VTuberになるために (Cucu)
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VTuberになる編
#1なんでこうなったかわからない!!


続くかなんて分かるわけない
暖かい目で見てやってくだせぇ
よろしくお願いします


「配信始めなきゃ...」

 

 

何とか色々機材を準備して、あとは配信開始のボタンを押すだけになった。ドキドキが止まらない。失敗したらどうしよう、これからずっとやっていけるだろうかなどという不安ばっかりが思い浮かんでくる。押さなきゃいけないのに手が震える。

 

 

 

勇気を振り絞り()は配信を開始した_______

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

僕はどこにでもいるような片田舎に住んでる男子高校生だった。まぁ、クラスではただのモブだったけど。それがどうしてなんでこうなったのかは分からないが、17歳の誕生日の朝、目を覚ますと...

なんか体に違和感。そこには見慣れない長さの髪、ぶかぶかな服の下に膨らみのある胸部、そして大事なものが無くなっていた。その時、

 

 

 

 

 

「あぁ...、なんでこうなったんだ?」

 

 

 

 

 

と呟いた。

 

 

声も女子だ。(クールな感じの声)

 

 

正直、アニメやマンガとかが好きだからこういう展開には憧れていたが、自分がなるとこうも悲しいのか。

 

 

 

とりあえず。とりあえず、親に言い(めっちゃ慌てて驚いてた)、家もあまり知り合いのいない所に行きたかったので、都会の近くに引っ越した。そんなこんなでバタバタしていていろいろやっていたが、ちょうど春休みで必要なものは準備できた。引っ越しの準備の際、普段あまり気にしていない鏡を見つけたので、改めて確認してみると、

 

 

 

「めちゃめちゃ美少女じゃん!」

 

 

 

鏡に映った自分を見て言った。正直、叫んでたと思う。うん。別に嬉しくなんかないし!!と勝手にツッコミ、引越しの片付けをしていった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「ついにこの時がきてしまった...」

 

 

 

ついに学校に行く日が来てしまったのだ。全く誰も知らない学校に通うことになったのだが、正直不安しかない。

 

 

 

「やだなぁ...」

 

 

 

知らない所に慣れない制服スカートを着て行くなんて、ただの陰キャにはハードルが高すぎる。無理無理無理無理。どうしてくれんだよ!まだ来て間もない部屋でもんもんとしていると、母親が来て車で強制送還されてしまった。

 

 

 

そこからはあんま覚えてないけど、先生にいくつか質問をされ、ただ頷いていただけの気もするが、あっという間にクラスでの自己紹介まできてしまった...!

 

心の準備をしなければ!と思っていると、「先生が先に入って行って、呼んだら入ってきてね」

 

と段取りを勝手に決められ、さっさと先生は教室に入って言ってしまった。

 

 

 

「どうしよう...」

 

 

 

そんな言葉が口からこぼれた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「あっ、えっと、青野渚(あおのなぎさ)でっ、す。」

 

 

 

あの短時間で色々考えたが、結局、大勢を前にしたら、全て忘れて、名前のみになってしまった。よろしくお願いしますも言えなかった。席は窓際でここは海の見える学校で、結構近くに見えた。

 

 

 

朝のホームルームが終わるとクラスの中心ぽい人たちが寄ってたかってきた。「どこから来たの?」とか「可愛いけど、彼氏いるの?」とか色々聞かれたが、陰キャなので、適当に返事してたら、つまんなくなったのか、昼頃には誰も来なくなった。正直めちゃめちゃ疲れた。

 

 

 

新学期初日だったのもあって、授業は午前中で終了し、やっとの思いで自宅の自分の部屋にたどり着いた。(といっても、親は仕事でいつも居ないが)一応、

 

 

 

「ただいま〜」

 

 

 

と言ってみるが、誰もいる訳もない。悲しい。今日の最初はあんなに緊張していたのに友達どころか人とまともに話すことすら出来なかった。あれ、僕ってこんな陰キャだったっけ?確かに元々の学校でもモブ...中学校時代は趣味のゲームやら色々やってたけど...

 

 

 

「あっ」

 

 

 

友達と言える友達が前の家の近所に住んでいた小学校から同じだった2人しかいねぇや!こんなことがあっていいのだろうか!悲しい。

 

 

 

「はぁぁぁぁあぁ...」

 

 

 

溜め息が誰もいない家に広がる。こんなこと考えてても仕方ねぇ。と思い、近くにあったベースを手に取った。

 

 

 

実はその近所の友達たちがこれはなんとまぁ完璧と言っていいほどのすごい人達だったので(小学校時代はなんとも思っていなかったが)、中学校に上がるとそいつらだけが無駄に注目され、自分とはかけ離れた存在になり、あまり関わらなくなってしまったのである。あいつらに追いつくために中学校時代は色々やっていた。(流行ってたゲームとか色々極めてみたり、スポーツや楽器にも手を出した。)ベースもその一つである。

 

 

 

好きなボカロの曲を1曲弾こうとした。すると、思うように弾けない。なんでだ。

よく考えてみると、女子になったんだ。手が小さくなったんだ、と思い至った。

 

 

 

「なんでだよぉぉぉぉおぉ!!」

 

 

 

泣きそう。

 

 

 

こういう時は、YouTubeを見るに限る。

 

パソコンでYouTubeを開いた瞬間、パッと印象に残るサムネが飛び込んできた。イラストの高校の制服の女の子が映っていた。

 

あぁ、最近そこそこ有名になってきたVTuberってやつか。気になったので見てみると、女の子が楽しそ〜にゲームをしている。同接の人数も2000人弱ぐらい。ちょうどその配信は終わりに近かったらしく、女の子が、

 

 

 

「今日は終わりにします〜!」

 

 

 

と言うと、

 

 

 

「最後に告知です!カラソラ3期生を募集開始するそうです!デビューとかはまだ未定だけど。」

 

 

コメント:え、まじで?

コメント:3期生!?

コメント:カラソラも大きくなったなぁ

コメント:え、いつから?

 

 

「この配信終了後に公式ホームページで始まるそうです!VTuberやってみたい人、興味のある人は是非応募してね〜!」

 

 

コメント:行ってくる!

コメント:こりゃホームページ落ちるな

コメント:もしかして合格すればレンちゃんに会える の!?

コメント:俺も応募しようかな!

コメント:絶対無理だ。あきらめな。

コメント:なんでだよぅ!!

 

 

 

「初心者でも大歓迎なんで!では、おつれん〜!」

 

 

 

VTuberか。楽しそうだったなと思った。可愛かったし、なんと言ってもキラキラしてて眩しいくらいに思った。

 

 

 

最後応募とか言ってたな。とか言っても、すごい倍率だろうに。絶対当たらんとか思いながら、その配信の概要欄にあった応募ページのURLをクリックしてみる。そこには「どんな方でも歓迎します!」の文字と応募するのボタンが。

 

 

 

「まぁ、美少女になったんだし。この声なら売れそう。どうせこんな倍率高いオーディション?審査?そんなん通るわけないじゃん。」

 

 

 

と応募した。してしまった。

 

 

あの時はなんであんなこと思ったんだろう。血迷ったんだろうか。後々考えてみると、かなりやばいことをしてしまった気がする。黒歴史がまた追加されてしまった。こんなの忘れよう。そう思い、僕はベースを手に取り何とか弾けるように頑張ることにした...。

 

(ほとんど弾けなかった。)

 

 



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#2だからどうして...

まだまだです。
続くかはマジでわからんので。


あれからしばらく経った。

転校してから1ヶ月、ゴールデンウィークのちょっと前だ。

 

学校には慣れた。え?友達?一体なんのことやら。たまに話す女子や隣の席に座る男子はいるがそれも友達と呼べるほどのものでもなく、僕...いや、私はクラスでぼっちしている。

部活はちゃんとやっている。ちゃ〜んと帰宅部活動している。スポーツが苦手な訳では無い。並ぐらいはできる(はず)。決して、チームプレイとか、練習相手がいないとかそういうわけではない。自分の時間を大切にしたいのだ()。

 

今日も授業が終わり、クラスのみんなは急いで部活に行ったり、集まって話をして盛り上がっていた。私はそれらの後ろをす〜っと通り過ぎていく、つもりだったのに男子のひとりが話しかけてきた。

 

「渚ちゃん!」

 

え、いきなり下の名前で呼ばれたし。ちゃん付けだし。陽キャこっわぁ。そんなこと思いながら私は、

 

「ぇ、あ、な、何かナ?」

 

なんか変な返事をした。

 

「これからカラオケ行くんだけど、一緒にどう?」

 

無理無理無理。え、無理だが?

 

「え、えと、う〜...」

 

私が陰キャを発動していると、

 

「あ、用事とかある?だったらごめ〜んっ!!」

 

と言うだけ言ってまたみんなの元へ帰って行った。いやまだなんも言ってないし!と、思いながら教室を出た。

 

「どうしてこうなった...」

 

私はため息をつきながら家に帰るのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

僕は家に帰ると急いで部屋に戻り、パソコンの電源をつける。

 

「ふぅ、間に合った...」

 

僕はあれからVTuberというものに沼りに沼っていた。なぜそんなに沼っているかって言うと、みんなもわかるだろぅ?あれ、みんなって誰だ?とか、アホなことを考えていると、配信が始まった。

 

今日はソラカラ2期生の赤刎レンちゃんの誕生日3Dライブだ!YouTubeを開いてライブの配信をクリックする。

 

コメント:待機

コメント:待機

コメント:待機

コメント:楽しみ!

コメント:待機!

 

既に待機している人が1万人もいた。そして画面が動き出して、レンちゃんが現れ、

 

「今日はみんな楽しんで行け〜!!」

 

と言い、素人とは思えないほどの歌唱力とダンスを披露した。チャット欄やTwitterでも大盛り上がり。

 

最近知ったのだが、VTuberグループソラカラは、アイドルVTuberグループで女性ライバーも男性ライバーも両方いる。普段はゲーム配信などをしているが、イベントや記念配信などはアイドル衣装に身を包み、本当のアイドルをしているらしい。いつも、芸人とか色々言われているので知らなかった。そして、これは僕が初めて見るライブ配信だ。正直とってもWAKWAKしていた。

 

「じゃあ次は!なんと新曲でーーーす!!!頑張って来たので是非聞いてください!!」

 

そのライブで見た赤刎レンちゃんはとっても輝いていて、かっこよかった。こんなふうになれたらなぁとも思った。

 

しばらく魅入っていると、すぐ終わりが来てしまった。チャット欄に「すごく楽しかった!ありがとう!」と打ち込んだ。

 

しばらく余韻に浸っていると、パソコンにあるひとつのメールが届いた。普段メールなんて使わないし、なんだろうと思ってすぐに開いてみると、

 

「合格通知」とある。

 

???

 

は?なにこれ?

内容を見ると、「あなたはソラカラの最終審査により、合格したことをお知らせします。ソラカラ3期生蒼井美海(あおいみうな)としてVTuber活動してもらいます。つきましては、説明があるので、来週の日曜日午前10時に本社にお越しいただけるようお願いします。」

 

は?なにこれ?うぇ、吐きそう。

確かに何故か1次審査も2次審査もパスした通知は来ていて、それで2週間前に嫌々面接に行きはした。黒歴史を増やしたくはなかったので無理無理無理とか思いながら行った。でも、陰キャのコミュ障が発動し、緊張で何を聞かれたか覚えてもなければ、何を喋ったかも覚えてない。絶対まともに喋れてなんてないだろう。まあ、それで合格するわけがないと思い込み、2週間もたって忘れかけていた頃だったのに。

 

「どうしてなんだよおおぉぉ!!」

 

と、叫ぶしかなかった。

 

 




ちょいと短かったかもですね。


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#3初配信までのこころ

この思いつきはいつまで続くのやら



日曜日、事務所に行ってきた。

大人はみんなスーツ着て固い感じなのかと思ったら、全然そんなことなく、結構フリーな感じだった。

 

 

事務所に着くと早々に僕のマネージャーになるという阿部さんに会った。

 

 

本当に自分であっているのかなどをと問いつめたいが、そんな勇気などあるはずもない。

 

 

契約とか機材とか配信の仕方とか色々教えてもらった。自分が持ってない機材はなんと会社が用意してくれていた。

 

 

阿部さんは「一緒に頑張って行きましょう!」っとあまり乗り気ではない僕に明るく話しかけてきた。コミュ強やん。

 

 

普段そんなに話すことの無い僕は、VTuberなんてやってけるのか不安だった。すぐにクビになるに違いない。デビューは2週間後と言われた。

 

 

ちょっと早すぎやしないか?とは思っていたがこれまた言える訳もなく。

 

 

次の週、同期となる3期生の自分を含めた5人とマネージャーさんとで通話で打ち合わせをすることとなった。自己紹介だけをし、あとは流れが説明された。僕はなんとトリを任されてしまった。

 

 

なんでこんな陰キャを最後にしますかねぇ?え、無理無理無理。とは言えない。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

時の流れ早すぎ。初配信の日。僕は心の準備なんてできていなかった。機材などはマネージャーさんから説明を受け、何とか設置できた。編集ソフトなどは元々触ったことはあったので何となくわかった。今は、同期達が順番に初配信をしている。なんかみんなとっても自由ですごい。チャット欄はとても大盛り上がり。

 

 

 

 

ちょっと前に公式ホームページのプロフィールを見た。僕がなるのは蒼井美海。「高校2年生の女子高生。おちゃめな性格と可愛いのが好き。」である。

 

 

え、僕と真逆じゃん。

 

 

同期のことを見てみると一応、みんな学年はバラバラだが、高校生という設定だった。

 

 

中でも、気になったのが鈴音奏(りんねかなで)という子。「高校生で、クラスのみんなから慕われる委員長。」とか書いてあった。

 

 

なにこれ、僕と真逆じゃん。

 

 

そして、ついに自分の前の順番の鈴音奏が配信を始めた。僕はそれどころではなく、緊張しまくりです。

あぁ...お腹痛くなってきた。また今度にしません?

 

 

 

鈴音奏はどうしてVTuberになったのか語っていた。見た感じとっても元気なJKだった。

 

「私、みんなからは頼りにされてると思うの。」

 

コメント:うん

コメント:へぇ〜!

コメント:自分で言うかw

コメント:俺と真逆やん

コメント:委員長だしね

 

陽キャだ。

 

 

 

「みんなから頼られて動いてるだけで、自分から動いたことがあまりないなと思ったの。」

 

 

 

「私は自分の能力が活かせる場所を探していたの。だから、私をみんなに見てもらいたくて、VTuberになりました!」

 

コメント:すごいやん!

コメント:かっこいい!

コメント:行動力のバケモン

コメント:かっこいい!

コメント:さすが委員長

 

 

 

え、それだったら僕だったら満足ですよ?

 

僕はいちいち悪態をつく。

 

 

 

 

いつまで待っていても仕方ないから自分から行こうってね!

 

 

 

 

 

急にドキッとした。

 

 

 

 

キラキラしたその声に。

 

 

 

 

本人は「本当はバイトがクビになったから、お金が欲しかったんだけどねぇ!あはっ!」と流してコメントで色々ツッコまれてたけど。

 

文句しか言っていなかった僕にその言葉がとても心に刺さった。

 

今までは、なんでこんなことになったのか、どうすればいいのかなんて分からず、ただただ逃げていた。

 

でも、こうやって自ら進もうとしている人だっている。この時は自分もそうでありたい、と思った。

 

まるでVTuberを初めて見た時や、誕生日ライブを見た時と同じ気持ちだった。

 

でも、少し違う。これからは自分もVTuberになるんだ。うだうだしてたって何も変わらないし、いつ男に戻れるかなんて分からない。だったら自分もみんなに認めてもらえる、キラキラした存在になりたい。

 

そして決意した。

 

いつか、ここでこの世界で頑張って頑張って認められるように。

 

 

 

()()()()()()ことを、(青野渚)(蒼井美海)になることを。

 

 

 

ダメなことなんてないんだから!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

私の心は落ち着いていた。

 

 

 

 

 

 




次回ようやく初配信です。


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#4初配信中のこころ

読んでいただきありがとうございます。

こっからです。はい。

対戦よろしくお願いします。

過度な期待は良くないよ。


【初配信】新人VTuberの蒼井だよ。【ソラカラ】

 

時は来た。

ついに始まる。

私は配信開始のボタンをクリックし、待機画面を表示させる。既にたくさんの視聴者が集まっているようだった。

 

 

コメント:きちゃ

コメント:こいつはどんなやつなんだろう

コメント:どうせヤバいやつだろ

コメント:前の同期4人もやばかったもんな

コメント:ソラカラだから...

コメント:見た目的に元気っ子ぽい

 

 

配信は同期達の活躍により、とても期待に溢れていた。やはり緊張はするが自分で決めたのだ。前へ進むのだと。

 

 

 

「よしっ」

 

 

 

コメント:ん?

コメント:なんか聞こえた

コメント:よし!だって

コメント:ミュートしてない

コメント:さすがソラカラ

コメント:やっぱりこの子もソラカラですね

コメント:初配信からやるとはさすが

 

 

 

「み、見てるみんなを笑顔にできるVTuberになるんだっ!」

 

 

 

私は、気合いを入れるために大声で言った。

 

 

 

コメント:かわいい

コメント:ええやん

コメント:いい子や

コメント:推します

コメント:かわいい

コメント:いつ気づくんだろ

 

 

 

マネージャーからdiscordでメッセージが届いた。

 

<配信に声のってますよ>

 

私は早々にやらかしてしまったらしい。恥ずかしい。さっきの全部聞かれたのかな?

 

 

私はすぐにミュートにし、

 

 

「んんんん...!!////」

 

 

と悶えるのであった。

 

 

どしょっぱつからやらかしてしまったので、どう始めようか悩んだのでマネージャーに聞いてみると、面白いのでそのまま始めましょうとやばいことを言っていた。

 

 

 

 

あ、ソラカラはマネージャーもやばいのか。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「こんみう〜!ソラカラ3期生新人VTuberの蒼井美海ですっ!!」

 

 

 

配信の開始時間から10分、私は待機画面から配信画面へ切り替え、何事も無かったように用意してあった挨拶をできるだけいい声で言った。

 

流石に10分も遅刻すると、チャット欄やTwitterで心配する声が増えていた。でも、私がいきなり元気に配信を始めたので、チャット欄はツッコミの嵐。

 

 

コメント:は?

コメント:え?

コメント:大丈夫なの?

コメント:おい!急に始めるんかい!

コメント:何事も無かったかのようにはじめんな

コメント:何してんだよ

コメント:ちゃんと説明しよ!

 

 

「あ〜、えっと、やらかしました。ぼk...あっ、私が悪いです。すいませんでした。」

 

 

コメント:僕?

コメント:今僕って言った!?

コメント:ボクっ娘なのかよ

コメント:でも言い直したよね

コメント:まさか、男!?

 

 

「は?男じゃないし。私!」

 

 

元男だけど。

どうしよう。喋ることがない!わかんない!

私は黙り込む。

 

 

「.......」

 

 

コメント:ん?

コメント:黙った?

コメント:どうした

コメント:大丈夫か?

コメント:やっぱボクっ娘?

 

 

 

あぁ、だめだ、何言えばいいかわかんない。

緊張MAX陰キャコミュ障発動!!

 

 

「あ、え、え〜〜と?何すればいいの?」

 

 

絞り出したのはこれ。

 

 

コメント:えぇ...

コメント:まじか

コメント:自己紹介して

コメント:自己紹介しない人初めて見た

コメント:ばか?

 

 

「おい!誰が馬鹿だ!」

 

 

ああ、自己紹介ね。肝心なこと忘れてた。でもまぁ、公式ホームページでみんな知ってるだろうし、めんどくさいからいいや。

 

 

「えっと、自己紹介ね、名前は蒼井美海。高校2年生。あとは公式ホームページでも見といて。」

 

 

コメント:まじか

コメント:最後まで言わないんかい!

コメント:もっとみうなちゃんのこと聞きたい!

 

 

「今度質問コーナーやるから、そんときまでにマシュマロとかいっぱい送ってきてくれ。」

 

 

質問コーナー。そんなの本当はやりたくないがやるしかない。リスナーのみんなは私のこと知りたいんだもんな。リスナーのためなら...!

 

 

「じゃあ、えっと、これから短い間だけどコメント拾って質問に答えます〜。」

 

 

コメント:やった〜

コメント:短いのは誰せいなんだろうね〜

コメント:何聞こう

 

こいつら煽りよる。

 

コメント:アニメとかみるの?

 

 

「あ〜、見る見る!最近はちょっとバタバタしてて見れてなかったけど、やっぱり日常系のアニメが好きだなぁ!やっぱあのほのぼのした感じとか、平和な時間とかキャラがてぇてぇしてるとことか!めっちゃすき!」

 

 

ついつい、好きなジャンルは語りすぎてしまう。早口で話してしまった。チャット欄でオタクとかいわれてた。

 

 

コメント:陰キャですか?

 

 

このコメントを見てドキッとした。思い出したかのように私は陰キャに戻ってしまう。

 

 

「あぅ...陰キャです。」

 

 

コメント:陰キャなの!?

コメント:今までの元気はどこいった

コメント:そういうキャラなのか

 

 

先程までの元気はなくなってしまい、視聴者は驚いているようだった。

 

 

コメント:なんでVTuberになったの?

 

 

答えづらいのが来た。

ノリで送ったらなんか合格した。これが事実だが、言えるわけない。正直なことを話すのもさっきのことがあって恥ずかしい。ん〜、そうだ!

 

 

「陰キャでコミュ障なので、友達がいっぱい出来たら楽しいなぁなんて思ってVTuberなりました。みんな友達なってくれる〜?」

 

 

コメント:え

コメント:かわいい

コメント:かわいく言ってぼっちだってこと隠そうとしてる

コメント:かわいく言っても騙されないぞ

 

 

バレました。

ぼっちなのもバレてしまいました。いや、バレてた方がやりやすいか。

 

 

コメント:尊敬する先輩いる?

 

 

「えっと、赤刎レン先輩だよ。可愛くて好きです!普段の配信でも面白いし!可愛いし!この前の誕生日ライブとかとっても輝いて見えて!とにかく、めちゃくちゃ楽しかったです!ん〜、でも実際会ったりするのは緊張して死ぬ〜。」

 

 

コメント:また早口

コメント:ただのファンで草

コメント:わかる

赤刎レン:じゃあ、普通にコラボならいいんだ!コラボしよ!

コメント:本人!

コメント:いきなりのコラボのお誘い

 

 

えええ本人!?

 

 

なんで見てるの!?

 

 

新人の初配信だからか!?

 

 

陰キャがしゃしゃってすいません

 

 

好きです!

 

 

「先輩ぃぃぃぃ!コラボとかまだむりいいーー!」

 

 

 

私は恥ずかしさや驚きなど色んな感情で混乱し、叫びながら配信を()()()閉じてしまった。

 

 

挨拶なども無しで。

 

 

 

コメントは爆速で流れていたが、恥ずかしくて閉じてしまった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

あぁ、やらかしてしまった。かんっぜんにやらかした。

絶対クビだろうなぁ。無理無理無理。こんな配信してかなりやばいやつだと思われただろう。

もう辞めようかな。

 

 

配信前にあんなこと思ってたけど、配信が終わったらそんな思いなんてどこへやら。もう心が病みそう。

 

 

「僕どうなっちゃうんだろう。」

 

 

私はなんにもできずにふて寝するのであった。

 




蒼井美海(あおいみうな)
高校2年生17歳。
誕生日 3月23日
おちゃめな性格で可愛いものが好き。



今更ながら設定
時は2018年(コロナ前にしたかった)
(みんなを笑顔にできる)VTuberになるために(がんばるお話)


こっからどう展開していこうかな


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#5初配信後のこころ

蒼井ちゃんは悩んでおります。

すごく悩んでおります。

なんでこれが許されてしまうんだろう。

人にはそれぞれのペースがありますよ...ね?


 

私は赤刎レン先輩が来たことにより、配信をぶった切った少女を見ていた。

 

 

一応同期なのでマネージャーにこれって大丈夫なのか聞いてみると、上司が面白ければOKということを言っていたらしい。これ許すのか。

 

 

私は初配信から何度か配信をしているが、そこまで目立った事はできていない。だが、この子の配信を見ているととてもワクワクする。この子とコラボすれば面白いのではないかと。

 

 

そう思うと私はすぐに行動に出ていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

あれから4日ほどたった。メンタルをどうにか保ち、その間に1度だけ配信をした。初配信でのいくつものやらかしの謝罪、初配信で出来なかったタグ決めその他諸々。今回は準備して配信できたので、何とか乗り切った。

 

 

しかしどうなってんだ。うちの事務所は。面白ければOKってなんなんだよ。大丈夫なのかな。そっちが心配になってくる。

 

 

まあとにかく、事は丸く治まってくれたのでよかった。

 

 

ちなみにレン先輩とは少しだけdiscordのメッセージで会話した。

 

 

赤刎レン「コラボしよう!」

蒼井美海「無理です。せめてもうちょっとあとにしてください。」

赤刎レン「え〜」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

あの初配信以来、ファンは結構好みが別れたが、チャンネル登録者数は日に日に増えており、3期生の中では何故か1番伸びていて、3万人を超えている。

 

さらに「3期生の初配信 PON」や「いきなり初配信をぶった切る新人VTuber」など、様々な切り抜き動画が上がっていて、それもチャンネル登録者数増加の一因だろう。クラスの一部の奴らが3期生の話をしていて、身バレするのではないかとドキドキした。

 

 

 

 

次の日、discordにメッセージが届いた。

 

 

 

「コラボしよう!」

 

 

あれ、この前この文章見なかったっけ?

 

 

よく見てみると送ってきたのは先輩ではなく、鈴音奏という同期の1人だった。

 

 

まじか。みんないきなり来るもんなの?

 

 

もちろん、打ち合わせで自己紹介はしたが、話したことなどなく、コミュ障にとってはそんなのは断りの一手しかないだろう。

 

 

鈴音奏「コラボしよう!」

蒼井美海「無理です。ごめんなさい。」

鈴音奏「え〜?なんで〜?コラボしよ〜!」

蒼井美海「コミュ障なので会話が続かないと思います。」

鈴音奏「大丈夫!マシュマロの質問に2人で答えていくだけの配信にするから!じゃあ、今度の金曜日の夜9時からね!」

 

 

何が大丈夫なのか。私は初コラボを勝手の取り付けられてしまった。コラボは3日後のようだ。

 

 

最悪だぁぁ...!無理無理無理!ってことで。はい。

 

 

さて、こりゃまた波乱の予感ですね。

 

 

_____________________

鈴音奏@kanade42・3分前

3日後の金曜日、美海ちゃんとコラボします!!

楽しみ〜!✨

 

○ 12 ︎︎⇄ 42 ♡ 902

_____________________

蒼井美海@miumiu32・2分前

3日後に鈴音さんとコラボすることになってしまった

:( ; ´꒳` ;):ガタガタガタガタ

 

○ 30 ⇄ 64 ♡ 1062

_____________________

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

【緊急】お前ら助けてくれ【蒼井美海】

 

 

「こんみう〜...。やばい。助けて!」

 

 

コメント:どうした

コメント:急やな

コメント:コラボの話?

 

 

「そうそう!コラボの話。初対面の人となんて絶対会話続かんから何かコミュ障を助ける案ない?」

 

 

コメント:ない!

コメント:気合いで 

コメント:頑張って!

 

 

「ひどくない!?それでも私のリスナーか!」

 

 

どうやら、リスナーの皆さんは私がコミュ障でワタワタしてやらかしてしまうことをお望みのようだ。

 

 

コメント:友達感覚でいいと思うよ

コメント:かなちゃんは優しいから大丈夫

コメント:相手をとりあえず褒めておけばどうにかなる!

 

 

「おお、わ、わかった。それやってみる。」

 

 

どうやら鈴音奏さんは陽キャだが、確か委員長

的な人だから優しいのかな?って印象を持っ

た。でも陽キャって怖いよな。彼らのノリでガンガン攻めてくるじゃん?そんなん対処出来ないぞ?

 

 

「でも相手はあの陽キャだよ?陰キャな私がそんな気軽に話しかけていいわけないじゃん?」

 

 

コメント:確かに...

コメント:陽キャは敵だ

コメント:かなちゃんは陰キャだって言ってたよ

コメント:ビビりすぎw

 

 

やはりネット世界の住民であるリスナーたちも陽キャは怖いようだ。そうだよ、普通普通。

 

 

「でも、みんな鈴音さんとかレン先輩みたいな陽キャの配信見るんだよね?なんで?」

 

 

コメント:え?かわいいから

コメント:急なメンヘラ?

コメント:圧

コメント:こわ

コメント:圧w

 

 

あ、ヤバい。リスナーさん達を怖がらせちゃった。私のところから離れていっちゃうかも。それはダメ。私もちゃんと見てもらいたい。これでも頑張ってやってるんだから!じゃなきゃこんな配信しないよ!

 

「ほかの人を見るのもいいけど、私の配信も見てね?」

 

 

コメント:圧

コメント:圧

コメント:圧

 

え、私そんなキャラじゃないよー!

てか、論点ズレてるし!もどそ!

 

 

「そもそも、コラボ中止に出来ないかなぁー」

 

 

コメント:だめ

コメント:やりなさい

コメント:逃げるな

コメント:みんなを笑顔にするんだろ?

 

 

どうやら、私のミュート事件のあの言葉は結構広まっていて、それを言われると逃げられない気がしてくる。

 

 

 

「うう...コラボ頑張る!」

 

 

コメント:いいね!

コメント:その意気だ!

コメント:楽しんでいこ!

 

 

 

「う、うん。じゃあ、ありがと!おつみう〜」

 

 

 

 

 

 

配信は終了しました

 

 

 

 

 

 

私はもうやるしかないのだと思った。

 

 

 

 

 

思っていた。鈴音奏から「コラボなんだけどマシュマロ集めて、N()G()()()の質問コーナーやるから!」と言われるまでは。

 

 

そんなん無理。

 

 

また、やらかしそうだと思い、私はまた悩むのであった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

あとで、エゴサしてわかったのだが、私の魅力は考えはネガティブだが、前向きな性格なところらしい。

 

 

ん?前向き...?ネガティブの間違いでは?

 




この話どうなんだろう?
面白いんだろうか?
楽しいのだろうか?
評価なんでもいいんでお願いします?

蒼井ちゃんのタグです。海にしております。
配信タグ#大きい海
ファンアート#Seaart
えちちなこと#深海探索


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#6出会い1

今日2本目です。

この話は結構楽しかった。

一期一会です。


え〜、私はぼっちです。でも、今日は違います。たくさんの人に見られております。なんででしょうね。ははっ!

 

 

なんでこんなことになったのか、ちょっと前に遡ってみよう!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

午前中の授業が終わり、昼休み。私は頭を抱え悩んでいた。

 

 

すると、隣席の女子の間宮ななこ(このクラスの委員長)が話しかけてきた。

 

 

「青野さん、大丈夫?体調悪い?」

 

 

私は体調が悪く見えるほど顔をしかめていたようだ。

 

 

「ん、だ、大丈夫だ、よ?ちょっと悩んでて。」

 

「悩み事?良かった聞かせて!何か力になれるかもしれないよ。」

 

 

私はどうしようかと迷った。もちろんVTuberであることなど言えない。ん〜、困った。

 

 

私が少し悩んでいると、向こうから話しかけてきた。

 

 

「言えない悩みだった?ごめんね。」

 

「いや、いいよ。こんな私にも気を使ってくれて。」

 

「いえいえ〜。何の解決にもならないかもしれないけど、何か気分転換することも大事だよ。」

 

「気分転換?」

 

「うん。歌を歌うとか。」

 

 

私は基本カラオケには行かない。友達なんていないし、1人で行っても悲しくなるだけだ。

 

 

すると、彼女はこう言った。

 

 

「放課後、時間ある?」

 

 

今日は配信しない予定。

 

 

「う、うん。」

 

「一緒に来て欲しいところがあるの!!」

 

 

え、やっぱり陽キャはいきなり誘ってくるもんなの?こっわぁ。

 

 

とかいっても、断ることは出来ない私であった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

私はてっきり、カラオケに行くのかと思っていた。

 

 

間宮さんについて行くと、そこはなんとソラカラの事務所の隣にあるスタジオだった。そこはソラカラを運営する会社が親会社のスタジオ、つまり、ソラカラのスタジオでもあった。でも、普通のレコーディングスタジオなため、一般の人も使うことが出来る。でもなんで?まさかソラカラの人なの!?

 

 

「私、実はYouTubeで歌ってみたを上げてるの!あ、みんなには秘密ね。」

 

 

と言って、スマホのYouTubeの画面を見せてくる。それは私もよく知っている『みこみこ。』という有名なボカロPであり、歌い手だった。登録者は32万人もいる。ボカロで曲を作り、それを自分で歌ったりしてる人。他の人の曲もカバーすることもあれば、たまにゲーム配信も行っている。私は『みこみこ。』のファンである。

 

 

え、何言ってんのこの人。そんな秘密簡単にただのクラスメイトに喋っちゃっていいの?

 

 

「知ってる?」

 

「うん知ってる。もちろん知ってる。でも、まさか間宮さんだったなんて。」

 

 

私は驚きを隠せない。冷静を装ったが、さすがに顔に出ていただろう。そんな私を見て間宮さんは笑っていた。

 

 

「実はそうなんだよ。仲のいい友達には言ってるんだけどね。青野さんは特別。」

 

「それでなんでここに?」

 

「私今から歌ってみたを録るの。ちょっと見学して行って欲しい。あなたが何に悩んでるか分からないけど、何か考え方とか変わるかなぁって思って。」

 

 

間宮さんことみこみこ。さんは平然とスタジオの中に入っていった。私はどうすればいいかなんて分からず、急いで着いていくのだった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ここってVTuberのスタジオで、結構色んな歌い手の人とかも来るんだよ!」

 

 

「へ、へぇ〜」

 

 

しばらく雑談(コミュ障発動)して待っていると時間が来たようで、間宮さんと一緒にスタジオに入って行った。

 

 

「今から打ち合わせをして、その後に歌を録るから。」

 

 

と言って近くの椅子に座った。

 

 

そこに大人の人が2人ほど入ってきて、打ち合わせを始めた。間宮さんの隣にいる私は、「え、私ここにいていいの?」という感じでかなり場違いな気がしていた。

 

 

間宮さんは大人の人と歌う曲の詳細について話していた。すごく楽しそう。自分はデビューしたてで、スタジオなんて使ったこともないので、正直とても緊張していた。

 

 

収録が始まった。間宮さんは発声練習をしている。さっきまであんなに笑ってたのに、とても真面目な顔になっていた。私は特別に見学させてもらっている。私は窓を挟んでその様子を見ていた。

 

 

間宮さんが歌い出す。その曲は私も楽器で弾ける(今は弾けない)、よく知っている曲だった。でも、間宮さんが歌うととても、綺麗でかっこよかった。でも、真面目な顔の中にも楽しさを感じた。間宮さんは楽しんでいるのだ。歌うことを。

 

いつもYouTubeで聞いている声とは違って聞こえた。でも、普段クラスでみんなまとめたり、盛り上げている彼女と同じに見えた。

 

 

私は何か勘違いしていたのかもしれない。

配信者はみんな画面の向こうの人を楽しませるだけでなく、自分も楽しんでいたのだ。たとえ辛いことがあってもそれが楽しいから続けていける。そこにファンの人たちの声援があればもっと楽しくなる。

 

 

それが、私に足りなかった考えかもしれない。コラボのことも楽しめばいいのだ。相手と話すのも楽しめばいいのでは?

 

 

 

間宮さんは曲の別パートを録り始めた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

しばらくして、トイレに行きたくなったので私はこっそり部屋から出た。

 

 

トイレを探すためにキョロキョロする。

 

 

 

するとある文字が目に入った。

 

 

 

「ソラカラレコーディングスタジオ」

 

 

 

そこであることに気づく。

 

 

 

ここはソラカラのスタジオである。

 

 

 

ソラカラ専用の部屋があるのだ。

 

 

もしかしたら誰かいるかもしれない。

 

 

いても、顔は知らないので分からないだろうけど。

 

 

少しだけ覗いてみる。

 

 

「こ、こんにちは〜」

 

 

返事はない。誰もいないようだ。

 

 

覗いていると後ろから声が聞こえた。

 

 

 

 

 

「こんにちは。あなたはだれ?迷子?」

 

 

 

 

「なっ....!?!?」

 

 

私はビクッとして、変な声を発しながら振り返るとそこには大人しめそうな長い黒髪の清楚な見た目の女性が立っていた。

 

 




間宮ななこ
誕生日11月13日 17歳
クラスの委員長
みんなからしたわれている
クラスの人気者

活動名・みこみこ。登録者約32万人
ボカロP・歌い手
ゲーム配信もしている


こんな高校生いたらスゴすぎですね


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#7出会い2

たくさん読んでいただきありがとうございます。

とりあえず10話までは頑張ろう。

今回ちょっとごちゃごちゃしてて分かりにくかったらすいません。

何とか気合いで理解お願いします。


この話は結構やりたい放題です。


新たな出会いが欲しいです。


間宮視点

 

今日は友達と来れたのでだいぶ緊張がほぐれて、いい歌が録れた!

 

 

私は歌を録り終わり、少し休憩していた。

 

 

「青野さん遅いなぁ」

 

 

収録中にトイレに行ったとはスタッフさんから聞いたが、さすがに長い。

 

 

一度見に行ってみるか。そう思い私はトイレの方へ向かった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

同時刻

 

 

 

 

青野視点

 

 

私はそこにいた女性と会ったことは無かった。が、どこかで聞いたことある声。一体誰なんだろう。聞いてみよう。

 

 

 

「あ、あの、どっかで会ったことあります?」

 

 

 

それまでは相手も不思議そうな顔をして見ていたが、私の声を聞いた途端、パッと顔を明るくし、こう言い放った。

 

 

 

「あっ!もしかして美海ちゃん?」

 

 

 

私の心臓はドキッと跳ね上がる。え、身バレ?まじ?デビューして1週間たってないが?最速記録更新?

 

 

「中身も可愛いね〜」

 

 

あたふたしていると、女性はこうも言った。

 

 

 

「私よ、私!赤刎レンだよ!」

 

 

 

いつもの聞きなれたテンションの声が聞こえた。私は今日二度目の衝撃を受けた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

私はさらにまたやらかしたのかと思った。だが、そうではなかった。なんと!レン先輩であったのだ。身内で良かったことの安堵と共に、さらなるある一つの事に思い至る。

 

 

「あんなに誘っていただいてるのに、断ってすいません!!!」

 

 

今日一大きな声が出た。

 

 

「いえいえ〜、気にしてないよ〜。」

 

 

ああ、良かった。心が広い先輩でよかった。

 

 

 

「先輩はここに何しに来たんですか?」

 

 

 

私は疑問に思ったことを聞く。すると、

 

 

「また今度、新曲出すでしょ〜?それのレコーディングだよ!」

 

「そうなんですか!?」

 

 

え、そんなん知らない。まだ未公開情報ですよね?私が知ってもいいの!?

 

 

 

「あっ!そうだ!この歌、合いの手を入れるところがあるんだけどそれがまだ決まってなくて、それはまた今度レコーディングすることになってたんだけど...やってみない?」

 

 

 

「え?」

 

 

 

え?なんかサラッとやばいこと言ってない?コラボとかなんにもなしに本人の曲に私の声が入る?やばくないそれ?

 

 

「やる?」

 

「あ、はい。」

 

 

私はいつもの如く断れなかった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

こんなに大勢の人に見られるのは人生で初めてだ。いや、クラスで転校してきた時あったような...?

 

 

まるでライブしているようだ。私は歌ってみたや歌枠すらもまだやった事ない。それなのに先輩の前で、歌う(合いの手)の!?いきなりこんなことやらされることってあるの!?

 

 

とか思っていた時期が私にもありました。発声練習とか、やり方を知らないのでとりあえずさっきの間宮さんを真似してみる。やり方が合ってるかわからないが、先輩がにこにここちらを見てくる。初めて聞く曲だから全くわからなかったけど何回かやったら、意外とすんなりできたとおもう。(普通にほんのちょっとだけだった)。バカ緊張して何回もミスったけど。

 

 

「よかったじゃん。」

 

「そ、そんなことないですよ。先輩の方が何倍もすごいですって。」

 

「い、いや〜。後輩に言われると照れるね。」

 

「先輩の生歌を同期の誰よりも先に聞けてよかったです。」

 

「そんなこと言って貰えて嬉しいよ。あ、そうだ。美海ちゃんはレコーディングでもないのになんでここに来たの?」

 

「あ」

 

 

完全に忘れてた。間宮さんはそろそろ収録終わってるよね?うん。終わってないはずがない。

 

 

「実は友達(?)がちょっと...」

 

「友達いるんだ。良かった。配信でぼっちみたいなこと言ってたから、友達なりたいなぁって思ってたんだよね。」

 

 

なんか酷いこと言われた気がする。

 

 

 

「友達が収録に来ているんです。多分終わってるんで行かないと。」

 

「友達何か動画上げてるの?」

 

「はい、歌ってみたとかを上げてるみたいです。(これ言ってよかったのかな?)」

 

「へぇ、すごいね。早く行ってあげなよ。待ってるよ。」

 

「はい!」

 

 

 

私は勢いよく部屋のソラカラレコーディングスタジオの扉を開ける。

 

 

「「あ」」

 

 

目の前にみこみこ。こと間宮さんがいた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

再び間宮視点

 

 

トイレに行ったが、結局青野さんは見つからなかった。どこへ行ったんだろう。

 

 

一応フロントの人に帰ってないか聞いてみたが帰ってないと言われた。仕方なく部屋へ戻って青野さんの帰りを待つことにする。帰り道に何人かの大人の人とすれ違った。ソラカラのスタッフさんだろうか。ソラカラの専用の部屋に入って行く。

 

 

「誰かやってるのかな?」

 

 

私はソラカラの大ファンである。いわゆる箱推し。みんな面白いしかっこいいし、憧れている。最近は3期生が入ってきてかなりの盛り上がりを見せている。このスタジオで歌を録り始めてからそんなに経っていないので、まだ会ったことあるのは赤刎レンさんだけだ。赤刎レンさんは実は大学生(Vでは高校生)で歌がとっても上手い。

 

 

しばらく待ったが、行方不明の青野さん。青野さんには悪いが、正直ソラカラのところに誰がいるかの方が気になっていた。

 

 

「ちょっとだけ...ね?」

 

 

気づいたらドアの前まで来ていた。スタッフさんが中から出てきた。中からは話し声だけが聞こえる。

 

 

今はレコーディングは行われていないようだ。

 

 

い、今なら少しくらいいいよ...ね?

 

 

少し緊張するが目の前に推しがいるかもしれない、そんなことを思いながらドアノブに手をかけた...が、ドアが勝手に開く。

 

 

 

 

「「あ」」

 

 

 

 

ドアの開いた先には青野さんと赤刎レンさんがぽかんとした顔でこちらを見ていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

合流

 

 

 

ドアを開けた目の前に立っていたのは驚きの顔をした。間宮さんだった。

 

 

 

「え、赤刎レンさんとどういう関係?」

 

「え、あ、え〜っと??」

 

 

どうしよう、今度こそ身バレだ。私は何とか言い逃れできないか必死に考える。

 

 

「あ、みこみこ。ちゃん!こんにちは!」

 

 

私の後ろでレン先輩が挨拶をする。

 

 

「もしかして、友達ってみこみこ。ちゃんなの!?」

 

「そ、そうです。」

 

 

え、もしかして知り合い!?私は何も出来ずに間宮さんに質問攻めにされるのであった。

 

 

 

 

 

 

かくかくしかじか。

私は間宮さんに全てを話した。VTuberであり、蒼井美海であることを。

 

 

 

間宮さんはソラカラの大ファンで配信などでもたびたびオタクムーブを見せているようだった。意外すぎて、普段の間宮さんでは想像できなかった。

 

 

ましてや、実は3期生の中では(蒼井美海)が1番の推しなのだとか。

 

 

「ええ!?まさかあの蒼井美海が私の隣の席にずっと居たなんて!今までなんで気づかなかったんだろう。」

 

 

えー、それは私が普段から喋らないからですね。はい。

 

 

「どうして蒼井美海だって言ってくれなかったの?」

 

「普段どんな曲歌う?」

 

「歌枠配信する予定ある?」

 

「私の歌、配信で歌ってよ!」

 

 

その後も間宮さんからの質問攻めは止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

私はみこみこ。さんの連絡先をもらい、そして先輩からはオフコラボしようと言われた。オフコラボなんて本当はしたくないが、目の前に本人がいると断れない私。はいと返事をしてしまう。ま、楽しめばなんとかなるだろ?気楽に行こう。

 

 

 

間宮さんは別れ際に、

 

 

 

「明日のコラボ配信楽しみにしてるから!」

 

 

 

 

配信を楽しみにしてくれる人がいるんだ。

 

 

 

 

私の理想のVに少しだけ近づけたかな...?

 

 

 

 

 

私はすっかり緊張や悩みはなくなり、明日の鈴音奏とのコラボすら楽しもうと思うようになっていた。

 




赤刎レン
ソラカラ2期生
誕生日4月25日18歳(リアルは20歳)
登録者27万人
普段はゲームや雑談、歌枠配信をしている。
歌が評判でめちゃめちゃ上手い。
普段かわいいのと歌うときのかっこよさのギャップがすごい。
設定上高校生である。


なかなかごちゃってしてました。すいません。


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#8初コラボ

みなさんがこの作品を読んでどう思っているのか知りたいです。コメント、評価いただけると今後の励みになります。良かったらよろしくお願いします。

ようやく来ました初コラボ回

いつもいつでも上手くいくなんて保証はどこにもないけど。


【コラボ】ついに来た!みうちゃん!【鈴音奏 蒼井美海】

 

 

「こんかな〜!ソラカラ3期生の鈴音奏です!そして〜?」

 

「あ、、、う、、、」

 

 

コメント:あれ?どうした?

コメント:聞こえん

コメント:機材トラブル?

 

 

私は、ついに初コラボをむかえた。昨日は、楽しんでいこう!と思っていたのだが、いざ通話を繋ぐとどもってしまった。意思は変わっても、コミュ障の根本的なところは変わらないようだ。悲しい。

 

 

「お〜い、大丈夫〜?」

 

「あ、はい」

 

「よかった〜。機材トラブル?」

 

「え、いやえっと、そうです。たぶん。」

 

 

コメント:良かった

コメント:これは違うぞ

コメント:コミュ障なだけだぞ

コメント:陰キャです

コメント:びびり

 

私のリスナーにはすぐバレた。なんでそんなこと言うんだよ!

 

 

「び、びびってねーし!」

 

「はい、リスナーさんと喧嘩しない〜」

 

 

私は鈴音奏に止められた。さすが委員長。そして、鈴音奏は話を振ってくれる。リスナーのコメントを見て私が話すのが苦手なことに気づいたか?

 

 

「あのさ、みうちゃんって呼んでいい?普通に呼ぶのもいいかもだけど、この方が仲良さそうじゃない?」

 

「う、うん。確かにそうだね。え、えっと、私はなんて呼べばいい?」

 

「ん〜、鈴ちゃんとかでもいいけど...あ、なでちゃんなんてどう?かわいいし!」

 

「あ、かわいい。」

 

「よしじゃあ決定〜。」

 

 

なんともかわいい名前で呼ぶことになった。一気に距離が縮まった気がする。

 

 

コメント:いいね

コメント:学校の友達って感じ

コメント:みうなでてぇてぇ

コメント:仲良さそう

 

 

全然そんなことないんです。さっき初めて話しました。

 

 

「じゃあ、早速だけどマシュマロ食べてこー!NGナシね!」

 

「う、がんばる。」

 

 

やっぱり、NGナシなのか。これは地獄になる予感。

 

 

「最初は〜これはどう?」

 

 

 

___________________________

 

 

お互いの第一印象は?

