マッドでヤベーイやつにしか変身できないんだが 外伝 (ジューク)
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プリキュア世界の怪人王 ID:kA1ZinriDeR
第1話 『七色ヶ丘市の怪人』
思いきって外伝を始めました。このストーリーは
プリキュア世界の怪人王 ID:kA1ZinriDeR
のストーリーです。
ではでは、どうぞ!!
俺は
俺の特典は怪人。仮面ライダーに存在する数々の怪人や怪人ライダーに変身できる。
まぁ、性格は良いと自負してるが見た目は怪物だから、助けても泣かれるだけなんだがな。
つい最近引っ越してきたここは七色ヶ丘市という町だ。一言で表すなら平和。それに尽きる。誰だって平和が良い。
と、思ってたんだが…
「………なんでこうなった…」
はい。さっそくドンパチ現場です。
なんかあからさまに煽り散らしてきそうなピエロ顔の空き缶のような何かとフリフリゴスロリ少女五人組がバトってますね。周りにはなんか黒い霧出てるし、それ吸った人がめっちゃネガティブになってるし、もーカオス。
ちなみに俺は平気。てか逆に吸ったら元気溌剌オロナミンだよ。多分悪意か何かを誘発するのかな?だとしたら悪意をパワーに変えるアークゼロの力を持つ俺からすればいいご飯だ。てかなんか空き缶ピエロからミサイル出てきてプリキュアたち攻撃してるよ。
「………マルチミサイルですかっつーの」
…まぁ、あれは空き缶じゃなくてペットボトルなんだけどな。それはさておき。
「いっちょ行きますか」
手に持った赤い管が付いたベルト…ゼツメライザーを握り締め、俺は路地から飛び出した。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
「待て待て待て待てーい!!」
突然響いた声にプリキュアたちのみならず、空き缶ピエロ…アカンベェとしわくちゃのちびババア魔女…マジョリーナは目を見開いた。
「どいういことだわさ!?なぜバッドエンドエナジーが満たされたここで人間が!!」
「いやソイツらも人間だろ。てかこの辺りであんましドンパチすんのは止めてくれない? ま、仮に止めないってんなら………お仕置きが必要だな」
腰にゼツメライザーを装着した耀真はポケットから一つのデバイス…ゼツメライズキーを出し、スイッチを押した。
耀真がゼツメライザーの横部を叩くとキーに赤い管が装填され、データが吸い取られる。そしてゼツメライザーから絶滅した昆虫『クジベローサ・テルユキイ』のロストモデルを内蔵した緑の管が耀真を包み、外装となる。
そして管が晴れると、耀真はカマキリのような見た目、両手に大きな鎌…トガマーダーを持つ怪人…ベローサマギアになっていた。
「なっ!!?」
「虫ぃやああぁぁぁ!!!!??」
なんか緑髪の娘が奇声上げてるけど、無視虫。
「…まったく、何かと思ったらコッチ側の奴だわさ。さっさとプリキュア共を始末しろだわさ!」
「………ま、最初は誰でもそうなるよな」
コリコリと頭部を掻いた耀真はトガマーダーをゆっくりと構え、宣言した。
「…悪いが、俺の敵はお前だ……よッ!!」
その言葉と同時に耀真はトガマーダーを振り、緑色の斬撃をアカンベェに向かって発射した。
「ベエェェェ!!!??」
ゴギンと金属音と火花を出しながらアカンベェは後ろによろめく。その隙を見計らった耀真はアカンベェ目掛けて走り出した。
「だったら死ねだわさ!!」
「誰が死ぬかクソババアアアァアァ!!!」
そう叫んで放たれた火の玉を十字に斬り裂いた耀真はアカンベェに飛び乗り、仕上げに入った。
ゼツメライザーの横部を再度叩いた耀真はアカンベェを蹴って空へ跳び、まるでベーゴマのように回転しながら怒涛の攻撃を叩き込んだ。
そして耀真が着地した瞬間、遅れてアカンベェは幾つもの輪切りとなり、直後に爆発した。
「またつまらぬ物をたくさん斬ってしまった…」
「………ふ、ふざけるな!!お前みたいな怪物がヒーローにでもなった気か!?馬鹿馬鹿しい!!お前なんてどこまで行こうと怪物だわさ!!」
ぜえぜえと荒く息をするマジョリーナに、耀真はゼツメライザーからゼツメライズキーを取って元に戻りながら振り向き様に答えた。
「…残念だったな。俺は俺を、一度でもヒーローだと思ったことはねぇよ。俺は俺のために戦う。たったそれだけさ。お前なんかの言葉でなびくとでも思ってんなら、それこそ大間違いだ豆クソババア」
「誰が豆クソババアだわさ!!?」
「お前以外に誰がいるんだよ豆クソババア。そんなに気に入ったなら何度でも言ってやるよ豆クソババア豆クソババア豆クソババア豆クソババア豆クソババア豆クソババアァァ!!!!」
「ぶち殺すわさ!お前は絶対殺すわさ!!」
「やれるんならやってみろ!!」
耀真が腰に着けた回転式レバーと二つの歯車、半透明な円…エヴォリューションチャージャーが特徴的な赤い装置…エボルドライバーに紅色と黒のボトル…コブラエボルボトルとライダーエボルボトルを装填し、レバーを回す。すると交響曲第9番をアレンジしたような音と共に、大きなプラモランナー…高速ファクトリーであるEVライドビルダーが展開され、スーツを形成する。
ベルトの不気味な、それでいて覚悟を問う合図に耀真は手を構えて答えた。
金の歯車が重なり、遅れてランナーが重なると、歯車がグルグルと立体軌道状に動いて弾ける。そして星座表のような頭部…スタープラニスフィアや胸部の装置…特殊変換炉であるアーミラリアクター、蛇のような複眼…EVOツインアイコブラを持つ宇宙からやって来たライダー…『仮面ライダーエボル:コブラフォーム(フェーズ1)』に変身した耀真はゆっくりとマジョリーナに向かい立つ。
「さぁ、始めようか?」
「チッ……別の姿になったところで、お前のバッドエンドに変わりはないだわさ!!」
そう叫んでマジョリーナは再度火の玉を放つ。火の玉は正確に耀真に迫り、直後に爆発した。
「あぁっ!!」
「ヒャハハハ!!あっけない最期だわ……さ?」
マジョリーナは次の瞬間目を疑った。
無傷で先ほどの場所に立つ耀真を見て。
「………ん?何かしたか?」
「……な………が………!!??」
「…バッドエンドに変わりはない……ねぇ。笑わせてくれるぜ。ハッピーエンドに変えてやるよ。こちとらテメェみたいなのと戦うのは初めてじゃねぇからな!」
そう言った耀真は再びレバーを回す。すると耀真の右足元に星座表が現れ、それがエネルギーとなって吸収される。そして一瞬、蛇のような複眼が一瞬輝いた。
「ま、マズいだわさ!!!?」
「オリャアアアアァァァアァ!!!!」
「どぐびゃああぁぁぁ!!!??」
一瞬で距離を詰めて放たれた必殺キックをくらい、マジョリーナは空の彼方へバイバイ菌とばかりに消えていった。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
「…ホームラン、とでも言うべきか?……ん?」
手を額に当てて流星となったのを見届けた俺が歩こうとすると、何かが足に当たった。何やら赤い珠のような、宝石のようなアイテムだ。
「…んだこれ」
カチャリと拾ってまじまじと見ていると、何やら後ろから声がした。
「あ!星デコルでござる!!」
「星……?なんつった?デ、デコ…?星デコってどんなデコだよ。くっそダサそうだな」
「デコじゃないクル!デコルクル!!」
「コルだかクルだかどっちかにしろよ」
「そんなことは今はどうでも良いでござる!!!それよりも、そのデコルを渡すでござる!!」
何やらリスみたいなマスコット?が騒いでいるが、ちょっと言い方カチンとくるな…。
「…どっちでもいいけどよ。人にもの頼むんならもちっと言い方あるんじゃねぇか?」
「今はそれどころじゃないでござる!!」
…よし、決めた。
「あっそ。んじゃやーめた」
『!?』
「こうこうこういう事情なので、それをください」とかならあげたけど、こいつはダメだな。
「悪いが俺は小生意気な奴は嫌いなんだ。ものの一つも頼めないやつにゃあげねぇよ」
「…あ、あの、ごめんなさい…」
「私たちが謝るので、どうかそれを譲っていだけませんか?」
なんか桃髪の娘と蒼髪の娘が謝ってくるけど、そういうことじゃないんだよなぁ…。
「俺はそこのリスからの謝罪を求めてるんだよ。自分の大切な物壊した子供の親がペコペコ謝ってるけど当の子供はまったく反省してなかったらどう思う?それと同じだ」
「リスじゃないでござる!!」
「………もういいわ。話すだけ無駄だな」
そう言って帰ろうとしたら、まぁある程度予想できてたことが起きた。
「悪いけど、ウチらにも事情があんねん」
「そのデコル、渡してもらうよ」
さっき奇声上げてた緑髪の娘と橙髪の娘が通せんぼしてきた。ま、そうなるよな。
「ちょっ、サニー!マーチも!!」
「だ、ダメだよ!!」
「………は~そう来たか。…いいだろう…ッ!」
『なっ!?』
ヒョイッとジャンプで二人を飛び越えた俺はそのまま一回転しながら着地し、エボルボトルをドライバーから引き抜いた。そして俺は白黒の装置を出し、それを向けて宣言した。
装置…エボルトリガーをドライバーに着けた俺は再びボトルを装填し、レバーを回した。すると先ほどのものとは違う銀の歯車が三つ、漢数字の三のように展開され、その周りを黒い何かの立方体を巻き込んだ嵐が吹き荒れる。
立方体が合体し、一瞬で消えたかと思った次の瞬間、何もない空中から俺は再度現れた。仮面ライダーエボルとしての最強フォーム『仮面ライダーエボル:ブラックホールフォーム(フェーズ4)』に変身して。
先ほどのコブラフォームの上半身が白黒に変色し、ローブ…EVOベクターローブなどが追加され、より禍々しさが増した。無論すべてのスペックがコブラフォームとは桁違いだ。
「………さぁ、かかってこいよ
最初に関しちゃ、こんな魔王的第三者の立場はよくある話なんだよな。
さてさて、いかがでしたか?
これからも気が向いたら投稿しますので、本編の『マッドでヤベーイやつにしか変身できないんだが』と同様に応援してくだされば嬉しいです。
ではでは、また次回。
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第2話 『戦う理由、厳しさの裏』
引き続きプリキュア世界の怪人王のストーリーをお楽しみください。
ではでは、どうぞ!
