僕のヒーローアカデミア WE ARE LETHAL PROTECTOR! (のろまな怪獣)
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No.1 プロローグ

ヴェノムハイイゾー!



江都辺(えとべ) (りく)くんだね?」

 

「…誰だ?あんた」

 

「私はヒーロー公安委員会の者だ。君をスカウトに来たんだよ」

 

「スカウト…?」

 

男は"オレ"に手を差し伸べる

 

頭のない死体の真ん中に突っ立っている血まみれの俺にだ

 

「…いいのかよ、ヒーロー仕切ってる人だろ?」

 

「この世界を守るために君が必要なんだ。それに君、調べたところ悪人しか殺していないだろう?」

 

俺たちは血溜まりを歩き出す

 

「…俺たちは飢えてるんだ」

 

「俺たち…?」

 

「俺たちは…あの日以来ずっと腹が減るんだ。頭も痛くて…体も冷えて。……そしたらこいつらが"オレたち"に襲いかかってきた。この人たちだけじゃない、他にも…大勢…」

 

俺たちの喋りに異常に気づき、後ずさりするヒーロー公安の会長

 

「俺はあいつと約束したんだ、悪いやつしか食べたらダメだって…人を殺したやつや苦しめているやつだけしか食べたらダメだって。"オレ"はそれを受け入れたが…食える量が少ない」

 

自分の手を見つめ、その汚れた手を公安の男に向けて差し出す

 

「……オレに食事を用意してくれるんだよな、飛びっきりの悪人を用意してくれよ。俺は悪いやつを減らせるなら…それでいい」

 

その時の俺たちはどんな顔してたんだろうな

 

きっと素晴らしい笑顔だったはずだ

 

 

 

突如人間に発現した超常的な能力"個性"

 

その力は生まれつき備わっており、ほぼ4歳までに発現し、両親どちらかの“個性”、あるいは複合的な“個性”を宿すことが多い。

 

そんな力を悪用し、自分のために使う者"敵"

 

そんな力を善用し、他を救う"英雄"

 

だが"敵"の中には"英雄"のような奴がいる

 

ヒーローじゃないが人を救い、世の中変えようとするやつが

 

その逆もまた然り

 

"英雄"だが"敵"のような奴がいる

 

ヒーローになったが人を騙し、私腹を肥す大馬鹿が

 

「もうそろそろ時間だな、ほら起きろ」

 

「腹が減って死にそうだ」

 

「今日は1件だがその分フェネルチルアミンの量は多いぞ。腹いっぱいになれる」

 

「そりゃ楽しみだ。最近はあんまり暴れてなかったからな」

 

相棒は高らかに笑い、首を伸ばしながら舌なめずりをする

 

「陸!あいつらだろ、帰ってきたな!!」

 

「荷物がたんまり。いかにも作戦前夜って感じがする」

 

「その作戦は無駄になっちまうがな」

 

月明かりもない真っ暗な夜、俺たちは動きはじめる

 

よく言うだろ?毒を以て毒を制すって

 

俺たちはその中でもトップクラス、猛毒だ

 

猛毒を以て毒を制すのさ

 

「行くぞ、相棒」

 

「あぁ、一気に行こう」

 

これは

 

俺たちが最悪最凶のヒーローになる物語

 




プロローグはオールマイトとオールフォーワンの戦い前の予定なので大体、本編開始5、6年前

レディ・ナガン逮捕の少し前にしたいです

詳しいことが分からなかったためオリジナル設定てんこもりもりです

レディ・ナガンとは同期、今作のヒロインにしようとしてます

以上!

温かく見守ってください……


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No.2 血塗れた手

物語を書くのはやはり難しいですね
でもその分楽しいので頑張っていきまーす!


「はぁ〜…お疲れ、相棒」

 

「気にするな、オレは腹と欲を満たせた」

 

仕事を終え、公安本部へと戻った江都辺は自販機前にあるベンチに座って相棒と話す

 

「それよりお前、またナガンの仕事を変わりにしてただろう?なんでだ?」

 

「お前の食いたい、暴れたい欲を満たすためだろがい!!!って言いたいとこだが……」

 

江都辺はコーヒー缶の中身を一気に飲み干し、潰してからゴミ箱に放り投げる

 

「…ナガンさ、最近元気ないんだよ。なんか悩んでるっぽい。だから最近のあいつの仕事は全部俺が貰ってんの」

 

「お前に女の悩みを解決できるとは思えんがな。縁もゆかりもなかったお前に」

 

相棒は笑いながら江都辺を煽り、それに対して江都辺は額に青筋を浮かべる

 

「よし表出て来い。ボコボコにしてやる」

 

「お前には無理だ。オレは強い」

 

「何してんだ?お前…」

 

2人の喧嘩が始まる直前、髪を下ろしたレディ・ナガンが現れる

 

「うお!?や、やぁナガン」

 

「でけェ声でわーわーと…もっと静かに話すか部屋にいきな」

 

「ごもっともです…」

 

「相変わらず気の強い女だ」

 

「……なぁ、お前は…この仕事を続けて何になると思う?」

 

「な、なんだいきなり」

 

「いいから答えてくれ」

 

(あぁ、やっぱり…)

 

虚ろな目で外を眺めながら、江都辺に質問するナガン

 

その目の下には大きな隈、ほんの少しだが頬が痩けていた

 

「お前、すっごい優しいな」

 

「…おい、質問に」

 

「正直に言ってなんにもならんな。薄っぺらく、脆い世界。それを維持するのがオレ達の役目だが…正直こんなの続けたところでいつか崩れ去っちまう」

 

自販機で新たに購入したオレンジジュースをナガンに向けて投げる

 

「だがこの事実を世間に流せば、この超人社会は一気に瓦解するだろう。オレ達にはどうすることも出来ない」

 

江都辺の相棒がそう言うとナガンは下を向き、オレンジジュースのペットボトルを強く握り締めていた

 

「ナガン、手が汚れてると思ってるのか?心配するな、その手は汚れてない」

 