マシュマロ

 

__________________________

 

 

 

「う〜ん、私は可愛いなと思ったよ。それと、初配信の時の『みんなを笑顔にするんだ』ってやつ鳥肌立った!かっこよかった。」

 

「て、照れるなぁ。」

 

「私もみんなを笑顔にできるようになりたい!だから、一緒になろう?」

 

「う、うん。」

 

「やったー!」

 

 

コメント:てぇてぇ

コメント:てぇてぇ

コメント:もうみんな笑顔になってるぞ

コメント:いいねぇ

 

 

「みうちゃんはどう?」

 

 

優しいし、かっこいいし、頼りになるっぽいし。なんて言うんだろう。あ、そうだ。

 

 

「う〜ん、委員長というかお姉ちゃん?」

 

「え...めっちゃ照れるんだけど。」

 

 

コメント:まさかの姉妹?

コメント:姉妹でコラボか

コメント:確かにみうちゃんは妹

 

「そ、そういう意味で言った訳では無いよ!?姉御肌っていうか。ね?」

 

「う、うん///」

 

あ、これ長引くやつだ。次の話題に!

 

「つ、次!」

 

 

___________________________

 

 

ズバリ好きなタイプは?

マシュマロ

 

__________________________

 

 

「やっぱ気になる?私たちは高校生だし、青春してるからね!」

 

「青春...?」

 

「ん...?」

 

 

コメント:あっ

コメント:あっ

コメント:あっ

コメント:やめろ!それ以上踏み込むな!

 

 

「と、とりあえずタイプねタイプ!私はね、そうだね〜。かっこよくて、運動できて、性格もいい人!」

 

「え、何その完璧超人。○谷選手かなにか?」

 

「う、うん。」

 

「やっぱり。」

 

 

コメント:○谷か...

コメント:今から野球練習してくる!

コメント:無駄だぞ!

コメント:諦めろw

コメント:結局はお金なのでは?

 

 

「そ、そんなんじゃないから〜!!!」

 

 

彼女は初配信以来お金が欲しいというのが広まってしまって、事ある毎にいじられてるらしい。

 

 

「そ、そうだ。みうちゃんは?好きなタイプ」

 

「無い。」

 

「え〜、好きな芸能人とかYouTuberとかさ。なんかいるでしょ?」

 

「いないよ。私、男の人はムリ。」

 

「あ、え、えっと、そ、そういうのもありだよね!」

 

 

私は元男である。女の子を好きになれても、男は好きにはどうしてもなれない。無理無理無理。ありえん。

 

 

コメント:え!?

コメント:キマシタワー?

コメント:百合なのか!?

コメント:やっぱり男...

 

 

「男じゃありません。」

 

「そうだよみんな!みうちゃんはかわいい女の子だよ?」

 

 

コメント:ごめんなさい

コメント:そうだね

コメント:ごめんね?

 

 

「分かればよろしい!」

 

 

なんか配信楽しくなってきた。この調子なら最後まで行けそう!

 

 

「次行こっか。」

 

 

___________________________

 

 

コラボしたい相手は?

マシュマロ

 

__________________________

 

 

「あ、今度レン先輩とオフコラボすることになりました。」

 

「は!?オフコラボ!?レン先輩と!?」

 

 

コメント:は!?

コメント:何があった!?

コメント:配信切って逃げてたやん!

コメント:Twitterでも断ってるって...

赤刎レン:ホントだよ

コメント:本人が言ってる

 

 

「え?どうして?コラボすることになったの!?」

 

「え〜、秘密!」

 

「教えてよ〜」

 

「無理!」

 

「どうしても?私たちの仲じゃない!」

 

「うー。じゃあ一つだけだよ?」

 

「うん!WAKWAK!」

 

「本人にリアルで会った。」

 

「は?」

 

 

コメント:は?

コメント:は?

コメント:は?

コメント:こいつ抜け駆けしやがった

 

 

「わたしもまだ会ったことないのに〜!」

 

「これ以上は言えません。」

 

「し、仕方ない、配信外で問い詰めます!皆さんには悪いけど、配信終わりマース!」

 

 

え、配信終わるの?ようやく楽しくなってきたのに。もったいない。

 

 

コメント:おつかな〜

コメント:おつかれ!

コメント:楽しかった!

コメント:おつかな〜

コメント:おつみう!

コメント:後で聞かせろよ〜

 

 

「おつかな〜!」

 

 

「おつみう〜!」

 

 

 

 

配信は終了しました

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

私はこの後質問攻めにされるが何とかあの場所であったことだけは喋らなかった。

 

 

_____________________

赤刎レン@renren567・3分前

今週の土曜日!てか、明日!

美海ちゃんとオフコラボする!

夕方は配信予定!

 

○ 118 ⇄ 1,663 ♡ 9,128

_____________________

蒼井美海@miumiu32・2分前

先輩とオフコラボすることになった。私の家で...またもや波乱の予感?:(´◦ω◦`):ガクブル

 

○ 82 ⇄ 666 ♡ 7,262

_____________________

鈴音奏@kanade42・1分前

結局何も教えて貰えなかった。すまんお前ら...

 

○ 105 ︎︎⇄ 568 ♡ 2,685

_____________________

 

 

 

 

 

 

 

 




鈴音奏
ソラカラ3期生
誕生日9月15日17歳(リアルは19歳)
登録者3万人
みんなからしたわれている。委員長。姉御肌。
かなちゃんと呼ばれている。
可愛い。音楽を聴くのがすき。
中身は大学生。

美海が喋らなかったのは新曲を出すことをまだ口止めされているからです。
とりあえず、あと2話頑張りますのでお待ちください。


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#9オフコラボって何するの?

たくさん読んでいただきありがとうございます!

オフコラボ回です。

先輩とあんなことしたりこんなことしたり、女の子同士(?)の休日の過ごし方!

今日も皆さんお疲れ様。




土曜日。初コラボの次の日。

 

 

私は駅で待ち合わせをしている。私は先輩よりも先に着かなくちゃという意識から30分も前から駅前のベンチに座りながら スマホを弄っている。

 

 

今日の予定は一応、夕方まで外で遊んで夕方7時から配信をする。先輩はうちに泊まっていくつもりのようだ。どうか!どうか何も起きないで過ごせますように。

 

 

 

「みうちゃん!」

 

 

 

 

「...」

 

 

 

 

「みうちゃん?」

 

 

 

 

「...」

 

 

 

 

「ねぇ、みうちゃんってば」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

聞き慣れない呼び名は自分に向けられてるみたいだ。みうちゃん?みうちゃん...あっ、昨日コラボ配信で鈴音奏から決められた呼び名だ。気づくと目の前には先輩が立っていました。前会った時とは違う雰囲気のオシャレな涼しそうな

青色っぽい服を着ている。

 

 

「待った?」

 

「い、いえ!今来たところです。レン先輩!すいません気づかなくて!その呼び方まだ慣れてなくて。」

 

「そうだよね。でも、こういうのって慣れない方がいいかもよ?ほら、気が緩んで本名とか言いかねないから常に意識持ってね。みうちゃんももう、普通の一般人ではないんだから。」

 

 

大事な事だな。

 

 

「は、はい。分かりました。」

 

「だから、美琴って呼んで。」

 

「美琴?」

 

「うん。私の本名。樫村美琴(かしむらみこと)。Vの名前で呼ぶと周りの人にバレちゃうかもでしょ?」

 

「あ、なるほど。」

 

 

そんなこと全然考えたこと無かった。今まで通りに過ごせないのか...なんか芸能人みたい。

 

 

「みうちゃんはなんて呼べばいい?」

 

「え、えっと、本名は青野渚です。」

 

「じゃあ、なぎちゃんね!」

 

 

なぎちゃん。子供の頃におばあちゃんに呼ばれてた呼び方。なんか懐かしい感じがする。

 

 

「それにしても、なぎちゃん。その格好は何?」

 

「え、ダメですか?」

 

「ダメです。」

 

 

この服装はさすがにやばかったか。女の子になって男物しか持っていなかった私。しかも、普段外なんて遊びに行かないから、どんな服装して行けばいいのか分からずに、男の時に唯一オシャレだと思い買った、今の私にはブカブカの大きさのパーカーだった。5月の下旬の晴れの日にするような格好ではない。正直、暑すぎて服の中はムレムレだ。

 

 

「行くわよ!」

 

「え、どこにですか?」

 

「服を買いにに決まってるでしょ!」

 

 

私は先輩に連れられ女の子の服を買いに行くのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

とても疲れた。

服選びに行って、何を買おうかと思っていると、先輩が次々に可愛らしい服を持ってきた。最初は大人しめの白のワンピースとかだったが、どんどんエスカレートして行って、水着や下着まで持ってきたのでさすがにやばいと思って最初に持ってきた白のワンピースを着て、他は何着か購入し、何とか逃げ切った。先輩は何故かとっても残念がってた。

 

 

私たちは、マ○クで昼食をとって、ゲーセンとかで遊んで、初めてプリとかも撮って楽しかった。

 

 

初めてタピオカミルクティーを飲んだが、あれはなんなんだ?カエルの卵?

 

 

と、とにかく、彼女とデートしたらこんな感じだな?と思った。楽しかった。彼女いない歴=年齢だけど。

 

 

 

その後、私の家に向かうことになったのだが、私の家からは海が近く、電車の窓から見た先輩は海に行きたいと言い出し、海の方まで来たところだった。

 

 

「わ〜!海だ〜!海って今って冷たいかな?」

 

「わかんないですね。最近ここに引っ越してきたばかりなので。」

 

 

私達は堤防に座って話している。海が夕日で反射している。綺麗だ。

 

 

「そうなんだ!前はどこにいたの?」

 

「山梨の甲府の近くです。」

 

「どんなところ?」

 

「くそド田舎です。」

 

 

私は海を見ながら昔のことを思い出す。胸の奥がキュッとなる。田舎で限られた人との関わりだったり、その中でもがいてもがいて、結局何も無かったこと。そうしたらいきなり女の子になって、ここに来て環境が180°と言っていいほど変わった。私結構すごい人生歩んでる?

 

 

「どうした?なんかあった?」

 

どうやら私は顔に出やすいらしい。

 

「ないと言えばないし、あると言えばありますね。」

 

「え、どっち?なになに?気になる!」

 

「秘密です。」

 

「なぎちゃん教えて〜!」

 

「ダメです〜。みこと先輩絶対言いふらすもん!」

 

「そんなことないよ!」

 

 

先輩はぷく〜ってかわいらしく頬を膨らませ、それを見て笑っていると、捕まえようと腕が伸びてきたのでそれをかわして、砂浜に足をつけた。先輩が追いかけてくる。私は笑いながら避ける。楽しい。

 

 

女の子になって伸びてしまった、私の長い黒髪と白いワンピースが、ひらひらと舞った。

 

 

 

波と砂浜に夕日が反射して眩しかった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

しばらくして配信までの時間がかなりやばいことに気がつき、2人で急いで私の家まで走ることになった。これが今日イチで疲れたかもしれない。

 

 

夜ご飯は、先輩が作ってくれたハンバーグとか色々。めちゃめちゃ美味かった。

 

 

配信を前に私たちはお風呂に入ることにした。私は先輩が先にと思ったが、「どうぞどうぞ」されてそのままシャワーを浴びた。

 

 

少しは先輩と仲良くなれたかな...?

 

 

今日は今までで1番楽しかった。最高の一日だ。

 

 

 

_____________________

赤刎レン@renren567・3分前

もうすぐ配信する!みうちゃんの枠で!

暫し待たれよ!

 

○ 102 ⇄ 1,156 ♡ 9,562

_____________________

蒼井美海@miumiu32・2分前

今日は先輩とデート楽しかった!

配信も楽しみます。

 

○ 128 ⇄ 852 ♡ 8,259

_____________________

 

 

 




青野渚の部屋は...


次10話です。まさか、ここまで続くとは。




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#10オフコラボは楽しい

お気に入りが100を超えておりました。沢山読んでいただきありがとうございます。

お気に入り登録、コメント評価いただけると今後の励みになります。良かったらよろしくお願いします。

オフコラボ回後編です。


青野ちゃんのお部屋は...すごいらしいです。


【オフコラボ】お泊まり会【蒼井美海 赤刎レン】

 

 

「こんれん〜!ソラカラ2期生の赤刎レンだよ〜!現在なんと!!みうちゃんのお部屋に来ておりま〜す!」

 

 

先輩は私がシャワーを浴びている間に勝手に配信を始めた。そんなこと私は知る由もない。

 

 

コメント:こんれん〜

コメント:こんれん〜

コメント:オフコラボきちゃ

コメント:あれ、美海ちゃんは?

コメント:確かに、声が聞こえん

 

 

「なんと〜現在みうちゃんはシャワーを浴びております!!みんな気になるよね〜?」

 

 

コメント:!?

コメント:まじ!?

コメント:気になる!

 

 

「ということで、ちょっとだけ覗いてきま〜す。」

 

 

レンは美海の部屋にあるマイクをドアの近くまで寄せ、ドアを開けっ放しにして風呂場まで向かった。配信にはシャワーの音が少しだけ聞こえる。

 

 

「みうちゃーん?」

 

「うわっ!?!?」

 

 

ガタッ!ガン!

 

 

「大丈夫!?」

 

「大丈夫です。」

 

「覗いていい?」

 

「ダメです!絶対だめです!入りたいならもう少し待ってください!」

 

 

コメント:こ、これは...!?

コメント:一体何が起きているんだ!

コメント:大丈夫か!?

コメント:見れないのがもどかしい!

コメント:てぇてぇ

コメント:みうれんてぇてぇ

 

 

しばらくすると、配信にレンだけが戻った。

 

 

「怒られちゃった。えへへ。」

 

 

レンは先程のことを思い出す。

 

 

「はぁ...綺麗なおっp...」

 

 

コメント:何があったんだ!?

コメント:美海ちゃんのはだk...

コメント:お前見たんか?

コメント:てぇてぇ

コメント:センシティブ

コメント:見たんか...

 

 

「え、あ、今のなし!なし!///」

 

 

レンは自分がもっとやばいことを口走りそうになった事に気づき、顔を赤らめながら話を強引に終わらせた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

私が部屋に戻ると、先輩は勝手に配信を始めて、私のことをなんか語っていた。なんかチャット欄は盛り上がっているようだ。え、てか、なんでもうやってんの?一緒に始めたかったのに。

 

 

「あ、みうちゃんおかえり〜。」

 

「なんで、配信始めてんですか。」

 

「待ちきれなかったから...」

 

「え、まさかさっきの配信に載ってます?」

 

「ん〜?なんのことやら分かりませんな。」

 

「あ、死んだわ。」

 

 

コメント:死んだw

コメント:おかえり〜

コメント:いいもんを聞かせてもらったぜ

コメント:無事死亡w

コメント:惜しい奴を亡くした

コメント:どんまい!

 

 

「うぐぐ...」

 

 

どうやら完璧に私の入浴(シャワー)の音は全世界に配信されてしまったらしい。あー、なんて恥ずかしい。死にたいわ。

 

 

「それじゃあみうちゃんも来たことだし、今日のこととか語っていこ〜!」

 

「はい...」

 

「今日はね〜、みうちゃんと買い物したり、遊んだりして超楽しかったよ。」

 

「私も楽しかった。」

 

「みうちゃんかわいかった。みんなに見せれないのが残念なくらいね。」

 

 

ほんとに今日は楽しかった。とっても疲れたけど楽しかった。これ以上はないんじゃないかとすら思えてくる。

是非、私と先輩のデートを生配信したい!ま、Vなんで無理だけど。

 

 

すると先輩は配信画面に写真を表示した。

 

 

「この写真は?」

 

「今日撮った写真だよ」

 

「いつの間に撮ったの!?」

 

「内緒。」

 

 

先輩は、私の知らない間にいっぱい写真を撮っていた。今日食べたものとか遊んだこととか。もちろん、私たちは写っていない。

 

 

コメント:美味そう

コメント:タピオカか

コメント:陽キャの食べ物?飲み物?

コメント:みうちゃん陰キャなのに飲めたの?

 

 

「あれは美味いのかどうかわからなかった。」

 

「え〜、美味しいのに!」

 

 

コメント:あれはよく分からん

コメント:最近流行ってんの?

コメント:飲んだことない

 

 

視聴者の皆さんも私と同類のようだ。仲間がいてよかった。

 

 

「ところで話変わるけどさ。」

 

「はい。」

 

「みうちゃんの部屋これどうなってるの?」

 

 

コメント:あ、部屋紹介?

コメント:部屋どうなってるのか知りたい!

コメント:まさか、汚部屋?

 

 

「汚部屋ではないんだけど、なんかすっごい。」

 

「え〜、これはですね、完全防音になっております。」

 

「え、すご!みうちゃん一体何者?」

 

 

コメント:すご

コメント:一般家庭はそんな部屋ないぞ

コメント:なんでそんな部屋があるの?

 

 

私の部屋は完全防音室である。外に全く音が漏れません。なんでこんな部屋かと言うと、元々親父が結構すごい音楽家?ミュージシャン?(よく分からんけど)で、東京を拠点にしていて、その時に住んでいた家なので親父がいつも練習する時や作曲する時はこの部屋でやっていた。親父は山梨に帰ってくるのはたまにしか無かった。3年前に病気にかかって死んじゃったけど。

 

 

この家は何かあった時のために残しておいてあったそうだ。そのため、母はいつも仕事で家にいない。一ヶ月に一回は帰ってくるが今はどこで何をしているのやら。

 

 

それで、配信するにあたってこの部屋が最適なのではと思い至ったのだ。夜とかに叫んだら迷惑だしな。

 

 

「もともと、親父の部屋だったんですけど今は自分が使わせてもらってます。」

 

「へ〜。ねね、そこにある楽器たちは?」

 

「いつもここで練習するんですよ。あ〜、えっと、一応一通り弾けますよ。」

 

「え!?弾けるの?」

 

 

父の影響とどん底だった中学生時代の遺産。ベースやドラム、ギターは一通り弾けた。最近はこの小さい手にも慣れてきて、だいぶ弾けるようになった。

 

 

コメント:マジか

コメント:なんの楽器?

コメント:すげぇ

コメント:そんな特技あったんか

 

 

「あれ?言ってなかったっけ?」

 

「初耳だよ!楽器できるなんてかっこいい!」

 

「なんか照れますね。」

 

「ね!今なんか弾ける?」

 

「いいですよ。リクエストあります?出来れば有名なやつで。」

 

「う〜ん、あ、Go○ k○ows...とかどう?いける?」

 

「あ、はい大丈夫です。」

 

 

私はあの神アニメで、1度しか流れなかったあの伝説の歌をギターで弾いた。チャット欄は大盛り上がり。先輩もライブ感覚で見ていた。

 

 

コメント:すご!

コメント:うますぎやろ

コメント:昔なんかやってたのかな

コメント:かっこいい!

 

 

「すごいすごい!かっこいい!」

 

「良かったら、一緒に歌いませんか?」

 

「いいね!それ!やる!」

 

 

私たちは音を奏で続けた。

 

 

 

こうして夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「おつれん〜」

 

「おつみう〜」

 

 

コメント:楽しかった

コメント:ライブ配信だったな

コメント:おつみう〜!

コメント:おつれん〜!

 

 

 

 

配信は終了しました

 

 

 

 

配信が終わったのは11時過ぎ。4時間の長時間配信になってしまった。

 

 

先輩とデートからの即興ライブ。誰かと楽器を弾いたり、歌ったりすることがなかったのでとても楽しかった。今日一日、とても楽しかった。

 

 

私たちは同じベッドで眠った。自分はリビングのソファで寝ると言ったのだが、先輩は無理やり私を拘束し、同じベッドに入った。

 

先輩のいい匂いがするので、私はなかなか寝付けないのであった...。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

私と先輩の即興バンド。私のギターと先輩の磨きのかかった歌声。それは、色んなところで話題を呼んだ。Twitterではトレンド入りし、切り抜き動画が沢山作られた。この配信が後に「始まりの配信」と、呼ばれることとなる。

 

 

 




2人が次の朝寝坊して配信するのはまた別の話...

10話お読みいただきありがとうございました。こっからは多分不定期(数日空くとか)なるのでご理解お願い致します。できるだけたくさん出します。

明日は分かりません。

「VTuberになるために」これからもよろしくです。

今後はそろそろアイドルっぽい話をやったり、新しい企画配信の話など考えております。



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夏の冒険編
#11友人たち


こんにちは。

たまに細かいとことかちょっとずつ変えたりしています。話自体は変わって無いので気になるひとだけ見てください。多分わからんと思うけど。


学校の友達です。



初配信から2週間が経った。

 

 

 

私は配信にもようやく慣れてきて、楽しく思えてきた。たまに鈴音奏とコラボしたりしていい感じにやっている。

 

 

チャンネル登録者も順調に伸びていき、もうすぐで10万人だ。前の先輩とのオフコラボ配信が結構話題となった為、3期生の中では登録者は1番多くなっている。

 

 

私の配信スタイルは雑談は苦手なのでゲーム配信が主となる。たまに歌枠もしたいが、自信がないからなかなか手を出せない。歌に自信のある先輩や同期の人達は結構歌枠をしている。

 

 

でも、それよりも私に要望が多いのが楽器を使って演奏配信をして欲しいというものをよく見かける。やってもいいかもしれないが、配信中に楽器1つで演奏するのはなかなか難しい。音源を使おうにもカラオケ用や著作権の問題などでなかなか使えない。要するに1人ではなかなか出来ないのである。なので今はあまり触れないようにそっとしてある。

 

 

まあ、私は演奏はしたいが、今は歌を歌って、みんなを笑顔にできるライブをしたい。それが目標である。まずは3Dが実装されるのを待たなければいけないが。

 

 

そんな私は今日も配信をして、終わるところだ。

うん、ちゃんとVTuberしている。

 

 

「今日も楽しかった!また次の配信も楽しもう!じゃあおつみう〜!」

 

 

コメント:楽しかった!

コメント:おつみう〜

コメント:おつみう〜

 

 

私は配信を切り、今日も楽しかったと心から思う。私はしばらくTwitterでエゴサをしてみる。私の事を好きとか嫌いとか色んなことが書いてある。それを見るのも最近の楽しみになっている。そしてその後にファンアートを見る。とてもすごい絵を書いてくれる絵師さんや、頑張って書いてくれている人もいて私はとても愛されてるんだなぁと最近は思えてきた。VTuberになってよかったなぁ。

 

 

 

 

すると、VTuber用の会社から貰ったスマホに連絡が届いた。マネージャーの阿部ちゃんからだ。普段は配信の予定や告知などのメッセージのやり取りしかしないのに、こんな平日の木曜日に何用か。メッセージを見ると、

 

『3期生の皆さんで公式番組を撮ります。なので、明後日の土曜日、午前10時までに事務所の隣にあるスタジオまで来てくだい。』

 

とある。なんでいつも唐突なんだよ。まあ、予定表は提出しているので私に用事がないことはわかっていて当たり前か。

 

 

だが私は、これはやばい!と思った。()()話したことも、会ったこともないのに同期たちと一緒になにかするのだ。

 

 

 

「はぁぁ...」

 

 

 

ああこれはまた大変だぁ。私はため息をつくのであった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

金曜日。午前の授業が終わり、昼休み。

 

 

私は最近間宮ななこことみこみこ。さんとその友達2人と弁当を食べている。らんちゃんとさきちゃんだ。その2人は間宮さんがみこみこ。だということは知っている。なので、その話はしてもOKということになっている。(人前じゃダメだけど)

 

 

最近その友達2人が間宮さんの影響でVTuber、それもソラカラにハマってしまい、私と間宮さんはその話題が出る度にかなりハラハラドキドキしている。それでも、共通の話題があって、とても楽しく過ごしている。弁当食べながらさきちゃんからの質問が飛んできた。

 

 

「ねぇねぇ、なぎちゃんの家ってどこにあるの?」

 

「え、駅前を少し東に進んで右に曲がったところの一軒家だよ。」

 

「じゃあ、海近いじゃん!」

 

「うん、うちの窓からも海見えるよ。」

 

「いいなぁ!」

 

「最近引っ越してきたばかりで海は1回しか行ってないけどね。」

 

「あ、そうだ!あそこの海のとこにある神社での夏祭り、今年は4人で行かない?」

 

 

どうやら夏休みに近くの神社で祭りがあるようだ。まだだいぶ先の気もするが...

 

 

「去年は私が歌の仕事で行けなかったから今年は早めに決めておこうってなってたの。」

 

 

何も聞いてないのに答えが帰ってきた。

 

 

「なるほど。」

 

 

それなら自分もその日は開けておかないとな。

 

 

「なぎちゃんも8月9日空けておいてね!」

 

「う、うん。」

 

「ねえ!突然で悪いんだけど今日なぎちゃんちに行ってもいい?」

 

 

ほんとに突然だな。みんな突然に言い出すのが流行りなのか?だが、今日は昨日配信したので休みの日だ。家には誰もいない。

 

 

「いいよ!」

 

「やった!」

 

 

帰りにみんなで家によって遊んでいくことになった。友達が家に遊びに来るなんて何年ぶりだろう。私はとてもワクワクしていた。

 

 

間宮さんは何故かとても焦っていたが、あれは一体なんだったのだろう。

 

 

 

 

私はその答えに家の前に来てから気づいた。

 

 

 

家はほぼ一人暮らし状態で別に見られて困るものなんてないと思っていた。だがVTuberとなった今、配信機材などを見られてしまったら身バレしてしまう!!レン先輩に言われた言葉が脳内再生される。

 

 

《そうだよね。でも、こういうのって慣れない方がいいかもよ?ほら、気が緩んで本名とか言いかねないから常に意識持ってね。みうちゃんももう、普通の一般人ではないんだから。》

 

 

私はとても焦った。

 

 

「あ〜、えっと〜。待って待って!あの〜家の中がちょっと...ね」

 

「わかった。」

 

「待ってる。」

 

 

素直に聞いてくれた。

 

 

「あと、間宮さんちょっと...」

 

 

私は間宮さんだけを手招きして玄関に入れた。

 

 

「あのさ、なぎちゃん...」

 

 

間宮さんに怒られた。

 

 

「はい...すいませんでした。」

 

「もう何やってもしょうがないし、私も協力するから、できるだけ配信機材を見られないところに隠して来なさい。私もあの子たちに気づかれないように手伝うからさ。」

 

「ありがとう..。」

 

 

私は間宮さんに身バレしていて心底良かったと思うのであった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「バイバイ〜」

 

「また月曜日ね〜」

 

 

私たちは何とか2人にはバレずにやり通すことが出来た。途中、配信部屋の防音室を覗かれそうになったが、あそこはただの物置ということでやり過ごした。家の構造上それはありえないのだが。

 

 

とっても疲れた。家のリビングはお菓子のゴミとかが色々散らばっていた。あれだけゲームしてはしゃいだもんな。

 

 

片付けるのも面倒なので明日の自分に任せることにした。私は明日の朝から撮影があることを忘れていた...

 

 

 

 

 




次回同期達がようやく登場です。


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#12同期たち

なんと!この前にお気に入り登録100を突破したばかりなのに気づいたら200を超えておりました。私とっても嬉しいです。たくさん読んでいただきありがとうございます。

梅雨の時期って髪の毛長いとゴワゴワして嫌な感じですよね


ピンポーン!ピンポーン!

 

6月5日土曜日。

 

ジメジメしてきた今日この頃。

 

朝の午前10時。

 

 

私はドアホンの呼び出しで目が覚めた。

 

 

こんな朝から誰だろう。

 

 

なんかネット注文でもしてたっけ?

 

 

ドアホンの画面には1人の同年代?ちょっと年上?くらいの女の子が映っていた。

 

 

「はい。」

 

「あ、おはよう。もしかしてまだ寝てた?」

 

 

なんか聞き覚えのある声。どこで聞いたんだっけな。しかも友達のように話している。一体誰なんだ。

 

 

「ん?」

 

「とりあえず急いで出てきて!」

 

 

私は寝ぼけたままドアを開けた。

 

 

そこには10代?20代?くらいの若い女性。とてもかわいくて綺麗。何やら焦っているようだった。でも、私の姿を見ると驚いた表情で、

 

 

「え、あ、妹さん?」

 

 

え?妹?うちは一人っ子だ。私ってそんな幼く見える?

 

 

「え?姉妹なんていませんよ?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「じゃあ、もしかしてあなたがみうちゃん?」

 

 

私の心臓がドキッと跳ね上がる。身バレどころではない。自宅までバレてしまったのだ。何を要求されるか...なんて考えていると、女の子がこう告げた。

 

 

 

「私よ、私。鈴音奏よ。」

 

「あ。」

 

 

 

正体はなんと鈴音奏だった。驚き、衝撃。私は眠かった頭が覚め、段々と思い出していく。

 

 

「やっべぇ!ちこくだぁ!!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

どうやらみんなはスタジオに30分前に集まっていたが、私だけが来ず、連絡してもなかなかメッセージや電話にも反応がないため、同期の中で1番仲のいい鈴音奏が迎えに来ることになったそうだ。初対面だけど。

 

鈴音奏になんで家がわかったか聞いてみると、レン先輩に聞いたそうだ。

 

 

そんなことより、だ。急がなくては。もう遅刻は確定しているのだが、何とか早く行こうと思った。すると、鈴音奏が、

 

 

「今マネちゃんに連絡したら今日はみんな時間が大丈夫だそうだから、撮影は1時からになったよ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「向こうに着いたら、みんなにちゃんと謝ろうね。」

 

「は、はい。」

 

「てか、今起きたんなら朝ごはんなんも食べてないでしょ。」

 

「うん。でも食べなくて大丈夫です。」

 

「だ〜め。ちゃんと食べないと慣れない撮影なんて直ぐにへばっちゃうよ。朝ごはん作ってあげるから。ちょっと上がってもいい?」

 

「ありがとう、何から何まで...」

 

「あ、早く着替えて。時間は限られてるんだから。」

 

「うん」

 

 

私は奏を家に入れ、自分の部屋に駆けて行った。しばらくすると、「何よっこれ!」と悲鳴みたいのが聞こえてきた。ああ、リビングは昨日のまんまだったな。

 

 

私はこの前先輩に選んでもらった肩出しの黒のトップスとチェック柄のスカートを履いていくことにした。

 

 

リビングに戻るととても綺麗になっており、奏は軽く色んなトッピングが乗ったトーストを作ってくれていた。電子レンジの中をじーっと見ている。

 

 

「な、なでちゃん?着替えてきたけど、自信ないんだ。どう、かな?」

 

「ん〜?」

 

 

奏が振り返る。

 

 

 

 

「かわいいぃぃ〜♡!!!」

 

 

 

 

奏はかわいいかわいいと言いながら私を見てきた。正直服とか全くわかんないから見てもらえて良かった。

 

 

私は奏の作ってくれたトーストをペロリと平らげた。とっても美味しかった。

 

 

食べ終わると直ぐに奏に急かされて、奏の車に乗ってスタジオまで強制連行された。なんか前にもこんなことがあったようななかったような。なんかやっぱりお姉ちゃんだ。

 

 

そしてあっという間に今は3期生の待機室の前。私は心の準備をしようと深呼吸する。

 

 

「すーーーーっ、」

 

キイッ

 

「っ...!!」

 

「失礼します。すいません遅れました〜。」

 

 

奏が勝手にドアをあけ、私は準備できないまま同期たちと初対面することとなった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

12時30分。

 

 

今私は同期たちと近くのコンビニ買ったお昼ご飯を食べ終わった所だ。

まず、私の右隣に座っている奏が会話を始める。

 

 

「えっと〜、まず自己紹介しましょうか。私は鈴音奏です。19歳です。みんなコラボはしたけど会うのは初めてですね。」

 

 

え、みんなとコラボしたの?コミュ強過ぎない?

 

 

「じゃあ、次は俺やな。俺は夏火ミライ(なつびみらい)だ。ミライと呼んでくれ。24歳だ。みんなと会えて嬉しい。今日は頑張ろうな!」

 

 

ミライくんはゲームがとても上手い。スマ○ラで視聴者参加型の配信をしたところ、誰一人として倒せなかったという。

 

 

「次は私か。私は御手洗トマリ(みたらいとまり)。呼び方はなんでもいいよ。好きに呼んで。23歳。ちょっと人見知りなんだ。ごめんね。」

 

 

彼女は絵を描くのがとても上手い。配信ではお絵描き配信をよくしている。初配信で人見知りを治したいと言っていた。なんか私と近いものを感じる。

 

 

「うん、じゃあ俺は皇光(すめらぎひかる)。21歳ね。なんかリスナーからは魔王様とか呼ばれてる。本当は光って呼んで欲しいんだけどね。ま、みんなよろしくな!」

 

 

彼は名前の如く輝いてる。LIVE2Dもリアルも。とてつもないイケメンなのだ。でも、性格や発言から魔王様とか

言われている。ちょっと離れとこ。

 

 

 

 

私の番が来た。みんなが私の方を見る。この中でコラボしたことあるのは奏だけ。知らない人にめっちゃ見られてる。怖い。

 

 

でも、転校してきた頃の私とは違うんだ!しっかり自己紹介して仲良くしたい!

 

 

「あ、え、...?」

 

 

私はドキドキしながら口を開くが、緊張で声が出てこない。

 

 

みんなの顔見る。なんかみんなは配信を見て私がコミュ障なのを知っているらしく、落ち着いてって言う顔してた。私は深呼吸し、呼吸を整える。

 

 

「え、えっと、私は蒼井美海です。みうちゃんでいい、です。あ、17歳です。よ、よろしくです。」

 

何とか言えた。するとみんなが思い思いに口を開く。

 

 

「へ〜、みんな歳違うんだ。」

 

「そうみたいね。Vだとみんな高校生なのに。」

 

「それな。てか、みうちゃん本物の高校生かよ!若いな〜。」

 

「みうちゃんかわいい!」

 

「よ、よろしく...」

 

 

なんかみんな緊張してるのかと思ったけどこうしてみると、配信のチャット欄みたいだ。そうか、みんな先輩たちを見てここに来た生粋のVTuberファンだもんな。ヤバいやつらとか言われてるけどそうでも無いのかも?

 

 

「みんなここで収録したりしたことある?」

 

「さすがにまだだな。」

 

「初めてだ。緊張するね。」

 

「歌ってみたとかやるの楽しみだな〜!」

 

「...」

 

 

私は勢いに負けて黙り込む。

 

 

「みうちゃんは歌ってみたやらない?」

 

 

奏が話を振ってきた。

 

 

「あ、あのぅ...」

 

「ん?何?」

 

「わ、私、レン先輩のオリ曲に()入れた...」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「は?」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

4人は驚き、質問してくる。いつとかどうしてそうなったのかとかどんな感じだったかとか。年上にこんなに責められるなんて悪いことして怒られてる気分。わたしは終始ビクビクしているのであった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

まあ、いろいろあったがとにかくみんないい人そうでよかった。これならやっていけそうな気がする。

 

 

私たちは3期生としてのみんなとしての目標を決めることにした。たくさん案は出たがやっぱりみんなが決めたのはみんなを笑顔にできるVTuberになるだった。なんか恥ずかしい気もしたが、みんなはシンプルかつ分かりやすく、みんなでできる目標だった。私の目標がみんなの目標になった。すごく楽しみでワクワクする。

 

 

 

「時間でーす。収録しまーす。」

 

 

 

スタッフさんの声が聞こえるとみんなぞろぞろと部屋を出ていく。私もついて行く。準備された機材の前に座る。みんなが画面に初めて集合した。なんかドキドキする。

 

 

 

 

 

 

私の緊張をよそに、5人で初めての公式番組が始まった。

 

 

 

 

 

 

 




コラボしたことあってみんなもともと仲がいいです。(美海以外)


同期たちとの絡みどうするか...


こりゃまた長くなりそう...


みんなVの名前です。



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#13私のこと好きすぎィ?

私は配信の回を書くのが苦手です。配信回は期待せずにお読みください。

短くなってしもうた。


収録は滞りなく進んだ。

どうやら、私と奏がいない間にリハーサルが行われていたようだ。コミュ強の奏は話を振られるとペラペラ喋っていたが、私はと言うと噛み噛みでみんなやスタッフさんに見られながらだったので、恥ずか死しそうだった。それも、編集でどうにかして貰えないだろうか。

 

 

そんなこんなで私たちは帰宅した。無事に終わってよかった。

 

 

帰りは普通に電車で帰った。奏に送っていくと言われたが、家の方向が真逆で私はさすがに気が引けたので断った。奏はとても残念がっていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

【雑談】収録行ってきた!【蒼井美海】

 

 

 

「今日は疲れた〜。ね〜、なでちゃんってめっちゃお姉ちゃんみたいじゃない?」

 

 

コメント:そうだね

コメント:いきなりかよw

コメント:挨拶なし?

 

 

「あ、こんみう〜。ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜。」

 

 

私は帰ってからすぐに配信した。なんかこのみんなで何かやるっていうことの楽しさを、このワクワクを共有したい!

 

 

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

コメント:なでちゃんとなんかあったの?

 

 

「そうなんだよ〜。収録前になでちゃんが家に来てくれて、一緒に行ったんだよ〜!」

 

コメント:家に来たの!?

コメント:てぇてぇ

コメント:仲良いね〜

コメント:お姉ちゃんのお迎え

鈴音奏:ちがうよ〜?遅刻したんだもんね〜?

コメント:本人w

コメント:遅刻かw

コメント:またやらかしたんかw

コメント:草

コメント:何回やらかすんだよw

 

 

「も〜!なんで言っちゃうの!?言わないつもりでいたのに!私にポンコツのイメージついちゃうじゃん!!」

 

 

コメント:今更では?

コメント:今更だよ

コメント:PONですね

コメント:あなたが1番やらかしてます

 

 

どうやら手遅れらしい。そういうキャラになってしまったらしい。てかなんで言うんだよなでちゃん!今度あった時何かしらやり返そう。

 

 

「まいいや。でね〜、私が遅刻したんだけど〜。」

 

 

コメント:認めたw

コメント:潔いw

コメント:それで?

 

 

「あ、うん、なでちゃんに朝ごはん作ってもらったんだよ。めっちゃうまかった。」

 

 

コメント:なでちゃんの手料理!?

コメント:おねちゃんと言うよりお母さんみたい

コメント:ママじゃん

鈴音奏:今度もっと美味しいの作ってあげるね!

 

 

「え、なでちゃんありがと!楽しみにしてる!」

 

 

コメント:てぇてぇ

コメント:この姉妹てぇてぇ

コメント:料理配信希望

 

 

「そうだね〜。料理配信やりたいかも。考えておきます!」

 

 

料理するのは楽しい。でも私は料理なんてほとんどできない。私が料理するとだいたい不味くなるか真っ黒なよくわからんものができる。最近1人で食べることが多いけど、さすがにインスタント食品からは脱したい。最近の冷凍食品とかインスタント食品美味すぎる。料理しなくてもいいじゃん?

 

 

「それとさ、3期生のみんなと会ってきたよ。初対面で緊張したけど何とか生きて生還できた。」

 

 

コメント:おつかれw

コメント:みうちゃんはなでちゃんとしかコラボしてないもんな

コメント:よう頑張った

鈴音奏:ビクビクしてるみうちゃん可愛かったよ〜!

鈴音奏:収録の時も噛み噛みだったけどそれが良かった〜

 

 

「なでちゃん私の事好き過ぎない?」

 

 

コメント:それなw

コメント:この前のみうちゃんについて語る配信してたもんなw

コメント:それ切り抜きで見たw

 

 

何この人怖い。今日初対面だぜ?あったこともないのにそんな配信してんの?やば。てか、変なこと言ってないよね?大丈夫だよね?

 

 

「なんか変なこと言ってないよね?通話しながら寝たこととか、レン先輩とのコラボ前に泣きついたこととか...」

 

 

コメント:草

コメント:自分で言ってて草

コメント:w

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!!」

 

 

コメント:うるせぇ

コメント:うっさ

コメント:耳ないなった

 

 

自分で言ってしまった!なんという不覚!なでちゃんが仕掛けたわなだ!あぁ、恥ずい。恥ずい。あ、そうだ!逃げれば勝ちなんだよ!逃げるは恥だが役に立つってね!

 

 

 

「はい。配信終わりマース。後日動画は公式チャンネルで公開されるので是非見てね〜!おつみう〜!(早口)」

 

 

コメント:あ

コメント:逃げやがったw

コメント:陰キャじゃないか

コメント:草

 

 

 

 

配信は終了しました

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

なんか登録者10万人超えてた。

 

 

 

ほら役に立った(?)じゃん。

 

 

 

 

_____________________

蒼井美海@miumiu32・5分前

登録者10万人超えてた。

ありがと。

 

○ 158 ⇄ 956 ♡ 15,206

----------------------

鈴音奏@kanade42・5分前

みうちゃんおめでとー!

またコラボしよーね!

またおうちいく!

 

○12 ︎︎⇄ 685 ♡ 5,256

----------------------

蒼井美海@miumiu32・4分前

 

○ 3 ⇄ 121 ♡ 1,105

______________________

 

 

 

 

 




3期生コラボやりたいですね



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#14MMORPG

自分的に平和なほっこり回です。

ゲームって楽しいですよね!


私はパソコンを見つめる。画面に移るのは昔やっていたMMORPGゲーム。オンラインでみんなで魔王を倒しに行くストーリーで、やり込み要素が多いゲームだ。VTuberになってから疎遠になっていて約1ヶ月はログインできてない。操作とかは不安はないがまだみんなやっているんだろうか。私はそんな思いでログインした。

 

 

そもそも、なんでこのゲームをまたやろうとなったのかと言うと、3期生のみんなでやろうということで魔王と呼ばれている皇光が提案してきた。魔王が魔王を倒すのはどうなんだろうか。

 

 

そして、私は何となくこの1ヶ月放置していたアカウントでログインした。まだ3期生コラボ配信までは1時間くらいある。余裕だろう。

 

 

ログインすると、目の前には前に見た時と少し変わっているが、見慣れた風景が広がっている。私は基本ソロでプレイしていたが、1ヶ月前にそこら辺のプレイヤーを助けたらどうしてもギルドに入って欲しいと言われ、断れなかった私は渋々ギルドに入った。

 

 

私はステータス画面を開く。そこには私のプレイヤーネーム《miuna》の文字。私はVTuberになると決まり、その名前に慣れるために、プレイヤーネームを《miuna》にしたのだ。全然やってなかったけど。まあ、ありがちな名前だ。実際にこのゲームの前作にも「みうな」というキャラが登場していたのでまあ、身バレすることは無いだろう。別にギルメンと以外は連絡なんて取らないだろうし。

 

 

すると、ちょうどゲームにログインしているギルメンからチャットが飛んできた。

 

 

チャット欄

toriningen:こんばんは!

GODO:こんばんは〜

 

 

私は挨拶を返す。

 

 

miuna:こんばんは〜

toriningen:お久しぶりですね!

GODO:1ヶ月ぶりですか?

 

どうやら私のことを覚えていてくれたようだ。まあ、小規模ギルドだしな。

 

 

miuna:そうですね。リアルがちょっと忙しくて。来れなくてすいません。

toriningen:みうなさんいつでもいらしてください!

GODO:そうですよ!

miuna:他のメンバーの人は?

toriningen:それが、人気VTuberがこのゲームやるって言うんでなんかそっちに行くみたいです。

 

 

へぇ〜。その人気VTuberって誰なんだろうな〜。そんなことを思いながら私はニヤニヤが止まらない。それ私です!ってとても言いたい。

 

 

toriningen:みうなさん!今discordでVCしてるんですけど来ませんか?

GODO:いいですね!話しましょう?

miuna:え、いいんですか?

toriningen:はい!ぜひ話しましょう。

 

 

私はVCを繋げた。

 

 

『あ、みうなさん!こんばんは〜』

 

『こんばんは〜』

 

「こ、こんばんは〜」

 

 

 

『『...っ!?』』

 

 

 

「ん?どうかされました?」

 

『え、あ、いや、みうなさんってじょ、女子だったんですね。』

 

「びっくりしました?」

 

『はい。そりゃもう。このゲーム男の人が圧倒的に多いですし...』

 

『こんなかわいい声...』

 

『なんか犯罪臭しますよtoriningenさん』

 

『は、はい。すいません。取り乱しました。』

 

「ふっふっ」

 

『どうかされました?』

 

『おふたり面白いんですね。』

 

『そんなことないですよ。』

 

「楽しいですよ。」

 

 

なんか他のVTuberとコラボしているみたいだ。楽しい。

 

 

『あ、あ、そんなことより!狩りいきませんか?』

 

「すいません。私時間がそこまでなくて長いクエはちょっと。」

 

『え、じゃあこれならどうです?簡単でお得なクエが最近出たんですよ。』

 

「あ、いいですね!それ行きましょう!」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

30分後

 

 

 

 

実は間違えて入ってしまわないようにこのアカウントを消そうと思ってこのギルドに別れを告げに来たのだが、なかなか切り出せずに思いっきり楽しんでしまった。配信まであと10分。私は意を決して別れを切り出した。

 

 

「あの、すいません。実はこのゲーム引退しようと思ってて、今日は最後に遊ぼうと思ってきたんですよ。」

 

『え、そうだったんですか...』

 

「はい、ですのですいません。ギルド抜けさせてもらいます。」

 

『はい、今日楽しかったです?』

 

「はい!楽しかったです!」

 

『良かった!また、機会があったら遊びましょう!』

 

『また!どっかで会いましょう!』

 

「ありがとうございました。また遊びましょう!」

 

 

私はギルドを抜け、アカウントを消した。discordも抜けた。さすがに少し名残惜しいがこれも仕方ない。そう思いながら、私はソラカラ3期生のVCに入っていった。残念ながら配信はもう始まっていた。また遅刻だ!やばい!

 

 

「ご、ごめんなさい、遅れました!」

 

「あ、みうちゃん来た。」

 

「も〜ギリギリだよ?何してたの?」

 

「そうだよ。みんなで初めてコラボ配信するのに〜」

 

「い、いやぁ...」

 

「まあ、いいや、ほら!挨拶して?コラボだから!」

 

「うん!こんみう〜!ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜。」

 

「よし!それじゃあ、ゲームを始めようじゃないか!」

 

 

イケメン魔王のゲーム開始の合図で私は新しいアカウントでゲームを開始した。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

『みうなさん辞めちゃうのか...』

 

『まあ、リアルが忙しんだろうね』

 

『そうですね。あ、そうだもうすぐ他のメンバーが楽しみにしてたVTuberの配信が始まってる頃だ。見に行ってみません?』

 

『お!そうですね!』

 

 

そうして2人はゲーム名とVTuberで検索し、今回のコラボの1番登録者が多いVTuber「蒼井美海」の配信をクリックした。あれ、美海って...

 

 

「こんみう〜!ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜。」

 

『『え?』』

 

 

先程まで聞こえてた声が配信画面から聞こえてくる。

 

 

『え!toriningenさん!』

 

『GODOさん!』

 

 

2人は驚き、再びdiscordの画面やゲームを確認するが既にそこにはmiunaのアカウントはなかった...

 

 

 




これもまた運命...ってね!


感想評価よろしくお願いします!


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#15神絵師

絵が上手くなりたいです。

あ、そうだ!誰か挿絵描いてくれる神絵師さんいないですか...?

まあ、いないですよね。

私は絵が下手なのでどうしようも挿絵がなかなか入れられない...



【コラボ】どうも神絵師です【蒼井美海 御手洗トマリ】

 

 

「こんみう〜!ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜。」

 

「こんばんわ。今日も来てくれてありがと。ソラカラ3期生の御手洗トマリです。」

 

 

コメント:こんみう〜

コメント:こんばんわ。

コメント:こんみう〜

コメント:コラボきた〜

コメント:今日もコラボか

 

 

今私は御手洗トマリさんとコラボしている。今週は3期生コラボ週間(マネージャーにやれと言われた)である。月曜日は奏とコラボしたし、昨日は3期生全員でゲームコラボ配信をした。今日は御手洗トマリさんとコラボ配信である。正直、私は彼女とは仲良くなれる気がしている。陰キャだから。大人しめの清楚枠だから。私と同じ(?)清楚枠だよ...ね?

