好きには不祥がつきまとう (庭顔宅)
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1/すべての始まり、、、の序

…ク………だ……………………ダメですよ?

 

「ハッ………なんだ夢か」

背筋が凍るような寒さが襲った。何かいいものを見ていた気がする、だけど覚えてn………

 

言葉を失った。気がつくとそこは山頂だった。周りには町なんてなくてただ美しい自然が広がっていた。だがちょっとやばいことがある。

なぁに心配するな。ただ目の前に、嵐が迫ってきているだけだ。黒い嵐が………

 

黒い嵐。その中には何か結晶のようなものを含みながら、大地を突き進み続ける。

 

ここで一句

 

気がつくと 嵐すすむわ 我が前に あり得ない景色 終わったかな?(字余り

 

 

さすがこれは俺でもわかる。これ終わるやつじゃん。

 

生き残る方法は、嵐をリーバルトルネードに見た立てて飛ぶ………のはパラグライダーもないし、結晶に当たって死ぬ…………次。

穴を掘る……これだぁ。

 

そう思考したときには動き始めた。手頃な石を探してちょうどいい斜面を探す。

 

 

だが気づいてしまった………

 

かまくらを知っているか?

 

つまりはそういうことだ。素人が作ったものが崩れないわけないじゃん。嵐に耐えられるわけでもないし……

 

 

さすがにこれは俺でもわかる。これ死ぬやつじゃん。

 

僕は考えるのをやめた………死に場を求めてさまよい歩く……

 

 

周りはTHE森だな………木に土に結晶に…………

 

 

 

そういえば転生したじゃん。

 

思い出した!転生じゃん!

 

でもなんの世界だろ?黒い嵐なんてまともな世界じゃないし、それに結晶、、、結晶?

、、、、、、、嘘だぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ《やったぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁ》

 

俺がこれだけの情報から導き出せる世界はただ一つ、、

 

アークナイツ。神ストーリー、神戦闘システム、かわいい、膨大で繊細なストーリー量、美しい、タイツっていいよね、神BGM、ムチム(殴

 

ハッ……お、俺は何を?まぁいい後でだ。

 

まとめると神ゲー以上。

 

まぁ私はもうやってないんですけどね

 

まってくだされ。言分がある。

初期勢ではないが、毎月課金していた。(ハーフ)アニバーサリーでは諭吉を溶かして、限定キャラを確保するぐらいには、ガチだった。

 

神ゲーだ。それはまごうことなき神ゲーだ。ただ一つ。唯一欠点があった。それは、育成難易度。時間がない俺にはダイレクトな問題だった。

何が何でもイベントデイリーしっかりやっていたんだ。でもあるとき、デイリーをやれないほど忙しかった。そこで、一気に萎えた。疲れた。

イベントを忘れて、俺はダメになった。

 

そこで、知ってしまった。知ってしまったのだ。その名は原神インパクト。

 

容量問題。これは、多くの人が直面する問題(殴

 

 

はい。もう言い訳しません。はい。わたしは売国者です。

 

 

そこで俺は考えた。

 

死のう。と。

 

やる気はある。この目でみたいと、マッドロックさんにフロスト姉妹、プラチナにいろいろいっぱいだ。

 

白髪しかいないって?黙れ、はげる呪いをかけるぞ?

 

 

 

考えてみろ、神ストーリーだ。そこに異物が入ってみろ糞になるぞ。おれはいやだ。

 

運良くストーリーが終わってるなら、いい。素晴らしくいい。

 

 

だけど、ないんだ…………

 

アーツがないんだ…………

 

生き残るための力がないんだ………

 

 

使い方もわからない。ここは弱肉強食と差別を体現したような世界だ。俺が生き残れるわけないだろ。

 

もういやだ。弱かったら、推しを見れないんだよ。ご都合主義なんてないんだ……………

 

あははあああああはははっははあああああああけけけけ

 

 

もういい目の前には結晶がある

 

こいつはなぁ、ただの結晶じゃないんだよ。源石(オリジニウム)と呼ばれる死を運ぶ結晶。

 

それは鉱石病(オリパシー)という病気を発症させて最終的に死ぬ。不治の病だ。

 

だが、源石を媒体として行使する技術がある。すなわち、源石を使って。魔法的なる超能力を使う。

 

つまり、こいつは力の源!

 

 

そう、こいつは俺がこの世界を………推しを見るための希望の石だ!

 

だから源石を食べる。

 

力を得るならよし、死ぬのも運命。

 

さぁ主人公補正を出すならここだぞ?

 

一口大の源石を食べる。そこで意識はなくなった。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ


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1/すべての始まり、、、の中

…ク………だ…………………ダメですよ?

 

 

 

「ハッ………………んだ夢か」

 

背筋が凍るような寒さが襲った。何かいいものを見ていた気がするが、やはりよくわからな………

 

気がつくと周りは結晶洞窟だった。

 

周り一面結晶だった。よく見てみるとこれも源石だ。つまりあれは天災だということだね。

 

天災とは源石を触媒として起こる世界各地で頻発する原因不明の大災害。そこには暴風や雪害、洪水や隕石の落下までもが含まれている。つまりあれだ……すごいつだ。

 

そんなことはどうでもいい。私は生きている。つまり、人間やめるぞ、zyozyo~

 

こんどはしっかりと自分の体を見る。

 

……………私はホモサピエンスでも、BL好きではない………

 

 

体に、源石が見当たらない。体に源石が付いているのは鉱石病(オリパシー)の証だ。つまりは、食べたのに感染してない………?

 

小石を食べたらそのまま出てくるように関係なかった……?

 

 

はっはっ嘘をつくなよ?嘘をつくなよ!

 

 

もういい!

 

腰に力をいれ、右手を突き出す。尻をみっしりしめ、目の前に魔法のカードを盗んだ、泥棒を思い浮かべろ………

 

 

(かえせ………かえせよぉ………俺の月パスだいぃ

「カランッ」

 

まるで何か軽い物が落ちたような、音は、真下から聞こえた。

 

 

すぅぅぅぅぅぅぅぅ…………

 

ちょっtぽまてよちょっとまてよ。周りは源石だよなぁ。なんで、気を失う前の記憶は、頂上だったはずだ。

 

なんで………なんで結晶の中なの?

 

あっ………いや………

 

もし…も…mm…もしかして………

 

下にいらっしゃる?

 

下にお敵の皆様がいますぅ?

 

E?わたくし餌なんですの?

 

 

落ち着いて……思い出せ、今の音は軽かった、つまり敵は強くない。というか、オリジウムだろ?

 

オリジウム  感染生物 弱い 序盤の雑魚 数が取り柄(ロトム感

 

はッはッついでに付け加えるなら敵はのろまだぁ。にげるぞぉ

 

走り出す、唯一の良いところは、立っている状態で気づけたことだな。

 

 

壁につくまでに体感3mぐらいだろうか。そしてとりあえず右に回る。右利きだからね。

 

まずは一周………終わりどこ?

 

周り続ける。円形じゃったか。グラウンドの持久走並みに終わりが見えねぇ………

 

 

あーはいはい、つまりは密封状態ですね。密封状態っですねぇ!

 

酸素がぁ

 

ぁぁ死んだわ………最後に………本当に感染してないか…………知りたk

 

 

「スッコロォーン」

 

脳内ではこんな音がした。

 

そして転んだ。

 

誰だここに石を置いたやつ、出て来いや、おまえも転ばしてやるぅぅぅぅ……………

 

なんで石があるの?あたりにほかの石はない………え?どこから来た?

 

(世界の真理を考える時間……………)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

……………浮かべろ………

 

 

(かえせ…………かえせよぉ…………俺の月パスだいぃ

「カランッ」

 

まるで何か軽い物が落ちたような………………マルデナ二カカルイモノガ………………

 

何か軽い物

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ハッ

 

いやそんなわけがね?はっはっは………………

 

腰に力をいれる。それは相撲を取るように。右手を手を突き出す。それは物をねだるように、こびるように。尻をぎっしりとしめ、目の前に魔法のカードを盗んだ、泥棒を思い浮かべろ、、、

 

 

(かえせ……………かえせよぉ……………俺の月間ガチャだいぃ

 

 

 

また真下から音がする。下をのぞく。そこには、今持っている、石と同じ石があった。

 

…………しゃぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ

 

雄叫びを上げる。だがすぐに、我に戻り…………

 

くそがぁぁぁぁっぁぁぁ……………

 

石だ。石なんだ。これが俺のアーツかよ。こんな石ころ出す程度の能力でどうこうできるわけないだろ………

 

………だ………せいだ…………こいつのせいだぁ

 

俺はその石目がけて頭突きをくりだす。

 

そして、声にならない悲鳴があふれる。

 

「っっっっっっっっっっっっ」

 

いたい……いたいよぉもういい消えろや、二度と目の前に出てくるな、このバカァおバk

 

手から感覚がなくなる。石の感覚が。そして、それは視覚的にもなくなっていた。

 

 

 

どゆこと?

 

……………出て来いポン!

 

感覚が戻った。手に石の感覚が、一つだけ…………

 

その石を目に入るんじゃないかっていうほど目に近づけ、見入る。

 

なるほどねぇ…………ん?…………よく見たら源石じゃん。勝ったわ。よし、良いだろう……勝負だっ!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!出て来いポン!…………

 

たくさんの源石がたくさん出てくる。どれほど出たかはもうわからない。でもわかったことはある。

 

それは僕が、ガチャ石をたくさん出せて、疲労感等全くないということだ。そして、消せる。

 

かすかに微笑み、おもむろにその生み出した源石をつかみ取り、

 

口の中に放り込み、

 

 

むさぼり尽くす。

 

 

「ボリボリボ………」

 

食べれる石みたいに味がしねぇ。だが食べる。

 

「ボリボリボ………」

 

もしかしたら、食べた分だけ強くなるかもしれないだろ?だから食べる。

 

飽きるまで…………………………asmrにしたら再生数がっぽがっぽじゃね?

 

 

 

 




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1話しか出してないのに感想がもう来ていてにやけが止まらない自分がいる。チョロインは俺じゃったか、、


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1/すべての始まり、、、の中中

残酷な表現がふくまれます。無理だと思った人は、すみやかに1d3のダイスを振りブラウザバックしてください。


ゴリゴリゴリゴリゴリラ………………

 

さすがに飽きた………味がねぇ……不味くもない……飽きた………

 

どれだけ時間がたったかは分からない。まぁ少なくとも、眠気と食欲がないことは分かった。体が源石になったからか?

 

でもやはり体の変化は見当たらない。

 

そして、能力はよく分かった。

 

ここに一つ刀を想像してみる。

 

 

無音で目の前に刀が作られた。シンプルで素朴な作りに見える。

 

源石を好きな形大きさで出せるようになった。といいうことで、検証開始。

 

とりあえず硬くなれぇ……と思いつつ棒をだす。そしてやらわかくなれぇ……ヨギボーみたいになれぇ……と願いつつ棒を出してみる。

 

正直感覚でしか分からない。明確な説明書がほしいです。

 

 

とりあえず左手にやらわかい棒を持ち、右手に硬い棒を持つ。そしてやらわかい棒めがけて硬い棒を振り下ろす。 

 

「ゴァン」

 

どちらも折れはしない。曲がりもしない。つまり生み出した源石の硬さは同じ。証明完了QED

 

 

ここで応用課題。

 

体が源石になったと仮定して。私に治癒能力、すなわち源石の細かい作業ができるか試験します。

 

まずは、ナイフを作ります。そして、それで指先に傷をつける。いやぁ~違ったら悲惨な結果じゃん。そういうことだよ。

チキンと言われようと変えません。

 

私はシーチキンなので。

 

まずは一つ、治れー思う。

 

なにも変化は起きない。

 

 

次は目を閉じ細胞を意識してみる。完成図を想像しつつ………想像するだけだわ。医学専攻でもないのに分かるわけないだろ。いい加減にしやがれや。

 

 

呆れて目を開く。するとそこには傷をつけたはずの指先に歪な形をした源石が姿を現していた。

 

あっふぅ~~ん

 

次はしっかりと完成図を想像する。もちろん目を見開いて。

 

すると源石はキラキラと輝きながら消えてゆき、傷一つない指先が{こんにちは}をしていた。

 

勝ったわ。最強。

 

そう思いつつ、笑みを浮かべ今度は腕を切り落とす。

 

「ボトッ」と聞くだけでSAN値が下がりそうな音がする。だがそんなことは脳内にはなく腕の断面に気は向かっていた。

 

断面はきれいにスパって切れた。素人でもきれいに切れるほどこの源石のナイフはすごい切れ味なようだ。

 

そして腕を持ち上げ断面に引っ付けた。

 

そして「エピス○ー」と唱える。

 

するとあら不思議、指先まできれいに動くようになった。

 

そこで、その笑みはさらにます。もはやその笑みはイカれているように、、、

 

ぁっぁあぁっぁぁっぁぁいきててよかったぁぁぁぁ

 

ここまで出来るなら、他人の中の源石も操作できますよね?

 

推しの寿命を延ばせますよね? す ば ら し い 

 

 

そういえば痛覚ないなった?痛みがねぇ……まぁ所詮痛覚。やつは痛みは痛みであり感覚なんだよ。ざこめ

 

 

次は目の前に手のひらサイズの源石をだす。

 

見事に空に浮かんでいる。そしてそれを液体になれと思う。

 

だが変化はない。源石を加工して武器にするぐらいだから出来ると思ったけど無理じゃったか………

まぁ液体になった描写なかったし、当然だね!

 

さらに手のひらサイズんの源石を9個だす。

 

そしてそれを、レーシングゲームのように動かそうとして、

 

あらぬ方向に飛んでいった。

 

その一つが、頬をかすり新鮮な赤色が頬をたれる。

 

ひょ  い、いいまヒュン……っててししたよ。こえぇ

 

「エピ○キー」

 

その赤色は星のようにかがやきながら消えた。

 

だが良いことを知った。自分の指を動かすよりボールを打つ方が難しいのはこの世の鉄則。

 

次は練習じゃ。9999個をぶつかることなく動かしてやるぜ!覚悟しとけ?作業厨なめんなよ?

 

 

 




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1/すべての始まり、、、の中中中

ゴァンゴァンゴァンゴァン………

 

うるさい………

 

いまあぐらをかいているが、周りには埋め尽くすように源石が跳ね回ってる。これが、小型の害虫なら発狂どころではすまないだろう。

 

 

今この状況は一言で表すなら完璧。かすかな方向修正だけをしているが、源石は俺の体に当たることはない。やり方は簡単。

 

まずは数個作り出す、適当な方向に飛ばす、周囲に源石を作り出し、飛んでくる源石を弾く。

 

立体型のホッケーみたいな物だ。すごく楽しい。これが噂のVRゲームなのか。

 

なれたら、数を増やす、数を増やし続ける。

 

 

そして限界を超えた、暇人は生み出せる場所が見当たらなくなるまでやり、無くなったら自ら操作する源石を減らして、減らして、そして無くなった。

 

それがこの現状。

 

なんか、空間把握能力がすごくなってる。

 

自分の体のように動かせる。

 

飛んでいる源石は自分の体ようには感じないが、動かそうと思った源石は、急に自分の体のように感じる。

 

もう慣れてきたわ。

 

 

……………急に探求欲のような物が出てきた。

 

もしここで腕を突き出したら、惨い結末が待っているだろう。

 

それは考えなくても、本能のような物で分かることだ。

 

たしかに、この源石たちは消せる。全部消せる。でもそれはなんか…………俺のプライドが……………

 

 

…………よし、防御力のテストをしよう!

 

源石の硬さは同じ…………問題は勢いぐらいだろうか。

でも耐久力、すなわち死なないこと。

忍耐力、すなわち生き残るカギ。

 

生きているなら、多分治せるでしょ。

 

全身にイメージを持つ。硬さは考える必要はない。全身に、まんべんなく、源石を通すこと。痛いところは、イメージが足らない証拠にもなる。

 

一番効率よく全身に源石を当てる方法を考えたが、ジャンプしか考えつかなかった。

 

あぐらをかいているので、この状態からジャンプするには、おそらく、両手を下に突き出しその反動で跳ぶくらいしかないだろう。

 

再び全身に通すイメージを持ち、勢いよく飛んだ。

 

源石はそれを撃墜するように、すみやかに飛んでいった。

 

だが過半数は本体に直撃することなく、轟沈していったのだった。

 

しかし、源石は最後の意思を見せるかのように源石の海を作り出した。

 

そして、そこに本体は沈みゆく…………

 

突如そこには手が浮かび上がった。

 

その手はサムズアップをしている。

 

まるでアイルビイーバックとささやいているようだ。

 

最後に………{アホじゃん}とか{バカじゃん}とか聞こえてきた気がした…………

 

俺って……思った以上にやばいやつじゃん………

 

 

意識は失うこともなかった。そして、源石の海から浮沈する。

 

痛みはなかった。だが、ちゃんと攻撃されたか認識できなかった……げせぬぞ。

 

今度は面倒くさいことをせず素直に自分を攻撃する。

 

Mよりの性格だがMではないと言っておく………

 

 

特に痛みは感じなかった。正直ほかに調べるところがないので検証終了。完了?ではないと思う。

 

 

 

ほかに調べるところを思いつかない。というか暇だ。探求欲は消えた。

 

いい加減この源石ドームから出ようと思う。

 

訓練はもう良いだろ。力はついた。そろそろ推しを見に行こうではないか。

 

 

消えろと願う………

 

 

だが消えない。なぜだよ。こいつ源石じゃないのか?じゃなんだよ。知らん。

 

とりあえず次は攻撃。

 

右手を剣の形にする。しっかりと鋭さもイメージしなさいよ。

 

それを上の段から振り下ろす。

 

「ゴァン」

 

この狭い空間に音が響きならす。傷一つなく壁はそこに鎮座していた。

 

ん?硬いというかこれ絶対源石だろ。検証1と同じ音で傷一つない。絶対源石だろ。

 

よし振動も追加で。知っているか?刃物に振動をつけるだけでチーズ切り落とすぐらいすらっといけるんだよ。

 

 

さらに攻撃しようとする。

 

剣の形は同じくシンプルにそこに振動…………振動どうつけようかな………

 

試しに腕を釘の形に、剣の内側を1mm程度空間を開けてピストン方式で微振動を起こす。

 

するとしっかりと剣がブルブル震えている。

 

それをまた上の段から振り下ろす。

 

「ゴォィン」

 

黒板をひっかくような耳障りのような音が鳴る。壁はかすかに一筋だけ、傷がついていた。

 

ピッコンッ!

 

答えを見つけたわ。だけどマジいやな音。これも試験なのか……?推しが授けた試験なのか……?

 

まぁいいやるしかないし、ほかに手段は分からない、面倒くさいし。

 

両手を剣振動カスタムにする。

 

そこからはただひたすえらに乱舞を舞う。ここからは精神力との勝負だ。待ってろよ……絶対俺は見るからよぉ……推しとのあんなことやそんなことにあーんによしよし……

 

まってろ(狂気

 

さすがに乱舞は言い過ぎだね。暴走とでも呼んどいてくれ。

 

エヴァに劣らずただ暴れゆく……後ろに狂気を背負いながら……地響きのように耳障りな音を鳴らしながら……

 

 

 




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1/すべての始まり、、、の中中中中

これで終わらすつもりだったのにもう一つ話が追加されました。すみません。
安心してください。次でようやく特訓パートは終わります。


俺は倒れ込んでいた。

 

汗一つなくただ虚ろな目をしながら。

 

最初に結果から見ると成果はない。

 

傷はついたいる。おびただしい数の傷が、ミミズ腫れのように気持ち悪く。だが目視で1mmだって凹みはついていなかった。

 

…………ぁ……………こ…して……ぇ………

 

ころしえ

 

むり

 

硬いなんてレベルじゃない。多分越えられない壁より強固だろ。

 

はぁ推しが見たい……推しが見たい!

 

 

考えろ

 

我ら人間?知能在りし生き物……

 

獣じゃないんだよ

 

獣になることはあるけども、、

 

回想……では足らないね。

 

振り返りだ。

 

目覚める(頂上)→天災襲来→閉じ込められた(源石)→特訓→飽きた→推しに会いたい(願望)→推しに合う(決意)→壁固い……硬いよぉ{今ここ}

 

 

振り返りをしたけど何にも分からない。ほんと意味が分からない。どうやって閉じ込められたんだよ……

 

 

……一応特訓内容も振り返りしておくか。

 

目覚める(源石中)→源石を生み出せるようになる→食べる→飽きた→源石を思い通りに形を変えられる→硬さは同じことを理解→源石を使って治癒を理解→源石操作術究極級取得→身体防御確認→攻撃力UP→硬すぎる……攻撃力雑魚雑魚{今ここ}

 

ん………全く分からない。

 

監禁ENDかな?

 

なぜ転生させたんだよ。ふざけんな。

 

無駄に希望だけ与えるな。ks

 

 

ほかになんかなかったけ?

 

なにか……なにか……

 

シーチキン……もしかして源石の中を泳げたりは………

 

そう思い壁に手をつけイメージする。かすかに浮遊感を感じた。そして壁に激突した。

 

おでこをぶつける。そしておでこをなでる。

 

 

泳げたりはしなかったようだ。

 

はぁぁシーチキン食べたい。ケンタの方が良いけど……とりあえず味がほしい。この味がしない源石をたべるよりは全然いい。

 

源石は暇さえあれば食べていた。飴感覚で常に入れてる。ブドウの味を想像しても全くしない。蜂蜜のど飴を想像しても全く味がしない。

 

せめてもの反抗に飴を噛み砕き、飲み込む。

 

やはりこの「ボリッ」って音はいい。

 

唯一の癒やしかもしれない。

 

……………ん?

 

あはは……俺は基本的なことを忘れていたようだ。

 

それはカースト。

 

現代社会にはびこる絶対的なルールだ。

 

権力がある者を上とし、ない者を下とする。

 

コミュ力がある者を上とし、ない者を下とする。

 

それはこの世界でも変わらない。

 

コミュ力が戦闘力になったくらいで、カースト事態はある。

 

ここ場でも姿形を変えて存在する。

 

 

明記するとこんな感じか。

 

 

源石(飴)→俺(知能)→越えられない壁→壁(強固)

 

だが忘れてはいけない。

 

この傷一つつけるだけで大変な壁も所詮は”源石”なのだ。

 

 

ここでカーストが入れ替わる。

 

 

源石(物質)→俺(歯)→越えられない壁(概念)

 

ならば俺の歯の方が強いに決まっているだろう?

 

よし、ポケ林(適当)!かみ砕く!

 

勢いよく壁に顔から飛び込み、そこに歯を振り下ろす。

 

フランスパンを噛みちぎるように、鰹節に歯跡をつけるように。鰹節の硬さは異常だよ。俺はあれで乳歯を6本折った。

 

「ゴリッ」

 

小さな扇形の跡が壁に出来ていた。

 

音自体は変わらない。いつもの源石だ。ただどうしようもなく食べにくい。

 

絵面がやばいな……

 

 

俺が通れるだけの穴を作る。そこだけ聞くと簡単そうに見えるが、厚さ何mかがわからない。

 

10cmかもしれないし、10mかもしれない。

 

考えただけで吐きそう……

 

とりあえずやるか……

 

 

四足歩行出来るぐらいの枠が出来た。

 

やっぱり道が見えない、、

 

手を口みたいにかみ砕く方式にしたら源石削れないのかな……?

 

とりあえずやってみようか。

 

手をトラバサミ見たいにして、想像で動かす。シンプルだ。

 

壁に手を押しつけて、トラバサミ(仮)を動かす。

 

「ゴゴリッ」

 

ちゃんと扇形が二つ出来た。

 

 

この音を聞いた途端急に笑顔が止まらない!この音はこの世界の唯一の癒やしだ!

 

あと推しも癒やし、いや推しの付属品だわ。

 

これで単純効率が3倍だ!!

 

いや面倒くさいな。

 

ドリルは出来ないのかな?

 

すぐさま手をドリルに変え、壁に押しつけ回転させる。

 

だが凹み一つ出来ない。

 

クソガァ

 

 

いや待て。

 

我ら文明人!

 

機械を動かし先進国から食糧難を消した者。

 

トラバサミのようなてこの原理を利用した物は源石を削ることは出来る!

 

ならば半径を自分の身長と同じくらいの大きさにして、その円を作り出す。(源石製)

 

そこにトラバサミを敷き詰める。

 

そして4輪車を作り、前方につける。接着点をまた4輪車側を釘に円を1mm程度空間を作り、ピストン方式にする。

 

重さの均等を作るために後ろにも質量の同じ箱を置く。

 

完成! こいつは”壁掘ろう丸”だ!

 

動力源は自分。座ってるだけで穴を掘ってくれる。勝ったな。

 

いやまだ試験運用が終わっていない。慢心ダメ絶対。

 

 

”壁掘ろう丸”を壁に近づける。準備は終わった。

 

よし、うごかすぞぉーーーーー

 

 

まずは車輪固定、次にピストン起動!、さらにトラバサミ(仮)を起動。

 

「ゴゴゴリッ」

 

確認!!

 

音はした、行けているはずだ、、はずだろ、、

 

”壁掘ろう丸”を後進。

 

そこには見事に無数の穴が生み出されていた。

 

 

ぃぃいいいいいしゃゃぁぁぁぁぁぁーーーーー

 

 

☆完全勝利☆

 

っはっはっは”壁掘ろう丸”進行!!

 

また車輪固定!ピストン起動!トラバサミ(仮)起動!円柱回転!!ピストン起動!トラバサミ(仮)起動!車輪進行!………………

 

ふぅ………後は寝るだけで終わる。

 

次起きるときは朝日が{こんにちは}していることだろう。

 

監禁よ……バイバイ!

 

こんにちはアークナイツ!!

 

なにげに転生して初めて寝るわ。……人間やめちまったなぁ…………




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1/すべての始まり、、、の中中中中中

………言い訳はしない。いつの間にか文字数が2000を超えていた。小生悪くない。

次は絶対、必ず終わるので………


は?

 

起きたら朝日が{こんにちは}をしていた。

 

たしかに{こんにちは}をしていた。そこはいい。いや、どうでもいい。

 

そこには壁がある。”壁掘ろう丸”が掘った穴の開いた壁がある。

 

だが自分の身長どころか、腕の長さ程度の厚さの壁だった。

 

厚いとは思う。でもわざわざ”壁掘ろう丸”を作ったのに……これなら多分、絶対、自分の歯でやった方が早かったじゃん。

 

はぁ文明人の敗北………

 

 

そう思いつつ下を見下げる。そこまで高くはない。飛び降りても足がジーンとすらしないと思う高さだった。

 

飛び降りる。周りは源石がそこら辺にある。その源石の隙間に木が倒れていたり、逆さまになってたり色々ある。

 

 

これが嵐の後か……

 

 

不意に後ろを見る。そこには源石が地面に突き刺さっていた。

 

どうやって閉じ込められたし。全く分かない。

 

 

改めて自分を観察してみるか。

 

肌も健康的な肌色。歯はきれいに並び、髪も長くもなく黒色だ。エルフ耳や獣耳とか角はなく、至って普通な人間。問題と言うとしたらすっぽんぽんあることぐらいだね。

 

全く気づかなかったわ。これが好きに全力になるってことか(美化)

 

初めはジャージを着ていたはずなんだけどなぁ。

 

 

辺りは地平線まで草原やら岩やらが転々としている。

 

人工物はない。

 

なんでぇ?

 

餓死はしないって分かったからそこまで問題ないけどさぁ

 

無駄に時間かかるじゃん。ほんと優しくない神様だこと。お可愛いわね。

 

出発の前に仮拠点でも作っておっくか。

 

辺りの源石を消す。そして屋根と背もたれ付き椅子を作る。ハンモックは……別に良いか。

 

椅子に深く座り込み目を閉じる

 

 

「はぁぁぁぁようやく異世界の入り口にたどり着けた」

 

 

ほんと無駄に時間はかかるわ、天災襲ってくるわもういやになりそう、、

 

 

気を切り替えて行こう。

 

まず考えることはなんの種族になるかだね。ばれなきゃ問題ないと思うけど一応何かしらの種族になった方が安全だし目立たないし。

 

 

このアークナイツの世界に普通の人間は存在しない。それは外見的にも、内面的にも。化け物ばっかです。

 

 

世界観的にも関係が複雑でどれになろうかな………

 

 

はちみつくっきー

 

 

もういいや。推しになる。

 

やはりモスティマ。モスティマはすべての時間を支配する。

 

源石を使ってその部位を作るため、色が黒になる。

 

丁度堕天使になれる。これはなれという天からのお告げでは?

 

作ってみる。

 

頭の上に想像するだけなので簡単ではある。

 

きれいな黒い楕円が出来た。だけども上下左右に右往左往している。

 

 

あっ………

 

 

これ常に頭の上に想像するの面倒くさいわ。

 

固定できないの?出来ない?このおじいちゃんPCめ。

 

 

…………第二形態(小声

 

第二形態だ!ロマンがある………

 

源石を使うわけであり、俺は作り出せる。

 

俺はガンダムになることが出来る。

 

普段は力をあまり使わずにここぞと言うときに外見をガラッと変える……

 

アイ○ンマン?

 

何でもいい。はい決定。

 

 

問題はやはりどんな種族なるかってことだね。

 

ん~~一覧あげるか。

 

アスラン(ライオン) アダクリス(ワニ) アナティ(イタチ科) アヌーラ(カエル) イトラ(ジャコウジカ科) ウルサス(クマ科) ヴァルポ(狐) ヴイーヴル(ワイバーン) エーギル(海洋生物) エラフィア(鹿) オニ(鬼) キャプリニー(ヤギ族) 麒麟(麒麟) クランタ(馬) コータス(兎) サルカズ(悪魔) サンクタ(天使) サヴラ(トカゲ) ザラック(げっ歯類) セラト(サイ) ドゥリン(ドワーフ) ドラコ(ドラゴン) ピロサ(ナマケモノ) フィディア(ヘビ) フェリーン(ネコ科) フォルテ(牛) ペッロー(犬) ペートラム(亀) マンティコア(マンティコア) リーベリ(鳥類) 龍(東洋龍) ループス(狼)レプロバ(ハイエナ) +a bywiki

 

残りはよく分からない人やロボットである。

 

どうしよう……多過ぎ……多すぎない?

 

そういえば獣耳は無理じゃん。あのもふもふは再現不可だね。

 

尻尾も……面倒くさそうだけど……いいよね。再考で。

 

じゃぁ角……別に細かく決める必要なくね?

 

親不明により分からないでいいか。

 

精密検査される時点で負けだから。

 

サリア………いい………でもそれならイフリータとサイレンスがほしくなる。親子っていいよね。あぁサリアパッ。

 

そういえばゾーンズって角とか尻尾なかった気が………気が………ッ気のせいだね!!

 

 

とりあえず服装から考えるか。

 

おれに服を作るデザイン力はないよ。なのでフードだね。

 

 

じゃ角がほしいなぁホシグマみたいな角。はっチェン……ホシグマ……ベストマッチッ。

 

チェンさんの角を地面をから垂直に後ろに向かって30度。つまりニェンさん見たいに。

 

尻尾も行こう。ひし形を縦に伸ばして三角形部分を小さく、クリスタルみたいにする。そのクリスタルをどんどん小さくして重ねていく。

 

そのクリスタルの隣接部分に鱗としてクリスタルを追加でつける

 

ホシグマの角………額の中央から生やすか。

 

 

ん~~完成

 

いいじゃん!オリジナリティもあるしかっこいいし!

 

目立つじゃん。

 

いやフードを深くかぶれば良いよね。

 

足下さえ見えれば問題なし!!

 

フードの頭の部分を大きくして内側の空いているスペースを埋める。そしてまるで龍の角が生えていないように………見えるわ。勝ったわ。

 

尻尾もうずくまらせて。

 

よろしい。いざ旅に!

 

移動はどうしようか……いや車しかあり得ないな。

 

この膨大なオープンワールドを歩くのはいやぞ?せめてワープポイントよこせ。

 

そういえば飛行機はあったな。ロドスが持ってたっけ?

 

でもロドスしか持ってなかった気が……うん目立つからやめよう。最悪顔が割れるかもしれないし。

 

…………

 

 

久しぶりの充実している時間だった。

 

だからこそ気づかなかったのだろう。

 

危機がすぐそこまで迫り続けていることに、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

説明わかりにくいですね。すみません。想像でどうにかしてください(他人任せ)


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1/すべての始まり、、、終

ようやく終わります。これからはwiki先生との共同作業になるため、時間がかかります。


……よし車はどんなフォルムにしようかな……やっぱりジープかなフェラーリとかはよく知らないし、ジーp

 

「-------」

 

音がしない。視界が白くなる。気がついた時には宙に舞っていた。

 

次の瞬間には地面に倒れ込んでいた。全身が痛みを告げる。

 

なんとか視線を元いた場所であろうところに向ける。

そこには隕石が落ちていた。

 

……隕石……天災……連続やめろ……やめて……

 

 

大きさは俺の頭一個分ぐらいかな。源石で作った屋根が見事に壊されていた。脚の部分がそこの岩に突き刺さっていた。

 

こわい……運よかったわぁ……直撃してたら死んでたよね?ほんと悪口言ってすみませんでした神様。どうかハーレムさせてください。

 

まだ怠い体を動かし、起き上がる。どうやら服は無事なようだ。さっすが源石産!!カプコンとは格が違う!!

 

 

痛い……?なんで痛みがあるの?腕切り落としても痛くなかったじゃん。なんでだ?

 

……衝撃……なのかな?ある一定以上の衝撃は無効化できないっていう原理なのか。トラバサミ(仮)では源石は壊すことができた。てこの原理で威力が上がって壊れた。

 

仮説におかしいところは、思いつかない。

 

 

じゃデバフとショットガンが天敵じゃん。

 

カランドの威圧に防御貫通……死にそうだわ。

 

汁おじ一族は敵対する理由がないし、ショットガン系統は………イグゼキューター……あっ

 

第二形態くん。

 

君……白色になれないかな?なれない? 使えねぇ

 

第二形態くん、解雇おととい来やがれ二度と来るなこのホモ。ヤーイヤーイ最近遊龍チェンさんが出てきて、本格的に空気になりかけている人~(ファンの方すみません{ 炎 上 回 避 発 言 }

 

隕石落下地点につかずく。

 

黒い。確か隕石は空気との摩擦で燃える。 普通は燃え尽きて隕石が消える。大きいものは全部燃えないで、のこったものが地上まで落ちてくるらしい。

 

黒いのもこれが理由か、それとも天災経由な源石くんか、、

 

素人には分からないことだね。

 

とりあえず消えろと願ってみる。

 

消えない。

 

本格的に分からないわ。もういいや忘れよう。

 

 

気になってツンツンって突いてみる。

 

熱さはない。耐熱最強クラスじゃったか。これはロドスのエリートオペレーターお姉ちゃんにも負けるしないわ。

 

いや嘘ついた。チェーンソーでボコられるわ。仲良くしましょ!ハッハッ………

 

おかしいなぁ~まぶたに赤が点滅してら~

 

……嘘はやめよう……悪口ももう言いません……だから……許して?……ハーレムなんて望まないから……フロストノヴァとプラチナとマッドロックさんとイチャイチャさせて……?

 

目の前にある隕石のなれの果てが赤く点滅していた。

 

俺が知っている点滅した後の結果は一つのみ………

 

 

☆爆発☆四散☆

 

 

アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナn

 

そこで意識は完全に飛んだ。最後に見えた景色は空、ただそれだけだった。

 

雲一つなく……水色できれいな空じゃった…………




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2/1壊死からの地生 チェンside

「全地区問題ありませんでした。チェン隊長」

 

「あぁ……ご苦労」

 

ここは龍門市街。夜にもかかわらず辺りは明るく、まだまだお休みになる気配はない。特にイベントがあるというわけでもないのに活気は劣らず、今日もまた一日が終わり始めるのだろ。

 

そんな中に一人腑に落ちない顔をした少女がいた。

 

だが少女は龍門近衛局の特別督察隊隊長として、君臨している。いまは隊長クラスの部下に囲まれて、報告を聞いていた。

 

 

「……隊長気にしすぎですよ。ちょっと最近短時間で同じ場所に天災が起こったぐらいで……」

 

「重点的に巡回するには十分な理由だ。突如現れ、突然消えた。そんな場所に近づこうとしているんだ。」

 

「し…しかし……」

 

「それだけではない。これは私の感でもある。これから何かが起きると……」

 

「……分かりました。」

 

「ならばよろしい。」

 

「今日はこれで終わりだ。明日からもしばらく続けるからty……

 

突如言葉が止まった。後もう少しで帰れるというのに。今後の心配をしながら、質問をする。

 

「……隊長どうかしました?」

 

「いや…いまなにか……ッッ!!全体警戒態勢!!謎の飛行物体が接近!!」

 

さすが隊長クラスだろうか。その活性的な声に瞬時に反応し、特別督察隊隊長が向いている方向に構える。

 

向いた方向には夜の空のなかただ一つの物体がこの龍門市街に向かっていた。高速で……

 

辺りから驚いた、戸惑う声が聞こえる。

 

 

何だあれは!?あの大きさで直線移動をしている!?それもたった一つしかない。攻撃か?いやその前にどう対処する?……冷静に、まずは避難活動からだな。

 

 

無線機を起動し叫ぶ。

 

「全隊に次ぐ!謎の飛行物体接近中。直ちに避難誘導を!!」

 

辺りから避難を呼びかける声が聞こえる。だがその飛行物体はすでにそこまで接近している。どうやら落下地点はこの龍門市街のようだ。

 

 

 

「ゴァァァン」

 

鈍い音が辺りに響く。運が良いらしく、その物体はマンショに激突し、爆発等はしなかったようだ。

 

「そのまま警戒態勢を続けろ!私が落下物を見てくる。B班はついてこい!!」

 

抜刀し、落下地点に向かう。砂埃が舞、その物が何かは分からない。少なくとも地面に落ちてはいない。マンションにめり込んでいるようだ。

 

後5,6mという距離でなにか小さめの黒い物体が落ちた。すぐさまチェン隊長は指揮を出す。

 

「B班傾注。指揮権を戻す。臨機応変に行動しろ!」

 

残り2mほどの距離で止まる。そして、剣を構える。

 

 

砂埃が晴れる。その物体が、もぞもぞと動き出し、うずくまるのが分かった。

 

 

小さい……うずくまっていることもあるが、単純に小さいな。あれはフードか?考えるだけ時間の無駄だな。まずは、、

 

「おい、貴様何者だ?」

 

大きな声ではないが、小さくもない声だ。その声を聞いた不審者が体をビクッと震わす。そして恐る恐るといった感じに顔を上げる。両手両足を地面につけながら。

 

大半がフードに隠れていて、詳しくは分からないが、それはしっかりと見える。小さな顔には合わない、私の腕よりちょっと小さいぐらいの大きさの角だった。

 

そして何より違和感なのがそれだけ大きな角がありながらフードからはみ出では無く、きれいな円を描くフードの頭部分であった。

 

 

鬼……か。ホシグマの親族か?いやならなぜ飛んできた。たしか極東にしかいなかったはずだが……敵対心はなさそうだな。保護出来るか?

 

 

沈黙が辺りを支配している。しばらくの間視線が交わる。その沈黙を崩したのはチェンの方からだった。剣を収めながら

 

「……お前の名前は何だ?」

 

と言った。しばらく立っても返答は無い。また辺りが静かになる。今度は目の前の子供が突如話しかけてきた。

 

「……Uc207Pr4f57t9」

 

「いや待て。」

 

チェンが突如その子供の声を制止し、言葉を紡いだ。

 

「それが名前か?」

 

「あぁ」

 

……これはどっちだ……?ライン生命関わりか、それともそれ以外か。はぁこれならホシグマに鬼族のこと聞いておくんだったな。

 

珍しく後悔していた。

 

「なにか名称は無いか?」

 

目の前の子供は無表情のまま、動かなくなった。そしてまた突然、

 

「シュヴェル……」

 

そう言ったのだった。

 

「いくつか質問をする。まずシュヴェル、どこから来た?」

 

今度は間を置かずに答えが返ってきた。

 

「山」

 

「何か他に情報は無いか?」

 

「知らない……」

 

「じゃどこで生まれた。」

 

「山」

 

「両親は?」

 

「知らない……」

 

とりあえず安心はした。ライン生命関わりでは無いのだろう。捨て子か……よく生き残れたな。

 

「ここには何をしに来た?」

 

「ない……」

 

「じゃなんで飛んできた?」

 

「爆発……」

 

自分でも驚いているのが分かるぐらいには驚いた。

 

「誰がやったのか分かるか?」

 

「隕石……」

 

「……どういうことだ?」

 

「隕石が、爆発した。」

 

ますます分からなくなった。次の質問を繰り出そうとしたら。無線機から報告が流れ込む。

 

「……チェン隊長。避難完了しました。他、不審者や飛行物体は確認できませんでした。どうしますか?」

 

そこで周りを見渡す。B班が私たちを囲むように警戒していた。目の前の光景とこの子供以外問題無いように見える。

 

「警戒は交代で続けろ。謎の飛行物体を確保した。このまま局に戻る。他はいつも通りだ。避難者も戻しても問題無いだろう。ご苦労。くれぐれも注意を裂くなよ。」

 

「了解。」

 

上への報告か……仕事が増えたな。まぁさっさと場所を変えるか。このまま話していても寒いだけだろう。見た感じ子供はフードに薄着だ。

 

「シュヴェル、つまり君は行く場所が無いということだな。」

 

「そう……」

 

「じゃ私の職場に来い。龍門近衛局と言ってな、この町で一番安全n

 

龍門近衛局と聞いた途端。子供の肩が大きく震えた。そしてその子供は飛び上がった。物理的に。高さ20mほどはありそうなマンションを飛び越えて、、

 

なっ……飛び越えた!? はぁ決めつけはよくなかったな、もしかしたらの可能性を考えられなかった私の落ち度だ……しかしこの身体能力か……もしかしてホシグマも飛び越えられたりするのか、、?

 

 

そんな疑問を思い浮かべていたら、そこにB班が飛び込んでくる

 

「チェン隊長!!どうしますか!?」

 

チェン隊長は考え込む。

 

ここで見逃す手は、、ない。だが、どうやって捕まえる?あの身体能力をどうやって制覇する?これ以上龍門近衛兵たちを酷使はできないな。

 

「お前たちは変わらずだ。そのまま帰宅しろ。……いや巡回する者に鬼族の子供が迷子になってしまったので見つけたら保護、もしくは確保しておいてくれと伝えてくれ。私は一度報告をしに行ってから探しに行く。」

 

 

言い終わったチェン隊長は歩き始める。途中ため息を吐きながら、どこかへ電話をしていた。

 

『もしもし、私だ。』  

『もしもしどうかしましたか』  

『あぁ問題があってな。鬼族の子供が一人で迷子になってしまって』

『この避難誘導に関係ありますか?』  

『ああ任せられるか?』  

『はぁでは後でちゃんと教えてくださいよ。』  

『ああ分かった。またな。』  

『では。』

 

そう言い電話を切る。

 

ふとあの子供のことを考えた。だが何も思いつかなかった。あの、怖い者を見るような目も、まるで何もかも知っているような目も、無表情もまるで別世界にいる用に感じた。

 

実際私とは全く違う世界に住んでいたんだろう。

 

でもなぜか、不思議と心配してしまう。なぜだろうか?これが噂の母性とでも言うやつか?まぁいい。

 

あんがい、他人のことなんてお構いなしに適当な場所で寝ているように思えてきた。

 

 

その顔にかすかに笑みがこぼれていたのは誰も知らないことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

hai!sideということでね、遅いくせにストーリーを多用して話稼ぎをしていきます。

不定期タグをちゃんとつけておきます(詐欺防止){手遅れ?}


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2/1壊死からの地生 主side

「んッ………」

 

壁に激突した衝撃で目を覚ました。視界は砂埃にみ。手足は壁?いや建物に埋まり、動けない。

 

いまのは痛かったぞ……隕石よりは痛くないけど。

 

うごけぇ……うごけぇぇ!!

 

 

無理だった。大人しく背中に源石を生やして体を前に出す。

 

建物がきしむ音がする。そのまま地面に落ちる。受け身はとれなかった。

 

身体能力雑魚ぃ。がんばります(多分

 

背中の源石を収める。

 

はぁ自由だぁ~ここはどこかな?

 

辺りを見る。そこには赤やら黒やら……それはそうと、赤と黒に縁がある過ぎない?血なまぐさいだけか。

 

 

小言はほっておいて。これは先進的なマンションじゃん。

 

マンション……俺の知っているアークナイツ内での先進的なマンションがあるのを知っているのは、たった一つ。ここは龍門市街だね。さぁこれからどうするか、こんな登場の仕方で、まともな人生を送れる自信が無いわ。ここは三十六計逃げるに如かず……さぁ逃げr

 

 

「おい、貴様何者だ?」

 

その声は忘れもしない。一瞬で分かった。ここが龍門市街ということもあるんだろう。でも今は会いたくなかった……体がビックとしたわ。どうしよう……(泣

 

 

ゆっくりと視線をあげる。周りにはすでに砂埃は存在していなかった。その代わりに現れたのが、この龍門市街を守る守護神兼警備員。龍門近衛兵のみなさまです。はい。囲まれています。逃げ場はありません。

 

そのなかで、先頭にいるのが、特別督察隊隊長でありのイケメンのモウマンタイさんである。

 

……ふぁ?ぅ嘘だろ……嘘だと言えよ……

 

これはさすがにショックです。私は土下座をするように両手両足を地面につけているが、それを差し置いても、チェンさんの身長が高すぎる。

 

確かチェンさんの身長は168cmだったはずだ。やべぇ俺ショタだったのか……嘘だと言ってくれよ。

 

それはそうとチェンさんのお胸はやはり美乳であった。我が生涯に一変の悔いははないけど、やりたいことはあるので生き残ります。

 

気まずい……睨まないでよ。僕は無害だよ……?欲望はあるかも……少々あるけども、それ以外は無害だよ?弱いよ?ねぇ見逃してくれない

 

そう思ってるならまず話しかけろと?無理だし。コミュ障なめんなよ?

 

そんなことを思っているとチェンさんは剣を収めながら

 

 

「……お前の名前は何だ?」

 

 

と言ってきた。名前どうしよう。肝心なところ決めて無かった……やべぇ視線がつらいッス。

 

ネタに走るしかない(発狂状態)それがいいな(どこが?)

 

そう決めたので、推しの個体識別番号にしよう!

 

「……Uc207Pr4f57t9」

 

「いや待て。」

 

ふぅ……あっぶねぇ。実はここまでしか描写されてなかったんだよね(汗)これも主人公補正か。さっすが神様そこに痺れるぅ憧れるぅ!!

 

いやよく考えたら全部言う必要なかったわ。無駄に感謝しちゃったじゃん。  

 

「それが名前か?」

 

「あぁ」

 

体感自信満々に答える。もう一度聞かれたら同じこと答えてやるぜぇ~

 

気まずい雰囲気になるのはあしからず。 

 

「なにか名称は無いか?」

 

………それは予想外だわ。どうしようかな。いや推しの名前を答えたら良I(ry

 

ダメだ俺ごときが推しを汚せない……何か変化を……何か……これでいいか。

 

我が名は

 

「シュヴェル……」

 

語呂よし!!キャラかぶりなし!

 

一応このアークナイツにはシュヴァルツというキャラがいます。

 

だから何と聞かれても何もありません。

 

 

「いくつか質問をする。まずシュヴェル、どこから来た?」

 

どこ?って言われてもそれは

 

「山」

 

チェンさんが戸惑ってるわ。でも事実なので……嘘ってよくないよね! 

 

「何か他に情報は無いか?」

 

「知らない……」

 

「じゃどこで生まれた。」

 

「山」

 

これは悩んだ……知らないと答えるか山と答えるか。確かに連続で同じ選択をすると選択問題だと正答率は上がる。

 

でも会話のキャッチボールは悪くなる。だから山を選んだ。

 

こっちの方がおかしい気がするけどまぁ良いでしょ。嘘じゃ無いんだから(方便)

 

「両親は?」

 

「知らない、、」 

 

「ここには何をしに来た?」

 

{推しキャラたちとちょめちょめかテイテイしに……はっ、今なんてことを口走ろうとしていたんだ。これでは人生が終わってしまう。すぐさま答えを変えて答える。

 

「ない……」

 

「じゃなんで飛んできた?」

 

それは分からないけど……

 

「爆発……」

 

してきました。何を言ってる……?って顔してますね。私もそうなので安心してください。 

 

「誰がやったのか分かるか?」

 

、、ついにチェンさんも狂いはじめた!?俺のせいか……やけくそでいいや。もう……早く終われ。 

 

「隕石……」

 

「……どういうことだ?」

 

「隕石が、爆発した。」

 

ついに単語をつなげるだけなりました。泣きたいです。文明人失格です……

 

 

そんなことを思っているとチェンさんの持つ無線機から報告が流れ込んできた。

 

「……チェン隊長。避難完了しました。他、不審者や飛行物体は確認できませんでした。どうしますか?」

 

そこでチェンさんは周りを見渡す。り、凜々しい。これが仕事人のイケメン。これで腹筋割れていると……ジゥルリ

 

だいこうぶつです。スポーティーな女の子っていいよね。

 

「警戒は交代で続けろ。謎の飛行物体を確保した。このまま局に戻る。他はいつも通りだ。避難者も戻しても良いだろ。ご苦労。くれぐれも注意を裂くなよ。」

 

「了解!」

 

そんな糞みたいにどうでも良いことを考えている間にもチェンさんは働く。

 

……自分が恥ずかしくなってきたわ……トランスポーターになろ。資格ってどこで取れr

 

「なぁシュヴェル、つまり君は行く場所が無いということだな。」

 

急にボールが来たな。しかもこのパターンは……も…もも…ぉして…もしかしてチェンさんの家に凸れたりするのか……?手料理食べれるのか……?

 

期待を込めつつボールを返す。

 

「そう……」

 

普通な声だったわ。

 

「じゃ私の職場に来い。龍門近衛局と言ってな、この町で一番安全n

 

龍門近衛局と聞いた途端、俺は足の裏に何十もの源石を限界まで重ねて対ショック用意をした。そして次の瞬間には空に逃げていた。

 

これは紙を何重にも折れないことと、輪ゴムでスイカを砕くことが出来る原理と同じである。

 

 

なぜ飛んだかと言うと。理由は二つ。

 

一つ 龍門近衛局に行ったら、多分戻れないと思う。絶対精密検査されるだろ。(おそらく)純度100%の源石マンだぞ?生きて帰れる気がしねぇ。金なる木を逃がすわけないだろあのいけ好かねぇウェイ・イェンウの野郎が。(建前)

 

二つ 願望だった、チェンさんの家には行けるだろう。もしかしたら手料理も行けるかもしれない。でもこの人、生粋の仕事人だったわ。職場が家。エリート社畜だわ。やめてくれぇ。(本心)

 

という理由から逃げる。

 

 

あっという間に目の前にはマンションの屋上に着いた。以外と小さかったな。身長のせいで大きく見えただけか。

 

さぁこのまま脚に源石を重ね続けながら逃げる。目指すはスラム街。

 

このまま龍門市街の外に逃げるのも考えたけど、まだホシグマさんを見ていない。なので見る行く(鉛の魂

 

さぁいくぞ~

 

 

スラム街につき、良い感じの場所を見つけた。誰もいないし屋根は無いけど。丁度良い壁がある。

 

これは寝やすいな。

 

 

追っ手は確認できなかった。それにこれだけで疲れた。俺は寝る。

 

へっ俺は金目の物を持っていないので身ぐるみを剥がされても痛くもかゆくもないもんね!

 

でもヤクザに人身売買はやめてくれよ?

 

まぁまた空に逃げれば良いだけだし、俺の皮膚感覚をなめてはいけないぜ(知らないけど

 

それはそうとここがアークナイツの舞台の大陸でよかったわ。他大陸とかっだたら死ぬ自信しか無い。

{存在しない記憶、想像力的にも、文章作成てきにも、移動的にも}

 

ふぁぁ……………もういいや寝る。理性回復する。不眠不休を望むなら蜂蜜クッキーよこせよ………

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

これより主sideはシュヴェルsideにします。


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2/1壊死からの地生 ホシグマside

……では、新入りを祝って、カンパーーイ!!」

 

「「カンパーーイ!」」「乾杯」

 

そこは龍門市街の居酒屋。今日は新入りの歓迎会という理由をつけ、近衛局のエリート兵士たちが酒に明け暮れようとしていた。その中央にいるのは新入り、名無しAと今回の宴会の幹部たちだった。そして端の方に一人の鬼がいた。

 

別に鬼の形相とか、鬼みたいに怖いのでは無く実際に鬼なのだ。

 

右の額に一つ、肌色の角に先端は黒色。さらに右頬には一筋の切り傷が現れていた。何より目立つのは背中に背負っている三角形型の盾だ。名をホシグマという。

 

「新入~初めてにしてはなかなかいいじゃない~」

「なれるのも時間の問題だなぁ~」

「まぁで、なんでこの隊に申請したのか~」

 

中央では酔っ払ったじじいどもの、面倒くさい尋問が始まっていた。新入にとっては朝まで気が抜けそうにない宴会の始まりだ。

 

しかし残念ながら、このじじいどもは日頃から酒をたしなむタイプの大人だ。残念ながら新入は結局酔い潰れて物理的にも精神的にもすべて、ぶちまけることが決まっているのだ。

 

それを微笑ましい情景を兄弟のように見守るホシグマがそこにいる。静かに、しかし大胆に酒をたしなんでいる。客観的にこの鬼が常連であり熟練であることは火を見るより明らかだった。

 

今日も終わることのない宴会が始まる。運が良いか悪いかは分からないが、明日この隊は休みだ。最後に新入には南無三とでも唱えておこう。

 

時は過ぎゆき、徐々に寝る者も現れ始めていたころ、未だに新入とその愉快なおじいさんたちは未だに起きていた。今回の新入はこちらも優秀だったようだ。

 

そのとき突如声が鳴り響く。

 

「全隊に次ぐ!謎の飛行物体接近中。直ちに避難誘導を!!」

 

その声を聞いて鬼があたりを見渡す。皆はすでに起きており、装備の確認をしていた。その状況を見たホシグマが満足げにうなずいて声を上げる。

 

「A班は東、B班は南、C班は私についてこい。」

 

「「「了解」」」

 

そこにいる皆の心はすでに一つになっていたようだ。新入はもうどこにいるかは分からなくなっていた。

 

すでに外に出て、大通りを走り始めていた。

 

辺りから避難を誘導する声が聞こえてくる。そこに突如そこに轟音が鳴り響く。

 

「ゴァァァン」

 

鈍い音が辺りに響く。ホシグマは士気を上げるように叫ぶ。

 

「仕事だお前らッ行くぞッ!!」

 

 

 

避難誘導が終わった頃、ホシグマに話しかける陰があった。

 

「姉御、変じゃないですか?」

 

愉快なおじいさんその2が話しかけていた。

 

「あの一回から攻撃みたいな音はもうしませんし、もう終わったんですね?」

 

実際あの一回限りで特に変化は無かった。避難誘導も終わり、一体どうしたものかと考えていた。

 

「どちらにせよ待機だ。休憩でもしているといい。小官は高いところに行く。」

 

「へい、お供しますぜ姉御。」

 

当たり前だという感じに愉快なおじさんその2がついてきた。軽々と町中を、階段を登行き、町を見渡せる場所に移動していた。

 

空はまだ夜だが、町のあちこちに光は灯っている。なのに辺りから声はしない。不気味だ。むしろこっちの方で問題が起きたのではと思うほどには違和感を感じる。

 

じっと辺りを見渡し続ける。しばらく立った後無線から、報告が飛んでくる。

 

「報告。謎の飛行物体が一度墜落した後変化はない。市民を戻しても問題無いと判断しました。このまま変更点はありません。くれぐれも巡回隊は警戒を崩さないように。以上。」

 

……だそうだ。今日はお開きにするか?」

 

「それが良いんじゃないんですかね。姉貴。」

 

「じゃみんなには伝えておいてくれ。その代わり私が会計をしてくる。」

 

「ヒューヒューさっすが姉貴!みんなにはしっかりと伝えておきますんで、任してくだせぇ~。」

 

そう言いつつ愉快なおじいさんその2は飛び降りる。そして道を走り抜けていく。

 

ホシグマは苦笑ししつつ、多分きっと二次会をするんだろうなと思った。

 

 

階段から降り、宴会場への支払いが終わって家に帰ろうとしていた時、急に電話が鳴った。

 

 

『もしもし、私だ。』  

『もしもしどうかしましたか』  

『あぁ問題があってな。鬼族の子供が一人で迷子になってしまって』

『この避難誘導に関係ありますか?』  

『ああ任せられるか?』  

『はぁでは後でちゃんと教えてくださいよ。』  

『ああ分かった。またな。』  

『では。』

 

まったく、チェンさんは厄介ごとを持ってきてくれたようだ。

 

まずはスラム街に探しに行きますかね。

 

しかし鬼族の子供がこんなところまで……親がわざわざこんなところまで捨てに来るわけが無いか。ではなぜだ?……家出か。予想しても意味が無いか。さっさと探しに行こうか。

 

そう思い、脚をすすめる。

 

スラム街に着いた。あらかた探し回ったが、それらしき者はいないし、誰も見ていないようだ。

 

次はどこを探しに行こうか。

 

そう思い足を止めたとき。後ろからちょこちょこと近寄る存在を感じた。

 

警戒しながらもすみやかに振り返るとそこにはミスチェーがいた。

 

ミスチェーはスラム街の孤児院にいる女の子で、聡明で明るい。孤児院のみんなの人気者だ。その人気は孤児院だけに収まらず。働いている店で看板娘となり、みんなのアイドルとなっていた。

 

そんなミスチェーが不安そうな顔をしながらここにいる。

 

「どうしたんだミスチェー?こんな時間に、危険はいなくなったから安心して寝るといいよ。」

 

微笑みながらミスチェーの頭をなでる。そしてミスチェーの顔がほころぶ。辺りが花畑が見える。これ以上に安らぎはほとんどないと思う。

 

そばらくたった後、ミスチェーは(ハッ)と何か思い出すような顔をし、声を上げる。

 

「ホシグマさん!!そんなことより孤児院前の通りの突き当たりに誰かがいるんです!!」

 

「それでどんな人だったか覚えているか?」

 

表情を元に戻し、質問を始める。別にこのスラム街に人が増えることはそこまで珍しいことではないが、さっきの避難のこともある。これはハッキリとさせないと行けないことだ。

 

「えーと、黒いフードを被っていて、角があったわ!あとは小さかった!」

 

「ふむ……どれぐらい小さかったんだ?」

 

「私と同じくらい……かな?」

 

ふむ、ミスチェーの身長は確か140cmだったはずだ。それと同じくらい……もしかして……

 

「ミスチェーありがとう。その人は孤児院入り口から見えるんだね?」

 

「うん!少し遠いけど見えるよ!」

 

「分かった。それじゃあ途中まで送るよ。」

 

そう言いながらミスチェーの手をつなぎながら歩く。まるで遠足に行く子供のようにミスチェーはルンルンと歩いて行った。

 

時間がたつのは早かった。あっという間に孤児院入り口につき、ミスチェーを帰す。ミスチェーは最後に思いっきり手を振り孤児院の中に入っていった。

 

気を切り替えて、道の突き当たりを見る。そこには月の光に照らされながら、一つの黒いフードが居座っていた。

 

あぐらをかき、顔を沈めこんでいる。

 

動くことは無く、ただ堂々とそこにいる。

 

ホシグマは歩くようにゆっくりと近づく。

 

どこまで近づいても動く気配はない。

 

あっという間に残り2m程まで近づいた。ミスチェーの言うとうりに小さい。そして黒いフードか大きな角がはみ出している。

 

「そこの人。」

 

たった一言。返事はない。

 

「そこの黒いフードの人。」

 

今度は明確に個人的に呼びかけた。それでも起きない。

 

寝ていると仮定して、フードをめくろうと近づく。そのまま何の抵抗もなくフードを触り、めくろうとするとき異変に気づく。

 

フードがめくれない。かすかには動くのだがそれ以上は動かない。まるで鍵がかかっているように動かない。

 

これ以上はこの人を起こしていまうと思い、めくるのをやめる。

 

せめてもと、顔を覗き込む。そこには額の中央から私の腕位あるんじゃ無いかと思うぐらいに大きい角があった。

 

そしてフードの厚みが厚い。まるで空洞があるかのように見える。どちらせよ、この顔の大きさから考えてもこの空洞は大きすぎる。まるで何かを隠しているかのように。

 

これ以上分かることはない。

 

起こそうと思い。声をかける。

 

「起きろ。」

 

起きない。

 

今度は肩を揺らす。

 

それでも起きない。

 

「起きろ。」

 

そう言いながら大きく揺らす。

 

起きない。

 

いっその事と思い、両手で持ち上げて上下左右に振り回す。

 

それでもまったっく反応がない。

 

どうした物かと考え込んでいたときだった。

 

そういえばチェンさんが迷子のお知らせが来ていたのを忘れていた。少年を下ろし、チェンさんに電話をかける。数コール待っても電話に出ない。

 

どうやら何かあったようだ。メールに{迷子の鬼を見つけた。寝ているから保護をする}と送る。

 

そして、この少年を背負う。土の匂いがする。悪いにおいではない。

 

家に帰るために歩を進める。今回は大きな問題はなくて良かったと思った。

 

一つ問題があるとするのならこの少年がとてつもなく軽い気がすることだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

別に失踪したわけではございません。書き溜めをしていたわけでもありません。

はい、精進します。無駄に時間かけてすみませんでしたァ。


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2/2壊死からの地生 ホシグマside

家に着き少年をソファに下ろし寝かせる。そしてタオルケットをかける。

 

さて、これから何をしようか考えてみたが特に何も出来ることは無い。この少年を放っといて何かをすることも出来ないし、しばらくはのんびり過ごすしかなさそうだ。

 

そういえばこの少年は何か食べたのだろうか?何か軽く作っておくか。

 

台所に行き辺りを見渡す。フライパンに鍋にトースターなどお手軽な物しかないが狭い。冷蔵庫を開ける。そこにも軽い物程度しか無く、何か料理できるほどの物はない。

 

これは困ったと目をそらす。するとそこには塩があった。

 

ホシグマは何かを思いついたように一直線に動き出し、炊飯器を開ける。そこには冷えてしまっているが、ちゃんとお米があった。

 

よし、おにぎりを作ろうか。お手軽で朝食にもちょうどいい。

 

保温のボタンを押し、温まるまでの間椅子に座って待つ。視線は自然と少年の顔に向かっていた。

 

傷一つ無いどころか、健康的な肌。警戒心の一つも見えずに眠っている。無表情。これが一番近い表現だろう。

 

視線を外に向ける。未だに朝日すら出ずにいつもより静かだ。ふと今日のことを振り返ってみる。

 

やはり何かがおかしい気がする。それはたった一回の轟音か、その後にこの少年が現れたことなのか。そういえばこの少年があの迷子という確証はなかったな。違ったのなら孤児院に入ることを進めれば良いだけの話か。

前提の話を考えてみるか。客観的に見て私はこの少年を誘拐したように見えるのだろうか?少なくともいきなり知らない場所、人が目の前にいるんだ。戸惑わない方がおかしいか。なにか良い感じに落ち着かせることの出来ることは……たしかスワイヤーさんにホットココアは心を落ち着かせると聞いたな。かたくなにホットミルクとはレベルが違うと力説していた。

 

ホシグマの顔から笑いがこぼれる。

 

早速実践してみようと、また台所に行き、電気ケトルの中にミルクを入れ電気を入れる。そしてまた椅子に座る。そこからはわずかな外の騒音とブクブクとケトルの中から湧き出す音に耳を預け、まったりとする。

 

「カチッ」

 

電気ケトルがミルクを沸かしたとお知らせが来た。ホットココアを作りに行く。ココアの元をマグカップに入れ、最初にミルクを1/3程入れてかき混ぜる。そして少しづつミルクを入れかき混ぜ続ける。その領分でもう一つ作る。完成してから気づいたことがある。

 

……作っても飲むべき人が寝ていたら意味が無いな。

 

自傷気味に笑う。そしてまた電気ケトルに水を入れ電気をつける。二つのホットミルクをを机に持って行き、椅子に座り直す。

 

このまま二つとも飲んでしまおうか。

 

そう思い一つ目に手をつけ始める。3,4口飲んだ頃に、少年の方からガサゴソと音が鳴る。

 

見てみるとそこには半目にしながらタオルケットにうずくまる少年お姿があった。

そして視線が交わる。どちらが動くこともしゃべることも無くただ目を合わせ続けていた。

 

するといきなり少年がタオルケットに身を包みながら、部屋の隅まで後ずさりする。顔から戸惑っているのが分かる。

 

そこでホシグマはこう言う。怖がらせないように、せっかくなのでこの余っているホットココアを飲んでもらえるように。

 

「私は近衛局のホシグマという。道ばたで寝ていたので保護をさせてもらった。とりあえずホットココアがある。飲むと良い。体が温まるぞ?」

 

少年は未だに戸惑った様子を見せている。だがゆっくりと動き出す。タオルケットをソファに置き、椅子に座る。

 

そしてマグカップを両手で取り飲む。一口飲むと表情は明るくなり、ほっこりとした感じがする。

 

私もまた一口飲む。しばらくこの時間が進む。外からは騒音はいつの間にか無くなりわずかな物音だけが響いていた。

 

以外と心地が良いな。スワイヤーさんが言っていたことは本当だったらしい。今度はホットミルクで試してみようか。

 

半分ほど飲んだころに気の抜けた音が聞こえてきた。

 

「くぅぅぅ……」

 

少年の顔が真っ赤になる。わずかにホシグマは笑う。そしてちょうどいいと思い。

 

「小腹は空いているか?」

 

と聞く。目の前の少年がビクッと震える。

 

「…は…はい……」

 

小声でそういった。ホシグマの目を見据える。そこには怯えている様子はない。

 

「分かった。作ってこよう。」

 

そしてホシグマは台所に向かう。最後に少年が戸惑った様子が見えたが無視をして行く。

 

まずは炊飯器からお米を器に移し、台の上に持って行く。そして塩も持って行き、手を水で洗い、塩を手に薄くつけおにぎりを軽く三つ作る。

 

簡単に片付けをして、おにぎりを少年の前に持って行く。

 

「どうぞ召し上がれ。」

 

「ありがとうございます、」

 

少年は両手でおにぎりを持ち食べる。ゆっくりと一口一口噛み締めるように食べる。

 

 

あっという間におにぎりを食べ終わる。

 

「ごちそうさまでした。」

 

「お粗末様でした。」

 

少年は物欲しそうで残念がるような顔をした。ホシグマは食器を洗面台に持って行き水につけておく。

 

少年はどうやらおにぎりを気に入ったようだな。それではそろそろ名前を聞くか。

 

そして元に椅子に戻り、さっそく少年に疑問をぶつける。

 

「それで君の名前は?」

 

特に何といった様子も無く自然と答える。

 

「シュヴェルです。」

 

「そうかシュヴェル君。

 

「シュヴェルです。」

 

「うむ?そうかシュヴェル。どうしてあんなところで寝ていたんだ?」

 

少しためらうような様子を見せるも、淡々と言う。

 

「逃げてきた。」 

 

「それはチェンという人か?」 

 

一瞬シュヴェルは目をかすかに見開いた気がした。それ以外の反応は無かった。

 

「……では、もし良かったらそのフードの中を見せてくれないか?」 

 

今度はシュヴェルが飛びのけぞる。椅子は後ろに倒れ「ガタン」と音が鳴る。そのまま辺りを見渡し始める。 

 

「待ってくれ!」 

 

その言葉に反応し、シュヴェルが台所の小窓から出ようとしていたが、止まる。顔はこちらに向けずに、耳だけを傾けてくれているようだ。 

 

ホシグマは一度息をのみ、再度話しかける。その目はまっすぐとシュヴェルの方を見ている。

 

「私は君がここに居る間いかなる危機からも、君を守る。だから、見せてくれないか?」

 

この言葉にどんな意味があるかは分からない。なぜどんな人かもしれない人に対してここまで言うのか。

なぜそこのフードの中に興味を持ったのか。

 

どうしてかは分からないが、どうしても見なくてはならない。そう思ってしまった。

 

しばらく時間がたってから少年はゆっくりとこちらを向く。

 

まっとうな目をこちらに向けながら、ゆっくりと手をフードの方に持って行き、勢いよくフードを外した。

 

「ッッ…………」

 

珍しくホシグマは息をするのを忘れていた。

 

だってそこにはあり得ない光景が見えた。

 

まだ幼い少年がこちらを見ている。

 

だがその目に幼さは無い。

 

下からゴツゴツとした尻尾が、自分の身を守るように背中にそびえ立つ。

 

その頭には腕ほど大きい鬼のような角が一つ額から生えている。そしてわずかに後ろに二つの普通ほどの大きさの龍のような角が生えていた……

 

 

 

 

 

 




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2/3壊死からの地生 ホシグマside

珍しくホシグマは息をするのを忘れていた。

 

だってそこにはあり得ない光景が見えた。

 

まだ幼い少年がこちらを見ている。

 

だがその目に幼さは無い。

 

下からゴツゴツとした尻尾が、自分の身を守るように背中にそびえ立つ。

 

その頭には腕ほど大きい鬼のような角が一つ額から生えている。そしてわずかに後ろに二つの普通ほどの大きさの龍のような角が生えていた……

 

 

「どうかした?」

 

首を少し傾け、少年が言う。すこし驚きすぎた。

 

「いや、なんでもない。」

 

ホシグマは動揺を隠すように椅子に座る。

 

「シュヴェルも座ると良い。」

 

スッとシュヴェルも座る。何を話して良いか分からない。とりあえずシュヴェルのことから聞くしかないか。

 

「……シュヴェルはここで何がしたいんだ?」

 

「……なにもない。」

 

「本当にか?」

 

「うん。」

 

「じゃ何が出来る?」

 

少し考えるかのようにシュヴェルは瞬きもせず止まる。

 

「計算?戦うのは難しい。料理は多少は出来る。」

 

計算に料理、、それなら

「じゃあお店で働かないか?そこにはミスチェーって知り合いがいてね。信頼できる場所だ。」

 

「…………」

 

今度はとても時間がかかったが、きちんと答えが帰ってきた。

 

「働く必要は無い。」

 

働くという概念はあるのか。その上で働かないと選択するのか、、

 

「それではおいしい物が食べられないよ?」

 

「必要ない、多少稼いだ程度で価値はない。」

 

その言葉に嘘は感じないが何かある気がした。この方向で攻めてみようか。

 

「住む家とかこの辺りの立地とか全部私が支援するし教えよう。」

 

「必要ない。」

 

また同じ返事だ。でも今度はかすかに目が揺らいだ気がする。

 

「じゃあこの家を使うと良い。私は基本的に家には居ないからな。」

 

「ッ、必要なぁい。」

 

言葉が戸惑った。隙を見つけた。ここぞとばかりに詰める。

 

「嘘は止めると良い。」

 

威圧を込めて言う。

 

シュヴェルは体を震わせた。震える声でつぶやく。

 

「信用できるような者では無い、」

 

「私が出来ると信じた。ならば出来る。」

 

シュヴェルはこちらの目を見る。その顔に先ほどの覇気はもう無い。

 

「迷惑の塊で男でバカで何も知らなくてただ飯食らいだ……」

 

「だからこそお店で働けば良いさ。別に今すぐ働く必要も無い。仕事が合わなければ他の仕事を探せば良い。」

 

「……迷惑ばっかりかけると思う……」

 

「子供はそんなことを気にせず大人に迷惑をかければいい。」

 

表情が変わらない。思考がショートしているのか考え事をしているのか。シュヴェルは俯く。視界の端に光が現れた。視線を向けると台所の小窓から光が漏れ出していることが分かった。朝が来たようだ。

 

「ふつつか者ですがよろしくお願いします、!」

 

視線を戻す。シュヴェルはさらに頭を下げていた。見えていたはずの大きい角がフードで見えなくなるぐらい頭を下げていた。その声には覇気が戻ってきている気がした。

 

「……ああ…よろしくな。」

 

ホシグマはシュヴェルの頭を乱暴になで回す。シュヴェルはアワワとつぶやいていた。実際体勢が悪くてブルブルと震えていた。シュヴェルは顔を起こしたがその表情もアワアワしているように見えた。

 

 

少しだけ時間がたち落ち着いたようでまたお互いは椅子に座る。シュヴェルはフードをしっかりと奥まで被っており、表情は全く分からない。

 

「後で、ミスチェーを呼んでくるよ。そのあとお店に挨拶に行こうか。」

 

「はい。」

 

すでにいつもの何を考えているかよく分からない落ち着いた声に戻っていた。

 

 

突然バイブレーションがなった。発信場所はホシグマからだった。場所を確認すると電話機からだった。

 

その内容はチェンが{今から行く}とのことだった。多少の心配をしながらもそのことをシュヴェルに伝えようと思った。

 

「どうやらチェンがこの家に来るみたいだ。」

 

「分かったよ。」

 

予想外の反応が来た。少年は特にアクションを起こさず座っていた。心の準備が出来たか、覚悟を決めたかはたまた私が守るという約束か。何にせよ嬉しい出来事には変わりなかった。

 

 

「コンッコンッ。」

 

規則正しい音が玄関からする。どうやらチェンさんが来たようだ。私は迎えに行く。

 

「いらっしゃい。」

 

「ああお邪魔する。」

 

ドアを開けるとチェンさんが居た。なんとなくいつもより顔がこわばっている気がした。

 

「どうしたんですかチェンさん?」

 

「いや、どう説得したものかと考えていただけだ。」

 

なるほど。それは難題だ。私だって説得できる光景が目に浮かばない。

 

「こんなところで考えても意味がありませんよ。とりあえずまずは中へ。」

 

「分かった。」

 

そう言いつつ招き入れる。私たちが中に入ってもシュヴェルは湯気が見えなくなったホットココアを飲んできた。いや中身がもう無いが飲んでいるふりをしているようだった。

 

「チェンさんこちらへ。それではホットココアを作ってきましょうか?」

 

チェンさんをシュヴェルの反対側に案内する。一直線にチェンさんは動き椅子に座る。外見には表れてはいないが緊張しているようだ。

 

「頼む。」

 

「分かりました。シュヴェルもいるか?」

 

「ぁはい、お願いします。」

 

その言葉を聞いて、机の上の私とシュヴェルのマグカップを取り、台所に向かう。新たにマグカップをもう一つ取り出しホットココアを作る。電気ケトルの中のミルクはまだ温かいままだった。多少は量は少なくなるがそれでも十分な量のホットココアをお盆にのせ持って行く。

 

シュヴェルとチェンはなにも言葉を交わさずにただ座っていた。その様子を見た私はお見合いかな?と心の奥底で思った。

 

 

 

 

 

 

 

 




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まさか3つ目に突入するとは……自分でも思っていなかった。


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2/4壊死からの地生 ホシグマside

シュヴェルとチェンはなにも言葉を交わさずにただ座っていた。その様子を見た私はお見合いかな?と心の奥底で思った。

 

私が机に近づいてもシュヴェルとチェンは相変わらずお互いの目を見ていた。瞬きしているすら怪しい。

 

「チェンさんどうぞ。熱いので気をつけてお飲みください。」

 

マグカップを差し出す。

 

「ありがとう。いただく。」

 

それをチェンは受け取る。そのまま一口飲む。だが目だけはシュヴェルの目を見ていた。正直怖い。

体をシュヴェルの方に向ける。シュヴェルもまたチェンさんの目を見ていた。今さっきまでのシュヴェルは一体どこに行ったのやら……

 

「シュヴェル、どうぞ。熱いから気をつけて飲んでください。」

 

シュヴェルも受け取る。両手でマグカップを持ったまましばらく静止していた。一度こちらに視線を向けた後一口、ゴクゴクと飲み干す勢いで飲む。

 

いきなり目がギロリとチェンさんの方を向く。威圧のある目では無いが怖い。チェンさんの方も気にかけて見ると相変わらずシュヴェルの目を見ていた。

この二人の間に何があったのか……気にはなるが知りたくは無くなった……

 

私もシュヴェルとチェンさんの間に椅子をずらし座る。仲介人になった気分だ。雰囲気は殺伐としているが。

 

気分を落ち着かせるために私もホットココアを飲む。スワイヤーさんには本当にお世話になる。今度何かお礼の品を持って行こうか。

 

 

さて、現状は変わらず。話があるのはチェンさんの方だらかチェンさんに頑張ってもらおう。

 

「チェンさん今日はどうしたんですか?」

 

「今日はシュヴェルについてだ。出会いが出会いだっただけに一度私の上司に会ってもらう必要がある。誘導員としてきた。シュヴェル、ついてきてくれるか?」

 

「………」

 

シュヴェルはチェンの目を見たままだ。動きそうな雰囲気では無い。

 

「シュヴェルどうだ?」

 

「別に良い……けどどうなっても良いの?」

 

「それはどういう意味だ?」

 

チェンが目を細めた。威圧というよりは疑問といった感じだ。

 

「いろんな意味で。」

 

シュヴェルは目を閉じた。健やかにというよりは何かを避けるようにゆっくりと目を閉じる。

 

 

また会話が無くなった。この二人だけで会話できるイメージが無いな。

 

「チェン、私もついて行って良いか?」

 

「ん、来る自体は問題無いが話し合いは入れないと思うが?」

 

どうしたものか、このまま話が進みそうにない。

 

「それでいい。それがいい。」

 

都合の良い言葉が聞こえた気がするな。こんなもので問題が解決するなら楽だな。

 

チェンはホットココアをひと飲みする。

 

「それでは行こうか。シュヴェル。」

 

チェンは立ち上がる。それに習いシュヴェルも立ち上がり、チェンの歩き出した後に続く。ホシグマはホットココアを一気飲みし、素早くマグカップを流し場に置き、水に浸す。どれもすでに中身は無かった。

 

鍵を閉め外に出るとチェンとシュヴェルが待っていてくれたようだ。

 

「すまない。待たした。」

 

「そこまで待ってないぞ。さあ行こうか。」

 

歩き出す。私、シュヴェル、チェンと三人横並びで特に会話が無いまま龍門近衛局についた。出入り口は人が行き交い騒がしい。視線は感じるが特に気にされれる様子も無く流れるようにエレベーターに乗りあっという間に広い待機スペースに着いた。

 

「ホシグマそれでは。」

 

「ばいばい。」

 

二人はそう言ったきり振り返ったりせず静かに進む。その背中は歴戦の戦士のように思えた。

 

ホシグマは椅子に座り外を見る。太陽の逆光がまぶしい。そのまま下を見下ろすと辺りにはちらほらと人が見える。どうやらすでにいつもの日常に戻っていたようだ。

椅子にもたれかかり目を閉じる。太陽に光が差し込み暖かい。このまま微睡みをする。

 

 

 




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2/2~4壊死からの地生 主side

目覚めたら知らない天井だった。タオルケットが体にかかっている。辺りを見渡す。2Kぐらいだろうか、茶色や黒色で全体的に暗い印象だ。だがシンプルでかっこいい。隣の部屋を見ると椅子に座ったホシグマが居た。

 

なるほどねぇ。ヤクザじゃ無くてホシグマに確保されたか~。夢かな?へへ丁度こんな夢がほしかったんだ。ホシグマが姉のように俺のことを見守ってくれてるわぁ~。

 

……ホシグマさん?これは夢か?

 

確かめるために思いっきり爪を立て握る。

 

あっ、痛くないわ。夢だね。俺の皮膚感覚をなめてはいけないぜ。俺がいたくないって言ったら痛くないんだよ。皮膚感覚?既視感。そうだわ俺痛み感じないんだった。ぁぁホシグマさんがめっちゃんこ見ているわ。

 

くぁwせdrftgyふじこlp

 

タオルケットで身を隠しながら後ずさる。あっという間に壁についた。

 

なんでホシグマさんなんだよ!うれしいけど!なんでホシグマさんなんだよ!

 

「私は近衛局のホシグマという。道ばたで寝ていたので保護をさせてもらった。とりあえずホットココアがある。飲むと良い。体が温まるぞ?」

 

優しい声だった。まるで我が子に言い聞かせるような心地よい声音だった。

 

ぁっママ……よしもどった。フードよし。確認完了。他に確認すること無いわ。それにしてもホットココア。女子力高すぎ。女神様。

 

俺はゆっくりと動き出す。

 

…タオルケット……ソファに置かせていただきましょうか。

 

タオルケットをソファに置く。そして一番近い椅子に座る。目の前には少し青みを帯びた一色のシンプルなマグカップ。やっぱり合う。ホシグマさんより男前な人は居ないでしょ。

 

マグカップを両手で取る。

 

温かい。今まで気にしたこと無かったけど暖かさは感じるんだね。痛みは感じないのにどういう原理だ?これが分からない。

 

一口飲む。たった一口。だけどもそれだけで温かみが体を駆け巡る。これは暖かさへの感動か、ホシグマの暖かさか。どちらにせよ温かい。

 

ホシグマが笑みを浮かべる。そしてホシグマも一口飲む。

 

あっしあわせ……このじかん……このくうかん……私が転生した意味はここじゃったか……

 

しばらくこの時間をまったりと過ごす。そこに音はいらない。ただこの無音が心地良い。

 

「くぅぅぅ……」

 

そこに突如不快な音が鳴り響く。私の腹から。顔が熱くなる。これは自分への怒りでもありホシグマさんに聞かれた恥ずかしさにだ。

 

ホシグマがここぞとばかりにクスクスと笑う。

 

「小腹は空いているか?」

 

と聞かれた。体が震えるのが分かる。

 

いいいいいっままっまなんと?ホシグマさんの手料理たべれるのですか!?愛してる神様これでいままでのこと帳消しにしてあげるわ。

 

「…は…はい……」

 

素っ頓狂な声が出てしまった。ふざけんな。どれまで恥を重ねるんだよこのかす。ホシグマは笑みのママだ。いや間違えた。笑みのままだ。特に気にしてくれないのか、いつもがこれなのか。どちらにしても女神様じゃん。

 

「分かった。作ってこよう。」

 

そう言ってホシグマは台所に向かう。

 

今から手作りで作ってくれるんですか!?やべ、頬が勝手に上がる。さげろ……こんなの見られたら俺は死ぬぞ?

 

何かが開く音がする。水が流れる音がする。これ以上何も聞こえなんですが?何作っているの?

 

ホシグマが現れる。その手におにぎりを持ちながら。

 

「どうぞ召し上がれ。」

 

「ありがとうございます、」

 

今度は声が震えていないだろうか?それよりもおにぎり。ホシグマ✕おにぎり。ベストマッチ。手軽さ、時間、すべてが完璧。このおにぎりには一つ1万いや4万だそう。次は一体いつ食べるようになるのか(泣)

見えない次のおにぎりよりも目の前のおにぎりだ。

 

両手でしっかり持つ。力強く持たないように、ゆっくりと一口一口噛み締めるように食べる。

 

Salt シンプルイズベスト。鮭でもおかかでも昆布でも無く塩。そんなことまで分かっているの!?ホシグマさん。一生ついて行かせてください!!先輩!!あッ無くなった。くそぉくそがぁ。なんでこんなに早く食べちゃったんだよ……そんなことより食べ終わったら

 

「ごちそうさまでした。」

 

「お粗末様でした。」

 

返事まで完璧じゃん。これが同居……これが新婚さん。お父さんお母さん今私は最高です。

は?「いただきます」いっていないだろこのハゲ。ばか。おたんこなす。

 

そんな葛藤など知るよしも無くホシグマは食器を台所に持って行く。

 

あっという間にホシグマは戻ってきた。そして一言。

 

「それで君の名前は?」

 

ま、当然。というか名前の知らないのにご飯まで恵んでくれたのか。

 

「シュヴェルです。」

 

「そうかシュヴェル君。

 

「シュヴェルです。」

 

ここは譲れません。君読みは弟風味が強くなるけど、、名前読みの方が良いじゃん。意義は認める。異論も認める。みんなよくてみんないい。

 

「うむ?そうかシュヴェル。どうしてあんなところで寝ていたんだ?」

 

ぉぉう。さっそく来ますか。

 

「逃げてきた。」 

 

ワンテンポ遅れて返事を返す。

 

「それはチェンという人か?」 

 

なぜ分かったし!?こ、これはフラグ!?さっすが姉貴ぃ!!そこ痺れる憧r

 

「……では、もし良かったらそのフードの中を見せてくれないか?」 

 

その言葉を聞いた途端反射的に後ろに飛びのけぞる。椅子が後ろに倒れてしまい「ガタン」と音が鳴る。そのまま辺りを見渡す。それは逃げるために。

ちょうど一カ所台所に小窓を見つけて逃げだそうと脚をあげる。

 

「待ってくれ!」 

 

突如そのタイトルコールよりも聞き慣れた声が迫真の勢いで響く。そしてまた反射的に止まる。

 

あれ?なんで逃げようとしてるんだ?悪いことはしてないじゃん。これは……あれだ、4月、新クラス。慣れたクラスメイトとのお別れ。知り合いとの別れ。一人で浮く教室内。そこに近づく陽キャの挨拶。曖昧な返事。効果、微妙な空気。ぅう頭が

 

「私は君がここに居る間いかなる危機からも、君を守る。だから、見せてくれないか?」

 

はわわっわわっっっわ

 

何このイケメン。推しが尊すぎて涙が出てきます。比喩とかじゃなくて本当に涙が出てきくる。前までは、推しを考えてニヤニヤすることはあっても泣くなんてことは無かったのに。感情を消しなさい。ここで涙を見せたら……死ぬ……空気が本格的に死ぬ……

 

フ、フード…そうだ。まずはフードを取らなければ。

 

震える手でゆっくりと手をフードの方に持って行く。そして勢いよくフードを外した。

 

「ッッ…………」

 

ん?なんで息飲んでるの?もしかしれ俺の顔ってやばい?どうしてだ?気になる、が今動くのはまずい、空気を読めないただの物になってします。何か変化を……尻尾ですか?いやそれじゃないか。分からないなら聞くしかないよね。分からないことを聞けない学生は不効率的だ。

 

首を少し傾け聞く。

 

「どうかした?」

 

「いや、なんでもない。」

 

ホシグマが椅子に座り直す。

 

「シュヴェルも座ると良い。」

 

素早く座る。一フレーム足らずで座る。僕良い子。

 

「……シュヴェルはここで何がしたいんだ?」

 

「……なにもない。」

 

「本当にか?」

 

「うん。」

 

これは本当に本心だ。チェンさんとホシグマさんは見たし龍門でやることはもうないでしょ。見たい者はたくさん居るからね。無駄はいけないことだ。

 

「じゃ何が出来る?」

 

そう来ましたか。そういえば戦闘は、、無理だね経験実績実力体力速度知能そして何より運が足りない!!天災、、てめぇはゆるさねぇ

 

「計算?戦うのは難しい。料理は多少は出来る。」

 

これぞ義務教育の勝利である。それはそうと私はハイスペック一人暮らし者である。家事はお手の物だぜ。

 

「じゃあお店で働かないか?そこにはミスチェーって知り合いがいてね。信頼できる場所だ。」

 

「…………」

 

ミスチェー……?だれ?そんなキャラいた?分からないねぇ。それに知り合いですか。ふーん。マジで誰だよ、男なら潰す。ショタなら教育する。青年なら性癖をたたき込む。女性ならどうぞそのまま末永く仲良くしてください!!

 

「働く必要は無い。」

 

働きたくないでござる!!働きたくないでござる!!こんな無法地帯の仕事がまともなわけ無いだろ。俺は飯はいらない。娯楽は推し観察。何一つ消費も生産も無い。そして私は転生者。すなわち部外者。だからこの選択こそ正しいのだ。

 

「それではおいしい物が食べられないよ?」

 

「必要ない、多少稼いだ程度で価値はない。」

 

必要…ないです。

 

「住む家とかこの辺りの立地とか全部私が支援するし教えよう。」

 

「必要ない。」

 

ヒヒ必要は…ないです。手取り足取り教えてもらえることはとても魅力的だが、それをm

 

「じゃあこの家を使うと良い。私は基本的に家には居ないからな。」

 

「ッ…必要なぁい。」

 

ふぁふゅちぇつちぇす。そそれなら、まさしく同居。まさしくシェアハウス。だが私も紳士だ。一つのオタクとして、その選択肢はなi

 

「嘘は止めると良い。」

 

おおぃやめろよ。おれは紳士なんだ。し…しんしなんだ。な…なにか言い訳は、言い訳は。

 

「信用できるような者では無い、」

 

家出少年に慈悲は

 

「私が出来ると信じた。ならば出来る。」

 

あったみたいですね……

 

「迷惑の塊で男でバカで何も知らなくてただ飯食らいだ……」

 

俺は何も出来ないぞ誰かの歯車になるぐらいなら錆鉄になってやらぁ…

 

「だからこそお店で働けば良いさ。別に今すぐ働く必要も無い。仕事が合わなければ他の仕事を探せば良い。」

 

神対応やめて。やめて。

 

「……迷惑ばっかりかけると思う……」

 

そ…そうだ無知な子供だし、

 

「子供はそんなことを気にせず大人に迷惑をかければいい。」

 

あっあっま…まてなにか他に他に…キュン。

 

ホシグマまっま。

 

いつの間にか俯いていたようだ。ひとつだけ、男として一つだけ譲れないことだ。

 

「ふつつか者ですがよろしくお願いします…!」

 

これって男が言うものだったけ?いや求婚が成功してら言う者だから問題無いでしょ。なんで求婚だって?いいだろ多分この文化無いと思うし、これ以上ほざくなら梅レモンぶち当てるぞ。

 

「……ああ…よろしくな。」

 

やっぱりホシグマさんって男の子では?あっわわわ

 

ホシグマはシュヴェルの頭を乱暴になで回す。体勢が悪くてブルブルと震えてしまっていた。こんなところ見られるなんてもうお嫁に行けないッ!!なのでもらってほしいな、って思うんだけど?どう?だめ?ショボン

 

「後で、ミスチェーを呼んでくるよ。そのあとお店に挨拶に行こうか。」

 

「はい。」

 

ミスチェー、覚悟は出来たか?俺は出来てる。その目ん玉ひkッッッ

 

突然バイブレーションがなった。発信場所はホシグマからだった。

 

タイミング悪すぎるだろ。驚きすぎた。心が壊れかけてるわここで優しくされたら落ちるな(手遅れ){これが洗脳}

 

「どうやらチェンがこの家に来るみたいだ。」

 

「分かったよ。」

 

ふ~んなるほどね。あなたがラスボスか。かかって来いよ。冷静になったから問題無いわ。第一に私にはホシグマの姉貴がいる(他人任せ)第二に身体能力の高さは証明された。負けるわけ無いだろこいよ。

 

 

「コンッコンッ。」

 

規則正しい音が玄関からする。ホシグマが玄関に迎えに行く。

 

急に緊張してきたわ。ホットココアをひとつまみ。そしてふたつつまみ、、、

 

そんなことを思っているとチェンとホシグマが居間に入ってきた。

……ついにか

 

【天下分け目の大冷戦】

 

はっ中身が無い。こんなタイミングで……負けフラグか?く…我は滅びぬ。何度でも蘇るさ。え?滅んじゃうの?嘘だよN

 

「チェンさんこちらへ。それではホットココアを作ってきましょうか?」

 

ホシグマが俺の前の席に案内する。チェンさんは一直線に規律良く椅子に座る。そのたたずまい、さすがとしか言い様がない。

 

「頼む。」

 

クールだ。これだけで負けた気しかしない。

 

「分かりました。シュヴェルもいるか?」

 

「ぁはい…お願いします。」

 

おかわり貰えるの?お願い申し上げる次第でございます。

 

チェンはなにも言わない。ただ座っていた。

 

これが冷戦。これが政治家が味わう空気。俺には無理だわ。大人しく家でぴょんぴょんしていたいわ。こ…こいつ瞬きをしていないだと!?ここから勝負は始まっているのか!?負けんぞ。すでにあらゆる場面で負けている。なのにここまで負けるわけにはいかないんだぁぁぁぁ

 

「チェンさんどうぞ。熱いので気をつけてお飲みください。」

 

ぁ…瞬きしちゃった。俺はまた…負けるのか。また。

 

「ありがとう。いただく。」

 

ホシグマはマグカップを渡す。チェンは片手で受け取りながら軽く一口。

 

く、イケメンめ。いやイケメンじゃ無いわ。目だけはこっちを凝視してるわ。普通に怖いです。止めてください素早さが下がってしまいます。

 

「シュヴェル、どうぞ。熱いから気をつけて飲んでください。」

 

あ、ありがとうございます。ん?ここ…このマグカップは……さっきホシグマさんが使っていたマグカップ!?間接……え?まじっすか?

 

ホシグマさんを見る。そこには「どうしたんだ?」と言い足そうな姿が見える。お落ち付け。陽キャは間接なんぞ気にしない。意図的にするのはKS以下だがたまたまならいいんだ。そうだ。いいんだ。気にするなぁ俺の紳士ソウルゥ。

 

そのまま一飲み。いや一気とも言う。

 

あぁ心がぴょんぴょんするんじゃぁ~~~はっ、もう無い!?くそぉお前さんよぉ何こっち見とるんじゃぁ?チェンさんよぉ。間抜けな顔見て楽しいんか?その心笑っとるんか?

 

シュヴェルの目がギロリとチェンさんの方を向く。

 

シュヴェル!睨み付ける!だが効果が無いみたいだ……チェンの睨み付ける。効果は抜群だ。

 

そんなことはどうでも良いと言わんばかりにホシグマはその間に座る。そしてホットココアを飲む。自由人。これぞ最強の防御力をデフォでもつホシグマの防御力だ。

 

それきり行動フェイズは終了。一足即発。どちらも動けない。一体誰だよ。目と目が合う瞬間恋が始まるっていったやつ。目と目が合えばポケモンバトルの間違いだろ。

 

そこでやはりホシグマが流れを変える。

 

 

「チェンさん今日はどうしたんですか?」

 

「今日はシュヴェルについてだ。出会いが出会いだっただけに一度私の上司に会ってもらう必要がある。誘導員としてきた。シュヴェル、ついてきてくれるか?」

 

「………」

 

………つまりラスボスは裏ボスを連れて来たってか。笑えねぇ。あのいけ好かねぇ野郎が相手なんて、勝てるわけが無いよ。

 

「シュヴェルどうだ?」

 

「別に良い……けどどうなっても良いの?」

 

俺も死にたく無いからねぇ。どうなっても良いんだよね?何も出来ないけど。

 

「それはどういう意味だ?」

 

チェンが目を細めた。

 

「いろんな意味で。」

 

目を閉じる。

再度確認しないでよ。それ死体蹴りっていうんだよ?やめてよ。

 

 

また会話が無くなった。

 

「チェン、私もついて行って良いか?」

 

なんか都合の良い言葉が聞こえたわ。これでかつる。ホシグマさんさえ居てくれたらこの防衛戦が突破されることは無いね。さぁ仕切り直しだ。いくぞ?にげるなよ?

 

「ん、来る自体は問題無いが話し合いは入れないと思うが?」

 

「それでいい。それがいい。」

 

もしかしてこない雰囲気?だめ。それでは負けてしまう。来て?お願いしますホシグマの姉貴。いやぁ~今日は良い天気ですよね?

