鍋の庭 (かりん)
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チートな石が飛んできた

 ボロいアパート。古びた家具。草臥れた女。しわくちゃのノート。

 ただ、パソコンだけが新品で輝いていた。

 

「新品のパソコンちゃーん♡」

 

 私はワクワクとパソコンをセットアップしていた。

 周年記念で盛りだくさんの機能が入ったプレミアムな文章ソフトを入れる。

 ブラウザーはお気に入りのわんこのブラウザを入れる。

 

「やるぞー!」 

 

 母が死に、遺産整理をしていた時に押入れから見つけたノート。私が学生時代に描いていたオリジナル世界「鍋庭」のノートをまとめ直してパソコンに入れようと思ったのだ。

  

 少ないとはいえ、遺産が手に入った為、ノートパソコンぐらいは新調出来た。

 

「よしっと」

 

 私がノートの束を持ち上げた時だった。

 何かがドドドッと私にぶつかった。

 そして、私を貫いたそれはノートやパソコンに刺さった。

 

「ゲフォっ!? ゴフォッ」

 

 ゴロっと重たい音がして、テーブルの上にも転がった光る石を見て、私は気を失った。

 絶対死んだ。

 

 

 

 

 

 ん。んあ?

 私は目を覚ます。

 パソコンとノートは消えていた。コードが途中で途切れていたし、服は破れていたし、なんなんだ一体。

 机の上には、光る石が三つ。

 

「な、流れ星? 売れるかも……なんて」

 

 恐る恐る石を巾着に入れる。

 

 私のパソコンはどこへ行ってしまったのか。

 わかってる。わかってる。

 

 ふぅ、と息を吸って、はぁ、と吐いて。

 

 手をそっと出すと、ヴン、と空中にウィンドウが現れた。

 ウィンドウの左端には、光る石がある。私を貫いた、あの光る石だ。小粒である。

 

 ウィンドウには、ワールドサーチャーと書かれていた。

 好きな漫画の名前を思い浮かべて検索画面をなぞると、それだけで文字が入力されていく。

 

 いくつか出た検索結果に、わーと声が漏れる。

 

 結果の横に、一致率とこの世界に転移しますか?との文字が表示される。

 結果の下には、世界の様子を示した丸いアイコンが並ぶ。

 

 なんて事のない街並みから、戦闘まで。

 

 やったね 智兎ちゃん! 異世界トリップし放題だよ!

 

 ちょちょちょ、ちょっと待って。

 やや過呼吸になりながらも、深呼吸する。

 

 パソコン下取りに出さなくて良かった。旧パソコンはまだ動く。

 私はパソコンを買ってなかった。いいね?

 

 息を整える。

 

 ウィンドウの右上隅の地球みたいなアイコンをタップ。

 

 故郷世界(固定)

 鍋庭近似世界(固定)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 

 はい。

 意味がわかりませんね。

 意味がわかりませんね!

 

 鍋庭がノートが世界化した物だってことも知らないし、鍋庭近似世界が私の書いたノートの世界観に一番近い世界って事も知らない。いいね?

 

 これは夢。よく出来た夢。

 

 でも千切れたパソコンのコードはコンセントから外しておこう。危なそうだしバチバチ言ってるからね。

 

 えーと。

 三つ、転移先の世界を吟味した上で決められるって事ですね。

 なんだか、基礎的な知識は私の中にあるのだから、不気味である。

 

 地球アイコンの隣には、家マークと人マーク。人をクリックしてみる。

 

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 設定してください(任意)

 

 お、おう。設定してください多すぎ。これは地点登録のようだった。

 プルプル震えながら家マークを選択してみる。

 いかにも魔女の家、といった様子の作業場があった。

 広く、5人の作業場が想定してあるらしい。

 

 それぞれの作業場の側に扉があり、そこに入ると、部屋となっていた。左側にバスルームとキッチン、右側にベッドのある部屋と書斎、突き当たりの部屋は広くて3部屋分くらいある。変則的な3LDKというやつだ。私のワンルームとは大違いだ。

 

 中心の五角形のカウンターテーブルの上には、それぞれ本と器とスプーンとワイングラス、スープジャーとワインとパンに鍵がある。そろそろと本を捲ると、私の設定した鍋庭の作り方が載っていた。あと、カウンターテーブル中央に穴。私が設定した通りの大魔女の家である。

 