「………さぁ、かかってこいよ
その一言に、プリキュアたちは警戒と驚きを露にした。
「えっ!?」
「なんでウチらのことを…!?」
「俺も訳アリでな。…ここで暴れるのもあれだ。特設のバトルフィールドに招待しよう…ッ!」
耀真が地面に手を当てて力を入れると、空間がパラパラとどんでん返しのように幾つもの正方形に割れて回転し、あっという間に荒野へとその景色を変えた。
「ここなら周りの被害を一切気にせず戦える…俺としても住み始めたばかりの街を潰したくはないんでな。だが、先に言っておこう。今のお前たちじゃあ、俺には勝てん」
「………そんなの、やってみなくちゃわかんないでしょ!『プリキュア!マーチシュート』!」
緑髪のプリキュア…キュアマーチが放ったボール状のエネルギーが耀真に迫るが…
「ほい」
まるで羽虫を払うかのように左手で弾き飛ばされた。
「なっ!?」
「マーチの攻撃が、あんなにあっさりと…!!」
驚愕に包まれるプリキュアたちに、耀真はゆっくりとその口を開いた。
「………幾つか聞きたいことがある、が…まずはこれだ。お前たちは理解しているのか?」
…瞬間、プリキュアたちの時が止まった。
その眼にあるのは、疑念、困惑、そして…ほんの一つまみの恐怖だった。
「…何言って」
「……ッ私たちは」
「でも、バッドエンド王国は皆を悲しませて」
そう言うと、耀真はもう一つのエボルドライバーを取り出し、二本のボトル…ガトリングフルボトルとライダーエボルボトルを装填し、レバーを回した。
エボルドライバーを異空間に放り捨て、顕現された銃…ホークガトリンガーのバレルを十回回すと、銃口にエネルギーが蓄積されていく。そして耀真は徐に一人のプリキュア…青髪のキュアビューティにホークガトリンガーを向けた。
「まずは一人」
「!?」
「ビューティ、危ない!!」
「…いや、二人か」
「「ぁぁああぁあぁっ!!!」」
橙髪のプリキュア…キュアサニーが庇うも、弾丸の雨は彼女たちを吹き飛ばした。
「あぁっ!?」
「ぐぅっ…」
煙が晴れると、そこには変身が解除された二人が横たわっていた。死んではいないが、ダメージはかなり大きいようだ。更に耀真は追い討ちとばかりにホークガトリンガーを投げ捨て、腰のエボルドライバーのレバーを激しく回す。
「これで…四人だ。ふっ!」
そう言って、耀真は空高くジャンプする。縦に回転しながら滞空する耀真の後ろに黒い穴のようにエネルギーが集中し、その体勢でグルグルと回転しながら耀真は黄髪のプリキュア…キュアピースに必殺技の『ブラックホールフィニッシュ』を叩き込もうとした。
「ピース!」
「ふぇぇっ!!?」
「あぁああああぁっ!!!?」
マーチがとっさにピースを庇うが、思ったよりもエネルギーの範囲が広かったために二人纏めて吹き飛ばされる結果となってしまった。
「きゃっ!」
「いっ…!?」
そして地に伏した二人も元に戻り、残りは桃髪のプリキュア…キュアハッピーのみとなってしまった。
「そんな…」
「覚えておけ。これから先、生きていけば自分たちじゃどうにもならないことや思い通りにいかないこと…理不尽なんざいくらでもある。その度に人は『そんな』と絶望し、『次は乗り越えてやる』と新たな希望を生むことで強くなる。この世界は、希望だけとか絶望だけとかでできちゃいないんだ。希望も絶望も、両方あるからこの世界は唯一無二なんだよ。希望があるから絶望が現れ、絶望があるから希望は生まれる……もし、お前たちが俺に勝ちたいと思うなら、『己が戦う理由』を見つけてみろ。それによっては…或いは、な。CHAO」
その言葉と共に耀真の姿は掻き消え、同時にハッピーたちは元の商店街の一角に帰っていた。
「………『戦う理由』…」
ハッピー…星空みゆきの心の中で、その言葉が靄のように、何かのヒントのように残っていた。
帰宅した耀真はフラフラとリビングに向かいソファーに座り込んだ。そして…
両手で顔を覆いながら心の中でシャウトした。
「(マッジで何してんだ俺は!!?まだ戦争とかそういうのに疎いと言えど、JC相手に何をあんなカッコつけてイキり散らしてんだよ!!そりゃあ戦う理由とかは大事だよ!?命は大事にすべきだよ!?でもあれは違うだろどう考えてもおぉ!!しかも加減したとはいえブラックホールフォームとかどういう糞チョイスだよ!!俺もうイッチに「暴走し過ぎ」とか言えねえよもおぉぉぉ!)」
普段夕食を摂る午後7時になるまでの数時間、耀真はひたすら悶絶を繰り返していた。
「………はぁ…」
土曜日、一週間の食糧の買い出しをしていた俺は未だに前回のことを気に病んでいた。
だからこそ、前を歩くその人物たちに気づかなかったのだろう。
「「「「「「あ」」」」」」
眼と眼が合う~瞬間に~
じゃねぇよ馬鹿野郎。よりによってこのタイミングで
「あ~っ!この前の!!」
ハイバレました~。マジクソゲ~。
取り敢えず全力ダッシュで逃げた。ご近所様たちめっちゃ変な奴を見る目だったな。まぁそうだろうよ。端から見れば痴漢されたJC軍団とその犯人、よくて大学生狩りだ。今時聞かねぇなそういうの。
「………引っ越そうかな…」
引っ越しして一週間でそんなことを考える程度には萎えてきていた俺でしたとさ。
「…くぁ~」
あれから二ヶ月程が過ぎた。耀真も以前の自分の黒歴史を完全に忘れ去っていたタイミングだ。
「………ん?これは…」
空が不自然に黒くなったことにすぐさまピンと来た耀真はムッと眉を潜めた。
「チッ、来い!『ライドクロッサー』!!」
通りの向こうから自走してきた、二台のバイクが合体したようなビークル…ライドクロッサーに飛び乗り、ヘルメットを被ってバイザーを下ろした耀真はギアを上げて空が曇り始めた場所の下…ちょうど父の日記念の父子ファッションショーが開催されている会場へと向かった。
「(…あれか)」
こっそり顔を覗かせた先では、狐のぬいぐるみのようなピエロ顔の怪物が暴れていた。そしてそれと戦っているプリキュアたちの姿、更に以前の豆クソババアことマジョリーナと同格とおぼしきやけにヘビメタなファッションの狼男がいた。
「(……狼男か…たしか、え~っと、ウルフルズ…いや違うな………あ、ウルフルンだっけ。狼ならブレンで行きたいけど………いや、ここはあれか)」
ナックルダスターのようなパーツが付いた銃…ブレイクガンナーを出した耀真は、狙いをウルフルンに定め、躊躇なく引鉄を引いた。
「ギャアアアッ!!!??」
狼男…ウルフルンは突如として横から飛んできたエネルギー弾に撃たれ、地面に転げ倒れた。
「ぐ…いったいなん………!?」
憎々しげに道路の向こうを見ると、左右にバイクが取り付けられたようなビークル…ライドクロッサーが走ってきた。そしてドリフトするように回転して止まると、乗っていた男…耀真はスタイリッシュに降り、ヘルメットを外してライドクロッサーにかけ、ナックルダスターのような銃…ブレイクガンナーを右手に持ってウルフルンの方を向いた。ウルフルンは最初は目を見開いたが、やがて納得したように不敵な笑みを浮かべて耀真と向き合った。
「ほう…お前がマジョリーナが言ってた人間か。なるほど、また俺たちを邪魔しに来たのか?」
「俺はただ平穏に過ごせりゃそれで良いが、あの豆クソババアはそれを邪魔した。だから蹴った。お前も、俺の平和を邪魔すんなら…」
ガチャリとブレイクガンナーを構えると、耀真は徐に銃口を掌底で押し込む。そして、その手をブレイクガンナーから離すと同時に言い放った。
耀真がブレイクガンナーから左手を離すと、一対のタイヤがグルグルと立体的に動き、耀真と横一直線状になる場所で停止した。直後、タイヤが細かいパーツに分離し、耀真を包む円柱状のエリアが展開され、ブレイクガンナーを持つ手を右に振り払うような合図と同時に紫の稲妻を放ちながら、耀真はバイクのエンジンのような禍々しいマスクと紫の外骨格のようなアーマーを纏った戦士…かつてプロトドライブとして人々を守ったが、最強級のロイミュードであるハートによってロイミュードの番人と化した機械戦士…『魔進チェイサー』へとその姿を変えた。ウルフルンは放たれる禍々しさに嫌な汗を額から流して問う。
「な、なんなんだ…テメェは………」
「俺は暗宮耀真。この街の番人。同時に………」
さてさて、いかがでしたか?
前回のストーリーが「JCにイキってる性悪な大人」って言われたので、思いきってそれをネタにしました。
次回、他のスレ民のストーリーを投稿するか、怪人王ニキの話を続けるか、アンケート取りますのでお願いいたします。
では、また次回で。
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第3話 『再会、そして答え合わせ』
アンケートの結果、引き続き怪人王ニキのストーリーを投稿致します。
感想見たら、意外と言うか定石と言うか、時喰王ニキの話を見たいって人が多いんですよね。
やろっかな。暇見つけたら。
というわけで、どうぞ!
「………!ねぇアレ!」
アカンベェと戦っている時に、マーチが突然見当違いの場所を指差した。思わず他のメンバーがそちらを見ると、禍々しい戦士…魔進チェイサーと化した耀真とウルフルンが格闘戦を繰り広げていた。
「あれって、この前の?」
「姿が違いますけど…」
「ちょいちょい!今はそれどころとちゃうで!」
不思議がる暇を敵が与えてくれるはずもなかったため、プリキュアたちは目の前のアカンベェとの戦いへと意識を戻さざるをえなかった。
「はぁっ!!」
「ぐっ!?」
一方、耀真とウルフルンとの戦いは終始耀真の有利だった。現在装備している『ファングスパイディー』による攻防一体の戦い方に対し、ウルフルンは爪での接近戦しか有効打が無く、その爪も耀真の装甲を突破できないためだ。
「追加だ」
ブレイクガンナーに紅い部品を持つミニカー…チェイサーコブラバイラルコアを装填してトリガーを引くと、ファングスパイディーが変形して、鞭…テイルウイッパーが自我を持っているように現れた。
「こ、今度はなんだ!?」
「むんっ!」
「ぬわ!?このぐがぁっ!!?」
耀真がテイルウイッパーを振り下ろすと、ウルフルンは横に跳んで避ける。しかし、すぐさま追撃してきたテイルウイッパーに弾かれた。
「…さて、そろそろあのデカブツを倒すか」
「………ウルッフッフッフ…本当に良いのか?」
「あ?」
ヨロヨロと立つウルフルンの不敵な笑いに、耀真はメットの下で片眉を上げながら反応した。
「あのアカンベェの元となっているぬいぐるみはあのプリキュアの思い出の物だ。それを壊していいのか?何も言わずに潰させるのも一興だがな…ウルッフッフぐはぁっ!!?」
してやったりと笑っていたウルフルンに、耀真は再度テイルウイッパーの攻撃を叩き込んだ。まったく反応できなかったウルフルンはそのままアスファルトの道路をゴロゴロと転がり倒れる。
「…そうか。わざわざご苦労。むしろこちらとしては都合が良い。思い出が枷となっているなら、それは彼女が自力で乗り越えるべきもの。俺が出る幕ではない。つまり…」
そう言って魔進チェイサーを解除した耀真は蒼いパーツに銀色のエンジンのマフラーのようなパーツ…ハイメタルマフラーが付いた装置…マッハドライバー炎を腰に装着した。すると、ライドクロッサーから黒いバイクの模型…シグナルチェイサーが自動走行してくる。それを片手でキャッチした耀真はマッハドライバー炎のスロット…フレームウィンガードを引き上げ、そこにシグナルチェイサーを装填する直前に言い放った。
フレームウィンガードを戻すと、先ほどのものとそっくりなタイヤが耀真の周りを旋回し、融合する。そして一瞬魔進チェイサーになったかと思った次の瞬間、バチバチと紫の光と共に殻を破るように弾け、耀真は銀色の戦士…『仮面ライダーチェイサー』に変身した。
「………さぁ、第二ラウンドと行こうか?」
「ちっきしょおぉ…んのやらァ!!」
「ふっ!」
ウルフルンはやけくそとばかりに突撃し、二人の格闘戦が再開された。しかし、魔進チェイサーよりも機動力が増し、洗練された耀真の動きにウルフルンはついていけなかった。
「ぐはっ………くそ…!」
「……どうやら、向こうも無事に乗り越えられたみたいだな」
「なにっ!?」
耀真とウルフルンの視線の先には、爆発するアカンベェとそれを倒したプリキュアたちが立っていた。
「………さぁ、断罪の時だ!」
そう言うと、耀真は手をライドクロッサーの方へと翳し、目を光らせる。そして遠くに停められていたライドクロッサーのパーツがスライドし、紫の微光を放ちながら何かが飛んでくる。それを耀真は片手でキャッチした。
紫色の刃…ブレイクエッジの横に、青い文字で『ライダー専用』と書かれており、斧を持って仁王立ちする戦士と斧を振り下ろす戦士が、歩行者用信号機のように象られたランプ…E-コンディションランプを持ち、下部には信号機に付いてる赤いボタン…シンゴウプッシュボタンがある斧型武器…シンゴウアックスを構えた耀真はウルフルンの前に再び立ち塞がった。
「断罪ぃ?………ふざけやがってえぇ!!」
「ふん!!」
「ぎゃあああああ!!!??」
飛びかかってきたウルフルンを、耀真は躊躇なくシンゴウアックスで斬り裂いた。ウルフルンの毛と鮮血が空を舞う。あまりの痛みに、ウルフルンは地面をのたうち回った。
「いでえぇぇ!?ちきしょお!!~~っああ!」
「………さぁ、選べ」
「ヒッ!?」
「お前ら『バッドエンド王国』の情報を吐くか」
マッハドライバー炎からシグナルチェイサーを外し、シンゴウアックスのスロットに装填してシンゴウプッシュボタンを押し、地面に突き立てた耀真の発言に、ウルフルンは戸惑った。
「え?え、えと、それ、は………」
「時間は有限、待ったなしだ。さぁ、選べ」
「う、うぅぅ………」
「………そうか」
そしてシンゴウアックスからレースのカウントダウンのような音が流れた直後…
断罪の合図が、放たれた。
「沈黙は後者と見なさせて貰う」
「ま、待て!待ってくれ!!わかった!話す!」
「言ったはずだ。『待ったなしだ』とな」
「ひいっ!?い、嫌だ!嫌だああぁぁあ!!」
ウルフルンは尻込みしながら命乞いをするが、耀真は無慈悲にも歩み寄った。そしてシンゴウアックスを振り上げ…
「!?ぬぅっ!!!」
ウルフルンの後方から飛んできたネオングリーンのエネルギー弾を縦真っ二つに斬る。エネルギー弾は空高く飛び、直後に爆発した。
しかし、シンゴウアックスはそれによりエネルギーを使いきってしまった。ウルフルンは泡を吹いて気絶している。それを見ることなく、耀真はシンゴウアックスを突き立てて、通りの向こう…正確にはそこにいる五人のプリキュアたちを睨み付けた。
「………一応聞こう。何のつもりだ?敵を…それも幹部であるソイツを庇うことが何を意味するか知っているのか?」
「そんなこと関係ない!私たちは、命を奪ったりなんかしない!」
「…?」
「あの後、私たちは皆でいっぱい考えた!私たちの戦う理由!!もう私たちは迷わない!困ってる人たちも、キャンディの国も、どっちも助けるって決めた!」
「………そうか」
ハッピーの叫びに、何かを悟ったように笑った耀真は変身を解除し、また以前の隔離空間を生み出した。そして手を腰の前で何かをスキャンするように振ると、腰にベルト…ドライブドライバーが出現した。左手首にはブレスレット…シフトブレスが装着されている。
「……なら、見せて貰おう。お前たちの覚悟を」
そう言って、耀真はドライブドライバーの赤いキー…アドバンスドイグニッションを回し、エンジンを入れる。そして、右手に持っていたミニカー…シフトネクストスペシャルを構えた。
耀真がシフトブレスにシフトネクストスペシャルを装填すると、ネオンブルーのエリアが展開され、黒い近未来的なアーマーが耀真を包む。そして仕上げに黄色と黒のタイヤが襷のように装着され、耀真は『仮面ライダーダークドライブ』に変身し、ブレイクガンナーと剣が合体したような武器…ブレイドガンナーを構えた。
「さぁ、答え合わせといこうか」
さて、いかがでしたか?