「汚れてない…?ふざけたこと言うな!!」

 

レディナガンはペットボトルを地面にたたきつけ、下を向きながら江都辺に近づき胸ぐらを掴む

 

「綺麗事言いやがって!!吐き気がするんだよ!!お前も所詮は…!!」

 

「俺は…"俺たち"はもう戻れない」

 

江都辺は優しく微笑んで震えるナガンの手を優しく掴み、ゆっくりと下ろした

 

「お前は"俺たち"と違う、まだやり直せる。いいか、明日でも明後日でも…なんなら今すぐにでも会長と話つけに行くぞ。この薄汚れた闇を知ってるお前にしかできないことがある」

 

「私は…私は…」

 

そう話していると突然会長から呼び出される

 

「…はい、もしもし」

 

『急で済まないが、来てくれ』

 

「ちょうど良かった!オレ達もお前に話したいことがあったんだ!ナガンを連れて行ってもいいか?」

 

『…君のそばにいるのか?丁度いい。彼女も呼ぼうとしていたんだ。そのまま連れてきてくれ』

 

「わかりました。今向かいます」

 

電話切り、江都辺は床に座り込んだナガンを優しく立たせる

 

「話つけに行こう。ナガン」

 

「もしわかって貰えなかったらオレ達が何とかしてやる」

 

 

 

 

〜ナガン said

 

出会った頃からこいつはおかしい奴だった

 

いつもブツブツとなにか喋ってる

 

なのに戦闘スキルが高く、私の攻撃もいとも簡単に避けちまう

 

「お前、近づかれたら弱すぎる」

 

「そうだなぁ、今日は体術をメインに鍛えてもらおう」

 

同じ声なのに、同じ顔なのに

 

まるで2人いるみたいに 

 

厳しい言葉をかけてきたと思えば今度はアドバイスをしてくる

 

イカれたやつだと思ってた

 

月日は流れ、私がヒーローとして人々から慕われるようになった

 

私はヒーローとして、ヒーロー社会の調和を保つ部品として

 

戦い続けた

 

正しいことをしていると自分の心に言いつけながら

 

だがある日

 

「レディー!握手してー!!」

 

「おーう、特別だぞ」

 

小さな子供たちにいつもと変わらず握手をしようとした

 

その時

 

私の手は酷く汚れていた

 

血まみれだった

 

私はすぐさま手を引き、その場を去る

 

家に帰って、何も無い部屋で、一人暗い中、手を洗い続ける

 

「落ちない…落ちないっ!!!」

 

シャワーに入った

 

風呂にも

 

でも落ちない

 

その汚れは私に染み付いていた

 

もう二度と落ちることがない、私が犯してきた罪の証

 

私は1人、部屋の片隅で座り込む

 

「……疲れた」

 

窓から見える外の光

 

今日見た子供の笑顔

 

それら全ての脆さに目眩がした

 

「偽りの…世界…」

 

私は立ち上がり、公安本部へと向かった

 

話をしに行こう、会長と

 

それでもうやめにしよう

 

「欲を満たすためだろがい!!!って言いたいとこだが……」

 

そう思って本部の中へとはいると、自販機の方から声が聞こえてきた

 

江都辺だ

 

最近あってなかったがやつはまた一人で話している

 

「ナガンさ、最近元気ないんだよ。なんか悩んでるっぽい。だから最近のあいつの仕事は全部俺が貰ってんの」

 

その言葉を聞いて驚いた

 

なんでそんなことする?

 

おまえは辛くないのか?

 

この仕事になんの不満もないのか?

 

気づいた時には江都辺の後ろに立っていた

 

そして質問していた

 

お前はこの仕事を続けて何になると思う?って

 

「正直に言ってなんにもならんな。薄っぺらく、脆い世界。それを維持するのがオレ達の役目だが…正直こんなの続けたところでいつか崩れ去っちまう」

 

あぁ、やっぱりそうか

 

「だがこの事実を世間に流せば、この超人社会は一気に瓦解するだろう。オレ達にはどうすることも出来ない」

 

何も出来ない、何にもならない

 

それなら一体私は何をしてるって言うんだ

 

なんのために戦ってたんだ…!

 

受け取ったオレンジジュースをにぎりつぶす勢いで力を込めていると江都辺は私の手は汚れてないと言った

 

「汚れてない…?ふざけたこと言うな!!」

 

声を荒らげ、ペットボトルを地面にたたきつけた私は下を向いて江都辺の胸ぐらを掴む

 

「綺麗事言いやがって!!吐き気がするんだよ!!お前も所詮は…!!」

 

顔を上げた瞬間、私はハッとする

 

「俺は…"俺たち"はもう戻れない」

 

やつの顔は微笑んでいるにもかかわらずどこか悲しい顔で、私の手を優しく掴んで下ろす

 

「お前は"俺たち"と違う、まだやり直せる。いいか、明日でも明後日でも…なんなら今すぐにでも会長と話つけに行くぞ。この薄汚れた闇を知ってるお前にしかできないことがある」

 

その言葉にわたしは座り込んで頭を抱えた

 

「私は…私は…」

 

江都辺の言葉が私の中でいっぱいになる

 

こんな私でも…まだヒーローになれる…?

 

闇を知ってる私にしかできないことなんて本当にあるのか?

 

「話つけに行こう。ナガン」

 

「もしわかって貰えなかったらオレ達が何とかしてやる」

 

その言葉と江都辺の大きな手が

 

私の不安の塊をどかし

 

私の心に光となって差し込んだ




次回、会長死す!デュエルスタンバイ!


