神薙家一族列伝 京に忍び寄る鬼の影 (神薙家当主)
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初代当主 柊編
神薙家始まり


前書きで物語の設定的な事、後書きでキャラクターについて紹介していきます。
※後書きにはネタバレを含む場合がありますのでお気をつけ下さい。

*物語の設定*
神薙ノ国
神薙家の築いた国。
と言ってもこの時代なので今の県の様な規模。
現在の群馬県に当たる位置にあり、神薙家の屋敷と町は太田伊勢崎当たりに広がっている。
国内に3つの迷宮があり、鬼が住んでいる。
町には一般人も多いが町の人達は神薙家の事情を知っており、全面的に協力してくれている。
京から遠くはなれているため京の統治体制から外れており神薙家が統治している様な状態。
神薙家以外に武家は無く、他は農民や商人からなる平民ばかり。


1120年 1月 神薙ノ国(現群馬県)

 

「おはようございます。当主様。

体のお加減はいかがですか?」

 

銀髪の少女がそう微笑む。

その目線の先には桜髪の少女がいた。

赤と黒の着物に桜色の帯、着物には白で桜の花の模様。

 

「あなたは?」

 

桜髪の少女が呟く。

 

「私は狼那(ろうな)。神薙家へ遣わされた世話役に御座います。」

 

銀髪の少女が答えた。

 

「神薙家?」

 

「はい。あなた様はその初代当主にあらせられます。

天界第一位の女神、大照天昼子(たいしょうてんひるこ)様より当主様のサポートをするようにと遣わされました。」

 

狼那はそう微笑んで答える。

 

「良く、わからないわ。」

 

「お名前は覚えておいでですか?」

 

「えぇ、それくらいは。

私は(ひいらぎ)よ。

でも、それ以外の記憶は・・・

思い出せないわね。」

 

柊が悲しそうに言った。

 

「それも致し方ないでしょう。

貴女は鬼に喰われて死んだ所を黄川人(きつと)様に助けられ、反魂の儀によって蘇ったのです。

しかし、蘇る際に邪魔が入りました。

とある鬼が貴女に2つの呪いを掛けたのです。

1つは短命の呪い。

貴女は産まれて2ヶ月で戦場に出れるまでに成長しますが、その分寿命も2年程。

成長が速い分寿命が尽きるのも速いのです。

そしてもう1つが種絶の呪い。

貴女は人間との間に子を為すことが出来ません。

ですがご安心を。

昼子様よりあなた様方一族に交神の儀を執り行える様に取り計らって頂きました。

交神の儀とは神との間に子を為すことが出来るのです。

しかし、その子もまた呪いの効果を受けております。

この呪いを解くには鬼を倒すしかありません。

そして、鬼を倒すのは貴女方神薙家一族にしか出来ぬ事なのです。」

 

狼那はそこまでしゃべると静かに茶をすすった。

 

「ご安心下さい。

当主様の為に遣わされたのがこの私。

鬼を倒し、呪いを晴らすまで確りとサポート致します。」

 

「鬼を倒すと言っても私にその技術は無いわ。」

 

「それもご安心を。

ここに指南書が御座います。

この指南書を読むとあら不思議。

瞬く間にその職業を使いこなせる様になるのです。

ただ、私の元にある指南書は薙刀士の指南書1つのみ。

他は鬼に奪われてしまいました。

ですが、心配は不要です。

鬼を倒せば手に入りますから。」

 

狼那はそう言って青い冊子を置いた。

表紙には『薙刀の指南書』と書かれていた。

 

「武器や防具も一式揃えてあります。

ただ、お一人で向かうのは何分危険を伴いますから。

今月は交神をして一族を増やしましょう。

今回は特別にとある男神様がいらしてくれておりますから。」

 

狼那の言ったタイミングで1人の青年が部屋に入ってくる。

赤髪の青年はにこやかに微笑む。

 

「やぁ、気分はどうかな?

って聞くまでも無いか。

いきなりワケわかんないよね。

ま、そればっかりは仕方無いさ。

昼子姉さんの事だからロクな説明もしてないんだろう?

どーせ倒す鬼の名前も聞かされていないんじゃないかい?」

 

赤髪の青年はケラケラと笑いながら言った。

 

「まぁ、心配しなくてもそこら辺は狼那が教えてくれるさ。

優秀な側付だからね。

死んでも3日で蘇生するし交神の儀を執り行える。

それでいて歳もとらない。

正に君にぴったりの側付ってワケさ。」

 

クククと笑った青年は狼那を見る。

 

「挨拶も済ませた事だし早いとこヤっちまおうぜ。」

 

「黄川人様、まだ名乗られてもおりませんよ。」

 

「おっとごめんごめん。

俺は黄川人。天界第二位の神様さ。

こーみえて偉いんだぜ?

鬼の復活で天界はてんやわんや。

鬼に力を奪われる神、昼子姉さんの邪魔をするべく地上に降りる神、君達に稽古をつけると地上に降りる神。

まったく神様ってのは自由気ままでしょうがないね。

そう言うわけで今天界は大変なんだ。

鬼なんて倒してる余裕が無い程にね。

そこで君達の出番さ。

神と交わり子を為して一族を繁栄させながら鬼を討つ。

ただ、普通の人間が鬼に叶うはずがない。

だから、神との子を為すんだ。

神との間に産まれる子は神に匹敵する力を持つのさ。

だったら神の代わりに鬼を討てるだろう?

