MARVEL ULTRAWORLD (競馬好き)
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ULTRAMAN ZERO
ULTRAMAN


「ちょっと!なにやってんの!」

 

「しー、ちょっと来てくれ!」

 

聖書に書かれたイエス・キリストのような服を着た二人の男女が、真っ白な床に寝ている一人の青年のところへやってきた。

 

 

「こいつなんだけどさ」

「この子をどうするの?」

「この子の前世の記憶を消して、ある世界に転生させようと思うんだ、しかも、とあるキャラクターの能力を全部与えて!まぁ、一部のオーバースペックな能力は封印するけどね」

「いいのそれ?怒られるんじゃない?」

 

男の方が不安そうな顔で女の方を見る。どうやら他にもこの者達のような存在が居るらしい。

 

「内緒でやればいいのよ!さっ!やるよ!まずは、あの世界に合わせて、能力はウルトラマンの派生世界と同じスーツにしよう。だけどウルトラマン因子は持たせるべきよね、なら、あの世界に、光の国を作っちゃいましょ!これでよし!後はなる行きに任せれば大丈夫ね!」

「やけに準備がいいね」

「一回転生させるのやってみたかったのよ!!あ!危ない危ない。あの世界には魔術師が居るんだった、魂を変質させておかないと」

 

寝ている青年に女が触れると、顔と体格が変化した。

 

「これでよし!さっ!楽しんできてね♪新しい人生を

 

女と男が離れると、魔方陣が展開、青年は光の粒子となって消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

MARVEL二次STUDIOS

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ULTRAMAN

ZERO

 

 

 

 

 

 

「宇宙のある場所に、光の国と呼ばれる星がありました。その星は、昔、太陽が爆発してしまい、闇の世界となってしまいました。しかし、光の国の者達は諦めませんでした。太陽を作り出し、光の国を、もう一度、光で満たしたのです。その時、光の国の者達に変化が起こりました。作り出した太陽から力を得、彼らは他の星の者達を遥かにしのぐ力を手にしました。その力で、さまざまな星を征服できましたが、彼らはそんなことはせず、他の星の者達を自分たちの力で守ることにしました。そのうち、光の国の者達は、〝ウルトラマン〟と呼ばれるようになり、英雄となっていきました」

 

ベッドの上で、息子におとぎ話を聞かせている父親が居た。

 

「ねぇ、パパ。ウルトラマンはその後どうなったの?」

「今もどこかで、ウルトラマンは他の星の人たちを守っているよ」

「本当?」

「うん!本当だ」

「なら、ぼく、いつかウルトラマンになって、パパとママ、みんなのことを守ってあげるよ!」

「ハハハ!そうか、ウルトラマンになるか!好き嫌いせずご飯を食べて、いっぱい遊んで、学校に入って勉強をたくさんしたら、きっとなれるよ、おやすみ」

「わかった!おやすみなさい」

 

子供を寝かしつけた父親は、子供部屋から出ると、胸ポケットから赤いフレームに放射状の線が入ったレンズのメガネを取り出した。窓の外では、火の手の上がる町が見える。

 

「行ってくるよ、アンヌ」

「ええ、気を付けてね」

「ランを頼んだ」

「ええ、任せて」

 

父親は妻に息子のことを頼むと、持っていたメガネをかけた。

 

「デュアッ!」

 

すると、そこからヘルメットが展開していき、ヘルメットが完成すると、光と共に騎士のようなアーマーが体に装着された。

玄関から外に出ると、両手を広げ、ブースターを点火して空に飛び上がり、火の手の上がる町へと飛んでいった。

 



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分岐点

現代 9月16日 木曜日

 

 

 

「ラーン!朝ごはん出来てるわよー!!」

「わかったよ母さーん!!」

 

青年はベッドから跳ね起き、時計を見る。5:50分。もうそろそろ学校へ行く準備をしなくては。

洗面所へ行き、歯を磨き、顔を洗う。もう一度部屋に戻り、学校の制服を取り、着替え始める。着替え終わると、SONY製の音楽プレイヤーを取り、ダウンロードした曲を聞きながらリビングへと降りていった。

 

「おはようラン」

「おはよう親父」

 

テーブルには、コーヒーを飲みながら新聞を読む、スーツ姿の彼の父親、モロボシ・ダンがいた。

 

「はい、トーストでよかったわよね?」

「ああ、大丈夫だよ」

 

トーストとお茶を持って来た母親、モロボシ・アンヌ。

 

「さて、もう行くか」

「今日は早く帰ってくるのよね?」

「ああ、そうだよ」

「ランは今日はバイトあるの?」

「うん、でも今日のシフトは短いよ」

「わかったわ、ご飯用意して待ってるわね」

 

トーストを食べ終えたランは、ダンと共に荷物を持って玄関へと向かう。

 

「それじゃあいってきます」

「いってきます」

「行ってらっしゃい二人とも」

 

扉を開け外に出て、ダンと別れ、自転車に乗り、学校へ向かう。学校に向かう途中で、コンビニに寄り、昼御飯と飲み物を買い、また学校に向かって走り出す。

 

「おはようラン」

「おはよう、今日一時間目なんだっけ?」

「数学じゃなかったか?嫌だなぁ数学、俺苦手なんだよ」

「そうかな?簡単だと思うけど。俺国語の方が苦手だなぁ。漢字が覚えられん」

「お前はいいよな、数学得意で」

 

そんな雑談をしながら、昇降口で上履きに履き替え、教室へ向かう。自分の席に着き、音楽プレイヤーを取り出し、音楽をまた聴き出す。

 

「おーうお前ら席つけー」

 

担任の先生が来て、音楽プレイヤーの電源を切り、鞄の中に戻す。

 

「出席を取るぞー、赤木!伊藤!ー」

 

出席を取り、連絡を終えると、先生は教室を出ていこうとする。だが、それをランが止めた。

 

「ゲン先生、今度、親父の誕生日パーティに招待したいんですけど・・・。来週の土曜空いてますか?」

「ああ、もうそろそろか、ダンさんの誕生日。学生時代お世話になったんだ、もちろん空いてる、行くよ」

「ありがとうございます」

「そうだ、もう進学先は決まったのか?」

「ええまぁ」

「なら、頑張れよ」

「はい!」

 

ゲンはランの肩を叩いて職員室へ向かった。ランは叩かれた肩に触れた後、自分の席へ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで授業を終わりにする」

「起立!礼!着席!」

 

六時間目の授業が終わり、荷物をまとめ駐輪場へ向かう。自転車に乗り、バイト先へと向かう。バイト先であるコンビニに到着すると、制服を着替え、コンビニの店員服になり、レジへ立つ。

 

「いらっしゃいませー」

「タバコを、銘柄は・・・」

 

会計、棚だし、いつもの仕事をやり、家へ帰る。

 

「ただいまー」

「お帰りなさいラン。お風呂入ってきちゃいなさい」

「わかった」

 

自室で制服を脱ぎ、クローゼットにかけ、お風呂へと向かう。

 

「あー・・・」

 

湯船に浸かり、目を閉じる。

 

「この頃変な夢を見るんだよなぁ」

 

そんなことを呟くラン。彼が見る夢というのは、大きな目に、鶏冠、赤いラインと銀色のラインが体にあり、胸には水色に輝くランプがある人型の何かである。

 

「あれなんなんだろう?」

「ランー!もうそろそろ上がってきなさーい!」

「はーい!」

 

風呂から上がり、パジャマに着替えてリビングに戻ると、ダンが帰ってきていた。

 

「お帰り親父」

「ああただいま」

 

テーブルにつくと、アンヌが夕食のハンバーグを持ってきた。

 

「いただきまーす」

「はーい召し上がれ!」

 

ハンバーグをナイフで切り、口に運ぶ。

 

「うまいよ母さん」

「そう?ありがとう、学校はどう?」

「いつも通りだよ、あ、そうだ。ゲン先生が来週の誕生日パーティに来てくれるって」

「本当?よかったわ!」

「ああそうだな、ゲンとは昔いろいろあってね」

「そうだったんだ。急にゲン先生も誕生日パーティに呼ぼうっていうからびっくりしたよ」

 

ここまでが彼らのいつもの日常。だが、この日常が、近い日、壊れることを彼は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

9月24日 金曜日 12:40

 

「なぁ、明日空いてるか?」

「ごめん、明日は親父の誕生日パーティなんだ」

「そうなのか!おめでとうって伝えておいてくれ」

「ありがとう、でもどうしたんだ?」

「いや、カラオケでも行こうかなって思ってたんだ」

「そうだったのか」

 

そんなことを話していると突然。

 

ドガァアアアアアン!!

ガシャァアアアアン!!

 

爆発音と共に、窓ガラスが砕け散った。

 

「危ない!!」

 

ランは友達の頭を掴むと庇うようにうずくまる。

 

「ありがとうラン」

「いや、それよりも」

 

ランは立ち上がり、割れた窓の外を見る。炎が上がっている、街中を見る。

 

「っ!?親父の会社のビル!!」

「マジか!?」

「行ってくる!」

「お、おい!!ラン!!」

 

ランは走り出し、昇降口へ急ぐ。

 

「ラン!!どこへ行く!!」

「ゲン先生!!親父の会社のビルが、爆発したんです!!」

「なに!?」

「親父が心配なんでいってきます!!」

「おいラン!!」

 

ゲンの制止を無視してランは走り出す。何度も転びそうになりながらも爆発地点にたどり着いたラン。そこでは、衝撃の光景が広がっていた。

 

「おや、じ?」

 

騎士のような、赤いスーツを着たランの父親、モロボシ・ダンが、黒に赤の雷状のラインが入ったアーマーを着た何者かに腹を貫かれていたのだ。ダンをランのそばに吹き飛ばした。

 

「親父!親父!!」

「ラ・・・ン・・・何で・・・ここに居る・・んだ?」

 

掠れた声でランがなぜ自分のそばに居るのか、ダンは聞いた。

 

「何でって、親父の会社のビルが爆発したから!」

「なら・・すぐに逃げるんだ・・・奴から・・全力で」

 

見ると、先ほどのアーマーを着た何者かが、不気味な笑い声を上げながらこちらへ向かってきている。

 

「これを・・・着けていけ」

 

ダンは自身が使用していたスーツをランに着せこう言った。

 

「母さんと、ゲンの・・・ところに行くんだ・・・。奴の正体や・・・今、お前が着ているアーマーについて教えてくれるはず・・・だ」

 

そして、ダンは力尽きた。

 

「親父?親父!おい親父!!!」

 

肩を揺らすが反応は無し。

 

「クソッ!!」

 

ランは立ち上がり、全力でその場から逃げた。アーマーの機能のお陰か、物凄いスピードが出ている。

 

アーマーの下にいるランの顔は、涙と鼻水でグショグショだ。まずは、母親の居る家に急ぐ。だが、その家はもうすでに炎で焼け落ちていた。

 

「そんな・・・」

 

ランは膝から崩れ落ち、自分の無力さに絶望した。

だが、このまま崩れ落ちていても仕方がない。足に力を入れ、ダンに言われた通り、ゲンのもとへ向かう。

 

 

ダン!ダン!ダン!

 

ランに、インターフォンを押すという当たり前の行為を行う余裕はなかった。ゲン宅のドアを猛然と叩く。

 

「ダン!なのか?」

「ゲン先生!」

「ラン!?どうした!?それ、ダンのだろ!一体なにがあったんだ!!」

「親父と母さんが!」

「っ!?・・・。来い!」

 

ゲンは無言でランを抱くと、頭を撫でて家に入れた。

 

 



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ベリアルの乱

ひとしきり、ランは泣いた後、ゲンから話があると言われ、テーブルに着き、コーヒーを飲んでいた。

 

「まず、ラン。君に伝えることがある」

「なんですか?」

 

ゲンは家にランを上げた後、倉庫の奥にしまっていたある資料を取り出してきた。その資料は、地球外の技術でデータ化されているものだ。

 

「ダンのことだ」

「親父の?」

「ああ・・・・。ダンは・・・

 

 

     

地球人じゃない

 

「え?」

 

意味がわからなかった。確かに、近頃、アメリカでは、ニューヨークに宇宙人が現れたり、宇宙同士の戦いが展開されたりと理解不可能な出来事は多々あった。

だが、自分の父親が地球人ではない。そんなことは考えもしていなかった。

 

「ダンは、とある星の外交官の息子だったんだ。その星にあるウルトラマンが避難してきた」

「ある、ウルトラマン?というかウルトラマンは実在したんですか?」

「ああ、だが、故郷の光の国はとあるウルトラマンに破壊されてしまった」

「ウルトラマンが光の国を?親父そんなこと話してなかった」

「話せなかったんだ、奴に見つかるから」

「奴?」

「お前の父さんを殺した奴だ」

 

ランの頭に、黒に、赤い稲妻のラインがあるスーツを着た者を思い浮かべた。

 

「あいつか」

「ああ、奴の名は、ベリアル。ウルトラマンベリアル」

「ベリアル・・・」

「奴は光の国で唯一、悪に堕ちたウルトラマンだ。彼は、力を欲したんだ。圧倒的な力をね。ベリアルは、その圧倒的な力を手に入れるために、あるものに手を出してしまった」

「あるもの?」

「ああ、プラズマスパーク、君のお父さんが君が小さい頃に話していたウルトラマンの神話に出てくるだろ?」

 

ランは、小さい頃、ダンがベッドの上で話してくれたウルトラマン誕生の話を思い出した。その話しにある一文。

 

「太陽を作り出し、光の国を、もう一度、光で満たした・・・」

「そう、それがプラズマスパークだ。プラズマスパークには、宇宙に居るありふれたただの種族を、ウルトラマンにしてしまうほどの強い力を放っていた。ベリアルはそれがほしかった。スパークさえあれば圧倒的な力が手に入るからな」

「それと、父さんに何の関係があるんですか?」

「さっき言っただろう?ダンが住んでいた星にウルトラマンが避難してきたと」

「ああ」

「そのウルトラマンは、瀕死の状態だった。彼が言うには、守りきれなかった、光の国が消えてしまったと」

「もしかしてベリアルが?」

「そう、ベリアルが光の国を破壊したんだ。スパークの力で」

「そんな・・・。そのウルトラマンはどうなったんだ?」

「ダンに、自分の力と遺伝子、それを分け与えて死んでしまった」

「・・・。親父はその後どうしたんだ?」

「ダンから話されたんだが、最初は、その力が制御できず、何度も死にかけたらしい。そこで、さっきお前が着てたスーツを作った。それでウルトラマンの力を制御し、使用するためにな」