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No.3 オレ達

ヴェノム・リーサルプロテクターを読み直してるんですけどやっぱりヴェノム最高だ


会長の元に近づく度にナガンの息が荒くなる

 

「ナガン、落ち着け。深呼吸しろ」

 

「で、でも」

 

「絶対だ。俺達が絶対守るから」

 

「大船に乗ったつもりでオレ達の後ろにいろ」

 

俺たちは手を握り、会長の部屋の扉を開けた

 

会長はいつも通り笑顔で俺たちに話しかけてくる

 

「2人とも、よく来た」

 

「オレの時間を無駄にするなよ?今から家に帰って録り溜めてたバラエティ見るんだ。箱買いしたチョコレートを食いながらな」

 

「……今回の仕事なんだが」

 

「ナガンを公安直属ヒーローから個人事務所のヒーローにして欲しいです」

 

会長の話を遮り、江都辺が大きな声で言い放ったその一言で場の空気が一変した

 

「辞めるということかね?」

 

「あぁ、ナガンは辞める」

 

「そうか…だが辞めるということが何を意味するか知っているだろう?」

 

会長は懐に手を入れ、何かを触るがそれよりも早く江都辺は胸ポケットからUSBメモリを取りだし、ニヤリと笑う

 

「それをさせない為に俺達がいます」

 

「これの中には今まで俺達が殺してきた奴らについての情報とそれを俺達に指示したあなたの声が入ってます」

 

「なっ!?」

 

会長と共にナガンも驚き、江都辺の肩を掴んだ

 

「江都辺、お前」

 

「ナガンは黙ってな。オレ達の要望が飲めないのならこれを今すぐ流出する。さぁどうする?賢いアンタならわかると思うがこれが出回れば…日本は一体どうなるだろうな?」

 

USBを見せびらかす江都辺に対し、会長は額に青筋を立てて怒鳴った

 

「1人のために大勢を捨てるのか!!」

 

しかし、江都辺は表情を変えずに言い放つ

 

「いずれ崩れる世界ならいつ壊れたって同じだろうよ」

 

会長の顔は怒りから焦りへと変わり、江都辺を睨みつける

 

「ナガンが抜けた分、俺達が倍以上に働きます。だからお願いします」

 

深々と頭を下げるが会長は懐からスイッチを何かの取り出し、押し込む

 

すると突如として壁が開き、その中から銃が出てくると同時に江都辺の頭と胸を撃ち抜いた

 

「江都辺ッ!!!」

 

ナガンはすぐさま個性を発動し腕をライフルのように変形させ、会長目掛けて自分の髪の弾丸をを放とうとするが自分の体に赤いポインターが当たっていることに気がつく

 

「動かない方がいい。それはタルタロスにある銃と同じものだ。少しでも動けば足や腕、最悪江都辺と同じように頭が吹き飛ぶ」

 

会長は頭を書きながら机の上に置いてあるものを床に叩きつけて叫び始める

 

「はぁ…江都辺、君には失望したよ。やはりその正義感が君の価値を落としていたようだ」

 

「会長…お前!!」

 

「ナガン、君の様子は漏らさず全て知っているんだよ。家やパトロール中を含めて全て…様子がおかしかったからね。君には…消えてもらおうと思ってたんだよ」

 

「お前…江都辺を呼んだのは私を殺させるためか」

 

「あぁ、でも彼も道具にはなりきれてなかったみたいだ。幼い頃から育てたが…やはりダメみたいだな」

 

「道具だと…!?」

 

「いいかい?君たちは道具、この世界の均衡を保つための歯車なんだ。自我を持っちゃいけないよ。君たちは私の言う通りにしてればいいんだ」

 

ナガンは絶句した

 

自分たちは人ですら思われていなかったと

 

初めてスカウトされ、自分のこの個性を

 

コンプレックスだったこの腕を褒めてくれた彼は

 

ナガンたちをものだと言ったことに

 

「ふ…ざけるなぁああ!!」

 

会長に狙いを定めた瞬間、肩と足を撃ち抜かれる

 

「うぁっ…!」

 

「…2人もかけてしまった。また新しい部品を用意しなければ…」

 

「その必要はねぇな」

 

どこからともなく聞こえる声

 

「何だ…?」

 

「頭と胸撃ちやがってこの外道が」

 

「なんで生きてる?」

 

会長が振り返るとそこには何事もなかったかのように立つ江都辺の姿があった

 

「…あんたは言ったよな、この世界を守るために俺が必要だと」

 

「お前の個性は増強系の個性のはずだ!初めてあった時も、検査でもお前はそのパワーで…」

 

会長は思い出す

 

検査中に突如苦しみ出した江都辺が装置を破壊し、その後の検査で増強系の個性と診断されたこと、そして初めてであった時、敵たちが頭や内蔵が原型をとどめないほどの力で吹き飛ばされていることを

 

「オレは…飢えてる。そして救いたいんだ。この美しく、素晴らしい世界を」

 

江都辺の体に黒い粘液のようなものがうねりだし、会長の首を掴んで壁に叩きつける

 

「がはっ!…な、なぜ銃が反応しない!?」

 

「オレは個性じゃないからな!!!」

 

今度は会長を床に叩きつけて、顔の近くまで持ってくる

 

「あんたを信じてた。俺のやってる事には意味があると言い聞かせてた」

 

次は扉、そして最後に天井にたたきつけたあとに江都辺の顔の前に吊り下げられる

 

「ぐぅ…がはっ……」

 

「おいおいどうした?随分苦しそうじゃないか?」

 

「お前は…なんなんだ……」

 

「俺…オレは…いや、俺達は」

 

江都辺の周りから出ていた黒い粘液は江都辺を包み込む

 

「うぁ、あぁあ…」

 

江都辺の体はひとまわりふたまわり大きくなった

 

顔には鋭く大きな牙と大きな目が会長を睨みつけている

 

筋肉質な漆黒の体には白い筋が走り、手は会長の頭を包めるほどの大きさに

 

「だ、誰か!!!助けてくれぇ!!」

 

「会長、貴方には育ててもらった恩がある。でも、そんなもんでカバーできないほどあんたはクズだ」

 

顔が半分江都辺になるがすぐさま黒い粘液に包まれ、会長の顔を長い舌で舐める

 

会長は恐怖し、必死に逃げようと抵抗するがその太い腕をどうにかできる訳もなく

 

「目ん玉に肺、膵臓……ハハハ!ご馳走だらけだ。一気に行こう」

 

「ま、待て!!待ってく」

 