早い話が君達は神様の代理・・・いや、駒だね。

2年と言う短い一生を鬼を討つ為に散らす。

それもこんな辺境の地で。

なんとも泣かせる話だよ。」

 

「黄川人様、お話が・・・」

 

黄川人はそう言ってクククと笑いながら語る。

狼那が横から止めなければ更に長く続いただろう。

 

「あぁ、そうだね。

じゃ、狼那頼むよ。」

 

「はい。かしこまりました。

これより、交神の儀を執り行います。」

 

狼那がそう言って神楽を踊る。

これが交神の儀なのだろうか。

私の訳もわからないまま狼那の踊りが終わる。

 

「来月にまた会おう。

次来るときはお土産でも持ってくるからさ。」

 

黄川人がそう言って部屋を出ていった。

こうして私は神薙家初代当主として訳がわからぬまま始まったのだった。




*キャラクター紹介*
ネタバレを滅茶苦茶含みます。

神薙 柊(ひいらぎ)
神薙家初代当主
女 4ヶ月
職業:薙刀士
家系
母 ???
父 ???
夫 黄川人 火男神
子 葵 女薙刀士
子 楓 女大筒士
子 椿 女槍使い

傷付いた鬼の体力回復の為に喰われ死んだ所を黄川人に発見され、反魂の儀により神薙家初代当主として蘇る。
それまでの記憶は失っているが鬼に喰われたのは赤ん坊の頃なので記憶は無いに等しい。
鬼より呪いを受け短命になってしまった。
鬼に喰われた際に鬼の血を浴びたせいか鬼人化出来る様になっている。
また、この鬼人化の力は代々受け継がれる。
黄川人との交神により三つ子を授かった。


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子供

*物語の設定*

※今回ネタバレを含みます!

戦闘
戦闘の際には職業が関係する。
現在神薙家の所有している指南書は3つであり、指南書があればすぐにその職業に就くことが出来るが指南書は鬼に奪われた為鬼から奪い返す必要がある。

*職業(現在使える3つのみ)
原作とバランスを多少変えてあります。(オリジナル職業があふ為それとの調整も兼ねています。)
攻撃範囲と武器防具は変更無しです。
また、説明文は基本的にゲーム内の説明ですが一部改編しています。

見方
能力(全5段階で★が能力値☆は空白の意)
力 攻撃力
守 防御力
術 術の強さ
速 素早さ
技 命中率、回避率、会心率

薙刀士
薙刀の指南書

攻撃範囲
前列時 敵前列一列
後列時 敵前列一体

能力
力★★☆☆☆
守★★☆☆☆
術★★★☆☆
速★★★☆☆
技★★★☆☆

武器 薙刀
防具 大防具まで

前衛からも後衛からも敵を攻撃できる職業。
範囲攻撃が可能な分攻撃力は低めだが雑魚戦にはぴったりな職業。
また、大防具まで装備できる為安心出来る為初心者当主におすすめの職業

大筒士
大筒の指南書

攻撃範囲
単発
前列時 敵前列後列一体
後列時 敵前列後列一体

散弾
前列時 敵全体
後列時 敵前列一列

能力 単発    散弾
力★★★★☆  ★★☆☆☆
守★☆☆☆☆  ★☆☆☆☆
術★★☆☆☆  ★★☆☆☆
速★★★☆☆  ★★★☆☆
技★★★☆☆  ★★☆☆☆
 
武器 大筒単発・散弾
防具 軽防具

威力の高い単発か威力、命中が乏しい分広範囲を攻撃できる散弾を使い分けて戦う。
単発なら敵一体のみだが後列からでも敵後列を攻撃でき、攻撃力も高い。
散弾なら後列からでも敵前列一列を攻撃でき前列なら敵全体を攻撃できる。
しかし、軽防具しか装備できない為防御はかなり心許なく、散弾で前列に行く際は注意が必要。

槍使い
槍の指南書

攻撃範囲
前列時 敵前列一体+後列貫通
後列時 敵前列一体

能力
力★★★★☆
守★★★★☆
術★★☆☆☆
速★★☆☆☆
技★★★☆☆

武器 槍
防具 大防具まで

攻撃力も防御力も高めで前列なら敵前列一体と共にすぐ後ろの敵にも貫通し後列からでも前列に攻撃できる。
また、大防具まで装備できる為守りも安心出来る初心者におすすめの職業。

※ここからネタバレ

ここから先ネタバレ要素(柊の特殊能力と狼那の職業)が含まれます。
一応この話中に出てきます。

狼術士
狼那専門職

攻撃範囲
前列時 敵前列後列いずれか一列
後列時 敵前列一列

能力
力★★★★☆
守★★☆☆☆
術★★★★★
速★★☆☆☆
技★★☆☆☆

武器 大剣、お札
防具 無し(狼那は防具を身に付けない)

狼那専用の職業。大剣による物理攻撃と式神札と呼ばれるお札による式神召喚を使い分けて戦う。
攻撃範囲は大剣の物で式神の攻撃範囲は式神によりまちまち。
防具は装備せず普段着のままであるため防御力は大筒士や踊り屋よりも低いが攻撃力は剣士や弓術士よりも高く、術の能力もトップクラス。
防御力の低ささえ補えれば強い。

特殊能力
鬼人化
健康度を消費して少しの間自身の体を半分鬼にする。
額から角が生え、髪が銀髪に変わり飛躍的な身体能力を手に入れる。
しかし、攻撃をすると自身も反動でダメージを受け、更に後列に下がれず前列でしか活動できなくなり、術も使えなくなると言うデメリットもある。
また、鬼人化が解けると少しの間反動で動けなくなる。
デメリットがかなり大きいがそれでもお釣りが来るほど超強化される。
健康度は年齢に比例して低くなるが最低でも30必要となる。
また、一度の出撃で使えるのは一度きり。
神薙家の者なら誰でも使えるが誰かが鬼人化しているときは他の人は鬼人化出来ない。
また、効果は切れるまで自身からは解けない。
また、鬼人化中に体力が0になると鬼に体を奪われ完全な鬼となってしまう。
そうなったら最後、鬼として討伐するしか無い。


1120年 2月

 

交神の儀をした月は1ヶ月ゆっくり休む。

そう言うものらしい。

私と狼那は1ヶ月のんびりと過ごした。

鬼退治なんて話を聞いたがそんな話無いようにも感じる程平和な1ヶ月だ。

そして、交神の儀からちょうど一ヶ月。

黄川人が内に来た。

彼の後ろには私と同じ桜髪で顔の良く似た3人の女の子がいた。

彼女達は既に私と同じくらいの背丈があって同い年かそこらにしか見えなかった。

 

「やぁ、元気にしてた?