 

ランは腹部に穴が開いてしまっているスーツを見た。確かに、こんな高度な技術が詰め込まれたスーツは地球では作れないだろう。アイアンマンもここまでのスーツは作ったことはない。メガネをかけたら装着できるなんてそんなスーツは。だが、アイアンマンはさらにコンパクトにしたスーツをいずれ作る。

 

「ラン、ここからが重要だ」

「うん」

「君にも、ウルトラマンの力が流れている。しかもダンのように間接的に手にいれたものではなく、生まれつき持っているものだ。ダンよりも強力な力だろう」

「うん」

「その力を持っているということは、ベリアルから狙われる。逃げるべきだろう。だが、ランはそれは嫌だろう?」

「もちろん、奴を倒す」

「何のためにだ?復讐か?」

「それもだけど、生き残ったウルトラマンは他にも居るの?」

「たぶん、もしかしたらこの地球に居るかも」

「なら、そのウルトラマンたちも家族を持っているかも。光の国、惑星ひとつを破壊してしまう奴だ。生き残ったウルトラマンたちも奴に負けてしまうかも。それに、これ以上、親父と母さんが生きたこの地球を破壊されるのは嫌だ。それに、親父を殺したのを見ると、奴はすべてのウルトラマンを殺す気なんでしょ?」

「ああ、その通りだ」

「なら、身を守る手段を手にいれないと、親父と母さんの分も生きるためにも」

(もしかしたら、親父と母さんとところに行けるかもしれないしな)

 

ランは、ゲンの問いにそう答えた。だが、その言葉の裏には、そんな思いがあった。

 

「そうだろうと思ったよ。ダンから、ある程度の年になったら、ランに修行をつけてくれと頼まれていた。宇宙の戦闘術だ。名は宇宙拳法。それをお前に覚えさせる。それと同時に、これを作る」

 

ゲンはその答えにひどく喜び。先ほど倉庫から出してきた物を起動した。3Dモデルで映し出されたそれは、新たなスーツだった。ダンのスーツに加えて、鶏冠か一本追加されており、赤と銀のみだった色が涼しげな青が追加されていた。

 

「これは、ダンのスーツを元に、お前の持つ強力なウルトラマンの力に合わせた性能をした新たなスーツだ。一本のみ装着可能だったスラッガーを二本に拡張し、さらに、大気中にある水素、酸素を吸収、または他の星の大気を吸収し急速圧縮することで生じるプラズマや爆発エネルギーを利用して強化ワイドショットの発射も可能となっている。これを、今から作るぞ」

「今から!?」

「ああ、まぁ、大部分はダンと私が作っておいた。後は仕上げとラン専用にチューニングすれば完了だ。さぁ、始めるぞ!」

 

ゲンは完成しかけのスーツを取りに、ランは道具を取りにそれぞれ取りに倉庫へ向かった。



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修行1

「ラン、完成したスーツを着ろ」

 

組み立てとラン専用のチューニングを完了したスーツのヘルメットを投げ渡しながらゲンは言った。それを落としそうになりながらキャッチするラン。

 

「え?今?宇宙拳法は?」

 

「スーツを着て、修行を行うんだ」

 

「でもゲン先生は?」

 

「俺にもスーツはある。それに、俺も地球人じゃない、獅子座L77星というところから来た」

 

「そうだったの!?俺の周り、母さん以外みんな宇宙人なんだけど。他にもいたりしないよな?」

 

 

驚愕の事実だったが、もう聞き慣れてしまい、かえって呆れてしまっている。とりあえず、スーツを着たラン。そこに、小型の機械を持って、ゲンが近づいてくる。その機械をカラータイマーの部分に押し当てると、アーマーが展開され、ランの体が重くなった。

 

 

「なんだこれ!?」

 

「テクターギアだ。それでお前の体に負荷をかけながら宇宙拳法の修行を行う」

 

「マジかよ!?」

 

 

テクターギアからかかるとてつもない負荷は確かに体を鍛えるに丁度いいが、なんと、このギアは脱ぐことができなかったのだ。

 

 

「ゲン先生、これ脱げねぇんだけど・・・」

 

「あたりまえだ、このギアを脱ぐことが許されるのは、修行が完了したときのみだ」

 

灰色のウルトラマンと少し酷似したスーツを着に、裏に行って戻ってきたゲンは言った。

 

「学校どうすんだよ!?」

 

「退学だ。というか、お前がそのスーツを着てベリアルと戦うとなれば、将来は決まったようなもんだぞ」

 

「どういうこと?」

 

「わからないのか?戦いが終われば、アベンジャーズがお前のところに現れるってことだよ」

 

そのことをすっかり頭の中から抜けていたのか、ランは参ったなという顔をする。

 

「何とか入らずにすまない?」

「無理だ、ソコヴィア協定に反することになる。速攻でお尋ね者だ」

「はー、入るしかないのかぁ」

「ああ、だが、スーツを押収されたときのために、内装されている技術は盗まれないようにある装置を仕込んである。しかも、お前が決まった動作をすることで、どんな場所からもお前に転送することが可能だ」

「なら安心だ。ところで、技術を盗ませないように装置を仕込んだって、一体どんな?」

「ん?簡単だ、解析装置を超強力な電磁パルスで使い物にならなくするんだ。ちなみに、着けた俺らでも解除不可能だ」

「わーお」

 

ひどいことするなぁ、とゲンに対して思いながらも、このスーツは破壊力といい転送機能といい色々とすごい装置がついてることを考慮し、妥当な選択だとランは思った。その後、ゲンに連れられついた場所はなにやら岩だらけの場所であった。

 

「今日からここで一日過ごす」

「マジか・・・」

 

ランは項垂れ、しゃがみこんだ。

 

「寝るときとかどうするんだよ?」

「もちろんここでだ」

「そっかぁー、ここでかぁー!」

 

これから岩を枕にして寝ないといけないということを知り、さらに力が抜けるラン。

ここまで、父の正体を知り、ウルトラマンは実在していたということを知り、自分にその力があると知り、そして、その力を扱えるようになるために高校を辞めた。いろいろなことが起き、ラン的にはゆっくりベッドで寝たいところなのである。

 

「ラン、さっそく始めるぞ」

「はぉ、わかったよ」

「まずは光線系統を覚えてもらうぞ」

「スペシウム光線とか?」

「ああ、だが、ダンはスペシウム光線と呼んでいなかった。それに、構えも違ったしな」

「へー、どんな名前なの?」

 

ゲンは腕をL字型に組んで言った。

 

 

 

「ワイドショットだ」

 

 

「ワイドショット?」

「ああ、スペシウム光線とは少し違う仕組みになっていてな。スペシウムのマイナスとプラスのエネルギーをスパークさせて放つのがスペシウム光線なのだが、ワイドショットはプラスはプラス、マイナスはマイナスと同じ性質を持ったものを使うんだ。このプラスとマイナスのエネルギーは、磁力と同様に同じ性質のものをぶつけ合うと反発し合うんだ。それを利用してスーツに内蔵された光子加速エンジンのエネルギーを高速で発射する。これがワイドショットだ」

「それを今から覚えるの?」

「いや、お前のは少し、というかだいぶ仕組みが違くてね。前回言った通り、お前のはワイドショットの強化型だ。さっき言った仕組みにさらに大気を圧縮して生じるプラズマや爆発エネルギーを利用する機構が組み込まれている。コントロールするのは至難の技だ」

「てことは、親父の光線よりも遥かに強い光線を発射できるってことか?」

「そういうことだ」

 

それを聞いて、ランは、少しだけ、安心した。

ランは、ウルトラマンに似た存在をニュースやオカルトサイトなどで目撃することがあった。そこでは、怪獣を光線で粉砕したり、スラッガーや一本の刀で真っ二つにしたり

などで、ダンは無敗記録を誇っていた。そんなダンが負けた相手、ベリアル。ランはベリアルと戦うことに内心不安に思っていた。勝てないのではないかと。

だが、ダンの扱う光線よりも強い光線が放てる。それだけでも、ランにとってはベリアル打倒への希望になったのだ。

 

「よし、それじゃあやってみるぞ。あそこの岩に向けて光線を発射してみろ」

「わかった。・・・。どうやって空気集めんの?」

「お前が一番しっくり来るポーズを取ってみろ」

 

ランは首をかしげながら、とりあえず、右手の拳を、腰の辺りで構え、手刀の形にした左手を水平に広げた。

すると、今はテクターギアで隠れてしまっているカラータイマーがある部分に空気が集まっていった。

 

「よし、それで良いだろう。その後、腕をL字に組んでみろ」

 

ランは岩をしっかり見据えると、腕をL字に組んだ。すると、勢いよく黄金の光線が左腕から発射された。それと同時にランの体は吹き飛ばされた。

 

「痛ったぁああああ!!」

「よし、まずは体を何とかしないとダメだな」

 

 

 



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修行2

「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」

「ラン、もっと速く走れ!」

「まだ速く!?」

 

ゲンの注文に驚きながらスピードをあげるラン。もうすでに30キロほどのスピードで走っている。テクターギアという負荷装置をつけてあるのにも関わらずだ。テクターギアなしでは一体どんなスピードで走ることができるというのだろう。

 

「よーしこれでいいだろう。それじゃあ次に、この岩を持ち上げてみろ」

「こんなでっかい岩を!?」

 

全長10mほどある岩を指差してゲンは言った。ランはゲンと岩を交互に見ながらホントにという顔をした。

 

「いいから持ち上げろ」

「えー・・・」

 

仕方なく、岩に手をかける。すると、何と軽い。石ころのように軽いのだ。

 

「お前は、完璧にウルトラ因子の力を発動させることはまだ出来ていない。だが、微量ながらも発動しているんだ、その事を理解しろよ」

「そういうことね」

 

ゲンは、ランがもつ力の恐ろしさを教えてくれていたのだ。普通の人間が、大きな岩を軽く持ててしまう腕力を手に入れたらどうなるか?簡単に言えば力の制御が効かなくなる。そのためにはまず、自分の力について知らなければならない。握手しただけで相手の手を粉々に砕いてしまうなどあってはならない。

 

「それじゃ、次はジャンプしてみろ」

「オッケー。よっ!」

 

少し力を込めて軽くジャンプしてみると、家の屋根に届くくらいの飛距離が出た。ここに、背や脚部にあるブースターを使えば、さらに飛距離が伸びる。

 

「スッゲーな」

「それがお前の力だ。俺は、最初はそこまでの力は出せなかった。お前は特別なんだ。唯一ベリアルに対抗できる存在なんだ。だから・・・死ぬなよ?」

「・・・」

 

それを聞いたランは、今自分がどんな道に立っているの再認識した。これから、ランは普通の人間が進んでいた道から逸れ、死と隣り合わせの道を進んでいくのだ。心の中で、ダンよりも長生きをしてやると思っていたのだが、もしかしたらこの戦いで死んでしまうかもしれないと彼は思った。

 

「親父よりも長生きはしないと、それに、アベンジャーズに迷惑かけられないだろ?」

「フッ、そうだな。よし、次だ。ラン、自分にあるエネルギーを全身に行き渡らせるんだ。それで、走ってみろ」

「わかった」

 

ランは言われた通り、自分にあるエネルギーを全身に行き渡らせた。すると、体から青色のオーラのようなものが出始める。

 

「これって?」

「お前の力がfullで使える状態だ。ただ技は使うな。走るだけだ」

「わかった」

 

ランは正面を見据え、足に力を込める。そして、勢いよく踏み出した。すると、周りの景色がスローモーョンで動くようになった。不安になって立ち止まり、後ろを見ると、先ほどいた場所から120mほどの場所に来ていた。

 

「え?」

 

何が起きたのか、わからなかった。ランはゲンの居るところへ戻り、話を聞いた。

 

「すごかったろ?それがお前の特性だ」

「特性?」

「ああ、ウルトラ因子には、面白いことに人の性格みたいにそれぞれ違った特性を持っているんだ。その特性は、親から受け継ぐものもあれば、新たに得ることもある。さっき使ったお前の力は、ダンからの遺伝の他に、新たにお前が得た特性。超高速運動」

「超高速運動・・・」

「生身の状態でやれば、体の原子が分解されて死んでしまうが、スーツを着た状態で使えば、それは起きない。超高速移動はよく見る能力なんだが、お前のは珍しい」

「へー、でも何で超高速移動と何が違うんだ?」

「移動との違いは、体の一部分にその力を使えば、その部位だけが超高速で動くようになる。簡単に言えば応用力があるんだ」

「へー。それじゃあ、パンチとかにこれを使えばあのスピードで攻撃できるってことか」

 

ウルトラ因子の特性の話を聞いたところで、スーツを脱がされるラン。これから一体何が始まるのか?

