天才と規格外と召喚獣 (ゆん)
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第0話 始まり
なのですべて不定期更新になりそうです。
温かい目で見てくれたら幸いです!
ある日の夜、1人の女性が電話で話していた。
「……うん、わかった。ありがとね」
『気にするな。俺も退屈してたところだったし』
「ならよかった。それじゃ、また」
そう言うと、女性は通話を切った。
その時を見計らっていたのか、1人の男性が女性に近寄った。
「なんて言ってた?あいつ」
「え?『俺も退屈してたところだったし』だって」
「相変わらず声真似が上手いな」
「どうも」
2人は静かに笑うと、窓の外を見た。
「久しぶりだな、日本に帰るのは……」
「うん。どのくらい成長してるかな?」
そう言うと2人はある写真を見た。そこには男の子と女の子が3人ずついる。
皆手をつないだり肩を組んだりして笑っていた。
「んじゃ、そろそろ寝るか」
「朝早いんだから、寝坊しないでね?」
「わかってるよ」
そして2人は写真に向かって言った。
「「おやすみ。『明久』、『秀吉』、『優子』、『
*
「ふぅ……」
通話が終了した時、彼は笑顔だった。
「こうなった以上、学校生活が楽しみだな」
その時、部屋の扉がノックされ、「どうぞ」と言うと1人の執事が入ってきた。
「そろそろ就寝の時間です」
「そんなものはわかっている」
「ですが今のあなた様は体が宙に舞っています。それに明後日の学校が楽しみなのでしょう?」
「う……。さすがは塚本だな」
彼は塚本という執事の言葉に苦笑いをした。
だがそんな顔もすぐにほころび、窓の外を見ながら言った。
「おやすみ、塚本」
「おやすみなさいませ、明久様……」
塚本は部屋の外に出て彼――――――明久に向かって一礼をすると、ゆっくりと扉を閉めた。
*
とある家の居間では、2人の少年少女が話をしていた。
「それじゃあ、明後日に日本……いえ、学校に来るのね?」
「明久はそう言っておったぞ」
少年はたった今明久と電話で話していた。そして教えてもらったことを少女に話していた。
この時少年はキラキラと輝いた瞳を、少女は希望に満ちた瞳をしていた。
すると扉を開ける音が聞こえ、1人の少女が居間に姿を現した。
「そっか、来るんだ……」
「愛梨、あなたもしかして聞いてた?」
「うん。盗み聞きみたいでごめんね、秀吉、優子」
「気にしないで」
愛梨は秀吉と優子に向かって謝罪をしたが、気にするなと優子は言った。
そして3人は窓の外を見た。
「明後日が楽しみだね」
「そうじゃのぅ」
3人はしばらく外の景色を見てからそれぞれの部屋へと戻っていった。
どうでしたか?
こんなふうにした方がいい、などがありましたら是非教えてください。
それでは、また次回。
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第1話 クラス分け
そして原作キャラが崩壊します(笑)
つまらないつまらないつまらないつまらない。
どうして学校なんかに行かなきゃならないんだ。
そう聞くと「勉強をするため」と大人は言うけど、それなら通信教育でもいいじゃないか。
最初はそう思っていた。多分、俺の幼なじみも。
だけど文月学園の2年生になってからはすごく楽しくなった。
なぜか?それは多分……
―――――――Fクラスにいるバカ共のおかげだ。
*
桜が満開に咲き誇るこの日、2・3年生はクラス分けの通知をもらう日だった。
文月学園はA~Fクラスに分かれており、頭が良い人はAクラス、頭の悪い、いわゆるバカはFクラスに振り分けられるのだ。
そして一緒に登校している明久、秀吉、優子はその話をしていた。
「ワシらはどうなるのじゃろうな」
「何事もなければAクラスに入れるだろうな」
「できればFクラスがいいんだけど……」
秀吉が問い、明久がAクラスに入れると言った時、優子はFクラスがいいと言った。
それを聞いた2人は疑問に思い、優子に聞いた。
「どうして嫌なんだ?」
「1年の時はAクラスがいいと言っておったのに」
すると優子は何かを思い出したのか、怒りに震えていた。
それと同時にストレスを発散させるかのように思いきり叫んだ。
