なみこ「こらこら、直喜を勝手に殺すな?」

 

はっす「それより直君よ…ウルトラマンゼアスって、直君が変身してたの?」

 

直喜「…あ。」

直喜(そういえば、なみこちゃんとはっすちゃんにも話してないよね…よし、ここで話そうか……)

 

はっすの問いに直喜は、自身がウルトラマンゼアスであることを告げた。

 

なみこ「えぇっ!?そうだったの!?」

 

はっす「マジ!?どうやって変身してるん!?」

 

六花「なみこ、はっす…そこまでにして、直喜は今疲れてるんだから。」

 

質問攻めしようとするなみことはっすを止める六花。

 

夢芽「直喜、起きれないなら…私がおぶってあげるよ?」

 

ちせ「えぇ、ズルいですよ南さん!直喜先輩、後輩は先輩の役に立つことが使命なので…自分がおんぶするっす!!」

 

アカネ「は?もう私が予約してるんだけど?」

 

六花「いいや、ここは私が直喜をおんぶする。」

 

 

ヒロイン「「「「むぬぬぬ~!!」」」」バチバチバチバチ…

 

 

そんなこんなで、誰が直喜をおぶるのかで揉め始めるヒロインズ。そんな彼女達を背に、誰かが直喜をおぶった。

 

直喜「…?」

 

ナイト「大丈夫か、直喜?」

 

それは、グリッドナイトに変身していた張本人『ナイト』だった。

 

直喜「…だ、誰?」

 

ナイト「俺はナイト…元は『アンチ』という名前だった。」

 

直喜「…えっ?も、もしかして…み、未来の…アンチ君…!?」

 

ナイト「そうだ。だから俺は直喜を知っている。そして、直喜がゼアスであることもな。」

 

2代目「は~い、私は未来の『アノシラス』で~す♪直喜さん、あの時…私と母を助けてくださり、ありがとうございました!!今ではナイト君と一緒に、『グリッドナイト同盟』を組んでます♪」

 

ナイトと2代目の自己紹介に、直喜は次第に納得し始める。

 

アンチ「……。」

アンチ(未来の俺か……)

 

アレクシス(ほぅ、未来のアンチ君ねぇ…興味深いねぇ?)

 

ナイトの姿に、何やら興味津々な様子のアンチとアレクシス。すると……先程まで荒れていた環境は、緑豊かになり…ヘドロの湖も、澄み渡った綺麗な湖になった。

 

直喜「…コッテンポッペを倒したから、綺麗になったのかな…?」

 

ムジナ「そうかもしれないね、直喜♪」

 

シズム「まるで、直喜の心の中みたいだね。」

 

オニジャ「ってか、直喜の心ン中見たことねぇだろ?ま、ぜってぇキレイだろうけどな?」

 

ジュウガ「何を言ってるんですか?俺達のベストフレンドである直喜は、心も身体も…何もかもが綺麗ですから。」

 

怪獣優生思想の4人がべた褒めしてくるため、思わず直喜は赤く染めた顔を隠そうとナイトの背中に顔を埋める。そんな彼の周りには、小さくなった12体の円盤生物達が飛び回っている。どうやら、直喜が生還してきたことを喜んでいるようだ。

 

夢芽「…ん?直喜、顔赤いよ?どうしたの?」

 

直喜「へっ?き、気のせいだよ…う、うん……」

 

夢芽「ホント?ちょっと見せて?」

 

直喜「…あっ。」

 

隠し事が下手な直喜は、夢芽に顔を見られてしまう。

 

夢芽「ひょっとして疲れちゃったのかな?頑張ってたもんね♪」

 

夢芽はそう言うと、直喜の頬にキスをしようと顔を近づけた。だが…

 

サッ……

 

六花が夢芽の顔の前に右手を出し、直喜をガードした。

 

六花「直喜、疲れてるから。」

 

六花の言葉と、ナイトの背中でスヤスヤ眠る直喜を見た夢芽は…今回は諦めた。その後、直喜はメンバー達によって、無事に自宅マンションに送り届けられた。

 

 

 

次の日……

 

直喜「…ん、ふわぁ~……」

直喜(今は…7:00か…よし、起きよう……)

 

直喜はベッドから起き上がると、テレビをつける。テレビでは、『ウルトラマンゼアス』のことでいっぱいだった。テレビを聞きながら、直喜は簡単な朝食を作る。作ったのは、エッグイントーストだ。

 

直喜(あ~あ、夏休みももう少しで終わっちゃうなぁ……夏祭り、皆で行きたかったんだけど……)

 

そう思いながら、エッグイントーストにパクつく直喜。朝食を食べ終えた時に…直喜に電話が掛かってきた。

 

直喜「も、もしもし?」

 

将『おっ、出た出た。よぉ神山、夏休みの終わりの日にさ、皆で夏祭りに行くことになったんだ。良かったら神山も来ないか?』

 

相手はクラスメイトの将だった。

 

直喜「えっ、良いの!?」

 

将『勿論だ!!てか、六花と新条が神山にも来て欲しいって言うんだよ。後、南さんと飛鳥川さんも。』

 

直喜「皆一緒なんだ…う、うん…行きたい、僕も行きたい!!」

 

将『そういってくれると思ったぜ☆』

 

電話の向こうからは、将の嬉しそうな声が聞こえてくる。

 

将『そんじゃ、8月31日の午後5:00にツツジ台駅で待ち合わせ!夏祭りの会場は、隣の井荻駅だからな。』

 

直喜「井荻…って、僕の友達が住んでる場所だ!!」

 

将『マジで?そんじゃさ、神山の友達も呼んだらどうだ?』

 

直喜「そ、そうだね…!きょ、今日聞いてみるよ…!あ、ありがとう内海君…!!」

 

将『おうよ!そんじゃ、31日よろしくな!』

 

そして、通話が切れた。直喜は早速、親友の隆也に電話をかけた。

 

隆也『もしもーし!』

 

直喜「あっ、もしもし隆也君?僕だよ、直喜。」

 

隆也『おぉ直喜か!どうした?』

 

直喜「えっとね…8月の31日に、井荻で行われる夏祭りに行くんだ、僕。」

 

隆也『マジ!?俺もさ、地元のウルトラマンファン達を集めて行くんだぜ!良かったら、直喜も来るか?』

 

直喜「実は…ぼ、僕…色んな友達と行くことになっててね……」

 

隆也『おぉっ!!そりゃ良いじゃねぇか!何なら、井荻駅で待ってるぜ?宝多さんや新条さんらも居るのか?』

 

直喜「いる…!夢芽ちゃんもちせちゃんもね。」

 

隆也『了解!おい皆、我らがウルトラ博士、直喜も夏祭りに来るってよ!!それも、沢山の友達をつれて!!』

 

隆也がそう言うと、電話の向こうからは「おぉー!!」と歓声が聞こえてきた。

 

隆也『そういや俺、地元のウルトラマンファン達と買い物に来てたんだよなwww』

 

直喜「す、すごい…!」汗

 

隆也の行動力に驚く直喜。

 

隆也『そんじゃ、31日楽しみにしてるぜ!!』

 

直喜「うん、ありがとう隆也君!」

 

隆也と通話を終えた直喜は、31日…今年最後の夏に行われる夏祭りを楽しみにしている。

 

直喜「人生初の夏祭りだぁ…って、っ!?そ、そうだ浴衣買わなきゃ!!」

 

その後、浴衣が無いことに気付いてはテンパり…慌ててショッピングモールに浴衣を買いに駆け込んだのは言うまでも無い……



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第80話 青春って、なに?

今日は8月31日…夏休み最終日である。

 

時刻は午後3:30…

 

直喜「よ、よし…お財布もお小遣いもゲーム機も持った…浴衣もOK…!」

 

早くから準備をしていた直喜は、忘れ物が無いかチェックしていた。忘れ物が無いことを確認し、浴衣に着替えたのだが……

 

直喜「うぅ…な、何か苦しい……」汗

 

浴衣の着方を知らないため、ぎこちない格好になってしまった。特に、帯をキツキツに巻いてしまったため、お腹が締め付けられる感覚が物凄い……

 

直喜(今から着直すかぁ…)

 

その後、浴衣を着直した直喜だったが…やはりぎこちない。

 

ピンポーン♪

 

直喜「は、はーい…!」

 

5回程着直した後、インターホンが鳴った。直喜は玄関に向かい、ドアを開ける。

 

 

なみこ「やっほ~直喜~♪」

 

はっす「おっ、浴衣似合ってんじゃん♪」

 

六花「えっ!?直喜の浴衣姿?…うわぁ、絵になる~♪写真撮っても良い?」パシャッ!パシャッ!

 

アカネ「ほわぁ、カッコいいじゃん直喜君♪」

 

 

玄関には、直喜のクラスメイトのなみことはっす、六花とアカネがいた。浴衣に身を包んだ直喜を見や否や、スマホで写真を撮り始める六花。

 

なみこ「って、直喜…帯の結び方が変だよ?」

 

直喜「じ、実は僕…浴衣着るの、初めてで…」汗

 

なみこ「フムフム。ちょっと失礼?」

 

なみこは直喜の後ろに移動すると、浴衣の帯を結び直した。

 

なみこ「どうかな直喜?」

 

直喜「あれっ?ちっとも苦しくないや…」

 

なみこ「よしよし!」

なみこ(帯結び直してる時、六花とアカネの視線が物凄かったからなぁ…いやぁ、緊張したぜ…)汗

 

直喜の浴衣の帯を結び直したなみこだったが、その時の六花とアカネの視線が怖かったため、かなりのプレッシャーを感じながらやっていた。だが、上手く行ったため、ホッとしている。

 

六花「さて、それじゃあそろそろ行こうか。」

 

なみこ「おっ、もうこんな時間か。」

 

こうして直喜は、六花達と共に井荻駅へと向かった。

 

 

 

電車に揺られ、井荻駅に到着して改札を出ると…

 

隆也「よぉ、直喜!!」

 

そこには、隆也を始め…多くの老若男女の姿があった。

 

直喜「た、隆也君…!えっと、そちらの方々は…?」汗

 

隆也「地元のウルトラマンファン達だぜ?色んな人達がいるからさ、結構楽しいぞ?」

 

ファン「おぉ、我らがウルトラ博士の御成だ!!」「博士、お疲れ様です!!」

 

別名『ウルトラ博士』という呼び名がある直喜…実は、ウルトラマンファン達の間ではかなり有名人である。ウルトラ怪獣を知り尽くしている彼は、独自の解釈を交えて怪獣の攻略方法や雑談を語る…それがあたかも学校の授業のようで分かりやすく面白いと、ファン達からは大評判なのだ。

 

やがて、井荻駅に裕太と将、アンチとアレクシス、ガウマ隊、怪獣優生思想、ナイトと2代目も到着し、メンバー全員が集合した。全員が揃ったところで、夏祭り会場へと向かった。

 

 

 

会場につくと、そこは訪れた大勢の客で賑わっている。

 

直喜「…!」ソワソワ…

 

初めての夏祭りに、ソワソワし始める直喜。

 

直喜(うわぁ、色んな屋台がある…!まずはどこから回ろうかな…うーん、迷うなぁ……)

 

どの屋台に行こうか迷っていると…

 

裕太「直喜君、焼きそば買いに行かない?」

 

…と、裕太が声を掛けてきた。

 

直喜「う、うん…行く!」

 

そして、裕太と共に焼きそばを購入した。1口食べると、箸が止まらなくなる。

 

直喜(不思議だなぁ…普段から食べている物なのに、屋台の食べ物って…どうしてこんなに美味しいんだろう?)

 

屋台で購入した食べ物は、いつもより美味しく感じる直喜。

 

ちせ「直喜先輩、次あっちの屋台行きましょ♪」

 

直喜「う、うん…!」

 

夢芽「その次に私とヨーヨーすくいに行こ♪」

 

アカネ「それが終わったら、チョコバナナ買いに行こうよ♪」

 

六花「こらこら、直喜が疲れちゃうよ?」

 

直喜「だ、大丈夫!行きたい!!」

 

この日、直喜はご機嫌であり…ちせと夢芽とアカネに付き合った。射的や輪投げ、ヨーヨーすくい等、夏祭りだからこそできるイベントを楽しみ、屋台で売っている食べ物に舌を巻いた。六花とは、りんご飴を買いに行き…周りのメンバー達と会話をしながら会場を歩く。

 

時刻は午後8:00…ここで、アナウンスが響く。

 

 

アナウンス『皆様、大変お待たせ致しました。まもなく、打ち上げ花火の打ち上げが開始いたします。夏の夜空を彩る花火。咲いては消え、咲いては消えする儚い姿は、まぶたの裏に色濃く残り、夏を照らします。それでは、打ち上げ開始でございます。最後まで井荻夏祭りをお楽しみください。』

 

 

どうやら、打ち上げ花火が上がるようだ。アナウンスが終わってすぐ…

 

ヒュ~~……ドパァンッ!!

 

打ち上げ花火が夏の夜空に打ち上がった。その後も次々と打ち上がっては消え、打ち上がっては消えを繰り返す。

 

将「綺麗だなぁ…」

 

蓬「そうだね。」

 

はっす「これはイ◯スタ映え間違いなしだぜぃ♪」

 

花火に見とれたり、写真や動画を撮影し始める一部メンバー。

 

直喜「……。」

直喜(本当にキレイだ…この花火も、この地球(ホシ)を守れていなかったら……見れなかったよね…)

 

ウルトラマンゼアスに変身し、ベンゼン星人の野望を打ち砕いた直喜…あの時、コッテンポッペに勝っていなければ…これらの打ち上げ花火は、2度と上がることはなかっただろう。

 

ゼアス(直喜君、夏祭りに行けて良かったね!)

 

直喜(あっ、ゼアス。)

 

ゼアス(花火、キレイだね。何だか僕、地球を守る理由が更に出来た気がするなぁ。)

 

直喜(…うん、そうだね。)

 

ゼアス(ともあれ、一先ずはお疲れ様!夏祭りもそうだけど、素敵な人達と一緒に過ごす時間…楽しんでね!!)

 

直喜(ありがとう、ゼアス。)

 

隆也「直喜、見ろよ!!ゼアスの形した花火だぞ!!」

 

直喜「あっ、ホントだ!!」

 

夜空には、ゼアスの顔の形をした花火が打ち上げられ、その後……

 

『ありがとう、ウルトラマンゼアス!!』

 

…と、ゼアスへの感謝の言葉が花火として打ち上がった。

 

 

 

やがて、打ち上げ花火も終わり…夏祭りも終わりへと近付いていた。メンバー達は会場で別れ、帰路を歩く。だが、その内…

 

2代目「皆さん、実は私達…花火を買って来たんです♪良かったら、一緒にやりましょうよ♪」

 

2代目とナイトが、ビニール袋から花火セットを取り出した。メンバー達は近くの河川に向かった。ここでは、花火(一部を除いて)の使用はOKであるため、メンバー達は早速花火に火をつける。花火は色を変えながら、丁度良い勢いで吹き出ている。

 

直喜「……。」

 

手持ち花火を持った直喜は、この状況を楽しんでいるようだ。

 

直喜(もし…もしも、願いが叶うなら……僕は……)

 

そこに、六花が直喜の元へやって来る。

 

六花「直喜、楽しんでる?」

 

直喜「う、うん…僕、すっごく楽しい…!」

 

六花「ふふっ、良かった♪」

 

六花は自身の手持ち花火を直喜の花火に近付け、花火を点火させる。

 

六花「ねぇ、直喜?」

 

直喜「…?」

 

六花「ちょっと耳かして?」

 

六花は直喜の左耳に口許を近付けると……

 

 

六花「~~~~。」

 

 

…直喜に何かメッセージを伝えた。

 

直喜「…!!///」

 

六花からのメッセージに、思わず顔を赤く染めていく直喜。

 

六花「ありがとね♪」

 

直喜にメッセージを告げた六花は、メンバー達の元へ戻っていく。次に、アカネが直喜の元へ……

 

アカネ「直喜君、あのね…?」

 

アカネも直喜の左耳に口許を近付け…

 

 

アカネ「~~~~。」

 

 

…と、六花と同じように直喜にメッセージを伝え、メンバー達の元へ戻っていった。夢芽とちせも直喜の元に来て、六花とアカネと同じように…直喜の右耳に口許を近付け、メッセージを告げた。

 

直喜(うぅ~…ぼ、僕は…どうすれば良いんだろう……)

 

彼女達のメッセージを聞き、悩みに悩む直喜。

 

 

こうして、今年最後の夏が…幕を降ろしたのだった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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原作&オリジナルストーリー編
第81話 六花の過去と力


●●●●について、この物語で明らかにします。


東京都にあるとある街『ツツジ台』で暮らす少女『宝多 六花』と『新条 アカネ』……一見、普通の女の子に見える彼女達だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつての六花とアカネは、ツツジ台に住むごく平凡な女子高生だった。直喜とも会っていたのだが……あまりにもオドオドしている直喜を、六花は嫌々ながら接していた。アカネは変わった人と思うだけで、それ以上の関心は無かった。直喜は六花のリサイクルショップでアルバイトをしており、六花と関わっていたのだが…客がいない時は物凄くオドオドして、客がいるときは抑えてはいるものの…未だオドオドしている直喜に、六花は正直…嫌気が差していた。

 

六花『ねぇ、神山君。いい加減さ、そんなにオドオドするのやめたら?別に何にも悪いことしてないんでしょ?だったら堂々としてれば良いじゃん。』

 

直喜『あ、ご…ごめん……』

 

六花『ほら、またオドオドしてる。』

 

これだけではなく、直喜は何をするにも失敗ばかりし…足を引っ張ってばかりいた。六花はそんな直喜にイライラしてしまい、強く当たってしまうこともあった。次の日、直喜はもう来ないだろうと思っていた六花だったが…直喜はちゃんと来た。「何でまた来たの?」と問い詰めたところ、直喜は……

 

 

直喜『は、早く…いち、一人前に…な、なりたい…から……!』

 

 

…と、言った。そして、バイトでは前回の失敗をしなくなっていた。その後も、次第に失敗することが減ってきていた。

 

六花(ふーん、ちゃんと努力してきたんだ…)

 

この出来事がきっかけで、六花は直喜への見方が少しずつ変わってきていた。ある日、六花は体調を崩してしまい…リサイクルショップで働けなくなったことがあった。そんな彼女の代わりにバイトに入ったのが、直喜だったのだ。中々体調が回復しない中、直喜は必死になって働いていた。

 

六花(ど、どうして…私は神山君を邪魔だって思ってたのに……あんなにキツい言葉浴びせたのに…)

 

そんな彼を遠目で見ていた六花は、母親の織江と直喜の会話をこっそり聞いていた。そこで知ったことは……

 

直喜『ぼ、僕……し、失敗、ばっかりして…お、怒られ…ちゃいました、けど……た、宝多さんに…た、助けられていたので…ちょ、ちょっとでも…力に…な、なりたかった…です……』

 

直喜は自分の力になろうとしてくれていたことだった。何故そこまでして力になろうとしているのか、六花には分からなかったが…それを知って以来、次第に直喜に好意を抱くようになった六花。だが、その数週間後……直喜はバイト帰りに、通り魔に襲われて命を落とした。場所は、丁度隣の家…つまり、アカネの家の目の前だった。

 

六花『か、神山君…!!』

 

直喜『た、宝多…さ、ん……』

 

六花『喋らないで!!すぐに救急車が来るから…!!』

 

直喜『ぼ、僕……あしを…ひっぱっ、て……』

 

六花『そんな事無い!』

 

直喜『ご、ご、め…ん…ね……』

 

その言葉を最期に、直喜は六花とアカネに看取られながら…命尽きた。

 

六花『ね、ねぇ…う、ウソだよ、ね……ねぇ、神山君…!?』

 

いくら呼び掛けても、直喜はぐったりと目を閉じたまま…何も反応を示さない。

 

六花『い、嫌だよ…死んじゃ嫌だよ……直喜…ねぇ、直喜…!!』

 

その後、救急車が到着したのだが…直喜は搬送先の病院で死亡が確認された。身寄りが誰もいなかった直喜は、無縁仏として埋葬された。

 

六花『……。』

六花(直喜には…甘えられる人が、誰もいなかったんだ……きっと、寂しかったんだろうな……それなのに、私…私ッ!!)

 

直喜が亡くなって以来、六花は自室に閉じ籠ってしまい…外にも出なくなってしまった。部屋の中で泣いてばかりいた彼女の前に、とある人物が姿を現す。

 

オリシス『貴様が宝多 六花か…私はオリシス、神である。』

 

それが、オリシスだった。

 

六花『か、神様…ねぇ神様、お願いします……直喜を、直喜を生き返らせてください!!』

 

冷静な判断力を失っていた六花は、大粒の涙を流しながらオリシスにお願いをする。しかし……

 

オリシス『それは出来ない相談だ。』

 

…と、オリシスは拒否……

 

六花『お願いします!!どうしても、どうしても直喜に会いたい…何でもしますから、直喜に会わせてください!!』

 

それでも「直喜と会いたい、お願いします」と懇願する六花。直喜を蘇らせることはオリシスにとっては容易いことだが、とある決まり事でそれは出来ないのだ。代わりに…

 

オリシス『私と契約しないか?私と契約すれば、その直喜という人物に会わせてやっても良い…』

 

オリシスの言葉に、希望を感じた六花は思わず笑顔になる。

 

オリシス『貴様には“ツミビト”の討伐を命じる…それを実行してくれるのであれば、直喜に会わせてやる。』

 

オリシスの言葉に、六花はすぐに「やる」と言った。すると、六花の身体中に光が発生し…次の瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花『…ぅん…?…ここは……?』

 

見知らぬ世界に降り立っていた。

 

アカネ『あっ、六花!』

 

六花『…えっ、あ、アカネ!?』

 

そこには、六花だけでなく…何故かアカネの姿もあった。

 

オリシス『さて…今から貴様らには、この世界を徘徊する悪質転生者“ツミビト”を討伐して貰おう。倒すのではない、殺すのだ…殺すことで、ツミビトをこの世界から追い出すことができるからな。情けは無用だ、良いな?』

 

六花『…は?こ、殺す…?』

 

アカネ『ふーん、そうすれば良いんだね?』

 

オリシスの言葉に、言葉を失う六花…反対に、アカネは彼の言葉をすぐに理解し、持っていたカッターナイフをカチカチと鳴らす。その後、すぐにツミビトがいる現場に飛ばされた六花とアカネ……

 

 

ツミビトA『うっほぉ!!おいおい、この世界にSSSS.GRIDMANのヒロインが2人も!?』

 

ツミビトB『しかも六花とアカネじゃん!?どれも推しのヒロインだからなぁ、コイツはラッキーだ!!』

 

 

ツミビトと思われる2人は、顔を赤く染め…いかにも下心丸出しの顔をしていた。

 

六花(あの顔…明らかに性的な目で見られてるよね……キモいんだけど…)汗

 

どうしようかと思っていると、アカネがカッターナイフを持って2人へと走っていった。

 

六花『あ、アカネ待って!!』

 

ツミビトAは、何やら黒い触手のような物を地面から出すと…

 

パシィッ!!パシィッ!!

 

アカネを瞬時に捕らえた。

 

アカネ『ッ!?』

 

ツミビトA『オレはなぁ…可愛い子の身体に傷をつけることが好きなんだよなぁ…デヘヘヘ、傷だらけの子は魅力的だぁ!!』

 

ツミビトAはそう言うと、アカネを地面に何度も叩きつけ…その後、アカネの腹部を中心に打撃を繰り出す。

 

アカネ『ッ!?ヴッ!?』

 

ツミビトA『オラオラァ!!パーティーはこっからだぜぇぇええ!?』

 

ドスッ!!ドボォッ!!

 

アカネ『ゴプッ!?ゴハァッ!!』ポタッ…ビチャッ!!

 

ツミビトAから、腹部を集中攻撃されたアカネは…地面に血を吐いた。その後、ツミビトAの不気味な触手で攻撃され…遂にはボロボロになってしまう。

 

六花『あ、アカネ…!!』

 

アカネ『う、うぐ…はっ……はっ……!』

 

身体中に傷やアザができているアカネは、もう既に瀕死の状態…そんな彼女を見て、漸く六花も動けるようになった。アカネの近くに落ちているカッターナイフを手に取ると…

 

六花『うあああああああああ!!

 

雄叫びを上げながら、ツミビトA目掛けてナイフを突き刺そうとダッシュで突撃していく。しかし……

 

六花『ッ!?』

 

ツミビトB『六花ちゃん、オレの相手してくれよなァ?』

 

ツミビトBは右手を六花に向け、念力で彼女を捕らえた。そして、ツミビトBの元に引き寄せられてしまう。

 

ツミビトB『ははぁ~ん、オレも六花ちゃんを傷だらけにしちゃおうかなぁ~♪』

 

六花『ッ!!?』

 

ツミビトB『心配すんなってぇ、顔は傷付けたりしねぇからさ♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリシス『……。』

 

結局、六花とアカネはツミビトに勝てず、むしろ返り討ちにされてしまった。危うく犯されそうになった彼女達を助け、手当をしたオリシス。

 

六花『…は……はっ……』フーッ…フーッ……

 

アカネ『ゲホッ…ゴフッ…かはぁ……』

 

傷やアザだらけになった六花とアカネは、身体中に包帯に巻かれ…苦しそうにしている。

 

オリシス(今のこの者達に、ツミビトの相手は…ハードルが高すぎたか……)

 

瀕死の2人を見たオリシスは、彼女達にある光景を見せることにした。

 

 

 

ある光景を見せた次の日…

 

オリシス『どこへ行く?』

 

六花『き、決まってんじゃん…修行だよ、修ぎ…ゴホッ!!』

 

アカネ『や、やんないと…ガハッ!!』

 

オリシス『その身体で修行は無茶だ、死ぬぞ?』

 

六花『それでも!!…わ、私は…な、直喜に……!!』

 

アカネ『直喜君に…会えるなら……!!』

 

オリシスの忠告に聞く耳を持たず、六花とアカネは修行へと向かうようになった。オリシスが彼女達の様子を見に行くと…

 

 

アカネ『六花ぁ…私、もう無理だよぉ…!!』

 

六花『何言ってんの!?直喜に会いたいんでしょ!?ほら、もう1回!!』

 

アカネ『!!』

 

 

彼女達は普通ではあり得ないような無茶な特訓をし続けていた。弱音を吐くアカネを叱咤し、特訓を再開する六花。

 

六花『ゲホッ!!うぐ……』

 

アカネ『六花、さっきまでの勢いは?全部嘘だったの?ねぇ?』

 

六花『グプッ…そ、そんな訳…無い、でしょ…!!』

 

どれだけ身体中が痛くても、どれだけ血を吐いても…六花とアカネは特訓を続けた。それも、寝る時間や食事の時間を削ってまで……1秒でも早く、直喜と会いたいという思いを乗せ…散々無茶をしていた。

 

次の日……オリシスが彼女達の様子を見に行くと…

 

六花『ゼェ……ハァ……』

 

アカネ『ヒュー……ヒュー……』

 

そこには、疲労困憊の六花とアカネが仰向けで倒れていた。

 

オリシス(この者達は、そこまでして直喜に会いたいのか…不思議だな、人間という生き物は……)

 

六花『ゼェ…あ、アカ…ネ……』

 

アカネ『…り、…りっ…か……ヒュー……ヒュー……』

 

オリシス(しかし、人間の寿命は非常に短い…今ここでこの者達に死なれてしまっては都合が悪いからな……)

 

そう感じたオリシスは、ボロボロになった2人に右手を突き出し、怪しげな呪文を唱え始めた。

 

 

 

その後、この世界の学校に転校生としてやって来た六花とアカネ……彼女達は別々のクラスになったが、そこにはツミビトがいた。ツミビトは六花とアカネを見や否や、しつこく声を掛けてきたが…六花とアカネはスルーを続けた。そして、隙を見せるのを待ち続けた。

 

 

~六花 side~

 

 

六花(昨日のアイツとは別の奴だったけど…私の友達を傷付けたんだし……)

 

六花はツミビトから後をつけられていることを見抜き…ツミビトを誘い出すため、人がいない場所へ向かった。案の定、ツミビトは六花に襲い掛かって来た…

 

六花『はっ!!』ドゴォッ!!

 

ツミビト『!?』

 

しかし、無茶な特訓をしたおかげか…返り討ちにできた。その時……

 

ツミビト『てめぇ…大人しくオレの物になっときゃあ良かったのになぁ?悪い子には、お仕置きしちゃうぜぇ?』

 

相手は何やら赤黒い光を放つビーム状の鞭を出し、六花に打ち付けて来た。

 

六花『ぐっ!?がはっ!!』

 

ツミビト『おらおら!!どうしたその程度かぁ!?なぁ!?なぁ!!』

 

六花『…ッ!!』

 

またしても、ツミビトに敵わなかった六花…そこにオリシスが姿を現し、ツミビトが出した鞭を掴んだ。その後、両目を光らせ…ツミビトの動きを封じた。

 

オリシス『退却するぞ。』

 

その隙に、六花を助け出し…彼女と共に姿を消した。

 

 

 

六花『また…また勝てなかったんだけど…!!』

 

オリシス『宝多 六花よ……力が欲しいか?』

 

六花『…は?』

 

オリシス『ツミビトを倒すための力が欲しいかと聞いている。』

 

六花『……。』

六花(今の私じゃ、奴らには敵わない…それは分かってる、でも……私は、どうしたら……)

 

自分の無力さを感じ、俯いて泣き出してしまう六花。それから六花は、独自で特訓を重ねるようになった。部活動には入らず、勉学と特訓を両立しながら己を鍛える。

 

 

 

別の世界でも…様々な仕事と特訓を両立し続け、己を鍛えてきた六花。時は10年…50年…100年……そして、1000年が経った……その時、不思議なことが起こった。

 

 

ピカァァアアアアアアアアッ!!

 

 

六花『…何、この光…?』

 

六花の元に、乳白色に輝く目映い光が降りて来たと思うと…それは、六花の身体を包み込んでいった。

 

六花(温かい…何だろう、この光……ッ!?)

 

その時…六花の身体が熱くなったが、すぐにそれは治まった。

 

オリシス『ッ!?こ、これは…!!』

 

六花『な、何だったの…今の……』

 

オリシス『六花、あの岩を壊してみるんだ。腕を十字に組んで…』

 

六花『腕を十字……ま、まさか…』

 

六花は大きい岩の方を向くと、腕を十字に組む。すると…彼女の腕からは青白い光を放つ光線が発射され、岩は木っ端微塵になった。

 

六花『い、今のって……』

 

オリシス『あぁ…『スペシウム光線』だ…!!』

 

六花『それって、直喜の大好きな…ウルトラマンの…!?』

 

それは、初代ウルトラマンが使用する必殺技『スペシウム光線』だった。その時、六花の前に1人のツミビトが姿を見せる。

 

ザッ…

 

ツミビト『何の音だと思って来てみたが…お前、SSSS.GRIDMANの宝多 六花じゃん!!へへっ、オレの嫁になれぇ!!』ダダダッ!!

 

六花『はぁっ!!』ドゴォッ!!

 

襲い掛かって来たツミビトに対し…六花は深紅のエネルギーを足に纏い、蹴り技を繰り出した。

 

ツミビト『ぶぇっ!?い、今のは…う、ウルトラマンレオの…!?…く、くそぉっ!!』

 

ツミビトは両手から稲妻光線を発射する。

 

六花『ふっ!!』

 

六花はバリア技『リバウンド光線』を発動し、ツミビトの攻撃を難なく防いだ。

 

ツミビト『な、何!?』

 

動揺するツミビトに、六花は立ち向かい…肉弾戦を仕掛ける。

 

六花『せいっ!!やっ!!』ドゴッ!!ドゴッ!!

 

それは、ウルトラマンレオが戦闘時に使う『宇宙拳法』だった。

 

ツミビト『ッ!?』

ツミビト(ちょっと待て…六花は非戦闘ヒロイン!!なのに、なんで戦うんだ!?しかもめちゃくちゃ強ぇし…!!)

 

宇宙拳法のみならず、様々な格闘技を駆使しツミビトを追い詰める六花。

 

ツミビト『く、くそぉ…このままじゃ!!』

 

ツミビトは右腕を光らせ、再び光線を放とうとする。それを瞬時に見抜いた六花は、右手にスペシウムエネルギーを纏やせると、青白い丸ノコ状にしてツミビト目掛けて飛ばした。初代ウルトラマンが使う技八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)だ。六花が放ったウルトラスラッシュは、ツミビトの右腕を切り落とした。

 

ツミビト『うぎゃぁぁああああああ!!ブシュゥゥウウウウウウッ!!

 

ツミビトの右腕が切り落とされ、傷口からは真っ赤な鮮血が勢いよく噴き出した。すかさず六花は、腕を十字に組み…ツミビト目掛けて青白い光を放つ光線『スペシウム光線』を発射した。

 

ツミビト『ッ!?』

 

ツミビトは大爆発に包まれる。

 

六花『や、やったの…?』

 

オリシス『あぁ、よくやった。』

 

ウルトラマンの技が使えるようになり、順調にツミビトを倒せるようになった六花。別の世界では、ウルトラマンエースの必殺技『メタリウム光線』でツミビトを撃破した。次の世界では、ウルトラマンティガ及びウルトラマントリガーの必殺技『ゼペリオン光線』でツミビトを撃破…その次の世界では、ウルトラマンオーブ(スペシウムゼペリオン)の必殺技『スペリオン光線』でツミビトを難なく撃破……ほぼ全ての光の巨人(ウルトラマン)達の技を駆使して、ツミビト退治をしてきた六花。彼女と共に戦ったアカネは、ほぼ全ての闇の巨人の技を駆使して、ツミビトを次々と撃破した。

 

 

 

ツミビトを倒し続けて更に数1000年の時が経った頃……

 

オリシス『六花、アカネ…そろそろ直喜に会いたくは無いか?』

 

六花&アカネ『『ッ!!』』

 

遂に、念願の直喜と対面する時がやって来たのだった。そして、自分達が生きていた時代と同じSSSS.GRIDMANの世界へとやって来た。

 

六花『……。』

六花(本当に戻って来れたんだ…何だろう、不思議な気分だな……)

 

直喜と会えない日が、数千年続いたが…不思議と、長いとは感じていなかった。六花は机に向かうと、数千年の旅をしながら書き上げたノートを広げる。そこには…

 

 

直喜と会ったら、やりたいこと

 

 

…と、タイトルがあり…ページを開くと……

 

 

直喜に話し掛ける

 

直喜と話をする

 

直喜と一緒に登校する

 

直喜と一緒に下校する

 

直喜と一緒に出掛ける

 

直喜と一緒に写真に写る

 

 

…等々、直喜と出会ったらやりたいことがいくつも書かれていた。それを見終えた六花は、家を出て…愛しき彼を探しに行った。

 

直喜を発見したのは、夕方になった頃だった。

 

六花(…いた!)

 

買い物から帰っている直喜を見つけた。

 

六花(直喜…良かった、生きてる……ちゃんと生きてる…!!)

 

直喜を一目見た六花は、嬉しさのあまり…目にいっぱい涙を浮かべていた。買い物袋を下げた直喜は、自宅と思われるマンションへと入って行った。

 

 

 

直喜を見つけた六花は、アカネに電話で報告する。そこで、驚きの事実を告げられた。

 

アカネ『あのね六花…直喜君、私達と関わっていた時の記憶を無くしてるんだって。だから、私達のことを覚えてないと思う。』

 

確かに直喜は生きていた…だが、何故か六花とアカネと関わっていた記憶が無くなっているのだ。

 

六花『そ、そんな…』

 

アカネ『でもね、また友達になれば良いじゃん♪ね、六花?』

 

六花『…アカネ……』

 

アカネの言葉を聞いた六花は…

 

 

六花『そうだよね、アカネの言うとおりだよ♪』

 

 

…と、納得し…その日はゆっくり身体を休めた。

 

 

 

次の日…六花は早起きすると、直喜の様子を見に行った。

 

直喜『し、しまった…ぱ、パンを買い忘れてた…!!』

 

何やら慌てた様子でマンションから出てきた直喜は、近くにあるパン屋に駆け込み…いくつものパンを買って出てきた。

 

六花(んもぅ、直喜ったらおっちょこちょいなんだから♪)

 

そんな直喜を尾こ……いや、直喜を見守っていた六花だったが…直喜の背後から、怪しい男が迫っているのが見えた。

 

六花『ッ!!』

六花(アイツはまさか…)

 

そして、男がナイフを取り出した瞬間……

 

 

ガシッ!!

 

 

男『ッ!?』

 

ナイフを持った右手をがっちりと掴んだ。その後、男を投げ飛ばし…ハンドビームでナイフを破壊した。

 

直喜『へっ!?な、なに…?』

 

ビックリした直喜は、電柱に隠れた。そんな彼に背を向けたまま、六花は構えを取る。そして、殴りかかろうと襲ってきた男を、返り討ちにし始める。

 

直喜『!!』ダッ!

 

その隙に、直喜は自宅マンションへと逃げ帰った。

 

六花(今だね…!)

 

六花は合わせた手の先から稲妻状の光線を発射した。これは、ゾフィーが使用する必殺技『Z光線』だ。

 

男『あびゃびゃびゃひゃ!!?』

 

光線を浴びた男は強烈な痺れにより、身動きができなくなった。

 

六花(これなら、直喜のことを守れる…直喜、もし願いが叶うなら…私はもう1度……)

 

心の願いを秘めた六花は、直喜と同じ高校に通えるのを楽しみにしていた。

 

え?直喜を襲おうとしていたさっきの男はどうなったって?

 

 

六花がポリスメンに通報して、無事に捕まりました♥️




ツミビト…悪質転生者の通称で、数多くの悪さをしてきた者達。転生の力を悪用し、様々な世界を行き来していた。ヒロインの寝取り、他の転生者や原作主人公の殺害等、多くの罪を犯し、数多の転生世界を壊してきた。神々から注意を受けても反省せず、それどころか開き直り、また同じ事を繰り返すばかりであった。

六花やアカネらが退治した事で、今ではその数は大きく減っている。


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第82話 アカネの過去と力

直喜の過去も書いていきます。


東京都にある街『ツツジ台』……この街は、とある人物が造り出した街である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「~♪」

 

このツツジ台に住む少女『新条 アカネ』…ツツジ台を造り出した張本人であり、怪獣によって破壊された街を元に戻しているのも彼女である。

 

アレクシス「ふぅ、久しぶりに闘ってくたびれたなぁ…」

 

アカネ「アレクシス運動不足過ぎだってぇ、私と模擬戦する?」

 

アレクシス「え、遠慮します…」汗

 

アカネ「にひひ、冗談だよ冗談♪」

 

彼女の近くにいるのは『アレクシス・ケリヴ』…彼はこのツツジ台に怪獣を放っていたのだが、とある理由で怪獣を召喚するのを辞めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて、アカネは直喜とクラスメイトとして関わっていた。

 

アカネ(何か変わった子だなぁ…何でそんなにオドオドしてるんだろ?まいっか。)

 

初めは、変わり者として直喜を見ていたアレクシスだったが…偶然にも、本屋で直喜と遭遇……

 

アカネ『おっ?』

 

直喜『ひゃあっ!?あっ、し、新条…さん……』

 

一冊の本を手に取ろうとしたとき、直喜の手と触れたのだ。

 

直喜『も、もしかして…新条さんも、ウルトラ怪獣…す、好きなの…?』

 

アカネ『うん、そうだけど?』

 

直喜『そ、そうなんだ…!僕もウルトラ怪獣大好きなんだ…!!』

 

アカネ(へぇ~、神山君もウルトラ怪獣が好きなんだ…)

 

直喜の好きなことを知ったアカネは、彼とウルトラ怪獣の話をすることにした。

 

アカネ(神山く…ううん、直喜君の怪獣解説、結構面白いなぁ…)

 

直喜『あっ、そろそろバイト先行かないと…そ、それじゃあ…またね、新条さん。』

 

彼が語る怪獣の解説や考察、及び雑談は分かりやすく…尚且つ面白かったと感じたアカネは、このことがきっかけで直喜に興味を持った。その後、学校ではよくウルトラ怪獣の話で彼と話すようになった。

 

直喜『ツインテールって、食べると海老のような味がするらしいんだ。1度で良いから食べてみたいんだよね~、例えば『ツインテール天丼』みたいな感じで。』

 

アカネ『あははは、それめっちゃ分かる~♪私も食べてみたいなぁ、何か強くなれそうだしw』

 

直喜と話をしていくうちに、本当に自分を受け入れてくれる存在は…彼しかいないと思うようになっていた。こうして、アカネには…学校にいく時の唯一の楽しみができた。だが、それは突如…終わりを告げることとなる。

 

直喜が通り魔に襲われて、死んでしまったのだ。それも、自分の家の目の前で……

 

アカネ『……。』

 

アカネの視線の先には、息絶えた直喜と…彼を抱えて泣いている六花の姿があった。それを見たアカネは、目の前が真っ暗になり……持っていた怪獣のフィギュアを、落としてしまった。

 

 

 

直喜が埋葬された後…

 

アカネ『~~~~ッ!!

 

アカネは学校に行かなくなってしまい、ベッドの上で声を上げて泣いていた。

 

アレクシス『アカネ君、どうしたんだい?』

 

そんな彼女に声をかけたのが、アレクシスだ。しかし、どんな声掛けをしても…アカネはただ、泣いてばかりいる。そんな彼女の前に…謎の人物が姿を現す。

 

オリシス『貴様が新条 アカネか…私はオリシス、神である。』

 

アカネ『~~~~ッ!!』

 

オリシス『お、おい…』汗

 

オリシスが姿を現しても、アカネはまだ泣いている。

 

アレクシス『アカネ君に代わって私が対応しよう。私はアレクシs!?』

 

アカネ『か、神様?ねぇ、お願いだから直喜君を生き返らせて!!私、直喜君ともっと話したかったのぉ!!お願い神様、直喜君を生き返らせてよぉ!!』ボロボロ…

 

オリシスが神だと知ったアカネは、すぐに直喜を生き返らせて欲しいとお願いするが…オリシスはそれを拒否した。

 

アレクシス『いやいや、アカネ君のお願いなんだし…聞いてくれても…』汗

 

オリシス『それでは甘い…この者には、それ相応の働きをしてもらうぞ。』

 

アレクシスに反論した後、もう一度アカネを見るオリシス。

 

アカネ『ねぇお願い!!何でもするからぁぁああああ!!』

 

号泣しながらオリシスに懇願するアカネ。

 

オリシス『私と契約したのなら、直喜に会わせてやっても良い。但し、貴様にはそれ相応の働きをしてもらう。』

 

アカネ『うん…うん……やる、やるから…!!』クスンッ…

 

オリシス『契約成立だな…新条 アカネ、貴様には……

 

 

『ツミビト』

 

 

…の、討伐を命じる。それを実行してくれるのなら、直喜に会わせてやる。』

 

アカネ『つ、ツミビトって…なに?』

 

オリシス『転生世界を害する…罪を悔いることなく犯す者のことだ。』

 

転生世界に紛れ込んだ悪質転生者『ツミビト』…オリシスから話を聞くと、彼らは転生の力を悪用しては…自身の欲を満たし、他者から幸せを奪っていく。数多くの罪を犯しては転生世界を崩壊へと導くそうだ。

 

アカネ『わかった…私、やるから…だから直喜君に!!』

 

オリシス『では、行くぞ。』

 

アレクシス『あっ、待って私も!!』

 

オリシス『貴様は不要だ。』

 

オリシスはアカネと共に、姿を消した。

 

 

 

目が覚めると…見知らぬ世界に降り立っており、そこには六花もいた。彼女もオリシスと契約して、ここに来たようだ。

 

オリシス『さて…今から貴様らには、この世界を徘徊するツミビトを討伐して貰おう。倒すのではない、殺すのだ…殺すことで、ツミビトをこの世界から追い出すことができるからな。情けは無用だ、良いな?』

 

オリシスからツミビト退治の方法を聞き、アカネはそれをすぐに受け入れた。

 

アカネ(ツミビトを殺せば良いんだよね?それなら簡単じゃん♪さっさと殺して直喜君と会うんだ~♪)

 

しかし、現実はそう甘くはなかった……アカネと六花は、初めてのツミビトとの戦いで…瀕死の状態にさせられてしまったのだ。活動が困難になった彼女達に、オリシスはとある光景を見せた。

 

 

 

アカネ『…?』

 

六花『あれ、確か私……フルボッコにされた筈じゃ……』

 

六花とアカネの精神を、過去の世界に飛ばしたオリシス。そこで彼女達が見たモノは……

 

 

オギャ~!!オギャ~!!

 

 

赤ちゃんが産まれた瞬間だった。

 

助産師『おめでとうございます!元気な男の子ですよ!!』

 

父親『おぉ~!!』

 

母親『あ、あなた…やったわ…!!』

 

父親『あぁ、ありがとう!!名前は、“直喜”…神山 直喜だ!!素直に喜べる優しい子に育って欲しい…!!』

 

母親『直喜…素敵な名前ね♪直喜、産まれて来てくれてありがとう♪』

 

それは、愛しき彼…『神山 直喜』が、この世に誕生した瞬間だった。

 

アカネ『ほわぁ~!!赤ちゃんの直喜君、可愛い~!!』

 

六花『うん、うん…本当に可愛いよ…!!』ポロポロ…

 

赤ちゃん直喜に、アカネはメロメロになり…六花は感動して泣いていた。次に見せられたのは…直喜の今までの生活について……最初は、幸せな生活を送っていた直喜だったが……

 

ママ友1『神山さん?私の娘ね、物覚えがすっごく良いのよぉ~♪それでね、英語教室に行かせたらすっごく楽しそうにしてて…将来、すごい学校に行くかもってオホホホ♪』

 

ママ友2『うちの息子は算数が得意なの、今ではもう足し算も引き算も覚えちゃってね、かけ算やってるのよ~♪』

 

 

直喜の母親は、ママ友達との集まりに参加していたのだが…他のママ友の子どもは、自慢話を持ってきていたのだが…直喜の母親には、特に自慢できそうな話は無かった。ここから、直喜の人生は…壮絶なモノに変わっていく。

 

 

母親『直喜、英語教室に行くわよ!』

 

直喜『え、えいご…って、なぁに?』

 

母親『良いから!!』

 

そして、無理矢理英語教室に行かされた。初めはよく分からなかった直喜だったが、次第に周りに着いていけなくなり…英語教室に通うのを嫌だと言い出した。

 

直喜『いや、もういきたくない!!』

 

母親『どうして!?英語を今のうちに喋れないとね、世の中生きていけないのよ!?』

 

直喜『いや!!いきたくない!!』

 

父親『どうしたんだ?』

 

母親『あなたからもなにか言ってあげて頂戴!?直喜ったら、折角英語教室に行きたいって言うから通わせてあげてるのに、行きたくないって言うのよ?』

 

直喜『ぼく、いきたいっていってないもん…!!』

 

父親『直喜、どうしてお母さんの優しさをわかってあげられないんだ?』

 

直喜『やさしさなんかじゃないもん!!えいごってなんなのかわかんないし、おかあさんはぼくをいじめてるんだ!!』

 

直喜がそう言った次の瞬間……

 

 

バチィンッ!!

 

 

…という音が響き、直喜は床に倒れていた。

 

父親『直喜!!お母さんに謝りなさい!!直喜のためを思っているのにいじめてるって…お前は親の言うことを聞けないのか!?』

 

直喜『う、うわぁ~ん!!』

 

父親に頬をぶたれ、泣き出してしまう直喜。

 

父親『外行け外!!反省するまで家に入るな!!』

 

声を出して泣く直喜の腕を無理矢理引っ張り、外へ追い出す父親。外は雨が降っている。

 

直喜『おとうさんおかあさん、おねがいいれてよ!!おそとはあめがふってるよ!!』

 

直喜はドアを何度も叩いては父親と母親を呼ぶが…いくら呼んでも、返事は返ってこなかった。

 

六花『直喜!!』

 

六花は泣いている直喜を抱き締めようとしたが…どういうわけか、身体がすり抜けてしまう。

 

六花『ね、ねぇ…これって、どういうことですか!?』

 

オリシス『直喜の記憶だ…記憶を書き換えることはできない。』

 

アカネ『は?ふざけてんの…?直喜君を抱き締めるぐらい良いじゃん!?ねぇ!?』

 

オリシス『いきなり知らない人から抱き締められたら、貴様らはどうだ?落ち着くのか?』

 

オリシスの言葉に、六花とアカネは黙り込んだ。そうしているうちに、直喜は家に入ることを諦めたのか…どこかへ歩いていった。後を着いていくと、たどり着いたのは…ファミリーレストランの前だった。

 

 

直喜(おなか、すいたな……)

 

 

お金を持っていない直喜は、レストラン前にある料理のサンプルを眺める。

 

直喜『…よし、まんぞくした……かえろう……』

 

そして、とぼとぼと家に帰っていく直喜。

 

アカネ『待って直喜君!!私が、私がお金を払うから!!好きなものを何でも買うから!!』

 

そういって直喜を抱き締めようとするアカネだが、やはり身体がすり抜けてしまう。

 

どれだけ直喜に叫んでも…どれだけ直喜の名を叫んでも……直喜には全く聞こえていない。

 

オリシス『あくまでも直喜の記憶だ。だから何をしても無駄だ。』

 

六花『ねぇ、オリシスさん…どうして、どうして直喜はこんなに辛い生活をしないといけないんですか?何も罪は無いのに…』

 

オリシス『直喜の両親は、焦っていたんだ。』

 

実は…直喜の両親は、高卒であり…それほど頭が良くない高校を卒業して、すぐに就職したのだった。周りは専門学校や大学を卒業している人が多いなか、学歴にコンプレックスを抱いていた。そこで、息子の直喜に早いうちから色々な習い事をさせて、将来大きくなった時に自慢し…マウントを取れると思い、彼らは直喜に習い事を強制するようになったのだ。しかし、直喜は意志のある人間だ…なので、時には行きたくないと思うことは当然だ。それでも見栄っ張りな両親は、自分達のことしか頭に無かったため…直喜と向き合おうとはしなかったのだ。

 

その後も、両親の躾は次第にエスカレートしていき……遂に、直喜に手を挙げるようになってしまった。それだけではなく…

 

直喜『おかあさん?』

 

母親『うるさい。』

 

直喜『…えっ?』

 

母親『うるさいって言ったの。部屋で勉強でもしてなさい。あっ、ここにお金置いてくから、自分でなんとかしなさいね?』

 

直喜が声をかけても、母親も父親も「うるさい」と言うだけであり…段々会話もしなくなっていった。父親は仕事人間であり、家の事に全く関心を示さない。母親は出掛けてしまうことが多く…時々、家に知らない男を連れてくるようになった。男を連れてくれば、直喜を邪魔者扱いし…家から追い出した。直喜は父親に助けを求めたが…

 

父親『俺は忙しいんだよ、誰のおかげで飯が食えると思ってんだ?分かったらあっち行ってろ。』

 

…と、父親は直喜の言葉に全く聞く耳を持たなかった。

 

六花『ひ、酷い…!!』

 

アカネ『自分の子どもに手を挙げるって、どういうこと?頭おかしいんじゃないの?』

 

オリシス『もっと酷いこともあったぞ?』

 

オリシスがそう言うと、問題のシーンへ……その日、直喜は風邪を引いてしまい、熱を出してしまった。

 

母親『良かったわぁ~♪これで安心して出掛けられるわぁ♪』オホホホ♪

 

父親『今日は大人しくしてろよ?』

 

両親はそんな彼を放置し、旅行へと出掛けてしまったのだ。

 

直喜『ま、まって…お、おとうさん…おかあさん……ぼ、ぼくを……おいて……いかない……で…………』

 

病気の我が子を放って、去っていく両親に…直喜の声も手も届くことは無かった。1人取り残された直喜は…

 

直喜『び、びょういん…お、おいしゃさん…た、たすけて……』

 

何と、徒歩で遠く離れた病院へと向かったのだ。しかし、まだ推定3歳の直喜が、病院にたどり着ける筈もなく……

 

 

六花&アカネ『『!!』』

 

 

直喜の両親の異常さに、言葉を失う六花とアカネ。そして直喜はとうとう、力尽きた……

 

オリシス『直喜がちっとも言うことを聞かないから、両親は直喜を可愛がらなくなった…これは、完全に両親が悪い……』

 

六花『いやいや、だからといってこれはアウトでしょ!?』

 

アカネ『あのクズ親…なんで逮捕されないの!?』

 

オリシス『いや、逮捕されたぞ?』

 

次にオリシスが見せたのは、その後の直喜の記憶……

 

 

 

直喜が目が覚めると、そこには泣いている直喜の祖父母の姿があった。この時の直喜は、病室のベッドの上にいた。TVには、『体調を崩した幼い我が子を放置』とデカデカと表示され…直喜の両親が逮捕されたことが報道されている。

 

祖父『ぐぅ…な、直喜……すまなかった…本当に、すまない…!!』

 

祖母『うちのバカ息子達が…ごめんねぇ、直喜ちゃん!!』

 

直喜『おじいちゃん…おばあちゃん……なかないで、ぼく…だいじょうぶ、だから……』

 

泣いている祖父母を慰める直喜。そんな直喜を見て、貰い泣きする医師と看護師…あの後、直喜の両親は旅行先にて…保護責任者遺棄罪で逮捕され、実刑判決が下った。取り調べの際、2人は…

 

あんな出来損ないなんていらない

 

あの役立たずのゴミのせいでこうなった

 

…と、自分のことを棚に上げ、直喜のせいにしていた。そんな彼らを見て激怒した祖父母は彼らに平手打ちをし、ボコボコにしようとした。

 

祖母『いい加減にしなさい!!貴方達は自分が何をしたのか分かってるの!?』

 

祖父『病気で苦しんでいる子どもを放置して旅行だと!?ふざけるな!!お前達は親失格だぁ!!』

 

…と、怒鳴る祖父母だが…警官に止められ、直喜を引き取ることにしたのだ。

 

直喜『おじいちゃん、おばあちゃん…ぼく、おとうさんとおかあさんに……きらわれちゃったの…?』

 

直喜の言葉を聞き、彼を優しく抱き締める祖父母。その時、直喜は漸く気付いた。

 

 

自分は両親から愛されていなかった

 

 

…と……

 

祖父『直喜、よく頑張ったな…』

 

祖母『これから、おじいちゃんとおばあちゃんと暮らすから…もう、何にも心配することはないのよ?』

 

祖父母の言葉を聞いた直喜は……

 

 

直喜『う、うぅ……うああああああああー!!』

 

 

今までの悲しみや苦しみを示すように、声を上げて大泣きしたのだ。泣いている直喜を、祖父母は優しく抱き締めていた。

 

 

 

直喜の過去を見せた次の日…六花とアカネは無茶な特訓をするようになった。弱音を吐けば叱咤し、互いの身体に鞭を打ち合っていた。

 

アカネ『うぁぁああっ!!』

 

ツミビト1『遅いんだ…よぉ!!』

 

ドスゥッ!!

 

アカネ『ぐぉはぁっ!!』

 

しかし、どんなに無茶な特訓をしても…ツミビトには敵わなかったアカネ。どれだけ立ち向かおうが…どれだけ刃を伸ばそうが……攻撃は届かず、逆にボコボコにされてしまうだけだった。

 

アカネ『がはっ!!…ゲホッ!ゴプッ…!?』

 

内臓が破裂したのか、腹部に激痛が走り…血を吐き出すアカネ。

 

ツミビト1『アカネちゃんさぁ、可愛いのに勿体ないんだよねぇ~?大人しくオレに惚れてたら良かったのにさぁ…』

 

ツミビト1がアカネに右手を突き出すと…

 

アカネ『ヴッ!?』

 

次の瞬間、アカネの腹部に激痛が走る。どうやら、内部から攻撃されたようだ。

 

アカネ『あがっ…!?』

 

ツミビト1『けど、オレは優しいから…殺さないでやる。今からアカネちゃんが誰のモノか、躾してやるよ?』

 

グチャッ!ズチュッ!

 

アカネ『ぐぁ……ウエ…!?』

アカネ(私にも、力があれば……)

 

アカネがピンチに陥ったその時…不思議なことが起こった。

 

 

ピカァァアアアアアアアアッ!!

 

 

アカネの元に、赤黒く鈍い光が降りて来たと思うと…それは、アカネの全身を包んでいった。

 

ツミビト1『ッ!?』

 

驚いたツミビト1は、能力の発動をやめて距離をとる。

 

アカネ(なに、この光は……)

アカネ『ヴグッ!?』ドクンッ…!!

 

その時、アカネの身体に激痛が走ったが…それはすぐに治まった。

 

アカネ『うぅぅぁぁあああああああああああああああああ!!

 

アカネは雄叫びを上げると、右手に赤黒い光を纏わせる。その後、右腕を左腕に叩き付けるように両腕を十字状に組んで右手の掌から赤黒い光を放つ光線を発射した。これは、ウルトラマンベリアルが使用する必殺技『デスシウム光線』だ。

 

ツミビト1『ッ!?ぐわああああぁぁぁぁ…!!』

 

ツミビト1はアカネが放った光線を受け、大爆発へと包まれていった。

 

アカネ『フーッ…フーッ……ゴホッ!!』

 

ツミビトとの戦いに初めて勝利したアカネは、ボロボロになりながらも…六花とオリシスの元へと帰還した。

 

 

 

ほぼ全ての悪トラマン(にせウルトラ戦士も含む)の技を使えるようになったアカネは、荒々しい戦闘でツミビト達をボコボコにしていった。次の世界では、にせウルトラマンダイナの技『ダークソルジェント光線』でツミビトを撃破し、その次の世界ではイーヴィルトリガーの技『イーヴィルシュート』でツミビトを撃破……更に次の世界では、カオスロイドUの技『カオススペシウム光線』でツミビトを撃破した。

 

 

 

六花と共にツミビトを撃破して数千年が経った頃…遂に、直喜と対面する時が来た。

 

アカネ『あっ…あぁ……な、直喜君だ……生きてる、直喜君が…生きてる…良かった…!!』ツー…

 

生きている直喜を目の当たりにしたアカネは、涙ながらに喜んだ。そして、数千年ぶりに自宅に帰ると…

 

 

アレクシス『おっ、お帰りアカネ君♪』

 

 

アレクシスが彼女を出迎えた。数千年ぶりにアレクシスと再会したアカネは、直喜について話をした。

 

アカネ『直喜君はね~、誰にでも優しいんだよ?後、ウルトラマンが大好きなんだって!!ウルトラ怪獣も知り尽くしててね、解説とか考察とか雑談がすっごく面白いの!!』

 

アレクシス『そうなんだ。素敵な人なんだね♪』

 

アカネ『うん!!はぁ、早く直喜君と学校で会いたいなぁ~♪』

 

数千年の旅を終え、漸く直喜を見ることができたアカネは…入学式を楽しみに待っていた。



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第83話 常連客として

OP~OxT『UNION』~♪


女教員「アルバイトがしたい?」

 

直喜「は、はい…」

 

女教員「そういや神山は…1人暮らしか……誰か身内はいないのか?例えば、親戚とか…」

 

直喜「い、いません……」

 

女教員「そっかぁ…うーん……」

 

ある日の放課後、直喜はアルバイトをしようと思い…職員室に来ていた。ここ、ツツジ台高校は…アルバイトは原則禁止である。そのため、もしアルバイトがしたいのであれば…教員から許可を貰わなければならないのだ。

 

女教員(しかしなぁ、神山はおっちょこちょいだから…心配だ……)

 

しかし、空回りしやすい性格の直喜は教員達から心配されている。

 

なみこ「失礼しま~…って、どうしたの直喜?」

 

はっす「おやおや、直君じゃないか。ここで会ったのは、何かの運命なのかねぇ?」

 

直喜「あっ、なみこちゃんにはっすちゃん……」

 

そこに、なみことはっすがやって来る。どうやら彼女達も、バイトの許可を貰いに来たようだ。

 

女教員「ところで神山。もうバイト先は見つけたのか?」

 

直喜「は、はい…こ、ここに…お、応募しようと思って、います……」

 

女教員「どれ?」

 

直喜が持ってきたのは、毎週日曜日に来る求人表であった。

 

女教員(へぇ、ウルフェスの準備か…最近は中々斬新な求人もあるんだなぁ……)

 

なみこ「何々、どこに応募するの?」

 

直喜「う、ウルトラマンフェスティバルの準備スタッフ……週1回のペースだし、僕にもできるかな~って……」

 

直喜が応募しようと考えているのは、大好きなウルトラマンフェスティバルの準備スタッフだった。学生も主婦もフリーターもブランクも歓迎しており、高校生も大歓迎とのことだ。

 

はっす「直君直君?」

 

直喜「な、何かな?」

 

はっす「ウルフェスの準備スタッフ…面白そうだね?」

 

直喜「う、うん……ウルフェスには色んなお客さんが来るんだ…例えば、子ども連れの家族とか…大人の男性…おじいさんもおばあさんも……そ、それに…僕、ウルトラマン大好きだし……ここなら、続けられそう…」

 

ウルトラマンフェスティバルは主にウルトラマンファンが中心に来るのだが、老若男女問わず色んな客が足を運んでくるのだ。ここに来たことがきっかけで、ウルトラマン作品に興味を持つ者も少なくない。

 

なみこ「ねぇはっす、ウチらもここに応募しない?直喜と一緒ならさ、安心するしさ!」

 

はっす「賛成賛せ~い♪」

 

女教員「お前らがいるなら、私も安心できる。神山、バイトOKだ!」(^^)d

 

直喜「は、はい…あの、ありがとうございます…?」

 

教員から許可を得ることができたため、次にやるべきことは履歴書作成だ。そこで直喜は、なみことはっすと共に履歴書を買って、一緒に書くことにした。

 

 

 

次の日の土曜日…面接のために、ウルフェス会場にやって来た直喜となみことはっす。結果として、3人共無事に採用された。採用されてすぐに、仕事に入る3人。

 

先輩「それじゃあ3人は…怪獣酒場の準備を手伝って貰って良いかな?」

 

直喜「わ、わかりました…!!」

 

なみこ&はっす「「は~い♪」」

 

怪獣酒場に行ってみると……

 

 

ケムール人「おや、これはこれは直喜様…!!」

 

 

怪獣酒場のチーフ『ケムール人』の姿があった。

 

直喜「こんにちは大将。僕、友達と一緒にここでアルバイトすることになりました。」

 

ケムール人「そうでしたか…いやぁ、両手に花ですなぁ♪」

 

という訳で、ケムール人から指示をいただきながら業務をする直喜となみことはっす。ウルフェスの常連客である直喜は、客目線の立場に立って様々な提案をした。

 

 

 

翌日の日曜日……

 

直喜「よし…!」

 

毎週日曜日は、ウルトラマンフェスティバルの開催日である。今回は、客としてやって来た直喜だが…一番の目的は……

 

直喜(あっ、早速やってる…!!)

 

怪獣酒場だった。直喜が出した提案は、ここに訪れる予定の怪獣だけを知らせるのではなく…店員として配属される怪獣も知らせることだった。この日、『パワードダダ』が店員として配属される日だった。

 

客1「なぁ、今日の怪獣酒場…パワードダダがいるんだって!!」

 

客2「マジ!?俺パワード推しだからめっちゃ嬉しいんだけど!!」

 

直喜の提案をすぐに実行したケムール人…その結果、以前より大行列ができ、大にぎわいとなったのだ。数時間後、漸く直喜も怪獣酒場に入ることができた。

 

ダダ「いらっしゃいませ!あっ、これは直喜様!いつもご来店ありがとうございます。ささ、こちらのお席にどうぞ。」

 

直喜はカウンター席に案内され、席に座る。その近くでは、何やらパワードダダが厄介な客の相手をしている。

 

 

アカネ「ねぇねぇ、残りの2人はどうしたの?」

 

パワードダダ「も、申し訳ありません。本日は非番でして…」アセアセ

 

アカネ「うっそだぁ~!3人揃ってこそパワードダダでしょ?」

 

 

その厄介な客とは、直喜のクラスメイトの一人『新条 アカネ』だった。

 

直喜(あ、アカネちゃん…あぁ、パワードダダが困ってる……)

 

直喜は席から立ち上がり、アカネの元へ歩いていく。

 

 

 

パワードダダ(うぅ…だ、誰か助けて……)

 

パワードダダが限界を迎えた時、彼に救いの手が舞い降りた。

 

直喜「ちょ、ちょっとアカネちゃん…?」

 

アカネ「あっ、直喜く~ん♪」

 

直喜「パワードダダはコンピューター生命体なんだ。残りの2体はコンピューターに異常が無いか確認しに行ってるんだよ?それなのに、いちゃもんをぶつけるのは良くないと思うよ?」

 

アカネ「ごめんなさ~い!!」

 

直喜「えっと…ぼ、僕じゃなくて…パワードダダに謝ろうか…」汗

 

直喜に説教され、パワードダダに謝罪するアカネ。

 

パワードダダ「ありがとうございま…って、貴方は神山 直喜様…!?」

 

直喜「えっ…ぼ、僕のこと知ってるの?」

 

パワードダダ「勿論ですとも!ファンの皆様の間で貴方様は有名です!!それに、怪獣酒場の常連と小耳に挟んでおります!!」

 

直喜「そ、そうなんだ…」

 

パワードダダ「ささ、ごゆっくりなさってくださいな♪」

 

アカネが落ち着いた所で、直喜は自分の席に戻った。そして、いつも必ず頼む『ツインテール天丼』と『眼兎龍茶(メトロンちゃ)(ほうじ茶)』を注文し…食べ進めていく。

 

アカネ「すみませ~ん。」

 

アカネも店員を呼ぶと、直喜と同じ『ツインテール天丼』と『眼兎龍茶』を注文した。

 

パワードダダ「お待たせ致しました。こちら、ツインテール天丼でございます。こちらが眼兎龍茶でございます。ごゆっくりどうぞ。」

 

アカネは運ばれてきたツインテール天丼を見て、何かを思い出す。

 

アカネ(そう言えば昔…いつ頃だったかなぁ……直喜君が怪獣雑談して、ツインテールって海老みたいな味がするって教えてくれて……私、直喜君と一緒に笑ったなぁ。)

 

大切な思い出を思い出して、ツインテール天丼を口の中に運んでいくアカネ。

 

アカネ「…んふ、やっぱり海老みたいな味…美味し~♪」

アカネ(これは直喜君も舌を巻いちゃう訳だ…)

 

このツインテール天丼…直喜が必ず注文するためか、ウルトラマンファン達の中では、人気No.1料理となっている。その事を知らない直喜は、ツインテール天丼を完食すると…クネクネストローが刺さった眼兎龍茶を飲んでいく。

 

直喜「っあぁ~…オイチー、くぅ~♪」

直喜(ウルトラマンマックスでは、こんな感じでメトロン星人が本来の姿に戻ったよね…それが再現できるのは嬉しいなぁ…♪)

 

その時、怪獣酒場にとある宇宙人がやって来た。

 

メトロン星人「大将~、いつもの眼兎龍茶!」

 

ケムール人「メトロンさん、いらっしゃいませ。いつものですね、はい只今!では、こちらのお席にどうぞ。」

 

メトロン星人がやって来た席は、ちょうど直喜の左隣だった。

 

メトロン星人「おやっ、君も眼兎龍茶をいただいてたのかい?」

 

直喜「う、うん…僕は、ほうじ茶のブレンドが好き。め、メトロン星人は?」

 

メトロン星人「俺がよく飲むヤツだ!!君、眼兎龍茶の良さを分かってるじゃないか!!」カカカッ!!

 

ウルフェスのメトロン星人はフレンドリーな宇宙人として有名だ。メトロン星人と握手できた直喜は、嬉しそうにしていた。

 

 

 

夕方、ウルフェスを満喫した直喜は…アカネと一緒に帰路を歩いていた。

 

アカネ「直喜君直喜君♪」

 

直喜「な、何かな…?」

 

アカネ「怪獣酒場のツインテール天丼…あれ美味しかったね♪」

 

直喜「う、うん…!!」

 

ツインテール天丼の話で盛り上がり、帰宅するまで雑談を楽しむ2人であった。




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第84話 怨みと憎しみ

その頃……

 

影美「グスッ…グスッ……ダーリン…!!」

 

影美こと、レディベンゼン星人は1人…河川敷で泣いていた。その理由は……

 

夫のベンゼン星人を失ったからだ。それだけではない…ウルトラマンシャドーやコッテンポッペ、ロベルガーも倒され、秘密基地までも失ってしまったのだ。

 

影美「こんな筈じゃ……ヒック…こんな筈じゃ、なかった…のに……!!」

 

夫のベンゼン星人は、『破壊こそが芸術』と言うのがクセだった。これまでも様々な星々を破壊しては、優越感に浸っていた。今までは上手くいっていたのだが…この地球をターゲットにした時から、彼らの歯車は次第に狂って行った。地球には、ウルトラマンゼアスがいる…それは、ベンゼン夫婦も知っていた。ウルトラマンと共に、地球を木っ端微塵にしようと企んだが…失敗し、夫を失った。

 

影美「ゼアスちゃん……ううん、ゼアス…私は貴方を許さない…!!私は、ゼアスが憎い……!!

 

ゼアスに復讐心を燃やす影美は、目的地も無く…どこかへ歩き出す。

 

 

 

その後、フジヨキ台にやって来た影美は…見つけた怪獣達を捕らえ、連れていく。

 

影美(これだけじゃ足りないわ……例えば、怪獣の人形を手に入れて怪獣化させれば……んふふ、我ながら良い考えね♪)

 

捕まえた怪獣を檻に閉じ込めた影美は、次に怪獣の人形を探しに行った。

 

影美「……。」

影美(これじゃない…あれでもない……歴代ウルトラマンに出てきた怪獣や超獣じゃ、ゼアスは倒せない……)

 

中古店に来た影美は怪獣達の人形を見るが…どれもピンと来ないようだ。

 

影美(そうだわ…あのボブヘアーの娘の家にさ、怪獣のフィギュア達があったわね?見たことない怪獣も居たし、ゼアスを倒せるかもね♪)

 

影美はアカネの家に怪獣達のフィギュアが置いてあることを思い出し、作戦を考えるために中古店を出ていった。

 

 

 

アカネ「直喜君、はいこれ♪私が作ったんだ~♪」

 

直喜「おぉ~、す、スゴい…!!」

 

その頃、アカネはアレクシスと共に直喜のマンションに訪れていた。アカネは直喜に手作りのウルトラ怪獣フィギュアを、アレクシスはお菓子やジュースを持ってきてくれたのだ。

 

アレクシス「いつもアカネ君がお世話になってるから、私からのほんの気持ちだよ?まぁ、本当はウルトラレプリカとかを渡したかったけどね?w」

 

直喜「それは高すぎるので大丈夫です。」汗

 

アレクシスもすっかり直喜を気に入っており、彼の力になろうとしてくれている。

 

 

しかし……

 

アカネとアレクシスは知らなかった…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影美(変装も完璧…さて、入りましょうか……)

 

配達員に変装した影美(レディベンゼン星人)が、アカネの家に侵入したことを…

 

アンチ「誰だ?」

 

入ってきた影美の前に、アンチが立ちはだかる。

 

影美「あっ、あの…フィギュアの買い取りを依頼されてきました~…」オホホホ…

 

アンチ「どこの会社の者だ?」

 

アカネのことをよく知っているアンチは影美を怪しいと思い、質問攻めを始める。そして、次第にしどろもどろになってくる影美…

 

影美(何なのこの子…もしかして、ヤバたん?)汗

 

アンチ「お前…配達員じゃないな?何者だ?」

 

アンチがそう言うと、影美は彼目掛けて右手を突き出した。

 

アンチ「ッ!?」

 

すると、アンチの頭に激痛が走り…頭を抱えて悶える。数分後、アンチは意識を手離してしまった。その間に、影美は段ボールにアカネが作ったと思われる怪獣のフィギュアを詰め始める。

 

影美(これは見たことないヤツね…これもこれもそうね……こっちは見たことあるヤツだから違う……さて、こんなものね。)

 

怪獣フィギュアを段ボールに詰めた影美は、静かにアカネ宅を去って行った。

 

 

 

アカネ「……。」

アカネ(…無くなってる……今日捨てようと思ったのに……)

 

自宅に帰って来たアカネは、すぐさま異変に気付く。まず、自室にあった怪獣のフィギュアが無くなっていることに…それも、自分で作ったオリジナル怪獣だけが、無くなっていた。2つ目の異変は、意識を手離したアンチが横たわっていること…何者かが侵入し、危害を加えたとしか考えようが無かった。

 

アレクシス「アカネ君、どうしたんだい?」

 

アカネ「あっ、アレクシス?ねぇねぇ、捨てようと思ってた怪獣のフィギュア達が盗まれたの。それも、私が作ったオリジナル怪獣だけが…」

 

アレクシス「何だって…!?」

 

アカネ「私さ…1人、心当たりがあるヤツがいるんだよね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影美「へっきしゅ!!」

 

誰かに噂をされているのか、くしゃみをする影美。河川敷では人の目に入りやすいと考えた彼女は、山の中にある樹海に身を潜めることにした。彼女の近くにはロープで縛られ、身動きが取れなくなった状態の小さな怪獣達がいた。

 

影美(直喜っていう弱虫ちゃん…近くにはか弱そうな女の子しかいないもんね~?わざわざ怪獣を巨大化させる必要は無さそうね。)

 

影美は段ボールから怪獣のフィギュアをいくつか取り出す。これらは、アカネの家から盗んで来た物である。

 

影美(試しに、コイツでも出撃させて見ましょうかね?)

 

そのうちの1体を、ある程度離れた位置に置くと……

 

 

影美「インスタンス・ベンゼネーション!!

 

 

…と叫び、怪獣を実体化させた。

 

影美「さて…直喜ってヤツを殺して来なさい?後、ウルトラマンゼアスが現れたらソイツも殺しちゃって?」

 

影美がそう指令を出すと、大空へ飛び立ち…ツツジ台へと向かっていった。

 

 

影美(コイツらは直喜ってヤツを倒すための捨て駒♪そして、ゼアスを倒すための道具でもある。怪獣ってのはねぇ、ヒーローを倒すために存在する…それこそ破壊よね♪)



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第85話 狙われた直喜

OP~OxT『UNION』~♪


その日の夕方……

 

直喜「今日の夕飯は…よし、コロッケにしよう。」

 

直喜は自宅マンションにて、夕飯の献立を考えていた。何を作るか決まった時、材料を確認する。

 

直喜「…あっ、パン粉が無いや……仕方がない、買いにいこう。」

 

しかし、パン粉が無いことに気が付き…近くのスーパーに買いに行くことにした。この時の直喜は知らなかった……

 

自分が何者かに狙われていることに……

 

 

 

直喜「…よし、これでOKだね。ついでに、豚肉が半額だったから買っちゃったなぁ。」

 

買い物を終え、帰路を歩こうとする直喜。その時……

 

 

???『ニクイ

 

 

どこからか、低く不気味な声が直喜に聞こえたと思ったら……

 

ビィッ!!

 

直喜「うわっ!?」

 

バチィッ……

 

突如として、直喜にレーザーが飛んで来た。間一髪のところで避けた直喜……

 

直喜(ど、どこから…!?)

 

ゼアス(直喜君、上を見て!!)

 

直喜(う、上…?)

 

ゼアスの声を頼りに、上を向くと……上空には、何やら白い円盤がいて、真ん中には赤黒い光を放つコアのようなモノが見える。人々が逃げ惑う中、円盤は直喜目掛けて赤いレーザーを放ってきた。直喜は側転や前転でレーザーを避けながら、あまり人がいない場所へ円盤を誘導する。

 

ビィッ!!ビィッ!!

 

直喜「うわっと!?っとと!!」

 

円盤は直喜の足元を集中攻撃し、直喜は転倒してしまう。

 

円盤『……。』ピカァ…

 

直喜「ッ!?」

 

思わず両腕で顔を覆い、ギュッと目を瞑る直喜。そんな彼の元に、救いの手が舞い降りた。

 

 

直喜「……?」

直喜(あれ、光線が飛んで来ない…?)

 

恐る恐る、目を開けると……

 

六花「直喜、大丈夫?」

 

直喜の目の前には、構えを取った六花の姿があった。

 

直喜「り、六花ちゃん……!!」

 

どうやら、円盤のレーザーを六花が防いでくれたようだ。円盤は標的を六花に変え、レーザーを放とうとする。そして、レーザーを放ってきたと同時に…

 

六花「はっ!!」

 

両手を広げ、前面にバリアを張ってレーザーを防いだ。

 

直喜(こ、これって…う、ウルトラセブンの…!?)

 

六花が使ったのは、ウルトラセブンの防御技『ウルトラバリヤー』だ。光線等の攻撃を防ぐだけでなく、寒波までも防ぐことができるのだ。

 

六花(私だって、戦える…直喜をもう2度と……失いたくないから…!!)

 

六花は右腕に身に付けているシュシュに左手を添えると、それを短剣のような形に変えた。

 

直喜(えっ!?う、ウルトラブレスレットのウルトラスパーク…!?)

 

六花が見せる技に、驚きっぱなしの直喜。彼女が左手に持っているのは、ウルトラマンジャックがウルトラブレスレットを変形させた武器『ウルトラスパーク』だ。【帰ってきたウルトラマン】では、もっとも使われた形態で、どことなくMATアローに似た形の短剣だ。

 

六花「ッ!!」

 

六花がウルトラスパークを投げると、それは円盤に向かって飛んで行き…円盤を真っ二つに斬り裂いた。その後、ブーメランのように戻ってきて、六花の右手にキャッチされた。

 

六花「直喜!!」

 

六花は直喜の元へ駆け寄る。

 

六花「怪我してない?大丈夫?」

 

直喜「だ、大丈夫…」

 

六花「…良かった。」

 

直喜が無事であることを確信し、安心する六花。しかし…

 

 

直喜「ッ!!六花ちゃん危ない!!」

 

 

直喜が六花を突き飛ばした。その直後…

 

ビィッ!!バシュッ!!

 

直喜「うぐぅっ!!」

 

六花が撃破した筈の円盤が、レーザーを放った。レーザーは直喜の右足を貫通し、直喜は血を流して地面に倒れてしまう。

 

六花「ッ!?直喜!!」

 

直喜「り、六花ちゃん…ぼ、僕…大丈夫、だから……ッ!!」

 

無理して笑顔を作ろうとする直喜だが、怪我をした右足に激痛が走り…思わず涙を溢してしまう。

 

六花「…!!」

六花(直喜が、泣いてる……)

 

痛みに耐えられず、涙を流す直喜を見た六花は……空中に浮遊する円盤を見る。彼女の目は明るいスカイブルーから…ハイライトが消えた青黒い色になっていた。

 

六花(お前…よくも直喜をォ!!)

 

愛する存在を傷付けられたことで、ぶちギレた六花。そして、額から空色のレーザーを円盤目掛けて発射した。ウルトラマンエースの技『パンチレーザー』だ。レーザーは円盤に命中し、円盤は爆発した。しかし、すぐにまた復活してしまった。

 

六花「何度復活したって…何度でも撃ち落としてあげるよ!!」

 

復活して宙を舞う円盤に、六花は両腕から高熱火炎『エースファイヤー』を発射した。円盤は爆発…しかし、またも復活し…六花を嘲笑うようにフヨフヨと宙を舞う。

 

直喜(これじゃキリがない…あのタイプの相手なら、どこかに本体がいる筈……どこだ…どこに…?)

 

六花の後ろでは…痛みと戦いながらも、直喜は円盤の分析を開始する。その時も、六花は光の巨人達の技で円盤を破壊し続けている。

 

直喜(…ん?何だろうあれ…何か透明な糸みたいなのが見える……まさか…!!)

 

円盤を観察していると、円盤の端っこに…何やら透明な糸のようなモノが見えた。

 

六花「どんだけ復活すんの…!?」

 

中々倒せない円盤に、次第に焦り始める六花。

 

直喜「六花ちゃん!!円盤の端っこ…何か糸みたいなのが見えるんだ!!それを斬って!!」

 

そんな六花に、アドバイスを送る直喜。

 

六花「直喜…うん、わかった!!」

 

六花はウルトラスラッシュを放ち、円盤の端にある透明の糸を斬った。すると…上空に角を生やした黒と銀色の悪魔の様な外見をした怪獣が姿を現し、地上へと落下してきた。

 

ドサァッ!!

 

怪獣『ナオキ、ニクイ!!

 

現れた怪獣『ヂリバー』の鳴き声を聞いた六花は、両手をギリリッと握りしめると…怪獣目掛けて走っていく。

 

六花「やぁっ!!はぁっ!!」ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

格闘戦を仕掛ける六花。ヂリバーが腕を振り下ろせば、それを掴んで投げ技を決めたり…倒れたヂリバーに馬乗りし、顔面を殴ったり…顔面を掴んで地面に勢いよく叩き付けたり……ヂリバーが起き上がれば、ドロップキックを放って地面に倒す。

 

ヂリバー『タオス…!!

 

六花「そうはさせない…私がいる限り、直喜の命は絶対に奪わせない!!やっ!!」ピカカカカ!!

 

六花は両腕を突き出し、星型の手裏剣『スター光線』を放った。光線はヂリバーに命中し、爆発を起こす。爆発に怯んだヂリバーに、隙が生まれた。すかさず六花は、上半身を大きく左方向に捻った後…

 

六花「はっ!!」ビィィイイイイイイ!!

 

振り向きざまに両腕をL字型に組み、右腕から光線を発射した。ウルトラマンエースの必殺技『メタリウム光線』だ。六花が放った光線はヂリバーに命中…ヂリバーは大爆発を起こし、破れた。

 

 

 

六花「直喜!!」

 

直喜「あ、ありがとう六花ちゃ…ってうわぁっ!?」

 

六花は直喜を抱き締め、嗚咽をもらし…「ごめんね…直喜、ごめんね…!」と何度も謝罪を繰り返す。

 

直喜「六花ちゃん…足、すっごく痛いけど…で、でも…僕は、大丈夫だよ……だから、泣かないで…?」

 

六花「足…あっ!?直喜、今手当てするね!!」

 

ピタリと泣き止んだ六花は、どこから取り出したのか救急箱から消毒液やガーゼ、包帯を取り出す。

 

六花「もしかしたら痛いかも知れないけど…我満できる?」

 

直喜「う、うん…!!」

 

六花は消毒液を染み込ませたガーゼを、直喜の傷口に当て…消毒を開始する。

 

直喜「いっ…ッ!!」

 

直喜はギュッと目を閉じ、涙を流しつつも…痛みを我満する。六花は新しいガーゼに消毒液を染み込ませ、直喜の傷口に当て…最後に包帯を巻いていく。

 

六花「はい、終わったよ♪」

 

直喜「あ、ありがとう…六花ちゃん……」

 

六花「よく頑張ったね、偉い偉い♪」

 

直喜「あ、あぅ…///」

 

子どもをあやす母親のような優しい笑顔を見せ、直喜の頭を撫でる六花。

 

六花「直喜…良かったらさ、家に泊まってく?」

 

直喜「う、ううん…じ、自分の家で…大丈夫……」

 

六花「わかった。何か困ったことがあったらいつでも連絡してね♪真夜中だろうがすぐに駆け付けるから♪」

 

直喜「よ、夜中は流石に…悪いよ……」汗

 

直喜は六花に送ってもらったことで、自宅マンションにたどり着くことができた。ついでに六花は、直喜に夕食を作ってくれ…家の手伝いもしてくれた。六花に助けられ、直喜は彼女に精一杯感謝をするのであった。




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第86話 お助けマン

OP~OxT『UNION』~♪


右足を怪我してしまった直喜は、歩くと痛みが走るため…小刻みでゆっくり歩いている。

 

直喜「いててて…困ったなぁ……これじゃあ買い物どころか、ウルフェスにも行けないよぉ……」

 

行動に制限ができ、困ってしまう直喜。その時…ふと、右手に違和感を感じた。

 

直喜「…?…あれ、何だろうこのカプセルみたいなの…???」

 

右手を見ると、銀色の小さなカプセルが握られていた。

 

直喜(ねぇゼアス…このカプセル、何?)

 

ゼアス(そのカプセルはね、『Zカプセル』って言うんだ。中にはカプセル怪獣が入ってるよ。)

 

直喜(えっ、Zカプセル…ま、まさか…“あの怪獣”が入ってるの!?)

 

ゼアス(直喜君も多分予想はついてると思うけど…うん、“あの怪獣”がいる。)

 

このカプセルは『Zカプセル』という名称で…中にはカプセル怪獣が入っている。ピカリの国では、このカプセル怪獣を所持している事が戦士として認められた証だとされるらしい。

 

ゼアス(中にいる怪獣は、直喜君の力になってくれるから…困った時には使ってみると良いよ。)

 

直喜(困った時…うーん……)

 

さぁ困った…今こそが困っている時なのだが、このカプセルを使うべきか…直喜は悩み始める。そんな時、直喜の家のインターホンが鳴った。

 

直喜「はーい!あいててて…」汗

 

直喜は玄関に向かい、覗き穴を覗く。

 

直喜(あっ、六花ちゃんだ。)

 

尋ね人の正体が分かると、玄関を開く。

 

六花「あっ、直喜。足、大丈夫?」

 

直喜「だ、大丈夫だよ…あははは……」

 

苦笑いする直喜に、六花は少し考え事を始める。

 

六花「こうすれば良かったよね…直喜、ちょっとごめんね?」

 

六花は直喜宅に上がると…

 

 

六花「マザー光線!」

 

 

右腕のシュシュに左手を添え、左手を前に突き出し、黄色い粒子光線を直喜の右足に放った。

 

直喜「あれ?痛くない…」

 

直喜は包帯を外すと、いつの間にか右足の怪我が治っていた。次に六花は、右掌を前に突き出すと…乳白色の粒子を直喜の足にある傷痕に向かって放った。これは、ウルトラマンコスモス(ルナモード)が使う『ルナエキストラクト』だ。本来、生物からカオスヘッダーを取り除くために使われる技なのだが…ほぼ全ての光の巨人の技が使える六花は、ウルトラの母の力と合わせてコスモス(ルナモード)の技を使うことが多い。

 

直喜「あっ、傷痕が…無くなった……」

 

六花「これはせめてものお詫び…直喜を、危険な目に遇わせちゃったし……」

 

落ち込む六花に、直喜は…

 

直喜「いや、六花ちゃんのせいじゃないし……」

 

…と、言った。

 

直喜(でも、一体誰が何のために……)

 

六花「そうだ、朝御飯食べた?」

 

直喜「あっ、まだだった…」汗

 

六花「それならさ、私が何か作るよ。」

 

直喜「えっと……そ、それなら…僕と一緒に、朝御飯…作らない?」

 

六花「直喜ナイスアイデア♪」

 

こうして、六花と一緒に朝食を作ることに…作ったのは、直喜の好きなホットケーキだった。

 

六花「良いの、私までご馳走になっちゃって?」

 

直喜「六花ちゃんは…僕を、助けてくれたし……六花ちゃんが来てくれなかったら…僕……」

 

六花「そっか…ありがとう直喜♪」

 

朝食後、軽いウォーキングに行くことにした。六花がスポーツウェアで来ていたため、直喜は慌ててパジャマからスポーツウェアに着替えた。

 

六花(パジャマ姿の直喜可愛すぎ♥️写真撮っとけば良かったなぁ~♪)

 

そんな直喜にメロメロになっていた六花だが、それは直喜には内緒にしよう。

 

 

 

ツツジ台は今日も晴れ空である。季節は秋なのだが、日の光が心地よく直喜と六花を照らしている。

 

アカネ「あれ、直喜君と六花じゃん!お~い♪」

 

街を歩いていると、アカネとバッタリ遭遇した。アカネはニコニコしながらこちらへ走ってきた。

 

直喜「こ、こんにちは…あ、いや……ま、まだおはよう…かな?」汗

 

アカネ「どっちでも良いって~w」

 

六花「直喜はしっかりしてるからね。」

 

アカネ「確かに、校外学習の時も忘れ物が無いか確認するし…私も見習わないとな~♪あっ、ねぇねぇ直喜君!!聞いて聞いて!?」

 

ふと、アカネは何かを思い出し…直喜に詰め寄った。

 

直喜「な、何かな…?」汗

 

六花「アカネ、直喜が困ってる…」

 

アカネ「へっ?あぁごめんごめん…」

 

アカネは昨日の出来事を直喜に話し始める。

 

 

アカネ「昨日ね、私の家に泥棒が入ったらしくて…」

 

直喜「えっ…ど、泥棒…!?」

 

アカネ「うん、それでね…私の怪獣のフィギュアが盗まれちゃったんだ…後、アンチが気絶させられたの……だから、直喜君も気を付けてね?」

 

 

アカネの話を聞いた六花は、1つの答えを出す。

 

六花(多分…“アイツ”の仕業だよね?)

 

六花の言うアイツとは……

 

 

ゴゴゴゴゴ……!!

 

 

その時、地面が突然揺れ始める。

 

直喜「うわわっ!?ちょっ、うわぁっ!?」

 

バランスを崩し、転倒しかける直喜。

 

六花「っとと。」

 

咄嗟に六花が直喜を支え、転ばずに済んだ。

 

 

へっ?どこで支えたって…?それは各々で想像してね♥️

 

 

やがて、地面の中から怪獣が姿を現した。その姿は不自然にうなじ部分が盛り上がり、首が傾いた不細工な怪獣のぬいぐるみな外見で、どこかとぼけた様相ではあるものの、正中線からずれた位置にある顔が生物としての不自然さを醸し出している。

 

怪獣「ウッ…グスッグスッ……

 

その怪獣の鳴き声は…まるで人の咽び泣く声に聞こえ、その造形も相まって強さこそ感じられないが、得体の知れない不気味な印象を与えている。

 

アカネ(あれは…私が捨てようと思ってた怪獣…!!)

 

あの怪獣は、アカネがグリッドマンを倒すために造った怪獣なのだが…直喜を守ることを使命とし、グリッドマンを倒すことを辞めた。グリッドマン討伐が頭から無くなり、造った怪獣のフィギュア達を捨てようと思った矢先…何者かにフィギュアを盗まれてしまったのだ。

 

アカネ(もっと早く捨てておけば良かった…)

 

しかし、後悔してももう遅い…今は、現れた怪獣をどのようにして倒すかを考えなければならない。

 

直喜「こ、こうなったら…!!」

 

直喜はピカリブラッシャー2を取り出すが…

 

六花「待って直喜!!」

 

六花に止められてしまった。何故なら…

 

人々「怪獣だ!!」「に、逃げろ!!」

 

周囲には逃げ惑う人々で溢れており、ここで変身してしまえば直喜の正体がバレてしまう。

 

直喜(た、確かに…でも、どうしたら……)

 

その時、グリッドマンが現れ…怪獣と対峙する。

 

直喜「ぐ、グリッドマン…!!」

 

現れた怪獣はグリッドマンに圧倒されている。最後はグリッドビームで怪獣は撃破された。だが…

 

直喜(あれ?なんで爆発しないの…?)

 

グリッドマンに敗れた怪獣は、何故か爆発しない。グリッドビームを直に受ければ、大抵の怪獣は爆発してしまう。しかし、先程現れた怪獣は全く爆発する気配が無い。流石のグリッドマンも、負けた怪獣が爆発を起こさないことに違和感を感じているようだ。その時……

 

ピシッ…ピシッ…パリパリ……

 

倒れた怪獣にヒビが入って、そこから何かが姿を現した。

 

怪獣2「グワグワグワグワッ!!

 

それは、豆のサヤのような細い胴体に管状の繊維で構成された手足を持ち、体の中心部から縦に走っている亀裂から目と思しき赤い発光体が覗いている不気味な怪獣だ。バルタン星人とヒキガエルを混ぜたような、不安感を煽る笑い声に似た鳴き声を発している。

 

直喜「ッ!?」

 

怪獣が羽化するように登場するのを見た直喜は…強烈な吐き気が襲い掛かり、嘔吐してしまった。

 

六花「直喜ッ!!」

 

アカネ「直喜君!!」

 

六花は慌てて直喜の背中を擦り、アカネは心配そうに直喜を覗き込む。

 

怪獣2「グワグワグワグワッ!!

 

グリッドマン「ぐっ!?ぐわっ!!」

 

怪獣2は恐ろしく俊敏で、人間離れしたアクロバティックかつ予測不可能な動きでグリッドマンを翻弄する。グリッドマンが反撃を試みるも、攻撃をかわしながらの肉弾戦を繰り出す。更に…目からは強力な破壊光線を発射した。グリッドマンは怪獣2に圧倒され、額のランプが点滅を始めた。

 

直喜(ぐ、グリッドマン…!!)

 

吐き気を堪えながら、グリッドマンと怪獣2を見る直喜。

 

直喜(あっ、そう言えば……)

 

ふと、直喜は今朝のゼアスの言葉を思い出した。

 

 

ゼアス『中にいる怪獣は、直喜君の力になってくれるから…困った時には使ってみると良いよ。』

 

 

そして、いつの間に手元にあったZカプセルを取り出す。

 

直喜(お願い、グリッドマンを助けて!!)

