Leo/needと幼馴染お兄ちゃん。 (シグザール)
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オリ主設定&プロローグ 

どうも、シグザールです。

今回からLeo/needのメンバー1人ずつ主役にして書いて行こうと思います!
最初はオリ主設定と、プロローグを書いて、それから本筋に入っていく予定です。
では、どうぞ!!




ーーーーーーーーーーー
天乃月 波志 (てんのつき なし) 性別:男
この短編の主人公で、天馬司、星乃一歌、天馬咲希、望月穂波、日野森志歩の幼馴染。
身長175cmで、両目の色が赤色、髪型はショートで、髪色は黄緑色。
波志の友達全員が「一度見たら忘れられない」と口を揃えて言うぐらい髪色が綺麗。
それに加えて顔が女の子っぽいのでよく間違えられる。
趣味は母親の形見のオカリナを吹くこと。
好きなものは音楽(ゲーム系)、ゲーム(中でも音ゲーが得意)、そしてお菓子作り。
中でもアップルパイが得意で、よくみんなと家で集まって食べていた。
性格を一言で言えば「頼れるお兄ちゃん」。
いつも優しくて、すぐに人を仲良くなれる。
でも頼られると全力で頑張ろうとするため絶対に何かやらかす。
(牛乳を取ってと頼まれたら物を掴んだ途端に足の小指を何かにぶつけて牛乳を落とす....など)

司とは互いに信頼しあう親友で、本人達曰く「2人なら何でもできる」とのこと。
志波曰く「僕が月で、司が太陽。」らしい。
でも司の唐突な行動にはいつも驚いている。

Leo/needのメンバー達とは一つ歳の離れた幼馴染で、引っ越しする前はいつも自宅で集まって遊んでたり、楽器を弾いてたりしていた。

Leo/needのメンバーからの印象は

一歌「頼りになる人。何かあったらすぐに来てくれて、安心できる。でも見てて危なっかしいかな。」
咲希「お兄ちゃんと同じくらい頼りになって、ほっくんのオカリナが好き!」
穂波「なんだろう.....逆に守ってあげないといけない、みたいな....でも尊敬できる人。」
志歩「何をどうやったらそんなに転けたりぶつけたりするの?全力で応えようとするのは尊敬するけど。」




しかし父親の転勤の都合で小学6年の卒業式当日に遠くに引っ越して行った。
その数日前に一歌、咲希、穂波、志歩、そして司と1人ずつ約束をした。
一歌との約束は「また一歌とミクの曲を聴いて、感想を伝え合う。」
咲希との約束は「また咲希が一番好きな曲をオカリナで吹く。」
穂波との約束は「またアップルパイを作ってみんなで食べる。」
志歩との約束は「またみんなと曲を演奏する。」
司との約束は「また絶対にもう一度会う。」






ちなみに一歌、咲希、穂波、志歩から告白一歩手前の言葉を引っ越し前にもらっている。


波志「今日から....か。」

 

 

前とは違う、制服を着ながら呟く。

 

今日からは神山高校、っていう学校に通う事になった。

前は違う学校.....ここに戻ってくるまでに通っていた学校は......

 

 

 

はっきり言って「最悪」だった。

 

最初はなんとか行けていたんだけれど、夏ぐらいから何かと嫌がらせを受ける事になった。

 

 

 

 

 

 

机の中に入れていたノートを捨てられたり、教科書に落書きされたり、

一番最悪なのが机に土がばら撒かれていたこと。

 

一応、先生には相談した。

その時、僕が一番信頼していた先生に。

それでも、何も変わらなかった。

 

 

 

 

そうして、なるべくして僕は高校を中退した。

 

 

 

 

 

 

今なら言えるだろう。

なんなら大声で言ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最悪学校おおおおおっっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、心の中で叫んだことだし、学校に行こう!(豹変)

階段を降りて、お父さんに「行ってきます」とだけ伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「行ってきます!」

 

 

お父さん「おう、いってらっしゃい。」

 

新聞を読みながら、そう言った。

 

玄関に向かって、進んで靴を履き、ドアを開ける。

 

 

 

 

 

 

 

外に出て空を見上げると、と、空はどこまでも青くて、雲が一切ない。

そんな空を見て、心がスゥー、となんだかスッキリした気がする。

 

 

 

波志「(司.....また会えるといいな。もしかしたら、学校一緒だったりして.....)」

 

そんな期待を持ちながら、今日から神山高校に向かって歩いて行った。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女子生徒B「今日転校生、うちにのクラスにくるらしいよ?」

 

 

女子生徒A「ほんと?」

 

 

女子生徒B「うん、なんでも遠い所からなんだって。」

 

 

女子生徒A「遠い所から?アメリカとか?」

 

 

女子生徒B「そうじゃなくて......」

 

 

 

 

 

 

 

 

司「(転校生か......)」

 

 

 

 

 

 

 

 

担任の先生「全員注目。今日から、このクラスに新しい仲間が入って来ました。どうぞ。」

 

 

 

 

そう言われて、ドアを開けて教室に入る。

そのまま進んで、黒板の前に立つ。

 

 

 

 

 

司「!」

 

 

 

 

波志「!」

 

 

 

 

一瞬だけ視線が重なった。

「また後で」っていうアイコンタクトを送っておく。

伝わるかはわかんないけど。

今は自己紹介。

 

 

 

 

志波「今日から一緒に勉強させてもらう、「天乃月 波志」です。趣味はオカリナを吹くことです。よろしくお願いします!」

 

言った後、お辞儀をする。

 

 

 

少しだけ、拍手が起こった。

 

 

 

 

 

 

担任の先生「席は......天馬の後ろが空いてるな。そこに座ってくれ。」

 

 

志波「わかりました。」

 

 

そう言われて、司の後ろの席に座る。

 

 

担任の先生「よし、じゃあ教科書開けてー......」

 

 

 

 

 

 

 

こうして、僕の新たな学校生活は始まった。

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休み時間.....

 

 

司「波志、久しぶりだな!」

 

 

司が椅子に座りながら話しかけてくれた。

 

 

波志「うん、久しぶり。元気にしてた?」

 

 

司「ああ、もちろん!前にあったのが....」

 

 

波志「小学生の卒業式からだから....5年ぐらいかな。」

 

 

司「そんなにか!時間が経つのは早いな。」

 

 

波志「でも、早いからこそ、こうしてまた会えた。時間の早さには感謝しないと。」

 

 

司「そうだな....咲希が知ったら凄く喜びそうだ。」

 

 

波志「咲希は元気にしてた?」

 

 

司「最近、やっと学校に通えるようになって.....お兄ちゃんは......っ!!」

 

 

波志「はは.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

司はそう言うと、少しだけ、というかかなり涙声になっていた。

しかし、咲希が学校に通えるぐらいになった、と聞くと僕も凄く嬉しくなった。

 

 

 

 

 

 

 

司「そうだ!オレの家で咲希にサプライズ、っていうどうだ?」

 

 

波志「サプライズ?」

 

 

司「ああ、玄関でオレと穂志が待っておくんだ。それで咲希が玄関を開けた時に....」

 

 

波志「い、いいけど....」

 

 

司「よし、授業が終わったら、オレの家に行こう!」

 

 

波志「お、おー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心の中で、「うん、司は変わってない。」と思った。

だって、僕の事を昔みたいに引っ張ってくれたから。

 

そして、授業はあっという間に終わり......

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

司「よーし、大体こんな感じでいいだろう!」

 

 

波志「.....やっぱり、オカリナ吹きながらっていうのは.....」

 

 

司「ん?その方が、一発でわかるだろう?」

 

 

波志「そうだけど.....「玄関でオカリナ吹いてる男の人」なんてこの世の中に居るのかなぁ....」

 

 

司「居なかったとしても、波志が一番に最初になったってことで自慢......」

 

 

波志「出来ないよっ!普通にみんなから引かれちゃうよ!」

 

 

司「あーちょっと!せっかくいい立ち位置だったのに!!」

 

 

波志「普通に部屋で待てばいいじゃん!」

 

 

司「いや、やはりここは....!」

 

 

 

 

 

ガチャ!

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「ただいまー!」

 

 

 

2人「あっ」

 

 

 

 

 

 

咲希「え.......?」

 

 

司「お、おかえり。」

 

 

波志「え、えーっと.... ひ、久しぶり?」

 

 

咲希「も、もしかして......ほっくん!?」

 

 

波志「う、うん。」

 

 

 

 

咲希「ーーー! 久しぶりーーー!!!!」

 

 

 

 

急に咲希が飛び込んでくる。

 

 

 

 

 

波志「ぐぇっ!!?」

 

 

 

飛び込んできた咲希によって、僕はそのまま床に倒れこんだ。

 

 

 

 

 

司「お、おい!?大丈夫か!?」

 

 

咲希「え、えっと!と、とにかく病院.....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「僕の生涯に.....一片の悔い無しっ.....!」

 

 

司「目を閉じるな閉じるな!まだ人生の半分も生きてないぞ!」

 

 

咲希「と、とにかく.....えっと、えーっと....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!

 

 

 




どうも、シグザールです。
プロローグ、如何だったでしょうか?
次回は本編に入るので、応援よろしくお願いします!
では、シグザールでした。




奏の話の続きは誰か1人ヒロイン回を書いてからにしようと思います。


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第一話 波志、幼馴染たちと再会する。

どうも、シグザールです。

ここから本編始まります!
それと、前回の感想で指摘してくれたらいむーさん、ありがとうございました!
穂志、というのは主人公のボツになった名前です。
途中で全部波志に変えたと思っていんですが......
あと、呼び方を書いておきます。

波志
一歌→「一歌」
咲希→「咲希」
穂波→「穂波」
志歩→「志歩」


5人からの波志の呼び方
司「波志」
一歌「波志くん」
咲希「ほっくん」
穂波「波志くん」
志歩「波志(幼少期 波志兄ちゃん)」


では、本編第一話、どうぞ!





波志「早く土曜日にならないかな......」

 

 

 

 

 

 

学校の休み時間、教室で呟く。

 

 

 

 

 

 

昨日、咲希にサプライズ?を司としようとしたんだけど、配置とかで揉めてしまい、揉めているうちに咲希が帰ってきた。

それで、咲希があまりの嬉しさ?なのか僕に突撃(物理)してきた。

多分どっかの世紀末覇者みたいなことを言っていた気がする。

そのあと、頭がどうにかなりそうなスピードで咲希からのLINEで今週の土曜日に僕の家で再会パーティーを開くことになった。

本当に、咲希の行動の速さというかなんというか.....

 

 

 

 

 

 

 

司「早く、って....まだ昨日から一日しか経ってないぞ....?」

 

 

前にいる司には聞こえていたらしい。

 

 

波志「だって、楽しみだし....」

 

 

司「まあな.....本当はオレも参加したがったが....パーティーの日にショーがあってな....!」

 

 

波志「あらら....ん?ショー?」

 

 

司「ああ、言ってなかったな。今、フェニックスワンダーランドのキャストで、なんと、ショーに出演していてな....今回はオレが主役!」

 

 

波志「(司がショーの主演かぁ.....確かに、司にぴったり.....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心の中でそう思う。

.....今度見てみたいな、司の主役のショー。

多分、普段みたいなテンションで、みんなを楽しませているんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

司「でも、ショーもパーティーも、できれば参加する!」

 

 

波志「どうやって?」

 

 

司「ショーの公演時間が全て終われば、ダッシュで波志の家に!」

 

 

波志「嬉しいけど.....無理はしないでね。」

 

 

司「任せておけッ!2つ、いや、2つ以上もこなしてこそ、スターッッッ!!」

 

 

 

ガタンッ!

司が勢いよく立ち上がり、座っていた椅子が大きく揺れた。

 

 

波志「大丈夫かなぁ.....まあ司なら本当に出来そう....」

 

 

 

 

 

 

そう思いながら勢いよく立ち上がった司を見ていると......

 

キーン...コーン.....カーンコーン.....

 

 

 

 

 

 

司「って、そろそろ授業始まる時間か。」

 

 

 

波志「そうだね。」

 

 

司「じゃ、パーティー、頑張れよ!」

 

 

波志「うん!」

 

 

 

応援を受けて、もともとやる気がマックスだったのに、司からの応援でやる気ユニバースになってしまった!

.......やる気ユニバースってなんだよ(自己ツッコミ)

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

こうしてやる気がユニバースになったまま、土曜日を迎えた。

事前にお父さんに今日再開パーティーでリビング全部使うって伝えると、「その日俺仕事だぞ」と、ツッコミを受けてしまった。

土曜日になる前に、できる限りのことはやっておいた。

アップルパイの生地を作っておいたり、お菓子買いだめしたり.....

あれ、2個しかやってない気がする。

こんなくっだらないことを考えているうちに、運命の.....言い過ぎた、時間はやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「うーん、この焼き加減で良いかな.....?」

 

 

オーブンに入れているパイ生地と睨めっこしていた。

久しぶりに作るので、うまく焼き上がるか不安なので、オーブンに入れている時間はずっとパイ生地を見つめていた。

 

 

 

 

 

ピンポーン!

 

 

 

 

玄関のピンポンがなり、玄関に向かう。

玄関のドアを開けると、それはそれはもう懐かしい光景が目に映っていた。

 

 

 

咲希「ほっくん!来たよ!」

 

 

一歌「えっと......久しぶりだね。波志くん。

 

 

穂波「久しぶり!波志くん!

 

 

志歩「.....久しぶり。波志。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4人固まって僕の家に来る。この光景をどれだけ見たかったのだろう。

その明るい光景を見て、涙が流れそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「.......ぅぅ。」

 

 

一歌「え.....?」

 

 

波志「い、いや。なんだか懐かしいなぁ.....って。」

 

 

志歩「な、泣くほど.....?」

 

 

咲希「ほっくん、何かつらいことでもあったの......?」

 

 

穂波「つらいことがあったなら、わたしたち相談してね.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなの優しい言葉や気遣いが心に響く。

......お父さん以外にこんなに心配してくれたの、いつぶりだったかな......?

 

 

 

 

 

 

 

波志「う、ううん.....大丈夫、だから........あがって。」

 

 

穂波「ほ、本当に?」

 

 

咲希「でも、すごい泣きそうだよ.....?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やばい、涙なんとか戻さないと.....

心配かけちゃうから......

けれど、戻そうと思っても、戻したと思えばもう一度流れそうになる。

 

 

 

 

 

波志「大丈夫、だから、みんな先に上がって.....」

 

 

一歌「う、うん。」

 

 

咲希「お、おっけー.....」

 

 

穂波「お、お邪魔します.....

 

 

志歩「.....お邪魔します。」

 

 

 

 

 

 

 

みんなが家に入って行っていた後、僕はほっぺたをつねった。

痛みで涙を抑えるために。

ついでに、今のことが夢かどうかも確認するために。

 

 

 

つねったあと、みんなの後を追いかけて、リビングに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

つねったほっぺたは、ほんの少し、赤くなっていた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

(咲希視点)

 

波志の家のリビング.....

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「何か.....あったんだろうな。」

 

 

咲希「うん、すっごくつらそうで、かなしそうだった....」

 

 

穂波「引っ越ししちゃったあと、なにかあったのかな.....」

 

 

一歌「多分、というか絶対、何かあったんだ。すごくつらいことが....」

 

 

穂波「一歌ちゃん.....」

 

 

志歩「何か、できることはないかな....」

 

 

咲希「うーん........あ!アタシたちでさ!」

 

 

 

 

みんなに手を振って「集まろー」ってサインを送り、近くに来ないと聞こえないぐらいの声の大きさで喋った。

 

 

 

 

 

咲希「ねえねえ、ほっくんに元気を送るために、綺麗な星が見える時にライブをする、っていうのはどうかな?」

 

 

穂波「綺麗な星が見える時にライブ.....うん、それいいと思う!」

 

 

一歌「私も、波志くんを元気にしたい!」

 

 

志歩「それじゃ、とびっきりの綺麗な星、見つけないと。」

 

 

咲希「よーし、それじゃあ......」

 

 

 

 

 

 

 

波志「? どうしたの、みんな固まって。」

 

 

 

 

急にほっくんが後ろから声をかけてきた。

それにびっくりしちゃって、4人全員が一斉に横に並んだ。

 

 

 

 

 

 

4人「ううん、なんでもない!!

 

 

ちょっと適当だけど、息が揃って誤魔化した。

 

 

波志「? まあいいや。適当に座って。多分主菜......じゃなくて、ケーキ担当のものが出来てると思うから。」

 

 

咲希「? ケーキ担当のもの?」

 

 

一歌「なんだろう....?」

 

 

志歩「なんとなくわかる気がする.....」

 

 

穂波「あっ!もしかして.....!!」

 

 

波志「あ、穂波は一発わかっちゃったか。」

 

 

 

 

オーブンから出来立てのアップルパイを取り出す。

心配して焼き加減もバッチリっぽい。

 

 

 

 

 

波志「はい。作るのは久しぶりの.....アップルパイ!」

 

 

 

 

リビングの机にアップルパイが載ったお皿を置き、一斉にみんなが置かれたお皿に注目した。

 

 

穂波「わぁ、おいしそう.....!!」

 

 

咲希「ほなちゃん目がキラキラしてる....!」

 

 

波志「久しぶりに作ったからおいしいかはわからないけど.....召し上がれ!」

 

 

 

 

 

4人「いただきます!!」

 

 

 

挨拶をしてから真っ先に小さなアップルパイを手に取ったのは、ほなちゃんだった。

それに続くようにアタシも一つ、口に入れた。

 

 

穂波「~~~~!!!」

 

 

横に座っていたほなちゃんが笑顔になりながら左右に揺れていた。

確かに、揺れちゃうぐらいのおいしさ。

外がサクサクってしてて、生地もふわふわで、りんごも食べやすくて.....

 

 

 

咲希「んー!おいしいー!」

 

 

 

 

波志「喜んでくれてよかった。」

 

 

 

 

志歩「......いいね、ちょうどいいくらいの甘さ。」

 

 

一歌「確かに。食べやすくておいしい。」

 

 

波志「まだまだあるから、たくさん食べてね。」

 

 

 

 

 

 

そう言われて、アタシたちはアップルパイを少しの間で食べ切っちゃった。

多分、一番食べたのはほなちゃんだと思う。

だって、アタシが一つ食べ終わると、もう3つは食べ切ってて.....

一つ食べるごとに体が揺れていて、そんなほなちゃんを見て、なんだかアタシも嬉しくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「あ。司の分、作るの忘れてた。」

 

 

唐突にほっくんがそんなことを言った。

 

 

 

咲希「え?お兄ちゃんの?」

 

 

波志「うん、生地作ってる時に「オレの分も作ってくれ!」って頼まれてたんだけど....みんなの分でオーブンの内蔵量がパンパンになっちゃって.....みんながおいしく食べてくれてるのを見てつい.....司、早くショー終われば来るって言ってたから....」

 

 

 

腕を組み手を当てている「どうしようか」考えているほっくん。

そんなほっくんをみて、「何かできることはないかな」って思った。

 

 

咲希「じゃあさ、アタシが手伝うよ!」

 

 

波志「え?いいよ、僕が忘れてたんだから。」

 

 

咲希「おいしいアップルパイを作ってくれてお礼!」

 

 

一歌「波志くん、手伝わせてあげて。」

 

 

穂波「咲希ちゃんがいれば百人力だよ!」

 

 

 

 

 

 

 

いっちゃんとほなちゃんが後押ししてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「う、うーん.... .わかった。じゃあ、お願い。」

 

 

咲希「! うん、まっかせて!!おいしく作っちゃうから!!」

 

 

波志「うん、頑張ろう。」

 

 

咲希「おー!!」

 

 

 

 

 

こうして、アタシとほっくんでお兄ちゃんにアップルパイを作ることになったのでした。

 

 

 

・・・・・・・・・・

(波志サイド)

 

波志「司、もう少しで来れるって。」

 

 

咲希「楽しみだなぁ.....おいしいって言ってくれるかなぁ....?」

 

波志「僕のお母さんが言ってた。「料理は質や量じゃない。気持ちが大事」って。」

 

 

咲希「そう.....だよね!」

 

 

一歌「(気持ち.......。)」

 

 

穂波「(気持ち.......わたしも.....)」

 

 

志歩「(...........気持ち、か。)」

 

 

 

ピンポーン!