 

 

だが、1つ問題がある。彼女は人見知りでかなり奥手である。そして私も陰キャで人と話すのが苦手だ!

それ故に生まれる状況と言えば...!

 

 

 

 

「...」

 

 

 

 

「...」

 

 

 

 

コメント:ん?

コメント:配信止まった?

コメント:なんか喋って!

コメント:ミュート?

 

 

会話が続かずに黙ってしまうのだ!必然と言えば必然。そこまで喋ったことの無い人と2人きりなんて、陰キャがなにか喋れるわけが無い。だが、VTuberとして配信している以上なにか喋らなくては。

 

 

喋り出すためにまず呼吸をする。

 

 

「す〜は〜。すっぶっ...!?

 

 

息を吸いすぎてむせてしまった。

 

 

「だ、だいじょうぶ?ですか?

 

 

「はい。すいま、せ。」

 

 

コメント:だいじょうぶか?

コメント:この配信やばい予感がする

コメント:陰キャVS陰キャVSダークライ

コメント:↑全員シャドークロウ使いそう

コメント:昨日の3期生全員コラボも2人だけ静かだったもんなw

 

 

くそっ、このままじゃほぼ無言配信になってしまう!それだけは何とかしなければ。あ、そうだ!視聴者相手に話しかければ!私はそう思い、今日の配信内容を説明する。

 

 

「は、はい。えっと。今日はトマリさんとお絵描き配信をします。絵を描いて相手の絵を当てるというゲームです。」

 

「はい。よ、よろしく。」

 

 

トマリさんは絵を描くのがとてもうまい。マジで神絵師。彼女のお絵描き雑談配信を何度か見たが、マジですごい。だけど、私の絵の上手さはそこそこだと思っている。陰キャが授業中や休み時間にノートとかにする落書きを私も沢山してきた。みんなもしたことあるだろぅ?十分鍛えられたはず。

 

コメント:みうちゃん負けじゃん

コメント:とまりんの勝ち

コメント:陰キャの負け

コメント:それだと両方負けで草

 

 

「お前ら、私を舐めすぎでは?さすがにトマリさんの画力には勝てないかもしれないけど、トマリさんが上の上だとすると、私は上の下くらいだと思う。しかも、このゲーム勝ち負けは相手が何を描いたかわかるかどうか。これなら私も勝てる!」

 

「そ、そうだよね。よ、よし!負けないように頑張るぞ!」

 

 

ようやく慣れてきたのかトマリさんが喋り出してくれた。これでひとまず安心。

 

 

「よし!私から描きます。頑張って当ててくださいね。描く時間は2分ですか。ん〜何描きましょう。」

 

 

「なんでもいいですよ。好きな物描いてください。」

 

 

コメント:なんか違和感ある

コメント:敬語だからか?

コメント:両方陰キャだから?

コメント:不仲?

 

 

「あの、トマリさん。チャット欄で不仲とか言われてます。」

 

「え!?みうなちゃんとは、別に不仲じゃないですよ!どうすればそう見えなくなりますかね?」

 

「う、う〜ん...敬語やめてあだ名で呼びう合うとかね?」

 

「そ、そうです...あ、そうだね。私はなんと呼んだらいい?」

 

「じゃあ、みうちゃんで。みんなからもそう言われてるし。私からはなんて呼べばい、い?」

 

「う〜ん、とまりん、かなぁ?」

 

「とまりん...いいね!じゃあ、それで決定ってことでさっそく絵を描いていこ!」

 

 

無理やりテンションを上げる。とてもぎこちない配信が変な方向に行かないように。

けど、私はこっちの方が喋りやすく感じた。相手がリアルで年上なので気を張っていたが、なんか今まで無駄に入っていた力が抜けた気がする。そんなこんなでトマリが描いた絵が完成した。

 

 

「どう?わかる?」

 

「簡単ですね!これはなでちゃん!」

 

「正解!!簡単すぎたかな?!かなちゃんのことはさすがに分かるか〜。」

 

「わかるよ〜。お姉ちゃんだもん。」

 

 

コメント:これは簡単だったな

コメント:やっぱ上手いな

コメント:この短時間で描いた絵とは思えん

鈴音奏:お姉ちゃんだよ|´-`)チラッ

コメント:かなちゃんもよう見とる

 

 

「みうかなてぇてぇ」

 

「あ、ありがとうございます...///」

 

「いつもてぇてぇの提供ありがとう!」

 

「い、いやぁ...///」

 

 

こんなに直接言われるとさすがに恥ずかしい。私は逃げるように話題をそらす。

 

 

「つ、次は!私が描く番ね!」

 

 

さて、何を描こうかな?やっぱり最初だし、簡単な犬にしよう。犬種は...チワワを描こう。私がいちばん好きな犬だ。ちっちゃくてクリクリした目がかわいい。犬飼いたいなぁ。そんなこと考えながら、私はイメージでスラスラとチワワ描いた。

 

 

「とまりん!できたよ!」

 

「どれどれ?ん?これは...!」

 

「さすがに簡単すぎたかな?」

 

 

 

 

 

「エイリアン?」

 

 

 

 

「ん?なんて言った?」

 

 

 

 

「エイリアン。」

 

「え、ほんとにそう見える?」

 

「え?てことはエイリアンじゃないの!?」

 

「...うん。」

 

 

コメント:なにこれw

コメント:草

コメント:エイリアンだろ?

コメント:イカにも見えるような

コメント:これは生き物?w

 

 

え、これはつまりどいうこと?私の絵やばい?チャット欄やとまりんの反応を見る限りそんな気がしてきた。私にはチワワにしか見えないんだが。

 

 

「これ、なんの絵なの?」

 

「チワワ...」

 

「チワワ!?う〜ん、チワワか...え!えっと!ブスかわで、いいと思う...よ?」

 

 

コメント:わからんw

コメント:チワワには見えないwww

コメント:フォローになってなくて草

コメント:エイリアンだろw

コメント:下の下

コメント:キモイ

 

 

「キモイっていったやついたぞ!?これはどう見てもチワワだろ!」

 

「う、うん。そうですね。つ、次行きましょう!」

 

 

コメント:敬語に戻ってて草

コメント:全肯定とまりんがちょっと引いてるw

コメント:草

 

 

「次はぜったいわかってもらう!」

 

「う、うん!」

 

 

 

 

 

 

それ以降も私の絵は理解されることは無かった。

けど、トマリさんとは仲良くなれた。うれしい。

 

 

 

その後、Twitterで今日描いた絵をツイートすると何故か私のファンアートのタグ#Seaartがトレンドに入っていたのだった。

 

 

 




蒼井美海画伯です。


今週から1、2週間投稿できないかもです。(出来たらする)すいません。お気に入り登録してしおりはさんで待っといてくだせぇ!お願いします!



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#16なんでやねん!

何とか気合いで。。。


【コラボ】美海ちゃんやで。【夏火ミライ 蒼井美海】

 

「皆さんこんばんは〜!ソラカラ3期生の夏火ミライで〜す。今日はなんと!あの蒼井美海ちゃんが来てくれたで〜!」

 

「ど、どうも...」

 

「あれ?美海ちゃん挨拶は?」

 

「アッ、はい。こんみう〜。ソラカラ3期生の蒼井美海だよ。」

 

 

コメント:こんばんわ〜

コメント:こんみう〜

コメント:こんばんわ〜

 

 

今、私はびびっている。これまでにないくらいにびびっている。何故びびっているのかと言うと、原因はこの夏火ミライである。彼は京都生まれのバリバリの関西弁。しかも、それはみんなが想像するような優しいイメージの京都弁ではなく、聞いたことなくてもわかるほどの強い大阪弁なのだ。しかもこの男、なかなかのヤバイとのことで、度々危ない発言をしているのである。なので私は何が起こるかわからないこの状況がとても怖いのである。前会った時はこんな感じじゃなくて好青年なイメージだったのに。

 

 

だけど、私が何もしなくても話を進めてくれるのはありがたい。ちょっとそのコミュ力分けてくれない?マジで。

 

 

「はいはい、みんな今日も来てくれてありがと〜な〜。せや、美海ちゃん!今日なにする?ゲーム?あ、雑談でもええよ〜。」

 

「え?何も決めてないの!?」

 

「せやな。決めてもらおうおもててんけど。」

 

「無理無理無理。」

 

「あ、それじゃあ今回はあれいっちゃいます〜?」

 

「あれ?」

 

 

コメント:あれいいね〜

コメント:いっちゃいな〜

コメント:あれやるんか

コメント:まさか美海ちゃんにあれを!?

コメント:みうちゃんだとやらかすぞ

 

 

「ねえ、あれって何?」

 

「あれはな〜、ほんま楽しいで!ま!とりあえずやった方がええて!」

 

「うぇぇぇ...」

 

 

なんか嫌な予感がする。この流れはまずいかもしれない。やばい逃げないと。

 

 

「あ、やっぱやめt...」

 

「第3回!おし〇こ我慢スマ〇ラ大会〜!」

 

 

私の声は大声でかき消された。

 

 

「この大会はスマ〇ラで俺と戦って死んだら水を飲むっていう単純なゲームや!で、先にトイレ行った方が負けな!」

 

 

え、何言ってんのこの人。確かこの人配信内では負けたことの無い、ゲームガチ勢ではなかったか?昔なんかの大会で優勝したことあるとかないとか噂にも聞く。てか、既に犠牲者が2人も居るのか。

 

 

「そんなん私の負けじゃん。完全に。」

 

「そう思うやろ?だから、ハンデを設けるんや。死んだら美海ちゃんは200ml、俺は500ml飲む。これで文句ないやろ?」

 

「え、それでもダメじゃない?絶対負け続けるじゃん。」

 

「じゃあ、これならどうや。試合設定はストック99!これなら俺もいずれかは死ぬ。」

 

「ん〜それなら...行けそう。」

 

「やろ?ほなはじめよか!」

 

 

いやいや、何言ってんだ私!?こんな勝負受ける必要ないだろ!こっちが確定で負けるヤツじゃん!コイツ嫌い!

 

 

そんなこと考えているうちに、既に勝負は始まろうとしている。仕方ない。死ななければいいのだ。私はスマ〇ラは結構やっている方だ。まあ、オンラインではなかなか勝てないが。でも、避け続ければ死ななくて済むだろ?

 

 

「カ〇ビィにしよ。」

 

「よっしゃ俺はド〇キーを使うで!」

 

「え、なんでド〇キー?」

 

「え、おもろいからやん。」

 

 

何それ。いいの?倒しちゃうよ?私もこれなら行けるのでは?相手はお遊びモードだし。

 

 

 

 

 

 

そんなことを思ったのはもう過去のこと。私は負けないためにガチで逃げたのだが、相手はそれを上回るスピードで技を繰り出してくる。1度ハマるとコンボでボコボコにされた。これで既に3ストック目を失った。

 

 

「はい!それじゃ水飲んでね!」

 

「ううぅぅぅぅ...」

 

 

ごくっごくっ!ぷは〜!

 

コメント:いい飲みっぷり!

コメント:これはもうみうちゃんの負けでは?

コメント:漏らすなよ〜

 

 

「誰が漏らすか!」

 

 

私はズルをしようと思ったが、なんと言っても200mlである。女の子になってしまった私の小さな口ではこの量を一気に飲み干せないので、量を少なくして一瞬で飲んんだらすぐにバレてしまう。かと言って少ししか飲んでないように見せかける演技力は私には無い。まずい。これは非常にまずい。

 

 

飲み終わると直ぐに試合が再開される。相手のダメージは80%。よし!これなら1回は倒せる!私は掴みにかかった。

 

 

「ホイホイ!はい〜!」

 

 

だが、簡単に避けられてしまう。それどころか返り討ちにされる。助けて〜。そして、カ〇ビィは落下した。

 

 

「あ゛あ゛あ゛!!」

 

「ざぁんねぇ〜ん!はい、水な〜。」

 

「くそ〜!」

 

 

コメント:くそ煽るやん

コメント:うわぁ...うざぁw

コメント:草

 

 

なんで、ただでさえウザいのに、なんで関西弁になるとさらにムカつくんだろうか。

 

 

う...ちょっときつくなってきた。前はもっと我慢できたのに、体が女になったことでトイレが男の時よりすぐ行きたくなってしまう。早いとこ倒さないと。

 

 

「あ、水無くなった。」

 

「取ってき〜や〜。」

 

 

私はキッチンに水を取りに行く。なんでこんなことしてるんだろう。そんなことを思いながら水をコップに入れ、部屋に戻る時に思いついた。そうだ、奇襲してやろう。

 

 

静かに部屋に戻ると、画面ではド〇キーがモーションで煽っている。あ〜!うぜ〜!

 

 

「うりゃ!」

 

「は?なんや!」

 

 

私はまだ水を汲みに行っている振りをして急にカ〇ビィを動かし、煽っているド〇キーを吹っ飛ばした。

 

 

「ずるやん!!」

 

「煽ってくるそっちが悪いんです〜。」

 

「くそっ!負けないつもりでいたのに!」

 

「飲んでくださ〜い。」

 

「くそおおおお!」

 

 

相当私にやられたのが悔しいらしい。まあ、私をこんだけボコボコにしたのだ。少しくらいは飲んでもらわないと!

 

 

ごくごくと水を飲む音が聞こえる。500mlを一気飲みしたようだ。

 

 

「う...結構量あるな。次負けたらやばいかもな。」

 

「でしょ〜?このあともたっぷり飲ませてやる!」

 

 

コメント:煽りよる

コメント:陰キャがイキってる

コメント:みうちゃんが珍しく煽ってる

コメント:あんま煽んない方が...

コメント:もう手遅れじゃね?

 

 

 

 

 

「絶対ぶっ飛ばしてやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はそのあとボコボコにされた。その間私はミライを1度も倒せなかった。そろそろ私の膀胱は限界に近い。

 

 

 

「う、やばい...と、トイレ...」

 

「早めに行った方がええんやない〜?」

 

「う、ま、まだ負けて、ない...んっ!?

 

 

コメント:!?

コメント:どした!?

コメント:漏らしたか?

 

 

「え、大丈夫か?まさか漏らしてへんやろな?」

 

 

 

 

「漏らしてねぇよぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

私は相手が油断している隙にド〇キーを吹っ飛ばした。

 

 

「ふっふっ!」

 

「またや!せこすぎる!」

 

「これも作戦だ...っ!?

 

 

ドンッバタンッ!

 

 

コメント:あ

コメント:あ

コメント:これはw

コメント:トイレ行ったなw

 

 

私は一矢むくいたところで力尽き、扉を乱暴に開けトイレに駆け込んだ。あ、あぶね〜、危うく部屋がベチャベチャになるところだったぜ。全世界に私の音を流すなんて死んでもやりたくない。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「どれがええかな〜?」

 

 

コメント:歌ってみた

コメント:先輩たちとコラボ

コメント:ASMR配信

 

 

「お、ええねそれ。それにしよう。」

 

「ふ〜危なかった〜。」

 

「お、帰ってきた。」

 

 

私がトイレに行っている間にゲーム画面は普通の配信が画面に変わっており、ミライは何やら視聴者に質問しているようだった。

 

 

「ん?これ何してんの?」

 

「え、美海ちゃんの罰ゲーム決め」

 

「は?」

 

「そして今、ASMRに決まった。」

 

「は?」

 

「ってことで、美海ちゃんのASMR配信お楽しみに!ほな次の配信でお待ちしてます〜!」

 

 

コメント:ほな

コメント:ほなな〜

コメント:楽しみ!

 

 

 

 

配信は終了しました

 

 

 

 

 

 

 

 

こいつクソだ。まじで無理。女としても男としても。罰ゲームとか聞いてないし。勝手に配信終わるし。ついでに逃げるように通話から抜けやがった。マジでヤバいやつ。

 

 

 

 

私は文句ばっかり言っていたが、ふと疑問が浮かんだ。

 

 

 

 

ASMRってなんだ?

 

 

 

 

 




関西弁合ってます?関西弁間違ってたらすいません。


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#17ASMRってなんぞや

えーえすえむあーる!
個人的に夏に聞くお茶や炭酸を氷の入ったコップに注ぐような音が好きです。


【ASMR】罰ゲームです。ASMR?なにそれ【蒼井美海】

 

 

「こんみう〜。ソラカラ3期生の蒼井美海だよ〜...」

 

 

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう!

コメント:元気ないな

コメント:どうしたの?

コメント:やりたくないんだろw

 

 

「やりたくない...ってか、これ提案したのお前らだろ!ねぇ、ASMRってどうやんの?わかんないんだけど。」

 

 

現在私はASMR配信とやらをしている。罰ゲームとしてやることになった。まじでやりたくない。てか、やり方がわからない。機材が家に無いので事務所に来てやらせてもらっている。一応、マネージャーの阿部ちゃんからは何かあったら呼んでくださいとは言われているが、早速呼んで全部やってもらいたい気分。

 

 

ASMRとやらをするには、この人の頭みたいなバイノーラルマイク?ダミーヘッド?を使うらしい。なんだこれ。どうすればいいんだ?

 

 

「と、とりあえず、いろいろ試してみるね。ダメだったら言ってな。」

 

 

コメント:わかった

コメント:OK

コメント:了解

 

 

私はASMRを全く知らなかったのでちょっと予習はした。ソラカラの人がやっているのを聞いてみたり、他の配信者や動画投稿している人のを見てみたが、一体何がなんやら。気持ちいいのはわかるがどうすればいいのかはさっぱりだ。小声で喋ればいいの?それってなんか違うような。

 

 

「じゃあ、パチパチするアメ食べまーす。」

 

 

とりあえず私は先輩がやっていたアメを食べるやつをやって見ることにした。

 

 

パチッパチ...パチパチパチ

 

 

コメント:よき

コメント:気持ちい

コメント:最高

 

 

私はマイクの左右を行ったり来たりしてみる。

 

 

コメント:いいねぇ

コメント:耳がぁぁ

コメント:ゾクゾクする

 

 

こんなのでいいのか?チャット欄の反応的に良いようだ。

 

 

「アメ甘すぎ」

 

 

しばらくやっていたら、甘すぎて気持ち悪くなってきたので、私は事務所に来る時に買ってきた炭酸飲料で胃の中に流し込む。

 

 

「ごくごく...んぐっ!?

 

 

コメント:!?

コメント:どうした?

コメント:何が起きた!?

 

 

飲み込んだアメが喉の辺りでパチパチ。やばい、これ結構痛い。

 

 

「飲み込んだらやばい。喉痛い。うぅ...」

 

 

コメント:大丈夫?

コメント:痛そう

コメント:分かる

コメント:どんまい

 

 

「もうやめます。」

 

 

コメント:はやw

コメント:あきらめたなw

コメント:お前にはまだ早かった

コメント:ちゃんとやれ

コメント:まだやぞ

コメント:終わるな

 

 

「うぅ...しょうがないなぁ」

 

 

他にはなんも用意してないし、自分の声でやるしかない。リスナーのみんなもそれを望んでいるのだろう。でも、自分の声ってなるとどうやって出したらいいかいまいち分からない。男の時の声ならまだしも、女になってからどんな声がいい声なのか自分ではいまいちピンと来ないのだ。

 

 

「こ、こんな感じ?どうかな。」

 

 

コメント:なんかちがうw

コメント:何その声w

コメント:草

コメント:草

コメント:それほんとにみうちゃんの声?

コメント:やばw

 

 

「え、違うの?じゃあ、どうすればいいんだ...」

 

 

なんか違ったらしい。なんかとっても笑われてる。そんなにおかしかったかなぁ?

 

 

 

 

「みうちゃん、好きだよ。」

 

 

 

 

「う、ふわぁぁ...!?」

 

 

考え込んでいた私の右耳に甘〜いとろけるような声と吐息で好きと言われた。耳が孕みそうとはこういうことか。

 

 

「レン先輩!?なんでここに!?」

 

 

「後輩が配信していると聞いたので来ちゃった!」

 

 

「まじすか。」

 

 

「まじです。」

 

 

コメント:先輩降臨

コメント:レンちゃん!!

コメント:レンちゃんだ!

コメント:レンちゃん優しい

コメント:レンみうてぇてぇ

 

 

来ちゃった!じゃないよ。なんで来ちゃうんだよ。

たまたま事務所に来ていたレン先輩が、どこからか私が配信をしているという情報を仕入れてやってきたらしい。一体誰だここに連れてきたのは。

 

 

「先輩はASMRわかります?」

 

 

「わ、わかるよー?」

 

 

「え、ホントっすか!?ちょっとやり方がわからないので教えてもらえないでしょうか!」

 

 

「う、うん。おっけー...」

 

 

ん?なんか先輩の様子がおかしい。どうしたんだ?

そう思い、私はチャット欄を確認する。

 

 

コメント:まじか!

コメント:レンちゃんのASMR再び!?

コメント:久しぶりやな

コメント:またあれが聞けるのかw

コメント:気をつけてなw

コメント:またやりすぎんなよ

 

 

なんかやばい予感する。

 

 

すると、レン先輩がこう言い放った。

 

 

「えっとね、ちょうど一年くらい前にASMR配信をしたんだけど...ちょっとあっちな方向にやりすぎて1回BANされちゃったんだよ。」

 

 

「!?」

 

 

コメント:あれは凄かった

コメント:懐かしい

コメント:まだレンちゃんもデビューしたての頃

コメント:えちちだったわ

コメント:人のチャンネルではやるなよ?

 

 

え?この人何をやったんだ?元男としてはとても気になる。詳しく聞きたい。あ、でもBANはやだ。ここはいったん離れておいてもらおう。

 

 

「あの..やっぱ自分でやるんで、すいま、せん。やり方教えてもらえればいいので。」

 

「え〜いいじゃん〜。少しやらせて〜。」

 

 

私は背中を押して少し離れた場所に先輩を移動させた。

正直BANはキツい。まだまだVTuberは続けていたい。

 

 

「じゃあ、気を取り直して、やり方を教えるね。まず、声帯を使って息を吐きながら話すの。」

 

「やってみます。」

 

 

「あー。み、みなさぁんどうですかぁ?」

 

 

コメント:さっきよりはマシ

コメント:いい感じ

コメント:耳が気持ちいい

 

 

どうやら上手くできたらしい。

 

 

「あとは〜、セリフだね〜」

 

「せ、せりふ?」

 

「そう。ASMRだから、癒されるものや、ドキドキするような甘〜いセリフだよ。」

 

「んんん、難しいですね。何を言えば...」

 

「ん〜、みんな〜?なんて言って欲しい?」

 

 

コメント:好きだよって言って欲しい!

コメント:好き

コメント:愛してる

コメント:毎日お疲れ様って言って!

コメント:名前呼んで欲しい!

コメント:えちちなこと!

 

 

え、みんな私に何を求めてるの?男の私に言われて嬉しいの?あ、今は女だった。多分男であろうリスナーに言うのは想像するとちょっとキツい。

 

 

「んー、難しいなぁ...」

 

「じゃあ、私からリクエスト!『レン先輩、毎日配信お疲れ様。好き!』って言って欲しい!」

 

「わ、分かりました。」

 

 

 

 

「レ、レン先輩。毎日配信お疲れ様。だ、大好きだ、よ?」

 

 

 

 

 

「んっ!?ん〜///」

 

 

コメント:レンちゃんだけずるい!

コメント:いい声だ

コメント:レンちゃん悶えるのかわいい

 

 

「配信でこんな事言うの恥ずかしいな。へへっ///」

 

 

こんな私みたいなかわいい後輩に言われたら私だったら襲っちゃいそうになるな。うん。...ん?襲う?

 

 

気づくと、今にも襲ってきそうな目をしたレン先輩が真横に迫ってきていた。え、なになに?怖い怖い。童貞も卒業してないのに処女喪失しちゃうの?まじで?

 

 

私は先輩に抱きつかれた。

 

 

「ん〜、かわいいいいい!!!?!?」

 

 

 

「んあ!ちょ、ちょっと!ん〜!んっんっ...あっ...////」

 

 

 

コメント:なにしてるんだ!?

コメント:センシティブ

コメント:BAN

コメント:やばいw

コメント:運営止めろ!

コメント:やばいぞ

コメント:センシティブ

 

 

先輩が押し倒してくる。

 

 

「ダメですって先輩!」

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

部屋の扉が開く音。

 

 

「あ」

 

「あ」

 

 

コメント:あ

コメント:あ

コメント:あ

コメント:あ?

コメント:い?

 

 

扉が開いたと思ったら目の前にマネージャーの阿部ちゃんが怒った顔で立っていた。

 

 

「じゃ、じゃあね!おつみう〜!」

 

「おつみう〜!」

 

 

 

 

 

 

 

配信は終了しました

 

 

 

 

 

 

私たちは逃げるように配信を終わらせた。その後は...うん。1時間も怒られた。なんで私まで怒られなきゃならんのだ。やったのは先輩じゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの配信は消されることとなった...

 

 

 



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#18夏はまだ?

誤字報告ありがとうございます。これからもお願いします。


梅雨嫌い。雨嫌い。


6月下旬。

 

 

「う、うぅぅぅ...」

 

 

梅雨はほんとに嫌い。昔から雨が降るから嫌だったけど、今はまじで嫌い。何故かと言うと、この体になってからは髪が長くて雨に濡れるとウザイし、ゴワゴワするし、痛むし。男の時はそんなに気にしてなかったんだけどなぁ。なんでこんなにめんどくさいのだろう。いっそバッサリ切った方がいいかもな。

 

 

そんなことを考える授業中。窓の外は今日も雨が降っている。おじいちゃんの先生がひたすら黒板に書いたことを説明している。何言ってるんだか分からない。頭に入ってこない。今日は偏頭痛が酷い。女子ってこうも不便なのか。調べたことがあるが、気圧の変化が主だが、ストレスやホルモンバランスの乱れでも起きるらしい。配信しすぎで疲れたのかな?

 

 

しかも、今日はそれにプラスでアレの日である。つらい。辛すぎる。女子になってから約3ヶ月。この日もこれで3度目だが、慣れるなんて無理だ。一生慣れないだろう。しかも、私は結構重い感じみたい。お腹が痛い。なんでなの?なんで今日なの?ああ〜ムカつく。

 

 

 

今朝はさすがに学校を休もうかと考えたが、学校に電話する時に知らない怖い先生が出たらやだなとか思って(コミュ障)、休むに休めずに今日も登校した。今朝は頭痛がなくてまだ何とかなると思っていたが、授業中になると頭が重くなってきた。ガンガンする。

 

 

 

キンコーンカーンコーン

 

 

 

チャイムがなってようやく昼休みの時間になった。私は机に突っ伏した。クラスの人達は違うところや食堂へ行ったり、机をくっつけてワイワイしながら弁当を食べ始めた。

 

 

私は食べる気力すらないので、自席で寝ているといつも一緒にご飯を食べているらんちゃんとさきちゃん、そして間宮さんが私の席までやって来た。

 

 

「お〜い、なぎちゃ〜ん?」

 

「なぎちゃん大丈夫?」

 

「あ、ありがとう。大丈夫だよ。」

 

「授業中から辛そうだけど?」

 

「見てたの?」

 

「そりゃ隣の席だもん。」

 

 

そっか。隣だな。喋ると頭がガンガンする。

 

 

「で、どうしたの?」

 

「ちょっと頭痛が。あと、ちょっと今日は、ね?」

 

頼む。これで伝われ。頭ガンガンするし、お腹痛いし、何故かとムカつくし。伝わってくれないと困る。女の子なら分かるだろ?この辛さ。

 

 

「ちょっと?ちょっとって何?なんかあったの?」

 

 

ああ。伝わらなかった。この世の終わりだ。死にたい。だけど、心配させたままはダメだな。どうすれば伝わるんだろ?まあ、めんどくさいからいいや。

 

 

「なんでもない。」

 

「ほんと?」

 

「大丈夫だから。」

 

「そ、そう?辛かったら言ってね?」

 

「うん。」

 

 

間宮さんはなにか納得したような顔で「邪魔しないようにこっちで食べよ」って間宮さんの席で弁当を広げた。なんか、V関係の話とか思ったのかな?離れて食べてもらいたいものだが伝わっていないのだから仕方ない。

らんちゃんとさきちゃんは不思議そうな顔をしたが、何も聞いて来なかった。

 

 

 

私は寝ることにした。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

午後は体育の授業がある。あー!ムカつく!移動とか着替えとかしたくない。無理無理無理。私は行きたくないので机に伏せたままだ。

 

 

「ねぇ、大丈夫?」

 

 

間宮さんが話しかけてきた。心配しなくていいのに。ほっといてくれよ。イライラする。

 

 

「ねぇ!次体育だよ?」

 

「あ、うん。」

 

「なんか感じ悪いけど、ホントになんかあった?」

 

 

別になんもないって!今辛いだけだって!

 

 

「いいよ、ちょっとほっといて。間宮さんは関係ないから。」

 

「関係ないからは酷くない?あなたの事知ってるの私だけでしょ?関係あるよ!」

 

「関係ないから!体育だろ!僕はここで休む!これでいいだろ?早く行けよ!」

 

「...っ!?」

 

 

顔を上げると間宮さんは驚いた感情と泣き出しそうな感情が混ざったようなよくわかんない顔してた。やばい。流石に言いすぎたかも。

 

 

「あ、ごめ、...」

 

 

私が謝ろうとした時にはもう間宮さんは教室を走って出ていってしまった。

 

 

「う、うぅぅ...」

 

 

怒ったせいか分からないけど体調が悪化してきた。さすがにやばいかもと思い、立ち上がる。保健室はどっちだっけ?わかんねーや。なんとかなるだろ。そう思い、私は歩き出した。

 

 

 

 

「う、きっつ...」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「し、失礼します。」

 

 

なんとか保健室に辿り着いた。が、先生はどこ行ったか分からないが不在だった。仕方なく私は勝手にベッドに潜り込んで直ぐに目を閉じた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

どれだけ経っただろうか。

私はまどろみの中でゆっくりと瞼を持ち上げる。知らない天井と蛍光灯が見える。あ、そうか。保健室で寝てたんだった。カーテンの隙間から漏れる夕日が眩しい。雨は上がったようだ。

 

 

「おはよう。」

 

 

声が聞こえた。振り向くとそこには保健室の先生...ではなく間宮さんがいた。

 

 

「お、おはよう。」

 

「体調は大丈夫?」

 

 

そう言われて確認してみる。頭痛はない。お腹は痛いがさっきほどではないようだ。

 

 

「さっきよりはマシ。」

 

「そう、よかった。」

 

「...」

 

「...」

 

 

そして無言の時間。

間宮さんもさっきのことを気にしているようだ。

 

 

こういう時私はどうすれば良いのだろう。いつも配信のときはコメント相手で、自分の思ったこととかを口にすれば、楽しくなる。でも、それは相手の顔が見えないからだ。相手が見えている今。適当なことを口にすればさらに仲が悪くなってしまうかもしれない!ましてや、コミュ障の私に何かいい言葉が思い浮かぶ訳でもない。間宮さん!何か言ってよ!これ以上間が空くと死んじゃう!!

 

 

「...ねぇ、さっきはごめんね。」

 

 

ようやく切り出してくれた。

 

 

「こ、こっちこそごめんね。急に怒ったりして。」

 

「ううん。なぎちゃんがこんなに体調悪かったのに気づかなかったし、勝手にV活動のことを持ち出そうとしてた。」

 

「うん。」

 

「今度からはもっと気をつけるから、許してくれる?」

 

「いいよ。許す。」

 

「良かった。でもね、本当に身体のことでもそっちのことでも何かあったら言ってね!相談乗るよ!」

 

「うん。」

 

 

なんかお母さんみたいだ。いや、これが本当の委員長ということか。クラスのお母さん。

 

 

「で、何があったの?言えないならごめんだけど。」

 

 

あ、それは聞くのね。

 

 

「なんもないよ。ただちょっとね、その、今日はアレの日なんだ。」

 

「...え!?」

 

 

間宮さんは驚いてこっちを見た。

 

 

「なかなか言い出せなくてごめん。」

 

「いやいや、こっちこそ配慮できなくてごめん!ほんとマジで!」

 

「いいって。私だって気づかないと思うし。」

 

「ほんと?怒ってない?」

 

「うん。あの時はイライラしてただけだから。」

 

「私てっきりV関係の話かと思ってた!最近毎日ずっと配信してるから、それで何かあったのかと思ってた。悩んでなんてないんだね?それならよかった。」

 

 

やっぱり今まで気づいてなかったらしく、ペコペコ謝ってきた。私が先に言っておけば何もなかったかもしれないのになんかとても申し訳ない気持ちになった。

 

 

「今日一緒に帰ろ?家まで送ってってあげる。」

 

「ありがとう。」

 

 

間宮さんが家まで送ってくれることになった。マジでありがたい。正直家までたどり着けるかどうか不安だったのだ。

 

 

雨上がり、2人だけの帰り道。なんか恋人みたいだ。空に虹とか出てたら最高だがさすがに探しても出なかった。

 

 

てか、もうそろそろ夕日が落ちかけてきて空はオレンジ色だ。今何時なんだ?

 

 

「あの、さ、ひとつ聞いてもいい?」

 

「ん?」

 

「今何時?」

 

「18時のちょっと前だよ?」

 

「は!?こんな時間まで残って何してたの!?」

 

「え?美海の切り抜き見てた。この前の同期コラボのやつ。面白かったよ。」

 

 

どの配信だろう。まさかASMR配信じゃないよな!?あんな恥ずかしいの聞かれたら今度こそ死んでしまう!

 

 

「ASMR配信のやつはえっちすぎるから見ないで?」

 

「ううん?ちょうどいいよ!」

 

 

え、これがちょうどいいって?間宮さん、あなたも結構そっち系が好きな方ですか?てかやっぱり見てたんですね〜。

 

 

「私からも聞いていい?」

 

「うん?」

 

「なぎちゃんってなんで僕って言うの?初配信の時は何かキャラを作ろうとしてたのかなって思ったけど、さっき怒った時も僕って言ってたよ?」

 

「そ、それは...私が男の子好きじゃないから...?」

 

 

これは意味不だ。即興で考えた嘘でも酷すぎない?何言ってんだ私。

 

 

「そ、そうなんだ。そうだよね。うん。」

 

 

なんか納得された。一体なにを納得したんだ?

 

 

まあ、そんなこんなで私の家にたどり着いた。

 

 

「そうだ、今度コラボ配信しない?」

 

「え?間宮さんと?」

 

「え?だめ?」

 

「ん〜、とりあえずマネージャーに確認してみる。」

 

「うん。それがいいよ。良かったらまた連絡お願いね?」

 

「うん。」

 

「楽しみにしてる!」

 

「うい。」

 

「またあした!」

 

「バイバイ!」

 

 

やっぱり凄いな。間宮さんは。クラス委員長としても配信者としても。

 

 

なんか今日は色んなことがあった一日だったな。本当に友達って難しい。コミュ障にはハードルが高い。次はコラボ配信か〜。ソラカラ人としか配信したことがないが、正直楽しみ。仲のいい人と配信なんて楽しいに決まってる。

 

 

 

 

 

 

 

てか、アレの日さっさと終われよ!はよ夏来い!梅雨終わってくれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




会話のテンポが悪いのは私と渚がコミュ障だからです。


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#19私と美海と僕

スパチャ投げ。



病み。


6月23日。

アレの日から1日経った。体調は完全に良くなった。前よりも元気になった気分。昨日、私は学校を休んだ。その間にマネージャーの阿部ちゃんに『みこみこ。さんとコラボ配信したいです。』と伝えた。結果的に言うと今は無理らしい。理由としては、みこみこ。さんが個人であり、しかもVTuberでは無いこと。VTuber以外の人とコラボなんてなかなかできないし、今まで前例が少なすぎて、やってもいいのかどうか企業として色々検討が必要だという。

 

 

また、もう一つの理由として、私もみこみこ。さんも高校生で同じ学校という点。しかも、一緒に過ごすことが多いので、ボロを出してしまうと身バレ・学校特定に繋がりかねない。せめて、もっと配信に慣れてからでないとダメですと言われた。

 

 

あと、もうひとつ阿部ちゃんに言われたことがある。『急だけど、収益化・スパチャ解禁ですよ!おめでとう!やったね!』だそうだ。なんか、流れというかなんというか。もっと重要そうに言ってくれ。私をどれだけ子供扱いしているのか。私は立派な高校生だぞ!

 

 

 

まあ、ともかく収益化は素直に嬉しい。ここまでの努力の賜物だろう。デビューしてからのこの1ヶ月間のことを思い出すと、色々な思い出が蘇ってくる。なんか涙が溢れてきそうだ。1ヶ月しか経ってないのに懐かしい。ん〜でも、辛いことの方が多かったようなそうでも無いような記憶。初配信から本当はやりたくなくて無理やりやらされた感があったし、その他の嫌なこともなんとか乗り切ってきた。でも、それも今となっては楽しかったと思える。

 

 

とにかく、収益化・スパチャ解禁嬉しい!

 

 

 

 

 

あ、収益化ってことは記念配信しなくちゃ。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

今日は一日ぶりに学校。家に帰ったあとには収益化・スパチャ解禁記念配信だ。

 

 

私はいつものように1人で窓の外を眺めている。海が見える風景ってやっぱどっか虚しくなるような気がする。元々海無し県に住んでたからかな?山や森ばっかりの風景が懐かしく感じる。

 

 

「ねぇ、青野さん。」

 

 

呼ばれた気がしたので顔を教室の方へ向けると、クラスの女子、ギャルみたいな陽キャが数人立っていた。その人たちといつも絡んでいる男子たちも遠巻きにこちらを見ている。一体何事だ?私ここでも何かやらかした?

 

 

「な、何?」

 

「これ見て。」

 

 

グループのリーダーっぽい子がスマホの画面をこちらに向けてくる。

 

そこには蒼井美海の切り抜きが映っていて、大音量で動画が再生される。この切り抜きは今まで私が配信でやらかしたことやデレデレしている所をまとめたやつだ。

 

 

「...!?」

 

「さっきねみんなで話してたんだけど、この蒼井美海って言うYouTuberの声が青野さんに似てるなって。」

 

「改めて聞くとやっぱ似てるよね〜」

 

「ね〜。」

 

「これって青野さんじゃない?」

 

 

だめだめ。学校で身バレはヤバいって!そう思い私は否定する。

 

 

「...ち、ちが

 

「ほら〜!やっぱ違うって〜!ていうか、青野さんがこんなこと言わないって〜。」

 

「だよね〜。青野さんがこんな声出すとは思えないもんね〜!」

 

 

そう言って彼女が再生した動画はASMR配信の最後の方の切り抜き。

 

教室中に私の喘ぎ声のようなものが響き渡る。

 

クラスの人達がこちらを見たり、目を背けてたりしている。

 

やだやだやだ。ここ(学校)で聞きたくない。

 

 

「恥っず〜!恥ずすぎん?これw」

 

「それな!w」

 

「キモイオタクとかこういうの見てそ〜!w」

 

 

私のリスナーをそんなふうに言うな!

 

 

「てかさ、こういうのってVTuberって言うんだっけ?絵を動かして喋ってさ。それで、お金もらえるんだよ?しかも、それでもてはやされて、デレデレしてばいいじゃん。そんなんだったらせめて顔出したらどう?って私は思うんだよ。」

 

 

やめてくれ。

 

 

「だよね〜。なんというか自己満というか。ちょっとキモイまであるよね〜。」

 

 

やめてくれ。やめてくれ。

 

 

「「ね〜。」」

 

 

 

 

 

「青野さんもそう思うよね?」

 

 

 

 

「...」

 

 

 

「青野さん?」

 

 

 

「え、あ、うん。きもい、よ...」

 

 

どうしてもこの話から逃れたくて、

 

自分で言ってはいけないことを言ってしまった気がする。

 

 

ここまでやってきたことをすべて否定され、自分でも否定してしまった。

 

 

「そうだよね!あ、ごめんね、騒がしくしちゃって。」

 

「だ、大丈夫。」

 

「じゃね!また話そ〜!」

 

 

そう言って女子たちは男子の元へ歩いていった。

 

 

私は涙が溢れそうなこの思いをグッと我慢した...

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

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_______________

▫ ◎ □ 「 」

【祝!】収益化・スパチャ解禁記念配信!!【蒼井美海】

5267人が待機中#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎526 ⤵︎12
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蒼井美海
チャンネル登録者数10.8万人
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「こんみう〜!!ソラカラ3期生の蒼井美海だよ〜!!!」

 

 

私は配信前もずっと考えていた。こんなことをしていいのか、リスナーからお金を貰ってもホントにいいのか。そんなことを考えるとまた泣きそうになる。

 

 

だが、今日のあったことをみんなに知られてはいけない。なんて言ったって、今日は記念配信だから。と思い、空元気で配信を始めた。

 

 

 

コメント:こんみう〜

コメント:収益(50000円)化・スパチャ解禁おめでと〜!!

コメント:おめ(30000円)〜!

コメント:ようやくここまで来たか

コメント:よう(50000円)やく投げれるぜ

 

 

「早速みんなありがと!ってええ!?みんな投げすぎだよ!ちょ、ちょま!?あ、赤色ばっかりなんだけど!?私が困っちゃうよこんなに貰ったら!お金は自分の趣味に使うとか楽しいことに使わなきゃダメだよ〜!」

 

 

コメント:V見るのが趣味やw

コメント:充分(5000円)楽しませてもらってます〜

コメント:驚いてるみうちゃんかわいい

コメント:もっ(8000円)とみうちゃんを困らせよーぜ

コメント:収益(500円)化おめでとう

コメント:おめ(1220円)でとう

 

 

「そ、そーなんだ。すごい速度でチャットが流れてく...カラフルで面白いな。みんなのをひとつひとつ読んで行こうと思ってたのに、これじゃあ読めないじゃん!」

 

 

チャット欄が今までにないくらい爆速で流れている。しかも色付きで。前に先輩たちの配信を見たら、ちょこちょこ流れているくらいだったので、そのぐらいなら、優先的にひとつずつ読めると思ってたのに、なんだこれは。読むどころか文字がギリ認識できるか出来ないかぐらいの速さで流れていく。読むのなんて無理じゃん。私はそんなことを思いながらなんとか嬉しそうな雰囲気を作る。

 

 

コメント:受け(50000円)取れー!

コメント:みう(5000円)ちゃんおめでとう!

コメント:今ま(10000円)で推してきたこと、これで証明出来るぜ

コメント:どう(3000円)

 

 

みんな優しいな。私のためにこんなにお金を投げてくれるなんて。でも、こんなに貰ってもいいものなの?

 

 

 

「こんなに貰っちゃっていいのかな。私には勿体ない気がするな。」

 

 

 

こんなに貰ったらまた何か言われるかもしれない、そんなことを考えてしまう。別に身バレした訳では無いのだから、そんなことはありえないのだが。

 

 

コメント:今までみうちゃんが頑張ってきた証だ

コメント:ファンは応援してるぞ!

コメント:勿体(12000円)なくない!

コメント:みうちゃんのためのお金だ!

コメント:努力の結晶

 

 

「あ、ありがと。みん、な。う、うっ...

 

 

コメント:どうした!?

コメント:大丈夫?

コメント:泣いてる!?

コメント:嬉し涙か?w

 

 

私は知らぬ間に泣き出していた。とても胸がぎゅっと締め付けられるように感じる。配信前に心の奥に押し込んだのに。我慢しきれずにその想いが溢れてしまった。ヤバい。泣いちゃダメだ。スパチャをもらえて嬉しいはずなのに。苦しい。

 

 

「う、うっ、ごめん、ね?今日あったことを思い出しちゃ、った。」

 

 

コメント:大丈夫?

コメント:泣くなよ

コメント:俺たちがついてるぞ

コメント:これからもついてくぞ

コメント:涙拭いてやるよ

コメント:何があったかは知らないが俺らはみうちゃんのこと好きだぞ

 

 

チャット欄を見てまたさらに涙が溢れてくる。泣くな泣くな。みんなが心配するだろ。

 

 

「っん〜、ひっく、んっ...うっ、うっ」

 

 

そんなこと考えても涙は止まらない。上手く喋れないほどに。

 

 

コメント:ほんとに大丈夫?

コメント:配信出来そうにないな

コメント:無理しないで

コメント:大丈(120円)夫?