口が裂け、会長の頭は包み込まれた

 

グチャリ、バギバキ

 

酷い音を立てながら

 

「江都辺…?」

 

「…いや、違う。俺達はヴェノムだ」

 

長い舌で顔の周りを舐め、ナガンを担ぐ

 

「うわっ、何すんだよ」

 

「逃走する」

 

顔が再び半分に割れてヴェノムから江都辺の顔が現れる

 

「言う通りにしてくれ、ナガン。俺達は会長を殺した、たまたまその場にいたお前を人質にして俺達は公安から逃走」

 

「待て!それじゃお前だけが悪人に!!」

 

「気にすんな、オレ達は前の生活に戻るだけだ」

 

「ダメだ、私も」

 

ヴェノムはナガンの口を塞ぎ、背中に貼り付けて窓から飛び出す

 

手で壁を削りながら下に降り、ビルに飛びつきながらヴェノムは逃げ出す

 

「ナガン、お前は希望になるんだ。公安みたいなクソちっちゃい檻の中にいるべきじゃねぇ。それに俺たちみたいになって欲しくない」

 

何かを必死に訴えかけているがそのままスルーし話し続ける

 

「この先曲がったらお前を降ろしてオレ達は下水道に」

 

次の壁に乗り移ろうとすると赤く燃え上がる炎が横切った

 

「ぎゃあああああ!?」

 

「見つけたぞ、敵!!」

 

「俺たちの天敵…火だるま親父の登場だな」

 

空からエンデヴァーが派手に着地し、あまりの熱でコンクリートの形が変わっていた

 

「レディ・ナガンを解放し今すぐ投降しろ」

 

「嫌だと言ったら?」

 

「貴様をここで燃やし尽くす」

 

「ハハ、ヒーローとは思えねぇセリフだ。オレ達には人質がいるんだぜ?」

 

ヴェノムは悪役に徹するため長い舌で背中に貼り付けていたナガンを前に移動させ、顔を舐める

 

「貴様ッ…!!」

 

「そんなにこいつを返して欲しいか?なら…」

 

オレ達はナガンを粘液で拘束したままエンデヴァーに向けて投げる

 

「じゃあな、ナガン」

 

拘束している粘液の一部を口に変え、耳元で囁く

 

ナガンは見事、エンデヴァーにクリティカルヒットしヴェノムは路地裏へと消えていく

 

「くっ!待て!!」

 

エンデヴァーはナガンの拘束をとき、急いで路地裏へ駆け込む

 

壁が傷つく音は聞こえるがその姿は完全に闇と同化しており、やがて聞こえていた音も闇へと消えていった




エンデヴァー、プレゼントマイクとか天敵しかいないなヒロアカ世界


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No .4 噂の怪物

前回、感想でキャラ紹介文を求めている人がいたのでもう少ししたらまとめて出そうと思います

感想ありがとうございます。これからもどんどんお願いします

そして今回から話は一気に進んで本編のUSJ編までぶっ飛びます


―ねぇ知ってる?

 

―悪いやつの頭を食べちゃう怪物のこと

 

―絶対に悪いやつ、しかも飛びっきりの悪いやつしか襲わないんだって

 

―例えば殺人鬼とか…ね

 

「うわぁあああああ!?」

 

深夜、誰も通ることがないであろう路地裏に男の悲鳴が響き渡る

 

男は逆さまになりながら目の前の"怪物"から逃げようとじたばたしている

 

だがまるで大木のような太い腕が男の足を握っていたため無意味に終わる

 

「人のカバンを奪って挙句の果てに持ち主の彼女に襲いかかろうとしたな?お前みたいなやつは人間のクズだ。生きている価値はないよな?」

 

「や、やだぁ!!助けてくれぇえ!!」

 

男の命乞いに対してヴェノムは長い舌で男の顔を舐め回し、笑いながら誰かに話しかける

 

「なぁ、こいつの頭を引きちぎってバスケでもしよう。ドリブルで顔の原型が無くなるくらいにボコボコにしてやろう!」

 

「ストップだ、ヴェノム」

 

頭を掴んだ瞬間、ヴェノムの中から江都辺が話しかける

 

「なんだ?こいつも食わないのか?」

 

「あぁ、俺らが食べるのは人を殺したやつだけだ」

 

「そうか。こういうのは食った方がいいと思ったが…わかった」

 

ヴェノムは男の鼻の中に触手を突っ込み、気絶させる

 

「これに懲りたらもう二度と女性に近づくなよ!ケダモノめ!!」

 

そう言うと男をゴミ箱へ放り込み、カバンを拾って近くに座り込んでいた女性に渡す

 

「もう心配ない、君のカバンは無事だ。なぁに、気にする事はない。当たり前のことをしたまでさ。もうこんなところを歩くなよ?」

 

ヴェノムは女性の頭を優しく撫でて、壁に爪を立てながら闇の中へ姿を消した

 

「……き、き、キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

深夜、裏路地から再び叫び声

 

しかも今度は女性の声が響き渡った

 

 

「悪いやつは山ほどいるが…殺人を犯すやつはなかなかいないな」

 

「オールマイトがいるからなぁ、あの人のおかげで日本の犯罪率は6%をキープ出来てるんだ」

 

あの後、江都辺とヴェノムは近くで1番大きなビルの屋上で食事をしカバンを枕にして星を眺めていた

 

「それだけじゃない。オレ達が未然に防いでるおかげだろ」

 

「俺達とナガン、あとホークスだな。彼らは優秀だ。あそこにいた頃の俺達よりな」

 

そう言って江都辺がコーヒーを飲もうとした瞬間にヴェノムが江都辺に頭突きをする

 

「っだぁ!?」

 

「そんなことないだろ!オレ達は最強だ!!オールマイトがなんだ!ナガンやホークスは確かに優秀だが…オレ達には及ばない!!」

 

「あのなぁ!!だからって頭突きすんな!痛てぇ…!」

 

「決めたぞ!!明日は悪い奴らを沢山捕まえてヒーロー事務所の前に山積みにする!!」

 