 

チェンはホットココアをひと飲みする。

 

「それでは行こうか。シュヴェル。」

 

勝った。風呂入ってくる。

 

チェンは立ち上がる。それに俺も立ち上がり、チェンの歩き出した後に続く。ホシグマは素早く行動していた。いつの間にか台所から出てきた。どういう原理なんだ?すごいな。

 

そのままホシグマの家を出る。この辺りは一体どこかは当然分からない。しばらくするとホシグマが出てきた。鍵を閉め小走りで近づいてくる。

 

「すまない。待たした。」

 

「そこまで待ってないぞ。さあ行こうか。」

 

些細な一言。でもそこに現れる人間性。ほんとうに女神様でありイケメンである。

 

ついに歩き出す。ホシグマ、シュヴェル、チェンと三人横並びで。

 

親子かな?ぱっぱ、子供、まっま。微笑ましい情景ではないか。これだけでもう満足だわ。

 

特に会話が無いまま龍門近衛局についた。出入り口は人が行き交い騒がしい。

 

視線は感じる……これはあれだわ。チェンさんあの子供って誰なんですか?もしかして隠し子?のやつだわ。メシウマじゃ。是非その光景を見せていただきたいです。

 

そんなことを考えていると、エレベーターに乗りあっという間に広い待機スペースに着いた。

 

「ホシグマそれでは。」

 

「ばいばい。」

 

ホシグマを置き去りにしチェンの後をつける。

 

さぁ俺たちの戦いはここから始まるんだ。

 

豪華では無いが重厚感ある扉の前、、辺りの静かさも相まって緊張が高まる。

 

ドアをくぐる。これが噂の死の門か。

 

黒に赤の重厚感あふれる部屋。そこにはウェイ・イェンウとウェイ・フミズキが居座っていた。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

side多いと次何から始めるか少し悩んだりします


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2/5壊死からの地生 主side+α

黒に赤の重厚感あふれる部屋。そこにはウェイ・イェンウとウェイ・フミズキが居座っていた。

 

「失礼します。シュヴェルを連れてきました。」

 

右にはウェイ・イェンウ。黒とオレンジを主体とした外見に服装。鹿のようにいくつかに枝分かれしているオレンジ色の角が二つ。オオカミのような顔型に黒い鼻から目の上は黒色。そこにオレンジ色の眉があり、その額中央に横にいくつもの規則正しい小さな線、それを突き通すように中央に一線。耳は大きく、すべてを聞き通すように。その大きな口はすべてを飲み込むように、顎の先には小さな髭をたくわえている。まるでそのひげの量だけ、自分の強さがあると言わんばかりに。

 

左にはウェイ・フミズキ。黒を基本とした着物。鷹のような生き物を着物に宿し、首元には純白のオオカミのようなファーを着こなす。顔ほどの大きさを持つ純血な桃色の大きな鹿角。薄紫の肌に雷鳴が落ちるように白色が表れていた。

 

チェンさんはしっかりと仕事をこなしている。思うことがあるとするならばなぜフミズキさんも居るんですか?真・裏ボスであるフミズキさん。

公式も優雅でか弱い見た目とは裏腹に、強力なアーツ能力と政治手腕を併せ持ち、冷静に事を運ぶ細やかさに、先見の明もある。ウェイにとっては最愛の人であり、最も堅実な支持者、そして後ろ盾でもある。と書かれている。

つまり最強。知能もあって強アーツ。ただの情報戦略かもしれないがこの手のキャラが弱いわけが無い。

多分ケルシー先生と良い勝負しそう(予想)大変楽しみなのでフミズキさん実装はよ。

 

「うむ。ご苦労。君がシュヴェル君か、よろしく頼む。」

 

いつの間にか立ち上がり握手を差し出すイェンウさん。一見気前よさそうな旦那。だが外見だけで判断したら痛い目を見るだろう。この人も裏ラスボスを冠する者。

政治家であり、龍門の執政者。切れ者で礼儀をわきまえていながら、戦略に長け、手段を選ばないところもある。しかし政界では人望が厚く、独自の外交戦略と商業戦略を頼りに、他勢力との関係を円滑に進められている。慇懃無礼な印象が強い一方で、卓越した剣術家でもあり、その点では一切の偽りがない。チェンに赤霄剣を与え、その剣術を指南したのは彼である。公式発表である。

 

権力、人脈、実力、妻すべてを兼ねそろえたエリート。裏社会でも名をあげることが出来るだろう。

 

その重みの核が違う手を握手で返す。実感はしないがアイドルとの握手と友達との握手は違うの理論だろう。俺は分からないけど。

 

あっ返しの言葉を忘れてたわ。無礼であるぞといわれたら勝ち目が無いっ。社交辞令も言えないやつはすぐ潰れる。これ歴史が証明してるから。でもよろしくって何だよ。俺はなにも仲良くする気は無い。俺と仲良くしたいならハニトラでも仕掛けるんだな。

 

……やべぇもしかしてそっちの人ですか?めっちゃ手をにぎにぎしてくる。やべぇよ。逃げなきゃ。俺はノンケだ。く、くるなぁぁぁぁ

 

「さあ、座ると良い。」

 

ウェイ夫婦は校長室にあるようなふっかふかの長椅子に座る。チェンさんはいつの間にか後ろに控えていた。

 

逃げ道潰されたわ。小窓も無い、未知の場所。勝てるわけが無いよ。大人しくイェンウさんの前に座る。どこに座れば良いか分からないけど、とりあえずフミズキさんを直視し続けるのはむずかしい。なんでずっと微笑んでいられるんだよ。俺のこと好きなんか?俺は自信過剰なんだよ。とりあえず餅ついとけ。

 

ペッタンペッタン

 

ふぅぅ……さすが餅つき日本の誇つ正月のイベントだぜ。

 

 

そういえば俺はまだ何もしゃべっていない。つまり円滑なコミュニケーションが出来ない。すなわち話し合いのマンネリ化。これは時間かかるやつ。

どうせ陽キャには分からないよな。陰キャはな、空気が一度悪くなると切り出しにくい生き物なんや。はは帰りたい。やはり俺にはホシグマさんが必要なんだ。

 

「それで君はここで何をするんだ?」

 

イェンウがついに動き出す。威圧のかかった声音で拷問を開始する。

 

「さぁ……知らない。」

 

はっそんなもので俺がびびるわけ無いだろ。社畜の精神力なめんな、、負けたから社畜になった気がするが、、そんなことは気にするな。

 

「では、貴様は敵か?」

 

さらなる威圧を感じる。

 

「それは貴様が決めることだ。」

 

俺も負けずとゴスの聞いた声を上げる。けんかは買う物、売られる物ではない。けんかはな、なめられた時にすでに負けているんだ。

 

 

失敗した。失敗した。失敗した。

フミズキさんも睨んでらっしゃる。後ろからも視線を感じるわ。空気は死んだ。信頼は無かった。目の前に居るのは不審者。さぁ全身に力を込め、逃げるぞ。龍門も権威が及ばないところまで、おれはこんなところで、まだ死ねない。死ねないんだぁぁぁぁ

 

「そうか。もういいぞ。チェン連れて帰ってくれ。後のことはチェンに任せる。」

 

ふぁ?なんだだまし討ちか。卑怯だぞ。いやフミズキさんが戸惑っている!?大変素晴らしいお顔でした。メシウマです。ありがとうございました。

 

イェンウさんが立ち上がる、それに続きフミズキさんも慌てて立ち上がり、部屋を出て行く。それだけで空気が軽くなった気がする。チェンはシュヴェルの隣に近づく。そして

 

「シュヴェル……お前ってすごいな。」

 

チェンさんが誉めてくれてる!?いや皮肉か。はは終わったことを気にしたって意味が無い。次に生かそう。生かせる気も、そのタイミングが来ることも望んでいないがね。

 

* * * * * イェンウside * * * * *

 

「失礼します。シュヴェルを連れてきました。」

 

部屋にチェンが入ってくる。その後ろに情報通りフードを被っているが、その身長に見合わない大きな角がはみ出ている。

 

私は立ち上がり

 

「うむ。ご苦労。君がシュヴェル君か、よろしく頼む。」

 

私は手を差し出す。握手をするためだ。しかしそれっきり、会話も続かない。シュヴェル君の目が見えない。一体何を考え、何を思っているか。全く分からない。

 

しばらくの時を経てシュヴェル君が握手を返してくれた。

無言の握手。だが考えることはたくさんある。そんなことよりも気になるのがこのシュヴェルの手がきれいすぎることだ。戦闘なんて知らないように傷はなく、また筋肉もない。いつまでも触っていたくなるようなモチモチの手だ。

 

……すこし握手しすぎたようだ。シュヴェル君が戸惑っているのが分かる。

 

「さあ、座ると良い。」

 

そう言いながら私たちも座る。それにならいシュヴェル君も私の前に座る。そこでようやく顔が見える。

何も無い目だ。

闘争、本能、願望、嫌悪、憎悪、嫉妬、倦怠、楽観、悲観、喜悦、歓喜、憤怒、恍惚、快感、悲哀、後悔、焦躁、未練、恐怖、優越、哀愁、希望、絶望。

何一つ感じない。誰であろうと感じるはずの感情が全く読み取れない。スラムの子供であろうと、熟練の外交官であろうと、何かを持ち、何かを願っているはずなのに、何一つない。

 

情報が足りない。会話が無い。これは無いも出来ないな。ここは初心に戻ってみるか。

 

「それで君はここで何をするんだ?」

 

シンプルに聞く。威圧を込めて。

 

「さぁ……知らない。」

 

帰ってくる言葉も単純。ここまで平坦な返しだ。ならばこちらは上に行くぞ。

 

「では、貴様は敵か?」

 

さらなる威圧を込める。これの答えによってすべてを決める。これ以上は時間の無駄だ。危険因子は排除する。

 

「それは貴様が決めることだ。」

 

光が変わった。今まで無かったはずの光がいつの間にかシュヴェルの目にあった。

敵意、嫌悪、悲哀、憎悪、闘争。これはただ感情をうまく隠せているからなのか、たった今、感情を出し切ったのか。分からない。ここんなやつは初めて合う。

 

ッッ!?

 

消えた。光が消えた。今さっきまであったはずの光が跡形もなく消えていた。

本能、願望、嫉妬、倦怠、楽観、悲観、憤怒、悲哀、後悔、焦躁、未練、恐怖、希望、絶望。いままでの感情がひっくり返った。余計に訳が分からない。シュヴェルは一体何がしたいのか。一体何を望むのか。

 

これ以上失敗を繰り返したくは無いのだがな、、、、

これはどうするか。一度決めたことを後戻りはしたくはない。

はぁぁ自分を信じる。か。

 

「そうか。もういいぞ。チェン連れて帰ってくれ。後のことはチェンに任せる。」

 

迷いは敵だ。自分の本能にかけよう。

そんな言葉を吐き捨て部屋を出る。誰一人と居ない通路。涼しさ感じた。フミズキが小走りで隣に着く。

 

「どうしたんですか?イェンウらしくありませんが。」

 

フミズキが聞いてくる。その声音に疑問は無い。ただ珍しい者を見るような目をする。

 

「そうだな………迷いが生まれた。だから私は私を信じることをした。」

 

「それはどのような判断で。」

 

そこにいつも横に居てくれるフミズキは居ない。一人の政治家として、執政者の過誤を防ごうと奔走する様子だった。

 

「シュヴェルの目を見た。あれはいつでも鬼になりうる目だ。そして聖人にもなりうる目だ。あれが味方になることは無いだろう。そして敵になることは無いだろう。その逆もしかり。ならばわたしは後者の道を望む。」

 

「………」

 

フミズキは何も答えない。顔も前を向け虚空の時間が生まれる。それを突き破るように案をだす。

 

「なぁに安心しろ。私も監視をつける。そして責任も取る。何も問題無い。」

 

「……まったく、それは当然ですし、取れもしない責任を取ろうとしないでくださいよ。」

 

まったくその通りだ。シュヴェルのアーツは分からない。だが身体能力はこの龍門市街ないでもトップクラス。シュヴェルの願望も嫌悪を何がどうか分からない。

ただの地雷だな。でも

 

「近いうちにまた何か災いが来る気がした。そのなかで彼が鍵になる気がした。」

 

足を止めフミズキの方を見る。フミズキは足を止めたきりこちらを向いてくれない。しばらく間があった後

 

「根拠が無いです。ですがそれで何度かこの龍門市街は救われました。それならフミズキは信じましょう。」

 

そしてこちらを向いてくれる。そこには最愛のフミズキがいた。幼なじみのようで、熟婚のような歯がゆくも心地良い。そしてここは誰にも居座ることも許さない私だけの隣。

 

私はいつまでも止まることは無いだろう。執政者として、一つの夢のために。これからあらゆる困難が待ち受けていることだろう。しかし立ち止まらない。止まることは許されない。たとえ我ら家族以外のすべてを捨て去ろうとしていても。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

ここにきてストーリーをうろ覚え。wiki君も頼りになりません。ストーリー見直しのためアークナイツ入れ直すか悩みます。多分入れたらまた周回の日々になります。慈悲はありません。限定キャラ、イベントスルー、頭が……


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2/6 壊死からの地生 主side

チェンと共に部屋を出て、ホシグマの居るエレベーター前に行く。通路を抜け少しだけ大きな踊り場の端の方に窓の方を向いているホシグマが居た。片腕を肘掛けに置き、その手は頬に向かっている。かすかに頭を傾けておりゆっくりと休んでいた。

あともうちょっとというところでホシグマは椅子から立ち上がりこちらを向く。

 

「ずいぶんと早かったですね。」

 

「思っているよりスムーズに終わった。話し合いの結果シュヴェルの事はこちらに任せられた。ホシグマ、これからどうするのが良いと思う?」

 

ほんまそれ。てかスムーズというよりあっけなくという方が正しいと思うんですが。記憶によるとホシグマ宅に保護だった予定なんですが、、まだ有効ですかね?

 

「それはうちで預かろうと思う。ミスチェーのお店で働いてもらおうと思っている。何か他に良い案があるか?」

 

「いや、ないな。悪いが任せる。」

 

「はい。任されました。」

 

問題無く、解決した。特に記述することは無いだろう。これで私の天下だ。ここから俺の夢と希望が待っている。

 

「それではこれからミスチェーの店の店主にお願いしに行こうと思っていますが、チェンさんはどうしますか?」

 

「すまないがまだやることがあr「聞いたわよ!!チェン!隠し子がいるそうね!」

 

体の芯まで響きそうな声だ。声のする方を向くとあら不思議。目の前にスワイヤーさんが現れた。

ベアトリクス・スワイヤー警官、茶髪、猫、教官、教官服装、セレブ、ドケチ。以上。これ以上説明することは無いだろう。龍門近衛局の上級警司。サーポートが得意なオペレーターだ。しかし侮るなかれ。場合によってはその手にもつ凶悪な武器に追いかけ回されるだろう。厳しくも情熱的。まさに秘書官人権である。そしてチェン、ホシグマと仲が良く三角関係に持ち込んでくれる最高の人である。この関係性が一番すき。

 

そんな印象的な人物にじろじろとなめ回すように見られていた。横ではホシグマさんが{やれやれ}と言った様子であり、前ではチェンさんの額に血管が浮き出ている。こ、これは見れるのか!?龍門伝統

 

「*龍門スラング*のお嬢様、?……この子も戸惑っているだろう?……「はいはい、チェンさんスワイヤーさん喧嘩ならよそでやってください。」

 

ホシグマが少し大きな声で制止する。私としては龍門スラングが聞けただけで大変まんぞくです。龍門スラングはやっぱり龍門スラングだったんだ!

 

「ごめんなさいね僕。ちょっとこのチェンっていう人をからかいたくなってね。」

 

そういいつつ頭を軽くなでてくれる。これがお姉ちゃん。いじわるなお姉ちゃん。いいね。

 

「アタシはスワイヤーって言うの。スワイヤーお姉ちゃんって呼んでね!よろしく!」

 

「僕はシュヴェルといいますよろしくお願いします。スワイヤーお姉ちゃん。」

お姉ちゃん公認。やったぜ。

 

「それでスワイヤーさんどうしたんですか?」

 

「チェンを呼びにきたのよ。いつまでたっても会議に来ないからね。じゃそう言うことでチェンを連れていくわね。」

 

「あっ。」

 

チェンさんの呆けたあっ。珍しい。でもこの会議って緊急な物で、多分俺が元凶だよね?ごめんね。心の中で謝るから許して。

 

「すまないなホシグマ、シュヴェル。ここでお別れだ。それではまた後で。」

 

「こんどまた改めてお話ししましょ~シュヴェル君!」

 

そのまま今俺たちが来た道を進んでいった。やはり嵐のような人だな。いやトルネードだわ。何を言っているかは分からないけど二人の女性の怒鳴り声が聞こえるわ。

 

「それじゃ、行こうかシュヴェル。」

 

「ぁ…はい。」

 

いつの間にかエレベーターのドアが開いていた。中には誰も居ない。ホシグマはあたかも何も無かったようにエレベーターに乗る。それに続く。

 

「多分シュヴェルのことはさっきエントランスで見られたことが広まったか、スワイヤーさんのでまかせだと思うよ。後でなんとかしておくから気にしないでくれ。」

 

「分かりました。わざわざすみません。」

アフターケアまでしっかりと……やはりホシグマさんは最強。

 

「いや気にしないでくれ。それではこれからこれから働いてもらおうと思っているお店に行くよ。」

 

「はい。」

 

「店主の名前はグレイブという。厳つい見た目だが優しい人だよ。」

 

「分かりました。」

 

グレイブ、、男か、なんか強そう。は?男?男といえばミスチェーとかいう人もそこで働いているんだよね。さぁ戦争だ。まけんぞ俺は。

そういえば俺、はいと分かりましたしか言ってないわ。もっと話を広げられるように頑張ります。

 

 

時は流れてグレイブとか言う人の店に来た。看板には{ファルシオン}とある。青が主で外見は屋台と居酒屋の狭間のようなシンプルな感じ。大通りの面しているからそれなりに繁盛していることが分かる。正直これ以上ここで分かる事は無い。

ホシグマさんはなぜか「すまない。少し待っておいてくれ。」と言って、どこかに行ってしまった。お店の中に入った訳では無い。俺をお店の前まで案内して放置って一体どういうことだよ。すべてが嘘でここで捨てるのか?まぁこんな糞ガキ捨てられてもシャーなし。赤の他人だし。むしろ適当な場所じゃないだけまし。いやこん大通りで捨てるのは最低だわ。いやあわよくばこの店主に拾ってもらおうとしているのか?分からないけどどうでもいいや。

本来の予定通りこの龍門市街離れようかな。最低でもプラチナさん見るまではこの旅を止める気はないし。

 

そうと決めたら有言実践。踵を返して進む。としたかったけどここがどこがまだ分かってなかったわ。はぁ俺は両利きだし、どっち向かおうか。

 

そんなことを思っているシュヴェルの元に近寄る影が3つと3つ。複縦陣かな?前と後ろは別々のグループぽいわ。

 

「おいおいガキ。さっさとスラム街に帰れよ。」

「この店の品性下がっちまうだろ。」

「金が無いやつはさっさと帰れ。」

 

軽装備の男三人組。しかしその顔は歴戦の戦士だ。顔や手足に着いている切り傷から傭兵のような存在だと思う。

 

コンビネーション完璧、、しかも全部的確で草。いまだにフードでポーチすら装備してないし。まじで乞食じゃん。言い訳も出来たしさっさと道なき道へ帰りましょうか。

 

さらに踵を返してこの男の集団の反対の方向へ向かう。とりあえず一日一歩の精神だ。

 

「ちょっと待ちなガキ。」

 

その声はさっきの三人とは違い老けた声だ。怒鳴っているというより面倒くさそうって感じだ。

 

横目で軽く確認してみるとその後ろにいた。三人組だ。同じく軽装備で外見はアラサーって感じがする。

 

「待てって言っているだろう。僕ちゃん。」

 

その声は少しづつ近づく足音と共に来る。まだ面倒くさそうな感じだ。なので私は逃げる。

へ、おじさん。お前らごときに捕まるほど引きこもりはやってわ。

速度はそのアラサーと同じ速度で進む。

 

「待てって言っているだろうが。ガキ!」

 

早くなった。小走りから走りに変わった。ついに怒鳴り始めた。

 

こいつ、ガキにキレてやがる。頭に血が上ってるな。こんなことで上るなんて高血圧で死ぬぞ?おじさん?(絶対に声には出してはいけない)

僕は悪い乞食じゃ無いよ!!

俺も全速力で走る。

 

あっ。

 

気づいたときには飛んでいた。いや飛ぶと言うより転ぶというのが正しい。

 

なんでこんな大通りに引っかかりそうな大きめの石が!?

 

残念ながら人間は重力には勝てない者。最後に南無三と唱えながら転びに行きましょう。あぁ空が曇っている。面倒ごとの匂いがぷんぷんだぜ。

 

 ぼよん 

 

不思議な感触だ。冷たくも柔らかい、、これは絶対に地面じゃ無い。コンクリートじゃ無い。転ぶ前に人は居なかったはずだ。ではなんで?

二つの感触がおなかに回る。それは腕だ倒れ込んでしまうより、もたれかかっているという印象だ。

あ、申し訳ねえ俺の下敷きになった人かわいそうだわ。これはちゃんと謝らないといけません。さぁしっかりとはきはきと一言。

「g

 

「大丈夫か?」

 

ファッ

 

このタイトルコールより聞き慣れた声は!?

 

上を向く。そこには若緑のきれいで長い髪。真っ黒な襟をたびかせながら、肌白い肌を見せている。ピンポイントで顔が見える。そこに柔らかいという感覚があればどのような結果か分かるはずだ。

 

急げ、行動は一つ。速やかに動け。これぞ日本の最上級の謝罪。跳び土下座、、腕がホールドしていて動けません。離して、離してください。は!これはさらに上の切腹をしろというお告げか!?分かりました。刀なんて物は使いません。爪でむごたらしく引きちぎります!

誠に申しわk

 

「これはどういうことか、説明してもらおうか?」

 

ひっ 鬼、、鬼が、、鬼神がいる。

 

上を見上げる。そこで異変に気づく。ホシグマさんは俺のことを見ては居ない。前を向いている。目の前の三人組を睨んでいる。その三人組は顔を真っ青にしながら背筋を伸ばしている。明らかなる上下関係が見えた。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

シュヴェルはわずか一秒の出来事だったを実現できる身体能力です・


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2/7壊死からの地生 主side+α

そこで異変に気づく。ホシグマさんは俺のことを見ては居ない。前を向いている。目の前の三人組を睨んでいる。その三人組は顔を真っ青にしながら背筋を伸ばしている。明らかなる上下関係が見えた。

 

「黙ってないで何か言ったらどうだ?」

 

この詰め方怖いやつじゃん。他人と言うより知人て感じがする。教え子かなにか?あ、傭兵三人衆が逃げていくわ。プロの逃げ方。通行人を装い速やかに撤退していったわ。さすがホシグマの姉貴!やっぱりホシグマの姉貴の知名度すごいなぁ。

今頃になってアラサー集団が後ろを振り向く。だが時すでに遅し、そこには誰も居ない。物理的に普通の通行人もそこを避けて通っているからね。しょうがないね。

 

「どうした?何も言えないのか?」

 

二度目のチャンスを与えてるわ。だがとどめにもなる。アラーサー集団、顔が白になってるわ。あれが燃え尽きた後の白い灰か、、お気の毒様だわぁ~~ざまぁとも言う。

 

「はぁ……すまないそこの人。」

 

ホシグマが{ファルシオン}の前にいる全く関係ない二人組に声をかけた。全力でこちらを見ないようにしていたのに、多分心の中でも祈ってたよ。だってこの世の終わりみたいな顔してるもん。あなたたち関係ないでしょ?堂々としてたら良いのに、、

 

「さっきここで何があったのか説明してくれないか?」

 

有無を言わせない質問ですわ。俺も逃げたいです。だからこのホールドを解いてくれませんか?ちょっとこの道の突き当たりまで全速力で向かうだけです。

ぁぁ良い匂いがする。ハーブとかの香水って匂いじゃ無くてなんか良い匂いがする。汗?酒?」とりあえずは良い匂いで私は変態の第一歩を進めていることは分かった。

 

「なな、なんか言い争っていたんだ。そこの三人組とは違う奴らとその小ねねんが、若い奴らだったんです。少年がどこかに行こうとしたときその中央の人がその少年を止めようとしていたんんだ。です。」

 

錯乱してるんじゃ……今日はゆっくり休んでください。

 

「シュヴェル、本当のことか?」

 

「うん。そうだよ。」

 

そこでアラサー集団の顔色が戻った。

 

「でも、どこかに行こうとしたところであいつらがいきなり怒鳴りつけてきたんだ。」

 

指をピンと伸ばし、アラサー集団を指さす。アラサー集団の顔色がさらに戻った。俺は許そう。だがホシグマが許すかな?おまけに二人も冤罪をプレゼントだ☆

 

「言い訳を聞こうか、名無しA。」

 

名無しA?これが名前なんか?コードネームか?わかりやすい。

 

「最近来た例の若造三人衆がその子に絡んでいました。そこで言い過ぎと感じたため、飴ちゃんをあげようと思った次第であります。また若造三人衆の言葉に頭に血を上らせてしまいつい八つ当たりをしてしっまいました。」

 

「ふむ……本末転倒か、お前たちには精神力が足らないようだな、後で特訓するぞ。いやみんなまとめて訓練しようか。」

 

「ぁぃ。」

 

「声が小さいぞ。」

 

「はッいッ。」

 

「大きすぎる。ここが人通りの多い大通りと分かっていて言っているのか?」

 

「はい。」

 

アラサー……どんまい。言い方が軍隊のそれに似てるんだよなぁ。冷静な悪魔の三段責め。下から内角をえぐるようなお叱りほど怖い物はないよな。大声で怒鳴り散らかされた方がまだましだ。

 

話は変わるがホシグマさんのお人形になるのは最高かもしれない。このゴスロリの少女が熊のぬいぐるみを抱っこするように、俺は抱きかかえられている。脚が宙に浮いているためダイレクトに感触が分かる。

この優しくだか抱えるようでしっかりと離さないように抱きかかえられている感覚。これがママだ。しっかりと参考にするように。

 

「ではやり方を分かっているな?」

 

「「「はい。」」」

 

「では行ってらっしゃい。」

 

おかしいな……俺には逝っててらっしゃいに聞こえたわ。アラサー集団がこの世の真理を知ったみたいな顔してるわ。お気の毒さま。これを教訓にして二度とキレないように頑張ってね。

 

「シュヴェル。」

 

名前を呼ばれて顔を上げる。そこには笑顔のホシグマさんが居た。だけどもその笑みには好戦的な何かがあるように見えた。

 

「前の三人組がなんて言っていたか覚えているか?嫌なら言わなくて良いぞ。」

 

俺の目は腐ってないようだ。これこのままカチ込み行きそうだわ。言葉に気をつけなければ、後お戻りが出来ないところまで行きそうでこわい。

 

「ガキとか金が無いやつはさっさと帰れ、だった気がする。もう覚えてないや。」

 

どうでもいい感を醸しつつ控えめにしっかり伝える。これが最善のはずだ。まぁ実際どうでもいいんだけど。とりあえず顔だけ覚えておけば良い。次あったとき小石を投げるか蹴るために。俺は執念深い男だ。慈悲は無いぞ?

 

「そうか。ありがとうな。」

 

そのままシュヴェルを地面に下ろし、頭を軽くなでる。この撫でもやはり優しく、おっとりしてしまうなでなでだ。このなでなではいつまでも変わらない。

 

「さあ、中でグレイブさんも待っている。早く行こうか。」

 

そのままシュヴェルの手を握り、中へと進む。その背中姿は身長の差も相まって親子としか思えないと思ったそこの人だった。

無意識のまま二人の青年の性癖を叩き直したシュヴェルだった。

 

中に入ったからといって、何か印象が変わるわけでは無い。外と変わらず。青が主で外見は屋台と居酒屋の狭間のような感じだ。ちょっとおしゃれになっただけで、いやお店がおしゃれじゃ無い。このウェイトさんがおしゃれなんだ!

オレンジ色の髪をたびかせながらあちらこちらと忙しく動き回っている。少し大きなこの部屋にたった一人で厨房とカウンターを忙しく行き来している。さながらライブ会場の主役のように。小豆色の美しい目に猫耳がありメイド服のような白と黒の服を着こなし、その柔らかい声を響かせている。騒がしい中、彼女の声だけはハッキリと聞こえてくる。

 

その少女がホシグマの存在に気づき、まるで尻尾を振り回すように笑顔になりながら近づいてくる。実際にめっちゃ揺れてる。

ここでホシグマさんの陰に隠れたのは僕だけの秘密だよ。

 

「ホシグマさん!いらっしゃい!今日は何を注文するの?」

 

「いや今日はグレイブさんに会いに来たんだ。」

 

「分かった!また今度飲みに来てね!!」

 

「ああ。またな。」

 

酒場かな?いや酒の匂いがしない。辺りを見渡しても、誰一人として赤面している人はいない。視線はこのウェイトさんか話し相手に向いている。つまりガールズバーかな。

脅威の満席。彼女の人気は世界一じゃったか。すごいなぁ。

 

「では行こか。」

 

そのまま彼女が出てきた厨房らしき場所へ向かう。ホシグマさん関係者?どっちにしても親しい関係か、すごいなぁ、、もしかして彼女がミスチェーって子ですか?す ば ら し い

そのまま末永く仲良くしていてください。

 

進むと厨房へ出る。そこには一人の女性がカクテルを作っていた。

 

こちらもメイド服のような白と黒を着こなす。その漆黒のロングヘアを下ろしながらグラスを振る。そのたたずまいに私はヤマトの魂を感じた。具体的には自然の美しさや神々しさを素直に受け入れる豊かな感受性や、他人を思いやる心。その薄紫色はすべてを見通すような目を持っているが、そこに奥ゆかしい何かを感じさせる。

 

その手際、プロの道。かわいいメイドさんに実力のある飲み物。これは大盛況だわ、みんな来る。俺でも来るわ。

 

「ラミカ。グレイブさんは今日も上にいるかい?」

 

「ええ。いるわ。その子が新入?」

 

「にお願いしようとしているんだ。」

 

ラミカは品定めをするようにねっとりと見てくる。ここでもやっぱりホシグマさんの後ろに隠れる。いや無理だって話す話題の無い相手と、何も無いのに目をじっくりと見られるのは弱いんだよ。

 

「ん。かわいい子ね。これからよろしくね。」

 

「まだ決まった訳では無いんだけどね。」

 

「でもあの人なら採用するわよ。多分ウェイトになると思うけど。さぁどっちの方が人気出るかしらね。」

 

心底楽しそうに笑う。そこに邪悪な物はなく、ただ単純に楽しそうにしている。

 

「それではまた後で。」

 

ホシグマは軽く手を上げそのまま厨房の端に居ある階段の方へ向かう。

 

「新作ができたからまた休みの日に飲みに来なさいね。」

 

ラミカもまた手を軽く上げ返す。

 

そのまま階段を上り、鉄の扉の前に着く。あの美しい光景を見た後に見る鉄の扉。俺はヤクザにでも合うんか?

急に心配になってくる。

そこにホシグマが

 

「外見は怖いけど、いい人だよ。」

 

と言う。何度も言われると逆に怖くなる。この扉の向こうには無いがあるのか。何が待ち受けているのか。

 

ホシグマが扉を開ける。中は木材だ。木の机に木の椅子にきれいな明かり。インテリの極意がそこにある気がした。だがそのすべてをぶち壊す者がそこに居た。俺から見て大きく感じる椅子に丁度良く座る。そこに大量の書類を保持しながら、書類に書き込みをしている。

 

筋肉モリモリマッチョマンの変態だ。

 

ホシグマですらすっぽりと、はまってしまいそうなコートを着て居るが、それでは隠しきれない筋肉がチラチラと見えていた。

 

* * * * * 名無しAside * * * * *

 

今日は災難だ。買い出し当番にはなるわ、転んで笑われるわ、くそ野郎には合うわで災厄だ。

だがそれすらも凌駕する災難が襲う。敵はホシグマ。我らの隊長だ。

 

始まりは良心だった。最近この{ファルシオン}を行きつけにしている三人組がいた。ミスチェーに厄介を出す糞野郎だ。みんな目を開かせてそいつらを見張っている。名前も知らない紳士のみんなで、だ。いつもミスチェーが丁度良いときにいて手を出せないで居る。もし時間があるならばあいつらは男としての尊厳を消し取ってやるところだ。

 

その三人組が{ファルシオン}の前に居る小汚いフードを纏った少年にちょっかいを出した。疑問には思った。スラム街の人間がこんな大道りに居ることなんて珍しい。だがミスチェーもスラムの孤児院出身だ。その仲間がミスチェーに何かを伝えようとここまで来たんだと思った。

だから頭にきた。それと僅かに少しだけミスチェーに良いところを見せようと思った。

 

でも俺の頭にはミスチェーに褒められることしかなかった。心の底からの感謝。それを想像するだけで高揚してくる。

 

だから選択を間違えた。目の前の少年が逃げる。それを追う。そして捕まえるように走る。目の前の欲にとらわれて目の前の少年のことをないがしろにしたんだ。これに関しては全力で謝罪する。

 

だが、来てしまった。いや良いことではあるのだが、来てしまったのだ。鬼が

 

そこからは流れ作業だ。申し訳ないとは思う。だがあの俺たちに買い出しを任せた野郎どもに復讐できると考えると気分が楽になる。

 

改めてあの少年には謝罪をしなくてはならない。あとお詫びの品は何が良いだろうか?後でしっかりと考えよう。

 

それとは別にあの三人組には本格的に復しゅ、、げふんげふん。ミスチェーにちょっかいだした粛正をしてやろう。なぁにちょっとあの三人組に無料ソープ券をあげるだけだ。

 

ちゃんと事情を説明してあるBLソープに…………




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2/8 壊死からの地生 主side

ホシグマですらすっぽりと、はまってしまいそうなコートを着て居るが、それでは隠しきれない筋肉がチラチラと見えていた。

 

「やあ、グレイブさん。この子が言っていた子だよ。」

 

ホシグマの一言にグレイブがようやく書類から目を離す。眼力は強くないがそれ以外(筋肉)がゴツすぎて怖く感じる。

 

「こんにちは。君がシュヴェルか?」

 

「はい。シュヴェルです。」

 

「採用。さぁ採寸をしようか、」

 

グレイブが立ち上がり、俺の前に来る。俺の二倍ぐらいの身長だ。見上げすぎて首が痛い。

ただ気になるのは採寸だ。なぜ採寸を?

 

「採寸って?」

 

「オーダーメイドの衣装がうちの仕事服だ。それ以外は許さない。ここに来るまでに見ただろう?白黒の服を着ている子たち。あんな感じだ。」

 

あーね。つまりメイドさんになるのか。裏方で地味な作業したいなぁ。はぁ陰キャにはきつい。コスプレは分かる。でも接客、お前はだめだ。

 

「それじゃホシグマ任せるぞ。」

 

グレイブは巻き尺をホシグマに手渡すとそのままこの部屋を出て行こうとする。

 

「なんで?」

 

「それはどういう意味だ?」

 

二つの視線が突き刺さる。声に出ちゃったかぁ。でもなぜホシグマさんが?自分で採寸出来ますけど?

 

「なぜホシグマさんに?」

 

「そりゃ俺が男だからだ。」

 

どゆこと?……いやまて。男すなわちグレイブ。メイド。二人の女性従業員。

完全に理解したわ。

 

「僕男だよ?」

 

二つの視線が突き刺さる。こんどは目を見開いている。ずっとフードで顔を隠してたからしょうが無いね。それにしてもホシグマさんもか。女だから同居を許したのか、、さようなら。すべての桃源郷。こんにちは。スラムの民。

 

「ああ、ふむ。んー……んん……ーー」

 

なんか長考してる。怖くは無いがドキドキする。

 

「男の子か、」(小声)

 

「ホシグマ女装するなら雇うぞ。」

 

「それはシュヴェルが決めることだ。」

 

「あーそうだったな。シュヴェルどうする?」

 

そんなの決まっている。女装の対価は桃源郷だ。退路なんて最初から無い。

 

「これからよろしくお願いします。」

 

頭を深々と下げる。ほんと尊敬してますぜグレイブの兄貴。

 

「それが採寸するからフードを脱いでくれ。」

 

さっさとフードを脱ぐ。その下は薄着だ。特に肌寒いとかは感じない。温かさは感じたんだけどな。全く訳が分からない。

 

「ッッ………」「あ、」

 

ん?既視感。息をのむ感じと、ホシグマさんの素っ頓狂な声。珍しい。それは何でだ?

 

グレイブがホシグマの方を見る。

 

「これじゃ裏方しか出来ねぇぞホシグマ。」

 

「………」

 

まじ?やったぜ。でも「なんで?」

 

声がまた出てしまった。二つの視線が突き刺さる。こんどはあり得ない者を見るみたいに。

 

「その見た目じゃ客がよってこないかもしれないからだ。」

 

「じゃどうしたら良いの?」

 

見た目……この見た目ダメなの?鬼に龍だよ?かっこいいじゃん。

 

「そうだな。その角を隠せたら出来るかもしれないが、どこかでボロがでる。そこで終わるだろうな。」

 

しょうがない。郷には入れば郷に従え。龍の角……バイバイ。また~あう~ひまで。

 

淡く黒い光がシュヴェルの角を包み込む。そして仄かに白く光り、塵となり消えていった。

 

「ッッ。」「ッッッ、」

 

二つの視線が突き刺さる。今度は警戒した目だ。

 

どうした。なぜまたそんな目で見るんだ?………あ。角を作っている事ばれたわ。終わったいやまだ。何も終わってない。アーツで作っただけだ。悪いことでは無い。よしこの角は力の源的な触媒的な物にしよう。

 

「ホシグマ……ちょっとこっちに。シュヴェルは待っておいてくれ。」

 

グレイブはホシグマをつれて部屋の外に出る。重たい鉄の扉が閉まる。それはシュヴェルがこの部屋に孤立することに他ならなかった。

 

はぁ……慢心ダメゼッタイ。

いや初期設定から無理だったよパトラッシュ。

 

 

音もせず扉が開く。ホシグマだけが帰ってきた。時間的に10分も経っていないだろう。

 

「シュヴェル、その角はどうしたんだ?どういう物なんだ?」

 

こっちもただ時間を過ごしただけじゃ無いんだよ。ちゃんと設定を考えていた。

 

「アーツで作った。邪魔になるから消した。」

 

「なんで作ったんだ?」

 

「このフォルムが一番しっくりくるから。」

 

「じゃ消えて困ることは無いのかい?」

 

「力がすぐに使えなくなるし、感知しにくくなる。それ以外は問題無い。」

 

「………」

 

「シュヴェルすまないがまた少し待っていてくれ。」

 

ちゃんと伝わったかしら?そうであることを願うだけですな。それはそうと、どうしようか……暇だ。

 

またシュヴェルは一人となった。

 

 

 

こんどは鉄の軋む音が聞こえた。扉が開く。グレイブとホシグマが帰ってきた。

 

「シュヴェル。これからはその状態のまま過ごせるか?」

 

「それぐらいなら……」

 

ロマンを現実より優先してはいけない。これは必要な犠牲である。まってろいつか……いつか必ず………

 

「それじゃ採寸するぞ。シュヴェル。デザインは任せろ。」

 

「お願いします。」

 

グレイブはその巨体に見合わない素早い動きであっという間に採寸を終わらせた。

 

「それじあ明後日から、この店に来てくれ。朝7時くらいには来て貰えたら良い。最初は仕事を覚えるところから始めるぞ。」

 

「はい。よろしくお願いします。」

 

「グレイブさん。ありがとうございます。それでは。」

 

「おうよ。まぁいつでも来いよホシグマ。」

 

 

そのままその部屋を後にする。ホシグマを先頭に階段を出て行く。そこにはラミカが後片付けをしていた。

 

「ずいぶんと長かったわね。一応聞いておこうかしら、結果はどうだったの?」

 

「採用してくれましたね。」

 

「やっぱりね。」

 

楽しそうに笑う。なぜだろうか、印象がクールな人から、よく笑って仕事も出来る最強の先輩に見えてきた。

 

「その前に一つ言っておくことがある。グレイブさんからも連絡があると思うけど言っておくよ。」

 

「あら?一体どんなことかしら~」

 

「この子は男の子だ。」

 

ラミカの表情が固まる。そしてピキッと音がした気がする。だがすぐ戻る。

 

「男の娘?」

 

「男の子。」

 

「女の息子?」

 

「男の子。」

 

「女の子?」

 

「男の子。」

 

そこで会話が途切れる。ラミカの思考回路がショートしてしまったように。

 

ラミカさん壊れちゃった。顔が動かない。表情筋が動いてない。

 

「男の娘!」

 

いきなり目がキラキラとし始めた、、この人はいくところまでいっている人だろう、、

 

「男だといっているんだがな……」

 

「分かっているわよ。これからよろしくね、、そういえば自己紹介がまだだったわね。後で改めてやると思うけど、私はラミカって言うの、ラミカって呼んでね?」

 

まだ目をきらめかせている。身の危険をさすがに感じてくる。

 

「シュヴェルです。シュヴェルと呼んでください。よろしくお願いしますラミカさん。」

 

「ずいぶんと硬いわね。まあいいわこれからよろしくね!シュヴェル君。」

 

ラミカがシュヴェルに近づく。片手を伸ばしながら近寄ってくてくるから握手をするためだと思っていたが、途中でもう片方の手も伸びてきた。

身の危険を感じ反射的にホシグマの後ろに隠れる。そこにラミカの腕が交差する。

 

あっぶね。あともうちょっとで抱きつかれてたわ……よける必要あったっけ?………判断力が足らんぞ若造め……

 

「あうひどい……交流を深めようと思っただけなのに。」

 

そう言いながら追い回してくる。しばらくぐるぐると、ホシグマの周りを回っていた。ラミカはフェイントなどを織り交ぜるが、シュヴェルの反射速度には意味が無かった。というか、失敗を生かせてないぞシュヴェルよ。

 

挨拶は終わった速やかに帰宅を希望しますホシグマ大佐。

心の中でそう思いつつ目線を送る。帰ってくるのは

 

「ほどほどにするんだぞラミカ。」

 

そう言って一歩後ろに下がる。

 

裏切りですぞホシグマ大佐ぁっぁぁぁぁ

 

本来あるはずの侵入不可領域、それが無くなることに対応できなかったシュヴェルは見事にラミカにハントされた。

 

「肌モチモチじゃない。髪も柔らかくて良いにお……グレイブの匂いがするじゃない!!上書きしなきゃ。」

 

まずはハグ。それに飽き足らず、見た目通り軽いシュヴェルは抱っこされ、ほっぺをすりすりされた。追い打ちに頭をなで回される。

 

他に追記することがあるなら控えめでもちゃんと柔らかく、とてもほっぺがモチモチでした。雨の後のアスファルトのような刺激的な匂いに林のような落ち着く匂い。これは中毒性があります。

 

どれくらい経ったか分からないぐらいには満喫したころ、ホシグマさんの制止によってその甘ったるい空間は止まった。

 

「そろそろ止めておけラミカ。」

 

そう言いつつシュヴェルをラミカから奪い取ったのはホシグマでした。

ラミカの腕の中に居るシュヴェルを自らの腕の中に持ち運び、そのまま下ろした。

 

たった一瞬だったが勢いは十分だったためその豊満をよく感じ取れました。一瞬でも他のことに気を取られていた自分が恥ずかしいです。あのただボーとしていたくなるような自然の匂い……最高でした。

 

頭がまだホワホワする~

 

「……大丈夫か?」

 

覚醒したときにはホシグマの顔が目の前にあった。まつげの数も数えられる程の近さ、反射的に驚いたのか、恥ずかしいのか、いまいち分からないがとりあえず後ろにのけぞるという結果があった。

残りの数少ない理性で返事を返す。

 

「はお、ただいま戻りました。」

 

まだ夢心地のようだ。だがそんな変な返事にホシグマとラミカは頬がほころんでいた。美女の笑顔は金取れるって本当だと思ったわ。

 

「それでは帰ろうか、シュヴェル。それではまた今度。」

 

「また明日ねシュヴェル君!ホシグマもまたね。」

 

「さようなら。また明日お願いします。」

 

厨房を出る。カウンターはすでに電気が消えており、窓から見える外も暗い事が分かった。すでに辺りは夜だった。

 

{ファルシオン}を出ると聞き覚えのあるバイブレーションが鳴る。発信もとはもちろんホシグマだ。

 

「すまない。」

 

そう言い、少し離れるがすぐに戻ってきた。何を言っているかは全く分からなかった。さすがエリートオペレターだろうか。口の動きだけでなにをいっているか分かるようにないたいです。

 

「シュヴェルすまないが一人でかえってくれ、これは鍵だ。ご飯は適当に食べていてくれ。」

 

そう言い去った。手元にあるのは軽く投げ渡された鍵、それだけだ。

 

鍵……鍵………同居?……やったたあっぁぁぁぁぁぁぁぁああぁあああッッッ

まだ残っていましたかありがとうございます。ホシグマ様。へへ完全勝利のBGMが聞こえるぜ。夢の桃源郷がここにはあった。それじゃ帰りますか………

 

満面の笑みだったはずの表情が急に真顔に戻る。

 

俺が今まで通った経路を確認しようか、ホシグマ宅 → 龍門近衛局 → ファルシオン

ホシグマ宅からファルシオンまでの経路を知らないんですが……

 

空間把握能力はあるから多分なんとかなるでしょ。わざわざ龍門近衛局まで行くの面倒くさいわ。直線で行こうぜ!直線教

 

 

これは災いか、運命か、シュヴェルは自分主人公補正なるものがあるかもしれない転生人生だったのを忘れていた。だからこれから起きることを想像すらしていなかったのだろう。その身体能力を持つこともあって、警戒という言葉が存在しなくなっていたようだ。

 




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2/9壊死からの地生 主side

空間把握能力はあるから多分なんとかなるでしょ。わざわざ龍門近衛局まで行くの面倒くさいわ。直線で行こうぜ!

直線教

 

そう思っていた時期もありましたとでも言うとでも思ったか?

 

俺はそう思っていた。

とりあえず方向は大丈夫。後ろにファルシオンがあるということが。だけどもホシグマ宅の場所が分からないからきつすぎる。

これは迷路だ。辺りの道が入り組んでいる。そしてどこにも大通りのような直線の道が無かった。

そりゃメインストーリーステージで5ます以上の直線は数えるぐらいしか無かったけど。ここまで無いとは思わないじゃん。

 

このまま進んでいって外壁まで行くことになったら面倒くさい。またファルシオンまで戻らないといけない。早く大通りか見覚えのある場所を発見させろ。

唯一の救いはホシグマさんはご飯は適当に食べていてくれと言った。つまり時間はある。それまでになんとかしなければ。

 

 

歩いても歩いても進んだ気がしない。もはやしょうがないね。空を飛ぶか。急がば回れ。つまりそういうことね。

 

あいきゃんふらぁ「ボォッッッン」

突如目の前で爆発音がする。そこに視線を向けると地面に穴が出来ていた。半径40cm。それ以外の情報や音は、、カーチェイス?嘘だろ。この狭い道でやってんのか?変態じゃん。これがワールドスピードとか言うやつですか?

あっ爆発音増えてきた。車の数は三以上、爆発は、9回を一クールだね。これロケットランチャーでは?知らんけど。ロケットランチャーって言うと4連式が思いつくのは、だいぶこのゲームに沼っている証拠だろう。

 

さあ、逃げるぞ。巻き込まれてみろ飛ぶぞ?物理的に飛ばされる。触らぬ神に祟りなし。

 

 

 

俺の周り回ってる……なんで?俺を中心に円を描くように走っている音がする。前に行っても音は俺を中心だし、後ろに行っても俺が中心だ。

世界が俺中心に回ってるってこんな気分なのかな?くそが俺より速い車なんて存在しないんだよ。行くぞ。

 

上上下下右左右左斜右下斜上下下左左上下上ふざけんな!

 

とりあえず車は5台。逃げている車1台に追いかけている車4台。俺が本気を出し始めたとき、後ろの4台が今までのバカみたいな追いかけ方を止めて回り込みをし始めた。それで俺の逃げ道が無くなった。なんでこの狭い通路でそれが出来るんだよ。コンビネーション最強かよ。そして逃げる方がなんで円を回るように逃げて捕まらないんだよ。なんで空を飛べるんだよデロリアンかよ。

 

やっぱり引きこもりが最強だ。もう動きたくない。こいつら面倒くせぇ。と言うことで虚無タイム☆開始。さぁ推しの妄想を開始せよ。

 

 

 

「ボォッッッン」

ふぁ………ぁ?

音がした。それで現実に戻らされた。後ろであの爆発音がした。

空を飛ぶ。それは物理的に。前衛てきな攻めの姿勢で飛び上がる。

 

サザエさんよろしくと右から車が二台迫ってきている。

 

良い報告と悪い報告がある。

 

良い報告はこれだけの情報を得られたこと。

悪い報告は落下先が車の通り道だという事。つまりひかれる。

 

ふざけんなアーツ起動。上方修正。二段ジャンプだ!

 

源石を勢いよく出し、その反動で滞空する。すぐに源石をしっかりと消す。進む車を止めて余計なことに巻き込まれないために。

 

勝った。よしこのまま地面に着地したらさらに上に飛ぶ。そして龍門近衛局まで行く。もう無計画と無能な上司は嫌だ。

 

 

嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ…………ふざけないでくれよ

 

車が空を飛ぶ。気がついたときにはすぐそこに。右斜めからこちらに向かってゴーシュート。さぁこれで車にひかれる事が決まった。

 

「ボォッッッン」

なぜ今音がする……車が回転してる!?前の車が回転し始めている。後ろのトランクの留め具が壊れて開いてるわ。なんで爆発物でそれだけの外傷なんだよ。いったい何装甲ですか?それはそうと、それ以外の外傷がないんですが……これが初めての被弾!?すっげ一体何発無駄うちしたんだよ。

 

その回転で軌道が変わった。勝ったわ。これでぶつかる事は無い!あ、後ろの車の軌道変わってないじゃん。

 

終わったわ。

「ボォッッッン」

後ろから爆発音がする。

 

な ん な ん だ よ

 

そんなに俺の背後取るの好きなの?別に煽ったわけじゃないでしょ。ふぇ?

 

後ろで爆発していた。その爆発した勢いがシュヴェルまでに届き、落下は加速する。そこには回転する車がある。

 

奇跡か…災いか…逃げる道は無かったのか…教えてください何でもすると思うかもしれないから……

 

見事にその車のトランクに入り込んだ。車の着地の反動では無いではないだろうが、着地と同時にトランクが押しつぶされた。

 

うう腕が曲がっちゃいけに方に曲がってるよおおぉ。密封空間って落ち着くよね。暗くて狭いところ、安心するわ。この車の走行音さえ無ければここは極上の居場所になったと思うよ。

 

ん?そういえば一台しか音がしない。ははぁ~さては後ろの車着地ミスったね。ばぁぁか乙です。ばーかバカ馬鹿あほ馬。

 

はぁ………どうしようか……あっ、ここで良いこと教えてあげるよ!?私に腕力筋肉握力その他諸々はなぁあああい。

 

つまり監獄されました。はぁぁもういいや寝よう。へへ起きたらホシグマの姉貴がかっこよく助けてくれるわ。

 

 

そんな妄想をしながら現実逃避を決め込むとしましょう。断じてこれは悲しみの涙では無い。これは砂埃が目に入ったことにより目の防衛機制が起動し涙が流れるのだ。

 

 

 

 




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ついに調整平均評価がつきました!!感謝の連日投稿です。


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2/10壊死からの地生 主side

音が止まった。車の音が。

 

着いたわね。さぁ鬼が出るか蛇が出るか。僕は鬼神を希望します。

 

「なんとかなったね!ボス!」

 

「ああ、いつもより激しかったな。はぁ一発当たっちまったじゃねぇか。ほら見てみろよトランクがダメになってやがるぜ。」

 

「うわ……血もついてるじゃん。掃除面倒くさいなぁ~……ねぇねぇボス。血が中から流れてない?」

 

「何馬鹿なこと言ってんだそんな訳……血…止まらないな。」

 

エクレアペンギン!?別名エクシアと皇帝(エンペラー)である。

 

配達員であり、護衛役のエクシアさん連射機能に全振りした手数で敵を蜂の巣にする狙撃役。その連射速度で数々の敵を屠ってきた強者である。デバフにバフを入れよう物なら敵が溶けるぞ。そのため銃の弾代でヒイヒイ言われています。(主に経営者、エクシアさんは特に気にしていない模様。)

 

赤い髪のショート、オレンジ色の目、白い天使のわっかに翼。服装は白と黒が主体でピンク色がラインで入っている服だ。

 

ペンギン急便の社長兼ミュージシャン兼音楽プロデューサー。しっかりと音楽の方でも成功しているやばいやつである。外見がペンギンである。やばいやつである。ナイフで刺されても絆創膏で済むらしい。やばいやつである。

 

ペンギン、サングラス、金の首飾り、白いTシャツに人の絵が描かれている服。

 

「3で行くぞ。」

 

エクシアは銃を構える。皇帝はハンマーを持ちトランクを下からこじ開ける気満々だ。

 

ひどく低いハードボイスだ。どうした?

 

「バォン」

 

心の中で三を数えられハンマーを振り上げられる。トランクは無事にどこかに飛んでいく。中には小さい黒い布の塊が存在していた。

 

うぉびっくりした。爆発音では無いむしろ何かをぶち壊した感じ。ぁ~新鮮な空気の音~。これ多分トランクぶち壊して開けた音だわ。振り返る勇気が無いです。

 

「……なんだこいつ?ガキか?」

 

「お荷物かもよ。じゃ引っ張り出すから下がってて。」

 

今度は皇帝が下がり、エクシアが近づく。その布をつかむと一気に後ろに投げ捨て、車を障害物にする。

 

おおい待てよ。引っ張り出すっていったいd

 

シュヴェルは勢いに逆らえず地面を転がり込む。

 

腕がぁぁぁ曲がってはいけない方向に!右腕が曲がってはいけない方向に!あっ、この状況からどうしたら?普通の反応をするんだ。

 

左腕で支えながら女の子座りに座り込む。辺りをぐるっと一望。な、なんか普通のガレージだ。もっと何かを、何か望んでいたんだけどな、何を望んでいたかは知らないけど。

エクレアペンギンみっけ!とりあえずこの曲がった右腕を左手で押さえながら後ずさろ。壁まで来たら壁を背もたれにしながら、エクレアペンギンを見つめる。

さて、これからどうしたものか。分りません!

 

黒い布の物体が転がり落ちる。手足があった。どうやら大きさからして子供ではあるようだ。しばらくした後、子供は座り込む。右腕を押さえながら。右腕があられもない方向に曲がっている。子供は辺りを見渡した。そこでこちらを見た。その目は不思議な目だった。怖がる様子でも怒ったりもしない。そのまま後ずさり、壁に背中を預けた。

 

皇帝はエクシアの腕を引っ張り車の陰におびき出す。

 

「なぁ、どうする?ガキだぞ。一体いつは行ってきやがった。てかどうやって入ってきた?」

 

「し、知らないよ。とりあえず治療してあげたら?」

 

「それもそうか。」

 

「おい、テキサス!医療道具を持ってこい。」

 

皇帝がいきなり大声を出した。しばらくガサゴソと隣の部屋から音がする。そして音のした方の扉が開く。

 

グレーのロング。腰まで届くその髪。白と黒と赤の服。彼女にタイツ推しにされました。

シュヴェルを一望すると、面倒くさそうにつぶやく。

 

「やったか?」

 

「ちげぇよこいつがトランクの中にいつの間にか入っていたんだよ。俺は悪くねぇ。」

 

やっぱりいたぜ!テキサスさん。これでペンギン急便に来た目的は、、まだまだだわ。ラップランドとテキサスの交わりを見たいし、ソラの歌声を聞きたいし、エクシアさんのアップルパイを食べたい。未練たらたらですよ?あ、可能ならモスティマさんも/自重

 

テキサスさんが医療箱を持って近づいてくる。

 

「ちょっといいか?」

 

テキサスがそう言う。それに軽くうなずく。イケメンに言われたら拒否できない。これ世界の法則ね。

 

 

テキサスはシュヴェルをうつ伏せに寝転がせる。そして「痛いぞ。」そう言い、腕を勢いよく折り曲げた。そして木の棒を折り曲げ、シュヴェルの腕の長さにする。腕に包帯で巻き付け、腕を骨折したときのようにした。

 

な、なんて手際がいいんだ!家庭的でイケメンって……やばい惚れたかも。後声は出さなかったぜ。痛みがないからね!推しの前で情けに姿見せなくて良かったわ。

 

テキサスはシュヴェルを壁に背を預けさせ座らせた。そして軽く頭に手を置き

 

「よく頑張ったな。」

 

といった。僅かに口元が上がっており微笑んでいることがわかる。

 

「もし、よかったらどうしてトランクに入っていたか、教えてくれないか?」

 

 

顔が熱い。万能。ゲーム内の強キャラはリアルでも強キャラじゃったか。こんな短時間で心を開かせて目的を達成させるなんて……しかしどうやって説明を?ありのまま行っても信じないだろ……アドリブ行くぞ!ここで対応力が問われます。

 

「爆発に巻き込まれて、足下が崩れて、トランクに入った。」

 

苦しいか?なんとか行けますようにと願う

 

シュヴェルは淡々とつぶやくように言った。

 

「そうか。ありがとう。」

 

最後にテキサスはシュヴェルの頭を一撫でし、皇帝の方へ進んだ。

 

「で、どうするんだ?」

 

「そりゃ親元かスラムに返すしだろ。送ってやってくれ。俺は後始末やってくるからよ。」

 

「りょーかい!じゃテキサス行こ!」

 

「それぐらい一人で行ってこい。」

 

「へーいケチ。じゃあ行ってきますよ。」

 

話し合いは終わり、エクシアがシュヴェルの元に近づく。

 

「君!?名前はなんて言うのかな?」

 

「シュヴェル。」

 

思ったんだけど俺もなんか自己紹介を考えるべきか?このまま淡々と名前だけ言うっているのもな、、クール系としてはそれでいいと思うけど、、それじゃ仲良くなれないじゃん。推しと仲良くなりたいのに、、これは課題ですね。早急に見つけなければ。

 

「じゃあシュヴェル君はどこに住んでいるのかな?」

 

「ホシグマさんの家。」

 

偽りなく言う。ペンギン急便と龍門近衛局は仲は良くないけど知り合いではあるはずだ。これでホシグマさんが帰ってくるまでにホシグマ宅に帰れるわ。勝ったね。

 

シュヴェルは気づいていないようだが、その場の空気は変わっている。主に皇帝とエクシア、のだが。テキサスは変わらず部屋を出て行こうとしているが、皇帝はその場に脚を止めた、というか表情が止まった。エクシアの顔も固まっている。

 

シュヴェルは気づくことができた。だがエクシアさんの顔が固まっていることだけに。そこで気を利かせて言った一言でその空気は動き出す。

 

「あのー、龍門近衛局の方向さえ言って貰えれば帰れますよ?」

 

その言葉で皇帝とエクシアが動き出す。あっという間にシュヴェルの横に皇帝とエクシアがいた。シュヴェルの肩に手を置きながら。

 

「そんなに焦ることはないよ!シュヴェル君!」

 

「そうだ。せっかく来たんだ。ゆっくりしていけ。おいテキサス!」

 

「諦めたらどうだ?」

 

「いいからやれ。」

 

テキサスはやれやれと言った様子でシュヴェルに近づいてくる。

 

そしてシュヴェルの肩を持つ、同時にエクシアも肩を持ち上げ脚が宙に浮く。そのままテキサスが来た扉の方に向かっている。

 

気分は宇宙人。もしかして存在消されようとしています?うそでしょ。どうしたの?さっきまでフレンドリーだったじゃん。テキサスさん!?どうしたの?ホシグマさんのことは知っているはずだ。その知り合いを消すとなると、、知らねぇわ。誰も俺の居場所知らないわ。あ、もしかしてやばい?

 

そのまま連行されふっかふかの黒い椅子に座らされる。その横にエクシアとテキサスがいる。目の前の黒い椅子には皇帝がいる。

 

辺りはバーみたいだ。このエクシアさんとテキサスさんが横には付き添っている感じ、、いい。なんだろ?っこれはいくらで買えますか?

 

「さて、本題に入ろうか。こちらの要求は一つホシグマに今回ペンギン急便が関わっていることを言わないことだ。」

 

あーね。つまりまたホシグマの姉貴にどやされるのが嫌って訳ね。完全に理解したわ。

 

「さぁ何がほしい?そこまであげれる物は無いけど好きな物を言ってみなさい。」

 

「無いです。」

 

「まぁまぁそう言わずに何か言ってみな。」

 

だめだこれ。話通じないやつだ。確か皇帝はレコードを愛していたはずだ。それを要求してみるか。

 

「じゃエンペラーさんのおすすめレコードちょうだい。」

 

皇帝の目が細まる。

 

「レコードはホシグマに見つかったらばれるからダメだ。」

 

やっぱりダメじゃったか……まぁ仕方ないね。

 

「じゃ何もいらない。」

 

「それじゃ問屋が卸さない。」

 

じゃどうしろって言うんだよ。酒はいらないし。欲しいものなんて推しぐらいしか居ないぞ?このなかだと

 

「テキサスがほしい。」

 

ふぁっっふぁ。どうした俺の口?最近調子悪いんじゃ無いの?何かに寄生されてる?一回口焼くか?

 

さらに皇帝の目が細まる。

 

「断る。」

 

「じゃあ何もいらない。」

 

「それは無理だな。」

 

どうして?

 

なんかに脅されてんの?やめろ。テキサスさんがすっごい目で見てるよ。やめて、俺に新たな道を開かせないで。

それ以前に推しと険悪にさせるな!お前のせいで推しへの道がひとつ消えただぞ?この落とし前どうしてくれるの?

もうういいわキャラ変える。このままひ弱キャラじゃ一生終わらん。裏ボスみたいな強キャラ演じるわ。もう、、、失う物はないんだよ?このクソペンギン……*龍門スラング*

 

「言っているだろう?、テキサスをよこせと。」

 

ドスを効かせた声。腕を組み、前屈みになる。交渉は強気な姿勢と引き際の見極めって漫画で見た。

 

「断る。」

 

皇帝も負けずと声を上げる。

 

この不毛な争いやめろや、これなら武力交渉の方が良いぞ?

皇帝の目に訴えかける。効果は無いようだ。

 

しょうが無いアーツを使って皇帝の背中をなぞる。先端をほどよくして。孫の手スペシャルだ☆

 

皇帝が身震いをする。来た、ここだ。

 

「ふははは。」

 

軽く、大胆に笑う。何かを言わせる前に行動しろ、先手を取られたら終わる。

 

「お前、気に入った。」

 

ここで謎の笑いラミカさんがやっていた奥ゆかしい笑いだ。そして立ち上がる。横に化け物級の強さを誇るキャラが居るが気にしたら負ける。そのまま素早く、後ろを振り返らずに扉に向かう。これは1/2だ。扉は三つ。一つはガレージ。1/2で出口だ。ここで外すと恥ずかしいぞ?

 

そして置き土産を忘れずに。フードの中にアーツで今の自分の鬼の角の大きさの角を作る。扉に手をかける前に。

 

「土産だ。受け取れ。」

 

フードの中に手を突っ込み今作った角を取る。そしてエンペラーの方へ投げる。体の向きは扉に向かったままで。手を振りかざす。どうか届いていることを願う。

 

「売るなり、飾るなり好きにしな。親愛の証だ。」

 

そう言い捨てその場から逃げ去る。運が良いみたいで扉の外は外だったようだ。夜の寒さが体に突き刺さる。涼しい。

 

逃げられた。だがペンギン急便と推しを捨て。まぁ見られただけ良いとしましょうか。

さて、ここからが大変だ。ホシグマ宅を探さないと行けない。

外は全く見覚えが無い土地だ。しかも時間も進んでいる。状態は悪化する一方だった。

 

あっはっは~~~走れ。

 

アーツをしっかりと使い、飛び上がりマンションの屋上に行く。そして空を飛ぶ。応用で空を飛べることは分っている。さぁ急げ。

 

帰るべき居場所がある。これは断じて空気が目に入ることにより目の防衛機能が起動し涙が出るんじゃ無い。これは推しとの関係がぶち壊された事による涙が流れるのだ。

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

ついに調整平均評価がつきました!!感謝の連日投稿です。

後アークナイツをインストールしなおしました。それに伴いアンケートを実施します。結構先の話ですがロドス内で登場させてほしいキャラを募集します。
ロドス外は陣営でまとめました。陣営を選択したけどそのキャラが出なかった場合があります。ご了承ください。その時にお叱りをいただければ出せるかもしれません。
また選択したのに登場しない場合もあります。その場合も同様の対応をよろしくお願い申し上げます。


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2/10壊死からの地生 皇帝side

「なんとかなったね!ボス!」

 

「ああ、いつもより激しかったな。はぁ一発当たっちまったじゃねぇか。ほら見てみろよトランクがダメになってやがるぜ。」

 

今日に限ってはいつも以上にしつこい奴らだ。執念深さも、連携もいつも以上だ。これはさっさと対策しておかねえとな。

 

「うわ……血もついてるじゃん。掃除面倒くさいなぁ~……ねぇねぇボス。血が中から流れてない?」

 

「何馬鹿なこと言ってんだそんな訳……血…止まらないな。」

 

トランクから血がポツポツと流れ出ている。ゆっくりと落ちるのではなくそれなりの頻度でポツポツと、勢いが弱まる様子はない。

 

厄日か?面倒ごとはもうごめんだぜ。

 

「3で行くぞ。」

 

俺はハンマーを持ちトランクに近づく。エクシアはもしものために銃を構える。

 

「バォン」

 

心の中で三を数えハンマーを振り上げる。トランクはどこかに飛んでいく。中には小さい黒い布の塊が存在していた。

 

「……なんだこいつ?ガキか?」

 

「お荷物かもよ。じゃ引っ張り出すから下がってて。」

 

今度は俺が下がり、エクシアが近づく。エクシアはその布をつかむと一気に後ろに投げ捨て、車を障害物にする。

 

黒い布の物体が転がり落ちる。手足があった。どうやら大きさからして子供ではあるようだ。しばらくした後、子供は座り込む。右腕を押さえながら。右腕があられもない方向に曲がっている。子供は辺りを見渡した。そこでこちらを見た。その目は不思議な目だった。怖がる様子でも怒ったりもしない。そのまま後ずさり、壁に背中を預けた。

 

強そうでもない。ただの鬼族のガキ。

エクシアの腕を引っ張り車の陰に呼び出す。

 

「なぁ、どうする?ガキだぞ。一体いつは行ってきやがった。てかどうやって入ってきた?」

 

「し、知らないよ。とりあえず治療してあげたら?」

 

「それもそうか。」

 

「おい、テキサス!医療道具を持ってこい。」

 

中に居るはずのテキサスを呼び出す。しばらくガサゴソと隣の部屋から音がする。そして扉が開き医療箱を持ったテキサスがやってきた。

シュヴェルを一望すると、面倒くさそうに

 

「やったか?」

 

「ちげぇよこいつがトランクの中にいつの間にか入っていたんだよ。俺は悪くねぇ。」

 

テキサスは疑いの目は止めたが軽蔑の目は止めていなかった。

だから俺は悪くねぇだろ。

 

テキサスが医療箱を持って近づき治療を素早く終わらせる。

 

へぇ案外根性あるガキじゃねえか

治療中は一言も声を漏らさずにいた。

 

「もし、よかったらどうしてトランクに入っていたか、教えてくれないか?」

 

おっと、本題に入るようだ。

 

子供は当たり前のように特に戸惑った様子を見せずに言う。

 

「爆発に巻き込まれて、足下が崩れて、トランクに入った。」

 

入った?ずいぶんと都合の良い悪夢があったみたいだな。いや奇跡か?そんなことより足下が崩れた、か。つまり屋上にでも居たのか?このガキが?ただのガキじゃなさそうだな。

 

「で、どうするんだ?」

 

テキサスが戻ってきた

 

「そりゃ親元かスラムに返すしだろ。送ってやってくれ。俺は後始末やってくるからよ。」

 

面倒ごとには関わらず放置が一番。最低限の治療ぐらいはやったから良いだろ。

 

「りょーかい!じゃテキサス行こ!」

 

「それぐらい一人で行ってこい。」

 

「へーいケチ。じゃあ行ってきますよ。」

 

話し合いは終わった。さてと、今日の奴らはどうしてくれるか。

 

「ホシグマさんの家。」

 

体に刺激が走る。脚が止まる。嘘だと言って欲しいいんだがな。

 

「あのー、龍門近衛局の方向さえ言って貰えれば帰れますよ?」

 

その言葉で動き出す。あっという間にシュヴェルの横に行き、起き上がらないように肩に手を置く。

 

ちょっと待てや。ホシグマの親族だと?ホシグマにばれてみろ。絞られる程度じゃ終わらないぞ。

 

「そんなに焦ることはないよ!シュヴェル君!」

 

「そうだ。せっかく来たんだ。ゆっくりしていけ。おいテキサス!」

 

「諦めたらどうだ?」

 

「いいからやれ。」

 

テキサスはやれやれと言った様子でシュヴェルに近づいてくる。

そしてシュヴェルの肩を持つ、同時にエクシアも肩を持ち上げ脚が宙に浮く。そのままテキサスが来た扉の方に向かっている。

 

 

 

そのまま連行しバーの中央にある椅子に座らさせる。その横にエクシアとテキサスが待機している。

 

「さて、本題に入ろうか。こちらの要求は一つホシグマに今回ペンギン急便が関わっていることを言わないことだ。」

 

「さぁ何がほしい?そこまであげれる物は無いけど好きな物を言ってみなさい。」

 

「無いです。」

 

「まぁまぁそう言わずに何か言ってみな。」

 

こいつ、ホシグマと同じか。めんどくせぇ。ここでは邪魔だ。その純粋さはここで捨てていきな。

 

「じゃエンペラーさんのおすすめレコードちょうだい。」

 

は?ここにはレコードは無かったはずだが、やっぱり俺らのこと知ってるんじゃねえか。

 

「レコードはホシグマに見つかったらばれるからダメだ。」

 

「じゃ何もいらない。」

 

「それじゃ問屋が卸さない。」

 

「テキサスがほしい。」

 

こいつ本当にホシグマの親族か?んなことほざくなんて、こいつどこの者だ?

 

「断る。」

 

「じゃあ何もいらない。」

 

「それは無理だな。」

 

逃がさないぞ?なんか情報を落としていけ。

 

「言っているだろう?テキサスをよこせと。」

 

ドスを効かせた声。腕を組み、前屈になった。さっきまでの無関心はどこに行ったのやら。ようやく本性を出したか。

 

「断る。」

 

こちらも声を上げる。この程度の修羅場、俺の範疇だぞ?

 

しばらく無声が辺りを支配する。そこにいきなり背筋に不快な感じを感じる。

 

「ふははは。」

 

さらにこいつはあざ笑うように笑う。一体俺に何をしたんだ?クソガキが。

 

「お前、気に入った。」

 

笑いはすぐに止まり、予想すらしなかった言葉が出てきた。いくら頭の中を振り返ってもこんなやつは覚えていない。一方的に知っているだけか。

気がつくとやつは外の出入り口の前に居た。

 

「土産だ。受け取れ。」

 

そいつはフードの中に手を突っ込み何か黒く長い物体をこちらに投げてくる。

 

「売るなり、飾るなり好きにしな。親愛の証だ。」

 

そう言い置き、外に出る。

その投げられた物体はやつの角と同じくらいの大きさだ。重みもしっかりとある。

 

なんだこいつは。

 

「なあ、これが何か分るか?」

 

「んーわかんない。」

 

「……やつの角じゃないか?」

 

「この大きさでか?じゃあいつは何歳なんだよ。」

 

「さあ、知らん。」

 

「たっだいま~~。どうしたんや?そんなお通夜雰囲気だしこんで。」

 

クロワッサンが配達から帰ってきた。

 

橙色の髪。スポーツウェアのような露出の多い服にジャンバーを着こなしている。関西弁の元気いっぱいの少女だ。常に金欠でよく屋台などを開いているようだ。

 

「ちょっとあってな。」

 

「ふ~~ん、ん?なんやそれ?」

 

クロワッサンが目をきらめかせながらその黒い角に近寄る。

 

「なんやこれ!?ちょっとかしてぇ~や!」

 

クロワッサンが黒い角を奪い去る。特に抵抗されること無く黒い角を確保した。上下左右に傾けながらジロジロ見回す。

 

「むむむ。ちょっとまっててな。」

 

そう言い黒い角を持ったまま二階へ駆け上がった。しばらくどたばた音がした後飛び降りてきた。

 

「どうしたんこれ!この大きさの源石!?角の形までしとる。これは高値で売れるでぇ。」

 

「おい待て、源石なのか?」

 

「嘘はつかへん。純度100%の源石や。」

 

そこで深く椅子に座り込む。

 

「とてつもない者を置き土産しやがって、、」

 

「土産?どうゆうことなん?ボス?なぁーなぁーテキサス!エクシア!」

 

源石の角。しかもあいつの角に酷似してやがるときたもんだ。とてつもないやつと脈が出来たと喜ぶべきか、不確定要素が来たと嘆くべきか、どうか面倒ごとに巻き込まれないことを願っておこう。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

昨日アンケートを募集しましたが質問の最後に意味わかめな2が着いていました。
これはアンケート機能を詳しく知らなかったのが悪いです。
だけどもアークナイツは両手両足でも数え切れないほど居るのに回答欄が20しかないハーメルン様が悪いんです。ちゃんと試験運用せず実戦投入した私が完全に悪いですね。
誠に申し訳ありませんでした。

あらすじにも書きました通り20~23話にそれぞれ別のアンケートを募集します。片手間に投票よろしくお願いします。
アンケートは20~23話のみ掲載します。


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2/11壊死からの地生 主side

場所は変わって龍門近衛局の屋上。結局ここに来てしまったと言うべきか、無事にたどり着けたと言うべきか、なんとも言い難い。それよりもホシグマ宅に帰る前に決めることがある。

それはこの右手にある包帯だ。ぶっちゃけもう治したからもういらない。だがこれはテキサスさんが付けてくれた。それだけでこの包帯にはうん万の価値がある。だが血で汚い。これは焼却するべき。しかしこれはこの世界で唯一、そして最初にもっらた推しからのプレゼントと言っても過言では無い。

 

まあホシグマさんに見つかったら面倒くさいに決まってらぁー

そこら辺にある石くずを包帯をくくりつけ、遙か下にあるゴミ箱へシュート。

 

はは……落ちたな。

 

さあホシグマさんが仕事をまだ頑張っていると信じて、ゴーホームスーン。

月は傾き続ける。永遠の周期に合わせながら、一瞬の終わりを信じ望んで。

 

 

 

運命の時。場所はホシグマ宅の出入り口。すなわち扉。確認方法は一つ。鍵がかかっているか。かかっているなら居ない。かかっていないなら居る。ここで決まる。今回はまともに言い訳を考えていない。と言うか考えられない。道に迷ったとしか言いようがねぇんだよな。

考えても時間の無駄だと切り捨てて、いざオープンザドア。

 

「ガチッ。」

 

勝った。扉は開かない。もう一度言います鍵はかかっておりません。

意気揚々と鍵を差し込み扉を開ける。もちろん中には誰も居ない。リビングに入る。出る前と全く変わらない構図。

 

そういえばご飯を食べておいてくれと言われたのを思い出す。

かってに漁るのは心痛まれるが、それ以上に好奇心が勝った。棚には食器にはし類に調味料に保存食?ダンボールの中に箱形の何かがたっぷりとあります。

冷蔵庫には、バター?パン、調味料、水何にも無いね。トースターどこ?どうやってパン食べるの?もしかして生?バターあるのに?……考えることを止めた。

 

すっと、何も無かったように冷蔵庫の扉を閉める。

 

漁るだけ漁ったが特に食べたいと思わないし、勝手に食べるのは悪いよね!と良心に戻ったためそのまま寝ることにした。食欲がわかないとも言う。

ちょっとだけ、ちょこっとだけあの箱形の保存食見たいのは気になるけど。味か気になる。ドライフルーツのように甘いのか、無味なのか。なんか気にならない?気になるよね!

 

所詮そんな事とまたほっぽり出して、寝床を探す。

さっき寝ていたソファにはタオルケットが変わらずにおいてある。多分ここで眠ったら良いだろう。

 

ソファに潜り込みタオルケットで体を包む。

実家のような安心感。

 

昔から実家のソファで寝るのは好きだったなぁ。片道1時間もかからない道のり。自分用のベットがあるわけでもないから、いつもソファで寝ていた。あの何とは言えないが良い匂い。そこに小川のせせらぎが常に響いてくれる。とても心地が良い環境だった。このソファはそこと同じような心地がある。小川のせせらぎがあるわけではないが、なぜかどうしようも無く安心する。

 

 

 

目が覚めた。昔から夢は見ないのは変わらないようだ。まだリビングに差し込む光は月光だった。そこまで時間は経っていないようだ。

 

暇だ。することが無い。無いよ。寄こせよ。いつもなら周回が俺を待っているだろうが。ゲームの無い世界ってこんなに暇だったんだな。今なら世界最強のプログラマーになれそうだわ。誰か環境ちょうだい。て言うかプログラミングって概念あるのかな?

 

そんな世界の真理を追究しつつけようと始めたときだった。

 

「ガチャ。」

 

扉が開く音がする。特にすることが無いため誰が来たかを確認しに行く。

 

立ち上がりリビングに直行だ。

 

ホシグマさんなら「おかえり」

その愉快な仲間たちなら「どこの組のもんじゃい。われぇ~。」

空き巣の類いなら「ファ○クユゥーアーシッツッ。」

 

さぁ……どっちなんだい!

 

「誰だてめぇ。「ファ○クユゥーアーシッツッゼールーズゼアトラッシュッ。」

 

知らない全身黒づくめのおっさんがいた。声がおっさんだった。

 

即座にアーツでそいつの脚と腕を折りたたみコンパクトにまとめる。そして源石でラッピングしてリビングの窓を開け遙か彼方まで飛ばしあげる。

途中でしっかりとラッピングを消すのがコツです。これで証拠隠滅が出来ます。

 

今更だがホシグマさんの仲間では?と思ったので龍門市街外まで飛ばすのは止めてっやるよ{ペッ}

まあ黒ずくめは全員犯人だからセーフでしょ。聖域を侵す者死罪に値する。?その理論だともしかして俺も……取り消しで。

 

心配性な俺は源石を微粒子レベルで分解し、辺り一帯に放つ。

 

もし、暗殺者がいるかもしれない。もし、さっきの仲間がいるかもしれない。もし、爆発テロがいるかもしれない。もし……………こ、このフォルムは!?

 

身長184cm 体重秘密 巨大なパイ乙 ロングヘアー 鬼角

 

ホシグマさんの帰宅ですね。帰宅ですね!?いや何の問題はない……よね?辺りに暗殺者もスナイパーもゴルゴ31も居なかった。本来の目的は達成したし制限時間内に帰ることもできた。

 

「ガチャ。」

 

扉が開く。

 

「ぉ……起きていたんだな。眠れなかったのか?」

 

あ。玄関に居ることが問題じゃったか。灯台もと暗しとはこのことか。それはおいといて、

 

「おかえり。」

 

「ん。ああ、ただいま。」

 

あふん。微笑みながらのただいまの破壊力はレベルがちげぇ。

 

「ご飯はもう食べたのか?」

 

「うん。食べたよ。」

 

「何を食べたんだ?」

 

な、なんですか?疑っているんですか?食べていないって証拠はあるんすか?証拠ぉ!

ないですね。食べた証拠がどこにも無いですね。

 

目をそらす。返事はしない。これは子供の特権である。

 

「まずは移動しようか。」

 

ホシグマはシュヴェルの背中を押しリビングに運ぶ。そのまま椅子に座らせる。

 

「ちょっとまっててくれ。」

 

ホシグマが荷物を隅に置き、エプロンを着、髪をまとめてポニーテールにする。ポニテ!?レアすぎる。これは源石31個の価値がある。はよ衣装実装はよ。

 

「あちゃー。」

 

そんな声に現実に戻されてしまった。ホシグマさんの方を見ると冷蔵庫を開け唸っていた。エプロンを外しこちらの方に向かってくる。

 

「シュヴェルすまない。何も無いことを忘れていた。保存食でいいか?」

 

「うん。それがいい。」

 

ホシグマは棚を開け箱形の何かを二つ取り出す。それを持って椅子に座り

 

「どうぞ。」

 

一つをシュヴェルに差し出す。

 

どうやったら良いか分らないのでホシグマさんを観察する。

ホシグマは上の一番大きい長方形のところのダンボールを挽き開け、中の物を取り出す。それは三つの色があった。左7割は緑、残りの右側の上5割が黄色。下が茶色であった。

それを手で割って一つ一つかじっていた。

 

同じようにダンボールを開けてみる。ぉっ……これ感触的にプラスティックみたいだ。硬すぎず柔らか過ぎず。すごい技術だ。

中にある物はホシグマさんと同じ緑黄茶色だった。

それを割ってみる。硬いね。もっと力を込めて、もう一度!………壊れちゃった。ショボン

 

ホシグマの方はきれいに色の切れ目で割れていたがシュヴェルは雷が降ったみたいに歪な割れ方だ。幸運なことにボロボロと崩れカスが出なかったことだ。

 

味は一緒だ。そう味は一緒だ。よし開き直った。まずは黄色。いただきます。

硬いね。せんべいよりは硬い、鰹節より柔らかい。まっさか!?鰹節の硬さを知らないと?その歯に体験させたこと無いと?人生の1割損しているよ。みんなもかじってみよう!気をつけないと歯が欠けるから気をつけてね!

 

味はカシューナッツかな?クルミでは無い。甘くておいしい。これは良い。固体のナッツ。あっちでも商品化しないかな?

お次は我こそが主食だと存在している緑。黄色がナッツ。緑は何だろう野菜かな?予想を外してキウイかな?ワクワク

、、、、、、グリンピース。グリンピースだ。あのチャーハンとか天津飯の上に乗っている緑の物だ。キウイ予想で助かった。メロン予想でもしてたら多分吐いてた。グリンピースは少しあるから良いのであって多すぎるのは飽きるのだ。というか半分超えたら吐き気がすると思うよ。みんなもやってみ?(好きな人ごめんなさい)

 

ここまで来たら精神は出来上がっているぞ?保存食品。茶色、、一見肉。というか肉しか思いつかない。だがこの世界で庶民が肉が食えるわけ無いだろいい加減にしろ。

 

やけくそだ。口に放り込む。一口で食べる。

 

あっ、あああぁ。ジャガイモキタコレ☆ジャガバター(バター抜き)だわ。俺はジャガイモが好きだ。つまり最高。以上。だがポテトチップスてめぇはだめだ。許さねぇ。フライドポテトてめぇは許す。あとジャガイモの芽。お前は消えろ。食中毒の原因はお前のせいだ。なんとかして芽がなくても発芽するようになれ。

 

ふぅ……ごちそうさん。

「ホシグマさん。どうかした?」

 

気がつくとホシグマがこちらを見ていた。片腕を机に倒しながらもう片方で頬をついている。

クール系がポニーテールで頬をつきながら見守ってくれるのはいいぞぉ。いいぞぉ。イラスト増えろぉー増えろぉー……自分で書くしか無いか。

 

「そうだね。まずはゴミをちょうだい。」

 

言われた通りゴミを渡す。それを持ってリビングを出て行き玄関方面に向かう。帰ってきたらゴミが消えていた。なるほど。ゴミ箱はそこか。

 

「それじゃ、風呂に行ってらっしゃい。」

 

え?くさい?ごめんなさい。

ホシグマさんに案内され風呂場に着く。そしてタオルを渡され、さようなら。

念入りに洗う。後リンスーとシャンプーが同じタイプだった。

 

しっかりと水滴を落とし、風呂場を出る。

「ホシグマさん出たよ。」

 

「ソファに行っていてくれ。」

 

そういい、ホシグマは着替えを持って風呂場に行く。

 

言われた通りソファに行く。が寝転がらない。脚を組み、手を組み、考える人になる。男とは妄想に生き、妄想に逝くものだ。

逆に考えてみよう。何も無い空間で椅子に縛り付けられ、5分間ここにいてください。ただし、何があってもチンパンジーのことは考えないでください。と言われたら、絶対にチンパンジーのことで頭いっぱいになるだろう。それ以外にも絶対にダメと言われたらやりたくなるのが人だ。つまりこの行動はこの世の真理であるQED。

 

いや、俺にはアーツがあったわ。暇じゃねぇ。さっきばらまいた微粒子レベルの源石をさらに拡散する。この辺りというか、龍門市街の立地完全把握してやる。覚悟しろマッピングの時間だ!

 

 

 

「おまたせ。」

 

ホシグマはそのまま進みシュヴェルの隣に腰をかける。

 

そこで2週目のマッピングを中止した。横にホシグマさんがいる。ぅっん。

まだ完全に乾ききっていない髪。やべぇこれには源石64個の価値がある。やったね!20連出来るよ!想像してみ?スキル3でまだ乾ききってないえってぃな髪がたなびきながら……だめだ。64個分の価値は過剰評価だったわ。髪だけに64個の価値がない。はっ!バスタオル……バスタオル…濡れた髪…スキル3。はぅぅぅ。だ、だめだR18コンテンツになっちまう。アークナイツは全年齢対象のタワーディフェンスです。

 

ってかお待たせって何だよ。なんか話す約束でもしていたっけ?

 

「もう寝ようか。」

 

すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ

 

すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ

 

すぅぅぅゲフォグフォグフォフォフォ

 

ホシグマさんが寝転がっている。左を頭で右が足。タオルケットをめくりながらこちらに来ることを催促している。やめて、いまほほえまないで。今立ち上がるのは違和感もりもりだ。何か良い感じに離れられる方法は。そうだお手洗い。これなら、、いや問題の先延ばしじゃん。一体どうしたら

 

 

「おいで。」

 

囁くようにホシグマがつぶやき、シュヴェルに後ろから抱きつき、タオルケットの中に引きずり込んだ。左腕で守るように抱きつき、右腕で腕枕をしながら頭に手を置いている。

 

私は漢。俺は漢。アイム漢。覚悟を決めろ。目を閉じよう。寝たら楽だ。

 

「明日は、買い物に行こうか。ご飯も補充して、シュヴェルの服も買おうか。」

 

「わかった……おやすみ。」

 

「ああ、お休み。」

 

最後に囁かないで。頭に残るから。だめ目を閉じたら視覚が消えた分聴覚とかが敏感になる。吐息が。目の前にぃ。そうだ後ろから抱きつかれたから後ろにホシグマさんの顔があるはずだ。

 

目を開ける。

 

そこには壁がある。勝っtぁふぅん。だめだ。吐息が……吐息が……勝ち目がない。逃げられない。いいのかこのまま理性が消えたら?いいのか?このまま理性が消えたら?、、近接戦闘で勝てるイメージが無いわ。ホシグマさんはあらゆる状態からその場で最善の行動しそう。

知ってるか?確率で物理、術攻撃を防ぐんだぜ。そしてチーム全体の防御を増やして。連携、継続先頭能力やばそう。スキル2で常時防御1000越えのカウンター持ち。あれ?強過ぎん?

そういえばここはゲームじゃ無い。スキルはどうなるんだ?自分の判断でスキル1,2,3を好きに切り替えられるの?シルバーッシュやば。対空できてリジェネ持っていて火力化け物…………

 

シュヴェルも疲れていたんだろう。今日は一日でいろいろなことがあった。気がつく頃には意識は夢の彼方まで漂っていた。その夢のなかでは危機契約であへあへ逝っていたかもしれないし、そうじゃないかもしれない。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

あと少しで危機契約終わりますね。なんとか間に合いました。リハビリ期間は?ない?あたまおかしなるで
何だよ水チェンってケルシィに濁心スカジって?ふざけるなし
危機契約加工できないしさぁ早速萎えたわ(普通にプレイしていることに違和感を持っていない……どうやら手遅れのようだ


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2/12壊死からの地生 主side

………はッサリアが最強の医療オペレーター。なんだ夢か。いや現実だ。サリアさん最強のパッパになりそう。

 

暇だねぇ。これが抱き枕の気持ちか……案外いいじゃん。暇と聞いたらマッピング。これオープンワールドの鉄則ワープポイント欲しいです。こんなんじゃ一期一会を体現しちゃう。

 

場所は変わらずソファ。抱きつかれ、腕枕の欲張りセット。慣れたらこっちの者よ。昔からこんなダウナー系の生活憧れてたんだ。のんびりほわほわ…にゃんぱす~

 

一つ言うことがあるなら動けない。動いてはいけない。寝返りをうつことは許されない。ジットしすぎて身震いというか動きたい。極上の枕がありながら何という体たらく。恥ずかしくないの?

そんなことより気になるのは、起きる時はどうしたら良いの?俺から動くのは嫌だ。ホシグマさんが起きると仮定しよう。そのまま朝ご飯を作りに何勝手に作る事を前提にしているの?馬鹿なの?死ぬの?許されないよ?その心笑ってるね?

 

切り替えて、ホシグマさんが起きると仮定しよう。そのまま俺を起こしてくれるふざけてるの?何勝手に朝チュンしようとしてるの?止めたらその欲望。臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前

 

八方塞がりだ。考えようが無い。では原点回帰。マッピングの時間だ。さあ防災避難経路を確認するぞ。

 

 

 

「……ん………」

 

背後からの声。低く、小さい返事のようだ。体に巻き付いていたはずの腕が消え去ってしまい、腕枕も無くなってしまった。

 

「ふあぁ~」

 

次にそんな気の抜けるようなぽわぽわとしたあくび。これをアラームにしたらまた夢の世界に行ってしまうだろう。

 

腕枕が無くなってしまった事により頭がガクンと落ちる。それで起きたことにしてしまおう。あくびを聞いてから数秒後、ゴロンと転がり、ソファの下に落ちる。

 

「っう。」

 

思った以上に衝撃があった。いたい。

 

そのまま床を座るところに、ソファの座るところを背もたれに座り込み、ボーッと目の前を見続ける。

 

「ぉはよぉう。」

 

まだ眠そうな声で朝のあいさつがくる。

 

ホシグマさんは朝に弱かった!?これだけ今日生きる理由が出来るわ。

 

「おはよう。」

 

返事を返すとホシグマさんは床に座っている俺を脇に抱え、洗面台に直行した。洗面台で俺を下ろして顔を洗い歯磨きしてからグチュグチュペーからの顔を拭くまでのセットを行った。経験者ですか?なんでこんなにスムーズなんですか?子供の世話をするホシグマさん……孤児院経営していそう。

 

ホシグマも同じように素早く終わらせた。

 

「朝は外で食べようか。」

 

顔を洗ったことにより完全に目覚めたようだ。それにしても外食、一体何だろうか?ワクワク

 

のんびりと玄関に進むといつの間にかホシグマは準備を済ませ玄関に着いた。そのまま外に出る。徒歩で行くようだ。ホシグマ宅の左側へ大道りに進む。周りには人が行き交う。まだ朝であることもあって騒がしくは無かった。

 

朝日がようやく顔を見せ始めたのにこれほど人が多いとは、すごいな。これが都市か。俺は一生田舎と都会の中間でのんびり過ごしたい。

ようやく無言が気まずくならなくなったわ。やったぜ。ホシグマさんも気まずくなかったら相性が良い、は言い過ぎかもしれないが友人レベルには慣れたんだろうか?定義が分らないからね。しょうが無いね。

 

少し歩いた後行列に並ぶ。

 

「着いたね。ここは行きつけのパン屋だよ。」

 

どうやら目的の店に着いたようだ。パン屋。名前もパン屋。形式的には商店街の肉屋。人が前に3,4人ほど並んでいる。朝からこんなに居るとは、すごいね。店主があれほど怖い顔なのに。江戸時代というか昔の作画のおじさんだ。

 

時間はあっという間に過ぎ去り、我らの番だ。

 

「おっいらっしゃい。今日も来たかホシグマの姉貴。いつものがあるけどどうする?」

 

「いつものを二つ頼むよ。」

 

「ほぉ坊主か……ちょっと待ってな。」

 

常連……いいよね。俺の何かの常連になりたかった。でも無理だった。今の時代じゃ難しすぎる。はは、昔は古本屋的なひっそり隠れた店を探しにあちこち回ったなぁ。

 

「ほいよ!ホシグマスペシャル。今日はコロッケをおまけしとくぜ。」

 

「いつもありがとう。」

 

ホシグマが会計を済ませ、商品を受け取る。二つのパンを片手で持っていた。もう片方でお財布をお片付けと。すごいね。無一文……ヒモ……ニート……ぅ……心……金稼がなきゃ。待ってろ。待っててくださいいずれ倍で返します。

 

「良いって事よ。一体どれだけホシグマの姉貴に助けられたと思っているんだ。こんなもんじゃ「あんた!まぁあたホシグマさんに迷惑かけるんじゃ無いよ。」」

 

最初にその店主の耳を引っ張る。そして奥から女性が現れた。ツインテールのツインテール!?珍しいな!ツインテールは大体妹か幼なじみか学校ぐらいしか見た子とねぇ。奥さんですか?この程度我々の業界では珍しくは無いです。これからも末永く

 

「か、母ちゃん!良いじゃねぇか!どれだけお世話になったと。「なら黙ってサービスしときな。ぐちぐち言ってホシグマさんの時間を取るんじゃねえよ。」

 

さらに耳を引っ張られ、店の奥まで飛ばされた。南無三

 

「いたい、イタイよ母ちゃぁぁぁ……ドゥン」

 

絶対いたいよ……いまの。母ちゃんってお母様ですか?妻のことをそう呼んでいるだけですよね?うそだろ。これが元二次元の力か……

 

ホシグマさんが苦笑いをしていたていた時に

 

「済まないね、ホシグマさん。これお詫びのジュース。どうぞ飲んでみて!」

 

「いえ、そこまでしていただくわけには「いいからいいから、さぁごっくと一杯!」……ありがとうございます。」

 

ジュースを無理矢理ホシグマの開いてる手に持たせる。

 

「それじゃちょっと話し合いしてくるから。またね。」

 

そのまま奥に消えていく。最後に

 

「マリアー。店ちょっと任すよ。それであんた。なんでまた………

 

そこで聞こえなくなった。もしかしたら聞きたくなかったため聞こえなくなった可能性もあるけど。

その場に残されたのは片手にBLTサンドみたいなパン。片手にジュースを持って、戸惑いながらたたずんでいるホシグマさんがいた。苦笑いしながらこちらを向き

 

「とりあえず、食べよっか。シュヴェル取ってくれ。」

 

と言う。ホシグマは右手を下げBLTサンドみたいなパンを受け取るよう催促する。

 

受け取る。パンと袋の間にコロッケが入っていた。コロッケを一気に。熱いが食べ応えのある。ジャガイモだった。すばらしい。

 

ホシグマはジュースを飲み、ゴミを店のゴミ箱に捨てていた。そして歩き出す。どうやら歩き食べをするらしい。

 

時間はかかったが無事に食べきることが出来た。俺の口のサイズより大きいので食べにくかったが、大きさ道り食べ応え満点。お腹いっぱいになった。ふぅーと息を吐き出し、辺りを見渡す。相変わらず大道り。遠くにそこまで大きくは無いが駐車場があった。その中心?には大型ショッピングモールほどの建物があった。

 

売り物、特産品だったり、その国特有の物が売っている。この世界には、この龍門市街にはどれほど物もがあるのかと心躍らせた。

 

しかし通り過ぎた。放心状態だった。いつの間に遙か彼方とまではいかないが辞書ぐらいの大きさに見えるまでは遠ざかった。

どこかで道を曲がって行くと思ったが違ったようだ。好奇心を抑えきれずホシグマさんに聞いてみる。

 

「さっきの大きいところって何ですか?」

 

「あそこは、貿易やオークションをやっているね。興味があるなら今度行ってみるか?」

 

「いえ。大丈夫です。ありがとうございました。」

 

めちゃんこ行きたい。めっちゃ気になる。もしかしたらカランド貿易のみんなさんが居るかもしれない。めちゃんこ行きたい。

お、曲がった。ついに道を曲がりました。裏道でとても暗い。そして長いね。

 

裏道をようやく出る。闇にやられて太陽の光がまぶしい。しばらくして元に戻ったがそこには中型ショッピングモールレベルの建物があった。駐車場こそ無いが大体4階程度の高さだ。

 

進む。入り口へつながる道を。自動ドアが開き中に入る。入り口を中心として円柱型の建物だった。辺りを見渡す。噴水に植物、飲食から服、小物までここから全てが見える。

 

「ふぉぉわぁぁ。」

 

ホシグマはそこでシュヴェルの三歩前に出る。

 

「ようこそ。ここは全てが揃う、ネクストマッチだ。」

 

まるで踊るように180度回転し、にこやかに笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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2/13壊死からの地生 主side

「全てが揃う、ネクストマッチだ。」

 

まるで踊るように180度回転し、にこやかに笑うのだった。

 

今日もホシグマさんが華やかです。全てが揃う?つまり写真もありますよね?今すぐください。くれないなら奪い取ります。

いやそこに防犯カメラがあるじゃろ?そのデータ寄こせよ。盗み取るぞ運営。

 

「ほしぐまぁーー。」

 

上から声が聞こえる。角度45度またの名二階とも親方!?空から女の子が!?

 

声がする方に視線を向けるとすでに赤髪のロングが飛び降りてきた。可憐に着地。そしてホシグマに頭から突撃した。そして頭をぐりぐりと擦りつける。ホシグマはそれをいともたやすく受け止めた。その表情には{またか}という感情が見える気がした。

 

「売り子はどうしたんだ?エンジ。」

 

「今日の売り上げはもう出したからもう良いの。」

 

そこで赤髪ロングがようやくホシグマと目を合わせた。

 

クール系……赤髪クール+緑髪クール……見つめ合う……ベストマッチ。最高やん。レズは良いぞ。クール系二人組はもっと良いぞ。増えろ。漫画も出てください。

 

「そんなことより今日はどうしたの?一緒について行って良い?」

 

「丁度良いな。シュヴェル。この人はエンジ。エンジ。シュヴェルだ。今日はシュヴェルの服と食料を買いに来たんだ。」

 

エンジが睨み付けてくる。鋭い目だが泣きぼくろが非常にキュートだ。だがちょっとラミカさんと同じ気配がする。もしやこの人も……

 

「ふむ……女n「言っておくが男だぞ。」」

 

正体現したわね。やはり信じるのは俺の第六k

 

「美形なら女の子になれるから問題なし。」

 

ニュータイプ!?ラミカさんの上を行くだと!?

そういえば丁度良いって?売り子って?もしかしてアパレルの人ですか(震え声

 

「まあ頼むよエンジ。とりあえず4着。動きやすさを重視してくれ。」

 

「まかせて。ねえシュヴェル君は何色が好き?」

 

すぅぅぅう着せ替え人形は楽だ。無心で居るだけで終わる。ただちょっと男の尊厳的な何かが終わるだけだ。スカートを着させられなければよし。覚悟を決めて、

 

「黒。」

 

と答える。白はワンピースの可能性があるからダメだ。赤はチャイナ服の可能性。青は制服。茶色はセーター。黒が一番安全だ。可能性があるのはドレスぐらいだが、、大丈夫だよね?

 

「わかった。選んでおくからゆっくり来てね。」

 

「ほどほどにするんだぞ。」

 

「はいはーーい。」

 

そういいエスカレーターに乗りどこかに去って行く。

 

「エンジはあれだけど才能があるから、良い服を選んでくれると思うよ。」

 

ホシグマは目を合わせない。合わせてくれない。ほどほどって何ですか?ほどほどって何ですか?く、殺せ。

 

大人しくホシグマに連行されエンジがいる店に着く。中ではエンジがカートに何着も入れながら、今もなお服を選んでいる。

 

「ほしぐま~こっちこっち!」

 

気づかれた。悪魔が手招きしている。

 

ホシグマの方を見る。ホシグマは目を背ける。

ホシグマの目を見る。ホシグマは顔を背ける。

 

「はーやーくー。」

 

楽しそうに急かす。諦めて大人しく向かう。後ろにホシグマさんが着いてくる。エリート兵士が着いてきてくれるよ!やったーー……これが囚人か。サリアさんもオマケで付けてくれませんか?

 

中に入るとエンジに手を引かれ更衣室に連れて行かれる。横にカートに入った大量の服を引き連れて。

 

「はいまずはこれ。」

 

そして渡されるのは青のジーンズ肌色セーターメンズセット。普通だ。着替える。普通だ。

 

「うん……まずはこれを買うようで良い?ほしぐま。」

 

「ああ買おうか。」

 

ホシグマさんが気の毒そうな目をしている。こういう時は着替えたら軽く褒めたりするんじゃないの?そこまで悲惨な未来があるの?今聞こえたよ{まずは買うよう}って。つまり買わないようもあるって事だよね……大丈夫かな。

 

「はい次。」

 

渡されたのは黒い帽子に白と黒の一着だった。たたまれているため上下が無いことしか分らない。早速来たわスカートタイプ……

 

更衣室のカーテンを閉め、着替えようと服をはたき広げる。

 

ミニスカ!?うそだろ。男って言ったじゃん。男のミニスカって誰得だよ。これは着替えなくて良いよね!フリフリも着いちゃって……フリフリ?ゴシック・アンド・ロリータだと!?絶対にこれは着替えない。絶t

 

「次が控えれるんだから早く着替えてね。」

 

退路を断たれました。さっき決めた覚悟はどこ行ったんですか?さぁやれ。イエッサー

 

ゴスロリに着替え終わった。そして赤面しながら目を伏せ、スカートを押さえながら、カーテンを開ける。そこでエンジの歓声が聞こえる。ホシグマも頬を染めながら目をそらしてきた。

 

絶対採寸してないからだ。スカートがギリギリのライン超えてる。なんでこのサイズがあるんだよ。こいつ許さない。オマケと言わんばかりにロリータ帽子を付けやがって。エンジ!?笑うな。計算しているのか?さっきの一瞬でサイズを見極めてやったとでも言うのか?この鬼。悪魔。園児。

 

「次。」

 

はいが消えやがった。作業モードに入った?丁度良いね。ゴスロリを経験したらもうこんな物じゃ動じない。さっさと着替えパートはカットしよう。

 

 

 

だいたい4,5いや7,8間違えた14、15着を着替え終わった頃だ。

 

今度は縦に模様が出来た白のセーターが出てきた。もちろんと言わんばかりに下が無い。着替えようと広げると脅威の事実を知ることになった。

 

DT……DTを殺すセーターやんけ。こんな物までこの世界にはあるんか?絶対俺以外の転生者いただろ。

 

カーテンが開かれる。4,5着くらいからエンジが開くようになった。コウリツテキダネ。

傷ひとつ無い清楚な肌が空気に触れる。

今までそしてこれからも、この赤面が晴れることは無いだろう。唯一良いことはホシグマさんが生娘みたいに毎回頬を染め上げてくれる事だね。ん?むしろ良いのでは?これだけでホシグマさんの照れ顔が見れるんだ。最高じゃん。次の服よこせ。

 

この後もめちゃくちゃ着替えた。その中にはドレスもチャイナも制服に体操服に防護服、はたまた水着にメイドに学ランと、あらかたの衣装は着替えた。好きな色を聞いた理由が全く分らない。意味あった?記憶は無いが終始ホシグマさんの照れ顔が素晴らしいことだけは覚えている。

 

「まんぞくまんぞく。やっぱりその黒い角が良い味をだしますわ~。」

 

満面の笑みでそう言う。クール系の笑みはずるいと思う。これだけで全て許しちゃう。

そんなエンジの腕の中には無事に4着だけ服がある。結局その4着以外は関係ない服だった。

いざ会計に行こうかというときだった。

 

「そうだ。ほしぐまもシュヴェルに何か買ってあげたら。」

 

今まですまし顔だったホシグマの顔がこわばった。

 

「いや私にそういうセンスは無いから「買ってあげないの?」、、、」

 

しばらくの時間を得て、止まっていたはずの顔が戸惑いの顔になりながら、シュヴェルの方を向く。

 

「シュ、ンフ。シュヴェルは欲しいのか??」

 

正直悩んだ。いや嘘だ。最初から答えは決まっている。

 

「ほしい。」

 

地面を向きながら消えてしまいそうな声がでる。その声はすぐに辺りの騒音で消えてしまった。

 

推しからのプレゼントほしいです。でもただでも服を買ってもらうという立場でこんなことを言って良いのか分りませんが、それでも、恥を忍んでも欲しいものは欲しいのです(早口)

 

俺たちの間に無言が立ち巡る。ここぞとばかりにエンジは一言モしゃべらない。しゃべってよ。

 

「時間がかかると思うけど、それでいいか?」

 

ま?