コメント:配信終わっていいよ

 

 

「配信、をっ、おわ、っていいの?」

 

 

コメント:大丈夫だよ

コメント:元気(1000円)だして

コメント:無理すんな

 

 

 

 

頭の中で学校で言われた、自分で言ってしまった『きもい』が頭の中でループする。

 

 

マネージャーの阿部ちゃんからメッセージが届いた。

 

『今日はもう終わりにしましょう。気持ちが落ち着いたらまた配信しましょう。』

 

 

終わりたくない。けど、涙が止まらない。これ以上配信したら色んなものが崩れてしまいそう。

 

 

「う、うん。わかった。やっぱり、今日、は、終わりにしても、いい?ご、めんね?記念配信な、のに...うっ」

 

 

コメント:いいよ

コメント:みうちゃんのことの方が大事

コメント:しっかり休んでもろて

コメント:待ってる

 

 

「ありがと、みんな、おつ、みう...」

 

 

 

 

 

 

この配信は終了しました

 

 

_______________

▫ ◎ □ 「 」

【祝!】収益化・スパチャ解禁記念配信!!【蒼井美海】

3.2万回再生#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎863 ⤵︎122
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蒼井美海
チャンネル登録者数10.8万人
チャンネル登録

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はベッドの中に潜り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________

蒼井美海@miumiu32・2分前

ごめん

 

○ 253 ⇄ 965 ♡ 8,563

_____________________

 

 

 



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#20beautiful sea

塩むすび。
何も無い分、余計に美味しい。


私は次の日の朝11時目を覚ました。

 

今日は学校を休んだ。

 

今は何も考えたくない。

私は配信部屋で電源がオフのパソコンの私の顔が映る真っ黒な画面を眺めてぼーっとする。

 

何時間こうしていたのだろうか。

 

私のメンタルはボロボロで、悲しい感情、苦しい感情が混ざったような気持ち悪い感情があった。

 

生理の前後は感情が不安定になるって言うし、多分それに違いない。

 

私はまた寝ることにした。

 

 

 

明日には治っているだろう、と。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

目を開ける。

 

今何時だろう。ぼんやりとした頭でそう思う。

 

スマホで時刻を確認する。

 

あれ、電源がつかない。あ、電池が切れたのか。

 

私はスマホに 充電ケーブルを挿し、仕方なくだるい体を起こし、リビングの掛け時計を見に行く。5時半。もう朝だろうか。1日寝るなんて初めてだ。でも、そこまで長時間寝た気がしない。

 

気分もあまり変わらない。まだ、沈んだまま。

 

 

ぐ〜。

 

 

腹の虫が鳴く。1日何も食べてないのだから当たり前か。体は正直なようだ。

 

 

私は冷蔵庫の中を覗く。あいにく、冷蔵庫の中身はほぼ空っぽ。

 

 

「腹減った...」

 

 

窓を覗くと外は明るい。ん?太陽が西にある?ってことは夕方?ああ、だからそこまで寝た気がしなかったのか。

 

 

私は外に出たくないが、腹が減って仕方ないので海の近くのコンビニに買いに行くことにした。駅前のコンビニの方が近いのだが、できるだけ人に会いたくない。

 

 

5分ぐらい歩いてコンビニに着いた。腹が減った、と言っても食欲はそこまでない。私はおにぎり1つとお茶を買った。

 

 

コンビニを出たところで堤防が目に入る。私は堤防に腰かけた。なつかしいな。レン先輩とここで遊んだの。

 

 

風が涼しい。

 

 

下を見るとこの前配信した時と同じ服装。上は白のTシャツ、下はジャージ。なんともダサい格好。しかも、そのまま寝たのでくしゃくしゃだ。

 

 

「ダサいな、私。」

 

 

右のポケットに財布があって座りづらかったので外に出す。左足の違和感に気づく。ん?なんだこれ。左のポケットになにか入っている。

 

 

ポケットから取り出すとそれはスマホだった。VTuberになった時に会社から支給されたスマホ。ツイートした後、そのままポケットに入れたままみたい。

 

 

まだ充電が残っていた。12%。

 

見ると色んな通知が溜まっている。

 

たくさんの人からのメッセージやリプ。

 

ほとんどが私のことを心配してくれているものばかり。

 

ソラカラの人達からも「大丈夫?」とか「元気だして」という言葉が送られてきていた。

 

 

 

 

また泣きたくなる。どれだけ泣いたら気が済むのだろう。でも、今はグッとこらえる。

 

 

私はまた昨日のことを思い出す。

 

 

みんなの期待に応えられない私。

 

 

そもそも私はここにいなかった存在。いてはいけない存在なのかもしれない。女子にならなかったらここにはいない。女子にならなかったら、田舎で今まで通り1人で好きなことをして何も無い日々を過ごしていただろう。

 

 

でも、今はそんな生活は考えられない。私の周りには同期がいて、先輩がいて、友達もいる。そして何より、私を見ている視聴者がいる。私は今まで配信してきた中でどれだけのことをやらかしただろう。方々に迷惑をかけ、自分でも苦しんだ。そんな私は、私を見てくれている人の期待に応えられていない気がしてならないのだ。

 

 

そんな私は、人にお金を貰うなんてしちゃいけない。できない。したくない。

 

 

今回もまた泣き出して途中で配信を終わってしまった。

 

あー、確かに配信でお金もらって突然泣き出してたりする奴がいたら『きもい』わな。ははっ。

 

もう、VTuberやめよかな──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────みうちゃん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?誰かに呼ばれた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───みうちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?誰だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりここにいた!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

振り向くとレン先輩が立っていた。

 

 

「みうちゃん!」

 

「レン、先輩...!」

 

 

私は目をそらす。

 

 

「何してるの?ここで。」

 

「な、なんでもないです!」

 

「嘘でしょ。」

 

「嘘じゃない、ですよ。」

 

「嘘。だって、泣いてるじゃん。」

 

「あっ...」

 

私は泣いていることに今言われて初めて気づいた。

 

 

我慢してたはずなのに。

 

 

泣いていることに気づいたからか、先輩の顔を見たからか分からないが、涙が湧き出る。

 

 

先輩は私をギュッと抱きしめた。

 

 

「せ、先輩...!」

 

 

私は先輩に泣きつく。

 

 

「どうしたの?」

 

 

 

「私...!私!」

 

 

喉の奥で言葉が詰まってなかなか出てこない。

 

 

「大丈夫だよ。大丈夫。」

 

 

先輩は私の頭を撫でながら、泣き止むのを待ってくれた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「レン先輩。VTuber、私には無理かもしれない。」

 

 

 

 

「...どうしてそう思ったの?」

 

 

「えっとね、視聴者さん達の期待に応えられてないなって思った。だから、お金なんて受け取っちゃいけないって。だから、向いてないのかもって。」

 

 

「...」

 

 

「『私』は本当はここにいない存在。いてはいけない存在なんだって思っちゃった。」

 

 

「みうちゃん、今何言ってるかわかってる...?」

 

 

「わかってますよ。」

 

 

 

 

「わかってないよ!」

 

 

 

 

先輩が叫んだ。

 

 

「先輩...?」

 

 

「あ、ごめん...。でも、みうちゃんはここにいなきゃいけない。少なくとも私にとってはね。」

 

 

「え...?」

 

 

「私はいつもみうちゃんに元気もらってる。通話で話す時もそうだし、配信だってそう。いつも楽しい。辛いなって思った時でも、みうちゃんの声で癒される。」

 

 

「うん...」

 

 

「みうちゃんのやらかしの切り抜きとか、かわいい声の切り抜きとか、この前のASMR配信の切り抜きなんて何回も、何十回も聞いてるんだから!」

 

 

「う、ん...?」

 

 

あれを何十回も...?それってやばくない?

 

 

「あ...!と、とにかく、みうちゃんは私にとって必要な人。多分みうちゃんを見てる人たちもそう。みうちゃんが好きでみうちゃんに会いたいとすら思ってる、と思う。」

 

 

「じゃあ、みんなの期待に応えられないのはどうすればいいんですか?」

 

 

「応える必要なんてないよ。」

 

 

「え...?」

 

 

「だって、みんな今のみうちゃんが好きなんだもん。」

 

 

「え、そうなの?」

 

 

「そうだよ!完璧なんてつまんないよ。完璧じゃないからこそ応援したくなるってもんでしょ!今はみんなポンコツなみうちゃんが好き!」

 

 

「ポンコツって...。フフっ」

 

 

「あ、やっと笑った。」

 

 

「へ?」

 

 

「ううん?なんでもない。今日もみうちゃん可愛いなって、思っただけ。」

 

 

「なんですかそれ。」

 

 

「まあ、とにかく収益とかスパチャとかはみうちゃんにもっと頑張って欲しいから、みんながみうちゃんのこと好きだからあれだけ投げてくれるの。だから、自分がどうだとか思い詰めちゃダメ。みんなのお金、ありがたく受け取っておきなさい?それで、みうちゃんはみうちゃんらしく頑張ればいいのよ。」

 

 

そうか。そうだったのか。

 

 

私はようやく気づけた気がする。私にみんながお金を出す意味。単純に読んで欲しいとかそういうのはあるだろうが、それ以上に何かがある。私はそう思った。

 

 

「うん...。ねぇ、先輩?」

 

 

 

 

「何?」

 

 

「私、先輩みたいなVTuberになれますか?」

 

 

「ん〜。ダメよ。私みたいになっちゃダメ。」

 

 

「な、なんでですか?」

 

 

「私みたいないろいろやっちゃいけないことをやる人にはなっちゃダメ。それに、みうちゃんはみうちゃんらしくなりなさい。」

 

 

「...私らしく?」

 

 

「そう。みんなを笑顔にするんでしょ?」

 

 

「...!」

 

 

「そういう事ね。わかった?」

 

 

「はい。」

 

 

「家に帰りましょ。」

 

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤色の空は深い青の海を明るく照らしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は私らしく。僕は僕らしく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 



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#21ここから

ここから始まるものがたり。



補足(?):先輩はみうちゃんが心配で家に行ったところ、いなかったので思い当たる場所はあの海辺しかないと思い、あの場所へ走って行ったみたいです。




私は家に帰った後、すぐに配信することにした。この気持ちが変わらないうちに。

 

 

今は配信の準備中。

 

 

先輩は私の横で見守ってくれている。私が配信は1人でやらせてとお願いした。先輩はニヤニヤしながら『はいはい。』と納得してくれた。

 

 

なんでニヤニヤしてんだ?ま、いっか。先輩かわいいし(?)。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

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_______________

▫ ◎ □ 「 」

【みんなのために】リベンジマッチだよ【蒼井美海】

5267人が待機中#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎252 ⤵︎22
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数10.8万人
チャンネル登録

 

 

 

 

「こんみう〜!ソラカラ3期生の蒼井美海だよ〜!!みんな来てくれてありがと!急に始めたのになんでこんなに人がいるの?」

 

 

 

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

コメント:みうちゃんが好きだからや

コメント:待っ(120円)てた

コメント:待ってた訳じゃないんだからね!

 

 

「うんうん。待っててくれたんだね。嬉しい。」

 

 

コメント:元気そう

コメント:元気になってくれて嬉しい

コメント:もう大丈夫なん?

 

 

「うん。大丈夫。今は落ち着いたから。今日はちゃんとやるよ!みんな楽しんでいってね!」

 

 

 

この配信はみんなのためにやるもの。みんなに楽しんでいってもらいたい。

 

 

コメント:改め(10000円)ておめでと!!

コメント:やっ(20000円)ぱりみうちゃんかわいい

コメント:いえーい!

コメント:おめ(10000円)でとう!

 

 

「みんなありがと。あ、そうだ。今日は昨日のお詫び配信でもあるから特別にリクエストいくつか受付けまーす。して欲しいことあったらスパチャで言え〜!」

 

 

コメント:まじ!?

コメント:あのみうちゃんが...

コメント:珍しい

 

 

コメント:ホラ(610円)ゲやって欲しい!

 

 

「ホラゲ!?無理無理無理!絶対やらない!」

 

 

コメント:怖いの苦手か?

コメント:リクエストだぞ〜

コメント:リクエストされてるからやらなきゃねw

コメント:叫んでるみうちゃん見たい

コメント:ホラ(120円)ゲやれ

 

 

先輩が横で笑いながら、『やってよ!』って言う感じの眼差しで見てくる。

 

 

「絶対やんないからな!はい次!」

 

 

コメント:リク(1200円)エストというか質問です。レンちゃんとなでちゃんどっちの方が好きですか?

 

 

難しい質問だね。うん、しかも真横に先輩がいる。怖くて横見れない!

 

 

コメント:どっちなの?

コメント:究極の選択

鈴音奏:私だよね?

コメント:やっぱりいたw

コメント:姉登場w

コメント:レンちゃんはいないのかな?

 

 

どう答えればいいんだ!?あ、ここはここは中間で答えておこう。

 

 

「どっちも好きだよ?」

 

 

コメント:逃げたw

コメント:どっちか答えろw

鈴音奏:私だよね?みうちゃん?

コメント:圧がw

コメント:圧

 

 

うん、非常に気まずい。とりあえず、配信に来ているなでちゃんに好きと言っておこう。

 

 

「なでちゃん、の方が好き、かな?」

 

 

そして先輩の方を向いて手を合わせて「ごめんなさい。」と謝っておく。

 

 

先輩は頬をぷく〜っと膨らませていた。そして、スマホを弄り出した。

 

 

私が次のコメントを読もうとすると、先輩が私の配信をスマホで流し始めた。え?何してるのこの人。

 

 

コメント:あれ?

コメント:なにこれ

コメント:音が二重になっているような

コメント:エコー?

 

 

「ごめんごめん、スマホで配信開いちゃった。」

 

 

とりあえず言い訳。

 

 

そこで、先輩が私にスマホの画面を見せてきた。ニヤニヤしながら。

 

 

その画面にはスパチャを投げる寸前の画面。50000円と「私にも好きって言って♡」の文字。

 

 

は?え?ちょちょちょ!

 

 

「ちょちょちょちょまち!」

 

 

コメント:ん?

コメント:どした?

コメント:今日も配信止めるか?

 

 

先輩は容赦なくスパチャを投げた。

 

 

赤刎レン私に(50000円)も好きって言って♡

 

 

「あああぁぁぁあぁぁ!?」

 

 

コメント:レンちゃんwww

コメント:赤スパw

コメント:5万円www

コメント:え、てかそこにいるってこと?

コメント:まじ?

コメント:レンちゃんおるの!?

 

 

「こんれん〜!レンちゃんだよ〜!」

 

「ああ〜、出ないでって言ったのに〜」

 

「なんで出るんですか?」

 

「え、ここにいるのに私が出ないとでも思った?」

 

「嫌な予感はしてた。」

 

「でしょ?」

 

「でしょ?じゃないですよ。」

 

 

あ〜あ、出ちゃったよこの人。もしかして、最初からスパチャして出るつもりだったな!あれはそう言うニヤニヤだったのか!

 

 

「あ、ちゃんと好きっていってね!」

 

「い、いやだ。本人の前でなんて恥ずかしすぎる。」

 

 

いや、普通に真横にいる人に言うなんて恥ずかしすぎるだろ!!

 

 

コメント:やれよ

コメント:やりなさい

コメント:5万円のリクエストだぞ

 

 

「うぅ...」

 

「ほらほらはやくぅっ!」

 

 

仕方ない。こうなったらやけくそだ!とびっきりのやつかましたろ。えっと、照れながらエロい感じで?

 

 

「ん///。レン先輩、大好き、だよ♡」

 

 

やっぱり照れる。セリフだとしても。女性に告白するのは。私はもう男ではないから変な感じではあるけども。元男としてね。まあ、リアルではしたことなんてないんだけど(出来るわけない)。

 

 

てか前もあったなこんなこと。ああ、この後の展開が読める。多分先輩が突っ込んでくる。物理的に。

 

 

私は目を瞑って先輩が飛び込んでくるのを待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?来ない。

 

 

目を開けて先輩を見ると、両手を頬に当て、「ん、んんんん〜〜///!?」と悶えながら、突撃してくるのをなんとか我慢していた。

 

 

先輩...その顔は反則ですよ。かわいいし、エロい。

 

 

私はため息を着く。とりあえず前みたいな事態は避けられたようだ。

 

 

前は、準備もできてなかったからエッチな声出しちゃったもんな。しかもASMRで。あれはもう自分で見たくない。目の前に何十回も聞いてる人いるけども。

 

 

 

すると、先輩が急に私の肩に掴みかかり、目を真っ直ぐに見てきた。

 

 

ドキッとする。ガチ恋距離ってやつ?

 

 

ああ、先輩、かわいい。

 

 

「私も、好きだよ?」

 

 

告白された。

 

 

初めて告白されるのが女になってからなんて。しかもこんなにかわいい年上のお姉さんに。どうして私は女になってしまったんだろう。

 

 

そして、面と向かって好きと言われると照れる。先輩はもっと顔を近づける。唇と唇がふれあいそうな所まで。

 

 

「ああ!顔が近いって先輩!」

 

 

私も正直限界。

 

 

女性に告白されたことなんてない。あるわけない。

 

 

しかも、それが恋愛の好きではなく、友達としての好きでもなく、単純な好きでもないような気がする。性的な意味で好きと言われている気分。前のこともあるし、現に掴み掛かられてるし。ガチ恋距離だし。

 

 

コメント:れんみうてぇてぇ

コメント:てぇてぇ

コメント:え?見えないんですけど?

 

 

視聴者には見えてないが、だいたい想像が着くようだ。蒼井美海が赤刎レンに襲われているところが。

 

 

コメント:センシティブだなぁ

コメント:これで付き合ってないの?

コメント:もう結婚しろ

 

 

あ、結婚いいね。こんな人と将来結婚したい。だってかわいいもん。なので結婚しましょう先輩。あ、私まだ17歳だ。てか、同性婚になるわ。ダメじゃん。でも、戸籍上私は男なのでは?いやいや、だめだめ。今、私は私だ。

 

 

先輩が私に抱きついてきた。

 

 

結局、また先輩が迫ってくる。この人前回から学んでないの?

 

 

「ちょ、先輩!だめだめ!前みたいに怒られる!」

 

「...?あっ!ごめん...」

 

 

どうやら今回は自我を保ってたみたい。あぶね〜。

 

 

「わかってくれればいいです。」

 

 

「うぅ...」

 

 

「ふ〜。セーフ。」

 

 

コメント:危ないw

コメント:セーフw

コメント:センシティブ

 

 

「うう...」

 

 

先輩がシュンとしちゃった。かわいい。

 

 

あ〜、先輩が出てくれたおかげでなんだか配信楽しくなってきちゃった。

 

 

「よし、次のリクエストあるー?」

 

 

コメント:先輩放置w

コメント:レンちゃん元気だして

コメント:てぇてぇ

 

 

 

コメント:前み(1000円)たいにれんみうでバンドやって!

 

 

お、いいね!こういうのを待ってたんだよ。

 

 

「バンドだって!先輩!やりましょうよ!」

 

 

しょんぼりしていじけてた先輩はすぐに目を輝かせて立ち上がった。

 

 

「みうちゃんと歌いたい!」

 

 

「よっしゃ!やったるでー!」

 

 

コメント:うお

コメント:声でか!

コメント:なんで関西弁?

コメント:大阪やな

 

 

たまに関西弁なる人いるよね。え、私だけ?関西弁なるやろ?

 

 

私は楽器を手に取った。今まで1番練習してきたギター。

 

 

嬉しくてジャジャーンと鳴らす。

 

 

コメント:ノリノリじゃんw

コメント:楽しそうwww

コメント:またこれが聞けるとか最高

 

 

でもななあ、ギターだけじゃなぁ。先輩もなにか楽器出来たらちゃんとバンドらしくなるのになぁ。これではなんだか曲が貧相に感じる。

 

 

「先輩!なんか楽器弾けません?」

 

 

「ごめんね。私、声専門なんだ。」

 

 

「ん〜....」

 

 

「そうだ!ソラカラのみんなでバンド組まない?」

 

 

「へ?」

 

 

コメント:いいね

コメント:アイドルバンド

コメント:楽器できる人いるのか?

 

 

「それはわかんない...」

 

 

「ん〜、まあその話はとりあえず保留で。」

 

 

バンドというものは1度やって見たかった...けど、初対面の人となんて無理かも。例えソラカラの人でも。誰も楽器弾けないかもだしね。

 

 

コメント:何歌う?

コメント:曲リクエストいいですか?

コメント:アニソンやって欲しい!

 

 

「曲リクエストお願いしまーす。先輩選んでください。」

 

「ん〜、これとかどう?」

 

「いいっすね。やりましょう!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「おつみう〜!」

 

「おつれん〜!」

 

 

 

コメント:おつみう〜

コメント:おつみう〜

コメント:おつれん!

 

 

 

 

 

 

この配信は終了しました

 

 

_______________

▫ ◎ □ 「 」

【みんなのために】リベンジマッチだよ【蒼井美海】

4.2万回再生#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎569 ⤵︎25
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数10.9万人
チャンネル登録

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

疲れたけど楽しかった。先輩が選ぶのは最近話題の曲ばかり。最近曲ばかり選ぶのでなかなか弾けるものがないので、後半は一緒に歌ってた。いつの間にか歌枠になってたな。

 

 

まあ、今までの配信もいろいろ自由にやらせてもらっているのでコレが私らしいっちゃ私らしいかも。

 

 

これからも定期的に先輩とバンド配信したいなと思った。

 

 

よし、明日からも頑張りましょかね。楽しい配信にするぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 




段々と1話1話が長くなってきております。


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#22私はJKです。

テスト終わった〜!

 

 

期末テスト、ギリギリ生きた。

赤点は数学IIと世界史の2つ。赤点3つ以上は夏休みに補習とか言われてたのでセーフですよセーフ。

てか数学なんて将来どこで使うんだよ。中学までの内容で充分生きていけると思うんですがねぇ。ましてや世界史なんて日本に住んでいる私にとってほぼ関係無くない?何百年前の人か知らんけど、マルクス・アウレリウス・アントニヌス?誰やそれ。名前長すぎ。

 

 

まあ、結局言って勉強しなかった私が悪いんですけどね。というのも、スパチャ解禁お詫び配信の後からなぜか配信意欲が高まり、1週間ほど毎日のように雑談配信やらゲーム配信をしていた。楽しくて楽しくてたまらなかった。スパチャが貰えるからって別にお金が欲しいとかそういうことじゃない。多分。

 

 

で、気がつけば日付は7月3日。テスト前日。私はほぼノー勉でテストに挑むことになった。さらに言えば、それ以前も配信やら撮影やらで色々忙しかったため、いつもより勉強できてきなかった。

 

 

言い訳を言えるとしたら、『お仕事してて、勉強できなかったです!』って自信満々で言いたい。現役女子高生がお仕事って変だな。バイトでもないし。

 

 

夏休みも多分配信で忙しくなるだろう。早めに課題をやっておかなくちゃ死ぬことになりそう。

 

 

まあとりあえず、そんなことは置いといて、今は緊急事態。今度夏休みにソラカラのリアルイベントをやるらしい。

 

 

ソラカラの2度目の全体イベントで、グッズを販売したり、アイドルらしくライブで歌ったり踊ったりするらしい。ついに私が待ち望んでいたライブ来ちゃ〜!!と最初は思ったのだが、1期生や2期生は3Dで踊れるが、デビューしたての3期生はLIVE2Dしかない。これじゃアイドルみたいに踊れないじゃないか!しかも、初ライブがリアイベってハードル高すぎない!?コミュ障陰キャとしてはかなりキツいかも!へるぷみー!

 

 

ってことで、今日は事務所で会議。ソラカラ所属全タレントが今この事務所にいる。一応、1期生、2期生、3期生で会議室が別れているのだが、後々打ち合わせで顔を合わせることになるだろう。もう人生終わったよ。絶対何かやらかしてしまう自信がある。

 

 

「大丈夫?やっぱり緊張する?」

 

 

3期生の部屋でみんなで話していたのだが、やはり私は顔を合わせるとなかなか口が開かない。一体何を話したらいいのかわからなくて、1人黙っていたのだが、私の隣の椅子に座っている奏が話しかけてきた。

 

 

「そ、そりゃもちろんだ、よ?」

 

「だよね〜。私も先輩たちと会うのがこんな急になんて緊張でガチガチだよ〜。」

 

 

嘘だろ?絶対嘘だ。さっきからみんなと会話して爆笑したり言い合いしてるじゃないか。緊張なんてしてないだろ!

 

 

「皆さん移動してくだーい!」

 

 

スタッフさんが部屋の移動を促してきた。私は緊張しながらその部屋へと向かった。

 

 

スタッフさんに先導されて向かった部屋は『会議室1』。その横に『3日目』と書かれた紙。私は3日間行われるイベントのうち、3日目に出演することになっている。事前送られてきたメッセージにそう書いてあった。

 

 

3期生の他のみんなは...ミライくんと御手洗さんは1日目の部屋に。光くんとなでちゃんは2日目の部屋に...

 

 

ちょちょまち!私もしかして1人!?馬鹿野郎!なんでこんな人見知りでコミュ障で陰キャを1人にするんだよぅ!!

 

 

そっとドアを開けて中を覗く。部屋の中には人が4人椅子に座って話している。顔まではよく見えないが、男性が2人と女性が2人。男女で向かい合って座っている。

 

 

入りたくないな、と思っていると後ろを何が重そうなデカい機材(?)を持ったスタッフさんが通りかかり、廊下が狭くなり、私は部屋の中に押し込まれた。

 

 

部屋にいた人達が私に注目する。ああ、視線が怖い。

 

でも、中にはレン先輩がいた...!

 

知ってる人がいてよかった。ほっとした。

 

ん〜。他の3人は誰だ。ま、見ても分からないが。スタッフさんか、先輩?

 

と思うと、4人は何故か顔を寄せ合って小さい声で内緒話をしだした。一体何を話してるんだろう。

 

しばらくすると、レン先輩じゃない方の女性がこちらに歩いてきて、私に問いかけた。

 

 

「どうしたの?迷子?」

 

 

ん?迷子じゃないが?どうしてそう思うんだ。

 

 

「ま、迷子じゃないです。」

 

 

「ん〜、だったらスタッフさんのお子さんか誰かの妹ちゃん?かな?」

 

 

は?何言ってるのこの人。怖い怖い。そんな子なんてどこにもいませんが?え?これどういう状況?

 

 

先輩の方を見るとなんか悪い顔しながらくすくすと笑いをこらえている。

 

 

「私たち大事な話があるからあっちの待機室で待ってようね!」

 

 

と、女性は言って私の手を掴み、待機室に連れていく。

 

 

いや、私もここのタレントですけど〜!?レン先輩、なんか言ったな!たすけて〜!

 

 

私は暴れて手を振り解こうとするが、これがビクともしない。強くね?この人。いや、私が弱いのかも。あっという間に待機室の前だ。

 

くそっ、仕方ない!私は意を決して話しかけることにした。

 

 

「あ、あ、あの!」

 

「ん?何?」

 

「手、離してもらっても、いいですか?」

 

「ああ、ごめんね。はい。」

 

 

ようやく開放される。と、同時に全力ダッシュでさっきの部屋まで戻る。

 

 

「ちょっと!?」

 

 

後ろから女性が追いかけてくる。ちょっ!?早くない!?追いつかれる!

 

 

でも、すぐそこの角を曲がればさっきの部屋がある!と思い、私は勢いよくその角を曲がった。が、部屋に入る前に私は地面へ尻もちをついた。

 

 

 

何かにぶつかった。体には衝撃。そして顔には何か今まであまり体験したことの無いような柔らかい感触。

 

 

見上げると驚いた表情と怒ったような表情をした私のマネージャー阿部ちゃんが立っていた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

私と女性と阿部ちゃんは部屋に入った。私は顔に当たった阿部ちゃんの柔らかいところの感覚が忘れられない。人のを触る(事故)っていいもんだなぁ。

 

 

そして、椅子に座らされた。部屋に残っていた他3人と一緒のところ。先輩はまだ笑いをこらえている。でも、今にも吹き出しそうなそんな感じだ。

 

 

阿部ちゃんが私と追いかけてきた女性の方を向く。

 

 

「まず、白榊みかん(しらきみかん)さん?何故鬼ごっこを?」

 

 

「え!?白榊みかん!?」

 

 

私は彼女の正体が明かされると同時に勢いよく立ち上がる。

 

 

白榊みかんとは、ソラカラ1期生の超大先輩。現在、ソラカラの所属タレントの中で最も多い登録者40万人以上のすごい人。ソラカラのトップで稼ぎ頭。私なんて足元にも及ばない。

 

 

「落ち着いてください。」

 

「はい...」

 

 

普通落ち着けないでしょ。

 

 

「で?なぜ鬼ごっこをしていたんですか?」

 

「えっと、鬼ごっこをしていた訳ではなくて...この子が逃げるから...」

 

 

阿部ちゃんがジロっと私を睨んできた。私は目線を下にする。

 

 

「では、美海さん。なんで逃げたんですか?」

 

「「「みうちゃん!?」」」

 

 

今度は私とレン先輩と阿部ちゃん以外が驚いた声をあげた。

 

 

「みうちゃんだったの!?」

 

「言われてみれば声がそうだな。」

 

「てか、レンちゃん知ってて嘘ついたでしょ!」

 

「すんません先輩。てへぺろ(´>∀<`)ゝ」

 

「みうちゃんなんか想像と違うな!」

 

 

なんか大騒ぎになってしまった。

 

 

私は縮こまっている。

 

 

阿部ちゃんが「はぁぁ〜」とため息をついて、

 

 

 

「皆さん!打ち合わせ始めますよ!」

 

 

阿部ちゃんの怒った声でみんながビクッとしてようやく打ち合わせが始まった。

 

 

私が阿部ちゃんにぶつかったことは特に責められなかった。良かった〜。阿部ちゃんみたいなタイプはマジで怒るとやばそうだからなぁ、普通に。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「まずは美海さんがレンさん以外初対面ですので、自己紹介しましょうか。」

 

 

「じゃあ、私から!ソラカラ1期生白榊みかんです!Vだと18歳で、実年齢は24歳!現在の登録者数は41万人ー!」

 

 

うわ、この人自慢してきたよ。まあ、自慢してもいいほどの実力はあるのだけど。

 

 

「次は俺だな、俺は黒騎カケル(くろきかける)。2期生だ。Vもリアルも23歳。登録者は...23万人?だったっけな?」

 

 

前、配信を見た事がある人だ。とっても女子ウケが良さそうなクール系イケメンくんじゃないか。Vのガワと比べてもいい勝負してる。あ、別にタイプとか好きだとかそういう訳では無い。男だしな。うん。

 

 

「次は僕ね。僕は1期生嵐山黄夏(あらしやまおうか)だ。24歳。Vだと20歳ね。登録者は30万人だよ。」

 

 

見た目は優しそうなお兄さん。ん〜、この人の配信はあんまり見た事ない。なんか、Vだとヤンキーっぽい見た目で怖くて見てない。あ、いや訂正。少し見たことあるかも。えっと確か.....

 

 

「あ、みかん先輩と付き合ってる人だ。」

 

 

「「まだ付き合ってない!!」」

 

 

2人から否定された。どうやら違ったらしい。「まだ」ということらしい。まあ、プライベートだしね。そこまで突っ込むことは出来ない。あんまり気にしないようにしよ。

 

 

「次みうちゃんの番だよ。」

 

 

ぼーっと先輩たちの自己紹介を聞いていたがいつの間にか私の番のようだ。自己紹介か...今年になって何回目?さすがに慣れてきた...と思う。そしてまた現役JKのことに突っ込まれそう。

 

 

「う、うん。んと、私は蒼井美海です。えと、両方17歳です、登録者は11万人です。」

 

 

よし、上手く言えた。そして、予想通りの反応が返ってくる。

 

 

「うお、ジョシコーセー!?まじか、若いな...」

 

「未成年だからね?カケルくん、いくらみうちゃんがかわいいからって手ぇ出しちゃダメだよ?わかってる?」

 

 

レン先輩がカケル先輩に話を振る。それあなたが言えたことではないんですがね...

 

 

「なんで俺がロリコン前提なんだ!?俺は断然年上派だ!」

 

「え?前私の配信で君のリスナーだと思われる人達がカケルはロリコンって言ったけど?」

 

「うそぉ!?俺そんな発言した覚えないぞ!」

 

「あ、私もそれ見た〜!」

 

「ですよね〜」

 

「ちょっとぉ!?俺のリスナー勝手なことやりやがって...全員お仕置が必要か?」

 

「私たち巻き込まないでよね。」

 

「そーだ!そーだ!」

 

 

非常に騒がしい。

てか、私ってロリ枠なの?自分のことをロリって言われるとなんか複雑な気持ちぃ。

 

 

騒いでいると、阿部ちゃんが大声を出す。さっきよりもデカめの声。

 

 

「皆さん聞いてください!」

 

 

先輩たちはその声に驚き、慌てて椅子に浮いた腰を下ろす。

 

 

「自己紹介、終わりましたね?では、これから8月20日、開催3日目最終日のイベント、ライブについて説明します。」

 

 

阿部ちゃんが説明を始めたが、私はすでに疲労困憊状態。

今の自己紹介だけで今日のエネルギーを使い切った気がする。私はソラカラがヤバいというのを改めて体感したのだった。

 

 

 

 

 

 

 




一応説明しておきます。アイドルVTuberというと某ホ○なライブを思い出す方が多いかもしれませんが、ソラカラ女性だけでなく、男女混合です。変と思われるかもしれませんが、男子も女子もいる美男美女のアイドルは新鮮でいいなと思った私の妄想ですので、そこんとこよろしくです。

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この小説のこととかVTuberのことについて喋ったり喋らなかったりする




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#23自由な人達

「ではまず、イベント当日の大まかな流れについて説明します。」

 

 

色々あったが、ようやく打ち合わせらしいことが始まった。私たちは配られたプリントに書かれたことが説明されていく。

 

 

「最初にトークイベントがあります。まあ、これは普段の配信でのコラボと変わらないです。リアルに観客が目の前にいるというだけで。台本はこちらで準備するのでそれに沿ってあとは自由にやってもらっていいです。」

 

 

トークイベントか...これはまだ大丈夫....かな?でも、普段見えない視聴者たちのリアクションがガチで目の前で見えるというのは少々怖い。滑ったりやらかしたりしちゃったらヤジが飛んできそう。

 

 

「次はファンの方と1対1でトークできるイベントをやろうと思っています。」

 

 

「い、1対1!?」

 

 

「みうちゃん....」

 

 

みんなが心配そうな顔で見てくる。私が何かやらかさないかの心配か、それとも私が1対1で知らない人とお喋りなんてできるのかという心配なのかはこの際考えないようにしよう。

 

 

「午後はライブの予定です。各自2曲ずつ歌ってもらって最後に5人で歌ってもらおうと思っております。これからダンスや歌のレッスンがあると思いますが、頑張ってくださいね!」

 

「質問〜!みうちゃんはLIVE2Dしかないけど、どうするんですか〜」

 

 

ないす!よくぞ聞いてくれたレン先輩!そこは正直1番聞きたかったところだ。

 

 

「美海さんの3Dライブ衣装は現在プロジェクト進行中です。が、夏のイベントには残念ながら間に合わないそうです。」

 

「そっか...」

 

「残念だね、みうちゃん...」

 

「ですので、動くことは出来ませんが、画面に蒼井美海のLIVE2Dを表示して歌ってもらうことになります。」

 

 

まだデビューして間もないし仕方ないっちゃ仕方ないんだけどさ...なんかこう、コレジャナイ感ってあるよね。

 

 

「とりあえず、大まかな説明としてはこんな感じです。時間などはこちらで調整してからお渡しするので把握お願いします。」

 

「はい。」

 

「では、これからライブで何を歌いたいかみなさんで決めてください。デュエットしても構わないですが、1曲はソロでお願いします。」

 

「分かりました。」

 

「私は今日ちょっと用事があるので決まったら私のところに連絡ください。詳細な事が決まったらまた連絡しますので。」

 

と言って阿部ちゃんは一礼して部屋を出ていった。阿部ちゃんはちょっと硬すぎるなぁ。もうちょっとリラックスして笑ってくれればいいのに...美人さんが勿体ないなぁ。

 

 

「じゃあ、私たちも帰るね。」

 

 

みかん先輩とレン先輩が立ち上がった。

 

 

「え、なんで!?これから決めるんじゃねーのかよ。」

 

「ごめんね、プライベートの用事が...」

 

「あ、それなら仕方ないな。」

 

「じゃあ、VCで決めないか?そっちの方が早そうだし。」

 

「そうだね、今夜10時ならみんな大丈夫?」

 

「はい。」

 

「けってーい!そういうことだからよろしく〜。」

 

 

と言って2人は走って部屋を出て言ってしまった。

 

私も「今夜かぁ、」と思いながら家に帰るのであった...

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

「おかえり〜」

 

 

家に帰るといつもは無いはずの返事が帰ってきた。そう、今日はお母さんが仕事が休みで家にいる。つまり、あまり騒げない。だから、今日は配信はなし。

 

 

お母さんはリビングでたくさんの資料とパソコンを使って仕事をしていた。

 

 

「お疲れ様。」

 

「そっちこそ。家で休みの日なのに仕事してるじゃん。」

 

「いいのよ楽しいから。」

 

「そっか。」

 

「私もこれから作業するから。」

 

「 あ、ちょっと待って。この前のテストどうだった?赤点とかない?」

 

「あ、う、う〜んと?な、ないよ?まあまあ?」

 

「ふーん?ならいいよ。」

 

 

ふぅ、危ない危ない。これはヤバい。次回のテストは赤点無しにしないとな。

 

 

私は部屋に行って作業を始めた。明日の配信のための準備。明日は前からやってた古いノベルゲームの配信続きをする予定。前回は女主人公が幼なじみとの恋愛イチャラブシーンに行く雰囲気の直前で終わった。なので配信タイトルはこんな感じ。

 

 

 

♯3【こめはや】私をあなたの彼女にして?【蒼井美海】

 

 

 

彼女にして?って言うのはなんか抵抗あるが、この方が視聴者が来てくれそうなのでこれにする。

あとはサムネ作り。これがまたいいものにしたくて結構悩んでしまう。画面にいい感じの蒼井美海の絵と文字を打ち込んでいく。

 

 

 

よし、できた。

 

 

「渚〜、ご飯できたわよ〜。」

 

 

お母さんが呼ぶ声がしたので私は食卓へ向かった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「渚、今日は何してたの?」

 

「ん〜?打ち合わせしてた。」

 

「打ち合わせ?何かあるの?」

 

「あー、8月にイベントやるんだってー」

 

「へぇ、いいわね。私も行っちゃおうかしら。」

 

「え〜だめだめ!来るな来るな!」

 

「冗談よ、冗談。」

 

 

うちのお母さんはこのVTuber活動に理解がある。私がVTuberをやることになった時も私はやりたくなかったのだが、『何事もチャレンジ!!』とか何とか言って進めてきたほど。父が音楽家だったので私が世間一般に見られるようなそっち系の世界に足を踏み入れることも、私が将来そういう風になることも、少しは想像していたかもしれない。

 

 

だからといって、お母さんの仕事も楽しんでやっているみたいなので、邪魔はしたくない。なので、お互い、やっていることについてはあまり突っ込まないようにしている。

 

 

 

カシュッ

 

 

 

「今日飲むの?」

 

 

お母さんは普段はあまり飲まないのに缶の蓋を開けた。しかもでかいヤツ。ストロングなヤツ。

 

 

「だめ?たまにはいいじゃない、休みの日くらい。」

 

「まあ、うん、そうだね。でも、程々にしてよ?後々めんどくさいのこっちなんだから。」

 

「はいはい。分かってますよーだ。」

 

 

お母さんは酔っ払うと息子の私にもだる絡みしてくる。それでお母さんが寝るまで私が付き合わされることになる。それは嫌だ。酒臭いし。めんどくさいし。

 

 

「あ、そうだ。この後通話するから部屋入ってこないでね。」

 

 

「わかったよ。」

 

 

「くれぐれも、飲みすぎないでね?」

 

「はいはい。」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「ライブだー!やったー!」

 

 

通話を繋げた途端、みかん先輩が叫ぶ。

 

 

「何歌おうかな〜!」

 

 

レン先輩はとてもわくわくしてる。

 

 

「つい来たか...」

 

「ですね...」

 

 

男どもはなんか戦慄している。なんで?ライブだぞ!?楽しいに決まってる!なんでそんな浮かない感じなんだ?と思ったので聞いてみる。

 

 

「どうしたんですか?」

 

「そうか、みうちゃんは知らないよな、そうだよな。」

 

「....、?」

 

「この真夏のイベント...練習の時から当日までの地獄...」

 

「ん?どういうことですか?」

 

「あのな?このくそ暑い中、ダンスと歌の練習をしなくちゃならんのよ。」

 

「あ....」

 

「ようやく気づいたか。しかもそれでダンスの先生がかなりきついんだよ。去年はまじで死ぬかと思ったよ。」

 

「そんなになんですか?」

 

 

私の質問にみかん先輩が答える。

 

 

「ん?そんなことないよ?あの先生優しいし、私たちのペースに合わせてやってくれるよね?」

 

「そうですよね!」

 

 

あれ?男勢と女勢で反応が違うようだ。これはどうやら女の方が楽っぽい?

 

 

「それにイケメンなんだよ!みうちゃんみたいな美少女の男バージョンって感じのさっ!」

 

「わかるわかる!!」

 

 

どうやら女子ウケのいい先生っぽい。よかったぁ。女子になってよかったぁ。

 

 

「みうちゃんも多分好きになっちゃうよ、あの先生のこと。」

 

「あー、そうだよね。みうちゃんチョロそうだもんね。変な男に引っ掛からないようにしてよ?」

 

「え、えぇ...」

 

 

私チョロくない!!そんなホイホイついてったりしないから!!てか、男無理だし?

 

 

「みんな本題覚えてる?曲決めるのよ?」

 

 

脱線しかけた話をみかん先輩が戻す。こういうところはさすがって感じ。

 

 

そして、先輩たちは歌いたい歌をすでに何曲か候補があったみたいでスラスラと決めていった。みんなそれぞれオリジナル曲を持っていて、それとカバー曲を歌うっていう感じになった。

 

 

「私は何歌えばいいんでしょうか...?」

 

 

「ん〜、みうちゃんは最初のライブだし、歌いやすいのがいいんじゃない?普段歌枠とかもしてないでしょ?」

 

「はい。」

 

「ん〜、本当はみうちゃんが歌いたい曲がいいんだけどねぇ。あれとかどうかな。みこみこ。さんのボカロ曲。」

 

「み、みこみこ。さん!?」

 

「あれなら歌いやすいよ。みこみこ。さん本人も歌ってるし、ボカロ曲にしては歌やすい曲ばっかりだから。」

 

「そ、そうですね。ありがとうございます。」

 

 

みこみこ。さんの曲か...。それは大丈夫かな。色んな意味で。まあ、確かに歌いやすいのはそうなんだけど、ね?友達の作った歌か〜。そう考えるとなんか変な感じだな。

 

 

「でさ、5人で歌う曲は?どうする?」

 

「あ、それなら男子たちにちょっと提案があるんだけど。」

 

「ん?何だ?」

 

「さっきみんなが通話に入ってくる前にレンちゃんと話してたんだけど、バンドやらない?」

 

 

ばんど!?まじ?たしかにやりたいとは言ったが...やった!やりたすぎる!

 

 

「バンド!?」

 

「そう、バンド。」

 

「あ〜、あれか、レンとみうちゃんがやりたいって配信で言ってたヤツか。」

 

「そうそう。」

 

「俺はいいですよ!」

 

「僕もいいよ。」

 

「それじゃ決定!!」

 

「みうちゃんもそれでいい?」

 

「いいですけど...」

 

「けど?」

 

「皆さん楽器出来ますか?」

 

「「「「全然」」」」

 

 

この人たち正気か。

 

 

「残り2ヶ月弱でダンスと歌と楽器を覚えなきゃいけないですよ?」

 

 

「みうちゃん、ソラカラを舐めてもらっちゃぁ困るぜ!」

 

 

みかん先輩は自信満々にそう言った。ほんとに大丈夫なのだろうか。なんか不安になってきた。

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

急に部屋のドアが開いた。

 

 

「え?」

 

 

「渚〜。ここにいたのぉぉぉ〜?」

 

 

お母さんだ。ベッロベロに酔っている。

 

 

「なにごと!?」

 

 

「お、お母さんです。」

 

 

「お母様!?」

 

 

「お母さんあっちいってて!大事な通話中だから!うわっ、お酒臭っ!」

 

 

「いいじゃない〜。は〜いみんな〜。こんみう〜。ソラカラ3期生の蒼井美海の母でぇ〜す〜!ちゃんと配信してるぅ!?」

 

 

「配信はしてないから!先輩方に恥ずかしいの見せないでよ!」

 

 

「ん〜?何これぇ?サムネかしらぁ?私をあなたの彼女にして?あら〜、渚ももう()()()なんだね〜。」

 

 

「ちがうから!これ配信タイトルだから!あっちいってて!」

 

 

「ぶぅ〜、しょうがないなぁ!」

 

 

「はいはい。行った行った。」

 

 

「じゃあ、みんなばいばい〜!おつみう〜!」

 

 

「ふぅ、...お恥ずかしいところをお見せしました。」

 

「いいよ〜、お母さんいつも家にいないのに今日はいるんだ?」

 

「はい...、今日はたまたま休みなんです。」

 

「娘思いのお母さんだな。」

 

「なんかほっこりした。」

 

 

てか、お母さんこんみうとかおつみうとか言ってたな。もしかして私の配信見たことある?

 

 

「んんん...ふぁぁ〜...」

 

 

なんだかとっても疲れた。今日打ち合わせだけでも疲れたのに、それよりも今の一瞬で疲れた気がする。

 

私は大きなあくびをしてしまった。

 

「あれ?みうちゃん眠い?」

 

「....うん」

 

「今日はもう終わりにしとく?」

 

「...いや、もうちょっといけます。」

 

「あ、そう?」

 

「ねぇねぇ、このチームでやるからにはもっと仲深めたいよね〜?」

 

「うん?」

 

「ねえ!バンドでやる曲は楽器とか色々あるからまた今度決めて今からゲーム配信しない!?」

 

「みかん先輩!?」

 

「まーた始まったよ、みかんの突発的なゲーム配信欲。まあ、いいけどさ!」

 

え、これよくあることなの?今日配信しない予定でいたのに、まあ、いいか防音室だし。お母さんももう寝るだろうし(酔ってるし)。

 

 

「よし!スマ○ラやろ!配信は私のところで枠とるからさ。」

 

 

 

げ、スマ○ラか...

またやばい事になりそう...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




毎回のように長くなっていく...


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#24寝息

お気に入り、栞、評価、感想、誤字報告ありがとうございます!



眠い。息抜きって大事だよね。


白榊みかん@mikanchan12・5分前

今からゲームする!!

コラボだよ!!

○ 58 ⇄ 257 ♡ 3,263

______________________

赤刎レン@renren567・4分前

ゲームだー!いえ〜い!!

○ 12 ⇄ 162 ♡ 1,639

______________________

黒騎カケル@kuroikisi42・3分前

いつもの突発的コラボです

○ 10 ︎︎⇄ 568 ♡ 1,168

______________________

嵐山黄夏@ooooka・2分前

お前ら何時だと思ってんだよ!元気すぎんか?

○ 6 ⇄ 35 ♡ 953

______________________

蒼井美海@miumiu32・2分前

助け...て....

○ 5 ⇄ 25 ♡ 623

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝。

 

 

目を開けると目の前にはつきっぱなしのパソコンとモニター。

 

ん〜、どうやら寝落ちしてしまったようだ。

 

 

「ふぁぁ...んんんっ...!!」

 

 

私は凝り固まった体を解すために大きなあくびと伸びをする。

 

頭に着けっぱなしのヘッドホンを外して机の上に置く。

 

トイレに行きたいなと思ったのでトイレに行く。

 

途中で出かける寸前のお母さんがちょうど玄関のドアを閉めようとしていたところだった。お母さんは私に気づかずにドアを閉めてしまった。日曜日の朝からどこかへ行くようだ。

 

「いってらっしゃい、おかーさん。」

 

一応声をかける。もうお母さんには聞こえてないだろうけど。

 

その後、目的だったトイレに向かった。

 

 

──────

 

 

部屋に戻って椅子に座る。まだ頭がぼーっとする。

 

 

私は机上にあったスマホを開く。日曜日午前9時の文字が目に飛び込んでくる。よかった。平日だったら寝坊だ。

 

 

すると、ちょうどいいタイミングで阿部ちゃんからメッセージが届いた。

 

 

『おはようございます( º言º)』

 

「おはよー」

 

ぼーっとしたようなゆるーい独り言をつぶやく。それにしても、普段阿部ちゃんからこんな挨拶メッセージが送られてくることなんてないのだが、今日はどういうことだろう。しかもなんだこの顔文字。怒っている?またなんかやらかした?

 

そう思ったので、スマホで私のチャンネルを開く。

 

 

──────

 

 

別に何か変わったことは無いようだ。だったらこのメッセージは何なんだ。

 

 

そう思ってスマホを眺めていると、みかん先輩が配信をしている。

 

 

「みかんせんぱいー」

 

 

早いな〜、昨日あんなに夜騒いでたのにもう起きて朝活してる...すげぇ...

 

と思ってその配信を開く。

 

すると、配信画面は何故か私の立ち絵がある。

 

 

ん?

 

 

どういうこと?

 

 

配信画面には「みうちゃんの寝息を聞きながら作業雑談」という文字。

 

 

んんん????

 

 

そして、みかん先輩からメッセージが送られてきた。

 

 

「おっはよーーー!!!!」

 

 

その言葉に私の頭は一気に覚醒していく。

 

 

1度外したヘッドホンを頭に装着し、マイクに向かって声を発する。

 

 

「みかん先輩ぃぃ!?すいませんでしたぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

コメント:おはよー

コメント:おはよー

コメント:ようやく起きた

コメント:日本トレンド3位おめ

 

 

「あの...何があったか聞きたい、です。」

 

 

「いいよー、何があったかと言うとね?みうちゃん配信前から眠いって言ってたでしょ?」

 

「はい。」

 

「で、みんなでスマ○ラしてたら急にみうちゃんのカー○ィが動かなくなって、それで寝落ちしたんだなーってみんな気づいたよね。」

 

「そうなんですか...すいません。寝落ちしちゃって。」

 

「大丈夫大丈夫!そういうのたまにやる人いるから。」

 

 

コメント:いや、お前がやってただけでは?

コメント:みかんだけでは?

コメント:ブーメラン乙

 

 

いや、何も大丈夫じゃないと思うが!?ソラカラやべぇな。って今更か。

 

 

「そ、そうなんですか...で、今この現状についてはどうなってますか?」

 

「えーと、みうちゃんが寝落ちして、みんながそれに気づいた時はすでに深夜2時で、さすがに夜遅いし、解散しよーってことになったんだけど、みうちゃんがかわいい寝息を立てて寝てるからリスナーさんの提案で私だけ残ってそのまま配信しようということになったんだよ。」

 

 

「ね、寝息 を!?」

 

「そう。寝息。」

 

私の寝息、もしかして何時間も全世界に配信されてた?ちょー恥ずかしいんですけど!