次回は流石に他のスレ民出します。アンケートで決めるので、投票お願いします。
ではでは、また次回で。
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第4話 『戦いの果て、改めてよろしく』
本編に詰まってきたので気分転換です。
どうぞ!
「いきます皆さん!作戦通りに!」
「了解!!『プリキュア・マーチシュート』!」
「『プリキュア・サニーファイアー』!!」
「甘い!」
三人は一気に必殺技を放つが、耀真はドライブドライバーのアドバンスドイグニッションを入れ、ドライブレスの赤いボタン…イグナイターを押して急加速し、その技を避ける。しかし、三人は執拗なまでに耀真を立て続けに追撃した。それを避けながら、耀真はある疑問を抱く。
「(妙だ…なぜ
「皆さん、今です!!」
「「「ハアアアアッ!!!」」」
「うおっ!!?」
と、耀真が考えていた時。いきなり三人は耀真の進行方向の地面に壁となるように攻撃を当てた。突然の出来事に耀真は大きく地面を踏み締めて急停止する。
「ピース!!お願いします!!」
「う、うん!『プリキュア・ピース』…!」
「なにっ!?」
「ぐああああああ!!!??ぐはっ!!?」
三人の後ろに控えていたピースは、耀真が急停止した時には既に
「ぅぐっ……!…まさか……そういう…!!?」
驚愕を露にしてプリキュアたちの方を見た耀真は次の瞬間、ある違和感に気づいた。
ハッとして耀真が上を見た時には、もう遅かった。
「くぅっ…舐めるなアアァアァ!!!」
上から降ってくる桃色のビームを、耀真はブレイドガンナーを構えて受け止める。そのままハッピーの必殺技と耀真のブレイドガンナーは押し合い圧し合いの拮抗を始めた。
「っ!!」
「嘘やろ!?」
「ハッピーシャワーと、剣で張り合うって…!」
他のプリキュアたちはあり得ない事態に驚愕の声を上げたが、それも長くは続かなかった。
「ぐっ…!」
ピースの雷撃、そこからハッピーの追撃と立て続けに放たれた必殺技のオンパレードには流石の耀真も耐えきれなかったのか、ブレイドガンナーは弾かれて耀真にビームが直撃する。その攻撃が消えると、耀真は黒煙を上げながら膝をついた。そのまま地面に仰向けに倒れると、変身は解除され、生身の耀真の姿が露になる。
「…ハッ。ホンット参った………たった数ヶ月で完全に出し抜かれたよ。最初の三人の攻撃は俺に注意を引かせる
ボロボロの体に鞭を振るい、よっこらせと立ち上がった耀真は、服に付いた土をパンパンと払いながら変身を解いたプリキュアたちに向かい立つ。そしてその内の一人…青木れいかは耀真に口を開いた。
「………全部、私たちの為だったんですね」
「…勘も鋭くなっちまったと来たもんだ」
自嘲気味に笑った耀真は、どこか清々したように話を続けた。
「俺としちゃあ、半端な年頃の子供…それも女の子に世界の命運なんてデカイモン背負わせて戦わせるなんざさせたかねぇ。が…お前たちが戦わないと救えない命があるのもまた事実。だったらせめて、お前たちが戦うことの意味…大いなる力には、それ相応の危険や責任が付き纏うってことをわからせた方が良い…そう思っただけだ。そしてお前たちは、俺の予想を良い意味で裏切ってくれた………合格だ。んで…テストであれ、俺はこうしてお前たちにしてやられ、敗者に成り下がったわけだ。全てを決めるのは勝者。煮るなり焼くなり、好きにして構わん」
「…私たちはそんなことしないよ」
「………じゃあ、どうするんだ?」
腕を右手で頭をポリポリと掻く耀真に対し、少女たちは顔を見合わせ…
満面の笑顔で、そう言った。
「…全く、この年頃の女にゃ敵わねぇな…ん?」
と、耀真が言った時、少女…みゆきの影からいつぞやのリスことポップが恐る恐るといった様子で顔を出した。それを耀真が怪訝そうな目で見ていると、みゆきが「ほら、前に言ったじゃん」と耀真の前に引っ張り出す。それでようやく観念したのか、ポップがしどろもどろながらも口を開けた。
「その…以前は嫌な言い方をして、すみませんでした…で、ござる」
「………ヘイ」
「うわっ!?ととっ、と…これって!」
ポップの謝罪に、耀真はポケットから出した小さな宝石をみゆきに投げることで応えた。みゆきはアタフタしながらも投げられた物をキャッチして見ると…以前耀真が回収した星デコルが輝いていた。
「悪かったな。こっちもちょっとばかり熱くなっちまってた。まぁ、改めて、これからもよろしく頼むよ。CHAO」
耀真はいつの間にか右手に持っていた紫の銃…ネビュラスチームガンの引き金を引き、隔離エリアを元に戻しながら消えていった。
「………ん?」
家の前までワープし、玄関を開けた耀真はある違和感に気づいた。
「………誰かいる」
そうわかった耀真は、すぐさまネビュラスチームガンを構え、警察のように足音を殺しながら気配がするリビングに近づく。そしてドアを勢いよく蹴り開けてネビュラスチームガンを向けて叫んだ。
そこにいたのは…
「………はぁ?」
「お!お前!今俺を見たな!これでお前とも縁ができた!!よかったな!俺との縁は良縁だぜ!」
「…って違ェよ!!まずテメェは誰だよ!!!」
「ガッハッハ!!まァ、取り敢えずこれを見ろ!預かってんだ!!」
「何これ…手紙?」
謎の男のテンションに顔をひきつらせつつも、耀真は渡された手紙の封を切って中を見る。そこには、こう書かれていた。
「………………ゑ?」
手紙を最後まで読み終わった耀真は、ギギギと青年の方を向いた。
「……………………………( ᐛ) パァ」
これからのストレスに、耀真は、考えるのを、止めた…。
さて、いかがでしたか?
囃子祭我くんの特典は…多分わかったら全員が
「え!?そっち!!?」って言うと思う(確信)
というわけでこの外伝、次回もお楽しみに…。
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第5話 『驚け!ぶち抜け!パズル解け!』
第5話、キバっていって、心踊らすぜ!
ということで、どうぞ。
7月7日、七夕。
天の川の両端の織姫と彦星が会える云々とされているが、とある男…暗宮耀真にとってはそんなことは心底どうでもよかった。現在彼はパソコンに向かって作業をしている。そのパソコンには、紫の携帯ゲーム機…ガシャコンバグヴァイザーが接続されており、何かのデータのやり取りをしていた。と、そんな耀真に、もう一人の男…囃子祭我が近づいてきた。
「おぅ、何してんだ?」
「ん?あぁ…ちょっとダチからの頼まれ事をな。何すんのかはわかんないが…ま、アイツのことだし問題ないだろ。さて…取り敢えず休憩がてら、どっか行くか?」
「おっ!いいな!どっかで祭でもやってるといいんだがな!」
「確か今日って……あ、七夕か。神輿とかは期待できなさそうだが」
「構わねぇさ!七夕と言えど、一年に一度きり!祭に変わりねぇ!!行くぜいくぜぇ!!」
がっはっはと笑いながら一階へ降りていく祭我に、若干げんなりとした顔で続いていく耀真であった。
「しかし、どこもかしこも笑顔で溢れてやがる!平和が一番だぜ!!」
「ここ最近は変なことが起きてないしな…ん?」
二人が話しながら街中を歩いていると、耀真が見知った五人組の少女たちと出会した。
「あ!耀真さん!…と、誰?」
「お前!俺に話しかけたな!?これでお前らとも縁ができたなァ!!!」
「え?え!?え!!?」
「女子中学生相手にお前は何しとん、じゃっ!」
「あだっは!?」
祭我の勢いにアタフタしていたやよいだったが、耀真は祭我の頭にチョップを叩き込み、後ろ首を掴んで猫のようにズルズルと引き剥がした。
「えっと…そちらの方は…?」
「コイツ?囃子祭我ってんだけど…テンションがちょっとアレなやつでな。気にすんな。それより、お前たちこそどうした?」
「えっと…短冊を書きにいくところなんです!」
「短冊ねぇ…なんか無性に寿司食いたくなってきたな。晩飯寿司行くか」
「おっ!乙だな!!」
「お寿司!!?」
寿司というワードに過剰に反応したのは、彼女たちの大食い担当こと緑川なおである。
「いいないいな~…」
「………テイクアウトなら買ってきてやるよ」
「ホント!?やった~!!」
「あ~!なおちゃんだけズルい!!」
「ホンマや!ウチも食べたいわ!」
「わかったわかった。五人分買っておくから。…お前らの住所とか知らないけどな」
「大丈夫です。私たち、今日の夜は皆で星を見に行く予定なので」
「星?」
れいかの話によると、今日の夜は彼女たちの秘密基地で星を見ることにしているそうだ。
「よし、じゃあそこまで持ってってやるよ」
「「「「ありがとうございます!!」」」」
「夜遊びはほどほどにしとけよ?」
「「「「は~い!」」」」
そう言って、五人は元気に走っていった。
「ハッハッハ!意外と甘いとこもあんだなぁ!」
「うっせーわい」
回転寿司屋のテーブルで、二人は寿司を頬張っていた。
「んん!やっぱし寿司はエンガワだな!!」
「いや、俺はとろサーモンと〆鯖だわ」
「おっ!それもいいな!…そういやよ」
「ん?」
急に少し真面目な顔になった祭我に、耀真は怪訝な目を向けた。
「なんか…嫌な予感がするな」
「言うな言うな」
尚、この一食の会計は五人へのお土産込みで諭吉が二枚吹き飛んだ。
そうして現在…
「ホンットお前はフラグしか立てねぇよなぁ!」
「ハッハッハ!!すまんすまん!」
「すまんで済むかバカタレ!!!!」
成り行きを説明しよう。
二人がお寿司を届けに行く
↓
皆でお寿司食べながら短冊を飾る
↓
突然空が暗くなる
↓
アカンベェと赤鬼出てくる←今こ↑こ↓
「お前がマジョリーナとウルフルンの言ってたバケモノかオニ!?まぁ、俺の敵じゃあないオニ!行け、アカンベェ!!」
『ベェェェ!!』
「そんじゃあ、詫びも兼ねて俺が行くかねぇ!」
「あ?誰だオニあいつ」
「お前、それって…?」
「コイツか?コイツぁ俺用のドンブラスターさ。使い方は…こうだな!!」
そう言った祭我は、一つの赤い渦の形の歯車…ドンゼンカイオーアバタロウギアをドンブラスター祭刃亜にセットし、ダイアルを強く回す。
「ふんっ!!」
祭我が下にドンブラスター祭刃亜を撃つと、辺りが大量のスモークに包まれる。直後、上を見上げたその場の全員…赤鬼…アカオーニのみならず、プリキュアたち、更には耀真までもが絶叫した。なぜなら…
「ええええええ!?いやそっち!!??何かとは思ったけど、そっち!!!?」
ドスンと轟音を立てて高らかに笑う様は、中々に強烈なインパクトを持っていた。
「………あ、お、おのれ!デカくなったからって調子に乗るなオニ!アカンベェ!やれ!!」
「アカンベェエエェェ!!!」
そう叫んだ祭我…ドンゼンカイオーは左腕に装着された盾…アバターシールドでアカンベェの攻撃を受け流し、右腕のブレード…アバターソードでカウンターを叩き込む。
「わぁぁ…巨大ロボと怪獣の対決だぁ…!」
「…って観戦しとる場合ちゃうわ!」
「私たちも戦おう!」
そう言って祭我を中心に六人(五人と一体)はアカンベェを確実に追い込んでいた。
「さて…俺の相手はテメェか。赤達磨」
「誰が赤達磨だオニ!!」
「さてと」
「無視してんじゃねぇオニ!!!?」
怒るアカオーニを完全に無視し、耀真は黄色いダイヤル…アクチュエーションダイヤルが付けたゲームカセット…ガシャットギアデュアルを取り出し、アクチュエーションダイヤルを90度回す。
アクチュエーションダイヤルを回転させると、ゲームタイトルが現れ、そこから絵柄が描かれた色とりどりのメダル…エナジーアイテムが周囲にバラ蒔かれる。
「な、なんだオニ!!?」
耀真がガシャットギアデュアルのスイッチ…デュアルアップスターターを押すと、黒い面…GGハイパーモジュールから青いキャラクターが描かれたエネルギー盤が出現し、耀真を透過する。
そして耀真は、垂れた青髪のようなデザインが特徴のライダー…『仮面ライダーパラドクス:パーフェクトパズルゲーマー』に変身した。そして右腰に出現したホルダー…ギアホルダーにガシャットギアデュアルを挿し込む。
「…さぁ、始めようぜ。最ッ高に心が踊る………エキサイティングなゲームを!」
「…あぁ、始めてやるオニ。お前らがバッドエンドに染まるゲームだオニけどなああぁぁ!!!」
