ドラゴンさんの東方見聞録 (伝説の超三毛猫)
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第一話:プロローグ

―――この物語はッ!

 

 

 

「よぉーーーし釣り上げたッッッ!! 今日のメシはこれで決まりよなァァァーーーーー!!!」

「ぽぉよ♪」

「大変!大変です!」

「あ?どうしたバンワド。え、またデデデがおかしくなったの?しょーがねーなあのペンギン。犯人誰だ?マルクか?マホロアか?……まぁいい、またぶっ飛ばしに行こうぜ。三枚おろしはその後だ」

「ぽよ!」

「おら、とっとと行くぞ」

「え、ボクもですか!?」

「当たり前だろ。40秒で支度しな」

 

 

 

―――ありとあらゆる世界を渡り、

 

 

 

「おいィィィィィィなにやってんだ○田!娘の料理がアレだからってそのリアクションはダメだろ!」

「誰が杉○だ!だって……は、鋼の味がしたんだぞ!?嘘だと思うなら食べてみろ!」

「なにを…………あー……なるほど。おい軍師(笑)!嫁になに変な味教えてんだ!!」

「そ、そんなにマズかったのかい!?」

「これを美味いって食えるヤツはクトゥルフ神話の邪神くらいだわ!」

「へぇ……そんなにお口に会いませんでしたか…?」

「あっ、ヤベ…ルキn」

「運命を変えます!!」

「ギャアアアアアアアァァァァァァァ!!!?」

 

 

 

―――あらゆる次元を旅した龍が、

 

 

 

「えー龍ちゃんもう帰っちゃうの?」

「もうちょっとぼく達とここにいようよー」

「悪いな全ちゃん。俺も帰らなきゃいけねー所に帰らないと」

「そっか」

「仕方ないね」

「俺はいつでも会えるからさ、また呼んでくれよ。あ、でも『力の大会』だけは勘弁な。俺が出たらゲームにならないだろうから」

 

 

 

―――ひょんなことから幻想郷に里帰りし、

 

 

 

「さて………お久しぶりですね、グランドクソ野郎」

「そうだな、久しぶりだなスーパー鯖読みBBA」

「幻想郷を作るだけ作って厄介事は私と隠岐奈に丸投げ。見つからないように別世界へ高跳びとか恥ずかしくないんですか貴方は」

「別に。俺はやりたい事だけやって使える人を使って好き放題やってるだけだからねぇ。人道というものを理解しながら無視すんのが俺だから」

「この悪竜死ねばいいのに」

「どうした?更年期だから沸点が下がったか?」

 

((クロスカウンターが決まる音))

 

「紫様ー、お茶請けをお持ち……紫様!?!?!?何をなさっているので!!!?」

 

 

 

―――あらゆる人妖に迷惑をかけつつ、

 

 

 

「あれ、お嬢ちゃんこんなトコでなにしてんの」

「…お兄さんこそなにしに来たの?」

「あー、この館の地下に強い気配がしたから来た」

「じゃあ…私と遊んでくれる?」

「いいよ。心臓が吹っ飛んだ方が負けでいい?」

 

 

 

―――時に異変に首を突っ込み、

 

 

 

「おっきー!!!異変やろうぜ!お前参謀な!!!」

「………突っ込みどころは山ほどあるが、私に何をさせるつもりだ」

「決まってんだろ、異変だよ。賽子にメチャ強い霊を憑依させて幻想郷にカジノをおっ建てるんだよ」

「なるほど、意味が分からん。もっと説明をよこせ」

「えぇ?普通に説明すんのと脳ミソ繋いで一瞬でデータ送るキング・クリムゾン的な方法とどっちがいい?」

「………普通で頼む」

 

 

 

―――時に異変の黒幕となったりしながら、

 

 

 

「コラァァァァァァァァァ!!!貴様、チルノ達に何を教えたのだァァァァァァァァ!!!!!」

「子供の作り方だよ!先生たるもの、それくらい保健体育で教えとけ!」

「だからって、あんなにあけっぴろげな教え方があるかァァァ!!余計な事を覚えたらどうするつもりだ!!!」

「えっちな娘が増えて万々歳」

「フンッッッッッ!!!!!」

「石頭ァァ!!?」

 

 

 

―――故郷で愉快な人生を送る壮大な物語である!

 

 

 

「見つけたわよ駄龍が!今日という今日は許さないわよ!!」

「わぁぁぁ待て!!たかが賽銭箱に武器をしこたま入れたくらいで……」

「十分だわ!さぁ覚悟なさい!」

「ホントに待て!今のスペカじゃあ、全力の0.1%も出せない――」

「問答無用!!!!!夢想封印!!!!!!!」

「あべしッッッッッ!?!?!?!?」

 

 

 

―――壮大な物語であるッ!

 




主人公紹介


亜葬祺(あそうぎ)龍斗(たつと)
種族:龍(正確には次元竜)
能力:『全ての世界を旅する程度の能力』

趣味と特技は料理と音楽。その気になればプロをも凌ぐ。
人形態は高身長、イケメン、金髪。
能力で文字通りどんな世界にもパラレルワールドにも行けるため、行ける限りを旅して最終的にチート化した。


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第二話:ただいマンモス

連載中の作品だけが増えていく!
一番ヤバいパターンだな!!
おのれディケイド(冤罪)


「いや~~~~、帰ってきたね、八雲邸」

 

 はい、里帰りしました。何年ぶりだろ?10年?20年?まぁ分からん。分からんから、とりあえず結界を乗り越えて八雲邸を探してみました。あいついるかなー、生きてっかなー。まぁ生きてはいるだろうけど、あいつらは常にどこに住んでるかわからんような女だしな。留守にしてる可能性もある。俺には関係ないけどな。

 

「ただいマンモス〜」

 

 ガラガラと扉を開けて入っていく。すると、どこからともなくスキマの群れが現れた。おしおし、いるな。

 

「あら、おかえりなさい」

 

 そして、それらが一瞬で閉じたかと思うと、屋敷の奥から金髪の美女が現れた。

 八雲紫(やくもゆかり)。俺の腐れ縁の一人であり、幻想郷を共に作り出した仲間……のようなものである。

 そんな紫が、ふわりと笑みを浮かべて……

 

「さて………お久しぶりね、グランドクソ野郎」

「そうだな、久しぶりだなスーパー鯖読みBBA」

 

 やっぱり変わってねーでやがる。

 この八雲紫だが、見た目以外イイとこねーんじゃって位性格が悪い。いつも俺とは反りが合わないし会えばこんなディスり合いは当たり前だ。

 

「今更どの面下げて帰ってきたのかしら? 幻想郷を作るだけ作って面倒ごとを私と隠岐奈に丸投げした挙げ句、別世界へ高跳びした駄竜が」

「どの面ってこのイケメンフェイスに決まってんだろ。それに丸投げとは人聞きの悪い。基本的なシステムを具現化したのは誰だと思ってるんだ。幻想郷も変わりなさそうで何よりじゃあないか」

「私がどれだけ幻想郷の維持に頭を悩ませたと思ってるのよ…!」

「老婆心も度が過ぎると嫌われるぜ?」

「殺すわよ」

「できるかな?」

 

 旅先で色々身につけてきたし、そもそも俺ちゃんが次元竜(じげんりゅう)という龍の一種だから殺されても死なない自信がある。流石に白痴の大馬鹿とガチ喧嘩した時はちょっとばかし死にかけたけど、それ以外では命の危機は感じなかったな。

 俺がちょっとオーラを放てば、紫はため息をついた。

 

「………どこでそんな力を身に着けたのよ…?」

「旅先で、かなぁ、もちろん」

「…まぁ、いいわ。とりあえず話くらいは聞いてあげるから」

 

 紫に客間まで通される。

 高級そうな座敷に座るときに、たまたますれ違った猫耳少女に挨拶された。前まであんな子いたっけと問えば、紫の式の式なんだと。式が式持っていいんだ。

 

「コーヒーでも飲むかしら?」

「えぇ…ゆかりん、俺コーヒーより紅茶が好きなんだけど」

「えぇ、知ってるわよ。だからコーヒーにするんじゃない?」

「イイ性格してやがる」

「次元竜とかいうクソ野郎と散々付き合ってましたからね」

「最低だな、その次元竜とやらは」

「次元竜は貴方しかいないでしょ」

 

 出されたコーヒーの入ったカップを手に取って飲み込m―――!!?

 マッズ!!? なんだこりゃあ!? こ、このコーヒー腐ってやがる!

 

「ゴブッファア!!! おいBBA!なに入れやがった!」

「コーヒーだと思った?残念!お湯に洋墨(インク)を溶かしたものでした!