 

 

 

 

 

家のピンポンが鳴って、咲希と一緒に玄関に向かう。

玄関のドアを開けると、息切れしている司がいた。

 

 

 

司「はぁ.......はぁ.........着いたぞ......!」

 

 

波志「大丈夫!?すごい息切れしてるけど.....」

 

 

司「全力......疾走....してきた.....」

 

 

咲希「え!?フェニックスワンダーランドから!?」

 

 

司「ああ......」

 

 

波志「と、とりあえず、上がって.....」

 

 

司「お邪魔、します......」

 

 

 

 

司をリビングに連れて行った。

司が歩こうとするとフラフラになるので、肩を持って、二人三脚のようにリビングに連れて行った。

咲希もその後ろからついてくる。

 

 

 

リビングに着くと、後ろから歩いていた咲希がリビングにあるオーブンの近くに行き、

焼いていた5個ぐらいの小さなアップルパイを取り出した。

司をテーブルの前に連れて行き、椅子に座らせた。

 

 

 

 

ちなみに、なぜか一歌と穂波と志歩は「どうせなら3人で」ということで、僕の部屋にいる。

......あのクソイタ歌詞ノート見られてなきゃいいけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

司「こ、これは......!?」

 

 

波志「これは「アタシが作ったんだ!」.....そう、咲希が作ったんだよ。司の分を焼き忘れてそのことを思い出した時に代わりに。」

 

 

司「なんかいまひどいこと言われた気がするが......咲希が作ったのか!!いただきます!!」

 

 

咲希が作ったアップルパイを見て、勢いよく手を合わせて、司が一つ口に入れた。

 

 

 

 

司「...........「

 

 

咲希「ど、どうかな.....?」

 

 

司「.....しい」

 

 

咲希「えっ?」

 

 

 

 

司「おいしい!!おいしいぞこのアップルパイ!!!!」

 

 

咲希「~~~~~~~~!やっったぁ!!!おいしいって言ってくれた!!!」

 

 

波志「よかったぁ........」

 

 

 

 

 

 

ホッと一息つく。

司がアップルパイを食べている間に、一歌たちを呼んだ。

部屋に入った時、なぜか3人ともすごい挙動不審で、目が左右に揺れていた。

Gでもいたのかな........

後で滅殺しておかないと......(使命感)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、夕方5時ぐらいまでまあまあなどんちゃん騒ぎが起こった。

急に志歩のお姉さんの雫さんから電話かかってきて、僕がこの街に帰ってきたって知った時の志歩の状態だとか.....

まあ本人からしたら多分すごい恥ずかしかったのか、その話の3分の2ぐらいのところで電話を取り上げられて切られてしまった。

 

ーーー回想ーーー

 

 

波志「あのー、なんで僕の電話番号知っているんですか.....?」

 

 

雫「え?昔の電話番号にかけてたら繋がって.....」

 

 

波志「(......確かに、連絡用に雫さんと電話番号教えてたけど.....よく覚えてたなぁ.....)」

 

 

雫「そうそう、しぃちゃん、波志くんが帰ってきたってう知ったら、ずっと喜んでいたのよ?」

 

 

波志「え?」

 

 

雫「「波志兄ちゃんに会える.......っ!」って何回も......」

 

 

志歩「ーーーーーーー!!お姉ちゃん、切るからね!!!」

 

 

ツー、ツー、ツー......

 

 

波志「あ。」

 

 

志歩「.....ごめん。忘れて。」

 

 

波志「.......え、えっと....」

 

 

 

 

 

 

志歩「わ す れ て ?」

 

 

 

 

 

波志「は、はい......」

 

 

4人「(こ、怖い.........)

 

 

 

 

ーーー回想終了ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとは.....最近の話だとか。

一歌と咲希と穂波と志歩。4人でバンドをやっているんだって。

機会があれば見に来てねと言われた。

是非とも見に行かないと.....

その後、一歌たちが他の話で盛り上がっている時に、司とはいろんな話をした。

引っ越してからのことだとか、ここに戻ってきた理由だとか。

流石に前の高校のことは伏せておいたけど。心配をかけたくないから。

 

 

 

 

司「今日は、ありがとうな。」

 

 

波志「ううん、こちらこそ。久しぶりに楽しい時間を過ごせたよ。」

 

 

咲希「また、やろうね!」

 

 

波志「うん、また今度ね。」

 

 

 

 

咲希と司が一足先に家に帰って行った。

2人の背中が見えなくなるまで、手を振り続けた。

 

 

 

 

一歌「波志くん。」

 

 

波志「ん?どうしたの?」

 

 

一歌「また.....遊びに来ても、いいかな?」

 

 

波志「いいよ。また、5人で、遊ぼう。」

 

 

一歌「! ありがとう.....波志くん。」

 

 

穂波「じゃあ、波志くん。改めて、これからよろしくね!」

 

 

志歩「波志、これからよろしく。」

 

 

 

 

 

3人が改めて挨拶を終わった後、一歌たちは自分の家に帰って行った。

また、背中が見えなくなるまで、手を振った。

 

 

 

 

 

 

波志「じゃあ、後片付け、頑張るとしますか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!!

 

 

 

 

 




どうも、シグザールです。
あーーーー!
やっと更新できたよぉぇぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉお(歓喜のあまり発狂)

しかし、今度は受験という壁.....
また更新遅れてしまう.......


読んでくれている皆様に申し訳ないですが、また更新遅くなると思います.....
気長に、本当に気長にお待ち下さい.......!!


次回は第二話か、奏小説を書こうと思っています。
どちらになるかはわかりませんが.....


では、シグザールでした!!



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第二話 志歩、波志の家で雨宿り。

どうも、シグザールです。

ヒロイン回第一回目は志歩に決まりました。
一応、何故志歩が昔「波志兄ちゃん」と呼んでいたのか、そのきっかけの一つ明らかになると思います。
では、どうぞ!!


モノローグ

 

 

 

 

あのパーティーから1週間が経った。

時間が経つのは早いって、身を持って感じた。

司に紹介(実験の巻き添え)で「神代類」って人にも出会った。

というか実験の内容が電撃が入っているとは思わなかった.....

廊下に落ちてたボタンを好奇心で押したら電撃が発生するとは思わないよ.......

 

 

後日、司と類くんが学校で「変人ワンツーフィニッシュ」と呼ばれていることに気づき、なんとも言えない気持ちになったのは別の話。

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、休日。

何もないので、1人お母さんのオカリナを吹いている。

外は雨で、自然とオカリナを吹いているうちになんだか悲しい曲調になっていく。

どうにかして曲調を明るくしたいな、と思ってテレビをつける。

適当に放送されている番組を観ていると、突然家のピンポンがなった。

 

 

 

 

 

ピンポーン!

 

 

 

波志「誰だろう?今雨降ってるのに。」

 

 

 

 

 

待たせるのも悪いだろうと思って、早歩きで玄関に向かった。

少し歩いて、玄関のドアを開ける。

 

 

 

 

 

 

 

波志「はーい.....?」

 

 

志歩「........」

 

 

 

 

 

ドアを開けると、雨に当たってずぶ濡れになった志歩が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「!? 志歩!?どうしたのそんなにずぶ濡れで!?」

 

 

志歩「.......傘、忘れて。雨が降り終わるまで、ここに居ていい....?」

 

 

波志「わかった。とりあえず、入って。タオル持ってくるから、ちょっとだけ待ってて!ついでにお風呂も....」

 

 

志歩「.......うん。」

 

 

 

 

 

 

うん、って聞こえて、急いで家の中を駆け巡った。まずはタオルとお風呂の準備をするために風呂場に向かってタオルを手に持って、お風呂のボタンを押したあと、先に志歩にタオルを届けた。

その後に自室の自分のTシャツを風呂場に置いておき、それが終わった後、志歩を風呂場に案内した。

 

 

 

 

 

志歩「....覗かないでよ?」

 

 

波志「.....志歩の中で僕のイメージってどうなってるの......??」

 

 

志歩「........冗談だって。」

 

 

 

短い会話を交わしたあと、志歩は風呂場に入っていった。

軽い一息ついたあと、リビングに戻って、またオカリナを吹いた。

 

 

 

さっきより、気ままに吹いたオカリナの曲調が少しだけ明るくなっていた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

(志歩サイド)

 

 

 

志歩「.......波志兄ちゃん.......」

 

 

 

 

そう呟いて少し経って、波志に聞かれてないか、心配になってきた。

久しぶりにパーティーで会った時、昔の様に「波志兄ちゃん」って呼びそうなったけど、なんとか言葉を飲み込んだことを思い出した。

波志のことを考えると、顔が赤くなるとともに、昔のことも少しずつ浮かんできた。

真っ先に浮かんだのは、私が小さな頃に「波志兄ちゃん」って呼び始めたきっかけの一つ。

 

 

 

 

 

 

 

確か小学校3年ぐらいだったかな。

その時、私は気ままに公園にきて、その場でばったり会ったクラスメイトに悪口を言われていた。

「一人ぼっち」だとか。あんまり覚えていないけど、言われるがままずっと逃げようともせずにその場に立っていた。

けど、突然波志が私の前に来て、こう言った。

 

 

 

 

 

 

「志歩の悪口を言うんなら、僕に全部言え!全員にそのまま返してやる!!」って。

 

 

 

 

 

クラスメイトはそう言われて、私に向けていた悪口を全部波志に言ってきた。

でも、そんなことは気にせずに、私の手を引っ張って私の家まで送ってくれた。

波志が帰る前に聞いてみた。

「なんで助けてくれたの?」って

返ってきた答えは「そんなの、僕の大切な友達だからに決まってる。例え歳が5ぐらい離れていたとしても、志歩は大切な友達。」って。

 

 

そう答えられた時に、私の中で憧れ、っていうのかな。みたいなのを持つ様になった。

いつか、大切な人(一歌、咲希、穂波、お姉ちゃん、波志)が何かを言われた時に、胸を張って波志のように言えるようになりたい。

そんな思いを持ち始めた。

 

 

 

公園での出来事があってからは、クラスメイトにからの悪口とかは無くなった。

その代わり、なぜか波志との関係を聞いてくるクラスメイトが多くなったけど。

悪口を言われるよりかはいいかな、って思って適当に答えてたけど......

 

 

 

 

5年生の3学期。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志が6年生の卒業式の日に、遠くに引っ越してしまうって、聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう聞いた時に、私は、どうしようもなく波志と....波志兄ちゃんと別れたくない、気持ちが強くなった。

いつかクラスメイトから聞かれた「将来も一緒にいるの?」

その時は適当に「多分」って答えてたけど、適当に答えとしても、多分、って言ったから、余計に別れたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「(.....波志がいるのって、現実.....なんだよね。いつか....波志兄ちゃんって、呼べたらいいな。)」

 

 

 

 

そんなことを想いながら、シャワーを使う為に、お風呂から出た。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

波志「~~~~♪~~~~~~~~♪」

 

 

一人でまあ.....うん。あのクソイタノートに書いた歌詞をひっそりと歌っている。

.......聞かれるだけならまだいい。

しかし、あのノートを見られてはダメだ。僕の精神が4ぬ。

なんなら某金ピカのアレと一緒になるぐらいの精神的ダメージを負ってしまう。

僕の精神がいなくなってしまう。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じでもしかしたら前に自室で待機してもらってる時に見られた.....って不安もあるけど、絶対にわからないような場所に隠してある.....バレたらその人は探偵出来るってぐらいのところに。まずは素直に褒める。そして僕の精神がいなくなる。

 

 

 

 

 

 

波志「(しかし.....志歩、って確か僕のこと「波志兄ちゃん」って呼んでなかったっけ?まあみんな大きくなったからなぁ....僕一つしか歳違わないけど。)」

 

 

志歩「お風呂、入り終わったよ。」

 

 

 

 

後ろから声がして、振り向く。

後ろには、サイズがあってそうな昔僕が着ていた服を着た志歩がいた。

Tシャツが星の柄がいっぱいついたシャツで、ズボンが膝くらいまでしかないズボン。

 

 

 

 

 

波志「ごめん、服男の子用のやつしかなかった.....」

 

 

志歩「大丈夫。」

 

 

波志「サイズは大丈夫?」

 

 

志歩「うん、ちょうどいいサイズ。」

 

 

波志「それは良かった.....ずいぶん着てないから、サイズが合わないかなって思ったけど.....心配はいらなかったみたいだね。」

 

 

 

 

 

 

一息ついて、一つの心配がなくなったことを安心した。

チラッと窓を見ると、まだ雨は降ったままだ。

 

 

 

 

 

波志「まだ降ってるのか......うーん.....よし、マ○カでもしようか。」

 

 

志歩「マ○カ?いいけど.....やり方知らない.....」

 

 

波志「あー.....僕も久々に遊ぶから、うろ覚えだし。感覚で行こう。うん。」

 

 

志歩「か、感覚って.....」

 

 

波志「まあ現実で感覚で車運転したら警察の世話になっちゃうけどね。」

 

 

志歩「当たり前でしょ!」

 

 

波志「よーし、早速起動だぁ!」

 

 

志歩「聞いているのか聞いてなのか.....まあいいかな。」

 

 

波志「ふっふっふっ.....絶対に勝ってみせる....!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、突発的なマ○カ対戦はなぜか志歩の圧勝で終わったのだった....

どうして.......

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー「一部始終」ーーーーーーーーーー

 

志歩「よっと.....」

 

 

波志「なんでそんなコーナリングうまいのさ.....」

 

 

志歩「あ、これお届けもの。」

 

 

波志「だぁーっ!直接バナナ当ててきた!!」

 

 

志歩「もう一つ。」

 

 

波志「今度は緑こうらぁ!?」

 

 

志歩「あ、なんか勝った。」

 

 

波志「ええ......」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

波志「うそでしょ....」

 

 

志歩「(マ○カしようって言ってきたのそっちなんだけど.....)」

 

 

波志「まあいいや。ちょうど雨も晴れたようだしね。」

 

 

志歩「.....ほんとだ。私が一位取ったからかな。」

 

 

波志「傷を掘り返すのは勘弁してください。」

 

 

志歩「.....先に勝負しよう、って言ったの、波志兄ちゃんなんだけど.......」

 

 

波志「波志兄ちゃん?」

 

 

志歩「え......? .......!!!!」

 

 

 

 

一気に志歩の顔が真っ赤になっていく。

まるでやかんの中のお茶が湧き上がったように。

 

 

 

 

 

波志「うーん、久しぶりに呼ばれたなぁ.....なつか....し.....い.....?」

 

 

 

 

少しだけ思い出を思いだして、しみじみしていると、後ろから殺気を感じた。

恐る恐る振り返ると、志歩が顔を俯けたまま僕の方向に体を向けている。

 

 

 

波志「し.....ほ......?」

 

 

志歩「忘れて

 

 

波志「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

忘れて.......?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「は、はいっ!!!」

 

 

 

 

あまりの声の怖さで、動きが軍人の整列みたいになった。

 

 

 

 

 

志歩「今日は、帰る、ね。

 

 

 

 

波志「わ、わわわわ、わかりました!!」

 

 

 

 

 

そう言って、志歩は玄関に向かって歩いて行った。

僕も、見送ろうと思ってめちゃくちゃ綺麗な前進で進んでいく。

玄関につくと、志歩が靴を履いて、玄関のドアに手をかける。

すると、志歩が突然後ろを振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「......今日は、ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきとは違う、優しい声。

さっきの殺気はどこにも感じなかった。

それにつられて、僕も、軍人のような動きはなくなって立っている姿を崩す。

 

 

 

 

波志「うん。また、いつでも、みんなと来てもいいからね。」

 

 

志歩「...わかった。また、来る、ね。」

 

 

 

 

 

そう言って、志歩は僕の家を出た。

 

 

 

 

波志「あ、服、置きっぱなしじゃん.....持っていくわけにもいかないし......雫さんに連絡すればいいかな....」

 

 

 

 

そう呟いたあと、雫さんの電話番号を書いたメモを探した。

昔雫さんの連絡先を書いたメモを見つけるに、数十分もかかってたのは別の話。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

(おまけ)

 

志歩の家にて.....

 

 

 

志歩「服、どうしよう....つい置いて帰ってきちゃったけど....」

 

 

雫「あら、しぃちゃん。その服、どうしたの?」

 

 

志歩「お姉ちゃん!?あー、これは....」

 

 

雫「多分、波志くんの服ね。」

 

 

志歩「!! ち、違うよ!というか、なんで波志の服ってわかるの?」

 

 

雫「え?違うの?さっき波志くんから「志保に、服を後で取りに来てって伝えてくれませんか。」って電話が来たのだけれど....」

 

 

志歩「......変なところで電話のタイミング噛み合ってるし。」

 

 

雫「......ふふ。」

 

 

志歩「え?どうしたの、お姉ちゃん.....?」

 

 

雫「ううん、なんだか嬉しそうだな、って。」

 

 

志歩「なんで?」

 

 

雫「だって、波志くんがここに戻ってきてから、前に知った時よりも、さらに嬉しそうだから。」

 

 

志歩「......それは....そうだけど....」

 

 

雫「じゃあ〜、今度二人でお出かけでもどうかしら?」

 

 

志歩「二人でお出かけ....二人!?そ、それって、で、で、デ.....」

 

 

雫「(....今度、きっかけを作るお手伝いしたほうがいいかしら.....わたしだって、しぃちゃんのこと、応援してるからね。二つのこと(夢と波志くん)を、叶えれるように。)」

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 




どうも、シグザールです。

前の話よりは早く更新できたけど、全然書く時間なかったなぁ.....
受験も完全に終わったので、ほんの少しだけはやく更新できるかも....
次回は......誰にしようかな.....
アンケート、最近置き方わかったので、次回は誰がいいか、ぜひ投票してください!

では、シグザールでした!!


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第三話 波志、ネコ(?)を拾う。

どうも、シグザールです。

この話の後、第二回目のヒロイン回となります。
アンケートの結果、次回は一歌に決まりました。
アンケートご協力、ありがとうございました!
またヒロイン回が終わればアンケートをとりますので、ぜひ投票してください!


多分、今回の話に出てくる猫(?)、もしかしたら何が元になったか、
わかる人出てくるんじゃないかな.....


では、第三話、どうぞ!!