「よっ、と。ほいほいほいほい!!」
アカオーニが振り下ろした金棒を、耀真は軽々と避けて空中に手を翳す。すると、周囲に散らばっていたエナジーアイテムがパズルゲームの盤面のように均等に並び、耀真の手の動きに連動してスイスイと並び変わり、三つのエナジーアイテムが飛び出て耀真に吸収された。
「よ~し…そいっ!!」
「ぐぅっ!?」
「そらそらそらそらァ!!!」
耀真が右の拳を放つと、右腕は物凄い速さでゴムのように伸び、アカオーニに迫る。アカオーニは咄嗟に金棒でガードするが、耀真はお構いなしに連続で金棒に拳を命中させる。その様はさながらどこぞの海賊マンガの主人公である。
そう言って、祭我は右肩に付いた巨大なドンブラザーズギアを回転させて桃型のオーラを出し、アバターソードにエネルギーを溜め始める。オーラを真っ二つに切ると、肩に付いていた巨大なドンブラザーズギアが丸鋸のように回転しながらアカンベェに迫り、ガリガリと表面を削る。更に祭我本人は高くジャンプし、アバターソードを振りかざす。
耀真は追加でジャンプ強化のエナジーアイテムを吸収して空高く飛び、ダイヤルを回して再びギアホルダーに戻すと、足にエネルギーを溜めた。
「オニイィィィイ!!!???」
「ベエエェェェエエェ!!!??」
ドンブラザーズギアに追加で放たれたアバターソードの斬撃によってアカンベェは爆散し、デコルを排出する。更に耀真が放った必殺キックの乱舞で、アカオーニは自慢の金棒を根元から折られながら地面に叩きつけられた。
「『んめでたしめでたし!』ってか」
ドンゼンカイオーのままで歌舞伎のように見栄を切る祭我に、半ば呆れたように腰に手を当てながら右手でガシャットギアデュアルを抜き、変身を解除した。祭我も身体がどんどん縮み、いつもの姿に戻った。
と、その時である。
『!?』
聞き覚えのある悲鳴に、その場にいた全員が悲鳴の聞こえた方を見る。そこには…
左手でキャンディを捕え、右手でデコルデコールを持つトランプのジョーカーの格好をした男がいた。
「初めまして、プリキュアと…お邪魔虫の方々。私はジョーカー。にしても…お間抜けですねぇ。まぁ見ての通り、この子とデコルデコールは頂きました。それでは」
「っしまった!!」
変身を解除したのが仇となったのか。耀真がガシャットギアデュアルを操作する前に犯人…ジョーカーは暗闇の向こう側へと消えていった。
「キャンディ!!キャンディ………!」
「………完全に、一本取られちまったな」
「………」
暗闇へ手を伸ばそうとしたみゆきたち、虚空を見上げながら腕を組み、顔をしかめる祭我、ガシャットギアデュアルを持つ手を握り締める耀真。
その場に残されたのはそれだけだった。
さて、いかがでしたか?
最近の戦隊は歴代の戦隊の力を使う?
だったらこっちは歴代の戦隊ロボじゃい!!
こんなノリで生まれたのが祭我君の原案です。
文字通り、歴代のロボに変身します。ドンブラスター祭刃亜を上に放てば通常サイズで人型の敵と、下に撃てば巨大化して戦えます。
次回どうしよっかな…と考えてます。
では、また次回で。
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電脳空間の時喰王 ID:NAndE8
file1 『デスゲー上等!ワイ、参上!』
お待ちかね、電脳空間の時喰王のお話です!
ではでは、どうぞ!
『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。何故私がこの様な事をしたのかと。私の目的は今、この瞬間に達成された。以上でソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の、健闘を祈る』
「………」
もう一度言うわ。なんやこれ。
店でたこ焼き食っとったら酔っ払いが急に大声出したせいでビビって喉にたこ焼き詰まらせて死ぬとかいうクソダサい死に方というか関西人の鏡の死に方というか、とにかく死んで気ぃついたらなんやこれ。
しかも何や?SAOの世界の…よりによってクソベロン(※オベイロン)と肩を並べるレベルのいや並べたないけども。ネタキャラに転生してもうとるやんけ。キバオウって…ナンデヤ以外になんか持ちネタあったか?
てか今はそれどころやないわバカタレ。
どないしよ。マジでどないし…ん?
何やこれ?アイテム欄に…ベルト?
にしてもこれどっかで見たことあるような…
ベルトと………パス?偉くゴージャスやな…
でもSAOに電車なんて…………ん?電車?
電車…パス…ベルト…キバオウ…牙オウ……
「………夢か」
朝。この世界に来た日の夢を見たキバオウ……時喰王ニキこと『井時 王牙』は目を覚ました。
彼が今いる場所は74層にある彼の拠点となっている宿だ。彼は常に最前線の、なるべく目立たないような位置でレベリングに勤しんでいる。
「師匠。起きてますか?」
「ん?おぉすまんなキリ。ちょい待っとれ」
キバオウがキリ、と呼んだのは、原作主人公のハーレムイキリトさんことキリトだ。
彼がキバオウを師匠と呼ぶ。この世界を知っている人間ならあり得ないことが何故起きているのか、その全ての理由は第一層の攻略の時にある。
第一層の攻略会議。そこにキバオウはいた。
「皆!今日は俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!知ってる人もいると思うけど、改めて自己紹介するよ。俺は『ディアベル』!職業は気持ち的に
「(気持ちでやったらアカンやろ。仮にもデスゲーやぞ?)」
広場の中心へと現れた青髪の青年…ディアベルが発したジョークに広場は多少の笑いや拍手であふれかえった。
「大したリーダーシップだな」
「今回は行けそうじゃねぇか?」
「(…アカンな、これは)」
キバオウは、周りの目や声を見聞きし、そう結論づけた。彼からすれば、周りにはバカしかいないからだ。
「さて、こうして最前線で戦っているプレイヤーのみんなに集まってもらったのは他でもない……」
そう言って、ディアベルは一呼吸おいてから続けた。
「今日、俺たちのパーティーが迷宮区の最奥に続く階段を見つけた。明日か明後日には第一層のボス部屋にたどり着く!ここまで来るのに一か月。俺たちは示さなければならない…!ボスを倒して、第二層へ行く…始まりの街で待っている皆にいつの日か、このゲームがクリアできるということを示すために…!」
そうディアベルが意気込んだ瞬間、周りから拍手が巻き起こる。
が、キバオウは口をへの字に曲げた後、ハァとため息を吐いた。そして…
…瞬間、場が凍りついた。
「……キミは?」
「ワイはキバオウっちゅーもんや。あのなぁ……ここは攻略会議の場や。余計な前座は要らん。ここにおる何名か、忘れとるんとちゃうか?これはデスゲー。普段からピコピコやっとるスマホゲーと違うて、HPが全損したら死ぬんやろ?物理的に。仮にも攻略会議っちゅー大切なモンに出るんやったら、もーちょい危機感持って貰わんとこっちが困るわ」
その言葉に、周りは何も言い返せなかった。場の空気を読まない彼への怒り以上に、彼の正論に対する反論も出なかったからだ。そして、キバオウは取り出した本をパンパンと叩きながら更に続けた。
「それと、この無料配布の情報であった…あー、何やったか?…あぁそうそう、『イルファング・ザ・コボルトロード』やったか?これには『ボスの持つ四本のHPバーの内、最後のバーがが赤ゾーンになると、ボスは持っている武器と盾を捨てて腰にかけている
その最後の一言で、大半のプレイヤーは俯いてしまった。
「…まァ、何にせよや。リラックスはええけど、必要以上にだらけさせんのは勘弁してくれゆうこっちゃ。ほな、後の仕切りは頼むで、ディアベルはん」
「………あ、ああ…」
マイペースなキバオウに、ディアベルはただただ頷き、攻略会議の本題に入っていった。
そして迎えた第一層ボス討伐。今はディアベル率いるC隊とD隊がそれぞれ一本目と二本目のゲージを削り切り現在はF隊とG隊が主な火力となって三本目を削っている。ここまでの討伐組の損害は、タンク役のA隊B隊のメンバーが何度かHPを半分にさせられた程度。赤の危険域に追い込まれたプレイヤーは0だ。
取り巻きの『ルインコボルト・センチネル』もキバオウが属するE隊とG隊が十分に余裕を持ちながら片付けることができているので、途中からはG隊をメインボス戦場の方へと回す。数十秒後、三本目のゲージが削り切られた。
「よし、ラスト一本だ!気を緩めずに行くぞ!」
ディアベルの声と同時にC、D隊のプレイヤーがF、G隊のプレイヤーと入れ替わり、〆に入った。キバオウたちE隊はいつでもサポートに入れるよう待機。キバオウは真剣にその様子を見ている。
遂に、最後のゲージがレッドゾーンになった。
「くるぞ!!」
ディアベルの叫びと同時にコボルトロードは右手の斧と左手の盾を乱雑に投げ捨てる。
更に後ろ腰から抜き払ったのは、大きな曲刀…
「………え?」
プレイヤーたちは目の前でコボルトロードが持つ武器の意味がわからず、固まってしまった。そんな茫然とした彼らを嘲笑うようにコボルトロードは垂直に飛び、空中で体を捻り、武器に力を溜めた。
「…マズい!!っんのやらっ!!!」
キバオウがディアベルたちの方向へと走り出した直後、コボルトロードは落下すると同時に蓄積したパワーを深紅の輝きに変えて竜巻のように解き放った。その行動から、コボルトロードが何をしようとしているか、キバオウはジャンプして体を捻った段階で気づいた。
カタナ専用ソードスキル、重範囲攻撃『
即時発動に加え、回復手段が存在しないこの状態異常を受けた時は、仲間がスイッチで敵のヘイトを引かなければならないのだが、ここまで続いていた楽勝ムードがひっくり返った上に絶対的リーダーのディアベルが一撃で打ち倒されてしまったことによる動揺でほとんど誰も動けなかった。唯一動けたのはこの事態を予測できていたキバオウだけだ。しかし、そのプレイヤーたちの数秒の硬直が大技を放った後のコボルトロードの硬直を回復させる時間を与えることとなってしまったのだ。
「おいB隊!はよヘイト集めんかい!!」
キバオウの怒号でハッとした褐色スキンヘッドのプレイヤーが急いでコボルトロードの攻撃を防ごうと盾を構えて前に出るが、もう遅い。
コボルトロードはそうはさせまいと目の前にいたディアベルを両手で握った野太刀を床すれすれから高く斬り上げるソードスキル『
そのまま空中でディアベルを叩き斬り、トドメを刺そうと剣を振り下ろす。そう思われた時だった。
「ふんぬぁりゃあああぁ!!!」
黄金の鋸…ガオウガッシャーで空中にいるディアベルを足場にするようにキバオウはコボルトロードの攻撃を受け止め、ドスンと大きな音と砂煙を立てて着地した。砂煙が晴れると、プレイヤーたちが見たのはディアベルを跨ぐような体勢で今も尚コボルトロードの攻撃を堪えているキバオウだった。そして…
ガオウガッシャーで無理矢理野太刀の方向をキバオウから見て右に剃らし、キバオウのすぐ横に野太刀の一撃が炸裂した。キバオウはすぐさまこれ幸いとばかりにディアベルの胸ぐらを掴み、後方のE隊の方へ投げ飛ばした。
「早よポーション飲ませて叩き起こせ!!」
キバオウの指示で、プレイヤーたちへ慌ててディアベルに駆け寄る。それを見届けたキバオウはコンソールを弄り、一つの黄金のパス…マスターパスを手に取る。
「ほんまやったらこんな序盤のボスごときに使うつもりなかったんやが…特別大サービスや」
マスターパスをキャッチすると同時に、腰にベルト…ガオウベルトが装着され、落ち着いた、それでいて壮大な音色の待機音が流れ始める。
マスターパスをガオウベルトのバックルにセタッチすると、黄金のフリーエネルギーが放たれ、キバオウを守るアーマー…オーラスキンや、オーラアーマー…ゲイターブレストとなる。更に、キバオウの顔を包むマスクを縦に通る線路…ガオウレールの上を鰐の頭部…電仮面が通り、正面で停止して展開される。
まるで鰐の顎が閉じるように複眼…ゲイタースキャンアイが形成され、キバオウは『仮面ライダーガオウ』へと変身した。
これこそが、『SAOの世界』における、仮面ライダーガオウの誕生の瞬間であり、仮面ライダーガオウの伝説の始まりである。
さてさて、いかがでしたか?