直喜「そ、それっ!!」

 

直喜はカプセルを怪獣2に向かって投げた。すると、カプセルは黄金色の光を纏いながら飛んで行き…怪獣の近くに、何やら光が集まっていく。それは、段々形を整えて行き……

 

 

怪獣3『ミャー!ホギャー!!』

 

 

1体の怪獣へと、姿を変えた。

 

直喜「あ、あれは……ミラクロンだ!!」

 

六花「み、ミラクロンって確か…!!」

 

アカネ「か、可愛い~!!」

 

現れた怪獣は、Zカプセル光獣『ミラクロン』。『ウルトラセブン』のミクラスにそっくりなのんきな表情をしているが戦闘力は高く、知能も高い。その上、主人にとても忠実で友好的なのだ。

 

直喜「ミラクロン!!グリッドマンを助けて!!」

 

直喜がそう叫ぶと、ミラクロンはそれに応えるように頷き…四股を踏んだ。そして、怪獣2こと『ナナシB』へと勇敢に立ち向かう。

 

ナナシB「グワグワグワグワッ!!

 

しかし、動きはナナシBの方が速く…ミラクロンの突進はあっさりかわされてしまう。しかし、ミラクロンは焦らず…近くに降り立ったナナシBにタックルを繰り出した。

 

ドゴォッ!!ドドォォオオオオオオッ!!

 

タックルを受け、地面を転がるナナシB。しかし、目を光らせて破壊光線を放ってきた。

 

ミラクロン「ホギャー!!」ササッ!!

 

それを瞬時に見抜いたミラクロンは、サイドステップで光線を避けた。その後、両手から電撃を放ち…ナナシBを痺れさせた。

 

六花「グリッドマン、今だよ!!」

 

すかさずグリッドマンは、もう1度グリッドビームを放った。グリッドビームはナナシBに命中し、大爆発を起こした。

 

直喜「やったぁぁああああ!!」

 

バンザイして大喜びする直喜。そんな彼に、砂埃が襲い掛かった。

 

直喜「あわわっ!?ゴホッ!!ゴホッ!!」

 

 

 

グリッドマン「…。」

 

ミラクロン「ホギャー♪ホギャー♪」

 

ミラクロンはグリッドマンの勝利を祝うように、舞い踊っていた。

 

直喜「グリッドマン!この怪獣、僕の友達なんだ!!名前はミラクロン!!」

 

グリッドマン「直喜君の?」

 

直喜「うん!!」

 

直喜の言葉を信じるグリッドマン。その理由は……

 

 

グリッドマン(直喜君の近くにいる娘達の視線が物凄い…)汗

 

 

六花とアカネの視線がヤバかったため、疑うことができなかったのだ。しかし、ミラクロンは正義の怪獣であり、凶悪怪獣ではない。

 

直喜「ミラクロン、ありがとう!!」

 

直喜が右手を出すと、ミラクロンは黄金色の優しい光に包まれ…直喜の手元でカプセルに戻った。こうして、直喜はミラクロンという頼もしいお助けマンと出逢うことができたのだった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪



Zカプセル光獣『ミラクロン』

ウルトラマンゼアスこと、神山 直喜の身代わりとなって戦う所謂カプセル怪獣。主な武器は両手から放つ電撃と、念力光線『ミラクロン・エレキネシス』。

また、等身大サイズで召喚することもできる。


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第87話 ミラクロン・パニック

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


ある日の平日…夏休みもすっかり終わり、学生達には学園生活が待っていた。

 

直喜(何だか、ツツジ台高校に来るの…久しぶりな感じがするなぁ……)

 

そう思いながら、クラスへと入る直喜。

 

なみこ「おっ、直喜おはよ~♪」

 

なみこは普通に挨拶したが……

 

はっす「皆のしゅ~、我らが直君のおなりだぞ~♪」

 

はっすがそう言うと、クラスメイト達が一斉に…まるで、王に尊敬を示す騎士のように跪いた。

 

さきる「おはようございます、殿!!」

 

クラスメイト「「「殿、おはようございます!!」」」

 

直喜「と、殿…!?」汗

 

クラスメイト達の挨拶に困惑する直喜。

 

直喜「えぇっと…と、取り敢えず…顔、上げようか……」

 

直喜がそう言うと、クラスメイトの1人が直喜に『黒板見て』とジェスチャーをする。それに気付いた直喜は、黒板の方を見ると……

 

 

『ドッキリ…大・成・功!!』

 

 

…と、デカデカと書いてあった。

 

直喜「へっ?ど、ドッキリ…?」

 

さきる「そそ!全員から殿様と呼ばれたらどんな反応するかドッキリ!!」

 

状況を把握できず、混乱してしまう直喜。そこに……

 

六花「おはよ…って、皆して何やってんの?」汗

 

アカネ「おはよ~♪」

 

将「あれ、神山どした?」

 

裕太「ドッキリって、なに?」

 

六花とアカネ、将と裕太がやって来た。裕太の言葉を聞いた六花とアカネは黒板にデカデカと書かれた文字に気付く。そして、直喜にドッキリを仕掛けたと察し…みるみるハイライトが消えていく。

 

六花「ねぇ、一体どういうこと…?

 

アカネ「全員正座しろよ…?

 

六花とアカネの、低くドスの効いた声を聞き…クラス中が一瞬で凍り付いた。

 

なみこ「り、りりりりり六花さん…ここ、これは…ち、ちちち違うんです…」滝汗

 

あまりの威圧感に、滝のような大汗を流すなみこ。

 

六花「うっさい。んで、直喜に何をしたの…?」ボキボキボキボキ…

 

アカネ「お前ら…覚悟、できてるよなぁ?」ボキボキボキボキ…

 

既にげきオコスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム状態の六花とアカネは、手をボキボキ鳴らしながら低い声を出す。しかし…

 

直喜「り、六花ちゃんもアカネちゃんも怒んないで!!」

 

直喜がそう言った瞬間…

 

六花&アカネ「「ごめんなさい!!」」

 

先程の空気が嘘のように…六花とアカネは泣き顔で直喜に謝罪した。その瞬間、クラスメイト全員がずっこけた。

 

女教員「お前ら何でずっこけてんだ?後、ドッキリって何だドッキリって?」汗

 

女教員が入ってきた所で、はっすが状況を説明した。

 

 

女教員「成る程…しかし、ドッキリも程々にしておけよ?下手したら取り返しのつかないことになることだってあるんだから。」

 

 

クラスメイト「「「す、すいませんでした…」」」チーン…

 

女教員に軽く説教をされ、クラスメイト達は直喜に頭を下げた。その中には、なみことはっすもいる。

 

直喜「は、初めて…ドッキリされた、けど……な、何だか…新鮮、だった…良い経験になったよ…!あ、ありがとう…!!」

 

ドッキリを仕掛けられたことが無かった直喜は、初ドッキリを味わい…お礼を言った。今回のドッキリは、誰も傷付かない優しいドッキリだろう。

 

さきる「て、天使だ…!!」

 

光「このクラスには、天使がいた…!!」

 

この時、クラスメイト達の目には…天使となった直喜が見えていた。

 

 

 

午前の授業が終わり、5、6時限はロングホームルームで『文化祭』の出し物を考える時間となった。

 

直喜(そう言えば、僕…文化祭なんて、出たこと無かったなぁ……どんなことやるんだろう…)

 

屋上でスペシャルドッグを噛りながら文化祭とは何なのかイメージしようとする直喜だが…全くイメージが沸かなかった。中学時代、直喜は運悪く体調を崩してしまい…文化祭に1度も出ること無く卒業してしまったのだ。そのため、文化祭を知らないのだ。

 

直喜「……。」

 

ふと、直喜はZカプセルを取り出し…それをボーッと眺める。そして、ポケットにしまおうとしたところ…

 

直喜「…あっ!」ツルッ…

 

Zカプセルが手から滑ってしまい、屋上から地上へと落下していく。

 

直喜(こ、これは大変だ!!)

 

直喜は大慌てで屋上から地上へと駆け降りた。

 

 

 

ポトッ…キラキラキラキラァ~、パァァアアアアアア…!!

 

カプセルから目映く優しい黄金色の光が発生すると…

 

ミラクロン「ヒヨ~!ヒヨ~!」

 

そこから、ミラクロンが等身大で出現した。それと同時に……

 

直喜「はぁ…はぁ…あっ、み、ミラ…クロン…!!」

 

ミラクロン「ピヨッ?」

 

息を切らした直喜が到着した。バテている様子の直喜に、困惑するミラクロン。だが、彼にとって学校は…未知の世界…どんな人達がいるのか、何が行われているのか…ミラクロンの好奇心を擽るのには十分すぎた。

 

直喜「あっ、ミラクロン待って!」

 

校内に入っていくミラクロンを、直喜は慌てて追いかける。

 

直喜「と、取り敢えず生徒を見たら…人形のフリをして!!」アセアセ

 

ミラクロン「ホギャー!」コクッ!

 

直喜の提案に頷くミラクロン。そこに……

 

六花「あれ、直喜?こんなところで何してんの?」

 

直喜「あっ、六花ちゃん…実は……」

 

直喜が事情を説明すると…

 

六花「あぁ、成る程ね…」汗

 

六花はそれを理解し、直喜に協力してくれた。

 

 

 

そして、いよいよ始まるロングホームルーム。

 

女教員「おっ、神山…そのデカい怪獣、ぬいぐるみか?」

 

直喜「あっ…これは、その……」

 

さきる「はいはーい!E組の出し物は、『男女逆転喫茶』に決定しました~!!」

 

直喜「えっ、もう決まったの…?」汗

 

女教員「成る程、そのぬいぐるみは客引きのためか…よし、良いだろう。」(^^)d

 

いつの間にか、直喜のクラスの出し物が決まった。そのため、ミラクロンは客引きの役割だと勘違いした担任の女教員はあっさりOKを出した。

 

直喜(そうだ、ミラクロン…)

 

ふと、ミラクロンの方を見る直喜。

 

 

直喜(あれ…ミラクロン、どこ行っちゃったの!?)

 

 

しかし、ミラクロンはいつの間にかいなくなっていた。

 

 

 

その頃…

 

ミラクロン「ピヨッ、ピヨッ…」

 

ミラクロンは食堂に来ていた。その理由は、何やら美味しそうな匂いが、ミラクロンの嗅覚を擽ったからだ。ふと、ミラクロンの目に入ったのは…返却口にある生徒が残した料理だ。

 

ミラクロン「…!」コクンッ!

 

ミラクロンは食堂にいる人達に見つからないよう、上手く隠れながら目当ての物へと確実に近づいていく。そして、目の前に来ると…素早く丼を取り、残っているうどんを1口食べる。

 

ミラクロン「ホギャー♪」

 

どうやら、美味しかったようだ。完食すると、素早く丼を返却口に置いて、直喜の元へ戻って行く。だが、その道中……段々生徒達から注目されるようになってきた。ミラクロンはそのことを知らず、スキップしながら直喜のクラスへと向かう。

 

しかし、ふと…外を見た時……

 

ナナシB「グワグワグワグワッ!!

 

昨日倒した筈のナナシBの姿が見えた。

 

ミラクロン「ホギャー!!ホギャー!!」

 

ミラクロンは大慌てで直喜のクラスへと走った。が、運良くミラクロンを探しに来た直喜とバッタリ会った。

 

直喜「あっ、ミラクロン!!」

 

ミラクロン「ホギャー!!ホギャー!!」

 

直喜「えっ…あっ、あの怪獣は…!!」

直喜(グリッドマンが倒した筈…なのに、また…!!)

 

直喜は屋上に向かう。そして、ピカリブラッシャー2で口腔環境をキレイにすると……

 

 

直喜「ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

ブラッシャーを天に高く掲げ、目映く優しい光へと包まれていく。光に包まれた直喜は、光の戦士『ウルトラマンゼアス』へと姿を変えた。

 

 

 

クラスメイト1「なっ!?か、怪獣…!?」

 

蘭萌「う、ウソ…また!?」

 

亜子「待って!もう1つ何か来る!!」

 

怪獣に怯えるクラスメイト達の前に、目映く優しい光が出現する。そこから現れたのは……

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

紛れもなく、ウルトラマンゼアスであった。

 

さきる「あれって、確か…!」

 

光「うん、ウルトラマンだよ!!」

 

六花「なお…ううん、ウルトラマンゼアス…!!」

 

ゼアスは構えを取り、ナナシB目掛けて走っていく。

 

ナナシB「グワグワグワグワッ!!

 

ゼアス「ゼヤッ!!」ガシィッ!!

 

ゼアスとナナシBは、相撲のような取っ組み合いを開始する。先に攻撃を仕掛けたのはゼアスだ。右手でパンチをしようとするが、ナナシBは左手でゼアスのパンチを受け止める。するとゼアスは、頭を後ろに引き…

 

ゼアス「デヤッ!!」ドゴォッ!!

 

ナナシBの顔面に頭突きを繰り出した。ゼアスのとさかがナナシBの目に命中し、ナナシBの目は機能しなくなったのか、光が消えた。痛がるナナシBの懐に潜り込んだゼアスは、ナナシBを持ち上げ…思い切り投げ飛ばした。

 

ナナシB「グワグワグワグワッ!!

 

すると、ナナシBはアクロバティックな素早く動き始め…ゼアスを翻弄しようとする。

 

ゼアス(うわっ、速い!!)

 

直喜(待ってゼアス…あの怪獣は素早いけど、考えてることは単純だよ。)

 

ゼアス(どういうこと?)

 

直喜(僕がやる…ちょっと見てて?)

 

ゼアスはキョロキョロ見回したりせず、じっと待つ。そしてすぐ、背後から地面を蹴る音が聞こえたため……ゼアスは振り向き様に右ストレートを繰り出した。しかし、そこに怪獣はいない。

 

裕太「ゼアス、後ろ!!」

 

裕太がそう叫ぶも、ゼアスは…いや、ウルトラ博士(直喜)はナナシBが後ろにいることを既に見抜いていた。

 

ゼアス「ジュアッ!!」ドスゥッ!!

 

ゼアスの右肘打ちを腹部に受けたナナシBは、大きく後進した。戦いの主導権は、既にゼアスが握っている。そう思った矢先……

 

ズドォォオオオオオオンッ!!

 

ナナシA「ウゥッ…グスッグスッ……

 

ナナシの別個体『ナナシA』が姿を現した。

 

ゼアス「ッ!?」

直喜(別の怪獣…!?)

 

ナナシAとナナシBを交互に見ながら、警戒体勢に入るゼアス。その時、ナナシAは口から電撃を放って来た。

 

ゼアス「グッ!?」

 

ゼアスが電撃に怯んだ時、ナナシBがこちらに向かって走ってきた。

 

ガシィッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」ドドォォオオオオオオッ!!

 

ナナシB「グワグワグワグワッ!!

 

ナナシBはゼアスに馬乗りし、一方的にゼアスを攻撃し始める。

 

ゼアス「グッ…ジュア……ッ!!」

 

中々ナナシBのマウントから抜け出せないゼアス。そして……

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

カラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を始めた。

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

 

時間は、残り少ない……

 

 

さきる「ね、ねぇ…ゼアスヤバいんじゃない!?」

 

光「ゼアス…頑張って…!!」

 

クラスメイト「ゼアス、頑張れ!!」「頑張ってくれ、ウルトラマンゼアス!!」

 

クラスメイト達はウルトラマンゼアスの勝利を信じ、必死に応援する。

 

六花(ここで光線を使ったら…)

 

アカネ(絶対にバレるよね…)

 

ゼアスを助けたい六花とアカネだが、ここで光線を使ってしまえば…バレてしまう。そんな時……ナナシAの背後に、黄金色の光が現れ…それが段々形を整えて行く。それは、ゆっくりとナナシAに近付くと…

 

ドゴォッ!!

 

ナナシAの頭をひっぱたいた。

 

ミラクロン「ホギャー!!ホギャー!!」

 

ゼアス「ッ!!」

直喜(あっ、ミラクロン!!)

 

ナナシAを怯ませたミラクロンは、両手から青い電撃を放つ。すると、ナナシBの身体がフワフワと宙を舞った。

 

ミラクロン「ホギャー!!」

 

ミラクロンはちゃぶ台を返すように、ナナシBを投げ飛ばした。

 

ドドォォオオオオオオッ!!

 

ナナシBが地上に落下し、ミラクロンはゼアスの救出に成功した。

 

蘭萌「あの怪獣って、味方…?」

 

アカネ「あれはZカプセル光獣『ミラクロン』って言ってね…所謂カプセル怪獣って呼ばれる奴、つまり私達の味方だよ?」

 

亜子「何で分かるの?」

 

アカネ「私じゃないよwウルトラ博士の直喜君が言うんだから、確実だよ♪」

 

タツミ「そういや神山の奴、怪獣に詳しいんだよな?」

 

ユタカ「俺も今度神山に聞いてみよっと。」

 

ミラクロンが現れたことで、形成が逆転する。

 

ゼアス「デヤッ!!」ドッゴォォオオオオッ!!

 

ナナシB「グワグワグワグワッ!!

 

ゼアスは『ゼアス・チョップ』をナナシBの脳天目掛けて振り下ろした。

 

ミラクロン「ホギャー!!ホギャー!!」ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!

 

ミラクロンはツッパリをしながら前進し、ナナシAを追い詰めていく。そして、ナナシAを捕らえると…ゼアス目掛けて投げ、その直後…ナナシAを投げた方向に走っていく。ゼアスもナナシBをミラクロンの方に投げ、ナナシBを投げた方向に走っていく。そして…

 

ゼアス「ゼヤァッ!!」ドゴォォオオオオッ!!

 

ナナシAとすれ違い様に、『ゼアスクロス』を繰り出した。ナナシAからは火花が散る。ミラクロンはナナシBに強烈なタックルを繰り出し、ナナシAの近くに転ばせた。

 

ゼアス「ッ!!」

直喜(ミラクロン、行くよ!!)

 

ミラクロン「ホギャー!!」

 

すかさずゼアスは何かを大事に抱えるような独特な動作をした後、腕を逆十字型に組み…青く光る必殺光線『スペシュッシュラ光線』を放った。ミラクロンは両手から赤い電撃を放った。ゼアスとミラクロンの必殺技を受けた2体のナナシは大爆発を起こした。ゼアスとミラクロンの勝利を見届けたツツジ台高校の者達は、大歓声を上げている。ゼアスは右手から修復光線を発射し、壊れた街を元に戻した。そして、上を見上げると……

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

大空へ飛び立って行った。ミラクロンはゼアスをお見送りし、黄金色の光に包まれていった。

 

 

 

直喜「おっと…!」

 

Zカプセルは無事に直喜の手元に戻り、ミラクロンは直喜の元に帰ることができた。その後、クラスへと戻ったのだが……

 

タツミ「あっ、神山!?どこ行ってたんだよ?」

 

直喜「ちょ、ちょっと…お腹、痛くなっちゃって……」

 

ユタカ「マジで!?大丈夫か?」

 

クラスメイト達から心配されたり……

 

さきる「神山!ゼアスの戦い、ちゃんと録画してるからさ…クラスメイトのグループL○NEに送るね!!」

 

ゼアスの戦いを見逃した直喜のために、ゼアスの戦いを録画してる者がいたりと……何よりも…

 

六花「お腹痛くなった!?直喜大丈夫!?」

 

アカネ「す、すぐに胃腸薬…あ、いや救急車を!!」

 

六花とアカネからは過剰に心配され、困ってしまった。将と裕太が止めに入ってくれたのだが……

 

蘭萌「そうだ、なおちんなおちん…これ着てみてよ♪」

 

直喜「えっ!?そ、それって…メイド服…だよね…?」汗

 

亜子「なおちー絶対似合うって!!制服の上からで良いから、1回だけ!!」

 

男女逆転とのことで、裕太と共に女装させられたのは言うまでも無い。

 

 

 

ちなみに、直喜の女装を見た六花とアカネが…恥ずかしがる直喜をスマホでこっそり連写していたことを、直喜は知らなかった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第88話 フジヨキ台へ

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


今日は祝日であるため、学校は休みだ。直喜は夢芽にフジヨキ台に遊びに行くことをL○NEで知らせ、電車でフジヨキ台駅へと向かった。

 

 

 

やがて、フジヨキ台駅に到着し…改札を出ると、夢芽を初めとするメンバー達が直喜を出迎えた。

 

ガウマ「おぉ来たか直喜ィ!!」

 

直喜「こ、こんにちは…ガウマさん…!!」

 

蓬「久しぶり、直喜君!」

 

直喜「う、うん…麻中君…!!」

 

夢芽「皆直喜に会いたいってさ、だから皆で来ちゃった♪」

 

ちせ「直喜先輩、ご無沙汰してます!!」

 

暦「夏祭り以来だよね?」

 

ガウマ隊のメンバーに出迎えられた直喜。続いて……

 

オニジャ「んなっ!?が、ガウマに負けた…」チーン…

 

オニジャを先頭に、怪獣優生思想の4人が到着した。悔しがるオニジャに、あっかんべーをするガウマ。

 

直喜「あっ、そうだ…ねぇ、シズム君……あれ以来、ベンゼン星人の動きは、どう…?」

 

シズム「ベンゼン星人は倒れたよ。でも、残るレディベンゼン星人の足取りが中々掴めないんだ…」

 

ムジナ「私達の円盤生物が調査をしてるんだけど…全然見つからないんだ。」

 

主に、フジヨキ台では…ダイナゼノンと円盤生物を使役する怪獣優生思想が、ここに現れた怪獣と戦っている。

 

直喜「ツツジ台では、変わった怪獣が何体か出て来て…でも、やっつけた…そっちは?」

 

ジュウガ「こっちには歴代ウルトラマン作品に登場した怪獣が度々現れるようになりました。」

 

ツツジ台には、全く新しい怪獣が現れることに対し…フジヨキ台には、ウルトラマン作品に登場した怪獣や超獣が現れるようになった。ダイナゼノンと怪獣優生思想が戦って、何とか倒せてはいるが……

 

ジュウガ「肝心の黒幕が誰なのか、未だに分かりませんね…怪獣を倒しても、特に手掛かりは無しです。」

 

ガウマ「いや、黒幕はレディベンゼン星人じゃねぇのか?」

 

ジュウガ「その確証が無いんですよ。」

 

恐らく、この事態を抜粋させている犯人は『レディベンゼン星人』と仮定しているが…まだ奴が犯人である決定的な証拠が無いのだ。

 

 

 

ちせ「話変わりますけど…直喜先輩、聞いてくださいよ!!」

 

直喜「ど、どうしたの?」

 

ちせ「この間、社会の小テストがあったんですけど…ジブン、満点取りましたよ!!」

 

直喜「ま、満点!?へぇ、スゴいじゃん!!」

 

ちせ「うへへぇ~…ハッ!?ジブン、頑張りました♪」

 

直喜に褒められ、ご満悦な様子のちせ。彼女は直喜から褒められると、すっごく喜ぶんだよ?

 

 

夢芽「……。」

夢芽(なんか、ちせちゃんばっかりズルいな……)

 

 

褒められて喜ぶちせを見て、ヤキモチを妬く夢芽。

 

暦「ちせ…前は不登校だったのに、今じゃ急激に頭良くなったんだよね……直喜君、どんな教育したの?」汗

 

直喜「教育って、ちせちゃんが自分で決めたことだと思います…」汗

 

暦からの質問に困惑しながら返答する直喜。直喜と合流したメンバー達は、あの場所へと向かった。

 

 

 

直喜「よっと…どうもありがとう、ゴルドバーン。」

 

ゴルドバーン「グルルッ♪」

 

直喜「ちょっ、擽ったいってw」

 

直喜とちせと夢芽はゴルドバーンに乗って、蓬と暦とガウマはオニジャが使役するサタンモアに乗って、ムジナはブラックテリナに、シズムはアブソーバに、ジュウガはブラックガロンに乗って『秘密の場所』に到着した。

 

直喜(ここ、僕が家出しちゃった時に…お世話になった場所だなぁ……)

 

ウルトラマンシャドーに負けたことがきっかけで…戦意喪失し、鬱状態になった直喜…そんな時、夢芽に誘われてやって来た場所が、この秘密の場所である。小さな映画館がある地下室に、ツリーハウス等々…秘密基地のような居心地の良い場所だ。

 

サタンモア「……。」フワァ…

 

オニジャ「あっ、おいサタンモア?どこ行くんだよ?」

 

オニジャ達を降ろしたサタンモアは小さくなり、直喜の方に向かって飛んでいく。

 

ムジナ「ん?あっ、ブラックテリナちゃん?」

 

シズム「あれ、どこ行くのアブソーバ?」

 

ジュウガ「どうしたんだ、ブラックガロン?」

 

サタンモアを追いかける形で、ブラックテリナもアブソーバもブラックガロンも小さくなり、直喜の元へ飛んでいく。

 

サタンモア「!!」

 

サタンモアはまるで「退け!!」と言っているのか…ゴルドバーンに威嚇している。サタンモアと共に、ブラックテリナもアブソーバもブラックガロンもゴルドバーンに威嚇を始める。

 

ゴルドバーン「グルルルル…!!」

 

ゴルドバーンも唸り声を上げ、円盤生物達に威嚇を始める。

 

直喜「えっ?…あっ、ちょっと喧嘩はダメだよ!?」

 

直喜がそう言うと、威嚇しあっているゴルドバーンと円盤生物達はすぐに威嚇を辞めた。その後、小さくなった4体の円盤生物は、直喜の周りを旋回し始める。

 

直喜「えぇっと、どの円盤生物が誰のなのか…わかんないなぁ……」汗

 

混乱し始める直喜に、怪獣優生思想は言う。

 

ジュウガ「ブラックガロンは俺が使役しています。後、ブリザードと星人ブニョも。」

 

オニジャ「サタンモアは俺が使役してる。他にはハングラーとブラックエンド。」

 

ムジナ「ブラックテリナちゃんは私が使役してるよ。後、ノーバちゃんとブラックドームちゃんもね。」

 

シズム「アブソーバは俺が使役してるんだ。シルバーブルーメとデモスもね?」

 

直喜「へぇ…でも、どうして円盤生物と仲良くなれたの?」

 

4人「「「「……。」」」」汗

 

直喜の質問に、どう返答しようか困り始める怪獣優生思想。

 

 

ジュウガ「どうします、直喜になんて説明します?」汗

 

オニジャ「いや、どうするって言われたって…どーしよっか…」汗

 

ムジナ「そういえば円盤生物達について説明してなかったっけ…?」汗

 

シズム「いや、正直に言っても良いんじゃない?直喜は俺達のベストフレンドなんだからさ……」汗

 

 

何やらヒソヒソと話している怪獣優生思想の4人を見た直喜は…

 

直喜(あれっ、もしかして…聞いちゃいけなかったこと聞いちゃったかな…?)汗

 

…と、自分を責め始めかける。すると、ブラックテリナが直喜の肩をトントンッと叩く。

 

直喜「…?」

 

直喜が振り向くと、ブラックテリナは外殻の中に触手を入れ…大粒の真珠を1つ取り出し、直喜に差し出した。

 

直喜「えっ、くれるの?」

 

ブラックテリナ「♪」

 

直喜「あ、ありがとう…ブラックテリナ……」

 

直喜がブラックテリナから受け取った真珠は、『白蝶真珠』のように金色の光沢がある。

 

直喜「うわぁ、キレイだなぁ…!!」

 

真珠を手に取ったことの無い直喜にとって、生の真珠を手にすることは貴重な経験になったようだ。

 

ムジナ(ブラックテリナちゃん、ナイス!!)

 

グッドサインを見せるムジナに、ブラックテリナは『やったよ♪』と言うように微笑んだ。小さくなった円盤生物達とふれあう直喜は、すっかり笑顔を取り戻していた。

 

ジュウガ(俺達がまだ、怪獣使いとして人類に牙を剥いていた時…直喜だけはいつも、俺達に笑顔を届けて……)

 

オニジャ(俺ら、直喜の笑顔に何回助けられたんだろうな……)

 

ムジナ(こんな私達と、友達になろうとしてくれたのに…私、直喜に『ありがとう』って言えなかったな……)

 

シズム(誰にでも優しい直喜こそ、俺達にとって…最初で最後の『ベストフレンド』なんだよね…)

 

直喜の笑顔を見て、怪獣優生思想の4人は悲しげな笑顔を浮かべていた。彼らは直喜のことを、『ベストフレンド』と呼んでいる。

 

 

その真相は、別の機会にお話ししよう…




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第89話 『Best Friend』(怪獣優生思想の過去)

元々、『怪獣優生思想』は…怪獣を使役し、ガウマたちダイナゼノンの操縦者たちと対立する勢力であった。所謂、敵キャラ達であり…ガウマからは……

 

『怪獣の思想で動いている』

 

『危ない連中』

 

…と、呼ばれていた。構成員はジュウガ、オニジャ、ムジナ、シズムの4人で、フジヨキ台に潜伏し、各所に神出鬼没に現れる。

 

着こなし方に差はあれど、全員白い軍服を着ており、軍服の左腕部分には、ジュウガ、オニジャ、ムジナの場合は瞳の色と同じ、褐色肌のシズムの場合は瞳の色とは違う黒色の線が入っている。

 

怪獣を操りはするものの…産み出してはいないようで、怪獣の能力による怪現象や怪獣そのものの目撃情報をネット等を利用して収集し、その場に赴いてメンバーの1人が『インスタンス・ドミネーション』を行うことによって、怪獣を自らのコントロール下に置き、破壊活動を始めるのが行動パターンとなっている。但し、その怪獣が倒されれば即退散する。

 

5000年前に生きていた人たちなのだが、日常的には現代社会に馴染んでおり、スマホで怪獣を探していたり、ファミレスで食事をしていたり、東京ビーチランドに再入場料まで払ってまで遊んでいた。

 

 

 

そんな彼らは、人類にとって敵であった。

 

 

ジュウガ『怪獣が世界を導くんだ。』

 

シズム『怪獣優生思想は、怪獣が必要とする世の中を作りたいんだ。』

 

オニジャ『怪獣の力は誰かを殺す為にあるんじゃねえ…人間全員殺すためにあるんだ…!!』

 

 

初めは、人類を皆殺しにし…怪獣のための世界を作ろうとしていたのだが……ある日の夏、熱中症になりかけてぐったりしていた時……

 

直喜『あ、あの…だ、大丈夫…ですか……?』

 

声をかけてきたのが、直喜だったのだ。彼は怪獣優生思想の4人に、お茶を入れてくれたのだ。その後、直喜は『またここに来る』と言い残し、どこかへ去っていった。

 

 

オニジャ『なんだアイツ、俺達のことが怖くねぇのか?』

 

シズム『変わった人間も居るんだね。』

 

ムジナ『でも、あんな奴…いずれは怪獣に殺される運命なのに……』

 

ジュウガ『ですが、人間と関わっていって…彼らの汚れた心を見つけ出せば、人間を殺す理由ができると思います。』

 

 

彼らが初めて接した人間こそ、『神山 直喜』だった。彼らからの直喜の第一印象は…『変わり者』だ。

 

その後日、怪獣優生思想が直喜と出会った場所に来ると…そこに、直喜がいた。彼の近くには、友達と下校する生徒達の姿が…そこに直喜は馴染めていないのか、1人でいた。それも、友達の輪の中に入ろうともしていなかった。やがて、人が誰もいなくなり…直喜1人になった時、怪獣優生思想は直喜の前に姿を見せた。

 

直喜『あっ、来てくれたんだ…!』

 

姿を見せた4人に、笑顔を見せる直喜。そして……

 

 

直喜『僕、神山 直喜って言うんだ…』

 

 

直喜が自己紹介したことで、シズムからムジナ、ジュウガ、オニジャの順番で簡単な自己紹介をし、年齢は直喜と同じ15歳と偽った。彼らの自己紹介が終わると…

 

直喜『ねぇ、僕…君達と、友達になりたいんだ……』

 

…と、直喜は言う。

 

ジュウガ『友達…何故俺達を選ぶんですか?』

 

ジュウガの問い掛けに…

 

直喜『理由は…僕が、君達と仲良くなりたいから……それ以上もそれ以下も無いよ…』

 

…と、返答する直喜。

 

オニジャ『そんな単純な理由なら、やめておけ。』

 

直喜『えっ、どうして…?』

 

ムジナ『私は貴方に興味が無いからよ?』

 

シズム『それに…俺達は怪獣優生思想って言うんだ。つまり、君達人間の敵なんだよ?』

 

直喜『えぇっ!?そ、そうなの!?』

 

ジュウガ『はい。なので、人類の敵と友達になるのは…オススメはしませんし、あまりにも非効率です。』

 

直喜からの手を取らなかった怪獣優生思想は、彼の前から立ち去っていく。そんな彼らの背中を、黙って見送る直喜……

 

その後、直喜は怪獣優生思想の4人を探しに行くようになった。新しい場所に馴染めず、友達がいなかった直喜…数多のウルトラマン達の言葉をバネに、前へと進んでいた。そして、怪獣優生思想の4人を見つけては、「友達になろう」とは言わず…ゲームで遊ぼうとか、学校での出来事を話す等……『友達になる』と言う目的から逸れた方向で、彼らにアタックしていった。それでも直喜を拒み続けた怪獣優生思想だったが、直喜は諦めなかった。朝でも昼でも、夕方でも夜でも…怪獣優生思想の4人を見つけては、積極的に話し掛けていった。

 

直喜『あっ、み、見つけた…!』

 

オニジャ『ちっ、まぁた見つかっちまったか…』

 

直喜『ねぇねぇ、僕ね…ウルトラマンやウルトラ怪獣が大好きなんだ。』

 

ムジナ『えっ、人間なのに怪獣が好きなの?』

 

直喜『うん、ちなみに僕が好きな怪獣はね…』

 

直喜が話す怪獣雑談をきっかけに、直喜に興味を持ち始めるムジナとシズム。

 

直喜『中でも、円盤生物が好きだなぁ。例えば、そうだなぁ……サタンモアはね、地球上の兵器なんてものともしない程頑丈でね…しかも、小型円盤『リトルモア』を大量に放つことができるんだ。口からはエネルギー弾が撃てるし、嘴だって侮れない武器だよ?』

 

シズム『サタンモア以外に、何が好きなの?』

 

直喜『ノーバ!赤いてるてる坊主みたいな見た目が可愛らしくてね…シンプルな見た目だけど、鎌と鞭、目からは破壊光線が撃てるんだ!シンプルだけど強いから、ノーバが好き。』

 

ジュウガ『……。』

 

オニジャ『……。』

 

直喜の話を離れた場所で聞いていたジュウガとオニジャも、次第に直喜に興味を持ち始める。

 

ジュウガ『直喜と言いましたよね?貴方にとって、ウルトラ怪獣の魅力を教えてください。』

 

オニジャ『お、俺にも怪獣についての話を聞かせてくれよな?』

 

ジュウガとオニジャからの言葉に嬉しく思った直喜は、怪獣優生思想にウルトラ怪獣の魅力であったり、怪獣や超獣についての雑談や考察をありったけ話した。怪獣についての話を楽しそうに話す直喜は、怪獣優生思想と友達になれそうだと希望を感じていた。直喜と話していくうちに、彼は『誰かを疑うことは絶対にしない』、『誰に対しても分け隔てることなく優しく接する』のだと分かった怪獣優生思想の4人は…次第に直喜に惹かれていった。

 

直喜『ねぇ、僕と友達になってよ!』

 

直喜のこの言葉に、怪獣優生思想はOKを出した。

 

直喜『ほ、ホント!?うわぁ~い!!♪』

 

彼らからOKを貰った直喜は、子どものようにはしゃぎ…大喜びしていた。しかし、怪獣優生思想の4人は…そんな直喜の嘘偽りも無い純粋な笑顔に、悲しさを感じていた。

 

自分達は人類の敵『怪獣優生思想』…そのため、直喜が自分達と関わっていれば、彼までも人類の敵とみなされてしまう……それを恐れた彼らは、直喜との約束…

 

綾瀬水門で、友達になろう

 

…これを破ったのだ。つまり、彼を裏切ったのだ……怪獣を操り、ダイナゼノンと戦っている中…そこに、直喜がやって来てしまった。人類の敵である怪獣を操っていたこともバレてしまい、彼からは失望されると思っていたのだが……それでも、直喜は最後まで怪獣優生思想を信じ続け、友達になることを夢見ていたのだった。

 

直喜『君達が僕達の敵だろうと関係ない!!それでも僕は、ジュウガ君と…オニジャ君と…ムジナちゃんと…シズム君と、友達になりたいんだ!!』

 

ジュウガ『…直喜……』

 

オニジャ『直喜、お前は本当に変わった奴だよ…けど、お前だけは嫌いじゃねぇぜ!!』

 

ムジナ『直喜…約束を破って、ごめん……』

 

直喜『ううん…僕はもう1度、君達と友達になりたい!!僕、ジュウガ君達を信じてるから…ずっと待ってるから!!』

 

シズム『直喜…今度は、ちゃんと…綾瀬水門に行くから、待っていて欲しい。』

 

彼の思いを聞いた怪獣優生思想は、1週間後に…綾瀬水門に行くと約束した。直喜はこれに大喜びしていたが…その1週間後、通り魔に襲われ、変わり果てた姿で彼らを待っていた。

 

4人『『『『…!!』』』』

 

彼らの視線の先には、真っ赤な血を流し…息絶えた直喜の姿があった。通り魔に襲われ、殺されてしまったのだ。

 

通り魔『ッ!?』

 

直喜を殺した通り魔は、怪獣優生思想を見た途端…逃げ出そうと走ったが、オニジャに捕まった。

 

オニジャ『てめぇ!!よくも…よぐもなおぎをォォオオオオ!!ゆるさねぇ、ゆるさねぇぞォ!!

 

抜け殻と化した直喜を見たオニジャは、大粒の涙を流しながら…通り魔をひたすら殴り続けた。

 

『あの時、直喜との約束を守っていれば…直喜と本当の友達になれたのに……』

 

このとき、怪獣優生思想は直喜との約束を破ったことを、激しく後悔した。ムジナは直喜の遺体を抱き締め、声を上げて大泣きしている。シズムとジュウガは目の前が真っ暗になり、膝からゆっくりと崩れ落ちた。

 

 

 

直喜がこの世を去り、怪獣優生思想の4人は…すっかり活動をすることは無くなった。直喜の居ない世界を生きていても何もない……最期まで自分達を信じてくれ、友達になろうと手を差し伸べてくれた存在は、もういない……直喜を失ったことで、生きる意味が分からなくなった彼らは、今後のことを考えた。そして、5000年前の世界からこの世界に来たように、次元を旅すれば…いつかは直喜と再会できるという考えへと、たどり着いた。そして、長い長い旅へと歩みだしたのだ。

 

オニジャ『…んで、どこに行くんだよ?』

 

ジュウガ『…直喜が話してくれていた…ウルトラマンの世界に行きましょう。』

 

ムジナ『直喜…クスンッ、円盤生物が…大好きって……』

 

シズム『…それなら、まず…ウルトラマンレオの世界で…ブラックスターに行こう。そこでさ、円盤生物達を手懐けようよ。そうすれば、最悪のトラウマを避けることができる。』

 

行き先が決まった彼らは、ブラックスターでブラック指令を倒し…インスタンス・ドミネーションで円盤生物を手懐けることに成功したのだ。12体いたため、1人3体ずつ使役することにした。その後、ブラックスターを拠点に…様々な世界を旅してきた。

 

ジュウガ『直喜が望む世界は、皆が手を取り合って助け合う世界…その為に、平和を乱す輩を倒しましょう。』

 

オニジャ『へへっ、そうだな…直喜の願いを踏みにじる奴は、死ぬべきだ!!』

 

シズム『じゃ、行こうか。』

 

ムジナ『ちょっとは好きに動いても良いよね?』

 

とある世界に降り立った時、『ツミビト』の存在を知った。そこで、シズムはシルバーブルーメを接近させ、欲望に溺れるツミビトに奇襲攻撃を仕掛けた。

 

ツミビト『うわっ!?』

 

自身が築いた至福の楽園が、一気に地獄へと変わり果てて行く。

 

ツミビト『く、くそ!!くそ!!』

 

ツミビトは手に入れたチート能力を発動するが、シルバーブルーメには全く効かなかった。

 

ヒロイン1『きゃああああぁぁぁぁっ!!』

 

ヒロイン2『××君!!』

 

シルバーブルーメの奇襲に、ヒロイン達はツミビトの楽園から逃げていく。洗脳していたとはいえ、自分を守ってくれる保証は無い。

 

ツミビト(この化物…なんでヒロイン達を襲わない!?何故だ!?)

 

シルバーブルーメは悲鳴を上げて逃げ惑うヒロイン達には興味を示さず、ツミビトに向かって触手を伸ばしてきた。

 

ツミビト『!!』

 

ツミビトが右手にナイフを持った瞬間…

 

ダラァ~~…ジュゥゥウウウウウウッ!!

 

黄色い溶解液を垂らし、ツミビトの右腕と共にナイフを瞬時に溶かした。

 

ツミビト『ぎゃああああぁぁぁぁ…!!』

 

そして、触手でツミビトを捕らえると…捕食した。

 

オニジャ『ガッハッハッハッハ、ざまぁみろォ!!』

 

ツミビトが捕食され、大笑いするオニジャ。

 

ムジナ『ねぇ、それってウサギ?触っても良い?』

 

ヒロイン3『へっ?…あ、はい…ど、どうぞ……』汗

 

ムジナは避難してきたヒロイン3の頭に乗っているもふもふのアンゴラウサギを触っていた。やがて、ヒロイン全員が避難し終わったタイミングで…シルバーブルーメはツミビトが築いた楽園を跡形も無く飲み込み、シズムの元に戻ってきた。

 

ジュウガ『貴女方に危害を加えるつもりはありません。』

 

シルバーブルーメに怯えるヒロイン達に声をかけるジュウガ。シルバーブルーメは小さくなり、シズムの近くに飛んで来た。

 

シズム『お疲れ様。』

 

ヒロイン4『き、貴様ら…一体何者なんだ?その怪物は何なんだ…?』

 

ヒロイン4の問い詰めに、シズムが答える。

 

 

シズム『俺達は怪獣優生思想…ベストフレンドを探しているんだ。別に、君達を殺すつもりは無い。円盤生物を使役して、ベストフレンドの思いを踏みにじる輩を退治しているんだ。』

 

 

ヒロイン1『だったらさ、私とも友達になってよ♪出会って3秒で友達が、私のモットーだから!!』

 

シズム『それはちょっとできない相談だよ。』

 

ヒロイン1『えっ、どうして?』

 

シズム『俺達の友達は…“直喜”だけだからさ。』

 

シズムがそう言うと、怪獣優生思想の4人は円盤生物に乗り…どこかへ飛び去って行った。その後も、様々な世界や次元を旅しては、ツミビトを倒し続けた。

 

ツミビトα『!!』

 

オニジャ『おっせぇんだよ…オラァッ!!』ドゴォッ!!

 

ツミビトα『がふぁあっ!?』ドサッ……

 

ツミビトβ『む、ムジナ…!!』

 

ムジナ『気安く名前を呼ばないでくれる?後、死んで?』ドガッ!!

 

ツミビトβ『がぁっ!?』

 

ツミビトγ『な、何が…皆が手を取り合って助け合う世界だ……この世界は、弱肉強食…弱い輩は強い奴の餌になるしかねぇんだよ…!!』

 

ジュウガ『そうですか…では、貴方には円盤生物の餌になって貰いましょうか?』

 

ジュウガがそう言うと、巨大化した円盤生物が…ツミビト達を次々と捕食していった。

 

ブラックドーム『ゲフッ…』

 

ムジナ『ブラックドームちゃん、美味しかった?』

 

ブラックドーム『……。』フルフル…

 

ムジナ『…そっか。』

 

ハングラー『オエ~…』

 

オニジャ『おいおいハングラー、ちゃんと喰わなきゃ強くなれねぇぞ?』

 

ジュウガ『焼いたらどうでしょう、ブリザード。』

 

ブリザード『キュォォオオオオッ!!』ゴォォオオオオ!!

 

ブリザードは炎を吹き、肉塊となったツミビトを焼いた。それを食べたハングラーは、満足したのかゲップをした。

 

シズム『さ、次の世界に行こうか。』

 

ムジナ『えぇ、私達のベストフレンドを探しにね?』

 

オニジャ『おっしゃあ!!』

 

ジュウガ『はい、行きましょう。』

 

使役した円盤生物達は、ツミビトを喰らい…どんどん力をつけていった。そんな円盤生物達と共に、数千年の時を超え、とある世界にたどり着いた。そこで漸く…神山 直喜(ベストフレンド)を見つけた。

 

直喜『よーし、今日は卵のセールだ…いっぱい買おっと。』

 

直喜は生きている。地面に足をつけて歩き、怪我も病気も無く…ちゃんと生きていた。

 

オニジャ『うおおおおぉぉぉぉ!!なおぎぃぃいいいいいい!!』ボロボロ…

 

ムジナ『直喜ィ…うぅっ、生きてる……直喜が生きてる…よがっだよぉぉおおおお!!』ボロボロ…

 

ジュウガ『漸く、直喜と…ぐっ、うぅ……』ツー……

 

シズム『会いたかったよ、直喜…』ツー……

 

彼の元気な姿を見た瞬間…怪獣優生思想の4人は、声を上げて(特にオニジャとムジナが)泣き出す程、喜んだのだ。そして、タイミングを見計らって彼に声を掛け、今では親しい仲となっている。

 

 

 

そして現在……

 

直喜「ねぇねぇ、今度のウルトラマンフェスティバル…オニジャ君達も行ってみてよ!きっと面白いからさ!!」

 

オニジャ「おう、ぜってぇ行く!!」

 

ムジナ「直喜も行くの?」

 

直喜「うん!毎週日曜日は、ウルフェスの日だから!!ウルトラ怪獣だって沢山いる!!怪獣酒場がオススメだよ?」

 

ジュウガ「怪獣酒場…興味深いですね。」

 

シズム「何だか面白そうだね、直喜。」

 

直喜「うん!!」

 

怪獣優生思想は、無邪気な笑顔で話す直喜と共にいる。同じ世界で、同じ地球(ホシ)で…生きている。

 

ジュウガ(俺達は、直喜の笑顔に…何度も助けられた……)

 

オニジャ(直喜に会えなくて寂しかった時だって…直喜が笑っている顔を思い出して、何度も希望を持てた……)

 

ムジナ(ありがとう、直喜…私達にも、生きる希望をくれて…優しくしてくれて……)

 

シズム(そして今、俺達を楽しい空間に連れてってくれている…ありがとう、直喜…直喜は俺達にとって、最高の友達……ずっと、ずっと……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『Best Friend』』』』

 

 

怪獣優生思想にとって、直喜は…親友(ベスト・フレンド)なのだ。



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第90話 Smile Smile(夢芽の過去)

南 夢芽……彼女はここ『フジヨキ台』に住む、何の変哲も無い少女だった。都立フジヨキ台高校に通う女子高生で1年3組。制服リボンやネクタイを着用していない。ほとんど笑顔を見せず、常に無表情で、物憂げな雰囲気を纏っている。

 

かつて彼女と直喜は、フジヨキ台高校に直喜が転校してきた時に出会った。

 

直喜『ぼ、僕は神山 直喜…き、君は?』

 

夢芽『南 夢芽……』

 

直喜『よ、よろしくね南さん…!!』

 

出会って早々、直喜は夢芽と打ち解けようとしていた。だが、夢芽は自分のことを「どうかしてるんだよ」と言い、中々打ち解けられずにいた。彼女は適当な男子生徒を「自分の話を聞いてくれる気がした」と称して、どこかに呼び出してはそのままバックレるという行為を日常的に繰り返しており、「嘘をつくのが体質になっている」とまで評され、クラスの女子にも知られている。実際それで人を怒らせることも少なくない。

 

夢芽『神山君、綾瀬水門に来てくれる?ちょっと話がしたいから…ついたらそこで待ってて欲しい。』

 

直喜『綾瀬水門に来れば良いんだね?うん、わかった。』

 

直喜もターゲットにされてしまったのだが、彼は人を疑うことはしない。

 

直喜(南さん遅いなぁ、どうしたんだろう…?)

 

学校が終わった後、すぐに綾瀬水門に向かって…夢芽が来るのを待っていた。しかし、いつまで経っても…彼女が現れることは無い。それでも直喜は、夢芽が来てくれることをずっと信じ、夜になっても待ち続けていたのだが…この時の季節は冬……

 

直喜(み、南さん…やっぱり何かあったのかな……で、でも…ここで待ってて欲しいって言ってたし……)

 

段々身体の感覚が無くなって来ている直喜は、寒くて震えながらも…夢芽のことを待っていた。しかし、次第に意識が朦朧としてきて…目の前が真っ暗になった。

 

 

 

後日…

 

 

生徒A『あれっ、神山が来てないね?』

 

生徒B『ホントだ…もしかしてだけどさぁ、南の奴にやられたんじゃ?』

 

フジヨキ台高校の1年3組の教室に、直喜の姿は無かった。

 

夢芽(神山君、どうしたんだろ……まぁ、適当に帰ったかもね……)

 

夢芽は何事も無かったように、席に座る。やがて、ショートホームルームが始まり…担任から驚きの事実を告げられる。

 

担任『神山だが…肺炎を発症してフジヨキ台総合病院で入院することになった。何でも、寒い中…外で誰かを待ってたみたいでな……』

 

なんと、直喜が入院してしまったのだ。昨日…寒い夜の中、ずっと外にいたため…肺炎を発症してしまい、救急車で病院へと運ばれたのだ。

 

夢芽『ッ!?』ガタッ!!

 

担任『あっ!おい南、どこいくんだ!?』

 

それを知った夢芽は、学校を飛び出し…フジヨキ台総合病院へと向かった。

 

夢芽(もしかして、ずっと待っててくれてたの…?じゃあ、神山君が入院したのは、私のせい…!!)

 

昨日、夢芽は直喜を綾瀬水門に呼び出してバックレたのだ。この時、夢芽は今までの自分を激しく呪った。これまでも、どこかへ男子を呼び出してはバックレることを繰り返していたが…直喜のように、ずっと待っていてくれる者は誰もいなかったのだ。そのため、今回のような大事になることは無かった。

 

 

BGM〜合唱『Smile Again』〜♪

 

 

病院につくと……

 

直喜『……。』スヤスヤ…

 

直喜はベッドの上で、寝息を立てて眠っていた。

 

夢芽『……。』

 

幸い、迅速な処置が行われたため…大事には至らなかった。

 

夢芽『…か、神山…君……!!』

 

気が付くと、夢芽の目からは涙が流れ落ちていた。

 

夢芽『ご、ごめんなさい…ごめんなさい……』ポロポロ

 

眠っている直喜に、涙ながらに謝罪を繰り返す夢芽。その時…

 

直喜『…ん?』パチッ…

 

直喜が目を覚ました。直喜の視線の先には、泣きながら何度も謝罪の言葉を繰り返す夢芽の姿があった。

 

直喜『泣かないで?君は、笑ってる顔が素敵なんだから…後、やっと来てくれたんだね。僕はね、君が来てくれるってずっと信じてたんだ。』

 

目を覚ました直喜は、泣いている夢芽に優しく微笑みかける。

 

夢芽『…うっ…グスッ、グスッ……』

 

直喜『僕は大丈夫、だから笑って?ほら、スマイルスマイル♪』ニコッ♪

 

約束をしてはバックレることを繰り返していたのが災いし、人を怒らせてしまうことがあった夢芽。しかし、直喜は怒っていなかった。最後まで自分を信じて、ずっと待っていてくれていたのだ。『スマイルスマイル』…そんな彼の優しく、温かい言葉に夢芽は救われ……漸く、笑顔を見せることができた。

 

あんなに酷いことをしたにも関わらず…自分を許してくれた直喜を見て、夢芽はもう…約束をすっぽかすことを止めた。それ以来、彼女は少しずつ周囲から信頼を取り戻して行き…友達も増えるようになってきた。直喜は体調も回復し、1週間程で退院できることがわかった。

 

夢芽(私が変われたのは、神山君の……ううん、直喜のおかげ…今度、お礼をしなきゃ♪)

 

直喜との出会いがきっかけで、自分を変えることができた夢芽は…直喜が退院して、このクラスに戻ってきた時に…直喜にお礼をしようと思っていた。しかし……その矢先、直喜が通り魔に襲われて命を落とした…というニュースが舞い込んで来たのだ。

 

担任『退院した後…綾瀬水門…近くで……刺されて…しまった、らしい……』

 

担任は言葉を詰まらせながら、話している。

 

夢芽『……!!』

 

初めは「そんな筈無い」と否定していた夢芽だったが…後日、彼の遺体を目にした途端……何もかもが真っ白になった。漸く直喜が死んだことを理解した瞬間…声を上げて泣く程、彼の死を悲しんだ。

 

 

 

母親『夢芽、学校は?』

 

夢芽『~~ッ!!』

 

直喜が亡くなり、夢芽は自室に閉じ籠ってしまい…毎日毎日、泣いてばかりいた。

 

夢芽(直喜が死んだのは、私のせい…いっそ、私も……)

 

精神が病んだ彼女は、カッターナイフを取り出し…リストカットをしようとしていた。その時…

 

 

???『待ちなさい。』

 

 

どこからか…聞き覚えの無い声がしたため、振り向くと……そこには、エジプト神話風の衣装に身を包んだ若い女性の姿があった。

 

夢芽『…だ、誰…?』

 

マート『私はマート…貴女、本当に死んでも良いの?』

 

夢芽『…は?』

 

マート『私と契約してくれるのなら、直喜にもう1度会えるチャンスをあげるわ。どう、欲しい?』

 

夢芽『直喜は、もう…この世にはいないんだよ……もう1度会えるなんて、そんな夢物語…』

 

マート『あるからこう言ってるのよ?言っておくけど、私は神……不可能を可能にすることができるわ。直喜の大好きなウルトラマンみたいにね?』

 

現れた謎の女性は『マート』…紛れもなく、神である。

 

マート『さ、来るの?それとも来ないの?』

 

夢芽『……。』

夢芽(どんな形でもいい…だから、直喜に会いたい……)

 

マートの問い掛けに、夢芽は……

 

 

夢芽『け、契約…しますから……直喜に…会わせて、ください…!!』

 

 

…と、答えた。

 

マート『…契約成立ね。』

 

こうして、マートと契約した夢芽は…彼女から説明を受ける。

 

マート『直喜に会いたいなら、私からの依頼をこなして貰うわ。南 夢芽…貴女には、ツミビトの退治をしてもらう。』

 

夢芽『…つ、ツミビト……?』

 

マート『えぇ…罪を悔いることなく、罪を犯し続ける愚か者…自分の欲を満たすため、世界を壊す悪党よ。ソイツらを退治してくれるなら、直喜に会わせてあげるわ。』

 

マートの依頼を受けた夢芽は、マートと共に別の世界へと飛ばされた。

 

 

 

降り立った世界で、『飛鳥川 ちせ』と出会った。

 

ちせ『それで、どうやって退治するんですか?』

 

マート『今から貴女達に力を与えるわ…但し、簡単には使いこなせると思わないことね。フフフフッ……』

 

マートが夢芽とちせに右手を突き出した瞬間……

 

夢芽『っ!?』ドクンッ!!

 

ちせ『あがっ!?がっ、あぁ…!!』ドクンッ!!

 

彼女達の身体中に一瞬だけ激痛が走った。

 

マート『夢芽、貴女はほぼ全てのウルトラ怪獣の技が使えるわ…ちせ、貴女はほぼ全てのウルトラ作品に登場する宇宙人の力が使えるわ。その力、上手く使いこなしてね?』

 

マートはそう言うと、ツミビトがいる場所に…夢芽とちせを飛ばした。

 

夢芽『ちょ、ちょっと待って…ウルトラ怪獣の力って……』

 

ちせ『南さん、ジブンウルトラ怪獣のことある程度分かるので…何かあったら聞いて欲しいっす。』

 

ちせに話を聞いてみると…彼女も、直喜と関わっていたようであり…直喜から、ウルトラ怪獣達について教えられたとのこと……そのため、ウルトラ怪獣についてはある程度詳しい。

 

ちせ『例えば…そのツミビトに拘束されたら、電波怪獣『ビーコン』のボディースパークが使えるかも知れないっす。他にも、宇宙大怪獣『ベムスター』の力で相手の技を吸収して跳ね返したり…宇宙恐竜『ゼットン』のテレポートやバリヤー、1兆度の火球とか!』

 

ちせの言葉を頼りに、怪獣達の力を把握する夢芽。そしていよいよ、ツミビトとの戦いの時がやって来る。

 

 

ツミビトA『おっ!?SSSS.DYNAZENONのヒロインじゃねぇか!!』

 

ツミビトB『しかも夢芽ちゃんとちせちゃん…どっちも推しキャラだから嬉しいぜ…!』

 

 

ツミビト達の姿を目にして、夢芽とちせは言葉を失った。何故なら相手は、自分達と同じ…普通の人間だからだ。

 

マート《見た目が人間だからといって、情なんて無用よ?コイツらを殺せば、この世界から追い出すことができる…迷ったらおしまいだと思いなさい。》

 

マートの声が頭に響き、漸く構えを取る夢芽とちせ。

 

ツミビトB『さて、痛くはしねぇからさ…さっさとオレの嫁になりやがれぃ!!』

 

ツミビトBが夢芽達目掛けて、光線を放ってきた。

 

夢芽『ッ!?』

 

夢芽が両腕で自身の顔を覆った時……

 

ブゥゥウウウウウウンッ!!

 

前方に、バリアが出現し…ツミビトBの光線を防いだ。

 

ちせ『くらえ!!』

 

ちせはバルタン星人の力を発動し、白色爆裂弾を両手から発射した。だが…

 

ちせ『うわぁっ!?』

 

反動が強く、ちせの身体は大きく後方に吹き飛んだ。

 

夢芽『あ、飛鳥川さん!?』

 

ツミビトA『ひゃっはぁ!!』

 

夢芽『ッ!?』

 

一瞬の隙を見せた時、ツミビトAが夢芽に馬乗りした。

 

ツミビトA『ぐへへへ♪まずは夢芽、お前から先にヤッてやるからなぁ♪』

 

そう言うと、舌舐めずりをするツミビトA。

 

夢芽(き、気持ち悪…!!あっ、そう言えば…電波怪獣のボディースパークで!!)

 

夢芽はちせの言葉を思い出し、ショック放電を行った。

 

ツミビトA『ピギャッ!?』

 

夢芽が放ったショック放電により、ツミビトAは白目を向いて倒れ…動かなくなった。しかし…

 

夢芽『か…はっ……!?』

 

夢芽も意識を手離してしまった。この時の夢芽は、与えられた力を使いこなせておらず…先程のショック放電の反動で、自分自身も仮死状態になってしまったのだ。

 

マート(おっと、これはマズイわね…)パチンッ…

 

それを見ていたマートは、仮死状態の夢芽と共に姿を消した。

 

 

 

その後、仮拠点で反省会を行うことに…仮死状態だった夢芽は、マートのおかげで一命をとりとめた。

 

ちせ『すいません南さん…ジブンのせいで……』

 

夢芽『ううん、私もこの力を使いこなせて無かったのも悪いよ……だからさ、特訓しない…?』

 

反省会をした後日、夢芽とちせは特訓をすることに……ちせは様々な武器を素早く出せる特訓とバリアを張り続けて強度をつける特訓…更に、光線を撃ち続け、反動に耐える特訓を行った。夢芽は他の怪獣や超獣の力を組み合わせ、高圧電流に慣れる特訓…更に、組み合わせた怪獣や超獣の力でバリアを強化する特訓、光線及び火炎放射の反動に耐える特訓を行った。この特訓を行ったおかげか、彼女達は漸く…ツミビト達と互角に戦えるようになった。戦いに慣れて来た時、夢芽は奇機械改竜『ギャラクトロン』の力を極め、多彩な技を使えるようになり…ちせは海賊宇宙人『バロッサ星人』の力を極め、多彩な武器を使った戦法を得意とした。

 

 

 

ツミビトと戦い続け、何百年の時が経過した時……

 

マート『結構やってくれたじゃない。それじゃあ約束通り、直喜に会わせてあげるわ。』

 

漸く、会いたかった直喜に出会う時が来た。マートの言葉に、希望を持てた夢芽とちせだが……

 

マート『でもね…直喜は貴女達のことを、覚えていない。それだけは承知してね?』

 

直喜は、夢芽とちせを覚えていないのだった。それでも、直喜に会えるならそれで良いと…夢芽とちせは受け入れた。そして…マートの手によって、ツツジ台にあるとある水上公園近くに降り立った夢芽とちせ。

 

マート『直喜はここに来ているわ。友達と一緒に遊びにね?ところで…水着は持ってきてるかしら?』

 

夢芽『あっ、私持ってました。』

 

ちせ『うへぇ、ジブン持ってないっす~!!』

 

マート『ちせ、貴女は別の機会にね?さぁ夢芽、行ってらっしゃい♪』

 

ちせと共に姿を消したマートを見送った夢芽は、直喜がいる水上公園へと入っていった。

 

 

 

夢芽(いたいた♪あっ、ウルトラマンのゲームやってる…へぇ、直喜はゼアスが好きなんだ。)

 

ゲームに夢中の直喜に近付いて行く夢芽は、直喜に声をかけた。

 

 

夢芽『ゼアス良いよね♪でも、私はネクサスが好きだな~?』

 

直喜『えっ…?』

 

夢芽に声を掛けられた直喜は、目を丸くしている。

 

直喜『え、えっと……ど、どちら様…で、しょうか……?』

 

困惑する直喜に、夢芽は自己紹介をする。

 

 

夢芽『(みなみ) 夢芽(ゆめ)…好きなのは、海洋古生物とウルトラマン…特技は~…ふ・い・う・ち♪』

 

 

自己紹介した後、夢芽は彼に近づくと…頬にキスをした。

 

直喜『ひゃっ!?///』

 

直喜は驚いて顔を赤くし、固まってしまった。

 

夢芽『また会おうね、直喜♪』

 

夢芽は直喜に手を振り、去っていった。

 

 

夢芽『……。』

夢芽(やっぱり、忘れられちゃってたか…ま、直喜に会えただけでも…嬉しかったな……)

 

水上公園から去っていく夢芽は…どこか、寂しそうな表情を見せていたが……数百年ぶりに直喜との再会を果たし、喜びに満ちていた。

 

夢芽(スマイルスマイル♪直喜が私にかけてくれた、魔法の言葉……今もずっと、覚えてるよ。)



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第91話 ちせの過去

低クオリティ注意…


東京のフジヨキ台に住む『飛鳥川 ちせ』……

 

アヤメ中学校に在籍する中学生ではあるものの、自主的に不登校を貫いており、「忌まわしきアヤメ中学」とまで言っている。ただし、中学校のL○NEは温存しているので、ここから不審者情報を入手できている。

 

普段は20歳近く年の離れた従兄の山中暦の部屋に入り浸っており、明らかに暦の部屋より広い自室を就寝時は利用している。 自室にはピアノやギター、レコードが置いてあり、バンドグループであろう『GOLDBAN』のポスターやそのマスコットがデザインされた寝間着を持っている。

 

何故、彼女が不登校になったのかと言うと…

 

 

生徒1『えぇ~、ウルトラ怪獣?センス無さすぎ~w』

 

生徒2『可愛くな~いw』

 

生徒3『男子じゃんwww』

 

 

人間関係で悩んでしまい…挙げ句の果てに、自分の好きな『ウルトラ怪獣』をバカにされてしまった。それらがきっかけで、学校へ行くのが怖くなってしまったのだ。ある日、公園で悩んでいた時…

 

直喜『だ、大丈夫…?』

 

声をかけてきたのが、直喜だった。初めは直喜を怪しんだが…不思議と安心感を覚えたちせは、直喜に自分の悩みを打ち明けた。

 

直喜『へぇ、ウルトラ怪獣が好きなんだ…僕も、ウルトラマンもウルトラ怪獣も大好き!おんなじだね!!』

 

ちせ『……えっ?』

 

この言葉を聞き、次第に直喜に心を許したちせは…直喜との時間が楽しく、次第に学校へ行く意欲も出てきていた。

 

ちせ『直喜先輩…ジブン、やっぱり怖いです。ウルトラ怪獣は好きですけど、またバカにされるのが…怖いです……』

 

直喜『そっか…でもね、ちせちゃん?』

 

直喜はちせにこう言った。

 

 

直喜『自分の好きなことがあるのは、幸せなこと…本気でそれが好きなら、その好きを貫けば良いって…僕は思う。』

 

 

ちせ『ッ!!』

 

直喜『言ってくる人達には言わせておけばいい…自分が何を好きになろうが、そんなの…自分の勝手だからね。文句を言われたりバカにされる筋合いなんて無いさ。』

 

直喜のこれらの言葉に勇気を貰ったちせは、次の日から積極的に学校に行き初め…勉強も運動も頑張った。学校帰りに、直喜と会うのが楽しみになり、よく話をするようになった。

 

ちせ『直喜先輩!!英語の小テスト、満点取りました!!』

 

直喜『へぇ、スゴいじゃん!!』

 

テストで高得点を取ったら、直喜に必ず報告し…彼から褒められることが、ちせの小さな喜びとなっていた。だが、楽しい時間は突如、終わりを告げることになる……

 

直喜が死んでしまったのだ……通り魔に襲われ、ナイフで刺されてしまったのだ。直喜の遺体を見たちせは、仲間達と共に…彼の死を悲しんだ。その日以来…直喜がいない世界で、生きている意味が分からなくなり…また、不登校の道へと戻ってしまったのだ。

 

ちせ『…うぅっ…な、直喜…せんぱい……!!』

 

悲しみに暮れる仲間達の前に、1人の謎の人物が現れた。

 

マート『貴女が飛鳥川 ちせね?私はマート…そっちの世界で言う神様よ?』

 

ちせ『は…?…か、神…様……?』

 

マート『そうよ。私と契約してくれるなら、直喜に会わせてあげる。どう、直喜に会いたい?』

 

ちせ『な、直喜先輩に…もう1度……?』

 

マート『えぇ、約束するわ。ただし、それなりの働きをしてもらうけど…』

 

ちせ『やります!!直喜先輩に会いたいです!!』

 

その人物は『マート』と名乗り…『ツミビトを潰してくれたら、直喜に会わせてあげる』という言葉をかけた。ちせは迷うことなくマートの言葉に乗り…契約した。

 

 

 

契約後、何やら見たこともない景色が広がる世界へと飛ばされ、そこで夢芽と出会った。マートは戸惑う2人に、ウルトラ怪獣及びウルトラ作品登場する宇宙人の力を与えた。何の力も無いまま、いきなり実戦に投入するオリシスと違い…彼女は効率良くツミビトを退治できることを望んでいた。

 

しかし…初めは怪獣達や宇宙人達の力を上手く使いこなせず、ツミビトと戦っても…負けてしまうことが多く、絶望に暮れていた。

 

このままではいけないと感じた夢芽とちせは、特訓をすることに…時には模擬戦を行っては、力比べをもした。

 

ちせ『やぁっ!!』

 

夢芽『ふっ…!!』ガキィンッ!!

 

マグマサーベルを振るうちせに対し、夢芽は自身の身体を硬化させてサーベルを防ぐ。

 

ちせ『コダイゴンの力っすよね?なら、これなら!!』

 

ちせは夢芽から距離を取ると、バロッサ星人の力を発動し…鯛を召喚した。

 

鯛『商売繁盛!商売繁盛!』

 

ちせが召喚した鯛は、商売繁盛と言いながら夢芽を追い掛ける。

 

夢芽『!!』

 

夢芽は無数の魔方陣を召喚し、数多の光線を発射…鯛を破壊した。

 

ちせ(厄介っすねぇ…ゴルドバーンがいれば、楽に勝てると思うんですけど……)

 

ちせには、相棒の『ゴルドバーン』と言う翼竜がいるのだが…この場にはいない。相棒がいない今、己の力で戦わなければならないのだ。ちせは『グロテス星人』の力で両手からエネルギー弾を発射した。夢芽は無数の魔方陣から、ミサイルを発射し…ちせの攻撃を防いだ。その後、左手から赤い魔方陣を出し、そこから光線を発射する。

 

ちせ『やばっ…!?』

 

ちせは咄嗟に、バルタン星人の力を発動…バリアを張って、光線を防ぐ。だが、バリアは意図も簡単に破壊され…ちせは夢芽との模擬戦に敗れた。

 

ちせ『ギャラクトロンの力、強すぎません?』汗

 

夢芽『ギャラクトロンの力に他の怪獣や超獣の力も合わせたんだ。』

 

ちせ『成る程…参考にしてみます。』

 

特訓を重ねるうちに、次第に怪獣や宇宙人の力を使いこなせるようになってきた夢芽とちせ。それ以来、夢芽とちせはツミビトを難なく倒せるようになり…どれくらいの年月が経っただろうか……漸く、直喜との再会を果たした。しかし、直喜本人は彼女達を覚えていなかった。それでも、直喜に会えた喜びが大きく…夢芽とちせは次第に元気を取り戻していったのだった。

 

 

 

マート『さぁちせ…ゴルドバーンと一緒に直喜に会ってきたらどうかしら?』

 

ちせ『そうします!!』

 

マート『それと…ほら、ツミビトが直喜を襲おうとしてるわ。』

 

ちせ『ならすぐに!!』

 

ちせはゴルドバーンと共に、ツミビトの元へ向かい……

 

転生者 A『ほわっ!?ほ、ほわぁぁあああああああああああああああ!?』ジタバタ!!

 

空の上へと拐って行った。

 

 

ちせ『全く…直喜先輩が楽しくゲームしてんのに、邪魔しようとするなんて…ナンセンスっすよ?』

 

 

転生者 A『ッ!?…お、お前は…『飛鳥川(あすかがわ) ちせ』!?』

 

ちせ『うわっ、名前呼ばれた…吐きそう。』

 

Aに名前を呼ばれ、吐き気を覚えるちせ。

 

転生者 A『お、おい!!ここから降ろせ!!』

 

ちせ『いやいや、あんた…何様っすか?人にモノを頼む態度じゃないっすよね?まぁ、降ろしても良いですけど…ここから落ちたら、奈落へ真っ逆さまっすよぉ~♪』ニヤッ…

 

Aの上から目線の態度にイライラしたちせだが、意地悪な言葉を言うとAはすぐに涙目になる。

 

転生者 A『そ、それは止めてくれ!!頼む!!何でも、何でもするから!!』

 

ちせ(あ~あ、もう涙目になって…情けないっすね……)

ちせ『…ん?今何でもするって言いましたよね?』

 

Aの言葉を聞いたちせは、ニヤリと笑う。

 

ゴルドバーン『グルルルッ……』

 

Aを咥えているゴルドバーンは、何だか不服そうな顔をする。

 

ちせ『えっ?コイツマズイの?』

 

ゴルドバーン『グルッ…(うんっ…)』汗

 

転生者 A『待て待て待て待て!!あっ、いや…待ってください!!』

 

ちせ『んもぉ~うるさいっすねぇ…ゴルドバーン、ちょっとコンビニ寄って?』

 

ちせの言葉を聞いたゴルドバーンは、Aを咥えたまま…近くのコンビニへと向かった。そして、ATMでAのお金を全ておろさせ…ご飯やお菓子、飲み物を爆買いさせた。その後も、まだお金がたんまり残っていたのを見たちせは……

 

ちせ『はっくしょん!!』

 

わざとらしいくしゃみと同時に、メフィラス星人の力を発動…拳を握って突き出した右腕から『グリップビーム』をAに放った。

 

ドカンッ!!パラパラ……

 

ちせが放ったビームはAのスレスレを通過し、背後で爆発した。

 

転生者 A『か、金か…わかったわかった!!有り金全部やるから見逃してくれぇぇええええ!!』

 

ちせにビビったAは、全財産(お金)を捨てて一目散に逃げていった。

 

ちせ『えぇ~、そんなつもり無かったんすけどぉ……』汗

 

いきなり大金を叩き付けられ、困ってしまうちせ。

 

ちせ(ま、あっちがくれるって言ったんですから…貰っちゃいますか。)

 

結局、Aが捨てていったお金を貰うことにした。

 

ちせ『さて…ゴルドバーン、直喜先輩の元に送ってくれる?』

 

ゴルドバーン『ギャオオオオォォッ!!』

 

そして、ゴルドバーンの背中に乗り…直喜の元へ向かう。

 

 

 

その後、直喜のすぐ近くにやって来たちせだったが……

 

ちせ(直喜先輩は私を忘れている…なんて声かけようか……)

 

本当はすぐに声をかけたい所…色々と考えてしまった。そして、勇気を出して話し掛けようとした時…

 

トンッ……

 

コンビニの袋が直喜の後ろから軽く肘辺りに当たってしまい、直喜がこっちに振り向いた。

 

 

ちせ(やばっ!?ここは平静を保って……)

ちせ『あっ、すいません…ビックリしました?』

 

 

ちせは直喜に悪戯な笑みを浮かべたが……

 

ちせ(うわっ!!本物の直喜先輩じゃん!!いやぁどうしようどうしようっ!!取り敢えず連絡先…あぁいや……えぇっと……)

 

心の中ではめちゃくちゃテンパっている。そんなちせに、直喜が声をかけてきた。

 

直喜『あ、あの…』

 

ちせ『うひゃあっ!?』ビクッ!

 

数百年ぶりに聞く直喜の優しい声……盛大にビックリしたちせに、直喜は謝罪する。

 

直喜『うわっ!?あっ、ご、ごめんなさい…!!』

 

ちせ『あややや、大丈夫っす大丈夫っす!!あっ、そうだ…』ガサガサ…

 

ちせは持っているコンビニ袋から、大量のお菓子や弁当、パン、おにぎり等を取り出す。

 

ちせ『ちょっとお昼、買いすぎちゃいまして…良かったら食べます?』

 

直喜『あっ、いえ…いいです、自分で買ってきます。』

 

直喜はちせの言葉を断ったが……

 

 

キュルルルル~……

 

 

直喜『…あっ。』汗

 

直喜のお腹が鳴ってしまった。正直者の直喜は、思わず顔を真っ赤に染め上げた。

 

ちせ『やっぱお腹減ってたんすね?あっ、私『飛鳥川 ちせ』って言います♪』

 

直喜『ぼ、僕…か、神山 直喜……こ、高校1年生…です……』

 

ちせ(知ってますよ、私のヒーロー…直喜先輩……)

ちせ『おぉ、私よりも先輩っすね。直喜先輩♪』

 

直喜『せ、先輩だなんて…そんな……』

 

ちせ『それより、お昼食べましょ?あぁ、お金は大丈夫っすよ?知り合いに買って貰ったんで♪』

 

直喜はちせの言葉に甘え…昼食をご馳走になった。

 

 

ちせ(漸くですね…直喜先輩の役に立てたのは……今までは、直喜先輩に助けを求めてばっかりいたし……)

 

 

おにぎりを食べる直喜を見守りながら、ちせは思う。そんな時…公園の入り口付近に、セミロングの黒髪が特徴の少女の姿があることに気付いた。その少女が、直喜と一緒にいた者だと気付いたちせは……

 

ちせ(ふふんっ、お前より私の方が直喜先輩の役に立てますよ~だ♪)

ちせ『……。』ニヤッ……

 

一瞬その少女に、勝ち誇ったような笑みを見せた。その瞬間…少女の目の光がどんどん消えていき、どす黒く染まっていった。

 

 

 

直喜が帰った後、例の少女と戦闘になったのだが…ウルトラマンの技を駆使して挑んで来たため、退却した。

 

ちせ(いやぁ、ウルトラマンの技は反則だって…)汗

 

ゴルドバーンの背中に乗り、フジヨキ台に帰るちせ。

 

ちせ(でも、本当に直喜先輩に会えたのは嬉しかったなぁ……また会いたい…)



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第92話 1人にならないで

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


夢芽「えっ、直喜バイト始めたの?」

 

直喜「う、うん…ウルフェスの準備のね……」

 

直喜がアルバイトをしていることを知り、目を丸くする夢芽。

 

夢芽「それならさ、私がやったのに…私、直喜と結婚できるなら何をされたって平気だし、浮気したって構わないよ?」

 

直喜「う、浮気って…なに……?」汗

 

暦「奥さんや夫がいるのにも関わらず、他の人と身体の関係を持つこと。」

 

直喜「そ、それって…良くないこと、ですよね?」

 

暦「うん。」

 

直喜「ま、真っ直ぐ生きよう…」

 

ちせ「直喜先輩はいつも真っ直ぐじゃないですかぁ!!悪いところなんて1つもありませんって!!」

 

色々な話をしていると、シズムが直喜の元にやって来る。

 

シズム「直喜、レディベンゼン星人の居場所が分かったよ。」

 

直喜「えっ、ホント…!?」

 

シズムが使役する円盤生物『デモス』は、3つのデモスQと1つのマスターデモスに分裂しており、デモスQに超小型の監視カメラが着いている。

 

シズム「場所は、この山々。」

 

直喜「こ、ここって…僕が校外学習で訪れた時の…!?」

 

何と、レディベンゼン星人は直喜が校外学習で訪れた山地の樹海に身を潜めていたのだ。怪しげな女がレディベンゼン星人の姿になり、摩訶不思議な力で怪獣の人形を怪獣にしている瞬間もバッチリ録画されていた。

 

ムジナ「テリナQちゃん達は、その時の録音を取ってきたわ。」

 

ムジナは録音機を起動させ、音声を再生すると……

 

 

『ゼアス…ゼアス…憎い憎い!!直喜って野郎も憎たらしいしムカつく!!あのバカ面見てるとイライラしてくる!!インスタンス・ベンゼネーション!!』

 

 

レディベンゼン星人の声が記録されていた。

 

ムジナ「アイツ…私達のベストフレンドをバカにした!!絶対に許さない…!!」

 

レディベンゼン星人の言葉を聞き、怒りを燃やすムジナ。彼女と一緒に、円盤生物達も怒っている。

 

ジュウガ「どうします?レディベンゼン星人なら、円盤生物達で滅多撃ちにできますが…」

 

オニジャ「じっとなんてしてらんねぇ、ベストフレンドをバカにする奴は…それ相応の罰を与えねぇとなぁ?」

 

ジュウガとオニジャも、レディベンゼン星人の言葉に怒っている。

 

 

直喜「待って…レディベンゼン星人は、僕が倒す…!」

 

 

直喜はメンバー達に言う。何故なら…

 

直喜(レディベンゼン星人が憎んでいるウルトラマンゼアスは…僕が変身してる……これ以上、皆を巻き込んだら……)

 

自分はゼアスと一心同体となっている…レディベンゼン星人の狙いは自分……つまり、これ以上メンバー達と関わっていると、彼らの学校生活が台無しになってしまう。そう考えた直喜は、自分一人で戦おうと考えているのだ。

 

シズム「直喜…もしかしてだけど、1人で抱え込もうとしてる?」

 

直喜「えっ…!?」

 

シズムの言葉にビックリし、目を丸くして驚く直喜。そんな直喜に、メンバー達は優しく声を掛ける。

 

 

シズム「直喜、もっと俺達を頼って欲しい。どんなことでも良いから、もっと頼ってよ。」

 

ムジナ「直喜は私達のベストフレンドだもん。困った時に助け合う、それが友達だからさ。」

 

オニジャ「そうだぞ?ベストフレンドが困っていちゃあ、俺達だってじっとしてらんねぇし…だからさ、俺達のことを頼ってくれ!」

 

ジュウガ「直喜が進む道は、俺達が進む道でもあります。直喜、一緒に頑張りましょう。」

 

夢芽「直喜…ここにいる人達は皆、直喜の味方だからさ…ね、1人にならないで?」

 

ちせ「直喜先輩、利用できることはどんどん利用していきましょ!!何でも1人でやろうとすると、いつか潰れてしまうっすよ?」

 

ガウマ「俺達だって怪獣と戦ってる…んで、この地球(ホシ)を守ってる。だから俺達も頼れよ?」

 

蓬「直喜君、少しでも良いから俺のことも頼って欲しい。俺だって、困った時は誰かの手を借りるからさ。」

 

暦「まぁ、人ってのはさ…誰かの世話にならないと生きて行けないんだよ。誰かに助けを求めるのは、恥ずかしいことじゃないからね?」

 

 

彼らの温かい言葉を聞き、直喜は少しだけ気持ちが楽になるのを感じた。その時……空が突然割れ、その向こうに広がる赤い空間に何かが見えた。

 

 

???「ガアアァァ、オオ!!」

 

 

それは、団扇状の両手に幾つものトゲが生えた巨大な尻尾…頭部にある巨大な1本角が特徴の怪獣だ。

 

ガウマ「こ、こんなタイミングで怪獣かよ…!!」

 

直喜「ううん、あれは怪獣じゃない…超獣だよ!!怪魚超獣『ガラン』…どうしてこんなところに!?」

 

現れたのは怪獣ではない…その怪獣よりも遥かに高い戦闘力を持つ『超獣』だった。この超獣の名前はガラン…口から吐くガランガスで触れたものを分解し吸収する力を持つ。また、角から発するテレパシー光波で対象を操る他、発光させる事によりメカの操縦を不能にしてしまうのだ。

 

ガウマ「よし行くぞ!!直喜、お前は安全な場所へ」

 

直喜「僕も行く!!」

 

直喜の視線の先には、超獣に抵抗するも…次々と撃墜されてしまう戦闘機が見えている。

 

直喜「必死に頑張って、どうしても勝てない時に手を差し伸べる…それが、ウルトラマンだから!!」

 

そして…ピカリブラッシャー2を取り出して、口腔環境をキレイにすると…

 

直喜「ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアッ!!

 

雄叫びと共に、ブラッシャーを天に高く掲げ…目映く、優しい光へと包まれていった。

 

蓬「えぇっ!?な、直喜君が…う、ウルトラマン…!?」

 

ガウマ「俺達も行くぞ!!」

 

ガウマ達も、それぞれのメカに搭乗する。

 

オニジャ「俺達は……」

 

怪獣「「「ガゴォォオオオオオオ!!」」」

 

怪獣優生思想の背後からは、等身大サイズの怪獣達が迫ってきている。

 

ムジナ「アイツらを、倒そうか。」

 

ジュウガ「えぇ…行きましょうか。」

 

シズム「俺達のベストフレンドの邪魔はさせない。」

 

そして、円盤生物達を出撃させ…怪獣達と戦いを始めた。

 

 

 

その頃、暴れまわる超獣ガランの前に…2つの希望が降り立つ。

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

1つは、ウルトラマンゼアス。

 

 

『『『『『合体竜人・ダイナゼノン!!』』』』』

 

 

もう1つは、ダイナゼノンだ。ゼアスとダイナゼノンは、怪獣よりも強い超獣に果敢に立ち向かう。

 

ガラン「ガアアァァ、オオ!!」

 

咆哮を上げるガランの右腕をゼアスが掴み、左腕をダイナゼノンが掴む。そして、息を合わせてガランを投げ飛ばした。

 

ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

地面を転がるガランに、戦闘機はミサイルを…戦車は砲弾を発射した。

 

ドゴォンッ!!ドゴォンッ!!

 

ガラン「ガアアァァ、オオ!!」

 

ガランは口からガランガスを吐き出し、戦闘機も戦車も瞬時に吸収した。

 

ガウマ『フィンガーフォトン弾!!』

 

ダイナゼノンは両手の指から光弾を発射する。

 

ドパパパパパパパッ!!

 

直喜(もうこれ以上吸収はさせない…新しい技を考案したんだ…!!)

 

ダイナゼノンの攻撃に怯むガランに接近するゼアスは、電撃を纏ったキック『ゼアス・ニーキック』をガランの腹に当てる。

 

ゼアス「デヤッ!!」ドッゴォォオオオオッ!!

 

ガラン「ガアアァァ、オオ!!」

 

その後も、『マシンガンキック』や『ゼアス・パンチ』、『ゼアス・キック』等…数々の格闘技を駆使して、ガランに攻撃を命中させる。

 

ガウマ『ウルトラマンに続くぞ!!』

 

ダイナゼノンもガランに接近し、バーストミサイルをパンチと共に叩き込んだ。

 

ガラン「ガアアァァ、オオ!!」チカッ!!チカッ!!

 

ゼアス「ッ!?」

 

ガウマ『ぬおっ!?』

 

すると、ガランは頭部の角を光らせ…テレパシー光線を放った。

 

蓬『ガウマさん!!ダイナゼノンの操縦がきかなくなってます!!』

 

ガウマ『何だと!?』

 

夢芽『多分ですけど…あの超獣のせい…!!』

 

ガランの発射するテレパシー光線は、メカの操縦を封じる力があるのだ。そのため、次第にダイナゼノンの動きが鈍くなってきていた。

 

直喜(しまった…ガランのテレパシー光線を許しちゃった…!!)

 

その時、ガランは口からガランガスを放ち…ゼアスを吸収しようとする。

 

ゼアス「グアッ!?」

 

ゼアスの身体が、次第にガランへと近付いて行く。そして、カラータイマーが赤に変わり…点滅を始めた。

 

ガウマ『ウルトラマン!!』

 

ゼアス「グッ…!!」

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

 

時間は、残り少ない……

 

 

直喜(けど…それは分かってたんだよね!!)

 

ゼアスは両腕を突き出すと、ガランガスを吸引…消し去った。

 

ガラン「ガアアァァ、オオ…!!」

 

ゼアスの新必殺技『ゼアスバキューム』で自慢の武器を吸い取られたガラン。

 

暦『す、スゴッ…!!』

 

ちせ『流石ですね、ウルトラマンゼアス!!』

 

ガランの戦闘力が大幅に低下したタイミングで、ゴルドバーンが現れた。

 

ゼアス「…!!」

直喜(あっ、ゴルドバーン!!)

 

ゴルドバーン「ギャオオォォッ!!」

 

ゴルドバーンは盾のような姿に変形すると、ゼアスの手にやって来た。

 

ゼアス(た、盾…?)

 

直喜(でも、攻撃には使えるよ!!)

 

ゴルドバーンを装備したゼアスは、盾を使ってガランに打撃を繰り出す。

 

ガツンッ!!ガツンッ!!

 

ガラン「ガアアァァ、オオ…ガアアァァ、オオ…!!」

 

本来、盾は防御に使われる物だが…ゼアスに変身した直喜は、これを攻撃に活用していた。その後、ゼアスは空中に飛び上がり…ゴルドバーンを右足に装備する。

 

直喜(必殺…『ウルトラかかと落とし』!!)

ゼアス「ジュアッ!!」

 

ゼアスが空中で勢いよく回転すると、エネルギーが盾となったゴルドバーンに宿る。そのままゼアスはガランの角目掛けて右足を振り下ろした。

 

ドゴォッ!!バキィィイイイイイイッ!!

 

ガランの角が切断され、テレパシー光線が使えなくなった。

 

ガウマ『よし、今だ!!まだまだ踏ん張るぞ!!』

 

ダイナゼノンは全身の武装を展開すると…

 

 

ガウマ『ダイナゼノン・フルバースト!!』

 

 

ガラン目掛けて一斉射撃した。ダイナゼノンが放った武装の内、ペネトレーターガンから放たれた光線が、ガランの右腕を切断した。すかさずゼアスは、上半身を右方向に大きく捻り…

 

 

ゼアス「シェアッ!!ビィィイイイイイイッ!!

 

 

振り向き様に腕を逆L字型に組むと、そこから青い輝きを放つ光線を発射した。この光線は、以前…六花が放ったウルトラマンエースのメタリウム光線を参考にした必殺技『メタリューリュ光線』だ。ゼアスとダイナゼノンの必殺技を受けたガランは、大爆発を起こした。ゼアスとダイナゼノンが勝利した時、ガランに吸収された戦闘機や戦車が地上に戻ってきた。

 

蓬『超獣に吸収された戦闘機達が…!!』

 

夢芽『中にいる乗組員も無事みたい…流石だね、ウルトラマンゼアス。』

 

ゼアスは破壊された街を元に戻し…『ゼアスキャン』を発動し、浄化作用を持つ特殊なエネルギー波で修復した街を除菌した。

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

そして、大空へと飛び立って行った。

 

 

 

オニジャ「オラッ!!」ドゴッ!!

 

怪獣「ピギャッ!?」

 

ジュウガ「あちらは片付いたようですね。」

 

その頃、怪獣優生思想は…等身大サイズの怪獣軍団と戦っていた。彼らが使役する円盤生物達は、戦いに慣れているのか怪獣軍団をものともしていなかった。得意技を披露しては、怪獣を確実に倒していく。仲間達が倒されていく中、残りの怪獣達は逃げ出そうとしているのか…怪獣優生思想達に背中を向け始める。

 

シズム「逃げるつもり?」

 

ムジナ「そうは行かないよ!!」

 

逃げようものなら、円盤生物達の口の中…シズムのシルバーブルーメが大口を開けて逃げる怪獣達を飲み込んでいく…ムジナのノーバは上から怪獣達に覆い被さり、空中に浮き上がると…そこに怪獣達の姿は無かった。

 

 

 

怪獣退治が終わり、メンバー達は全員無事だった。レディベンゼン星人の居場所が分かったため、直喜はツツジ台に帰ることにした。

 

夢芽「じゃあね直喜、気を付けてね?」

 

ちせ「またいつでも遊びに来てください、直喜先輩!!」

 

シズム「何か困ったことがあったら、いつでも連絡してね。」

 

直喜「うん、皆ありがとう…!!」

 

メンバー達に見送られ、直喜は故郷のツツジ台へと帰った行ったのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第93話 温かいクラス

OP~OxT『UNION』~♪


ある日の平日…

 

文化祭の準備が行われていた。

 

光「内海~、ちょっと良い~?」

 

将「あぁ悪い…今はちょっと手が外せない!!」

 

さきる「うへぇ、困ったなぁ……」

 

直喜のクラスである1年E組は、『男女逆転カフェ』を出すことになり…教室をカフェの空間へ変えていた。只今、大きな看板をドアに吊るそうとしているのだが、かなり重い…

 

直喜「ど、どうしたの…?」

 

さきる「なおちー!!良いときに来てくれるじゃん!!」

 

光「この看板をあそこに吊るしたいんだけど…ウチらじゃ持ち上がらなくて……」

 

直喜「わ、分かった…ふんぐぐぐ…!!」

 

直喜の協力があり、無事に看板を吊るすことができた。

 

光「ありがとう神山君、助かったよ♪」

 

直喜「ど、どういたしまして…えへへ……」

 

お礼を言われ、照れる直喜。そんな素直なところが、彼の周りに人が集まってくる要因でもある。

 

ちなみに…最近はクラスメイト達から『なおちー』とか『なおちん』とのあだ名をつけられている。

 

さきる「そう言えばなおちー…あの怪獣、居ないの?」

 

直喜「あ、あの怪獣って…?」

 

光「たしか…Zカプセル光獣って言ってたっけ?」

 

直喜「…あぁ、ミラクロンのことか…それは、えぇっと……」

 

返答に困る直喜。すると、何故か彼の制服のポケットから、Zカプセルが落ちた。

 

直喜「っ!?」

 

ポトッ……

 

蘭萌「おっ?なおちん、何か落ちたよ?」

 

亜子「って、なんかこれ…光ってない?」

 

直喜(ま、マズイ…!!)大汗

 

しまったと思ったが、既に手遅れである。廊下に落ちたZカプセルから、黄金色の光が発生…段々段々、形を形成していく。

 

 

キラキラキラキラ…パアアアアァァァァッ!!