 はぁ~ぁ、やっと仕返しできたわ。1000年前に貴方に馬の尿を飲まされた仕返しをね!!!」

「コーヒーですらなかった!? この野郎!!俺はやるのは好きだけどやり返されるのは嫌いなんだよ!」

 

 そこからギャアギャアと殴り合いが始まる。そこにいるのは妖怪の賢者でも時空の旅人でも、大妖怪スキマ女でも次元竜でもなく、ただのバカ二人であった。

 

「……それで、どうして帰ってきたのかしら?」

 

 気を取り直した紫がそんなことを言う。

 

「どうして、とかない。ただの里帰りだ。強いて言えば、今の幻想郷がどうなったかなぁ〜と様子を見に来た……とか?」

「はぁ〜、ホントに里帰りなのね。どうせなら外の世界に住み着いてくれないかしら?」

「馬鹿言うな。外の世界(あっち)だと1回姿撮影されるだけでバズって不便なんだよ。そうなったら海底火山でも噴火させて話題を逸らすしかなくなるだろ」

「もうやらかした後かよ」

 

 ジト目が突き刺さるが、俺は悪くない。

 悪いのは撮った写真をよく考えずにネットにうpした人間だろうが。まぁ大方承認欲求でも満たそうとしたんだろうが、幻想が否定された現実世界で次元竜(おれ)の姿の写真をあげても「捏造乙」とか言われるだけだったけどな。今の人間の技術スゲーよ。0から写真を作れるんだもん。

 

「……というワケだから、幻想郷に住まわせてもらうな。家はなんとかするから、現状を分かりやすく教えてくれ」

「今の話の流れからして教えると思います?」

「教えてくれないならそれでも良いけど、時と場合によっては幻想郷を大幅改築(リフォーム)するかもしれないな。ホラ、これから住む世界に蛆虫が巣食ってたら嫌だろ?」

「やっぱり教えることにします」

 

 やっさしーな、紫は。

 その後の紫によって、幻想郷の今をだいたい把握できた俺は、八雲邸を後にしてすぐさまある場所へワープすることにした。

 

 

 

 

 

 ―――博麗神社。

 幻想郷の調停者である博麗の巫女が代々この場所に住んでるんだと。

 いちおうここに移り住む者として、現在の博麗の巫女に顔出しくらいしておこうかなという訳だ。鳥居を通って、ボロい賽銭箱に賽銭を………あ。

 

「ルピーとコインとゴールドしかねぇ……まぁいいや」

 

 金色のコインを賽銭箱に放り投げて二拍手一礼。

 

「えーーーーと…………ありとあらゆる事が万事上手くいきますように………かな?」

 

 神に祈ったのはいつぶりだったか。

 全く信じてない訳ではないが、神に祈るよりも自分で叶える方が手っ取り早かったし、あいつら仕事しない時はマジでサボるからな。でもダチとして付き合う分には良い奴ばっかである。ただし邪神ども、テメーらはダメだ。

 

「あら……珍しい。うちに参拝するなんて。お賽銭ありがとね」

 

 そう考えてると、神社の中から紅白の巫女服の女の子が出てきた。

 

「お、君が現代の博麗の巫女か。初めまして、この幻想郷に住むことになった者だ」

「…律儀ね、あんた」

「まぁ〜ね。ここの事は紫から聞いてね。今の巫女に一言挨拶でもと思ったんだよ」

「何者なの?紫の名前を知ってるなんて……」

 

 おっと、まだ名乗ってなかったな。

 俺は努めて丁寧にお辞儀を1つして。

 

「俺の名前は亜葬祺(あそうぎ)龍斗(たつと)

 ただの通りすがりのドラゴンだから宜しく」

「ドラゴン、ねぇ…………ふ〜ん…私は博麗霊夢(はくれいれいむ)。ご存知の通り、今代の博麗の巫女よ。」

 

 霊夢ちゃんか。こんなかわいくて()()()を巫女に選ぶとは、紫の人を見る目は相変わらず優秀だ。性格終わってるけど。

 今代の博麗の巫女が俺の知るかなーり前の巫女ちゃんよりかは格別の強さを持っていることをなんとなく察してから、博麗神社をあとにした。

 

「さ〜〜て、何から始めますかね」

 

 あ、そうだ家建てよう。

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 珍しく賽銭の音が鳴ったと思えば、ほんとに珍しい客が来た。

 亜葬祺(あそうぎ)龍斗(たつと)

 あっけらかんと笑った彼は、自分の事を「ただの通りすがりのドラゴン」だと言った。

 

 嘘だと思った。通りすがりのドラゴンがこんなに強いワケがないとも。

 今まで会ったやつの中でも、ぶっちぎりで一番強いやつだと確信した。私の勘が、そう言っていた。

 後でやって来た紫に龍斗の事を訊けば、あのスキマ妖怪はこう言ったのだ。

 

「アレは幻想郷を作った妖怪の賢者の一人よ。

 基本的にはどこほっつき歩いているのか分からない奴だけど…次元竜と呼ばれる文字通り別次元の存在よ」

「そんな奴がなんでうちに参拝しに来たわけ?」

「里帰りなんですって。ホント嫌になっちゃうわ、あんな火のついた爆弾みたいな人幻想郷で大人しくしてる訳ないもの」

「あっそ」

 

 あの男を爆弾みたいって言うけど、紫も紫で胡散臭いでしょうに。人の事言える立場なのかしら。

 まぁ、何か異変を企んでやらかしたらその時はその時で倒せばいいし、しばらくはあの男も何も面倒ごとを引き起こさなそうだから良いんだけどね。

 

「それはそうと紫ー、これ見てよ。その男、ウチの賽銭箱にこんなモン放り込んでくれたのよ? ちゃんとお金を入れろってのに…」

「…あら、それどこの通貨かしら?」

「知らないわよ。その次元竜とやらが知ってるんじゃないの? ……まぁいいわ。調べるツテあるし」

 

 …お賽銭に使える金を入れなかったのは腹立つけど。

 

 

 




亜葬祺龍斗
幻想郷は実家のような安心感。

八雲紫
キングオブ核弾頭がスーパーパワーを引っさげて帰ってきたからストレスがマッハ。

博麗霊夢
のんき。

森近霖之助
この後、霊夢が純金製のコインを持ってきたことでついに盗みに手を染めたかとか思ってしまう。

アザトース
モンストの姿で人界に降りて愉快犯しようと思ったら次元竜にガチで殺されかけた。


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第三話:マインクラフトは偉大だった

龍斗の元ネタについて質問が来たので。
いちおうドラクエのじげんりゅうを元ネタとしていますが、「龍があらゆる次元に干渉する力を持った」事で生まれたのが龍斗だと思ってください。


「よさぁ~くはぁ~木を切るぅ~……っと」

 

 家を建てなければ(使命感)と思った俺は、近くにあった山から木をいくつかいただくことにした。

 必要なのはヒノキだ。木材として優秀なのは言うまでもなく、加工しやすく軽量だからだ。マインクラフトの世界で習った。いやー、あそこでの技術は偉大だ。なんせどこでも家を建てられるもんな。

 ゆえに、俺は良い育ちのヒノキを斬る。手刀で。

 

 切る切る切る切る切切切切切切切切切切切切切切切切……………。

 

「おい、貴様! そこで何をしている!」

「んぉ?」

 

 振り向くと、犬耳の可愛い女の子―――もとい、白狼天狗がいた。

 警戒している風の彼女の姿からして、俺は自分自身のうっかりを自覚した。

 

「あー…………ここ、天狗の縄張りだったりする?」

「そうだ!」

 

 俺としたことが、つい天狗の領域内のヒノキを切ってしまったようだ。マインクラフトのテンションで切りまくってたから気づかなかったぜ……

 

「ごめんね、すぐに立ち去るから」

「え…あ、あぁ……分かればいい―――いや待て!

 ここらの木が減っているのは貴様の仕業か!?」

「あぁ、そうだよ。片っ端から切ってないから、数年後にゃ元に戻ると思うんだけど…」

 

 流石に環境破壊は気持ちいいZOY☆と言わんばかりの大伐採はしていない。そんな事をしちゃったら再生に時間がかかるし、妖精が出てこなくなるからな。

 

「返せ!我らの縄張りのものだぞ!」

「確かに無許可で持っていくのはマズいか……でもでも、俺鬼の知り合いとかいるからなんとかならない?」

「そんなハッタリに騙されるか!」

「マジマジ。伊吹萃香とか星熊勇儀とか飲み友だよ」

 

 鬼の名前を出しても疑いの眼でこちらを見てくる白狼天狗のお嬢ちゃん。なんでこうも天狗って疑り深いんだか。天魔のヤツ後進の躾サボってんのか?

 

「よっし、天魔に直接話すか」

「な、何を言っている?」

「天魔に直接謝りに行くって言ってんの。道案内してくれる?」

「ふざけるな!誰が素性の知れない貴様など!」

 

 良い事を思いついて、それを直接嬢ちゃんに言ったら、嬢ちゃんは刀を抜いて斬りかかってくる。

 

「うわ!? ちょ、ちょっと待て!」

「問答無用!」

 

 嬢ちゃんの刀が、俺の首に寸分違わず吸い込まれて行き、そして、首の皮に当たった途端―――

 

 バキン!!

 

 ―――と、派手な音を立てて真っ二つにへし折れた。

 

「………なに!?」

「あーあ。だから“待て”って言ったのに」

 

 妖怪が鋼を鍛えた程度の刀じゃあ、次元竜に傷をつけることすらできない。俺を斬るつもりなら、竜特攻のドラゴンスレイヤーやら天羽々斬でも持ってこないと。そうすれば、紙で指を切った時くらいのダメージは与えられるのに。

 得物を失った天狗の嬢ちゃんは、いまだに目の前で起こったことが信じられず、俺と折れた刀を見比べている。

 

「貴様…何者だ……?」

「通りすがりのドラゴンだよ」

 

 戸惑い気味の質問に答えた後、俺は山の奥の方へ進んでいく。

 誰か理解力のある人がいればいいんだけどなー。でも、天狗ってちょっと高慢ちきなとこあるからな。

 

「貴様、ここを天狗の領地と知っての…うわぁ刀折れた!!?」

「おい、いきなり斬りかかるとか何考えてんだ?大正時代でももっと会話したぞ?」

「おのれ!よくも仲間を……」

「ま、待て!その妖術を引っ込めて話聞け!俺の身体は―――」

「ぐわああああああああああああああああ!!!?」

「魔法を自動反射する……遅かったぁ……」

 

 ……大丈夫だよね?会話できるの残ってるよな?