 ここで、鍋庭の設定を話そう。

 鍋庭とは、魔女の作る箱庭世界である。

 魔女のワインを飲めば、魔女の力を得る。

 鍋庭のスープを飲めば、その世界に適応できる。

 魔女のパンを鍋庭のスープに浸して食べれば、鍋庭の世界の魔法や言葉などが会得しやすくなる。

 ただし、この儀式が出来るのは人や食事の相性にもよるが、せいぜい三度まで。なので最初にどれだけ良く出来た料理を食べたかが、魔女のその後を決定づける。

 そして、鍋庭を作るという事は、小さな世界と魔法を作るという事。

 ただし、「煮こぼれる」……その世界の住人が、文明を発展させ、鍋を壊してしまうことがある。

 そうすれば、世界は外に飛び出し、具現化する。なので慌てて大海原か無人惑星かどこかに捨てねばならない。それを防ぐ為に、定期的に文明を壊す。そんな世界観である。

 そこで、5人の魔女が、大魔女の教えを受けながら学んでいくのだ。

 元気系と、ツンデレ系と、お淑やか系と……それは今はいいか。

 

 カウンターテーブル中央の穴を恐る恐る覗き込むと、惑星が。

 設備は立派だし、道具も揃ってる。

 

 ストーリーは、大魔女の元、5人の魔女が鍋庭を作っていくというものだった。

 

 二階に登ると、中心に教室と鍋設備。後は空き教室や倉庫、食堂が並ぶ。トイレもちゃんとある。

 助手部屋という部屋もあった。

 教卓の上に、やっぱり本とワインとスープジャーとパンと鍵。ただし、ワインが高級そうな代わりに、パンとスープジャーは小さかった。

 

 三階は全ての部屋が温室となっていた。

 

 地下は大魔女の鍋設備や大魔女の生活空間が広がっている。

 一階の鍋設備が一人一コンロ想定で一人用なのに対し、これは一人で5鍋想定なので間取りが全然違う。

 スープジャーここにも。ワインはいかにも上等そうだし、スープジャーは大きいし、鍵は鍵束だけど。

 クローゼットの中には、ワンピースというか、魔女のローブがずらりと並んでいた。

 

 私は、覚悟を決めて、ワインを開けて、ワイングラスを満たした。

 それを一気にグッと飲むと、スープジャーを開けた。ワインは見た目だけで、味はカクテルだった。

 ふわりとスープジャーから湯気が広がり、金平糖のような具がたくさん入っている。

 スプーンで具を掬い、食べていく。

 パンはたっぷりスープに浸して食べた。

 

「ふぅ……」

 

 全て平らげて、息を吐く。

 

 食べた。食べてしまった。

 頭の中には鍋庭近似世界の知識が渦巻いている。

 

 今日は疲れた。寝よう。

 もう頭は情報過多で大変なことになっている。

 寝て全部リセットしよう。

 

 そうして、寝て、起きて。会社に行って一日働いた私は、食料品をしこたま買い込んで帰宅した。

 そして、一生懸命考えた。

 これだけお膳立てされているのだ。弟子をとって大魔女になるしかなるまい。

 だが、私は現代の恵まれた生活を捨てる気もないし、現代のお金も欲しい。

 まずは修行して生計を立てて、事前に予習をして、それから弟子を迎え入れるべきだろう。

 でも、変な弟子を入れて乗っ取られるのは怖い。

 

 そこで私は、うんうんと考えながら、バックストーリーを考えた。

 母の死を機に、祖母の遺産を見つけ、受け継ぐ事とした。

 うん、ごめんねおばあちゃん。そういうことにさせてもらおう。

 

 弟子はブラウザ検索で探す。

 

 心身ともに魔女の才能のある、師匠には逆らわない子。少し考えて、行き場のない子を追加した。

 また考えて、イケメン 金持ち 人間換算 10〜15歳を追加した。いやほら、授業料をもらわんとって思って。大人は怖いし。試しだし。

 フィルターに故郷世界と鍋庭近似世界を入れて、いざ検索。ちょっと下見をしよう。

 だが、行き場のない子を入れたのは明らかにミスだった。

 

 見事に大ピンチで助けないと死ぬような子が検索結果に出てしまったのだから。

 

 今にも乱暴されそうなエルフ。

 手足を切り落とされる寸前の蟲人。

 船から放り投げられる獣人。

 殺される寸前の魔族。

 屋上から飛び降りる寸前の少年。

 

 ダダダダダ、と召喚をクリックして、ついで急いで検索画面を閉じた。

 やってしまった。

 やってしまった、マジで。慌てて仮面を被る。とりあえず顔は隠そう。

 

「あ……」

 

 彼らは、酷い顔をしていた。とてもやっぱり戻すなんて言えなかった。彼らの居場所はないのだ。

 

【あんた達には、選択肢はない。ワインを飲んで、スープにパンを浸して食べて、そこの鍵で部屋に入って寝な。あんた達は、二度と家には戻れないよ。明日の朝は早いからね! さっさと食べて寝るんだよ!】

 

 翻訳魔法を掛けながら告げて、追い立てて席に座らせる。

 もうパニック状態だった。

 

 そして、弟を呼びつける。

 

「武兎? 助けて……。来たら電話して」

 

 それから、私は戸惑いのままに食事を食べる彼らを部屋へと食べ終わった順に追い立てて、外から鍵を掛けた。

 



