原神にTSロリが転生した話 (ナマス)
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プロフィール

アンケートで沢山の人が要望してくれたプロフィールを作りました
これからも随時追加していきます


プロフィール

 

レア度

 

 星4

 

名前

 

 アルジェンド

 

使用元素

 

 氷

 

使用武器

 

 長柄武器

 

武器種類

 

 鉾槍

 

 

 

 

 

通常攻撃

 

 我流槍術

 

 最大7連続攻撃を行う

 

一撃目 73.5%

二撃目 69.5%

三撃目 58.4%

四撃目 60.2%

五撃目 69.9%

六撃目 78.5%

七撃目 93.8%

 

 

 

元素スキル

 

 氷結の礫

 

前方に氷の礫を投げつける

命中した相手に氷元素ダメージを与え、防御力-15%

最大3発まで連射可能

使用時、氷元素を自身に付与する

 

礫ダメージ 115.2%

 

 

元素爆発

 

 

 銀色の槍

 

前方に氷元素を圧縮した槍を投げつける

命中した敵に氷元素ダメージを与え、凍結状態にさせる

この凍結反応は水元素が付着していなくても起こす事が出来る

自身に氷元素を付与する。この氷元素は元素反応によって無くすことは出来ない

これは敵を貫通する

 

槍ダメージ 623.9%

 

固有天賦

 

 溜め込む氷

 

自身が元素スキル又は元素爆発を使用した

もしくは、氷元素が付着しているとき

極寒ゲージがたまっていく

 

 

 凍える体

 

自身に氷元素が付着しているとき

会心率+25%

会心ダメージ+25%

氷元素ダメージ+45%

 

 

 寒さへの抗い

 

自身の極寒ゲージが半分以上たまっている時

攻撃力+20%

防御力+20%

 

 

 料理上手

 

料理を手動でする際、『美味しく』出来上がる範囲が広くなる

 

命ノ星座

 

 無し

 

キャラクターストーリー1

 

 彼は普通に生きていた

 特にこれといった特筆すべき点は無く、何処までも普通の青年だった

 彼自身もそう思っていたのだ

 だが、その認識は簡単に覆る

 

キャラクターストーリー2

 

 彼は死に、『彼女』になった

 最初は訳もわからず、自分が何故死んだのかすら分からなかった

 戸惑い、嘆き、泣き叫んだ

 暫くして、このようなことをしても意味のないことに気がつくほどには落ち着きを取り戻し、森の中を歩き始めた

 

キャラクターストーリー3

 

 歩き初めてすぐ、何かの物音が聞こえた

 動物かと思い、身を潜めているとそれは見えた

 仮面を被った小柄な生命体

 赤色のピョンピョンはねている生き物

 それには見覚えがあった

 

キャラクターストーリー4

 

 『原神』と言うゲームを彼はやっていた

 ストーリーを現時点まで進め、イベントに参加する程度にはハマっていた

 そのゲームで出てくる敵、ヒルチャールとそっくりの外見をしていたのだ

 彼は混乱した、何故現実でコイツらが存在しているのか、と

 もう少し近くで見ようと近づくと

 パキッと枝を折る音がして、居場所がバレた

 すぐさまその場から逃げ出し、方向も定まらぬまま、走っていった

 走って、走って、走った先にいたのは

 金髪のショートカットに白色の服を着た『彼女』だった

 

キャラクターストーリー5

 

 彼女と出会ってすぐ、パイモンが釣れた

 その後、モンドにパイモンが案内してくれている時に風魔龍に出会ったりもした

 それから彼女とは沢山のことをした

 風魔龍と戦ったり

 復活した魔神と戦ったり

 稲妻の国を統治する神と戦ったりした

 かなり戦ってばっかりだったが、色々な国に行き沢山の人と出会った

 これからも彼女との旅はしばらく続くだろう

 しかし、俺はずっと着いていく

 優しくて強い彼女と胸を張って隣で歩けることを目指して 




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モンド編


原神のTS物が無かった.........


 朝、起きてまずは顔を洗いにいく

 洗面所の鏡には寝起きで不機嫌そうな銀髪の美幼女が見える

 目は少しタレ目で綺麗な碧眼をしている

 

 『俺』だ

 

 何故こうなったのか、今更ながら回想していた

 

 

 

          ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 俺は気付いたら転生していた

 前世での死因は思い出すことは出来ない

 いつの間にか草原にいたのだ

 そこから少し歩き、七天神像を見たときに、この世界が『原神』世界であることを知ったのだ

 それから色々あり、兄を探す『原神』の主人公である蛍と出会って相棒であるパイモンを釣り、風魔龍と出会い、偵察騎士であるアンバーに自由の都であるモンドに案内してもらい色んな事件に巻き込まれた

 

 それは蛍と一緒に璃月港にいったり稲妻にいったりしても変わらなかった

 しかし、色々な人と出会うことができ、様々な経験にもなった

 

 今現在、俺と蛍とパイモンはモンドにある家で暮らしている

 次の国に行けるまで、今まで会った色々な人と関わって行きたいと俺が提案したからだ

 勿論、璃月に行ったりするときは旅館で泊まっている

 そんな中、俺は俺らしく生きるために必死でこのテイワットを生き足掻いているのだ

 

 

 

     ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 寝ぼけ眼を擦りながら今までの記憶を思い出していく

 顔を洗い終わったら台所へ行き、朝ごはんを作る

 自分の背丈はお世辞にも高いとは言えないため、何時も台を使っている

 朝はパン派なので今日は漁師トーストを作ろうと考え、材料を用意していると

 トン、トン、と階段を降りる音が聞こえてくる

 蛍が起きてきたのだ

 パイモンの場合は浮いているため、足音は聞こえてこない

 

「ふぁぁぁぁ~..........おはよう、アル」

 

 アルジェント、それがこの世界での俺の名前だ

 確かどっかの国の言葉で『銀』という意味だったはず

 心は男だが性別は完全に女の為、少し違和感を感じる

 私的な感覚だが、あまり女の子っぽい名前ではない、と思う

 

 それでも少しでも女の子っぽく呼ぼうとするために『アル』という愛称を流行らせた、未だに眠そうに目を擦りながら挨拶してくる相棒に

 

「ーーおはよう、早く顔洗ってこいよ」

 

 と、挨拶を返しておいた

 蛍が起きてくる、と言うことはそろそろパイモンも起きてくる頃合いだろう

 お腹もすいているだろうし、出来るだけ待たせない為にも張り切って漁師トーストを作っていく

 あと、最近モナの様子も見ていない、今度、手料理を持って生存確認をしなければ

 そんなことを考えながら、いつも通り美味しそうな漁師トーストが完成した

 

 新しい1日が今日も始まる




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モンドの街中

想像以上に見てくれる人が多かったので再び
皆さん、TSに飢えすぎでは……..?

それと注意
作者自身、書きだめが全くないので書き終わったら即時投稿となります
よって不定期ですが、できるだけ早く投稿していこうと思います


 蛍とパイモンと一緒に朝ご飯を食べた後、材料を持ってモナが住んでいる貸家に訪れることにした

 普段彼女がよく食べている料理といったら『満足サラダ』だが、たまにはもう少し贅沢な料理を食べてもいいと思う

 と、いうわけで

 

 今、俺が持っている材料はラズベリー、小麦粉、鳥の卵だ

 わざわざ外で取ってきたのだ

 この食材を使って『午後のパンケーキ』を作ろうと思う

 本来ならもう少し手間のかかる奴にしようかと思ったが、この前遠回しに嫌いな食べ物を聞いてみたところ

 

「…値段が高くて手が届きにくい食べ物です、だって、その…モラを不必要なまでに使って食欲を満たすのは、低俗で忌避すべき行為ですから」

 

 と、ご本人が言っていたため、お手軽で美味しい『午後のパンケーキ』を作ろうと思う

 『午後のパンケーキ』はノエルにも教えてもらいに行った得意料理なので少しテンションが上がっている

 モナは最近色々と忙しそうにしていたため、あまり訪れることができなかったが、ようやく一段落したらしい

 正直なところアポをとっていないので、何か用事があった場合は仕方ないと割り切り、別の忙しくない日にでも行くか、料理だけでも鹿狩りの横にある場所で作って届けるかしよう

 

 鼻歌を歌いながらモナが住んでいる貸家に到着した

 コン、コン、コンと規則正しいノックをすると

 

「どちら様ですか?」

 

 と返事が来た

 

「アルジェンドだ、最近忙しそうだったらしいから、生存確認とお昼を作ってあげようと思ってきたぞ」

 

「本当ですか!?ちょうどお腹が空いてたんです!どうぞ入ってください!」

 

 まあ、今はちょうど12半前後、お昼時である

 お腹が空くのは当たり前、俺だってお腹が空いているのだ

 

「失礼しまーす」

 

 ドアを開ければ少々、いや、かなり散らかった様子であった

 …………ご飯作り終わったら、部屋の掃除もしてあげよう

 そんな決意をしながらガランとしているキッチンに向かった

 相変わらず良くも悪くもモノがない

 整理整頓されているといえば聞こえはいいが、そもそも凝った料理を作らないらしいので調理道具は包丁とまな板とボウル、それと調味料ぐらいしかない

 

 まあ別に、『午後のパンケーキ』を作る上ではあまり関係のないことである

 必要なのがこのキッチンにあるものですむのだから、いかにこの料理がお手軽であるかわかる

 それにノエルが作ったものは本当に美味しい

 俺もあの味を目指してはいるがなかなか厳しいのが現実だ

 腕をまくり、いらない箱を台がわりにして足りない身長を補いながら料理を作り始めた

 

 

 

                〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 無事に料理ができ、美味しそうに食べるモナを見て自分も嬉しくなってくる

 

「相変わらず料理が上手ですね、蛍と一緒にレストランでも経営したらどうですか?」

 

「俺と蛍はずっと旅人だよ、色々な場所に行って、色々なものを見に行くのさ、でも」

 

 蛍も、兄を探さなきゃだろうし

 俺自身も、この『原神』原作知識があるからといっても、そこまで詳しくは知らない

 キャラストーリーとか、あまり見てないし

 まだ、第二章までしかメインストーリーも出てないし

 

 だからこそ

 

「いつか、全てが終わった時にゆっくり考えておくよ」

 

 全ての謎が解けた時、俺と蛍で、何をするのか

 それを好きなように考える事ぐらいは、してもいいのではないだろうか




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1日でお気に入りがつきすぎて驚いています
しかし、感想も評価もなしでお気に入りだけ増えていくのは少し不安に感じます
何か少しでも、良いところや直して欲しい所があれば感想どんどん言ってください
そして、この作品読んで感じた評価も是非ください
よろしくお願いいたします


 普通、男だったらどんな服を着るだろうか

 前世からあまりファッションには興味がなく、余程おかしくない限りは適当な服で済ませていた

 部屋着はジャージ

 普段着は無難に黒か灰色ベース

 それでも周りからは特に笑われることは無かったのだから、『普通』の格好だったのだろう

 

 じゃあ、女なら?

 自分は男であり、前世は女友達すら居なかったのだからそんなこと考えてもさっぱりわからない

 

 ーーさて、現実逃避はこれで終わり

 今の自分の姿を確認しよう

 

 白いワンピースにスカート

 首には黒いチョーカーがあり

 銀色に輝く髪にはセシリアの花の形をした髪留めがある

 

 自分でいうのもなんだが、町を歩いていれば誰もが振り向く、幼いながら妖艶な雰囲気を醸し出す美幼女の完成形がそこにはあった

 

 思わず羞恥心が溢れだし、顔を隠して試着室で踞ってしまう

 どうして、こんなことをしているのだろうか

 今日という日を回想せずにはいられなかった

 

 

 

              ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

「アルにはもっと似合う服があると思う」

 

 蛍は俺の作った朝ごはんを食べながら唐突に呟いた

 普段の俺の服装は黒いタキシードのような物を着て、黒いズボンを履くという前世とほぼなにも変わらない色合いの服装だった

 体が女になろうがファッションに興味が出ることもなく、適当に見繕った服で今まで過ごしてきた

 戦いになると分かっているときは服装をもっとかるくしたり、動きやすくするために半袖を着たりしていた

 今までは特に何も言わなかったのに、どういう心境の変化だろう

 

「もう少しアルには家事以外の女子力をつけた方がいいと思って」

 

 そんなこと言われても、俺、心は男だから

 何て言えるはずがなく、あれよこれよのうちに服屋につれてこられ、蛍と服屋に行く途中で出会ったバーバラが俺に似合う服を探してきて、着せ替え人形のようにされていた

 

 

 

              ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 今現在、13回目

 これは俺が着替えた回数である

 色々試行錯誤の末、今の俺の姿が生まれた

 多分これで最後だろう

 そう信じて試着室から出ていく

 

「うん、やっぱりアルには黒いチョーカーと花の髪留めが反則的に似合う」

 

 蛍が満足そうに頷く

 

「白いワンピースとスカートもとっても似合っていて可愛いよ!」

 

 バーバラが我が身の事のように嬉しそうな声色で俺を誉める

 正直、素直に喜ぶ事ができない

 心は男のため、どうしても『可愛い』と言われることに忌避感を覚えてしまう

 しかし

 

「................ありがと」

 

 少しでも嬉しいと感じてしまった俺も、自分の体に精神が引っ張られているのかもしれない




良かった評価と感想をよろしくお願いいたします


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子守り

投稿から約1日でお気に入りがつきすぎて怖い
UAもなぜか1400を超えている
.............なぜ?


 俺は今、モンド中を走り回っています

 別に、体重が増えたから運動しているというわけではなく

 

「早く早く!じゃないとおいてっちゃうよー?」

 

 俺はクレーの子守りをしていた

 

 なぜなら、クレーだけじゃ何時も問題を起こすからだ

 シードル湖で爆弾を使ってジンに何回も怒られている

 さらに、風車の羽を爆弾でグニャグニャにしたりした

 

 流石にジンもいい加減誰か同伴者をつけた方がいいと思い、白羽の矢がたったのがこの俺なのだ。

 .........まあ、見た目だけならクレーと同じくらいの年齢に見えるのだが

 遠目からみれば幼女二人が遊んでいるようにしか見えないだろう

 

 しかしながら実際は

 

「アルお姉ちゃん、一緒にヒルチャールをドカーンってしに行こうよ!」

 

「周りの木とか燃やさないように気を付けろよ!」

 

 とてもとても元気一杯過ぎて、俺が追い付けないのが現状である。

 時には止めたり、時には協力したりしていた。

 しかし、体力には限界という物がある

 俺はそれがもう目の前まできているのだ

 

 バテバテになりながらクレーがいる方に走っていく

 クレーと遊び始めてからずっと走りっぱなしである

 クレーの体力は何処から来ているのだろうか

 ずっとあのおっきいバックを背負いながら走っているので、きっと足腰が鍛えられているのだろう

 そうに違いない、でなければ俺の運動不足になってしまう

 流石にそれは違うと思う...............................多分

 

 明日からランニングでもしようかと考えていると

 

「アルお姉ちゃん!全部倒しおわっちゃった」

 

 そうクレーが言ってきた

 

 早くないか?

 ヒルチャールの集落に一人で突っ込んで無傷で全員倒してくるって..................

 将来に末恐ろしいものを感じた

 

「アルお姉ちゃん、他に何かおもしろそうなことない?」

 

 そんなこと言われても

 クレーが楽しめる事といったら爆弾を使うことぐらいしか思い付かない

 腕を組んで頭を悩ませていると、ふと、閃いた

 これなら爆弾もつかわないし、尚且つ、自分のつかれた体にぴったりである

 

「いいこと思い付いたから、星落ちの谷に行こうぜ」

 

「うん!」

 

 クレーはそう元気一杯頷くと、俺の手を握って走り出した

 .................明日、筋肉痛ならないといいなぁ

 

 

 

              ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 風唸りの丘から星落ちの谷まで走って移動する事約十分

 途中にいるヒルチャールを倒しながら谷で一番高い所に来た

 下をみれば七天神像が見える

 

「アルお姉ちゃん、ここで何をするの?」

 

「ここでは昼寝をしたいと思う。クレー流石に疲れただろ?ちょっと休憩しようぜ」

 

 そう言って俺はねっころがった

 クレーも俺の横に寝そべった

 すると、すぐにうとうとしだして寝てしまった

 俺もこの場所はかぜが気持ち良くてすぐに眠くなってくる

 

 俺もうとうとしだしていると

 ふと、クレーの寝言が聞こえた

 

「アルお姉ちゃん...........好き.............」

 

 俺はクレーの頭を優しく撫でてやると、自分も夢中に旅立った




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そして、書いて欲しいキャラクターがいたら感想にてご要望をお聞かせください
しばらくはモンドでお願いします


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ご飯

この小説を読んでいる人は作者に何を求めているか
お気に入りだけどんどん増えていきますが、評価と感想が全く来ません
感想はログインしていなくても書くことができるので、お気軽にどうぞ


 今日はパイモンと鹿狩りにお昼ご飯を食べに来た

 蛍は璃月に用があるらしく一緒にはいない

 

「パイモンは何食べる?俺は鶏肉と野生きのこの串焼きと完熟トマトのミートソース!」

 

「やっぱりオイラはニンジンとお肉のハニーソテー!」

 

 俺もパイモンも久しぶりに鹿狩りの料理を食べるのでテンションが高い

 早速、サラに料理の注文をする

 

 しばらくして、注文した料理が運ばれてきた

 お腹の空いたお昼時に香る食欲を誘う匂い!

 俺はすぐさま串焼きにかぶりついた

 

 自分の小さな口には少し大きめだったが、それでも食べやすい大きさにカットされた鶏肉とキノコは絶品である

 サラだからこそ作れる味に感服せざるを得ない

 自分では美味しそうな鶏肉と野生きのこの串焼きしか作れない

 今度、ガイアにでも美味しい串焼きのレシピを聞きに行こう

 

 そう考えながら、次は完熟トマトのミートソースを頬張る

 ここで使われているミートソースが本当に美味しい

 トマトの甘味と酸味をうまく活かして、いくらでも食べられそうな旨味を引き出している

 

 俺は串焼きとミートソースをあっという間に食べ尽くしてしまった

 隣にいるパイモンを見ると、満足そうな顔でお腹をさすっているのが見えた

 勿論、皿の上には何も残っていない

 

「いやぁ食べた食べた!やっぱり鹿狩りの料理はうまい!!」

 

「オイラもお腹いっぱいだぞ!…………アル、ちょっとこっちを向いてくれないか?」

 

 食べたお皿を片付けているとパイモンに呼ばれた

 指示通りにそちらに向くと

 

 顔にハンカチを押し付けられた

 そのまま口元をゴシゴシと拭われた

 

「アルの口元にミートソースがついてたから…………えへへ、アルにも可愛いところあるんだな!」

 

 恥ずかしさで顔が赤くなるのがわかる

 この体の年齢が何歳なのかはよくわかってないが、少なからず精神年齢は18歳以上であることを自負している

 それなのに、自分より圧倒的に幼そうな見た目の少女に口元を拭われることには少々、いや、かなりの恥ずかしさを覚えてしまう

 サラや周りの人も暖かい目でニコニコしている

 

 お礼を言おうとするがパイモンの目を見て言うことができない

 プルプルと震えながら小さな声で絞り出したように言う

 

「………あ、ありがと…………」

 

 

「どういたしましてだぞ!困った時はお互い様だからな!!」

 

 胸を張ってそう言うパイモンに俺は思う

 こいつに羞恥心は無いのか、と

 

 俺はついに耐えきれなくなり、パイモンの手を引いてその場から駆け出してしまった

 

 しばらくの間、周りから暖かい目で見られた

 そして、パイモンと目を見て話せなかった

 

 

 




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ルーキー日間ランキングで三位になってました
この作品にそこまでの需要があったことに驚きですが、この作品を読んでくださっている読者の皆様には感謝しかありません
それと、アンケートを始めたので、参加して頂けると嬉しいです
最初の目標はお気に入りを30件でしたが、次は評価10を貰えることを目標にしていきます


 走る、走る、走る

 ただひたすらに雑草が生い茂る森の中を駆け抜ける

 それでも、後ろからアイツはやって来る

 凄まじいスピードで、自分の必死の抗いを嘲笑うかのように

 

 ずっと走っていれば人間なら何時か体力に限界がくる

 足を動かしたくても、鉄球に繋がれたように足を上げることが出来ない

 どんどん走り方が摺り足になっていき

 ドサッと足を縺れさせて前方に倒れこんだ

 立ち上がろうとしても疲れと恐怖で足が震え、うまくいかない

 

 そして、アイツはやって来た

 2mはある巨大な体で、両手にある爪を月明かりで反射させながら

 必死でそこから逃げようとする

 だが、そんなことをしても無駄だと嘲笑するように爪が振り上げられ

 

 視界が赤色で染まった

 

 

       

               ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 俺はベッドから飛び起きた

 さっきのは夢だろうか

 しかし、リアリティーがあった

 ...................もしかしたら、あれがこの世界に転生するきっかけとなった自分の『死因』だろうか

 

 俺は自分の『死因』がわからない

 気が付いたらこの世界にいて、もとの世界で死んだことは何となく理解できた。しかし、『死因』だけはずっと分からなかった

 この夢が自分の『死因』だとしたら、自分は何かの動物に襲われたのだろう

 そう結論づけ、再び寝ようとするが全く眠れない

 

 さっきの夢がフラッシュバックするのだ

 目を閉じれば、森の中で追ってきたアイツが浮かび上がってきて、怖くて眠ることが出来ない

 30分格闘し、諦めた俺は最終手段に出た

 

 

 

              ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 コン、コン、コン、と規則正しい、しかし控えめなノックをする

 ドアを開けて出てきたのは蛍、しかし、寝ていたのを起こしてしまったようだった

 申し訳なく思いつつ、一つのお願いをする

 

「.............俺と一緒に寝て欲しい」

 

 俺のそんな子供見たいなお願いに、迷惑そうな顔をするわけでもなく

 ただ、優しい顔で

 

「分かった」

 

 そう、頷いてくれた

 

 

 

              ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 蛍と訪ねて来たときに一緒に起きてしまったパイモンに挟まるようにしてベットに寝る

 

「..........なんだか、久しぶりだな。オイラたち三人で一緒に寝るのって」

 

「確かに、最近ずっと私忙しかったし、三人でどこかに行くということもなかったから」

 

 蛍は俺の頭を撫でながら

 

「また、不安になったの?」

 

 と、問いかけてきた

 まだ俺がこの世界に来たばかりのころ、この世界でちゃんとやっていけるかだったり、いきなり変わってしまった性別のことで不安になってしまうことが多々あった

 

 そんな時には、蛍とパイモンが俺のことを安心させるように、よく添い寝してくれたのだ

 

「............違う、ちょっと怖い夢見ちゃって」

 

「...................そっか」

 

 蛍はそう言うと特になにも聞かず、俺を胸元に抱き寄せた

 ゆっくりと頭を撫でられ、パイモンにも後ろから抱きつかれながら優しいぬくもりに浸っていると、抗い難い睡魔が襲ってきた

 目を閉じて、睡魔に委ねた瞬間

 

「「おやすみなさい」」

 

 そう耳元で囁かれ、夢の中へ吸い込まれていった




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酒場

2日連続でルーキー日間ランキング3位
これを読んでくれている皆様には感謝しかありません
本当にありがとうございます
現時点でのアンケートでは、圧倒的1位で蛍、次点にエウルア、そしてフィッシュルとなっています


 人賑わいのある喧騒がよく聞こえる

 それとは反対に、キャッツテールの奥の方で俺とエウルアは静かに飲んでいた

 飲んでいる、といっても自分はミントベリージュースだが

 

「それで、最近は復讐の計画をきっちり練れてるの?」

 

「ボチボチと言ったところよ。..............それと、その格好」

 

 エウルアは飲んでいたカクテルをゆっくりと揺らしながら

 

「とても似合っていて可愛らしいわ、もっと前から着ればよかったじゃない」

 

「............ありがと」

 

 俺は前にバーバラと蛍が選んでくれた服で酒場に来ていた

 選んでくれたはいいけどあまり使って無かった為、こういう時ぐらいは使ってあげようと思ったからだ

 最初は自分は女なのに女装しているみたいで変な緊張感があったが、慣れてくれば案外楽だった

 しかし、スカートが地味に短い為、少し風が吹いただけでも捲れてしまう

 女の人は色々なことに注意しなければならないことを改めて実感した

 

 改めて目の前にいるエウルアを見つめてみる

 綺麗な顔

 綺麗な髪

 綺麗な目

 その全てがエウルアの魅力を最大限に引き出している

 前世の世界にいたら間違いなく世界四大美女の一人として語り継がれていくだろう

 

 しかし、モンドの人々は彼女のことを嫌っているらしい

 その理由も散々なものだった

 主な理由は『彼女が旧貴族ローレンス家の末裔だから』というものだ

 

 このモンドで昔、何があったかはよく知らない

 

 なんか貴族が悪いことしてた、ぐらいの認識なのだ

 例え、エウルアの遠い先祖が何かをしていても、彼女は彼女である

 凝り固まった固定観念で彼女を見るのではなく、ただ一人のエウルアとしてモンドの人々は見て欲しい

 まあ、最近は俺と蛍や騎士団のおかげでそれはどんどん取り払われているが

 

 しばらくエウルアとたわいもない話をしていると、どんどん時間が過ぎていき眠くなってきていた

 

「何?眠くなってきたの?………しょうがないわね、家まで送ってあげるわ」

 

 うとうとし始めている俺に気付いたのかエウルアは俺の分の会計まで済ませ

 

「ほら、あなたを置いていくと私が復讐する相手が増えちゃうじゃない」

 

 俺をおぶって家まで運んでくれた

 

「............ごめん」

 

「別に気にしないで、これは私の話し相手に成ってくれた分の対価よ」

 

 何故、彼女が嫌われていたのか

 少し不器用だが、こんなにも優しいのに

 

「もし、眠かったら眠ってもいいわよ」

 

「..............ありがとう」

 

 もう目を開けていられない

 目蓋の重みに耐えかねて、目を閉じた

 

 

 

             ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

「私の心をいつまでも乱し続ける貴方には、何時か必ず復讐してやるんだから」

 

 背中で寝ている最愛の友人の頭をそっと撫でた 




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バーテンダー

移動しました


 今日はディオナと一緒に材料集めにきていた

 なんの材料かというと、お酒の材料である

 

 俺とどっこいどっこいの身長のディオナはカッツェレイン一族という非常に珍しい人種である

 そのため、彼女には猫耳と尻尾がしっかりついている

 

 ディオナはお酒が嫌いだ

 しかし、ディオナはキャッツテールという酒場のバーテンダーを勤めている

 なぜ、お酒が嫌いなのにバーテンダーをしているかというと、彼女は不味いお酒を作って酒業造をぶち壊すつもりらしい

 しかし、彼女のとある体質のせいで全くその計画が進まない

 

 ディオナが作る酒は何があっても美酒になるのだ

 たとえスライムの液体やとかげの尻尾、蝶などをシェイカーに入れてもディオナが振れば美味しいお酒になる..........らしい

 

 俺は肉体的には未成年らしいので、お酒は飲ましてもらえない

 ついこの前にエウルアとキャッツテールに行った時はジュースしか出してもらえなかった

 そのため、ディオナのお酒を飲むことができず、ディオナがよくわからない材料をシェイカーにいれるのを見たことがある俺からすれば半信半疑も良いところなのだ

 

 今日は望風山地で風車アスターを採集していた

 ついに植物を入れるつもりらしい

 この場所に来るまでに出会ったトリックフラワーの蜜とサンショウウオの水晶、そしてもはや定番と成りつつあるスライムのジュレを風車アスターと一緒に入れるらしい

 

 俺はどんな味になるのか見当もつかない

 しかし、ディオナが作ったお酒は美酒らしいので飲んでみたい気持ちもある

 

「なあディオナ、お酒が出来たら俺にもちょっとだけ飲ませてくれないか?」

 

「そんなのダメに決まってるでしょ!」

 

「ちょっとだけ、本当にちょっとだけでもいいからさ。どんな味なのか凄く気になるんだよ」

 

「まずアルは未成年じゃない!まずは成人になってから出直してくるにゃ!」

 

 この体が成人してないだけであって、心はもう二十歳過ぎているんだ

 いや、そもそもこの体も小さいから成人してないように見えているだけで、実はとっくに成人してるのではないか?