いや~、難しい…SAO。
でも、結構楽しかったですね。
次も別のスレ民を出します。
出してほしいスレ民に投票してください。
ではでは、また次回で。
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音速のトレーナー ID:O21saMaN
第1話 『チームミーティアの日常』
このストーリーは
音速のトレーナー ID:O21saMaN
のストーリーとなっています。
ではでは、どうぞ!
中央トレセン学園。
『ウマ娘』と呼ばれる、異世界の名馬の名前と魂を受け継いだ不思議な存在、その中のエリート中のエリート約二千人程が在校している。
ウマ娘は頭にあるピンとした耳、腰部から出ている尻尾などを除けば見た目はほぼ女性だ。
その他にも彼女たちの特徴としては、人よりも優れた聴覚や食欲など色々あるが、何よりも特筆すべきはその脚力。
その脚力を活かし、彼女たちは数々のレースを繰り広げる。
人…ヒトではウマ娘より速く走れない。
それがこの世界の常識だ。
しかし、どんな世界にも例外は存在する。
そう、この男のように…。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
放課後。学業を終えたウマ娘たちは皆一様にジャージに着替えてトレーニングに励んでいるが、その中でも特に目立つ存在があった。
「はっ、はっ…」
「いいぞー、そのペースを維持してー!」
トレセン学園に整備された実際のレース場を再現したコースを走る黒鹿毛と栗毛のウマ娘の視線の先で、某日曜のご長寿アニメのエンディングのようにピッピッとホイッスルを吹きながら後ろ走りで先導する男がいた。
本来であれば、絶対にあり得ない光景だ。二人のウマ娘…マヤノトップガンとライスシャワーはかなりのハイペースで走っていて、若干息を切らしてるにも関わらず、男…『チームミーティア』のトレーナーである『
彼はスレでは『音速のトレーナー』と名乗っており、その名前の通り彼の最高速度は音速に匹敵する。
ウマ娘と言えど、音速には敵うはずもない。そうこうしている間に颯太郎はゴールを最後まで後ろ走りで走りきり、5バ身ほど遅れて二人も同時にゴールした。その瞬間、颯太郎は両手にそれぞれ持っていたストップウォッチをピッと止め、二人に近寄る。
「芝2000mで2:09と2:08,7………二人とも上出来だ。この調子なら次のレースも良い結果になりそうだな。マヤノはオークスか」
「うん!あのねトレーナーちゃん!もしマヤノが一着だったら…マヤノとデートしに行こ!」
「!!」
目を見開き、茫然とするライスシャワーをおいて、マヤノはピョコピョコと颯太郎に詰め寄る。颯太郎はニコニコとそれに答えた。
「ああ、いいぞ。何処がいい?」
「えっとね~、ネズミさんの遊園地!」
「ディズニーリゾート?日帰りならオッケーだ」
「やった~!」
「(あ"あ"~可愛ぇ……)」
ピョンピョンと跳ねて喜んだマヤノに颯太郎がほっこりしていると、もう一人のウマ娘…ライスシャワーも駆け寄ってきた。
「あ…あのねお兄様!」
「ん?どしたライス」
「あの、その……」
もじもじとしているが、言いたいことを大体察した颯太郎はライスの頭にポンと手を置いた。
「わかったよ。ライスも行きたいんだな」
「!!」
「ただ次にライスが出れそうなのは菊花賞だし…だいぶ先だけど、いいのか?」
「…うん!」
「そっか、了解」
こんなほっこりした光景も彼らの日常。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
土曜日。チームミーティアには、毎週土曜日に行う一種のルーティンがある。マヤノとライスはテーブルでその時を今か今かと待ち望んでいた。
「はーい、フレンチトーストできたぞー」
「わ~美味しそう!!」
「い、いただきます」
「いただきまーす!」
二人の前には、皿の上に山のように盛られた卵液をたっぷり使ったフレンチトーストとドライマンゴーとバナナがトッピングされたヨーグルト、一口サイズにカットされたウインナーが入ったスクランブルエッグと人参やその他野菜たっぷりのシーザーサラダが用意されていた。ドリンクはきな粉を溶かした牛乳だ。
カルシウム以外においては最高の栄養食と言われる卵をふんだんに使いながらも栄養バランスをきっちり考えられ、牛乳もきな粉を溶かすことでカルシウムを効率よく吸収できるよう工夫されており、見た目もとても豪勢で食欲も増す。
いつも同じメニューではあるが、美味しさではカフェテリアや食堂を上回る程の朝食を食べてからトレーニングをするのが、このチームミーティアの土曜日なのだ。
「
「ちゃんと飲み込んでから言いなさい」
「美味しいよお兄様」
「自信作だしな。よかったよかった」
幸せそうにフレンチトーストを頬張る二人に、颯太郎は今日も朝から癒されていた。
余談だが、この朝食目当てで彼のチームに志願しているウマ娘が約二名程(一名は他チームに入った)いるらしく、その内の一名は土曜日にチームミーティアの部室前を通る度にお腹から爆音を出しているそうな。本人(ウマ)曰く、「美味しそうだ」とのこと。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
「さーて、マヤノ!行くぞー!」
「おー!」
無事にオークスで一着、それもレコードを記録したマヤノへのご褒美として、颯太郎は自身の銀の愛車…マツダRX-7(FD3S)にマヤノを乗せてエンジンをかけようとした。と、そんな彼を呼ぶ声がした。
「ハーイトレーナー君。相変わらず良い趣味してるわね~」
「ん?…おお、マルゼンスキーか。まぁな。この
声をかけてきたのは、一見すると大人の女性だが、実際は学生であり、自身が持っている真っ赤なスポーツカーに時々理事長秘書のたづなや他のウマ娘を乗せてはかっ飛ばしているウマ娘…マルゼンスキーだった。
「で、アタシのスカウトの件考えてくれた?」
「俺の気が乗ったらっつったろ?聞きに来る時点でボツ!」
「ぷぅ~、釣れないわね」
「俺は簡単には釣れねぇよ。そんじゃあ失礼!」
言い終わると同時に颯太郎はアクセルを勢いよく踏み込み、トレセン学園を後にした。
「…ん?」
ある日、部室でマヤノとライスと共にミーティングをしていた颯太郎は突然聞こえたノックにピクリと反応した。
「…誰だ?どうぞー」
颯太郎が促すと、部室のドアが開いた。そこにいたのは、鹿毛に白いメッシュ…一般的に『流星』と呼ばれる模様が入った毛のウマ娘…トウカイテイオーだった。
「あ、テイオーちゃんだ!」
「ここはスピカの部屋じゃないが…」
「違うよ~。えっとね、カイチョーが、ここにカイチョーより脚が速い、世界最速がいるって聞いたんだけど…マヤノじゃないよね?」
「(シンボリルドルフもタチが悪いな)…あ~、それ多分俺だわ」
「えぇ~?うっそだぁ!ウマ娘より速いヒトなんて聞いたことないよ」
「…ほぅ。いいだろう。ちょうどジャージも着てるんなら話は早い。教えてやろう。俺に常識は通用しないってな」
ゆっくりと立ち上がり、グラウンドへ向かう颯太郎は、鋭い笑みを浮かべていた。
「とゆーことで公平性の維持のため、沖野さん、頼むぜ」
「お、おぅ…」
ギッギッと屈伸をしている颯太郎と、いつでも準備完了な顔をしているトウカイテイオーは、スタートラインに並ぶ。今回は実際のレースを想定した芝2000メートル(バ場状態『良』)でのタイマンレースだ。審判及びタイム測定は、トウカイテイオーが所属する『チームスピカ』のトレーナーであり、颯太郎の先輩でもある沖野だ。
「…では、双方構えて」
「ふっふ~ん!」
「…さて、どこまでいけるかな?」
沖野のその言葉と同時に、トウカイテイオーは勢いよくスタートした。が…当の颯太郎は敬礼のように手を額に当て、トウカイテイオーの様子を見ている。
「(………どういうつもり?やっぱり、もう負けを認めたってこと?)」
トウカイテイオーはそう思いながら走り、ちょうど1000メートルのポールの直前まで来た。
「…うっし、ほんじゃま全開で行きますか……」
その様子を見て、腕時計でスタートしてからそろそろ1分が経つこと確認した颯太郎は両の拳をターフに突き刺し、足を極限まで踏み込む独特のクラウチングスタートの構えを取った。そして…
…瞬間、音が突き抜けた。
恐ろしい速さで疾走する”それ“は、瞬く間に1000メートル以上先にいたトウカイテイオーを追い越し、ゴールである1周を走り終えた。
沖野がタイムを測ると、ストップウォッチには『1:06』とあった。
「………沖野さん、タイムは?」
「……1:06…」
「ま、1分待ったことを考えると6秒ぐらいか?個人的には5秒前半辺りに入りたいんだよな~」
トントンと軽くジャンプしながらサラリとそんなことを颯太郎が言っていると、トウカイテイオーも1分程遅れてゴールインした。
「お、早かったじゃねぇか。いつ追い越した?」
「………わ、ワ…」
「ワケワカンナイヨー!!」
トウカイテイオーの渾身のツッコミが炸裂した。
「何今の!?すっごい風だったよ!?」
「全力ダッシュした。ただそれだけ」
「えぇ!?嘘でしょ!!?ウマ娘より速いヒトなんてホントにいたの!?」
「……シンボリフドルフの言う通り、俺に勝てたら、間違いなくお前は世界最速のウマ娘を名乗っても過言じゃあないだろう。だが、簡単には俺は越えられねぇぞ?今も尚呆然としているお前に、俺のモットーを教えてやろう」
パンッと右拳を左手に当て、ビシリとキメた颯太郎はトウカイテイオーに続けていった。
「これが、『チームミーティア』のトレーナー…この『真波颯太郎』の流儀だ。覚えて帰りな」
そして颯太郎が部室に戻ろうとした時だった。
『!?』
「ゲッ、面倒なのが来やがった」
ズドドドドと豪快な音を立ててこちらに全力疾走してきたのは、トウカイテイオーと同じく鹿毛のウマ娘…カワカミプリンセスだ。
そう叫びながらピョーンとジャンプして颯太郎にカワカミプリンセスが飛びかかったが…
「ほい」
颯太郎はスルリと身を引いて避けた。そしてその先にいたのは…未だストップウォッチを握っている沖野だった。
「へ!?ちょ、おどきになってえええ!!??」
「いや無茶言うnごふぅうぅーー!!!???」
「あ、ごめん」
カワカミプリンセスからの人間ミサイルならぬカワカミサイルを真正面からくらった沖野はそのまま吹っ飛ばされたのでありましたとさ。
颯太郎は基本的に逆スカウトは受け付けず、自分が決めた『とあるタイプの目標』を持つウマ娘だけをスカウトし、鍛えている。ちなみに、現在彼のチームに志願しているウマ娘は
・マルゼンスキー(以前逆スカウトしたが断られ、以来どうにかして颯太郎をオトそうとしている)
・カワカミプリンセス(ウマ娘より遥かに速く走る颯太郎を自分の求める王子様だと思っている)
・オグリキャップ(土曜日の朝食目当て)
・アグネスタキオン(颯太郎を自分のモルモッ…トレーナーにしたいと思っている)
・エイシンフラッシュ(速さの秘訣を教えて貰おうと思っている)
実際はもっといるとかいないとか。
というわけで、いかがでしたか?