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チートな弟子がやってきた

「智兎姉さん!?」

 

 泡を食ってやってきた弟を大魔女の家に引っ張り込み、助手用のパンとスープとワインをまず食べさせる。

 

「なんなのこれ!? なんなのこれ!? 夢でも見てるのか!?」

「よくわかんないけど、鍋庭が実体化して勢いで弟子を5人攫ってきちゃった」

「誘拐!?」

「だって全員死にそうだったのよ! とにかく、男の世話なんてわかんないから、助手して!」

「ええ……。仕事はどうすんの」

「引き継ぎして辞めるしかないでしょ。会社立ち上げるつもり」

「どうやって稼いでいくんだよ」

「とりあえず、動画サイトに登録してみる。そんで知名度稼いでから商品を販売する」

「はぁ。会社に辞表書いてくる。今、仕事がひと段落してるから、すぐに辞められると思う」

「すまぬ。すまぬ……。あ、カバーストーリーはおばあちゃんから受け継いだって事にするから」

「はぁぁ。わかった。会社の手続きと動画登録も俺がするよ」

「すまぬ。社長は私ね!」

「わかってるって! 会社名は?」

「魔女の鍋社!」

 

 そして、弟はその日、泊まる事となった。私は急遽明日の仕事を休む連絡をした。翌朝。早い時間に起きてきた私は部屋の鍵を開けると、鍋をお玉でガンガン叩いた。

 慌てて起きてくるが、人間の子以外は元の服のままである。風呂に入っていないのすらいる。

 鍋庭世界の言葉で、私は5人を急かした。

 

「ほら! 体を洗う部屋があったはずだよ! 着替えもね! ちゃんと身を清めて着替えてきな! 朝、だらしない格好をしている奴に食べさせる朝食はないよ! その後はきっちり仕事を覚えてもらうからね! 今日はひとまず、身の回りの物の買い出しと商品作りの検討会だよ!」

 

 気分はすっかり大魔女様である。

 お風呂に入ってローブを着て仮面をして、すっかり身支度を整えていた。

 朝食の準備はあえてしていない。それは弟子が作るものだからだ。

 

 慌てて部屋へと戻る四人。ただ一人準備の出来ていた子が、声を掛けてくる。

 

「その、何か手伝いましょうか? 貴方様の事はなんと呼べばいいですか?」

 

 彼は英語圏の人間なのに、鍋庭世界の言葉できちんと話してくる。適応力の高い子である。

 

「そうさね、魔女様と呼んでもらおうか。あんたは二階の食堂で弟を起こして食材の準備を手伝いな。弟は助手さんと呼ぶんだよ。それと、あんたの呼び名を考えなきゃね。短くて呼びやすい名を考えときな」

「では、ウィズと呼んでください」

「ウィズ。いいね。ウィズ。階段はあっちだよ」

 

 ウィズが行ってしばらくして、蟲人が戸惑いながらローブを着てきた。

 若干濡れてる。

 

「乾かす物があっただろ、全く。しっかり乾かしてきな、やり直し!」

 

 エルフと魔族と乾かした蟲族が出てくる。

 

「貴様、何の目的があって私を助けた」

「助かったとは限らないのでは? 随分と趣味がいいように見える」

「……」

「ごちゃごちゃ煩いね。得たものを全て返してここから出るかい? 帰る場所もない癖に?」

「「「!!」」」

「あんたらの家は今日からここだよ。独り立ちするまではね。無駄口叩いてないで、さっさと食事を作りにいきな」

 

 そこで漸く獣人が出てくる。

 

「腹が減った。飯なしはなしで頼む!」

「揃ったね。さっさと二階に食事を作りに行きな。ウィズはとっくに行ってるよ。ぐずればぐずるほど遅くなるんだからね!」

 

 二階に追い立てると、ふわり、といい匂いがした。

 アボガドサラダに、スクランブルエッグ。焼いたベーコンに、蜂蜜がたっぷりかかったホットケーキ。

 パンとバターにジャムにシチュー、ご飯に焼き魚にシリアルに牛乳、オレンジジュース。果物の盛り合わせもある。しかも驚くなかれ。フライパンが自動でスクランブルエッグを焼いている。魔法を覚えた翌日から使い熟しているのである。

 

「手際がいいね。もう出来たのかい」

 

 というか、この子達が準備遅すぎるのだが。

 

「ウィズ君、料理上手いよ。魔法の才能もあるし」

「助手さん、ありがとうございます。材料を結構使ってしまったので、後で買い出しに行っても良いですか?」

「やる気十分じゃないか。そういう子は好きさ。買い出しは後でね。とっときな」

 

 銀貨を一枚渡す。金庫に入っていたものだ。銅貨、銀貨、金貨、魔女銅貨、魔女銀貨、魔女金貨がある。

 