 

 

コメント:かわいかった

コメント:ずっと聞いてられた

コメント:マジ天使

 

 

「恥ずかしい...」

 

「大丈夫大丈夫。かわいかった〜みうちゃんの寝息と寝言。」

 

「寝言!?私なんか言ってました!?」

 

「聞きたい?」

 

「...聞きたい、です。」

 

「3回くらい聞こえてきたんだけどね?1回目は『ふにゃー』で、2回目は『なでちゃん』って言ってた。」

 

私そんなこと言ってたの...あれ?どんな夢見てたっけ?忘れちゃった。

 

「3回目は確か...『大好き』って言ってた。これはかなり可愛かったねぇ。一体何が大好きなのかなって思ったよ。」

 

「すいません、夢の内容覚えてないです。」

 

「だよねー、夢ってすぐ忘れちゃうよね。」

 

「はい。」

 

「まあ、こんな感じかな。私はそれを聴きながら作業してただけだから。」

 

 

うぅぅ...とことんやらかすな、私。

 

 

「あ、あと!私からも聞いていい?」

 

「はい。」

 

「みうちゃんさっきトイレ行った?」

 

「はい。」

 

「.....音、配信にバッチリのっちゃったよ。」

 

「ええぇぇぇ!?」

 

 

これはもう恥ずかしいどころじゃない!死にたい!死ぬ!てか、ミュートしてくれればいいじゃないか!

 

「みうちゃんドア開けっぱなしだったでしょう?」

 

「はい...」

 

「それとね、みうちゃん宛にスパチャがものすごい量来てたよ。だから今度このお金でなんかご飯食べに行こ!!」

 

「いいですよ!私寝てただけだし...」

 

「いいや、正直私ほぼなんもしてないし。みうちゃんともっと仲良くなりたいしね。」

 

「そ、そうですか...」

 

「はーい、ってことでみうちゃんが起きたのでここで配信を終わりたいと思いまーす。さすがに徹夜だし、私もこの後寝るので今日の夜の配信は11時からにします!」

 

「また配信するんですか!?」

 

「いいじゃん、楽しいもん。」

 

「すごいなぁ、」

 

「私みたいに長くやってると、こういうのが普通になってくるもんだよ。あ、みうちゃんも配信来る?」

 

「い、いえ!あ、明日は月曜日なので早く寝ます!」

 

「そーかー。じゃあ仕方ないっ!ではまた夜にお会いしましょー!ばいば〜い!」

 

「おつみう〜。」

 

 

 

 

 

 

 

この配信は終了しました

 

 

_______________

▫ ◎ □ 「 」

【コラボ】ゲームやります!【白榊みかん 嵐山黄夏 赤刎レン 黒騎カケル 蒼井美海】

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後から気づいたけど、みかん先輩がこの配信の切り抜き作ってた。私の寝言がバッチリ切り取られていた。何やってんだ先輩。暇なの?

 

 

白榊みかん@mikanchan12・5分前

今日のみうちゃんの切り抜き作ったよ!

寝言かわいいから是非見てね!

○ 126 ⇄ 365 ♡ 5,263

______________________

蒼井美海@miumiu32・2分前

助け...て....

ぐへぇ...。。。(lll __ __)バタッ

○ 5 ⇄ 142 ♡ 1,596

 

 

 

 

 

 

 





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#25夏だー!(ただの地獄の始まり)

お気に入り登録、栞、ありがとうございます!!!


前半は考えた時に変なテンションだったのかもしれないです。あとから自分で見直してみて少しおかしいと思ってしまいました。←何言ってんだこいつご了承ください。



振り向いて欲しい、私を見て欲しいけど見せない顔もあったりなかったり。


今日は初めての歌のレッスンの日。まだ、本番で歌ったことの無い3期生全員が集められた。

 

 

まず全員の歌のレベルを見ると先生から言われ、みんなそれぞれが本番で歌う1曲を歌った。みんなの歌の腕前はと言うと、これがまた超上手い。先生からの評価はとってもよかった。私も感動した。普通に。ん?私?私はね、結構自信あるんだ!是非聴いてよ!と、言ってみたかった。

 

 

 

「無理無理無理〜!!」

 

人前で歌うのに緊張して、上手く声が出ない。曲が流れる中でごにょごにょしていたら途中で曲止められちゃった。

 

 

そして先生からの私への最初のお言葉。

 

 

「君、今までどうやって配信してたの?」

 

 

だってさ。ゴミくそ陰キャコミュ障でごめんなさい。2度と歌いません。すいませんでした。

 

 

「みうちゃん?大丈夫?」

 

 

同期から心配の声。心の中で言ったつもりなのに口に出てたのか?

 

 

「大丈夫だよ。あの、もう1回やらせてください!」

 

 

「わかった。もう一回ね。ちゃんと歌ってね。」

 

 

私は何とか声を絞り出し、何とか1曲歌いきった。のだが...

 

 

「はぁはぁ...」

 

 

息が切れた。1曲歌っただけなのに。1曲歌っただけなのに!?私体力無さすぎないか?

 

 

先生からの私への2つ目のお言葉。

 

 

「君、今までどうやって配信してたの?」

 

 

あれ?デジャヴ?さっきも聞いたような?

 

 

「はぁはぁ...それ、さっきも聞いた気がする。」

 

「改めて言ってるんだよ。」

 

 

ああ、そういうことね。はい。分かりました。

 

 

「ん〜じゃあまあ、君たちはまず全員本番までにやらなきゃいけないことがたくさんです。歌の練習もしなくてはいけませんが、歌い方を1からやってたら3曲も出来なくなってしまうので家でボイトレをして欲しいです。そのボイトレ方法を今から教えます。覚えてくださいね。」

 

 

「「「「「はい。よろしくお願いします!」」」」」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、つかれた〜」

 

休憩時間。

さっきまでボイトレの方法を色々教えて貰っいたのだが、私だけプラスのメニューでランニングと筋トレ、そして、朝活を週3〜4回しろとの命令が下った。

 

 

「き、厳しい...」

 

 

VTuberになってからというもの、なかなか外に出る機会が減り、運動不足になっていて、こんなメニューやったら絶対に死ぬ自信がある。

 

 

しかも朝活!?死ぬ死ぬ。特に夏休みが始まるまでの学校がある期間。朝早く起きて朝活して、その後学校いって、終わったらランニングと筋トレ??無理無理無理。そんなの夏休み前から死ぬ!

 

 

本番のライブでも、3曲やることになってるし、しかもイベントはそれだけじゃなくて他のこともやらなければいけない。1曲でへばっている様じゃ確実にイベント当日他の先輩方やスタッフさん、そして来場者さん達に迷惑をかけるだろう。

 

 

それを見越してのこの地獄のメニューなんだろうがなんともまぁ、これは鬼顧問のいる部活か?と思ってしまう(私の感覚的に)。

 

 

先生曰く、私は夏バテしやすそうに見えるからその防止で体力付けろとの事。

 

 

クーラーつけて、家で配信してたら夏バテしないんだけどなぁ。

 

 

私は床へ仰向けになって寝転んだ。床が冷たくて気持ちぃ。

 

 

でも、私はどうやらかなりヤバい状況かも。と今更ながら冷静になって考えてみる。

 

 

さっき先生に声はいいのに全く声出てない。体力がないからかな?と言われてしまった。いや、ね?配信なら人が見えなくてチャット欄相手なので、声は出すことは出来るんけどなぁ。やっぱり人前で何かするってなるのは緊張する。

 

 

体力の方は...まあ、昔はもっと動いたりしてたから体力あったんだけどね?最近は家で座って配信してる事の方が多いからさ、運動不足とかあまり思ってなかったのだけど、気にしてみるとたしかに最近お腹とかが女になってしまった時よりもぷよってきたような?そんな気がする。

 

 

私はお腹を触ってそんな事考えているとなでちゃんが話かけてきた。

 

 

「大丈夫?生きてる?」

 

「やっぱり配信ばっかりしてるとね運動不足気味というか...ね。体力が...。そういえば、なでちゃんはなんでそんなに元気なの?」

 

「ん?私はね、毎日走ってるし。歌枠も定期的にやってるから声の出し方とかも最近わかってきたところだよ。みうちゃんも何がやるべきじゃないかな!」

 

「ま、毎日...!?...無理。」

 

「そんなことないよ!やってみたら意外と楽しいよ?」

 

「そんなわけない...あ、ちなみに毎日何キロを走ってるの?」

 

「短くて5キロ、長くて10キロくらいかな。」

 

「10キロ!?」

 

「まあ、最初は短くていいからさ。絶対やった方が今後のためになるよ?」

 

「う〜ん...まじかぁ...」

 

 

正直やったとしても私の場合、三日坊主になってしまいそう。そう、続けられるかも問題なのだ。

 

 

「それとさ、みうちゃんさっき自分で運動不足って言ってたから気づいてると思うんだけど...太った??」

 

「ふ、太ってない!」

 

「なんかこう...丸く...」

 

「それ以上言わないで!」

 

「ごめん。」

 

「あ、そうだ!前から思ってたんだけどさ!」

 

「な、何?」

 

「今度お家泊まりに行ってもいい!?」

 

「え!?いきなり?」

 

「だめ?」

 

「い、いいけど...」

 

「OK!色々考えておくね!」

 

 

ええ、また勝手に決められちゃっだんだけど。女の子が自分家に泊まりに来るなんてまだ全然慣れてないんだけど!レン先輩の時は緊張でそんなこと全く考えていなかったが、女子が家に泊まるなんて男だった自分にとっては普通無い事だ。うー、悩ましいことだが、まあ、なでちゃんだけなら...いいや。

 

 

 

「おーい?2人で何の話してるん?」

 

 

 

 

私の声を聞きつけて夏火ミライを先頭に同期の残りの3人が集まってきた。

 

 

「みんな!あのね!今度みうちゃんちに遊びに行くことになったの。あ、そうだ!みんなも来ない?」

 

「え、いいんですか?」

 

目を輝かせたのはとまりん。「行きたい!」と私に迫ってきた。とまりんは人見知りだが、仲良くなった人にはグイグイいくタイプの人みたいだ。仕方ないな。こうなったら1人も2人も一緒だ!

 

 

「い、いいよ!みんな遊ぼ!」

 

「うん!」

 

 

とまりんめっちゃ嬉しそう。かわいい。

けど、男子たちはなんだか不安な様子。どうした?

 

 

「な、何か問題ある?」

 

「あぁ、みうちゃん家行ってもええんか?その...みうちゃんって女子高生やん?なんか思わへんの?男を家に上げるの。」

 

「え、そんなこと気にしてる、の?」

 

「普通気にするわ!」

 

 

元男の私にとっては男子に見られようとも別に恥ずかしいとも思わない。逆に女子に見られほうが恥ずかしいまである。まあ、たしかに自分が男だったら女子高生の家に行くのはかなりの至難の業かもな。色んな意味で。

 

 

「じゃあ、決まりだね!みんな夏休みの方がいいよね?7月がいい?8月がいい?」

 

「7月で。8月はイベントもあるし色々忙しそうだから...」

 

さすがに日にちぐらいは私に決めさせてくれ。じゃないとまたハプニングが起きかねんからな。

 

 

「休憩時間終わりです!続きやりますよー!」

 

 

先生から再開の合図がかかる。

 

 

「詳細はまた今度決めようね!」

 

 

そして、私たちの休憩時間は終わってまた歌の練習が始まった。

 

 

そんな中、私はこの夏、課題に練習にトレーニング、そしてイベントと、かなり大変な夏になりそうと今更ながら感じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は話の内容が薄い様で濃い様にした(かった)。

そのせいでかなり短い...すいません!

投稿する時バグっておかしいことなってました。すいません。

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#26みんな運動不足でしょ?

お気に入り登録ありがとうございます!


辛いことがあっても見てくれる人がいるから頑張れる


 

 

 

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_______________

▫ ◎ □ 「 」

【雑談】もう動けないので、助けてください【蒼井美海】

2653人が待機中#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎123 ⤵︎14
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数11万人
チャンネル登録

 

 

 

 

 

「こんみうー!ソラカラ3期生蒼井美海だよー!ということで!やっていくよー」

 

 

コメント:何をだよ

コメント:このタイトルはなんだ?

コメント:どういうことだよ

 

 

「タイトルはそういうことです。私もう動けません。動かせるのは頭だけです。」

 

 

コメント:じゃあどうやって配信してるの?

コメント:たしかに

コメント:頭だけじゃ配信は出来ないよ

 

 

「う...そうだね。本当は筋肉痛なだけです。全身重度の筋肉痛です。」

 

 

 

そう、私は今、全身筋肉痛で動けない。なぜこうなったのかと言うと、ランニングしたり筋トレしたりしたせいだ。そりゃもちろん多少は筋肉痛になるのはわかっていたのだが、これは想像より酷かった。まず、腕は90°くらいまでしか曲がらない。立ち上がる時は太ももが痛すぎていちいち「うっ...」と声が口から漏れ出る。そして、歩く時はふくらはぎが痛くてまるで怪我をしている人みたいに足を引きずって歩かなければならない。ということで、歩けないのだ。

 

 

コメント:運動不足だなww

コメント:ヒキニートだ!w

コメント:筋肉痛辛いのわかる

 

 

「ヒキニートじゃないし!ちゃんと毎日学校行ってるし、今もこうやって配信してるわ!」

 

 

コメント:たしかにw

コメント:学校行ってるの?

コメント:年齢バレるぞw

 

 

「たしかに、危ない危ない。あ、いや!高2だからね!?」

 

 

ま、本物の女子高生ですけどね?リスナーたちは絶対そんなこと思ってないだろうけど。

 

 

コメント:ところでなんで筋肉痛なの?

コメント:気になる

コメント:筋肉痛って辛いよね

 

 

「運動したんだよ。」

 

 

コメント:た、たしかに最近太って見えるような...

コメント:デブみう

コメント:ダイエット?

 

 

「おい!お前らライン超えだからな?女子に向かって言っていい言葉とダメな言葉があるの知らない?ってかVなんだから見えないはずじゃん!どうやって見たんだよ!」

 

 

まじかこいつらこんなことを平気で女子高生に言うのか。酷くない?

 

 

コメント:やっぱり...w

コメント:それってつまり太ってるってこと?

コメント:そういうことだよね?

 

 

「あー!もういいや!ハイハイ太ってますよーだ!これでいいんだろ?で、本当はこの前夏のイベントが公式から発表されたでしょ?それで、歌の練習することになったんだけど、歌の先生に体力無さすぎって言われて運動しろと特別メニューを渡された。」

 

 

コメント:大変そう

コメント:頑張れ!

コメント:サボるなよ?

 

 

「さ、サボりたい...だって筋肉痛だよ?怪我みたいなもんじゃん。明日サボってもいいよね?」

 

 

コメント:早速心折れてて草

コメント:怪我じゃねぇw

コメント:筋肉痛を言い訳にするな

コメント:逃げるな

 

 

「くそ...逃げられねぇ...ってか、今日の本題に入っていくよ!」

 

 

私はこの話題から逃げた。美海の中の人は太ってるということが他のソラカラの人にバレないうちに。絶対後でいじられる気がするからだ。

 

 

コメント:本題?

コメント:これが本題じゃなくて?

コメント:何するの?

 

 

「今日は溜まりに溜まったマシュマロを食べたいと思ってたんだけど。」

 

 

 

コメント:そうだな

コメント:最近全くやってなかったもんね

コメント:クソマロいっぱい来てそうw

 

 

「そうだね。いっぱい来てたよ?例えば─これとか。」

 

 

 

___________________________

 

 

ラーメン食べたい!

マシュマロ

 

__________________________

 

 

「誰だよこれ送ったやつ!勝手に食えよ!ってことでえー、こういうの無限と言っていいほど来てました。はい。だから変なのはスルーする。面白いと思ったやつとか質問系だけ読みます。テンポよく行くよ!」

 

 

 

 

___________________________

 

 

みうちゃんはどこ住み?

マシュマロ

 

__________________________

 

 

「はい、言えませーん。行ったら絶対お前ら家来るだろ?」

 

 

コメント:いかない

コメント:これ送ったやつヤバいやつだろ

コメント:こういうのこそスルーしよ

 

 

「あ、うん、そだね。次!」

 

 

___________________________

 

 

みうちゃーん!大好きだよー!!結婚してください!

マシュマロ

 

__________________________

 

 

「ありがとー!うれしいー!(笑顔)でもお前とは結婚する訳ないじゃん?(笑顔)」

 

 

コメント:こわっ

コメント:急に冷たくなるやん

コメント:普通に怖いんだけど

 

 

「ん〜?そうかな?次!」

 

 

___________________________

 

 

本当に高校生なん?

マシュマロ

 

__________________________

 

 

「本当に高校生ですぅ!花のJKですぅ!」

 

 

本当は元DKだけどね。男子高校生だよ?決してド○キーコ○グでは無い。

 

 

___________________________

 

 

学校ではボッチ?

マシュマロ

 

__________________________

 

 

「ぼっちじゃないよ!最近はね、友達とよく話すし、ご飯だって一緒に食べるの!今度夏祭りも一緒に行くんだー!」

 

 

コメント:嘘...だろ?

コメント:みうちゃんがぼっちじゃない...?

コメント:てっきりぼっちだと...

コメント:コミュ障治ったってこと?

 

 

「お前ら私をどんだけぼっちだと思ってるの!?さすがに友達の1人や2人くらいいるわ!!ちなみにコミュ障は治りません。永遠に。」

 

 

コメント:草

コメント:コミュ障は治らん

コメント:最近のコミュ障エピソードある?

 

 

「最近のコミュ障エピソード...えー、未だに同期達の会話に混ざれません。」

 

 

コメント:えぇ...(困惑)

コメント:マジで言ってるの?

コメント:もうデビューしてから2ヶ月経つぞ?

コメント:きっつ

 

 

「あ、そうだ。同期と言えば、今度同期達が家に攻め入ってきて、荒らしていくそうです。」

 

 

コメント:???

コメント:荒らし?

コメント:何言ってんだこいつ

 

 

「えー、コラボです。3期生全員でオフコラボです。私の家に攻めて来るみたいです。」

 

 

コメント:なんだって!?

コメント:まじか!

コメント:カオスが生まれそう

 

 

「ちなみになでちゃんは家に泊まりです。」

 

 

コメント:姉妹で一緒のベッドに!?

コメント:想像しただけでてぇてぇ

コメント:てぇてぇ

 

 

コメントがてぇてぇでいっぱいになる。どれだけてぇてぇを求めてるんだこいつら。みかん先輩と黄夏先輩のてぇてぇを見とけ!

 

 

「そういうことなんで今月の26日に予定しておりますのでよろしくお願いしますー。」

 

 

コメント:はーい!

コメント:その日空けとくわ

コメント:夏休みだー!

 

 

「そうだね、夏休みだね。でも今年の夏は忙しくなりそうだよ。」

 

 

今年は結構やることがある。学校の課題に配信に夏祭り、そしてイベントがある。大変そうだなとは思うけど...

 

 

「実は結構楽しみではある。」

 

 

コメント:意外だな

コメント:無理無理とか言いそうなのにな

コメント:成長してるってことだよ

 

 

「成長...してるのかな?そう思ってもらえるなら嬉しいな。」

 

 

ついつい顔から笑顔がこぼれてしまう。私のリスナーは私のことをよく見てるみたいだ。

 

 

コメント:かわいい

コメント:かわいい

コメント:かわいい

 

 

「ありがと。じゃあ、次行くね。えーと...?これは?」

 

 

___________________________

 

 

熱中症?

マシュマロ

 

__________________________

 

 

「ねっちゅうしょう?なにこれ...熱中症に気をつけて...あぁ!やられた!」

 

 

コメント:草

コメント:助かる

コメント:もう1回言って

コメント:助かる

 

 

「絶対もう言わないからな!あと、こういうのにも引っかからないから!はい次っ!」

 

 

___________________________

 

 

あなたって

イカれてるよね

しっぱいばっかりで

てきとうだし

ルーズだよね

マシュマロ

 

__________________________

 

 

「イカれてるだと?たしかに失敗は多いかもしれないけどさ。酷くない?あー、なんかはっきりこうやって言われるとさすがに泣きたくなってきた。」

 

 

こっちだって真剣にやってるのに!私の努力も知らないのに!アンチっていつもそうだよね!悪いところばかり上げて私をいじめてくるし!さすがにイカれてるって言い過ぎだと思うな!

 

 

コメント:気づいてないw

コメント:よく見てみろー

コメント:本当に泣きそうで草

 

 

「...え?」

 

 

何言ってんだこいつら。人が悲しんでるのに笑ってやがる。

 

 

コメント:縦読み

コメント:1番左の文字

コメント:よく見ろ!

 

 

「縦読み...?あ、い、し、て、る...愛してる!?」

 

 

コメント:ようやく気づいたw

コメント:てかまた引っかかってるしw

コメント:助かる

 

 

ようやく気づいた。だんだん顔が熱くなってくるのが分かるほどに恥ずかしい。愛してるなんて言われたことがないし。今にも顔から火が出そう。そうだ、こういう時は...!

 

 

「は、恥ずかしい。恥ず過ぎるっ!...に、逃げますぅ!おつみう〜!」

 

 

 

コメント:草

コメント:にげるのはっやw

コメント:また逃げやがったw

コメント:逃げるのはもうみうちゃんの十八番

コメント:おつみう〜

 

 

 

 

 

 

この配信は終了しました

 

 

_______________

▫ ◎ □ 「 」

【雑談】もう動けないので、助けてください【蒼井美海】

1万回再生#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎259 ⤵︎22
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数11万人
チャンネル登録

 

 

 

私は恥ずかしくて早くこの気持ちを収めようとベットの上でバタバタ暴れたかったので勢いよく立ち上がって、2階の自分の部屋へ向かう。そう...向かおうとしたのだが。

 

 

ガンッ!ダン!

 

 

筋肉痛で上手く力が入らず、階段を上る時に足を踏み外してしまった。

 

 

「いって〜。」

 

 

コケちゃった。身の周りを見渡すが血は出てないようだ。ちょっと興奮しすぎたかもしれない。冷静になろう。

 

 

私は立ち上がる。

 

 

右足に違和感。いたい。足がいたい。痛すぎて歩けない。冷静になった頭で考える。もしかすると、いや、もしかしなくても。

 

 

 

「私やっちゃった...かも?」

 

 

 

 



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#27やる気なくなくなくな

#26の後半を変更しました。まだそちらを読まれていない方はそっちを読んでから#27を読んでいただけるといいかと思われます。今後の物語にちょっとだけ影響するかもなので読まれた方がいいかと思います。すいません。


本当と嘘の境界線は私の心どこかに。


あぁ、やってしまった。

 

 

私は昨日、階段で転んだ。足が痛くて立つこともままならず、地面を這いながら部屋まで戻り、何とかスマホを手に入れ、お母さんに電話をかけたがすぐに家に戻るのは難しいと言われたので、マネージャーの阿部ちゃんに電話をかけ、夜遅くに家まで来てもらって病院まで連れていってもらった。ありがとう阿部ちゃん。感謝。

 

 

診断結果は足首の骨折。6週間ぐらいギプスを装着するらしい。転んだ時に足首が変な方向に曲がったのが原因っぽい。

 

 

そして、松葉杖生活。めんどくさいな〜。

 

 

これで、トレーニングは確実にできなくなってしまった。気持ちは焦り7割。安堵3割。

 

 

イベントどうなるんだろう。出演できないだろうか。そうしたらめっちゃ悲しい。

 

 

 

お母さんは私の電話を聞いて朝に家まで帰ってきた。これからは夏休みに入るまでの1週間、家にいてくれるらしい。仕事は大丈夫なのか聞いたがそんなことより自分の心配をしなさいと言われてしまった。

 

 

今日は学校を休んだ。

 

 

ってことで、家にいるならやることは1つ。配信だ!

 

 

ピロン

 

 

スマホの着信音がなった。確認すると阿部ちゃんからだった。

 

《イベントについてですが、トークイベントも含めて美海さんに任せるそうです。実際その足でのイベントやライブはかなりきついですが、本人がどうしてもと言うのならやってもいいそうです。イベントでるのかでないのか、返事待ってます。》

 

怪我してるタレントをリアイベに出すのはなかなかのハードルの高いこと。本人に何かあってからでは遅いし、そうならなくても良くないと色んな方面から叩かられるかもしれない。普通に嫌だろう?アイドルが怪我してるのにライブに立たされて歌ってるのを見るのは。私だって可哀想とか、運営がクソだと思うと思う。

 

 

でも、それでも私に判断を迫ってきたのは、私の初イベント初ライブで、しかもバンド計画の中心で。

 

 

つまりはそういうこと。

 

 

やるかやらないかは本当に私の判断。当然、最高のパフォーマンスはできない。最悪、怪我が悪化するかもしれないし、長引いて私生活に影響が出るかもしれない。

 

 

今の段階ではキツそうとしか言えないが、正直迷ってしまう。私の体はどうにでもなってもいい。でも、ファンの人達に心配をさせてしまうのでないか?という気持ちが大きい。

 

 

《蒼井美海:お母さんと相談していいですか?》

《阿部:はい。わかりました。》

 

 

とりあえずお母さんに相談することにした。

ゆっくりリビングまで行くと、お母さんがいつも家にいる時のようにパソコンとたくさんの資料を机の上に広げていた。

 

 

「ねぇ、お母さん。」

 

「どうしたの?何かあった?」

 

 

お母さんが手を止めて私の方を見る。

 

 

「8月にあるイベントのことなんだけど...」

 

 

一瞬の間。お母さんが私の顔と足を見た。

 

 

「...お母さんとしては、無理することないと思う。」

 

「そっか...そうだよね。」

「でもね?渚がやりたいって言うなら私は止めないよ?」

 

「本当に?」

 

「うん。私は渚が今までやってきたことを1番間近で見てるんだもん。渚がライブをやりたいって言うのはすごくわかるから。」

 

「私、またファンのみんなに心配かけちゃうかもしれない....」

 

「大丈夫だよ!みんな渚がそれでもやりたいって言ったら絶対応援してくれるよ!」

 

「そ、そうだよね...ありがとうお母さん!」

 

 

お母さんは1ファンとしても、家族としても1番近くにいてくれる。そんな温かさが私を包み込む。

 

なんでも私のやりたいことをやらせてくれる。そんなお母さんはなかなかいないだろう。

 

 

「よし!絶対ライブするぞー!」

 

 

私は部屋に戻り、配信を開始した。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Now Loading

 

 

_______________

▫ ◎ □ 「 」

【報告】病院行きました【蒼井美海】

963人が待機中#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎93 ⤵︎9
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数11.2万人
チャンネル登録

 

 

「こんみうー!ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜!」

 

 

コメント:こんみうー!

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

 

 

「みんな急に集まってもらってごめんね?でも、緊急なんだ。」

 

 

コメント:病院って?

コメント:どっか痛いの?

コメント:なんかあったの?

 

 

配信タイトルから、視聴者たちは何があったか気になるようだ。

 

でも、言いたくない。だってダサすぎでしょ。筋肉痛で階段から落ちたなんて。

 

 

「えー、どうして病院に行ったかなんだけどー...」

 

 

コメント:どうしたんだ?

コメント:不安

コメント:不安しかない

 

 

「実は...足怪我しちゃった。」

 

 

コメント:まじ?

コメント:怪我!?

コメント:大丈夫?

コメント: どのくらいの怪我なの?

 

 

「えっとね、足首の骨折なんだけど、ギプス外れるまで6週間だって。」

 

実際はもっとかかりそうな予感はしてる。

 

 

コメント:骨折!?

コメント:長いな

コメント:6週間って事はイベントどうするの?

 

 

「そうなんだよー。イベントについてなんだよね。」

 

 

コメント:もしかして出れなかったりする?

コメント:無理しないで

コメント:無理すんな

コメント:ゆっくり怪我治してもろて

 

 

さすがに私を心配する声が多いな...なんだかみんなから愛を感じるな。

 

 

「そう、今回のイベントはトークイベントの方は出れるけど、ライブは...」

 

 

コメント:そうだよね...

コメント:しょうがないよ

コメント:療養して

 

 

「出れなくなっちゃった...なんて言うとでも思った?私ライブ出まーす!」

 

だってでたいんだもん!

 

コメント:は?

コメント:は?

コメント:は?

 

「びっくりした?騙す様な真似してごめんねー。私Live2Dだからダンスとかないから普通に出マース。」

 

 

コメント:おい

コメント:俺たちの心配を返せ

コメント:クソガキじゃんw

 

 

え?あれ?チャット欄が荒れてきた?私今そんな変なこといった?

 

「まあ、いいや。ってことでライブ見に来てねー!報告はこんな感じです!」

 

よし!報告も終わったし...なにかしようかな...うーん、

 

 

「あ、やることなくなった。」

 

 

コメント:草

コメント:なんも考えてないのかよ

コメント:なんでやねん

コメント:これぞみうちゃんクオリティ

 

 

 

んー、なんかやること、やること...

また逃げるか?いや、それは昨日やったし...

 

 

「あそうだ、昨日のマシュマロの続きしよ。」

 

 

 




夏はその...臭くなりそうですね。


投稿遅くてごめんね


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#28夏休み地獄

ついに夏休みだ〜!!

 

私はクーラーの効いた部屋でベッドの上でダラダラとしながらスマホでレン先輩の配信を見ている。あ〜、なんて幸せな空間なんだろうか。まじさいこ〜。

 

.....あれさえ無ければね。

 

横を見れば、机の上に2つの山がある。

 

 

1つの山は、そう。学校の課題だよ。

 

私は夏休み前の数日間を休んだ。

足を骨折して、学校に行くとまた『お前蒼井美海じゃないの?』と疑惑の目で見られるから。

 

それで、夏休みの課題の範囲とかプリントとかまだ貰ってなかったからワンチャン課題無しになるかも!?と思っていたのだが、そんなことが起きるはずもなく、昨日、委員長の間宮さんが家まで手渡しに来た。

 

 

ワンチャンもツーチャンもなかったわ...

 

 

間宮さんは私の絶望した顔を見ながら、

「配信や練習も良いけど勉強も、ね?」

と笑顔で言い残していった。

 

 

実はもう1つの山の方が問題だったりする。見た目はそこまで高い山では無いんだけど、内容がえぐい。1番上の紙には『蒼井美海さん7・8月』と書かれている。これが家に送られてきた時は何かと思ったが、開いてみれば、私とまだコラボしたことのない先輩方の配信日程が全員分。つまりは、イベントだから、ソラカラのみんなで盛り上げて楽しさを共有しよう!!ということ。

 

 

阿部ちゃんに『これマジですか?いじめでは?』と聞いてみたら、『これはだいぶ前から決まっていたことなので。先輩方はノリノリでしたよ?』と言われてしまった。

 

そんな言い方されたら無理無理言えないじゃんか!

 

 

そんなこんなで私の夏休みは、課題、配信、練習、イベント、コラボ←new

で終わってしまいそうだ。

 

普通にやばい。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「あ〜!終わんないっ〜!」

 

 

夏休み5日目。学校の課題が終わらない。

 

私は夏休みを少しでも楽にすべく、先に学校の課題を終わらせようとしたのだが......

 

勉強をサボっていたせいで全くわかんない。

なんでだろーねー?どうしてここがこうなってこうなるんだろー?

 

 

ピーンポーン

 

 

私が頭を抱えているところで玄関のチャイムがなった。

誰だろう。お母さんは仕事で家にいないし、何か宅配頼んだっけ?

そう思いながら、暑いのを我慢しながら廊下に出て座りながら階段をおりていく。

 

 

玄関のドアを開けると、

 

 

「やっほー!みうちゃん!」

 

「来てやったぞ!」

 

「あぅ?」

 

 

なでちゃんと光くんだった。なんでこの2人が家に?と私はキョトンと首を傾げる。

 

 

「あれ?まさか忘れちゃってる?今日はコラボの日でしょ!」

 

「あ〜!忘れてた〜!」

 

最近いろいろありすぎてかんっぜんに頭から抜けてました!

 

「こんな大事なこと忘れるかよ....なぁ、奏?みうちゃんっていつもこんなんなのか?」

 

光くんがなでちゃんに「こいつマジ?」みたいな顔で聞いている。

 

「...うん。」

 

「私そんなんじゃないからねっ!?頭はいいんだから!」

 

「「え〜?ほんと〜?」」

 

 

2人の声が揃う。私ってそんなにバカっぽい様に見られてるの?

 

「ほ、ほんとだよっ!?学校のテストは毎回学年1桁まで入るんだから(嘘)!」

 

「な〜んか嘘っぽいなぁ」

 

「だよな。言い方が怪しい。」

 

「え〜、あー、そっ、そうだ!他の2人は?まだ来ない?」

 

「あの2人はね〜、なんかみうちゃ「その2人はあとから来るぞー。」

 

2人は後ろを向く。

 

「ダメだろ!みうちゃんに教えちゃ!」

 

「あっそうだった!」

 

2人がなんだか小さい声で話している。よく聞こえなかった。

 

「何話してるの?」

 

「い、いやぁ!なんでもないよ?2人は遅れてくるって!」

 

「さっき言った。」

 

「そうなんだ。まあ、いいや。上がってよ。」

 

私たちは私を先頭にリビングに移動した。が、リビングのドアを開けた途端に中からやばいぐらいの熱気が襲ってきた。

 

「あっつ〜!?」

 

「何だこの空間!なんで窓締切ってるんだよ!」

 

え、戸締りって大事じゃん?私は普段あまり部屋から出ないし、移動は自分の部屋から配信部屋かトイレに行くくらい。リビングはあまり行かないのでお母さんが戸締りして、出て行ったきり触ってない。

 

「クーラーつけよーぜ。」

 

「ここの部屋クーラー故障中だよ。」

 

「うげぇ、マジィ?」

 

「私の部屋...来る?クーラー効いてるよ。」

 

「え、いいの?」

 

「いいよ、こっちだよ。」

 

「おっとと。」

 

片足で動き回るのはやっぱり難しいな。いつも家に誰もいない時は時間がかかるけど片足より安全なハイハイで移動している。

 

「大丈夫?支えてあげるよ。」

 

「ありがとう。」

 

 

私はなでちゃんに支えられながら、自室に向かう。

 

 

「なでちゃんありがとうね。」

 

「いいよいいよ。気にしないで〜。」

 

 

そう言って私の部屋の扉を開けると、なでちゃん達は私の部屋に入っていく。

 

 

「わ〜、ここがみうちゃんの部屋か〜。」

 

「なんかこう、もっと女子高生というか、女の子らしい部屋を想像していたんだが...」

 

そう、私の部屋は今Theオタク部屋+男子っぽく(?)かなり散らばっている。服とか色々。要するに汚いって感じ。

 

 

「あ〜、まず先にお片付けしようか?このままじゃ、ねぇ?」

 

「うぅ、わかったよぅ。」

 

なでちゃんに言われてしまった。やるしかないじゃん。

 

 

「じゃあ、僕は外に出といた方がいいかな。」

 

 

光くんは出ていこうとする。

 

 

「なんで?一緒に片付け手伝ってよ。お願いします。」

 

 

私は引き留めようとして声をかけると、光くんが顔を部屋の壁に視線を向けながら服が散らばっている床を指差す。その先を辿っていくと、私の下着が....

 

 

「光く〜ん?見たのかな〜?」

 

 

私ではなく、なでちゃんが怖い声を出す。

 

 

「し、視界に入っちまったんだからしょうがないだろ!」

 

 

その言葉を最後に光くんは暑い廊下に締め出された。なんか可哀想なことをしたな。私はドアの外に向かって手を合わせる。

 

 

「よしっ!2人が来る前に片付けよ!」

 

「そ、そうだね!(今後犠牲が出ないためにも)」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

なでちゃんの服を畳むが早すぎた。私が1枚畳み終わる時には既に3枚は畳んでいた。

 

 

「これどこにしまう?」

 

「ん、そこのクローゼットにあるタンスで。場所は適当でいいよー」

 

「わかった。」

 

 

なでちゃんがクローゼットの扉を開ける。そこには普段私が来ている服がある。

 

「わ〜、セーラー服だ!懐かし〜。」

 

「え、なでちゃんもセーラー服だった?」

 

「うん!あ、ねぇねぇ、着てみても良いかな?」

 

「なぜそうなる!?」

 

「いいじゃん」

 

と言って服を脱ぎ始める。私は顔を横に逸らす。さすがに私が女の子になっても、女性の肌を堂々と見るのは少々問題がある気がする。だから、学校の体育の時は何とかじっくり見ないようにしている。

 

 

あれ?でも、私のセーラー服ってSサイズで胸の部分だけ大きめにしてもらわなかったっけ?確か買う時に、身長は低めで小柄なのに胸がそこそこあるから、普通のSサイズだとキツめだったから胸のところだけを大きめにしてもらった記憶がある。そう思ってなでちゃんのほうを見ると、

 

私より胸の小さいはずのなでちゃんが下を見て絶望(?)していた。

 

胸の部分はちょっと浮いているのに、丈が短いからおへそがチラッと見えている。スカートは私が着ると膝上くらいの丈なのに、なでちゃんが着るとかなり短く見える。

 

「なでちゃん...」

 

なでちゃんが私が見ているのに気づくと、顔を赤らめた。セーラー服姿のなでちゃん可愛すぎだろ。

 

 

「これ、なんか小さくない?」

 

「私身長低いから...」

 

 

私だって本当はもうちょっと身長欲しいよ!男の時は170cmだったからな!今よりも23cm高かったんだぞ!

 

 

「おーい!遅くないかー?そろそろ暑くて死にそうなんだがー。」

 

 

外から声が聞こえる。そして、ガチャっとドアが開くような音が...

 

バンッ

 

ドンッ

 

「痛っ!?」

 

 

なでちゃんが開きかけたドアを思いっきり押し返した。音が2度聞こえたから、ドアを閉めた時の音と、多分ドアに頭をぶつけた音だろう。これはタイミングが悪かったな。光くんドンマイ!もう一度ドアの外に向かって手を合わせておく。

 

 

なでちゃんを見ると顔が真っ赤だ。これは怒りなのか恥ずかしいのかどっちなのかわからないな。どっちにしてもなんか恐ろしいので着替えることをお勧めする。

 

 

「き、着替えたら?」

 

「うん、そうする///」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「ねぇ、疑問に思ったんだけどさ?」

 

 

なでちゃんが着替えて、衣服をクローゼットに閉まっている時、質問が飛んできた。

 

 

「ん?何?」

 

「このお洋服って、レディースじゃないよね?男物だよね?」

 

 

なでちゃんの手元にあるのは私が男だった頃の服。いつ男に戻るか分からないので、ずっととっておいたもの。と言っても、1着しかない。いっぱいあっても邪魔なだけだし、他の服はもっと違うところの奥深くに眠っている。

 

これなんて言い訳すればいいんだ?元男だってバレたらさっきの出来事含めてボコボコにされそうで怖い。

 

「お兄ちゃん...はいないか。前に一人っ子って言ってたもんね。ねぇ、この服誰の?」

 

「ええっと、その服は....」

 

な、なにか言い訳を!怪しまれないやつない?ん〜...

そ、そうだ!これでどうだ!

 

「...か、彼氏のだよ!」

 

「か、か、彼氏!?彼氏いたの!?」

 

「あ、いや、えっと...」

 

驚かないで!これしか言い訳が思いつかないんだよ!

 

「で、でもなんで彼氏の服がここに?」

 

「あ、ま、前にうちに泊まりに来た時に忘れていったというかなんというか....?」

 

「お泊まり!?ええぇぇ!?」

 

え、あ?ちょっと待て?冷静になれ私。私相当やばいこと言ってないか?おい!彼氏なんていねーよ!

 

「そ、そっかぁ、みうちゃん、もう大人だったんだぁ。」

 

「そんなこと言ってないが!?」

 

「ふ、ふーん?」

 

なでちゃんはお泊まりという単語で言ってないところまで想像してしまったらしい。ああ、もう終わりだよ。

 

 

なでちゃんは何かを想像して顔を赤らめている。マジでやめてくれ。そんな事してないから!

 

 

こんな嘘をついてしまった私を自分で殴りたい。これからなでちゃんには誤解を受けたまま過ごすことになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 




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#29同期たちと

更新遅くてすいません
5人コラボ....人数多すぎて難しい.....


いつもと違う空間といつもの仲間と。


 

 

 

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_______________

▫ ◎ □ 「 」

【コラボ】3期生全員います【蒼井美海】

6512人が視聴中#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎936 ⤵︎11
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数11.9万人
チャンネル登録

 

 

 

「え、は?いや、ちょっと!?何してるのっ!?」

 

パシュ!ゴクゴク...

 

 

「ぷは〜っ!くぅ〜!これこれ!」

 

「ごめんなさい?我慢できなくて?」

 

「ええやん!なぁ!みうちゃんも嬉しいやろ?」

 

「みうちゃん、一緒に楽しも!」

 

「この人たち既にやってる!?」

 

 

コメント:なんだなんだ!?

コメント:開幕から何しるんですか

コメント:オフコラボでよねこれ?

コメント:↑そのはずだけど...

コメント:なんか飲んでません?

コメント:お前ら高校生じゃないの!?

 

 

「帰ってきたらなんでこんな私の部屋が変わってるんだ!?」

 

「いい感じにセッティングしておいたぞ。これで楽しめるな!」

 

「なんかみうちゃんの部屋女の子っぽくないよね。この飾り私が作ったんだよ!」

 

「宴だぁぁ!!」

 

「実は2人が遅れてきたのはこれを買って来て貰ってたんだ。」

 

 

「そうなんだ。でもまだ配信してなi....、ん?配信開始してる!?いつの間に!?」

 

「さっきみうちゃんがトイレ行ったあとから、かな?みんながどうしても早くやりたいって言うから、勝手に始めちゃった。てへ!」

 

「てへ!じゃないよとまりん!」

 

 

えー、このカオスを簡単に説明しましょう。いや、正直私も分かっていないのだけど、てか説明して欲しい。

 

とりあえず私の知っていることは、遅れてきた2人が合流した後、配信で何をするかを話していた。その時に私が普通にトイレに行ったのだが、帰ってきたらこの有様。

 

見た感じ、私の部屋が何故かパーティ風に飾り付けられてる。そして、部屋の真ん中には、どこから持ってきたか分からない小さい机を置かれていて、その上に大量のお菓子が広げられている。どうやら私の部屋はパーティ会場にされてしまっているようだ。

 

 

「みんな〜、この状況どうにかして〜」

 

 

コメント:一体何が何だかw

コメント:視聴者に助けを求めてどうする

コメント:とりあえず挨拶したら?

 

 

「挨拶してないの?」

 

「してないよ。そうだね、みんな揃ったし、挨拶ようか。私からね。こんかな〜!ソラカラ3期生の鈴音奏です!今日はみうちゃんのお家に来てま〜す!」

 

「「「いえ〜い。」」」

 

「よし次俺な。皆さんこんばんは!ソラカラ3期生の夏火ミライやで!今日は楽しもな!」

 

「こんばんは。御手洗トマリです。今日はみうちゃんの部屋でみんなで遊びたいです。」

 

「やぁ、みんな!僕は皇光だ!今日はいいパーティーにしたい!よろしくな!」

 

「え、えぇと、こんみう〜!ソラカラ3期生蒼井美海です!たすけてぇ....」

 

 

コメント:久々の3期生コラボだ〜

コメント:オフでは初めてじゃないか?

コメント:みうちゃん.....

コメント:草

 

 

「みうちゃんは人がいっぱいるの苦手でしょ?いつもみんないる時も端の方にいるというか?」

 

「わかる。もっと会話したいけどなんか近づけないオーラ?みたいなのがあるんだよな。」

 

「僕達といる時はそんな感じよな。」

 

「そ、そうかな....?」

 

 

私ってそんなオーラ出てた?陰キャオーラ出しすぎたか?いやまぁ、話しかけてこないでとは思ってるけども。みんなもそんなこと思ってたなんて....

 

 

「だから、みんなで盛り上がって仲良くしよ〜、っていう配信で〜す。」

 

「そ、そういう事か....ありがと。」

 

 

これは私のためのパーティーになってる!?正直同期たちはみんな年上で大人でなんとなく怖いというか近寄りたくないという感じのイメージがあったけど、これから付き合っていくんだし仲良くしないとってことか!?ん〜、結構難しいかもですねぇ...

 

 

コメント:あったけぇ

コメント:ソラカラあったけぇよ

コメント:よかったなみうちゃん

コメント:みんな優しい

 

 

「今日は5人でデビューしてからのことと、イベントに向けての意気込みとか話そうと思ってたんだけど....なんか知らぬ間にこんなことに....」

 

「へぇ〜、そうだったんだ。」

 

「なでちゃん!?さっき話したよね!?」

 

「ん〜、なんのことかわかんないー。」

 

「もー!」

 

 

コメント:みうちゃんドンマイ

コメント:草

コメント:楽しそう

コメント:なでちゃんとは仲良しだなぁ

コメント:他の人とも仲良くしよな?

 

 

「もちろん仲良くしたい気はあるけど....できるだけやってみます....。」

 

 

ま、まずはお友達からでお願いします〜。

 

 

「が、頑張ります....」

 

「ふぁいとー!」

 

「がんばろ!」

 

「仲良くしよな!」

 

「d('∀'*)」

 

 

「よーし!まずはみうちゃんの初配信からみうちゃんがどんな人なのか、改めて見ていこ〜!」

 

 

「は、初配信!?!?や、やめっ!死んじゃう!あ、足のせいでパソコンまで届かない〜!」

 

「準備OK!再生!」

 

 

 

『よしっ』

 

『み、見てるみんなを笑顔にできるVTuberになるんだっ!』

 

 

「あ゛ぁ゛ぁぁあぁ──」

 

 

 

 




みんなが飲んでいたのはコーラなどの炭酸飲料です。酔っ払う飲み物ではありません。

短くてごめんね。

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#30夏祭り

久しぶりの長い話になりました。


甘いりんご飴としょっぱい渦巻くポテトと柔らかいわたあめと。


覚えているだろうか。今日がなんの日か。女の子たちが浴衣を着て、男子はラフな格好で来るイベント。人混みの中、離れないように手を繋いじゃったり、打ち上げ花火を見ながら告白したり付き合ってるリア充はキスなどをするあのイベント。

 

そうつまり陽キャ達のためのイベント。

 

そう、それは夏祭りだ!!

 

 

 

 

 

 

 

はい。

 

私は今家の玄関の前にいる。そして、らんちゃん、さきちゃん、間宮さんもいる。今日はいつかの約束、夏祭りに行く日であるんだけど....

 

 

「行けないじゃ〜ん!!」

 

「まじぃ?なんで怪我してるの!?」

 

「あ....言ってなかったわ。」

 

「ほんっとうにごめんなさい!」

 

私は思いっきり頭を下げる。

ごめんよみんな。足のせいで....

 

「てか、ななちゃん知ってたんだ。」

 

「なんでななちゃんだけ知ってるの?」

 

にやにやしながら私と間宮さんを見てくる2人。この2人は私たちのことをどうやって思っているんだ?

 

「ごめんね?私たち、そういう仲だから....ね?」

 

「ね?じゃないでしょ。違うから。断じて違うから!」

 

「そんな否定しなくてもいいじゃん。悲しいよ。」

 

「ごめん。ねぇごめんって。」

 

「で、そんなことよりなぎちゃん、神社まで行ける?」

 

「えぇ....唐突に終わるのかい!」

 

「んー、車椅子があればなぁ。」

 

「えー、それだと車とか人混みとか危なくない?そもそも車椅子無いし。」

 

「無視!?」

 

「そうね〜、誰かがおんぶしてく?」

 

 

え、おぶられるの?女子に?女子におんぶされるってことは密着するってことじゃん!まじ?

 

 

「でも、流石に私たちじゃ神社まで運べないよなぁ。ん〜....あ、いい所に。おーい!」

 

 

間宮さんが道の反対側を歩く男性に声をかける。誰だろう。

 

その男性が車が来ないのを確認しながら私の家の前まで歩いてきた。何やら間宮さんがその男性に話しかけると、男性は私の方を向いてこちらの顔をじっと見てくる。

 

 

「だ、だ、誰ですか?」

 

 

最近は知らない男性と面と向かって喋ってなかったから妙に恐く感じる。先輩方とのコラボで鍛えられてるはずなんだけどなぁ。やっぱりリアルでは怖い。

 

そんな私の考えは一瞬で取り払われた。男性の柔らかな声が私に届いた。

 

 

「やぁ、こんにちは。僕は陽太っていいます。いつも君の話はななこから聞いてるよ。実は僕もこれから祭りに行こうと思っててね、ななこから頼まれたんだけど、君をおんぶしていくよ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

予想以上のイケボで近くで見たら顔がすごくカッコイイ。私でも惚れちゃいそう。

 

そこでふと、疑問が頭に浮かぶ。ななこって言ったよな?間宮さんのことを名前で呼び捨てするなんて。よっぽどの関係のはずだ。仲のいい友達、親友、又は彼氏?