「だって明久君と一緒のクラスになるためにほとんどの女子が勉強してるんだもの! 明久君は私の彼氏だって言っても『二の次でも構わないわ!』って言うし! そうしたらAクラスは女子だけになっちゃうじゃない!」
「落ち着くのじゃ、姉上よ!」
「そうだぞ。それにたとえAクラスが女子ばっかでも俺の彼女はお前だけだ」
「あ、明久君……」
このやり取りで2人の空間がピンク色になり、それに慣れている秀吉ですらも逃げようとした、その瞬間、
「いちゃついていないで、とっとと来いっ!」
西村先生、通称『
「西村先生、おはようございます」
「はよう、西村」
「おはようじゃ、鉄人よ」
「おはよう、木下姉。そして吉井、先生を呼び捨てにするんじゃない」
「ほいほい」
「返事ははい、だ。それから木下おと……妹は堂々と鉄人と呼ぶな」
「呼ばないから弟に直してほしいのじゃ……」
………とまあ、明久達にとってはいつも通りの挨拶を終えると、鉄人は3人に封筒を渡してきた。
封筒にはそれぞれの名前が書いてある。―――――――優子を除いて。
「あ、あの、先生、これは……///」
「? 優子、どうし……んなっ!?」
「なるほどのぅ……」
優子のところには『木下優子』ではなく『吉井優子』と書かれていたのだ。
それを見た優子は耳まで真っ赤にし、明久は驚きのあまりその場で硬直し、秀吉はただニヤニヤしていた。
「ん? あー、それは多分、学園長が勝手にやった」
「「やっぱり……」」
「うむ、学園長はよくわかっているのぅ」
それを聞いた明久と優子はため息をつきながら呆れ、秀吉はうんうんと頷いていた。
ちなみに明久達にとって学園長は高度な技術を持っている尊敬できる人であり、自分達をわかってくれる良き理解者であった。
しかし1つだけ問題があった。それが『イタズラ好き』であった。
そこがなければ完璧な人なのに……と思ってしまうほど、イタズラが大好きなのだ。
なので今回みたいな嬉しいような恥ずかしいような共感できるような何とも難しい感情を生み出すようなこともするのだった。
明久と優子は封筒を見て再び固まってしまい、秀吉は純情じゃのぅ、と呟くと、2人の前まで行った。
「明久、姉上よ、そろそろ戻ってくるのじゃ」
「「……ハッ!?」」
意識が現実へと戻ったのを確認し、秀吉は封を開けた。それに続いて2人も開ける。
そして開けながら、明久は鉄人に聞いた。
「どうしてこんな面倒なことをするんすか?」
「どうやら、文月学園独自のやり方でやっていきたいらしい」
「「「だけどこれは資源の無駄だな(無駄ね)(無駄じゃな)」」」
鉄人の言ったことに明久達が即答すると、ビリっ、という音とともに3人の封が開いた。
その中に入っている紙を開いて見ると明久は無表情でやっぱりかと呟き、秀吉は安堵のため息を漏らし、優子は顔が真っ赤になったが、またすぐに落ち込んでいた。
『吉井明久 Aクラス 代表』
『木下秀吉 Aクラス』
『吉井優子(旧:木下) Aクラス』
当然と言えば当然だが、3人はAクラスだった。
「お、やっぱり皆Aクラスか」
「良かったのじゃ」
「あうう……Aクラスがハーレム状態になっちゃう……」
優子が沈み、明久と秀吉が励ますという光景をしばらく見て、鉄人は言った。
「ほら、さっさと行け。特に代表は最初に挨拶するんだからな」
「うあ……めんどくさ……」
「そんなことしたら、余計に明久君に人気がぁ~~~……」
「ほら、2人とも、早く行くぞ」
秀吉にそう言われ、3人はAクラスへと向かおうとした。
しかし明久は何かを思い出したかのような素振りをし、鉄人に聞いた。
「先生、愛梨は……」
「仕事が終わっていれば、教室にいるはずだ。あいつもAクラスだからな」
「ん、了解しました」
もう聞くことはなかったのか、明久は待っている2人のところに向かって走り出した。
3人の影が見えなくなった時、鉄人は小さな声で呟いた。
「Fクラスはあいつが代表だから大変かもしれんが……頑張れ」
それは誰にも聞かれることがなく、鳴ったチャイムにかき消された。
明久達についてはこんな感じでやっていく予定です。
次回、転校生を出します。(多分……)