 

「うん!」

 

つい声のトーンが上がってしまった。嬉しい。プレゼントだ。どれほど願い妬み望んでも手に入らなかった推しからのプレゼント。これはなんでも鑑定団でも鑑定不能ですわ。鑑定を出したらシメル。

 

ホシグマはどこかへと消えていく。

 

エンジと俺は残された。

会話が無い無いままだった。気まずい。俺たちの仲はそこまで良くない。エンジの評価は負がギリギリで勝っている。同じくホシグマさんを愛する者、仲良くなることは出来るだろうが時間は…………こ、こいつ、尊死してやがる。満面の笑みのまま動いていない。俺以上のホシグマラブ勢だったか。仲良くなれそうだわ。

 

エンジの手を引っ張り端の方にある椅子に座らせる。そして待つ。どれだけかかろうとも、例え閉店しようが潰れようが、俺はここで待ち続ける。唯一希有なことがあるとしたら、場所を変えてたからホシグマさんが俺たちをどこに居るか分らないことぐらいだ。それ以外は全くを持ってない。

後教訓を得た。ホシグマさん以外のクール系はクール系の皮を被ったオタクだと、、

 

 

暇になった。こんな時に周回が出来れば、、無い物を嘆いても意味が無いね。このショッピングモール内をマッピングしよう。

 

あちこちをマッピングする。ようやくお店の裏側、つまり一般人が行けないところに差し掛かったころだ。

なぜかぽつんと二人組がいた。怪しい。源石を集中させ、何を言っているかを調べる。

薄い源石を作り出し、シリコンのように型を写し出し外見を知る。脅威の薄さでそこら辺の通行人は誰一人として気づかなかったぜ。

それとは別に二人からここまで極薄の源石道を作る。音を反射し、反響させる。僅かだがちゃんと聞こえるよモザイクの人にかける変声機みたいだけど。ちゃんと聞こえるよ。ほんとだよ!

 

 

* * * * *

 

、、よし俺があそこに行ってこのバックパックを投げて大爆発?」

 

「ちがうちがう。お前が大爆発。そしてお前はビックヒーロー。OK?」

 

「わかった、バックパックを投げてビックヒーロになって石油王になってでかいパーティーをする。」

 

「ちがうちがう。ちがうちがうちがうお前が爆発。」

 

「あぁOKOK。バックパックして爆発戻ってきて石油王。わかった。」

 

「……OK…数分後に会おうビックヒーロー。」

 

* * * * *

 

バックパックを背負った男が歩き始めようとしたとき

 

「フンヌゥッゥ」

 

全力の源石創造。投擲。二人組のみぞおちに一撃。ノックバックさせながら二人を肩固、袈裟固、崩袈裟固、後袈裟固、崩上四方固、上四方固、縦四方固、横四方固、裏固、浮固、終わりの卍固めで抱き合わせながら壁に激突させる。しっかりと勢いを消して壁に後を残さず、源石も残さない。

よし、しっかりと気絶している。

 

今はホシグマさんがプレゼントを選んでくれてんだよ?いま暴動起こして全てがダメになったらどうしてくれるんだ?ここは全てが揃うんだろ?まじで全部揃ったわ。神。

ともかく今日だけは邪魔させない。明日やってもろて。いや出来ればしないでね。聞こえてないだろうけど。

 

他にも居るかもしれない。不幸は重なる。ショッピングモール外も確認する。どっかにいるんだろ?出て来いよ。我が野望を崩さんとする者たちよ。

 

 




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2/14壊死からの地生 主side

何の成果も得られません出したッ。

確かに居たんだ。遠くの屋上にスナイパーライフルを持ったサンクタが居た。白い天使の輪っかがフードの上にあったから絶対サンクタだ。俺が相手の存在を知ったときには逃げられていた。反応速度と移動速度が化け物。俺より早い。絶対次は捕まえる。こっちの方が強いって事証明したるわ。覚悟しろ。

 

「ん?ここは椅子?」

 

横から焦点の合わないぼんやりした声がする。意識が戻される。無事に夢の世界から戻られたようだ。長かったね、、

 

「おはようございます。ボーッとしていたので場所を移動させてもらいました。」

 

事務的な話し方。やはりこれは異性でも上司でも知らない人でも話せる最強の話し方。

 

「へーー。君らしくないね。」

 

「らしくないねとは?」

 

なぜ出会って即友達見たいな人にらしくないと言われないといけないんだ?短時間でどこまで知ったと?もしかしてこの世界にはケルシーみたいで運営者的な思考力レベチが沢山居ると?こわ。

 

「めんどくさい。ちょくっとこっち来い。少しでも身動きしたら首へし折るよ。」

 

エンジはシュヴェル腕を引っ張り、膝枕をする。しかし頭と脚の間には空間がある。しっかりと首根っこを掴まれている。シュヴェルは無理矢理引っ張られたためにやばいくらいにのけぞる。支点が足とエンジに捕まれている首根っこしかないため腰が死にかけている。首も死にかけている。

 

のぉぉーー。死ぬ死ぬ腰が死ぬぅいぃ。息ぃ呼吸ぅ酸素ぉぉ。

 

死力を尽くし無表情を保つ。それはキャラを維持するために。幸運なことがあるとしたら目の前にエンジの顔があるがそれを気に出来ないほどの痛みが襲っていることだろうか。

 

「純粋無垢な子供だと思ったけど、さっきので変わった。さっきの君の復讐の目はなんなの?」

 

「…………」

 

「答えられないの?」

 

出来るわけ無いだろ。知っているか?声は音なんだよ?そこを止めているのはどこの誰ですか?これが魔女裁判ですか?このメンヘラッ。

 

「そう。わかった。」

 

エンジは首根っこを掴んだまま、最短距離でシュヴェルを店の従業員用通路に引きずり込む。店と従業員用通路を遮る扉をくぐった瞬間、投げ飛ばしどこからかポールが現れてシュヴェルの手足を地面に拘束した。

 

サンソォ。空気がおいしいってこう言うことか。ようやく分ったよ。

 

エンジが片手にポールを持ちシュヴェルに馬乗りになる。首を掴みシュヴェルの目の奥を見通してくる。

 

「最後に何か言いたいことがあるなら聞いてあげる。ホシグマの善意につけ込むやつは許さないから。楽に死ねると思うなよ。」

 

目がガチだ。メンヘラ言ったの謝るから許して?だめか?ここで終わるのか?アーツ使って吹き飛ばして逃げる、、ダメだ。ホシグマルートが完全消滅する。指名手配のおまけ付き。プレゼントも無くなるじゃん。終わったわリスカしよ。

 

最後にか……最後……エンジに言うことは無いんですが。強いて言うことがあるとするなら……

 

「後始末を頼む。」

 

これだね。プレゼント貰えないなら生きている意味ないです。急に消えるご無礼を許してくだせぇホシグマ大佐。遠い親戚に呼ばれたもんで、また会う日までさようならです。

 

「……どんな過去があったか説明してみたら?場合によっては生き残してあげる。」

 

「しない。」

 

生き残してあげるって、、痛み付けることは確定ですか。そうですか。反応していくやつからいじめられる。これカーストの暗黙の了解的な本能。無気力でいたら誰も反応してこない。つまり拷問で楽しんでいるやつには悲鳴ひとつあげなければ楽に死ねる可能性大。

 

「わからない。わからない。なぜそんな全てを諦めた目が出来る。子供のくせになぜそんな復讐が、絶念が出来る?」

 

「見た目相応の歳というわけではない。」

 

固定概念ダメ。こいつは人生をぶち壊したりする。人よ思考を止める出ないぞ。

 

静観が辺りを立ち込める。エンジの持っていたはずのポールがいつの間にか消えていた。

 

「なにか。なにかないの?最後の言葉とか何かが。」

 

顎に手を置き、さっきより声に張りが増す。

 

しつこい。大人しく殺せやメンヘラ。お前はメンヘラだ。もう何があってもこの評価を変えることは無いぜ。でも知っている。これは何かを言わないと先に進まないストリーイベントだと。バットエンドだと分っていても選択しないとエンドが解放されないんだよなぁ。そんなに欲しいならくれてやるよ。

 

「ホシグマさんの善意につけ込んで居場所をもらって。善意につけ込んでご飯をもらって。善意につけ込んで服を買ってもらって。善意につけ込んであれほどの優しさを知った。それだけの話だ。」

 

「他だァ!他の答えを寄越せェ!」

 

めんどくさ。発狂したメンヘラはもう止まらないぜ。最悪お前を殺して私も死ぬぅ~になってします。だから嫌いだ。純愛を望み。相思相愛を愛した者です。

 

「やらなくてはいけないことがあった。やりたいことがあった。ほしいものがあった。それだけ。」

 

これでダメならあえてエンジ様のお望みの極悪非道、邪悪で狂乱な言葉をプレゼントしますけど?いかが?

 

 

 

とりあえず何かしゃべってもらっていいですか?もう殺してもらっていいので。何か行動して貰えませんか?暇です。

 

そう思えるぐらいには時間が経ったと思う。相変わらず長考してる。考える知的お姉さんは最高です、が状況が状況なのでどうかしてもらえませんか?もしかして俺から動かないとダメ?

 

何を喋ろうか悩んでいる時だった。手足を拘束していたはずのポールが消えた。馬乗りの状態は変わらないが、エンジは両手で首元辺りのフードを掴みながら言う

 

「許す……ただし監視するから。少しでも不穏な動きをしたら息の根を止める。」

 

「頑張るよ。」

 

許された?……やった。バットエンドに見せかけた生存ルートだったわ。これだからギャルゲは止められねぇよなぁ。

目がまともに戻った。それでも怒っている目。だがさっきよりはましだ。それにしても不穏な動きか……大丈夫かな?

 

「ほしぐまを悲しめても息の根を止めるから。」

 

「それは無理だね。」

 

「お前f「だから、後始末は頼むぞ。」……」

 

秘技言われる前に遮れ。交渉の場は強気が基本。相手にさせたいことをさせずに自分のフィールドに持ち込むことが応用。ホシグマさんを悲しませない?無理。女心なんて分るわけ無いだろいい加減にしろ。だから同性のエンジに任せます。よろしくお願いします。

 

「あたしがアーツ使えることは誰にも言ってないから。ほしぐまにも言ってないから。誰かに言ったら息の根を止める」

 

「わかった。」

 

アーツが使える!?いつ使ったの……ポール?ポールを生み出す能力?そりゃ誰にも言いたくないよな……どんまい。

 

「ほかには……ほかには……」

 

もう無い感じ?なら

 

「交渉成立だな。」

 

エンジが睨み付けてくる。

 

「許したけど、認めたりはしないから。」

 

そういいながら手を差し出す。

 

「わかってるって。」

 

俺も手を出し返し軽く握手をする。これが馬乗りされた状態で無ければ最高、、いや我々の業界ではご褒美か?有知識者判定たのむ。

なんかツンデレを見ている気分になってきたわ。赤髪クール系ツンデレ、、乾さん?

 

手を握ったままエンジは立ち上がり、シュヴェルを立ち上がらせる。

 

「それじゃたのむよ。」

 

エンジは目を閉じ一呼吸する。覚悟を決めたように目を開くと従業員用通路を出て店に戻ろうとする。

その後を続こうと歩き出したが

 

「おそい。」

 

そういいエンジに腕を引っ張られ隣に立たされる。

 

「いいか?後ろに立つな。横に立て。ほしぐまと居るときもだぞ。空気になるな。」

 

「わ、わかった。」

 

戸惑ってしまった。急には止めてください。コミュニケーション講座ですか?退学か退会させてください……エンジの横顔を見てしまった。愉悦に浸っているような満足げな表情だった。その顔を見て、エンジが先生なら続けても良いかなと思ったのは心だけにとどめておこう。

 

従業員用通路と店を遮る扉をくぐり店に戻る。騒音が耳に戻る。程よい騒音は丁度良いBGMになる。

 

「エンジ。一般人をそっち行かせるのは困ります。」

 

上司?恐らく店長的な人だろう。服屋とだけあってこの男も清潔感あふれるスーツを着こなしている。ただの黒スーツとも言うかもしれない。こんだけ華やかな店内に黒スーツは目立つ。

 

「あら?いいじゃない。それ相応の仕事をしている、結果も残している。ちょっと二人きりに慣れる場所を探していただけなので問題は無いはずですよ。」

 

「はぁ……」

 

これが権力の対価です皆さん。第三次産業はこれだから嫌です。さぁ苦しめ。俺はプログラマーしてるからよ(満面の笑み)

 

「彼氏さんも言ってやってくださいよ。ようやく身を固めると思ったのに、相変わらずで……」

 

「ふぁは!?」

 

お、エンジさんの驚き顔だ。写真タイム。写真機無いわ。やっぱり写真機を奪い取るべきか……防犯カメラでは凡用性が無いし即効性も無い。無能。

それにしても今日が初めてなのに店長に彼氏に間違えられるとは……もしかしてオフの時に彼氏さんがいるのか?まあいい。ここは一押ししてやるのが人としての務めだろう。

 

「店長さん違いますよ。」

 

「え?そうなんですか?すみません今までエンジと仲良くされた男性がいない者で、、」

 

「そうよ!こんなやつが彼氏な分けないでしょ!!」

 

「そうで。“まだ”彼氏ではありませんがもしの時はよろしくお願いします。」

 

ここで一礼。完璧。エンジさんが口を開いてポカンとしていますわ。これは良い。写真撮ろ。写真無いわ(以下略)

 

「あらあら。では老人は大人しく去りましょうか。是非今後とも長いお付き合いを頑張ってください。」

 

店長らしき人が最後に熱い握手を両手でされ店の奥に消えていった。そこでようやくエンジが口を閉じる。

 

「あ ん た ね。何言ってくれるの?みんなに聞かれたじゃない。この後どれだけ面倒ごとになることか。」

 

「頑張ってください。」

 

「恋に飢えた女どもがどれだけ面倒くさいかわからにようね?」

 

「約束には含まれないので。」

 

ここでニッコリ!満面の笑み。

 

「よし決めた。こんどまた着せ替え人形しなさい。ほしぐまにはちゃんと話し通しておくから。逃げ道なんてあると思うなよ?」

 

こんどはエンジがニッコリ!満面の笑み。シュヴェルはゲッソリ。引きつった笑み。

 

「ここは痛み分けで終わらましょう。」

 

「あら?逃げないの?丁度良いわ。まだまだ着せたい服はあるんだからね?後メイクもしましょう。いや他の売り子にも一緒に楽しみましょうか。」

 

まだまだあるの?今日いっぱい着替えたじゃん。まだあるの?はぁ、、もう羞恥心は消えたから、、果たしてこれは痛み分けで終わったのか?

他の売り子は嫌だ。これは抗議しなくては。持てる最大の上目遣いで弱々しい声で

 

「エンジ以外には……見せたくないよ……?」

 

エンジの顔が真っ赤になった。勝ったわ。

 

エンジは顔を背け、深呼吸する。そして振り返り

 

「わかったわ。私だけの着せ替え人形にしてあげる。」

 

そこでこの話は終わりとばかりエンジはシュヴェルの腕を取り、最初のホシグマと別れた場所まで戻るのだった。

 

 

 

しかしエンジは知らなかった。恋に飢えた女どもは想像以上に厄介だと。女どもは見てしまったのだ。声こそは聞こえなかったが、エンジが顔を真っ赤に染めたことを、、そして腕を組んだことを、、あれだけ男っ気が無い女からあれだけ恋の気配がしたのだから。

 

飢えた女どもはハイエナのように、そして蜘蛛のように着々と逃げ道を潰しながら閉店の時間を待ち望んでいたことを……

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

最初はアークナイツキャラとの妄想を執筆しようと思っていましたが、いつの間にかモブがヒロインになっていました。こう言う意味でみんながヒロインだタグを付けた訳ではないのですが、、
一体いつになったら龍門編終わることやら。
これからものんびり執筆して行きますので今後ともよろしくお願いします。


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2/15壊死からの地生 主side+ホシグマside

ホシグマさんと別れた場所に戻ってきた。エンジとの会話は無かった。やはりコミュ力が足らない。本格的に誰かに教えてもらおうかと悩んでいる時だった。

少し先の分かれ道にホシグマさんを発見……発見したのだが……。ひぅぅ………

 

プレゼントどこ?服どこ?何も持ってないじゃん。これはやっぱり選べなかったすまないのパターンですか?泣いていいですか。

 

「待たせた。」

 

ホシグマさんの帰還。

 

「うん。おかえり。」

「おかえり。」

 

都合の良い夢だった。儚くも素晴らしい夢だった。さぁ帰ろう。おうちに帰ろう。温かいおうちに帰ろう、帰ればまた来られるから。

 

「これ。」

 

なんですかホシグマさん?一体何がこ……れ?これ?これ!

 

ホシグマがその手にラッピングされた手のひらサイズの小さな箱を持っていた。青い箱に白いリボンで結んである。

 

ホシグマはプレゼントを左手で差し出しながら右手で頬を掻いた。

 

両手でそのプレゼントを受け取る。微妙に重みがあるが重いというわけでは無い。感覚的には腕時計より軽くて鉄のネックレスより軽い。

 

「開けてみてくれ。」

 

そう促される。リボンを丁寧丁寧に外し、包装紙を外し取り出す。中にはまた別の小さな箱があった。それは結婚指輪のように上下に開くタイプの箱だった。

 

これを開けたら物がご開帳だ。深呼吸を静かにする。辺りの声が聞こえなくなってきた。心臓の鼓動がうるさい。分っていても落ち着けない。それは中を見ても落ち着かない気がして少しままならない。

 

開ける。そこには黒く、三角形の形をしている。中央にはスミレ?の花が模られているブローチだった。

両手で包み込み胸に抱く、そっと目を閉じる。

 

エヘへへェへへへ

 

キモい笑いが出た。声は心の中だけだからセーフ。こいつは鉄?。細かいことはわからないけどとりあえず金属だという事はわかった。冷たいが火照った体には丁度良い冷たさだ。いつまでもこうしていたい。

 

お礼を言わなくては、プレゼントにはそれ相応の感謝とお返しを。お返しが出来ないどうしようか。一体何で返したら良いのかな?わからないなぁ、、

 

「ありがとう……ありがとうございます。」

 

変な声を出さないことを意識しすぎて二回同じ事言っちゃった。悪いことでは無いから良いか。そんなことよりブローチ保護計画だ。まず前提条件としてブローチの形成物質の干渉はブローチの価値を亡くす。残念ながらさっきの箱は防護性はない。源石で作っても良いが、その場合はどうやって手に入れた問題が入ってくる。ならば常時漂流極薄源石作戦だ。

名前の通り、常に極薄の源石ブローチ周辺に漂わせる。なにか問題や異変を感じた瞬間源石の箱を作りだし、保護する。源石ごと粉砕してくる事は考えないこととする。その場合は命まで危ないからしょうが無いね。許されるかは知らないけど。いや許さないよ?それ相応のけじめ付けさせる。

 

「それじゃ会計を済ませてくる。待っていてくれ。」

 

「わかった……?」

 

ホシグマは4着の服を持って会計に向かう。だがその顔には{またか}とかいてある気がした。なにか不手際を働きましたが?どうしてそんな……こ、こいつ、尊死してやがる。

最後まで爪痕を残してくる個性たっぷりのエンジさん。尊敬します。

 

いやぁ~~それにしても三角形。やっぱり般若と関係があるのかな?でも花の模様だし。鷹とかだったらかっこいいよね。花を選んだのはちょっと以外だったり意外じゃ無かったり。ホシグマさんならこれが良いと持って来るのは以外だし、これしか無かったとして、、花しかなかったのか?それなら納得のいく一品ですわ。プレゼントとして選ばれるのが服だけいう固定概念を持っているのはほんと恥。自分で固定概念ダメって言っているのに自ら踏み抜いていくスタイルとかないわ。小物はプレゼントとしても優秀だし、でもホシグマさんがブローチ。店員にお勧めされてそう。どうされましたか?なるほど。ではこちらはいかがですかの店員さんの押し切り。いいわ。他を選ぶとしたら何だろうか?ネックレスとか?腕輪もありそう………

 

………武闘大会もいつかやって欲しいな。イフリータお願いされて本気を出すサリアぱっぱ、優勝賞品のためにあらゆる手を使うクロワッサン。Wがいたずらにクソ陰キャプレイしたりメランサが偶然勝ち進んで目をグルグル回したりカシャの実況………ん?

 

朝日が差し込む。気がつくと寝転がっていた。タオルケットがかけられている。横のリビングにホシグマさんがいる。ホシグマ宅?いつの間に時間経った?もしかして気絶してた?え?こわ。

それはさておき、まず起きたら

 

「おはようございます。」

 

 

* * * * * ホシグマside * * * * *

 

「そうだ。ほしぐまもシュヴェルに何か買ってあげたら。」

 

なんの前触れも無くエンジが言う。反射的にホシグマの顔が固まる。

 

普段からそういう個人的なプレゼントはしたことがない。当然断りに行く。

 

「いや私にそういうセンスは無いから「買ってあげないの?」………」

 

卑怯だ。それを言われると強引に断りづらい。はぁ……これは本人に決めてもらおうか。

 

シュヴェルの方を向く。

 

「シュ、ンフ。シュヴェルは欲しいのか??」

 

少し噛んでしまった。恥ずかしいな。それだけ緊張しているということか。

 

しばらく間が経って

 

「ほしい。」

 

シュヴェルが地面を向く。そして今にも消えてしまいそうな声だった。すぐにでも消えてしまいそうな声だが私の耳には奥のそこまで響いてきた。

 

ほしい、か。でも一体何を買えば良いのか?プレゼントを買う。言葉にするだけなら簡単だ。だけどそれを実行するとなると難しいな。ここで考えるより実物を見て考えるこた方が何か答えが見つかりそうだ。

 

「時間がかかると思うけど、それでいいか?」

 

「うん!」

 

元気の良い返事が返ってきた。そんな声を聞いてしまったらしっかりと選ばないといけないと考えてしまう。はぁ先が思いやられる。

 

意味も無く歩く。辺りには服。さっきあれほど実物を見ていたがまだまだ見たこと無い服がある。服をプレゼントするのは、、だめだ。やっぱりセンスはないし。選ぶとしても利便性を重視した服かヘンテコな服を選んでしまいそうで怖い。

 

そのまま進む。

ずいぶんと進んでしまったようだ。おもちゃエリアに着いてしまった。

 

おもちゃ。シュヴェルの好みがわからない。それにあげると喜ぶと思うけど、それをおもちゃとして使わなそうだ。それに少しお値段が、、

 

踵を返し、他のエリアに向かう。

 

筆記用具品。ペンとか紙やらいろいろだ。大人になら良いかもしれないが子供であるシュヴェルには、合わないな。

 

また踵を返し、他のエリアに向かう。

 

小物……小物だ。これなら何か良い物だあるかもしれない。

 

歩を進め、品を見て回る。いろいろなものがある。置物だったり物入れケース、アクセサリーに手作りセット。だがどれもこれもピンと来るものがない。どうしたものか、と考え込む。

 

ふと、とある物が視界に止まった。そこはお宝市といった100幣程度で買えるバザーのようなもの。その中に一つだけピンと来た。手に取ってみる。

 

鉄の板が三角形にカットされ中央に華が掘られた手のひら程度に収まる小物だ。どこかに指輪やネックレスの接続部分が無ければ、置物として立たせておく部分も無かった。

 

「どうかしました?」

 

店員さんが来た。

 

「これはどういう物か気になっただけです。問題はありません。わざわざありがとうございます。」

 

「さすがホシグマさんです。お目が高い。誰かへの贈り物ですか?」

 

店員はホシグマの遠慮も気にもせずぐいぐいとそばに近寄る。

ホシグマは諦めてその道のプロを頼ることにした。

 

「子供の男の子にプレゼントを選びに。」

 

「ここの品はそこら辺の量産品とは違いますからね。唯一の最高のプレゼントになると思いますよ。」

 

「でも子供にこんな物、気に入りますかね。」

 

相手は子供だ。鉄の板なんて本当に気に入るのか。プレゼントとして良い物になるのか。

疑問はグルグルと頭の中を真っ黒にさせる。

 

「プレゼントは贈った後の利便性なども大切かもしれませんがそれ以上に気持ちが大切だと思いますよ。」

 

気持ち、、確かにどんな物をプレゼントしてもシュヴェルは喜びそうだ。だけどそれでいいのかな。

 

ホシグマがかすかに俯く。

 

「それにその大きさでその硬さを持っているなら。お守りにも使えます。気に入らないなら次からはお菓子でもプレゼントしたら良いんですよ。」

 

お守り……確かにそれはいいな。では

 

「この花はなんて言う花でどんな花言葉があるんですか?」

 

店員さんの表情が固まり冷や汗を出し始める。

 

「少し待っていてください。」

 

店員さんはそう言い捨てどこかに早歩きしていった。

 

これにはホシグマは苦笑した。すこし遠くの方で

 

「誰か花に詳しい人はいないの!??なんでこれだけ居て誰一人分らないのよ!!」

 

「そういう自分は何で分らないんだ?」(1)

「そうだ他人に聞くな。」(2)

「ばーか。」(3)

 

「うるさい。これはホシグマ案件よ。全力を尽くしなさい。」

 

「は?なんてことだ。なぜ私は花の事ぐらい知らないんだ。」(1)

「なぜ知ろうとしなかったの?もし知っていたら今日役に立ったのに。」(2)

「ぉぉ神よ我らの罪を償わせたまえ、、」(3)

 

「そんな暇があるなら何か考えなさいよ!!いまもホシグマさんを待たせているのよ」

 

「たしか1階と4階に本屋があったはずだ。」(1)

「私今からいってくる。」(2)

「まっててくっださいねぇぇーーー(走り出した後)」(3)

「あの馬鹿。今からじゃ間に合わねぇよ(それに続く常識人)」(1)

「置いていかないで(残された凡人)」(2)

 

「もう良いわ……謝ってくる。」

 

「私も一緒に謝るよ……?」

 

「いいわこれは私の問題よ。私から首を突っ込んだのにホシグマさんの時間を奪ってしまった……なんてことを……」

 

店員さんが戻ってきた。その目はあちらこちらに泳いでおり両手の人差し指を引っ付けてモジモジしている。

 

「この度は、私n「思い出したからもう良いですよ。わざわざありがとうございます。」」

 

ホシグマは取って付けたように微笑む。

 

「むきゅぅ……」

 

「店員さん会計お願いします。」

 

「へ?あ、はい!会計させていただきます!」

 

店員さんはその三角形のブローチを両手で大切に抱えながら会計場に向かう。その後にホシグマも続く。

 

結局どんな花は分らなかった。でも気持ちが大切。そう学んだ。もし悲しい意味だったらどうしようか。謝れば許してくれるかな?

 

そんな事を考えているうちに会計を済ませた。

 

「どうぞ。」

 

三角形のブローチがきれいにラッピングされて帰ってきた。

 

「いえ。100幣程度の物ですし「いえいえもうやっちゃいましたから!お気持ちです。受け取ってください。」」

 

またか……これじゃ断れないじゃないか。

 

「ありがとうございます。」

 

「またのご来店お待ちしてます!」

 

シュヴェルたちと別れた場所に戻る。その手にはラッピングされた箱がある。

 

ふと、こんなきれいにラッピングされた箱の中に、鉄の板があることが不安になった。期待を裏切るような事になったらどうしよう、と。ホシグマはそっとその箱を隠した。

 

別れた場所にシュヴェルたちはいた。特に会話をしては居なかったがなぜか距離が近くなった気がした。なぜだろう?

 

「待たせた。」

 

「うん。おかえり。」

「おかえり。」

 

また無言になってしまった。やはり自分から行かないとダメだ。覚悟を決めた。

 

「これ。」

 

プレゼントを左手で差し出した。つい右手で頬を掻いてしまう。

シュヴェルを直視するのがちょっと怖い。視線を外してちらちらと確認する。

 

シュヴェルはラッピングされた箱を持ったきり、動かなくなっていた。このまま時間が過ぎるのは嫌なので早く開けることを促す。

 

「開けてみてくれ。」

 

シュヴェルは丁寧にリボンを外し、包装紙を外し取り出した。そして中にある箱を持ってまた、動かなくなった。少し時間を得てゆっくりと開けた。

 

さらに中にある三角形の花のブローチをそっと両手で包み、胸に抱いた。さらに目を閉じる。

 

「ありがとう……ありがとうございます。」

 

いつもの声音だった。今もなお目を閉じブローチを胸に抱いている。

 

これは思ったより歯がゆいな。

これ以上ここに居ると変な笑いを出しそうだ。服の会計を済ませると言った理由で離れようか。

 

「それじゃ会計を済ませてくる。待っていてくれ。」

 

「わかった……?」

 

エンジは相変わらず変な笑い顔のまま止まっていた。いつもなら特に何も思わないが、いまは感謝する。おかげで変な笑いが出そうになるのが止まった。

 

その後エンジと別れ、食料の補充もすんだ。そして家に帰る間も、風呂を出た後も、ずっとシュヴェルはブローチを胸に抱えてどこか上の空でいた。食事中だって見えるところにブローチを置いていた。何か問いかけても曖昧な返事しか帰ってこない。

 

喜んでいるのはうれしいんだが、さすがにずっと居られると頬が緩んでしまう。

 

「シュヴェルそろそろ寝るぞ。ブローチはそこの机にでも置くといい。」

 

「うん。」

 

意外にもシュヴェルはすぐにブローチを置いていた。そのまま寝る。

今日は対面になっていることに気づいてしまった。

 

シュヴェルはすやすやともう寝てしまっている。健やかな寝顔だ。つい頭を軽く撫でてみる。少し笑った気がした。私も目を閉じる。

 

次に目を開けたのは早朝だ。少し驚いてしまった。目の前にシュヴェルの顔があった。また頭を撫でてみる。

 

「むにゃむにゃ。」

 

そうつぶやきながら笑った。

シュヴェルを起こさないように立ち上がり朝支度を済ませる。一息をつき、椅子で新聞を読む。

 

最初は誰かがそばに居る生活が不安だったが、案外。誰かがそばに居るというのは良いものだな。

 

ドアの隙間から見えるシュヴェルの後ろ姿を見てそう思ったのだった。

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

私はホシグマになりきることが出来ませんでした。ファン失格です。一からやり直してきます。なにか違和感を感じることがあれば申し訳ないです。


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2/16壊死からの地生 主side

パンにかじりつく。今日の朝ご飯だ。パンオンザパンだ。ちゃんと焼かれているパン。一体どうやって焼いているのかはこの世の七不思議だ。たくさん調味料があったけどバターorマーガリンが無かった。おいしいけど体には悪いからね。さすがっす。

ホシグマさんも囓っている。推しの全て愛おしいこれが愛か?

 

「今日は{ファルシオン}に呼ばれている日だが道は覚えているか?」

 

「うん。完璧。近道が分らないから一回龍門近衛局によるけど。」

 

「その方がいい。いいか?間違っても小道に行くなよ。小道は迷いやすいし変な人もいるから大道りを進むんだぞ。」

 

「わかった。」

 

絶対に大道りを進みます。絶対に近道しません。もうヤクザはいやだ。円運動する車いやだ。空飛ぶ車はいやだ。

 

最後の一口を食べて、手を洗う。そして昨日買ってもらった服に着替えて、胸と服の間にブローチを保管する。ブローチは何があっても肌身離さず共に生きることを誓います。

 

「それでは、いってきます。」

 

「いってらっしゃい。」

 

推しにいってらっしゃいを言って貰える生活。控えめに言って最高。これでお帰りのおまけ付きだぜ?これ以上の幸福は無いね。

 

さっさと歩いて近衛局。朝6時でありながら人はいる。特に言うことはないだろう。そんなこととほっぽり出して{ファルシオン}に向かう。{ファルシオン}の前に行列は無かった。朝から出待ちする人はさすがに居ないようだ。

 

いきなりで悪いが俺はバイトをしたことが無い。ずっと親のすねをかじり取って生きてきたのだ。だが舐めないでで欲しい。料理洗濯は俺のフィールドだ。だれにも負けない自信があるぜ。

そんなどうでも良いことは忘れていただいて、バイトをしたことが無いことだけ思い出してくれ。こんなアットホーム感あふれるバイト先ってどうすれば良いのだ?それに開店前。このまま入って良いのか?そもそも開いているのか?

グレイブさんは朝7時に来てくれと言われた。今は6時30分ぐらいだろうか。早く来すぎた。バスが時間厳守なの日本だけと聞いたことがある。これはどうしたらいいのか?窓から中が見える光がない。このまま誰かが来るまで待機するか、、いやノックだけしておくか。

目上の場合は三回と聞いたことがある。なので

 

コン コン コン

 

三拍子。やっぱりなんにも無かったよ。ちょっと地面をお借りしまして、座って休ませてもらいましょう。

 

「誰だ?」

 

!?

 

いきなり{ファルシオン}の扉が「バンッ」と開き。グレイブさんが出てきた。

 

「ああーシュヴェルか。」

 

「おはようございます。グレイブさん。」

 

「早くきたな。ちょっとこっち来な。」

 

グレイブは{ファルシオン}の扉を閉め鍵を閉めた。すぐそこの小道に進む。そこには一つの扉があった。

 

「ここが従業員用の入り口だ。次からこっちから入りな。だいたいは鍵開いてると思うからよ。」

 

「わかりました。わざわざありがとうございます。」

 

「いいってことよ。」

 

グレイブはノックを二回する。

 

「今大丈夫か?」

 

「大丈夫よ。」

 

グレイブは返事を聞いた後扉を開け中に入る。中には例のメイド服を着ているミスチェーとラミカがいた。

 

「知っているとは思うが今日から入る新入だ。色々教えてやってくれ。じゃ俺は上に居るから何かあれば呼びな。」

 

そのままクールに去った。筋肉のくせに心遣いがすごいわ。

 

「では改めて自己紹介ね。ラミカよ。」

 

相変わらずのクールお姉さんです。

 

「ミスチェーです!よろしくおねがいします!」

 

相変わらずの元気。やる気。

 

「シュヴェルです。よろしくおねがいします。」

 

軽く首をクイっと下げる。

 

「それじゃあこの服に着替えてね。」

 

そして黒と白のメイド服のようなものが渡される。

 

「どこで着替えたら良いですか?」

 

「ここで着替えると良いわ。ここが着替え室でもあるから。」

 

なるほど。了解しました。…………?

 

「すみません。僕男ですよ。」

 

「いいわよ。そんなこと。さっさと着替えちゃいなさい。」

 

ふぅぅ……何がそんなことなんですかね?これがおねしょたですか?ちょっと初心者なんで一人で引きこもらせてください。そうだ!ミスチェーさん。純粋そうなミスチェーさんなら、ふぅぅぅぅぅ……ミスチェーが赤面しながら手で顔を隠している。だがその指には隙間がある。今、目が合いましたよ。

 

ダメみたいですね。

 

はぁとりあえず服のタイプを確認しなきゃ……スカートじゃんかよ。グレイブさん!?ちゃんと男って伝えたじゃん。まあロングスカートなだけ許してやる。

 

ロングなら上から着替えられるね。さあ着替え

 

「ちゃんと下を脱がないとダメだよ?」

 

……?……?こいつらまさかこの状況を楽しんでいるのか?これは必殺技を使うしか無いね

 

上目遣いで声を震わせながら

 

「はずかしいので……後ろ向いてくれませんか?」

 

これで無理なら諦めるわ。円滑な職場環境にするために今日は切り捨てるわ。

 

「わかったわ。さあ後ろを向きましょミスチェー。」

 

ラミカはミスチェーの後ろに立ちぐるりと180度回転をした。

 

素早く着替える。速やかに脱ぎ

 

「やっぱり肌きれいだね。」

 

「ラミカさん!?」

 

声が裏返る。メイド服で体を隠しながら声がする方を向く。そこにはさらに180度回転してあるラミチェーがいた。またミスチェーと目が合いました。このむっつりさんめ。

 

「後ろ向いててくださいっていったじゃないですか!」

 

「ごめんなさいね。でもかわいすぎるあなたが悪いのよ?」

 

「ご、ごめんねぇ。」

 

これが暴論。数の暴力。ひ、卑怯だぞ!

もう諦めてさっさと着替える。これからは二人より早く着くことが必須になりました。

 

「服はこのロッカーに入れなさい。これが鍵ね。」

 

「わ、わかりました。」

 

俺は末代まで引きずるタイプだ。この恨み絶対に晴らす。

それとは別にサクッと服を入れる。ロッカーに鍵をかけて内ポケットに入れる。

 

「んぅん~。いいわ。もちもちで良い匂いで、最高の抱き心地だわ。」

 

「いい匂い……さらさら……。」

 

内ポケットに鍵を入れた瞬間、ラミカとミスチェーが抱きついてきた。

 

ホシグマさんのおかげだね。この程度ではもう動じない。恥ずかしさはない。これは極上のダウナーとなるのだ。

それはそうとラミカさんもミスチェーも良い匂いだし柔らかいんだよなぁ。

 

どれほど時間が経ったか分らないほど時間が過ぎた頃

 

「これくらいにしておきましょうか。まずはドリンク作りね。」

 

横の部屋に移動して厨房に行く。

 

「作り方は簡単。ここにある材料を入れて振る。かき混ぜるように振るのがコツね。やってみて。」

 

わかりやすいね。メニューに材料のセット。チュートリアルは大切だよね。じゃこの海渡る空を作ってみようか

 

材料入れてさっさっさ。バーテンダーは右上一振り左下一振りの繰り返しだった気がするわ。6回ほど振り回して完成。どうすれば?ラミカ先生。そう視線を送る

 

「蓋を開けてそこのコップに入れてみて。」

 

言われた通りに二つのコップに注ぐ。そして二人に手渡す。

 

「どんな感じですか?」

 

「うん。ちゃんと混ざってるわ。」

 

「おいしいです!」

 

「よかった。」

 

どうやら見よう見まねで大丈夫だったわ。

 

「次はウェイトだけどそれは実践でいきましょうか。開店時間までのんびりしましょうか。」

 

ラミカはそこにある椅子を三つ持ってきて、ガールズトークが始まった。主に俺への質問攻めだった。こっちが会話を振らなくて止まらない会話。誰かコミュニケーション能力か同じ趣味的な共通の話題をください。

 

 

「そろそろ開店の時間だね。それじゃ行こっか。」

 

唐突にラミカが会話を打ち消しそう告げた。その時カウンターからガワガワと話し声が聞こえた。そしてグレイブさんがカウンターから出てきてそのまま階段を上っていった。

いつカウンターにいったんだ?これがわからない。

 

ラミカさんを先頭に三人でカウンターに行く。

 

「おっラミカが出てくるなんて珍しいじゃん。」

「今日は仕事がうまくいくな。」

「お前は今日休みだろ。」

(以下略

 

「はい。注目。」

ラミカが一回手を叩く。その音に反応して、あれほど騒がしかったカウンターが静かになる。

 

「今日から新入が入るよ。さあ自己紹介して。」

 

満席だ。前来たときと同じく満席だ。朝っぱらからなんでこんなに居るの?吐きそう。

 

「シュヴェルです。よろしくお願いします。」

 

頭を下げる。辺りは静かなままだ。この後どうしたらいいの?これだからコミュ力お化けの歓迎会は嫌いなんだ。こうやって流れでやるから

 

「「「うぉぉぉぉぉぉぉ」」」

 

反射的に耳を塞ぐ。この店の窓を割らんとする程の声が辺りに響かせる。顔をあげる。目の前には阿鼻叫喚な男どもがいた。後ろを見ると耳を塞いでいる二人がいた。

わかっているなら俺教えておいてよ。

 

「新キャラだ!」「真面目系だ!」「クール系だろクシ穴!」「お淑やかですなー。」「だまれクール凶人。」「黒髪黒角黒目ジト目。最高じゃ。」「うっさいキモオタ。」「ロングスカートとは分っておりますなー。」「三人。三姉妹。ティティ。」「クールラミカ、アイドルミスチェー、シュヴェルはどうしようか?」「それは禁句だろうがこのks。」「事実だろうがこのキモオタ。」「天然シュヴェルは?」「狭間のシュヴェルでは。」「いいじゃんそれ採用。狭間、、狭間、、いいね。」「やんのかこのks。」「やってやるよこキモオタ」

 

「「表でろy「だまれ。」」」

 

ここでラミカさんの鋭いアッパーが炸裂したぁー。これによりうるさい二人組が{ファルシオン}の外まで吹っ飛ばされたぁ!!野次馬もひんやりしているぞ!!さっすがラミカさん!?

 

ラミカは野郎に鋭い一撃を加えた後シュヴェルを自分の胸に抱き寄せた。いつの間にかミスチェーもその間に入り込んでいる。

 

「シュヴェルが驚いているでしょうが。出禁にするぞ。」

 

「「申し訳ございませんでしたぁ!ラミカ様。シュヴェル様。」」

 

吹き飛ばされた野郎が外から飛び土下座をしていた。これが本場のジャンピング土下座……すごいな。

 

「シュヴェルどうするこいつら?」

 

そこで俺に振りますか?まぁセクハラしなければセーフとしましょうか。

 

「害があるわけではないのでどうぞお好きに。その分金を落としていってください。」

 

やっべ調子乗りすぎたかも。

 

「「ラミカさんゴールデンファルシオンデラックスネオカスタムください。」」

 

「まいど~。」

 

カモじゃったか……野郎ども。ノリが良いやつは好きだぜ。

 

「それじゃそう言うことだから。分っているわね?」

 

ラミカは厨房に帰っていた。そして近所迷惑には鳴らない程度に大きな声で。

 

「「「イエッサー。ラミカ様。」」」

 

な、なんだこの連帯力!?すご。

 

「シュヴェル、ゴールデンファルシオンデラックスネオカスタムを持って行って。」

 

「っはーーい。」

 

厨房に行く。

 

「はいこれ。あいつらに運んでね。」

 

でか。俺の腕より大きいぞ。パフェじゃん。こいついくらだ?糖原が素材にある世界だぞ?こわいな。

 

「ぉっと。」

 

お盆にのせて持って行っている。二つとバランスは取りやすいがお盆の大きさに見合わない程大きいから少しのブレで落としそうになる。

 

「お待たせしました。ゴールデンファルシオンデラックスネオカスタムです。」

 

「「丁寧だと?最高じゃん。ありがとうシュヴェル!いただきます。」」

 

こいつら仲いいな……俺もネッ友じゃなくてリアルで同じゲームを嗜む友が欲しいです。

 

「「ゴールデンファルシオンデラックスネオカスタムおかわり!!」」

 

消えた!?ゴールデンファルシオンデラックスネオカスタムが消えたぞ。今の時間で消えたぞ。こいついくらだ?

公開求人で140~602+210(タグ)幣で星3が来たら一般資格証が5つだ。中級糖原は30つまり星3が6人分だ。つまり中級糖原は最低で840。最高で4872幣。4872幣!?高。このパフェはいくつ使っているんだよ。実物は見たことはないが顔のサイズよりは小さいだろう。つまりこのパフェには1~2個だ。そして利益に営業費、美人費に手作り費。ヒェ。万超えるぞ。

 

こんな高い物をあんな手軽に注文したのか?そしてさらに注文しようとしているのか!?

 

「「どうしたのシュヴェル?体調悪いのか?それはそうといい加減まねをするな(ks/キモオタ)」」

 

「た、確かにお金落としてくださいっていったけど無理をしてまで注文するのは良くないよ?」

 

気分に流されるのダメ。それで人生崩れるよ。

 

「い、いま。俺の中に電流が走ったぞ。」

「ああ、天使様に見えた。」

 

野郎どもは目を合わせる。そしてうなずき俺の方を向く。

 

「「ゴールデンファルシオンデラックスネオカスタム三つづつ追加で!!。」」

 

「ノリに流されるの良くないよ!お金は大切だよ?」

 

一体どれだけ龍門紙幣不足で悩んだことか……一体どれほど周回をしたことか……我らは知っているその龍門紙幣の大切さが……我らは知っているつい、推しに使ってしまい10秒で消えてしまうことを……

 

もっと大切に使って?ね?お願い。見たくないの。誰かが苦しんでいるところが。過去がフラッシュバックしてトラウマを刺激されるから……だから

 

「ああ分ってる。」

「そうだ。俺たちの気持ちは同じだよな?」

「ああそうだ。」

 

ほんと?よかった。大人しく雑談でも

 

「「ラミカァァァァゴールデンファルシオンデラックスネオカスタム5つづつ持ってこいヤァァァ」」

 

「嘘つき。分ったて言ったじゃん。嘘つき。」

 

「「俺たちの気持ちは同じだ。安心してくれシュヴェル。数日本気を出せば取り返せる。」」

 

だめじゃん。数日ってそれキツキツのタイプじゃん。

 

「はい。お待たせ。ゴールデンファルシオンデラックスネオカスタム10つ。」

 

 

ラミカさんだめぇ。それだめ。

 

「「いただきます。」」

 

「ぁぁぁあああぁぁ……ぁぁ……」

 

消えていく。一つ一つとゴールデンファルシオンデラックスネオカスタムが消えていく。

 

あぁ一つ9744幣がぁ

 

10つ9万7440幣がぁぁ

 

嗜好品で消えた、、消えていった、、食事ではなく、ただのお菓子で10万幣が消えた。

 

「「ごちそうさまでした。」」

 

そうつぶやいた野郎どもの目は覚悟を決めた目だった。

 

「「いくか。」」

 

そういい、壁に立てかけた剣を取り、店を出て行く。

 

不服にもその背後に憧れてしまったのは、しょうが無いことだった。

 

だがミスチェーがカウンターでそのかわいい声を上げながら動き回っている姿の前には5秒でどうでも良いことになた。

すまんな。やろうども。

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ


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2/17壊死からの地生 イェンウside

……数週間特に変化はなく、空気中の源石濃度も変わりません。」

 

そこは黒に赤の重厚感あふれる部屋。そこにはウェイ・イェンウとその部下がいた。そしてその部下の報告を聞き終わったところだ。

 

「うむ。ご苦労。これからは変化があったとき最優先で報告してくれ。定期的に報告は欠かさないように。」

 

「はっ。」

 

兵士が部屋を出て行く。その部屋にはイェンウだけが残されていた。悩ませる資料をその手に持ちながら。しばらくしフミズキが部屋に入ってきた。

 

「どうしたんですか?そんなに悩んで。」

 

「ああ、例のやつだよ。」

 

イェンウじゃその手に持つ資料をフミズキに渡した。

 

「源石濃度……」

 

「数週間前、唐突に龍門市街全域で源石濃度が増え、1時間もしないううちに元に戻った。そして次の日の昼。また濃度が増え、2時間程度で戻った。そして数日後。龍門市街中央部付近を中心に濃度が永続的に増えた。そしてそれは夜は右側、昼は左側に寄る。」

 

「そしていずれも害が無いレベル、ですか。」

 

「ああ。たしかシュヴェルが来て1,2日ぐらいだったか。」

 

イェンウはソファに深く座る。

 

「一体これから何が起こるのやら……」

 

「これが例のシュヴェルの時に言っていた災いですか。」

 

フミズキがイェンウの横に座りながら言う。

 

「たぶんそうだろうな。」

 

「ふむ。」

 

フミズキは手を顎に当てる。

 

「これではシュヴェルを狙っている何者かが何かをしているとしか思えませんね。」

 

「そうだな。」

 

イェンウは特に反論すること無く同意する。

 

「それでこのままでいるのですか?」

 

「そう言われてもシュヴェルの周辺では特にそれらしき組織は確認できなかった。龍門市街を狙っているのか。はたまたシュヴェルもろともこの龍門市街を破壊しようとしているのか。」

 

「情報が足りませんね。私は見返してきます。」

 

「ああ頼む。」

 

フミズキは部屋を出て行く。またイェンウは一人部屋に残される。

 

「源石濃度、、、源石をすりつぶしてばらまいているのか?それとも各地に源石製品を置いているのか。いやそんな報告は無かった。再度確認させよう。濃度が移動してるのも気に食わんね。誰かのアーツ?それなら何故?いずれ交渉を持ってくるのか?そもそもそんな異常なアーツが存在するのか?」

 

そこで独り言は止まった。そして数週間前に来たシュヴェルのことを思い浮かべてみる。

 

「貴様は悪魔になるのか。救世主になるのか。」

 

イェンウはつぶやく。その言葉には力強さはない。その声には終わりを見据えた男の最後のつぶやきに思えた。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

物語は急展開を迎える。
つまりそろそろ龍門編が終わります。なにかご要望があれば執筆します。
何も無くても後から突然に執筆したりします。


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2/17壊死からの地生 主side

そして数週間経った。その間エンジの着せ替え人形になったり、チェンさんやスワイヤーさん達とご飯を食べに行ったり、ホシグマと愉快な仲間達と遊んだりしてた。

 

それ以外はホシグマ宅から出て、ファルシオンで働いて、ホシグマ宅に帰る。

 

このなんて変化の無いスローライフ。最高です。朝起きてホシグマさんが居て、ファルシオンで野郎どもにラミカさんにミスチェー。そしてホシグマさんのサンドイッチ。いいぞ。

 

「お、あれがミスチェ~か。案外かわいいじゃん。」

 

あ?言葉には気をつけろデコ助野郎。速やかに行動。

 

「ご注文はなんですか?」

 

ミスチェーに話しかけられると思うなよ?

 

「お前じゃないよ。ミスチェ~だせよ。」

 

「すみません。残念ながら満席でそのような暇が無いためご了承ください。」

 

「そんな事はどうでもいいんだよ。下がれ。」

 

「申し訳ありません。当店にそのようなサービスはございません。」

 

これぞ営業スマイル。この丁寧な話し方はテンプレ。迷惑客であろうと対応できる話k

 

「うざい黙れ。」

 

「ビシッ」

 

迷惑客の手が振りかざされ、シュヴェルの頬を平手打ちをした。和んでいた店が一気に静かになる。迷惑客は眉間にしわを寄せ怒っている。だがシュヴェルは静かに顔を目の前に戻す。

 

ぶったな!親父にっもぶたれたことないのに!こいつ許さねぇ。俺が寛大でよかったな。そうじゃ無かった俺が拳を突き出していたぞ。この野郎。

 

「申し訳ありませんが、出禁です。二度と来ないでください。」

 

俺はグレイブさんに権力をもらっている。こんな奴らがまた来たらミスチェーにも被害が及ぶかもしれないからね二度と来るな迷惑客。ぎりぎり許されるのはクレーマーまでだ。

それはそうとラミカさんは最高の先輩だ。判断能力、行動力、コミュ力。全てが一級品だ。ラミカさんはこの静寂を疑問に持ち、厨房からカウンターを遠目で把握するだろう。そして速やかに写真を撮る。はい出禁です。次来てみろ。ラミカさんの一撃がみぞおちw

 

「うるさい黙れ。」

 

「ビシッ」

 

迷惑客が振り下ろした手が戻ってきて、シュヴェルの頬を往復ビンタした。静かな店内が氷点下以下になる。野郎どもの目が鋭くなる。だが迷惑客は眉間に血管を浮き出し、怒っている。そしてシュヴェルはまた顔を迷惑客に向ける。

 

ぶった。二度もぶった。ホシグマさんにもぶたれた事ないのに!こいつ状況わからないのか?野郎でもの目が{もういいわ。タヒね。ゴミ。}になっているぞ。もしかしてやばい薬をやっているのか?あ、

 

往復ビンタを知っているか?某有名ポケットに入るモンスターの技であり効果は2~5回連続で攻撃すると言ったものだ。

 

つまり何が言いたいかというと振りかざされた手がまた往復しようとしていた。

 

だが俺は知っている。後ろから超重量級の足音がしていることが。私は知っている。この店には筋肉もりもりの変態がいることが。

 

迷惑客の手が振り下ろされる。そしてその手がシュヴェルに当たる前に、迷惑客は店の外に吹き飛ばされた。そのときの音は「ゴォッン」だった。

 

「ふしゅぅぅぅ……」

 

グレイブがその輝かしい筋肉をはち切れそうなまで膨張させて跳び蹴りを繰り出したのだった。

 

進撃ですか?音が水蒸気なんよ。

 

グレイブはそのまま店の外に出る。そしてどこかの動画聞いたことがあるようなフルボッコの音を鳴り響かせていた。まるでゴリラがドラミングをするように、そして最後には

 

「何うちのもんに手ぇ、だしとんじゃ屑がぁぁぁ」

 

と叫び、鈍い最後の一撃が迷惑客を襲ったのだった。

 

ぁ~ドアが見るも無惨な姿に……

 

「シュヴェルこっち向いて。」

 

「ん?わかった。」

 

言われた通りに声のする方を向く。そしてすぐさま湿布のような物が頬に張られた。つめたい。ひんやりとしている。

 

「こんなに赤くなっちゃって……大丈夫だった?」

 

「うん。そこまで痛くなかったし。」

 

「強がっちゃって、はいはい大丈夫ですよ。」

 

「ふぎゅ。」

 

ラミカはシュヴェルを胸に抱いた。

 

すごくやわらかいです。これがおねしょたですか?案外良い物ですね。新しい扉を開きに行きましょう……スマホないわ。新しい扉を開いただけで通れないってか?くそぉ、、くそぉ……ぉぉまーい……

 

「だいじょおぶ?」

 

涙声と共に背中、というか後頭部にまた柔らか感触が増える。いつのまにか厨房に逃げたはずのミスチェーが帰ってきてその後ろから抱きつく。

 

こ、これがサンドイッチ。これが幻のサンドイッチ。個人的にはその間にタピオカを挟んでそれを別の女の子が飲むのが(ry

そんなことより胸には胸を挟むだろが?にわk(ry

浜風、浦風のサンドイッチが至高だろ。二度と間違えるなk(ry

サンドイッチを食べるシックスパック女性が最k(ry

 

はい。自重します。

 

涙声のアイドルって聞こえると萌えるよね。そろそろサービスタイムを終わらせましょうか。そろそろ周りの野次馬に殺意が沸きそうだから。

 

「…………ッ!!」

 

声が出せません。これが幸せに窒息するタイプのやつですか。まあ俺は声が出ないだけなのでただの幸せですね。ありがとうございます。

 

 

 

「それぐらいにしてはどうだ?」

 

あら良い筋肉。ウッホ。

あれ?グレイブさん今まで今まで何をしてたの?さっきまで外にいたよね?え?もしかして今までずっと迷惑客いじめてたの?さ、っさっすがグレイブさん!そこに痺れる憧れるぅ!

 

「あれ?シュヴェル息してる!?」

 

もしかして気づいちゃった?答えはイエスなんだよなぁ。

あ、幸せの圧力が消える……消える……後ろの圧力は消えてないわ。やったぜ。

 

ラミカがシュヴェルを胸がら解放する。そして目を合わせる。

 

「すぅ……ほぁ……」

 

「ごめん……大丈夫だった?」

 

「うん空気がおいしい。」

 

空気がおいしい。必要ではないんだけど、あるのとないのでは結構感覚がちがう。重力があるかないかぐらい違う。

 

「ごめん。ちょっと休んでて。グレイブ?今日は休ませて良い?」

 

「ああ厨房で休んでおくと良い。寝てても良いぞ。給料は出すからな。これは絶対だ。」

 

「ありがと。」

 

ラミカはシュヴェルを連れて厨房に行く。しれっとその後ろにはミスチェーもついて行っている。ラミカは椅子を壁際にもって行ってシュヴェルを座らせる。

 

「それじゃ休んどきなさい。」

 

「別にもう大丈夫だよ?」

 

そうだ。俺はもう大丈夫なんだ。なぜ一人だけ休まねばならぬ?日本人の連帯力は世界一ィ。(ただし精神がやむ場合もあり)

 

「あのね……湿布付けた顔で注文聞くつもり?」

 

「うぅっ……」

 

「そうだよ!?私がシュヴェルの分も働くから!!」

 

言い返せねぇ強い。自分が良くてもラミカさんがダメ。客が良くても甘えてはダメ。無理じゃん。それならば

 

「じゃあ僕もドリンク作るよ。」

 

「まあそれなら、でもちゃんと休むのよ?」

 

「休むのよ!」

 

ラミカは台詞と友に指をピッと突き出す。それを真似するようにミスチェーも指を指す。

 

「はーい。」

 

返事だけはトップレベルです。実は返事だけではありません。疲労感、痛覚、眠気が無い俺は最強の社畜です。

 

 

 

 

それからはいつも通り。無事に営業時間を全うした。それもそうだね。俺が来る前は二人でお店回せたのだから俺なんて必要ないよね。本当にありがとうございますグレイブさん。

 

さて週5で通っている龍門近衛局。今日もつきました。近道ダメ絶対。

 

「あら~久しぶりじゃ無いシュヴェ、どうしたの!?その湿布!?」

 

龍門近衛局の入り口からスワイヤーさんが出てきた。週5で通ってきたけどこうして誰かと会うのは初めてだわ。龍門近衛局ブラック……

 

「ちょっと客にぶたれました。」

 

「ちょっとてね。あんた大丈夫なのそのお店。アタシが良いところ推薦しましようか?」

 

「いえ。その客は出禁になりましたし、これはただの不慮の事故ですよ。」

 

「むっ。あんた案外クソガキね。」

 

へ?クソガキ?なぜだ。どうしてなんだぁぁぁぁぁ。

 

「ちょっとあんた聞いているの?」

 

「すみません。なんですか?」

 

「まあいいわ。さぁ行くわよ!」

 

スワイヤーさんに脇に抱えられる。汗……良い匂いですね。じゃなくて

 

「どこに行くんですか?なんで抱えられるんですか?」

 

「ご飯を食べに行くのよ。もちろんホシグマには連絡したから心配しないでね。抱える理由は逃げられないためよ。」

 

な、何故わかった。

 

「何故わかったって顔ね。もちろん逃げられると思ったからよ」

 

心を読まれた!?天才怖い。それに逃げられることを前提にしないでくださいよ!!ホシグマさんもそれを了承しないでくださいよ。

は!ひとつだけホシグマ宅に帰れる可能性があるかも!

 

「お金ないので大丈夫です。」

 

これぞ同僚の飯の誘いを断れる方法なり。はっはは

 

「おごるから大丈夫よ。」

 

先輩からの誘いじゃったか、、げせぬ。

 

 

「ついたわよ。」

 

はや。近いな。こののれんどっかで見た記憶が、、

ガラガラガラと店の扉を開け中に入る。スワイヤーの脇に抱えられながら。

 

「大将!来たわよ。席一つ追加しておいて!!」

 

「お!来たかスワイヤーちゃん……」

 

大将と呼ばれた男は俺を見た瞬間言葉を詰ませた。

 

「スワイヤーちゃん。さすがに誘拐はまずいぜ。」

 

「なっ。なにをアタシはそんなことしないわよ!!」

 

スワイヤーがキレる。だがその顔にがぉーと効果音が着きそうなのは俺だけか?

 

「はっは。わるいわるい。ちょっとからかいたくなっちゃってな。」

 

「そんな理由で許すと思わな「代わりにその子の分サービスするから許してくれや。」むむ……しょ、しょうがないわね。今日だけよ!!」

 

毎回からかわれていると思うのは俺だけか?

 

「それじゃそろそろ席につきな。さて今日の注文はなんだい?」

 

言われたとおりにスワイヤーは座る。その前に俺を横に座らせて。今まで脇に抱えられてたままこの会話をやってたんだぜ。大将も肝すわってんね~。

 

「アタシは醤油とんこつの薄め、麺固めで。この子にはトッピング全部のせの普通の豚骨ラーメンかな。」

 

「ちょ、スワイヤーちゃん!」

 

「あら?サービスしてくれるのでしょう?シュヴェル君。食べられなかったら言いなさい。私が残りを食べるから。」

 

「いえ。結構です。ただの豚骨ラーメンをお願いします。」

 

「え?いいじゃない。サービスしてくれるのよ?」

 

「いえ。大将?が困っているので。」

 

「アタシが奢るのよ?いいじゃない。全部のせ頼んじゃいなさいよ。」

 

「いえ。量が多すぎるので。」

 

「了解。」

 

「ちょっと大将!!」

 

ここは譲れません。恩は売らせませんよ?返せる気がしないので。

 

「へい!お待ち。醤油とんこつ 薄め 麺固め。」

 

スワイヤーの前にラーメンが出される。

 

「それとトッピング全乗せ豚骨ラーメン。」

 

シュヴェルの前にスワイヤーの前に出されたラーメンの縦に倍の大きさだ。

 

!?

 

「大将!?」

 

「良いってことよ。」

 

「大将案外良い仕事するじゃない。」

 

「こんなかわいい子にこんな顔させるくらいなら赤字背負ってやんよ。」

 

「へえ、、アタシはかわいくないって?」

 

「はっはっはは。全くかわいいねぇ。」

 

「ごまかされないわよ!!。」

 

「さ、冷める前に食べてくれ。」

 

「ったく。」

 

それから静かになり、スワイヤーは麺を啜る。ラーメンを啜る。ロングヘアーの仕事人。前屈みになることにより髪が目の前に来てしまい邪魔になる。それを防ぐために箸を持つ反対の方を手で髪を耳にかけ、ラーメンの熱を冷ますためにフーフーと息をかける。

美少女の息を吹く姿に普段は見えない耳が見える。

 

つまりだな、すごく素晴らしいです。あ、眼鏡のオプションも追加出来ないでしょうか?

 

「シュヴェルも食べちゃいなさいよ。」

 

!?一瞬考えをまた読み取られたと思った。怖かった。さすがに見つめ続けるのはまずかったな。

そういえばスワイヤーさんは言ってなかったな。この世界にいただきますの文化ってあるのかな?

 

もしものために心の中で

 

いただきます。

 

さて本日のメインディッシュ。トッピングモリモリラーメン。トッピングは多すぎて麺が見えないぜ。野菜が8割肉が1割卵って感じだ。野菜をさくっとかたづけよう。俺は嫌いな物から食べるタイプだ。スープが染みこんでおいしいね。俺、カップ焼きそばの野菜結構好きだったんだよなぁ

 

野菜終わったわ。そして次はスープだ。野菜と豚の成分を詰め込んだスープ。ゴクリと一杯。不味いわけが無い。そして麺。のどごしが良い。麺は熱い。だがそんなことなど気にならないほど麺が進む。うまし。

 

肉。もはや言うことはない。

 

ごちそうさまでした。

 

お腹いっぱいいっぱい。食欲はないけど満腹感はあるんだね。便利だねこの体。

 

ふぅーとゲップをするように食後に一息吐いた。そのとき気づいた。スワイヤーさんがこちらを見ていた。

 

「量が多いと言う割には言い食べっぷりね。」

 

恥ずかしいっす。誰かに食事を見られるって恥ずかしくないですか?バブみと言いますか何というか、、

 

「大将ごちそうさん。お勘定お願い。」

 

「はいよ。いい食べっぷりで。」

 

大将は何か昔の持ち運び電話程の大きさの物を出した。そこにスワイヤーがカードをタッチする。

 

キャッスレス!?これが龍門市街の普通なのか?それともそれほどに高値だったのか?このうまさだ。そしてスワイヤーさんも公務員のエリートである。さらにこの店は王道的なカウンターの少数タイプ。このゴールデンタイムでありながら人が少ない。当然のようにここも大道りに面する繁盛店だ。

 

あれ。もしかしてとてつもなくお高いのですか?

 

「それじゃまたね。大将。」

 

「おうよ。またこいよ。」

 

スワイヤーが店を出て行く。そのあとに続く。

今度は脇に抱えられること無く店を出れた。そして店をでたのでそろそろお別れをと思ったときだった。

 

「で、なんで嘘をついたのよ。」

 

すぅぅぅ………

 

「う、嘘ってなんですか?」

 

「もちろん。ただの豚骨ラーメンを頼んだ事よ。さあ説明してみなさい。」

 

「ごめんなさい。」

 

とりあえず困ったら謝っておけとじっちゃんが言ってた。

 

「謝罪を求めているんじゃ無いわよ。説明してって言ってるの。大将がとか、量がっていったら承知しないわよ?」

 

ダメみたいですね。

 

「奢られても何も返せないから、、」

 

「そんなことで?やっぱりクソガキだわ。」

 

?クソガキって何だっけ?

 

「ガキは黙って好意に甘えたら良いの。」

 

「でも他人ですし。たまたま交流を持っただけです。」

 

「ァァァ面倒くさい。だまりなさい。」

 

だまりなさい?だが断る。

 

「血縁者で無ければ、幼なじみでもありません。」

 

「おだまり!」

 

スワイヤーさんは本気で怒っていると思うけど猫の威嚇のようにしか思えないのは俺だけか?

 

「子供はだまって流れに従えば良いの!甘えたいと思ったら行動してみて、思ったことは口に出してみたら良いの!もともと他人だった?そんなことどうでもいいわ。いまは違うのだから!それにそう思っているならいつか好意で返してくれたら良いわ!そこら辺の飴玉でも「ありがとう」とでも言ってくれたら良いの!!」

 

すっごい早口だ。スワイヤーさんが近所のお姉さんてき立ち位置としか思えなくなった。いやイケメンも追加で。なんでこう、、神ゲームの登場人物って神なんだ?

それはそうとこういうお姉ちゃんはいじめたいと思うのは俺だけか?なので

 

「飴玉も買えないので無理です。」

 

「なんでよ?飴ぐらい50幣もあれば買えるでしょ。ネクストマッチでも買えるし。なんで無理なの?」

 

「お金持ってないので。」

 

「?」

 

スワイヤーさんの顔に?を浮かべながら首を軽く傾けた。

写真はないのですか?デスクトップにさせてください。

 

「お小遣い貰ってないの?」

 

「?」

 

こんどは俺が首を傾げた。

 

貰う?お小遣いを?何故?居候だよ?何をどう考えたら貰える判断が出来るの?

 

「え?だってファルシオンで働いてるんでしょ?」

 

「それはホシグマさんへの生活費ですよ?」

 

そういえばそろそろファルシオンで働いて一ヶ月ぐらいか。月給制だと聞いた。なのでようやくホシグマさんに給料が入る。なので穀潰しでニートで陰キャを止めれたんですよ!ようやく息が苦しくなくなりますよ!

 

ん?

 

スワイヤーさんに何故か脇に抱えられる。なぜまた?いったいなぜ?いやちょっとまって一体何をする気

 

「さあ行くわよ!!」

 

「どこにですか?」

 

「もちろん。ホシグマに抗議しに行くのよ!!」

 

ちょ待てよ。いや待ってください。って言ってるでしょうがぁぁぁぁ(心の中で)

いや……言おうとしたけど上下の反動がすごくて……声が言葉にならないですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

ここで終わるなら順番逆で良かったですねと反省します。


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2/18壊死からの地生 主side

「ドン、ドン、」

 

疲れた。結局声を上げることが出来ず来てしまったホシグマ宅。そして今さっきスワイヤーさんが扉をノックした。

 

「どちら様で?」

 

「ホシグマー来たわよ。」

 

「スワイヤーさん?」

 

「ガチャ。」

 

扉が開く。

 

「珍しいですねスワイヤーさんが来るなんて。その荷物は、、シュヴェル?どうしたんだ?」

 

名前を呼ばれたから顔を上げる。朝ぶりですねホシグマさん。脇の下からコンバンハ。

 

「ホシグマ!抗議しに来たわよ!!」

 

「?」

 

あぁ戸惑い顔良いですねぇ。こう、あれ?なんだったけ?みたいな軽い困惑顔が一番好きです。

 

「とりあえず中へどうぞ。」

 

「お邪魔するわ。」

 

「ただいま。」

 

この場合ただいまで合っているのか?お邪魔しますとかの方が良かったのか?とりあえず下ろしてくれ。

 

二人は中に入る。そしてスワイヤーはリビングの椅子に座る。そして椅子に座った後、シュヴェルを横の椅子に座らせた。

ぜったい忘れてましたよね?いま。

 

ホシグマは飲み物を三つ持ってきた。

 

「どうぞ。紅茶です。」

 

「ありがとね!」

 

「ありがとうございます。」

 

何気に初めての紅茶だ。おいしいのか?お茶は好きだから大丈夫でしょう。

ん~~ 苦みよか甘みを感じるわ。案外良い物じゃない。

 

スワイヤーも一口紅茶を飲み一息ついているようだ。

 

この空間。すき。

 

「それではスワイヤーさん今日はどうしたんですか?」

 

「そうよ。そうだわ。聞いたわよ?シュヴェルにお小遣いあげてないみたいね!!」

 

「?……あ。」

 

ホシグマは?を頭の上に浮かべた後思い出したように声が漏れ出ていた。

 

ぇ?何ですかそのあ。しまった、、みたいな感じ。ホシグマさんもそっち側ですか?NA!ZE!DA!

 

「すまないシュヴェル。スワイヤーさんお小遣いは20万程度で良いのか?」

 

ちょっと待てよ。俺龍門のお給料事情を知らないけどよ20万って昇進2出来る量だぞ?つまりボーナスって感じかな?いやそれでも子供のお小遣いにしては高くないですか?

 

「んーー30万あっても良いんじゃないの?」

 

スワイヤーさん!?なぜ上がる!?それにあっても良いんじゃないの?ってどういうことだよ。少ない訳では無いんでしょ?じゃあなぜ上がる?

 

「わかりました。ありがとうございます。」

 

そう言ってホシグマは腰の辺りを漁ろうとした。

 

「いえお小遣いはいりません。」

 

ホシグマは漁ろうとしていた手を止めて。困惑した顔をシュヴェルに向ける。そうはならんやろがい。

 

「どうしてなんだ?シュヴェル。」

 

「使うこともないので必要ないです。」

 

本当に欲しいものなんて推しからのプレゼントくらいなんで必要ないっす。その金でおいしい物でも食べてくだせぇ。

 

「でもシュヴェルは真面目に働いた。その正当なる対価はあるべきではないのか?」

 

「それが生活費としてホシグマさんにあげているんです。」

 

真面目に働いているかは置いておきましょうか。

 

「生活費を差し引いても有り余る程にはシュヴェルは稼いで居るんだぞ?」

 

「その残りは感謝としてホシグマさんにあげているんです。」

 

ホシグマの口が止まってしまった。困惑では無く普通に考え事をしている凜々しいお顔です。

そこまでして引けませんか?別に損をするわけではないんですよ?

 

「スワイヤーさん助けてください。」

 

援軍来たわ。負けないぞ!これの援軍は強いか、、弱いか、、どっちだ?

 

「そうね、、わからないわ……」

 

弱かった。これで俺の勝ちですね。対戦ありがとうございました。

 

「だからお小遣いを押しつけてやりなさい!!」

 

ヒィーーー

 

ゴリ押しは卑怯では?それ以前に数の暴力も卑怯では?

 

「あーそうですね。はいシュヴェルお小遣いですよ。」

 

「バァン」

 

ヒィッ

 

行動が早かった。反応する前に札束が机の上に置かれる。厚さ2cm程度。こ、こんなもの子供に持たせるものじゃありません!

 

「ぅけとりません。」

 

「受け取って貰わなくてはこっちが困るんだ。受け取ってくれ。」

 

そういえば逃げるは恥だが役に立つってどっかのドラマで見たことあるわ。これしかない。

 

「ごめんさない……」

 

謝罪をして立ち上がり寝室?ソファのある部屋に逃げようとした。

 

「逃がさないわよ。」

 

スワイヤーが素早く行動しシュヴェルの後ろに立つ。そして立ち上がらせないよう肩を押さえつける。

 

いつからこっちが劣勢になったんだ?いつからこっちが弱い立場になったんだ?おかしいぞ!俺がお小遣い貰うかの問題だったのになぜ俺の退路が無くなっているんだ?

 

☆HA☆NA☆SE☆

 

HANASE……

 

離せ……

 

はなせ……

 

 

嘘だろ?

 

突如として背筋に寒気がする。原因はわかっている。要因はしらん。さて話は結構逸れるが今必要だから話をしよう。あれは今から36万………いや、1万4000年前だったか………ごめんなさい。真面目にします。

 

俺は源石を薄くして辺りにばらまき状況を把握する能力を得ている。それは空気のように制限はほぼ無い。俺の意思で彼方此方行かせる事が出来る。

 

それは上空でも変わらない。成層圏?なんかの空気の層があるところまでは余裕だった。それ以上は生成することが無理だった。だが俺は可能性に挑む戦士だ。それ以上、つまり中間圏を超えて熱圏まで調べたいじゃん?

結果から言うとゴリ押しで出来たわ。源石を生成。それを媒体に落ちる前に源石を生成。その繰り返しで出来たわ。できるだけ縦に長い源石を生成してただ上を目指した。途中で横にずれてしまった場合はすぐにリカバリー。出来なかった場合は大幅にタイムロスです。数フレーム後には数メートル。一秒後には十数メートル落下します。そして落下してしまった源石君はそのまま隕石となりどっかで消えて貰います。

 

媒体にする理由?その方が楽だから。近くだとあんまり感じなかったけど遠くになると虚無から生成するの大変すぎて萎えた。というかあんまり遠くで生成できないことわかって灰になった。頭壊れるぅ。

 

正直最初は数フレーム後には塵になると思って巨大な源石生成してたわ。けどいつまで経っても燃えないから途中から効率重視してた。(縦に長い源石)落下する源石君以外全然燃えんかった。世界の謎をまた一つ、見つけてしまったな。

 

そして俺は宇宙を得た……(過大評価)

宇宙つまり無重力を感じることに成功した。だが所詮無重力……怖かった。一寸先は闇を体現してた。先が見えない。わからない。初めての恐怖だった。

でも源石はちゃんと感じれるから薄くばらまきまくった。多分一兆は超えてる。感覚的には雲の形を形成してる。無重力だからね!何も操作しなくてもそこに居てくれるからめちゃんこ楽。存在するだけで偉い偉い!!

少しでも熱圏(仮)に接触したら燃え尽きるから、減ったら足す。量の厚みが減ったら足す。これだけ。本当に楽だわ。大気圏突破の比じゃない。大気圏は本当にクソだと理解した。それのおかげで人類存在できているんですけどね。

十数年後には地球を薄い源石が覆い隠してそう。今はまだ、ばらまいた薄い源石が曲がる感覚が無いからね。早く俺に地球は丸かったっていわせて<地球球体説ダァコロセェ!!

 

地球平面説だっ!逃げろぉ。

 

とまあだらだら説明してきたけどまとめると、

自分の上空の宇宙に源石をばらまいたわWWW

これで宇宙の状態分ると思ったけど無重力で何にもわからないわ。(ションボリ

でも無重力のおかげで放置源石君するだけで勢力拡大できるわWWW

って感じ。

 

そしてここからが問題だ。いやぁ~~ね。

ちょっとその宇宙に存在しているはずの源石君の9割が燃え尽きて、リカバリーできなくて完全消滅したわ。

 

原因は隕石君❤ふざけんなぁぁっぁっっっっぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁっぁ

このクソ天災がお前のせいでまた大気圏突破からやらないと行けなくなったでしょうが。許さねぇ。

 

さらに詳細を言うと隕石接近。大気圏接触。燃えろよ燃えろ源石燃やす。(9割消滅)隕石の勢いにより残りの1割が巻き込まれて残りも仲良く燃え尽きました!

 

まじふざけんなし。一体何度目だ?これは一度目だ。いやお前のせいでの被害は……被害は……3……いや4回……ええい。数え切れないほどの損害を被りました。賠償を求めます。

 

「大丈夫か!!シュヴェル!!」

 

はい大丈夫です!はっ

 

いつの間にかホシグマが目の前に来て肩を揺らしていた。

 

「シュヴェル!!」

 

「はい。大丈夫です。」

 

「でも顔真っ青だぞ。本当に大丈夫か?」

 

無意識で顔真っ青、、相当メンタル来てますねぇ~~これは復讐しなきゃ、、いやまて隕石接近してるじゃん。

俺の天才的頭脳の計算によると今回もまた爆発して{さようなら}する可能性が100%(インチキ)なのでお別れが出来なくなる前にやりましょう。

 

ホシグマを押しのけて俺は立ち上がり少し椅子から離れる。突然の行動に二人は戸惑っていた。

しっかりと頭を90度下げる。

 

「いままでありがとうございました。いろんなものをたくさん貰いました。何も返せない僕を許してください。やることが出来ました。お別れです。さようなら。」

 

しっかりと感謝に気持ちと贖罪をした。正直隕石落下まで時間がない。言い終わった瞬間俺はアーツを使って全力で移動した。あと源石を全力で生成して隕石の軌道を理解する。火事場の馬鹿力は馬鹿に出来ないね。源石の生成速度が今までと全然違う。

 

扉で減速して壊さずに開ける。そこからは全速力で左に移動。

 

300メートルほど移動したが隕石もミリ単位で軌道がずれてた。やっぱりホーミング持ってたわね。わかってたわよ。

 

出来ればこの移動都市から出て行きたかったけど時間的に壁を越えた辺りでジエンドしそうで怖いから落下する第八使徒よろしく防衛戦線をすることにした。俺の記憶では龍門近衛局の前よりもあの貿易やオークションをしている所の駐車場の方が大きかった。

 

時は過ぎ駐車場。隕石君の軌道もバッチリ俺が中心だ。なのでFATフィールド展開。

周囲に数台だけある車を源石で吹き飛ばす。地面をしっかりと源石で補強する。そして自分を中心に花のような茎を作る。中はしっかりと短めの長方形を敷き詰めて残りを液体のように埋める。ただの塊ではな短い長方形を入り乱れるように作る事で隕石君が壊してもそこに源石を生成することでリカバリー可能です。

 

そして隕石の推測大きさの1,5倍の大きさで蕾みを作る。さらに自分から遠くに扇形のように膜を作る。これは破片を吹き飛ばさないためにだ。

 

準備は万端。さあ勝負だ!




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ


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2/19壊死からの地生 ホシグマside+主side

「逃がさないわよ。」

 

スワイヤーさんが素早く行動し、逃げようとするシュヴェルの後ろに立つ。そして立ち上がらせないよう肩を押さえる。

 

これは甘やかしすぎになるのだろうか?まあどうでもいい事だ。私は私。大人しく受け取ってもらおうか。

 

ホシグマは腕を組み微笑えんでいた。だが異変に気がついた。湿布をつけているのでわかりにくかったがシュヴェルの顔が見る見るうちに青くなっていった。

 

「シュヴェル?大丈夫か?」

 

そう問う。だが答えは返ってこない。

 

「シュヴェルごめん。スワイヤーさん離して下げてください。」

 

「どうしたの?ホシグマ?」

 

スワイヤーは大人しく下がる。その顔に疑問を浮かべながら。

 

「どうやらシュヴェルのトラウマを刺激してしまったようで、すこし落ち着かせよう。」

 

「トラウマねーー!?すっごい青ざめているじゃ無い。本当に大丈夫なの?」

 

「こればっかりは信じるしか無いと思う……」

 

本当にこればかりはシュヴェルの精神力の問題だ。私にはどうすることも……いや一つあったな。

 

ホシグマは立ち上がる。そしてシュヴェルの側に寄り、膝をつき座る。そして両手でシュヴェルの手を包み込む。目を閉じがんばれ、と心の中で祈る。

だがホシグマはシュヴェルの手がただひたすらに冷たいことしか分らなかった。むしろどんどん手が冷たくなっている気がして落ち着かなくなった。

 

しばらく祈った後ホシグマは目を開けた。

 

「、ッ!?」

 

ホシグマは絶句した。真っ青だったシュヴェルの顔が白く、それも湿布と肌の境目がまったく分らなくなっていたからだ。

不安が募りホシグマは大胆にシュヴェルの肩を揺らした。

 

「大丈夫か!!シュヴェル!!」

 

その言葉でどこか一点を見つめていたシュヴェルの目が右往左往するばっかりだった。安心しかけた時だった。いきなり真っ白だったシュヴェルの肌が瞬きをする瞬間に元に戻っていたのだ。

 

「シュヴェル!!」

 

「はい。大丈夫です。」

 

「でも顔真っ青だぞ。本当に大丈夫か?」

 

よかった。いつもの声音だ。でも何故かいつもと雰囲気が違う気がした。

色々と不安な考え事をしていた。だがそれは意識外の行動によって拒まれた。

 

シュヴェルがホシグマを押しのけて立ち上がる。少し離れた後頭を90度曲げ、お辞儀をした。そして

 

「いままでありがとうございました。いろんなものをたくさん貰いました。何も返せない僕を許してください。やることが出来ました。お別れです。さようなら。」

 

そう言い切った時にはシュヴェルはその場に居なかった。風が突如として吹いたと思ったらシュヴェルが消えていた。そして玄関から扉が開く音だけがその場に響いていた。

 

何も動けなかった。何も考えられなかった。その場に立ち尽くしていた。それはまたもや意識外の行動によって拒まれる。

 

「さっさと行くわよ!!」

 

スワイヤーがホシグマの腕を引っ張り外へと動き出す。

 

「今動かないと今までが全て無駄になるわよ!!アイツが何をしようとしているのかは分らないけど、それを止めなきゃ!!」

 

その言葉を聞いた途端私の脚が無意識に前へ、動き出した。そこに置いていた「般若」を背負う。

 

「ちょ、まちなさい!!」

 

家を出る。辺りを見渡す。右にも空にも左にも……なぜか左だけノイズが走った気がした。左に走り去る。

 

「ちょっと!!そっちに行ったの?アタシは見えなかったわよ!!」

 

「私も見えなかった。だから勘に頼る。」

 

「ほんとアンタはねぇ~~~間違ってたら承知しないわよ!!」

 

「わかった。」

 

そこからは全力で走る。手を暮れになる前に見つけるために。だがその足は突如として止められる。運良くホシグマは対応できた。

 

「ッ……スワイヤーさん止まってッ!!」

 

ホシグマは般若を構えて対ショック姿勢を取る。次の瞬間には車の重い一撃が般若を襲う。

 

「ちょ、急には、ヘブッ……止まれないわよ!!」

 

スワイヤーは対応できなくて鼻からホシグマに突っ込んだ。

鼻を押さえながら体勢を立て直す。そして二人は横にずれまた走る。

 

「これは車?なんで車が飛んでくるのよ?」

 

「急ぎましょう!恐らくこれは」

 

答えを言う前に結果が見えた。左の建物の一階に車が突っ込んでいる。そして右側には大きな駐車場があった。

その駐車場の中央には黒い大きな鬼の角を生やした子供がいた。シュヴェルだ。

 

「いたわ!さっ行くわよ!!」

 

スワイヤーさんのかけ声に合わせて突っ込む、だがそれは突如として現れた黒い障壁のような物に防がれた。

またスワイヤーは鼻を直撃した。

 

「もぉ……なんなのよ!!!」

 

「般若よ、押し潰せ。」

 

ホシグマは般若を振り下ろし、黒い障壁を攻撃した。だがひびが入っただけだった。そしてすぐにそのひびは消えた。

 

「さぁさぁ、いっけぇ!」

 

スワイヤーがどこからか取り出したチェーンメイスを振り回す。それもひびが入るだけですぐに消えた。

 

 

「これってシュヴェルのアーツですかね。」

 

「で、しょうね。一体この中で何をしているのかしら。」

 

そうだこの大きさで一体何をしているのだ?駐車場が丸々黒い障壁に覆われている。状況を把握しよう。

ホシグマは辺りを見渡す。その間もスワイヤーはチェーンメイスを振り回す。

 

「チッ、硬いわね。どうするの攻撃力が足らないわよ!!」

 

ホシグマは上を向いてたところで少し止る。そして

 

「失礼しますッ!」

 

「ちょっとホシグマなんな、、急いでッ!!ホシグマ!!」

 

ホシグマは急いで一番近くの建物に走る。なんとか建物の陰に隠れられた時に、地が割れた。

 

天災が落ちたのだ。

 

ゴォォッッッッッッッッッッッッッッッ

 

なんとか乗り越えられたと二人は顔を上げる。そこで疑問を浮かべる。

 

周りの建物が崩れるどことかひび一つ入っていなかった。

 

そして顔を僅かに建物の陰からだしてシュヴェルが居たはずの場所に目を向ける。そこには黒い障壁が割れてたり穴が開いてた。そしてその穴から見える場所には何も無かった、、

 

辺りの安全を確認した後その穴に飛び入る。そこは小さな黒い石が辺りに散乱していたがそれ以外には何も無かった。

 

辺りをくまなく探したが何もない。

 

そう長い間時間は過ぎない頃、いきなり地面から手が生えた。それを中心にして地面が崩れ落ちる。それに二人は警戒する、、

 

 

* * * * * 主side * * * * *

 

生きてるぅ~~生きてるぅ~~?生きてるぅ~!帰ってこれた~!ハッハー

 

隕石からの帰還!リターンズ!!俺は勝ったぞぉ!

 

無事FATフィールドは消えました。何も出来ずに一瞬で消え去ったけど、、あれだけ考えて作ったのに!圧倒的な力の前では全て無駄と言うことですか?クソゲーです。データ改竄して俺tueeeしようぜ!

 

さて居場所は地中。これで俺は呼吸しない。つまり酸素を必要しないって事が分ったね。さっさと出よう。身動きとれない。めっちゃウザい。アーツ起動!地面をえぐれ!源石!

 

 

スゥ………方向感覚がわからないにぇ。頭が宇宙で脚が地球じゃない。頭の部分掘ってるのに全然空気がない。推理しよう。隕石で穴あき。そして源石だその穴を塞いだ。はッ!源石じゃん。消せるじゃん。バイバーーイ!

 

アヴァ……………

 

源石が消えて土が押し寄せてきた。これが土に溺れる、、これは人類初めての体験では?いや生き埋めという方法が存在したわ。くそぉ。

 

でもそのおかげで空間が出来た!暗いけど……。それでも地面はこっちに落ちてきた。つまり落ちてきた方向が宇宙だ!!

 

源石で足場を作り上る。そして地面に激突した。痛いわ。腹いせに右手を脇の辺りに力を溜める。そして……右手を突き上げ地面を抉る。

空気ゲットだぜ!!

 

そこを中心として地面が下に崩れ落ちる。

 

愛で~~俺が~~~上っていく~~~

 

地面は崩れ落ちる。それは演出のように。

天からの光が輝いてる。それはスポットライトのように。

 

地面が完全に落ちきったところで決めポーズ。クルッと回ってバンッ。手で銃を作って隕石が落ちたであろう場所に向かって撃つ。

 

ふふ、やりました。

 

「シュ……ヴェル……?」

 

おかしい。聞こえないはずの声が聞こえる。嬉しすぎて幻聴が聞こえたのかな?声のする方向を見てみよう!

 

嘘だぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。嘘だぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ。

 

なんでいるのホシグマさん!?とスワイヤーさん!?確かに振り切ったはず!

 

あぁぁっぁぁやめて……やめて。そんな信じてはずなのに……みたいな裏切られた……信じてたのに……みたいな困惑顔はやめて。精神的に大ダメージだからぁぁぁぁぁあああ

 

ぁぁあ。世界が反転する。地面の奥底に落ちていく。そういえばホシグマさん達にお別れ言ったじゃん。これでどうやって帰れと?気まずすぎる……

 

あれ?これまじで世界反転してないk

 

GUURUUUUUUUUUUURAAAAAAッ!!!

 

地面の底のさらに奥。深淵の底からこの世の者とは思えない異形の者の咆哮がその地にひびをこじ開けた。

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

中途半端なところで終わったこと許してください。
明日は多分執筆できないと思います。(いつの間に毎日投稿になったんだ?{この作品は不定期タグを付けています。あと3章分はイメージがあるのでご安心を


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2/20壊死からの地生 主side

GUURUUUUUUUUUUURAAAAAAッ!!!

 

地面の底のさらに奥。深淵の底からこの世の者とは思えない異形の者の咆哮がその地にひびをこじ開けた。

 

すぐさまシュヴェルは状況把握をするために辺りにアーツをばらまく。

 

そして驚くことになる。シュヴェルは上半身しか無い状態で落下していたのだ。下半身は少し上を落下している。さらにさっきまで居たところには触手のような突起物があった。

 

痛覚が無い障害がもろに出とるやんけ。こんちくしょうめ。

 

シュヴェルは目を地面の底に向ける。そのひびからは二本触手のような突起物が蠢いていた。その触手のような細い突起物はさらに一本触手のような細い突起物が追加でひびから出てきた。そして三本はシュヴェルに向かって突撃をしていた。(触手のような細い突起物 以下 触手)

 

シュヴェルは慌てること無く素早く行動する。

 

離れている下半身を源石で接近。そして上半身と下半身を接着。さらに源石を勢いよく横に吹き飛ばしその反動で回避!そのままグラップルを作って地上に撤退。

 

あばよぉ~~とっつぁ~~~ん。化け物ごときが変態に勝てると思っていたのか?甘い。甘いぞ化け物。砂糖水より苦くて、シュガースティックより甘いぞ。

 

シュヴェルは半身で穴を覗き込む。意外なことに触手はひびの中に戻っていった。

 

俺の記憶にあるFS映画ではこれで一度撤退してくれるんだけどなぁ……被害を受けたな人がいないからそれはないね。この場合は

 

GEEEEEEEGUUUUUUUッ!

 

演出付きで再登場ですね。

 

怪物は土を吹き飛ばし、一気に飛び上がる。そしてその全貌を表した。

 

赤い石のような物質で形成された犬。ただし尻尾が五本ある。これで十分だろう。大体5m……でかいのか?知らね。今日からお前はポチだ。

 

俺は姿をじっくり(0,1秒)確認した後、アーツでポチの上に大きなハンマーを作る。そして叩き落とす。ポチは抵抗すること無く、落ちていった。しょせん重力にはあらがえない犬。雑魚犬だ。かわいくないし、もふもふつやつやじゃないし。存在価値を見いだせない。

 

ッ!?

 

あの雑魚犬!傷一つ付くところか受け身とってこっちに向かって飛んできたんだが?学習力が無い。その身体能力だけ寄越して消えろ。また同じようにハンマーを作り振り下ろす。

だが今度はポチはハンマーが当たるまえに触手を伸ばし攻撃してきた。

 

その攻撃に反応仕切れなかったシュヴェルは腕を切り飛ばされた。

 

俺には学習能力以前に知能がなかったわ。くそ。お前がそんなこざかしい攻撃をしなければ俺はそんな事実を確認しなくて良かったんだ!!消えろ。

 

ハンマーを今度こそ振り下ろす。ポチにまた当たった。そして受け身をとる。外見に損傷は見当たらない。なのにポチは何故か突撃をせず、その場で威嚇をしていた。

 

腕を修復する。ははぁ~~ん賢い。ポチはこのままだと話が進まないことがわかったみただね。よい。ならば俺も礼儀で対応しようではないか。

 

まずはホシグマさんとスワイヤーさんをできるだけ優しく吹き飛ばす。さすがにあの触手の攻撃を受けたらやばそう。もし俺が腕がないホシグマさんをみたら吐くぞ?これは脅しでは無い。吐血するぞ?唇噛みちぎっても吐血してやる。

 

そしてまたまた紅蓮の絶対障壁!(黒色)

 

目の前の大きな穴を中心として扇型で障壁を出す。ちゃんと宇宙方面に薄い源石をばらまく。天災のことだ。流星群とか言いながら隕石の山を降らしてくるかもしれない。その場合はこの龍門を吹き飛ばして遠くまで運ぶ。というか全力で浮かせる。絶対に推しが先に死ぬという状態は作らない。

 

さらに岩山破竹!

 

穴に長方形が突き刺さる方式で作る。イメージは棘が内側にあるドリアンだ。うわ…ポチが目だけをギロギロ動かして状況把握してる。キモい。やっぱりキモい。そこで頭をグルグルだったらかわいかったのに、、

 

背中に円を作る。円の中に六角形を作り六角形の角を伸ばす。

素材を薄い源石で作ることにより物質を貫通させる効果があります。おまけに頭に堕天使の輪っかを作る。第二形態……ついに俺はやったっぞぉぉぉぉ。

 

そしてあいきゃんふらーいぃ!

 

ポチが居る穴に飛び込む。ポチは触手で対応する。触手が俺にぶつかるかという瞬間。背中の伸ばした六角形の角をさらに伸ばし実体化。前方右にある長方形のアーツに引っかける。

効果。体ごと右に移動。触手を回避。

 

やりました。想像通りです。これぞ立体起動装置!さすがにワイヤー飛ばして、ひいてをやってたら間に合わないね。

 

俺はニヤリと笑い。この移動方法なら手を使わずに縦横無尽に駆け回れるだろうと見越して、手を箱形の源石にする。

 

これはさっきの何故背中に薄い源石を作ったの?の疑問と同じ答えになるが。触媒があった方が源石は早く生成出来るんだよ?これだけで生成速度倍増だよ?できればショットガンとか銃の形にしたかったけど、あれは長くて事故りそうだし、銃口が一個しか無いじゃん。せっかく銃の形なのに銃口以外から玉出したくないじゃん。

 

だから効率を考えてただの箱なのだ。最悪ロケットパンチできるし。

 

シュヴェルは巧みに触手を躱しポチに近づく。そして秒速三連射(一射につき百発)をたたき込む。

 

BBOOOOOOORUURAAAAAッ!

 

ポチはノックバックし壁に激突する。そして体勢を立て直し走り出す。ここからは高速FPSの時間だ。

 

凸砂の精密射撃とCOD特有のふわふわした動きでポチを翻弄していく。

 

俺はプロゲーマー以外には勝つ自身があるぞ?いざ。参る。

 

 

~  ~  ~  ~  ~

 

無理だわ。

 

ポチの攻撃は絶対に当たらない。が俺がポチにダメージを与えることもない。

 

まずこの雑魚(手に付けた箱)。攻撃力皆無。ポチにかすり傷一つつけれない。というか未だに傷一つつけれてない。ノックバックだけすごい。それ以外だめ。もう要らない。存在ごと消えろ。お蔵入りです。

 

つぎ、ポチは学習能力すごい。最初とは比べものにならない程良くなっている。一体誰がこうなるまで続けたんですかね??(怒り)

 

なのでフィールドを変えます。最後に雑魚(手に付けた箱)をもう一度だけ生成してノックバックさせる。そしてこの大きな穴に源石を下から敷き詰める。ポチは下から源石が迫っているとわかった時点で地上に上がった。げせぬ。

 

俺も地上に上がり重装備を作り構える。さぁ防御力検査だ!

 

ポチは警戒しながら触手攻撃。

 

ライフで受けるッ!

 

重装備貫通。6000ダメージ。

 

だめじゃん。攻撃力高杉山。ただの触手になぜそこまでの威力が??ほんと嫌になるわ。これでかぎ爪攻撃だったら16000ぐらいなってそう。

 

壊れた重装備を消してす。

 

一体どうしたものか………そう悩み、にらみ合いをしていた。

 

ポチが痺れを切らしたのか突進してくる。

 

構える。すぐに左右に回避できるように。それとは別に背後に長めの針を作る。長さ2m。半径5cmの円柱だ。

それを地面を底辺として三角形になるように置く。

 

勢いは重力に等しい。例えば壁にイノシシの頭の辺りに針を置くと仮定しよう。そしてイノシシが都合良くそこの突撃すると考えよう。するとあらふしぎ。まるで紙を刺すみたいに針はイノシシを刺す。

つまりはそう言うことだ。

 

力が足らないならてこの原理(?)を使えば良いじゃない。

 

最悪肉を切らせて骨を断つ。多分俺は心臓と脳みそで生きていると思う。どっちかあれば生き残れるでしょ。

 

残り距離3m。ポチが突進してくる。これがどれほど犬系美少女なら良かったと思ったことか。

 

残り距離1m。右に飛び込む。

 

ポチは勢いを消し切れていない。これで体のどこかには針が突き刺すことだろう。だが{ただでは死なない}と触手を動かしてくる。

 

甘んじて触手は受けよう。だが代わりにその腹。もらうぞ?

 

ポチが針まで残り10cmだろうか。俺はやっぱり身体能力が足らないみたいだ。左腕がポチの口の目の前にあるわ。つまり針の後ろに俺の左腕があって、その後ろにポチの頭がある。

 

これは取られた。でも代わりにポチの喉が針を直撃する。ははっダメージレースでは勝ったな。

 

ポチが口を閉じようとしていた。

 

だが突如として現れたものによりその全ては崩れ去る。

 

「閃!」

 

一筋の光。酒に酔ったように赤く、色白の幸薄い白い光が現れた次の瞬間にはポチの上半身が内角えぐめのカーブにより消え去る。下半身は触手がすぐさま動き。反対側の障壁際へと向かう。

 

そしてタイトルコールより聞き慣れた声が耳を突き刺してきた。それは環境的にも、そして物理的にも。左耳と左腕の肩より下が消え去っていた。もし頭を10度どちらかに傾けていたら。脳みそか顎も消え去り、惨たらしい情景になっていただろう。

 

うっそだろ。

 

シュヴェルはすぐさま後ろを向く。だがそこには一筋の隙間が出来ている事以外何も変化は無かった。速やかに障壁を治し、障壁の外に薄い源石をばらまく。

そこで見た光景は。ホシグマさんチェンさんスワイヤーさんの団子三姉妹に遠めの場所に障壁を中心的に近衛局の皆様が囲っていた。

いつもお疲れ様です。

 

いやまて。今のはチェンさんのスキル2の赤霄・抜刀だよな?腕消えたんだが?確か物理術攻撃それぞれ500%だ。660攻撃力。術は計算めんどくせぇ。いったいいくつだよ術防御。物理だけで3300。それで俺とポチは消えたって?火力お化け。ふざけてる。

 

左側の耳と腕を作り出す。

 

でも良いこと分ったわ。チェンさんのスキル2ならポチを消し炭に出来る。あと上半身消えても亡くならないならコアがどっかにあるんでしょ。あのスライムの体内をめっちゃ動き回るウザいコアみたいに。

 

外に要るチェンさんはこっちの状況をわかってない。逆に俺はわかっている。

そしてチェンさん達は一度離れる。だが視線はこちらのままだ。しばらくしたらまた接近してスキル2がくるはずだ。

 

勝利の方程式は見えた。

 

これからは高速移動が必要となる。だがこの堕天使コスチュームにそんな機能はない。て、ことで解雇。また採用するかもだけどそれまでバイバイ。

 

目には目を歯には歯を

 

人は知性を得て二足歩行になった。人のもっとも強い攻撃は身体の構造的に投げる行為。つまり遠距離からの陰キャプレイ。仲間と一緒に敵をボコろうぜ!の集団行動が強みの生物だ。

 

つまりソロなら二足歩行である必要は無い。四足歩行。獣の歩行。スピード。攻撃。全てが人以上。つまり俺もポチになるんだよ。

 

ポチと同じ姿のアーマーを着る。命名を{ポチンキ}と名付けよう。大きさもそのままだ。いぇーい!俺も5m!巨人になれたぜぇ。ポチは赤色。俺は黒色。俺も源石をカラーリングできないかな?