今日、僕は雨が降っている最中、自分の家に帰ろうとしていた。

なぜ雨の中外に出ているのか、というと、今日の晩ご飯の材料を買いに行っていた。

お父さんは、その....料理はできるんだけど....どうも.....まあ、「メシマズ」に入る部類。

レシピを見て作ればいいのに、なぜかそこで勝手な調味料を入れてしまうため、いつも我が家の食事は僕が作ることになっている。

一度、司達にお父さん曰く「自信たっぷりだ」の料理を食べさせてしまったところ、司は口を押さえ、咲希も口を押さえ、一歌は笑っていたけど手が震え、穂波は頑張って食べていたけど、二口目で気分が悪くなり、志歩は静かに固まった。

この惨状を見て、お父さんも自分の料理が下手くそ(暴言)と理解して、以降僕が料理を作ることになっている。

 

 

 

 

 

.......お母さんがまだいなくなってない時はお母さんが作っていたけど。

 

 

 

 

 

と、そう昔の思い出を思い出し、おじいちゃんのようにしみじみしていると、横で声が聞こえた。

小さな、機械のようで、何かの動物のような声。

それに釣られて横を振り向くと、小さなものが横たわっていた。

 

 

波志「? この子......」

 

 

 

 

小さなものを見るため、近くに寄って、しゃがむ。

見えたのは、まるで、小さな猫にライオンのたてがみを付け加えたかのような、体が何かで作られているロボット。

全身が青と白の色の構成で、たてがみのような部分は少し鋭く見え、さらに脚の部分がブロックで、それも鋭く見えた。

しかしながら、動きはまるで生きているように、脚や顔がゆっくりと動いていた。

 

 

 

 

波志「ロボット....?でも、動きがまるで猫のような.....とりあえず、家に連れて行こう。」

 

 

 

そう言って、買い物袋を肩に持ってきて、それを提げてから、ネコ型?ロボットを抱えて、家に帰った。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

波志の自室....

 

 

 

波志「とりあえずりんご切ってきたけど....食べるのかな?」

 

 

 

そう思いつつも、ネコ型?ロボットの前に小さく切ったりんごが入った皿を差し出す。

少し鼻?を動かしたあと、皿まで食べてしまうぐらいの勢いでりんごを食べ始めた。

 

 

 

 

ガリッ!!

 

 

 

 

波志「ちょ、皿は食べちゃだめだよ!」

 

 

そう注意すると、悲しそうに頭をかっくりと下げた。

 

 

波志「あー......その、皿はだめだけど....りんごはまだあるから、持ってくるね。」

 

 

そう言うと、下げていた頭が急に上がり、少しだけ口を開けた。

そんな姿を見て、僕の心は「どう言われても世話する」ってなっていた。

 

 

波志「(この子.....動物なのかロボットなのか......どっちなんだろう。ロボットだったら充電式だと思うし....でもりんご食べてるし.....)」

 

 

 

そう思いつつ、僕はりんごをさらに切りに行った。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

その日の夜、お父さんに相談した。

お父さんはすごい困惑していたけれど、「オッケー」と許可をくれた。

それを受けて、僕は早速この子に名前をつけることにした。

しかし、昔からゲームとかでポ○○ンに名前をつけようとすると、ヘンテコな名前しか思いつかない。

なので、司達にLINEで何かいい名前はないかと聞いてみた。

 

 

 

司「ブルースター、いい名前なんじゃないか?色も青が多いからな。」

 

 

一歌「ハツネはどうかな?」

 

 

咲希「レオ、かなぁ....?」

 

 

穂波「ポチ......かな?」

 

 

志歩「フェザー。」

 

 

 

 

 

 

.......みんな僕よりセンスあるじゃん...

LINEから届いた案を見ながら自室に戻ると、部屋の真ん中に紙が置いてあって、その紙には「ライカー」ってぐにゃぐにゃの文字で書かれていた。

 

 

波志「....こんな紙、あったっけ?」

 

 

 

そう呟くと、横からネコ型ロボットが現れて、恐る恐る聞いてみた。

 

 

波志「ねえ、これ自分で書いたの.....?」

 

 

その言葉に反応して、口を開けて、小さく声が聞こえた。

多分、「そうだよ」って意味なんだろう。

 

 

波志「.....すごい。あのさ、他の文字も書ける?」

 

 

 

 

そう聞いてみると、ネコ型ロボット....もとい、ライカーは首を横に振った。

どうやら自分の名前しか書けないらしい。

 

 

 

 

波志「まあ確かに自分の名前を書く、っていうのはすごく大事だからね.....わかった。君の名前は「ライカー」なんだよね?」

 

 

 

 

 

ライカーはそう質問を受けて、うなり声を出した。

怒ってる、とかじゃなくて、「うん!!」、そんな感じの。

 

 

 

 

波志「よーし!それじゃ、これからよろしくね、ライカー!」

 

 

 

ライカー「グオオオオオンッ!!」

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 

 




どうも、シグザールです。

......これ日常回じゃないな、これ。(今更)
まあ、ライカーもまた登場させます。
また、更新早めにして行こうと思いますが、「少し遅くなったな」と思ったら、忙しいと察してください....


次回、「一歌、波志とお出かけ。」



では、シグザールでした!!




 



あ、「波志を元気づけるライブ」は最終話で書こうと思っています。
多分、ヒロイン回を二、三回書いてからになるかな.....
無事に完結できるように、頑張っていきます!!!


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第四話 一歌、波志とお出かけ

どうも、シグザールです。

今回は、前回の予告で書いた通り、一歌が波志とお出かけに行く話になります。
あまあまになるように頑張って書いてみます!
では、どうぞ!!


波志「待ち合わせ、ってここ、だよね.....」

 

 

 

 

 

 

 

目の前にある駅の入り口を見上げながら、そう呟く。

今日は休みの日で、金曜日の夜に一歌から「買い物に付き合ってほしい」と言われたので、シブヤ駅前の所で待ち合わせしている。

.....正直、司や咲希の方がいいんじゃないかな?僕のセンスはひどいと思うけど....

昔、一度みんなで服とか買いに行ったけど、みんなからはなんか困った顔されてたし。

司曰く「波志、どんなセンスしてるんだ.....?ポ○○ンに猫の合わせは普通ないだろ....」とのこと。

.....一時期、それがショックでファッション雑誌読みまくって時もあったなぁ。

それを見たお父さんに「お前、うそだろ?」とこの世の終わりみたいな顔をされた。

それ以来、あまり私服には関心がなくなった。なんなら時たま制服で街を歩くぐらいだ。

司のせいではないんだけどね。自分のセンスがないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一歌「ごめん、待たせちゃったかな?」

 

 

 

 

 

 

昔のことを思い出していると、後ろから一歌の声が聞こえた。

それに反応して、後ろに振り向く。

 

 

 

 

波志「今僕も来たところ。」

 

 

一歌「そっか.....よかった。待たせてるんじゃないかな、ってずっと思ってて....」

 

 

波志「気にしないで。それで、どこに買い物に行くの?」

 

 

一歌「えっと、今日は.....その....」

 

 

波志「? どうしたの?」

 

一歌「(.....本当はふたりでシブヤを見て回りたいのに.....本当のこと言えなくて、買い物って言っちゃったんだった.....どうしよう.....)」

 

 

波志「? まあいいや。思い出せないんなら、適当にこの辺を回ろうか。見ているうちに、思い出すと思うし。」

 

 

 

 

 

何か言い淀んでいたので、安心?させるために、とにかく見て回ろうと言ってみた。

 

 

 

 

 

一歌「.....うん、わかった。」

 

 

波志「うんうん、やっぱり一歌は笑顔の方が良いや。」

 

 

一歌「え?」

 

 

波志「ほら、行こう!」

 

 

一歌「え?ええ?ちょっと!?」

 

 

 

そう言って、一歌の手を引いて、信号が青になった交差点を走った。

 

 

 

 

 

 

一歌「(久しぶりに、波志くんに手を引いてもらったな.....昔はお互いに背が同じくらいで、歳ぐらいしか変わってるものがなくて....でも、今は背も波志くんが大きくて.... いつだって私の.......憧れだな....)」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

シブヤ、CDショップ....

 

 

 

波志「へー、今のミクの曲って、こんなにあるんだ......」

 

 

 

 

店内に置かれている、バーチャルシンガー「初音ミク」が歌っている数々のCDを眺めながら、そう呟く。

シブヤを歩いている時に、一歌が「ここに来たかった。」と言ったから、手を引いたまま店内に入った。 

 

 

 

 

 

 

 

一歌「うん。昔はあまりなかったけど.....今はいろんな人がミクと一緒に曲を作ってるから。」

 

 

波志「一緒に、かぁ......昔を思い出すなぁ。小学校の時は、みんなといろんな曲を演奏したり、曲を作ったりしていて....すっごい楽しかった。もちろん、今のこの時も楽しいけどね。」

 

 

一歌「.....引っ越ししたあと、何かあったの?」

 

 

波志「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一歌にそう言われて、なんとも間抜けな声がでた。

多分、なんとなく、悲しそうな声を出していたのだろう。まったく意識はしてなかったけど。

でも、ここで僕の昔を話すわけにはいかない。

せっかく、みんなと再会して、心配をかけたくないから。

多分、みんなは「心配をかけたっていい」って言ってくれると思うけど。

それでも、もう昔のことだから。ずっとそう言い聞かせてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「......なんでもないよ。」

 

 

一歌「........嘘、ついてる。」

 

 

波志「え?」

 

 

一歌「昔から、嘘をつくと、ここ.....」

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、一歌は顔を近づけて、僕の

ほっぺを指差してきた。

 

 

 

 

 

 

一歌「ここ。ほっぺたが赤くなってる。」

 

 

波志「へっ?うそでしょ?」

 

 

 

 

 

そう言われて、近くにあった反射するものを顔に向ける。

そうすると、確かに、ほっぺたが少しだけ赤くなっていた。

 

 

 

 

 

一歌「本当だよ。......何か、あったの?引っ越ししてから。」

 

 

波志「........そのうちに、ね。」

 

 

一歌「そのうちに、って......」

 

 

波志「今は......話す、って決めてないから。でも、いつかは絶対に言う。」

 

 

一歌「.....本当?」

 

 

波志「本当。でも、あまり聞いていていい話じゃないよ?」

 

 

一歌「それでも、聞きたい。波志くんに、何があったのか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<一歌からの強い意志を感じる.....

別に頭の中に声が聞こえるわけではないけど。

でも、そんな一歌の気持ちを知って、少しだけ気持ちが楽になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「...わかった。覚悟を決めたら、言うよ。」

 

 

 

一歌「うん。.....ありがとう。」

 

 

波志「よーし、今日はめいっぱい行くぞー!」

 

 

一歌「ちょっと、大声上げないで!周りの人たちが見てるから!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周りの人「(なんか重たい話してっけどイチャイチャしてやがる.....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ここからシブヤ周りのダイジェスト

 

 

 

 

 

波志「おお、久しぶりに見たなあ、エアホッケー!一緒にやろう!」

 

 

一歌「やったことないけど.....いいよ、やってみよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「よっと!一歌、反応早いなぁ!確実にゴールするコースでも反応してくるんだもん。もしかして前世プロだった?」

 

 

一歌「どこからそんなことが浮かんでくるの.....?」

 

 

波志「なんてね.....っと。一点頂き!」

 

 

一歌「あ、ずるいよ.....」

 

 

波志「よーし、このままもう一回!」

 

 

一歌「(波志くんが気を取られる言葉.....あ、あまり言いたくないけれど.....私だって、波志くんから一点取りたい....!で、でも...)」

 

 

波志「(なんかめっちゃ迷ってる気がする....今がチャンス、かな?)」

 

 

一歌「ス、スマッシュ!!」

 

 

波志「へっ!?」

 

 

 

 

 

ガゴンッ!!

 

テレテレッテー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一歌「や、やった!(言いそうになった言葉じゃないけど....)」

 

 

波志「......びっくりしたぁ....」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

一歌「ここで、よく休みの日に来て食べてるんだ。」

 

 

波志「へー、一歌のおすすめってあるの?」

 

 

一歌「焼きそばパン。」

 

 

波志「即答.....なら、僕も食べてみようかな。すいません、焼きそばパン、2つください!」

 

 

店員の人「あいよ!」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

店員の人「焼きそばパン3つ、持って行きな!」

 

 

波志「あのー、1つ多いんですけど....?」

 

 

店員の人「横にいる彼女さんと分けあってた食べな!さっき、うちの焼きそばパンのこと、褒めてくれたってのもあるけどな!」

 

 

一歌「か、か、彼女!?違います!波志くんは.....その....」

 

 

波志「大切な友達、でしょ?」

 

 

一歌「そ、そうです!」

 

 

店員の人「ふーん.....まぁいいか。それより、ずっと大切に思ってやれよ?」

 

 

波志「当たり前ですよ。」

 

 

店員の人「そうか、ならいい。....すまんな、こんなちゃちゃ入れちまって。昔っからどうもこんな感じでなぁ....人の恋話を聴くとどうも気になって仕方がないんだ....」

 

 

波志「恋話?なんでそうなるんですか?」

 

 

一歌「恋話.....だから違います!」

 

 

波志「え?なんで一歌が反応してるの?」

 

 

店員の人「そういうタイプかーっ.....嬢ちゃんには同情するぜ.....」

 

 

波志「へ?ちょっと、なんの話???」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シブヤ巡りが終わって、2人で少し暗くなった道を歩く。

ふと空を見上げると、綺麗な夕日が僕らを軽く照らしてくれていて、後ろには僕と一歌の影が出来ていた。

腕を頭に当てながら歩いていると、一歌が声をかけてきた。

 

 

 

 

 

一歌「波志くん。今日はありがとう。」

 

 

波志「こちらこそ、僕も楽しかった。」

 

 

一歌「......今日って、いっぱいチャンス....あったんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どういうわけか、小さく「チャンス」って言葉が聞こえたから、思わず聞いてみる。

 

 

 

 

 

 

 

波志「チャンス?何の?」

 

 

一歌「! そっ、それは....」

 

 

 

 

 

 

 

そう聞いただけなのに、一歌の顔がなぜかどんどん赤くなる。

熱でも起きたのか、と思って、僕の顔を一歌に近づける。

すると、一歌の顔が更に赤くなった。

 

 

 

 

 

波志「一歌、大丈夫?すごく顔赤いけど....」

 

 

一歌「ひゃっ....えっと、大丈夫、だから....」

 

 

波志「.....なら、いいんだけど....」

 

 

一歌「....心臓に悪いよ....波志くん.....

 

 

波志「........今度はみんなでここを見て回りたいな。....後でLINEで今度の休み空いてないか聞いてみよう。もちろん、司にも。」

 

 

一歌「今度はさらに楽しくなりそうだね。」

 

 

波志「....そういや、一つ思ったんだけどさ。あの焼きそばパン買ったところの店員さん、なんかお父さんに似ていたような.....」

 

 

一歌「波志くんのお父さんって、どんな仕事をしてるの?」

 

 

波志「なんかいろんなところのお手伝いをしてる会社に入ってて、よく派遣されてるんだって。でも料理関係はダメなんだとか。」

 

 

一歌「.....あの時の料理は....」

 

 

波志「うん。本ッッッ当に酷かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多分、鏡を見れば、2人で遠い目をしているんだろう。

昔を懐かしみ、あの惨劇を目に浮かべながら。

多分お母さんがあの時居れば、お父さんはカンッカンに叱られていただろう。

いや、その前に止められたかもしれない。

そんなことを思った。もうそんなことはないはずなのに。

.....自分でも、すぐにお母さんを思い出すのはまだ未練があるかもしれない。

あの日以降でも、ずっといて欲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.....そんな思いを奥に押し込んで、止まっていた足を動かした。

それにつられて、一歌も足を動かした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

一歌の家前.......

 

 

 

 

 

 

一歌の家に着いた頃にはもう辺りは暗くなって、街灯が完全についている。

 

 

 

 

 

 

波志「ここであってる、よね?」」

 

 

一歌「うん。送ってくれて、ありがとう。」

 

 

波志「どういたしまして。じゃあ、僕は帰るね。」

 

 

一歌「おやすみなさい。波志くん。」

 

 

波志「おやすみ、一歌。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、一歌と別れて、自分の家に向かって、歩き出した。

なんとなく、歩きながら空を見上げると、流れ星が見えた。

流れ星を見て、僕は祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の昔を、みんなに伝える勇気をください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

(一歌サイド)

 

 

 

 

 

一歌の部屋......

 

 

 

 

 

一歌「(.....昔から波志くんはいつも、みんなのことを考えて、心配してくれる。でも.....自分のことをあまり考えてないと思う。だって、再開パーティーの時、つらいことがあって、それで泣いていたんだと思う。でも、先に私たちを家に上げて、涙を戻していた。だって、ほっぺたに赤い色が浮かんでいたから。小学校のアルバムを見ても、普段からほっぺたに赤い色は着いてなかったから。それに、会うたびについている嘘....本当に、つらいことがあったんだ。相談できる人はいなかったのかな.....?)」

 

 

 

一歌「つらいこと.....って言うと.....いじめ?でも、波志くんはいつも優しくて気配りが出来て....嫌われることなんてないと思う。じゃあ、波志くんのお父さんと大喧嘩....?それか......」

 

 

 

 

 

 

 

 

波志くんのパーティーの時と今日のことで2回見せた赤くなったほっぺた。

多分、忘れたくない、いや、忘れられないことが立て続けにあって、それで何かこう、嬉しいこと涙が出るようになった、と考えてみる。

でも、色んなことを頭に浮かべても、「これだ!」みたいな確信は湧いてこなかった。

やっぱり、波志くんから直接話してもらうしかないのかな.....

約束はしてくれたけど....あれじゃ無理して「わかった」って言ってくれたように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

一歌「どれだけ時間がかかってもいいよ。絶対に、みんなで聞くから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな言葉を呟いたあと、横目で窓から外を見ると、流れ星が見えた。

一瞬だったけど、しっかりと見えた。

流れた瞬間に、私は流れ星に祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれだけゆっくりでもいいから、波志くんが話してくれますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 

 




どうも、シグザールです。

これ....シリアスに....なっちゃってた。
で、でも、多分ちょっとだけはあまあまになってる.....!(自信なし)

さて、次回は日常回、そして、3回目のヒロイン回です。
またアンケートを置いて置きますので、また投票してください!

では、シグザールでした!!











余談  
波志くんの両親は外見は「交響詩篇エウレカセブン」のビームス夫妻にそっくり....というか外見がまんまです。久しぶりにエウレカセブン見ましたが、レントン、めっちゃカッコよくなっていってるなぁ...
ていうのがまず感想として上がりました。んで、個人的なエウレカセブンブームが発生してる時にこのシリーズを書こうと思い立ち....
「やっぱり両親のこと書くならビームス夫妻をモデルにしよう」
と思い、波志くんの設定がどんどん変わったり増えて...

こうして、今の「天乃月 波志」が出来上がりました。
我ながら、想像力はすごいと思いました。(小学生並みの感想)



ではでは、余談が長くなるのもアレなので....
今度こそ、終わりの挨拶をして、後書きは終わりにしようと思います。

では、シグザールでした!!


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第五話 波志、お父さんと話す。

どうも、シグザールです。


はい、やっと日常回です...
次回は咲希がヒロイン回の話になります。
上手く書けるかなぁ....とにかく、頑張ります。


では、どうぞ!!


波志「(うーん、久しぶりにしたけど....やっぱり鈍ってるなぁ....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

アケコンをカチャカチャ動かしながら、試合のことを考えている頭の片隅でそう呟く。

なんのゲームをしているか、と言われると、格ゲー。

引っ越したところにも同じ....バージョンは違うけれど、よく放課後や休みの日にプレイしていた。

音ゲーは近所に無かったから、よく大きなデパートでやってた。

プレイする機会はなかなか無かったけれど、中学校の時の友達とプレイしていた時、ゲームをしていて一番楽しかった....かも知れない。

......ま、高校の時はいじめられていたんだけど。中学校の友達とはみんなバラバラに進学とかして、

卒業してから会う機会は一度もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「(今頃みんなは何をしてんだろ。なんか1人は「配信で生活するぜ」とかなんとか言ってたよなぁ....ま、元気ならいいかな。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合中にどうでもいいことを考えている隙に、格ゲーの画面で超必殺技を食らってしまい、「game over」の画面が出てくる。

超必殺技のモーションが出た時、「これやっべ」と考えたのも束の間。

綺麗に超必殺技を決められてしまった。

昔からの悪いクセである。

 

 

 

 

 

 

波志「はぁ...考えてことするの、治さないとなぁ....」

 

 

 

 

 

 

そんなことを呟いて、座っていた椅子から立ち上がった。

 

 

 

 

 

波志 「せっかくだし、ライカーのおやつ(りんご)でも買って帰ろう。」

 

 

 

 

 

そう思って、近くのスーパーに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

波志の家....