 

そうだよな、間宮さんも彼氏の1人や2人くらいいるよね....

 

ってか、これじゃあ女子の背中堪能できないじゃん!!まあ、祭りに行くなら仕方がない。男子の背中なんて全く興味無いし?

 

 

「じゃあ、お願いします。」

 

「はい。」

 

 

と言って陽太さんは私をおぶろうと私に背を向けた。その時!!!

 

 

 

「「ちょっとまったぁぁぁ!!!」」

 

 

「!?」

 

 

らんちゃんとさきちゃんが突然大声を出した。私はその声に驚いて尻もちを着く。一体なんなんだと言うのか。

 

 

「何?」

 

「まさかなぎちゃん、その格好で行くつもり!?」

 

「え、ダメ?」

 

 

私の格好は別になんの変哲もない、Tシャツにショートパンツ。夏は暑いのでなるべく肌を覆う布面積が狭い方が涼しい。

 

 

「ダメだよ?私たちとおそろいにしてもらうから。」

 

「え〜?」

 

「え〜?じゃない!」

 

 

ちなみにらんちゃんさきちゃん、そして間宮さんの格好は浴衣。みんなとっても似合ってるし、可愛い。とか、思ってる場合じゃない!多分この流れは....

 

 

「陽太さんごめんなさいね?ちょっと着替えてきますんで。」

 

 

ああ、めんどくさいのが始まってしまった気がする。私は足のせいで動けないから行かないつもりだったのに〜。家でゲームする予定だったのに〜。←嘘

 

私は家の奥まで連れていかれ、何故かさきちゃんが持ってきていた浴衣に着替えさせられるのであった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

は、恥ずかしい....いや、苦しい。

 

私の浴衣姿、可愛いとは思うが普通に恥ずかしい。男の人におんぶされてるのが余計に。普通、慣れない格好でお祭り行って靴擦れとかしちゃって、帰りにおんぶされるもんじゃないの?そういうシチュエーション1度は人生でしてみたかったなぁ。まさか、祭りの前から()()()()になるとは。

 

 

「重くないですか?」

 

「お、重くない、よ?」

 

 

あ、これ重いヤツだな....そうだよな最近運動してないもんな。レッスンの時も阿部ちゃんに車で迎えに来てもらっちゃってるし。

 

怪我治ったら、ダイエットしなきゃだな。うぅ....

 

てかさっきから胸を陽太さんに押し付けてる気がする。大丈夫かな....

 

「大丈夫ですか....?」

 

「だ、大丈夫だよ?」

 

「そうですか...」

 

後ろからじゃ顔はよく見えないけど、耳が赤くなっている....これは私じゃなくて暑いせいだといいのだけど....

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「着いたよ」

 

「おー、やってるやってるー」

 

神社に着くとたくさんの人が屋台の食べ物や出し物を楽しんでいた。このお祭りは屋台が沢山並んでいて、それを楽しむ祭りである。そして、午後8時になると花火が上がるらしい。

 

「なぎちゃんこれからどうする?」

 

「私はあそこのベンチで座ってるよ。この雰囲気だけでも楽しいし。陽太さんに迷惑だろうし。」

 

「じゃあ、私たちが食べ物買ってくるね!えーっと、何食べたい?」

 

「うーん...みんなが食べるものと一緒がいいな。」

 

「おっけー!分かった!」

 

そういうと3人は人混みの中に消えていった。

 

 

私と陽太さんだけが残る。

 

「あれ?陽太さんは行かないんですか?誰かと一緒に回ったりしないんですか?」

 

「あ、いやぁ、それがね?あんまり人に言いたくないんだけど、この前彼女にフラれちゃってね....この祭りも一緒に来る予定だったんだけど、ね、ははは。諦めきれないんだ....どうせ彼女は来ないけど、もしかしたらって思っちゃって、ね。屋台とかが目的では無いんだよ。」

 

「あ、そうだったんですか....なんかすいません。ちなみに、なんで別れたのか聞いてもいいですか?」

 

「いいよ。えっと、VTuberってわかる?」

 

「んっ、わかります。」

 

「VTuberのソラカラっていう箱があるんだけど....」

 

「っ!?」

 

「どうかした?」

 

「い、いえっなんでもないです!」

 

び、びっくりしたー!思わず反応しちゃいそうだったよ。急にそういう話題を出されるとマジで心臓に悪い。

 

「そのイベントが今度、あと二週間後くらいに開催されるんだけど、そのイベントの日が彼女の誕生日でね。そのことをすっかり忘れて予定を入れちゃったんだ。それで、イベントに行くことを彼女に伝えたら、信じられないっ!!って言ってどっか行っちゃってね...。」

 

「う、うわぁ....」

 

私たちのせいで彼女さんと別れたなんて、なんか気持ち悪いな。ん?私たちのせい?違うな。誕生日を忘れていた陽太さんのせいだろ!!これ!

 

「あー、それは....あなたのせいですね。」

 

「そうだよ。そんなことわかってるよ。でも、彼女も好きだし、同じくらいソラカラも好きなんだよ!ソラカラ()()()()()()

 

「それ、言い訳になってないですよ。」

 

ソラカラを好いてくれているのは嬉しいけどさぁ、もうちょっと考えることあるよね。恋愛経験なしの私でもさすがにやばいと思うよ。こんなやばい人の近くにいたらこっちまでやばいかも。こういう時こそ逃げだよね。

 

「あ、ちょっとトイレ行ってきます。」

 

「大丈夫?一人で行ける?連れてってあげるぞ。」

 

あ?煽りか?そのイケメン顔とイケボで言われるとどうしても光くんが頭に浮かぶなぁ。ってか、女子トイレまで着いてくんな!

 

「この距離ぐらいなら行けますよ。」

 

私はベンチから10メートル位離れたところにある、神社のトイレに向かう。

 

「おっとっと」

 

人がいるところでなれない服装での片足移動は難しいな。

 

「うわぁ!やべ!」

 

私が転けそうになるところで、後ろから誰かに支えられる。

 

後ろを振り向くと間宮さんが支えてくれていた。

 

「大丈夫?一人で動くと危ないよ。」

 

「ごめん。この距離なら行けるかなって....」

 

「お兄ちゃんに頼めばよかったのに。」

 

は?お兄ちゃん?そんな人いた?

 

「お兄ちゃんって?」

 

「お兄ちゃんはお兄ちゃん。あれだよアレ。」

 

間宮さんが指を差した方向を見るとそこには陽太さんがベンチに座っている....

 

もしかして、いや、もしかしなくても、間宮さんのお兄さんなの!?え!?美男美女の兄妹ってか!?でも、顔は似てないよ!男女の差はあるかもだけど全然似てない!

 

「えぇ...まじか」

 

「ん?どうかした?」

 

「あ、えっと、全然似てないなって。」

 

「そうなの、よく言われるー。」

 

「美男美女だね。」

 

間宮さんはわざとらしく照れる。

 

「そ、そんなこともぉ、あるけどぉ?」

 

「認めるんかい!」

 

 

 

「....なぎちゃんなんか変わった?」

 

「え?」

 

「なんか前はそんなツッコミとかしなかったなぁって思ってさ。」

 

「そうかな?」

 

たしかに、最近は先輩方とのコラボで先輩たちが私よりやばい行動をする人が多いので最近はツッコミが多くなったかもしれないな。

 

ひゅーるるるるドーン!!✺⋆*

 

花火が上がった。

 

「花火だ花火!」

 

「綺麗だねー!」

 

ドンドンドン!

 

たくさんの色の美しい花火たちが打ち上がる。その光が私たちの顔を照らし出す。横を見ると浴衣姿のかわいい女の子が花火に夢中になっている。私はその子に話しかける。

 

「ねぇ、間宮さん....いや、ななちゃん。」

 

「ん?何?」

 

「ななちゃんってソラカラのこと好き?」

 

「もっちろん!ソラカラのみんなは大好きだし、みうちゃんはもっと()()()()()()

 

「そっか...よかった。」

 

嬉しいなぁ。こんな子も私のファンでいてくれるなんて....最後の大好きー!!って言うところなんて、陽太さんに似てたな。やっぱり兄妹...か。兄妹でソラカラファンなんて、そうそういないかもな。

 

「ねぇ、なぎちゃんに私も言いたいことがあるんだけど。いい?」

 

エモい気持ちになってきた。なんだろう。愛の告白かな?それだったら是非OKするよ。

 

 

 

 

 

 

 

「私、VTuberになりたい!!」

 

 

 

 

 

 

 

「へ???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お祭り、ここ2年くらい行けてないですねぇ。

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#31私はあれから

誤字報告ありがとうございます。お気に入り登録、栞、感想、評価よろしくお願いです。

今回からはイベント回へと入っていきます!(ようやくだよ!)私的にはここまで来るのにかなりの長くなってしまったなって気がします。

私ってまだまだだ。




目覚ましが鳴る。私は鬱陶しいなぁと思いながら目を開けた。

 

現在時刻は朝6時半。

 

普通に起きる時よりだいぶ早い時間。

 

何故この時間に起きたかと言うと、今日は待ち望んだイベント当日だ。

 

私は移動に時間がかかるためなるべく早め早めに行動することにした。イベント自体は10時に会場にいなければならない。なのでここから会場までは車で大体50分くらいの場所なので、8時には家を出たいところではある。今日は阿部ちゃんに忙しいので迎えには来れないと言われ、どうしようかと悩んでいたところ、今日はイベントに出ないなでちゃんが車で来てくれることになった。

 

「なでちゃんが来るまでに準備しないと...」

 

んー、服はどれにしようか....動きやすいのがいいよな。うん、これにしよう。かわいいかも!

 

持ち物は、えーと?これとこれと...っと、あ、タオル入れてない!あっぶねー入れないと死ぬぞマジで。後は水筒かな。お茶が入ってるやつとスポーツドリンクが入ってるやつ。塩分タブレットとかもあったほうがいいかもな。こんなもんか。あとギターとベースを昨日スタッフさんに会場に持ってってもらった。ベースはレン先輩が私のを使いたいって言うから貸すことにした。

 

私はある程度の準備が出来たのでリビングの方へ行くと、お母さんがいた。

 

 

「おはよ、渚。」

 

「おはよ。お母さん今日仕事は?」

 

「そんなの休みにするわよ。なんて言ったって息子の晴れ舞台なんだから!」

 

「え、えぇ....あ、ありがと....私、頑張るからね!」

 

「がんばれ!....あ、そうだ渚。しばらく目つぶっといて?」

 

「う、うん....?」

 

一体何されるんだ?目を閉じてやることなんてあるか?

なんか顔にされてる。なんかこしょばいんだが?これがしばらく続いた。顔を動かしたいけど動かせない。

しばらくすると、

 

「OKだよ。目開けてごらん?」

 

その声が聞こえたので目を開けると、化粧してとてもかわいい私が目の前の鏡に映っていた。

 

「え、なにこれ....かわいい。」

 

「でしょ?渚、まだ化粧したことがないだろうなって思って。今日は勝負の日なんだからお化粧していかなくちゃね!」

 

「私?男だよ?ん?僕?私?....と、とにかく恥ずかしいよぅ....でも、なんか気合いが入った気がするよ。ありがとうお母さん。」

 

「うん、いいかんじよ!頑張っておいで。」

 

ピーンポーン

 

そこで玄関のチャイムがなった。なでちゃんだ。時間通り完璧にきたな。さすがね。

 

私は玄関に行き、ドアを開けると「かわいいぃぃぃぃーー!?!!」となでちゃんに思いっきり抱きしめられた。な、何するんだこのやろー!

 

すると、お母さんが家から出てきて、なでちゃんに挨拶をする。なんかなでちゃんの顔が赤くなってる。かわいい。

 

私はお母さんに車に乗るように促される。ちぇー、私も話に混ぜてくれてもいいじゃないか。と思いながらも車に乗り込む私であった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

あのふたり2人の会話ながすぎ!女の人って会話が長い気がするけどなんでだろうな。

 

「ふぁ〜あぁ。。」

 

眠いな。流石に普段の生活習慣からしても、普通にこの時間に起きるにしてもいつもより早めであるため、大きめのあくびをしてしまった。

 

 

最近は夏休みで夜更かしができるので深夜まで配信していることがある。阿部ちゃんからは体に悪いからやめて欲しいと言われているが、気づいたら2時とか3時になってしまっていることが何回かあった。さっきまではまだ○○時だったのに〜!ってなる。そういう訳でいつもはこの時期に行われる夏の甲子園の1試合目の8回ぐらいの時間に起きる。

大体10時半くらい。そっから歌のレッスンにいって日々頑張っている。

 

それが今日は6時半起き。今すぐにでも寝たいかも。

 

すると、なでちゃんが車に乗ってくる。

 

「おそーい。お母さんと何話してたの?」

 

「ん?みうちゃんかわいいよねって言う話よ。」

 

「ばか。」

 

2人で一体なんでそんな話をしてるんだ。なでちゃんはいつもの事にしてもお母さんまで。やめてくれよー!

 

「ふふふ」

 

「なんで笑うんだよ!」

 

「なんででしょうね?ふふふ」

 

「もぅ〜。」

 

からかいやがって。くそ!絶対配信でこのこと言ってやる!

 

「ふぁぁぁあ」

 

また大きなあくびが漏れる。

 

「みうちゃん眠いの?」

 

「う、うん...ちょっとね。」

 

「あなた最近深夜まで配信してるでしょ。自分の生活も大切にしなさいよ。」

 

「うん〜。ん?ってことはなでちゃん、私の配信見てるってことじゃん。」

 

「ん、べ、別にいいでしょ!私が何見たって私の自由じゃない!」

 

なでちゃんが顔を赤くして言うものだから、ついにやにやしてしまう。

 

「ふあぁぁ....」

 

やっぱり眠いかも。会場に着くまでまだ時間あるし寝ちゃおっかな。

 

目をつぶるとすぐに夢の中へ沈んでいった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

今日はイベント最終日。

 

といっても、今日は私の出番は無い。昨日は私もソラカラ3期生としてステージに立った。ファンの人達が沢山来てくれていて、熱気が本当に凄かった。今思い出しても鳥肌が立つくらい。とっても楽しかった。

でも、今日も会場へ行くため、私は車を走らせている。今日はみうちゃんの日だ。

 

 

 

 

よし。みうちゃんの家に着いた。私は車をみうちゃんの家の玄関の前に止める。

 

みうちゃんの家はいつもお母さんが仕事でいないらしく(お父さんは知らない)、みうちゃんは基本1人で過ごしているみたいなので、私はみうちゃんに世話をやきたくなってしまうんだよな。高校生で家で1人なんて大変だろうに。

 

 

ピーンポーン

 

 

私は玄関のチャイムを鳴らす。

 

 

ガチャ

 

 

ドアが開くと、そこには天使がいた。すっぴんでもあんなにかわいいのに、今日はお化粧をしている。かわいくないはずがない。

 

「かわいいぃぃぃぃーー!?!!」

 

あ、ついつい抱きしめてしまったよ。ごめんね、みうちゃん好きのみんな。この天使は私のものだ!うへへ。

強く抱きしめるとみうちゃんがじたばた暴れるので暫くしたら離れる。

 

すると、家の中からもう1人の女性が出てきた。も、も、もしかして、いや、もしかしなくても、お、お母様!?

 

「あら、あなたがなでちゃん?こんにちは。渚の母です。」

 

「こ、こんにちは!」

 

みうちゃんのお母さんに会うのは初めてだ。みうちゃんと一緒でとっても美人。みうちゃんがかわいいのは遺伝かな?

 

「あ、渚?車に先に乗ってなさい?ちょっと話したいことがあるから。」

 

「はーい」

 

みうちゃんが私の車に乗り込む。少し話したそうにしてたけど、お母さんが言うならしょうがないな、みたいな顔してた。

 

「渚からいつも話は聞いてるよ。いつもお世話になっているようで。ありがとね。」

 

「いえいえ、こっちの方がお世話になってますよ!登録者とかみうちゃんの方が圧倒的に多いですから!」

 

「あらそう?話によると、レンちゃん?っていう人と美海を取り合いしてるって聞いたけど?ね?()()()()()?」

 

「ぁ...いゃ...そのぅ...///」

 

お母様にお姉ちゃんとして認知されてるぅ!?やばいやばい。しかも、この前のレン先輩とやったみうちゃんを語る配信を見られていたのか!?は、恥ずかしすぎる!?

 

「いいのよ。それだけあの子のことを好いてくれている人がいるんだもの。実はここに引っ越してきたのも今年の春でね、引っ越した事情はあんまり言えないんだけど、渚がその事情のせいで周りのことを無理に遠ざけようとしていた気がするの。もともと人見知りではあったけどね。」

 

「そうなんですか。」

 

たしかにみうちゃんだけはデビューしたての頃、あまりコラボとかしてなかったり、今より喋ってなかったような気がする。

 

「でも、今は学校でも少しづつだけど楽しくやっているようだし、VTuberのほうでも今ではあの子なりに一生懸命やっている。それに、あなたみたいに渚のことを好きな人が沢山いてくれてるんだものね。だから、あなたには感謝したいのよ。最初にコラボしてくれたのあなただったでしょ?」

 

「はい。」

 

「私はあなたを信用してる。だから、あの子をこれからも見守ってあげて欲しい。」

 

「そう、ですね。私もみうちゃんのことをずっと見ていたいです!」

 

「ありがとう。頼んだわよ。」

 

「はい。」

 

「今日は渚のこと、よろしくね。行ってらっしゃい。」

 

「はい。行ってきます。」

 

私は見送られながら車に乗り込む。

 

「おそーい。お母さんと何話してたの?」

 

「ん?みうちゃんかわいいよねって言う話よ。」

 

「ばか。」

 

「ふふふ」

 

「なんで笑うんだよ!」

 

「なんででしょうね?ふふふ」

 

「もぅ〜。」

 

つい笑っちゃう。やっぱりみうちゃんはかわいいよ。みうちゃんはこうでなきゃね。

車を走らせていると、みうちゃんが大きなあくびをしたため、私は寝ることをおすすめする。

 

しばらくすると、みうちゃんは目を閉じ眠ってしまった。

 

みうちゃんの寝顔を見ながら思う。

 

なんだか大役を任せられちゃったな。でも、今は今日のイベントに集中!絶対に成功させる!私もみうちゃんを精一杯サポートする!見ている人全員を笑顔にするために!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「......きて!起きてみうちゃん!」

 

「んぁ...」

 

「あ、ようやく起きた。もう会場ついたよ。」

 

「う、うん。運転ありがと。今何時?」

 

「どういたしまして。今はね...9時ちょっと前くらい。」

 

「余裕だね。」

 

「時間的には、ね。でも、実際に今回出るとことか確認しておいた方がいいよ。」

 

「そ、そうだね。」

 

「あと、スタッフさんには感謝してね。みうちゃんのために色々考えてくれたんだから。」

 

「そうだね。お礼言えたら言うよ。」

 

「じゃあ、はい!」

 

「へ?」

 

なでちゃんが私に向けて背中を見せてしゃがんでくる。

 

「おんぶ!」

 

「え〜、恥ずかしいよぅ。」

 

「いいのいいの!はい乗った乗った。」

 

私はしぶしぶなでちゃんの背中に乗る。

 

「はいこれ」

 

「おお!それっぽい!」

 

なでちゃんから首からかけるストラップ付きのカードを手渡される。そのカードには私の名前と関係者と書かれていた。なんかこういうのって普段はいれないところに入る気分でワクワクするよね。

 

「これを入口の警備員さんに見せないと入れないの。」

 

「なるほど。」

 

しばらく歩くと警備員さんがいて、私たちはそれを見せながら入っていく。

 

明らかに私のことを怪しい目で見てたけど。私ってそんなに子供っぽく見える?それとも、私のことがかわいすぎて見てた?いや、それは....無いな。

 

会場の控え室に着くと、今日出る先輩たちはもちろん、今日は出ない先輩方や3期生の人たちもいた。全員ではないけど。

 

知らない人達が多いので、心の準備をしたかったけど、なでちゃんにおんぶされてたから、ずんずんと中に入って行ってしまい、私はコミュ障を発動したのだった。

 

 

 

 





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#32類は友を呼ぶ...?

今回かなり遅くなってしまいました。すいません。新年度はやること多くて...

今回はイベント前編です。


『ソラカライベント「Colorful Sky Day3」スタートです!!』

 

イベント会場が開場された。人がぞろぞろと入ってくる。

 

今日の予定は先に5人で運営が用意した企画をして、その後に1対1トーク、そしてライブだ。

 

でもまあ、最初はほぼ雑談みたいな感じ。運営さんが出したお題、質問についてNGなしで答えてなんやかんやワイワイする。

 

アナウンスが流れると会場が静かになる。お客さんたちが注目する場所、イベント会場の大画面が真っ暗になる。いよいよ本番だ。

 

私はもちろん、とっても緊張している。コミュ障and陰キャなのでこんな大勢の前で話すなんてカチカチになるに決まってる!

 

会場内にBGMが流れ始める。お客さんたちはその曲に合わせて手拍子をする。

 

「いえ〜い!みんな〜!盛り上がってるか〜!??みんなのアイドル!!みかんちゃんだよ〜!」

 

みかん先輩が弾けるような笑顔で大画面に登場した。お客さんたちが大きな声で反応する。さっきまでのしんと静まり返っていた場所とは思えないほどの盛り上がり。私はモニターを見ながらでも、その熱気を感じる。

 

「今日はみんなと会えて嬉しいよ!今日は楽しんでいってね!」

 

観客がそれに応える。

 

「今日のメンバーを紹介します!!」

 

みかん先輩による紹介で先輩たちがお客さん達の前に出ていき、挨拶をしていく。みんな緊張している様子は全くなく、とってもキラキラしている。

 

....最後に私の番だ。気にしないようにしていても心臓がバクバクするのがわかる。やばいやばい。

 

私のLive2Dが画面に表示される。観客がわっと湧く。な、なんか喋らなきゃ!

 

「え、えぇっと?こんみう〜!ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜!」

 

私の挨拶に観客が反応する。す、すごい...。私の呼び掛けにみんなが応えてくれる。なにこれ楽しい!!

 

この一瞬で、緊張なんてどっかに行ってしまった気がするよ。これなら行けるかも!

 

「みうちゃん!何か一言言って?」

 

みかん先輩に求められる。何を言おう。先輩たちはほとんどネタに振り切ってたけど、私もなんかそういうの言った方がいいのだろうか。

 

 

いや、なんか私がそれやったら絶対会場がシーンとしちゃいそう。私ってそういうタイプじゃないし?うぅ、えっとぉ...

 

「ん〜と、最近は晴ればっかりで暑いね〜。今日も晴れだし〜。」

 

「「え?」」

 

メンバーは微妙な顔をする。そして、会場がシーンとした。私がお天気デッキを使ったことで微妙な空気が流れてしまった。レン先輩だけはくすくす笑ってた。

 

「あ、あぅ...」

 

「え、それだけ?」

 

弱気な声を出してしまった。どうしてこんなところでひよっちゃうんだよ私っ!?

 

「えっとぉ....こんみう〜!」

 

「えぇ...それ聞いたよ。みうちゃん、ここは思いっきり言っちゃいなよ。」

 

レン先輩がこちらを向いてガッツポーズをしている。

 

「....よし!」

 

私は思いっきり気合を入れる。

 

「今日は私がみんなを笑顔にするぞ〜!」

 

最っ高の大声を出した。

 

「おおぉぉぉ!!!」

 

会場が再び熱気に包まれる。

レン先輩が満足気にこっちを向いて親指を立てていた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

さっきのステージで運営さんが用意したトーク内容で何故かゲームが始まり、負けた私が罰ゲームでデビューしてからの1番のやらかしを大声で言われた。ああ、恥ずかしかった。

 

私はモニターとマイクの前に座っている。

 

『これからトークイベントを開始しまーす。』

 

担当のスタッフさんの声がイヤホンから聞こえてきた。

ついにこの時が来てしまった。そう、ファンの人と1対1で会話しなくちゃいけないのだ。1分間ではあるが、コミュ障の私にとってこれが今日の1番の難関かもしれない。

 

『1人目の方ー。どうぞ。1分間です。』

 

 

このイベントは相手の映像が見える。つまり、本当に対人である。せ、せめて顔が見えなくして欲しかった。

 

「こ、こんにちは。」

 

「こ、こ、こ、こんにちは。」

 

最初の相手は男の人で、ちょっと緊張している様子。最近、男の人とあまり話してないせいで、どうすればいいか分からない。でも、こういうのはリスナーからなにか話すもんじゃない?少し相手の出方を見てみることにする。

 

「....」

 

「....」

 

「いや、何も喋らないんかい!」

 

「あ、いや、すいません。緊張で何を話したかったのか忘れてしまいました。」

 

「あ、あぁ...」

 

よく分かるよ。それ。私もよくなる。

 

「あ、あの....。たっくんって呼んで貰えますか?」

 

「え、あ、はい。」

 

こ、これは名前呼び要求か。こういうのは、先輩から求められて今までも何回かやっている気がするので、何となく躊躇いがない。

 

「たっくん、すk『時間でーす。』」

 

あぁ、時間切れか〜。たっくんごめん、最後まで言えなくて。

 

『次の方〜』

 

入ってきたのは女性....というかななちゃん!?えぇ!?

 

「なんでいるの!?」

 

「いや〜、1番目に並んでやろうと思ったんだけどね、さっきの男の人に先越されちゃった。」

 

「でも、2番目じゃん。」

 

「へへ〜、すごいでしょ!」

 

「へへ〜って....」

 

「あ、そうだ!なんか要求していい?みうちゃんのファンとして!」

 

「いいよ〜」

 

「大好きって言って?」

 

「う、またか....しょうがないなぁ。ななちゃん、大好k『時間でーす。』」

 

「ええ!?」

 

「バイバイ。」

 

「そんな〜。」

 

いいじゃないあなたは。後でいくらでも言ってあげるけらさ。ちょっとだけ待っててね。

 

『次の方〜』

 

次は....男の人か....ってえぇ!?今度は陽太さんかよ!?

 

「こ、こんにちは。」

 

「こんにちは!みうちゃん!!」

 

「は、はい!」

 

「語っていいです!?」

 

え?語るって何を?

 

「語りますね!まず、みうちゃんの好きなところは、やっぱり、いつもイヤイヤとか言ってるのに、最終的にはちゃんとやりきるところですね!本当に僕たち視聴者のために頑張ってくれてるんだなって感じてます!それ以外にも、色々言いたいことはあるんですけど、全部含めてかわいいんですよ!ほんとにこれだけ伝えれば十分です!ありがとうございました!」

 

『時間でーす。』

 

「えぇ...」

 

時間ピッタリで言いたいことだけ言って、自分で出ていってしまった。陽太さん、あなたそれでいいんですか?って感じ。

 

『次の方〜』

 

その後も色んな人が来た。色々とキツかった。うん。

 

『時間でーす。』

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

今は午前中の予定が一通り終わって、今はみんなでお昼を食べている。

 

疲れた〜。午前中だけでほんと死にそう。もう喉がカラカラだよ。お昼ご飯をいっぱい食べたいところだけど、次はライブなので控えめにする。私だってステージでやらかしたくはない。

 

「いや〜、初っ端からドキドキしたよ〜。緊張ももちろんだけど、みうちゃんがお天気の話をしだした時はマジで焦ったね。」

 

司会進行のみかん先輩は私のことをすごく心配させていたようだ。

 

「レンちゃんナイスフォローだったな。」

 

「みうちゃんの扱いは任せてください!」

 

「扱いって、私をなんだと思ってるの!私はJKだぞ!!子供じゃない!」

 

「はいはい、まだJKだね〜。かわいいよ〜その髪型。」

 

「むぅ〜!!」

 

私の頭は先程、先輩方に好きなだけ弄り回され、来た時とかなり違う見た目になっていた。髪の毛は全て下ろしていたのだが、私には出来ない(出来るわけない)ようなかわいい髪型になっている。今まで、髪が長くなってもあまり触ってこなかったので違和感ありまくり。

 

「ほらほら、食べないとライブの時間に間に合わないよ。ほら、あーん。」

 

「もぐもぐおいしぃ。なでちゃんありがとう。」

 

「大丈夫よ。まだ、一時間半弱もある。ほら、こっちもあーん。」

 

なでちゃんとレン先輩があーんしてくる。この2人からあーんされるなんて幸せぇ。

 

....というか、さっきからレン先輩となでちゃんが睨み合っている気がする....2人とも怖い怖い。漫画やアニメみたいに目線の交差点でバチバチが見えそう。

 

なんでそんなに睨み合ってるんだ?前は2人で私に内緒で私について語ってたのに....

今朝、私がおんぶされてこの控室に来た時からこの2人が睨み合ってた気がするんだよな....なんでだ?

 

でも、私には関係ないよね。あーんされてるだけで他のことはどうでもいいよぉ。はぁ、幸せ〜。

 

「はい、ふたりとも〜?みうちゃんを取り合いしない!!」

 

みかん先輩が2人に静止をかける。

 

「だってみうちゃんは私のもnうぐっ!?

 

みかん先輩の口に2人の箸で私の弁当の卵焼きが突っ込まれた。あ〜ん、私の卵焼きぃ...

 

みかん先輩は口を封じられた。

 

「ふいあへんえした;;」

 

もごもごと何か言っていた。

 

 




次回初ライブ!!

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#33夢の舞台へ駆け上がれ!

ついに来ました初ライブです!

難しかった....

最終回じゃないです。はい。

誤字報告よろしくです。

感想待ってます。


「みーんなー!!今日は来てくれてありがとー!!最っ高のライブするから、盛り上がっていこーー!!まずはこの曲だよ!」

 

「〜〜〜♪」

 

みかん先輩がステージに立ってお客さんたちに向かって叫び、曲が流れ始める。

 

す、すげぇ....生ライブ最っ高だぁ。生きててよかったぁ。

 

私は先輩が歌っているのをモニターで見ている。

ライブが始まっのだ。それに対してのワクワクと不安の気持ちが入り混じる。

 

トップバッターはレン先輩。最推しのライブを真っ先に見れて私は幸せ。この人は私の目標であり、原点。VTuberを始めたきっかけの人のライブをまさか私もライブする側で見るなんて、4ヶ月前の私は思ってもいなかっただろうな。いや、あの時はまだ「僕」だったか。まぁ、そのままの私だったら、ライブに来るような行動力はなかっただろうけど。

 

しばらく見ていると、レン先輩が歌い終わり、次のカケル先輩にバトンタッチした。どんどん私の番が近づいてくる。

 

ちなみに、私はトリ。なんでまた私がトリなの〜!?って最初は思ったけど、私は怪我しているからその方が都合がいいらしい。いろいろと。

 

私たちはこの夏、たくさん練習してきた。今日のメンバーはみんなお揃いのアイドル衣装を着ている。私や3期生のみんなは3Dのアバターがまだできていないので、2D。でも、運営さんのサプライズで、アイドル衣装の2D、つまり、新衣装が用意されていた。

 

流石に、イベント3日目なので前の1、2日目にライブを行った3期生がアイドル衣装で登場しているのをTwitterなどで知っていたので驚きはしない....んだけど、初めて見せてもらった時は恥ずかしいことに、「わぁ〜!!」声を出してしまった。

 

だって、かわいすぎるんだよ!

 

 

にしても、先輩たちのライブのクオリティが半端じゃない。歌もダンスも。かわいいし、かっこいい。

 

視聴者からしたら、歌以外にもいつもの配信時と違うところがあったり、そのライバーのいい所が際立って見えたりして楽しいと思う。

 

でも、それは普段から視聴者より近くにいる私から見るとそのギャップがあまりないように感じる。みんな真面目に練習してたし、すごい頑張ってたのがよくわかる。

 

「すごいね....!」

 

横で見ているなでちゃんが独り言のように言った。けど、私は無言で頷く。

 

「ん?みうちゃん、緊張してる?」

 

「もちろんだよ....でも、ここまで来たらやるっきゃない!ここで男見せないでどうするよ!」

 

「あなた女の子でしょ....ん、でもその調子なら大丈夫そうね。」

 

「うん!...ねぇ、なでちゃん、手、握って?」

 

「んもぉ〜、いいよ。はい。ぎゅ〜!みうちゃん頑張れ〜!!」

 

なでちゃんが私の手を握って思いっきり念を送る。なんだかパワーがみなぎってきた!これで私は無敵だ!

 

「あ、出番もうすぐだよ。一人で行ける?」

 

「うん、自分で行く!」

 

「わかった。行ってらっしゃい!」

 

「いってきます!」

 

 

私は先輩たちがいる部屋へ自分の足で向かった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

私の前の番のみかん先輩が歌い終わった。みかん先輩はやっぱり1番人気があるので盛り上がりがすごい。

 

「さぁ!みんな!今日の主役と言ってもいい人の登場だよー!みうちゃーん!!」

 

何故か主役にされる私。主役はみかん先輩では?って感じにツッコミたいのを抑えてその時を待つ。

 

画面に新しい姿の私が表示された。お客さんから「おー!!」というような声が聞こえる。すごい熱気が画面から伝わってきそう。

 

「アイドルのみうちゃんかわいい〜!!」

 

「ど、どうも。」

 

「いいね!よし!頑張ってね!」

 

その言葉を最後に、みかん先輩が見えなくなってしまった。

 

ついに1人だ。心臓の音がマイクを通してたくさんの人に聞こえてしまいそう。でも、今ここは私のステージ。ここはやっぱり、女らしく、そして()らしく思いっきりやってやろう。初夢舞台、さぁ、いくぞ!!

 

 

 

 

「こんみう〜!ソラカラ3期生青井美海だよ〜!!」

 

お客さんたちが声やペンライトを使って反応してくれる。

 

「今日は初めてのライブで、やっぱりめっちゃ緊張してます。でも、たっくさん練習したので、是非楽しんでいってください!!」

 

さっきより大きめの歓声。

 

「まず一曲目はこの曲!!」

 

私が合図すると1曲目が流れ始めた。

最初の曲は私が選んだ。何を歌うべきか悩んだけど、レン先輩の提案で、私とのオフコラボで初めて演奏した曲になった。でも、今日はあの時と違って歌う側だ。しかも大勢の前で歌わなければいけない。

 

「〜〜〜♪」

 

楽しい曲なので、あまり動くことはできないけど、できるだけ動きをつけて見せる。音に合わせて体を上下させてみたり、顔を最大限伝わるように動かす。

 

別に練習とかしていた訳では無いけど、自分では結構楽しくやれていると思う。歌もレッスン始めた頃から比べたら、格段に上手くなった....はず。

 

「はぁはぁ。」

 

よし!上手く歌いきれた!ヘマもしてないはずだ。でも、運動はできていないので息は切れている。

 

「ふぅ...」

 

軽く息を整えたら...

 

「よし!2曲目!!」

 

次の曲が始まる。みこみこ。さんの曲だ。この曲を歌うことはみこみこ。さんに直接許可を取った。そしたら、目を輝かせて、「もちろんっ!!」と二つ返事でOKしてくれた。ありがとうななちゃん!

 

「〜〜〜♪」

 

ななちゃんはさっき私のトークブースに来たってことはこのお客さんの中のどこかにいるはずなので、本人に迷惑がかからないよう完璧...とまでは行かないが、1番練習したと思う。

 

お客さんの反応がものすごくいい。私の歌に合わせて手拍子や掛け声をしてくれる。楽しい!最っ高!ななちゃん、こんな素敵な歌作ってくれてありがとう!!

 

私は思いっきり歌った。まさにこの瞬間が一瞬ですぎていくように感じ、まだこの時間が続いて欲しいと思った。

 

 

「最っ高ーー!!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ライブは成功した。お客さんも本当に楽しんでくれているように見えた。嬉しい。今回は足の怪我で満足いくようなライブが出来なかったけど、今の最大限はできた気がする。

 

でも、まだこれからサプライズがある。実はバンドのライブは告知していないのだ。しかも、このライブのことを知ってるのはライブをする私たちとスタッフさんたちだけ。他のソラカラのライバーもこのことは知らないよ!

 

ってことで、ここまで5人で練習してきた成果、ここで輝かせよう!私もまだ物足りなさを感じているところだ!

 

そして同じ部屋に、白榊みかん先輩、嵐山黄夏先輩、黒騎カケル先輩、赤刎レン先輩、そして私が集まった。レン先輩の提案で円陣を組んだ。私、部活やった事ないからこういうの初めてなんだよね....べ、別に悲しくないし!

 

「掛け声誰がする?」

 

「やっぱり、ここはみうちゃんでしょ。」

 

「わかった。....えっと、このユニットの最初の1歩だと私は思っています。ここまでみなさん頑張ってきたと思うし、サプライズ成功させて、最高のパフォーマンスしましょう!」

 

「「「「おー!!」」」」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

〜間宮さん〜

 

みうちゃんのライブ最っ高!!まじ可愛かったし、とても上手いとは言えないけどすごく練習したんだろうなっていうのが伝わってきた。前に私に曲を使ってもいいか確認しに来た時は少し驚いたけど、是非歌ってもらいたいから即OKした。

 

「最っ高ーー!!」

 

みうちゃんが歌い終わったらそう叫んで画面から消えてしまった。するとすぐに、画面が真っ暗になり、何も見えなくなる。

 

実はこの3日間全ての日にここに来ていました。んで、その私だからわかるが、昨日までとはなんだか雰囲気が違う。

 

昨日は最後の奏ちゃんが歌い終わったあと、他の人たちもすぐに出てきて挨拶して終了という流れだったのに、今日はすぐに出てこないどころか3分くらい待っている。

 

そろそろ観客もザワザワし始めた。機械のトラブルかみうちゃんが何かまたやらかしたのではないかと話している人もいる。

 

私は勝手ながらみうちゃんの傍にずっといたいと思う。色々やらかしてしまうところも、少し女の子らしくないところも含めて守ってあげたい。だから、私はVの体を手に入れて、みうちゃんの近くに行きたいと思った。それももうすぐ叶う。Vの体を依頼したところ、もうすぐできると昨日連絡が来た。これでみうちゃんとコラボする時もやりやすくなるだろう。

 

みうちゃん大丈夫かな?ほんとに何かやらかしてない?さすがの私も心配になってきた。

 

すると、画面に一筋の光が、現れた。そこに5人のシルエットが現れる。

 

そして、光が5人に当たって、その姿が見えてくる。そこには、見たことの無い、それぞれのメンバーカラーのお揃いの衣装を着て、楽器を持ったみかんちゃん、黄夏くん、カケルくん、レンちゃん、そして、みうちゃんが立っていた。みうちゃんだけ2Dだけど、なんと今日2つ目のライブ新衣装だ!!ま?これ夢?

 

演奏が開始される。みんな楽器はお飾りじゃなく、ちゃんと弾いてる。完成度高すぎ!こんなのかなり練習しないと弾けないはずだよね!?ってか、聞いたことがないと思ったら新曲じゃん!すごい!

 

この人たちどんだけ頑張ったんだ?ほぼ毎日のように誰かしらは生配信してるし、歌やダンスの練習もあるだろうし。特にみうちゃんほんとに無理しすぎじゃないか?

 

ううん、今はそれを考えるのはやめとこう。この人たちの頑張りを目に焼き付けておこうかな。そして、ソラカラのいちファンとしてこのライブを楽みたい!

 

でも、私はそんなことを意識しなくても5人の演奏と歌声に引き込まれ、最後まで一生懸命ペンライトを振っていたのだった。

 

 




2種類の衣装が追加されました

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慣れと変化と編
#34ばーちゃるになるために


夏の冒険編が終わり、また日常が始まります。今後ともぜひ「VTuberになるために」をよろしくお願いします!

お気に入り登録、評価、感想待ってます!!

最近ちょっと色々ありまして、最近はできるだけ週一ぐらいのイメージでやっていたのですが、更新頻度が少なくなる可能性があるし、私のやる気によって変わることもありますので、すいません。



現在は夏休み。でももうそれも終わりに差し掛かっている。新学期がもうすぐ始まるのだ。世の中では今年も行われた20何時間かずっとやっているテレビ番組も終わり、学校に通う人達は宿題やあれこれに追われている人も少なからずいるはずだ。まあ私は夏休みの最初にやってしまうタイプなのでその辺は大丈夫。なはず....やり残しがなければ。

 

ところで今日は特別な日。そう。ついにVの体が完成したのだ!!とういうことで、今日は普段定期的に行っている歌配信だけではなく、お披露目配信をしちゃいます!

 

 

 

 

 

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_______________

▫ ◎ □ 「 」

【歌枠】みこみこ。さんの配信【重大発表】

532人が待機中#みこみこ。

⤴︎128 ⤵︎12
□ ≡ ➚ ⇩

みこみこ。
チャンネル登録者数36.2万人
チャンネル登録

 

 

「はいはい〜。みなさーん、こんにちは〜。」

 

コメント:こんにちは〜

コメント:こんにちは〜

コメント:音でか

コメント:うっさ

コメント:耳ないなった

 

 

おっと、音量の設定を間違えてたみたい。みなさん、誰の配信を見る時でも、鼓膜の予備はあった方がいいよ。

 

 

「ん〜、こんぐらいでどう?」

 

 

コメント:おっけ

コメント:ちょうどいい

コメント:いい感じ

コメント:OK

 

 

「はい。ってことでね、早速だけど、今日の配信は重大なお知らせがあります!」

 

 

コメント:お?

コメント:お

コメント:きちゃ〜

コメント:ついに顔出し!?

 

 

「いや〜、顔出しはしませんよー。いつも言ってるけどこのボカロPや歌い手としての活動は自分のできる範囲でマイペースにやってる事だし、顔出しすることによって、それが出来なくなったり周りの人に多少なりとも迷惑がかかるのは嫌なんだよね〜。」

 

 

私は普段、自分の姿は写さないようにしている。写しても手を出すぐらい。それ以上は写さないし、写すと大変なことになる、と思う。

 

 

コメント:それが正しい

コメント:自由にやってくれればそれでいい

コメント:みこみこ。さんの声が聴けるだけで嬉しいです!

 

 

「でも、やっぱり顔出しした方が伸びるんだよね〜。まあ、顔がいい人とか面白い人に限るかな〜。」

 

 

コメント:特徴ある人もw

コメント:みこみこ。さんもかわいいよ

コメント:あのトップの人も顔芸が売りだからね

コメント:けっこう難しいよね

 

 

「かわいいって言ってくれてありがと!でも顔出した事ないはずなのになんで知ってるのかな?かな?」

 

 

コメント:あ

コメント:あ

コメント:やべ

コメント:しまった

コメント:そ、それより重大発表って?

 

 

「あ、そうだったそうだった。忘れるところだった。重大って言ってもまあもったいぶってもしょうがないので一気に出します!3・2・1・どーん!!

 

 

私は自分のカウトダウンに合わせて画面に私の新しい体を表示させた。

 

 

茶髪のボブで、目元はタレ目気味。水色の吸い込まれそうな瞳で、耳には金のピアスが光っている。

 

 

この子は昔配信した時に私の落書きから生まれた女の子。今ではこれが2次元の私として認知されていて、グッズなども出している。私のファンアートもこの子で描かれていることが多い。今回はその子を私の体として作ってもらった。もちろん本物の絵師さんに描いてもらったので私の絵より1000倍くらい綺麗だけど。

 

 

コメント:おお

コメント:なんだこれ!?

コメント:すげぇ!w

コメント:みこみこ。さんが動いてる!?

コメント:かわいい

 

 

「じゃ〜ん、最近流行りのVTuberになってみました〜!前から私、VTuberさん達のこと好きってって言ってたじゃん?それで、私もなってみたくなってなってしまいました!!」

 

 

コメント:流行に乗り遅れた

コメント:VTuberはあんまり見ないな〜

コメント:前勧めてた蒼井美海って子見た!

コメント:みこみこ。さんこんなのも作れるの!?

コメント:超ハイスペック女みこみこ。

 

 

私のリスナーの半数以上がVTuberというものを知ってはいるものの、見たことがない人が多いみたいだった。私はぜひこういう人をVの沼に沈めたいのだ!

 

 

「流石に私でもこんなの作れないよー。私の絵、見たことあるでしょ?」

 

 

コメント:そうだったw

コメント:みこみこ。さんはセンスはあるのに、なぁ?w

コメント:まあ、そりゃ外注だよな

 

 

「今回この体を作ってもらうために実際にVの体を作ったことのある人たちに依頼したよ。V界隈ではママとかパパって言うんだけどね、その人たちの紹介や今回の件の詳細についてはさっきツイートしておいたから見ておいてください!」

 

 

コメント:お、ほんとだ

コメント:さっき見てきた

コメント:ママパパさんか

コメント:この人たちか

コメント:いつもえっっな絵を描いてくる

 

 

「そーなんだよ。この人たちだよ。私の推しのえっっなイラストを描いてくれているのは....じゃなくて、頼んでからほんとに2週間ぐらいしか経ってないのにまじで速攻作ってくれたからさ。出来ましたって連絡来た時は驚いたよ。そんなすぐできるか〜ってね。ママさんが前々から私のファンで、ファンアートとか描いてくれてて、それですぐできたってのもあるらしいよ。」

 

 

コメント:すごい

コメント:みこみこさんが動いてる!

コメント:ママパパありがてぇ

コメント:なんでVTuberになろうと思ったの?

 

 

「VTuberをやりたいと思った理由はね....クイズにしようかな。選択肢!数字で答えてねー。1.流行りに乗った 2.友達にお願いされた 3.VTuberさん達と絡みたいから」

 

 

コメント:ん〜

コメント:絶対3やろ

コメント:いや、どれもありそうだけどなぁ

コメント:友達にお願いされただけでなるか?

コメント:みこみこ。さんは流行りに敏感なところあるからな

コメント:3で。VTuberさん達と仲良くなりたいだけ

 

 

「みんな結構悩んでるね〜。そろそろ正解言っちゃうよ〜。正解はね.....

 

全部

 

だよ!!」

 

 

コメント:は?

コメント:え?

コメント:クイズの意味ぃ!!

コメント:正解出来るわけないじゃん

 

 

「あははっ!ごめんね〜、全部本当なんだ〜。順序としてはね、VTuber流行ってて、私の友達も結構見てて、私がVTuberの人と仲良くなって遊びたいな〜って思ってたら、その友達に、『VTuberになったら?』って言われたのがきっかけ。それもありだなって思ったよね。ほら私って結構知名度あるから人気の人とも絡みやすくなるかな〜って。」

 

 

前々から、らんちゃんとさきちゃんにはVTuberになったらあの人たちと絡めそうでいいな〜とか言われていたし、その時はサインお願いって言ってきた。なんかそういうのはズルでダメな気がするが、私も実際、他のソラカラの人とコラボとかしてみたかったのでいいタイミングだった。

 

 

まあ本当の目的はほぼみうちゃんなんですけどね。

 

 

コメント:自分で言うなw

コメント:結構話題になってそう

コメント:VTuberの人が歌枠でみこみこ。さんの曲歌ってた

 

 

「そうそう、結構歌ってくれてるんだよね〜。マジありがてぇ。感謝感激雨あられだよ。」

 

 

(特にみうちゃんとかみうちゃんとかみうちゃんとかライブで歌ってくれたしね!)

 

 

「みu....おっと、危ない危ない。オタクが出てしまうところだった。よし、結構これでも話題になっただろうし、普通に歌枠しよ!」

 

 

コメント:普通に戻るんかい!