 

 

ミラクロン「ピヨッ、ヒヨ~ヒヨ~♪」

 

直喜(あぁ、出てきちゃった…)大汗

 

光が消えると、等身大サイズとなったミラクロンが姿を現した。大騒ぎになる……と、思いきや……

 

 

光「か、可愛いぃぃいいいい♪」

 

さきる「ミラクロン来たぁぁああああ!!」

 

タツミ「えっ、ミラクロン?うぉっ!?ホントだ!!」

 

ユタカ「おぉぉおおおお!!マジだ!!」

 

 

何故かクラスメイト達は歓声を上げていた。その理由は……

 

 

~回想~

 

 

昼休み…直喜による怪獣解説が行われていたのだ。

 

直喜「え、えっとね…きょ、今日は、その……み、ミラクロンについて…皆に、は、話そうと思いみゃす…!!」

 

クラスメイト達の前で話す直喜は、緊張しすぎて…噛んでしまった。

 

クラスメイト「頑張れなおちー♪」「神山、大丈夫大丈夫!!」

 

噛んでしまった直喜をクラスメイト達は決して笑わず…エールを送った。

 

六花「あっ、私ミラクロンを描くね?」

 

補助役の六花は、チョークを使って黒板にミラクロンを描いた。

 

なみこ「上手(うま)っ!?」

 

はっす「えっ、六花ってこんなに絵上手かったっけ…?」汗

 

六花が描いたミラクロンはリアリティーが出ており、めちゃくちゃ上手かった。

 

六花(良かったぁ…昨日徹夜で練習した甲斐があったよ……あ、直喜が笑ってる、可愛い~♪)

 

直喜「わぁ~、ミラクロンだ~♪本物みたい!!…ハッ!?」

 

六花の絵に見とれていた直喜は、慌ててミラクロンの解説を始める。

 

直喜「ミラクロンはね…Zカプセル光獣っていう別名があるんだ。Zカプセル光獣は、所謂カプセル怪獣のことで…僕達の味方なんだよ。皆は、カプセル怪獣で知ってるのいるかな?」

 

アカネ「はいは~い♪ミクラスとウインダムとアギラ♪」

 

ユタカ「確か…セブンガーって奴も居たよな?あれっ、違ったっけ、神山?」

 

直喜「セブンガーは怪獣ボールで召還できる怪獣、カプセル怪獣と似た怪獣だよ。ミクラスとウインダムとアギラはカプセル怪獣だね。」

 

次に、直喜はミラクロンの概要及び得意技の解説を始める。

 

直喜「見かけによらず、戦闘力は高くてね…ゼアスの故郷である『ピカリの国』では戦士たちの特訓相手を務めているんだ。彼らカプセル怪獣を所持している事が戦士として認められた証だとされるんだって。後、ミラクロンは頭が良くて、主人にとても忠実で友好的なんだ。主な武器は、両手から放つ電撃と、念力光線『ミラクロン・エレキネシス』だよ。このミラクロン・エレキネシスでね、どんなに重い怪獣でも持ち上げてしまうんだ。」

 

ウルトラマン作品が大好きな直喜は、その話になると…緊張が解けることが多い。この時こそ、彼が『ウルトラ博士』と呼ばれる頭脳を発揮する時なのだ。

 

なみこ「はい質問!!ミラクロンは普段、どこに居るんですか!?」

 

直喜「普段はZカプセルの中にいるよ。」

 

はっす「ウチも質も~ん♪カプセルの中って、狭くて窮屈だと思います。」

 

直喜「『ウルトラマンオフィシャルデータファイル』では、『生命維持装置』や『圧縮空間』といったミラクロンの収容に必要な機構があるって説明がある。だから大丈夫だよ。」

 

亜子「博士!!ミラクロンの好物は何でしょうか!?」

 

直喜「うーん…ミラクロンに直接聞いてみないと分かんないかもw」

 

亜子の質問に答えると、クラス中は笑いの渦に包まれた。

 

 

~回想終了~

 

 

直喜による解説があったおかげで、クラスメイト達はミラクロン怖がるどころか…逆に歓迎していた。

 

直喜「あっ、ミラクロン。」

 

ミラクロン「ピヨッ?」

 

直喜「ぼ、僕のクラスメイトだよ?皆、君の友達だから、安心して?」

 

直喜の言葉に、クラスメイト達は優しい笑顔を見せる。そんな彼らを見たミラクロンは、直喜の言葉を信じ…クラスメイト達の元へ歩みを進めていった。

 

さきる「ミラクロン、サイン貰える?このノートに!」

 

ミラクロン「ピヨッ♪」

 

ミラクロンはサインペンを持つと、さきるのノートに『ミラクロン』と書いてみせた。

 

さきる「ありがと~♪」

 

アカネ「ミラクロン、握手して~♪」

 

アカネが手を差し伸べると、ミラクロンは右手で彼女と握手を交わした。その後も、順番にクラスメイト達と握手していく。

 

ユタカ「そういや…ミラクロンってさ、スペシャルドッグ食うのか?ミラクロン、これ食ってみるか?」

 

ミラクロン「ホヨッ?」

 

ユタカからスペシャルドッグを受け取ったミラクロンは、器用に袋を開け…まずは匂いを嗅ぐ。その後、スペシャルドッグを口の中へと運んだ。

 

ユタカ「ど、どうだ…美味いか?」

 

何故かクラスメイト達は、変に緊張する。少しして…

 

 

ミラクロン「ホギャ~♪」

 

 

ミラクロンはニッコリと笑っていた。どうやら、美味しかったようだ。

 

直喜「あっ、美味しかったみたいだね。」

 

裕太「えっ、どうしてわかるの?」

 

直喜「ドキィッ!?」

 

裕太の言葉に、ビックリする直喜。

 

蘭萌「それウチも知りた~い♪」

 

亜子「ウチもウチも!!」

 

直喜「え、えっとね…」

 

すると、ミラクロンは直喜の近くに来ると…肩を組んだ。

 

ミラクロン「ホヨッ♪」

 

直喜「じ、実は僕…み、ミラクロンとは…そう、友達なんだ…え、えへへへ……」

 

ミラクロンの行動と照れたように笑う直喜を見たクラスメイト達は……

 

 

将「そういうことか。」

 

ユタカ「成る程…互いに分かり会える仲って訳か!」

 

亜子「なおちー誰にでも優しいもんね~♪」

 

アカネ「それそれ!直喜君だったらさ、誰とでも仲良くなっちゃうもんね♪」

 

さきる「それなら、納得だね♪」

 

六花「それが直喜の魅力だからね~♪」

 

なみこ「何故六花が嬉しそうにしてんのさ~?ま、その気持ちはめっちゃ分かる♪」

 

 

すぐに納得した。こうして、ミラクロンはすっかりE組に溶け込み…直喜と同様、マスコットキャラとなった。

 

タツミ「よし、ミラクロン。俺と手押し相撲しようぜ!!」

 

ミラクロン「ピヨッ♪」

 

ちゃっかり手押し相撲を申し込まれたミラクロンは、『挑むところだ!』と言うように…四股を踏み、気合いを入れる。結果…

 

パァンッ!!

 

タツミ「うわっとと…どわっ、強ッ!?」

 

ミラクロン「ホヨ~♪」

 

タツミが負け、ミラクロンが勝った。

 

クラスメイト「「「タツミちゃんとやれ~www」」」

 

六花&なみこ「「ちゃんとやれ~www」」

 

直喜(ゼアス…クラスの皆、ミラクロンを歓迎してくれたよ。)

 

ゼアス(良かったね、ミラクロンに直喜君♪)

 

ミラクロンがクラスメイト達に受け入れられたことで、直喜とゼアスは安心したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人「そう言えば…この前、ツツジ台高校にゼアスが現れたわね?」

 

その頃…とある山にある樹海では……1人身となったレディベンゼン星人が、考え事をしていた。彼女の近くには、まるで家畜のように縛られ、身動きが取れなくなった怪獣達や…アカネが処分する筈だった怪獣の人形がある。

 

レディベンゼン星人(ひょっとしたら…ツツジ台高校にゼアスが紛れているのかもしれないわね。フフフ、イイコト思いついちゃった♪)

 

何か作戦が決まったレディベンゼン星人は、1体の怪獣の元に向かうと……

 

 

インスタンス・ベンゼネーション!!

 

 

怪獣を実体化させ、ツツジ台高校に放った。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第94話 守るべきもの

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


文化祭の準備が終わった頃、ツツジ台高校の上空に1つの光が現れ…近くに落下した。

 

 

怪獣「グオオオオォォォォ!!」

 

 

麒麟やバロンのような聖獣らしいデザインと金色をあしらったカラーリングが特徴的な、四足歩行の怪獣。目は二つだが、その中にはそれぞれに三個の眼球がある異様な顔つきをしている。肩には羽飾りのような構造を持ち、活性化時にはこれを広げる。また、頭からはドレッドヘアーのようなケーブル状の鬣が垂れている。

 

突如として現れた怪獣に、逃げ惑う人々。

 

直喜「ッ!!」

直喜(か、怪獣だ…!!)

 

直喜は慌てて教室から飛び出し、怪獣の元へ向かう。

 

六花「あっ、直喜待って!!」

 

アカネ「直喜君!!」

 

そんな彼を慌てて追い掛ける六花とアカネ。

 

将「取り敢えず皆避難しろ!!」

 

将の言葉を引き金に、クラスメイト達も一斉に逃げ出す。裕太と将はその後、屋上へと向かった。

 

 

 

その頃、屋上では……

 

六花「直喜…行くんだね?」

 

直喜「うん、行く…皆の居場所は、僕が守る…!!それに僕…皆に、助けられてばっかりだし……」

 

直喜はそう言うと、ピカリブラッシャー2を取り出す。

 

アカネ「直喜君、気を付けてね?」

 

直喜「ありがとう、アカネちゃん。」

 

直喜はピカリブラッシャー2で歯磨きを開始し、自身の口腔環境内を綺麗にした。

 

 

直喜『ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

雄叫びと共にブラッシャーを空高く掲げると、直喜は目映く優しい光に包まれていく。それは、1つの光の球体になっていき…怪獣の目の前に落下し、再び目映い光が発生する。

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

その光の中から、光の戦士『ウルトラマンゼアス』が姿を現した。

 

生徒達「あっ、あれは…!!」「ウルトラマンだ!!」「おい、ウルトラマンが来てくれたぞ!!」

 

教員達「あれが、ウルトラマン…!!」「あのウルトラマンは、神山が大好きな…」「えぇ、ウルトラマンゼアスです!!」

 

ゼアスの出現に、人々は安心感を露にしていた。だが、ツツジ台高校の近くに…もう1体の怪獣が姿を現した。

 

怪獣2「!!」

 

それは、カエルのような大きな目、いかにもロボットらしい腕、ビルの意匠が入った金色のボディが特徴で、ブリキのロボットを思わせる怪獣だ。

 

ゼアス「ッ!?」

直喜(あれは、『ビルガモ』!?)

 

それは、【帰ってきたウルトラマン】に登場したロボット怪獣『ビルガモ』だった。しかし、ゼアスの元に救援が現れる。それは、太陽の上から現れ…ゼアスの近くに降り立った。

 

直喜(グリッドマン!!)

 

そう…グリッドマンである。

 

グリッドマン「ウルトラマンゼアス、共に戦おう!」

 

ゼアス「シュアッ!!」

 

ツツジ台高校に現れた2大怪獣に…2大ヒーローが立ち向かう。

 

 

 

レディベンゼン星人「へぇ…グリッドマンもこの学校に居たのね?」

 

レディベンゼン星人はコントローラーを操作しながら言う。どうやら、そのコントローラーでビルガモも操作しているようだ。

 

レディベンゼン星人「ま、捨て駒が倒されるのはまだ良いわ…今はね?」

 

 

 

ゼアス「ジュアッ!!デヤッ!!」ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

ゼアスが放つ『マシンガンキック』は、怪獣『ブルバイン』の顔面を捉える。火花を散らし、地面に倒れるブルバイン。

 

グリッドマン「くっ!!」ガシィッ!!

 

グリッドマンはビルガモにパワー勝負を仕掛け、ツツジ台高校から押し返して行く。

 

グリッドマン「フッ!!ハァッ!!」ドゴッ!!ドゴッ!!

 

そして、ビルガモに肉弾戦を仕掛けていく。

 

ブルバイン「グオオオオォォォォ!!」

 

ブルバインは羽飾りを広げて白い粒子を放つ。すると…

 

ゼアス「グアッ!?」ドゴォンッ!!

 

ゼアスの身体中に重力がのし掛かり、ゼアスをうつ伏せにした。その直後、鬣から光線を放った。

 

ビィィイイイイイイッ!!バチィッ!!

 

ゼアス「ッ!?」

 

光線に怯んだゼアスに、ブルバインは前足で蹴って地面を転がす。

 

ドゴッ!!

 

ゼアス「ジュアッ!?」

 

ドゴッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」

 

裕太(グリッドマン、ゼアスが!!)

グリッドマン「何!?」

 

グリッドマンが一瞬だけ見せた隙を、ビルガモは見逃さなかった。頭部のアンテナから光線を発射し、グリッドマンに命中する。

 

グリッドマン「グワッ!?」

 

その後、右腕でグリッドマンの首を掴み…軽々と持ち上げ、地面に叩き付ける。ツツジ台高校には、まだ逃げ遅れた人たちもいる。

 

六花「早く、こっちへ!!」

 

アカネ「慌てないで!!」

 

直喜のクラスメイト達は教職員と協力し、生徒達の避難誘導をしていた。やがて、全員が校内から校庭へと避難が完了した。

 

さきる「ゼアスー!!皆の避難が終わったよー!!」

 

 

 

さきるの声を聞き、ゼアスは反撃を開始する。

 

直喜(問川さん、皆…ありがとう…)

 

ブルバインは鬣から光線を放って来るが、ゼアスはバリアを張りながらブルバインへと接近していく。

 

ブルバイン「グオオオオォォォォ!!」キラァッ!!

 

しかし、ブルバインはまたもや重力操作を行い…ゼアスを追い詰める。

 

直喜(うぐぐぐ…あの看板を持ち上げたことを、思い出せ…!!)

 

重い身体に鞭を打ちながら堪える直喜。そのおかげで、ゼアスは地面に倒れずにすんだ。

 

直喜(ええぇぇええええい!!)

ゼアス「デヤァッ!!」ドッゴォォオオオオッ!!

 

気合いを入れた直喜と共に、ゼアスはブルバインに『ゼアス・ニーキック』を放った。

 

ブルバイン「グオオオオォォォォ……!!」

 

ブルバインが怯んだタイミングで、ゼアスはスペシュッシュラエネルギーを右腕に纏う。

 

直喜(受けてみろ、必殺『スペシュッシュラブレード』!!)

ゼアス「デヤァッ!!」

 

ゼアスの攻撃は、ブルバインの鬣を次々と斬って行く。やがて、ブルバインの鬣が全て切断され…ブルバインは光線が使えなくなった。形成が逆転したと思った時……

 

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を開始した。

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

 

時間は、残り少ない……

 

 

直喜考案の新必殺技『スペシュッシュラブレード』は、あらゆる物を切断できるというメリットがあるが…その反面、エネルギーを著しく消耗してしまうというデメリットを抱えている。

 

直喜(ご、ごめんゼアス…ここまで考えられてなかった…)

 

ゼアス(大丈夫!!諦めなければ、勝てるから!!見てごらん?)

 

ゼアスからの言葉を聞き、ツツジ台高校の校庭を見ると……

 

 

タツミ「ウルトラマン、頑張ってくれ!!」

 

ユタカ「ゼアス頑張れー!!」

 

アカネ「ゼアスー、頑張れぇー!!」

 

亜子&蘭萌「「頑張れー!!」」

 

 

直喜のクラスメイトを中心に、皆はゼアスを応援している。彼らも、ウルトラマンの勝利を信じ…最後まで諦めていないのだ。

 

ゼアス(直喜君なら大丈夫!!ウルトラ博士と呼ばれている君のおかげで、僕は自信を持てるようになったんだから!!)

 

直喜にとって永遠のヒーロー『ウルトラマンゼアス』からも励まされ…

 

直喜(よ、よし!!行くぞ!!)

 

直喜は再度気合いを入れ、構えを取る。

 

ゼアス「シュアッ!!」

 

そして、ブルバイン目掛けて走っていくが…ブルバインは重力操作を行い、ゼアスを近付けようとはしない。

 

直喜(んぐぐぐぐぅ…諦める、もんっか…!!)

 

先程よりも重い負荷に中々前に進めないゼアス。その時…上空から何かがこちらに降りてくるのが見えた。

 

 

グリッドナイト「ハァッ!!」ドッゴォォオオオオッ!!

 

 

それは、コッテンポッペ戦にて突如現れ…力を貸してくれた巨人『グリッドナイト』だった。グリッドナイトの急降下キックを受け、ブルバインの羽飾りが破壊された。その影響で、ゼアスに掛かっていた重力は無くなった。

 

直喜(わわっ!?か、軽い…!!)

 

グリッドナイト「なお…んっ、んんっ!!ゼアス、大丈夫か?」

 

咳払いをしたグリッドナイトは、ゼアスに手を差し伸べる。ゼアスはグリッドナイトの手を取り、立ち上がった。

 

 

 

将「えっ!?ぐ、グリッドマンが2人!?」汗

 

グリッドナイトの出現に、混乱する将。

 

光「グリッドマンって、ビルガモと戦ってる巨人のこと?」

 

将「あ、あぁ…」

 

さきる「あれっ?紫の巨人の姿が…!!」

 

 

 

グリッドナイトは身体を光らせ…『ウルトラナイトゼアス』へと姿を変えた。

 

ナイトゼアス「ゼアス、アイツは任せた!俺はグリッドマンを助ける!」

 

ゼアス「ッ!!」コクッ!

 

そして、ナイトゼアスはビルガモに苦戦するグリッドマンの元へ向かう。

 

ナイトゼアス「ハアアアアァァァァッ!!」

 

ドッゴォォオオオオッ!!

 

ビルガモ「!?」

 

ナイトゼアスは『ナイトゼアス・ドロップキック』をビルガモに撃ち込み、グリッドマンを助けた。

 

グリッドマン「な、何だ君は?」

 

ナイトゼアス「ウルトラナイトゼアス…グリッドマン、俺が貴様を越えるまで死なせはしない。貴様を倒すのは、俺だからな。」

 

ナイトゼアスはそう言うと、ビルガモに向かって走り出す。

 

ナイトゼアス「うおおぉぉおおおおおお!!」

 

そして、紫色のエネルギーを八つ裂き光輪のような円形状に収束して右腕に纏うと…ビルガモの両腕を切り裂いた。

 

ナイトゼアス「今だグリッドマン!!」

 

ナイトゼアスが空中に飛び上がったタイミングで…

 

グリッドオオォォ・ビィィイイイイム!!

 

グリッドマンはビルガモ目掛けて必殺技『グリッドビーム』を発射した。グリッドビームがビルガモに命中すると、ビルガモは大爆発を起こした。ビルガモの撃破を確認したナイトゼアスは、ウルトラマンゼアスの元へと急ぐ。

 

 

 

直喜(ハアアアアァァァァッ…ハァッ!!)

ゼアス「デヤァッ!!」ドッゴォォオオオオッ!!

 

ゼアスはブルバインの脳天に『ゼアス・チョップ』を叩き込み、次にマシンガンキックを繰り出す。

 

ドゴォォオオオオンッ!ドゴォォオオオオンッ!

 

ゼアス「タアアァァッ!!

 

ドッゴォォオオオオオオオオッ!!

 

最後は炎のようなエネルギーを纏った右足で、ブルバインの顔面を力強く蹴った。

 

ブルバイン「グオオオオォォォォ…!!」ヨロッ……

 

ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

遂に…ブルバインは地面に横たわった。

 

ゼアス「ッ!!」

直喜(よし、今だ!!)

 

すかさずゼアスは、まるで何かを大事に抱えるような独特な動作を行う。その隣に、ウルトラナイトゼアスが来て…ゼアスと同じ動作を行う。そして、腕を広げると…

 

ゼアス「シェアッ!!」ビィィイイイイイイッ!!

 

ナイトゼアス「ムンッ!!」ビィィイイイイイイッ!!

 

ゼアスは腕を逆十字型に組み、必殺技『スペシュッシュラ光線』を発射…ナイトゼアスは腕を十字型に組み、スペシュッシュラ光線のコピー技『ナイトスペシュッシュラ光線』を発射した。ウルトラマンゼアスとウルトラナイトゼアスの光線を受けたブルバインは、木っ端微塵に爆発した。

 

 

 

将「ゼアスとグリッドマンが勝ったぞ!!」

 

将が思わず声を上げると、生徒達も教職員も大歓声を上げた。ガッツポーズをしたり、互いに抱き合ったりしてヒーロー達の勝利を喜んだ。

 

 

ゼアスが街を元通りにし、除菌作業を行っている中…グリッドナイトはグリッドマンと睨みあっていた。

 

ゼアス「ッ!!」

 

作業を終え、それに気付いたゼアスは慌ててグリッドナイトとグリッドマンの間に入り…グリッドナイトとグリッドマンの手を取った。

 

グリッドナイト「ゼアス…別にグリッドマンと争うつもりは無い。そうすれば、直喜に怒られてしまうからな。」

 

グリッドマン「君は、直喜君と知り合いなのか?」

 

グリッドナイト「違う…直喜は俺の、命の恩人だ。」

 

グリッドナイトとグリッドマンが争わないと分かったゼアスは、ツツジ台高校の校庭を見る。そこには…

 

 

「ウルトラマーン、ありがとー!!」「俺達の高校を守ってくれて、ありがとう!!」

 

なみこ「ゼアスゥー!!ありがとー!!」

 

はっす「最高にカッコ良かったぜ~♪」

 

タツミ「ありがとな、ウルトラマン!!」

 

ユタカ「ウルトラマンって本当に強いなぁ…そりゃあ、神山もあんなに夢中になるわけだ!!」

 

さきる「ゼアスー!!大好きだよー!!」

 

光「私もー!!」

 

亜子&蘭萌「「大好きー!!」」

 

 

ツツジ台高校の教職員及び生徒達がゼアスに感謝し、笑顔で手を振っていた。

 

ゼアス「……。」コクッ…

 

ゼアスはゆっくり頷くと、上を見上げ……

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

多くの人々に見送られ、大空へと飛び立って行った。

 

 

 

直喜「おっとっと…!!何だかフラフラするなぁ……」

 

戦いを終えた直喜は、屋上に戻って来ていた。そこに……

 

ミラクロン「ホヨ~♪」

 

六花「直喜、お疲れ様♪」

 

なみこ「大丈夫、直喜?」

 

はっす「ウチらの肩、かすよ~?」

 

アカネ「直喜君!!」

 

ミラクロンに案内され…六花とアカネ、なみことはっすがやって来た。彼女達は、直喜がゼアスであることを知っている。

 

直喜「あ、ありがとう…皆……」

 

なみことはっすの肩をかり、下校する直喜。

 

なみこ「そういえばさ~…直喜って、どうやってゼアスに変身してるの?」

 

はっす「ウチも知りたい。てか、六花とアカネ…見てたんでしょ?」

 

六花「なみこ、はっす…余計な詮索は許さないよ?」ニッコリ…

 

なみこ&はっす「「すいませんでした…」」チーン……

 

アカネ「それならさ…今度パジャマパーティーでもしようよ♪そこでさ、直喜君にインタビューしよ♪」

 

直喜「ちょ、ちょっと待って…ぼ、僕のマンションじゃ…せ、狭いよ…?」汗

 

六花「ならさ、家においでよ♪直喜と一緒なら、なんだって楽しいからさ♪」

 

直喜「そ、そう…?」

 

なみこ「じゃあさ、台高祭が終わったらさ3日ぐらい振替休日があるじゃん?その時にパジャマパーティーやろうよ!!」

 

はっす「賛成さんせ~い♪」

 

明日は文化祭当日…男女逆転カフェは果たして、成功するだろうか……




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第95話 台高祭

OP~OxT『UNION』~♪


その日の放課後……

 

直喜は六花とアカネ、なみことはっすによって…無事に自宅マンションに送り届けられた。玄関前で彼女らと別れた後、自宅に入ろうとしたが……

 

 

直喜「…!?」

直喜(な、何だろう…この気配……?)

 

 

背後に気配を感じたため、振り向く。そこには……何やら、小さな円盤が直喜の目の前をフヨフヨと飛んでいた。何だろうと思ったその時……

 

???『貴方が神山 直喜ね?私が誰だか、分かるかしら?』

 

円盤から、妖艶な女性の声が聞こえてきた。

 

直喜「…へっ?」

 

直喜が困惑していると、またも円盤が話し出す。

 

レディベンゼン星人『私はレディベンゼン星人…ダーリンがゼアスによって奪われたから…だから、ゼアスに復讐すると同時に人類を撲滅するの。破壊こそ芸術って、ダーリンが言ってたようにね?』

 

その声の主は、ゼアスの宿敵の1人『レディベンゼン星人』であった。

 

直喜「レ、レディベンゼン星人…?」

 

レディベンゼン星人『そうよ?まず手始めに…そうねぇ……明日開催される、ツツジ台高校の文化祭を台無しにしようかしら?んふふ、特別な怪獣を使ってね?』

 

直喜「ぶ、文化祭を台無しに…!?や、やめてよ…そんな事をして何になるのさ…?」

 

レディベンゼン星人『言ったでしょ?破壊こそ芸術って……訪れた人間達の逃げ惑う姿や絶望するツツジ台高校の生徒達を見るのが楽しみ…フフフッ、やめて欲しいんなら、力ずくで止めることね♪』

 

直喜「……!!」

 

 

レディベンゼン星人『じゃあね、神山 直喜……いいえ、ウルトラマンゼアス…』

 

 

レディベンゼン星人の言葉に、一瞬目を丸くした直喜。その後、円盤はどこかへ飛び去って行った。

 

直喜(ど、どうしよう…あの話し方じゃ、僕がゼアスであることを分かっていたみたいだ…レディベンゼン星人は凄い自信家だし…あぁ、どうしようどうしよう…!!)

 

ゼアス(落ち着いて直喜君。焦っても良いことは無い…何か作戦を考えよう。)

 

直喜(う、うん…!)

 

直喜は自宅に入らず、作戦を練り始める。

 

直喜(そもそも、特別な怪獣って何だろう…全く想像がつかない……ううん、それよりも…明日、どうしよう…)

 

悩める彼の元に、来客がやって来る。

 

 

2代目「あら、直喜さん?」

 

ナイト「こんなところで何をしている?」

 

 

それは、グリッドナイト同盟の2人だった。

 

直喜「あ、貴方達は…」

 

2代目「はい、グリッドナイト同盟です♪」

 

ナイト「直喜、何か悩み事か…?」

 

直喜「……。」

 

直喜は先程あった出来事を、ナイトと2代目に話した。

 

 

ナイト「何?レディベンゼン星人が。」

 

2代目「それにしても、本当に卑怯なヤツですね…」

 

直喜の話を聞き、眉間にシワを寄せる2人。

 

直喜「へっ?し、信じてくれるの…?」

 

直喜がそう言うと、2代目はクセのある笑い方で笑った。

 

2代目「直喜さんは嘘を言う人じゃないのは分かっていますよw」

 

ナイト「そうだ。俺と友達になってくれた直喜が嘘を言う筈が無い。」

 

直喜の話を全く疑わず、信じてくれるグリッドナイト同盟に直喜は少しだけ安心感を覚えた。グリッドナイト同盟は、直喜の力になると言ってくれ…2代目はレディベンゼン星人の動向を調べ、ナイトは『特別な怪獣』について調べてくれた。

 

直喜(問題なのは明日…逃げ惑う人達や絶望する生徒達って言葉を聞くと、襲撃は午前中か午後……それも、人が多く集まった時にレディベンゼン星人は仕掛けてくるに違いない…)

 

2代目「直喜さん、レディベンゼン星人は恐らく…今まで歴代ウルトラ戦士が戦ったことの無い怪獣をこの街に放って来るみたいです。別の街にはウルトラマンが居ないことを良いことに、歴代ウルトラ作品の怪獣や超獣を放っています。」

 

直喜「こ、この街に…未知の怪獣を……別の街って、フジヨキ台のこと?」

 

2代目「はい。主にフジヨキ台はダイナゼノンや怪獣優生思想、我々グリッドナイト同盟が守っているので、大丈夫です。」

 

直喜「でも、どうしてそんな事を…」

 

ナイト「恐らく…直喜、お前を倒すためだろう…ヤツは夫のベンゼン星人を失って強い怒りに燃えている…ただ、その分冷静な判断力を失っている。」

 

直喜「そう言えば…レディベンゼン星人は、だーりん(?)をゼアスに奪われたって言ってた……」

 

ナイト「直喜…お前は決して間違ったことをしていない。間違っているのは向こうだ。」

 

2代目「そうです!この地球(ホシ)では沢山の生き物が生きてるんです!!その生き物達の住み家を奪おうとするのは、外道の中の外道がやること!!ベンゼン星人が倒れたのも、直喜さんがやって来たことも正解です!!」

 

そもそも、ベンゼン星人が命を落としたのは…まぁ、因果応報と言っても過言ではない。これまで、数々の星を破壊してきたのだから。彼が地球を破壊しようと企まなければ…命を落とすことは……無かったのかな?

 

直喜「な、ナイトさんも2代目さんも…あ、ありがとうございました…!!話してみて、何だか…安心しました…」

 

2代目「そんなに畏まらなくて大丈夫ですってw」

 

ナイト「力になれたなら良かった。」

 

 

 

次の日…遂に、この時がやって来た。直喜は早起きをし、ツツジ台高校へと急いだ。

 

直喜「はぁ…はぁ……あ、あれ…?」

直喜(ちょ、ちょっと…早すぎたかな……?)汗

 

時刻は午前6:30…この学校に来ている生徒達は、少数である。

 

蘭萌「あっ、おはよーなおちん♪」

 

直喜「あ…ま、丸佐さん……お、おはよう…」

 

蘭萌「随分早く来たんだね?」

 

直喜「う、うん…ま、丸佐さんは?」

 

蘭萌「ウチ?あぁ、ダンス部の準備があってね。」アハハ…

 

直喜「ぼ、僕に…な、何か手伝えることとか…あるかな…?」

 

蘭萌「大丈夫大丈夫wもう少しで終わるし…六花もアカネもなおちんにメロメロなわけだ♪

 

直喜「…ん?」

 

蘭萌「ううん、何でもない。」

 

蘭萌と別れ、学校内を散策する直喜。

 

直喜(怪しいモノは特に無さそうだね……でも、うーん…落ち着かないなぁ……)

 

今日は文化祭の日である……人生初の文化祭なのだが、それ以前にレディベンゼン星人がこの日を台無しにしようと企んでいるのだ。それだけは、何がなんでも阻止しなければならないのだ。その時…

 

オニジャ「おっ、おーい直喜ィー!!」

 

オニジャを先頭に、怪獣優生思想の4人がやって来た。

 

直喜「うぇっ!?お、オニジャ君達…!?えっと、文化祭…まだ始まってないよ?」汗

 

オニジャ「おっ、そうだったか…いやぁワリィワリィw」

 

ジュウガ「直喜…何だか落ち着きが無いように見えますが…?」

 

直喜「あっ…あ、あのね……」

 

直喜は昨日の出来事を4人に話した。

 

ムジナ「最っ低…私達のベストフレンドの楽しみを奪おうとするとか…!!」

 

シズム「話してくれてありがとう、直喜。俺達も喜んで協力するから。」

 

直喜「皆…本当にありがとう……なんてお礼をしたら…」

 

オニジャ「礼ならいいってw俺達は直喜と居られるだけで、幸せなんだからよ♪」

 

怪獣優生思想は、円盤生物を放ち…ツツジ台高校の警備をさせた。そして、一旦高校から出た。

 

 

 

時刻は午前8:00…『台高祭』が始まった。直喜達のクラスは『男女逆転カフェ』をやっている。セーラー服を身に纏った直喜は接客ではなく…調理場で料理を作っている。

 

亜子「おぉ~!なおちー料理上手いね!!」

 

直喜「あ、ありがとう…」

 

さきる「独り暮らしなんだっけ?」

 

直喜「う、うん…両親も親戚もいないからさ……」

 

さきる「…えっ?」

 

光「さきる…」

 

さきる「あ…ご、ごめんねなおちー…辛いこと、思い出させちゃって」

 

直喜「ううん、気にしないで…今はもう、寂しくないから。」

 

優しく微笑む直喜を見て、罪悪感を感じてしまったさきる。

 

タツミ「神山…問川のこと、怒らねぇのか?」

 

直喜「怒らないよ…w」

 

亜子「でもさ…今のは怒られてもしょうがないことだと」

 

直喜「問川さんも、悪気があって言った訳じゃないんだし…そ、そうだよね…問川さん?」

 

さきる「は、はい…!!」

 

直喜「それじゃあこの話は終わり!今はさ、文化祭を楽しもうよ…!!」

 

子どものような無邪気な笑顔に、さきるは救われ…笑顔を取り戻していった。

 

 

直喜「み、皆も笑ってよ!ほら、スマイルスマイル♪」ニコッ♪

 

 

直喜が両手の人差し指を頬につけて微笑むと……

 

さきる(うおぉぉおおおお!!て、天使だ…!!)パシャシャシャシャ!!

 

光(いやいや待って…神山君、その格好でその笑顔は反則だよぉ…///)パシャシャシャシャ!!

 

亜子(ここに本物の天使がいる!!)パシャシャシャシャ!!

 

タツミ(ヤベッ、男の俺でもノックアウトだ…)パシャシャシャシャ!!

 

メンバー達は一斉にスマホを取り出して直喜の『スマイルスマイル』を連写した。

 

女性客1(えっと、男女逆転カフェだから…あの子は、男の子だよね?めっちゃ可愛いんだけど…!!)

 

女性客2(とりま写真撮っとこ♪)パシャシャシャシャ!!

 

女性客3(か、可愛い…ジュルリ♪)

 

彼のスマイルスマイルは、特に女性客から大絶賛を受けていた。おいコラ最後…(汗)

 

ユタカ「神山、そろそろ休憩入れよ?後は俺らに任せてくれ。」

 

直喜「う、うん…ありがとう…!!」

 

休憩を貰った直喜は、調理場から離れると…正門前に向かった。

 

 

 

直喜「……。」

直喜(まだ動かないようだ…お客さんも段々増えてきたからなぁ……)

 

隆也「おっ!?お、お前…直喜か?」汗

 

直喜「あっ、隆也君!!あぁ、えっとね…これは……」

 

正門前に着くと、親友の隆也と会った。彼も台高祭に訪れ、直喜のクラスの元へ行こうとしていたのだ。直喜は自身の格好は、クラスの出し物だと隆也に説明した。

 

隆也「成る程なぁ…男女逆転ってことは、口調も女の子風に?」

 

直喜「ううん、そこまではしてないんだ。それだと不自然じゃないかってことで…」

 

隆也「ほぉ…よく考えてるなぁ。」

 

クラスの出し物に、感心する隆也。

 

隆也「ん?なぁ直喜…お前のクラスの出し物、SNSで結構バズってるぞ?」

 

直喜「…へっ?」

 

隆也「ほら、これ証拠。」

 

隆也のスマホを覗き込むと……直喜がクラスメイトに披露した『スマイルスマイル』が急激に注目されており、その影響かツツジ台高校に続々と人が集まって来ていた。

 

六花「あっ、いたいた!!直喜~、ちょっと助けて~!!」

 

そこに、軍服に身を包んだ六花がやって来る。

 

六花「って、あれ?阿部君来てたんだ。」

 

隆也「あぁ、久しぶり。直喜から招待されて来たんだ。てか、六花さん…何やら慌ててるみたいだが…?」

 

六花「あっ、そうそう!!直喜のスマイルスマイルを見たいって人が沢山来てさ~…」

 

直喜「あ…えっと……」

直喜(うわぁ、よ、余計なことしちゃったかな…)汗

 

『スマイルスマイル』をしたことを後悔し始める直喜だが……

 

 

六花「直喜のおかげで今年の台高祭は大盛り上がりになるよ!!もう直喜には頭が上がんない!!」

 

 

六花の嬉しそうな顔を見て、少しだけ気が楽になった。

 

直喜「じゃ、じゃあ隆也君。案内するよ。」

 

隆也「サンキュー♪」

 

隆也を自分のクラスに案内しようとした時……

 

 

ちせ「直喜先ぱーい!!」

 

 

そこに、ちせと夢芽がやって来た。彼女達の後に続いて、ガウマ、蓬、暦もやって来る。

 

直喜「あっ、皆!!」

 

蓬「あれ、直喜君…その格好は?」汗

 

直喜「あっ、えっとね…」

 

やって来たメンバー達にクラスの出し物を説明する直喜。夢芽がスマホを直喜に向けて連写していたが、直喜は気付いていない。

 

ガウマ「へぇ~…中々おもしれぇこと考えたなぁ。直喜、お前結構様になってんじゃねぇか。」

 

暦「まぁ、よく似合ってるよ?」

 

ガウマと暦に褒められ、少しだけ恥ずかしがる直喜。

 

直喜「そうだ…えっと、シズム君達も呼ぼう。」

 

直喜はL○NEを起動し、怪獣優生思想の4人を呼んだ。

 

 

オニジャ「直喜ィー!!」

 

 

メッセージを送ってすぐ…オニジャを先頭に、怪獣優生思想がやって来た。

 

直喜「それじゃあ、案内するね?」

 

直喜は集まったメンバー達を、クラスに招待した。

 

 

 

はっす「おっ、来た来た♪」

 

直喜「じゅ、10名様ご案内しまぁす…!!」

 

精一杯の大きな声で言うと、接客担当の亜子がメンバー達を案内した。やがて、客が皆…料理を注文し終えると……

 

客1「すいません、スマイルスマイルをお願いします!!」

 

将「スマイルスマイル入ります!!」

 

今年の台高祭の名物と化した『スマイルスマイル』がリクエストされた。すると、六花とアカネが何やら喧嘩のような劇を始める。

 

六花「ちょっと、私の直喜を取らないでよ?」

 

アカネ「は?いつからアンタの直喜君になったの?直喜君は私のなんだけど?」

 

急に始まった劇に、困惑し始める客。

 

直喜(あ、あれ?喧嘩かな…と、止めなきゃ…!!)

 

六花とアカネの元に向かう直喜。

 

直喜「ちょ、ちょっと…せ、折角沢山のお客さんが来てくれたんだから…だから……そ、そんなに怖い顔、しないで?」

 

六花「それもそうだね。それじゃあ直喜、皆が笑顔になれるよう…魔法をかけて欲しいな♪」

 

アカネ「私もリクエストする~♪直喜君、お・ね・が・い♥️」

 

直喜「よ、よぉし…!!」

 

直喜は1度深呼吸をすると……

 

 

直喜「み、皆も一緒に…ほら、『スマイルスマイル』♪」ニコッ♪

 

 

『スマイルスマイル』を披露した。その瞬間、クラス内に歓声が上がった。

 

直喜「…えっ?は…はわわわわ///」

 

急に恥ずかしくなった直喜は、思わず顔を真っ赤に染める。彼の両サイドにいる六花とアカネも、『スマイルスマイル』のポーズをして微笑んでいる。それがまた、SNSでバズったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人「へぇ…スマイルスマイル、ねぇ……」

 

その頃、レディベンゼン星人は…SNSでバズり中のスマイルスマイルを見ていた。

 

レディベンゼン星人(神山 直喜…随分有能じゃない?これで、台高祭を台無しにすれば…んふふ♪)

 

レディベンゼン星人は『インスタンス・ベンゼネーション』を発動し…怪獣をツツジ台高校に放った。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第96話 Hey! Say! Nice!!

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


台高祭には、多くの客が訪れている。そんな時…ツツジ台高校の正門前に、何やら光る物が現れ…地上へと落下した。

 

怪獣「グオオオオォォォォッ!!

 

現れた怪獣は、グールギラスに似ているが…体のパーツのほぼすべてがメカになっており、さらに、肩にライフルのようなものが備わっているのが特徴の見た目をしている。

 

直喜「ッ!?」

直喜(か、怪獣だ!!)

 

突如現れた怪獣を見た客は、大慌て…直喜は逃げ惑う人々を掻き分けながら、屋上へと向かった。

 

六花(な、直喜!!)

 

アカネ(直喜君!!)

 

クラスメイト達が避難誘導を行う中、六花とアカネは直喜の後を追い掛けた。

 

隆也「押すな押すな!!焦らなくて良い、さぁこっちへ!!」

 

どさくさに紛れ、隆也も直喜のクラスメイト達と共に避難誘導を行っていた。

 

 

 

屋上では…

 

直喜(多分…あれがレディベンゼン星人の『特別な怪獣』に違いない……グリッドマンが最初に戦った怪獣の強化形態かも…!!)

 

現れた怪獣『メカグールギラス』を見た直喜は、ピカリブラッシャー2を取り出す。そこに…

 

六花「直喜!!」

 

アカネ「直喜君待って!!」

 

六花とアカネがやって来た。

 

アカネ「あの怪獣…グリッドマンのいかなる攻撃も防ぐバリアで身体を守ってる!!首をもがれても戦えるように改造されているから…後は、首から頭部にかけてを装甲で覆うことで、ドリルを形成して相手を攻撃することもできるんだ!!」

 

アカネはメカグールギラスについて知っていた。そもそも、あの怪獣を造ったのは、アカネなのだから……

 

六花「直喜…無理だけは、しないで?」

 

心配そうな顔をする六花とアカネに、直喜は微笑む。

 

直喜「大丈夫…だってウルトラマンは、この地球(ホシ)を、人類を愛している……沢山の人達が信じてくれるから、絶対に負けない…最後は必ず勝つから……不可能を可能にする…それが、ウルトラマンだからね!!」

 

そして、ピカリブラッシャー2で歯磨きを開始し、口腔環境を綺麗にすると……

 

 

直喜『ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

ピカリブラッシャー2を空高く掲げた。目映く優しい光に包まれた直喜は、光の戦士『ウルトラマンゼアス』へと姿を変えていく。

 

 

 

メカグールギラスが現れた後、目映い光を放つ球体が舞い降りると…

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

そこから、ウルトラマンゼアスが姿を現した。

 

客「あれは…!!」「ウルトラマンだ!!」「ウルトラマンが来てくれたぞ!!」

 

ゼアスが現れると…不安に押し潰されそうになっていた客は、笑顔を取り戻した。そして、歓声を上げ…ゼアスに感謝を送っている。

 

直喜(皆の青春は…僕が、守る!!)

ゼアス「ッ!!」ダァンッ!!

 

ゼアスは地面を蹴ってメカグールギラスへと走っていく。

 

ガシィッ!!

 

そして、素早く懐に潜り込むと…体重6万tのメカグールギラスを持ち上げた。

 

直喜(やああぁぁっ!!)

ゼアス「デヤァッ!!」ブォンッ!!

 

ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

気合いの雄叫びと共に、『岩石落とし』でメカグールギラスを投げた。地面に強く叩き付けられたメカグールギラスは、右肩のライフルが折れてしまった。その後、起き上がったメカグールギラスの首を掴むと…

 

直喜(えぇいっ!!)

ゼアス「シュアッ!!」

 

背負い投げで、華麗に投げ飛ばす。初代ウルトラマンに憧れているゼアスと、ウルトラマンを愛する直喜の心が1つになり…見ている人々を見とれさせる程の綺麗な投げ技となっている。

 

 

 

蘭萌「うわぁ…!!」

 

亜子「ちょっとちょっと…ゼアスマジでかっこよすぎ!!」

 

タツミ「あんな投げ技、1度やってみてぇ!!」

 

客「スゴいぞゼアス!!」「頑張れー!!」

 

メカグールギラスを圧倒するゼアスに見とれ…人々は応援を始める。

 

六花(直喜、頑張って!!)

 

アカネ(頑張れ、直喜君!!)

 

六花とアカネは祈りを捧げるように両手を組み、ゼアスの勝利を願っている。

 

なみこ「六花!!アカネ!!」

 

そこに、なみことはっすがやって来る。

 

はっす「あっ、ゼアス…!!」

 

なみこ「直喜が戦ってるんだ…!!」

 

 

 

メカグールギラスを学校から離れた場所に移動させることに成功したゼアスは…初代ウルトラマンを彷彿とさせる構えを取った。

 

メカグールギラス「グオオオオォォォォッ!!」

 

メカグールギラスは口を開くと…火炎放射を放った。

 

ゼアス「ッ!?」

 

間一髪の所で避けたゼアス。メカグールギラスはまたも、火炎放射を放ってきた。ゼアスは空中に飛び上がって避けるが、街は炎の海と化していた。

 

直喜(ま、街が…早く怪獣を倒さないと…!!)

 

焦った直喜は、メカグールギラス目掛けて走っていく。すると、メカグールギラスは再び火炎放射を放った。

 

ゼアス「ッ!?」

 

ザザーー…

 

ゼアスは急ブレーキで止まるが…炎に囲まれてしまった。

 

ゼアス「ッ!?ッ!?」

 

戸惑うゼアスに、メカグールギラスは左肩のライフルから実弾を発射した。

 

ゼアス「ッ!?」

 

ゼアスの近くで、いくつもの爆発が発生し…その影響で舞った砂埃に包まれるゼアス。

 

人々「「「ッ!!」」」

 

人々が言葉を失う中、砂埃が晴れると…そこにゼアスはいた。ホッとする間も無く…メカグールギラスは頭部を装甲で覆うと、ドリルを形成し…空中に飛び上がって、ゼアスに突っ込んできた。

 

ギュィィイイイイイイイイイイインッ!!

 

ズガァッ!!

 

ゼアス「グアアァァッ!!」

 

メカグールギラスの攻撃を受け、ゼアスは背中から地面に叩き付けられた。

 

 

 

六花「直喜!!」

 

アカネ「直喜君!!」

 

 

 

ゼアス「グッ…!!」

 

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

やがて、ゼアスのカラータイマーが青から赤に変わり…点滅を始める。

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

 

時間は、残り少ない……

 

 

直喜(ぐぅ…!!で、でも…負ける、もん…か…!!)

 

全身の痛みを堪えつつも、何とか立ち上がるゼアス。そして、メカグールギラスを掴み…

 

ゼアス「ジュアッ!!デヤァッ!!」ドゴッ!!ドゴッ!!

 

パンチやチョップ等、肉弾戦を仕掛ける。しかし、相手はロボット怪獣…ゼアスのパンチやチョップ、キック等…ものともしていない。

 

 

蘭萌「ゼアス、頑張って!!」

 

さきる「頑張れー、ウルトラマンゼアス!!」

 

将「ゼアス頑張れー!!」

 

客1「ウルトラマン、頑張れ!!」

 

客2「ウルトラマン、頑張ってくれ!!」

 

「頑張れ、ウルトラマーン!!」「負けないで、ウルトラマン!!」「ウルトラマン!!」

 

ツツジ台高校の生徒達…台高祭に訪れた人達は皆……希望の光(ウルトラマン)の勝利を信じ、必死に応援している。

 

隆也「……。」

隆也(ウルトラマンゼアス…もしかして……)

 

すると、隆也は教室を出ていく。彼が向かう先には、目映い光が続いている。

 

???(隆也君、私達も行こう!!皆、ウルトラマンの勝利を信じている…!!)

 

隆也(勿論だ!何せ俺は……日本一のお節介だからな!!)

 

やがて、隆也の身体が目映い光へと包まれていくと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンナーイス!!

 

 

 

ツツジ台高校の近くで、目映い光が発生し…そこから、もう1人のウルトラマンが姿を現した。右腕を空高く伸ばし、左腕を地上に伸ばし…アルファベットの『N』の彷彿とさせるポーズを取っており…赤と銀のカラーリングに乳白色の複眼を光らせ、左胸にカラータイマーがついているのが特徴だ。

 

 

BGM~Project.DMM『ウルトラマンナイス』~♪

 

 

裕太「あっ!別のウルトラマンだ!!」

 

将「えっ!?」

 

亜子「マジ!?あっ、ホントだ!!」

 

客「おぉ、ホントだ…!!」「ウルトラマンが2人…!!」

 

 

六花「あのウルトラマンって…!!」

 

なみこ「ナイスだよナイス!!ウルトラマンナイス!!」

 

はっす「えぇ~!?ま、まさかのナイス…!?」

 

アカネ「あれがウルトラマンナイス…!!う~ん、ナ~イs」ムグッ…

 

六花「アカネ、それはまだ早い…」汗

 

慌ててアカネの口を塞ぐ六花。

 

 

現れた巨人の名は『ウルトラマンナイス』TOY一番星(とーいいちばんぼし)という星から地球を守るためにやって来た戦士である。また、人情味があるコミカルな性格の持ち主で、褒められると照れたり、頼りないと言われたら落ち込んだり…一見頼りないかと思いきや、応援を受けてすぐに立ち直り、最後は必ず怪獣を倒すという…唯一無敗のウルトラマンなのだ。

 

ナイス「ッ!!」

 

ナイスはメカグールギラスを見ると、全力疾走で走る。その後、空高くジャンプすると…

 

ナイス「ナアアァァッ!!ドッゴオオオオォォォォッ!!

 

メカグールギラスの首に全身でぶつかった。ナイスの技『アタタック』を受けたメカグールギラスは、首が切断され…地面に落ち、目の光が消えた。

 

ゼアス「ッ!?」

直喜(あ、あれは…ウルトラマンナイス!!)

 

ナイスは起き上がると、身体についている土をはたき落とし…ゼアスに手を差し伸べる。地面に膝をついていたゼアスは、ナイスの手を取り…再び立ち上がった。

 

ゼアス『ナイス!?』

 

ナイス『ゼアス君、私が来たからにはもう大丈夫だ!!さぁ、共に戦おうじゃないか!!』

 

ゼアス『う、うん!!』

 

ゼアスとナイスはお互いを見て頷くと、メカグールギラスの方を向いて構えを取る。首が切断されても尚、メカグールギラスは動いている。2人のウルトラマンは、メカグールギラスへと走っていく。まず、ゼアスが電撃を纏った膝蹴り『ゼアス・ニーキック』を繰り出す。

 

ゼアス「デヤァッ!!」ドッゴオオオオォォォォッ!!

 

ゼアスの次に、ナイスが左右の拳を超スピードで振り、メカグールギラスに連続パンチを放った。

 

ナイス「ナナナナナナナナッ!!ナアアァァッ!!」

ドガガガガガッ!!ドッゴオオオオォォォォッ!!

 

その後、ゼアスはメカグールギラスの左腕を…ナイスはメカグールギラスの右腕を掴み……

 

ゼアス「タアアァァッ!!」

 

ナイス「ナアアァァッ!!」

 

ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

息を合わせて、投げ飛ばした。ゼアスとナイスに投げ飛ばされたメカグールギラスは、仰向けに地面に倒れた。

 

メカグールギラス「!!!!」ズゥンッ!ズゥンッ!

 

メカグールギラスは起き上がって2人のウルトラマン達へと歩いていく。2人のウルトラマンは正面から迎え撃ち、パワー勝負を仕掛ける。徐々にメカグールギラスを押すと、腹部にストレートを放った。メカグールギラスはヨロヨロと後方に下がる。

 

ゼアス『ナイス!同時キックをやろう!!』

 

ナイス『よし、分かった!!』

 

ゼアスとナイスは同時に走って同時に空中に飛び上がると……

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

ナイス「ナアアァァッ!!」

 

急降下しながらメカグールギラスにキックを放った。ゼアスの『ゼアス・ドロップキック』と、ナイスの『ミレニアムキック』がメカグールギラスの身体を捉える。

 

ドッゴオオオオォォォォッ!!

 

2人のウルトラマンの同時キックを受け、メカグールギラスの身体は後方に大きく吹っ飛んだ。メカグールギラスが地面に倒れた時……すかさずゼアスは、まるで何かを大事に抱えるような独特な動作を取り、両手を広げ…

 

ゼアス「シェアッ!!」ビィィイイイイッ!!

 

腕を逆十字型に組み、必殺技『スペシュッシュラ光線』を発射した。ナイスは親指ポーズを決め、Nを表すように腕を広げ…

 

ナイス「ナッ…ナッ?」

 

腕をクロスさせると、首を傾けた。すると…

 

ビィィィイイイイイイイイイイッ!!

 

ナイスの腕から七色に輝く光線が発射された。これは、ウルトラマンナイスの必殺技『ベリーナイス光線』である。ゼアスとナイスの必殺光線を受けたメカグールギラスは、大爆発を起こした。ゼアスとナイスの勝利だ。

 

 

 

将「ゼアスとナイスが勝ったぞ!!」

 

さきる&光「「やったぁぁああああ!!」」

 

蘭萌&亜子「「イェーイ♪」」パァンッ♪

 

「「「ワァァアアアアアアッ!!」」」

 

ウルトラマンの勝利を見届けた人達は、大歓声を上げて喜んだ。

 

 

 

六花「ナイス♪」

 

アカネ「う~ん、ナ~イス♪」

 

なみこ「ナイス!」

 

はっす「ナイス~♪」

 

4人が親指ポーズをすると…

 

 

ゼアス「ジュアッ!!」(^^b)

 

ナイス「ナッ!」(^^b)

 

 

ゼアスとナイスも、親指ポーズを決めた。その後、ナイスは右手から七色の光線を発射し、壊れた街を元に戻していく。ゼアスは『ゼアスキャン』で周囲を除菌した。やがて、街が完全に元通りになると…ゼアスとナイスは固い握手を交わした。その後…

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

ナイス「ナアアァァッ!!」

 

2人のウルトラマンは、大空へと飛び立って行った。

 

 

 

ゼアスとナイスの活躍により、メカグールギラスは倒れ…台高祭は順調に進んでいった。

 

直喜(それにしても、ウルトラマンナイスって…一体誰が変身してるんだろう……?)

 

体育館裏に降り立った直喜は、考え事をしていた。それは、ウルトラマンナイスの正体についてだ。そこに…

 

隆也「よっ!直喜!!」

 

隆也が現れ、直喜にニカッと微笑んでいた。

 

直喜「た、隆也君…!!」

 

隆也「直喜…もしかしてお前、ウルトラマンゼアスか?」

 

直喜「えっ!?」

 

隆也「驚かなくても良いってwなんせ俺、『ウルトラマンナイス』だからな☆」ハハハッ!!

 

直喜「ええええぇぇっ!?」

 

何と…ウルトラマンナイスの正体は、親友の『阿部 隆也』だったのだ。その証拠に、彼の右腕には腕時計型のアイテム『ナイスドリーマー』があり…中には秘密のチョコボールが入っている。

 

直喜「そ、そうだったんだ…あっ、僕はこれでウルトラマンゼアスに変身できるんだ。」

 

直喜は変身アイテムの『ピカリブラッシャー2』を隆也に見せる。変身アイテムを見せ合い、2人して笑う直喜と隆也。彼らの友情は、誰にも絶ち切ることはできないのだ。

 

 

 

ゼアス(ナイス!?どうしてここに!?)

 

ナイス(いやぁゼアス君…私だってウルトラマンなんだよ?大好きなこの地球(ホシ)を守るのは当然じゃないか!これからは共に、この地球を守って行こうじゃないか!!)

 

ゼアス(そ、そうだね!!)

 

もちろん、ゼアス&ナイスの絆もね♥️




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第97話 曇り空の下で

『Everything happiness for a reason.』

私の好きな言葉です。


午後になっても、台高祭は賑わっていた。直喜は隆也を初め…多くの友人達と回っていた。

 

お化け役「ああああぁぁああああああああ!!

 

直喜「ヒイィィッ!?」

 

お化け屋敷では、直喜はお化けにビビり…隆也や六花、アカネの後ろに隠れた。弱虫な性格の直喜は、お化け屋敷を見ると絶対に入らないのだが…隆也らのペースに合わせ、入ることになったのだ。

 

 

 

次に、なみこがいる茶道部の元へ向かった。

 

なみこ「あっ、直喜いらっしゃ~い♪」

 

やって来た直喜を出迎えるなみこ。本格的なお茶を初めて飲んだ直喜は、驚いた顔をしていた。その顔が茶道部員の心を掴んだのは…直喜には内緒にしておこう。

 

 

 

その後、昼食を買ってランチをすることに……ランチの後、クラスへと戻っていった。

 

織江「やっほ~六花~♪って、あら?誰この美人さんは?」

 

直喜「あっ、こ、こんにちは…六花ちゃんママ…///」

 

織江「えぇっ!?そ、その声…な、直喜君!?ちょっと待って!!めっちゃ可愛いじゃん♪」パシャパシャッ

 

直喜「あぅ…!?と、撮らないで…///」アワアワ

 

スマホで写真を撮られる直喜をみた六花は、半ば暴走する織江を止めた。

 

六花「ママ…直喜が困ってるじゃん!!」

 

織江「ごめんごめん♪だってさぁ、女の子に変身した直喜君が可愛くってぇ♪」

 

織江の言葉に…

 

「それはめっちゃわかる」「確かに…なおちー結構似合ってるもんね?」

 

…と、クラスメイト達は言う。

 

直喜(うぅ…は、恥ずかしい……み、ミラクロン助けて…!!)

 

直喜はポケットからZカプセルを落とし、ミラクロンを出した。

 

 

ミラクロン「ホヨ~♪…ピヨッ?」汗

 

 

何故か女装している直喜を見て、戸惑うミラクロン。六花が事情を説明すると、ミラクロンは納得した様子をみせた。

 

織江「あら?何この怪獣…可愛いじゃない♪」

 

直喜「ぼ、僕の友達の…み、ミラクロンです。」

 

織江にお辞儀をするミラクロン。その後、ミラクロンはクラスの手伝いをしてくれることに…できあがった料理を客の元へ運んだり、客引きをしたところ……E組に続々と客が集まってきた。

 

隆也「ミラクロンが料理やドリンクを運んでくれるのは嬉しいな。ウルトラマンファン達からしたらの話だが…」

 

シズム「この料理は、直喜が作ってくれたの?」

 

直喜「あ、うん…」

 

直喜が作った料理は、直喜の大好物であるホットケーキだ。家庭で作るホットケーキではなく、レストランに出てくるような感じのホットケーキを…試行錯誤しながら作ったのだ。

 

直喜(文化祭だから準備しなきゃって、空回りしちゃったけど……でも、こうして結果に繋がったから良かったぁ…)

 

夢芽「直喜、これ美味しいね♪」

 

ちせ「ハムッ…おぉ~!!スゴいっす!!ホテルとかに出てきそうなフワフワなホットケーキですって!!」

 

蓬「あむっ…ほ、ホントだ…!!」

 

暦「な、直喜君…君、スゴいね…」

 

ガウマ「このホットケーキってやつ、相当うめぇな。」

 

オニジャ「うんめぇ~♪」

 

ムジナ「ん~♪」

 

ジュウガ「これは…今まで食べたパンケーキの中で、最も美味…!!」

 

シズム「美味しいよ、直喜。」

 

彼が作るホットケーキはすぐに材料切れになるほど人気であり、先ほどクラスメイトが買い出しに出掛けて何とか材料を確保してきた。

 

隆也「なぁ直喜…これって、どうやって作ってるんだ?めちゃくちゃうめぇからさ、真似してぇよ。」

 

直喜「そ、それはきぎょうひみつ(?)…だよ…」汗

 

織江「私もホットケーキ頼もうかしら?」

 

直喜「は、はいただいま!!」

 

直喜は調理場に戻り、ホットケーキを作り初める。

 

織江「って、君たちもすごい衣装だね…」汗

 

裕太「あ、あははは…」苦笑

 

将「ど、どうも~…」苦笑

 

裕太は直喜と同じくセーラー服で、将はメイド服であった。織江が裕太と将に辛口コメントを送る中…

 

直喜「お、お待たせ致しました…!!こ、こちら…ホットケーキです…!!」

 

頼んだホットケーキが運ばれてきた。ミラクロンはホットケーキが乗った皿をテーブルに置くと、ナイフとフォークを置いた。

 

直喜「あ、熱いので…お気をつけて…」

 

織江「ありがとう直喜君♪」

 

初めて接客をした直喜は緊張しっぱなしだったが…上手くいったようだ。

 

さきる「なおちー!接客変わるよ?」

 

直喜「と、問川さん…あ、ありがとう……」

 

一区切りついた直喜は接客をさきるに任せ、控え室に入っていった。

 

 

 

直喜「…ふぅ~。」

直喜(この格好、何だか落ち着かないなぁ……)汗

 

ゼアス(お疲れ様、直喜君!)

 

直喜(あっ、ゼアス…)

 

ゼアス(どうして女の子の格好をしてるのかな…って思ったら、この為だったんだね。)

 

直喜(うん…クラスメイトが考えたんだ。)

 

ゼアス(とっても面白いことを考えたね!どう、楽しんでるかい?)

 

直喜(うん…僕、すっごく楽しい……文化祭って、こんなに楽しいんだって思えたよ。)

 

ゼアス(それは良かった。楽しむ時は、思いっきりじゃないとね!)

 

直喜(う、うん!!)

 

ゼアスと会話をした後、直喜にご指名が……フロアに行ってみると……

 

 

 

アレクシス「やぁ、直喜君♪」

 

アンチ「直喜。」

 

2代目「来ちゃいました♪」

 

ナイト「…。」コクッ…

 

そこには、アレクシスとアンチ、2代目とナイトの姿があった。

 

直喜「あっ…い、いらっしゃいませ…!!」

 

直喜は4人を席に案内した。アカネが注文を取り、直喜は料理を作る。彼らが頼んだのは勿論…人気メニューのホットケーキだ。料理が届くと、4人はその美味しさに舌を巻いていた。

 

アレクシス(ふぅ…アンチ君にナイフとフォークの使い方を教えるの、大変だったよ……アカネ君と直喜君が恥をかかないようにしないといけないからねぇ…)汗

 

 

 

直喜は休憩を貰い…屋上にやって来た。

 

直喜「……。」

 

上を見上げると…普段は晴れている空は、灰色の雲に包まれていた。曇り空の隙間からは、わずかに夕焼け空が見える。

 

六花「あっ、いたいた。おーい、直喜~♪」

 

そこに、六花とアカネと隆也を初め、なみこやはっす…夢芽にちせ…怪獣優生思想等々……普段から直喜とよく関わっている者達がやって来た。直喜が彼らの顔を見ると、彼らは皆…直喜に笑顔を見せている。

 

直喜(今日は本当に有意義な日だった…初めてのことばかりで緊張したけど、沢山のお客さんに笑顔を届けられた……嬉しかったし、楽しかった……)

 

人生初の文化祭に、直喜は心から満足していた。

 

隆也「なぁなぁ、折角だからさ…ここにいるメンバーで集合写真撮らねぇか?」

 

アカネ「隆也君ナイスアイデア♪」

 

ちせ「いいっすね!!」

 

六花「あっ、直喜着替えてくる?それまで待つよ?」

 

直喜「ううん、こ、このままで平気…」

 

隆也「あぁ…SNSには載せないから安心してくれ。」(^^)d

 

シズム「俺達のベストフレンドと一緒に写れるんだ…こんなに光栄なことは他にない。」

 

オニジャ「そんじゃ、直喜を真ん中にしてな!!」

 

六花「後、阿部君もね?」

 

オニジャの言葉を合図に、メンバー達は直喜と隆也を真ん中にして…集合写真を撮った。1回目はピースサインを…2回目は好きなポーズで写真に収まった。次に六花と夢芽のリクエストで、直喜とツーショット写真を撮ることに…直喜はセーラー服のまま、メンバー達とツーショット写真を撮って貰った。

 

 

 

隆也とガウマ達、怪獣優生思想のメンバー達とグリッドナイト同盟、アレクシスとアンチらが帰った後…直喜はクラスメイト達とも集合写真を撮影した。その中には、クラスから受け入れられたミラクロンもいる。どの写真に写っている直喜も、楽しそうな笑顔を見せていたのだった。

 

 

 

『神山 直喜』…弱虫でおっちょこちょいで、何をするにも空回りすることが多く…とにかく、駄目な部分が目立つ少年…しかし、どれだけ弱くても…どこの世界の誰よりも、優しくて純粋な心を持っている。そんな彼は…

 

今日も曇り空の下で

 

人から喜ばれることしてきた。

 

そして、多くの友人達に囲まれ

 

この地球(ホシ)で生きているのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪



『Everything is gonna be alright.』

私の好きな言葉です。


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第98話 台高祭の後は…

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


ツツジ台高校で数年ぶりに開催された『台高祭』は、大成功に終わった。ちなみにだが…後夜祭では、男装&女装コンテストが開催され、直喜と六花が優勝した。六花はクールな雰囲気が、直喜は『スマイルスマイル』が好評だったようだ……レディベンゼン星人が放ったメカグールギラスも、ゼアスとナイスによって倒されたことで、青春の舞台は守られた。

 

 

 

日曜日…

 

オニジャ「おーい、直喜ー!!」

 

この日はウルトラマンフェスティバルの日…直喜は怪獣優生思想の4人を誘ったのだ。直喜に誘われたことが嬉しかったのか、4人は皆笑顔を見せている。

 

直喜「皆にも紹介するよ。こちら、僕の友達の『阿部 隆也』君だよ。」

 

隆也「初めまして!俺は阿部 隆也、よろしく!!…って、台高祭の時に顔を見たと思うがw」

 

シズム「よろしく、俺は怪獣優生思想のシズム。」

 

ムジナ「同じく怪獣優生思想のムジナよ。」

 

オニジャ「俺はオニジャってんだ!」

 

ジュウガ「ジュウガです。」

 

直喜(か、隠さないんだ…)汗

 

シズムが怪獣優生思想と言うのだから…直喜は戸惑っていた。

 

隆也「ん?待てよ、怪獣優生思想ってことは……」

 

直喜(た、隆也君…何て言うんだろう……?)ドキドキ…

 

 

隆也「成る程…つまり、ウルトラ怪獣が大好きなんだな!!」

 

 

そう言ってニカッと笑う隆也。彼の言葉に、1人ホッとする直喜。

 

ムジナ「ねぇ直喜、隆也とはどんな関係なの?」

 

直喜「か、関係?えっとね…毎週日曜日には必ず、こうしてウルフェスに来るんだ。後は…リモートで勉強を教えて貰ったり、ウルトラマンFENで対戦したりするんだ。」

 

直喜の説明に、「へぇ~!」と言うムジナ。

 

シズム「ということは…隆也は直喜の『ベストフレンド』なのかな?」

 

直喜「うん!!」

 

シズムの言葉に、嬉しそうに頷く直喜。そんな彼を見たオニジャは、隆也を見ていた。

 

直喜「じゃあ行こう!!隆也君と僕が案内するよ!!」

 

隆也「おっしゃ!!直喜の友人なら、燃えてきたぜ!!」

 

そして、ウルフェス会場に入っていくメンバー達。

 

 

 

まず最初にやって来たのは、博物館のような雰囲気が漂う『展示コーナー』だ。ここには、歴代地球防衛軍の武器や戦闘機等の模型や、怪獣や超獣や敵勢宇宙人についての資料がある。

 

オニジャ「おぉ~…スゲェな、博物館みたいだ。」

 

直喜「もっとスゴいところもあるよ?」

 

隆也「俺達イチオシの場所は、ここ!!」

 

隆也と直喜の近くには、小さな和室があり…そこにはちゃぶ台1つと、1体の宇宙人がいる。

 

ジュウガ「これは…メトロン星人ですね。確か…宇宙一ちゃぶ台と夕焼けの似合う宇宙人とか……」

 

直喜「そうそう!後ね、ここ座れるんだよ?折角だからさ、ジュウガ君達座ってみてよ!!」

 

隆也「ここに座ると…まるでメトロン星人とやり取りをしてるような感覚が味わえるんだぜ。」

 

ムジナ「何だか面白そう、早く座ろ♪」

 

オニジャ「おし…邪魔するぜ?」

 

まず、ムジナとオニジャがメトロンの和室に座った。

 

直喜「あっ、僕…面白いこと考えちゃった…」

 

隆也「おっ、何だ?」

 

直喜「ジュウガ君もシズム君もちょっと良い?」

 

直喜は耳打ちで何かを話す…それを聞いた隆也とジュウガとシズムはニコッと笑う。

 

シズム「ムジナ、ちょっとメトロン星人の隣に座って?」

 

ジュウガ「オニジャはそのままで、頭を下げてください。」

 

ムジナとオニジャが、シズムとジュウガの指示に従うと……

 

 

直喜「……!!」プルプル…

 

 

直喜は頬を膨らませ、小刻みに震え始める。何せ、今の直喜の頭の中には、1つのショートストーリーが浮かんでいた。

 

 

 

~物語初め~

 

 

オニジャ『お義父様、お願いします!!娘さんを僕に譲ってください!!必ず幸せにします!!』

 

ムジナ『お、オニジャ…!』

 

メトロン星人『黙りなさい、君にお義父さんと呼ばれる筋合いは無い。』

 

 

~物語終了~

 

 

 

オニジャ「あぁ、成る程な…」

 

ムジナ「えっ、何が分かったの?」

 

オニジャ「これさ、とあるシチュエーションだろ?お義父さん、お願いします!娘さんを俺に譲ってください!…ってやつ。」

 

ムジナ「あ~…!」

 

オニジャがそう口にした途端…

 

 

直喜「…ブフッ!!www」

 

 

笑いを堪えていた直喜が、とうとう吹き出した。彼に釣られ、隆也も吹き出す。直喜と隆也が笑ったため、ジュウガとシズムも思わず笑った。

 

オニジャ(何かよくわかんねぇが…直喜を笑わせられたのか、俺?)

 

ムジナ(やっぱり直喜は、笑ってる顔が一番♪)

 

よく分からないが…直喜を笑わせることに成功したことだけは分かった。

 

 

 

時刻は11:30…もうすぐ昼になる。

 

直喜「そろそろお腹も空いてきたし…隆也君、『あそこ』に行く?」

 

隆也「あぁ、あそこにな。」

 

ムジナ「あそこって何?」

 

直喜「ちょっと着いてきてよ。」

 

直喜と隆也に誘われ、やって来たのは……

 

 

オニジャ「んおっ?ここって、居酒屋か…?」

 

ジュウガ「ウルフェスに居酒屋があるなんて…不思議ですね……」

 

 

居酒屋と思わしき店だった。しかし、ここはただの居酒屋ではない。

 

直喜「ここが『怪獣酒場』だよ。今日は誰が…おぉ~、ザム星人がお客さんとして来るんだ。」

 

隆也「ここではな、ウルトラ怪獣や宇宙人が客として来るんだ。」

 

ウルフェスの中にある食事どころ『怪獣酒場』だ。居酒屋を彷彿とさせるここでは、ウルトラ怪獣をモチーフにした料理を食べることができるのだ。中に入ると…

 

ケムール人「いらっしゃいませ。直喜様に隆也様、いつもご来店ありがとうございます。」

 

怪獣酒場のチーフ『ケムール人』が彼らを出迎えた。

 

直喜「こんにちは、大将!」

 

ケムール人「はい、こんにちは♪そちらの方々は、直喜様のお知り合いですか?」

 

直喜「はい、皆僕の友達です!」

 

ケムール人「そうでしたか!あっ、初めまして。私は怪獣酒場のチーフ『ケムール人』でございます。ご来店ありがとうございます。」

 

ケムール人が挨拶すると、奥から2体のウルトラ怪獣と宇宙人が出てきた。

 

ゼットン「いらっしゃい!!おっ、直喜君と隆也君じゃないか!!今日も来てくれてありがとう!!」

 

ダダ「直喜様、隆也様。いつもご贔屓していただき、ありがとうございます。」

 

シズム「スゴい…本当に怪獣がいる。」

 

直喜「そうでしょそうでしょ!僕のオススメなんだぁ♪」

 

ケムール人「ささ、お客様方。立ち話もお疲れになるかと思います。こちらのお席にどうぞ。」

 

ケムール人の案内で、ボックス席にやって来た直喜達。席に座ると、ゼットンがおしぼりとお冷やを置いた。

 

オニジャ「なぁ直喜…ここって、マジの怪獣を食えるのか?」

 

直喜「あっ、ううん。そうじゃないんだ…ウルトラ怪獣をモチーフにした料理が食べられるの。」

 

ジュウガ「本物の怪獣となってくると…手入れが大変ですからね。」

 

ジュウガの冗談に、メンバー達は思わず笑った。

 

ムジナ「ねぇねぇ、直喜はここで何を頼んでるの?」

 

直喜「僕?僕はね、『ツインテール天丼』と『眼兎龍茶』をいつも頼むんだ。眼兎龍茶は『緑茶』、『ほうじ茶』、『ウーロン茶』、『紅茶』とかいろんな種類があるけど…僕はほうじ茶が好きだからそれを頼む。」

 

シズム「隆也、君は何を頼むの?」

 

隆也「俺は『バードンの唐揚げ定食』をよく頼みます。」

 

直喜「あっ、隆也君。シズム君達はね、僕と同い年だよ?」

 

隆也「えっ、そうなのか?」汗

 

オニジャ「そういや年を言ってなかったよな…あぁ、直喜と同い年だぜ?」

 

隆也「そうだったんだな。いやぁ、4人共大人っぽい雰囲気だったからさ。」

 

隆也の言葉に、またも笑いが生まれた。やがて、注文が決まったところで店員を呼ぶと…ダダがやって来た。

 

ダダ「ご注文お伺い致します。」

 

直喜「僕はいつもの『ツインテール天丼』と『眼兎龍茶(ほうじ茶)』をお願いします。」

 

隆也「俺は『バードン唐揚げ定食』と『コカ・コーラゼロ』で。」

 

ムジナ「私も直喜と同じ『ツインテール天丼』と『眼兎龍茶(ほうじ茶)』にする。」

 

オニジャ「俺はガッツリ食いてぇから…この『エンマーゴの石焼ビビンバ』と『レッドキングの岩盤焼きステーキ』と『コカ・コーラ』だな。」

 

ジュウガ「では、『海の怪獣海鮮パスタ』と『眼兎龍茶(ほうじ茶)』にします。」

 

シズム「それじゃあ『エレキングのチーズバーグ』と『眼兎龍茶(緑茶)』にしようかな。」

 

注文を終えた後、お冷やを飲みながら雑談をすることに。

 

シズム「そうだ。オニジャ…何か隆也に聞きたいことがあるんじゃないの?最初の方、隆也のこと見てたじゃん。」

 

オニジャ「んなっ!?あぁ、えっとだな…その~……」

 

ムジナ「ひょっとしてさぁ~…ベストフレンドが取られちゃうって思って、ヤキモチを妬いてたとか?」

 

オニジャ「ギクッ!?そ、そんなんじゃねぇって!!」アセアセ

 

ムジナ「わっかりやす…」汗

 

隆也「えっ、俺…何か悪いことしちまった?」汗

 

ジュウガ「いいえ、オニジャはこう見えて結構寂しがりやなんです。隆也が気にする必要はありません。」

 

オニジャは攻撃的な見た目と違わず、好戦的であるが…反面、仲間のために労を厭わない割に雑に扱われる苦労性かつ寂しがり屋である。今は好戦的なところはある程度丸くなっているものの…寂しがりの傾向が強くなっている。直喜に電話を掛けようとしても、緊張しすぎて結局掛けられないことが御約束。だが、ヤンキーのような見た目であっても面倒見が良く、怪獣優生思想のウルフェス入場料を全額負担したのだ。

 

直喜「でもさ、オニジャ君がフレンドリーに接してくれるから僕は安心して話ができるんだ。だからね、僕にとってオニジャ君達も、大切な友達なんだ。」

 

オニジャ「なおぎぃぃいいいい!!

 

ちなみに…直喜から優しい言葉を掛けられると、涙を流して大喜びするのも、御約束中の御約束だよ?

 

隆也「直喜、面白い人達だな!」

 

その後、ウルトラ怪獣に関する雑談を挟み…怪獣優生思想と隆也はすっかり打ち解けられた。やがて、注文した料理が運ばれて来ると…メンバー達は料理を口の中へと運んでいく。

 

直喜「うん、美味しい♪」

 

隆也「あぁ、美味い!!」

 

ムジナ「ん~、格別♪」

 

オニジャ「おぉっ!!うんめぇなこれ!!」

 

ジュウガ&シズム「「…。」」コクッ…

 

怪獣酒場限定料理に舌を巻く4人。中でも怪獣優生思想の4人は、直喜(ベストフレンド)と一緒にランチを食べることが叶い…嬉しそうな顔をするのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第99話 パジャマパーティー前の悲劇

OP~OxT『UNION』~♪


時刻は午後3:30……

 

直喜「皆、ウルトラマンフェスティバルはどうだったかな?」

 

ムジナ「楽しかった~♪」

 

オニジャ「俺もだぜ!!特に、ジオラマコーナーが良かったな。」

 

シズム「直喜と隆也のおかげで有意義な時間を過ごせたよ。」

 

ジュウガ「直喜が怪獣酒場をすすめる理由がよくわかりました。えぇ、俺も楽しかったですよ。」

 

怪獣優生思想の4人は、初のウルフェスを楽しめたようだ。

 

シズム「特に…直喜による怪獣解説や攻略法、雑談が面白かった。」

 

ジオラマコーナーでは、直喜による怪獣解説が行われたのだ。フジヨキ台にいた時、直喜は円盤生物についての解説もしたため…4人は直喜の解説をとても気に入っていた。

 

ジュウガ「ガウマさんの反応が気になりますね、今度自慢してやりましょうか。」

 

オニジャ「そりゃいいなw」

 

ムジナ「ふふん、私達の方が直喜と多く交流してるもんね~♪」

 

シズム「それじゃあ、直喜、隆也…今日はありがとう。」

 

怪獣優生思想の4人は、皆嬉しそうに帰っていった。

 

隆也「にしても直喜…結構個性的な人達だったな。」

 

直喜「あぁ、うん…まぁね。でも、一緒にいて楽しいって思える。」

 

隆也「それはめっちゃわかる。」

 

怪獣優生思想の印象について心配していた直喜だったが…隆也からの印象は良さそうだ。

 

 

 

2人はウルフェス前で別れ、帰路を歩いた。

 

直喜(さて、帰ったら準備しないとな…)

 

何故準備をしないといけないのかというと……実は、今日の午後6:00に、六花宅でパジャマパーティーをやるのだ。直喜が来ると分かった六花の母織江はあっさり承諾…メンバー達は直喜を含め、5人である。

 

 

 

自宅マンションに帰ると、すぐに準備を始める直喜…後は、ゲーム機やウルフェスで買ったお菓子をつめれば準備完了である。

 

直喜(よし、準備はOK…あっ、もうそろそろ行こう。)

 

気が付くと、時刻は午後5:30だった。直喜は戸締まりを済ませると、六花宅に向かって歩きだした。自分の後を着けてくる存在を知らず……

 

 

レディベンゼン星人(神山 直喜…見ぃ~つけた♪それじゃ、行ってらっしゃい♪)

 

 

それは、エイのような赤い飛行物体で…それは、直喜の背後に何かを落とした。

 

ヒュォォオオオオオオオオ…

 

直喜「…えっ?」

 

何かが落ちてくるような音に気付いた直喜が、背後を振り返ると……

 

ドッガァァアアアアアアアアンッ!!

 

直喜の目の前で爆発が起こった。

 

直喜「ッ!?」

 

そして、燃え上がる炎の中から…何かが姿を現した。

 

???「グゥ~ハハハハハァァアアアア!!」

 

それは、青い体色に両手のハサミが特徴の宇宙人と思わしき異形だった。

 

直喜「て、『テンペラー星人』!?な、なんで…?」

 

突如として直喜の前に現れたのは、かつて【ウルトラマンタロウ】に登場した極悪宇宙人『テンペラー星人』だ。このテンペラー星人は、レディベンゼン星人が自身の能力『インスタンス・ベンゼネーション』で人形から実体化した個体だ。ウルトラマンゼアスに変身する神山 直喜の抹殺を使命としている。

 

テンペラー星人「貴様が神山 直喜か…死ねぇ!!」ブゥンッ!!

 

テンペラー星人は右腕のハサミにビームウィップを装備すると、直喜目掛けて振り下ろした。

 

直喜「うわぁっ!?」

 

最初は避けた直喜だったが、足元の石に躓いて転んでしまう。そして…

 

ブゥンッ!!バチィッ!!

 

直喜「うわっ!?い、痛いよぉ!!」

 

とうとう、テンペラー星人のビームウィップが命中してしまう。

 

テンペラー星人「ガハハハハ!!死ねぇ、死ねぇ!!」

 

直喜「痛い!!痛いよぉ!!だ、誰か…誰か助けてぇ!!」

 

痛みに涙を流す直喜は、思わず助けを求めて叫ぶ。その時だった……

 

ビュンッ!!ビュビュビュンッ!!ビュビュビュビュビュビュビュビュンッ!!

 

直喜の背後から紫色に光るブーメランのような物がいくつも飛んできて、テンペラー星人のビームウィップを切断した。

 

アカネ「直喜君を虐めるナアアアア!!

 

続いて鬼のような形相を浮かべたアカネが、発狂しながらテンペラー星人に飛び蹴りを放った。

 

ドッガァァアアアアアアアアッ!!

 

アカネの全力の飛び蹴りを受けたテンペラー星人は、後方に勢いよく吹き飛んだ。

 

アカネ「直喜君!!」

 

直喜「うぅ…あ、アカネ、ちゃん…?」

 

直喜の腕を見てみると、ビームウィップを受けた影響で服がズタズタになっており…流血もしていた。

 

六花「直喜!!」

 

そこに、六花もやって来た。

 

アカネ「六花、直喜君をお願い…!!」

 

六花「うん!!」

 

直喜を六花に任せ、アカネはテンペラー星人の討伐に集中することに…

 

テンペラー星人「女ごときが、私の邪魔をするなァ!!」

 

直喜抹殺を妨害され、怒り狂うテンペラー星人。だが、それはアカネも同じだった。愛しの直喜を傷つけ、そして泣かせたテンペラー星人に…アカネは尋常ではない程の怒りを露にしていた。そして、闇の亜空間『ダークフィールド』を形成し、そこにテンペラー星人を引きずり込む。

 

六花「直喜、今手当てするから…!」

 

直喜「うわああぁぁん!!こ、怖かった…怖かったよぉぉおおおお!!」

 

子どものように泣きじゃくる直喜を…

 

六花「よしよし、もう大丈夫だからね。」

 

六花は母親のような優しい笑顔で抱き締めた。

 

 

 

その頃、ダークフィールド内では……

 

アカネ「ヴアアアアァァァァ!!

 

ドゴォッ!!メキィッ!!

 

怒り狂ったアカネは、ジャブ・ストレートやボディブロー、ヤクザキック等々……キックボクシングを意識した荒々しい肉弾戦でテンペラー星人を追い詰めていた。自分を有利にする空間の中にいるため、普段よりも数倍の力を発揮することができる。

 

テンペラー星人「!!」ブゥンッ!!

 

バシィッ!!

 

そして、テンペラー星人が振るってきたビームウィップを掴み取ると…ハンマー投げのように勢いよく回転し、最後は地面に強く叩き付けた。うつ伏せに倒れたテンペラー星人に瞬時に近付くと、無理やり仰向けにして馬乗りになると…

 

アカネ「ッ!!」

 

右手の拳を振り上げ、左右の連続パンチでテンペラー星人の顔面を殴る。その後、ヨロリと起き上がったテンペラー星人にアッパーを繰り出し、空中にぶっ飛ばした。

 

アカネ「よくも直喜君を…ユルサナイ…!!」

 

すかさずアカネは、両手を頭上で合わせ、紫色の光を発生させる。両腕を引き絞ると、アカネの周りに紫色の光が集まって来る。紫と赤黒いエネルギーを体内に蓄積した直後…

 

ビィィイイイイイイイイ!!

 

腕をT字型に組んで紫色の光線を発射した。これは、カオスロイドTが使用する技『ストリウム・コピー』だ。

 

テンペラー星人「ッ!!」バッ!!

 

テンペラー星人は背中のマントで、アカネの光線を防いだ。このマントは、あらゆる攻撃を意図も簡単に防ぐ。直後、爆発が起こったが…テンペラー星人は無傷だ。しかし…

 

テンペラー星人「ムッ!?」

 

テンペラー星人の視線の先には、紫色の炎に包まれながら初代ウルトラマンの『空中体当たり』を彷彿とさせる体勢でアカネが突っ込んで来るのが見えた。超高速で迫ってくるアカネに反応できず、テンペラー星人はアカネと衝突…大爆発に包まれた。ダークフィールドに紫色の炎が燃え上がる中、そこから1つの火の玉が飛び出した。空中で炎が消え、アカネが地面へと降り立つ。

 

アカネ「クフ…フフフフ…ハハ…ハハハハハ…

 

ハハハハ!ハハハハハ!!アハハハハハハハハハ!!

 

ダークフィールドには、アカネの狂ったような笑い声だけが響いていた。

 

 

 

その頃…

 

六花「直喜、落ち着いた?」

 

直喜「う、うん…///」

 

直喜は漸く泣き止み、落ち着きを取り戻していたのだが……

 

直喜(は、恥ずかしい…!!僕もうお嫁さんに行けない!!///)

 

六花の胸の中で泣いてしまったことを、激しく後悔していた。その証拠に、顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。

 

六花(直喜の泣き顔も可愛いけど…できればもう、2度と見たくないなぁ…ま、嬉し泣きは別だけどさ。)

 

そこに、戦闘を終えたアカネが戻ってきた。

 

直喜「あっ、アカネちゃん…て、テンペラー星人は…?」

 

アカネ「私がやっつけたから、もう大丈夫だよ?」

 

レディベンゼン星人が放ったテンペラー星人は、闇の巨人の力を駆使するアカネによって倒された。

 

 

しかし…レディベンゼン星人の計画は、始まったばかりである。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第100話 パジャマパーティー(前半)

OP~OxT『UNION』~♪


六花「アカネ、今日のパジャマパーティーどうする?」

 

アカネ「まぁ、しょうがないよね…今日は中止に」

 

直喜「ううん、ぼ、僕…やりたい…!!せ、せっかく…六花ちゃん達が…か、考えてくれたんだから……!!」

 

直喜の思いを聞いた六花とアカネは、顔を見合わせて頷いた。すると、六花は自身の心臓辺りに右手を添えると、黄金色の光を集めた。それを直喜に与えると…

 

パアアァァッ!

 

直喜「あ、あれ…傷が、服も元に戻ってる…!」

 

六花「ウルトラマンコスモスの技『フューチャーフォース』だよ?」

 

直喜「えっ!?で、でも…それじゃあ六花ちゃんの、力が…」

 

六花「大丈夫大丈夫wだって私、強いから♪」

 

六花の力で傷が癒えた直喜は、彼女とアカネと共に六花宅へと向かった。

 

 

 

時刻は午後6:00…漸く六花宅に到着した。

 

織江「お帰り六花。って、あら直喜君じゃない♪いらっしゃい♪」

 

直喜「こ、こんにちは…あっ、いや、えぇっと……こ、こんばんは…?」汗

 

織江「どっちでも良いってwさ、上がって♪」

 

六花宅に入ると、なみことはっすも来ており、直喜を出迎えた。

 

なみこ「あっ、やっほ~直喜♪」

 

はっす「おお直君♪本日の主役の登場だ~♪」

 

笑顔で直喜を出迎えるなみことはっす。彼女達も、直喜とのパジャマパーティーをするのが楽しみだった。

 

直喜「と、ところで……」

 

4人「「「「…?」」」」

 

直喜「ぱ、パジャマパーティーって…何?」汗

 

パジャマパーティーと言われても、直喜には何のことやらさっぱり分からなかった。社会経験が少ない彼には、知らないことが多いのだ。

 

アカネ「んふふ、それはねぇ~?」

 

アカネは直喜の耳元に向かおうとしたが、六花がそれを止めた。

 

アカネ「六花ぁ、何すんのさぁ…」ムスッ…

 

六花「アカネの場合、余計なことを教えそうな気がする。」

 

直喜「よ、余計な…こと…?」汗

 

なみこ「ウチらが説明するね?パジャマパーティーってのは、男女問わず友達の家に泊まって…パジャマ姿でウワサ話をしたり遊んだりすることだよ。」

 

はっす「簡単にいうと『お泊まり会』のことだよ?」

 

なみことはっすの説明を聞き、「へぇ~!」と感心する直喜。

 

直喜「ぼ、僕…色々持って来たんだ……た、例えば、えっと…」ゴソゴソ…

 

直喜はカバンからゲーム機を取り出した。

 

はっす「流石は直君♪ウチらも持って来たよ~♪」

 

はっす、なみこ、六花、アカネもゲーム機を見せる。

 

直喜「あ、後ね…う、ウルフェス限定のね…お、お菓子も…買ってきたんだ…!」

 

なみこ「何それチョー楽しみ!」

 

織江「はいはい、お嬢さん方!そろそろお風呂入っておいで~?」

 

4人「「「「は~い♪」」」」

 

4人は浴室へと足を運ぶ。去り際になみこが…

 

なみこ「直喜ィ、覗いちゃダメだぞ♪」

 

…と、直喜をからかった。

 

直喜「へぇっ!?の、覗かない覗かない!!///」ブンブンッ!!

 

直喜は顔を赤くし、アタフタしながら首を横に降った。

 

 

 

リビングには、直喜と織江の2人だけとなった。

 

織江「ねぇ直喜君、ちょっとおばちゃんと話しない?」

 

直喜「は、話…あ、はい……」

 

黙っているのも気まずいと思った織江は、直喜と話をすることにした。

 

織江「直喜君ってさ、『恋』ってしたことある?」

 

直喜「こ、こい…ですか?…誰かを呼ぶ時に、言う言葉ですか?」

 

織江「そっちの『来い』じゃなくてw何て言うか、そうだな…誰かのことを『好き』になったこと、あるかな?」

 

直喜「誰かを好き……僕、おじいちゃんとおばあちゃんが好きです。後、ウルトラマンも…」

 

織江「…そっか。」

織江(何て言えば伝わるかなぁ、うーん……あっ、そうだ♪)

 

直喜には『恋』が分からないようだ。そこで織江は、直喜にこう言った。

 

 

織江「おばちゃんね、六花の結婚相手を選ぶなら…絶対直喜君が良いな~って♪」

 

 

織江のこの言葉を聞いた直喜は、みるみる顔を真っ赤にしていき……

 

直喜「け…け、けけけけ…けけけけけ結婚んんんんんんんんん!?///あわわわわ!!」アタフタ

 

目に渦巻きを作りながら、アタフタし始めた。恋は分からなくても、何故か『結婚』は知っているようだ。

 

織江「六花ったら…帰ったらよく直喜君の話をするようになってね。その時は本当に楽しそうにしてるの。前までは…毎日泣いてばっかりいて、誰の声も届いてないぐらいで…正直心配だったんだけど……」

 

直喜「……。」

 

織江「…あ、ごめんね?こんな長話を…」

 

直喜「…い、いえ……」

直喜(そ、そう言えば…ま、前にマートさんが……)

 

織江と話をしているうち、マートと初めて会ったことを思い出した直喜は…彼女から掛けられた言葉を思い出していた。

 

 

マート『夢芽とちせはね、私と契約して…ウルトラ怪獣や宇宙人の力を駆使して『ツミビト』と呼ばれる悪い人達をやっつけて来ていたの。死んだ貴方と再会するためにね……その使命を達成して、今こうして会えるようにしているのよ?』

 

 

直喜(もし、マートさんが言ってることが本当なら…じゃあ、僕は……)

 

思わず考え込んでしまう直喜は、周りが見えなくなっていた。

 

織江「…くん?おーい、直喜君?」

 

直喜「ハッ!?は、はいっ!!」ガタッ!

 

織江の声が漸く届き、直喜は慌てて姿勢を正す。

 

織江「どうしたの、ボーッとしてたけど…?どこか具合でも悪い?」

 

直喜「だ、大丈夫です…!!」フンスッ!

 

ガッツポーズをし、元気であることをアピールする直喜。それが伝わったのか、織江は優しく微笑んだ。

 

織江「それなら良かった♪あっ、そうそう…何か困ったことがあったらいつでも連絡してね?これ、家の連絡先♪」

 

そして、織江は直喜に家の連絡先を渡した。初めは遠慮した直喜だったが、織江の穏やかな押しに折れ、結局受け取った。

 

六花「ふぅ…あっ、直喜~出たよ~♪」

六花(ちょっとだけなら、覗いても良かったのに…)

 

そこに、風呂から上がってパジャマに身を包んだ六花とアカネ、なみことはっすがやって来た。

 

直喜「あ…う、うん……」

 

織江「さて、それじゃあ直喜君も入っておいで♪」

 

直喜「は、はい…あっ、えっと……お、お世話になります…では、お風呂…お、お借りします…」

 

直喜は織江に挨拶をすると、浴室へと向かった。

 

 

 

六花宅の風呂にて…

 

直喜「……。」ゴシゴシ…

 

洗い場で直喜は黙って髪の毛をリンスインシャンプーで洗っていた。もちろん、そのリンスインシャンプーはウルフェスで購入した物…ボディーソープ…そして、四次元怪獣『ブルトン』を彷彿とさせるボディースポンジも、ウルフェスで購入した私物である。

 

直喜(ウルフェスって何でもあるなぁ…困った時には、ウルフェスに限りたいところだけど……日曜日限定だからなぁ……)

 

そう思いながら、身体中の泡をシャワーで流し…湯船に浸かる直喜。

 

直喜(そう言えば…A君、全然学校に来なくなっちゃったなぁ……どうしてるんだろ…?)

 

ふと、転生者 Aのことを思い出す直喜。彼は最近、ツツジ台高校に来ておらず、それどころかすっかり見かけなくなってしまった。

 

マート『あいつのこと、気になる?』

 

直喜「う、うわぁっ!?」ザパッ!!

 

突然姿を見せたマートにビックリした直喜は、湯船に潜った。

 

マート『あら、ごめんなさいね♪』

 

直喜「…ま、マートさん…お、脅かさないで、ください…」汗

 

六花『直喜ー!どうしたのー!?』

 

直喜(ま、マズイ…何て言おう、えっと…あっ、そうだ…!)

直喜「ちょ、ちょっと虫がいて…で、でも外に出てったから平気…!!」

 

六花『そうー?わかったー!』

 

何とか誤魔化すことに成功し、ホッとする直喜。

 

直喜「あ、アイツって…A君のことですか…?