一度ウマ娘をやろうとした時期はありましたが二桁ぐらいリセマラしても花嫁マヤノが出ず、育成もえげつないぐらい難しかったために断念しました。あれでUG出せる人とかどうすんのか知りたいです…。
ガチでウマ娘の二次出してる人と比べると劣るとは思いますが、好きになってくだされば幸いです。
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世界を旅する飛行タイプ使い ID:16aMaGagAIBo
第1話『翼は駆ける、蒼空を』
今回は世界を旅する飛行タイプ使い ID:16aMaGagAIBo
のストーリーです。
ではでは、どうぞ!
※対戦相手の技構成は主の独断で決めていますので、そこんとこご注意ください。
豊かな自然と独特の文化を持つ土地…ジョウト地方。
そこにある最大級のポケモンスタジアムでは、ジョウトの王を決める戦いが始まりかけていた。
観客席から強い歓声が響く中、サウスサイドの入口にスポットライトが集中し、スモークが吹き出る。そこから現れたのは、唾を後ろにした帽子の上にゴーグルをかけ、何故かビリヤードのキューを持つ少年だ。
少年…ゴールドは天に向かってガッツポーズを取り、歓声に応えると、歓声はより一層強まる。
実況の言葉と共に、今度はノースサイドにスポットライトが集中し、スモークが吹き出る。
実況が間抜けな声を出す。それもそのはず、いつまで経ってもノースサイドからチャンピオンが現れない。と、一人の観客が自分にかかる影に気づき、上を見上げて大きな声を出した。
「?………おいアレ!!上だ!!!」
その声を聞いた全員が上を見る。そして…
一人の男がポケモンに乗って急降下してきた。まるで白金を彷彿とさせる大きな金属質の鴉のようなポケモン…色違いのアーマーガアはその巨体に似合わない機敏さで翼をはためかせてホバリングすると、ドスンと着地して頸を下げ、男…ツバサを地面に降ろす。
「ありがとな、『オウガ』。ほい」
「ガアッ!」
ツバサは背中のバッグから大きな桃…モモンのみをアーマーガア…オウガに放り投げる。オウガは器用にそれを嘴でキャッチし、そのままバリボリと咀嚼し始めた。
『おいおいチャンピオン!!!いったいどこまで行ってたんだよ!?今日は試合だろ!?』
「すまん。ちょっとハウオリシティまでマラサダ買いに行ってたわ。オウガならひとっ飛びだし」
『フッリィ~~ダアァム!!この男の辞書に束縛という文字は無いのかぁ!?』
なんとこの男、比較的近いとは言え普通なら飛行機で数時間はかかるアローラ地方の大都市、ハウオリシティまでマラサダを買いに行っていたのだ。無論挑戦者であるゴールドは顔をひきつらせている。
「ふざけてんのかよ、チャンピオン」
「んん?お~、お前がチャレンジャーか。………うん、良い面してるな。ポケモンたちとのコミュニケーションも上々か。大変よろしい。あと、バトルの時は割と気を引き締めていくタイプだから、期待してくれていいぜ?」
『………えっと…と、取り敢えず!チャンピオンも現れた!ルールは交代アリ、伝説幻禁止の66フルバトルだ!道具は持ち物のみOK!互いの全てをぶつけちまえ!!!』
「両者、ポケモンを!」
実況の言葉と共に審判が現れる。その合図に合わせて二人はボールを出し…ゴールドはキューで突き、ツバサは空高く放り投げた。
「いけっ、エーたろう!」
「フワライド、テイクオフ!!」
「エーテッ!」
「フ~ワ~」
ボールから出た互いのポケモン…ゴールドのエーたろうことエテボース、ツバサのフワライドは互いに向き合い、戦闘態勢に入った。
「何だあのポケモン………でも、まずはこれだ!エーたろう!『ねこだまし』!」
「フワライド、『ちいさくなる』!」
ツバサのフワライドは縮小しようとするが、それよりもエテボースのその身体の大きさとは不釣り合いな大きな二股の尻尾が迫る。が…
「エテッ!?」
「はぁ!!?」
エテボースの手はフワライドをすり抜けた。その間にフワライドはどんどん縮んでいく。それを見たゴールドはすぐに結論に辿り着いた。
「…ゴーストタイプか!」
「そういうこと。事前にお勉強ぐらいしときな。フワライド!もう二回『ちいさくなる』!」
「フ~ワッ!」
そうして続けて二回縮小したフワライドは、最早視認すらも困難になってしまった。それを見届けたツバサは次の段階に入る。
「フワライド!次はひたすら『たくわえる』!」
「フワワワワッ!!」
「くそっ!エーたろう!『れいとうパンチ』!」
「エ~テッ!…エテッ!?」
ツバサの指示を受けたフワライドは綺麗なエネルギーをどんどんその身体に吸収していく。ゴールドはさせじとエテボースに指示をするも、エテボースの尻尾は空を切るばかりだ。やがて計6回の『たくわえる』を使ったフワライドにツバサは次の指示を出した。
「よくやったフワライド!『バトンタッチ』!」
「フワッ!」
ツバサの指示を聞くと、フワライドはエネルギーで形成されたバトンを握った直後、ツバサが持つボールの中へと戻っていった。
『おっと、チャンピオンがここでポケモン交代!次は何を出す気だァ!?』
『この流れでツバサ選手が出すポケモンは
「行ってこいカイリュー!」
「バァウッ!!」
ツバサの腰のボールが独りでに開き、中から次のポケモンが現れた。現れたのは、黄色い肌に一対の触角のようなものを持つドラゴン…通称600族と呼ばれるポケモンであるカイリューだ。
『ツバサ選手が次に出したのはカイリューだぁ!チャレンジャーゴールド、大丈夫かぁ!?』
「カイリュー?じゃあ問題ねぇ!!エーたろう!『れいとうパンチ』!!」
「エーテェッ!!」
「カイリュー!受け止めろ!!」
「バウッ!!」
カイリューはエテボースの大きな尻尾から繰り出される極寒のパンチを真っ向から受け止めた。するとカイリューが技を受けた腹部からパキパキと凍っていく。そして数秒後、カイリューは氷の中に閉じ込められてしまった。
「よっしゃあ!!」
「おっ!?」
『なんとここでカイリュー、『こおり』状態になってしまった!!まさに絶体絶命かぁ~!?』
『こおり』状態のポケモンは動けなくなる。それはポケモントレーナーの間では常識である。
「エーたろう!続けて『れいとうパンチ』!!」
「エテッ!エ~テ~ッ…!!」
エテボースは指示を受けてカイリューに尻尾を振りかざしながら猛スピードで接近する。そして攻撃が繰り出される直前、ツバサはニヤリと笑って大声を出した。
「カイリュー!『かえんほうしゃ』!!」
「は!!?」
ツバサが叫んだ直後、突然氷に亀裂が入った。亀裂はどんどん音を立てて大きくなり…割れたと同時に高温の炎がエテボースを包み込んだ。
「エテ~~~ッ!!??」
「エーたろう!?クソ!!なんで『こおり』状態なのに指示が…!?」
「フッフッフ…まだまだ甘いな少年」
「んだとぉ!?」
チッチッチッと人差し指をわざとらしく振ったツバサは得意気に話し始めた。
「『こおり』状態だから絶対動けないってのは間違った常識。フレアドライブやかえんほうしゃ…炎タイプの技の一部には攻撃と同時に『こおり』状態を解除できる技があるんだ。ウチのカイリューはバトルスタイルの関係上序盤は技を受けがちだからな。当然対策済みさ。そして……上級者のポケモンにそうホイホイ弱点を突くのはオススメしないぜ?」
ツバサがそう言った直後、カイリューはどこからか小さなプレートを取り出し、バッと翳す。するとプレートが光の粒に変わり、カイリューに吸収された。そしてカイリューは身体の中の力を解放するかのように大きな雄叫びを上げた。雄叫びはビリビリと会場全体を揺らすかのような威力だ。
「な!?」
『なぁんとォ!!!ここでカイリュー、まさかのパワーアップ!!どうなってんだァ!!?』
『先ほどツバサ選手のカイリューが出した物は、『じゃくてんほけん』と呼ばれるアイテムです。高価な割に一回限りの使い捨てではありますが、持たせたポケモンが弱点のタイプで攻撃された時に攻撃力が倍増するという破格の効果を持っています。そして…ここからがツバサ選手のカイリューの本領発揮ですよ』
「クソ!こうなったら無理矢理押しきってやる!エーたろう!『れいとうパンチ』!」
「エテ~~ッ!!!」
ゴールドの指示を受けたエテボースは、再びカイリューにれいとうパンチを繰り出す。そして攻撃は再びカイリューのどてっ腹に決まり…
「エテッ!!?」
「は…!?」
「カイリュー!『ドラゴンクロー』!」
「バァウウウゥッ!!!」
「エッテ~~~ッ!!??」
「エーたろう!!?」
お返しとばかりに放たれたカイリューのドラゴンクローは、しっかりとエテボースの身体を捉え、そのままスタジアムの壁まで吹き飛ばした。カイリューはフンスと大きな鼻息を出し、ドカンと両手を打ちつける。
「さぁ、少年…いや、ゴールド君。悪いが君には味わってもらうぜ?」
その不敵な微笑みは、ゴールドだけでなく観客すらも戦慄させた。
さて、いかがでしたか?