 

 

波志「ただいまー。」

 

 

お父さん「おう、お帰り。」

 

 

波志「....って、なんでお父さんがここに居るの?今日仕事だったんじゃ?」

 

 

お父さん「ああ、派遣先のところが急遽休みになっちまってな。上の人から「今日は帰っていいぞ」って言われてな。デスクワークも昨日ほとんどやったから、やることもなく....ってわけだ。」

 

 

波志「へぇ、意外だなぁ。お父さんがデスクワークもやってたなんて。」

 

 

お父さん「そりゃ会社なんだからあるだろ?」

 

 

波志「いやその理屈はおかしいって。」

 

 

お父さん「そうか?まぁいい。....どうだ、最近。うまくやれているか?」

 

 

波志「うん、うまくやれてると思うよ。」

 

 

お父さん「そうか。....やりたいことがあれば、今のうちにやっておきな。別にまた引っ越しするわけじゃないが.....人生は一回ぽっきりだからな。」

 

 

波志「やりたいこと....」

 

 

お父さん「....別に、強制してるわけじゃあないぞ。なんなら、その「やりたいこと」を探す、ってのもなかなかいいぞ。俺だって、お母さんと出会う前はひたすら勉強ばっかしていて、やりたいことなんて全くなかった。」

 

 

波志「え?お父さん、そんなに勉強してたの?」

 

 

お父さん「ん?ああ、言ってなかったか。俺元々勉強ばっかしてたんだぞ。」

 

 

波志「(あんなに体でっかくて勉強してした、って....なんかイメージと合わないなぁ....)」

 

 

お父さん「おい、いま「なんかイメージと違うなぁ....」みたいなこと思ったろ?」

 

 

波志「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

思ったことを大体当てられて、体が跳ね上がった。

ニュータイプなのか.....?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お父さん「図星か.....あと俺はニュータイプではないからな。話を戻して.... そん時だ。あの人が「点数やばいから勉強教えてください!」って来たのは。確か中学三年だったか。急に話しかけられたからびっくりして、さっきのお前みたいな反応をしたんだ。」

 

 

波志「なんで心の中当ててくるのさ。」

 

 

お父さん「お前のことだ、顔に出てるんだよ。」

 

 

波志「.....そんなに出てるのかなぁ?」

 

 

お父さん「ああ。確か....初めて嘘ついてバレたのは....机の上にあった俺のプリンを買ってに食べて、それで思いっきり動揺してたなぁ....」

 

 

波志「今すぐその記憶を銀河の果てに放りさってくださいお願いします。」

 

 

お父さん「やーだね。んなもん、俺とお母さんにとって大切な思い出なんだからな。なんなら、毎日自作の俺の日記帳に全部書いてるからな。今、持ってきてやろうか?」

 

 

波志「ええ.....こ、今度ね......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔っから、変なところで意地が張ってるというか......

お母さんがまだいた頃とは全然違ってない。

 

 

 

 

 

 

 

昔っから、

お母さんに頭が上がらなくて、体が大きくて、声が大きくて、何事にも冷静で、ちょっと料理はアレだけど、それ以外は全部なんでも出来る。

 

 

 

そんなお父さんを僕はずっと「頼もしい」って感じてて、たまには「羨ましい」なんて思うけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お父さん「うんうん、波志が俺のこと大切に思ってくれてんだなぁ....」

 

 

波志「!? まさか、そんなのも出てるの!?僕の顔に!?」

 

 

お父さん「ああ、バッチリとな。」

 

 

波志「勘弁してくれぇっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お父さん「(くもの上から見てるか......?俺たちの宝物、こんなにも大きくなってくれたぞ。出来ることなら....お前と一緒に見たかったな.....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 




どうも、シグザールです。


更新、出来たぁぁ.....
次回、咲希のヒロイン回!
更新、出来たらいい、なぁ....(遠い目)


活動報告の方にも書きましたが、まだ元気なうちに書いていこうと思います。
では、シグザールでした!!


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第六話 咲希、波志に膝枕をする。

どうも、シグザールです。


えー、無事、完全復活しました!
遊戯王の世界なら顎がやばいことになってますね()

さて、今回は咲希のヒロイン回となります。
あまあまに.....できるんでしょうか....


そんな不安を払拭するように頑張るとして....
では、どうぞ!!


咲希の部屋.......

 

 

 

 

 

 

波志「.....すぅ。」

 

 

咲希「.....気持ち良さそうに寝てるなぁ...」

 

 

 

 

 

 

 

アタシは今、ほっくんに膝枕、っていうのをしてる。

理由はほっくんがさっき階段で大きく転んちゃって.....頭の上にヒヨコがくるくる回ってるぐらいには体を揺らしても反応がなくて.....急いでお兄ちゃんを呼んで、アタシの部屋に運んでもらった。

そのあとお兄ちゃんは用事があった場所に戻って行った。

.....お兄ちゃんが帰ってきたらちゃんと謝っておこう。

そんなことがあって、今この状況になってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

......正直に言うと。

ほっくんが可愛いすぎる。

寝顔を久しぶりに見て、真っ先に浮かんだのが「可愛い」。

いつ見ても綺麗な黄緑色の髪。

何か特別なシャンプーでも使って、髪色のツヤを保ってるのかな、と考えてみる。

それでいて、安心しきって、気持ち良さそうになっている寝顔。

こっそりとほっぺたを指で突いても、全く気づかなくて.....

とにかく可愛い。

写真をこっそりと撮りたい、とは思うけど、シャッター音で絶対起きちゃうから諦めた.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「最近、忙しかったのかな......」

 

 

波志「......つかさぁ......」

 

 

咲希「お兄ちゃんの名前.....どんな夢を見てるんだろ?やっぱり、一緒にどこかに行ってる夢、なのかな....?」

 

 

波志「さきぃ.....あまり....どこかに.....」

 

 

咲希「あ、今度はアタシの名前.....アタシはここにいるよ...?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほっくんが一言喋るたびにアタシが小さく喋っているけど、それでも起きない。

それはそれで寝顔可愛いからいいんだけど....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「....ちょっとだけ顔近づけてみようかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう呟いて、アタシの顔を寝ているほっくんの顔に近づけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「そーっと.....!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

近づけた途端、心臓の音がだんだんとすごい早くなった。

ドクン、ドクン、だったのが、ドクンドクン!って。

それだけなら気にならなかったんだけど、ほっくんの顔を真っ直ぐに見ることが出来なくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「あ、れ.....?なんでだろ、ほっくんの顔が見れない.....なんで....?」

 

 

波志「ん.....?」

 

 

咲希「あっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慌てている時に、ほっくんが起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「あれ、なんで咲希の顔が目の前に....?」

 

 

咲希「え、えっと.....さっき、ほっくんが階段で転んじゃって.....お兄ちゃんに運んでもらって....」

 

 

波志「そうだった.....自分でも恥ずかしいくらい、盛大に転けたんだった....」

 

 

咲希「そ、そそ、それで、せっかくだし膝枕をしてみみみよようかなななって...」

 

 

波志「だ、大丈夫?なんかすごい「み」と「な」が多くなってるけど....」

 

 

咲希「(お、落ち着け、落ち着けアタシ.....た、確か、こういう時は...深呼吸.....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気づかれないように、小さく大きく息を吸って、吐いた。

少しだけ落ち着いた...と思う。

でも、心臓はずっと早く鳴ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「そっか。ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、ほっくんはアタシの頭をポンポンしてくれた。

ポンポンしてくれた途端、心臓の音はゆっくりになって、さっきまで直視出来なくなったほっくんの顔が、ちゃんと見れるようになった。

それだけじゃなくて、何度かポンポンされているうちに、アタシの胸が「嬉しい」とか「安心する」って気持ちでいっぱいになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「えへへ......」

 

 

波志「うん、やっぱり咲希は笑ってる方が可愛いや。」

 

 

咲希「それを言うなら、ほっくんだって!」

 

 

波志「そう?」

 

 

咲希「うん!」

 

 

波志「なんかこっぱずかしいな.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、たくさんお話をした。

最近あったこと、いっちゃんやほなちゃん、しほちゃんと練習や、どこかに遊びに行ってること、お兄ちゃんのこと。

とにかくたくさんお話をしてた。お話してて、すごく楽しかった。

ずっとお話ししてると、時間のことも忘れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「あ、そろそろ帰んないと.....」

 

 

咲希「え!?もうそんな時間!?」 

 

 

波志「ずっと話してたなぁ...」

 

 

咲希「時間の流れって早いねぇ....あ、玄関まで送るね。」

 

 

波志「ありがとう。」

 

 

咲希「お安い御用だよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

波志「今日は、ありがとう。」

 

 

咲希「ううん、こちらこそ。お話し、すごく楽しかった!」

 

 

波志「僕も楽しかった。.....じゃあ、またね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、ほっくんは玄関のドアを開けて、歩こうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「ちょっと待って!」

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもなら、ここで「バイバイ!」って言うけど。

今日は伝えたいことがあって、呼び止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「いっちゃんから聞いた.....戻ってくる前に、何かあった、って.....アタシたち、ほっくんが話してくれるの、ずっと待ってるから!」

 

 

波志「......わかった、みんなの前で言える決心がついたら、絶対に言う。それまで.....待ってほしい。」

 

 

咲希「うん。どれだけ時間がかかってもいいから.....その.....」

 

 

波志「.....ありがとう。近いうちに、決心つけてみせるよ。」

 

 

咲希「...無理して、決心しなくていいからね。」

 

 

波志「! その言葉で、僕は救われるんだ.....

 

 

咲希「え?」  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何か小さな声で言ったんだろうけど、本当に小さくて聞き取れなかった。

なんで言ったんだろ.....?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「....一歌たちに、伝えておいてほしい。「近いうちに言う決心をする」って僕には、そんな勇気はないから....」

 

 

咲希「うん、絶対に伝えておくから!」

 

 

波志「....ありがとう。じゃあ、またね。」

 

 

咲希「うん、また!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別れの挨拶を交わしたあと、ほっくんは歩いて行った。

見えなくなるまでその背中を見送ったあと、アタシは部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決心、か。

ついてるはずなのに、いざ、ってなると言い淀んで、「なんでもない」って言ってしまう。

別に、言ったところで前の高校のことがなくなる、ってわけでもない。

....やっぱり、決心なんてついてないのかな。

でも、いつまでも引きずるわけにもいかない。

みんなで集まった時。

その時に、自分自身にけじめをつける。

そして、心から笑えるようになろう。

  

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       「ここでまたみんなと会えて、よかった」って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、シグザールです。


....上手く書けた自信かぁぁぁぁぁぁ....
うおわああああああああ.....


さ、さて。次回はまた日常回を挟んで、穂波回を更新したいと、思っています。
前から引っ張ってる波志の過去は穂波回が終わってからの日常回で書こうと思っています。
更新遅れたらごめんなさい。



では、シグザールでした!


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第七話 司、「もしも」を想像する。

どうも、シグザールです。



今回は本当に短いです。
「もしも」っていうのは....お兄ちゃんなら、一度は想像することです。
現に自分も想像したことあります。



では、どうぞ!


司「むむ.....」

 

 

 

 

 

 

 

オレは今、猛烈に考えている。

何を考えているか。

それは、「もし咲希が波志と付き合ったら」というもの。

昔から考えたこともあった。

しかし、「まあ、そんなに考えなくてもいいか」と思って、頭の片隅にずっと置いていた。

だか...ここ最近、片隅に置いていたのを引っ張り出さなければいけないことが起こった。

それは、咲希が波志の話を多くするようになったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元々、咲希はオレにいろんなことを話してくれる。

よく一歌たちの話も話してくれるし、新しい友達ができたことも。学校であったことも。

今まではその話が多かった。

しかし、波志が転んで看病してきた日から、今まで3(友達や学校の話): 2(波志の話)だったのが、3(友達や学校の話): 3(波志の話)と、

同じぐらい話してくれるのだ。

それはそれで聞いているだけでも楽しいのだか。

だか、問題は話の方だ。

「ほっくんが頭撫でてくれた」、「ほっくんが嬉しそう」.....

....正直、兄として、ほんの少し嫉妬してしまうぐらい、波志の話が多いのだ。

嫉妬よりも、咲希が楽しそうにしているのが一番なんだかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

司「波志が家族になる......想像できるようでできないような....それで咲希が嬉しいのなら.....今度聞いてみるか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後.....

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司「あ、あからさまだった、とは....」

 

 

足がおぼつかないまま、自分の部屋の椅子に座る。

 

 

 

 

 

 

 

 

先程、遠回しに聞いてみた。

「咲希は波志のことをどう思ってるのか」と。

最初は普通だったのだか、本題に近づいていくとだんだんと顔が赤くなっていっていた。

恋愛漫画とかはあまり読んだことはないが....さすがのオレでも、気付かないはずはないぐらいの。

.....咲希には、悪いことをしてしまったかもしれない....

 

 

 

 

 

 

 

 

オレが聞いてしまったことで、もしかしたら波志と関わりにくくなったかもしれん....

あとで、咲希に謝りに行こう。

「急に変なことを聞いてすまんかった」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

今度、波志に「3人でどこかに遊びに行こう」と誘ってみよう。

そして、波志に直接聞いてみよう。

どうやって聞こうか。

やはり、咲希がすこし離れている間だろうか。

それだけを聞けば、オレの心はなんとか落ち着くだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.....咲希。頑張れよ。

できる限りの応援するからな。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

波志「へっくしゅん!!」

 

 

お父さん「どうした、風邪か?」

 

 

波志「違うと思う。」

 

 

お父さんじゃあ、誰かか噂してるとかか?」

 

 

波志「そんなことあるかなぁ...?」

 

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、シグザールです。


次回、穂波回となります。
多分もう波志が話す約束はみんな知ってるから、波志の過去はぶっこまないようにします。


では、シグザールでした!!


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第八話 穂波、お父さんから日記帳を渡される。

どうも、シグザールです。


今回は穂波のヒロイン回となります。
.....ぶっちゃけ、これしか書くことがない....


あ、次回のヒロイン回のために、またアンケートを置いておきます。
ぜひ、投票してください!


では、どうぞ!


波志の家、リビング.......

 

 

 

 

 

波志「難しい.....」

 

 

穂波「ここ、こうすれば....」

 

 

波志「....こうか!」

 

 

穂波「いい感じ!」

 

 

波志「いやー、ごめんね。今更だけど。せっかくの休みなのに宿題を見てもらって。」

 

 

穂波「ううん、わたしもちょうど練習したかったから。大丈夫!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、穂波に国語の小テスト勉強を教えてもらっている。

今度のテストは何やら文法や文章を読んで、その感想をまとめる....といった問題が多いんだとか。

元から僕は国語は苦手で、漢字を覚えたりするのはいいんだけど、それ以外が終わっている。

いや、人並みには出来るんだよ。でもまとめ方がわからないだけ。

......結局終わっている気がする。

それで以前、穂波がバンドの曲の歌詞を作っている、と咲希たちから聞いたので、情けない僕は穂波に土下座一歩手前で頼み込んだ。

軽く引かれたけど....

 

 

 

 

 

 

 

波志「やっぱり穂波は教え方がうまいなぁ....いつもなら首を傾けてるのに、すんなりと頭に入って理解できるから。」

 

 

穂波「そんなことないよ。波志くんの飲み込みが早いからだよ。」

 

 

波志「飲み込むんだったらアップルパイ食べたいなぁ。」

 

 

穂波「そんな「カレーは飲み物」みたいな....」

 

 

波志「なんかアップルパイの話をしたら急に食べたくなってきた。」

 

 

 

 

 

 

 

ぐぅきゅるるるるるるるる.....

 

 

 

 

 

 

 

波志「噂をすればなんとやら、ってやつかな....」

 

 

穂波「じゃあ、休憩にしよっか。」

 

 

波志「よーし、せっかくだし、アップルパイ作るかぁ!」

 

 

穂波「え!?今から!?」

 

 

波志「こんなこともあろうかと、事前に生地は作ってある!」

 

 

穂波「よ、用意周到...!」

 

 

波志「んじゃ、ちょっとだけ待ってて。さっさと作ってくる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、僕はすぐ近くにあるキッチンに向かった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

(穂波サイド)

 

 

 

 

 

お父さん「ったく....何が「今日は少なくていい」だよ....余計なお世話だっての。」

 

 

穂波「あ、お邪魔してます。」

 

 

お父さん「おお、穂波か。そういや勉強を教えてもらうって波志は言ってたな...」

 

 

穂波「はい、国語で苦手なところのテストがあるから教えてほしい、って。」

 

 

お父さん「文法、ってやつだな。...ふむ。」

 

 

穂波「? どうかしましたか?」

 

 

お父さん「その分野なら、少しは役に立てるかもしれんな。ちょっと待ってろ。」

 

 

穂波「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お父さん「あったあった。これだ。」

 

 

穂波「そのノートは....?」

 

 

お父さん「波志が赤ん坊の時から俺が毎日つけてた日記帳。せっかくだし、休憩中にでも一緒に見たらいいさ。」

 

 

穂波「は、はぁ....わかりました。」

 

 

お父さん「それじゃ、邪魔なお父さんは部屋に戻りますよ、っと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、波志くんのお父さんは自分の部屋に向かっていきました。

手渡された日記帳は、とても大きくて、辞書みたいな分厚さ。

波志くんを呼んで、とりあえず机に置いてもらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「確かに「日記帳がある」って言ってたけど....こんなに書くことがあるの!?」

 

 

穂波「あまりこういうのは呼んだり書いたりはしたことがないけど.....」

 

 

波志「そろそろ焼けるし、せっかくだからアップルパイを食べながら見ようか。」

 

 

波志「はい!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

波志「自分で言うのもなんだけれど....美味しい!!」

 

 

穂波「はぁ〜〜、美味しい!」

 

 

波志「食べながら日記帳を見て数百ページ....なのに....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              まだ1歳までしか進んでないっっっっっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「そんなに書くことがあったの!?軽くこれエッセイ本として出してもいいんじゃないかなぁ!?」

 

 

穂波「な、波志くん、落ち着いて!」

 

 

波志「しかもこれ僕が赤ちゃんの時から書いてるんでしょ?すごいよこれ、映像がついてないのに頭の中で「ああ、こんな動きしてるんだな」って勝手に頭に浮かんでくるんだもん!!」

 

 

穂波「それはそうだけど.....」

 

 

波志「はぁ...んで、もう見るの長いから小学校のところまで飛ばそうとしたらなんか変なロックかかってるし!なんだよ「波志が生まれた時間を入力しなさい」って!わかるわけないじゃんか!!」

 

 

穂波「と、止まらない....」

 

 

波志「はぁ...はぁ....柄になくめっちゃつっこんじゃったよ...」

 

 

穂波「はい、水。」

 

 

波志「あ、ありがとうね。つっこみまくったから喉がやばい....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波から渡されたコップに入った水を勢いよく飲み切る。

飲んだ水は疲れ切った喉に染み渡っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「ああ、水が美味しい....」

 

 

穂波「じゃあ、もうちょっとだけ見たら、勉強再開しよう。いいかな?」

 

 

波志「異論ナーシ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな感じでまた勉強は再開していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

数日後、教室、休み時間.....

 

 

波志「いよっしやぁぁぁぁぁっ!!!100点ダァァァァァッッッ!!!!」

 

 

司「おお、おめでとう、波志!」

 

 

波志「やっと、やっとまともに国語で点数とれたぁぁぁぁ!!!」

 

 

司「昔から、だったもんな....」

 

 

波志「やったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスメイト「(波志がうるせぇ......てかその昔はどれだけ酷かったんだよ....)」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

夜、波志の自室....

