七医贓 (右足首の頭蓋骨)
しおりを挟む

始まりは突然にしかし噛み砕くように

 七医臟(ないぞう)、それは最悪の戦い。

 七医臟、それは古代の医術。

 七医臟、それは許されざるゲーム。

 今夜、七人の戦士が戦う、最後に生き残った者はどんな病もどんな傷も一度だけ治すことができる。

 命懸けの、いや、命賭けの戦いが、今、始まる。

 

「モエっちはさーもっと女々(おんなおんな)したカッコの方が良いと思うんよー」

 俺は憂奈空彼(うなあか) 盛鐫留世(もえるよ)どこにでもいる女子高校生だ。

「ヒーちゃんにソレ言われたらオシマイだぜぇ、お前こそもっと男らしい格好しろや」

 そして俺と一緒に登校してるコイツが一柱(ひとばしら) ヒート、俺の幼馴染で外国人の母親の影響でカワイイもん(萌って言ったっけな)に目が無い。

「そゆとこー、もーモエっち〜彼氏できないよー」

 チャンスだ!俺はコイツに惚れている、だから今から告白する。

「ヒーちゃん、俺はヒーちゃんに俺のかれ……」

 立ち止まって振り返って全神経を集中して言葉を発そうとした、だから気が付かなかった車が俺に向かって突っ込んできていることに。

「モエ!」

 ヒーちゃんの全体重が乗ったタックルに俺は後ろに思わず後ろに飛んだ、次の瞬間、俺のいた場所でトラックが壁とキスをした。

「無事でよかった……」

 ヒーちゃんの体はエゲツないことになった。

 

 これが俺がこの戦いに出場する理由だ。

 

 ヒーちゃんは生きてる、けど会話はできない、植物状態のヒーちゃんのお見舞いに毎日行った、そんなある日に。

「お嬢さん、どんな傷も、どんな病も治すことができると言ったら、貴女は何を捧げれますか?」

 この怪しい男と出会った、そんで俺はこの戦いに参加した。

 聞けばこの戦いは儀式だそうだ、病院を建てる前にこの儀式をするとその病院は儲かるらしい、まあ俺にはそんなことは関係無かった、ただ見せられてしまった、前回の勝者がコールドスリープされた脳味噌から人間を作り出す瞬間を、人がほとんど死んだ状態から生き返る瞬間を、だから俺は信じないわけにはいかなかった。

 

 つまり俺達は集められた、部屋の中には俺を含めて七人の男女がいる、俺はこいつらがどんな人間かは知らない、知る必要もない、これから俺はコイツらを殺す、人を助ける為に戦おうとしてるコイツらは悪人じゃないんだろう、だけど殺す、仮に悪人だったとしてもそれは殺しが許される理由にはならない、だから殺す、仮に善人だったとしてもそれも殺さない理由にはならない、殺す。

 部屋の扉が開かれる。

 広い広い空き地、俺達は一度見た、けどその空き地の中心にあるそれを、俺は初めて見た、大きな丸い……石?

「初めまして、地球です」

 鮮やかな青に色付き宙に浮く、地球を名乗ったソレの周囲に小さな球が7つ出現し、そのうちの一つの赤い球が俺の胸に飛んできた、思わず叩いたがすり抜け俺の胸の中に入り込む。

「あなた達は力を得ました、私は見ています」

 地球?はそんなことを言って溶け落ちるように落下し地面に消えた。

 もう、始まってるのか……?

「相手を殺す魔法」

 突然、若い男が近くにいる女性を指差してそう言った、何も起こらない、男は首をひねり、そしてズボンの社会の扉に手を入れ自分のチンコを引き抜いた、待って!チンコって取れるの!?

「エゲツな!」

 俺は思わず唖然として声を出し口を開けて眺めてしまった、チンコと一緒になんか色々と引っ付いてる、それがねじれて一本の棒みたいになってその先からレーザーが出た。

「なっ!」

 俺以外も驚いてる、そして、さっき指差された女性の首を焼き切りふっ飛ばした。

「なるほどな」

 男はそう言った、そして杖の先は俺に向けられた。

「キィヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

「クソッぉおお!もう始まってんのかよ!」

「七色の球……地球……陰陽……」

「やってやんよぉおおおお!」

 殺す、俺は目の前の男を殺す、レーザーが迫る中で、そう考えた時、腹が、胃の中、胸が燃えるように熱くなった手を入れて取り出そうと思うほど、私は気が付いたら皮を突き抜けて心臓を掴んでいた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