 

マート『えぇ…』

マート(本当のことを言ったら…直喜は優しいから罪悪感を抱いちゃうかもね……だったら、こう伝えましょうか。)

 

マートは少し黙ると、直喜に3バカのことについて語り始める。

 

マート『アイツら…引っ越してったわ。何でも、色々問題起こしてたみたいでね…ツツジ台に住んでる人達からのクレームが絶えなかったそうよ。』

 

直喜「……。」

 

マートの言葉を聞き、黙る直喜。

 

マート『直喜はさ…アイツらと、仲良くしたかった?』

 

直喜「…は、はい。僕…A君とも、仲良くしたかったです…」

 

落ち込む直喜に、マートはこう言った。

 

マート『直喜、貴方の気持ちはスゴく分かるわ…でもね、いくら貴方が仲良くしたいって思っても、アイツらはそれを拒否した。貴方が協力しようとしてもね、相手がそれを拒んだら協力はできない…それだけは、頭の片隅に入れておいて欲しいの。』

 

直喜「……。」

 

マート『貴方は近々、大きな試練にぶつかる。でもね、貴方の周りには良い人達が沢山いるわ。だからね、1人で抱え込まないようにね?それじゃあね♪』

 

そう言うと、マートは直喜の前から姿を消した。その後、直喜は風呂から上がると…グレーのストライプ柄パジャマに着替えた。

 

 

 

なみこ「おぉ直喜、パジャマよ~く似合ってるじゃん♪」ニヒヒッ♪

 

はっす「パジャマ姿もカッコいいね、直君♪」

 

出て来て早々、なみことはっすにパジャマ姿を褒められ…頬を赤く染める直喜。

 

六花「そろそろ夕飯作ろ?直喜、こっちに来て♪」

 

直喜「あっ、うん…」

 

今回のパジャマパーティーは大人数であるため、食事は自分達で作って、使った食器は自分達が洗うという条件がある。包丁を使う作業を六花となみこが担当し、食材を洗うのをアカネとはっすが担当し、直喜は鍋でチーズを溶かすのを担当した。

 

彼らが作ったのは、そう……『チーズフォンデュ』だった。食卓を囲い、夕食をいただく6人。

 

なみこ「うま~♪」

 

はっす「うんうん、流石は直君だ♪」

 

直喜「い、いや…ぼ、僕…チーズ溶かした、だけなんだけど……」汗

 

六花「直喜がしっかりチーズを溶かしてくれたから、こうして美味しいご飯を食べれてるんだよ?」

 

アカネ「そうだよ~♪」

 

織江「君達、直喜君にメロメロだねぇ~♪」

 

直喜と同じ食卓で、1つ屋根の下で食べる夕食は…女性陣にとって、最高の一時だった。一方で直喜は、美女達に囲まれて恥ずかしそうにしながらも…美味しいチーズフォンデュの虜になっていた。

 

 

 

夕食を食べ終え、食器類を洗い終わった後は…いよいよ、パジャマパーティーの開催である。和室に向かうと、1つのちゃぶ台と座布団に、5人分の布団が置いてあった。

 

直喜「ちゃ、ちゃぶ台…!」

 

なみこ「気になるとこそこ!?」

 

アカネ「わかる~♪メトロン星人が座ってる和室♪」

 

直喜「そうそう!それそれ!!」

 

なみこ「そ、そういうことか…」汗

 

はっす「ごめん、ウチも最初は分かんなかったけど…言われてやっと思い出した。」汗

 

六花「それより座ろうよ。立ち話だとさ、直喜が疲れちゃうし。」

 

メンバー達は座布団を敷くと、すぐには座らず…

 

六花「直喜、好きなとこに座って良いよ♪」

 

なみこ&はっす&アカネ「「「どうぞどうぞ~♪」」」

 

何故か直喜に先を譲った。

 

直喜「…?」汗

 

突然のことに困惑しつつも、直喜は和室の出入口のところに座った。直喜が座ると、アカネが直喜の右隣に…なみこが直喜の左隣に座った。

 

なみこ「実はさ~…入浴中に誰が直喜の隣に座れるか勝負してたんだ♪」

 

直喜「そ、そうなの…?」汗

直喜(僕の隣に来たって、何にも無いのに……)

 

直喜の正面では、六花とはっすが悔しそうな顔をしている。

 

なみこ「え~、オホン…只今より、パジャマパーティーを開催する!皆で楽しもうじゃないか!!」

 

なみこがそういうとアカネは「いぇ~い♪」と嬉しそうに言うが…六花とはっすだけは「「いぇ~い…」」と乾いた声で言った。

 

直喜「……!」ソワソワ

 

人生初のパジャマパーティーに、早速ソワソワし始める直喜。彼は新しいことを始める時や新しい地に降り立った時…落ち着きが無くなることが多いのだ。

 

なみこ「まずは、直喜に独占インタビュー♪」

 

まるでバラエティー番組のごとく、プログラムが進んでいく。

 

なみこ「直喜はさ、ウルトラマンゼアスじゃん?」

 

直喜「そ、そう…だね……」

 

はっす「どうやって変身するの?何か変身アイテムとかってあるの?」

 

直喜「えっとね…こ、これを使ってね、変身するんだ。」

 

直喜が取り出したのは、赤色が特徴の電動歯ブラシだ。

 

なみこ「これって、電動歯ブラシ?」

 

直喜「う、うん…ピカリブラッシャー2って言ってね…これで、自分の歯を綺麗にしてね…そ、空高く掲げることで、ウルトラマンゼアスになれるんだ。」

 

今、直喜の近くにいる4人は…直喜がウルトラマンゼアスであることを知っている。そのうち、六花とアカネは…直喜が目の前でゼアスに変身する瞬間を見届けているのだ。

 

六花「ねぇ直喜?ゼアスと話すことって、できたりしない?」

 

直喜「えっ、ゼアスと…?…うーん……」

直喜(ゼアス、どうかな?)

 

直喜はテレパシーでゼアスに聞いてみる。

 

 

ゼアス(できるよ、ちょっと待ってね?)

 

 

すると、ブラッシャーから1つの赤い球体が現れ…直喜の隣に停止する。そこに、ウルトラマンゼアスが姿を現した。

 

 

ゼアス『皆、初めまして!僕はウルトラマンゼアス!今は直喜君と一心同体になってるよ。』

 

 

赤い球体にウルトラマンゼアスが映し出させると、メンバー達は目を丸くしていた。

 

なみこ「うわぁ、スゴい…ウチ、ウルトラマンと話してる!!」

 

はっす「ウチもだよ~!」

 

ゼアス『そういえば、直喜君以外の人と話をするのは初めてだね。何か聞きたいこととか、あるかな?答えられる範囲で答えるから。』

 

アカネ「は~い♪ゼアスはどうしてこの地球(ホシ)にやって来たの?」

 

ゼアス『地球を木っ端微塵に破壊しようと企むベンゼン星人の野望を阻止するためだよ。』

 

なみこ「はいはい!ゼアスの好きな物は何ですか!?」

 

ゼアス『好きな物は、そうだなぁ…綺麗な物が好きかな。』

 

はっす「ゼアスはこの地球のこと、好き?」

 

ゼアス『勿論!素晴らしい景色もあるし、応援してくれる人達もいるし、嫌いな訳無いじゃないか。』

 

ゼアスにインタビューし、少しずつ打ち解けていくメンバー達。

 

なみこ「六花さんもさぁ、何か聞いてみたら?」

 

はっす「そうだよそうだよ。折角の機会なんだし…ここで何も聞かないのはもったいないって。」

 

六花もゼアスに、聞きたいことを聞くのだが…1番聞きたかったことを聞くことにした。

 

六花「そもそも、ゼアスはどうして直喜と一心同体になったの?」

 

六花の質問に、ゼアスは答えていく。

 

ゼアス『あの日…見たこともない怪獣が暴れまわる中、誰かを助けようとしていたのが直喜君だったんだ。どんなに危険な状況の中でも、自分のことより他の誰かの為に行動した。そんな彼の勇気ある行動に、僕は感動したんだ。だから、直喜君を選んだんだ。』

 

あの日…デバダダンが暴れまわる中、多くの人達が逃げ惑っていた。だが、直喜だけは違った。瓦礫に足を挟まれ、動けなくなった教員を助けようとしていたのだ。そんな彼を見つけたゼアスは、彼と一心同体になることを決意…間一髪のところで、彼を『トラベルスフィア』に包み込み、助けたのだった。そして…直喜と一心同体となって、今に至る。

 

六花「…そうだったんだ。」

 

なみこ「ねぇ直喜…直喜はさ、どうしてウルトラマンになることを決意したの?できれば、教えてほしいな。」

 

なみこの質問に、直喜はゆっくり話し始める。

 

 

直喜「僕、いつも皆に助けられてばかりいたんだ……例えば、ツツジ台高校に来たとき…六花ちゃんが話し掛けてくれなかったら、ずっと独りぼっちだったかもしれない……アカネちゃんが怪獣のことが好きって打ち明けてくれなかったら、趣味を話せる人がいなかったかもしれない……なみこちゃんとはっすちゃんが遊びに誘ってくれなかったら、僕は社会経験ができていなかったかもしれない……こんなに周りから助けて貰ってるから、だから…だから、今度は僕が……皆を助けたいって思ったんだ。だから、ゼアスと一心同体になったの。」

 

 

長くなってしまったが、それでも4人は直喜の話にちゃんと耳を傾けて聞いていた。

 

はっす「そうだ、ウチらゼアスと直君に質問攻めしちゃったからさ…今度はウチらが質問攻めされる番だよね?」

 

直喜「し、質問攻めって…」汗

 

ゼアス『それじゃあ僕から聞いてみようかな…六花ちゃんもアカネちゃんも、なみこちゃんもはっすちゃんも……

 

直喜君のことが好きなのかな?

 

ゼアスの質問にニッコリと笑う4人の少女達。対して…

 

直喜「へぇっ!?ぜ、ゼアス!?///」オロオロ

 

直喜は顔を真っ赤にしてオロオロし始める。

 

六花「私は直喜のこと大好きだよ♪」

 

アカネ「私も直喜君がだぁい好き♪」

 

なみこ「ウチも♪一緒にいて楽しいし、なんならずっと一緒にいたい♪」

 

はっす「直君といると退屈が無いんだよなぁ♪ウチのことを楽しい世界に連れてってくれる直君のことが大好きだゾ♪」

 

直喜「あ、あ…あわわわ///」パターン…

 

直喜は目に渦巻きを作ってしまい、気絶してしまった。

 

ゼアス『あ、あれ?直喜君、どうしちゃったの!?』汗

 

六花「お風呂でのぼせちゃったのかな?」

 

 

 

数十分後、直喜は漸く目を覚ました。

 

直喜「…あれ?ぼ、僕……」

 

目を覚ました直喜に、アカネはお菓子を渡す。

 

アカネ「直喜君、『武士は食わねど高笑い』ってやつ?一緒にお菓子食べよ♪」

 

直喜「…た、高笑い…?」汗

 

六花「それを言うなら…」

 

なみこ&はっす「「武士は食わねど高楊枝。」」

 

アカネ「そうともゆ~♪」

 

笑いが生まれた時、直喜は身体を起こした。そして、ちゃぶ台にウルフェスで購入したお菓子を広げた。

 

なみこ「直喜、それってウルフェス限定の奴?」

 

直喜「う、うん…!ウルトラマンジュウとシークレット・チョコ、後こっちはウルトラマンビスケット。」

 

はっす「お~、どれも美味しそ~♪」

 

お菓子を食べながら、直喜はパジャマパーティーを楽しんでいた。

 

 

ゼアス(うんうん、良いことだ。直喜君、パジャマパーティーを思いっきり楽しんでね!)

 

ミラクロン(ホヨ~♪)




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第101話 パジャマパーティー(後半)

OP~O×T『UNION』~♪


時刻は午後8:00……

 

パジャマパーティーが始まり、直喜も段々雰囲気に慣れてきているようだ。その証拠に……

 

直喜「よし、レーザーで攻撃しよう!」

 

六花「OK、直喜隊長!アカネ、分離するよ!!」

 

アカネ「OK~♪」

 

なみこ「うわっ!?あっぶな!!」

 

はっす「この怪獣、中々の強敵だなぁ…」

 

ウルトラマンFENで盛り上がっていた。地球防衛軍モードで遊ぶ彼らは【ウルトラマン80】に登場する防衛組織『UGM』として戦闘機を操作して怪獣と戦っている。隊長の直喜は『スカイハイヤー』を操作し、六花は『シルバーガル(α号)』、アカネは『シルバーガル(β号)』、なみことはっすは『UNDA戦闘機』を操作している。中でも、UNDA戦闘機は、毎回撃墜されるという悲しいお約束があるのだが…直喜の的確な指示により、撃墜されることはなかった。

 

直喜「あっ!!80だ!!」

 

ある程度怪獣の体力を減らしたところで、ウルトラマン80が降臨した。

 

直喜「80を援護しよう!各隊、ミサイルで怪獣を攻撃して!」

 

4人「「「「了解♪」」」」

 

80が怪獣と戦う中、一同は80の援護に入る。直喜のスカイハイヤーは怪獣の気を逸らしながらミサイルを放つ。六花とアカネのシルバーガルとなみことはっすのUNDA戦闘機はミサイルで怪獣を攻撃する。

 

直喜「なみこちゃんとはっすちゃんは引き続きミサイルで、六花ちゃんとアカネちゃんはレーザー砲に切り替えて!」

 

スカイハイヤーとシルバーガルはレーザー砲で怪獣を攻撃、UNDA戦闘機は引き続きミサイルで怪獣を攻撃し、怪獣の体力を減らしていく。80は『サクシウム光線』を発射…見事怪獣を撃破し、地球防衛に成功した。

 

ハイタッチをして喜びを分かち合った後、バトルモードで戦うことに……ゼアスを選択した直喜は、ギマイラ相手に無双をし始める。

 

なみこ「この怪獣って、結構強い怪獣だったよね?」

 

アカネ「ギマイラは確か、イトウチーフを怪獣にしたり、吸血した人間を操ってUGMを襲ったりしたんだよね?」

 

直喜「うん!そんな怪獣を許すわけには行かないよ!!」

 

ギマイラは【ウルトラマン80】に登場した吸血怪獣であり、角からは光線を発射する。口からは霧を吐き出して、触れたら爆発するのだ。長い舌で生き血やエネルギーを吸い取るだけでなく、電流を流すこともできる。多彩な武器を使う怪獣であっても、ウルトラ博士と呼ばれる頭脳を持つ直喜の敵ではない。

 

直喜「ッ!!」カチカチッ!!

 

ゼアス『シェアッ!!』ドゴォッ!!

 

ゼアス・ドロップキックを受けたギマイラは、仰向けに倒れる。

 

はっす「おぉ、直君が圧してる!」

 

六花「直喜、頑張れ!」

 

フラフラゲージがMAXになったタイミングで、ゼアス・ニーキックを繰り出して吹っ飛ばし、エネルギーを貯める。

 

直喜「これで、トドメだ!!」

 

エネルギーが貯まると、直喜は必殺技を発動する。

 

ゼアス『ジェアッ!!』

 

ゼアスはバレエの『アティチュード』のような片足立ちの姿勢を取ると、超高速で回転しながらギマイラへと迫って行き…ギマイラを蹴飛ばした。ゼアスの『スーパーゼアスキック』を受けたギマイラは、体力ゲージが0になり、爆発した。

 

六花「良かった、直喜が勝ったよ…!」

 

アカネ「高い知能を持つ怪獣だって、直喜君の敵じゃないって♪」

 

なみこ「ねぇ直喜、もしギマイラが出てきちゃったらどうやって倒すの?」

 

直喜「頭の角を最初に壊すかな…その前に、長い舌を伸ばしてきたらそれを掴んで投げ飛ばしちゃう。尻尾だって投げ飛ばしやすいし、回って回って目を回しちゃおうかな?その間に角を壊して戦闘力を落とせば…」

 

はっす「それじゃあギマイラもノックアウトだ♪」

 

次に、六花の番がやって来る。『ウルトラマンアグル』を選択し、金属生命体『アルギュロス』と戦う。

 

六花「あっ、アルギュロスが…」

 

体力が残り7割程度になった時、アルギュロスは『にせウルトラマンアグル』になった。

 

直喜「これね…アグル対アルギュロスになった時にしか見られない特殊演出なんだよ?」

 

ウルトラマンFENでは、一定の条件を満たせば特殊演出を見ることができる。

 

六花「よし、これで終わりかな?」

 

フラフラゲージがMAXになったにせアグルを吹っ飛ばし、エネルギーを貯めた六花は『フォトンクラッシャー』を発動する。すると、にせアグルも同じようにフォトンクラッシャーを放とうとしてくる。

 

はっす「おっと、六花さんどうする~?」

 

なみこ「多分ボタン連打って表示されるよね?マルボタンかな?」

 

直喜「ボタン連打って出たら、マルボタン連打だよ?」

 

アカネ「あっ、始まった。」

 

画面に『ボタン連打』と表示された時、六花は必死でマルボタンをカチカチ連打する。結果…六花のアグルがにせアグルのフォトンクラッシャーを押し退け、にせアグル(アルギュロス)の撃破に成功した。

 

直喜「よし、六花ちゃんの勝ちだ!」

 

六花「直喜…♪」

 

自分の勝利を喜ぶ直喜を見て、思わず笑みがこぼれる六花。次はアカネの番なのだが、アカネはウルトラマンではなく怪獣を選択した。選んだのは宇宙忍者と呼ばれる宇宙人『バルタン星人』だ。

 

アカネ(直喜君のために、たっくさん練習したんだ~♪まぁ課題をやり忘れて先生に怒られちゃったけど…)

 

バルタン星人を巧みに操り、圧倒的な勝利をおさめたアカネ。

 

直喜「アカネちゃんうまいね!!」

 

アカネ「ありがと~♪でもぉ、直喜君には敵わないって~w」

アカネ(直喜が褒めてくれた褒めてくれた褒めてくれた褒めてくれた!!キャー♪)

 

心の中で直喜から褒められたことを大喜びするアカネ。なみこは『ウルトラマンナイス』を選択し、ザゴン星人に苦戦しながらも勝利した。はっすはブラックテリナを選択し、ちょっぴりセコい戦法で勝利をもぎ取った。

 

 

 

ウルトラマンFENで遊んだ後、布団に入って噂話をすることに……

 

なみこ「ねぇねぇ六花さんさぁ?」

 

六花「何?」

 

はっす「前にウチらと遊びに行った時なんだけど、炭酸苦手だったりする?」

 

六花「な、何でそう思うの?」

 

なみこ「炭酸飲む?って聞いた時、拒否してたじゃん?あっ、そうだ直喜は?直喜は炭酸いける?」

 

直喜「ぼ、僕…!?えっと…僕、炭酸はウルトラサイダーぐらいしか飲まないなぁ……」

 

アカネ「私もウルトラサイダー大好き♪行き詰まっちゃった時とかに飲むと、何だかスッキリするからねぇ~♪」

 

直喜「それはすっごく分かる。勉強で解かんない所があって、ウルトラサイダー飲んだら頭が回るようになったりするし…」

 

六花「えっ、何々?ウルトラサイダーって、飲むと学力上がるの?」汗

 

直喜「ウルトラサイダーは普通のサイダーとあんまり変わんないよ?」

 

直喜は真顔で六花にやんわりとツッコミを入れる。六花は思わず顔を赤くそめた。

 

六花(そんなに真顔でツッコまれると恥ずかしいって…!!///)

 

アカネ「六花ってば変なの、普通のサイダーなのに…」

 

なみこ「結論、六花は炭酸飲料が苦手だと考えられる。」ウンウンッ

 

六花「いや納得しないで!!」大汗

 

テンパり始めた六花は、ウルトラサイダーを1つ手に取ると、缶を開けて…

 

六花「私だって飲めるから!」

 

なみこ「やめときなって!!」

 

サイダーを一気に飲み干した。その結果…

 

六花「うぅ…き、気持ち悪い……」

 

ベッドに寝込み、ダウンしてしまった。

 

なみこ「あ~あ、言わんこっちゃない…」汗

 

直喜「り、六花ちゃん…だ、大丈夫…?」

 

直喜が声をかけた途端、六花はガバッと布団から起きた。

 

六花「心配してくれたんだ、全然へっちゃら♪」

 

直喜「よ、良かったぁ…」

 

はっす「復活早っ…」汗

 

六花が復活したタイミングで、噂話は再開する。

 

なみこ「そういやさ、風の噂で聞いたんだけど…ウチらのクラスにいたAって奴、引っ越してったらしいよ?」

 

はっす「あぁ…いっつも直君を睨んでたアイツねぇ……」

 

直喜「知って……ううん、それは知らなかった…残念だなぁ、仲良くなりたかったのに……」

 

アカネ「直喜君、心広すぎだって~…あんなに酷いことされたのに……」

 

なみこ「えっ?アイツ直喜に何をしたの?」

 

アカネ「直喜君にプレゼント渡したら、ソイツが直喜君に文句言ってきたの!!マジで最悪だった、折角直喜君が喜んでたのに…」

 

六花「私も似たようなことあった。隣のクラスのCって奴、直喜にあげたプレゼントを盗ろうとしたんだよ?マジで最低だよね?」

 

はっす「そりゃあ最低だねぇ?直君、大丈夫だった?」

 

直喜「だ、大丈夫…」

 

アカネと六花が直喜にプレゼントを渡したところ…Aは直喜に文句を言い、Cはプレゼントを盗ろうとしたのだ。そんな彼らは、六花とアカネによって成敗されたのだが……

 

直喜(どこに引っ越したんだろう…でも、マートさんは……)

 

直喜は最後まで、彼らとも打ち解けたいと思っていた。しかし、それは叶わない夢……そもそも、彼らは直喜と仲良くなることを拒んでいたのだから尚更だ。

 

アカネ「話変わるんだけど…直喜君には、好きな人っていないの?」

 

直喜「っ!?」

 

アカネの言葉に、ビックリする直喜。

 

直喜「ま、ままま…まだ、お付き合いは…ちょっと……」オロオロ

 

六花「そっか。焦んなくても良いと思うよ?」

六花(ま、直喜にはちゃんと伝えられたし…後は、直喜の答えを待つだけ……)

 

アカネ(流石にすぐには決められないよね~?あーあ、一夫多妻制だったら良いのに…)

 

なみこ「この際さ、皆で朝まで語り合わない?」

 

はっす「良いねぇ♪」

 

直喜「こ、恐い話じゃ…な、ないよね…?」

 

六花「私らまで寝られなくなっちゃうよw」

 

アカネ「安心して?思い出話とかだから♪」

 

このまま眠っても良いが…それでは勿体無いと思った女性陣は、語り合いをすることに…勿論、直喜も一緒だ。

 

なみこ「そうだ。直喜ィ、校外学習の時六花とアカネとどっか行ってたよね?一体どこに行ってたのかなん?」

 

直喜「あぁ、えっとね…ひ、秘密の場所に……」

 

はっす「ほほぉ…こりゃまたファンタジックな返答ですなぁ。」

 

六花「ね~♪秘密の場所に行ったよね♪」

 

アカネ「私が事前に見つけたんだよ♪」

 

はっす「あっ、校外学習といえばさ…直君、六花を助けた時めっちゃカッコよかったよね~♪」

 

なみこ「それな!!ウチだけじゃなくて、クラス中が直喜に惚れた瞬間だったよね♪」

 

直喜「そ、そこまで言われると…は、恥ずかしい……」

 

アカネ「恥ずかしがらなくても良いのに~♪」

 

六花「んもぅ、直喜ったら…恥ずかしがり屋さん♪」

 

その後も、思い出話を話すメンバー。最近あった台校祭では、最優秀賞を取ったのは直喜達E組だった。何でも、直喜の『スマイルスマイル』が響いたようだった。

 

直喜「……。」ウトウト…

 

話をしているうちに、次第にウトウトし始める直喜。

 

アカネ「直喜君、もしかして眠い?」

 

直喜「…ハッ!?だ、大丈b…はわぁ……」コクン…

 

六花「我慢しなくて大丈夫だよ。」

 

六花は母親のような優しい笑みを浮かべると…

 

 

六花「ゆ~りかご~の~う~~たを~♪

 

カ~ナリヤ~が~う~たうよ~♪

 

ね~んね~こ~ね~んね~こ♪

 

ね~んね~こ~よ~~♪」~♪

 

 

直喜の背中を優しく叩きながら、子守唄を歌い始める。間も無く、直喜は目を閉じると…スヤスヤと寝息を立てて眠った。

 

なみこ「やっぱ眠かったんだ…♪」

 

はっす「普段はカッコいいけど、寝顔は可愛いなぁ…♪」

 

眠っている直喜に癒され、優しく微笑むなみことはっす。

 

六花『アカネ、この家の護衛っている?ベンゼン星人の手先が来たら…』

 

アカネ『カオスロイド達とカオスウルトラマンをスタンバイさせたから大丈夫。』

 

テレパシーで会話をする六花とアカネ。レディベンゼン星人が放った刺客が再来するリスクを考え、アカネは力を発動…いつの間にかカオスウルトラマンと3体のカオスロイドを護衛として六花宅の警備を任せたのだ。今のところ、レディベンゼン星人の襲撃は無い。

 

六花「ホント、直喜は可愛いなぁ…♪」

 

アカネ「んふふふ、写真写真♪」パシャパシャッ!

 

直喜の寝顔を写真に納めるアカネと、眠っている直喜をみて微笑む六花。

 

六花(もしも……もしも願いが叶うのなら…直喜の声を、直喜の話を…一晩中聴いていたい…)

 

アカネ(もし、願いが叶うんだったら…直喜君と一晩中話をしていたいなぁ……)

 

そんな彼女達の胸の奥底には、いくつもの願いが込められている。

 

 

こうして、パジャマパーティーは何事も無く…進んだのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第102話 隆也編『ナイスとの出会い』

OP~Project.DMM『ウルトラマンナイス』~♪


後書きに、阿部 隆也の見た目を書きました♥️


ツツジ台の隣にある街『井荻』に住む少年『阿部 隆也』……彼は国立皇帝大学付属高等学校に通う高校生である。両親と暮らしており、家族仲も良好だ。そんな彼は『お節介』として街中ではちょっとした有名人になっている。

 

 

 

ある日の休日……

 

隆也「…お?」

 

ジョギングをしていると、公園で4~5歳ぐらいの男の子が泣きじゃくっているのを見かけた。

 

隆也「おーい、どうしたんだー?」

 

隆也はその子の元に向かい、事情を尋ねる…どうやら、母親とはぐれてしまったようだ。

 

隆也「成る程な、それじゃあ俺と一緒にお母さんを探そうぜ!あっ、俺は阿部 隆也ってんだ、こう見えて実は…ウルトラマンが大好きなんだよ!」

 

男の子「た、隆也お兄ちゃん…ありがとう!!」

 

こうして、隆也は男の子と行動し、母親を探すことに……色んな人に聞き回る中、漸く母親の元へたどり着いた。母親からは何度もお礼を言われ、一件落着……と、思いきや…何やら重そうな荷物を抱えたお婆さんを発見する。

 

隆也「おばあちゃん、良かったらその荷物運びますよ?」

 

お婆さん「え、良いんですか?」

 

隆也「任せてください!!」ニカッ!

 

お婆さん「ありがとうねぇ♪」

 

そして、駅まで一緒に歩き…お婆さんを見送った。その後も、困っている人を見てはすぐに駆け付け…力になっていた。これを毎日のように続けているため、隆也は街中の人達から好かれるようになったのだ。彼は、ウルフェスサポーターのリーダー的存在であり、持ち前のコミュニケーション力で色んな人達と交流している。

 

隆也母「あらお帰り隆也。今日も人助けしてきたの?」

 

隆也「おうよ!何せ俺は、自称:日本一のお節介だからな!!」

 

隆也父「隆也、人助けも良いが…自分も大事にするんだぞ?」

 

隆也母「そうよ。隆也が倒れたりしちゃったらもともこも無いからね?」

 

隆也「父ちゃんも母ちゃんも心配し過ぎだってwけど、あんがとな。」

 

自宅へ帰って来ると、ちゃっちゃと課題を終わらせ……親友とリモートで通話をすることに。

 

隆也「おっ、直喜聞こえるか?」

 

直喜『うん、聞こえるよ。』

 

彼の親友とは、ツツジ台に住む少年『神山 直喜』である。ウルトラマンフェスティバルで知り合い、ウルトラマンファン同士で意気投合し…今では心を許し合える仲になっている。

 

隆也「さてと…直喜、何か分からない科目とかあるか?」

 

直喜『うん、えっとね…数学なんだけど……』

 

直喜が問題を打ち込むと、隆也は解説をしながら図を描いていく。やがて、直喜も納得し…今度はウルトラマンFENで対戦することに。

 

直喜『あっ、しまった…!』

 

隆也「今度こそ、勝ああああつ!!」

 

ウルトラマンナイスを操作する隆也は、『ミレニアムクロス』で直喜が操作するウルトラマンゼアスに勝った。普段は直喜にボロ負けしてしまうのだが、このように勝つこともたまにあるのだ。

 

隆也「や、やっと勝った…!」

 

直喜『やるじゃん隆也君!もしかしてフェイントかけた?』

 

隆也「かけた!ベリーナイスと見せかけてミレニアムクロス作戦、なんつってwww」

 

勝っても負けても、直喜とこうして笑い合うのはお約束。その日の夜、いつも通り眠りにつく隆也…そんな彼の元に、1つの光が近付いて来ていることにも気付かず……

 

 

 

隆也「んが~、んごごご……」Zzz~……

 

???『こ、こんばんは~…』

 

隆也「んぐごっ?にゃ、にゃんだぁ…?」

 

どこからか声が聞こえてきたため、目を開くと……

 

隆也「んがっ!?えっ、えぇぇえええええ!?」

 

目の前には、眠っている自分を覗き込む者の姿が……それは、乳白色の複眼に、レッド&シルバーの体色が特徴だ。

 

隆也「ま、マジ!?ウルトラマンナイス!!?」

 

ナイス『その通り!私はTOY一番星から来たウルトラマンナイス!!夜分遅くに済まないね、阿部 隆也君。』汗

 

夢の中へ旅立っている時に、ナイスと出会った隆也。

 

ナイス『と、ところで隆也君。どうして私が君の元に来たのか、気にならない?』

 

隆也「めっちゃ気になる。」

 

ナイス『だ、だよね?んんっ…君は困っている人の元に誰よりも早く駆け付け、その人を笑顔にしてきた。そんな君の優しさに、私は…そう、一目惚れしたんだ!!そこで君に頼みがあってね。』

 

隆也「頼み?」

 

ナイス『そうそう。この地球(ホシ)ではゼアス君がベンゼン星人とレディベンゼン星人と戦っているからね…だから、私と一心同体になってこの地球を一緒に守って欲しいんだ。』

 

ナイスの言葉を聞いた隆也は……

 

 

隆也「ナイス、俺はやる…何せ俺は、日本一のお節介だからな!!皆が笑顔になれるなら、俺は喜んで引き受ける!!」

 

 

…と、了承した。

 

ナイス『交渉成立だね。』

 

すると、隆也の右腕に…何やら腕時計型のアイテム『ナイスドリーマー』が巻かれた。

 

ナイス『中をみてごらん?』

 

ナイスドリーマーの中には、チョコボールが入っている。

 

隆也「これを食べれば、ナイスに変身できるんだな?」

 

ナイス『その通り!但し、変身する時は…必ず1つだけ食べるんだよ?あんまり食べ過ぎると無くなっちゃうからね?』汗

 

隆也「オッケィ!!」

 

ナイスとのやり取りを終えると、隆也は目映い光へと包まれていった。

 

 

 

隆也「…んがっ!?」ガバッ!!

 

気が付くと、もう既に朝になっていた。

 

隆也(な、何だったんだ…夢、なのか……お?)

 

ふと、右腕に違和感を感じた隆也は自分の右腕を見てみると……そこには、ナイスドリーマーが巻かれていた。

 

隆也(や、やっぱ夢じゃなかったのか…?)汗

 

軽く混乱しながらも、隆也はベッドから起き上がり…下へ降りていく。

 

隆也母「おはよう隆也。」

 

隆也「お、おはよう…」

 

隆也母「どうしたの、変な夢でも見た?」

 

隆也「まぁな…でも、大丈夫だから。」

 

隆也母「…そう、無理しないでね?」

 

隆也「おうよ!!」

 

隆也母「って、隆也…その腕時計どうしたの?」

 

隆也「えっ!?あ、あぁこれか…ウルフェスで買ったんだ。」

 

隆也母「へぇ~、それってナイスの変身アイテムよね?それを再現するなんて、流石はウルフェスねぇ。」

 

隆也は何とか誤魔化し、朝食を食べて家を出た。向かったのは隆也が通っている学校『皇帝大学付属高等学校』だ。いつものように授業を受け、友人と会話をしていると……

 

生徒1「ねぇ、何あれ?」

 

生徒2「もしかして、UFO?」

 

何やら上空に、桃色の光がフワフワと漂っていた。それは、ゆっくりと地上に降りると…段々形が変わっていく。

 

 

???「ザッゴ~ン!!

 

 

それは、白いメインカラーに大きな耳を持ち、黄色い複眼を光らせる人型の宇宙人だった。猛毒宇宙人『ザゴン星人』だ。

 

ザゴン星人「ウルトラマンナイス、いることは分かっているザゴン!出てこなければ、この学校を破壊するザゴーン!!」

 

ザゴン星人がそう言うと、生徒達は大慌てで逃げ出す。

 

隆也(この学校を壊すだと!?そんな真似させるかっての!!)

 

隆也は逃げ惑う生徒達をくぐり抜け、トイレに入ると…ナイスドリーマーから秘密のチョコボール『シークレット・チョコ』を1つ取り出して食べる。

 

 

ウルトラマンナーイス!!

 

 

隆也は七色の光に包まれながら回転し、光の戦士『ウルトラマンナイス』へと変身した。

 

 

 

生徒達が大騒ぎする中、皇帝大学付属高校の校庭に…何やら乳白色の光が発生し、そこから1人の巨人が姿を現した。

 

生徒3「おい、あれって……」

 

生徒4「ウルトラマンだ!!ウルトラマンが来てくれたぞ!!」

 

ザゴン星人の前に、ウルトラマンナイスが現れ…生徒達は安心する。

 

ザゴン星人「とうとう現れたザゴンな、ウルトラマンナイス。」

 

ナイス「ナッ…!!」ビシッ!

 

構えを取るナイス。

 

生徒5「って、あれってウルトラマンナイスじゃね?」汗

 

生徒6「何か頼り無さそう…」汗

 

生徒6の発言を聞いたナイスは…

 

ナイス(えぇっ!?そ、そんなぁ……)

 

思わず落ち込んでしまう。しかし…

 

隆也(おいおい、俺の大好きなウルトラマンなのに…頼りねぇとは失礼な!!)

 

ナイス(た、隆也君…!!)

 

隆也(ナイス、見返してやろうぜ!!ウルトラマンナイスは頼もしいってなぁ!!)

 

ナイス(よし!!)

 

隆也に励まされ、すぐに元気を取り戻した。隆也の推しのウルトラマンは、ウルトラマンナイスである。生徒達を見返すため、ナイスに変身した隆也はザゴン星人に立ち向かう。

 

隆也(どおりゃあああぁぁっ!!)

ナイス「ナアアァァッ!!」ドゴォッ!!

 

まず、ザゴン星人に飛び蹴りを放ち…仰向けに倒れたザゴン星人をジャイアントスウィングで投げ飛ばす。

 

ザゴン星人「ザゴ~ン!!?」ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

背中から地面に打ち付けられたザゴン星人は、目を回していた。

 

ナイス(流石は隆也君。)

 

隆也(いや、待てナイス…多分ザゴン星人は油断させようとしているかも知れねぇ。ちっと警戒するか…)

 

フラフラしているザゴン星人を観察するナイス。

 

ザゴン星人(えっ、何でこっちに来ないザゴン?もしかして、作戦読まれてる…!?)汗

 

中々近付いて来ないナイスに困惑するザゴン星人。どうやら、隆也の予想は的中したようだ。目を回したフリをして、形成逆転しようとしていたのだった。

 

ザゴン星人(こうなったら、やけくそザゴン!!)

 

すると、ザゴン星人は3人に分身し…ナイスを囲んだ。そして、両手から光線を放ってきた。

 

ナイス「ナナナナナ!?」ビリビリビリビリッ!!

 

ピコンッ、ピコンッ……

 

光線を浴びてしまったナイスは、左胸のカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を始めた。

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

時間は、残り少ない……

 

 

生徒「やられそうだぞ!!」「が、頑張れウルトラマン!!」

 

生徒達は必死にナイスを応援する。すると、3体いるザゴン星人の、一番左にいるザゴン星人が生徒達に一瞬振り向いた。

 

隆也(そこかっ!!)

ナイス「ナッ!!」ドゴォッ!!

 

それを見逃さなかったナイスは、その星人にチョップ攻撃をした。すると、分身が消え…ザゴン星人本体だけが残った。すかさずナイスは、親指ポーズを決めると…両腕をNの字を表すように広げ、腕をクロス型に組む。

 

ナイス「ナッ…ナッ?」

 

首を傾げた直後、ナイスの腕からは七色に輝く光線が発射された。必殺技『ベリーナイス光線』だ。

 

ザゴン星人「ザッゴ~ン!!」

 

ナイスの光線を受けたザゴン星人は、姿を消していった。ナイスの勝利だ。

 

生徒「ウルトラマンが勝ったぞ!!」

 

その瞬間、学校中が大歓声へと包まれた。その後ナイスは、大空へと飛び立って行った。ナイスに変身できるようになった隆也は、初めての戦いで勝つことができた。

 

 

 

隆也「ふぅ…勝てた勝てた。」

 

ナイス(お疲れ様、隆也君!!)

 

隆也(おっ、ナイスお疲れ~。)

 

どうやら、コミカルな2人は息ピッタリのようだ。こうして、隆也はウルトラマンナイスとしてこの地球を守ることを決意するのであった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


阿部 隆也の見た目…モチーフは【青の祓魔師】の主人公『奥村 燐』。耳は尖っておらず、尻尾は無い(普通の人間ですから)。


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第103話 ザゴン星人からの挑戦状

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


パジャマパーティーを終えた直喜は、まず六花の母織江に「お世話になりました。」とお礼を言った。その際、織江から「もう直喜君、ウチの子になっちゃいなよ~♪」と言われたのだが、六花が怒ったのは言うまでもない。次に、企画してくれたなみことはっす、六花とアカネにお礼を言った。

 

なみこ「水臭いなぁ直喜ィ♪ウチらは直喜の喜ぶ顔が見れればそれで良いんだってぇ~♪」

 

はっす「良かった、直君に楽しいって思える空間を与えられて。ウチらはさ、直君の『誰とでも仲良くしようとする』優しさに勇気を貰えるんだ~♪」

 

六花「文化祭準備の時も、困ってる人のとこに真っ先に向かって助ける強さもね。」

 

アカネ「直喜君が来てくれたから、私達も楽しかったよ♪」

 

直喜からお礼を言われ、4人は嬉しそうな顔をしていた。その後、直喜は近くのホビーショップに足を運んだ。

 

直喜(もうすぐ新しいウルトラマンが放送されるから…えっと……あっ、あった!)

 

やって来たのは、『ウルトラディーフラッシャー』の試作機を使って遊べるコーナーだ。丁度空いていたため、直喜はウルトラディーフラッシャーを操作して遊んでみた。

 

直喜(英語の音声とLEDの光方がキレイだなぁ…あぁ、バイト代出たから買っちゃおうかな~?)

 

直喜は棚を見てみるが、ウルトラディーフラッシャーはまだ販売されていない。

 

直喜(あれっ?売り切れなのかな?また今度にしよっか……)

 

隆也「おっ、直喜?お前もウルトラディーフラッシャーを?」

 

直喜「あっ、あれ…隆也君?」

 

何と、ホビーショップで隆也と出会った。

 

隆也「いやぁ、地元のホビーショップにそれ無くてさ…」汗

 

直喜「あぁ、そうなんだ。でも、これまだ売ってないっぽい…」

 

隆也「あぁ、それ10月頃に発売されるんだって。」

 

直喜「そうなんだね。」

 

その後、直喜は隆也と共にツツジ台を歩くことに……

 

直喜「そういえば隆也君、もしかしてザゴン星人とか来た?」

 

隆也「あぁ、俺が通ってる学校を壊そうとしたんだぜ?とんだ迷惑宇宙人だったぜ…」汗

 

直喜「そ、それは災難だったね…」汗

 

隆也を労う直喜。

 

隆也「追っ払ったんだが、アイツは簡単には諦めてくんねぇよな?」汗

 

直喜「うん、そうかもね…」汗

 

ザゴン星人は、何度も何度もやられても諦めない程、鋼のようなメンタルを持った宇宙人だ。変な怪獣を連れてくることもある。そんな時……

 

ザゴン星人「ザッゴ~ン!!」

 

ツツジ台の街中に、ザゴン星人が現れた。

 

ザゴン星人「ウルトラマンゼアスよ!!私と戦うザゴン!!ウルトラマンナイスよ!!私の手下の怪獣と戦うザゴン!!いでよ、『モモザゴン』!!」

 

ザゴン星人の隣に光が発生すると、1体の怪獣が姿を現す。

 

モモザゴン「グワアアァァッ!!」

 

現れた怪獣は、全身がピンク色で常に回転している耳、体の各所に機械的なパーツが付いているのが特徴の変な怪獣だ。くいしんぼう怪獣『モモザゴン』、ザゴン星人の手下の怪獣である。

 

人々「か、怪獣だ!!」「逃げろ!!」「うわっ!?」

 

突然現れたザゴン星人とモモザゴンに、人々は大慌てで逃げ出す。

 

隆也「直喜!!」

 

直喜「うん、行こう隆也君!!」

 

 

ゼアアァァス!!

 

ウルトラマンナーイス!!

 

 

轟く叫びを耳にして、ツツジ台の街中に2つの光が発生……

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

ナイス「ナァッ!!」

 

そこから2人のウルトラマンが姿を現した。

 

人々「おい、ウルトラマンが!!」「2人のウルトラマンが来てくれた!!」

 

2大ウルトラマンに、人々は歓声を上げる。

 

ザゴン星人「行くザゴン!!」

 

モモザゴン「グワアアァァッ!!」

 

ザゴン星人はゼアスに、モモザゴンはナイスに向かってくる。

 

ゼアス「ッ!!」

 

ゼアスは地面を蹴ると、ザゴン星人に回し蹴りを繰り出す。

 

ドガァッ!!ドガァッ!!

 

直喜(はぁっ!!)

ゼアス「タアアァァッ!!ドッゴォォオオオオッ!!

 

ゼアスのマシンガンキックは、ザゴン星人の顔面を捉える。

 

ザゴン星人「~~!!!???」ジタバタ!!

 

地面に倒れたザゴン星人は、余程痛かったのか顔を抱えてのたうち回っている。

 

 

ナイス(やるねぇゼアス君。)

 

隆也(ナイス、怪獣が来てるぞ!?)汗

 

ナイス(えっ?)

 

余所見をしているナイスに、モモザゴンは張り手を繰り出した。

 

隆也(ちっきしょお…ナメんなよぉ!!)

 

ナイスはモモザゴンにタックルすると、素早く懐に潜り込み…

 

ナイス「ンナァァアアアア…!!」

 

モモザゴンを持ち上げた。そして…

 

隆也(オラアアァァッ!!)

ナイス「ナアアァァッ!!」ブゥンッ!!

 

ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

岩石落としでモモザゴンを投げ飛ばした。モモザゴンはすぐに起き上がり、ナイスに突っ張り攻撃をしてくる。

 

ナイス「ナナナナッ!?」

 

最初は攻撃を受けていたナイスだったが、最後は交わしてカウンターチョップを繰り出した。

 

 

ザゴン星人「うぅ…よ、よぉし今度は私n」

 

ゼアス「デヤアアァァッ!!」

 

起き上がったザゴン星人に、ゼアスは電撃を纏ったキック『ゼアス・ニーキック』を放った。

 

ドッゴォォオオオオッ!!

 

ザゴン星人「!!??」

 

腹部に強烈な痛みが走り、ザゴン星人はうずくまってしまった。

 

ナイス「ナナナナナナナナッ!!ナアアァァッ!!」ズドドドドドドド…ドッゴォォオオオオッ!!

 

モモザゴン「グワアアァァッ!!」ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

ナイスはモモザゴンに『パパパンチ』を放った後、最後に右ストレートを顔面にぶつけて地面に倒す。すかさずゼアスとナイスは、光線を放つ準備をする。ゼアスはまるで何かを大事に抱えるような独特な動作を取った後、腕を大きく広げ…腕を逆十字型に組む。ナイスは親指ポーズを決めた後、Nを表すように腕を広げ、腕をクロスする。

 

ゼアス「シェアッ!!」ビィィイイイイイイッ!!

 

ナイス「ナッ…ナッ、ナッ!!」ビィィイイイイイイイイッ!!

 

ゼアスは『スペシュッシュラ光線』を、ナイスは『ベリーナイス光線』を発射し、ザゴン星人とモモザゴンを倒した。街では大歓声が上がる。ゼアスとナイスのカラータイマーは、まだ青だった。幸い、街が破壊されていなかったため、どこにも被害が及ばなかった。ゼアスとナイスは握手をした後…

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

ナイス「ナアアァァッ!!」

 

雲1つ無い晴れた大空へと飛び立って行った。

 

 

 

後日、昨日の戦いがニュースで報道されたのはまた別のお話……




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第104話 隆也編『出現!暴れん坊怪獣!!』

OP~Project.DMM『ウルトラマンナイス』~♪


ツツジ台から帰って来た隆也は、早速勉強を始めていた。

 

ナイス(なぁにこれ、難しい問題ばかりだねぇ…?)

 

隆也(おっ、ナイス。俺さ、医者を目指しててな…苦しんでる人達を助けたいんだよ。)

 

隆也の夢…それは、『医者』になることだ。幼い頃、事故でケガをしてしまい…入院することになった。不安に刈られていた時、ウルトラマンナイスと医者に出会った。【ウルトラマンティガ】の後のCMとしてウルトラマンナイスが放送されており、それが楽しみだったのだ。ティガよりもナイスのコミカルな性格と1度も負けなかった勇姿に、幼い隆也は惚れた。大好きなウルトラマンナイスと頼もしい医者と看護師の存在……話を聞いてくれたり、不安に寄り添ってくれ…ケガが治るまで一緒に歩んでくれたのだ。それがきっかけで、隆也は自分も医者になることを決意したのだった。

 

ナイス(そうだったんだね。でも、私を好きになってくれたのは…スゴく嬉しいなぁ~♪)エヘヘヘ…

 

隆也の話を聞き、照れるナイス。

 

隆也(だってナイスは、無敗だぞ無敗!!)

 

ナイス(おっと、割り込んで来てごめんね?それじゃあ、課題頑張って!!)

 

隆也(おうよ!!)

 

隆也は課題を終わらせると、下へ降りていく。

 

隆也母「ねぇ隆也、ニュース見た?」

 

隆也「えっ、ニュース?」

 

ポカンとする隆也を見た隆也母は、テレビをつけた。すると、ウルトラマンナイスがニュースで報道されており…

 

 

レポーター『井荻のナイス、ツツジ台のゼアス!2人のウルトラマンがいるなか、どちらが好みかアンケートを取って見ました!その結果が、こちらです!!』

 

 

テレビでは、アンケートが出ており…ナイスが15%、ゼアスが65%、他のウルトラマンが20%だった。

 

ナイス(えぇっ!?私ってそんなに人気無い?)汗

 

隆也(ナイスナイス、ここから挽回してこうぜ?ゼアスだってそうだったと思うからさ…流石に地球に来たのばっかりじゃあ簡単に票は集まらないって。)

 

ナイス(うーん、言われてみれば確かに……そうだね、一緒に頑張ろう隆也君!!)

 

隆也(あぁ、勿論だ!!)

 

今のところ…人類からの人気はイマイチではあるものの、前向きな隆也に励まされたナイス。

 

 

 

翌日、隆也は学校の文化祭の準備の為、早く家を出た。

 

女子生徒1「阿部君、ちょっと手伝って欲しいことが。」

 

隆也「おうよ、今行く。」

 

男子1「隆也~、こっちも頼めるか?」

 

隆也「良いぞ!」

 

周りを助けながらも、順調に準備を進めていく隆也。夕方6:00頃…漸く準備は終わった。生徒達が帰る準備をしていると……

 

 

怪獣「ニャァァアアアア!!

 

 

こらまた学校近くに、変な怪獣が現れた。可愛い犬の様な顔をしており、高い慎重と長い尻尾が特徴だ。

 

生徒「か、怪獣だ!!」「みんな逃げろ!!」

 

現れた怪獣『ブルブルザゴン』を見た生徒達は、大慌てで逃げ出す。

 

隆也(まさか、帝校祭を台無しに…んなことさせるか!!)

 

隆也は誰も居なくなった教室で、ナイスドリーマーを開けると、シークレット・チョコを1つ食べた。

 

 

ウルトラマンナーイス!!

 

 

隆也は七色の光に包まれ、ウルトラマンナイスへと姿を変え…暴れん坊怪獣:ブルブルザゴンの前に降り立った。

 

ナイス「ナッ…!!」

 

ブルブルザゴン「ニャァァアアアア!!」

 

現れたナイスにブルブルザゴンは尻尾攻撃を繰り出してきた。

 

ナイス「ナナッ!?」

隆也(うおっ!?あっぶね!!)

 

イナバウアーのようにして避けたナイスは、ブルブルザゴンのお尻に左足キックを繰り出した。

 

ドゴォッ!!

 

ブルブルザゴン「ニャァァアアアア!!??」

 

ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

ナイスの蹴りを受けたブルブルザゴンは転倒…

 

ナイス「ナァッ!?」ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

しかし、ナイスもバランスを崩して尻餅をついてしまった。

 

女子生徒2「やっぱナイス頼りない…」

 

女子生徒2の言葉に…

 

ナイス(ガーン!!)

 

落ち込んでしまうナイス。だが……

 

隆也(んなわけあるかぁ!!ナイスはなぁ、1回も負けてねぇんだぞ!?頼りになるから負けねぇんだろうが!!俺の大好きなウルトラマンを、バカにするなよ!!)

 

ナイス(た、隆也君!!)

 

隆也の言葉を聞き、すぐに元気を取り戻した。その後、起き上がったブルブルザゴンに、正面から攻撃を仕掛けていく。

 

ナイス「ナッ!!」

 

ブルブルザゴン「ニャァァアアアア!!」

 

しかし、ブルブルザゴンはナイスよりも背が高かったので…ナイスはブルブルザゴンの懐に潜り込み、ブルブルザゴンを持ち上げた。

 

ナイス「ンナァァアアアア…!!」グググググッ!!

 

ブルブルザゴン「ニャッ!?ニャァァアアアア!!」ジタバタ

 

そして、暴れるブルブルザゴンを岩石落としのように投げ飛ばした。

 

ナイス「ナアアァァッ!!」ブゥンッ!!

 

ドドォォオオオオオオオオッ!!

 

ブルブルザゴン「ニャアアアアァァ!??」ピヨピヨ

 

勢いよく投げられたブルブルザゴンは、目を回してしまった。

 

隆也(よし、トドメだ!!)

 

すかさずナイスは、Nを表すように両腕を広げ…両腕を一回転させ、クロス型に組んだ。

 

 

ナイス「ナアアァァッ!!」ピカァッ!!

 

ビィィイイイイイイイイッ!!

 

 

ナイスの腕からは、太く、七色に輝く光線が発射された。必殺技『ミレニアムクロス』だ。ナイスが厳しい特訓の中で編み出した最強必殺技である。

 

ブルブルザゴン「ニャァァアアアア!!」

 

ナイスの光線を受けたブルブルザゴンは、断末魔を上げながら姿を消していった。

 

男子生徒2「やっぱナイス頼りになるじゃん。」

 

男子生徒3「隆也曰く、1度も負けてねぇんだって。」

 

男子生徒4「マジ!?めっちゃ(つえ)ぇじゃん!!」

 

皇帝大学付属高校では、少しではあるが…男子生徒はナイスのことを知っているようだ。その理由は…You○ubeでナイスのCMを見ていたところ、男子生徒数人が気になって声を掛けてきたのだ。隆也はオタク全快でナイスについて話をし、“無敗である”ことを彼らに叩き込んだのだ。

 

男子生徒2「ナイス!!」

 

男子生徒3「ナ~イス!!」

 

男子生徒4「ナイス~?」

 

男子生徒3人が親指ポーズを決めると…

 

 

ナイス「ナッ…!」(^^b)

 

 

ナイスも親指ポーズを決め、破壊された街を元通りにした。全てが元に戻った時…

 

ナイス「ナアアァァッ!!」

 

ウルトラマンナイスは、夕空へと飛び立って行った。

 

 

 

ザゴン星人(今回のナイスはただ者ではないザゴン…うーん、どうすれば勝てるザゴンか?)汗




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第105話 暑い日々

OP~OxT『UNION』~♪


直喜「あ、暑い……」

 

季節は秋になっているのだが…どういうわけか、天気予報を見ると……ずっと夏日が続いていた。

 

直喜(この地球(ホシ)、なんか変だよ…もう9月なのに、ずっと暑い……)

 

外では相変わらず、蝉の鳴き声が響いている。

 

直喜(でも、ひきこもり(?)はよくないよね…歩こうかな……)

 

直喜はスポーツウェアに着替えると、ウォーキングに出掛けた。

 

 

 

外に出ると、熱気が直喜を襲い始める。

 

直喜「うわぁ…あっついなぁ……」汗

直喜(で、でも…1度やるって決めたことなんだ…せ、責任取らなきゃ…ダメ、だよね……?)

 

直喜はフルフルと首を横に振ると、再び歩き始める。いつものように住宅街、ツツジ台公園、河川敷の近くを歩く。そんな時……

 

アノシラス「あっ、ウルトラマン。」

 

怪獣少女『アノシラス』がこちらへ歩いてきた。ウルトラマンゼアスこと『神山 直喜』に母親を救われ…それ以来、彼のことを『ウルトラマン』と呼んでいる。ちなみに、彼がウルトラマンゼアスであることも知っている。その理由は…彼からキレイなオーラがキラキラ出ているからとのこと……

 

直喜「き、君は…アノシラス……」

 

アノシラス「うん、久しぶりだね。」

 

彼女の手には、スーパーのレジ袋が握られており…その中には大量の小銭が入っている。また、背中に背負っているランドセルの下には寝袋がぶら下がっている。

 

アノシラス「ところでさ、こんなとこで何してんの?」

 

直喜「何って…散歩、だけど……?」

 

アノシラス「散歩かぁ…私も着いてって良い?」

 

直喜「えっ?えっ、あぁうん…良いけど……」

 

アノシラス「…けど?」

 

直喜「僕の側にいても、何にも無いよ?」

 

直喜がそう言うと、アノシラスは「うぇっへっへっへっへっ」とクセのある笑い方で笑った。

 

アノシラス「まぁまぁそう言わないで…取り敢えず、行こ?」

 

直喜「う、うん…」

 

アノシラスに誘導される形でやって来たのは…市立亀傘公園だった。ベンチに座ると、アノシラスが直喜に聞いてくる。

 

アノシラス「ねぇ…君にとって、ウルトラマンってどんな存在なの?」

 

直喜「えっ、ウルトラマン…?」

 

直喜はそっと目を閉じると…語り始める。

 

 

直喜「僕にとって、ウルトラマンは……自信や勇気、希望を与えてくれる…そして、大事なことを教えてくれる存在だなぁ。僕ね、ウルトラマンを見て…優しくありたいって思ったの。」

 

 

直喜曰く…未来の自分を考えるきっかけだと言う。1966年の7月10日…原点にして頂点に立ち、栄光たる存在『初代ウルトラマン』がこの地球に舞い降りた。次に『ゾフィー』、『ウルトラセブン』、『ウルトラマンジャック』、『ウルトラマンエース』、『ウルトラマンタロウ』と、続々とウルトラマン達がやって来たことで…ウルトラマン作品は幾つもの時代を駆け抜けてきた。そんな彼らを支える太陽エネルギーは、地球上では急激に消耗し…およそ3分間しか活動できないという大きなリスクがある中、地球を…人類を愛し、幾多の危機から何度も救ってきた。そして今も尚、多くの人々に勇気や希望、感動を与えている。

 

アノシラス「へぇ~。」ニコニコ…

 

直喜「僕が大好きなウルトラマンの歌は【みんな大好きなウルトラマン】って歌なんだけど…サビの部分を聞くと、感動して泣きそうになる。僕もね…いつか、ウルトラマンに会えるって信じてたんだ……」

 

アノシラス「うんうん…!」

 

直喜「それで、僕にも…僕にも、会えたんだ…1番大好きなウルトラマンに…!その瞬間…最後まで信じてて良かったって、思えたよ。」

 

直喜はすっかり夢中になっており、アノシラスは彼の話を聞いて楽しそうにしている。

 

直喜「どんなに強い敵が来たって…僕たちは、ウルトラマンが勝つってずっと信じてるんだ。だから、ウルトラマンは絶対に勝つ…僕たちにとって、ウルトラマンは永遠のヒーローなんだよ。」

 

アノシラス「……。」

 

直喜「…ハッ!?ご、ごめん…こんなオタク全開の話をしちゃって…」汗

 

アノシラス「そんな事無い…君の言う通り、ウルトラマンは本当にスゴいし…私達の永遠のヒーローだね。」

 

ニッコリと笑うアノシラスに、直喜は安心して胸を撫で下ろした。その後、話をしてくれたお礼と言ったアノシラスは…直喜にジュースとスペシャルドッグを奢ってくれた。初めは遠慮した直喜だったが、アノシラスの押しは思った以上に強く…結局、折れる形でジュースとスペシャルドッグを受け取った。

 

アノシラス(あの時、“直喜さん”には大きな借りができたなぁ~…私も、ウルトラマンに出逢えて本当に良かった♪直喜さん、本当にありがとう♪)

 

休憩をした後、アノシラスは直喜と共にツツジ台駅へと向かった。

 

 

 

直喜とアノシラスが去った後の亀傘公園に、1人の少女がやって来た。

 

六花「・・・・・・。」

 

六花である。ふと、視線を前に移すと・・・

 

六花「あ・・・」

 

何やら、ゴミ箱を漁っている少年の姿が見えた。六花はその少年の元に行き、声を掛ける。

 

六花「あの~・・・」

 

アンチ「・・・?」

 

すると、少年はゴミ漁りを辞め・・・六花の方を向く。

 

アンチ「・・・俺に何の用だ?」

 

六花「えっ・・・いや・・・・・・」

 

謎の少年『アンチ』の言葉に困惑する六花。その時・・・

 

 

グウウゥゥ~~~~・・・

 

 

・・・と、変な音が聞こえた。

 

六花「・・・お腹、空いてる・・・?」(汗)

 

アンチ「・・・。」

 

どうやら、アンチのお腹が鳴ったようだ。六花は持っていたスペシャルドッグと牛乳をアンチに与える。アンチはそれらを受け取ると、スペシャルドッグをむさぼり始める。

 

六花「…もしかして中学生?」

 

六花はアンチに聞くが、アンチは彼女の質問に答えず…スペシャルドッグにかぶりついている。

 

六花「私六花、君の名前は?」

 

アンチはスペシャルドッグを完食し、漸く六花の質問に答え始める。

 

アンチ「…アンチ。」

 

六花「アンチ……?」

 

何やらソワソワし始めるアンチ。そんな彼を見て、六花は……

 

六花「はい。」

 

2個目のスペシャルドッグをアンチに与えた。アンチはスペシャルドッグを受け取り、かぶりつく。

 

六花「…?」

 

ふと、何やらアンチに違和感を感じた六花は…彼の頭に顔を近付ける。そして、少し匂いを嗅ぐ。

 

六花「うっ…」

六花(臭ぁ…)汗

 

アンチからは、何やら変な匂いが発生していた。流石の六花も、戸惑いを隠せない様子。

 

六花「ねぇ、ちゃんとお風呂入ってる?」

 

アンチ「お風呂?」

 

六花「うん、お風呂…」

 

アンチ「…何だそれは?」

 

六花「…マジか……」

 

アンチは風呂を知らない。何故なら彼は人間ではなく、怪獣である。怪獣には、入浴するという習慣が無いのだろうか……当然、彼が怪獣であることを六花は知らない。彼を放っておけないと思った六花は、自宅に案内することに…そして、風呂に入れて清潔にしようと考えた。




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一旦ここで区切って、続きは次回に書きます。


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第106話 造られた世界

OP~OxT『UNION』~♪


アノシラスと共にツツジ台駅に到着した直喜は、電車に乗った。そこで偶然、裕太と出会った。

 

アノシラス「ところで…ウルトラマンは、この電車の都市伝説って知ってる?」

 

直喜「と、としでんせつ…?」

 

アノシラス「うん、この電車に乗ってると…途中で凄い霧に包まれて、段々眠くなって来るんだ。それで、気が付いたらツツジ台駅に戻ってるっていうヤツなんだけど……」

 

この路線で囁かれている奇妙な噂……それは、先程アノシラスが話した内容である。しかし……

 

直喜「で、でも…校外学習の時や六花ちゃん達とお出掛けした時は、全然眠くならなかったよ…?」

 

校外学習の時や六花らと出掛ける時、この路線を利用した直喜。その時、全く眠くならなかったのだ。

 

直喜「そ、それに…フジヨキ台にも熱海にも、井荻にも行けたし……」

 

アノシラス「そんなの無いよ?」

 

直喜「…えっ?」

 

アノシラス「この街の外には、何も無いよ?

 

裕太「どういうこと?」

 

アノシラスの言葉に疑問を抱いていると…急に辺りが霧に包まれ始めた。すると…

 

裕太「……。」ウトウト…

 

裕太が眠ってしまった。

 

直喜「あ、あれ…ひ、響君?響君ってば…!」

 

直喜は裕太を起こそうと声を掛けるが、彼は全く起きない。

 

直喜「…あれ、ちっとも眠くないよ?」

 

眠ってしまった裕太とは反対に、直喜は全く眠くないようだ。

 

直喜「何で、君と僕は…ね、眠くならないの?」

 

アノシラス「直喜さんが眠くならない理由は、多分…君の中にウルトラマンが居るからだと思う。」

 

ウルトラマンゼアスと一心同体になっている直喜は、霧の影響を受けないようだ。電車は規則正しく走り続けている。アノシラスはずっと音楽を聞いているためなのか、ちっとも眠くない様子である。

 

直喜「…こ、これって……」

 

車窓から見える景色…それは、辺り一面が濃い霧に覆われ…岩石が飛び交っている何も無い世界だった。

 

直喜「あれっ!?ここって、校外学習の時に…!!」

 

校外学習で訪れた駅も、ボロボロになっており…霧と岩石が飛び交う世界に包まれていた。

 

直喜「な、何で…何で皆、眠くなっちゃうの……?」

 

アノシラス「このガスのせいだよ。」

 

アノシラスはそう言うと、イヤホンを外し…裕太の耳に近付けた。少しして、裕太は目を覚ました。

 

裕太「…あ、あれ……俺……」

 

直喜「この霧のせい、みたい……」

 

裕太「な、直喜君…ここって……」

 

直喜「わ、分からない……」

 

ふと、裕太は自分の耳にイヤホンが付けられていることに気が付く。彼の耳には、鮮やかなピアノの音が入ってくる。

 

裕太「お、音楽…?」

 

アノシラス「音楽にはね、目には見えないけど…音の聖霊が隠れててね?」

 

裕太「…音の聖霊?」

 

アノシラス「そしていつも、演奏している人の心を見ているんだ。」

 

アノシラスと裕太が話をする中、直喜はずっと…車窓から見える景色を見ている。

 

直喜(この世界、何だかおかしい……秋なのに、まだ暑いし…それに、こんな奇妙な場所もあるし……)

 

そんな直喜に、アノシラスは声を掛ける。

 

アノシラス「ねぇ、直喜さん…何でこの街だけに怪獣が現れると思う?」

 

直喜「そ、それは…べ、ベンゼン星人やレディベンゼン星人が……」

 

アノシラス「それもそうだけど……ヤツらが来る前から、この世界には怪獣が出てるよ?」

 

直喜「えっ…な、何か知ってるの?」

 

アノシラスはゆっくりと語り始める。

 

 

アノシラス「この街に現れる怪獣は…

 

全部1人の人間から生まれたの。

 

 

裕太「1人の、人間から……?」

 

アノシラス「そう。1人ぼっちの人間の心から……」

 

直喜「だ、誰…なの……?」

 

次にアノシラスから語られた言葉を聞いた直喜は、言葉を失うことに……

 

 

 

新条 アカネ

 

 

 

直喜「!!??」

 

何と…ツツジ台に怪獣を出現させていたのは、新条 アカネだったのだ。

 

直喜「あ、アカネちゃん……でも、でも…怪獣の人形を作っていただけで、アカネちゃんがやったなんて」

 

アノシラス「その方法で怪獣を生み出していたんだよ?」

 

直喜「そ、そんな訳…アカネちゃんが、そんな事するわけ……!!」

 

直喜はアカネを疑っていなかった…いや、正確にはアカネを疑いたくなかった。

 

アノシラス「新条 アカネは怪獣を使って、街を壊して街を治す…まぁ、ウルトラマンも街を治してるけど。」

 

アノシラス曰く…アカネは怪獣を生み出しては街を破壊しては治すを繰り返していた。それも、何度も何度も……

 

アノシラス「私はずっと前から、ここで見ていた。」

 

直喜「も、もしアカネちゃんがそれをやってたとしたら……な、何のために……」

 

アノシラス「気に入らない部分を治すためだよ?」

 

直喜「…えっ?」

 

直喜が知らなかったアカネの素性…かつて、直喜にぶつかって謝らずに去って行った教員や、直喜をバカにした男共等々……気に入らないことがあれば、どんなに些細なことでも無くそうとする。

 

 

あの娘にとってこの街は、世界の全部…

 

怪獣を作っているうちに…

 

あの娘の心が……

 

この街自体が……

 

怪獣みたいになっちゃった

 

 

裕太「ちょっと待って…じゃあ、今まで怪獣の犠牲になった人達って……」

 

アノシラス「新条 アカネが気に入らなかった人達…でも、中にはウルトラマンに助けられた人達もいる。」

 

裕太「す、好き嫌いで人を…!?」

 

どうやら、怪獣に襲われた人々は…アカネが気に入らないと認識した人であり、怪獣によって犠牲となる対象となっていたそうだ。しかし、グリッドマンやウルトラマンゼアスが怪獣を倒したことで、それは阻止されたこともある。

 

アノシラス「仕方ないよ…新条 アカネはこの世界を造った…君たちにとっての……

 

 

カミサマ

 

 

なんだから……」

 

この世界は、アカネによって生み出された世界であることが発覚し…裕太と直喜は言葉を失っていた。

 

裕太「ちょっと待ってよ、今の話が本当なら…カミサマ、歪み過ぎでしょ…!」

 

アノシラス「そう、彼女は歪み過ぎていた…でもね……」

 

アノシラスは直喜の方を見る。

 

アノシラス「彼女は少しずつ変わっている…そのきっかけを作ったのは……ウルトラマン、君だよ?」

 

直喜「ぼ、僕…?」

 

アノシラスの言葉に困惑する直喜。

 

アノシラス「君は誰に対しても、分け隔てることなく優しく接している。おっちょこちょいで空回りしちゃっても…それでも困難に立ち向かって、人から喜ばれることを沢山して来た。直喜さん、どうして君の周りに人が集まってくるのか…考えたことある?」

 

直喜「……。」

 

アノシラスの言葉に、黙ってしまう直喜。しかし、アノシラスは自分を褒めていることは分かっていた。

 

アノシラス「それはね…君の元々の性格……人を疑わない純粋さ…どこの世界の人達とも、友達になろうとする気持ち……困っている人を助けようとする優しさと強さ……君はそれを行動で示しているんだ。」

 

幼い頃の直喜は…両親から構って貰えなくなり、終いには捨てられてしまった……風呂にも入れて貰えず、清潔を保てなくなったことで周囲からは虐められ……どこに行っても、寂しい日々を送っていた。自分の存在を認めて欲しいと思っても…何をすれば良いのか分からなかった。だが、大好きなウルトラマンに影響され…誰かの力になれることをしようと考えた直喜は、行動を起こした。困っている人がいたら真っ先に駆け付け…どんな人でも、自ら心を開いて友達になろうとした。例え、人々の敵であっても…最後まで信じ、決して疑わなかった。

 

直喜「つ、強さだなんて…僕は、ただ……誰かに、構って欲しくて……で、でも…どうしたら良いのか、わかんなくて……」

 

アノシラス「直喜さん、自虐しなくても良いんだよ?君はもう、存在を認めてられているし…人から好かれる存在になっている。だから、自信を持って欲しい……君は、私にとって大好きなヒーロー…私にとって、『ウルトラマン』なんだから。」

 

彼女も、直喜のこれまでの行動をずっと見てきていた。直喜がアノシラスに言った言葉……

 

『困っているなら人だろうが怪獣だろうが関係ない。余計なお世話かもしれないけど、困ってるなら放っておけないよ。』

 

この言葉をずっと覚えていたアノシラス。本物の優しさに触れた時から、彼のことを『ウルトラマン』と呼ぶようになった。実の母親をゼアスに変身した直喜によって救われ…そして今日、その直喜から直接…ウルトラマンの魅力について教えてもらい……心からウルトラマンが大好きになったのだった。

 

裕太「君も怪獣なら、何で新条さんの味方をしないの?」

 

アノシラス「私は新条 アカネによって生まれた怪獣じゃない…私は、元からここにいた怪獣だよ?」

 

ツツジ台が生まれる、ずっと前から

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、ツツジ台駅についた直喜と裕太は…アノシラスと別れた。

 

裕太「直喜君、もしかしたら新条さん…宇宙人に利用されているかも知れないよね…」

 

直喜「うん…僕、レディベンゼン星人を止めなきゃいけない……」

 

裕太「俺も、自分のやるべきことが分かった気がする。俺さ…グリッドマンに変身しててね……」

 

直喜「そ、そうだったんだ。」

 

帰路を歩く直喜と裕太。そんな彼らを見守る者が……

 

 

アンチ「……。」

 

 

アンチだった。彼はグリッドマンを倒すことを使命としているが…

 

アンチ(グリッドマンと直喜は友達なのか…なら、今はグリッドマンを倒すべきじゃない……)

 

直喜が近くにいるため、攻撃は不可能と判断し…身を引いた。

 

 

 

裕太と別れた直喜は、自宅マンションに帰って来た。

 

直喜「……。」

 

アノシラスの言葉が離れず、ついつい考え事をしてしまっている。その時、スマホが鳴った。

 

直喜(…あ、隆也君からだ。)

 

電話に出ると…

 

隆也『あっ、出た出た。よぉ、元気か?』

 

隆也の声が聞こえてきた。

 

直喜「うん、そっちはどう?」

 

隆也『俺も元気だぜ!あっ、直喜直喜…俺、なんかそっちに行けなくなっちまったんだ。』

 

直喜「えっ、どうして?」

 

隆也『いやぁ、何故か電車が止まっててさぁ……』

 

直喜「えっ、何でだろ?」

 

隆也『それがさ、原因がわかんねぇんだってさ……ウルフェスに行けなくて残念だよぉ~。』

 

隆也から話を聞くと…何故か電車が止まってしまい、ツツジ台に来れなくなってしまったのだ。毎週日曜日に開催されるウルトラマンフェスティバルは、ここ『ツツジ台』が舞台となっているのだ。

 

直喜(も、もしかして…これって、アノシラスが言ってたこと……?)

 

隆也『直喜、俺の分まで楽しんでくれよな。んじゃ、またオンラインで。』

 

直喜「あっ、うん…またね、隆也君。」

 

通話を終えると、直喜はあることを思い出した。

 

 

直喜(あれ?そういえば…駅名標に、ツツジ台ツツジ台ツツジ台って、書いてあったような…き、気のせいかな…?)

 

 

それは、電車から降りた際…駅名標の表記がおかしかったことだ。もしかしたら、見間違いかもしれない…そう思いたい直喜だったが……

 

直喜(明日、また見に行ってみよう……)

 

後日、もう一度ツツジ台駅に向かうことにして…今日はゆっくり身体を休めるのであった。




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第107話 ピンチの連続、そんな時…

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


翌日…直喜は早起きし、朝食を食べた後…ツツジ台駅へと向かった。駅に到着すると、改札を通ってホームへと足を踏み入れる。

 

直喜(えっと、駅名標駅名標……あっ、あった…!)

 

駅名標を見つけると、そこに書かれている行き先を見る。そこには……

 

直喜「!!」

直喜(ツツジ台…どっちに行ってもツツジ台だ……!)

 

 

ツツジ台 ツツジ台 ツツジ台

 

 

…と、表記されていた。つまり、どこにも行けず…電車に乗っても無限ループする形でツツジ台に戻ってしまうのだ。

 

直喜(気のせいじゃなかったんだ…これじゃあ隆也君にも会えないし、夢芽ちゃんやちせちゃん…シズム君達にも会えないよ……)

 

シズム「どうしたの、直喜?」

 

直喜「どうしたのって、これ見てよ。どこに行ってもツツジ台に来ちゃうし…シズム君、君にも……って、うわぁっ!?」

 

振り向くと、そこには何故かシズムの姿があった。

 

直喜「し、シズム君!?いつからこっちにいたの!?」

 

シズム「1週間前。」

 

どうやら彼は、他のメンバー達と共にツツジ台に滞在しているようだ。

 

シズム「おどかしてごめん。直喜に野菜を届けようと思ってたんだけど…ここに入っていくのが見えたからさ。」

 

直喜「そ、そうだったんだ…」

 

シズムと会えたことで安心した直喜は、彼と共にツツジ台駅を出た。

 

ムジナ「あっ、直喜~♪」

 

外には、シズムの付き添いで来たと思われるムジナの姿があった。

 

直喜「む、ムジナちゃん…!」

 

すると、ムジナの後ろから小さくなったノーバが出現し…野菜が入った袋を直喜に渡した。

 

直喜「えっ、くれるの…?」

 

ノーバ「♪」

 

直喜「あ、ありがとう…」

 

直喜が袋を受け取ると、ノーバは直喜の周りを旋回し始める。

 

ムジナ「ねぇねぇ、私達フジヨキ台に帰れなくなっちゃったんだけど…どうして?」

 

シズム「どうやら俺達は、この街に閉じ込められたみたいだよ。」

 

ムジナ「えっ、どういうこと?」

 

直喜「さっき、シズム君と駅名標を見てきたんだ…そしたら、どっちに行ってもツツジ台に来ちゃうみたいなんだ。」

 

ムジナ「つまり、無限ループってこと?」

 

シズム「そうなるね。」

 

ムジナ「えぇ~!?まぁ、でもいっか…だってさ、いつでも直喜に会えるじゃん!!」

 

何故か嬉しそうにしているムジナ。彼女の背後から、小さくなった円盤生物が2体現れる。ブラックドームとブラックテリナだ。

 

直喜「ぶ、ブラックドーム…ブラックテリナ……」

 

ブラックドームもブラックテリナも、ノーバと同じように…直喜の周りを旋回し始める。

 

直喜「ムジナちゃん達は、どうやって円盤生物と仲良くなったの?」

 

ムジナ「ん?えっとね、それは…」

 

シズム「俺達は怪獣使いなんだ。『インスタンス・ドミネーション』ですぐに仲良くなったよ?」

 

直喜「い、いんすたんす…どみねー、しょん……?」汗

 

シズムの言葉が分からず、困惑する直喜。

 

ムジナ「し、シズム!?」

 

シズム「良いじゃんムジナ、俺達は直喜を守るために怪獣を使うって決めてるんだしさ。」

 

ムジナ「そ、そうだけど…」汗

 

直喜「えっ、そうなの?でも、何で…?」

 

シズム「直喜は俺達のベストフレンド…俺達は君から、生きる希望を貰ったんだ。だからさ、これは俺達からのほんの些細な気持ちだよ。」

 

直喜「さ、些細なの…かな……?」汗

 

すると、直喜の周りを旋回していたノーバが…直喜の前に来て、マントを広げた。次に、ブラックドームが直喜の頭上に移動すると…髪の毛を切り始めた。ブラックテリナは照りの強い真珠を手鏡にして、直喜の近くに移動する。

 

直喜「あっ、そういえば最近…床屋さんに行ってなかった……髪、伸びてたんだ…」汗

 

シズム「あ、直喜…アブソーバの上に座って良いよ?」

 

直喜「えっ?」

 

いつの間にか直喜の椅子になっていたアブソーバ。

 

直喜「ねぇ、アブソーバ…僕、重くないかな?」汗

 

シズム「直喜は軽いから大丈夫だよ。ね、アブソーバ?」

 

アブソーバ「♪」

 

直喜が座っても、アブソーバは全然平気そうにしている。やがて、直喜の髪型がさっぱりしたところで…円盤生物による床屋活動は終わった。

 

直喜「あっ、お金お金」ゴソゴソ…

 

ムジナ「お金は良いってwほら、皆嬉しそうにしてるし♪」

 

さっぱりした直喜の周囲を飛び回る円盤生物達。かつては、ブラック指令の配下だったこの円盤生物は、怪獣優生思想によって手懐けられ…今では直喜の力になってくれているのだ。

 

その時……

 

 

ドガァァアアアアンッ!!

 

 

直喜の近くで爆発が発生した。

 

3人「「「!!??」」」

 

彼らの視線の先には、カーキ色の体色に丸い身体、体の上部の花のようなモノ『剣輪草』が着いているのが特徴の等身大サイズの怪獣がいた。

 

ムジナ「か、怪獣!?」

 

直喜「あれは…『ケンドロス』だ!!」

 

突如現れた怪獣『ケンドロス』は、両腕を直喜に向けた。

 

ムジナ「ブラックドームちゃん!!」

 

咄嗟にムジナが叫ぶと、ブラックドームが直喜の目の前に移動…それと同時に、ケンドロスはロケット弾を発車した。

 

ドガァァアアアアンッ!!ドガァァアアアアンッ!!

 

ロケット弾は次々にブラックドームに命中する。

 

直喜「ぶ、ブラックドーム!!」

 

ブラックドーム「キュッキュッ♪」

 

しかし、ブラックドームはへっちゃらだった。宇宙蟹であるブラックドームの身体は、非常に硬い鎧でもあるのだ。

 

ケンドロス「グウウゥゥッ!!」

 

ケンドロスは剣輪草の花びらをブーメランのように飛ばしてきた。

 

ムジナ「ノーバちゃん!!」

 

ノーバ「ギュオオォォッ!!」ヒュンッ!!

 

パシィッ!!ガキィンッ!!

 

ノーバは右腕の鞭で1つをキャッチし、左腕の鎌でもう1つを弾き飛ばした。

 

ムジナ「ブラックテリナちゃん!!」

 

ブラックテリナはテリナQをばら撒き、ケンドロスにくっつけさせた。

 

ケンドロス「グウウゥゥッ!!」

 

テリナQがついたケンドロスは、痛みに悶えているようだ。だが、まだまだ倒れない。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「直喜から、離れろォォオオオオ!!

 

 

雄叫びを上げた六花が、ケンドロス目掛けて『レオキック』を放った。

 

ドゴォォオオオオンッ!!

 

ケンドロス「グウウゥゥッ…!!」

 

レオキックを受けたケンドロスは倒れた。

 

六花「直喜!!」

 

六花は直喜の前にいるブラックドームとノーバ、ブラックテリナを攻撃しようとする。

 

直喜「待って六花ちゃん!!」

 

六花「!?」

 

直喜「この円盤生物は味方!!」

 

六花「…えっ?」

 

直喜「し、シズム君!!そうだよね!?」

 

シズム「勿論。俺達はベストフレンドである直喜を守るために、円盤生物を使役してるんだ。だから、直喜に危害は加えない。」

 

六花「…ご、ごめん…私、冷静じゃなかったから……」

 

直喜の声を聞いて冷静さを取り戻した六花は、すぐに謝罪した。

 

直喜「…あっ!」

 

その時、倒れていたケンドロスがこちらへ転がって来ているのが見えた。

 

直喜「六花ちゃん、後ろ!!」

 

六花「!?」

 

ドガァッ!!

 

六花「かはっ!?」

 

ケンドロスに吹き飛ばされた六花は、アスファルトに背中から倒れた。

 

直喜「うわああぁぁっ!!」

 

シズム「アブソーバ!!」

 

尻餅をついた直喜を押し潰そうとしたケンドロスだが、アブソーバの触手に捕らえたことで阻止された。

 

六花「直喜!!」

 

すぐに起き上がった六花は、慌てて直喜の目の前に走った。その瞬間…

 

ギュォォオオオオオオオオ!!

 

ケンドロスは剣輪草を扇風機のように高速回転させた。

 

六花「がああぁぁっ!!

 

剣輪草の花びらは金属のように硬く、鋭い刃のようにもなる。六花は剣輪草の花びらに切られてしまい、出血する。

 

直喜「り、六花ちゃん!!」

 

六花「ぐっ…うぅっ…!!」ポタポタ…

 

傷口を抑えながらも、立ち上がる六花。ケンドロスはそんな彼女に追い討ちをかけるかのように、剣輪草の花びらを飛ばしてきた。

 

六花「ッ!!」

 

六花はジャンプすると、足で花びらを蹴り飛ばした。花びらはアスファルトに落ちて爆発を起こす。その後、ケンドロスは剣輪草の花びらを次々と放ってくる。六花は両手で花びらを弾き、その後も次々と花びらを弾き飛ばして直喜を守った。

 

六花「散れ!!」

 

六花は右手に青い光を放つ剣『アグルセイバー』を装備すると、凪ぎ払うように斬撃破を放つ。

 

ズパアアァァッ!!

 

ケンドロス「グウウゥゥッ!!」

 

剣輪草を切断されたケンドロス。両腕からロケット弾を発射するも、六花はアグルセイバーを回転させて防いだ。

 

ムジナ「ブラックテリナちゃん!!その怪獣を上空に運んで!!」

 

ブラックテリナ「!!」

 

ムジナの指令を聞いたブラックテリナは、ケンドロスを上空へと連れ去って行く。それを見た六花は…

 

六花「ふっ…はぁぁああああっ…!!」ピカッ…ゴゴゴゴゴ……パアアァァッ!!

 

両腕を胸の前に持ってくると、ゆっくりと広げ…右腕を天に掲げる。すると、彼女の周りに発生した青い光が、彼女の右手に集まってくる。次に、六花は渦を作るように青い光を両手に集めると……

 

六花「はぁっ!!

 

スクリュー状の波動弾として、上空にいるケンドロスに向かって発射した。

 

直喜「あれって…『フォトンスクリュー』!?」

 

六花が放った技は『ウルトラマンアグル(V2)』が使用する必殺技『フォトンスクリュー』だ。青く光る波動弾は、ケンドロスの身体を貫く。ブラックテリナが離れると、ケンドロスは空中で大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

六花「はぁ……はぁ……」

 

ケンドロスを撃破した六花だが、かなり出血したのか…倒れてしまう。

 

直喜「六花ちゃん!!」

 

直喜はハンカチを取り出して六花に駆け寄ると、彼女の傷口を抑えながら彼女に声を掛け続ける。

 

六花「な、直喜……わた、し…」

 

直喜「喋っちゃダメ!!血が…血が、止まんないよぉ…!!」

 

瀕死状態の六花を見た直喜は、とうとう泣き出してしまう。

 

シズム「シルバーブルーメ。」

 

シズムはシルバーブルーメを呼ぶ。すると、小さくなったシルバーブルーメは…六花の傷口に触手を巻き付けると、それを切断した。そして、器用に固定した。すると、直喜は何かを閃く。

 

直喜「そ、そうだ…六花ちゃん、血液型は何型!?」

 

六花「…お、Oが…た……」ハァ…ハァ……

 

直喜「ぼ、僕とおんなじだ!!ねぇアブソーバ、僕の血を六花ちゃんに輸血できる!?触手で石油とか吸い込めるから、出来るよね!?」

 

それは、アブソーバの力を借りて…自分の血液を六花に輸血するという捨て身の業だった。

 

アブソーバ「!!」アタフタ

 

流石のアブソーバも、直喜の言葉に戸惑っている。

 

直喜「お願いだよアブソーバ!!六花ちゃんを助けるには、こうするしか無いんだ!!だから、力を貸して!!」

 

必死にアブソーバに訴える直喜。

 

ムジナ「直喜、いくらなんでもそれは無茶だよ…!」

 

シズム「直喜、ちょっと待ってて。」

 

ムジナ「し、シズム!?」

 

シズムは薬局に向かい、消毒液を買いに行った。

 

六花「…な、直喜……」

 

直喜「六花ちゃん、もう少しだから…!僕を…僕を信じて…!!」

 

直喜は六花の手を握りながら、彼女に声を掛ける。やがて、消毒液を手にしたシズムが直喜の元にやって来る。

 

シズム「直喜、腕を消毒するよ?」

 

直喜「うん!!」

 

シズムは直喜の腕を消毒する。次にアブソーバの触手を2本消毒し、最後に六花の腕を消毒する。

 

シズム「アブソーバ、頼むよ。」

 

シズムが指令を出すと、アブソーバは注射針のような細い触手を直喜に刺して、血を吸った。そして、六花の腕にも細い触手を刺し、輸血を開始した。

 

直喜(お願い…六花ちゃんを助けて、神様…!!)

 

意識を失った六花を見ながら、直喜は彼女が助かることを願う。そして……

 

 

六花「……?」

 

 

六花は目をゆっくり開き、目覚めた。

 

直喜「り、六花ちゃん…!!よ、良かった…!!」

 

六花が目を覚まし、笑顔を見せる直喜。

 

六花「…直喜……ありがとう…♪」

 

目覚めた六花は、直喜に感謝をした。

 

シズム「円盤生物を医療行為の手段として使うなんて……やっぱり直喜、君はスゴいよ。」

 

ムジナ「ウルトラ博士の名は、伊達じゃないね。」

 

直喜の思い付いた案のおかげで、六花は助かった。その後、六花の母織江が迎えに来て…直喜、シズム、ムジナの3人に涙ながらに感謝したのは言うまでも無かった。同時に、直喜の閃きに驚き…感心するシズムとムジナであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人「へぇ~、円盤生物をあんな風に使うなんて……流石は神山 直喜…けど、アタシの手段はまだまだ沢山あるのよ?ウフフフッ♪」




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第108話 夢と過去と現在

OP~OxT『UNION』~♪

とある本で見た『ツインテールは海老みたいな味がする!?』というネタを思い出したので、それを参考に書いたのがこちらの後半の話です。


アカネ「……。」スゥ…スゥ……

 

 

 

『…ねちゃん?…アカネちゃん?』

 

アカネ「……?」

 

直喜『アカネちゃん!』

 

アカネ「…な、直喜君?」

 

直喜『次は移動教室だよ?早く行こう。』

 

アカネ「うん♪」

 

いつからだろう…私が彼に夢中になったのは……本来、私は響君を好きになっていて…響君が私の彼氏って設定になる筈だった。彼は、単なるのモブキャラの1人だった…クラスの中にいる、引き立て役のキャラクター……結構オドオドしてるから、まあ引き立て役として相応しいって思ってた。でも、彼も私とおんなじで…怪獣が大好きだってことが分かった。私のこともすぐに受け入れてくれて、彼と話をすることに……彼が話す怪獣雑談は分かりやすくて面白い…特に『ツインテール』の創作料理の話が私は好き。彼と話しているうちに、本当に自分を受け入れてくれる存在は彼しかいないと思った。

 

 

直喜君

 

 

神山 直喜君

 

 

私にとって、彼は…カミサマのような存在だった。でも…通り魔によって殺されちゃった……もう、私を受け入れてくれる人はいない…私は絶望して、この世界で生きるのが嫌になった。どんなに彼を復元しようとしても、全然上手くいかなくて……そんな時、オリシスと出逢って…直喜君とまた会えるようになるための、長い長い旅が始まった。ツミビトは想像以上に強くて、何度も負けちゃった……辛かった、苦しかった、痛かった…でも、大好きな直喜君に会えないのが、一番辛かった……胸が、心が痛い……息が苦しい……絶望に飲まれそうになった時、不思議な力が私に宿った。直喜君が大好きなウルトラマン達の力が、私に…まぁ、私の場合は主に悪トラマンの力なんだけどさw

 

 

 

色んな悪トラマンの技を使ってツミビトを倒せるようになった。最初は全く手も足も出なかったのに…今では圧倒できるようになったよ。六花と一緒に無茶な特訓を続けていた甲斐があったなぁ~。100年経っても500年経っても1000年経っても…私はツミビトと戦い続けた。

 

 

早く直喜君に逢いたい

 

直喜君

 

逢いたいよ

 

 

ツミビトとの戦いが終わった後、私はこっそり持ってきた直喜君の写真に話し掛けていた。

 

アカネ『直喜君…逢いたいよ…寂しいよ……もうずっと、直喜君と逢ってないんだよ……もしかして、隠れてるの?直喜君は隠れるのが上手だね…ねぇ、お願いだから……出て来てよ…降参するから、出て来てよ……』

 

話しているうちに、何だか泣けてきた。写真に写ってる直喜君の笑顔が切なくて……でも、泣いてる暇は無かった。

 

オリシス『アカネ、またツミビトが悪さをしている。退治して来るんだ。』

 

アカネ『…うん……うん……』

 

オリシス『どうした?六花にも来てもらうか?』

 

アカネ『…だいじょぶ……』

 

1000年経って、最初は厳しかったオリシスは優しくなってた。それで、現場に飛ばして貰ったんだけど……

 

ツミビト『うっほぉ~!!新条 アカネぢゃん!!君を退屈から、救ってあ・げ・る♪』

 

ツミビトは全員欲望丸出しでキモイ……だから、私は直喜君に会えないストレスをぶつけるように、ツミビトを攻撃した。このツミビト、光線を撃って来たりバリアを張ったり…面倒臭かったけど、私の相手にはならない♪私は『トリガーダーク』の必殺技『ダークゼペリオン光線』でツミビトをやっつけた。直喜君、褒めてくれるかなぁ?色んな悪トラマンの技を使ってツミビト達を倒して来て、更に数千年が経った頃……

 

 

 

漸く、直喜君と逢える日が来たんだ。直喜君には忘れられちゃったけど…また、友達になっちゃえばOKだし♪緊張しているのか、オドオドしていたけど…それが可愛いんだよねぇ~♪はぁ、ぎゅ~ってしたい!!そこから、まるで楽園にいるみたいだった。直喜君と過ごせるこの世界、直喜君と一緒にいる時間……不思議だなぁ、楽しい時間はあっという間に過ぎてっちゃう……この偽りの世界では、大好きな彼といつまでも一緒にいられる…でも、いつかは彼と…お別れの時が来ちゃう……私はそれが、怖い…もう2度と直喜君と逢えなくなっちゃう…そう思うと、急に寂しくなる……私は、どうしたら良いのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「……?」パチッ…

 

アレクシス「やぁ、おはようアカネ君。」

 

アカネ「…ねぇ、アレクシス。」

 

アレクシス「…ん?」

 

アカネ「私さ…直喜君と、お別れしなくちゃいけないのかな?」

 

アレクシス「急にどうしたんだい?らしくないねぇ…直喜君とお別れしなくちゃいけない…どうしてそう思ったんだい?」

 

アカネ「だって、この世界は私が造った偽りの世界…元々私は、この世界の住人じゃない。だから、だから…」

 

今にも泣き出しそうなアカネに、アレクシスはこう言った。

 

アレクシス「それなら、ずっとここに居たら良いじゃないか。」

 

アカネ「…え?」

 

アレクシス「アカネ君、前に言ってたよね?直喜君には幸せで居て欲しいって…君がこの世界を去って行ったら、直喜君はきっと悲しむよ?」

 

アカネ「……。」

 

アレクシス「お別れだなんて…そこまで考えなくても良いんじゃないかな?私はそう思うよ?それともアカネ君…もしかして、直喜君と一緒にいても退屈になっちゃったのかな?」

 

アカネ「そ、そんなわけ無いじゃん!!直喜君と一緒にいられて、退屈なわけ無い!!楽しいし幸せだもん!!それに、直喜君は私にも優しくしてくれるから…すっごく幸せ!!」

 

アカネがそう叫ぶと…

 

アレクシス「それが聞きたかったんだよアカネ君。意地悪してごめんよ?」

 

…と、アレクシスは満足そうに言った。

 

アカネ「んもぉ~、アレクシスぅ!!シャドリウム光線撃っちゃうよぉ?それか擽るよ?」

 

アレクシス「シャドリウム光線はまだ良いんだけど…擽られるのは勘弁して欲しいなぁ~。」

 

 

 

アレクシスに相談してから、アカネは少しずつ元気を取り戻して来ていた。ツツジ台高校では、友達の亜子と蘭萌と一緒に雑談を挟む。

 

アカネ「……。」チラッ…

 

ふと、直喜の方を見ると……

 

タツミ「なぁなぁ神山、怪獣の中にはさ…ほら、俺らが普段から食ってる生き物みてぇな奴もいるだろ?例えば、レイキュバス…アイツは海老みてぇだから、美味く食えるのかな?」

 

直喜「確かに海老に似てる。そうだ、タツミ君もウルフェスに行ってみるのはどう?中に怪獣酒場っていう居酒屋さんみたいなお店があるんだけど…そこに、怪獣をモチーフにした料理を食べることができるんだよ。」

 

タツミ「マジ!?今度行ってみるわ。」

 

ユタカ「確かツインテールって、食べると海老みたいな味がするって聞いたことある。」

 

直喜「あぁ~、それ結構有名な話だね。」

 

クラスメイトのタツミとユタカと一緒に、ウルトラ怪獣に関する雑談をしていた。

 

直喜「ツインテールを捌いてお寿司にして食べられるかも知れないねw」

 

ユタカ「あはは、確かにwww」

 

楽しそうにする彼らを羨ましいと思うアカネ。

 

蘭萌「ユタカ~、こっち来て話そうよー!あっ、なおちんとタツミも~!」

 

アカネ「…へっ?」

 

亜子「アカネェ~、ウチらにバレてないと思った?ずっとなおちーのこと見てたからさ~♪」

 

アカネ「あっちゃ~、バレてたか~www」

 

やがて、直喜がタツミとユタカと共にこちらへやって来た。

 

亜子「ねぇねぇなおちー、ウチらにも食べると美味しそうな怪獣の話聞かせてよ~♪」

 

直喜「も、勿論!!」

 

直喜は早速、怪獣雑談を始める。

 

直喜「さっきまでは怪獣の話だったけど、僕が気になってるのは…ウルトラマンエースに登場した超獣にも、食べられそうなのがいるのか…なんだよね。」

 

蘭萌「怪獣と超獣って、何が違うの?」

 

アカネ「超獣は怪獣と違って、ゴテゴテしたサイケデリックな外見をしているのが特徴だよ。後、怪獣よりも戦闘力が高いって設定がある。まぁ、改造怪獣って考えて良いかもね~♪」

 

アカネの説明を聞き、「へぇ~」と言う蘭萌。

 

亜子「それでそれで?食べられそうな超獣って、どんくらいいるの?」

 

直喜「そうだなぁ~…怪魚超獣ガランとかはどうだろう?古代魚がモチーフの超獣だし、外国ではピラルクだったかな?それを食べてるってこの間テレビでやってたから。」

 

メンバー「「「「「あぁ~!」」」」」

 

アカネ「エースに頼んだら焼いてくれるかな?」

 

直喜「多分エースファイヤーで美味しく焼いてくれるかもw」

 

直喜のコメントに、メンバー達は笑う。

 

ユタカ「大鳩超獣ブラックピジョンはどうだろう?一応鳥だし、唐揚げにすると美味しいかも知れない。」

 

タツミ「ならさ、変身超獣ブロッケンはどうだ?ワニ肉って食べられるし。」

 

亜子「ブラックピジョンは分かるかも知れないけど、ブロッケンってどうやって捌くよwww」

 

タツミ「そりゃあ、包丁で?デケェんだしさ、食えそうなとこ結構あるんじゃね?特に腹辺りが美味そう。」

 

アカネ「ちょっと冒険してさぁ…一角超獣バキシムとかは?芋虫の超獣でもあるしさ…ほら、食用虫ってあるし?芋虫って、クリーミーな味がするって聞いたことあるよ?」

 

蘭萌「てかさてかさw超獣美味しそうって話しててさ、ヤプールはどう思ってんだろうねwww」

 

直喜「多分こう言うんじゃないかな…『超獣が美味そうだと?人間共は何を考えているのだ…』って、引いてる感じでw」

 

直喜の言葉に、メンバー達は大笑いしていた。

 

 

アカネ(あぁ~楽し~!!直喜君といると退屈しないし…もうちょっとここに居よっかな~?)




