柔らかい世界と硬い世界。………あと河童ァ! (マスケーヌ/東風ますけ)
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とりあえずなんとか編って付けてればなんとかなるやろ編
第1話「全ては三角コーナーから始まった」


東風でーす!ご愛読!ありがとうございます!!


 

「はぁ……。………疲れたーー!!!」

 

中学生の河童の少年が一人そう呟いた。いや、叫んだ。

彼はルーベルト。この物語の主人公になるかも知れないし、ならないかもしれない少年だ。

きっと学校から帰ってきて、疲れが出で来たのだろう。だからって叫ばなくてもいいと思うが。

 

時は20XX年。人間は妖怪や神と共存していた。

日本は人間が5割。妖怪が4割。

神が1割と言うバランスで成り立っていた。

此処には何の差別もなく皆、何不自由なく生活している。

 

さて、そんな平和な日本で生活するルーベルトは

一体どんな生活をして居るのだろうか?

 

■■■■■■

 

「はぁ、疲れたー」

 

今日は学校があってホント疲れたわ。

週に4日って多過ぎだろ。

昔は5日行ってたらしいけどな。

さらに昔なんか週6だってよ……。

考えただけで眩暈がして来たわ。

 

「こんな日は、ネギを丸齧りするしかねぇぜ!だってネギはうめぇしな!」

 

疲れた時はネギ丸齧りと相場が決まっているため、俺は冷蔵庫から、バッ。っとネギを取り出して齧ろうとした。

 

…………のだが、

 

「あの三角コーナー光ってね?」

 

ピカッ!ピカピカ!!

 

何と!三角コーナーが光り輝いていた!

 

「何アレ怖い」

 

三角コーナーはずっと輝き続けている!

………あまりに光るので俺は恐る恐る三角コーナーを覗きに行った。光っていたモノの正体は………!

 

ニ ン ジ ン の 皮 だ !

 

「何で昨日カレーを作る為に使ったニンジンの皮が光ってるんだ?常識的にあり得ないだろ?ニンジンの皮が光るなんて?」

 

そう呟きながら俺がニンジンの皮を持ち上げると………

 

ニ ン ジ ン の 皮 が 宙 に 浮 い た !

 

そしてニンジンの皮は膨らんでいき、いつしか女の子になっていった?(疑問形)。

その少女の見た目はとても美しく、幼い顔立ちからは想像できない妖艶な雰囲気を纏っている。

 

何で?どして?と俺が混乱して居ると幼女が喋り出した。

 

「久しぶりっキャ!ルーベルト!」

 

スゥゥゥゥ…(腹式呼吸っぽい何か)。

 

ハァァァァ…(深呼吸)。

 

久しぶり!と言ってくる幼女に対して俺は平常心をやっとの思いで保ちつつ、一つ。質問をする事にした。

 

「アンタ、人参の神様か?」

 

俺がそう問うと幼女が。

 

「違うっキャ!」

 

なんと否定してきやがった。

 

「じゃあ何の神様なんだよ?あんな登場の仕方初めて見たわ!」

 

と俺が質問をすると。

 

「神様じゃないっキャ!」

 

どうやら神様じゃないらしい。

だが俺は信じない。

 

「嘘つけ!神様じゃなきゃあんな事できねぇだろ!」

 

と言い返した。しかし幼女は。

 

「だーかーらー。神様じゃないって言ってるっキャ!」

 

と言ってきた。何言ってんだこの娘?

この世界であんな登場の仕方をするのは神様くらいしかいない。居てたまるか。

 

「ワシは唯の異世界人っキャ!」

 

「ふぁ???」

 

………異世界人!?

 

この子供が?見るからに『ザ・幼女』って見た目してよく言うぜ。

てか、一人称がまさかの「ワシ」。

ワーオ………情報量のオンパレードだ。

やめてくれ。俺の頭がバグる。

 

ボシュッ!(脳がショートする音)。

 

白旗ひーらひら。

頭も白旗を上げ始めた(物理的に)

 

「降参だ。もう辞めてくれ。キャラが濃いのは良いが属性の盛り過ぎは良く無いぞ?」

 

「……キャッ…!キャラ付けじゃないっキャ!てゆうかルーベルト?ワシのこと忘れちゃったのっキャ?」

 

覚えているかと聞かれても……知らないものは知らないしなぁ。

 

「………本当に、覚えていないっキャ?」

 

「悪い。俺、本当に君の事を知らないんだ」

 

悲しそうな表情をしていた幼女に対して俺は謝ることしか出来なかった………………。

 

 

カチ、カチ、カチ、と時計が鳴り響く。

オレンジ色の髪をした幼女は目頭を赤く染めながらこちらを見ていた。今にも泣きそうだ。

 

しばらくして、幼女は頭の整理が追い付いたのか此方に向き合って。

 

「しょうがないっキャ!こうなったら説明は後っキャ!ルーベルト、お前を『ソフトワールド』へ招待するっキャ!」

 

「ふぁ!?」

 

幼女がそう言った瞬間、

地面に半径1メートルくらいの黒い穴が空いて次の瞬間。

 

俺は…………………!!!

 

「ア”ア”ア”ア”ア”ァァァァ!!」

 

「イヤッホー。っキャ!」

 

重力に従って落下していった!

 

■■■■■■

 

この物語は2つの世界の命運を背負った少年が、

2つの世界を行き来して、

ふざけながらも世界を救う。

 

そんな『異世界旅行冒険記』である。

 

かもしれない?

 

………かもよ?

 

………………多分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくれてありがとナス!


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第2話「テンプレは、まぁ、いい奴だったよ」

本日は2話投稿⭐︎明日からは1本だぜ〜。

追記。
毎日投稿する言ったな?アレは嘘だ。ウワー!


 

逆さまになった氷山。

巨大な世界樹。

浮かぶ空島。

七色に光る森。

荒れ狂う青色の川。

これって正に!

 

「ウォォォォ!!いーせーかーいーだー!」

 

「ワシからしてみればただ帰って来ただけだったけど、ルーベルトから見たら確かに「異世界」っキャね」

 

因みにこの二人。普通に会話しているが上空二千メートル程から現在進行形で落下中である。当然そのままだと地面にケチャップが散ることになる。

 

「これどうやって着地するんだ?幼女よ」

 

「あ〜。ワシ、考えてなかったわ。っキャ!」

 

「ん。………ヤバくね?」

 

「………うん。詰んだっキャね」

 

ふーん。此処が俺の人生の終点かぁ……。

 

「ちょっとキツイわ。やり残したこと沢山あるんだけど。例えば自分の好きなアニメを見るとかゲームするとかさ。まぁ死って終わりであり、始まりでもあるからな。悪くないかもな(悟り)」

 

「あっ。パラシュート持ってたの忘れてたっキャ」

 

「最初から出せやこの野郎」

 

「ワシ、男じゃ無くて女の子なんじゃけど。っキャ」

 

「いちいち言わなくても見りゃわかるわ」

 

てかさ。パラシュート間に合わなくね?

地上まで残り百メートルくらいなんだけど。絶対に間に合わないよね?

 

「あっ(察し)死んだわ。コレ」

 

「やっと用意出来たっキャ。パラシュート展開っキャ!」

 

パラシュートは地上ギリギリで展開した。

手を繋いでいた俺たちはアンバランスに揺れ続けながら不時着した。

正確には俺が幼女に引っ張られる形で。

 

「マジでお前勿体ぶるなよ?生命の危機だよ?