 

まっさか。俺とポチが色以外同じだと思ってらっしゃる?今はそうだね。

俺をポチと同じだと思うなよ?尻尾であり触手な尻尾を増やす。ポチは五本に対して俺は九本。我は九尾であるぞ。ふん。劣等種が……………操作むず…動かしづらい。さすがに命と見た目を天秤にかけて見た目を取ったりしなぜ。尻尾を五本………三本。腕が増えただけだと思ったけど違うわ。なんかゲームを九画面。そしてそれぞれ別の場面でゲームをやっている感じ。マルチタスクは得意だけど、レベルが違う。今度練習しよう。そしてドローン部隊作って遠距離から敵をボコすんだ……いま陰キャじゃんって思ったやつ。明日、小石や段差に躓く呪いをかけます。

 

………ポチ?いつの間にかそんなに毛並み良くしちゃって……。外見がフィンリルになったわ。なぜ俺のさらに上に変わるの?これが企業競争?

 

堕天使の輪っか追加で使います。俺の方が外見はいいもんね!

 

負けない……負けない……。市場を相手に握られたらダメだ。私の会社のために犠牲になってくれないか?……なぁポチ?

 

そこで俺が動く。突撃こそ美学である。たった三本だが、それは俺がちゃんと使えると判断した数である。物量こそが全てでは無いということを証明してやる!

 

~  ~  ~  ~  ~

 

逃走中。

 

俺が逃走者であり、ポチがハンターである。物量こそ全てでは無いといったな?あれは物量を補う技術があってこそ言えるのだ。俺は三本使えるがポチは5本。だかそこに技量差はない。つまり単純な物量、すなわち手数の多さが勝敗を穿つのだ。

 

俺は負けてない!!

 

俺は時間を稼げれたら何でも良いんだよ!!

 

感じる……感じるぞぉ……外でチェンさん達が近づいている。さあポジションに着け!!

 

俺はチェンさんに一番近い障壁に行く。その前に一度中央に行くことで今度もチェンさんの赤霄・抜刀をポチに正面からぶつける事が出来る。

 

壁に着く。俺は振り返り構える。ポチは一度触手が止ったがまた動き出す。今度は避けない。

 

ポチの触手がシュヴェルに近づく。

 

ポチの触手がぶつかる前に俺はしゃがみ触手を展開する。そしてどうやら運は俺の味方らしい

 

「斬!」

 

一筋の光。赤と白い光が俺が纏っている{ポチンキ}の背中を消し飛ばす。そしてポチの上半身をまた消し炭にする。

 

その瞬間俺は頭突き!!触手をポチの後ろにから囲い込む。

ポチは逃げる事を諦め、触手で攻撃する。{ポチンキ}胴の部分を貫く。だが俺はパァージッ!!

 

{ポチンキ}の胸の部分を壊し、俺は単身でポチに突撃する。{ポチンキ}を足場にして、位置を固定する。ポチの触手は全部後ろの{ポチンキ}に釘付けだぜ☆{ポチンキ}がタイタンみたいなAIがあればこれは涙の展開ですがただの源石なので我が会社の養分になってもらう。

 

そういえば障壁壊れてるじゃん。治さなきゃ。推しを中に入れてはならぬ。まだ工事が完了していない。

 

両手を前に突き出す。気分は綾波をかえせぇぇぇ。相棒ォォ召喚ッ!

 

”壁掘ろう丸・改2”!!

 

突き出した両手の前にトラバサミが3つほど生成された。

 

改1は存在しない。

 

”壁掘ろう丸”を覚えているだろうか?トラバサミを前方に沢山付けて回転しながら前に進みながら穴を掘る私が作った不良品だ。

 

それを改修してトラバサミだけを残したのが”壁掘ろう丸・改2”だ。前作は簡単な想像で動かすことが出来たが、こいつは無理だ…常にそれなりの想像をしなくては動かない。

 

操作は簡単。トラバサミの刃をポチに付ける。起動。噛み砕く。トラバサミを消す。トラバサミの刃をポチに付ける。の繰り返し。効率最強。想像量に比例する効率を得られる。つまりゴリ押しって事。

 

召喚するのは俺の手の前だけじゃんないぞ?ポチの後ろに囲い込むように置いた触手から”壁掘ろう丸・改2”を召喚。知っているか?触媒があった方が源石は早く生成出来るんだよ?

 

ポチが再生する前に全部削りきる。

 

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!

 

 

 

 

トラバサミ生成が止まり、黒い犬が消えた。そして一人。体に見合わない大きさの輪っかを持つ堕天使が地に落ちる。

赤い犬が……なまめかしい血から紅色の貝殻のように色が薄く、色が抜けていく。そして淡い赤い色を醸しながら小さく、小さく。そして球体になった。僅か30cm程度の大きさだ。

 

堕天使は立ち上がる。地面に激突した衝撃で根元から角が折れていた。そして左目から血を流していた。

 

ミッションコンプリート。へへ首いてぇ。頭いてぇ。左目が血に染まってやがる。

 

シュヴェルは左手で頭を押さえる。

 

血?アーツの使用は精神力を使うのか?MPはちゃんと表示して欲しい……全然少なくなったとかわからない。

 

シュヴェルは目の前の球体を見る。そこに勝利への喜びはない。蔑みでもない。そこにはようやく終わった。ただそれだけだった。定期的にやっている瞬きはそのまま眠ってしまいそうなほど不定期で長い瞬きだった。

 

ポチ………………お前は好きでも無かったが、嫌いでも無いぜ。思い出すは出会い。ポチが穴から飛び出てきて、二度俺のハンマーに叩き落とされた。そして追いかけっこをして。さらに本格的な逃走中をして。馬鹿みたいに突撃しあった………ろくな思い出ないわ。

 

頭を押さえていた手を下ろす。そこに微かな金属音が耳に届く。

 

なんだ?音の出所は地面からだった。視線を向けるとそこには中央に花が掘られた三角形のブローチがあった。

ブローチを両手で包み込み胸に抱く。そして目を閉じる。

 

つめたい……

 

ひんやりでは無く冷たく感じた。違和感を感じ辺りを見渡す。そこで俺は気づいた俺はまた裸になっていた。これもポチのせいだ。フードを作り着る。安定の源石産。布とは違うんだよ。

 

ぅぅうッ……

 

痛みに耐えられなくなって右手で頭を押さえる。左手はしっかりとブローチを持ったままだ。

 

頭痛い……

 

少し時間が経って痛みが微かに和らいだ。そして目を開ける。

 

ん?……右目も血に染まってやがる。頭皮からバサッといったけ?まあいいや。痛い……やっぱりアーツの限界来たのにアーツ使ったからかな…?

 

祈るようにブローチを胸に抱き、目を閉じる。

和らいだといっても未だにズキズキと痛みが頭を駆け回る。

 

源石消したら…もっと和らぐかな?

 

地面に落ちてる角と辺りを囲う障壁が消える。

 

 

……うん……痛くない。

 

障壁を消した途端頭を駆け回っていたはずの痛みが消えた。

 

辺りを囲っていた障壁が消えた代わりに騒音が耳に届く。ずっと聞いていなかったからだろうか。その騒音は騒がしかった。でも心地良いものだった。

 

「……シュヴェル。」

 

ぁぁ……そうだった。外には彼女たちがいたんだった。何度も聞いた。その美声。忘れる事はない。

 

振り向こうと体を動かす。

 

だが動かない。さっきまで動いていたのに。まるで石になったように動かない。

やっとの思いで頭だけ振り向ける。

 

シュヴェルのだらしなく口が開く。

 

顔の筋肉ってどうやって動かすんだっけな……

 

血にまみれていて良く見えないがその顔は覚えている。緑の長い髪に角のおっぱいのついた男。そして青く長い髪のイケメン。そしてお嬢様。

 

「さあ、帰ろうか…いろいろやらなきゃ行けないことがあるけど、それが終わったら元の生活に………戻れるからさ……」

 

帰ろうか。その言葉を聞いただけで涙が止らなくなった。帰ろうか。それは遠い……遠い……幼い時に聞いたきり、一度だって聞いたことがない。それを最初に思い出したのは一人暮らしを始めたときだったけ……

 

だが無理だ。帰れないわ。

 

シュヴェルは見えていた。顔を向けていなくても、足下から赤い光が淡く輝いたことを。

 

どうする?ここまできて推しを傷を付けることは許されない。聖書にも書いてある。いったいどうしたら?三人を守るだけの源石を生成出来る気がしない。突破されたら終わりだ。いったいどうし……た…………ら…………

 

どうやら答えは最初から足下にあったみたいだ。

 

大きな穴を埋め立てていた源石を消す。

 

俺と赤い球体は落ちていく。どうやら赤い球体の方が重いようで俺より早く落ちている。

 

落ちるているというのに恐怖は無かった。バンジージャンプとかスカイダイビングはやったことが無かったが、ジェットコースターだけはある。ジェットコースターは本当に怖かった。多分自分では無い何かが自分を動かしている事実。そして安全性を感じられなかったことが恐怖につながったと思う。

いま。紐なしバンジーをしているというのに、恐怖は無い。死を認めているのか、諦めているのか。理由はわからない。だが何か一つ。たった一つだけ。何かをこぼれ落としてしまった気がしていた。ただその事実を悔やんでいた。

 

ほんと……爆発落ちなんて…最低ね……………

 

そこで意識はなくなった。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

多分かきたいことは全部書けた気がします。
もしも何かあったら密やかに編集するかも……いえ!何でも無いです!!

そんなことよりついに指摘されてしまいました。

→、、、←

塵も積もれば山となる。
急がば回れ。
それらの言葉を痛いほど体験しました。
いやその時は。を変換したら…に出来ることを知らなかったんです。(スマホでは出来ていたのに……
見直していたら意味分らないところで区切っていたりして恥ずかしかったです。
と、とにかく!昨日ぐらいに全部修正したので許してください。お願いします。


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2/21壊死からの地生 ホシグマside+α

地面から手が生えだす。それを中心として地面がこぼれ落ち、穴が開く。その生えだした手は上に上昇し続ける。そしてその大きく黒い角と顔を地上に現す。

シュヴェルだった。

上昇が終わったと思ったら、シュヴェルは180度回転して穴に向かって指を指し、肘を起点として指を頭に持っていった。

 

「シュ……ヴェル……?」

 

頭で考えるより先に声が出てしまった。この穴は天災によるものであろう。その黒い柱の足場だってシュヴェルのアーツとして考えたら納得がいく。

 

なぜ天災がここに来た。シュヴェルはやることが出来たといった。つまりこの天災を予測、もしくは予知したのか?どうやって……いやそれより何故そんなことが……わからない。

 

シュヴェルがゆっくりとこちらを向く。その顔は今にも泣きそうで悲壮感に溢れていた。

 

「……!」

 

声にならない悲鳴が出た。

 

気がついたときにはシュヴェルは穴から生え出た一本の触手に腹を切り裂かれ落ちていった。急いで声を上げながら穴に駆け寄る。

 

「シュ「GUURUUUUUUUUUUURAAAAAAッ!!!」」

 

その声は穴から出た言語にならない雄叫びによって阻まれた。

 

穴まで3メートル。武器を構える。そして近づいて状況を把握しようと身構えたとき、穴からシュヴェルが飛び出てきた。

シュヴェルは私たちの事なんて気にもしないで、視線は穴の中に釘付けになる。そしてすぐさま一歩引く。

 

GEEEEEEEGUUUUUUUッ!

 

地面の土を抉りながら化け物が飛び出る。外見は犬だ。ただし尻尾が五本あって普通の犬の10倍者大きさ。そして赤い石のような物質が体全体を覆っている。

 

その赤い犬が飛び出てきた瞬間、その上にその赤い犬の頭を叩き潰せそうなほど大きなハンマーが出現した。そして振り下ろされる。

 

赤い犬はそれに抗えず、穴の中へと落ちていく。

シュヴェルは一歩前に出て穴の中をうかがおうとする。

 

しかし、間をおかずに赤犬がまた飛び出てくる。

 

「ッ!」

 

驚いたことに赤い犬の頭は凹むどころか、ひび一つ無かった。

そして赤い犬の触手でシュヴェルは腕を切り落とされた。だが赤犬の頭上に作られていたハンマーでまた穴の中に叩き落とされる。

 

 

「ッッ!?」

 

切り落とされ地に落ちたはずの腕が突如としてシュヴェルの腕の部分へ飛んでいき、元の通りに腕が引っ付いた。

 

「ッ、、待てェッ!」

 

「あッ…ぶないわね!」

 

突如として地面から生えだした黒い柱に対応できず、遠くまで吹き飛ばされる。その瞬間、シュヴェルが穴のかに飛び込むのが見えた。反応する前に穴を中心とした障壁が現れる。

 

理解が出来なくなってくる。あの怪物は何で、どこから出てきた。もよや最初からそこに居たとでも言うのか…切り替えろ。やれることをやれ。

 

ホシグマが般若を強く握り、障壁に走り出す。そして振り下ろす。またもやかすり傷しか出来ない。

 

いったいどう動くのが最善だ?導き出せ、最良の結果を。求め出せ、何をするのが正解だ?いったい何が出来る?

 

そのホシグマの手には血が一滴、二滴と垂れ流れていた……

 

* * * * * スワイヤーside * * * * * *

 

随分と弱くなったわね。

 

スワイヤーは吹き飛ばされながらそんなことを考えてしまっていた。

 

あのクソガキが地面から出てきた時も、赤い犬っころが出てきた時も、クソガキの腕が切り落とされた時だって軽口が出るどころか、声一つ出なかった。

 

あのクソガキのせいでほんと酷い目にあうわ……でも退屈の無い日々だったわ。

 

そんなことを思いながら体勢を立て直す。そんな時、横からだ誰かが走り去る。それはホシグマだ。般若を構えながら走る。

 

それを見て頬が上がる。

 

アタシも動かなきゃ行けないわね。

 

ポケットの中の無線機を取り出し、チェンに連絡を取る。

 

「チェン!!今どこに居るの!?……うるさいわね!非常事態よ!さっさと働きなさい!……ア?*龍門スラング*!!………

 

これもあれもそれも!後チェンと話さなきゃいけなくなったのも全てあのクソがキの責任よ。あとでこってり搾り取ってやらないとね。ちょうどお小遣いもあるからね!あちこち連れ回してあげないと!たしか女装させるのが良いってホシグマが言ってたわね。ホシグマにそんな事を言わせる女装とやらを見せて貰いましょうか!!

 

スワイヤーは動き出す。その顔はいつもの顔に、いやそれ以上に何かを企む悪魔的な笑みだった……

 

 

 

 

「それで状況はどんな感じだ?再確認しようか。説明してくれホシグマ」

 

それを言うのはチェンさんだ。辺りには続々と龍門近衛局の兵士達が集まりつつある。

 

「まず被害は吹き飛んでマンションの一階に突き刺さった車だけだ。」

 

「ええそうね。」

 

スワイヤーがウンウンとうなずく。

 

「そして次に流れだ。シュヴェルがアーツを使用。天災をせき止めた。その天災により出来た穴から赤い犬の形をした物が現れ、恐らくシュヴェルはそれと穴の中で戦っている。障壁は天災をせき止めた物と同じであり、私では僅かな傷しかつくれないほど頑丈だ。その障壁も恐らくシュヴェルが作り出した物だと仮定している。」

 

「あら?どうしたのかしら?そんな陰気臭い顔はどうしたのかしら?」

 

スワイヤーがチェンを煽る。たしかにチェンは驚いたような顔をしていたとホシグマは記録する。

 

「まずはうるっさい声をどうにかし「はいはい今は落ち着いてください。二人とも。」」

 

ホシグマの制止で争いはいったん止った。

 

「それでチェンさん。一体どうしたんですか?」

 

「ただ、天災が起きて何の被害がない実感がわかないだけだ。」

 

「はっ随分と悠長なこと。頭「スワイヤーさんいまは止めてください。」」

 

ホシグマはスワイヤーを怒鳴りつけるように制止する。そこにいつものような穏やかなホシグマはいなかった。

 

「わッワかったわよ。今回だけはお、大人しくしてする。」

 

そんなスワイヤーを心の中でそっとチェンは罵倒した。

 

「それでこれからどうしたら良いと思う?正直出来ることが無いと思うのだが?」

 

「……ぶっちゃけるわね……」

 

「実際そうだろ?原因は壁の中。それ以外で異変は何も起こっていない。で、その壁がとてつもなく固いと来た。出来ることなんて数えるぐらいしか無いだろ?」

 

「そうだわね……ホシグマ?アンタはどう思ってるの?」

 

「私としてはチェンさんに一度攻撃をしていただきたいのですが…」

 

「一撃か?連撃か?」

 

「鋭い一撃を。」

 

「よし。決まりだ。ホシグマ。カバーは任せるぞ。」

 

「了解。」

 

「ちょっと私は何をしたら良いのよ!?」

 

スワイヤーは今にも武器をもって壁に駆けつけようとしていた二人を止める。

 

「現場の指揮を任せる。」

 

「それはわかってるけど…むぅ………良いところ取りってわけ?」

 

「何が起きるかわからない。最低限の人数で最高の戦力が必要。それぐらいわかっているだろ?スーお嬢様?」

 

「アンタね……それ次言ったら*龍門スラング*よ。もういいわさっさと行ってきなさい。まともな結果残せなかったら許さないわよ…」

 

「ああ。任せろ。私は私が出来る最善をする。だからここは任せたぞ。」

 

「慰めのつもり?ほんと*龍門スラング*ね、アンタ。」

 

スワイヤーは振り返り作戦本部へと向かっていく。

 

「褒め言葉をありがとう。*龍門スラング*。」

 

チェンはそれとは逆に最前線へと向かっていく。

 

「待たせた。行くぞ。ホシグマ。」

 

「ああ。行こう。」

 

スワイヤーは一瞬だけ振り返り、二人の背中を追う。そこにはそれ以上にない相棒が居た。

 

……アタシでもわかってる。アタシには二人に並び立てるほど戦闘能力は無いって事ぐらい。どんなに努力したって同じ場所には立てない。

 

そこで顔を上げる。その顔は笑っていた。

 

だからって負ける気は無いけどね。

 

ドローンを展開して全体無線を付ける。

 

「アンタ達!再度状況確認!!一つも異変を逃すんじゃないわよ!!!」

 

二人と同じ場所には立てない。それは疾うの昔に知ったのよ!!別に同じ場所に居るためだったらそんなもの必要ない!

 

バックの中にある地図を机の上に広げる。片手には無線を持ちながら。

 

アイツらが足りない物をアタシが補うことでより最強のチームになる事をアタシは知った。

でも一緒にチームなる事なんてほんと特例中の特例なんだけどね……

 

スワイヤーは自傷気味に笑う。

 

さて、さっさと結果を残してチェンの地位を引きずり下ろしてあげないとね。

 

スワイヤーは笑う。それは悪魔ですら戸惑うほど悪質な笑みを浮かべながら。

 

 

* * * * * ホシグマside * * * * *

 

「カッン、カッン、」

 

チェンはその手に紅色の刀を持ち、壁に軽く打ち付ける。

 

「聞き覚えの無い物質だな。」

 

「いけそうか?」

 

「わからない。でも無理な気がしないな。」

 

「それは心強い。」

 

「それでは構える。」

 

ホシグマは速やかにチェンの左に控える。

 

「閃!」

 

チェンがそう叫び剣を振るう。そして一筋の光が放たれる。それは壁を貫通した。

 

「ッ!?」

 

ホシグマは笑っていた。それも好戦的な笑みだ。だがそれはすぐに戸惑いに変わる。

チェンが攻撃をした後すぐに前に出る。そして般若を構え警戒する。だが何も起きない。その代わりに開いた穴から中の光景が見えた。

 

 

すぐにその開いた穴は閉じてしまった。

 

「どうした!ホシグマ一度引くぞ。」

 

「あ、あぁ…」

 

そのまま作戦本部に撤退する。その途中でスワイヤーと会った。

 

「あら随分と早かったわね。やっぱり無理だったかしら?」

 

「穴は開けたぞ。」

 

「すごいわね。で?どのくらいの穴かしら?」

 

スワイヤーは下から見上げるように言う。実際わざわざ膝を曲げて、顔も曲げて物理的に下から見上げていた。

 

「そうだな…お前の心の器と同じくらいだな。」

 

「なんですって!!随分と大きな穴ね!」

 

「常人の1/10ぐらいだぞ?お前の頭の中は一体どうなっているんだ?」

 

「………」

 

「おや?どうしたんだ?いつもみたいにその達者な口を聞かせてくれないのか?」

 

チェンは胸を張り、少し背伸びして上から見下ろす。{今のは悪手だったな?スーお嬢様}とでも言いたげだ。

 

「無い胸を張るのは止めてくれないかしら?」

 

「ずいぶんと下品なお嬢様もいたものだな。」

 

「ホシグマ?どうしたの?」

 

チェンは珍しく勝ち越したと。喜びの顔を浮かべたが、ホシグマの顔を見てすぐに戻した。

 

「何かわかったのか?良かったら教えてくれないか?」

 

「いや大丈夫だ。少し考え事をしていただけだ。そんな事よりこれからどうする?」

 

「とりあえず。周辺は相変わらず異変は無かったわよ。」

 

「八方塞がりか……ホシグマ。もう一度特攻しないか?私の攻撃に合わせてホシグマも攻撃してくれたら壁を壊せる気がしたんだが、どう思う?」

 

「それで行こう。今から行くか?」

 

「少し報告を確認してから行こうと思う。」

 

「アタシの判断が間違っているって!!!」

 

「そうは言ってないだろ!!だいたいいっつもそのスピカー見たいな声を上げるのを止めてくれと言っているだろう!!ただでさえうるさいのに。」

 

「いったい誰のせいでこんな大声出していると思っているの!!?」

 

「大声と自覚しているならもっと自重したらどうだ!!?」

 

「聞こえないよりはましでしょうが!!………

 

スワイヤー達が少し離れる。そこでホシグマは再度穴から見た光景を思い出す。

 

穴の目の前にはシュヴェルがいた。あの大きく黒い角はシュヴェルしかありえない。それは間違いないだろう。でもシュヴェルは頭の上にラテラーノのように黒い輪っかがあった。そして背中にも黒い翼のような物があった。そしてあったはずの大きな穴がなくなって、代わりに黒い土台が出来ていた。

 

 

大体一月前のことを思い出す。

 

シュヴェルは大きく黒い角とは別に龍の角があった。それは淡く黒い光がシュヴェルの角を包み込む。そして仄かに白く光り、塵となり消えていった。

 

そして私は聞いた。

 

「シュヴェル、その角はどうしたんだ?どういう物なんだ?」

 

「アーツで作った。邪魔になるから消した。」

 

「なんで作ったんだ?」

 

「このフォルムが一番しっくりくるから。」

 

「じゃ消えて困ることは無いのかい?」

 

「力がすぐに使えなくなるし、感知しにくくなる。それ以外は問題無い。」

 

 

 

特別黒い輪っかがあることを驚ことは無い。

 

そのとき言っていたのはすぐに力が使えないこと、感知しにくくなるだけだった。今思い出して疑問に思った。感知とは何だ?なにを感知する?

……一つだけ心当たりがあった。天災。

力がすぐに使えないともどういうことだろう?なぜラテラーノの姿をしていたのだ?力の使える幅が変わるのだろうか?やっぱりわからない。いやこれはそこまで重要なことでは無いな。

 

やるべきこと……最初も確か龍門市街に飛んできたと言っていた。それは吹き飛ばされた…?隕石が爆発したとも言ってたな。天災がシュヴェルを襲っている?いやシュヴェルが天災を対処している?……情報がない。そんなことがあり得るのか、本人に聞いてみるしかないか…少なくともこの一ヶ月の間一緒に居たんだ。

 

出来るはずだ。

 

{いままでありがとうございました。}

 

出来るはずだ……

 

{いろんなものをたくさん貰いました。}

 

出来る……

 

{何も返せない僕を許してください。}

 

出来……

 

{やることが出来ました。}

 

出…来る……

 

{お別れです。}

 

………

 

{さようなら。}

 

………

 

「パッシンッ」

 

「ちょっとホシグマ!?どうしたのよ?」

 

ホシグマは自分で頬を力強く叩いた。

 

「活を入れていました。もう大丈夫です。」

 

その目はいつもより鋭く、知的なホシグマを忘れてしまいそうなほどだった。

 

「それでは行こうか。」

 

「ああ、行くぞ。」

 

もう終わった事を考えているなんて嘆かわしい。そんな事を考えるのはまだ早いはずだ。いま目の前に問題がある。そして解決をしていない。ならばそれだけを第一に考えろ。

 

そのたたずまいに冷静さは亡くなっており鬼族らしく好戦的で勇敢であった。

ホシグマは般若を握りしめる。般若に凝固した血が握りしめた手によって落とされた。それは迷いを消し落とすように、綺麗に剥がれ落ちていった。

 

 

 

 

「斬!」

 

先ほどと同じ光が壁に放たれる。そして穴を開ける。ホシグマは間を開けず、その開いた穴に向かって般若を振り下ろす。

 

「ガャン。」

 

壁が鈍い音を出しながら壊れる。だがホシグマの顔は驚愕に溢れる。壊れた壁の先には新たな壁があったのだ。

 

(般若よ、お前の父が込めた怒りの炎を、今こそふるえ!)

 

ホシグマは振り下ろした般若を振り上げる。壁は鈍い音を出しながら崩れ落ちた。その攻撃の衝撃は大きく、最初に壊した壁に影響を及ぼうほどのものだった。

 

最初に壊した壁も崩れ、その破片がホシグマに向かって落ちていく。それをホシグマはわかったていた。だがそんな事よりもと、中の景色に体を釘付けにされた。

 

「ホシグマッ!!」

 

チェンが手を伸ばしホシグマほ後ろに引っ張り込む。その勢いを消しきれず転び込む。

 

「痛いな。」

 

「ホシグマどうした!本当に大丈夫なのか!?」

 

チェンはホシグマを立ち上がらせながらそう言う。

 

「すまない。助かった。」

 

元気なく返事をする。それは自分が悪いことを認めて謝る子供のように。

 

「いったい何を見た?私には例の赤い犬のような物しか見えなかったぞ。」

 

「下半身を亡くした赤い犬に、上半身を亡くした黒い犬が見えた。」

 

「黒い犬?なんだそれは?」

 

「私も今初めて見た。恐らくシュヴェルだと思う。」

 

「シュヴェル…なぜそうなる?」

 

「言っていなかったが一回目の壁に穴を開けたとき見えた。シュヴェルの頭に黒い輪っかがあったんだ。黒い犬にも黒い輪っかがあった。」

 

「中には赤い犬とシュヴェルしか居なかった、だから必然的に黒い犬はシュヴェル。私はそう判断しよう。シュヴェルのアーツは思っているより万能なのだな。」

 

「赤い犬も元はシュヴェルの「推測の域を超えないことを広めるのはあまりよろしくないぞ。」…すまい。」

 

「いずれにしても…不幸で運が悪かったそれだけだ。」

 

「ああ……わかってる。それでも私は突き通す。」

 

どんな過去があろうとも私は仲間を守る。それだけだ。

 

「それではそろそろ次行くか。」

 

「次は止らず前に出るよ。」

 

「任せた。」

 

チェン構える。いざ切りつけようとした時、初めて異変が起きる。

 

一瞬で音も無く目の前の壁が消えた。

 

そこには黒いフードを身に纏い横を向いている人がいる。おでこには角が折れてしまった残骸のようなものがあり、目からは血涙が流れている。両手を胸に置き目を閉じている。

 

「……シュヴェル。」

 

ホシグマが呟くように言った。確信は無かった。でも可能性を考え動き出したのだ。

 

シュヴェルは一回身震いをした。それでもなお目を閉じたままでいた。三呼吸後、シュヴェルは頭だけをこちらに向けた。

そして目を開け、こちらを見る。

 

その目は赤かった。見開きこちらを見ている。口を半開けで、その表情からは悲しみと悔しみが見えた気がする。

 

「さあ、帰ろうか…いろいろやらなきゃ行けないことがあるけど、それが終わったら元の生活に………戻れるからさ……」

 

ここで止めないと二度と帰ってこない気がした。ここで動かないとそのまま消えてしまいそうだった。

 

だがその思いは叶わない。

地面の黒い土台が消えて、大きな穴が開いた。シュヴェルはその両手から何かをこぼれ落とし、落下していく。いつの間にかそこには赤い球体があった。それはシュヴェルより先に落ちていく。

 

「バァゴォォォォォォォォッ!」

 

穴が爆発をする。その余波で軽く吹き飛ばされ一瞬意識が飛んだ。意識が戻った瞬間腕のポケットからスカーフを取り出し、口元を覆い、後ろで結んで簡易的なマスクとして使う。

 

穴からは土埃が舞っていた。

 

今中に入ったら自分の身も危ない。それは本能的にわかっていた。

 

 

 

 

「ホシグマ!大丈夫!!チェンはどこ!?」

 

スワイヤーが駆け寄る。

 

「チェンさんはそこです。救助隊の準備をしてください。」

 

「待ちなさい!!」

 

ホシグマが動き出す前にスワイヤーがホシグマの手を掴む。ホシグマが振り返ると怒った顔をしたスワイヤーさんが居た。その後ろでチェンさんが担架で運ばれていた。

 

「なんですか?」

 

「アンタも休んでおきなさい!!」

 

「私は大丈夫です。それより周辺の警戒をしてください。捜索は私一人でします。」

 

「ァァァああああア!!もうわかったわよ!どうせもう何を言われたって従う気無いんでしょ!!アタシも手伝うわよ。」

 

「いえ「いいえもノーもありはしない!!」……わかりました。お願いします。」

 

「よろしい。」

 

スワイヤーさんは無線機を付ける。

 

「アンタ達!周辺の警戒をしておきなさい!こっちはアタシ達に任せておきな!!後!!地質調査道具を持ってきて!!」

 

そう言い切って無線機をブチ切る。そしてバックからマスクを取り出す。

 

「それじゃあ行くわよ!!」

 

そう言って先に飛び込んでしまう。ホシグマもそれに続く。穴の傾斜はそこまで激しくは無く、スムーズに降りることが出来た。

 

 

穴の底につく。そこからは等間隔で穴を掘っていく。半分終わった頃、一つの硬い感触がホシグマの腕を襲う。

 

その感覚を得た瞬間手で優しく、だけどもしっかりと掘っていく。

 

これは……

 

「ホシグマ!見つけた?」

 

「シュヴェルの持ち物です。このまま探しましょう。」

 

「了解。」

 

ホシグマは掘り出した物をスカーフの入っていた腕のポケットの中に押し込んだ。

 

その形は三角形の手に収まる程度の大きさだった。

 

 

 

 

そろそろ辺り一帯探しきった頃合い。スワイヤーの無線が入る。

 

「スワイヤーさん。地質調査道具を持ってきました。」

 

「よくやったわ。人が一人埋まっているかもしれないから探して。」

 

そう言って無線をきる。そしてホシグマに近づく。

 

「ホシグマ。後は専門家に任せて帰るわよ。」

 

「いえ、私も「ダメよ。」」

 

スワイヤーはホシグマを脇に抱える。

 

「ちょっと!?離してください!!」

 

「ダメよ。この程度ほどけない人にあげる慈悲は無いのよ!大人しく休んでおきなさい!」

 

「…わかりました……」

 

「よし、さあ帰るわよ。」

 

スワイヤーはホシグマの手を引っ張りながら地上に帰っていく。途中地質調査道具を持った近衛局兵士と入れ違いになったが、ホシグマは何一つ言わずに地上に帰っていった。

 

 

 

結局そのまま近衛局に帰った。そして今回の書類をまとめていた。

 

その書類が終わり、一息を着いていた。外から光は差し込まなくなっており、部屋の明かりがついている。辺りはもう夜だった。

 

「ふぅ…………」

 

椅子の背もたれから立ち上がり一つの報告を再度見直す。

 

 

「地質調査書………変動は見つからず……」

 

その下には簡単に計算された修復費が痛いほど0が飾られていた。

 

「ハァーーーーーー」

 

 

ため息を出し切って机に右腕を枕にしてへたれこむ。左手は机の上に先ほど見つけた小物をいじくっていた。

 

その小物は三角形の形に中央に花が掘られた物だ。

 

「ガチャ」

 

視線だけドアの方に向ける。この執務室に今日入る人物と言ったら、スワイヤーさんか

 

「どうした?そんなくたびれて。」

 

チェンさんだ。

 

「ちょっと。不貞腐れてただけですよ。」

 

「ふむ。それは良いが…もしかして書類を全て終わらせてのか?」

 

チェンは机の上の書類を1,2枚目を通して言う。

 

「後はここにチェンさんのサインだけですよ。」

 

左手でポンッと数枚程度の紙の束を叩く。

 

「すまないな。気絶してしまって。」

 

「別に構いませんよ。量は少なかったですし。」

 

「そうか。ありがとう。」

 

その数枚程度の紙の束を持ち、すぐそこのソファに座ってサインを書き込む。

 

「被害は少ないのに随分と金がかかるな……」

 

「あの穴がそれだけかかるんですよ……」

 

「だな。」

 

チェンは軽く笑う。そして静寂が舞う。それを切り崩すのはチェンだ。

 

「……どうだ?立ち直れそうか?」

 

「別にもう立ち直っていますよ。ただ……」

 

「ただ?」

 

「本当に彼の事を知らなかったなって…」

 

「別にそんなに落ち込むことか?」

 

「一緒に過ごしていましたけど彼の好きな物なんて何も知りませんよ。」

 

「何一つも?」

 

「そうですよ。」

 

「コミュニケーションが足らないな。」

 

「彼が私と同じ性格で可笑しいぐらいに心を読み取ってくるのが悪いんですよ。」

 

「相性バッチリってことか。」

 

またもやチェンは軽く笑う。

 

「ハァ…………確か有給余ってましたよね?」

 

「十分なほど余っているはずだが?」

 

「一週間ほどください。」

 

「何をするんだ?」

 

「ちょっと酔ってきます。」

 

「なんだと?」

 

チェンは驚きながらも動かしていたペンを止めホシグマを見る。

 

「それでは私もお供させて貰おうかな?」

 

「いいですけど…理性を保てると良いですね。」

 

「……では初日と最終日だけお供させて貰おう。」

 

「ちゃんと自分で飲むお酒くらい持ってきてくださいよ?」

 

「最高級の酒を持って行こう。」

 

「それで手を打ちましょうか。」

 

「交渉成立だ。」

 

チェンは声を弾ませながらペンを進め始める。

 

「よし。終わった。」

 

チェンは書類を見直しながら言う。

 

「それではまた明日。」

 

ホシグマはブローチを腕のポケットにしまい、立ち上がる。

 

「いやちょっと待ってくれ。」

 

チェンが出て行こうとするホシグマを呼び止める。そして机で軽く確認して、何かを書き込む。

 

「お待たせ。では行こうか。」

 

チェンはホシグマの腕を引っ張り部屋の外に出る。

 

「どこに行くんですか?」

 

「それは今から飲みに行くんだ。」

 

「今からですか?」

 

ホシグマは戸惑い脚がすくむ。

 

「休暇の申請は終わった。後で職員に取って貰うようにお願いしたから問題無い。」

 

「それならアタシも混ぜて貰いましょうか?」

 

「ゲェッ」

 

声のする方を向くとスワイヤーが仁王立ちしていた。

 

「飲みに行くんでしょ?アタシも混ぜなさいよ。」

 

「残念ながら朝まで飲むつもりだからお前の席はないぞ。」

 

「あら。運が良いことに明日は休日なの。それに明後日は有給申請を今さっきやってきた所よ。」

 

「準備が良いことで。盗み聞きか?」

 

「アンタね……いったいいつ盗みぎく時間があったと?………

 

「アハッハッハッハ。」

 

ホシグマはいきなり大笑いする。

 

「ホ、ホシグマ?どうしたんだ?」

 

「そ、そうよ?ホシグマ何か悪い物でも飲んだの?」

 

「いえ。問題ありません。さ、飲みに行きましょう!」

 

ホシグマはスワイヤーとチェンの肩を掴みながら脚を進める。

 

「今日は寝かせませんからね?」

 

ホシグマは姦しくも微笑む。

 

「上等だ。こんな*龍門スラング*お嬢様に負ける訳がないだろう。」

 

「ア?*龍門スラング*のヘッポコ龍女に負けると思っているの?」

 

 

 

その後三人を見たものは見ているだけでこっちまで酔ってしまいそうだと言っていたそうだ。

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ


落ち弱っわ

龍門編は後もう少しだけ続きます。



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2/22壊死からの地生 エンジside+α

それを聞いたのは何の変哲のない日でほしぐまからだった。

 

それを聞いて思ったことは…

 

 

あんの野郎……逃げやがったな?

 

何が後始末は頼むだよ。一体何の後始末をしろと?ほしぐまはピンピンしてますけど?むしろ私の方がダメージ負っている気がするんですけど?

これからはいったい誰を着せ替え人形にしたらいいんだよ?

 

有望な人材は数える程度も居ないって知らないのか?

ほしぐまに男装して貰うか。ミスチェーにコスプレ風してもらうか。ラミカに男装か。グレイブにイケメン風にするか。ほしぐまの愉快仲間達を弄くるくらいしかなくなったじゃん。

女装男装ねかま有りと有らゆる衣装に適正があるのはシュヴェルしか居なかったのに……はぁ……暇だ。みんな私が店に居るときは避けるから全然捕まえれないから……最近貯まってたのに………あ~~誰か居ないかな……完璧な……完璧…

 

エンジスカウター……オン。

 

ループス イケメン グレー髪 女? 白を特徴とした服装にタイツ。

 

サンクタ やんちゃな幼なじみ系 赤髪 女 白を特徴とした服装にタイツ。

 

完璧な百合だ。六百億点(百点満点)

 

エンジはそう判断して速やかに行動する。

 

「すみません。もしよければ試着していきませんか?」

 

 

「試着?テキサスーーどうする?」

 

「私は結構だ。」

 

「そう言わずに良いじゃん。やってみようよ!!」

 

サンタクはテキサスと呼ばれた人の服の袖を掴み店の中を指さす。

 

「はぁ……拒否権がないなら選択肢を渡すな。」

 

「いいじゃんそれくらい。さっさ!いこう!」

 

 

二人はそう言いながら店に入ってくる。そしてエンジは白い歯を見せ笑う。

 

カモが来た。と。

 

さすがに初対面で過激な物は選べない。だがこの二人ならウエディングドレスまでなら許される気がすると思った。

 

まるでスリをするように服を選び取っていく。そしてお客様と私が満足のいく結果を勝ち取るために計算を続けるのだった。

 

 

 

後日談として。

 

最近は店長も恋に飢えた女どもが何故か優しくて、スイーツやご飯を奢ってくれる事が多かった。案外良い置き土産を残してくれた物だと、感謝するのだった。

 

 

 

 

* * * * * ファルシオン * * * * * 

 

「唐突だがシュヴェルは故郷に帰るらしい。」

 

「え?」

「む?」

 

 

今日の仕事も終わっり後片付けをしていた頃、いきなりグレイブが現れてそう告げた。

 

「シュヴェルはもう故郷に帰ったのかしら?」

 

「ああもう帰った。」

 

「え?えぇ~~~と、唐突過ぎませんか!?」

 

「最近は店にも来てなかっただろう?別にそこまで驚く事では無い。」

 

「むぅ……それなら最初に言ってくれても良かったじゃん……」

 

「事情があったらしい。そのことは俺にではなく本人に言ってくれ。」

 

「じゃあどこに居るんですか?」

 

「わからん。」

 

「お手紙書けないじゃ無いですか!!」

 

ミスチェーは頬を膨らませながら言う。そこにそっとラミカは近づき頬をムギムギするのだった。

 

「エヘへ、、じゃないですよ!遠くの人とお手紙交換するのをやってみたかったのに!」

 

「ホシグマなら何か知っているんじゃ無いのか?」

 

「それです!それじゃグレイブさん!ラミカさん!また明日!」

 

ミスチェーは鞄を持ってファルシオンを出て行く。それは二人が静止出来ないほど素早い物だった。

 

「いやまっ……はぁ…ホシグマ。すまないな。」

 

「それで?本当のところはそう言うことなのかしら?」

 

「ああそうだ。例の天災らしい。」

 

「そう……」

 

ラミカは目を沈めて、荷物を持つ。

 

「ラミカ大丈夫か?」

 

「ええ。ちょっと花を添えに行くだけよ。」

 

「丁度良いか。俺も行くか。」

 

「そうそれじゃあ。」

 

ラミカはそのまま店を出る。グレイブはのんびりと店じまいをする。鍵を閉めようと外に出たときだった。

 

「随分とのんびりした登場ね。」

 

「ラミカ?」

 

そこには不機嫌な顔をしたラミカがいた。

 

「なんでまだそこに居るんだ?」

 

「は?」

 

ラミカは戸惑いを見せたがすぐに呆れた顔になる。

 

「はぁ………普通あのパターンだと一緒に行くって感じだと思うじゃ無い…」

 

「すまない…」

 

珍しくグレイブが肩を縮こまる。

 

「まぁいいわ。さっさと行きましょう。暗くなるわ。」

 

ラミカは大通りに出て行く。

 

「ああ。」

 

それをグレイブは素早く鍵を締め追いかけるのだった。

 

 

 

 

二人は花を道の端に添えて黙祷を数秒程度する。そして何も言わずに帰路に着く。五本目の街灯に差し掛かろうと言うところで口を開く。

 

「惜しい人を亡くしたと思わない?」

 

ラミカは唐突にそんな事をいった。

 

「確かにそうだな。シュヴェルは良いやつだったな。」

 

「………」

 

「………」

 

話はそこで止った。そしてラミカも脚を止めた。

 

「ラミカ?どうしたんだ?」

 

「はぁ……今のは私の問いが悪かったけど、あなたもそれをどうにかしようと思わない訳?」

 

「はぁ………すまん。」

 

「もう良いわ。率直に聞きましょう。あなた私のこと嫌い?」

 

「……一体どこを嫌いになるんだ?」

 

「これは酷いというか……惨いというか……」

 

ラミカは手で頭を押さえる。

 

「本当に率直に行きましょう。あなた。私と付き合う気はない?」

 

グレイブは瞬きを止め過去を振り返る。だが何もわからなかった。

 

「いったいどういう流れでその質問が来るんだ?」

 

「確かにきっかけは無いわね。でもこういう時にしないと私が行動出来ないのよ。」

 

「しかし、従業員と付き合うと言うのも…「それなら辞めるわ。」!?」

 

「そんなことで辞めるのか?」

 

「あなたにとってはそんなことでも私にとってはそうじゃないの!それにエンジの方に頼み込んだら職にはありつけるから問題はないわ。」

 

「だがな……」

 

「あなたもそれなりにいい年でしょ。もう一度聞くわ。私のこと嫌い?」

 

「嫌いでは無いが……」

 

「一体何がダメなの?それを教えないさい。」

 

ラミカがグレイブに近づく。

 

「……今の関係が崩れるのが怖い……」

 

「ッ?」

 

ラミカは目をパチクリと瞬きをしてため息をあげる。

 

「はぁぁ……あんたがそう言う奴って事忘れてたわ……」

 

「それで?あんたは実はDV野郎だったの?休みの日に散財して薬決める人なの?裏で組織とつながっていたりでもする?」

 

「それはない!」

 

グレイブは声を荒げる。

 

「なら問題無いじゃない。それとも私はアイドルみたいに空を飛んだり、沢山の男と関係を持っているイメージでもあるの?」

 

「ない……」

 

「ならいいじゃない。今更なにで嫌いになるのよ?言ってみなさいよ?」

 

「ない……」

 

「確認するわよ?あんたは私が好きで私はあんたが好き。わかる?」

 

「ああ……」

 

「あんたも男でしょ。女に恥かかせるんじゃ無いよ。」

 

「すまない。少し離れてくれ。」

 

そう言ってグレイブは強引に離れる。そして向き合う。

 

「スゥゥ………ハァァ………」

 

グレイブは深呼吸する。そして目を開く。その目でラミカを見る。そこにひ弱なグレイブはいない。

 

「ラミカ。好きだ。私と付き合ってくれ。」

 

グレイブは右手を前に突き出し。90度頭を下げる。

 

「………やるじゃない。これからよろしくね。」

 

ラミカはそれを握り返す。

 

やめてくれ。今はにやけないでくれ。止まってくれ。

 

そう思いながらグレイブは顔を上げる。だがそこは顔を赤らめながら右手で顔を隠すラミカがいた。

 

「なによ?文句ある?私はいったわよ!恥をかかせないでって!。」

 

「すまない。」

 

ラミカはグレイブを怒鳴る。だがその握った手は離さない。

 

「あのぉぉ……」

 

横から声がする。さっき聞いた気がするが聞き覚えの無い声だ。横を一斉に向く。そこにはさっき花を買った店の店主がバラの花束を持っていた。

 

「おめでとうございます。これよろしければどうぞ。」

 

「……………聞いてた?」

 

「そりゃこんな大通りでそんあ大声で言われると。」

 

花売りの店主は頭をかきながら視線を辺りを見渡す。そこには二人を避けながら通る人々がいた。その中にはおめでと~やおめでとうございます。と言う声がする。

 

そこで二人は頬を赤らめた。

 

そんななかグレイブには男だろ!決めろ!と言う声がハッキリと突き通って聞こえた。

 

 

「ラミカさん!」

 

「うぉ!?そんな大声じゃなくても聞こえるわよ目の前に居るでしょ。」

 

「すみません………もしよければこれからご飯を食べに行きませんか?」

 

「なッ!」

 

「だめですか…?」

 

グレイブが自信なさげに聞く。

 

「あぁあもわかったわよ。エスコートは頼んだわよ?」

 

「……はい!」

 

グレイブは元気いっぱいに答える。

 

「だからそんな声出さなくて良いって言ってるじゃ無い。」

 

「はい。」

 

二人は手をつないだまま店へと向かった。

 

 

その後ろ姿は辺りの人々を幸せにするほど喜ばしい雰囲気だった。

 

 

 

 

 

 

 




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落ち弱っわ

龍門編終わります。次から新章です。

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3/1 嘆く海の雪辱 主side

………ここは?……

 

視界は黒色。上の方に僅かに青色が見える。体は縛られているように重い。だが縛られるというより無重力のような……沈んでいる?上の方に見えた青色がさらに薄くなる。

 

よし。深呼吸しよう。

 

ズゴボボボボォボォォォォボゥホゥ!ブオオオオバオウッバ!深い!ここ深い!

 

水の中なんて聞いてないんですけど?まぁこれで完全に空気なんて要らないことがわかった。昔の生物は酸素が毒になるぐらいだからね。多少はね!

 

不味いのは周りが暗くなるほど暗いって事だね。沈みすぎ。そのうち上下感覚なくなって深海生活始めることになるよ?さっさと浮上しましょう。

 

さぁ勢いを浮力に……

 

源石を下に勢いよく出す。だが源石は沈んでいく一方だ。

 

水ってすごいね。圧力というか…水圧というか…。大人しくプロペラ作って泳ぎましょう。

脚にプロペラを作り回転させる。

 

泳ぐって案外良い物だね。いやダイビング?どっちでもいいか。前世では15mを泳げないタイプの人間だったからね。海の心地良さを知らなかったんだ。水泳の授業の自由時間はずっと水に潜ってたなぁ。

 

シュヴェルはルンルン気分で浮上している。周りを警戒などせず。だから深淵より迫り来る奴らに気づけなかった。

 

ッッ?

 

なんか肌がヒリヒリするわ。クラゲでも居るのか?

 

そう思い振り返り、海の底を見る。だがそれをすぐに後悔する。

 

数々の液体がこちらに迫り、当たっている。そして海の先には暗闇の中でもよく目立つ。黒いフォルムに紫や緑に光り輝くのが見えた。その外見は草木のようで……そうだね。あれは穀海のランナーや浮海のドリフターみたいだね。

 

ヒリヒリする肌を見ながらこう思った。

 

これが噂の神経ダメージかぁ……じゃなくて!

 

迫り来る敵を見ながら

 

海の中にもあいつら居たのかぁ……じゃなくて!

 

今度こそ海面を見上げて

 

逃げるんだよぉ!!

 

腰の辺りにもプロペラを作って、全速力で浮上する。

 

ようやく辺りが明るくなった頃、いままでの豆鉄砲ではなく砲弾がシュヴェルを襲う。

 

ファ!?

 

その砲弾では体勢を崩す程度で終わったがいきなりのことに驚きながら後ろを向いた。そこには頭にコブを作ったファースト・トーカーがいた。

 

めっちゃ怒ってるわ。ストーカーって改名しろよ。多分さっき作った源石が偶然頭に当たったってこと?そんなアホな……

 

あ、

 

シュヴェルは驚きのあまり忘れていた。浮上することを、その間も海の怪物はコツコツと迫り来ていたのだ。そしてシュヴェルは悟った。

 

これ追いつかれる奴だ。

 

ファースト・トーカーが早い。空を飛んでいるように素早く接近している。

 

だが諦めないのが俺の魔法だ!強引な策に出る!

 

イメージは簡単。源石でこいつら追ってこれないように壁を作れば良いのだ。

 

あばよ。ストーカー…

 

迫り来る海の怪物を見下ろしながらそのベールをかけるように、そっと壁を作る。そして勝ち誇った顔をすることが大切です。俗の人はこれを煽りという。

 

シュヴェルは慢心をしている。そう言う場合は大抵何か問題が発覚するもので……今回はこれだ。

海の怪物とシュヴェルを隔てていた壁が音を立てながら中心が砕けさった。もちろん海の怪物の先頭にいるのはファースト・トーカーだ。

 

ウソだろ!?お前にそんな攻撃力と特殊能力はなかったはずや!

 

シュヴェルはさらにゴリ押しをした。先ほどと同じように壁を作る。それも三枚。そして最後の壁から柱を伸ばる。壁が沈むより早く柱が伸びる。

 

海の怪物達が壁を壊した頃には手遅れ。シュヴェルは海面へと飛び上がった。それはクジラが潮吹きをするように10m程飛び上がり陸へ向かう。

 

そして岩場に着地する。受け身を知らないシュヴェルは忍びが待機する構えで着地するのだった。

 

ガンッ

 

こ、今回は脚がジーンとしたぜ…へっへ親父……俺はやったぜ。

 

プロペラを消して丁度良い凹みに座り込む。そして海を見る。距離にして5mだが、岩場と言うこともあって高低差がある。日に照らされて岩陰が綺麗だぜぇ~~

 

何時まで経っても海の怪物は現れ無い。どうやら諦めてくれたようだ。

 

助かった……助かった……海と陸を制した怪物が一番厄介。はやく空を手に入れn

 

音も無く背後からシュヴェルの首元に剣が突き立てられる。そしてその剣は見覚えしか無い。このかっこいい黒い大剣。一度踏み込んだら逃げられない中毒性を持つシャチさんじゃないですかぁ~~~~巫山戯るのはここらへんにしておいて……どうしよう?

 

「フンッ……フンッ……」

 

何故匂いを嗅ぐ。おれは敵じゃ無い!!さっき襲われたからその海の残り香があるかもしれないけどおれは敵じゃ無い!……でもそれを口に出せなかったら意味が無いんだよなぁ…

 

「不思議な匂い……海の匂いに……陸の匂い……確かそんな奴があったらサンプルを確保しろっていってたかしら…」

 

サンプル?ケルシー?もうロドスに居るんだ。そういえば今はストーリーのどこだよ。くっそもっと早く疑問に思ってたら龍門でわかったかもしれないのに…

 

「あなたサンプルを頂戴。」

 

え?

 

「サンプルって何だ?」

 

いったい何がサンプルになるの?髪の毛?

 

「そうね……腕を貰いましょうか。」

 

バイオレンスッ!?答えになってないですよ~。だめだ逃げれない。すでに死は一歩手前にある。特にこの首元の剣とか後ろに居るスカジの蹴りとかスカジの内股の汗ばむ匂いとか、いろいろだ。

 

初代差し込み隊長舐めたら死ぬぞ?スキル3でATK2000超える化け物。それに性癖と清楚と残酷性を足して再配置時間で割ったみたいな存在だ。タイマンで勝てるわけが無い。スルトもってこいやぁ!

 

たしかモジュールとか意味わからない物で一回HPが0になってもHP、防御デバフ貰って一回だけ復活するって聞いたことがある。

 

化け物。

 

「無言は了解と捉えていいかしら?安心して。一撃で終わらせるから。」

 

スカジは剣を振り上げる。

 

「待ってくれぇッ。」

 

迫真の声ってこのことを言うのだろう。まだ腕を失う訳には……あれ?再生できるのでは?ん??

 

「どうしたのかしら?他に何か良いサンプルがあるのかしら?」

 

サンプル……ねぇ…

 

「これではダメか?」

 

手を後ろに持って行き手の平を見せる。

 

「……何も無いのだけど?」

 

「ちょっと待って。」

 

ダメ元で源石生成してみる。他のサンプルは思いつかないから無理だったら腕捨てる。でもこの源石も体の一部だし問題無いでしょ。

 

「……何かしらこれ?」

 

スカジは生成した源石を手に取った。

 

「アーツだ。それはサンプルにならないのか?」

 

「フンッ……フンッ……」

 

運命の瞬間。これが受験生の合格発表の気持ちか……

 

「海の匂いに……陸の匂い……これでも良いわね。感謝するわ。」

 

後ろでゴソゴソと音がする。恐らく源石をしまっているんだろうな。助かったわ。案外チョロい……というかこの体が不明なんだよなぁ……

 

「これ……」

 

「ん?」

 

膝に袋が投げ置かれる。軽い。なんだこれは?

 

「なんだ?これは?」

 

「お金よ。」

 

なぜにお金?賄賂はいらん。自分で稼ぐ!!

 

「謝礼のようなもの……物を得るには正当な対価が必要なのよ。」

 

正当な対価?腕を斬り奪おうとしていたのはどこのどいつですか?これが天然?これがアザビエルの沼?

 

気にしちゃダメだ気にしちゃダメだ。戻ってこれなくなるぅ~

 

「それじゃあ。さようなら。」

 

そう言って後遠のく足音が聞こえる。……結局顔を合わせること無く帰って行ったな。嵐のような人だ。それにしてもお金……

 

袋を開く。龍門幣だね。これは十万……ここだけの話まだお金の価値観わかってないの。一ヶ月も龍門市街いてなんで知らないんだって?知る機会が無いからだよ。

 

とりあえずこれはフードの中にしまう。

 

シュヴェルは袋をフードの中に納める。そして立ち上がる。

 

やっぱり安心信頼利便性の源石産。拡張拡大色々出来ます。さてぇ!?

 

シュヴェルはフードを脱ぐ。そしてフードを地面に叩き付ける。

 

おとおとおたくとおとととおおと

 

スゥゥゥ……………

 

音がしないッ!!!!あの石と金属がこすれ合う音がしない!!!

 

フードを消す。そこにはさっき貰った袋しか無かった。

 

ブローチ……………………三角ブローチ……………………推しからのプレゼント………………………初めてのプレゼント………………

 

シュヴェルは両手をついて座り込む。岩場に貯まった水から酷い顔が見えた。

 

どこで………海?底に沈んだのか?あの海の怪物どのから隠れて手の平サイズのブローチを探せと?なんて無理ゲー?可能性を考えるなら海流で流れているかもしれないし、魚のお腹の中かもしねぇぇぇぇぇこの糞魚ァァァァッッッッッ

許さん。お前だけは惨たらしく拷問にかけ殺す。なんなら魚体実験する。俺以外も回復出来るか調べ上げてやる。そしてお前を魚人になるように改造する。俺の頭の中に存在する美少女に変えてお楽しみする。

 

そこで許したるからはよ出て来いや。

 

海に叫ぶ。

 

心の中を掻きむしられるような激しい痛みを感じながら苛立たしさが全身に広がる。そこでなんて叫んだかはもう覚えていない。

 

 

 

 

 




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今更だが毎回sideにしなくて良いって事を理解した。


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3/@ 嘆く海の雪辱 

数週間か数ヶ月先の先の先

 

ロドス内の白を基準とした研究室。そこには一人のフェリーンが机に向かい作業をしていた。その後ろの扉から一つの陰が忍び寄る。

 

「どうしたスカジ?いつもより早い帰還だが何か問題があったか?」

 

「昔あなたが言っていた物を見つけたらから、途中でここに寄っただけよ。」

 

そこでようやくケルシーは振り返る。

 

「いったいいつの話だ?」

 

「陸と海の匂いがするものがあったら持ってこいと言ったのはどこの誰かしらね。」

 

「ああ、失念していた。確かそんな物は存在しないと結果を出たはずだが、本当にあったのか?」

 

「これよ。」

 

スカジは手に持ていた石をケルシーに投げる。それをケルシーは片手で優しく受け取る。

 

「貴重なサンプルを雑に……」

 

「それ相応の硬さだから問題無いと判断したのだけど?……どうしたの?」

 

ケルシーはまじまじとその手にある石を覗き見る。それを顕微鏡で見たと思えば一部を削り取って何かの液体に漬け込んだ。片眉を動かしたと思ったら言葉を紡いだ。

 

「ふむ…………本当にその匂いがしたのか?いや今もその匂いはするか?」

 

ケルシーはその石をスカジに投げ返す。

 

「私を疑う気?…フンッ……」

 

スカジは石を鼻の近くに持ち上げ匂いを嗅ぐ。その顔はいつもと変わらず無気力な表情だ。

 

「海の匂いは薄くなってるけど、それでもしっかりとするわよ。それでいったいどうしたのかしら?」

 

「それはただの源石だ。」

 

「え…」

 

そこでスカジが今日初めて初めて表情が崩れる。そんな事お構いなしとばかりにケルシーは言葉を続ける。

 

「君が海の匂いがすると言うのであればそれは貴重なサンプルだ。報酬は払う。また見つけたら持ってきてくれ。」

 

「ちょっと待ちなさい!!」

 

作業に戻ろうとしていたケルシーを止める。

 

「どうした?何か問題でもあったか?資金が足らないなら申告しろ。」

 

「そっちではない。本当にただの源石なの?」

 

「軽く調べただけならそこら辺の源石とそこまで変わらない。多少純度が高いだけで何の変哲も無………聞いておこう、これはどこで見つけた?」

 

そこでようやくケルシーが目を細め、表情が険しくなる。

 

「シエスタの端の断崖。そこで奇妙な男と会った。」

 

「シエスタ………一つ聞くシエスタでは海の匂いと陸の匂いどっちが強いのだ?」

 

「海の匂いが6割…いえあのときは8割ぐらいだったかしら。」

 

「先にその源石を返してくれ。」

 

「ええ、どうぞ。」

 

スカジは投げる。それをケルシーが受け取ったらすぐに何かのケースの中に密封する。そして机の引き出しから紙を取り出し質問を続ける。

 

「今まで匂いが強くなったことは?」

 

「海の怪物共が襲ってきたときくらい?そんなに変化するのはそれぐらいだったわ。」

 

「出会いは偶然か?」

 

「海の匂いが強くなってるから見に言ったらそこに座り込んでいたのよ。近づいたら陸の匂いが強くなったからサンプルを頂戴したわけ。」

 

「待て、男からサンプルを得たのになぜ石になる?」

 

そこでケルシーは視線を紙からスカジへと移す。

 

「男に要求したらアーツで石を出したから。匂いは変わらなかったから問題無いと判断したわ。」

 

「アーツで源石を…?……」

 

「少なくとも男が動いた気配も石が動く気配も感じなかったわよ。石は手の平の上でどんどん大きくなっていったもの」

 

「男の外見は……」

 

「後ろだったからわからないわ。陸の匂いが染みこんだフードを着ていたぐらいしか。」

 

「スカジ。依頼を変える。その男を見つけ次第連絡を寄越せ。可能ならその男を連れてこい。五体満足かは問わない。息の根は残せ。」

 

スカジは考える素振りを見せ、答える。

 

「………特徴が無いのだけれど。男が隠れようと思ったら見つける事は不可能じゃ無いかしら?」

 

奴が匂いを操るすべを持っているなら私は同一人物と判断が出来ない。そうスカジは判断した。

 

「どれほどの知恵を持っているか分からない以上断言は出来ないが、あちらも接触を望んでいるかもしれない。最優先で連絡を寄越せ。もし可能なら連れて来い。」

 

「はぁ……見つけたらするわ。」

 

スカジは踵を返し、部屋の外へと歩を進める。

 

「それじゃ依頼に戻るわ。」

 

「ああ………」

 

スカジが部屋を出る。そして今さっきやっていた作業の中断作業をしてこの源石の解析を急ぐ。だが調べても調べてもこの源石が源石である証明しか出来なかった。

 

一度保留にしようとこの源石を他の部屋に持っていき保管する。

 

「上等か………怪物か………亡霊か………貴様は何だ…」

 

研究室に帰る途中返ってくることの無い質問を虚空に呟くのだった。

 

 

 




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これは今出すべきではない気がしてきた……まぁ忘れる前に出してしまいましょう。


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3/2 嘆く海の雪辱 主side

3/1 嘆く海の雪辱

袋に入っている龍門幣を一万から十万に変更しました。


ゼェ……………ゼェ……………僕落ち着いた。落ち着きました。

よくよく考えてみるともしかしたら龍門市街の方にあるかもしれないよネ!穴の中カ!爆発に巻き込まれて鉄の塊になってるネ!

 

もう泣く。フードを作り直し、袋を納める。

 

歩く。舗装された道を進むのではなく道なき道を……森を進む。

そして草木は消える。代わりに岩が現れた。そして傾斜は増す。どうやら山に登っているようだ。

 

なぜ山に登るのか?と聞かれたとき。誰かが言った。そこに山があったから。と。

だから俺も山に登る。早く山頂行かせてくれぇ~や。

 

 

辺りははゴツゴツと岩が突き出す。その岩をスラスラと避けながら登る。

そしてついにシュヴェルは見えた。道の続きが無いことを。ついに山頂がその目に見えた。シュヴェルは走る。だが脚はすぐに止った。目の前に穴があった。穴を覗き込む。そして圧倒的な熱量がシュヴェルを襲った。

 

あぁ~~あっっつい。あーね。そうだったのかぁ活火山……

 

そこには溶岩の沼が遙か彼方下に見えた。

 

熱い。さっさとここからさようならだ。

 

下山しようと後ろを向いた。そして後ろを向いた瞬間息をのんだ。

 

ヒュゥーーーーー、やるじゃん山頂。

 

目の前には絶景。太陽の光に反射して光り輝く海とビーチ。そしてハワイみたいな綺麗な町。ここシエスタじゃね?ビーチがある所って限られているでしょ。つまりシエスタだ。どっちにしてもこの町に行ったら分ることだと思うからどうでも良いね。

 

シュヴェルはそこら辺の岩に座る。そしてしばらくの間。その素晴らしい光景を楽しんだ。

 

絶景は楽しんだ。目の前に一筋の道が見える(舗装されてないゴツゴツの岩場)。人も居ない。遙か下の方に町がある。そして下山。坂道を走り抜けるように走り抜けてやらないと失礼だよな?

 

シュヴェルはクラウチングの姿勢になる。

 

あっ傾斜でクラウチングは無理だわ(笑)

 

そう思ったときには地面と{こんにちは}をしていた。

 

痛い。顔面からは痛い。痛覚無くても精神的に痛い。

 

シュヴェルは鼻を押さえる。どうやら血は出ていないようだ。

 

じゃ改めまして……エントリナンバー 1番 シュヴェル  いっきまーーーすッ!! Ураааааааа!

 

足を前に出す。そして転ぶ前に反対の足を出す。これだけで勢いが付く。というかこれ以上は無理。先に地面に激突する。頑張って突起している岩を避け走り抜ける。

 

俺は風になるんだァァァ逃げろおおおおお サアアアンダアアア スペースゥッ

 

まずは一回転。シュヴェルは足を突き出ている岩に取られしまい回転しながら地面にキスをする。だがそれで終わらないのが勢いというもの…

二回転、腕を激突する。だが足で着地出来た。

三回転。出来ただけでは止らない鉄血のオルフェンズ。棒倒しのように地面に激突してバッタのように跳ねる。

そしてさらに二回転半。バッタはどうやらフィギアスケートになれたようだ。

そして終わりに岩場の凹みに頭から突っ込む。

 

プッファ………くそめ。人生上手くいかないことばっか。ほんと嫌になっちゃう。

 

シュヴェルは埋まった頭を引っ張り出し立ち上がる。そしてその場に勢いよくおやじ座り。肘をつきながら文句を垂れ流す。目の前には変わらず海とビーチと町がある。後ろを見ると山がある。どうやら距離は半分くらいしか進んでいないように見えた。

 

あんだけ痛い思いしてこれだけと本当にくそ………源石でカプセル作れば………いやダメダメ。風を感じながら景色を楽しめない。ハァ……………ん?

 

背中に刺激を感じる。背中というより腰……いや尻だわ。どうやらこの世界にも変態はいたようだ。そもそもこんな所に人が居るってのも驚き…隠居生活?なら変態なのも納得だわ。どうやって気配って消せるのかな……

 

そんな事を思いながら振り向く。だがそこには誰もいない。だがまだ尻から刺激を感じる。

 

尻の方を見てみる。

 

そこにはオリジウムが一匹いた。

 

黄色の外見。本当に最初の最初に出てくる雑魚。唯一の利点はモスティマさんに消し飛ばされることだね。そんなオリジムシ君が尻に頭突きを繰り返していた。

 

ここは一つ、格の違いを教えてやらないとね。

 

源石のナイフを作り右手に持つ。それをオリジムシ君の横の地面に突き刺しガンを飛ばす。{舐めてる…ちゃうぞ?}と。

 

オリジムシは頭突きを辞めてぷるぷると体を震わす。

 

かわいいじゃん。強く生きろよ。

 

オリジウム君を持ち、遠くに下投げで軽く投げる。

願わくばオリジウムシがオリジムシβになる事を願って…………すっごい大群で出来たわね。

 

オリジウム君を投げ飛ばした所から出るわ出るわオリジムシの大群。ざっと三十ぐらいかな?面倒くさいよ?あっち行け!

 

シュヴェルはナイフを大群の先頭に投げ飛ばす。するとオリジムシは勢いよくナイフに群がる。ハエ取りかな?

 

しばらくしたらオリジムシは散らばる。そこにはナイフが無かった。

こ、こいつ食いやがったのか!?

 

そこでシュヴェルは一つの可能性が思いついた。

 

餌付け出来るぞ。

 

たしかバニラさんがオリジムシを飼っていた気がする。つまり餌付けが出来る。こいつをペットに出来る!ご飯は源石!旅のお供に是非どうですか?

 

だが三十匹も飼えない。だから選別しよう。目の前に小石程度の源石をバラバラに置く。この源石がなくなったとき一番近くに居たオリジムシ君を飼うことにした。

 

群れの先頭が最初の源石に近づく。それを食べたたら………溶けた。

比喩とかじゃなくて物理的に溶けていなくなった。{シュワァァァ}って音しながら溶けていった。

 

これわけわっからないな……

 

次々と源石を口にしたオリジムシ君が溶けていった。

 

そして誰も居なくなった……

 

俺は悪くねぇ。こいつらが勝手に食べた。そして敵だ問題無い。毒殺ではない!これは自爆だ!俺は戦争犯罪を犯していない!

 

いや待て。一匹だけ居る!さっきオリジムシ君が来た所に一匹だけいる!

 

そのオリジムシは俺の目の前に来てぷるぷると体を震わす。

 

……もしかしてさっきのオリジムシ君か!?生きていたのか!

 

右手をオリジムシ君の目の前に置いてみる。するとオリジムシ君は手によじ登る。そして身動きを一つ取らない。

 

左手に小石程度の大きさの源石と生成してオリジムシ君に近づける。それをオリジムシ君はゆっくりと足の部分から取り込み源石が消えた。

 

その瞬間黄色い液体がオリジムシ君と俺を攻撃する。

 

オリジムシィィィクゥゥゥン!

 

オリジムシ君が{シュワシュワ}言ってる!?いったいどこの誰がうちのオリジムシ……言いにくいな。今日から永久名誉ポン助と名付ける。いったい誰がうちのポン助に手ぇ出したんじゃァ?

 

黄色い液体が飛んできた方向を向く。そこには四匹のアシッドムシがいた。それを見た瞬間そいつらの頭の上にナイフを作り脳天をかち割った。

 

ユルサナイユルサナイユルサナイヨ。アシッドムシ。攻撃した敵の防御力を下げる特殊効果を持っている。それは危機契約で強化されすっごい防御力を下げつつすごい速度で攻撃する糞野郎を作り出した。俺は危機契約で強化されたボスクラスの敵は許そう。だが危機契約で強化された雑魚は許さない。

 

二度と姿を見せるなよ?殲滅作戦のように殲滅してやるぞ?まったく……ポン助!?

 

ポン助はいつの間にか{シュワシュワ}では無くなっていた。それどころか黄色が黒色になっていた。めっちゃピョンピョン手の平で跳んでる。

 

鳴き声を付けるならキュッキュ言ってそう。可愛い。

 

ポン助はずっと飛び跳ねれている。何かを訴えているように飛び跳ねている。

 

ごめん何言ってるかわからないわ。飯でも欲しいのか?

 

手の平に源石を生成する。するとそれをポン助は足の部分から飲み込んだ。そしてまたピョンピョン跳びはねる。

手の平に源石を生成する。ポン助は飲み込んだ。ポン助は飛び跳ねる。手の平に源石を生成する………

 

どうやら満足したみたいでポン助は大人しくなる。いったいどうやって持ち運ぼうか悩んでいたら、ポン助がいきなりジャンプして頭の上のフードに着地した。そしてペチペチと足の部分でフードを叩く。

 

頭か……良いね。肩は嫌なのかな?

 

フードの頭を消してまた作り直す。丁度龍角を隠すところがあったから丁度良し。角……そういえば…

 

手でおでこを触る。そこには折れた角の残骸があった。

 

……ずっとこのままだったのか………

 

鬼の角を作る……いや変えるか?面倒くさいからいいや。考えるの面倒くさいよぉ。別にこのままでも良いじゃない。うむ?

 

ポン助が髪を引っ張る。またご飯かな?

 

源石を頭の上に生成する。それをポン助は取り込む。

 

髪を引っ張るとご飯。よし覚えた。

 

シュヴェルは立ち上がり大人しく歩いて下る。頭にはポン助が居るけど意外に違和感が無かった。頭に居る感覚がない。ポン助は軽いんだなぁ……そして頭に飛び乗る跳躍力もすごいなぁ……

 

そしてシュヴェルは考えるのを辞めた。

 

 

 

今日の戦績!ペットを獲た!

 

次回 町に行く 感謝の一撃 新たなお仕事? の三本立てです。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

タイトルアンケートの結果 変更はしません。ご協力ありがとうございました。


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3/3 嘆く海の雪辱 主side

闇に隠れる。それは陰のように。今日の月の光は雲に隠れていた。そこに建物に隠れ、今日も寝ようとする陰がある。

 

今の現状を説明するとなると夜だ。山を歩いて降りていたら夜になっちゃった……なので探索は明日からですね。さすが観光地と言うべきか、夜は人が殆どいない。警備隊みたいな人が少し巡回しているぐらいだ。

そんな中黒いフードが一人ポツンと居てみろ。職務質問されるぞ?いやこの世界だと逮捕?まあそんなわけで絶賛路地裏で睡眠です。

路地裏大好きですっ!

 

金はある。明日はビーチに行こうかな……それとも料理巡りも良いね……悩むわ~……

 

シュヴェルは横の小道に誰かがたった一人で走り抜けようとしている気配を感じた。シュヴェルはそっと息を止めて目だけを小道に向ける。

 

どんどん近づいていくるわ。こんな時間にたった一人で走るなんて……面倒ごとの気配だ。いやだ。面倒ごとは巻き込まないでくだ早っや…気を抜いた瞬間に来るの辞めてよ。見えなかったじゃん。灰色のポニテロング、ケモミミ、露出高めしか分らなかったぜ。

 

ポニテロング………?灰色………?シエスタ………?俺の記憶によると一人だけ思い当たる。もしも、もしもそいつがネームドキャラならばそいつは暗殺者だね。これは見に行くしか無いよなぁ~~?

 

そっと上の屋根に登る。そしてポニテが行った方に屋根を伝って追いかける。

 

 

見失った。(僅か一分間程度)

 

とりあえずでポニテが行った方に行ったけど何も見つけられなかった。怪しい人影も怪しい取引も、何一つ見無かった。

 

俺は物わかりは良い方だ。今日は諦めてやる。

 

シュヴェルは屋根から降り、すぐそこの路地裏に戻り睡眠体勢になる。

 

ダメな日はとことんダメ。これは俺の人生的によくあることだった。明日観光楽しむ。以上お休みなさ

 

「こんな所でどうかされましたの?」

 

 

驚きのあまり勢いよく声のする方向に振り返ってしまう。そこには膝を折りしゃがみながらこちらに声をかけるお嬢様がいた。

 

………お嬢様口調。

 

「こんな所に何でいる?」

 

お嬢様はお屋敷で大人しくしてなさい。こんな夜にお嬢様が一人でいるなんて……背後になにか黒い組織居るんでしょ?わかってるよ?そんなアニメ小説漫画沢山見たからね?

 

「ちょっといろいろありましてね。そんなことよりこんな中心地区でこんな路地裏で寝ようとしているのかしら?」

 

あーね。つまり乞食は黙ってスラム街行けって事ね。シエスタにスラム街あったけ?とりあえず浜辺まで一度逃げるか。

 

シュヴェルは立ち上がり路地裏を抜けようとする。だがそこに一つの制止の声があがる。

 

「お待ちくださだる?どこに行こうとしているのかしら?」

 

シュヴェルは足を止める。

 

「どこかに帰る場所はあるのかしら?」

 

………どっちだ?パターン一。貧乏人はおもちゃ。苦しめバカタイプ。パターン二。良かったら家に止らないかしら?脳天気箱入り娘タイプ。

 

この世界で優しい人なんているわけないだろいい加減にしろ!俺は抵抗するで?こぶしで?

 

「あると思う?」

 

「良かったらお話相手にならないかしら?お話し合いをしてくれたらお金をあげるわ。」

 

あふん優しかった。ごめんね、決めつけて……

 

シュヴェルは振り返る。そこでまた驚きのあまり目を見開く。お嬢様が路地裏に座り込んでいた。その青く白いスカートが汚れることを問わずに。

シュヴェルはお嬢様の前に正座する。

 

「そんなにかしこまらなくて大丈夫ですわよ?」

 

「いえ……」

 

無理やて。出来るわけ無いじゃん。明日から足も向けて寝れないわ。

 

「それじゃあまずは自己紹介ね。私はセイロン。よろしくね。」

 

は?セイロンってあのセイロン?配布のセイロン。能力がぱっとしないから使わなくなってしまったセイロン?そもそもシエスタグループが少なすぎる。セイロンとシュヴァルツでどうやってステージクリアするんだよ?シュヴァルツ持っていないから医療オペ一人だけだよ?どうやってやれと?ドッソレスグループと合わせたら丁度良い感じだと思った。ラ・プルマ、水チェン強いんじゃ~。そういえばここがドッソレスの可能性考えついてなかったわ……想像力にわかめ。

 

「良かったら君の名前も教えてくれないかしら?」

 

名前……変えるべきなのか?いや鬼角の時はシュヴェルって設定で良いか。

 

「シュヴェルだ。」

 

「そうなのシュヴェル。それじゃあどうしてここに居るか教えてくれないかしら?」

 

「さまよい歩いてきた。」

 

「そう。じゃあ親御さんや知り合いは居るのかしら?」

 

「いないね。」

 

「じゃあ料理出来るかしら?あと多少の運搬とか。」

 

ん?既視感……

 

「礼儀正しいし、もし良ければメイドに推薦しようと思っているのだけど?」

 

わお……まずそこは執事だろ?俺は男ぞ?セイロンはそもそも性別を分かっているのか?分かってなさそうだな……料理って言ってるし雑用全般が仕事かな?確かにこれは良い仕事だ

 

「いやだ。」

 

だが断る。お嬢様の家は面倒くさい。上下関係に仕事の質。そこら辺の食事処の方が良い。

 

「そうありがとうね。はいお礼。」

 

ポンッと綺麗な袋が渡される。パサパサと紙の擦れる音……へっへ姉御あざます。

 

「それじゃあね。「こんなところに居たのかセイロン様?」ッッ!」

 

背後から男の声がする。そしてセイロンの顔が驚愕に変わる。視線は後ろに釘付けだ。

シュヴェルは後ろを向く。そこには路地裏を埋め尽くす程の黒いフードを纏った集団が居た。おっと、どうやら後ろだけではなく前にもお出ましのようだね。ハッハ忘れていたよ。面倒な強制イベントだったわ。

 

「私も荒事は望んでいません。さぁこちらに?」

 

「……いいでしょう。」

 

セイロンは立ち上がりリーダーぽい男の前に行く。

 

「良い子です。さあやりなさい。」

 

突如として前に居た集団が動き出し、俺を嬲った。男に嬲られる趣味はないんだがな。それじゃ。イッツショウタイム………

 

* * * * *

 

「何をするのです!?。」

 

セイロンは怒りを男に向ける。だが男は意図も当たり前のようにいう。

 

「目撃者は消すのが一番です。さぁセイロン様こちらに。」

 

「そんな冴えない男より俺とはいかかですか?」

 

「ッ!?」

 

男は驚愕した。さっき手下にやられたはずの餓鬼がセイロン様の目の前に居たのだ。それもそのフードに傷一つ付けずに。そして餓鬼はダンスを誘うように手を差し出していた。

 

「お前達?どうしたのだ?」

 

男は焦ってさっきまで餓鬼がいた所を向く。だがそこには同じく無傷の手下がいたのだ。そして手下共は誰一人としてその現状を理解していなかった。

 

* * * * *

 

イリュージョンマジック☆

 

手品は簡単。あいつら連携もなしボコスカ殴ってくるだけだし足下が隙だらけなんだよなぁ。袋を二つ、フードから抜き取って中に俺の模型をフードに生成してその場に残します。後は子供の体の小ささを使って足をすり抜けて抜け出す。そしてフードを再生成。ちゃんと模型入りのフードは消すとマジックになるよ!

 

かっこつけてお誘い文句を付ける。完璧。男の驚いた顔が良い三下感溢れていまねぇ~。

 

「貴様ッ!どうやった!!」

 

「そんな事も分からない雑魚に言うことはない。」

 

「お前達!!やれッ!!!」

 

なんか負けフラグ。フラグの取り扱いは丁重にしないと……

 

「お逃げなさい!それだけの実力があるならできるでしょう。逃げなさい。」

 

あっ追いフラグだ。個人的には実力があるのに逃げろと言うのがわからない。実力はあるけどこれだけの数は無理だっていう判断?助けてって言わない筋金いりのお人好しにはお返しをしないとねぇ。

 

「俺は恩には恩で返す性分でね。それに……」

 

集団がこの狭い路地裏に迫り来る。

 

「前金はもう貰っちゃったからね。」

 

集団は抜刀してシュヴェルに斬りかかる。

 

「眠ってろ。」

 

シュヴェルがそう言うと集団は一瞬で一切の例外無く眠るように倒れていった。

 

「ヒッ。いったいどうやったのだッ!!」

 

「しつこい男は嫌われるぞ?ちなみにそこら辺に居る奴らもやったか。」

 

シュヴェルは屋根の上を指さしながら男に近づく。

 

「ッ来るなぁッ!。」

 

「眠ってろって言ったぞ?」

 

シュヴェルは綺麗な回し蹴りをした。男は路地裏の外まで吹き飛ばされ、頭を地面にぶつけて気を失った。

 

完璧……俺はこの日のために回し蹴りを練習したんだ。まぁ嘘だけど。集団が気を失った理由?源石で頭を高速で揺らして脳震盪起こした。首もげないか心配だったのはここだけの話だ。

 

「あ、あなたはいったい何なのですか?」

 

後ろに居るセイロンが声を震わせながら言う。

 

……考えろ、なんて言うのが最高に格好いいのだ?……ここシンプルに

 

「ただの糞餓鬼だよ。」

 

そう言いながら無表情で振り返る……フードで顔見えないから意味ないわ。身長差って案外致命的に問題を起こすんだね。

 

セイロンの目は揺らぎ、驚いていた。

 

ん~~これからどうしよう?何も考えていない。ここからいったいどうしろと?Help me

 

 

ビュゥッッン

 

……鋭い一撃が放たれる。それは怒りがこもった暗殺者の逆鱗だ。

 

それはシュヴェルの肩を狙われた物で、シュヴェルが気がついたときには矢が肩を貫いていた。反動で前のめりになった。シュヴェルは素早くアーツを使って背後を確認する。そこには路地裏に置かれていた樽を片手で持ち上げ、殴りつけようとしているライオンが居た。

 

ヒィッ

 

シュヴェルは前屈みのまま飛び上がった。そして屋根に着地した。そしてこの街の外。郊外へ向かって全力で向かう。運が良いことにそこに追撃は無かった。

 

そしてシュヴェルは海辺の崖下で怯えながら夜を過ごした。

 

 

* * * * * シュヴァルツside * * * * *

 

 

どこだ………どこに居る?………

 

セイロン様が屋敷からいなくなって優に三十分をこえた。未だに痕跡は見つからない。それぞれの有力候補を監視している他の仲間からの報告ではまだ有力候補達は動いていない。街にチラホラと黒ずくめの集団がいた。恐らくセイロン様は逃げる事が出来て探し出しているのだろう。

 

そいつらが見つける前に私が見つけなければ……

 

焦りは間違いを犯す。だが冀望は体を駆け回させる。

 

………あれは………

 

遠くの道にポツンと一人の黒ずくめが飛び出てきて倒れる。そしてそのまま起き上がらない。シュヴァルツは怪しりながら静かに近づく。それは肉食動物が獲物を見据えたみたいに。

 

黒づくめが出てきた路地裏に近づく。走っている勢いは消さずにシュヴァルツはクロスボウを路地裏に構えながら大胆に路地裏をクリアリングする。

 

そこには驚愕の光景が見えた。奥には二十を超える黒ずくめが地面に突っ伏している。そして手前側には背中を見えた小さな黒ずくめが居る。そしてその前には顔を歪めたセイロン様がいた。

 

行動は早かった。考える前に動いていた。クロスボウから今私が出せる全力のアーツを篭めて小さな黒ずくめに撃つ。もしそれが避けられセイロン様に当たらないように肩を狙う。

そんな心配は杞憂で肩を貫いた。全力を篭めたが貫通するまではいかなかった。

小さな黒づくめが動く前にクロスボウを仕舞い近接戦闘に出る。

すぐ側にある樽を持ち上げ、小さな黒ずくめに振り下ろす。

 

が、当たった感触が無い。樽が振り下ろされセイロン様が見えた頃には小さな黒ずくめは空を舞い屋根の上へと消えていった。

 

一瞬追撃を考えたが、セイロン様の安全を確保することにした。

 

「セイロン様ッお怪我はありませんかッ?」

 

「ええ。」

 

セイロン様が困惑しながらも返答する。だがすぐに怒りを露わにする。

 

「シュヴァルツ!なんで撃ったの!?彼は…シュヴェルは私を助けてくれたのよ!」

 

「……ッ!」

 

シュヴァルツは自らの軽率な行動を恥じた。確かに同じ黒づくめだ倒れていたのは奥の方であり、集団で倒れていた。そして黒づくめ以外の人物は居なかった。そして一人だけこちら側に吹き飛ばされた。つまりそこで大の字で気絶している奴が恐らくこの集団のリーダーだ。もしもシュヴェルが内乱を起こしたとしたら奥で倒れている黒づくめは綺麗に処理されすぎている。

セイロン様の身を案じすぎたあまりに、思考が鈍ったようだ。

 

反省を終え視線を戻すと意気消沈したセイロン様がいた。

 

「ご、ごめんなさいッ。同じ黒づくめなのにいきなりそう判断できるわけないわよね。言い過ぎたわ。」

 

「いえッ。私が不甲斐ない故に起きたことです……もう…同じミスはもうしません。」

 

シュヴァルツはセイロン様の目を見る。その目には自信と決意が現れていた。

 

「ええ……じゃあこの件はお互い様ということで解決しましょうか。」

 

「はい。それでは帰りましょう。皆さんも心配しています。」

 

「ええ。帰りましょうか。」

 

セイロン様は歩き出す。シュヴァルツは後に続く前に後ろに目配せする。そこには仲間の陰が見えていた。

帰っている途中こんなことを言った。

 

「今回の件はすぐに処理が終わると思いますわ。彼らはエモロッピと言っていました。」

 

エモロッピ……最近このシエスタに来た。中レベルの裏側の組織だ。特に後ろ盾があるわけでは無かった。

これまで特に問題を起こしていないから手を出せなかったが、この件で本格的に潰せるというものだ。

 

「了解しました。こちらで処理しておきます。」

 

「ええよろしくね。」

 

セイロン様は微笑む。そしてムスッと顔をしかめる。

 

「でもシュヴェルにはちゃっと謝りなさいよ?私はお礼を言いますから。」

 

「はい……」

 

シュヴァルツは視線を下げた。

 

「ダメだったら私も一緒に謝る「いえ。私一人でやります。」ならばよし。」

 

力強い言葉と共にシュヴァルツは視線を前に向けた。だがまだ僅かに顔が暗い。それは不安故か……反省点をまとめているのか……それがわかるのはシュヴァルツただ一人だった。

 

* * * * * 主side * * * * *

 

シュヴァルツコワイシュヴァルツコワイシュヴァルツコワイシュヴァルツコワイシュヴァルツコワイシュヴァルツコワイシュヴァルツコワイシュヴァルツコワイ…ウッ目ガァァ……目ガァァ……

 

朝日がシュヴェルの目を潰した。その代わりに理性が戻った。

 

朝だっ!観光だっ!外食だっ!

 

いざ街に行くぞ~。ただし常に辺りを警戒しながら。セイロンとシュヴァルツを見つけたら逃げる。レストランとかに入っていても逃げる。食い逃げはしないように袋から一万をポケットに忍ばせておこう。

 

いや朝からはダメだ。昼からにしよう。その方が人が多くて安全だろう。朝日に照らされながら二度寝を決める。最高にハイってやつだ。

 

そして着いたぜお昼のシエスタ街。屋台すげぇ。タコスっぽいの見っけ!いただきます。

 

シュヴェルは店主に金を払ってタコスを買った。そしてタコス片手に散策。そして良い感じの噴水を見つけた。シュヴェルはそこに座った。

 

ここ良いじゃん。噴水はやはり良いぞ。人が多いのが問題だけど、誰も俺の事なんて気にしていないから問題なし。

 

シュヴェルはタコスを食した。そして指をペロリと舐めて立ち上がり歩き出す。

 

腹は満たした。次は隠れた名店的な何かを探しに行くぞ。やっぱり辞められないね。タダで時間を過ぎる。すなわち最強。ただし結果がなかったら悲しいし、迷子になったら泣きます……さて…行こうぞ。

 

シュヴェルは彼方此方歩き回った。そして何の成果も得られなかった。大分日が傾いている。もう夜が来る。諦めて帰ろう……

 

そうしょぼくれて居たときだった。

 

ん……?

 

どこからか声がする。ロックのようなビートのような甲高い女の子の声。音楽は詳しく知らない。クラシックすら怪しいね。

 

とりあえず声のする方へ。

 

音の導かれて場末の道。中央区から離れて周りの建物も砂埃などで汚れていた。この先。大体3m程前に二人の少女がいた。三人で同じ服を着て、見た目にそぐあないテンポの速い曲を歌っていた。一人は曲を操り、二人はその速いテンポに完璧に合わせ、共鳴していた。

あっという間に一つの曲が終わった。

 

もう終わったのか……さすがシエスタ。音楽の国だぜ。ん?

 

どうやらこの曲でゲリラライブは終わっていたようで。片付けをしていた。そんな中に少女達の前でその歌声を聞いていた数人が少女達に近づく。そして少女達の前にひっくり返されてある帽子の中に金をいれてた。

 

あーー路上ライブだったのか。なるへそ……俺もできるのでは?

 

考えてみよう。俺は異国の知識がある。著作権等を貶すレベルでボカロやらアニソンやらコピーしたら俺も路上ライブで稼げるのでは?アーツでスピーカーとか音発生装置とかを作って……行けるのでは?

この世代はDJとかラッパーとかメビヘタが主な音楽として認識されていると思うから、ボカロとかあんまり評価されない可能性が大きい。そして一部の物好きに評価されてチップを貰う。

 

よし行ける。これはやるしかないよなぁ~~。安心したまえ。俺は消失を歌いきる程度には肺活量を持っている。(今も出来るかはわからないけど)はっ俺もチップ払わなきゃ。

 

シュヴェルはひっくり返された帽子に近づく。

 

「あの……どうかしましたか?」

 

oh………女の子に話しかけられてしまった。めっちゃ警戒してる。三人ともいつでも動けるように構えてる。そういえば俺フードの怪しいおっさんだったわ。身長ないけど……まあいい。勢いが大切誰かが言ってた。フードの中に手を突っ込み袋を取り出し、帽子の中に落とす。

 

喰らえ!チップオブ餡詰!

 

バサッ

 

案外すごい音……十万幣の方だったわ。まあいい。俺は自分で稼ぐから問題無い。それじゃあまずスピーカーから作るぞ。あの海岸の崖下に戻るかぁ。

 

シュヴェルは踵を返し歩き出す。その顔には笑みを浮かべながら。

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

もう二度と次回予告はしません。(鋼の決意)

もう一つside執筆したかったけど気力が無いので次回に回します。


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3/3 嘆く海の雪辱 少女

「今日も良かったよ!」

 

声のする方を向くといつも聞きに来てくれるお兄さんがいた。そしてまたお金を帽子の中に入れてくれてた。

 

「ありがとうございます。また聞きに来てくださいね。」

 

「おうよ。またな~」

 

お兄さんはそう言って帰っていく。私たちも帰ろうと荷物をまとめている。そんな中いきなり服の袖を引っ張られる。ゆっくりと顔を向ける。

 

「お姉ちゃん。あの人ずっとあそこに居るよ。」

 

妹のハユが自分の片付けをそっぽむけにして小声で私の服の袖を引っ張りながら道を指刺す。静かに視線だけそっちに向ける。そこには妹と同じくらいの身長の黒い鬼角を持つ黒フードがいた。顔をこっちに固定したまま立ち止まっていた。

 

「ハユ。いつでも動けるように大切な物からかたづけて。ただしいつも通り片づけてね。」

 

私も小声でハユに言う。

 

「うん。わかった。」

 

ハユは軽く頷いて片付けに戻る。私も急いで片付けをする。

そろそろ終わった頃。さらに別の声が横からしてきた。

 

「ホユ。まだあそこに奴がいるのだけど。どうする?」

 

カホだ。カホだけは血は繋がってはいない。だけどお母さんが居なくなる前から仲良しの幼なじみで居なくなってからはずっと一緒に居る。

 

「いざとなったら私が足止めをするから警備隊を呼んできてくれない?」

 

「だめ。それならバラバラに逃げた方が良い。」

 

「誰か捕まったらどうするつもり?貴方たちはそれを耐えきれる程の精神力を持っていないはずよ。そんな事を考える暇があるならさっさと警備隊を呼んできなさい。」

 

カホが声を鋭くして言う。

 

「わ、わかったよ。でも気をつけてね。」

 

カホがフンと顔を背けながら

 

「言われるほどじゃないわ。決まりね。走る準備はして起きなさい。」

 

カホはそのまま最後に周りを確認する。私はお金が入った帽子を取りに行こうと体を向ける。だが体がビクついて踏み出そうとしていた足が止る。いつの間にか少し遠くに居たはずの黒鬼角が帽子の目の前に居た。

 

もしかしてお金目的?それならあげるから早く帰ってよ。

 

そう願う。だが黒鬼角は帽子の前に居たまま動かない。後ろからカホがすり足で少しだけ近づいているのがわかった。横目で確認する。そこには鬼気迫る顔で何か言いたそうなカホがいた。

 

だが私は動かなかった。よくわからないけど、この人が私たちを誘拐しようとしているようには見えなかった。勇気を出して声を出す。

 

「あの……どうかしましたか?」

 

目の前の黒鬼角は体をビクッと震わせるとフードの中をガサゴソと漁りだした。そこでカホが無理矢理動き出す。ホユの首根っこを掴み、後ろに引っ張る。そしてカホが黒鬼角の前に出る。

 

バサッ

 

仰け反ったので見えなかったが何か重い音がカホの方からした。急いで視線をカホの方に向けると歩いて帰っていく黒鬼角が見えた。そしてカホがしゃがむ。

 

「カホちゃん!?」

 

ハユの驚いた声がする。

 

「大丈夫よ。音聞いたでしょ?爆弾じゃないわ。」

 

「爆弾!?」

 

ついオウム返しをしてしまう。カホがこちらに振り返る。その手には両手でも包み込めない程の大きさの袋を持って。だがその顔は何故かしかめっ面だった。

 

「大丈夫。大丈夫だわ。よし。帰りましょう。」

 

カホはその袋と地面にある帽子をしまい、荷物を持ち歩き出す。

 

「ちょっと!?待ってよ!」

 

「どうしたの?カホ?本当に大丈夫なの?」

 

ハユが声を上げながら荷物を持つ。それに続き私も荷物を持つ。

 

「ええ。大丈夫よ。さっ帰りましょう。」

 

そのまま家に帰る。カホは早歩きで、今日は珍しく会話も無く帰路に着いた。

 

 

 

家について、荷物を片づけてリビングに集まった。

 

「それで本当に!本当に!大丈夫なのよね?」

 

「どこか痛いところあるの?」

 

「大丈夫よ。どこも痛くないわ。そう何度も聞かなくていいわ。むしろ冷静になれたし。」

 

よかった……でもどうしたんだろう?さっきのカホは本当にカホらしくなかった。

 

「コホンッ。」

 

「どうしたの?」

 

ハユが可愛らしい声を上げる。だけど私は畏まる。だってカホがわざとらしく咳をするときはいつも……

 

「それでホユ。言い分があるなら聞くわよ?」

 

怒るときだから。

 

「あッ……」

 

そこでようやく分かったみたいで呆気ない声をハユが上げる。

 

「うぅ………だ、大丈夫だと思ったから……」

 

「思った?そんな理由で大丈夫だと思ったの?偶然あの人がそうじゃ無かった。それだけよ。」

 

カホは少し椅子から立ち上がり右手でホユのおでこをツンツンしながら

 

「運が良かっただけよ。わかる?たまたま悪い人じゃ無かっただけなのよ?」

 

「……うぅ……ぅ……おっしゃるとおりです……」

 

「はぁ……もう良いわ。でも許した訳じゃ無いからね。そこ勘違いしないでよ!。」

 

カホは最後に強くホユのおでこを押すと椅子に座った。

 

「はぁ~~~い。」

 

魂が抜けそうなユルユルとした返事をする。

 

「それじゃあ本題に入るわよ。」

 

バサッ

 

そこでカホはさっきの両手に収まりきらない程の大きさの袋を机に落とす。

 

「カホちゃん…?これって何?」

 

「そういえばカホがおかしくなったのもこの袋を貰った頃だったっけ?」

 

「お金よ。」

 

「「!!??」」

 

ハユとホユは椅子から立ち上がりお互いに肩を抱き合いながら身構える。

 

「いいいっくら?」

 

震えた声で一番重要な事を聞く。

 

「十万。」

 

静かにボソッとカホが呟くように言う。

 

「「じゅじゅ十万!?」」

 

「ちょっと声が大きいわよ!辺りに家が無いからって大声を出すのはいけないわよ!」

 

「「ご、ごめん。」」

 

ここは街の外れのさらに少し遠く。街から遠いから家賃も安くてさらには周りに畑もあるので買うことを決めた家だ。最初は盗賊が出るかとそわそわして夜を過ごしたけど、この家の後ろには険しい山しか無くて逆に盗賊が全くいなかった。最近では毎回重い荷物をもって行くので腕に筋肉が付かないか心配になってきている。

 

「…本当に十万あったの?」

 

「さっきちゃんと確認したら間違いないわ。」

 

「これでしばらくは安泰だね!」

 

ハユがそんな事をいった。その通りだと思った。私たちは街で仕事が貰えなかったから農作業と練習とライブぐらいしかやることが無い。実際にはあったけど、それは嫌だったので逃げてきた。

 

唯一の収入はライブのお布施だけで、運が良いときは七千。悪いときは無かったり数百だった。これでしばらくは近づいてくるお客さんにドキドキしたり帽子をのぞき込んで一喜一憂することは無くなったと頬を緩ませた。

 

「そこで提案があるんだけど」

 

カホがそんなことを言った。いったいなんだろ?やっぱりこれだけお金があったら一日待ちをぶらつくとかかな?たまにはそんな日があっても良いよね!