 

「何でスーツ脱いだ?」

「ほれ」

 

と、渡されたのはダンベルであった。

 

「まさか」

「そのまさか、筋トレだ。さっき光線出して吹き飛ばされてたろお前。それを克服するためだ。ほら始めろ」

「えー・・・」

 

不服そうな過顔をしながらも、筋トレを始めるラン。その後、筋トレを挟みながら、三半規管を鍛えるために変な機械でぐるぐると体を回されたりといろいろなことをここ一週間されたラン。

 

「オェエエエエ!!」

「そんなんじゃ空なんか飛べないぞ?」

 

酔ってしまったのか、先ほど食べた昼御飯を吐き出すラン。その姿を笑いながら見るゲン。それを見たランはゲンを睨み付ける。

 

「ごめんごめん、それじゃあ。遂にやるか」

「やるかってなにを?」

「お前に宇宙拳法を教えるんだよ」

「っ!?遂にか・・・」

「この修行が終わったら、ベリアルのところに行くぞ」

「わかった」

「構えろ、行くぞ?」

「いつでもどうぞ?」

 

挑発するようにランはゲンに言うと。鼻で笑いながらゲンはランを見据えた。

 

数秒間無言の時間が流れる。聞こえてくるのは風で巻き上げられた砂ぼこりの音のみ。

 

 

 

 

仕掛けたのはゲンからであった。中国の拳法に似たものをベースに、さまざまな武術の技が織り混ぜられた攻撃がランを襲う。それをすんでのところでかわしながら反撃の隙をうかがうが、そんな隙はない。というよりも、現状のランではあったとしても見つけられないのだ。

すると、ゲンの拳がランの腹に突き刺さる。

 

「ぐぅううっ!」

 

近くにあった岩に叩きつけられる。ウルトラ因子の力で怪我はないが、ダメージは大きい。痛いという単語が脳を埋め尽くす。そんな状態のランに、ゲンはあることを言ってくる。

 

「宇宙拳法とは、拳法であって拳法ではない。この言葉の意味を考えろ」

 

言い終えると休むまもなく攻撃を仕掛けてくる。ゲンの拳は岩に突き刺さり、それを強引に抜く勢いを利用して裏拳を放ってくる。それを背中に受け、次は正面から岩にぶつかる。

 

「がっ!?」

 

ふらふらと立ち上がり、先ほどマスターした超高速運動で攻撃を仕掛けるが受け流される。同時に背中を掴まれ投げられた。

またも岩に激突。

 

「気配を感じろ、目で見て反応してるんじゃ命はないぞ!」

「ちくしょう、オラァアアア!!!」

 

雄叫びをあげてゲンに向かっていくラン。だが、また吹き飛ばされる。

その後もその繰り返し、拳法をならい始めて初日は何の成果はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京都  渋谷 スクランブル交差点上空

 

 

そこには、巨大で半透明な、岩のリングが重なりあったような基地が浮かんでいた。交差点をわたっている者達はこの基地の存在に気づいていない。その基地のなかに、赤く、つり上がった目を持つヘルメットを置き、隣に目映い光を発する杖を基地の床に突き刺した男が椅子に座っていた。

 

「フフフ、遂にこの時が来た」

 

男は、懐から小さな棍棒を取り出した。その棍棒の両端には画面のようなものが無数についていた。

すると、その棍棒の柄が伸びる。同時に光の玉が集まっていき、画面のなかに入っていく。光の玉が入った画面に、地球の生物とは思えない獣の姿が写し出された。

 

「すべてのパーツは揃った。この惑星に、いや、この宇宙に居るウルトラ因子を持つ者達は、皆殺しだ」

 

憎しみを込めた声色で男は言うと、男はヘルメットを被り、高笑いを上げた。



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VS怪獣軍団

ちょっとタイトル変えようと思います。


「それじゃあ、良い感じに体も作り終えたことだし、もう一度、光線を撃ってみようか」

「オッケー」

 

修行と筋トレを始めてから一週間後、ウルトラ因子の力も相まってか、ランの体はたくましく成長していた。それはもう筋肉ムキムキ。そんなことは置いておこう。ゲンの提案で、ついこの前撃ったときには吹き飛ばされていたワイドショットを撃ってみることになった。

ランは、右手の拳を、腰の辺りで構え、手刀の形にした左手を水平に広げた。すると、カラータイマーにエネルギーが集まり始める。

 

「ゼアッ!!」

 

掛け声と共に腕をL字に組むと、黄金の光線が発射される。岩を容易に砕き、さらにその先の山に大穴を開けた。どうやら最初に撃ったときよりも威力が上昇していたようだ。ゲンはそれを見てまたランが吹き飛ばされるんじゃないかと思い、ランの方を見る。だが、ランの足はしっかりと地についており、吹き飛ばされることはなかった。

光線を出し終え、ゲンの方をみる。ゲンの顔には笑顔があり、どうやら合格のようだ。

 

「よくやった。まぁ、まだ宇宙拳法は習得できていないが、まぁある程度は戦えるだろう」

「だって最初に言った宇宙拳法は拳法であって拳法ではない。あの言葉の意味全然理解できないんだよ」

「だろうな、俺も最初はそうだったよ。いずれわかる。まぁお前の場合、修行だけじゃわからないだろうな

「なんか言った?」

「いや、何も。さて、次は」

 

ブー!ブー!

 

ゲンの携帯が音を立てた。見ると、ゲンの奥さん、山口百子からであった。

 

『あなた!今どこに居るの?』

「え?ランと一緒に居るがどうかしたのか?」

『ニュースを見てみて!!』

「わかった」

「どうしたの?おばさんから連絡?」

「ああ、一体どうしたんだ?あんなに切羽詰まって」

 

ゲンは使い慣れてないスマホを駆使し、Googleのニュースを見てみる。すると、そこには地球のものとは思えない獣が渋谷で暴れている写真があった。

 

「なんだこれ?合成画像か?」

「いや、そうでもないみたいだよ」

 

ランがスクランブル交差点のLIVE映像を見せる。そこには画像通り、獣が暴れまわっており、その中心に黒い人型の何かがいた。

 

「ベリアル、もう動き出したのか!?」

「マジかよ、俺まだ宇宙拳法使えないんだけど!?」

「だとしても行くしかない!!行くぞ!」

「マジかよ!?」

 

修行を行っていた岩だらけの場所から離れ、車に乗り込む。

 

「飛んでいかねぇの?」

「ウルトラ因子の力で飛んでいけば、ベリアルにこちらの場所が察知されちまう。そうなれば、こちらに飛んでくるだろう。怪獣どもはどうやらベリアルに付き従っているらしいからな。ベリアルが移動すれば怪獣どもも移動する。そうなれば被害は拡大してしまう。それを回避するためだ」

「そういうことね」

「そういえば忘れてたな」

 

ゲンはそう言うと、黒いリモコンを取り出す。そこにある赤いボタンを押すと、ランのスーツに装着されていたテクターギアからの負荷が消える。見ると、オレンジ色に光っていた部分が消えており、引っ張ってみるとプシューという音ともに煙が排出され、テクターギアが外れた。

 

「いいの?まだ宇宙拳法マスターできてないけど?」

「この状況だ仕方がない」

 

後ろの席にテクターギアを置く。その際、テクターギアから出てきたスラッガーを頭に装着し直す。

 

「ラン、あっちについたら、まずは人名救助しながら怪獣達を倒すんだ。だが、ゼットン、タイラント、その他そのデータに書いてある怪獣には気を付けろ。そいつらは一度ウルトラマンを倒したことのある怪獣達だ」

 

ヘルメットのディスプレイに数十体の怪獣が写しだされる。黄色い発光体がある人型の怪獣。数々の怪獣の特徴が繋ぎ合わされたキメラ怪獣。その他どれも凶悪そうな怪獣ばかり写し出されている。

 

「マジかよ、こんなのもベリアル従えてんの?どんだけ強いんだよ・・・」

 

苦言を呈しながら、短時間でその怪獣達の特徴と弱点を暗記していく。

暗記に勤しんでいると、悲鳴が周りから聞こえてくる。頭を上げると、どうやら現場についたようだ。正面にでっかい目が口についた気持ちの悪い怪獣が人々を襲っていた。

車から飛び降り、そいつに前蹴りをゲンと共に食らわせる。

 

「大丈夫ですか!?さぁ、逃げてください!!」

「は、はいぃいいい!!」

 

転びそうになりながら襲われていた男は逃げていった。

 

「ラン、お前はあっちを頼む、俺は交差点の方に行ってベリアルを足止めしてくる」

「大丈夫なのかよ!?」

「ああ、やばくても気合いでなんとかする!」

 

襲ってきた怪獣を宇宙拳法で倒しながらゲンは走っていった。取り残されたランは拳を構えて怪獣達を対処していく。力を使って超高速で怪獣達を殴り飛ばしていき、空を飛んでいる怪獣はビームランプから発射するエメリウム光線で撃墜し、踵落としで絶命させる。

 

「グワァッ!?」

 

背後から、ゲンが警戒しろと言っていたキメラ怪獣、タイラントが攻撃してきたのだ。

 

「確か、タイラントは腹にある口で光線とかを吸収しちまうんだよな。なら、スラッガーで勝負だ!!」

 

ヘルメットからスラッガーを取り外し、逆手持ちで両手に携える。それを見たタイラントは左手にある鎌を振り下ろしてくる。それを受け止めると、蹴り上げ、腹を切り裂く。血が吹き出してくるが、傷は浅い、ダメージにはなっていないだろう。

 

「ならこれでどうだ?」

 

ランはエネルギーを腕に集中させ、超高速でタイラントの腹を切り刻んだ。吹き出してくる血を跳躍で避け、背後に居た怪獣の首をスラッガーで切り裂く。

 

「確か、ウルトラ因子とかでものを浮かせたり出きるんだよな?」

 

修行中、ゲンに説明されたダンから遺伝したウルトラ因子の力。その力はウルトラ念力というらしく、ものを浮かせたり、怪獣の動きを足止めしたりすることができる。

 

「シャッ!セャッ!」

 

スラッガーを投げ、腕を顔の前でクロスさせる。すると、スラッガーが高速で回転させることが出来た。それを操り、周りの怪獣を一掃していく。そのまま、スラッガーをヘルメットに戻す。その時、後ろから攻撃を受けて吹き飛ばされる。

見ると、黒い体色に、黄色い発光体がある人型の怪獣がいた。

 

「ゼットンかよ・・・」

 

スラッガーをもう一度メットから取り外し構える。ゼットンには光線が効かない。吸収されて跳ね返し、ウルトラマンを一度殺しかけたという強怪獣だ。

 

「うぉおぉおおぉおお!!フッ!ウラッ!デリャッ!!」

 

スラッガーをふるい、ゼットンの体を切り裂こうとするが、バリアをはられ、スラッガーが中に入っていかない。

 

「クソッ!!オラオラオラオラァアアァアア!!!」

 

先ほどのタイラントと同じようにエネルギーを腕に集中させて超高速でバリアを切り裂く。少し傷がつき、そこにスラッガーを差し込み、強引にバリアをこじ開けた。

 

「ウルトラキック!!」

 

右足のアーマーの一部が変形し、炎が吹き出す。その状態で超高速連続キックをゼットンに叩き込む。

 

「ウォオオオオオ、ドリャッ!!」

 

最後に回し蹴りを叩き込む。すると、ゼットンは動かなくなった。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

 

ゼットンを倒し終えたランはその場に座り、スラッガーをメットに戻した。しかし、まだ戦いは終わっていない。物陰から、廃墟から次々と怪獣達が現れ始めた。

 

「くそが・・・」

 

息を整え立ち上がり、構える。それを見た怪獣達は一斉に飛びかかってくる。始めに向かってきた怪獣を回し蹴りで捌くと、次の怪獣をパンチとキック、エネルギーを纏ったチョップで捌いていくが、怪獣は次から次へと攻撃を仕掛けてくる。結果、捌ききれず、怪獣からの攻撃を受けてしまった。

 

「グっ!」

 

近くのビルの壁に叩きつけられ、そこへ怪獣達が火球やら光線やらで攻撃を仕掛けてくる。

 

ビー!ビー!ビー!

 

スーツから警告音が鳴り響き、スーツに負荷がかかっていることがわかる。

 

(やベー、このままじゃ・・・)

 

何とか立ち上がろうとするが、すぐに怪獣になぎ倒される。

 

(マジか・・・意識が・・・)

 

歯を食い縛り、何とか意識を保とうと努力したが、その努力の甲斐なく、ランの意識は暗闇に消えていった。



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ウルトラマンゼロ

目を覚ますと、とても綺麗な都市にランはやって来ていた。クリスタルのビル、道。どれもランがダンからの聞いたことのある特徴の都市であった。

 

「光の国?」

 

M78星雲光の国。ウルトラマンの故郷である。ここでウルトラマンは産まれ、宇宙の平和を保つため、宇宙警備隊を作ったおとぎ話の惑星であり、すでにベリアルに破壊された惑星である。

 

「どうして光の国に?俺気絶したんじゃ・・・」

 

なぜ自分が光の国に居るのかわからず、混乱するラン。とにかく誰かに話を聞こうと歩き出す。

 

「あの!すみません!」

 

歩きながら、周りの人々に声をかけるが、反応が帰ってこない。どうやらランのことは見えていないようである。

しばらく歩いていると、見覚えのある人物が現れた。

 

「親父?」

 

死んだはずのダンが、現れたのだ。

 

「やはり来たか」

 

ダンの口ぶりから、ランがここに来るのをわかっていたようだ。

 

「親父、ここどこ?」

「光の国だよ、滅んだはずのな」

「俺転送でもされたの?」

「いや、ここは光の国ではあるが、厳密には存在しない。俺が居るんだからわかるだろ?」

「あの世ってこと?」

「まぁそういうことだな。歩きながら話そう」

 

ダンと共に歩きながら、光の国の景色を眺める。先ほども言ったが、とても綺麗なところである。日光によってキラキラとビルも道も光輝き、とぎ話にされるのも納得の場所である。

 

「なぁ、ラン、ウルトラマンってどんなイメージがある?」

「え?怪獣や宇宙人を倒す、英雄かな?おとぎ話とかの印象で完璧な英雄ってイメージがある」

「そうか、まぁ、そう言うかもな。だが、ベリアルがいるだろ?」

「そういえば、何でベリアルはあーなったの?」

「簡単に言えば、悔しいという気持ちが強かったんだ。だから力を求めてあーなった。人間と同じだよ」

「人間と同じ・・・」

「ウルトラマンとて、感情はある。聖人のような者はいない。苦しむし悲しむ、そして恨む、妬む。負の感情を持っている。完璧ではないんだ。だから、ベリアルが産まれ、滅びた。

ウルトラマンは、確かに英雄だ。その分、恨まれることも多いし失う物も多い。そういった存在なんだ。棘の道を進んでいる。ウルトラマンになるということはその棘と一生戦っていくしかない。大切な人が、物が、場所が破壊される。怒りや喪失感、さまざまな感情が常につきまとう。それでも、俺達は戦っていくしかないんだ。とても苦しい道のりがお前に待っている。それでも、お前はウルトラマンになるか?」

「親父・・・俺は・・・」

 

ウルトラマンの道のり。その道のりがどれだけ苦しいものなのか。どれだけの困難が待ち構えているのか、ランにはまだわからない。その見えない恐怖と戦い、進んでいく。それがどれだけ険しいのか、想像がつかない。それでも彼は。