 

 

波志「もしもし。穂波、今いいかな?」

 

 

穂波「うん、いいよ。どうしたの?」

 

 

波志「穂波のおかげで、初めて国語で100点とれた!!」

 

 

穂波「本当に!?波志くん、おめでとう!!」

 

 

波志「ありがとう!それでさ、国語教えてくれたでしょ?だから、何かお返しというか.....とにかく、楽しみにしておいて。」

 

 

穂波「え?わ、わかった。」

 

 

波志「それじゃ、おやすみなさい。」

 

 

穂波「おやすみなさい、波志くん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

寝る前の挨拶を交わしたあと、電話を切った。

.....お返し、何にしようか。

アップルパイは....ずっと作ってるし。

やっぱり、道具の方がいいかな?

そんなことを考えているうちに、僕はベットの上で目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

穂波の自室....

 

 

 

 

 

 

 

お返しなんて、大丈夫なのに。

でも昔からそうだったな、波志くんは。

みんなに何か頼みごとをして、それでお返しによく料理や贈り物をしてくれた。

一歌ちゃんには小さいミクちゃんのぬいぐるみ(自家製)、咲希ちゃんには司さんと一緒に大きな手品、志歩ちゃんには一緒にラーメンを作ったり、わたしは大きなアップルパイを作ってもらった。

どれも形に残るものもあれば、一瞬の出来事でのお返し。

けれども、みんな一瞬だったとしても、忘れることなんてなかった。

 

 

 

 

 

 

穂波「.....お返し、わたしがお願いしてもいいのかな?」

 

 

 

 

 

ベットに寝転びながら、そう呟く。

お願いができるんだったら....

.....とにかく、次に会うまでに考えておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 

 

 

 

 




どうも、シグザールです。

次回、ついに波志の過去が!
語られる胸糞悪い話、それを聞いたみんなはどう考えるのか....
次回、「波志、過去との決着。」


一番大きくしたいと考えてますので、更新、大幅に遅れるかもしれません。
本当に、ごめんなさい。


では、シグザールでした!!


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第九話 波志、過去との決着をつける。

どうも、シグザールです。




更新、お待たせしました!!
多分、大きくなってるはず...!!





今回で波志の過去を書いて、所謂第一部は終わりです。
第二部はもうそれはあまあまに書いていこうと思います。



それと、言うのが遅れましたが、小説評価に黄色が付きました。
これもいつも読んでくれている読者さんのおかげです。
これからも、応援よろしくお願いします!!
あ、奏小説と、絵名小説もよろしくお願いします。露骨な宣伝)



では、第九話、どうぞ!!


波志「ついに明日....か。」

 

 

 

 

 

スマホのカレンダーを見て、呟く。

先日、みんなに昔のことを話す約束をした。

何度も覚悟が揺らいだ。

その時、どうすればいいのか、お父さんに聞いた。すると、こう言った。

 

 

 

 

 

「どれだけ揺らいだって、覚悟をするのは自分。これからもだ。だから...自分の意志を信じろ。みんな受け止めてくれるさ。絶対な。」

 

 

 

 

 

 

そんなセリフを聞いて、僕は少し泣いた。

その時は「目に砂が入った」って誤魔化したけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「(いつまでも引っ張るわけにもいかない。これで思い出して話すのは最後だ....)」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

波志の家、リビング....

 

 

 

 

 

 

波志「じゃあ、言うよ。」

 

 

一歌「本当に、いいの?」

 

 

波志「うん、これは僕が決めたから。」

 

 

咲希「もっと遅くてもいいんだよ....?」

 

 

波志「いつまでも引っ張りたくなかったから。」

 

 

 

 

 

 

 

少し息を吸って、話し始めた。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

中学校の時は楽しかった。

前に少し仲が良かった友達と再開して、そこからクラスの輪が広がっていったから。

そこで3年間過ごして、高校に入ることになった。

楽しみだったけど、その分不安があった。

中学校のみんなと離れるし、上手くやっていけるのかな、って。

 

 

 

 

 

 

高校に入って2ヶ月ぐらいたって、クラスの人に頼まれることが多くなった。

入学してからあんまり話しかけることができなくて、頼まれる、ってのはすごく嬉しかった。

最初は教科書貸してー、とかノート写させてー、ぐらいだったんだけど。

途中からお金貸してだの、胡散臭いやつも出てきた。

でも、今になって思うけど、あの時の僕は「頼られる」ってことに執着しすぎてた。

 

 

 

 

 

 

 

1人ぼっちだった僕がクラスのみんなと繋がれて、それが本当に高校で嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、夏ぐらいに、一回だけ頼まれことを断った。

その時のクラスメイトの顔は「は?」みたいな顔をしていた。

その顔はすぐに引っ込んで「わかった」って言ってた。

 

 

 

 

 

その日から小さな嫌がらせが始まった。

シャーペンの芯が少しだけ減ってたり、教科書が折れ曲がっていたり。

それくらいなら「よくあること」って思ってた。

でも、嫌がらせの大きさが段々と大きくなった。

体育館シューズの片方がなくなってたり、僕がいない間に弁当を食べられてたり、イヤホンをパクられたり。

少しは我慢できたけど、次第に我慢できなくなった。

それで、我慢の限界寸前のギリギリの時に先生に相談した。

先生は「わかった。」

その言葉だけでその時の僕は救われた。

だって、一番話しかけてくれていたから。

それもあって、しばらくはまた我慢できるようになった。

 

 

 

 

 

 

けど、それでも嫌がらせは続いた。

毎日毎日嫌がらせをされて、僕の心は「もういやだ」でいっぱいだった。

ある日、いつものように学校に行くと、僕の机の上に土がばら撒かれていた。

それがショックで、土を見た瞬間に家に戻った。

その時はまだお父さんは家にいたから、「何があった」って心配してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

そこで、ぽつりぽつりと辛かったことを話した。

お父さんは黙って聞いてくれて、全部言い終わったあと、「頑張ったな」って言った。

その言葉を受けて僕は気持ちを吐いた。

ため込んでいた気持ちを全部出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、学校を中退した。

中退した日々は次の学校探し。

アルバイトもしながら。

少しだけ学校から遠くて、嫌がらせを受けなさそうだったから。

アルバイトの人たちはいい人たちばっかりだった。

 

 

 

 

 

 

そんな日々が流れて、ある日、お父さんが転勤の辞令が来た。

場所は前に住んでいたところの近く。

それを聞いて、僕はその辺りの学校を調べ始めた。

いろいろ悩んで、神山高校に転校することになった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「それで、今になって....」

 

 

 

 

 

 

志歩「波志、泣いてる....」

 

 

波志「へ...?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の顔をペタペタと触る。

触ってもよくわかんなくて、穂波に頼んで小さな鏡で自分の顔をみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに、目から涙が出ていた。

「泣いてる」って認識した瞬間、さっきまで普通に喋っていたのに、話そうとしていた言葉が出なくなった。

 

 

 

 

 

 

 

穂波「波志くん。」

 

 

波志「へ....?」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、穂波は僕を引っ張った。

そのままの勢いで抱きしめられた。

 

 

 

 

 

 

 

3人「!?」

 

 

 

 

 

 

 

波志「ーーーーーー!?!?」

 

 

穂波「頑張ったね。波志くん.....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波が言ったたった一言。

それを聞いて僕は.....

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「うう、うう......うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

泣いた。

それはもう泣いた。

さっき流れていたぐらいではなくて。

泣いていると、一歌たちもきて、交代で抱きしめられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日言ってわかったこと。

自分は1人じゃなくて、みんながいること。

そして。

 

 

 

 

 

過去は思うほど、早く振り切って、誰かに言えることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

後日。

 

 

司にも話した。

一度言っているからか、涙は出ずにすらすらと言えた。

けど、話している時は結構もやもやしていた。

 

 

 

 

 

 

 

司「そうか。....なぁ波志。」

 

 

波志「ん?」

 

 

司「覚えてるか?昔、大喧嘩した時のことを。」

 

 

波志「うん。はっきり覚えてる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

大喧嘩、って言うのはすごい些細で起こった。

司と僕が一歩間違えれば絶交になっていたかもしれない出来事。

大喧嘩になった理由は、互いの好きなものを間違って食べてしまったこと。

その時は小学校低学年だったから、どっちも変に意地を張っちゃって。

拗れに拗れまくって、最後は2人で「ごめんなさい」して、大喧嘩は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

司「仲直りの時にな。波志が言ってくれたんだ。「これから、何かあったら僕に言って。なんでも力になるって。」 」

 

 

波志「言ってた。それで、司が「だったら、オレも。これから何かあればオレに言ってくれ。なんでも力になろう!」って。そしたら隠れていた咲希たちがひょっこり出てきて。5人で約束し合ったんだ....あっ。」

 

 

司「....オレたちは波志がどんな話をしようと、受け止める。あの時に約束したからな。なんでも力になろう、って。だからな....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司が僕に横に並んで、2人で空を見上げた。

見上げた空は、雲はどこにも見えなくて、水色が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司「これから先、どんな時でも。何かあれば。オレが力になる。些細なことでもいい。言ってくれ。オレが、オレたちが必ず、力になる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだった。

司は昔からそうだった。

いつも僕のことを知ってくれていた。

みんな(一歌たち)も、知っていてくれた。

改めて、僕はみんなに感謝した。

僕は所詮、誰かがいなければ、何も出来ない。そう思ってた。

けど、ここに戻ってきて。

こんな僕でも。出来なかったこと(前の高校を話す)が出来るんだ、って。

気づかせてくれたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「.....うん。絶対に言うよ。もう、1人で抱え込んだりはしないよ。」

 

 

司「....よし。それじゃ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー行くか。みんなのところに。

 

 

 

うん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

返事をしたあと、僕と司は走った。

行き先は、僕の家。

今日は僕の家でいろんなことをする予定。

ゲームだったり、僕の演奏会だったり。

 

 

 

 

咲希「会えなかった分、一気に埋め直そうよ!!」

 

 

 

 

 

提案は咲希。

志歩はちょっと困惑していたみたいだけど、次の練習の時は厳しく行く。という条件で僕の家ですることに。

 

 

 

 

 

それと、今日はお父さんもいる。

たまたま休みだったらしくて、あの日記帳の音読会もするそうだ。

.....やるとしても赤ちゃんの頃だけだけど。

なんでも全部話そうとすると一日はかかるんだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー今日は、忙しくなって、一番楽しい日になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 

 




どうも、シグザールです。


大丈夫かな、口調あってるかな....
今回、書いていて一番心配したのが、「みんなの口調あってるかな...」
あっていなかったらすぐに指摘をしてくれれば、すぐに修正します。



次回は....現在アンケートで一歌と志歩が同率一位で....
どっちにするか迷っているんですよね。
もう一度志歩から先にするか、一歌を先にするか。
アンケートは置きませんけど、どっちがいいかリクエストがあればそちらを優先にしようと思っています。



では、シグザールでした!




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第十話 志歩、波志を看病する。

どうも、シグザールです。


今回は志歩を先に書くことにしました。
次回のヒロイン回は一歌を書こうと思います。


最近、暑くなってきましたね。
水分補給、大事です。
しないとマジでしんどくなります(経験談)


さて、前書きはここまでにして。
では、どうぞ!


波志「うう....申し訳ない....」

 

 

志歩「そんなこと言わずに、早く寝て。」

 

 

波志「はい....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、どんな状況か。

単純明快に言えば、風邪を引いた。

しかも大きなやつ。

インフルとかではない...と思う。

しかも、今日に限って志歩とラーメンを食べ歩こう、って約束を自分からしていたもんだから、自分のテンションは最底辺。

そのことを志歩に連絡したら付きっきりで看病してくれることに。

 

 

 

 

 

 

 

波志「志歩、本当にごめん。いつか埋め合わせするから...」

 

 

志歩「今はそんなことを考えずに、早く元気になることを考えて。」

 

 

波志「病気は気から、ってやつだね.....」

 

 

志歩「そういうこと。じゃあ、おかゆ作ってくるから。」

 

 

波志「はーい....」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

数分後.....

 

 

 

 

 

志歩「作ってきたけど....食べれそう?」

 

 

波志「うん。食べれると思う。」

 

 

志歩「わかった.....口、開けて。」

 

 

波志「え?自分で食べるから....」

 

 

志歩「いいから!」

 

 

波志「へ?わ、わかった....」

 

 

志歩「ほら、あーん。」

 

 

波志「あ、あー......ん。もっきゅもっきゅ.....」

 

 

志歩「おいしい?」

 

 

波志「美味すぎる!」

 

 

志歩「よかった。おかゆなんて、全然作ったことなかったから。」

 

 

波志「前もこんなに美味しいおかゆ作ってくれたよね。確か....」

 

 

志歩「あれはお姉ちゃんがいたから....」

 

 

波志「でも、ほとんど自分で作ったんでしょ?」

 

 

志歩「....まぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

昔話をしているうちに、頭の中で、その時の様子が浮かんできた。

これも、私が「波志兄ちゃん」って呼ぶようになったきっかけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小学校1年の時に、波志兄ちゃんが熱を出した。

それを聞いて、急いで家に向かった。

付き添いでお姉ちゃんも来てくれた。

....一回だけお姉ちゃんが迷子になったけど。

 

 

 

 

 

 

 

なんとか見つけて、波志兄ちゃんの家に入って、波志の部屋に駆け上がった。

ベッドに横たわっている波志兄ちゃんを見て、真っ先に「だいじょうぶ?」って言った。

波志兄ちゃんは「だいじょうぶ!」って言ってた。けどそのあと、すぐに咳を何度か出した。

そんな姿を見て「心配かけたくない」って思って、強がりを言ってたって、すぐにわかった。

それで、何も持ってきてなかったから、波志兄ちゃんのお母さんに頼んで、台所を貸してもらって、おかゆを作った。

お姉ちゃんにも手伝ってもらった。手伝ってもらった、って言っても、ご飯を炊いたてもらって、水を入れてもらっただけ。

煮込んで具材を入れている時に、何度も何度も「大丈夫?熱くない?」って、

お姉ちゃんに言われて、こっちも「だいじょうぶ!」って何度も何度も返してた。

 

 

 

 

 

 

なんとか出来上がって、波志兄ちゃんのところに持って行って、口に入れた。

不安だった。料理なんて、指で数えるぐらいしかしたことがなかったから。

でも、波志兄ちゃんはそんな不安をかっ飛ばしてくれた。

すごい綺麗な笑顔で「おいしい!!!」って。

おいしい、と言ってくれて、私はすごい嬉しかった。

今思えば、私の波志に対する気持ちの一番最初のきっかけだったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

その日は夜になるまで看病していた。

ちょっとだけ「もう少しいたい」ってわがまま言っちゃったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の朝。

風邪が移った。

朝起きるのが辛くて、急いで熱を測ったところ、かなりの熱があった。

お姉ちゃんは大慌てて、「どうしようどうしよう」ばっかり。

お母さんの一喝で治ったけど。

 

 

 

 

 

 

数時間後、波志兄ちゃんがいきなりやってきて、「看病する」って。

最初は断った。けど、「じゃあそばにいる」って言われた。

昨日のお姉ちゃんみたいに何度も何度も。

結局、根負けして看病してもらうことに。

その時に、とある物を貰った。

フェニーくんと同じで、波志そっくりのデザインの小さなぬいぐるみ。

なんでも「おかゆ作ってる時に、僕の代わりに」って。

手渡された時、波志兄ちゃんの指全部に絆創膏が貼られていて、見ているだけで痛々しかった。

そのことを言うと、少しだけ顔を赤くしながら「恥ずかしいから、そっとしておいて....」って言った。

そんな顔がなんだか可愛く見えて。

それ以上に、私のために作ってくれた、って考えると胸があったかくなった。

体の熱さじゃなくて、こう.....

例えるなら、何かに優しく包まれている、みたいな感覚。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

波志「今でも、あのぬいぐるみ置いてくれてるの?」

 

 

志歩「うん。辛かった時にもらったから。でも、結構綿が結構なくなってて...」

 

 

波志「それじゃ、今度持ってきてよ。詰め同じするから。」

 

 

志歩「....大丈夫。」

 

 

波志「なんで?」

 

 

志歩「もらった時とずっと同じにしておきたいから。」

 

 

波志「....そっか。大切にしてくれてるんだね。」

 

 

志歩「....うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな短い会話だけれど、私の顔は自然と笑顔になっていた。

なんだか、波志兄ちゃんが私のことをわかってくれているみたいで。

 

 

 

 

小さな頃からみんなと一緒いて、その中に波志兄ちゃんがいて。

いろんなことをした。星を見に行ったり、みんなで演奏したり、テストのために勉強会を開いて。

そんな日々がずっとあったから、今の私があるんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそんな日々がずっとあったから、波志兄ちゃんはずっと気付いてくれないんだと思う。

昔は朧げだった気持ちが、今じゃしっかりと認識している。

私の波志兄ちゃんに対する「好き」は「異性」として。

 

 

 

 

でも、波志兄ちゃんは「友達」として「好き」なんだろうな。

だって、優しいから。

どんな時でも波志兄ちゃんは優しい。

優しすぎて、どんなアピールも察してくれない。

逆に心配される。

心配してくれてることについては嬉しいけど。

......いつになったら、気づいてくれるんだろう。

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「ねぇ、志歩。一個だけわがまま言っていい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

唐突に、そんなことを言われた。

 

 

 

 

 

 

 

志歩「出来る範囲なら。」

 

 

波志「今日一日は一緒にいて欲しい。....なんか心細くて。」

 

 

波志「....ちょっとだけ待ってて。」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

志歩「泊まり込み、良いって。」

 

 

波志「.....本当?」

 

 

志歩「うん。さっき電話して、あとでお母さんが荷物届けてくれるって。」

 

 

波志「....よかった。志歩、ありがとう。わがまま聞いてくれて。

 

 

志歩「.....ん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言われて、私の顔は赤くなった。

真っ赤ではないと思う。

というかそう思ってないと心が落ち着かない。

 

 

 

 

 

 

 

こうして、今日は流れていった。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

深夜手前....

 

 

 

 

波志「........すぅ。」

 

 

志歩「寝ちゃったか.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

もう時間は深夜を迎えようとしている。

本当は少しだけ眠たい。

けど、今は目的があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「今なら....寝顔を見れる.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、波志の寝顔を眺めるという目的。

起こさないようにゆっくりと近づいて、上を向いている波志の顔を眺める。

 

 

 

 

 

可愛い。

とにかく可愛い。

いつも綺麗な緑色の髪色、可愛い顔、そして寝顔。

いろんな条件が重なり合って、最高級の可愛さを引っ張り出していた。

...正直、写真を撮りたい。

でもカメラのシャッターの音が鳴るので、それは断念。

なら、しっかりと目に焼き付けておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「ちょっとだけ触ってみたりして....」

 

 

 

 

 

 

 

 

軽く、波志の頬を突く。

ふにふに、ふにふに....

突き心地がいい。

少しだけ声が上がったけど、またそれも可愛いくて。

 

 

 

 

 

 

 

志歩「これ以上は起きちゃうかな....そろそろ寝よう。」

 

 

 

 

 

 

 

そう思って、波志のそばから離れようとした。

すると、急に波志に引っ張られた。

急に引っ張られたから、抵抗する間も無く、一緒のベッドに引き摺り込まれた。

 

 

 

 

志歩「な、な、なっ!?」

 

 

波志「ライカー...どこに行くの.....」

 

 

志歩「ね、寝ぼけてる....」

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやらライカーくんと勘違いしているらしい。

ライカーくんとどんなことしてるんだろ?