コメント:あ、完全にVTuberなるんじゃないのね

コメント:ああ、いつもほうが落ち着く

 

 

「そうだねー、私の気分が向いた時と、VTuberさん達とコラボする時だね〜。その時が本当に来るかはわからないけど。」

 

 

早くみうちゃんとコラボしたいな。一緒に雑談もしたいし、ゲームもしたいし、何より歌枠がしたい。早くコラボのOK出してくれよソラカラさん!そしてみうちゃん!色んなことを経験して、早くここまで来るんだ!

 

 

私は毎回ほぼゲリラ的に生配信をしているからそこまでリアタイで視聴出来てる人は少ないけど、少し話題になっているのか、いつもより人数が多い気がする!嬉しい!

 

「今日は気分がいいので、楽しくなるような歌を歌おうかな!」

 

 




今回主人公どこいった!?

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#35驚きなんだが!?

突然だが、誰だかわからないけどこれを見ているかもしれないあなたに問う。もし、あなたがいきなり性別が変わったらどうする?

 

そう。それはありえないファンタジー、或いはそういうのが好きなオタクの妄想と思うであろう。

 

しかし、それは現実となって僕に降りかかった。男だったのに、たった一晩で女性の体になってしまっていた。人体実験でもされた?知らぬ間に性転換手術でもされた?神様がなんでかわからないけど僕だけを変えてしまったのか?色んなことが頭に浮かんだが、結局はそうなってしまったもんだから仕方がない。なった方法が分からないんだから戻る方法も分からないだろう。そして僕の出した答えはこう。

 

『男に戻りたいけど方法探すのは無理。めんどくさい。』

 

と、まあ。そんなこんながあって私は今は女性として、生活している....

 

決して普通とは言い難いかもだけど。

 

 

 

 

 

 

 

9月になった。

 

足は順調に回復していて、先週ギプスが外れた。医者からはまだ、激しい運動はできるだけしないでくださいとは言われているが、自分の足で歩けるようになった。なんか逆の足がめちゃめちゃ軽くなったように感じる。

 

そして今日からは二学期で新学期。でも、夏は終わる訳でもなく、太陽が燦々と私に熱と紫外線をぶつけてくる。あぁ、あついし、せっかくの美少女(自分)の白お肌が焼かれちゃう〜。ってことで日焼け止めは最近持ち歩いてる。塗るのはめんどくさいが、焼けてしまった時のショックの方が最近は大きい。ソラカラの女性陣はみんなちゃんと綺麗にお肌を保っていて、お泊まり会で一緒にお風呂に入った時に見た(見てしまった)なでちゃんやとまりんのお肌は凄かった。

 

まあ、あついのはそれだけの話ではないだろう。クラスの人の顔や名前を全て覚えている訳では無いので確かではないが、クラスで有名なカップルの2人が夏休み気分でイチャイチャしながら登校していたり、絶対に接点がなかったような男女が2人で登校していたり....リア充爆発しろ。いや、私も今年の夏は十分にリア充してた気がするかも?っと、その前に、「リア充」ってもしかして死語だったりする?

 

あと、運動部と思われる人達はものすごく黒くなっていた。あの人たちは見た目的に野球部かな?この夏もみなさん頑張ってたんだね〜。私も頑張ってたよ〜。色んなことしたしね〜。頑張りすぎたまであるかも。

 

そんなこんなで私は1ヶ月半ぶりの学校へたどり着いた....のだが────

 

「つかれた〜」

 

「おつかれ〜」

 

「あ、ななちゃん。おはよー!」

 

「おはよ、みu....なぎちゃん!」

 

「ななちゃん?あ、危ないよ?」

 

今みうちゃんて言いそうにならなかった!?ここ学校だぞ!?

 

「ごめんごめん....つい夏休み気分でね....」

 

「なぜ夏休み気分で私の名前を!?よくないよぅ!」

 

「ごめんって....それにしても随分と疲れているようだけど大丈夫?」

 

「いやぁ、自分の足で歩くのがこんなに疲れるとはね....」

 

「あぁ、そういう....って足治ったんだね。よかったじゃん!」

 

「うん、まだ激しい運動はダメだけどね。」

 

「そっか。あ、そうだ運動と言えば。7月の最後の方にクラスのみんなで話し合ったんだけど、9月の終わりに体育祭、10月の終わりに文化祭があるじゃない?それについてなんだけど....」

 

「え!?そんなのあるの!?」

 

聞いてないんですけど!しかもその2つの学校生活での2大イベントって陰キャにとっちゃ地獄のイベントじゃないか!なんでそんな重要なこと今言うんだよ!今月の配信スケジュール昨日提出しちゃったよ!

 

しかも、無駄に時間使って練習したり、物を作ったりして、陽キャたちが暴れて!疲れるだけじゃないか!しかも、恋人がいる人たちはイチャイチャしだすし!

 

くそ!リア充....陽キャ爆発しろ!

 

「やっぱ知らなかったか....で、体育祭は私と二人三脚。

文化祭は何やるかは決めてないけど、教室で何かやるんだよ。」

 

「あー、二人三脚かー。」

 

「運動できる?」

 

「あ、えっと....あんまり?」

 

最近ほんっとに運動できてなかったからな。そろそろ体重がやばいことになってきている。

「今までスポーツってなんかやってことある?ほら、前の学校での部活とか、中学校時代の部活とか。」

 

「部活はやってない....あ、パ○プロなら少しは....」

 

「ゲームじゃん....」

 

「う....じゃ、じゃあさ!今度パ○プロ配信しない?2人で。」

 

「え!?マジ!?」

 

「ななちゃん小声小声!みんなにバレちゃうよ....」

 

「あ、ごめんごめん。で、コラボいいの!?」

 

「うん!なんとこの前マネージャーから許可、頂きましたー!」

 

「やったぁ!これでついに一緒にできるね!」

 

「うん!」

 

嬉しいのはもちろんだけど、楽しみすぎる!しかもこのゲーム、私の方が絶対上手いだろうし!だってもう2年くらいやってるんだし。絶対勝ってやる!

 

「あ、そういえばこの前の初めてのV配信見てくれたー?」

 

「みたみた。いやーすごいね。かわいかった!プライベート垢でだけどコメントもしてたよー」

 

「ほんと!?分からなかった....どれがなぎちゃんのコメントだったんだろ。」

 

「コメント拾ってくれてたから分かるんじゃない?」

 

「まじ!?ほんとに気づかなかった....うぅ、悔しい!」

 

「それにしても、あのキャラクターかわいかったね!」

 

「そうそう、私が昔配信で描いた絵なんだけどね、いつの間にかあれが私になってたよ。でも、あんな下手な絵をあんなに可愛く綺麗にしちゃうなんて、ママさんに感謝だよ!すぐ作ってくれたし。」

 

「うちのママは絵描くのはやいし、なにか頼んだらすぐやってくれるからね。」

 

「そうなんだよ!すごいよね、あの人。ありがたいよぉ。」

 

「ねぇねぇ!なんの話ししてるの!?」

 

「わぁ!さきちゃんおどかさないでよ〜。」

 

さきちゃんがななちゃんに抱きついきた。いきなり後ろからくっつかれたからびっくりしてるななちゃん。かわいい。

 

「ねぇ?小声で2人だけで....なんか企んでる?」

 

「らんちゃんまで!!」

 

らんちゃんは私に頬をくっつけてきた。こういうところは女子特有の距離感だなと思う。友達と会うと抱きついたり、平気で手を繋いでる時だってある。元男の私にとってはなかなか慣れることはないけど、女子になってよかったとも思えるところだったりする。だって合法でJKとくっつけるんだもん。男がやったら女子からはもちろん同性からもキモがられるだろう───

 

───前の学校にそういう奴いたわ....

 

「別に何も企んでないよー。2人も見たと思うけど、みこみこ。さんのV配信について....」

 

「お!いいねー!はなそはなそ!」

 

これでいつメンが揃った。また騒がしい学校生活が始まった。そして、忙しくもなりそうな気がするなぁ。でも何故か今は、めんどくさいとは思わない私であった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

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_______________

▫ ◎ □ 「 」

【久々雑談】今日から新学期!みんなで愚痴ろうの会【蒼井美海】

3569人が待機中#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎365 ⤵︎22
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数13.6万人
チャンネル登録

 

 

 

 

 

「こんみう〜!ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜!」

 

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

 

「久しぶりの雑談だね〜、8月はコラボだったり、イベントだったりばっかりだったから、ソロ配信自体があんまりなかったもんね。」

 

コメント:雑談配信ありがたい

コメント:みうちゃんは配信してなにかやらかしてくれるだけでいいのよ

コメント:久しぶりだ

 

「いや、やらかす度にどこかしらで燃えてたりすることもあるんだからね!?私としてはできるだけヘマはしたくないよ!」

 

コメント:やらかしてこその蒼井美海

コメント:ソラカラのPON

コメント:実際そういうのが伸びたり切り抜かれたりしてるのが多いからな

 

「多方面に迷惑をかけてしまっているところもあるので、できるだけ燃やさないで頂けると....」

 

そこまで大きな炎上といった炎上はないのだけど、初配信のあの事件だったり、最近の先輩たちとのコラボだったり、そこそこ話題になったりしたりしていると、アンチたちがあることないこと勝手に言ったりして、私のファンと言い合いになって、ちょこちょこ燃えていることがある。

 

コメント:そういうこと言うと余計にアンチが反応するんだぞ

コメント:炎蒼井炎

コメント:燃えるぞ

コメント:先輩とのコラボで大遅刻

 

「ああ、もうこの話やめ!逃げる!」

 

コメント:得意技・逃げる

コメント:草

コメント:w

 

「あ、そうだ。今日は2つ、お知らせがあります!」

 

コメント:お

コメント:一気に話題変えやがった

コメント:なんだなんだ?

コメント:何?

コメント:ふたつも?

 

「1つ目は、足が治りました〜!」

 

コメント:おお〜

コメント:おめでとー

コメント:よかったじゃん

コメント:もう怪我するなよ心配するから

 

「みんな心配かけてごめんね。これで次のライブは踊れるぞ!みんな楽しみにしとけよ!」

 

次ライブがいつあるかはまだ分からないけど、次は万全の状態でやりたい。あと、3Dに早くなりたい!ダンス頑張らなきゃ!

 

「お知らせ2つ目!2週間後にコラボします!スペシャルな人だよ!」

 

コメント:コラボきちゃ

コメント:スペシャルゲスト?

コメント:誰だろう

コメント:ソラカラメンバーは夏にコラボしたもんな

コメント:他事務所!?

コメント:陰キャ発動するぞ

コメント:無理しないで

 

「む、無理してないし!これでもVTuber4ヶ月やってきたんだぞ!少しはマシになってるって、まじで!今日だってほら、学校新学期だったでしょ?友達とイチャイチャしてきたんだー。」

 

コメント:嘘乙

コメント:二学期の最初キツイよな、わかるぞ

コメント:友達いないからってイチャイチャなんて...

コメント:無理しないで

 

「べ、別に無理してないしー!!友達だってちゃんといるって前も言ったよねぇ?あれ?これみんな信じてない感じ?なんで〜!?」

 

 



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#36女子ってどんな感じ?

投稿遅くなってすみません。2週間程開けてしまいました。

まだまだなりきれない私は。


まだまだ残暑も厳しい9月中旬。

 

最近は夏の忙しさと打って変わって、暇...とまでは行かないけど、そこそこ自分の時間が取れている気がする。個人的にゲームしたり、アニメ見たり...ゲームはいつも配信でしてるけど。

 

変化と言えば、なんだか最近この女の子である生活に違和感を全く感じなくなってきた。なってしまった、ってところだろうか。

 

昔は頑張って色々ボロを出さないようにしていた時もあったが、さすがに4、5ヶ月も経つと嫌でも慣れてしまう。これは嬉しいことなのか悲しいことなのか....

 

特に最近はとっさに、

「きゃー!」

みたいなリアクションが女の子のそれになってしまっている。しかも、夏に発声の練習をしたことにより、めちゃくちゃ高い音が出るようになっていたりする。先輩とのコラボでホラゲをやらされ、先輩と視聴者の鼓膜を3回ほど破ってしまったのも記憶に新しい...

 

それと、生活面で言うと、男子の時にはあまりしなかったようなオシャレに気を使ってみたり...出かける時の服装はもちろんだけど、学校に行く時の髪型など....かわいいって言われるのが嬉しくてたまらないのである。

最近は夏のイベントの時に初めてした、メイクに手が伸びそうで....絶対お金かかると思う。何も持ってない状態の私が手を出したらどんなことになるやら。

まあ、配信のスパチャやこの前のイベント、グッズなどで多少普通の高校生のバイトとかの給料よりは多く稼いではいるはずだけど...そこに手を出してしまったら止まらなくなってしまいそうなので一旦、そっと置いておいてある。あぁ、女子高生って大変...

 

とにかく、行動や思考が女子化してきているのが現状である。女の子として頑張るって決めたのは私だけどさぁ...ねぇ?

 

男子に戻るなんて考えは完全にどこかへ言ってしまったよ...

 

ところで、現在私は事務所に来ている。今日はみこみこ。さんとのコラボの日で、スタジオで配信することになった。初コラボだし、遅刻は避けたいところだったので、早めに来て準備しようかと思ったら、かなり早めに着いてしまい、阿部ちゃんとの打ち合わせまでもかなり時間が出来てしまいすることが無く暇なので、事務所のソファで仮眠をとっていたのだけど....

 

「それでさ〜、面白くてさ〜。」

 

「へ〜!いいですね!私もみうちゃんと買い物に行きたいな...」

 

寝転んでいる私の両横に何故かレン先輩となでちゃんがいる...!!いつの間に!?しかも、私のほっぺをつまんでくるし!うぇ〜...じゃなくて、やめてぇ〜。

 

薄目で見上げると、2人は会話に夢中でまだ私が起きていることに気づいていないようだ。なんかこういう時って、起きたく無くなるよねぇ、起きたら起きたでなんか色々といじられそうだし?恥ずかしいし?

 

2人がどこか行くまで目、閉じとこ。

 

 

ガチャ

 

 

ドアの開く音がした。お、阿部ちゃんかな?た、助けてくれ〜。

 

「こんにちは、レンさん!と、....初めまして?ですよね?」

 

この声は...みこみこ。さん!?来るの早くない??と、とにかく誰でもいいからこの状況をどうにか...

 

「こんにちは!あら、初めましてなの?じゃあ、紹介するね。こちらは3期生の鈴音奏ちゃん!」

 

「初めまして。鈴音奏です。えっと〜....そちらは?」

 

「あ、すいません。私はみこみこ。という名前で活動させてもらってます。今はボカロP兼歌い手兼VTuber...です!」

 

「え!?あなたが今日この子とコラボするっていうみこみこ。さん?随分と若いんですね!」

 

「はい!17才で、実はそこのみうちゃんとクラスメイトだったりします。」

 

「へぇ....そんなこともあるんだ!それでみうちゃんとコラボを....みうちゃんと仲良くしてあげてね?この子人見知りみたいだから。」

 

「大丈夫ですっ!今度、学校の体育大会でみうちゃんと2人で二人三脚やるんですけど、クラスでいちばん早いんですよ!私たち!」

 

い、いやぁ、あれは私がみこみこ。さんに引っ張られてるだけって感じがしてるんだよなぁ...

 

「へぇ、仲がいいんだ〜」

 

「そうなんですよ〜」

 

「ほ〜?」

 

「...」

 

そこで会話が止まった。

 

ん?なんか空気変わった?目を閉じているからわからないけど、なんかあった?

 

「蒼井さん。お待たせしました。打ち合わせを始めましょう。あれ?皆さんどうされました?」

 

阿部ちゃんが部屋に入ってきた。なんか助かった気がする。

 

「い、いや、なんでもないですよ。」

 

「じゃあ、私たち行きますね。」

 

「そうですね。コラボ頑張ってくださいね。みこみこ。さん?」

 

そう言って2人は去っていった。そこに残ったのは私とみこみこ。さんと阿部ちゃん。

 

「蒼井さん。寝たフリなんかしてないでさっさと起きてください。今日の配信について話し合いますよ。私はまだまだあなたのことが心配なんですから。」

 

「げ、バレてる...」

 

私はそう言って体を起こす。

 

「え!?なぎちゃん起きてたの?まさか全部聞かれてた?」

 

「えっと...うん、ごめん。」

 

「えぇ...やばいかも...」

 

「ん?なんかあったっけ?」

 

「いや、こっちの話だから。」

 

「そ、そう?」

 

「あの、2人とも?あまり時間ないんですが...」

 

「へ?」

 

スマホを見ると、なんと配信30分前だった。

 

「は、早くやりましょう。」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

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_______________

▫ ◎ □ 「 」

【コラボ】大物ゲストが来る!?あんなことやこんなことします【蒼井美海】

6254人が待機中#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎816 ⤵︎19
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数12.6万人
チャンネル登録

 

 

「こんみう〜!ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜!今日は前言ってた通り、コラボ配信です!みんなびっくりしないでね!」

 

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう!

コメント:コラボきちゃ

コメント:びっくり?

コメント:前もスペシャルゲストって言ってたよね

 

「そうだね。スペシャルというか、私にとって大事な人というかって感じだね。」

 

コメント:え?

コメント:大事な人?

コメント:誰だろ

コメント:彼氏!?

コメント:まじかよ...

 

「ち、ちがうって!彼氏じゃないよ!もう!誤解されないためにさっさと登場してもらいましょう。...今回のコラボ相手はこの人だよ!」

 

「はいはい!どうも〜、みこみこ。です!みうちゃんのファンの皆さんこんにちは!」

 

コメント:!?

コメント:!?

コメント:まじで!?

コメント:みこみこさんだ!

コメント:ええ!?

コメント:予想外れた...

 

「ということで、今日はみこみこ。さんと色々やっていこうと思います!」

 

「思います!」

 

コメント:いやいや

コメント:ちゃんと説明してよ

コメント:どうしてコラボすることになったの?

コメント:どういう繋がりよこれ...

コメント:豪華ですなぁ

 

「いやね、実は結構前からみこみこ。さんとは友達だったんだよ。ほら、この前のライブに来てくれた人は分かると思うけど、みこみこ。さんの曲を私歌ってたでしょ?あれもそういうことなのだよ!」

 

どういうことだよ!って自分だったら問いたくなるレベルの言い訳。でも、視聴者さんたちには内緒にしなければいけないことがいっぱいあるんでねこっちには。色々とね。

 

「そうなんですよ。だけど、そもそも私がソラカラの大ファンでして、それでその後も仲良くしよってことになって今に至ります。実はこう見えて結構緊張してます。」

 

コメント:結構大物だったw

コメント:みこみこ。さんってVTuberだっけ?

コメント:彼氏じゃないんかい

 

「彼氏じゃないって!しかもさ、もし彼氏だったとして傷つくのも悲しむのもそっちのくせになんでそう言うこと言うの?」

 

彼氏くんがもし登場したらガチ恋勢(いるかわからないけど)が彼氏くんを炎上させかねないからね。私は彼氏いないというかいらないんですけど!

 

コメント:楽しいから

コメント:からかいがいがあるから

コメント:みうちゃんに彼氏ができるはずないとww

 

「な、なんだと〜!」

 

「そうだね、みうちゃんソラカラの人以外で男子と喋ってるのほとんど見た事ないかも。」

 

「みこみこ。さんまで〜!ちょっと最近思ったんだけどさ、みんなから見て私のイメージ酷くない??」

 

「いやいや、それがみうちゃんなんだって。でも、そこが見ててかわいいし、応援したくなるんだよねぇ。」

 

コメント:まさかのみうちゃん推し?

コメント:よくわかってんじゃん

コメント:そうだよな

コメント:うんうん

 

「そうですよ。私、みうちゃん推しです!どういうことで皆さん今日はみうちゃんについて語りましょうよ!」

 

コメント:おけ

コメント:OK

コメント:語ろうw

コメント:どこかで見た流れ...

 

無理無理無理。私の過去のあれこれをまた話されるんでしょ??恥ずかしいからやなんだけど。

 

「も〜、恥ずかしいからやめてよ〜!」

 

「いや〜、最初会ったときはね・・・みうちゃんかわいくってみうちゃんって知らなかったけどついつい話しかけたんだよね。」

 

コメント:なでちゃんがついつい抱きつきたくなるって言ってた

コメント:レンちゃも言ってたw

コメント:みうちゃん女性にモテすぎw

 

「それな?さっきさ?なでちゃんとレン先輩が私が寝てる横で私との思い出を語たりまくって、寝ている私のほっぺをつねってきてたんだよ?みこみこ。さんとマネちゃんが来てくれて逃げれたんだけどね。」

 

いや、あの時嫌〜な空気もあったけど何とか助かったよホント。

 

コメント:てぇてぇ

コメント:てぇてぇ

コメント:あの二人まだやってたのかw

コメント:前のみうちゃんについて語る会は面白かったなw

 

「...」

 

「ん?みこみこ。さん?どうした?」

 

「あの人たちに私のみうちゃんを取られないようにしなきゃって。」

 

「ちょ!?みこみこ。さん!?何言ってんの!?私はみんなの蒼井美海だからね?」

 

「よし、決めた!あの人たちとコラボしてみうちゃんについて語るやつ、私も加えてもらう事にした!レンさん!奏さん!見てますよね?今度コラボお願いします!」

 

コメント:女の子たちの世界怖い

鈴音奏:コラボしましょうね!

赤刎レン:みうちゃんは私のモノ

コメント:ほんとに見てるしww

コメント:怖い笑顔が見えるw

コメント:コラボ絶対みるわw

 

私はその配信見れないかも、恥ずかしい×怖いのはとっても嫌だ。切り抜きが出たらそこでこっそり見るか...

 

「みこみこ。さん...?程々にね....?」

 

「わ、わかってるわよ!」

 

「そ、そう...」

 

この後もみこみこ。さんが私への愛を語りながら、若干暴走気味で配信は無事(?)に進んで行った。コラボするのはいいけど、くれぐれも喧嘩はしないで欲しいね。

そして、この人たちをこんなにしてしまうなんて私はなんて罪な女なんだろうか....。

 

結局パワプロはやれなかった...勝つことも負けることもできなかった。(/;ω;\)

 




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#37学校行事

遅くなってすいません。

誤字報告助かってます!!


10月。

そろそろ気温も下がってきて、過ごしやすい日中が続く。この前、体育祭があった。クラスの中で二人三脚が1番早かった私とななちゃん。私はこれなら勝てる!!と張り切っていたのだけど....本番に私がコケてしまって順位は下から2番目。またやらかしてしまったよ...

私が男だったら、絶対笑われたり、ヤジが飛んでくるところだったけど、そんなことはなく、応援や心配する声がクラスメイトから送られながら残りを2人で走った。うぅ...ありがとよみんな。こんな私のために...

 

ちなみに、他の競技ではクラスメイトが1位を独占し、クラス最優秀賞に選ばれていた。みんな強すぎ。

 

 

 

まあ、それが1週間前の話。今日はと言うと...

 

「は〜い、今日は文化祭で何をやるか決めま〜す。」

 

学級長のななちゃんがクラスメイトに合図をかけた。

 

今は約1ヶ月後にある文化祭に向けての準備期間。どのクラスも、放課後も教室に残り準備をしている。

 

この学校では、クラスでお店を出して、部活や同好会などが外で屋台を出す。ステージは生徒会がイベントをしたり、有志を募っている。誰でも参加OKらしい。毎年、ダンスやバンドなどたくさんの参加者がいて、とても盛り上がるらしい。

 

ちなみに私は去年までは違う学校だった為、この学校の文化祭がどういうものかはあまり知らない。前の学校の文化祭もあまりよくは知らないけど...去年は当日に風邪をひいて行けなかった...

────友達もいなかったからまあ別にいいんだけどね!ハハッ!

 

 

 

はぁ...

 

 

 

「遊園地!」「占い!」「お祭り!」「脱出ゲーム!」...

 

 

様々な案をクラスメイトたちが挙げていく。それをななちゃんが黒板に書いていく。多数決を取り、人数が多かったものが残った。そして、絞られたのがこのふたつ。

 

 

 

「お化け屋敷」「メイド喫茶」

 

 

 

え...?正直どっちもやりたくないんだが?

 

クラスを見渡すと、女子たちはメイド喫茶に反対意見を言っているようだ。恥ずかしいだの、キモイだの。

 

でも、メイド喫茶は男子からの推しが強く、男子と女子との間でバトルが大きくなった。口論になったところで、ななちゃんの意見で机に伏せて多数決をとることでみんなが「それなら...」と納得した。

 

 

 

 

結果は────

 

お化け屋敷19、メイド喫茶21

 

という感じになった。

 

 

 

 

「メイド喫茶に決定!」「よっしゃ!」

「キタコレ」「楽しみ!」

 

男子たちが大喜びしている。

 

そして、文句を言う女子たち。

 

「嘘〜、なんでそうなるの!?」

「この1票だれ?」「最悪。」

 

僅差でメイド喫茶が勝った訳だが、男子20人、女子20人で40人のこのクラス。こんなことあるってぐらい票が割れたな。実際誰がどっちにあげていたかは分からないけど多分メイド喫茶の票は()()()()男子だろう...

誰だよこの1票!女子か?女子の誰かか?

 

 

 

 

 

「おつかれ〜」「部活行こ!」「それでさ〜...」「遊びに行こーぜー」

 

今日はとりあえずメイド喫茶に決定したので解散になった。クラスメイトたちは各々帰る人だったり部活に行ったりしている。

 

「メイド喫茶でもメイド以外の仕事あるよね...」

 

「なぎちゃん!」

 

私が独り言を呟いていると、ななちゃんが帰りの準備を終えて私に話しかけてきた。

 

「ん?ななちゃんどうした?あの1票の犯人誰かわかった?」

 

「あ、その1票私よ。」

 

「え!?ななちゃんだったの?なんでメイド喫茶にしたの?」

 

「そんなの決まってるじゃない!なぎちゃんのメイド姿見るためだよ!」

 

「マジで言ってる?この人。」

 

やばっ。心の声が漏れてしまった。

 

「マジマジ。大マジ。」

 

マジらしい。へ?マジなの?

 

「そ、そうなんだ。良かったね!メイド喫茶になって!」

 

いや、良くないよ?私は嫌なんだけど?

 

「うん!...ところでさ、文化祭のステージ...いつメンでバンド、やろうよ!!」

 

「へ?」

 

バ、バンド?まさかあの体育館で大勢の前に立ってライブするって...コト???

 

「もう生徒会に申請書出しといたからね!」

 

「え〜!?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

はい、こんみう〜と、いうことでね。(配信じゃないです)

あれから1日経ちました。そして、バンドやることになりました〜。バンドやろうぜ!ってね、言われました。もちろん断れませんでしたよ。

 

そして私は今、事務所のソファでダラダラしていて、横にはレン先輩がいます。毎度の如く、色々と弄られている。

 

「ボイス収録どうだった?」

 

レン先輩が聞いてきた。私が今日事務所に来たのは文化祭シチュエーションのボイスを収録するためだ。今度発売するらしい。要するにお仕事。そしてそこにたまたま居合わせたのがレン先輩である。

 

「いや〜、ムズすぎますね私には。今まであんなことやった事ないし。」

 

「そうだよね〜、私は何回もやってるけど変なところに力が入っちゃうことあるよ〜。あるあるだよね〜。」

 

「そもそも私、本物の文化祭やったことないからわかんないんですよね〜。」

 

「え?そうなの?みうちゃんって現役JKだよね?」

 

「そうですよ?でも、地元の中学校にはそれらしいものもなかったし、去年は風邪で休んでしまったから1度もやったことも行ったこともないんですよ。だからシチュボとかでもいまいち掴みきれないというか....」

 

「そ、そうなんだったんだ。なんか...ドンマイだね。」

 

「いや、いいんですよ。文化祭なんて陽キャたちがはしゃぐ行事。陰キャの私は1人でしたから。」

 

「あっ...」

 

陰キャの私が文化祭に行けたってどうせ1人で回るか人気のないところで時間を潰すしか出来ないから、家でゆっくり動画とかゲームしてた方がマシなの。だから別に行けなくても悲しくないさ!断じて悲しくない。うん。

 

「で、でもさ!今年は大丈夫なんじゃない?」

 

「なんでですか?」

 

「だってみこみこ。さんがいるじゃない!」

 

「そうなんですよ。そこが問題というかなんというか。」

 

「どういうこと?」

 

「私のクラスはメイド喫茶やることになったんですけど、みこみこ。さんは私にメイドをやらせたいみたいなんですよね。」

 

「...ほう?」

 

そこでレン先輩の目付きが変わった。

 

「しかも、ステージでバンドやろうって言うんですよ。バンドですよ?全校生徒の前で。無理じゃないですか。私死んじゃう。」

 

「...ほうほう。よし決めた私その文化祭行く。私も入れるよね?みうちゃんの先輩なら。」

 

「えっと...チケットがないと入れないようになってるみたいですよ?うちの文化祭。だから私が渡さないと来れないですね!」

 

いや、ほんとに来て欲しくないんですけどっ!メイド姿なんて見られたくない!恥ずか死しちゃう!

 

「いやいや、みうちゃんのメイド姿見逃す訳には行かないでしょ。」

 

「ダメです!見られたくない!」

 

「だめ?...あ、そうだみうちゃんじゃなくてみこみこ。さんに頼めばいいんだ。そしたら、チケットくれるかも!」

 

そう。先週また私について語る会の配信が行われたらしいのだ。そこでそのメンバーに加わったのがみこみこ。さん。最初は2人を敵対視していたけど、次第に私についてのトークで盛り上がり、最終的にめっちゃ仲良くなってた。

 

「そ、その手があったか!やばいっ!」

 

「よし!奏ちゃんも誘って文化祭に乗り込むぞ〜!」

 

「えぇ〜...」

 

どうやら初めての文化祭は過酷なお祭りのようだ。

 

 

 




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#38ドジっ娘メイドって...誰?

 

「メイド喫茶の時間からバンドまでの時間が短いから急がなくちゃいけないのか...よくよく考えてみると忙しいぞこれ。」

 

さっき、時間で誰がいつどの仕事をするというのを決めた。クラスメイトたちは仲のいい人達と一緒の時間にしたりしている。私はバンドをやるので、いつもの3人と一緒の時間にシフトを入れてもらった。だけど、他のクラスメイトも色々と予定が詰まっている人が多く、シフトの時間がステージ直前に終わるところにしか入れれなかった。ギリギリだぁ...間に合うかなぁ...?

 

でも、もちろんメイド喫茶を4人で回すことは出来ないので、同じ時間に他のクラスメイトも何人かいたりする...誰とも話した記憶はない。女子はやるからにはちゃんとしたいという人達がどんなものを出すとかメイド服はどんなのがあるかとか話している。なんだよ、最初はあんなに嫌がってたのにノリノリじゃん!!って言いたい...

 

クラスの男子たちはお前メイドやれよ〜とか、ふざけあっていた。その為に少し進行が遅れている。これがちょっと男子ぃ〜ってやつかな?

 

...どうやら噂によると、3年生には女装してステージで出ようという人達がいるらしい...その人たち正気か??女装して人前に出るとか私だったら無理。死ぬ気がする...

 

いや、私も似たようなことしてるか。うん。え?私死ぬの?

 

 

「...」(ツッコミ不在)

 

 

ななちゃんが時間が同じ人達と話して役割を決めている。ちなみに役割は、料理などを作る、メイド、教室の前や学校中で宣伝して回るの3つ。やっぱり、メイド以外の仕事もあるようで私はホッとする。

 

ななちゃんやあの二人には悪いけどメイドは嫌だ。宣伝して回るのは....コミュ障の私には向いていないだろう。なので、料理を作るのがいい。料理は普段そこそこしてるつもりだし、ほぼ一人暮らしだし?

 

 

「よ〜し、これで役割は決定ね!」

 

 

んぇ?ちょっと待って?私まだどれやりたいとか言ってないんですけど???

 

私は『どうなってんの!?』と、役割を決めるために書いていたノートをのぞき込む。

 

「まじで...?」

 

そのノートにはメイドの欄に青野渚とはっきりと書いてあった。その下にはいつも一緒にいる3人の名前も...なんで勝手に決められちゃってるの?

 

「私と一緒だね!なぎちゃん!」

 

「まじで...?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「はぁ...」

 

家に帰った私はカバンを置きながらため息をつく。なんでよりにもよってメイド喫茶なのかなと今更ながら思う。ななちゃんが1票入れてなければ...と思うが、それを言ってしまうとクラスの女子にななちゃんが叩かれてしまうのでそれは言わない。

 

Vでの仕事だったり、新衣装なら全然メイドやるんだけどな...そうすればファンアートとかも増えるだろうし、というかメイド姿の蒼井美海なんて既にありそう。

 

「あ、やべっ!」

 

時計を見ると、時間がかなり遅い。

準備や話し合いで帰る時間がおそくなってしまったので、そろそろ配信をしなければならない。急いで準備を始める。

 

私はパソコンを起動し、機材などを調整しておく。

 

時間になったので配信開始のボタンを押す。画面には待機画面が表示された。

 

 

 

 

 

 

 

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_______________

▫ ◎ □ 「 」

【雑談】だらだらと。【蒼井美海】

2467人が待機中#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎116 ⤵︎6
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数13.2万人
チャンネル登録

 

 

コメント:待機

コメント:待機

コメント:待機

 

既にリスナーたちが集まっていて、コメント欄が流れていっている。

配信開始の告知をするためにTwitterを開いた。

 

「っ!?なにこれ?」

 

まず目の前に入ってきたツイートに私は驚く。

 

_____________________

みこみこ。@mikomiko3・12分前

みうちゃんのメイド姿のファンアート求む!!

 

○ 532 ⇄ 933 ♡ 9,548

_____________________

 

 

そのリプ欄を覗くと、リスナーや有名なイラストレーターの人から沢山私のメイド姿のイラストが沢山ある...

 

やっぱりあるよねこういうの...じゃなくて、なんでこの人こんなことしてるのかなぁ!?せめて私のいるところでやってよ!

 

「もう、なにやってんの...」

 

私は自分の身体を見下ろして、メイドの服を来ているのを想像する。思っていたよりもめっちゃ恥ずかしい。

 

 

そこで自分が制服のままなのに気づいた。そうだ、準備に気を取られて着替えるのを忘れてたや。

ん〜、着替えたいなぁ。少し汗かいて気持ち悪いし。でも、もう待機画面にしちゃってるし...ん〜...ちょっとくらい遅れてもいいかな?配信は開始しちゃったけど...うん。もっと遅刻したこともあるし...ね?機材トラブル的な感じで振舞おう。そうすればきっとみんなも許してくれる...よね?

 

 

_____________________

蒼井美海@miumiu32・30秒前

ちょっと遅れる〜。みんなごめん。少し待ってて〜。

 

○ 12 ⇄ 56 ♡ 152

_____________________

 

 

 

「よし、急いで着替えちゃお...」

 

 

スル...サッ、パサっ...

 

 

「めんどくさいからこれだけ着ればいいや。」

 

下着も脱いで、男の時着てた普通の白いシャツを着る。今ではすごい大きいサイズだけど、家で着る分にはすごく過ごし易い。今は暑くも寒くもない時期だからこれが快適。最近はこの状態で配信してる時もある。

 

ふー、スッキリ。制服ってなんか過ごしにくいし、スカートだしめんどくさいところもあるよね。これが一番楽だぁぁ。

 

よしっ、配信するか...?

 

なんだか周りが寂しい感じする。....そうだっ!お菓子でも持ってきて食べながら配信するか!

 

私は部屋の外に出て、部屋のドアも開けっ放しで急いでキッチンの方に置いてあるお菓子を取りにいく。

 

お菓子は上の方の棚にしまってあって、女になった私には踏み台がないと届かないのでちょっとめんどくさい。さっきも1回、他のものを落としちゃったし。前に缶詰めを足の上に落としちゃったことがあって、めっちゃ痛かった。『誰だよあんなとこに缶詰め置いたの!!...お母さんしか居ないわ!』って一人でツッコんでたっけ。

 

あの時の私はまだまだだったな...しかし今回はちゃんと避けたのでセーフ!実際結構ギリギリだったけど。当たらなければいいのさ!

 

今回持ってきたのは、ポテチと、最近ハマっている美味しい謎ジュースも持ってきた。謎って言うのはよく分からない色してるし、実際飲んでみて何味かよくわからないけど、なんとなく美味しいから。

 

 

「よーし、準備もできたし配信始めるか〜。」

 

蒼井美海のカラーである青色(水色っぽい)のゲーミングチェアに座り、ずっと待機画面のままの画面とチャット欄を見る。

 

...??

 

いつもよりコメントが爆速で流れている?どうして...

その答えはコメントを見ただけで分かった。

 

 

 

 

 

 

コメント:お、帰ってきた

コメント:ミュートしてないよw

コメント:ミュート

 

 

 

 

 

 

へ?ちょっと待って?みゅーとされてなかった...???まじぃ...???

 

 

 

 

 

「え〜と...ねぇみんな...これ夢だよね?」

 

 

 

 

 

コメント:夢じゃない

コメント:本当だぞw

コメント:現実見ろ

コメント:生着替え助かった

 

 

「──なぁっ!?///」

 

 

ミュートしてなかったのは確かに私が悪いし、他のライバーさんだって同じミスをしていたのを見たこともあるし、そこまではまぁいい。

でも、そのミスに気づかずに、生着替えをしたのだ。恥ずかしすぎるだろこれ。男のときだったらこんな気持ちにはならなかったと思う...うぅっ...恥ずか死するぅ...

 

し、しょうがない、何も無かったかのように振舞ってみたらどうだろう。配信から逃げないだけでもマシでしょ?

 

「あ、挨拶しなきゃ!こんみう〜!ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜!今日はね〜、タイトル通りだらだら雑談しようかなって思ってますぅ!」

 

コメント:は?

コメント:こいつ何も無かったことにするつもりだ

コメント:逃げるな

コメント:現実見て

 

ですよね〜、無理ですよね〜、知ってましたよ。はい。

 

 

 

ピロン

 

 

 

そこでスマホの着信音がなった。見てみるとマネージャーの阿部ちゃんからだ。

 

 

「あ、ちょっと待ってね。マネちゃんからメッセージが...」

 

 

『配信終わったらお話があります( ๑º言º)』

 

やばっ。これ絶対お説教パターンのやつじゃん。しかも長めの。阿部ちゃんって私のためを思って言ってくれるのはわかってるんだけど、お母さんや学校の先生に怒られるよりなんかすごく怖いんだよ。どうしよう、やっぱり逃げようかな?

 

コメント:どうした?

コメント:マネちゃんなんて?

コメント:マネちゃん大変そう

コメント:みうちゃんのマネージャーは大変だろうな

 

「あ、いや、マネちゃんがお話があるって言ってる...嫌だからみんなで逃げよu....」

 

 

『逃げないでくださいね??(^_^)』

 

 

「あ、死んだわ。逃げないでくださいだって。」

 

 

コメント:草

コメント:バレてるw

コメント:さすがマネちゃんww

コメント:お見通し

コメント:合掌

コメント:惜しい奴を亡くした...

コメント:いい奴だったよあいつは...

 

 

私の思考バレてるし!なんで!私って単純ってことか?

 

「ちょ、みんな見捨てないでえぇ;;」

 

 

 

 

 

 

 

その後、リスナーに度々イジられながらも配信をできるだけ長引かせる私だが、結局配信後に、1時間ものお説教が私を待っていたのだった。

 

 

 




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#39初めての文化祭



えー、前回の投稿から3週間経ってしまいました...遅くなってしまってすいませんでした。まあ、そこまで期待はされてないと思うけど....

本当は週一くらいで投稿したいなと思っているのですが、最近は体調を崩し気味でなかなか進まず....

久しぶりに投稿したと思ったらVTuber要素もほぼゼロなのでなんか勝手に申し訳ないと思っています。

何言ってんだコイツぐらいの気持ちで見てくれたら嬉しいです。



 

「おお〜!なぎちゃんかわいい〜!」

「やっぱり似合うね」

「サイズぴったり!」

「いいねぇ」

「最高...」

「一番似合ってる」

「天使ですか?」

 

「う、うそぉ...?みんなの方が似合ってるってぇ...」

 

「そんなこと言ってぇ、顔ニヤけてるよぉ?ほんとにかわいいから自信持って!ほら、みんなで写真撮ろー!」

 

「う、うぅ...」

 

文化祭前日。つまり昨日。クラス費を使ってネットで買ったメイド服が届いた。メイドをやる人全員分の。だから、今日着るのが初めてで、みんなはしゃいでいる。デザインとかはみんな同じで、正直、JKのメイド服はかわいいし、一部えっっな感じになっている人もいる。いいのか高校生、文化祭でそんな格好してしまって。....私の場合は、少し胸が苦しいかも...?

 

 

「はぁ....これが私か...」

 

 

手鏡を見ながら私はひとつため息を着く。正直、今の自分はかわいいと思う。私が()()だったら絶対目が離せなくなりそう。それくらいに。

でも、Vの時には言われ慣れている言葉も現実で面と向かって言われるとなんか感じ方が変わる。正直恥ずかしい。

 

特にクラスの女子たちが無駄に私のメイド姿を褒めてくること!もちろん、ななちゃん達はもちろん、普段ほどほとんど話さないような陽キャの女子たちまでが、写真を撮ったり、本物のメイド喫茶で行われるような、いわゆる御奉仕、サービスを求めてくる...!素人の私に何させようってんだ!!全くもうっ!!私に御奉仕してくれよ!って感じになっている。

 

 

 

というわけで、

今日はもう既に文化祭当日の朝。目覚め、顔を洗い、おはようのツイートをして、朝食をほんの一口分だけ食べ、学校に行くところまでは普通の日常のようだったが、学校に近づくにつれ、雰囲気が変わっていった。

みんな浮かれているような感じで、男子は髪の毛をバッチリ決め、女子も髪を結ったりメイクしてきている人達が多かった。これが私にとって初めての文化祭。あまり気乗りはしないのだけれど、陰キャな私にとってはこの周りの雰囲気に飲まれてしまいそうでなんだか不安である。

 

 

学校に着き、教室に入るといつもと違う、装飾された景色が広がっていた。廊下にもたくさんの看板や旗などが出ていたが、これがあのアニメとかで見たことのある文化祭か...!?と色んな意味で鳥肌が立った。

 

 

そして、クラスの女子達は、私がいつもと変わらない格好をしているのを見ると、襲いかかるように捕らえられ、かわいいメイク(今流行りのやつ)とみんなとお揃いの髪型にされた。←これがかわいい原因

 

 

午前中は校内を回り、午後はシフトとライブがある。

午前中は割とゆったり出来そうだけど、午後はかなりハードだ。

 

「まずどこ行く〜?」

 

「まずはお化け屋敷っしょ。」

 

「いや、3年生のクラスのジェットコースターがクオリティばり高いらしいよ?」

 

「まじ!?」

 

「いいね、じゃあ、まずはジェットコースターとお化け屋敷いこー!」

 

「おっけ〜!」

 

...どうやら、いつもの3人はとても楽しんでいるようだ。

この格好恥ずかしくないの??

 

「なぎちゃんは行きたいところある?」

 

「えっ、あっ、えっとぉ....」

 

行きたいところって言ってもなぁ...。私はそんなことよりメイド服で文化祭を回るのがなんだか恥ずかしくてたまらないんだけど...。

 

「と、特にはない、かな....?」

 

文化祭初めてだし、楽しみ方が分からないんだよ。強いて言うなら、あまり騒がしいところ行きたくないくらいだ。

 

「そっか...よし、じゃあ、その後は食べ物食べれるところに行こう!そしたらみんな大丈夫でしょ?」

 

「うん!」「うんっ!」「うん...、!」

 

こうして、微妙なテンションで始まった人生初めての文化祭。私はメイド姿をできるだけ見られないようにみんなに隠れながら歩いた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

私は結局、お化け屋敷で絶叫し、ジェットコースターで絶叫した。そして、3年生のクラスの女装カフェでも絶叫しかけた。危なかった。うん。

 

回っている途中で何度もコスプレしている人とすれ違った。みかん先輩のコスプレしている人もいて、急に出会ったもんだから、「みっ...!?」という声が漏れてしまって、周りからちらちら見られて恥ずかしい思いをした。...オタクと思われたかなぁ。ちなみにコスプレしていた人はなんだコイツみたいに見てた気がする。ななちゃんにはくすくす笑われていたような...。

 

 

そうして、なんやかんやであっという間に時間は過ぎて行った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「お帰りなさいませ。ご主人様ぁ!」

「ご注文をお伺いします。」

「...きゅんきゅんオムライスとくまたんパフェですね。暫くお待ちくださいご主人様♡」

「おいしくな〜れ!萌え萌えきゅん♡」

「あ!チェキも撮りたい?わかりました〜。ポーズは手でハートを作る感じでいいですか?え?だめ?じゃあどういうポーズ...ダブルピース!?」

 

 

メイドとはなんなのか、私とはなんなのか。元男である私はなんなのか。さっきからよくわからなくなってきた気分。

 

最近は、自分でもわかるくらい言動が女子高生になってきてしまっていることは既に気づいている。しかも、見てもらう仕事を普段からしているので、()()()()()()をするのは少しだけ普通の人よりは慣れている...はずだった。はずだったのだけど....

 

.....今日の感覚は何となく違う。配信している時とも、事務所の人や友達と接している時とも違って、なんだか見られることで恐怖を感じる。色んな人の視線が直で胸やスカート、足に刺さってくる。お客さんの席にオーダーを取りに話しかけに行く時、知らない人達ばっかりで、どもってしまったり、真っ直ぐ相手の顔を見れないんだけど、何となく視線でわかる。相手はなんだか凄い私のことをじっくり注目して見てくるのだ。

 

 

その上で色々サービスをしなければならない。やばいこれ。相当ハードだ...!終わりの時間まで耐えきれるかな...

 

そこでクラスメイトから声を掛けられた。

 

「ななちゃんとなぎちゃーん!なんか指名入ってるよ〜?」

 

「え?指名?」

 

誰だ?私とななちゃんを同時に指名するなんて!贅沢が過ぎないか??

 

「ほら、あそこの席の2人。めちゃめちゃ美人のお姉さん!.....知り合いなんだよね?」

 

クラスメイトが美人のお姉さん!と指さす先には手を振る2人の女性が。よく見なれた顔である。レン先輩となでちゃんだ。

 

「そうだよ!友達なの!」

 

ななちゃんがやっと来てくれた!と言わんばかりに二人のほうへ駆けて行った。

 

ん〜、やっぱり見られたくはないなぁ...どうにかして逃げる方法は....当たりをキョロキョロ見渡すが、どうにも逃げれそうな場所はない。...もう、しょうがない。少しだけ挨拶して、後はななちゃんに任せよう。

 

私は恐る恐る、2人の座るテーブルへ向かう。

 

「こんにちは、樫村さん、赤坂さん!ご来店ありがとうございます!」

 

「やっぱり2人とも来たんですね...」

 

「ちょ、ちょっと待ってかわいすぎない!?!?」

 

「ヤバいよその格好。」

 

2人が私たちの方を見て興奮している。

 

「あんま見ないでください。恥ずかしいんですからぁ。」

 

「でしょ?メイド服のなぎちゃんかわいすぎるんですよ!」

 

あなたまでそっち側!?って前からそっち側だったね....

あの、とりあえず(早く逃げたいから)注文してくれませんかね?

 

「写真撮ろ!」

 

「さっきまでも沢山撮ってたけどね...」

 

「盗撮!?」

 

ダメだこの人達。私のこと好きすぎ!なでちゃんが見せてきたスマホをのぞき込むと、物凄い量のメイドの私が撮影されていた──────これ、犯罪じゃない?大丈夫?いつどうやって撮ったんだこの写真。全く気づかなかったぞ。

 

「というかここ、他の人も結構来てるんでご注文早くしてくださいよ。」

 

「ちぇ〜、なぎちゃんなんだか冷たいなぁ。」

 

「...顔は真っ赤だけどね。」

 

「っ!?」

 

自分では気づかなかったけど、言われると顔が熱い。なんなら体が熱い。気づいたら更に恥ずかしくなってきた。私はすぐに手で顔を隠し、他の人からは見えないようにする。

 

「朝からかわいいって言われまくって照れてるんだよね〜。」

 

そんなことは無い!かわいいって言われて照れてるなんて....嬉しいけどさぁ!