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第2話 自己紹介
「「でか……」」
「これはまたすごいのぅ……」
明久達はAクラスに着いた。しかし設備は個人エアコン、冷蔵庫、リクライニングシート、その他もろもろ豪華な品々があり、まるで高級ホテルのようだった。
3人はしばらく硬直していたが、気を取り戻し、明久は扉に手をかけた。
それを秀吉はワクワクしながら、優子は扉を睨めつけながら見ていた。
そして明久が扉を開けた、その瞬間、
『キャーーーーーーッ! 明久様ーーーーーーっ!』
「うおっ!?」
クラスの中から雪崩のように女子が走ってきて、そのまま明久を囲った。
明久は驚いて周りをキョロキョロしていたが、自分がどうなっているかを理解して、女子に言った。
「おい、前に進めないんだが……」
『あ、明久様! 私が案内しますわ!』
『ちょっと、ずるいわよ! 私も案内したいのに!』
『それなら私だって!』
しかしその言葉は事をさらに大きくしてしまい、明久の手には負えなくなっていた。
そんな光景を見て、秀吉はニヤニヤしながら明久達と優子を交互に見て、優子は怒りで震えていて、手で拳を作っていた。
そしてついにキレたのか、優子が大群の中に飛び込もうとした。その時、
「あなた達、いい加減明久から離れなさいよ」
誰かはそう言うと大群の中に入って行き、戻った時には明久の手を握って出てきた。
その人は明久達の親友の、河本愛梨だった。
「大丈夫? 怪我とかしてない?」
「ああ、大丈夫だ。助けてくれてありがとな」
「どういたしまして」
愛梨は明久にニコリと微笑むと、女子達にむかって言った。
「ほら、HRが始まるから席について!」
その声を聞いた女子は、不満な顔をしながらしぶしぶ席についた。
ちなみに明久の前が優子で後ろが秀吉、秀吉の左隣が愛梨で、明久の左右の席は空席だった。
そして全員が席について静かになった時、ちょうど先生が入ってきた。
「皆さん、進級おめでとうございます。自己紹介の前に設備についてですが、不備などがありましたら言ってください」
(え、その確認するの? Fクラスとかならともかく)
(つか、そんなものねーよ!?)
(そんなこと言う人いないし、第一これで不備があったらどれだけよ!)
(Aクラスにどれだけの費用を使おうとしているのじゃ……)
先生の言ったことに明久達は心の中でツッコミながら、学園長に対して呆れていた。
先生は周りを見渡し、誰もいないことを確認すると、明久の方を見て言った。
「それでは代表の吉井明久君、前に出てください」
「う……ついにきたか……」
『明久様、頑張ってーーーーーー!』
『一生応援していますわーーーーーー!』
「しなくていいわよ! 私がいるもの!」
「姉上、落ち着くのじゃ」
「あんまり気にしない方がいいよ」
明久は前に出て女子(優子、愛梨除く)からは「明久様、愛しています!」というオーラと共に見られ、男子(秀吉除く)からは「羨ましいぞ、こんちくしょう!」というオーラと共に見られていた。
そんな視線にたじたじになりながらも、考えるそぶりを見せ、口を開いた。
「えーっと、代表になりました吉井明久です。試召戦争はやる気はありませんが、他クラスが仕掛けてくることを前提に準備等はしておいてください。勉強は普通に出来ると思うから、操作を慣らしたりとか」
言いたいことを言い終わったのか、明久は先生に一礼してそのまま席に戻った。
そして明久の言葉を聞いたAクラスの人達は、それに同意しながら話し合っていた。
「それでは挨拶も終わりましたので、自己紹介をお願いします」
先生がそう言うと、廊下側から順に自己紹介をしていき、明久の前の優子になった。
優子は立ち上がると教室全体を(主に女子にむかって)睨みつけて言った。
「木下優子です。後ろの席にいる吉井明久君の彼女です。なので明久君を口説こうとか、そういう事は考えないでください。以上です」
言い終わった後に優子は再び睨みつけ、席に座った。
それを聞いた明久は頬を掻きながら紅潮させ、秀吉は頷きながら手を叩き、愛梨は微笑ましく見ていた。
次は明久なのだが、さっき挨拶をしたからということで飛ばされた。