先月の交神で授かった子を連れてきたよ。

ククク。元服前に無理矢理交神したのに三つ子だなんてさすがはご当主様。

はら、この子達が君の娘だよ。

名前と職業を決めてあげな。

あぁ、薙刀しかないんだっけ。

しょうがないなぁ。

ほら、途中で拾ってきた大筒と槍の指南書だよ。

これがあればちょっとはマシだろ?

さ、さっさと決めて初陣と行こうぜ。」

 

黄川人がそう言って狼那に2冊の青い本を投げた。

それと同時に3人の女の子を私と前へと押す。

この子達が私の娘?

なんか、実感湧かないな。

ポニーテールの子にロングストレートの子、2つ結びの子の3人だ。

 

「それじゃあ、葵、楓、椿でどうかな。

職業はそれぞれ薙刀、大筒、槍で。」

 

私が言った。

ポニーテールの子が葵、ロングストレートの子が楓、2つ結びの子が椿となった。

3人はこくんと頷くと私の元によってきた。

 

「それでは、3人が戦闘に出れるまで2ヶ月ございますから、それまでの間は当主様含めて訓練を致しましょう。」

 

狼那が言った。

そういえば2ヶ月もすれば戦場に出れるって言ってたっけ。

 

「それじゃ、よろしく。

俺はまた何かあったら来るよ。

それと、次回からは交神の儀で奉納点を貰うからね。

今回は出血大サービスさ。タダでやってあげる。

まぁ、タダより高い物はないって言うだろ?

もちろん、見返りは求めるさ。

鬼を倒すこと。それが見返りだ。

打倒すべき鬼は全部で4体。

今確認されてる危険な鬼達だ。

熊童子(くまどうじ)虎熊童子(とらくまどうじ)星熊童子(ほしくまどうじ)金熊童子(かねくまどうじ)と呼ばれる4体さ。

正体も判明していない鬼だが4つの迷宮に潜んでいるって話だ。

今のところの最終目標はこの4体の鬼を見つけ出して打倒する事。

まぁ、気掛かりなのは君に呪いを掛けた鬼はこの4体とは別って所。

その鬼って何者なんだろうねぇ。

にしても短命の呪いと種絶の呪いかぁ。

懐かしくて笑っちゃうねぇ。」

 

黄川人はそう言ってクククと笑うとヒラヒラと手を振りながら帰って行った。

 

「黄川人様がお話しされた鬼こそが我ら神薙家一族の打倒すべき鬼です。

鬼は迷宮の奥深くに潜んでいるでしょう。

まずはそれを探すところから。

様々な迷宮に潜り、探索すれば見つかるでしょう。

取り敢えず、本日から2ヶ月、訓練をして出撃の準備を整えましょうり

私がお相手致しますから。」

 

そう言って狼那は立ち上がると庭へ向かう。

私と3人の娘達も後について庭へ向かった。

 

「私の式神が皆様の相手を致します。

まずは職業の特徴を理解し、前列と後列を分けて下さい。

本来の戦闘では当主様が指示を出されます。

葵様、楓様、椿様は隊長であられる当主様に進言をして下さい。

自分で考えて、3つほど出せれば良いですね。

当主様は進言を受け入れるか自身でご指示なさるか状況を見て自由にお選びくださいませ。

全ては隊長である当主様の手腕にかかっております。

まぁ、迷ったら進言を選んであげれば良いと思いますよ。」

 

狼那はそう言いながら白い紙に黒い文字と赤い模様が描かれた札を取り出す。

 

「まだ訓練を始めたばかりですから式神から攻撃はしません。

皆様が攻撃をする練習に御座います。

では、式神召喚!白羊盾(はくようじゅん)!」

 

狼那がそう言うとふわふわとした真ん丸の綿の塊が現れた。

と思うと上から女の子の顔が出る。

女の子には羊のような角が側面に生えている。

見た目からして羊毛らしい。

羊毛の塊と言うわけか。

 

「この式神は防御用の式神、白羊盾。あらゆる攻撃から身を守る式神です。

ですので、切っても当主様達の攻撃なら耐えられるますから練習としてぴったりですよ。」

 

狼那がそう言って微笑む。

私達は自分達の武器で白羊盾を攻撃していく。

前列なら横一列全員を、後列なら1体を攻撃できる。

薙刀の扱い方を学ぶには丁度良い相手だった。

そうして私達は2ヶ月の間、狼那の元で戦闘についての知識を高め初陣に備えた。

 




*キャラクター紹介*

狼那
年齢不詳 女
職業 狼術士

狼と人のハーフであり、一応女神だが本人曰くなりかけらしく完全に女神になった訳では無いらしい。
黄川人の元で手伝いをしており神薙家の側付きとして遣わされた。
狼術士と言う彼女専用の職業を持っており戦闘も可能。
キャラクター的にはこーちんと夜鳥子を合わせた感じの役回り。
当主補佐+限定職で一緒に戦う(不死)
狼の姿にもなれる為服は黄川人に貰った服しか無く、防具も身に付けずに出撃する。
出撃の際は5人目として同行し、サポートメインで戦闘に参加する。
死んだら3日感の蘇生期間を得て復活する。
普段は耳や尻尾が無いが戦闘時は狼の耳と尻尾が生える。


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初陣

ゲーム的システムの設定
今回はゲームだからと言うものをこの世界に当てはめて説明します。
まぁ、ゲームだからって言えば終わる物を無理矢理こじつけするって感じです。

火時計
ゲームとして迷宮に挑めるのは時間に限りがあります。
火時計の火が燃え尽きれば(1ヶ月)終わりです。
そこでもう一ヶ月潜るか帰るか決められます。
火時計は狼那の持つ特殊な時計でこの炎のお陰で迷宮内でも鬼にならずにすみます。
迷宮内には人を鬼に変える瘴気が充満しておりこれを吸いすぎると鬼になります。
それを防ぐのが火時計。
火時計の炎はこの瘴気を晴らす力があるのです。
そして、希に熱狂の赤い火と呼ばれる赤い炎が灯ります。
この赤い炎は青い炎よりもより強く瘴気を晴らし、熱く燃えます。

