二度燃え尽きた灰色は何を成すのか…… (TS大好き侍)
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三度目のプロローグ

漫画を14巻当たりまで大人買いして読み漁ってたら書いてた。


2056年である現在から逆算して17~20年前。大西洋遠洋場の何処か、深海奥底では奇妙な話、ある一隻の艇が形を成しつつあった。

 

「ナノ――――形成――――船体――――固定――――」

 

そこでは水中に漂う微粒子が集まり拡散、または固定化されて行き今の所は辛うじて船の形を取ろうと試行錯誤しているようにも見えるそれは、光の届かない深海でありながら目が眩むほど光を発し輝いて見える。

大きさもさることながらその光輝くそれは深海でありながら、水圧にも負けない装甲を有し着底してるものの同じく沈んだのか近くで沈没している船と比べて生きているようにも見える。そんな形を成しつつある船の中心ではその大きい船体と比べるとかなり小さく、だが確かに中核を成す物体が一つ浮いている。

 

「アドミラリティ・コード受諾――――処理能力強化――――船体強化――――」

 

中核は音とも言えない何かを発しながらも、受諾した何かを実行するべく作りかけだった物を更に大きく、そして強力にしていく。船体が最初と比べて一回りも二回りも大きくなりつつあった時、もう一つの何かであるそれは出来上がりつつあった。

 

「――――」

 

ヒトだ。ヒトが構成されて行っている。

その何かはヒト――――いや、人。船体と同じ物で構成されつつあるそれは顎う事無き人であった。光を放ちながら共に出来上がりつつある人と船。そんな彼らを祝福するかのように頭上、つまりは海上の方からはパラパラと雪の如く銀色に輝く何かが多数振ってきているのだった。

 

 

「命令の再確認開始――――」

 

そして同時に銀色の何と一緒に大きい物も振ってくる。それは鋼鉄の塊であり、人類の英知の結晶。そして人類そのモノを導くハズの箱舟となりえる者だった残骸。つまりは――――船体、悔しくも敗北し沈みゆく鋼鉄で出来た思いの塊であった。つまりは現在、彼彼女が生成されつつある場所の真上では人々が戦いそして死んでいっている海戦……つまりは戦争が行われているのだ。

しかし彼彼女にはそれでも問題は無い。何か変わる訳でもなく、作業は続く……ハズだった。

 

「エラー」

 

アクシデントさえ起きなければ。

 

「不明な情報体を受信、命令及び情報の上書きが実行されます」

 

剥き出しで人の形を成しつつあったものへと何かがぶつかり、そして取り込まれてしまう。物体は奇しくも人形の肉塊でありそれが光へと触れたその瞬間分解されて吸収、それと同時に降りかかる銀色の何かも大量に取り込み始めそれすらも船体構成へと反映された。その結果か生成スピードは先ほどと比べものにならないほど速くなり、その姿を現す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――戦艦だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――いや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――大戦艦だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大な船体に取り付けられるのはその船体に見合うほどの巨大な砲。それが八門、高く聳え立つ艦橋の上へにまだまだ生成途中な人はフワリと降りると完成した灰色で白色に光輝く場所のある戦艦はゆっくり、ゆっくりと浮上していったのだった。

その途中潮の流れに乗った為に右往左往と海流の流れで船体は流され、海面へ到着する頃には生成されていた場所からは何千キロも離れた場所。だがもうすぐ目覚めるであろう彼彼女――――いや、彼女にとってはどうでも良い事であったのだった……

 

 

※※※

 

ゆらりゆらりと波に揺れ、鼻に付く生臭い潮の香りを感じながらサンサンと輝く太陽で目を細めながら俺は現実を直視できないでいた。

 

「で、ここ何処よ」

 

どうもゆらりゆらりと前世で死んで今世に転生。そしてアルペジオ世界だと絶望しながらも"あ、でも色々と頑張ったら主人公組とかに接触できて最終的には生き残れるんじゃね?"ってな安易な考えで海軍に志願した死に損ないです。