って、そんなことは置いておいて。

やばい、やばい、本当にやばい。

顔が真っ赤だ。

波志の寝息が当たる。

抱きしめられてる。

心臓がドックンドックン鳴ってる。

意識が持たない。

 

 

 

 

 

 

 

志歩「(こ、これ以上は....!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思った瞬間。

意識が飛んだ。

多分、あまりにもドキドキしたからだろう。

多分、一生忘れられないと思う。

 

 

 

 

飛ぶ前に、こう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーああ、やっぱり、好きなんだな。波志のこと。昔から。ずっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 




どうも、シグザールです!


....終わり方雑だったかな?


さて、次回、またまた日常回です。
少しだけ内容を書くなら、波志のお父さんの謎技術によって、空飛びボードが出来上がり、それを使って全力で
みんなで遊ぶ...、という話になります。


多分、パロディが多くなると思います。
パロディ元がわかった人は感想で教えてくれると嬉しいです。


では、シグザールでした!!




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第十一話 In the sky with everyone!!

どうも、シグザールです!


え?タイトルが英語?
どうしてもいいタイトルが浮かばなかったんです....
多分、今回だけになるかなぁ....
人気でしたらまた英語のタイトルにします。
ちなみに、意味は「みんなで空に」って意味です。



では、第十一話、どうぞ!!


お父さん「あらま....大丈夫か....」

 

 

波志「僕、ちゃんと安全装置ついてる、って、よね。」

 

 

お父さん「悪い、故障を起こしてたみたいだ....」

 

 

波志「の前に.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなクセモノボード誰が乗るんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!

            

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

話は数時間前に戻る。

 

 

 

 

珍しくお父さんからガレージ.....もとい、趣味部屋に呼ばれたのがきっかけ。

今思えば呼ばれたのが運の尽きだったかもしれない。

昔からお父さんは仕事の傍で、機械いじりが趣味で、よく何かを作ってはみんなと共有(実験)をしていた。

小さい頃はさ、まだ卵を自動で割れるだとか、瞬間冷凍スプレーだとか。また生活に使え「そう」なものだった。

けど、どこかで吹っ切れたのか、いつのまにか装着型の機械を作るようになった。

「普通の人がプロ野球選手並みのボールを投げることができるようになるグラブ&アーム」だとか....

酷い時はお父さんが昔見ていたアニメのスーツやロボットを完全再現なんかも。

大抵、完成した時には僕が実験に半強制で参加させられている。

流石に冷凍光線とか出すのは再現してないけど。

されたら家が大☆惨☆事になるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、今日完成したのが「誰でもエアサーフィンボード」。

機能が「誰でもジェット噴射で空中でサーフィンができる」。

.....さらっと言ってるけどとんでもないもの作ってる気がする。

ちゃんと安全装置も付いており(当たり前)、呼べばすぐに来てくれる...んだとか。

正直、今回の発明はすごく楽しみだった。ずっと「空を飛べたらいいな」って思ってたから。

そりゃもうそれは全然実験に喜んで参加した。

その結果.....

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

波志「まさか安全装置が機能しなくて、お父さんに受け止めてられることになるとは....」

 

 

お父さん「いやあれは本当にすまんかった。できる限りなら何かするから。」

 

 

波志「.....じゃあーーーー」

 

 

お父さん「え?そんなことでいいのか?」

 

 

波志「いいよ。ちゃんと安全装置を直 し て ね。」

 

 

お父さん「頼むからその殺意に満ちた目をやめてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

数日後.....

 

 

 

司「なんだこれ!すごい速度出るぞ!?」

 

 

波志「後ろのボタンをタタンッ!って押して。安全速度になるから。」

 

 

司「こうか!」

 

 

波志「そうそう、いい感じ!」

 

 

 

 

 

 

一歌「バランスとるの難しいな....」

 

 

波志「落ち着いて、こう....」

 

 

一歌「あ、バランスが安定してきた。」

 

 

波志「うん、これならスピード出しても良さそう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「いやっほーー!」

 

 

穂波「咲希ちゃん、そんなに速度出したら危ないよ!?」

 

 

司「おお、さすがだ!オレも....負けてられないなっ!!」

 

 

志歩「ちょっと、司さん!咲希と競争みたいなことしないでください!風がすごい吹いてバランスがとりにくいんです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お父さんに言ったこと。

それは、「今度の休みの日までに、みんなの分のボードを作って、マニュアルも作ってほしい」ってこと。

流石にお父さんを手伝ったけど....その甲斐もあってか、みんな楽しそうに飛んでいる。

なお、お父さんはただ今家でまた新しいものを作ってる。

さすがいろんなものに興味が行ってる....というか。

 

 

 

 

 

 

 

ボードはみんなが飛ぶ前に、色を変えた。僕は深緑色、司はもちろん黄色、一歌は水色、咲希は司と同じ黄色、穂波はやわらかい赤色、志歩は黄緑色。

あと、後ろにそれぞれ飾りをつけてある。

まぁ、ドッグタグみたいなもの。

 

 

 

 

 

 

波志「ライカー、怖くない?」

 

 

ライカー「ガォォオン!!」

 

 

 

 

 

 

肩にくっついているライカーにそう聞く。

僕の肩にはライカーが乗っていて、落ちないようにこれまたお父さんが作ってくれた肩当てに乗っている。

....本当に、お父さんはすごいや。

そう思いながら、司の隣に着く。

そして、一つ勝負を仕掛けることにした。

 

 

 

 

 

波志「司、一回だけ勝負しない?」

 

 

司「いいだろう、受けて立つ!!」

 

 

咲希「なになに?勝負!?」

 

 

司「しかし、ゴールはどこにするんだ?」

 

 

波志「それは.....このスイッチをポチッとな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポケットに入れていたスイッチを押し込む。

これはお父さんが「勝負したくなったら押してみろ。ホログラムのゴールが出てくる」って言って渡してくれたもの。

.....2回目だけど、さらっと言ってるけどとんでもないもの作ってる。

てか作る機材とかどこから手に入れてんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司「ホログラム、だと....?おい、さらっとしてるけどとんでもない機械作ってないか、波志のお父さん。」

 

 

波志「まあお父さんだし.....慣れたよ。」

 

 

司「いや慣れたらだめだろ.....」

 

 

波志「慣れてみると、案外驚かないよ?」

 

 

司「.....あえてオレは何も言わんぞ......とにかく、気を取り直して。」

 

 

波志「うん。真剣勝負だ!!」

 

 

司「じゃあ咲希、スタートの合図、頼んだぞ!」 

 

 

咲希「まっかせて!ほら、いっちゃんたちも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希が3人を集めて、スタートの合図の準備をしている。

その間、僕と司はすぐに加速できるように構えておく。

 

 

 

 

 

 

穂波「行きます! 3!」

 

 

志歩「2!」

 

 

一歌「1!」

 

 

 

 

 

 

 

咲希「スタート!!!」

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

(推奨BGM STORYWRITER)

 

 

 

司「オレが先だっ!!!」

 

 

波志「ちょ、いきなり加速!?」

 

 

 

 

 

 

咲希「うわっ!?お兄ちゃん早い!!」

 

 

志歩「ちょっと、風圧が!」

 

 

一歌「あわわわ....」

 

 

穂波「し、しっかり、一歌ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

まず最初に前に出たのは司。

いきなりスピードを出して一気に逃げる、そんな作戦を感じ取る。

対する僕は段々を追い抜こうとしていたから、司の加速で起こった風に吹っ飛ばされそうになる。

けど、なんとか持ち直して、司のように加速する。

でも、最初に加速したのと大きさがある。

もう司はゴールまでの距離の半分ぐらい進んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

波志「こうなったら.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は少しだけ加速しつつ、真っ直ぐではなく、上に向かってボードを飛ばした。

ある程度の高さになったあと、空中で一回転。

そしてそのまま落下の勢いを使って加速の分も合わせて。

これはお父さんが一時期サーフィンにハマっていた時によくやっていたテクニック....らしい。

「名付けて、カットバックドロップターン!」って言っていたのを覚えている。

見様見真似。だけど、勝つにはこれしかない、そう思った。

 

 

 

 

 

 

司「よし、このまま....って!?」

 

 

波志「いっけぇぇぇぇえっ!」

 

 

司「上から!?だか、このまま振り切る!!」

 

 

波志「間に合えぇぇぇっ!!」

 

 

司「させるかぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ピーっ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴールした合図が鳴った。

 

 

 

 

結果は、司の勝利。

やっぱり、見様見真似じゃ、キツかったかな。

二人とも、あまりにもスピードの制御とかに集中していたから、息切れがすごい。

あのどんなに体力使っても涼しい顔をしていた司も、今じゃ息切れ真っ最中。

 

 

 

 

 

 

 

司「はぁっ、はあっ...びっくりしたぞ。まさか上から追いついてくるとは....」

 

 

波志「前にお父さんがやってたのふと思い出して....見様見真似でしてみたけど.....」

 

 

司「あれが見様見真似?実物は見たことないからわからんが....多分、ほとんど同じと思う。」

 

 

波志「そうかな?.....ま、司が言うんだったらそうなんだろうなぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「おーい、大丈夫ー!?」

 

 

一歌「は、早すぎる...」

 

 

穂波「風で落ちそうになったよ....」

 

 

志歩「.....なんで咲希は平気なの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきのカットバックドロップターンのことについて喋っていると、咲希たちがこっちにやってきた。

咲希以外はぐったりしてる。

 

 

 

 

 

 

司「あ.....すまん。加速ボタン押し過ぎた....」

 

 

一歌「き、気にしないでください....」

 

 

穂波「確かにすごい小刻みでボタン押してましたけど....」

 

 

司「久しぶりの波志との勝負だったからな....気合が入りすぎた....」

 

 

 

 

 

 

 

咲希「ほっくん!あれ、どうやったの!?すっごくかっこよかった!!」

 

 

波志「とっさにお父さんの見様見真似でやったから.....」

 

 

志歩「(波志のお父さん、いつもなにやってるの....?)」

 

 

咲希「ねぇ、今度、アタシにも教えて!」

 

 

波志「うん、いいよ。」

 

 

咲希「やった!」

 

 

志歩「....私もいい?」

 

 

咲希「もちろん!」

 

 

波志「しっかり僕も練習しとかなきゃな.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

それからあと少しだけみんなで空を飛んで、今日は解散になった。

ちょっとしてから知ったんだけど、ニュースで話題になってた。

「深緑色のボードで空を飛んでいる謎の人物」って。

......そりゃそうなるよね。

幸い、僕だけでよかった。

お父さんには「えらい人気者だな!」って言われて、なんとも言えない気持ちにはなったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーまぁ、楽しかったから.....いいや。

 

 

 

 

 

お父さん「いやよくないだろうが。」

 

 

波志「ちょ、かっこよく終わろうとしたのに!」

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 




どうも、シグザールです。


はい、パロディ元は「交響詩篇エウレカセブン」からです。
まあ空飛ぶボード、ってだけでピンときた人はいたかもしれませんが....

  

次回、一歌のヒロイン回です。
またまたちょこっとだけ次回予告。
次回、一歌は波志と「キスしないと出れない部屋」に閉じ込められて....?
    



何番煎じですが、見てくれると嬉しいです。


では、シグザールでした!!






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第十二話 一歌、波志と「キスしないと出れない部屋」に閉じ込められる。

どうも、シグザールです。




特に書くことがない.....




さ、さて、第十二話、どうぞ!


一歌「ん....?」

 

 

 

 

 

 

目を開けると、目に映る全てが白色の空間。

正面には茶色のドア。

おかしい。

明日は波志くんと映画を見に行く約束があって、そのために早く寝ていたはず。

目を開ければ、天井の壁紙が見えるはず。

 

 

 

 

 

一歌「なんだろうここ....?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「なんじゃこの部屋......?」

 

 

 

 

 

 

 

一歌「波志くん?」

 

 

 

波志くんの声が聞こえて、辺りを見渡すと、波志くんがいた。

 

 

 

 

波志「一歌?なんでこんなところに....まぁ僕も人のこと言えないんだけど.....」

 

 

一歌「私も、目が覚めたらこんなところに....」   

 

 

波志「とにかく、出口を探そう。」

 

 

一歌「出口って、あれじゃないかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

最初に見つけたドアを指差す。

少し距離があるからよく見えないけれど、鍵の穴は無さそう。

 

 

 

波志「あれか、よし.....」

 

 

 

 

そう呟いた瞬間、波志くんはドアに向かっていった。

そのあとを追って、私もついていった。

 

 

 

 

 

 

 

波志「よし、開いてくれ...!」

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ、ガチャガチャガチャガチャ!!!!

 

 

 

 

 

波志「なんで開かないんだ...!?」

 

 

一歌「鍵穴もないし....どうしよう。」

 

 

波志「....一歌、離れてて。」

 

 

一歌「え?」

 

 

 

 

 

そう言われて、波志くんから離れた。

離れているかを波志くんが確認したあと、波志くんは扉に向かって全力で体当たりをした。

大きな音はなった。でも、扉はびくともしない。

 

 

 

 

 

 

一歌「波志くん、大丈夫?」

 

 

波志「平気だけど.....まいったな.....扉、すごく硬い。まるで外から打ち付けられているかのような....」

 

 

一歌「外から?じゃあ、誰かのいたずら....?」

 

 

波志「でもなんでわざわざ.....っ!?一歌、危ない!!」

 

 

一歌「えっ?」

 

 

 

 

 

ヒュゥゥゥゥゥ、ゴヅン!!

 

 

 

 

波志「いってぇぇぇぇぇっ!!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

波志くんが急に被さってきた。

なにごとか、と慌てていると、上から木の板?が降ってきていた。

その木の板?が波志くんに直撃した。

 

 

 

 

 

 

一歌「波志くん、大丈夫!?」

 

 

波志「だい、じょうぶ....お父さんの試運転で耐性がついていなかったら即死だった.....」

 

 

一歌「(試運転....?)」

 

 

波志「て言うか、なんでなんもない上から降ってくるんだ....?」

 

 

一歌「.....?」

 

 

 

 

 

 

落ちてきた木の板に、何かが書かれている。

手を伸ばして拾い上げて読んでみる。

 

 

 

 

 

一歌「何か書いてある....」

 

 

波志「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一歌「「キスをしないと出れない部屋」......!?!?!?!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

波志「は、ハァァァァァァァァッ!?」

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「え、本当にそう書いてるの?」

 

 

一歌「う、うん。ほら....」

 

 

波志「本当だ......え、ちょ、本当に?え、これ本当にキスしないととととととととととととと」

 

 

一歌「い、一旦落ち着いて。」

 

 

波志「おおおおちおちおちおつけ.......」

 

 

一歌「だ、ダメだ....気が動転しちゃってる....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくいう私も、内心すごく慌てている。

波志くんを落ち着かせるために顔には出していないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

キス。

それは世の中の女の子全員が一回は夢を見るもの。

大好きな人とのキスを。

私だって、「いつか、波志くんと.....」とは考えていたけれど.....

こんな形で叶ってしまって良いのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「はっ!そうだ、キスをすればいいんだったら.....」

 

 

一歌「いいんだったら?」

 

 

波志「こう、絵本の騎士みたいに、手の甲にすれば....」

 

 

一歌「な、なるほど....?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

考えていたのとは違うけど、確かにそれもキス....なのかな?

でも、なんだか寂しい自分がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「あ、でも、一歌がいやって言うなら違う方法、っていうか他に出られる方法考えるけど..... 」

 

 

一歌「私は...いいよ。」

 

 

波志「え?いや、その、無理、してない?」

 

 

一歌「してないよ。だってずっと考えていたんだから.....

 

 

波志「え.....じゃあ、、本当にするよ.....?」

 

 

一歌「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手の甲を波志くんの前に差し出す。

波志くんの顔を見ると、顔が真っ赤。

なんとなく、黄緑色の髪色が赤に見える。

波志くんの顔が近づいてくる。

それに釣られて私の心臓の音も早くなってきてきた。

 

 

 

 

 

 

 

数秒後、小さな音が手の甲から鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「......恥ずかしくて、死にそうだ.....」

 

 

一歌「(それは私もなんだけどな.....でも、嫌な気持ちにはなってない....それって、やっぱり....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ....!

 

 

 

 

 

 

 

そう考えていると、開かなかったドアが急に開き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「あ、開いたのか....どういう仕組みだったんだこれ....」

 

 

一歌「結局、何だったんだろうこの部屋....?」

 

 

 

 

 

 

 

 

少しの間、2人で考えて。

結局、理由というか、結論は出なかった。

考えてもしょうがないから、出口に向かって並んで歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「まあ無事?に出られたし....結果オーライ.....かな?」

 

 

一歌「.....あの。」

 

 

波志「? どうしたの?」

 

 

一歌「.....やっぱり、なんでもない。」

 

 

波志「? あ、やっぱりいやだった...?」

 

 

一歌「そ、そうじゃなくて....」

 

 

波志「え、ええ?」

 

 

一歌「.....波志くんの朴念仁。」

 

 

波志「朴念仁?どういう意味なの?」

 

 

一歌「鈍い、ってこと。」

 

 

波志「へっ?鈍い??」

 

 

一歌「....帰ったら自分で調べてね。」

 

 

波志「よ、よくわかんないけど....調べとくよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな会話をしながら、出口に向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

一歌の部屋....

 

 

 

 

 

一歌「!!」

 

 

 

 

 

目が覚める。

いつも目を開けると目に入る天井の壁紙。

カーテンには光が入ってきている。

朝方は超えていると思う。

無事に戻って来れた....でいいのかな?

 

 

 

 

 

 

一歌「夢....だったの?」

 

 

 

 

 

 

 

それにしてはちゃんの記憶に残っているし、キスをされた方の手の甲にも感覚がまだ残っている。

胡蝶の夢、というものだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

.....いつになったら、こう、気づいてくれるんだろう。

まだ時間はあるけれど....

.....もう少し、行動してみようかな。

明日、映画館に一緒に行くから、チャンスはいくらでもあると思うから。

 

 

 

 

 

 

 

 

一歌「よし、今日は....頑張ろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな声で、強い決意。

けど、きっとその決意は自分の力になる....と思う。

そう思いながら、今日の行動を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 




どうも、シグザールです。




一歌の口調、大丈夫かなぁ.....
さて、次回。またまたちょっとだけ次回予告。



波志と司主催のキャンプに出かけた5人。
楽しんでる中、唐突に咲希が王様ゲームをしたいと言って....?
次回、「キャンプ場、カオス」。



またまた気長にお待ちください!

では、シグザールでした!!


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第十三話 キャンプ場、カオス。

どうも、シグザールです。



今回はマジのカオス回になります。
大、大、大キャラ崩壊あり。
まあこの回を見なくても....大丈夫だと思います。


では、どうぞ!


穂波「えーと、じゃあ...1番が6番の膝に座る。」

 

 

波志「1番だよ。」

 

 

司「......」

 

 

咲希「お兄ちゃん?」

 

 

一歌「(あっ.....なんとなくわかった....)」

 

 

司「.......6番。」

 

 

志歩「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!6番だぁァァァァァッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

5人「(耳がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

拝啓、お父さん。

今、僕は司達とキャンプに来ています。

最初は楽しかったです。

水浴びだとか、水切りだとか、あのボードを使って水面を走ったり。

でも、純真無垢な咲希のとある提案によって、その「楽しかった」はバラバラに砕け散りました。

ことの発端は、そろそろ日も暮れて、バーベキューも終わって、これから何をしようか。というところで、咲希が「王様ゲームをやってみたい!」と。その時、その場にいた全員が少しだけ嫌な予感がしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見事に、その予感は的中した....いや、してしまった。

現に、司が悲鳴をあげたのもそう。

まだ、相手が咲希ならよかったんだろう。

しかし、相手は僕だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

司「な、何が悲しくて波志の膝に...」

 

 

波志「その言葉、そのままひっくり返して送くってもいい?」

 

 

司「だか、王様の命令は絶対だ.....」

 

 

波志「うん......そうだね。王様の命令は絶対だ.......っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

思わず拳を握り締めてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

司「えーい、早く終わらせるぞ!」

 

 

波志「了解!」

 

 

 

 

 

 

 

数分後......