「わ、ありがとうございます!」

「さあ、食べようか」

 

 美味しい。めっちゃ美味い。かなりの量があったのだが、あっという間になくなった。朝から食べるなー。

 私は昨晩、食べ逃したからだけど。

 後片付けを全員でして、教室へと移動する。

 

「さて。自己紹介と行こうかね。私は智兎。魔女様と呼びな」

 

 弟が笑いそうになってるのをギッと睨む。

 

「こいつは弟の武兎。助手さんと呼びな。で、あんたら。名乗りたい名前を名乗っていきな」

「ウィズです」

「……エル」

 

 苦々しげにエルフの少年が言う。

 

「ゾーク」

 

 魔族が吐き捨てる。

 

「ガルー」

 

 獣人がいう。

 

「ドラグス」

 

 蟲人が恐る恐る言う。

 

「ウィズにエルにゾークにガルーにドラグス。よし、覚えたよ」

 

 脳内メモにしっかりと書き記す。

 机に名札を置く。

 

「あんた達は、才能があって居場所がない者という条件で召喚した私の弟子だよ。一人前になったら、あんたらの好きにするがいいさ」

「本当は塾費を取ろうとしたんだけど、召喚対象を間違ってピンチな子を選んじゃってうっかり助けちゃったんだよね」

「助手ぅ! 大魔女様の威厳と言う物がね!」

「おばあちゃんから受け継いだばっかりで、受け継ぐまでは魔女の魔も知らなかったくせに。大魔女の演技、似合ってないよ」

「ムキー!」

「魔女様は日本人なんですか?」

「ふぅ、そうだよ。引き継ぎして、仕事を辞めて、起業する予定。引き継ぎしている間に動画サイトでバズって、起業したら一気に商品を売って儲けるのがベストかな。受け継いですぐ皆のこと召喚しちゃったから、何も準備が出来てないんだよね」

「じゃあ、僕の顔が割れるのはまずいですよね。未成年誘拐になっちゃいますし。一度帰ります?」

「ビルの屋上から飛び降りるような環境に子供を返すって? 冗談言わないでよ。貴方は殺されそうになったわけじゃないけど、他の子達は犯されかけたり手足を落とされかけたり、船から放り投げられたり、殺されかけたり、そんな中に混じってたのよ。貴方だって、それくらい居場所がないって事でしょ? できるわけがないじゃない。仮面でもしときなさい。部屋にあったでしょ?」

「魔女様……。ありがとう」

「もうこんな時間ね。ありがと、武兎。会社行って辞表出してきてね。私も、明日から一ヶ月ぐらい引き継ぎでいないけど、その間は武兎がいるから」

「あの、全然準備出来てないんですよね? お金稼ぎ大丈夫ですか?」

「しばらくは遺産があるわ。三ヶ月は持つはず」

「三ヶ月しか持たないんですか……」

「だから、それまでに利益を出さないと」

「話している事の半分はわからないが……ようは、顧客ではなくお荷物を弟子にしてしまったと言うことか。とんでもないお人好しだな。お人好しを通り越して馬鹿だ」

 

 ずっと話を聞いていた魔族のゾークが言った。

 

「力をくれると言うのなら、貰います。私は身を守る力が欲しい」

 

 エルフのエル。そうだね。

 

「貰った分の恩義は返すぜ!」

 

 ガルーは笑った。

 

「身を守る力、欲しい。守りたい物を守れる力、欲しい!」

 

 ドラクスの言葉に皆が頷き、ひとまず武兎を送り出して、手をぱんと叩いた。

 

「じゃあ、必要な物リストアップして、人化クッキーを作って、武兎が帰ってきたら色々見て回るよ! メモ帳は配るから、欲しい物の値段ちゃんとメモすること! 部屋の間取りも図らないとね。その後、お買い物! その後は、商品に良さそうでコスパの良いものを検討して作り方を確認して、一ヶ月ひたすら作って販売、と」

 

 皆は元気よく返事した。

 それから、人化クッキーを作りながら、ポツポツと事情を聞く。

 

 エルフのエルは、勢力争いで身内に売り飛ばされてしまったんだとか。一番年長で、人間換算15歳。

 魔族のゾークも、お家騒動。人間換算14歳。

 獣人のガルーは、船長の息子で、これも父が急死して、No.2に追われる形に。人間換算12歳。

 ウィズは両親が商売で成功して大金持ちになると、両親が不審死して親戚が乗っ取り。12歳。

 最も、ウィズが成人前に死んだら遺産は寄付されるように両親がしてくれていたので、監禁されていたのだとか。それを必死で逃げ出して、腹いせの死である。

 権力闘争、こわっ

 

 でも一番悲惨だったのは蟲人のドラクス人間換算10歳だった。

 里が襲撃されて、飛行蟲という飛行船代わりに使われてる蟲を操る為の生きた部品にされる所だったらしい。ちなみに鍋庭の近似世界だと、10歳からは小さな大人と扱われ、15歳は完全に大人と扱われる。

 

 お、重い! 一同の事情が重すぎる!!