少しでも遅れたら俺たちトマトよ?トマト。

わかるか?トマト?」

 

「ワシの名前はトマトじゃないっキャ!『キャロ』っキャ!」

 

「悪かったって。それでトマトよ。(キャロっキャ!)へいへい。………んでキャロに質問をいくつかしたいんだけど?」

 

俺がそう言うとキャロは胸を張って………。

 

………壁を突き出して話し始めた。

 

「なんか失礼な事考えていないっキャ?まぁいいや。もしかしなくともこの世界のことだと思うから説明していくっキャ!」

 

「おっ。察しが良いねぇ。んなら頼んだ」

 

キャロはまな板を突き出し、腕を組んで話し始めた。

 

「この世界は『ソフトワールド』と言ってとっても簡単で柔らかく、脆い世界だっキャ!」

 

「脆い?柔らかい?何が何だかサッパリだ」

 

「もっと詳しく説明するっキャね。この世界は、ルーベルトの世界。『ハードワールド』の対の世界っキャ!」

 

「なるほど。わからん」

 

「対と言っても何でもかんでも反対ってわけじゃないっキャ!むしろ1つのものが2つに分かれてしまったと言った方がわかりやすいっキャ!」

 

あー。大体わかったわ。つまり異世界って事ですね。わかります。(わかってない)。

異世界と分かったら早速…!俺は肘をキャロにグイグイと押しつけて。

 

「あ、あの〜。キャロ様?異世界から来たら。その〜……能力とか無いでしょうか?例えば自分しか使えないチートスキルとか」

 

「あー。ルーベルト。お前、もしかしなくとも異世界転生とかに憧れていたっキャ?もしかしなくともヲタクっキャ?」

 

「私、ルーベルト。異世界の能力。具体的には魔法などに憧れておりました。それで?キャロ様?私はなんらかの能力を頂けたらその………いえいえ!私はキャロ様の家来ですので。はい!」

 

と俺が手をモミモミしながらキャロ………。

 

『キャロ様』にねだるとキャロ様はいわゆるうわぁ顔をしながらこちらを見てきた。

 

「うわぁ……物の見事な手のひらドリルっキャ…。

因みルーベルト」

 

「はい!何で御座いましょうかキャロ様!」

 

「お前にやる能力なんかないっキャ!」

 

「舐めてんのかこのロリがぁ!!!」

 

俺は能力が貰えないと聞き、その場で地団駄を踏んだ。

 

俺が態度を一変するとキャロが。

 

「此処までくると清々しいレベルの手のひらドリルっキャ。普通に考えたらわかるでしょ?何もしてこなかった普通の人が都合よく最強になることなんて有り得ないって(辛辣)」

 

キャロは語尾をぶん投げて俺にマジレスしてきた。…うん。まぁ確かに都合が良過ぎるのもつまらない…か。でも、能力は何かしら欲しい。

 

「なぁ?キャロ?異世界転移とかのテンプレって知ってるか?大体は最強とはいかなくても何かしら貰ってからスタートするんだぜ?」

 

「アイツ(テンプレ)はまぁ、いい奴だったよ。というかそんなにスキルが欲しいなら自分で作ればいいっキャよ。冒険者になればスキルなんて自作できるっキャ」

 

キャロ曰く、冒険者ライセンスを受け取れば自分の思うように能力を作れるらしい。

 

「キャロ。俺、間違ってたよ。スキルってもらうモノじゃなくて自分で工夫して作るモノだったよな!」

 

「誤解が解けて何よりっキャ。さて、ワシたちが活動する拠点に向かうっキャよ!ルーベルト」

 

「おうよ!!」

 

さて、異世界が俺を待っている!(使命感)

そのきょてんとやらを目指そうか!

 

 

 




読んでくれてオニイサンウレシイ!


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第3話「冒険者ギルドよりも大切な……」

読んでくれて感謝の極み。


 

異世界に来てまず行くところと言えば冒険者ギルドと思い浮かべる人が多いと思う。俺もその一人だった。

だが俺はこの世界に来てその常識が覆った。

 

「役所ってパターンは見た事なかったわ」

 

時は少し遡る。

 

ギュイイインンン!!!

 

「そういう効果音で時を戻すんだっキャ」

 

「回想に割り込むなよ」

 

■■■■■■

〜十分ほど前〜

 

「なぁ、キャロ?やっぱ異世界っていったら冒険者ギルドだよな?スキル作れるって言ってたしよ?

 

俺たちは不時着した所から最も近い国。そして世界最大の自由国家。『クリーム』を目指した。そこがコレから俺が拠点とする場所だ。

幸い、不時着地点から二日ほどの距離だったのでそこまで時間は掛からなかった。逆を言えばテレポートしたのに二日もかかった。

 

道中、村などに立ち寄り、食料(タコス等)を補給しながらこの世界の説明をキャロから受けながら進んだ。

そんな暇な状況で出た話題が冒険者ギルドだった。

 

「っキャ↑っキャ↓っキャ!スキルを作りたがる気持ちはわかるっキャが、最初に行くのは冒険者ギルドじゃないっキャ!」

 

独特な笑い方をしながらキャロがそう告げた。…どっかで聞いたことあんだよな…。こう、ニンジンとシンパシーがありそうな………。

 

てゆうか冒険者ギルド行かないのかよ。

 

「マジで?ほら、よくあるじゃん。冒険者カードが身分証明書だったりとかさ。だから最初は冒険者ギルドじゃないのか?」

 

「そんなガバガバシステムで国に不審者が入って来たらどうするっキャ?第一、ルーベルトは夢を見過ぎっキャ!まぁヲタクだからしょうがないっキャ!」

 

ちっ、覚醒イベント来ないか期待してたのに。具体的には俺の隠れた才能が冒険者ギルドのライセンスに「???」で出るとかさ。俺TUUUUEEEEEとかないん?

あと俺のことヲタク扱いしたな?そうだよ。正解だ。

よく分かったな…(震え声)

まぁでもそうだよなぁ。現実はそんなに優しく無い。わかってたさ。

 

気を取り直してキャロに目的地を尋ねる。

 

「んじゃ何処行くんだ?」

 

「それは着いてからのお楽しみっキャ」

 

その後、俺がどんなに質問してもキャロは

「着いてからのお楽しみ」の一点張り。

質問するのを諦めた俺は取り敢えず、足を止めないようにということだけ意識しながら進み続けた。

にしても異世界に来てからあんまし異世界っぽいことして無いなぁ。

異世界転生じゃなくて異世界転移だからか?

まぁいいや。

 

■■■■■■

 

十分ほどが経過した。『クリーム』に近づくにつれて

色々な種族が見られるようになった。

エルフやドワーフ。巨人や小人。精霊や妖精。ここにはファンタジーに居そうな種族が大抵いる。あとちょっと和風な妖怪っぽい奴もチラホラいる。なんでもアリだな。

 

色々な種族が入り乱れている中何も争いが起きないのはこの都市の治安の良さを物語っている。たぶん。

ていうかここ来てから争い事や揉め事を一回も見ないんだけど治安良すぎんか?

みんな穏やかなんだなぁ。長い剣を持った彼の有名なセリフはこの国では言えなそうだな。

街も想像していた中世っぽいヤツかと勝手に思ってたけど意外にコンクリートなどで整備されていてかなり近代的だった。マジで近代だな。SFって程じゃなく、俺たちに近い感じだ。これならすぐに馴染めそうだ。

 

っと、キャロが遂に脚をとめた。

 

「ルーベルト、着いたっキャ!この世界に来てまず最初に行く所と言えばココ!っキャ!」

 

建物を見てみると扉に剣とか動物の骨とかは無く、有るのは判子と紙のマークだけ。

まさかコレは………!

 

「役所ってパターンは見た事なかったわ」

 

俺がそう呟くとキャロが、

 

「ルーベルトの異世界のイメージは凝り固まり過ぎているっキャ!大方、ルーベルトの世界『ハードワールド』での中世辺りのを想像しているんだと思うっキャけど、そうじゃないっキャ!そっちとほぼ同じっキャ!」

 

「やっぱりそうか。でもこの世界ってファンタジーじゃ無いの?」

 

そう言いながら扉を開けようとしたら勝手に開いた。自動ドアか。

俺たちはひとまず、役所の列に並び、それから話し始めた。

 

「多分ルーベルトはこの世界には不思議な物があまり無いと考えていると思うっキャ!でもそれは半分正解で半分不正解っキャ!正しくは「剣も魔法もあるけど電話も銃もある」っキャ!」

 

「マジか!寧ろテンションが上がって来たぜ!最高じゃねぇか!!!」

 

だってオサレやん。魔法と科学が混ざるの。

いやー!早く魔法使えるようになりてぇー!