砕いて潰して分解するが味は下の下

「ヒーちゃんはさ、どうして俺なんかと一緒に居たんだよ」

 今日も俺はヒーちゃんに話しかける、学校から帰る間に病院に寄っていつもこうしてる。

「俺さ、ヒーちゃん以外に友達なんて居ないんだ、ヒーちゃんが居なくなって、初めて、気が付いたんだ」

 俺は可愛くなりたいとは思えない綺麗になりたいとも思えない、可愛いよりカッコイイの方が、綺麗よりも無骨でゴテゴテしてる方が、俺は好きなんだ、同年代の女子と話が合わない、そんなこと俺はずっと前から知ってたのに。

「俺は、きっと、ああ、エゲつねぇ、ヒーちゃんが好きなんじゃないんだ、ヒーちゃんで妥協したんだ、俺はキショい野郎だ」

 俺はヒーちゃんを事故に合わせてから、普通の日常に戻ろうとした、いつもみたいに学校に行って友達と思ってた奴らに話しかけた、そして俺は疎外感を感じた、目の前の相手が今まで話していた相手じゃなくなったような違和感、自分が透明になったような相手の認識の中にいないような不快感、俺は孤立した。

「俺の好きなタイプの男を前に話したろ?筋骨隆々で俺よか身長が高くて話の合う男って、あれは本気なんだぜ、けど俺はお前を好きなった」

 簡単な話だ俺は最初から孤立する人間だった、ヒーちゃんが居たから俺はみんなの輪に混ざれてただけで、俺みたいな変人は、ヒーちゃんと違って社交性の無い変人は孤立する、当然のことだった。

「俺は、これが本当の愛なんだ、とか、愛と性欲は違う、だとか、もっともっぽい理由を付けて、その好きな気持ちに、正直になろうとした」

 ああ、俺は何をやっている、何で涙を流してる、俺に涙を流す資格なんてあるのかよ、感情が俺の何もかもをバラバラにするみたいだ。

「逆だったんだ、愛じゃなくて性欲だった、きっと俺は男なら誰でも良かったんだ、ヒーちゃん、俺はお前に告白する資格なんてなかった」

 ダセェ、俺は何をやってるんだ、結局、俺がやってるのは学校で孤立したストレスを物言わぬ相手に愚痴としてぶつけてるだけじゃねぇか。

「ごめんな、ごめんな、俺のせいで」

 自分のエゲツなさに嫌気がする、こんな俺じゃなくて何でヒーちゃんなんだよ、ヒーちゃんのことを割り切ろうとした薄情な俺じゃなくて、何でいつも俺のことを思ってくれてたお前なんだよ。

「俺のせいで、ああ、あああああ、俺のせいで、ごめんな、ほんとに、俺のせいで……」

 ピッピッと心電図が鳴っていた。

 

 心臓の鼓動はどうしようもなく命の尊さを主張する。

 

 俺に向けられた杖!俺はレーザーを逸らす、それだけを考えた、それが現実的だと思ったから、何か、無いのか!そう思って俺は自分の体の熱に気が付いたんだ。

 

 俺は心臓を取り出していた手の中でドクンドクンと脈動するソレを見て俺はキッショって思ったね。

「うあああああ!くんじゃねえええええ!」

 心臓を掲げて盾にする大量の血を噴き出しレーザーが逸れる、ヤベェこれエゲツない、しかもむっちゃ疲れるし、頭がクラクラする。

「むっ、まあ楽勝ってわけにはいかないか」

 チンコ杖を持った男がレーザーを止めた、心臓を胸に戻す、状況を整理しろ、俺!

「やってやんよ!」

 中年の男が首に手を入れ赤い枝?を引き抜きレーザマンに向かって駆け出す、あれは……神経か?

「チッ、2対1は不利だな」

 チンコ杖マンはチンコを元に戻して喉仏に手を入れる、そして喉から肺にかけての気道と肺が取り出され、ソレを背中に付けた、ジェットパックのような形になり火を噴きながら遠い空へと飛んでゆく。

「待てや変態!」

 神経を取り出した男……神経マンでいいか、神経マンの持ってる神経が広がり、その表面にチンコ杖マンと同じように肺が貼り付けらる、巨大な団扇に変わりソレを下に向けて扇ぎ空の彼方へ飛んで行った。

「なんなのよ!」

「それな!」

 一人のふくよかな女がうずくまって叫んだのに思わず同意しちまったが俺も覚悟を決めないとな。

 そうだ全員殺さなきゃならないんだ。

 目の前の女を殺す、そう決めたら下腹部が熱くなった、だんだん慣れてきた、今なら腸を取り出せるってのが分かる。

「なあ一緒に協力しねぇか?俺ら」

 目の前の女はメソメソして俯いてる、もっと近づいて腸を使えば頭をクビリ飛ばせる、確信がある、腸が剣に変わって火を纏いながら振るえると、確信できる。

「いい考えですねぇ」

 俺に差し向けられる銃口、ニヤニヤと笑みを浮かべた青年が銃口を俺の(おでこ)につきつけた、は!?