 

「なるよ。ウルトラマン。もう、俺には何もない。だけど、ウルトラマンだったら、なにかを作れるんじゃないかな?」

 

進んでいく。そう決めたのだ。スーツを着たあの日は、ゲンの期待に答えるためであった。だが、本心はそんな思いはなかった。喪失感から、なにか目的がほしかった。だからこそ、あのような聖人のような単語が出たのだ。だが、もしかしたら、あの言葉を実現できる日が来るかもしれない。あのとき言ったデタラメがいつか本当になるかもしれない。先が見えない。だからこそ進む。それが彼の決断だった。

ランは走り出した。なにかを成すために、走り出した。

 

「ラン」

「なに?」

 

その背中に、ダンの声がかかる。立ち止まり、振り向く。

 

「お前のやりたいようにやれ、それがお前の道となる」

 

ダンがそう言うと、ランはまた走り出した。そして光の玉となり、消えていった。

 

「これが、一人立ちか」

 

ダンはそう言うと、来た道を戻り始めた。その顔には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球

 

 

怪獣達は、動かなくなったのを見て、死んだと思ったのか、その場から離れ、逃げ遅れた人間を探し始めた。

 

「グルルル」

 

唸り声を上げて、鼻を使い、くまなく探す。もしくは、自身の能力を用いて、探す。

その時、奇妙な音が響き渡った。

 

ピコン。

 

タイマーのような音であった。怪獣達は、音の出所を探して、キョロキョロと周囲を見渡す。だが、見つからなかった。というよりも、怪獣達の思考ではその音が背後から鳴っていることがわからなかった。

 

ピコン。

 

もう一度鳴り響き、もう一度周囲を見渡す。見つからない。

 

ピコン、ピコン。

 

回数が増えた。

 

ピコン、ピコン、ピコン。

 

 

ピコン、ピコン、ピコン、ピコン。

 

 

ピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコン。

 

一度に鳴る回数が増え、さらにその間隔はとても狭くなった。

それにより、やっと、音の出所がぐったりと倒れている。先ほど自分達が倒した人間であることがわかった。

怪獣達はその人間に近づいていき、睨み付けた。

 

「グルルル」

 

唸り声を発して、威嚇する。

 

ピコンピコンピコンピコンピコンピコン(ベータスパーク音)

 

最後にひときわ大きな音を立てると、突如、アーマーに光が灯る。次の瞬間、怪獣の意識は吹き飛んだ。

 

 

 

 

怪獣を、壁に叩きつけて絶命させたラン。その体からは、最初に力を使ったときよりもはるかに多いオーラを噴出させながら、怪獣達を睨み付けた。

 

「デェエエヤッ!!」

 

掛け声と共に、怪獣達とぶつかり合った。掌底で吹き飛ばし、回し蹴りで首をへし折り、肘打ちで内蔵を破裂させる。先ほど、同じ人物とは思えないほどの大立ち回りで怪獣達を倒していった。

 

「ジェアッ!フッ!デヤッ!」

 

その場にいた怪獣達を倒し終えると、ゲンが向かっていった方向へ走り出す。その方向から、怪獣達がランの方へ向かってくる。

それを見たランは、スラッガーを手に取り、怪獣達へ飛びかかっていった。

向かってきた怪獣の首を切り裂き、振り下ろしてきた鍵爪を受け止め、飛びかかってくる怪獣の体を足場にして飛び上がり、体を回転させながら複数の怪獣を斬り殺す。その後、スラッガーを投げ、念力で操り怪獣を切り裂きながら、エネルギーを貯めて光線を発射。

 

「デェエエエエヤ!!」

 

怪獣達を一網打尽にしていく。

向かってきた怪獣達を倒し終え、スラッガーをメットに戻し、ゲンのもとへと向かう。

 

 

 

 

 

「トアー!!」

「ヴアッ!!」

 

ゲンとベリアルは、激しい戦闘を繰り広げていた。両端に画面がついた棍棒、ギガバトルナイザーとゲンの拳がぶつかり合い、その衝撃により、コンクリートは割れ、街灯はへし折れる。

 

「デェイ!!トア!!」

「ヌハハハ!!イヤッ!!」

 

ナイザーの攻撃を腕で防ぎながら、拳擊を腹部に加えるゲン。だが、ベリアルは呻き声一つ上げず、一切効いていないようである。

それを見たゲンは、距離を取り、その場で飛び上がった。ウルトラ因子の力で、右足に炎を出現させベリアルに繰り出す。

 

「フン!!効くわけがないだろう?」

「くっ!」

 

だが、ベリアルはそれを片手で掴み、そのまま地面に叩きつけた。その衝撃で、アーマーの一部が破損する。

 

「グアッ!?」

 

そして、ナイザーから電気状の鎖を出現させゲンを拘束、そのまま上空の基地へと連れていってしまった。

その直後、ランが到着し基地へと連れていかれるゲンを目撃。

 

「待て!!シュアッ!!」

 

背部と脚部にあるスラスターで初速をつけながら飛び上がると、因子の力で浮かび上がり、基地へと向かっていく。すると、基地はエンジンを点火し、かなりのスピードで宇宙へと向かっていく。

それを見て、ランはスラスターに回しているエネルギーを増やし、加速する。大気圏を抜ける直後に基地に追い付き、足場になる場所を見つけてそこに降り立ち、額にあるビームランプから緑色の光線、エメリウムスラッシュを出し、壁に穴を開けて侵入した。

 

 

 

 

基地内

 

基地のなかは、火成岩のようなもので出来ており、至るところにマグマが流れている。基地にはさまざまな部屋が存在するが、一つの部屋以外、一本の黒い棒が立っているのみである。

 

「ハァーハッハッハッハッ!!お前の抵抗も無意味だったようだなぁ?」

「グッ!それは、どうかな?」

 

一つの玉座があるとても広大な、ベリアル専用とも言える部屋の中心で、ゲンはベリアルに首を掴み上げられていた。挑発するようにベリアルの問いに答えると、イラついたのか、ゲンを地面に叩きつけた。

 

「グハァッ!!」

「まだそんな戯れ言を言うか?お前達に勝ち目はもうない!!俺様がお前達ウルトラマンをすべての排除し、この宇宙を支配する!!お前が持つ因子の主であったウルトラマン達が守っていたこの宇宙を!!俺様を見下した奴らが守っていたこの宇宙を!!支配し、破壊する!!あいつらがやってきたことをすべて無に期してやる!!そのための糧となれ!!」

 

ナイザーを大きく振り上げるベリアル。そこには憎しみが込められていた。それほどに彼は周りに認めてほしかったのかもしれない。振り上げたナイザーをゲンに叩きつける。ゲンはそれを腕をクロスさせてガードした。

 

「グッ!!」

 

しかし、何度も何度も、自分を見下した奴らの顔を思い浮かべながら、ベリアルはナイザーを何度も何度も叩きつけていく。

ゲンのアーマーは砕け、だんだんと腕の力が抜けていく。そして、ナイザーはゲンの体を直撃した。

 

「グホッ!!」

 

凄まじい痛みが走り、メットのなかで血を吐き出す。そこに、休む間もなく、またナイザーが叩き込まれた。その際、肋骨が何本か折れる。そして、止めとばかりに、ベリアルはナイザーに電撃を纏わせ、振り下ろした。

 

「デェエエエエリャッ!!」

「グァアアッ!?」

 

しかし、その一撃はゲンに届くことはなかった。右足に高熱の炎を纏わせた飛び蹴りが、ベリアルに叩き込まれたのだ。

ベリアルは吹き飛ばされるも、すぐさま立ち上がり、攻撃してきた何者かを捉えた。

 

「誰だ!!」

 

その者は、傷だらけのゲンを抱き上げると、離れた場所へ写し、怒りを込めて拳を握りしめ、勢い良く振り返りながら名乗った。

 

「ゼロ、ウルトラマンゼロ!セブンの息子だ!!」

 

 



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VSベリアル軍

「ゼロ、ウルトラマンゼロ!!セブンの息子だ!!」

 

BGM『ウルトラマンゼロのテーマ』

 

「セブンの息子だと?この前殺した、因子を持っていたやつの息子か!だったら親父同様、地獄へ叩き落としてやる!!行けぇええええ!!!」

 

ナイザーを振り上げると、無数の光が飛び出し、その光の中からさまざまな怪獣軍団が現れる。

それを見たラン、いや、ゼロは、右手の薬指と小指を折り曲げて前に突き出し、左手の拳を胸の辺りにまで持ってきた特徴的な構えを取ると。

 

「デェエエエエエヤァ!!」

 

気合いの入った掛け声と共に怪獣軍団へ突っ込んでいく。そして、戦闘に居た二体のドクロ怪獣と超古代怪獣に対してラリアットを食らわせた後、飛び膝蹴りで後続の怪獣達を吹き飛ばす。

直後、炎の玉と電磁ビームが彼の横を掠めていった。見ると、火山怪鳥と宇宙有翼怪獣が彼に向かって攻撃を仕掛けてきていた。

すぐさま高台へと跳躍し、ワイドショットを発射する動作と同じ動作を一瞬し、エネルギーを充填させた後、彼の父親、ダンと同じポーズを取り、額のビームランプから緑色の光線を発射する。エメリウムスラッシュで二体を爆殺する。

 

「ハッ!ドォオオオリャッ!!」

 

その後、高台からローリングで降りると、構えを取り、ストレート、チョップ、ローキック、肘打ちなどのさまざまな格闘技を使って怪獣軍団を攻撃していく。それをまともに受けた怪獣達は、その体から炎を出現させて爆発して死体を残さず消えていった。ナイザーから現れる怪獣が死んだ場合はこうなるのだろう。なんとはかない命であろうか。が、そんなことこの現状では考えてられない。とにかく怪獣軍団を倒していく。

 

「ヌオッ!?」

 

背後からの攻撃で倒されるが、回転ですぐさま対応。膝立ちで怪獣軍団に向き直ると、メットにあるスラッガーに両手をあてがった。すると、カシャン!!という大きな音が鳴ると、メットとスラッガーの装着部分から緑色の光が放たれる。そして、精神を集中させる。

 

「シュアッ!!」

 

あてがった両手を掛け声と共に勢い良く伸ばすと、スラッガーが高速回転しながら放たれた。スラッガーは怪獣軍団を次々と斬殺していく。

スラッガーには、地上で使ったときと同じようにウルトラ念力が使われている。だが、すぐにスラッガーから目線を反らし、スラッガーの猛攻から逃れた怪獣達の相手に移る。この事から、目線を反らした状態でもどうやらスラッガーを操作できるようになっているようである。

そんなことは置いておこう。

相手をしている怪獣達からバック中で離れると、光線を発射する予備動作を行った。

 

「ワイドゼロショット!!デェエエエエエヤァ!!」

 

ようやく決まったネーミングを叫びながら腕をL字に組み、金色の光線を発射。それを受けた怪獣達は爆発していき、一網打尽にされてしまった。

直後、スラッガーを自分の手元に来るよう操作し、掴みとり、構えると、足払いを交えながら怪獣軍団を切り裂いていく。

 

「シャッ!フッ!オラッ!」

 

そして、超高速運動を発動させ、視認することの出来ない速度で怪獣軍団を倒しきる。

 

「ウリィヤ!!」

 

するとベリアルの声が聞こえてくる。見ると、自身で操っていた怪獣軍団を殺しながら、ゼロの方へ歩いてくるベリアルの姿があった。

 

「小僧!今度は俺様が相手だ!!」

 

ゼロとベリアルはにらみ合い、両者ともスラッガーとナイザーをちらつかせる。

 

しばらく無言の間があった後、二人同時に仕掛けていった。スラッガーとナイザーがぶつかり合い、衝撃波が産まれ、砂ぼこりが巻き起こる。

 

「ウリィリャ!ヌンッ!ファッ!!」

「シャッ!フッ!オリャッ!デリィヤッ!」

 

二人とも自身の技とスラッガー、ナイザーをぶつけ合い、激しい戦闘を繰り広げる。そこに怪獣軍団も参戦していくが、二人の戦闘に割り込んでいったものは次々と殺されていった。

すると、ベリアルがナイザーで地面をえぐり、巨大な火成岩を作り、それをゼロに飛ばしてきた。それを見たゼロは後方へ浮遊しながらウルトラ念力を発動。スラッガーを投げ飛ばし、火成岩を破壊しながらベリアルに突撃していくと、ナイザーの柄を掴み、ベリアルの後方へ回ると、足を蹴って膝をつかせると、飛ばしていたスラッガーでナイザーの柄を待つベリアルの手を切りつけた。

 

「ヌアッ!?」

 

ナイザーを手放してしまうベリアル。ゼロは取り上げたナイザーを遠くへ投げ捨てて、スラッガーをヘルメットに戻し、今度は素手での衝突だ。

お互いの出来うる限りの技でぶつかり合い、その戦闘はさらに激化していく。しかし、勝利を勝ち取ったのは、戦闘参加初日目の新米であるはずのゼロであった。

近くにあった石壁を蹴り、勢いをつけ、ウルトラ念力で右足に超高熱の炎を纏わせた飛び蹴り。

 

「ウルトラゼロキィイイック!!」

 

ウルトラゼロキックがベリアルの胸に突き刺さり、吹き飛ばされ、うめき、膝をつくベリアル。それを睨み付けながら、最後の大技を決めるべく、スーツにコードを入力していく。

 

「ツインシュートモードに移行!!」

 

すると、カラータイマー周囲のアーマーが変形していき、カラータイマーの縁に接続パーツが現れる。そこへ、スラッガーを接続する。すると、カラータイマーが砲身へと変化し、そこへ青白いエネルギーがチャージされていく。

 

「これで、トドメだぁああああ!!!」

 

両腕を左右に広げながら胸を張ると、砲身から極太の光線が発射され、ベリアルに命中。

 

「ヌォオオオァアアアア!!グッ!ガァアアアアア!!」

 

叫び声を上げながら空中へ吹き飛ばされるベリアル。光線を放つゼロは反動で後方へ押されるが、何とか踏ん張りその場にとどまる。

その間にもベリアルは光線を浴び続けており、空中を吹き飛ばされ続けている。その後、吹き飛ばされた先にあったマグマの滝の中へと消えていった。

光線を出し終えると、一時的にスーツのパワーがオフとなり、その場で膝をつき、全身からエネルギーを放出する。

 