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 いちはやく見つけた不審者は、自分自身を「通りすがりのドラゴン」と名乗った。

 少なくとも、只者ではないのは確かだ。私の刀が折られてからも、山の奥へと歩いていくのを止めようとしたが……それはできなかった。

 何故なら、アイツは全く手を出さずに私の同僚や先輩や、仲間たちを次々に薙ぎ払っていったからだ。

 斬りかかれば武器が折れ、術を使えば何十倍の威力になって跳ね返される。反撃らしい反撃は一切していないどころか攻撃の素振りすら見せていないのに、周りには私の仲間が死屍累々と積み重なっていく。

 

「ええい、何をやっておるのだ貴様ら!代われ代われ!

 おい下賤な妖よ、ここをどこだと心得ていぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」

「うるせぇよ。ちょっと握手しただけだろうが」

「ど、どこまでも我らを愚弄し…あがああああああああああああああああああああ!!」

「俺はこんなにも手心を加えてんだろうが。現にお前が爆散していない!」

 

 騒ぎを聞きつけてやってきた大天狗さまでさえ、手を握っただけで全身を潰されているかのように苦痛に満ちた表情で悲鳴をあげた。

 あれで手心を加えている?本気だったら爆散していた?

 ……そんな馬鹿な。こんな化け物がいていいわけがない。こんな破格の力を持った存在が、今の今まで、誰にも認識されずに存在していたなど、あっていいものか。

 

「ねぇ、白狼天狗のお嬢ちゃん………えっと、名前なんだっけ?」

 

 ひっ!? こ、こっち向いた!!

 

「い、犬走椛(いぬばしりもみじ)……」

「椛ちゃんね。いい加減天魔のトコ行きたいんだけど、コイツらに口利きとかできないの?」

「む、無理です!!私はただの哨戒ですよ!!?」

「そっか……まぁそうだよな。じゃあ、これまで通り虱潰しに探すしかないのかな」

 

 ど、どうしよう。

 このままでは、山の天狗全てがこいつ一人に薙ぎ倒されてしまう。

 でも、他の白狼天狗や鴉天狗が数を揃えても、果ては大天狗さまをも簡単に倒せてしまう者を相手に私一人が戦うなんて……無理だ。例え武器が折れていなかったとしても、勝てるわけがない!

 そう思って絶望しかけた時、一人の天狗が舞い降りた。

 

「これは…いったいどういう状況なんだい?」

「飯綱丸様…!」

 

 大天狗の一人・飯綱丸龍(いいずなまるめぐむ)さま。

 さっきの大天狗さまの悲鳴を聞いて駆け付けたのだろうか。鴉天狗の部隊を連れてやってきていた。

 彼女が不審者を見下ろすと、不審者の方は目を見開いて笑顔を浮かべた。

 

「おぉ、めぐたんじゃん!おひさ~!

 何さ昔より立派な格好して。出世したの?」

「…そのあだ名はやめて頂きたいのだが……そんな事より、龍斗殿。我々天狗の領域に何用なのだろうか?」

 

 龍さま相手にタメ口!!?しかも不機嫌そうな彼女相手に童子のように喜んで……本当に何者なのだ、コイツは!!

 

「俺はさ。ついうっかり天狗の山の木材を取っちゃったのを天魔ちゃんに謝りたいだけなのよ」

「それにしては、随分手荒なご訪問のようだが?」

「あぁ、コイツらね。俺に妖術撃って勝手に自滅した奴らだけだから大丈夫。そっちの大天狗も握手しただけであのザマだ」

「貴方には手心というものがないのか?」

「何言ってんのめぐたん。俺に手心がなかったら今頃天狗は絶滅してるよ」

 

 物騒すぎる会話が交わされるのをただただ眺めていると、龍さまがこちらを向いた。

 どうやら、龍斗と呼ばれたこの男―――龍斗殿が本当のことを言っているか否かを確かめるおつもりか。今の状況で意識ある者が私しかいないから、私が答えないといけない。

 

「その男が言っている事は事実です。彼には、反撃どころか攻撃の素振りすらありませんでした」

「そうか………千里眼を持つお前がそう言うのなら、そうなのだろうな……」

「だから言ったっしょー? 俺はそもそも、謝罪の品を渡しに行きたいだけなのよ」

 

 どうやら、彼は本当に謝意を示したいだけのようである。

 しかし、それで天魔様の元へ彼を案内するかとなれば話は別。

 渡したいものがあるならば、私達に預けて天魔様へ送ればいいだけなのでは?

 

「それだと誰かが懐に入れて天魔ちゃんの元に行かない気がしてさ。俺は確実に天魔ちゃんにあげたいんだよ」

「…分かった。それについては私が責任を持って天魔様の元へ届けよう。して……何をあげるつもりなのだ?」

「まず樹木子(じゅぼっこ)でできた扇子だろ、マンドレイクを使った薬品セット。で、岩ゴボウ、上魔草(じょうまそう)、俊足ニンジン、薬草の種の数々、オマケに採掘したレッドストーンやら金塊やら……これでどうだい?」

「……………いくつか私の知らない物があるが、すぐに天魔様に確認を取ってくる。」

 

 いくつかどころか、金塊以外全部知らない物だけれど………

 龍さまが使いを出して確認に行かせた。……あ、確認に行ったの文だ。

 しばらくして戻ってきた文が、戸惑いながら龍さまに耳打ちをする。その内容に頷くと、龍斗殿に向き直った。

 

「天魔様から伝言を頂いた。“部下が申し訳なかった、本日は所用にて会いに行けませんが、これからもよろしく頼みます”……だそうだ」

「そっか。天魔ちゃんに会いたかったけど………日を改めるわ。こっちこそ、勝手に木なんか採って悪かったな。」

 

 天魔様の伝言を聞き、謝罪の品を受け取った事を知った龍斗殿は、本日初めて見るレベルの真面目な顔で龍さまにそう言うと、

 

「でも、謝意の品は必ず天魔ちゃんに届けてくれよ? もし、誰かがちょろまかしたりしたら……ソイツの種族が絶滅危惧種になるからね」

 

 ……と、笑えない冗談を屈託のない笑顔で言い放つ。

 天魔様が品を受け取ったのも信じがたいが、この男の有無の言わせなさは一体どこから来ているのか。

 彼が手を上げると、彼の背から灰色の窓帷(カーテン)のようなものが現れる。

 

「それと、椛ちゃん。君のことは覚えたよ。今度俺と一緒に飲みに行こうぜ、飲み友紹介すっからよ。それじゃ」

「え、ちょっ…」

 

 最後にそう言うと、彼は灰色の窓帷(カーテン)に包まれた。窓帷(カーテン)が消えた時には、彼は影も形も残っていなかった。

 

「厄介なのに名前を覚えられたな」

 

 龍さまが彼のいなくなった後でそう呟いた。

 その意味が分からずに、「彼は何者なのですか」と聞いたところ、耳を疑う答えが帰ってきた。

 

「奴は次元龍。幻想郷を作り出した、最強の賢者だ」

「!!!?」

 

 げ、幻想郷を作り出した賢者!?とすると、八雲紫のような!?

 信じられない。そんな人物が、なぜあそこで木を伐採していたのか。我ら天狗に気安く話しかけていたのか……

 く、詳しい事は分からないけど………

 

「私、これからどうなるんでしょう…?」

 

 とんでもない人に名前を覚えられたのかもしれない。

 文、はたてさん、龍さま……誰でもいいから助けてください。

 




亜葬祺龍斗
天魔ちゃん元気そうで何よりだなー。あと出世した子も見れて満足。天狗には悪いことしちゃったなと思っている。ただしガチのフルパワーなら天狗など3分で滅ぼせるが。

犬走椛
とんでもねーのに顔を覚えられてしまったと思っている。

飯綱丸龍
この後直属の部下のメスガキ狐にめぐたん呼ばわりされてキレそうになる。

天魔
次元龍が来たとあややから聞いて内心超ヒヤヒヤしてた。

射命丸文
私は使いっぱしりですか!あややややや!?

モブ天狗ども
全治2か月。

モブ大天狗
再起不能。


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第四話:お茶はアムリタでいい?