千早家族とはかなり良い仲になって群像君はよく俺に懐いてくれた。

そんでもって割と恩がある知り合いの爺さんが霧の艦隊相手に出撃するって言うんでそれに付き合う事に……俺の最初で最後の戦いになったのは言うまでもない。んで、最後の瞬間は霧の駆逐艦から放たれた魚雷かなんかの爆発に巻き込まれ下半身が吹き飛ばされるとこまでが死んだと自覚できた瞬間なんだけど……何で生きてんの、俺。

 

「いや死ぬのは二度目だったから割と馴れてた事だけど何で生きてんだ? あ、ってかこの体――――」

 

下を見下げると生前ではまぁ仕方ないとして今世では諦めた割と形の整った大きなお山が二つ。それに加えて俺自身の声が妙に高い事から――――いや、考えるな自分。ここは頭をクールに、冷静に考えろ。

 

「……俺自身の事よりまずは周りの事からだ」

 

今いる場所は明らかに巨大な船舶の甲板。色から見て霧の戦艦だと思うけれど……かなりデカいな。多分超戦艦クラスか大戦艦クラス。でもそんな戦艦乗った事も見た事も……

 

 

――ヂ――ヂ――――

 

 

……うん。知ってた、ってか認めたくなくてもこんなの受け取ったら認めるしかない。

 

「ハァ……なんでよりによって――――」

 

俺はゆっくりと振り返った。

 

 

「――――実現できなかった架空戦艦なの?」

 

 

 

全長279m、基準排水量:80000t。史上最大とまで言われた大和型戦艦を超える全長に強力な武装を多数備えたそれは超大和型と呼ばれる設計者達の夢の産物だ。過去、大和型戦艦とは違い名も与えられてなかったその艇は形にされる事はなく、船体設計すらされていなかった幻の超戦艦。だが、だが、何故俺がそんな戦艦として、霧の大戦艦として三度目の人生を歩んでいるんだか……わかんねぇや。

ってか51㎝砲ってやべぇな。大和の46cmと比べて連装式だから一門少なくなってるけどそれでも口径が大きくなってる分強力に、射程も長くなってやがるから質が悪いぜ。自分の体(船体)にアクセスした途端ビックリ。流石は霧の大戦艦ビーム砲一門からして強力だし、主砲に至っては軽く演算するだけで目標を地球の反対側にいたとしても狙撃出来ると来たもんだ。ミサイルや魚雷に関しても同時発射で300門以上に加え超強力な切り札もあるって事を考えると……やべぇーよ、完全にやべぇーよ。そりゃ天才で海戦経験豊富な爺さん達がガチンコで勝てないはずだぁ。そんなパワーがインフレした相手に戦術もクソも無いからな。

 

「ハァ~、知れば知るほど自分がどんな相手に喧嘩売ってたのかが分かってツラタン」

 

人類には成す術も無いはずだ。例えるなら木の棒持った人類がマシンガンどころかガトリングガンぶっ放しながら振り回す霧の艦隊に立ち向かったようなもんだからな……勝てるはずがねぇ。

 

 

「ってか女の体になったは良いけどどんな容姿とかしてんだろ?」

 

こちとら人生25年、その内軍歴5年の禁欲達人ぞ。生き残る為にありとあらゆる娯楽を捨てた俺にとっては美少女観察が唯一の癒しだったんだ。だからこそ気になる、今の俺の容姿が!

 

なーんて考えながらナノマテリアルで姿見を製作。いやぁー、前世の記憶で知ってはいたけどホント便利で凄いなこの素材。何でも作れるしなんでもできる。よっこいしょってな感じで俺はその場から立ち、姿見で今の俺を見た。

 

「おぉ~、案外好みの美少女だ」

 

髪と瞳は見るからに灰色、背丈は多分前世の俺と変わらずに170㎝強から180㎝弱ぐらいで髪の長さは膝ぐらいまである。格好は生前着ていた海軍服だけども色はどれも純白ではなく何処か濁った灰色、ズボンもあるので男性士官用の服なんだろうけど女性特有の腰のくびれや突き出した胸に対応してる事からレディース物か。んで、その上から足元まで丈のある黒いトレンチコートを羽織って頭には生前被ってた軍帽があった。

 