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪

食べると美味しそうな怪獣や超獣、皆さんは考えたこと…ありますか?なんてね。


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第109話 武器を買いに…?

OP~OxT『UNION』~♪


ある日の平日、ツツジ台高校にて……

 

 

 

直喜「う~ん……」

 

教室で、直喜は何やら悩んでいた。

 

亜子「おっ、なおちーおはよー!」

 

蘭萌「あつ~…あっ、おはようなおちん♪」

 

亜子と蘭萌が挨拶しても、直喜はずっと悩んでいる。

 

亜子「あれっ?お~い、なおちー?」

 

直喜「…うん?あっ、古間さん丸佐さんおはよう。」

 

蘭萌「どうしたのなおちん?悩み事?」

 

直喜「あぁ、えっとね…た、大したことじゃないんだけど……」

 

直喜は亜子と蘭萌に悩んでいることを話し始める。

 

 

亜子「えっ!?なおちー格闘技やってるの!?」

 

蘭萌「しかも独自で!?スゴくない?」

 

 

直喜「ま、まぁ…その……う、ウルトラマンレオの戦いがカッコいいって思って…そ、それで…み、見よう見まね…なんだけどさ……あはは…」

 

どうやら直喜…ウルトラマンレオを見て、見よう見まねで拳法を始めたようだった。ゼアスに変身する際、武器を使わず…拳や足等、己の身体を武器として戦っている。

 

直喜「…あっ、それでね……何か、武器を使ってみようかな…なんて……」

 

亜子「武器かぁ、色んなのがあるもんね?」

 

そこで、直喜は武器を使いこなせるようになりたいと思っていた。

 

六花「おはよ~…って、直喜どうしたの?」

 

アカネ「もしかして悩み事?」

 

そこに、六花とアカネがやって来る。

 

蘭萌「ねぇねぇお二人さん、なおちんに似合う武器って何だと思う?」

 

六花「えっ、武器?」汗

 

アカネ「どうして武器?」汗

 

蘭萌の質問に困惑する六花とアカネ。

 

直喜「も、もしもの時に…な、何か1つ……ぶ、武器を使えたら…って、思って……」

 

緊張しながらも六花とアカネに思いを伝える直喜。

 

六花「あぁ成る程ね。そうだなぁ、剣道部では竹刀使ってるし…刀とかは?」

 

アカネ「それか、弓矢♪」

 

直喜「刀と弓矢…うーん……」

 

なみこ「何々、どした?」

 

はっす「おや、直君が何か悩んでるみたいだけど…?」

 

なみことはっすに事情を伝える六花。

 

なみこ「武器かぁ、棍棒…いや、直喜はカッコいい武器を使いたいよね?」

 

はっす「槍とかはどうかな?あ、でも重いか……」

 

亜子「ちょっと冒険してチェーンソー。」

 

アカネ「それは冒険し過ぎだって!!」大汗

 

亜子のぶっ飛んだ発言に、流石のアカネも大声でツッコミを入れた。直喜に似合いそうな武器を考える中、蘭萌がこう言った。

 

 

蘭萌「そうだ…なおちんさ、ヌンチャクはどう?軽くて扱い易そうだしさ。」

 

 

直喜「ヌンチャク…あっ、それだ…レオはケットル星人との戦いで『レオヌンチャク』を使って戦ってたなぁ。あ、でもあっさり壊れちゃったし…まぁ、煙突を引っこ抜いて作ったからなぁ…」ブツブツブツブツ…

 

蘭萌の言葉を聞いた直喜は、何やらブツブツと話しながら考え事を始める。

 

蘭萌「えっと…なおちん、普段から一生懸命だしさ……格闘漫画の主人公みたいだなって前から思ってたから…」汗

 

亜子「それウチも思った!」

 

六花&アカネ((直喜(直喜君)が武器を使ったら…))

 

六花とアカネは妄想を始めると……

 

 

六花&アカネ「「良い♪」」(*´∀`*)b

 

 

…と、サムズアップした。

 

なみこ「そんじゃ、学校終わったら見に行かない?」

 

はっす「賛成賛成♪」

 

こうして、直喜は6人の美女達と共にヌンチャクを見に行くことになった。

 

 

 

そして、放課後…直喜は六花達と共にショッピングモールへと足を運ぶ。

 

直喜「あっ、そういえば六花ちゃん。」

 

六花「ん~?」

 

直喜「け…あっ、えっと……ひ、貧血大丈夫?」

 

以前、等身大サイズのケンドロスに襲われた直喜だったが…六花が駆け付けて助かった。だが、彼女は怪我をしてしまったのだった。今ここでそれを言うと、余計なことを言うべきでは無いと考えた直喜は、咄嗟に嘘で誤魔化した。

 

なみこ「えっ、貧血?六花何があったの?」

 

六花「あぁ、献血車を3回見てさ…3回とも行ってきたの。それでフラフラになっちゃって、そんな時に直喜が助けてくれたの。」

 

はっす「えっ、直君の血を貰ったってこと?」

 

六花「貰ったって…あながち間違いじゃないけど……」汗

 

直喜「六花ちゃん、僕とおんなじO型だったから……」

 

亜子「自分の身を削ってまで誰かを助けようとするとか…なおちー神過ぎる…!!」

 

蘭萌「輸血かぁ…ウチ、血を見るの苦手だからキツいなぁ……」

 

直喜の勇気ある行動に感心する亜子と蘭萌。だが…

 

 

アカネ(えっ、六花の身体に直喜君の血が…?

 

何それ羨ましい羨ましい…

 

私はA型……うぅ、六花ズルい~!!)

 

 

アカネだけは六花にちょ~っとだけ嫉妬していた。

 

直喜(ぼ、僕…余計なこと、言っちゃったかな……六花ちゃん、怒っちゃった…かな……?)汗

 

終始六花を気にしていた直喜。すると、六花は直喜に近付き……

 

 

六花「心配してくれてありがと♪」

 

 

…と、耳元で囁いた。

 

直喜「あ、あわわわ…!!///」カァ~……

 

なみこ「ん?直喜顔真っ赤だよ?」

 

はっす「もしかして熱中症?」

 

直喜「あぅ…えっ、えっと…その……」オロオロ

 

亜子「秋なのに、まだあっついよね~。」

 

蘭萌「大丈夫なおちん?」

 

アカネ「ひょっとして熱が!?」

 

アカネが自身のおでこを直喜のおでこに当てる。すると、直喜の顔が更に真っ赤になっていく。そうこうしている内に、目的のショッピングモールにたどり着いた。

 

直喜(えっと、ヌンチャクヌンチャク……)

 

雑貨屋に入った直喜は、ヌンチャクを探し始める。

 

直喜(あっ、あったあった。)

 

そして、幾つも売っているヌンチャクを見る。

 

直喜(どれにしようかな……)

 

亜子「なおちーあった?」

 

そこに、亜子がやって来る。

 

直喜「うひゃっ!?あ、うん…で、でも…ど、どれにしようか、迷ってて……」

 

亜子「フムフム、確かに結構種類あるなぁ…」

 

蘭萌「なおちん、こういうのはどうかな?」

 

蘭萌も直喜の元にやって来て、スマホを見せる。そこには、光るヌンチャクを振り回す人の姿があった。

 

直喜「ふわぁ…き、キレイ……!」

 

蘭萌から見せられた動画を見た直喜は、蛍光ヌンチャクを購入した。

 

アカネ「あっ、直喜君おかえり~♪」

 

六花「どう、気に入ったのあった?」

 

直喜「うん、古間さんと丸佐さんのおかげで。」

 

亜子「いや、ウチなんもしてないってwほとんど蘭萌のおかげだよ?」

 

なみこ「まるさんマジナイス!」

 

その後、メンバー達は食べ歩きをしたり…ゲームセンターで遊んだり…直喜は今日も、友人達と社会経験をすることができた。

 

 

 

直喜「み、皆…きょ、今日は…どうも、ありがとう…!!」

 

直喜は六花とアカネ、なみことはっす、亜子と蘭萌にお礼を言って頭を下げた。

 

亜子「そんなに頭下げなくっても大丈夫だってw」

 

蘭萌「なおちんはホント真面目だなぁ。ユタカも見習って欲しいぐらいだよ。」

 

なみこ「また遊ぼうね、直喜♪」

 

はっす「直君といる時間はホントに楽しいなぁ~♪この時だけ、ずっと時間が止まっていれば良いのに…」

 

亜子と蘭萌、なみことはっすも、直喜と一緒にいるときは本当に楽しそうにしている。

 

直喜(何でだろう…何にも持ってない僕のとこに、どうして人が集まって来るんだろう……)

 

アノシラスの言葉を中々受け入れられない直喜は、また1人…考え事を始めていた。

 

 

 

その頃、亜子は……

 

亜子「やっほ~、来たよ♪」

 

少女「あっ、亜子!!」

 

とある湖に来ており、そこで1人の少女と会っていた。

 

亜子「真帆(まほ)エリーは大丈夫?」

 

真帆「うーん…大丈夫じゃないかな……」

 

少女の名前は真帆と言い、『エリー』という友達と一緒にこの湖で暮らしているそうだ。しかし、真帆にはエリーについて悩んでいた。

 

亜子「どうしよう…ウルトラマンなら、何とかしてくれるかもしれないなぁ……」

 

真帆「うる、とらまん…って、何?」

 

亜子「私達の希望…人々の、そして罪の無い怪獣達を照らす希望の光…なおちーはそう言ってたよ。」

 

真帆「そのなおちーって人は、亜子の友達?」

 

亜子「うん、クラスの人気者でね…誰にでも優しい素敵な人。」

 

真帆「へぇ~、私も会ってみたい!!」




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第110話 優しさは怪獣を、異星人を救う

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


ある日の休日……

 

直喜「よっ!はっ!ほっ!……って、うわぁっ!!」ステンッ!!

 

直喜は自宅マンションで、購入したヌンチャクを使っていた。だが、技を失敗し…転倒してしまう。

 

直喜「いててて……でも、これ買って良かったかも…軽いし、光っててキレイだし。」

 

使い方はぎこちないものの、直喜は蛍光ヌンチャクを気に入ったようだ。その時、直喜のスマホが鳴る。

 

直喜「もしもし?」

 

アカネ『あっ、直喜く~ん♪今時間ある?』

 

電話の向こうから、アカネの声が聞こえてきた。彼女から話を伺うと…どうやら、直喜に用事があるのは亜子で、会って欲しい人がいるとのこと……ツツジ台駅で待っているそうだ。

 

直喜「そ、それなら…い、今から…行くよ。暇だし…うん。」

 

アカネ『OK、よろしくね~♪』

 

直喜は準備を済ませると、戸締まりをする。そして、ツツジ台駅へと向かった。

 

 

 

亜子「おーい、こっちこっち~!!」

 

ツツジ台駅前には、亜子と見慣れない少女の姿があった。

 

真帆「貴方がなおちーさん?初めまして!私は真帆って言います!!」

 

直喜「な、なおちー…えっと、名前は神山 直喜で…なおちーはあだ名です。」汗

 

真帆と名乗る少女に、困惑しながらも簡単な自己紹介する直喜。

 

亜子「なおちー、真帆はウチの友達なの!それでね、ちょっとお願いがあるんだけど…」

 

直喜「な、何かな…?」

 

亜子と真帆は、直喜を湖へと案内した。そこで彼を待っていたのは……

 

 

 

怪獣「キキイイィィッ!!」

 

白地に黒模様の体色に、頭部には常にクルクル回転する三日月形の角があるのが特徴の怪獣だった。

 

直喜「うわぁぁああああ!!」

 

その怪獣を見て驚く直喜。

 

真帆(び、ビックリしちゃうよね…だって、エリーは)

 

直喜「スゴいスゴい!!本物のエレキングだぁぁああああ!!」キラキラ

 

しかし、直喜は目を輝かせていた。

 

真帆「…へっ?」汗

 

良い意味で驚いている直喜を見て、困惑する真帆。

 

亜子「なおちーはね、ウルトラマンやウルトラ怪獣が大好きなの。だからエリーを見て感動してるんだよ。」

 

真帆「そ、そうなんだ…あぁ、良かったぁ…」汗

 

直喜「このエレキングは、真帆さんの友達なのかな?」

 

真帆「う、うん…でもね、電気を食べ過ぎちゃって大きくなっちゃったの……」

 

真帆から話を聞くと…初めは、幼体だったエレキングのエリーだったが……真帆はついついご飯やオヤツをあげすぎてしまったため、等身大サイズから40m程の大きさになってしまったのだ。

 

直喜「そうだったんだ…」

 

真帆「後ね私…地球人じゃなくてね、宇宙人なの……ピット星が私とエリーの故郷なんだ。」

 

直喜「えっ、そうなの!?ということは、つまり…君って、ピット星人!?うわぁ、マッハ5のスピードで走れるスゴい星人だよね!?良いなぁ、足が速くて羨ましい…しかもしかも、ウルトラマンが空を飛ぶ時とおんなじスピードで、何だか運命を感じるなぁ。」

 

直喜はたまに…ウルトラマンやウルトラ怪獣の話になると、このようにブツブツと独り言を話すことがあるのだ。

 

真帆「……。」

真帆(なおちーさん……不思議な人だなぁ、足が速いって褒めてくれたり…私やエリーに対しても、全然嫌な顔してないし…何だか、安心する。)

 

亜子「ね、なおちーって優しい人でしょ?」

 

真帆「うん!」

 

直喜の人柄を知った『ピット星人』の真帆は、すっかり安心していた。

 

 

 

真帆「ねぇねぇなおちーさん!エリーってとっても賢いの!!見てて?」

 

真帆はエリーを呼ぶと、両手を広げたり腰に当てたりと交互にポーズを始める。すると、エリーも彼女の動きを真似してみせた。

 

直喜「わぁ、エリーって頭が良いんだね。」

 

亜子「ウチも真帆とエリーのパフォーマンス見せて貰ったんだけどさ、めっちゃ癒されるんだよね~♪」

 

真帆の真似をするエリーは、どうやら高い知能を持っているようだ。真帆から更に話を聞くと、エリーは人を襲うことは無く…むしろ大人しく、人懐っこい性格であることが分かった。

 

真帆「昔はね、亜子以外にも沢山の友達がいたんだけど…皆逃げちゃって……エリーが悪いわけじゃなくて、私のせいなの……」

 

直喜「……。」

 

真帆「もう、皆と一緒に遊べないのかな……」

 

泣きそうな顔をする真帆に、直喜はこう言った。

 

 

直喜「ま、真帆さん…!ぼ、僕…君とエリーと…と、友達になりたい…!!ぼ、僕ね…ど、どこの世界の人達と、友達になって…色んなことを知りたいんだ……」

 

 

緊張しながらも、自身の思いを伝える直喜。

 

真帆「……。」

 

真帆が亜子の方を見ると、亜子は優しく微笑んで頷いた。

 

真帆「なおちーさん、ありがとう…これから、よろしくね♪」

 

直喜「さん付けしなくて良いよ。」

 

真帆「それじゃあおあいこ…私のこともさん付け無しで、なおちー!!」

 

こうして、直喜は初めて…宇宙人の友達が出来た。握手をすると、次にエリーと握手をしたいと考えた直喜だが……

 

直喜(どうしようかな…僕の身体が自由に伸び縮みできたら良いんだけど……あっ、そうだ…!)

 

何かを閃いた直喜は、エリーの前に移動する。

 

直喜「エリー、このポーズできるー?これ、君と僕は友達!!」ビシッ!

 

直喜がやったのは、初代ウルトラマンの変身ポーズだった。それを見たエリーは、直喜と同じポーズをやってみせた。どうやらエリーも、直喜を友達と分かってくれたようだった。

 

 

 

レディベンゼン星人「へぇ、怪獣と外星人と友達になったのね…でも、そんな友情…あたしがぶち壊してやるよ。」

 

彼らの見えない遠くの森の中には、レディベンゼン星人がいた。

 

インスタンス・ベンゼネーション

 

そして、湖近くに怪獣を放った。

 

 

 

怪獣「グワアアァァッ!!」

 

その時、グリーンを基調とした体色に、首の後ろから突き出したアンテナと、それを突き出した肩で固定するワイヤー、鉤爪状の手が特徴の二足歩行の怪獣が突如として姿を現した。

 

直喜「ッ!?」

直喜(か、怪獣だ…!!)

 

現れた怪獣は、エリーの元へ向かっていく。そして、エリーに攻撃を始める。

 

ドゴォッ!!

 

エリー「キキイイィィッ!!」ドドォォオオオオオオオッ!!

 

攻撃を受けたエリーは、湖に倒れる。

 

真帆「エリー!!」

 

エリーは何とか起き上がるが、現れた怪獣『ギブゾーグ』に無理矢理立たされ…顔面を殴られたり蹴られたりする。

 

亜子「折角…折角真帆とエリーが、なおちーと仲良くなれたのに……!!」

 

亜子は膝をついて、俯いてしまう。

 

直喜「真帆ちゃん、古間さん!!早く逃げて!!」

 

その時、ギブゾーグはアンテナから粒子を出した。その直後…

 

直喜「うわっ!?えっ、何!?」

 

ズブブブブ…

 

地面が突如軟化し、直喜の身体が次第に沈んでいく。

 

真帆「な、なおちー!!」

 

真帆は慌てて直喜の元へ向かうが……

 

ギブゾーグ「グワアアァァッ!!」ブゥンッ!!

 

ドドォォオオオオオオオッ!!

 

エリー「キキイイィィッ!!」

 

真帆「きゃっ!?」

 

ギブゾーグがエリーを投げ、地面に倒れた衝撃で真帆は転倒してしまった。やがて、直喜は地面へと沈んでしまった。

 

真帆「そ、そんな…なおちー……」

 

直喜が地面に飲み込まれ、ショックを受けてしまう真帆。その時…真帆はふと、亜子とのとあるやり取りを思い出す。

 

真帆『うる、とらまん…って、何?』

 

亜子『私達の希望…人々の、そして罪の無い怪獣達を照らす希望の光…なおちーはそう言ってたよ。』

 

それは、ウルトラマンについての話だ。

 

真帆(そうだ……ウルトラマンを呼ぼう、ウルトラマンなら…きっと、助けに来てくれるはず…!!)

 

そして、真帆は大空を見上げると……

 

真帆「ウルトラマーン!!

 

…と、叫んだ。

 

真帆「お願い、エリーを助けて!!ウルトラマーーン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜(…ま、真帆ちゃん…!!)

 

ゼアス(直喜君、行こう!!エリーを助けてあげよう!!)

 

直喜(うん!!)

 

直喜はピカリブラッシャー2で歯磨きを開始し、口の中を綺麗にすると……

 

 

直喜『ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

ピカリブラッシャー2を高く掲げ、目映く優しい光に包まれて行く。そして、光の戦士『ウルトラマンゼアス』へと変身した。

 

 

 

エリーがギブゾーグに追い詰められる中、地面から目映い光が発生する。すると……

 

 

ゼアス「シェアッ!!

 

 

その光の中から、ウルトラマンゼアスが姿を現した。現れたゼアスは、ギブゾーグに飛び蹴りを繰り出した。

 

ドゴォッ!!

 

ギブゾーグ「ッ!?」ドドォォオオオオオオオッ!!

 

ゼアスの蹴りは、ギブゾーグの頭に命中した。ギブゾーグは地面を転がり、すぐに立ち上がる。

 

亜子「う、ウルトラマンゼアス…!!」

 

真帆「亜子!!来てくれたよ…ウルトラマンが、来てくれたよ♪」

 

亜子「うん!!やったね、真帆!!」

 

ゼアスが現れたことで、真帆も亜子もすっかり笑顔を取り戻していた。

 

ゼアス「ッ!!」

 

ゼアスはギブゾーグと相撲のように取っ組み合い…

 

ゼアス「デヤッ!!ヘアッ!!」ドゴッ!!ドゴッ!!

 

頭部にチョップを撃ち込む。次にギブゾーグを離し、キック攻撃に切り替える。

 

ドカッ!ドカッ!

 

ギブゾーグ「ッ!?」

 

ギブゾーグに2段蹴りを繰り出すと、回し蹴りを腹部に向かって放つ。

 

ゼアス「デヤァッ!!」

 

ドゴォォオオオオッ!!

 

ギブゾーグ「グワアアァァッ!?」

 

ギブゾーグは大きく後退した。そんなギブゾーグに追撃を与えようと、ゼアスは走っていく。だが…

 

ギブゾーグ「ッ!!」キラァ……

 

アンテナから粒子を飛ばし…

 

ゼアス「グアッ!?」ズブブブッ!!

 

地面を軟化させてゼアスを沈めた。下半身が完全に沈んでしまったゼアスに、ギブゾーグは両腕を振るって攻撃を仕掛ける。

 

ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

ゼアス「グッ…!!」

 

初めは攻撃を受けていたゼアスだったが、何とか攻撃を受け止め…ギブゾーグを突き飛ばして後退させた。その間に、空中に飛び上がり…地面から脱出した。しかし、ギブゾーグはそれを待っていたかのように…

 

ビィィイイイイッ!!

 

口からビームを放った。

 

バリバリバリバリッ!!

 

ゼアス「グアアァァッ!!」

 

ドドォォオオオオオオオッ!!

 

ビームをくらってしまったゼアスは、地上へと落下した。

 

真帆「ウルトラマン!!」

 

ゼアス「グッ…!!」

 

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

まもなく、ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を開始する。

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

 

時間は、残り少ない……

 

 

ギブゾーグ「グワアアァァッ!!」

 

ギブゾーグはゼアスを嘲笑うように、再び粒子を放つと…地面を軟化させた。

 

ゼアス「グアッ!?」

 

またもゼアスの身体が地面へと沈んでいく。

 

亜子「ゼアス、頑張ってぇ!!」

 

亜子はゼアスの勝利を信じ、必死に応援する。

 

真帆(何か良い作戦は…あっ、そうだ!!)

真帆「エリー!!ウルトラマンを助けて!!」

 

真帆がエリーに叫ぶと…

 

エリー「キキイイィィッ!!」

 

エリーは彼女の呼び掛けに応えるように、軟化した地面へと潜った。そして……

 

エリー「キキイイィィッ!!」ザパァッ!!

 

ドゴォォオオオオッ!!

 

ギブゾーグ「グワアアァァッ!?」

 

ギブゾーグの背後から奇襲攻撃を仕掛けた。その後、地面に倒れたギブゾーグに尻尾を巻き付け…強力な電流を流した。

 

ギブゾーグ「グワワワワッ!?」

 

全身に電流を流され、痺れるギブゾーグ。

 

ゼアス「ッ!!」

直喜(よし、今だ!!)

 

ゼアスは地面から脱出し、空中に飛び上がる。そして、ギブゾーグ目掛けて急降下キックを放った。

 

ゼアス「シュアッ!!」ドゴォォオオオオッ!!

 

ギブゾーグ「!!??」

 

ゼアスの蹴りが頭に命中し、ギブゾーグはうつぶせに倒れた。すかさずゼアスは、両腕を胸の前で交差させたあと瞬時に左右に伸ばしてから上にあげてエネルギーを集約。その後、両手を左腰に置いてから右腕を胸の前で水平に伸ばして、爆発力の高い光弾をギブゾーグめがけて撃った。

 

直喜(受けてみろ、必殺『ララランバルト光弾』!!)

ゼアス「シェアッ!!」ズギュンッ!!

 

ゼアスが放った青い光弾は、ギブゾーグに命中…ギブゾーグは大爆発を起こした。

 

真帆「や、やった…!!」

 

凶悪怪獣は倒された。次は、エリーを助ける番だ。ゼアスは両腕を天に掲げると、まるで何かを大切に抱えるようにゆっくりと胸の前に降ろして行く。そして、両手をゆっくりと前に突き出し…乳白色に輝く、眩く温かい光をエリー目掛けて放った。

 

真帆「エリー!!」

真帆(私はエリーとずっと一緒にいたい…エリーは私の大切な友達…ううん、大切な家族なの…お願いウルトラマン、エリーを助けて!!)

 

やがて、エリーは光の玉に包まれて行く。それをゼアスは優しく両手で持ち、真帆の元へ移動する。そして、彼女の前で屈むと…光の玉を渡した。真帆がそれを受け取ると、光がゆっくりと晴れて行き……

 

エリー「ピイッ♪ピイッ♪」

 

幼体となったエリーとなった。

 

真帆「エリー、元に戻ったのね♪良かった…!」

 

元通りになったエリーを抱いて、笑顔を見せる真帆。

 

亜子「ゼアス、ありがとう!!」

 

ゼアスにお礼を言う亜子。

 

真帆「ありがとう、ウルトラマン…本当に、ありがとう!!」

 

思わず涙を流し、ゼアスにお礼を言う真帆。

 

ゼアス「……。」コクッ…

 

ゼアスはゆっくり頷くと、静かに空中へ上がる。そして、湖の周りを飛び回った。その時、枯れた植物が多かったこの場所が…緑豊かになり、色とりどりの花畑へと生まれ変わった。

 

亜子「ゼアスー、ありがとー!!」

 

真帆「ウルトラマーン、大好きー!!」

 

大空を飛ぶゼアスに手を振る亜子と真帆。ゼアスは2人に手を振り、夕焼けの大空の向こうへと飛び去って行った。

 

 

 

真帆「あっ、なおちー!!」

 

真帆の視線の先には、こちらへ歩いてくる直喜の姿があった。

 

亜子「なおちー、無事だったんたね!!良かったぁ…!!」

 

直喜「う、うん…間一髪の所で、ゼアスが助けてくれたんだ。」

 

真帆「なおちー!!ウルトラマンってスゴいね!!あんなに大きかったエリーが、元に戻ったんだよ!!」

 

直喜「真帆ちゃんの思いが届いたんだよ。だからエリーも助かったんだ。」

 

亜子「あっ、そうだそうだ。エリーが2度と巨大化しないようにさ、なおちーに対策を教えて貰おうよ。なおちーはウルトラ博士だから、怪獣のことをよぉ~く知ってるんだよ!!」

 

真帆「えっ、そうなの!?教えて教えてー♪」

 

エリー「ピイ~♪」

 

その後、直喜によるエレキングの解説と…『エリーダイエット大作戦!!』と言う名称で、エリーのダイエットメニューの説明が始まった。

 

真帆「フムフム、食事は1日2回まで…運動に水泳や水中ウォーキングと…」メモメモ…

 

亜子「ほえ~、奥が深いなぁ~。」

 

真帆「なおちーありがとう!!エリー、一緒に頑張ろうね♪」

 

エリー「ピヨピヨ~♪」




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪

『ウルトラマンデッカー』の第5話…良い話だったなぁ


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第111話 2人の六花

暑い日が続く中、直喜は毎日の日課としているウォーキングをしていた。いつものようにツツジ台の街中を歩き、ツツジ台公園にて休憩をすることに…

 

直喜「…ふぅ。」

直喜(9月なのに暑いってことは…もしかしてアカネちゃん、夏が好きなのかな?)

 

アノシラスと電車内で話し…この街の正体を知った直喜は、ベンチに座って考え事をしていた。秋になると、段々涼しくなってくるのだが…この世界は未だに真夏日だ。考え事に集中し、次第に周りが見えなくなってくる直喜。そんな彼のことを、覗き込む者がいることに気付いたのは…約10分後だった。

 

直喜「……!?」

 

顔を上げると、そこには六花が立っていた。

 

六花?「うわぁっ!?び、ビックリしたぁ~…」

 

直喜「…り、六花ちゃん?」

 

六花?「やっほ~直喜♪何してんの?」

 

直喜「えっ…日課で歩いてて、休憩してるんだ。あれ、六花ちゃんもたまに僕と一緒に歩いてたよね?」

 

六花?「へぇっ!?そ、そうだったっけ……あ~、うんうん、何回かあったね~…あははは……」

 

直喜の言葉を聞き、何故か動揺しているかのような…挙動不審になる目の前の六花。

 

直喜(ん?そういえば六花ちゃんって…右腕にオレンジ色のシュシュを身に付けているよね……でも、今日の六花ちゃんは……)

 

直喜は六花の右手首に目を移している。普段の六花は、右手首にオレンジ色のシュシュを身に付けているのだが…今、目の前にいる六花のシュシュの色は…オレンジではなく、紫色だ。

 

直喜(何だろう…何でなのか分かんない……けど、何か違和感を感じる……)

 

六花?「あっ、そろそろ行かなくちゃ…またね直喜♪」

 

直喜が六花に違和感を感じた時、彼女はどこかへ行ってしまった。

 

直喜(…そろそろ学校、行かないと…)

 

直喜は自宅マンションに戻り、学校へ行く準備をした。戸締りを終えた後、学校へと向かう。その時、スマホが鳴った。

 

直喜「もしもし?」

 

六花『あっ、直喜?六花だけど…朝からごめんね?』

 

直喜「り、六花ちゃん…!?」

 

六花『私さぁ、今日学校休むわ…熱出ちゃって……』

 

直喜「えっ!?」

直喜(ちょっと待って…六花ちゃんとは今朝、ツツジ台高校で……でも、あの時の六花ちゃんは元気そうだったし…)

 

ビックリする直喜の声を聞いた六花は…

 

六花『心配してくれてるの?大丈夫、私は強いから♪でも、ありがと♪』

 

…と、直喜が自分のことを心配してくれたのかと勘違いしていた。

 

直喜(い、言うべきなのかな…今朝のこと……でも、六花ちゃんは熱出ちゃってるし……ど、どうしようか…)

 

直喜は今朝の出来事を六花に話そうか迷っていた。

 

六花『…直喜?おーい、直喜ー?』

 

直喜「ひゃいっ!?」

 

六花『どうしたの?ずっと黙ってるけど…もしかして、直喜も具合悪い?それとも、変な奴に会ったりした!?』

 

直喜「ま、待って六花ちゃん…えっと、あのね…?」

 

六花『うん!』

 

六花が心配してきたため、話すことにした。

 

直喜「ぼ、僕ね…今日も…あ、歩いてきたんだけど…」

 

六花『うん!』

 

直喜「六花ちゃんはその時…い、家にいた…?」

 

六花『もちろん家にいたよ?ハッ!?もしかして転んで擦りむいちゃった!?』

 

直喜「け、けがはしてない…そ、それでね……ツツジ台公園で、休憩してたらね…?」

 

六花『うん!』

 

直喜「り、六花ちゃんと会ったの……」

 

六花『えっ!?わ、私と会った…?』

 

直喜の話に困惑する六花。

 

直喜「し、信じられないかもしれないけど……でも、僕……」

 

六花『ううん、私は直喜を信じる。直喜は絶対に嘘をつかないってのは分かってるからさ。』

 

直喜「…り、六花ちゃん……」

 

六花が話を信じてくれて、安心する直喜。

 

六花『じゃあ、何かあったら遠慮なく連絡してね?いつでも駆け付けるから♪』

 

直喜「あ、ありがたいんだけど…お身体を大事に、ね…?」汗

 

直喜は六花との通話を終え、ツツジ台高校へと向かった。

 

 

 

いつものように自分の席に着くと…

 

直喜「…!!」

 

六花の席には、学校を休んでいる筈の六花の姿があった。

 

なみこ「あれ?六花イメチェンでもしたの?」

 

六花?「はあ?いやいや何言ってんの、私はいつも通りだけどw」

 

はっす「いやいや、シュシュの色が違うし。」

 

六花?「確かにそうだけどwまぁ良いじゃん。」

 

六花はなみことはっすと話している。一見何も無いように見えるが…

 

六花?「…。」チラッ…

 

直喜「…!」

 

一瞬直喜をチラ見し、ニヤッと笑った。それは、直喜だけ認識でき、他のクラスメイト達は気付いていなかった。

 

直喜(ねぇゼアス…あの六花ちゃん、何か変だよ。)

 

ゼアス(直喜君もそう思う?実は僕もそう思ってたんだ。)

 

直喜(やっぱり…!?)

 

ゼアス(多分だけど、あれは六花ちゃんじゃない…だって、本物の六花ちゃんは学校を休んでるんだよね?)

 

直喜(うん、今朝電話で話したし…)

 

この六花に違和感を覚えているのは、ゼアスもだった。彼は今いる六花は六花本人ではないと予想している。しかし、まだ確信が無いため…偽物だと断言するのは難しいようだ。

 

午前の授業は何事も無く終わった。直喜は予め作った弁当を持って、屋上へと向かった。そして、弁当を開けると…

 

直喜「うわぁっ!?」

 

中には大量の虫が入っていた。直喜はビックリして弁当を投げた。

 

直喜「ぼ、僕のお弁当……」

 

折角作った弁当が何者かによって台無しにされ、ショックを受けてしまう直喜。そこに……

 

アカネ「あっ、直喜君!」

 

アカネを初め、亜子と蘭萌がやって来た。

 

直喜「…あ、アカネちゃん……」

 

アカネ「…どうしたの?」

 

アカネの問いに、直喜はダメになってしまった自分の弁当を指差した。

 

亜子「うわぁ…これは酷いな。」

 

蘭萌「Aはもう引っ越していないし…うーん、誰がこんなことを……」

 

犯人を推測するも、全く検討がつかない。

 

アカネ「そうだ直喜君、これあげる♪」

 

アカネが渡したのは、この学校で人気のスペシャルドッグだ。

 

直喜「…え、本当に貰っちゃって…良いの?」

 

アカネ「今この平和を壊しちゃいけない…優しい心を忘れちゃいけない……ウルトラマンレオの歌詞にあった言葉♪」

 

直喜「アカネちゃん、ありがとう……」

 

直喜はスペシャルドッグを受け取り、彼女達と昼御飯を食べることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花?「…ちっ。」

六花?(アカネって言ってたよね?アイツ、かなりヤバい奴だなぁ…闇のオーラ全快だし……それに、神山 直喜の…いや、ウルトラマンゼアスの周りには多くの地球人が集まってくる……堂々と嫌がらせをしてやりたいが、それは難しいな。)

 

 

 

5限目の体育が終わった後、最後の6限目は現代文だ。直喜は自分の中の椅子に座る。

 

直喜「いたっ!?」

 

将「どうした神山!?」

 

裕太「が、画鋲が…!!」

 

直喜の椅子見ると、そこにはまきびしのように画鋲がせっちゃくされていた。

 

裕太「大丈夫直喜君?」

 

直喜「うん、何とか…」

 

直喜は保健室に向かうことに……だが、階段に差し掛かると…そこには六花がいた。

 

六花?「どう、台無しにされる気分は?」

 

直喜「えっ…な、何を言って……」

 

六花?「私さ…好きな人には意地悪したくなっちゃうんだよね~。直喜が落ち込んで絶望している顔…はぁ、クセになる♪」

 

直喜「も、もしかして……お弁当も、僕の席に画鋲をつけたのも……き、君が」

 

六花?「そう。でもさ…もしも先生とかにチクったら、直喜がゼアスであることを全員に暴露するよ?」

 

直喜「そ、そんな……」

 

六花?「私もさ、あんまし大事にしたくないんだよ…だからさ、仲良くしようよ♪

 

不気味に嗤う六花を見て、直喜は言葉を失った。

 

六花?「ほらほら、もうすぐ授業が始まるよ?早く戻んないと遅刻するよ~?」ニヤニヤ…

 

六花の言葉に、直喜は逃げるように教室へと戻った。そして、席を見てみると…

 

直喜(あれ、画鋲が無い…?)

 

びっしりくっついていた画鋲が、1つも無くなっていた。

 

裕太「あれ、直喜君…保健室に行ったじゃ?」

 

直喜「ううん、大したことないし…良いかなって……」

 

6限目の現代文は、何事も無く終わった。授業の後、掃除の時間になったのだが……

 

直喜「う、うわぁっ!?」ドテッ!!

 

亜子「大丈夫なおちー!?」

 

直喜は廊下で転倒してしまった。その理由は…

 

蘭萌「って、ここ水浸しじゃん…!!」

 

直喜が歩いていた場所には、何故か水がまかれていた。それを踏んでしまい、足を滑らせてしまったようだ。

 

直喜「…!!」

 

直喜は前を見て、一瞬驚いた。

 

六花?「……。」ニヤッ…

 

遠くに六花の姿が見え、転んだ直喜を嘲笑うかのように…彼に笑ったのだ。

 

アカネ「な、直喜君…」

 

無惨な姿になった直喜を見たアカネは…

 

 

アカネ「やったのは誰だ!?

 

出てこい!!」

 

 

鬼のような形相を浮かべてブチキレた。そこに教員がやって来て、事情を話すことに……

 

直喜「ま、待って…!!」

 

しかし、何故か直喜はこれを拒否した。

 

女教員「しかしだな神山…それでは君がまた」

 

直喜「大丈夫です。」

 

直喜は足早にその場を去った。

 

蘭萌「なおちん…何か様子が変だね。」

 

亜子「それな…何かに怯えてるみたい……」

 

女教員「新条、古間、丸佐…神山のこと、見守っててくれるか?帰りのSHR(ショートホームルーム)でも何か起きる可能性がある。」

 

 

 

そして、帰りのSHRの時間になったのだが…そこでは、特に何も起こらなかった。しかし……

 

アカネ(六花…右腕のシュシュの色は違う……それに、ちょいちょい直喜君の様子を伺ってるな……怪しい。)

 

アカネは六花の様子に違和感を感じ、直喜と共に呼び出すことにした。予め、LI◯Eで亜子と蘭萌も呼び…屋上に行くことに……

 

アカネ「六花、ちょっと屋上まで来て?」

 

六花?「…良いよ。」

 

アカネ「直喜君も。」

 

直喜「う、うん…」

 

アカネが六花と直喜と共に屋上に行ったの確認した亜子と蘭萌は、彼らの後をこっそり着けた。

 

 

 

六花?「何?忙しいから手短にしてよ。」

 

アカネ「じゃあ単刀直入に聞くね?直喜君を虐めたのは、六花?」

 

六花?「そんなわけ無いじゃんw他の誰かがやったんでしょ?」

 

アカネ「嘘…だって六花さぁ、帰りのSHRの時にちょいちょい直喜君の表情伺ってたじゃん?それに直喜君…六花を見て怯えてたし……だからさ、やったのは六花しか考えられないんだよ。」

 

六花?「……。」

 

アカネの言葉に、黙り込む六花。

 

アカネ「黙ってるってことは、図星?」

 

六花?「…はは、バレちゃったかぁ……」

 

直喜「ひ、酷いよ…何で、何でこんなことを?」

 

六花?「決まってんじゃん。直喜と本物の六花の仲を引き裂く為だし…好きな人から嫌われる時に浮かべる地球人の顔、それがたまんなくってさぁ~♪」

 

目の前にいる六花は、ケタケタと嗤っている。そんな彼女を見て、この六花は偽物だと確信する直喜。

 

亜子「はーい今のバッチリ撮ってたよ~?」

 

蘭萌「まさか六花がやってたなんてね…マジで最低じゃん。」

 

亜子と蘭萌が出てきた次の瞬間……

 

六花?「ッ!!」ピィィイイイイッ!!

 

六花は目から黄色い光線を発射し、2人を気絶させた。

 

アカネ「亜子、蘭萌!!」

 

次の瞬間……亜子と蘭萌は勝手に起き上がり…アカネを押さえ付けた。

 

直喜「ふ、古間さん…ま、丸佐さん……や、やめてよ…アカネちゃんは、君達の…友達じゃないか……!!」

 

直喜の叫ぶ声は届かず…亜子と蘭萌はアカネの首に手刀を打ち込み、気絶させてしまった。

 

六花?「あっはっはっはっは!!これで直喜を…いや、ウルトラマンゼアスを心置き無く殺せる…!!」

 

目の前の六花は、ゆっくりと直喜に近付いて来る。

 

直喜(は、早く変身しなきゃ…動いて、動いてよ…!!)

 

直喜はゼアスに変身するべく、ピカリブラッシャー2を取り出そうとするが…恐怖で身体が動かない。やがて、六花が直喜に拳を振り上げたその時……

 

 

 

「直喜に手を出すなぁぁああああ!!

 

 

 

本物の六花が現れ、ニセ六花を蹴飛ばした。

 

ニセ六花「ぐっ!?」

 

六花「直喜!!」

 

六花は慌てて直喜に近付くが……

 

 

直喜「…!!」

 

 

本物の六花を見ても、直喜は怖がって尻餅を着いたまま後ずさった。

 

六花「ッ!!」

 

そんな彼を見た六花は、ショックを受けてしまう。だが、今の六花にそんな暇は無い。ニセ六花は雄叫びを上げ、正体を現す。

 

???「キイイイィィィィッ!!」

 

それは、銀と黒寄りのモスグリーンの2色を基調とし、目はウルトラ戦士のように黄色く発光しているのが特徴の宇宙人だ。変身怪人『アトランタ星人』…六花と直喜の仲を引き裂き、ウルトラマンゼアス抹殺を目論むだけではなく…六花の周囲への信頼を奪うことを企む、卑劣かつ狡猾な宇宙人である。

 

六花「…いや、直喜……お願いだから、私を…嫌いに、ならないで…!!」

 

自分を怖がる直喜を見てショックを受けた六花は、頭を抱えると……

 

六花「いや…いや……」

 

 

イヤアアアアァァァァッ!!

 

 

…と、叫んだ。次の瞬間……空が引き裂かれ…

 

 

フハハハハハハハ!!

 

 

ベリアルの幻覚が現れ…六花に乗り移った。次に、ゾフィーの幻覚が六花に乗り移り、彼女は黄色、赤、黒の3色の光に包まれていく。

 

直喜「ッ!?」

 

その直後、光が目映く輝き…衝撃波が発生した。その衝撃波に、アトランタ星人によって操られた亜子と蘭萌は吹き飛ばされ、フェンスに激突して意識を失った。やがて、光が消え…そこには、六花が立っていたのだが……目元には、つり上がったような赤いラインがあり、スカイブルーの瞳には、充血したような赤いラインが入っている。更に、顔には赤と黄色の光を放つ涙のようなモールドが入っており、右腕のシュシュは赤黒い色に変化していた。

 

 

ヴァァアアアアアアアア!!!!

 

不気味な姿へと変わり果てた六花は、大空に向かって…まるで、野獣のような野太く荒々しい雄叫びを上げた。



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第112話 六花暴走!『闇と光の力』

ヴァァアアアアアアアア!!!!

 

不気味な姿へと変わり果てた六花は、大空に向かって…まるで、野獣のような野太く荒々しい雄叫びを上げた。

 

 

BGM~ウルトラマンオーブより『サンダーブレスターのテーマ』~♪

 

 

ほぼ全ての光の巨人(ウルトラマン)達の力を使える六花。これは、ウルトラマンオーブの形態の1つ『サンダーブレスター』の力を発動した姿だ。発動条件は、主に六花の精神が限界を迎えた時……直喜から拒絶されたと思ってしまったが為に、このような姿へと変貌してしまったのだ。六花が雄叫びを上げると、赤黒い稲妻が発生し…周囲を破壊する。

 

直喜(ど、どうしよう…このままじゃ学校が…!!)

 

六花はアトランタ星人に高速で迫り、屋上から飛び立った。

 

 

 

アトランタ星人「キイイイィィィィッ!!」

 

六花「ヴヴゥゥッ、ヴアァッ!!」ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

アトランタ星人の頭を掴み、乱暴に殴る六花。そのままアトランタ星人の頭を掴んだまま、星人を勢いよく正門の壁に叩き付ける。壁が壊れた後、六花は執拗に星人の頭を殴打する。

 

直喜「…!!」

 

直喜は屋上から戦いを見下ろす。正門前では、六花が逃げるアトランタ星人を…周囲の被害なんぞお構い無しに、攻撃する様子が見える。

 

六花「ッ!!」ドゴォッ!!

 

アトランタ星人「キイイイィィィィッ!!」

 

六花はアトランタ星人の額に膝蹴りを打ち込むと、星人の顔面を左右交互のストレートで殴った。

 

アトランタ星人「キイイイィィィィッ!!」

 

星人は腕についているナイフのような突起を取り出し、右手に装備する。そして、六花目掛けて右腕を振り下ろした。

 

六花「ヴアアァァ!!!!」ガッ!ドガァッ!!

 

六花は攻撃を受け流し、星人の腕を攻撃した。

 

ゴキィッ!!

 

 

星人の腕からは鈍い音が響く。どうやら、右腕の骨が折れたようだ。腕を抑えて痛みに悶える星人に、六花はヤクザキックを繰り出す。

 

六花「ヴガアアァァッ!!」ドッゴォッ!!

 

六花に蹴飛ばされたアトランタ星人は、背中から地面に叩き付けられた。六花は起き上がろうとする星人に馬乗りし…雄叫びを上げながら顔面を何度も殴打する。次に星人の首を締め…星人の後頭部を地面に何度も叩き付けた。その後、六花は起き上がった星人に向かって2回目のヤクザキックを繰り出した。

 

ドッゴォッ!!

 

アトランタ星人「キイイイィィィィッ!!」

 

星人は後方に吹き飛ばされ、正門に激突した。その後、六花は正門の壁の破片を持ち上げると…起き上がった星人に向かって投げ飛ばした。

 

ドガアアァァッ!!

 

アトランタ星人「キイイイィィィィッ!!」

 

六花の容赦無い攻撃に、星人は手も足も出なかった。

 

 

 

直喜「……。」

直喜(あれって、本当に…六花ちゃん、なの……?)

 

アトランタ星人と戦う六花の姿に、動揺を隠せない直喜。そこに、オリシスが姿を現す。

 

オリシス「直喜、今すぐここから逃げるぞ。」

 

直喜「お、オリシスさん!!でも、六花ちゃんは」

 

オリシス「あの状態では下手な手出しは出来ない。さぁ、こっちに来るんだ!!」

 

オリシスは右手を光らせ、直喜と…意識を失ったアカネ、亜子、蘭萌を包み込んで、姿を消した。

 

 

 

アトランタ星人「ッ!!」

 

アトランタ星人は逃げるため、空中に飛び上がろうとした。だが、それを六花に瞬時に見抜かれ…両足を掴まれてしまう。

 

ガシィッ!!

 

六花「ヴヴォォオオオオオオオオ!!

 

六花は星人を振り回し、校舎に思い切り叩き付けた。その後、星人の右足を掴んで窓に乗り上げた星人を引きずり出すと…初代ウルトラマンの八つ裂き光輪に酷似した赤い色の光輪『ゼットシウム光輪』を右腕に作り出して、星人の右足を切断した。

 

アトランタ星人「キイイイィィィィッ!!」

 

足を切断された星人は、痛みに苦しむような叫び声を上げる。

 

六花「フフフフ…ハァッ!!デヤァッ!!ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

六花は星人を嘲笑うような不気味な笑い声を上げ、切断した星人の右足を武器の代わりにして、星人を乱暴に殴り始める。その後、怯んだ星人を持ち上げ…思い切り投げ飛ばした。

 

アトランタ星人「キイイイィィィィッ!!」

 

まるで、『もうやめてくれ』と訴えるように六花に懇願する星人。しかし、六花は星人に対して容赦しない…すかさず六花は、右手に赤黒い光を…左手に乳白色の光を纏い、エネルギーをチャージすると腕を振り回し…腕を十字に組んだ。すると、六花の全面に乳白色と赤黒い光の輪が出現し、それと同時に彼女の腕から光線が発射された。これは、ウルトラマンオーブ(サンダーブレスター)が使用する必殺技『ゼットシウム光線』だ。

 

アトランタ星人「キイイイィィィィッ!!」

 

アトランタ星人は六花の光線を受け、大爆発を起こして絶命した。六花はアトランタ星人に勝ったが、ツツジ台高校は見るも無惨な姿になっていた。

 

 

 

戦いに勝った六花が気が付くと…辺りには瓦礫や割れたガラス等が散乱していた。

 

六花「な、何…これ……」

 

正気を取り戻した六花は、先程の星人との戦いを覚えていなかった。

 

六花「そ、そうだ…直喜は……」

 

直喜を探そうとする六花の前に、オリシスが現れた。

 

オリシス「六花、何故禁断の力を使った?」

 

六花「オリシス…ねぇ、直喜はどこ…!?」

 

オリシス「私が自宅に送り届けた。それにしても、なんて下手くそな戦い方だ…この状況を見てみろ。幸い、校舎には誰もいなかったために…死者や怪我人は出なかった。だが、これが大勢の人がいる状況だったら…?」

 

六花「……。」

 

オリシス「お前は、生徒達の居場所を壊すつもりなのか?」

 

六花「…ち、違う…私は、ただ……」

 

オリシス「直喜を守りたい気持ちは分かる。だが、いくらなんでもやり過ぎだ……少しばかり、お前には罰を受けてもらうぞ。」

 

項垂れる六花に、オリシスは左手を向ける。すると、六花は光に包まれて行き…透明の十字架に包まれた。オリシスは六花と共に姿を消した。

 

 

 

後日、ツツジ台高校は謎の異常気象によって壊されたことになっており…生徒達は皆、休校となった。



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第113話 会えない日々

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


六花「……?」

 

オリシス「気分はどうだ?」

 

六花「…いや、気分って……最悪に決まってんじゃん…動けないし……」

 

オリシスが作り出した亜空間の中に、十字架に磔られた六花がいた。サンダーブレスターの力を使い、ツツジ台高校を破壊した罰を…彼女は受けている最中なのだ。

 

オリシス「こうなった理由は、分かっているな?」

 

六花「…分かってるって…暴走して、学校を壊しちゃったから…でしょ?」

 

オリシス「概ねその通りだ。しばらくの間、そこで大人しくしていろ…この十字架は、お前の力を使っても外すことは不可能だ。」

 

オリシスはそう言うと姿を消した。

 

六花(最悪…あそこで暴走なんてしなければ、というか……私にもまだ、弱いところが残ったまま…なのかな……)

 

外星人の魔の手から、直喜を守るためにサンダーブレスターを使用した六花。その結果、愛しの彼と会えない日々を送ることになってしまった六花は、サンダーブレスターの力を使用したことを後悔していた。

 

六花(直喜…寂しいよ……会いたいよ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、直喜は…自宅マンションにて、静かに過ごしていた。

 

直喜(しばらく休校かぁ……それにしても、六花ちゃんはどこに行っちゃったんだろう…)

 

あの日以来…どういうわけか、六花と連絡が取れなくなってしまった。なみことはっすに聞いても、『わからない』と返されて終わってしまう。

 

ピンポーン…

 

直喜(…ん、誰だろう?)

 

その時、インターホンが鳴ったので…直喜は玄関に向かう。覗き穴を見ると…

 

直喜(あ、オリシスさんだ…)

 

そこに立っていたのはオリシスだった。玄関を開け、直喜はオリシスを部屋に案内する。しかし…

 

オリシス「いや、ここで良い。」

 

オリシスは遠慮した。

 

直喜「あっ…そうだ、オリシスさん。六花ちゃんはどこですか?」

 

六花の居場所を知りたい直喜は、オリシスに彼女の居場所を尋ねる。

 

オリシス「それについてだが……」

 

オリシスは直喜に六花の現状を話す。

 

直喜「えっ…ど、どうしてそんな事を……」

 

オリシス「君の為でもあるんだ…サンダーブレスターの力は危険であり、いつ発動するか分からないからな……」

 

直喜「……。」

 

オリシス「それに……もし君が…また、死んでしまったら……」

 

 

彼女達は今度こそ

 

コワレテしまう

 

 

オリシスの言葉を聞いた直喜は、彼に1つの疑問をぶつける。

 

直喜「あの、オリシスさん……僕って…に、人間…なのでしょうか…?」

 

オリシス「…どういうことだ?」

 

直喜「…えっと…ま、マートさん……夢芽ちゃんとちせちゃんは、1回死んじゃった僕と…も、もう一回会うために頑張ってたって……」

 

オリシス「……。」

オリシス(マートの奴、余計なことを…直喜を混乱させてどうする……)

 

直喜の言葉を聞いたオリシスは、表情には出ていないが…困っているようだ。

 

オリシス「時が来たら、全てを話そう…今はただ、心も身体も休ませておくべきだ。」

 

オリシスはそう言うと、姿を消した。

 

 

 

1人部屋に残された直喜は、色々なことでゴチャゴチャになり…頭を抱えていた。

 

直喜(そもそも、この世界は偽物の世界……本来なら、秋なのに…ずっと夏のままだ……それに、隆也君が井荻からここに来れなくなっちゃったし…僕も、ツツジ台(この街)から出られなくなった……もう、何がなんだかわかんないよ…)

 

そんな彼の元に、またも来訪者が……

 

ピンポーン♪

 

直喜(ん、今度は誰だろう?)

 

直喜は玄関に行き、覗き穴を見る。玄関前には、フジヨキ台にいる筈の夢芽とちせの姿があった。

 

直喜(ゆ、夢芽ちゃんとちせちゃん……なんか、すっごく久しぶりな気がする…)

 

ガチャ…

 

夢芽「あ、直喜♪」

 

ちせ「えへへ、来ちゃいました!!」

 

直喜「よ、良かったら上がって…?」

 

直喜は夢芽とちせを家に上げる。そして、お茶をグラスに入れて2人に出した。

 

夢芽「ありがとう直喜♪」

 

ちせ「ふわぁ、あざます直喜先輩!!」

 

直喜「ど、どういたしまして。それにしても、なんか…ふ、2人と会うのは…久しぶりな、気がする……」

 

ちせ「そうっすよね。ご無沙汰してます、直喜先輩♪」

 

夢芽「電車が止まってツツジ台に来れないみたいだから、ギャラクトロンの力でこっちに来ちゃったよ。」

 

直喜「ぎゃ、ギャラクトロン…便利な力いっぱい持ってるもんね……」汗

 

ふと、直喜は何かを思い出すと…2人に問い掛ける。

 

直喜「…あれ?そういえば、今日は僕…休校になったこと、夢芽ちゃんとちせちゃんに伝えて無かったよね?」

 

マート「私から伝えたのよ?」

 

直喜「あっ、そうなんd…って、うわぁっ!?」

 

いつの間にか隣にいたマートにビックリする直喜。そして、慌ててマートの分のお茶を出そうとする。

 

マート「そんなに気を遣わなくても良いのよ?」

 

直喜「そ、それでも…せ、折角ですし……そ、それに…神様でも、熱中症になっちゃうと嫌ですし…」

 

直喜はグラスに氷を3つ入れ、お茶を入れてマートに差し出す。マートは直喜からお茶を受け取ると、彼に優しく微笑んだ。

 

マート「優しいのね、直喜。そんな貴方が好きよ♪」

 

直喜「へぇっ!?」

 

夢芽「マートさん…」

 

ちせ「ちょっとマートさん?直喜先輩をからかわないでくださいよぉ~…!」

 

マート「あら、別にからかって無いわ?本音を言っただけよ♪」

 

夢芽とちせに悪戯な笑みを浮かべたマートは、麦茶を飲んだ。

 

直喜「…あ、あの…マート、さん……?」

 

マート「…ん?」

 

直喜「マートさんと、オリシスさんは…その、どんな関係…なんですか?」

 

マート「私とオリシス?そうね…腐れ縁みたいなモノよ。」

 

直喜「く、くされえん……?」

 

マート「えぇ、離れたくても離れられない関係のこと。」

 

マートから話を聞くと…彼女とオリシスは、神々の国では幼馴染のようであるとのこと…しかし、決して仲が良い訳でもなく…はたまた仲が悪い訳でも無い。その為、価値観の食い違いで時には対立することもしばしばあるようだ。

 

マート「そうだわ直喜。」

 

直喜「は、はい…?」

 

マート「怪獣優生思想の4人…どう、変なことしてない?」

 

直喜「へ、変なこと…?そ、それはやってませんけど……」

 

マート「それなら安心したわ。彼ら、かつては貴方達人類の敵だったから…」

 

直喜「そ、そうなんですか…?ま、全くそうは思えませんが……」

 

夢芽「そんな時代もあったなぁ…何で敵対すんのをやめたのか、未だに分かんないけどね……」

 

ちせ「あの時は凄かったですね~…」

 

マート(ま、彼らが人類に敵対しなくなったのは…紛れもなく直喜のおかげなのだけれど。直喜は本当に凄い子ね…人類の敵と友達になっちゃって、実質世界を救ったも同然よ。)

 

かつて、夢芽とちせは…怪獣優生思想と敵対していた。怪獣を暴れさせていたのは、怪獣優生思想の4人だったのだ。しかし、直喜と言う友達と出逢い、すっかり夢中になったことで人類への敵対を終わらせた。今では、直喜を生き甲斐としており…彼の力になってくれている。

 

マート(決して疑わず、最後まで信じる…それは中々出来ないこと……この子はそれができるのだから、人がどんどん集まってくるのよね。)

 

マートは直喜を見ながら思う。

 

マート(けど…レディベンゼン星人だけは、彼にヘイトを向けている。何せ、ウルトラマンゼアスの正体は直喜…夫のベンゼン星人を殺したのも、紛れもなく彼なのよね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人「成る程ねぇ…」

 

その頃、レディベンゼン星人は…

 

レディベンゼン星人「今回のゼアス…オリジナル技をいくつも持ってるのね。今日も新しい技を見ることができたし、この調子で捨て駒をどんどん出撃させましょうか。」

 

次の怪獣を召喚しようとしていた。どんな怪獣を送っても、次々とゼアスに倒されていくのだが…それは、ゼアスの技を研究するためであった。まだまだ怪獣はいるようである。

 

 

インスタンス・ベンゼネーション

 

 

レディベンゼン星人は、ツツジ台に次の刺客を送った。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第114話 悪夢からの脱出

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


六花『……。』

 

直喜『ねぇ、六花ちゃん。』

 

六花『…!?…な、直喜…!』

 

直喜『大丈夫、ぼーっとしてたけど?』

 

嗚呼、直喜だ……直喜と会えない時間は苦痛…私、もうおかしくなっちゃってたのかも……今までずっと、直喜に会えなかったから、寂しかった。直喜という存在だけが、私の生き甲斐…私の心の拠り所……

 

直喜はここにいる。

 

私の目の前に、大好きな直喜が…!!

 

六花『ねぇ直喜…デートしない?』

 

直喜『今から?』

 

六花『うん、ダメかな?』

 

直喜『ううん、全然OK!どこいく?』

 

六花『直喜の好きなとこで、私は直喜と一緒なら…何だって楽しいから♪』

 

直喜『ホント?それじゃあ、ウルフェスに行こう!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスメイトA『神山!!』

 

クラスメイトB『なおちー!!』

 

直喜君はクラスの人気者で、私とは全然違う……誰に対しても優しいし、困っている人がいると真っ先に駆け付ける。私とは正反対だ…私は卑怯者だ…臆病で、ずるくて、弱虫で……

 

直喜『アカネちゃん、おはよう!!』

 

アカネ『…!!』

 

そんな私にも、直喜君は話し掛けてくれた。

 

直喜『土曜日のウルトラマンゼット見た?セブンガーやウィンダム、キングジョーが出てくるんだよ!それも、地球を守るために戦ってるんだ!!』

 

アカネ『えっ、そうなの?じゃあ、簡単にはやられないんだよね?』

 

直喜『うん!!いやぁ、ウルトラマンとウルトラ怪獣が力を合わせて戦うなんて、夢みたい!!』

 

亜子『アカネもこっちにおいでよ♪なおちーのウルトラ怪獣雑談、結構面白いよ!!』

 

蘭萌『それそれ!ウチもなおちんの話聞いて、ウルトラ怪獣について調べたりもしてる!!アカネってさ、怪獣や宇宙人大好きだよね?だったらなおちんの話聞こうよ♪』

 

今までずっと退屈だった私…だからこの世界を造って、理想郷にした。この世界的人達は皆、私のことを好きになる。だからありのままでいられる…でも、次第に退屈してきた…けど、直喜君と出会ってから……また、楽しいって思えるようになった。私にも優しくしてくれて、大好きなウルトラ怪獣の話だってできる。

 

嗚呼、何でもっと早く気付かなかったんだろう…

 

私にとって、直喜君は大きな存在……

 

私にとって、神様だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直喜(そういえば、最近…アカネちゃんとも会ってないなぁ……)

 

学校が休校になったため、直喜は自宅マンションで勉強をしていた。しかし、六花とアカネを心配し…中々捗っていなかった。

 

直喜(全然進まないや…やっぱりアカネちゃんが心配だし…様子、見に行こうかな…)

 

直喜はマンションを出で、アカネの家に向かった。

 

 

 

直喜(ん?アカネちゃん家、リフォームしたのかな…?)

 

以前アカネ宅に訪れた時、なんの変哲も無いアパートだった。しかし、目の前にあるアカネ宅は…もはや豪邸とも言える程、大きくなっていた。

 

直喜(ぴ、ピンポンしないと…)

 

直喜はアカネ宅のインターホンを押そうと、右手を伸ばす。そこに……

 

織江「あれ、直喜君?」

 

六花の母、織江が通りかかった。

 

直喜「あっ…こ、こんにちは…六花ちゃんママ…」

 

織江「うん、こんにちは♪どしたの、新条さん家に何か用?」

 

直喜「えっと…さ、最近中々会ってないので…ちょっと、様子を……な、何か聞いたり…してませんか…?」

 

織江「うーん、それがさぁ…何も聞いてないんだよねぇ……それに、ウチの六花も出掛けたまま戻って来てないしさぁ……」

 

現在、六花はオリシスが造り出した牢獄に閉じ込められている。だが、それは直喜だけが知っていること…彼以外の住人は、六花は出掛けているという解釈になっていた。

 

直喜(六花ちゃん…いつになったら戻って来れるんだろう……あ、そうだアカネちゃん…!!)

 

直喜がインターホンを押すと、アレクシスが出てきた。

 

アレクシス「おや直喜君じゃないか。久しぶりだね?」

 

直喜「こ、こんにちはアレクシスさん…!」

 

アレクシス「はい、こんにちは♪」

 

直喜「あの、アカネちゃん…いますか?」

 

直喜が問い掛けると、アレクシスは何やら深刻そうな声で彼女の様子を話し始める。

 

直喜「…えっ?ね、眠ったまま……?」

 

アレクシス「そうなんだよ、声を掛けても全く起きないんだ。」

 

直喜「そ、そんな…」

 

戸惑う直喜を家に上げ、アレクシスはアカネの元に向かう。

 

 

 

寝室には、ベッド上でスヤスヤと寝息を立てて眠るアカネと…彼女を見守るアンチの姿があった。

 

アンチ「直喜、新条 アカネが起きない。」

 

直喜「あ、アカネちゃん?ねぇ、起きてよ。」

 

直喜はアカネの身体をユサユサと揺らしながら声を掛ける。しかし、彼女は全く起きない。

 

直喜「アカネちゃん…もしかして、遅くまで起きてた…とか……?」

 

アレクシス「うーん、それは考えられないねぇ…アカネ君、美容にも気遣ってるし……」

 

直喜「じゃあ、何で…だって今……」

 

時刻は午後1:30…真っ昼間である。

 

アンチ「もしかしたら、怪獣の仕業かも知れない…」

 

直喜「えっ、どうしてそう思うの?」

 

アンチ「新条 アカネは怪獣好きだ。ある怪獣は、夢から誕生して、実体化したって言うし…」

 

アレクシス「アンチ君…」汗

 

アンチの言葉にアレクシスが困惑する中、直喜は考え事を始める。

 

直喜(ウルトラマンエースで…夜尿症の浅倉雪夫少年はおねしょをしながら夢を見た。それは一本杉のある湖に超獣があらわれる夢だった。その夢が実現化して生まれた超獣である。夢幻超獣:ドリームギラスは夢から生まれた超獣…こんな事例があるなら、もしかしたら六花ちゃんもアカネちゃんも…!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~六花 Side~

 

私は今、大好きな直喜とデートをしてる。映画を見たり、テーマパークではしゃいだり、夕暮れの街を散歩したり、海で夜空を眺めたり…本当に楽しい。嗚呼、直喜と過ごす時間は本当にあっという間…こんなに楽しい時間が、ずっと続いたら良いのにな……

 

直喜『ねぇ、六花ちゃんは僕のこと…どう思ってるの?』

 

六花『どうって、それは勿論…私は直喜のことが好き、結婚したいって思ってる♪』

 

夢だってことは分かってる…でも、私は直喜が好き。今度は、直接伝えたい……

 

直喜『……。』

 

その時、直喜は急に黙っちゃった。

 

六花『…な、直喜?』

 

直喜『…ウソだ。』

 

六花『…えっ?』

 

そして、直喜は顔を上げると…

 

 

直喜『ウソだ!!

 

 

…と、叫んだ。直喜の顔を見ると…怨めしそうにしている。私、何か悪いことしちゃった……?

 

 

直喜『僕は誰からも愛されなかった…

 

みんなして僕を汚いとかバカとか…

 

集団でバカにしてきた。

 

平気で裏切って何事もなく過ごす…

 

僕は寂しかったんだよ。

 

君だってそうでしょ?

 

陰では僕のことをバカにしているに違いない。

 

だってそうだよね?

 

昔、僕のことを邪魔だと思って当たり散らして来てさ…

 

 

すると、直喜の顔が歪み始めたと思ったら…全身が歪みに包まれていった。

 

直喜『どうせ君だって、僕のことを!!

 

その時、直喜が…恐ろしい姿に変わり果ててしまった。

 

六花『な、直喜…!!』

 

それは、ウルトラマンダイナに登場したスフィア合成獣人『ゼルガノイド』…そんな、直喜……

 

ゼルガノイド『ウウゥゥ…デュワァッ!!

 

六花『ッ!?』

 

ゼルガノイドは私に向かって光線を放って来た。私はそれを避けたけど…直喜がゼルガノイドになっちゃっただなんて……信じられる訳無いじゃん!!だって、直喜は…ウルトラマンだもん……

 

六花『直喜!!直喜!!』

 

私はゼルガノイド…ううん、直喜に必死に声を掛ける。

 

六花『私は、いつも誰かの為に頑張っている直喜が好き!!』

 

ゼルガノイド『!!』ドゴォッ!!

 

六花『ヴッ!?』

 

直喜は私のお腹を殴って来た…い、痛い……痛みに襲われる私に追い討ちを掛けるように、側転を繰り出してきた。

 

ドカァッ!!

 

六花『かはっ!』

 

ドサッ……

 

うつ伏せに倒れた私を見下すように見ている直喜。例えゼルガノイドであっても、直喜に変わり無い…だから、攻撃なんて出来っこない!!

 

六花『…直喜…お願い、目を覚まして…!!』

 

だから私は…ただ、直喜に叫ぶしか無かった。でも、直喜は…まるで『うるさい』と言うように、私に攻撃してくる。

 

ゼルガノイド『!!』ドゴッ!!

 

六花『ぐっ…!?』

 

右足でお腹を蹴られた私は…直喜に投げられ、地面を転がった。

 

六花『…!』

六花(痛いよ、直喜……折角夢の中でも逢えたのに…)

 

ここには直喜と私しかいない…誰も私達を助けてくれない……この状況は、自分の力で乗り越えないといけないんだ…でも……

 

ゼルガノイド『何してんの?やられてばっかりじゃ面白くないじゃん…

 

ゼルガノイドは直喜の声で話し掛けて来る。そして、私を無理矢理立ち上がらせ…

 

バキィッ!!メリッ!!

 

私の胸、お腹を攻撃した。さっきよりも強い力で……私を地面を転がした後、脇腹を何度も蹴られた。

 

六花『あぐ…うぅ…!!』

 

ガシィッ!!

 

ゼルガノイドは私を持ち上げると、また話し掛けて来る。

 

 

ゼルガノイド『僕のことを好きって言ってたけどさぁ、そうやって口だけで綺麗事を言って自分は善人だと思ってるだけ…そんなの、偽善者がやることだよ。

 

六花『かはっ…な、直喜…お願い、私の話を…!!』

 

ゼルガノイド『うるさいよ、偽善者。』ブゥンッ…

 

 

そして、私の身体は宙を舞い、背中から地面に打ち付けられた。

 

六花『がはっ!!』ドサァッ!!

 

好きな人から攻撃されるって…こんなに痛いんだ……

 

ゼルガノイド『ギャアアァァ…!!』

 

ゼルガノイドは口を開いて、私を嘲笑うような声を出す。そして、仰向けに倒れる私のお腹に…右足を降ろす。

 

ドボォッ!!

 

六花『グプッ!?』

 

グググググ……

 

私は何も抵抗できず、ただ…直喜から、これまでの鬱憤をぶつけられるばっかりだった。でも、私は確かに…昔は直喜を邪魔者扱いして強く当たった……だからこれは、直喜の気持ちを理解していなかった私に対する、罰なのかも知れない。そう思うと…私はゼルガノイドとなった直喜に、されるがままだった。

 

 

~六花 Side OFF~

 

 

 

~アカネ Side~

 

 

直喜君と一緒にいる時間は、退屈なんかじゃない…今まで生きてきた時間の中で、一番楽しい。設定を弄れば、簡単に彼氏にできちゃうけど…自分の力で、私は彼の彼女になりたい。そうじゃないと、六花に負けた気分になっちゃうし……

 

アカネ『直喜君、私は直喜君が大好き。直喜君の彼女になりたい。』

 

 

直喜『嘘だよ!!

 

 

アカネ『…えっ?』

 

私は、自分の思いを正直に伝えた。でも、直喜君は怒った顔になった。

 

直喜『君だって、僕のことを汚いとかバカとか思ってるんでしょ?

 

僕は今までそうやってバカにされ続けて来たんだ。

 

だから、偽善者に対して復讐してやるんだ!!

 

直喜君がそう叫ぶと、身体中が歪み…姿が変わった。

 

ゼルガノイド『デュワァッ!!』

 

これは…スフィア合成獣人『ゼルガノイド』……信じたく無かった、直喜君が怪獣だなんて……

 

ゼルガノイド『ウウゥゥ…デュワァッ!!』

 

アカネ『ッ!?』

 

ゼルガノイドになった直喜君は、私に容赦なく『フラッシュサイクラー』を放ってきた。私は避けられなくて、攻撃を受けた。その後、地面に倒れた私を蹴って地面を転がす…脇腹やお腹が痛い……久しぶりな気がする。こんなに痛い思いしたの……

 

ゼルガノイド『ウウゥゥッ…!!』

 

ドボォッ!!

 

アカネ『がっ!?』

 

ゼルガノイドは直喜君…だから、私は何もできない。とにかくされるがままだった。

 

 

~アカネ Side OFF~

 

 

オリシス「…!!」

オリシス(六花…一体何がどうなっている!?)

 

オリシスは十字架に磔られている六花を見て違和感を感じた。所々に傷やアザができており、口からは血が出ている。

 

オリシス(まさか、怪獣の仕業なのか…それとも、ツミビトの怨霊が……?)

 

戸惑うオリシスの元に、マートが姿を現す。

 

オリシス「マート…」

 

マート「ねぇオリシス、そろそろこの娘を解放してあげたら?直喜、すっごく寂しそうにしてたし…」

 

オリシス「そうはいかん。大体貴様は甘やかしすぎだ…」

 

マート「良いじゃない、直喜は愛情を貰えなかったんだし…それに、あの子は健気でとってもいい子よ?人類の敵だった人達とも友達になって、ちゃっかり世界を救っちゃってるし。」

 

オリシス「だからこそ、そうはいかないと言っているんだ。直喜が死んでしまえば、六花とアカネは勿論…夢芽とちせも壊れてしまうだろう?」

 

マート「けど、今の六花を救えるのは…彼しかいないわ。アカネもね、直喜にしか救えない。だから、六花を解放して彼の元へ行かせるべき。六花が死んだら、直喜が悲しむのは明確よ?」

 

マートはオリシスを説得するも、彼は六花を解放しようとはしていない。

 

マート(私一人じゃ無理っぽいわね…)

 

マートは指を鳴らし、とある人物を呼び出した。

 

直喜「わっ!?」

 

それは、直喜本人だった。

 

オリシス「な、直喜…」

 

直喜「お、オリシスさん、お願いします…六花ちゃんを、離してください。」

 

オリシス「……。」

 

直喜「僕は、六花ちゃんの力になりたいんです!!」

 

直喜は必死にオリシスに訴える。

 

直喜「ぼ、僕…六花ちゃんに話し掛けて貰えなかったら、ずっと1人ぼっちだったかもしれないんです…六花ちゃんが話し掛けてくれたから、僕は…沢山の人達と出逢えたんです…!!六花ちゃんには何度も助けられました…だから、今度は僕が…六花を助ける番!!だからオリシスさん、お願いします!!」

 

オリシス「…直喜。」

オリシス(確かに彼は嘘を言っていない…彼の心の中は、どこまでも広がる雲一つ無い快晴の青空…青空の下に広がる色とりどりの花畑…小鳥や蝶等の動物達……まるで、楽園だ。)

 

オリシスは心の目で彼の心を覗き込んだ…それを見たオリシスは、直喜の訴えを飲んだ。

 

オリシス「分かった、ならば六花を解放しよう。君がここに来なかったら、もう少し先延ばしにしていただろう。」

 

オリシスがそう言うと、直喜は眩い光へと包まれていった。

 

 

 

「……きくん!直喜君!!」

 

直喜「……!!」ハッ!?

 

アレクシスの声を聞き、慌てて起き上がる直喜。そこに…

 

織江「六花ったら、ここにいたんだ…なぁんで連絡1つも寄越さなかったんだか……」

 

六花の母、織江の姿があった。

 

織江「って、六花!?傷だらけじゃん…!」

 

六花の状態を見て慌て始める織江に、直喜はこう言った。

 

直喜「六花ちゃんママ…六花ちゃんは今、悪夢に魘されているんです……」

 

織江「えっ!?あ、悪夢…!?」

 

直喜「犯人は、あそこに……」

 

直喜が指差す方角には、頭部の上下に計二つの口があり、透明な翼の生えた巨大なドラゴンのような怪獣が街を徘徊していた。

 

織江「何あれ、怪獣……?」

 

直喜「六花ちゃんもアカネちゃんも、あの怪獣に閉じ込められているんです…だから、僕が助けに行ってきます。」

 

織江「ちょっと待って、あんなに大きい怪獣からどうやって」

 

直喜「ウルトラマンゼアスに変身します…!」

 

織江「ウルトラマン…えっ、直喜君が…!?」

 

直喜「はい。六花ちゃんママ、見ていてください…僕の変身を…!!」

 

直喜はピカリブラッシャー2を取り出し、歯磨きを開始…口の中をキレイにする。そして…

 

 

直喜『ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

ブラッシャーを高く掲げ、目映く優しい光に包まれていく。やがて、光が消え…そこには、等身大サイズのウルトラマンゼアスが立っていた。

 

織江「……。」

織江(…へぇ、カッコいいじゃん♪)

 

目の前でゼアスに変身した直喜に、織江は驚くことなく…優しく微笑んでいた。ゼアスは両手を頭上に持って行くと、自身の正面でクロスする。その後、腕を降ろして…黄色い複眼を光らせた。その光は、眩い輝きを放っていた。次の瞬間、ゼアスが織江、アレクシス、アンチの目の前から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~六花 Side~

 

 

六花『うっ…ゴポッ…!!』

 

ゼルガノイド『!!』

 

直喜は私を無理矢理立たせると、私が倒れないように…弱い力で突き飛ばした。

 

六花『直喜…ぐっ…わ、私は…うっ…直喜のことが……ゴホッ、好き…!!う、嘘なんかじゃない…!!』

 

ゼルガノイド『嘘だ!!偽善者の言葉なんか信じない…君みたいな偽善者なんか、居なくなっちゃえば良いんだ!!

 

直喜は悲しそうな声を上げて叫ぶと、私に石を投げ付けてきた。それでも私は、笑って直喜に…自分の思いを!!

 

六花『確かに直喜は、おっちょこちょいでよく空回りしちゃう…

 

でもそれは、直喜が誰かの力になりたいって思っていることがすぐに伝わる!!

 

おっちょこちょいだって良い…!!

 

空回りしたって良い…!!

 

それは、直喜が優しくて一生懸命だから!!私は、誰かの為に一生懸命になれる直喜が好き!!』

 

 

将来を共にしたいよ!!

 

 

ゼルガノイド『うるさいウルサイウルサイ!!

 

痛っ…嗚呼、待って……意識が……

 

 

六花ちゃぁぁああああん!!

 

 

その時、どこからか直喜の声が聞こえてきた。

 

ゼアス「シェアッ!!」ドゴォッ!!

 

ゼルガノイド『グワアアァァッ!?』

 

次の瞬間、ウルトラマンゼアスがゼルガノイドを蹴った。ゼアス…本物の、直喜だ…!!

 

 

~六花 Side OFF~

 

 

直喜(た、大変!!)

 

ゼアスは傷だらけの六花に駆け寄り、両手の拳をカラータイマーに添える。すると、ゼアスのカラータイマーから光が溢れだし…六花の傷を治した。

 

六花「直喜!!」

 

ゼアス「…。」コクッ…

 

目にいっぱい涙を浮かべる六花に、『もう大丈夫だよ』と言うように頷くゼアス。

 

ゼルガノイド『ウウゥゥ…!!』

 

ゼルガノイドは怒っているのか、両手の拳をギリリと握りしめている。

 

六花「直喜!!アイツは私に任せて…アカネをお願い!!」

 

ゼアス「…!!」コクッ!!

 

ゼルガノイドを六花に任せたゼアスは、『ウルトラワープビーム』を発動し、アカネの共に向かった。

 

 

六花「覚悟…できてるよね?」

 

六花はゼルガノイド目掛けて走って行くと、顔面に強烈な右ストレートを叩き込んだ。ゼルガノイドはまるでギャグマンガのように背中からすっ転んだ。六花はゼルガノイドを立たせると、胸に右ストレートを放ち…ゼルガノイドを持ち上げる。

 

六花「はぁっ!!」ブォンッ!!

 

ゼルガノイドは六花に思いっきり投げ飛ばされ、うつ伏せに倒れた。しかし、すぐに起き上がり…六花目掛けて走って来る。すかさず六花は、両手を十字型に組むと…

 

 

六花「やっ!!」ビィィイイイイッ!!

 

 

青く光る光線を発射した。ウルトラマンダイナ(フラッシュタイプ)が使う必殺技『ソルジェント光線』だ。

 

ゼルガノイド『グッ!?グゥゥウウウウ……!!』

 

六花のソルジェント光線は、ゼルガノイドに命中したが…ゼルガノイドはすぐさま再生し、六花に歩みを進める。

 

 

六花「くっ!!」ビィィイイイイッ!!

 

 

六花はもう一度ソルジェント光線を発射する。光線はゼルガノイドの頭に命中…しかし、ゼルガノイドは倒れない。

 

六花「くっ…ううぅぅっ!!」ビィィイイイイッ!!

 

迫り来るゼルガノイドに、膝をついてしまう六花。しかし、六花の光線がゼルガノイドのカラータイマーに命中すると…

 

ドガァァン!!ドガァァン!!ズドォォオオオオオオンッ!!

 

ゼルガノイドは爆散した。

 

 

 

~アカネ Side~

 

 

アカネ『あが…!』

 

ゼルガノイド『ギャアアァァ…!!』

 

痛いよ…苦しいよ……意識が朦朧とするよ……

 

ゼルガノイド『ほらほら、早く立ち上がりなよ?

 

直喜君は私を無理矢理立たせると、どういうわけか私から離れた。私は、直喜君に思いを伝えることに…お願い、届いてよ!!

 

アカネ『私は、臆病でずるくて弱虫で…!

 

誰にでも優しくできる直喜君がスゴいって思ってる…!

 

こんなに弱い私にも、優しくしてくれて…私、すっごく嬉しかったんだよ!!

 

だから、だから…私は直喜君が好き!!』

 

ずっと一緒に居たいよぉ!!

 

ゼルガノイド『嘘だうそだウソだぁぁああああ!!

 

直喜君は発狂しながら私目掛けて光線を乱射してくる。

 

アカネ(直喜君…ずっと淋しかったんだよね……それでスッキリするなら、全部…全部……私にぶつけて?)

 

私は直喜君の怒りを…全部受け止めることにした。こんなに痛い思いを、昔はしていたんだね……私は全身の痛みに耐え、直喜君に笑い掛けることしかできなかった。

 

アカネちゃぁぁああああん!!

 

そんな時…聞き覚えのある優しい声が聞こえてきた。その直後…

 

ゼアス「デヤァッ!!」ドゴォッ!!

 

ゼルガノイド「ガアッ!?」

 

ウルトラマンゼアスが…本物の直喜君が、私を助けに来てくれた…!!

 

 

~アカネ Side OFF~

 

 

直喜(アカネちゃんまで…こんなに傷だらけに…!!)

 

ゼアスはカラータイマーから光を放ち、アカネの傷を治した。

 

アカネ「直喜君、あそこに怪獣の本体がいる!!本体を倒せば現実世界の怪獣にダメージが与えられる!!ゼルガノイドは私が倒すから!!」

 

ゼアス「シュアッ!!」コクッ!!

 

ゼアスは奥の方にいるバジャックに向かって飛んでいく。ゼアスを見送ったアカネは、ゼルガノイドに構えを取る。

 

アカネ「ぐぁぁあああ!!」ドゴォッ!!バキィッ!!

 

ゼルガノイド「ガァッ!?グワッ!?」

 

乱暴に攻撃を打ち込み、トドメはにせウルトラマンダイナの技『ダークソルジェント光線』をカラータイマーに命中させ、ゼルガノイドを撃破した。

 

 

 

その頃、ゼアスは夢の中のバジャックと戦闘を繰り広げていた。

 

バジャック「グギャアアアアァァ!!」

 

ゼアス「デヤッ!!シュアッ!!」ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

蹴り技を中心に、ゼアスはバジャックに攻撃を命中させる。バジャックは口から電撃を放つが、ゼアスは腕をクロスして電撃を防いだ。その後、ゼアスはまるで何かを大事に抱えるような独特な動作を取り、腕を広げる。そして、腕を逆十字型に組むと…

 

ゼアス「シェアッ!!ビィィイイイイッ!!

 

腕から青い光を放つ光線『スペシュッシュラ光線』を発射した。ゼアスがバジャックに勝利すると…

 

六花「直喜ー!アカネー!」

 

そこに、六花がやって来た。

 

アカネ「六花ー!!」

 

六花とアカネは抱き合い、互いの無事を喜んだ。

 

六花「で、どうやってこっから出るの?」汗

 

アカネ「あ、そっか…」

 

すると、ゼアスは黄色い複眼を光らせ『ウルトラワープビーム』を発動…六花とアカネを夢の中から現実に帰した。

 

 

 

六花「……ん?」パチッ…

 

織江「六花ぁ!!良かった、心配したんだよ!?」

 

六花が目を覚ますと、織江は彼女を抱き締めた。

 

アレクシス「お帰りアカネ君。」

 

アカネ「…た、ただいま。」

 

アレクシスもアカネの無事を喜んでいた。

 

六花「…ママ…あっ、直喜は…?」

 

織江「ここにいるよ。」

 

織江の隣には、膝をついて六花を見るゼアスの姿があった。

 

ゼアス「…。」コクッ…

 

ゼアスは立ち上がると、初代ウルトラマンと同じポーズを取り…光に包まれていく。そして、実体化した現実世界のバジャックの前に降り立った。

 

 

 

マックス「怪獣が実体化した…!」

 

キャリバー「グリッドキネシスか…ウルトラマンの力か……」

 

ボラー「とにかく、向こうでグリッドマンが目覚めたってことか。」

 

ヴィット「ウルトラマンも活動がそろそろ限界っぽいし…こっちはウチらでやれってことか。」

 

新世紀中学生の目には、カラータイマーが点滅しているゼアスが構えを取っているのが見えていた。

 

マックス「よし!出力スケールを絞って出撃するぞ!!」

 

4人はジャンクの前に立ち、『アクセスコード』でアシストウェポンの姿に変わっていく。バジャックとゼアスの近くに現れたアシストウェポンは、合体を開始…巨大なロボットの姿へと変わっていった。

 

 

合体戦神

 

パワードゼノン

 

 

4つのウェポンが合体して、誕生したロボット…それが、『パワードゼノン』である。

 

ゼアス「ッ!?」

直喜(な、何!?あのロボット…!!)

 

ボラー『ゼアス、そこで見てな?確かにお前もスゲェけど、俺らだってスゴいんだぜ?』

 

パワードゼノンはバジャック目掛けて走る。バジャックは口から電撃を放ってきたが、パワードゼノンはそれを防ぎ…

 

パワードブレイカー!

 

アッパーでバジャックを上空へと吹っ飛ばした。すかさずパワードゼノンは両目を光らせると、専用武器『パワードアックス』に電撃を纏わせる。

 

 

パワードアックス

 

ジャンボセイバースラアアッシュ!!

 

 

そして、上空に投げたバジャックを真っ二つに斬り裂いた。バジャックは空中で爆発を起こし、絶命した。ゼアスが街を元に戻している中、アンチはスマホを耳に当てて誰かに電話をかけた。

 

キャリバー『何か用か?』

 

相手はキャリバーだった。

 

アンチ「あの怪獣は居なくなった。何故グリッドマンは現れない?」

 

アンチの言葉にキャリバーは…

 

キャリバー『その必要が無いからだ…グリッドマンはお前の相手なんかしない。』

 

…と返した。

 

アンチ「何故だ!?」

 

彼からの返答に納得できないアンチは、声を荒げる。

 

キャリバー『お前が心を持った生き物だからだ。』

 

アンチ「違う…俺は怪獣だ!!

 

グリッドマンを倒すことを使命とし、これまで生きてきたアンチ。そんなアンチに語りかけたのは…

 

直喜『アンチ君、アンチ君聞こえる?』

 

アンチ「…!?」

 

ゼアス…いや、直喜だった。

 

アンチ「…な、直喜…」

 

アンチは自分の前で膝をつくゼアスの目を見る。ゼアスからは、直喜の声が聞こえてくる。

 

直喜『グリッドマンを倒して、その後はどうするの?』

 

アンチ「……。」

 

直喜の問い掛けに、何も答えられないアンチ。

 

直喜『僕ね、今はウルトラマンゼアスと一心同体になってるんだ。皆に助けられてばっかりいたから、今度は僕が皆を助けたいって思って……悪い怪獣や宇宙人からこの地球(ホシ)を守って、その後は皆で笑い合って暮らしたい。だから僕は戦ってるんだ。もちろん、君とも一緒に笑っていたいよ。』

 

アンチ「……。」

 

直喜『アンチ君、グリッドマンを倒した先に何があるのか……1回考えてほしい。焦らなくても良い、ゆっくり探してほしいな…』

 

すると、ゼアスの身体が光に包まれ…アンチの前から姿を消した。どうやら、3分経ってしまったようだ。

 

アンチ「…グリッドマンを、倒した先……」

 

彼からの言葉が響いたのか、アンチは1度冷静になり…考え事を始めた。

 

 

 

その頃、直喜は…六花宅に来ていた。

 

ボラー「おっ、神山か!どうだ、パワードゼノンスゴかったろ?」ニカッ

 

直喜「は、はい…!」

 

ボラー「おいおいリアクションそんだけか?w」

 

マックス「ボラー…直喜が緊張しているだろう。」

 

ヴィット「ま、俺らと喋るのも久しぶりだしね~。」

 

キャリバー「校外学習以来か…」

 

直喜が到着したころ、裕太と将も目覚めた。メンバー全員が目覚め、ホッとする中…直喜はジャンクの方へと歩いていく。

 

グリッドマン『またもゼアスに助けられた。直喜君、ゼアスについて知っていることはあるかい?』

 

直喜「ぐ、グリッドマン…僕……えっと、その…」

 

グリッドマン『緊張しなくて大丈夫、ゆっくりで構わない。』

 

直喜「えっと、僕……う、ウルトラマンゼアスに…変身、できるんだ……」

 

直喜の言葉に、グリッドマンは……

 

グリッドマン『そうだったのか。』

 

…と、案外落ち着いていた。

 

ボラー「なぁ神山、どうやって変身するんだ?何かこう…変身アイテムってのはあんのか?」

 

直喜「ぴ、ピカリブラッシャー2っていう…電動歯ブラシみたいな、アイテムで…へ、変身します…」

 

ボラー「歯ブラシってことは…えっ、歯ァ磨いて変身すんのか!?面白い変身方法だなぁ。」

 

ヴィット「そうだ神山君、この店でなんか欲しい物とかある?」

 

直喜「へぇっ!?え、えっと……」

 

マックス「直喜、あまり気にしなくても大丈夫だ。温かいお茶、良かったら…」

 

直喜「あ、ありがとうございます……」

 

マックスからお茶を受け取った直喜は、ゆっくりと飲むのではなく……

 

直喜「ふ~…ふ~……」

 

…と、息を吹き掛けて冷ましていた。ちなみに彼は、猫舌でもあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人「ちっ、新しい技を使わなかったか……」

 

その頃、レディベンゼン星人は…今までのゼアスの戦いを分析していた。

 

レディベンゼン星人(オリジナル技を使うのが厄介ねぇ……もう少し捨てゴマを出しましょう…って、言いたいところだけど……)

 

レディベンゼン星人は手元の怪獣を見ると、残りはもう少なくなってきている。

 

レディベンゼン星人(人形を怪獣にすんのも疲れるのよねぇ……次は、コイツをゼアスの元に放ちましょうか。この際、ダイナゼノンもグリッドナイトもどうだって良い…ゼアスを倒せればそれで良いわ。)

 

もう手札が無くなって来ているためなのか、レディベンゼン星人は焦り始めていた。次にゼアスの前に姿を現す怪獣とは……

 

 

戦え、ウルトラマンゼアス

 

戦え、神山 直喜




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第115話 隆也編『どっしん!!怒りん坊怪獣!!』

OP~Project.DMM『ウルトラマンナイス』~♪

久しぶりの隆也編~♪


その頃、ツツジ台の隣にある井荻では……

 

隆也「あ~あ…暇だなぁ……」

 

こんなことをボソッと呟きながらバイトに精を出す隆也。彼のバイト先は、どこにでもあるファミリーレストランである。

 

店長「隆也君、もうそろそろ上がって良いよ~!!」

 

隆也「あっ、はい!!」

 

夢中で仕事をしている内に、もう上がる時間になっていた。週4日で入っており、最近は(月)、(火)、(木)、(金)で入っているそうだ。前までは日曜日でも、バイトをしていたが……

 

隆也(ウルフェスは日曜しかやってないからなぁ…それだけは存分に楽しみてぇや。)

 

日曜日限定のウルトラマンフェスティバルを楽しみたいと思ったため、店長に頼んでシフトを変えてもらったようだ。

 

ナイス(アルバイトお疲れ様、隆也君。)

 

隆也(おっ、ナイス。いやぁ、大好きなウルトラマンからお疲れ様って言って貰えるのは嬉しいモンだなぁ~♪)

 

ウルトラマンナイスの大ファンである隆也は、そのナイスと一心同体になっている。そして、井荻に現れるザゴン軍団からこの地球を守っているのだ。

 

隆也(…ん、何だコレ?)

 

ふと、隆也にホビーショップの貼り紙に目が入る。

 

隆也「何々…新怪獣『タブザゴン』だと?待て待て、コイツって……」

隆也(ナイス、この怪獣と戦ったことあるよな?)

 

ナイス(もちろん、こんなに変な見た目してるけど…ベリーナイス光線が通用しない強敵なんだ。)

 

隆也(アイツが出てきたら厄介だよなぁ…どーすっか……)

 

ナイス(大丈夫!私と君がいる限り、この怪獣には負けないさ!!)