「わかったわかった…けどその前にナガンの様子見に行こう」

 

「なんだ、久しぶりに名前を出したから寂しくなったのか?それとも嫉妬か?」

 

「…どっちもかな」

 

「お前はもっとグイグイいけ。戦いの時はグイグイ行くのに恋になったらこうだ」

 

「うるせーな!寝るぞ!」

 

「すぐはぐらかすのも良くないところだぞ、陸」

 

ヴェノムはニヤニヤ笑いながら陸の中へと入り、2人は眠りについた

 

 

 

 

ー翌朝ー

 

「さぁ朝だ!悪人に裁きの鉄槌を下そう!」

 

「うっし、じゃあまずは…もしもしおばちゃん?」

 

江都辺が連絡をかけたのは新たなヒーロー公安委員会の会長

 

『何かしら?』

 

「裏で敵…つっても有象無象のチンピラたちが動き始めてる。数減らしつつ情報引っ張り出して公安にポイポイしてくからよろしく頼む」

 

『は?ちょっと待』

 

ブチッと携帯の電源を切り、ヴェノムはビルから降りて下水道へと入っていく

 

「頭を食ってもいい社会不適合者の愚か者は何人いるかな?」

 

「んー…今回は様子見だが人を殺してる奴がいたら食ってもいいさ」

 

「それは楽しみだ!!」

 

マンホールを蹴り飛ばし、チンピラ達のたまり場に到着し壁に張り付き、中を覗き込む

 

「…そろそろだな」

 

「あぁ、ワクワクするぜ」

 

「しかもガキ共を殺すだけの楽な作業!!」

 

「チンピラ達の数は14人。見た感じ分かるのは異形2人、発動7人…残りは変形か?」

 

陸が分析しているとチンピラ達は粉のようなものを吸って、ソファに座り込んでワイワイと騒ぎはじめ、ヴェノムはそれを見て顔をしかめる

 

「おいあれ見ろ、陸。吸うとハッピーになれるヤバいのでエンジョイしてるぞ」

 

「あぁ、あいつらの頭だけは食わないでくれ。俺の頭までパッパラパーになっちまうよ」

 

「あいつらの脳みそはソニーとシェールより小さそうだ」

 

2人が話しているとはしゃいでいるチンピラたちの前に黒い渦が現れる

 

「来たァ!行くぞお前ら!!」

 

「「「おぉぉおおお!!!!」」」

 

「おっともう移動の時間か、オレ達も行くぞ!」

 

ヴェノムは窓ごと壁をぶち破りチンピラを追いかけその渦の中へ突っ込む

 

「いいか、なるべく殺すなよ!とっ捕まえて…」

 

「情報を吐かせて刑務所へぶち込む!そうだろ?」

 

「あぁ!その通り!!」

 

渦の中を抜けると岩肌の見えるまるで山岳地帯のような場所に出る

 

「……天井があるな。なんかの施設か?」

 

辺りを見回すと先程の敵達が女2人、男一人を囲っているのが見えた

 

「愚かなヤツらめ…ぶっ飛ばしてやる!!」

 

地面がえぐれるほどの力で大きく跳躍し、"残虐な庇護者(リーサル・プロテクター)"は3人の前へと降り立った

 

 

 

 

ーヴェノムがくる少し前ー

 

「うぉっ!!っぶねぇ!マジで!!今三途の川見えた!!」

 

「上鳴あんた…!うだうだ言ってないで交戦して!!」

 

「いや、俺の個性見たろ?戦闘訓練ん時!俺のは"纏う"だけであって"操作"は出来ねぇの!2人まで巻き込んじまう!」

 

「くっ…数が多いっ!」

 

「2人とも!なるべく離れないように!!」

 

3人が敵と距離を取り、気づけば壁際まで追い込まれていた

 

「おいおい…大人しく殺されな?」

 

「足掻くだけ無駄なんだ、大人しく俺らのされるがままに…なっとけぇ!!」

 

1人の敵がのこぎり状の剣を3人に向けてふりかざし、2歩、3歩と近づいた瞬間

 

3人の視界が黒く染る

 

「なっ!?」

 

「うわっ!」

 

「び、びびったぁあ!!」

 

筋肉質な黒い体、こちらをみる白い眼、鋭く歯並びの悪い牙

 

それを見て上鳴がハッとしたように話し始める

 

「も、もしかして路地裏に出るって言う噂の怪物…!!!」

 

ヴェノムは上鳴に近づき、頭を撫でる

 

「よく持ちこらえたなお前たち。もう大丈夫だ」

 

「え、あぁ…」

 

「3人相手、しかも子供に大人が雁首揃えて…情けなくてみてられないぜ」

 

ヴェノムは敵たちの方へ向き、呆れた顔でそう言った

 

「なんだテメェ…バッ!?」

 

剣を持っていた敵は再び歩み寄せるが顔面に黒くて大きな拳がめり込み、来た道をそのまま吹っ飛んでいく

 

「オレたちは…ヴェノム、"残虐な庇護者(リーサル・プロテクター)"だ!!」

 

 




なんで新しい公安会長と話しているのかはキャラ紹介文の時に全部まとめて書いて出そうと思います


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No.5 BAD DAY

今回はヴェノムがたくさん暴れます
そして戦闘シーン書くのってやっぱり難しい
駄文ですがお許しください……


「お前たちにチャンスをやろう。大人しく投降するなら俺はお前たちに暴力は振るわない。だが攻撃をしてきたら…」

 

「お前ら!!あいつを殺れぇええ!!!」

 

忠告虚しく、敵は大声を出しながら一斉に襲いかかってくる

 

「…ニワトリの方が賢いぞ」

 

ヴェノムは腕をムチのように伸ばして敵たちをなぎ倒しておく

 

「ぐあっ!」

 

「お前らみたいな能無し、食う気にもならん!!」

 

「ふざけやがって…死ね!!」

 

一人の敵がナイフをヴェノムの背中につき立てようとするが背中から飛び出してきた触手に捕まれ、そのまま振り回される

 