 

 そんなことを言ってもまるで聞いてくれない

 ディオナにどうしたらお酒を飲ましてくれるのかを聞いた

 

「...........少なからず、あたしの目が赤いうちはアルにお酒なんてのませないにゃ。お酒なんて飲んだらアルの体に悪いのにゃ」

 

「そんなぁ.........」

 

 どうやら俺はいつまでもお酒は飲めないらしい

 

「........まあ、お酒以外だったらキャッツテールに来たときにサービスしてあげる。お酒なんて忘れさせるくらい美味しいおつまみを出してあげるにゃ。だからそんなにおちこまないでほしいのにゃ」

 

 ディオナに頭をぽんぽんされて慰められながらキャッツテールへ歩いて行った




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冒険

フィシュルの口調がとても難しかったです
そして、アンケートは投票者が200人を越えたら終了とするので、現時点で190人なので、していない人はお早めにどうぞ


 今日は奔狼領にググプラムを探しにきた

 ググプラムは草木の中にあることが多いので、草木をかき分けながら進む

 あまり奥に行くと強いヒルチャールがいて、自分1人では勝てないので普段は行かないようにしている

 しかし、今回は強力な助っ人がいるのだ

 

「この幽夜浄土の主にして断罪の皇女、フィッシュル・ヴォン・ルフシュロス・ナフィードットと我が眷属、オズヴァルド・ラフナヴィネスを選んだことを誇りに思いなさい!」

 

「お嬢様は『声をかけてくれてありがとう』と言っています」

 

 冒険者協会の調査員であり、期待の新星

 フィッシュルとオズに同行を頼んだのだ

 正直ダメもとだったが、意外にもすんなりOKしてくれた。ちょうど今日はあまり予定がなかったらしい

 フィッシュルとオズがいてくれれば、いつもよりもう少し奥に行っても大丈夫だろう

 そう思い、森の奥へと足を運んだ

 

 

 

                〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 ググプラムの他に、ナッツや松茸をついでに集めながら先に進んでいた

 たまにヒルチャール達と出会って応戦も何回かしたが、そこまで強い相手は出てきていない

 ある程度集まった所で、今日は解散する運びとなった

 

「ありがとな、俺のお願いを聞いてくれて」

 

「あなたが感謝する必要はないわ、黙示録に告げられた運命なのだから…………!.」

 

「『どういたしまして』と言っています」

 

 相変わらずどこか男心を刺激しながら、昔の黒歴史も同時に掘り出してくるような喋り方とポーズで話す

 最近は自分もなんとなく言っている意味がわかるようになってきたのだ

 今度、オズの通訳無しでどこまで意思疎通ができるか試してみよう

 

「お嬢様はあなたに『恩』を返すことができて嬉しそうにしてましたよ」

 

 ………………ああ、そんなこともあったっけ

 モンドに来てしばらくした頃、ダダウパの谷で大量のヒルチャールに襲われていたのを助けたことがあった

 あの時は自分の『神の目』を使うほどになるほどに追い込まれたが、何とか勝つことが出来た

 

 自分は『神の目』を一応持っているが、使うと諸刃の剣になってしまう

 なので、出来る限り使わずにいつも戦闘を終わらせているのだが、この時は使わないと勝てなかった

 副作用でぶっ倒れた時は本当に心配された

 目を覚ました瞬間、蛍にギャン泣きされながら抱き付かれもした

 自分の『神の目』の使用制限を設けられたが、いい経験になったのも事実

 まあ、このような事が二度と起きない事が望ましい

 

「そっか、自分は色々な事がありすぎて言われて今思い出したよ」

 

 自分でしたことは意外と覚えていない物だ

 

「コラ!オズ!...................コホン、皇女である私を助けてくれたことは感謝しているわ。だけど!これはそのお礼ではないから!」

 

 顔を赤らめながら否定する彼女を可愛く思いながら、モンド城に歩きだした

 

 




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手伝い

モンドのキャラクター投票は終了しました
結果は一話の最後にあります
そして
璃月のキャラクター投票を始めました
こちらは投票者が300人を超えたら締め切りです
どうぞよろしくお願いします


 ワーカーホリックというものをご存知だろうか

 日本語訳で『仕事中毒』といい、生活の糧を得るはずの職業に私生活の多くを犠牲にして打ち込んでいる仕事状態である

 前世では、俺の父がこれにあたっていた

 

 治し方は、仕事の時間を減らして休みを取ることが一番の近道

 しかし、そんな簡単に休みを取ることが出来ない人が世の中にはいる

 

 基本的に組織や団体のトップにいる人は余り休みを取ることが出来ない人が多い

 その為、周りの人間がその人の負担を軽減させることが重要なのである

 

 自分の友人にも何人かいる

 そして、その中の一人を助ける為に俺はモンド中を駆け回っていた

 

「えーっと、あと残っているのは『私のペットを探して』『夕暮れの実とりんごを五個ずつ集めて欲しい』『輸送熱気球の護衛をしてほしい』『畑にいるスライムを倒してほしい』............まだまだ全然ある!」

 

 最近またずっと仕事漬けのジンをみかねて、俺と蛍で手分けしてある程度の仕事を負担しようという話になった

 勿論、ジンしか出来ない書類とかもあるにはあったが、全然たいした量じゃなかった

 今頃、リサがジンを強制的に休ませるために図書室にでも連行しているだろう

 

 さて、俺の仕事の多くは配達やら探し物やら護衛やらがほとんど

 腕っぷしが多く必要になるものは大体蛍が受け持っている

 

 蛍と一緒に要るときは、俺は余り戦わせてもらえない

 今までの無茶が祟ったのか、最近の蛍は若干過保護気味である

 仕事を分ける時も、真っ先に戦闘系の物は自分がやると言い出して聞かなかった

 

 蛍は強い、そんじょそこらの奴には負けることはないだろう

 だからといって、心配しない訳ではないのだ

 蛍だって、俺が居なかったら人のことを言えなかっただろうしな

 

 さあ、気合いをいれていこう

 夕方までには終わることを信じて力強く走り出した

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 夕暮れの中、蛍と一緒にヘトヘトになって西風騎士団に戻ってくるとジンに感謝をされた

 

「私の代わりに仕事をしてくれてありがとう。そのお陰で久し振りの休暇ができた............................最初は何をすればいいか分からなかったが」

 

 隣のリサが呆れたような顔で

 

「ジンったら最初は『書類整理をする』とか言い出してびっくりしたのよ」

 

「それで、ちゃんと休ませたのか?」

 

「当たり前じゃない、図書室や鹿狩りにいったり、散歩をしたりして過ごしたわ」

 

「そりゃ良かったよ」

 

 ジンは何時も仕事をしている

 代理団長としての仕事が多いことは分かっているが、余りにも休暇が無さすぎる

 

「たまにはしっかり休んでくれ..............また倒れないか心配なんだよ」

 

 ジンはバツが悪そうな顔をして

 

「...............分かった、善処しよう」

 

 .......................これはまた、何も言わなかったら仕事をし続けるやつだな

 もとからジンは優しく、断れない人なので何時もいつも仕事に追われているのだ

 もっといい生き方があると思うが、俺はそんなジンがとても嫌いになれず

 また仕事漬けだったら手伝おうと思うのだった

 




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お出かけ

今日はお正月でナマスを食べました
そしてすいません、本来ならバーバラを投稿する予定でしたが、あまりにも案が思いつかないため違うキャラになりました
何か案がある方は感想にて教えていただけると幸いです

お詫び
アンケートの漢字が間違っているという指摘がありました
正しくは香薫→香菱
    胡蝶→胡桃です


 今日は前からアンバーと出かける約束をしていた

 アンバーがおすすめする場所に沢山足を運び、2人きりでご飯を食べて楽しい時間を過ごしていた

 そして、だんだん日が沈んできていた

 

「この時間にちょうどいい場所があるんだ、ついてきて!」

 

 そう言ってアンバーは元気よく走り出していく

 偵察騎士なだけあってとても素早く、なんとか視界から外さないようにするのが精一杯だった

 

「早く早く!じゃないとイッチバン綺麗な時間帯を逃しちゃうよ!」

 

「そんなこと言っても俺にはこれが精一杯だよ!アンバーが速すぎるんだ!ちょっとは身長差のことも考えてくれ!!」

 

 俺があっという間に遠くまで行ってしまったアンバーに叫ぶ

 するとすぐに俺のところまで駆け寄ってきて

 

「じゃあこうすれば一緒にいけるね!」

 

「へ?」

 

 俺のことをいきなりお姫様抱っこしてきた

 口をポカンと開けて呆然としている俺を抱えながら走り出した

 ぴょんぴょんと障害物を躱していき、トップスピードを維持しながら風を切るように前に進んでいく

 顔に当たる心地いいモンドの風に当てられて少しうとうとしてきーーー違う、何してるんだ

 

「お、おいアンバー!なんでお姫様抱っこなんだよ!!」

 

 そう文句を叫ぶ、モンドの風が暑くなった顔にちょうど良い

 アンバーはそんな顔を見て微笑みながら

 

「だって、普通に背負うよりこっちの方が走りやすいから。さあしっかり掴まって、ここからは本気で飛ばすよ〜!」

 

 ずっとトップスピードだと思っていた速さはさらに加速し、自分をより強く抱きしめながら目的地へ駆けていった

 

 

 

              〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 ちょうど太陽が地平線に差し掛かる頃、運よくヒルチャールにも出会うことなく目的地へと辿り着いた

 その場所は

 

「…………誓いの岬か」

 

 あまり訪れたことがなかった場所だ

 俺たちはすぐ近くにあった岩に腰掛けて海を見る

 水面が太陽の光に反射して、宝石のようにキラキラ光っていた

 まるで、完成された一枚の絵画のようにも感じられた

 

「ここ、すごく綺麗でしょ!私の穴場スポットなんだ〜!」

 

「ああ、めちゃくちゃ綺麗だよ」

 

 本当に、本当に綺麗なのだ

 もし自分の手元に写真機があれば、無意識の内に写真を撮っていただろう。そんな確信を持てる

 しばらく、岬を眺めているとアンバーが手を握ってきた

 一瞬、握り返すべきか悩んだが、雰囲気に押し負けて手を握った

 

「………えへへ、ありがと」

 

 俺は気恥ずかしくなり、真正面を向けなくなってしまった。しかし、手はさっきより強く握りしめたまま日が沈む直前まで夕焼けを写す岬を見ていた

 

 




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アクシデント

何時もより百合が少なくなってしまい申し訳ございません
でも、これは必要な回なので見逃してください。おねがいします


 日が暮れて、夜の帳が完全に降りる頃

 俺は晩ごはんの準備をしていた

 蛍は何時も色々な所に呼ばれているので、主にご飯は俺が作ることが多い

 そのせいもあってか、飯以外の色々な家事ができるようになってしまった

 まるで主夫(性別は女だが)みたいだと最近になって思い始めた

 

 鼻歌を歌いながら今日の晩ごはんである風神ヒュッツポットと四方平和を作っていく

 風神ヒュッツポットはこの前望風海角にいたフィンドにレシピを教えてもらい、ウェンティに美味しい作り方を学んだばっかりである

 今回は真・風神ヒュッツポットに挑戦している

 

 淡々と料理を進めていくと、鍵を回す音が聞こえたと思ったらガチャリ、とドアが開かれた

 蛍が帰ってきたと思い玄関で出迎えようとした

 しかし、家に入って来たのは蛍でも、ましてや知り合いでも無かった

 

「.......おい、なんだこのガキ。こんな奴がいるなんてきいてねえぞ?」

 

「...............お前こそ、だれだよ」

 

 くたびれた服に手入れもされずに延びきった髭

 髪はボサボサで枝毛が沢山ある

 いかにも浮浪者みたいな服装をしている

 そして、胸元にある汚れた鳩の絵があるバッチに見覚えがあった

 

「..........宝盗団か」

 

 宝に目が眩んだ奴等

 ソイツらが軒並み所属しているのが『宝盗団』というものだ

 しかし、俺の言葉は何か地雷を踏んだようで

 

「ッチ!そんなくだらないとこはもう卒業したんだ。俺たちはなあ!宝を横からかっさらうだけの宝盗団じゃなく、もっとでかい事をするんだよ!!その為に俺たちはこの家にきたんだからな!!!」

 

 男はいきなりナイフを出して俺に突きつけてきた

 この家にある物でも売って資金にしようとでも思ったのだろうか

 

 武器は料理していたため持っていない

 となると、『神の目』を使うしかないか...........

 全く気が進まないし、蛍に「出来るだけ使わないで!」と言われているが今回は使うしかない

 俺は右手に氷元素を集め始めた

 

 男がナイフで襲いかかってくるが

 

「ガフッ!」

 

 右手に集まった氷元素を放出しながら相手の鳩尾を殴った

 相手はよろめくが体勢を崩すことなく鳩尾を殴った俺に向かって膝蹴りを放った

 

「あぐぅ!」

 

 自分の小さな体は後ろに飛ばされ、尻餅をついた

 お腹の痛みを堪えながら今度は左手に氷元素を集めて立ち上がる

 相手に向かって左手を突きだし手のひらから氷元素を放出する

 すると拳ぐらいの大きさの氷の礫が相手にむかって飛び出していった

 

「アガァ!」

 

 礫はあいての頭にあたり、後ろに倒れたまま動かなくなった

 ............意外と呆気なかった

 

 しかし、自分に『神の目』を使った副作用が襲いかかってきた

 体の芯まで冷えきり、震えが止まらなくなる

 自分の『神の目』は氷元素である

 しかし、使うと体にコントロールの効かない氷元素を溜め込んでしまう

 そのため、体温が急激に下がり、ドラゴンスパインにいるときのようになってしまうのだ

 だが、今回はあまり使わなかったため、そこまで長くは続かないだろう

 そう思い油断していた

 

「このガキがぁ!!」

 

「ガハッ!」

 

 別の仲間が居たらしく、俺の背後に忍び込んで羽交い締めにし、首を絞めてきた

 酸素を求めて口をパクパクしながら寒さで力の入らない腕で必死に抵抗するが、視界がどんどん白くなっていく

 完全に意識を失おうとした、その時

 

「風刃っ!」

 

 聞き覚えのある声が聞こえた

 

 

 

            ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 目を覚ますと教会のベッドの上

 ずっと看病し続けてくれたのか目に隈を見せながら俺が寝ているベッドの上で蛍とバーバラが倒れこんでいた

 しばらくすると起きて、バーバラと蛍は俺に泣きながら抱きついてきた

 泣き止むのを待って、バーバラに事の顛末を聞いた

 俺が意識を失う瞬間、蛍が家に帰ってきたらしく、俺が首を絞められていたあの光景を見て体が咄嗟に動き、吹き飛ばしたという

 俺はすぐに教会に連れてこられ、治療を受けて今にいたる。勿論、あの空き巣どもは騎士団のご用となった

 しかし、今回の件で蛍の過保護さが悪化してしまった

 ..............流石にずっと一緒に寝るのはやめてほしいと蛍に訴え続けるのであった




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悪戯 その1

アサナン様、10評価ありがとうございます
これからも出来る限り投稿していこうと思っているので、応援お願いします
そして、今回は話が続きます

バーバラのアイデアが何も無いです
誰か助けてください


 空き巣事件があってから一週間後

 過保護な蛍のボディタッチなどに少々理性や男としての自尊心を削られつつも家の中で過ごしていた今日この頃

 ふと、魔が差した

 

 ーーいつも蛍が俺にやっていることを俺が蛍にやってみたらどうなるのだろうか

 たまには俺が普段感じている気恥ずかしさを思い知って貰おう

 そんな事を考えて、さっそく行動に移した

 

 

 

____________________________________________

 

 この時の俺は少々SAN値がピンチだったことに違いない

 一週間、蛍にドキドキさせられっぱなしで頭が回っていなかったのだ

 だからこそ、普段なら考えもつかないような突飛なことを思いついた

 思いついてしまった

 

 このような行動が自分の首を絞めることになるなんて分かっている

 なのになぜこんなことをしてしまったのか

 当時の俺の胸ぐらを掴んで問いただしたい、切実に

 

 

 

_____________________________________________

 

 

 

 

 次の日の朝

 俺は早く起きてご飯を作っていた

 最近は蛍がずっと作っていたのでなんだか新鮮に感じる

 蛍に「俺にも作らせて!」と訴えても頑なに拒否され続けたから、蛍より早く起きてご飯を作る必要があった

 

 現在の時刻は午前4時半である

 

 久しぶりの料理にテンションが上がって鼻歌を歌いながらエプロンをしてご飯をつくる準備をする

 

 今日の朝ご飯はモンド風焼き魚とテイワット風目玉焼き

 まずはモンド風焼き魚を作ろうと材料を取り出して、着々と作り出した

 魚肉を切り終え、胡椒をかけていると

 

「........................何してるの?」

 

 蛍が起きてきたようだ

 料理に集中し過ぎて起きた事に気が付かなかった

 

「いつもより起きるのが早いな、蛍。......いや、ずっとここ最近は蛍が料理してたじゃん、だから久しぶりに俺が作ってみたいなぁなんて............」

 

 蛍がずっと無言で怖い

 しどろもどろになりながら訳を話していると、いきなり近づいてきて体を抱えられた

 

「............え?」

 

 動揺して固まっている俺を抱えたまま俺の部屋に進んでいった

 俺の部屋に入るとベットに俺を寝かせて布団をかぶせた

 頭を撫でながら俺のお腹をポンポンするという幼児を寝かしつけるようなしかたで俺を寝かせようとしてきた

 それでも眠くなってしまう俺は、心が体に引っ張られているのだろう

 しかし、眠気には逆らえずに目を閉じたら簡単に夢の中に落ちていった

 

 

 

 

 

 

 

 

「............全く、あなたは安静にしていなきゃダメなのに」

 

 可愛い寝顔をしているアルを横目に、私は作り途中のご飯があるキッチンに向かっていった

 

 

 

 




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悪戯 その2

池袋西口駅様、とれぱちーの様、愉悦を求める自由人様、パラダイムガンダム様、評価10ありがとうございます
そして、四葉志場様、幻影楽士様、お気に入りユーザー登録ありがとうこざいます
四葉志場様は、この作品の一番最初の公開お気に入り登録者だったことを覚えています
あのときは嬉しさで狂喜乱舞しました
これからもよろしくお願いします

アンケートですが、甘雨が多いことは予想出来ましたが七七が二番目に来ることは予想外でした。作者の予想では刻晴か胡桃が二番目に来ると思っていました。この作品の読者はロリ×TSロリを求めている人が多いのですね

追記

ルーキー日間2位になることが出来ました
ここまでこの作品を読んでくれた読者の皆様に数えきれない程の感謝があります
これからもこの作品を応援し続けてくれると嬉しいです


 朝は蛍に強制的に寝かしつけられてそのまま寝てしまい、結局パイモンと一緒に朝ごはんを食べたが、お昼はそうはいかない

 お昼は空き巣事件が起こる前は、よく鹿狩りで食べていた

 しかし空き巣事件が起こった後からは、家で食べていた

 

 そもそもの問題として、一人で外に出させて貰えなくなった

 外に出て良いのは信用出来る同伴者がいる場合のみ

 流石に過保護過ぎやしないかと訴えてみたが、「いままでの自分の行いを考えて」と言う蛍の言葉に何も言い返せなかった

 

 自分が今までやった事と言えば

 

 風魔龍に対してヘイトを買って囮になった

 ヒルチャールに襲われているフィッシュルを助ける為に立ち向かい満身創痍になった

 タルタリヤを煽ってこちら側にクジラを出させて隙を作った

 渦の魔神であるオセルを倒す為に必要な帰終機を最後の最後でぶち壊そうとしたファデュイの攻撃を庇った

 雷電将軍に立ち向かい、殺されかけた

 『淑女』と影との戦いで低体温症になり少しの間心臓が止まった

 空き巣に立ち向かい返り討ちにあった ←new!

 

 などが真っ先に思い付く

 確かに体を張りすぎたなと思う

 しかし、自分の心は日本男児

 女性にはあまり危険な事をしてほしくないと言うのが本音である

 

 さて、そんな訳で家にずっといて暇をもて余している俺だが、今日はコッソリ家を抜け出して久しぶりの依頼を受けてみようと思う

 何時も蛍が家に帰ってくる時刻は12時過ぎ

 今の時刻は8時半

 約3時間程度ある

 これなら簡単な依頼を1件か2件ぐらい出来るだろう

 そう思い、最近見つけた家の非常用通路の鍵を使って外に出た

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 冒険者協会に向かって足を進めているとバーバラと出会った

 空き巣事件以降会ってなく、久しぶりにバーバラに話しかけた

 

「バーバラ久しぶり!最近蛍が家から出してくれなくて合えなかっ「コラ!安静にしてなきゃダメでしょ!!」..え?」

 

 いきなり怒られた

 て言うかバーバラが大声出したのを歌以外で初めて聞いた

 頬を膨らませながら腰に手を当てながらいかにも『私怒ってます』という雰囲気を出している

 

「あなたは肋骨にヒビが入ってたの、私が治療をしたとは言え、後もう一週間は安静にしてなきゃダメ!」

 

 ...........なにそれ初耳

 俺の肋骨にヒビ入ってたんだ

 全然痛みとか違和感が無かったから分からなかった

 いやでも

 

「全然痛くないし別にいいじゃん!バーバラが治してくれて一週間も安静にしてたら流石に大丈夫だって!!」

 

 そう否定するがバーバラは首をふり

 

「治りかけが一番危ないの、ほら、家に帰るよ」

 

 俺の体を持ち上げて強制的に家に送り返そうとする

 

「やめろぉ!俺は依頼をしたいんだぁ!!

 

 ジタバタ暴れて抵抗を試みるも

 

「暴れないの!」

 

 バーバラの腕力にも敵わず家に送り返され、蛍が帰ってくるまで家でバーバラの膝の上で座らされていた

 家に帰ってきた蛍に抜け出した事をチクられて怒られもした

 ...........畜生、こんなはずじゃ無かったのに




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悪戯 その3

そろそろアンケートの締め切りが近づいてきました
まだしていない人はお早めにどうぞ

そして作者は高校受験が目の前に迫ってきているので、明日から投稿頻度が落ちます
1日1話になりますのでご了承下さい


 お昼はバーバラの手によって失敗に終わったが、俺はここで諦めるような奴じゃない

 バーバラは牧師としての仕事が、蛍も午後の依頼を終わらせるためにここにはいない

 つまり再び抜け出すチャンスなのだ

 しかし、また抜け出さないように俺を監視するという意味でパイモンがこの家に残っていた

 

「何であんな事をしたんだ?ちゃんと安静にしていなきゃ駄目じゃないか」

 

 ジトっとした目で、俺を咎めるような口調で聞いてくる

 

「それはさっき言っただろ?いい加減外に出たかったのとそもそも肋骨にヒビが入っていたことを知らなかったんだ」

 

 その事についてはバーバラの説明不足だったと謝られた

 しかし、安静にはかわりないためこの家に監禁まがいなことをされている

 

「じゃあオイラと一緒に今日は留守番だな!暇潰しになにかしようぜ!!」

 

 俺は適当に家にあった璃月千年を持ってきてパイモンと一緒にしばらく遊んでいた

 

 

 

             ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 2時間後

 俺とパイモンは璃月千年を終え、一緒に昼寝をしていた

 2人で俺の部屋のベッドに寝ると、向き合うような形になった

 これでパイモンが先に寝たら俺は家から抜け出すことが出来る!

 しかしながら少しずつうとうとしてしまっていると

 

「...........オイラもかなり心配したんだぞ。何時も色々と無茶して人に沢山心配かけるからな」

 

「...........................ゴメン」

 

 そればかりは本当に悪いと思っている

 何時も何時も沢山の人を助けようと頑張ると、どうしても自己犠牲に走ってしまうのは俺の悪い癖だ

 自己犠牲で他人を救ったって、自分の周りの人に心配をかけるだけなのに

 だけど、無力な自分が人を救う為にはこの身を捧げることぐらいしかこの空っぽな頭では出てこない

 もっと頭が良かったり、もっと考える時間があればもっと良い方法を思い付くかもしれない

 しかし、突飛で瞬間的に判断しなければならないことがほとんどであり、その時はいつも楽な方ーーー自己犠牲を選んでしまうのだ

 自己犠牲なんて誰も喜ばないことなんてわかっている

 だからといって見捨てることもできない

 

 俺が思考の泥沼に浸かろうとしていると

 

「でも、人をなにがなんでも助けようとする、アルのその優しいところがオイラは大好きだぞ!!!」

 

 そう言って、俺に微笑んできた

 

 

  

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 10分もすれば、パイモンは規則的な寝息が聞こえる位には熟睡してしまった

 俺はコッソリベッドを抜け出し、再び非常用通路で外に出た

 

 

『オイラは大好きだぞ!!!』

 

 その言葉に不覚にも少々ときめいてしまいながら




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悪戯 その4

ちゃっかり稲妻のアンケートを始めました
もう100人の人が投票されていることを知り、とても驚いています
明日から1日1話になります

そして質問
主人公のプロフィールっていりますか?


 家を抜け出すことに成功して、次に気を付けなければならないのは知り合いである

 バーバラがいい例だ、他の奴らも俺の事情を知っている可能性がある

 

 注意するに越した事はないので、現在モンドの中を隠れながら移動している

 なんとか裏門に到着すると、そこにはゲイルという騎士がいた

 ゲイルはおじいちゃんに、よく『戦利品』を渡しに行ってくれないかという依頼を出すので、顔馴染みではある

 さて、どうしようか

 ゲイルなら、俺の事情を多分知らないだろう

 しかし、なぜ裏門から出る必要があるのかという質問をされたらどうしよう………..

 

 ……………蒲公英を取りに来たと言い張ろう

 そう決めて、裏門に特攻した

 

 

 

                 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 そこまで覚悟を決めていく必要は無かった

 普通に通れたし、特に何も言われることはなかった

 今考えたら当たり前である

 

 俺と蛍はモンドを救った英雄として色々言われている

 蛍なんて『栄誉騎士』だ、このモンドで知らない人はいないだろう

 なら、俺は?

 自分の一人称視点から見ると、特に何も言われることなく、普通の一般人Aとしてやっていけるであろう平凡さであると感じている

 まあ、西風騎士団とかの顔は広いが

 

 別に『神の目』を持っているからといって自惚れるほど落ちぶれちゃいない。実際持ってても何度も死にかけた

 『神の目』を持っているからすごい、のではなく、『神の目』を使って何を成し遂げたかが重要なのだ

 

 そんな考えに浸りながらモンドを散歩していると、声が聞こえた

 戦闘でもしているのか武器と武器がぶつかり合うような音までも聞こえる

 今自分がいるのはダダウパの谷

 ヒルチャールの集落がたくさんあるので、久しぶりに少し戦闘でも楽しもうかと考えていたので自分の持ち前の武器を隠してはいるが持っている

 

 武器は槍でいつも鉾槍を使っている

 ちょっとどんな戦い方をしているのか気になったので、見にいくことにした

 

 

 

                  〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 当たり前だが人が倒したヒルチャールの戦利品を横から取ることは禁止されている

 倒したヒルチャールなどの戦利品は買い取ってくれる人がいるので、それで生計を立てていると言う人も少なくない

 なので、ちょこっと見たら風立ちの地でも行こうと考えていると

 いきなり大きな音がした

 

 何事かと走っていってみればそこにいたのは

 ヒルチャール暴徒 斧×2

          盾×1

 アビスの魔術師 水

 

 というメンバーが揃っていた

 そいつらの視線の先にいるのは

 

「……..ノエルぅ!?」

 

 メイド服はボロボロで少々際どい見た目になっているが、生々しい赤い血がよく目立っている

 既にうつ伏せに倒れ込んでいて、必死に立ちあがろうとするが貧血と痛みで立ち上がれないのだろう、体がプルプル震えていた

 すぐさま駆けつけ、1番めんどくさいであろうアビスに向かって氷の礫を投げつけた

 すぐに凍結反応を起こし、凍りついた

 

 ノエルを担ごうとするがいかんせん周りの奴らが邪魔すぎる

 隠していた槍を出し、氷元素を槍に集める

 こちら側に斧を振ってきた暴徒の攻撃をいなし、カウンターを与える

 そして、アビスの魔術師も凍結から解放された

 ーーーどこかデジャブを感じながら、俺は戦い始めた

 

 

 

                〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 体が寒い、頭がぼーっとする

 震えが止まった体でノエルを肩で担ぎながらなんとか地面を踏み締めながらモンドへ歩く

 今にも倒れるなら倒れてしまいたいがここで倒れたらノエルと仲良くお陀仏だ

 必死に体に命令しながら動作の遅い体で道を歩く

 ーーそろそろ日が暮れる

 ようやくモンド城が見えてくると、前に人影が見えた

 ぼんやりして見えないが、黄色い髪で小柄なことがわかる

 それがわかっただけで体は安心しきり、意識を失った

 




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悪戯 その5

今日から1日1話投稿になります
 
1+2=様、評価10ありがとうございます
めいしが様、ぽわわん様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

そして、主人公のプロフィールがいるかいらないかのアンケートを始めました
これは、150人以上で奇数になったら締め切りです


 寒い、寒い、寒い、寒い、寒い

 ずっと雪山を歩いているようだ

 体は冷えきり、方向感覚も無くなってきていた

 なぜ、ここまで寒いのか

 なぜ、こんなところを歩いているのか

 なぜ、誰もいないのか

 

 何もない世界の中、寒さだけが感じ取れていた

 歩くのが嫌になり、もうここで諦めてしまおうかという考えが過ったとき

 ふいに、温もりが感じられた

 その温もりを逃さないように必死に手を伸ばす

 なにか柔らかい感触と共に、優しい温もりを再び感じることができた

 

 もう逃がさないと強く抱き締めながら、その暖かさに依存していった

 

 

 

            ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 目を覚ますと、俺は横で寝ている蛍を正面から抱き締めていた

 蛍も俺のことを抱き締めていた

 驚いたが寝ている蛍を起こすのも忍びないと思い、暫く好きなようにさせていると

 蛍が目を覚ました

 

 俺のことを見ると、涙目になりながら俺をより強く抱き締めてきた

 

「なんで......なんでいつも無茶するの!!」

 

「.............ゴメン」

 

 蛍は俺が今まで聞いたことのないくらいの大きさで声を荒らげた

 俺は蛍が泣き止むまで大人しく抱き締められていた

 蛍は目を真っ赤にしながら

 

「私言ったよね、安静にしててって」

 

「............うん」

 

「じゃあ、なんで抜け出したの?」

 

「..........しばらく戦って無かったから、体が鈍っていると思って」

 

「それだけ?」

 

「...........後、最近ずっと蛍が依頼を受けていたから、たまには俺もやらないとただヒモになるって思って」

 

 そんな俺の考えを聞いて、しばらく考えていると

 

「.........アルはもう沢山頑張ったでしょ?だからしばらく休んだ方がいいと思う」

 

 蛍がそんなことを言い出した

 いや、そこまで頑張っていない

 基本的に俺は蛍の後ろを着いてきただけ

 道を切り開いたのは全て蛍なのだ

 

 ただ道を作った人の後ろを歩いて来ただけの俺は差し詰め『虎の威を借る狐』ということわざが似合う

 

「アルは私にずっと着いてきてくれた、時には喧嘩もしたりもした。だけど、それが何もしていないことにはならない」

 

「でも、全てを解決に導いたのは蛍じゃないか」

 

 俺が蛍の言葉を非難するように言う

 

「違う、私たち二人で解決してきた。二人じゃなかったらきっと出来なかったことも沢山ある」

 

 そんな筈はない

 ゲームでは全て一人でしていたじゃないか

 蛍の隣に俺は居なかったじゃないか

 それが何よりの証明だ

 俺なんて、いてもいなくても変わらない

 所詮、この物語に勝手に入ってきた異分子なのだ

 

「そんなことは無い、きっと蛍は俺なんかいなくても全部ハッピーエンドに持っていける!!」

 

 当たり前じゃないか

 相手は主人公なんだぞ?

 こいつがこの世界の主役なんだ

 こいつが世界を回さなくて誰が回すんだ

 

「それは違う」

 

「なんでそう言い切れるんだよ!!」

 

「だって、貴方が居なかったらノエルはどうなっていたの?」

 

「...........え」

 

 ダダウパの谷に倒れていたノエル

 俺が居なかったら..................

 

「フィッシュルは?貴方が居なかったら誰がファデュイから帰終機を守るの?」

 

 俺がファデュイの攻撃から帰終機を守っていなかったら今頃璃月はどうなっていた?

 フィッシュルは?あのまま彼女に誰も救いの手を差しのばさなかったらどうなっていた?

 

「貴方は自己評価が低すぎ。もっと胸を張って、そんな貴方のことが皆大好きだから」

 

 自分の中に染み付いていたコンプレックスを全て肯定されて、蛍に泣きついてしまった




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悪戯 その6

今回で『悪戯』シリーズは終わりです
そして、なんといつの間にかUAが2万を超えていました
これからも応援してくださると嬉しいです

みたらす様評価10ありがとうございます


 蛍に泣きついてしばらく

 あの後、蛍に思いっきり説教されたが、これも俺がしたことの報いだと思い大人しく聞いていた

 

 しばらくして、色々と包帯や傷の処理などをされたノエルが入ってきた

 ノエルには深く、それはもう深〜く感謝されて、

 

「このご恩は一生この身を尽くしてお返しします!」

 

 なんて大袈裟なことを言われたが、とりあえず今は俺が今度出かけるときに一緒についてくるということにしてもらった

 本人はかなり渋々だったが

 俺がもし男だったらどんな目に遭わされるか分からないぞ、という旨を話しても

 

「貴方様のことならどんなことだってしてみせます!」

 

 なんて、神々しさに満ちた信頼度100%の目で言われたら何も言えない

 

 そして、蛍にもこんなことを言われた

 

「今度からいついかなる時でも、外に出る時は絶対に誰か同伴者をつけて」

 

 流石にモンド城にいる時ぐらいは1人でもいいじゃないか、俺のプライバシー的な問題で

 ということを必死に蛍に訴え、なんとかモンド城にいる時は一人で外出してもOKになった

 

 ただし、朝8時から夜5時までの時間付きだが

 俺は小学生か、なんてツッコミをしても蛍が小学生のことなんて知っているはずもなく

 俺の門限が決まってしまった

 

 さらに2週間安静にしなければならないことをバーバラに伝えられた時はかなり落ち込んだ

 素直に言うことを聞いておけばよかった、と

 ただし、俺が外に出ていたからこそノエルを救えたので何とも言えない気持ちだ

 

 ようやく見舞いの人が誰もいなくなった教会のベッドの上で、これから二週間の安静もとい自宅監禁生活を考えて俺は何もやる気が無くなってしまった

 そして、俺は思った

 ーーーあの魔が差した時の俺に会えたら絶対に一発ビンタしてやる

 

 

 

                  〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 二週間の監禁生活が始まって一週間弱

 俺は蛍の過保護なお世話を受けていた

 ご飯をアーンで食べさせるのはまだいい方だ、あまり体を動かさないように俺の着替えを蛍が全部やるのはまだ許そう

 しかし、流石に体をふくのは勘弁してほしい

 自分でやるとなんとも無いのだが、いかんせん人がやるとむず痒いようなくすぐったいような感覚があり、変な声が出てしまう

 

 さらに、夜寝る時はずっとパイモンと蛍と添い寝で、蛍に後ろから抱き締められながら頭を撫でられる

 最初は恥ずかしさと蛍の女の子特有の甘い香りで心臓のドキドキが止まらないが、ずっと頭を撫でられ続けているといつの間にか寝てしまっているのだ

 

 

 夜、いつも通り俺の後ろは蛍がいて、抱き締められながら頭を撫でられていた

 パイモンは俺の胸元でぐっすり寝ている

 

 だんだんうとうとしてきたが、今回は簡単には眠ってやらないぞと、変な反抗心を持って睡魔に抗っていた

 それでも、いよいよ俺の目蓋が重力に負けてしまいそうになる

 最後の悪あがきとして後ろから自分を抱き締めている蛍の方を向き

 

 ほっぺたにキスをしてやった

 

「///~~~~~~~~っ?!?!!??!」

 

 顔をリンゴみたいに真っ赤に染めて、声にならない悲鳴をあげている蛍をみて

 俺は悪戯に成功した子供みたいな顔をしながら眠りについた




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お出かけ その2

昨日でちょうど投稿して一週間が経ちました
一週間の間でここまで読んでくれる人がいるとは思いませんでした

探しの旅様、10評価ありがとうございます


 蛍にキスをしてしばらくたった頃

 最初は顔を赤くして目を合わせてくれなかったが、最近はどこか吹っ切れた様子でグイグイ来るようになった

 いきなり抱きしめてきたり、二人だけで出かけたりもするようにもなった

 

 そんな中、ノエルと約束していた日になり、モンドの中を遊びに行った

 アカツキワイナリーでディルックと話したり、風立ちの地にある木の上に登って景色を眺めたりした

 

 楽しい時間が早く過ぎるように感じるのは、時計を見る頻度が減るからだとどこかで聞いたことがある

 確かに、その考えは的を射ていると思う

 何故なら、ノエルと一緒に外を遊び回ったら、あっという間にそろそろ帰る時間になるからだ

 

 ノエルを助けた日以降から、俺の門限は午後5時までにされてしまった

 約束を破れば、蛍の涙と共に3日間の外出禁止を言い渡されてしまう

 ちなみに、最近は依頼をあまり受けていない

 受けようとしても蛍が嫌というほど邪魔してくる

 最近の蛍の口癖が

 

「貴方はもう沢山頑張ったから、今は休んでて」

 

 蛍は俺をダメ人間にするつもりなのだろうか、そう疑わずにはいられない

 完全に、今俺は蛍のヒモである

 この状況に甘んじる俺ではないので、いつかは蛍に『俺は一人でも大丈夫!』というところを見せるつもりだ

 

 なんてことを、ノエルに話していた

 何だか愚痴っぽくなってしまって申し訳なく思っていると

 

「大丈夫ですよ、普段のアルジェンド様と蛍様の様子が聞けてとても嬉しいです」

 

 なんてことを抜かす

 

「別につまらなかったら『つまらない』ってハッキリ言っても全然構わないぜ?」

 

「そんなことありません、もっとアルジェンド様の事が知りたいです」

 

 そんな健気なことを言ってきたので、色々な事を話した

 

 俺の好きな食べ物から始まって、最近は料理が出来ていないからまた『午後のパンケーキ』を教えて欲しいとか

 璃月であった色々なゴタゴタ、稲妻で神に立ち向かった話

 様々な国の話をした

 

 気付けばモンド城に着いていて、門限の午後5時もそろそろ

 今日は解散することになった

 

「今日はありがとうな。ノエルも忙しいのに、今日はずっと付き合ってもらって」

 

「いえいえ、アルジェンド様は私の命の恩人ですから、また何かあれば呼んでください」

 

 いい加減時間がヤバいので、家まで走って帰ろうとすると

 

「アルジェンド様!」 

 

 いきなり名前を呼ばれた

 

 ノエルは満開のひまわりのような笑顔で

 

「ーーー大好きですよ!」

 

 そう叫ばれた

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 モンド城の中で大声でラブコールを叫ばれた訳だが、周りの人達に聞かれないはずがなく

 すごくにやにやした笑みをこちらに向けてきたので、急いで家に帰った

 

 門限ギリギリで家に帰ると、難しい顔をした蛍が近づいてきた

 いきなり俺のことを持ち上げたと思ったら、足の上に座らされた

 抜け出そうとしても強く抱きしめてきて抜け出すことができない

 

 俺はパイモンが帰ってくるまで、大人しく蛍に抱きしめられながら座っていた




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教会

ここすき機能で、最近はどのようなものを書けばいいかというのを参考にしています
文章にタブルクリックするできるので、是非やってみてください


 今日は久しぶりにモンドの教会に来ていた

 相変わらずかなり大きく、清潔感のある内装である

 

 俺は裏口にいるバーバラファンクラブの会長(自称)をさっさと追い払うと、教会にお金を寄付した

 そして、今頃リンゴ酒でも呑んだくれているであろうウェンティもとい風神バルバドスに祈りを捧げておく。答えてくれる気なんて更々無いだろうが

 

 そして、教会を出ようとするとバーバラに出会った

 

 俺は教会に何度かお世話になっている

 そして大体重症なので、色々な人から覚えられているわけである

 バーバラにもよく心配かけて世話になった人の一人

 

 バーバラが居なかったら多分、今頃俺は絶対何処かで死んでいる自信がある

 そんな命の恩人であるバーバラが、俺に頼みたいことがあるらしい

 時間も空いているし、何より命の恩人であるバーバラの頼みなど断る理由もないため、喜んで引き受けた

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 バーバラの簡単な依頼を終わらせると、ちょうどお昼時になっていた

 お腹も空いていたので、バーバラが手料理を食べさせてあげると言ったときには飛び上がって喜んだ

 俺はバーバラの料理を食べた事はないが、まずいことは絶対に無いだろうという謎の確信を持っていた

 部屋に案内してもらい、テーブルに座って数十分

 美味しそうな香りが漂ってきたと思っていたら、直ぐに料理が完成した

 

 ホワイトソースポトフだ、しかし、いつもより香辛料の香りが強い

 

「これは私がホワイトソースポトフをアレンジしたんだ、きっと気に入って貰えると思う!」

 

 そう自信満々に笑顔で言ってくるバーバラ

 元の料理に香辛料を多く入れたのだろうか

 何にせよ美味しいことにはかわりないだろう

 

 そう疑いもせず口に運んだ

 

 まず口の中に広がったのはスープの旨味

 次に来たのは香辛料の良い香り

 それだけで終われば100点満点だったのだ

 しかし

 

 ーー最後に来たのは途方もない痛みだった

 

 思わず席から転げ落ちて地面をのたうち回る

 そんな俺をみてあたふたしながら

 

「ど、どうしたの?そんなに私の料理が美味しくなかった?」

 

 いや、旨かった

 旨かったんだけど、最後の痛みは一体何?

