かち込め!!ヒャッハー爆走族!! (西野レイラ)
しおりを挟む
対決 革命思想集団!!
平等なんざいらねえ
正当性なんざいらねえ
強いやつが勝つんだ
それだけでいいじゃねえか
「ヒャッハーここは俺たちの縄張りだぜー」
暴力革命により既存の構造を破壊し、貧富の差を逆転せんとする、過激組織NUKODMM(Natural Utopia Kingdom of Democracy Mortal Military)が徒党を組んで、資産家の家や商店から略奪を繰り返しては練り歩く地獄絵図。
しかし、ダバダ州最大のバイクギャング『ヘルデビル』の軍勢が、その進路をバイクで阻んだ。
「ヒャ↑ッハー↓!! 悪魔を差し置いて地獄を我が物顔で歩くたあ、太ェ野郎だなぁ!! ハーハッハッハッ」
ヘルデビル20代目族長、スゲイヨ・オーレツョイは、空に吸い終えた
その威圧感は、コムギクニ共和国のギャング5000人を束ねる王に相応しい
先程までやりたい放題だったNUKODMM、通称ヌコダムは沈黙した。
しかし、ヌコダムの中から顔中に夥しい数のピアスを付けたラッパー風の男が出て来て騒ぎ始めた。
どうやら自分たちは『正しき民意』に基づき革命を起こしていると言いたい様だが、如何せん早口過ぎて常に二日酔いのヘルデビルのメンバーには聞き取れなかった。
が、しかし────
「五月蝿えよ」
ヘルデビル副長、アィーツゥ・ヤーヴェイが投げた
「行くぞ野郎共!!」
バイクの軍勢は、良識派を気取るテロリストに向かって特攻した。
全員飲酒運転でフルスロットルのエグゾーストを金切り上げるヘルデビルのメンバーだが、事故る様な弱者はこのチームにはいない。
ヌコダムの有象無象を男女活動家ゴロツキ関係無く弾き飛ばす
スゲイヨは
「付いて来いや」
その刺激をアィーツゥ以下のメンバーが受け取らない筈が無い。
「「「「
マフラーが震え、ガスが吹き、スポークは軋み、焦げた路面は熱を放つ。
地獄絵図を連れて来た人間達は、真の地獄の住人に恐怖した。
銃で対抗しようとするが、そんなものは無駄だ。
中には今更対話で自分達の正当性を主張する者もいるが、そんなものも無駄だ。
「テメーらに悲しい過去があっても知ったことじゃねぇよ」
今更被害者ぶりだした男に対して、アィーツゥ・ヤーヴェイの従妹である特攻隊長マカセェーナ・ウチガボコッゾが、超絶美技で縦回転するバイクから踵落としをかます。
「うっ美しい白…」
男は謎の言葉を呟いてその意識を失った。
『正しき民意』をスローガンに、コムギクニを席巻する勢いで加速していたヌコダム運動だったが、世界にその運動を広げる寸前で、地方で勢力を示すバイクギャングに止められた。
「「「「「ヒャッハー」」」」」
『正しき民意』という錦の御旗は、とうの昔に踏み潰されている。
組織の旗を持った奴は、組織の顔である。
当然最初に狙われる故に、その覚悟が必要だった。
スゲイヨにはその覚悟はとっくに出来ていた。
しかし、ヌコダムのダバダ方面担当指導者は、自分の所までアィーツゥとマカセェーナが切り込んでくると、驚いて旗を捨てて逃げてしまった。
マカセェーナはその旗に火を灯した煙草を落として燃やし(彼女自身は
スゲイヨ達は、ヌコダム参加者が全員戦意を失うまでバイクで踏み続けた後、近くの崖から纏めて投げ捨てた。
ダバダ州に何時もの日常が戻って来た。
ダバダ州の人々もホッとしたのか、家から出て来ている。
スゲイヨは叫んだ。
「おいてめえら、酒持ってこい!!
後はこの辺りの美人を10人連れて来い!!
全員抱いてやるわ!!
ハーハッハッハ!!」
ダバダ州に騒がしくて過激な日常が戻って来たのだ。
スゲイヨ・オーレツョイ
酒とバイクと女が大好きな大胆不敵豪快不遜やヘルデビルの首領。
ダバダの美人は半分ほどスゲイヨが食ってる。
バイクは古くても良いが、女は毎回乗り換える方が楽しめるクチ。
処女厨の陰キャには嫌われているが、どのみち彼らでは美人には縁が無いだろとはマカセェーナの談。
因みにマカセェーナには手を出していない。
痩せるとクソイケメンなのに、今はクソ太ったゴリラみたいな体型。
クソ強い。
アィーツゥ・ヤーヴェイ
ヘルデビルの鬼の副長。
元々は名家の出。
医師免許と弁護士免許を持ち、計算が得意。
厳格な制裁を強いて配下を制する。
実家は有名な政治家であり、警察がヘルデビルに手を出せない理由の一つが彼。
従妹のマカセェーナを気に掛けており、彼女が心配でヘルデビルに入った後に頭角を表してNo.2に。
マカセェーナ・ウチガボコッゾ
元々はお嬢様。
スゲイヨに憧れてヘルデビルに入った。
スゲイヨに憧れてバイクを練習した。
スゲイヨに憧れて葉巻を買ったが、葉巻は吸えない。
スゲイヨに憧れて彼の実家の道場で黒帯になった。
容姿はバツグンでモデルとしてよくスカウトされるが、それを専業にする気は全く無い。
従兄のアィーツゥは過保護な奴だと思っている。
インナーは白しか使わない。
この世界のバイクやお酒や煙草には何処かで聴いたことがある様なものがありますが気の所為です。きっと気の所為です。
だってスペルだって違うもの。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
対決 過激信教団体!!