次回でバトルは終わるかなぁ…
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第2話『次なる旅路、それってEasy?』
というわけで飛行ニキ2話目いっちゃいましょ~。
日もすっかり暮れ、ツバサとゴールドのバトルもいよいよ大詰めとなっていた。いや、大詰めというよりこれはむしろ…
「…ッ!」
「ふむ…どいつも良い鍛え方してはいるんだが…やはり決定打が欠けてるな…なんというか………セオリー通り過ぎるんだよな…もう少しバトルに工夫、独創性を混ぜた方がいいな。セオリー通りってのは強い反面、対策もされやすいぞ」
…蹂躙だった。フワライドとのコンボで強化されたカイリューにゴールドのポケモンは次々に敗れ、現在はニョロトノがダウンしてしまっている。
「舐めやがって…!こんな時にお説教ってか!?その余裕、ぶっ壊してやるよ!バクたろう!」
「バクフウウゥ!!!」
戦闘不能になったニョロトノを戻してゴールドが最後に出したのは、ジョウト地方の御三家ポケモンの最終進化の一体、バクフーンだった。
「いくぞバクたろう!あの舐めた野郎に一泡吹かせてやれ!!」
「バクォアアァ!!!」
「………なるほど、気合い十分か………審判!」
バクフーンを見て何かを感じ取ったツバサは突然、審判に声を放った。
「この試合、悪いが少しルール変更を頼む!」
『!?』
ツバサの突然の要請に、審判どころか観客たちもざわめき始める。
「変更内容はいたって簡単。今から出す俺のポケモンとチャレンジャーのバクフーン、1対1でこの勝負の決着としたい!!」
「はァ!?」
「つまり、今まで俺はカイリューでチャレンジャーのポケモンをすべて戦闘不能にしたが、それをすべて無効とし、次に俺が出すポケモンが戦闘不能になった場合、俺の負けにしてくれ。……言っておくがチャレンジャー…いや、ゴールド君だったかな?誤解しないでくれ」
そう言ったツバサはゴールドに向き直り、言葉を続ける。
「お前を侮るわけじゃない。寧ろ逆さ」
「?」
「…ポケモンも人間も、成長するために最も重要なのは何かわかるか?強い能力?潤沢なアイテム?整った環境?優秀な親?………どれもあと一歩足りないんだ。じゃあ何が必要か…答えは一つ」
「危機感…!?」
「そうだ。危機感だ。人もポケモンも、自分が明確に『ヤバい』と感じた時に最も成長する。時折それは危機的状況における進化をも促す。俺は強さに貪欲なんだ。俺はお前とお前のバクフーンを見て『コイツらはヤバい』と直感した……だからこそ、俺は自らを危機に追い込む。お前も俺も、あと一体。正真正銘、これが最終決戦だ。どうする?乗るか反るか、お前が決めろ」
「………………」
ゴールドが見たツバサの目に、嘘の色はまったくなかった。つまりは本気。本気でツバサはこれを最後の勝負にしようとしているのがよく理解できた。
そうとわかったゴールドの答えは一つだった。
「…そうこなくっちゃな!!いくぞオウガ!!」
『ガアアアァアァァ!!!!』
ツバサの叫びに呼応するように、背後に控えていたオウガがバトルフィールドに降り立ち、雄叫びのような鳴き声を轟かした。
「いくぞバクたろう!!『かえんほうしゃ』!」
「バァクァァァ!!!」
「オウガ!!右斜め上52度に回避!!そのまま上昇!」
「ガッ!!」
「追撃しろバクたろう!地面に墜としてやれ!」
「クアアァァァ!!」
バクフーンはオウガの弱点である炎技のかえんほうしゃで撃ち落とそうとするが、ツバサの的確な指示でオウガはその巨体からは想像もできないほど軽やかに回避し続ける。時折オウガは『はがねのつばさ』で空中から何度か奇襲を仕掛け、バクフーンを翻弄する。バクフーンは七回ほどくらったが、一度返しのかえんほうしゃでカウンターを受け、オウガにもダメージは入っている。
ここで決める。
そう考えた二人の指示は同時だった。
「『ブラストバーン』!!」
「『ブレイブバード』+『アイアンヘッド』!!『特鋼大鳥』!!!」
『ガアアアアアアア!!!』
『バァクァアアアアア!!!!』
ゴールドは御三家ポケモンの最終進化形が覚える究極技を、ツバサは二つの技の合わせ技をそれぞれ指示する。
そして、バクフーンの口から放たれた極温の熱線と合わせ技に回転を加え、さながら巨大な弾丸のようにバクフーンに突撃するオウガが激突し、会場に光と煙が満ちた。
光と煙が晴れたフィールドに立っていたのは…
「ここが『パルデア地方』か…テンションアガってきたな、オウガ!」
『ガア』
ゴールドとの激戦から三日後、ツバサはオウガと共に空港の入口に立っていた。ご丁寧に、ツバサはサングラスを掛け、アロハ柄の着物(おそらくはバカンス風)という訳のわからない服装をしている。
結論を言うと、三日前のバトルはツバサの勝利で幕を閉じた。ゴールドは悔しそうにはしていたが、どこか清々したような顔で「また修行し直す」と言って去っていった。
そのため、ツバサもまた別の地方へ行くかとパンフレットを漁っていると、パルデア地方という聞いたこともない土地が目に止まったので、即決で来たのである。
「さて。これがパルデアへの、第一…」
そう言って、ツバサが目にしたのは…
制服を着た中年男性だった。
「…ヘイロトム。ジュンサーさんに連絡して?」
「なぁるほどねぇ…」
ツバサは改めてパンフレットの中の1ページ…グレープアカデミーに関するページを見ていた。
どうやら、このパルデア地方はテーブルシティにある巨大な学園、グレープアカデミーが地方のメインシンボルだそうで、入学に年齢制限が無いため、中年や壮年の者でも入学できるそうだ。
失礼かもしれないが、たしかにそれを知らない人間からすれば制服を着て学校で如何わしいことをしようとする不審者にしか見えないだろう。
「文化の差って凄いよな、オウガ」
『ガ?』
道中で買ったサンドイッチ…ツバサからすれば、普通サンドイッチは食パンを使うものであって、フランスパンを使うものではないと思う物を鵜呑みにするかのように食べているオウガは、若干首を傾げながらツバサに反応する。
現在、ツバサたちはとある道路を散歩しながらポケモン探しをしていた。
と、その時。
「………ん?」
何やら前方から土煙が上がっている。どうやら、何かが走ってきているようで、ドドドドと地響きのような音も聞こえてきた。そして…
『『『ヌチャアアアアア!!!』』』
「…は?」
巨大なハンマーを持つ小さなポケモンが飛び出してきた。そのままポケモンは、手にした巨大なハンマーをツバサたちに…より正確には、オウガに振るう。
「うおっ!?」
『ガ!?』
『『『ヌチャン!ヌチャン!ヌチャァン!』』』
そのまま、ポケモンたちはツバサとオウガを逃がすまいと取り囲み、臨戦態勢に入る。
さて、ここで思い出して欲しい。
ツバサは転生者であり、ポケモンの言葉や心を読むことができる。
つまり、ポケモンたちの声はツバサにはこう聞こえていた。
『『『ソザイ!ソザイ!ソザイィィィ!!』』』
「…………はい?」
ポケモンたちが狂ったように、『ソザイ!』と叫んでいるのである。
「ロトム。コイツら何だ?」
ツバサの質問にスマホロトムは素早く答えた。
『デカヌチャン。ハンマーポケモン。フェアリー・鋼タイプ。知能が高く、とても豪快。百キロを超えるハンマーで岩を殴り飛ばして、アーマーガアを撃ち落とし、ハンマーを補強する素材にする。デカヌチャンが生息しているため、パルデア地方ではアーマーガアタクシーは運行できない』
「血迷ったかゲームフリーク」
淡々と述べられた、スマホロトムの説明に、ツバサはドン引きしていた。
「何その蛮族。つまりは俺のオウガをハンマーの素材にする、と…舐められたもんだ。オウガ」
『ガァ?(どした?)』
「やっておしまい」
『ガアアアアア!!!(シャオラアアアア!)』
ツバサの指示に、オウガもまた蛮族よろしく単騎でデカヌチャンの群れに突撃していった。
つまるところ、ツバサのオウガはただのアーマーガアではないということである。
ツバサの態度は舐めプというより、ただただ強さや成長に貪欲なだけです。つまり、よく漫画とかで
「強くなるためならなんだってやる」
とか
「俺は…どうしても強くならなきゃいけないんだ!」
とか言うタイプってことです。
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米花町のスパイダーマッ ID:Ito2kaIAraI
file1:『米花町の親愛なる隣人』
今回は米花町のスパイダーマッニキです!
いや言い辛いわ!(タオルを地面に叩きつける)
てなわけで、どうぞ!
東京都、米花町。
最近この町には、とある噂がある。
『親愛なる隣人』と己を称する彼を、その独特の動きから人々はこう呼んだ。
「………………」
眼鏡を掛けた少年…とある組織の毒薬により、今は『江戸川コナン』と名乗って、自身の身体を小さくした組織を追う、高校生探偵の工藤新一は、居候している毛利探偵事務所の真下の、『喫茶ポアロ』でジュースを飲んでいた。
しかし、その目と意識はジュースとは関係ない方を向いている。
その視線の先には、サンドイッチと紅茶を横に置き、カタカタと何かをノートパソコンに打ち込んでいる
彼がその青年に意識を向けている理由は、彼がポアロに入って席に着いてすぐに、青年が口にした言葉だった。
「(何だこの男…今日は土曜日だから、会社員の営業ってわけでもなさそうだし、黒一色………いやいや、さすがにそれはないか)」
その青年は、コナンが席に着く前から一心不乱にノートパソコンの画面を見て、時折片手でサンドイッチを食べながらも、キーボードを打つ手を一切止めなかった。が、不意に手を止めた青年が放った言葉の一部は、彼に疑心を抱かせるには十分だった。
「………やはり、ジン…」
「(ジン!!?)」
その言葉は、コナンにとっては聞き捨てならないものだった。
ジンとは、彼が追う黒ずくめの組織の構成員の一人にして、自分に例の毒薬…アポトキシン4869を飲ませた張本人。彼ら組織のメンバーは、互いを酒の名前をコードネームとして呼び合う。そして、彼らは常に黒で統一された服装をしている。
青年は黒のパンツに黒い長袖のTシャツ。更に黒いパーカーを羽織り、黒で統一された服装だ。
「(まさか、本当に奴らの仲間か…!?)」
「………さて」
「!」
パタンとノートパソコンを閉じ、会計のためにレジへ向かう青年に、コナンはこっそり小さなボタン型の発信器を指で弾き飛ばした。
発信器が青年のパンツの裾に付いたことと、青年が会計を終わらせてポアロを出たのを確認し、コナンも会計を終えて追跡を始めた。
自身の眼鏡のボタンを押して、青年と一定の距離を置きながらコナンは青年の後を追う。
「(この先は公園…奴らと待ち合わせか?)」
発信器の電波が公園で停止したのを見ながら、コナンは公園に入る。そして茂みからそっと顔を覗かせた彼が目にしたのは…
ベンチで休んでいる、一匹の猫だった。
「…猫?」
コナンは目を疑いながらも、そっと猫に近づく。猫は人懐っこいのか、コナンの近くに寄ってきた。コナンはそっと猫を抱えて背中を見ると、自分が青年に付けたはずの発信器が付いていた。しかも、何やらメモが貼られている。
「何だこれ…?」
メモを取ると、そこにはこう書かれていた。
『詰めが甘い』
「そう。詰めが甘い」
「!?」
思わず猫を手放し、コナンはバッと後ろを振り向く。猫は驚いたのか、逃げていった。
そこには、先ほど発信器を付けた青年が、缶コーヒーとジュースを両手に持って立っていた。
「少々文明の利器に頼りすぎだよ、少年。………まぁ、私が言えた義理ではないがね」
「お前…!」
青年に意識を向けつつ、後ろ手で自身の時計…より正確には、腕時計型麻酔銃をいつでも発射できるように準備する。
「それは今この瞬間にも言えることだ。普通の子供なら距離を取るか、大声で助けを呼ぶところだが、一歩も動いていない。恐怖で足がすくんでいるともとれるが、目が恐怖に染まっていない。それは則ち、『形勢を変える手がまだある』ということだ。大方、その後ろ手に回した時計か何かかな?」
「なっ!?」
コナンは目を見開いた。青年は冷静に、そして的確に彼の次の手を予測してみせたからだ。
「…安心したまえ。私は、君が想定している者ではない。寧ろ逆なんだけどね」
「…どういうことだ」
「簡単だよ。この服装は撒き餌さ。君のように、黒ずくめの組織を追う者を見つけるための、ね」
「…ッ!?てことは、アンタも奴らを…!」
「『も』ということは、やはり奴らを追っているのか」
「あ…!」
「そう焦らなくてもいい。だが、一応事情を聞かせてくれないかい?」
「………まず、アンタは誰なんだ?」
「あぁ失敬。申し遅れた。私はこういう者だ」
そう言って青年は懐から名刺を取り出し、コナンに手渡して名乗った。
「『警視庁特別技術顧問』、副業で投資家をしている『雲波糸司』だ。」
「特別技術顧問…?」
「顧問と言っても、私の発明品の一部を警視庁に提供しているだけだがね。そして君は?…まぁ、言わなくても大体察しはついてる。そうだろう?