それを聞いた女子はがくりとうなだれ、優子はこっそりガッツポーズをし、明久はホッとしており、さらにその光景を見た秀吉と愛梨は苦笑いをしていた。
「さてと……。木下秀吉、演劇部に所属しておる。それから1つ言っておくが、ワシは男じゃからの」
秀吉は一息つくと席に座り、しばらくすると愛梨の番になった。
「えーっと、河本愛梨です。よろしくお願いします」
愛梨が席につくと、その後も自己紹介が続き、全員言い終わったのを確認すると、先生は一呼吸してから言った。
「では、みなさんにお知らせです。今日からAクラスに2人転入生がきます。仲良くしてください」
先生がどうぞというと、背丈があまり変わらない2人の男女が現れた。
その2人とは……
「この2人は外国から来た『
明久達の幼なじみであり親友という6人で1つというくらい大切な存在だった。
そしてその6人は中学のころに
……すみません。名前しか出てきませんでした。
次回、(書きませんが)Dクラス対Fクラスです。
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第3話 転校生登場、そして試召戦争開始
遥希と遥奈が教室に来た時に明久達は叫びそうになったが、それよりも早くある2人が叫んでいた。
「「明久、秀吉、優子、愛梨!」」
「「うわっ!?」」
「「キャアッ!」」
2人はは名前を叫んだと同時に遥希は明久と秀吉に、遥奈は優子と愛梨に抱きついた。
明久達はそれを予期して少し構えていたので倒れることはなかったが、それでも衝撃があったので倒れそうになってしまった。
「っと……危ないだろ?」
「次からは勢いをつけないでほしいのじゃ」
「ん、了解」
「あなたもよ? 遥奈」
「ほーい。以後気をつけまーす」
「絶対ですからね?」
そんなふうに雑談していると、女子生徒が2人こっちに来た。
それを見た優子は相手を睨みつけながら明久に抱きつき、明久と秀吉はそんな優子を落ち着かせ、愛梨と遥希と遥奈は首をかしげながら見ていた。
1人は黒髪のロングヘアーでまさに容姿端麗、才色兼備という言葉があっている人だった。
もう1人は黄緑色のショートヘアーで活発そうな人だった。
「えーっと、2人は誰?」
「……私は霧島翔子。Fクラスにいる坂本雄二の妻」
「工藤愛子だよ! 趣味は水泳と音楽鑑賞で、スリーサイズは上から78・56・79! 特技はパンチラで、好きな食べ物はシュークリームだよ! よろしくね♪」
「「「「「って、ちょっと待てーーーーーい!!」」」」」
2人の自己紹介に、思わず明久達は突っ込んでしまった。
「妻って何!? そこは彼氏じゃないの!?」
「……将来結婚する」
「その時は祝福するが今は彼氏じゃろうが!」
「お前はなんだよその特技! しかもスリーサイズとか言わなくていい、っていうか言っちゃ駄目だろ!」
「あれ、遥希君、だっけ? もしよかったら保健体育教えてあげようか? もちろん、実技で……ね♪」
「そんなんいらねーよ!?」
「それじゃあ、吉井君に教えてあげようかな」
「それは絶対だめぇーーーーーーーっ!!」
そんな中ただ1人、突っ込まずにゆっくりと愛子に近づく人物がいた。
その人物、遥奈は愛子の手を両手でつかみ、
「遂に同志発見!」
「「「「「同志にならなくていいから!?」」」」」
………同志を発見して喜んでいた。
そんな時、校内に放送が流れた。
『えー、船越先生、船越先生、2-Aクラスの吉井明久君がお待ちしています。至急体育館裏に来てください』
「…………え?」
「え? 吉井君、ここにいるよ?」
「てことは……」
「……船越先生を呼び出すための作戦」
「ほうほうなるほど……って、ちょっと待てーーーーーいっ!!」
明久が叫び、その場から逃げ出そうとした、その時、
『繰り返しま(バンッ)!? だ、誰だお前ら! え、歯を食いしばれ? ちょっ、まっ、ギャアアアアアアアッ!!!』
「「「「「「「…………」」」」」」」
しばらくの静寂。すると放送が再び流れた。
だが、その声は最初に放送した人ではなく、明久達がよく知っている人物の声だった。
『あーあー、船越先生、今のは放送室にいる男子生徒の照れ隠しです。なので早く来てあげてください。婚姻届を持って』
『それからFクラス男子ー、姫路と島田がお前らとヤりたいって言ってるぞー』