戦利品スロット
戦利品スロットは3つのスロットで倒した時に貰えるアイテムがどれかを選ぶ物です。
こちらも狼那の持つ道具で鬼を倒すと倒した鬼の力を吸い取りアイテムや金に変換して吐き出します。
それと共に一族に戦勝点を分け与え、内部に奉納点を貯蓄します。
同じ物が3つ揃った時は少ないコストで生成出来る為その分戦勝点が増えます(2倍)。星が3つ揃って出た時はアイテムや金にするはずの鬼の力を戦勝点へと変換する為より多くの戦勝点を得られます(3倍)。
更に、火時計の炎を動力源として動いているスロットなので熱狂の赤い火が灯るとスロットの力も上昇し、よりレアなアイテムを生成出来る様になります。
この時に星が3つ揃うと凄まじい戦勝点を得られるのです。(5倍)。
更に、赤い火の時はスロットの上側が開き、もう1つの力が開花します。
それは、赤い火スロット。
止まると次の青い火を赤い火に変換できるのです。
ただし、戦利品スロットは大将の首を鍵にアイテムを吐き出します。
故に、大将に逃げられるとアイテムは何も出てこなくなり戦勝点しか得られないのです。

携帯袋
神の力が込められた袋です。
アイテムを30個格納できます。
30個であれば大きさも関係なく、どんな大きな物でもしまえます。
それこそ、武器や防具だって格納できるのです。
腰に下げる巾着袋で普段は小さいですが中には神の作った異次元空間が広がっています。
欲しいものを思いながら手を入れれば欲しいものを掴めるのです。
また、袋を開けば中のアイテムが一覧として見える為中に何があるかもすぐわかります。


神達が作り上げた神の力を込めた力です。
神の名を冠する術は使用する事でその神の力の一端を借りる事が出来ます。
この術は神により巻物へと封じられ、巻物を手に入れれば使えるようになります。
使うには心と技が必要です。
十分に育った心と技がなければ術は使えません。
神は認めた者にしかその力を貸してはくれないのです。

鬼の無限湧き
鬼は一定範囲を離れると倒しても復活します。
これは、瘴気の力の影響で炎が晴らした瘴気が元に戻ると鬼は復活するのです。
その為、ある程度離れると鬼が復活するのです。

交神の儀での1ヶ月
交神の儀を行った月は1ヶ月休む。
これは絶対厳守の決まりです。
交神の儀を行った1ヶ月は家族の心を1つにして交神した神に祈りを捧げます。
そうすることでより強い子が生まれるのです。
これをしなければ生まれる子が鬼を倒す力を得られません。
神の力は祈りの力。
神は人々からの信仰を力に変えるのです。
それ故に交神した月は休んで神に信仰を捧げるのです。


1120年 4月

 

2ヶ月にも及ぶ訓練を終え、私達は初陣を向かえた。

私と葵、椿が前列で楓は後列だ。

 

「当主様、今回は初陣ですので出陣先も、引き際も私が見極めます。

まずは、本物の鬼との戦闘に慣れてください。

話はそれからです。

体力が減り、それを放置すればその分健康度が減ります。

健康度は皆様の寿命そのもの。

これが低くなればなるほど寿命も短くなると考えて頂いて相違ありません。

ですから、少しでも傷を負ったらすぐに回復。

アイテムなんて鬼を倒せば手に入りますから躊躇わず使って下さい。

それに、街に帰れば買えますし。

良いですか、初陣でなくても鬼との戦闘は常に命大事に、です。

鬼を倒すよりも自らの命を大切になさって下さい。」

 

狼那はそう良いながらアイテムを携帯袋に詰め込むと私に渡してきた。

 

「今回は携帯袋の中身も私が決めました。

次回からは当主様にご指示頂きます。

当主様が私にお任せになると言うのであれば私が決めますがご自身で決めたいのであれば決めて頂いて構いません。」

 

「ありがとう、狼那。」

 

私が狼那に微笑む。

 

「それでは、バーンとぉ!参りましょうか。

こほん。

当主様、ご出陣!!」

 

狼那が言った。

狼那にしては珍しいな。

バーンとぉ!なんて狼那らしく無い。

私達は狼那の後について迷宮へと向かった。

 


 

「うぅ、葵姉様怖いです。」

 

「楓姉さんそんなくっついていたら危ないわ。

私達は前列だし。」

 

「大丈夫だよ。お母さんと一緒に練習したでしょ?

学んだことを忘れずに、ね。」

 

三姉妹がそう言ってお互いを励まし合う。

仲も良くチームワークも心配は無さそうだ。

 

「今回行く迷宮は鶴眼ノ宮(つるめのみや)と呼ばれる迷宮です。

昔この国を治めていた武家の大きな屋敷で今では鬼の住みかになっています。

ここの鬼なら強くもありませんし良い初陣になるでしょう。」

 

狼那がそう言って指差す先には白い壁に赤い瓦屋根の大きな屋敷が建っていた。

屋敷の門には鶴の像があり、扉は鶴が翼を広げたような形をしている。

鶴好きの武家の家なのだろうか?

 

「やぁ、ここ鶴眼ノ宮は昔この地を治めていた武家の屋敷だ。

こんな辺境を治める物好きが君たち以外にもいるなんて驚きだろう?

でもその武家は滅びた。

それも帝から打ち首されてな。

それで恨まない訳が無い。

ここには帝を恨み鬼となった武家の当主がいるらしいぜ。

それじゃあ、頑張りなよ。」

 

黄川人がふらっとやって来てこの迷宮の説明をするとまたふらっと帰って行く。

ええっと、あれは?