 

「クリックオブファーストフェスに出てみないかしら?」

 

「「!?」」

 

クリックオブファーストフェス。それはこのシエスタで中の上のイベント。だがその知名度は上の下よりも高い。その理由の一つは参加資格の中に実績は必要ない。人数が揃っていたら誰でも参加できる。その場合選抜で落ちてしまうが。

そして他イベントと最も異なる点は参加料が必要な事だ。これはエントリー時に払うので返ってこない。そして参加料は七万。高いが払えない事も無い程度だ。

その安くない参加料を払い、数々のライバルを押しのけ最後まで残ることが出来たら大舞台でその技術を表現できる。そこには数々企業が、新人を掘り出そうと顔をだす。偶にトップックラスの企業まで出てくる新人達にとって夢の舞台だ。

 

「む、無理だよ。私たちじゃ。」

 

「そうだよ。すぐ落選して終わるだけだよ。」

 

「じゃあどこがダメか教えてくれないかしら?僅かな疑問点で良いわ。今日から練習していきましょう。」

 

「「……」」

 

カホのその一言で二人は静かになった。

 

「私は十分なレベルの技術を持っていると思うわ。これはチャンスよ。これからも明日の生活のわからない人生を送りたいの?」

 

「「……」」

 

「これは未来の自分たちへの投資よ。七万。安くはないわ。でも七万でたとえ予選で落ちてもプロからアドバイスが一、二言貰えるのよ?」

 

「「……」」

 

「三万も残るのだから一日二外食じゃなくて一日六外食もできるわよ?」

 

「……」

 

「一日…六外食…?…おいしい一杯?……」

 

ハユの目が輝き出す。それでも私は……

 

「ホユ。いったい何が心配なの?……改めて言うわ。これはチャンスよ!今日!夢への一歩を進むの!!」

 

「いつまでもウジウジねねっこちい生き方するんじゃないよ!嫌なの?出来ないの?しないの?私たちのリーダーがそんな物でどうすんのよ!?」

 

パッシン

 

「お姉ちゃん!?」

 

ホユが自分で両方の頬を叩く。

 

「……ありがとう。カホ。いっつも私を助けてくれて。いっつも道を考えてくれて」

 

ライブを始めたのも、カホからの提案だった。人が集まらなくて辞めたくなっても続けようと言い続けたのもカホだった。そして今日。夢を掴もうと提案したのもカホだった。

 

「やろう。今、夢のためにやりたい。お願いしますッ。一緒にイベントに参加してくださいッ!!」

 

ホヨが頭を下げる。その目に貯まった涙がポツポツと流れ落ちる。ハユがどうしたら良いのかわからなくて慌てふためく。そしていつしか涙を見せる。

カホが椅子から立ち上がりホヨの目の前に行く。

 

「あなたはリーダーよ。私たちのリーダー。それは変わることはないわ。そのリーダーがこんなヘタレでどうすんのよ。行くわよ。フェスに。この程度サクッと優勝して有名人になるわよ。」

 

ホヨがカホに倒れ込む。

 

「ちょっと?」

 

「ありがとう……」

 

「まずは泣き止みなさい。これじゃどうすることも出来ないじゃない。」

 

カホは優しく頭を撫でる。そこにハユも倒れ込む。

 

「私を仲間はずれにしないでよ………」

 

不貞腐れた様子でそう言った。

 

「はぁ……まったくしょうが無いわね。私は貴方たちの母親じゃ無いんだけど?」

 

「母親みたいに優しいんだもん。」

 

「母親みたいに厳しいし……」

 

「まったくねぇ……」

 

そう言うカホだがずっと二人の頭を優しくなで続けるのであった。

 

 

~ ~ ~ ~ ~ 

 

 

「さぁさぁ。ついにやってきた!今年一番と言っても過言では無いクリックオブファーストフェスッッ!!今日も夢見る少年少女達がッ!その才能を見せてくれることでしょうッッ!!」

 

「「「ウォォォォオォォーーーー」」」

 

 

 

「どうしよう!?来ちゃった!決勝戦来ちゃった!!!」

 

「それは昨夜手紙が来て分かったことでしょ?問題無いわ。」

 

「そういうカホは腕震えているよ。」

 

「うっさいわね。」

 

「私たちを支えるベースがこんな様子で大丈夫なの?」

 

「本番に強いタイプだから大丈夫よ!!」

 

そこはステージの舞台裏の控え室。三人は問題無く予選を勝ち抜き、決勝への道をつかみ取ったのだった。

 

「そろそろやっておこうか。」

 

「ええ。」

 

「うん!」

 

三人は円上に立ち三角形の頂点を作る。そして右腕を前に突き出し拳を合わせる。

 

「考える。」

 

「諦めない。」

 

「立ち止まらない。」

 

一呼吸置いて

 

「「「私たち最強!!!」」」

 

拳を上に上げそう言う。

 

「やっぱり安直過ぎないかしら?」

 

「わかりやすくて良いじゃん!」

 

「昨日!私たちで!決めたじゃん!文句があるならそのとき言ってよ。」

 

「文句はないわ。文句はね。」

 

 

「さぁそして本日は特別でパーフェクトな審査員を用意されたぜェッ!」

 

三人はそのMCの言葉を聞いて驚きの顔を見せ、モニターに視線を釘付けにされる。

 

「実力、才能、名声全てを兼ねそろえて居るぞ!!さぁきた我らの皇帝ダァァァ!!!」

 

派手な演出と共に一人のペンギンが堂々とステージに出現する。そして耳が割れそうな程の歓声が響き渡る。

 

 

「う……そ…でしょ?」

 

「皇帝ってあの皇帝?あのペンギン皇帝!?」

 

「そうね。」

 

「なんでカホはそんなに冷静で居られるのよ!!」

 

ホヨはカホの肩を掴み上下に振る。

 

「審査員がすごいだけでしょ?それなら問題無いわ。

 

「でもッ、皇帝だよ?あの皇帝だよ?」

 

「皇帝だ審査員だったから貴方たちはハーモニーを醸し出せないの?」

 

「「そんなことは無い!!」」

 

「「私ほど(お姉ちゃん/ハユ)のことを知っている人は居ないよ!!。」」

 

「なら問題無いでしょ?」

 

「「む?」」

 

二人は頭に疑問を浮かべた。だがすぐに風に流されていった。

 

「それで最後の練習は必要かしら?」

 

「私は大丈夫かな。」

 

「今やっても逆に崩れそうで怖いからいいや。」

 

「なら落ち着いて待ちましょう。」

 

そして本番が来るまで三人はガールズトークに花を咲かせた。

 

 

 

 

「それではッ!最後にして最年少の三人組ユニットだッ!!なんと実績が無ければ大会出場経験無しの正真正銘今日のフェスのダークホースッ!!ブラック・ディーモン・ホーンッ!!!」

 

「それじゃ行こっか。」

 

「ええ」

 

「うん!」

 

 

~ ~ ~ ~ ~

 

 

ライブが終わった。私たちのライブだ。歓声が上がる。目の前のこのおっきいステージで。今日、ようやく伝説の第一歩が始まったんだ………

 

 

~ ~ ~ ~ ~

 

 

「さぁクリックオブファーストフェスのフィナーレッ!!数々のグループから優勝グループを決めるぞ!!さぁ審査員の皆さん。どうぞッ!!」

 

「ちょっといいか?」

 

「はいッはいッ皇帝。何でしょうか?」

 

「そこのグループ。うち来ねぇか?」

 

皇帝が私たちの辺りを指さす。

 

「おっとッッ!ここで掟破りのヘッドハンティングだァ!!」

 

「そんな掟なんて無かっただろうが。いきなり呼ばれたんだ。これぐらい良いだろ?」

 

「はい問題無いですね!皇帝に勝てる者が居るなら聞いてみたいです!!それで右から何番目のグループですか?」

 

「一番しかないだろう?」

 

「キャァァァッァ聞いてしまった。番号指定。さっさっ指定された番号の人はこちらに!!」

 

私たちだどうしよう?どうしよう!どうs痛い!!カホが太ももをつねってきた。恨むぞぉ!!

 

横を見るとハユもカホのことを睨んでいた。よし一緒に復讐するぞ!!

 

「さぁ行くわよ。」

 

カホが超小声でそう言った。

 

そうだった……生きて帰れるかな?

 

三人はステージ中央に行き、皇帝と向き合う。

 

「で?答えは?」

 

「よろしくお願いします。」

 

「決まったぁ!ヘッドハンティングゥ!!新たな星の出現に観客も歓声がやまない!!というかさっきから止っていないぞ!!息に気をつけて歓声をしてください!」

 

 

「それで皇帝の投票は?」

 

「この状況見てもわからないのか?」

 

「よし。決まった。他の審査員はどうだぁ?…………決まったァァ満場一致!これは三年ぶりの満場一致だぁ!!今宵のフェスの優勝者にッ!さらに盛大な歓声を!!」

 

 

~ ~ ~ ~ ~

 

 

「ちなみにそれは何でなんだ?」

 

場所は変わってなんかごつい部屋。私は帝王と契約書を交わしていた。

 

「それってなんですか?」

 

「グループ名だよ。グループ名。」

 

「それはこのフェスに挑戦しようと思ったきっかけの人から取りました。」

 

「なぜそうなる?」

 

「その人が沢山お布施してくれたからですね。」

 

「ふーん。もういいぞ。後はこっちでやる。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

そう言ってホユと言われる少女は部屋を出る。

 

「ブラック・ディーモン・ホーン……黒い鬼角。いったい何がしたいのだか……」

 

皇帝は窓から見える雲に隠れた月を見てそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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この5日ぐらい執筆をするどころかサイトすら開いていなかったわ。

だから何って話ですね。すみません。


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3/4 嘆く海の雪辱 主side

スマホそれは現代で生活必需品でもある電子機械だ。皆は疑問に思ったことは無いか?なぜこんな小さな箱からあれほどの音が溢れるのか……私には分らなかった。画面が変わるのは光る媒体が信号を受け取り画面が変わるのは予想できた。だが音がわからない。レコードの知識はある。ピアノもわかる。でもわからなかった。

つまりだ。何が言いたいかというと

 

ならばよろしいggrks

 

この言葉は素晴らしい。これだけ知っていればたとえ異国の地であろうと生きていける。

 

ごちゃごちゃと申したが何が言いたいと言うと……インターネットは素晴らしいぃ

 

……ではなく俺にはスピーカーの知識があるぜッ。

 

そして完成。デラックススピーカーネオ。

 

高さ1m。横長さ3m。奥行き1m。それぞれ横に高さ2m、奥行き1m、横長さ50cm。の凹型だ。もちろん中央には細かい操作が出来そーな小細工(キーボード)をやっておきました。これで気分はDJ。

 

振動させるの辛かった………辛かった……その代わりにアーツの柔らかく出来たぜッッッ!!ヒャァァァァァァァ

 

色は出来なかったけど柔らかくは出来た。これは多大なる進歩である。これで触手モンスター作れます。やったね!ぐへへ、、勝ち申した。

 

後液体化も出来なかった。解せぬ。絶対出来るようになる。待ってろ絶対体に絡みついて取れない無敵のスライム君を作って痛い!!痛いよ!!ポン助、、許してッ!スライムは君だけで良いから!!君以外にあり得ないから!!引っ張らないで!!

 

ふぅーーまったくやんちゃな子だ……手が掛かるほど可愛らしいってやつか………

 

あ、ちなみに機械音を出すことが出来ました。50音からエセイングリッシュにピアノバイオリンetc。練習した。楽譜とかわからないけど感覚で何とか出来た。これはタイピングより難しくて音ゲーより難しくて死にゲー完全クリア耐久より難しかった。累計16回太陽が沈んで月も15回沈んだ。ちなみにデラックススピーカーネオを作るのに42日かかったよ!涙と汗と精神と理性と塩と潮と日差しの結晶だね。

 

微調整の塊だった。マジクソゲー二度とやらん。というか脳裏に焼き付けた。次からは2時間で作れます。

そして今は朝だ。始まりの朝だ。神は言っている。今、やれ。と。なので今日やります。今日ライブします!さっ場所を探しに行きましょう。中心地区より遠いいけど遠すぎない良い場所を探しに行っきまーす!

 

海風が頬にキスをする。これは勝利の女神様の接吻だ。シュヴェルは自信満々にデラックススピーカーネオをその背に背負い街へ歩を進める。

 

 

 

 

 

はいはいはいはーーーい!迷いました。変な目で見られるから逃げるように歩いてたら迷った。もう夕方だよ!

いや~~やっぱり変な目で見られましたね。黒フードが背中に身長の3倍以上の物を背負ってさまよい歩いてたら警戒されますよね。このデラックススピーカーネオ邪魔。道の八割を邪魔してるから途中から縦に背負い歩き始めました。気づくの遅すぎぃ。これで3mの巨人になれました。キモい………ウッホ良い場所。

 

シュヴェルは道を歩いていたら横に、街を抜け森が目の前にあった。その森のすぐ目の前には光のカーテンがあった。夕日が光り輝いている。その光のカーテンの中には木々が生えておらず、草だけが生い茂っていた。そこに一つ。ポツンと切り株が存在していた。

 

ここで神聖なサビアニソンメドレーを……いいぞぉ……やるしかない。でも夕方なんだよなぁ。明日やろう。夜の演奏は迷惑。許されない行為です。ここをマーキングしてさっ帰りましょう。

 

 

 

 

 

俺は帰ってきたぞ。さぁ太陽は真上。燦々と輝く太陽。そよ風のように吹き込む海風。いいじゃん。

 

シュヴェルは背負っていたデラックススピーカーネオを優しく草原の上に置き、たった一つだけある切り株に座り込む。その切り株は丁度良い大きさでデラックススピーカーネオが丁度腰の辺りにあった。そしてアーツを起動して、両手をキーボードの上に添える。

 

始まりのリズム。ゆっくりと一音一音確かめるように音を鳴らす。

六兆年の一夜。この曲は俺が初めて知ったボカロであり人生を変えたと言っても過言ではない曲だ。そんな曲をこの初ライブの最初の曲に選んだ。おそらく誰一人として聞いていない。だがそれでいい。ゆっくりと懐かしむように、そして楽しみながら歌詞を口ずさんむ。

 

ちなみにこのキーボードに意味は無いです。歌詞を高速でタイピングしているだけです。伴奏は適当かな。

 

俺は記憶力が無い。それは興味が無いことに関しては、であるけれども。例えば声優さんとか曲のタイトル、人の名前であったり色々だ。そしてそれは曲にも適応される。これは自慢だが俺が始まりから最後までの歌詞を覚えている曲は存在しない。必ずどこかが欠落している。

 

俺はそれを個性だと思っている。なぜなら毎回その曲を新しい気分で聴くことが出来るからだ。そして今回もその個性が生かされる。その欠落している部分を他の名曲の覚えている歌詞とリズムに繋げて無限に演奏が出来る。俺は無駄に多くの曲を聞いているからね。

 

俺に在庫切れの4文字は無い。まぁ同じフレーズでも覚えていなかったらセーフだよセーフ。

 

 

 

 

チュルリダチュルリダダッダ夕日だ。

 

それは最高に気分が乗るサビの部分で顔を上げた時だった。いつの間にかオレンジ色の空になっていた。好きなことに全力になるっていいね。だが唯一の欠点が時間が分らなくなることだよなぁ。久しぶりのタイピング過ぎてめっちゃ楽しかったわ。カラオケも本当に久しぶりだし、最後に行ったのっていつだったけ?まあいいか。そろそろ終わろうか。

 

シュヴェルは上げた顔を勢いよく落とす。アウトロは六兆年の一夜の終わりを。同じ曲で始まって終わる。これ好きなんだよね。

 

 

 

パチッパチッパチッ

 

 

シュヴェルが曲を終わらせしばらくライブの余波を堪能していた頃だった。そこにたった一つの大きくも小さくも無い拍手が静かな森の中に鳴り響いた。

 

誰だ?とシュヴェルが視線を向けると街の方面にスーツを着たおじさん、いやおじさまが居た。

 

なんだこのヘラおじ見たいなイケメン系おじさん。汁おじか?どっちでもいいや。とにかくこの世界のイケオジはやばい可能性が高いので警戒する必要がありますね。何が目的じゃ?…………

 

 

だがその警戒は杞憂で終わる。目の前のイケオジは何も言うこと無く満足げな顔をした後踵を返し、待ちに帰って行った。

 

……謎の会合。その顔に潜むのは僅かな笑み。言葉に無くても通じ合う心。次回我らが師匠……いいぞぉぉ(公開予定無し)これからなんかイベントあるかな?ワクワク

 

面倒くさいイベントを乗り越えたら良いイベントがあるのが当然である。つまりこのイベントは何かしら良いイベントである可能性がある!これが胸糞ゲーでなければ……(ボソッ

 

はっは!いいじゃん。また明日やろう!………お布施は?なんのためにやったのか?………収入無いって事理解していないのか?明日からこの場所は出禁です。

 

なんかさぁ……このヒゲオジとの良い出会いを穢したくない。このままライブを続けて人が集まりだした頃にまたイケオジがきて残念な顔をされると精神的にくる。なのでこの場所はダメです。またイケオジがくる可能性があるからです………俺も観光したい…水着でビーチで遊びたい…友達居なかったわ。ボッチ……うっどうやって現地の人と仲良くなれば良いんだ。

 

ライブ仲間なら作れるかな?……よし次回から中心地区でライブするぞ。我がリア充道のために……

 

 

やっている曲がマイナーじゃなかったけ?馬鹿にされて終わりなのでは?………終わった。色々と終わった。いや可能性が少しでもあるならやってみても……もしもダメだったら中心地区を離れたら……負け犬。この犬ゥ。

 

もういい明日考える。今日はもう寝る。ばいばいちゃっちゃ

 

シュヴェルはデラックススピーカーネオを背負い森を抜けいつもの海岸の崖下に戻って岩の隙間で寝るのだった。

 

 

 

 

 

 

 




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3/5 嘆く海の雪辱 主side

おっはーー。いやこんにちわーーだわ。

 

シュヴェルが意識を覚醒させて第一に日差しを認識した。太陽はすでに上空にあった。

 

早く起きなくて良い日常。これだけで最高の人生かもしれない。ストレスフリー。せっかくなので背伸びもしておきましょうか。

 

シュヴェルが両手を空に向け背筋を伸ばす。その時ポン助が何かを訴えかけるように髪を引っ張ってきた。

 

どうしたポン助?飯か?

 

いつものようにご飯をポン助に与える。それをしっかりと丸呑みにする。いずれご飯を与えても食べなくなった。それでもポン助は髪を引っ張り続ける。ポン助が引っ張り続けている方向には昨日行った街があった。

 

街に行けと?しょうが無いね。散歩しようか。

 

シュヴェルは立ち上がり崖を駆け上ろうとしてジャンプする。がポン助が今までより強く引っ張ったためにジャンプが出来ず。壁に激突しそうになった。ギリギリのところで受け身が取れたが衝撃により手がジンジンする。

 

ポ ン 助 ?喧嘩売ってる?それとも遊びたいの?リアル大乱闘スラッシュブラザーズする?容赦しないよ?

 

シュヴェルがフードの中にいるポン助に向けて視線を向ける。ポン助はそんなこと気にしないと今度は海の方に向けて髪を引っ張る。

 

本当にどうしたの?ポン助?頭おかしくなった?おかしくなる程の知性は無かったはずだけど……デラックススピーカーネオ?

 

ポン助が髪を引っ張り続けていた方向の岩場には昨日放りなげたデラックススピーカーネオが無残にも放置されていた。特に外見に異変はない。

シュヴェルがデラックススピーカーネオの目の前に行くとポン助は二回、それだ。と言わんばかりに規則正しく髪を引っ張った。

 

さらにデラックススピーカーネオを背負うとポン助はまた規則正しく二回引っ張った。

 

了解。ライブ行きます。でも場所どうしようかな……ポン助?

 

ポン助が髪を一方向に、街の方向にずっと引っ張り続ける。

 

ポン助?もしかして場所を選んでくれるのか?よし!なう゛ぃを頼んだぜぇ~~ポン助!

 

シュヴェルは駆け出す。そしてポン助が選んだ毎回別の場所でライブを五日ほどした。人も集まりだし。二十人とはいかなくても十五人ぐらいは集まるようになった。その中ではいつも来てくれる客も出来はじめていた。だが問題が一つある。

それはライブをした全ての場所であのイケオジがライブを終わらせる前に必ずいたことだ。

 

 

イケオジはエスパータイプだろ。絶対。裏で俺のこと絶対笑ってやがる。俺の奥深く、マリアナ海溝より深く眠る日本人のお人好しにたかりに来てる。

もうヤケクソになるか?イケオジ関係なしにお布施貰いに行くか?このままライブをするだけの人生で良いのか?よし。俺は出来る人間だ。俺はやれば出来る。よし。よし!ポン助!今日のナビを頼む!

 

やっぱりポン助は頼りにならない。

 

場所は変わってビーチ横の道。今日は珍しく遠回りをすると思ったら。ビーチ横を通ることになった。このナビは非人道的だ。こんな残酷なことが許され良いのだろうか?いや許されない。喉が渇いてしょうが無い少年を縛り付けその前で、成金がプールの中でジュースを飲んでいるような物だ。

 

ポン助?なにか言い訳があるなら聞くぞ?俺はお前と違って人道的かつ道徳的だからよ。さぁ吐け。

 

ポン助はぷるぷると体を大きく震わせた。

 

許す。こんな可愛い生き物がそんな非人道的かつ非道徳的。凄惨で人権無視、人倫に反する非情で苛酷な悪魔のような恐怖による支配を植え付け容赦のない人の道にそむく鬼畜の所業を、後生の悪いやり方を、人として恥ずべき行いをするわけないだろ!!いい加減にしろ!!

 

あっあれは!?

 

ビーチ横の道を歩いている。さらに横にそれはあった。

 

健やかなのどごし。フルーティーで濃厚な味わいを。お値段たったの三百幣。マインゴー

 

マインゴー。聞いたことの無い名前だが露店だからわかる。あれは飲み物だ。それもビーチ横とかいう激戦区。そのお安いお値段は量産型の証拠でもあるが、あの人の列は味の証拠だ。

 

そっと俺もその列の最後尾に並ぶ。

 

三百幣。これを使ったらセイロン様から貰ったお小遣いがついに二桁に入る。このきりの良さは天命のように思える。そしてこれは覚悟の証明にも思える。今日お布施を貰うという覚悟の…後戻りを断つ行動だ。だからこれ飲むべきなのです。決して喉が渇いたなどという欲望ではない。それは勘違いだ。目の前に沢山居るリア充なり恋人に対する殺意が錯覚を起こしたのだ。リア充の集団の中に小汚い餓鬼がいるぞという視線のせいでもあるぞ。

 

それされるだけで欲望がへこむんだが?まじ辞めて欲しい……

 

 

* * * * *

 

異質に見えた。

 

ここはビーチの端だ。後ろには道路があるビッグロードと言われる露店の運命の場所さ。人が集まるビーチに面している道だからね。この場所を手に入れるのは大変だったよ。金がかかるわかかるわ。ちょっと借金もしちゃったし。

そんな中で学者の賢い友達の提案でお手軽なジュースを売っているんだよ。最初はさらに赤字を重ねると思ったんだがね。大黒字でね!もう儲かるわ儲かるわ万々歳だよ!!ほんと友達様々さ!他にお手軽な物を売っている店がいないもんでね。面白いぐらい客が集まったよ。

 

今ではそれなりにお手軽な物を売る店が増えたけど、それでも実績と信頼と味でこの辺りのトップを総ナメしていったさ。

 

そんでもって話は戻るけどここビーチの端。人が観光客が集まる場所さ。その中でこんな熱いのに全身黒フードの子供が列に並んでるから驚いたよ。珍しいなんて物じゃ無いからね。

あんなに視線にさらされて……肩身狭くなってるよ……。

 

で、ついに目の前にその子供が来たんだ。

 

「客さん。注文は?」

 

「マインゴー…一つ。」

 

子供がしおれたお金を差し出したんだ。そのしおれ方は長い間海風にさらされた物だね。きっちり三百弊。

 

「はいよ。待ちな。」

 

手早くマインゴーを作って差し出す。そこで思っていたより子供の小ささに驚いたね。昔は結構子供に囲まれて遊んだっけな…

 

「ほら。マインゴーだよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

目の前の子供はそのマインゴーをフードの中に仕舞うと小走りで離れようとした。

 

「ちょっと待ちな。」

 

目の前の子供がビクッとする。そして恐る恐る振り返る。

 

「こっち来な。」

 

手招きをしてこっちに来るように催促する。

 

「な、何でしょうか…?」

 

「サービスだよ。」

 

「こッ?これ?」

 

もう一つのマインゴーを押しつけるように目の前の子供に渡した。

 

「いえ…お「サービスっていったぞ?さっ気をつけて帰るんだよ。」…はい。」

 

目の前の子供は軽く会釈をするように頭を下げると町の方へ消えていった。

 

「…たまには良いことをやってみるもんだね……」

 

「待たせたね。さあ注文はなんだい?」

 

その後。店主は一日中満足げな顔をしていた。仕事終わりに一緒に学者の賢い友達と晩ご飯を食べたがそれを指摘した。そこにはまるで親馬鹿な話をするような人がいた。そしてその賢い友達も笑みを浮かべたのだった。

 

* * * * *

 

 

「客さん。注文は?」

 

ついに長い列が流れるに流れて俺の番。だがその頃には意気消沈していた。視線辛い……引きこもりたい。

 

「マインゴー…一つ。」

 

事前に用意していた三百弊を差し出す。受付台?が高くて背伸びをしてやっとお金を渡せたよ。身長が小さいって不便なのね……

 

「はいよ。待ちな。」

 

店主は手早くマインゴーを作る。そこには熟練のプロの技が見えた。よくわからないけどそう思った。

 

「ほら。マインゴーだよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

店主がわざわざ前屈みになってマインゴーを渡してくれた。助かる。それを受け取りフードの中に入れる。もちろんその置く場所は用意してあるぜ~~。源石産最強説を提唱します。

そしてシュヴェルは後ろの視線から逃げるように町の方に消えようとした。だがそれは叶わなかった。

 

「ちょっと待ちな。」

 

後ろの店主が静止の声を上げた。な、なにか不手際でも…?

 

「こっち来な。」

 

店主が手招きをしてこっちに来るように催促する。

 

「な、何でしょうか…?」

 

お金の問題ですか?やっべもう金ないぞ。逃げるか?そうだ今さら指名手配された程度でどうこうなると思うなよ!ライブ出来ないじゃん。終わった。俺はこれからいったい何をして生きていけばいいのだ?

 

「サービスだよ。」

 

「こッ?これ?」

 

店主はもう一度前屈みになる。その手には一つのマインゴーがあった。そしてそれを押しつけるよう渡してきた。

 

「いえ…お「サービスっていったぞ?さっ気をつけて帰るんだよ。」…はい。」

 

優しい世界で野菜生活。果物生活か。好意は受け取る物。そして好意で返す物。待ってて。絶対この利益分はマインゴー買うから。

 

シュヴェルはより一層お布施を貰うことを決意し、街の中に消えていった。途中その貰ったマインゴーを飲む。

 

マンゴーじゃん。いや名前で何となく分っていたけども……分っていたけども……なんだろ…この気持ち。

ん?ポン助?

 

ポン助が連続して髪を引っ張る。シュヴェルは一つの仮説を立てると裏道に隠れるように走った。裏道につき、止るとポン助が地面に降りた。そこにマインゴーを地面に置くとポン助はそのマインゴーを飲み込んだ。

 

…容器も食べたんですがそれは……ごみがなくなった!地球に優しい!!さっすがポン助!!!

 

ポン助はジャンプしてフードの中に戻る。そしてまたナビをする。ポン助はベトベトしていなかった。液体吸収能力?水チェン完封できたりしますか?

 

その疑問に答えてくれる存在は居なかった。

 

 

 

 




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落ちがない……ないよ……一応続くから許してクレメンス。

明日も投稿することを祈っておいてくださいな。


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3/6 嘆く海の雪辱 主side

ポン助に導かれるままに歩いた。そしてたどり着いた。今回は今までより比較的中央区に近い横道だった。すでに人通りが多い。だがポン助の言うことは絶対。視線を感じながらデラックススピーカーネオを置いてすぐ側にある樽をわざわざ持ってきてその上に座る。

 

ゲリラライブは持ち主が返却を申請する場合以外は立ち退かない。これ常識。

やっぱり身長大切だわ。デラックススピーカーネオを高く作りすぎたね。でも横に伸ばすと道を占領するし……気にするだけ意味ないね。もういいよ。我々よ自己中になれ……

 

今回はイケオジが最初から居るんですが?やっぱりエスパータイプだな。最後に俺の心を試しに来たな……負けないぞ?俺はお布施を今日貰うんだ。絶対に。

 

 

シュヴェルはその思いをぶつけるように最初からクライマックスでライブしていったのだった。人が足を止めシュヴェルを中心とした塊ができはじめた頃だった。その塊を押しのけるように一つの団子と二つの筋肉団子がシュヴェルに近づく。

 

「ちょっと良いかな?」

 

誰だてめぇ。スーツに着られている感溢れるデブが。失せろ。何か文句があるなら警備隊にでも言っとけ。この辺りに住んでいて迷惑だとクレームを入れに来たなら要件だけさっさと言え。

 

「話を聞け。」

 

ドンッ。

 

シュヴェルは声をかけられてもライブを続けた。それが団子の怒りに触れたのだろうか。団子はシュヴェルの頭を軽く押す。いきなりのことでシュヴェルは対応できずその勢いに流され後ろに仰け反る。そしてタイピングをしていた手を止めて、音を止めた。まるで見下すようにフードのギリギリから目線だけは団子の方を見ていた。

周りに居る観客達は何だ?と疑問の顔を浮かべていた。

 

「なんだ?」

 

この世界ではいきなり頭を叩くことが礼儀なのか?あ?ブチ転がして溶岩ダイブさせるぞ。

 

「スカウトしに「断る。」…」

 

シュヴェルは全てを言う前に断った。

 

判断の余地なし。外見、言動、行動全てが気に入らん。たとえ大企業であっても断る。それ以前にこれは前世の神曲のパクりである。これで食っていくつもりはないぞ?

 

「でもこちらにも考えがありますぞ。」

 

後ろに控えていた筋肉団子がシュヴェルの左右に移動した。

 

「見たところその楽器は珍しい物ですね。これが壊れてしまうと困るのでは?」

 

計画犯罪。ギルティ。こんな奴が許される音楽業界糞か?裏でオハナシするならギリわかるけど人がいる前で堂々と脅してくるなんて……最低ね。ぶち切れた。俺は理性で動くより感情で動くタイプだぞ。

 

「何度も言わせるな。断る。」

 

バッァン

 

シュヴェルは突如として腕を振り上げ振り下ろす。その腕はデラックススピーカーネオの中央を捉え、見事に凹型から凸型に変形させた。さらにシュヴェルは観客類に反応させる前に立ち上がり足を九十度。振り上げ振り下ろす。その勢いは先ほどの腕よりも早い。その足も見事に中央を捉えて凸型を一型に、ぺっしゃんこにしたのだった。

 

つまり俺は取り扱い注意って奴だ。残念だがこの程度二時間もあれば作れますけど?脳裏に焼き付けたからね。あっ部品回収されてパクられる可能性がある。だが突然消えるのは変だ。正直俺の力では紙切れみたいに薄く出来ない。どっかのパーツが無事である可能性がある。この際無理矢理でも良いから何かしらの理由を付けて……ふっ答えは常に胸の中にある。

 

シュヴェルは観客の悲鳴と団子三兄弟の呆気ない顔を無視して手を懐に忍ばせる。そして源石でコーティングして黒い容器になったマインゴーを取り出し、亡骸に等しいデラックススピーカーネオにかける。

まるで墓に酒をかけるように、ひと思いに容器をひっくり返しデラックススピーカーネオにぶちまけて容器をフードの中に仕舞う。

心の中でデラックススピーカーネオをお別れをしてデラックススピーカーネオを、源石の塊を消し去った。

淡黒い光に包まれオレンジ色の光沢を醸しながら消えていったのだった。

 

さようならデラックススピーカーネオ…トラウマの塊よ…短い間だったけど楽しかったぜ……ちなみにマインゴーは地面に触れる前にアーツで集めて容器の中に仕舞いました。重力に逆らって液体を操る……これはアーツも液体化可能フラグですか?そうですよね。絶対そうです………無理でした。はよ、液体化はよ。

 

「キッ貴様ッッ!ギャレ!!」

 

団子がシュヴェルののすぐ側に居る筋肉団子に指示を出した。指示をされた筋肉団子は一斉にアッパーをする。片足を踏み込んで放つ角度90の直角アッパーだった。

 

初手アッパーとかこいつら正真正銘の脳筋じゃん。だが好都合。このまま上に吹き飛ばされる事により俺は自然敵に屋根へ逃げることが出来る。そこからはハンター0人の逃走中ですよ。さらにアーツを使わずないときた。これで警備隊のお兄さんにお世話になることはないね。最高。

 

筋肉団子の拳が当たる。そして真上に吹き飛ばされる。一回転。僅かに上昇力が足らないのでアーツで後押しして完璧!屋根に着地コースですよ!

未来を予想し、慢心をして目を閉じた。その顔は満面の笑みだ。

 

だが空に打ち上げられているシュヴェル。打ち上げ花火は爆発して綺麗に散るか汚く散るか、不発でそのまま落下するか横から見るか。シュヴェルは幸運か不幸なことに、いや多分幸運なことではあるんだろう。横から一つの影が空に打上げられているシュヴェルを横切った。

気がついた時にはシュヴェルはイケオジの腕の中に居た。

 

ふぁ!?なんでお前の上での中に居るんだよ??まさかこの高さを純粋な脚力だけで飛んだとでも言うの

 

「大丈夫か?」

 

フゥッ!イケボダメェ。目を閉じたままでいて良かった。多分目がハートになってると思う。こんなの見られたらっもうお嫁に行けないっ。お嫁に貰って貰わなきゃ。

 

イケオジはまだ目を閉じているシュヴェルを静かに地面に寝かせる。周りから歓声とブーイングが舞うがそんなこと関係なしと団子三兄弟を見据える。

 

 

そしてシュヴェルは静かにその場から離れた。次のアクションを起こさせる前にその場から離れた。辺りの人の視線はイケオジと団子三兄弟に釘付けなので誰にもばれること無く街から離れることが出来た。

 

 

いや~~これからなんかおいしそうなイベント起きそうだけど面倒くさいイベントの可能性が大なので逃げます。これまでで一番かつ唯一の良いイベントはマインゴーのお姉さんのサービスだよ?もう面倒ごとは嫌なのじゃ。

そして俺はあの海辺でデラックススピーカーネオカスタムを作るんだ。

 

シュヴェルは頑張ってデラックススピーカーネオの軽量化を図ったが無理だった。そして無駄に時間を過ごした後大人しくデラックススピーカーネオを作ったのだった。

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

祈りは通りませんでした。

さすがに三回目のワクチン君は副反応が出ました。

筋肉痛痛かったです。


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3/7 嘆く海の雪辱 旦那様side

「旦那様失礼します。」

 

一人のメイドが屋敷の奥にある執務室に入室しようとしていた。その大きなフェリーンの耳は中から聞こえる小さな返事を聞き逃さなかった。

 

メイドが中に入ると旦那様は視線を一瞬こちらに向け、机にすぐに戻した。

 

「旦那様。お仕事は順調でしょうか?」

 

「ああもう終わらせたよ。フィルサこれを運んでおいてくれ。」

 

旦那様と呼ばれた男は最後の紙を一枚、左にある別の机の上にある紙の束の上に重ねる。

 

「かしこまりました。お飲み物はいかがなさいますか?」

 

「今日は久しぶりに散策に行くから必要ない。妻達に遅くなると伝えておいてくれ。」

 

「かしこまりました。」

 

フィルサは一礼する。そして旦那様と言われた男は外出の準備を素早く終わらせ屋敷をたった一人で出て行った。

 

旦那様と言われた男は定期的にこの散策を行っている。その散策の主な目的は野外でライブを行っている新人達の発掘。新人。それは熟練のプロとは違い、未熟なところもある。だがそれがいい。いずれその新人がプロになったときに、その新人時代に聞いた音楽を思い出して成長を感じる事が彼が今最も楽しみにしている事だ。

 

そんな彼が今宵も新人発掘という無限の旅路にいま出かけようとしていた。

 

 

半刻ほどたった頃彼はようやく異変に気づいた。

 

ライブの音がしない……

 

彼はカレンダーを思い出し今日は何かイベントがあったのか?と思ったが特になんの変哲も無い平日だった。なのにゲリラライブが無い。街に響くのは定期的に同じ音を流す音楽だけだった。

 

珍しいこともあった物だな……

 

この経験は過去に二回だけあった。彼にとっては珍しいことが起きたその程度の認識だった。さらに小半刻歩いたがやはりライブの音は聞こえなかった。その途中すれ違う街人の顔にそんな疑問を持った顔をする人は居なかったことに、自分だけが気づいているのではいないのか?という満足感を得ていた。

 

日が暮れそうだ。もう帰ろうか。

 

そう思った時だった。不思議なリズムが今まで聞いたことの無いリズムが街の外。森の方から聞こえてきたのだった。

街から底まで遠い居場所では無いと音から距離を求めだし、最後にここだけ覗きに行こうと思い森へと歩を進めた。

 

近づく程リズムが大きくなる。その大きくなるリズムに集中していたらいつの間にか街を抜けたと思ったら森をも抜けていた。

時刻はすでに十八時を超え、一日に一度だけ姿を現すオレンジ色の日が見えていた。そんなオレンジ色の日の光は木林森に邪魔される事無く、この空間に降り注いでいた。その空間の中央には一つの黒いフードが黒いDJセットにしては大きすぎる箱の楽器を弾いていたのだった。

その幻想的な情景に合わないはずのハイテンポの音がリズムを刻み込んでいた。不思議なことにそのリズムは不快や違和感などの存在を見せもしなかった。

 

息をする。その当たり前の事実すら忘れ去り、目の前のリズムに集中していた。

 

いきなり黒いフードが顔を空に向ける。リズムはさらに速く、重くなっていく。その隙間から黒い大きな角が見えた。だがそれを思う前に顔が地面に落ちる。

落とすモーションに合わせ音がスタッカートになり、終わった。

 

余韻は無かった。それが独特なリズムだからだろうか。そのリズムが頭に残っているのに頭はしっかりと冴えていた。

 

 

パチッパチッパチッ

 

 

彼は拍手をした。頭が冴えていても声を出すことはためらった。黒いフードがこちらを見る。だが何も言わない。この空間には彼の拍手しか響いていなかった。

 

しばらく経っても何も起きないので彼は静かに後ろを向いて街に戻る。だが街に戻ってもそリズムが頭から離れることが無かった。だがそれだけしか考えられないという訳では無い。

この感覚は昔、初めてプロのライブを目の前で体験した時以来だった。

 

彼は帰路を急ぐ。その顔にはまるでスキップをしてしまいそうなほどの笑みだった。

 

 

屋敷に帰り夕食を食べる。そんな中で妻に「どうかしましたか?いつも以上に良い笑顔ですが?」と聞かれた。

未だにあのリズムが頭に残っていることに驚きつつ「久しぶりに最高の新人を見つけたんだ。」と笑みのまま返したのだった。娘が「またそんなことを言って本当に最高なんですか。」と言われてしまた。

「今回こそは本当に最高なんだ。今までの音楽とは全然違う。」と熱説したがまったく相手にされなかった。妻も娘もそこまで音楽に熱狂的な訳ではないのでしょうがないと思いつつ、いつかここに呼んで聞かせてあげたいと思ったのだった。

 

 

* * * * *

 

次の日。それは朝食を終えた旦那様に今日のお仕事を持って行くためにフェルサが書類を手に旦那様の部屋を訪れた時だった。

 

コンッコンッ

 

「失礼します。…失礼します。」

 

フェルサはいつも聞こえるはずの小さな返事を今日は聞くことが出来なかった。もしかしたらうたた寝をしているのでは?と思ったので確認のために少し大きな声を出しながらゆっくりと扉を開けた。

 

「旦那様!?」

 

フェルサは珍しく素っ頓狂な声を上げた。なぜならば中に居る旦那様はすでに外出の準備を終え、鞄を持っていたからだ。

フェルサは過去の自分を憎む。今日は面会や外出をする予定を覚えていないが為に何も外出の準備をしていなかったからだ。フェルサは急いで頭を下げる。

 

「申し訳ございません!!旦那様!今から外出の用意をして参ります!!」

 

フェリサは手に持つ書類をすぐ側の小机に丁寧に置き、急いで振り返りながら扉の取っ手に手をかける。そこに焦った旦那様がフェリサのもう片方の手を握る。

 

「大丈夫だ。待ってっくれ。」

 

「あっ…はい…どうかされましたか?」

 

フェリサは一度冷静になり開けた扉を閉め直し、旦那様に向き合う。

 

「まず。今日は外出の仕事はない。今日も散策に行きたいんだ。昼はいらない。夜は遅くなるのか分らないから勝手に食べるように妻達に言ってくれ。」

 

「え?はい。かしこまりました。」

 

「たのむぞ。」

 

旦那様は鞄を取りに行き、フェルサの横を通って屋敷の外を目指す。フェルサはしばらくの間、その場で放心していた。

旦那様は今散策と言った。目の前に書類が…仕事があるというのにしないと言ったのだ。それより問題なのは目的を聞いていなかった事だ。今日は誰かの誕生日では無かったはずだ…何かCDの発売日…わからない。そんな記憶はない。そして今になってどうやって説明したらいいか分からず右往左往した後、大人しく報告することを決めたのだった。

 

そしてそこで昨日夕食で良い新人を見つけた事を自慢していたのを聞き、納得したのだった。

 

 

* * * * *

 

 

「よし…」

 

つい喜びの声が漏れてしまった。

それは昼をいただいて店を出た後しばらく歩いた頃にあの聞き覚えの無い独特なリズムのライブの音が聞こえたからだ。すぐさま旦那様はそのライブの音へ向かい。ライブを堪能した。

今日はちゃんと私以外にも客がいて密かに{有名になり始めてるぞ}と喜んだのだった。

 

ちなみに夜は一人で空が見えるレストランでいただいたのだった。

 

 

次の日。

 

「旦那様??」

 

昨日に続き今日もフェルサの素っ頓狂な声が響く。それもそのはず。今日の旦那様は朝食を終えた後すぐに戻った。フェルサは昨日の仕事を素早く取り返す為だと思っていた。

 

だが旦那様はすでに外出の準備を終わっており、執務室に続く廊下で見つけたのだから。

 

「フェルサ!昨日と同じだ!それでは行ってくる。」

 

今日のフェルサは放心はしなかった。代わりに書類の枚数を一枚一枚内容を確認しながら数えてため息を吐いたのだった。

 

旦那様は探し回って四時頃にやっと目的の物を見つけたのだった。夕食は屋敷で家族と食べたのだった。

 

 

次の日。

 

「旦那様。」

 

「どうしたんだ?」

 

フェルサはいつもより朝食を早く食べた。そして沢山の書類を大きめのトレーで持って旦那様が中にいる執務室の扉を占領したのだった。

 

「今日は散策は禁止です。」

 

「なっなんでだ!いいじゃないか!早く提出しなければならない書類が無いこと位把握して居るぞ!!」

 

「仕事がたっぷりと貯まっております。今日も休めば取り返しの付かなくなります。今日は終わるまで監視させていただきます。もちろん終わらなければ私は食事を取りません。」

 

「……それは卑怯では?」

 

「別に一人の使用人が飢えるだけです。お構いなく。」

 

「はぁ……書類をくれ。」

 

旦那様は大人しく外出からラフな作業服に着替え机に向かう。その間フェルサは何やら書類を分別していた。

 

「それではこちらを。」

 

フェルサは書類の束の一つを全て旦那様の机に置いた。そしてもう一つの書類の束を談話スペースの机に持って行き腰をかける。

 

「……どういうことだ?」

 

「こちらは私がやっても問題無いものなのでお構いなく。」

 

「……なぜ手伝ってくれる?」

 

「早く終わらして貰わなければお昼ご飯が食べれないので、そんなことを聞く暇があるのなら手をサッサと動かしてください。」

 

「ふ、フハハハ、」

 

旦那様がいきなり魔王のような笑い声を上げた。それにフェルサは淡々と遇う。

 

「はいはい。いったいどうしましたか?」

 

「愛して居るぞォォフェルサァァア。」

 

旦那様は一思いの愛を叫ぶ。

 

「やめてください!!奥様に絞り取られてしまいます!!」

 

それにフェルサは怒りながら止める。その顔には恐怖が浮かんでいる。

 

「すまない……すまない……」

 

それに旦那様はただひたすら謝った。妻を怒らせることがどういうことか。それは誰よりも私たちがしっているこただった。

 

 

五時頃。

 

「終わったな………フゥ……」

 

「ええ。」

 

二人は椅子に倒れた。結局お昼を食べること無く書類に向き合ったのだった。

 

「こちらを。」

 

「それは?」

 

いつの間にかフェルサは立ち上がっていて、近づいてくる。その手には小さな小さな袋が三つと外出用の服があったのだった。

 

「今からでも間に合うのでは?と思っただけです。まぁ今日は疲れましたしその上の飴だけ取ってください。」

 

「いいや行くぞ!!」

 

旦那様は椅子から飛び上がり服を素早く着替え飴を口の中に放り込む。そして屋敷の外に出ようと執務室の扉に手をかける。

そこで突如として振り返る。そして

 

「フェルサ!最高に愛しているぞォォォォォォオ。」

 

そう叫び、走り去ってしまった。

 

フェルサはその場に立ち尽くす。そして談話スペースの椅子に倒れ込む。これから起きる出来事を考えながら次は絶対に甘やかさないと心に決めるのだった。

 

 

旦那様は奇跡的に二十分ほど聞いて帰ってきたようで大層喜んでいた。

 

………その日の夜は愛の叫びを聞かれていたようでフェルサは奥様にベットの上で飽きるまで頭を撫でられるのだった。旦那様はいくつか秘蔵のCDを奪われたようで泣きながらベットにうずくまっていた。

 

なおフェルサは先ほど決めた思いは一晩寝たら忘れていたのだった。

 

 

 

次の日…….etc

 

旦那様とフェルサは契約を交わした。

 

旦那様が飽きるまで書類を手伝う。・フェルサはその間給料倍分払う。(それは旦那様のポケットマネーから全額出る。つまり実質三倍、秘蔵のCDが奪われたから金欠なんだですって?はぁ…しょうが無いですね。二倍で許してあげます。金欠だからもっと下げるですって!!??それが許されるとでも……借金制度ならいいですよ。これが最後ですからね!これ以上配慮しませんよ!!{愛してるぞォォオフェルサァ}旦那様は自殺願望でもあるのですか!!?<ちょっとお話しましょうか。>({…はい。})

 

最終的に旦那様は持っているCDの半分が奥様に没収されフェルサは手伝った分お休みを貰ったのだった。(旦那様負担){むしろ増えたのでは?}<あら!そう思うなら早く飽きる努力をしてくださいね>{うぅ……金欠……}<そろそろ旅行にでも行きましょうか。>{もうそんな時期か…今回は何処がいいかな?シンプルにクルーザーで無人島へ行くか、ビーチを貸し切ってバーベキューか……何が良いと思う?……………

 

 

いつしかの日。

 

 

おッついにか!

 

 

旦那様は珍しく、そして初めてライブ開始前から黒角を見つけることができた。さらに裏道ではなく中央地区から近い横道を選んだことを大層喜んだ。

 

黒角がライブを始める。それに伴い観客がどんどんと増え続ける。今日は初めから素早い音で構成された。そのリズムに観客が魅了さていた。声一つ出さず静かに聞いていた。そういう私も他の音楽など耳に入らないほど集中していたのだった。

 

だがその夢心地は突如として破り去られる。

 

「どけ。道を空けろ。」

 

膨よかな体型の男に二人の護衛らしきスーツ姿が観客を割り通る。辺りの人に皆いい顔をした人はいない。

 

黒角にその三人は近づくと

 

「ちょっと良いかな?」

 

驚いたことに膨よかな体型の男はライブ中でありながら黒角に声をかけたのだった。それを黒角は無視した。

膨よかな体型の男は一瞬顔をしかめる。そして

 

 

「話を聞け。」

 

ドンッ。

 

膨よかな男は黒角の頭を押す。見た感じでは強い押し方ではない。だが黒角は大げさにのけぞり演奏を止め、膨よかな男へ視線を飛ばした。

 

周りの観客からは怒りと戸惑いが聞こえた。

 

 

「なんだ?」

 

 

初めて黒角の声を聞いた。そのたたずまいと同じで静かで冷静な性格を思い浮かべるような落ち着いた声だった。声のトーンがあがっている気がした。ぶち切れているのだろうか?彼はゲリラライブをしているというのに一度もお布施を貰う姿勢を見たことが無い。それはプライド故か、魂故かわからないが少なくとも軽い者では無いと感じ取っていた。

 

 

「スカウトしに「断る。」…」

 

納得はした。彼のライブは歴代の音楽とはまったく違う形式のものだ。そしてこの一週間聞いていたが同じリズムは一度だって聞いた覚えが無い。そんな黒角がフェスに出れば、賛否両論になるかもしれないがそれ相応の結果を見せてくれるのは火を見るより明らかだった。

 

黒角は先ほどより圧の効いた有無を言わせぬ声で食い気味に断った。

膨よかな男は顔色一つ変えずに次の行動に出る。

 

「でもこちらにも考えがありますぞ。」

 

膨よかな男の後ろに控えていたスーツが黒角の左右に移動した。

 

「見たところその楽器は珍しい物ですね。これが壊れてしまうと困るのでは?」

 

こんな行為を平然とやってのけると……いったい何処だ?

よく見ると胸に自らの所属を示すバッチが無かった。あれはルールを知らない新人か、ルールを守らない企業か。何にせよ喜ばしい行為では無かった。

旦那様は一歩足を踏み出し近づこうとする。だがそれは黒角の驚愕の行動によって止められた。

 

「何度も言わせるな。断る。」

 

バッァン

 

黒角はついに怒鳴り声を上げながら拳を振り上げる。そして目にとまらないスピードで拳が振り下ろされる。

 

「えッ?」

 

呆気ない声が出た。自分でわかった。だって拳は二人の護衛のどちらに当たるのではなく、その珍しい楽器に当たった、いや攻撃したのだから。

 

拳が振り下ろされる。それだけで珍しい楽器がゴギィッとエグい音を出しながら形が変形する。そして隙を与えぬ二段構え。気がついた時には足は振り上げられていた。それも一切の変動なく珍しい楽器を直撃する。そしてその珍しい楽器はスクラップとなった。

 

「キャァァァァァ!」

 

旦那様が姦しい声をあげる。それは旦那様だけではなく辺りからも悲鳴があがる。

楽器まで詳しいわけでは無いがある程度は調べた。何処にも無く、見たこともない形。DJセットのようであり優に二mを超える大きさで。そして全身が黒よりも赤黒い。そして今まで出してきた音の数を全てその珍しい楽器一つで出してきた。その珍しい楽器がそこら辺で売られているような安物ではなく、プロが使うようなオーダーメイドのようなものだと思った。

 

な、なんてことを。いったいどれほどの価値があの楽器にあると思って……そんな楽器を容赦なく壊した…?

 

旦那様にはあの黒角がつい、怒りに身を任せながら壊したようには見えなかった。それは今まで少なからずも持ってしまった信頼によるものか。あの黒角が何を思ったのかはわからない。この場を対処するために苦肉の策か、あの膨よかな男の思い通りにしないためか。何であれ尊敬に当たる人物だと思った。

 

辺りの悲鳴を気にせず思考の海に沈みかけていたが、旦那様は見逃さなかった。

黒角が懐に手を入れて黒い容器を取り出した。その中のオレンジ色の液体をスクラップにかけた。

するとスクラップは淡黒い光を纏いながらオレンジ色の光を出す。そして消えていったのだった。

 

旦那様は今まで以上に冴えわたった。邪魔な記憶と音を消し去り、目の前のことだけに集中する。

黒角は何かオレンジ色の液体をスクラップにかけた。そして消え去った。跡形も無く。その存在を記憶だけの物にした。そのスクラップがどんな物質であのオレンジ色の液体が何処まで溶かせるのか。そしてそれの製造方法。それは今すぐにあらゆる手段を使って聞き出さなければならない事だった。

 

平常心を装い、緊急事態と屋敷に合図を送ろうとした。だが旦那様はその合図を送れなかった。

見えてしまった。あの黒角が愛おしそうに、そして哀しく楽器の骸があった場所を見つめる。それは一瞬のことで瞬きをした後にはまるで何も無かったように膨よかな男鋭い視線を差し込むのだった。

 

「キッ貴様ッッ!ギャレ!!」

 

膨よかな男の汚い声に感情は戻された。その汚い声を聞いた護衛動き出し足を踏み出し構える。

 

しまった。と旦那様が動く時にはすでに遅く、護衛はアッパーを繰り出す。その攻撃に黒角は反応すること無く受ける。そして黒角は空へ高く殴り飛ばされた。

 

高い……

 

旦那様は足を溜める。そして黒角へ飛び上がる。距離、方角、勢い。全てが合わさり見事飛び上がる黒角を掴む事が出来た。

その時見た黒角は、先ほどまでの鬼の形相を忘れてしまうほど健やかでこの世界の闇を知らなそうな赤子の寝顔だった。

できるだけ衝撃を消して着地する。

 

「大丈夫か?」

 

声をかける。だが返事はない。どうやら気を失ってしまったようだ。

 

その場に寝かせ、膨よかな男に振り返る。その前にはすでに護衛がいた。

辺りの声を無視して近づく。

 

「お前達。どこの者だ?」

 

怒りを静め、大人の対応をする。

 

「お前こそ誰だ?遊びに来たのか?老人は大人しく引きこもっていたらどうだ?」

 

「まあいい。着いてこい警備所へ行くぞ。」

 

「誰が従うと?やれ。」

 

護衛が構えを取る。だが警戒を解かない。黒角を二,三mほど殴り飛ばせる程の力を持つ護衛。侮る理由が存在しなかった。

 

護衛が同時に拳を振るう。対ショック姿勢を取る。拳が構えた腕に当たると同時に後ろにジャンプする。

 

ん?……威力が弱い。フェルサの蹴りを1/3にしてもフェルサの方が強い。

 

黒角はなぜあれほど飛び上がったのだ…?わからない……何かドーピングしているのか?使う前に終わらせるぞ。

 

旦那様は着地と同時に前に突撃する。残り1mといったところで護衛達は防御の姿勢を見せる。たかが1m。その程度で完璧な構えは出来ない。旦那様は連鎖するように交互に鳩尾、腕の関節、膝、首をへし折る。

 

護衛達は対応する来なく流れに身を任せ、地面にひれ伏した。

 

「なんなのだ貴様ッ!なぜそんなに強い!!」

 

膨よかな男が叫ぶ。だが旦那様は静かに対応する。

 

「そいつらが弱すぎるだけだ。」

 

実際その通り。旦那様はお偉い人でありながらたった一人で外に出る。それはそれ相応の実力と判断能力があるから周りから許されていることだ。まぁ常に一人だけ旦那様を見守る影があるのだがそれを知っているのはその周りと本人だけだ。

 

「お前達何をやっているッ!!」

 

あっという間に警備隊が膨よかな男とその護衛、そいて旦那様を囲む。その手には武器を持っている。

 

「バルサソ様ッ!!」

 

その中の隊長らしき人物が旦那様、いやバルサソ様に敬礼をした。それにつられ辺りの警備隊も敬礼し出すが

 

「いや楽にしてくれ。」

 

「はッ。」

 

 

「……なぁバルサソ様って誰だ?」

 

小声でそんなことを隣の隊員に聞く隊員がいた。残念ながら小声でありながら少し遠くに居たが隊長にもハッキリと聞こえていた。

 

「貴様ばっかかッ!!このシエスタの法と秩序を保つバルサソ一族だぞッ!何故知らない??」

 

「すッすみませんッ…」

 

「いや構わない。今ではただの老いぼれと変わらないからな。」

 

「すみません。それでバルサソ様、これはいったいどういう状況ですか?」

 

隊長は辺りにいる観客も見渡しながら言う。

 

「そこにいる………いや何でも無い。こいつらバッチを装着せずスカウトをした。そして不当なスカウトをやったからこうなった。そこに倒れているのはそこの膨よかな男の護衛だ。全員連れて行ってくれ。証人はそこら辺の人を使ってくれ。私は探さなくてはならない。」

 

バルサソ様は最後に辺りを一望すると走り出す。

 

「ハッッ」

 

そこには隊長の無駄に大きい返事が響いていた。

 

 

バルサソ様は少しだけ走った頃だった。

 

「旦那様。」

 

「ッ……!」

 

バルサソ様はいきなり聞こえてくる聞き慣れた声に驚きながらいざという時のために構える。だがそれは杞憂で終わる。

そこにはフェルサがいた。

 

「どうしたんだフェルサ。こんなところで。」

 

「ちょっと旦那様の監視を、そんなことより探し人は…黒い角のお方は誰にもさらわれていませんよ。自分で立ち上がってどこかに行ってしまいました。」

 

「……ずっと監視していたのか?」

 

「ええ。」

 

「いつ頃から?」

 

「いつ頃でしょう。」

 

フェルサはやってやったと補足笑みを浮かべる。

 

「まあいいか。ならば帰ろうか。」

 

「お供します。」

 

「それはそうとお願いが一つあるのだが?」

 

「内容によりますね。」

 

「…………………」

 

その内容を聞いたフェルサは全くこの人は……と思いながらその願いを聞き入れたのだった。

 

 

 

次の日。

 

バルサソは走る。まだ見ぬ者を見据えて。

ただ可能性の話だ。もしかしたら彼はまた今日もライブをするかもしれない。これまでのライブへの思いとは別に今だからある思いがそこにはあった。

探し回る。だが見つからない。途中船場へ行き、もしも黒角が来たらバルサソ家に教えてくれと言い残したりもした。

 

日が傾き、沈み始めた。今日は諦めて大人しく家へ歩き始める。だが聞き逃さなかった。夕日が輝き始めたときに、その耳にあの独特なリズムが聞こた。

最後に……そう思う。だが絶対そこに居る。そう思っていた。少しだけ見慣れた街景色を見ながら進む。あの時のようにリズムに集中しながら進む。

そしていつの間にか街を抜けたと思ったら森をも抜けていた。その空間には光が灯っていた。オレンジ色の綺麗な光だ。その全てを吸い取って仕舞いそうな赤黒い楽器で演奏をしている黒角がそこにはいた。

 

 

 

 

 




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3/8 嘆く海の雪辱 主side+α

軽量化。聞くだけなら簡単で素晴らしいものに聞こえるのにやろうと思うと難しすぎて吐きそう。もういいよねポン助。

 

ポン助はプルプルと体を震わせる。

 

ポン助の言うとおり。諦めよう。そうしよう。

そして完成したぜデラックススピーカーネオ☆。二号機なので☆付きです。変化は無いけど……ん?どしたポン助?飯……ではないね。

 

ポン助が髪を引っ張る。源石を出しても髪を引っ張る。ずっと引っ張る……真下に引っ張ってない?真下に引っ張るって何だ?どうやってんの?

 

その疑問に答えてくれる存在はいないので素直に真下を見る。そこにはデラックススピーカーネオ☆があるだけだ。その下に俺の足があったり岩があったりマグマがあったり…

 

シュヴェルはもしかしてこの岩場はネズミ返しになっていてその岩壁に何かあるのか?と思い。海と岩の境界まで行く。そして下をのぞき込むがただ直線の絶壁がそびえ立つだけだった。

 

…ポン助?

 

デジャブ……だろうか……ポン助は後ろに…先ほど居た場所へ髪を引っ張るのだった。

シュヴェルは一直線にデラックススピーカーネオ☆に向かい背負う。そしてキメ顔をしながら町の方を向く。ポン助はフードをめくり上げ触覚のようで指のような小さな棒をその体で作り出し街の方へ突き刺すのだった。

 

よしポン助、行くぞ。我が聖地バルサバ味噌煮へ……案内は任せたぞォー!

 

シュヴェルは走り出す。それはただの常人にはその顔を認識できないほどに早く。ポン助はその風圧に煽られこれまで無いほどにプルプルと震えた。そしてすぐに体をフードの中に隠したのだった。

 

 

 

 

右へ左へ4kmほど……シュヴェルは未だにポン助に導かれるまま走っていた。さすがにおかしいと足を止め路地裏にはいる。そしてポン助への拷……尋……オハナシをすることにしたのだ。

 

ポン助…………お前やったか…?

 

ポン助をフードから取り出ししっかりと目を見て話すのだった。ポン助は違う!!と言いたげに先ほどよりも激しく体を震わせる。

 

よりわかった。お前が悪くないってことぐらい俺も知ってるから……なっ?認めろよ道迷ったんだろ?天下のポン助様が道に迷ったんだよな?

 

ポン助は休むこと無く体を震わせ続ける。

 

…もしかしてここでライブするのか?

 

ポン助は休むこと無く(以下略

 

場所が決まっていないのか?

 

ポン助は(以下略

 

そうか!今日はライブをしないんだな!

 

ポ(以下略

 

もしかして良い人材みつけたのか?今日は俺にデュオとかに挑戦させようとして?

 

p(以下略

 

………俺がポン助のナビの通りに行けていないのか?

 

ポン助が勢いよく縦に振動する。

 

本当にそうなのか?

 

ポン助は一瞬身震いをピタッと止めた。俺がその事実を認識してしまったからには手遅れだ。

 

嘘の振動だ。嘘はよくないぞポン助!場所は決まっているが行き方がわからないだろ!?俺は知ってるぞ!

 

ポン助は動かなくなった。そして水のような弾力を持つその体が岩のように硬くなった。

 

……ポン助…?ポン助?ポン助ェィ!!!どうしたんだその硬さ!?俺が悪かったから!いつもみたいなスライム肌に戻ってぇえ!!

 

シュヴェルはポン助を抱き上げ胸に抱く。少しずつ岩のような硬さがほだされプルプルのスライム肌に戻っていった。そしてまるで僕は悪くないよ?と言いたげに体を傾けるのだった。

 

よしわかった。何でも良いから一生このモチモチプニプニ肌を保っておいてくれ。そして枕か抱き枕になってはくれないか?だめ?いいじゃん。全ての罪を許そう。だからダメ?…まあいいか。よしポン助……これからは一緒にライブ会場を探そうな!

 

シュヴェルはポン助を脇の下に保護する。ののほんとした顔を露わにしながら裏道を抜ける。だがポン助は脇の下から抜け出しフードの中に戻っていった。

シュヴェルは無理矢理取り出そうと頭に手を向かわせたが人の目があるのを思い出し、抱いて歩けない事に気づき表情を消し去りまた全てを忘れようと全速力で走る。と思ったが人が多いので屋根の上を走り飛び抜けたのだった。

ポン助は一生懸命髪を引っ張るがそれに気づかずシュヴェルは走り続けるのだった。

 

 

 

どれほどたったか。少なくとも数時間は過ぎた。

諦めかけていたポン助だがここがどこかを思い出し規則正しく二回、髪を引っ張った。それにシュヴェルは答えた。走ろうとする足を止める。その代わりに昇竜拳を出して勢いを分散。隣の建物の屋根に着地する。もちろん、下に居るかもしれない住人に迷惑がかからないように静かにだぞ☆

 

へいポン助おまち。どうしたんで?

 

ポン助はピンッと街の外。森へ引っ張った。

 

おぉ……ここか。

 

さすがのシュヴェルでも覚えていた。初めてライブをした場所。デラックススピーカーネオ☆の初陣として申し分ない。さらに夕日ときた。夕日になるまで走っていたのか……疲れ知らずの餓鬼大将。文字に起こすと格好いいのに読むとかっこ悪い……なんで?

 

そんな事を思いつつスマートにセッティングしてライブを始める。今さらだがあんな暴動を起こしたのに中心地区でやるのは面倒ごとに巻き込まれそうだったわ。こわ。戸締まりして端の方でライブしよう。

 

 

 

ライブを始めて三分ほどった。そこで見慣れた人物の出現によって手が止ってしまった。そして反射的に演奏も止めた。

あっめっちゃオドオドしてる。イケオジの名が廃るね。首。もうイケオジ名乗るな。偶像は完璧を求められるんだよ?わかったら次からは気をつけてミスしないでね。

 

「どうした?」

 

ライブを止めてしまったからにはしょうが無い。話をしよう。

 

「えッ……いやライブを聞くのに理由が必要か?」

 

「いいや……ないな。」

 

まるで質問をされることを想像していなかったみたいな「えッ」を出した。もしかして天然か?天然イケオジか?復帰おめでとう。これからも頑張ってね。うれしさのあまり軽い伴奏を始める。

会話の途中だけど大丈夫かな?大丈夫だよね?BGMは大切だがらいいよね?

 

「それで…要件はないのか?」

 

持てる全ての知恵を持ち出してシュヴェルは想像した。だがわからなかった。なぜイケオジが………何も無いじゃん。聞きに来ただけっていったじゃん。意味不な行動は怖いよ。これからは考える前に行動するのやめようよ。

 

「……雇いたい。」

 

ふぁ?

 

指が止る。それに合わせて伴奏も止める。今何と言った?雇う?雇うってあれか?当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、使用者がその労働に対して報酬を与えることを内容とする契約をしたいってことか?

まじ?俺も有名になったな。

 

「報酬は?」

 

「…雇われてくれるのか?」

 

「そうでなければそう言わないぞ。」

 

へへあざっす。お布施は結局しなかったけどお布施が手取りになっただけだ。何も問題は無い。むしろお布施を貰っていないという株が増えたぞ。やったね。

 

イケオジは長い間考え込んでいた。そしてやっと声を出した。

 

「…何が欲しい?」

 

「……」

 

今度はシュヴェルが黙る番だった。何故そうなる。お金を払いたくないってか?わからん。天然は何を考えているかわからないね。こう言うときは一つ一つハッキリさせるのが良い。

 

「何日雇いたい?」

 

「三日を予定している。」

 

「住み込みか。定時性か。ライブ曲の数は?。」

 

「どちらでも構わない。住み込みなら食事などの生活費はこちらが持つし、定時でも同量持つ。ライブ曲の数は任せる。」

 

「ふむ……」

 

ぱっと見良い条件。じっくり考えても良い条件。こちらの出方を伺っているのか?狙いすぎるとこの話が無かったことになるかもしれない……なら

 

「住み込みだ。ライブ曲の数はその場で決める。報酬は住み込みの費用と信用できる使用人を一人、一日貸せ。もちろんその日の費用はそっち持ちだ。」

 

「えッ?」

 

えっ?だめ?さすがに一日分の費用は不確定過ぎてダメか……それにライブ曲の数も……でも俺は即興しかやっていないし……さすがにライブ曲の数だけは譲れないぞ。他は……まあいいか。

 

「で、どうだ?」

 

さぁオハナシ(冷戦)を始めようじゃ無いか。フフフ…今回は弱腰で言ってやるぜぇ。負けれるものならやってみろ。俺は試合に負けて勝負に負ける男だからよぉ………だめじゃん。

 

「ああ!頼む。」

 

へっ?無効試合?不戦勝?やったぜ。この思い……届いたね。

 

「時間は明日の………」

 

時計持ってないわ。地形名もわからない。なんなら都市の名前一つしか知らないんだが?よく生きてられたね。人間しぶとい。

ここは原始時代に戻りましょうか。

 

「この場所で太陽がこの角度になったときここに来る。そこで案内しろ。」

 

シュヴェルは東北辺りを指さす。そこで気がついた時にはすでに手遅れ、悲しいな。

 

言い過ぎたかも。何様だよ。ここで無かったことにされたら無様だ。無様オブザイヤーだ。

 

「ああ!明日また来る!!」

 

イケオジはその言葉を最後に街に消えていった。

 

……名前は?

 

口約束ですか?そうですね。まあ場所は決まっているだけましか。明日になったらわかる話でしょう……遅刻したらどうしよう……早く来て隠れたらいいだけだわ。イケオジが来たら早いな…とか遅かったな…とか言いながら現れる……最高かよ。なんなら今からでも待機しても…別に帰る意味なくね?デラックススピーカーネオ☆を持ち運ぶのも面倒くさいし少し先の森の中で夜を過ごすわ。

 

思い立ったら即行動。

 

シュヴェルは荷物をまとめ森の中に入る。そしてアーツを拡散して警戒+イケオジレーダーにして寝転ぶ。

 

お休みポン助また明日。

 

ポン助はすでに寝ていたので返事は無かった。

 

 

* * * * * バルサソside * * * * *

 

 

「やったぞ!やったぞ!ベルシア!」

 

バルサソは屋敷に戻ってから大声を出しながら妻の部屋に向かっていた。

 

「はいはい屋敷には入ったときから聞こえていますよ。で、今回はどうしたんですか?」

 

「ついに……名前ってなんだっけ?…」

 

「はぁ…呆れた。仮の名称でいいので良いので教えてくださいな。」

 

ベルシアは手で頭を押さえてやれやれと顔を振る。

 

「黒角を雇うことが出来たぞ!!」

 

「……黒角は例の新人ですか?」

 

「ああそうだ!」

 

「とりあえず座りなさい。そして詳細を教えなさい。」

 

ベルシアは真剣な目を向けながらバルサソを誘導する。それもそのはずベルシアはこの家の財産とバルサソの管理を任されている。普段は全く問題無いバルサソだが好きなことになる途端急にポンコツになる。それをどうにかするのも妻としての仕事であり快勝であった。

バルサソがベルシアの前の椅子に座る。

 

「その例の新人にここでライブをしてくれないかとお願いしたらやってくれるって言ったんだよ!」

 

「まあそれは良いことですね!貴方がそれほど熱弁するほどなのでとても良いライブになりそうです。」

 

ベルシアは珍しく良いことをやったなと思いながらその顔に笑みを浮かべる。

 

「それも明日から三日もだよ!」

 

ベルシアは笑みのまま時間が止った。そしてぎこちなく顔をバルサソへ向けて問う。

 

「三日ですか?」

 

「ああ!」

 

「もしかして住み込みですか?」

 

「ああ!いつでもライブが聞けるぞ!」

 

「報酬は?」

 

「なんと住み込みの費用と一日使用人を貸せば良いって!その一日の費用はこっち持ちだけど。」

 

「それでどの使用人を貸すのですか?」

 

「……私の信頼できる使用人を……」

 

そこでバルサソの少年のような好奇心と夢は潰えた。

 

「その一日はどれほど費用が掛かるのですか?」

 

「……わからないね…」

 

「……口約束ですよね?何か書類でやったり音声を残したりはしてないですよね?」

 

「それはしてないよ…」

 

「唯一の救いはあった、か。未だにどうしても雇いたいと言いますか?」

 

「うん。雇いたいよ。」

 

「じゃあその一日の費用は貴方が負担してください。無理ならCDを売りますよ?」

 

「売るCDは選ばせてね。」

 

「そこまでですか……」

 

本当に珍しいこともあったもだなと感心した。あのバルサソがCDを売ると言ったのだ。逆にそこまでして聞かせたいライブというものを知ってみたいとベルシアは思った。

 

「住み込みの分と多少の費用は負担しますよ。」

 

「本当!?」

 

「嘘はつきませんよ。」

 

「ありがとーーーーぅ。」

 

「はいはい。」

 

急遽としてやることが増えました。明日に間に合わせないといけませんね。部屋、食事等は大丈夫でしょう。菓子もありましたし……そこまで合わせることがありませんでした。

 

「セバツ、今回の契約期間中監視を任せましたよ。」

 

「かしこまりました。」

 

この部屋に控えていたベルシアの信頼できる一人。セバツが静かに返事をした。

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

最近の楽しみがUA履歴見てお気に入り登録が減っていないか確認することになっているのでもう末期かもしれない。
最近デドバモバイル知ってから睡眠が足らなくなっちまったよ……すまぬ。週一投稿を死守します。たとえ1000文字であっても投稿する所存です。


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3/9 嘆く海の雪辱 主side

ポヨヨヨン

 

目が覚めたら顔に柔らかい感触がある。シュヴェルは目を開ける。だが目の前は真っ暗のままだ。月どころか月の光すらない真っ暗空間だった。

 

何かあったか?と起き上がると柔らかい感触が落ちる。それは太ももに着地したらなんだ?なんだ?と体プルプルと震わせていた。どうやら状況を理解したようでお腹に向かって富竹フラッシュを繰り返していた。

 

悪かったって、熟睡を邪魔して悪かったって。

 

源石を出す。ポン助はお腹への頭突きをやめて源石に飛びつく。その源石を満足げに頬張るのだった。

シュヴェルは上を見る。そこには太陽が{お昼ですよお寝坊さん}していた。

 

あっ。寝坊した。まずい……どれくらいまずいかって言うと小学生の修学旅行の時寝坊して学年全員がグランドで待機させられてみんなの視線を浴びながら登場するぐらいまずい。しかも服間違えて制服じゃなくて私服で行ったんだぜ。奇跡的に制服に似ている服があったことが唯一の救い。だが後日の写真販売をよく見ると一人だけ服装違うトラウマ……泣きはしながったが引きこもった。

 

ポン助は状況を理解していないようでのんびりと食事を楽しんでいた。

 

ポン助さん。そんな状態じゃないですよ!!

 

シュヴェルは側にあるデラックススピーカーネオ☆を背負う。その間にポン助は源石を持って定位置であるフードの中に跳び入り、隠れて食事の続きをしていた。

 

森を走り…いや飛び抜ける。スキップをするように前傾姿勢で急ぐ。葉っぱや枝が引っかかるが気にせず飛ぶ。デラックススピーカーネオ☆でかすぎるんよ。

 

距離的にはそこまで遠くでは無かったのですぐに着いた。そしてその場所にはすでにイケオジがいた。シュヴェルはイケオジの目の前に着地する。

 

「ッ…」

 

「すまない。遅れた。」

 

フードに着いた葉っぱや枝を取り落としながらそういった。

 

すまねぇ。というかまだここにいるとか騙されたとか思わなかったのかな?天然ですか?天然ですね。わかります。

 

「大丈夫なのか?」

 

「ああ、…問題無い。」

 

ほんとすまねぇ。いやほんとこれもあれもそれも目覚まし時計が無いことが悪い。早寝はしたから俺は悪くない。そういえば十二時間以上睡眠してるだろ。底なし睡眠か?いままで負債でもあったのか?これからはきっちり八時間眠ろうと思います。

 

「それでは行く前に…」

 

イケオジはコホンとわざとらしい咳をするとこう告げた。

 

「私はバルサソ・セロナだ。皆からはバルサソと呼ばれている。バルサソと気軽に呼んでくれ。」

 

やっとか。今さらながら自己紹介。個人的に人と仲良くなるのに名前は関係ないと思っている。それは話の話題として、知り合いになった証拠のようなものだと思っている。というか名前は親が決める子の名称でありこれは個人で決めるものでは無い。なので私は名無しでも問題無いと思うのだが?というか親なし友なし身寄りなしだと名前はない方が正解に気が……フンッ、まあいい。これは後でその時になったらじっくりと議論しようでは無いか。

 

「僕はシュヴェルだ。特に呼ばれている名称は無い。好きに呼べ。」

 

癖で僕って言っちゃった……属性盛れるからいいや。むしろ僕っ子を推奨すべきでは?…そうだ!そうしよう!僕は僕で僕なんだ。

 

「それではシュヴェル君。案内しよう。」

 

「任せた。」

 

それでは仕事場に連行されましょうか。今さらに今さらを重ねるけど人攫いじゃ無いよね?

 

 

 

 

 

「ぉぉ……ャッベ。」

 

バルサソにも聞こえないとても小さな声でそう呟いた。案内されるがまま歩いていたら玄関についた。

その玄関は門であった。中央地区を通り街を抜け、少し坂道を登った所にバルサソの家があった。四面を塀で囲われ玄関である門からでも見える大きな屋敷。三階建てか四階建てか…どちらにせよ横に長い。縦と横の対比を言うなら1:5ぐらい長い。すごい。白と青色の綺麗な屋敷だった。海風に晒されていながら劣化も塗装も剥がれていない。

門をくぐるとさらに驚いた。屋敷までの間には長い砂利道がありその両脇には自然が溢れていた。天然の迷路じゃないか?と思うぐらいにはある。花は無いが緑が沢山、どこかが飛び出ていたりはみ出してもいない綺麗な空間だった。俺のへそぐらいの高さまでしかないけど。左には小さなパーティー会場みたいな壁に囲まれた空間があって右にはとても大きな木が一つあった。屋敷と同じぐらいの高さだ。その根元にはお茶会スペース?がある。さらにそれを囲うように池…いや湖があった。ここから見た限り生き物はいない。多分泳げる。後でこっそり泳いでみようか。

 

「あれが気になるのかい?」

 

右側を直視していたら声をかけられた。ここは好意に甘えて聞いてみよう。

 

「あの木は?」

 

一本だけ桁違いの大きさを誇る木。葉っぱの色も木の皮も普通の緑と茶色だ。

 

「あれは遠い友人からのもらい物でね。夜になるとほんの少しだけ光るんだ。遠目では何も見えないのだが根元までいくととても綺麗な姿が見えるだ。いずれ案内しようか?」

 

「お願いする。」

 

めっちゃ楽しみ。こういうファンタジー好き。

 

 

 

本当の玄関をバルサソが開け中に入る。最初に目に付いたのは階段。この大きな玄関の大半占領する階段。それは半螺旋状で二つある。その中央にあるのは黄色く光るシャンデリア。小さめのサイズ。特に装飾は見当たらない。

一階は玄関の扉から左右に四つの扉、二階には玄関の扉から左右に六つ、正面に一つ、計七つの扉があった。

 

バルサソは迷うこと無く二階に上がり正面の扉に入る。

扉をくぐると今までよりも屋敷感がさらに増す。一面に広がる本棚。そして読書スペース。そこには二人の使用人と友に本を読んでいる婦人らしき人物がいた。

 

使用人は素早く栞を本に挟み立ち上がる。そして婦人らしき人物の後ろに控える。それに気づいて婦人らしき人物は本を閉じてこちらを向いた。

 

「お帰りなさい。そしてようこそ我らの家に、よろしくお願いしますね。私はバルサソ・ナクリです。そこのセロナの妻をしていますね。」

 

「僕はシュヴェルです。よろしく。」

 

ゆるわか~~って感じ。優しそう。だけどお淑やかって感じはしないね。やんちゃって感じでも無いけど。こういつタイプは実は四十超えてますよってタイプだろ。

 

「私はここで失礼させて貰おうか。ここでの詳しい詳細は食事の時に説明する。それではまた後でシュヴェル君。」

 

「さようなら…」

 

初手放置?いや母強しの家庭か?こわいぞ。いったい何を話せば……仕事すれば良いだけか。そう考えるとめちゃんこ楽。

 

バルサソはそのまま部屋を出て行った。

 

「それではシュヴェルさん一曲頼めますか?」

 

「了解した。」

 

シュヴェルは背中に背負っているデラックススピーカーネオ☆をゆっくりと床に下ろし手を構える。

 

準備はしたがいったい何をやろうか……この神聖なる大図書館でサイバーサイダーとかボッカデラベリタはやる気が無いぞ。もっとほわわかののほんとしたやつは………ゆるやかな音程のナイトオブナイツでいっか。本家はちょっと激しいからね。しょうが無いね。後で真っ黒絶対やる。MIRAも追加で。

 

 

 

いつの間にか奥様が本読んでいるんだが??使用人も呼んでるし。あ、今追加の本を取りに行った。飲み物も補給された。めっちゃ良い笑顔で呼んでいるんだが??終われないんだが??一種の拷問だろ。俺の良心とお人好しとジャパニーズソウルのクールジャパンにくるんだが?

いいぜやってやるよ。俺が機械になるかお前らが飽きるか。どっちが早いか勝負しようぜ?/ / // / /行くぞ。かかれーーーー。

 

 

結果はバルサソの食事の誘いによって不問にされた。げせぬ…げせぬぞ…バルサソ……これからバルサンって呼んでやろうかな?

 

 

 

 

 




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ふと疑問に思ったけどsideってなんだ?


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3/10 嘆く海の雪辱 主side

時は過ぎ三日目後半戦。最終の時間である。あれからバルサソの娘であるアリナと妻さんであるセロナと父であるバルサソのたらい回し成らぬ三角回しでずっとライブしていた。何をやったかは覚えていないがとりあえずずっと穏やかーな作業曲ばっかやってた。何かの研究兼勉強に、お茶会図書館、仕事。ハードな曲ができなかった…ずっと作業用BGMばっかで嫌になりそう。これCDで良くない?これが貴族ですか?今日でライブ引退します。ご清聴ありがとうございました。

ちなみにまだ外のビックウッド(自称)でライブをしていない。これだけが唯一の心残りです。

 

ガヤガヤ

 

……外が騒がしい。そういえば言っていなかったけど今は食堂?食事処?にいる。ご飯うまうまです。これは夕食。一人でご飯である。いままでなんだかんだでバルサソ一家と一緒にご飯食べてたわ。従業員と主人が一緒にご飯を食べるのってやっぱり異常だよな?ひとりで食べている方が普通だよね?

脱線した。話を戻そう。実はこれからバルサソの息子君であるベルバルロがこの屋敷に帰ってくるらしい。そして最後のライブをするらしい。これはバルサソが無理矢理帰ってこいコールをしたのか、これを見越して三日と言ったのか…わからないけど最後までぎっちり働かせるらしい。泣いて良いですか?

 

「シュヴェル様こちらに。」

 

「了解。」

 

側に居た護衛兼召使い兼案内人兼使用人兼メイド長(以下護長)が外の騒ぎを聞いて、そう言ってきた。

おそらく息子君とは挨拶はなしでライブをするのだろう。護長の案内されるがまま外に出る。そして連れてこられたのは外に一つだけある大きな木。ビックウッド(自称)だった。ビックウッド(自称)の周りには明かりや多数のロングテーブルが配置されその上には料理やお菓子などが綺麗に並べられていた。その中央のビックウッドの木の根っこにはデラックススピーカーネオ☆が置かれており、その前には円テーブルがあり四つ椅子があった。そこにはバルサソ一家が楽しそうに団欒をしていた。

デラックススピーカーネオ☆は使用人の皆様が丁重に運んで貰いました。ハッハ!どうしてもやらせてくれって言われてしまってね!持って運ぶと屋敷の扉が危ないって理由が主だけど。リンボーダンスぐらい簡単だろ?俺が扉くぐるたびにめっちゃそソワソワして面白かったけどさすがに可愛そうになってきたのでやめた。

 

 

「おぉシュヴェル君来たか。ベルバルロ、こちらがシュヴェルだ。」

 

「こんにちは!シュヴェル君。今日はよろしくね。」

 

「よろしくお願いします。」

 

すぅーー爽やかイケメン。これが将来イケオジになる遺伝子をもった者か…だが全く天然って感じがしないんだが?老化したら天然になるのかな?

 

「それでは早速だがライブを頼めるか?」

 

「はい。」

 

俺はデラックススピーカーネオ☆の前に行く。椅子まで用意されてる!?いままでこんなこと無かったぞ!ありがとう!

手を備えて悩む。いったい何をライブしろと?正直もう出尽くしたんだが?グーグルル先生ください。

 

流れはあった。だが始まりはしない。

すでにバルサソ一家は椅子に着いてライブが始まるのを今か今かと待っていた。その中でなかなか始まらないライブにバルサソは疑問を持つ。

 

「シュヴェル君どうかしたのか?」

 

「…何をライブしたら良いのか悩んでいる。」

 

「それならハイテンポな曲にしてくれないか?そろそろ聞きたいと思っていたんだ。」

 

「ハイテンポな曲もできるのですか?」

 

「あら。そういえば聞いた記憶がないわね。」

 

「むしろハイテンポな曲の方がすごいと私は思っているよ。」

 

「そうなんですね。そのハイテンポな曲を聞いてみたいです。」

 

どうやら決まったようだ。ハイテンポか~~ここでやるのはイメージが……まっいっか!ずっとお預け食らっていたんだ。少しぐらい良いだろ。ゆけ、炉心融解。スイッチ、Don't Fight The Music。

 

 

 

終わりのシャンティ。アドリブに強いって良いよね。流れで生きれて楽だ。そのかわり計画性が終わるけど。ほんとストレスでなんど腹痛起こしたことウッひょ異世界。

 

ライブの余韻に浸り空を向いていた。そして目を開いた頃だ。そこには白黄青色と僅かな光を放つビックウッドがあった。おじいちゃんの木と名付けよう。

 

……それではそろそろお開きにしょうか。シュヴェル君三日間ありがとう。それでは報酬だな。それについて……シュヴェル君?」

 

夜になった。使用人達は片付けをして一日の終わりを迎えようとしていた。だがこの景色を目にして黙っている自己中ではない。

 

 

「最後に二曲…」

 

この景色を見たときから衝動的にやりたくなった曲だ。この衝動は音ゲー禁断症状に似ているな。それでは色は匂えど散りぬるを、夢に葉桜。

 

 

 

俺の中には中国語版が思い浮かんだ。素晴らしい。

 

「それでは報酬についてだな。」

 

切り替えは大切。これはお友達的な距離感ではなく仕事である。そして仕事には報酬がある。なにが言いたいかというと使用人一日貸し出しとお金だ。へっへこれを機にライブは引退するけどちゃんと最初で最後の観光をしないとね。

ここで問題になるのは誰が貸し出されるのか?という問題だ。美少女かそうで無いか。美女かそうで無いか。顔を知っているか知らないか、だ。

 

 

バルサソとの話し合いは流れるように終わって明日の朝俺がまたここに来ることで終わった。今日は泊めてくれないんだ……いやそりゃ仕事だけど……だけど……もう寝よう。

 

シュヴェルはデラックススピーカーネオ☆を持っていつもの海岸に戻っていた。あっという間の三日間、そして呆気ない別れだった。これだがら外国人はキライなのよ。一期一会のわからない薄情者め。ライブはもう引退するからデラックススピーカーネオ☆はもう要らないよね!バイバイありがとね~

 

デラックススピーカーネオ☆が何の痕跡も残さず消え去った。

 

 

お休みポン助。また明ちょっと待った。

 

シュヴェルは閉じようとしていた目をこじ開けて立ち上がる。

 

あっぶね。また寝過ごしたらどうするんだよ。一日しか貸し出しされないんだぞ!寝坊でもしてみろ。損だろ?目覚ましON。

 

機構は簡単。一秒を記録して一時間にします。さらに8回繰り返して八時間にします。頭上の空中に源石の塊を生成。時間になったら起こしてくれます。(物理的に)これで起きなきゃ人間じゃねぇなにより文明人じゃねぇ。

 

お休みポン助。

 

シュヴェルが眠りにつくのは早かった。

ポン助はそっとシュヴェルから離れて眠りに入るのだった。明日目覚ましがどうかは想像どおりだ。




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最近ソーセージマンとかうクソゲーを見つけてしまったのでまた時間が無くなりました。DBDモバイル?なんですか?クソゲー?



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3/11 嘆く海の雪辱 主side

二度と目覚ましかけない。決めた。今日目覚まし時計買って貰う。

 

シュヴェルは辺りに散乱した源石の屑を消し、おでこをさすりながら決意した。

 

時間通り源石の塊は落ちた。顔面めがけて。そして角に突き刺ささったのだ。そして源石の塊は少しずつヒビが入っていき割れた。その破片の山がシュヴェルを埋め尽くしたのだ。

ポン助はすらりとシュヴェルの頭に飛び乗る。

 

ポン助……まっいいか。行こうぜポン助。観光しに行こうぜ。初めての観光。めっちゃ楽しみだわ。とりあえず旨いもん喰いたいなぁ。

 

 

シュヴェルはバルサソの屋敷の前に着いた。あったり前のように誰も居ない。何か思うことを言うなら背後の太陽が暖かく感じるぐらいだ。

シュヴェルは門を開けて、入って、閉める。そしてゆっくりと屋敷に向かって歩く。

 

運命の時間。またの名使用人ガチャと言う。

 

 

エントリナンバー1護長。最も可能性がある美女だ。三日間俺が屋敷にいる間護衛兼召使い兼案内人兼使用人をこなした彼女が一番考えられる。

 

エントリナンバー2フェルサ。使用人の中で唯一名前を知っている美女だ。信頼できる、としていしたのでほぼバルサソの側に居た彼女の可能性は僅かにある。でもバルサソラブ勢なのでちょっと思うところがあるのでやめていただきたい。敵対勢力になりますよ?

 

エントリナンバー3その他。候補少なすぎでは?もっと関係を広げても良かったのでは?仕事だけの関係ですから無理ですね。はい無理です。諦めましょう。

 

 

誰がやるのか自体は既に決められているのだろう。問題はそれが誰なのか?だ。これは決して軽々しい問題では無い。今日一日共に過ごす相手だ。たった一度。美人が良いじゃん。細かいことはもう省こう。美人か美少女が良いじゃん。たった一度だからこそ最高の思い出が良いじゃん……思い出…?………やっぱり誰でも良いです。

ビジネス笑顔にビジネスお世辞、ビジネス返事にビジネス応答。いやだ……美人は美人なんだ。美人は存在そのものが美人であり美人なのだ。

今日一日楽しい観光にしたいから!一人でも普通に楽しめるから!俺エリート孤独だから!ボッチの上位互換でエリートの孤独だから!

 

シュヴェルは屋敷の扉の前に着いた。心の中で指を組み祈る。気分は婚活テレビ番組で最後の告白をしている気分だ。ノックを二回する。

 

しばらく時間が経ち

 

「はい。おまたせしました。」

 

男の声。女じゃ無いことが良いのか悪いのかはもうわからないけどビジネス接待は無い。その結果だけでまずは勝利だ。それもイケイケ風ではなく妙に威厳と落ち着きを加えた声だ。妙に威厳があるのが唯一の懸念点だが……結果は?

 

屋敷の扉が開きその姿を見せた。そこであっ、と思った。いや問題はない。むしろとても良い。俺が屋敷にいる間は事務的な立ち位置でサブ護衛的だった人物だ。

 

「セバツです。本日はよろしくお願いします。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。」

 

はっ久しく使っていなかった敬語が自然に出た。このイケオジ。忠誠たっぷり!経験もたっぷり!この屋敷の最強格だと思う。事務的な対応するクール系DJって良いよね!……話が脱線を通り越してひっくり返った。すまない。……ともかく今日は良い一日になると言うことが決まったって話だ。

 

「それでは最初はいかがなさいましょうか?」

 

「朝飯を食べてないから食べたい。おすすめの屋台ってあったりする?」

 

「おまかせください。」

 

セバツは街へ先導する。それにシュヴェルはついて行く。

 

やったぜ。朝食は屋台に限る。手軽に食べてパッパッと効率よく見て回りましょうね!

 

 

 

 

いろいろ回った。興味はないけどファッションも見るだけ見てみた。それと大型ショッピングセンター的な所も歩き回ったよ。さすが観光地大きかった。もし一つ一つ入って見てたら一週間はかかるね。もしもと思って聞いてみたけど見事あったぜ商店街。大変満足でした。さらに!なんと!今日の金銭的消費は朝飯と昼飯と飲み物だけ!とってもエコでしょ!昼飯は大型ショッピングセンターで食べた。油と肉と焼きめしとコーンの組み合わせはうまかった。多分老人になってから食べると胃もたれするんだろうな…

 

そして本日の目的最大の場所へ向かおうとしていた。

 

「お次はどうなされますか?」

 

「……水着屋はある?」

 

さすがに声は小さくなった。辺りの騒音にすぐにかき消されるほどの大きさ。セバツは振り返り一瞬俺の顔を見てきやがった。許せねぇこのイケオジ。大人の余裕って奴ですかw?これだから勝ち組はキライなんだよ。妬ましき。

 

「それでは案内しましょう。」

 

さすが事務的な立ち位置なだけある。その声に変化は無かった。これぐらいthe事務って感じだと怒りが無くなる。さっ、案内してくれた前セバスチャン。

 

 

 

 

は?

 

シュヴェルは目を疑っていた。口も疑った。全身で疑いと戸惑いを表しながらセバツの感性やその他諸々も疑った。

 

セバツに案内され着いたのは明らかに黒い縁にピンク色の文字の看板。店内に出入りする人は女性ばかりだった。そして店内も女性ばかり。

そう……そこは女性ものの水着屋だったのだ。

 

俺がこんな者を見たくて水着屋行きたいって行ったと思ってるのかこのイケオジ、いや老害。変な気を利かせるなよ。俺は単純に海で遊びたいから水着が欲しかったの!!そもそも俺は水着だから見せて良いとか見せ下着だから問題なしとか意味わからないだよ。なんだよ見せ下着って。下着がなぜ見せて良い物になってるし。例え男女差別と言われても……いや男も下着見せるな。同性だから良いとかいう独自のルール持ち出すなこのホモ!男のブリーフって誰得だし。ほんとやめてください。筋肉があるからまだ許せるけどなかったら絶対ダメだからな。吐くぞ?

 

「それでは参りましょうか。」

 

「ふぁ!?」

 

セバツはここぞとばかりにシュヴェルの手を引っ張り店内に入る。

 

何故は入れる!?躊躇が無い!?やめて!!

 

セバツはそこら辺にある商品には目もくれずに一直線に店の奥へ進む。店の奥には一つの大きな入り口がありそこにはのれんがあった。そののれんをくぐり抜けるとそこには受付があった。

 

「セバツさん。今日はどうされましたか?」

 

常連!?名前を覚えられているとは。いやまて……もしかして闇つこてる?闇つこてる?

 

「いつもの彼女を頼む。」

 

「かしこまりました。三番へどうぞ。」

 

セバツはまたもや進む。

 

訳がわからないよ……水着屋頼んだら。女性ものへ連れてこられてさらに彼女とやらに案内されたんだが?どゆ………女性もの……フード……そういえば性別って明かしたっけ??

 

セバツは三番とかかれた部屋の扉を開け中に入る。そこには色々な布に様々なサンプル…水着があった。中央には作業台らしきものがあり。そこには例の彼女がいた。

 

「ほいほーい。今日はどうしたセバツ?急用かな?」

 

彼女は水色のロングヘヤーにトリル色の目。腰に三つほど小さいバックを巻き付けそこからは沢山の道具がチラチラと見えていた。

 

「今日は客人の水着を頼みます。シュヴェル様。彼女はヘンテコではありますが実力と才能は確かなものなのでどうかご了承ください。」

 

「はいはいヘンテコでバカっぽい彼女ですよ~~~いったいいつからセバツはそんな風になってしまったんだ??いつもみたいに名前で呼べよ!呼べ!!」

 

彼女はセバツの肩をベシべシと叩く。

 

距離近。たった一言だけ。距離ちっか。

 

シュヴェルのことをガン無視して楽しそうにセバツと彼女は話し合っていた。のろけ話というより幼なじみ話だ。もし同年代とするならば、彼女は外見的に30なんだが……もしかして5…ヒッ!…セバツが30って事だよね!!!!異論は認めないから!!!!

 

「それでは改めまして、スィエルだよ~~。今日限りかもしれないけどよろしくね!!」

 

スィエルはシュヴェルに近づき手を握り上下に激しく振る。

 

「シュビェィ、ルです。」

 

「シュビェィル君?シュヴェル君じゃ無かったっけ?」

 

そこはそっと気づかないふりするべきでしょ。貴方が上下に激しっく振るから!!俺身長無いんだからね!!餓鬼なめんるな!

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

気分が乗るときの執筆ってなんか凄い。


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3/12 嘆く海の雪辱 主side

「それではまず採寸しますよ。脇上げて!」

 

脇?T字に腕上げろってことかな?

 

「おぉ~~!これで伝わったの初めてだよ!!すごいねシュヴェル君!」

 

ちゃんと採寸って言っているからね。ていうか毎回やってるのか。いろんな意味ですごいな。

 

スィエルは肩幅、身幅、着丈、袖丈、袖幅、袖口幅、肩幅、袖丈、着丈 、袖丈、ウエスト、ヒップ を全て計るとこの部屋の端へ向かい何やらガサゴソと漁りだした。

 

メモをしない……だと…!?ふん。才能があると言われるだけあるな。だがこの俺が認めると思うなよ!

 

「まずはシンプルね。好きな方を着たまえ。」

 

スィエルはポンッと白と黒のビキニとパーカーフードなしをシュヴェルの両腕に掛ける。

 

「あの……」

 

「純白のシルク!優しさと美しさを最も体現できる色さ!!もちろん着心地もばっちり!!!」

 

「いやあの…」

 

宣伝を聞きたいのでは無くてですね……

 

「かたや漆黒のシルク!気高さと孤高を最も体現できる色さ!!こっちもシルクだから着心地ばっちり!!!」

 

「そうじゃなくて」

 

「ぁあ~~そういえば初めてだったね。お着替えするところはこちらですよ~~」

 

スィエルはシュヴェルを回転させてそのまま背中を押す。そしてカーテンで仕切られている空間に流された。

シュヴェルはカーテンの隙間から顔を出して

 

「全部違います。僕は……スィエルどこ?……セバツもどこ?……」

 

そこには誰も居なかった。多少服があるだけで棚などは無いから死角なく見渡せた。だから断言する。そして誰も居なくなったと。

 

…………どうする…上着がある。ならば何とかなるか?ブリーフ…子供の頃は着て居ただろ。初心に戻るだけ。それだけだよね……

 

 

 

下がスースーするとはこのことだったか。これは違和感なんてものじゃない。上着を着ているからこそ下がスースーする。

シュヴェルは顔をまたカーテンの隙間から出す。今度はスィエルだけがそこに居た。

 

「ぉ~~終わったかね~~ささっ見せて!」

 

「セバツさんは?」

 

「男だからご退場願ったよ。大丈夫終わったら呼ぶから。」

 

「僕も男です。」

 

「うなアホな……嘘は良くないぞ。さっさとそこから出てきなさい。さもないと無理矢理連れ出しちゃうぞ~~」

 

恥ずかしいから言い訳してるんじゃ無いんですけど……もういいや。どうにでもなれ。そっとカーテンの中から出る。黒いビキニが部屋の照明を反射してより目立たせる。その上着の隙間から見える下は確かにもっこりしていた。

 

黒にしたのは白より精神的負担が無いと思ったからです。白の方がよかったのかな…?

 

シュヴェルがスィエルを見る。そこには机に顔をつけて動かない骸があった……これ後始末どうすればいいのだ?……いやまて何か聞こえる…亡霊のつぶやきが……

 

「………いけるか……目撃者なし……大丈夫。だれもしらない。基本男子禁制の聖域……つまり男なんてここにはいない。つまり男はいなかった……セバツはいない……店長もいない……小うるさいゲソババアもいない………つまり勝ちゲー。よし。勝った。」

 

そこでスィエルはガバッと顔を上げる。聞き耳を立てていた俺は驚いてビクッとしてしまう。

さらにスィエルはニヤァ~~と腐女子がウヘヘとするような擬音が聞こえてきそうな笑みを見せる。

 

「まっっっ……気にするなシュヴェル君。君は美しい……子供のようなモチモチ肌を持っていながら大人のような美しさを持っている。うん……これは誇って良いことだよ!うん!だから次これ着替えて!!」

 

……訳がわからないよ……とりあえずわかることは、この目は止められる目じゃないって事だ………ァーーーーー

 

この後めちゃくちゃ着替えた。

 

 

 

そして全ての試着が終え、スィエルが満足げな顔をしていた。そしてこの部屋にセバツが入ってきた。

 

「それで出来の方はどうだ?」

 

「完璧。久しぶりに楽しかった!要望は殆ど無かったから思うままに作れたよ!!」

 

「……まぁそれなら大丈夫か……シュヴェル様、大丈夫でしたか?」

 

「……僕男だよ……」

 

ジト目でセバツを見る。ここだけは譲れない。

 

「………………………………え?ちょっと待ちなさい。スィエル。それ承知の上で作ったのか?」

 

「うんそうだよ!シュヴェルは男娘っぽい見た目だからね。余裕だったよ。」

 

「…シュヴェル様申し訳ありません……」

 

「もう(どうでも)いいよ。それよりもバルサソも女だと思ってる?」

 

「おそらく。」

 

「僕って言ったのに?」

 

「はい。」

 

「じゃ確認して。そして僕に教えて。そしたら許す。もちろんアリナとセロナも聞いてね。」

 

「かしこまりました。」

 

メシウマです。それはともかくフードに漢って書き込むべきか?ま、後で考えよう。

 

「それでは解散。今日はありがとね。」

 

「?……報酬の件はもう終わりということですか?」

 

「そうだよ。」

 

「それでは後日お伝えに参ります。それではまたその時までお元気で。」

 

セバツは深く一礼してこの部屋を出て行き、お店を出て行った。このまま俺もお店を出て行っても大丈夫だよね?捕まったりしない?

 

「シュヴェル?報酬って何のことなの?」

 

スィエルがキラキラした目で聞いてくる。

 

「別に知らなくても良くないですか?」

 

「いや聞く。絶対聞く。セバツどころかバルサソにまでネタが出来るなんて……聞くしか無いじゃん!!」

 

バルサソ!?いったいどんな関係だよスィエル…もうスィエルさんって呼んだほうがいい?それともスィエル様?

 

「ちょっと縁があってバルサソの家でライブをしただけですよ。」

 

「どういった縁なの教えて!!」

 

「初めは………

 

 

 

 

 

 

根掘り葉掘り聞かれたてしまった。これがコミュ力お化けのリア充の才能漬け……恐ろしき……

 

「なるほどね~~~ありがとう!今度ネタにさせて貰うよ!!おっとタイミング完璧だ。」

 

扉の前に誰かがいる。何となく頭の輪郭が窓から見える。

 

スィエルが扉を開け、外にいる人から何やら荷物を受け取った。ダンボールのなんて変哲も無い箱だ。

 

「はい!ご注文の水着だよ!」

 

「ありがとうございます。」

 

はやくね?即日?すごいな。これがバルサソ一家御用達の水着屋……すごいね。

 

「それじゃ気を付けて帰ってね~~」

 

スィエルが手をフリフリする。……一人であの波…渦?を乗り越えろと?よし気分は人間魚雷。よし突撃します。

 

ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa

 

シュヴェルは無事にいつもの崖に戻れたとさ。おしまい。

 

といかないのがシュヴェルクオリティ。

 

次の日、シュヴェルは浜辺に居た。別名ビーチ。平日か休日かなんてわからないが人が沢山居る中で砂の上に体操座りをしていた。オニューの水着を着て。ただ海をみて、人をみて、海風を呼んで、深海棲艦が出現する妄想をしてただ砂の上に体操座りをしていた。




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3/13 嘆く海の雪辱 主side

燦々と輝く昼の太陽。その日光を反射して痛いほどに光る砂浜。だがそんなことは気にしないと、ある者は泳ぎ、ある者はパラソルの日陰で休み、ある者は恋人や家族、友達と話す。そしてある者はそれを逆に利用し日焼けをする筋肉マン。

 

見るだけ陽キャになれそうな陽気なビーチの中でシュヴェルは端の方で日陰に籠もっていた。ちゃんと周りの者と同じように水着を着ていたが、その目は死んでおり、体操座りをしていることも相まってまるで魂が抜けているようだ。背後の岩がまるで墓のようだった。

 

「終わった……俺の青春…」

 

青春と呼べるだけの人生やら時間やら友達やらは全く居ないがそれほど悲しいって事だ。何が悲しいか。それは至極簡単。俺は金槌だったの。

金槌。それは工具の名前だが今回は泳ぎのできない人という意味だ。

小学校のころ水泳の授業があったがその時の25mは5~7mという記録だったぜ。高身長だったからプールの底に足が着くから水に浮かぶという行為がいまいちわからない。もがくと足をぶつけて痛いし。なので水泳は出来ません!!