遥希と遥奈がそう言った、その瞬間、
『『『うおおおおおおおっ! 姫路さーーーーーん! 島田さーーーーーん!』』』
『『イヤァーーーーーーー!!』』
Fクラス男子と女子2人の叫び声が聞こえてきた。
これを聞いて明久達が固まっていると、とてもスッキリした顔で2人が戻ってきた。
「「ただいま~~~」」
「2人とも、何やってるのよ……」
「いや、あいつらが明久に暴力振ってるって話を聞いてたから、つい」
「そ。だから自業自得だよ」
2人のこの態度に、明久達はこれ以上言うのを諦めた。
ちなみに試召戦争ではFクラスが勝ち、姫路と島田も処女を守りきったとさ。
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第4話 Fクラスのまいた種、開花
「「「どりゃぁああああああああっ!!!」」」
『『『ぐぁああああああああっ!!』』』
ここ、Aクラス前の廊下では、ある3人がCクラス男子を一発でけ散らしていた。
ちなみに、その3人とは、明久、遥希、遥奈であった。
「………えーっと……」
「私達、ここに来なくてもよかったんじゃ……?」
「あ、あはは……」
なぜこのような状況になったのか。
それは、Fクラスによる作戦と、Cクラスの勘違いから始まった――――。
*
ドバンッ、という音がしたのでそちらを見てみると、しかめっ面で完璧に怒っている1人の男子生徒がいた。
「木下優子はいるか!」
「え、私?」
優子はその人物を知らなかったため困惑したが、そんなのもお構いなしに、その男は話を続けた。
「さっきはよくも罵倒してくれたな……! 我々Cクラスは、Aクラスに試召戦争を申し込む!」
『『『はぁっ!?』』』
「ちょっ、罵倒ってどういう事よ! 私はずっとここにいたのよ!?」
「嘘つくな! さっきお前はCクラスに来て『黙りなさい、この豚共!』って言ったじゃねぇか! こっちだって、テメーみたいなブスで可愛くなくて、愛想もよくない、嫉妬深い雌豚に言われたくねーよっ!!」
優子はその男の言い分を聞き、慌ててそのことを否定したが、男はそれを聞いていないかのように、黙々と話を続ける。
―――――まさかそれが、自分の立場を危うくしているとも知らずに。
「ほ~う……お前今、優子にナンテイッタ? ブスデカワイクナクテ、アイソモヨクナイ、シットブカイメスブタ……?」
「それがなん……ヒィッ!!??」
男が振り向いたその先には、悪魔を後ろに連れている、そんな雰囲気をまとわせている魔王……明久がいた。
まぁ、実際は後ろに黒いオーラをまとっている遥希と遥奈もいたのだが……。
「テメェ……シヌカクゴハアルヨナァ? ユウコヲバトウシタンダカラヨォ?」
「イイコエデナイテネ……♪」
「う、あ………ああ……」
ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
………この日、Aクラスには『魔王がいる』という噂が流れた……。
*
「「「終わった☆」」」
「お、お疲れ様……」
「あんまり疲れてないとは思うけどね……」
しばらく……と言ってもたったの3分だが、Aクラス対Cクラスの試召戦争が終結した。
そして明久達が休憩(?)していると、優子が明久のところに歩いて行った。
「優子、どうしたんだ?」
「あの、その、えっと……私が彼女で、ごm「ストップ」え?」
優子がモゴモゴ言っていると、明久は優子を抱きしめた。
それを見ていた女子軍は顔を真っ青にして叫び、優子は頬を赤らめていた。
「あ、あの、明久!?」
「……心配するな。俺の彼女は優子、お前1人だよ」
「っ!! うん、ありがとう……」
明久の言葉に優子は涙を流し、明久はそれをぬぐった後、皆に向かって言った。
―――――今までにないくらいの怒りの表情で。
「お前ら全員
『『『おぉーーーーーっ!!』』』
そして、後にFクラスは後悔することになる。
自分たちの手で、誰も勝つことができない、最強で最凶の人物を生み出してしまったことを――――。
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第5話 怒りと挑発と新たな恋の幕開け!?