地霊殿の子たちが一番性癖に刺さる。


 天狗んトコからヒノキを伐採して暫く。

 俺はマインクラフトで得た技術を元にして編み出した建築技法を駆使してだだっ広い平原のど真ん中に家を建てる。

 土台を作り、木のブロックを建てて組み合せれば、あっという間に完成だ。

 すると。

 

「うーん、我ながら劇的ビフォーアフター」

「すごーい!」

 

 なんということでしょう。

 匠の技で、何もない平原に、立派な豪邸が出来上がったではありませんか。

 まぁこんなのあっちの世界では出来て当たり前だけどね。

 家の構造は1階建ての4LDK。耐震性に加えて、俺が建材ひとつひとつに魔力を込めたことで凄まじい弾幕耐性を得た。仮に幻想郷そのものが滅んでも、この家だけは生き残れるだろう。そう太鼓判を押せるくらいには頑丈にしたつもりだ。

 ここからなら人間の里も見える。周りに何もないのがちょっとアレだが、その辺は後でどうにでもなる。

 

「あとで色々買おっと」

「なに買うのー?」

 

 まぁ、でも出来たのは家だけだ。家具とかは……旅先で気に入ったものを持ってきてるから良いとして、小物とか消耗品とかは里に行くついでに見ていくのもアリだな。

 

「何が買えるかは里の店次第だな」

 

 そう思っていると、空から誰かがやってくる気配がした。

 

「こんにちわ〜」

 

 俺が声をかけたその子は、一目で見れば『魔法使い』って出立ちだった。金髪にウィッチハットの少女が、箒に乗って降りてくる。まさしく魔女ってやつだな。

 

「こんなとこに家なんてあったか?」

「あぁ。俺が今建てた」

「お前が?」

「この人すごいんだよ魔理沙ー! イチから家建てちゃったもん!私見たんだから」

 

 魔女は信じられないモンを見たって顔をしているが、別におかしくはないはずだ。家くらい建てられないと、マインクラフトでは生きていけない。

 

「…っと、名乗るのが遅れたな。

 俺は亜葬祺龍斗(あそうぎたつと)。ここに移り住むことになった…ドラゴンだ」

「私は霧雨魔理沙(きりさめまりさ)………ドラゴン??」

「そこはあとで話すよ。どうだ、家ん中でも見てくか?」

「え?そうだな………まぁ、長居しない程度ならいいか!」

「よし、ならば…1分待ってくれ。家具とか全部ブチ込むから」

「いや、いくら何でも―――」

 

 1分は無理だろ、とでも言いたげな魔女っ子…魔理沙ちゃんをスルーして、俺は魔法を起動した。

 

「“ストレージ”」

 

 その一言で、空中に魔法陣の群れが浮かび上がり、そこから家具の数々が飛びだしていき、ひとりでに開かれた豪邸の玄関やら窓やらから入っていく。勿論、玄関窓枠を傷つけずしっかり入るように、だ。

 

「おいおい……超高難度の空間魔法じゃねーか!いきなりとんでもねーもん見せつけてくれるな…!!?」

「おぉー! あっという間にお引越しが終わっていく~」

 

 全ての家具が定位置にしまったのを確認して、俺はドアを開けて家に入り…そのまま、ドアを開けっぱにして()()を招き入れる。

 

「さて、()()()()()入って入って! お茶でも入れるから!」

「いや、ここにいるのは私だけだぞ、龍斗?」

「いやいや、魔理沙ちゃんの隣にもう一人いるっしょ。

 魔理沙ちゃんより幼い見た目の、髪は黄緑で、青い目玉がついてる子が。……覚妖怪かな?」

「えっ!? 龍斗くん、私が見えるの?」

「覚……って、この声は………こいし!」

 

 俺が指差した虚空から、新たな女の子が現れた。

 何となく感じてた通りの特徴を持っていたその子は、魔理沙ちゃんにも見えるように姿を現す。…今まで気づかれなかった事が多かったからなのか、俺が気づいたのに超ビックリって感じだ。

 

「いつから見えてたの?」

「え? 最初から」

「!!?」

「君、俺が家建ててたの見てたでしょ?」

「すごーい! どうして私が見えたの!?」

 

 うーん。どうして、ねぇ。

 そんなん目を凝らせば余裕なんだけど…魔理沙ちゃんは今の今まで分からんかったようだし………そうだ。

 

「それは……そう、竜は何でも知っているからさ!」

 

 テキトーにはぐらかそう。そうしよう。

 

 

 

○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 平原しかなかったトコに豪邸が建ってたので、何やら異変かと思ったんだが……どうやら、幻想郷に移り住んだ奴のようだ。ぶっちゃけ、なんでそいつが平原のド真ん中に家建てたんだかわからないけどよ。

 そいつ―――亜葬祺龍斗(あそうぎたつと)は初対面の私に対して驚きの行動を連発してきやがった。

 

 まず、空間魔法の同時発動だろ、家具の同時移動だろ、ソレらを1分で終わらせた上に、私が全く気づかなかった妹の方の覚妖怪の存在を的確に当てた。

 自分のことを「ドラゴン」とか「竜」とか言うだけはあるようだ。

 

「……美味いな。これ何のお茶だ?」

「アムリタ」

「アム…ッ!!? お前、客になんてもん飲ませてんだ!」

「だいじょぶだいじょぶ、不老不死になったりしないよ」

「本当だろうな…?」

「龍斗くーん、ちょっとにがーいこれ」

「角砂糖あるから好きなだけ入れな」

「はーい」

 

 ぶっとんだものをお茶に出しやがる……本物じゃあないよな?これ。こんなしょーもないタイミングで妹紅や輝夜と同類になんの嫌だぞ?

 こいしもこいしで、無警戒にカップに角砂糖をこれでもかとブチこんでいる。

 なりゆきで邪魔したけどとんでもねー魔窟なんじゃなかろうか。とりあえず、引き出せるだけ情報引き出しておくか。

 

「龍斗…だったな。見ない顔だが、どこで何してる奴なんだ?」

「あぁ、昨日から幻想郷にやってきたんだ」

「迷い込んだのか…」

「いいや? ここには里帰りだ。今まで色んなトコを旅してたんだよ」

「え? それどういう……」

「旅!? 龍斗くんって、どんなところ旅してたの?」

 

 …なんかこいしに割り込まれた。

 

「どんな…かぁ。ホントに色んな場所巡ったからなぁ。

 呆れるほど平和な星も、死と隣り合わせの場所も大体行ったよ」

「へぇ~!例えば?」

「平和な星はねぇ~、平和すぎて色んな連中に攻め込まれてたな。悪夢とか、鏡の世界とか、絵画とか魔法使いとか虫とか破壊神とかに」

「それ平和じゃねーだろ」

 

 めちゃくちゃ攻め込まれてるじゃねーか。それのどこが平和なんだよ。

 

「いや、これでも平和な方だよ? ヒドイ場所だと死んでも生き返って獣を狩り続けたり、自分の十数倍以上のサイズのモンスターと戦うのが当たり前だったり、バイオハザードが起きて街中ゾンビになったり、果ては永遠に亡者と戦い続ける、なんてのもあったからね」

「…いや、ちょっと待て。お前一体、どこの話をしているんだ?」

「実際に行ってきた所の話だよ?」

 

 オイオイ、外の世界はどうなっているんだ? 龍斗の話がホントなら、人間の世界もう滅びかけてないか?

 こいし、「面白ーい!」じゃないんだよ。目をキラキラさせんな。人間に限った話でもなく、凄まじい旅路の話だろコレ。少なくとも「面白い」だけは絶対にない。

 

「なぁ、今の外の世界って、そこまで滅びかけてるのか?」

「? ……! あぁ成る程。

 魔理沙ちゃん、俺が行ったのはパラレルワールドの話だよ」

「パラレルワールド? なんで今そんな話が…」

 

 龍斗が指パッチンをする。

 すると、龍斗の隣にどこからともなく灰色のカーテンが現れた。

 

「「!!?」」

「覗いてみな?」

 

 言われるがまま覗くと、そこには驚きの光景があった。

 高い建物が立ち並び、鉄の箱みたいなのがその間を縫うように走っていく。

 そして、夜にも関わらず光り輝く様子。それらが、カーテン越しに見えたのだ。

 

「お前、一体……!?」

 

 驚きを隠せないまま、カーテンの奥に行こうとするこいしを捕まえて引き止める龍斗にそう聞けば、彼は紫みたいな笑みを浮かべて、こう言った。

 

「俺は次元竜。ゆかりんやおっきーと一緒に幻想郷を作った男だ」

「ゆかりん…おっきー…」

八雲紫(やくもゆかり)摩多羅隠岐奈(またらおきな)のことね」

 

 いや、お前……その二人をそんな気の抜けたあだ名で呼ぶとか、どんな関係なんだよ……

 

 

 

 

 

 情報で殴られる(量と質、ダブルの意味でだ)という経験を久々に受けた私は、こいしより先にお暇することにした。

 あのままあそこにいたら、その場のノリで“普通”じゃなくされそうで疲れちまう。魔導書でも借りないとやってられねーぜ。

 幸い、あいつの本棚にあった魔導書は、どれもこれもアリスやパチュリーのトコで見たことのないヤツばっかだったから助かったけどな。何冊か借りたぜ。

 まぁ、私が死んだら返してやるから勘弁な。次元“竜”っていうんだし、寿命は人間(わたし)なんかより長いだろ―――

 

「…ん? なんか袋が重くなったな…」

 

 違和感を感じたから、一旦箒から降りて、袋の中を確認した。

 すると、確かに入れた筈の魔導書が何故か全部消えていた。

 その代わりに一枚の紙と共に大量のスピネルやらエメラルドやらが入っていて……

 

『人の魔導書を勝手に持ってったらドロボーです。宝石たちでガマンしなさい』

「ちょっとくらいいいじゃんかよ………」

 

 いつ、どうやってすり替えたのかは考えるだけ無駄だろう。

 でもヒドイぜ。死ぬまで借りるだけなのにさ……

 




亜葬祺龍斗
ステルス無効&創作チート。

霧雨魔理沙
貰った宝石群はほぼ全部魔法の実験材料にした

古明地こいし
初見で自分に気付いてもらえてごきげん。

アムリタ
エトリア産やハイ・ラガード産、アーモロード産、タルシス産などがある。龍斗が振る舞ったのはハイ・ラガード産。魔理沙が知るアムリタはインド神話の元ネタのやつ。

呆れるほど平和な星
侵略者たちは全員揃って返り討ちにされている。ピンク色のボールに。


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第五話:一回だけだよ?