 

そんなことは差し置いて、原因は単純明快。

 

重い。以上。

 

浮力を得られない。海へ向かって歩くと水底に足が吸い付くように歩けるぞ。海中冒険できるぞ!やったね。

 

でも俺は泳ぎたかったんだよなぁ。ということで、ならばよろしい戦争だ。

 

前はプロペラ作ったけど今回は人が沢山居るためNG。小さいのを沢山作れば水に浮ける。けど少しでも傾くと近くに居た人が溺れるよ。やったね!証拠が残らないから完全犯罪だよ!これでみんなもウザい大学生にお仕置きをしよう!……次。

 

それで試したのは潜水艦。浮き袋作って浮こうぜ!作戦。

 

結果。

 

論外。

 

素材は源石ぞ?単純に必要な空気量が多い。浮き袋だけでリアルで潜水艦レベルの大きさが必要。そこに俺が入って見ろ。多分氷山レベルになるぞ。無価値。海に面している国に戦争仕掛けるなら有効じゃない?知らんけど。

 

という訳で俺の青春は終わった(スイミング)そして現状まとめよう。

 

所持品。

 

水着。以上。

 

 

俺の青春は(以下略

 

オニューのいい水着以外何も無い。お金もない。

俺って何のためにここに来たの?リア充を見に来たのか?そもそもビーチって何が良いんだよ。熱いし、ウザいし、人多いし、ウザいし、うるさいし、ウザいし、うざい。

 

ダメじゃん。オニューの水着が無駄になったんだが?申し訳なさ過ぎる。この布や生地は何のために水着になったんだよ?

 

「僕ちゃん?今暇?」

 

ん?

 

端の日陰の方に居たシュヴェルに近づく二人の女性。それぞれ日焼けして少しだけ灰色によった肌に無数の切り傷などを付け白と赤のビキニにアウターウェアを着ている。すごくエッチです……やっぱり世は大アウターウェア時代に突入してるのでは?

 

「もしよかったら遊ばない?」

 

……美少女…二人…両手に花…青春…?…ありでは……??やっと俺にも春が来たか。女遊びなんて初めてだけど頑張っちゃうぞ☆

 

二人の女性はシュヴェルの左右に移動して横に座り、シュヴェルの顔をのぞきこむ。

 

おぉ…ッ!なんだこの積極的な行動。なんだ?俺のこと……それは無いな。じゃあなぜだ?……周りを見渡す。誰も居ない。ボッチ。かわいそう。恵まれないボッチに一夏の幸せを…?

 

普通に考えられるんだけど……思いたくねぇ……次。

 

自分を見る。子供。日陰。一人。暗い目。迷子のお世話……ありそう。遊ぼも話しかけるための話題。そうだそれだこれだ。よし。幸せ空間に幸せ思考……それは都合が良すぎ?でも勘違いは結構な頻度であるし……客観的に見る。

 

美少女。切り傷のあるスポーツ系少女。端の岩場。水着を着ている子供。たった一人。警察とか見回りする人はいない。誰も居ない。誘拐。身代金。お姉さんと良いことしようかぐへへへ……貞操概念逆転?なわけないだろう妄想脱線しすぎ。戻ってどうぞ。

 

結論。良いとこの坊ちゃんが一人で居るぞ。小遣い稼ごうぜ。ヘーイボーイ!遊ばない?もちろんお前の身代金で?

 

……ありえる。三つの中で一番考えられる。だって左の美少女さんの目がなんか怖い。まっ、とりあえずコミュニケーションズ。

 

「何をして遊ぶの?」

 

「そうだね。まずあっちの岩場に行こうか。」

 

そういって右に居る美少女が俺の後ろの岩場へ指さす。来ました。逃げなきゃ。相手はプロだ。左は下心たっぷりだけど右は純粋無垢な良い笑顔だもん。ありがとうございます。メシウマです。

と、いうことで。一度(心の中で)深呼吸して。

 

挟まれた!?まずい。逃げるぞ。

 

シュヴェルは日陰を飛び出す。だが日光に妨害され少しだけめまいを起こす。足の趣が怪しくなり転びそうになる。

 

こんな時に!?この陰キャボディ!!もっと日光浴びなさいってあれほど……もしかして睡眠不足?くっ、やはり今日はゆっくりおねんねするべきだったか!

 

だが後悔先に立たず。次の一歩がシュヴェルは出せずに転倒しかける。だがそれを二人の女性がシュヴェルのそれぞれ左右の腕を掴み、阻止した。

 

「だいじょぶ?」

 

左のお姉さんの目に下心が消えた!?どういうことだってばよ?お姉さんこわい。もうおうち帰る。

 

「離してくれない?」

 

俺は帰るぞ。二度とこんな所くるもんか!……水着はどうしよう……多分、いや絶対ここ以外で使う未来が見えないぞ。買って貰ったのに……これならお高いレストランで晩ご飯を食べた方が良かったんだが?まじで水着どうしよう……

 

「いや~~そんなこといわずにさ。転びそうな所助けたんだしさーあそこでお茶だけでいいからしない?」

 

そう言って右のお姉さんはビーチから見える街のおしゃれな喫茶店ぽいところを指さす。

 

ん………お茶だけなら……おしゃれなカフェ行って見たいし……お金ないし……ただで美少女と会話+おしゃれな飲み物と考えたら……いや待て誰が美少女のおごりだといった?確認しなきゃ!

 

「お金無いよ。」

 

「それぐらいこっちが払うよ。付き合って貰うんだし。」

 

良いじゃん。最高かよ。たまにはこんなご褒美があっても良いよね!それでは改めましてよr

 

「待て。」

 

シュヴェルの後ろから人が現れる。その人はシュヴェルの首根っこを掴み持ち上げる。二人の美少女の拘束から解放されると同時にシュヴェルの両足は宙にぶらーんぶらーんした。

 

「誰だテメェ「待って。」」

 

左のお姉さんがヤンキーになったがそれを右のお姉さんが止めた。そして

 

「お邪魔しましたーーー」

 

「なッッおいまてy……」

 

右のお姉さんが左のお姉さんの腕を掴みあっという間に人混みに消えていった。

 

何が起きた……俺はいったい何に背後を取られて確保された……………………エッ?でッ?……いつまでこの状態が続くんですかね……

 

二人のお姉さんが消えてしばらく経ってもシュヴェルは宙にぶらーんしたままだった。辺りを行く人の反応は人によって違うが大きく分けて二つある。

一つは微笑ましい笑み。まるで兄弟げんかを見るみたいに。

二つは目を背ける。まるで見てはいけない物を見てしまったように。

 

まーーた俺から話しかけないとダメな奴ですか。コミュ障にそんなことさせるなよ。黒歴史量産しちゃうだろ。だからあらがうで。全力で。

 

シュヴェルは後ろを振り返ろうとしたが首を掴まれているため身震いをするだけで終わった。

 

なぜこの状態が続いているの?誘拐なら早く誘拐しろや。残念だったな身代金はない。せいぜい人体実験か売り飛ばすんだな……どっちもだめじゃん。まっ、俺なら目を離した一瞬で逃げきれるけどな。早くしろ。ベシべシ……後ろの人の腕を叩く勇気が無いです。タップアウト出来ないじゃん。しょうがない。イッツコミュニケーション。

 

「あのーーそろそろ離してくれませんか?」

 

やったぜ。声が震えなかった。クール系を装うことが出来るぞやったね!

 

「ああ。すまない。」

 

特に感情が込められていない謝罪だった。後ろの人はゆっくりとシュヴェルの両足を地面に付けて首を掴んでいた手を引っ込めた。

 

んんんんn???nんn?なんだこの聞き覚えがありすぎる声は。つい最近聞いたぞ。

 

急いで振り返る。そこでシュヴェルは言葉を失った。

 

ばんなそかな。何故ここに居る?

 

深沈たる眼でシュヴェルを見据えているシュヴァルツがいた。

そんな時にシュヴェルはやっぱり通常衣装って水着なんだって思っていた。つまり俺も水着で日々を過ごしてしていてもこのシエスタなら問題無いのでは?いや待てシュヴァルツはロドスでも水着だよな?つまり日々の生活有りと有らゆる環境で水着で過ごせるという事だな。完全に理解したわ。

露出はお腹と肩と肘の中間から手先までと太股の中央から足先。Uネック。そこにアウターウェアです。もちろん俺のアウターウェアにはフードがあります。(使っていないからただのお飾り状態だけどね)フードがあるのでお腹が露出していることは許しておきます………あれ?いたって普通のスポーツウェアにパーカー着てるだけでは?

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

他執筆は終わらなかったぜ……前編って感じで良い感じに編集して今週中に出しておこうと思います。

最近スペースキーの偉大さを知った。わざわざ変換、エンターを押さなくても良いということで効率が1.3倍ぐらいになりました。

なのでワープロ一級受けてきます。


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3/14 嘆く海の雪辱 二女side

うっとうしいほどに騒がしい波際。そこに普段味わう熱さとは別の暑さ。さらに信用出来ない奴らがウジャウジャとオリジムシみたいにそこら辺に沢山居る。そこに一部だが気持ち悪い視線を感じる。

 

控えめに言って今すぐ帰りたい。

 

そう思い続けるヘムロだったがその浜辺を離れる事は無い。と言って背後は街と浜辺を遮る防波堤のように少し高い場所に道があってこれ以上下がる事は出来ないのだが。

 

左に居るリムラもボケーッと空を見上げていた。太陽がまぶしくないのかな?

 

これもあれも事の発端は隊長の一言からだった。

 

 

 

「リムへム!これをやるぞ。」

 

そう言ってリムラとヘムロに手渡されたのはそれぞれ白と赤の三角が三つに紐が付いてる布だった。

 

「隊長これなんですか?」

 

「隊長、これいらないです。」

 

「ちょッそんなこと言わないでよ!せっかく買ってきたのに!「そんなことはどうでも良いので説明求む。」……水着と言われる服だ。お前達はこれを着てビーチで遊んでくると良い。」

 

「ビーチで…?」

 

「わかりました。いやです。」

 

「まぁまぁそう言うなよ。別にやること無いだろ?」

 

「それもそうですね。」

 

「関係ないです。ビーチに行くくらいなら寝ます。」

 

「そんなこと言わないでくれよ~~ほら!リムラ!!ビーチ行ってみたいだろ?」

 

「確かに行ってみたいですが……」

 

「よし決まり!拠点を帰るから帰りはこの場所に来てくれ!」

 

隊長は紙をヘムロに渡す。完全に退路を断ち切った。

 

「……了解です。」

 

「よしそれじゃあ解散!」

 

そういって一目散に部屋を出て行きどこかへ消えていった。嵐が去った部屋でリムロが言う。

 

「へムロ、ビーチってどんなとこ?」

 

「行けばわかりますよ。」

 

そして着替えてビーチに来たというわけ。初めの頃のリムラは初めての場所、そして綺麗な海に目を輝かせていたが今では気分は上の空だ。ほんとなんでわざわざせっかくの休暇でこんな所に居るのだろうか?

昔来たときは海で泳ぐのが楽しすぎて一日中泳いでいたが海を出るときの耳と尻尾がクソみたいに重くて萎えた。そして砂が尻尾についた時には発狂した。ほんまくそやで。

 

リムラには最初に経験させた。やっぱり私と同じように楽しそうに泳ぐのは大変微笑ましい姿だが一回海を出させると一気にお通夜ムードだ。これぞ先輩の務めです。

 

「へムロ……暇です。」

 

「指定時間までは太陽があの角度になった頃です。それまで寝ましょう。」

 

「こんなとこで寝れないよーー」

 

「たしかに。どうしましょうか?」

 

ヘムロもボケーッと空を見上げる。雨の日は最悪だが雲が一つも無い快晴も最悪なんだとヘムロは確信した。

 

「……ヘムロ、そういえばここって海水浴って言う場所でもあるのですか?」

 

「海水浴…?たぶんそうだと思うよ。」

 

「やりました。」

 

「何を…?」

 

「昔、ヘムへム先輩に海水浴の遊び方を聞いた。実践しない?多少は暇つぶしになると思うけど。」

 

「いいね。どうするの?」

 

ヘムロはリムラの方を向く。そしてリムラと目が合った。

 

「遊びその一、泳ぐ。」

 

「論外。次。」

 

「遊びその二、海に浮かぶ。」

 

「水が嫌。次。」

 

「遊びその三、異性を遊びに誘う。」

 

「ブッッ!??!!?」

 

ヘムロが吹き出す。そして口を手で押さえながら顔を真っ赤にした。

 

「へッ?ヘムロどうしたの?大丈夫?」

 

「も、モんだい無い詳細を。」

 

「でも顔が赤いですよ?」

 

「続けて。」

 

「あ、はい。適当に良い感じの異性に声を掛けて遊びに誘うそうです。そしたら後はその異性が色々してくれるらしいです。あ、もしも異性に不快感を感じたら容赦なく蹴り上げろとも言っていた。」

 

「わかった。ありがと。」

 

とりあえずヘムへム先輩は殺す。私のリムラにそんな事を教えておいてタダで済むと思うなよ?やっぱり上下をハッキリさせるのは大切。二度と似たような事をさせないためにも殺す。

 

「ヘムロは誰か良い感じの人居ましたか?リムラの方は居なかったです。」

 

「いい人ねぇ……」

 

ヘムロはジット辺りを見渡す。子連れ友連れ恋人連れ。全部ダメ。いい人っていうのを感じたことは今まで数える程にしかない。そしてそれが異性になると隊長ぐらいだ。ほんといい人というか信頼できる人っていうのは貴重で………

 

「ヘムロ?どうしたの?今日おかしいよ?日陰で休む?」

 

「いやッ!ダメ…いや何でも無い!」

 

「……もしかして良い感じの人居た?」

 

「……笑わない?」

 

「笑わないし引かない。むしろその良い感じの人のところへ突撃しよう。それで誰?どこに居る?」

 

「あ、、そこ。」

 

ヘムロは震える手でビーチの端っこの岩陰を指さす。リムロは目を細めてそこをジット見る。するとポツンと藍色の水着を着る人……いや子供がいた。

 

「ホウゥホウゥ……でッ何処が良いと思ったの?」

 

「…子供なのにクールな感じで子供のような幼さをもっていながか賢明な感じというかこの世の全てを知って居ながら懸命に生きる感じというか……」

 

「落ち着いて、似たような事言ってるから。落ち着いて。」

 

「わかった。」

 

「よし、じゃ行こっか。」

 

「ふぇ?」

 

「言ったじゃん。良い感じの人のところに突撃しようって。」

 

「わかったから。逃げないから。手を握るのはやめて。自分で歩く。」

 

そんな姿みられたくないし……

 

「わかった。それじゃ行こ。」

 

「うん。」

 

覚悟は決めてないけど判断力は大切。ここで遊びに誘わないと………遊び?

 

そこでヘムロの顔を真っ赤に染まる。運が良いことにリムラは前を歩いていたためその顔を見られることは無かった。

 

……子供だからそんなことは知らないだろう……多分…何話せば?……女ヘムロ。年下をリードしろ……そしてら楽園がヘムロを待っている……よしダメならそこで終わり……それだけの話…でも良かったら?……どうしよう………

 

そんなヘムロの葛藤など知っちゃこっちゃないとリムラは進みつづけるのだった。

 

 

 

「僕ちゃん?今暇?」

 

リムラが話を掛ける。ヘムロはまだ顔は真っ赤じゃ無いかと不安になり、リムラの背中に隠れる。

 

「もしよかったら遊ばない?」

 

そう言いながらリムラが少年の左に座るからそれに続いて右に座る。

 

「何をして遊ぶの?」

 

「そうだね。まずあっちの岩場に行こうか。」

 

????

声にならない悲鳴をヘムロは上げる。

 

率直すぎるよ!でも他に話すことなんて……ゴニョゴニョ

 

一瞬の出来事だった。気がついたら少年が岩場を飛び出していた。ヘムロは残念がったが次の瞬間には焦りに変わる。飛び出したはずの少年が全速力とは違いまるで転びそうなほど前屈みになりかけていた。

 

立ち上がり、一歩前に出る。そして少年の腕を掴む。それは左側でも同じだった。

 

「だいじょぶ?」

 

「離してくれない?」

 

!???!!??

 

気づかいの声は拒絶で帰ってきた。その事実に頭が混乱して、顔が歪に曲がる。

 

視界の端でリムラがヘムロの代わりに焦る。

 

「いや~~そんなこといわずにさ。転びそうな所助けたんだしさーあそこでお茶だけでいいからしない?」

 

リムラ……さすがにそんな気分ではないよ。この状況でお茶なんてしても……

 

「お金無いよ。」

 

え?……離してくれない?は拒絶ではなかった?…よかった。

 

ヘムロの顔が安堵に包まれる。

 

「それぐらいこっちが払うよ。付き合って貰うんだし。」

 

「待て。」

 

アァァ?

 

リムラとヘムロの間から手が差し込まれる。それは少年の首を捉え持ち上げていった。そしてリムラとヘムロの手からは腕の感覚がなくなった。少年はフェリーンの手の中で目をまん丸としていた。かわいい。じゃなくて

 

「誰だテメェ「待って。」」

 

突然あらわれたフェリーンにブチ切れる。まるで獲物を横取りされたような感覚を覚えた。漁夫の利を決める輩には鉄槌を。だがリムラがそれを止める。なぜ?

 

「お邪魔しましたーーー」

 

「なッッおいまてy……」

 

リムラは流れるようにヘムロの腕を掴みその場を後にした。その力は反撃を許さない程徹底された物だった。

そして先ほどいた浜辺に戻った。

 

 

「リムラ……説明して。」

 

少し時間が経って怒りが静まった。だが怒りが消えたというわけでは無い。

 

「さっきのフェリーンの名前はシュヴァルツ。シエスタ市長SP兼市治安当局局長。残念ながら面倒ごとに関わる理由は無いよ。」

 

「………初めてだったのに。」

 

ヘムロは俯く。その雰囲気はいつもみたいな面倒くさいとか眠たいとかでは無く悲しいって、悔しいだった。

 

「残りの時間はご飯食べに行こっか。」

 

「うん。」

 

「もちろん隊長の付けでね。」

 

「よしきた。破産させる。あと隊長じゃなくてヘムへム先輩に付けておいて。」

 

「ん……ん?なんで?」

 

「なんでも。」

 

よし全て何もかもヘムへム先輩が原因だ。その責任を取って貰おう。かわりに殺すのは勘弁してやる。

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

筋肉痛許すまじ


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3/15 嘆く海の雪辱 主side

前々回の振り返り。

 

きたるモテ期。

 

終わるぜ魂。

 

背後からの刺客。

 

シュバルツ!?嘘やろ。

 

以上。

 

 

……いつもの……シュヴァルツさんは動かない。ジット見られています。何か話があったのではないのですか?ただ助けて頂いただけですか?ありがと迷惑でございます。

 

「あ、あの、……なにかご用でもありましたか?」

 

「貴様は例の糞餓鬼か?」

 

「糞餓鬼……?」

 

な、なんてことを聞くんだ!!正解だけど…そんなことを聞くなんて最低ね。ま、俺の方が最低である自信はあるけどね。

 

「しばらく前、路地裏で複数の黒ずくめからお嬢様を助けたか?」

 

「………人違いでは?」

 

……何普通にフラグへし折ってるんだよ俺。これ以上シエスタでやることもう無いだろ?後はポンペイと戯れるぐらいしか……まあいい。次は何処へ行こうかなーー

 

「黒髪黒目。特徴が似ていたから聞いただけだ。すまない人違いのようだ。」

 

「いえ大丈夫です。それでは……」

 

シュヴァルツは歩き出している。それは浜辺へでは無く、街でへ向かって岩場を舞い踊るように飛び跳ねる。どうして浜辺に居たのですか?

 

ピッピッ!脳内センサーに的をゴホンゴホン。敵を確認。方角西、海の中。距離わかりません。フォルム的に海の怪物達ですね。七匹。数少ないね。どうしたの?

ハッハッ今まで寝ずに探してたの?ご苦労なことだね。ん?七匹の連携攻撃?なんか元気玉みたいなことやってるな。面積小さすぎ弾速おっそ。ダメじゃん。だが慢心しない。これは某艦隊美少女ゲームで知った。回避する……アッ狙い俺じゃ無いわ。シュヴァルツさんだわ。アッこれディボーションタイプだわ。後からあり得ないほど早くなるやつだわ。アッしかもシュヴァルツさん空中にいてまともな回避行動とれそうにないわ。

 

こ…れが……慢心…?慢心の結果が…こ…れ……?

 

未来が見える。威力はわからないがシュヴァルツへ向かって撃たれている弾。貫通タイプでシュヴァルツは回避しきれず横腹を掠り取り綺麗な弾痕図を露わにする。地面にひれ伏しながら悔しそうにまだ見ぬ怪物への静かな怒りを見せる。爆発タイプで再起不可、意識がもうろうとなりながら敵を見据える。ジュルッ…ではなく却下するッッ。

 

シュヴェルはハイジャンプをする。ただ速度を求めただけのジャンプ。その斜角は調整済み。シュヴェルがシュヴァルツに追いついた。背後からコンニチワをしておこう。弾との距離は問題はない。余裕も無いがな。なのでアーンッパァッーチィッッッーー。

シュヴァルツさんの脇に向かってアッパー。回転を掛けないように気持ち横へぶん殴る。Yの手で。無事にシュヴァルツさんの軌道を大幅に変え森に向かって飛んでいく……大丈夫だよね?普段から数00mを飛ばされる経験は無いだろうがシュヴァルツさんなら何とかなるだろう。木がクッションになってくれるはずだ。たぶん……今の状況より酷くなったらどうすれば!?もし木の枝が突き刺さったりしたらオゥッ

 

弾がシュヴェルの背後から左肩に当たった。タイプは爆発だった。

 

はっ威力が足らん。傷一つついていませんが?ザコザーコ。ちょっと服を吹き飛ばしたのは褒めてやる。あのポチでも出来なかった事だからな。もし貫通タイプなら……あれ?なんかスースーする……ハァッ?ハ?ハハァ?

 

シュヴェルは背中から胸にかけて肌寒さを感じた。だから下を見た。それは当然の行動だった。空中に浮かんでいようと危機感がほぼ無いシュヴェルにとっては落下しているその状況より大切なことだった。話を戻してあら不思議。小さく肌色のお胸がコンニチワをしていた。水着はペロンと力なく重力に従って倒れていた。

 

フ負府付婦符不富腐腐腐フフフフハハ。やったなこいつら。オニューの水着をもう二度と着れないように壊された。パーカーに至ってはただの布きれになった。許さん貴様。

 

「壊れろ。」

 

着地したシュヴェルは無意識に血管を浮き上がる。そして不気味に笑いながら無意味に口に出した。それを合図として七匹の海の怪物達は左右上下に現れた源石の壁によって潰される。そして海の怪物達は海のゴミ屑へと変貌していった。

 

これで日常水着計画は消えた。たった一回使っただけの水着を着れなくしてしまった。もういい消えろや。もうお前らの顔なんて見たくも無い。おいまだ何処かに居るんだろ?出て来いよ。相手してやる。じっくり手足をすりつぶしてやる。俺はここじゃッッッッ出て来いやァ!!

 

シュヴェルは海へ飛び込む。そしてプロペラを作り海深くまで素早く潜る。仲間の死に反応したのだろうか?彼方此方に、海の怪物達がシュヴェルを囲む。だがむしろ好機。全ての海の怪物達の左右に源石の壁と作り、すり潰した。

 

だが怒りが収まらないシュヴェル。

 

右往左往と海の怪物達を探し出し、轢き殺す。

 

だが怒りが収まらないシュヴェル。

 

バカ凸しすぎて岩の欠片がシュヴェルの左肩を突き刺し、跡を残した。

 

むしろ怒りが増してしまったシュヴェル。

 

左肩の痛みをバネにしてさらなる索敵網を作るシュヴェル。

 

そしていつしか海の怪物達は逃げ惑う。その集団性を捨てて少しでも生き残るようにと仲間を見捨てて。

 

海の怪物達は何処かへ消えてしまい影一つ見えなくなってしまった。

 

そこでやっと冷静になることを考えて眉間にあった浮き上がる血管を収めた。

 

ここまでわずか40分の出来事だった。

 

シュヴェルは陸へと向かう。それは偶然か奇跡か海から出たらそこは先ほど怒りを露わにした岩場だった。

 

やっと……岩場に着いた……疲れた……

 

シュヴェルは海に上がったが未だに立ち上がることが出来なかった。海の中から陸へ上がった脱力感か。水着が海水を吸って重くなったことか。理由は想像に難くないがただ寝るように倒れ込んでいた。

 

もうここで寝ようか……もうどうでもいいや。眠い。ほんま最後まで置き土産残していくな!ks!

 

「貴様。これはいったいどういうことだ?」

 

なぜ貴様が!??ずっとここに居たのか??俺のこと好き?そうだったらいいな……ははっ。

 

太陽が落ち込み、赤く燃える。その灯りに照らされてギラギラと光るシュヴァルツがシュヴェルをすぐ側見下ろしていた。

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

あれ?もしかして前回から全く進んでいない?


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3/16 嘆く海の雪辱 シュヴァルツside

「……ッ。」

 

気がつくとそこは森だ。私は倒れていた。空はわずかにオレンジ色に染まり一日の終わりを教えてくれた。

 

最後に見た…感じたものは……

 

街へ駆け上がる。一歩一歩大きく、素早く行動するために。

何も勘づけなかった。一瞬で衝撃が私を襲う……傷が無い…?確かにあの衝撃は左肩を……

見えた物は空、海、街、森、黒い人型……小さい…さきほどの少女か。

 

 

 

少女。

 

セイロン様が言っていた人物と酷似する少女。

今まで生きてきた中でも黒髪で黒目の人物は今ここで初めてだった。

 

声を掛けてみたが、その少女は気弱で至って普通の子供に見えた。

 

この少女が仮に例の糞餓鬼であるとしても、我々からの接触を拒むならこれ以上関わる必要も無いだろう。多少調べ上げるだけで十分だ。

 

その少女をそうだと思うのは一般的な身体能力では無いからだ。少なくとも僅かな準備で3mはジャンプが可能。

だが少し気がかりなことがある。なぜ吹き飛ばした。威力を間違えた?もし殺す気があるならなぜトドメを刺さない?時間はあったはずだ。まだここで寝ているということは仲間は誰も私のことを見ていないか、少女にやられたのか?

 

シュヴァルツは動き出す。これから夜が始まる。時間としては最高だ。

 

まずは街の中にある隠れ家の一つへ行く。

 

シュヴァルツはリズムが乗ったノックをする。するとリズムの乗ったノックが帰ってくる。

 

扉が開く。

 

「シュヴァルツさんどうかされましたか?こんな時間に。」

 

「何か不祥事が起きたか?連絡の付かない仲間は居るか?」

 

「お、落ち着いてください!十数分前に定時連絡をしましたか全員問題ありませんでしたが…」

 

「了解した。」

 

「ちょシュヴァルツさん!本当にどうしたんですか!?何かm……」

 

シュヴァルツは扉を軽く閉じ、歩き出す。裏道や人通りの少ない道を選び進む。

シュヴァルツは思考をクリアにするために視線を上げた。まだ夕日は終わっていなかった…

 

何の確証もない。理由もわからなけらば合理性も計画性も何もわからなかった。これ以上たった一人で調べるのは時間の無駄だ。だから最後に確認しておこう。何か手がかりがあるかもしれない。それだけだった。

 

吹き飛ばされたあの岩場。あの岩場では満ち潮が始まっていた。海に沈む前に来れたようだ。

 

…………どういうことだ?岩場にあの少女が倒れていた。左肩の衣服は破れている。しかも濡れて……海から出てきた?

 

海から少女までの間が他の岩場より薄暗くなっていた。

 

少女だけが濡れたとは考えにくい。ならば何故海から出てきた?唐突に高波が来たのか?

 

一歩づつ静かに歩む。目の前の少女から腕二本分離れたところで声を出す。

 

「貴様。これはいったいどういうことだ?」

 

当然の疑問。恐らくこの少女は間違いなく例の糞餓鬼だろう。だからこそ聞く必要がある。少なからずとも敵では無い。そう信じたい。

 

「……おい。」

 

返事は無い。もしかして……いや息はある。

さらに一歩前に出て腕を少女に伸ばす。右肩を掴み少し揺らす。

 

「おい。」

 

反応はない。思い切ってひっくり返してうつ伏せから仰向けにする。

 

「ウォッ。」

 

変なうめき声……赤い肩。鉄の匂いは海水にかき消されて、血は海水に流されたか。顔は変に歪ませている。

 

いずれここは海に沈む。そしてもしかしたらこの少女は恩人かもしれない。

 

その考えが私をこのような行動へと動かしてしまったのだろう。

シュヴァルツは飲料水で傷口を洗い流し、バックに入れていた包帯で少女の肩を巻きつける。そして肩に背負い住処へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

喜べボーナス週間だ。


ちなみにシュヴェルは海。

気を失っている。

人工呼吸!?です。

このシーンは主sideにする気はありません。あと運搬中にシュヴァルツは寝ました。


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3/17 嘆く海の雪辱 主side

…ラグナロクが72匹…岩崩しが73匹…スカイスマッシュが74匹…ボイリングバーストが75匹…キメラが76匹…ウニが77匹…ペガサスアイが78匹…鉄御が79匹…回復力促進が80匹…暮色の慧眼が81匹………ターミネート?……ハッ

 

この海風香る潮の匂いに負けないほど良い匂い……雨上がりのアスファルトと一酸化炭素とレモンとほのかに甘い香水の匂いを足して3で割ったような独特の匂い。

 

俺は知っている。これはゴットスメルオブガールズ。

 

ええいッままよ!何故俺は瞼を閉じているのだ!?

 

よくやった!

 

これで限りなく可能な限りこの匂いを味わうことが出来る!!

 

……まて……な、なんだ…この音は……?…この僅かに聞こえる女性の吐息。ガチッガチッとした金属音………何をやっている?…きになる……でもこの瞳を開けたらもうこの匂いは味わうことが出来ない句なるかもしれない。だがお風呂に入るまでの間は味わえるよね。

 

いざご開帳。

 

「…んっ……」

 

知らない天井だ。庶民家?照明器具だけ時代が進んでる。

 

シュヴェルは起き上がり寝ていた長椅子に座ってから辺りを見渡す。平民家?リビング?椅子に机、窓に扉。一カ所の扉だけ鉄製のゴツイやつだけど……こわ。

 

手錠足枷監視カメラ等はなし。水着が布服になってる。ダボダボだ。最後の記憶……シュヴァルツさん?

 

ギゴゴゴゴォ

 

鉄製のゴツイ扉が錆びた鉄が擦れるような音を出しながら開く。そこには普段の衣装より一段上の露出度を保った正真正銘のスポーツウェアだ。半袖半ズボンのおへそ出し、ピチピチのスパッツタイプ。このタイプが一番好き。コッホンッ。首元にタオルを掛け、汗を拭いながらシュヴァルツが現れる。

 

ぁァ~~閉ざされていたはずの扉が開いて良い匂いの根源が現れる+タオルで拭くことによって汗のにおいが増して最高なんじゃぁ~~~

 

顔だけは威厳を保たなければッ!フゥ……

 

「起きたか。」

 

「その部屋は何だ?」

 

言葉のキャッチボール失敗。これは故意的な失敗であり本来なら処罰されるべき陰キャですが大変その部屋が何なのかが気になるので無罪放免とする。さぁー早く教えるのだ!

 

「トレーニングルームだ。それで君の名前は?」

 

トレーニングルーム?ダンベル……シュヴァルツさんはダンベル何キロ持てる?確かめたいのですが……やってみませんか?だめ?

 

「……シュヴェル。」

 

……そういえば名前知らなかったのね。で、

 

「いったい何の用だ?わざわざこんな所に連れてきて。」

 

「昨日のことは覚えているだろう。お前が例の糞餓鬼で有ろうと無かろうと私はその過程を知る必要がある。教えろ。」

 

「律儀に教える必要も理由も無いはずだが?教えたことも真実とも限らない。さらに捕縛もせずに放置したあげく、無装備で現れると愚かでは無いのか?」

 

俺は知っているぞ。この世界、そんな野菜生活では生きれないと。優しい世界じゃ無いんだよ。たとえどんな理由があっても、それが転生ボーナス的な何かであろうと、吊り橋効果的なあれであろうとそれは警戒するべきだろう。シュヴァルツさん、貴方が無制限の信頼を与えて良いのはセイロン様だけです。

 

「信頼故だ。」

 

「……根拠と結果のない信頼などゴミ屑以下だろう。まぁいい。とりあえず座ったらどうだ?いや僕が立つべきか?」

 

ふへ……信頼……シュヴァルツさんが俺に信頼……ふへ……

 

「いや立たなくていい。それでは失礼する。」

 

シュヴァルツはシュヴェルの前、対面にある長椅子へ座った……距離が近くなる+こちらへ進行によって(以下略)

 

「それでは教えてくれ。」

 

「……少し考えさせてくれ。」

 

シュヴェルは目を閉じて顔を下へ背ける。

 

過程……海の怪物達が襲ってきたので撃退しました。ちょっとキレちゃったので海へ潜って殲滅したよ☆…じゃダメだね。そもそも海の怪物の存在教えちゃだめじゃない?よくわからないけど。とりあえずぼやかして説明するしか無いか。使命がーとか俺がまいた種だーとか言っとくか。

 

「…まず初めに、教えることはない。」

 

「なぜだ?」

 

シュヴァルツは目を細めて手を組み膝に置いた。

 

「あれは僕が原因でもある。だから僕が解決させる。僕がこの地を去ってあれが静まるとは思えん。最後まで責任を持って対処する。以上だ。」

 

「あれとは何だ。」

 

「あれはあれだ。」

 

「そのような屁理屈を聞きたいわけではない。」

 

シュヴァルツの手に血管が浮かぶ。細めた目の奥底には深海よりも深い青き炎があるように見えた。

 

「話せることはない。」

 

原作介入は嫌なの!もはやトラウマとも言える。2次元は2次元、2.5次元は2.5次元。これハッキリするべきである!……ちょっと例え違うわ。良い例え……ないかな……?

 

「話せ。これ以上の言葉はないぞ。」

 

「返答は変わらない。話さない。僕に信頼と善意を寄せてくれる者に嘘はつきたくない。」

 

頑固者め。これは逃げるべきか?この家は外見ボロ家である。窓をちょっとだけ壊させて貰ってバイバイするべきか?ちょっと海に突撃!隣のファースト・トーカー君!をしてからさようなら。全てのシエスタをするべきですか?はい。そうですね。最後にポンペイにちょっかいを出して……は自重しましょう。

 

ポン助様……わかりました。余計なことはやめます。

 

「……だからこそ聞く必要がある。セイロン様に関係することであるならば聞く必要がある。」

 

シュヴァルツは一瞬だけ目を軽く閉じる。そして軽く呼吸を行い、言う。そこには浮き出る血管も先ほどのような一発即発のような雰囲気はなかった。

 

ん?流れ変わった?もはやこれはどうするべきか?いや結果は出したじゃん。行くぞ☆隣のファースト・トーカー君してきます。

 

シュヴェルは立ち上がる。まるでもう話す理由などは無いと言わんばかりに特にアクションを起こすこと無く立ち上がった。そして窓を見据える。

 

「待ってくれ。」

 

シュヴァルツは立ち去ろうとしたシュヴェルに向かって言う。

 

背後から声かけるのやめてくれよ。美少女に声を掛けられると条件反射的に立ち止まってしまう。そしてその声を掛けた相手が自分で無いことをしっかりと理解して心で泣きながら再び歩き出すのだ。

そこには意味も無く立ち止まった意味がわからないヤバい奴として周囲から冷たい視線を感じながら……おい、コロセよ。

 

だが今回は間違いない。この空間には二人しか居ない。もし通信機の相手とかほざくならもう二度と俺を証明する固有名詞{名前}を呼ばれようとそれは風のいたずらとして無視を決め込むぞ。

 

シュヴェルは後ろを向く。シュヴァルツの方へ向かって。そこに言葉はいらない。むしろ何を言えと?いい加減にしないと吐くぞ?胃液的な意味で。それか血反吐的な意味で。で、どうするの?

 

「シュヴェル。頼む教えてくれ。教えてください。」

 

シュヴァルツはシュヴァルツの方へ体を向け、姿勢を正し綺麗に三十度(ぐらい)頭を下げる。美人は何をやっても絵になるというのは誠であったか……何か新しい感覚が、、ゴッホンゲホン。落ち着けポン助。俺は(たぶん)普通だ。よし落ち着けポン助。ポ、ポン助!?ポン……脳裏に刻まれたからもう大丈夫だポン助。

 

まーー置いていて切り替えて。女は覚悟を示した。ならば男もやるべきだろ?ちょっと話したくらい大丈夫だと信じよう。無意識かつ無責任にやったとしよう。もう知らん。名前も姿も声も形も知らない原作とやらはもう知らん。

 

「条件だ。それを俺の口から知って良いのはお前だけであり、お前以外の何者も知ってはいけない。出来るな?」

 

「もちろんだ。」

 

「よし。」

 

シュヴェルは長椅子に座り直す。心なしかシュヴァルツさんの顔がほころんだ気がした。

 

「まず前提だ。」

 

「うむ。」

 

シュヴァルツは口だけを動かした。そのけだるそうだけども真剣に眼差しにシュヴェルは倒れてしまいそうになった。

 

「俺は奴らについて詳しくは知らない。もし本当に知りたいなら本人達に聞いてくれ。」

 

「本人?……」

 

なんだそれは?とシュヴァルツは顔を僅かに傾ける。

 

「奴らの事は海の怪物と呼んでいる。海の深淵に住む者達。お前達の基準がわからないが強さは知らない。少なくとも下っ端の海の怪物は例の糞餓鬼に放った一撃よりは弱い攻撃力だ。」

 

「理解した。それでなぜ襲われる。そして昨日は何があった?」

 

「なぜ襲われる……か。それについては詳しく知らない。恐らく僕が逆鱗に触れたのかもしれないな。すまない。」

 

たぶん喧嘩をふっかけられたからだろうけども。俺によって(笑)本当にすまない。この真実は末代まで隠して行こう。俺が末代だとは思うけど。

 

「……続けてくれ。」

 

「昨日は海の怪物が珍しく地表近くに現れた、その攻撃がシュヴァルツを狙っていたから強引に吹き飛ばして回避させた。必要の無いことだったかもしれない。悪かったな。」

 

あの程度の攻撃力が七倍になった程度で……遠距離オペの防御力で大丈夫なのか?でもシュヴァルツさんなら、それが慢心である。もしかしたら攻撃力が七乗になっていたかもしれない。だからダメだ。俺が正しい。いやむしろ俺が悪い。あの程度は俺のアーツで防御できたかもしれないだろ?それかアーツで体三つ分上下左右の方向へ動かせば良かったじゃん。判断能力の欠如。脳筋ドクターめ。

 

「いや構わない。それでなぜ濡れて倒れていたのだ?」

 

「あーー。その現れた海の怪物は倒した。そして海に潜って海の怪物達を殲滅しに行った。目に付いた全て海の怪物達は倒した。その後は岩場に戻って寝た。肩の傷はその時の負傷だな。」

 

……もしかして岩の攻撃力の方が海の怪物達より強い…?いやでも俺は加速していたし……た、多少はね……下っ端ばっかりだったからね!そんなもんだよね。

 

「ふむ……感謝する。」

 

「これで話は終わりだな。それじゃあ続きをしてくる。」

 

「続き…?なんだそれは?」

 

今度こそ意味がわからないとシュヴァルツは首を傾けた。

 

「もちろん。殲滅だ。」

 

シュヴェルは満面の笑み、そしていたずらっ子の如く悪巧みを妄想している子供の笑みだった。

 

「もう一つ聞きたいことがある。」

 

「なんだ?」

 

なんだろ?他に聞くことある?聞くことじゃなくて問いだたすことならあるだろうけど……

 

「貴様は例の糞餓鬼か?……なんだその変な顔は?」

 

ふっなんだそんなことかよ。

 

「俺以外に黒髪黒目で背が小さくてバカで間抜けな野郎が居るなら見てみたいよ。」

 

「そうか……セイロン様が礼を言いたいと仰っている。可能なら屋敷に来ないか?」

 

なんだこのバカは…みたいな目はやめてくれよ……事実だろうが。現実より想像を見て怪我をしたバカ。それか話を面倒くさい方法へ向けた間抜け。俺にぴったりじゃないか!ハッハッハッハ………お前もワラエヨ?ホラ?

 

 

 

静粛に。もう笑うな、その目と思考もやめろ。

 

お返事を返さなければ。

 

「そうだな……」

 

もちろん返事は

 

「返答は…喜んで。」

 

シュヴェルはバカみたいに良い笑顔で笑う。その様子を見ているシュヴァルツがおかしなものを見ているように思えて、クスリと笑うのだった。

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ


前作で喜べボーナス週間などと言っておきながら計2話しか投稿出来ませんでした。

誠に申し上げございませんでした。もう二度と’喜べ’などと上から目線から言いません。

また確証がない場合(書き溜め)が無い場合はボーナス週間などと言いません。

なので今以来よりボーナス週間は来ることが無くなることが確定しました。


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3/18 嘆く海の雪辱 主side

…パトラッシュ……もう疲れたよ……

 

シュヴェルは街から少し離れた坂道をシュヴァルツに連れられて歩いていた。左側にはちょっとした崖。そこまで高低差があるわけでは無いが街とビーチと地平線を一望できる。

 

ここまでの絶景は初めてだった。キレイだなーー

 

右側は壁。坂道を登った先にはまた街がある。そこの観光地とはまた違う住居用であり、貴族用の家も多くあると言う。

 

そして右斜め上。隕石落下中。イベント強制終了お知らせ。シエスタの冒険はここで終わるようだ……お茶したかった……ポンペイと遊びたかった……シュヴァルツさんに頭なでなで……クッソ。また来てやる。覚悟しておけシエスタ!

 

「どうした?急に立ち止まって。」

 

おっと。急に立ち止まって右斜め上を見続けたことにシュヴァルツさんが違和感を持ったようだ。

 

「ここでお別れのようだな。」

 

シュヴァルツの方を向く。悲しみの目を見せながら。

 

「…どういうことだ?」

 

「時間だ。セイロン様にはよろしく伝えておいてくれ。」

 

行こうとしていた道を引き返す。

 

「……何か手伝えることはあるのか?」

 

「いや無い。」

 

「了解した。時間があればいつでも来るといい。私はシュヴェルを歓迎する。」

 

「ああ。感謝するよ。」

 

シュヴァルツはそのまま行き先へと向かう。ただ一度も振り返ることも無く。

 

薄情とも言えるかもしれない。だが個人的にこれは信頼と思う。シュヴァルツさんと俺とでは住んでる世界が違う。お互いに知っていることは少ないし、価値観も違う。だからこそ他者の世界に踏み入れず、自分の世界を守っている。

うんたらかんたら言っていたが結局何が言いたいかと言うとシュヴァルツ✕セイロン最高。

 

 

さーーて現実見ましょうか。隕石君は鋭角で落下中。鋭角?鈍角じゃ無くて?……間違いない。鋭角だ。落下地点は俺じゃ無い!?うっそだろ。俺以外にいったい誰が標的なんだよ!!浮気は許さん。NTRはもっと許さん。覚悟を決めろッ!!

 

アーツ精密計測

 

落下地点……海…?津波?ハッやっぱり狙いは俺じゃ無いか!!いやまて住民まで被害及ぼすタイプ……龍門市街もそうだったわ。被害の桁が違うだけであれも範囲攻撃だったわ。

 

なので障害物(源石)を置いて落下の勢いを減衰させます。多少は効果があるでしょう。

そして浜辺へGO移動は大胆に、目立つように移動します。ジャンプで上空から行くぞ。

 

空中出現、数秒空に留まり、勢いよく落下。←砂埃を起こして注目を浴びる。そして一言

 

「サレ。」

 

シンプルかつわかりやすく。目に見えないサイズの薄い源石板を作ってエコー+ノイズ混じりの大声にして浜辺全体、海辺全体に届けます。

 

驚き、恐怖、戸惑い。良い状況だ。何の前触れもなく現れるより何か原因があった方が良いからね。

 

なので本来の目的を達成しましょう。防波堤設置。高さ20m。海辺全体、つまり隕石落下地点の周囲に防波堤を作ります。これで津波など無意味!(人は強制退去させて頂きます。街へお行きなさい)

 

壊れそうなら増強し、高さが足らないなら足せば良い。ヒャッハァッ俺は足していくだけやから。お前とは労力が違うんだよ。バァーーーカ。

 

シュヴェルは防波堤の少し上、上空で海を見下ろしていた。背後のことは気にしないでいよう。気にし始めたら吐き気で沈んでしまいそうだから……

 

……来るぞォー対ショック用意!……津波の推定高さ30m…ならばよろしい40mだ。防波堤を+40mして60mにします。

 

防波堤に津波が来る。だが防波堤を揺るがすことも崩すことも無く、ただ豪快な激突音を残し、津波は海へと消えた。

 

勝った。さーて本体カモンぬ………本体きて……本体はよ……本体はどこじゃ?

 

隕石は海に落下したきりそれ以上の反応を見せない。しびれを切らしたシュヴァルツは海を捜索開始……ファースト・トーカー、ファースト・トーカー!?本体の代わりにファースト・トーカー率いる海の怪物達が現れたのだが??……もしかして本当の目的ってそれ?賢い。俺の20倍ぐらい賢い。だが計算能力がない。海の怪物達がいくら現れても隕石の本体の方が強い。そしてまとまって攻めてくれて助かる。防波堤によって海の怪物達は逃げ場がありません。よって殲滅戦、、開始します。

 

二本の大剣を作る。それは黒く、敵の返り血ごときでその姿は変わらぬだろう。

 

ウラァーーーーーーー

 

ファースト・トーカーが雄叫びを上げながら液胞を投げ飛ばしてくる。

 

それに対してシュヴェルは大剣を一振りする。その一振りでファースト・トーカーごと液胞を切り落とした。

 

…この大剣は防御力Bを一撃……あの世界は所詮ゲーム。真銀斬を2,3回耐えきる雑魚敵は存在しないし、水鉄砲があんな火力な訳ないだろ??よってこの世界はファースト・トーカーごときラグナロクで一撃だし?なんならファウストも一撃だし?だがフロストノヴァは30撃だろうと耐えきる主人公補正があると思います。無かったら俺が無理矢理にでも守り切りますが??……早くストーリーが始まる前にフロストノヴァさん見つけなきゃ!絶対生存ルートにしてやるぞ。まずはお前らだ、海の怪物共。お前にやる時間はねぇんだよ。

 

八本の大剣をさらに作り出す。それはアーツで動かし大剣単独で動き出す。シュヴェルとは全く違う方向へと、敵を討ち滅ぼさんと向かう。最初の敵が切られるのと海の怪物達が再び動き出すのは同時だった。

 

四時間後……完全勝利。S。敵機確認出来ません。我らの勝利です。よってシエスタとの別れです……別れです……はぁ……次は何処行こうかな…いやまて今回は本体では無かったから吹き飛ばされることはない。よって隕石が来たからと言ってシエスタを離れる必要は無いのではァッ

 

嵐が吹く。嵐が流れ出てくる。その中心の海には渦が出来てた。太陽が傾き初めている。なので高い防波堤によって内側は暗い。だがその中でも見えるぐらいその本体は黒かった。

 

未だに二度の恐怖と屈辱を覚えていたシュヴェルは警戒する。フルアーマーで体を覆う。あらゆる動きに対応できるように全神経を周囲に寄せる。

 

にらみ合いが続く。そして最初に異変に気がついたのはシュヴェルだった。

 

風がない?

 

吹いていたはずの風が、嵐が止っていたのだ。そして渦の回転はそれをきっかけにさらに早く、回転していた。回転速度は徐々に加速する。それには終わりが無いように思えた。

 

 

一瞬。一瞬だった。一筋の闇がシュヴェルに突き刺さっていた。シュヴェルは対応することも出来ず黒い槍が突き刺さっていた。

 

……うッ…弱い……

 

黒い闇は確かにシュヴェルに突き刺さっていた。それも反応する暇も無く。だがその黒い槍はフルアーマーに突き刺ささり貫通はしていなかった。

 

早いだけ………奇襲特化………隕石とかいうクソデカ演出どうにかしなきゃその早さ意味なくない?自由自在に使えるとしても質量でゴリ押せば良いだけだし。最近ゴリ押しの素晴らしさを再び知った。物量こそ至高なり。

 

シュヴェルは渦があったはずの場所を見る。そこはただの海だった。渦の影など存在しなかったようだ。黒いやつも見えない。

 

よし。終わったな。これで宣言通りもう少しシエスタに滞在しましょうか。へっへポンペイちゃん待っててね!

 

シュヴェルは防波堤の海面近くにとても小さな穴を開けて外側へ出る。そして海の中を移動していつも寝床にしていた岩場に戻った。岩場に戻ってきた所で防波堤を消す。これで何も無かった存在しなかった。いいね。

 

おやすみ~~今日は気分が良い。今日初めて天災に勝った、いや初めての勝利にして完全勝利を納めることが出来たのだから。

 

今日は良い夢が見れそうだ。

 

シュヴェルはポン助を枕にして夢の世界へ飛び立ったのだった。

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

久しぶりに本能の赴くままに書いた。


嘘ついた。結構というかほぼ全話思うがままに書いてたわ。


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3/19 嘆く海の雪辱 主side

目が覚めた。最高の日に暖かい日の出………太陽出てないんだが?ポン助~今なーんじ?

 

フベッ

 

痛いよポン助……

 

ポン助はシュヴェルの枕になっていたがシュヴェルが起きたことを認識した瞬間枕から帽子……冷却シートにジョブチェンジする。

その様子は今までの愛らしい愛玩ペットから一変して苦しゅうないと言わんばかりにシュヴェルの頭の上でのんびりするのだった。

 

そのポン助に影響されてかシュヴェルものんびりと起き上がりあぐらをかく。ポン助はその動きに対応して頭の上に移動する。ポン助は冷却シートから帽子に進化したのだった。

 

ふむふむ……2時間寝ていたのか……俺ってショートスリーパー?まあいい。暇。暇で暇だ。暇が暇になって暇で暇だ。もうすること無いわ。深夜ってやることは散歩くらいしかないよね。ポン助のさわり心地を堪能したかったのに枕君は何故が俺が起きた瞬間頭に乗っかるし…………乗っかる?フードは?…ないッ!?

 

シュヴァルツさんに頂いた布服が布きれになってるのだが??古代ローマ神話に出てくる右肩から左横腹までの一枚の布になってるのだが?下半身は死守されていた。だが半裸でサレとか言ってたの?やばい奴じゃん。黒歴史じゃん。巫山戯るな!海の怪物共……対価は命にしておこう。そして命は頂いた。だから貴様らは許される。だが他の海の怪物共が許されると思うなよ??わかったな?海の怪物特攻Ⅲ取得しておくから。

 

いつものフード付きパーカーを作ります。着ます。やはり安心信頼の源石。

 

……暇。散歩するか、行くぞポン助!

 

ポン助は頭の上から肩に移動する。さながら気分はパチモンッ、ゲットだぜ!

 

 

 

 

 

ポン助は今まで以上にわがまま……

 

街の裏道はダメ、海辺の道路もダメ、登山もダメ、岩場もダメ、ポンペイ宅もダメということで森を歩いています。

一面木。木しかない。動物の鳴き声は聞こえないし、湖や獣道もない。上を見上げると夜空が見えるけどそれ以外何もない。偶に夜空が見えないゾーンに突入するし、ポン助はいったい何がしたいの?無いに無いを重ねてさらに無いで包装して無いでトッピングして無いに飾り付けて盛り付けてラザニアでも作る気なのかな?

 

確かに海風それなりの頻度で吹くから心地よくは良いが、今は自然を堪能したいわけではない。ポン助~~ポンペイちゃんに会い行こうよーー

 

 

 

幸せはーー歩いてこないーだーから歩いて行くんだよーー一日約42,857歩三日で約128,571歩一年間で15,642,805歩ーー人生はワン・ツー・ジャブッ!?

 

「やはり貴様だったか。」

 

月の光が通らない森の奥から一匹の狼が出てくる。だが意外なことに大きい一本の黒い牙を持ちながその目は優しかった。

 

…シュヴァルツさん……?なぜここに?やはり、ってことは……エッ?嗅覚スゴスゴの民?匂いでサバイバーを認知するタイプの殺人鬼ですか?

 

「どうしてここに?」

 

「そう無駄に森を行き来していればな。我々の索敵網をあまり舐めないで頂こう。」

 

「言い方を変えようか。なぜ会いに来た?」

 

異世界のSP怖い。やはり平和大国とは違うね。なんで街からとても離れた森まで索敵網があるんですかね??

 

「ふむ?なにが用があったのでは無いか?」

 

「ないな。」

 

ただ散歩していただけだし。なんかごめんね……いやまて用はあるだろお茶会!!…おい貴様?今何だといった?今は何時だと思っているのだ?ただ迷惑なだけだろうが。自重しなさい。

 

「ふむ……行くのか?」

 

「……」

 

?……行く?何処に?エ?

 

「受け取れ。」

 

シュヴァルツはそう言って何かを投げる。シュヴェルはそれを受け取る。それは綺麗な楕円系の丸く黒い手の平サイズの石であった。

 

「これは……」

 

「何かと思ってな。黒曜石を削って作った。」

 

「作った?自分でか?」

 

「ああ。」

 

自分で?黒曜石を削って?作った?こんな綺麗な楕円型の石を?左右対称で?手触り良きで?美しい黒を?万能過ぎない?SPってそんな事までできるの?エリートの名は伊達では無かったか……

 

「なぜ作ったのだ?」

 

なんでこれほどの物をプレゼントしてくれたの?おじさん泣くよ?嬉し泣くよ?そんな好感度なかったでしょ?

 

「謝礼でもあり、選別だ。もし次にここに来るのならこれを門番に見せろ。私に通すように言っておく。」

 

「…つまりこの石で私の記憶を引き出そうとでもしているのか?」

 

また会いたい。つまり海の怪物達の情報寄越せゴラァーーって事ですか?

 

「そうだ。貴様がこれから旅で見たもの聞いたものを知れたらと思っただけだ。偶然その中に有意義な情報があれば良いと思っただけだ。」

 

「ふふふ…」

 

シュヴェルは笑う。それは微笑みと腹を抱えて笑うの中間のような笑いだった。

 

「そんなに可笑しいことなのか?」

 

「ああ。これ以上に面白いことはあまりないな。」

 

猪突猛進。遠回しな言い方では無く、目的への最短ルートを辿るような言動。シュヴァルツにとっては当たり前の事か次への手段への一手。その一手は強引な物では無く。信頼を築くような物で、俺が思っていたよりも信頼を築けていたのが嬉しくて。その一手が贈り物。約束でも契約でも無く贈り物。ただそれが微笑ましく思えた。

 

シュヴェルはニヤリと明るい笑顔をする。

 

「そうだな……今度来る時はお茶会にご招待願おうかな?」

 

「了解した。セイロン様にも伝えておこう。」

 

……お茶会はセイロンさんがお礼を伝えたいと開かれるお茶会だったな……時間があいて忘れかけた頃にお礼したいと思わないのではないか?迷惑を度重ねて申し上げる。ラザニアを作ろうとしていたのは俺じゃったか……

 

シュヴェルは右手で楕円形の黒曜石を天高く持ち上げ月明かりに照らす。

 

「綺麗だな。」

 

やはり良い。ぱっと見ただ黒い石。じっくりと見たらガラスみたいな石。それが綺麗な形をしている。しかもそれは贈り物という希少価値……そうだ。

 

「僕も感謝として一つ予言をしようか。」

 

布石を残されるならば俺も残すべきである。だけど俺には洒落た事は言えない。だから原作の流れを超抽象的に伝えることにする。

 

「予言?」

 

「そうだ。貴様らにはとても大きな変化が来る。とても、とても大きな意思を持った変化が来る。それは常識を覆す。だがそれは僕から見たらとても良い変化だ。そしてそれは二人目にもなる者だ。」

 

「……あまり意味がわからないな……心のにとどめておこう。」

 

「いや忘れて貰って結構だよ。それではまた会うときまで。」

 

「ああ。また。」

 

やっと歩き出す。海へ向かって歩き出す。後ろを振り返る事も無く。約束と思い出を記憶に閉じ込めて新たな記念を見つけ出すために……

 

 

 

……おい待て。なぜ今度来たときにお茶会をしようと言った?おいなぜ別れをしている?ま、まだシエスタでやりたことが……やりたいことが……はぁ………次来たときの為にお楽しみは残して起きましょうか。

 

 

森を出たらそこは崖だった。月の影が消えかけて太陽がほんの少しだけ顔を地平線から出していた。最後にもう一度、楕円形の黒曜石を太陽の明かりにかざす。

 

綺麗だ……綺麗だ。今度こそは失いたくない。大切な物はもう失いたくない。でもどうすれば……良いこと思いついた。

 

胸の肉をえぐり取る。痛みは感じない。的確に鳩尾と首の中間、鎖骨の少し下辺りにその手に持つ楕円形の黒曜石分の大きさの穴を開ける。それを胸の中にしまい込んで傷を治す。

 

シュヴェルの胸には綺麗な黒い石が存在する。全体を見ると不自然に見えるが近くで見ると南極大陸のように上部の楕円部分だけが姿を見せ、まるで元々そこに有るかのように思えた。

 

胸。それは手足で防ぐことが出来る+あらゆる場面でほぼ必ず視界に現れる。この楕円形の黒曜石を取り出すには範囲攻撃、それも超火力でなければならない。手の甲よりも顔の額よりも………おでこの方が安全では?…いや大きすぎる目立つ。なので隠せる胸元が最強。よしQED

 

そして完成形……黒いモヤ!

 

源石を楕円形の黒曜石に纏わせる。それだけではただの保護フィルム。それを分解するように消していく+新たに源石を生成。よってインフィニティモヤモヤの完成である。

胸元から黒いモヤが全身を包み込む。最高の演出である。

 

よしダイビングッ。

 

シュヴェルは崖から飛び降り前方へ進む。何処につくかはわからない。だがそれでいい。次なる出会いを求めて進む。吹き飛ばされて着地することは無いから歩いて次の場所へ向かえる。つまり選べるシチュエーションが格段に増える。冒険者から商人、誰かの恩人まで増えすぎて悩んじゃうな~~

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

急いで仕上げたので可笑しい部分があるかもしれません。

これが締め切りの呪いです。


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3/20 嘆く海の雪辱 シュヴァルツside

森を歩いていた。月明かりも届くかどうかと言うほど森は深く、誰一人として影どころか存在すら感じさせない。

 

たしかこの森に来たのはセイロン様が攫われた日以来だったか。

 

この森はシエスタで一番草木が生い茂る森。草は定期的に刈り取っている為野性的な森では無いがそれでも木が多く、視界が確保しにくい。ここに犯罪者が逃げ込まれると逃がしてしまう可能性が出てくるので常にこの森周辺には監視されている。

 

一時間ほど前だったか、一人、黒いフードで低身長者がこの森に入って行った。先ほど不自然な事件が起きたばかりだ。こちら側は計画通りに行動を起こさず監視網を増やしていた。

 

そして今、この時までこの森から誰かが出たという報告はない。もし抜け穴などがあるなら失態だな。気づかれずに道を作られていたなど考えたくは無いな。埋めるのが大変だ。穴を掘って穴を埋めたら元通り、なんて事になったりはしないかな……

海辺の監視力をもっと街や森に活かせたりはしないのだろうか?予算が厳しいのはわかるが、それを差し置いても得られる物はあると思うのだが……頭の硬い予算部には通じないだろう。

 

 

 

誰かが通るのを感じてシュヴァルツは動きを止めて息を潜める。通って行ったのは背の小さい黒いフードだった。

 

最後まで不思議な奴だな。最初は…敵だった。次に見つけたときはひ弱な少年。そしてひ弱な少年は憑依したかのように人が変わり、敵対貴族のような雰囲気を纏っていた。だがそれ相応の態度を見せたのなら腐れ縁の旧友のような態度になる。

 

人物像がまったく見えてこない。

さらに重ねるなら実力も、だな。

 

昨日、海辺に現れた謎の人物。そして終わりが見えないほどの大きさの黒い壁。急に壁が高くなると思えばまるで雷が鳴ったような轟音を響かせた。後からそれは隕石の落下が原因だとわかった。

それから四時間ほど変化が無かった。だが四時間後、空が曇った。まるで天災の前触れのようだった。だが波は変わらずうねりも見せない。そして時間と共に空は元の姿へと戻っていった。後にはただの不気味さが残されていた。

 

 

今回の件は問題が多いようで少ない。ただ謎の人物と黒い壁の原因がわからないだけでそれ以外の被害はほぼない。

 

目撃証言があったことが唯一の救いとも言える。

目撃者によると、突然機材トラブルを起こしたスピーカーのようなノイズの酷い音が響いたと思えば壁が出現した。出現した壁については何一つとして情報がなかった。誰一人として気づくことなく、一瞬で現れたようだ。

出現した壁の上に人が居たと、数は少ないが証言はあった。

 

ある者は半裸の変態。ある者は傷の多く付いたフードを着ている。ある者は黒い眼に太陽の光すらも吸収する漆黒の髪を持つ英雄…らしい。

 

言い方には問題はあるが少なくとも見えたのは間違いない。視力検査も行ったので間違いない。

運が良いことに黒い髪に黒い目。その特徴を持つ人物を一人だけ知っている。

 

そして目の前にその人はいる。

 

 

 

「やはり貴様だったか。」

 

シュヴァルツの声が静かな森に響いた。珍しくも風は吹いておらず声は森の奥へと消えていった。

 

「どうしてここに?」

 

シュヴェルが振り返る。フードによって顔は隠されていたが、口元はくすりと口角が上がっていた。

 

「そう無駄に森を行き来していればな。我々の索敵網をあまり舐めないで頂こう。」

 

「言い方を変えようか。なぜ会いに来た?」

 

「ふむ?なにが用があったのでは無いか?」

 

「ないな。」

 

「ふむ……行くのか?」

 

用がないのであれば、別れの挨拶にでも来たのだろうか?そうだとしてもこのような手段を取るとは……こちらとしてはありがたいが。

 

「……」

 

無言は肯定と受け取るべきか。少なくとも、笑みは消えて僅かに頷いていた気がした。

 

「受け取れ。」

 

シュヴァルツは用意していた物を投げる渡す。

 

「これは……」

 

「何かと思ってな。黒曜石を削って作った。」

 

ただ黒曜石を削っただけの物。セイロン様の研究用の黒曜石で余った物。捨てる訳にもいかずに部屋に置いていた物を一つ削って作った。

 

「作った?自分でか?」

 

「ああ。」

 

「なぜ作ったのだ?」

 

「謝礼でもあり、選別だ。もし次にここに来るのならこれを門番に見せろ。私に通すように言っておく。」

 

最後だと思ったから作った。

 

普段はこんなことはしない。いやこのような関係性が無いと言えるな。

仲良くなった傭兵や賞金稼ぎは、シエスタを拠点とするタイプと世界を放浪するタイプがある。

 

私はシュヴェルをどちらのタイプでは無い思った。

 

シュヴェルは本質的な旅人だと思う。別れを惜しみながらもしっかりと割り切り新たな地、新たな出会いを求めて旅をする。そこに過去を振り返ることなど無く進みつづける。

 

シュヴェルが再び通った道を後戻るようには見えなかった。だから何かつなぎ止める物がいる。それは見るたびに思い出せる物が好ましい。

 

黒曜石。

 

シエスタ以外で見ることは少ない上に手軽に手に入れる事が出来るのもシエスタだけだった。そして部屋には特に使い道がない黒曜石があった。

 

だから作った。今さらだが四角やひし形の方が良かったのでは?と思い始めた。丸。何か袋があるなら持ち運びしやすいがもし無いのなら滑り落としてしまいそうだ。

 

「…つまりこの石で私の記憶を引き出そうとでもしているのか?」

 

話が早いというべきか。過去にも似たような事があったのか?

 

「そうだ。貴様がこれから旅で見たもの聞いたものを知れたらと思っただけだ。偶然その中に有意義な情報があれば良いと思っただけだ。」

 

「ふふふ…」

 

シュヴェルは笑う。それはこれほど可笑しいことは無いと言わんばかりの笑いだった。

 

「そんなに可笑しいことなのか?」

 

「ああ。これ以上に面白いことはあまりないな。」

 

シュヴェルはやっと笑い辞める。だがまだ少しだけ笑みが口元に残っていた。

 

「そうだな……今度来る時はお茶会にご招待願おうかな?」

 

「了解した。セイロン様にも伝えておこう。」

 

お茶会……そういえばそんな事もあったな。これなら黒曜石は必要なかったか。

 

「綺麗だな。」

 

シュヴェルは葉っぱの隙間から差し込む月明かりに黒曜石をかざす。それをうっとり見つめていた。

 

「僕も感謝として一つ予言をしようか。」

 

「予言?」

 

そんな事も出来るのか?多才だな。これなら何処の権力者であろうと欲しがりそうだな。

 

「そうだ。貴様らにはとても大きな変化が来る。とても、とても大きな意思を持った変化が来る。それは常識を覆す。だがそれは僕から見たらとても良い変化だ。そしてそれは二人目にもなる者だ。」

 

大きな変化……とても大きな変化……考えつかない。現在の状況からの変化セイロン様の身に何かが迫るのか。意思を持った者……意思…それも常識を覆す意思。二人目?それは私にとってなのか?そうだとしたら誰が一人目だ?

 

「……あまり意味がわからないな……心のにとどめておこう。」

 

「いや忘れて貰って結構だよ。それではまた会うときまで。」

 

「ああ。また。」

 

結局わからないままシュヴェルは行ってしまう。予言か……つまりこれから何か事件が起こる。そう思っておけば良いだろうか。たしか僕から見たらとても良い変化だったか。良い変化。現状以上に良くなるのか?わからない。だがやることは変わらない。いつどんな時であろうとセイロン様のお側に……

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

最近やっと魔女の旅々様をご閲覧いたしましたので変に影響されたかもしれません。

だが後戻りはしません。次回から次章です。


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4/1 茸と魂と命の大戦争 主side  

白い…ただ白い空間。四面全てが白い壁。不規則に直角へ曲がり続けるラインが壁や床、天井を埋め尽くしている。扉と思われる長方形が全ての壁に付いているため何処が出入り口かがわからない。全てかもしれない。天井の中央には薄い黄色の丸い照明器具がたった一つある。

 

その白い空間の中央、床にシュヴェルは大の字で寝転がっていた。特に動くことも無く、ぼんやりと天井の照明器具を見つめる。服は入院時に着る一枚の白衣だ。

 

どうも俺です。いま貴方の心に直接語りかけたいと思っています。なぜこんな事になっているかを説明すると始まりは上陸。

 

 

 

・・・・・

 

到着。約X時間後の陸だ!体内時間なんてな…必要ないんだよ!てかわかるわけ無いだろ。なんでわかるんだよ。天災というなのバケモノめ。

 

シュヴェルの視界には森に山。背後は崖。今駆け上ってきた崖だ。もちろん文明はありません。さて右上、上、左上…どちらへ行こうかな?よしサイコロだな。よしサイコロだ。123をそれぞれ2つの六面。123は右上、上、左上。よし行け………2。正面突破!行くぞー

 

歩く。森を走り抜けるのは神経がすり減る。ゆっくりのんびり歩いて行きましょう。

 

ふっふっふっふーーーーモリモリモリモリモリモリ……ハッハ………アキタァ………アキタァ…キノコダァ!!

 

シュヴェルはキノコを見つけた。周りを見渡してもそこにたった一つしか無いキノコ。木の根っこからニョキっと生えているキノコ。木の幹と同じ茶色なキノコ。うむ、見た目はエリンギだな。

 

と言うことで実食RTA始めます。パクッ…モグモグモ……ゥッッップ…ゲホッゲホッホホ。

 

妙な嗚咽と共にシュヴェルは崩れ落ちる。土下座。手足を地面に着け信じられないと目をかっぴらきウルウルと瞳を震わせていた。

 

シュヴェルはキノコを食べた。そこに問題は何も無い。問題はその後。モグモグと顎を上下させているとその隙間ポン助は侵入してきた。まさにララクラッシュでクラッシュ蒟蒻畑が喉に詰まった時みたいだった。いやそれよりも酷い。ポン助もといゼリーと一緒に砕けたキノコが俺の食道を圧迫する。死ぬかと思った。

 

ポン助……お前が変な行動をするときは現在確立100%で何かイベントが起きる。だがなぜ胃袋に入ってくる???胃袋いっぱいにポン助が居てお腹いっぱいで動きたくない独特の脱力感が半端ないんだが?動きたくねぇ……

 

ウッ

 

頭に衝撃が走る。何か棒で思いっきりぶっ叩かれたような痛みだ。なんじゃッ?ワレッ!?といつもならブチ切れていた所だが先ほどポン助占いによってイベント発生とのお告げがきた。なので大人しく流れに身を任せ地面に倒れ込む。

 

「いっちょあがりッ…なんだ餓鬼じゃねえか。」

 

「おい。余計な痕跡を残すな。」

 

「でもよー見た感じ旅人…にしては荷物がねぇな。追い出された感じか?丁度良いじゃねぇか。」

 

「はぁ……さっさと測定しろ。」

 

「了解!」

 

男二人……片方陽キャ……片方文系……丁度良い?測定?ハッハ~~ンさてはなんか面白そうなことやってるな?

 

腕を掴み、腕輪を手首に付ける。

 

「………測定不能!?大当たりじゃねぇか!」

 

「さっさと運搬するぞ。」

 

「おぉ~~?だから言ったろ?俺の感は当たるんだよ。」

 

「いったいいつ言ったんだ?さっさと運べ。」

 

「ちぇーーー感謝くらいしてくれてもいいじゃねぇか?」

 

「いいから早くしろ。」

 

「へいへいのぽぽいのぽい。」

 

おいッ!やめろ。袋に詰め込むな!この人身売買野郎!おい!?アッアーツ…源石を外に出せない!?なぜだ!?現状把握が出来ないぞ、いつもなら出来たのに………密封?こ、こいつなんだこの先進的な布?完全密封タイプじゃん…酸素を断つことによって気絶させる高等テクニックか?…そして確信した、間違いないね。俺のアーツは把握できる空間にしか源石を生成出来ないって事ね。なんて新発見。つまり箱墓(完全密封)に閉じ込めたら完封できるってことね……つまり俺いま絶体絶命ってことね。ゥップゥッポン助…気持ち悪い。ゆ、揺らすな…丁寧な運搬をしろォ…ウップ………

 

・・・・・

 

ということで現状。今も気持ち悪いです。動きたくない……つまり現状が最善の行動です。寝っ転がってぼんやりしていることが最強です。ちなここ完全密封タイプです。天井に数カ所穴があってそこから空気が循環してるね。その穴からこの施設を調べに行こうと思ったけどフィルターがある。それは無理矢理突破出来ないことはない。だが無理矢理突破しようとするとすぐ側にある警報機関が鳴り響き何かが起こる。警報機関をブチ壊すことも考えたが空気循環。すなわち呼吸。たぶんこの施設トップ5には入る重要なものだろう。壊される事も考えられているだろう。わざわざ危険に首を突っ込む理由がないのでやめておきます。

 

なので出来ることも無く暇です。後でこの施設の全てを調べ上げる。待ってろよ!

 

未だに相手からの接触は無いんだよな~~いったい何処の誰だろうな~~そういえばなんで白衣なんだ?……源石性だから奪われた?強奪は許されません。源石性フード消さなきゃッ。よし、問題無く消せた。はっはそれは貴様のものではないわ!バーーーカ




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

アンケート……後から見ると何やってるんだろ?って気分になりました。でも予想以上に投票して頂いて感謝です。今後は情報操作の観点から「そんな事より早く投稿しろ」を追加します。

話は変わって…戻って、アンケート結果に対して2つだけ言わせてください。

まず「推しの出現を待っているを選択した人様」今作は一章で3人程度しかアークナイツキャラが出て来ないタイプで投稿期間が遅すぎる作品です。感想欄にて○○(キャラ名)出せやゴラーーと脅していただかないと一生出て来ない可能性があります。ご注意ください。

次に「ロドスを待っているを選択した人様」ロドス編はもっと章がかかります。なんで2章とか早すぎる段階でアンケートしたんだろうか……申し訳ございません。

もっとお待ちくだされ。


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4/2 茸と魂と命の大戦争 主side+α

ウィーーン

 

壁にある扉がスライドして開き二人白衣の男が車輪が付いた机と共に入ってくる。蜂防護服みたいに全身が白い布で覆われ顔の部分だけが透明なガラスでその顔を拝むことが出来た。青髪、黄髪だ。右を黄色。左を青色と呼ぼう。

ここが一番の興奮ポイント。肩にあるんです。肩にマークがあるんです。∞のそれぞれの穴の中に+に-がある。そう、ライン生命君です。

 

ヒャッパァァァァァァーーー

 

これはサリア一家を観察するしかない。居るかわからないけど観察する。目的は変わらずこの施設の掌握。そして心ゆくままに観察。そして可能なら炎魔事件も観察する。その過程に俺の被検体という結果があるが関係ありません。お薬上等。

 

「起きてる~?」

 

青色に話しかけれた。俺は無視する。なぜなら俺は今寝ている設定だから。前回と変わらず部屋の中央で大の字。今回はそれに目を閉じている。が追加されただけだ。

 

相手が思った以上にフレンドリーで戸惑うわー。これなら扉が開いた瞬間ガルルルルッ言いながら飛び退けるぐらいやっておけば良かった……いや動きたくないから無理だわ。お腹いっぱいの状態が長時間続くのは持ち悪い。ポン助からの反応もないし、どうしたんだろう?

 

「……ダメだ。寝てる。」

 

「それじゃ今のうちに採取しよう。」

 

「了解。」

 

車輪が付いた机からいろいろと道具を取り出す。青色がハサミを持って近づいてくる。そしてハサミで髪を2cm程切ろうとする。

 

「……おい…このハサミ不良品か?」

 

「何言ってるんだ?そんなわけ……貸せ。」

 

青色の代わりに黄色がハサミを持って髪を切ろうとする。だが

 

「……切れない…なぜだ?…まあいい他をするぞ。」

 

「了解。」

 

鉄?より髪の方が硬いだって?ほうほう…なるほど…ニヤニヤ

 

青色と黄色は採取を続ける。だが眉毛は抜けず、垢は見つけれず、爪は切れず、角も削れず、粘膜は口を開けれず鼻からは採取出来ず、採血に至っては注射器の針が皮膚を傷つけるが出来なかった。

 

 

「なんだこいつ…化け物か?」

 

「それより報告はどうするんだ?」

 

「見たまま、やった結果を報告するだけだ。」

 

「そうだな……そういえばこいつには胸に結晶体があった。」

 

「そうだったな。」

 

黄色が白衣を剥ぎ取り、シュヴェルの胸を露わにさせる。そこには真っ黒とした手の平サイズの結晶がそこにあった。

 

「きれいすぎる……な。いったいどんな物質だろうか?」

 

「わからないな。さあ、最後に試してみましょうか。」

 

青色がメスのような刃物をシュヴェルの胸にある結晶に近づける、あと数mmという所でシュヴェルの怒りが爆発した。青色のメスを持っている右腕をアーツを操作して肩から切り飛ばす。そして俺の体から10cm程上の空中に源石を生成して青色の心臓を貫き体ごと吹き飛ばす。青色が壁に衝突するまえに生成した源石は跡形もなく消えていった。青色から赤色が流れ出る。それは紫になることもなく、シュヴェルの白衣を赤く染めることは無かった。

 

髪は許す。爪も許す。角に至っては激怒するし、鼻をいじいじすることも口をこじ開けようとしたことも許さない。そこにシュヴァルツさんから貰った贈り物を傷つける事は万死に値する。満場一致で処罰に出てしまった。

 

「ッ!47コードA!」

 

黄色が片手で胸を押して言う。観察の結果何かのボタンがあることが確認された。

黄色は切り落とされた青色の右腕と青色を回収して外に逃げ出してしまった。

 

車輪の付いた机はどうするんだ?このまま放置?まあそれでも良いけど。フッフッフッ俺はすでに布石を打っている。

 

扉は開いている。ならばそこに源石を生成出来る。つまり外の観察が開始できます。外も案の定扉という名の密封状態、黄色が通った通路には既に見えないぐらい細かい源石が充満しているぜぇ!ハッハこのままありとあらゆる通路や部屋を通りたまえ。

 

おっと。この部屋に何か無色無臭の空気が入ってくる。フンッフンッこの鼻のヒリヒリ感。睡眠ガスだな。毒ガスかも知れない。まぁどうでも良い。もともと寝ている設定。動くこと無くて楽だわ~~。何があっても俺は死んだふりはしない!!

 

俺はこの場所でサリア一家を見つけるまで動かないぞ!!居ないって断言するまでいるからな。もしかしたらサリアさんやサイレンスさんと何かしらの関係を持てるかもしれない。イフリータと関係を持てるかもしれない。ウヘヘ考えただけで想像がはかどる。

 

うん?……あッ

 

源石君が………黄色が通路を4つ程移動して部屋に入っていった。そしてその部屋の空気が循環して源石君が通気口を通って外に排出されたと過程。外とは施設の外だ(たぶん)。通気口に入った瞬間感覚が無くなった。なぜです?理由は?……遠い×密封空間だと強制リンク解除されます?……まあそれでも切れる寸前まで状況がわかるなら儲けもんだすわ。

 

これで密封空間で遮られた先だと僅かな操作と把握はできる事がわかったね。

 

アッ?ファッ!?

 

ゴリラがきた!オーガがきた。よしお前はオーガだ。体長2.3m体重不明。他職員と違うオリジナルの衣装。まるで先住民族の藁服だ。さらにちゃんとライン生命の模様があるから関係者であると推測。武器はその背中にある棍棒のような大きな棒。

 

いやこんな考察をしている場合ではない!

 

オーガが源石君を叩き潰した。リンクも切れた。隣の通路に居る源石君の報告だと壁から地面にかけてヒビが入っている。地面は隕石が落下したみたいな後ができてる。どうやったら黒ずむんだよこのオーガッ!ハイオーガッ!……上位種などおこがましい。お前にはオーガで充分だ。

 

あっ………

 

二つ目の通路も叩き潰されてリンクが切れた。も、もしかして三つ目破壊しようとしてる?や、や、やめろよ施設壊れちゃうだろ?落ち着けよ!……撤退だ。三つ目の通路の源石君消去……四つ目も……四つ目の通路の源石君消去。

外とのリンクが………また誰かが入ってくるまで暇じゃん。ふざけるな。どこまで俺を暇にさせるのだ??ここは寝転がると妄想以外やること無いんだよ。クッソオーガ許すない。

 

 

 

 

………オーガがハンターになりました。源石君は見事にオーガを避けつつこの施設を掌握せよ。

 

 

 

 

・・・・・

 

 

「………消えたか。」

 

コードA。対象が暴走など問題が発生した場合に発令される。コードAには脱走や致命的な崩壊は含まれない。

 

47コードAが発令されたためそのサポートへと俺は47号がいる部屋と向かった。後もう少しと言うところで違和感を感じた。見張られているとも殺意とも違う体にこびりつく感覚。そしてそれは棍棒で叩き潰して消すことが出来た。

 

 

「どうしたんだゴッゴリ?いきなり攻撃するなんて…衝撃で通路が壊れかけたぞ。修理班が泣くな。」

 

「何か違和感を感じた。安心しろ今はもう感じない。」

 

「そうですか…あとで修理班に差し入れでもしてこい。」

 

「わかった。」

 

ゴッゴリの隣に居る男は特に気にした感じは見せずに再び歩き出す。そして次の通路の扉が開くとゴッゴリが前に出てきてまた棍棒を振り下ろす。

 

「……また消えた…」

 

「おいゴッゴリどうした?感が鈍ったのか?いい加減通路を壊すのはやめろ。減給されるぞ。」

 

「…47コードAの損傷は?」

 

「はぁ……聞いたか限りでは職員一名の重傷もう一人は無傷。今は緊急待機部屋で……ぁあ……先ほどの通路からその二人がいる待機部屋へ行ける。さっすがゴッゴリ。頼りにしてるぞ~」

 

「次の通路行くぞ。あと二つで47号の部屋だ。構えていろ。」

 

「了解。」

 

ゴッゴリの隣にいた男はゴッゴリの後ろに移動する。次の通路への扉が開くと同時にゴッゴリが飛び出して棍棒を振り下ろそうとする。だが地面に激突する寸前に棍棒を止めて体勢を戻した。

 

「ない…?」

 

「どうしたゴッゴリ?ないって…違和感を感じないのか?」

 

「ああ感じない。次急ぐぞ。」

 

ゴッゴリが我先にと47号がいる部屋と繋がる通路へと飛び出る。だが今回も寸前で棍棒を止めた。

 

「ゴッゴリ大丈夫だよな?」

 

「……感じない。問題無い…だが47号の部屋の目の前だ。注意を怠るなよ。」

 

「おいおい俺はそこまで落ちていないぞ。」

 

ゴッゴリとその隣の男は約二時間、47号へ行動が起こされるまでの間ずっと部屋の前で待機していた。そして後日、修理班に泣き付かれ破壊する前に破壊せずにすむ方法を考えることを誓わされていた。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

一つ言うことがあるなら今回の章は短い(はず)です。


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4/3 茸と魂と命の大戦争 主side

………あれから十年…いや一年…嘘ついた。約一週間ぐらいたった。

 

あの日から変わった事は白衣マンが定期的に来るように来るようになったことぐらいだ。牢獄みたいな部屋に移されることも無く、飽きもせずに研究とやらに来る。その白衣マンは飯も持ってきて、次に来る時に何も入っていないトレーを回収して飯の入ったトレーと配布してくれる。

 

味はない。変な薬が入っているかも知れないがマズイ飯よりは全然良い。飯を食べないことも考えたがそれは面倒事の種になりそうだからやめた。寝っ転がりながら食べる飯はうめぇ……うめぇよ……ポン助?反応しても良いんだよ?

 

ポン助に動きはまだない。お腹……いっぱい……いっぱい……

 

 

 

白衣マンの研究とは血液採取。以上。他にやること無いんか?暇人。

 

イケルッ!目ノ粘膜カラならイケル!!

クッソ瞼が動かねぇ。

 

そうだ!眼球ナラッ!

クッソ目を閉じやがった。動かねぇ。

 

みたいな事を繰り返していた。さすがに尻の穴からなら!とか言い出して行動した時は処罰しようかと思った。なんとか我慢して蹴り飛ばした。性器を弄くろうとした時も蹴り飛ばした。命あるだけ感謝しろよ~~?ちょっとお腹に足型の凹み出来たけど許せよ?お前が悪いんだ。

 

 

後は施設の掌握できました。拍手!…ポン助……

 

オーガは確かにすごい察知能力だ。でも天井の通気口の中までは察知できないようだ。通気口からフィルターまでは完全の安置だった。そこにある源石以外は消しておけばオーガに気づかれない。

 

あっという間に掌握できた。アホみたいに掌握できた。オーガがいる部屋だけは掌握は出来ないけど、通り過ぎた後はできる。99%(誤差+-1%)掌握できた。

 

そしてわかったことが一つ、いや二つある。

 

まず本題から行こう。一つ目、サリアがいないよサイレンスがいないよイフリータどこ?……

 

二つ目、ここにはオーガ以外全部同じ服を着ている。つまりネームドキャラが一人しかいない。そして思った。施設小さくね?と。特別映像「ライン生命 アクセス」で見たより小せぇそもそも施設の形がドーム状なんだよなぁ。そこで思った。これって出前施設では?と。

 

まあ推測は置いておいて、結論。やる事ないなった。今すぐここを逃げ出しても良いレベル。サリア一家がいないライン生命なんて……ただのライン製麺よッ……忘れて。

 

まぁと言うことで要無しバイバイ。次に白衣マンが来たら脱走する。カモンハクイマンッ!

 

・・・・・

 

……それでは次の議題に入る。47号についてはどうなっている?」

 

「以前変化はありません。部屋、中央にて寝転がっています。」

 

「ふむ、何もないか……」

 

「それ以前に何も出来ないが正しいな。」

 

「せっかくの測定不能者なのに…もったいない。」

 

「だがどうすることも出来ないのも事実。」

 

「動くこともなく、動かされることもなく。このまま何も出来ないままでいるのなら本部に運送した方が良いのでは?」

 

「47号にも心があると推測する。眼球や心臓部付近に対しての反応は薄いですが例の黒い石については殺人的抵抗。性器については拒絶的抵抗が見られる。もし拒絶の意思を見せ抵抗された場合の損害は検討もつかないぞ。」

 

「楽に拾えても、楽には捨てられぬという訳か…最初はどうやって運搬してきたのだ?」

 

「…背後から奇襲。木棒にて頭部を打撲。その後袋詰めにて運搬。」

 

「……あれが木棒、それも一般職員の握力で制圧できたと?」

 

「特に抵抗の意思を見せなかっただけでは?」

 

「それなら本部への運送も可能なのでは?」

 

「まだ理解できぬ以上。本部をわずらわせる訳にはいかぬ。」

 

「うむ……そうだな。」

 

「そういえば似たようなのがいたな。確か13号だったか?」

 

「…友好的に接したら問題無いが、強制的に接する場合は警戒され、拒絶される。強制しようとした者は関節脱臼。距離をとり、それ以上のアクションはない。そして本気を見せた様子も無い。同じく測定不能者。血液採取、最低限採取までは可能になったがそれ以上は不可。」

 

「ふむ。どうすることも出来ぬと放置していた者か。」

 

「…提案なのだが、13号と47号の接触させるのはどうだ?」

 

「……危険だ。13号はおそらく身体能力強化系と推測できるが、47号は依然不明。防護服を突き破る事の出来る黒い石を生成し操る能力と仮定できるが危険だろう。もし47号の黒い石が13号を守護するようになれば例えゴッゴリといえど勝ち目は薄いぞ。」

 

「だがもし47号が心を開き、13号同様に血液採取に協力した場合の利益は多大なものだろう。」

 

「47号は恐らく操作特化タイプであろう。生成、操作、消失まで確認。ならばほぼ間違いないだろう。それに例え暴動が起きようと空気を制御すれば問題無いだろう?」

 

「47号は無意識下の中でも拒絶を示す。敵に対して容赦は無い。」

 

「そして13号に顔を覚えられていない職員は数少ない。もしもの場合はどうするので?」

 

「13号に関しては試す価値がある。それだけだ。47号に関しては今までの言動を鑑みるに、心を開く可能性が高いと言える。その過程で職員がミスをしなければそのような心配は無いのでは?」

 

「13号の職員を47号の職員も担当すればコスト削減にもなる。」

 

「このまま放置しても何も無いだろう。それに試すだけの価値があろう。」

 

「判決を取ろう。異論がある者は?…………判決、接触に賛成の者…………接触に反対の者………決まりだな。他に議題がある者は?……………

 

 

 

 




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平均評価?しらねぇなんだその黒から赤まで色が変わりそうなやつ


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4/4 茸と魂と命の大戦争 主side

は?

 

いや気がついていた。白衣マンが見知らぬ少女を連れてこの部屋の目の前を通ることはわかっていた。

 

だけどいったい誰がこの部屋に入ってくると思うので?

 

そして誰だ少女よ?もしかして俺を殺しに来たタイプですか?

 

「……鬼?」

 

そんな事を思っている間に目の前に現れた。白衣マン(一人、オレンジ髪)に少女。二つのケモミミ。毛が生えている。尖っているとは言い切れないが、丸っこくもないケモミミ。イタチではない…よな。ペッローも考えられる。アスラン?ループスは違う。レプロバ?わからないよ。俺にアークナイツケモミミ検定なんて持っていないよ……

 

赤みがかったオレンジ色の髪。透明感のある茶色い目。俺と同じ白衣を着て、長い尻尾をゆらゆらと………尻尾?この尻尾……間違い無い、犬のようなふわふわもふもふの尻尾では無い。ライオンのように尻尾の先端だけがふわふわもふもふの尻尾だ。なので間違いない。少女はアスランである。

 

「それじゃあ。また後で迎えに来るね。」

 

「わかったジャスミン。また。」

 

白衣マンは帰って行った。俺は寝転がったまま視線を少女に固定する。敵意は無い。殺意も無い。完成された暗殺者?でもそんな感じの会話じゃ無かったよな?もしかして作戦?

 

「……名前。名前は何?」

 

……シュヴェルは頭をフル回転させる。

 

この台詞の後に吐く言葉は二パターンある。一つ、人に名前を尋ねる前に自分の名前を言うべきでは?二つ、素直に言う。どっちだ?友人フラグなら前者。でも被験体という立場を完全に味わうなら後者。どうする?どうするシュヴェル?

 

「…もしかしてしゃべれないの?そうなら頷いて。」

 

ありがとう…名も知らぬ少女よ。この台詞の後に前者は違和感だからな。これで選択は決まった。いや待て俺はこの施設に入るどころかあの茸事件の時から一度もしゃべったことはない。つまり、無理設定が可能となる。考えましょう……壊れる施設。大きな敵に蹂躙される子供達。最後の最後で、いままで口を開かなかった少年が口を開く………考えただけで脳が…震える……

 

やめよう。

 

一瞬にして思考は変わった。シュヴェルは心からそう思った。いままで仏頂面だった少女が心配で仕方なそうな顔をしながら俺の顔を覗き込んでくるのだ。今さら頷けねえよ。

 

「シュヴェル。」

 

「…シュヴェル?」

 

「うん。シュヴェル。」

 

「私はジャーシンス。よろしく。」

 

ジャーシンスは握手を求めてくる。その顔はいつもの仏頂面に戻っていた。

それがデフォルトなのですか?ここは少しぐらい頬を赤らめても良かったのに……あくまで友人フラグですかそうですか。

 

「よろしく。ジャーシンス。」

 

俺は握手仕返す。

 

ならばせいぜい最後まで良い友人になってやろうじゃないか。

 

「シュヴェル。なんでずっと寝転がっているの?」

 

「そうしていたいからだよ。」

 

「……なんで?」

 

「…そういう者だと理解してくれ。」

 

「わからないけどわかった。」

 

少女にお腹が痛いからずっと寝転がっているっていえるか?ずっとお腹が痛いんだと言えるか?答えはNO。考えない方向でよろしくお願いしますねジャーシンス。

 

「いったい何をして遊ぶ?」

 

「遊ぶ?なぜ?」

 

「…?遊ばないの?暇だよ?」

 

遊ぶ?え、ずっと遊んでるの?子供ってわからない……俺ってもしかしておもちゃ?あのくそ脳筋オーガの仲間共。手に負えないと俺に投げ出したのか?あ?子供の欲望くらい満たしてやれよ。…なんで白衣着てるの?同じ被験体?え?わけがわからないよ。

 

考えるのはやめだ。秘技答えを言ってもらおう、を使おう。俺の会話テクニックで相手に何をしたいのかを吐かせる。相手は子供。勝ったな。

 

「いつもは何をして遊んでいるの?」

 

「いつもは走ってるよ。偶にボールを持ってきてくれるけど壁にひびが入るからあんまり持って来れないってジャスミンが言ってた。」

 

走る?ボール?運動限定?読書とかボードゲームとかないの?……まあいいよ。いつもなら何して良いかわからない所だが、残念ながら今の俺にはアーツがある。

 

立体アスレチック作りましょうや。

 

壁二面をボルダリング。残りのスペースはジャングルジムみたいに適当に壁でも生成して登れるような迷路にしましょうか。

 

想像は一瞬。すでに構図は思い浮かんだ。

 

「ジャーシンス。ちょっとこっち来て。」

 

「…どうしたの?」

 

「いいから早く。」

 

「うん。」

 

ジャーシンスはシュヴェルに近づき近くに腰を下ろす。そしてシュヴェルのお腹を枕にして顔を天井に向ける。

 

「どうしたの?」

 

ち、近い…なんとその仏頂面と正反対的なフレンドリー…子供はよくわからん。

 

「見てて、一瞬だから。」

 

シュヴェルは指を天井に向ける。

ジャーシンスがまばたきをして、目を開くと一面に黒い壁が出現した。

 

「……何これ?」

 

さすがにわからないよね。というこの世界には存在してないかも。

 

「アスレチック。どうかな?」

 

「あすれちっく?何それ?」

 

あすれっちく!?伝説の片言。やりました。これだけでこのライン生命に価値が生まれた。おめでとう。ライン生命。ありがとう。ジャーシンス……言いにくいよ。略したい。でも良い略称が見つからない……ゼッタイッミツケテヤル

 

「とりあえず天井に行ってみて。そして戻ってきてみて。」

 

「わかった。」

 

はっやっ

 

瞬きしたら背中しか見えない。さ、さすがアーツの力だぜ。

 

六秒?え?六秒で天井まで行ってきたぞジャーシンス。十一秒はかかると思ったのに……

 

「どうだった?」

 

「狭かった。」

 

貴女壁ジャンプ一族だったわ。マリ○ブラザ○ズみたいに壁を蹴って移動したたわ。当然の反応だよね。うんうん。

 

シュヴェルは壁をいくつか消して、壁の位置を調節した。

 

「これでどうだ?」

 

ジャーシンスは飛ぶ。跳ぶではなく、飛ぶだ。少なくとも俺にはそのように思えた。

 

三秒……だと?えぐ。半分ですよ?ちょっと調節しただけで時間が半分に短縮されたんだよ?化け物すぎぃ。

 

「ただいま。」

 

「お、お帰り…どうだった?」

 

「楽しかった。でも覚えた。他にないの?」

 

貪欲だねぇ。いいよ。そういうの好きだ。リアルタイムで動く迷路って奴をやってやるますよジャーシンス!

 

シュヴェルはボルダリングを消して壁を少しだけ増やし壁を動かし続ける。そして目の前に、シュヴェルとジャーシンスの目の前に黒い玉を生成した。

 

「これを捕まえてみろ。ただし握ったら何処かに消える。だけど何処かにある。それを探し出してみな。」

 

黒い玉はゆっくりと壁の先へと消えていく。

 

「……遅い。そんな物すぐ捕まえられる…無意味。」

 

「安心しろ。ジャーシンス専用の速度を出す。捕まえてみろ。」

 

「ふーーん。もう行っても良い?」

 

「いい……ぞまで言わせろよ……」

 

ジャーシンスは水のように消えていく。吸い込まれるようにスムーズに壁に消えていった。

 

壁の中ではそんな生やさしいものでは無かった。秒単位で競われる鬼ごっこ。壁は動き、行き止まりは通り道へと通り道は行き止まりとなる。壁は黒い玉の味方をして、ジャーシンスから黒い玉を逃がすように動かす。

 

まだ二十五秒間。だけど圧倒的有利な状況で二回も捕まった。ジャーシンスが速すぎるのが敗因だ。まだジャーシンスと同じ速度を出すと壁に激突する。

 

もし壁が動かなかったら、いったいこの二十五秒間で何回捕まったことか。ジャーシンスが黒い玉を捕まえようと動く壁を殴ったときはヒヤヒヤした。でも壁の固さを知ったようでその一度きりでもう殴りはしない。手は赤く腫れていないようで良かった。

 

それがきっかけで俺も壁の動きに注意するようになった。

 

俺はどんどんジャーシンスの速度と、壁の動かし方を理解をし始めた所だ。だがそれはジャーシンスも同じく、体の動きが身のこなしがぐんぐん良くなっている。

 

そして俺は感じた。これって負け確定イベントってやつですか?

 

 

・・・・・

 

……黒い石は壁となる。そして距離による制限は無かったか…」

 

「カメラで見えない。これは問題になるのでは?」

 

「通路は問題無い。必要な犠牲だろう。今は接触に成功したことを喜ぶできでは?」

 

「だが13号の蹴りに耐えきることのできる黒い石。危険では?」

 

「ならばどうする?殺すのか?被害も考えずにやるのか?」

 

「突如接触禁止になれば13号は不満を持つ。それは脱走につながる可能性が高い。」

 

「もう走り出してしまった。もう止まれない。いまは成功を祈ろうではないか。」

 




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最近86-エイティシックス-のアニメを見ました。小説版が欲しくなりました。欲しい小説が無くなりそうにありません。

助けてください。

なんなら読む時間もありません。これもネット小説が無料で読めて沢山あるのが悪いのです。

助けてください。


追記

☆6が埋まりました!!

ぜひ!この勢いで☆3もお願いします!!

そして4,5,4と綺麗な山なりにするために☆10もください(強欲{甘やかしてはいけないタイプ})


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4/5 茸と魂と命の大戦争 主side+α

………あれから二十年…いや二年…嘘です。約二週間ぐらいです。

 

結局一回だって勝ったことは……無理ゲーですね。パーフェクトゲームなんて出来るわけ無いだろ。頭沸いてんのか?ハゲ。

 

二週間毎日懲りずに飽きずに14時間、ジャスミンはこの部屋に来て鬼ごっこしていた。同じ事の繰り返しなのにいっつも楽しそうだ。そして俺は一回だって満足できるゲームが出来なかった。最終的に壁は半円とか「のサイズをバラバラにしたやつになった。俺の操作能力は上がった。だけど毎回ジャスミンに玉を取られる。

 

一回だけでいい。たった一日でいい。一回も触れられること無く終わる一日が欲しいです。

 

後2時間。これはジャスミンがこの部屋に来るまでの時間だ。俺はずっと床に寝転がっている。動きたい欲求が無い。運動したいと思わない。これは引きこもり時代の到来か?