 そして、27歳の私の10倍ぐらい、皆しっかりしている。

 クッキーの進捗は問題なさそうなので、私はブラウジングして鍋庭近似世界の買い物に良い場所を探す事とした。ガルーから話を聞きつつ、転移先を吟味していく。

 そうだ。皆にはこれから買い出しに出てもらうんだから、鍋庭近似世界なり、日本なり出入りできるチケットが必要だよね。2時間ぐらいで自動で戻るようにしようか?

 ガルーもよく知る大きな港町があるので、そこにしようか。やはり土地勘があるのは強い。

 ガルーは人化して訪れるので、追われる心配もない。

 

 そして、武兎が帰ってきた。皆の分の服も買ってきてくれている。気がきくぅ!

 

「明日から有給ー。引き継ぎも何もないのが悲しいぜ……!」

「ど、どんまい」

「まー。フリーのシナリオライターになるだけだし。完全に離れるわけじゃないし……。仕事覚えてそれはふざけんなって言われたけど、何か埋め合わせさせてください」

「すまぬ。すまぬ。この鍋庭近似世界観光チケット12枚綴り10セットをお納めください……」

 

 転移チケットである。破ってきっかり2時間で戻れる安心設計。

 ということで、人化クッキーを食べてもらい、まずは勝手知ったる日本に行った。

 

「何だここ!?」

「私の故郷だよー」

「すげぇ……!」

「ゲホッゲホッ 空気悪いですね。人化クッキーがないときつかったかも」

「天を突くような建物……すごい」

「すごい」

 

 食料品売り場から、家具店、服屋。満遍なく見て回る。

 次に、弟の会社へと行った。

 

「破ると異世界に行けるぅ? そんなわけないだろ、急に辞めたと思ったら頭おかしいこと言って」

 

 弟の上司がやれやれとお試し用の5分チケットを破った。消えた。

 

「えっ」

「5分で戻りますから」

 

 5分後、ガタブルしながら上司が現れた。

 

「治安あんまりよくないそうなんで、旅行の際は気をつけてください」

「お、おう。おう。まままっ魔女様でいらっしゃる?」

「殻付きですが」

「取材させてくださいっ!!」

「無事起業できたらね」

「サポートさせて頂きます!」

 

 心強い味方が出来た。

 

 



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チートな企業がやってきた

 

「ついでにこれから向こうのお店を巡る予定なんですけど、一緒に来ます? 女子供ばかりだと不安だなって」

「是非! 今、メンバーを集めてきます! ゲームのデータ取りの為に武術家に来ていただいてるんです!」

 

 ということで、上司の坂田さん、武術家の田中さん、イラストレーターの柚木さんに来てもらうこととなった。

 

「ようこそ、人魚に祝福された港都市、マーメイドへ」

 

 ガルーが気取って礼をする。

 

「じゃあ、まずは市を見て回ろうぜ」

「ちょっと待ってください! あっち見て回りましょう! あっち!」

 

 イラストレーターさんが指差す先には、いくつも飛行蟲が漂っていた。

 飛行蟲かぁ……。

 

「大丈夫? ドラグス」

「大丈夫。むしろ卵を買っていきたい」

「見ていくだけだからね」

 

 そうして断りを入れて、飛行蟲を近くで見る。

 ふええ。やっぱ飛行船がわりに使われてるだけあって凄いな。迫力がある。

 騎竜とかはあるのだが、この世界では、内部に乗れる飛行蟲の方がメジャーなのである。

 蟲人がその力を結集して改造した、自然にはあり得ない内部に搭乗できる蟲。それが飛行蟲である。

 ただし、意思疎通に蟲人が必要なので、部品化されて売られている。

 世紀の大発明が自らの種族を破滅に追い込むとは、皮肉である。

 

「んー、手が出る金額でもないし、次に行きましょ」

 

 果物や魔具、服を色々と見て回る。

 坂田さん達は上着やライターを売っていくつか買っていた。

 夢中で見て回る、もう日暮れとなっていた。

 坂田さん達を無事届けると、もう日暮れとなっていた。

 お昼食いっぱぐれたな。

 お腹を壊すと嫌なので、ちょっと良い感じの店に入って銀貨を人数分だし、食事にする。

 楽しい食事が終わると、坂田さん達を返して帰宅した。

 

「予定は全然終わらなかったけど、これで買い物できるわね?」

 

 皆が頷いたのを確認し、私は声を張り上げた。

 

「じゃあ、予算発表ー!」

「「「「「「おおー!」」」」」

 