結局コレも見切り発車なので、ネタが唐突に切れることあり。


「やだやだーっ! 異世界に行きたいーっ!」

「………」

 

 魔理沙ちゃんが帰った後、俺はしばらく、駄々を捏ねるこいしちゃんの相手をしていたが、流石に途方に暮れていた。

 こいしちゃん曰く、「龍斗くんの行く異世界を見てみたい!」とのことであったが、流石の俺も簡単に許可を出すわけにはいかない。

 

 そもそも、なぜ幻想郷が存在するのか……から語らせてもらうが、それは「科学技術の発達で畏れを得られなくなった妖怪が、生き残るため」である。その為に俺とゆかりんとおっきーは超頑張った。

 つまるところ、妖怪は「幻想郷にいるから生き生きできる」のだ。俺はあらゆる世界を旅した例外だからいいとして、幻想郷に生きる妖怪を別の世界に送るとどうなるか。

 答えは「恐ろしく弱体化し、寿命が削れる」だ。特に妖怪の畏れ等とは無縁の世界に送り出そうもんなら、踏み入った瞬間に存在そのものが消滅しかねない。

 

「ねーえー!いいでしょ!一回だけ!一回だけだから!!」

 

 だが、目の前のこいしちゃんは「そんなモン知るか」と言わんばかりに駄々をこねまくっている。

 俺とてどうすればいいか悩みどころだ。保護者に来てもらおうにも、この子がどこに誰と住んでいるかが分からない。仮に望みを叶えても一回で済む気がしないし、最悪彼女の存在そのものが消えかねない。

 しかし、このままだと彼女はずーっとこうして粘りかねない―――

 

「あ」

「?」

 

 そうだ、すっかり忘れてたわ。

 妖怪がいない世界に行くのが危険なら―――妖怪のいる世界に連れて行けばいいんだ!!

 

「…こいしちゃん、一回だけだからね?」

「!!! ほんと!!!?」

 

 灰色のオーロラカーテンを展開し、俺とこいしちゃんはそれをくぐっていく。

 

 

 

 

 

 オーロラを通った先は……東京都千代田区、神田町。

 こいしちゃんの様子は……よし、特に変化ないな。興味深そうに辺りをきょろきょろしながら、瞳を輝かせている。

 放っておいたらどこかふらっと行ってしまいそうな彼女の右手を握って、ある場所へ引っ張った。

 

「どこ行くのー?」

「俺の知り合いがいそうなとこ」

 

 まずは目の前の寿司屋に入ってみる。

 アイツは羽振りがいい時は必ずといっていいほどここにいるからな。

 

「いらっしゃいませ!二名様ご来店です!」

「大将ー、両さん…じゃない、一郎とねずみ男いるかい?」

「一郎は出前だよ。ねずみ男は……ここのところ来てないね」

「そっか……あ、注文はおまかせ二人前で!こいしちゃん、ここ座りなよ」

「はーい」

 

 寿司屋の暖簾をくぐった先は、カウンタータイプのそれだ。

 奥に座敷なんかがあるが、予約はしていないので、一見客として二人分の席を確保する。

 俺の注文に板前が寿司を握り始めると、こいしちゃんは俺に話しかけてきた。

 

「ねずみ男と両さんって誰ー?」

「2人とも俺の知り合いだよ。二人とも金稼ぎが得意でね。俺も入れ知恵なんかしておこぼれに預かったもんさ。ねずみ男は妖怪でね。正確には、半人半妖ってところかな」

「へー! じゃあ両さんはなんの妖怪?」

「人間なんだよ。前は……あぁ、アイツの部長に戦車で追い掛け回されたっきりだな。まぁ生きてんだろ。戦闘機で爆撃されても生きてんだし」

「えー、実は妖怪なんじゃないのー、その人?」

「人間なんだよなぁ……」

 

 ほんとに、あの人ほど妖怪染みた人間は居ない。

 どんな人生過ごしたらああなるんだか、面白くって仕方がない。

 

「へいお待ち! おまかせ、二人前!」

 

 お、最初の寿司が来たな。

 ここの寿司は本当に美味いからな。次元竜ですら唸らせる程だ。基本的に食事のいらない妖怪でも、満足はできんだろ。

 

 

 

 

「いや~! ここのは変わらず超美味いな!」

「おいし~~!!」

 

 うん、流石すぎる。妖怪にもウケるとは、悪魔的なお店だな。願わくば、幻想郷にこの技術を持って帰りたい所だ。それくらいに美味い。

 こいしちゃんも、満面の笑みでそう言って貰えたようで何よりだ。

 

「ありがとうございます! 追加で何か握りましょうか?」

「そうだな……じゃあ、熱燗一本!」

「じゃあ私も!」

「ダメだぜ、お嬢ちゃん。ハタチにもなってねーのにお酒頼んじゃ」

「あぁ、大丈夫だ大将。この子、こう見えてハタチなんだ」

 

 そう言って俺は、こいしちゃんの手荷物を探るフリをして、一瞬で偽造した大学の学生証を見せた。それで驚いたようで大将は「ゴメンなお嬢ちゃん、すっごい若く見えたからおじさん勘違いしちゃったよ」などと言って、徳利を二本取り出して、それを燗しはじめた。

 

「…今のどうやったの?」

「旅先で習ったマジックだ。いいだろう?」

「あーあ、龍斗くんワルなんだー」

 

 こいしちゃんに言われて「見た目未成年なのに熱燗頼む悪い子ほどじゃないぜ」と言おうとした時、玄関から「出前戻りました!」と大声が響く。そこで、俺は声のした方に振り向いた。

 

「あ…ちょうど良いところに。両さん!ねずみ男!」

 

 かたや原始人みたいな顔つきの、がっしりとした体格の男。寿司屋の清潔な服を着ている。

 かたや細長い顔つきとねずみのようなヒゲが特徴的な男。なんだか小綺麗で着慣れないスーツを着ているようだ。

 こいしちゃんも二人を見て、もしかしてって顔をした。そう、コイツらが……

 

「龍っちゃんじゃねえか!久しぶりだな!!」

「おう、寿司屋の格好見んのは初めてだったっけか。で…ねずみ男はなんだその格好!またワルい商売でボロ儲けたのか!?ハッハッハ!」

「へっへっへっ、冗談キツいぜ。

 …で、龍。そこのおじょうちゃんは誰だい?」

「旅先…とゆーか故郷で知り合った妖怪だよ。覚妖怪なんだけどね…」

「古明地こいしでーす!龍斗くんに連れられて来ましたー!」

 

 すぐに両さんとねずみ男に掴まれた。

 

「おいおい龍。ダメだろ流石に、女の子を攫ってくるのは」

「わしだって警察官の端くれだ。攫ってきたってんなら相応の対応すんぞ」

「だいじょーぶだって!あの子の同意は得ているし、何よりあぁ見えてハタチは行ってる!」

「「なら良いか!」」

 

 疑いを一瞬で晴らした所で、ねずみ男を隣に座らせ、両さんを混じえて現状の続きを引き出す。

 

「…で? ねずみ男、お前今度はどんな商売してんだよ?」

「へへ…ちょ〜っとな。女の子に接待させる仕事だ。モチロン、法律は破っちゃいない」

「遊郭のこと?」

「ブッ!!? ……この嬢ちゃん、凄まじい単語ぶっこんでくるな……違ぇーよ。ジュースをついだり話に付き合ったりするだけだ。」

 

 遊郭は下手すると本番イくからな。

 だがねずみ男はそういうのが禁じられた現代日本において、ギリギリ法律範囲内の事をやって、なかなかに儲けているようだ。

 

「こいしちゃん、やってみるか?」

「バカ、ダメだって龍。未成年に接待させたら捕まっちまうっての…」

「だぁーから、彼女は子供じゃあないっての。こいしちゃんからも言ってやれ」

「もっと外の世界を見てみたいです!」

「じゃあ俺の店じゃなくって外連れて歩けよ……あ、それも駄目だな…」

「むー、私はもう大人のレディだもん!」

「ダメだダメだ、例え本当に大人だったとしても周りが“そうは”見てくれん。いくら本人が言っても無駄だよ」

「もー! なんでそんな意地悪言うのおじさん!」

 

 両さんは断としてその手のお店にこいしちゃんと行くことを反対される。

 だが、そんなに怒るなよこいしちゃん。こういう時の両さんはな―――

 

「その代わりと言っては何だが……最近女向けの化粧品店を始めたんだがな…」

「……」

「これがものすごく儲かりそうなんだ…お前ら、ちょっと一枚噛んでみねぇか?」

「はっはっはっ! いいな両さん!久しぶりに一緒にやろうぜ! こいしちゃん、お化粧とか興味あるか?」

「なにそれ? 面白いもの?」

 

 ―――めっちゃくちゃ面白いんだ。

 

 あれから3日間、俺達は化粧品メーカーを立ち上げ、商売を行った。

 こいしちゃんも化粧品の用途を知り、乗り気になってくれたようで何よりだ。

 

 俺達は、商売をある種盛り上げる才能を持っていた。

 

 ねずみ男は、常識の囚われない閃きや行動力があり、人間と妖怪の間で生きてきたことで培われた交渉力もある。

 両さんは、金もうけになると頭がフル回転する上に手先が器用で、職人並みのものを何でも作れる。更にあらゆるコネを持ち、売り込みもバッチリだ。

 俺はあらゆる旅先で色んなヤツに出会ったため、セールス先の人間を安心させる話術を遺憾なく発揮できた。ちょっと観察すれば、その人が何を求めていて、どう攻略すればウチの品を買ってくれるか予測立てるのなんて簡単だ。