 

「まぁ、ルーベルトが魔法使えるかわからないけど」

 

「え?」

 

ちょっと待って!?今、聞き捨てならないこと呟いたんだけど!この幼女!!

 

あっ!順番来ちゃった。めっちゃ気になる!!!

 

「お待たせしました。今回はどのようなご用件でしょうか?」

 

役員さんがそう言うとキャロがコッチを向いてニヤつきながら「まぁ任せろっキャ!」とアイコンタクトをしてきたので俺は取り敢えず黙って見守ることにした。

 

「あー。今回はそこに居る、ルーベルトって言う奴の戸籍を登録したいっキャ?」

 

成る程。戸籍を最初に作りたかったのか。当然といえば当然か。

でもそれだけなら勿体ぶらず、さっさと言えばいいものを。

 

「ハードワールドから来た方?ですね。登録には未成年なので保護者が必要です。誰か責任を取れる大人は居ませんか?居ない場合は施設で親を探しながら過ごしてもらいます」

 

役員さんは微笑みながら、我が子を見るような優しい目でキャロに優しく告げた。しかし、その内容は驚愕どころでは済まないモノだった。

 

「ワシが保護者っキャ!!!」

 

「「ん?」」

 

役員さんとシンクロした。

放心状態だった役員さんは言葉を理解したようで、

 

「お嬢さん?貴方、何ならそこの彼よりも幼いですよね?貴方では流石に責任を持つのはちょっと……」

 

うむ。全くの正論である。

……何か役所にいる人の視線が此方に一点集中し始めた。(ざわざわ)(あんな小さな子が頑張ってるのに隣の男は黙りかよ)

 

視線が痛い。

 

俺が「どうするんだ」と視線を送るとキャロからは「まぁ見てろ」としかアイコンタクトが帰ってこない。

 

「しょうがない。ワシの名前を言うっキャ。ワシの名前は『キャロ・クリーム』っキャ!」

 

キャロが本名を言った瞬間、役所にいた全員が此方を向いた。目が血走ってる。控えめに言ってホラー。

 

「なぁ?キャロ。お前なにかヤバいことしたか?めっちゃ見られんだけど。てかお前国王かよ」

 

「しょうがないっキャ」

 

名前を聞いてからずっとプルプル震えていた役員が遂に喋り出した。

 

「ほ、本当に……キャロ様…ですか?」

 

周りの人達も「まさか」と言うような顔をして、 

 

「そうっキャ!」

 

キャロのたった一言でひっくり返った。みんなでんぐり返りを5回くらいしてから立ち上がった。

 

「まさか、あの王女!キャロ様が帰ってきただなんて!国でパレードですよ!」

 

え?この幼女。そんな顔知られてなかったの?

なんで?いつも引き篭もってたの?

頭が回らなくなった(思考を放棄したとも言う)俺は取り敢えず天を仰いだ。

あるのは無機質な天井だけだった。

 

「取り敢えずこのルーベルトをワシの養子に登録しておいてくれっキャ!」

 

「わかりました!他の者が王城に連絡しました。馬車が来ております。キャロ様とルーベルト様はどうぞ外へ!」

 

俺たちは役員さんに一礼し、外へ出て行った。

何か途中養子とか言ってたけどそれ以上にキャロが敬われている事の方が理解し難い。

 

ぱっと見、人の上に立つ様には見えない。外見的にも性格的にも。

 

「ヨイショっキャ!」

 

俺たちは馬車に乗った。

王城に向かうらしい。

 

■■■■■■

 

ルーベルトは後にこう語った。

 

「何が起きているかわからないと人って喋れなくなるんですね。俺、河童ですけど」

 

と。

 




青いタコス。白いタコス。今日はいい天気だ。


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第4話「年齢バグってるだろこの世界」

一作目サボってる投稿者が居るってマジ?


 

「俺、赤ちゃんになる(迫真)」

 

「【速報】都市『クリーム』に変質者現る。っキャ!見た目は13から15歳辺りだと推測され身長は160センチ。っキャ。肌は緑色でクチバシと皿がついています。っキャ。近衛騎士団は調査を進めています。っキャ!」

 

「ニュース風にすな」

 

俺も大概だけどお前もヤバいな。主に自分の養子を変質者扱いする辺り。

 

そう。俺はこの幼女。キャロの養子としてこの世界では過ごさなくてはならない。

俺がこの世界『ソフトワールド』で暮らすために、戸籍を作ったわけだがなんと、保護者が必要だったのだ。

そこでキャロが俺の保護者になると言い出した。

というか、元々そのつもりだったらしい。

というか、俺は誰に説明しているのだろう。

 

で、今俺たちは何をしているかというと……

 

「キャーーー!キャロ様ーー!」

「本物!本物だ!」

「キャロ様がお戻りになられた!」

 

パ レ ー ド の 真 っ 最 中 で す (白目)

ど う し て こ う な っ た 。

 

「はい。という訳でキャロさん?私達はなぜ馬車に乗り、街を巡っているのでしょうか?」

 

そう。俺は………いや俺たちは………いやキャロが。道ゆく人々から黄色い歓声を浴びながら王城へと向かっていた。

 

「それはワシが人気者だからっキャ!ルーベルトとは大違いっキャ!」

 

マジでこのオレンジロリをしばきたい。

でも、本当に慕われているんだなぁ。

っと。アレが王城かぁ。うん。

 

「デカすぎん?ぱっと見高さ五十メートルはあるだろ?キャロはアソコに住んでいたのか?」

 

マジでデカい。五十メートルは最低でもある。

流石世界で一番大きい国の本城だ。

と俺が感心しているとキャロが、

 

「あー。ルーベルト。あれ、本城じゃないっキャ」

 

マ?

 

「マ?」

 

おっとつい心の声が……。

 

「マ。アレは第二の城っキャ!ワシは本城に住んでいたっキャ!」

 

城まであと三百メートルくらいかなぁ?

 

「今からアソコに行って何をするんだ?」

 

「王位継承っキャ」

 

「ふーん。………?誰が王位継承するんだ?」

 

「ルーベルトっキャ」

 

「自分、思考放棄いいっすか?」

 

「女王権限で許可しないっキャーー!」

 

何が起きているのか。そしてキャロが何を言っているのかを理解したく無い。サッパリだ。もうめっちゃパリパリしてる。ん?どれくらいパリパリしてるのかって?そりゃあまぁ、タコスくらいかな?

 

「キャロ様、到着致しました」

 

おっと、思考をまとめる前に城に着いてしまった。

 

「ご苦労様っキャ!また頼むっキャ!」

 

「ナマステ…じゃない。ありがとうございました。ふぅ。あまりの衝撃の連発で母国語忘れちゃってたわ」

 

俺らは運転手にお礼を言いつつ城内へ向かった。

城内はザ・異世界って感じの雰囲気だった。真ん中には長げぇレッドカーペットが敷かれていて黄色っぽい壁とマッチしており、非常にロイヤルな空間だ。

んでしばらく歩くと王の間に着いた。

奥には玉座が2つ設置してありその一つにキャロが座った。

 

「ルーベルトも早く座るっキャ!」

 

「その前に一つ聞きたいんだけど」

 

「何っキャ?」

 

「何でこの椅子が玉座扱いなの?背もたれすらない木の椅子よ?」

 

「経費削減っキャよ」

 

「そんなにこの国は貧そうには見えなかったけど?」

 

「だってこの椅子置いたの前のルーベルトだし。ワシ知らない」

 

「あっ。俺かぁ」

 

そう呟きながら俺は玉座(木製の椅子)に腰掛けた。

俺がもう一つの玉座に座ると今度はキャロが立ち上がって、何かを呼び寄せる様に叫ぶ。

 

「3人とも!入って来ていいっキャよ!」

 

そうキャロが叫ぶと3人の男女が入口から入って来た。

 

「久しぶり!ルーベルト」

 

一番最初に話しかけて来たのは中肉中背の中性的な顔立ちの男………?かな?紫髪の美少年だ。気さくな雰囲気はどこか懐かしい。

 