明久達は息を殺し、だんだんと大きくなっていく足音を聞いていた。
そしてその足音がAクラスの前で止まり、扉が徐々に開いていった。
「失礼すr「総員狙え!」h「「「了解!」」」はぁぁあああああああっ!!?? あぶねぇーーーーーーーーっ!!!」
明久のかけ声を聞いたAクラスの面々は、扉の目の前にいた人物にむかってカッターやらナイフやらを投げた。
それに反応した人物――Fクラス代表の坂本雄二は、ギリギリのところで回避した。
また、避けられたことがわかったAクラスの人達は……
『『『チィッ!!』』』
………思いきり舌打ちをしていた。
「お前らなんなんだよ!? 俺がなにかしたか!?」
「『なにかしたか』だぁ? お前らは直接じゃないにしろ、優子を罵倒したんだ。シヌカクゴハアルヨナァ……???」
『『『リア充くったb「「死んでろぉ!」」ギャァアアアアアアッ!!』』』
また、FFF団はそれを聞いて明久に攻撃しようとしたが、遥希と遥奈によってあえなく撃沈していた。
そんなこともお構い無しに、明久はただただ雄二にむかって殺気を大量に放出していた。
それを察知した雄二は大量に冷や汗をかき、傍にいた秀吉に助けを求めようとした。
しかしその秀吉もかなり怒っているのか、明久程ではないにしろ殺気を放出しており、自慢のポーカーフェイスも崩れていた。
かなりまずいことをしたかもしれない、そう心の中で思いつつも、頑張って話をしようとした。
「そ、それで、Aクラスに言いたいことがあるんだが……」
「イッテオクガ、シショウセンソウハウケツケナイ。トイウワケデカエレ」
「んなっ!?」
「そういうわけじゃ。とっとと帰ってくれんかのぅ? お主らと同じ空気は吸いとうないのじゃ」
「秀吉まで……。じゃあ、どうすればやってくれるんだ?」
そう言われ、雄二は自分がどれだけ酷なことをやってしまったのか理解した。
雄二は明久と話したりしたことはなかったが、それでもここまで怒るということは、それほど許せないということだ。
だとしても、雄二はAクラスへの下剋上を成功させたかった。
だからこそ雄二はどうすれば試召戦争をしてくれるのかを聞いた。
「あァ?」
「……仕方ない。明久よ、試召戦争を受けてやるのじゃ」
「チッ……わかったよ」
秀吉が明久にそう言うと、渋々了承してくれた。
そのことに安堵した雄二は、一か八かの賭けで話し始めた。
「俺達Fクラスは、代表同士の一騎討ちで勝負したい。それが無理なら5対5の一騎討ちなどでも構わない」
「へぇ……いいぜ。5対5の一騎討ちなら受けてもいい。科目は全部そっちに譲ってやる」
「俺達にとってはありがたいが……いいのか?」
「ああ。そこからプラスで、Fクラスが1回でも勝てたらFクラスの勝ちにしてやるよ」
「っ! まさかそこまでバカにされるとはな…。ああ、その条件、のませてもらう」
明久がそう言うと、雄二はカチンと頭にきた。
Fクラスには瑞希や康太、美波がいるというのにバカにされたのがムカついたのだ。
それで雄二は遠慮なくその条件をのんだ。
「あれ、どうしたの?」
そんな時、さっきまで仕事をしていた愛梨が戻ってきた。
それに気づいた雄二は振り向き……
頬を赤く染めた。
それを見た明久達は目を見開き、心の中で思った。
(((まさかの惚れたーーーーー!?)))
確かに愛梨は性格が良くて容姿も可愛く、10人中10人が振り向いてもおかしくない。
しかし明久達は翔子から将来結婚する仲と聞いていたので、雄二が愛梨に惚れたことが意外だったのだ。
また、それがわかった翔子は……
「……浮気は許さない」
「しょ、翔子!? 俺は浮気なんてしてなぁあああああああああっ!!」
雄二にとても綺麗なアイアンクローを極めていた。
この時、Aクラスの人のほとんどが、こう思っただろう。
この試召戦争、どうなるんだ……と。
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第6話 試召戦争開始
「これより、Aクラス対Fクラスの一騎討ちを始めます! 1回戦、両者前に出てください!」
「ウチが出るわ! 科目は数学で!」
「島田なら、ワシが行こうかの」
先生の声と共に、秀吉と美波が前に出た。そして対峙する。
すると美波はニヤリと笑う。それを秀吉が怪訝そうに見た。
「なんじゃ? 島田よ」
「言っておくけどウチ、数学なら木下なんかに負けないわよ!」
「ほぅ……なら、さっさと召喚して点数を見せてほしいのぅ」
「ええ、いいわよ!