 

施設に変化はない。本当につまらない。何か面白いことやらないのライン生命君?てかやれ毎日毎日暇なんじゃよ。やれ。

 

 

………お腹の中にあるはずの異物が消えた。たった一瞬で消えた。その予兆も動きも無かった。その感覚を認識した瞬間にリンクが切れた。全ての源石のリンクが切れた。

 

いま何がどうなっているかわからない。目の前は変化はない。いつもの、この約一ヶ月の間見続けた風景だ。お腹の違和感が消えて、気持ち悪さも無くなった。だから起き上がろうとした。

 

だが出来なかった。

 

最初は動かなすぎてそのやり方を忘れたのかと思った。でもそうじゃなかった。腕が上がらない。足が動かない。声が出せない。瞬きすらも出来なかった。いつもは無意識に行っている心臓の動きがとまり、呼吸をしなくなった。その代わりに頭がズキズキと痛くなった。

 

まるで寒さで腹がやられた時のような痛みが頭痛に変わったみたいだ。だがどれだけ学生時代に腹痛を起こしたと思っている?この程度問題はない。

 

痛みに慣れたころ気がついた。耳は聞こえる。全ての感覚が一つに集中されたからだろうか?いつもは聞こえないはずのこの部屋を循環している空気の音が聞こえた。通気口を通り何処かへと消えると同時に新たな空気がこの部屋に入ってくるのがわかる。

 

どうせ他にできることはない。空気の動きをイメージしていた。そこで気がつく。この痛みはガ○ガリ君を一気に食べた時のように頭の中央部分の頭痛ではない。おでこをトンカチで打たれたような痛みだ。

 

おでこの痛みがじわじわと水の上で響く波紋のように酷くなる。

 

どれほどたったか、それはわからない。だが突如として痛みが止まった。その代わりに意識が飛んでいく。最後に聞こえた音は二つ。二つの棒が硬い床に落ちるる音。そしておでこの二カ所から皮を突き破り、硬い棒が皮膚をこじ開け、血肉が飛び散る音だった。

 

 

・・・

 

やっと解禁された。例の47号の採取。ようやく我々にもその番が渡ってきた。と言っても全ても部署から一人ずつだ。

 

昨日、47号にやっと、そして初めて異変を見せた。いつものように47号は床、部屋中央に寝転がっていた。最初は瞬きをしなくなった。そして腹が上下しなくなった。そしてコロンッとその額にある角がまるでおもちゃの装飾のように落ちた。するとその角があった部分から新たな角が生えてきた。前の角と今の角。いったい何が違うのか?それはわからない。

 

少なくとも角が一瞬にして生え替わるなど聞いたことが無い。

 

いまわかっているのは角の根元は傷口のように血が流れ、皮膚があられもない姿だ。

いままで傷一つだって付けられず苦悶していた。だが今回は間違いなく採取出来ることが決まっていた。問題はその採取量。そしてどこまで採取出来るかだ。

 

あたりには他部署のカスどもがいる。これが今日の敵だ。我れはどの部署より採取し、他部署を蹴落とさなくてはならない。全ては我れの出世のために。

 

 

・・

 

47号採取記録

 

前提詳細は12487251534595に記録

 

採取可能領域

 

 

採取物

 

血、皮膚(腐敗)、角(二本)

 

・12487251534595によって造られた傷以上に採取出来る場所はなかった

・新たな角は既に硬く削ることは不可 

・瞼は動くが粘膜から採取は不可。注射針が刺さらず。下半身も同様。

・傷を付けることは不可。だが溝を作ることは可能。

 

この採取は傷口が治ると同時に終了(43分)。そして採取物の分配にて六時間競った。

 

 

補足

 

皮膚 肉体から切り離された瞬間腐敗し、塵クズと化す。

 

血 取り扱いには注意せよ。普通のケースは溶ける。防護服は溶けない。

  皮膚と同じく腐敗する可能性あり。現状確認されてないため空気との接触と仮定する。厳重に管理を。

 

・・

 

?????

 

 

「おい待て何をしている?」

 

47号に向かって何処かの部署の者が何かをしていた。

 

「これは我らの部署の物だ。」

 

「それは誰が決めた?」

 

「今決まった。既に証は刻み込まれた。」

 

47号の肩にはT38M1Aと刻み込まれていた。

 

「それは認めない。」

 

そう言った人物は証が刻み込まれているのとは反対の肩に証を刻む。

 

「おい貴様ら?何をやっている」

 

「これは我らの物だ。」

 

「そうだ。しょうが無いがこれは我々のサンプルである。」

 

「ふん。残念だな。皆同じ事を考えているようだ。」

 

「どういう!?待てッ」

 

「……諦めろよ。」

 

47号は今も新しい証を続々と刻まれていた。

 

「それでは私も刻もうか。」

 

「はぁ………」

 

「結局…無駄になったか。」

 

採取が終わり、研究員達はそれぞれの部署へ帰っていく。

 

「なんて面倒事を……はぁ…………傷、ではない?まるで粘土だな……フンッ」

 

証が刻まれた所を思いっきり殴る。

 

刻まれた証は変わらずにそこにあった。

 

「衝撃で消えはしない…では?」

 

腕に刻まれている証の一つに二重線を引く。今度は消えずに二重は残されていた。」

 

「ある一定以上のダメージできるのか?ではそのある一定以上を大幅に超える一撃であれば……後日試そうか。」

 

少し時間がたち、最後の研究員がその部屋を出て行った。その部屋には首から足首にかけて証、が刻まれた47号がいた。

 

そして最後の研究員がその結果を試せる機会は最後の時まで無かった。

 

・・・・・

 

「…47号異変。」

 

「13号停止。職員に連絡せよ。」

 

「ッ!?血だ!」

 

「採取……ここは公平に全ての部署へ。」

 

「なぜだ?無能に与えるサンプルはない。有望な部署だけでいいだろう。」

 

「それを認めぬ者がいることぐらいわかるだろう?47号が再生能力を持っていないとは限らない。迅速に採取すべき。」

 

「……よかろう。我らは納得する。」

 

「決まりだ。通達。速やかに実行せよ。」

 

「………」

 

「……それで13号はどうする?」

 

「危険消すべき。」

 

「もはや13号からわかる事はない。47号に集中すべき。」

 

「危険因子は消すべきだ。せっかくだ。他も一斉に消しておこう。」

 

「あれが激怒した場合の被害は8513259614だぞ?消すべきだ。」

 

「あれは47号と関わりすぎた。ここからは13号だけではなく47号にも関係する。」

 

「あれは本部へ輸送すると記録し秘密裏に消す。本部は例のアレを始めたらしく忙しい。」

 

「確か…炎の悪」

 

「…言葉を慎め。秩序を守れ。」

 

「………」

 

「そうだな。47号がそれを知り激怒すれば被害は底知れん。」

 

「決まりだ。」

 

「だが惜しいな。あれほどの測定不能者なのに。」

 

「だがそれ以上の測定不能者だ。喜ぶべきだ。」

 

「ああ喜ぶべきだ。」

 

「不幸に慈しみを。幸運に祝意を。」

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

本当は執筆する気があった。だが幻塔をやった。

後悔はしない。


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4/6 茸と魂と命の大戦争 α+主side

……なー」

 

あの日から変化はない。ずっと寝ている、いや死んでいるかもしれない47号。そう思うのもしょうが無いと思う。まったく動かないのだ。呼吸で胸が上下することもない。強い光を与えても目は動きもしない。重力に逆らう事も無い。だが血流だけは動いているらしい。この状態。本当に生きていると言えるのだか。

 

「なんだ?」

 

定期的に行われる採取の時間。だが何も成果はない。あの日以来採取などできてはいない。だから思った。

 

「もしかしてこの黒い石を採取出来るんじゃないか?」

 

「やめとけって。死ぬぞ?」

 

「でもさーーー出来そうじゃね?」

 

「だが…」

 

「……考えてみろよ。この黒い石を俺たちの部署で独占できたら。」

 

「でも……」

 

「よしわかった。俺はやる。嫌なら扉前にでも移動しとけ。」

 

「ぁあーーもう。知らない。やってみろよ。」

 

そう言って入口に移動する。

 

「臆病者め。よし……行くぞ。」

 

47号の硬さは知っている。だがこの黒い石までそうとは思わない。だが硬い可能性……ま、つまり考えるだけ無駄だって事だ。

 

俺に出来ることは全力でこの黒い石を突き刺して少しでも削る事。

 

「オリャッ!!!」

 

ガンッ

 

黒い石は呆気なく、貫かれた。綺麗な楕円にひびが入り、以前の美しさとはかけ離れた、まるでただの石ころのようになる。

 

「ッオォォォォ!!!すげーぞお前!これで黒い石は独占できるぞ!!」

 

扉の前にいたはずだったがいつの間にかすぐ側にいた。

 

「おう簡単だったぜ。さっ持って帰ろう。」

 

黒い石を取り出した。その石が入っていた場所は歪で気持ち悪い肉片だった。底は赤く、まるでそこからすぐそこに心臓があるように思えた。試しに突いてみた。硬かった。この硬さは他の部位と同じだった。

 

黒い石を取り出したすぐ後、二人が荷物をまとめている最中だった。

 

二人は吹き飛ばされ倒れると同時に痛みを感じた。二人の意識は目の前に自分の下半身が、防護服が紙切れのように切れてることを確認した所で消えていった。

 

・・・・

 

……?

 

夢を夢と認識するってこんな感じなのだろうか?実感が無い。これが現実だという認識が出来ない。そしてこれが夢だという認識が出来ない。

 

目の前が黒い。体が動かない。声が出ない。だが感じる。体のいたる所、頭と手、足以外からミミズ腫れのような傷から、痛みのようなものを感じた。

 

痛みとは違う。痒さとも違う。

 

まるでそこだけに水が流れているように違和感を感じる。

 

ッ?

 

初めて、それ以外の感覚を感じた。胸に衝撃が走る。そして空気がその衝撃の後を辿る。

 

ッ!

 

そこで理解した。これは現実だと。夢のように現実味はないけど、これは確かに現実だと。

 

胸に穴が出来た。それはしばらく前からあった物だが、それは黒曜石によって埋められているはずだった。だが消えた。黒曜石が一つ一つ欠片を抜き取られ消えていった。後には空気だけが底に貯まっていった。

 

俺は覚えている。その黒曜石は親愛的かつ友愛的かつ永久の愛を捧げる人達の一人から貰ったプレゼントだと。

 

自然と拳を握っていた。指が、腕が力むのを感じた。

 

 

目を開く。

 

 

目の前はいつもの風景だ。この一ヶ月間見続けた。アーツを拡散し、この部屋の状況を知る。

特に拘束されてもなく床に寝転がっていた。部屋全体から漂う僅かな鉄の匂い。だが関係ない。起き上がる。目標を視界に入れる。

 

目標は二人、片方は大切そうに、瓦礫のような黒い、黒い石を大切そうに抱えてた。

 

俺は状況を理解した。そしてキレた。

 

俺は腕を振るう。絶対に当たる訳がないほど距離は開いている。だが当たる。そう思い、考えた。

思考は実行へ。頭で考えている時には既に、生成されているのだ。

 

腕から生える。それは黒く、長い。それは二人をバターのように切り裂き、上半身と下半身に分別した。俺は二人を殺した。

 

振るった腕はそのままの勢いで進むそして腕から生やした物は俺の体に巻き付いた。まるで俺を守るように、まるで意思があるようだった。

 

俺はずいぶんとサイコパスかもしれない。人が死ぬことに何も感じない。そりゃ身近な人が死ねば思うことも多いが、そうでなければ思わない。俺が殺したというのに…それは実感が無いことも理由だったりしてね。

この手で肉を切り、生命活動が止まる瞬間を見れば、と思っていたけど。何も感じない。

 

まあこの世界は残酷だということで。

気にしすぎて心が壊れるくらいなら気にしなさすぎで自由に生きればいいさ。それにしても本当に現実的じゃないな。飛び散る血。四つの肉片。そしてこの腕から生える武器?そこまで考えなかったけど剣じゃなくて鞭を作るとは……いや見た目的にクインケか。黒一色だけど。思っている以上にしなやかで触手みたいだ。

 

……触手?え?生成!!オッペイパイ!」

 

反射的だった。いや本能的だ。俺は胸に究極の円周率を持つ大きなπを生成する。そして揉む。間違いない。これはオッペイπだ。この弾力、この張り。間違いない俺は究極の問題だった固体の液体化を成し遂げたのだ。

 

ゲッフッ!?

 

触手に叩かれた。もちろん俺に自傷癖はないし、操作を誤るなんてへまはしない。

改めて触手を少しだけ動かした。その触手は俺の想像通りに動く。だが操作をやめると、もう一度触手に叩かれた。

 

まっまさか!!??

 

俺はスライムを作る。オリジムシでは無く、y○giboを想像しながら、RPGの最初の、そして王道のスライムを作る。

 

するとスライムは独りでにぷるぷると動き出した。(ちょっと違う……それよりもはやく状況確認してご主人)

 

わかったよポン助。まずは状況確認だね。……いつの間にそんなに賢くなった?なぜポン助の言葉がわかる!?もしかして…お前ポン助では無いな?

 

スライムはさらにプルプルと震える。(ポンスケだよ!)

 

うな訳あるか?ポン助はいつも食う寝る休むの三連コンボ。少し見なくなっただけでほのぼの系から真面目系に変わるわけ無いだろうが本性見せろ。

 

スライムは跳ぶ。(…めんどくさい…)

 

シュヴェルの頭の上へ跳び着地する。そして全てを知った。

 

ァ~~~この柔らかさ~~枕もよし、抱き枕もよし、掛け布団も敷き布団もよし。たとえお前が誰であろうと俺の頭に乗ったら相棒だ。よろしく!ポン助……はやめておこう。ポン助二号、君に決めた。

 

ポン助がやれやれと薄く震える。そして豊満なスライムボディからピッと触手を突き出した。(今の状況わかってるの?はやく状況確認!!)

 

はいはい状況状況。俺はアーツを展開。もはや慈悲はない。扉をこじ開け施設の掌握を急ぐ。イメージとしてはヤスリで隙間を作る。これで室内の密封性はなくなったな。修理班乙です。笑ってあげます。

 

 

掌握している間に真面目なお話をしよう。

 

この俺のおふざけに対応するだけでこいつはポン助認定しても良いレベルだ。だけどそんな理由とは関係なしにポン助だと思った。

 

その豊満なスライムボディは関係ない。ただの源石だ。だけどその源石から俺に繋がっている線のようなものを感じる。内側からその線は出ている。そしてポン助の声はどこからか聞こえてくるのでは無く、内側から発生しいているように不思議に響かない中性ボイスだった。つまりただの勘ってことだ。

 

そしてポン助になぜ俺の胃の中に入ったんじゃ我ェ?ポン助の感覚が無くなったときまじで悲しかったんだぞ?死んだかと思ったんだぞ?とお説教かました。

 

そしたら、勘…?と答えた。ふざけるなよ?俺は説明するまで一生進まない雰囲気を見せつつ言及する。

 

ポン助いわく、今ならご主人と一緒になれる気がした。ご主人に吸収されることで永遠に一緒に過ごせると思った。不安だけど一緒になれるし、お話できるよになってうれしいよ!とメンヘラティックなことを言った。

 

以上。

 

これ以上何をいっても無駄だと中国三千年の歴史と前世の記憶が言ってた。

 

 

ポン助は~~このままで。スライムの豊満ボディがいい。オリジムシは硬い上に抱き枕にもできない欠陥があります。しかしスライムならば枕、抱き枕、敷き布団、掛け布団……なんでもござれ。よってこのまま変えない。ポン助の意思は関係(このスライム動きやすくていいよ!)満場一致でスライムボディです。喜ばしい。これで俺の昼寝が幸せ空間になる。

 

俺の外見は……角の制御ができない。消すことも角の長さや太さを変えることができない。本格的に鬼族になったわ。液体化できようになったのに!!これで毛並みから艶、もふもふまで完璧にできると思ったのに!!!!!!!ハッ!角+ケモミミ。ベストマッチッ。複数の種族の特徴を持つ無表情系……ゴクリッ良いネタやで!

角の根元は傷口のよう。いまだに治る気配がない。ま、時間が解決してくれるだろう。

 

そして体に文字が刻まれている。気持ち悪。消せない?は?これをこのままにしろと?……ライン生命…謎の文字……被検体番号?ライン生命印の謎の文字……ゴ、ゴクリッ…これは最高のネタになりそうだ!むしろこれで消えないことは+になりました。

 

…本当に消えないのか?

 

俺は慎重だからな。決して疑心暗鬼と言うなよ?

試しに腕にある文字を……二重線?一カ所だけ二重線がある。丁度良い。そこを源石でコーティングした爪で引き裂く。そして治す。治す……引き裂く。治す……無理だ。文字は消えないし、二重線は消えないし、傷も残せない。この二重線どうしても消したいんだけど?ここだけ中途半端に二重線されても困ります。ぁ~~困ります研究員さん。

 

 

さて、番組は変わりまして、ドキドキ☆ポン助君!のお時間です。

 

まずは能力の確認です。おそらく核、コアとなる部分は俺の中にあります。そしてポン助は目の前のスライムを自分の体のように動かしました。なので調べる必要があります。どれだけスライムや武器などを、ポン助一人で何処までできるのかを検証します。

ちなみにスライムを動かした理由はポン助いわく、(僕も動きたーい)だそうです……猫ですか?

これが噂の憑依というものでしょうか?

 

さて検証に戻ります。これは大切なことです。強さはしかり、ロマンを追い求めることができ、無限の兵力を得ることができます。なのでやる。さてポン助やってしまいなさいッ!…………検証結果。ポン助は源石を生成出来ない。以上閉廷平常乱心鼓動の音……さて気をとりなおして、俺は床を埋め尽くすスライムを作る。

 

ポン助操作してみて?

 

生成したスライムは動き出した。そして十六段ピラミッドを作った。

 

(どやーー)口に出すものではありませんッ(口じゃないと思うよ)喋るのではありませんッ(思っただけだもん)ポン助、体感どんな感じ?(変な感じ。でもちゃんと動かせるよ。もっともっと動かせるとおもうよ~)よしッ……よくやったポン助。

 

次はスライムを消して剣を20本想像する。

 

ポン助操作。

 

剣は宙に浮く。

 

よし、第一段階クリア。そして次の第二…はダメみたいですね……

 

ポン助は俺の考えていることを読み取り動く。俺の想像通り、剣は宙に浮いた。そして俺の周囲を舞う。ファンネルのように…はできなかった。剣は剣とぶつかり{なんなら俺にもぶつかった}綺麗に俺の周囲を舞うことは無かった。

 

(むぅーーーできるもん)そうだな。時間が無いから後で頑張ろうな(ぜったいできるんだからね!)

 

乞うご期待。以上ドキドキ…ポン助…でした………さてそろそろ掌握に本気を出しますか。

 

むーむーフギュッゥーーとポン助は頑張っていらっしゃいますが無視します。できれば遠くで練習してほしいです。さっきから剣が当たって痛いんだよポン助。(わかった)

 

物わかりがよろしい。最高だろ考えただけで意思疎通できるって。変わりに考えていることを全て知られるけどポン助なら問題無いね。これからよろしくなポッ……は?

 

施設のある一点に集中する。上から底まで全てを把握する。

 

間違いなかった。把握すれば把握するほどその人物の特徴がジャーシンスと一致する。少なくともこの施設にアスランの特徴を持つ人物はジャーシンス、ただ一人。

他の場所も把握する。だが何処にもジャーシンスはいなかった。それどころか被検体の人数が大幅に減っていた。

 

余計なことを考えるのはやめよう。

 

ジャーシンスは前世の言うところで、ゴミ処理場で寝転んでいた。上には多くの運搬パイプと開閉タイプの大きめの入口、下には焼却システム。開閉タイプの大きめの入口は部屋になっている。警備員とマニュアルが壁に記されていた。マニュアルによると週に一度、ゴミの処理が行われる。残念ながらゴミの処理まであと何日まであるかはわからない。

 

多くの袋がある。ジャーシンスの周囲には引きちぎられた袋がある。その中は味がない飯がある。栄養食品のような固形物にスープが混ざっている。わざわざかき混ぜたわけではないので固形物はしっとりホワイトチョコケーキのようだ。液体は下へ沈んで底で貯まっている。

 

ジャーシンスはうたた寝するように寝転がっている。胸を血に染め、口元から流れた血が固まっていた。息はある。だが生気がない。目もトロンとして今にも死そうだった。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

バットエンドは許しません。ハッピーエンドを目指します(必ずとは言わない)





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4/7 茸と魂と命の大戦争 ジャーシンスside

………こ、…こは、」

 

目の前には白。いや袋?

 

爪を立て引き裂こうと痛む胸を押さえつけながら腕を動かす。袋は簡単に引き裂かれた。外へと這い出る。外は真っ暗だ。明かりはない。空気が薄い。たくさんの袋があって床が見えない。すぐ側の袋の中から血の匂い。数は一つだけではなく、動きもない。おそらく私と同じだ。

 

アレはここに気絶してくる前

 

 

・・・・

 

嫌な予感はあった。

 

この数十日間の間、毎日シュヴェルの部屋に遊びに行っていた。だけど今日は違った。

いつものようにシュヴェルの部屋へ向かう途中だった。

 

ジャスミンが突然「シュヴェル君は体調が悪いようだ。今日は帰ろう。」そう言ったのだ。少し様子がおかしい気がしたけど昔私が体調を崩したときも研究員の人もそのような感じだった気がした。

 

ジャスミンはそのまま私の部屋へ戻るかと思ったら別の部屋に案内された。

 

その部屋の扉をくぐった瞬間、胸に痛みを感じた。そして全身の力が抜けていき、地面に倒れた。首すら動かせない。だけど目の前には私と同じ状況だと思う人たちがいた。

 

目に光が無い。動きもなくて死んでいるみたいだ。その人たちはたき火みたいに一カ所に重ねられて、火の代わりに赤い液体が流れ出て、水たまりを作っていた。

 

「おいおいさすがに雑すぎだろ?」

 

「別にいいだろ?まだまだいるんだ。それよりお前はもう仕事は無かったよな?袋詰めしろ。」

 

「えーーなんでお前一人しかいないの?」

 

「対象が多すぎるんだよ効率重視だ。効率!」

 

「その効率とやらで物の運搬ができてなかったら意味ないだろ?」

 

「うるさいなぁどうせ汚れるじゃん。わざわざ区切りを作って血はせき止めたんだから掃除は楽だろ?」

 

「はぁめんどっくさ……コントロールのほうが楽だったのになー」

 

「はっはざまぁ。」

 

「それで運搬は誰がするんだ?」

 

「二名いる。荷車だ。運搬は全部あいつらに任せる。」

 

「そうですか……なあ俺ってクビかな?」

 

「知らねぇよ。とりあえず働け。」

 

「へいへーい。」

 

そこからの会話は聞こえなかった。それか会話はしていなかったかのどちらか。

 

ジャーシンスの意識は深く落ちていった。

 

 

~~~

 

 

次に目が覚めたのはここ。

 

ジャーシンスは辺りを見渡す。暗くて遠くまでは見えないがそこまで広い空間では無い。

 

そしてこの袋。これはゴミ袋だ。昔研究員の人から聞いたことがある。名前は忘れた。たしか一週間に一度ゴミを焼却するらしい。コストが掛かるから月一でも良いのにと愚痴っていたのを覚えている。

 

「……うん。」

 

少しだけ胸の痛みが治まった。

 

傷は一カ所。胸の中央をザックリと。それ以外の傷はなかった。私を処分した研究員の人の雑さに感謝しよう。

 

私はすぐ側の袋を引き裂く。その中には人がいた。

 

目を閉じて鼻に集中する。

 

匂いをかぐ。

 

血のにおい。血のにおい。血のにおい………だめ。血のにおいしかしない。

 

「……!」

 

足音がする。上に誰かがいる。三人……いや一人は初めからいた?

 

鼻の集中を耳に回す。それでも会話は聞こえない。だけど少し言い争っている感じ。すごく嫌な予感がする。

 

「ッ!」

 

ジャーシンスはジャンプする。足場が悪くて狙っていた方向へには飛べなかったが充分な距離を飛べた。壁に爪を突き立て壁を掴む。急に動いたせいで胸が痛む。右手で胸を掴み、痛みをまぎわらす。

 

そして四秒ほど後。

 

耳障りがする機械の音をたてると同時にゴミが床に消えていく。真っ赤で真っ赤な熱にゴミが姿形もなく消えていく。その熱はジャーシンスがいる場所まで届いていた。

 

七秒後。また耳障りがする機械音と共に熱っ苦しい熱が床に消えていった。

 

ジャーシンスは安心したせいだろうか?腕の力が抜けていき、重力に従って床へ落ちていった。受け止めてくれたのは少しだけ冷たくて硬い床だった。

 

そこでジャーシンスは気を失った。

 

 

~~~

 

 

次に目が覚めたのは上から柔らかい感触を受けてからだった。

 

不思議と目はくっきりとした。だけど胸が昨日より痛む。

 

柔らかい感触は袋だった。血のにおいはしない。袋は一つだけではなく、九つあった。私の上に落ちてきた袋を触ってみたが柔らかい布のようだ。

 

目の前にある袋を触ってみる。

 

……硬い?

 

袋を引き裂く。中からはいつも食べていた棒とスープが入っていた。ぐちゃぐちゃに混ざって不味そうだが無いより全然良い。

 

棒をかじる。

 

棒はいつものように味がない。スープは床に流れ貯まった。ジャーシンスは犬のように舌でスープを舐める。

 

スープはほんのり味がする。その味は優しくて枯れた喉が潤っていく。

 

ジャーシンスは胸が痛むことすらも忘れてスープを飲んでいた。

 

 

~~~

 

 

あれから六回袋が落ちてきた。その中には毎回棒とスープが入っていた。最初からスープが入っていることがわかっているなら袋を器にできる。

 

だからスープはたった一度以外こぼすことはなかった。

 

だけど袋はどんどん落ちてくる。その袋をかきわけ上へ登っていかないと袋に埋もれてしまう。いつしか体力は落ち、胸の傷は我慢できないほど痛くなっていた。

 

「……」

 

足音がする。二人。今度は言い争っている感じがない。嫌な予感はする。だけど動ける気がしない。

 

目を閉じる。

 

・・・・・・

 

うるさい。

 

・・・?

 

うるさい。

 

・・・・・?・・・・・

 

うるさい。

 

雑音がする。どうでもいい声が聞こえてくる。私をジャーシンスと決めた人がいる。私を私と見ない人たちがいっぱいいる。ぁ……熱い。

 

背中がガクンとした。

 

袋と一緒に落ちていく。

 

 

最後くらい良い夢が見たかった。

 

「ジャーシンスに合わせたい人がいるんだ。少し不安だけどきっと仲良くなれると思うよ。」

 

そう紹介されたのは鬼だった。シュヴェル。私と同じ化け物の一人。そしてたくさんの化け物の中でたった一人、たった一人だけ仲良くなれた人。

 

ずっと遊びに付き合ってくれて、嫌な雰囲気も出なくて、ずっと床に寝転がっている変な人だけど、疲れたらお腹を貸してくれて、すごくアーツが楽しい人。

 

………まだ、一緒にいたかったな…」

 

 

 

 

…………また背中がガクンとした。

 

次の瞬間にはジャンプした時と同じ圧力を感じた。

 

ジャーシンスは圧力が収まって、周囲を見渡す。

 

周囲は暗い。一週間前に見た光景と同じだ。

 

「え?」

 

床を見た。床一面が黒い壁だった。黒い壁だけがそこにあった。辺りを精一杯見渡す。目をこらして見る。だけどそこには思い人はいなかった。

 

ジャーシンス失望した。いったい彼は何がしたかったの?なんで今さら?なんで黒い壁は消えてない?

考えても考えても答えは見えない。もうわからなかった。

 

目を閉じる。仰向けで両手をお腹に置いて息を整える。胸が痛い。もう考えていることがまとまらない。もうこのまま寝てしまいたかった。

 

圧力を感じる。ゆっくりと黒い壁が上昇している気がした。

 

このまま何処へでも連れて行って…

 

メリメリメリ

 

変な音する。目が熱い。いや明るい?

 

ジャーシンスは目を開く。目の前には光があった。久しぶりの光でまぶしくて背けたかったけど背けなかった。

 

目の前には光があった。まるで地獄への入口みたいに歪にこじ開けられた扉の先から光と共に黒い箱を従え白衣を着た化け物が目の前にいた。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

イメージは固まりました。

ですが執筆する時間と腕が足りません。

へるぷみー


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4/8 茸と魂と命の大戦争 主side

一回消えたので萎えています。

無理矢理終わらせました。

頑張ったつもりです。許してください。

だいぶテンションが終わっています。頑張って表現を柔らかくしました。


※注意※

グロ注意です。

後書きにあらすじを書いておきます






りは禁物。落ち着いて行動しましょう。助けられる物も助けられない可能性があります。

 

ここで宣戦布告!?全滅シミュレーション講座の時間です。

 

ステップ1

 

全滅なのでこの施設と外をつなぐ扉を重点的にこの施設全体を源石で封鎖します。PCは発見次第破壊です。外部と連絡されると早急に援軍が来てしまう可能性があります。慈悲を持っていたら殲滅なんてできません。覚悟を決めましょう。

 

スッテプ2

 

腹が減っては戦はできぬ!

 

まずは敵の補給物資を攻める……というか強奪しちゃいましょう!ここは自分の力と敵の力を比べて可能な限り敵は-自分は+になるように頑張りましょう。

 

今回の場合は警備兵などは多いですが、防衛設備がセンサーなど最低限レベルなのでゴリ押しましょう。食糧庫から食堂と思われるところまでは源石で覆い、隔離しましょう。そして中にいる生命体は首トンをして気絶させます。そして食料等を源石性浮遊式ボックスに詰め込んみます。

 

ほかの場所にも食料等はあるかもしれませんがそれはわかり次第強奪しにいきましょう。

 

ステップ3

 

強奪!!

 

今回はジャーシンスが負傷している為医療器具が必要です。悲しいことに俺のアーツでは医療行為はできません。

しかしここはライン生命。医療器具から薬品がたっぷりとあります。ですがどれが治癒効果をもっているかはわかりません。薬の説明書なるものを見てもわかりませんでした。ちゃんと区別してわかりやすいようにしろよ。なので職員の人に聞いてみましょう。

 

ここで大切なのは隙を見せないことです。それにもっとも当てはまるのは狂人(地雷なし)です。狂人……目的を相手に感じさせず、分からせず、考えさせず。これは過去に経験があるほうがやりやすいかもしれませんが見た程度では本物にはなれません。ここは別資料、バーサーカー基本戦術 騙し討ちを参考にしましょう。ps本当の狂人と本物のバーサーカーには意味のない資料です。ご注意ください。

 

さてお手本を、見せましょう。

 

 

研究員10名

 

袋のネズミですね。扉は一つ、通気口一つ。逃げ場なんてありません。ですがここで思い出しましょう。別資料、これで俺も最強?入門!心構え編です。

 

窮鼠猫を噛む。追いつめられた鼠が猫にかみつくように、弱い者も追いつめられると強い者に反撃することがある。

 

そして能ある鷹は爪を隠す。実力のある者ほど、それを表面に現さないということ。

 

後者は問題ないです。突撃をする前に全身を源石で覆いましょう。イメージとしてはダンゴムシです。俺の実力であればしっかり距離があれば即死は回避できます。

 

問題は前者です。追いつめすぎて反撃してこないように、そして歯向かわない程度に隙をつくる必要があります。ここは経験を積んで頑張ってください。

 

それでは突撃

 

あっ、顔はピエロのマスクにしておきます。

マスクがあることで表情まで気を回す必要がなくなり、身バレ防止にもなるのでマスクは犯行のお供だということがわかります。

 

っはっはははは~~~チャンスげーーむ!」

 

人を小ばかにするような態度で言いいましょう。研究員が戸惑っていますが隙を見せずに次のアクションに移ります。研究員は一端無視です。無視。

 

「うまくやれば全員生存できるようにしたよ!喜べ。」

 

ここら辺でやっと変化が起きました。研究員の反応は二パターン。状況を理解できず困惑している者6名、状況を素早く理解して動く者が4名。

 

「うっざ~~い。動くな。」

 

その素早く動く者の右手の小指をアーツでぼろぼろに折る。そいつらは組織化された思考を持つ輩です。めんどうくさい奴らです。今回の作戦では邪魔なだけです。ですが目的を理解させないためには必要です。生き残れるかはゲームの結果次第です。

 

「めんどくさいんだよ。よけいなことするな。」

 

ここは先ほどのような人を小ばかにする態度ではなく、激怒します。しっかり狂気を見せておきましょう。

 

静かになってから次の行動です。もし騒ぐ人がいた場合は左手の小指もぼろぼろにへし折ってあげましょう。

 

「治癒薬を持ってきて。先着5人早い者順で一列に並べ。」

 

俺は腕を振り上げる。それを合図とするように素早く動く者たちが動き出す。少しあとハッと気づいたような振る舞いを見せてからそれ以外の者が動き出す。けれども素早く動く者たちはすでに一列に並んでいた。珍しいことに残された者は醜い争いを見せるのではなく話し合いを始めた。その話し合いはすぐに終わった。一人だけ列に並ぶ。残された者はいい笑顔だった。

 

アーツで治癒薬を目の前に持ってくる。フラスコに粉など、すべて違う種類の薬品でした。これは間違いありません長年の経験が言います。この中に毒物があるぞ、と。

 

おっと残された者が注射を打ち込んだ。俺から見えない死角+他のことに集中しているのダブルコンボだったけど相手が悪かったね。

 

警戒します。しかしそれは意味をなしませんでした。

 

いい笑顔の集団はそれ以上のアクションを起こさなかったのです。

 

時間経過で効果が発揮するタイプ?バーサーカー?死んだら爆発するのか?まったくわからない。

 

ここ負け筋です。皆さんはできる限り事前に調べておきましょう。俺にみたいに不確定要素を生みます。正直に言いましょう。運ゲーはうんちゲーです。

 

さて、今回は見なかったことにしておきましょう。

 

ここからが正念場です。

まず先着五名様の腹を切り裂きます。その時内臓を傷つけないように、即死させないように気をつけましょう。

 

その傷から鮮血が舞うのを確認してからそれぞれ持ってきた自称治癒薬を口に突っ込みます。本当に治癒薬なら治るので生きれます。違ったら知りません。使用方法が違うと言われても知りません。胸にある深い傷をできるだけ一瞬で治せる傷薬が必要なのです。自業自得です。

 

先着五名様の反応は様々です。しかし結果は同じでした。死です。呼吸をしていません。

 

残された者の反応は阿鼻叫喚。なので右手の小指をぼろぼろにへし折って黙らせます。一回激痛を味わって冷静になりなさい。

 

おそらくさっきの注射は解毒剤なのかな?あの一瞬でそこまでやるとは……マニュアルでもあったのかな?

 

「げーーむオ~バ~~さて次に五名様に期待しましょう。残り三十秒で一列に並ばないと死がまっております。さぁ何人シヌゥ?」

 

残された者は涙を拭うことなく薬を取りに行く。そして一列に並んだ。アーツで薬を目の前に持ってくる。今回は三種類だった。

 

残された者の腹を引き裂き、薬を口の中に突っ込む。

 

残された者は全員生きていた。傷が治っていた。残された者は床にへばりつきながら恐怖の目をこちらへ向ける。

 

「選抜ターイム❤」

 

その言葉で落ち着いていた精神をぼろぼろに戻した。なので左手の小指も折って冷静にさせる。

 

慈悲はあるけど許した訳ではないよ。お前ら十人。全員見たことあるんだよ。ある者は耳にメスを突っ込み、ある者は目にメスを突っ込み、ある者は下の穴にメスを突っ込んだ。俺は忘れない。

 

あの不快感。硬いからやって良い訳ではない。やって良いのはやられる覚悟があるだけとハンムラビ法典にも書かれてある。

 

「右から持ってきた治癒薬の効果説明して~~」

 

ゆっくりと途切れ途切れだけどしっかりと効果を説明してくれました。心が折れた奴隷ほど便利な者はないと異世界ファンタジーで学んだ。

 

まぁ約束通り殺さない。隔離もやめておこうか。薬をあるだけ拝借して行く。ここも負け筋です。がこれは心がある弊害なので気にしないでおくのが一番です。

 

「ばいばーーーい。」

 

さっさとジャーシンスの元へ向かおう。っとその前に

 

レッスン4

 

騙されたな!!

 

今回は敵拠地に突撃しているのでとても有効な手段です。これは野戦でも可能ですが場合によっては素早く対応されるためおすすめはしませんね。

 

自分のダンゴムシ鎧を消す。そして目の前にダンゴムシ鎧を出します。

 

ポン助(なに?)練習の時間だよ(やった!どうすればいいの?)人型を動かせば良いだけだよ。敵がいるから戦闘訓練も一緒にしようか。(りょうかい!)壊れる前に代わりの鎧は出しておくよ、何か質問ある?(ない!やっていい?)

 

ダンゴムシ鎧が道を進んでいく。

 

今回は鎧。防御極振りで攻撃手段が拳しかない。敵の強さがわからないからどうとは言えないけど多分最高の練習になるだろう。

 

よしッこれで千の軍勢万の夢に手が届く。いずれ声の練習もポン助におすすめしよう。俺の夢はまだまだ止まらねぇ。ポン助が兵隊をすることで俺がエフェクトに専念できる。

 

うっひょい!いずれウルサスに戦争仕掛けに行ってやるぜッ

 

最高の演出って奴を見せてあげますよ。

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ


あらすじ

シュヴェルが医療室を襲って回復薬を取得しました。

ポン助にダンゴムシ風人型鎧を授けて操作練習させています。

次回ジャーシンスに会いに行きます。


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4/9 茸と魂と命の大戦争 主side

ん?……あっまずい。スキップしてる場合じゃない!走れ!いや飛べ!走るより飛んだ方が早い!

 

ゴミ処理場の上の操作室?に警備員とは別の人が来た。おそらく今日がゴミ処理日。週に一度のゴミ処理日。あぁあ今ゴミをゴミ処理場に投げ込まれております。ぁぁあああぁあジャーシンスが動かない!?ゴミに埋もれていって…処理方法が簡潔すぎぃ。急げッ!いやアーツの方が早い!

 

床がなくなっていき、地面から灼熱がこぼれ上がる。

 

俺はジャーシンスを源石で優しく、そして正確に包み込み上の部屋へと向かわせる。床が閉じたのを確認してから箱から板に変える。

 

さて目的地に到着。警備員?ざる警備ですね。研究員は邪魔。気絶してろ。

 

操作室にいた人を首トンで気絶させる。そして操作室の外へ放り投げる。

 

感動の再会を邪魔したら絞める。なので一度操作室を隔離します。これで俺を殺さないと突破出来ないねぇ。突破出来ても俺を殺せないねぇ。よしッ完璧……入口硬った!?なんで焼却炉の入口がそこら辺の扉より硬いんだよ!?…当然か。

 

フンギュゥッッッ!硬すぎッ。開かねぇ。もういいッ、捻じ開ける。

 

ベギィッ

 

……ヒッ…背筋がヒッってした。これが噂の骨が折れる音……これがリアルasmr…ジャーシンス!?

 

ジャーシンスは予定通りにすぐ目の前にいた。だけど瞳孔を大きく開き、涙をながしている。なぜ!?やめて泣かれるのは弱いの!何を言って良いかわからないの!

 

「……どうして?…ここに?、なんで…なんんでッいまさら?」

 

……なんでと聞かれても、衝動としか言いようがない気が……何かそれっぽいこと言わな……先に治療だな。

 

ジャーシンスの言葉を無視してアーツから俺に体を移して支える。そしてフラスコに入れた治療薬を飲ませる。心なしかドクドクと心臓の鼓動が大きくなった気がした。

 

「僕もいろいろあってね……遅れた。ごめん。」

 

「そ、それよりも立って大丈夫なの?」

 

「うん。もう治ったから。そんなことより傷はもう大丈夫?」

 

「傷?…えッ?」

 

シュヴェルに言われてハッと驚くように胸元を触る。そしてシュヴェルに訪ねるように言う。

 

「傷がないよ?」

 

「そう。よかった。」

 

シュヴェルはジャーシンスの頭を撫でる……ハッ俺は何を。ついあどけない驚き顔に頭を撫でてしまった…撫でやすい場所にあるのが悪いんだよ。怒るなら怒りな。喜んで受け入れよう。我々の業界ではご褒美です!

 

「……ねぇその角大丈夫なの?」

 

「ん?うーーーん…大丈夫かな?」

 

角の付け根が未だに赤い。大丈夫と言い切れそうにないな…

 

「うんっと。」

 

かわいいかけ声を出して自分の足で立ち上がる。それに合わせて俺も立ち上がろうとすると

 

「シュヴェルはそのままかがんでいて。」

 

なんだろう?立ち上がろうと立てた足を戻して正座する。

 

ぬちゃぬちゅ……

 

「ひゃっ!?」

 

なまめかしい音と声高い声が隔離された部屋に響く。ふしぎとよく反射して耳に残り続ける。

 

シュヴェルは体の力が抜け床に倒れかけるがジャーシンスによって支えられた。いや逃げ道を無くされたというべきか。

 

「な、なに、な、なにを?したの?」

 

「傷にはつばをつけると良いんだよ。」

 

「そ、そうなんだ。ありがとうね。それじゃ」

 

「だめ。まだもう片方残ってる。」

 

「え?いや!いいよ!」

 

「だめ。それで傷が悪化した人を知っている。」

 

「大丈夫!僕は頑丈ッ」

 

振りほどこうと腕を突き出す前にもう片方の角を舐められた。その瞬間全身の力がなくなり、動けなくなった。シュヴェルは耐えるように、顔をジャーシンスに埋めていた。

 

「終わった……大丈夫?」

 

「む、むり。」

 

考えられるのは二つ。

 

一つは角が弱点になった。考えたくはないが、舐められるだけで動けなくなるのだ。もし斬られでもしたら気絶するんじゃないか?

 

二つは俺が美少女に舐められて動けなくなるほど興奮したということだ。考えたくはない。信じたくもない。だがあり得ないという話ではない。

 

よし試そう。

 

今。

 

ここで。

 

 

俺がHENTAIか、弱点付与されたボスか……だめだまだ動けない。うそだろ。酷すぎる……じゃしょうが無いな。お願いしよう。

 

シュヴェルは体をジャーシンスに支えられたまま顔だけをなんとかジャーシンスの顔に向けた。

 

「ねぇ…お願いがあるの。」

 

「なに?それでむりじゃなくなる?」

 

「うん……お願い。角を殴って。」

 

「角を!?なんで?」

 

「お願い。」

 

「……わかった。いくよ。」

 

目を閉じる。意識に集中する。

 

「イッッ………ン……ハァ……フゥ……」

 

弱点付与されたボスだわ。角やばい。ジャーシンスは中指で扉をノックするように優しく殴った。それなのに助走をつけた跳び膝蹴りのような痛みが頭を襲った。

 

動けない……いや動かなければ良いじゃん。アーツで体を動かせばいいじゃん。うん…問題無い。動く動くぞ。アーツならば動かせる!これでスタン無効化できますわ~~。ちょっと精神ダメージが大きいだけで問題無いですわ~~これで弱点が露呈することはないね。勝った。攻略班がいない限り俺の完勝だわ。

 

「ありがとう。良くなったよ。」

 

「ほんとう?大丈夫?」

 

「うん。それよりもご飯を食べようか。」

 

後ろにある源石性浮遊式ボックスを床に下ろして開封する。中からはいつもの栄養食品がたっぷり。

 

「わぁーーお腹減ってた。」

 

ジャーシンスは我先にと口に味のしない飯を詰め込む。口いっぱいに食べ物を詰め込んでモグモグしている。

 

「…ゴックン……ねぇシュヴェル。」

 

「ん?なに?」

 

「一緒にご飯を食べるのって初めてだね。」

 

はうっ

 

シュヴェルは床に倒れ込む。

 

「やっぱり殴ったらダメだったんじゃ…ねぇ大丈夫?」

 

ジャーシンスが倒れたシュヴェルをゆさゆさと揺らす。

 

せめて最後に意識が消える前に……

 

「おやすみ。」

 

そう言い切って意識は飛んでいった。

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

すごい。

たった1話でテンション戻りました。

今月中に終わらすぞーー


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4/10 茸と魂と命の大戦争 主side

(おきて!)はいはいおきました。今起きました。どしたポン助?(僕にも棍棒ちょうだい!)棍棒?…おう……オーガ君……

 

ポン助が操作するダンゴムシ系人型鎧の目の前にご愁傷様なオーガ君がいた。頭が潰れている。こわ。ダンゴムシは殴る蹴るの武闘派なんだけど?最大値を1200としたらスピード230にパワー1400の筋肉ゴリラだよ?……頭潰れるのも当然か……なむなむ…

 

ダンゴムシに棍棒追加。そして装甲を消して動かしやすくしておきましょう。

 

ポン助?これで良き?(うん!ありがとう!!これで残りもヤってくるよ!!!)

 

ポン助ェ……これが親に似るってやつ?…さて起き上がりましょう。

 

「モグモグ……あ、シュヴェルおはよう。」

 

「うん…おはよう…」

 

すげぇ……食料が七割消えてる。おかしい……源石性浮遊式ボックスは3m×3mにパンパンに食料を詰めたんだよ?どうやってその身長167cmの中に収まったんだ?やっべこわ。

 

「シュヴェル。」

 

「ん?」

 

ジャーシンスが改めてこちらを向く。目が今まで見た中で一番真剣だ。

 

「これからどうするの?」

 

「…僕はこのまま何処かに行こうと思うよ。」

 

もうライン生命には用事がないからなー。ジャーシンスが残るって言うなら俺もしかるべき対応をする。

最悪の場合はライン生命さんの終わりだけど(ボソ

 

「そう…よかったら私もついていって良い?」

 

「………ダメ。」

 

それは困る。俺はまだ完璧を演じているんだ。一緒に行くってなると困る。サバイバル知識はないんだよ?街で生きる方法も知らないんだよ?嫌だ…無能な俺を見られたくねぇ……

 

「そう…わかった。よしっ。」

 

ジャーシンスが立ち上がる。手で服をポンポンと埃を払うように振るう。

 

「ジャーシンス?」

 

「私も何処かに行こうと思うよ。」

 

「え?でも危ないよ?」

 

女一人。それが狙われないはずが……あの身体能力なら問題なさそう…はっ、食料!先ほど脅威の食料消費量。それを定期的に供給させるのは難しいはず!……俺がいても大して変わらないじゃん……ヤクザみたいに権力者おどして金か食料もぎ取るか?

 

「知ってる。」

 

「自分の欲望の為に他を蹴落とす奴らに面倒くさいルールとか圧倒的な権力者有利な世界で……」

 

多分お金稼ぐ方法とか読み書きとかできないでしょ?ジャーシンスほど美人だし……まってアークナイツの世界って美人率高くね?歴戦の老人率と男の娘率も高くね?

 

「知ってる。」

 

「…それでも行くの?」

 

いや同行拒否したのは俺だけどさぁ~~~それとこれとは話が違うくない?

 

「行く。シュヴェルの隣に立てるようになるために行くの。私も力とか知識とかいろいろ手に入れて、隣に入れれるようになりたいの。」

 

「……いつ会えるかわからないよ?」

 

ぁ……ーー脳裏に浮かぶ。

 

息を切らしてハーハーと俺のお腹を枕にするジャーシンス

 

俺の部屋に来るたびに飛びついて俺のお腹を枕にするジャーシンス

 

俺のお腹を枕にして休憩するとき俺の話を最後までそして次々と聞いてくるジャーシンス

 

「丁度良い。次に会えるときは絶対隣にいれるようになる。」

 

あのジャーシンスが………こんなに大きくなっちゃって……(ウルッ

 

「………わかった。これを。」

 

源石で作る。頭の角と同じサイズの角をチェーンでつないだ首飾り。

 

「これは?」

 

「これから僕は名前を変える。姿も変える。数すくない同じ事の一つがそれ。それが僕たちを繋げる証。」

 

伏線……すばらしい。そろそろシュヴェルとうい名前も変えたかったし、液体にできるようになったし、オッペイπができるようになったからTS化したかったし。うむ完璧である。

 

「……わかった。ねぇこれ付けて?」

 

「うん。」

 

ジャーシンスが後を向く。そして腰まで伸びた髪を、手で束ね持ち上げる。ジャーシンスの髪はつやつやしていた。

 

「どう?」

 

ジャーシンスがその場でくるりと回る。良い匂いが鼻の奥に突き刺さる。なんで同じ暮らしをしているはずなのに……男と女の差?男女差別?ライン生命君?余罪増えたね…

 

「それは僕のアーツでもある。次に会うまでにそれが何か知っておいて。」

 

俺は赤くなりかける顔をジャーシンスに見せないようにと扉の前に行く。扉が開くと目の前には大きな鞄が浮いていた。

 

この鞄はライン生命さんから拝借しました。持ち主は恐らくいませんし、どうでもよくなるのでいいと思うので貰います。

 

シュヴェルは移動して鞄の中に食料を詰め込む。その頃には顔は真っ赤ではなかった。

 

「それを知っても会う気があるなら……」

 

鞄をジャーシンスに渡す。

 

「会いに来て。」

 

ジャーシンスの目を見る。

 

距離的に一番外に近いのは……後か。

 

後の壁を壊し、外へ一筋の道を作る。

 

「うん。ぜったい、会いに来る。」

 

ジャーシンスはシュヴェルを通り越して走る。後を振り返ることも涙を流すこと無く、まっすぐ走り去っていった。

 

ほんとうに大きくなって………これが父親の…気持ち?……

 

さて俺も仕上げをするか。

 

ジャーシンスについていくように俺も外に出る。そしてライン生命の施設の全体が見える場所に移動する。

 

 

「まぁこれは、お前らはやり過ぎたってやつかな?」

 

意外なことにこの施設はとても古くからあるらしい。昔の資料を見つけた。まだIT化されず紙で記録を残していた時代から今この時代まである。

 

計200部屋まであった。だけど181番までしかない。IT化してからいなくなった番号に次々と新しい人がその番号と部屋を受け継いでいったらしい。

 

俺はその181番までしか知らない。だけどライン生命というものを知るには充分過ぎる資料だった。

 

ポン助実験を始めよう。(なにするの?)最強になるんだよ(?……わかった!)

 

さて、最強と聞かれて何が思いつく?それは個人差があるだろう。だから最強を決めるなんて事はしない。俺にとっての最強はスルトのラグナロクだ。まさしく噴火。そこに痺れる憧れるぅ。

 

噴火?それはエイヤフィヤトラのイラプションでは?と言う勢力も要るだろう。しかしッイラプションは噴火を模倣したに過ぎない。火力が違うのだよ?

 

さてこれで俺が考える最強がわかっただろう。そしてまとめると最強の属性は火だ。ここで水鉄砲とかマドロックさん!?とか色々あるだろう。だが差し込み性能、汎用性、その全てを統計した結果最強がラグナロクであり火属性だ。

 

 

それは摩擦で熱が具現化する物である。

 

そして俺は液体を操作できるようになった。つまり液体の粒子一つ一つを摩擦させることが可能である。

 

結論

 

俺ならマグマになれるのでは?

 

よし!決まればやる。対象はライン生命施設!!

 

うわぁ……

 

施設が溶けていく。そして最後にはクレーターを残して俺は溶岩を消した。

 

これは復讐ではない。変な正義感振りかざした訳でもない。ただ実験対象が目の前にあっただけだ。だから実験した。その結果でどうなろうが俺には関係ないのだ………それってエセ正義の味方よりやばくね?

 

 

そ、そんなことよりこれはマグマと名付けよう。

 

このマグマは無限に増える事も空中に浮くことも熱さの制御も可能。すぐに熱を上げ下げできないのが偶に傷か?しかし骨も土も溶かすレベルの熱。勝ったな。天災。

 

お前らの居場所なんて、もう無いぞ?

 

 

ここに第一次大天災戦争の開始を宣言する。

 

 

第四部完。ピッピーこれより外部sideが始まります。

 

(ちょっと!!ダンゴムシ消えた!!!どうしてくれるの!!)ごめんてポン助……ほらここに二十本の剣作ったから…(やったぁ!ありがと~~~)……練習したかっただけ?(うん!そうだよ?)よかった…それじゃ俺たちも移動するか。(どこいくの?)それは秘密…ちょっとポン助!俺に当たらない所で練習して!痛いじゃん!(じゃ移動しないで!動かれると操作狂う!!)……はぁ…もういいや……

 

 

 

 

 




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約束破って良いですか?

理由

最近「僕が君の名前を呼ぶから」を読みました。そうすると当然前作も見るわけで、私もこういう読む順番で終わりが変わる物語が書きたいと思いました。
そんな軽い気持ちで簡単なプロットを書き始めたら良い感じのプロットができました。できてしまいました。

もう書きたいという欲求がとまりません。

なのでアンケートです。今回も完全多数決で行きます。


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4/11 茸と魂と命の大戦争 α side+β?

 

…エラー47号の反応を消失。」

 

「なぜだ?何があった?」

 

「不明。施設、施設のシステムが破壊を確認。原因不明。」

 

「…おい本部にSOSを送れ。」

 

「は?」

 

「それを許すと思うか?」

 

「プライドを捨てろ。すでに取り返しのつかない所まで来ている。これ以上は厳罰を持って整地するぞ。」

 

「……了解。」

 

「エラーの確認、現状把握始めます。」

 

「職員に通達コードX 対侵入者行動開始してください。」

 

「……エラー電子機器が破損。」

 

「PCが壊れた?……通信機はどうだ?」

 

「内部のみ異常なし。」

 

「……ドアが封鎖されました。」

 

「……おい4,5ドアをこじ開けろ。」

 

「無理って事ぐらいわかっているでしょ?」

 

「無理。手動で開けれないってことぐらいわかるだろ?」

 

「道具だってないし。」

 

「爪でこじ開けろって?」

 

「……はぁ外の様子はどうなっている。」

 

「食料班、医療班ともに音信不通。その他異常なし。」

 

「…計画犯行か……本部には何処まで送れた?」

 

「おおまかな内容のみ……」

 

「終わりか……ゴッゴリを呼べ。奴ならこの扉を壊せるかもしれん。」

 

~~~

 

「敵兵確認…フルプレート。ゴッゴリが対応します。」

 

「……天下分け目…か。」

 

「ここでやっと敵兵か…」

 

「奴なら勝てるだろ。」

 

「フルプレート、単純な力勝負で負けるとは思えん。」

 

「そうだな……そうだといいんだがな。」

 

「不吉なことは言わないで欲しいものだな。」

 

 

「ゴッゴリ死亡。敵行動停止を確認。」

 

「………その場にいるのは?」

 

「たいした戦力無し。」

 

「では拘束しろ。そしてダクトか処理施設へ叩き込め。」

 

「他戦力どこにいる?」

 

「距離、分換算2分でタイペーその他5分。」

 

「タイペーか。そいつは動かせないな。」

 

「こんなことは言いたくは無いが根性で頑張れ。」

 

「お前達がこの施設の希望だ。頑張れ。」

 

「……敵は一人か?」

 

「確認された限りでは……」

 

「…………」

 

「タイペーから何か連絡はあるか?主通路は問題無いんだな?」

 

「扉が開かないこと以外は……」

 

「……戦闘員以外で扉を壊せる奴はいるか?」

 

「すでに開始されていますが人数が少ないため完了まで時間単位かと。」

 

「敵行動を確認。武器の所持!?どこから……47号か。」

 

「終わったな。最後は美酒にでも溺れて終わりたかった。」

 

「おいお前がそんなこと言うなよ。何か対策があるんだろ?」

 

「そうだお前が考えなくて誰が考えるんだ?」

 

「無理だな。できることもない。敵は強大。諦めろ…」

 

「……逃げ道が何処かにないのか?」

 

「この部屋にあるわけがないだろう?」

 

「オイッ天井が明るく…熱くッ!?」

 

「なるほど……ここまでできるのか。」

 

天から溶岩が落ちてくる。全てを溶かして落ちていく。

 

全ての終わりにはクレーターだけが残っていた。

 

しばらく後。それを見ていた何者かが言う。

 

(周囲目撃者二名と一匹……ねぇねぇ)何か言った?ポン助?(周囲に誰かいたりする?)え?いるの?………お、脅かさないでよ~誰も居ないじゃん。ちょっと心臓止まるかと思ったじゃん(よし!了解!邪魔してごめんね~)いや、また何かあったら教えてね。(はーい)

 

源石の男がまた想像の世界へと飛び立つ。拠点は大切だととても力説していた。仮拠点でも良いと思うが絶対に拠点は必要だと力説する。家を、防衛を、住居人をどうするかと。何処に作るかと考え込んでいた。

 

(………一名と一匹?さっすが!すごいはやいよジャーシンス!)何かあった?(何もないよ~)ん?そう?わかった。(いやまって)何?何回も呼ばれると記憶飛ぶから辞めて?ね?わかった?(はーい、それで剣10本追加!)………っりょ、了解。

 

これで50本目である。最初は20本から始まり+10と続けて50本目である。ポン助の成長速度は止まる所を知らなかった。

 

(ご主人!50本追加!)……俺は9999個やったから……まだ俺の方が勝っているから……(ご主人?まだぁ?)はいはーい………名前どうしようかな?変える宣言しちゃったんだろ?…まぁ良い名前見つけなきゃ。(ごーしゅーじーん)へいお待ち。剣50本です。ポン助さん。(うむ。苦しゅうない)

 

 

 

 

 

 

 

 




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危機契約が始まるなんて聞いてない!準備なんて何もできていないっピ!

執筆の休憩に執筆をする……なかなか良い物でした……(惚れ惚れ){圧倒的睡眠不足}

これから俺たちの危機契約が始まるんだッ!!

次回までの3つの課題です


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5/1 我らがホーム

歩く。

 

いがいと悪いものでもなかった。景色は殆ど変わらないことが多いけど偶に川とか山頂などと良い景色が見れてた。やっぱりランニングしながら音楽を聴くのと同じぐらい散歩しながら作業するのは良かった。

あと疲れない。これは最高だった。どれだけあるても疲れない。一日中歩いても余裕だった。

 

さて収穫がいくつかある。

 

1つ目は目的の場所を見つけた。

 

マンモス校4個分の広大でほぼ平面の森。そして山に囲まれ、外部との接触が最低限以下。

ここを我が領地とする。誰かの領地だったとしても知らない。まともに看板も警備もない方が悪い。見える範囲に人工物なんてなかったし。これは言ったもん勝ちだと思った。文句あるなら来いよ?俺はここに住むからよ?

 

 

2つ目、黒曜石の石の修復が完了した。

 

サイズ的には小さくなったが問題ない。割れ目を溶かして溶接して綺麗な楕円になるように削った。それがこの黒曜石だ。これからは厳重に胸にしまう。次割れたら小石サイズになる。それはいやだ。

 

 

3つ目、ポン助が75本の剣を完全に操れるようになったってことだ。いわく75本以上は練習する意味がないだってさ。確かに歩きながらじゃそんなものかな?それで声の練習やら人型の操作だとかいろいろ練習し始めた。ポン助のこれからにドキドキワクワクです。

 

 

他にも少しあるが後日談ってことにしておこう。

 

 

拠点を作ろう!村を作るぞ!

 

中央に大きな木を作ろう。付近の山より小さい程度の大きさ…500mでいっか、ちな周囲の山は750m程度、地味に大っきいな。そして葉っぱは頑張ってリアリティを求める。落ち葉させる予定はないので関係ないけど。やる気がある内にやり得なんだよ、写し絵の達人を舐めて貰っては困るな。

 

 

上3割は俺の家としよう。さて…構図はどうするか……日本建築もとい木造建築にすることは決めてある。この森には無駄に木があるからね。種はアーツで山の外側に程良くばらまいていきます。

 

どのような感じにしようかな……とりあえず湖だ。その場にある木を根元から取り出し、穴を掘る。深さ5m、奥行き75m。半楕円のような形。

 

水は山の外側にある川から少しづつ持ってくる。

 

こうなると湖の上の家。縁側は欲しい…それじゃ戦国時代の家だな。瓦は源石製で、玄関は………要らない?全部縁側でよくね?橋を4方向に建てましょう。T字型の橋にしよう。家の土台もT字いや井型だ。内装は……一階建て…25m×25m…中央に一部屋、周囲にL字型の4つの空間に源石性の障子、その外側に4部屋。四つ角は屋根を支える柱にしよう。

 

木材を加工してスパスパ建て上げる。

 

あっという間に完成です。ただ板を繋げて均等に柵を置いた直線の橋。柵は長方形の木を組んだだけ、5つに1つはイチジクのような置物を置く。

 

内装はまだない。

 

ただ床として木の板を並べて障子に屋根を付けただけ。いずれ畳とか置きたいし模様とか付けたいね。

 

さて一端はこれで拠点は終わり。

 

今日はここで寝る。残りは明日考えましょ。

 




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前話は削除しました。

理由としては気分が乗らなかったからです。これからあれこれsideをしないようにします。それに伴いサブタイトルのsideはやめます。

いぜんゲームにはまってしまっているので飽きるまでやってきます。

なので文字数は減ります。そしてしばらくは拠点パートが続きます。

久しぶりに限定じゃないのにガチャをぶん回しました。フィアメッタ最高……フィアティマいいぞ!

サンクタ縛りでイベント行きたかったけど回復が無くて、ステージが合わないでクリアできなかったです。なのでサルカズも使っていきました。信頼度50%上昇キャラは確定で編成行きです。


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5/2 我らがホーム

さて、おは…こんばんは世界。

 

起きたら夜でした。

 

暗いな。月の光さんちゃんと働いてください。山という障害物ごときでその反射光を弱めないでください。

 

…文句を言ってもしょうがない。作業に戻りましょう。この拠点は後回し。泉は変更ですね。周辺の水辺から水草をすぐに元の姿に戻るようにと点々と抜き取って泉の底に埋めます。茶色より緑のほうが外観的に素晴らしい。

拠点を支える柱にもちゃんと生えるようにと信じます。ワカメみたいに伸びるのもいいですね~~

 

現在は水は半分程の水位だ。一睡でこれなのだからすぐ終わるなど思ったら違う、これから今までの2倍以上の面積を埋めるのだから時間はかかる。全部が水で満たされたら拠点を改善しよう、そうしよう。

 

大樹(全長500m)の上3割は拠点、大樹を含む中2割は農業地、下5割は住宅地にする。もちろん木造建築。きれいな外観を求める…それだと住人も必要では?………明日の俺に任せよう。

 

左と右はどうする?右は森にしよう。環境緑化です。雑草は抜き消し、受粉させて花を増やそう。道を作りお散歩ロードも作る。山との境界線には……柵でも建てようか…急斜面だからいっか。境界線の雑草は根絶やしです。お花もそこだけ根付かないように調整しましょうね。

 

左は…闘技場?コロッセオ?それだな。円形の闘技場。源石で作って石で装飾をする……石はどこから?…大樹の下に洞窟を作ろう。薄く源石を纏わせ、僅かな光を反射させよう。ほのかに、そして濃いが青が洞窟内では視界いっぱいに広がる。完璧ですね、そして段々畑みたいに中央を最底辺にして3段。埃すらない綺麗な断片をつくる。

 

そこには守護兵?を置く。何にしよう?ゴーレム?動物型?人型?武器で出来た機械生命体?86だな。サソリみたいな人より少しだけ大きい、高低2m横幅3m奥行き5m。8本の足。前と後の4つは刃のように鋭く、飛び道具を全身に仕込んで、狙撃銃を上部に付けましょう。突撃銃を横部に4つ進行方向と後進方向に向けて付ける。さらに下部には短機関銃を2つこれも進行方向と後進方向だァ!

 

……落ち着いた。

 

一段目に8機、二段目18機、三段42機。計68機。よし……中央に空間が欲しいな…

 

円の中央は僅か半径1mほどの隠れ家にもできない空間が残されていた。

 

一、二段目のサソリを二、三段目に移して、三段目は四段目に持って行く。これで半径7mの空間すばらしい隠れ家です。椅子を2つ、机を1つ置いて完成です。

 

闘技場に戻りましょう。地面を1m程掘って海辺から砂を持ってくる。今まで掘った土は山の外側らへんをいい感じに整えるために使っています。おかげさなで充分歩ける道が作れた。

 

闘技場なのでね、上はスカスカ。太陽の光を取り込んだ熱々の砂が出来上がる事でしょうが、細かく薄い源石が防いでくれます。

 

目に見えないほど細かい源石が闘技場上部とその周囲を覆う。これは俺とポン助にしか見えないだろう。

 

こんなものか。後は…住宅地……住宅…地…後回しです。他の場所は………もうない?……へイッ!ポン助?

 

(なに?)例の練習は順調かね?(うんいい感じだよ~)よし試そうか(ほい!作って~)

 

目の前に人型を作る。ショートの髪、筋肉なし、胸なし、全身真っ黒のマネキンです。未だ俺は色を変える方法を知らないままでいた…………クソガ

 

ポン助が俺の作ったマネキン(仮称)に入り込むのがわかった。

 

まるで俺が目の前にいるみたい。

 

まぁ俺の動きを真似しているだけだからね。頭の中の三次元と二次元もあるけど…そんな細かい所まで覚えているわけないだろ?ホシグマさんとチェンさんとスワイヤーさんと………の動きだってそこまで覚えてないです……覚えられない私が悪いです。はい……

 

(ほれほれ~?どう?人間みたいでしょ?)うんそうだね!

 

笑顔でマネキンをジマジマと見回す。そして必殺の距離に近づいた瞬間

 

フンッ

 

拳を突き出す。

 

マネキン避けもせず、勢いに従って倒れる。そこから立つ動きがぎこちない……当然俺の頭の中には人が倒れるとか殴られるとかの記憶はないからね。

 

ざっこ(うるさい!ご主人が悪いんじゃん!)予想外の動きにそれだけ人外的な動きでよく誇れたね(ふぎぎぎぎ……ご主人!要求する!!)なに?(外の世界行かせて!)いいよ(やったー)

 

想定外の動きには弱いがそれ以外は問題無い。声に関しては完璧、七色のボイスを得ている。多分合唱団作ったら金が取れる。

問題の部分は経験を積むことで解決してもらう。できれは人型にしたいけどマネキン(仮称)だからね、むりだ。早急に色問題を解決しなくては……

 

カラスを作った。1000羽。きりが良い数字っていいよね。

 

さて行ってらっしゃい(行ってきます!)

 

カラスが飛び立つ。あらゆる方向に向けて、月明かりを反射し白銀に光り輝きながら一瞬の絶景を作り出した。

 

…これ使えるな。さていったい何に使える……大樹。うんそうだな大樹だ。

 

彼は振り返った。そこにも月明かりに照らされた大樹がたたずんでいた。山と山の隙間を越えてきた心地よい風が彼の頬を撫でる。だが目の前の大樹は動きもせず同じ景色を見せ続けるだけだった。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

嘘をつきました。

ごめんなさい。

拠点パートが実質的に終わりました。後からまた出てきますが現時点では後少しです。

ゲームに飽きることが出来たので文字数が元に戻ります。



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5/3 我らがホーム

……うむ、完成である。

 

彼が上を見上げる。そこにはゆらゆらと風に乗り揺れる大樹があった。ほお惚れと眺めていると3つ、葉が落ちてくる。まるでA4サイズの紙のように左右に大きく揺れながら落ちていく。1つだけ彼の目の前に落ちてきた。他は風に身を任せたままどこぞへと行ってしまった。

 

その1つの葉を手で受け止める。すると葉はまるで最初から何も無かったんじゃないかと思うぐらい、静かに塵へ姿を変え消えていった。

 

これぞ理想。

 

大樹は大幅に変更された。最初はトランプのクローバーのような形の大樹であったが、今ではYのような形になっている。中央部には平らになっている。広さは10m程度。今後なにかしら追加する。これは伸びしろです。上から物理的見えないほど葉はたっぷり作り上げた。

 

この葉は一番のこだわりです。長さ10cm横4cm幅0,5cm、辺は0,1cmにして極限まで軽さを追い求めた。中身はない。ただの張りぼてである。たぶんハウスダストより軽いね。間違いない。

 

大樹は硬い源石で骨組みを作って液体で埋め立てる。枝はほぼ液体の源石だ。葉の軽さも相まって風に揺れるぞ。めっちゃ揺れる。Yの形だがTの形のように横に広く葉は広がっている。めっちゃ揺れるぞ。だが高い位置に葉セットを作ったせいで日陰が豆以下の雑魚具合である。

 

それとポン助経由でシステムを組んだ。ポン助天才。無意識の分別?多重人格?ま、そんな感じだろう。ポン助にもわかっていないことが俺にわかるわけないだろ。だがこれである計画を準備段階に移せる。ふへへ……まってろよ……

 

システムとは刺激を与えられた葉は乱数で本体(大樹)から切り離される設定だ。刺激の強さを8段階に分けて強いほど切り離される確率が上がる。

 

落ちた葉は砂のように崩れて風の向こうへ消えていく。そして新たな葉が生える。これで落ち葉問題は消えた。よし……さて

 

ポン助いる?……やっぱりなぁ

 

ポン助からの反応がない。居ることはわかっている、てか消えるわけがない。ちょっとポン助の意識を覗いてみると空からの景色だ。集中しすぎてって事ですね。ここに来るまでの移動も最初の方は反応が無かった。剣を操作するのに集中していたんだろ。根拠はないけど。

 

なので俺は勝手に行動しましょうね。

 

ッもう!ここでやることはないッ!!

 

もう弄くる気が無い。やる気は大樹に消えた。なので俺も外に行く!!

 

この拠点は適当に黒い霧を蔓延させる。空からは見えない。変な黒い霧が見えるが、この世界の飛行技術はまだまだなはずだ。こんな辺鄙な所までわざわざ確認するわけないね。山から入ろうとする奴らには方向感覚狂わせてお帰り願おう。防衛はこんなもんでええやろ。全てを貫通して侵入するならば68がお相手する。実戦投入です。たとえ家が壊され大樹が壊れてもまた無費用で作れる。はっ多少の地面を整えるのに労力を使うぐらいで問題無いね……それなら暴走機関車も作るか?……またの機会にしよう……俺はもう疲れた。外にでるぅ!!

 

よし行く……トランスポーターって国家試験的な国家資格だった気がするのは気のせいだろうか?……もしもの事を考えたら面倒くさい…賞金稼ぎになるか…

 

…最初の方は信頼も実績も何も無いからなぁ……最初はアドリブで頑張るしかないよね。うん。行くか。

 

さぁ自信とアーツを持って行きましょうか……ちび……ガキ……体の数字……うーん無理。絶対こいつガキじゃんふんガキはマッマのπでも吸ってろksうっわなんだこの数字気持ち悪、自傷癖持ちかよって流れですね……なのでフルメイルだ。

 

源石性の安心安全のフルメイル!フードの代わりのフルメイル!隙間もなく密封性すばらしき。

 

俺は手足を折り曲げて繭のようにうずくまる。そこがフルプレートの胸の部分ですね。そこに手足と頭の五体を増やして身長マシマシの高身長です。勝ったな。

 

アーツで体は守られている。アーツで体は動く。アーツで死角はない。アーツは安心安全の源石性。よしこれで不安は消えたね…消えたよね?…思いつかないからオールオッケーって奴だな。

 

突撃!近くの町…街だな。走れメロス。メロスの太陽が沈むより速い走行速度より早く……メロス?名前はどうしようかな?

 

……うむ。レイヴァブンでいいか。

 

理由?レイブン、レイヴンいずれもカラスの別名である。いい感じにまとめたのがレイヴァブン。黒い鎧と相まってなかなかいいのではないだろうか?

 

それはそうとしてレイヴァブン。それが賞金稼ぎとしての俺の名前である。一人称はついに僕を捨てて俺…私だな。フルプレート的な騎士として私の方がいい。そっちの方が合う。

 

拠点を離れて山の頂上に登った。理由はない。ただ登りたかっただけ。山頂から見える日の出は綺麗だった。

 

これから夜が明ける。

 

 

 

 

~~数ヶ月後

 

??side

 

扉を開け酒場に入る。初めての街で初めての酒場。だが迷いもせず、騒がしい周りを無視して旅の友の元へ行く。

 

「やっと来たか。」

 

旅の友は俺と同じくフリーの天災トランスポーター。またの名、何処にも属さない浮浪者だ。外見はボサボサの茶色のフード。だが周りもそんな感じだ。恐らく顔を隠していない奴らの大半はここに住んでいる奴らだろう。

 

「ああ…まだ始めなかったのか?」

 

「だから早く乾杯しようぜ。」

 

「そうだな。」

 

目の前には丁度、酒がある。キンキンに冷えたと言うわけではない仕事終わりに一杯と考えたら最高だろう。

 

「「乾杯」」

 

まずは一口。相変わらずこの旨さからは逃げられそうになさそうだ。

 

「おまち!」

 

おっと売り子から酒の摘まみと酒が追加された。どうやら旅の友は宴でもしたいようだな。

 

「それで何かいい情報あったか?」

 

「お~~さっそく聞いちゃう?」

 

「おうよ、話な。」

 

やっぱりいい情報があったようだ。ずいぶん嬉しそうだな。

 

「隣街の黒騎士って知ってるか?」

 

「けっ貴族様かよ?お抱えか?…もしかしてなんか面白いへまでしたのか!?」

 

「残念ながら貴族様でも関係者じゃねぇよ。」

 

「ふーーんそれで?」

 

冷めた俺はさらに大きな一口で酒を飲む…酒を飲み干してしまった。けっつまらねぇ摘まみがうめぇ。やっぱ塩だな。酒には塩が効いた摘まみだよ。

 

「賞金稼ぎ。それも有能で優秀な賞金稼ぎ様だ。」

 

「………何が話したい?殴り合いがしたいなら表に出ろよ?久しぶりに相手になってやるよ。」

 

「おっ!?喧嘩か?いいねぇ~威勢がいいね~俺はその怒ったあんちゃんにかけるぜ。」「なら俺は「シャ↓ラップ↑部外者は黙ってろ!」

 

俺は旅の友の胸ぐらを掴む。旅の友はかわらず酒を飲む。なので代わりに俺は摘まみを食す。

 

「で?さっさと要件を話せ?」

 

周りが酔ってるなぁとか面白しれぇとか騒ぎ出した。黙ってろよ。あと俺は酔ってないぞ??

 

「隣街に黒騎士がいるんだよ。全身真っ黒のフルプレート。武器は大剣1つの化け物さ。」

 

「ふーーんっで?なにが化け物なんだ?」

 

そこでやっと手を離して次の酒に手を伸ばす。周りはなんだその話かよつまんねーなと興味を無くしたようだ。

 

「なんとそいつはソロ。30人だろう100人だろうが一人で消し飛ばす。特別な実績はそれぐらいだな。有名人をやったとかはない。」

 

「いったい何が面白いんだよ?」

 

「黒騎士は決闘をやってるんだよ。最初は黒騎士の名を語るやつら潰しにやったんだけど遊びになったんだよ。いまじゃその街の名物さ。」

 

「はぁ……つまんな。しらけた。俺は帰って寝る。勝手に飲んでろバカ。」

 

金だけ置いて席を立ちこの酒場から出て行く。

 

「あっそういえばこいつ闘技場とか嫌いなタイプだったわ……おい待てよ!」

 

後から旅の友が来るが無視をして路地裏に向かう。

 

「うるせぇもう俺は帰るんだよ!!ただでも疲れているのに!!もう寝る!!」

 

「おい待てって!悪かったよ。」

 

「おいお前ら。」

 

っ!?

 

予期せぬ声が背後から聞こえた。酒の飲み過ぎだな。初手で仕掛けてくるタイプじゃ無くて良かった。おかげで命がある。

 

「なんだ?なんのようだ?」

 

もう酔いは冷めた。俺は相手から見えない位置で腕を動かし武器を持つ。不幸なことに相手は黒いフルプレートを着ている。もし噂の彼であれば最悪、いや天災級だな。

 

「先ほどの黒騎士はどの街だ?」

 

「東の街だな。」

 

それ以上何も言わない。彼女が何をしようが俺たちには関係ない。

 

「そうかありがとう。」

 

そう言って人混みへ、大道りに消えていった。

 

「……おもしろそうだな。」

 

「どうした?頭でも打ったか?それともまだ酔ってるのか?」

 

「女声だった。」

 

「どうしたんだよ?いい加減にしろよ?そろそろお前の頭にぶち込んで気絶させるぞ?」

 

「噂の黒騎士様は男だぞ?」

 

「っ!?」

 

頭の中で繋がった。まるで先ほどの酔いよりも深い快感が頭を襲った。

 

黒騎士…強い…決闘…女版黒騎士…おもしろそうだな。

 

「…おい?」

 

「な、なんだよ。」

 

「お前は黒騎士を見たい。そうだよな?」

 

「お、おう。」

 

「よし行くぞ。10分で荷物をまとめろ。15分で挨拶回りを終わらせろ。5時間で隣街へ行くぞ。」

 

「……そうこなくっちゃな!!!おら行くぞ!」

 

二人は走り出す。宿へ向かって。

 

その途中、旅の友はやっと酔いと高揚感が収まって思い出した。

 

「そういえば、闘技場とかは嫌いだったけど劇場とかは好きなタイプだったな。」

 

旅の友の頭の中でも繋がったようだ。

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

執筆していて思いました。ここから本編では?となのでここから本編とする。

名前についてメタい話をするとタイピングをするときレイヴブンと打つよりレイヴァブンの方が楽だからです。


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5/4 我らのホーム

お!村だな。

 

街を目指して二日ほどたった。そして見つけたのは村だった。家が9つで7世帯が過ごしている。歳的には若き8割老い2割ぐらいの少しだけ大きめの村だった。畑あり、狩人あり。なかなかいいスローライフが過ごせそうな村である。

 

「あの…どのようなご用件でこのような村にいらっしゃたのですか?」

 

妄想にふけていると村の入口から老人が来た。耳あり、角あり、鹿だな。エラフィアですね。その老人はずいぶんと警戒するような、恐れるような口調だった。

 

「ただの旅途中だ。邪魔をしたようだな、すまなかった。それでは。」

 

ここでのスローライフは悪くはないが、俺は街がいい。街に行くんだ。ここでの収穫は畑を見られたことだな。変な畑ではなく普通の四角形の畑で等間隔で作物が植えられている。これなら数試せば拠点でも農業出来そうで良かった。

 

「…もしよろしければ泊まっていきませんか?」

 

「ご心配無用。」

 

「それでしたら…少しお待ちになってください。」

 

そういって老人は村に消えていった……どうしたんだってばよ?

 

しばらくの間ボーっとしていた。すると村の中にある家の壁から半分顔をチラッと出して索敵しているちびっ子三人組がいた。男2女1…これは修羅場になるで~

 

「お待たせしました。これをどうぞ。」

 

老人が小走りで帰ってくる。そして渡されたのは拳4つ分ほどの布袋。中には食料が入っていた。干し肉が4切れ、ジャガイモのふかしたけど時間が経ってカピカピになった芋だ。ぜったいッ口が死ぬ奴。口の中の水分吸い取られて苦しむ奴だ。

親切に見せかけて殺そうとしているのか?こわい。これは真意を聞かなくては。

 

「……どうしてこれを?」

 

「何も持っていませんし苦しい旅になると思いましたので…あと一日もあれば街に着くと思うのでそれまでの足しにでもどうぞ。」

 

老人は笑顔だった。先ほどの怖がっている顔が嘘みたいに思えた。

 

あー…恩売って返して貰おうってことですね。いいでしょう。たっぷり返します……略奪防止?襲われる前に渡して身を守ったりしてるって可能性ある?

 

「私に返せる物などはない。不要である。」

 

布袋を押し返す。毒の可能性まで見えてきた。変に関係を持つくらいなら捨ててやる。善意を踏みにじって逃げてやる。

 

「いえいえぞうぞ。騎士様。」

 

「はぁ……何が必要だ?」

 

老人は・・・と驚いたような様子を見せると笑った。

 

「騎士様はいい人でしょう?身のこなしを見ればわかります。こんな辺境でたった一人、そして何も持たずに……もし必要ないのであれば捨てて貰って結構です。もし返す物がないということであれば遠い未来で今そこにいるの子供達に返してあげてください。」

 

老人は片目の瞳を横にずらした。その先には子供達が壁から頭を出していた。今は半分どころか体の半分すらも壁に隠れていない。

 

……この老人もしかしてスローライフベテラン兵士だったりする?引退したエリートだったりする?なんだよ身のこなしって…怖いな……まあここまで言われたら貰うしかないな。

 

「感謝する。」

 

革袋を背負い、左肩の関節部分に結びつけた。

 

……武器がない?そういえばそうじゃん。武器を持ってなくて防具だけをもった無一文の賞金稼ぎ……雑魚じゃん。いいことを知れた。エリート様、ありがとう。何か感謝の印を…返せる物は…アーツしかないし、源石しかないし………拠点の証を作って渡すのはどうだろうか?いいじゃん源石性の小物。俺しか作れないようにめっちゃ小細工しよう。

 

立体正方形の辺だけ、そして中には球体。どうやっても通り抜けられないように。立体正方形は辺は5cm。球体は直径6cm……球体に細工したら意味なくね?綺麗な球体にこそ価値がある。摩擦すごいけどグルグル回せるからね。でも辺に細工は小さすぎて……ネックレスにするか。角に鎖?チェーン?を生やす。鎖は20cm。よし。こいつにはマークして俺にはわかるようにしよう。偽物を作った場合は処す。具体的には爪を剥がす。これを拠点印の友好の証にする。名前をアマリリスとしよう。

 

……いいじゃん。

 

「これは証だ。受け取れ。」

 

腹の鎧の下に手を持って行き、ポンッとアマリリスを出す。

 

「こ、これは?」

 

「我らの証。もし困ったら売ればいい。それほどの価値があるはずだ。」

 

「これほどの物を受け取るなどと…」

 

「いい。私が認めた。受け取れ。」

 

「しかし…その程度の食料では元が…」

 

「私は言ったぞ?認めたと。それでは私は行かせてもらう。」

 

「ありがとうございます。」

 

俺は村を背景にして去る。いい気分だ。スキップがしたい。あと300mほど離れたら始めよう。

 

「待ってください!騎士様!!」

 

ん?何だ?俺は今すぐにでもスキップがしたいのだ。話の流れて気に呼び止める理由はない。ここは聞こえなかったことにし…

 

「そっちに街はありません!!」

 

レイヴァブンは踏み上げた足を固めた。すぐさま老人は

 

「左のほうです!」

 

たっぷり二秒間固まった。そして振り返り大声で

 

「感謝するッ!」

 

そう叫んだ。老人は一瞬ビクッと反応するがすぐさま笑顔に戻り、

 

「どういたしまして!」

 

と言った。ずいぶんと覇気があって聞きやすい声だった。エリート様。名も知らないエリート様。最初からいい人に出会えたものだ。

 

老人は右腕を上げ軽くフリフリと手を振った。

 

本当にいい人……

 

レイヴァブンも手を上げぶんぶんと振った。しばらく手を振り合った後、さらにレイヴァブンは振り返り街へ歩を進める。その頃には道を間違えた恥ずかしさなどなく、スキップしながら街へ向かったのだった。

 

 

 

 

・・・とある老人の日記

 

X月V日 晴れ

 

今日は村の入口に黒騎士様が現れました。初めはずっと村を見るだけで動きました。そこで動いたのが私です。

 

声をかけにいきました。

 

黒騎士様は不思議と威厳も覇気もなかったですが、透き通るような綺麗な声でした。たたずまい、背筋がピンッと伸びて、規則正しく立ち、歩いていた。恐らく私と同じかと思いましたが、見た感じまだまだ踏み出そうとしているみたいでした。

 

覚悟があり、実力もあり、礼儀もある。是非、黒騎士様は望んだもの?ことを手に入れて欲しいですね。

 

あと街の方向を間違えていました。それを伝えるとバカみたい大きな声で感謝するって言ったんです。びっくりしました。さらに私が手を振っていると黒騎士様も手を振り返してくれて、意味もなくずっと振り合って、おもしろい人でした。もしも一緒に過ごせたらどれだけ充実した日々が過ごせるのかな?と考えましたね  そういえば名前を聞いていませんでした。いえ、それでもいいですね。名もない騎士様。かっこいいです。

 

追伸

 

子供達よ。私は黒騎士様から大変価値がある物をもらいました。

 

それは太陽が消える時、窓から部屋に入る光の先に価値のある物に繋がる手紙があります。(光は全てを透き通ります。)

 

大きさ10cm程の小さな箱です。さあ頑張ってください子供達。

 

もし本当にわからなければ私が入る予定の墓を壊しなさい。そこに答えの場所を書いた手紙があります。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

街に着く予定だったのに村に突入しましたね(終わりましたけど)

これが行き当たりばったりの特権です。

長期休み以外は残念ながら投稿頻度が上がることはありません。最近は回想秘録やプロファイルを見始めました。まだぜんぜん見れていませんがロドス編やキャラ介入のために全力で見る所存です。

ふふ・・200キャラ以上×信頼度×メインストーリー×サイドストーリー×エピソード×イベント×wiki×周回×ピクシブ百科事典×殲滅作戦×昇進×総合戦略×他ゲー(不確定量+固定任務)……いったいいつになったら終わると思いますか?

私は終わる気がしてません




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5/5 我らのホーム

まずはエリート様から指摘されたお前デコイか?問題。武装を作るぞ。

 

正直なんでもいいのでバスターソード、大剣です。シンプルイズベスト。俺は初心に戻っていきます。騎士と言ったら片手剣と縦だろ?とブチ切れる方がいるかもしれない。だが1つだけ言わせて貰う。俺が盾を使えると思っているのか?以上です。

 

さてさてさーて、目の前には街です。目的地の街。行くぜアドリブ。刺さるぞ大剣。ブチ切れる誰かのこめかみ。

 

持ち物チェック。大剣、フルメイルな鎧、小さな布袋(食料)以上。よし、門番らしき二人組に接触するぞ。接敵にならないことを祈っておく。

 

「何用だ?」

 

「中に入りたい。」

 

「目的は?」

 

「生きるため。」

 

「職は?」

 

「一番近いもので言うなら賞金稼ぎだ。」

 

「無名か?専属か?」

 

「無名だ。」

 

「一万幣払え。」

 

……ぼったくりでは?街に入るだけで一万幣、二回で星5キャラを昇進出来ますよ?くっそこんなことになるなら龍門で相場を調べたら良かった…まあいい。

 

「ない。」

 

「じゃあ帰れ。」

 

門番が剣を手を掛けた。

 

「残念ながら私とて武器と数日分の食料しかないのだよ。わかるな?私は引けないのだよ?」

 

門番の一人が後に下がる。いそいで俺はそれを止めにかかる。やべぇよ戦争史に来たんじゃ無いんだって!とりあえず落ち着けって!

 

「まぁ待て、争いに来たわけではない。」

 

「……では何をしに来た?」

 

「一万幣はあなたが払ってくれないか?」

 

「ふざけたこと。」

 

「その代わりにあなたが私に仕事を与えよ。報酬はあなたに任せよう。」

 

これぞ俺の作戦。貴様が税を払え。代わりに奴隷のように働いてやる。あっ奴隷扱いした瞬間首チョンパね。同時に仕事を受けられる場所も知れる一石二鳥ですな。

 

「……」

 

「ダメならば私の剣も担保としよう。」

 

沈黙やめて。面倒くさい駆け引きもやめて?お願いします。

 

「…それで?それ相応の強さはあるのだな?」

 

「もちろん。」

 

「少し手合わせしようか?」

 

「了解した。」

 

勝ち確定演出?やりました。ゴリ押しこそ最強ですね。こんなんもう入ったも同然、ガハハ。

 

運がいいことにレイヴァブン以外に人がいなかった。だからこそ通用したのだろう。門番が剣を抜き、レイヴァブンに襲いかかる。だがレイヴァブンはその全てを避けきっていた。

 

対人最強になるには?強くなる……経験も実力もない俺が対人戦を生き残るためには正面から向き合ってはダメだ。剣術とかワタシッワカリマセーン。なので避ける。相手が一歩踏み出したら俺は一歩下がる。相手が八歩前にでたら俺は八歩後に下がる。

 

俺はアーツがあるので不意打ちは不可能。確実に避けきれる。ッハ、俺は勝てないだろう。だが負けもしないッ!

 

「遊んでいるのか?」

 

「あなたでは私の剣を受けきれない。」

 

「ほう?ならばこい!」

 

門番が攻めの姿勢から受けの姿勢に変わった。レイヴァブンは面倒くさい、武器失ったら意気消沈するじゃろ、バナナと思い、やっとその背中に背負った大剣を持つ。

そして振り下ろす。

 

門番はそれを避けずに剣で受け流そうとした。だが大剣は門番の剣だけを壊し、背中へと戻っていった。

 

「………すごいな。」

 

「それで?続けるのか?」

 

「いやいい。約束通り俺が払う。このまま大通りを進んで、右側で九つ目の横道を進めば街が運営している組合がある。」

 

「了解した。貯まり次第返しに来る。」

 

「わかった。」

 

思い通りに事が進むって最高だな。さて、いっちょ金稼ぎしてきますか。

 

門をくぐり久しぶりの街の中へと入っていく。門からでは想像も見えもしなかった騒がしさが大通りを支配していた。武器屋に、防具屋に、酒場に、酒場に、武器屋に、武器屋に………あっれ?おかしいな…賞金稼ぎの街なのかな?あっれおかしいな……街ってこんなに暑苦しかったっけ?街中なのにフードが8割……残りの2割は元々この街に住んでいた人たちっぽいな…

 

あっれ?龍門街はもっとフレンドリーで……いやこの街がフレンドリーじゃないのか?と言われたらフレンドリーだ。店への呼び込みとか酒場からのバカみたいな叫びとかで、別に拒んでいるって感じではない。だが男率が高すぎる。見渡す限り3人しか女性がいないよ?

 

……街出ようかな…せっかく成功したのにな……

 

 

 

 

 

 




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レイヴァブンはアーツで遠くからでも詳しく調べるけど楽しむために詳細までは調べないです。

今回のイベントは私が丁度引退したイベントです。なのヘビーレインだけ確保されていました。それ以外はやってませんでしたね。追跡者強かったです。メイドケルシー先生も執事ケルシー先生も最高でした。

ちょっと今日は脳死で執筆した気がしますが放置します。今日はそこまで大切な場面ではないので許してください。


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5/6 我らのホーム

歩きながらこの街について調べてみた。その結果どうやら俺はこの街から出て行かなくてよくなった。

 

今は組合に向かって歩いている最中である。相変わらず男多数。ふざけてるのかっていうほど居る。満員電車といい勝負だ。結局この大通りはずっとこのまま、男である。もうどうすることもできない。

 

だが大通りの隣にある中通り達はいい感じだ。酒場の代わりに上品なバーがあり、質のいい武器屋類があり、住居がありと普通の街並みであった。この街の特徴はやはり街中に川が流れていることだろう。いま俺がいる左側に七割と右側に三割、その三割は孤児やらホームレスみたいにボロボロの服装だ。別に左側にも普通にボロボロの服装はいる。パッと見た感じバイトですね。右側三割はやっぱり住居が多い。九割ほどは住居だ。住居は規則性もあり、スラム街と言うよりもストリートチルドレン?って感じだ。街全体では特別差別等は見られない。

 

どこかでお亡くなりになっている人も居ないし、この街は断片的に見るなら龍門市街より良い。中ぐらいの街だから出来る事ってことね。これから左側はチルドレン、右側を組合と呼ぼう。

 

さてやっと着きました。組合。早速中に入る。

 

木製のドアを開け中に入る。すると組合内は一瞬で静かになった。会話を止め、目線を俺に向けてくる。どうしてそんなに素早く反応出来るのだろうか?組合に入る人全員にやっているのか?暇人め。

 

職員が数名に、恐らく同業者が十数名。広さはホテルのエントランスホールぐらいだ。

 

俺はわかりやすく受付と書かれている場所へ向かう。

 

「本日はどのようなご用でしょうか?」

 

「依頼を受けたい。」

 

「…依頼をですか?」

 

戸惑ったように受付の人は言う。全身フルメイルの身長2mですよ?戸惑わない方がおかしいね。

 

「そうだ。今からでも出来る物を、内容は問わないが報酬は高めの奴を頼む。」

 

「証明書はありますか?」

 

「ない。」

 

街が運営している組合なのか、賞金稼ぎはそう言う者なのかどっちだろう?

 

「何処の者でしょうか?」

 

「無名だ。」

 

「実力を証明できる物は?」

 

「ない。証明を求めるなら実践せよ。その全てに対応しよう。」

 

これぞ必殺(他人任せ)へっへおやびん、オラのアーツは万能だわさ。回復以外なら何でもできんぞ?索敵、撲滅、暗殺何でもできんぞ?

 

「……では、依頼を証明としますが問題ありませんね?」

 

「ああ。」

 

依頼か……よしきた、バッチこい!

 

「ではこちらをお願いします。」

 

受付の人は流れるな動作で一枚の紙を机の中から取りだし、渡してきた。

 

ふむ……要約すると徒歩四日ほどの場所に盗賊がいる。(簡易マップあり)全滅させてみろ?報酬は5000幣だけだ。

 

…落ち着け…キレそうな心を抑えて、行こう。まずは一万幣。話はそこから。

 

「了解した。それでは。」

 

「はい。」

 

踵を返して組合を出て行く。驚いたことにまだ静かだった。なんでそんなに注目するの?報酬さえくれたら何もしないよ?報酬さえくれたら……

 

 

ここで一つ考えてみましょう。

 

報酬は5000幣(装備代飯代こみこみ)龍門市街では毎日食べていたら死なない程度の飯が一日250幣だった。普通飯が600幣。(飲料水こみこみ)装備は最低の鉄が1500幣で購入、修理等が500幣。

 

ロドスでは一般的に215幣、専門金策で7500幣。

もう任務達成で貰える幣は個人的には完全なドクターのポケットマネーだと思っている。そこからほぼ全てがオペレーターの育成などへ入っていく……ドクターやべぇわ。尊敬する。たぶん良い上司だと思うよ。ウサギちゃんに気を……………何でも無いよ!

 

これが試験だと考えると……そうだわ試験だったわ。試験なのにお金貰えるって幸せなことだったわ。へっへ一気に怒りが収まったぜ。

 

片道四日、往復八日。最低でも飯だけで2000幣。そこに野営道具に武器になんだかんだ……総合的にはぎりぎり赤字ですかね?源石君愛しています。源石君のおかげでその全ての費用がかかりません。愛しています。

 

門番の人には怪しまれないように4つぐらい依頼を受けてから返そうか。チルドレンに住もう。適当な道を我が領土としよう。盗人には拳骨一発。「二度とやるなよ~」と言おう。2回目は二発で3回目は四発、4回目八発と乗計算で行こう。

 

さて盗賊までの道は歩く。普通に歩く。急がず焦らず遅すぎず。索敵は一瞬で戦闘はすぐ終わって睡眠を取らないからこれぐらいでいいかな?とても優秀な賞金稼ぎを目指すぞ!

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

この世界のおおよその幣事情はそうとします。もし何かしらの有識者がいる場合は教えてくださいな。

あと戦闘描写が壊滅的だという事に気がつきました。さらに戦闘描写をすると一度本能と妄想に従わないと頭が馬鹿になるという研究結果も得られました。

これからは戦闘描写ほんのり、ぼのぼのでいきます。


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5/7 我らのホーム

どうやら片道四日は俺換算で片道二日のようだ。

 

目の前には盗賊と思わしき集団が居た。横穴の洞窟がアジトで、結構奥まで空洞があった。そして盗賊が62名+α居た。

 

どういうことだってばよ?

 

62名の大集団盗賊討伐が5000幣?たったの5000幣?ふざけてますね。さすがに試験だという事を合わせてもありえない。というかソロにこんな依頼した……あーね、信頼どころか最低限の業務すらして貰えなかったってことだね。

 

これは上からぶん殴るべきだな。

 

予定変更。今から四日くらい放置、そして討伐、四日掛けて帰宅。二日掛けて潰したぞゴラァ!次の仕事は頼むで?(盗賊の右耳62個をぶら下げながら)よし!暴力で解決しよう。裏世界で活躍する物が賞金稼ぎでも役に立つとは……

 

さてまずは距離をとりまして、妄想しながら気長に待つとしましょうや。

 

 

 

 

 

言い忘れていたが+αは奴隷である。(色欲)計7名(女性、全員成人済み?身長高いなー)ですね。目撃者いるの面倒くさいと思う自分がいるんだよなぁ……まぁ賞金稼ぎとして生きていくならアーツに頼らない剣術も必要になるでしょう。

 

アジトは穴が一つだけで抜け道が無かった。つまり俺が出入り口を潰せば強制☆連続タイマンが始まる。

 

お試しで62回も練習できるんだ。まぁ?俺なら30回目ぐらいで最低限の剣術くらいコンプできるし?60回もあったらマスターぐらいできるや……あっ+αがお一人お亡くなりに……あっそれ見て二人発狂し始めた…あっ…お二人もお亡くなりに……な、なんて優しくない世界。残り4人は無駄に一発殴られてましたね。どうやら革命を起こす気は無いみたいですね。たぶん悟りの境地に達してると思うよ。

 

そこにボスらしき無駄に金ぴかマンが来た。あっ女性を殺した7人が粛正されてる……これって実質俺が三人殺したことになるのかな……はぁ…胸糞悪い。何が賞金稼ぎがどうとかだよ。もう萎えた。だいぶ萎えた。もう速攻でかたづけて帰宅して終わらせたぞ?この猿ぅ?ってやったほうが良かったわ。

 

いざ突撃、隣の糞飯。今回のお客様は55名の盗賊です。蹂躙してあげましょう。せめてもの情けです。一撃で葬ってくれる。

 

レイヴァブンが動き出す。まだ睡眠を始めて二時間ほどしかたっていなかったが全く関係ないと、アジトの出入り口で警戒していた盗賊達を悲鳴を上げる暇も与えずに首を切り落とした。

 

やっぱり源石性なんだよなぁ…もうスライスチーズ。力込めなくても切れていったもん。

さて出入り口は塞いだ。今度はちゃんと大剣使って行きましょうね。

 

 

黒鎧が歩く。ゆっくり一歩一歩と歩を進めながら。その鎧は返り血がたらたらと流れ落ち、少し時間がたてばまた、真っ黒な鎧に戻っていった。

 

 

・・・

 

「ボス!」

 

 

「なんだ?」

 

ボスと呼ばれた男は不機嫌だった。最近は手頃な強盗先が全然現れなかったり、ほんの最近部下がヘマして女共が少し死んでしまったと、苛つくことばかりだった。

 

「侵入者です。下っ端がほぼやられました。」

 

「はぁ……」

 

今、新たに苛つくことが追加された。

 

「準備は終わってるよな?」

 

「はい。」

 

準備とは防衛準備である。部下の配置や罠の起動など、生きるための方法である。

 

「で、そいつの外見は?」

 

「黒いフルメイルが一人です。あと巨人みたいでした。」

 

「巨人?巨人が洞窟の中に入ってこれるわけ無いだろ?」

 

「2mくらいです。」

 

「見たことも聞いたこともないな。」

 

確か領主のお抱えにもそんな奴はいなかったよな。主要国家が動いたのか?でもそんなとこに手は出してないはずだが。少なくとも下っ端が使い物にならない程、そして一人。残りは外にいるんだろうな。まったく見張りの奴らは何をやってるんだか。

 

「おい籠もるぞ。」

 

「え?あはい。」

 

そういうとボスでは無い男が走り去っていった。

 

籠もるとは、そのままである。上級の部下と食料と武器を持って、奥に立て籠もる。残りの部下は運が良ければ生き残る。そうでなければ知らない。

 

「まったく…面倒ごとが…」

 

ボスは壁に立て掛けていた武器を構えた。それは少し前、運良く高性能な銃だった。たった一丁しかないがそれが全く気にならないほど、素晴らしい火力を持った銃であった。これで倒せない人がいるのならば当てられないほど速いやつだろうとボスは思っていた。

 

・・・

 

うーーーん雑魚。こんなん練習にもならないよ。ヒットアンドアウェイやっときゃ負け無し。クロスボウを避けるのは練習になったな。うん。

 

さて、いよいよ大詰め。最後の袋小路。金ぴかマンもそこに居ますね。さて俺はこーこーだーよー

 

ちなみに少し前に分かれ道があってそこから色欲部屋(奴隷達)に行けますね。盗賊も爆弾も無かったから放置です放っちッ!?