「ラン」

 

背後から声がかかり、見ると、ゲンがよたよたと歩いてきた。ゼロは立ち上がり、ゲンと向き合う。

 

「良くやったな、さぁ、帰ろう」

「ああ、だけど、この基地どうすんの?」

「こいつは基地じゃない。基地に改造されてはいるが、ここは怪獣墓場ってところだ。昔、ウルトラマンが怪獣を倒したとき、その怪獣の核となる部分をここへ運び、埋葬していたんだ。彼らだって、暴れたくて暴れてた訳じゃないからな。それを、こんな醜い姿に・・・。ラン、あそこにある杖を取ってきてくれ」

「わかった」

 

玉座と思われる椅子の横にある、先端が光輝く杖を、取ってくるラン。プラズマスパークの先端にはカプセルがあり、何か収まっているが、あまりの光にその正体はわからない。

この杖に見覚えがあるランは、ゲンに聞いてみることにした。

 

「これってもしかして・・・・」

「ああ、プラズマスパークだ」

「やっぱり」

 

ランの予想は的中しており、滅んでしまった光の国にあったはずのプラズマスパークであった。

 

「一緒に滅んだんじゃないの?」

「これがあるということは、ベリアルはプラズマスパークを盗んだのだろう。だから怪獣軍団を率いることが出来た」

「怪獣墓場に眠ってた怪獣たちを蘇らせたってこと?」

「そういうことになるな。ただの宇宙人をウルトラマンにするエネルギーを持っているんだ。怪獣を蘇らせることも出来たんだろう」

 

すると、プラズマスパークがカシャカシャという音を立てて変形した。プラズマスパークのカプセルが開き、中から青白く光る玉が現れた。これが収まっていたものの正体のようだ。

 

「それは、プラズマスパークに搭載されたAIのような意思に選ばれたものにしか与えられない特別なものだ。もらっておけ。なくなっても大丈夫なものだ」

 

ランは玉をプラズマスパークから外し、手のひらで転がす。青白く光る以外何の特徴もないただの玉のように見える。

 

「これってなんなの?」

「わからない、ただ特別な力を与えられるようだが、それがどんな力なのかわからない」

「あそう、そんな使い方がわからないようなものをもらってもなぁ」

「そんな微妙な顔をするな」

 

微妙な顔をしながら玉を見るゼロ。ゲンがツッコミを入れる。すると、墓場全体が揺れ始めた。その時、巨大な咆哮が聞こえてきた。

 

振り返ると、先ほどベリアルが消えていったマグマの滝から巨大な怪獣が姿を現した。その怪獣には、無数の目玉や発光体があり、怪獣達が強引に結合されているのがわかる。

 

「なんだよありゃ!!」

「何とかするしかない!!行くぞ!!」

 

あわてて玉をしまうと、スラスターを点火し、巨大な怪獣の元へ向かっていった。



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最終決戦!

ドクター・ストレンジ見てきたぜぇ!!ドクター、ウルティメイトの力手にしたゼロのことどう思うんだろう?


ゼロとレオは、巨大な怪獣、ベリュドラに張り付き、結合されている怪獣達を何とか引き剥がそうとする。しかし、とてつもない力で結合されているため、びくともしない。その時、二人を結合されている怪獣達が拘束。そこへ、火の玉や光線が放たれ、二人を襲う。

 

「ヌアッ!!!」

「グハッ!!」

 

地面に叩きつけられ、ゼロのスラスターが破壊される。

 

「くそっ!!スラスターがイカれちまった!」

「これじゃあキリがないな。ラン!ギガバトルナイザーはどうなってる?」

「え?あそこにあるけど」

「手から離れても、ナイザーは主に忠実ということか、ラン!恐らくだが、この怪獣はベリアルを核としているんだろう、ギガバトルナイザーの力を利用してな。俺は、ベリアルを探す!お前はベリアルを一撃で倒す方法を考えろ!!」

「はぁっ!?一撃!?ちょっ、待ってくれよ!!ちきしょう、やるしかねぇか!!」

 

レオはベリアルを探しに、ゼロはベリアルを一撃で倒す方法を探すため、地面に放られているギガバトルナイザーのところへ向かう。

 

「確か、こいつの力を利用して、あのバカデカイ怪獣をベリアルが作ってるんだよな?なら、こいつを破壊できれば怪獣を止められるかもしんねぇな。やってみるか!!デヤァッ!!」

 

ガンッ!!

 

ゼロは、地面にナイザーを叩きつけ、ナイザーの破壊を試みる。

 

ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガキンッ!!

 

ナイザーにヒビが入る。それを見たゼロは、ヒビが割れたところを確認し、その場所を地面へと叩きつける。

 

ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!

 

破片が飛び散り、ナイザーの破壊が進んでいく。

 

ガキンッ!!ガコッ!バコッ!ガキンッ!!

 

「デェエエエエリャッ!!」

 

ガキンッ!!

 

ナイザーはすでにボロボロ、エネルギーが漏れだし、今にも爆発しそうだ。それを見たゼロは、ナイザーを完全に破壊するために、空中へと投げ飛ばす。そして、光線発射の動作を行い、腕をL字に組む。

 

「よせ!!やめろぉおおおおおお!!!」

「ワイドゼロショット!!」

 

ベリアルの叫び声が聞こえる。しかし、ゼロはそれを無視して黄金の光線を発射。光線は吸い寄せられるようにナイザーへと向かっていく。それを阻止しようと、ベリュドラは、ベリアルを探して、ちょろちょろと飛び回るレオを弾き飛ばし、手を伸ばす。しかし、光線はすでにナイザーに直撃していた。

 

ドガァァアアアァアアン!!!

 

爆発音とともに、ナイザーの破片が辺り一帯に飛び散る。と同時に、ベリュドラの体となっている怪獣達が、一斉に苦しみだし、ベリュドラ事態も苦しみ始める。

 

「先生!!」

「ぁぁ、大丈夫だ、大丈夫」

 

弾き飛ばされてしまっていたレオは、何とか無事だったようだ。レオを立ち上がらせつつ、苦しむベリュドラを見る。ゼロの推測通りであれば、ベリュドラは崩壊していくはずである。しかし。

 

「お前の作戦は失敗だったようだな」

「ちくしょう。これ以上どうすりゃいいんだよ!!」

 

ゼロの推測は外れたようだ。ベリュドラの体は、崩壊する予兆すら見せない。

 

「それだけベリアルの、我々ウルトラマンに対する怨念が強いんだろう。怨念怪獣なんてのもいるくらいだからな。やはり、ベリアルを直接叩くしかないんだろう」

「でもどうやんだよ、ツインシュートはもう使えねぇぞ」

「知ってるよ、はぁ、そもそもツインシュートでもやつは倒せんだろう。詰んだか?」

 

そう言っていると、ゼロが懐にしまっていた光る玉が飛び出してきた。

 

「こいつはさっきプラズマスパークから出てきた・・・」

『ウルトラマンゼロ』

「うおっ!?喋った!?」

『手を出せ』

「無視かよ、まったく、手だな?」

「おいおい何をする気だ?」

「俺にもさっぱり」

 

ゼロが右手を出す、すると、スーツの機能が勝手に動き出し、スラッガーが浮かび上がる。

すると、玉から青白いエネルギーが照射され、スラッガー同士が繋がり、弓のような大剣へと変化した。

 

「こいつは・・・」

「すごいな、見たこともないエネルギーを含んでいる。まさに、神器だな」

 

ゼロは、それを手に取り、刀身を撫で、素振りをしてみる。すると、エネルギー刃が飛んでいき、近くにあった巨大な岩が真っ二つに切り裂かれた。

 

「こいつなら、もしかしたら」

「ああ、行けるかもしれない」

『まだ終っとらんぞ』

 

ゼロがベリアルの元へ行こうとすると、玉はまたも声をかけてきた。すると、スーツが勝手にツインシュートモードへと移行した。玉は、カラータイマーが変化した砲身の中に入っていくと、スーツのエネルギー源となっていたコアが青白い光とともに出てくると、ツインシュートモードが解除される。そして、いきなりスーツがシャットダウン。

 

「なっ!?なに勝手にスーツの電源切ってんだよ!!」

「待てラン、様子を見よう」

 

数分間待つと、カラータイマーが点滅を開始した。

 

ピコン!

 

 

ピコン!

 

 

ピコン!

 

 

ピコン!ピコン!

 

ピコン!ピコン!ピコン!

 

ピコン!ピコン!ピコン!ピコン!(ベータスパーク音)

 

どこか懐かしい音を響かせながら、スーツが再起動。スーツのあちこちから、青白いエネルギーが漏れ出ており、とてつもないパワーが生成されているのが見て取れる。

 

「まさか、スーツの動力源になるとは」

「力が漲ってくる!!これなら、行ってくるぜ先生!!」

 

意気揚々と飛び上がり、青白い光の尾を出しながら、ベリュドラへと突撃していく。

 

「シュッ!シェアッ!フッ!」

 

ベリュドラは、ゼロをはたき落とそうとしてくるが、ゼロツインスラッガーによって腕を切り落とされしまう。

 

「ハァァアアアアアアア!!」

 

スーツのロックオン機能がベリュドラの額に居るベリアルをとらえると、ゼロは全身に漲るエネルギーをスラッガーに収束させ、スピードを上げる。

 

「ハァァアアアア、ハァッ!!」

「ヌガァッ!!お前、俺様と同じ宇宙人だろうが!!そんなに人間を好きになったか!!ウルトラ族!!」

「好きとか嫌いとかの問題じゃねぇ!!やるべきことをやってるだけだ!!」

「その言葉、いつか後悔するぜ?」

「ハッ!上等だこの野郎!!デェエエヤッ!!」

「グォァァアアアアアアア!!」

 

ベリアルの胸を切り裂くと、スラッガーが纏っていたエネルギーがベリュドラの全身に行き渡る。すると、ベリュドラは、体のあちこちから炎を噴き出しながら、爆発。ベリアルも炎の中に消えていった。

その中から、ゼロは現れると、レオの隣に降り立つ。

 

「先生、帰ろうぜ」

「ああ、帰ろう。と、その前に、この宇宙船を、光の国に戻そう」

 

レオは、コントロールルームへ行き、目的地をM78星雲光の国へセットした。

 

「さて、これで帰れるな」

「よっしゃ!もうくたくた!」

「百子にうまい飯を作ってもらおう」

 

二人は先ほどまで必死に戦っていたとは思えない会話をしながら、戦場を後にした。

 

 



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インフィニティー

次のヒーローを誰にするか悩んだけど、彼にすることにしたよ。


「おばさん、おかわりください」

「わかったわ、この頃食べる量増えたわねぇ」

「力を覚醒させたからだろうな、俺も最初はそうだった」

 

朝ご飯を食べながら、和気あいあいとした会話をするラン達。なんの変哲もないこの家族が、世界を救った人物達とは思えない。

 

「さて、私は仕事に行ってくるよ」

「行ってらっしゃい」

「いってきます、ラン!百子頼んだぞ!」

「わかってるよ!行ってらっしゃい先生!」

「ははっ、言うようになったな」

 

ゲンは仕事場へと向かい、ランはバイトの面接に行こうと準備を開始する。

 

「おばさん、面接行ってきまーす!」

「はーい!」

 

ドアに手をかけようとしたその時、スリングリングが現れ、中から一人の男性が現れた。

 

「やぁ、ここに、諸星ランは居るかな?」

「俺だが、あんたなにもんだ?」

 

ランは警戒して構えを取る。

 

「私はドクター・スティーブン・ストレンジ。魔術師だ。地球に危機が迫ってる、力を貸して欲しい」

「やぁ」

 

すると、魔術師を名乗る男の後ろから、有名な人物が現れる。

 

「トニー・スターク・・・」

「私のことを知ってくれているみたいだな少年、これ、君だろう?」

 

といって、透明な機械を取り出して映像を見せてくるトニー・スターク。そこには、怪獣と戦うランの姿が写し出されていた。

 

「ええ、そうですけど」

「なら話は早いな、スーツを持って、私たちと来てくれ、緊急事態なんだ、拒否権はないぞ」

「地球に危機って一体?」

「2012年のニューヨークの戦いは知ってるだろ?」

「ええまぁ」

「その親玉が地球に乗り込んでくる」

「マジっすか」

「説明は後だ、来てくれるのか?来ないのか?」

「行きますよ、もちろん。おばさーん!しばらく帰れないかもー」

「話聞いてたからわかるわよー!生きて帰ってきなさい!絶対にね!!」

「もちろんそのつもりですよー!!」

 

懐からウルトラゼロアイを取り出しながら百子に報告をすませる。

 

「良いおばさんを持ったな、それじゃ行くぞ」

「はい!」

 

スリングリングをくぐり、ランはニューヨークへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある宇宙 どこかの小惑星にて

 

赤い稲妻の模様がある黒いスーツを着た宇宙人が倒れている。スーツはボロボロで、電源は切れているようだ。

突如、黒いオーラがスーツから漏れ出てきた。スーツが起動、不気味に光ると、どこかに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロが戦かっていたその頃、別の場所では

 

 

『ジャンプ!オーソライズ!