 

 口の中に火元素でも突っ込まれたような痛みだった

 

「美味しかったけど.........口が痛い。...........何の材料を入れたんだよ............」

 

 バーバラが入れた材料を答えていく

 基本的に普通の材料だったが、一つだけ、とんでもないものが入っていた

 

 簡単に言うなれば、前世であったもので例えるとハバネロ的なものだ

 何でそんなもの入れたのか

 バーバラ曰く

 

「もっと辛いものを入れたほうが美味しくなると思ったから..........」

 

 バーバラは辛いものが好きだったらしい

 でも、ここまで辛くするなんてやりすぎじゃないか.......?

 

「.........ご、ごめんなさい。少し辛くしすぎちゃったよね、今片付けるから........」

 

 そう言って、少し悲しそうな顔で皿を下げようとする

 俺はその手を制すると、一心不乱に食べた

 バーバラに悲しい顔をされるぐらいなら、辛いのを我慢して食ったほうがまし

 幸いにして、味はとても良いので美味しくいただくことができた

 ...........しばらく口の中の激痛のせいで喋れなかったが

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 俺は今現在、バーバラに膝枕されている

 別に自分の自己満足で食べたのに何かお詫びをしたいと言って聞かなかったので、膝枕してもらうことにした

 そのついでに耳掃除もしてくれるという

 

 耳の中をカリカリと削る音がする

 痛みは全くなく、とても気持ちがいい

 少しうとうとしだしていると

 

「はい、右耳は終わったよ。左耳もする?」

 

 勿論、お言葉に甘えてさせてもらう

 

 向きを変えて左耳を出す

 またカリカリと削る音が鳴って気持ちよさにまたうとうとしてきてしまう

 

「これで左耳も終わりーーーーあれ?眠くなっちゃった?」

 

 今にも溶けそうな意識で、こくりと頷く

 

「そっか、お腹一杯になっちゃったもんね、よしよし。子守唄歌ってあげるね」

 

 バーバラに頭を撫でられながら子守唄を聞く

 ファンが見たら血涙流しそうなことをされて、俺は眠っていった




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報酬

トライポット様、明日のやたからす様、/kill @e様 名紙蛾様お気に入りユーザー登録ありがとうございます

番外編についてですが、アンケートを見た限りどちらも人気なので、両方書こうと思っています
しかし、作者は受験生のため、書くのは2月以降となります


 今日は俺、クレー、モナの珍しい組み合わせで望風山地に来ていた

 モナは生活費を稼ぐため、足りない分を冒険者協会の依頼をこなすことで稼いでいた

 俺とクレーはその手伝いである

 

 クレーのお守りを前回同様任されたが、さすがにクレーでは蛍に同伴者扱いしてもらえないだろうと思い、誰か探しているときに、モナを見つけた

 幸いなことに依頼は腕っぷしを使う物が多く、俺とクレーで手伝うことになったのだが

 モナが

 

「依頼の報酬は山分けです。さすがに手伝ってもらって何もしないというのは私の矜持に反します」

 

 と言っているのだが、モナが受けた依頼なのだ、別に俺達は報酬が欲しくて手伝うんじゃない

 そう言っても聞かないのがモナの良いところでもあり、悪いところでもある

 

 なので、他のことをしてもらう

 今回頼んだのは、新しい料理の試食をしてほしいというものだ

 最近はモンドの料理ばっかり作っていたので、たまには璃月の料理を作ってみようと思う

 

 今回作るのは四方平和

 

 米にラズベリー、ハスの花弁、にんじんで簡単に作ることができる

 万民堂でレシピを貰ってから、作ったことが無かった料理でもある

 正しくは作ったことはあったのだが、空き巣事件で作り途中で終わってしまった

 

 その為、少し慎重に作り初めて無事に完成した

 

 久しぶりに外で鍋を使って作った

 近くの丸太に座りながら、持ってきていた食器によそって食べる

 動いた後の食事は本当に美味しい

 空腹は最高の調味料という言葉の意味がよく理解できる

 

「....本当に初めて作りましたか?凄く美味しいです」

 

「うん!クレー凄くお腹が空いてたけど、これ食べたら元気が沢山でてきた!」

 

 モナとクレーから絶賛の評価を頂き、少しホッとしつつ、得意げな顔をする

 今度作るときは何かアレンジ出来ないか考えていると

 

「モナお姉ちゃん、アルお姉ちゃん、こっちこっち!!」

 

 いきなりクレーに俺とモナは腕を引っ張られた

 食べ終わって直ぐなのに、よくそんなに動けるなと思いながらついていくと

 日当たりのよい原っぱにでた

 前方には池があり、剣のような物があちこちに刺さっていた

 

 クレーはいきなりねっころがると

 

「アルお姉ちゃんとこの前一緒に寝た時、とても気持ちよかったの!。次はモナお姉ちゃんも一緒に寝よ?」

 

 俺とモナは顔を見合わせると、しょうがないという顔をしてクレーの隣に寝た

 丁度良い気温であり、まさしくお昼寝日和

 そんな天気にやられて少し眠くなってきていた

 

 すると、隣から寝息が聞こえてきたかと思えば、もうクレーが寝てしまっていた

 ずいぶんと気持ちよさそうな寝顔で、幸せそうだ

 

 そんな顔を見ると俺も眠くなってしまう

 目蓋を閉じれば、最近外出した色々な記憶がよみがえってきた

 

 なんだか寝てばっかりだな、と思わないわけでは無かったが、たまにはこんな生活でもいいか

 なんて適当な答えを自分の中に返して眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、ヒルチャールが来たらどうするんですか。..........まあ、私が見張っておきますから何も問題はないんですけど」

 

 アルとクレーの気持ちよさそうな寝顔で寝ているのを見ながら、そう呟いた




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璃月編
休暇


今回から璃月編に入ります、リサとスクロースはもう少し待ってください
案が出しだい書くつもりです

アンケートを始めました、今回も300人の投票で締め切りです


最近感想が来ないので、感想を書いてくれると嬉しいです


 今日は璃月に来ていた

 旅館に泊まっているため、少し早めに璃月港を出ないといけない

 勿論、蛍とパイモンも一緒だ

 

 久しぶりに璃月港に来てみれば、相も変わらず活気に満ち溢れている

 流石は契約の国、よくお金が回っているのだろう

 しかし、だからといって休みが多い訳ではないということをしっている

 活気が良ければ仕事が増える

 仕事が増えれば働く時間が増える

 働く時間が増えれば休みが減ってしまう

 そのことをよく俺は知っている、いや、知らしめられた

 

 主に璃月では二人ほどいるのだが、まず最初はジンに続いて二人目のワーカーホリックさんに会いに行った

 

 

 

            ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 璃月には『璃月七星』というものが存在する

 それは簡単に言うと、璃月のトップの7人のことを指す

 

 俺の知り合いに二人ほどいるので分かるのだが、めちゃくちゃ忙しい

 ただでさえ組織や国のトップは多忙なのに、璃月の活気が良いためさらに仕事が多い

 

 その秘書となればどれだけ忙しいのだろうか

 『璃月七星』の一人一人の仕事の仲介役をこなしているのだ、その多忙さは想像を絶するだろう

 

 なので、俺はたまには休みをとってもらうことにしている

 現在、俺の直ぐ横で一緒に草原にねっころがって青空を見上げているのは甘雨

 

 『璃月七星』のその秘書である

 俺が璃月港に来たとき、まず真っ先に確認したのは甘雨が休んでいるかどうかだ

 予想通り、ここ最近はずっと仕事漬けらしい

 そんな甘雨をみかねて、俺は仕事場に特攻して休みを取り付けてきた

 

 周りの人も、流石に休んだ方がいいと思っていたのか快く了承してくれたのが幸いだった

 とりあえず、俺は璃月港を出て見晴らしの良いところで甘雨と一緒に空を見上げていたところである

 

 しばらくずっと雲の動く様子を観察していると 

 いきなり甘雨に頬っぺたをプニプニされた

 思わず甘雨の方を向くと、怒られるとでも思ったのか

 

「そ、その、つい触ってしまってすいません.......」

 

 と謝ってきたので、別に構わないと伝える

 

「だったら、その、嫌じゃなければもう少し頬っぺたを触らせてもらえませんか........?」

 

「いや、別にいいんだけどさ、何でそんなに俺の頬っぺ触りたいの?」

 

 すると甘雨は少し顔を赤らめながら

 

「とても柔らかそうで、その、触り心地が良さそうだったので........」

 

 俺の頬っぺを触るくらいで、甘雨の疲れが癒されるのならば安いものだ

 そう思い、触ることを了承する

 最初は恐る恐るだったが、段々遠慮は無くなってきて、プニプニと両頬をいじくりまわす

 痛みが感じない程度の手加減で甘雨は飽きもせずに触ってくる

 俺は甘雨が満足するまで頬っぺをプニプニされ続けていた




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お仕事

最近誤字報告が多くて助かっています。見つけしだいどんどんしてくれると幸いです
そして、感想ですが、どんな小さなことでもいいのでくれると嬉しいです
この作品の世界観のわからい所も感想で聞いて下さい、出来る限りお答えします
この作品ことじゃなくても、原神のことなら感想で質問してくれてもいいです
また、評価もしてくれると嬉しいです


 甘雨に休暇をもたらした次の日

 俺は刻晴に呼び出されていた

 

 別に璃月で問題を起こした訳でも無く、だからといって何か褒められるような事をした訳でもないのにもかかわらず、だ

 

 どこか戦々恐々しながら呼び出された刻晴の仕事場に到着する

 すると中の職員と思われる人物が出てきて、俺を刻晴が仕事をしている部屋へ案内してくれた

 

 何故俺の事を知っているのか、という問いに対して返ってきた答えは単純明快で

 

「よく刻晴様が貴女様の事を話していますから。それに、『今日はアル以外この部屋に通さないで』と言っておられましたので」

 

 顔パスで入れるほど俺の事を話したらしい

 どれだけ話したのだろうか

 

 後でゆっくり問いただしてやろうと考えていると、刻晴の仕事部屋に着いた

 ノックしようと前に出たとき、ふと横を見ると、案内してくれていた職員の人がいつの間にかいなくなっていた

 

 どうぞ二人きりでごゆっくりしてください

 

 さっきまで職員がいた場所にはそんなことが書いてある紙が落ちてあった

 苦笑いで紙をポッケに仕舞うと、刻晴の仕事部屋の扉をノックした

 

 コン、コン、コン、と何処か響くような音がして

 

「入って」

 

 刻晴からの応答が聞こえた

 

 刻晴は机にある書類の束を処理していた

 全て縦に積み重ねたら俺の今の身長と同じくらいあるのではないだろうか

 そんな書類の束に驚いていると

 

「アル、ちょっとこちらに来てくれないかしら?」

 

 刻晴が呼んできたので、刻晴のもとにいくと

 ヒョイ、と持ち上げられて刻晴の膝の上に座らされた

 

 いきなりの事に動揺していると

 

「久しぶりにアルと会ったから、少しアルの温もりを感じたかったのよ」

 

 そう言って書類作業の続きを行う

 

「.............俺が居たら邪魔じゃね?」

 

 そう刻晴に問い掛けるが

 

「全然、むしろ何時もより作業が捗っている気がするわ」

 

 俺がいたら捗る仕事とは何なのか

 そんなことを考えてながら刻晴が作業している書類を見る

 『玉衞』は主に土地管理の仕事らしいので、この広い璃月の土地に関することの書類でいっぱいである

 

 ただ、俺のような素人が見たところで内容が理解出来るはずのないような物ばかり

 しかしすることがないので訳のわからない書類をずっと読んでいると、少しずつ眠くなってきた

 最近は寝てばっかりなので寝ることを我慢しようとするが、この体は欲に忠実であり、人間の三大欲求には敵わずに眠ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、眠っちゃったのね」

 

 私は安らかに眠るアルの寝顔を見る

 何も警戒していない、信頼しきっているような寝顔だった

 

「.....まったく、璃月に来たなら私に言って欲しかったわね。真っ先に心配したのが甘雨だったなんて嫉妬しちゃうじゃない」

 

 私はアルが膝から落ちないように少し強く抱き締めると、残っていた仕事を終わらせるために書類に目を通した




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習慣

パンダ金貨様、評価10とお気に入りユーザー登録ありがとうございます

今回の話はかなり難産でした
そして、結構眠い中作ったので誤字脱字がたくさんあると思います
それらをご指摘してきしていただければ幸いです

キャラクターのセリフが原作とちょっと違うように感じるかもしれません
『もっとこうした方が良いのでは?』という意見がありましたら感想で教えてもらえると嬉しいです


 習慣とは恐ろしい物である

 最近、お昼頃に寝ることが増え、半ば習慣になりつつあった

 おかげさまで現在午後1時、欠伸が止まらなくなっていた

 その習慣をいい加減脱却するため、琳林に散歩しに来ている

  

 旅館に行った所で特にすることも無い

 強いて言えばお昼寝をするようになった大元凶の蛍に寝かし付けられるぐらい

 その為、お昼を食べた後、運動も兼ねてここまで登ってきたのだ

 

 しかし本当に欠伸が止まらない

 ここまで登ってくる時にした欠伸の回数はゆうに20回は超えているだろう

 高い所特有の気持ちのいい風に当たっていると本当にこのまま寝てしまいそうだ

 

 そう思い、下山しようとすると

 

「あ!アルだ~!ひっさしぶり!」

 

 聞き馴染みのある無邪気な声が後ろから聞こえてきた

 葬儀屋往生堂七七代目堂主、胡桃である

 

 幼さが残る少女だが、葬儀屋としての仕事は完璧にこなす

 しかし、それ以外となると少々突飛なことをして周りを困惑させていることが多い

 仕事に誇りを持ってやっていることは素直に尊敬するのだが、今こうして往生堂を抜け出してここにいるように周りの人を振り回すことも多々あるのが珠に傷だ

 

 まあ、外見相応だと思えばまだ可愛らしいものだが

 

「いつ璃月に来てたの?まったく気付かなかったよ」

 

「かなり最近だよ、ちょうど二日前くらいだ」

 

 その二日も甘雨と刻晴に使ったのだから実質こうして璃月を回ったのは今日が初めてだ

 それで胡桃と会ったのだから、やはり一度知り合った人達とは切っても切れない縁があるのだろう

 そう思いながら大きな欠伸をしてしまう

 

「大きな欠伸だね~、お昼時だから眠いんでしょ。分かるよ~その気持ち。.....そうだ!お昼寝にちょうどいい所を知ってるよ、ついてきて!」

 

 そう言って俺の言葉を待たずして腕を掴んだままどんどん先にいってしまう

 やがて着いた場所は璃月港を一望出来る場所だった

 

「ここの眺め綺麗だよね~、風も気持ちいいからよくお昼寝するときは来てたんだ」

 

「............悪いけど、今日は寝るつもりないんだよ、最近寝すぎだからな」

 

 そう胡桃の隣に座って景色を見ながら言うと、胡桃は悪戯するような笑みを見せて

 

「ほい♪」

 

 俺の頭を倒して胡桃の膝の上に乗せてきた

 

「っ~~~~~////!!!」

 

 俺はいきなりのことに驚き戸惑った

 何よりもまず、太股の感触に戸惑いまくった

 

 俺は何度か膝枕されたことはあるのだが、その全てがスカートの上かニーソの上だったのだ

 しかし、胡桃はそんなものしておらず、生足の直の感触を感じてしまっていた

 この世界に来てから幾分かこう言うことの耐性がついたと思っていたのだが、その認識はまだまだ甘かったようだ

 

 思わず飛び上がろうとしても、胡桃によって頭を抑えられていて動かすことが出来ない

 顔が真っ赤になりながら太股の感触に耐えていると

 頭を抑えていた手で頭を撫でてきた

 

「ほら、眠らないんでしょ?だったらこんなことをしても眠ったりなんてしないよね?」

 

「当たり前だろ....こんなことで......眠るわけ...」

 

 目蓋が重くなった

 胡桃の柔らかい太股に意識を吸いとられているかのようだ

 

「小さな自尊心なんて今はいらないから。今自分がしたいことをしようよ」

 

 胡桃の言葉一つ一つが頭の中に染み込んでくる

 そして、一緒に俺の理性も放出しているようにも感じる

 

 優しい手つきで頭を撫でられながら、胡桃の染み込んでくるような言葉を聞いている

 そうしているうちに、意識が蕩けてきて、気付いたら寝てしまっていた




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採集

学校が始まったので、稀に投稿できない日があります
ご了承下さい


 俺は今日、七七と一緒に薬剤の材料を採集しに来ていた

 今回集める物は清心と瑠璃袋

 どちらも崖に咲いている植物なので、二人で手分けして登っていた

 

 途中で休憩を挟みつつ、七七から貰った璃月の特産品がある場所が分かる地図を片手に崖を登っていく

 璃月はかなり高低差が激しく、高い所と低い所の差が顕著に現れる

 それによって、清心と瑠璃袋は意外と至るところにあるのだ

 だが、崖を登った先にあるため、見つけるのは苦じゃなくてもそこから採集するのに手間がかかる

 

 俺は昨日胡桃と会った琳林で瑠璃袋を探し、七七は清心を探していた

 正直、胡桃と会ったのが昨日でよかった

 七七は胡桃のことを余りよく思っていない

 二人の間に何があったのかは知らないが、キョンシーと葬儀屋だから相容れない何かがあってもおかしくはない

 ......... まあ、胡桃の方は積極的に七七に絡みにいっているのだが

 

 そんなこんなで指定されている量の瑠璃袋を集め終わり、しばらくしたら七七も清心を集め終わったようだ

 現在時刻は午前11時頃、帰るには少し早い時間なので七七と一緒にしばらく高い崖の上でボケーっと璃月港を眺めていた

 

 すると、七七が俺の方に寄ってきて肌が触れ合うぐらい近くによってきた

 

「アルの体、ひんやりしてて気持ち良い」

 

「そんなにひんやりしてるか?」

 

「うん、ちょうどいい」

 

 俺が持っている神の目の影響だろうか

 何もしなければ基本的に害は無いから安心していたが、自分でも気付かない内に体温が少し下がっていたらしい

 まあ、少しぐらいなら全然問題は無い

 

 しばらく七七の好きにさせていると次は腕を絡めてきた

 まるで恋人のような仕草だが、当の本人はそんなこと全気にするそぶりもなく、ただ俺の腕のひんやり感を求めての行動だった

 今日は運動するだろうと思って半袖で来ていたので尚更だろう

 

 俺も七七の死人ならではの冷たい体温を感じていた

 運動後の体のクールダウンと自分に言い聞かせながら七七のボディータッチに耐え続ける

 

「もっとアルの体温を感じていたい」

 

「もうよくね?十分ひんやり感を楽しんだだろ?」

 

 七七は可愛らしく首をフルフルふり

 

「違う、アルに触れると心がフワフワするから、あともう少しだけ」

 

 珍しく七七が我が儘を言ってきたので、要望どうりもう少しまってあげる

 七七は俺の腕を大事そうに抱き抱えながらポケーっとしていた

 しかし、いつもの無表情にどこか満足そうな顔があるように感じられたのはきっと気のせいではないだろう

 俺は結局、七七の気がすむまで腕を抱き締められていた




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露店巡り

赤星様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

今回の話はかなりキャラクターがぶれてしまっていると思います
今のところ、作者の限界はここまなのでどうかご了承下さい


 今日は煙緋と一緒に露店巡りをしていた

 煙緋は法律家である

 璃月で一番とも揶揄されているほどの知識量と手腕の持ち主で、璃月七星の『天権』である凝光が法改正をするとき、彼女を参考にするぐらいである

 

 そんな彼女と露店巡りなんてすれば、物が定価より安く買えてしまう

 なぜなら彼女は職業故に値切りが得意なのだ

 

 感服すべき交渉術で、物の定価の二割引きは当たり前

 凄いときは定価の八割引きで交渉が成立した

 店長が涙目だったのをよく覚えている

 

「おい煙緋、さすがにやりすぎじゃないか........?」

 

「いやいや、あれはあちらの店がぼったくり価格でも物を売っていたのが悪いんだ。ある程度なら私だって少し位見逃すが、あの店は余りにも度がすぎていた。良い薬になっただろうよ」

 

 俺が今着けているブレスレットは本来8000モラだったのだが、煙緋の値切りによって1600モラまで安くなって買うことが出来た

 前世が日本人だったので、値切ることはあまり得意ではない俺の代わりに値切ってくれるのはありがたいが、なにもここまでする必要は無かったのではないかと考えてしまう

 

「それにしても珍しいじゃないか、アルが私のことを誘うなんて」

 

 そう、今回は俺が自分から一緒に買い物に行かないかと誘ったのだ

 基本的に受け身のことが多かった俺だが、久しぶりに煙緋と話してみたくなり、相手の仕事の休暇に行けないかと誘ってみたら意外にも即刻了承を貰い、今に至る

 

「それにしてもずいぶん似合っているじゃないか、やはり私が選んだ物に間違いはなかったようだ」

 

 夜泊石でできているブレスレットは自分の銀髪とよくマッチしていた

 キラキラと光を反射していて、とても幻想的に見えた

 

「.............ところで話はいきなり変わるのだが、同性婚という物を知っているかい?」

 

「本当にいきなり変わるな、あれだろ?、同じ性別同士で結婚することだろ?」

 

「概ねその解釈で間違っていない、最近増えていてね、そのような依頼が。三年間だと約1.8倍も増加していた」

 

「結構増えてるな、全然そんな感じしないけど」

 

 周りを見渡すが、カップルはいても男女のカップルしかいない

 

「元の数があまり多くないというのもあるが、同性のカップルだと周りから見れば友人と一緒にいるようにしか見えないのだろう。............意外と近くに居るかも知れないぞ?」

 

「そうか?.......まあ、確かに俺の知り合いの一人二人ぐらい居そうだな」

 

 全員美形だし、色々な関わり合いがあるからいても可笑しく無さそうだ

 そんな話をしながら煙緋と一緒に露店巡りをどんどんしていった

 ...........しかし、この話をした辺りから少し煙緋のボディータッチが増えたような気がした




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群玉閣

氷屋様、きれいなモップ様、評価10ありがとうございます
那覇太郎様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます


 俺は久しぶりに群玉閣に招待された

 どうやら俺や蛍が璃月に来たことは分かっていたらしいのだが、仕事が多忙でもてなすことができなかったらしい

 今日は俺だけ呼ばれた

 蛍は俺が七七と一緒に清心と瑠璃袋を採集しているときに行ってきたらしい

 

 群玉閣は一度消えている

 渦の魔神オセルを倒すために落としたのだ

 そこから再建し、今の群玉閣が出来上がった

 ただ、再建するにあたって色々と厄介事もあったが

 

 それらを何とか乗り越え、再びこの群玉閣に来ることができた

 入り口を見ただけでどれだけモラがかかっているのかと言うほど、高級品で溢れかえっている

 中に入れば、金色で埋めつくされたエントランスで迎えてくれる

 そして、その奥には璃月七星『天権』凝光が佇んでいた

 

「ようこそ群玉閣へ、貴方の来訪を歓迎するわ」

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 まず、案内されたのは凝光の部屋だった

 最近になって多忙を極めていた仕事はようやく一段落したようだ

 部屋に入り、茶菓子でもてなされた後

 凝光はあるボードゲームを持ってきた

 

「ねえ、久しぶりにこれをやらない?最近忙しかったから出来なかったのよ」

 

 『璃月千年』、それは凝光自らが暇潰しで作り出したボードゲームである

 ルールを簡単に説明すれば人生ゲームのような物であり、三つのさいころを振って出た目の数だけ進み、色々なイベントマスでモラを貰ったり失ったりしながらゴール時に一番多くのモラを持っていたら勝ちというゲームである

 

 しかし、このゲームの大変なところはルールが複雑であり、コロコロ変わると言うところにある

 ルールは『璃月千年』製作者である凝光が気分次第で決めるため、ルール改正はしょっちゅう行われている

 俺が知っている限りだとVer32.6だったはず

 家にある『璃月千年』で遊ぶときはいつもそのルールでやっていた

 

「...........いいぜ、最近パイモンとよくやってたからな、ルールは大体覚えてるんだ」

 

 俺と凝光はボード上に自分の駒を置いた

 

 

 

            ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 結果は惨敗

 どうしたらそんなにモラが回るのかと問いたい

 

「私の勝ち、だけど貴方もかなり善戦したじゃない。少なからず私相手に50万モラ手に入れたのは貴方が初めてよ」

 

「500万モラで勝った奴が言っても嫌みにしか聞こえねえよ」

 

 どうしたらあそこまで利益を得ることが出来るのだろうか

 ルールをなんとか覚えた俺ですら全く勝てないのだ、他のルールすら怪しい奴がやったところで勝てる訳がない

 

「くそ!もっかいだ!今度は絶対に勝ってやる!!」

 

 俺は凝光に夕方になるまで勝負を挑み続けたが全て負けた

 そして、何時までも凝光は楽しそうに笑っていたのを覚えている




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お風呂

アイミア様、那覇太郎様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

ついにこの作品のUA数が50000人突破、お気に入り数1000人突破いたしました
まさかここまで伸びるとは思ってもいませんでした
これからも宜しくお願い致します


 風呂は日本人にとって最高のリラックス空間だと俺は思う

 旅館にある個室の風呂に入りながらゆっくり力を抜いていく

 身長が小さいのですぐに肩までつかれるのはこの体の数少ない利点である

 

 ゆっくりと風呂に入りながら今までの事を回想する

 

 最初はこの体になって凄く戸惑っていて大変だった

 そこからなんとか立ち直っても、振る舞いが完全に男だったため、色々と蛍に女の子の立ち振舞いを教えてもらった

 その一つにこのお風呂がある

 

 最初は髪を洗う時、おもいっきり手でごしごししていたが、蛍にロングの髪の洗いかたを教わった

 しかし、蛍はショートヘアなのにどうしてロングの髪の洗いかたを知っているのか、と聞いてみたところ

 

「.....昔、ロングヘアだったから」

 

 個人的には蛍の金髪ロングを見てみたいという気持ちがあるのだが蛍は頑なにそれをしない

 何故かも教えてくれないが、何時かはしてくれるそうなのでそれを気長に待とうと思う

 

 しばらく入って、髪の保湿をし忘れていること気づき、一回でてオイルを取ろうとしたら

 

「............ちゃんと出来ているか確認しにきた」

 

 後ろから蛍が入ってきた

 

 ーー全裸で

 

 いや、風呂は基本的に全裸で入る物なので何も可笑しくはない

 可笑しくはないのだが、前に髪の洗いかたを教えてくれた時はバスタオルを巻いていたので今回の破壊力がより際立って感じられる

 

 思わず前を向いてしまった

 健全なる男としては是非とも見たいのだが、いかんせん体のアレな部分ばかり目がいってしまいそうなので目を向けることができない

 

「どうしたの?アル」

 

「いや、その.............」

 

 貴方の裸に興奮して目を向けることができません

 なんて本人の前でいえる奴は本当に心の底から尊敬する

 

 少なからず自分には無理であり、必死に蛍がいる方を向かないように目をそらし続ける

 しかし、俺のそんな努力を嘲笑うかのように俺の目の前に回ってきて

 

「顔、真っ赤だけど.........もしかして逆上せちゃった?」

 

 そう言うと、おもむろに俺のことをお姫様抱っこして浴室から連れ出す

 その際に後頭部に触れた直の柔らかい感触が暫くとれることはないのだろう

 そのまま体を拭かれて抱き締められた

 もちろんお互いに何も着ていないので、感触やら匂いやらが全部感じ取れてしまい

 胸の感触やら肌の暖かみでうとうとしてきてしまった

 

 蛍が持ってきた水差しで水を飲むと、そのまま夢の世界へ旅立ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

「..........寝ちゃった。こうやって抱き締められると直ぐに寝ちゃう」

 

 私は安心しきった顔で眠りについているアルの頭を撫でた

 

「..........貴方はたくさん頑張った。その頑張りをすぐ近くで見てきた私が貴方を認める」

 

「だから、もう暫くはこうやって甘えて。私は、皆はそれを拒否しないから」




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お詫びと訂正

エウルアの話で最初は主人公も酒を飲んでいたのですが、『飲酒描写はまずいのではないか』という意見をいただいたので訂正させていただきました

報告が遅くなってしまい申し訳ありません


 今日は南十字船隊に泊まり込みで来ていた

 

 南十字船隊のある船のところに行く為には最初は高いところから風の翼を使っていたが、船の上の依頼をした後からは璃月港にある小舟で行けるようになった

 そして、南十字船隊には稲妻に行くときにも手伝ってもらったところでもある

 

 今回は蛍も招待されていたが、運悪く稲妻の用事と被ってしまい、俺だけが行くことになった

 何気に久しぶりに来る船の上は、中々新鮮だった

 海の上で少し上下するような感覚も、聞こえてくる波の音も全て久しぶりに感じた

 

 船員と船長である北斗に盛大にもてなされた後、沢山の料理が振る舞われた

 どの料理もとても美味しく、夢中になって食べていると、北斗が俺の席にやって来た

 

「どうだ?ここの料理は旨いか?」

 

「めっちゃ旨い、万民堂と肩並べられる位には」

 

 海軍とかもそうだが、基本的に海の上で活動しているところのご飯はすごく美味しいイメージがある

 ずっと代わり映えのしない海の上での数少ない楽しみともいえるからだろう

 

「それは良かった、ちなみにどの料理が一番旨かった?」

 

「どれも凄く旨かったんだけど、一番となると豚肉の唐辛子炒めかな」

 

 あの辛くて濃い味付けが堪らない

 ご飯と一緒に食べるとそれはもう箸が止まらなくなった

 結局直ぐにその料理は完食してしまった

 

「そうかそうか!あれはアタシも大好きなんだ、今度それに合う酒を教えてやる」

 

「おい、未成年に酒を飲ませようとするなよ」

 

 絶対凝光が黙っていない

 俺は前にあったばっかりなんだ、次に合うのが未成年飲酒とかは嫌だ

 

「大丈夫だって、なんなら今ここで教えてやろうか?、船の上なら凝光にだってバレやしないさ」

 

「いや、そうかもしれないけどさ。流石に良心が痛むというか...........」

 

 前世の感覚で未成年飲酒は当たり前だが駄目なことという認識が頭にこびりついている

 その為、どうしても未成年飲酒をすることに罪悪感を感じるのだ

 しかし、この体の肉体的な年齢未だに不明である

 見た目だけで言うのならば齢12歳前後だろう

 

 だが、俺の精神年齢は前世との合計で20歳を超えている

 よって、この体の肉体的な年齢によっては飲酒も吝かではないのだが.........