ヘルデビルは、チュットゥ地方にいた。
それはサトウテルヲ率いるテルヲリスト教徒による支配と対決する為だ。
ヘルデビルを差し置いて最強を名乗るテルヲ教徒は、テルヲ
テルヲ王国は、バイクに乗り爆走する事を死刑とする法律を作った。
それはテルヲ教典において、【地獄の悪魔が鋼の馬に乗ってやってくる。信徒はこれを打ち倒すべき】と書かれているからだ。
教典に書いてあるならば、原理主義的にそうあらねばならない。
逆らう者には無慈悲なる制裁を。
これがテルヲ教徒のやり方だった。
ヘルデビル
彼らにはテルヲ教徒の在り方が許せなかった。
同じバイク好きがバイクと共に焼かれる様を、公開された動画で見せられて、許せる筈も無かった。
その動画を知ったメンバーはチームの溜まり場に集まった。
スゲイヨなら俺達を率いてテルヲをブッ殺してくれると。
しかし肝心なスゲイヨはいなかった。
次の日も、その次の日も姿を見せなかった。
「なあ副長、カシラはどこにいるんでぃ?」
アィーツゥは冷静に答えた。
「リーダーはあの動画を見てカンカンだ」
そう言いながらアィーツゥは
「でも、カシラの
「はっ、モンスターなのはバイクじゃなくあの人の方だ」
そう言ってアィーツゥは天井を見上げた。
きっととっくにチュットゥのゴロツキどもをのし上げて、現地の女共を抱きまくって、現地の処女厨を泣かせているだろうなと思いを馳せながら。
その半日前の事。
チュットゥにスゲイヨは居た。
チュットゥには既にテルヲ王国が定めた秩序がある。
則ち、テルヲ教の秩序を破壊すれば、その秩序の維持者であるテルヲ王国体制側が引き出せる。
そこまでは考えてはいなかっただろうが、スゲイヨは日中から酒を飲み、女とヤり、バイクに乗っていた。
テルヲ教の戒律という戒律を破戒しつくす様は、過激派でない一般のテルヲ教徒の住民にさえ不快感を抱かせるのには十分だった。
文句を付けてくる奴がいればボコボコにして、苦情を言う奴がいればボコボコにした。
秩序を破壊する行動こそ、新しい秩序となり得る。
それは本来、テロリズム的な行動であったが、スゲイヨはそこまでは考えてはいなかった。多分。
テルヲ王国の警察(兼軍人)である戦闘要員がスゲイヨに近付く度に帰って来なくなった。
頭の形が変形していたり、足が一周回っていたりしてるから、そりゃあ帰っては来れなかったのは仕方ない。
スゲイヨは適当に歩いて、未だに晒し者にされていたバイカーの死体とバイクを見つけると、そこに立ち止まり黙礼した。
近くの男の胸倉を掴み、死者にこっそりバイクを提供したであろう店を聞き出すと、死体を引っ張って店に乗り込んだ。
「ジジイ、バイク寄越せ」
これ以上説明は要らなかった。
スゲイヨは強引に店主から
「異邦の者よ、どうか息子の仇を…」
その老人の言葉は、
テルヲ王国正門前の警衛所。
急接近するエグゾースト音と共に、警戒度はレベル
「車種は分かるか!?」
「えっと…っ、確か、DRAG-ON・STERの車だったな。ヤマバの」
エグゾースト音はそうしている間にも大きくなって来る。
「奴は今何処に!?」
現場の長がそういった途端、そいつの頭が踏み潰された。
空から降って来たバイクによって。
「SHHiiiiiii グッナイファッキンガイ」
スゲイヨはそのまま長に報告していた男を掴むと近くにいた別の男に投げ付けて、そのままバイクを加速させると、ドアを突き破って奥へ進んだ。
テルヲ王国の最深部まで、経典にある教えをモチーフにした高級な扉を幾つもブチ破り、スゲイヨは進んだ。
歴戦の傭兵の様な男を即座に挽き倒し、指導層らしき貧弱な老年の男が何か言い掛ける前にタコ殴りにした。
そして、この日テルヲ王国は一斉放送と共に消滅した。
「テメーらの信条なんざFUCKだ。俺もお前らもFUCKだ。どいつもこいつもFUCKなんだから、好きにFUCKして好きに死ね。
お前らがFUCKしなくても俺は勝手にFUCKするぜ!!Yo-Ho-!!」
その宣言の通り、この地域の女100名と1日で犬の様にFUCKして、酒という酒を飲んで、バイクで爆走した男は、秩序を壊す事によって、新たに自由という秩序を打ち立てた。
以後、この地域は酒とバイクと風俗の町として、後世に受け継がれる事となった。
目次 感想へのリンク しおりを挟む