「まず、共通費! 主に食費ね。 一ヶ月10万円、金貨10枚、魔女金貨10枚! これで全てやりくりして下さい! 一ヶ月交代の当番制ね! 最初はウィズにお願いしようかな。困ったら相談して、後、買い物は武兎と行ってね。余ったら共通費貯金箱を作るから、そこに入れておいて」

「7人で金貨10枚は大分きついな」

「上手く向こうとこっちの食材をブレンドして、どうにかといった感じですね」

「共通研究費! 一ヶ月20万円、金貨20枚、魔女金貨20枚。料理や皆でやる魔法の研究とかね。これも余ったら以下略」

「個人研究費! 一ヶ月10万円、金貨10枚、魔女金貨10枚。ただし、使い道は必ず書類にすること!」

「お小遣い! 一ヶ月5万円、金貨5枚、魔女金貨5枚」

「支度金! 一人30万、金貨30枚、魔女金貨30枚!」

「おおおおおおー!」

「かなりもらえる」

「これは確かに三ヶ月で消える」

「ここまで権利! なお、支度金除き月経費は家賃含め280万、ただし魔女金貨は除く! 次、義務!」

 

 それに、皆が身構える。

 

「月、50万円の利益をあげて上納すること! ただし、最初の2ヶ月は免除とします」

「「「「「「ええー! 高!!」」」」」」

「でも、費用とか貯金していくことを考えると、トントンよ? ちなみに金貨はざっくり一万円換算とします。異世界組は、坂田さんが取材費と案内費で一人10万円払ってくれるって話だし、そこから始めたら?」

「本当にとんとん過ぎて税金対応できないんじゃないですか?」

「あ、そっか」

「目標は大きく、月100万にしましょう。日本の税金は高いと聞きますし、個人研究費は仕事の費用でしょう? 食住を出してもらうにしても、給料10万ならボーナスは欲しいです。僕だって携帯欲しい」

「ごもっともです」

 

 全くウィズはしっかりしている。

 

「助手さんもいるし、心配しないで仕事の引き継ぎ頑張ってください、魔女様」

「お、おう」

 

 それから、私は二週間、頑張って仕事の引き継ぎをした。会社の設立手続きも並行して二週間で終わった。

 ウィズのご飯美味いです。

 引き継ぎも無事終わり、有給を取れたので、拠点の引っ越し作業をする。翌日は昼までぐっすり昼まで眠った。その後はおめかしして取材の人を受け入れである。

 温室や教室を楽しそうにバシバシ写真を撮っていく。

 二週間は部屋を整えつつ休んじゃおうかな。支度金制度は私と助手にも有効。

 いつの間にやら、新品のパソコンと携帯、アイパッドがカウンターに並んでいるし。

 私も失ったパソコンを再度買おうかな。

 そう考えながら、取材の人に答えていく。

 

「アニメ化とゲーム化する? 私達を?」

「ええ、改変はさせてもらいますが。取材協力として名前を出します他、製品の宣伝もさせていただきます。それと、売上の一部を蟲人とその伝統芸能の保護に使いたいと思います。具体的には奴隷の買取と日本での保護、バグズパークの運営ですね」

「それは……とても意義ある活動だと思います。私達でよければお使いください。あ、でも私は大魔女らしくおばあちゃんにしてください」

「ありがとうございます! つきましては、チケットをください。できれば、時間指定ではなく、行き来できるタイプがいいです」

「わかりました」

「後、日本政府がウィズ君筆頭にお弟子さん達の処遇についてお話があるそうです」

「わかりました……」

「悪いようにはしないそうなので」

 

 取材の後、やってきた冴木さんという人に、活動の事前申請のお願いをされた。

 融通は効かせるけど、勝手に動くなということである。

 面倒だが、その代わりウィズ君の事を秘密裏にどうにかしてくれるらしい。

 具体的には、弟子みんな、私の養子になるとのこと。

 5人の子持ち……ええいやってやろうじゃない!

 後、税金はチケットで支払っても良いらしい。むしろチケットのみで受け入れるらしい。

 マジで!? チケットの金額換算が高いので、コスパ最強である。喜んで払います!!

 

 こうして、修行の前に修行をモデルにしたアニメが先行するという変な事態になったのだった。

 



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チートな昆虫園が設立された

「ゲーム会社が国の援助を得て広大な昆虫園を作るぅ? なんか意味がわからねーな。本当なの?」

「大手ゲーム会社ダブルトライアングル社からFAXが来てます。昆虫学者を連れて取材に来いとかで」

「あー。まあ行って見るかぁ。美咲ちゃん達に準備するように言って」

 

 プロデューサーの大谷は腰を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 敷地は兎に角広大で、自然豊かで、塀は高かった。だが、あえていうならそれだけだ。