 

「まあ、まだ飲酒は止めとくよ。もう少し大きくなってからにするさ」

 

 この体が幼児体型から成長すれば、何も問題はない

 だがしかし、最近は背も伸びないし体重も増えたりしないので少し危機感を持っている

 

 なんて、将来の自分の体型に心配しつつ北斗の酒をあおる姿を見ていた 




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昼食

番外編書き始めました
取り敢えずプロローグだけ投稿しておきます
本編は2月以降から

ろすあず様、評価10ありがとうございます


 今日は久しぶりに俺、蛍、パイモンの三人で昼ご飯を食べに行くことになった

 勿論、璃月港の定食屋と言ったら万民堂だろう

 暫く行っていなかったので、とても楽しみである

 

 万民堂へ着いたら早速、卵師匠に昼食を頼む

 

 俺は揚げ魚の甘酢あんかけ

 蛍は黒背スズキの唐辛子煮込み

 パイモンは璃月三糸

 

 暫く待てば出来立ての料理が運ばれてきた

 俺や蛍でも料理は作ることは出来る

 しかし、作る人によって味付けが同じ料理でも違いがあるのだ

 だからこそ、卵師匠にしかだせない味があり、それを俺たちは食べにきたのだ

 

 ちなみに、お代は蛍持ちである

 何故かというと、俺はそもそも最近依頼をほぼ出来ていない(蛍の妨害によるもの)ので、お金を全くといっていいほど持っていないのだ

 何かモラが必要な場合、蛍が代わりに出してくれる

 

 もはや俺は蛍の子供かヒモに成りつつある

 .............パイモンも人のこと言えないが

 

 しかし今はそんなことより目の前にある昼食のほうが大事

 この事は無視は出来ないが、まあ、未来の自分にでも丸投げしておこう

 

 箸を使って揚げ魚を掴む

 食べやすい大きさに一度切る奴もいるが、俺はそのままかぶり付いた

 油が乗っていて凄く食べごたえがある

 魚の旨味とあんかけの甘酸っぱい味が最高にマッチしていた

 

 今日は特になにもしていなかったが、何故か無駄にお腹が空いていたので直ぐに食べきってしまった

 二人も食べ終わり、お代を払って万民堂を出た

 

 .............そう言えば、香菱を見なかった。どこへ行っていたのだろうか

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 旅館に着き、部屋に入ってすぐにベッドに飛び込む

 最近はもう昼食を食べたらお昼寝をするという習慣がついてしまった

 しかし、抗う気も殆ど今の俺には残されていないので、そのまま眠気に身を委ねていく

 するとパイモンと蛍もベッドに入ってきた

 地味に大きなベッドであり、パイモンは元から小さいので三人でもしっかり寝ることが出来るスペースを確保する事ができた

 

 いつも通り俺が真ん中で俺から右にパイモン、左に蛍という形で川の字になって寝る

 食べて直ぐに寝ると牛になるという言葉があるが、幸いにも俺も蛍もパイモンも最近このような生活を続けていたが、上にも横にも伸びることは無かった

 

 この体が特別なのだろう、だとしたら食べたカロリーは何処へ消えているのかという疑問が残る

 そんなことを考えた所で何にもならないので、今は取り敢えずこの幸福感を味わいながら睡魔に飲み込まれていった

 

 

 

 

 

 

 

 

「...........あなたたちは、私が必ず守るから。だから、ずっとその幸せそうな顔を私に見せ続けて」

 

 私は眠っている最高の相棒と最愛の親友を抱き締めながら目を閉じた 




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呼び出し

紅月零様、評価10ありがとうございます
堅あげぽてぃと様、因幡守様、若葉イナヨ様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

作者は感想が来ないと不安になる面倒くさい人なので、なにかちょっとしたことでも感想をくれるとありがたいです


 万民堂に行った次の日、俺は再び万民堂に来ていた

 しかし、今回は依頼があるため蛍とパイモンは不在である

 

 ただ、いたとしても今回は万民堂に呼び出されたのだ。俺のみという条件で

 その為、たとえ過保護悪化の一途を辿っている蛍に『一緒についていく』と言われても俺はそれを拒否しただろう

 .............涙で訴えられたら分からないが

 何時だって何処でだって女の涙に男は弱いのである

 

 ゆっくり歩いて行けば昨日来た万民堂が見えてきた

 今回呼ばれた理由は知らされていない

 ただ『見せたいものがあるから来て欲しい。ただし一人きりで』ただそれだけを伝えられたのだ

 紙の裏には『出来る限り空腹の状態でお願い』と書かれていた

 

 その事から予想出来るのは、新しい料理を一緒に考えてくれというやつだろう

 しかし、それだと俺が一人きりでくる理由がない

 

 なにか俺が一人でくることに理由があるのだろう

 答えあわせも兼ねて万民堂へ入った

 

「あ!いらっしゃい!来てくれてありがとう!」

 

 中には香菱がいた

 何か料理を作っていたが、何だろうか

 お昼にはまだ早い、現在午前10時である

 

「もう少しだけかかるから向こうで座って待ってて!」

 

 言われたとおりに三分程度待っていると、とある料理が運ばれてきた

 器に大きな魚が一匹ドンと入っていた

 

「黒背スズキの唐辛子煮込みをアレンジしたの、自信作だから食べてみて!」

 

 成る程、確かにこれは黒背スズキの唐辛子煮込みよりボリュームがあるだろう

 書かれていたとおり、お腹を空かせていて良かった

 

 早速食べてみると、一匹丸々入っているのにも関わらず魚がホクホクで柔らかかった

 骨も大きなやつ以外柔らかくなっていてとても食べやすかった

 

 食べやすさもあいまって直ぐに完食してしまった

 

「ごちそうさま!めっちゃ旨かったぞ」

 

「お粗末様でした。そう言って貰えて作ったかいがあったよ!」

 

 嬉しそうにはにかむ香菱をみて此方まで嬉しくなってくる

 ...............あれ、そういえば.......

 

「なんで俺だけ呼んだんだ?こんなに美味しい料理を振る舞うなら蛍達も呼べば良かったじゃないか」

 

 そんな俺の問いに対して、香菱はしどろもどろになりながら

 

「いや、その、貴方に食べてもらいたかったというか.........蛍達が嫌いと言うという訳じゃないよ!?ただ........たまには二人きりでこういうことをしてみたかったの」

 

 確かに香菱と二人きりで何かするということは無かった

 

「じゃあまた今度、二人きりで何かしようぜ。次は食材探しとかにいこう!」

 

 俺のそんな提案に

 

「...........うん!」

 

 香菱は明るい笑顔で頷いた




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散歩

今回は百合要素皆無ですが、物語上必要なので許して下さい
えりのる様、大量の誤字報告ありがとうございます


 今日は璃月港を散歩して見ようと思う

 久しぶりに璃月港を訪れて数日、たまにはゆっくりと璃月港の街並みを眺めてみようと思い、しばらくぶらぶらしていた

 

 すると、甘雨をみかけた

 相変わらず書類片手に忙しそうにしていたので、何か俺に手伝えることは無いか、と聞いてみた

 『璃月七星』の仕事を素人が手伝えるか、何て聞いても愚問だろう

 そう思っていたが、どうやら違ったようだ

 

 余程猫の手でも借りたいような状況だったと考えられる

 忙しいのは見た目で分かっていた、だからこそ俺は手伝いを申し出た

 しかし、誤算だったのが璃月では俺が散々やらかした事情を知らない奴が大半だった、と言うことだ

 

 知っていたら俺にこんなこと頼まないだろう

 だが、璃月の人々にとっては俺と蛍は『渦の魔神』と戦った英雄ということになっている

 だからこそ、俺の実力を信じてこのような依頼をしたのだろう

 

 そして、受けてしまった俺も俺だ

 散々蛍に『危ないことしないで』と釘を刺されていたのに、これくらいなら大丈夫だろうという油断が命取りだったのだ

 ーー蛍を悲しませるようなことはしない、そう誓った筈だったのだが

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 甘雨に頼まれたのは、幾つかヒルチャールの集落を落とすというシンプルな物だった

 渡された資料にはそこまで大きくない集落が書いてあり、俺単独でも簡単に落とせるような物だった

 

 ただ、場所が若干散らばっていたので、行くのには手間が掛かりそうではある

 これくらいなら直ぐに終わらせることが出来ると踏み、依頼を受けた

 

 蛍には一人きりで外に出るなと言われていたが、多分そこまで時間はかからないだろう

 昼御飯までには余裕で帰ってこれる自信があった

 バレなきゃ大丈夫だろう、そんな軽い気持ちでいた

 俺は久しぶりの戦闘に少し胸を踊らせながら璃月港を旅立った

 

 

 

          ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 一つ一つの集落は簡単に落とすことができた

 しかし、集落との間の移動に時間を喰ってしまったが、周りの景観を楽しみながら歩いていくことで退屈では無かった

 

 依頼された集落を全て落とし終わった後、まだ時間が余っていたので丘の上でのんびり風に当たっている

 体を動かして汗を流した体に涼しい風がとても気持ちがいい

 外で一人、のんびりするのも悪くないと思っていた

 まだ時間は残っているが、少し汚れてしまったので体を洗いたかったため早めに旅館に戻ろうとその場から歩きだした、その瞬間

 

 まさにさっきまでいた場所に炎元素の銃弾が飛んできて、背後を掠めていった

  




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ファデュイ

今回も全く百合要素が無いです

そして、この作品をいつ完結させるかというのを最近考えています
とりあえず全キャラクター書いて、その後少しまた書いたら完結になると思われます
作者の予想は100話前後になると思っています


 ファデュイはどうやらまだ根に持っていたらしい

 帰終機への攻撃を体を張って守ったことで、なんとか『渦の魔神』オセルを倒すことに成功した

 しかし、ファデュイ達の反感も同時に買っていたようだった

 

 だからこそ、今こうしてファデュイとの戦闘に明け暮れているのだ

 

 氷元素をミスト状にして吹き付けてくる奴をまず真っ先に狙いを定めて攻撃する

 しかし、風元素の図体のでかいやつに攻撃を防がれる

 防がれた俺の少しの硬直を狙って炎元素の短銃で撃ってきた銃弾を紙一重で回避

 

 流石に多対一は辛いところがある

 正直、これ以上戦闘を長引かせると蛍が帰ってきてしまう

 さっさと終わらせたいところだが、だからといって元素に頼ると体温が下がってしまい、最近は俺を見ただけで僅かな震えを察知して俺が元素を使ったどうかわかるようになってきている蛍に速攻でバレるだろう

 

 ちょっとだけでも時間を稼げれば丘から飛び降りて風の翼を使って逃げることができるのだが、中々にキツいのが現状である

 さて、どうすべきか

 なんて悠長に考えられる時間は与えてくれないようで

 

 素早く構えられた短銃から俺に向かって炎元素が打ち出される

 横に素早くダッシュすることで回避

 そのまま、風元素の図体のでかいやつに突進

 一撃は防がれるが、素早く放った二撃目は脇腹に命中

 後ろに下がろうとしたが、いつの間に背後に回っていた氷元素の奴がブレスを放ってきていた

 なんとか範囲外にダッシュすることで掠るだけで済んだ

 

 いい加減に体力がもたない

 ファデュイ相手に元素を使わず物理のみとなると、相手に有効打が入らない

 自分のパワーの無さがここにきてかなり露見された

 さっさと逃げないとジリ貧だ

 

 距離をとって少し息を整えていると、横から走る音が聞こえた

 誰か助けに来てくれたかと思ったが、どうやらそこまで現実は甘くなかった

 

 横に振り向くと、雷元素を纏ったデカイハンマーを俺に向かって振り下ろしていた

 

 

 

              〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 あのまま俺はハンマーの衝撃で吹き飛ばされ、丘から転げ落ちていった

 体は落ちていく時にぶつけた打撲と擦り傷が体の至る所にあったが、それだけで済んだのが奇跡だ

 しかし、璃月港へ行くための道にはファデュイが至るところで張っていて、戻ることができない

 

 残りのファデュイも俺のことを探しているようで、璃月中を探し回っていた

 俺はあいつらの目を誤魔化したり、時には見つかったりもしながら逃げ回っていた

 気づけばもう日は沈みきり、丑三つ時が近づいてきている

 

 今頃、蛍達が俺のことを心配しているだろう。こんな夜遅くに探しに行こうとして止められているかもしれない

 だけど、今回は俺がなんとかしなければいけない

 俺が招いた事態なのだ、だから、俺がケジメをつけなければならない

 蛍だってきっとファデュイ達から狙われている

 多分、今まで俺が呑気にしている間、蛍だってこうしてファデュイと戦ったことだってあっただろう

 しかし、蛍は強い

 俺なんかがどうしたってたどり着けないような場所にいるのだ

 その全てで勝ってきたに違いない

 

 だからこそ、俺は『証明』しなければいけない

 俺はもう蛍におんぶに抱っこされるような弱者ではないと

 今回の事件の収束と『証明』

 この二つが今の俺にしなければならないことだ

 

 いつまでも蛍に甘えてばかりはいられない

 

 俺は木陰から飛び出して、炎元素の短銃を持っているやつに襲いかかった

 




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疲労

ギリギリでした
なんとか今日中投稿できて良かったです
今回もまた百合要素皆無です


 隠密行動を始めて数時間

 丑三つ時が過ぎ、いい加減朝日が見えてもいい気がしてきた頃

 

 俺は木に背を預けて座り込んでいた

 緊張状態が続いたまま走り回っていたものだから体力の減りがいつもより早い

 今や、もう走ることすら難しい

 

 無様だ、何が『証明』だ

 今の自分はどこからどう見ても弱者にしか見えないだろう

 

 そんな心の声に反対するほどの余裕は今の自分には無かった

 ただひたすらに酸素を求めて喘ぐ

 疲労も溜まっていたのだろう、槍を握る手が震えていた

 

 いい加減終わらせないといつか捕まって終わりだ

 ジリ貧なのはわかっていたが、いかんせん数が多すぎて相手にしきれない

 

 蛍ならどうしただろうか

 俺なんかより遥かに強く、頭の良い蛍ならーー

 

 そんな考えが頭をよぎったが、考えたところで今の自分にできるわけないので思考から除く

 ファデュイ達にはある程度ダメージを与えたが、誰一人として倒すことはできなかった

 なぜなら、元素を使わずに物理のみで戦っても自分の攻撃力では中々ダメージが入らないからだ

 これでもヒットアンドアウェイを繰り返してきたが、倒すまでには至らなかった

 

 いい加減誰か倒す算段を立てていると

 横からデットエージェントの赤い影のようなものが迫っていた

 

 とっさに転がるようにして回避

 息も絶え絶えの中、なんとか立ち上がるとデットエージェントの他に氷元素の霧を使うやつと風元素の図体でかいやつがいた

 

 デッドエージェントが姿を消す

 何処からくるか警戒していたが、氷元素の霧を吹き付けられてしまい、槍をもっていないほうの手が凍傷になってしまった

 

 足は早くないので、転がるようにして範囲外へ出る

 左手の痛みを堪えながら右手で槍を構えて悪あがきで投げつけようとすると

 

 横からデッドエージェントが表れ、素早く俺の懐に入り込み、切りつけた

 

 そこから先の記憶は持っていない

 

 

 

            ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 痛みと共に目が覚めると、俺は檻の中にいた

 その場所は松明にある火だけが唯一の明かりだった

 

 左手の凍傷は応急処置だけのため、未だに痛みを訴えている

 俺が切られた箇所、脇腹辺りには乱雑に包帯が巻かれていて、血が滲んでいた

 

 しばらくすると、ファデュイの奴らの一人が檻の前にやって来た

 そして、こんな取引を持ちかけてきた

 

「ここを出して欲しかったら旅人の情報を吐け、有益だった場合にここから解放してやることを考えてやる」

 

 俺はその取引を一蹴した

 当たり前だ、誰がこいつら何かに蛍の情報を吐かなければならないのか

 

 しかし、拒絶したら次は暴力だ

 痛みで吐かせようとしたようだが、こんなことで吐くわけがない

 どれだけ殴られようと蹴られようと俺は一切口を開かなかった

 

 数時間後、俺をボロ雑巾にして諦めたのかファデュイは一度去っていった

 俺はそのまま、疲れもあり地べたで気絶するように眠っていった




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監禁生活

形見様、評価10ありがとうございます
今回も百合要素皆無です

……….いいかげん百合を描きたい作者です


 この場所は地上の光が届かない

 そのため、今が何時だかがさっぱりわからない

 持っていた時計もファデュイに取り上げられてしまった

 

 ファデュイ達は俺に危害を加えてはくるが、俺のことを殺そうとはしなかった

 何か俺に死なれると困ることがあるのかもしれない

 

 ただ、あいつらは俺にろくな食料と水を寄越さないので、いつか栄養失調で死にそうな気がする

 そのような旨を話してもろくに聞いてはくれなかったが

 

 俺がここに監禁されて体感時間で約2日、俺から情報を吐かせようとして色々と試行錯誤しているのを他人事のように感じながら過ぎていった

 

 

 

               〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 体感時間3日目

 

 俺はこの牢屋に何かないか探し回った

 「余計なことをするな」と殴られたが、知ったことではない

 

 ついに足枷をつけられたが芋虫みたいに這ってでも探した、しかし特に何かが見つかるでもなかった

 その日の飯はファデュイ達の残飯のようなものだったが、その日の残飯なだけマシである

 水はそこら辺の川から適当に取ってきたものだろう。所々に砂みたいなものが混じっている

 しかし、それ以外は綺麗だったので今日はアタリらしい

 

 体感時間4日目

 

 だんだんあいつらの暴力も少なくなってきた

 そもそも少しずつファデュイを見る頻度が少なくなってきた気がする

 俺の相手している時間すら惜しいというくらいに忙しそうだった

 

 しかし、いくら忙しいからといって飯ぐらい置いていって欲しかった

 しかたなくご飯と水は諦めた 

 人間一日くらい飲まず食わずでも生きていける

 実際にやってみるとかなりきつかったが

 

 体感時間5日目

 

 飯と水が出された時はすぐさま飛びついた

 空腹こそ最高の調味料という言葉は本当だったと思い知らされた

 ご飯なんて何が入っているかもわからないどろどろの状態だったが、『何かを食べれる』という気持ちでいっぱいだった

 水も1日ぶりに飲んで、ここまで美味かったとは思わなかった

 3分もせずに完食してしまい、少し寂しい気もしたが監禁されている身でこれ以上を望むのも烏滸がましいと思い何も言わなかった

 

 ファデュイも飯を持ってきた時以外で見かけることは無かった

 何をしているのだろうか

 

 体感時間6日目

 

 飯を持ってきたファデュイに最近何をしているのか、と聞いてみたが

 

「喋るわけがないだろう、貴様はここで大人しくしていろ」

 

 と一蹴され、答えてくれなかった

 まあ、敵対している俺に話してくれるなんて思いもしてなかったが

 もう暴力も振るわれなくなった。しかしその分暇な時間が増えてしまったため、仕方なく地面にある傷の数を数えていた




良かったら感想と評価をよろしくお願いします


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経験

ウラルス様、斎藤さん様、評価10ありがとうございます
今回も百合要素皆無になってしまいました

あともう少しで百合が書けると思うので少々お待ちください


 体感時間7日目

 

 いいかげん風呂に入りたくなってきた

 俺の体も殴られたり蹴られたりしたときについた血や土などがついて気持ち悪い

 脇腹に巻いている包帯も巻き直したい

 

 そんなことを考えていると、ふと疑問に思ってしまったことがあった

 ーーなんで俺、こんなに冷静なんだろうか

 

 普通監禁されたり暴力を振るわされたりしたらパニックになるのではないのか

 なぜ、俺はここまでの余裕があるんだ?

 

 体の至る所がジクジクと痛みが走り続けている

 切られた部分だってまだ完治には程遠いだろう

 殴られたり蹴られたりした肋やお腹にはあざがいくつかできていた

 

 しかしながらそれだけである

 

 今までの経験ではもっと大変な目に遭っていた

 死にかけるなんてザラだったのだ、今更体にあざや切り傷があったところでなんとも思わない

 

 自分自身も気づかなかったが、精神面もなかなかにタフになっていたのだろう

 まさかこんなところで気付かされるとは思いもよらなかった

 

 今、この状況下においてはとても良い方向にアプローチしてくれている

 冷静に考えられるということがどれだけ重要なことかはよく理解しているつもりだ

 

 どうしたらこの場所を抜けられるのか

 頭の中をよく整理する必要がある

 

 ここを抜け出すには俺の『神の目』が必要だ

 俺の『神の目』は俺がここに来た時にはすでに取られていた

 つまり、どこかにはあるはずだ

 

 しかし、そもそもこの場所の構造がわからない限り、探したところで迷子になって終わりである

 なのでまずはここの地図が欲しいところだ

 

 今、監禁されている場所ではよくこの場所の大きさがわからないが、日の光が届いていないところから考えると洞窟なのではないかと思う

 そうなるとファデュイ一人一人に地図を配布していてもおかしくはない

 

 どうやってファデュイから地図を手に入れるかという問題が残る

 そもそも地図を携帯している場所がわからない

 その時点で盗むことは難しい

 だからといって倒すのは論外だ。武器を持っていても勝てなかった相手に丸腰で挑んで勝てるわけがない

 ならばどうすればいい?

 

 そんな思考の海に浸っていると、ファデュイから今日のご飯をもらうことができた

 ご飯をもらうついでに、包帯を巻き直したいので新しいやつをくれと言ってみたが

 

「そんなものあるわけないだろう、こっちだって包帯の数が足りていないんだ」

 

 まあ、くれなかった

 それは別に想定内だったのでよかったのだが、『足りない』とはどういうことだ?

 そんなに包帯って品薄になるようなものだったか?

 

 もらった飯とも言えないようなものを食べながら考えていた

 

 体感時間8日目

 

 昨日考えていた脱走計画を再び練ろうとしたが、寝起きすぐにファデュイの奴らに手を引かれてどこかもわからない場所へ連れて行かれていた

 無理矢理動かされている物だから足枷が足に食い込んで痛い

 ファデュイ曰く「ようやくお前という切り札を使うことができる」だそうだ

 自分が今どこにいるのかもわからないまま、松明の明かりを頼りにしながら歩かされていた 

 




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穴の奥

最近になって気づいたことがあります
百合を書かない話の方が感想沢山もらえるということに

そろそろ百合を書けると思いますが、百合を書いた話も感想を貰えるとモチベーションになりますのでよろしくお願い致します



 ファデュイに手を引かれ、進んでいった先には机の上に紙などが散乱していた小さな部屋だった

 更にその先には、何処かに通じているような穴があり、その奥から何か硬いものがぶつかり合う音が聞こえてきた

 

 そして俺は机の上に自分の『神の目』があるのを見つけた

 とりあえず、この場所に自分の『神の目』があることが分かった

 あとはどうやって手に入れるか

 

 そのまま、俺の『神の目』があった部屋の先にある、さっきからずっとぶつかり合う音が聞こえてきた場所へ連れていかれた

 

 穴の奥へと進むとどんどん音がおおきくなってきて、それが戦っている音だと分かった

 そして、ようやく一番奥へと到着すると

 

 ーーそこには蛍がいた

 

 広いスペースに沢山のファデュイが横たわっていて、その丁度真ん中に蛍が立っていた

 服は汚れていたが、大きな怪我などしていなかった

 

 ただ、酷く目が冷たかった

 何も写さない濁ったガラスのような目をしていた

 片手剣を持ったまま、両手をぶらんとさせていたが、こちらの存在に気付くと剣を構えた

 しかし、横に俺がいることに気付き酷く冷たい目に、光が灯った

 蛍がこちらに駆け寄ろうとしたその時

 

「ーー動くな」

 

 俺のこめかみに短銃が突き付けられた

 

「今すぐ武器を捨てて両手を挙げて投降しろ、そうすればこいつの命は考えてやる。しかし、お前は駄目だ。ここまで派手に暴れたんだからな、相応の対価は受けてもらおう」

 

 蛍は顔を憎々しげに歪めながら、武器を捨てて両手を挙げた

 

 どうすべきだ?

 この状況を打破するには俺はどう動くべきだ?

 足には足枷が付けられている

 腕には何も付けられていないが、この体で出来ることなどたかがしれている

 

 このままでは蛍も捕まってしまう

 それは駄目だ、こんな自分で勝手に約束を破って勝手に捕まったどうしようもない奴のために捕まって良い者ではない

 俺のことは良い、遠慮なくこいつを倒してくれ

 そう叫んでも蛍は手を挙げるのを止めない

 

「そのまま此方へ来るんだ、決して両手を下へ下げるなよ。反抗の素振りをみせればすぐさまこの引き金を引くからな」

 

 蛍は下をうつ向いたまま、此方へ歩いてくる

 

 もう時間がない

 俺は不意にファデュイの方を向いた

 

 ファデュイはずっと蛍の方を注視していて、俺の方を全く見ていなかった

 こめかみに当てている短銃も俺が頭を反らせば簡単に外せてしまう

 

 俺は一か八かでファデュイに頭突きをお見舞いした

 身長差もあって当たった箇所は腰だったが、それでも不意打ちなら相手のバランスを崩すには十分な威力があった

 バランスを崩した隙を蛍が見逃す筈がなく、武器をすぐさま拾い、相手に一撃を食らわした

 

 そのままファデュイは倒れ、動かなくなった




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救出

ヨウリュウ様、寝子猫猫様、ビニールハウス様、評価10ありがとうございます
食物繊維様、森田雅也様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

ようやく百合を書くことが出来ました

そして、最近一話のプロフィールに主人公のイメージ図を載せようと立ち絵を描こうと思ったのですが、あまりの絵心の無さに絶望しました

もし、この作品を読んでいる人の中にこの作品の絵を描いてくれるという人がいたら感想にて教えて貰えると嬉しいです


 ファデュイが倒れてすぐ、後ろから蛍が近づいてきた

 ここまで迷惑かけたんだ、平手打ちぐらい飛んでくることを覚悟していた

 

 目を瞑って歯を食いしばって平手打ちを受ける準備をしていた

 しかし、俺の予想に反して来たのは力強い抱擁だった

 

 俺の小さな体を蛍の体一杯を使って抱き締める

 まるで俺の存在を確かめているようだった

 

「アルぅ、アルぅ、無事で、本当に無事で良かった..........!」

 

「............心配かけてごめんなさい」

 

「..........怖かった、アルが居なくなったらと考えて何も手が付かなかった」

 

「........もう、ヤだよ?居なくなったりしちゃ........」

 

「.....ファデュイはどうしたの?」

 

「.......アルを拐ったのがファデュイだと分かったら、ひたすら璃月にいるファデュイを倒して情報を聞いた」

 

 璃月は広い

 一体何体のファデュイを倒したのだろうか..........

 

「...........もう二度と離さないから。貴方が居ないと、私は...........」

 

 しばらく蛍が俺のこと泣きながら抱き締めていると、何かに気付いたようだった

 視線の先には俺の脇腹、どうやら自分でも気付かない内に傷が開いていたようだ

 蛍は徐に俺のことをお姫様抱っこしてきた

 

「ちょ、ちょっとさすがにこの体勢は恥ずかしいんだけど.........」

 

「喋らないで、傷が更に開いちゃう。それにアルは今傷だらけでしょ、足枷も付いているし。...........たくさん痛いことをされたでしょ?もう大丈夫だから」

 

 優しく頭を撫でられながらお姫様抱っこされ続けて出口まで向かって行く

 その道の至るところにファデュイが倒れていた

 一体二体三体............

 十五体を超えたところで数えるのを止めた

 

 しばらく進んで行き、出口の地上の光が見え始めた所で人影が見えた

 逆光のせいで誰か分からなかったが、だんだん見えるようになってきた

 

「貴様、そこで何をしている!?」

 

 どうやら出口にいたのはファデュイの援軍と思われる奴らだった

 蛍は俺を優しく地面に置くと

 

「ちょっと待ってて、すぐに終わらせる」

 

 そう言って頭をまた撫でると、片手剣を持って俺の前へ出た

 自分は怪我をしていたし、武器も無かったため、ただのか弱い『守られるだけの存在』に成り下がっていた

 そんな自分を守るためにファデュイに立ち向かう蛍を見て

 

 まさしく『騎士』のようだ、そう思った途端

 

 ーートクン、と一際大きく心臓の音が聞こえた




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病院

デーモンコアくん様、評価10ありがとうございます
アーチボルド様、評価10、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

今日都立推薦です
結構緊張してきましたが、ありのままの自分がだせるよう最善を尽くそうと思います
..........小論文対策何もしていませんが

都立推薦で合格することが出来れば、番外編をその時点で書き始めます
不合格だった場合、一般受験まで番外編は書きません
ご了承下さい



 ファデュイは三分ほどであっという間に倒された

 そして蛍に璃月にまで救出されてすぐに俺は病院へ運ばれた

 体の至るところに傷があり、一番大きい脇腹の傷は縫うことになった

 蛍が持っていたググプラムを麻酔として使って、無事に縫い終わった

 俺は入院一ヶ月を言い渡され、大人しく寝ていた

 

 俺の部屋は個室であり、かなり広い

 正直全然大部屋で良かったのだが、蛍が「個室の方が安心できる」というので個室になった

 もし、俺の容態がいきなり悪くなった時の為にパイモンも一緒に付いてきていた

 

「本当に心配したんだからな!............何事も無かったとは言えないけど、それでも無事でいてくれて良かった.......!」

 

 最近はパイモンのボディタッチが増えて、何だか気恥ずかしい

 ふとしたときにスリスリしてきたり、腕に抱き付いてきたりしてくるようになった

 

 蛍も俺がいる個室に入ってきた時はずっと俺のことを抱き締めて離さない

 膝の上に座らされて後ろから抱き締められたり、ベッドで一緒に寝っころがって前から抱き締められたりしていた

 抱き締められている間は何だか頭の中がフワフワして、何もかもがどうでもよくなってしまう

 完全に思考を放棄しても、優しく頭を撫でながら俺のことを全て肯定してくれる蛍に身も心も全て委ねて寝入ってしまうことが殆どである

 

 今日も蛍に後ろから抱き締められながらベットでうとうとしていた

 蛍の甘い香りに包まれて、心地よい人の体温を感じながら頭をよしよしされる

 それだけで頭の中身がとろとろにとけだしていくように感じられる

 

「.......可愛い、頭なでなでされて眠くなった?」

 

 ゆっくりと頷くと、蛍は体の向き変えて正面から抱き締めてきた

 息苦しくならないように手加減された優しい抱擁

 頭なでなでと背中をポンポンされながら、蛍の胸の中で深い眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.........眠った?じゃあ...........」

 

 私はアルの小さな耳元に口を近づけて

 

「もう頑張らなくてもいい。私に抱き締められていると一番安心する。頭を撫でられるとなにもかもどうでもよくなって眠くなる」

 

 アルの耳元がピクピク動く

 

「貴方は弱い。だから私が、私達が守らなきゃいけない存在。もう、強くなろうとしなくてもいい。」

 

 アルの気持ちよさそうな寝顔が見える

 

「貴方は私達がいないと怖くなる。貴方は私達のそばに居ることが幸せになる。」

 

 アルの頭を優しく撫でると、ふにゃっとした幸せそうな顔になる

 

「ーーーもう、私達のそばから離れないで」




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母性

願わくばこの手に幸福を様、とみぃたそ様、無限と永遠様、評価10ありがとうございます
えいえいお様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

都立推薦終わりました
結果は五分五分なので、2月2日までお待ちください


 病院に入院して約一ヶ月

 甘雨が病室に入ってきた瞬間に土下座するという事件が起こったが、なんとか乗り切ることができた

 それ以外は特に特筆すべきこともなく平和に過ぎていった

 

 俺は現在、パイモンと一緒に仲良く向かい合って寝ていた

 俺はうとうとはしてきていたが、まだ寝るのには至ってないが、パイモンはぐっすり寝てしまっていた

 安心しきったふにゃふにゃの寝顔を見せてくるパイモンを見ていると、こちらも不思議と力が抜けてくる

 

 ゆっくりとパイモンの頭を撫でる

 すると心地よさそうな顔をして寝ているのに、さらに体を擦りつけてきた

 パイモンは俺より背丈が小さい

 だからこそ、たまには俺が蛍にされているようなことをパイモンにしてみよう

 

 まずは自分の胸元にパイモンを抱き寄せる

 その後、頭を撫でながら背中をぽんぽんする

 まるで赤子のような顔をするパイモンを見て、とても、なんというか、形容するにはとても難しいような気持ちだが

 ーー守ってあげなきゃ、というような感情が芽生えた

 

 これが母性と言うやつなのだろうか

 無垢な寝顔がとても愛おしいと感じる

 

 …………待て、なぜ俺は母性を感じている

 いくら体が女だがらと言って、心はずっと男としてやってきたじゃないか

 流石にいい年をした男(見た目は幼女)が母性を感じていたらちょっとアレじゃないか 

 父性を感じるならまだいい、しかし母性はアウトだ

 

 そして冷静になってみたら気づいたのだが、いつも蛍にされていることをパイモンにしてこうなっているということは、蛍が俺にしている時に俺はこんな顔をしているのだろうか

 今更ながらすごく恥ずかしい、こんなふにゃふにゃの笑みを蛍に見せていたのか

 俺はパイモンみたいに可愛らしい笑みを浮かべていただろうか

 蛍の胸元に抱きついて気持ち悪い笑みを浮かべてないだろうか

 

 前者ならまだ良い、いや、死ぬほど恥ずかしいからよくはないが

 後者だったらもう救いようがない、そんな笑みを見せつけていたら俺は躊躇いなく切腹してやる。介錯人なんていらない

 いかんせん蛍に抱きしめられている時は記憶があまり安定しない

 どう記憶を遡っても、抱きしめられて数秒の朧げな記憶しか残らない

 ただ、体に幸福感だけ刻まれる

 

 体全体の力が抜けていって、全身の力が抜けきった時から完全に記憶がない

 しかし、記憶になくても体はしっかり覚えているようで、無意識的にいつも寝る時には求めてしまう

 病院から退院してもこの習慣は抜けそうにないだろう

 パイモンを抱きしめながら、俺は目を閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ずっと、一緒だからな」 




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楽しみ

エペ大好き様、ノクターナルデビル様、評価10ありがとうございます
総合評価が遂に3000を超えました
ここまで読んでくれた皆さんありがとうございました
これからもよろしくお願いいたします


 病院に入院してもうすぐ一ヶ月半

 そろそろ俺も退院できる頃合いである

 いい加減に病院生活にも飽きてきていた

 

 そんな俺が数少ない楽しみだった事は『蛍と一緒に寝ること』だった

 蛍に抱き締められながら寝るととてもよく眠ることが出来る

 頭を撫でられ、背中をポンポンされてながら寝るのは至福の一時である 

 最近はお腹もなでなでされるようになり、気持ち良いのが体全身に広がるようになった

 

 しかし欠点があり、ずっとされ続けていると頭がバカになりそうになるのだ

 なにもかも投げ出したくなり、理性が溶けてしまう

 そして何もできないお人形さんになってしまうのだ

 そんな俺を蛍はさらに『可愛い』と言って撫でてくれる

 

 それ自体はまだいい。問題点はこれをされ続けると蛍に依存してしまいそうになることだ

 撫でられている間は、ずっと蛍がそばにいないと不安になってしまうのだ

 

 前に一度、蛍が俺を撫でているときにいきなり俺と距離をとってきた

 距離をとられた瞬間、俺の心にとてつもない不安感が押し寄せてきたのだ

 撫でられていた俺は、まともな理性などもってはいなかった

 その為、すぐに泣き出してしまった

 

 そのあとはすぐに蛍に撫でて貰うことを再開してしまい、事なきをえた

 しかし、その時の記憶が今もやけに鮮明にあるのだ

 おかげさまで朝起きたときは恥ずかしくって堪らなかった

 そんな俺をまた『可愛い』と言う蛍に、俺は頼むから殺してくれと思った

 

 今日は流石に蛍が頭を撫でながら寝るのを止めなければならない

 そう誓ったのだが................