「久しぶりだナ。ルーベルト」

 

次に話しかけて来たのはとても背が低い…いわゆるロリだ。金髪で粉雪の様に真っ白な肌をしている。この娘も懐かしい感じがする。

 

「お久しぶりです。ルーベルト」

 

最後に話しかけて来たのは……デカいな。俺よりも20センチはあるだろう。緑髪の青年だ。この人も懐かしい感じがする。

 

はぇぇ。みんな個性的やなぁ。まぁ俺も河童だからだいぶ目立つけど。

 

「ごめん。久しぶりと言われても俺は君たちのことを知らない。いや、キャロの反応を見るに覚えていないのかな?でも懐かしい感じがする。きっと前世の俺の仲間だと思うんだけど」

 

俺がそう言うと紫髪の美少年が口を開いた。

 

「じゃあ自己紹介が必要だね!僕はカッブ。神様だよ?この世界を作ったのはぜーんぶボク!凄いでしょ?凄いよねぇ?」

 

「じゃあ次はオデだナ。オデはモヤモシ。世界で一番大きな小人サ。盾が好きだナ。ジャガガとは一緒に住んでるゾ」

 

「では私の番ですね!私はジャガガ。世界で一番小さな巨人です。主に回復を担当してました。モヤモシの言う通り一緒に生活してます」

 

「みんな。自己紹介ありがとうキャ。さてカッブ。早速で悪いけど「アレ」をルーベルトに渡すっキャ」

 

「そうだねー。頼まれるのは何となくわかってたよー。さぁルーベルトコレを握り潰して!」

 

カッブは自分の胸ポケットに入れていた紫色に光るパズルピースを俺に投げて来た。ストライク!いい球だ!キャッチしたパズルピースを見つめる。紫に煌めくアメジストの様なピースを俺は言われるがままに握り潰した。瞬間。俺の頭の中に10個の名前が出てきた。

 

「カッブ、ルーベルト、バププ、デェコ、トメトト、スイスイ、イチチ、ジャガガ、モヤモシ、キャロ。………俺やこの場にいるヤツ以外の名前が流れ込んできたんだが?他にもコイツらの個人情報が完璧に頭に入ったわ。てゆうか皿がギュッとなってちょっと痛かったんだが。んで、このピースは一体なんだ?」

 

「オデが説明するんだナ。ルーベルトはナ、前世ではこの国の王だったんだナ。色々あって生まれ変わったオマエをキャロは見つけて誘拐………招待したんだナ。今のパズルピースは前世のルーベルトの記憶を保存した物なんだナ。だから知らない名前が出てきたんだナ」

 

「なるほど。わかった気がする。あとサラッと誘拐って言ったな?自覚があるのが余計にタチが悪いわ」

 

「このパズルピースはルーベルトが知り合いの9人に配りました。(無視すんな)其々の管理者の課題をクリアするとパズルピースを渡すように伝えられているのですが………ルーベルトがハードワールド。(えっ。私の存在感……低すぎ?)つまりそちらの世界に移動するタイミングでルーベルトが自分で所持していた1ピースが喪失してしまいました」

 

「やべぇじゃん。馬と鹿なのか俺は。んじゃピースは全部で10個あってその内の1つを今受け取って残りが9個ってことかー」

 

「そう言うことっキャ!ルーベルトは今からソフトワールドを巡りつつ国を管理しつつ記憶を探さないといけないっキャ!ちなみにさっきの条件は『カッブとモヤモシとジャガガに会う』だから比較的、簡単だったんだよね。他のはもっと難しいっキャよ?」

 

へー。たのちそうだなぁ(幼児退行)。

人間って難しいことがあると幼女退行するんだぜ?俺、河童だけどさ。

 

「ヨシっ!ルーベルトに面倒いこと押し付けれるようになったし皆んなで乾杯っキャ!あ、ルーベルトは未成年だからだめっキャ」

 

「見た目的にお前らもアウトだがお前ら何歳だ?あと俺1人に仕事を押し付けんな」

 

「ワシは900歳っキャ」

「ボクはインフィニティ歳かなー」

「オデは950歳ナ」

「私も950歳です」

「俺は15歳です(食い気味)」

 

スゥゥゥ…(深呼吸)

 

「年齢バグってるだろこの世界!!!!!!(魂の叫び)」

 

まさか全員成人済みどころかおじいちゃんおばあちゃんだったとは。あっ。アイツら俺の台詞無視して買い出しに出かけやがった。

 

買い出しに出発したキャロ達の背中を俺は全速力で追いかけたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




アンケートはふざけるものってばっちゃんが言ってた。


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第5話「さて、状況を整理してみよう」

読んでくれてタコス。作者の本性が現れ始めたなぁ。


 

 

太陽は沈み、空には煌めく星々が浮かんでいる。街を見下ろすと街灯が辺りを照らしている。人はまだ起きている時間だ。そんなありふれた景色を見ながら河童の少年はこう呟く。

 

「やっぱなんか違うんだよなぁ。たしかに俺は異世界が好きで、いつか行ってみたいなとは思っていたが実際に来てみるとなんというかその、コレじゃない感がハンパない」

 

「具体的にはどんなふうにっキャ?」

 

「そうだなぁ………やっぱ、酒が飲めないことかなぁ」

 

「ルーベルトは飲んだことないくせに面白いことを言うっキャねぇ。そういえばルーベルト?」

 

「ん?」

 

「この世界に来たときのことを覚えているっキャ?」

 

何かそのセリフロマンチックだな。

そして俺が「ああ。あの時のだな」と頷くとキャロの口から衝撃の事実が発覚した。

 

「実はソフトワールドに来るときの召喚方法。あれ、行き先が完全にランダムっキャ」

 

「へー。じゃ、あれか?俺たちが火山の真上に飛び出して親指を立てながら沈んでゆく世界線があったのか?或いは海の上で水底まで沈む世界線もあったのか?」

 

「そうゆうことっキャ」

 

「ははっ」

 

もう何を言われても動じない気がする。気にしない気にしない。何で冷や汗が出てくるんだろうな?

 

にしても窓に手をかけて黄昏るのも悪くないな。

っと、酔っ払い共がコッチを見つめてきた。酔っ払い共はジョッキを片手に話しかけてきた。

 

「おーい!ルーベルト達もコッチおいでよー。主役がいなきゃ酒が進まないよぉ」

 

「そうだゾ。オデ達の酒の肴になるんだナ。ルーベルト」

 

「二人共。あんまりルーベルトをイジメ過ぎないようにしてくださいよ」

 

「そう言うジャガガこそ良い顔し始めてるよ?」

 

「あはは!バレちゃいました〜!」

 

「駄目だ。完全にイかれてる。というか主役がいないのに酒進みまくってるやんけ。ん?でもジャガガが飲んだの、その一杯だけか?」

 

メッチャ酒弱いやんコイツ。体がデカくてもアルコール耐性は比例しないか。逆にほか三人は酒樽を何個も空にしている。何処にそんな入るんだ。やはりこの世界の法則は俺の居た世界とはかなり違うらしい。何故こうも天邪鬼なのか。まぁ厨二心は疼くがな。

 

「ルーベルトはなにか飲まないのかい?これなんかどうかな………?」

 

カッブが何かの飲み物を棚から取り出した。とても高級そうな瓶に入っている。緑色のラベルは俺好みだ。

 

「特製のキュウリソーダだよ!前の君が愛飲していた至高の一杯さ!ボクも飲んだことあるけど、ボクには何が美味しいのか当時。わからなかったよ。今もよくわからないけどね」

 

とカッブは瓶に頬ずりしながら言った。

確かによく瓶を見てみるとキュウリのマークのラベルが貼ってあった。

 

「これはすごいよぉ。前の君が死んでも離さないというほど気に入っていたんだよ。何でも、飲むとその………「飛ぶ」らしいよ」

 

ゴクリ………前の俺がそんなにも大切にしているものなら少しは期待をしても良いのではないか?