秀吉がそう言うと、美波は大きな声で台詞を言った。
しばらくすると、美波の目の前に召喚獣が現れた。
数学
Fクラス 島田美波 201点
それを見て秀吉が無言でいたのを美波は驚きととったのか、得意げな顔で身体を反らした。
「ふふん、すごいでしょ♪ 数学ならBクラスなんかに負けないんだから!」
「……確かに、Bクラスには負けないかもしれんのぅ。じゃが——」
秀吉はそう言って言葉を区切り、召喚獣を召喚した。
そしてその瞬間、ズバンッ、という音と共に美波の召喚獣がその場から消えた。
驚く美波を見て、秀吉は意地悪げな笑みを浮かべた。
「——じゃが、ワシの前では足元にも及ばん」
Aクラス 木下秀吉 4826点
『『『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??』』』
「ちょっ、木下! その点数はなんなのよ! あんたってバカなんじゃなかったの!?」
秀吉はそう言って喚く島田を嘲笑し、言葉を紡いだ。
「そんなの、ただの噂じゃろう? 第一、Aクラスにいる時点でバカじゃないと理解できたはずじゃ。それにワシは、中学の頃に天からの使者の『
『天空の、神………あああああああああっ!!』
秀吉がそう言うと、Aクラスの男子生徒が声を上げた。
それを聞いてほとんどの人は一斉にそっちを見たが、遥希と遥奈と秀吉は横目でその人を見て口角をつり上げ、明久と愛梨と優子は無表情で目を瞑っていた。
そしてその男子生徒のそばにいた女子生徒が声をかける。
『ちょっと、いきなり何!?』
『思い出したんだよ! どこかで聞いたことあると思っていたんだが……』
「おい! どうしたんだ!?」
ブツブツ言っているのが気になったのか、雄二が声を張り上げてそう聞いた。
その男子生徒はその声にこたえるように口を開いて話し始めた。
『吉井明久、風間遥希、風間春奈、河本愛梨、木下秀吉、木下優子……どっかで聞いたことあると思っていたんだが、今の二つ名で思い出した…!』
『二つ名……あっ! もしかして…!』
『おっ、俺も思い出した! すっげー有名だったよな!』
Aクラスから次々と思い出したという声が聞こえ、それはFクラスにも侵食してきた。
そしてガヤガヤとにぎやかになってきたところを先生が一喝したら、一気に静かになった。
「……それでは、2回戦を始めますので両者前に出てください」
「…………俺が行く。科目は保健体育で」
先生がそう言うと、Fクラスからは土屋康太が出た。
彼は保健体育だけならAクラスに匹敵する点数だったので、誰もが出ることを嫌がった。
そんな時、まるでヒーローのように前に出た人がいた。
その人物に、明久が声をかけた。
「……勝てるか? 遥奈」
「当然! どーんと任せてよっ☆」
遥奈はそう言ってニカッと笑うと、康太と対峙した。
しかし康太は相変わらずの無表情だったので、遥奈はちょっと遊んでみることにした。
「ねぇねぇ土屋君」
「…………なんだ?」
「スカートの中、覗いて見る気はある?」
「…………っ!?」
『『『ムッツリィニィィィィィィッ!!??』』』
遥奈がそう言ってスカートをチラリとあげた瞬間、康太は大量の鼻血を噴出した。
それを見てFクラス男子生徒は絶叫する。
一方その原因を作った遥奈は、転校してきたばかりだったのでこうなるとは思っておらず、Fクラスが康太に行っている作業を見て目を何度も瞬きさせており、状況を理解した瞬間に苦笑した。
「えーと……土屋君、なんかごめんね? 他の人に試合をやってもらって、回復した時にやる?」
「…………平気だ。俺はまだ戦える」
「あ、えと、うん、そっか……。それじゃあ、試合始めようか」
未だには鼻血を出しながらも立ち上がった康太を見て遥奈はさらに苦笑しながらも、すぐにニヤッと笑った。
そしてフィールドが展開された瞬間、2人が一斉に召喚する。
保健体育
Aクラス 風間春奈
VS
Fクラス 土屋康太 512点
『『『512点!?』』』
遥奈の点数はまだ表示されていなかったが、周りは康太の点数を見て声を上げる。
そんな中、明久達は無表情で召喚獣を見ていた。
しばらくすると、遥奈の召喚獣の近くに点数が表示された。
Aクラス 風間春奈 5985点
『『『ちょっ、なっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??』』』
「………っ!?」
「残念でしたっ♪ 保健体育が得意なのは、君だけじゃないんだよ?」
皆が驚いてるのを見て、遥奈は愉快そうに笑った。