 

ナイスは明るく振る舞い、隆也を励ます。タブザゴンの貼り紙を見た後、帰路を歩いた隆也だったが…心の中のモヤモヤが晴れずにいた。

 

 

 

次の日…

 

隆也(直喜の学校が休校になっちまったのか…結局、帝高祭に直喜を呼べなかったし……)

 

井荻とツツジ台を結ぶ鉄道が止まってしまったため、親友を文化祭に招待することが叶わなかった隆也。

 

隆也(ったく、やんなっちまうなぁ…)

 

いつもポジティブな隆也だが、この日は珍しくネガティブになっていた。しかし、今日は平日で学校がある…彼は医者になる夢を叶えるべく、学校に行かなければならない。朝食を食べ、いざ学校へ行こうと思ったその時……街中に、何やら光るモノが現れ…段々形を整えていく。

 

タブザゴン「ンボッ!!ボッボッ!!」

 

豚に酷似し、巨大な耳に顔を覆われているのが特徴の怪獣だ。

 

隆也「あ、アイツは…!!」

 

ナイス(あぁ、タブザゴンだ!!)

 

タブザゴン…別名:怒りん坊怪獣、ザゴン星人の配下の怪獣だ。隆也はタブザゴン目掛けて走って行き、ナイスドリーマーを開く。

 

 

ウルトラマンナーイス!!

 

 

そして、七色の光に包まれ…光の巨人『ウルトラマンナイス』へと姿を変えた。

 

ナイス「ナッ…!!」ビシッ!!

 

ナイスが構えを取ると、タブザゴンは四股踏みを行った。

 

タブザゴン「ボッボッボッ!!」ドォォオオオオンッ!!

 

ナイス「ナナッ!?」

隆也(うぉっとと!!)

 

タブザゴンが四股を踏むと、地面が揺れ…ナイスはよろけ、一般市民達がたちまち転倒した。タブザゴンの体重は、8万8千tもあり…ザゴン星人軍団の中で、最も重い怪獣なのだ。

 

OL「きゃっ!?」ドテッ!!

 

サラリーマン「いってぇ~…!!」

 

彼女「もう何なのあの怪獣…!!」

 

彼氏「けど、ウルトラマンがいる…!!」

 

子ども「ナイスがんばれー!!」

 

人々「ウルトラマン、怪獣を倒してくれ!!」「俺達の街を、守ってくれ!!」「いけぇウルトラマーン!!」

 

転倒した人々は、ウルトラマンナイスの応援に力を入れ始める。

 

隆也(こんなに応援してくれてるのか…なら、それに応えねぇとな!!)

 

ナイスはタブザゴン目掛けて走って行く。すると、タブザゴンは耳を開き…

 

タブザゴン「ボッボッ!!」ビリビリッ!!

 

身体に電流を流したが、ナイスはタブザゴンの目の前で停止…チョップ攻撃を繰り出した。

 

ナイス「ナッ!!」ドゴッ!!

 

チョップはタブザゴンの頭に命中した。すると、怒ったタブザゴンは口からリング光線を放ってきた。

 

タブザゴン「ボッボッボッ!!」ピヨピヨピヨピヨッ!!

 

ナイス「ナナナナッ!?」

 

リング光線はナイスに命中。

 

隆也(なんのなんのォ!!)

ナイス「ンナッ!!ナァッ!!」ドッ!ゴスッ!

 

ナイスは反撃を試みるが、タブザゴンは耳を閉じてガードした。

 

隆也(かってぇなぁ…!!)

 

タブザゴン「ボッボッ!!」ドスンッ!ドスンッ!

 

ドッゴォォッ!!

 

タブザゴンはナイスにタックルを繰り出し、鼻から白いガスを放った。

 

ナイス「ナッ!?ナッナッナッナッナッ!!www」

 

人々「あっははは!!何だこれwww」「何か知らないけど、笑っちゃうwww」

 

それは、『笑気ガス』と言い…浴びた者はいかなる場合でも、笑ってしまうという…タブザゴンの嫌らしい武器である。その効力は、ウルトラマンナイスまでも笑わせてしまうほどだ。

 

ナイス「ナッナッナッナッナッwww」

隆也(ギャハハハwwwわ、笑ってる場合じゃねぇのにwww)

 

笑っているナイスに、タブザゴンは突進してきた。

 

ドッゴオオオオォォッ!!

 

ナイス「ナアアァァッ!?」トドォォオオオオッ!!

 

タブザゴンに吹っ飛ばされたナイスは、背中から地面に倒れた。やがて……

 

 

ピコンッ、ピコンッ……

 

 

ナイスのカラータイマーが、青から赤へと変わって点滅を開始した。

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

時間は、残り少ない……

 

 

隆也(くっそぉ…何か作戦は…)

 

ナイス(隆也君、鼻の穴を狙うんだ!!あそこだけは耳に覆われていない!!)

 

隆也(鼻の穴…あぁ、そういうことか……分かったぜ、ナイス!!)

 

タブザゴン攻略法が分かったナイスは、空中へ飛び上がり…急降下キックを放った。

 

ドゴオオォォッ!!

 

タブザゴン「ボッ!?ボッボッ!!」

 

その後、タブザゴンの背後に降り立つと…反撃を仕掛ける。

 

ナイス「ナァッ!!ナッ!!」ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

キックやパンチをある程度打ち込んだ後、タブザゴンと距離を取る。タブザゴンが振り向いた瞬間…

 

ナイス「ナァッ!!」ズギュンッ!ズギュンッ!

 

ナイスは右手をカラータイマーに置いてから前に突き出す事で、指先から七色の光を放つ小さな光線を連続発射した。必殺技『ミレニアムショット』だ。ナイスが放った小さな光線は、タブザゴンの鼻の穴に入っていった。

 

タブザゴン「ボッ!?ボッボッボッ……」

 

タブザゴンは光に包まれ、消滅した。この戦い、ナイスが勝ったのである。

 

子ども「ナイス♪」

 

サラリーマン「ナイス!!」

 

OL「ナイス♪」

 

人々「「「ナイス!!」」」

 

人々が親指ポーズを決めると、ナイスはゆっくりと頷く。

 

 

ナイス「ナッ…!!」(^^b)

 

 

そして、トレードマークの親指ポーズを決めると、大空へと飛び立って行った。

 

 

 

隆也(よぉし、何とか勝てたぜ…!)

 

戦いを終え、ホッと一息つく隆也。だが……

 

隆也「あっ、ヤバい!!もうそろそろ行かねぇと遅刻するぅぅうううう!!」

 

時計を見て、全力疾走で学校へと向かった。全力で走ったことが吉と出たのか、学校には間に合った。学校では、ウルトラマンナイスの話で盛り上がっている。

 

女生徒1「ねぇねぇ、今朝のニュース見た?ウルトラマンナイス!!」

 

女生徒2「見た見た!!この街に出た怪獣を全部やっつけたんだって!?スゴいよねぇ~!!」

 

男生徒1「隆也が言ってた通り、1回も負けてねぇんだってな!!」

 

男生徒2「あぁ!!最後のサムズアップ、あれマジで好き。カッケェ…!」

 

ザゴン星人の怪獣軍団を次々と撃破したナイスは、井荻の人達から信頼を得ることに成功したのだった。

 

ナイス(いやぁ、嬉しいなぁ~♪頑張って良かったぁ~♪)エヘヘヘ…

 

隆也(これからも頑張ろうぜ、ナイス!!)

 

ナイス(あぁ、そうだね!!)




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第116話 怪獣優生思想と遊ぼう!

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


ツツジ台高校だが、今日も休校である。

 

直喜(うーん、今日は何をしようか……)

 

学校が無いため、直喜には何も予定が無い。そのため、退屈な時間を過ごすことに……そんな時……

 

ピンポーン♪

 

インターホンが鳴った。

 

直喜(ん、誰だろう?)

 

直喜は玄関に向かい、覗き穴から来訪者を見る。

 

 

直喜(あっ、シズム君だ…ムジナちゃんとオニジャ君、ジュウガ君もいる。)

 

 

直喜は玄関を開け、顔を出す。

 

直喜「はい…?」

 

シズム「あ、直喜?突然訪ねてきてごめん…今日って空いてる?」

 

直喜「う、うん…」

 

シズム「それならさ、俺達とどこか遊びに行こうよ。もちろん、直喜が良かったの話だけど。」

 

直喜「えっ…?」

 

ジュウガ「シズムからの誘いなんて、珍しいですね。」

 

シズム「ツツジ台高校はしばらく休校だって聞いたし、直喜が退屈しちゃうからね。」

 

オニジャ「つーわけだ、直喜…どうだ、行けるか?」

 

直喜「う、うん…行く…!」

 

直喜の言葉を聞いた怪獣優生思想はニッコリ笑った。

 

直喜「それで、どこに行くの?」

 

オニジャ「あぁ、グラウンド・ワンっていう場所だ!中々面白そうな場所だぜ?」

 

直喜「グラウンド・ワン…あぁ、スポッチャとかがあるあそこか。」

 

グラウンド・ワン…それは、ボウリング・アミューズメント企業のことであり…ボウリングは勿論、バスケットボールやテニス、ゴルフやサッカー等々、豊富な種類のスポーツコートもある。更に、ゲームセンターやカラオケ、コミックコーナーまでも完備している娯楽施設である。

 

ムジナ「直喜と一緒なら絶対楽しいって!!早く行きたい!!」

 

シズム「待ってムジナ、直喜の準備が終わってから。」

 

直喜はすぐに出かける準備をした。動きやすい服装に着替え、財布とゲーム機等を持って準備を終えた。

 

ジュウガ「……。」

ジュウガ(直喜は学校が休みで辛い思いをしているはず…連れ回して大丈夫だろうか……)

 

ムジナ「直喜を連れ回して大丈夫なのかって?」

 

オニジャ「お前堅いんだよ。」

 

ジュウガ「…そんなに仲良かったでしたっけ?」

 

ジュウガの言葉に…

 

ムジナ&オニジャ「「いや全然?」」

 

…と、同時に返答するムジナとオニジャ。

 

直喜(えっ、あんまり仲良しじゃないの?そんな事は無いと思うんだけどなぁ……)

 

それを聞いていた直喜は、意外そうな顔をするのであった。

 

 

 

やがて、グラウンド・ワンに到着すると…一同は入場料を支払うことに。

 

オニジャ「あ、直喜直喜!俺が出すぞ?」

 

直喜「えっ!?さ、流石にそれは…わ、悪い気が……」汗

 

シズム「まぁそう言わずに、直喜をこうして連れ出しちゃったんだし…」

 

直喜「で、でも……」

 

遠慮し続けた直喜だったが、結局最後は折れてしまった。普段は4人で行動している怪獣優生思想…彼らの料金は、全てオニジャが負担しているのだ。ちなみに、直喜の入場料もオニジャが支払った。

 

直喜「…!!」ソワソワ…

直喜(こ、ここがグラウンド・ワンかぁ…色んなのがある、どれからやろうか迷うなぁ~!!)

 

グラウンド・ワンに入るのは初めての直喜は、早速ソワソワし始める。

 

ムジナ「ここはさ、ボウリングでしょ♪」

 

ムジナがそう言うと、一同はボウリング場に向かった。

 

 

 

ドオオォォン……カココォォォンッ!!

 

ムジナ「フゥ~♪」

 

初球からストライクを取り、ガッツポーズを決めるムジナ。オニジャも一緒に喜び、ジュウガと直喜は拍手をした。続くオニジャもストライクを取り、シズムとジュウガはスペアを取った。

 

直喜(つ、次は僕か……)

 

人生初のボウリング…直喜は両手でしっかりボールを持ち、助走をつける。そして、投げると同時に…

 

直喜「わぁっ!?」ステンッ!!

 

足を滑らせて尻餅をついた。

 

オニジャ「直喜、大丈夫か!!?」

 

直喜「いててて…う、うん…だいじょうぶ……」

 

シズム「直喜直喜、あれ。」

 

直喜「…ん?」

 

身体を起こした直喜は、シズムが指差す方を見る。直喜が投げたボールはゆっくりではあるが真っ直ぐ進み、全てのピンを倒した。

 

直喜「ぜ、全部倒れた…」汗

 

ムジナ「スゴいじゃん直喜!ストライクだよ♪」

 

ジュウガ「初めてでストライクを取るとは、貴方は天才です。」

 

ムジナとジュウガからべた褒めされ、思わず顔を赤くして照れる直喜。

 

 

続くバッティングセンターでは……

 

オニジャ「直喜ィ、思いっきりバットを振れ!!」

 

直喜「う、うん…!」

 

ムジナ「かっ飛ばせ~な・お・き♪かっ飛ばせ~ホームラン♪」

 

オニジャとムジナからの声援を受け、バットを構える直喜。やがて、マシンからボールが飛んできた。直喜は思いっきりバットを振るったが……

 

直喜「あわわわわ!?」ギュルルルル~!!

 

まるでコマのようにスピンし、目を回してしまう。しかし、ボールは打てたようで…ホームランの的に命中した。直喜がホームランを打つと、怪獣優生思想の4人とちゃっかり居たバーナドドンのピカリは自分のことのように大喜びした。

 

 

 

次のテニスでは、怪獣優生思想によるデスマッチが繰り広げられていた。その理由は…

 

((((ベストフレンドの隣で昼食(飯)を食う(食べる)ため!!))))

 

昼食で直喜の隣に座る権利を賭けているからだ。オニジャはクセの強い雄叫びを上げ、フラットサーブを打つ。それに反応しようとラケットを伸ばしたジュウガだったが、ボールは彼を通り過ぎていった。

 

直喜「みんな…結構仲良しだね、ピカリ。」

 

ピカリ「キャオオォォッ♪」

 

疲れた直喜は、ピカリと一緒に休憩していた。彼から見た怪獣優生思想の4人は、思いの外仲睦まじく見えた。仲の良い彼らを、ピカリと共に見守る直喜。

 

 

オニジャ「おんどりゃああああぁぁぁぁっ!!バコォッ!!

 

ジュウガ「甘い!!」ビシッ!!

 

ムジナ「はっ!!」ボコッ!!

 

シズム「…。」パシッ!

 

 

数分間のラリーが続いたが、シズムが放ったドロップショットをオニジャとムジナは拾えず…点を取られた。ピカリがスコアボードをめくり、現在『10対10』である。先に11点取った方が勝ちというルールだ。その後は10分以上のラリーが続き、勝ったのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムジナ「直喜、何食べる?」

 

オニジャ「おいおい、どれもこれも美味そうなのばっかじゃねぇか!」

 

ムジナとオニジャだった。彼らの真ん中に直喜がちょこんと座っている。

 

ジュウガ「……。」

 

シズム「次は勝とう、ジュウガ。」

 

ランチ後、室内にあるバランススクーター(セグウェイ)に乗るとこにした。同意書を書き、ヘルメット、肘当て、膝当て、グローブを装着し…いざ、バランススクーターに乗る。体重を掛けた方向へ進むため、バランスを保つのが難しい。

 

オニジャ「おっ、ヤベッ!?」

 

ムジナ「www、ちょっ、ちょっと待って待って待ってってばwww」

 

オニジャ「おぉ、おい押すなバカ…!」

 

オニジャとムジナがはしゃぐ中……

 

ジュウガ「その調子ですよ、直喜。」

 

直喜「うわわわ…こ、これどうなってるの…!?」

 

シズム「体重を掛けた方に進むんだよ。こんな感じにね?」

 

ジュウガとシズムは、初めてのセグウェイに戸惑う直喜をサポートしていた。ちなみにピカリは、オニジャに肩車をされた状態で楽しんでいた。その後はポケバイクやゴーカート、ゲームセンターで遊び尽くした。

 

 

 

オニジャ「ふあ~ぁ……もうこんな時間か…」

 

ムジナ「ねっむ……」

 

沢山遊んでいる内に、気が付くと夜の8:00となっていた。既に夕食を済ませていた彼らだが…問題なのは……

 

ムジナ「どこで寝る?」

 

オニジャ「それもそうだけどよぉ…直喜、帰んなくて大丈夫か?」

 

寝る場所と直喜についてだ。しかし……

 

 

直喜「なんだろう…まだ帰りたくないな……みんなと一緒に、こうして遊んで…今、すっごく楽しい…」

 

 

怪獣優生思想と遊んで楽しかったのか、まだ帰りたくないと口にした。いつもは自宅マンションに帰るが、帰りたくないと言うのは珍しい。

 

ジュウガ「直喜が帰りたくないと言うのは、なんだか珍しいですね。」

 

シズム「良いじゃん、直喜と寝泊まりできるなんて滅多に無いことだよ?」

 

ムジナ「確かに…寝るのが惜しくなってきた。」

 

オニジャ「へへっ、そんじゃ寝床でも探すか。」

 

一同は眠れそうな場所を探すことに…そして、たどり着いたのは……

 

オニジャ「ここ良さそうだな。」

 

ムジナ「だね、横になるには最適。」

 

キッズコーナーだった。回転ドラムやくるくるだるま、ふっくらまんじゅう等の柔らかい素材で出来た遊具があるのが特徴だ。ベッド代わりには最適であると言える。ムジナは回転ドラムで、オニジャとジュウガは床で、シズムは床で座って、直喜はピカリと一緒にふっくらまんじゅうの上で眠った。

 

 

 

直喜「……。」スヤスヤ……

 

シズム「直喜、朝だよ?」

 

次の日の朝、シズムの声で目が覚めた直喜。彼が目覚める頃には、怪獣優生思想もピカリも既に起きていた。生まれて初めて、友人達とオールした直喜はとても満足していた。

 

直喜「み、みんな…昨日と今日は、ありがとう…!!」

 

ジュウガ「こちらこそありがとうございました。」

 

オニジャ「良いってことよ!」

 

シズム「楽しかったよ、直喜。」

 

ムジナ「また遊ぼうね♪」

 

ピカリ「キャオオォォッ♪キャオオォォッ♪」ピョンッ!ピョンッ!

 

直喜は自宅マンションに帰ったのだが…六花やアカネらに心配されたのは言うまでも無かった。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第117話 込み上げて来るモノ

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


六花「あぁ…あんなに真面目な直喜が……友達とオールしたなんて……」

 

なみこ「そんなに問題視すること?」汗

 

六花「良い…!」

 

はっす「良いんかい…」汗

 

ツツジ台高校がまだ休校であり、暇しているメンバー達。その中に、直喜もいる。

 

直喜「…あ、これって…」

 

亜子「ん、何々?」

 

蘭萌「へぇ、【シン・ウルトラマン】だって。」

 

アカネ「もしかして直喜君、これ観たいの?」

 

直喜「えっ、あ、いやぁ…み、観たいだなんてそんなぁ……」汗

 

亜子「目線泳ぎまくりだぞ~、なおちーw」

 

【シン・ウルトラマン】…空想特撮映画であり、それは今日から公開されるようだ。この映画が公開されるのを楽しみにしていた直喜にとって、チャンスである。

 

アカネ「だったらさ、これ皆で観に行こうよ♪」

 

亜子「賛成賛成♪」

 

蘭萌「ウチもこの映画気になってたんだよね。」

 

六花「直喜も楽しめると思うし、それならWin-Winだよね。」

 

なみこ「六花さん、直喜の隣に座りたいんだろぉ~?」

 

はっす「ウチらは知ってるぞ?直君に対する六花さんの思い、顔に表れまくってるしさぁ~?」

 

六花「あぁもう、早く行くよ?」

 

女子6人に対し、男子は直喜1人というハーレム状態で…直喜はメンバー達と映画館に向かった。

 

 

 

なみこ「そういや直喜、もしかして映画館来るの初めてだったりする?」

 

直喜「へっ!?な、何で分かったの…!?」

 

なみこ「だってソワソワしてるんだもん。」

 

初めての場所に来ると、ソワソワしてしまう直喜。映画館に来ること自体が初めての彼は、新鮮味を感じていた。チケットを購入し、ポップコーンやドリンクを注文すると…シアターへと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人「さて、コイツは……ふーん、ハズレの怪獣かもね…」

 

その頃、レディベンゼン星人は今にも怪獣を放とうと…1匹の小さな怪獣を連れていた。

 

レディベンゼン星人(後ろ姿を見ると可愛いんだけd……あ、無理ね…)汗

 

怪獣「クワックワッ…」

 

その怪獣…顔はアメフラシのようだが、前足は手のように細長く発達しており、逆に足はモップのような繊維で覆われて太い。目はレウコクロリディウムに寄生されたカタツムリに似ているという、かなりグロテスクな見た目のカラフルな姿である。

 

レディベンゼン星人「さ、行きなさい。」

 

レディベンゼン星人は怪獣を放つと、その場を離れた。

 

 

 

なみこ「いやぁ~面白かった!!」

 

はっす「それにしても、原作再現と思われるシーンもあってビックリだったわぁ…」

 

その頃、映画を見終えた直喜達はシアターから出た。

 

直喜(映画は勿論面白かったけど…)

 

直喜は映画館で購入したドリンクホルダー、そのホルダーに取り付けられるウルトラマンのフィギュアを大事そうに持っている。これらのセットは、映画館に行かなければ買うことができないのだ。

 

六花「良かったね、直喜♪」

 

直喜「う、うん…!」

 

なみこ&はっす((ホルダーセットをギュッとする直喜(直君)可愛過ぎなんだけど…♪))

 

亜子「怪獣もめっちゃリアルだったよね~。」

 

蘭萌「確かに、ウルトラマンもめっちゃリアルだったし。」

 

アカネ「クオリティ高過ぎてめっちゃ興奮した~♪」

 

映画【シン・ウルトラマン】を見た直喜達は、映画館を出てランチをしようと周辺を歩いていた。

 

直喜「ね、ねぇ…あれ、何だろう?」

 

女性陣「「「「「「えっ?」」」」」」

 

ふと、直喜が前方を指差した為…女性陣はその方向に視線を向ける。そこには、何やら子猫程の小さな生き物が右側に曲がって行くのが見えた。

 

亜子「確かに、何か曲がってったね。」

 

蘭萌「見に行ってみる?」

 

六花「流石に危ないんじゃない?」汗

 

アカネ「でも六花ぁ…直喜君が気になってるんだしさ、モヤモヤしっぱなしだったらさ、直喜君も気分悪いじゃん?」

 

六花「けど、直喜に何かあってからじゃ遅いんだよ?」

 

アカネ「その時は私達が守るって!!」

 

六花とアカネが口論しあっている中、次第に周囲が騒がしくなってくる。

 

なみこ「ちょいちょい二人とも、言い合いしてる場合じゃ!!」

 

はっす「そうだよ!何か周りザワザワし始めてるし…!!」

 

人々が逃げ惑う中、街中に巨大に成長した怪獣が姿を現した。街中では重火器を使うことができないため、人々は逃げるしか無かった。

 

直喜(そ、そうだ…!)

 

直喜は人々の目のつかない場所に移動すると、Zカプセルを取り出す。

 

直喜「ミラクロン、あの怪獣を止めて…!」

 

それを巨大化した怪獣『ザイオーン』の方へ投げると、光が発生してミラクロンが姿を現す。

 

ミラクロン「ホギャー!!」

 

アカネ「あっ、ミラクロンだ!」

 

亜子「ミラクロン、あの怪獣を止めてー!!」

 

ミラクロンはザイオーン目掛けて走り、強烈なタックルをお見舞いする。タックルを受けたザイオーンは地面を転がる。そして、粒子を放つと…辺りをペンキをぶちまけたような状態にする。

 

ザイオーン「ギュワギュワ…!!」

 

ザイオーンはミラクロンに近付くと、粒子を放った。

 

ミラクロン「ホギャ!?ホギャー!!」

 

顔をペイントされ、混乱するミラクロン。

 

直喜「み、ミラクロン…!!」

 

蘭萌「ミラクローン、頑張れー!!」

 

直喜と蘭萌の声を聞き、落ち着きを取り戻すと…『ミラクロンエレキネシス』を発動、ザイオーンを持ち上げて地面に衝突させた。その後、起き上がったザイオーンに電撃を放ち、動きを止める。だが、ザイオーンは次第に暴れ始め…周囲の建物を壊し始めた。

 

蘭萌「ッ!?なおちん危ない!!」

 

直喜「えっ!?」

 

直喜と蘭萌が瓦礫の下敷きになってしまう。

 

 

蘭萌「くっ…あ、足が……!!」

 

直喜「…!!」

 

 

蘭萌と直喜は瓦礫に足をとられ、動けなくなってしまっていた。

 

六花「直喜!!丸さん!!」

 

アカネ「直喜君!!蘭萌!!」

 

六花達は直喜と蘭萌を助けるため、瓦礫を動かそうとするが…瓦礫はびくともしない。

 

直喜「ま、丸佐さん…!!」

 

蘭萌「いつつ…なおちん、大丈夫?」

 

自分が危機的状況に陥っても、直喜と蘭萌はお互いを心配しあっていた。

 

直喜(あの怪獣…何とかしないと……!)

 

直喜はピカリブラッシャー2を取り出す。

 

蘭萌「な、なおちん…何してんの?」

 

直喜「丸佐さん、僕…今から君を助けるから、ちょっとだけ待ってて?」

 

直喜は歯磨きを開始すると、口の中を綺麗にする。

 

蘭萌(なおちん…一体何を?)

 

直喜「ッ!!」ピカァァアアアアアアッ!!

 

歯磨きを終えると、直喜は黙ってピカリブラッシャー2を空高く掲げた。すると、ブラッシャーから眩い光が発生し、直喜の周囲を包んでいく。次の瞬間、地面から巨大な手が現れ、直喜をグッと握り締め…その姿を現した。

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

 

それは、直喜の大好きなヒーロー『ウルトラマンゼアス』だった。ゼアスが現れると、ミラクロンは手から放つ強力な電撃で、ザイオーンを捕らえる。それを見たゼアスは、自身の左手をゆっくり地上に降ろした。

 

六花「丸さん、大丈夫!?」

 

蘭萌「な、何とか…いててて……」

 

見ると、蘭萌は右足を怪我していた。かなり腫れており、出血もしている。それを見たゼアスは、カラータイマーに両手を近付け、蘭萌に光を飛ばした。光が消えると、蘭萌の足はキレイに治っていた。

 

蘭萌「…っ!!」

 

驚いて見上げる蘭萌に、ゼアスはゆっくりと頷いた。

 

蘭萌(ウルトラマンゼアス…なおちんなの…!?)

 

やがて、ゼアスは立ち上がると…ザイオーンの方を向き、構えを取った。

 

 

 

直喜(ゼアス、あの怪獣を助けられないかな?)

 

ゼアス(やってみよう!!今度もきっと、大丈夫だよ!!)

 

ゼアスは何かを大事に抱えるような独特な動作を行うと、両手をゆっくりと前に突き出し、乳白色の光をザイオーンに放つ。

 

亜子(真帆のエリーを助けた技…これなら…!!)

 

しかし、光が晴れると…そこには、何も変わっていないザイオーンの姿があった。

 

ゼアス「ッ!?」

 

ザイオーン「ギュワギュワギュワギュワ!!」

 

ザイオーンはゼアスと取っ組み合いを始める。混乱しながらも、ゼアスはザイオーンに立ち向かう。

 

 

 

レディベンゼン星人(残念だったわね、その技に対抗すべく…ベンゼン成分を大量に摂取させたのよ?)

 

ザイオーンを『ハズレの怪獣』と言っていたレディベンゼン星人だが…星人もバカではない。これまでのゼアスの技を研究し、ザイオーンに大量のベンゼン成分を摂取させ、実験のためにこの街に放ったのだった。

 

レディベンゼン星人(さぁて、精々頑張ってね?)

 

 

 

ゼアス「グアッ!?」ドガシャアアアアァァンッ!!

 

ザイオーンは狂暴になるばかりで、ゼアスはビルに打ち付けられた。

 

ミラクロン「ホギャー!!」

 

ミラクロンも果敢にザイオーンに立ち向かうが、ザイオーンはミラクロンの攻撃を受け流し、投げ飛ばした。ミラクロンは地面を転がり、目を回してしまう。

 

ザイオーン「ギュワギュワ!!」キラァッ!!

 

ザイオーンは粒子を放ち、街中を汚し始める。

 

直喜(そんな…あの怪獣を、助けられないなんて……)

 

ゼアス(このままじゃ街が汚されちゃう…あっ、あの赤ちゃん、泣いてる…!)

 

ゼアスの視線の先には、ザイオーンが発生させた汚れが付着し、泣いている赤ちゃんとあわてふためく母親の姿があった。それを見た直喜は…

 

直喜(…ゼアス、あの怪獣……やっつけよう…)

 

込み上げて来る何かを感じ、ゼアスに言う。

 

直喜(人々がどうしようも無くて困っている時、力を貸す…そして、最後は人々を笑顔にする……それが、ウルトラマンなんだ…!!)

 

ゼアス(直喜君…うん、分かった!!)

 

ゼアスは構えを取ると、ザイオーンに向かって走っていく。そして、飛び蹴りを放った。

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

ドゴォォオオオオッ!!

 

ザイオーン「ギュワギュワ!!?」

 

飛び蹴りを放った後、ザイオーンの顔面にマシンガンキックを繰り出す。

 

ドゴォォオオオオッ!!ドゴォォオオオオッ!!ドッゴォォオオオオオオッ!!

 

ザイオーンからは火花が散り、ゼアスが優勢となる。目を回したミラクロンは光に包まれ、Zカプセルへと戻った。

 

六花「ッ!!」

 

それを六花が回収する。

 

六花「ありがとうミラクロン…後は、直喜に任せて…!」

 

アカネ「直喜君、頑張って…!」

 

亜子「えっ!?ゼアスって、なおちーが変身してたの…!?」

 

蘭萌「なおちん…!」

 

なみこ「直喜、頑張れ…!!」

 

はっす「みんな直君を応援してるよ…!」

 

ゼアスの勝利を信じる六花達…そして、この地球(ホシ)の人々。

 

「ウルトラマン頑張れー!!」「頑張れー、ウルトラマーン!!」

 

人々からの声援を糧に、ゼアスはザイオーンに立ち向かう。キック攻撃からパンチ攻撃、チョップ攻撃を繰り出し…次に、ザイオーンを持ち上げて思いっきり地面に叩き付けた。

 

ザイオーン「ッ!!」

 

すると、ザイオーンは何を思ったのか…近くの大型ショッピングモールによじ登り出す。あのショッピングモールには、まだ沢山の人々がいる。

 

直喜(…!!)

 

すかさずゼアスは、まるで何かを大事に抱えるような独特の動作を取り、両腕を広げ、青色のエネルギーを纏う。その直後…

 

ゼアス「シェアッ!!ビィィイイイイッ!!

 

腕を逆十字型に組み、必殺技『スペシュッシュラ光線』を発射した。ゼアスが放った光線は、ザイオーンに命中する。

 

ゼアス(直喜君、これじゃあショッピングモールにいる人達が巻き添えになっちゃうよ!!)

 

直喜(それなら、光線をもっと強力に…あの怪獣を焼き倒すんだ…!!)

 

ゼアスが腰を低く落とすと、光線が太くなっていく。初代ウルトラマンのスペシウム光線と同じ構えになった時、スペシュッシュラ光線はザイオーンを包み込む程の太く強力な光線となっていた。その時…

 

ザイオーン「!!」ギョロッ!!

 

口内の巨大な目が、ゼアスを…そして、直喜を睨んだ。その直後、ザイオーンは跡形も無く消滅した。

 

 

 

ゼアス「…。」ピコンッ…ピコンッ…

 

ゼアスがザイオーンに勝利したことで、街中に出現していたペンキのような汚れは、全て無くなった。ゼアスの勝利に、街中にいる人々は歓声を上げている。ゼアスは壊れた街を元通りにすると、光に包まれて姿を消して行った。やがて、1つの光が六花達の近くに移動すると…

 

直喜「…。」

 

そこから、直喜が姿を見せた。

 

六花「直喜、勝ったんだね…!」

 

直喜「……。」

 

六花達が笑顔を見せる中、直喜だけは口角を下げていた。

 

六花「どうしたの、直喜…?」

 

直喜「…これで…良かったの、かな……?」

 

不安そうに呟く直喜を、六花は優しく抱きしめた。

 

六花「直喜は間違ってない…沢山の罪の無い人の命を守ったんだから……だから、直喜がやったことは決して間違ってないって…!」

 

六花が直喜を励ますと、彼の目からは大粒の涙がこぼれ始める。直喜は必死で涙を拭い、泣き止もうとするが…

 

アカネ「直喜君、よく頑張ったね…」

 

なみこ「直喜、泣いても良いんだよ?」

 

はっす「よしよし、直君は良い子だ。」ウンウン

 

蘭萌「なおちん、助けてくれてありがとう。なおちんがいなかったらウチ、死んでたと思う…」

 

亜子「あの怪獣も、きっとなおちーに感謝してると思うよ…安らかな眠りを与えたんだからさ……」

 

アカネ、なみこ、はっす、蘭萌、亜子に声を掛けてもらい…直喜はとうとう、声を上げて泣いた。

 

怪獣を救えなかったこと、倒す直前に巨大な眼球で見られしまったこと…色々なことがかさなり、ショックと責任を感じた直喜だった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第118話 疑問

OP~OxT『UNION』~♪


ザイオーンを倒して以来、直喜は考えるようになった。

 

直喜(あの怪獣はたしかに倒した…そのおかげで、沢山の人達を助けられた…でも、あの怪獣だけは助けられなかった……)

 

ザイオーンを撃破した際、口から出た巨大な目で見られ…色々ショックを受けてしまったのだ。六花達は慰めてくれたのだが、彼は未だモヤモヤが晴れずにいた。

 

直喜(ねぇゼアス…僕がやったこと、間違って無かったのかな……)

 

ゼアス(……。)

 

直喜からの問いかけに、ゼアスは何も答えられなかった。少しの沈黙の後、ゼアスは直喜にこう言った。

 

ゼアス(直喜君…僕たちウルトラマンは、全知全能の神様なんかじゃない……ウルトラマンにも、救えない命はある…どんなに手を伸ばしても、届かないことだってある……)

 

それは直喜も分かっていたことであるが、それでもまだモヤモヤは晴れなかった。

 

ゼアス(でもね、あの怪獣…最後には直喜君にお礼を言ってたんだよ。)

 

直喜(…えっ、ホント?)

 

ゼアス(うん、本当だよ?僕の耳は、ベンゼン成分に苦しむ怪獣の声だって聞き取れるんだ。あの怪獣、直喜君に『僕に安らかな眠りを与えてくれてありがとう』って、言ってたんだ……)

 

直喜(……。)

 

ゼアス(ただ、できれば…あの怪獣、助けたかったね……)

 

直喜(…うん…)

 

ゼアス(今は、ゆっくり休んで欲しい。身体を休めても、心が休まらなきゃ意味がないからね…)

 

直喜もゼアスも、ザイオーンを助けられなかったことを悔やんでいた。だが、いつまでもクヨクヨしている暇は無い…残るレディベンゼン星人を一刻も早く、撃破しなければならないのだ。休まなければいけないことは分かっているが……

 

直喜(この世界が本当に作られた世界なら…僕って、一体何なんだろう……そもそも、僕という存在は居なかったのかな…もしそうだとしたら僕……一体、何の為に生まれて来たんだろう……)

 

心の中のモヤモヤがずっと晴れずにいた。そして直喜は、家を出ると…アカネの元へ向かった。

 

 

 

アカネ宅に到着し、インターホンを押すと…アレクシスが彼を迎え、家へと上げてくれた。

 

アレクシス「どうしたんだい、直喜君?」

 

直喜「アカネちゃんに、用事があって来ました…少し…ふ、二人きりに…してください……」

 

彼のお願いを聞いたアレクシスは、彼をアカネの元に案内し、退室した。

 

アカネ「あ、直喜く〜ん♪」

 

直喜「ねぇ、アカネちゃん……聞きたいことがいくつかあるんだけど、良いかな…?」

 

アカネ「良いよ♪」

 

直喜と話すアカネは、ニコニコと優しく微笑んでいる。

 

直喜(で、でも…本当に、聞いても良いのかな……もし…もし、僕が聞いたことで…アカネちゃんとの関係が、悪くなっちゃったら……!!)

 

聞きたいことがあるものの、中々聞き出せずにいる直喜は…次第に落ち着きを無くしていき……

 

アカネ「遠慮しないで?」

 

直喜「…えっ?」

 

アカネ「聞きたいこと、あるんでしょ?どんなことだって良いからさ、ね?」

 

アカネに背中を押され、少しずつ落ち着きを取り戻していく直喜は……

 

 

直喜「こ、この世界は…本当に…アカネちゃん、君が…つ、作ったの……?」

 

 

…と、遂に聞きたいことを口にした。彼の言葉を聞いたアカネは、少しだけ驚いた顔をしたが…すぐに笑顔になる。

 

アカネ「どうしてそう思ったの?」

 

直喜「だ、だって…今はもう、秋なのに……まだ暑いし…それに、駅名標を見たら…ずっとツツジ台に……後、この街の至る所に……な、謎の怪獣の影が……」

 

ここで生活し、疑問に思ったことを話す直喜。そんな彼の言葉を聞いたアカネは、あっさりと白状した。

 

アカネ「うん、そうだよ。

 

 

ここは私が私の想いで造った偽りの世界…

 

ここの世界の人達は、みんな私のことが好きになるっていう設定に変えることができるんだ。

 

 

彼女が白状したことで…アノシラスが言っていたことは、本当のことだという事がわかった。更に、この世界はアカネ好みの設定に自由に変更できることが発覚した。

 

直喜「…ど、どうして…?」

 

アカネ「そりゃ、私が私らしくいるためにだよ?でも、どういうわけか君だけは…私の設定を受け付けなかった。」

 

直喜「ま、待ってよ…じゃあ、僕は……一体、何者なの?」

 

アカネ「それは私の口からは言えない…それを聞いた時、君は間違いなくショックを受けちゃうだろうし……」

 

1番気になっていることは、アカネは答えてくれなかった。だが、まだ聞きたいことはある。

 

直喜「もしかして、怪獣が出てきたのは…」

 

アカネ「私の仕業、直喜君をいじめようとする奴を排除するため……」

 

直喜「ツツジ台を、ずっとループするようになったのは…どうして?」

 

アカネ「それはね、私の好きな人を他の女に取られたく無いからだよ?」

 

アカネはそう言うと、直喜に抱きついた。

 

直喜「へぇっ!?」

 

アカネ「スゥ~…はぁ、直喜君ってやっぱり良い匂いがする……ほんのり甘くて優しい匂い、落ち着くなぁ〜……」

 

直喜の匂いを堪能すると、今度はベッドに横たわった。

 

 

アカネ「ねぇ、こっちに来ない?

 

 

直喜「……。」

 

普段は鈍感な直喜だが、今回だけは…アカネの言葉の意味を察していた。

 

 

アカネ「何分かってないフリしてんすか?手を組もうって言ってるの。

 

直喜君、私と一緒になれば…君の望みは何だって叶うよ?

 

安定した職業にもつけるし、欲しい物だって…何だって手に入る。それに、君の理想の世界を造ることだってできるんだよ?

 

だからさ、私と手を組もうよ。」

 

 

直喜「…それは、できない……」

 

アカネの言葉に、拒否をしめす直喜。

 

アカネ「どうして?直喜君の理想が全部叶うんだよ?もう、悲しい思いもしなくていい…苦しい思いも、痛い思いも…しなくていいんだよ?」

 

直喜「確かに、それはすごく魅力的だと思う…でもね……」

 

驚いた顔をするアカネに、直喜はこう言った。

 

 

直喜「地球の平和は、人間自らの手で掴み取ることに価値がある……つまり…本当に欲しい物も、自分の力で手に入れてこそ価値があるって、僕は思う……そうじゃないと、何の為にそれを手に入れたのか分かんないし…何より、達成感が無いと…いくら欲しい物を手に入れたって、虚しいのかなって……」

 

アカネ「……。」

 

直喜「僕ね、たまに思うんだ…物事だってさ、物足りないぐらいが丁度いいのかなって……」

 

アカネ「…物足りないが、丁度いい?」

 

直喜「うん…例えば、僕がいつも行ってるウルフェスも……全部回れるってわけじゃないし、どれだけ行っても行っても物足りないんだ。だけど、だからこそ…物足りないからこそ、また来たいなって思えるの…アカネちゃんと過ごす時間だって、まだまだ物足りないけど…だから、またアカネちゃんに逢いたいなって思える……」

 

アカネ「……。」

 

直喜「だから、僕はそっちに行けない…ごめん……」

 

直喜の言葉を聞いたアカネは、ニコッと微笑む。

 

アカネ「謝らないで、直喜君。多分、あの怪獣も言ってたと思うけど…もっと自分に自信を持ってねって…オドオドしてる君も可愛いけど、堂々としてたらカッコいいからさ。だからね、直喜君は直喜君の信じる道を進んでね?」

 

直喜「…アカネちゃん。」

 

直喜はアカネにお礼を言うと、部屋を退室し…自宅へと帰って行った。

 

 

 

アカネ「……。」

 

部屋に1人居るアカネの目からは、一筋の涙が流れ落ちる。

 

アカネ「…あ〜あ…フラれちゃった、な……」

 

アカネは涙を拭い続けるが、涙は止まらない。

 

アカネ「でも…な、直喜君が…自分の意志で、決めたことだもん……尊重しないと…ッ!!」

 

どうやら、自分は直喜にフラれたと思い…ショックを受けてしまったようだ。彼女は果たして、立ち直ることはできるのだろうか…




ED〜ASH DA HERO『Everything』〜♪


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第119話 この気持ちって、何だろう?

OP~OxT『UNION』~♪



南 夢芽のフィギュア、最近漸く届きました♪


アカネの家から帰っている途中、直喜は悩んでいた。

 

直喜(ど、どうしよう…)

 

夏祭りの時、ヒロイン4人から想いを告げられたことを思い出していた。

 

 

六花『私、直喜のことが好き。結婚して幸せになりたい♪』

 

アカネ『直喜君、私は君が好きだよ♪』

 

夢芽『私は直喜が好き、愛してるよ♪』

 

ちせ『私、直喜先輩のことが好きです。』

 

 

夏の終わりに、告白されたが…誰を選ぶか、決められずにいたのだ。

 

直喜「あぁ、どうしよう…決められない……」

 

夢芽「決められないって何が?」

 

直喜「えっとね、誰を受け入れるか…って、うひゃあっ!?ゆ、夢芽ちゃん!!?」

 

いつの間にか近くにいた夢芽にビックリする直喜。

 

夢芽「どうしたの、私で良ければ話聞くよ?」

 

直喜「あぅ…え、えっと……」

 

中々悩みを言えない直喜は、オロオロするばかりであった。そこに…

 

六花「ねぇ、直喜に何してんの?

 

六花がやって来た。直喜の顔を覗き込む夢芽を見るなり、ハイライトが消え…怒りを露わにしている。

 

夢芽「話を聞こうとしてるだけ、やましい事なんてしてないけど?」

 

六花「いやいや、直喜が嫌がってんじゃん…」

 

夢芽「嫌がって無いよ。ね、直喜?」

 

六花「ほら、そういうとこ…直喜の気持ちを尊重してよね?」

 

夢芽「はっ?

 

六花「あっ?

 

2人がギスギスしてきた時、直喜は漸く声を出せた。

 

直喜「け、ケンカはダメ!!」

 

六花&夢芽「「ごめんなさい!!」」

 

直喜が声を上げた途端、あのギスギスした雰囲気は嘘のように消えた。

 

六花「てか、直喜…一体どうしたの?何か悩み事?」

 

直喜「う、ううん…だ、大丈夫…!!」ダッ!

 

六花「あっ、直喜…!!」

 

結局直喜は、彼女達に悩みを打ち明ける事なく…逃げるように走り去ってしまった。残された六花と夢芽は、ただ2人で見つめ合うだけだった。

 

 

 

直喜(だ、ダメだ…絶対に、言えないよぉ……!)

 

自宅マンションに帰ってきた直喜は、モヤモヤしていた。頬は赤く染まっており、胸の奥が熱いのを感じていた。

 

直喜(何なんだろう、この気持ち…なんだか、苦しい……)

 

この日、直喜は結局眠れずに…次の日を迎えた。

 

 

 

この日は、学校がある日であり…直喜にとって、久しぶりの登校になった。いつも通り、教室に着くと…自分の席に着く。

 

六花「おはよ〜。」

 

なみこ「おっ、おはよ六花!!」

 

はっす「姉御、おはようごぜいやす。」

 

六花「ちょいちょい、それ何弁?w」

 

そこに六花が来て、なみことはっすと会話を始める。

 

直喜(あ、六花ちゃん……)

 

思わず六花を見る直喜…すると、不意に彼女と目があった。

 

直喜「…!……。」

 

目があった途端、視線をそらしてしまう直喜。その後の授業でも、中々集中ができず、教員からも心配されてしまった。

 

 

 

その日の昼休み……

 

直喜は今日も、屋上で1人…弁当を食べている。

 

直喜(まだ胸が熱い…それに、ちょっと息が苦しい……)

 

なみこ「お、いたいた。」

 

はっす「やぁやぁ直君♪」

 

そこに、なみことはっすがやって来る。

 

はっす「って、直君…顔赤いよ?」

 

なみこ「ホントだ、具合悪いの?」

 

直喜「あ…えっと、その……」オロオロ…

 

なみこ「あぁ、ゴメンゴメン!ウチらの聞き方が悪かったかな?」

 

直喜「ち、違う…!」

 

直喜は2人に、悩みを打ち明けることにしたのだが……

 

直喜「えっと、他の人には言わないで欲しい…しゅ、しゅひぎむで……」

 

はっす「うんうん、分かったよ直君。」

 

なみこ「珍しいな、直喜が守秘義務を頼むとは…あ、初めてか。」

 

直喜「えっとね…んっとね……!」

 

はっす「よしよし、ゆっくりで大丈夫だよ?」

 

直喜は、最近胸が熱いこと…息が苦しいこと…特に具合が悪い訳では無いが、中々眠れないことを話した。

 

なみこ「フムフム、成程…直喜、それってつまり……」

 

直喜「な、何か分かったの…?」

 

なみこ「もちろん!!それはズバリ…

 

 

 

 

だよ!!」ドヤァッ!!

 

ドヤ顔で言うなみこだが、直喜には恋が何なのか分からなかった。

 

直喜「こ、こいって…何?」

 

はっす「つまり直君は、ある人のことが好きなんだってことだよ。恋ってのはさ、胸が熱くなって、息も苦しくなって来るし…頬も赤くなる。まさに、直君の症状がそうなんだよ。」

 

直喜「だ、誰かを…好きに……う、ウルトラマンは好きだけど…」

 

なみこ「そっちの好きじゃなくてね、例えばそうだな…将来結婚して幸せになりたい〜、とかね?」

 

直喜「け、けけけ結婚んんんん!!??」アワアワ

 

なみこの言葉を聞いた直喜は、顔を真っ赤にしては目に渦巻きを作る。

 

なみこ「あはは、直喜ったら…ウブだねぇ♪」

 

はっす「誰が好きなんだろ、教えられる?」

 

直喜「ま、ままままだ…お、おし…教えない…!!」

 

はっす「そっかぁ…」

 

直喜「で、でもでもでもでも!!ど、どうしたら良いのか…!!」

 

なみこ「焦るな焦るな?ウチらは直喜の味方なんだから、どんどん頼ってよ♪」

 

はっす「そーそー、どんなときでも良いからさ♪」

 

直喜「な、なみこちゃん…はっすちゃん…!!」キラキラ…!

 

なみことはっすの言葉に安心した直喜は、思わず目を輝かせていた。

 

 

なみこ(直喜可愛過ぎだって!!)

 

はっす(六花に見せたら卒倒しそう♪)

 

 

そんな2人がスマホのカメラを連写していたのは、流石に気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花(な、直喜が恋…!?うそ、誰に!?)




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第120話 宝多家にてお・も・て・な・し♪

OP~OxT『UNION』~♪

悩みに悩み続け、漸く書いた絶対書きたかった物語がコチラです。


直喜(こ、これは…!!)

 

ある日の平日、ツツジ台高校の教室にて…直喜はスマホを見ていた。

 

直喜(ま、マッ◯でシン・ウルトラマンキャンペーンがやってるんだ!!よし、今日の夕飯はマッ◯で済ませよ♪)

 

誰もが知ってる飲食店で、映画【シン・ウルトラマン】とのコラボキャンペーンをやっているのだ。対象のドリンクを注文すると、シン・ウルトラマン使用のドリンクホルダーが手に入るのだ。

 

六花「……。」チラッ…

 

だが、直喜は知らなかった。クラスメイトの六花に、盗み見されていたことを…

 

六花(へぇ、シン・ウルトラマンキャンペーンか…さては直喜、夕飯をマッ◯で済ませるつもりだな?ジャンクフードは身体にあんま良くないって言うし、直喜が早死にしちゃうのが1番怖い……)

 

なみこ「六花~、どしたの?」

 

六花「ううん、何にも。」

 

はっす「でも、直君のスマホをぬs」ムグムグ…

 

はっすが何かを言いかけた時、六花は慌ててはっすのマスクを抑えた。

 

直喜「…えっ?呼ばれたような…」

 

六花「何でも無いよ!ごめんね直喜♪」アハハハ~…

 

六花は足早に、教室を出ていった。

 

直喜(さて、僕もそろそろ帰ろ…あ、その前に…マッ◯寄らないとね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はっす「ぶはぁっ!!ちょいちょい六花ァ、死ぬってば!!ウチを殺す気か~!!」

 

六花にマスクを抑えられたものだから、息が苦しくなっていたはっす。そして、六花に抗議していた。

 

六花「余計なこと言わないで!!」

 

なみこ「余計なこと?ははん、さては六花さん…何か企んでるなぁ~?」

 

六花「企んでないって!!あっ、そろそろ家の手伝いしないと!!」

 

なみこ「あっ、逃げた!!」

 

はっす「うぅ…覚えてろよォ~…!!」

 

 

 

校舎裏に移動した六花は、テレポーテーションを発動し…自宅前に到着した。

 

織江「あ、六花お帰り~。」

 

六花「ただいま、ママ。外回りしてきたの?」

 

織江「そうそう。」

 

六花が到着した後に、母の織江が到着した。

 

六花「ねぇママ、直喜にお礼がしたいって言ってたよね?」

 

織江「そうなんだけどさぁ…何をしようか迷ってて。」

 

六花「私に考えがあるの。今日はパパもお兄ちゃんも帰って来るよね?折角だから直喜に紹介したいし、てか直喜を泊めても良い?」

 

織江「ナイスアイデア!流石は私の娘♪」

 

直喜を自宅に泊めるのを許して貰った六花は、織江と共にマッ◯に向かった。

 

六花(ここなら、学校からも近いし直喜も来るはず…あっ、いた!)

 

マッ◯に到着すると、正面から直喜が歩いてくるのが見えた。六花は急いで直喜の元へ向かう。

 

直喜(ご飯買い忘れちゃってたし、丁度良いや。シン・ウルトラマン…リピアーのドリンクホルダーはもうすぐそこだ♪)

 

直喜がマッ◯に入ろうとした…まさに、その時だった。

 

六花「あっ、直喜じゃん♪」

 

直喜「へぇっ!?あっ、六花ちゃん…!」

 

偶然を装った六花が、直喜の前に姿を現した。

 

六花「偶然、こんなとこで何してんの?」

 

直喜「えっ、えっとね…それは……」

 

六花「あっ、さては直喜…シン・ウルトラマンキャンペーンがやってるマッ◯で夕飯を済ませようとしたでしょ?」

 

直喜「ギクッ!?な、何でわかったの…!?」

 

六花に図星を突かれた直喜は、目を泳がせて動揺している。そんな彼に……

 

 

六花「こらっ♥️」

 

 

…と、六花は優しく叱る。

 

六花「ジャンクフードは身体に良くないよ?」

 

直喜「うっ…ま、まぁ…確かにそうだけど……」汗

 

六花「という事で、今日は私ん家で泊まってって♪」

 

直喜「えっ!?きゅ、急過ぎない…?六花ちゃんママ、何て言うか」

 

織江「大丈夫、ちゃんと許可したから♪」

 

直喜「うひゃあっ!?り、六花ちゃんママ…!?」

 

織江「直喜君、娘を助けてくれてありがとう♪まだお礼できてなかったし、折角だから家に泊まってってよ♪」

 

直喜「お、お礼なんて…そんな……」

 

六花「ほら、行こうよ直喜♪」

 

直喜「へっ、あっ…り、六花ちゃん!?」

 

こうして直喜は、六花と織江によって…ちょっと強引に六花宅へと連行されていった。

 

直喜「し、シン・ウルトラマンのキャンペーン……」

直喜(り、リピアー~~~~!!)

 

直喜の心の叫びも虚しく…マッ◯が段々と遠ざかっていく。

 

 

 

その頃、マッ◯店内には…怪獣優生思想の4人が来ていた。

 

オニジャ「しっかしまぁ、ここでシン・ウルトラマンのキャンペーンがやってたなんてなぁ。」

 

ジュウガ「意外ですね。まぁ、直喜がまだ来ていないのは残念ですが……」

 

ムジナ「ねぇ、あれ直喜じゃない?あっ、六花もいる。」

 

シズム「あ、ホントだ。」

 

彼らは直喜がここに来ることを予想し、待っていたのだが…直喜に会える寸前で、六花に妨害されてしまったのだった。連行される直喜を、彼らはただ…呆然と見守るしかなかった……

 

シズム「…連れてかれちゃった。」汗

 

ジュウガ「…そうですね。」汗

 

オニジャ「…けど、六花の奴…なんか嬉しそうにしてなかったか?」汗

 

ムジナ「…それ私も思った。直喜、大丈夫かな?」汗

 

 

 

六花と織江に連行された直喜は、六花宅へと到着…それと同時に……

 

直喜「あ、あれ何?」

 

西の大空から3つの光がこちらへ飛んでくるのが見えた。

 

六花「ママ、先に入ってて。」

六花(アカネに頼んでカオスロイド達に直喜の荷物を持ってきてくれるようにしたから…ここでママにバレるのは都合悪いし……)

 

織江「OK♪」

 

織江が家に入ると……

 

 

カオスロイドS「ジュアッ!!」

 

カオスロイドT「ンンッ!!」

 

カオスロイドU「シュワッ!!」

 

 

何やら荷物を持った3体のカオスロイド達が、直喜と六花の近くに降り立った。

 

六花「お使いご苦労様。」

 

直喜「か、カオスロイド達…そ、その荷物…?」

 

六花「あぁ、直喜の着替えとかお風呂セット、歯磨きセットとか充電器とかが入ってて、その袋には今日の晩ご飯と明日の朝ご飯が入ってるよ。」

 

直喜「あれ?戸締りしてきたのに、どうやって持ってきたの?」

 

直喜の疑問に…

 

 

カオスロイドS「デュワッ!!」ビシッ!

 

 

カオスロイドSが、右手の親指で自分を刺した。どうやら、『俺の力だ』と言っているようだ。

 

直喜「あー……そっか…カオスロイドSはウルトラセブンそっくりの姿だし、念力が使えるんだよね。でも、何だか…うーん……」

 

直喜は何やらモヤモヤしていた。どうやら、自分の許可無く勝手に物を持ち出されたことに不満があるようだ。

 

六花(ちょっと強引過ぎたか……あぁ、直喜…なんだか機嫌悪そうだなぁ…)汗

 

珍しく眉間にシワを寄せている直喜を見て、六花は心の中で反省した。カオスロイド達は直喜に頭を下げて謝罪すると、どこかへ飛び去って行った。その時…

 

???「おい六花、何やってんだよ?」

 

六花「ッ!?」

 

背後から人の声がした。六花が振り向くと、そこには…身長180cm程の若い男性と、スーツ姿の40代程の男性が立っていた。

 

六花「ぱ、パパ…お兄ちゃん…!?」

 

どうやら、この2人が六花の兄と父親のようだ。

 

六花父「おっ、その子が例の…?」

 

六花兄「多分だけどさ、六花がよく話してた直喜君じゃないの?ねぇ君、もしかして直喜君?」

 

直喜「…へっ!?あ、はい…か、神山…直喜…です……」

 

六花父「へぇ、君が直喜君かぁ!!宝多 六花の父です、娘がいつもお世話になってます♪」

 

六花兄「六花の兄です。あれ、もしかして緊張しちゃってる?なんか、ごめんね?」

 

直喜「い、いえ…!!」

 

六花「初対面の相手に緊張すんのは当たり前じゃん。それより早く入ろ?直喜が可哀想じゃん。」

 

直喜「ぼ、僕よりも六花ちゃんのご家族を心配しようか…」汗

 

六花父、六花兄と対面した直喜は…彼らと共に六花宅へ入っていく。

 

織江「改めてなんだけどさ…いらっしゃい直喜君♪あんまり気を遣わなくても大丈夫だからね?我が家だと思って思いっ切りくつろいじゃって♪」

 

直喜「いえ、流石にそれは……お、お世話に…なります…」

 

織江からの言葉に戸惑いながらも、頭を下げて挨拶をする直喜。

 

父&兄「「あの、俺達は?」」

 

織江「は?いやいや身内なんだし、いらっしゃいじゃなくておかえりになるけど?てゆーか、帰ってくることは分かってたんですけど。」

 

父&兄「「塩対応すぎない!?」」大汗

 

直喜とはうってかわって、何故か塩対応する織江にツッコミを入れる六花父と六花兄。

 

 

 

すぐに夕飯の準備を始める織江。直喜と六花も手伝い、スムーズに進んだ。

 

織江「直喜君ってさぁ、偉いよね♪お兄ちゃんも旦那も見習って欲しいぐらい!」

 

六花「ホントだよね〜?」

 

直喜「…!」ドキッ…

 

直喜の隣には六花がいる。彼は彼女を見て、手が止まってしまう。

 

織江「ん?直喜君、大丈夫?」

 

直喜「ふえっ!?あ、だ、大丈夫…です……」

 

六花「ゆっくりしてても良いのに…ま、直喜がやりたいならそれで良いんだけどさ。」

 

出来上がったのは、六花の好物であるチーズフォンデュだ。宝多家では、何かしらお祝い事があるとチーズフォンデュが出ることが多い。

 

六花父「おっ、美味しそうじゃないか。」

 

織江「直喜君が手伝ってくれたんだから美味しいに決まってんじゃん♪」

 

六花兄「えっ、直喜君って料理できるんだ。スゴイな。」

 

直喜「か、簡単な…物、なら……」

 

まだ緊張している直喜。六花と織江には慣れたが、六花父と六花兄にはまだ慣れていないようだ。そんな彼は、六花と六花兄の間に座って食事を食べた。食べ終わった後、食器洗いもやった。

 

織江「助かるよ直喜君、ありがとね♪」

 

直喜「い、いえ……」

 

織江「いっその事、ウチの子になっちゃいなよ〜♪おばちゃん、直喜君だったら六花の結婚相手に相応しいって思ってるしさ~♪」

 

直喜「へぇっ!?」ドキィッ!?

 

六花「ママ〜!!」プンスカッ!!

 

織江が直喜を困らせると、六花は必ず怒る。その度に織江が平謝りするのがもはや御約束となっていた。食器洗いを終えた直喜は、お茶を入れて六花父に持っていった。

 

直喜「あ、あの……お、お茶…ど、どうぞ…!」

 

六花父「おっ、ありがとう。気が利くね。」

 

六花父は直喜からお茶を受け取り、一口飲む。

 

六花父「…んっ!?」

 

直喜「…!?」ビクッ!

 

六花父「これは、飲みやすい…直喜君、君が淹れたお茶は実に美味しいよ。今まで飲んで来たお茶の中でも、1番の美味しさだ。」

 

直喜「あ、ありがとう…ございましゅ……」

 

まさかの反応に、思わず噛んでしまった直喜。恥ずかしそうに頬を赤く染めたが、六花父はそれを気にしていなかった。むしろ、彼のことを気に入っていた。その後、風呂に入り…パジャマに着替えたのだが、問題なのは直喜がどこで寝るかだ。

 

織江「あっ、そうだ…直喜君の寝る部屋、どうしよっか。」

 

六花兄「俺の部屋貸すよ?」

 

六花「ダメ、お兄ちゃんの部屋散らかってるし…」

 

六花兄「おい六花ぁ…それを今言うなよな?」汗

 

六花「だったら片付けて?」

 

六花父「私がソファーで寝よう。」

 

直喜「そ、それじゃあ…り、六花ちゃんパパが…か、風邪引いちゃいます……」

 

六花「だったら私の部屋で良いじゃん。直喜が快適に眠れるようにね?普段から一緒にいる人の方が安心でしょ?」

 

織江「ナイスアイデア、そうしよう♪」

 

直喜「えっ!?で、でも僕…お、男だよ……?」

 

六花「大丈夫大丈夫w直喜は変なことしないって分かってるから♪」

 

結局、直喜は六花の部屋で寝ることになった。彼女と共に部屋に行き、眠りにつく…と、思いきや……

 

六花「ちょっ、テラフェイザー強っ!?」

 

ウルトラマンFENで時間を潰していた。いつもならどんな相手でも圧倒する直喜なのだが、今は集中できていなかった。

 

直喜「……。」チラッ…

直喜(な、何だろう…この気持ち……まだ、分かんない…本当に、恋なのかな……?)

 

六花「あっ、直喜…!」

 

直喜「…へっ?あっ!!」カチカチッ!!

 

いつの間にかテラフェイザーに吹っ飛ばされた直喜だが、テラフェイザーの光線をバリアで防いだ。その後は逆転し、無事に勝利を収めた。夢中でゲームをやっているうちに…時刻は午後11:00となっていた。

 

六花「じゃあ直喜、そろそろ寝よっか?」

 

直喜「う、うん…!」

 

六花はベッドに入ると、隣をポンポンッと叩き…直喜を誘う。緊張しながらも、直喜は六花の隣に来た。お互い見つめ合う形になる。

 

六花「フフッ、直喜と二人きりで寝るなんて…温泉旅行以来だね♪」

 

直喜「う、うん…そ、そう、だね……」

 

やがて、六花はスヤスヤと寝息を立てて夢の中へと旅立って行った。反対に、直喜は中々眠れずにいた。

 

直喜(不思議だなぁ…温泉旅行に行った時は、初めてのことで緊張してたけど…今は違う……は、初めてで…き、緊張はするけど……別の緊張……また、胸が熱くなって来た…)

 

眠れない直喜は、眠っている六花の顔をじっと見る。

 

直喜(思えば、僕……ツツジ台高校に来た時、1番最初に話し掛けて来てくれたのが、六花ちゃんだったなぁ……六花ちゃんが声を掛けてくれて、なみこちゃんとはっすちゃんも…アカネちゃんと古間さんと丸佐さん……響君と内海君も…それからそれから……)

 

ツツジ台高校に転校してきた当時の様子を思い出し、六花に声を掛けられ…続々と人が集まって来たことを思い出す。次に、六花との数々の出来事を思い出し始める。

 

直喜(六花ちゃんは、いつも僕のことを考えてくれてる……体調を心配してくれたり、色んな配慮をしてくれた……僕がゼアスであることを最初に打ち明けたのも、六花ちゃんだったなぁ……六花ちゃんは、僕がゼアスであることにビックリせず、受け入れてくれた……こんなにビクビクしてる僕を、ドジな僕を…六花ちゃんは……ありのままを、受け入れてくれた……)

 

思い出す度に、次第に息が苦しくなって来る直喜。

 

六花「…どうしたの、直喜?」

 

直喜「ひゃっ!?」

 

直喜に異変がおきると、六花はすぐに目を覚ました。

 

直喜「ご、ごめん…お、起こしちゃった……?」

 

六花「私は大丈夫、直喜こそ大丈夫?」

 

直喜「だ、大丈夫…もう、寝るから……」

 

六花「分かった、おやすみ直喜♪」

 

六花が眠りにつき、起きているのは…再び直喜だけとなった。さっきの事で、直喜は漸く…自分の本当の気持ちに、気付いた。

 

直喜(…嗚呼、やっと分かった……僕は、僕は……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花ちゃんに

 

 

 

“恋”をしてしまったんだ




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪

感想にて、『六花&直喜カプ推しです』とのコメントをいただき、僕もこのカップルが好きになっちゃいました。


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第121話 また迎える一日

OP~OxT『UNION』~♪


直喜「…ん?」パチッ…

 

直喜が目を覚ました頃、既に朝になっていた。外を見てみると、青空に白い雲が浮かんでいるのが見える。

 

直喜(寝ちゃってたんだ、僕……)

 

六花「うーん…?…はわぁ〜……」

 

直喜が目を覚ました後に、六花も目を覚まして欠伸をした。

 

直喜「あっ…り、六花ちゃん……お、おはよう……」

 

六花「ん〜、おはよぉ〜…にゃおきぃ〜……」

 

六花はまだ眠いのか、再び欠伸をする。

 

六花(あぁ、直喜と一緒の布団で眠れるって…こんなに快適だったんだ。アカネが言ってたように、直喜って本当に良い香り…ほんのり甘くて優しい香り……幸せ過ぎる♪)

 

直喜と一緒に、それも同じ布団の中で眠った六花は…それはそれは良く眠れたようで、ニコニコしている。その後、直喜は六花と一緒に下へと降りて来て、一緒に朝食を食べた。六花父と六花兄からもすっかり気に入られ、織江がまたも『ウチの子になっちゃいなよ♪』と言うもんだから、六花が怒ったのはお約束♪

 

 

 

直喜は宝多家の家族にお礼を言い、自宅マンションへと帰って行った。

 

直喜「…ふぅ。」

 

我が家へとたどり着いて、ソファーに座った直喜。

 

直喜(どうしよう…六花ちゃんに好きって言うのは、どのタイミングが良いんだろう……でもなぁ、クラスメイト達の前で言うのは恥ずかしいし…うーん……)

 

しかし、彼は考えていた。それは、六花への告白についてだ。いつ、どのタイミングで、どのように伝えれば良いのか…恋には疎い彼には、全く分からなかった。

 

直喜(あぁ〜どうしよう…わかんないよぉ……)

 

 

 

 

 

その頃…

 

アカネ「……。」

 

アカネは誰も立ち寄らない場所…それも、建設途中の高層ビルの屋上と思われる場所にいた。

 

アカネ(嗚呼、フラレちゃった……直喜君に、フラレちゃったなぁ……)

 

落ち込むアカネの目からは、一筋の涙がゆっくりと流れ落ちた。そんな彼女に同調するように、空はみるみる曇って行き、やがてポツポツと雨が降り始めた。

 

アレクシス「…ここに居たのか、アカネ君。」

 

そんな彼女の元に、アレクシスが姿を現した。初めはアカネを利用し、この世界を……という外道を行っていたが、直喜と関わってから、すっかりそれを捨てていた。今ではアカネの保護者的な役割として、彼女を支えているのである。

 

アカネ「……。」

 

アレクシス「…直喜君にフラレて辛いよね。」

 

アカネ「…アレクシスに何が分かるのさ?大好きな人にフラレた私の、私の何が分かるの!?

 

現れたアレクシスに強く当たり散らすアカネ。本当は、誰かに『辛かったね』と慰めて貰いたい…という思いがあるものの、生涯を共にしたいという者にフラレたショックは、今の彼女にとってはあまりにも大きいダメージであった。嫌なことから逃げ続け、好きな事ばかりしてきた彼女にとって…もはや、立ち直ることは困難になっていくだろう。

 

アレクシス「…それでも、まだ彼と一緒に居られる。」

 

アカネ「…えっ?」

 

アレクシスの言葉を聞いたアカネは、ゆっくりと顔をあげる。そんな彼女に、アレクシスは語り掛ける。

 

アレクシス「一緒に居たいと思うなら、そうすれば良いじゃないか。フラレたからといって、二度と関わることが出来ない訳ではないんだから。そう思わないかい、アカネ君?」

 

アカネ「……。」

 

アレクシスから語られた言葉を聞き、考え始めるアカネ。

 

アカネ(…そういえば直喜君、私にこんな事を言ってたなぁ……)

 

そして、直喜とのやり取りを思い出した。

 

 

直喜『アカネちゃんと過ごす時間だって、まだまだ物足りないけど…だから、またアカネちゃんに逢いたいなって思える……』

 

 

確かに、彼への告白への答えは『NO』だった…しかし、また関わりたいと…逢いたいと、彼は言ってくれた。

 

アカネ(…全く、直喜君は優しい人…でも、それが苦しいんだよ……)

 

アレクシスに背中を押されても、彼女は簡単に立ち上がれなかった。

 

アレクシス(本来なら、彼は造り物の生命体…でも、そんな彼のことを…アカネ君はこんなに好きになっていたんだ。簡単に立ち直ることは難しいか……)

 

彼女が完全に復活するには莫大な時間が掛る。それはアレクシスも分かっていた。そんな彼らの元に、邪魔者と言える存在が現れる。

 

レディベンゼン星人「あ〜あ、もうちょっとでその女を利用出来そうだったってのに…アンタさえ居なければ…!!」

 

それは、この世界を木っ端微塵に破壊するベンゼン星人の思いを繋ぐ宇宙人、レディベンゼン星人だった。

 

アカネ「…うわ、レディベンゼン星人……キモいんだけど……」

 

レディベンゼン星人「何ですってェ!?この女、口の聞き方がなってないみたいね!!」

 

アカネに暴言を吐かれたレディベンゼン星人は、怒ってビームウィップを出す。

 

アレクシス「ッ!!」サッ…

 

咄嗟にアレクシスはアカネの前に立ち、サーベルを構えるが…

 

アカネ「待って、コイツは私がやる……」

 

彼を退かしたアカネが、レディベンゼン星人を睨み付ける。そして、全身に紫色のエネルギーを纏うと、両腕を斜め下に伸ばす。そこにエネルギーを集中させると、腕を十字型に組んだ。すると、そこから無数の紐状の光が集まり、それらが収束すると光線として発射された。カオスロイドUが使用する必殺技『カオススペシウム光線』である。

 

レディベンゼン星人「…ちっ!!」

 

間一髪でレディベンゼン星人はその場から姿を消して撤退することで、アカネのカオススペシウム光線から逃れることに成功した。

 

 

 

アカネ「…ちっ、最悪最悪最悪……!!」

 

イライラしたアカネは、腕に着いているエネルギーを払い除ける。

 

アレクシス「でも素晴らしいじゃないか、これなら…直喜君を守ることができるし、君の存在意義だってあるんだ。」

 

アカネ「……。」

 

アレクシスの言葉を聞き流したアカネは、高層ビルから飛び降りた。しかし、上手く地上に着地したことで死ぬことは無かった。

 

アカネ(そっか…ここでは、死にたくても死ねないんだった……)




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第122話 大空の先に

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


ある日の休日……

 

 

ニュースキャスター『〜〜海で発生した台風は、現在ーー』

 

近くの海に、台風が発生したとニュースにて報道された。

 

直喜(台風かぁ…こっちまで来ないと良いんだけど……)

 

この日、直喜は外には出ておらず…自宅マンションで過ごしていた。ここ最近、ツツジ科では台風や地震等の自然災害は起きなかった。そもそも、この街では自然災害は一度も起こっていない。

 

ニュースキャスター『た、只今入りましたニュースです!!〜〜海で発生した台風が、突如消えました!!』

 

直喜「…えっ!?」

 

突然入ってきたニュースに、直喜はビックリする。何と、台風が忽然と姿を消したのだ。ニュースキャスターが混乱する中…

 

直喜(…も、もしかして…怪獣の仕業、なのかな……考えられるのは、あの怪獣しかいない…!)

 

…直喜は一つの仮説を考えた。消えた台風は、自然にできたのではなく…何らかの怪獣によって発生した。そしてそれは、またどこかで発生する。

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人「フフフッ…ウルトラ怪獣ではあるけれど、ゼアスの光線技はきっと効かない筈…その上、この街自体も破壊できてWin-Winね。」

 

その頃、レディベンゼン星人は上空を見上げ…青空がみるみる曇っていく様子を見ていた。直後、竜巻が発生したと思うと…渦の中心に、クラゲのような何かの姿があるのが見えた。

 

レディベンゼン星人「…さ、いってらっしゃい。」

 

それを見たレディベンゼン星人は、その場から静かに姿を消していった。まもなく、渦は台風となり…街へと向かって行った。

 

 

 

やがて、ツツジ台は強烈な台風に包まれてしまった。

 

直喜(た、台風だ…戸締りも大丈夫、食べ物や飲み物も大丈夫、後は後は……)

 

予め飲食物や防災グッズを購入しておいた直喜は、迅速に対応できた。その時……

 

ゴンゴンゴンッ!!

 

玄関のドアをノックする音が聞こえてきた。

 

直喜(ん、誰だろう…?)

 

直喜は玄関に向かって、ドアを開けるとそこには……

 

 

亜子「あっ、なおちー!!突然ごめん!!」

 

蘭萌「ご、ごめんなおちん!!ちょっと避難させてくれる!?」

 

 

クラスメイトの亜子と蘭萌が立っていた。大風に吹かれ、大雨に打たれ…服装は乱れており、びしょ濡れになっていた。

 

直喜「ふ、二人共入って!!」

 

慌てた直喜は、亜子と蘭萌を部屋に上げた。すぐにタオルを渡し、ストーブをつけると、風呂を沸かし始めた。

 

直喜「こ、ここに…」

 

亜子「な、なおちーありがとー!!」

 

蘭萌「うぅ…さ、寒っ……」

 

亜子と蘭萌をストーブ前に座らせると、温かい飲み物を提供した。やがて、2人が落ち着いた時…直喜は2人に声を掛けてみる。

 

直喜「ふ、古間さんも丸佐さんも…一体、どうしたの……?」

 

亜子「あぁ、ウチね…学校に忘れ物しちゃって、取りに行ってたの。」

 

蘭萌「ウチはダンス部の練習があったの。帰りに亜子と合流して一緒に帰ってたら、急に天気が荒れちゃって…」

 

直喜「そ、そうだったんだ…た、大変…だったね……」

 

理由を聞いた直喜は、2人を労った。

 

直喜「え、えっと…ゆっくりしてって…?…せ、狭いけど……」

 

亜子「いやいやいやいや!全然狭くないって!!」

 

蘭萌「ホンっとにありがとうなおちん!!」

 

亜子「なおちー、君は救世主だよ…!!」

 

直喜に感謝した亜子と蘭萌は、ここで世話になる代わりに…家事や料理等を手伝うと言ってくれた。戸惑う直喜だが…

 

ゼアス(直喜君、ここは亜子ちゃんと蘭萌ちゃんの言葉に甘えておこう。時には誰かに頼ることも大事だよ。)

 

ゼアスの助言を聞き、ご行為に甘えることにした。やがて、風呂が沸いたので、直喜は亜子と蘭萌に風呂を使ってと言った。2人はそそくさと風呂に向かった。

 

直喜(あっ…古間さんと丸佐さん、着替えあるかなぁ……)

 

直喜が心配すると…彼の心配は的中した。

 

亜子『やばっ!?ウチら着替え無いじゃん!!』

 

蘭萌『ウチはある…って、雨に濡れちゃってた!!あっ、そうだ…なおちんに貸してもらう!?』

 

亜子『流石にそれは…って、言いたいとこだけど……』

 

案の定、2人は着替えが無く…風呂場でテンパっていた。

 

直喜(し、しまった…!!)

 

直喜は慌ててタンスを開けると、急いで良さそうな着物を探す。

 

直喜(な、何か…何か無いかな…!?)ゴソゴソ…

 

しかし、どれもこれもウルトラマンのロゴやウルトラ怪獣のシルエットが描いてある服や、ダサいTシャツぐらいしかない。

 

直喜(ずっとお風呂にいると風邪引いちゃうし……こ、こうなったら…僕の独断と偏見になるけど、2人に似合いそうな物を…!!)

 

直喜は亜子と蘭萌に似合いそうな服を選び、それをカゴに入れると…そっと脱衣所前に置いた。

 

直喜(…ふぅ、これで……)

 

ホっとしたのも束の間…さらなる問題が……

 

亜子『ちょっ、蘭萌…ブラとパンツどうする?』

 

蘭萌『ちょいちょい!!なおちんが居るんだから!!』

 

直喜(ぱ…ぱ…パ!!??)オロオロ

 

亜子と蘭萌の下着についてだ……しかし、ここには女性用の下着は1つも無い。彼女らの会話が聞こえてしまった直喜は、顔を真っ赤にし、オロオロしてしまう。しかし、今それどころではない。

 

直喜(えっと、えっと……!!)

 

またまたタンスへと向かった直喜は、新品で未使用の下着を探した。

 

直喜(あっ、あった!!よし…これなら……!!)

 

直喜は2人の着替えの中に、新品未使用の肌着とボクサーパンツを入れた。

 

直喜(…流石に使ってるのを渡したら、マズいよね?)汗

 

考え事を始めると、風呂場のドアが開く音が聞こえたため…直喜はそっとリビングへと戻って行った。

 

 

 

亜子「…はぁ、気持ち良かった〜。」

 

蘭萌「てか、亜子声大きいって…!なおちんに聞かれたらどーすんのさ!?」

 

亜子「ごめんごめん…!」汗

 

身体にバスタオルを巻いた2人は、脱衣所の出入り口のドアをそっと開ける。

 

蘭萌(…!!…もしかしてなおちん、用意してくれたの?)

 

亜子(き、着替えだ…!!)

 

そして、着替えの入ったカゴをそっと持っていくと…着替え始める。

 

蘭萌「…ん?何これ…?」

 

亜子「これって、下着じゃね?」

 

蘭萌「って、値札が着いたままだ…もしかしてなおちん、そこまで考えてくれたの?」

 

亜子「うおおお…なおちー、救世主を通り越して神だ…!!」

 

蘭萌「まぁ、レディースのボクサーパンツもあるからね。ウチらが身に着けても不自然じゃないよね?」

 

亜子「あるある、不自然じゃない!!」

 

安心して着替えを終えた2人は、ドライヤーで髪を乾かした後…リビングへと向かった。

 

 

 

直喜(あっ!?し、しまった…ね、値札切るの忘れてた…!!や、やっちゃった……)

 

直喜が新品の下着の値札を切り忘れていたことに気付いた頃、亜子と蘭萌が風呂から出てきた。

 

亜子「なおちーありがとー!!マジで感謝しか無いわ!!」

 

蘭萌「色々考えてくれたんだよね?ありがとうなおちん!!」

 

直喜「へっ!?あ、あぁ…う、うん……」

直喜(あの会話、聞かなかったことにしとこ…)汗

 

亜子「ね、ねぇなおちー…ウチらの話、もしかして聞こえてた?」

 

蘭萌「ちょっ、亜子…!!」アセアセ

 

直喜「…えっ、何のこと?」

 

亜子「…あ、ううん何でもない!!」

亜子(よ、良かったぁ…聞こえてなかったみたいだ……)ホッ…

 

蘭萌(よ、良かったぁ……)ホッ…

 

ちょっぴり破廉恥な会話が直喜に聞こえなかったことを知るや否や、ホッと胸を撫で下ろす亜子と蘭萌。

 

直喜(本当は聞こえてたけど、それじゃあ古間さんと丸佐さんにも失礼だし…な、何より…ぷ、ぷらいばしーを守んないと…!!)

 

本当は聞こえてしまっていた直喜だったが、彼女らの羞恥心に配慮し…優しい嘘をついたのだ。『亜子と蘭萌のプライバシーを守らないと』と思っていた直喜だが、正しくは『亜子と蘭萌の羞恥心に配慮しないと』である。

 

亜子「てかさぁ…蘭萌のその格好めっちゃ似合う、カッコいい。」

 

蘭萌「そういう亜子も、よく似合ってるよ?」

 

現在、亜子が着ている服装は…初代ウルトラマンや登場したウルトラ怪獣が白黒イラストとして描かれている黒いTシャツだ。一方の蘭萌は…初代ウルトラマンの変身シーンが描かれたTシャツを着ている。2人共、今の服装を気に入ったようだ。

 

直喜「あ、それ…よ、良かったらあげる。」

 

亜子「えぇっ!?流石にそれは悪いって!!」

 

蘭萌「そうだよなおちん!!これ、高いでしょ!?」

 

直喜「ううん、そんな事無いよ?」

 

直喜は和室にあるタンスを開け、ウルトラマンのTシャツを取り出す。

 

直喜「これね、ウルフェスで買えるんだ。値段も5000円未満で買えるヤツが多いから、古間さんのも丸佐さんのも…大体1500円程度で買える、結構安いんだよ?」

 

直喜の言葉に、「「へぇ〜!!」」と感心する亜子と蘭萌。

 

直喜「それに、僕はウルトラマンのTシャツいっぱい持ってるし…それ、新品未使用だから、良かったら使って?要らなかったら捨てちゃっても良いんだけど…」

 

亜子「いやいや、これ絶対捨てないわ!!ウチ、これ気に入ったしさ♪」

 

蘭萌「ウチもこれ好き、何か力が湧いてくる気がするし…練習着として使えるよね。」

 

直喜「だったら尚更貰ってよ。僕もバイトしてお金貯めてるし、欲しくなったらまた買えるから。」

 

直喜からウルフェス限定の服を貰った亜子と蘭萌は、これでもかと思う程直喜に感謝をした。

 

亜子「あっ、シャツとパンツどうしよっか…」

 

蘭萌「あ、亜子…!!…あー、なおちん……何か、ごめんね…?」汗

 

直喜「だ、だ、だいじょーぶ……ソレ、アゲル……」汗

 

亜子がうっかり口を滑らせ……新品未使用のシャツとボクサーパンツも、結局貰うことにした。

 

 

 

外を見ると…台風は更に勢いを増し、轟々と音を立てていた。

 

直喜「…!!」

直喜(あ、あれは…!!)

 

上空には、何やらクラゲのようなシルエットが見える。

 

亜子「えっ、あれ何?」

 

蘭萌「もしかして、UFO?」

 

亜子と蘭萌も、上空にいるシルエットを見た。

 

直喜「ううん、あれはUFOじゃない……台風怪獣『バリケーン』…頭の傘を回して台風を生み出してるんだ。」

 

ウルトラ博士と呼ばれる直喜は、ウルトラ怪獣を知り尽くしている。どうやら、この台風は…怪獣が起こしていたようだ。

 

亜子「か、怪獣!?」

 

蘭萌「なおちん、あれどうやって倒すの…?」

 

直喜「もう攻略プランは思い付いた、行ってくるよ。」

 

直喜はピカリブラッシャー2を取り出すと、歯磨きを開始する。

 

亜子(そっか…なおちーはウルトラマンなんだ。)

 

蘭萌(なおちん、お願い…!)

 

亜子と蘭萌も、直喜がゼアスであることを知っている。直喜は歯磨きを終えると…

 

直喜「ゼアス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

ブラッシャーを高く掲げ、目映く優しい光へと包まれていった。やがて、外にウルトラマンゼアスが出現…台風の目へ向かって飛び立って行った。

 

 

 

上空へと飛び立ったゼアスは、台風怪獣『バリケーン』を見つけると、縦に勢い良く回転し…『ウルトラかかと落とし』を繰り出した。

 

ドゴォッ!!ドゴォッ!!ドッゴォォオオオオッ!!

 

ゼアスの攻撃を受けたバリケーンは、地上へと落下していく。それを追ってゼアスも、地上へと降り立つ。ゼアスが降り立った直後…

 

バリケーン「キュルキュルキュルキュル!!」

 

バリケーンが急速に接近し、両足でゼアスを挟んだ。次の瞬間…

 

 

ビリビリビリビリッ!!

 

 

放電を繰り出し、ゼアスに強力な電気を流した。

 

ゼアス「グッ!?」

 

ゼアスはバリケーンにチョップ攻撃を繰り出すと、拘束から逃れた。そんなゼアスに、バリケーンは口からガスを吐き出した。

 

ゼアス「ッ!?」

 

咄嗟に避けたゼアスは、近くにある煙突を引き抜く。

 

直喜(バリケーンに光線技は効かない…ジャックのスペシウム光線を食べちゃう程だもん…それならこれで…!!)

 

引き抜いた煙突から鎖が伸びると、持ち手が青い光を放ち始める。これは、ゼアスの新武器『ゼアスヌンチャク』だ。光線技が通用しないバリケーンに、武器を使って戦おうと考えたのだ。

 

ゼアス「!!」ヒュンヒュンッ!

 

ヌンチャクを振り回し、バリケーンを威嚇するゼアス。バリケーンは触手を伸ばして来た。

 

ゼアス「デヤッ!!ジュアッ!!」バシッ!!バシッ!!

 

ゼアスはヌンチャクで触手を弾き、バリケーンに急接近する。

 

ゼアス「へアッ!!」ドゴドゴドゴドゴォッ!!

 

そして、ヌンチャクを振るって連続攻撃をバリケーンに浴びせる。

 

バリケーン「キュルキュルキュルキュル!!」ピカァッ!!

 

しかし、バリケーンが頭部の発電器官を発光させ、ゼアスに触手を伸ばした。

 

ドカッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」

 

足元を攻撃されたゼアスは転倒してしまう。そんなゼアスに、バリケーンは触手で攻撃を仕掛けてくる。ゼアスは後転で距離を取ると、大空へ飛び立つ。しかし…

 

シュルッ…パシッ!!

 

ゼアス「ッ!?」

 

足がバリケーンの触手に捕まってしまい、地上へと引き摺り戻された。背中から地面に落ちたゼアスは、泥まみれになってしまう。

 

直喜(ゼアス、大丈夫!?)

 

ゼアス(大丈夫!!今の僕に、泥の汚れなんて何ともないよ!!)

 

幸い、潔癖症を克服しているゼアスにとって、汚れはへっちゃらだった。バリケーンはゼアスに攻撃を仕掛け、地面に転がす。やがて、触手を伸ばすと…ゼアスの首を締め始める。

 

ゼアス「グッ!?」

 

ゼアスはゼアスヌンチャクを落としてしまうが、バリケーンの触手を振り払い、拘束から逃れた。バリケーンの触手を払った後、ゼアスは『ゼアスラッシュ』を放ったが…バリケーンは口を開けてゼアスラッシュを食べてしまう。

 

直喜(これも効かない…こうなったら、バリケーンを上空に上げて倒すしか無い…!!)

 

バリケーンは頭の傘を回し、突風を起こそうとする。それを見たゼアスは…

 

ゼアス「ジェアッ!!」ビシィッ!!

 

バレエの『アティチュード』のような片足立ちの姿勢を取り、超高速で回転し始める。そのまま回転しながらバリケーンに向かって行くと、バリケーンを遥か彼方の上空へと蹴り飛ばした。必殺技『スーパーゼアスキック』だ。

 

直喜(よし…!!)

 

ゼアスは大空へ飛び立ち、バリケーンに最後の勝負を仕掛けて行った。

 

 

 

バリケーンは空中で台風を起こしており、竜巻に包まれていた。

 

直喜(簡単には勝たせてくれないか…それなら、こっちも全力で行くよ!!)

 

ゼアスはバリケーンを包む竜巻に向かって飛んでいく。その時……

 

グリッドマン『ウルトラマンゼアス!私も共に行こう!!』

 

グリッドマンが駆け付けてくれた。

 

直喜(グリッドマン!!あれ、グリッドマンって空も飛べるんだ。)

 

今のグリッドマンは、背中に翼がついており、足からジェットを噴射している。これは、グリッドマンとスカイヴィッターが合体した姿『スカイグリッドマン』という形態だ。高い飛行能力を発揮する他、両手が空いているため、スカイグリッドマン固有の能力とグリッドビームを同時に使用することができるのだ。スカイグリッドマンはバリケーンを覆う竜巻の風武きと逆の方向に旋回し、竜巻を弱めていく。ゼアスは左手を右肘に乗せ、右手の先からマシンガンのように光弾を連続で発射した。ウルトラマンジャックの技の1つ、ウルトラロケット弾を参考に考案した新必殺技『ゼアスロケット弾』である。

 

チュドンッ!ドカァアアンッ!!

 

バリケーン「キュルキュルキュルキュル!!」

 

ゼアスロケット弾は、バリケーンに効いているようだ。ゼアスは再びバリケーン目掛けて、ゼアスロケット弾を発射した。スカイグリッドマンが竜巻を弱くしたおかげで、バリケーンは飛行能力を失い、地上へと落下していく。ゼアスは素早くバリケーンの下に潜り込み、上空へと上昇していく。やがて、雲の上へと到達すると…ゼアスはバリケーンを更に上空へと運んでいく。そのまま大気圏に突入する……と、思っていたら……

 

ゼアス「ッ!?」

直喜(な、何あれ…!?)

 

ゼアスの視線の先には、何やら高層ビル群のような何かが見える。ふと、アノシラスの言葉が脳裏に浮かんだ。

 

 

この街の外には…

 

何も無いよ?

 

 

直喜(も、もしかして…アノシラスが言ってたことは……!!)

 

ゼアス(直喜君!!)

 

直喜(…はっ!?)

 

やがて、ゼアスに持ち上げられたバリケーンが、ジタバタと暴れ始めた。すかさずゼアスは、バリケーンを投げ飛ばし…空中でスーパーゼアスキックを発動、バリケーンを撃破した。

 

直喜(天井にある街…あれは一体……)

 

そこに、スカイグリッドマンも到着…天井に広がる街のような物を目の当たりにする。

 

直喜(ねぇゼアス…ここからどうやって宇宙に帰ってるの?)

 

ゼアス(亜空間を生み出してそこから宇宙に向かったよ。)

 

直喜(だとすると…ゼアスはここに来た時から、これを知ってたの?)

 

ゼアス(黙っててごめん…いつ言おうかと悩んでいたんだ。言ってしまえば直喜君を混乱させてしまうし……)

 

直喜(…そうだったんだ。じゃあ、ゼアスは僕が混乱しないよう、配慮してくれてたんだね。)

 

ゼアス(そう言って貰えると、気が楽になるよ…)

 

凶悪怪獣を倒した2人のヒーローは、ツツジ台へと戻って行った。

 

 

 

バリケーンが居なくなったツツジ台には、曇1つ無い晴れ空が広がっていた。

 

直喜「……。」

 

自宅マンション前に降り立った直喜は、思わず空を見上げる。

 

直喜(あの街みたいなのは、一体何なんだろう…あそこに誰か居るのかな、もしそうだとしたら……)

 

ガチャッ…

 

亜子「あっ、なおちーおかえり♪」

 

蘭萌「なおちん、やっつけたんだよね?」

 

直喜「……。」

 

亜子「ん?なおちー、どうしたの?」

 

直喜「…あ、古間さん、丸佐さん……うん、バリケーンは倒したよ……」

 

蘭萌「良かった、これで安心して帰れるね。なおちん、近々今日のお礼するね。」

 

直喜「ううん、大丈夫…その気持ちだけで十分だよ。」

 

亜子と蘭萌を見送った直喜は、自宅マンションへと入って行くと…また、考え事を始めた。

 

直喜(やっぱり……この街は何かがおかしい…今日のような上空都市に岩やガスだらけの何も無い空間…それに、あちこちにいる謎の怪獣の影……これらを…アカネちゃん1人がやったなんて、考えられない……)

 

考えれば考える程、この街の謎は深まるばかりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人「今回は、新技と新武器を使ったみたいね……でも、まだまだだわ……次は、あの4人組をターゲットにしようかしら?ウフフフ♪」

 

レディベンゼン星人は、次の作戦へ向けて…再び、行動を開始した。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


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第123話 新たなツミビト『転生者 D』

OP~OxT『UNION』~♪


ある日の平日…

 

学校が終わった直喜は、いつものように帰路を歩いていた。彼の隣には、六花の姿がある。

 

六花「今日も居眠りしないでちゃんと授業聞いてたね、エラいエラい♪」ナデナデ

 

直喜「り、六花ちゃん…す、少し…恥ずかしいよぉ……」オロオロ

 

六花「え〜、良いじゃん♪周りには誰も居ないんだし。」

 

頭を撫でられて恥ずかしがる直喜に、六花は母親のような優しい笑顔を向ける。

 

直喜(そ、そう言えば…アカネちゃん、今日も来てなかったな……もしかして、僕のせい…?)