 

飛び上がライズ!!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a rider kick.』

 

「迅、お前を止められるのはただ一人、俺だ!!」

 

大企業の社長にして、ヒーローが誕生していた。



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蜘蛛

自分的にこっちのノンクレジットの方が良いかなって思っていて、アンケート取ろうと思います。却下された方を残して欲しいという意見があれば、タイトル変えて残しておきます。


「ラン、なんか手紙来てるぞ」

 

 

 

 

 

ゲンがポストから手街を取って戻ってきた。どうやらランに手紙が届いていたようだ。

 

 

 

 

 

「俺に?」

 

 

 

 

 

ランは、ゲンから手紙を受け取り、差出人に驚愕した。

 

 

 

 

 

「トニー・スターク!?」

 

 

 

「なんだって!?」

 

 

 

 

 

内容話というと。

 

『やぁ、ラン・モロボシ君。

いやぁ、東京での戦い、見事だったよ。なんたってあの量の化け物を一人でたおしてしまったのだからね。それにあのスーツ。見た目はいまいちだが見事なもんだ。F.R.I.D.A.Yに映像を解析させたが、旧型のアークリアクターと同じレベルのエネルギー量を放っていた。あのでかい宇宙船から出てきたときには新型アークリアクターを軽く凌駕するエネルギー量を花って出てきた。本当に見事だ。赤いスーツの方は、どうやら君の父親のようだね。引退しているようだし、見なかったことにしよう。

ん?どこで君の正体を知ったか?我々にはあらゆる場所に目があり耳がある。それに、君は声の加工を行っていなかった。それじゃぁ声帯認証で簡単に誰だかわかってしまう。次からは声を加工して戦うのだな。

さて、本題に入る。端的に言おう、君をアベンジャーズにスカウトしたい。記者会見では顔を出さないようにするし、君の正体は重要機密として扱う。日常生活にはなにも影響しないようにする。それに、君高校を辞めたようだね。君が在籍していた高校に連絡したら辞めたと聞いて驚いた。ミッドタウン高校に推薦状を書いておいた、君は優秀と聞いている。ミッドタウン高校でも問題ないだろう。それに、MITにはコネがある、卒業後の路線も問題ない。もちろんアベンジャーズとしてのギャラも出す。この条件でアベンジャーズに入ってくれないだろうか?君が来れば、将来のチームの財産となる。来る気になったら、その航空券で来てくれると嬉しい。良い返事を待っている』

 

 

「内容はアベンジャーズへのスカウトだ」

 

「そうだろうな」

 

「あと、あっちの高校への推薦状と航空チケットが入ってた」

 

「推薦状?どこのだ?」

 

「ミッドタウン高校」

 

「理系の名門だな。まぁ、お前の成績を考えれば問題ないが、どうするんだ?」

 

「んー、入ろうかな?アベンジャーズ。正体もバラさないって言ってるし。万が一バレたら辞めてくるよ」

 

「わかった。なら準備ををしないとな。まずはパスポートだな」

 

 

とりあえず手紙と推薦状、飛行機のチケットを、机のしきだしにしまうため折りたたんでいると、P.S.の文字を一瞬目撃する。手紙をもう一度開いてみると、裏に続きがあったようだ。

 

「P.S. ピーター・パーカーによろしくと伝えておいてくれ。・・・。ピーター・パーカーって誰?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハックション!」

 

 

 

「大丈夫かピーター?」

 

 

 

「ああ、大丈夫だよネッド」

 

 

 

 

 

なんの因果か、アメリカのとある高校生ご当地ヒーローがくしゃみをした。

 

 

 

 

 

 

 

とある宇宙のどこか

 

 

 

 

 

ところどころ壊れた赤い稲妻の模様があしらわれた真っ黒なスーツを着たベリアルが小惑星の一つにぐったりと倒れ、漂っている。スーツが起動する様子もなく、死んでいるように思われるが、突如、三日月型のオレンジ色の視覚補助装置が不気味に光り出した。

 

そして、紫色のオーラとともに、消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ULTRAMAN ZEROはスパイダーマン:ホームカミングで帰ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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SPIDER-MAN HOME COMING
アベンジャーズ加入


謝罪

タイトル変更+急な路線変更をお詫びいたします。

今回の路線変更は作者の仮面ライダーゼロワンの履修不足故に起こったことです。このままでは読者の望む展開、流れを作ることは不可能であると思い、路線変更を行いました。この路線変更が気に入らないと思う方々も少なくないと思いますがご理解いただけると幸いです。そのため、前回のクレジット部分の内容を変えております。
それでは、これからもMCU版ULTRAMAN ZEROの物語をよろしくお願いいたします。


スーツケースを広げ、中身を確認しているラン。なぜこんな事をしているのかというと、アベンジャーズに入る事になったからである。アメリカへ渡米するために準備しているのである。

 

「着替えよし、日用品よし、パスポートよし。スーツ、よし。問題ないかな?」

 

一通り確認し、何も問題がないことを確認すると、スーツケースを閉める。最後に胸ポケットからULTR ZERO EYEを取り出し、少しメンテナンスを行う。

 

「ラン、もうそろそろ行かないと」

 

ゲンがドアから顔を出し、ランに出発する旨を伝える。

 

「わかったよ先生」

 

「おい、養子縁組をしたんだからもうその呼び方はやめてくれ」

 

「そうだったね親父」

 

あのあと、身寄りのなかったランを養子としてゲンと百子が引き取ったのである。そのため、ゲンとランは、血は繋がってはいないが、彼らは親子となったのだ。

 

「はぁ、アメリカかー、あたしも一回は行きたいわね」

 

「来ることになったら連絡してよ」

 

「もちろんするわよ、さ、もう時間がないわ。気をつけてね」

 

「ああ、行ってきます」

 

百子に挨拶をし、車に乗り込む。ゲンが続いて運転席に乗り込み、エンジンを掛ける。ランと同じく百子に挨拶すると、車を発進。成田国際空港へと向かう。

 

 

 

空港に到着し、搭乗の手続きを終わらせたランとゲンは搭乗開始まで待機していた。

 

「いよいよか」

 

「緊張してるか?」

 

「当たり前だよ、なんたって16でアベンジャーズだぜ?普通の16歳は高校行って青春を満喫している時期だから」

 

普通の青年ではなくなったラン。アメリカに一歩降り立てば、彼はアベンジャーズの一人となる。

 

「なるようになる。ラン、お前は自分のやりたいようにやれ。何かあったときは、トニー・スタークとかがなんとかしてくれるだろう」

 

「わかったよ親父」

 

ランは時計を確認し、搭乗時刻の五分前であることを確認すると、荷物を持って立ち上がった。

 

「もう時間だ。親父、いってくるよ」

 

「ああ、いつでも帰ってこいよ」

 

「うん」

 

ランは搭乗口へと歩き出す。最後に振り返ると、ゲンが手を降ってくる。ランは振り返すと、飛行機へと乗り込んだ。

 

 

 

 

 

十二時間と五十分という長旅の末、ニューヨークに到着した。ランが出口に行くと、スーツ姿のサングラスを掛けた小太りの男が、ローマ字でモロボシ・ランと書かれたボードを持って立っていた。彼が迎えなのだろう。

 

「あのー・・・」

 

「君が諸星ランか?」

 

「そうです」

 

「ボスがお待ちだ。荷物を持って車に乗れ」

 

そう言うと、小太りの男はスーツケースをトランクに積み込んだ。ランは車の後部座席に乗り込む。

 

「あの、お名前はなんて言うんでしょうか?」

 

「ハッピー・ホーガンだ」

 

「ハッピーさんですね、よろしくお願いいいたします」

 

「礼儀正しいな、さすが日本人だ。さて、アベンジャーズ・コンパウンドに向かうぞ。シートベルト閉めろよ」

 

車が発進し、ニューヨークの街中を進んでいく。見慣れない町並みにキョロキョロと見回すラン。

 

「アメリカは初めてか?」

 

「はい、外国に来たことが初めてです」

 

「そうか、まぁ、気楽にするといい」

 

無愛想だが、いい人であるようだ。二時間もすると、アベンジャーズ・コンパウンド(工事中)に到着した。忙しそうに動き回る職員と作業員、訓練を積む軍人たち。その中に、グレーのスーツを着た男と、その男と親しく話す黒人の軍人がいた。

 

「ほら、行って来い。荷物は俺が部屋まで運んでおく」

 

「ありがとうございます。では、失礼します」

 

ハッピーと別れ、二人の元へと走っていく。

 

「こんにちは」

 

「おー!!来たな!!」

 

「この子が新メンバーか?おいトニー。いくら人手がないからって子供をメンバーにするのか?」

 

「戦場には早々出さん。それに、彼はすでに、日本を救ってる」

 

そう言うと、トニー・スタークは透明の板を取り出すと、黒人に映像を見せる。その映像は、水色のオーラを出しながら、怪獣たちを屠るランもとい、ULTRAMAN ZEROの姿が映し出されていた。

 

「こいつは、すごいな・・・」

 

「だろ?彼を放っておいたら、何が接触してくるかわからん。特に、フューリーとかいうやつだな。このスカウトは保護という観点もあるんだ」

 

「そうだったんですね。あ、自己紹介が遅れました。諸星ランです。よろしくお願いいたします」

 

「お前と違って礼儀正しいな。ジェームズ・ローディ・ローズだ、ウォーマシンとも呼ばれている」

 

「そっちの名前もですね。ULTRAMAN ZEROです」

 

「挨拶も終わったことだし、スーツを着ろ」

 

「え、今ですか?」

 

「そうだ。あの扉の奥で何十人の記者が君を待っている」

 

「マジですか」

 

「ああ、だから早く着て、さっさと記者会見を終わらせよう。君もそのほうがいいだろう?」

 

「ジェームズさん・・・」

 

助けを求めるようにローディの方を向くラン。

 

「はぁ、またトニーお得意のサプライズか。俺も一緒に行ってやるから」

 

「ありがとうございます。それじゃ、スーツ着るんでちょっと離れててください」

 

スタークとローディが離れたのを確認すると、胸ポケットからULTRAZERO EYEを取り出した。

 

「それがスーツになるのか。すごい技術だな」

 

それを目元に押し当てると、フレームの上部にあるボタンを押し込んだ。すると、青と赤の光とともに宙にZERO SUTIが現れ装着されていき、最後に、スラッガーが回転しながらメットに装着された。

 

「さすが宇宙人の技術だな。さて、行くぞ」

 

スタークがドアを開くと、とてつもない量のフラッシュが焚かれる。席につくと、スタークがランの紹介を始める。

 

『ご来場の皆さん。本日は新生アベンジャーズ・コンパウンドにお越しいただきありがとうございます。本日お呼びした理由は、アベンジャーズに新メンバーが加わったからです。では、ご紹介しましょう。アベンジャーズの新たなメンバー、ULTRAMAN ZERO!!』

 

ランが立ち上がり、お辞儀をすると、またもフラッシュが焚かれる。

 

『彼は、日本で起きたあの一連の騒動を収めた若きヒーローだ。彼は「失礼しますスタークさん」なんだ?』

 

「彼は、学生であると聞いたのですが、本当なのでしょうか?」

 

『それは彼本人に聞いたほうがいいでしょう。どうなんだねULTRAMAN ZERO』

 

急にふられ、驚きながらマイクを手に取るラン。深呼吸を一つすると記者に向かって話し始める。

 

『はい、本当です。俺は16歳の学生です。どこの学校に所属しているのかは言えません』

 

「なぜアベンジャーズに入ったのでしょうか?16歳がこのチームに入るのはとても危険だと思いますが」

 

『はい、まったくもってそのとおりだと思います。ですが、力を授かったのに、何もしないで見ているというのは、俺にはできませんでした。だから、スタークさんから連絡があったとき、アベンジャーズに入ろうと決めました』

 

「わかりました」

 

『彼を戦場に出すことはめったに無いと思ってください。本当に必要にかられたときのみ、彼を出動させます。それ以外は、我々大人が彼を守り、そしてみなさんをお守りいたします。会見は以上です。どこの学校に彼が所属しているのかとか、どこ出身かなどの質問は受け付けません。では、失礼します』

 

スタークがそう締めると、少し押され気味にランは会場から出ていく。その後ろでは、スタークが受け付けないと言ったにもかかわらず、学校はどこだとか出身はどこだなどの質問がなされていた。

 

「これだから記者は嫌いだ」

 

スタークが苦言を呈すると、ローディがなだめる。

 

「はぁ、さて、ラン君、君の部屋だが、ヴィジョンの隣でいいか?」

 

ため息を吐きながら、スーツを脱いだランに部屋がどこがいいか聞いてくる。

 

「構いませんけど」

 

「あいつはドアを通り抜けるが」

 

「あと壁も」

 

「そうだったな。嫌だったらちゃんと言うんだぞ?」

 

「わかりました」

 

「それじゃ、何かあれば連絡しろよ。じゃな」

 

「これからよろしくな」

 

「はい、また」

 

スターク、ローディと別れると、職員の一人が部屋までランを案内する。部屋に入るとダンボールにがたくさん置かれている。ランはそれを開け、荷ほどきを開始する。すると、突如後ろから声をかけられた。

 

「お手伝いしましょうか?」

 

「うわっ!?」

 

驚いてしりもちをつくラン。振り向くと、赤っぽいパープルの肌をし、頭に黄色い石がはまっている男が立っていた。

 

「すみません、驚かせる意図はなかったのですが」

 

「あなたがヴィジョンさんですね」

 

「はい、スターク氏に、新メンバーが来たから挨拶しておけと言われまして」

 

「そうだったんですね。よろしくお願いします」

 

「はい、こちらこそ。荷ほどきしているんですね。お手伝いしましょうか?」

 

「お願いします」

 

ヴィジョンとともに荷ほどきをするラン。もとがAIのヴィジョンとの関わり方に戸惑いつつも、仲良くなっていけそうな雰囲気を感じたラン。二人で行ったのか、数十分で荷ほどきが終了し、ヴィジョンと別れたラン。その後は、コンパウンド内を散策。その後、ヴィジョンが料理を教えてほしい言ってきたので、夕飯を作るときに教え、一日が終わった。



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ピーター・パーカー

「ほら行くぞ」

 

ハッピーに呼ばれ、バックパックを背負ったランは車に乗り込んだ。これから学校なのだ。車が発進し、ミッドタウン科学技術高校へと向かう。

 

「ラン、お前の転校する学校に、ピーター・パーカーってのがいる。そいつは、ニューヨークのご当地ヒーロー、スパイダーマンをやってるんだ。まだ若いせいか、リアルな任務とか言って、危険な任務に行きたがる。そもそもそんな任務少ないがな。お前からもなにか言ってやってくれ。毎日マメなメッセージが来てうんざりだ」

 

「そうなんですね。わかりました。話してみます」

 

「あと、お前はどうやらスーツの装着制限は設けられていないらしい。お前を守るためという名目でな。だから、ピーターになにかあったときは助けてやってくれ」

 

「わかりました。俺のできる範囲でなら全力で助けます」

 

「頼んだ。ついたぞ」

 