「うわぁああああ!?」

 

「ほら避けろ。じゃないと…まとめて死ぬぞ」

 

歯をむき出しににやりと笑うヴェノムにチンピラたちは恐怖し始める

 

「た、助けてくれ!!」

 

「逃げろ!!殺される!!」

 

「はぁ…陸。あいつら逃げられると思ってるぞ」

 

ヴェノムは1人、また1人と気絶させていく

 

異形型だろうが、変形型だろうが、彼の前ではもはやアリ同然だった

 

「すっげぇ…あの数を1人で……」

 

上鳴がヴェノムの戦いぶりに見とれていると襟を耳郎に掴まれ、そのまま引きずられる

 

「うぇ!?ちょい何すんだよ!」

 

「何って…敵同士で潰しあってるうちに逃げんの!」

 

「で、でも俺たちを助けてくれて…」

 

「私たちを守っているとはいえ、ここにいる以上彼は敵です。今は一刻も早く」

 

「おい、そこのポニーテール」

 

気絶した敵を引きずりながらヴェノムは3人に近づき、八百万に声をかける

 

3人は攻撃態勢に入るが、ヴェノムは八百万の目線に合わせるようにしゃがみ

 

「お前、体からものを出してたが…鎖とかロープ出せるか?」

 

「えっ…」

 

「あそこの連中縛りあげておきたい。可能なら出してくれ」

 

「わ、分かりましたわ」

 

言う通りに八百万は鎖とロープを創造し、ヴェノムにそれを引き渡す

 

「できましたわ」

 

八百万がロープと鎖を差し出すとヴェノムは立ち上がって八百万からロープと鎖を受け取る

 

そして八百万が手を引いた瞬間、その手を大きな手のひらで掴んだ

 

「きゃっ!」

 

「八百万!!」

 

「このっ!!」

 

「ありがとう。これはお礼だ、喰うといい。美味いぞ」

 

ヴェノムは体の中から取り出した袋に包まれているチョコレートを3つ八百万の手のひらに置き、敵を拘束し始める

 

3人はぽかんとしていたが八百万が1呼吸着いてからヴェノムに話しかける

 

「あなたは敵…なのですか?」

 

「オレ達は敵じゃない。ヒーローさ」

 

「ひ、ヒーロー!?もしかしてアングラ系の…?」

 

「ならさ、ヒーローライセンス見せてくれない?」

 

「……今は無い。だがいつか必ず証明すると約束しよう」

 

3人はヴェノムを訝しんで見ていたが敵意がないことはわかったため、ヴェノムに協力し始める

 

「今聞いた話をまとめると…ここは雄英の敷地内にある訓練施設、そしてお前たちはヒーロー科の生徒でここに来たが敵どもが襲来。逃げようとするも黒い煙が現れて気がついたらここにいた…と」

 

周辺の安全を確認したヴェノムは3人に近づいて話しかける

 

「今からお前たちをゲート付近まで連れていく。そして可能ならここから出て教員のヒーローを呼んでこい」

 

「貴方はどうするのですか?」

 

「俺達は他の生徒を救出、ついでに黒い煙の個性持ちの捕獲だな。おい、ショートヘア。ここら辺にもう敵は居ないな?」

 

「うん、ここにいる奴らで全員。あと耳郎響香」

 

「あ!俺、上鳴電気!」

 

自己紹介をする2人に八百万は少し驚いていたが渋々口を開き、名前を口にした

 

「……八百万百です」

 

「オレ達はヴェノム!!!耳郎響香、上鳴電気、八百万百…いい名前だ!お前たちはいいヒーローになれる。」

 

ヴェノムはそう言うと3人を触手で掴み、USJの壁を登る

 

「「うわぁあああああ!!!?」」

 

「もっといい運び方はなかったんですの!!!?」

 

「これが一番良い!文句は言うな!」

 

触手を伸ばし、スウィングをしながら移動するヴェノム

 

そして周囲の状況を確認していると中央広場で一人の男が大きな何かに押さえつけられていることに気がつく

 

「お前たち!!予定変更だ!!」

 

ヴェノムはそう言って広場へ向かって急降下し、大きな何かを蹴り飛ばす

 

「ッ!?脳無!!!」

 

「八百万、担架。あと布を作ってこいつの傷口をおさえろ!上鳴と耳郎は八百万が作った担架でこいつを運べ!」

 

ヴェノムは3人に指示を出し、蹴り飛ばした大男に視線を向ける

 

「不味そうな脳みそが丸見えだ」

 

「ヴィエエエエエ……」

 

「なんだよお前、邪魔すんなよ…殺れ」

 

顔に手のひらを着けた白髪の男が殺れと指示すると脳無と呼ばれる大男はヴェノムに迷いなく突っ込んでくる

 

ヴェノムは腕を盾のように広げ、脳無の拳を受け止めるが凄まじい威力が故に吹き飛ばされてしまった

 

「ヴェノムさん!!」

 

「次はあっちだ、脳無」

 

手のひらの下でにやけながら笑う白髪の男に八百万たちは恐怖し、足が竦む

 

そしてゆっくりと脳無が近づき、その大きな手で八百万を掴もうとした瞬間

 

黒い触手が脳無の腕にまとわりつき、動きを止める

 

「オレ達を無視するなよ!まだまだ楽しもうぜ?」

 

ヴェノムはお返しと言わんばかりに脳無の尖った顔をぶん殴る

 

脳無は腕で頭を守り、壁際まで吹っ飛んで行った

 

「俺達が相手するからさっさと行け!!」

 

ヴェノムの声で我に返った3人は相澤先生を担架に乗せ、ゲートの方へ走っていく

 

「脳無ぅ…!!何やってんだよ!!」

 

「お前はうるさい」

 

ヴェノムは白髪の男の首を触手で掴んで地面に叩きつける

 

「ガッ!?」

 

「さぁ、思う存分暴れられるぞ!ここは広い、何より人もいなければ壊れる建物もない!!!」

 