 

「黄川人様はあぁして気が向いた時にその迷宮の話をしてくださるのです。

これからも迷宮攻略の際に会うことはあるでしょうね。」

 

狼那がそう言って微笑む。

 

「帝を恨む鬼かぁ。」

 

「あ、葵姉様。は、離れないで下さいね。」

 

「帝を恨む鬼ね。

今の私達で倒せるのかしら。」

 

3人が口々に言った。

少しのんびりや屋だけどやるときはしっかりやる長女の葵。

怖がりで葵にくっつきっぱなしな次女の楓。

しっかりもので冷静な三女の椿。

この2ヶ月で3人の性格や癖もだいたい掴めてきた。

 

「行きましょうか。」

 

私が言うと三姉妹が声を揃えて元気に「はい!」と返事をする。

 

「ここから先は当主様がご先導下さい。鬼と逃げるか戦うか、先へ進むか留まるかの判断もお任せします。

ただ、危険でしたら私の方から撤退の音頭を取らせて頂きますので。」

 

狼那がそう言って真面目な顔になる。

いつも微笑んでいて優しい狼那とはがらっと気配が変わった。

いわゆる戦闘モードと言うやつなのだろう。

 

「それじゃ、行くよ。」

 

私がそう言って屋敷の門の扉を開く。

少し先に屋敷の入り口が見えるがその前には鬼がいた。

 

「餓鬼3体と旗振り大将ですか。初戦には丁度良い相手かと。」

 

狼那が言った。

 

「お母さん、前列を凪払うか、防御、後列に下がって餓鬼1体を斬るか、どうする?」

 

葵が言った。

進言を3つ程と狼那が言っていたが葵はそれをしっかり守って3つの進言を出してくれた。

 

「敵は全員前列だから凪払って!私も続くから!」

 

葵が1番に駆け出して行って餓鬼と旗振り大将を凪払った。

もちろん、それで倒せるほど甘くは無い。

私も続けて凪払う。

 

「私は後列に下がって餓鬼を突くか防御、前列のまま餓鬼を突くか。お母さんどうしよう。」

 

「椿は後列に下がって餓鬼をお願い!」

 

椿も続けて進言をしてくる。

椿が後列から槍で餓鬼1体を突き刺すと餓鬼が黒い煙になって消えた。

やっと餓鬼1体か。

 

「えと、前列に出て敵全体を攻撃か、後列のまま敵前列を攻撃か防御、お母様どれが良いかな?」

 

楓が言った。

今回楓には散弾を持たせている。

 

「楓は後列のまま撃って!」

 

私は指示を出すと楓が後列から大筒を放つ。

楓の攻撃で餓鬼1体が倒れた。

残るは餓鬼1体と旗振り大将だけだ。

私は狼那の方をチラッと見た。

 

「私は当主様のご指示とは別に動かせて頂きます。」

 

そう言って狼那が札を取り出して真上に投げると札が大剣に変わり大剣が降ってきた。

狼那の得物は大剣らしい。

 

「では、これで餓鬼は終わりですね。」

 

そう言って狼那が残った餓鬼に止めをさした。

 

「これでとどめ!」

 

私が残った旗振り大将を切り払う。

旗振り大将も煙になって消えると狼那の持っていたおみくじの箱の様なからくりから薬が1つとお金が80両出てきた。

これは?

 

「これは戦利品スロット。

鬼との戦闘に入るとスロットが回り、鬼を倒すと止まったアイテムやお金を獲得できる道具です。今回は若葉の丸薬1つと40両2つに止まったのでこうしてアイテムとお金が出てきたのです。」

 

狼那が言った。

そう言えば訓練の時も鬼を討てば戦利品が手に入るって言っていたな。

これのことなのか。

見事初陣の初戦闘を勝利で飾った私達は更に奥へと進むのだった。




*キャラクター紹介*

神薙 葵(あおい)
神薙家 葵家系
女 2ヶ月
職業:薙刀士
家系
母 柊 女薙刀士
父 黄川人 火男神
夫 ???
子 ???

三姉妹の長女で少しのんびり屋だがちゃんとお姉ちゃんをしており三姉妹を纏め上げている。
基本的には一歩後ろから妹たちを見守る様なスタンスであり、自分が先頭をきる事は少ない。
薙刀士として母である柊に師事しており他の2人よりも柊と共にいる時間は長い。
また、戦闘の時は先陣をきって突っ込むがちゃんと計算して突っ込んでいる。
柊と共に作戦立案の練習もしたりと次期当主に一番近い存在。
結構マメな性格で毎日朝起きた時に布団を片付け部屋の掃除をしてから1日を始める。

神薙 楓(かえで)
神薙家 楓家系
女 2ヶ月
職業:大筒士
家系
母 柊 女薙刀士
父 黄川人 火男神
夫 ???
子 ???

怖がりで人見知りな次女でいつも葵の後ろに隠れるのが定位置。
大筒士としての才能はかなり高く、大筒の扱いは狼那や黄川人も驚くレベル。
訓練では走りながら撃ったり三角飛びをしてみせたりと中々にアグレッシブに動いて見せた。
運動神経は三姉妹で一番良い。
しいたけが苦手で残しては狼那に怒られている。

神薙 椿(つばき)
神薙家 椿家系
女 2ヶ月
職業:槍使い
家系
母 柊 女薙刀士
父 黄川人 火男神
夫 ???
子 ???

三姉妹の三女。冷静で物静かだが三姉妹では一番面倒見が良い。
楓の事を気にしており訓練中も良く後列に下がっていた。
飲み込みはかなり早いタイプで何回かの練習で及第点を貰える程。
たった2ヶ月の訓練で驚くほど槍の扱いが上手くなった。
可愛いものが好きだが恥ずかしくて表には出さない。


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鬼人、柊

奥義
奥義とは各職業毎に存在するその職業の必殺技。
編み出した者の名前が入る。
健康度を消費して放つ分術よりも遥かに高い威力を持つ。
ゲームでは心技体のパラメーターが一定値を越えると習得できたがこの作品中では敵との戦闘中や訓練中での閃きによるもの。
また、奥義は同じ職業の者に口伝でのみ伝えることができ、口伝で伝えられないとその奥義は次に同じ奥義を誰かが編み出すまで消えてしまう。
なお、奥義は俺屍1、2の物とオリジナルの物がある。