 

 

 

 

 

 

 

 

司「よし、これは、やったが、なかったことにしよう。」

 

 

波志「うん、それがいい!」

 

 

4人(ええ......)」

 

 

 

 

 

 

 

 

全員「おーさまだれーだっ!」

 

 

 

 

咲希「あ、王様だ!」

 

 

波志「(多分、咲希ならそんな危ない命令は出さないだろう.....)」

 

 

咲希「4番が、アタシに膝枕して!」

 

 

一歌「1番。」

 

 

穂波「3番です。」

 

 

志歩「5番。」

 

 

司「6番.....ハッ!まさかっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

波志「僕が、4番です.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

司「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!嘘だぁぁぁぁぁぁぁあぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波「み、耳が.....」

 

 

志歩「次叫んだら首筋に.....」

 

 

一歌「志歩、それはダメ。」

 

 

 

 

 

 

波志「ほら、おいで。」

 

 

咲希「じゃあ、失礼しまーす!」

 

 

 

 

 

 

咲希が僕の膝に飛び込んで、そのまま寝転んだ。

.....なぜか後ろからものすごい視線を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

波志「痛くない?」

 

 

咲希「......。」

 

 

波志「? 咲希?」

 

 

 

 

 

 

咲希「(やっぱり、お兄ちゃんと違う.....お兄ちゃんは優しくて.....ほっくんはなんだか安心して.....やばい、心臓がドクドクなってる....幸せ.....)」

 

 

 

 

 

波志「おーい....?」

 

 

 

 

咲希「プシュー......」

 

 

 

 

波志「ちょっ、咲k、司「咲希ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」」

 

 

 

 

 

天馬咲希 リタイヤ

原因 幸せがいっぱいで気絶

 

 

 

 

 

 

ここからリタイヤ地獄が発生したので作者権限でダイジェストにてお送りします。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

司「よし、3番が1番のモノマネ!」

 

 

一歌「1番....」

 

 

志歩「さ、んば...ん。」

 

 

波志「(あっ....)」」

 

 

 

 

 

 

 

志歩「や、やき、焼きそばパン、食べたい.....」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

志歩「あのさ。無言はやめてくださいお願いします本当に!!!」

 

 

 

 

 

 

 

志歩 再起不能(リタイヤ) 

原因 あまりにも無言がキツかったため

 

 

 

 

 

 

 

一歌「あ、王様。」

 

 

穂波「(一歌ちゃん、何を言うのかな....?)」

 

 

一歌「2番が1番に耳元で何かを囁く。」

 

 

 

 

3人「えっ」

 

 

司「3番....」

 

 

波志「1番.....」

 

 

穂波「2番.....」

 

 

 

 

 

 

 

波志「よ、よし。いつでも.....」

 

 

穂波「え、えっと.....いつも、ありがとう。これからも、よろしくね。波志くん。

 

 

波志「....うん。僕も。いつもありがとう。こんな僕といてくれて。」

 

 

穂波「!!!!!!」

 

 

 

 

ばたっ!

 

 

 

 

波志「穂波!?」

 

 

 

 

望月穂波 再起不能(リタイヤ)

原因 カウンターを食らったため

 

 

 

 

 

 

2人「(え、何を見せられているんだ....?」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

翌日。

あれからというもの、ごく平穏だった。

そして、自分たちの家に戻ってきた。

......思い出すだけで、あの阿鼻叫喚の光景が浮かんでくる。

王様ゲームをする前がどれほど眩しかったか。

でも、悪い思い出には絶対にならない。

それは、みんなが思ってると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司「おーい!学校行くぞー!!」

 

 

波志「! 今行く!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も、時間が、人が、色々なものが流れていく。

人によって普通、というかもしれないけれど....

僕にとって、ありふれたものなんかじゃない。

それを見るためにも。今日を生きる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーこれが、ずっと続きますように。

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 

 

 




どうも、シグザールです。


次回....ヒロインー、回なんですが、アンケートを設置するのをすっかり忘れていて....
この話にアンケートつけておきますので、ぜひぜひ投票してください!
次回は新シリーズの方を更新します!

では、シグザールでした!


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第十四話 咲希、ほっくんと出会った頃、そして.....

どうも、シグザールです。


久しぶりの更新です。
アンケート、ご協力ありがとうございました!!


さて、今回はガッツリと回想.......出会った時のこと、運動会のことを書いていきます。
そして、ついに咲希が....??



では、どうぞ!!


キッカケは、お兄ちゃんが遊びに行ってきた時。

帰ったきた、と思ったら知らない人とお兄ちゃんがいた。

なんでも、生まれた時からの友達で、今日がはじめて家で遊ぶんだ、言ってた。

それでちょっとだけ怖くって、お兄ちゃんが靴を脱いで歩いてきて、すぐに後ろに隠れた。

でも、その人が言った言葉で怖さはなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「はじめまして。「てんのつきなみし」です。えっと.....これから、よろしくおねがいします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

普通の自己紹介だったんだけど、なんとなくそれが新鮮に見えて。

興味が湧いてきたんだ。

それで自分も自己紹介したあと、お兄ちゃんとほっくんと遊んだ。

それから何度も会う機会があって、いっちゃんたちとともほっくんは友達になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

小学校に入学して、いろんなことをした。

アタシはあまり小学校には行けていなかったけど、学校に行った日はいっぱい楽しんだ。

運動会だったり、遠足だったり。

その中でも1番楽しかったのは4年生の頃。

運動会があって、その日は病院に行かないといけなかった。

病院に行ってる間、お母さんがとあるものを渡してくれた。

そのとあるものについてるボタンを押すと、急にほっくんたちの顔が映った。

どうやらライブ配信らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「あ、あ、マイクテス(ry」

 

 

司「咲希ぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!大丈夫かーーーーーーーーーーー!!!!?」

 

 

咲希「お兄ちゃん!?それにほっくんも!」

 

 

波志「よしよし、声はバッチリ届いてるみたいだね。咲希、どう?お父さんと僕の新開発した「どんな所でも高画質で配信可能マシーン」。名付けて、「コウハイシーン」の映像は?」

 

 

咲希「すっごく綺麗!どうしたのこれ!?」

 

 

波志「先生に言って頼み込んだんだ。そしたら「是非ともやってくれ!」って。そっからずっと作ってた。」

 

 

咲希「ずっと?」

 

 

波志「そう、ずっと。司が今画面占領してるけど、後ろにちゃんと一歌たちもいるよ。の前に.....司、そろそろ僕たちの出番だよ。」

 

 

司「む、そうか。よーし、この2人のスターの実力を見せるとしようか、波志!」

 

 

波志「うん、見せてやろうよ!司!」

 

 

司「という訳で、これからリレーに行ってくる。あとは一歌たちに頼んであるから、映像越しだか、楽しんでくれ!」

 

 

咲希「うん、いっぱい楽しむ!!」

 

 

司「それが聞ければよし。それじゃ、行ってくる!」

 

 

咲希「頑張ってーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

一歌「これでいいのかな?咲希、聞こえてる?波志くんから操作渡されたけど.....うまくできてるかな?」

 

 

咲希「うん、バッチリ!!」

 

 

志歩「お姉ちゃんと一緒に来なくてよかった.....絶対変な所触りそうだし.....」

 

 

穂波「ひ、否定出来ないのが.......あ、咲希ちゃん、そろそろ司さんの出番!」

 

 

咲希「え!?ほんと!?」

 

 

一歌「......これがズームボタンで、これがズームアウト。よし、司さんのところにズームするね。」

 

 

 

 

 

 

 

いっちゃんがズームをしてくれたおかげで、お兄ちゃんがハッキリ見えた。

どうやらお兄ちゃんがアンカーの前で、ほっくんがアンカー。

 

 

 

 

 

 

 

赤組と白組、どっちも早いけれど、やっぱりお兄ちゃんは速くて、直前で3位だったのにもう一位に。

そして、アンカーのほっくんの出番。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実況「さあさあ司くんがかなり先に進んでいる!そして、それを迎え入れ、希望という名のバトンを渡されるのは、波志くんだぁぁぁぁぁぁぁあぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

司「頼んだっ、波志!!」

 

 

波志「うん、任された!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

実況「速い、速い!まるで流星だ!!流星がコースを駆けていくぞぉぉぉっっ!!」

 

 

 

 

 

 

咲希「ほっくんー!頑張れーー!!!」

 

 

 

 

 

 

波志「うおおおおおおおっっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

パァン、パァン!!

 

 

 

 

 

 

 

実況「流星、流星「天ノ月波志」くんが、1着ぅぅぅぅぅぅっ!!ここにきて、大逆転をぶちかましました!!!そして、それのチャンスを作ったのは、天翔るペガサス、「天馬司」くん!!2人のコンビはいつまでも健在だぁぁぁぁぁぁぁあぁぁっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

司「おーい!波志!やったな!!」

 

 

波志「これも、みんなが諦めずにバトンを司に渡して、司が追いついてくれたからだよ。」

 

 

チームメイト「こんにゃろ、嬉しいこと言ってくれるじゃんか!」

 

 

チームメイトB「散々みんなが敵に回したくない、って言ってたけど。確かにその通りだわ....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「お兄ちゃんとほっくん、かっこいい......!!」

 

 

志歩「(波志兄ちゃん.....カッコいい.....!!今度一緒に走りたいな....)」

 

 

穂波「流星、波志くんにピッタリだね。」

 

 

一歌「私も......波志くんみたいになりたい.....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、運動会はリレーから大盛りで終わった。

病院から帰って、真っ先にお兄ちゃんに突撃した。

それで、いっぱいお兄ちゃんと話した。

リレーの順番を決める時にクラスメイトから「いざという時は司と波志で逆転してくれ」と頼み込まれたんだって。

その頼みをノリノリで受けたお兄ちゃんとほっくん。

見事、その頼みを完璧に遂行したんだって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなは覚えてないかもしれないけれど、アタシにとって、大切な、大切な思い出。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

波志の家、地下室......

 

 

 

じ、じじじじじ.......

 

 

 

咲希「ほっくん、出来た?」

 

 

波志「.......よし。完成。万年保存可能USB.....名付けて、「万年くん」。」

 

 

咲希「おおおーっ!!ついに完成したんですね博士!」

 

 

波志「は、博士って.....まあいいや。これで、いつでも何かを記録したかったらスマホとかでもこれを挿せば、文字だったり写真だったり声だったり.....なんでも記録できるよ。でも....」

 

 

咲希「? どうしたの?」

 

 

波志「いや、頼まれたから作ったけど.....何を記録するのか気になっちゃって。」

 

 

咲希「あ、ああ!そ、それは....秘密!」

 

 

波志「まぁそりゃそうだよね。気にしないで。」

 

 

咲希「あ、あはは.....(あ、危なかった....思わず何を記録するのか言っちゃいそうに.....)」

 

 

波志「今度は何を作ろうかな......」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

咲希の部屋.....

 

 

 

 

 

 

 

咲希「えーと、これで、いいんだよね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「アタシ、ほっくんが大好き!!お兄ちゃんと同じぐらい、いっぱい大好き!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司「な、な、な、なんだどぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉっっっっっ!!!!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!




どうも、シグザールです。




ついに咲希から「好き」という言葉が出ました。
これから結末はどうなるのか。
ぜひ、お楽しみにしていてください!!
一応、全員分のエンディングを書こうとは思っています。



では、シグザールでした!!


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第十五話 ライカー、ある日の記録

どうも、シグザールです。


今回はライカーくんの目の前であった事を書いていきます。
日記に書いてあることを次回の穂波回で書こうと思います。
なので、今回まじで短くなると思います.....
ついでにすごく遅くなりましたが、ライカーくんの事も書いておこうと思います。


では、どうぞ!


ライカー

 

 

波志が拾ってきたライオン型ロボット.......らしい。

よく街や近くをうろついては見かけた出来事をライカー専用の日記帳に書いている。

性格は波志よりかは熱血で、困った人を見過ごせない。

なので、よくご近所さんからは「また助けてもらっちゃった」と何故か波志に言われる。

体はロボットみたいだけど毛はふわふわで、こっそり撫でてみた志歩が「持って帰りたい」というぐらいの触り心地。

食べるものは基本何でも食べる。特に波志にもらったりんごが大好き。

 

 

 

 

 

 

 

実は波志のお父さんが作ったロボットで、完成して起動したら逃げ出した。

雨の中走り続け、そのまま機能停止するかと思ったその時に波志と出会った。

そのため、波志には大きな忠誠を誓っており、日記帳に丸ごと波志の素晴らしさを書いているページもある。

ちなみにあのふわふわの毛はあまり触れてはいけないラインのルートにあるのだとか.....

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

○月□日

 

最近、ご主人様の周りに女の人がいっぱいいる。

その方たちは人様の言葉で「幼馴染」というらしい。

少しご主人様のパソコンを拝借して調べてみた。

どうやら昔から一緒にいる友人、という意味らしい。

まぁそんな事は置いておいて,,...

ある日、その幼馴染の1人が、ご主人様と一緒にどこかに行っていました。

その後、帰ってきたご主人様はすごくやつれていました。

心配になって駆け寄って、ご主人様はこういいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダイエット......おそる、べし........」

 

 

 

 

 

 

 

 

譫言のように呟いたご主人様を部屋まで運んで、またまた携帯を拝借して、メッセージアプリの記録をチェックしました。

そこに書かれていた内容を要枠すると、「最近体重が増えてきて、それを解消するためにダイエットに付き合って欲しい」とのことでした。

意気揚々と引き受けたはいいものの、どうやらそのダイエットが自分の限界を超えたものらしく。

その幼馴染は難なくこなしていたようですが.....

それでも「負けるかぁ!」とムキになって、こうなった、と......

 

 

 

 

 

 

 

ご主人様は無理しすぎなのです。

自分のことより他人を思い、その思ったことを忠実にしてしまうんですから。

でも、その行動で自分が救われたのも事実。

なら、その御恩に報いるためにも。

この不肖、ライカー!

ご主人様の疲れをどうにか解消してみせましょう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

波志「ん......?あれ、ここ僕のベット.....。」

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと、見慣れた天井。

頭の下には柔らかい感触。

いつも使っている枕の感触だ。

つまり........僕の部屋ということだ(??)

 

 

 

 

 

 

ライカー「ガォォッ!」

 

 

波志「え!?まさか.....ここまで運んだの?」

 

 

ライカー「ガオッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだよー!と言わんばかりに雄叫びて答えてくれた。

しかもいつもみたいに歯をにかっ、とさせて。

そんなライカーが可愛すぎてたまらん。

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「マジかぁ......、ライカー、こっちきて?」

 

 

ライカー「?」

 

 

 

 

 

手招きをして、ライカーをこっちに寄せる。

そして、思いっきり全身をわしゃわしゃした。

 

 

 

 

 

 

波志「ライカ〜〜!ありがとうーー!!」

 

 

ライカー「ガォォッン!!」

 

 

 

 

 

そのわしゃわしゃが数十分続いて、眠くなってきたので今日は早めに寝た。

あー........ライカーの毛気持ちいい......

終始その言葉しか浮かんでこなかった。

しかし、寝る直前、ふとこんなことを思いだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ。

お父さんのご飯、作り置きしかないや。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

翌日......

 

 

 

お父さん「ちくしょー!なんで昨日飯なかったんだよっ!?」

 

 

波志「ライカーと寝てました......」

 

 

お父さん「わ、わたしとは遊びだったのね......!?ひどいわっ!」

 

 

波志「違うってば.......」

 

 

お父さん「さよならっ.....!!」

 

 

波志「ま、待って、今日お父さんの好きなもの作るから!」

 

 

お父さん「え?マジで?じゃあシチューで。」

 

 

波志「お父さん、いつもそれだよね......」

 

 

お父さん「いいだろうが、好きなんだから。」

 

 

波志「はいはい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ライカー「(さて、今日はどこに行きましょうか......)」

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 

 

 




どうも、シグザールです。


次回、穂波回になります。
内容はライカーくんの日記の内容を詳しく、そして波志が倒れるまでを書いていきます。


では、シグザールでした!!


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第十六話 穂波、ダイエットに挑戦。

どうも、シグザールです。


えー.....また、暴走しました。
しかも今ままでの流れからまったく関係ないのが。
一応封印として完全非公開にしてますが.....
気が向いたら非公開を解除しようと思います。



で、では、どうぞ!



穂波「..........やっぱり、増えてる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

体重計に乗りながら、思わず呟いた。

原因は一つ。

ここ最近、波志くんが作ってくれる波志くん特製アップルパイを食べすぎたこと。

きっかけは、あのパーティーから少し経って、「また食べたい」と頼んだこと。

「穂波の頼みならなんだってやるよ。」と言われて、一日一つ分のアップルパイを作ってくれていた。

でも、それだけじゃなんだか物足りなくなっちゃって。

それで、だんだんと一日にもらうアップルパイを増やしていったら......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波「やっぱり、アップルパイ.....だよね、原因。だって、おいしすぎるのが......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うわ言のように呟くこの状況になった。

一応、波志も心配してくれていた。

「そんなに食べたら太ちゃうよ?」って。

それでも、食べたかった。

おいしいから。

 

 

  

 

 

 

 

 

穂波「うう.......ダイエット、かなぁ。波志くんと一緒にしたいけど....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.,,,,背に腹は変えられない。

さっそく、波志くんにダイエットを手伝ってほしいと、LINEで聞いてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波「波志くん、今、メール打てる?」

 

 

波志「うん、打てるよ。どうしたの?」

 

 

穂波「うん、ちょっと.....その。頼みたいことがあるんだけど....」

 

 

波志「頼みたいこと?何かあったの?」

 

 

穂波「えーっと......その.....」

 

 

波志「?? その?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり、言うのは恥ずかしい。

それ以前に、言われたこともあって、言い出しにくい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「さては、アップルパイ食べ過ぎて......」

 

 

穂波「ちょっと、言わないで!!」

 

 

波志「だから言ったのに......」

 

 

穂波「うう.......」

 

 

波志「まあそれだけ僕のアップルパイがおいしい、ってことでしょ?最近なんて2個3個もらうことも多かったし。」

 

 

穂波「....はい、おいしかったです。」

 

 

波志「ならしょうがない。運動、手伝うよ。」 

 

 

穂波「え?本当?」

 

 

波志「本当。僕が穂波たちの頼みごと断ったことあった?」

 

 

穂波「ない、けど.....でも。」

 

 

波志「でしょ?でも、アテというか、何をするか決まってるの?」

 

 

穂波「ううん、特には決まってない。」

 

 

波志「じゃあ、数日間の間だけ待ってて。とびっきりの機械作るから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

.......機械?

この時、嫌な予感を大量に感じた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

数日後、その辺の公園.....