「さてと、それじゃ――――『
遥奈がそう言ったと同時に、さっきまで無表情でいた明久達は口角をつり上げた。
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第7話 何とも奇妙な名勝負
昔の記憶を掘り起こしてハーメルンにログイン(これだけで2週間くらい経った模様)してみると、今でも待ってくれている方がいてとても嬉しかったので衝動書きしました。
そのため、謎の設定が生えました。
そのため、康太×オリ(オリ×康太?)表現があります。
それでも大丈夫だという方は、どうぞご閲覧ください。
「――――『
愉快だと言わんばかりに口角を釣り上げる遥奈を見て、康太は僅かに顔を顰める。
ちらり、と明久達の方を見れば、まるで我が子を自慢する親の如くドヤ顔をしていた。勿論、それに気付いたFクラスの面々は激おこ状態である。
そんな事など露知らない遥奈は、目と口に三日月を描く。それはさながら、獲物を狩る猛獣のように。
康太は少し思案すると、はあ、と溜息を吐いた。
「…………降参。勝てる見込み無さすぎる」
「こうさん……えっ、降参!? 嘘でしょ、挑みもしないでやめちゃうの!? 戦えないとか、そんなのヤダヤダつまんなーい!」
告げられた言葉に、遥奈は駄々っ子のように腕を振り回す。それを見て康太は困った表情をするも、どうやら撤回する気はないらしい。
さて、どうしようか。と、言うのも、試召戦争の歴史において、片方が戦意喪失からの降参、という流れが今まで無かったのが理由として挙げられる。
それに加え、遥奈が不戦勝する事に不満を持っているからだ。何なら、試合を続行させるために勝負を仕掛ける勢いである。
遂に足までも暴れ始めた彼女の騒音が辺りを包む。折れたのは、女子からの可愛(くはな)いお願いを目の前にして、決意が揺らいでしまった康太であった。
「…………わかった、ちゃんとやるから」
「ほんとっ!? わーい、やったぁー!」
えへへ、と嬉しそうな遥奈の微笑みに、雄二と康太以外のFクラス男子が膝から崩れ落ちる。さらば、女子に免疫のない哀れな男達よ。
崩れ落ちはしなかったものの、鼻血を大量に流してはいる康太を見て、遥奈はぴゃっと肩を跳ね上がらせる。そりゃ自身の笑顔でこうなるとは思いもしないだろう。
キュッと鼻にティッシュを詰めて、真剣な表情で遥奈を見据える。それに気付くと、クスリと笑みを零して口を開いた。
「あははっ! ちょっとは楽しめそーな予感!」
「…………手加減無用!」
直後、2人の召喚獣が交わる。周囲に爆風が巻き起こり、全てを吹き飛ばさんと言わんばかりに広がっていく。
誰しもが思わず目を瞑ってしまう中、遥奈と康太、そして明久達は召喚獣の交戦をしっかりと見届けていた。
しばらくして風が鎮まり、あまりの爆風に影しか見えていなかった召喚獣が姿を現わす。ぐら、とその場に倒れこんだのは――――康太の召喚獣だった。
Aクラス 風間遥奈 4998点
VS
Fクラス 土屋康太 0点
「2回戦、勝者Aクラス!」
高らかな宣言に、康太は軽く溜息を吐く。その顔には、確かな悔しさが滲み出ていた。
一方の遥奈はと言うと。勝ったにも関わらずこれと言った感情を表に出しておらず、パチパチと瞬きを繰り返している。
それに気付いた康太が、どうかしたのか、と一歩踏み出した時だった。
「……まさかここまで減らされちゃうなんてなあ。悔しいけど、でもそれ以上に楽しかった!」
にぱっと笑った遥奈が、スッと康太の目の前まで移動する。それに思わず後退しかけた康太の頬を、手で優しく包み込む。
ちゅっ
――――直後、康太の唇にキスが落とされた。
突然の出来事に、康太はブシャッと鼻血を噴き出しながら前のめりに倒れ込む。そんな彼を嬉しそうに抱き締めると、そのまま彼を抱えてAクラスの陣地に帰ろうと歩き出す。
そして――――
『『『ムッツリーニ覚悟おおおおおぉ!!』』』
「「させるかコノヤローーーーー!!」」
――――そして、明久と遥希のFFF団討伐戦が幕を上げた。尚完全な茶番劇(ただし本人達は決死の戦い)である。
当たり前ですが、書いてて楽しかったです。茶番がくっそ楽しい。
このまま他のも更新していきたいなとは思っていますが、ご覧の通り気まぐれ不定期野郎なので気長に待っていただけると幸いです。
それでは、閲覧ありがとうございました。
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