 

瓶を開けると、ポンッ!といい音が鳴った。炭酸?かな?少しだけシュワシュワしている。カッブがキュウリソーダをグラスに注いでくれた。そうするとキュウリソーダは少し緑がかっていることがわかった。いざ、実飲。

 

「いただきます」

 

ゴキュッ!ゴキュッ!

 

瞬間。俺の脊髄に稲妻が走った。シャトルラン並みに全力疾走してる。

 

「ううううめめめえええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

美味い。マジで美味い。人間とは本当に美味い物を食べると美味いしか言えなくなることを今、初めて知った。俺、河童だけど。

 

「ははは!ルーベルトが面白い顔をしてるっキャ!元から面白い顔してるけど」

 

「黙れメスガキ。わからせるぞ」

 

「最近は逆わからせというものがあるのはご存知っキャ?」

 

「具体的にはどうやって?」

 

「防犯ブザーをプラプラさせる」

 

「ごめんなさい」

 

「よろしいっキャ」

 

俺とキャロが大喜利をしていると他の三人が荷物をまとめ始めた。どうやら帰るらしい。

 

「じゃ、また来るね〜。楽しかったよ〜」

 

「楽しかったです。また来ます」

 

「ジャガガ。オデにおぶられながら言ってもカッコよくは無いんだナ」

 

何かジャガガがモヤモシに本当におぶられてんだけど……。せめて逆であって欲しかった。青年がロリに背負われるというこの世の終わりみたいな光景をなんで俺は目撃しなきゃいかんのだ。

三人の存在自体がカオスそのもののような奴らの別れ言葉に俺たちは…。

 

「じゃあねっキャ!また来てねっキャ!」

 

「またな〜」

 

再開を、約束した。

 

■■■■■■

 

三人が帰り、後片付けをしたあと、キャロが突然、

 

「今から本城に行くっキャよ。ルーベルト」

 

「今からか?ここからどんくらいだ?」

 

俺の問いにキャロが、

 

「大体、徒歩一分位っキャ」

 

「へー。近いな。多分俺、もう何言われても動じないわ。でも本城っていうからには大きいはずだよなー。でも、周りにはデカい建物無かったぞ?」

 

異世界来てから何か変な耐性が付いちまったな。主に驚きと言う感性が鈍った気がする。まぁいいや。

 

キャロは本城へ向かって歩き出した。

俺は例の如く、キャロの後ろを間抜け面でついていった。にしても寒いな。俺の居た世界は今夏だったけどコッチは今冬かぁ。っと、キャロが足を止めた。着いたみたいだな。

 

「ココが本城っキャ!」

 

本城と言われ視線を正面に向けるとそこにあったのは、

 

「小屋じゃねーか。まさかこれが本城か?」

 

そう、小屋だ。しかもかなりボロボロ。

 

「そうっキャ。ワシ達が住めばそれはもう本城っキャ。住めば都っキャ。こう見えても中はキレイっキャよ。あと地下もあるっキャ」

 

「とりあえず中、だな」

 

俺が扉に近づくと扉が、

 

「ウイーン」

 

自動で開いた。あと喋った。「ウイーン」って。おいおいマジかよ…….なんでそこだけ無駄にハイテクなんだよ!自宅につけんなら王城にも付けろよ。王城は押し扉だったぞ。

 

「それは前のルーベルトが王城はせめて異世界っぽい物として取っておこうって言って付けたがらなかったからっキャ」

 

「心を読むなよ」

 

「クセになってるっキャ。(ルーベルトの)心を読みながら話すの。っキャ」

 

「それがやりたかっただけだろ絶対」

 

家に入った。確かにキャロの言う通り中は外見ほど悪くない。ていうかキレイだな。

家電も俺の居た世界の21世紀初頭位の物が多い。

 

「さて、ルーベルト?鼻塩塩。あれは今から36万いや、1万四千年前だったかな?まぁ良い。ワシに取ってはつい昨日の出来事だ。ルーベルトにとっては明日の出来事。(さっき900歳って言ってたやん)ルーベルトはこの世界、ソフトワールド。そしてルーベルトの世界。ハードワールドの「時間」の差って考えたことあるっキャ?」

 

「それをやりたかっただけパート2。んで、「時間」か?そういや異世界に来た興奮で考えたこと無かったわ。何日たったん?」

 

「あー。大体3日とちょっとっキャ」

 

「3日かぁ。家族は心配しているかな?心配してるよなぁ。どうするかなぁ……」

 

メッチャ家族には心配かけちまったなぁ。時間を戻せたらなぁ…。まぁ過ぎたことはどうしようもないか。

 

「喜ぶっキャ。ルーベルト。この世界とあの世界の時間の流れ方は違うっキャ」

 

「お?早いのか遅いのかで泣くか喜ぶか決めるで言うてみ?」

 

「遅いっキャ。良かったっキャな。ルーベルト」

 

「やったぜ。全力河童少年。異世界の小屋の中で喜びを噛みしめる。やったぜ。……いや本当に浦島太郎状態に成らなくて良かったぜ」

 

「昔話をゲームの状態異常みたいに言うなっキャ」

 

「まぁまぁ、それは置いといてくれ。んで、どれくらい差があるんだ?」

 

キャロは大げさなリアクションで三回転してから言った。その回転具合は正にスケーター。

 

「まぁ大体30倍前後っキャ」

 

「大体?変化するのか?」

 

「時間って言うのは常に動き続けるモノっキャ。水のように変化し続けていて色々なカタチになるっキャ。つまるところ不安定なんだっキャ」

 

「なるほどなー。んじゃあっちではまだ2、3時間しか経っていないのか」

 

「そうゆうことになるっキャね〜。ん。そろそろ寝るっキャ?」

 

「せやな」

 

「支度するっキャ」

 

キャロはそう言うと押し入れから敷布団を取り出して敷き始めた。

 

「あ、そうだったっキャ。お風呂にまだ入って無かったっキャ。ルーベルト。お風呂。洗ってこいっキャ」

 

「了解!洗ってくるぜ!」

 

お風呂場に移動した。

 

やっぱタイルの壁は良いねぇ……。このツヤがたまらない!っと。はよ洗わんとしばかれる。

 

シャカシャカ。ゴリゴリ。バリバリ。

 

ヨシっ!風呂洗い完了っと!

 

「終わったぜー!」

 

タッタッタ!

 

居間に戻ると布団が敷き終わっていた。いた、板………まな板。

 

「まな板!」

 

「ぶっ飛ばすぞっキャ」

 

「シテ……ユル……シテ」

 

「てゆうか、風呂洗いで聞かない音が時々聞こえたけど大丈夫っキャ?」

 

「大丈夫★」

 

「キッツ」

 

「辛辣ゥ」

 

何もそこまで言わなくても……。俺だって!俺だって!………特に無いわ。真面目に生きたことなんてあったかなぁ?いいや。ない。

 

「言ってて悲しくならないっキャ?ルーベルト。先に入ってこいっキャ」

 

「了解!行って来るぜー!」

 

ダッシュ!ダッシュだ!Bだ!B!風呂RTA界隈で名のしれた俺に入れない風呂は無いぜ〜!タイム連打も試しとこ。

 

■■■■■■

 

ふー。さっぱりした。さて、完走した感想ですが(激ウマギャグの味をしたタコス)。

 

「風呂。最高」

 

「お気に召すようで良かったっキャ」

 

「ああ。先に悪いな。空いたぜ。今なら河童の出汁入りだぞ」

 

キャロはやれやれといった様子で、

 

「見たら分かるっキャ!あとその言い方をされると入りたく無くなるんだよね」

 

キャロは風呂に向かっていった。(ダッシュで)てか家の中が外見の3倍くらいデカイの何でだ?異世界パワーか(悟り)。

 

俺はそこらへんに転がっていたリモコンを手に取る。

あ。テレビあるじゃん。見よ。へー。どっちの世界も変わんねぇなぁ。

 

ん?このアナウンサーカッブじゃね?アイツアナウンサーだったのか(驚愕)。神様が何でアナウンサーしてるんだ?