 そして……こいしちゃんだが、野郎三人ではどうにもならない「愛嬌」という武器があった。売り込みに可愛い女の子がいるだけで、相手のガードは緩むというもの。しかも、常に笑顔で嫌な顔せずに協力してくれるから素晴らしい。彼女もある意味才能あるかもしれないぞ。

 

 ただ……俺ら…じゃないな。俺以外の3人には致命的な弱点があった。

 飽き性だということだ。儲かればすぐに調子に乗り、大博打を打って大抵負ける。こいしちゃんもそれを止めなかった。

 そんな奴らが成り上るのが早ければ、転落するのも早いわけで。

 

「こいしちゃん、帰るぞ」

「えー、まだ1週間も経ってないよ?」

「ねずみ男と両さんが揃って大損したからな。ここいらが潮時ってことだ」

「う~ん、まあいいか!楽しかったし」

「帰りは、行った時間の1時間後に設定すればいいか………お、噂をしたらだ」

 

「待たんか両津の大バカ者~~~!!!」

「ぎゃああああああ!! 部長!勘弁してください~~!!!」

「ひええええええええええ!! 助けて鬼太郎~!!」

 

「俺らも追っかけられる前に帰るぞ」

「は~~い!!」

 

 大型戦車に追っかけられる両さんとねずみ男の泣き言をスルーし、俺達は灰色のカーテンをくぐって、元いた幻想郷へと帰ってきた。時計の針は、1時間しか進んでいなかった。

 

「あれ、時間が……まぁいいや。今回の龍斗くんとの旅行、お姉ちゃんにお話ししておくね!それじゃ!」

「え、待って、お姉さんに話すのあの事………行っちゃった」

 

 というか、こいしちゃんってお姉さんいたんだ。

 少しマズいことをしちゃったかな……あ、してないや。夜のサムシングは一切してないし、ただ商売してただけだしな。

 あっという間に去ってしまったこいしちゃんが出ていった扉をしばし見つめた後、俺は引っ越した後のアレコレの準備を始めた。

 




亜葬祺龍斗
性倫理が破壊しつくされている。

古明地こいし
ぶっこむのも商売に参加したのも博打を止めなかったのも無意識。ただ、化粧品の使い方はしっかり覚え、帰り際に商品をいくつかパクった。

ねずみ男
金稼ぎの達人であり転落の達人でもある。

両さん
お前本当に警察官かって疑うレベルのスペックを持っている。

両さんの上司
部下がやらかす度に様々な凶悪兵器を持ちだして激怒する。

古明地さとり
妹のお土産話にスペースキャットじみた顔で呆けた後静かにキレまくる。


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第六話:スペルカードって何ぞや

こいしちゃんとの旅行を書いている間に思いついたお話。


「弾・幕・結・界!!!」

「ぬおおおああああああああああああ危ねぇぇぇぇぇ!!?」

 

 こいしちゃんと旅行した翌日。

 俺は起き抜けにゆかりんに襲われていた。性的な意味ではなくマジの意味で。

 

「さっそくやってくれたわね、この駄竜が……! 天狗の里を襲撃したんですってね!!?」

「ち、違う! アレは正当防衛どころか何もしてない!ただ大天狗と握手しただけだ!」

「どうやったら握手だけで大天狗を再起不能にできるのよ!? それに―――貴方、幻想郷の住人を勝手に外に連れ出したんですってね!?」

「あー……アレか。実質1時間だからノーカンに」

「できるワケないでしょ!」

「うわあああああああああっぶね!? かすったぞ今ァ!?」

 

 目の前のスキマ妖怪が怒れる原因は、どうやらこいしちゃんとの旅行だったようだ。

 なんでも、妖怪を“畏れ”の少ない外に出した時の危険性がなんたらかんたら~…と。

 この女に隠し事が通用しないのは今更だが、俺は妖怪が存在する世界に行ってたから問題ないと弁護はしておいた。そしたらその返事がこのザマだ。会話してくれないか?

 

「なんだよこのBBA! ()()()1時間くらいで…」

「たかが!? ()()()って言ったわねこのクソ野郎!!」

 

 この会話でお分かりかと思うが、紫と龍斗の間でかなり認識の差があった。

 生命力チートを持つ龍斗は1時間を「たかが」と認識していたが、妖怪の賢者として幻想郷を影ながら支えてきた紫からすれば、1時間は「されど1時間」なのだ。

 それに気付かない龍斗が、紫を更に無意識的に煽り、状況をドンドン悪化させている。もし『1週間旅行してました』なんて言おうものなら、紫がルナティックを遥かに超えた勢いで殺しに来るに違いない。

 

「くそっ……いつもの3倍の密度だなオイ…!」

 

 流石にここまで暴れまくる紫相手は骨が折れる。

 家や家具は問題ないし、周りに壊れそうな建物が他にないから良いが、反撃なんか出来ない。匙加減ミスったら幻想郷滅ぶし。

 

「こうなったら、ここじゃないどこかに逃げるしかない…!」

 

 時間さえ稼げれば紫も落ち着くはず。そうすれば、説得の余地が生まれて俺の勝ちだ。

 だが、相手はスキマ妖怪。下手な異世界に逃げた所で追いかけてくるに違いない。ならば。

 

「アルティメットバースト!」

「!?」

 

 社長直伝の波動砲を放って、紫の意識を逸らす。

 その際生まれた僅かな隙を利用し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして、ドアの座標を固定してそのまま飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 ―――目を開けば、真っ暗でダークな背景にありとあらゆる扉がそこかしこに浮遊する世界になっていた。

 成功だ。これこそ俺の避難先筆頭―――後戸(うしろど)の国。俺やゆかりんと一緒に幻想郷を作った女神……そいつが住まう世界だ。

 しばらく匿ってもーらお。

 

「舞ー、お客さんだよー」

「ほんとだ里乃ー、予想外のお客さんだね」

 

 なんかかわいい子が二人も出てきた。

 サイドヘアーは腰まで、後ろはショートという髪型や、頭に被る風折烏帽子までおそろいで、違いはカラーリングと持っている植物(茗荷と竹)くらいだった。

 

「や、やぁ、お若いレディ達。ここは後戸(うしろど)の国で合ってるかな?」

「そうだよー」

「なんで知ってるの?」

 

「あー…実は俺、この世界の管理者………後戸(うしろど)秘神(ひじん)の知り合いなんだよ。事情を話したいから、案内してくんない?」

 

 出会った少女二人は顔を見合わせる。

 そして、もう一度俺と目を合わせた。

 

「貴方、名前は?」

「亜葬祺龍斗。秘神には『次元竜の龍斗が来た』って言えば察してくれるから」

「僕は丁礼田舞(ていれいだまい)

「私は爾子田里乃(にしださとの)。ちょっと待っててね、今お師匠様に連絡するー」

 

 舞ちゃんと里乃ちゃんね。二人はどうやら秘神の関係者であるらしく、すぐに連絡を取り合っていたが……

 通信していたらしき里乃ちゃんが、だんだんと怪訝な顔つきになっていく。どうしたどうした?

 

「里乃ー、お師匠様なんて言ってたのー?」

「…こっちに来るらしいから時間稼げってさ」

「えっ、ちょ、時間稼げってなに?俺逃げも隠れもしないよ?」

 

 突然里乃ちゃんの口から出た「時間を稼げ」ってワードにビックリする。

 それと同時に、里乃ちゃんと舞ちゃんの雰囲気が変わり、それぞれカードを抜いた。

 

「お師匠様の命令なら仕方ない。僕たちがしばらく遊んでやろう!」

「逃げてもいいけど、死んだら殺すよ~」

 

 ほう。この次元竜を前にそんなことが言えるとは面白い。

 どっちが遊ぶ立場なのかを、その身を以って嫌と言うほど叩き込んでやろう!

 ……と、思っていたけど。

 

「…その手に持っているカードってなに?」

「これ? スペルカードだよ」

「スペルカードって何ぞや?」

「「??????」」

 

 思っていたことを言えば、二人は「え、そんなことも知らなかったの?」みたいな空気になり、後ろを向いて話し合い始めた。どうやら、俺にスペルカードについて教えるか否かを話し合っているみたいだ。

 

「気になるなー、スペルカード。どっかに時間かけてじっくり教えてくれる人いないかなー」

「「!!!」」

「お、教えちゃおうよ里乃…!お師匠様が来るまであの人をここに引きとめられれば何でもいいじゃない」

「でも…スペルカードのこと、教えてもいいのかなぁ…男の人だよ?」

「男の人だと何かまずいのか?」

「あー……えっとね、幻想郷には『スペルカードルール』ってものがあるんだけど……」

 

 ふむふむ。どうやら、俺のいない間に、俺の知らないルールが幻想郷に生まれていたようだ。

 それを『スペルカードルール』って言って…? 完全な実力主義を否定することで、異変を発生・解決しやすくしているのか!