 

「アル、貴方は可愛い。凄く可愛い」

 

 蛍をいまだに拒めずにいた

 ただ『今日は一人で寝る』と言えればそれで終わるというのに、俺の体は全く反応しなかったのだ

 むしろ蛍を迎え入れていた

 言うことを聞かない体は後ろから俺を抱き締めている腕を握ったまま動こうとしない

 

 いつの間にかパイモンも俺の目の前で寝ていた

 相変わらず俺の胸元に抱きつきながら寝ているため、髪から女の子らしい甘い匂いがよくする

 蛍のなでなでもラストスパートになった

 

 俺の体から力がどんどん抜けていく

 瞼を開く力すら抜けていき、視界が真っ暗に染まっていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「............もう、私を拒むことが出来なくなっちゃったんだ」

 

「オイラがいても特に何も言わなかったから、オイラのこと認めてくれたんだな」

 

 二人で真ん中にいる世界一可愛いくて、愛しい人を強く抱き締める

 ずっとこうしていられたらどれ程素敵だろうか

 そんなことを考えながら、私は眠りについた




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アルジェンド

 ただひたすらに走る

 前を見据えて、前だけを見て走る

 どれだけ体が汚れようと、どれだけ体が傷つこうと足は止まらない

 遥か先にいる彼女に向かって

 追い抜く必要は無い

 ただ、隣に立ちたかった

 

 自分の弱さは知っている

 自分の醜さも知っている

 何様なんだと心の中の自分が叫ぶ

 彼女は『主人公』なんだと

 自分みたいな異分子が隣に立てるような者では無いんだと

 分かっている、そんなことはとうの昔に分かりきっている

 

 しかし、賭けてみたいのだ

 天文学的確率だとしても、彼女の隣に立つことが出来る未来に

 だから、自分の命をチップとして賭け続ける

 いつかジャックポット出来る日を願って

 

 

 

             ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 今日は朝起きてご飯を食べたら旅館の外の道の端で槍の素振りをしていた

 病院から退院してからは体が鈍ってしかたがなかった

 

 蛍もあまり俺を動かそうとしないので余計に体力が落ちた気がする

 その為、運動と体の鈍りを取るために素振りを始めたのだ

 旅館の近くの道の端っこなら誰も迷惑かけないし、旅館から俺の姿が確認出来るので安全ということで蛍から許可が出た 

 

 早速素振りを始めたのは良いのだが、かなり体力が落ちていることが分かった

 すぐに息が上がってしまう

 まるで最初のころの俺みたいだった

 

 この世界に来た当初は武器も使えず体力も無かったので、完全にお荷物状態だった

 そこから脱却をするために槍の使い方を学び、体力もつけた

 しばらく練習していると、何故か槍と一緒に氷元素の『神の目』が置いてあったのだ

 理由はいまだによく分かっていない

 そうして、槍と氷元素を使いながら戦う今の戦闘スタイルになっていった

 

 しかし、今の俺はこの世界に来たばかりのころの俺と同じくらいの体力しかない

 流石に槍を振ることが出来るくらいの筋力はあるが、すぐにバテてしまう

 なかなかに一ヶ月半のブランクは大きいらしい

 

 槍を振り疲れて座りこんでいると

 

「.........大丈夫?」

 

 いつの間にか蛍が来ていた

 心配そうな目でこちらを見ている

 

「へーきへーき、これぐらい出来なきゃ戦えないからな」

 

 少し強がって見せ、再び素振りを始める

 しかし、数分もすれば腕がプルプルしてきた

 

「ちょっと休憩したほうが良いと思う。...........そこまで焦らなくてもいいから」

 

 蛍の忠告を聞き、少し座って休憩する

 すると蛍が隣に来てこんなことを言ってきた

 

「.........なんでそこまで頑張るの?」

 

「なんでって聞かれてもな.........蛍と旅する上で必要だと思ったからだ」

 

「.......別に貴方が戦わなくても、全部私が倒せば問題は無いと思う」

 

「...............そう言うことじゃないんだよ」

 

 女の子に任せて、自分はただ守られるだけなど俺は嫌なのだ

 蛍は強い、俺なんかよりも何倍も強い

 だからこそ、俺は蛍みたいになりたいって思うんだ

 そして、いつか隣に立てたときに蛍と一緒に手を繋いで世界中を旅すること

 これが俺の夢であり、俺の存在意義なのだ




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贈り物

にくあんこ様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

次回から稲妻編です
そろそろ終盤に近づいて来ました

辛炎と申鶴は後に入れます、ご了承下さい


 明日、俺たちは稲妻へ行く

 璃月でも大変そうだったが、蛍は稲妻の方に色々な依頼があるらしく、そちらへ行くことになった

 璃月の皆にその旨を伝えていると、

 

煙緋が今日一日だけ俺を貸して欲しいと頼んできた

 蛍は俺と離れないことを条件に了承した

 

 そして、俺と煙緋で手を繋ぎながら璃月の町を歩いていた

 前回はひたすらに露店巡りだったが、今回は色々な店に行った

 宝石店や服屋、ペットショップ等にも足を運んだ

 

 気付けばもうすぐ日が沈みそうな夕暮れになっていた

 今日という日があっという間に終わってしまったという感慨に浸りながら二人並んで町を歩く

 

「……なあ煙緋、なんで俺と一緒に遊ぼうと思ったんだ?」

 

「それはおまえが稲妻に行ってしまったら、しばらくまた会えなくなってしまうだろう?。幸運にも私は今日が休みだった、だから今日おまえを誘って遊び納めをしようと思ったんだ」

 

 煙緋は上機嫌な笑顔を見せながらはにかんでくる

 その首には俺がプレゼントしたネックレスがつけられている

 

「しかもこんなプレゼントまで貰って私はとても嬉しいよ。……おまえがくれた物なんだ、ずっと大事にし続けるさ」

 

「そんな大袈裟な、それは前に貰ったブレスレットのお礼だよ」

 

 露店巡りをした際に買ってもらった夜泊石のブレスレットを見せる

 

「値切りだってしてもらったし、そのネックレスだけじゃ全然わりに合ってないと思っているんだけどなぁ……」

 

「何を言っているんだ、十分すぎるほど豪華なお礼じゃないか」

 

 璃月の中を歩いていく

 綺麗な夕暮れが俺たちを照らしていた

 しばらく歩き、旅館が見えてきた頃

 

「――ちょっと待ってくれないか」

 

 煙緋は立ち止まって俺の手を引いた

 後ろを振り返り、煙緋の顔を見ると

 何か決心して覚悟を決めたような顔をしていた

 

「なあ、アル。……私は最初、おまえがとても弱いやつかと思ったんだ。だけど、自分より強いやつに向かっていく姿を見ていて、いつの間にか惹かれていた。いつからかはよく覚えていない、気付いたら好きになっていたんだ」

 

 ひと呼吸して心を落ち着かせると、顔を近付けてきて

――俺の頬にキスをした

 

「女同士でおかしいと思うかもしれない。だけど、私はこの気持ちに正直で居たいんだ。――私と、付き合ってくれないか?」

 

 俺の頭は頬にキスをされた時にとっくのとうにオーバーヒートしていたし、

さらに前世含め初めての告白を受けるという事態に思考は混沌を極めていた。

 

 顔を赤くしながら直立不動のまま動かない俺を見て恥ずかしくなってきたのか

 

「いや、あの、へへ返事は今度璃月に来た時で構わない、だからそれまでしっかり考えておいてくれ!」

 

 そう言うと璃月港のほうへ走り出してしまった

 俺は未だに理解できず、しばらく動くことが出来なかった




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稲妻編


中身様、ダンボールの神様様、小説を読む人様、サバの味噌ふりかけ様、評価10ありがとうございます
グリム・ノワール様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

稲妻編に入りました


 煙緋からの告白を受けた次の日、予定通り稲妻へ出発した

 煙緋の告白は蛍に話していない

 別に話すことでも無いと思ったからだ

 

 そういえば稲妻では何処で生活するのだろうか

 俺は稲妻の何処で生活するのかと聞いてみたら

 

「古い家を借りた。汚かったけど前に掃除しておいたから今はあまり汚れていないと思う」

 

 どうやら城下町にあった古くなった家を借りたらしい

 全然使われていないらしく、タダで貸してくれたようだ

 

 借りた家に到着すれば、中々に大きな家だった

 中に入れば、埃こそ少しあったものの、綺麗に物が整理されていた

 それにしても色々な本がある

 試しに適当に何冊か取ってみてパラパラと捲ってみると

 

 武器の種類の本や、何かの童話のような本、料理本など色々な本があった

 中には薬剤の本などがあり、専門的な事が書かれている物もあった

 俺は読んでも意味が分からない

 

 本を閉じて元の場所に本を戻す

 まだまだ沢山の部屋がある、少し探索して見ようと思い足を運んだ

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 様々な部屋があり、どれも前世の日本を思いだすような物だった

 書院造のような部屋を見た時は前世の実家が頭の中にフラッシュバックしたほどだった

 寝室には馴染み深い布団があり、畳で布団を敷いて寝るのでは安心感が違うのだと俺は初めて稲妻へ来た時に思いしった

  

 畳の上で寝っころがれば、畳の良い香りがする

 やっぱり日本人なら畳が一番安心するのだなあと思いながらしばらくボーッとしていると

 

「お茶入れたから、飲む?」

 

 台所から蛍の声が聞こえてきた

 ますます日本を思い出す

 俺は勿論、と答えて台所へ向かった

 

 

  

             ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 台所へ行くと、そこには和服姿の蛍がいた

 金髪の髪に白い和服が物凄くマッチしていて、しばらく見惚れてしまっていた

 

「...........急に固まってどうしたの?」

 

「いや、和服がめちゃくちゃ似合い過ぎてて............」

 

 思わず本音をそのまま言ってしまった

 見惚れてた、までは言わなくてよかったが

 蛍は顔を少し赤くしながら

 

「.........ありがとう」

 

 自分も気恥ずかしくなってきて、すぐに座布団の上に座った

 蛍の和服は何処から持ってきたのだろうか

 この広い家の何処かにあっても可笑しくはない

 

 なんてこと考えていると、蛍がお茶を取ってきた

 ちゃんと急須に入っていて、茶器から湯気が出ていた

 お茶を入れている蛍はとても様になっていて、神秘的な感じがする

 

 蛍が入れたお茶を受けとる

 まさしく緑茶、というような緑色と下のほうに溜まっている茶葉

 お茶は熱いうちが一番美味しいと思うので、そのままぐいっと飲んだ

 

 

 ーーー刹那、脳みそがとろけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...................飲んだ?




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いえ

燐々様、評価10ありがとうございます

UA100000突破しました

しばらくこちらの事情で感想の返信ができません
感想の内容はすべて読んでいるので、感想はくれると嬉しいです
今週中にはなんとかします
ご了承下さい


 あたまがとろとろして、ひたすらにぬるまゆにつかっているかんじがする

 いすにせなかをあずけてすわりこんだまま、ぽけーっとしてると

 蛍がちかづいてきた

 

 そのままかおをちかづけて、おれのくちびるにキスをした

 くちのなかにしたをいれてきて、おれのしたをすきなようにあそんでいた

 くちゅくちゅとみずおとをたてながら、したをからめたりはぐきをなぞったり

 

 おれはきすされているあいだはなにもできなくて、ただただもてあそばれていた

 なんだかすごくきもちよくて、すべてを蛍にあずけてしまっていた

 

 しばらくして、蛍がきすをやめたときには、おれはちからがぬけきってしまっていた

 そんなおれのあたまをなでながらおひめさまだっこでしんしつへつれていかれた

 しんしつにはおふとんがしかれていて、すぐにでもよこになれるようになっていた

 しょうめいをけすと、あわいぴんくいろのちいさなしょうめいのひかりだけがのこった

 

 ゆっくりとおれをおふとんへおろす

 すると蛍はみずさしをもってきておれになにかえきたいをのませてきた

 じんわりとあまいあじがした

 

 みずさしにはいっていたぶんをすべてのみきると、蛍がうしろからだきしめながらあたまをなでてきた

 そしてなでていないほうのてで、おなかのしたあたりをぽんぽんしてきた

 

「.........とろとろに蕩けちゃってる。可愛いよ、アル」

 

 みみもとでそんなことをいわれてうれしくなる

 

「可愛い、可愛い、可愛い。.....言葉使いを変えればもっと可愛くなれるよ」

 

 ことばづかいをかえればかわいくなれるの?

 

「『私』って言ってみて」

 

「わたし」

 

「そう、もう一回」

 

「わたし」

 

「それで喋ればあなたはもっと可愛くなれる」

 

 『わたし』でしゃべるだけでかわいくなれるんだ

 こんなおれでもかわいくなれるようなものがあるなんておもわなかった

 

「.....可愛い、可愛い。あなたは可愛い。」

 

 かわいいといわれるたびにおなかおくがきゅんきゅんするようになってきた

 おなかをてでぽんぽんされるたびにきもちよくなる

 

 しばらくそのきもちよさにひたっていると、蛍はふたたびみずさしでおれにあまいえきたいをのませてきた

 

 

 

              ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

「........すっかり頭がお馬鹿さんになったね」

 

 きもちい、ふわふわすりゅぅ

 

「.......ねえ、正直に答えて。......私のこと好き?」

 

「......しゅきぃ。ずっとずっとまえからしゅきだったよぉ.......」

 

「だったらさ、ーーー煙緋とどっちのほうが好き?」

 

 えんひぃ、わたしにうでわくれたぁ

 だけどぉ

 

「どっちもしゅきぃ」

 

「どちらか選んで」

 

「やぁなの」

 

 蛍もえんひもいっしょにいてたのしい、あんしん

 でも、どきどきするのは蛍がたくさん

 

「........今はそこで許してあげる」

 

 おくちにあまいのがはいってきた

 おなかのしたぽんぽんされてきもちい

 

 からだのちからぬけてなにかがでそぉ

 

「.......もらしちゃってる。.......可愛い」

 

 きもちい、からだからなにかでていくのきもちい

 まぶたがおちてきた

 ねむい

 

「........忘れてた。最後にこれ飲んで」

 

 おくちにえきたいがはいってきた

 にがい

 あたまのおくがぱちぱちひかってる

 

「これであなたはこのことをおぼえていない.......明日おきたらおもらしびっくりするだろうけど」

 

 いしきがどろどろ

 ぱちぱちやまない

 

「ーーーおやすみ」

 

 めがとざされた




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世界地図

若葉イナヨ様、星野優季様、Naru50様、評価10ありがとうございます

今日都立推薦の結果発表です


 やってしまった、完全にやってしまった

 朝起きてなんだか濡れているなと思ったが、まさか布団にこんな年で世界地図を描くなんて思いもよらなかった

 隣で寝ていた蛍にもかかってしまい、起きて早々に俺は蛍に土下座した

 蛍は笑って許してくれたが、俺は今にも羞恥心で自害しそうな面持ちだと思う

 

 しかし、昨日の記憶がかなり曖昧である

 この家にきたところから記憶がかなり朧気であり、途中からは完全に無くなっている

 蛍曰く

 

「昨日度数の高いアルコールのお酒をアルが倒してかかっちゃって、それで酔ったんだと思う」

 

 記憶が飛ぶほどの度数の高いお酒って...........

 しかし、この家なら日本酒の酒瓶くらい平気で置いてそうな雰囲気はあった

 そのため、俺は特に疑わなかった

 

 蛍が俺が漏らした布団を洗っている間、俺は暇だったのでこの家を探検することにした

 まず訪れたのは書斎

 大量の本が棚に置かれていて、凄い厳かな雰囲気があった

 適当に自分の背が届く範囲の本を手に取る

 

 それは心理学だったり、脳や人体の図鑑だったり、小説だったりした

 中には人を意のままに操る方法といったオカルトのような本まであった

 もとの主はかなり雑食だったようだ

 

 本を閉じて書斎を出る

 次に向かったのは書斎の隣にある小さな部屋

 

 入ってみると、中には沢山の服があった

 着物や袴が多かったが、俺と蛍の普段着も中には置かれていた

 大きさも色々とあり、俺のようなちんちくりんでも着れそうな和服がいくつもあった

 前世でも和服なんて最後に着たのは七五三くらいである

 それ以来着ていないので、少し楽しみだった

 蛍は着れるのだろうか?

 

 蛍が着たらきっと、いや、必ず綺麗だろうなと想像しながらその部屋を後にした

 

 次はどこの部屋に行こうかと思い周囲を見ると、屋上へと繋がっている梯子を見つけた

 この家の屋上が純粋に気になったので、梯子を上り、屋上へとたどり着いた

 しかし、あったのは少しの通路と一つのドアだった

 少し薄暗い屋上の中で、不気味な雰囲気を醸し出しているドア

 

 どこか、この先を見てはいけないという警鐘が頭の中から聞こえる気がした

 この先に行ったら後戻りが出来なくなるぞ、という警告が脳の中に響く

 それでも、どうしても見たいという好奇心が勝ってしまい、ドアノブに手をかける

 回そう、そう思った瞬間

 

「ーーーーなにしてるの?」

 

 後ろから声が聞こえた

 後ろを振り向けば蛍が立っていた

 音も無くやってくるものだから凄くびっくりした

 

「そろそろご飯だから、早く台所に来て」

 

 そう言われ、俺は屋上を後にした

 あのドアに後ろ髪を引かれながら




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お屋敷

ユウ_Akisyo様、評価10ありがとうございます

都立推薦合格しました
よって、来週から番外編を書き始めます

https://syosetu.org/novel/278576/

よろしくお願いします


 今日は神里屋敷に来ていた

 稲妻に久しぶりに訪れるということで、まず綾華に挨拶に向かうことにした

 蛍と一緒に神里屋敷へ赴くと、使用人たちに丁寧に迎えられた

 前もって蛍が挨拶に行くことを伝えていたらしい

 蛍はちょくちょく綾華に会っていたらしいのだが、俺は稲妻からモンドに行ってからしばらく会っていない

 

 少し緊張しながら屋敷へ入っていった

 中は相変わらず広く、まさしく『お屋敷』という風貌だ

 綾華の部屋へ案内されて、中に入る

 そこには以前会った時と何も変わらぬ装いの綾華がいた

 

 久しぶりに綾華に会い、蛍と一緒に色々話した

 ただ、どうしても女の子特有の話題になったりすると話についていけなくなってしまう

 この体になってはや一年あたりが経とうとしているが、あまり女の子の話題が得意ではない

 心が男だということもあるが、『女の子らしさ』というものがあまり自分には身に付いていないように感じる

 

 蛍と綾華が俺をほったらかしにして話をしている

 楽しそうに話している蛍の横顔を見て、なんだか少しイラッとした

 別に全くもって蛍が悪い訳ではない

 蛍はただ綾華と楽しくおしゃべりしているだけ、そこに自分がイラつく要素など皆無なのだ

 

 しかし、理屈ではそう分かっていても心と体が同じように反応してくれるかは別である

 2人で話している時、俺が全く話についていけてないことをいつまで経っても察せない蛍に脇腹を小突いた

 ようやく俺がついていけてないことに気づいたようだ

 そんなに綾華との会話が楽しかったのか

 俺をほったらかしにして夢中になる程綾華と話があったのか

 

 蛍があわあわしながら謝ってくるがもう遅い

 俺はパイモンと一緒に横で拗ねてた

 

 なんとか機嫌を取ろうとする蛍とパイモンを抱きしめながらそっぽを向く俺

 そんな現場を見ながらくすくすと笑う綾華

 

 今日も平和な時間が過ぎていった

 

 

 

               〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 日が沈む頃、神里屋敷からの帰り道

 俺はいまだに拗ねていた

 自分でも自分がめんどくさい奴だって心ではわかってる

 それでもムカムカがいまだに胸の中を蔓延っているのだ

 

「アル、ごめん。………お願いだからいい加減機嫌直してくれない?」

 

「………….」

 

「……今日アルが好きなオムライス作ってあげるから、ね?」

 

「……………」

 

 蛍が俺の機嫌を取ろうと頑張っている

 その様子を見て、俺はなんだか満足感を得ていた

 自分でも何をやっているのかよくわからない

 それでも、今日はずっと機嫌が悪いという態度を取り続けた

 

 …………なんでこんなにもイラついたのだろうか?




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料理

R18投稿しました

https://syosetu.org/novel/280025/

よろしくお願いします


 料理をする上で、一番大切なことはなんだろうか

 

 きちんと分量を測ること?

 たくさんの思いを込めること?

 

 この二つも重要であるが、自分が思う一番大切なことは『冒険をしないこと』だ

 基礎ができなければアレンジなんてできるわけがない。『普通』が作れてようやく『オリジナル』が作れるのだ

 

 料理ができない人の大体が分量を測っていなかったり、何か勝手にアレンジしてしまうから失敗する

 まさしく俺と蛍はその典型的な例を見ていた

 

 影が作ったこのよくわからない黒く変色した固形物のようなものを

 

 

 

                〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 

 雷電影、稲妻の統治者である

 普段は雷電将軍という雷電影とそっくりな人形が代わりに統治しているが、久方ぶりに影に会いたくなり挨拶しに来たのだ

 俺と蛍と影の三人で城下町で店を回っていると、影は料理ができないということを聞いたのだ

 俺たちが住んでいる借家の近くだったということもあり、影の好きなスイーツの作り方を教えようと思い料理を作らせたのだが…….

 

 これはひどい

 

 最初っからスイーツを作れなんて言うほど俺たちは鬼じゃない

 なのでまずはモンド風チ虎鳥焼きををつくらせたのだ

 しかし、出てきたのは黒い固形物に串を刺したもの

 思わず二度見してしまった

 

 チ虎鳥焼きなんて材料を串に刺して焼けば終わりの簡単な料理とも言えるかどうか怪しいくらい簡単なものなのに、なぜこのようなものができてしまったのか

 影は恥ずかしそうに顔を赤らめていた

 

 その後も影に色々と簡単な料理を作らせたのだ

 しかし、全てが失敗

 黒い固形物だったり、なんなか色々とヌメヌメしていてちゃんと火が通っていないようなものも出てきた

 なぜこうなってしまうのかと影の料理する姿を監視していたらようやく原因が発覚したのだ

 

 影は心配だからという理由で勝手に火加減などをあげていたりさげていたりしていたのだ

 料理ができる人が色々と計算して下げたり上げたりするのはまだわかる

 しかし、素人が説明通りに動かなければこうして失敗する

 

 もう一回チ虎鳥焼きを作らせた、今度は俺と蛍が横で見張っている

 そうすれば勝手に温度が上がったりすることがなく、少し形が不恰好だが食べることができるくらいには進化した

 

「よ、ようやくまともに食べることができる料理を作ることが出来ました………」

 

 影はもう疲れている様子

 俺たちもずっと立ちっぱなしだったので結構足に来ていた

 

「こ、これで次はスイーツが作ることができますね………..!」

 

 影がスイーツを作る

 正直またこうして教えることになりそうだが、それもまた一興と思い、俺は大きな欠伸をした

 

 

 




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闇シルル様、評価10ありがとうございます

感想の返信ができるようになりました

そして、ついに50話目を突破


 俺は蛍と一緒に歩いていた

 なぜ歩いているかはよく分かっていない

 しばらく歩いていると蛍の歩くスピードが上がっていることに気づいた

 隣で歩くために俺も歩くスピードを早める

 

 しかし、どんどん歩くスピードは上がっていく

 俺は気づけば走っていた

 蛍が歩いているのにもかかわらず、俺は蛍に追いつくことができない

 むしろ、どんどん距離が離されていく

 

 それでも俺は必死に蛍に向かって走り続ける

 すると、地面が少しずつぬかるんでいることに気づく

 そんなのお構いなしに走るが、だんだん深くなってきて俺の行動を阻害する

 

 だんだん疲労も溜まってきて、足が思うように動かなくなっていた

 それでも、少しでも前へ進むために重い足を動かす

 

 やがて、このような声が聞こえてきた

 

「なんでそこまで隣に立つことにこだわるの?」

 

「後ろにいて、何かアルに不都合があるの?」

 

「傷だらけになってまで、頑張る必要はあるの?」

 

 愚問だ

 俺は蛍に何もしてあげられなかった

 蛍にただ与えられるだけの存在に成り下がるのは嫌だった

 だから、せめて隣に立って蛍と一緒に戦いたい

 

 いくら傷つこうと、歩みを止めるつもりはない

 たとえ茨の道だろうと、『道』があるなら茨の上でも裸足で歩いてやる

 もし『道』すらないのなら、自分が『道』を切り開いて進めばいい

 

 ぬかるんで膝まで沈んできているが、知ったことではない

 重い足を頑張って前に出して一歩一歩確実に進んでいく

 しかし、疲労は溜まってしまうもの

 ついに足が動かなくなり、前に倒れてしまう

 

 手を使い、這うように前へ進む

 少しずつだが前へ進んでいく

 

 しかしながら手だけでは限界がある

 手すら動かなくなり、前向きに倒れたまま動けなくなる

 

 再び、声が聞こえてきた

 

「もう、アルは沢山頑張った」

 

「ここまでアルがやってきたことは、全て私が認めてあげる」

 

「だから、いい加減楽になろう?」

 

 ダメだ

 俺は、蛍の隣に立てないとダメなんだ

 俺は蛍や他の皆にも沢山迷惑をかけた

 だから、俺は今更蛍からの庇護を受けてのうのうと生きていく権利なんてない

 

 隣に立つために、俺はずっと頑張らなくてはならない

 

 

 もし、いつか蛍の隣に立ちことができたら俺はーー

 

 

 

 ーー蛍の手を握りたいな

 

 

 

             〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 朝、目が覚めた

 何か夢を見ていたような気がするが、よく思い出すことができない

 

 ここ最近は蛍とパイモンと一緒に寝ている

 俺が断れずにいたら、なあなあで寝ることになり、ずっとそれが続いていた

 

 蛍とパイモンに挨拶をしようと思い、起きて隣に目を向けると

 

 

 ーー誰もいなかった

 

 

 別におかしいことではない

 俺がただ起きるのが遅かっただけなのかもしれない

 頭の中ではそう分かっていた、だがーー

 

 この時、俺は凄まじい感情の奔流に流された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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恐怖

ヤンデレタグ追加しました


 蛍とパイモンがいない

 

 ただそれだけのはずなのに、体の震えが止まらなかった

 息も過呼吸気味になり、頭がクラクラする

 

 そして、俺は今とてつもない寂寥感と孤独感、恐怖を感じていた

 

 布団の上で色々な考えがめぐる

 

 蛍たちはどこへ行ってしまったのだろうか?

 もしかして、俺が嫌になった?

 ずっと迷惑ばかりかける俺のことが嫌いになった?

 

 頭の中ではマイナスなことばかり考えつく

 それを振り払うように必死にプラスのことを考え続ける

 

 きっと蛍は今朝ごはんを作っているんだ

 パイモンはその匂いにつられて起きたんだ

 だから何も心配はいらないんだ

 

 自分で出した答えにしがみつきながら、襖を開けて台所へ行く

 台所へ行けば蛍がご飯を作っているに決まってる、何を心配してたんだ

 

 そう信じて、台所へ行った

 

 しかし、蛍はいなかった

 

 なぜ、という考えが頭に浮かび、全て恐怖に置き換わる

 

 嫌、イヤ、いや

 蛍はどこ?

 なんでいないの?

 おれをおいていかないでよ

 

 思いっきり泣き出しそうになったが、寸前のところで踏みとどまる

 

 きっと大広間にいるんだ

 パイモンと一緒に俺が起きるのを待っているんだろう

 

 俺は大広間まで走ると襖に手をかけた

 

 もし、ここにもいなかったら

 そんなマイナスな思考をしないように、今日蛍とパイモンと一緒にやりたいことを考えていく

 

 まずは宵宮のところへ行って、子供たちと一緒に遊ぼう

 子供たちに俺はきっと舐められまくるだろうから、一泡吹かせてやる

 

 俺は思いっきり襖を開けた

 

 

 

 ーーー蛍は、そこにもいなかった

 

 

 

                 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 俺はひたすら家の中を探し回った

 しかし、どこにもいなかった

 屋上の部屋にも行こうとしたが、屋上には鍵がかかっていていけなかった

 

 俺はもう恐怖と孤独感に押し潰されそうで、限界だった

 気づけば俺は泣き出していた

 

 なんでどこにもいないの?