 建物も目新しくはないし、建物だって遊園地の建物としては普通だった。自然だってごく普通だ。

 こんな代物に、日本政府首相が秘書と外務大臣、防衛大臣、自衛官を連れて来ているのが信じられない。

 後は、ゲーム会社の面々が、なんで呼ばれたのかわからない顔をして佇んでいる。

 特別に呼ばれたというファン達に至っては、文句を言い出している。

 昆虫学者ですら、退屈そうにしているではないか。

 そもそも、昆虫の体調を考慮して週一オープンというのが商売をやる気がない。

 

「はー。すごい急ピッチで作ったの丸わかり……」

 

「我が社は、この一大プロジェクトに掛けております!! 売上利益の10%を人道支援に掛けるつもりであり、日本政府からもおおいに期待をかけられていて……あっ 今、この園の所長をされる亡命外国人のラビッツさんがいらっしゃいます。いやー。実は当園目玉の昆虫が今日搬入されるんですよ! しっかり写真を撮っていってください」

「はあ」

 

 そして、ぽつんと空の車椅子が置かれる。

 なんだか凄く火種の予感がする……。これはこれでスクープだが、日本が戦火に焼かれるのはゴメンである。何か妙な事をしているなら、すっぱ抜かなくては。

 

 不安を感じながらも指差された方を見る。

 ヘリでもくるのか? と空を見ると、度肝を抜かれた。

 

「は、はああああああああああああ!???? おい! 撮れ! 撮れぇ!!」

 

 巨大な昆虫、いや、怪獣が空を飛んでこちらへ近づいてきた。

 それはどんどん大きくなり、いや、近づいてきて、着陸すると、中から……中から蟲型のエイリアンを抱き上げた自衛官が現れた!! 自衛官はそっと車椅子にエイリアンを乗せる。

 もうフラッシュは鳴りっぱなしで全員の携帯がカメラとして機能していた。

 

「ようこそ、日本へ。ラビッツさん」

【ようこそ、日本へ。ラビッツさん】

【お招きいただきありがとうございます】

「お招きいただきありがとうございます」

 

 真っ黒な隈を化粧で隠した官僚が、淀みなく通訳する。

 一言二言交わすのを、記者達で全力で撮った。

 そして、行われる首相のテープカット。

 首相は、それを終えると質問に答えることもなく、慌ただしく帰っていった。

 

「首相。20分前から各国から問い合わせが来ています」

「早いな。日本上空に現れて10分で把握して連絡してきたのか」

 

 そんなことを話しながら。

 明日の定例会見は間違いなく荒れる。

 

「さて、これが当園の目玉の飛行蟲です。ラビッツさんの部族は、飛行蟲の開発改造調教を伝統芸能としています。これから、園を一周してきますが、乗りたい人はこちらで手と靴を洗浄してください」

「危険はないんですか!?」

「今の所、問題は起きてませんね。彼らのいるところではポピュラーな移動手段だそうですよ」

「乗ります!!」

「あっ ちゃんと手足の消毒をしてから乗り込んでください!」

 

 それから、蟲に乗り込んで離陸するという稀有な体験をする。

 蟲の中からでも、半透明の膜を通じて外が伺えた。

 昆虫学者大興奮である。

  

「今、蟲人はこの伝統芸能を目的に、沢山の人が捕まって手足を奪われて部品のように扱われています。我が社は、この状況に義憤を感じ、日本に蟲人を誘致する事を考えています。この伝統芸能を途絶えさせてはならない。そう思うのです。あ、お土産店には蟲人さんが伝統芸能で作った蜂蜜があります」

「買います!!」

「彼らの事を綴った手記が」

「書います!!」

「蟲人をモデルにしたキャラが出てくるアニメが」

「見ます!!」

「ゲームも開発してるので、発売されたら買ってくださいね。蟲人に対する寄付はこちらです」

「わかりました!!」

 

 その瞬間、俺はわかった。

 この会社、これを機にどさくさに紛れて手広くやる気だ!!

 

 

 く、ならばこちらは……

 

 

 

「アニメは是非、当局で流させてください!」

 

 全力でおもねるぜ!!

 



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チートな鍋庭

二週間、部屋の模様替えをして、買い物をして、のんびりしていたら早くも昆虫園のプレオープンが放映されるという。早くね?

 

食事をしながらニュースを見る。

 

「やっぱり痛ましいね……」

「部位欠損ですが、やはり強い魔法の力と昆虫の強い生命力でも治療は難しいようですね」

「それは仕方ない。部位欠損など治せるはずがない」

「……皆は商品どうする?」

「それでも。傷や病気の治りを補助するポーション系統でせめてみようかと思います。薬品とは別枠で国が管理体制を作ってくれるそうです」

「えっ いいの? それ。私達しか作れないのに」

「エルフの得意技ですが? ただ、日本人でもポーションを作れるようにはしてほしいとの事でした。まあ無理ですが」

「魔女金貨一枚でどうにかなるよ。君たちが食べたスープを用意できる」

 

魔女通貨は召喚ができるのだ。私が設定した鍋庭アイテムの特殊召喚である。

   