ヴェノムは興奮し雄叫びを上げて脳無に突っ込む

 

そしてそれに反応した脳無もヴェノムに向かって走り出し、お互いの手のひらを合わせて力比べを始めた

 

脳無の力は圧倒的だがそれは一般的なパワー系個性や異形型に比べての話である

 

「どうしたそんなもんか…?」

 

脳無が力を出す度に、それ以上の力でヴェノムは徐々に脳無を押し始めていく

 

「HAHAHA!!もう出ないのか?自慢の超パワーは!!」

 

ヴェノムは背中から触手を伸ばし、脳無の首、腰を掴み、そのまま持ち上げ天井に向かって吹き飛ばす

 

「地面にぶっ刺さっておねんねしてな!!!!」

 

そして腕と足を触手で包み込み、受け身を取れないようにして地面にたたきつけた

 

爆音とともに砂煙が舞い、脳無の姿は見えない

 

「……めんどくさいな」

 

しかし、脳無が再び立ち上がってくることを"感覚"でヴェノムは察知し、再び構える

 

「ヴィエエエエエ…」

 

「ヴェノム、こいつほんとにパワー系か?」

 

「さっきから攻撃で傷一つつかない…いや、ついてても治ってない感じがするぜ」

 

「だとしたら再生系の個性も含まれる異形型って線が濃いな」

 

「チッ!だったら真正面からぶつかるのはやめだ!!」

 

ヴェノムは迫り来る脳無の腕を触手で包み込み、そのまま脳無の背中に貼り付ける

 

「動けなくしてから…喰ってやる!!!」

 

ヴェノムは腕から粘着性のある触手を飛ばし、脳無の腕を固定する

 

脳無はそれを剥がそうとはせずにヴェノムへ突進するがヴェノムはそんな脳無の顔を殴り、口や足、全身を触手で包み込んでいく

 

モゾモゾと抵抗するが触手をちぎることの出来ない脳無は口や目さえも塞がれる

 

「さて、いただくとするか」

 

ヴェノムは動けなくなった脳無を持ち上げ、口を大きく開いてその頭にかじりついた

 

「思った通りだ。クソまずい…今日はとことんついてない」

 

ヴェノムは頭のない脳無を放り投げ、先程気絶させた白髪の男に近づく

 

「おい、お前らの目的はなんだ?なんでこんなアホなことした?」

 

男は完全に伸びており、返事はかえってこなかった

 

「陸、こいつどうする?」

 

「公安に連れていくのはありだな。見たところこいつが首謀者…」

 

頭に触れようとした瞬間、男の下に黒い煙が漂い始める

 

「彼を殺される訳には行かないのですよ、黒の怪物」

 

「そんな枝に服を着せたようなガキなんか喰わない!!」

 

ヴェノムは黒い煙の中にいる白髪の男に触手を伸ばし、体を掴む

 

「貴方は私たちの障害になる…だからここで倒されてください」

 

「ほう?言うじゃねぇか!!お前だけでオレ達を倒せるとは思えないけどな!!」

 

ヴェノムは思いっきり触手を引き寄せ、首元を掴むがそこに居たのは先程の白髪の男ではなく茶髪のショートヘアの少女

 

「あうっ!!」

 

「何っ!?」

 

「では…無事でしたらまた会いましょう」

 

煙はそう言い残し、どこかへ消え去った

 

「チィ!!」

 

ヴェノムが少女を離すよりも早く、横から緑髪の少年が飛び出してくる

 

「麗日さんから手を離せ!!!」

 

ヴェノムはその攻撃を回避し、少年から距離をとる

 

「待て!!俺達は」

 

ヴェノムは事情を説明しようとするも、今度は施設に響き渡る大きな音に遮られる

 

「もう…大丈夫」

 

そして次の瞬間、凄まじい力で吹き飛ばされた

 

「なぜって?」

 

「ぐぅ…本当についてないな!!」

 

ヴェノムの視線の先にはNo.1ヒーローオールマイトがいた

 

「私が来た…!!」

 

そしてその顔に笑みはなく、後悔と怒りが混ざった表情を浮かべていた




Q.ヴェノムのパワー強すぎない?

A.そうでもしないとこの世界では生きていけないと思った

追記 相澤先生は原作と違い、頭を殴られ気絶していますが足や腕はおられていません。目に後遺症は残りますが原作よりマシな感じです


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No.6 平和の象徴VS最悪の怪物

皆様のおかげでランキングに載っていました
本当にありがとうございます!
そして誤字修正してくださった2名の方、感想をくださった方本当にありがとうございました!

そして注意なのですが 僕はリーサルプロテクターというコミック版のヴェノム、そして実写ヴェノム1&2をしか見ていないので原作とかけ離れたヴェノムになってます
ご容赦ください


「オールマイト!!」

 

「緑谷少年!蛙水少女!峰田少年!麗日少女を連れてここからすぐ離れるんだ!」

 

3人に指示を出すオールマイトに対しヴェノムは吹き飛ばされた位置からさらに距離をとる

 

「陸、どうする」

 

「逃げるしかない!当たってないのに吹き飛ばされたんだ、あれを直接くらったら一溜りもないぞ!!」

 

ヴェノムは触手を伸ばして逃げようとするがオールマイトはその触手が天井に張り付くよりも早くヴェノムの腕を掴み、地面に叩きつけた

 

「ぐあっ!」

 

「逃がしはしないぞ!!敵!!」

 

「ケッ!話もせず見た目で決めつけてきやがって!頭にきたぜ!!」

 

地面を抉りとってオールマイトの拳と自分の間に差し込み、威力を弱めたヴェノムは腕を掴んで腹部に拳を叩き込む

 

「悪く思うなよ!お返しだ!!!」

 

「ぐっ!!」

 

オールマイトが痛みで怯んだ隙をつき、ヴェノムは大量の触手でオールマイトを地面に貼り付け、長い舌を出しながら話しかける

 

「話を聞け、Mr.アメリカかぶれ!お前はオレ達に感謝すべきだ!!」

 