術や奥義の併せ
術や奥義は同じ術や奥義を使用できる者が複数人いると同時に使って威力を高める事が出来る。
これを併せと良い始めの者から順番に同じ術や奥義を使用する事で併せが発動する。
なお、ゲームとは違い併せの途中に敵の攻撃が挟まると失敗する代わりにゲームより強力な物となっている。

鬼人化中の術と奥義、併せ
鬼人化中は術や奥義の威力も上昇する。
また、鬼人化中は奥義の使用で健康度を消費しない代わりに鬼人化出来る時間が短くなる。
また、鬼人化中は術や奥義の名称が変わるため鬼人化している者同士でないと併せは出来なくなる。
術なら名前の戦闘に鬼人と付き、奥義なら名前の部分が鬼人に変わる。
術 花乱火→鬼人花乱火
奥義 双光柊斬→双光鬼人斬


鶴眼ノ宮攻略は順調に進み、鬼との戦闘にも慣れてきた。

最初は皆攻撃や防御しか進言する余裕が無かったが今では補助系の術や術の併せも進言してくる様になった。

葵は補助系の術を良く進言してくれるし椿は併せの進言が多い。

楓は少し早めに回復の進言をしてくれるあたり怖がりな楓らしい。

皆それぞれらしい進言をしてくれて私も助かっている。

お陰で初陣の割には奥までこれたと思う。

 

「当主様、どの迷宮も入口付近の『辺』、丁度中腹あたりの『中』迷宮最深部の『奥』の3つに別れています。

そして、どの迷宮にも辺、中、奥にはそれぞれ鬼となった神、鬼神がおります。

鬼神は元々神であった存在。

故に強いですが倒せば天界へ戻られる神もおります。

そういった神は交神相手になりますから、解放されるのが宜しいかと。

ただ、今回は初陣ですからご無理はなさらず。

携帯袋の中に引際の笛と呼ばれる道具を入れております。

これを吹けばどんな戦闘からでも必ず撤退できます。

何かあったら迷わず吹いてください。」

 

狼那が言った。

鬼神か。

元々は神様だったと言うのは黄川人が言っていた地上に降りた神々の事だろう。

この迷宮にもそんな神が3人もいるのか。

出会いたくは無いけど出会ったら戦うしか無いんだよね。

 

「鬼神か、会いたくはない相手だね。」

 

「黄川人様の話では昼子様を恨む者、神薙家に鬼を倒されると困る者、神薙家へ助力する為に敢えて敵となった者、神によって事情は様々ですが剣を交えずにすみそうな神はまず降りてはいないですね。

迷宮で会ったなら敵と思った方が無難かと。」

 

狼那が言った。

神を相手にするってのも嫌な話だ。

 

「うぅ、怖いよぉ。」

 

「そんなに奥まで行かなければきっと大丈夫よ。」

 

怖がる楓を葵が頭を撫でながら落ち着かせる。

 

「お母さん、火は後どれくらいですか?」

 

「そうね。火は3つって所かしら。もう少し奥で鬼を倒して帰還って感じかしらね。」

 

私がそう椿の問いに答える。

 

「そうですか、そろそろ技力も少なくなってきたので少し心配で。」

 

椿が言った。

確かに、皆技力は半分をきっている。

出来るだけ技力は温存しておいた方が良いかな。

わざわざ術でなくても倒せる相手だし。

 

「当主様、お待ちを。」

 

狼那がそう言って私達の歩みを止めた。

 

「どうか、したの?」

 

「えぇ、非常にマズイ事態になりました。」

 

狼那がそう言ってごくりと唾を飲み込んだ。

 

「人間と言うものは時に恐ろしいものよのう。

自らの命を守る為に他人を簡単に差し出す。

そうはなりたくないものよのう。」

 

声がした。

男の声だ。

普通の声のはずなのに威圧感がした。

強い。そう私達に感じさせる声だった。

 

「貴方様はっ!?」

 

「おぉ、狼那か。

久しいものよのう。

黄川人について行ってから何年経つか。

あの風雲児についていくのも大変であろう。

我も神としてあの者の行く末を見てきた。

黄川人は随分と大変な目にあったものよのう。」

 

そこにいたのは灰色の髪をした男だった。

 

「お久し振りにございます。大隅爆円(おおすみばくえん)様。」

 

「その者達が神薙家の一族か。

昼子がまた何か企んでおるのだろう。

我に神薙家の者共に稽古をつけて欲しいと言ってきおったわい。

昼子の企みにのるのは少し癪ではあるが神との間に子をなす一族。

その力量を見てみるのも良かろう。

それに、天界では戦闘などせんから体がなまってしまう。

たまには動かさねばな。

黄川人からもここで待ち構える様に言われておるし黄川人も何か企んでおるのだろう。

人の企みに荷担するのは好きでは無いのだが。

ま、それも面白かろう。」

 

大隅爆円と狼那が呼んだ神は私達に向けて術を放ってきた。

 

「させません!白羊盾!」

 

攻撃は咄嗟に狼那が召喚した式神によって守られた。

 

「ふむ、腕を上げたか。狼那。

だが、我が見たいのはそなたの実力では無い。

神薙家の実力だ。」

 

爆円がそう言って今度は距離を詰めて来た。

 

「お母様、防人です!」

 

「母さんに速瀬!」

 

「お母さんに陽炎だよ!」

 

3人が進言をするより先に私へ術をかける。

爆円の狙いが私だったからだ。

 

「くっ!」

 

私も薙刀で応戦する。

相手は素手だがさすがは神。

かなり強い。

 

「お母様にお雫です!」

 

楓が咄嗟に回復をしてくれる。

 

「母さんに武人!」

 

椿が私に武人をかける。

 

「てやぁ!」

 

爆円に向けて薙刀を払う。

爆円は分かっていたかの様に簡単にかわした。

 

「今です、白浪の併せ、行きます!」

 

楓がそう言って併せの起点となる。

 

「併せるわ、楓!」

 

椿が楓の白浪の併せに併せた。

 

「私も!白浪!」

 

葵も白浪に併せる。

 

「私も・・・って暇無いか!」

 

私が併せようとするもそれよりも早く爆円が私に詰め寄る。

 

「併せを邪魔しなくて良いんですか?」

 