ハッピーとピーター・パーカー/スパイダーマンなるヒーローの話をしていると、学校に到着した。

 

「送っていただきありがとうございました」

 

「学校終わるときに連絡しろ。部下を向かわせるから」

 

「わかりました。でも、迎えに来ていただかなくても一人で帰れますよ?」

 

「何を言ってるんだ。君は正体は知られていないが国の重要人物だ。護衛は必須だ」

 

「わかりました」

 

「ちゃんと連絡するんだぞ?じゅぁな」

 

そう言うと、走り去るハッピー。いい人ではあるのだが、ピーターからの鬼のようなメッセージやトニーの引っ越し騒ぎでストレスが溜まっているのだろう。

それを見送ったランは校内へと入っていく。

 

『ミッドタウン高校のみんな、おはよう!!今日は驚きのニュースがあるんだ!!』

 

『なんと、日本から転校生が来るみたい!!』

 

廊下の様々な場所に設置されているモニターには黒人アフロの男の子とブロンドの女の子がミッドタウン高校内のニュースを報道していた。

それを聞きながら、ランは職員室へと向かう。

 

コンコン。

 

「失礼します」

 

職員室に入ると待ってましたとばかりに一人の教師が出迎える。

 

「待っていたよ!!ラン君!!」

 

「おはようございます!」

 

「うん、日本人らしく、礼儀正しいね!!私はロジャー・ハリントン!生徒からはハリントン先生と呼ばれてる」

 

「よろしくおねがいします」

 

「それじゃあ、教室へ向かおう。みんな君を待っているよ」

 

ハリントンの案内で自分が所属するクラスの教室へ向かう。

 

「みんな!席について!今日は大きなイベントがあるよ!日本から転校生が来てるんだ!」

 

ハリントンが先に教室に入り、生徒にサプライズでランのことを明かす。すると、教室から驚きの声が響いてくる。

 

「さぁ、諸星君入ってきて!!」

 

ハリントンに呼ばれて教室に入ると、教室にいる生徒全員がランのほうを見る。その中の一人の青年と目が合った。

すると、ウルトラ念力が突如発動。青年も頭に違和感を感じるのか目を細め、不思議そうな目でこちらを見てくる。

 

(あの人がピーター・パーカーか?)

 

 

頭を小さく振り、念力をひっこめ、自己紹介を始める。

 

「ただいまご紹介に預かりました、諸星ランです。これからよろしくお願いします」

 

簡単な挨拶であった。それもそのはず、ここは陽キャの国アメリカ。自分から話さなくとも相手のほうから大量の質問が来るのだ。ランの予想は的中し、様々な質問が飛んできた。女性のタイプはどうとか、ヒーローのことを知っているかとか多岐にわたった。

 

「さて、質問はここまでにして、もうそろそろ授業を始めないとね。それじゃぁ、諸星君、ピーターの隣が空いているからそこに座るといい」

 

まさかのピーターの隣を進められ、内心驚くが、これもヒーローとしてのさがかと思い、席に着いた。

 

「よろしく、ピーター君」

 

「ピーターでいいよ、よろしく」

 

「自分もランでいいよ」

 

「わかったよ、ラン」

 

ピーターは警戒しながら、ランは同世代のヒーローとの接触にウキウキしながら挨拶は終わった。

 

 

 

学校が終わりコンパウンドに帰ろうかとハッピーに電話しかけたその時、ピーターがいそいそとどこかへ向かう姿を発見したラン。隠れてみていると、金網を軽めのジャンプで飛び越えてしまった。

 

「ついて行ってみよう」

 

スマホの電源を切ると、ピーターの後を尾行し始めたラン。それをスパイダーセンスで感知したのか時々後ろを見て首をかしげるピーター。デルマーの雑貨屋さんでサンドイッチを買ったピーターは路地裏に行くと、スターク製スパイダーマンスーツを着ると、それを取り出したバックパックに脱いだ服を詰め、ウェブで壁にくっつけると町のパトロールに行ってしまった。

 

「まったく・・・」

 

エメリウム光線でウェブを焼き切り、バックパックを持つと、スーツを装着してピーターの後を追う。

 

 

 

 

 

「助けてほしい人~!」

 

ピーターはスイングしながらそんなことを言っている。そんなひとなど早々出てほしくはないのだが・・・。

ランはピーターのパトロールの様子をこの日、彼のパトロールが終わるまで見続けた。確かに、大規模な敵との戦闘を望んでいるような口ぶりであった。ベリアルとの戦闘を経験したランから言わせればそう何度も大規模戦闘の経験したくはないものだ。

そして、ATMでのひと悶着があったが(なんとかランがハイテク武器の暴発をワイドゼロショットで周囲への被害をなんとか最小限に抑えた。デルマーの雑貨店や他の店は窓ガラスが割れる程度だが、道路がめちゃめちゃ)、ランがダメージコントロールに後のことをお願いしていると、パトロールが終わり、だれかと電話をしながら先ほどの路地へと戻ってきた。

 

「ああ!バックパックがない!またかけなおすよ」

 

電話を切ると、うなだれながら家路へとつくピーターの前にランは降り立った。

 

「誰!?」

 

すぐさま戦闘態勢に入るピーター。しかし、その姿を見てすぐにその体制を説いた。

 

「ULTRAMAN ZERO!?どうしてここに?」

 

「会見でも言った通り転校してきたんだよ」

 

ウルトラ念力を発動して、スパイダーセンスを刺激すると、その感覚に覚えがあったピーターは、目の前にいるヒーローの正体を見抜いた。

 

「も、もしかして、ラン?」

 

「あたり!」

 

ヘルメットを脱いで素顔をさらすと、ピーターも興奮しながら、マスクを脱いだ。

 

「うわぁ!!マジ!!ランがZEROだったの!!こんなに年が近いヒーローと会うの初めてなんだ!!」

 

「俺もだよ」

 

「じゃあ、日本で超強い宇宙人と戦ったってホント?」

 

「戦ったよ」

 

「うわぁ!!どうだった?」

 

「強かったし、厄介だったよ。それに、まだあいつ、死んだとは思えないんだ」

 

「うわぁ、やっぱアベンジャーズに入るようなヒーローは次元が違うや!」

 

「そうでもないよ」

 

「いやいや、謙遜しないでよ。僕も宇宙人と戦いたいなぁ・・・」

 

「なんで戦いたいの?」

 

「そりゃヒーローだし、それにかっこいいじゃん!」

 

「そんないいものじゃないよ。それに、そういう宇宙人が来ないほうがいい。そのほうが平和だし。それに、ピーター。そんな考えじゃいざとなったら、負けるよ?」

 

「え・・・」

 

ランの厳しい言葉に、言葉を失うピーター。

 

「あ、そうだ、これ渡すんだった」

 

「僕のバックパック!!ありがとう!!」

 

ピーターのバックパックをピーターに渡す。

 

「それじゃぁ、俺帰るから、気を付けてね」

 

ランはスラスターを点火すると、両手を伸ばして空へ飛び立ち、コンパウンドの方面に飛んで行ってしまったラン。

 

「負ける・・・」

 

それを見送った後、ランに言われた言葉を考えながらピーターは帰路についた。




決してMCUスパイディを批判しているわけではありません。むしろめっちゃ好きです。


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責任

「毒は出せるの?」

 

「無理」

 

化学実験室にて、実験の授業を聞いていると、ネッドに色々質問されているピーターを発見。どうやら、バレたらしい。内容も蜘蛛関連のものばかり。

 

「蜘蛛の軍団は呼べる?」

 

「呼べない」

 

所変わって教室にて。

 

「ソコヴィア協定が制定されたことで、破壊行為ー」

 

「糸は何メートル飛ばせる?」

 

「わかんない黙って!」

 

ネッドのしつこさに苛立ちを隠せないピーター。

 

「俺だったら、ビルのはしっこに立って、何メートル飛ばせるか試すけどね」

 

「うるさいぞネッド!!」

 

そして、怒られてしまう。

 

「ネッド、静かにしような」

 

「ごめん」

 

 

 

またまた所変わって体育の授業にて。

 

『キャプテン・アメリカです。教室でも戦場でも』

 

キャプテン・アメリカの映像が流されている。スタークにキャプテンの事情を聞いているランは、少し悲しそうな顔をする。その横で、やはりまたネッドが質問をしていた。

 

「この人も知り合い?」

 

「会ったよ。盾を奪った」

 

空港での戦いに参戦していたピーター。登場時に行った盾を奪ったことを自慢する。だが、その後はやはりネッドのしつこさにうんざりするピーター。終いには彼が座ってる人と言うオペレーターになりたいと言い出した。すると、すでに腹筋運動を終わらせた女子数人と男子数人がアメリカらしい話題を話していた。

 

「エッチする人を選ぶならー・・・マイティ・ソー、結婚はアイアンマン、殺すならハルク。しっかり付き合うなら・・・ULTRAMAN ZERO。同年代で日本人。誠実そうじゃない?」

 

(俺!?)

 

その言葉を聞いたランはビクッっとしながら聞かなかったことにしたラン。

 

「じゃあザ・スパイダーマンは?」

 

「ザはつかないよ。見た?銀行のカメラの映像!四人もやっつけてた!」

 

「リズったらスパイダーマンに惚れたわけぇ?」

 

「うっそだー」

 

「ふふふ、ありかもね」

 

それを聞いたピーターとネッドが顔を見合わせる。

 

「あの人30位だよ?」

 

(同じく同年代です)

 

「マスクの下が爛れててグロくていいわけぇ?」

 

(傷一つないです)

 

「気にしない、私が好きなのは彼の中身だもん」

 

「ピーターが知り合いだ!!」

 

(あちゃー・・・)

 

ネッドが余計なことを言ったせいで、いじめっ子というより、マウントを取ってないと寂しさを紛らわせないフラッシュがリズの誕生日パーティーに連れてくるようにピーターに詰め寄った。

 

その光景を見ていたランは正体がバレるとこういうことがあるんだなぁと、自分は気を付けようと木を引き締めた。

 

 

 

 

 

「ラン、どうしよう!!」

 

「どうしようって言ったって、行くしかないでしょう」

 

ランに泣きつくピーター。これに関してはランでは対処できない。

 

「そう簡単に会えない人なんだよって言えばよかったじゃん」

 

「無理だよ、あの状況じゃ」

 

「確かに、ヒーローじゃないピーターには度胸がないしな」

 

「言わないでよ」

 

「ハハハ。まぁ、頑張るんだね」

 

「ランは来ないの?」

 

「誘われてないしね」

 

「あ、ラン!今日、私の誕生日パーティーやるの。そこでランの歓迎会も一緒にどう?」

 

「いいの?ありがとう」

 

「待ってるからね」

 

ちょうど、そこにリズが現れ、パーティーに招待された。

 

「だそうだ、俺も行くよ。言っとくけど、ZERO

としては行かないからね?」

 

「わかってる!ありがとう!!」

 

嬉しそうにするピーターを横目に、あるデータが送られてくる。先日の強盗集団が持っていた危険な武器について気になったランはハッピーにお願いして調べてもらっていたのだ。

 

「チタウリの残骸を武器にしてるのか。それにウルトロンのも。だから強盗団はあんな破壊力のある武器を持ってたんだな。でも、チタウリとウルトロンのものなんて・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いや、何でもない。あ、でもどうやってリズさんの家に行こう?家も知らないし、それこそコンパウンドから結構な距離だろうし」

 

「なら、僕とネッドと一緒に行こうよ。このままうちに来てさ」

 

「いいの?」

 

「うん、叔母さんにも紹介したいし」

 

「ありがとう。お言葉に甘えるとするよ」

 

「それじゃあ、パトロールの後に」

 

「わかった」

 

 

ピーターのおばさんに送ってもらえることになり、放課後、ピーターの家へと直行した。

 

「こんにちは」

 

「こんにちは!!君がピーターに行っていたラン君ね!!」

 

「初めまして、諸星ランです」

 

「メイよ、よろしく!さぁ、車に乗って、出発するわよ!!」

 

メイおばさんの運転でリズの家へと向かうラン、ピーター一向。数十分もすれば、リズの家へと到着する。

 

「郊外のお宅でハウスパーティー。あーこういうの懐かしい、嫉妬しちゃう」

 

「思い出の夜になるかも・・・」

 

「あら~。帽子負けする人っているけど、あなたは素敵!」

 

「うん、すごく似合ってるよ!」

 

「かぶると自信がわく!」

 

「やっぱり場違いだ。ねぇもう帰ろう」

 

ここにきて怖気づいてしまうピーター。

 

「あーピーター。よくわかる、とても難しい時期よね、体に変化が出てきて、戸惑う頃なのはわかる思春期だもの」

 

「あー、うん・・・ははは」

 

(おばさん、ちょっとそれは違うと思うよ・・・)

 

デリケートな部分をつかれて乾いた笑いをするピーター。なんて言えばいいかわからず、心の中で突っ込みを入れるラン。

 

「最近ストレスが多いみたいで・・・」

 

「ストレスを発散できるのがパーティーだ、さぁ行こう!!」

 

「大丈夫だから、ピーターをあの時誘ったってことは、リズが悪い印象持ってるわけじゃないだろ?」

 

「あーわかったよ行く行く!」

 

意を決して車を降りていくピーター。それ続いてラン、ネッドが降りる。

 

「ピーター」

 

ピーターのことを呼び止める、メイおばさん。

 

「楽しむのよ」

 

「そうする」

 

そう一言ピーターにかける。それだけで、二人が親子のような関係であることがわかってくる。それを見て笑みを浮かべると、二人がなにか小声で話しているのを見ながらリズ宅に入っていく。

 

中はすごい盛り上がりようで、音楽がガンガンかかり、フラッシュがDJをしていた。またネッドとピーターがこそこそ話していると、MJが声をかけてきた。

 

「こんなダサいパーティに来たわけ?」

 

「そっちだって来てる!」

 

「あっそ」

 

ネッドが言い返すと、バターを塗ったパンをもっていってしまった。やっぱり変わった子だなと思うラン。

 

「来たのね!!」

 

すると、リズが現れランたちを歓迎してくれた。

 

「いらっしゃい、いい帽子ね!」

 

「Hyeリズ!」

 

「Hyeリズ」

 

「こんばんは」

 

緊張のあまり、震えた声になってしまうピーター。

 

「来てくれてありがとう!えっと、ピザとドリンクがあるからご自由に」

 

「いいパーティーだ」

 

「ありがと」

 

パリーン!!