 

 

 

穂波「時間、あってる....よね?」

 

 

波志「お待たせぇぇぇぇえぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

波志くんの声が聞こえた方に体を向けると、自転車のカゴに何かの機械を入れながら全力でペダルを回している波志くんがきた。

急ブレーキをかけたと思ったら、スピードが早すぎて、火花が出ていた。

 

 

 

 

 

穂波「どうしたの!?走ってきたみたいだけど.....」

 

 

波志「運ぶ方法、考えて、なくてさ.......」

 

 

穂波「と、とりあえず、深呼吸。」

 

 

 

 

 

 

「「すぅーーー、はぁーーーー。」」

 

 

 

 

 

 

波志「って、なんで穂波もしてるの?」

 

 

穂波「わ、わたしも、ちょっとだけ走ってきたから。」

 

 

波志「.....まぁいいや。それより、これ!お父さんに頼み込んで作ってもらった「いつでもダイエットマシーン」!」

 

 

穂波「(ネーミングセンスについは触れないでおこう....)」

 

 

波志「さっそく、スイッチオン!」

 

 

 

 

 

 

 

波志くんがスイッチを押すと、一気にテレビに映っていた走る機械みたいなものがいっぱい出てきた。

 

 

 

 

 

 

穂波「よ、よくわからないけど.....なんだかすごいね。」

 

 

波志「ささ、やってみよう!」

 

 

穂波「説明書とかはないの?」

 

 

波志「「そんなもん、考えるんじゃない、感じるんだ」ってお父さんが言って説明書なんて作ってくれなかったよ.....」

 

 

穂波「...ま、まぁ、とにかく、やってみよう?」

 

 

波志「そう、だね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天の声「ここからまあ結果が酷いのでダイジェストでお送りします。」

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

穂波「よっ、と.....」

 

 

波志「穂波ー?一回交代してくれない?説明書はないけど修理のマニュアル入っててさ、一回修理のついでに穂波がやってるのやってみたいんだけど.....」

 

 

穂波「うん、すぐに退くね。」

 

 

波志「よーし、どれどれ..........えっ、ちょ、はやっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ドンガラガッシャーン!!

 

 

 

 

 

 

 

穂波「波志くん!?」

 

 

波志「な、なにこのスピード......」

 

 

穂波「なんか少し走ってたら勝手にこうなってて....ちょうどいいぐらいの速さだったよ?」

 

 

波志「ええ......ちょっと、もう一回だけさせて。」

 

 

穂波「いいけど......」

 

 

波志「今度こそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

ドンガラガッシャーン!!

 

 

 

 

 

 

波志「う、うう......」

 

 

穂波「な、波志くん......これ以上したら、波志くんが.....」

 

 

波志「せ、せめて......5秒ぐらいは.....」

 

 

穂波「(あ、火がついちゃった。)」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波「か、軽い。」

 

 

波志「かたじけない.....」

 

 

穂波「ちゃんとご飯食べてる?」

 

 

波志「その言葉、真逆にして穂波に返してもいい?」

 

 

穂波「ダメ!」

 

 

波志「ですよね.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

あのあと、本当に倒れた波志くんを背負って、現在進行形で家まで降り届けている。

楽器などを運んだりするために、少しでも力はつけているから、あんなに機械が早くなったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波「......昔は反対だったね。」

 

 

波志「ん?......そうだったっけ?」

 

 

穂波「覚えてないかな?よく一緒に遊んで、それでよく帰る時におぶってもらって。どれだけ泥だらけになっても。」

 

 

波志「......ああ、思い出した!1番泥だらけになったのは確か.....鬼ごっこで穂波が盛大に転んで、それで見たことがないぐらいに泥だらけになって.......」

 

 

穂波「そ、そんなに覚えてるの?」

 

 

波志「うん。僕が今ここに居れるのは、穂波たちや司のおかげだから。だから、覚えれることは全部覚えておこう、って。」

 

 

 

 

 

 

 

 

かなり歩いてきて、もうすぐで波志くんの家が見えてくる。

話していてあまり気づかなかったけど、もう太陽が見えなくなってきていた。

......あの約束をした日も、こんな景色だったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波「.....前に言ったこと、覚えてる?」

 

 

波志「え?」

 

 

穂波「波志くんが遠くに行っちゃう前に、言ったこと。

 

 

波志「うん。覚えてる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波「今度会えたら、ずっと一緒にいたい。」

 

 

波志「そんなの、ずっと一緒にいるって決まってるよ。」

 

 

穂波「え......」

 

 

 

 

 

 

 

 

波志くんの答えを聞いて、心臓が飛び上がった。

一度、ラブソングを考えたこともあった。

もちろん、浮かんだのは波志くんで。

その時も心臓が飛び上がったけど、今のはその比じゃない。

ラブソングの時がスカイタワーの頂上だとしたら、今のはエベレストの頂上からバンジージャンプしたくらいの差。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波「ほ、本当?」

 

 

波志「うん、ずっと一緒。僕と司も、一歌も、咲希も、志歩も。ずっと一緒だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛んでいた心臓が急降下してきた。

一度だけ、とんでもなく鈍感な主人公が出てくる漫画を読んだことがあった。

その時は「まあ漫画だよね」と思っていたけど......

実際にいるとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

穂波「鈍感って実際にいるんだね....。

 

 

波志「へっ?」

 

 

穂波「なんでもないよ。」

 

 

波志「?、???」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

あのあと、入り口付近まで送って帰ってきた。

玄関を開けようか、とは聞いたけど、「お父さんにいじられたくない」って言って、家の近くで降ろして別れた。

それで数時間後、またあの機械を使って運動をすることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.....「うん、みんなとずっと一緒。僕と司も、一歌も、咲希も、志歩も。ずっと一緒だよ。」か。

自分だけがいい、って言ったらどんな気持ちになるのだろう。

わたしも、波志くんも。

怖くて言えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けど.......

言わなかったら、ずっとこの関係。

進みたい、とは思うけど......

どっちなんだろう。

.....まだ時間はあると思う。から。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いっぱい悩んで、それで答えを出そう。

きっと、それが後悔しないと思うから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!




どうも、シグザールです。


さて、これで二週目は終わりましたが.....
個人的には、二つの選択で迷ってるんですよ。
このまま一回日常を挟んで、四人のエンディングを書くか。
それとももう一周するか。その場合は日常回は挟みません。


一応、アンケートを置いておきますが、今回ばかりは自分もめちゃくちゃ悩んでいるので、アンケート通りにはならないかもしれません。


とにかく、アンケートに参加してくれると嬉しいです。


では、シグザールでした!!


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第十七話 波志、困惑。そして、運命の分岐。

どうも、シグザールです。

活動報告にも書きましたが、一回日常を投稿して、そして四人のエンディングを書いていこうと思います。
アンケートに投票してくれた皆さん、ありがとうございました!!




さて、次回でエンディングを迎えます。
といっても、誰から書くはまだ決まってませんが....



あと、今回はエンディングに繋げる話なので、ガチで短いです。


とにかく、書き終わった順に更新します。
どうか、最後まで、見届けてくれると嬉しいです。


では、どうぞ!!


波志の部屋....

 

 

 

波志「宿題わかるかぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

お父さん「うるせぇ!!静かに宿題をしろぉぉ!!」

 

 

波志「はいごめんなさい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなやりとりをしながらスマホに触る。

今、叫んでたのはなぜか出てきた「因数分解」の問題。

難しすぎるだろ......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「因数分解ってなんだよ、勝手に分解しないでよ、そのままの君でいてよぉ......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあそんなことをぼやいても進まないので、スマホの操作を続けた。

 

 

 

 

 

すると、4件のメールの通知が届いた。

こんなことはあまりないもんだから、操作をやめて通知を押す。

しかし、それが修羅場の一歩手前.....いや、運命が変わる瞬間とは、思わなかった。

 

 

 

 

 

見た瞬間、僕は固まった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

波志「えーっと......これ、どういう状況?」

 

 

 

 

 

 

スマホの通知が流れてくるところに目を向ける。

いや、向けたのが間違いだったかもしれない。

なぜかって?それは....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一歌「今から時間ありますか?あの公園で話をしたいです。」

 

咲希「ほっくん、今時間ある?あるならアタシの家に来て!!」

 

 

志歩「あのさ、今から家に行っていい?」

 

 

穂波「伝えたいことがあります。予定がないなら、返事をください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前にゲームで見たことある.......

これあれだ、修羅場(エンディング分岐)のやつだ.......!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「ああああああ、どうしたらいいんだぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一旦状況を整理しよう(冷静)

一歌は......まあわかるかもしれない。

咲希は.......まだ...まだ?わかる。

穂波もまだわかる。

志歩は.....全然わからん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

んまあそりゃあなんか最近みんな僕のところくること多いしなんなら泊まることもあったよでも少なくも僕はただ単にいつものように過ごしてたはず。

心当たりがなさすぎる.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......正直、僕だって、まあ世の中の男の子と同じぐらいには色恋には興味はないとも言えない。

でも、僕なんかが好まれる要素なんて持ってない。

なんなら自分のことが嫌いまである。

だって、自分一人じゃ何もできないから。

 

 

 

 

 

 

 

昔のことを言うのだってそうだ。

みんなが気づいてくれなかったら、僕はずっと引きずってた。

 

 

 

 

 

 

だから、全部断ろう。

そう思った。けど.....

 

 

 

 

 

 

 

ライカー「ガォォォォォォオ!!!」

 

 

波志「ちょ、ライカー、いきなりどうしたの!?」

 

 

 

 

 

 

耳が裂けるんじゃないかってくらいの声でライカーが吠えた。

そして、いつものペンで何かを書き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じ、しん、を、もって、く、だ、さい

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「自信を持ってください.....か。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自信......か。

僕には似合わない言葉。

むしろ司にぴったりな言葉。

だけど、今だけは。

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を、自分に似合わせてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 

 

 

 




どうも、シグザールです。


いやぁ、今振り返ると.....
長かったです。


一度は「あああ、なんでLeo/needにしたんだ一人でよかったんじゃん!」なんて思ったりもしましたが、なんだかんだで更新止まっては発想が思いついて......
それの連続でした。


ですが、これが続いたのも読んでくれたみなさんのおかげです。
もう最終回のあとがきみたいになってますが、エンディング全部書き終わったら、またこんな感じで振り返ってみようと思います。


さて、振り返りはこれぐらいにして.....
いつもの挨拶を。




では、シグザールでした!!


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それぞれの想いの結末
tie to this miracle


どうも、シグザールです。



今回からヒロインのエンディングです。
最初は志歩に決まりました。
ちなみに、タイトルの英語の意味は「この奇跡に結びを」です。
Google翻訳便利すぎだろ!



さて、本編、どうぞ!


波志「来ていいよ、と......」

 

 

 

 

 

 

 

悩みに悩みまくった結果、志歩にメールを返すことにした。

打ち込み終わり、言葉を返すとすぐに返事が返ってきた。

 

 

 

 

 

 

志歩「わかった、今すぐに行く。」

 

 

 

 

 

 

 

 

.....相変わらずの行動の速さ、というか。

待ってる間、インスタントラーメンでも作ることにした。

志歩ラーメン好きだったから。

一応一人分しか作らないけど、志歩に聞いて食べると言ったらすぐに作れるように用意はしておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

.....今思えば、志歩との思い出があったから、あの高校1年耐えれたのかもしれない。

というか、1番関わってたと思う。

まあ、「波志兄ちゃん」って言いながら、後ろをついてきてた。

なんだかほっとけなくて、それでずっと関わってた。

僕がはじめての林間学校に行くって知ったら「私も行く!」なんて言って、担任の先生困らせてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

......そう思うってことは。僕.........

い、いやいや。

そんなことはない。

だって、あの志歩だよ?

 

 

 

 

昔の志歩ならまだしも......うーん......

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな考えを頭に浮かばせていると、志歩が家にやってきた。

 

 

 

ーーーーー

 

 

志歩「お邪魔します。」

 

 

波志「いらっしゃい。今ラーメン作ってるんだけど.....食べる?」

 

 

志歩「食べる。」

 

 

波志「はっや.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズズズズズズ.......

 

 

 

 

 

 

 

部屋中に麺をすずる音が響き渡る。

お互いに、顔を綻ばせながらラーメンを食べていた。

もっとも、志歩は綻ばせていることに気づくたびに戻してるけど。

 

 

 

 

 

 

 

志歩「おいしい。」

 

 

波志「でしょ?なんかお父さんがお土産でもらったんだって。」

 

 

志歩「へぇー.....」

 

 

波志「志歩と一緒に食べたいと思ってたから、ちょうどよかった。」

 

 

志歩「ぶふっ!?」

 

 

波志「うわっ、志歩、大丈夫?」

 

 

志歩「だ、だいじょ、ぶ。」

 

 

波志「ちょっと待ってて、すぐに水持ってくる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「(不意打ちにも程がある......私と、か。ふふっ.....♪)」

 

 

波志「水、いっちょお待ちィ!」

 

 

志歩「ラーメン屋?」

 

 

波志「そんなことは置いておいて、ほら、飲んで。」

 

 

志歩「うん....」

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

二人「ごちそうさま、でした。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなハプニングがありながらも、

ラーメンを食べ終わった僕たちは、いつものように喋ったりすることはなく......

 

 

 

 

 

 

 

志歩「.......」

 

 

波志「え、えっと.......」

 

 

志歩「(ど、どうするんだっけ.....ちゃんと練習してきたのに....)」

 

 

波志「(な、なんか話題を出さないと....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所謂、拮抗状態になってしまっていた。

何か言おうとしても、言葉が詰まる。

そんな状態が何分か続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「....あのさ。一つ、聞いてもいい?」

 

 

波志「な、なんでも?」

 

 

志歩「もし、私が、波志のことが好き、って言ったらどうする?」

 

 

波志「へっ.....?」

 

 

志歩「か、勘違いしないでよ、もしも、だよ!」

 

 

波志「う、うーん......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

唐突にそんな言葉を言われて、頭が混乱した。

顔が真っ赤になるサービスも勝手に付属して。

聞いた志歩も真っ赤だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「そ、そりゃ.....嬉しいけど.....僕なんかと一緒にいても楽しくないよ.....?それに、誰かがいなかったら僕は何もできないし。」

 

 

志歩「......そんなこと、ない。だって、波志は、私たちに話してくれた。辛かったことを私たちに話して欲しい、って約束して自分から話してくれた。」

 

 

波志「それは.....約束があったからで....」

 

 

 

 

 

 

 

 

言葉に詰まる。

実際、約束をしなかったら、絶対に言わなかった。

だって、みんなに迷惑とか、心配とかかけて欲しくなかったから。

迷惑になると思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「.....やっぱやめた。」

 

 

波志「へっ?」

 

 

志歩「こんなもしもで聞くんじゃなくて.......私にはストレートに言うのが合ってる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って志歩は僕の顔を見つめる。

さっきまでの赤くなってる顔じゃなくて、前に見せてもらった、ライブの時の表情。

覚悟を決めた、凛々しい表情。

そんな顔で見られたから、僕も顔が赤くなくなって、あの時のような覚悟を決めた表情に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「......昔から、好きでした。私でよければ、付き合ってください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、志歩は右手を差し出した。

顔は上げたままだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とくん、とくん。

僕の心臓が、強く打つ。

けど、不思議と心は穏やかだった。

漫画のように、顔を真っ赤にすることはなく。

 

 

 

 

ただ、こうして想いをぶつけてくれた志歩に向き合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直、僕はまた迷った。

こんな僕が、誰かを幸せにできるのか。

いつも誰かに助けてもらってたのに。

助けてもらってばっかりなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、僕にだって、誰かを幸せにできるはずだ。

こんなの、昔の僕なら考えもしなかった。

けど、これからは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

差し出された右手を、僕の右手で握る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「!」

 

 

 

 

 

波志「.....こちらこそ、お願いします。」

 

 

 

 

志歩「......はいっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕と志歩は、「幼馴染」から、「恋人」になった。

もう、後戻りはできない。

けど、戻る気は毛頭ない。

だって、もう決めたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何がなんでも、志歩を幸せにする、って。

ずっと、幸せにする、って。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

夜、どこか。

 

 

 

今、僕は目隠しをされながら、歩いている。

志歩に手を繋がれながら。

どうやら、何かを見せたいらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「ここにいて。目隠しは....まだ取っちゃダメ。」

 

 

波志「わかった。」

 

 

志歩「じゃあ、ちょっとだけ待ってて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「波志、連れてきたよ。」

 

 

咲希「よーし、これで準備はオッケー!」

 

 

一歌「あとは....」

 

 

穂波「波志くんを、元気にするだけだね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「みんな、ありがとう.....でも.....」

 

 

一歌「続きを言わない。波志くんを盗られた...なんて思ってないから。」

 

 

穂波「うん、私たちは、志歩ちゃんが幸せなら、どんなことだって手伝うから。」

 

 

咲希「もちろん、お兄ちゃんも手伝ってくれると思うし!」

 

 

志歩「......司さんはちょっと.....」

 

 

咲希「えーー!?なんで!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会話を交わしたつつ、私たちはライブの準備を進めた。

建物の中でやるわけじゃないから、準備に時間はかかっちゃったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

......よし。絶対に、成功させて見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

波志「(長いなぁ.....一体、何を見せられるんだろ?)」

 

 

志歩「波志、お待たせ。」

 

 

波志「あ、志歩。今から、何をするの?」

 

 

志歩「目隠し、外すね。」

 

 

波志「あ、うん。」

 

 

 

 

 

 

 

目隠しが解かれ、目を開ける。

「志歩に上を見て」と囁かれて、上を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綺麗だった。

この世、いや、この十数年間生きてきて、1番綺麗だった。

色んな星が輝いて、一つ一つが綺麗だった。

もはや綺麗としか言っていないけど、それしかこの空を表せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「.....ありがとう。志歩。すごく綺麗だ。」

 

 

志歩「まだ感謝はいらない。ここから。」

 

 

波志「え....?」

 

 

志歩「5秒数えたら、後ろ振り向いて。」

 

 

波志「う、うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲希「こっち、こっちー!」

 

 

志歩「ちょっと、声が大きい!」

 

 

穂波「みんな、ちゃんと準備できた?」

 

 

一歌「私はできたけど.....」

 

 

咲希「バッチリ!」

 

 

志歩「とっくにできてるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「みんな、行くよ!!」

 

 

 

 

 

 

「「「おおーーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5秒数え終えて、後ろを振り向く。

振り向くと、志歩たちが並んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

綺麗な空の下で、並んでいる四人。

しかも、楽器を持って。

まるで、ここでライブをするかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「志歩、これは.....?」

 

 

志歩「サプライズ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サプライズ、という言葉だけで、僕は嬉しくなった。

けど、それ以前に、一つだけ察せたことがある。

これは、僕を元気づけるためのサプライズ、ということ。

 

 

 

 

 

 

 

......これだけもらって、返し切れるかな。

そんなことを思いつつも、志歩たちに目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「じゃあ、行くよ。tie to this miracle!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩の合図で、始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー何年経っても忘れることなんてできない、最高の、瞬間が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

三年後......波志の家......

 

 

 

 

 

 

波志「ふふっ.....」

 

 

志歩「どうしたの?急に笑って。」

 

 

波志「ううん、昔のこと、思い出してさ。サプライズでしてくれたあのライブのこと。」

 

 

志歩「昔、って....まだ三年しか経ってないよ。」

 

 

波志「十分昔と思うけど....」

 

 

志歩「....三年も経てば、結構変わるね。」

 

 

波志「うん、今じゃ大学も一緒で、一緒に住んでるし。」

 

 

志歩「そうだね.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志歩「波志。」

 

 

波志「うん?」

 

 

志歩「大好き。ずっと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「......」

 

 

志歩「波志?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波志「僕も。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゅっ。

 

 

 

 

 

 

 

志歩「!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

バダッ。

 

 

 

 

 

 

 

波志「.....今日は寝れなさそうだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わり。




どうも、シグザールです。






やっと一人書けた....
なんて、言ってる場合じゃないですが。
次回は久しぶりに彰人シリーズを更新します。
それで、その次はまたこっちを書きます。





では、シグザールでした!


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