「ん~、これは夢にまで見てしまった軍服系美人。良いですなぁ~、最高ですなぁ~」

 

軍帽から何故か飛び出すアホ毛がポイント高し。コレはちょっと教育を施した群像にもストライクする美少女だぜ。

色々とポーズをとってみるとその一つ一つ絵になるほど綺麗で美しく、自分でも惚れ惚れするものだ。んで、テンションの上がった俺はナノマテリアルでカメラセットを作成。前世で見たアルペジオの漫画内ではメンタルモデルは複数人に分かれる事も出来ていたと主だし、ミニの俺を複数作成して撮影会を行った。え?暢気すぎる? これは前世からの性格だから我慢してくだちぃ。んで、俺の気の済むまで撮影会を行った後。俺はふと思った。俺ってば霧の戦艦のはずなのにアレが認識できない、と。

 

「アドミラリティ・コードは霧なら全艦艇が知ってる情報のハズだ、何で超戦艦たる俺のメモリーに無い」

 

ってかこの事で芋蔓式に思い出したけど俺ってば死んでから今何年経ってんだ? そう考えた俺はすぐさま俺は何故かある広大な通信範囲を駆使して人類側のネットワークを量子通信にてハッキング、横須賀のネットワークへアクセスした。

 

「えっと海軍、始動カナメ軍曹は大海戦にて戦死……うん知ってた」

 

いやぁー前世とは言え自分が戦死した記録を見るのってのはかなりくるモノがありますなぁ~……あ、同期だった龍二郎の奴かなり出世してやがる。く、くやしぃ……。

 

「ん? ちょっと待って」

 

龍二郎の奴現在35歳ってえ!? アイツと俺は確か同い年だったはずだから逆算しながらネットにある今の暦を見るに……え、2049年ってマジィ。

 

「あの戦いから10年も経過してんのぉー!?」

 

俺はこの広い大海原、驚愕過ぎる事実と10年経過しても龍二郎の髪が後退してない事に対して悲鳴を上げるしかなかったのだった。だってアイツの家系ハゲが多いんだもん。ってか、俺ってば既にオッサンじゃぁーねぇーか!




応援の声があれば続く。


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灰は蘇り影を連れて故郷へ帰る

「データリンク、開始」

 

 ──ヂ────ヂヂ──

 

 頭の中に様々な情報が入って来る。現在地周辺の海域場やネットワークにあげられている過去霧の艦隊が行った戦闘情報の経験値などなど……元人間である俺にとって不足している情報がどんどんとメモリーに記録されて行うが、その情報を取得するほどにどんどんと今の俺が過去の俺と違って生物ではなく無機物に近い兵器という自覚を促してくる。そして今の(コア)(船体)がどれだけイレギュラーな存在かという事も……

 

「共有ネットワークから全情報取得完了、出航準備」

 

──―"重力子機関起動"──―

──―"管制及び全兵装プログラムオンライン"────

────"艦内機密チェック"────

────"自己診断プログラム起動"────

 

「全システムオールグリーン」

 

 火が入った。命の火ではなく無機物で構成された眠れる獅子が目覚める為の火。エンジンの駆動がどんどんと船体を増幅器にするかのように大きく、そして力ずよく唸り始めると所々船体に光が灯り俺自身が目覚めつつあること示していた。火器管制よし、残弾よし、艦内水漏れ無し、エネルギー循環を待機モードから巡行モードへ、全対空対艦対潜レーダー良好っと……よっし、出航準備完了。

 

「第三船速、超戦艦────あっやっべ、俺ってば名前が無い」

 

 巨大な船体は海を進める……つもりだったが、錨を両舷下ろして急制動。船を無理矢理止めて俺は考え始める。そーだったそーだった。俺ってば名前が無い事を忘れていた。超大和型は元々計画だけで終わった戦艦、だから名前が付けられる事も無く終わった為に今の俺には名前が無い。前世の名前は艦艇の名前としては当てはまらないから使う訳にも行けないし……どうしよう。

 思わずウロウロと歩き回ってしまうが気にしないでくれ、コレは頭を働かせるに必要な事だから。

 

「名前名前名前名前名前名前────……あ」

 

 俺ピッコーンっと電球点いたわぁ! 