 

(なんか割れた落としたぞ!?)

 

「何か壊れたら親に叱られるから行くね」

 

「あぁ」

 

「Bye」

 

「Bye」

 

「また後で!」

 

すると、またピーターとネッドが小声で話し始めた。おそらく、スパイダーマンで登場しろとかを話しているのだろう。あんまり好ましい使い方ではないが、まぁ、誕生日パーティーだしゲストとしての登場はいいだろう。

 

『ペニス・パーカー!!元気かぁ!?』

 

すると、みんなに言いふらすように、フラッシュが不快なあだ名でピーターを呼ぶ。

 

『お友達のスパイダーマンは?空想鵜の彼女と同じでいないんだろうぉ?お隣さんはスパイダーマンじゃない、赤シャツのネッドだ!』

 

それを聞いたピーターはどこかに行ってしまう。ランはというと、フラッシュに詰め寄り、二度度やらないよう注意した。その時のランの様子はフラッシュから聞くと、目が青く光っており、すごく怖かったとのこと。

 

 

 

 

 

 

「ピーター遅いなぁ・・・」

 

スーツに着替えに行ったのだろうと思っていたが、あんまり来ないので心配になってきたラン。物陰に行き、ZERO EYEをかける。

 

「ピーターのスーツの場所は?」

 

スタークネットに接続し、検索すると、すぐ近くで急降下しているのが分かった。

 

「やばい!!」

 

人目を気にしながら、窓から飛び降り、スーツに着替えると、ピーターのいる方向へ急いで飛び立つ。ランがついたころには、予測落下地点である湖に落ちてしまっていた。ランはすぐさま湖に飛び込み、パラシュートの中でもがくピーターを救助した。

 

 

「あぁ、ラン・・・ありがとう・・・」

 

 

 

 

 

 

「そしたらあいつ、さっと急降下して、僕をつかむと、300Mくらい上空まで飛んで、僕を落としたんだよ!?よく見つけられたね!?僕のスーツに発信機でもつけてた?」

 

「ついてたみたいだね、俺が作ったわけじゃないから知らないけど・・・」

 

『あらゆるものを付けてる、このヒーターもな』

 

 

声が急に聞こえてきて上を見ると、アイアンマンが降りてきていた。

 

「スタークさん!?」

 

『はぁ、なんで無茶した?』

 

説教が始まる。

 

「だって、翼のあいつは武器商人なんだから捕まえないと!!」

 

『捕まえるだと!?はぁん!?落ち着け若者、こういうのはほかに任せておけ!!』

 

「アベンジャーズに?」

 

『いや、こういうのは格下のやる仕事』

 

「とにかくスタークさん、来てもらわなくても僕一人でやれましたよ」

 

『いや、僕は来ていない』

 

すると、アーマーの仮面が開いた。中には誰もいない。

 

『ランがいてくれてよかった、それと、この会場にWi-Fiも。なければ君は終わってたぞ。ヒンドゥー教の神に、乾杯。翼のしたあいつは追うな!頼むよ』

 

「なんでダメ!?」

 

『なんで!?ダメったらダメなの!!説教しててね、高校生に。地に足を付けて、地裁トラブルを解決しろ!チュロスをもらった時みたいに。十分だろ?親愛なる、ゴク、隣人のスパイダーマンで』

 

「でも僕はもっと活躍できます!!」

 

『いいや無理』

 

「だけど、キャプテン・アメリカと戦わせたでしょ!?」

 

『キャプテンはな、君を倒そうと思えばできた。いいか、今度そういう武器に出くわしたら、ハッピーに連絡しろ』

 

「じゃぁランは何で!!」

 

『いいか、ランはあらゆる面で君より大人だ。年齢の割にな!銀行強盗の時、なんで被害が電柱とかだけで済んだと思う?ランがあの場で被害を抑えてくれたからだ!それに、向き合い方も違う。それより、進学を考え始めていいころだ。MITならコネがある、以上!』

 

ブゥーン!!

 

「大学に行く気は!!」

 

『スタークさんとはもうつながっておりません』

 

そうAIが言うと、飛んで行ってしまう。

 

「最悪だ・・・」

 

「ピーター。スタークさんの言うこと、ちゃんと聞いておいたほうがいいよ」

 

「ランもスタークさんの味方!?」

 

「うーん・・・あのねピーター。俺たちみたいな人が活躍することは本来ないほうがいいんだ」

 

「どうして?」

 

「俺たちが動かなくていいってことは、その分世界は平和ってこと。それに、俺たちが動くと、いい意味でも、悪い意味でも目立ってしまう。それはピーター。君も同じなんだ。それに、君の失敗や君が死んじゃったら、だれが責任を取ると思う?スタークさんだ。君のスパイダーマンとしての行動一つ一つには必ず、裏にはスタークさんがいるし、君をスタークさんが買ってるってことは、アベンジャーズにも責任がかかってくる。君がそのスーツが使えるのも、君が自由に行動できるのも、いろんな人が、君の行動に責任を持ってくれてるからなんだ。それを理解してほしい。じゃあ、俺は帰るよ。ちょっと疲れちゃった。バイバイ、また明日」

 

 

そう言うと、ランはコンパウンドへと飛んで行った。その後、ピーターは、ランが言っていたことを思い出し、少し反省しながらリズ宅へ戻っていると、先ほどの追跡劇の時にバイヤーが落としていった武器の核部分を見つけ、何とかこの失敗を武器商人たちを捕まえることで挽回しようと、それを持って帰ってしまった。



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大失敗

三日後

 

パーティーの後、ランはアベンジャーズの定期健診により、三日休むことになった。その日、学力コンテストでは大惨事が起きていた。危うく、ネッド、リズなどの知り合いが死んでしまうところだった。しかし、ピーターがその学力コンテストに一緒に行っていたことで事なきを得た。

 

「さて、ラン、今から、君の攻撃のテストを行う。それぞれの的に各攻撃を当ててくれ」

 

「あの、もう四日も学校休んじゃってるんですけど」

 

「それに関しては、スタークインダストリィーのインターン旅行ってことになってるからな」

 

「はぁ・・・わかりました」

 

「それじゃ始めてくれ」

 

ランは今、スタークによるスーツの強度向上のテストに付き合っている。

 

「ハァアッ!!」

 

青いエネルギーを纏った拳撃を放つ。

 

バコォオオオオン!!!

 

「さすがだな!想定の200%の威力だ!!」

 

「そんなに上がってたのか・・・」

 

以前にゲンと計ったときよりも数百倍になっていた。原因は、あの時、ベリアルを倒した時にスーツの中に入り込んだ光の国の太陽、プラズマスパークの中にあったエネルギーコアだ。スーツのキャパを越え、外へエネルギーが漏れだし、体にも影響が出てしまっているようだ。

 

「まずいな・・・」

 

小声でランは言った。このままでは、半分人間ではなく、100%宇宙人。ウルトラ族になってしまう。

 

「さて、後は身体検査で終わりだな。お疲れさん!」

 

「スタークさんはこれからどうするんですか?」

 

「アベンジャーズの事務仕事、今やトップ!色々やることが多いんだ」

 

「頑張ってください」

 

苦笑いしながらスタークの背中を見送るラン。そこへ医療スタッフが現れ、精密検査のために医療フロアへ案内される。

 

 

 

精密検査が終わってようやく解放されたラン。四日ぶりに町を歩く。もうすでに時刻は放課後、お昼なしで検査を受けていたのでお腹がペコペコ。とりあえずサンドイッチを食べようとデルマーの店に行くことにする。

 

「こんにちは~」

 

「よう!ラン!何を買いに来た?」

 

「サンドウィッチを」

 

「あいよ」

 

デルマーがサンドウィッチが作り終わるのを待っていると、スマホに着信が来る。

 

「ん?スタークさん?」

 

『やぁ、ラン。ちょっといいか?』

 

「はい、どうかしましたか?」

 

『なに、ピーターが少し妙なんだ。場所的に君が一番近い。見に行ってくれないか?わたしも後から行く』

 

「わかりました!」

 

電話を切ってポケットにしまうと、ちょうどサンドイッチが出来上がったのかデルマーが袋を持って待っていた。

 

「あいよ、なにかあったのか?」

 

「はい、ちょっと用事ができました」

 

料金を払い、サンドイッチを受け取って店を出ると、ウルトラ念力が反応を示す。

 

「ん?なんだ?」

 

首をかしげてると、ものすごい反応が念力に走る。

 

「!?」

 

ランはすぐさま路地裏に行くと、スーツを着て飛び上がる。見回すと、港のほうで煙が上がっている。すぐさま向かうと、半分に割れた観光船と何とかつなぎとめようとしているピーターの姿がある。

 

「スパイダーマン!!」

 

「ラ、ゼロ!!」

 

「何があったの!?」

 

「この前の翼のあいつが!!」

 

「まだ追ってたの!?スタークさんに言われたのに!?」

 

「そんなことよりもこれどうしよう!?!?」

 

「なんとかしてみる!!」

 

ランは腕をクロスさせ、限界までウルトラ念力を発動させる。

 

「ゔ、ゔゔ」

 

なんとか船の沈没を阻止するも、とても苦しそうな声を漏らすラン。ピーターも糸を使って引き寄せようとするも、効果は薄い。

 

「ぐぉおおおおお!!!」

 

「ゔゔゔ・・・」

 

数分間持ちこたえるも、限界が訪れ、徐々に沈没が始まる。その時、金属音が複数回鳴り響いた。

 

カン!カン!カン!

 

すると、徐々に苦しみが楽になっていく。最後に、ドン!!という大きな音が鳴る。

 

『やぁ、スパイダーマン。ゼロ、つなぎありがとう、あとは任せてくれ』

 

「はぁ、はぁ、スタークさん。ほう、よかった・・・」

 

見ると、数十基のリパルサーとともに船を押しているスタークの姿があった。

 

船の船体に壁を預けて休憩するラン。限界を超えたウルトラ念力を行使したせいか、とてつもない疲労がランを襲う。

 

「ラン!大丈夫!?」

 

心配そうに駆け寄るピーター。ヒーロー名を言うのを忘れてしまっている。誰のせいでこうなったのやら・・・。

 

「大丈夫だよ・・・」

 

ピーターがランを介抱しているすきに、スタークは船の修復を終え、乗員の救助を行っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事故現場のすぐ横にある建設中の建物にて。

 

「ごめん、ラン・・・」

 

「俺は大丈夫だから」

 

『前回のしくじりピーター物語は?なぁーんてふざけてる場合じゃない!引っ込んでろと言ったのに、君は何百万ドルもするスーツに勝手にアクセスした上、僕に内緒で僕にするなということをした!?』

 

救助が終わったのか、ランたちのもとへ来るとピーターへのお説教が始まる。

 

「船のみんなは無事?」

 

『君のせいで大変だったけどな。ランがいなければ大惨事だったぞ』

 

「僕のせいなの?危険な武器があることをあなたに伝えようとしたのに、聞いてくれなかった!!あなたが話を聞いてくれてたらこんなことにはなってないよ!どうせここにもスーツしか来てないんでしょ!」

 

「ピーターそれは・・・」

 

ランが最後の言葉を言うのを止めようとするも、スタークがスーツを脱いでしまう。

それを見てたじろぐピーター。

 

「話は聞いてた。誰がFBIを呼んだと思う?知ってるか?君を買ってたのは僕だけだった。14歳の子供をスカウトするのはどうかしてると非難されたがな」

 

「15歳・・・」

 

「おいお口チャック!大人がしゃべってるんだ!もしも誰かが死んでたら?どうする気だったんだ!君の責任だぞ!!君が死んでたら、それは僕の責任だ。そんな罪悪感はいらない」

 

「はい。その、すみませんでした」

 

「謝って済む問題じゃない」

 

「あなたみたいになりたかったんです」

 

「もっとできると思ったんだが・・・」

 

スタークのいらない言葉でピーターはふてくされた顔をする。

 

「説教も効果なし、スーツを返せ」

 

「いつまで没収?」

 

「永遠にだ」

 

「そんな、嫌です!」(「君が招いた結果だ、返すんだ!」)

 

「スタークさんはわかってない!!スーツなしじゃなにもできない!!」

 

「スーツなしじゃだめなら、スーツを着る資格はない。あぁ、おやじみたい・・・」

 

「着替えもないし・・・」

 

「それはなんとかしよう。ラン、君は医療班を待つんだ。じっとしていろよ!」

 

「わかってます」

 

ランは一連の内容を第三者視点から見ることができている。それで今回の事件が引き起こされた原因が二人にあることを見抜いていた。

 

その後、医療班がヘリで現れ、ランを回収、コンパウンドへ運ばれた。

 

 

 

 

 

 

 

コンパウンドにて

 

 

「はい、呼びましたか?スタークさん」

 

「来たなラン!いやー、さっきは本当に助かったよ。君が優秀で助かる」

 

ランはスタークのお褒めの言葉を素直に受け止めつつ、スタークにも原因があることを言うべきか迷っていた。しかし、意を決して言うことにした。

 

「スタークさん」

 

「なんだ、さえぎって、ほめてるのに・・・」

 

「お言葉ですが、ピーターがあのようなことをしたのはあなたにも原因があると思います」

 

「え、は、なに?僕に?どういうことだ」

 

むっとした表情でランを見るスターク。

 

「スタークさんはいろいろなことを把握してる。把握してるがゆえに、あなたはあることをし忘れてる」

 

「それは?」

 

「報、連、相です」

 

ランがそう言うと、思い当たる節があるのか、顔を伏せる。

 

「あなたは、ピーターからあの武器商人たちのことを聞いて、FBIに捜査を任せた。FBIでも正直力不足だと思いますけど。それは置いておいて、そのあとが問題です。それをピーターにあなたは伝えなかった。だから起こったです。ピーターが勝手な行動をしたのも悪いですけど、報連相がなってないあなたにも問題があると思います。それだけです、失礼します」

 

自室に戻り、言いすぎてしまったかと思ったかが、スタークも大人だと思い寝ることにした。



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