「感謝だと!?お前たちのせいで子供たちはどれほど恐怖し、後輩たちが傷ついたか…お前に感謝することなんてひとつもない!!」

 

オールマイトは触手を引きちぎり、ヴェノムの首を掴んで腹部に強烈な一撃を叩き込んだ

 

「ぐぁあ!!!」

 

「痛っつ!!ヴェノム!言い方考えろって!」

 

「何も間違ったことは言っちゃいないだろ!!」

 

2人が言い争っていると再び"感覚"が発動し、ヴェノムはその場から逃げ出す

 

「死ねぇぇぇええええ!!」

 

すると先程までヴェノムがいた場所が氷に包まれ、その次の瞬間爆発が起こった

 

「避けられたか…」

 

「チィ…避けてんじゃねぇぞクソ敵!!!」

 

「おい爆豪!むやみに突っ込むな!!」

 

「うっせ!指図すんなクソ髪!!」

 

新たに3人の少年の追加、そのうち一人ヴェノムの弱点である音と熱を兼ね備えた個性を持つ爆豪勝己の参戦によりヴェノムは窮地に追い込まれる

 

「新手か?嬉しいねぇ…!」

 

「観念しろ、もうすぐでほかのプロヒーロー達もくる。君は逃げられんぞ!」

 

構える4人に対し、ヴェノムは両腕を下ろして姿勢を低くし4人と睨み合う

 

「…いいや、逃げるさ」

 

ヴェノムは地面を力いっぱい叩き、衝撃で浮かび上がった瓦礫を3人の頭上を通るよう放り投げる

 

「SHIT!卑怯者め!」

 

「今日はたっぷり遊んだ。またいつか会おう、オールマイト」

 

ヴェノムはそう言うと水難ゾーンの方向に触手を伸ばし、逃げ出す

 

「待て!!」

 

オールマイトは腕をつかもうと手を伸ばすがヴェノムは腕だけ江都辺の状態に戻す

 

サイズが変わったことによりオールマイトは掴み損ねてしまい、ヴェノムはその様子を見てニヤリと笑った

 

「なっ」

 

「じゃあな、No.1」

 

ヴェノムはそう言い残し、水難ゾーンの渦の中へと飛び込み、姿をくらました

 

 

 

「…あーしんど」

 

「おい!オレ様に感謝しろよ!!」

 

「本当にありがとう…チョコレートとポテト山ほど食いに行こう」

 

あの後、排水管を通して何とか脱出した江都辺は下水道を移動していた

 

「しっかし…オールマイトが来るとは。すごい強さだったな」

 

「ふん、あのガキ達が来なければオレ達が勝ってたさ。次会うときはオレ達が必ず勝つ!!」

 

「もう戦わねーよ。あと子供たちに怪我させないようにしてたよな、ありがとう」

 

「約束だからな、オレは悪いやつ以外喰わないし危害もくわえない!!」

 

そう言うとヴェノムは身体の中へ戻っていった

 

「ヴェノム、今日はゆっくり休んでくれ」

 

江都辺も座り込み、スマホを起動させるが水没したのかうんともすんとも言わない

 

「あー…買い替えか…」

 

コツン……コツン…

 

下水道に足音が響く

 

だが江都辺は構えたりせずに一息着いてから足音の響く方へと声をかけた

 

「よう、元気してるか?ホークス」

 

「やっぱり気づかれてましたか!お久しぶりですね、江都辺さん」

 

「なんでここがわかった?」

 

「いやーHN(ヒーローネットワーク)で情報を見ましてね、"路地裏の怪物 雄英に出現後、逃走。周囲にいる可能性あり"って。江都辺さんの事だし、排水溝から逃げ出して、雄英から少し離れた下水道にいるんじゃないかなとおもいまして」

 

「人をネズミかなんかかと思ってない?」

 

「それと、映像が残っててそこにバッチリ映ってたんで江都辺さん…っていうかヴェノムさん、指名手配っすよこれ」

 

「あーまじかー…」

 

はぁ、とため息を着く江都辺にホークスは真剣な顔つきになってその横にしゃがみこむ

 

「ただ助けに来たってわけじゃなさそうだけど…なんか事件か?」

 

「…実は、先程連絡が来まして」

 

ホークスは懐から2枚の紙を出して、江都辺に渡す

 

「なんだこれ…船か?」

 

1枚目はボロボロの船と車の写真、2枚目には5人の男、3人の女性の写真と名前、個性について書かれたものだった

 

「船と一緒にはられている写真の4名は密航者…全員病院で死亡が確認されてます」

 

「…この人たちは?」

 

「連絡を受けて4名を助けに来た救急隊員です。こちらの3名は死亡、この女性の遺体がなかったことからこの女性が3名を殺害した後、逃走したのではないかということで捜査してるんです。でも…」

 

「個性"点滴"?どうやって3人を殺したんだ?」

 

「…驚かないでくださいよ」

 

ホークスはそう言って携帯を開き、中に入っている動画を見せてくる

 

『おい、息を吹き返したぞ!』

 

『点滴の用意…グギぃ!?』

 

『きゃぁああ!!!?』

 

携帯の小さな画面に映っていたのは密航者の体から銀色の触手が伸び、男性の首をへし折った

 

『いやぁあああ!!』

 

『なんだこれ…うわぁああ!!』

 

次の瞬間、画面が真っ暗になり何も映らなくなってしまった

 

「これは…」

 

「救急隊員が来る前に応急手当をしていた人が密航者の1人が"隕石"や"異形型"と言ってたことを聞いたそうです」

 

ホークスは映像を少し戻し、銀色の触手のところで停止させて江都辺に再び見せる

 

「隕石、異形型、そして粘性のある触手…ヴェノムさんに共通してますよね」

 

「……ヴェノム、こいつもしかして」

 

江都辺がそう呟くと肩からヴェノムが現れ、携帯を覗き込む

 

「間違いない…同胞(シンビオート)だ」




カーネイジのデザイン、映画もかっこよかったが調べて出てきたコミックの絵柄もとってもだいすき


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