 そーいえば人類側のネットワークをハッキングした時、ついでにと思って自分の事をウィキペディアをちらっと検索した際に名前の候補があったよなぁ……よし。

 

「────錨回収、第三船速」

 

 ジャラジャラと火花を散らしながら錨を素早く回収、エンジンで生成したエネルギーを推進機関へ伝達させ、推進力を生み出すと俺の立つ巨大な船体はゆっくりと動き出す。さぁーって名前は決まった、後は行くのみ。

 

「超戦艦────オワリッ出航するッ!」

 

 さぁーさぁー、盛大なる処女航海だぁ。盛大に霧笛を鳴らし汽笛を鳴らせ! 

 ナノマテリアルに不可能は無い。だからだろうか俺が無意識的に頭の中で浮かんだ過去に見た海軍で行った進水式。それが今、再現されようとしていた。ナノマテリアルは艦の船首を豪華に飾り付けし、煌びやかなスパンコールの混じった紙吹雪がされ豪華さが演出。それと同時に小さい俺が大量に出現し、それぞれの楽器を持ってファンファンレを響渡らせる。あちゃー、豪華ではあるけれどかなり騒がしぃ―……まぁ、楽しいからいっか。

 

「さぁー奏でよう、1、2────」

 

 素早く作った指揮棒を出現させ構えると同時に分身たちを集め、甲板は既にステージへと変わる。

 作られた分身たちはそれぞれ楽器を手に取る。同時に瞬時に人類側のネットワーク上から楽器の奏方をダウンロード。それに合わせて俺は一つの旋律を作り、歌い、そして祝福す。例えそれが自分自身の事であっても、自己満足だったとしても。

 

「────今の時点では全て忘れ、奏で称えよう。俺にとって三度目である人生の始まりの日を……」

 

 彼女は喜んだ。全てを忘れ、苦痛も苦悩もこれから自身が迎えるであろう茨過ぎる道を、彼女は内心で涙を流しながら。

 だが、だからこそ彼は気付く事が出来ない。そんな彼女の様子を水中にて伺う者の姿を──―

 

※※※

 

 

 

────ピコン────ピコン────

 

 

 海中にて響くソナー音。聞こえる者のいない音を発しながら海中に潜む黒い影。それはゆっくりであるが着実にどんちゃん騒ぎしているオワリの元へと近付いていた。

 影はゆっくりと海面へと浮上する。影の正体は霧の潜水艦。そしてその潜水艦は特有の静粛性を生かしながら潜望鏡を海面から突き出すとそのままオワリの様子を観察、判断していた。そして今、潜水艦イ13は自身の中核であるユニオンコア内にて自身で思考する事が出来るその限られた演算能力のすべてを使い考えていた。目の前に存在しているあの戦艦は何なのか、と。

 オワリは自身では普通の霧に所属している戦艦の一隻と自分の事を自覚しているのだがそれは誤り。他の艦艇からしたら彼女は異質そのモノだった。

 イ13がオワリを分析しようと試みたものの彼女の情報は一切分からず、それどころか自身にエラーが出ているようで分析結果では誤って大和型戦艦と出て来てしまう。共有戦術ネットワークにアクセスして他の艦に助力を求めようとしても、謎の怪電波が海域一帯に広まっているようで量子通信すら行えず通信不可能な状況。だからこそ彼女は生まれて初めて考えていた。性能の低い潜水艦でありながら、人間のように自己の意志と判断をもって目の前の謎に対し答えを見つけようとしている。目の前の謎に対して、自身が納得いく答えと言うモノも。

 だけども何故自分はそう考えるようになったのだ、これは怪電波の影響だろうか? そうも考えたがこれ自体は通信妨害を狙ったモノだろうと結論付け、関係ないと切り捨てる。自身にとって変化を着実にもたらしているのは確かだ。そう結論付けたイ13は自身が受けた命令も忘れ、この疑問を解決する為にオワリを追跡する事に決める。そうと決まった途端の彼女の動きは速かった。無音推進で彼女の後を追いながら見つからないよう、覚られないように移動。右側へ左側へ、もしくは正面に船体を近づけながら潜望鏡で映像を記録、艦の持てる収音機能をフルで使いながら音を記録する。そしてその途中、甲板上で楽し気にオーケストラを奏でている様子を眺めながらも思考の途中途中に不思議に走り続けているノイズにまたも疑問を持ち続けるのであった。