「!!?」
唐突に自身の正体を言い当てた糸司に、コナンは動揺を顔に出した。小学校低学年の姿となっている今の彼を、どうやって工藤新一と見抜いたのか、理解できなかったからだ。
「少し考えればわかる話だ。まず、最近までそれなりにメディアに露出していた君が、ある日パッタリ姿を見せなくなった。海外で事件解決に勤しんでいる、とも聞くが、それにしては海外での目撃情報が無い。つまり、何らかのトラブルでも起きたと考えるのが自然だ。そして奴らを追っている少年…小学生にしては肝も座りすぎている上に、すぐさま次の一手を考える。おおよそただの小学生ではない…これらを組み合わせると、そう結論づけないと逆におかしい。…立ち話もなんだ。ついてきなさい」
そう言って踵を返した糸司に、コナンはまだ少し怪しみながらもついていった。
「ここが私の自宅だ」
「おい嘘だろ…!?」
コナンは再び自身の目を疑っていた。
なぜなら、糸司の自宅は彼の眼鏡や腕時計を開発した阿笠博士の家の隣、つまり彼の工藤新一としての自宅の二つ隣だったからだ。
「さ、どうぞ」
「………」
糸司はコナンを連れて廊下を歩く。そして、二階へ上がる階段の隣で不意に足を止め、壁の方を向いた。
「さて、私は君の秘密を知った。ならばこれから君には相応の秘密を此方も明かさなければフェアじゃあない。その秘密は、この壁の先にある」
「秘密って…見た感じ、ただの壁だろ」
「君にはもう少し、ロマンを理解してほしいね。こういうことさ」
「は!?」
その言葉と同時に糸司が壁を押し込むと、壁の一部が開いて何かの装置をセットする台座が現れた。そこに糸司はスマホ型のデバイスをセットし、暗証番号を打ち込む。すると、今度はその左隣の壁がスライドして、エレベーターの扉が出てきた。その様子は、さながら近未来の秘密基地だ。
「入りたまえ」
「…何がどうなってんだ」
「来ればわかるさ」
そして二人はエレベーターに乗って地下に着く。そしてドアを開けると、今度は金庫のようないかにも頑丈そうな扉と、その右隣には手の形の線が描かれた台座があった。
「さあ、私のラボにようこそ」
糸司が台座に手を置くと、指紋認証が完了して扉が展開される。
そこには、様々な機械や工具、失敗作らしきガラクタが散乱しており、壁にはパワードスーツのような鎧が保存されていた。
そして何よりコナンの目を引いたのは、ラボの中央にあった
「このスーツって…まさかアンタ…!!」
「その通り。私の正体は…」
そう言いながら、糸司はパーカーを脱ぎ捨て、シャツに付いている蜘蛛のようなワッペンを押し込んだ。すると、ワッペンから流動する機械…ナノマシンが展開され、瞬く間に糸司の身体を包んだ。そのまま糸司はナノマシンが身体を完全に包むと同時にバク転し、ビシッと構えを取り…
スパイダーマンが、そこにいた。
さて、いかがでしたか?
アイデアはあるのに、いざ文章にするとなると難しい…難しくない?
そして黒鉄の魚影すっごく面白そうなので見に行きたいです。しかし課題が…課題が…!(大学生の憂鬱)
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東京皇国のゴーストライダー ID:hElbA1K315
第壱話『裁炎の骸』
このストーリーは
東京皇国のゴーストライダー ID:hElbA1K315
のストーリーとなっています!
それでは、どうぞ!
人の死因にも、色々あります。
老衰、自殺、病死…科学的な死から不可思議な死まで、人の産まれ方より遥かに多い種類が。
しかし、今この世界において最も多い死因は…
拝啓、向こうで今も農家を営んでいるであろう父様、母様。
「ほ、焔ビトがもう一体…!?」
今の自分を、助けてクレメンス。
そもそも、生前の私は日本の山奥…とまでは行かずとも、やや都会寄りの田舎ともいうべき地域の農家の出でした。高速や鉄道へのアクセスもそれなりに良く、それでいて自然豊かな所で、果物を中心とした農家をしていました。
そして私はと言うと、農家の手伝いこそしていましたが、テレビでやっていた世界中の格闘家による総合勝ち抜きバトルロワイヤルという、全く異なる格闘技を極めた格闘家同士が試合をすれば、どの格闘技を極めた者が頂点に立つのか、というコンセプトの番組を一目して、その中で繰り出される数々の武術の美しさに一目惚れ、大学卒業後は各国の武術、格闘技を巡る独り旅に出ました。
親は「やりたいようにやってこい!」とおおらかな言葉で送り出してくれましたよ。今考えるとその土地でやってた大会とかで優勝したりして貰った賞金の半分くらいを仕送りしたりぐらいしか大学卒業後は孝行できてなかったなぁ…
でも、まさか土砂崩れに巻き込まれてそのまま死んでしまうとは…まぁでも、岩盤をなんとか支えて逃がしたあの一家、助かったろうか…
いや、今はこの謎過ぎる状況を何とかせねば。
まずは人助けだ。
「はぁっ!!」
初手は開幕ドロップキック。おそらく裁判官と思われる人を燃やそうとしている発火ゾンビの横っ腹に重たいのが入った。そのまま発火ゾンビを吹っ飛ばし、すぐさま裁判官と発火ゾンビの間に割り入り、左足を前、右足を右斜め後ろに、腰を深く落とし、左手はいつでも掴みからの投げ技をできるように開け、右手は中指だけを根本の関節に軽く当てながら、ゆったりとした握り拳を作る戦闘態勢に入る。
「今すぐ逃げてください!ここがどこなのかはわかりませんが、奴の近くにいるのは危険です!」
「は、はいぃ!!」
「…!くっ!!」
慌てて逃げようとする裁判官の方へ、先ほど発火ゾンビを吹き飛ばした方から炎のロープのようなものが一直線に延びていく。咄嗟にそれを掴み、すぐさま右腕に巻きつけて手繰り寄せながら追加で顎へ飛び膝蹴りをかます。
「舐める、なッ!!(こんな狭い空間で戦うのは分が悪い!まず外に出て仕切り直さないと!)」
そのまま相手が飛ばしてきた炎のロープを使って、外の方へ誘導しながら格闘戦を繰り返し、やがて二人(?)は裁判所の扉を破りながら外へ転がり出た。
「『焔ビト』…それがお前の名か………ん?」
ちょっと待て、今コイツ何て言った?
てか、よく見たら手が燃えて骨…あれ?
それによく見たら、いつの間にか着ていた黒いライダースも、身体に巻かれてる鎖も同じ炎で…
「燃えてェェェェ!!!?」
次の瞬間、私の目の前で発火ゾンビ…焔ビトは、いきなり飛んできた少年のキックをくらって、少年の上に乗っていた金髪の少年と一緒にゴロゴロと地面をローリングしていった。更に起き上がった焔ビトは、金髪の少年の裏拳をくらって更に後ろへ吹き飛ばされる。
「えぇ…?」
目の前で起きた出来事に目を疑って、ごしごしと目を擦る。そして改めてその手や足、身体を見ると、私は全身を黒の生地に銀色の装飾を施したライダースを身に纏い、その上から
「でも、これどっかで見たことあるような…あ」
そうだ、思い出した。たしか、アメリカのTS○TAYAみたいな店のDVDコーナーにあった、洋画の…たしかタイトルは…
「『ゴーストライダー』…?って危なッ、い!」
そう呟いていると、突然左から蹴りが飛んでくるので、反射的に足を両手で掴んでそのまま左手を上に両手斧を振り下ろすような形で投げ飛ばす。蹴りを入れようとした張本人…黒髪の少年は投げ技にこそ驚いたようだが、すぐに着地し、足から炎を吹き出して構える。
「どちら様ですか…!?」
「第8特殊消防隊だ!!焔ビト!」
「…消防隊?今時の消防隊って、火を足から出すんですか?えっと…一応お聞きしたいんですが、どこのどういった流派なのかお教えいただければ嬉しいんですけど…」
「ハァ……!?」
「あ、自分、昔から武術が好きでして。できればお教えいただけると幸いなんですが………あ、あと先ほどから仰られている『焔ビト』についてもお教えいただけると嬉しいんですが…焔ビトって何ですか?」
「お前、焔ビトなんだろ!?なんで焔ビトが焔ビトのことを知りたがるんだ!?」
「いやあの、一応私も自分の今の見た目とか、この状況に混乱してまして…えっと、焔ビトって、燃えてる以外に何か特徴みたいなのはありますか?もしかしたら、それで判別できるかもしれませんし」
「…じゃあ、核はどこだ」
「核………?核と言うと……心臓みたいなもので良いんですかね?えっと…あれ?私これ心臓あるんですか?」
一応ライダースの中の身体(身体と言っても実際は骨だけだが)をまさぐって、胸骨の裏側などに手を突っ込むが、核のような固体物は骨以外見つからなかった。
「…まさか、核が無いのか…!?じゃあお前、なんで生きてるんだよ!?」
「いや~、なんでと言われましても…少なくとも自分とアレを一緒にされるのは酷いですよ。まず私、人を殺したこととかありませんし」
「はぁ…?」
「…あと、あちらのお仲間さん、助けた方が良いのでは?」
「あぁ、アイツは大丈…」
「!避けて!!」
「うぉっ!?」
ゴーストライダーは咄嗟に少年を突き飛ばして間を空けると、そこを特大の人魂のような炎が通り過ぎ…焔ビトの正拳突きで消滅した。
「プスプス・コメットさ~ん!?」
「け、怪我は無いですか!?」
「…あ、ハイ!」
「危ないですよお姉さん!!仲間を巻き込む勢いでしたよ今の!私はまだしも、彼に当たってたらどうするつもりだったんですか!?」
「え!?え、えと…す、すみません…」
「私じゃなくて、彼に謝ってあげてください!」
「ご、ごめんね森羅くん…」
「………もしかして、良い人…?」
血相を変えて、女性…茉希に詰め寄り、なぜか説教を始めたのを見て、少年…森羅は頭に疑問符を浮かべていた。
「本当に喋っているな…自我が残っているのか」
「生への執着や意思が強いと、生前の性質が残りますが、あそこまでのは………おい森羅。そして茉希。お前たち何をしている…!」
そこへ、茉希と同じ服装をした二人組の男がやって来たのを見て、ゴーストライダーはズンズンと歩み寄る。
「貴方たちが彼女の上司ですね!?彼女にはどういう教育してるんですか!?彼女が飛ばした火、危うく彼も巻き添えになるところでしたよ!!?私に飛ばすのは…まぁ、こんな見た目だから飛ばされてもおかしくないかもですけど、彼に当たってたらどうするつもりだったんですか!?」
「………大隊長。この焔ビト、何か妙です」
「そうだな…少なくとも、焔ビトに部下のことで叱られたのは人生で初めての経験だ…名前は?」
「名前?名前ですか……ゴストラ、ですかね…?」
生前の名前を名乗るのは何だか違うような気がしたので取り敢えずゴーストライダーを略したが、どうやらそれで受け入れられたようだ。
「ゴストラか…森羅を助けてくれたこと、感謝する」
「あぁいえ、自分は人を襲ったりとか、そんなことをするつもりは毛頭無いので。こちらも攻撃をした当事者でもないのに、すみませんね」
「いや、部下の責任は俺の監督不行きだ…あと、一応聞きたいんだが…焔ビト…なのか?」
「いや、それが自分にもサッパリで…彼が言うには、焔ビトには核があるそうなんですが…私の中に、核ありますか?自分で見ただけだといまいちわからなくて…」
そう言ってゴストラはライダースを脱ぐと、男…第8特殊消防隊大隊長の秋樽と、眼鏡の男…中隊長の武久はゴストラの骨と炎だけの身体を観察するが、核らしきものは見つからなかった。
「…いや、無いな。どうやって生きてるんだ?」
「さぁ…その辺りは私にもサッパリでして………ってしまった!!待て!!!」
『!?』
ゴストラが秋樽たちと話している隙に、焔ビトは見た目相応の跳躍力で逃げていった。
「森羅!!追え!この中で奴を追えるのはお前だけだ!!」
「ッはい!!」
「私も追います!奴を逃がしたのは私のせいですので。皆さんが追いつくまで、彼のアシストぐらいはお任せを!」
そう言ってゴストラは人差し指と親指を歯だけの口に咥え…高い指笛を鳴らした。
「!?何を………この音は…?」
すると、空の彼方から、両サイドにボンベのようなブースターを付け、ゴストラ同様にタイヤなどが燃えている禍々しいバイク…ヘルバイクが飛んできて、ゴストラの前に着陸した。ゴストラはそれに跨がると、何かの感覚を感じ取った。
「(これは…知識…?いや、感覚だ。わかる。初めて触れるのに、まるで自分の手足みたいだ。)いきます!」
そう言った直後、ボンベ…ヘルアクセラレーターからジェット噴射のように炎が吹き出し、ゴストラは森羅が残した飛行機雲を追って空へ消えていった。
「…桜備大隊長。奴は何者なんでしょうか」
「さぁな。だが…味方なのは間違いなさそうだ」
秋樽には、どこか確信めいたものがあった。
さて、いかがでしたか?
正直スレ民は皆思いつきの塊だからどうしても稚拙になりがちだと思っている今日この頃です。
では、また次回で。
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