「えっ」

「じゃあ、明日から本格的な魔女の魔法を教えようか。全員、本はあるよね」

「無論だ。読めないが」

「えっ」

「日本語、喋り言葉はなんとなく覚えてきたんだが」

「あちゃあ……」

「じゃあ、尚更だね。午前中は魔女としての修行にしようか」

 

 翌日。

 2階の黒板を前に、私は講義する。

 

「まず、私達の流派の奥義は外部には内緒だから。坂田さんにもだよ」

「奥義」

「私達の流派の奥義、それは鍋庭」

「鍋庭」

「箱庭を作るように、鍋の中で生物や魔法を育てるんだよ。物は試しで、やってみようか」

 

 時の木の薪に火をつけ、たっぷりと鍋魔水を入れた鍋を火にかける。

 設定通りに、海1と書かれた大瓶から液体を注ぎ、大地と書かれた瓶を適当にブレンドして注ぎ入れ、お玉で混ぜる。種と書かれた瓶を振ると、パラパラと落ちていった。

 そして、鍋魔水のたたえられた鍋の底に小さな世界ができた。

 

「うわ、小さい木が中で育ってます」

「嘘だろ……」

「あり得ん」

「す、すごい……」

「これ生き物か?」

「これって、文明何度も破壊するんだよね?」

「そう。みんなも聞いて。絶対に文明を鍋から溢れさせてはダメ。どうしても溢れそうな時は、ここのゴミ捨て場に捨てなさい。出ないと世界が溢れ出て大変なことになる」

「意味がわからないんですけど」

「兎に角、鍋庭を育て、鍋庭を管理するのが私の流派の魔女。鍋のスープを飲めば、その鍋で育てた魔法が使えるようになる。ま、スープは何度も飲めるようなもんじゃないけどね。魔具にするって手もあるわ。試しに回復魔法を育ててみましょうか」

 

 腰が引け気味に武兎が言うのに答えれば、みんなもドン引きして驚愕の目で私を見る。

 回復魔法の作り方は、一番オーソドックスと言っていい。

 

「回復魔法は、回復魔法の元を入れてとことん痛めつけることで出来るわ。この鍋には鉱物を入れてないんだけど、代わりにこれを掛ける」

「あっ」

「わかる? 明日は槍が降るっていうでしょ? それがこれよ、鉄分を追加できるわ」

「は?」

 

 私はせっせと鍋の面倒を見る。

 槍。悪意のタレ。愛のタレ。

 

「うん、こんなものかしら。これは試しだし」

「も、もうやめて。やめてあげてください」

「う、うああああ……」

 

 私は、鍋で全体をかき混ぜてスープをよそってスープジャーに入れると、残りを捨て場の茶色の惑星にぶっかけた。ふむ。10人分ってところかな。

 

「うわあああああ!!」

「あ……ああ……」

「アアアアア!!」

「ああああ!」

「酷すぎる……っ」

「さすが魔女。圧倒的鬼畜……っ」

 

「しぶとく生き延びれば、彼らは自由を手に入れるわ」

「空気も何もない星に放り出されて自由も何もないだろ……」

「何度も鍋を捨てれば、惑星に文明ができるってものよ。二度と誰にも干渉されない、本当の文明がね。ちなみに魔女のワインは、力ある魔女が力を振り絞ってワインを作り出すの。それじゃ、パンは、明日作りましょう」

 

 うっ 皆の視線が痛い……! それに気がつけば1日が経っていた。まあ、本来なら何年も掛けて育てるものだけど、とりあえずの試しだし。

 

 翌日はパンの作り方、その翌日は儀式の仕方を教えた。更に翌日は、鍋庭の素材の作り方をみっちりと。

 儀式の仕方を教えたら、ドラクスが持っていた魔女金貨全て使って最高級の飛行蟲の卵をダースで召喚してしまった。宇宙までいけるやつである。育てるのに最低10年掛かるけど。

 当然昆虫園預かりとなり、一匹はドラゴと名付けて使い魔にする魔法を試すこととした。

 

 昆虫園にスープ5人分とパンくらいは寄付しておこう。

 一人分は日本に寄付して、後はオークションである。

 

 ちなみに、今月の食事当番はエル。

 午後はみんなでポーション作り。月の終わりにオークションに纏めて出した。

 オークションでは大体アメリカ関係が競り落とし、大金を手にすることができたので、みんなでお祝いした。

 

 エルの好みで一ヶ月野菜生活だったから、もう皆限界だったんだ……。

 

 でも、次の食事当番はガルーなので今度は肉一色になるんだろうな……。エルの絶望顔と言ったら。

 ちなみに、数ヶ月分のノルマが達成できたので、武術家の田中さんに護身術を習う事とした。

 魔法も含めて護身術を鍛えておくのは悪いことではない。報酬は前渡しで鍋庭のスープである。召喚した。

 



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