「うむ。今はそなたの相手をしておる。

それに、白浪の併せ程度我には効かん。」

 

「白浪の併せ!せーのっ!」

 

「「「わっしょい!」」」

 

私と斬りあって爆円が離れた隙に楓が併せを出す。

しかし、爆円に直撃した白浪だったが全く効いている様子は無かった。

 

「その程度の術では我は倒せんぞ!」

 

「ならば!」

 

椿が突っ込んで行く。

 

「椿!」

 

私の声よりも早く椿が爆円に吹き飛ばされる。

椿の腹部からは血が滲み出し椿が腹を押さえながらゆっくりと立ち上がる。

 

「まず1人。」

 

爆円が言った。

 

「椿!そうだ、お雫!」

 

楓が椿に駆け寄って術をかける。

しかし、それは悪手だ。

 

「楓!ダメよ!今椿に近付いたら!」

 

「2人目だ。」

 

葵の叫び声も虚しく楓の背中にかかと落としが決まる。

 

「嘘・・・」

 

葵がその場で膝をつく。

姉妹2人が目の前でやられて完全に戦意喪失してしまった様だ。

 

「このままじゃ・・・

狼那、後をお願い。」

 

私は静かにそう言って静かに深呼吸をすると薙刀を地面に突き刺した。

 

「私の身体に流るる鬼の血よ、今ここに滾れ。

私の身体を鬼人と化して鬼を討つ力に変えろ!

鬼人化!!」

 

私が叫ぶと心臓がどくん、どくんと鼓動が強く、速くなる。

そして、それと共に私の額には角が2本生える。

髪は桜色に爛々と輝き始め、眼も紅蓮に輝く。

歯には鋭い犬歯が生え体が軽くなる。

鬼の血を浴びたせいか私には鬼の血を一時的に強く出して鬼と同等の力を得られる。

もちろん、自らの命を蝕む術故に連発は出来ないし効果時間もあるから長期戦は出来ない。

だが、それでも余りある力だ。

 

「はぁ、はぁ、鬼人化はこんなにも凄いのね。

力が溢れるわ。

だけど、自我を保つのが大変ね。

少しでも気を抜いたら鬼に墜ちそうだわ。」

 

私は静かに呟きながら薙刀を手にする。

 

「大隅爆円!神薙家初代当主の名に掛けて貴方を討つ!

私の家族は殺させないわ!」

 

私はそう言って爆円に薙刀の刃を向ける。

 

「ほう、鬼人か。それも面白かろう!」

 

爆円はまっすぐに私を見据え、私に襲いかかる

鬼人となった今ではそんな爆円の行動が見える。

鬼人になり身体能力と共に反射神経も高まっているのだ。

 

「ほう、ただほざくだけでは無いか。

そう言うだけの力はある様だな。」

 

爆円はそう言って少しずつ後ずさる。

だが、私の鬼人化ももう終わりが近い。

やはり、コントロールが上手くいかないから無駄に鬼人の力を使っている様だ。

上手くコントロール出来ればもっと長持ちするだろう。

 

「はぁぁぁ!!!!」

 

私は私の出来る限りの速度で薙刀を振り回し爆円へ連続で斬りつける。

その速度は既に鬼の物。

爆円以外は私の斬撃を追えていない様だ。

爆円の顔を見ると額に冷や汗が見える。

体力はまだある。

鬼人化ももう少しならいける。

ここは、押しきらなきゃ。

私は手を止める事無く薙刀を振るう。

防戦一方だが確実に防いできた爆円の身体にも少しずつだが傷が付き始める。

段々と私の攻撃を防ぎきれなくなっている様だ。

 

「まさか我が傷を負うとはな。」

 

爆円がやっとの事で私の猛撃から抜ける。

私の鬼人の力も底を尽き始め、髪や瞳の輝きは薄れていった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、」

 

「我も力が振るえぬがそなたももう終わりの様だな。」

 

爆円が膝を地について言った。

私は最後の力を振り絞って薙刀を握り直す。

 

「家族は私が守るんだ!だから、貴方はここで倒す!

これが私の奥義!双光柊斬(そうこうひいらぎざん)!! 」

 

私がそう叫んで薙刀で爆円を2度、薙ぎ払う。

 

「なんと言う強さ。

鬼人の力か。

人間に負けるとはな。

だが、それも面白かろう。

その力、その心、忘れるで無いぞ。

鬼の力はそなたの力だ。

しかし、同時にそなたを鬼に変える力でもある。

本当に家族が大切ならその力、御してみよ。

出来ねばそなたが家族を斬るだけだ。

それだけあれば此度の鬼の大将も討ち取れるであろう。」

 

爆円はそう言うと天へと昇って行った。

 

「さぁ、狼那帰るわよ。」

 

私は薙刀を杖代わりによろよろと立つと狼那に言った。

 

「かしこまりました。当主様。」

 

狼那がそう言って軽々と楓と椿を担ぎ上げる。

私は葵の肩を借りて屋敷へと帰還するのだった。




柊の奥義
今回新たに柊が奥義を習得しました。
ゲームであれば初代が初陣で奥義を習得は出来ません。
能力値的に足りないからです。
この小説では閃きによる物なので使えた感じです。
今回の後書きは柊の奥義について説明します。

双光柊斬(そうこうひいらぎざん)
健康度消費:15
薙刀で敵前列を2度薙ぎ払う奥義。
通常攻撃よりも高い威力で2度薙ぎ払う為通常攻撃3回分程度の威力を持つ。
健康度の消費量は中量程度で気を付けながら使えば連発も出来る。
範囲技であり、ボス戦よりも複数の敵相手に活躍する奥義。