 

「今日はタコスがいつもより5割売れたそうです。やはりキャロ女王陛下の帰世界が影響しているのでしょうか。街では前国王。タコス大好き。ルーベルト陛下を見たとの声がありました。しかしまだ偽物や見間違いの可能性があると言う国民も。まぁボク的には本当にルーベルトが帰ってきたんだと思うよ〜。以上!

 

『美味っとタコスニュースでした!』

 

たーたーたーたー〜〜……。」

 

緩い感じが癖になる番組だな。てか俺のことが噂になってたのか。

 

「ん?そういや王位継承をするする言ってたけど結局やんなかったな」

 

「あっ!忘れてたっキャ!明日。明日正式にやるっキャ」

 

「お。出たか。お風呂上がりっていうのは基本的に扇情的になるはずだがキャロは色気がゼロだな」

 

「キレそう(そこはかとない怒り)」

 

「まぁまぁ。よし。寝るか」

 

「賛成っキャ。今日はもう疲れたっキャ」

 

電気を消して二人で布団に入った。落ち着くなぁ。

 

「なぁ。キャロ?寝る前に一言言ってもいいか?」

 

「何っキャ?」

 

「俺、枕が変わると寝られないタイプなんだよね⭐︎」

 

「さっさと寝ろ」

 

「辛辣ゥゥ!」

 

濃い一日だったせいか、俺はすぐに微睡の中に落ちていった。

 




ネタが多いなぁ。


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第6話「観測者」

ターコタコタコタコスッス。


 

………夢を見た。いや、本当は夢では無いかも知れない。だが、あの夢はあまりにも現実的だった。まるで、誰かの記憶を覗くような。そんな、夢だった。

 

「俺はルーベルト!よろしくな!今日からお前は俺の相棒だ!」

 

「……私………が…?」

 

「ああ!よろしくな!」

 

また、まただ。また、流れ込んで来た。俺の頭の中に。

 

この男は俺……なのか?髪は白じゃ無くて水色だ。俺?は、檻の中に居る白髪の少女に手を差し伸ばして「相棒」と言った。少女は差し伸ばされた手を掴み返した。

 

ピキッ。

 

観測の代償か。はたまた天罰か。頭が締め付けられる。皿が痛む。頭の中にヒビが入ったみたいだ。

 

ピキッ。ピキピキッ。

 

痛い。

 

パリン。

 

アタマノナカデナニカガハジケタ

 

イタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!!!!

 

■■■■■■

 

「大丈夫っキャか!!!ルーベルト!!!!!」

 

目を開けるとそこにはキャロの顔があった。

 

「……………夢か」

 

「凄くうなされていたっキャ。とても苦しそうだったっキャ。一体、どんな夢を見ていたっキャ?」

 

「………わからない?俺にもわからないんだ。ただ、悪夢では無かった。そう。夢じゃ無いんだ。あくまでも別の……とても現実的な。誰かの記憶と言うべきか?」

 

俺がそう言うとキャロが唐突に顔を青くし始めた。表情には後悔の念が感じられる。そしてキャロは爪を噛みながらこう言った。

 

「………早すぎたっキャ。本来、「アイツ」の十分の一は力をつけてから記憶を与えるべきだったっキャ。………ルーベルト」

 

「何だ?」

 

「修行っキャ!」

 

「ファ?」

 

シュギョウ?

ちょっと何言ってるかわからない?

 

俺がフリーズしている間にキャロは立ち上がり、髪を束ねた。

キャロは俺に手を差し伸ばした。

 

「ホラっ。早くするっキャ!」

 

差し伸ばされた手を俺は、掴み返した。

 

■■■■■■

 

外に出た。第2の城(実質的な本城)へ向かった。城内を移動し続けるとやがて白い、訓練場らしき場所にたどり着いた。

 

「さて、ルーベルト?お前には今から「筋トレ」をしてもらうっキャ」

 

「なぁ、異世界きてやることが筋トレか?」

 

「大丈夫。(俺は大丈夫じゃ無いけどね?)コーチも居るっキャ」

 

後ろから人が迫ってきた。

 

「ようルーベルト。オデが相手だヨ」

 

幼女じゃねーか。身長が120センチメートルの

幼女じゃねーか。

 

「てか、モヤモシが俺の師匠か?筋肉ゼロのロリに教えられるのか?」

 

「はぁ。ルーベルトは今も昔もアホっキャ。人を見た目で判断しすぎっキャ!コレを見て、同じことが言えるっキャかな?」

 

そう言ってキャロはモヤモシにリンゴを投げつけた。どっから出したそのリンゴ。モヤモシはリンゴを手に持った。もう片方の手にはグラスを持っている。グラスも何処から出した。モヤモシはリンゴに力を込めた。瞬間。リンゴが爆ぜた。潰れたんじゃ無い。爆ぜたんだ。バァンってな。そして下に持っていたグラスに果汁が注がれた。

 

「飲むカ?ルーベルト?」

 

「おう」

 

ゴクッ。ゴクッ。

 

100%のリンゴジュースはそれはそれは美味しかった。

 

………まぁ、コレで俺はモヤモシ師匠に逆らえなくなった訳だ。

 

「それでモヤモシ師匠?最初に何をすれば良いですか?」

 

「そうだナ。オデとスクワット対決をしてみるか?」

 

「いいっキャねぇ。ワシはルーベルトが王位継承をする事をカッブに広めて貰うっキャ。まぁ、王位継承とは名ばかりで、本当は全部同じ人間何だけどねっキャ。一人芝居。乙WW。ま、人間じゃなくて河童だけどねっキャWW」

 

キャロはちょっと笑いながら訓練場を去って行った。クソうざい。許すまじオレンジロリ。オレンジロリを許してはいけない(戒め)。俺は異世界に来てやりたいことリストの中に、「キャロをわからせる」を密かに追加したのだった。

 

「さて、ルーベルト。筋トレのの時間だナ!」

 

「唐突だなぁオイ」

 

そしてモヤモシは高速でスクワットを始めた。残像が見えるほど速い。恐ろしく速いスクワット…!俺でも見逃しちゃうね。

 

シュン!シュン!シュン!

風がスクワットによって生まれる。モヤモシの隣に風車を置いて風力発電させれば、かなり良いビジネスになると思うんだ。

 

「え、チョッ。早すぎだって!」

 

結果だけ言おう。俺は30分後に、世界で1番有名な自爆された後のポーズをしながら倒れていた。足動かん。

 

チーン。チリーン。

 

トライアングルの音が鳴り響く。キャロの仕業だ。てかどっからトライアングル取り出した?なんだ?この世界の住人は亜空間から物を取り出さなきゃ気が済まないのか?

 

「無茶しやがって……(笑)」

 

キャロが笑いながら言ってきた。

チーン。チリチーン。

笑っている間も欠かさずトライアングルを鳴らすキャロ。

 

「なにわろてんねん」

 

「ごめんて。ジャガガ呼んだから治療して貰えっキャ!」

 

「あちゃー!こっ酷くやられましたねー。駄目ですよモヤモシ。少しは手加減しないと」

 

「コレはアレだナ。前のルーベルトが言ってたテヘペロってヤツだナ」

 

モヤモシ。もといリンゴ花火ロリが舌をペロッと出しながら話しかけて来た。

クッソ。可愛いのが余計に腹立つ。てゆうか足痛い。

 

「ちょ、あの。早く治療お願いします。正直。ツラいっす(主に足が)。魔法とか何かの超パワーで何とかしてチョ(主に足を)」

 

「しょぉがないですねぇ……。『贈り物(ギフト)』!」

 

俺の足はあっという間に完治した。逆にジャガガは少し辛そうだ。

 

「この魔法は体力を分け与える魔法です。ルーベルトが疲労してた分を肩代わりした形になります」

 

「そんなコスパ悪いんだ。ファンタジーだと思ってたけどあんまし自由効かないんだね」

 

「ヲタクはコレだから駄目っキャ」

 

「でもお前。俺のネットスラング全部拾ってんじゃん」

 

キャロがしまったという顔をしている。

ガハハ!一勝だな。隙を見せたお前が悪い!