 

「もうっ!ご注文をお願いしますっ!」

 

注文だけとってさっさと逃げよう。

 

「恥ずかしがってるのかわいい....ん〜、どうしよっかな〜。あ、そうだ!なぎちゃんのおすすめが欲しいな。」

 

レン先輩、私何が美味しいとか全く知らないよ?メニューの見た目はかわいいけど食べたことないし。それでもいいの?いいよね?私の好みだからね?

 

「じゃあ、私はななちゃんのおすすめで。」

 

「わかりましたっ!」

 

()()()()、待っててくださいね!」

 

私はとにかく早くその場から逃げたかったので、すぐに料理を作る人のもとへ駆けていった。

 

 





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#40メイドなライブ!

かわいいの好き




 

私たちはおすすめの料理を2人の元へ届けた。

 

反応は....まぁ、言わなくてもいいでしょって感じ。

 

「美味しくなーれ、萌え萌えキュン♡」

 

う、うわぁ....やりたくなかったぁ....

写真いっぱい撮られたし....あんだけ沢山とってどうするんだろう。変なことに使わないよね!?

 

今日は私は何かを失ってしまった気がするんだよなぁ。まあ、今更か....。

 

私が2人から離れてもニヤニヤしながらこっち見てくるし、正直めっちゃ仕事がやりにくかった。

 

....2人はしばらく席に居座っていた。(やめてくれ)

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「次の人達と交代だよー!」

 

 

ようやく終わりの時が来たー!よっしゃー!このメイドの仕事ともおさらばだっ!

いやー、いい経験だったよ。ほんと。いつかの配信で役立つかもしれないし。でも、自らやることは無いだろうな....

 

私が教室の隅で緊張と恥ずかしさと疲労で溶けていると、仕事を終えてもなおまだまだやり足りないというような感じのいつもの3人が私の近くに寄ってきた。

 

「なぎちゃん!早く行かないと!」

 

「....?」

 

「ライブだよ、ライブ!早く行かないと始まっちゃうよ!!」

 

「あっ、やっべ!そういえばそうだった...!」

 

ライブがまだあるじゃん!と思って教室の時計を見る。もうそろそろ私たちの前の人たちのステージが始まる頃だ。

 

私は急がなくちゃと立ち上がる。

 

「ほら、走って走って!」

 

ななちゃんに背中を押されながら教室を出た。

 

「体育館遠い〜!!」

 

私たちは急いで会場の体育館に向かう。メイド服のまま。人はまだまだ沢山居て正直危険だけど、人混みの中、隙間を縫うように小走りで向かう。メイド服のスカートは少し走りにくかった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ステージ横に着くと、やっぱり前の人達のステージが既に始まっていて、会場はそこそこ盛りあがっていた──────ダンスや歌を歌っているようだ。ステージ袖からステージを覗くと、見覚えのある人たちの姿が....というかVTuber、ソラカラメンバーのコスプレをしていた人達だ。す、すごい。ダンスも完璧だし、歌もちゃんとうまい。何よりコスプレの完成度!廊下ですれ違ったみかん先輩の人なんて完璧じゃないか!

 

私がオタクとして勝手に盛り上がってると、

 

「なぎちゃん!あれ見て!」

 

ななちゃんがステージを指さす。いや、それはステージではなくて、その先の反対側のステージの袖。その先には....3期生ぃぃ!?しかも、蒼井美海のコスプレしてるぅぅううぅぅ!?!?

 

すると、今ステージで踊っていた人達が曲が終わると横にはけ、反対側にいる蒼井美海の含め3期生のコスプレをしている人達が飛び出してくる。

 

う、うわぁ....なんだこの気持ち。ワクワク感と気恥しい感じ....今年の夏のコミケでは、1期生や2期生のコスプレをしていた人たちのツイートは見かけたけど、まだデビューしたばかりの3期生のコスプレしている人は滅多に見なかった。でも、今。目の前にいる。しかも踊って歌ってる。私も3Dになったらあんな感じになるのかな。あと、私より先にライブするなー!

 

 

 

気づいたら、私たちの出番が迫っている。やるのは2曲のみだけど、4人でいっぱい練習してきた。私とななちゃんは声でバレてしまうかもしれないからボーカルはパスした。私は難しい楽器をやる!とか何とか言って回避した。(ベース)ななちゃんはドラム、らんちゃんはキーボード、さきちゃんはギターボーカル。

 

練習した期間は、準備もあってなかなか長い時間は取れなかったけど、人に見せられるレベルにはなったと思う。

 

うぅぅ....緊張する....。チラッと隙間から体育館の客席の方を見ると結構人がいる....!

 

でも、夏ライブよりかはさすがに少ないか?でもなぁ、今回は生身だからなぁ。が、ガワが欲しいよぅ。

 

3期生の人達が反対側の袖へはけていく。

 

私たちは15分後にライブを開始する。そのまでに楽器の準備をしなくてはいけない。各々、自分の楽器を準備をする。楽器とアンプを繋ぎ、スピーカーへ繋ぐ。そして、マイクなども繋ぎ、音を聞こえるようにする。

 

私は慣れているし、ベースなので直ぐに終わって、ドラムのななちゃんの所へ手伝いに行く。バスドラムなどは結構大きかったりするので他のとは一緒に運べない。私はその辺を手伝う。その時、小さい声でななちゃんに話しかけられた。

 

「なぎちゃん緊張してる?」

 

「....ん?も、も、も、もちろんしてない、よ?」

 

「.....隠しきれてないよ?んーじゃあ、ほらほら、あっち見てよ!さっきのステージのコスプレの子達が手振ってくれてるよ!おーい!みうちゃーん!」

 

ななちゃんが手を振ると、蒼井美海のコスプレの人がこっちに向かって手を振ってくれている。私は呼ばれた気がしてドキッとする。

 

「や、やめてよななちゃん!思わず反応しそうになっちゃったじゃん!」

 

「へへっ!せっかくのライブなんだからさ!楽しんでこ!」

 

「....う、うん。そうだね!」

 

 

準備が終わり、そのことをステージの運営の人に伝える。

私たちは顔を見合せ、楽器を構える。

 

幕が上がり、お客さんたちが見えてきた。視線が私たち4人に集まる。運営の人の紹介が終わると、もう一度みんなで目を合わせた。

 

ななちゃんがスティックを打ち鳴らし、最初の音を奏で始めた。

 

シーンとなった体育館に楽器の音が響き始める。それは

私たちが織り成す、私たちだけの音。お客さんたちは次第に音を聞き、それぞれの反応をし始める。それがなんだか私にとって初めての反応でみんなにとっても初めての感覚で。とてもワクワクした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「そろそろ解散ー!みんな自由にしていいぞー!」

 

 

教室で先生が生徒に言った。文化祭が終わったのだ。なんだかさみしいような。

 

結局ライブは私も失敗することなく終わった。なんなら今までで1番の演奏ができたと思う。お客さんたちもすごい盛り上がりを見せ、とっても楽しかった。

 

「うわ...最初から最後までメイド服だったな...」

 

文化祭中はこの服を脱ぐことなく、ずっとこのまま。これだけ着てたら恥ずかしさも少しは無くなった気がする。

 

スマホを見ると、あの二人からメッセージが届いていた。

 

レン先輩『めっちゃかわいかったし、かっこよかったよ!楽しかった!』

 

なでちゃん『ライブ最っ高だったよ!かっこよかった!私も楽器初めてみよっかなって思っちゃった!また今度私だけに見せて欲しいな!』

 

少なくともこの2人にはライブは好評だったようだ。こうやって感想言ってくれるって嬉しいな。顔がニヤニヤしちゃう。

 

「ねえ、青野さん」

 

「ん...?」

 

急に話しかけられ、後ろを振り返ると普段話すことの無い男子(陽キャ)がいた。

 

「な、何?」

 

「これからクラスの人たちと打ち上げでカラオケ行くんだ。それでさ、青野さんも誘おって女子たちが言っててさ、来ない?」

 

男子(陽キャ)が指さした方向には今日一緒の時間にシフトだった女子たちと男子数人がいる。

え、私今あの中に誘われてます?え、それでカラオケに行くって?なんの冗談だい?やだよ?当然。というか無理でしょ私があの中に入るの。泣かされるだけじゃない?

 

「どうかな...?」

 

「カ、カラオケかぁ....んー、私歌とか下手だから....」

 

「大丈夫だって!俺だって下手だしさ、カラオケって楽しめればいいんだよ。」

 

いやいや、みんな絶対カラオケ行き慣れてるし歌うまそうじゃん。....せめて、ななちゃんと一緒ならなぁ....って、こんなこと恥ずかしすぎて言えないし。どうやって断ればいいんだろこれ....断る理由もないっちゃないんだけどな。

 

「そ、そう...でも...」

 

「ねえねえ!それ私も行っていい?」

 

「うわぁ!?」

 

後ろに何かぶつかってきたと思って振り返るとそこにななちゃんが!

 

「びっくりした....」

 

「ごめんごめん。それでいい?」

 

「ああ、もちろん!間宮さん達にも声かけようとしてたんだよ。」

 

「ほんと?やったー!楽しみだね?なぎちゃん!」

 

「うぇ....?う、うん?」

 

「どこ行くの?」

 

「ああ、駅前の....」

 

「よーし、思いっきり歌うぞー!」

 

 

結局私はななちゃんに無理やり連れてかれ、なんかめっちゃ盛り上がった。5曲も歌ってしまった....御飯までみんなと一緒に食べることになり、帰ったのは10時頃になってしまった。

 

めちゃくちゃ疲れた....今日はさっさと寝ることにしよ。配信はなしで。

 

私はシャワーを浴び、さっさと布団の中に潜り込んだのだった。

 

 




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#41声

最近暑いですね〜。日焼けするの嫌ですね。


 

文化祭が終わって、1日。

今日は土曜日で休みの日。昨日はなんだかんだで文化祭結構楽しかったな。メイドは恥ずかしかったけど、ライブは結構盛り上がったし、その後もみんなでカラオケ行って歌いまくった。

 

今日はとっても疲れていたので、昼過ぎまで寝てしまった。まあ、ライブやカラオケの後の高揚感で夜あまり寝付けなかったってのもあるけど。

 

あ、そうだ。今日はこれから配信するんだった。今日はちゃんと配信前に起きれたし(先週コラボ配信に遅刻して怒られた)、寝ぼけてもない(一昨日寝ぼけてふにゃふにゃしていてそれの切り抜きが伸びている)ので、大丈夫なはず。

 

「よし、配信するかー」

 

 

 

....ん?喉が痛いんだけど?なんだこれ。

 

確認のために声をもう一度出してみる。

 

「あー」

 

やっぱり喉が痛い。風邪....?いや、なんか違う。....昨日のカラオケかな?普段のレッスンで散々喉を痛めないような歌い方をしろと言われていたのに、気が緩んで連続で歌いまくったもんなぁ....。みんなが歌上手い上手い言うから....地声で歌ったらバレるからめっちゃ声を高くして歌ったせいか....

 

配信....やるべきか?う〜ん....。阿部ちゃんに聞いてみるか。

 

蒼井美海:あのーちょっといいですか?

阿部:どうしましたか?

蒼井美海:実は昨日、喉痛めちゃったみたいで....

阿部:そうですか。病院行きましたか?行っていないなら、うちのライバーが前にかかったことのある所を紹介しますよ。

蒼井美海:病院...ですか。行かなきゃダメですか?

阿部:行って欲しいですね。何かあってからでは遅いですから。今日の配信は中止にして、病院に行ってください。

蒼井美海:はい....

 

まじか....病院か....やだなぁ。配信したかったなー。あー、行きたくない。めんどくさい。誰か代わりに行ってくれないかなー。

 

.....こんなこと考えててもしょうがないか。さっさと行ってこよ。私は重い足取りで阿部ちゃんに紹介してもらった病院へ向かった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

Now Loading

 

 

_______________

▫ ◎ □ 「 」

【雑談】少しだけ。お話しよ?告知あり【蒼井美海】

5267人が待機中#ソラカラ #大きい海 #Seaart

⤴︎366 ⤵︎12
□ ≡ ➚ ⇩

蒼井美海
チャンネル登録者数15.2万人
チャンネル登録

 

「あー、あー。はいどうも。こんみうー。ソラカラ3期生の蒼井美海だよー!」

 

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

コメント:こんみう〜

 

「あ゛ぁー。あー、やっぱダメだ。」

 

あー、喉痛い〜。無理〜。

 

「....あのー、すいません。喉痛めちゃいました。だから今日はこの声でやっていきまーす。」

 

コメント:草

コメント:声低っ!

コメント:何その声

コメント:イケボ

 

「そ、そう?イケボかな...?イケボ....う〜ん?」

 

男の時に言われたかったなその言葉!そんなこと言われたこと無かったぞ!....てか、そもそもあの時代は人とあまり喋ってなかったような....いや、あの時代は過去のことだ。あまり思い出さないでおこう。うん。

 

 

コメント:いつもの声もいいけど、この声もいいな!

コメント:なんか新鮮

コメント:声作ってたの?

 

 

「声は作ってないよ?普段のがほぼ地声みたいなもんだよ。ただ普段の高い声とかは喉が痛くて出せなくて、低い声なら出しやすいからこの声なの。」

 

 

コメント:へ〜

コメント:あれ地声なんだ

コメント:あれが地声なら本当にお茶目っぽい

コメント:あ〜、初期設定?

コメント:初期の頃は今の普段よりこんな感じでもうちょっと低いだった気がする

 

 

「初期設定言うなし!公式設定だから!私お茶目で可愛いでしょ?ピッタリじゃん!あと、あの頃はホントに自分のこと嫌いだったり落ち込んでたからそれがでてたのかもね〜。」

 

 

コメント:そう言われればそうだな

コメント:設定www

コメント:草

コメント:そんなこと言っていいのかw

コメント:そうだったんだ

 

 

「まだまだ3、4ヶ月ぐらい前の話だから最近と言えば最近だけど、たったそれだけの時間で色んな人と関わってきて変わった気がするよ。自分でもわかるもん。」

 

 

コメント:そうだよな

コメント:みうちゃんは成長してるよ

コメント:こんなにも大きくなって...パパは嬉しいよ

コメント:みうちゃんを見てると子供の成長を見ているようでほっこりする

コメント:今ならあのみうちゃん大好きーズの3人の気持ちがよくわかる

コメント:あの3人は身近で見てるからこそあそこまで好きなんだろうな

 

 

確かに前からお姉ちゃんだのママだの言われているあの3人だが(私もたまにそう呼ぶ)、そういうことを思ってたのかな....なんだか嬉しいけど、恥ずかしい。

 

 

「ん...。そんなに私のことを話されるとなんだか恥ずかしくなってきたよ。」

 

 

コメント:恥ずかしがってるのかわいい

コメント:好きぃ

コメント:この前みうちゃんの成長記録っていう切り抜きがあったな

 

誰がそんなの作ってるんだよ。暇人かよ!

 

「何その切り抜き!私まだ見てない!ってかそんなの切り抜かなくていいから!恥ずかしい....もう!話変えようよ!」

 

コメント:えー

コメント:あの切り抜きまじで最高だった

コメント:結構伸びてるぞ

コメント:今見てきたけど50万回再生されてた

コメント:動画の最後の方にこの前の遅刻したのもあったなw

 

ヤバい、この流れは長々と続いて私だけがダメージ受けるだけだ!!ってか、先週の配信まで切り抜かれてるのか....や、やめよう、ここは無理矢理話を変えなければ!

 

 

「そ、そうだ、話したいことがあったんだ。」

 

 

コメント:なに?

コメント:?

コメント:めずらしい

 

 

「実はこの前この喉の件で病院行ったんだけどね、診てもらう前に問診票みたいのがあって、その欄にあなたの職業は?っていうのがあってね、アイドルとか声優とかの項目があったの。で、配信者っていう項目もあってびっくりしたよ。時代だね〜」

 

コメント:今ってそんなのあるんだ

コメント:配信者とかイマドキだな

コメント:みうちゃんはどれにしたの?

 

「配信で喋りすぎたり歌いすぎたりして喉壊しちゃったりする人が増えてるのかもね。あ、私は普通に配信者ってしたよ?アイドル....ではあるけどなんか違くない?」

 

私も流石にどっちにすればいいか迷った。でも、基本の活動はまだ配信者なのでそっちにした。

 

「それで、この話にはまだ続きがあるんだけど、診てくれた先生がおじいちゃん先生でさ、配信者ってところにチェック入れたはずなのに、『お嬢ちゃん、アイドル?』って言われてびっくりしたよね。」

 

 

コメント:そんなことあるんだw

コメント:アイドルじゃん

コメント:リアルでもかわいいんだろうな

コメント:勘のいいおじいちゃんは嫌いだよ

 

 

「いや、まあ、コミュ障出してほとんど喋れなくて、配信者っていうのは言ったんだけど、それ以外はうんうんって頷いてただけなんだよね。」

 

仲のいい人とかは喋れるようになったけど、やっぱり人見知りは治らない。いつまでも治ることは無い。コミュ障 is forever。

 

コメント:うんうん

コメント:さすが

コメント:さすみう

 

「それでね、先生には歌いすぎだねって言われたよ。」

 

コメント:歌いすぎ....?

コメント:歌枠1回もやってないみうちゃんが?

コメント:え?なんで?

コメント:歌枠まだ?

 

歌枠、それは配信者が好きに選曲したり、視聴者からのリクエストを貰いながら楽しく歌を歌うというだけの配信。言わばカラオケ。

 

でも、私はデビューしてから約半年、1度もそれを行っていないのだ。

 

「いや...友達とカラオケ行ったというか、そこで歌が上手いって言われて調子乗っちゃって...ほら、ボイトレとか歌の練習はいつもやってるから....」

 

コメント:で、そのザマとw

コメント:なるほどねw

コメント:みうちゃんらしいっちゃらしいかも

コメント:ところで歌枠まだ?

 

「ご、ごめんなさい....う、歌枠かぁ...ん〜...え、みんなそんなに私の歌聞きたい?」

 

 

コメント:もちろん

コメント:あたりまえじゃん

コメント:みん(5000円)なやってるよ?

コメント:なんで今までやってこなかったの?

 

「う...スパチャでそんなこと言われると何も言い返せないんだが...」

 

 

そう、私が今までやってこなかった理由は、もちろん歌が下手だからって言うところはあるけど、他にもっと大きな問題があった。

 

自分の声をあまりよく理解していなかったからだ。

 

最初にボイトレを始めたくらいの時ぐらいまでそういう気分だった。元々歌が上手くない上に、この女子の体になってからなんてどんな声が出るのかなんて知らないし、試そうともしなかった(今となってはなんでしなかったのか謎である)。

それでまあ、当時は結構ネガティブ思考だったし、配信で歌うのは怖かったのだ。そんなに私の歌に需要ないと思ってたし。

 

 

 

だけど今は違う。自分の声や歌い方もわかってきたし、みんなに上手いって言われるくらいだ。

 

「歌枠....やろうかな...?」

 

コメント:おお!

コメント:ついに!

コメント:みんなが待ち望んでいた歌枠!

コメント:まずはその喉直せ

コメント:喉大丈夫?

 

「大丈夫大丈夫。治ってからやるから。未定ですけどね〜。」

 

 

コメント:待ってます

コメント:ちゃんと治せよ

コメント:無理すんな

 

「みんなありがとうね。あ、そうだそうだ。告知しなきゃだった。」

 

そう、今回の告知はこの前収録した文化祭ボイスの発売を告知するんだった。私の初めてのボイスということで私から発表という形になっている。

 

久しぶりの告知ということでチャット欄は爆速で流れる。

 

コメント:なんだなんだ?

コメント:告知待ってました!

コメント:何かあるのか?

 

「はい、実はねこの配信が終わるのと同時に私やソラカラメンバーの期間限定文化祭ボイスが発売されます〜。いえ〜い!」

 

コメント:うおおおお!

コメント:みうちゃんの初シュチュボ!

コメント:絶対買います!

コメント:え、その声なの?

コメント:イケボ?

 

「いやいや、これはだいぶ前に撮ったやつだから普通の声だよ。いやー、こういうのって難しいね。台本から考えろって言われて難しかったよ。」

 

コメント:なんだー、イケボじゃないのか〜

コメント:えー

コメント:イケボが良かった

コメント:イケメンみうちゃんも見てみたい

 

え?そんな私のイケボって需要高いの?てか、多分君たち男だよね?なんでそんなにイケボを望むんだ?頑張って女子高生っぽいセリフ考えて読んだのに。

 

「頑張ってかわいいの考えたんだから!ちゃんと買って聞けよ!お前ら!」

 

コメント:はい

コメント:もちろん買うよ

コメント:あたりまえじゃん

 

「感想待ってるね!」

 

私の初めてのシュチュボはクオリティ的には自分では満足していない。なぜなら文化祭やる前に撮ってるから、それっぽくないかもしれないのだ。他の人にはどのように聞こえるのか感想を聞きたい。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

文化祭が終わり、平穏(日常)が戻ってきた学校に、私の声にならない悲鳴が響き渡る。なぜなら、ななちゃんが私のシュチュボを私の目の前で聴いてニヤニヤしながら私にも聞かせてきたからである。

 

 

恥ずかしすぎるだろこれ。

 

 

感想は『結構良かったよ。』と高評価であった。

どういう反応すればいいんだこれ。

 

 




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#42 3D化計画!!

こんにちは。

前回の投稿から約1ヶ月半空いてしまいましたすいません。(速攻の謝罪)

8月の初めに8月は投稿しない、9月になったらするとツイートしたのですが、9月ももう半ばという有様。私は何をしていたかと言うと特に何もせず、話を進めることが出来ませんでした。

こんな作品のこと忘れてしまった方が多いと思いますが、待っていてくれた方がいらっしゃったらありがとうございます。

評価、感想お待ちしております。誤字報告助かってます。


ここまで来るのに、かかりすぎたかな。


「美海さんたちはここでお待ちください。」

 

 

阿部ちゃんの指示で壁際に置いてあった椅子に座る。

現在私は事務所に来ている。事務所というかスタジオ。

今日は3期生のみんなも呼ばれた。

 

「ついに3Dだよ!うれしいなぁ...!」

 

「これで私達も先輩たちと一緒のステージで歌ったりできるんだね!」

 

「めっちゃわくわくするよな!」

 

私たちは今日ついに3Dの体を初体験するのだ。みんな楽しみだし、これからの活動の幅が広がるワクワク感と少しの不安もあるかもしれない。(少なくとも私はある。)

 

私たちの動きを今まで顔の動きや体の向きしか見せられなかったLive2Dだが、3Dは自由に視聴者に細かく動きを見せることが出来る。

先輩たちは既に3Dを使っており、ライブで自分たちの魅力を最大限に出している。

 

夏頃から3Dのアバターを製作中とは言われていはいたけど、ついにその時がきた。一応、スタッフさんたちでテストはしているが、アバターはライバーの身長と同じになっているので本人にテストしてもらいたいそうだ。

特に私ちっちゃいからな...返せよ身長。(誰に言ってんだ)

 

今はスタッフさんたちが準備中との事だ。

 

 

「男性のライバーのおふたりはこちらの部屋にお越し下さい。」

 

あれ、みんな一緒にやるんじゃないんだ。テストだから別々なのかな?それとも何かある?

 

「はい、分かりました!」

 

「ほな、また後でなー」

 

「うん。」「またー!」

 

光くんとミライくんはスタッフに連れられて他の部屋に行ってしまった。

 

そこに入れ違いで阿部ちゃんが部屋に戻ってきた。

 

「では、みなさんこちらのスーツを着てください。」

 

「阿部ちゃん、なにこれ?」

 

「ああ、これは3Dの際にキャプチャーするために必要なものなので3Dの際にはご着用お願いします。」

 

「ん、なるほどね。」

 

「昨日事前に説明しましたよね?聞いてなかったんですか?美海さん?」

 

「うっ...」

 

3人の視線が私に刺さる。

 

3Dをするにあたって、演者は黒色のスーツを纏う。スーツにはたくさんのセンサーみたいのが付いている。これで細かい動きをキャプチャーして、アバターを動かすのだ。

 

私は着たことの無い新感覚のスーツにワクワク感が止まらない。なんかこう...ゲームのキャラクターのスーツみたいでかっこいい!

 

私たちは言われた通り着替えてみた。

 

 

「なんかこのスーツ少し嫌だね。」

 

「そう?身軽でこれだけなら全然踊りとかやりやすそうだけど...」

 

「いや...だってほら、体のライン、出るじゃん?」

 

「「あ〜」」

 

少しだけ年上のとまりんが指摘したことに私たち2人は首を上下させ同意を示す。

 

「2人はさ、まだまだ若いからいいけど私だけ少し歳離れてて、こんなスク水みたいなピチピチな服着ることないからめっちゃ恥ずい。」

 

「いやいや、私もスク水はないよ。大学生だし。美海ちゃんは高校生だけど、プールの授業ある?」

 

「う...プールはあるけどスク水、は着たくないかなぁ...?」

 

少し期待の目を私に向けていたなでちゃんは少しガッカリな表情になる。何を想像してるんですかねあなたは。

 

まあ、現役高校生の私は、もちろん夏になるとプールの授業があって、スク水は着る...はずなのだが。抵抗感が強すぎて今年のプールは全て見学した。さすがにスク水はちょっと...ねぇ?きっついきっつい。精神的に。

 

「では、スタジオに行きますか。」

 

私達もその部屋を出て撮影スタジオに向かう。

 

「昨日も言いましたが、3Dはたくさんの特別なカメラや機材を使います。今回はあくまでテストなので特別激しい動きはしてもらうことはありませんが、周りに気をつけて動いてください。特に美海さん。小さい子供みたいに無闇に触ったり壊したりしないでくださいね?」

 

「わ、私はそんなに子供っぽいですか!?さすがにそんな事しないですよぅ。」

 

 

なでちゃんととまりんは「いやいや子供でしょ」みたいにこっちを見てくる。なでちゃんにそう見られるのは百歩譲って理解できるけど、とまりんまでそんなふうに見てくるとは。もしかしてもうちょっとちゃんとした方がいいかも?

 

「私は心配です。」

 

阿部ちゃんは他のタレント以上に私のことを気にかけてくれる。もちろん他のマネージャーの方と比べてだが、多分とても仕事ができる人なのだろう。こんな私のマネージャーをしながら、いつも企画やコラボ、イベントの時も、スタッフさんに頼られているところをよく目にする。実際、私が事務所、スタジオに来てなにかするって時は先輩方に対しても企画説明などを行っている。そんな中で多分問題児(?)な私にマネージャーとして付いてくれてるって心配が半端ないだろうなって思う。

 

今度暇な時があったら阿部ちゃんになにかしてあげたいな...デート誘うのはちょっとハードル高いなぁ、何かきっかけがあればいいけど。

 

そんなことを思っていたら、私たちは撮影スタジオにたどり着いたのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

スタジオに入ると、まず3Dのアバターを見せてもらった。5人ともとてもよくできていて、360度全ての角度で見回せる。蒼井美海はかわいい制服姿で今まで見えなかった部分まで見える。

スタッフさんに操作を譲ってもらい、色んな角度から見る。

 

「パンツまで見えるのね。」

 

制服のスカートの中には純白のパンツが存在した。

 

「配信をする際はあまり見えないようにしてくださいね。」

 

「はーい。」

 

「お、なでちゃんのも見れる!どれどれ、パンツの色は〜黒!いや〜、いいね〜。」

 

「みうちゃん、なんかオッサンぽいよ?ってか勝手に見ないでよ!」

 

「いいじゃんちょっとくらい。減るもんじゃないし。」

 

「もぅ...」

 

今日は動作テストなので順番にスタッフさんの指示に従って色々な動きをしてみるらしい。最初はとまりん、その後なでちゃん、そして最後が私という順番でして、最後にみんなで映ってみるとのこと。今はとまりんがたくさんのカメラに囲まれた場所で色んなポーズをとっている。

 

「すごい...!かわいい!」

 

凄く嬉しいようで大人しめのとまりんでもはしゃいでいるようだった。

 

続いてなでちゃん。こちらもやはりとてもかわいい!スカートがヒラヒラしてて清楚感がある。すごい...

 

「どう?かわいいでしょ!?」

 

「めっちゃかわいい!さいこー!これは推すわ...」

 

「ありがとー!」

 

なんかほんとにアイドルみたいでキラキラが見えそう。

 

最後に私の番が来た。ドキドキが止まらない。

 

私はカメラの前に移動し、目の前に設置されている大きめなモニターを見る。すると、そこに1人の少女が立っていた。身長は低めので目はくりくり。青い髪は肩ほどまで伸び、その身はヒラヒラの着いている学校の制服を着ている。

 

これが、私。

 

私が横をむくと同じ方向を向くし、手を上げると同じ動きをする。

 

「すごい...!」

 

なんというか、ただただ感動。画面で見ていた世界が今私の目の前にある。

 

スタッフさんに『どうですか?』と聞かれたが上手く言葉で言い表せなかった。『すごいです。』としか返せず、少し言葉を考える。

 

考えているうちに、スタッフさんに動いてみてくださいと言われ、少しだけ動いてみた。歩いてみたり、ジャンプしてみたりすると服や髪の毛がリアルのように動く。

 

 

「すごい...!」

 

 

口からは『すごい』しか出てこない。私はすごいbotにでもなってしまったようで、いつからこんなに語彙力がなくなってしまったのか。

 

 

「みうちゃん!めっちゃかわいいよ!」

 

「やば、更にファンになっちゃいそう。抱きしめたい...」

 

とまりんは見守ってくれているが、なでちゃんは今にもこっちに走ってきそうだ。

頼むから突進はしてこないでくれ。恥ずかしいから。

 

「最後は先程の男性陣も呼んで、全員でお願いしま〜す。」

 

げっアイツらも来るのか...そりゃそうか。ってか、先にやってたんだなあの2人。私たち着替えるのそんなに長かったか?

 

 

先に私たち3人は画面に映っている位置で雑談していると、男2人がスタジオに入ってきた。

 

「よっ、おまたせ。」

「...おお!いいやん!みんなかわいいやん!」

 

「そう?ありがと...!」

 

かわいいと言われるとさすがにこの人でも顔がにやけちゃう。照れるというか嬉しいというか...こういうの最近多いな。

 

「なに?今日はやけに素直じゃん。」

 

なでちゃんがミライくんにつっかかる。

 

「べ、べつにっ!?ホントのこと言っただけや!」

 

少し目を逸らしながら照れる。なんだ、かわいいところもあるじゃん。

 

そう言いながら2人がカメラの前へやってくる。目の前の大きなモニターを見ると5人が揃って画面を見ている。

 

「なんか『ようやく』というか、『ついに』だよな。」

 

「うん。ここまで色々あったようでまだ半年ちょっとしか経ってないし。やっぱり今まで先輩たちが作ってきた道があったからこそだよね。」

 

「先輩達ってすげーや。カッコよすぎるんよ。」

 

「1年前の自分はこっち側にいるなんて思ってもいなかったもん。」

 

「私なんてVTuberを見始めたの3期生募集のかかった当日だもんなぁ。1年前なんてここにいるどころかまだ陰キャでぼっちで田舎にひきこもってたかな。」

 

「「「「え!?」」」」

 

4人の声がそろった。

 

「そんなことある!?」

 

「ははは、それがあるんだよ。私が実例。その場の気の迷いで応募しちゃったと言っても過言じゃない。」

 

「本当なのか...」

 

「ええ本当ですよ。美海さんが私と会った最初の頃は『間違いでしょ』とか、『気の迷いだったんです許してください』ってよく小さい声で言ってましたよ。『無理無理無理』って言うのは何回も聞きましたね。」

 

「あれ聞こえてたんですか!?」

 

「あの時、私この子のマネージャーやるのかーって言うのとこの子ほんとにオーディションしたのか?っていうのしか思い浮かばなかったですね。本っ当に心配で心配で。」

 

「ははは...」

 

やっぱり最初から心配させてしまっていたか。

あのときは阿部ちゃん本人に直接言うのは勇気がなくて無理だったから、聞こえないように小さい声で言ってたのにまさか聞こえてたなんて。てか、それで放置しないでくれ阿部ちゃん。

 

んんまぁ、去年の自分からしたらVTuberを見ることすら、なかったからなぁ。本当になんでここにいるんだろうって思うし、笑っちゃうよね。

 

辛いこともあったけど、やめようと思ったことはあの時以来ないなぁ。あの時のように無理無理言ってる自分はもういない。なんなら自分のやってる事に楽しさ、嬉しさを自然と感じている。成長してる私!

 

「それでは皆さんそろそろ。『今まで』の話もいいですが、『これから』の話をしましょうか。」

 

阿部ちゃんが話を進める。

 

「これから皆さんは3Dで配信することができるようになりますが、基本大きな企画、イベントの時に使用します。また、お披露目配信するにあたって、歌、ダンスの練習をする必要があります。」

 

「すいません、質問いいですか?」

 

「はい。なんですか?」

 

「歌は今までもやってきていますし、そこにダンスが加わる形でしょうか?」

 

「はい。でも、一つだけ違う所があります。それは各々1人1曲、オリジナル曲を出します。」

 

「ま、まじですか。それってどれだけ先の話ですか?」

 

「約1ヶ月半ですね。少しきついとは思いますが、クリスマスとお正月には間に合わせたいんですよ。」

 

い、1ヶ月半か...そこそこきついな...

みんなは自分で時間を作って練習に来てるみたいだが、私は高校生だから一番ヤバイの私かもな。授業サボる訳には行かないし。

でも....

 

「私、頑張ります!」

 

「お?みうちゃんが珍しくやる気だ。」

 

「珍しくは余計!でもね、やっぱ私の最初の目標はやっぱり見ている人を笑顔にすることだから、ライブが1番の場所なんだよ!」

 

「よし、みうちゃんもやる気だし、半端なものはできないしな。自分のためにも。」

 

「そうだね。練習キツかったらみんなでやったりして励ましあったら、楽しく出来そう!」

 

「うんうん。」

 

「よっしゃ、やったるか!」

 

 

「「「「「おーー!!」」」」」

 

 

5人の声が重なった。なんか、青春って感じでワクワクする!青春なんて私には程遠いもので、こんな私がしてもいいかな...?って思うこともあるけど。いいよね!だって、今の私は半年前の青野渚じゃないんだ。蒼井美海なんだもん!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「美海さん」

 

帰り際に阿部ちゃんに呼び止められた。

 

「はい?なんですか?」

 

なんだろう。私がやる気なこと褒めてくれるのかな?

 

「もうすぐ期末テストですよね?前回みたいにやらかさないでくださいよ?私もあなたの将来が少し不安なので。」

 

「ん〜...期末テスト?」

 

阿部ちゃんの不安はどうやら私の私生活にも及んでいるようだ。

 

 




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#43こちら会議室、どうぞ

遅くなりました。


私は今、机の上に置いてある一枚の紙とにらめっこしている。その紙とは進路希望調査の紙である。志望校を書く欄が第3までと、就職希望という欄。1ヶ月くらい前に貰った紙だが、3Dのことや配信のことですっかり忘れていた。そして、クラスで私だけ出していない状態になり、さっき先生に早く出して欲しいと言われたところ。

 

就職って言うところはなんというか、既にしている?というか。ソラカラのVTuberだし。

 

けど、進学先は全く考えてなかった...いや、今のところ考える暇がないほど濃い高校2年生の生活を送っていたから、志望校なんてものは特になかった。

 

...しかも、勉強もあまりできてなくてテストやばいし。阿部ちゃんにも心配されるくらいだもんなぁ。相当やばいんだろうなぁ。やりたくないなぁ。もう私ちゃんと仕事して稼いでるし、VTuberやり続ければ良くない?(現実逃避)

 

まぁ、これで決定ってわけじゃないしまた今度でいいか。

私は適当に書き、それを提出して学校から急いで帰った。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

実は、最近生活の形式が少しだけ変わった。ダンスレッスンが加わったからだ。いつもは学校へ行って、帰ってきたら配信準備をして、夜に配信を始めるという生活だったけど、最近は学校から帰ると直ぐに着替えが入ったカバンと共に電車に乗る。

 

 

でも、今日は事務所に行く日だ。阿部ちゃんとミーティングがある。いつもの週一のミーティングは通話で話しているのだけど、事務所でやるって事は何やら重要なことらしい。こんなこと今までにイベントの時しかしたことないくらいになかなかない。

 

 

重要なことってなんだろう。やっぱり今度の3D配信のことかな?それともまた何かやらかした!?最近はそんなヘマしてないけどなぁ。

 

 

 

 

...してないよね?

 

 

 

 

 

大丈夫なはず。うん。(?)

 

 

 

 

 

そういえばこの前阿部ちゃんにデートしないかとメッセ飛ばしてみたんだけど、なんて言われるかなぁ。まだ返事はないんだよなぁ。もちろん、阿部ちゃん行きたいところある?ということからだけど。(直接『デートしよ!』なんて言えるわけない)

 

OKだったらどこ行こうか。そんなに遠出はできないだろうし、やっぱりショッピングとか?

 

レン先輩と行った時もそうだけど、男だったら陽キャでリア充なんだろうなぁ。女の人デートに誘ってさ。まあ、それは仕方がないけれども。

 

とりあえず、阿部ちゃんに返事を聞いてから考えよう。

 

 

駅から歩いていた私はいつの間にか事務所に着いていた。中に入って、すれ違う会社の人やイベントの時に見た事のあるスタッフさんに少しを目線を外して軽く頭を下げながら目的地へ向かう。

 

傍から見たらどう見えてるんだろう。女子高生が歩いていると変じゃないだろうか。それとも目線合わせてないからただの陰キャに思われてるかな...?さすがに半年ぐらいいたら蒼井美海(わたし)だと認知して貰えているのだろうか。俯いてそんなことを考えながら歩いていたら、目的地の会議室へ至った。

 

 

そう。今日は会議室でミーティングをする。これもまたなかなかない事だ。

 

 

扉を前にすると普通の大きさの扉なのにすごく重そうに見える。ここで間違ってないよな...?と3回くらい扉の文字とスマホのメッセージで目線を行ったり来たりさせる。

 

「...よし、ここであってるよね?」

 

私は深呼吸して、ゆっくりと扉を開けて中にな誰もいないことを確認しながら中に入った。

 

中には会議用の机と椅子が並べてあり、私はその端の椅子にちょこんと座った。

 

「ちょっと早すぎたかな...」

 

スマホを開いて時間を見たら、予定よりも1時間も前に着いてしまった。外に出て時間を潰すのもいいけど、今日はこの後レッスンあるから体力使いたくないし、外でなにかするにはお金がいる。残念ながら手持ちは電車乗る用のICカードと小銭入れしかない。

さらに言えば外ふらついて会社の人に迷惑や変な風に思われるのは嫌。前はみかん先輩に誰かの子供だと思われて追いかけ回されたわけだしね。

 

てことで要するに残される行動は一つだけ。

 

「座って待つか...」

 

 

_____________________

蒼井美海@miumiu32・2分前

今日はミーティング!って張り切って来たら、時間めっちゃ早く着いちゃった...

 

○ 12 ⇄ 15 ♡ 265

_____________________

 

 

私は報告ツイをし、しばらくソラカラメンバーのツイートにいいねしたりリプしたりしていると、discordでメッセージが来た。

 

「...!?」

 

珍しくみかん先輩からだ。

 

 

白榊みかん:いまどこにいるのー?

蒼井美海:会議室です、この後ミーティングするんです。でも、早く着いちゃって少し暇です。

白榊みかん:私も今事務所いるんだー!少し暇だからおしゃべりしに行っていい?

蒼井美海:いいですよ。

 

 

陽キャだ。さすがの行動力。ソラカラのトップタレントだ。人と話すのは苦手だけどみかん先輩はそこまで抵抗感じないんだよな。そんなところがここまでみかん先輩が人気な理由かもしれない。

 

みかん先輩は今日何しに来たんだろう?同じミーティングかな?それとも何か配信関係かな?さすがにあそこまで人気だと忙しそうなのに、すごい人。いずれは私もああなるのかな...。

 

しばらく椅子に座って待っていると、部屋の扉が開いた。

 

だけど声がしない。みかん先輩なら多分「みうちゃ〜ん?」って言って呼んでくれるのに。

 

すると、扉の向こう側から人が入ってきた。やっぱりみかん先輩じゃない!でもそれは阿部ちゃんでもなく、全く別の女の人で、私は姿勢を低くして机から覗くようにする。

 

その女の人は綺麗で、でも子供っぽさも残るようなかわいい様子。髪の毛はボブで茶髪だ。首に社員証がかかってるから多分ソラカラのスタッフさんなんだろうけど....

しばらくすると、両手で顔を覆いバタバタし始めた。なんというか『っん〜!』って悶える感じだ。

 

 

どうやら部屋の隅にいる私には気づいていないようだ。

 

 

人見知り発動中の私は話しかけられずにずっと様子を見ていた。なんだか面白い。なんか私が初配信でレン先輩にコラボ誘われて恥ずかしくなった時と似てる気がする。推しに反応して貰えた時みたいな。嬉しさと恥ずかしさの気持ちの交差点。表現しきれずに溢れ出す感じ。

 

その瞬間、私と女の人の目線はぶつかった。目が合った。驚きの顔をする女の人。

 

お互いの恥ずかしさがMAXに達する、その瞬間私は顔を逸らし、紛らわそうとする。

 

その女の人は私と同様に顔を逸らすのは確認したが、その次の瞬間に部屋を飛び出て行ってしまった。

 

「い、今のは一体なんだったんだ....」

 

しばらく、ぼーっとする時間が続く。

 

するといきなり扉が開き、「みうちゃーん?!」とみかん先輩が飛び込んできた。

 

「こ、こんにちわ、リアルで会うのはお久しぶり、です。」

 

「やほやほ、みうちゃん!なんか少し痩せた?」

 

「たぶ、ん?最近ダンスのレッスンが始まったんで。」

 

「そっかそっか、もうすぐだったね3Dお披露目!」

 

「はい、と言ってもまだ1ヶ月ありますけどね。」

 

「1ヶ月なんてあっっっとゆーまだよ!」

 

「そ、そうですか?あ、でもVTuber初めてから時の流れが早くなった気がします。」

 

 

 

 

「みうちゃんは最近楽し?」

 

 

 

 

「っえ...?もちろん楽しいですよ?」

 

 

なんでそんなこと聞くんだろ。後輩だから?私がまだ子供だから?まあ、楽しいことに違いは無いけど...

 

 

「....ならよかった!たまにね?ほんとたまにだよ?レッスンで頑張ってるとこ後ろから覗いてるんだよ?気づいてないでしょ」

 

「えぇ!?ほんとですか!?気づかなかった...」

 

「あのあれ、よく言うじゃん?後方腕組み?ってやつしてるの。『うんうん、頑張ってるねぃ。』って」

 

「恥ずかしい...。」

 

「なんか困ったら頼ってよね!先輩だからね!いつもとは言えないけどちゃんと見てるから」

 

「は、はい!」

 

「それはそうと、昔を思い出したよー。色々大変だったしね。」

 

「そ、そっか、先輩って2年くらい前からでしたっけ。」

 

「そうそう、VTuberっていうジャンルが出てきた当初だったからさ、最初はみんな3Dモデルスタートで普段の生活からすっごく意識したよ。」

 

みかん先輩は約2年前、VTuber黎明期と言われる時代から活動していて、ソラカラの地位をここまで押し上げた張本人であることに間違いは無い。VTuberの道を作ってきた人だ。私はこの人の作った道の上を歩いていると考えると少し嬉しく思うと同時にそんなすごい人と一緒に仕事をしていることに感動を受ける。

 

「みかん先輩のお話は聞けるって、偉人の言葉を聞いてるみたいです。まあ、ソラカラの偉人ですけど。」

 

「嫌だな〜もう、偉人だなんて。まあ、そんなこともあるけどー、やっぱりソラカラがここまで大きくなってとても誇らしい気持ちはあるよ。でもVTuberってまだまだ一般には浸透してないところあるでしょ?だから、そういう私のことをまだ知らない人たちにも知ってもらってライブや配信を楽しんでもらうのが今のところの目標なんだ!」

 

私だってVTuberになって今の目標はライブで見てくれてる人を笑顔にすることだけど、みかん先輩はまだ知らない人達までに自分を見せようとしている。似てるようで私にとっては遠い目標。

 

「す、すごい。やっぱり見てない人からするとまだVTuberってなんだ?って感じですもんね。」

 

「そうそう、リア友でも知らない子はいっぱいいるし。まあ、ソラカラ教えると身バレしちゃうかもだからなかなか布教はしないんだけどね。」

 

「リ、リア友...(ななちゃん含めて3人しか居ねぇ)」

 

「ん?どうかした?」

 

「い、いえ、なんでも...ないですぅ...」

 

リア友少ない方が身バレしないしいいよね!配信に時間使えるし!外に出なくて済むしね!....うん。

 

「あ、あ、そうだ!先輩は今日は何してるんですか?」

 

「あー、えっとね、今日から新しいマネちゃんが就く事になってね?それの挨拶というか引き継ぎというか。なんというか、私って初心者向けらしいし。色々言ってくれるからやりやすいって前のマネちゃんは言ってたよ。」

 

「へぇ、新しい人はどんな人だったんですか?」

 

「他のところから異動になってきたらしいんだけどね、最初だからすごい緊張してたよ。初配信の時のみうちゃんみたいにね。」

 

「っな...!」

 

今日一日で初配信のことを2度も思い出させられるなんて...

 

...ん?なんかさっきその状態の人見たぞ...?

 

「ってか、その人ボブで茶髪の人でした?」

 

「う、うん?そうだけど...なんで?」

 

「い、いえなんでもないです!」

 

やっぱあの人か。みかん先輩のマネちゃんだったか。ま、まあ、私には関係ないし?さっき見た事は無かったことになるよね?

 

「あ、そろそろ時間だ!戻らなきゃ。じゃあねみうちゃん、楽しかったよ!」

 

「あ、はい!楽しかったです!ありがとうございます!」

 

みかん先輩はそう言って部屋を出ていった。話すだけでおもしろいなみかん先輩は。もうソラカラは彼女だけで回せるんじゃないか?

 

私もあんな感じになりたいなー。そんなビジョン全く見えないけど。

 

そこでまた、ノックが聞こえ部屋のドアが開く。

 

今度こそ阿部ちゃんだった。気がついたら時間がミーティングの時間になっていた。そんなに時間は経ってないように感じるけどな。

 

「こんにちは、美海さん。」

 

「こんにちは。あの、メッセージ見てもらえました?」

 

「メッセージ...?ああ、あの行きたい場所ありますかってやつですか?」

 

「は、はい!」

 

「どうしてまたそんな質問を...?」

 

「そ、それは...日頃のお礼にたまには一緒に遊べたらなー...なんて思ったんですよ。」

 

「はぁ...あのですね?私は仕事で美海さんのことをサポートしているんです。しかも、最近は美海さんはダンスやったのレッスン、配信、学校で忙しいでしょ?スケジュール的にも厳しいものが...」

 

「だ、ダメってことですか?」

 

「...いいえ、来週の日曜日だけ確か何も予定無かったはずです。美海さんも私も。」

 

「ほんとですか!?」

 

「はい。その日ならまぁ夜遅くならなければいいでしょう。ただこの日はちゃんと休息の日として取っていたのであまり無理な遠出は出来ないですが...」

 

「やった!!遊びに行ける!」

 

「ちゃんとレッスンや配信、勉強もしてくださいよ?」

 

「はーい!わかりました!」

 

よし、これで阿部ちゃんに日頃心配かけているところを取り返すぞ!

 

「美海さん、ミーティング始めますよ?」

 

「は、はい!今日はなんかあるんですか?」

 

「はい、案件です。」

 

「案件ですか...へ?案件?」

 

 







次回!初案件!



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