 誰がそのルール作ったん?………博麗の巫女と紫が?ほー。アイツにしては、いいルール作っているじゃあないの。

 色々聞いていってみたけど、その時に気になる事を言っていた。なんでも……

 

「え、なに? スペルカードルールって、女の子用なの?」

「まぁ、『弾幕ごっこ』だからね~。男の人は全くやらないかな?」

「やらないね~」

「なんで?」

「「えっ??」」

 

 ただ、「なんで男はスペルカードルールやろうとせんの?」って聞いたら「なんでそんな事聞くの?」みたいなリアクションしたのはちょっとアレだったけど。まるで、「スペルカードは女の子専用、は当然じゃろ」みたいな思い込みじゃあないか。

 つまらん。実につまらんな。

 

「なぁ、二人とも」

「「?」」

「体は男だが、口調や仕草や、心が女。そういう奴を見たことがあるか?」

「え?」

「どう見ても女にしか見えない顔つきや髪を持っているのに、体が男だって奴は? もしくは、その逆―――男らしい格好をした女は?」

「えーっと…」

「機械なのに自分の性別を自認しているようなヤツは?」

「いやぁー…そんなやつ、いるわけ」

「いるよ。全部実在する。この目で見てきた。

 俺はここに来る前まで、ずーーーっと旅をしてきたんだ。その道中で出会ったヤツにはいろんなヤツがいた。」

 

 出会ってきた奴らは男・女というレベルではない。それ以上にカテゴライズされるのだ。そういうのを見てきた俺からすれば、「男らしい・女らしい」など歯に挟まったクラッカーのように価値がない。

 偏見や思い込みなどちっぽけなものだと旅を通して何度も痛感したものだ。

 もちろん、それが妖怪の弱体化に繋がるのならば正さない方が良いのだろう。だが、それに及ばない範囲であれば、新たな価値観にアップデートするべきなのだ。

 

「と言うわけだから……良ければ、俺にもスペルカードの作り方を教えてくれないか?」

「…………分かった!」

「い、良いのかなぁ…?」

 

 この後めちゃくちゃ教えて貰った。

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

「待たせたな、舞、里乃…………何をしている」

「あ、お師匠様ー!いまこの人にスペルカードルールを教えていたんですー!」

 

 久しぶりにあの男が帰ってきたと聞いて、舞と里乃に時間稼ぎを頼んだと思ったら、何故か三人が仲良くスペルカードルールについて話していた。なんだこれは。

 

「龍斗。貴様がスペルカードルールなんぞ覚えても仕方ないだろうに」

「そうかもな。でも………潰さないように蟻を踏むのって超難しいんだよ」

「なんだなんだ、今度は何をしでかしたんだ」

「ゆかりんをガチギレさせちゃってさー」

 

 そうして龍斗が話す事には……成程。こやつ、それなりに大暴れしたようだ。

 しかも、こいつ自身にその自覚がない。私や紫並みに頭がよく、純粋な戦闘力においては神々さえ歯が立たないほど強いのだから、よりタチが悪い。

 つまるところ、だ。

 

「結論を単調に述べるが……全て貴様の自業自得だろう。紫に折檻されて来い」

「やだよぉ!! おっきー何とかしてよぉ!!」

二童子(こいつら)の前でおっきーと呼ぶな、つまみ出すぞ。

 そもそも……何故貴様、ココに来れた。並みの人妖ではここには来れんぞ」

「ん? そんなの、俺の背中の扉をこじ開けたからに決まってんじゃん」

「まずその方法は普通不可能だからな? 常識外の自覚あるのか貴様」

「え?」

「…………」

 

 常識外を指摘すればすぐコレだ。

 「あれ、俺なにかやっちゃいました?」みたいな顔を台詞を当然のようにしてきおる。

 力を身につける事を否定はせん。どこをほっつき歩いて旅と称するのも構わないとはいえ、幻想郷に里帰りするのであれば、相応の立ち振る舞いをしないか。

 貴様、本当に私や紫と幻想郷を作った賢者か?

 

「なんだか、普段のお師匠様らしくない…!」

「お、お師匠様をおっきーって……!!」

「ん? なんだ、知らなかったのか。呼びたいなら呼んでいいぞ」

「駄目に決まっておろう、貴様が許可を出すな!」

 

 我が部下に面倒な事を吹き込むな。せめて土産話にしろ。

 おい里乃なんだその顔は。変な呼び方をしたら舞共々仕置きしてやるからな。

 

「……話を戻すが、貴様の力は幻想郷においては強大すぎると言いたいのだ。それを自覚して、自重を覚えろ。いいな?」

「そうは言うがよ。俺なんかよりぶっ飛んでるヤツを山ほど見てきたからなぁ……人の身で世界滅ぼす化け物を討つのなんて当たり前だぜ?」

「貴様がどんな魔境を旅したのかは知らん。だから、現在の幻想郷の強さ基準に慣れておけ。―――里乃、舞。コイツと『スペルカードルール』で戦え」

 

「分かりましたー!」

「手加減はしますかー?」

 

「要らん。(むし)ろ龍斗、貴様が手加減をしろ。潰さないように鼠を踏む程度なら出来よう」

「………分かった。頑張ってみる」

 

 

 龍斗が頷くと同時に、二童子が弾幕を放った。

 札型の弾幕と線条のレーザーが放射線状に襲い掛かり、龍斗の後方から通り過ぎた弾幕が追尾する。

 奴は最初は弾幕の隙間を避けていたが、面倒くさくなったようで、右の掌に力を集中させて、それを放った。

 弱弱しい光のように見えたそれは、舞と里乃の弾幕を弾きながら前へ進み………やがて、二童子の間でぴたりと止まる。

 

「ん?」

「へ?」

 

 あいつらも私も、それが何なのか全く分からん。

 呆けた隙に、龍斗がそれを指差し、凛とよく通る声で“宣言した”。

 

「―――アルテマ」

 

「「「!!?」」」

 

 次の瞬間、私は咄嗟に背中の扉に身を投じていた。

 そうでなければ、余波をモロに受けていたのだろうが………その扉越しに見ても、辺りに一面の光が満ち、すさまじい破壊音を出している事以外全く分からん。

 光が治まった後の光景を見てみれば、舞と里乃は、浮遊している扉の二つに首から突き刺さっていた。戦闘不能は明確だ。

 そして………たった一人、立ったままの、呆然とした龍斗が呟いた。

 

「………ヤベェ。ちょっとやり過ぎた」

 

 全くだ。仕事を増やしおってこのバカ者が。

 25秒。それが、この弾幕勝負の決着がつくまでの時間であった。

 

 




亜葬祺龍斗
性倫理だけでなく性的な偏見も破壊し尽くされている。ただし性欲だけは生きている。戦闘力チート。

八雲紫
激おこスティック(ry

摩多羅隠岐奈
気は合うが面倒事を持ち込むのはやめてくれないか龍斗

爾子田里乃
もっと真面目に修行しようと思った

丁礼田舞
もっと木目細に修行しようと思った

社長
青い目の銀龍がお気にの、大人買いの化身

女口調の男
人情に厚い。あとやたら強い。

男の娘
グー○ル先生に「鰤たん」って入力すると高確率で出てくる人

終符『アルテマ』
龍斗のスペカその1。相手は死ぬ(ピチュる)


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第七話:酒でも呑んで忘れちまえ

再びネタが浮かんだぞ。
次からは東方紅魔郷に突入するかもだからネタがどんどん浮かぶかもしれませぬ。


 人里からやや離れた草原の真ん中に、家が建ったらしい。数日前から、噂になっていた。見ていた者の言うところによると、どうやら一日と経たずにあっという間に出来上がったらしく、皆妖怪の仕業と考えている。

 だからというべきか、誰も確かめに行こうとしない。

 

「こんにちわ小鈴」

「阿求!いらっしゃい。何借りに来たの?」

 

 まぁ、私はいつも通り鈴奈庵の看板娘として働くだけだけどね。

 幻想郷で本をお求めなら、我が『鈴奈庵』にお任せあれ! 赤本*1・黒本*2・滑稽本*3から、外の世界から流れ着いた活版印刷術の新聞や絶版した書物、外の人が無くしたと思しき漫画本、果ては曰く付きの妖魔本までなんでもありますよ!ってところね。

 

「新しい歴史書が入ってるよ。見てく?」

「お願いします、小鈴。ここは品揃えが良いものですから」

 

 そして、今歴史書を手に取っているのが稗田阿求。

 人里の有力者である稗田家の当主だっていうんだけど、私にとっては同年代の友達だよ。趣味も合うし、こうしてお互いの家に遊びに行ったりもするんだ。

 

「阿求って、こういうの好きだよね」

「ええ。転生を繰り返しても、人々の紡ぐ歴史には感動させられるものがありますよ」

「うん、気持ちはわかるよ」

 

 阿求は転生を繰り返しているから、とても物知りだ。それでいて、私にも対等に接してくれる。

 ただ、体が強くないんだよね……調子を崩すこともしばしばあって、転生を繰り返したからそんなに長く生きられないって本人から聞いた。

 それでも、私にとっては……阿求は、稗田家の当主でも、御阿礼の子でもなく、ただ隣で笑いあえる、同い年の子でしかない。たとえ、いつか先立たれる運命にあったとしても、阿求は私の大切な―――

 

「あら? 貴方は…」

「当て身」

「あきゅん」

「……何やってんだ()()、こんな所で…」

 

 うわぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?!?!?

 あ、阿求が…突然出てきた金髪長身の男の人に、当て身されたーーーーーーーっ!!!!!!?