 おれがきらいになったならなんでもするからゆるしてください

 蛍のいうことちゃんとするから

 もうにどとめいわくかけないから

 だからおねがいします

 

 おれをすてないでください

 

 しばらく泣き喚いていると、誰かが家に入ってきた

 

 ーーそこには、いろいろな袋を抱えた蛍とパイモンがいた

 

 俺は涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔のまま、蛍へ抱きついた

 

 こわかった

 さびしかった

 すてられたとおもった

 

 胸の中にある思いを全て蛍たちにぶつけた

 最初はポカンとしていたが、だんだんと状況がわかってくると慈愛がこもった声色で

 

「………私たちがアルを捨てるなんてことはないから安心して」

 

「うんうん!ずーっとオイラたちは一緒だからな!」

 

 その言葉を聞いて、泣き疲れていたのか俺はスーッと眠りについてしまった

 

 




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問題

昨日は投稿できなくて申し訳ございません
体調不良によって書く気力が全くございませんでした
失踪したわけではないのでご安心ください


 つい昨日の醜態を無かったことにしたい

 俺は布団を被ったまま寝室に引きこもっていた

 

 昨日、全く俺が起きなかったため、蛍たちは買い物をしてきていたらしい

 無理矢理起こすのは気持ちよさそうに眠る俺の顔を見て、罪悪感が募ってしまいやめた

 

 そのおかげで俺は昼時まで爆睡していたようだ

 今思えば無理矢理にでも起こして欲しかったが、それを言うのはただの八つ当たりだろう

 

 問題は起きた後の俺の行動だ

 なんだよ、「捨てないでください」って

 捨てるも何も俺はいつから蛍の所有物になったんだ。………養われてはいるが

 しかも泣きながら蛍に抱きつくとか何を考えてたんだ。俺。

 

 最近、自分の情緒が不安定気味であることが今回ではっきりした

 そろそろ蛍に依存するのをやめた方がいい気がする。いや、『気がする』じゃない。『しなければならない』というところだ

 見た目が幼女だからって未成年(本来の年齢は不明)に養われ続けるのは男、もはや人としてまずい

 

 しかし、どうすればいいんだ

 まず、蛍にやってもらっていることを回想しよう

 

 一つ、モラ稼ぎ

 これは俺が任務などをして自分の分の生活費が稼げれば問題ない

 だが、そもそも蛍に戦闘を禁じられているのでこの考えは簡単そうに見えて難しい

 蛍の目を欺ければ何とかなるのだが………

 

 二つ、家事

 もともと俺はこれで蛍の役に立っていたのだ

 再び再開しても特に問題はないはずなのだ

 ただし、モンドの一件以降俺に家事をさせてもらえなくなった 

 これにより、俺の存在意義がだんだん怪しくなってきたのである

 

 ざっくりと分ければこの二つだ

 まず、モラ稼ぎは俺が戦闘系の依頼を受けなければいい

 人助け系の依頼を受ければ戦わずしてお金を稼ぐことは可能だ

 しかし、一番の問題はどうすればこの家から蛍に見つからずに抜け出せるかに尽きる

 

 蛍は午前9時あたりから午後6時ぐらいまで依頼を受けに行っているため、家にはいない(お昼には帰ってくる)

 日曜日は休みで色々なところに遊びに行っている

 家に蛍がいない間はパイモンが基本的に俺と一緒に家で留守番をしている

 蛍を誤魔化すのは難しいが、パイモンなら抜け出すのは難しくなさそうだ

 

 家事は蛍にさせてもらえなくなった時、最初は蛍のいない間にしていたのだ

 しかし、速攻でバレて叱られた

 それ以来はパイモンがいるので家事をしたくてもすぐにバレてしまう

 だから家事をしてこなかったが、蛍も依頼の後に家事をするのは疲れるだろうから俺にもいい加減にやらせてほしい

 

 まず俺が蛍の依存から脱却するには蛍本人の理解が必要だ

 俺は恐る恐る布団から出て寝室の襖を開けた




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説得

レーナ0420様、評価10ありがとうございます
闇シルル様、願わくばこの手に幸福を様、人外スキー様、お気に入りユーザー登録ありがとうございます

なんとか今日分を書き終わりました
結構辛い………
誤字脱字が大量にありそうなので、あったら報告お願いします


 蛍を説得するにあたって大事なのは、『自分がもうおんぶ抱っこされる子供ではない』ということだ。

 俺は前世とテイワットで生きた年齢を足すと18歳くらいにはなる。

 蛍の実年齢はわからないが、流石に18歳くらいの精神年齢だとわかればこの束縛も少しは緩くなるだろう。

 

 というわけで、俺は前世の記憶があるということを蛍にカミングアウトする。

 もちろん蛍がいきなり信じてくれるなんて思っちゃいない。

 下手したらさらに過保護が悪化するかもしれない。俺の頭がおかしくなったと思い込んで。

 

 しかし、今のこの状況を打開するには少しくらい賭けをしなければならない。

 転んでもせめて前のめりにこけてやる。

 何か成果を掴まなければ俺が切れる大事なカードの一つを切った意味がない。

 

 俺はちゃぶ台でゆっくりとお茶を飲んでいる蛍に話しかけた。

 

「なあ、蛍」

 

「何?昨日のことなら別に気にしなくても良いよ?」

 

 うぐ、それは頑張って踏ん切りをつけようとしていたところだから掘り返さないでほしい……!

 

「別に昨日のことはもういいんだよ!忘れて!記憶の中から消してくれ!」

 

「アル、凄く可愛かったよ」

 

 クスクス笑ってくる蛍にペースを取られてしまったが、本題はここからなのだ。

 

「……俺はもう一人でもやっていける。だから俺にも何か手伝わせてくれないか?」

 

「だめ」

 

 即答だった。

 笑っていた顔つきから一転、真顔になり、いつもより鋭い目つきで俺を見る。

 

「なんでだよ?確かに俺はかなり色々な無茶をしたよ、それで蛍や他の奴らにもかなり心配かけたことも悪いと思ってる」

 

「何度も言ってる。あなたはもう頑張った。だからもう危険な目にはあってほしくない」

 

「俺だって蛍に危険な目にはあってほしくないんだけど」

 

 そうだ、俺だけ守られて不公平じゃないか。

 蛍も俺と同じくらい危険な目に遭っているのにもかかわらず、俺のことばかりを心配する。

 

「蛍も人のこと言えないだろ。俺と蛍で命をかけた回数比べてみるか?同数ぐらいだと俺は思うけどな」

 

「それは……」

 

 蛍だって戦闘が多い任務の時は生傷残して帰ってくる時がある。

 その度に俺は蛍のことが心配になるのだ。

 俺、そしてパイモンを養うために文字どうり我が身を削ってくれている。

 

「蛍が俺を心配するように、俺は蛍のことが心配なんだ。……いつか、俺みたいに大怪我して帰ってきそうでさ」

 

 俺も大概『お人好し』と何度も言われたことがあるが、蛍も俺と同じく『お人好し』である。

 『お人好し』同士、人が困っていたら手を差し伸べることに躊躇いがないことはわかってる。

 でも、それは心配しないわけじゃない。

 

「……わかった。今度からはもっと自分の体を大切にする。だけど、アルが任務に行くのは話が別、あなたはそもそも任務に行っていいような歳じゃない」

 

 確かに見た目幼女がヒルチャールなんて化け物と戦うなんて、蛍じゃなくても心配するだろう。

 クレーは別だ。あの爆弾の数々の方が怖い。

 

 俺の切り札を切る時がきた

 

「ーーー俺、蛍に実年齢って言ったっけ?」




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年齢

「........え?」

 

 そんなすっとんきょうな蛍の声を俺は初めて聞いた

 

「だから、俺の実年齢だよ。蛍もそうだけど、皆俺のことを見た目だけで判断してるだろ」

 

 お酒も飲ませてもらえないし、保護者や大人同伴じゃないとそもそも酒場に入れない

 

「........ずっと私はアルのことを12歳ぐらいだと思ってたけど.......」

 

「自分で言うのも何だが、12歳だったらここまでしっかりしてないだろ」

 

 任務に一人で行ったり、報酬の相談をしたり

 蛍の過保護が加速する前はそれらを一人でやっていた

 

「俺の年齢は18歳ぐらいだ。自分でもすこしあやふやな所があるが、大体そんなもんだ」

 

 蛍は信じられないという顔をしていたが、少しずつ俺の行動を回想して確かにといった納得の表情へと変わっていった

 しかし、まだ完全には信じきっていないのか俺に疑いの目を向けてくる

 

「その証拠は?」

 

 証拠......

 証拠と言われて何か提示できるような物はない

 

「証拠、と言われて何か出せるものはないよ。まあ、俺の場合は精神年齢が18歳なだけで肉体年齢は知らないけどな」

 

 蛍は理解出来ないといった表情を出す

 

「精神年齢が18歳?」

 

「そう、あくまでも精神年齢。体は分からない。多分、見た目通りだと思うけどな」

 

 だってお赤飯すら来ていないのだから

 この幼児の体は全くもって成人はしていない

 

「俺は、この世界に転生して来たんだ。そしてこの世界で眼を覚ました時に気がついたらこんな体になってたんだよ」

 

 正直、ここまで打ち明けることになるとは思わなかったが、言ってしまったものはしょうがない

 

「.......」

 

 蛍はじっとこちらを見つめて真偽を見定めている

 

「転生する前は16歳ぐらいだったから、この世界で過ごした時間を含めると18歳ぐらいになるってことだ」

 

 蛍はしばらく俺の目をじっと見つめていたが、やがてこんな質問をしてきた

 

「.........アルの口調が男の子みたいなのって、前世が男の子だったから?」

 

 答えづらい質問が来た

 これにYESと答えてしまったら、俺は蛍になにされるか分からない

 何せ蛍と一緒に寝たり、お風呂に入ってしまっているのだ

 心が男だとバレたら..........!

 

「い、いや、俺は前世では男友達が多くt「正直に答えて」.........ごめんなさい、男でした」

 

 蛍の威圧感に負けた

 お、俺の二度目の人生終わった..........

 

 社会的に殺される前に首吊ってこようかと思ったその時

 

「.......いいよ。家事は許してあげる」

 

 まさかのお許しの言葉を頂いた

 

「ただし、料理は禁止。買い物も私がいるときじゃないといっちゃだめ」

 

 まだまだ制約は多いが、ようやく一歩を踏み出せた

 俺は心なかで大きくガッツポーズをとってこれからの未来を想像した

 

 ............やけに蛍の良い笑顔が気掛かりだったが




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花火屋

キャラクターの口調がトップレベルで難しかったです
これが作者の限界なのでご勘弁下さい


 この前蛍に俺は前世の記憶を持っていたり、前世では男だったりと結構重要なカミングアウトをしたが、あまり変わらない日常を過ごしていた

 変わったことといえば、俺が家事をできるようになったことで毎日がより生き生きとしたものになったことぐらいだろう

 

 そして、今日は宵宮がいる花火屋に遊びに来ていた

 今日は花火屋は休みだが、宵宮と一緒に子供たちが遊んでいた

 俺は途中まで蛍に送ってもらい、宵宮とその周りの子供たちと一緒になって遊んだ

 

 久しぶりに思いっきり走ったりしたものだから、結構体が痛い

 ここ最近はずっと家にいたから、結構体が鈍っている

 鬼ごっこでは子供達の方が体力があるということが分かり、ちょっとショックだった

 湖で泳いだりもしたが、疲労で途中溺れかけて宵宮に助けられるなんてこともあり大変だった

 もう少し身長があれば足が地面に届いたので、ちんちくりんなこの体が恨めしく思い、今度からもっと牛乳を飲もうと思った。この体に身長が伸びる余地があればの話だが

 

 最近の子供は元気いっぱいだなぁ、なんて老人みたいな感慨に耽りながら今日という日がどんどん過ぎていき、気づけば夕暮れ時になっていた

 遊んでいた子供たちはどんどん家に帰っていき、俺は蛍が迎えに来るまで花火屋で宵宮とたわいの無い話をしていた

 

 そして、宵宮がふと、こんなことを聞いてきた

 

「………なあ、最近旅人と何かあったんちゃうか?」

 

 俺はギクリと身を震わせた

 この前蛍に前世とかの話をしたことを聞いているのかと思った

 しかし、次の宵宮の言葉で俺は疑問を抱くことになる

 

「なんて言ったらええんやろ。こう、どこか危うい雰囲気を纏ってるっちゅう感じがするんや。………あ!別に旅人が嫌いとかそう言うんじゃないで!」

 

 危うい雰囲気?

 確かに俺の過保護というか、束縛みたいなものは俺が稲妻を去った時に比べたら凄まじいものにはなっているが、それは俺を心配しているためであって、何か危うい雰囲気というのは感じられない

 

「最近の旅人はどこか壊れているような、危なっかしい感じがしてすごく心配なんや。だから、もし旅人に何かあったらすぐにうちに知らせてくれへん?この宵宮姉さんがすぐに解決したる!」

 

 笑顔でそんなことを言ってくれる宵宮はすごく頼もしかった

 

 もう日が沈み、月が見えてきた

 蛍がなかなか迎えにこない

 

 月をぼーっと眺めていると、宵宮が団子を持ってきた

 団子の隣には赤い菊の花があった

 

「………夕食前なんだけど、大丈夫なのか?」

 

「平気平気!ちょっとぐらいならバレへん!」

 

 宵宮が持ってきた団子を食べながら月を眺める

 

「……月が、綺麗やな」

 

「……ああ」

 

「……やっぱ意味なんて知らへんか。まあええ。まだまだ時間はたっぷりあるんやからな」

 

「………どういうことだよ。『意味』って?」

 

「教えてなんてやーらへん!宵宮姉さんからの宿題や!」

 

 悪戯っぽく笑う宵宮の姿を一瞥して、蛍が迎えに来るまで月を眺めていた




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怠惰

日常回再び
シリアス書くのに疲れたので、こういうの書いていて作者はとても癒されます

稲妻のキャラクターって書くの軒並み難しい...........!


 蛍がご飯を食べて任務に行ってしまった

 基本的に蛍がいない時はパイモンが一緒にいるのだが、今日はご飯を食べてすぐに昼寝をしてしまった

 昨日は何故か遅くまで起きていたので眠かったのだろう

 

 俺はやることがないので、庭先でボーッと座っていた

 すると、草むらがごそごそと動いていることに気付いた

 ヒルチャールでも来たのかと思い、槍を持ってきて構える

 

 しかし出てきたのは

 

 黄緑色のフードを被り、耳と尻尾をもっている小さな女の子だった

 

「..........早柚?」

 

 

 

          ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 今日も早柚は訓練から逃げてきたらしい

 相変わらずだが、その逃げる技術は称賛に値する

 

「主はいつの間に帰ってきたのだ。拙は驚いたぞ」

 

「驚いたのはこっちなんだよなぁ......」

 

 いきなり草むらからひょっこり出てきたのだ。結構ビビった

 

 縁側で早柚と二人で気ままに日向ぼっこをしていた

 今日は良い晴れの日であり、日差しが心地よい

 

「拙は良く日が当たる場所を探していたらここまでたどり着いただけだ。主を驚かせるつもりなど毛頭無かった」

 

「日当たりの良い場所探すだけでここまで来る?」

 

 そこそこ距離はあった筈なんだが.......

 

「距離の話などどうでもいい。拙は日当たりの良い場所ではやく寝たいのだ。.......ここで寝ても良いか?」

 

「まあ良いけどさ....頭痛くね?」

 

 縁側はもちろん木で出来ているので、そのまま寝たら寝返りうつときに頭が痛いにちがいない

 

「む、それもそうか......どうしたものか」

 

「じゃあ、膝枕しあげようか?」

 

 よく蛍や他の友達にされている『膝枕』をたまには自分もやってみたくなった

 膝枕をされていると気持ち良くて直ぐ眠くなるので、早柚にはぴったりだろう

 

「良いのか?主は拙と背丈が同じぐらいだが..........」

 

「良いの良いの、遠慮すんなって」

 

 恐る恐る早柚が俺の膝に頭を乗せてくる

 

「結構心地よいものだな。癖になりそうだ」

 

「お気に召したようで何よりだよ」

 

 しばらくこのままボーッとしていたが、早柚が少しずつうとうとしてきたタイミングで頭を撫でてみた

 嫌がられるかと思ったが、案外なにも言われることなく受け入れてくれた

 耳は凄くふさふさで気持ち良い

 

 気付けば早柚は眠ってしまっていた

 可愛い寝顔を見ているととても癒される

 

 そのまま早柚の耳と頭を撫でていると、自分も眠くなってきしまった

 しばらく眠気に抗っていたが、自分の昼寝癖になるまで染み付いてしまった習慣にまともに抗えるわけがなく

 俺は早柚に覆い被さるように眠ってしまった

 




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ドア

 家でやることもなくゴロゴロしていた時、ふと家の屋上にあったドアを思い出した

 しかし、屋上へ行く梯子は前なかったが今はどうだろうか

 

 暇つぶしで2階に上がり、梯子あった場所を確認した

 すると、梯子があった

 

 前はなかったのにも関わらず、なぜ今はあるのだろうか?

 

 ふと疑問に思ったが、まあいいかと割り切り梯子を登る

 相変わらず不気味な雰囲気のあるドアがある

 

 そして、なぜか頭の中の警鐘は止まらない

 

 『この扉を開ければ、お前は二度と引き返せない』なんて言われているような気がした

 

 ドアに向かって一歩ずつ進んでいく

 一歩踏み出すたびに、体に悪寒がする

 ドアノブを掴む時には手が震えていた

 

 ただドアを開けるだけじゃないか。何をこの体は恐れているのか

 深呼吸し、ドアを開けた

 

 ーードアの向こうには、色々なものが山積みになっていた

 暗くてよく見えないが、本やフラスコのようなものが散らばっている

 明かりをつけて、部屋の全貌を明らかにする

 

 ーー部屋の中には机を中心に本が散らばっており、机の上には試験管立てに何かの液体が入ったままの試験管があった

 試験管の中の液体は赤紫色になっていて、怪しい雰囲気を出していた

 

 この部屋はなんだ?

 なんのための部屋だ?

 

 恐る恐る部屋の中を物色する

 試験管の中の液体を揺らしてみたり、部屋の中で散らばっている本を除いてみる

 

 散らばっている本には植物の図鑑だったり、魔物がどこに生息しているかなどを書き留めたものだった

 それらは全て机を中心して周りに散らばっている

 どれを見ても書いてある内容にほとんど変わりはなかったが、まれにレアな生息地や効率の良い集め方などが載っているものもあった

 

ギシッ

 

 さらに色々な本を手に取ってみると、本の山の中から手錠のようなものも出てきた

 それは真新しく、まだ誰にも使っていない新品のように見えた

 

ギシッ

 

 机の上に積み上がっている本を手に取る

 本の中身は薬剤の本だった

 しかし、書斎で見たものよりも専門的なことが書かれていて、より細かい調整ができるようになっていた

 

ザッ

 

 薬剤の本には相手を麻痺させる薬や眠らせる薬を身近なものから作れるレシピが載っていたりとなかなか面白い

 読み進めていくと、麻酔や媚薬なんかも作ることができるレシピを発見した

 そんなものまで作れるのか、なんて感心しつつレシピを見る

 それは、璃月や稲妻で取れるもののようだ

 

ザッ

 

 俺は次のページを捲る

 次のページには、飲む直前の記憶を消すというにわかには信じられない薬があった

 しかし、俺はなぜかその薬から目が離せない

 既視感がする

 

ザッザッ

 

 レシピを見ようとすると、影が出来ていてよく見えなかった




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背後

 刹那、防衛本能で俺は椅子から左に倒れた

 俺の生涯で一番早いであろう反射だった

 倒れた場所から見上げるように、さっきまで俺が座っていた椅子の後ろを見る

 

 ーーそこには剣の柄で俺の頭があったであろう場所を殴るモーションで止まっている蛍がいた

 

 蛍がゆらりと俺の方へと向き直る

 

 俺は訳がわからなかった

 

 なぜ、蛍がここにいるのか

 なぜ、剣を持っているのか

 なぜ、俺を殴ろうとしたのか

 

 恐怖よりも『なぜ』という疑問符で頭が埋め尽くされてしまい、俺は呆然としてしまっていた

 蛍が俺に向かって歩いてくる

 

 俺は無意識のうちにドアに向かって駆け出していた

 しかし、ガチャガチャと音をたてるだけでドアノブは回らない

 

 鍵穴があることからこの部屋に俺は閉じ込められたこと悟った

 

 蛍がゆらりゆらりと俺の方へ近づいてくる

 

「おい!これは一体どういうことなんだよ!?」

 

「……」

 

 蛍からの返事はない

 蛍の目には諦観と安堵が入り混じっているように見えた

 そんな気味の悪い蛍の様子を見て、体が震える

 

 それに抗うように声を大にして問いかける

 

「なんで俺を殴ろうとしたんだよ!?なんでここにいるんだよ!?なんで、なんで………!」

 

 蛍は無言を貫いたままこちらへ歩いてくる

 

「来るなよ……!こっちくるなよ!!………こっちに、来ないでぇ………」

 

 いつもと違う蛍の様子に恐怖心が湧き上がってくる

 今にも泣きそうになるが、我慢して蛍を睨み付ける

 

 蛍はそんな俺の様子を見て、慈しむような顔で俺の頬を撫でる

 その両手がとても冷たく、ビクッと体が強張る

 

「…………手遅れだったね。梯子を出しっぱなしにしてることを思い出して家に戻ってみれば、アルがこの部屋で色々見て欲しくないものを見てたから気絶させようかな、なんて思ったけど。……まさか避けられるなんて思わなかった」

 

 頬を撫でている両手がゆっくりと耳に運ばれていく

 

「でも、この部屋の鍵はもう閉めたから出られない。あとは私に捕まるしかない。」

 

 両手が耳に到達する

 

「準備もほとんどもう終わってるから。アルは何も心配しなくて大丈夫。最初は怖いかもしれないけど、だんだん慣れてくれば心地よくなってくるから」

 

 耳の中に蛍の冷たい指が入ってくる

 

「これから何されるか分からなくて怖い?大丈夫、ちゃんと練習したから。手加減も完璧だよ。ーーじゃあ、行くよ」

 

 バチバチッ

 瞬間、頭の中が白い閃光で覆われた

 体の痙攣が止まらず、頭の中がどんどん洗われていくようだった

 

「……………ぁ、ぅ」

 

「頭の中がすっからかんになったらゆっくり寝かせてあげる。それまで頑張って」

 

 バチバチバチバチッ

 

 思こう蛾まとマラ名イ

 カラダがとろ蹴ていくヨウにさえ感じ羅れている

 

「目の焦点が全然合ってない。………そろそろかな」

 

 穂たル

 バチバチ

 藻うヤメて

 

「もう少しだよ、もう少し。………よく頑張ったね、偉い偉い」

 

「ぇぁ………」

 

 バチチチチッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 竅庹䖸鬆癸ダ豫

 穢懿慧ン瓊

 播儺れ儺懿デ褹




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管理

番外編のほうでアンケートを始めました
現パロのほうで『主人公の妹は誰にするか』なんですが.........
現時点の結果では読者の正気を疑っています
凸になるんですけど........


 目が覚める

 ……ここはどこだ?

 

 窓なんかひとつもない部屋で照明がチカチカ光っている

 俺は少しあやふやな記憶の中を辿っていく

 

 蛍…蛍!

 

 俺は蛍に何をされてここまで来たのかを完全に思い出した

 俺はベッドから飛び起き、今すぐここを出ようとドアに手をかける

 すると、勝手にドアが開き

 

「……起きた?」

 

 全ての元凶である蛍がそこにはいた

 

「蛍!これは一体どういうつもりなのか説明しろ!」

 

 蛍は笑顔を崩さずに

 

「アルが眠ちゃったから私がこの部屋のベットまで連れてきたの」

 

「そういうことを聞いたんじゃない!なんで俺にあんなことをしたんだよ!?」

 

「アルがいなくなってしまいそうだったから」

 

 蛍が間髪いれずに答える

 目に輝きは無かった

 

「あなたはいつも無茶をする。自分の命を省みず、他人を救おうとする。そのたびに私はいつかアルがいなくなってしまうのではないかと怖かった」

 

 後退りした俺を追って一歩こちらに歩んでくる

 

「だから私は考えた。どうすればあなたがいなくならないかを。」

 

 また一歩

 

「私がいないと何も出来ないようにして管理すれば、私から離れられないんじゃないかということに気が付いた」

 

 後ろはもうベッドだった

 そのまま倒れるようにして俺の上に蛍は来る

 

「これ、何か分かる?」

 

 蛍は俺に一枚の布を見せてきた

 

「この布には依存性の高い薬液の原液を染み込ませてある。これを至近距離で吸い続けるとお薬無しでは生きられない薬物中毒者になる」

 

 身動きの取れない俺にその布を近づけてくる

 

「でも、大丈夫。私がずっとアルのことを大切に管理してあげるから」

 

 俺の鼻と口を覆うように布を巻く

 

「ーーーもう二度と、身近な人を失いたくないから」

 

 おれはこわれた

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 この部屋に閉じ込められて何十日が経ったのだろうか

 俺は布で口と鼻を覆われている状態で寝そべっていた

 

 体はずっと中を浮いているような感覚

 力は入らず、まともに声も出せない

 

 蛍は俺の全てを管理している

 食事や着替え、排泄まで

 三大欲求の全てを蛍によって解消され、とても心地よい生活であり、恐ろしい生活である

 

 食事は口移しによって一口一口喉に詰まらないように食べさせてもらう

 排泄は頭に雷元素を流して体を弛緩させ、蛍の助けでようやく排泄できる

 夜寝るときは、頭撫でられながらディープキスをされ、気持ち良いことを沢山されて幸福感に溺れながら眠りにつく

 

 このような生活をもっと続けていけば、俺はもう理性を保てなくなるだろう

 本能だけで生活する獣のようになってしまうのかもしれない

 しかし、俺はもう何も出来ない

 蛍によって全て管理されている俺には

 

 ドアが開く

 

 今日も蛍がやって来た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う.......オイラはこんな生活を望んだんじゃない..........!」




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生活

今回R18になりそうな描写があったのでカットさせて頂きました


「ほら、ご飯の時間」

 

 蛍はご飯を自分の口で噛み、俺に口移しする

 親鳥が雛に餌を与えるみたいに

 

 一口一口ゆっくりと食べさせられる

 そのたびに心地よい響きが体全体に広がり、体が蕩けきってしまう

 

 口移しで食べさせられて約一時間半

 ようやく食事が終わり、パジャマへの着替えとなる

 しかし、その前に一つだけやることがある

 

 排泄だ

 

 蛍は朝、昼、夜のご飯を食べた後、必ず排泄の時間をいれる

 逆に排泄はその時間しか出来ない

 しかし、体の筋肉が緩い今だと簡単に漏らしてしまう

 

 その為、排泄穴にはしっかりと栓をされ、自分では出来ないようにされている

 そして排泄するときには頭に雷元素を流され、体が完全に弛緩しきってから蛍が手助けをし、ペット用のトイレの上で漏らす

 それを習慣化され、体が覚えてしまっていた

 

「じゃあ、いくよ?ゆっくり頭お馬鹿さんになってね........」

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 頭の中をバチバチされ、気持ちよく排泄したあとは着替えである

 着替えは力が入らない自分に変わって蛍がほとんど着替えさせてくれる

 

「バンザイして。.......そうそう、偉い偉い」

 

 パジャマは蛍が選んだ可愛いやつだ

 少しダボっとする感じはとても着心地が良い

 

 蛍に着替えさせられたら、後は寝るだけ

 寝るだけといっても、何時も寝ているのであまり眠気がこない

 何故なら朝も昼も蛍が寝かしつけてくるからである

 

 朝、昼といっても、この部屋は地下にあるのか窓が一つもないため、時間がよく分からない

 パジャマに着替えさせてくるのはこの時間のみなので、夜じゃないかと思っているだけだ

 朝と昼は排泄したら直ぐに寝かされる

 蛍も分かっているのだろう。夜の俺が眠くないことを

 

 だからこそ、俺のことを一杯気持ちよくして疲れさせて寝かせるなんて方法をとっているのだと思う

 蛍が横で一緒に寝る

 

 そのまま俺にキスをし、舌を入れたディープキスにする

 そのまま左手で頭をなでなでしてくる

 

 それだけで頭はどろどろにとけて、気持ちよさをもっともっと求めてしまう

 蛍が一度口を離す

 空いた右手を俺の下腹部に持っていく

 

「今日もたっぷり気持ちよくなろ?全て私に委ねていいからね」

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 蛍とアルが寝静まった深夜

 オイラは蛍とアルが寝ている部屋に来ていた

 お互いに抱きしめあっていて、両方とも幸せそうな顔だった

 

 だけど、オイラはこれが歪んだ生活だってことを知っている

 オイラだけじゃ、直せないほど大きな歪みだけど

 

 でも、オイラだって諦めたわけじゃない

 いつかきっと、また三人で笑いあいながら旅出来る日を信じてる

 

 オイラは、こんな結末を絶対に認めるつもりはない




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ごご

作品も終盤になってきたので、展開予想的な感想には完結するまで返信しません
普通の『~が面白かった』という感じの感想には返信します
ご了承下さい


 蛍においしいごはんだべさせてもらって、しーしーしたあとはふとんでうとうと

 ねむりそうでねむらない、このじょうたいがいちばんすきだった

 とろん、とすこしずまぶたがさがっていく

 

 もうすこしでねむれる。そうおもったとき

 ゆっくりと、どあがひらいた

 

「もう大丈夫だぞ、オイラたちがアルを助けにきたからな!」

 

 そこにはぱいもんと

 

「な、なんや、これ.............」

 

 ぜっくしているよいみやがいた

 

「宵宮!早く早く!蛍が帰ってきちゃうだろ!」

 

「わ、わかっとる!........こんなになるまで気付けへんなんて........ごめん、ごめんなぁ。ごめん、ごめん......!」

 

 よいみやはなぜかなみだをながしていた

 おれをせおいながらあやまりつづけている

 

 おれはしゃべれなくて、うごけなかったから、なぜあやまっているのかもきけないし、ゆるすこともできない

 

「後は神里屋敷まで行くだけだ!出来るだけ人目のつかない道をつかわないと蛍にばれちゃうから気を付けなきゃいけないからな!」

 

「何日間ぐらい滞在してるん?」

 

「次に北斗の船が来るまでだから、三日間だ!」

 

「三日やな、それまでにウチはアルに償いをせなあかんわけや」

 

「.........別に宵宮が悪いわけじゃないんだぞ?オイラだって、一番身近にいたのに止めることが出来なかったんだ。オイラには一生をかけても償なえない罪がある。だけど、一番悪いのは蛍だ」

 

「いいや、ウチにも罪はある。...........全く、何が好きや。ウチはなにしてたん?アルが壊れていっている間に。.....もう、ウチにはアルを好きでいる権利なんて無いんや。やからせめて、この罪を償わなあかん。.....償いきれるなんてはなから思っとらんけどな」

 

 よいみやはくやしそうなかおでおれをだくつよさをつよくした

 

「宵宮.......」

 

「せやから、ウチもこの罪を一生背負っていきていかなあかん。パイモンだけやないで、その罪を一緒に背負うのは。..........蛍もこの罪に気付いた時、どんな顔をするんやろうな」

 

 おぶっているおれのあたまをゆっくりなでる

 それだけできもちよくなり、あたまがとろんととける

 

「こんなことにした犯人に気付いた時、アルはどんな決断をするんやろか。ウチはなにがどうなろうがどっちでも良い。ウチには何も言う権利はないんや」

 

 よいみやのかなしそうなかおがあたまにのこった

 

 

 

 

「.........ようやく見えて来たぞ!神里屋敷だ!」

 

 




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おやしき

 かみさとやしきについたとおもえば、すぐにへやにつれてこられてふとんにねかされた

 

「取り敢えず、これで一段落だな」

 

「あれ?綾華はどこへ行っとるん?」

 

「綾華は蛍の気を引いて時間稼ぎをしてくれてるんだ。あとすこししたら帰ってくるんじゃないか?」

 

 ぱいもんとよいみやがはなしをしている

 さみしかったので、おれもかいわにはいりたかった

 だけど

 

「.......ぁ.......ぇぅ......」

 

 まったくしゃべることができない

 なぜなら、しゃべりかたをあまりおぼえていないから

 

 蛍によって、わすれさせられた

 ことばをしゃべろうとすると、きおくがとぶおくすりのまされた。

 しゃべることがなくなると、くちのきんにくがおとろえていき、はつおんができなくなる

 

 蛍にのまされたおくすりはたくさんあった

 きんにくがゆるゆるになるおくすりなんて、だいたいいつものまされる

 あたまがゆるくなるおくすりものまされた

 

 まだもじはかけるから、なにかかみがほしい

 だけど、しゃべれないのでつたえることはできない

 

「宵宮、今って何時だ?」

 

「今?えーっと、午後四時くらいやないか?」

 

「………となると、後二時間もつかもたないかか……」

 

「何が持つんや?二時間後に何か起こるんか?」

 

「…….アルの口と鼻を覆うように布がつけてあるだろ?あれに中毒性のある液体を染み込ませてあるんだ。それの効き目があと二時間くらいで切れちゃうんだ…….」

 

「え!そ、そもそもなんでこんな液体が染み込んだ布なんかつけとるんや!?は、早く外さんと!!」

 

「それはダメなんだ!それが切れると、アルが壊れちゃうから………」

 

「………でも、あと二時間で切れるんやろ?」

 

「……うん」

 

「外さんかったとしても、結局壊れてしまうんやったらウチは早く外した方がいいと思う。それがアルのためになると思うんや。………ウチも壊れていくアルなんて見とうない、けど、こんなもんしてたらもっと壊れていく。……アルが壊れてしまっても、ウチらが直していけばいい。でも、ウチは稲妻から出ることなんて今はできひん。やからパイモン、人任せになってまうけどアルを託してもええか?」

 

「………分かった。絶対に、絶対に今まで通り元気になったアルを見せるって約束する。…………オイラも、たくさんアルに助けられたんだ。今恩返しできなかったら、もう絶対にする機会なんてないから………!」

 

 よいみやのてがおれのつけているぬのにふれる

 

「宵宮、手袋はしたよな?」

 

「勿論や。じゃあ、いくで」

 

 おれのぬのがとられた




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 さいしょはなにをされたかわからなかった

 ふわふわするかんかくがどんどんきえていく、それくらいにしかおもわなかった

 

 それは、とうとつにおそってきた

 からだのほねがばらばらになるようないたみがおそってきた

 

 そして、からだのけいれんがとまらなくなる

 ずつうもあらわれ、きもちわるい

 

 いからなかみがでてきた

 

「おーーーーだーーーー」

 

「ーーーーはーーーーーーと!ーーーーーーて」

 

 いからでてきたものでこきゅうができない

 ちっそくする

 

 からだがよこになり、きかんにはいってたものをだされる

 

 しばらくくちからたれながす

 あたまがいたい

 

 しんぞうのばくばくがとまらない

 けいれんしっぱなし

 

 いのなかみをすべてだしきっても、まだいえきがぎゃくりゅうする

 くちからどろどろとでてくる

 

 よいみやがてをのばしてくる

 

 てにはきょうきをにぎっていた

 

 そのままおれのあたまにちかずけてくる

 きょうふでよくわからないこえがでる

 

 てがとまった

 

 しかし、きずけばへやにはおれのことをみつめるめがたくさんあった

 

 おれのことをせめるようにけわしいめでにらまれる

 

『なんでお前がこんなところにいるんだ。お前はここにいていい存在なのか?』

 

 おとこのひとのようなこえにきこえた

 

 おれのことをぶべつするように、しんそこうざったそうなめでみられる

 

『ずっと守られて、迷惑かけて、世話されて。あなたは何かしてあげられていたの?恩返しもできないなんて、人として最低ね』

 

 おんなのひとのようなこえだった

 

『元男として恥ずかしくないのか?』『あなたは結局何がしたかったのよ』『お前がいても何も変わらない』『出来損ない。お前に何も期待しても無意味だ』『いい加減に気付け。お前には無理だ』『あなたがいても、この世界は回るの』

 

 どこかできいたことのあるようなこえばかり

 

『なんでお前が栄誉騎士の近くにいるんだ』『お前なんかが努力しても届くと思っているのか?』『この世界に来ても、お前は迷惑かけてばっかりだな』『諦めるという言葉を知らないの?惨めね』

 

 すべてのこえがおれをせめる

 

『もう、お前なんていらないんだよ』『お前より強いやつは全然いるんだ。別のやつに変えた方がいい』『なんでこんなやつを育ててたんだろう』『お前じゃこの壁は越えられない』

 

 もう、いやだ

 

『貴方なんて、大嫌い』『お前に愛される権利なんてない』『みんなの総意だ。現実を認めろ』『自惚れるな。何もできない奴が愛される筈なわけないだろ』

 

『お前なんて、死んでしまえ。悲しむ家族も友達も、この世界には存在しない』

 

 おれはいしきがそこでとぎれた




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お世話

宵宮の関西弁が難し過ぎたので、今後から地の文では関西弁使いません
ご了承下さい


 ウチは何も言えなかった

 体が痙攣して苦しそうなアルを安心させようと思い、頭を撫でようとした。ただそれだけだった

 

 しかし、アルに恐怖に染まった顔を見て手が止まった

 アルはウチの手を凝視していて、まるで何か危ない物を持ってアルに近付けているように感じられた

 

 そのままアルは悲しそうな、絶望したような顔をしたと思ったら気絶してしまった

 しばらくウチとパイもんは何も言えずに黙りこむ

 

 何もしてあげられない自分の無力さを今日ほど祟った日はないだろう

 

 

 

             ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 綾華が帰ってきてもウチはずっとアルのそばにいた

 吐瀉物の掃除やご飯の世話など、出来る限りの事をしていた

 

 しかし、綾華に任された一つの仕事でウチの心は混乱の頂点に達していた

 それは『タオルで体を拭く』である

 

 体を拭くということは、アルの全身を見るということである

 ウチは同性ならそこまで体を見ることに恥じらいはない。しかし、恋慕を抱く存在なら話は別

 綾華はまだ仕事があるらしいし、パイもんは蛍の様子を見に行ってしまった

 

 結果的にウチがやるしかないのだが..............