 

「一応念のために包帯巻いとくナ」

 

「サンキュ!」

 

さて。治療が完了した。取り敢えず治療して貰ったけど結構包帯も馬鹿には出来んな。痛みはほぼ無い。欠点は全身包帯グルグル巻きで厨二臭いとこかな。というか足が痛いだけなのに全身巻く必要あったか?っと、キャロが手をパンパン叩いた。偉そうだ。いつかわからせてやる。わからせなきゃ(使命感)

 

「さて、王位継承(仮)のお時間っキャ!」

 

その台詞を聞いた俺達はニヒルに笑いながらこう言い合った。

 

「ヨシっ!会場へレッツゴーだ!それじゃいくぞー!」

 

「「「「レッツゴー!」」」」

 

お決まりの掛け声をかけた。

 

ま、掛け声を掛けるのは、初めてなんですけどね。

 

何で合ったんだろうな?(今世紀最大の疑問)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ストックががが


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第7話「合法ロリ&違法河童」

遅れてスマーン!


俺たちは王位継承をする為にスタジオへ向かう事となった。訓練場を去る前にシャワー浴び、露店でタコスを購入して食べることにした。良い香りだ。皆んな今にも食いつきそうだ。えーと、タコス一つで300ルトか。

 

「そういや1ルトって日本円でいくらくらいなんだ?」

 

俺がそう聞くとキャロが説明してくれた。

 

「そうっキャね〜。コッチの世界で使うなら大体同じ位だと思うっキャ。つまり1円っキャ!そしてあっちで使う場合は、まぁ大体30分の1くらいで使えるっキャ」

 

じゃあこのタコスはかなりお得なんだな。一つ300円くらいかぁ。よし。買いだな。

 

「おっちゃん!13個くれ!」

 

そう。購入するのは13個だ。お察しの通り一人で十人分食う奴がいやがる。おっちゃんも流石に13個という数に驚いている。

 

「じゅ、13個!?アンタら4人しか居ないのに大丈夫かぁ?全員沢山食うのか?それとも誰か一人が大量に食うのか?」

 

「後者だ。おっちゃん。そこの1番ちっこいのが10人前食うんだよ」

 

「ほぉー。大したもんだ。数が足りんから直ぐ追加で作る。ちぃと待っててくれよ」

 

そう言っておっちゃんはタコスを作り出し始めた。因みにおっちゃんは異世界テンプレに従って例の如く頭ツルピカだ。居るよね。必ず一人はイカついおっちゃんが。

 

「みんなゴメンナ。オデが沢山食うせいで王位継承の時間が遅れちゃうんだナ」

 

モヤモシの申し訳なさそうな様子に俺たちは、

 

「「「慣れてる」」」

「そっかァ」

 

はいはい。400パー400パー。

テンプレ。テンプル。テンプラ。

おっちゃん、調理早く無いか?手が八つに見えるくらい速いぜ。恐ろしく速い調理…!俺でなきゃ見逃しちゃうね!

 

「そういやさ、俺、○○スキーって言うのが世の中には溢れているなって思ったんだよ(唐突)」

 

「大丈夫ですか?粉塵揉む?」

 

「粉塵は揉まない(即答)。タコスは通さない。いや、でも実際〇〇スキー族は一定数居るぞ。どの界隈にも。指を捧げる奴らとか。あとは、男を愛する武道家だったり、風呂を愛す奴だったり色々な」

 

「まぁ確かに一定数いるっキャね〜。で、どうしたい?」

 

キャロは俺の言いたいことが伝わったようだ。

 

「ああ。俺も「タコススキー」を名乗りたいなと思ってな」

 

「確かにオデたちみんなタコスが好きだけどヨ、そんな安直な名前で本当に良いのカ?」

 

「いいんじゃないかな(確固たる意志)」

 

かっこ。かっこたるいし。って読むの何かダジャレっポイか??まぁいいや。俺らが幸せの粉を摂取した後の様な会話をしているとおっちゃんがタコスを作り終えた。

 

「ヘイ!タコス13個だ!沢山買ってくれたからよ、一個分まけとくぜ!3600ルトだ!」

 

「ありがとうっキャ!ココってクレジットイケるっキャ?」

 

そう言ってキャロが財布から七色に光るクレカを取り出した。そのカードを見たおっちゃんは目を見開いている。

 

「使えるが………お嬢ちゃん。もしかして王族か?」

 

ああ(察し)。なるほどね。完全に把握したわ。実はお偉いさんでしたパターンね。完全に理解したわ。

 

「そうっキャ。取り敢えず払うっキャ」

 

キャロはカードを使って決済を済ませた。というか何故異世界にクレカがあるのか。コレガワカラナイ。

 

「嬢ちゃん……いや、王女。言ってくれればタダでも提供したって言うのに……」

 

キャロは満足げな顔で、

 

「コレで良いっキャ。経済を自ら回すのも王族としての役目っキャ!国民の立場になって考えることが一番大事っキャ!あと今までの様に「嬢ちゃん」って呼んで欲しいっキャ」

 

「へへ。やっぱ、嬢ちゃんには敵わねぇな。にしても驚いたぜ。15年振りだな。髪色も変わっていて気づかなかったぜ」

 

「ワシだってイメチャンくらいするっキャ」

「それを言うならイメチェンだゾ」

 

「最近の言葉は使いずらいっキャ……」

 

「ルーベルトを抜いたら貴方が1番年下なのに良く言えますね」

 

「ジャガガ。余分っキャ。その言い方だとワシが流行について行けてないみたいになるから辞めるっキャ」

 

おっちゃんが俺の方をじっと見つめて始めた。数秒後。おっちゃんは歯車が噛み合ったかの様な表情で俺に話しかけて来た。

 

「気づかなかった……お前、「ボウズ」か。前と雰囲気が違ったせいで全くわからなかったぜ」

 

「そっか。前世の俺とおっちゃんは知り合いか。悪りぃな。俺、前世のこと、まだ何にも思い出せて無いんだ。てか何で「ボウズ」なんだ?」

 

「ああ、そりゃあお前が当時見ることの無い種族で頭が禿げてるからな」

「ブーメラン刺さってるぜおっちゃん」

 

「まぁ、とにかくタコス食べましょうよ」

 

ジャガガとキャロは今にもタコスにかぶりつきそうだ。モヤモシは意外にもゆったりとして居て空を見てる。あっ、違う。空を見上げてタコスが視界に入らない様にしてるんだ。

 

「じゃあなおっちゃん!また来るぜ!」

「おう!またな!」

 

いやぁ。この世界もたまには異世界テンプレに従うんだなぁ。やはり異世界ハゲはいい奴。ハッキリわかんだね。

 

「あそこで食べましょう」

 

そう言ってジャガガが指を指したのは巨大な木の下だった。木の下にはベンチが木を中心に四方に配置されている。今は誰も座って居ない。四人占めだな。2組で座ることにした。俺とキャロ。モヤモシとジャガガで別れた。みんなタコスを手に持った。よし。いざ、食事。

 

「「「「いただきます!!」」」」

 

大切だよな。感謝は。タコスはやはり美味い。全てが美味いがやはり俺は生地が好きかな。今回はソフトタイプで頼んだからモチモチとしてて美味い。生地が柔らかいことでミートの風味を感じやすい。みんなも各々楽しんでいる様だ。

 

「ルーベルト。好きなタイミングで飲むといいっキャ」

 

キャロが俺の左隣に水筒をコトンと置いた。中身は抹茶だ。丁度喉が渇いていたので有難い。ゴクッ。うむ。苦い(当然)。

 

「「「「ご馳走様でした」」」」

 

大事だな。感謝は。

 

「さて、オデたちはその辺で買い物してくるんだナ」

「人の金で食うタコスは美味しかったです」

 

そう言ってモヤモシとジャガガは人混みに姿を消していった。

 

「アイツら一緒に行くかと思ってたけど来ないのか」

 

「いつもそんな感じっキャよ。カッブが待ってるっキャ」

 

「そうだな」

 

広場から徒歩5分程度歩いた所にカッブのスタジオがあった。

中に入るとカッブが居た。スタッフと会話している様だ。っと。俺たちに気がついた様だ。

 

「おっ!主役が来たねぇ。ココは僕が所有しているスタジオだから好きなように使っていいよ!さて、2人とも。コッチで生放送するよ!あ、そうそう。告知は事前にしておいたよ!」

 

カッブの指示に従って移動すると青背景の部屋に着いた。

 

「オイ。何で青背景なんだ」

 

「そりゃあ切り抜いて遊ぶ為っキャ」

 

「この国はお偉いさんをどんなにオモチャにしても怒られない国だからねー。この青背景は僕じゃなくて、前のルーベルトが設置したんだけどね」

 

やっぱり前の俺は馬と鹿だわ。

 

「ハイ!じゃ、本番まで!3、2、1。どうぞ!」

 

えっ。ちょっ。アイツ急に始めやがった!やりやがった!