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 おっきーに後戸の国から叩き出され、ゆかりんにしこたまボコられた日から数日。

 俺は人間の里に超絶イケメンとして潜り込み、ショッピングを楽しむ日々を送っていた。

 金? 初日に質屋に金のオノを売った結果たんまりできたわ。

 そして、その日はいつも通りの買い物を済ませた後のことだった。ふと見かけた古本屋の中へ、超懐かしい知り合いが入っていくのを見たのである。

 

 稗田阿礼。

 共に古事記を書いた仲だ。

 

 見た目とか年齢とかは完全に別人だが、魂を見ればわかる。阿礼だった頃から変わらなかったからだ。

 だが………阿求と呼ばれた阿礼の魂は、俺のよく知る阿礼のそれとは全然違った。

 その魂の状態は、ハッキリ言ってボロボロ。あらゆる部分が欠けまくっていて、ぶっちゃけ何で生きてるんだって思えるくらいには危うかった。

 

「あ、阿求ーーーーー!!!?」

 

 だから、次元竜特製の当て身をかまして意識を奪い、阿求という少女の身体から魂を取り出した。その魂は、触れたら崩れ落ちそうなくらいに脆く劣化していた。

 

「ちょっと貴方!阿求に何してるのよ!!」

「静かにしろ。こいつの魂が壊れるだろ」

 

 消えそうな魂を次元竜の生命力で纏った手で救い上げる。豆腐職人並みに気を配って彼女の魂を手にしたそれを飴細工のように捏ねていく。

 より強く、傷を修繕し、修復するように呪力を込めて、有毒な呪いを反転させて癒やしていく。それでいて尚且つ、阿礼に悪影響が出ないように精神力を割かねばならない。

 でもこれによって……色褪せた魂に彩りが戻り、壊れそうな命の器を補強して、摩耗した生命力が注ぎ込まれて復活する。

 

 ―――反転術式・無為転変。本家には至らないが、本家にはできない、次元竜式の魂操作呪術だぜ。

 

「ふぅ……これで応急処置にはなった。更にこれを―――縫い合わせる!」

 

 最高・最適な形に保てても、このままではすぐに元の脆く危うい形と質に戻ってしまう。だから、それを固定する!

 手全体に染み込ませた生命力を、今度は糸のように極限まで伸ばし、目にも止まらぬスピードと針の穴に糸を通すがごとし精密さで縫い合わせていく。

 

 ―――念糸縫合。俺も、強敵とケンカした後は世話になったものだ。死にはしなかったが、どの身体の部位も、ないならないで困るしな。

 

「……………よし。後はこれを持ち主へ戻せば―――」

「貴様か! 阿求に危害を加えたのは!!」

「!!!?」

 

 最後の最後で怒声を浴びせられ、驚きに振り向く。するとそこには、青い和装の、角が生えた女性がいた。

 こ、コイツ、ハクタクか!?

 

「ま、待て! あとはこの魂を身体に入れるだけ―――」

「問答無用ッ!!!」

「石頭ッッッッ!?!?!?!?」

 

 かろうじて阿礼の魂を阿求とやらの身体に叩き込む寸前に感じ取ったのは、頭に響く激痛だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「済まない!本当に済まない!!」

 

 しばし経って目が覚めたら、さっき頭突きしてきた女性が平謝りをしてきていた。しかも角を引っ込めて。どゆこと?

 

「私の知り合いが治療してくれたと言っておいたんです」

「阿礼」

「今は阿求と名乗っています」

 

 なるほど。どうやら、俺が眠っている間に阿礼―――もとい阿求が誤解を解いてくれていたみたいだ。まったく、阿礼の頃から変わらずお人好しだな。

 しかし、魂の治療をされたとよく気づけたな? 直前の当て身で意識は絶たれてたはずだろ?

 

「小鈴と慧音先生の証言と、今の身体の調子。そして…稗田家かかりつけのお医者様の診断から全てを察しました。

 稗田家は転生を繰り返した事で短命が定めつけられた一族だった……そのはずなのに、今のこの身体は健康体そのもの。一体何をしたのです、次元竜様?」

「今は亜葬祺龍斗と名乗ってるからそっちで呼んでくれ。

 で、何をしたかだが……転生の繰り返しで摩耗した魂を元通りの形に直しただけだ。不足してた生命エネルギーも足しといたから、今回はあと80年は余裕で生きられるだろ」

「そうですか。全く……これまでは延命処置という名の気休めが精一杯だったというのに」

「まぁ、アレは医術じゃなくて呪術の領域だからな。普通の医者じゃ匙を投げても当然だろ」

 

 阿求にさっきやった事を説明したが、納得したような、鳩が豆鉄砲を食らったような、そんな微妙な顔をする。

 

「そもそも、『魂の形を直す』なんてできるものなのですか?」

「難しいけど、俺は習得してるぜ。でなきゃ、旅先のダチとやった『呪いかけっこ』でかかった呪いで死んでるよ」

「我々の短命がお遊び以下ですか…」

 

 そういう意味じゃないからね?

 アイツ等の呪いがエグかっただけだからな。攻撃力パネーわ、魂の形に手出してくるわで。遊びだっつってんのに殺しに来たからなアイツら。

 

「ねぇ、龍斗さん、ですよね」

「ん? そういう君は、確か……小鈴?」

「本居小鈴です。龍斗さん、貴方はどうして、阿求を助けてくれたんですか?」

 

 どうして、ねぇ。

 そんなの、当たり前の感情なんだけれども。

 

「君は……『好きなことをやりたい』って思う事に、理由があると思うか?」

「…えっ?」

「いいから答えてみそ」

「えっと……それは…………ないと思います、けど」

「それとおんなじなんだよ。俺が阿求を助けたのは」

 

 疑問に対して、真面目に答えるのも大人の責務だろう。ならば、答えるのみだ。例えそれが、あまりにおかしな事でもだ。

 

「『俺が助けたいから助ける』。それだけなんだよね」

「どのような意図であれ、私を治療してくださった事自体は感謝しています」

「…ほんとに? 本当に阿求は長生きできるの?」

 

 小鈴ちゃんが、目をうるわせながら聞いてくる。

 ふふ、安心して欲しい。ヤワな治療法はしていないぜ。

 

「大丈夫だ。龍は長寿の象徴なんだぜ。そんな俺が太鼓判を押すんだ…………米寿を迎えても元気に走り回れる体と魂を約束しよう」

「あ、あ、阿求ーーーーーーーーーー!!」

「うわぁっ!? 小鈴!?」

 

 小鈴ちゃんが泣きながら阿求に抱きつく。しばらく時間がかかるであろうと察した俺は、寝かされていた部屋を後にした。

 その直後、俺に続いて部屋を出た女性が、襖を閉じながらこっちを見た。

 

「私も驚いたよ……阿求殿があそこまで元気になったのは見たことがない。ええと…龍斗殿、だったな。感謝する」

「貴方は確か、俺に頭突きした……」

「その件は申し訳ない…………私は上白沢慧音だ。寺子屋で教師をしている」

「亜葬祺龍斗。阿求とは阿礼だった頃に知り合った者だ。

 今回の阿求の延命治療については、礼はいらない、と言いたいところだけど……」

「いいや、阿求殿は人里の有力者の筆頭だ。その寿命と肉体を治しておいて、何も礼を貰わないのでは、稗田家の面子に関わるだろう」

 

 俺としてはやりたいことをやっただけなので、マジにお礼とかいらないのだが、このままではお礼を受け取るか否かで押し問答になりそうだ。なので、俺はとりあえずある提案をすることにした。

 

 

 

 

 

 数日後。

 俺がいつも通りに里に顔を出すと、阿求が真っ赤になりながら俺に突撃してきた。

 

「龍斗さぁぁぁぁぁぁぁぁん!! 何てものを人里に流してくれたんですか!! い、いくら礼をするからって、こ、こ、これはないでしょう!!!!」

「おーおー阿求。黒歴史を暴かれたくらいでムキになるなって」

「だ・れ・の・せいだと思っているんですか!!!」

「あ、阿求どうしたの!? 龍斗さんに何かされたの!?」

「あぁ。小鈴ちゃんは知ってるかい? 最近出版された、万葉集にも載ってない恋歌集を見たかい?」

「はい!女性が恋する殿方に送った歌の数々……ちょっとときめいちゃいました!」

「いやぁぁぁぁぁぁ………小鈴も読んじゃったなんて…」

「え?」

「その恋歌な、稗田阿礼って女が旦那に送ったあっまあまなラブレターなんだよ」

「あ……」

 

 小鈴ちゃんが察した瞬間、阿求が泣きながら俺に腹パンする。

 それは死にかけの病人では絶対に出せないような、力が篭っていた。

 

「どうしてくれるんですかぁぁぁぁ! というか、何故あの歌の数々を貴方が知っているのです!!」

「そんなのどうでもいいだろ。とりあえずこの件は、酒でも呑んで忘れちまえよ」

「私の能力知ってて言ってますよね!? もう最低!!次元竜様なんか知りません!!!!」

「はっはっはっは」

「笑うなぁ!」

 

 別に笑ってるんじゃないからそこまで怒るなって。黒歴史を恥じるのも、生きているからできることだよ。そう思ったけど、この後慧音の頭突きを食らった。

 

*1
桃太郎や一寸法師などの童話

*2
歴史物語、軍記、浄瑠璃などを抄録したもの。

*3
江戸後期の小説。庶民の日常を笑いを交えて記したもの。『東海道中膝栗毛』や『浮世風呂』などがこれにあたる。




亜葬祺龍斗
物理的に魂を触ることができる。また、息をするようにエグイことをすることがある。

稗田阿求
阿礼の頃に龍斗と知り合っていた。今回の件でしばらく屋敷から出なくなった。

本居小鈴
かわいい。

上白沢慧音
龍さえ屠る、私の頭突き…受けてみろ!

稗田阿礼
リアルガチでは性別不詳だが、この小説では女って設定。

龍斗と呪いあった友達
富士山だったりツギハギ人間だったりとマトモな人の形をしてない。


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