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投資

街への投資
ゲーム同様街への投資があります。
投資内容は以下の通りです。

武器屋
武器の品揃えが良くなり、専門武器職人が来てくれる様になります。
専門武器職人は1つの武器しか作れませんがその人専用で武器を作ってくれます。

防具屋
防具の品揃えが良くなり、専門防具職人が来てくれる様になります。
専門防具職人は1つの職業の防具しか作れませんがその人専用で防具を作ってくれます。

道具屋
道具や装飾品の品揃えが良くなり、神様へのお供えの品揃えも増えます。

娯楽
幻灯屋のフレームや温泉が追加されます。
幻灯屋は一族の写真を取る事ができ、温泉では特殊な効能の温泉に入ることが出来ます。

神社
神社が建立され、神様を奉る事が出来るようになります。
奉った神様は地上に降りることが無く、奉納点も割引されます。
また、全神様の奉納点が少しだけ下がります。

専用武具
投資によって専門の職人が来てくれると専用武具の作成が可能になります。
専門武具は作った人のみが使用可能な代わりに装備者の成長に合わせて武具自身も成長していきます。
使用者が亡くなると形見分けとして最も若い同じ職業の者に分けられます。
形見が複数ある場合は若い順に分けていきます。
形見分けがされた時に鬼神打倒ボーナスが入り先代が倒した鬼神の分だけ武具が強化され、更に特殊能力を手に入れる場合があります。
特殊能力は先代の戦闘により効果が決まる為先代が物理攻撃メインであれば攻撃系が、術攻撃メインであれば術系の能力がついたりもします。
形見分けする相手がいない場合は当主預かりとなり、形見を分けられる者が現れた際に形見分けをします。
しかし、その時は鬼神打倒ボーナスは得られますが特殊能力は付きません。




1120年 5月

 

鶴眼ノ宮から帰還した私達は傷の手当てをして4月の残りの日はゆっくりと休んだ。

 

「当主様、おはようございます。

今日から5月になりますが5月からは当主様のご指示で今後の行動を決めていきたいと思います。

そうは言っても難しい話ではありません。

今月何をするのか、そしてそれをする為の準備はどうするのか。

その位の事を決めていくだけに御座います。

分からない事は聞いていただければ私がお手伝いや助言も致しますのでなんなりとお申し付け下さい。」

 

狼那が言った。

鶴眼ノ宮では割りと戦えていた。

それこそ、爆円さえ来なければ怪我もなく終われただろう。

だが、爆円の強さのお陰か皆の闘志に火が着いた様に感じる。

三姉妹も毎日朝早くから起きて稽古をしていたり、術の巻物を読み漁り新たな術の習得に務めたりと一日たりとも無駄にしないようにと言う意思を感じる。

母として、当主として、嬉しい物だ。

 

「街の状況はどう?

帰ってくるとき見たけどあまり賑わっていなかったわ。」

 

「そうですね。街も財政難でして。

当家に余裕があれば投資をするのも良いかと。

投資すればそれだけ恩恵が返ってくるはずです。

ただ、投資をして当家が潰れてはいけませんから、投資はほどほどにですが。」

 

狼那が言った。

投資か。街に投資すれば街が発展するって事だよね。

確かに今の街は人も少なく、寂れている。

折角1国の当主になったんだ。街も良い街にしたい。

 

「狼那、お使いを頼まれてくれるかな。

3000両程武器屋に投資して来て。

大隅爆円と戦って思ったの。

私の実力不足もあるけどきっと武器も弱かったんだって。

武器自身にもヒビはいってたりしてるしね。」

 

私が言うと狼那が静かにうなずく。

 

「それでは、武器屋に3000両の投資でよろしいですね?

投資後の当家の資産は5000両。先月の出陣での収支は+2000両。

帳簿にまとめておきますので詳しくご覧になりたい時はご活用下さい。

それと、毎月のやった事等も帳簿に書き留めておりますので、過去の確認や今後の予定を立てる際にご活用下さい。」

 

狼那はそう言うと投資をするために出ていった。

狼那が帰ってくるまでの間に今月どうするかを決めようか。

私は娘達を呼んで部屋に集まる。

 

「今月の予定を決めようと思うの。

まず、今月は討伐に出るつもりよ。

皆の傷も癒えているし健康度も問題はない。

なら、若い内に経験を積みたいから討伐に出たほうが良いわ。

それで、相談の内容は何処に行くかよ。

候補は3つ。

先月も行った鶴眼ノ宮。

そこよりは少し難易度が高いけど敵の殆どが物理主体で戦いやすい『榛名ノ湖城(はるなのこじょう)』。

鶴眼ノ宮と同等の難易度だけど術を使う敵が多い分戦いが長期化しやすい『赤城山(あかぎやま)

皆は何処が良い?」

 

私が聞くと3人はそれぞれが考える。

やはり、1度行った経験のある鶴眼ノ宮が行きやすいだろう。

だが、大隅爆円の事もあり行くのに躊躇ってしまう。

榛名ノ湖城と赤城山は少し遠いしどちらも鶴眼ノ宮よりは癖がある。

私も1人で決めようと見てみたのだがやはりどれにしようか決めかねて3人にも聞いてみた次第だ。

 

「私は榛名ノ湖城が良いと思います。

物理攻撃主体なら鶴眼ノ宮と戦い方は同じでもいけるでしょうから多少は戦闘もしやすいかと。」

 

椿が言った。

難易度は他2つより高いがそれでも鶴眼ノ宮と同じ様な戦闘が出来るなら戦闘はしやすいだろう。

椿も良く考えて答えを出してくれたんだな。

 

「私は鶴眼ノ宮が良いと思うな。

先月行った場所だから多少は勝手が分かるし。」

 

「か、楓も鶴眼ノが良いと思う。

その、怖いけど行ったこと無いとこに行くよりは怖くないから。」

 

葵と楓が言った。

確かに先月行った場所だからと言う安心感はある。

もちろん、緊張感をもって行かなければ危険なことに変わりはないが。

 

「そうね。それじゃあ今月は鶴目ノ宮に行きましょうか。

その代わり来月は榛名ノ湖城に行くわよ。」

 

私が言うと3人が頷いた。

そして、そんな相談をしている内に狼那が帰って来た。

私達は鶴目ノ宮に行くための準備をするのだった。

 




投稿遅くなってすみません!
リアル優先で書いているのでリアルが忙しくなるとその分こっちの更新が遅れる感じです。
次回はなるべく早く書くと思うのでよろしくです!


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