 

 本音を言えば勿論見たい

 しかし、何も出来なかったウチがそんな邪な感情をアルに向けているということに、自己嫌悪を覚える

 

 まずは普通に腕や足を拭く

 綺麗だと思っていた足や腕には、よく見れば沢山の傷痕が残っていた

 この稲妻を一度去ってから色々なことがあったらしい

 アルが元気になったら、その話も聞いてみたい

 

 さあ、問題はここから

 恐る恐るアルの服に手をかける

 意識のないアルの服を剥ぎ取っているという事実は、ウチに多大なる罪悪感と背徳感を感じさせた

 目を閉じて服を脱がす、顔が熱くなっているだろうが頑張って目を開けた

 

 まず驚いたのはアルの横腹にある縫った跡

 稲妻から去った後に何かあったのか、はたまたウチに会う前からあったのかは定かではないが、少なからず縫うほどの大怪我を過去に負ったことあるは確実

 

 その事を話して貰えなかったことに一抹の寂しさを感じるが、そんな感情を持つなんて烏滸がましいとすぐに振り払う

 そのまま優しく上半身を拭いた。まだ下着はとっていないが

 

 次はいよいよ下着である

 上か下かで悩み、まずは上にした

 

 小さな胸を見て鼻血を出しそうになったが、なんとか堪えて拭ききる

 終わればすぐに上の下着を着けた。流石に目に毒すぎる

 

 大問題の下だが、こればかりは意を決して一気に行くことに決めた

 万が一の布も用意して、ウチは一気に脱がした

 

 そして見てしまった

 アルの下半身に刺さっている物を




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宵宮

申し訳ございません
友人と徹夜でゲームしてたら完全に寝過ごしました


 ウチは、何をしていたんだろうか

 

 一人じゃ満足に排泄すら出来なくなってしまったアルを見てそんなことを考えていた

 一人だと刺さっている物を抜くことができず。たとえなかったとしても、誰かにお腹の下を押してもらわないと出すことがあまりできない

 

 一人だと腰をくいくいと動かして必死に抜こうとしているのがわかる

 しかし、実際に抜いてみた限りは、ピッタリとフィットして自分じゃ抜くことは出来なくなさそうだった

 

 抜いた時の衝撃で目覚めたようだが、焦点の定まらない虚な目でただ前を見ていた

 こちらのことに気づいているのかさえもわからない

 ただ、頭の撫でるとふにゃふにゃの顔で声にならない声をあげていた

 

 ーー完全に壊れてしまった

 

 そんなアルをウチは、少なからず稲妻にいる間は何があっても守り抜く

 本当はどこへでもついて行きたいけど、花火屋を留守にするわけにもいかない

 アルはこんなことを言っていた

 

『宵宮の花火はすごい綺麗だ。ずっと作り続けてくれよ?たとえ俺に何があってもな』

 

 あの時の言葉を昨日のように思い出すことができる

 『たとえ俺に何があっても』この言葉はアルにとってはただの比喩に過ぎなかっただろう

 だけど、ウチにとっては比喩でもなんでもなかった

 

 アルが綺麗だと言ってくれた花火を、ウチは作り続ける

 アルが再びこの稲妻にやってきたときに、胸を張って『アルのために作った花火』を見せるために

 そして、また『綺麗だ』と言ってもらうために

 

 

 

               〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 

 

 

 午後11時

 

 そろそろ寝る時間なのだが、アルは目を開けたまま

 頭を撫でると、目はトロンとするが眠るまでには至らない

 どうすれば寝るのだろうか

 試行錯誤して、一つの結論に至った

 

 ーー添い寝をすればいいのではないか、と

 別にウチがしたいとかそういうわけではなく、誰かと一緒に寝ると安心して寝てくれるのではないかという考えのもとで実行した

 灯りを消し、アルが寝ている布団に一緒に入る

 アルは体が小さいので、ウチでも余裕で入れてしまった

 

 アルをぎゅっと胸に抱き締める

 か細くすぐに折れてしまいそうな華奢な体

 しかし、しっかり感じられる暖かさが『生きている』ということを実感させられる

 

 頭を撫でながら、体をぽんぽんする

 それだけでもう瞼が下がってきた

 アルがもう眠りそうになった時、ふとこんなことを考えてしまった

 

 蛍はいつもこんなこんなことをしていたのか

 

 ウチは蛍の生活に、一瞬でも嫉妬してしまった

 そんな醜い自分が嫌になり、アルを抱きしめる力が強くなる

 

 醜くて脆い『宵宮』という存在が、憎くてたまらない

 アルの寝息が聞こえる頃には、ウチも夢に旅立つ寸前だった

 

 




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出発の日

三上ルラ様、葉月とうか様、テクワン様、レナ零式様、評価10ありがとうございます


 色々とドタバタしならも、なんとか北斗姉さんの南十字船隊が着く日時になった

 しかし、蛍の行方がアルを救出した日から分かっていない

 

 パイモン曰く『家に行っても探し回った形跡があるだけでもぬけのからだった』らしい

 アルを探しに言ったのだろう。しかし、目撃情報すらないとなると何か薄気味悪いものを感じる

 アルの体が小さいのを利用して、抱っこ紐を使い南十字船隊まで運んだ

 

 北斗姉ちゃんは最初物凄く驚いていたが、事情を聞くとすぐに了承してくれた

 出港時間になるまで、アルの世話で必要になるものを輸入品と一緒に船に運んでいく

 

 ウチにできるのはもうこれぐらいしかない

 せめて出港時間なるまでアルの側にいる許可をもらい、世話をする

 

 無力な自分には、もうやれることはない

 そんな事実から目を背けるようにアルが眠っているベッドの横にある椅子に座る

 触って温かみを感じるまで、死んでいないか心配になるくらい綺麗な寝顔

 

 頬を触って、生きていることを確かめる

 最近はこの行動を定期的にしないと、不安で仕方なくなる

 もし、死んでしまったら——————

 

 ウチが、どうなるか分からないから

 悲しむかもしれない

 生きていることが辛くなり、自殺しているかもしれない

 何も思わないかもしれない

 壊れるかもしれない

 

 少なからず、今の『ウチ』ではいられなくなることは分かりきっている

 

 思いは色褪せるという

 時間がたてば、この思いもいつかはただの『思い出』になってしまう

 それが、どうしようもなく怖い

 だから、色褪せないように上から新しく色を塗っていかなければならない

 

 しかし、アルが死んでしまったらそれもできない

 ウチはこの思いが色褪せることに恐怖しながら生きていかなければならなくなってしまう

 それが嫌だから

 隣に立つ権利がなくなったのしても、この思いには正直でいたいから

 

 そろそろ出港時間

 ウチは船を出ようと腰を上げると

 ズバンッと大きな音が鳴った

 

 何があったのか確認するために外に出る

 

 視線の先には、金髪で汚れた服を着た見覚えのある少女がいた

 手には雷元素を纏わせた片手剣を握っている

 前髪で目がよく見えないが、旅人ーーー蛍がそこには居た

 

 船にいた人たちもぞろぞろ出てきて大変なことになっていた

 すると蛍が剣を構えて何かこちらに打ち出そうとしている

 ウチは咄嗟に弓を射つ

 

 蛍はバックステップそれを避ける

 ウチは船から降りてそのまま蛍に向かって弓を射ち続ける

 船から遠ざけるように

 

 そろそろ出港時間だ

 だから、ウチが時間を稼げばアルを璃月まで送ることができる

 ウチは北斗姉ちゃんに早く出港するように伝えると、蛍を近づけないように弓を射つ

 

「…………そこをどいて」

 

「嫌や」

 

 弓を引く

 出港時間まであと10分

 

「アルを攫ったのって宵宮たちでしょ………!絶対に許さないよ………」

 

「別に許してもらへなくても構わへん」

 

 出港時間まであと5分

 

「いい加減にして、もう宵宮も傷だらけだよ?」

 

「嫌や、死んでもここは通さへんよ」

 

 痛い、雷元素で右手がビリビリする

 近づかれた時に切られた左腕からも血が止まらない

 それでも、弓を引く

 

 出港時間まであと1分

 

「そこを、どいて!!」

 

「退く訳ないやろ!!もうそろそろでウチの勝ちなんやからな!!!」

 

 出港時間になった

 船が陸地から遠ざかっていく

 

「……………宵宮、知らないよ?私が貴方に何をするか」

 

「別にウチが勝てばいい話や。何も問題はない」

 

 ウチは心からこの状況に感謝していた

 何もできないと思っていた自分がアルの役にたてているという事実が、とても嬉しかった

 

「ウチが勝ったら、こんなことやめさせる。そしてアルがまた稲妻に来たときに謝るんや、ウチと一緒にな」

 

 体はもう傷だらけ

 腕も震えて狙いもなかなか定まらない

 それでも、残り少ない弓矢の先端に火を点ける

 

「『英雄』宵宮姉さんが救ってやるんや!アルも蛍も!そして、また一緒に遊ぶんや!そこだけは絶対に譲れへん!!」

 

 ウチの全てを賭けて蛍に炎の矢を放った




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璃月

投稿が物凄く遅れてしまい大変申し訳ありません
言い訳をしますと、タブレットが故障してしまいました
現在スマホで書いているのですが、使いなれていないので書くスピードが物凄く遅いです
その為、ここまで遅れてしまいました

毎日投稿再開は4月1日からにします
それまでは投稿頻度はかなり下がりますが、できるだけ投稿できるように最善を尽くします


これを言うのは二度目になりますが、失踪した訳ではありませんのでご安心下さい


 南十字船隊の船に乗って稲妻からの脱出に成功し、璃月へと向かっていた

 オイラは船にいる間、ずっとアルの世話に時間を費やしていて時間の感覚が少しおかしくなっていた

 

 気付けばもうすぐ璃月

 体感時間では1時間にも満たない時間に感じられた

 

 アルの顔は結構広い

 それこそ蛍と同じくらいには

 だからこそ、アルがこんな状態であることを公表すればきっと大きな騒ぎになる

 そのため、一部の奴にしか教えるつもりはない

 

 しかし、どうやってアルを運ぶかという問題がある

 ベビーカーというものをオイラは貰ったが、ベビーカーを押すのにも結構な力がいる

 事情を知っている北斗に手伝ってもらおうとしたが、仕事の邪魔をするわけにもいかないので断念した

 

 もう璃月が見えてきた

 .........宵宮は大丈夫だろうか

 出港するのを防ごうとして船に襲撃してきた蛍に立ち向かった宵宮

 その戦いを最後まで見届けることは出来なかった

 

 宵宮は勝っただろうか

 蛍に負けていないだろうか

 大丈夫、宵宮だって強い。きっと今頃蛍を捕まえてくれている

 そうオイラ自身を勇気づけるが、宵宮を置いてきたことの罪悪感が胸に残っている

 

 今の蛍はかなりマズイ

 もし、宵宮が蛍に負けていたらどうなるだろうかーーーーーー

 

 マイナスの方向に思考が反れそうだったので、頭を振ってそれを追い出す

 大丈夫。きっと、宵宮なら

 そうオイラに言い聞かせ、罪悪感から目をそらした

 

 璃月港はもう目と鼻の先だ

 

 

 

            ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 このベビーカーか外から中が見えないようになっている

 日光を防ぐためらしいが、今はとてもありがたい

 しかし、ベビーカーを押しているオイラの存在はかなり浮いていた

 

 ベビーカーよりも小さいオイラは、車輪がよく回るやつじゃなかったら絶対に押せていない

 なんとか車輪のおかげで前に進んでいるという状態である

 何人かから『手伝いましょうか』という言葉を貰ったが、流石に見ず知らずの人に手伝って貰うわけにもいかないので丁重に断っておいた

 

 押し続けて、そろそろお昼

 お腹が空いたが、日が沈むまでに旅館に到着する必要があるので我慢する

 しかし、いい加減に体力も底を尽きそうになっていた

 

 坂道を上りきったら少し休憩しようと思い、力を振り絞る

 なんとか上りきり、日陰に座って休憩

 だが、まだまだ旅館までは遠い

 夜までに到着出来るか不安になってきた

 

 もう少しペースをあげて向かおうと決めて、再びベビーカーを押そうとすると

 そこには知り合いがいた

 ピンク色の髪で、璃月一の法律家である彼女が

 

「おや、パイモンじゃないか!いつの間に璃月に来ていたんだい?」




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IF もし蛍に船から奪還されていたら

ipadも直ったので四月一日までは書きたいものを書いていこうと思います
今回みたいに唐突にIFストーリーが投稿されるかもしれません


 「ぐぅ!」

 

 弓を地面に落とす

 手は剣で切られて血が溢れだしていた

 

「アルは、どこ?」

 

 首もとに剣を突き付けられる

 ウチの目の前に立っている蛍は目が淀んでいた

 

「...........」

 

 無言で睨み付ける

 言うわけがないだろう

 

 蛍はそんなウチの態度をみて、早々に聞き出すのを諦めた

 

「あぐっ!」

 

 ウチの両足の脛を切りつけると、船によじ登り中へ入っていった

 

「蛍!.......うぐっ」

 

 追いかけようとしたが、脛を切られていて立ち上がることが出来ない

 さらに出血が多く、頭がクラクラしてきた

 霞んでいく視界の中、蛍がアルを抱いて船から去って行くのが見えた

 

 守れなくてごめん、アル..........

 

 

 

              ~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 蛍はおれのことをだいてずっとはしってる

 やすむこともなく、ずっと

 

 ふあんになって蛍のほうをみると、やさしくあたまをなでられた

 

「大丈夫、なにも心配いらないから。.........もう少しで、到着する」

 

 そのままからだをまかせていると、がけがみえてきた

 

「もう、稲妻では何処へ行っても見つかる。多分私のことは指名手配されているだろうし、璃月行きの船もしばらくこない。捕まってアルと離ればなれになるくらいなら、いっそ全部終わらそう」

 

 蛍はがけにちかずく

 

「こうしてしまえば誰にもアルをとられることはない。アルは誰にも、渡す気はない」

 

 もういっぽふみだせば、がけからおちる

 

「ーーーー私の、勝ち」

 

 そして、いっぽふみだした

 

 うみへとおちていき、おおきなおとをたててしずんでいく

 

 いきがくるしい

 めをとじようとすると、蛍がふいにきすをしてきた

 

 したをいれると、おれにくうきをおくってくれる

 それをすって、はきだすいきを蛍におくる

 

 くうきを蛍ときょうゆうしながら、うみのそこへしずんでいく

 

 かいていにつくころには、もうきょうゆうするくうきのなかにはさんそはほぼのこっていなかった

 くうきをはきだすと、もうねむくなってきた

 蛍にあたまをなでられ、どんどんまぶたがおちていく

 さいごにつよくだきしめられて、おれはふかいねむりについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルはもう眠ってしまった

 暗い海の底なのに、どこよりも安心している顔で

 アルの胸に手を当ててみる

 

 もう、心臓は動いていない

 

 私もいい加減辛い

 全身でアルを抱き締めながら息を全て吐き出す

 そして、深い深い眠りについた

 

 

 

          ~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 行方不明になっていたアルジェンドと蛍は、崖近くの海の底で発見された

 

 二名とも窒息死しており、心中をしたと見られた

 

 葬式には数々の有名人が参列し、大きな傷を残していった

 

 後に慰霊碑が彫られ、二人の悲恋は何十年もの間語り継がれていった

 

 そして、二人の没日には銀色の花火が毎年上がるという




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旅館へ

大変長らくお待たせいたしました
今日から毎日投稿再開です

ただし、今日みたいに投稿する時間は不規則なのでご了承ください


「ずいぶん帰ってくるのが早かったじゃないか。私は少なくても半年は会えないとおもっていたのだが.......」

 

「ちょ、ちょっとオイラ達にもいろいろあったんだ...」

 

 煙緋が来るのは想定外

 オイラは煙緋がアルに恋慕を募らせていることを知っている

 そして、告白したことも

 

 旅館に帰ってくるアルを迎えに行ったら、ちょうど煙緋がアルに告白している場面だったのだ

 つい、隠れて盗み見てしまった

 なんで蛍が知っていたかはわからないが、オイラはそういう理由だ

 

 煙緋にはアルが乗っているベビーカーを押してもらっている

 オイラより大きなベビーカーを必死に押しているのをみて、なかば強引に押してもらうことになったのだ

 しかし、煙緋はベビーカーにアルが乗っていることは知らない

 

 外から中を見えないようにはしているが、外そうと思えば簡単に外せてしまうようなものだ

 もし、煙緋がこの中身を見てしまったらどうなってしまうのだろうか

 少なからず良い結果にならないことは確定している

 

 なので、バレないように細心の注意を払って接しているのだけど........

 

「.........パイモンがいるということは、アルや蛍はいるのか?いるのならばアルに少し話があるのだが.......」

 

 

「ほ、蛍たちは今ちょっと大事な任務に出かけちゃってるんだ!だから会えるのはもうちょっと後になると思うぞ.....!」

 

 出来るだけアルや蛍の話題にならないように気を付けてはいるのだが、なかなかゼロにするのは難しい

 そのたびにごまかしているのだが、ずっとごまかし続けていると怪しまれてしまう

 

 早く旅館につかないと非常にマズイ

 とりあえず話題変換を試みる

 

「な、なあ煙緋!最近なんか璃月であったか!?」

 

「最近か........非合法の薬の製造方法を書いて秘密裏に売っていた奴らが一斉に捕まったことぐらいしかないぞ?」

 

 このさい話題が変えられればなんでも良い

 

「その話詳しく!」

 

「別に、製造方法すら他人に教えると捕まるような薬の製造方法をこっそり売っていたというだけなんだ。ものすごく珍しい事件と言われれば、残念なことにそうでもないのだが、この事件が大きくなったのはその売っていた規模が想定以上に大きかったということだな」

 

 そろそろ旅館が見えてきた

 ようやく一息つくことができる

 

 ここまでくれば煙緋にばれることはないだろう

 ゴール直前でオイラは安心しきっていた

 だけど

 

「......ずっと思ってたのだが、このベビーカーに乗っているのはだれなんだ?」

 

 そんな当たり前の質問がくることをオイラは考えていなかった




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無力

誰か他に原神のTS物を書いてください
お願いします


「や、その........ちょっと璃月で旅館にいるお父さんのもとまで赤ちゃんを送ってほしいってお願いされたんだ!」

 

「パイモンにかい?....失礼だが、このベビーカーより小さいおまえに頼めるようなもではないと思うのだが」

 

「あう.....あの、その......」

 

 オイラがしどろもどろになっていると、煙緋はなにか察したのか

 

「まあ、言いたくないのならば余計な詮索はやめておくことにするよ。では、私はここで失礼することにしよう」

 

 そう言って煙緋は去っていった

 どこか、寂しそうな顔をしながら

 

 

 

            ~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 なんとか旅館に到着すると、オイラすぐにベッドに力なく寝そべった

 今日はとても疲れた

 

 しかし、明日はモンドまでいかなければならないので、この疲れを今日中にとる必要がある

 しばらくベッドに寝そべっていると、ぐう~というおなかの音が聞こえてきた

 

 ごはんを食べようと思ったが、持っていたお金と旅館に泊まるお金がほぼ同額だったのでモラがない

 .......今日はどうやらごはん抜きらしい

 アルの分のごはんすら買えない

 

 アルはベビーカーに乗せたままだ

 本来なら降ろしたほうがいいのだが、オイラの力では再びベビーカーのせることはほぼ不可能だろう

 

 アルの様子を見るために掛けてあった布をとる

 

「.............ぅ...........ぇ.........」

 

 体は脱力しきり、光が無い目で虚空を見つめながら喘ぐだけ 

 それが今のアルの姿だった

 

「ごめんな.........ごめんな..........!」

 

 アルの胸に抱き着きながら必死に謝る

 どれだけ謝ったって、ただの自己満足にすぎないのに

 

 オイラは無力だ

 

 アルがこんな状態になっているのにも関わらず、何もしてやれない

 もし過去に戻れるのなら、オイラは何もせず平和そうに笑っているであろう自分に容赦なく殴りかかる

 「なんで何もしなかったんだ」と

 

 ただ蛍とアルについていくだけの存在になっている過去の自分にこの光景をみせてやりたい

 「オイラが何もしなかったからこうなったんだ」っておもいっきり叫びたい

 

 そんなことをどれだけ考えたって過去に戻れるはずなんてない

 怠惰に過ごしてきたツケが今になって来たのだろう

 

 オイラはそのまま泣き出してしまった

 どれだけ泣いてもアルが元に戻るなんてことはない

 それでも、涙が止まらなかった

 

 泣いて、泣いて、アルの服がビショビショになるまで泣いた後

 そのままオイラは泣き疲れてアルの胸の中で眠ってしまった




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モンドへ

何とかギリギリ間に合いました


 朝、目を覚ませばオイラはアルの胸の上で寝てしまっていた

 ぐぅ~とおなかが鳴ったが、お金はないので我慢するしかない

 

 今日はモンドまで行く必要がある   

 モンドにはアルベドがいる

 アルベドなら、アルをこの状態から助けられるかもしれない

 

 手早く身支度を済ませ、旅館を出た

 モンドまではまだ遠い

 

 

 

           ~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 オイラは少し甘く見ていた

 今までの道は舗装されていたので、あまりヒルチャールと出会うことはなかった

 しかし、モンドまでの道のりにはヒルチャールが生息しているのだ

 

 オイラは戦うことなんてできない

 いつも蛍やアルの戦っている姿を隠れてみているだけだった

 だからこそわかる

 どれだけ蛍やアルが勇敢だったかを

 

「.........」

 

 ヒルチャールがオイラ達が隠れている岩の後ろを通っていく

 見えなくなったことを確認して、急いで別の隠れられる場所へ移動する

 

 隠れながら進んでいくのはなかなか大変だ

 もとよりベビーカーがそこそこ大きいので、岩陰などに隠れないとかなり目立ってしまう

 

「ハァ、ハァ.......!」

 

 しかもここら近辺はヒルチャールが多いので急いで移動しなければならない

 ごはんを食べていないオイラは、もう体力の限界は近かった

 

 移動している最中、ついに見つかってしまった

 

「Movo unta nye!!」

 

 力の限り逃げて、逃げて、逃げ続けた

 この場所が下り坂だったことが功をなし、いつも以上のスピードを出すことができた

 でも

 

「あぐっ!!」

 

 打たれた弓矢が体に何か所か掠ってしまった

 体が小さくてこれほどよかったと思うことはない

 

 何とかヒルチャールの追跡から逃れることができても、まだモンドまでは遠い

 いまにも倒れそうな体を奮い立たせて、モンドへ向かった

 

 

 

         ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 ようやくアカツキワイナリーと七天神像が少しずつ見えはじめたときには、もう夕暮れだった

 最悪アカツキワイナリーに着ければ、そこで一晩泊めさせてもらうことができるかもしれない

 そこを目指してベビーカーを押すが、もうオイラは限界だった

 

 焦点が合わず視界がどんどんぼやけていき、力が抜けていく

 浮いていた体は少しずつ落ちていき、やがて地面に倒れこんでしまった

 

 しばらく飲まず食わずで自分より重いものを押していたのだ。ここまで来ることができたこと自体が奇跡に近い

 そして、止血をしなかった体から血が出てきてしまっていたため、体は貧血状態でもあった

 

 自分の体の限界に必死に抗おうとしたが、ついに意識は途絶えてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は少し遠くまで来すぎちゃいました。早く帰らないと.........あれ?なにか物音がしたような........」

 




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部屋

最近原神の二次創作が増えてきてうれしいです
もっと増えろ増えろ........!


 深い、深いぬかるみの中からゆっくり浮上していくような感覚がオイラを包む

 暗闇に包まれていた世界に少しづつ明かりが灯っていく

 

「..........んむぅ?」

 

 いきなりまばゆい光で埋め尽くされた

 だんだん目が慣れてくれば、ここがどこかの部屋だということが理解できた

 

 少しづつ寝ぼけた頭が回っていく

 

「そうだ、オイラはモンドに行く道の途中で気を失って..........あれ!?そういえばアルは!?」

 

 部屋を飛び回って探すが、ベッドはオイラが寝ていたものしかない

 衝動的に部屋から出ようとドアノブをつかもうとする

 しかし、オイラがドアを開ける前にドアが開いた

 

「........落ち着きなさい。アルちゃんならちゃんと別室にいるわ」

 

 そこには、穏やかな微笑を浮かべたリサがいた

 

 

 

          ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

「雑炊を持ってきたわ、ゆっくり食べてね」

 

「あ、ありがとな、リサ.............」

 

 リサはベッドの横にある小さな机に雑炊を置く

 そして、そのままリサは椅子に腰かけた

 

「.........パイモンちゃんはね、ベビーカーの近くで倒れているのをノエルが見つけたの。もう夕暮れだったからかなり急いでパイモンちゃんとベビーカーを連れてきたみたい」

 

 オイラ達はノエルに助けられたのか

 

「最初はとてもびっくりしたわ。満身創痍のパイモンちゃんと謎のベビーカーをもって騎士団まで帰ってきたんだもの。パイモンちゃんの傷や状態を診るのにも忙しかったのに、ー--ベビーカーの中を見たらみんな固まっちゃって大変だったのよ」

 

「.........見たのか?ベビーカーの中」

 

「........ええ、今でも信じられない。ベビーカーの中に居たのはアルちゃんよね?」

 

「.......そうだぞ」

 

「.......なんであんな状態なのか説明してもらえるかしら?バーバラちゃんが必死に治そうとしてるけど、あまり効果は芳しくないわ。原因がわかれば治せるかもしれないの。だから、お願い」

 

 オイラは誰がやったのは伏せて経緯を説明した

 

「..........そんなことがあったのね。薬品系ならお姉さんも得意だけど、アルベドにも手伝ってもらいましょう。なんだかんだでクレーと同じように、妹のような存在だったと思うから」

 

「..............ありがとう」

 

「私には別にお礼なんていらないわよ。このモンドを救ってくれた人たちにようやくお返しができる絶好の機会だもの。.............それと、アルちゃんをこんな目にあわせた犯人は教えてくれないのね?」

 

「.........ああ」

 

「...............残念」

 

 リサはそう言い残すと部屋から出て行った

 部屋の中には、まだびりびりとしたものが残っているような気がした 

 




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先客

この作品以外の原神のTS物が増えてくれることを作者はずっと願っています


 雑炊を食べ終わると、オイラはアルが寝ている部屋に向かった

 ずれ違う騎士団の人達に事情を聞かれたが、オイラのあまりしゃべりたくないオーラを察したのかアルの部屋に着くころには誰も聞いてくる人はいなかった

 

 部屋の中に入るとすでに先客がいた

 ノエルとバーバラだ

 

 ノエルは椅子に座ったままうたた寝していて、バーバラはアルの眠っている布団に覆いかぶさるように寝ていた

 二人の目にはクマがよく見えた

 

 今のアルは眠っていて、目を閉じている

 近づいてようやくおなかの上下がわかるぐらいなので、遠目からみたら死んでいるように見えてもおかしくはない

 それくらい今のアルには生気が無かった

 

 ノエルとバーバラはきっと、遅くまでアルの世話をしてくれていたのだろう

 着替えや水がおいてある机を見れば一目瞭然だ

 

 オイラがしばらく寝ているアルの横でアルの寝顔を見ていると

 

「..............んぅ?」

 

 バーバラが目覚めたようだ

 

「..........あれ?私寝ちゃってた.........?」

 

 

「ぐっすりと寝てたから起こさないようにしてたんだけど、起こしちゃったか?」

 

 

「あ!パイモン目覚めたんだ!よかったぁ」

 

 

 オイラのことを見ると、バーバラは安心したような顔を見せた

 

「オイラは大丈夫なんだ。でも、アルは.......」

 

「.........うん。ずっと焦点のあってない目で私たちのほうを見てた。今は寝ているようだけど、目覚めても多分変わらないと思う」

 

「........バーバラの水元素で治癒できないのか?」

 

「...........ずっと昨日試してたんだけど........効果があったのかはよくわからない」

 

 バーバラでも無理なら、いよいよ本格的にアルベドに頼ることになりそうだ

 

「.........ねえ、パイモン。正直に答えてくれる?」

 

 バーバラがオイラのほうを向く

 顔はこちらを安心させるかのような笑みだったが、目に殺気をまとっていることは明白だった

 

「.........アルをこんなにさせた原因は何?」

 

 さっきリサにも聞かれたことだ、他の人にも聞かれることを想定しておいて言い訳は考えておいていた

 

「.........宝盗団だ。オイラと蛍が目を離している隙にアルが連れ去られて、その時なにか飲まされたのか助けたあともこんな感じになっちゃったんだ」

 

「............」

 

 バーバラがオイラをじっとみてくる

 嘘だとばれたのか冷や汗を流す

 

「..........ふ~ん。宝盗団なんだ」

 

 そう言うとバーバラは部屋から出て行った

 オイラはとりあえずバレてないことに胸をなでおろした




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思い

余談ですが、一番最初に主人公に恋をしたのは蛍ではなくフィッシェルです


「.........は!ね、寝すぎてしまいました.....」

 

 バーバラが部屋を去ってしばらくすると、ノエルも目覚めたようだ

 あたふたと周りを見渡して、必要のないものをテキパキと片付けていく

 そしてようやくオイラの存在に気が付いたようだ

 

「あ!パイモン様、目覚めたのですね。体調などに変化はありますか?」

 

「オイラはぜんぜん大丈夫だ!ありがとな、オイラ達を助けてくれて」

 

 元気そうなオイラを見ると、安心したような笑みをオイラに見せてくれた

 

「なら良かったです。..........別に、感謝されるようなことではありません。私は以前、アル様に命を救ってもらっているのですから」

 

 

 ノエルは寝ているアルを一瞥すると

 

「まだ全然恩を返せたなんて思っていません。アル様が治るまで、私にできることを全力で取り組ませていただきます」

 

 ノエルはいらない物をもって部屋からでていこうとする

 

「.........なあ、ノエル。ノエルは『犯人』を聞かないのか?」

 

 別にわざわざ聞く必要のない問いだ

 でも、聞きたかった

 

「.........私は『犯人』を聞きたくありません。なぜなら、一度聞いてしまえばもう止まれないからです。ー-私はそこまでできた人間ではありません」

 

 ノエルはそう言い残すと、静かに部屋から出ていた

 

 

 

            ~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 アルの寝顔は綺麗だ

 壊れてしまっているなんて想像がつかないくらいには、気品に満ち溢れていた

 

「.......なあ、アル。オイラ、いまだに信じられないんだ。この前まで一緒にご飯たべてたじゃないか。一緒に寝てたじゃないか。なのに、そんな日常がこんな簡単に崩れるなんて、想像できないんだよ」

 

「........今まで何も出来なかった分、頑張るから。だから、もう一度みんなでご飯たべようぜ?」

 

 少し涙ぐんでいるのがわかる

 でも、泣いてたって現実は変わらない

 涙を拭って、頬を叩く

 

「今までアルが頑張ってきた分、次はオイラが頑張る番だな!......絶対治してみせるから」

 

 気合を入れなおし、何かできることはないか聞きに部屋から出ていこうとする。が

 

 バンッ!!