 

最近、アカネは学校を欠席することが多くなっている。先生に理由を尋ねると…どうやら、体調不良が続いているらしいとのこと。アカネに告白された直喜だったが、彼は彼女を選ばなかった…おそらく、それが原因であろうと考え込んでしまう直喜。

 

六花「…き、直喜?」

 

直喜「…ふぇっ!?あ、な、何かな…?」

 

六花「どうしたの、ボーッとして…もしかして、具合悪い?」

 

直喜「う、ううん…な、何でもない……」

 

考え事をしていたせいで、上の空になっていた直喜を心配する六花。

 

六花(アカネが学校に来てないのは、直喜にフラレたからだってことは知ってる…直喜が悪い訳じゃないんだけど……)

 

六花は知っていた。アカネが直喜にフラレたことを……向こうからわざわざ連絡して来たのだ。最後に、『直喜君と幸せになって』とだけ告げられ、それ以降は中々連絡が着かなくなってしまったのだ。

 

六花(直喜と幸せになってって言われても…それは直喜が決めること……てか、直喜が誰を好きになっているのかすら分かんないし……)

 

道を歩いていると、奥の方から誰かがこちらへ向かって来るのが見えた。

 

 

オニジャ「よぉ、直喜ィ!!」

 

 

それは、怪獣優生思想のメンバーだった。彼らはいつも通り、4人で行動していた。

 

ムジナ「ん、あんたって確か…?」

 

六花「宝多 六花…君達と会うのは、熱海以来だったっけ?」

 

ジュウガ「いいえ、ベンゼン星人の最期以来です。」

 

六花「あぁ、そんな日もあったような…」汗

 

六花が彼らと顔を合わせたのは、ベンゼン星人を撃破した日以来であった。

 

 

ベンゼン星人『えぇっ!?俺様忘れられてたのぉ〜!?』

 

 

何かが叫んだような気がしたが、多分気のせいだろう…

 

 

直喜「あっ、そうだ…シズム君達がくれた野菜、カレーにして食べたんだ。すっごく、美味しかった…!」 

 

ムジナ「ホントに!?良かったぁ♪」

 

オニジャ「カレーにしてって、直喜お前料理できるのか!?スゲェ…!」

 

怪獣優生思想と話す直喜を見た六花は、すかさず横槍を入れる。

 

六花「ちなみに、直喜の作る料理は絶品なんだよ?」

 

六花がそう言うと、ムジナが食い付いた。

 

ムジナ「えっ!?直喜の手料理食べたことあるの!?」

 

六花「当たり前じゃんw」

 

六花がドヤ顔すると、ムジナは悔しそうな顔をした。

 

シズム「俺達も食べたことあるでしょ?ほら、文化祭でさ…」

 

ジュウガ「えぇ、ですのでムジナ…その顔やめましょうか。」汗

 

オニジャ「あのパンケーキ、マジで美味かったな〜♪流石は俺達のベストフレンドだぜ!」

 

直喜のことを普段から『ベストフレンド』と呼ぶ怪獣優生思想の4人…円盤生物を従え、直喜の力になるために行動している。

 

六花「ねぇ、君達はさ…直喜をベストフレンドって言ってるけど、どうやって知り合ったの?」

 

六花がそう尋ねると、ムジナが語り始めた。

 

ムジナ「私らはさ、変わり者だったんだよ…フツーのヒトと価値観が違うから、誰も寄り付かなかった。でも、直喜だけは違った…私達を疑わず、友達になろうとしてくれた。」

 

次に、オニジャが語り始める。

 

オニジャ「初めは直喜を拒んだが…それでも直喜は、学校であったことを話してくれたり、怪獣の話をしてくれたり…最後まで諦めず、全力で俺達にぶつかって来てくれた。こんな俺達に、唯一振り向いてくれたんだ。」

 

最後に、シズムとジュウガが語る。

 

シズム「直喜からは…人間の素晴らしさを、この地球の素晴らしさを教わったんだ。」

 

ジュウガ「俺達に生きる希望をくれたんですよ、直喜は。だからこそ、彼は俺達のベストフレンドなのです。」

 

六花「…そうなんだ。」

六花(多分、この人達は地球人じゃない…でも、直喜にとってそんな事は関係ない……直喜は誰にでも優しいし…)

 

怪獣優生思想の話を聞いた六花は、思わず笑みがこぼれた。

 

直喜「そ、そうだった…の……?」汗

 

対して、直喜は困惑していた。

 

オニジャ「そうだぜ直喜!お前には感謝してもしきれねぇぜ♪」

 

シズム「本当だね、俺達は直喜に救われたんだよ。」

 

ムジナ「ホントにありがとう、直喜♪あぁ、思い出したら涙が…」クスンッ…

 

ジュウガ「ハンカチ、使いますか?」

 

涙ぐむムジナに、ハンカチを差し出すジュウガ。

 

 

おいテメェ!!

 

 

そんな時、背後から男の大声が聞こえてきた。振り向くと、そこにはおかっぱ頭で、眼鏡を掛けた少年が立っていた。彼は鼻息を荒くさせ、顔を真っ赤にして怒っている。

 

直喜「っ!?」

 

ビックリした直喜は、思わず六花の後ろに隠れてしまう。

 

オニジャ「あん、何だお前?」

 

少年「黙れ!!ボクは六花の後ろに隠れてるクソモブに」

 

ムジナ「ちょっと、名前ぐらい名乗ったら?失礼なんだけど?後うっさい。」

 

ムジナに指摘された少年は、黙り込むと…名前を名乗り始める。

 

 

転生者 D「ぼ、ボクはDだ…そ、それより…おいテメェ!!ボクの六花から離れろ!!」

 

 

名前を名乗った直後、再び直喜に怒号を飛ばす『転生者 D』

 

彼は権力者の息子として産まれ、その立場を利用して様々な悪事を働いて来た悪質な転生者だ。ヒロインの寝取りは勿論のこと、他転生者や原作主人公を殺害する等…やりたい放題し、幾つもの世界を壊して来た。神々から注意をされても反省せず、自分の行動を正当化しては開き直ってばかりいた。

 

直喜「で、Dくん…?」

 

転生者 D「黙れクソモブ!!お前みてぇなグズで弱虫でノロマなんかより、ボクの方が六花の彼氏に相応しいに決まってんだ!!分かったならとっとと六花から離れろ!!そして二度と六花と関わるな!!」

 

直喜「うっ、うぅ…」

 

Dの怒鳴り声を聞き、目に涙を浮かべる直喜だが…次の瞬間……

 

 

直喜「ぼ、僕だって…僕だって、六花ちゃんに逢いたい気持ちがあるんだ…り、六花ちゃんと関わったって良いじゃないか…!!六花ちゃんと関わって何が悪いんだ!?」

 

 

なんと、負けじと言い返したのだ。

 

六花「な、直喜…!」

 

彼の叫びを聞いた六花は、思わず目を潤わせる。

 

オニジャ「直喜よく言った!!」

 

シズム「直喜、君は本当にカッコいいよ。」

 

そんな直喜を褒め称えるオニジャとシズム。

 

ムジナ「六花と関わるなって、あんた何様のつもり?」

 

ジュウガ「直喜が誰と関わっていようが、貴方には関係ありません。そもそも、貴方に直喜の自由を奪う権利は無いですよ。」

 

ムジナとジュウガは直喜を庇う。

 

転生者 D「なんだと!?ボクの恋路を邪魔するなら…お前達には死んでもらうぞ!!」

 

Dはそう言うと、ポケットナイフを取り出し、切っ先を直喜に向けた。それを見た直喜は、腰を抜かしてへたり込んでしまった。

 

六花「…!!」

 

それを見た六花は、何かが込み上げて来るのを感じた。そして…

 

 

六花「直喜を連れて逃げて。

 

 

…と、低い声で怪獣優生思想に告げる。

 

ムジナ「うん!さぁ直喜!!」

 

ムジナが直喜を抱えると、怪獣優生思想はどこかへ姿を消した。

 

転生者 D「ふふっ、やっと2人きりだね、六花。」

 

六花のみになると、Dはニタッと気味悪く笑う。

 

転生者 D「さぁ、ボクと……おん?」汗

 

だが、六花の表情を見てDは固まる。六花のハイライトは既に消えており、ゴミを見るような目を向けていた。

 

 

六花「今、直喜を泣かせたよね?

 

ユルサナイ…!

 

 

六花はそう言うと、目にも止まらぬスピードでDを攻撃した。

 

ドガガガガガガガガガガガガッ!!

 

転生者 D「うわああああぁぁぁぁっ!!??」

 

六花から激しく攻撃され、ものの数秒でボロ雑巾と化したD。

 

転生者 D「あぐうっ…うぅっ……」

転生者 D(はっ?いやいや、六花は非戦闘ヒロインの筈じゃ……!?)

 

うつ伏せに倒れ、戸惑うD。すかさず六花は、両手を頭上で合わせると…

 

 

『ストリウム光線!!』

 

 

…と、技名を呼び、両手を腰に当ててエネルギーを充填する。

 

転生者 D(す、ストリウム光線…そ、それってウルトラマンタロウの…!?)

 

Dがそう思った次の瞬間…

 

ビィィイイイイイイイイッ!!

 

六花は両手をT字に組み、D目掛けて七色に光る光線を発射した。ウルトラマンタロウの必殺技『ストリウム光線』だ。光線は真っ直ぐDに飛んで行くと、大爆発を起こした。

 

オニジャ「六花ァ!!」

 

Dを倒した六花は、その場で立ち尽くしている。そこに、円盤生物に乗った怪獣優生思想と直喜が姿を現す。

 

ムジナ「さっきの変なヤツ、やっつけたの?」

 

六花「…ううん、逃げられた。」

六花(アイツらと同じ、ゴキブリみたいな生命力だなぁ…)

 

どうやら、Dを仕留めることは出来なかったようだ。

 

六花(本当は殺したいけど、それじゃあ直喜に嫌われちゃうし…)

 

直喜「り、六花ちゃん…」

 

六花「直喜ッ!!」

 

直喜の声を聞いた瞬間、真っ先に彼を抱きしめる六花。

 

直喜「えっ?うわぁっ!?」

 

六花「ほら、もう怖くないよ。」

 

優しい笑顔を浮かべながら直喜を抱きしめ、背中をポンポンと叩く。その後は、怪獣優生思想をお供にし、無事に直喜を自宅マンションまで送り届けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 D「あ、あぶねぇ…コイツが役に立って良かったぁ……」

 

その頃…六花の光線から逃れたDは、近くの公園に身を潜めていた。彼の足元には、他の世界から盗んで来たと思われるドリルが転がっている。これを使って地中に潜って、難を逃れたようだ。そこに、マートが姿を現す。

 

マート「はぁ…全く、どこから入って来たのかしら?」

 

転生者 D「ッ!?だ、誰だ…!?」

 

マート「フフッ、通りすがりの神様よ?」

 

転生者 D「か、神様だと…だったら、ボクに六花を洗脳する力を寄越せ!!それくらい出来るだろ!?」

 

マートを見たDは、命令口調で力を求める。しかしながら…

 

マート「ツミビトである貴方に、私が力を貸すとでも思ってるのかしら?おめでたい頭ね。」

 

ツミビトである彼に、マートは力を与えようとはしない。

 

マート「本気で彼女を求めているなら、自力で何とかしなさい?じゃあね♪」

 

転生者 D「あっ!?おい待て…!!」

 

Dの叫びも虚しく、マートは瞬時にその場から消えた。

 

 

転生者 D「クソオオォォッ!!

 

 

夕闇の公園には、Dの汚い叫び声が響き渡るだけだった。




ED~ASH DA HERO 『Everything』~♪


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第124話 何の為に

OP~オーイシマサヨシ『インパーフェクト』~♪


ジュウガ「どうしたんですか、シズム?」

 

オニジャ「お前から呼び出すなんて珍しいじゃねぇか。」

 

ムジナ「んで、何で呼ばれたの?」

 

ツツジ台を拠点としている怪獣優生思想は、かつて直喜と出会ったツツジ台公園にやって来ていた。

 

シズム「俺達はベストフレンドである直喜の為に、怪獣を扱っている…そうだよね?」

 

オニジャ「当たり前だろ?」

 

シズム「直喜はさ、俺達にいろんなモノを与えてくれた…けれど、俺達はどう?直喜に何を与えられた?」

 

シズムがそう聞くと、メンバー達は少し考え込む。

 

ジュウガ「俺の衣装の1つを与えましたね。」

 

オニジャ「グラウンド・ワンに行った時、直喜の負担は俺が出したし…後は、う〜ん……」

 

ムジナ「家の畑で作った野菜をプレゼントした…あれ、それだけ?」

 

シズム「目に見える物を与えられてもさ、目には見えない物を与えられた感じがしないよね?」

 

シズムがそう言うと、3人はハッと目を見開く。そこに、姿を現したのは…

 

マート「へぇ…貴方達が怪獣優生思想、ね?」

 

それは、神の1人であるマートだった。

 

ムジナ「何、あんた?」

 

マート「通りすがりの神よ?」

 

オニジャ「は、はぁっ…?」汗

 

マートの言葉に困惑するオニジャ。

 

マート「貴方達は、もう…人類に敵対することは辞めたのよね?」

 

ジュウガ「えぇ、辞めました。人間の素晴らしさを教えてくれたのは、紛れもなく直喜でしたから。」

 

マート「…そう。」

 

マートは近くのベンチに座ると、再び怪獣優生思想に質問をする。

 

マート「では、貴方達は何の為に存在しているのかしら?」

 

シズム「決まってるじゃないか、直喜の為だよ。直喜の生き甲斐が、俺達の生き甲斐でもある。直喜の喜びも、俺達の喜び…そして、直喜の幸せは、俺達の幸せでもある。」

 

マート「ふ〜ん…」

マート(彼らは嘘偽りなんて何一つ言っていない…なるほどね、本気で直喜を愛しているみたいね。だったら…)

 

少し黙り込んだマートは、こんな質問を投げる。

 

 

マート「じゃあさ、もし直喜が人間じゃなかったとしても…貴方達は直喜の友達でいられるのかしら?フフフッ…」

 

 

意地悪そうに笑うマートだが…

 

ジュウガ「当たり前です、直喜が何であろうと関係ありません。」

 

オニジャ「俺もだ!直喜はなぁ、怪獣使いである俺達とも仲良くしてくれたんだぞ?」

 

ムジナ「そうよ、直喜こそが私達のベストフレンドなの!」

 

シズム「直喜は今でも、俺達と親しくしてくれている。今更直喜が何であろうと、俺達のベストフレンドであることには変わりないよ。」

 

怪獣優生思想には、全く効いていなかった。そんな彼らを見たマートは、安心したような笑みを浮かべる。

 

マート「…良かったわ。」

 

オニジャ「あん?どういうことだ?」

 

マート「彼はどんどん力を付けて行っている。あの子なら…不可能を可能にすることが、できるかもね。」

 

マートはそう言うと、空中に浮かび上がって行く。

 

マート「直喜のこと、よろしくね。」

 

そう言い残すと、夕空に吸い込まれるように姿を消していった。

 

ムジナ「…何だったの、さっきの女?」

 

シズム「…さぁね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある豪邸では……

 

 

転生者 D「くっそぉ…どうしてボクの魅力に気付いてくれないんだ?」

 

Dが、無駄な考え事をしていた。どうやら、推しのヒロインが自分に振り向かないのは直喜のせいだと思い込んでいるらしい…

 

転生者 D「まぁ良い…新条 アカネを先にボクのモノにして、その後に六花をお迎えすれば良いか。キヒヒッ、早くベッドファイッ!!したくなってきたなぁ〜♪」

 

きったねぇ笑顔を浮かべるDだが、結局はノープランなのだ。ヒロインを振り向かせる為に何をするのかを考えるのではなく、ヒロインが振り向いてくれるのをただ待っているという、他力本願な考え方であった。

 

母親「Dちゃ〜ん、今日の晩ごはんはステーキですわよ〜!!」

 

転生者 D「うわぁ〜い!!ステ〜キステ〜キ♪とってもステ〜キ〜〜♪」ルンルン♪

 

母親の声を聞いたDは、ウキウキしながら食堂へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカネ「……。」

アカネ(まぁたツミビト…?何でいつもいつも邪魔ばっかりすんのかなぁ……)

 

アカネは高層ビルの屋上からDの豪邸を見下ろしていた。

 

オリシス「…ここにいたのか。」

 

そんな彼女の元に、オリシスが姿を現す。

 

アカネ「何だ、オリシスか…直喜君だったら良かったのに……」

 

オリシス「……。」

 

残念そうなリアクションをするアカネにツッコミを入れようと思ったオリシスだが、彼女の心情を察し、黙っていた。

 

アカネ「直喜君からは、確かにフラレちゃった…でも、でも……私は、直喜君を守るっていう役目があるから……まだ、私の存在意義はある。ねぇオリシス…アイツが直喜君に手出ししようとしたら、やっても良いよね?」

 

オリシス「勿論だ。但し、殺してはならない…それが、お前達に出した条件だからな。」

 

アカネ「うん…うん……」

 

オリシス「その時は、辛かったことを思い切りぶつけると良い…殺さない程度でな?」

 

オリシスはそう言うと、静かに姿を消していった。

 

アカネ「アハッ、そんなに私に逢いたいの?

 

たまには、私から逢いに行っちゃおっかなァ〜♪

 

アカネはそう呟いた次の瞬間…高層ビルから身を投げ出した。




ED~ASH DA HERO『Everything』~♪


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第125話 襲撃

とある豪邸では、転生者 Dが父親と母親と共に食卓を囲んでいた。父母共に、彼を散々甘やかしていたためか…Dはワガママな性格になってしまった。

 

転生者 D「ん〜♪ステーキサイコ〜!もうステーキしか食べられな〜い♪」

 

父親「ははは、沢山食べるんだぞ?」

 

母親「そうよDちゃん、超高級な米○牛をふんだんに買ったんですのよ?」

 

転生者 D「わーい!パパ、ママ、ありがとう!!」

 

ステーキやすき焼きにガツつくD。その時……

 

 

ドカァァアアアアアアアンッ!!

 

 

外から爆発音のような大きな音が聞こえてきて、振動がD一家を襲った。

 

父親「な、何事だ!?」

 

転生者 D「ぼ、ボク見てくる!!」

 

母親「あ、Dちゃん!!」

 

Dが庭に出ると…

 

転生者 D「…ん、誰かいるぞ?」

 

舞っていた砂埃が晴れていき、1人の少女が姿を現した。

 

転生者 D「って、新条 アカネじゃないか!!わざわざボクに逢いに来てくれたのか!?」

 

目の前にいる少女が新条 アカネだとわかった途端、舞い上がり始めるD。

 

アカネ(うっぷ…キモッ……)

 

吐き気を覚えたアカネは、ゆっくりと両腕を広げる。すると…

 

転生者 D「は、ハグを求めてるのか!?よぉし、アカネちゃん…今から行くよぉぉおおおおおおおほほほほほほろぉぉおおおおおおおおおおおい!!♪」

 

Dが奇声を上げながらこちらへ迫って来た。その時…アカネの両サイドに赤黒い霧のようなモノが現れると、段々人の形へと変わっていく。

 

転生者 D「ッ!?」ザザザザーーッ!!

 

異様な雰囲気を感じたDは慌ててブレーキを掛けるも…

 

カオスウルトラマン「ハァッ!!ドボォッ!!

 

転生者 D「ヴブフゥッ!?」

 

黒霧から現れたカオスウルトラマンからストレートを受け、後方に吹き飛ばされた。

 

カオスロイドS「デュアアァァッ!!

 

その後、カオスロイドSの念力で近くに引き寄せられると…

 

カオスロイドT「!!

 

カオスロイドU「!!

 

ドガガガガッ!!

 

カオスロイドTとカオスロイドUの格闘戦でボコボコにされる。

 

転生者 D「がはぁ…!!」ドサッ…

 

そこに、D母とD父がやって来る。

 

D母「で、Dちゃん!!」

 

D父「D!!」

 

転生者 D「ぱ…パパ……ママ……」

 

慌ててDに駆け寄るD父とD母。それを見たアカネは、右手を前に出す。その直後…カオスロイドUが腕をクロスして身体を回転させ、紫色に光るリング『キャッチリング・コピー』を発動し、D母とD父を拘束する。

 

D父「なっ!?何だこれは…!!」

 

D母「う、動けない…!!」

 

完全に身動きが出来なくなった彼らの元に歩み寄るアカネ。そして、スマホの画面を彼らに見せた。

 

アカネ「ねぇ、あんたらのとこのクソガキ…どんな教育してんの?ほら、一人の男の子に向かって刃物を向けちゃって……これをネットにバラまいたらどうなるんだろーね?

 

アカネの動画を見たD父の顔が青ざめていく。

 

D父「や、やめろ…それを流したら、私の立場が…!!」

 

アカネ「あ、もう流しちゃった。

 

D父「んなっ!?」

 

 

アカネ「私の好きな人に手を出そうとした時点で…

 

お前らはもう終わりなの。

 

じゃあ、バイバイ?

 

 

アカネがそう言った直後…彼女の後ろから幾つもの光線が飛んで来た。光線はアカネをすり抜け、D達目掛けて飛んでいった。彼らの絶叫は、爆発音によって掻き消された。

 

アカネ「…帰ろ?」

 

アカネがそう言うと、カオスロイドTが彼女を背中に乗せ、飛び去って行く。カオスロイドS、カオスロイドU、カオスウルトラマンもその後を追い掛ける形で飛び去って行った。

 

 

アカネ「……。」

 

建設途中の高層ビルへと降り立ったアカネと悪トラマン達。そこに、オリシスが姿を現す。

 

オリシス「アカネ、一体どういうつもりだ?」

 

アカネ「どうって、何が?」

 

オリシス「ツミビトの家族を殺すとはどういうことだと聞いている。」

 

アカネ「殺す訳無いじゃん!だって、それじゃあ直喜君に嫌われちゃうって言ったの…オリシスでしょ?」

 

オリシス「…何が言いたい?」

 

アこの後のカネから放たれた言葉を聞き、オリシスは戸惑う。

 

 

アカネ「アイツの両親に…

 

カオスヘッダー

 

感染させちゃった♪

 

 

オリシス「…なっ!?」

オリシス(バカな…コイツは悪トラマンの力は使えても、カオスヘッダーの力は扱えない筈!!)

 

アカネ「分かってないなぁオリシスは…カオスウルトラマンとカオスロイドって、何だか分かる?」

 

オリシス「カオスロイド…ま、まさか…!!」

 

アカネ「そ、カオスヘッダーだよ?つまり、悪トラマンでありカオスヘッダーってこと、ヒヒヒヒ♪」

 

アカネは全ての悪トラマンの力を使うことができる、カオスウルトラマンもカオスロイドも含めてだ。彼らの力を使い、カオスヘッダーを実体化して召喚することもできる。そうして今彼女の近くに居るのが、カオスウルトラマンとカオスロイドだ。

 

アカネ「アイツ、多分直喜君のことを逆恨みして殺そうとするかも…カオスウルトラマン、直喜君を虐めようとする奴は本気で潰しちゃって?」

 

カオスウルトラマン「……。」コクッ…

 

アカネの言葉を聞いたカオスウルトラマンは、カオスヘッダーの姿に戻ると…どこかへ飛び去って行った。

 

アカネ「殺さなければ何をしたって、良いんだよね…?」

 

オリシス「…なら、何故直喜を自分に振り向くように設定しない?」

 

アカネ「それじゃあ駄目なの!!私は私自身の力で直喜君を振り向かせたかったから!!」

 

オリシス「…君の考えていることは分からないな。」

 

オリシスはそう言うと、姿を消した。高層ビルの屋上には、アカネと3体のカオスロイド達だけが残された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 D「ぱ、パパ!!ママ!!やめてよ!!」

 

カオスヘッダーに取り憑かれたDの両親は、執拗にDへ暴力を振るっていた。

 

転生者 D(あ、アイツのせいだ…ボクの六花の近くにいたあのグズのせいで…パパとママは……とにかく、ここから逃げないと…!!)

 

Dはカオス化した両親から逃がれ、家の中に避難して鍵を掛けた。そして、バッグにナイフや包丁、斧や鉈やネイルハンマー等の凶器を詰め込み、窓から家を出た。

 

転生者 D(アイツを殺して…ボクのパパとママを、そして六花を…!!)

 

直喜を殺害するため、彼は直喜を探し回る。その目は、殺意に満ちていた。



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第126話 Calamity

ある日の休日……

 

六花「へぇ〜、ここのスーパーって何でも売ってるし値段も安いんだね。」

 

直喜「う、うん…ぼ、僕、ここのスーパー好きなんだ……」

 

直喜は六花と共に買い物に来ていた。食材な日用品等、何でも売っているこのスーパーは、直喜が住んでいるマンション近くにある。そのため、住人達も助かっているようだ。

 

六花「いっぱい買ったね♪」

 

直喜「そうだね、これだけあれば…1か月は何とかなると思う。」

 

買い物を済ませ、帰路を歩いていると……

 

 

死ねぇぇええええええ!!

 

 

刃物を持ったDが、直喜目掛けて走って来た。

 

直喜「っ!?」

 

六花「ッ!!」サッ…

 

六花は直喜の前に立ち…

 

六花「はっ!!」ドゴォッ!!

 

転生者 D「ウブゥッ!?」

 

Dの腹にハイキックを撃ち込んだ。

 

六花「直喜、大丈夫だよ。私が…私が、守るから!!」ビシッ!!

 

そう言って構えを取る六花。

 

転生者 D「ぼ、ボクの六花なのに……クククッ、まぁ良い…今回はボク1人じゃない、出て来いお前達!!」

 

怪しく笑うD。すると、路地裏や公園の茂みの中から怪しい男達がゾロゾロと姿を見せた。

 

男達「ウッヒョォー、あの娘めっちゃ可愛いじゃねぇか!!」「今ここでヤッちまうかぁ、なぁ!?」「バカッお前発情し過ぎなんだよ!!ま、オレもココがビンビンしてんだけどよぉ、ギャハハハ!!」

 

男達の手には木刀や鉄パイプ、バタフライナイフ等が握られている。

 

六花(いくら武器を手にしたところで、お前達では私を倒せない…だって、直喜を守るために散々特訓して、ツミビトを葬って来たんだし…!!)

 

その時…東の空から何やら光るものが現れると、それは直喜の近くに落ちる。

 

直喜「うわっ!?えっ、何!?」

 

それは、段々人の姿に変わっていくと光が消えて正体を露にした。ウルトラマンコスモス(エクリプスモード)に似た容姿だが体色は黒をメインカラーとし、怒っているような目つきになっている。

 

六花「…!!」

 

直喜「か、カオスウルトラマンカラミティ!?ほ、本物!?」

 

それは、カオスウルトラマンがパワーアップした姿『カオスウルトラマンカラミティ』だった。カオスウルトラマンカラミティは直喜を見て、ゆっくりと頷くと…六花の隣に立つ。

 

六花「助っ人のつもり?私だけで十分だっての…」

 

カオスウルトラマンC『直喜ヲ守ルノハ、ワタシモダ…

 

直喜「えっ…ぼ、僕を…助けに来てくれたの?」

 

カオスウルトラマンC『直喜ガワタシヲ愛シタヨウニ、ワタシモ直喜ヲ愛シテイル…ダカラコソ、直喜…オ前ヲ、守ル。

 

カオスウルトラマンカラミティは悪トラマンの1体ではあるが、直喜を守るべく、助けに来たようだ。

 

六花「雑魚よろしく、私はD(アイツ)を潰すから。但し、殺しちゃダメだよ?」

 

カオスウルトラマンC「ハァッ!!」ビシィッ!!

 

六花と共に構えを取るカオスウルトラマンカラミティ。

 

男1「はっ、ちょ…何だアレ?」

 

男2「な、何かヤバそーじゃね?」

 

転生者 D「何をビビっているんだ!?そんなんじゃ六花とエッ○なんてできねぇぞ!!」

 

Dの言葉を聞くと、男達達は集団で襲い掛かった。そんな彼らを…

 

カオスウルトラマンC「ハァァアアアアアアアアッ!!

 

カオスウルトラマンカラミティが超スピードで攻撃し、瞬時に戦闘不能にした。そのタイミングで、六花がDに向かって走って行く。

 

六花「ふっ!!」ドゴォッ!!

 

転生者 D「がぁっ!?」

 

六花「はぁっ!!」ドボッ!!

 

転生者 D「ヴフォッ!?」

 

直喜に会うまで、ボロボロの身体に鞭を打ち続け、無茶な特訓を続けて来た六花。それは、直喜を2度と失いたくないという思いと、直喜を守るためだ。そして何よりも、直喜のことが好きだから…

 

転生者 D「ふぐぅ…お、お前達!!」

 

六花「もう全滅してんじゃん。」

 

転生者 D「何ッ!?」

 

男達「こ、コイツ…めっちゃ、強いわ…」「ま、まるで……は、歯が立たねぇ…!!」

 

Dの取り巻きの男達は、カオスウルトラマンカラミティの活躍によって既に戦闘不能となっている。

 

転生者 D「ふ、ふざけんなよ…この役立たず!!いくら金を出したと思ってんだ!?何で上手く行かないんだよ…!!」

 

六花「因果応報って言葉知ってる?」

 

六花はそう言うと、腕をクロスし…黄金色の光を集め始める。

 

六花「あんたは散々悪さをしてきたから、それに相応しい報いが来てるんだよ…てか何、ボクの六花って、気持ち悪い……」

 

集めた黄金色のエネルギーを、右腕に集中させると…

 

 

六花「私の王子様は、直喜だけ…あんたは消えて、ハァッ!!」ビシュウウウウゥゥッ!!

 

 

ウルトラマンコスモス(エクリプスモード)の必殺技『コズミューム光線』をD目掛けて発射した。

 

カオスウルトラマンC「オオオオォォ…ハァッ!!ビシュウウウウゥゥッ!!

 

カオスウルトラマンカラミティも、Dに向かって『カラミュームショット』を放つ。

 

転生者 D「うっ!?ぎゃああああぁぁぁぁ…!!」

 

六花とカオスウルトラマンカラミティの光線は、Dの元で爆発を起こした。

 

 

 

直喜「や、やっつけたの…?」

 

六花「うん♪あっ、でも殺したりはしてないから、そこんとこよろしくね?」

 

転生者 Dの魔の手から直喜を守ることができた六花とカオスウルトラマンカラミティ。

 

六花「よし…後は私に任せて?」

 

六花は直喜の腕に自身の腕を絡ませ、カオスウルトラマンカラミティに対し…遠回しに『帰るよう』促す。それを見て察したカオスウルトラマンカラミティは、カオスヘッダーの姿に戻るとどこかへ飛び去って行った。

 

直喜「……。」

 

六花「…?どうしたの、直喜?」

 

直喜「…へっ?あっ、ううん…な、何でもない……」

直喜(どうしよう…六花ちゃんに好きって言いたい……でも、言えないよぉ……)



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第127話 直喜、コスプレデビュー

まだまだ暑い日が続くツツジ台。そこにある学校、ツツジ台高校に直喜は通っている。1年E組では、どういう訳か人気者になっているのだ。そのクラスにて…

 

なみこ「ねぇねぇ直喜ィ〜、コスプレってしたことある〜?」

 

クラスメイトの1人、なみこが直喜に尋ねる。

 

直喜「こ、こすぷれってなに…?」

 

はっす「アニメやドラマとかに出てくるキャラに、実際になりきることだよ。」

 

直喜「へ、へぇ…」

 

直喜にとって、コスプレは無縁…そもそも、コスプレ自体分からない。

 

亜子「なおちー、コスプレしたら世界が変わるよ?」

 

直喜「えっ…そ、そうなの…?」

 

蘭萌「コラコラ、余計なこと教えない。」

 

余計なことを教えようとする亜子に注意する蘭萌。

 

亜子「あっ、そうだ…蘭萌ってさぁ、衣装作れるよね?なおちーにピッタリな衣装ある?」

 

蘭萌「あ、そうそう…なおちん、台風の時助けてくれてありがとう!そのお礼に、衣装を作って来たんだ。なおちんが好きそうな。」ゴソゴソ…

 

何やらトートバッグの中に手を入れる蘭萌。

 

直喜「お、お礼なんて良いのに…」

 

蘭萌「ウチらはそうは行かないんだ。なおちんが助けてくれなかったら、ウチらどうなってたか分かんなかったし…」

 

亜子「そうそう!だからさ、せめてもの気持ち!!」

 

そして、蘭萌がバッグから取り出した物に…思わず直喜は目を丸くする。

 

直喜「えっ!?こ、これって…もしかして……!!」

 

蘭萌「これ、ウルトラマンゼアスに出てくる地球防衛軍Mydo(マイド)のスーツだよ♪ヘルメットも作ったんだ♪」

 

亜子「どう、なおちー!?これが蘭萌クオリティだよ♪」

 

直喜「す、スゴい…!スゴいよ、丸佐さん…!!」キラキラ

 

それは、直喜の大好きなウルトラマン作品【ウルトラマンゼアス】に登場する地球防衛軍『Mydo』のスーツだった。ゴーグル付きヘルメットやブーツまである。

 

六花「何々、直喜コスプレするの?」

 

直喜「えっ…!?こ、これ…実際に、着れるの…?」

 

蘭萌「もちろん♪」

 

亜子「ねぇ、折角だから着てみてよ♪なおちー絶対似合うって!!」

 

直喜「えっ、えぇっ!?こ、ここで着るの!?」

 

亜子の言葉を聞き、戸惑う直喜。

 

六花「私、見てみたいな〜♪直喜がMydo隊員になるの…直喜が着てくれなかったら、私泣いちゃうよ?」

 

直喜「そ、そんな…!!」アワアワ

 

六花に煽られ、慌て始める直喜。

 

なみこ「六花もこう言ってるんだし、思い切って着ちゃおうよ!!」

 

はっす「けど、人目が気になるか…それならウチ、イイとこ知ってるよ?」

 

次第に他のクラスメイト達も注目し始めたため、直喜と六花達は教室を出て行く。クラスメイト達も着いていこうとしたが、六花がギロリと睨んだため、そそくさと教室へ戻った。

 

 

 

彼らがやって来たのは、屋上だった。今日も晴れ空が広がっている。

 

亜子「なおちーが着替えてる間、ウチらそこのドアのとこにいるから。終わったら声掛けてよ。」

 

直喜「う、うん…」

直喜(り、六花ちゃんが泣いちゃうから…僕も、腹くくらないと……)

 

女子陣がドアに入ったところで、直喜は制服を脱ぎ…Mydoスーツに着替える。

 

直喜(あれ…この流れ、前にもあったような……あっ、そうだ…ジュウガ君から軍服貰った時だ…)

 

前にも似たような出来事があったのを思い出し、次第に恥ずかしさが消えていく直喜。

 

直喜「も、もう…良いよ……?」

 

直喜がそう言うと、ドアが開き…女子陣が戻って来た。

 

 

女子「「「「「おぉ〜!!」」」」」

 

 

Mydoスーツに身を包んだことで、すっかりMydo隊員になりきった直喜。そんな彼を見て、歓喜する女子陣。

 

亜子「なおちーめっちゃ似合ってる!!」

 

蘭萌「着心地はどうかな、なおちん?」

 

直喜「う、うん…すっごく良いよ、これ……僕、これ…気に入っちゃった…!」

 

蘭萌手作りの衣装は着心地が良く、直喜は気に入ったようだ。

 

なみこ「ちょいちょい、写真写真!!直喜めっちゃくっちゃ似合ってるから!!」

 

直喜「えぇっ!?しゃ、写真…!?」アワアワ

 

はっす「直君直君、敬礼ポーズしてみて?」

 

直喜「こ、こう…?」

 

直喜が敬礼すると、六花となみこが連写モードで写真を撮った。

 

六花(ありがとう、丸さん。)パシャシャシャシャッ

 

なみこ(丸さんマジナイス!)パシャシャシャシャッ

 

直喜「も、もう動いて良い…かな……?」

 

写真を撮られて恥ずかしくなったのか、直喜は赤く染まった顔をヘルメットで隠す。しかし、ヘルメットに付いているゴーグルは透明であるため、直喜の顔は隠れない。

 

なみこ「ねぇ、六花さんさぁ…折角なんだし、直喜と一緒に写ったら?」

 

六花「えっ、私が?」汗

 

はっす「もしかして、直君と写るの嫌?」

 

六花「いやいや、そんな訳無いじゃん。」

 

なみこ「なら良いじゃん♪ほらほら!!」

 

なみこに押され、直喜の隣に立つ六花。

 

直喜「あ…り、六花ちゃん…」

 

六花「な、直喜…」

 

六花と直喜が見つめ合うと、お互いに顔が真っ赤に染まっていく。そんな2人を、はっすが写真に収めた。

 

六花「ちょっ、急に撮らないでってば!!」

 

なみこ「良いじゃん良いじゃん♪六花と直喜お似合いカップルなんだしさ〜♪」ニシシッ♪

 

直喜「へぇっ!?ちょっ、なみこちゃん!?」

 

テンパっては慌てる六花と直喜をからかうなみこ。

 

蘭萌「ねぇ、亜子…アカネってさ、確か……」

 

亜子「うん、なおちーのことが好き。でも、フラレちゃってショックを受けてる……けど、アカネはなおちーに幸せになって欲しいって言ってた。」

 

蘭萌「だよね…」

 

アカネが最近学校に来ていない理由として…表向きでは体調不良ではあるが、本当は直喜にフラレたショックから立ち直れずにいるからだ。亜子と蘭萌にもそれを打ち明けたアカネ…友達がショックであることに、亜子と蘭萌は複雑そうな顔をしていた。

 

 

 

その頃、アカネ宅では……

 

アカネ「……。」

 

机の上に突っ伏し、アカネはスマホを見た。

 

アカネ「へぇ〜…蘭萌が作った衣装を、直喜君が着てるんだ。やっぱり直喜君はカッコいいや……」

 

蘭萌から送られてきたのは、Mydoスーツに身を包んだ直喜の姿だった。

 

アカネ(直喜君…私、キミのことを造って良かったのかな……私の勝手な思いで、キミは産まれてきた…怒ってる、かな……?)



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第128話 ありがとう

OP~とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪


直喜が披露したMydo隊員のコスプレを、六花達やクラスメイト達は大絶賛した。

 

直喜「……。」

直喜(あぁ、今日も言えなかったな……)

 

夕方、直喜は家に帰らず…河川敷に来ていた。彼は六花に自分の想いを伝えようとは思っているのだが、中々伝えられずにいた。そもそも、何を伝えれば良いのかが分からないのだ。

 

ゼアス(どうしたの、直喜君?)

 

そんな彼に、ゼアスが声を掛ける。

 

直喜(あ、ゼアス…僕、ずっと悩んでることがあるんだけど……)

 

ゼアス(そうなんだ。僕で良ければ、話聞くよ?)

 

直喜はゼアスに、自分の想いを話した。

 

ゼアス(そっか、直喜君は六花ちゃんが好きになったんだね。)

 

直喜(う、うん…)

 

ゼアス(好きになったきっかけって、あったりする?)

 

直喜(えっとね…僕、ツツジ台高校に来て…1番最初に話し掛けてくれたのが、六花ちゃんだったの。そこから、なみこちゃんやはっすちゃん、アカネちゃんに古間さんや丸佐さんとか……)

 

ゼアス(色んな人と関わることができたんだね。)

 

直喜(うん…僕、六花ちゃんが話し掛けてくれなかったら、一人ぼっちだったかもしれない…人と関われるチャンスを逃しちゃったかもしれない……色んな経験が出来なかったかもしれない……そう、思うんだ……)

 

ゼアス(…直喜君。)

 

直喜(ありがとう、ゼアス…少しすっきりしたよ。)

 

ゼアス(それは良かった…僕から言えることは、直喜君は直喜君の想いを素直に伝えると良いと思う。)

 

直喜(そ、そうだよね……)

 

ゼアス(もしさ、レディベンゼン星人を倒したら…その時に、六花ちゃんに想いを伝えてみたらどうかな?全てが終わった時に…)

 

直喜(そ、そうだった…まだレディベンゼン星人を倒せてないんだ。)

 

六花に想いを伝える前に…レディベンゼン星人を倒さなければならない。それを改めて自覚する直喜。

 

直喜(僕は…皆の力になりたくて、ウルトラマンになった……皆に助けられてばかりいたから、今度は僕が……)

 

 

「よぉ、直喜ぃ!!」

 

 

直喜「…ん?」

 

後ろを振り返ると、怪獣優生思想の4人がこちらへやって来るのが見えた。彼らは直喜を『ベストフレンド』と慕っており、12体の円盤生物を従え、直喜の力になってくれている。

 

ジュウガ「どうしました?」

 

ムジナ「もしかして、悩み事?」

 

直喜「……。」

 

直喜は彼らを信頼している。実際に、何度も助けてもらったのだから…そして、自身の想いを彼らに話してみた。

 

オニジャ「成る程、六花のことが好きになったのか。」

 

直喜「う、うん…あ、これ、六花ちゃんには言わないで欲しい…!」

 

シズム「大丈夫、俺達はいつだって直喜の味方だからさ。」

 

シズムの言葉に、ジュウガ、ムジナ、オニジャもゆっくり頷く。そんな彼らを見て、安心する直喜。

 

 

フフフフッ、見ぃいつけた♪

 

 

そこに、レディベンゼン星人が現れる。

 

直喜「えっ!?れ、レディベンゼン星人!?」

 

驚く直喜を守るように、彼の前に立ち塞がる怪獣優生思想。

 

レディベンゼン星人「ゼアスを抹殺する事なんて簡単よ…それはね、神山 直喜…アンタの大切な人を奪うのよ!!」

 

レディベンゼン星人はそう言うと、右手を前に突き出し…

 

 

インスタンス・ベンゼネーション!!

 

 

両目を赤く光らせた。その時…

 

シズム「ッ!?」

 

突如シズムが、頭を抱え出す。次いで、オニジャ、ムジナ、ジュウガも頭を抱え始める。

 

オニジャ「なっ!?な、んだ…これ……!?」

 

ムジナ「頭が、い、痛い…!!」

 

直喜「し、シズム君!!オニジャ君!!ムジナちゃん!!ジュウガ君!!」

 

ジュウガ「くっ…お前達だけでも、逃げろ!!」

 

ジュウガは従えている円盤生物を召喚した。

 

オニジャ「お前達も行け!!」

 

ムジナ「みんな、出てきて!!」

 

シズム「せめて、直喜だけでも…!!」

 

オニジャもムジナもシズムも、円盤生物を召喚する。次の瞬間…赤く怪しい光が発生し、怪獣優生思想を包み込んで行く。

 

メキメキッ…ゴゴゴゴゴーーーー!!

 

やがて、怪しい光の中から…巨大な怪獣が姿を現した。

 

怪獣「グッフッフッフッフッフッ…!!

 

その怪獣は、低い声で笑っているような鳴き声を上げる。見た目は白と紺の外骨格に黄色いとさかや爪を持ち、怪獣優生思想のコスチュームとよく似たカラーリングの二足歩行の怪獣。背中には緑色のアンテナ状の器官が突き出している。胸の外骨格が開いてバロックパールが露出し、顔のとさかが増えるのが特徴。これらのパーツは虹色に発光し、外骨格の隙間から緑色の光が漏れるようになる。

 

直喜「そ、そんな…!!」

 

レディベンゼン星人「あっはっはっはっは!!さぁ、行きなさいガギュラ…この街を破壊し尽くし、人類を恐怖のどん底に叩き落とせェ!!」

 

レディベンゼン星人がそう叫ぶと、ガギュラは光の粒子を撒き散らす。すると、周囲に爆発や衝撃波が発生し、更には物体を吹き飛ばす。口からはビームを放った。街はみるみる火の海と化し、壊滅状態となる。

 

ゼアス(直喜君、行こう!!)

 

直喜(ぜ、ゼアス…でも、シズム君達が…!!)

 

ゼアス(気持ちは分かるけど…それでも…僕はこの地球(ホシ)を守らなければならないんだ!!)

 

火の海となって街では、沢山の人々が逃げ惑っている。自衛隊の戦闘機や戦闘ヘリコプターの攻撃は通らず、次々と撃墜されていく。

 

直喜「…!!」

 

一瞬、直喜に怪獣優生思想のメンバー達が見えた。

 

オニジャ(ぐっ!!止まれェ、止まってくれェェエエエエ!!)

 

ムジナ(嫌だよぉ!!もう直喜を悲しませたくないよぉ!!)

 

ジュウガ(俺達の意志を無視しているのか…!?)

 

シズム(こ、こんな筈……)

 

彼らは苦しそうな顔をしていた。それを見た直喜は、ピカリブラッシャー2を取り出す。

 

レディベンゼン星人「貴方は大切な友人を貴方自身の手で殺すのかしら?ウフフフ、滑稽ね♪」

 

そんな彼を嘲笑うレディベンゼン星人。だが、その直後……

 

 

直喜「うるさい!!

 

 

直喜が今まで出したことのないような大声を出した。

 

レディベンゼン星人「なっ!?」

 

急に大声を出した直喜に、ビックリするレディベンゼン星人。直喜は大声でレディベンゼン星人に言い返す。

 

直喜「僕は彼らを助けたい…いや、助け出してみせる!!不可能を可能にする、それが…ウルトラマンなんだから!!」

 

そして、ピカリフラッシャー2で歯磨きを開始すると…

 

 

直喜『ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

雄叫びと共にブラッシャーを空高く掲げた。そして、眩く発生する優しい光に包まれて行き、光の戦士『ウルトラマンゼアス』が降臨した。

 

 

BGM〜合唱『Best Friend』〜♪

 

 

ゼアス「シェアッ!!」

 

人々「ウルトラマンだ!!」「き、来てくれた…ウルトラマンが来てくれたぞ!!」

 

ゼアスが現れると、人々は安堵の表情を見せ始める。

 

レディベンゼン星人「助けてみせる、ねぇ…アンタにそんな事、できるのかしら?」

 

レディベンゼン星人はそう呟くと、静かに姿を消した。

 

ゼアス「!!」ズドォンッ!ズドォンッ!

 

ゼアスはガギュラに向かって走って行くと、ゼアス・ドロップキックを繰り出す。

 

ゼアス「シェアッ!!」ドゴォォオオオオンッ!!

 

ガギュラ「ぐふフフフふふふ…

 

ゼアスの蹴りを受けても、ビクともしていない様子のガギュラ。すかさずゼアスはマシンガンキックを繰り出す。

 

ゼアス「タアアァァッ!!

 

ドゴォォオオオオンッ!!ドゴォォオオオオンッ!!ドゴォォオオオオオオオオンッ!!!!

 

ゼアスの蹴りはガギュラの顔面に命中し、ガギュラは地面に倒れた。

 

ゼアス「ッ!!」

 

倒れたガギュラに、更に攻撃を仕掛けようと走って行くゼアス。だが……

 

ガギュラ「グフフハハハハハ!!」キラァッ!!

 

ガギュラは粒子を放ち、ゼアスに衝撃波を飛ばした。

 

ゼアス「ッ!?」

 

その攻撃に怯んだゼアスに瞬時に近付き、両手の爪で近接攻撃を仕掛ける。

 

オニジャ(や、やめろォォオオオオ!!)

 

ムジナ(だめ、だめェェエエエエ!!)

 

オニジャとムジナの叫びを無視し、ガギュラはゼアスを攻撃する。

 

ドゴォッ!!ドゴォッ!!ドゴォッ!!

 

ゼアス「グアッ!?ゼアッ!?」

 

3回目の攻撃を受けたゼアスは、地面を転がる。そんなゼアスに、ガギュラはキック攻撃を仕掛けて来た。

 

ジュウガ(だ、駄目だ!!動くな!!)

 

シズム(やめろ…俺達のベストフレンドを、傷付けるな…!!)

 

ジュウガとシズムの思いも届かず、ゼアスを蹴り上げるガギュラ。攻撃を受け、何度も地面を転がり続けるゼアス。

 

直喜(ぐぅ…諦める、もんか…!!)

 

何度転んでも、ゼアスは再び立ち上がり…構えを取る。その時…

 

 

くらぇぇええええ!!

 

 

4機のメカが現れ、ガギュラに攻撃を仕掛けた。ダイナダイバーとダイナソルジャーはミサイルを飛ばし、ダイナトライカーとダイナウイングはエネルギー弾を発射した。更に…グリッドナイトも現れると、合体を開始…『カイゼルグリッドナイト』になると、ガギュラ目掛けて光線を放つ

 

カイゼルナイトダブルシュトーム!!

 

しかし、彼らの攻撃すら…受け付けないガギュラ。

 

ゼアス「ッ!!」

 

ゼアスはガギュラ目掛けて走り、空中に飛ぶと…

 

ゼアス「デヤッ!!ドゴォォオオオオンッ!!

 

ゼアス・チョップを繰り出した。ゼアスの攻撃を受けたガギュラは、後ろに下がる。ゼアスに変身した直喜は、カイゼルグリッドナイトに話し掛ける。

 

直喜『あの怪獣…僕が倒すから、力を貸して!!』

 

グリッドナイト『勿論だ、直喜!!』

 

グリッドナイトは直喜の言葉を受け取ると、ダイナゼノンの操縦者に指示を出す。

 

グリッドナイト『俺達は隙を作る、トドメは直…っんん、ゼアスに任せるぞ!!』

 

ガウマ『はぁっ!?俺達が倒した方が』

 

夢芽『ガウマさん、きっと理由があるんです。ナイトさんに従ってください。』

 

ガウマ『お、おぉ…』汗

 

カイゼルグリッドナイトはガギュラ目掛けて走って行くと、掴み合いを開始する。そして、ガギュラと共に空中へと飛び上がって行く。ゼアスも彼らの後を追い、大空へ飛び立つ。カイゼルグリッドナイトはガギュラを殴り飛ばすと、ゼアスがウルトラかかと落としを放つ。攻撃を受けたガギュラは頭部の角が折れ、地上へと落下していく。地上に落ちたガギュラに、カイゼルグリッドナイトが『カイゼルナイトサーキュラー』を放ち、ガギュラの動きを止める。その時…ガギュラが、急に頭を抱え始める。

 

暦『怪獣の様子が…!』

 

戸惑う暦…だが、ゼアスには見えていた。怪獣の中で必死に抵抗し、藻掻く怪獣優生思想の4人が……

 

オニジャ(止まれェェエエエエ!!)

 

ムジナ(もう、これ以上…!!)

 

ジュウガ(この街を…人類を…直喜を……!!)

 

シズム(傷付け、させない…!!)

 

彼らが足掻くことで、ガギュラに隙が生まれ始める。

 

ゼアス「ッ!!」

直喜(シズム君!!オニジャ君!!ムジナちゃん!!ジュウガ君!!)

 

直喜は必死に彼らの名を叫ぶ。その時…ガギュラが通せんぼをするかのように、両手を広げた。そして……

 

オニジャ『直喜、今だ!!俺達に構わず撃て!!』

 

直喜(…えっ!?)

 

ガギュラから、オニジャの声が聞こえてきた。次いで、ジュウガ、シム、ムジナの声が聞こえてくる。

 

ジュウガ『俺達は最期に、直喜…貴方の手で……』

 

シズム『安らかな眠りを与えて欲しい…』

 

ムジナ『私達…直喜にだったら、何をされても…平気だよ。』

 

直喜(そ、そんな…待ってよ、何か他に良い方法が……っ!?)

 

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

ゼアスのカラータイマーは、青から赤へと変わり…点滅を始めていた。

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

時間は、残り少ない……

 

 

蓬『もう、時間がない…!!』

 

蓬の言葉が、直喜を焦らせる。

 

直喜(か、考えろ…何か、何か良い作戦は…?)

 

オニジャ『何をしている…直喜、お前なら大丈夫だ!!ウルトラマンは奇跡を起こしてくれる、そう教えてくれたのは…直喜、お前だろ?』

 

オニジャの声に、ハッとする直喜。

 

ジュウガ『人類がどれだけ頑張っても、どうしようも無くなった時に手を差し伸べる…それが、ウルトラマンなんですよね?』

 

シズム『ウルトラマンは怪獣をも救える…バーナドドンのピカリだって、ウルトラマンに助けられたじゃないか。』

 

ムジナ『そうだよ!だから直喜…お願い、自分を信じて?ね?私達は大丈夫だから!!』

 

ジュウガ、シズム、ムジナの声に説得されるゼアス…いや、直喜。そして、何かを大切に抱えるような独特な動作を取り、両手を広げると…

 

ゼアス「ッ!!」ビィィイイイイッ!!

 

必殺技『スペシュッシュラ光線』を発射した。光線はガギュラに命中する。ゼアスのカラータイマーの点滅は、次第に速くなって行く。

 

ガウマ『ウルトラマン!!』

 

グリッドナイト『ガウマ!!余計な真似をするな!!』

 

ガウマ『けど、このままじゃウルトラマンが!!』

 

ミサイルを放とうとするガウマを止めるグリッドナイト。

 

直喜(〜〜ッ!!)

 

直喜は大粒の涙を流しながら……

 

うわああああああああぁぁぁぁっ!!!!

 

全身の力を一気に出すように、叫び始める。そして、ゼアスは腕をクロスに組み、究極必殺技『クロススペシュッシュラ光線』を放った。

 

ガギュラ「グオオオオォォッ!!

 

ガギュラは断末魔を上げると、光の粒子となって消えていく。

 

 

『『『『ありがとう、直喜。』』』』

 

 

最期に、怪獣優生思想がそう言った気がした。ガギュラが消えると同時に、ゼアスも光に包まれて姿を消した。

 

 

 

直喜「し、シズム君…オニジャ君…ムジナちゃん…ジュウガ君……!!」

 

ガギュラを撃破した直喜は地面に膝をつき……

 

 

直喜「うっ、あ…うああああぁぁ!!

 

 

声を上げて泣きじゃくった。大切な友人を、自分の手で殺してしまった…その気持ちが、直喜を絶望へと突き落としたのだ。まさか、六花のことを好きだという事を打ち明けたのが、友人達との最期のやり取りになるとは、夢にも思っていなかった。

 

夢芽「…!!」

 

夢芽は泣きじゃくる直喜に駆け寄り、彼を優しく抱きしめた。

 

夢芽「直喜は何も悪くない…直喜は何も悪くない……!」

 

そう声を掛け、彼の頭を優しく撫でる。他のメンバー達は、直喜に掛ける言葉が見つからず…黙っているしかなかった。そんな時……

 

 

転生者 D「見つけたぞぉぉおお神山 直喜ぃぃいいいい!!」

 

 

転生者 Dが鉈を持って走って来た。

 

転生者 D(アイツ、泣いてやがんの!?てか、夢芽にまで手籠にしやがって!!)

 

そう思いながら、鉈を振り上げるD。すると…

 

夢芽「!!」

 

夢芽が左手から赤い光線を放った。

 

転生者 D「むおっ!?」

 

Dの近くで魔法陣が発生し、その後爆発が起こる。

 

蓬「み、南さん…その力は…!!」

 

夢芽「これは、直喜を守る力……」

 

驚く蓬に夢芽がそう言うと、優しい音楽を発生させる。これは本来、ギャラクトロンが争いを鎮める際に発生させる音楽なのだが…

 

転生者 D「ぐっ…ゆ、夢芽…そ、ソイツから……は、離れるんだ…!!」

 

正義のヒーロー振るDの言葉は、夢芽には一切届いていない。

 

夢芽「うるさい…直喜に刃を向けた時点で、君はもう終わり……じゃあ、死んで?」

 

彼女の頭上には、赤い球体が浮かび上がっており……その球体は、ギャラクトロンスパークをD目掛けて発射した。

 

転生者 D「ッ!?」

 

直後、Dは魔法陣と大爆発に包まれた。

 

ナイト「南 夢芽…もう良いだろう……」

 

夢芽「ダメ…直喜がまだ悲しんでる……」

 

ナイト「なら、お前に何ができる?そんな事をしても、直喜の悲しみは無くならない…そっとしてやるのが良い。」

 

ガウマ「夢芽、ほら行くぞ!!」

 

夢芽「が、ガウマさん離して!!直喜…直喜…!!」

 

夢芽は直喜から強引に引き剥がされ、ガウマ達に連れて行かれた。日が暮れても、直喜はずっと泣き続けていた。

 

直喜「うぅっ…ぐすっ、ぐすっ……また、みんなに…逢いたいよぉ…!!」ポロポロ…

 

どれだけ涙を拭っても、涙は止まらない…そんな彼の元に、小さくなった12体の円盤生物が彼を慰めるように近寄る。それでも直喜は、泣いてばかりいる。その時…

 

 

スッ……

 

 

直喜の元に、ハンカチが差し出される。直喜はそれを受け取ると、涙を拭き始める。まだ流れ落ちる涙を拭いていると…

 

直喜「ヒック…あ、あれ……この、ハンカチ…な、名前が……」

 

ハンカチには“ムジナ”と名前が書かれている。もしかしてと思い、顔を上げる直喜。そこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムジナ「直喜♪」

 

オニジャ「へへっ、直喜!!また助けられちまったな。」

 

ジュウガ「直喜。」

 

シズム「直喜、君は本当にスゴいよ。」

 

 

直喜に笑顔を見せる五体満足の怪獣優生思想の4人の姿があった。彼らは生きていた…『助け出してみせる』と言う直喜の思いが、彼らに届いたのだ。クロススペシュッシュラ光線は、ガギュラに蓄積されたベンゼン成分を取り除き、怪獣優生思想を元の姿に戻すことに成功したのだった。

 

直喜「…ッ!!」

 

直喜は思わず…

 

 

う、うわああああああん!!

 

 

声を上げて大泣きし、彼らの無事を喜んだ。そんな彼を、怪獣優生思想は受け止める。

 

ムジナ「私達は直喜を一人にはしない…直喜はもう、一人じゃないよ?」

 

オニジャ「直喜は最後まで俺達を信じてくれたんだ…だから俺達も、直喜を信じてたんだぜ?」

 

ジュウガ「貴方の優しさが、奇跡を起こしたんですよ。」

 

シズム「君には何度も助けられた、ありがとう直喜…流石は、俺達のベストフレンド。」

 

直喜「…うん…うん……!!」

 

直喜の近くにいた12体の円盤生物達も、主人の無事を大いに喜んだ。こうして直喜は、怪獣優生思想をレディベンゼン星人の魔の手から救い出したのだった。




ED~ASH DA HERO『Everything(English ver.)』~♪


間を大きく空けたのは、わざとです。


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第129話 神からの宣言

レディベンゼン星人の魔の手によって怪獣化された怪獣優生思想…しかし、ウルトラマンゼアスに変身した直喜によって、無事に救われた。

 

レディベンゼン星人「あぁん、もう…最悪最悪サイアクサイアク!!」

 

自身の野望をことごとく阻止され、怒り狂うレディベンゼン星人。

 

レディベンゼン星人「何でなの…何で上手く行かないのよ!?こんなのおかしいでしょ…そもそもこの世界自体がおかしいのよ!」

 

『フフッ、この世界がおかしいのは元々よ?』

 

その時…どこからか女性の声が聞こえてきた。

 

レディベンゼン星人「誰!?姿を見せなさい!!」

 

レディベンゼン星人の前に姿を現したのは、マートだった。

 

マート「あらあら、神様に向かって命令口調だなんて…まるで“アイツら”ね。」

 

レディベンゼン星人「神だか何だか知らないけど…この世界がおかしいのは元々って何?」

 

マート「それはね……」

 

マートはレディベンゼン星人に、この世界について語り始める。

 

 

その昔…あるところに、1人ぼっちの少年がいた。普段は人見知りで、誰かに話し掛けたり…自分から意見を主張することはほとんど無い。その少年は、自分の存在意義を探し…人助けをすることにした。だが、何をやっても上手く行かず…どれだけ頑張っても、中々結果は実らなかった。それでも、誰かの為に真っ先に行動する姿勢、誰に対しても分け隔てることなく接する優しさ…時より見せる強さは、次第に周囲から認められ始めていた。その時…彼は命を落とし、別の世界へと旅立って行った。別の世界では、人見知りを克服し…変わりたいという強い思いを持ち、様々な人と関わった。持ち前の優しさと行動力で、周囲の者を助けることができた。しかし、運悪く…通り魔に命を奪われ、少年はすっかり自信を失い…この世界に戻って来た。その死んだ少年に、2人の少女が恋をしていたのだが、その思いは届かず……絶望していた少女達の前に、神が舞い降りた。神と契約し、様々な世界を旅しながら悪質な転生者を討伐し、強くなった。神から少年に逢うことを許され、この世界へ戻って来た。一方…死んだ少年がいた別の世界でも、2人の少女が彼に恋をしていた。思いが届かず、絶望していた矢先…女神と契約し、悪質転生者を討伐…元の世界へ戻ったが、この世界にも悪質転生者が紛れ込んだため、世界と世界がくっついてしまった。

 

 

レディベンゼン星人「…は?」

 

マート「この世界は、本物のであって偽物の世界…本物と偽物が1つになった世界なのよ。」

 

レディベンゼン星人「……。」

 

マート「まだ分からない?電脳世界のツツジ台と、現実世界のフジヨキ台がくっついて産まれた世界…それがここよ?こうなった原因は、ツミビトって呼ばれる悪質転生者が散々悪事を働いたから…」

 

『ツミビト』と呼ばれる悪質転生者が、様々な次元で悪さを繰り返した影響で…ある世界は崩壊し、そのまたある世界は別の世界と1つになり、バグだらけの世界になってしまったのだ。

 

マート(そもそも、直喜をフジヨキ台に転生させたのは私…だって、あの子はまだ若いんだもの…まだまだいくらでもやり直せる、彼の変わりたいっていう思いは本物だったし。六花とアカネとエッチするとか下らない欲望を持ったツミビトに殺されたのは、あまりにも無念だったわ…)

 

直喜がアカネ宅の前で殺害され、六花とアカネに看取られる形でこの世を去った。直喜を殺したツミビトは、初めて人を殺したことにショックを受け、どこかへ姿を暗くらましたようだが……そのツミビト、最期は夢芽とちせによって倒されたのだ。

 

マート「愚かな異星人さん…貴女に1つ宣言するわ。」

 

レディベンゼン星人「な、何よ…?」

 

戸惑うレディベンゼン星人に、マートはこう言った。

 

 

貴女はゼアスに負ける

 

 

その言葉は、レディベンゼン星人を怒らせるのには十分過ぎた。

 

レディベンゼン星人「ふざけんじゃないわよ…そんなの、やってみなきゃわからないじゃない!!」

 

マート「いいえ…どんな手を使おうが、貴女は負ける運命にある……運命から逃れることはできないわ。ま、受け入れられないのであれば…精一杯無駄な足掻きでもするのね。」

 

マートはレディベンゼン星人に皮肉をぶつけると、瞬時にその場から消えた。

 

レディベンゼン星人(冗談じゃないわ…アタシは絶対に勝つ、ゼアスの技を研究するために、沢山の生贄を出した…でも、もう十分……後はゼアスを殺すのみ…!!)

 

そして、ウルトラマンゼアス完全抹殺の為に…ツツジ台のあちこちに、ありったけの怪獣を放った。

 

 

 

アンチ「……。」

 

その頃…アンチは一人で、ツツジ台の街中を徘徊していた。

 

アンチ(グリッドマンを倒して、その後は……)

 

人間の姿をしているが、彼は『怪獣』である。グリッドマンを倒すことが使命であるのだが…その後の事は、何も考えていなかった。それを直喜に指摘され、グリッドマン討伐後の事を考え始めたアンチ。

 

アンチ(グリッドマンを倒して、その後……俺は……)

 

しかし…どれだけ考えても考えが纏まらず、答えが出ない。

 

アンチ(教えてくれ、直喜……俺は、どうすれば良い…?)

 

 

 

その頃…ツツジ台高校近くでは、ナナシAが姿を現し、暴れ始めていた。

 

裕太「あれって…!」

 

将「か、怪獣だ…!!」

 

六花「皆逃げて!!」

 

六花は裕太と将と共にクラスメイト達に呼び掛ける。しかし、クラスメイト達は何食わぬ顔をしており、全く行動しようとしない。

 

なみこ「え、怪獣?」

 

はっす「アイツら楽しそうだな。」

 

そして、この学校に地響きが走ったことで…漸く異変に気付き始めた。

 

直喜「…!」

 

直喜は1人、屋上へと向かって行く。そして、屋上に着くと…ピカリブラッシャー2を取り出し、歯磨きを開始する。歯を綺麗に磨くと…

 

 

直喜「ゼアス!!ピカァァアアアアアアッ!!

 

 

…と叫ぶと同時にブラッシャーを空高く掲げた。すると、ブラッシャーからは眩く優しい光が発生し、直喜を包んでいった。やがて、眩い光の中から、光の巨人『ウルトラマンゼアス』が姿を現し、怪獣が居る方角へと飛んでいった。

 

なみこ「えっ!?う、ウルトラマン…!?…ん、あれ…前にも見たような……」

 

はっす「確かあれって、直君が好きなウルトラマンだったな…あれ、ウチも何度か見たような……」

 

ウルトラマンゼアスが出現すると、クラスメイト達は何かを思い出したような顔をする。

 

なみこ「あ、そうだ……ウルトラマンゼアス…ウチ、何で忘れてたんだろ?」

 

はっす「ウチもだ…今までずっと、守ってくれてたのに……」

 

クラスメイト「俺も忘れてた…けど、今思い出した……」「俺もだ……」「アタシも……」

 

何故クラスメイト達がゼアスのことを1次的に忘れていたのかは、謎である。

 

 

 

ゼアス「!!」ズダァンッ!ズダァンッ!

 

ゼアスは怪獣達の方へ走って行き、右腕に青い光を放つ剣状のエネルギー『スペシュッシュラブレード』を纏い、怪獣達を斬り捨てて行く。

 

直喜(この技はエネルギーをいっぱい使っちゃうから…ここまでにして……!!)

 

ゼアスに変身した直喜は、再生グールギラスに挑んでいく。助走を付けて空中に飛び上がると…

 

ゼアス「デヤッ!!ドゴオオォォッ!!

 

サッカーのボレーシュートのような飛び蹴りを放った。ゼアスの蹴り技はグールギラスの顔面に命中し、グールギラスは首が折れて爆散した。しかし、デバダダンやゴングリー、ヂリバー、メカグールギラス等の怪獣が居る。

 

直喜(どうしよう、数が多すぎる…でも、僕がやらなきゃ…!!)

 

カラータイマーが赤に代わり、点滅を開始しても…ゼアスは再生怪獣達へ立ち向かう。デバダダンには光線技が効かない為、ゼアス・ニーキックを腹部に撃ち込んで撃破した。ゴングリーには流星キックを頭部に撃ち込み、ヂリバーには上空にいる本体に向かってゼアスラッシュを放って撃破…メカグールギラスには残りのエネルギーを使ってスペシュッシュラブレードを出し、一刀両断した。全ての再生怪獣が倒れると同時に、ゼアスはエネルギー切れになり、光となって消えた。



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第130話 新たな戦士と星人の魔の手

原作『SSSS.GRIDMAN』とは異なる展開で、物語を進めていきます。


レディベンゼン星人(ちっ…どいつもこいつも使い物にならな過ぎ……まぁ良いわ、ゼアスは活動出来なくなった訳だし……)ギラッ!!

 

レディベンゼン星人が目を光らせると、先程ゼアスが倒した筈の再生怪獣達がまた出現した。だが、今度はグリッドマンが現れ…再生怪獣達と戦闘を始める。

 

レディベンゼン星人「グリッドマン…あんたも邪魔なのよね、精々エネルギー切れでも起こしてバテなさい?」

 

レディベンゼン星人はそう言うと、右手を前に突き出す。すると、右手から黒い霧のようなモノが発生し…再生怪獣達の元へ飛んで行く。再生怪獣達がそれを吸収すると、目が禍々しい赤色に変化し、更に凶暴化した。

 

グリッドマン「ぐっ!?ぐわっ!!」

 

凶暴化した再生怪獣達に追い詰められるグリッドマン。

 

将「マズイ…グリッドマンが、やられる…!!」

 

ジャンクの前で見守る将は、危機感を感じる。その時、紫色の光が出現したと思うと…怪獣形態になったアンチが姿を現した。アンチは両手から鋭い爪を出すと、再生怪獣達に向かって走って行く。爪を振るい、再生怪獣達を薙ぎ倒していくアンチは…グリッドマンの前に立つ。

 

グリッドマン「何故…私のために、戦う?」

 

アンチ「俺に与えられた命の意味を…俺は探す。」

 

 

俺は…お前を倒す為に産まれ……

 

お前を倒す為に生きている!!

 

 

再生怪獣達を攻撃するアンチが、段々紫色の光に包まれて行く。

 

 

お前を倒す為に…俺は……!!

 

お前と…共に戦う!!

 

 

やがて、光が消えると…そこには、グリッドマンに酷似した姿の戦士が立っていた。

 

レディベンゼン星人「…は?」

レディベンゼン星人(何なの、アイツ…グリッドマンをコピーしたって言うの…?)

 

もう一人のグリッドマンを見て、困惑するレディベンゼン星人。グリッドマンを倒す為、グリッドマンと共に戦うことを選んだアンチは…グリッドマンの姿そのものをコピーしたのだ。

 

マックス「グリッドマンをコピーした…?」

 

ヴィット「もう一人のグリッドマン…?」

 

ボラー「偽物だろ?」

 

キャリバー「いや、今のアイツは…本物だ。」

 

それは、グリッドマンの偽物では無い…倒すべき存在のグリッドマンを倒す為、グリッドマンを守るために生まれた戦士…その名は……

 

グリッドナイト

 

…である。グリッドナイトは、背中のジェットエンジンを吹かしながら高速で飛んで行く。そして、再生怪獣達を次々と地面に倒していく。素早い動きで、再生怪獣達を圧倒するグリッドナイト。

 

直喜「…ん?」

 

その頃…気を失っていた直喜は、漸く目を覚ましていた。

 

直喜(あ、あれって……ナイトさん?)

 

そして、再生怪獣達と戦うグリッドナイトを目の当たりにする。

 

グリッドナイト「ッ!!」

 

すると、グリッドナイトが直喜に気付いた。

 

グリッドナイト「聞こえるか、直喜…」

 

直喜「…えっ?その声…アンチ、君……?」

 

直喜の問い掛けに頷くグリッドナイト。

 

グリッドナイト「グリッドマンを倒してその後の事だが…結局、分からないままだった……だから、俺は…グリッドマンを倒すために、奴と共に戦うことを選んだ。」

 

直喜「…あ、アンチ君…!!」

 

グリッドナイト「見ていてくれ、直喜…!!」

 

やがて、グリッドナイトは右腕にエネルギーを纏うと…それを、丸ノコ状にし、再生怪獣達目掛けて飛ばした。グリッドナイトが放った技は、次々と再生怪獣達を真っ二つに斬って行く。そして、再生怪獣達はあっという間に爆散した。再生怪獣達が爆散すると、曇り空が晴れ…都市の様な何かが見えた。

 

 

 

レディベンゼン星人「……。」

レディベンゼン星人(やっぱり、あの娘が作った怪獣達じゃ無理ね……こうなったら、奥の手を使うしか……)

 

レディベンゼン星人は姿を消し、どこかへ瞬間移動した。その頃…六花の実家であり、リサイクルショップの前にて……

 

アカネ「……。」

アカネ(成る程、そういうことだったんだ……)

 

アカネがアレクシスと共にいた。グリッドマンがどのように変身し、どのように姿を現すのか…見破ったようである。だが、何もせず…そのまま立ち去って行く。

 

アカネ(オリシスとの約束…直喜君にずっと一緒に居る為に、人を殺してはいけない……もし、殺せば…もう二度と、直喜君と逢えなくなる……そんなの、嫌……)

 

アレクシス(アカネ君…だいぶ心が弱っているみたいだねぇ……直喜君が彼女を受け入れていれば…いや、それは直喜君自身が決めること……)

 

今まで何もかもが上手くいっていたアカネだったが…直喜と恋人になれなかったショックからか、何をするにも億劫になっていた。アレクシスは近くで見守ることしかできない。どうすることも出来ず…ただ、見守ることしか…今の彼にはできなかった。

 

アカネ(元々、直喜君は…私の勝手な理由で、生まれてきた存在……私が、ワガママだったから…ズルかったから……だから、きっと……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディベンゼン星人(…見つけた。)

 

アカネとアレクシスの後を、遠くから尾行するレディベンゼン星人。

 

レディベンゼン星人(あの娘じゃなくて…アイツに何か細工すれば、きっと上手く行く……まぁ、最後にゼアスを倒すのは…この私♪)

 

そうして、また姿を暗ますレディベンゼン星人。彼女による、ウルトラマンゼアス抹殺計画は…着実に、進んでいる……

 

 

 

その頃…直喜は……

 

直喜(そうだった…ナイトさんは、未来のアンチ君……でも、それじゃあ何で…未来のアンチ君が、この世界に……?それに…この世界はもう……僕の知ってる、ツツジ台じゃ……)

 

すっかり変わり果てたツツジ台を目の当たりにし、更にはグリッドナイトに覚醒したアンチを見て…状況が上手く飲み込めずにいた。そんな彼の元に…

 

アカネ「…直喜、君…?」

 

アカネとアレクシスが、姿を見せた。

 

直喜「あ、アカネちゃん…それに、アレクシスさん…!?」

 

アカネ「久しぶりだね…あ、Mydoスーツ…似合ってたよ?」

 

アレクシス「久しいね直喜君、元気にしてたかい?」

 

直喜「……。」

 

アカネとアレクシスの言葉に、返答出来なかった直喜はずっと黙り込んでいる。そして、漸く口を開く。

 

直喜「ねぇ、アカネちゃん…教えて欲しいんだ……」

 

 

僕が一体、何の為に産まれて

 

何の為に、存在しているのか

 

 

真剣な眼差しを向ける直喜。アカネはもう隠せないと思ったのか、全てを語ろうとする。そこへ……

 

レディベンゼン星人「アレクシス・ケリヴ…アンタの身体、貰うわよ?」

 

黒霧と化したレディベンゼン星人が、アレクシスの身体を包んで行く。

 

アレクシス「むっ!?ぐぅっ…!!」

 

アカネ「…えっ?」

 

直喜「あ、アレクシスさん!?」

 

突然の出来事に、混乱するアカネと直喜。

 

アレクシス「ま、マズい…このままじゃ、私が…私でいられなくなる……な、直喜君…アカネ君……に、逃げるんだ…!!」

 

苦しむアレクシスは、やがて全身が黒霧に包み込まれて行き…

 

レディベンゼン星人『あっはっはっはっは!!良いわ、すっごく良いわ!!この身体…物凄い力が込み上げて来る!!

 

やがて、アレクシスでは無くなった。姿はアレクシスそのものだが…胸部にはレディベンゼン星人の顔が出ていた。ウルトラマンゼアスを抹殺する為、レディベンゼン星人はアレクシスに寄生し、その脳を支配したのだ。

 

レディベンゼン星人『フフフ…神山 直喜、いやウルトラマンゼアス……今から楽しいショーを始めるわ。きっと、良いショーになる……はっ!!

 

アカネ「ッ!?」

 

アレクシスを乗っ取ったレディベンゼン星人は、右手を前に出し…アカネを空中に浮かせ、ツツジ台高校へと向かって行く。

 

直喜「あ、アカネちゃん!!」

 

 

 

さきる「あれ、アカネじゃない?」

 

亜子「ほ、ホントだ…!!」

 

蘭萌「何、あれ…アカネ、もしかして捕まってるの…!?」

 

突如として空中に現れたレディベンゼン星人とアカネに、混乱するツツジ台高校の生徒達。

 

レディベンゼン星人『愚かな貴方達に教えてあげるわ…この娘、この街に怪獣を放っていた張本人よ?気に入らないモノを無くすためという身勝手極まりない理由で…多くの人の幸せを奪って来た。そんな悪い娘に、お仕置き…今からこの娘を、怪獣にしてあげる!!

 

レディベンゼン星人は全身を赤く光らせ…

 

 

インスタンス・ベンゼネーション!!

 

 

新条 アカネを怪獣へと変えたのだった。



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第131話 直喜が産まれてきた理由

大好きな直喜の、そして…ツツジ台高校のクラスメイト達の見てる目の前で怪獣と化してしまったアカネ。薄灰色のカメとフジツボを足して割ったような巨大な身体にトゲだらけの環形動物のような4本の足が生え、その身体の中央内部には虫に似た頭部があり、その頭部のさらに奥の方に人形じみた白塗りの人面像が隠れているというかなり異形の怪物となっており、可憐な少女であったアカネの姿はもうどこにも見えない。

 

 

イヤァァアアアアアアアア!!

 

 

まるで、アカネの叫び声の様な咆哮を上げる怪獣。

 

クラスメイト「し、新条が…怪獣……?」「そ、そんな…」

 

亜子「う、ウソ…だよね……?」

 

蘭萌「アカネ…いや、アカネェ!!」

 

目の前で怪獣になったアカネを見たクラスメイト達は皆、絶望し…中には泣き叫ぶ者や、目をギュッと閉じて耳を塞ぎながら首を激しく横に振る者等……

 

直喜「…あ、アカネちゃん…た、助けないと……!!」

 

慌ててピカリブラッシャー2を取り出す直喜。そんな彼の元に、オリシスとマートが姿を現した。

 

マート「直喜、待って。」

 

オリシス「アカネを助ける前に、少し話をしよう。」

 

直喜「今…今、それどころじゃないんですよ!!」

 

マート「落ち着いて直喜…って言っても、それは無理よね。」

 

オリシス「仕方がない…場所を変えよう。」

 

オリシスはそう言うと、マートと共に直喜を光に包んで行った。まもなく…街にはグリッドマンとグリッドナイトが現れ、怪獣『ゼッガー』と戦いを始めた。

 

 

 

直喜「ッ!?こ、ここは…!?」

 

オリシス「私が作り出した仮の世界…君に真実を伝えるためにな。」

 

マート「この世界では、時が止まっているから…ゆっくり話ができるわ。」

 

場所はツツジ台なのだが、何もかもが止まっている景色が見える世界にやって来た直喜。

 

直喜「し、真実…ど、どういうことですか?」

 

オリシス「直喜よ、私達は話さなければならない。この世界の真実を…そして、この世界を生きる者達の真実を……」

 

マート「落ち着いて聞いてね?」

 

真剣な表情のオリシスとマートを見て、息を飲む直喜。

 

オリシス「直喜…君は、自分を人間だと思っているか?」

 

直喜「…えっ?」

 

マート「深く考えることは無い、単純な質問よ?」

 

直喜「思うも何も……ぼ、僕は……に、人間です…!」

 

やっとのことで答えた直喜に、オリシスとマートは衝撃的な真実を告げる。

 

オリシス「単刀直入に言おう…直喜……」

 

 

君は…人間では無い

 

ツツジ台という電脳世界を生きる

 

 

『レプリコンポイド』

 

 

と呼ばれる、人口生命体だ

 

 

直喜「……えっ……れ、れぷり…こん……ぽい、ど……?」

 

 

マート「つまり、貴方は……」

 

人間であって

 

人間ではない

 

新条 アカネを除いて、この世界の人達は

 

貴方とおんなじ、レプリコンポイドなの

 

 

オリシスとマートから放たれた事実…それは、直喜のみならず…この『ツツジ台』という世界の住人として生きる人達……その正体は、アカネによって造られた人口生命体『レプリコンポイド』であるということ…ツツジ台という街は現実世界ではなく、アカネによってコンピューター・ワールドに造られた電脳世界であったということ……オリシスとマートから放たれる事実に、混乱する直喜。

 

マート「レプリコンポイドも、この電脳世界も…皆、新条 アカネが造り出した世界……この世界の人達はね、皆…新条 アカネのことが好きになるっていう設定になっている。与えられた記憶を頼りに、自分を人間だと信じて生きている。」

 

オリシス「校外学習で行った川下り…そして、六花と共に出掛けた温泉街…それは、アカネが作り出した偽りの世界だ。もちろん、この世界もな……」

 

校外学習や特別なイベント等の止むを得ない場合に限り、アカネは専用の場所を作って…時期が過ぎればそれを壊していた。街のはるか上空には、蛍光色のラインが走った建造物群が上下逆さになって存在する。緑豊かな自然や文明の偉大が実現した街等、この世界には無縁だ。

 

直喜「……。」

直喜(アノシラスが言っていたことは、本当のことだったんだ……)

 

アノシラスは直喜と裕太にこの世界の秘密を少し教え、『この世界には何も無い』と言っていた。それが、事実であることを漸く理解した直喜。そんな彼に、オリシスは語る。

 

オリシス「直喜、今から君に話すことは…」

 

君は何の為に存在し…

 

何の為に産まれてきたのかだ

 

オリシスから語られた真実…

 

 

 

かつて、新条 アカネは響 裕太と『恋人』という設定であった。しかし、自分と彼氏のみの世界ではあまりにも虚しく、物足りない。そこで、産み出されたのが…宝多 六花と呼ばれるアカネの友達…そして、内海 将と呼ばれる裕太の友達だった……だが、これでもまだ足りない。恋人を引き立てる為には、“モブ”が必要だ。当たり前と呼ばれるような普通の環境で育ち、普通の人として生きているモブが……しかし、それでは面白くないと感じたアカネは……

 

訳アリのモブ

 

…を、1人造ることにした。最悪な環境で育ち、そのためか…自分から意見を発することはほとんどせず、その場にいても影が薄く、まるで空気のような存在…そして、人見知りが激しく、何をしても駄目な部分が目立ってしまう欠点だらけのモブキャラ……それこそが……

 

 

神山 直喜

 

 

…という存在だった……アカネと恋人の裕太の引き立て役の1人として、そしてアカネの『普通では面白くないから』という身勝手な思いで最悪の環境に産まれ、存在しているのだ。

 

直喜「……。」

 

オリシスから語られた事に、言葉を失う直喜。次に、マートが語り始める。

 

マート「けどね、貴方は新条 アカネの設定を越え…変わろうとした。でも…身勝手なツミビトによって、貴方は死んだ……そこでね、私は貴方をフジヨキ台という現実世界に転生させたの。貴方の変わりたいという思いは本気だったから、チャンスをあげたいって思ってね。」

 

ツツジ台の住人として生きていた直喜だったが…日々を生き、彼は『ウルトラマン』というヒーローに巡り逢った。様々なウルトラマン作品を見ていく中で…いつしか、彼の中に『変わりたい』という思いが芽生えた。口だけで言うのでは無く、数々のウルトラマン達を見習って行動に移した。困っている人を見ればすぐに駆け付け、助けようとした。憧れの存在であるウルトラマンのように、誰かの力になれる強い自分になりたい……だが、それは長く続くことは無かった。不幸なことに…ツツジ台に紛れ込んだツミビトにより、直喜は殺されてしまった。殺すつもりは無かったそのツミビトは、初めて人を殺したことにショックを受け…その場から逃げ出し、行方不明となった。

 

そこで…直喜を別世界に転生させたのが、マートだった。『原作で死んだ者を転生させてはならない』という掟を破り、彼にやり直しの機会を与えたのだ。フジヨキ台に降り立ち、フジヨキ台高校の生徒として生きることになった直喜は…今度は勇気を出して、様々な人に話し掛けに行った。そこで、南 夢芽…飛鳥川 ちせ…そして、怪獣優生思想と出逢った。大きな過ちを犯し続けた夢芽を許し、不登校だったちせの更生を助け、人類の敵だった怪獣優生思想と友達になった。だが、結局…最後は偶然通り掛かった通り魔により、再び命を落としてしまった。

 

またしても上手く行かず、再び不幸にかられ、落ち込む直喜を見たマート。そんな彼を可哀想だと思った彼女は、掟に忠実なオリシスを説得する。

 

オリシス『マートよ、また掟を破るのか?何度掟を破れば気が済む?最高神も怒り狂っているぞ?』

 

マート『掟掟ってうるさいわね…彼は本気で変わろうとしているのよ?口だけじゃなくてちゃんと行動で示せているし、その理由だって素晴らしい。彼みたいな者は滅多にいない…素晴らしい者に手を差し伸べて何が悪いの?まぁ、あんたや最高神が何を言おうと関係ない。私には私のやり方があるんだから…』

 

オリシス『…貴様。』

 

黙り込んだオリシスを余所に、マートは落ち込んで泣いている直喜に声をかけた。

 

マート『落ち込まないで、直喜。貴方はまだ若いんだし、いくらでもやり直せる。だから…馴染んだ世界に戻って、心身を休めて?焦らなくて良い、少しずつ…一步一步足を進めれば大丈夫よ。失敗したって良い、またやり直せば良いんだから。』

 

そして、彼を再びツツジ台へ転生させたのだ。ツツジ台に戻って来た直喜は、また上手く行かないんじゃないかと思い……人見知りで、弱い自分へと戻りつつあった。しかし、ツツジ台高校に行くと…どういうわけか周囲からは好かれ、周りに人が集まって来る程の人気者になっていた。変わりたいという思いで行動した結果、良い報いとして彼に降り注いだのだ。否定せず、ありのままを受け入れてくれる夢のような環境の中で生活し、次第に安心できるようになって来た直喜。弱い自分と向き合い、周囲の人達と関わることで、少しずつ自身を持てるようになった。そして、自分を曝け出し、自分らしく居られるようになった直喜は…『今度は自分が、皆を助けるんだ。』と、ウルトラマンゼアスと一心同体になり、数々の凶悪怪獣を撃破し…クラスメイト達を、この世界を守って来た。

 

 

 

直喜(…そっか、漸く思い出せた……僕、元々…人見知りで駄目な部分が出ちゃってたから……それで、変わりたいって思って……)

 

彼らから語られたことで、忘れていた記憶を全て思い出した直喜。

 

オリシス「本来なら、君を転生させることは掟に反することだが…最高神は既に許しを降している。」

 

マート「貴方は引き立て役として存在しているんじゃない…温かい世界を守るために、何より皆と笑顔で暮らすために存在している。そうでしょ、直喜?」

 

直喜「…は、はい…!!」

 

真剣な顔を見せる直喜を見て、微笑むオリシスとマート。

 

オリシス「六花も言っていたな…空回りしたって良い、それは直喜が一生懸命頑張っている証拠だと……それは、その通りだな。」

 

マート「フフッ、空回りするからこそ…可愛いって思えるし、応援してあげたくなっちゃう。さぁ直喜、クラスメイト達の戻って…アカネを、皆を助けてあげて?」

 

直喜「…も、勿論です…アカネちゃんに逢いたい気持ちがある……だから…今度は僕が、アカネちゃんを…助けるんだ!!」

 

決意を固めた直喜は、光に包まれて行き…オリシスとマートの前から姿を消した。

 

 

 

オリシス(自分を信じろ、直喜…)

 

マート(しっかり行動で示せているんだから、貴方なら大丈夫よ。)




『善因善果』…私の好きな言葉です。


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第132話 会いたい気持ちがあるから

オリシスとマートから真実を告げられ、全てを思い出した直喜は…クラスメイト達の前に降り立った。

 

ユタカ「…か、神山……!」

 

さきる「なおちー…!」

 

亜子「なおちー!!アカネが…アカネが怪獣に……!!」

 

クラスメイト達の視線の先には、ゼッガーと戦うグリッドマンとグリッドナイトの姿があった。全く歯が立たず、中々攻撃ができない程追い詰められている。ゼッガーは開いた口から衝撃音波を放ち、身体に取り付いた相手には電撃で迎え撃つ。 衝撃音波が命中すると、建物が根こそぎ吹き飛ばされ、広範囲にわたって大爆発が起こる。

 

直喜「アカネちゃん…待っててね、今行くから…!」

 

光「行くって…あんなに大きな怪獣だよ…!?」

 

直喜の言葉に、心配そうな声を出す光。

 

直喜「それでも、僕は行くよ…だって、アカネちゃんに会いたい気持ちがあるから……」

 

タツミ「け、けど…宝多が心配するんじゃ……」

 

タツミがそう言うと、六花が前に出て来た。

 

六花「大丈夫だって、私は直喜を信じてる。」

 

続いて、なみことはっすも前に出て来る。

 

なみこ「直喜はウチらのクラスメイト、いや…マスコットキャラでしょ?」

 

はっす「そ〜そ〜、ウチらが直君を信じなくてどーする?校外学習の時も、台校祭の時も…困ってる人を真っ先に助けに行けるんだから。」

 

3人の言葉を聞き、ハッとした表情を見せるクラスメイト達。

 

クラスメイト「そうだ…神山は確かに……」「そうだよ…ウチら、なおちーに何度も助けられたんだ……!」

 

次第にクラスメイト達の顔にも、不安が消えていく。それを見た直喜は、優しく微笑む。

 

直喜「皆、ありがとう……」

 

そして、クラスメイト達に背を向けると…ゼッガーの方へと全力で走って行く。

 

六花「直喜ぃぃいいいい、頑張ってぇぇええええ!!

 

段々遠くなっていく直喜にエールを送る六花。

 

 

 

うぉぉおおおおおおおお!!

 

 

 

雄叫びを上げながら全力疾走する直喜は、右手に持っているピカリブラッシャー2を空高く掲げる。すると、ブラッシャーからは乳白色の目映く、優しい光が発生した。直喜がその光に包まれて行くと、光の戦士『ウルトラマンゼアス』が姿を現す。クラスメイト達の目の前でウルトラマンに変身した直喜は、怪獣となったアカネを助けるため…勇気を出して、行動を開始した。

 

クラスメイト「えぇっ!?か、神山が…う、ウルトラマン…!?」「じゃあ、今までウチらを守ってくれたのは、なおちーだったんだ…!!」

 

直喜がウルトラマンであることを知ったクラスメイト達は、驚きのあまり…言葉を失っていた。

 

六花(直喜…お願い、アカネを助けて…!!)

 

なみこ(直喜、がんば…!)

 

はっす(ファイトだぞ、直君…!)

 

亜子(なおちー、ウチは信じてる…!)

 

蘭萌(アカネを助けて、生きて戻って来てね…!)

 

六花、なみこ、はっす、亜子、蘭萌の5人は直喜がウルトラマンであることを知っている為、驚くことは無かった。両手を組み、祈るように彼の勝利を…アカネの無事を信じていた。

 

 

 

〜アカネ side〜

 

 

あぁ…私自身が怪獣になっちゃうなんて……今までは怪獣を産み出す側だったのに……皮肉にも程があるって……これは、今まで自分がやって来た事に対する相応しい報い…『因果応報』ってヤツ、かな……

 

 

怪獣となってしまい、その核となったアカネは…無数の白い手に捕われていた。そんな彼女を待ち受けていたのは…

 

アカネ『ッ!?』

 

Arcadiaを始め、自分が今まで殺して来た者の亡霊達だった。彼らは何か言葉を発する事はなく、ただ笑顔で…アカネをじっと見つめているだけ……まるで、今のアカネを嘲り笑っているかのように……

 

アカネ『い、いや……いや……!!』

 

絶望の淵に立たされ、亡霊達に怯えていると…

 

アカネ『う、ウルトラマン…ゼアス……な、直喜君……!!』

 

ウルトラマンゼアスが、こちらへ走って来るのが見えた。

 

アカネ『ダメ…直喜君、来ちゃダメ……!!』

 

 

〜アカネ side OFF〜

 

 

 

グリッドマン「…あれは、ウルトラマンゼアス…!!」

 

グリッドナイト「な、直喜…!!」

 

ゼアスは足を止めることをせず…ただ真っ直ぐ、ゼッガー目掛けて走って行く。

 

 

イヤァァアアアアアアアア!!

 

 

ゼッガーが鳴き声を発すると、4本の触手から電撃が放たれ、ゼアス目掛けて飛んで行く。それでもゼアスは、足を止めず…ゼッガーの方へ足を進めて行く。

 

直喜(アカネちゃん…今、助けるから…!!)

 

やがて、ゼアスはゼッガーにたどり着くと、懐に入って掴み掛かる。すると、ゼッガーは全身に電撃を流し、ゼアスを剥がそうとする。

 

ゼアス「グッ…!?」

 

グリッドナイト「直喜!!」

 

グリッドナイトは立ち上がると、ゼッガーに向かって飛び蹴りを放った。ゼッガーは地面に転がり、ゼアスの身体が離れる。

 

グリッドナイト「大丈夫か、直喜?」

 

グリッドナイトの言葉に、ゼアスはゆっくりと頷く。そして、再びゼッガーの方へ走って行く。グリッドナイトも続いて走って行く。

 

グリッドマン「ッ!!」

 

グリッドマンも立ち上がり、ゼッガー目掛けて走り出す。

 

グリッドナイト「グリッドマン!!俺達が隙を作る…だから、力を貸せ!!」

 

グリッドマン「分かった!!」

 

グリッドナイトと協力し、ゼアスが攻撃できるチャンスを作ることにしたグリッドマン。グリッドマンはゼッガーの右側に移動すると、2本の触手をがっしり掴む。グリッドナイトはゼッガーの左側に移動すると、反対側にある2本の触手をしっかり掴む。ゼアスはゼッガーの正面に来ると、中にいるアカネに言葉をかける。

 

直喜(アカネちゃん、聞こえる!?君を助けに来たんだ!!)

 

 

 

〜アカネ side〜

 

 

ゼッガーの中にいるアカネには、ウルトラマンゼアスのことがしっかり見えていた。すると、彼女の目の前に1つの映像が流れ始める。

 

アカネ『ッ!?』

 

その映像を見たアカネは…

 

 

いやぁぁああああああああ!!

 

 

…と、絶叫を上げた。

 

アカネ(このままじゃゼアスが…直喜君が負けちゃう……お願い、直喜君…私を、倒して……!!)

 

 

〜アカネ side OFF〜

 

 

 

イヤァァアアアアアアアア!!

 

ゼッガーが鳴き声を発すると、同時に衝撃波を発生させた。

 

ゼアス「グアッ!?」

 

ゼアスはその衝撃波により、勢いよく後方へ吹っ飛ばされた。

 

ズガァァアアアアアアン!!

 

背中から地面に叩き付けられるゼアス。

 

グリッドナイト「直喜!!」

 

グリッドマン「私達は怪獣の動きを止めることに専念するぞ!!ゼアスを信じろ!!」

 

グリッドナイト「俺に指図するなぁ!!」

 

地面に倒れたゼアスを助けたいグリッドナイトだが、それではゼッガーが動き回ることを許してしまう。1度やると決めた以上、ゼアスを信じるしかない。

 

ゼアス「グッ……!!」

 

中々立ち上がることができないゼアス。

 

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

やがて、ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を始めた。

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

時間は、残り少ない……

 

 

神山、頑張れ!!頑張って、なおちー!!

 

その時…クラスメイト達がゼアスに向かって声援を送り始めた。

 

さきる「頑張れなおちー!!」

 

光「神山君頑張ってぇー!!」

 

タツミ「いけぇ神山ぁー!!」

 

ユタカ「お前なら勝てる!!ウルトラ博士の神山なら、必ず勝てるぞ!!」

 

 

「なおちー、頑張って!!」「なおちん頑張れぇー!!」「勝ってくれ神山ぁー!!」「神山、頑張ってくれぇ!!」

 

 

直喜のクラスメイト達は、ウルトラマンゼアスの…いや、これまでの直喜の戦いを見てきた。普段はおっちょこちょいで慌てふためきやすく、よく空回りしてしまう直喜だが…誰よりも優しく、誰よりも強いことを、彼らは知っていた。それは、直喜自身がしっかり行動で示せていたからだ。

 

六花「直喜が貴勝つことを、皆は信じてる。だから、後もう少しだけ…皆の為に、輝いて!!」

 

クラスメイト達を代表し、六花がゼアスに声援を送った。

 

ゼアス「…!!」

直喜(六花ちゃん、皆……!)