「は!?」

 こいつどこから出現しやがった!どうやってふくよか女と俺の間に入りやがった!?突然出現しやがった、さっきから不思議なことばっかり起きやがる!

「ああそうだ妊婦さん、武器は戻してくれません?私は協力したいんですよ、あなた達二人と」

 そう言って腹から腸?を取り出し、その腸が薄くなり光沢を帯びナイフに変わった、それを俺の首に当て銃をふくよか女に……待てや、妊婦だって!?デブってるだけじゃなかったのか……

「あーもう!なんでこうなるのよ!」

 妊婦さんは胸元がはだけて両手にナイフのような物を持っていた、それが(ほど)けてなんかエゲツないイソギンチャクみたいになる、それを妊婦さんは胸の中にしまう。

「乳腺ですか、やっぱり血管とかの器官も武器にできるんですね」

 男は拳銃を手に持ち自身の首をポリポリと()く、その言葉を聞いて俺はやっと気がついた俺は自分の体を好きに取り出せるという事実に、おかしくねぇか?だって変じゃねぇか何で俺は自分の内臓を好きに取り出せるって確信してるんだ?エゲツねぇぐらい混乱する。

「何だこれエゲツなくないか?」

 思わず声が出た。

「凄いですよねこの儀式、七医贓(ないぞう)でしたっけ?少なくとも100年以上前からやってた記録があるんですよねぇ、占星術と何らかの関係があるんじゃないかと(にら)んでたんですけど七曜でしたかぁ、いやぁ全然思いつきませんでした、超自然的な力を使って戦うのは予測できてたんですけ……」

 ペラペラと聞いてもいないのに語りだす、俺らは少し距離をとって座った、空には満月が爛々と輝いていた。

(わけ)わかんないわ!あんた!何で銃なんて持ってんのよ!」

 マジでそれな!妊婦さんとは気が合うな。

「……なんですよ。それでなんでしたっけ、なんで銃を持っているかでしたか?それは私が遠くから相手を攻撃しようと考えたからですよ、過去の文献を漁ってる時に『戦いの初心者であるが望む武器を与えられたので思うままに戦えた』という言葉を発見したのです、そしてこの力を得た時にその言葉を思い出して試してみようとしたんですよ、そして気が付いたんですよ、願うことで内臓を武器にできると」

 願う、たしかに俺はさっき妊婦さんを殺そうとした殺そうとしたから腸を剣に変えれたのか?俺も銃が欲しい、そう思うと心臓を掴める、心臓を掴んで取り出して銃に変えられる、俺は心臓を取り出して銃に変える。

「ッ!?待ってよ!そこの露出狂オンナァ!」

 妊婦が服を(まく)り上げて下腹部に手を入れる、俺はそれを許さずに銃を向け……

「やめましょう、私達は仲間じゃないですか、それに、あなた達じゃ日曜に、太陽には勝てませんよ」

 そう言ってペラペラ男は拳銃を『パシュッ』発砲した、レーザーで殺された女の生首に対して、そしてその生首の眉間に金属の杭が刺さっている、これが銃の威力……ッ!遠くから一瞬で相手を殺しえる……

「弱いでしょう?この銃」

 え?何を言って……ペラペラ男は眉間に刺さった金属を引き抜く。

「見てくださいこの弾を、長さは10cmほどで深く刺さっておらず骨で止められ刺さった長さは1cm(センチ)もいってないんです、しかも連射が効きません今ので息が止まるような疲労感に襲われました、つまり銃で戦うのは有効策ではないんですよ」

 妊婦がこっちに銃を向けている、俺は見ていた、ペラペラ男の言ってることも念のため聞いてたし見ていたが、妊婦にも目を向けていた、妊婦の野郎は赤ちゃんを取り出して銃に変えた、エゲツねぇ。

「自分の星と違うことをすると負荷が大きくなると思うんですよね、ねえ、心臓の人?」

 俺の方にペラペラ男が声をかけてくる、心臓の人って俺のことか?たしかにさっきから取り出してたのは心臓ばっかだが。

「何だ!?」

 妊婦の持ってる銃はデカい、拳銃じゃなくて兵隊が持ってる感じのデカいやつだ、ヤバそうだから絶対に目を離せない。

「あなたは水星じゃないでしょう?あと心臓をよく取り出してるから土や木じゃないと思うんですよねぇ、激しく動くイメージありませんし、ちなみに私は金星ですよ、この杭みたいに金属を出すことはできるんですけどねぇ、それ以外の火や水は出せないんですよ、つまり私達は自分の星に合った物を生成できるんです、ですからあなたは水星ではありません、水属性なら血を噴き出すんじゃなくて水を出せば良かったですから、そう考えると……あなたは火星ですか?」

 何を言ってるんだ?今は硬直状態だ、ただペラペラ男の話を聞くしかない。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。