え?何言えばいいん?俺が考えているとキャロが話し始めた。

 

「みんな!久しぶりっキャ!キャロっキャ!ルーベルトを連れ戻して来たっキャ!」

 

「腹括るかぁ。よう。俺だぞ。前世の記憶はほぼ無いが国王になることになった。よろしくな!」

 

「ということでルーベルトが返って来ました〜。これからは僕の番組とかにもちょこちょこ出させるから見てね〜!バイバーイ!」

 

カッブがまとめるとカメラが止まった。

 

「こんな短くていいのかぁ?めっちゃ雑だったけど」

 

「そんなもんっキャよ。みんなルーベルトのことは知ってるし、今更感が凄いんだと思うっキャ」

 

「そうそう。帰ってきたことだけを伝えたかっただけだからね。じゃ!またねー!」

 

カッブは部屋から出ていった。ホント、この世界の奴らは自由だな。

 

一応、王になったはずなのに実感が湧かないや。

でも、なんだろう。悪くない。心の底ではこの素敵な国の王になれることが、ちょっぴり。ほんのちょっぴりだけ、嬉しいのかもな。

 

 

 

 

 

 

 




この物語が本になったらシュールだよな。元々シュールか。
読んでくれて感謝!


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第8話「食の有難さ」

こんにちわ。更におはようございます。あるいはこんばんわ。今日はタコスが綺麗ですね。


異世界に行って言いたい台詞と言われて何を思い浮かべるだろうか。俺は「待たせたな!」かな。え?異世界物の主人公はそんな台詞言わない?ダンボールに詰めるぞだって?やかましい。それが良いんじゃないか(天邪鬼)。

では逆に異世界に行って言われたい台詞とは何だろうか。俺の場合は「……見ない顔だな。旅人か?」だな。やっぱりこの台詞は王道で言われたら嬉しい。

 

そう思っていた時期が私にもありました(白目)

 

「「「「「……見ない顔だな。旅人か?」」」」」

 

「国王だよ!!!」

 

前言撤回。1ミリも嬉しくねぇ。そう、俺は道ゆく人々から煽り散らかされていた。正直泣いた。隣でキャロが笑い散らかしている。正直わからせたい。そういえば、いや、そういえばで済まして良いのだろうか?

 

えー。ワタクシルーベルトの「相棒」が消えておりました。ナニとは言わん。この世界に来た瞬間に消滅したらしい。何処に消えたのかキャロに問うとどうやら前世で俺は生き返る代償に「相棒」を指定したらしい。誰に「相棒」が行き渡ったかだって?カッブだよ………。アイツ元々女の子だったらしいがある日男の子に憧れたらしく、丁度俺を利用して「棒」をゲットしたらしい。ということでカッブが両性で、俺は無性ということが判明しましたとさ。とどのつまり、

 

「ルーベルトはワシをわからせられないという事っキャ!」

 

「と思っていたのか?俺は河童だぁ(暗黒微笑)」

 

「なん………だと……?」

 

「河童には、キュウリがあるじゃないか!(満面の笑み)」

 

「あっ(察し)。ま、まぁ、ルーベルトは紳士だからそんなことをする筈が無いっキャ。………そうであって欲しいっキャ」

 

「いつから俺が紳士だと錯覚していた?」

 

「ナン………だと……?」

 

「カレー食いに行く?」

 

「行く!」

 

善は急げ。急がば回れ。遠廻り=最短。QED。証明完了。

カレー屋へ向かう途中も俺は国民に煽られ続けた。しばきたい。しっかりと曲がる必要の無い角を曲がり、遠廻りしてカレー屋を目指した。今目指しているカレー屋は前世の俺が大変気に入っていた店らしい(キャロ談)。っとココか。

 

「いらっしゃいませアル!」

 

「カレー屋の挨拶とはとても思えないね。とても気に入った」

 

内装は何かカラフルだ。なんだ?この国はカラフルなモノばっかりだな。(主にクレカ)。機会があったら俺も自分を虹色に発光させようかな?(俺はクレカ)

 

席に着くとメニュー表が渡された。どれどれ。うーむ。どれも美味しそうだ。

 

「キャロは決まったか?」

 

「ふっ。失笑。ワシは入店する前から決めていたっキャ。入店前に決めておかないとは。ルーベルトもまだまだっキャねぇ」

 

「いや俺初めてなんすけど」

 

「うるさいっキャ。ルーベルトがどうしてもって言うから仕方なく教えてやるっキャ。(言ってなくね?)………ワシはこの「7種のスパイス入り!レインボーカレー」っキャ!」

 

「スルーしやがった。ま、俺も同じモノにしようかな」

 

2人ともメニューを決めたのでベルを鳴らす。ピンポーン。電子音が鳴り響く。うむ。ファンタジー感がどんどん削れてく。

 

「ヘーイ。お二人のことだからレインボーカレーを頼むと思ってたネ。もう作っといたアル。今回はお得意様が戻ってきた記念で無料サービスアル。楽しむアルよ?あ、ナンはおかわり自由だから好きなだけ食べるアル」

 

イケメンだ!イケメンが居る!!チャイナドレスを着たカレー屋のイケメンが居る!!!

 

「ありがとうっキャ!」

 

「ありがとう!えーと…」

 

「あ、名前を名乗り忘れてたアル。ルーベルトは忘れていることを忘れていたアル。ワタシは「ナン」と呼ばれているアル」

 

「ありがとうナンさん!また来るぜ!」

 

「ハハハ!その時は有料アル!」

 

「勿論だ!本当にありがとうな!」

 

「いいアル。冷めないウチに召し上がれアル」

 

「おう!それじゃ、せーの!」

 

「「いただきます!!」」

 

感謝は忘れない。必ずだ。

先ずは………ナンを何もつけずに一口食べてみる。美味い。生地がふわふわとしていてそれでいて絶妙な硬さがある。味も良く単品でもイケる。コレをカレーに付けたら………ゴクリッ。

カレーをディップする。そして口に運ぶ。この動作にさえ幸せを感じる。それくらいこのナンとカレーは美味しいのだ。きっと。

ナンが口に入る。瞬間。俺は言葉を失う。美味いという感情よりも感動が先行して感じる。正直、想像以上だ。アダムとイブが食したという禁断の果実よりもきっとこのカレーとナンは美味いだろう。まずカレーの辛さがきて、その後にスパイスの風味を感じる。次にナンの甘さが口を癒してくれる。そしてカレー単品では味わえないボリューム感も同時に味わうことが出来る。コレはもう禁忌。そんなレベルだ。キャロもほっぺいっぱいに頬張っている。小動物の様だ。可愛いな。俺たちは時間を忘れるほど無我夢中になりながら食べ続けた。

 

最後の一口!コイツは一気に口に入れる!そして目一杯噛んで味を感じる!

最後の一口を食い終えた俺は手を付けなかった水に手を伸ばして一気に飲み干した。

 

「「ご馳走様でした!!」」

 

久々だな。こんなに感動したのは。

食物。生産者。そして料理人のナンさん。全てに感謝だ。ありがとう。

 

幸せな気分で俺たちは店から出ていった。

 

カレーとナン。最高!!!




さくしゃはかれーがだーいすき⭐︎


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