 

必死に応援するクラスメイト達を目の当たりにするゼアス。そして…ゆっくりと、再び立ち上がった。

 

直喜(ありがとう、皆…僕は、必ずアカネちゃんを…助け出してみせる!!)

 

ゼアスは大空へ飛び立つと、雲を突き抜けて行った。その後、全身が赤色のエネルギーに包まれた状態で、ゼッガー目掛けて突進して行く。

 

グリッドナイト「ッ!!」

 

すかさずグリッドナイトは、ゼッガーの顔面部の外殻をこじ開け…人面像を露にした。

 

 

アカネちゃぁぁああああああああん!!

 

 

直喜の雄叫びと共に、ゼアスの身体はゼッガーに衝突した。

 

 

 

〜アカネ side〜

 

 

アカネ『いやぁっ!!これ以上、直喜君を傷付けないでぇ!!どうして…どうして言う事を聞いてくれないの!?』

 

アカネが叫ぶ度に、ゼアスを攻撃してしまう。彼女の意思などお構い無しに暴れ、破壊活動をする怪獣化した身体。それらが重なり、敗北するゼアスの映像を見せられ…更に絶望するアカネ。その時…

 

アカネちゃぁぁああああああああん!!

 

微かではあるが、直喜の声が聞こえて来る。

 

アカネ『……えっ…?』

 

ここに居ない筈の直喜の声に、思わず顔を上げるアカネ。彼女の視線の先には…

 

直喜『アカネちゃん!!アカネちゃん!!』

 

こちらに向かって走って来る直喜の姿が見えた。

 

アカネ『直喜君…どうして……?』

 

直喜『君に会いたい気持ちがあるから…だから、僕はアカネちゃんを助けるんだ!!』

 

直喜が目の前に来たことで、安心するアカネだが…同時に、不安が込み上げて来るのを感じた。

 

アカネ『直喜君…君は、私の身勝手な思いで……最悪な環境に産まれたんだよ…私のせいで、君は…沢山辛い思いをしたんだよ…?なのに…なのに……何で、怒って無いの…?』

 

直喜『怒る訳無いじゃないか…むしろ僕は、アカネちゃんに感謝してるんだ。』

 

アカネ『…感謝?』

 

直喜『うん。僕はね…』

 

 

アカネちゃんのお陰で、人の痛みが分かるようになった

 

アカネちゃんのお陰で、色んな事を経験できた

 

アカネちゃんのお陰で、変わりたいって思えた

 

 

自分の思いをアカネに伝える直喜は、優しく微笑んでいた。その純粋無垢な笑顔には、嘘も偽りも無い。あるのは、彼の本心だけだった。

 

直喜『だから…ありがとう、アカネちゃん!!』

 

アカネ『ッ〜〜!!』ポロポロ…

 

直喜の思いを聞き、目から大粒の涙を流すアカネ。

 

アカネ『じゃあ…じゃあ……私を、許して…く、くれるの…?』

 

直喜『うん、僕はアカネちゃんを許すよ。』

 

その言葉を聞き、アカネは漸く笑顔を見せることができた。彼女が笑うと、真っ暗な空間が…温かく、優しい光に包まれて行く。

 

直喜『さぁ、皆のところへ帰ろう!』

 

アカネ『うん…直喜君、ありがとう…!!』

 

アカネが直喜の手を取ると、2人は目映い光に包まれて行った。

 

 

〜アカネ side OFF〜

 

 

 

クラスメイト「神山…!!」「なおちー…!」「な、なおちん…!!」

 

ゼッガーと衝突したゼアスを見て、言葉を飲むクラスメイト達。

 

将「おいおい、ウソだろ…そんな訳……」

 

すると、ゼッガーの身体から1つの光の球が出て来ると…それはクラスメイト達の方へと飛んで来る。やがて、その光はゆっくりと地面に降り立つと…

 

 

パァァアアアアアアッ…

 

 

その光の中から、等身大になったゼアスが…アカネを抱えて現れた。

 

クラスメイト「か、神山…!!」「やった…なおちーが勝った!!」

 

 

ワァァアアアアアアアア!!

 

 

ゼアスの勝利…そして、アカネが戻って来たことを喜び合うクラスメイト達。

 

亜子「なおちー、アカネは…!?」

 

直喜『うん、大丈夫だよ。でも、疲れて気を失っちゃったみたい。』

 

蘭萌「よ、良かった…!!」

 

ゼアスの腕の中で眠るアカネの手を取り、涙を流す亜子と蘭萌。やがて、ゼアスは光に包まれて行くと…直喜の姿に戻った。

 

将「やったな、神山…てか、お前すげぇよ…!!」

 

六花「直喜、アカネを助けてくれてありがと♪」

 

直喜「僕だけじゃないよ…グリッドマンとアンチ君が協力してくれたから、アカネちゃんを助けることができたんだ。」

 

直喜の背後には、グリッドマンとグリッドナイトがいる。

 

直喜「グリッドマン、アンチ君…協力してくれてありがとう!!」

 

直喜の言葉にゆっくりと頷くグリッドマンとグリッドナイト。こうして、レディベンゼン星人によって怪獣化されたアカネは…ウルトラマンゼアスと神山 直喜によって、無事救出された。

 

 

 

レディベンゼン星人『ば、バカな…またやられた!?まぁ良いわ…ウルトラマンゼアス、こうなったら……アタシと直接戦いなさい…この身体には、ベンゼン成分がたっぷり含まれている。アレクシス・ケリヴの再生能力を更に強化してあげたわ。それはグリッドマンにでも押し付けてやるわぁ!!



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第133話 具現化される怨念

怪獣化したアカネを救出し、クラスメイト達の元へと連れて来た直喜。それを見たレディベンゼン星人は、空中へと上がって行く。

 

 

レディベンゼン星人『フッフッフッフッ…本当のパーティはここからよ?

 

 

やがて、曇り空に到達すると…レディベンゼン星人はアレクシスから離れ、幽霊のような姿になる。

 

 

この世界を彷徨う3バカの怨念達よ

 

ゼアスの手で葬られたダーリンの怨念よ

 

今ここに集まりなさい

 

 

すると、真っ黒雲が広がる曇り空に…3バカとベンゼン星人のシルエットが浮かび上がってきた。

 

なみこ「あっ!アイツは、A!?」

 

さきる「B先輩も!?」

 

蘭萌「隣のクラスのCも…!!」

 

クラスメイト達は目の前の光景に混乱し始める。

 

直喜(レディベンゼン星人…もしかして……!!)

 

嫌な予感を感じる直喜。大空を浮遊する3バカの怨霊達は、口々に直喜への憎しみを呟いている。

 

 

 

転生者 A『神山ァ…てめぇのせいで……オレ達の人生はめちゃくちゃになったんだ!!

 

 

転生者 B『オレ達は、ヒーローになれなかったんだ…!!神山のせいでなァ!!

 

 

転生者 C『てめぇさえいなければ、何もかもが上手く行ったんだ…!!けど、てめぇが居たから…全てが上手く行かなかったんだよォ!!

 

 

 

3バカは今まで転生の力を悪用し、何でもかんでも自分の思い通りに好き勝手していたため、欲望に忠実に生きていた。しかし、この世界では何もかもが上手く行かず…推しのヒロインを手中に納めることができなかった。欲望を満たす為、目的を果たす為なら手段を選ばない彼らは…ベンゼン星人とレディベンゼン星人に魂を売り、怪獣使いとなった。だが、それでも上手く行かず…最期はベンゼン星人によって怪獣にされ、ウルトラマンゼアスに変身した神山 直喜の手によって葬られた。宇宙でオリシスとマートから皮肉をぶつけられ、灰となって消えたのだが…彼らの怨念は、まだこの世界を彷徨っていた。

 

 

六花「アイツら、どんだけ自己中なの…それに、考えてる事が一々幼すぎ…幼稚園児?」汗

 

3バカの怨霊達の言葉を聞き、呆れている六花。やがて、怨霊達は空中で1つの姿になって行く。

 

 

生まれ出でよベンゼキング!!

 

全てを破壊しなさい!!

 

 

やがて、曇り空に怨霊達が融合すると…前がレディベンゼン星人、後ろがベンゼン星人というケンタウロスのような奇怪な姿へと変わり果てた。それは、大空から消えると…今度は、ツツジ台の街中に姿を現した。

 

ギャオオオオォォッ!!

 

ゼアスによって葬られた3バカとベンゼン星人の怨念と、夫を奪われたレディベンゼン星人の怨念が合体し、誕生したこの怪獣は……

 

 

『最強妖艶王獣・ベンゼキング』

 

 

前方にレディベンゼン星人の顔を持ち、後方にはベンゼン星人の顔がある。この2つの顔を繋ぐ部位には、無数の3バカの顔と思わしきモノで覆われている。

 

ユタカ「な、何なんだ…あの怪獣……!?」

 

タツミ「おい、何か…ヤバくねぇか……?」

 

クラスメイト達が危機を感じた時、ベンゼキングはゆっくりと口を開き……

 

 

パパパパパパパパッ!!

 

 

クラスメイト達目掛けてミサイルを放って来た。

 

六花「危ない!!」

 

六花は咄嗟にウルトラバリヤーを発動し、クラスメイト達を守った。

 

なみこ「うぇっ!?り、六花さん!?」

 

はっす「おいおい、マジかよ…!!」

 

六花が発動したのは、ウルトラセブンの技…普通の人に扱える筈がない超能力だ。なみことはっすのみならず、クラスメイト達全員が言葉を失っていた。

 

ベンゼキング『ククククッ…さぁ、行きなさい!!

 

ベンゼキングがそう言うと、等身大サイズになったウルトラ怪獣や超獣達が攻め込んで来た。

 

ベンゼキング『アタシの望みは神山 直喜…この街を壊されたくなければ、彼を寄越しなさい?明日の正午までに、じっくり考えておくことね。

 

ベンゼキングはそう言うと、霧に溶け込んで行くように消えて行った。

 

亜子「なおちーを渡せって!?いやいや、冗談じゃないよ!!」

 

蘭萌「なおちんはウチらにとって大きな存在…マスコットキャラでもあるし!!」

 

クラスメイト「そうだ!!神山を渡すかよ!!」「神山が居ねぇ世界なんて、そんなの御免だ!!」

 

クラスメイト達が口々にそう叫ぶと、怪獣軍団は走って来た。

 

六花「ッ!!」ダッ!!

 

そんな怪獣軍団達を、六花はたった1人で迎え撃つ。格闘技で怪獣達を攻撃し、右手のシュシュを様々な武器に変えて戦う。

 

六花(流石にキツイ…でも、私も…自分にできることを!!)

 

それでも、六花を通過してしまう怪獣達も…そんな彼らを相手するのは……

 

直喜「ぐっ!!」ドカァッ!!

 

直喜だった。先程のゼッガーとの戦いで疲れているモノの、立ち止まる訳には行かない。

 

直喜「僕の大切な友達に近付くな!!」ドカッ!!ドカッ!!

 

ウルトラマンゼアスとして戦闘経験を積んでいく内に、格闘戦が得意になっていた直喜。キックやパンチを打ち込み、怪獣達を押し返して行く。

 

六花「直喜!!」

 

六花は慌てて直喜の側に行き、構えを取る。

 

六花(直喜が死んじゃったら嫌…そしたら、私……おかしくなっちゃう…自分が自分で居られなくなる……!!)

 

今、怪獣軍団と戦えるのは六花と直喜のみ…しかし、数百体もの軍勢を相手にしても、限界が来る。そんな時……

 

 

俺達も行くぜ!!

 

 

上空から、円盤生物を引き連れた怪獣優生思想が現れた。

 

直喜「シズム君、オニジャ君、ジュウガ君、ムジナちゃん…!!」

 

オニジャ「来たぜ直喜!!」

 

ジュウガ「俺達も共に戦います!」

 

シズム「俺達のベストフレンドを、もう失わせない…!」

 

ムジナ「直喜の全ては私達の全て…直喜が守りたいモノを、私達も守るよ!!」

 

かつては人類に牙を剥いていた怪獣優生思想…しかし、直喜と出逢い関わった事で、人類の優しさに触れ…人類の素晴らしさを理解することができた。それを教えてくれた直喜を『最も親しい友(ベストフレンド)』と呼び、彼の力になってくれる。

 

直喜「皆、ありがとう…守ろう、僕達の居場所を、友達を!!」

 

六花「うん!!」

 

ジュウガ「はい!!」

 

オニジャ「おう!!」

 

怪獣軍団は尚、こちらに向かって走って来る。六花は左手を広げると……

 

 

ワイドゼロショット!!

 

 

腕をL字型に組み、ウルトラマンゼロが使用する必殺光線『ワイドゼロショット』を発射した。黄金色に輝く必殺光線は、怪獣軍団をどんどん蹴散らして行く。円盤生物達は空中に飛び上がって行くと、怪獣軍団に攻撃を始める。ブラックテリナが大量のテリナQを放って怪獣軍団にくっつけ、それに怯んだ怪獣達にサタンモアが大量のリトルモアを飛ばして嘴で攻撃させた。ブラックテリナとサタンモアの連携で、混乱する怪獣軍団にブラックドームとデモスが溶解泡を噴射し、怪獣軍団を跡形もなく溶かしていった。打ち漏らした怪獣達に、ハングラーが触角をフラッシュさせて目潰しを行う。そこにブリザードが強力な冷気を放ち、カチンコチンに凍らせる。星人ブニョはスリップオイルを吐くと、怪獣達を転ばして足止めを行う。それでも、直喜に近付こうとする怪獣や敵勢宇宙人に、ブラックガロンやノーバが格闘戦を仕掛けて行く。ブラックガロンとノーバを、シルバーブルーメが伸縮自在の触手や溶解液で援護し…アブソーバ、星人ブニョ、ブラックエンドが火炎放射で援護する。

 

直喜「皆凄い!!よし、僕も…!!」

 

直喜は持って来たMYヌンチャクを取り出すと、近付いてきたナックル星人と戦う。ヌンチャクを使いこなせるようになった直喜は、ナックル星人に攻撃を命中させ、ダメージを与えて行く。最後に倒れたナックル星人を持ち上げると、ウルトラ投げを模倣した投げ技でナックル星人を撃破した。

 

直喜「よし、勝った…!!」

 

六花「スゴいじゃん直喜♪」

 

ナックル星人に勝った直喜を褒める六花は、腕を十字型に組む。すると、六花の腕から七色の光を放つ光線が発射された。これは、初代ウルトラマンがゼットンを葬る際に使用した最強必殺技『マリンスペシウム光線』である。六花のマリンスペシウム光線が次々と怪獣軍団を焼き払って行き、怪獣軍団は完全に全滅した。

 

なみこ「みんな〜!!直喜達が勝ったよ〜!!」

 

なみこがそう叫ぶと、クラスメイト達は大喜びする。

 

将「スゲェ…六花も神山も、円盤生物達もスゲェよ!!」

 

ウルトラマンやウルトラ怪獣が大好きな将は、誰よりも特に大喜びしていた。

 

六花「シズム君達もありがと。」

 

シズム「大したことはしてないよ。」

 

オニジャ「ベストフレンドを守るのは当然だろ?」

 

お礼を言う六花に笑顔を見せる怪獣優生思想。

 

直喜「円盤生物の皆、本当にありがとう!!皆スゴいよ!!」

 

円盤生物「「「〜♪」」」

 

小さくなった円盤生物達は、お礼を言う直喜の周りを旋回して勝利を喜んでいる。

 

 

 

アカネ「……。」

 

保健室に眠るアカネの前に、黒い影が現れる。

 

アンチ「…貴様、がっ!?」

 

それは、アカネを警備するアンチを貫いて倒すと……アカネに近付いていく。

 

遅くなって済まなかったねぇ、やっと処分できたよ……じゃあ、最後にもう一つ役に立って貰おうかな?

 

やがて、アカネを包み込んでい行くと…巨大化を始めるのであった。

 

 

 

今、この偽りの世界に…最後の大決戦の時が、刻一刻と近付いていた。




オリジナル怪獣について……

名前…最強妖艶王獣『ベンゼキング』

身長…59メートル

体重…7万5000トン

能力…分厚いアーマー、口から発するミサイル・怪光線・火炎、怨念をエネルギーにした技

ケンタウロスのような姿で、前にレディベンゼン星人の身体、後ろにベンゼン星人の身体を持つ二面の怪獣。背後から襲われても瞬時に対処ができる。



モチーフはウルトラマンAに登場した最強超獣『ジャンボキング』、ウルトラマンレオに登場した二面凶悪怪獣『アシュラン』、円盤生物『ブリザード』。


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第134話 決戦

ォォオオオオオオオッ!!

 

アカネを包み込んだアレクシスは、雄叫びを上げながら巨大化していく。

 

 

 

素晴らしい!!

 

もう怪獣を作れないと言っておいて…

 

君の中にはまだこんなにも凄まじい情動が残っているじゃないか!!

 

 

巨大化したアレクシス・ケリヴの胸部には、レディベンゼン星人の顔がある。ベンゼン成分を異常な程注入され、彼女によって操られたアレクシス・ケリヴ。

 

アレクシス「さテ…ここ二はモウ何モないナ。」

 

 

 

直喜「…あ、アレクシスさん…?」

 

巨大化したアレクシス・ケリヴを目の当たりにする直喜。

 

直喜「…あれは…!!」

直喜(レディベンゼン星人の顔が…もしかして、アレクシスさんは今……レディベンゼン星人に操られてるの!?)

 

アレクシスの状況を察した直喜。

 

ゼアス(あぁ、凄まじい量のベンゼン成分が…!!)

 

ゼアスもアレクシスの体内にある異常なベンゼン成分を見て…自分だけでは浄化できないと悟り始める。

 

六花「…内海君、ちょっと来て…!」

 

将「あ、あぁ…!!」

 

六花と将はツツジ台高校から走り去り、どこかへ行った。そのタイミングで、ベンゼキングが姿を現した。

 

 

ベンゼキング『ドウヤラ、ゼアスを…神山 直喜ヲ渡スツモリハ無いノネ…ナラバ、この世界ヲ…破壊してアゲル!!

 

 

ベンゼキングはそう言うと、クラスメイト達に向かって黒口を開く。

 

クラスメイト「「「!!」」」

 

その時……

 

 

直喜「待て、レディベンゼン星人!!」

 

 

 

直喜がクラスメイト達の前に出てきた。そして、覚悟を決めたのか…勇ましい表情を向ける。

 

直喜「僕は、この世界を守って……皆と一緒に、笑って暮らしたいんだ!!お前の好きにはさせない!!だから…」

 

 

決着をつけよう!!

 

 

そして、ピカリブラッシャー2で歯磨きを開始する。彼の真っ白な歯が輝きを放った瞬間……

 

 

直喜「ゼアァァアアアアス!!ピカァァアアアアアア!!

 

 

直喜が雄叫びと共にブラッシャーを空高く掲げる。ブラッシャーからは目映く、優しい光が溢れ出し、直喜の身体を包んでいく。やがて、その光の中から光の戦士『ウルトラマンゼアス』が現れ、ツツジ台の街中に降り立った。その隣には、グリッドマンが降り立ったのだが…鎧が全て外れており、本当の姿……

 

電光超人グリッドマン

 

…となったのだ。

 

なみこ「あれって、さっきのデッカイ奴…!」

 

はっす「さっきの…ううん、もっと前から……」

 

電光超人グリッドマンを見て、なみことはっすは思う。ゼアスの事は覚えていたのだが、グリッドマンの事は覚えていなかった。

 

アレクシス「懐かしい姿じゃないか、グリッドマン…でも私は、君を倒して…次のアカネ君を探すよ……!!」

 

アレクシスは両腕に刃を形成すると、グリッドマンに襲い掛かる。それを合図に、ベンゼキングもゼアス目掛けて走って行く。

 

グリッドマン「次はない、ここで終わらせるぞ…アレクシス・ケリヴ!!」

 

グリッドマンとアレクシスがぶつかり合った時、ゼアスとベンゼキングもぶつかり合う。

 

ゼアス「ッ!!」ドゴッ!!ドスッ!!

 

ゼアスはベンゼキングにパンチを繰り出すが、ベンゼキングはビクともしていない。すかさずマシンガンキックを放つゼアス…彼がベンゼキングを攻撃する度、火花が飛び散る。しかし、ベンゼキングは全く怯まない。

 

 

 

その頃、グリッドマンはアレクシスの刃をへし折ると……

 

『スパーク・ビーム!!』

 

左手でアッパーカットを繰り出すと同時にビームを放ち、アレクシスを空中へ飛ばす。

 

アレクシス「ぐおぉぉ!?」ズドォォオオオオンッ!!

 

アレクシスの身体は空中のビル群に叩き付けられる。グリッドマンはアレクシスを追撃し、空中戦を仕掛けていく。蹴り技でアレクシスの身体を真っ二つにしても、アレクシスは脅威の再生能力で瞬時に元通りになる。

 

アレクシス「フハハハハハハハ!!」

 

『グリッドナイトセイバー!!』

 

アレクシス「ぐあっ!?フフフフッ…」

 

グリッドマン「何…!?」

 

アレクシス「無駄だよ…私の命には限りが無い……それは私に虚無感をもたらした…故に、アカネ君のような人間の情動だけが私の心を満たしてくれた……」

 

グリッドビームを受けても、瞬時に再生するアレクシス。アカネを取り込んだ事で限り無い命を…脅威の再生能力を手に入れ、究極の存在となっているのだ。

 

グリッドマン「そのために新条 アカネに取り憑いたのか!?」

 

アレクシス「ハッハッハッハッハ!!」

 

悪魔のように嗤うアレクシスは、グリッドマンに飛び蹴りを放ち、後方へふっ飛ばした。

 

 

 

その頃…ベンゼキングと戦うウルトラマンゼアスは……

 

直喜(デラシュッシュラ光流!!)

ゼアス「シュアッ!!」

 

独自で編み出したオリジナル技をベンゼキングに繰り出していた。だが……

 

直喜(ララランバルト光弾!!)

ゼアス「シェアッ!!」

 

バチィンッ!!バチィンッ!!

 

どの技を使っても、ベンゼキングにダメージを与えられていない。

 

直喜(ならば…!!)

ゼアス「ジェアッ!!」ビシッ!!

 

すかさずゼアスは、『スーパーゼアスキック』を繰り出す。この技は巨大怪獣の部位を破壊したり、凶悪怪獣を倒す決め手となった大技だ。しかし……

 

ドゴォォオオオオオオッ!!

 

ゼアス「グアッ!?」ドドォォオオオオンッ!!

 

ゼアスの技は確かにベンゼキングに命中したが…何故かゼアスの身体が宙を舞い、地面に叩き付けられた。

 

ベンゼキング『アタシはねぇ、ただ闇雲に怪獣を放っていた訳じゃないの……ゼアス、アンタの技を研究する為に放っていたのよ?データには無いオリジナルの技を使うモンだから、それで倒されちゃあ元も子もないわ…ダーリンの仇はおろか、この世界を破壊する事すらできない……でも、まずはゼアス…アンタを殺さないとねぇ!!

 

ゼアスの技を研究したレディベンゼン星人は、数々のゼアスの技に対抗する為に己を強化し、この世界を彷徨っていたベンゼン星人の怨念と…様々な世界で散々悪さをしてきたツミビト3人の怨念を取り込み、最強怪獣となった。その結果…ゼアスの光線技のみならず、肉弾戦での攻撃すら受け付けない身体になったのだ。

 

ゼアス「…!!」

直喜(やっぱりそうか…ゼアスと僕の技を研究して、僕らを倒すために自分を強化したんだ……でも、僕は負けない…必ずこの世界を守ってみせるんだ!!)

 

ゼアスは立ち上がると、地面を蹴って空中に飛び上がり…ベンゼキングの背中に乗った。そして、頭部にパンチやチョップを繰り出す。

 

ベンゼキング『それも想定済み…ハアッ!!

 

バリバリバリバリッ!!

 

ゼアス「グッ!?」

 

ベンゼキングはボディースパークを繰り出し、ゼアスを振り落とした。その後、地面に転がったゼアスを蹴り転がし…右前脚をゼアスの胸部に振り下ろす。

 

ガッ!!

 

ゼアス「ッ!!」

 

ゼアスはベンゼキングの右前脚を受け止め、何とか難を逃れようとする。だが、体重が7万トン以上もあるベンゼキングを押し退けるのは困難だ。

 

 

ピコンッ…ピコンッ…

 

 

遂には…ゼアスのカラータイマーが青から赤へと変わり、点滅を始める。

 

 

カラータイマーが青から赤へ変わると危険信号…ウルトラマンは地球大気中に3分以上居ることができないのだ。

 

時間は、残り少ない……

 

 

ベンゼキング『ウッフッフッフッ…もう限界なの?ならば、今度はダーリンにやってもらおうかしらねぇ?

 

ベンゼキングは向きを変えると、ベンゼン星人の顔になる。そして、頭部からベンゼン光線を発射した。

 

ゼアス「ッ!?」

 

次いで光線に怯んだゼアスに突進し、ゼアスを吹き飛ばした。ゼアスの身体が宙を舞い、地面に叩き付けられる。

 

ゼアス「!!」

 

すかさずゼアスは、何かを大切に抱えるような独特の動作を行い…腕を逆十字型に組むと、必殺技『スペシュッシュラ光線』を発射した。しかし……

 

ジリリリリッ!!

 

ゼアス「!?」

 

光線はベンゼキングには全く効いておらず、逆に吸収されてしまった。

 

ベンゼキング『トドメよ…!!

 

ベンゼキングは両手に怨念のエネルギーを纏うと、それを鞭のように伸ばし…ゼアスの手足を拘束する。

 

直喜(太陽エネルギーを…お願い、太陽エネルギーを……僕は、僕は…ここで倒れる訳には行かないんだ!!)

 

身動きを封じられたゼアス…カラータイマーの点滅は次第に速くなっていく。ゼアスにはエネルギーの補充が必要だ。だが、今のゼアスに…曇り空では太陽光線が届かない。

 

ベンゼキング『さらば、ウルトラマンゼアス…

 

ベンゼキングがそう言った次の瞬間…ベンゼキングの口から青紫色の怪光線が発射された。それがゼアスの身体をいとも簡単に貫く。

 

 

六花「直喜!!

 

なみこ「!!」

 

はっす「…!?」

 

将「いや…ウルトラマンは、負けない……!!」

 

 

やがて、ゼアスは地面に膝を着くと…

 

 

ピキッ…ピキピキピキピキ……

 

 

全身が石化し、活動を停止した。その瞬間…ベンゼキングの高笑いが、この世界中に響き渡った。



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第135話 絶望

ウルトラマンゼアスが敗北し、ベンゼキングの不気味な笑い声が辺り一面に響く。

 

レディベンゼン星人『アーッハッハッハッハッ!!遂に、遂にやったわ…アタシが、ウルトラマンゼアスを倒した…!!ダーリンの仇を、取ってやったわぁ!!アッハッハッハッハッハッハッハッ!!

 

ベンゼキングは高らかに笑うと、怨念の鞭で石化したゼアスを叩き倒した。バランスを失ったゼアスの石像は、仰向けに地面に倒れる。

 

 

 

その頃…グリッドマンはアレクシスと死闘を繰り広げていた。互角に戦い、互いに一歩も譲り合わない。

 

アレクシス「アカネ君に取り憑いた…それは違う、彼女が私を求めたのだよ…?」

 

アレクシスの額が開くと…真っ赤な空間の中には、アカネの姿があった。

 

六花「あ、アカネ…あの中に……!?」

 

言葉を失う六花を無視し、アレクシスは語る。

 

アレクシス「もとよりこの世界には何もなかった……だが、怪獣を与えられたアカネ君の理想の街は育ち、また破壊をした。」

 

アレクシスはそう言うと、真っ赤なホーミング弾をグリッドマン目掛けて放つ。

 

グリッドマン「理想の街を破壊するだと!?」

 

アレクシス「彼女はあらゆるイレギュラーやここで産まれた命までコントロールできない。だからこそ怪獣が必要だったのだ……」

 

今度は霧状になり、高速でグリッドマンを攻撃し始める。彼の攻撃に、グリッドマンは反撃できず…ただ、やられるだけだった。

 

アレクシス「その繰り返しを続け、私は心を満たしたかった。」

 

グリッドマン「くっ…身勝手な理屈を!!がぁっ!?」

 

アレクシスの攻撃を受け、地面を転がるグリッドマン。

 

アレクシス「しかし今、アカネ君は役目を終えた……もうこの世界に用事は無い。」

 

やがて、アレクシスの頭上にゲートが出現する。グリッドマンの額のランプが、点滅を始める。もう残りエネルギーは少ない。それでも諦めないグリッドマンは、グリッドビームを放とうとする。

 

アレクシス「限りある命の君では、無限の命を持つ私には勝てないよ…!!」

 

グリッドマン「そんなの、命ではない…!!」

 

アレクシス「では、いつか来る終わりを君にあげよう…グリッドマン!!」

 

グリッドビームを放とうとするグリッドマンに、アレクシスは赤黒い稲妻を纏った太い光線を放った。やがて、グリッドビームとアレクシスの光線がぶつかり合う。しかし、アレクシスの光線はグリッドビームをあっという間に押し退け……

 

グリッドマン「ぐわぁっ!?」

 

グリッドマンを空中に吹き飛ばしてしまった。

 

 

 

亜子「そ、そんな……」

 

蘭萌「ウルトラマンも、あの巨人も負けちゃった……」

 

ウルトラマンゼアスのみならず、グリッドマンまで敗北し…クラスメイト達は、絶望の淵へと立たされてしまう。

 

将「…もう、どうすれば……」

 

六花「うっ、うぅ…直喜……」

 

そんな時……

 

 

 

ダイナゼノン・バトルゴー!!

 

東の空から4機のメカが飛んで来ると、合体してダイナゼノンとなった。更に……

 

ウルトラマンナーイス!!

 

ウルトラマンナイスも現れ、ベンゼキングやアレクシスに立ち向かう。

 

アレクシス「おや…また邪魔者か……」

 

ベンゼキング『あら、貧弱ウルトラマンじゃない…まぁ良いわ、すぐに倒してあげるから!!

 

アレクシスとベンゼキングは、現れたダイナゼノンとウルトラマンナイスと交戦し始める。

 

ガウマ『1度分離するぞ!!』

 

蓬『えっ!?でも、それじゃあ』

 

ガウマ『目的は時間稼ぎだ!!俺達じゃあアイツらに敵わねぇ!!』

 

ダイナゼノンは瞬時に分裂し、4機のメカになる。

 

アレクシス「むっ!?」

 

ダイナストライカーがエネルギー弾で、ダイナダイバーがミサイルでアレクシスを攻撃する中、ダイナソルジャーが肉弾戦を仕掛ける。ダイナウイングは六花の元に向かうと……

 

夢芽『また絶望してる、貴女は直喜を信じてないの?』

 

六花に厳しい言葉をぶつける。六花のみならず、クラスメイト達全員に夢芽は言う。

 

夢芽『貴方達は今まで、直喜の何を見てきたの?今まで直喜は貴方達を失望させるような事をした…?貴方達を裏切るような事をした…?そんな訳ないでしょ?直喜は貴方達をずっと信じている…なのに、貴方達が直喜を信じてあげなくてどうするの?まだ負けって決まった訳じゃない…ウルトラマンが、直喜が勝って欲しいなら…最後まで信じなくちゃ。』

 

夢芽はそう言うと、アレクシスに向かってエネルギー弾を発射した。

 

アレクシス「ぐぅ…鬱陶しい虫が……!!」

 

アレクシスは霧状になると、4機のメカを瞬時に攻撃し、地面へと叩き付けた。

 

『『『『がぁっ!?』』』』

 

4機のメカは一斉に地面に強く叩き付けられた。

 

 

 

ナイス「ナナナナナナナナッ!!」ボコココココココッ!!

 

ナイスはベンゼキングにパパパンチを放つが、ベンゼキングはビクともしていない。

 

ベンゼキング『ウルトラマンナイス…アンタがこの世界に来ていることは知っていたわ。なんせ、ザゴン星人と繋がっていたからねぇ?アイツから情報を貰っておいて正解だったわね。

 

なんと、レディベンゼン星人はザゴン星人と繋がっており…ナイスがこの世界に来た事も知っていたのだ。それだけでなく、ナイスの技も研究し…彼のあらゆる技をも無力化してしまった。

 

隆也(それがどうしたってんだ!!例えお前に敵わなくったって…時間を稼ぐことぐらいできるんだよ!!)

 

ナイスは空中に飛び上がると、ミレニアムショットをベンゼキングに放ち…大空を飛び回る。

 

ベンゼキング『くっ、小賢しい…!!

 

ベンゼキングはナイスを撃ち落とそうと、光線を放ち続ける。最初は光線を避けられていたナイスだったが……

 

バチィッ!!

 

ナイス「ナナッ!?」

 

遂には光線が命中してしまい、地上へと落下した。その時…紫色の光が2つ出現すると……

 

グリッドナイト「アレクシス・ケリヴ!!」

 

ナイトゼアス「今度は我々が相手だ!!」

 

グリッドナイトと、ウルトラナイトゼアスが出現した。グリッドナイトはアレクシスに、ナイトゼアスはベンゼキングに立ち向かう。

 

アレクシス「失敗作は失敗作らしく壊れてしまえば良いのだよ!!」ドゴォッ!!

 

グリッドナイト「がっ!?」

 

アレクシスの重い一撃は、グリッドナイトをいとも簡単に吹き飛ばす。グリッドナイトは体制を立て直し、アレクシスに向かって飛んて行く。しかし、動きはアレクシスの方が早く、一方的にグリッドナイトを滅多打ちにする。

 

 

 

ウルトラナイトゼアスは、ウルトラマンゼアスのコピー技をベンゼキングに放つが…どれも効いていない。

 

ベンゼキング『所詮アンタはゼアスの偽物…偽物は本物に劣っているって相場が決まってるのよ。

 

ナイトゼアス「本物か偽物かは関係ない!!」

 

ナイトゼアスは、スペシュッシュラ光線のコピー技『ナイトスペシュッシュラ光線』を放つ。しかし、ベンゼキングにはまるで効果がない。

 

ナイトゼアス「俺は諦めない…例え貴様に敵わなくとも、希望を捨てることは無い!!」

 

ベンゼキング『なら、その希望とやらを破壊してやるよ!!

 

ベンゼキングは怨念を纏うと、それを光線として発射した。咄嗟に、バリアを張るナイトゼアスだが…

 

ナイトゼアス「ぐああぁぁっ!?」

 

ベンゼキングの光線はバリアを瞬時に破壊し、ナイトゼアスにダメージを与えた。

 

 

 

直喜『……。』

 

直喜が目を覚ますと、辺り一面が漆黒の闇が広がる、音のない空間に居た。

 

直喜『…!?』

 

それに、直喜は透明なクリスタルに包まれ…動くことができなかった。どうにか脱出しようと、クリスタルを叩くが……クリスタルは壊れない。その時…どこからか2つの笑い声が響いて来た。1つは低い男の声で、もう1つは女の声だった。

 

直喜『…だ、誰!?』

 

直喜がそう言うと、彼の目の前に若い男女が現れた。

 

直喜父『直喜…やっぱりお前は最後まで出来損ないだな。』

 

直喜母『最初から私達の言う事を聞いていれば良かったのに…まぁ、それでも役立たずのゴミであることには変わりないけれど。』

 

直喜『…!!』

直喜(お、お父さん…お母さん……!?)

 

笑い声の主は、死んだ筈の直喜の両親であった。彼らは周囲に自慢できるような事が無く…直喜に無理矢理英才教育をさせ、周囲にマウントを取ろうとしたのだ。自分勝手な性格の彼らは、心から直喜に向き合おうとはせず…ただ、自分の見栄のために直喜を利用しようとした。直喜がごねれば、怒鳴り、手を挙げ…遂には彼を全く可愛がらなくなった。世話も放棄し、平気で彼を見放す程…彼らは自分達の思い通りにならない直喜に『出来損ない』というレッテルを貼った。挙句の果てには、直喜が病気になった事を良いことに…彼を捨ててしまった。

 

直喜『…!!』

 

 

出来損ないのアンタには、夢を見る資格も…

 

生きる資格も無いのよ?

 

 

お前は誰からも愛されてないんだよ。

 

役立たずのゴミは邪魔なだけさ。

 

 

直喜の両親は口々に、息子である直喜を罵倒し続ける。

 

直喜『…い…生きていて何が悪いの…夢を持って何が悪いの!?幸せになろうとすることの何が悪いの!?やめてよ、折角幸せになったのに…もうやめてよ!!』

 

直喜は両耳を防ぎながら、発狂交じりに叫ぶ。それでも両親からの罵倒は、彼の両手をすり抜け…彼の耳へと入ってくる。実親からの精神攻撃が止まず、次第に追い詰められていた。

 

 

ぼ、僕は…また、一人ぼっちになっちゃうの…?

 

皆ともう、会えなくなっちゃうの…?

 

 

そ、そんなの…嫌だ……

 

一人ぼっちは、嫌だよぉ!!



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第136話 皆の思い1つになったら

2体の最強の敵、『ベンゼキング』と『アレクシス・ケリヴ』は…ツツジ台の希望、ウルトラマンゼアスとグリッドマンを撃破した。絶望に飲まれそうになった時、ダイナゼノンやウルトラマンナイス、グリッドナイト、ウルトラナイトゼアスが現れて彼らと戦うも…彼らには敵わない。

 

ジュウガ「お前達、ありったけの技を敵に撃ち込め!!」

 

オニジャ「ぜってぇに直喜に近付けるなぁ!!」

 

ムジナ「直喜が立ち上がるまでもう少しだよ!!」

 

シズム「俺達のベストフレンドを、もう……!!」

 

怪獣優生思想も12体の円盤生物を召喚し、ベンゼキングとアレクシスと戦う。

 

アレクシス「遅い、ものすごく遅いよ!!」ドガガッ!!

 

ベンゼキング『いくら現れたって、雑魚は雑魚なのよ!!』ドゴォッ!!

 

しかし、どの円盤生物もアレクシスとベンゼキングにとっては雑魚同然…攻撃が命中しないどころか、手も足も出なかった。

 

アレクシス「さてと…そろそろ終わりにしようか。」

 

アレクシスはダイナゼノンとグリッドナイトに向かって赤い稲妻を纏った光線を発射した。

 

ベンゼキング『貧弱は貧弱らしく、地面でも舐めていなさい?

 

ベンゼキングも怨念を纏った光線を、ナイスとナイトゼアス目掛けて発射した。

 

 

ドッゴォォオオオオン!!

 

 

夢芽「くっ、ああぁぁっ!!」

 

グリッドナイト「ぐわぁぁっ!!」

 

ナイス「ナアアァァッ!!」

 

ナイトゼアス「がはああぁぁっ!!」

 

大爆破が発生すると…ダイナゼノン、グリッドナイト、ナイス、ナイトゼアスも力尽きた。

 

ちせ「そ、そんな……」

 

ゴルドバーン「グルルル……」

 

駆け付けたちせとゴルドバーンも、状況を理解し…青ざめていく。円盤生物達も倒れ、もはや彼らを止められる者は……

 

 

 

なみこ「あ、あぁ……」

 

はっす「もう、おしまいなの……?」

 

どれだけ足掻いても、ベンゼキングとアレクシスには敵わない。そう思うと、段々暗い表情になっていくクラスメイト達。そこに、2代目が現れる。

 

2代目「皆さん!!諦めないでください!!」

 

彼女は必死に、クラスメイト達に向かって叫び続ける。

 

2代目「私達が信じ続けていれば、ウルトラマンは絶対に負けません…不可能を可能にする、それが……」

 

 

『ウルトラマン』なんですから!!

 

 

2代目の叫びに、クラスメイト達は彼女の方を見る。

 

2代目「私達が直喜さんに光を送り届けましょう!!そうすれば、きっと…!!」

 

将「でも、どうやって…!?」

 

すると、六花が1歩前に踏み出すと……

 

 

直喜

 

 

…と、最愛の彼の名を呼ぶ。

 

なみこ「直喜…!」

 

はっす「な、直君…!!」

 

さきる「な、なおちー…!」

 

光「神山君…!」

 

亜子「なおちー!!」

 

蘭萌「なおちん!!」

 

将「か、神山…!!」

 

ユタカ&タツミ「「神山!!」」

 

彼女に続き、クラスメイト達も次々に直喜を呼ぶ。

 

 

「直喜!!」「なおちー!!」「神山君!!」「神山!!」

 

 

彼の名を叫ぶクラスメイト達の前に出て来た2代目は、その場で祈りを捧げる。すると、彼女の身体が光り始めると…クラスメイト達も次々と黄金色の光に包まれて行った。それらの光は、石化したゼアスに向かって飛んで行く。

 

 

 

ガウマ『…ゲホッ…あ、あれは…!!』

 

夢芽『光が…光が、いっぱい……!!』

 

ナイス「…!」

隆也(おい、あれって…まさか……!!)

 

アレクシス「…?」

 

ベンゼキング『!!??

 

数多の光は、ゼアスの石像にどんどん集まって行き…次第に強くなっていく。

 

 

 

その頃…暗闇で魘されている直喜は……

 

直喜『もう、やめて…!!』

 

直喜父『出来損ない、グズ、泣き虫…

 

直喜母『バカ、ノロマ、意気地無し…

 

両親からさらなる罵詈雑言をぶつけられていた。その時……

 

 

直喜ー!!なおちー!!なおちん!!神山ー!!

 

 

直喜『…?』

 

微かではあるが、自分を呼ぶ声が聞こえて来た。その声は、段々大きくなって来ており、直喜の元に向かって来ている。

 

直喜『…!!』

 

そして、声の主が彼の前に姿を現した。

 

 

六花『直喜ー!!』

 

将『神山ァー!!』

 

なみこ『おーい、直喜ー!!』

 

はっす『直く〜ん♪』

 

さきる『なおちー!!なおちー!!』

 

光『神山くーん!!』

 

亜子『なおちー!!』

 

蘭萌『なおちーん!!』

 

『神山!!』『なおちー!!』

 

 

それは、笑顔を見せ、手を振りながらこちらへ駆けてくるクラスメイト達だった。

 

直喜父『何っ!?』

 

直喜母『この光…や、やめろ…!!』

 

目映い光に包まれているクラスメイト達を見た途端、急に苦しみ始める直喜の両親。

 

直喜父『な、直喜…父さんを助けてくれ!!』

 

直喜母『お願いよ直喜、また家族でやり直しましょう?だがら、お母さんを助けて頂戴!!』

 

先程まで罵って居たのが嘘のように掌を返したと思うと、直喜に手を伸ばす。しかし……直喜が彼らに振り向くことは無かった。

 

直喜父『直喜!!育ててやった恩を忘れたのk…!!

 

直喜母『子供は親を助けて当然なn…!!

 

やがて、直喜の両親は光に包まれて行き…消滅した。やがて、クラスメイト達が直喜の元にたどり着くと、直喜を覆っていたクリスタルはいつの間にか消滅していた。

 

直喜『み、皆…!!』

 

六花『直喜、今度は私も…ううん、私達も一緒に戦うよ!』

 

将『神山。お前はもう、1人じゃない…!!』

 

さきる『そうだよ!!ウチらが一緒についてる!!』

 

クラスメイト達の温かい言葉を聞き、目に涙を浮かべる直喜。

 

なみこ『ウチらは全員、直喜のこと信じてたんだからね♪』

 

はっす『うん、ずっとずっと…信じてる♪』

 

直喜『…うん…うん……!!』ポロポロ…

 

目から大粒の涙が溢れるが、直喜は笑顔を見せている。

 

六花『さぁ、直喜…一緒に戦おう?』

 

直喜『…うん!!』

 

すると、直喜の身体が…いや、クラスメイト達の身体が目映く、優しい光に包まれ始める。

 

直喜『一緒に叫ぼう、皆で…!!ウルトラマーン!!』

 

『『『ウルトラマーン!!』』』

 

 

ゼアアアアアァァス!!!!

 

 

直喜とクラスメイト達はウルトラマンゼアスの名を叫ぶと同時に、初代ウルトラマンのように右手を空高く掲げた。すると、光は更に目映く温かくなって行き…その光の中から、光の戦士『ウルトラマンゼアス』が姿を現した。

 

 

 

ベンゼキングの前に光の柱が出現すると、その中から黄金色の光を纏ったウルトラマンゼアスが姿を見せた。

 

夢芽『…直喜!!』

 

蓬『ウルトラマンが、蘇った…!!』

 

暦『俺達は今…奇跡を見たんだ…!!』

 

ジュウガ「直喜…!!」

 

ムジナ「やったやったぁ!!直喜が蘇ったよ!!」

 

オニジャ「どわっ!?おいムジナ!?」

 

シズム「…。」ニコッ

 

ナイス「ナッ!?」

隆也(マジかよ…あれは、グリッターゼアスじゃねぇか!!)

 

グリッドナイト「…直喜、蘇ったんだな。」

 

ナイトゼアス「…良かった。」

 

2代目「やりました!ウルトラマンが、ウルトラマンが蘇りました!!」

 

クラスメイト達が直喜を信じる気持ちが1つになり、光へとなった。その光を得たウルトラマンゼアスはグリッター化し、究極最強戦士…

 

 

グリッターゼアス

 

 

…となったのだ。

 

ベンゼキング『なっ…そ、そんなバカな…!?

 

戸惑うベンゼキングを余所に、グリッターゼアスはカラータイマーに右手を添えると…グリッドマンに光を飛ばした。すると、グリッドマンも黄金色の光に包まれ、再び立ち上がったのだ。

 

アレクシス「何だと…!?」

 

ゼアスとグリッドマンの復活に、思わず戸惑うアレクシス。

 

グリッドマン「ありがとう、ウルトラマンゼアス。君の…いや、君達の光、確かに受け取った。」

 

ゼアス「…。」コクッ…

 

グリッドマン「行くぞ、アレクシス・ケリヴ!!」

 

ゼアス「シェアッ!!」

直喜(勝負だ、レディベンゼン星人!!)

 

蘇ったヒーロー達は、最強の敵に向かって構えを取った。



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第137話 きっと何でもできる筈だよ

グリッターゼアス、電光超人グリッドマンは…最強の敵、アレクシス・ケリヴとベンゼキングに向かって構えを取った。

 

アレクシス「フン…ならばもう一度終わりを与えよう、グリッドマン!!」

 

ベンゼキング『今更パワーアップしたって、アタシには敵わないんだよ!!

 

 

 

BGM〜OxT『UNION』~♪

 

 

アレクシスとベンゼキングと同時に、ゼアスとグリッドマンも走り出す。グリッドマンは空中に飛び上がり、アレクシスと空中戦を繰り広げる。

 

グリッドマン「せやっ!!」ドゴォッ!!

 

アレクシス「むぅっ!?」

 

グリッドマン「はぁっ!!」バキィッ!!

 

アレクシス「ぐわああぁぁっ!!」

 

グリッドマンの攻撃を受け、アレクシスの身体は勢いよく地上に叩き付けられた。すると、グリッドマンの胸部にある『トライジャスター』から光が零れ落ちると、落ちた場所が光を取り戻していく。

 

グリッドマン(そうか…私の力は倒すだけの力ではなく……私の本当の力は…!!)

 

アレクシス「…うぐっ…!?」

 

グリッドマンは、胸部の前で腕を合わせると…

 

 

グリッドオオオオォォッ!!

 

フィクサァァアアアアッ!!

 

ビィィイイイイイイム!!

 

 

両腕を広げ、胸部全体から温かい光の光線を発射した。必殺技『フィクサービーム』だ。

 

アレクシス「ぐああああぁぁっ!?

 

フィクサービームは、アレクシスの全身を包み込んでいく。

 

アレクシス「フィクサービームだと!?何だ、この力はぁ!?」

 

すると、辺り一面がみるみる内に元に戻って行く。

 

グリッドマン「フィクサービームとはこの世界を修復する力…この世界を造った『新条 アカネ』の心を救う力だ!!」

 

 

 

『新条さん!!』『アカネ!!』

 

アカネ「……無理、私はもう…行けない……」

 

六花『大丈夫、アカネは1人じゃないから。』

 

アカネ「……。」

 

将『皆万能じゃないから、他人を必要とするんだ。新条さんが誰かを必要とすれば、このことだってきっと広がって行く!』

 

アカネ「……。」

 

裕太『この街だけじゃない…きっと新条さんの世界も!!』

 

アカネ「私に!!広い世界なんて無理だよ!!!!」

 

六花『だから私達を頼って欲しいし、信じて欲しい…その為の関係だから。』

 

アカネ「私との、関係…?みんな私の、私の…友達……ここは私の造った世界だから、この世界に私は居ちゃいけないんだ…自分の世界に帰らなきゃいけないんだ…私の場所に、でも怖い……」

 

直喜『アカネちゃん、失敗したって良い…空回りしたって良い……またやり直せば良いんだから…精一杯生きていれば、いくらでもやり直せるんだよ。焦らなくたって良い、少しずつで良いんだから…そうやって、人は大きくなっていくんだよ?』

 

アカネ「…!!…直喜、君……ッ!!」

 

アカネが目の前の扉を開いた瞬間……

 

 

 

グワアアアアアアァァッ!!!!

 

アレクシスが絶叫がこだました。

 

アレクシス「ま、まさか…アカネ君の心を治したと言うのかぁ!?」

 

グリッドマン「それだけではない!!人間の持つ可能性を力を、私は…私達は信じる!!」

 

アレクシス「そんな力がああぁぁっ!!」

 

アレクシスは右手の拳を振り上げる。それに対抗するため、グリッドマンはブースターを噴かせ、高速でアレクシスに向かって突進していく。

 

 

これが!!

 

生命あるモノの!!

 

力だああああぁぁっ!!

 

 

そして、アレクシスの顔面目掛けて強烈な右ストレートを放った。

 

 

ドッゴォォオオオオオオ!!

 

アレクシス「があっ!?これが…限りある生命の、力か……」

 

アレクシスが撃破されると、辺りが光に包まれ…壊れた街並みがどんどん元に戻って行く。電脳世界が曇り空になって行き…転がっているゼッガーの身体も消え…この世界全体が修復され、新たな地球へと生まれ変わったのだ。

 

 

 

BGM〜とんねるず『シュワッチ!ウルトラマンゼアス』~♪

 

 

 

ベンゼキングと地上で戦うグリッターゼアスは、両腕を広げて胸の前に持ってくると…

 

ゼアス「へアッ!!」

 

パンチと共に黄金の衝撃波『グリッターボンバー』を放った。

 

 

ドゴォッ!!

 

 

ベンゼキング『ぐはぁっ!?

 

ゼアスが放ったグリッターボンバーは、ベンゼキングの巨体をいとも簡単に吹き飛ばした。ゼアスは吹き飛ばしたベンゼキングに向かって助走を付けると、空中に飛び上がり…

 

ゼアス「デヤッ!!」ドゴォォオオオオンッ!!

 

ベンゼキング『ギャアアァァッ!?

 

右手に黄金のエネルギーを纏ったチョップ『グリッターゼアスチョップ』をベンゼキングの頭に叩き付けた。

 

直喜『マシンガンキックをやろう!!』

 

ゼアスの光となったクラスメイト達は、直喜の号令を聞き…彼と共に連続回転飛び蹴りを放つ。

 

 

ドゴォォオオオオンッ!!ドゴォォオオオオンッ!!

 

『『『ハアアアアァァッ!!』』』

 

ゼアス『デヤアアアアァァッ!!

 

ドッゴォォオオオオオオン!!

 

 

ゼアスのマシンガンキックと共に黄金の衝撃波『グリッターバニッシュ』が連続で放たれる。

 

ベンゼキング『がはっ!?ごぼっ!?ゴエエェェッ!!

 

ベンゼキングの巨体が地面に倒れる。

 

 

 

なみこ『直喜、凄いよ!!』

 

はっす『怪獣を圧倒してる…!!』

 

圧倒的な力でベンゼキングをねじ伏せるゼアス。そこには、クラスメイト達の直喜に対する信頼や好意が1つになっていた。

 

アカネ『…!!』

 

そこに、アカネが姿を見せた。彼女も、ゼアスの光となったのだ。

 

直喜『あっ、アカネちゃん!!』

 

アカネ『…な、直喜君。』

 

直喜『アカネちゃんも、僕達と一緒に戦おう!!』

 

直喜がアカネに手を差し伸べると、クラスメイト達も頷いて見せる。

 

アカネ『…うん!!』

 

アカネは直喜の手を取り、クラスメイト達の元へ降り立った。

 

直喜『皆!スペシュッシュラ光線を撃とう!!今の僕達なら、何者にも負けない…きっと、何でもできる筈だよ!!』

 

亜子『オッケー!!』

 

蘭萌『うん、わかった!!』

 

将『おう!燃えてきたぜ!!』

 

直喜と共に、クラスメイト達はまるで何かを大事に抱えるような独特の動作を行い、両腕を広げると…腕を逆十字型に組んだ。

 

『『『ヤアアアアァァッ!!』』』

 

 

 

ゼアス「シェアッ!!ビィィイイイイイッ!!

 

ゼアスの腕からは、黄金に光る必殺技『グリッタースペシュッシュラ光線』が発射される。

 

 

ドカァァアアアアアアンッ!!

 

 

ベンゼキング『ギャアアアアァァッ!!

 

 

ベンゼキングには、ウルトラマンゼアスのありとあらゆる技が通用しない…しかし、グリッター化した事で、光線の威力が爆発的に上昇し、ベンゼキングに大ダメージを与えた。

 

ベンゼキング『あ、アタシは…こんな、ところ…で…がぁっ!?

 

ゼアスを倒すために装備した自慢の装甲が完全に無力となり、ベンゼキングは弱っている。

 

 

 

直喜『よし、トドメだ!!皆、次は“アレ”を撃とう!!』

 

六花『うん、“アレ”だよね!!』

 

アカネ『んふふっ、シャドーを倒したアレだね♪』

 

直喜と共に、クラスメイト達はもう一度スペシュッシュラ光線の構えを取ると、再び腕を逆十字型に組んだ。ゼアスの腕からは再びグリッタースペシュッシュラ光線が発射された。

 

直喜『レディベンゼン星人!!これが…僕達が育んできた絆の力だ!!!!』

 

直喜は雄叫びを上げながら、腰をどっしりと落とし…初代ウルトラマンのスペシウム光線を彷彿とさせる構えとなる。そして…

 

 

直喜『シュワァァアアアアッチ!!

 

『『『シュワァァアアアアッチ!!』』』

 

 

クラスメイト達と共に、ウルトラマンの掛け声を力強く放った。

 

 

 

ゼアス『シュワァァアアアアッチ!!

 

キランッ…ビィィイイイイイイイイッ!!

 

 

ゼアスも口を開けて力強い掛け声を放つと、腕を逆十字型からクロス型に組み、黄金に輝く太い光線を発射した。グリッター化したことでクロススペシュッシュラ光線が強化された究極最強必殺技…

 

 

『グリッタークロススペシュッシュラ光線』

 

 

だ。ゼアスが放った光線は、ベンゼキングの身体を貫いた。途端にベンゼキングの全身から火花が発生する。

 

ベンゼキング『そ、そんな…この力を持っても、アタシは…ゼアスに敵わないっていうの…!?そんなの、絶えられるわけ無いじゃない!!受け入れられないわ!!

 

消滅しようとするベンゼキングの前に、オリシスとマートが姿を現した。

 

 

言ったはずよ?貴女はゼアスに負けるって…

 

どれだけ強力な力を持っていたって…

 

運命から逃れることはできない。

 

 

私利私欲の為に多くの罪無きモノの生命を奪い…

 

悲しむモノを嘲笑って来た貴様には相応しい最期だな。

 

愛するベンゼン星人と、ツミビトの怨念と共に…

 

永遠の地獄へ墜ちて行くと良い。

 

 

ベンゼキング『〜〜〜ッ!!!!

 

 

オリシスとマートからの言葉を聞き、ベンゼキングは声にならない程の断末魔を上げながら大爆破した。ベンゼキングが撃破されると、空を覆っていた雲が晴れていき…快晴の青空が世界中に広がっていった。



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第138話 別れの時

電光超人グリッドマンとウルトラマンゼアスが、最強の敵を打ち倒した事で、この世界には平和が訪れた。グリッドマンのフィクサービームは、電脳世界と現実世界がくっついたこの世界を…新たな地球へと生まれ変わらせ、そこにゼアスがグリッターゼアスキャンで世界中を除菌し、キレイな空気にした。その後、グリッドマンとグリッターゼアスは快晴の青空を見上げ、人々の前から静かに姿を消した。

 

 

 

 

その頃…

 

六花「……行っちゃうんだね…?」

 

アカネの部屋と思われる空間で、六花は彼女と話をしていた。

 

アカネ「…私はここで、取り返しのつかない事ばかりをした。」

 

六花「…知ってる。」

 

アカネ「私は…卑怯者なんだ……」

 

六花「…知ってる。」

 

アカネ「私は臆病で…ズルくて弱虫で」

 

六花「知ってる。アカネの事なら私は知ってるから…」

 

アカネの話を聞く六花は、優しい笑みを見せている。アカネの頭では、様々な事が蘇っている。

 

自分の目でクラスの中を見たこと、怪獣を産み出して街を壊したこと、クラスメイト達と談笑したこと……

 

 

そして、訳ありのモブであった彼に…神山 直喜に恋をしたこと……好きな人を目の前で失い、嘆き悲しんだこと……オリシスと契約し、六花と共に様々な世界を旅したこと……数千年もの間、ツミビトを倒すために苦しんだこと……そして、直喜と再会を果たしたことで最大の喜びを得たこと……直喜と話をしたこと……直喜と一緒に帰り道ではしゃいだこと……直喜と共にウルフェスを満喫したこと……シャドーに破れ、泣き叫ぶ直喜を見て心が苦しくなったこと……居なくなってしまった直喜を必死に探し回ったこと……直喜や親友と一緒にゲームで盛り上がったこと……校外学習で直喜に水着を褒められたこと……直喜と濃厚なキスをしたこと……直喜にフラレてしまったこと……怪獣になってしまい、直喜が助けに来てくれたこと………クラスメイト達と共に光となり、直喜と共に…皆でレディベンゼン星人を倒したこと……

 

 

他のどの思い出よりも……直喜と共に過ごしてきた時間を思い出すと、次第に泣き顔になってしまうアカネ。彼女にとって、彼はいつの間にか…大きな存在となっていたのだ。だが、この世界の住人で無い以上…この世界から去らなければならない…大好きな彼と、お別れをしなければならなくなった。

 

アカネ「ごめん、なさい…ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……」

 

数多くの過ちを犯していた事を知ったアカネは、涙ながらに謝罪の言葉を口にする。しかし、どれだけ泣いても…どれだけ傷付いても……自分の犯した過ちを拭うことはできない。これから、一生背負って行かなければならないのだ。泣いているアカネに、六花は1つの紙袋を渡す。

 

六花「…開けて?」

 

アカネが紙袋を開けると、そこには白と薄紫色の定期入れが入っていた。

 

アカネ「…定期入れ…どっか行っちゃえってこと?」

 

六花「違うよ…どこへ行っても、私と一緒。」

 

アカネ「…うん。」

 

六花「アカネはさー……どこへ行ったって堂々としてないと。私達の神様何だから…」

 

アカネ「…うん、そうする。」

 

泣いているアカネに、六花は1つのお願いをすることに……

 

六花「だから神様…最後にお願い、聞いてくれませんか?」

 

アカネ「…うん。」

 

 

私はアカネと一緒に居たい

 

 

六花はアカネの手を握り、自身の思いと共に願いを言う。

 

 

どうかこの願いが…

 

ずっと叶いませんように

 

 

そう言って、物悲しい表情を浮かべる六花。やがて、隣を見ると…そこに、アカネの姿は無かった。ただ、アカネが居た場所には…手紙と思わしき紙切れが落ちていた。そこには……

 

『直喜君へ』

 

…と、書かれていた。六花はそれを拾うと、部屋から去って行った。

 

 

 

その頃…裕太と将は……何処かで見たことのあるような空間にいた。

 

裕太「内海はさ、新条さんに言う事あったんじゃないの?」

 

将「……死ぬ程ある!!

 

少し黙った後、叫ぶように言う将。

 

将「…けど、やっぱあそこには入れないや。」

 

裕太が微笑むと…

 

六花「別に気にしなくて良いのに。」

 

そこへ、六花が戻って来た。

 

六花「まぁ神様と同じクラスには通えないよね……神様には神様の世界があるんだし。グリッドマンにもあるんでしょ?そういう世界が…」

 

裕太「うん。」

 

すると、将が裕太の肩を掴む。今の裕太には、グリッドマンがいるのだ。

 

将「グリッドマンの地元でも、俺の活躍宣伝していおいてくれよ…」

 

裕太「うん。」

 

将「…次に来る時は、裕太じゃなくて俺に宿れよ……そうじゃないと、別れが悲しくなるからさ……」

 

裕太「…わかった。」

 

泣きそうになっている将に裕太は…いや、グリッドマンはいう。

 

裕太(グリッドマン)「今度目覚める本当の裕太をよろしく頼むよ。」

 

そして、将に何かを手渡すと…彼らの前から去って行く。

 

六花「目覚めた響君は全部覚えてないのかな…?」

 

将「大丈夫だよ、そん時はまた友達になればいい。」

 

やがて、グリッドマンは裕太の姿から本来の姿『電光超人グリッドマン』に戻った。

 

グリッドマン「例え記憶がなくても、裕太の身体には刻まれている。そして…」

 

その時…

 

「ぐ、グリッドマン!!」

 

この空間に、もう一人の誰かが入って来た。

 

将「…おん?」

 

六花「えっ!?な、直喜!?」

 

直喜だった。

 

グリッドマン「直喜君。」

 

直喜「あ、あの…こ、この世界を……守ってくれて、ありがとうございました!!」

 

直喜はキレイなお辞儀をすると、グリッドマンにお礼を言った。

 

グリッドマン「私の方からも、君達へ礼を言わせていただきたい。」

 

そして、グリッドマンも将と六花、直喜にお礼を告げる。

 

グリッドマン「ハイパーエージェントを代表して、君達の協力に感謝する。」

 

直喜「…あっ、アレクシスさんは?あの後、どうなったの?」

 

グリッドマン「アレクシス・ケリヴは封印した。」

 

グリッドマンの右手には、キューブ状の赤い籠のようなモノがあり…そこに、火の玉のような姿となったアレクシスがいた。

 

直喜「…あっ……アレクシス、さん…」

 

多量のベンゼン成分を無理矢理注入され、自我を保てなかったアレクシスだったが…ベンゼキングが倒された事で、彼の中のベンゼン成分は全て取り除かれ、漸く正気に戻ったのだ。

 

グリッドマン「私達はハイパーワールドに帰還しなければならない。私達の使命は終わったのだ。」

 

グリッドマンの側には、新世紀中学生のメンバー達もいる。彼らも、元はこの世界の住人で無い…ハイパーワールドの住人なのだ。この世界に脅威が無くなった今…彼らは故郷へ帰らなければならなくなったのだ。

 

マックス「皆、本当によく戦ってくれた。」

 

ヴィット「ウルトラマンゼアスと六花ちゃんの大胆な行動にも助けられたね。」

 

ボラー「内海の下らない予想とか発想にはかなり振り回されたけどな!」

 

ボラーの足蹴りを、将は躱した。

 

ボラー「へへっ、でも楽しかったぜ?」

 

キャリバー「皆、一人じゃない…新条 アカネも……」

 

グリッドマン「君達が居なかったら、私は任務を成し遂げることはできなかっただろう…ありがとう。私は本当に信頼できる友達を持つ大切さを、改めて思い知った。」

 

将「お礼を言うのはこっちの方だ…ありがとうグリッドマン。」

 

六花「ありがとう、グリッドマン。」

 

グリッドマンにお礼を言う将と六花は、今度は直喜の方に振り向く。

 

将「ありがとう、ウルトラマンゼアス。」

 

六花「ありがとう、ゼアス。」

 

グリッドマン「直喜君、ウルトラマンゼアスにもよろしく伝えておいて欲しい…『本当にありがとう』と。」

 

直喜「…うん、わかった。」

 

やがて、彼らの身体は宙を舞っていく。

 

グリッドマン「それじゃあ、皆元気で!」

 

六花「さようなら…!」

 

将「さようなら!!」

 

直喜「ま、またね…グリッドマン…!!」

 

やがて、上にゲートが開き…グリッドマン達はそのゲートに向かって飛んで行く。

 

六花「あっ…アンチ君は!?」

 

キャリバー「アイツは来ない、仮を返せなくなった…」

 

六花「あっ……」

 

グリッドマン達がゲートに吸い込まれる直前…アレクシスが直喜に何かを言い掛けた。

 

 

 

『直喜君……幸せに…なるんだよ』

 

 

 

直喜の目には、そう言って優しく微笑むアレクシスが見えた気がした。そして、グリッドマン達がゲートに入って行くと…次の瞬間、辺り一面を目映い光が覆っていった。



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第139話 晴れた空の下で

グリッドマンが去った後、ツツジ台はいつも通りの日常に戻って行った。

 

 

 

その頃…直喜は、トラベルスフィアの中で…ウルトラマンゼアスと話をしていた。

 

ゼアス『これで、ベンゼン星人とレディベンゼン星人の野望は完全に断ち切られた。この世界に、平和が訪れたんだ。ありがとう、直喜君。例え血の繋がりが無くても、愛してくれる存在は必ず居る…その事を、僕は改めて実感できたよ。』

 

直喜『お礼を言うのは僕の方だよ…あの時、僕を選んでくれてありがとう…そ、それに……僕の相談に乗ってくれて…こ、この地球を守ってくれて……僕達に、希望と勇気をくれて……あ、ありがとう…ウルトラマン、ゼアス…!!後、グリッドマンが言ってた…本当に、ありがとう…って……』

 

ゼアスにお礼を言う直喜の目には涙が浮かんでいた。しかし、直喜は「泣くもんか」というように涙を拭った。

 

直喜『ゼアス…僕、泣いてないよ……ウルトラマンはずっと、僕達の心の中に居るって分かってるから……』

 

ゼアス『うん、直喜君は強いね。その優しさと強さに、僕は何回も勇気付けられたよ。直喜君、本当にありがとう。』

 

 

 

〚きっと、いつか…〛

 

〚必ず逢えるから〛

 

〚光の戦士たち〛

 

 

〚ずっと、それは…〛

 

〚君の心に生きてる〛

 

〚みんな大好きなウルトラマン〛

 

 

 

この世界を去って行った1人の少女の身勝手な思いで、訳ありのモブとして産まれてきた『神山 直喜』……しかし、数多くのウルトラマンと出会い、そこから彼の運命は大きく変わっていった……変わりたいと思って行動したが、変わる前に命を落とした……別の世界で勇気を出し、積極的に人と関わろうとしたが…不幸に見舞われ、再び命を落とした……やっぱり変われないと落ち込んだ時も、神は彼を見捨てなかった……再びこの世界に転生し、すっかり自身を無くしてしまった彼は、休む時間を貰って落ち着こうと思っていた……だが、いつの間にかツツジ台高校では人気者となっており、周囲には色んな人が集まってくるようになった……どれだけオドオドしていても、クラスメイト達からは温かく受け入れられた……空回りをしても、バカにされることは無く…温かい眼差しで見守られるようになった……この空間に居ることで、次第に安心できるようになってきた彼は…ありのままの自分で居られるようになった……そして、大好きなヒーローに出会い…一心同体となってこの世界を守って来た……挫折をしてしまっても、弱い自分と向き合い…時には無茶な特訓をし…周囲からは支えられ…1人前の戦士へと成長することができた……何より、周囲の者達と関わる事で様々な事を経験することができ……直喜自身も、成長したのだった。

 

直喜『あっ、そうだ…僕、六花ちゃんに伝えないといけないことが……!!』

 

ゼアス『それじゃあ、今から六花ちゃんの元に飛ばすよ?』

 

ゼアスはそう言うと、黄色い複眼を光らせ…『ウルトラワープビーム』を発動し、直喜をツツジ台高校へと飛ばした。

 

 

 

 

直喜「う、うわぁっ!?」ドテンッ!!

 

ツツジ台高校の屋上に、尻餅を着く直喜。

 

直喜「いててて…あれ、六花ちゃんは?」

 

ゼアス『もうすぐ来るよ。』

 

ゼアスがそう言うと、屋上のドアがガチャッと開く。

 

六花「あっ、いたいた♪」

 

そして、いつも通りの六花がこちらへやって来た。

 

直喜「…!!」ドキッ

 

しかし、いざ彼女を目の前にすると…胸の奥が熱くなって来るのを感じた。

 

直喜(が、頑張れ僕…!!六花ちゃんに、しっかり…伝えなきゃ!!)ドキドキ…

 

直喜は自分にそう言い聞かせ、六花に自身の思いを伝えようと伝えようとするが……

 

直喜(あ、あれ…?な、何で声が…出ないの?)

 

緊張し過ぎて声を発する事ができなかった。おっちょこちょいな性格である彼は、よく空回りする。こんな大事な場面でも、彼の個性は発揮する。

 

六花「どうしたの直喜?ほら、深呼吸してみて。」

 

直喜「はっ!?ヒッヒッフー…!」

 

六花「それは出産時の呼吸法だってwもう、直喜は面白いなぁ〜♪」

 

ケラケラと笑う六花を見て、漸く落ち着きを取り戻した直喜は…深く深呼吸をすると、自身の思いを彼女に語り始める。

 

直喜「り、六花ちゃん…!!」

 

六花「なぁに?」

 

直喜「あ、あのねあのね…僕…うんとね、僕……六花ちゃんから初めて声を掛けられた時ね…う、嬉しかったんだ…!」

 

六花「うん。」

 

直喜「り、六花ちゃんといっぱい話して…一緒に買い物したり、学校でお昼ご飯を食べたり…一緒にウルフェス行って……僕、本当に楽しかった…!」

 

六花「うん。」

 

直喜の話を遮らず、最後まで傾聴する六花。彼女は直喜に優しく微笑んでいる。

 

直喜「六花ちゃんはいつも、僕の事を考えてくれて……だから…僕ね、すっごく安心できたんだ…」

 

六花「うん。」

 

直喜「どんなに忙しくても、ずっと…僕の事を気にかけてくれて……僕…僕……ほ、本当に…ズズッ…う、嬉しかった……」

 

六花との思い出が蘇ってくると、直喜の目からは大粒の涙が零れ落ち始める。

 

直喜「そ、それでね…僕……生まれて初めて、六花ちゃんと一緒に居たい…って、思ったんだ……だから、だから……」ポロポロ…

 

『大好きです』、彼女に恋をしてから…ずっとずっと、伝えたかった言葉……だが、大好きよりも大きな気持ちが…直喜には芽生えていた。そして、決意をした直喜は…六花に大好きよりも大きな気持ちを伝えた。

 

 

 

直喜「六花ちゃん!!僕と…僕と……

 

結婚してください!!

 

 

 

大粒の涙を流しながら、六花に叫ぶように思いを伝えた直喜。

 

六花「…!!」

六花(あぁ…夢を見てるみたい……ずっと、直喜からの告白を待ってた…私、直喜と結婚できるんだ……)

 

直喜の思いを聞いた六花も、目にいっぱい涙を浮かべる。そして……

 

 

六花「はい…!」

 

 

直喜からの告白を受け入れた。晴れた空の下で今、六花は直喜に飛び付き、彼を強く抱き締める。直喜も六花を受け止め、彼女を優しく抱き締めた。こうして、直喜と六花は晴れて『恋人』になったのだ。その直後…

 

 

「ヒュー!!」「なおちー、よく頑張った!!」「よく言ったぞ神山!!お前は男の中の男だ!!」

 

なみこ「良かったね六花!!」

 

はっす「皆のアイドル直君が、遂に六花のモノになったんだ♪」

 

 

クラスメイト達が屋上に続々とやって来て、カップルになった直喜と六花を祝福した。

 

直喜「へぇっ!?み、皆…!!?…も、もしかして…聞いてたの?」(汗)

 

亜子「ずっと聞いてたよ♪」

 

蘭萌「なおちん、勇気を出して六花に告った自分を褒めてあげてね♪」

 

どうやら、六花が屋上に来た時から…クラスメイト達に聞かれていたようだ。その時…直喜から1つの光が現れると、それは段々大きくなり、人の姿になっていく。

 

さきる「あっ、ウルトラマンゼアス!!」

 

それは、グリッドマンと共にこの世界を守ったもう1人の英雄であり、直喜の大好きな…いや、彼のクラスメイト達の大好きな『ウルトラマンゼアス』だった。

 

ゼアス『ちゃんと思いは伝わったね!良かったね、直喜君!!』

 

直喜「…ゼアス。」

 

ゼアス『これで、僕の心残りは無くなった……またね、直喜君…またね、ツツジ台高校の仲間達…またね、僕の大好きな地球。』

 

そう言うと、ゼアスは上空を見上げ……

 

 

ゼアス「シェアッ!!

 

 

快晴の大空へと飛び立って行く。

 

直喜「ゼアス、ありがとー!!」

 

六花「ありがとう、ゼアスー!!」

 

遥か彼方の大空へ飛び去っていくゼアスに、お礼を叫びながら手を振る直喜と六花。

 

なみこ「ありがとうゼアスー!!」

 

はっす「ゼアスー!!大好きだぞー!!」

 

亜子「地球を守ってくれてありがとう、ゼアス!!」 

 

蘭萌「ゼアス、また逢おうねー!!」

 

さきる「またいつでも遊びに来てねー!!」

 

 

「さようならー、ゼアスー!!」「ありがとう、ウルトラマンゼアスー!!」

 

 

生まれ変わったこの地球を去って行くゼアスに、クラスメイト達は口々にお礼を叫びながら見送っていく。やがて、青空の中へ溶けていくように…ゼアスの姿は見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『きっと…』

 

『いつか…』

 

『必ず逢えるから…』

 

『光の戦士たち』

 

 

『きっと…』

 

『それは……』

 

『君の心にいるんだ!!』

 

『僕の大好きな…ウルトラマン…!!』

 

『みんな大好きな、ウルトラマン!!』

 

 

ベンゼン星人とレディベンゼン星人の野望を打ち砕いたウルトラマンゼアスは、故郷である星『Z95星雲・ピカリの国』へと帰って行った。

 

 

 

 

 

さらば、ウルトラマンゼアス

 

 

ありがとう、ウルトラマンゼアス



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最終話 全ての出来事には意味がある

いよいよ、この物語もフィナーレです。

直喜視点で語られます。


僕は、漸く…六花ちゃんに思いを伝えることができた。でも、今思えば……まだ15歳で『結婚してください』は、早すぎたかもしれないなぁ。それでも、皆は六花ちゃんと僕の事をいっぱいお祝いしてくれた。こうして、僕は六花ちゃんとお付き合いするようになったんだ。こいびと?になってからも、色んな所にお出かけした。うーん、『でーと』って言った方が正しいかもしれない…カフェでお茶したり、お買い物したり、映画も見たり、時には温泉に行ったり、水族館にもプールにも海にも行った……もちろん、ウルフェスも一緒に行ったよ。

 

 

これまで、僕はウルトラマンゼアスと一心同体になって数々の怪獣達と戦ったけど……もしかしたら、ゼアスは六花ちゃんと僕を繋げてくれた天使だったのかもしれない。本当に、大好きなウルトラマンには頭が上がらないなぁ。

 

 

激動だった高校1年生としての生活が終わり、2年生になった。六花ちゃんとおんなじクラスだったんだ。後、はっすちゃんと内海君、古間さんもいた。遠足や修学旅行で、いっぱい思い出作って…体育祭や文化祭でも、いろんな思い出を作ったんだ。そういえば、僕…最近テストで点が取れるようになったんだよ。分かんない問題があったら、真っ先に先生に聞きに行って、その後家で復習していたのが漸く実ったのかもしれない。どんどん成績を伸ばして、気が付いたら…学年トップになっていた。月日は流れ、僕達は3年生になった。運が良い事に、僕は3年間六花ちゃんとおんなじクラスだったんだ。3年生では、なみこちゃんと丸佐さん、響君もおんなじクラスだった。授業でも学校行事でも、僕は六花ちゃんといつも一緒…たまに別々の時はあるけれど、僕は寂しくない。だって、この学校で六花ちゃんと一緒だから。どれだけ離れていても、繋がってる。僕は教師になる夢を叶える為、難関の国立大学『皇帝大学』に一般入試で挑んだ。緊張はしたけれど、結果は合格…六花ちゃんも先生達も、クラスメイトの皆も一緒になって喜んでくれた。ちなみに、六花ちゃんも僕とおんなじ大学に合格…大学生活でも、一緒になれるんだ。何だか、安心するなぁ。後、怪獣優生思想の皆も喜んでくれた。六花ちゃんとお付き合いしていることを伝えると、皆は心からお祝いしてくれたんだ。

 

高校も卒業して、大学生になって…そこで、隆也君と再会した。隆也君は医者を目指して、皇帝大学に入ったんだって。それも、公募制推薦で合格して…やっぱり、隆也君は凄いなぁ。大学で常にトップの成績だし運動神経も抜群に良いし、とても敵わないや……でも、悪い気はしない…自分の夢を叶える為の勉強に、勝ちも負けも無いって僕は思っているからね。ちなみに、僕は文系で六花ちゃんと隆也君は理系。僕が目指すのは、社会科の教師…数多のウルトラマン作品をヒントに、独自の解説や考察をディスカッションでやってみたら、教授やゼミ生からは大好評だった。大学で勉強しつつも、六花ちゃんと隆也君と遊んだりもして…時々高校時代のクラスメイト達に逢えるのも、楽しみだった。僕は単位を1つも落とすこと無く、2年生、3年生に進級…教育現場実習を経て、4年生になった。六花ちゃんは看護師を目指して、頑張ってるんだって。隆也君も立派な医者になるため、頑張ってる。僕も2人を見習って、もっと頑張らなくちゃ。就職活動も履歴書作成や面接対策、インターンシップとかも大変だったけど…僕は、母校である東京都立ツツジ台高校に内定を貰った。他の学校からも内定は出てたけど、母校に行けるなんて…これほど嬉しい事は無いって思って、僕はツツジ台高校に行くことを選んだ。六花ちゃんも隆也君も無事に内定を貰って、ウルフェスの怪獣酒場で飲み会をした。怪獣酒場の店員さんも大喜びしてくれて、僕は…ううん、僕達は本当に嬉しかった。

 

やがて、楽しかった大学生生活も終わって…僕達は皇帝大学を卒業した。その後、僕はツツジ台高校に新人の先生としてやって来た。担当科目は『地理』、かつて僕の担任だった先生も居て、何だか少しだけ安心した。教師になっても、僕のおっちょこちょいな部分はよく出ちゃう…焦って空回りしちゃう事も多いけど、それでも周りがフォローしてくれたり、悩み事を聞いてくれたりして、僕は安心して働ける。

 

女教員「神山、宝多とはどうなんだ?」

 

直喜「はひぃっ!?えっとぉ…お、お付き合いしてます…!」

 

女教員「結婚願望とかあるのか?」

 

直喜「は、はい…!その為に、早く1人前になりたいです…!!」

 

女教員「そっかそっか、だが焦らなくても良い…ゆっくり少しずつ覚えていくんだぞ?」

 

事務作業が漸くまともに出来るようになって、僕はいよいよ生徒達を教える側に……あ、そうそう…ツツジ台高校では、『ウルトラマンゼアス』が有名になっていたんだ。資料館みたいなのも出来ていて、生徒達は皆興味津々だった…何しろ、本物のウルトラマンゼアスが…かつてここに来ていたからね。僕がゼアスだったのは、内緒だよ?最近は、生徒達からはドジっ子キャラとしてイジられる事があって…もはや、それはお約束になっていた。『なおちー先生』っていうニックネームがついていたけど、悪い気は全然しない。寧ろ、ニックネームで呼ばれると…不思議と嬉しく思う。何でだろう、まぁ嬉しく思えるならそれで良いや(笑)。

 

社会人になっても、六花ちゃんと隆也君とは頻繁にLI◯Eでやり取りをしてる。近況報告や愚痴、時にはオンライン飲み会もやったりしてる。隆也君も念願の医者になる夢を叶えて、どんどん腕を上げていっている。六花ちゃんも看護師になって、多くの患者さんの支えになっている。勿論、僕の支えにもなってるよ?頑張っている2人を見ると、こっちも元気が貰えるんだ。どんなに挫けそうになっても、2人が居てくれるから…良い人達に巡り会えたから、僕は頑張れる。だから今度は僕が、誰かの支えになれるよういっぱい頑張らないとね。

 

2年が経ち、1人前の教師になれた頃…僕は、六花ちゃんの家に結婚の挨拶に行った。六花ちゃんママも六花ちゃんパパも六花ちゃんのお兄さんも優しい笑顔を見せている。しっかり挨拶しないとね。

 

直喜「お、お義母様…お義父様…お義兄様……む、娘さんを僕にください!!必ず幸せにします!!」

 

織江「アタシは大賛成よ♪」

 

六花父「そうだ、直喜君。良ければ、私達の婿養子にならないかい?私も君を本当の息子だと思っているし、六花が信頼しているなら、私達も安心できるから。」

 

織江「直喜君が息子になってくれたら、アタシも嬉しいよ!!直喜君、ウチの子になっちゃいなよ♪」

 

六花兄「俺にも弟ができるんだ、直喜君のような優しい弟だったら嬉しいな。直喜君、家族になろうよ。」

 

そうだ…僕には、身寄りが居なかった……両親も親戚も誰も居ない。六花ちゃんパパと六花ちゃんママ、六花ちゃんのお兄さんの言葉を聞き、僕は…宝多家の婿養子になった。これからは、神山 直喜ではなく…

 

 

『宝多 直喜』

 

 

…として生きていくんだ。

 

 

そして、今日は…六花ちゃんと僕の結婚式。予め式場やドレスとかを決めて、盛大な結婚式をやることにした。

 

スタッフ『それでは、新郎新婦の入場です。皆様、大きな拍手でお出迎えください!』

 

沢山の人から大きな拍手をされながら、六花ちゃんと僕は入場した。会場には、隆也君が居た。夢芽ちゃんと蓬君も、暦さんとちせちゃんも、ジュウガ君とオニジャ君とムジナちゃんとシズム君も、ナイトさんと2代目さんも、響君となみこちゃん、内海君とはっすちゃん、古間さんとタツミ君、丸佐さんとユタカ君も…僕と関わってくれた人達が、みんな居る。

 

隆也『直喜、結婚おめでとう!!絶対に…うっ、くっ…ッ!!ぜっだいに…幸せに、なるんだぞ…!!後、六花を悲しませちゃ…ダメだからな!!』

 

隆也君は涙を流しながら、僕達の結婚を喜んでくれた。

 

なみこ『六花、結婚おめでとう!結婚するからには、直喜といつまでも…いつまでも、仲良くね…クスンッ…直喜を悲しませたら、許さないよ…!!』

 

なみこちゃんも涙を流しながら、僕達の結婚を喜んでくれている。そして、いよいよ誓いのキス……後、指輪交換も。

 

神父「夫たる者よ。汝、健やかなる時も、病める時も、常にこの者を愛し、慈しみ、守り、助け、この世より召されるまで固く節操を保つ事を誓いますか?」

 

 

直喜「誓います!!

 

 

神父「妻たる者よ。汝、健やかなる時も、病める時も、常にこの者に従い、共に歩み、助け、固く節操を保つ事を誓いますか。」

 

 

六花「誓います♪」

 

 

神父「では、指輪の交換を。」

 

僕は六花ちゃんと指輪を交換した後、誓いのキスを交わした。あ、僕達の結婚式に変な人が乗り込もうとしてたって風のうわさで聞いたんだけど…それは阻止されたんだって。誰が止めてくれたのかは、分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転生者 D『畜生!!あそこには本来、ボクが立つ筈だったのに!!』

 

オリシス『人の幸せをぶち壊そうとするとは、外道の中の外道がすることだ。』

 

マート『アンタみたいな自己中野郎に、幸せになる資格は無い。さ、ゲームは終わりよ?』

 

転生者 D『〜〜〜〜ッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結婚して、宝多家の家族になった僕は…六花ちゃんと一緒の部屋で過ごす事になった。でも、今日は何だか緊張してしまう…だって、子どもってコウノトリさんが運んで来るって言うじゃん?あれ…?そう思ってるのは、僕だけ???

 

六花「どうしたの、直喜?」

 

直喜「へぇっ!?り、りりり六花ちゃん…ど、どどどどうして…服、着てないの!?」アワアワ

 

六花「夫婦なんだから良いじゃんw」

 

直喜「えぇっ!?えっ、そ…そっか……」コテンッ…

 

六花ちゃんはニコニコしながら、僕の布団に入って来る。い、今の六花ちゃん…し、下着姿で……ああああ!!ぼ、僕は一体何を言ってるんだ!?僕のバカバカ!!

 

六花「私は直喜のモノになったんだから、好きにして♪」

 

直喜「…うぅ……」

 

僕は男だ…ここで、腹を括らないと……

 

 

直喜「り、六花ちゃん…だ、大好きだよ…!!///」

 

 

六花「私も、直喜のこと…大好きだよ♡///」

 

 

こうして、同じ家の1つ屋根の下で、僕は六花ちゃんと………

 

1つになった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、数年後…六花ちゃんと僕との間に子どもが産まれた。男の子と女の子だよ。2人共とっても可愛い…男の子は幸喜(こうき)、女の子は(ひかり)って名付けた。六花ちゃんと一緒に決めた名前なんだよ?初めての子育てにあくせくしながら、僕は六花ちゃんと一緒に色んな困難を乗り越えた。ある日……

 

オニジャ「直喜ィ、差し入れ持ってきたぞ!!」

 

直喜「あっ、ありがとうオニジャ君!!」

 

オニジャ君を先頭に、怪獣優生思想の皆がオムツやミルクとか、ベビーベッド等を持ってきてくれた。怪獣優生思想の皆は、今もずっと…僕達の力になってくれている。円盤生物を出した時はビックリしちゃったけど…幸喜も光も全く怖がってなかった(汗)。泣くどころか、「キャッキャッ!」って笑ってる。円盤生物って、赤ちゃんをあやすの上手いんだなぁ……

 

六花「ねぇ、皆はさ…どうして私達にここまでしてくれるの?」

 

ムジナ「直喜の幸せは私達の幸せ…直喜は私達のベストフレンドだもん。」

 

シズム「困った時は、お互い様って言うでしょ?」

 

六花「でも、シズム君達に何も返せてないよ?」

 

ジュウガ「いえいえ、直喜の笑顔を見れれば俺達はそれで十分です。」

 

オニジャ「そうだぜ?俺達は直喜の力になれりゃあそれで良いんだ。」

 

六花「そ、そうなんだ…」汗

 

怪獣優生思想の皆の言葉に、困惑する六花ちゃん。ここまでしてくれると、流石に申し訳無いって思うけど……最近、4人は探偵事務所を立ち上げたみたいで、色んな人達の役に立っている。尋ね人を探したり、身辺調査とかがお仕事なんだって。

 

ピンポーン♪

 

六花「私が出てくる。」

 

直喜「うん、お願い。」

 

幸喜と光の面倒を僕が見て、六花ちゃんはお客さんを出迎える。

 

六花「…あっ。」

 

夢芽「こんにちは。」

 

蓬「直喜君、これは俺達からのお祝いだよ!」

 

やって来たのは、夢芽ちゃんと蓬君。子どもが産まれたお祝いとして、玩具とかを持ってきてくれた。

 

六花「ど、どうも…」汗

 

何でだろう…六花ちゃんは、苦笑いを浮かべている。

 

夢芽「私には蓬がいる。直喜を略奪しようだなんて、思ってないよ。」

 

六花「うぇっ!?」ドキッ!?

 

夢芽「折角直喜が幸せになったんだもん。邪魔しちゃいけないじゃん?だから安心して?」

 

六花「……。」

 

夢芽ちゃんと蓬君は結婚している。今、夢芽ちゃんは妊娠したばっかりなんだって。響君はなみこちゃんと、内海君ははっすちゃんと結婚して夫婦になっているんだ。古間さんも丸佐さんも結婚して子どもが産まれている。暦さんも最近結婚して、ちせちゃんは現在交際中の彼氏ができたんだよ。ちなみに、僕の親友である隆也君も結婚して1人の子どものパパになっているよ。隆也君、今では大病院で名医としてその名を轟かせてる。六花ちゃんの病院通いや出産時には、隆也君が勤めてる病院にお世話になった。まぁ、今もお世話になってるんだけどね(笑)。

 

織江「あらあら、今日は賑やかね〜♪」

 

そこに、外回りを終えた六花ちゃんママ…じゃなくて、お義母さんが帰って来た。

 

直喜「お、おかえりなさい…お義母さん。」

 

織江「うん。ただいま、直喜君♪」

 

お義母さんは僕の腕の中で笑う幸喜と光を見て、優しく微笑む。

 

織江「ほら、幸喜君は目元が六花にそっくりだし…光ちゃんは直喜君にそっくりね♪」

 

その時、突然光が泣いてしまう。

 

光「ほぎゃあっ!!」

 

六花「あ、はいはいどうしたの〜?」

 

泣き出してしまった光を、六花ちゃんが抱っこしてあやしはじめる。すると、小さくなったサタンモアが小鳥の鳴き声を発して、六花ちゃんの補佐を行う。そこに小さくなったブラックドームが、ガラガラを鳴らし始めた。まもなく、光は泣き止んで笑顔を見せた。小さくなったブラックテリナは、幸喜にいないないばぁを披露し、小さくなったノーバは毛布のように幸喜を優しく包む。幸喜は「あんぶー!」と笑い、ご機嫌になる。

 

織江「いやぁ、このペットちゃん達不思議だねぇ?でも助かるよ~♪」

 

直喜「ぺ、ペット……」汗

 

お義母さんは円盤生物をすんなり受け入れていた。六花ちゃん曰く…昔から懐が大きくて、許容範囲もすっごく広いんだって。やがて、お客さん達も帰って僕達は家族の時間を過ごす事に…お義兄さんは大手企業に就職していて、家にお金を入れてくれている。

 

義兄「直喜君と六花に苦労させるわけにはいかない。」

 

お義兄さんは口癖のようにそう言っている。大人になっても、僕は誰かに支えられて生きている。だから今度は、僕が誰かを支えられるようにならないとね。

 

 

 

更に数年が経ち、幸喜と光は5歳になった。2人共、ウルトラマンやウルトラ怪獣が好きになっている。

 

幸喜「パパ〜、ウルトラマンってどこにいるの?」

 

直喜「ウルトラマンはね、宇宙の平和が来るまでパトロールをしてるんだよ?今度、ウルトラマンショーがあるから見に行く?ウルトラマンに逢えるんだよ?」

 

幸喜「ホント!?うわぁい、パパだいすき!!」

 

光「でも、ウルトラマンってほんとうにいるの?ねぇママ、ママはウルトラマンにあったことあるの?」

 

六花「勿論、だってパパ…昔はウルトラマンだったんだから♪

 

六花ちゃんはそう言って微笑む。すると、幸喜と光が目を輝かせて…

 

幸喜「パパ、このまちをまもってくれたウルトラマンのおはなしきかせて!!」

 

光「ひかりもききた〜い!!」

 

…と、僕にお願いしてきた。僕は喜んで、ツツジ台を守ってくれたウルトラマンゼアスの話を聞かせた。

 

 

 

夜になって、子ども達が眠った頃…僕は六花ちゃんと一緒の布団に入った。間には幸喜と光がいる。

 

六花「直喜…私、今すっごく幸せ。直喜はどう?」

 

直喜「僕も幸せだよ、すっごくね。」

 

アカネちゃんがこの世界を去った後、僕に手紙を残していった。そこには…

 

 

直喜君、絶対に幸せになってね?遠くから応援してます。

 

 

…と、書かれていたんだ。アレクシスさんも確かに『幸せになるんだよ』って、僕にメッセージを残した。アカネちゃん、アレクシスさん……僕は今、とっても幸せだよ。

 

 

六花「直喜、私達はずっと一緒…この先、おじいちゃんおばあちゃんになってもね♪」

 

直喜「うん、そうだね。」

 

六花「じゃあ、おやすみ…直喜、愛してるよ♡」

 

直喜「うん、おやすみ…僕も愛してるよ、六花♡」

 

 

色んな出来事があったけど、それは…幸せになるための道だったんだ。どれだけ失敗しても、どれだけ空回りしても…その日の出来事には、全ての出来事には、必ず意味がある。例え血の繋がりが無くても、自分を愛してくれる人は必ず居る。

 

 

僕は、1人じゃないから

 

君は、1人じゃないから

 

 

 

 

 

〜fin〜




ED〜ASH DA HERO『Everything』〜♪


これにて、『駄目な部分が目立つ転生者が、何故か周りから好かれる話』は完結致しました!!

皆様からいただける感想は、励みになりました。ご指摘もありがとうございました。お気に入りが200を超えた時は、ビックリする程嬉しかったです!

この物語を最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました!!m(_ _)m


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