 

 ドアが思いっきり開かれる

 そこにいたのは

 

「アルッ!!!」

 

「落ち着いてくださいお嬢様。心配なのはわかりますが、アル様は今寝ておられると思います。もう少し静かにしたほうがよろしいと」

 

 とても急いできたのか肩を激しく上下させ、息を切らせているフィッシュルとその従者であるオズが佇んでいた




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フィッシュル

 アルと初めて出会ったのは、モンドが風魔龍に襲われたとき

 金髪の女の子と一緒に空を飛んで、風魔龍からモンドを守りぬいた

 

 二度目に出会ったのは、森の中

 任務でヒルチャールを狩りに行って、想定以上のヒルチャールに襲われ、満身創痍になりもう駄目だと諦めていた時

 

「みんな凍えてろ!」

 

 私のすぐ真横から銀色の槍が通り、ヒルチャール達を貫いていった

 掠っただけでも凍らせるその槍はキラキラと輝いていて、とても綺麗だった

 

 目の前のヒルチャールは消えたが、まだまだいろいろな方向からどんどん湧いて出てくる

 いつの間にか後ろに立っていた彼女は、私を安心させるように肩を優しくポンと叩き

 

「大丈夫、全部俺が何とかしてやるから」

 

 そう言って私の盾になるように目の前に出てきた彼女は自分が想像していたものよりあるかに小柄な少女ー--いや、幼女だった

 

 綺麗な光り輝く銀髪は、さっき見た銀色の槍とそっくりに見えた

 私が何か言うその前に、彼女はまたあの銀色の槍を右手に作り出し

 

「凍り付くせ!!」

 

 いつの間にか左から接近していたヒルチャール達にむかって投げた

 一瞬でその方向のヒルチャールが氷像と化す

 

 呆然と氷像になったヒルチャールをみていると、今度は右からヒルチャールが攻めてきた

 私にこん棒が振り下ろされる

 

 そのヒルチャールの頭を彼女の身長の二倍はある槍で跳ね飛ばす

 その時の遠心力を利用して素早い振りでどんどんヒルチャール達に致命傷を与えていく

 

 あっという間に倒してしまうと、おもむろに後ろを振り向き

 

「援軍なんていつ呼んでたのか.......まあ、みんな凍らせば問題ない!」

 

 後ろから来た援軍に向かって再び銀色の槍を投げつけた

 あっという間に氷像となる

 

 そして

 

 バリンッとガラスが割れたような大きな音がなると、氷像になっていたヒルチャールがすべて粉々に砕け、塵となって消えていった

 

 その時に散った細かい氷の欠片が、まるで宝石のようだった

 その光景に見とれていると、いきなりバタンと今まで戦っていた彼女が倒れた

 私がとっさに駆け寄ると彼女の体は冷え切っており、まるで氷に触れているかのような錯覚に襲われた

 

 私は訳も分からずに彼女を痛む体で抱きかかえて協会へ走り出した

 自分が今どのような状況なのか。なぜ自分を助けてくれたのか。彼女が何者なのかさえこの時はよくわかっていなかった私だったが

 『彼女を助けたい』という思いだけは確かに覚えている

 そして、この時はまだ知らない淡い胸の動悸も

 

 それが、私の初恋の始まり




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初恋

 教会まで運び、バーバラを呼ぶ

 彼女は私が背負っているのがアルだとわかるとすぐさま治療を開始した

 しかし、アルは怪我を負っていなかった

 

 倒れた原因は『低体温症』

 彼女は自分の神の目の氷元素を使うと、体にその元素をため込んでしまう体質らしい

 そのため、使い続けると体に氷元素がたまり、どんどん体温が下がってしまう

 

 今回みたいに一気に元素を使うと、元素が体に一気にたまり、低体温症を引き起こしてしまう

 それを治すには炎元素を近くに置き、ひたすら体を温め続けること以外ないという

 

 何本ものろうそくに囲まれながら眠っているアルの姿を見て、私は歯がゆい思いでいっぱいだった 

 この恩はいつか必ず返す

 そう心に刻み込んだ

 

 

 

            ~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 アルが目覚めてから、私は彼女とたくさん関わりにいった

 『恩を返す』という名目で誘ったこともあれば、彼女からごはんに誘われたこともあった

 

「............別にそこまで気にしなくてもいいんだぞ?俺がやりたくてしたことだし」

 

 彼女はよく私にそう言ってくれた

 『恩を返す』という理由でいろいろなことに誘うと、彼女はいつもそういっていた

 しかし、私はそれが嫌だった

 

 この『恩』がなければ、彼女とつながっていたものが切れてしまいそうだったから

 そのことをオズに話すとシンプルな答えが返ってきた

 

「ならば簡単なことです。お嬢様が普通にアル様を誘えばいいのでは?」

 

 オズの言葉どおり、アルを買い物に誘おうとした。『恩を返す』という名目抜きで

 

 しかし、誘えなかった

 なにか言おうとしてもうめき声しか出せず、とっさに家へ逃げ帰ってしまった

 その光景の一部始終を見ていたオズがどこか納得するような顔をしていた

 

「..........お嬢様。アル様の顔を見たとき、ドキドキしませんでしたか?」

 

 した。胸の動悸がずっと止まらなかった

 

「アル様とごはんを食べるのは楽しかったですか?」

 

 すごく楽しかった。一緒にごはんをたべているだけなのに幸福感が止まらなかった

 

「最近、アル様のことで頭の中がいっぱいではありませんか?」

 

 .............うん。なにをするにも『アルだったらどうだろう』とか『アルは喜んでくれるか』とか考えてしまう時が多々ある

 

 オズは微笑ましそうな顔をして

 

「お嬢様。それは『恋』というものですよ」

 

 『恋』ー--オズにそう言われた時、心の中で迷っていた心が出口を見つけたような気がした

 そして、私の『初恋』は始まったのだ




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最近感想が少なくて寂しいです


 アルに頼られた時はすごくうれしかった

 身だしなみを整えるのにいつもの三倍はかかってしまったが

 鏡を見ながら『これで大丈夫か』『服にしわとかないか』なんてことがすごく気になったのだ

 

 待ち合わせ時間ギリギリになってしまったが、奔狼領へググプラムを取りに歩き出した

 最初、アルから『一人だと不安だから一緒についてきてくれない?』というお願いを聞いた時は、考えるより先に了承していた

 ちょうどその時は私の時間が空いていたのだ

 

 奔狼領に向かっている最中、オズは空気を読んで今は消えている

 つまり、二人っきりで会話できているのだ

 私はそのことに少し緊張もしながら、よく楽しむことができた

 

 奔狼領に着くと、彼女は落ちているググプラムを集めだした

 私は付近にヒルチャールがいないか警戒する

 ググプラムを拾っている時は長い無言が続いた

 

 さすがにこの空気にいたたまれなくなってきた時、彼女は私にこんな質問をしてきた

 

「ねえ、なんで最近俺と一緒に色々とするようになったんだ?いや、別に嫌とかそういうわけじゃないんだけどさ。ふと気になって」

 

 そ、それは.......

 

 『あなたが好きだから』なんて言えたらどれだけ良いだろうか

 そんなことが言えるほど私の肝は据わってなかったし、たとえ言えたとしても返事はわかりきっている

 

 私はこの質問に対してうやむやな回答しかできなかった

 

 

 

         ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 何回かヒルチャールと応戦したが、無事に終えることができた

 

「ありがとな、俺のお願いを聞いてくれて」

 

 あなたのお願いなら私はなんでも応じると思う

 そんなことを思いながらどういたしましてと言う

 だけど、言葉にでるのは照れ隠しの言葉ばかり

 結局いつもどおり

 

「お嬢様は『どういたしまして』と言っています」

 

 オズに通訳されながらの会話になってしまうのだ

 

「お嬢様はあなたに『恩』を返すことができて嬉しそうにしてましたよ」

 

 コラ!余計な事言わないの!

 オズを叱りながらまた照れ隠しをしてしまう

 

 だけど

 

 『これは恩返しのためじゃない』って言えただけ、私も成長しているのだろう

 

 

 

        ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 アルがモンドを去ってしまった時はとても悲しかった

 けど、今回のようにまた戻ってきてくれる

 そう信じて疑わなかった

 

 だけど

 

 こんな戻り方は嫌だ

 

 『アルが重症を負って騎士団で治療を受けている』という話を聞いた時、私は考えるより先に足が動いた

 周りの音なんて少しも聞こえない

 息を切らせながらアルのいる部屋へ入ると

 

 まるで死んでいるかのように眠っているアルがそこにいた




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呆然

ものすごく待たせてしまって申し訳ございません
言い訳をしますと、学校の勉強と部活の課題に追われるい日々を過ごしていたのと、APEXでプラチナにいけるまでランクを回してたせいでここまで遅れました

プロット自体はあるので、時間さえあればどんどん書いて投稿していきたいと思っています


 アルを見た瞬間、私の背中には氷元素が当てられたような寒気が襲い掛かった

 ゆっくりとアルに近づいていく

 

 すると、アルは薄目ではあるが目を開け、瞬きしていることに気が付いた

 その眼には生気がなく、焦点が合っていない

 小さく開いた口から出るのは、くぐもったうめき声だけ

 

 私は、ただひたすらに呆然としていた

 すぐこの前まで一緒に笑って、一緒に冒険していた私の一番愛しい人の惨状を見せつけられて、私は一体なにをすればいいのだろうか

 

 私がアルを見たまま固まっていると

 

「.........フィッシュル......」

 

 パイモンが傍にきていた

 そのまま私の隣でアルのこと見続ける

 しばらくして、パイモンはポツリ、ポツリとアルのことについて話し始めた

 

「.....アルは、とある危険な薬物を飲まされたんだ。その中毒症状で、こんなことに.........」

 

 

 薬.......

 薬を飲まされた、ということは、飲ませた犯人が分かれば治せるのではないか。という考えが頭の中に出てきた

 

「.....誰が飲ませたの」

 

 そうパイモンに聞くと、パイモンはあからさまに何かを隠してる様子で

 

「ええっと、ほ、宝盗団がアルに薬を飲ませたんだ。人を助けるために宝盗団へ行ったら返り討ちにあったみたいで.....」

 

 あからさまに目が泳いでいる

 

「.....誰が飲ませたの」

 

 

「だ、だから宝盗団が........」

 

 

「嘘をつかないでよ!!!」

 

 

「なんでそんな嘘をつくの!?あなたはアルのことが心配じゃないの!?その犯人さえわかれば、私は、私は,,,,,,!」

 

 

「........ぁ、ぅ」

 

 

 

 

「お嬢様!!」

 

 

 

 するといきなり、いままでだんまりを決め込んでいたオズが声を張り上げた

 

「.........パイモン様の首がしまっています。このままでは窒息してしまいますよ」

 

「.......あ」

 

 私は感情が高ぶるあまり、パイモンの首に手をかけていた

 とっさに手を放す

 

「ゲホッ!ゴホッ!」

 

 私は、何を..........

 

「........お嬢様、パイモン様はあえて犯人を言わないのだと思いますよ。犯人を言ってしまえば、かたき討ちに行こうとするでしょう。でも、それはパイモン様が望まれないものなのだと思います。..........そして、アルジェンド様も」

 

 私はその言葉を聞いて、逃げるように開いていたドアから逃げるように外へ出て行った

 外は夕立が降り始め、私の服を濡らしていく

 

 走って、走って、走りつかれた住宅街の路地裏で、私は座り込んでしまう

 そして

 

「......うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 

 ため込んだものを吐き出すように、泣き叫んだ

 




良かったら感想と評価をよろしくお願いします

........だれか、原神でTS物を書いてくれませんか?


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救い

一ヶ月間投稿出来ず申し訳ございません。高校生になってからかなり忙しい日々を過ごしていました。夏休みが終わるまでには完結させるという目標なので、応援宜しくお願いします。


「フィッシュル.............」

 

「私はお嬢様を追いかけて参ります。アルジェンド様の回復を心より願っています」

 

 そう言うとオズは部屋から消えてしまった

 フィシュルは、アルの特に親しかった友人の一人だ

 友達が急にこんな満足に話せないような状態で帰ってきたら、絶望もする

 

 オイラもそれは経験した

 

 でも、絶望するだけじゃ意味がない

 どんなに辛くても前を向いて助ける方法を探し続ける

 

 オイラが出来るのはそれくらいだから

 

 コンコンと、ドアがノックされた

 

「入ってもいいかい?」

 

「.........!ああ!勿論だ!」

 

 声の主はこの状況を覆すことが出来るかもしれない錬金術師

 

「失礼するよ。..........どうやら、容態は想像以上に芳しくないようだね」

 

 アルベドだった

 

 

 

             ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 アルベドはメモ張を片手にアルの様子を観察している

 息づかいや体温、脈拍を慎重に測っていきメモに残す

 しばらくメモをとっていると 

 

「........パイモン、彼女は何らかの薬物によってこのような状態になったのかい?」

 

「そ、そうだ。アルは薬を吸い込んでこんなふうに.........」

 

 アルベドはメモ張をパタンと閉じると

 

「それなら話は簡単だ。このような状態になった理由が脳細胞の破壊とかなら、僕でも助ける事は出来なかったかもしれないが、どうやら原因は体の中に残っている薬の成分が神経の電気信号を妨害しているからだ。ならそれを取り除けば治るだろう」

 

「ほ、本当か!!」

 

「ああ、もう少し観察が必要だがほぼ間違いないだろう。ーーーーただ、少し時間をくれないか?調合するのにかなりの労力が必要そうだからね」

 

「どれくらいで出来るんだ!?」

 

「そうだね..........出来る限りの努力はするつもりだけど、最短でも3日かな」

 

 3日..........!

 3日経てばまた、アルと一緒にご飯を食べたり遊んだり、話すことが出来る

 そう考えるだけで涙が止まらなかった

 

「ありがとう..........!アルを救ってくれて本当にありがとう!!!」

 

「別に、僕もアルに何度か助けられてるしね。そして..........クレーにこんな姿のアルを見せるわけにはいかない。クレーはアルがモンドから出ていく時に、必死に涙を我慢しながら『元気でね。アルお姉ちゃん』とアルに言っていた。だから、次合うときは元気な姿を見せてあげたい。少なからずこんな植物状態のようなアルを見せるなんて事はできないからね」

 

 アルベドはそう言うと研究室に籠ると言い、部屋から出ていった

 

「アル..........もうちょっとだけ頑張ってくれ!もう少しで、また一緒にご飯を食べれるからな!」




誤字脱字あれば指摘して頂けると幸いです
もし面白いと感じたら感想と評価をよろしくお願いいたします


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めざめ

テストがようやく終わりました
これから完結むけて投稿していく予定です
不定期ではありますが、夏休みが終わるまでには完結させる予定ではあります
よろしくおねがいします

そして、ついにこの作品も90万字突破です


 ちゅうにういているような、ふわふわとしたいしきがからだぜんたいをしはいしている

 もがこうとしても、からだはなにもはんのうしてくれない

 

 しょうてんがさだまらず、ぼやけたしかいには、ちゃいろいてんじょうだけがみえる

 あたまのなかにもやができて、うまくしこうができない

 

 ただてんじょうをながめつづけて、なんじかんなんぷんがたったかもわからないまま、あたまのなかのもやにすべてをゆだねつづける

 

 からだのしゅどうけんを、じぶんがもっていないようだ

 

 しばらくして、へやにだれかはいってきた

 がんばってくびをすこしだけうごかすと、ぼやけてよきみえないが、ふわふわうきながらなにかをもってこちらにやってくるちいさなひとかげがみえる

 

 なにかぬれたものをくびにつけられた

 そして、そのもっていたものをくびにさしこんできた

 

 さすがにからだがすこしふるえた。が、ゆっくりあたまをなでれるとすぐにちからがぬけてきてしまう

 

「大丈夫、大丈夫だからな.......もう少しがまんしてくれ」

 

 あたまをなでられつつ、なにかをゆっくりくびにちゅうにゅうされつづける

 よくわからないものをいれられているのに、あたまをなでられるだけでからだはそれをうけいれる

 

 ちゅうにゅうがおわり、ゆっくりくびからひきぬかれていく

 ひきぬかれたばしょになにかをぺたっとはると、さいごにまたあたまをなでてへやからでていった

 

 しばらくあたまをなでられたよいんにひたっていると、あたまのなかのもやがすこしづつぬけてきたようなきがする

 

 だけど、まだぜんぜんしこうがまとまらず、ぼーっとしているほうじかんがふえていく

 

 まどからはいってくるひかりがすくなくなっていき、へやのなかもうすぐらくなってきた

 くぅ~と、おなかがなった

 

 おなかがすいてきた。そうおもってすぐにだれかがこのへやにまたはいってくる

 へやのしょうめいがつけられ、しょうてんのあわないひとみでせいいっぱいめをこらす

 

 きんぱつでなにかのなべをもったしょうじょがすこしづつちかづいてきていた

 

 おれのからだをやさしくおこすと、なべふたをとった

 

「ふー、ふー。........ほら、ご飯よ。口をあけなさい」

 

 いわれたとおりにくちをあけると、すぷーんにはいったおかゆがくちのなかにはいってきた

 ちゃんとやけどしないようにさまされており、たべやすい

 

 さんじゅっぷんくらいたべさせてもらうと、くちをはんかちでふかれてせなかをぽんぽんたたかれる

 けぷっと、いのなかにあったくうきがでていくと、ゆっくりべっどのうえにねかせてる

 

 そしてまた、あたまをなでなでされて、ねかしつけられてしまう

 まぶたをとじれば、あまいくらやみのゆうわくにさそわれていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやすみなさい、アル。.....また明日」

 

 私はアルを寝かしつけると、ドアの前で待っているであろう従者に向かって歩き出した




良かったら感想と評価をよろしくお願いします

......最近感想がないのですこし寂しいです


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目覚め

 鬱屈した雰囲気を振り払うように重い瞼をこじ開ける

 寝ぼけて重怠い意識の中でも、ここが自分のベッドではないことぐらいすぐに分かった

 じゃあここは一体どこなのか。その問いの答えを探るべくあたりを見回そうと体に力を入れるが、ろくに体は動かない

 

 ベッドに縫い付けられてしまったかのように体は己の意思に全く従おうとせず、かろうじて動く首を左右に振って当たりを見回す

 綺麗に整頓されており、最低限の物しかないこの部屋は騎士団の個室だろう

 なぜ、自分が騎士団の個室を一部屋堂々と借りてベッドで寝ていたのだろうか

 少しずつ覚醒してきたの脳みそを回転させて、記憶を掘り起こしていく

 

 暇でごろごろしていて、思いつきでこの前見つけたドアを探しに二階に行って......

 待て、そもそもなんで自分はモンドにいるんだ?

 一夜にして稲妻からモンドへ海を跨いだ大移動なんてできるはずがない

 だったら少なからず何日かに分けて移動したはずだ

 

 しかし自分にそんな記憶はない

 わざわざモンドに戻ってくる用事なんてものは記憶の限りではないはずだ

 じゃあなぜ?

 クエスチョンマークが頭の中を支配していると、コンコンとドアをノックされた。誰かが入ってきたようだ

 

「アル、朝ごはんを持ってきたぞ!」

 

 白い服でふわふわ浮いている小さな生き物、パイモンが入ってきた

 

「ぃ......ぁ........ぁ」

 

 一体これはどういうことだ

 そう発音しようとしたのだが、声がうまく出ない

 うまく出ないというよりかは、声の出し方をよく覚えていない

 

 頭の中ではどういうことを言えばいいかよくわかっているのにも関わらず、口が声の出し方を覚えていないかのように反応しない

 俺の様子を見て何か変だと勘づいたのか、パイモンは一目散に誰かを呼びに行った

 

 なんとなく、またろくでもないことの予感をひしひしと感じていた

 

 

 

             ~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 アルベドからこの体の説明を受けた後、パイモンと二人きりでなぜこの状態になったのかを説明してくれた

 俺は最初、とても信じられなかった。しかし、だんだんと朧気ながら思い出してきた記憶をたどれば、いやでも真実だということに気づかされてしまった

 

 そして俺は蛍がいる稲妻へいって話を聞くため、リハビリをした

 辛かった、きつかった。泣きそうな時もあった

 そんな時はパイモンやフィッシュル、モンドの皆に支えられてなんとか乗り越えることができた

 

 そして、璃月に着き、出港の日

 

「本当に行くんだね?また、裏切られるかもしれないのに?」

 

「........蛍は裏切ってなんかいない。ただ、俺が蛍の思いから逃げたからああなったんだ。........今度はちゃんと向き合って、お互いの思いをぶつければ、また、一緒に笑えるって信じてる」

 

 稲妻へ向けて、動き出した




良かったら感想と評価をよろしくお願いいたします


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回想

いい加減キャラ崩壊タグ入れたほうがいいですかね.......


 稲妻行きの船に揺られながら、俺は蛍について考えていた

 蛍と出会って、俺は色々と経験出来たと思う。出会ってなければ、俺は今頃どうなっていたのだろうか

 野垂れ死んでいるか、なんとかモンドにたどり着いて平穏な日々を送っているか

 たらればではあるが、ふとそんなことを考える

 

 思えば、いつから蛍は俺のことをこんなに気にかけるようになっていたのだろうか

 風魔龍がモンドを襲ってきた日から?

 璃月で冤罪着せられた時から?

 稲妻で将軍に立ち向かった時から?

 

 今となっては全て良い思い出ではあるが、当時の自分は己のことで精一杯だった

 だからこそ、俺は蛍の思いに気づくことが出来なかったのだろう

 鈍感系や難聴系の主人公になった覚えはさらさらないのだが、これでは否定ができない

 

 俺が蛍の思いに気づかず、蛍の思いを無視し続けた結果がこのありさまだ

 蛍は悪くない、なんて言うつもりは毛頭ないが、だからといって全ての責任が蛍にあるわけでもないと思う

 きっと、運が悪かったんだ

 互いにすれ違って、拗れに拗れた結果なんだ

 

 だからこそ、二人で向き合えばなんとかなる。なんて思考は楽観的すぎるかもしれない

 蛍は稲妻のどこにいるかさえ検討もついていない

 俺が稲妻から脱出したその後、蛍は行方不明になっているらしい

 懸命な捜索活動が続けられているらしいが、あまり成果は芳しくない

 

 そのため、まずは蛍を見つけることからスタートである

 先が長そうに見えるかもしれないが、自分はそんなにこの問題を気にしていない

 蛍の場所なんて俺がすぐに見つけることが出来るという謎の自信に満ち溢れているのだ

 

 蛍と出会ってからが本当の勝負所

 今の蛍は何をするか予測があまりできない

 そのため、ぶっつけ本番になることが予想される

 どの未来に進むかは、自分の行動に全てがかかっている

 

 そろそろ港が見えてきた

 蛍と会う準備の時間だ

 

 

 

          ~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 稲妻に着いて、まず真っ先に色々な箇所に包帯を巻いている宵宮に抱き着かれた

 少し力が強くて痛く、さらにいろいろな人の目の前で泣きながら抱かれているものだから周りからの視線ですごく恥ずかしかったが、自分のお世話を色々と率先してやってくれていたというので我慢した

 そのまま神里屋敷まで行き、綾香にも泣かれたが、こうして無事に戻ってこれたということを示すことが出来た

 

 後は、自分の目的を果たすのみだ

 

 

 

          ~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 大きいリュックと槍を背負って、自分たちが借りていた家に入る

 中は荒れていて、本などがたくさん散らばっていた

 掃除が大変そうだと思いながらも、二階へ行く

 二階も物がたくさん散らばっていたが、一つだけあるはずの物がなかった

 

 屋上へ行くためのはしごが無いのだ

 

 俺はリュックから組み立て式のはしごを取り出し、上へ昇る

 ドアノブに手をかければ、案の定鍵が閉まっていた

 俺は鍵穴に手を当て、ゆっくりと氷元素を入れ込む

 中の構造を理解するのに手間取り、30分ほど時間がかかったが鍵を作り出し、ドアを開けた

 

 部屋の中は俺が最後に見たときよりもぐちゃぐちゃになっていた

 机は倒れ、試験管やフラスコのようなものは割れ、本は積み重なていたものが全て倒れてしまっている

 この中に蛍がいないことはわかってる

 

 蛍の捜索で調べた場所はキチンと俺に知らされている。勿論その中にこの家が入っていたことも

 なので、この家に蛍がいないことは分かっている

 でも、俺は一つ心当たりがあった

 小さな壺の中に大きな世界が広がっていて、その中で暮らすことが出来る道具のことを

 

 散らばっている本を全てひっくり返せば、その壺は出てきた

 埃で汚れてはいるが、ちゃんと俺がおぼえているもので違いない

 そして、俺はその壺を開けた

 




良かったら感想と評価をよろしくお願いします


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気持ち

更新がとんでもなく遅くなり大変申し訳ございませんでした。
課題とテストに追われる日々を送っていたので遅れましたという言い訳をしておきます。
罵倒は感想でしっかりと聞きますのでよろしくお願い致します。



 目を開ければ、そこには一つの世界があった

 島々が浮いていて、果てなんて見えないほど広い世界が

 自分が今立っているのはその島の中でも特に大きなものであり、鍛冶台などいろいろなものが設置されている

 そして、その中でもひときわ目立っているのがこの大きな豪邸と言われても違和感のない家である

 

 自分はこの世界には久しぶりに訪れたが、最後に見た景色と何も変わっていない

 家に近づくと、相変わらず玄関の前にマルがいた

 

「..........よろしくお願いします。アルさん」

 

 マルはそう一言だけ言うと、再び前に向き直った

 俺は頷き、扉を開ける

 ここからが正念場のような気がしていた

 

 

 

       ~*~*~*~*~*~*~*~*~*

 

 

 

 シンと静まりかえっている

 シャンデリアの光だけがこの空間を照らしている

 自分の歩く音だけが響き渡る

 本棚や家具には、暫く使用した形跡が全くないように見える

 

 階段を登り、2階へ行く

 少し埃っぽい感じがした

 

 部屋の前に立ち、コンコンとノックをする

 返ってこないことを確認し、ドアを開ける

 

「……返事ぐらい返したらどうだ?」

 

 そこには蛍が体育座りで俯いていた

 ゆっくりと顔を上げて、俺のいる方向を見る

 

「………なんで………どうして……」

 

「お前が居そうな場所なんて、もう此処しか残って無かったからな」

 

 驚愕に満ちた顔をしている蛍に対して、そうおどけてみせる

 

「アル……もう、私のことなんて……」

 

「『忘れて』『嫌いになったでしょう』『気にしないで』。全部言わせないからな。なんの為に探したと思ってる」

 

 蛍が言いそうな台詞を全て先に潰す。逃げ道なんて作らせてやらない

 俺が立ち向かっても、蛍に逃げられたら意味がない

 

「………蛍、俺は、最初にこんなことをしたのが蛍だなんて知った時は凄く悲しかったんだ」

 

 俺はずっと信じてた

 

「でもさ、リハビリとかをしてるうちに、蛍の思いから逃げ続けた俺も悪いんじゃないか、と思ったんだ」

 

 それは今も変わらない

 

「………なあ、蛍」

 

 蛍が座っている場所に近づいていき、しっかりと目を見て、問う

 

「蛍は俺のことをどう思っているんだ?」

 

 すると蛍は俺から目を逸らし

 

「……私はもう、アルとなんて……」

 

「『一緒にいる資格なんてない』なんて思ったりしてないよな?そんなものは今、捨ててくれ。資格なんて要らないし、『アルのため』なんて考えも要らない。ただ、蛍の正直な気持ちが知りたい」

 

 目を逸らした顔を追う様に移動し、蛍の淀んだ琥珀色の瞳を見つめる

 

「━━━━━俺は蛍のことが好きだ」



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エンドロール

これにて本編は完結となります
ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました

しかし、まだ書けていないキャラが何体かいるため、後何回か更新はします
最後までお付き合いしていただけたら幸いです

あと、好きなシーンがあったらここ好き機能て教えてくれると嬉しいです


「……え?」

 

 蛍の顔は驚愕で染まっていた

 

「驚いたか?気づかなかったか?気付かないのはしょうがない。俺だって気付いたのはつい最近なんだから」

 

 口をパクパクさせたまま、固まっている

 

「今思えば俺って結構鈍感だったな、って感じるね。仲のいい女同士だったらだったらやるのかな、なんて考えてもいたし」

 

 しかし、俺は気にせず続ける

 

「でも、流石にやり過ぎなとこはあった。なんで気付かないんだろ、当時の俺」

 

 蛍にゆっくり考える時間なんて与えてやらない

 

「ま、こうして自分と蛍の思いにも最終的には気付けたし、結果オーライって事にしてくれ」

 

 何か言葉を紡ごうとして、でも言いたいことが多すぎて言葉に出来ない様子の蛍の額にぶつかるぐらい顔を近づける

 

「…さぁ、蛍の思いを聞かせてくれ。『資格』とか『理由』とか『意味』とか、難しいことは何一つとして考えなくて良い。ただ、今持っている気持ちを言って欲しい」

 

 濁っていた目は少し輝きを取り戻し、小さく、掠れかけの声で。しかし俺にはハッキリと聞こえた

 

「━━好き、だよ」

 

 最も簡単な、愛の言葉を

 

「…言質、取ったからな。これで俺たちは晴れて両想いだ」

 

 ━━長い長いすれ違いの果てに、だけどな

 そう付け加えて、蛍のことをこの小さい体で抱きしめた

 

 

 

       ~✳︎~✳︎~✳︎~✳︎~✳︎~✳︎~✳︎~✳︎~

 

 

 

 あの後蛍にワンワン泣きつかれ、着てきた服がビショビショになるまで泣き、泣き止んだ後も無言で抱きつかれていた

 しばらく抱きしめてられていると

 

「…………私、とんでもないことをアルや周りの人達にしちゃったね」

 

「ああ、したな」

 

「……許してもらう、なんてことは、もう……」

 

「そこは誠心誠意謝り続けるしかないだろうな。俺も手伝うから」

 

 蛍を安心させるように、いつしか俺がやられた頭の撫で方で蛍を撫でる

 

「まだまだ先は長いんだぞ。モンド、璃月、稲妻の人達に謝ったら、また別の国へ行かなきゃいけないんだから」

 

 蛍の旅はまだ始まったばかり。考えることが沢山ある

  

 一通り落ち着いたのかゆっくりと一緒に立ち上がり、部屋から一緒に出る

 自分もまだ考えることがある。煙緋への答えだ

 勿論断るのだが、またそれで一波乱ありそうな気はしている

 ようやく蛍との関係に一区切りついたが、まだ問題は残っているのだ

 一難去ってまた一難。こんなことがこれからも続いていきそうな予感かひしひしと感じられる。が、俺たちならなんとかやっていけるだろうという自信も感じられた

 

 壺からでればもう外には月が出ており、蛍は泣き疲れたのか着替えもせずに寝てしまった

 子供っぽい仕草にクスッとしながら一緒の布団に潜りこみ、自分も目を閉じる

 明日からは大変忙しくなる。だから、今日だけ

 寝ている蛍の唇にキスを落とし、目を瞑る

 

 古ぼけた今日という一日が終わる

 

 

 true end



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