 

※※※

 

 さぁーってアレから日が3~4回落ちたり上がったりしてたから四五日経過していると思うが、連続でお祭り騒ぎは自分でもどうかしてたぜ。

 

「北風風速3ノット、天気は快晴。絶好の船旅日和だと思うけど……間違っても戦艦でやるような行為ではないな」

 

 処女航海と称した俺の当ての無い船旅はまず北上する事から始まった。最初の場所は恐らくベーリング海だったと思う。んで、そこで俺は適当に北上したら島の一つや二つ見えるかなぁーなんて安易な考えで進んでたんだけどもその途中、俺のゴーストがピーンとそれは間違っていると告げて今度は南下。その間真っすぐ北太平洋を進んでたら何だか違うなぁーって感じて今度は左に舵を取り、転舵。適当にそのまま進んで今に至るってワケダ。

 

「それにしても適当に進んでてもラチあかねぇーよなぁ……あ、魚がかかった」

 

 そんでもって長い間の航海は自ずと暇を生み出すわけで粗方1人遊びを終え、暇を持て余していた俺は日課の釣りに興じし、今夜のおかずをゲットしていた。あぁー欲をいえばこれでも元日本人だから白米も欲しくてたまらないとこだがここは海上。手に入れる訳ないんだよな……前に気の迷いでナノマテリアルで作った物はコレジャナイ感半端なかったから早く本物食べたぃ。

 

「うぉー! ってか今回は深海魚じゃなくて久方ぶりに鯛が釣れやがったぁ、今夜はお刺身だぜぇ!」

 

 思わぬ御馳走に嬉しさ溢れながら俺は即座にナノマテリアルで作り出したぶっとい針製作。ピチピチと跳ねている鯛を素早くシメ、針と一緒に製作していた冷蔵庫へシュートッ! 特製急速冷凍庫で新鮮さ確保じゃゴラァ。

 そんでもって台所一式に刺身用の皿を製作した俺はルンルン気分で冷蔵庫を船内へと格納するんだけども……ここで一つ気付いてしまった。重要なモノが足りない……っと。

 

「あぁーでも醤油が手に入らないと意味無いよなぁ……」

 

 刺身に醤油は必須。コレが無いと美味しく生魚を食べる事が出来ねぇ。例えナノマテリアルで食料品を製作してもコレジャナイ感が強すぎるし、どうしたものか……

 

「あぁー、お醤油ほしぃい。お米たべたぁーい」

 

 元ではあるが日本人として米と醤油が無いのは死活問題。俺は前世から──つっても10年前の事だがその時でも食には拘ってたから、物資不足であっても米と醤油だけは良い物をちゃんと確保していた。だからこそ俺は米が食いてぇ! 醤油を漬けたお刺身が食べてぇ! 

 

「あぁぁぁぁぁぁ米米米米米米ッ! 醤油醤油醤油醤油醤油ッ!」

 

 地球の反対側だろうと正確に狙撃できるほど強力な演算能力が全て食へと向けられ、思考のループを生み出す。全能力を使って思考している為か体全体に彼女特有のマークが浮かび上がっており、その形は奇しくも水滴のような形だった。そうやってその問題を解決するか、どうやって目的の物を確保するか、そればかりを考え考え考えまくって……答えが出る。

 

「あ、そうだ────

 

 

 

 

 

 

 

 ────日本に帰ろう」

 

 決まったからには速実行。船速を第一船速へ上げ俺は自身の故郷である横浜港を目指す。だってあそこが一番近いし、土地勘だってまだあるからなぁ! こうして2049年、謎に人類はイ401とは別に霧の超巨大戦艦を拿捕する事になるのであった…………あ、俺自身は人間に混じって生活してるのでそこん所よろしく。

 




応援があれば続くかも?


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