 

クロスボウより何倍も速い弾が爆発音と共に飛んできた。なんとかクロスボウを避ける練習をしていたため、なんとか避けることに成功したが腕に当たり鎧が吹き飛ぶだけで済んでいた。

 

 

あっぶねぇ…急いで退いたから腕の中身が無いって見られてないよね?練習って大切だわ。本能に刻み込ませるって大切だわ。もう油断はしない。当てられると思うなよ?

 

レイヴァブは腕の鎧を直す。そして大剣を地面に引きずるように持ちながら袋小路へと走り出す。何気に賞金稼ぎになって初めての走行である。

 

金ぴかマンがバリケードの隙間から銃を構えた。恐らくモ神様と呼ばれる武器であろう。銃から弾が射出された。だが射線がわかっているレイヴァブンには大剣で弾を斬るのはたやすいことであった。少しだけ大剣が腕の鎧のように壊れてしまわないか心配であったが必要のない心配であった。

 

「なっ!?」

 

その言葉を最後にバリケードごと金ぴかマンを斬った。恐らくこいつはボスなので特別に胴体一断である。残りの盗賊に戦意は無かった。あるのは怯えた目だけ。

 

だが残念ながら依頼は殲滅であり掌握ではない。レイヴァブンは試しにアーツで首を切り落そうと考え実行した。最終的にそれは問題無く、まるで大剣で切ったかのようなスライスチーズであった。

 

とりあえずアーツ操作 対人準1級は確保したね。これ今後に自信が持てるわ。

 

 

のべ55名、死亡。さて残るは4名ですが……はぁ気が乗らないねぇ。

 

レイヴァブンはとりあえずでアーツで死体を端の方へ綺麗に並べた。そして例の色欲部屋へ向かう。鎧は綺麗そのものでなぜか自然の香りがした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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最近、本当に面白いんか?これ本当に面白いんか?と自問してます。自答が出来ないのが優柔不断クオリティ。

今週はめっちゃ統合戦略をやった週でした。他面調査やり過ぎで今月の依頼終わりません。険路強行が一生クリアできる未来が見えないです。あとゲルください。当ロドスは枯渇しました。


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5/8 我らのホーム

……今日、また三人。死んでしまった。一人が死んで、その妹が二人が発狂して殺された。その内の一人はこの生活の先輩だった。彼女がいなくなった事で私が最年長に、最もこの奴隷生活を長く経験した人になった。

 

私の仲間になる物達は定期的に盗賊達が連れてくる。食事は定期的に勝手に持ってきてくれる。盗賊達が勝手にナ二をやって帰って行く。そこまでここの生活が悪いというわけでは無い。不満が無いと言えば嘘になるけど、高望みするほどの希望はもう捨てた。

 

私の仲間は私を含めて4人。3人は体を丸めて眠ってしまっている。私も眠ってしまえば楽なんだと思うけど、私はどうしても眠れなかった。

 

どうも胸がギスギスして眠れないんだ。

 

三人と7名の盗賊の死体はまだそこに放置されている。いつもならすぐに何処かに捨てられるのに……

 

もう眠ってしまおう。たぶん、目を閉じていたらいつかは眠れると思うから。

 

 

~~~

 

…ん、何?

 

私は閉じていた目を開け、体を起こす。

 

何の音?

 

ここは洞窟の奥深く。ここへの入口は監視する人が少しいるだけで、扉は簡単に破壊できそうな木の棒を縄で縛っただけの品だ。ここは洞窟奥深く、だけど洞窟ということもあって音が反響する。

 

肉を切る音?獣でも狩ったの?…いや違う。音の量が異常に多い。それにどんどん近づいてきている?

 

「姉ちゃん…何なの?」

 

私の膝を枕にしていた彼女が起きてきて、私の顔を見つめてくる。

彼女は小さな灰色の角を持つサルカズで灰色の髪に灰色の目を持つ少女、理由はわからないけど私を慕ってくれている子だ。私が知っている中で一番勘が鋭い。彼女は眠っている時は毎回、盗賊達が来る前に目覚める。毎回目覚めている。信用、というわけでは無いけど、その結果は確かなものだ。

 

「わからない…」

 

私は首をふる。突然、サルカズの彼女が声を上げる。

 

「悲鳴。」

 

「悲鳴?」

 

「うん、悲鳴が聞こえる。」

 

…悲鳴。そうなると可能性は少なくなる。内乱か、小競り合いか、トランスポレーターが運悪く出会ってしまったか、賞金稼ぎが見つけてしまったのか…わからないけど、生き残れたらいいな。

 

「ほら、起きて二人とも。」

 

私はまだ寝ている二人を起こす。二人は目を擦りながらも体を起こす。

 

「………」

 

「どうしたの?」

 

二人は一緒にここに連れてこられた。種族はそれぞれ無口な方が大きく細長く、薄い毛の耳を持つコースターと凜とした鋭い耳を持つペッローだけど、二人は血縁者に見えるほど仲が良い。

 

「何かが盗賊を襲っているみたい。覚悟は決めておいてね。」

 

盗賊が勝っても不機嫌か、酒に溺れた野郎が来る。負けたら…誰が勝ったかによる。

 

三人は何も言わない。特に変わった様子もない。サルカズの少女はいち早く私の背中に抱きついてくる。それに続くように珍しくコースターとペッローの二人が私の膝に頭を乗せる。顔も私の方へ向けて目を閉じている。私は二人の頭を軽く撫でる。

 

ここの外から聞こえる音が大きくなっているのが気がついた。そして、その音が大きくなるにつれてサルカズの少女が私を握る手がどんどん強くなっていた。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

今日は昼寝というなの惰眠を貪ったので少なめです。申し訳ありません。

十章すごいの。止まらないの~。

だが10章を見ていろいろ考えた結果いろいろと妄想の時系列?が崩壊することに気がついた俺氏。だが関係ねぇ一年でも身長20やら40cmぐらい伸びて年齢なんて関係ねぇ特殊な輸送トランスオペレーターがすごい働きをしてくれるんだ!とゴリ押すことにしました。

ガチ勢ドクター様。覚悟をしておいてください。ブラウザバックの準備を。


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5/9 我らのホーム

見えてきた。

 

乱雑に切り分けられた木の棒が適当に組まれ、縄で固定された貧相かつ雑な檻。奥の壁に4人が肩を寄り添っている。檻の手前には10名の死体。南無…

 

レイヴァブンは背中の大剣を縦に振り下ろす。木製の檻はそれだけで崩壊した。少し歩いて4人の目の前に移動する。

 

フム…悪魔が背中で、兎ちゃんと子犬が…鳥?……ケモミミちゃう、角ちゃう、見えないタイプの種族ちゃう、仮定鳥類とする。言い直しましてサルカズが背中、兎と子犬が鳥類の膝を枕にしていた。兎と子犬は鳥類の方を見ているので顔は見えない。全く動かないのなんでだ?

サルカズの子は灰色の目と髪を持つ。ジト目のような敵意をこちらへ見せている。可愛い。甘い物で餌づけしたい…それに対照的に鳥類の子は藍色の髪に抹茶のように濃い緑色の目、何を考えているかわからない。猫より何考えているかわからない。

 

さて十秒経過。何も対応がありません。餌づけの夢は捨ててさっさと行動しましょ。あの組合に全部任せてやる。この落とし前は組合に取らせる。あの銃と4人とこのアジト監視を付けて帰宅しましょう。

 

「このアジトは殲滅した。これから街に戻る。何処かに行きたいなら行け、無いならこのまま護送する。」

 

「……あなたは何者?」

 

反応を返したのは予想外なことにサルカズの子だった。あと街の名前知らなかったわ。これだと悪評を広められないんだけど??あとで門番の人にそれとなく聞いておこ。

 

「賞金稼ぎ、組合の依頼でここを根城にする盗賊を討伐しに来た。それで、私に着いてくるのか?何処かへ行くのか?」

 

「……」

 

サルカズの子が鳥類の子の背中に隠れる。まるでそれを合図にするように膝を枕にしていた兎と子犬が頭を起こし、鳥類の子へ顔を向けた。

そして決定を下したのは鳥類の子だった。

 

「護送…お願いします。」

 

「了解した。さて行こうか。」

 

「まって。」

 

予想外の声が上がった。その声の持ち主はサルカズの子だった。

 

「お願いしたら、何でもしてくれるの?」

 

話の流れが見えない。いつお願いを叶える話になった?いや飯か。干し肉とジャガイモしかないけどいいんか?

 

「いいだろう。なんだ?願いとは。」

 

「わたしを殺して貰えますか?」

 

「…?……(!?)」

 

どうなってる?え?いきなりすぎ。サルカズの子も驚きだけど鳥類の顔も驚きなんだけど。

 

鳥類の子は一瞬悲しそうな目を見せた。だがすぐに納め目を閉じた。俺にはまるで祈るように見えた。

 

「死にたいのか?」

 

「…うん。」

 

静かに頷く。

 

そう……ここは対オヤジ術。てめぇの尻は自分で拭えですね。

 

「ならば自分で終わらせろ。」

 

レイヴァブンは背中の腰の部分から源石性の短剣投げる。サルカズの子の目前の地面に突き刺す。

 

「全てを終わらせたいなら自分で終われ。だが一つ考えろ。ここで終わって良いのか。」

 

「ここで?」

 

サルカズの子はオウム返しのように同じことを呟く。その目は疑問に溢れていた。

 

「今、お前に二つのチャンスがある。一つはここで全ての不幸から逃げるチャンスだ。二つは新たな幸運へ歩き始めるチャンスだ。前者はこれ以上苦しみを与えられることは無い。後者は今以上の苦痛を与えられるかも知れない。だがこれはチャンスだ。目の前に仲間がいる。そして助けれる都合の良い大人がいる。」

 

「つごうのいい…おとな?」

 

「そうだ。そしてこれからが大切だ。よく聞いておけ。死ぬのはいつでも出来る。ちゃんと対策さえ出来ていればいつだって死ぬことが出来る。だが生きることはいつでもは出来ない。対策も確実はない。死んだら何も出来ない。何も知れない。」

 

「…生きていたら良いことがあるの?」

 

「少なくとも仲間は生きようとしているのではないのか?」

 

サルカズの子が鳥類の肩から顔を出して三人を見る。二人は相変わらずわからないが、少なくとも鳥類の子は何を考えているかわからない。

 

「ねぇ、なんで生きようとしてるの?」

 

「…故郷に行ってみたい。お母さんが住んでた綺麗な自然が溢れる村に、行ってみたいから。」

 

少しだけ間があったが鳥類の子が答えた。それに続くようにペッローとコースターが言う。

 

「お菓子が食べたい。甘いって味がするお菓子が食べてみたい。」

「……特にない、けどみんなと一緒に寝ていたい。」

 

「そ、っか…」

 

サルカズの子が鳥類の子の背中に隠れる。少し待ったが、どうやら答えは出てこないようだ。

 

「その短剣はお前が持っていろ。死にたいなら勝手に死んでいろ。」

 

サルカズの子が肩からちょこっと顔を出す。そして真っ黒な短剣を両手で掴んだ。じっくりとその短剣を見ている。

 

「さて食事だ。簡素だが文句は言うなよ。」

 

背負っていた干し肉4切れ、ジャガイモが入っている革袋を投げ渡す。

 

3人は目の色を変えた。残りの一人も目の色は変えていない、だが手が伸びるのは誰よりも早かった。きっちり4等分。それに3人は文句を言うどころか鳥類の子の目の前に座りこむ。俺には尻尾をブンブン振っている幻覚が見える。

 

さて食料調達に行きますか。水源、獣、食べれる植物は知らない…それも街で調べよう。川は見つけたから問題無い。問題は獣。豪快な焼き肉スタイル。片道約4日分を最低限見通しておきましょう。

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

想像するのは最強の自分!

ということで次の限定ガチャで濁心スカジ神引きします!!!


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5/10 我らのホーム

周囲には獣がいなくて苦労した。まじでいない。拠点周辺よりも居ないんじゃないかってくらいいない。

まぁ見つける事は出来たんですけども……

 

さてそろそろ行きましょうか。

 

源石でバケツを4つ作る。1つ2Lほど。バケツの中には川で汲んできた。上流に村とは無かったのでたぶん汚染されていないでしょう。

 

レイヴァブンは両手に2つずつバケツを持ってあの少女達の元へ向かう。その少女達はおなか一杯と体で表現する。ダラーっと手足を床に置いていた。少女達はレイヴァブンが来ていることにビクッと反応する。鳥類の子だけが姿勢を正したが、残りはくるしゅうないといわんばかりにまた楽な姿勢に戻った。

 

これが餌づけ……最高ではないか。いずれ鳥類の子にもダラーとさせてやる。ダウナーの素晴らしさをもっと推してけ。

 

「水を持ってきた。飲むなら飲んでおけ。」

 

今度はちゃんと少女達の目の前に置く。少女達は警戒する様子も無く、ゴクゴクと飲む。飲んでいく。そしてあっという間にバケツの中は空になった。

 

一日必要な水分は約2Lと言われている。その一日分の水分を一瞬で飲み干すとは……さすが成長期というべきかなのか?

 

「行くぞ。」

 

少女達は何も言わずに立ち上がる。それを確認して俺もアジトの外を目指し、歩を進める。正直お腹いっぱいもう動けないと言われるかと期待したがそんなことは無かった。

常人で片道4日。少女達換算をするなら8日かな?少し長い旅が始まりそうだ。

 

「あの…一人なんですか?」

 

「あぁ、そうだ。」

 

洞窟を出た時点で鳥類の子がそう聞いてきた。本当に一人だと思っていないようで驚かれた。だがそれ以上はなかった。しばらくの間、土を踏み込む音と風の音だけが響いた。 

その間俺がしていることは獣の位置確認、少女達の状況把握、おまけの周辺警戒です。少女達の状況は細心の注意が必要だ。実質病み上がり、いきなり激しい運動をすれば苦しいのは前世の長距離走で死ぬほど知った。あと仮病を過信しすぎると死にます。獣は相変わらず、縄張り?から離れないのかな?

 

おっと手頃な倒木が1つ。野外の椅子としては完璧だな。

 

「そろそろ休憩しようか。」

 

レイヴァブンが地面に座る。それに続いて少女達も倒れるように地面に座る。

 

なぜ地面?そこに手頃な倒木があるじゃろ?

 

「そこに丁度良い木があるぞ?なぜ座らない?」

 

「…えっと…」

 

「休める内にしっかりと休んだ方がいいぞ。」

 

「……騎士?様は座らないのですか?」

 

「こちらの方がいろいろと都合が良いのだ。遠慮せず座ると良い。」

 

「それでは、失礼します。」

 

鳥類の子が動き出す。それに続くように残りの三人も動く。少しは警戒心が薄れたと思ったが、ぜんせんそんなことは無かった。三人は鳥類の子の背中に隠れている。目も合わせてくれない、悲しいな…

 

「ねぇ…」

 

そんなこと無かった。サルカズの子?だよね声的に。ちょっと気を抜きすぎた。

サルカズの子がまた鳥類の子の肩から頭だけをちょこっと出す。

 

「どうした?」

 

「あなたはつごうのいいおとななんでしょ?」

 

まだいまいち意味を知って居ないようで微妙なトーンでそう言った。

 

「そうだな。」

 

表向かって言われるとなんか恥ずかしいな。

 

「つよい賞金稼ぎなんでしょ?」

 

「たぶんそうだな。」

 

「わたしたちも強くできる?」

 

「ほう…」

 

ん?流れ変わったな。わたしたちも?スローライフから教育者にジョブチェンジですかな?

 

「なぜそんなことを聞く?」

 

「チャンスなんでしょ?わたしたちで生き残れるチャンス。」

 

「ふっ……変わったな。」

 

短時間で結構印象変わるな。言葉遣いは変わっていない。だが自信がついたようで、目が泳いでいない。しっかりと俺の兜を見る。それにしても私たちも、か。

 

「それでどうするつもりなんだ?」

 

俺は改めて座り直す。どうやら誰かが突飛して動いているのではなく、ちゃんと4人で話し合ったようだ。

少女たちは地面に座りなす。ペッローとコースターは依然としておどおどしているが嫌って風には感じない。

 

「弟子にしてください。」

 

少女達はそれを合図にするように頭を下げた。

 

そして俺はリーダー的存在ってサルカズの子だっけ?と思うのだった。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

アーミアがめちゃんこマッマでナイチンゲールでドーベルマン先生が教師だった
あと何気にドクターの素顔って初じゃね?声めっちゃショタァ

アニメ至高すぎ たった1話でトップティア入りしました

ウルサスの子供を見てウルサスの子供たちを思い出しました(訴訟

アニメ見た衝撃で、これを伝えるために今日は執筆しました
週末にまた出すので安心してください。


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5/11 我らのホーム

「弟子か。」

 

「はい。弟子です。」

 

「弟子とはどんな弟子だ?」

 

「全部を教えてください。」

 

「全部?」

 

「全部です。」

 

「戦闘技術だけではなくて?私が知っていること全て?」

 

「お願いします。」

 

つまり住み込み希望ってこと?俺野宿のさまよう黒騎士やりたかったんだけど。えーー食糧問題、武器問題、教育者未経験問題考えること多過ぎでは?まぁやりますけど。やらせていただきますけども。そういえば現状的にも面倒くさいことになってたなー

まずは組合潰さなきゃ(使命感)

 

「いいだろう。ただし条件がある。」

 

「なんですか?」

 

「再び会いに来い。」

 

「…それだけですか?」

 

サルカズの子が首を傾げる。残りの3人は・・・といった感じだ。

 

「まぁ訳ありということだ。詳細を話そう。」

 

そこで話した。俺はこれがこの街で初めての依頼であり、組合の人から侮られているということ。とりあえず今知っておくべき事はこれだけだろう。

 

「な、なるほど…?……それがどうして再び会いに行くのに繋がるの?」

 

「試験だな。本当にやる気があるなら探し出せ。そしたら見事弟子に昇格だ。」

 

これからどうなるかわからない。組合がどんな対応するなんてしらない。

 

「わかりました。」

 

「あの…お名前はなんですか?」

 

ペッローの子が控えめに聞いてくる。ブラウン色の髪。凜とした鋭い耳が彼女を柴犬に見せる。尻尾はどんな風だろうか?柴犬の尻尾は15種類あると聞いたことがある。気になる。超気になる。

 

「秘密だ。何も無い状況で探し出す練習もしろ。」

 

それっぽい事いえた。まぁ誰も俺の名前を知らないから聞いたところで………黒いフルプレートは一発で見つかるよな。意味ないじゃん。しょうがない屋根上移動隠密生活するかぁ。

 

「他に何かあるか?」

 

「弟子って何するの?」

 

コースターの子がそう言う。ダウナーボイスですね。最高です。飴ちゃんいるか?

黒みのかかった藍色。大きく細長く、薄い毛の耳ははたしてもふもふかすべすべか。実に興味があります。

 

「わからない。が、最低限私の弟子だと恥じないレベルにはなって貰う。」

 

戦闘技術は育てる。やはり本能的反射神経は育て上げる。そういえば算数ってどうなってるんだろ?この手の物語だと知らない場合が多い気がする……後でわかるからいいか。

 

「他は?………ないな。それでは体力作りから始めるぞ。」

 

「…いまから?」

 

またもやコースター。弟子では無いのに訓練?はする。謎なのはわかる。だが体力作りは大切なんだ。時間でしか解決してくれないくせにしばらく放置すると目に見えるほど落ちる。嫌なものだ。

 

「そうだ。体力はやらないと伸びない。やった分だけ伸びない。日々から適度な運動が必要なのだ。」

 

どうやら理解していただいたようで静かになった。

 

「さあ行こうか。」

 

俺が立ち上がると4人も立ち上がる。歩き始めるすると声があがる。

 

「体力作りはどうすればいいのですか?」

 

さすが鳥類さん。……ナチュナルぽんですね。

 

「……フォームを教える。体を鍛える所から始めるぞ。」

 

そして教えた。内容は腕をしっかり振って足をしっかり振って手足を交互に出せって事。つまり歩けってこと。走るの定義は常に片足しか地面に着かない、だったはず。なので歩くで正しいです。

山道を進むからこそこのフォームがいい。走ったら転びそうで怖い。

筋肉を伸ばせ。鍛えろ。筋肉イズパワァ、だらしない体より筋肉モリモリマッチョマンの方が絶対良いよな。

 

 

 

・・・

 

 

 

そして街に着いた。片道6日と少し。想像よりも早くついた。あと運が良いことに鳥類とコースターの子が食べれる草を知っていたのでとても勉強になった。

 

「お?黒騎士じゃねぇか。久しぶりだな。」

 

「ああ久しいな。」

 

例の門番だ。すまねぇまだ借金返せないんだ。ごめんよ。

 

「8日ぶりか。想定通りか、すごいな。」

 

「ああ、特に問題もなかったな。」

 

「さあ組合証見せな。」

 

「ない。」

 

「はぁ!?」

 

「少々問題があってな。」

 

「……紛失か?」

 

「いや違う。」

 

「後の奴らは依頼関係だろ?」

 

「ああ。」

 

「……まぁいい。1人分1万幣と4人分2万幣(4人×5000幣)で。借金ってことにしておいてやるよ。特別だからな?」

 

「ああ感謝する。いずれそれ以上で返そう。」

 

「おお期待しておくよ。」

 

 

なにこのイケメン。いずれ倍の6万幣で返そう。

 

さてさてさーて。カチコミ行くか。

 

前回と同じく木製のドアを開け中に入る。別に勢いを付けてドンっとしない。静かな怒りのほうが面倒くさいって前世で知ってるから。感情を表に出さない奴ほどキレたときヤバいんだよ。

 

こちらも前回と同じく組合内は一瞬で静かになった。会話を止め、目線を俺に向けてくる。暇人です。前回見た顔ぶれがいくつかある。間違いない暇人引きニートですね。

 

 

 

 

 

 




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105連で星6は帰溟スペクター1人、アイリーニ2人と、ギリ勝ち越しでした。スペクター出るだけ幸せ。前回の限定ガチャで知ってる……(237連、最終単発の地獄……)

無料単発で濁心スカジは確保します(未来予告)

あと衣装で約100源石消えました。今回マンガンなのに……



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5/12 我らのホーム

不思議なことはあるもんだな。

 

黒いフルプレート、前回見たのは確か1.2週間ぐらいだったか?

 

見るからに高そうなフルプレート。その鎧には似合わない素朴な大剣。何より傷1つ見当たらない。お貴族様が遊びに来たのか。はたまた親がすごいやつだったのか。少なくともお貴族様はあり得ない。遊びに来るには遠すぎる。

 

この街はパルシア。周辺にはいくつかの街がいくつかある程度。貴族なんて称号が与えられるほど栄えている訳でも王がいる訳では無い。街の領主がそれぞれ大組合のトップが8つ。円形に点在として協力し合って生き残っている。

 

その中央には山がある。川から遠く、食べるものが無く、作物が育たないひ弱な土地。わざわざそんな場所に住む理由はない。山のせいで交通の便があるわけでもない。そんな所を通らなくても街を経由して通る方が商業的にも都合がいい。

 

つまりここに来る貴族なんていない。過去に護衛を6名ほど連れて来たボンボンが来たくらいだ。よくあの三段腹でここまで遠出する気になったな。結局その次の日には何処かへ消えていた。

 

結果、親の七光り。見合わない装備は身を滅ぼす。

 

そう思ってたんだが……

 

目の前に黒いフルプレートがいる。そして傷1つない。そうなると話が変わってくる。

 

仲間から見た、とは聞いたことはない。あの鎧だ。一発でわかる。いや誰かがいたずらでもしているのか?それにしては随分と高価な鎧だ。さすがにそこまでする暇人はいない。やるとしてもフルプレートはない。てかデカすぎだろ。身長何m?5m?

 

だとするとスラムにいたのだろうか。でも約1,2週間もこの街で放置されるほどとは思えない。新たにヤバい奴が来たとも噂は無かった。

 

生憎とあいつが何をしにこの組合に来たのかは知らない。良い酒のつまみになると思ったんだがな……おっ馬鹿組が行った。馬鹿組、たぶん脳味噌がない。才能のおかげで生き残っている珍しいタイプ。3人全員その才能とやらはある。だがあほ。その才能に知能があれば最強になれたんだろうけど。

 

ぁあ~~あ、いわんこっちゃない。腕切り落とされてやんの……切り落される!?

 

黒いフルプレートが大剣に触れたと思えば、馬鹿達の肘から下が落ちていた。

 

「ギャァァーーー、っァァアーーー!」

 

少し遅れて現状を理解して、痛みが馬鹿達を襲った。馬鹿でも痛みは正常に働くらしい。

 

っんっべーー抜刀したとこ見れなかった。なによりその前に何を話していたのか聞いてねっぇ……くっそ偶の祭りに出遅れた。

 

これ以上は聞き逃せないと、耳を傾ける。

 

さて次はどうする?

 

今一番気になるのは後の少女達。やっぱ舎弟とかなのか?その割にはめっちゃ驚いているし腕細いよな。なんで組合に連れてきているんだ。恨み?でもそのわりには普通な顔ぶれだな。いったいどんな関係性があるんだ。それはそうとやっぱ才能だけはやばいな。馬鹿達は全員近距離タイプ。その一人にマッチョ医療がいる。そのアーツはもちろん治療。馬鹿達(三人)の生命線である。指の1つや7つぐらいは治せる。やばい。そしてちゃんと部位が残っているなら四肢を繋ぎ治せる。やばい。マッチョ医療がいないとこの馬鹿達は千どころか万どころか京死んでる。いまも腕を繋ぎ治してる。てか治し終わった。あっ馬鹿がまた突撃してる。ほんと馬鹿凸してる。だけど戦闘の才能がある前衛の二人。致命傷だけは毎回負わないやばいやつである。そんなやばいやつだが俺一人でも勝つことは可能だ。勝つ方法は1つ。罠張って罠這って罠貼ってクロスボウもってれば勝てる。罠を避ける才能もあるがそこは腕が試される。避けられないぐら罠仕掛ければ済む話だがどれだけ少ない罠で勝てるのかがここの肝である。やっぱ火炎瓶で地上封じて壁に棘しかけて盾持って銃が一番効率的。壁は本当に気をつけろ。あいつら二段ジャンプできる一族だから。掴む場所がないなら作れば良いを実行するタイプだから。火炎瓶もマッチョ医療がゴリ押すかもしれない。盾はただの壁だ。あいつら関係なしにタックルかましてくるぞ。本当に面倒くさい。あいつらに目を付けられた奴らは面倒だな。俺なら死んでる。あっ馬鹿達(三人)吹き飛ばされた。あの重量を吹き飛ばすか……あれ?もしかして馬鹿達よりやばいやつ?




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

まさか前座?で終わるとは……調子って本当にわかんない。

本来の目的であるアンケート取ります。


気分が乗る時は問題無いけど乗らないときはほんと虚無。

前回あらすじ形式で終わらそうかと思ったもん。


そして弟子になった四人 始まる訓練 歩くだけでも訓練になるんだぞ?少し前まで囚われ人だということを忘れるな 筋肉落ちてるんだぞ そして門番 金を持っていないレイヴァブンはまた借金を負う 門番はイケメン 次回 突撃組合 おどれらタマ…あるんだろうな?

最高に調子に乗ってるな……知らね。諦めて黒歴史量産していこう


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5/13 我らのホーム

懐かしい木造建築。実に8日ぶりの組合。良い思い出なんてない。

 

この組合は俺がレイヴァブンで居られるかどうかの舵をきることが出来る存在だ。だからといって下手にでる訳はないです。

 

「依頼を達成してきた。」

 

「……えっと、依頼証を見せて貰えますか?」

 

「そんな物はない。8日前に来た者だ。」

 

俺の記憶によるとこの依頼の成功が組合加入審査みたいなものだったはず。ちゃんとなんやかんややってますよね?

 

「8日?少々お待ちを。」

 

受付の人が組合内部へ消えてゆく。どうやらちゃんとなんやかんややっているらしい。本当は門前払いの上等文句かと思っちゃってたがちゃんと依頼書も見せて貰ったしそんなことないよね。

 

少したったのち受付の人が帰ってきた。

 

「はい。では証明をお願いします。」

 

「……?」

 

レイヴァブンは珍しく首を傾げた。

 

証明ってなんだ?実力を証明するための依頼を達成したら依頼証が必要だったてこと?その依頼証明書を貰うための依頼を受けてきたのにその依頼を達成した証明が必要ってこと?

 

ちょっと意味わからないです。説明不足では?最初にしっかり説明してくださいよ。

 

証明といっても後の少女達(元奴隷)と盗賊から押収した銃…銃があったね。すっかり忘れてた。

 

「これを。」

 

大剣の影に隠れていた盗賊のボスらしき人物が持っていた銃を受付の人に差し出す。もちろん銃口は俺に向けて、持ち手を受付側にして。

 

「…なんですかこれ?」

 

「盗賊のボスが持っていた銃だ。」

 

不確定だが全滅はしてきた。必然的にボスは倒したことになるので嘘ではない。

 

「えっと…交信機は?」

 

「知らないな。そんな物どころか何一つ貰ってないぞ。」

 

「えっと…えっと…」

 

「共通の認識を得よう。まず私はこの組合で依頼を受けるために、その実力を証明する手段として指定された依頼を受けた。その過程で見受けたのは依頼書だけであり、それ以外は一切何も知らない。」

 

どれだけ雑な管理をされていたのか。はだはだ疑問である。そちら側ではいったいどうなってるんだよ。もう速く終わらないかな…もう速く帰りたいと思い始めてる。だがダメだこの思考は。いうなれば保険会社とタイマンしているが、面倒くさくなって保険会社の言いなりになって貰えるもん貰わずに帰るみたいなものだ。

 

やるからには徹底的に。権利を主張して取れるだけ取り尽くせ。なんなら性別、歳、職を極限まで押し行け。さすれば勝てる………なんの話だったけ?

 

「その依頼書の内容は覚えていたり……」

 

「報酬は5000幣、徒歩四日ほどの場所に盗賊がいる、内容は全滅。以上だ。」

 

「わかりました。少々お待ちください。」

 

思ったより対応良いな。だが肝を絞めろ俺。下手に出続ける保険会社を思い出せ。一生そうなんですね~~ですが~~しかし~~お客様のお気持ちも大変わかるのですが~~……下手に出られたらからといってこちらも下手になった瞬間食われるぞ。気をつけろ。

 

「おい兄ちゃん?うちのマドンナといったい何長話ししてんだ?」

 

「そうだ、何度も何度もマドンナちゃんに移動させやがって。あ?何用だ?」

 

「返答には気をつけろ。すり潰すぞ。」

 

……マッチョ三兄弟!?トリオ?ここまでの筋肉は初めて見た。見せてみろよ、お前の三角二頭筋!

 

一番、筋肉医療、3人の中心として二人に挟まれて居るぞ。見た目が完全に僧侶なんよ。(生地少ないけど)

二番、ナックルを付けたゴリゴリの筋肉系、悩潰殺しちゃうぞ☆

三番、レイピアを操る筋肉マン、この素早い動きについてこれるかな!

 

変態じゃないか

 

「依頼について色々やって頂いている。攻めるのは私ではなくミスを犯してた組合にしてくれなか?」

 

「攻める!?まさか貴様そんな所まで!?」

 

「ミス?ミス?組合ミス?」

 

「犯した…ァ?貴様コロス」

 

「……」

 

話通じてない…だと。難聴系は撃滅危惧種だったはず!そこに筋肉属性までつけてんじゃねぇぞ。

 

「まさか一緒にご飯まで…(小声)」

 

「犯す!?ガルゥルッルッ!!」

 

「コロスッ!!」

 

コロスと叫んだレイピア系筋肉がレイピアを抜き取り斬りかかってくる。それにつられるようにレイピア系錦衣区の背後にはナックル系筋肉が構えていた。医療系筋肉は手で顎を押さえながら地面を見つめている。

 

レイピアの突きが迫る。それを避けよう背中の大剣を抜刀しながら一歩下がろうとした所で、背後には4人が居ることを思い出した。4人のことをすっかり忘れていた。表情的に何なの?といった感じだ。

 

横に避けたらレイピアがそのまま4人に突撃しそうなので止めなくてはならない。

 

大剣に伸ばした右手を止め、左手でレイピアを掴む。右手は前の筋肉が止まっているのに勢いを止めないナックルを掴む。

 

「何だと!?ビクともしねぇ!」

 

「フンギュゥゥー!!動けッ!」

 

筋肉は必死に武器を押し引きし、動こうとする。だが動かない。

 

このまま拮抗していても良いことがないので医療系筋肉の元へ跳ね返す。医療系はまだ地面を見ている。それをボーリングのピンのように、そこにボーリングの玉のように飛ぶ筋肉2人が飛んでいく。

 

医療系にぶつかる直前、医療系が2人を拳で地面に撃墜した。木の床に顔を練り込ませながら2人は言った。

 

「っ!?なんでお前達が飛んでくるんだよ!」

 

「兄貴!あいつ強いです、俺の拳を止められました!」

 

「兄貴!化け物だ!俺の剣を受け止めやがった。」

 

医療系が2人の尻を見比べるよう交互に見る。そして目の前に居る黒いフルプレートを見る。

 

「俺の舎弟が世話になったようだな。とりま一発食らっとけヤッ!」

 

止める暇も無く医療系が大きく一歩踏み出し、腰の捻りを加えた拳をレイヴァブンに与える。

 

レイヴァブンは耐えきれずノックバックした。背後には守るべき者がいるため爪先で上への浮力を付けるフェイントをしてアーツで山なりに飛んでいった。

 

ぶっ飛ばされた!?貴様筋肉僧侶じゃないのか?ナックルより火力やばいじゃないか。貴様もしや所見殺し系筋肉か?

 

さて、やられたらやり返すのは当たり前。それにたぶんこいつは中級から上級レベルの賞金稼ぎだろ?その実力、知っておきたいな。

 

レイヴァブンは素早く大剣を右手に持ち、左に持って行く。丁度右腕の内肘が顎に当たるぐらいだ。そして4人の少女達の上を通りながら医療系へ向かう。4人は後を向くがレイヴァブンの姿を見つけられず、辺りをキョロキョロしていた。

 

医療系は拳を振り下ろした状態で固まっていた。恐らく舎弟ども…かっこいいだろ?って感じがした。なんでこんなに心の声が頭に響くのだろうか?全て妄想だけど。なぜかそうとしか聞こえない。なんでだ?

 

左に持っていった大剣を全力で右へ振り払う。

 

医療系は後に逃げるように退く。レイヴァブンが殺す気で振り払った大剣は医療系の拳を切り落した。

 

その拳はチーズのような感触だった。盗賊よりも硬いが、余裕で切り落とせる。そんなことよりも体勢を崩しておきながら腕だけで済んだ結果のほうが意外だった。

 

殺す気だったのに…胴体をパッカンする気でやったのに…ん?…危ね、刃傷沙汰にする所だった、いやアウトじゃん。賞金稼ぎ…いやレイヴァブン終わったな。

 

「ギャァァーーー、っァァアーーー!」

 

医療系が右腕の手首を押さえながら叫んでいる。痛みには耐性があるんだろうか。叫び声とは関係なしに冷静に止血していた。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

今回のイベントのexでホシグマさんが大活躍して嬉しかったです。やっぱり姉貴の防御力は世界一!s2パッシブ1000越え!!

倉庫覗いたら異鉄の在庫が少なかった。気づけて良かったです。


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5/14 我らのホーム

「いったい何の騒ぎで……今度はいったい何をしましたか?」

 

受付の人が帰ってきた。ドタドタと激しい足音もなく静かだった。恐らく叫び声を聞いて急いできた感じだろうか。その手には何かしら書類を持っている……書類か…これから論破されるのかな?

 

「ケイさん。何をしていたんですか?」

 

「いや~~ちょっとお話してただけですよ?」

 

筋肉医療が両手を上げ、ふにゃふにゃと波のように動きながら受付の人に近づいていく。両手?腕付いてるんだが?確かに切り飛ばしたはず……本当に医療系筋肉だったのか…すげ…

 

「とりあえず近づくな。」

 

「ゲッファ!」

 

受付の正面突きが医療筋肉の首に当たり吹き飛ばされていく。平気で喉にぶち込んだ…だと。一番ヤバい人は暫定受付嬢。決定。平気で起き上がって受付嬢に近づく筋肉がいるが、そんな医療系は知らん。

 

「俺たちはシウちゃんの事が心配で……」

 

「この成金やろうから守ろうとして…」

 

「そうだよ…」

 

「関係ないです。一回消えてください。」

 

「ゲッファ!」

「ゲッフェ!!」

「ゲッフィィ!!?」

 

消えてください。受付嬢がそう言い切ると筋肉3人は入口へ吹き飛んでいった。何のアーツだよ。衝撃?空気?風?つおい。間違いない。

 

「さて、先ほどの事は忘れてください。確認出来ました。今からその場所まで確認しに行きます。案内してください。」

 

事ですむ話ですか?やったね。どうやらあの筋肉は普段から嫌われていたのだろう。だが最低限の絆はあったらしい。命拾いしたな。

それはそうと

 

「今から?」

 

「そうです。あっ、次からは殲滅の依頼には専用の機械を渡します。詳細はこの時に。」

 

そういう機械あるんだ。なんか先進的だなー。

 

「あの少女達はどのような対応をするのだ?」

 

「被害者ですか?」

 

「ああ。」

 

「孤児専務の方へ回します。いくらか事務をした後、解放されます。」

 

事務?専属ですか?はへーー先進国だな。アフターケアまでとは。

 

「川の向こう側か?」

 

「大丈夫ですよ。ちゃんと組織が形成されて、そこら辺より安全ですよ。」

 

組織!?……ほうほう……スラム街の組織、自警団?ちょっと妄想が膨らみますね~~

 

「了解した。それで私はいったい誰を案内すればいいのだ?」

 

「私です。準備は終わっているので早速行きましょう。」

 

エリートタイプ?戦闘もこなして事務もこなして愛想笑いも出来る超エリートタイプ?

 

疑問を抱きながら体は動かす。受付嬢は受付から跳び出て来て、目の前にいた。このまま盗賊のアジトまで案内する前に、つい思いつき行動した。

 

4人の少女達を見て言う。

 

「本当にやる気があるなら。この街に慣れ、この街で私を見つけててみなさい。」

 

4人はウンと頷く。

 

「それでは行こうか。」

 

「ええ。あと先ほど聞いた通り、私の名前はシウです。貴方の名前は?」

 

そういえばしていなかったな、自己紹介。

 

「私の名前はレイヴァブン、レイとでも呼んでくれ。」

 

「わかりました。レイさん。」

 

レイヴァブンは盗賊のアジトへシウを案内する。組合の方では職員が4人に接触していた。これから何やら起きるのだろう。

あれ?銃はどうするんだ?俺の戦果として俺の所有物になるってこと?いくらで売れるかな。

 

 

そして7日後

 

レイヴァブンはシウと街、パレシアに戻ってきた。特に問題無く、流れるように行って、帰ってきた。そして今は組合で終わりの手続きをしていた。ほぼ休憩なしの7日間だった。それなのに今は事務作業をしている。素直に尊敬する。

 

門番の人はめっちゃシウを恐れてたな。背筋をピンッと伸ばして敬礼していた。シウさん、もしかして権力者?

 

「それでは終わりです。報酬と組合証です。なくした場合は一から始まるのでお気をつけて。」

 

「ありがとう。」

 

12万8千幣……12万?……へ?

 

「報酬がおかしくはないか?」

 

「いえ問題ありません。前払い幣5000でしたが、ミスで受け渡されなかったため謝礼金3000幣追加です。そして盗賊の規模、難易度を計測した結果8万、昇格記念4万です。」

 

52名で8万。1人あたり約1500幣…昇格記念?

 

「昇格記念とは何だ?」

 

「その通り、強さと精神によって組合が勝手に決められる格です。レイさんは上から8番目です。おめでとうございます。」

 

ぉお……ぉ?8番目?上から8番目?あんまりすごくなさそう……

 

「下からは何番目だ?」

 

「3番目です。」

 

初日でここまで上げたと考えたらすごそう。あの筋肉医療はどうなんだろう?

 

「あのケイと言った人の格は?」

 

「上から2番目です。」

 

「は?」

 

「え?」

 

レイヴァブンが威圧的な声を上げるとシウが素っ頓狂な声を上げた。

 

「いや何でも無い。」

 

つい本性が……あの筋肉ダルマが上から2番目。予想的にその取り巻き(筋肉二人)は一個下かな。あれが上位…あれが上位か…

 

「…次依頼を受けるときはどうすればいい?」

 

「また受付に来るか、あそこの掲示板から依頼書を取ってきてください。」

 

掲示板……確かにある。だが依頼内容がしょぼいし、報酬もしょぼい。大切な依頼は受付が直接って感じかな。

 

「それではまた来る。」

 

そう言って組合を出て行く。送り迎えの言葉は無かったが忙しそうだったのでしょうがないって奴だな。

 

レイヴァブンは組合証を大切に鎧の中に埋め込む。これで盗難破壊の恐れ無し、よし。そして行く場所は1つ。門番のイケメンのところだ。借金を返しにいく。まさか一回の依頼でここまで儲かるとは、案外イージーゲームでは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

SEーSむずかしすぎだろ。定向進化てめぇ……4回蘇生やめろや。
スピュワーさん好き、ホシグマさんで一掃できるの最高すぎるだろ。ほんまこれだけが生きがい。

あと今週忙しすぎだった。土曜日が完全に潰れて日曜日前半が潰れました。ユルサナイ……俺の休日をカエセ!!


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5/15 我らのホーム

借金を返しに行ったが、例の門番がいなかった。その友達を名乗る門番が俺が渡しておくと下心満々で言っていたが絶対うそだ。間違いない。あれは今晩の酒代に消えるやつだ。

 

なので離れて右側、命名スラムへ行く。そして壁際へ。壁を背もたれにして座り込む。今日は一休み。何やら視線を感じるが放置する。

 

ポン助から報告があって、大体わかった。らしい。それだけを報告してまた自分の世界に入っていった。最近ポン助が冷たい。俺…悲しいよ…

 

 

・・・

 

太陽が昇る。昨日の視線はどこかへ消え、一人ぼっちになっていた。

 

四人の少女はどうやら組織?に居る。まだなんかすることがあるらしい。なので暇になった。

 

だから俺は今日も今日とて組合へ行く。金は稼げる時に稼ぐにかぎる。組合の扉を開け中に入る。そして今日も視線を貰う。ありがとうございます。暇人引きニート君たち。

 

受付のゾーンにはシウさんがいた。交流を深める兼人脈を広げる意味合いで他の受付嬢さんの所に行っても良いかもしれないがなにせ俺は新人さんなのだ。経験が積めるまで新しいことはやめておく方が得策

っぽい。

 

ちゃんと列に並んで自分の番を待つ。シウさんの列は一番人が多い。さすがっすシウの姉貴。

 

 

「シウさん、何か良い依頼ありますか?」

 

「レイさん!丁度よかったです!特に何もありませんね!!」

 

シウは今までで一番良い笑顔でそう言った。

 

「……ん?よかった?何もない?」

 

一度整理しよう。足りない言葉を付け足そう。レイヴァブン。来てくれて丁度良かった。今は特に何もありませんね。まったく意味がわからない。そもそも言葉が合ってない。どういうことだってばよ。

 

「すみません。何もないです。」

 

顔色をケロッとかえてクスッと笑う。どうやら冗談だったようだ。

 

「確認しますが本当に無いんですか?」

 

「はい。昨日レイさん盗賊討伐したじゃないですか。あそこは結構大きいところでしたので、いろいろバランスが変わりましてね。昨日のうちに依頼が発表されてて今のところ依頼は残っていないんですよ。」

 

「了解した。」

 

たった一日で変わるなーもしかして筋肉三人組みたいなやつが沢山居るのかな?ひゃっはあーー血祭りにあげろぉーー!って感じだったのかな?暇人引きニート君たちは変わらず酒飲んでるし。なんか法則的なやつあるのかな?

 

「どうしても依頼が受けたいのであればあそこの掲示板から選んでください。」

 

「わかった。ありがとう……1つ、聞いても良いだろうか?」

 

「はい。」

 

いま1つ気になった。確認しよう。そこには暇人引きニート君たちがいる。そして組合から依頼は特に無い。なのに俺の後には沢山の人がいる。さらに他の受付嬢さんの元にも人が並んでいる。特に掲示板に貼られていたあろう紙も持っていない。つまりここに並んでいる人たちも……

 

「ここに並んでいる人達は暇なのか?」

 

「そうですね。大半以上が暇だと思いますよ。」

 

やっぱりか……暇人……

 

「おい話し終わったのならさっさとどけ。「新入のくせに生意気じゃな~「ですな~………

 

逃げよう。さっさと逃げよう。面倒事の気配がする。絶対こいつらひゃっはぁー族だ。

 

俺は掲示板の元へ行く。依頼内容は昨日とはそこまで変わらなかった………あーね理解したわ。

 

掲示板にある依頼はしょぼい。そして内容が専門的であれば雑用的と言える。ここから考えられる事は1つ。受付嬢が出すのは組合が依頼した。掲示板は一般人が依頼した。どうだ?間違いか?……答えはわからない。まぁどうでもいいことだ。さて依頼をパパパッと十数枚取る。3枚は組合側で、残りは全てスラム側の依頼だ。

改めてシウさんの列へ並ぶ。何となく人気投票か握手会かな?と思った。

 

「あらレウさん早かったですね。」

 

「はい、これを受けたい。」

 

「……これは…大丈夫ですか?」

 

依頼書をパラパラとめくりながら確認している。そして3つの束に分けた。

 

「問題無い。」

 

「中には依頼者と依頼物、両方見つけなければならない物もありますが?」

 

「この街を覚え、交流を深めるためには丁度良いと思ったのだが……だめだったか?」

 

「いえ、こちらの期限は2日以内に、残りは期限はありませんので頑張ってくださいね。」

 

こちらと言われた束は組合側3枚だけ、スラム側は全部期限が無い側に分類されていた。

 

「了解しました。それでは。」

 

「いってらっしゃい。」

 

「いってきます。」

 

持ってきた依頼書と同じ数、別の小さな紙を手渡された。それを持って組合を出て行く。何やら後の列から先輩から熱烈な視線を感じる。数人ブツブツと何か言っているので耳を澄ませてみると羨ましいやら許さないだ。その理由は俺はいってらっしゃいなんて言って貰えないのにッらしい。

 

ふんっ雑魚め。俺とは格が違ったようだな。

 

そう思いつつ組合の外に出る。優越感、大変素晴らしい。コッホン…早速組合側の3枚の依頼を終わらせよう。掃除に掃除に捜し物……組合は何でも屋だったのか?。

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

今回のイベントは引退時期に被ったので初参加でした。やっとエーギルで作戦が出来る……出来なかったわ……スカジも濁心スカジも我がロドスにはいなかったわ……

変わりに強制移動ナイツに挑戦してきます。


アンケートの結果。流れは大切 全部書け になりました。

別に問題はありませんが、1つだけ言わせて貰います。


100話以内に次の章に行けたら良いですね(笑)

頭の中のイメージだと無理ですね。お疲れ様です。


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5/16 我らのホーム

無事に掃除と掃除と捜し物を終わらせた。

 

掃除は規模がアホなだけで特別汚いとか汚染区域じゃね?みたいな場所はなかった。

 

片方は複数の酒場の掃除。名前は1つなのにその系列も全て依頼内容に含まれるらしい。詐欺だろ。汚い。酒こぼし、食べカス、胃液の苦い匂い。喧嘩売ってるのか?嘔吐物はちゃんと消毒して除去しろ。まかないごちそうさまです。

もう片方は街全体(組合側)の掃除。ゴミ拾いで終わった。範囲が街全体ってだけで問題はなかった。酒場と違って綺麗だったし。もう二度と酒場の依頼は受けない。まぁマスターとは仲良くなれたけど…失う精神力が大きすぎる。

 

捜し物だが、ただのお使いだった。研究家の買い出しをほいほいほいと買って、運んで、買ってを繰り返して半日。街全体の掃除より時間がかかったとは驚いたなーー。

 

合わせて3500幣。直接依頼主から支払われた。依頼書は依頼主に渡したのであとはあちらが対応してくれる。楽だな。もう掃除業者として生きた方が楽に暮らせそう。後でもう一人の僕を作って掃除業者にさせよう。

 

そして今はスラム側の依頼を始めようと川を渡った場所にいる。そこで立ち尽くしていた。

 

依頼その1

 

野良ペットがいなくなった。探し出して。(依頼主を探して、ペット探して、依頼主へ届ける)〈依頼主の場所は不明〉

 

やる気なくなるで。名前は書いてあったけど場所わからないって、もう名前叫びながら歩き回るしかないのか?↑と似た依頼が後2つもあるんだが?とんでもねぇな。アーツのパワーで3人の依頼主の名前を響かせながら歩き回るか。

近づいても避けられるし……このフルプレートめ。威圧が酷いんだよ。どうやったら周囲にお花畑のイメージが沸くような雰囲気を出せるんだ?天然すごい。

 

呼び方は……依頼主、依頼主殿、依頼主さん、依頼主様……依頼主さんでいっか。印象低は呼び捨て、普通はさん、高はあだ名?にしよう。そうしよう。もう面倒くあしあ。さっさと終わらせて、シウさんに依頼達成早いですねって褒められるんだ。

 

「ポンリさん」「アオハさん」「アリオバさん」「ポンリさん」………

 

 

そして日が落ちた。スラムを歩き回り、声を出していたが多少の反応すらない。ただ人の名前を叫ぶ変人さんです。もうやだ…依頼未達成の場合ってどうする……無期限だったな。

 

太陽は落ちてもう暗い。道にポチポチと小さな明かりがある。その明かりのおかげかは知らないけど夜にも人が沢山見える。龍門スラムの人にこの光景を見せたら発狂しそう。明かりもスラム全体にあるし…そもそも孤児っぽい人が見当たらなかったな。ちょっと調べてみるか。

 

へいアーツ君。ちょっと法律っぽい何かがあるのか調べてみよう。へっへ我らのアーツは世界一。隠密戦闘防御なんでもいける。

てまたもや俺は壁際まで行って睡眠としゃれこむか。

 

壁を背中に預けて座り込む。

 

なんか少女がいた。2人いる。こんな夜中になんだろう?俺が微動だしないことを良いことにゆっくりと近づいて来ている。驚かせよう。

 

2人の少女との距離が後1m。そこで声を上げる。

 

「何かようがあるのか?」

 

体は動かさずにそう言いった。少女達はビクッと反応して警棒と短いナイフを2本をかまえた。かまえた!?うっそだろ。そこまで治安悪くなかったはずや!悲しいなぁ。

 

「お前だな、徘徊しながら何やら言っていたのは。」

 

「…滑舌悪かったか?」

 

「言い訳はなしか。それで、何を言っていたのだ?」

 

もしや自警団?最高かよ。

 

「ポンリさんアオハさんアリオさんポンリさん・・・(点点点)」

 

「なんだそれは。」

 

「依頼主。」

 

「主?何の?」

 

「ペット探し[?]の。組合から依頼を受けたのだ。」

 

「証拠を。」

 

レイヴァブンは腕を上げ、手の平を見せるように開く。そこには3枚の小さな依頼書があった。すっ、そんな擬音語が聞こえてきそうだ。

 

2人は少し近づいてきて、それを覗き込む。

 

「確かだな。もう少しやり方があったのではないか?」

 

「やり方?話しかけようとしても避けられるのだが?どうしろというのだ?」

 

「それは…災難だな。」

 

「そもそも受ける依頼間違えてるだろ。」

 

「ちょっとライ!」

 

「そんな大剣ぶら下げてこの場所に何の用だか。」

 

「悪気はなかったでしょ?そして言って良いこと悪いことがあるでしょ?」

 

「へーい。」

 

辛口。正論パンチやめろ。あとシンプルに大剣に関しては思いつかなかった…妄想力が足らん証拠だな。

 

「もし可能ならポンリさん、アオハさん、アリオさんの居場所を教えてくれるか、依頼のペットの外見を教えてくれないか?」

 

「必要ないわ。あなたがやるべき事は誰か一人を選びなさい。」

 

「どういう事?」

 

誰か一人?嫁候補かよ。なんで一人選ぶことになるんだ?ペットの名前がポンリ、アオハ、アリオ、で誰を飼おうか依頼したのか?スラム……スラム?意味がわからねぇ。何を定義してスラムだよ。名前改変貧乏街。ちょっと経済的に厳しいだけの街だ。スラムなどおこがましい。そこまで酷くない。

 

「ペットは一匹、だが3人の飼い主。そして喧嘩になったから両成敗。誰かに決めて貰うことになったらしい。」

 

誰か…?なんで

 

「組合に依頼したんだ?無駄に幣がかかるだろう。そこまで事情を知っているならお前達か、仲間にでも決めて貰えば良かったのでは?」

 

「あの子らが決めたケジメだ。」

 

「本当に知らない人のほうが後腐れないからね。」

 

「知らない人など、そこら辺にいるではないか?ちょっと通行人に聞けば良かったのでは?」

 

「ここのみんなは知ってるよ。名前も、好きなものも。部外者は知らないけどこの中なら全部知ってるよ。」

 

「助け合い……」

 

「そうだ。お前らみたいな薄っぺらいものじゃないんだよ。この街は。」

 

みんなで助け合ってるから貧乏に昇格したのか?ん?え?みんないい人?そんな幻想があるはずないだろ。間違いない。龍門スラムがこれを見たら暴動起きるぞ。

 

「あっ、3人の誰を選んでもいいんだよ。別に飼い主が決まったからってまた喧嘩が起きる訳じゃないし。」

 

「一種の責任者を決めるだけだ。夜も一緒に寝れる権利を得られるだけ、さっさと選びな。」

 

ほう……3人から選べと?それなら、誰にしようかな天の神様言うとおり理論を元に、3番目を選ぶ。つまり

 

「アリオさんに決めよう。」

 

「わかった。伝えておく。依頼書は貰うぞ。」

 

「ああ。どうぞ。」

 

2本のナイフを持つヤクザっぽい少女が依頼書を奪い取るように取る。

 

「じゃな、問題おこすなよ。」

 

「それでは。」

 

「わかった。さようなら。」

 

2人は帰っていく。

 

依頼はあと8枚、このペースだと明日中に終わるかギリギリだね~……達成幣は?……まいっか。この街のルールの方が気になる。さて、まずは組合からだよね。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

正直に言おう。総合戦略飽きました。

やり過ぎた……だが裏ボスはまだ4分隊しか達成してないです。投資も450程度しかねぇ。長命者の匣厳選とか頭おかしなるで。招集券厳選ですら頭痛くなる。

ゼロからが辞められねぇ。だが飽きた。しばらくは周回勢に戻る。今イベ終わるけど。

最後に遺言

攻撃速度最高



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5/17 我らのホーム

このパルシアの事を調べると決めたあの日から7日たった。

 

調べることをきっちり調べ上げ、確認して、検証して、稼げる依頼がないので適当に稼いで、例の計画に費やしていたら一週間たった。

 

「お兄ちゃん!警官だよ!ボーッとしないでよ!!」

 

思考にふける前にタッチされてしまい、無事に盗人から警官に転職した。目の前にはまだ10才もいっていないであろう子供が居て、レイヴァブンに怒っていた。

いつまでたっても動き出さない業を煮やし怒っていたのだ。

 

今はいわゆる、けいどろをやっている。愉快な子供達と遊んでいるのだ。

 

「わかった。」

 

そう言って歩き始める。子供がそれを見るとキャッキャ笑いながら走り出す。後から子供がレイヴァブンを通り越して逃げていく。肩に青いはちまきがあるので警官のようだ。最初に目の前に居た子供は赤いはちまきを肩にしていた。盗人だ。

 

警官の子供が盗人の子供を追いかけて、裏道、横道、屋根の上と消えていく。相変わらずここの子供はすごいな。

 

これで俺は無事に暇になれた。

 

 

けいどろ

 

警官(青色のはちまき)人数 3割 盗人(赤色のはちまき) 人数 7割 

 

の割合で行われている。盗人を警官がタッチする。すると俺のアーツ経由で肩のはちまきの色が変わり盗人は警官へ、警官は盗人へ変わる。

 

範囲はスラム側全体。

 

無事終了する時に(子供達が飽きたらor日が暮れたら)盗人でいたら俺から蒸かし芋が贈呈される。少なくとも新鮮な塩を使ったうまいやつである。

 

 

まぁ色々と疑問があるだろう。追って説明する。

 

まずこの一週間は依頼を受けて、子供達を遊んでを繰り返していた。依頼は3日に1回のペースでありながら遊ぶのは毎日だ。

 

これもそれも原因は1つ。初日に受けた依頼であった。

 

いわゆる孤児事務の人から依頼で、子供達と遊べという依頼だ。

子供と仲良くなることなんて簡単だ。子供なんて単純だし、おもちゃ(信頼と安心のアーツ製{使い切りタイプ})で遊んで追いかけっこしたらみんな友達である。

 

心の距離が遠い子供達も空気に流されて、で簡単である。俺を中心として遊びは成立しているわけではないので余裕だって。6日で全員と仲良くなった。例のヤクザ少女にほぼ毎回監視されているが特にアクションは起こさないので放置している。

 

6日なんてつい最近じゃねぇか、だって?きっかけが3日に出来て、実行したのが5日だからだ。

 

そのきっかけとは蒸かし芋。

 

例の計画の一部である拠点の整備(農業部門)をしていた副産物だ。依頼で貰った幣で種を買い。育てた。色々な種類を買ったが意外な結果でなんとも言えない気持ちになったものだ。

 

その気持ちになった理由はジャガイモだけ育ったからだ。そう、ジャガイモだけが3日で育った。

 

いくら最強でもさすがに化け物過ぎるだろ。ジャガイモ。

 

残念ながらジャガイモを見ただけで種類までわかる変態ではないので品種まではわからない。だが3日で育った。ミキミキと育っていった。特に肥料とかやっていないだけどなぁ。

あらかた簡単に料理をした結果、おいしいと言うことがわかった。特に蒸かし芋はアーツで蒸かして、海から取ってきた新鮮な塩で良いのだ。コスパがいい。実質ゼロである。ノーコストである。零だ。ハッシュドポテイトからフライドポテイトにポテイトチップスも作ったがおいしかった。だがコスト高すぎる。油の供給が弱すぎる。

この世界に油菜的な奴はあったりするのだろうか?

 

それはそうとジャガイモ以外の作物は全滅だった。一向に育たん。芽すら咲かん。種が枯れてた。意味がわかりません。誰か有知識者のかた、教えて。

 

まぁジャガイモは好きだし、無限に食べれるので良いのだ。

 

 

話は戻って、みんなは気がついたか?

 

はちまきの色が変わると。

 

俺は実質的に色彩を得た。アイムウィン!これで例の計画が実行可能領域に突入した。ヨシ!

 

方法を言うならなんともなんとも悲しくも、夢が無いのだが……物理的に色を付けたのだ。アーツで色を包んで鮮やかにしたのだ。

 

簡単に話すと、小麦粉を目に見えないほど細かい源石で形を保つ。すると真っ白な肌が出来る。以上。着色料は少し高めだが売られている。とりあえず業務用で買わせてもらって、あらかた色はそろえた。痛くも良い買い物であった。

 

触るとなんとなく違和感を感じる。これは大問題である。だが技術力でなんとかなると信じている。目指せ艶艶モッチリ肌!

遠目で見る分には問題無いから最低限は良いというレベル。目指すなら上を目指さないとなぁ?

 

 

さて、やっと本題。この街のルールだ。

 

ルールと言っても暗黙の了解の域だ。ちゃんと規則みたいな感じで書類に明言されていたが、みんなが納得して、実行しているので恐ろしいものだ。この民度、妬ましい。

 

この街、パルシアは種族、感染者で差別されることがない。

差別する奴らはみんな追い出される。上の団結力がレベチなのでよっぽどの事がないと革命は起きなさそうだ。この街以外にも7つ、合計8つが同じような体制でいる。もはや鉄壁。つよい。

 

差別は一発アウト。門番によって速やかに国外追放だ。そして重度の感染者も国外追放だ。もし逃げるようなことがあれば全戦力を持って逮捕へ向かわれる。

 

恐ろしや。

 

街全体が一丸となって○○どこじゃー!っと面白そう光景ではあるが、本人には地獄だ。

過去の実績からは重度の感染者はほぼ自分から進んで出て行くことが多いようだ。理由はやっぱり安い値段で抗薬貰えるからかな?検査も定期的に義務づけられている。

 

働けるのに働かない人も容赦無く国外追放。働く気があるけど働けない人は場合によって国外追放。まぁ自給自足が出来る内は何もない。後者で追放されるなんてよっぽど普段の振る舞いが悪かったのだろう。

 

仕事の斡旋は結構やっている。8つの街で協力しているだけあって、それぞれの街で特色があるのだ。この街は傭兵。武力がある人が集まる。組合もここが本店だ。ここを中心として善行な賞金稼ぎ、いや傭兵達はお仕事をしている。ただし門番とは別の組織?らしい。

 

重度の感染者だが、カラスのように死に際を悟りひっそりと消えるようだ。覚悟を決める時間がたっぷりあるのも理由の1つだろうか。重度の感染者の場合は出て行く際、いくらか餞別が貰える福利まであるっぷりだ。

 

調査した結果、想像の5倍くらいこの街は住み心地はよい。こんなフルアーマーな鎧やろうでも気楽に住める。

 

一部のおじおばさんにはアンタ大変な人生だったねとか言われる始末だ。全身火傷でも負ったとでも思っているのだろうか?

 

やさしい。

 

子供達と遊んでいる所を見られてより一層、暖かい視線を感じるが気がつかない振りをしておこう。

 

普段のクールな俺が崩れる気がするがまあ子供達が幸せなら幸せです。

 

「もう!!こんな所にいた!はやくふかしイモちょうだい!!」

 

「はいはい……ハイ?」

 

気がつけば日がだいぶ暮れていた。だがいつもより終わるのは早い。なんで早いんだ?

 

いくら考えてもわからない。

 

そう考えている内に子供達が5人3人と列をなす。いつもの広場ではなくこんな道に集まるのはまずい。近所迷惑だ。

 

「よし!いつもの広場に集まれ!今日はサービスだ!全員1個プレゼントだ!みんなを集めて広場に集合!」

 

大声でありながら近所迷惑にならない声がなぜか道だけに響き渡る。

わいわいと子供達が騒ぎ立てながら走り出す。ある者は一直線に広場へ、ある者は裏道、横道へ仲間を集めに走る。

 

まったく元気が良いようで。

 

いつものようにレイヴァブンはサーっと住宅へ消えて大きな布袋を持って屋根の上に現れる。そして広場へ行く。今夜はじゃがいもパーティーだ。

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

危機契約ナンテキイテナイヨ



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5/18 我らのホーム

「はいよ」「どうぞ」「おうよ」「なんよ」

と蒸し芋を配る。アーツの力のおかげでほんのり温かい。といっても少し温かいだけで蒸し芋本来のポテンシャルを保っていない。いつかアッツアツの蒸し芋を食べさせてやる。アーツで温度調節むずいっす。アーツの火力は一かゼロしかない。これは俺が間抜けな雑魚なのかアーツはそういう物だ、なのかわからないがとりあえず冬場の暖房いらずを想像するとやる気が出る。

 

温かいは正義、そしてひんやりも正義。対冷え性装備を開発するのじゃ。

 

「どぞー」

 

「あざまーす。」

 

ん?この独特な挨拶をするのは…

 

レイヴァブンは意識を前に向ける。そこには勉強組がいた。

 

勉強組と遊戯組。遊戯組はその名の通り、先ほどけいどろなるもので遊んでいた子供達。元気いっぱい、わんぱく君達。だが体を動かして遊ぶのが嫌いな人達もいる。別に体が弱い、とかではない。ただ体を動かすが嫌らしい。その集団の筆頭が先ほどの独特な挨拶の子だ。

 

今日はどこからか蒸し芋無料配布を聞いて貰いに来たらしい。

 

勉強組。蒸し芋配布基準は簡単。出す問題を3/5で正解すればいい。内容は算数。歴史は知らん。国語?実地で学びなさい。同時に酷しい道徳と厳しい政治/社会が学べる。効率良いよね……

 

前に誰かの答えを移す輩がいたらから「答え見たよね/うん/写したよね/うん/答え見たよね/……」と責めたら簡単に白状した。

間違いだったどうするんだ?圧迫だ!だって?

 

1つ、アーツで監視してあるから間違いない。2つ、一度例外を許したら乞食の如く食らいついてくるぞ。もし嫌なら受けなきゃいい。嫌われたらそれまでの関係だ。そして圧迫で下がるのは俺の評価類だ。問題無い。ただで蒸し芋様を手に入れられると思うなよ?

 

それとは別に、答え見ちゃったなる子も出て来た。見ちゃったからいい。などと全くかわいらしくなかったが、カンニングと勉強会の違い/そして不可抗力と故意の説明して、論破したら蒸し芋を受け取ってくれた。貴方の事ですよ?独特な挨拶の人。

 

今ではリーダーとして勉強組の皆さんをまとめ上げてくれている。大変お世話になっております。

更に勉強会を自主主催までしてくれている始末だ。そのおかげもあって勉強組の正解率は100%(初心者を除く)学習の水準が上がってしまって、出す問題の難易度とか内容をどうするか悩む。前に図形問題を出したら何につかうんだと、論破された。度なんて使うのかと。そこは専門職になったら使うと言って乗り越えた。怖かった。

つい楽しようと結構前に出した問題を出したら前も出したよね?と責められた。だが数字を少し変えた問題なら何も言わなかった。

独特な挨拶の人…いつからそんな唯我独尊的な感じになったん?将来ビックになるな……

 

ありゃま?…ありゃま??

 

レイヴァブンは目を疑った。

 

彼の目の前に並ぶ子供達の中に、律儀に列に並ぶいつぞやのヤクザ少女がいた。この俺が目の前に来るまで気がつかないとは…やるな。果たして身長が問題か、雰囲気が問題か、それとも全てか……逆に考えてみよう。周りに並んでいる子供達と何が違うのか………違うのか…、わからん。

前回のようにただいま警戒中のような武装した服装ではなく、カジュアルな服装で周りの子供達と似ている。雰囲気は…周囲に同化している。あくまで主観だ。主観。個人の意見ですってやつだ。

 

レイヴァブンは気づいてない風を装い。周りの子供達と同じように「どうぞ」と風に蒸し芋を渡して、次の方~という風にする。

 

ヤクザ少女は蒸し芋を受け取ると、前の人と同じように列を外れて歩き出す。少し歩いて、体全身をビクッと震わせ、レイヴァブンの背後を睨み付ける。何か言いたそうに口をパクパクとさせた結果、蒸し芋を片手に持ちながら広場の壁に寄りかかりレイヴァブンの方を見ている。

 

それは全ての子供達が広場から居なくなるまで続き、その間ずっと片手に蒸し芋を持ち続けたのだった。レイヴァブンも空気を読んだのか、蒸し芋を配り終えても広場に残り続けたのだった。

 

レイヴァブンはもし次の日からストーカーされたらたまったもんじゃ無いと考えていた。荷物が蒸し芋を入れていた袋しかないので、何気に辛いものがあった。子供達は一直線に帰って行くのが普通だが、一部の子供達と大人の人が俺と話し合いと子供同士で報告会があるのでみんながいなくなるまで時間がかかった。

 

そうしてみんながいなくなった広場に、ヤクザ少女がレイヴァブンに近づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

アニメと危機契約のセットで大変でした。

アニメOPで毎回鳥肌たつのどうにかしてください。普通にEDがBGMとしてゲームに登場しそう。

アニメが神すぎてモチベなくなる~

これが二次創作が嫌いな理由です。だれか表現能力か勉強になる作品を教えてください。

(ネタと)シチュエーションは問題無いと自負できるので、表現能力さえあればモチベバクバクなんです。実質!毎日投稿が可能な領域に入れます。いったいどうすれば人様にお見せできるレベルの作品が描けるようになるやら…


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5/19 我らのホーム

ヤクザ少女は近づいてくる。あきらかに不機嫌ですと口をへの字に曲げながら近づいてくる。

 

「いったいどういうつもりだ?」

 

「……ん?」

 

いったいと言われても…蒸し芋ですが?

 

「無駄に食料ばらまきやがってどういうつもりなんだと聞いているんだよ!」

 

「はぁ……」

 

どういうつもりだと聞かれてもなー仲良くなるために?とでも言えば良いのか?それとも笑顔のためにってか?

正直に答えるなら物で子供の感情を買っただけやし。こんなこと言ったら間違いなく怒るじゃん。

 

「そもそも!どうやってこんな量の芋手に入れてやがるんだぁ!?」

 

「故郷からの仕送りだ。」

 

「…仕送り?」

 

「故郷から大量に芋が送られてくるんだ。到底一人では捌ききれん。」

 

という設定にした。突然芋パーティーが無くなっても反応は怒りで済むだろう。だって理由は目の前の人ではなく他人にあるのだから。

 

「な、なんで故郷からそんな物が届くんだよ?」

 

「過保護なんだろ。」

 

やめろ恥ずかしい。そこまで決めてないわ。…つい本性出てきちゃった。最近粗いぞ。

 

「は?」

 

「私に聞くな。故郷に聞け。」

 

もういいわ。こういうステータスで行こう。いわゆる敬語系ってやつだな。多分。

 

「…は?故郷に聞く…?」

 

「それではもういいな?俺は帰るぞ。」

 

そう言うと先ほどまで蒸し芋が入っていた袋を背中に背負いながら動き出す。超早歩きだ。逃げるように広場を競歩する。

ノルマが無い仕事と聞くだけで心が弾む。こんな面倒なクレーマーからだって逃げて良いんだから…

 

「おい、待て。」

 

「何か他に用事があるのか?」

 

無視はできないね。俺の寝床は壁際なんだ。毎回変に注意しないといけないのは辛いです。妄想の世界に没入したいです。

 

「うるせぇ。」

 

「ならさっさと芋食って帰りな。夜になるぞ。」

 

「あっ?ちょっ待てよ!」

 

こいつ会話する気ないな。ただのクレーマーだ。真面目に対応するだけ無駄だ。と決めつけて超早歩きで素早く逃げる。広場を抜け裏道裏道屋根の道へと逃げる。

 

そして壁際へと逃げた。無事に逃げ切ったことを確認してから壁を背もたれにして寝る(ふり)をする。ここ一週間はずっとこうしている。ヤクザ少女はどうにかしなきゃと思いながら放置している。程良い関係大切。0か1ではないなだ。0~9と幅広くて良いのだ。

 

特に理由も無いが習慣になってしまった子供達との遊ぶ日々。そろそろ働いて収入がないとなーと組合に行くことにした。明日は組合に行こう。そうしよう。

 

・・・

 

そして一週間後。あれからヤクザ少女の接触は積極的に逃げていた。芋を配り終わったら逃げる。身体能力的には俺の方が高い。ヤクザ少女を適当にこなし、組合の仕事も適当にこなし、子供も適当にこなし…適当にこなしてしかやってないな。

 

まぁ変化が起きたのがついさっき。その内容とは拠点の異常を察知した。内容的に急を有する問題では無いが、ここからどうかするこのが出来る内容ではなかった。

 

なので里帰りします。

拠点へ向かって空を飛んでいきます。走るより空を飛ぶ方が早いからね。

 

さくっと門番の元へ行く。

 

組合証を渡しながらパルシアから出て行く理由を言う。

 

「一度故郷に帰る。」

 

門番さんは優しいのでこれでいける。

 

「おおー、故郷か。いいね~。どれくらいで帰ってくるんだ?」

 

「わからないな。早く帰れるなら帰るだろうとしか言えない。」

 

「んーわかった。いってらっしゃい。」

 

「子供達に何かあれば頼むぞ。」

 

「おうよ任された。」

 

ほら言った通り。これでいける。もし芋がないぞと暴動が起きてもこの門番さんが全てを解決してくれる。ありがたやーー

 

門を抜け走る。最低限人に見られない範囲まで行かないと空は飛べないからね。

彼は素早く拠点へ帰る。四捨五入をしたら約一ヶ月間離れていたが、問題点以外の変化はほぼない。もしもあったら大問題だ。アーツで毎日秒単位で反応出来るのに反応できないとなると、ヤバい事態というか死が範疇に見えてくる。

 

まぁ今回はなかったんだ。気にしなくてもいいだろう。

 

さて問題があるのは畑。芋畑である。

 

別に芋が作れないなどの理由では無い。ただ畑に源石が突き刺さっている。

隕石ではないよ。自然発生?だよ。それも俺が操作できなタイプの源石ね。つまり死活問題ってこと。

 

何を言ってるかわかるか?俺はわかりたくないね。

 

畑に十数カ所。芋を縦に6個、横に2個ぐらいの小さめの源石が生えていた。いつから源石が畑で取れるようになったんでしょうか?たぶんこれ売るだけでウハウハできますよ。原因はどれだけ考えてもわからない。そもそも芋の成長速度の理由すらわからないのに。

 

さてまずは直接触ってみましょうか。

 

畑に生えた、一番近くの源石に触れてみる。

 

だが操れない。他の、地面に生えているタイプの天然物は操れる。加工された源石だって動かすくらいは出来た。なぜか加工はできないけど。まぁ削ることは出来るので使い物にできなくすることが可能ですけど。

 

この畑に生えている源石だって雰囲気だけはあるんだ。

なんか、こう、細胞単位で中に入ってくるって感じかある。だけど入ってくるだけで、動かせるぅ…って感じでは無い反発してくるって感じでは無い。うまく説明はできない。マニュアルが無いことなんだから大目に見て欲しいね。

 

さて考えてもわからない源石は食べるに限る。赤ん坊のように、なんでもかんでも口の中に入れてしまえ!

 

レイヴァブンはしゃがみ込み、畑に生えている源石にかじりつく。ガミガミと口を動かす。少しずつ傷がついていって少し時間がかかった後源石の欠片を飲み込むことができた。

 

そこら辺の源石より全然硬い。というか一撃で噛み砕くことが出来なかった。そしてなんだ!この源石!?

 

プラスチックみたいで土みたいで砂がまぶされた感触がある源石なんて初めてだよ?なんで味があるんだ!まずい!!それに硬いとかニュータイプめ。

 

さては天災の手先だな?……反応がない。どうやら物のようだ。

 

ウエッと源石を吐き出す。

 

消化もできないと。ウーーーム…どうしよう?確かに中に入ってこようとする感覚だけはあるくせに消化できないんだ?チクチクと内臓が痛いんじゃ。

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

私はキャラ育成をする時にSoCとアーツ学が足らないと泣いてます。素材も龍門紙幣も購買資格証もなんだかんだで余っています(レベル上げを考慮しないものとする)

特にSoC。なんであんなに沢山使うくせに36理性とかなんだろう?イベントでも大して手に入らないくせに!

なぜか所持全キャラ昇進1スキル7計画を行っています。星5が一生終わりませんね。なぜでしょう?


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5/20 我らのホーム

いっそのこと細かくなるまで噛み砕いて、飲み込むのは…消化できないなら、小さな針を飲み込んでいるのと大差ないな。

 

地獄絵図だ。

 

そうだと思いつき、手近なじゃがいもを掘り返す。

 

見たところじゃがいもの成長に害はなさそうだ。まぁわかるのは見た目だけで、中は何かしらの変化があるかも知れない。目に見えない範囲で変化しているかも知れない。

 

うーん、これが開拓者の気持ちか。成すことやること全部が未知。俺は未知じゃなくて整備された道がいいじゃーってね。

 

さて、困ったときはポン助先生ですね。

 

(主なに……分身の術覚えた?)

 

…ちゃうわ。気がついたらここに生えてたんだ。どうすれば良いと思う?

 

(取り込んだら?)

 

取り込むって何ですか?ポン助。

 

(……そりゃぁ…取り込む?)

 

なにそれ。取り込むって何。確かに弱い磁石みたいな感じだけど、体にくっ付くって訳ではないし、ただの感覚の話だし。熱で溶かすか。

 

マグマちゃん!目の前の命名不明源石を焼き溶かしなさい!

 

効果は全くないようだ。周囲のじゃがいもが再起不能になりました。

 

解けないじゃん。取り込むってどうやれば良いんだよ。まずは命名不明源石と俺の違いを考えよう。

 

体を構成する物質、源石と恐らく源石とその他。能力、知らんとアーツ。アーツが無理だからその他で挑むしかないな。

 

その他でどうやって……そういえば。

 

俺はアーツで指先はバーっと切り裂く。その傷口からは血がポタポタと流れ出る。

 

あれか?俺の血は煉獄のなんかで、溶かせるのか?

 

アーツを使って、血を命名不明源石にかける。

すると音も煙もなく、無くなっていった。かわりにとても小さな赤い石が残されていた。

 

ビンゴッ。

 

これは勝ちか?勝ちだよな?完全勝利だよな?と思いつつ赤い石を手に持つ。

 

……ガブリ。

 

躊躇無く、赤い石をかじる。だが一欠片さえ削れることも無くそこに存在していた。

 

硬い…だが操れると。

 

アーツを操る要領で目の前の赤い石、赤源石を操作する。爪ほどのサイズしかないが、丸へ、四角へ、三角へ。問題無く操作できる。

 

彼は、手首を切り落し、アーツを使って、畑にあちこちある命名不明源石へ自分の血をかける。すると先ほどと同じく、音も、煙もなく、小さな赤源石へと変わっていく。それを集めて一つの石に変える。

 

塵も積もればということわざがあったが、手の平サイズしかない。

芋6こ分のサイズの命名不明源石が、芋1/12サイズの赤源石にしかならない。対比えぐ。

 

実験は続く。

 

完全な上位互換じゃないですか?うっひょレベルアップだ!

 

手首から血を運んでいく。拠点の外にある天然もの源石へ向かって、振りかける。

音も煙はない。だが解ける様子はなかった。

 

さすがに何か条件があるのか。

 

まぁいい。じゃがいも畑を最大限拡大する。建ててしまった建築物を避けて耕す。

 

さて、赤源石君は……操作できても消えないと。

 

消えないなら身に纏えばいい。

 

最初は量が少ないから胸を中心として全身タイツのように密着させる。その上から肌色の小麦粉で覆い被せる。

 

多少違和感はあるが、問題無……消えた。内側に解けていくように自然に無くなっていった………あー体内に貯まっていく感覚がありゅ。

 

終わった俺のアークナイツが…

 

肌色の小麦粉を元の場所へ戻しておく。

 

とりあえず今後も順調に育ってくれよ、赤源石の原石達よ。

 

ということで抱えていた問題は無くなった。

 

だが問題が……あれポン助は?……いない?え?いない?

 

ポン助がいつの間にか観察業に戻っていた。

ポン助が変わった気がする。なんかポン助が変わった気がする。はぁ…自然分離だっけ?このまま薄っぺらい関係になるのかな…まぁなんとかなるか。その時はその時だ。ポン助もオリジムシだ。このまま頭脳はオリジムシ、姿は源石、その名は擬態人的な何かになればいいよ。

 

さて……このじゃがいもは安全か、否か。調べる必要がある。

 

なのでじゃがいもだけ持って、どこか遠くの国へ行こう。証拠隠滅が楽でございますからね。

 

アイキャンフライーー

 

そう言いながら彼は飛ぶ。腕を治し、とりあえず向いていた方向へ飛び出す。そして地上へ足を着けたのは2日後。雪が降る、寒い寒い村だった。

 

まぁ俺は寒くない。痛覚どころか体温が必要じゃないおうだ。変温動物だね。

 

ついた村は、環境も相まって冷たい印象をより深く受ける。それなりに大きな村だ。

 

だが丁度いいというやつだ。

俺は一人歩く。

 

そして完璧な人がいた。

 

路上の上に寝ている、いや倒れている人がいた。重ね着はしているが震えている。寒そうだ。そして周囲には人がいない。絶好のチャンスだろう。

 

マグマを出す。空間を遮り、暖める。

 

「目覚めなさい……目覚めなさい……」

 

気温は大丈夫なはずだ。温かいはずだ。後は体力があるかだな。

 

「………夢、か?…」

 

「食べなさい。」

 

じゃがいもを放り渡す。

目の前の人はゆっくりと食べ始める。

 

困ったな…これじゃ味がわからない。毒類はなさそうだが。はぁ元気なやつに頼むしかないか。

 

「おまえ…何者だ?」

 

倒れている人が顔を起こす。そして顔を見た。俺は少し驚いた。

頬から耳の後ろまで源石があった。大きい。

 

「何者でもいいだろう?今日が最初で最後だ。」

 

「おまえは…神か?」

 

「そんな……」

 

言われて体を見て言葉を失った。上半身裸の下半身フルメイルだった。すっかりと忘れていた。顔バレだ。逃げなきゃ。

 

「なぁ…神様。天国ってあるのか?地獄ってあるのか?」

 

「……興味などない。」

 

死後の世界に興味はない。そんなあるかわからない世界のことを考えるくらいなら今の世界呪っとけ。どうせ何をしたって変わらないんだから。

 

「…死ぬのか?」

 

「…ああ…どうだろう?わからないなぁ…」

 

目の前の人は源石で塞がれた天井を見上げている。何を考えているかはわからないが、少なくとも、そんな分けないだろと、言いそうな雰囲気はない。

 

ふむ…ふむ…一つ気になることがあるんだよね。どうせ死ぬなら人体実験させてくれーや。

 

「血を舐めろ。一撃で殺してやる。」

 

指先をアーツで切り開き、血をポツポツと垂れ流す。

 

命の保証はない。ちょっと感染者はどうなのか試したのだ。いままでなんだかんだで試せなかった。体に生えてる系は操作できない。かじれるかも知らない。

 

目の前の人は、意外にも何も言わずに舐めた。血の落下地点まで這いずり、血の飲み込んだ。

そこからは俺の時間だ。意識を集中させる。血が、目の前の人の全身へ溶けていくのがわかる。そして何か、とても小さなものを吸い取りながら、消えていくのがわかる。

 

ん?もしかして…いけるタイプ?

 

傷を広げ、もっと血を流し込む。血を一つの大きな水たまりのように繋げながら流し込む。今度もまた何かが吸い付くように集めながら、消えていく。だが今度は全部が消えて行く前に小さな結晶達を残して消えたのがわかる。それを液体のように小さくし、口まで運び上げ、一つの石にする。

 

「ッ…!?」

 

目の前の人が驚いているのがわかる。俺も驚いている。だが目の前の人は何がなんだかわかっていないようだ。

ぁあ……赤源石が弱い磁石のように俺の中に入ってこようとしているのがわかります。お客様!赤源石のお客様!困ります!ぁぁ………赤源石が体内に解けていくように入っていた。

 

「今のは…」

 

俺は無視して、血を頭にかける。目的は体に生えている源石だ。だがいっこうに解けない。おのれ源石……ここまで来たら溶かせやゴラァ

誰かが言ってた。引いてダメなら押してみろ。外がダメなら中からやれ。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。体内から消し取っ手やラァ。

 

「お、おい…ウッ」

 

口に血を流しこむ。一生で一番レベルで集中する。頭へ向かわせる。今度は水たまりのようにではなく、雨よりも小さく、だ。肌と皮膚と源石の限界を丁寧に探し出せ。

 

あった!

 

源石の部分が見つかった。そこに少しずつ血を流し当てる。血は源石に当たると消える。何度も何度も当てる。どれだけ当てても消えないと嘆いていたら、突然その時はきた。

 

頭の源石が粉々になるように消えていった。

 

ハッハ……ハッハァァヒャァ

 

源石が消えて喜んでいたら、わずかに出来た赤源石が俺の体内に入ってきた。これだけで元気が消えそうだ。確かに体内にたまっている感じがある。すでに3%くらい貯まっている感覚がある。こんなんじゃ200を越えた原作キャラ達全員出来ないでしょ!それに他にもやって上げたい人はいるんだからな!

 

てか完全に貯まったらどうなるの?……どうなるの?エェ…怖い。

 

「なんで?」

 

目の前の人が必死に頭に手を当てている。本来源石があった場所を触っている。

 

「さぁ選べ、死ぬか?」

 

ニヤリと笑う。悲しみの笑みだ。

 

俺のアークナイツは既に終わった。

 

ふふふと一人、不気味に笑っていた。だが何時までたっても目の前の人から反応がないことに不思議に思い。意識する。

 

目の前の人はまた倒れていた。だが呼吸は安定してる。問題はなさそうだ。

 

丁度いいと俺は帰る。拠点に戻る。アーツで空気の流れを悪くして、温かい気温が長く保てるようにしておく。

そうしてから飛び立つ。

 

そこで思い出した。

 

じゃがいも安全審査が終わってないやん。近場の村へ行く。もちろん上半身もフルメイルを着け、全身フルメイルになる。

 

安全審査の結果。じゃがいもは問題無いということがわかった。

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

やっと書きたい内容が始まった気がする。気がするだけです。

あと今週だけアークナイツ君のイベント密度すごいっぴ。保安作戦楽しいっす。だが足止めが必須級なのがちょっとイヤーな感じ。我がロドスにはスズランちゃんとポデンコちゃんしか強化していません。運ゲーで負ける……これはデフォルトか?

月次小隊も今日来ましたね。シャレム君!?内容がとても気になります。


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5/21 我らのホーム

拠点に戻ってきて最初にしたことは、家の縁側に座ってぶらぶらと足を揺らすことだった。

 

ほくほくと良い笑顔で足を揺らす。手を後ろについて、楽な姿勢で大樹と空を見つめる。落ち葉が綺麗です。凝った価値があった。なんだかんだとパルシアから離れて2週間たった。つまりお芋作戦から1週間たったってことだ。

 

その間はずっと休んでいた。

久々の休暇は良かった。何もしていないが、幸福感だけはある。すばらしい。

 

やったことといえば守護兵を全部消してドラゴンを作った。二足歩行タイプのドラゴンです。大樹の下で眠っています。2頭です。多くの量を精密に動かすのは面倒くさいと考えて、圧倒的な強者少数の方が良くねと考えて変えた。

 

だがさすがドラゴン。目、瞼、鱗、翼、腕脚、手足、指と動かす所が多すぎる。強者ムーブをするには精密な操作が必要だった。もう1頭だけで良かったんじゃねと思ったが、あの広い空間に1頭は寂しいので仕方ないね。

 

さて、そろそろ休暇は終わりだ。パルシアに戻ろう。

 

フルアーマーを生成し、空を飛ぶ。が途中で、とある村が目に入ったので地面に足を着ける。そしてじゃがいもの入った袋を背負う。村の入口へ向かって歩き出す。

 

たのもう。

 

そう声を上げよと思ったら、先に他の言葉が聞こえてきた。とても小さな声だった。

 

「なぁあの騎士って前に来た奴だよな。」

「背中の袋ってやっぱり恩返しのやつだよな?本当にあったんだ。」

「大丈夫なの?襲わない?」

 

さすが子供。興味津々といった所か。村の中にある家の壁から半分顔をチラッと出して監視しているちびっ子三人組がいた。

 

「子供達。おいで。」

 

小さな声でそう言うと、ちびっ子達はビクッと震えた。戸惑いながら作戦会議みたいに、顔を隠して円陣を組んでいる。なんとも可愛らしい。

 

「おいで。」

 

こう何度も言っていると俺が誘拐犯のように思えてきた。さっさと芋を渡してパルシアに帰ろう。

 

ちびっ子達は遠慮しながらもこちらに小走りで近づいてくる。

 

「なぁあんたって前来た騎士だよな?」

「ちょっと騎士様にあんたって。」

「やっべ。」

「き、騎士様?別に悪気が…

 

「別にかまわへんよ。好きにお呼び。」

 

「ふぇ?」

「へんよ?」

「お呼び?」

 

単語を繰り返し、目をポカンとしている。

 

……ただのお茶目な悪戯じゃないか。そこまで驚く事なくない?

 

「こほん、君たちにこれを上げるよ。村の人達と分け合いなさい。」

 

そう言って芋の入った袋を渡す。

 

「うわぁ…重い。何が入っているんだろ。」

「芋だ!全部芋だ!」

「今夜は芋パーティーだ。」

「恩返しだ!本当にあったんだ!」

「なぁ…」

「重いよぉ、持てないよ。」

「大人の人呼ぶ?」

「いや俺たちだけで…

 

俺は眼中にないようだ。無視もされた。まぁだから何って話だ。

 

「おばあさんにもよろしく言っておいてくれるかい?」

 

「重いよぉ。」

「いやまだいける!」

「もっと熱くなれよ!」

「ファイトー……

 

どうやらお芋にお熱のようだ。お芋程度にここまで熱くなれる子供達。恐れ入った。ちびっ子達などと失礼を、次から子供達と言わせて頂きます。

このまま去っても気づかなそうだ。まぁ楽しそうだしこのまま去ろうか。

 

「また会いに来るよ。」

 

子供達は相変わらず、お芋に夢中だ。このまま去るとしよう。

 

今度こそパルシアへ行く。移動は素早く、あっという間にパルシアの門が見えた。街の様子は変わらずだった。

 

「お、やっと帰ってきたか。レイさんよ。」

 

「ああ、久しいな。」

 

「2週間ぶりかぁ。思ったより早かったな。」

 

「わざわざ数えていたのか?気持ち悪いぞ。」

 

「うっせ、俺は記憶力が良いだけだ。決してお前に気があるわけじゃねぇからな!」

 

「安心しろ。心配などしていない。」

 

ここの門番達とは仲良くなれた気がする。特に交流はなかったが相手がフレンドリーに接してくれるのだ。こちらも若干フレンドーにしなければ失礼という奴だろう。ちなみに今話している門番は初見だ。

 

「さて、証だ。」

 

「おうよ、問題なし。入りな。」

 

「ちゃんと確認したのか?」

 

「おうおうしたした。絶対した。」

 

「信じられんな。」

 

「別に確認することなんてあんまないからすぐ終わるんだよ。」

 

「にわかには信じられんな。」

 

「にわか?」

 

「気にするな。故郷の言い回しだ。」

 

「へぇ何処の?」

 

「秘密だ。知りたかったら自分で調べな。」

 

「お?調べたら酒奢ってくれるか?」

 

「出来たらいいぞ。」

 

「よっしゃ。言ったな?おいおい聞いたなお前ら!全力で探せ!」

 

「おうよ!」

「任せよ。」

「さっそく酒場に行って。」

「行かせねぇよ。」

 

あちこちからそんなやる気のある声がする。まったく中がよろしいことで。約30人を一晩。幣が飛ぶな。死ぬぅ。今幣もってないんだけど。がっつり稼ぐ気も無いんだけど。はぁしばらくは組合付けするか。

 

門番の声を後にし、組合へ行く。

その理由は安否証明と依頼を受けるためだ。

 

中には受付嬢の前にずらりと並ぶ人達。相変わらずだな。俺も俺とて、シウさんの前に並んでいる人達の後に並ぶ。

 

組合に備え付けられている酒場から俺を噂する声がある。まったく野郎に興味わかれても嬉しくないよ。

 

 




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5/22 我らのホーム

「お久しぶりですね、レイさん。」

 

「お久しぶりですシウさん。何か良い依頼はありますか?」

 

「たくさんありますよ。やっと落ち着いてきましたからね。大きく変わったところと言えば護衛系の依頼が増えたぐらいです。何か要望はありますか?」

 

「討伐系の依頼をお願いします。」

 

「討伐系ですね。それだとこのラインラップでしょうか。ちなみにパーティを組む予定ってあったりしますか

?」

 

「申し訳ない。ソロの予定だ…これをお願いします。」

 

パーティ?まだガッツリと生活する気はないからなー。今回は稼がせてもらいます。オリジムシの討伐から盗賊の討伐まで彩り緑。

 

「了解しました。またずいぶんと選ばれますね。」

 

「問題はありましたか?」

 

「いえ大丈夫ですよ。組合証をください。」

 

俺はすっと組合証を差し出す。レイさんはその組合証を一瞥すると手元の紙に何やらを書き込んでいる。

 

「はい。終わりましたよ。それではいってらっしゃい。」

 

レイさんから小さな紙を数枚貰った。

 

「いってきます。」

 

その紙を鎧の中にしまいながら組合を後にする。そして俺はさっそく依頼の場所に向かう。パルシアにいた時間。一時間未満。

まぁしょうがない。欲しい物があって、お金が必要だったのだ。さくっと稼ぎましょう。

 

街の子供達は元気だった。たぶん俺の存在など忘れているだろう。感覚的には従兄弟が家に居るか居ないかの差だろう。ちなみに勉強会などは続いていた。蒸し芋の配布は無かったはずだけどなんで続いているんだろう?

 

まぁ良い。今は拠点の発展を最優先だ。やる気が出て来たのだ。今やらなくてはいつやる。俺は行くぞ。本来の目的は息抜きだったが、今となっては拠点発展の一部に組み込まれてしまったな。

 

素材収集はお金がかかる。本格的に動き出すために動き出すために、黒フルメイル君を世界各地に生成する。その黒フルメイル君を操作するのはポン助です。

 

カラスは卒業して人型になった。ポン助は学習は終え、実技へと動き出す。そして俺は幣を得る。最高だな。行くぞ。

 

・・・

 

あれから半年たった。拠点の発展は順調そのものだ。というかほぼ終わったに等しい。ただ完璧では無い。まだ穴がある。その解決方法は全くわかっていない。むしろ解決するとは思っていない。

 

かなしいな。

 

あの日から順調に資金を増やし費やし、で今だ。目的であった拠点発展は終わり、アーツの方はまぁ……うん。全くなだな。

 

後不思議な習慣が出来た。

 

世界中に黒フルメイルを作ったのが悪かったのだろう。世界中の全ての街に作っていたら問題…それはそれで問題か。

 

さて、不思議な習慣というのは力試し、黒いフルメイルと黒いフルメイルがその力を示すというものだ。事の発端は広い範囲に黒いフルメイルの精鋭が現れた。逃げ足は速く、攻撃力は高く、不意打ちが効かないと来た。さらに仕事を完遂するのは速い。

 

正直黒いフルメイルというだけで、プラスの評価が与えられていたらしい。だから生まれました偽物。正直どうでも良かった。個人的にはお好きにどうぞって所だ。まぁ行くところまで行ったら、俺もヤルけども。

 

だが許さない俺がいた。黒いフルメイルはポン助によって様々な性格が生まれ、最初にその習慣を始めたのは喧嘩っ早い、女フルメイルだった。

 

シャラクセェッ!

 

そう言いながら斬りかかる。そして被害者は片腕を切り落とされ逃げ消えた。それが最初だった。次は堅物フルメイルだった。

 

汝、真実を見せよ。

 

そう言いながら剣を地面に突き立て、決闘が始まった。その日から決闘の文化が始まった。まるで偽物許すまじと言わんばかりに、偽物狩りを始めた。

 

その決闘がいつの間にか、野次馬が生まれ、賭けが生まれといつの間に娯楽になっていた。最近は何処かの街で黒騎士決闘祭なるものが開催されているらしい。

 

この街もその決闘の脅威に侵略されていた。初めての決闘を申し込まれた日は怖かったぞ。いきなりやぁやぁ我こそわーって叫びながら剣を向けられたわ。

 

アーツの方は最終手段に出た。

 

適当な場所に穴を作って俺に瓜二つの僕を源石で作って鎖で全身を縛られている空間を作り出した。もしその僕を解放する人が現れたらストーリが始まる予定だ。

 

記憶喪失、不思議なアーツ、その2つの設定を盛り込んでいる。

 

もしもの時は粉々になって空の向こうへだ。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

正直に言おう。俺はとち狂っている。一種のスランプ状態であろう。

なんだかんだと悩んだ結果。書きたいシチュエーション書くぞと細かい所を無視して進めています。つまり9章を速攻で終わらせる。勝手ながら申し訳ありません。

あと135連で百錬ガヴィル、パゼオンカ2、バグパイプ、カンタービレ4でした。一見勝ちのように見えて負けです。石の備蓄が無くなりました。次の限定で沼ったら死ぬ…


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5/23 我らがホーム

ポン助は進化した。そう、あり得ないくらい進化した。もはや異形とも言える。

 

俺は拠点にいた。家の中、畳の上の上。そこに寝転がっている。俺が上を向くならば、女性の顔が見える。ピンと伸びたエルフのような長い耳。まるで絵のように整った顔の輪郭、シュッとしながらもふわふわに思える髪。瞳はエメラルドのようだ。

 

それもそうだ。俺が作った。

 

目の前の女性は、こちらの視線に気づいたようでこちらの目を見てくる。そして流れるように頭をトントンと撫でてくれる。

 

ホワァ………頭がポカポカしてくる。

 

彼女は俺が作った。やはり源石の色は黒だ。だが材料を工夫に混ぜて完成した一人だ。

 

目はエメラルドを使い、鉄に銅、水に粉や金粉。体は肌色の粉で作り、表面に細工することで感触までリアルになった。

 

今俺は彼女のお膝にお世話になっている。まるで餅のようにモチモチとしている。少しかじってみたい願望があるが我慢しよう。

 

彼は起き上がり、立ち上がる。

 

「どうかされましたか?主よ。」

 

「いや、そろそろ動こうかと思ってね。」

 

彼女は人格がある。思考がある。原理は知らないポン助のなぞ高性能システムで成った。

過程はわからないが結果がある。目の前に事実がある。

 

正直このAI?人工知能?人とチンパンジー?みたいな難しい内容だ。どこまでが人で何処までがそれ以外か。作った物は結局人工であり、どこまで行っても本物になれないのか。

 

考えるだけで頭が痛くなる。まぁ考えなければ問題なし。嫌なことからは逃げてしまえ。俺はそれが出来るタイプの人間だ。

 

家を出ようと歩く。まずは必然的に大樹に向かうことになる。

 

後には彼女が、イチカがついてくる。この拠点は暇だ。暇で暇に暇なぐらい暇だ。食事は必要ない睡眠すら必要ない。ポン助経由で学習しているらしいが、よくわからない。まぁ敵がいない時の拠点はどうしようもないぐらい暇だ。

 

「…アレの所に行くのですか?」

 

いかにも不快と眉を歪めながら言う。

 

「行かなくても来るだろうな。」

 

アレとはイチカと同じ存在だ。最初に作った2人。アメジストの綺麗な瞳だ。少し肌は褐色ぽくて良い。

 

家を出て、湖の上にある橋を渡る。あと2歩という所で大樹から声が聞こえてくる。

 

「主さまぁー!!」

 

聞こえるがままに顔を向けると、人がこちらに落下してきている。正確には違うのだが今はどう考えてもそうにしか見えない。大樹の踊り場からこちらに向かって来ているので落下というには得ない角度だ。

 

落下しつつ腕を広げるのが見える。落下予測地点は俺だ。

 

だから俺は横に飛び。回避する。その人は反応して落下する方向を調整しようとしていたが、間に合わせられずに俺の横にいたイチカにその人は直撃した。

 

回避した理由は至極簡単。後ろのイチカが刀を手で握っており、触れれば○すと意思が見えた。

 

ギューギューとその人はイチカを抱きしめている。その顔は喜びに飢えていた。もはや俺でもイチカでもどちらでも良かったという所だろう。

 

「…すぅ……はぁ…イチカの匂い…畳の匂いがする。」

 

その人はイチカのお腹に顔を埋め込んでいた。ウリウリと顔を左右に揺らしている。

 

「ニミカ離れなさいよ。いい加減離れろ。」

 

イチカは容赦なく蹴りを入れた。ニミカはアーレーと口で効果音を出し、回転しながら飛んでいく。そして地面に倒れた。

 

倒れ続けていた。調子に乗った俺はニミカに近寄りしゃがむ。そして人差し指でツンツンと横腹をつつく。すると背後から蹴りがニミカの横腹に直撃する。吹き飛ばされたニミカはアーレーと言いながら地面に着地した。

 

「……それで、今日はどんな用だい?」

 

「少なくともオマエにヨウはない。」

 

「ちょっと拠点を回ろうと思ってね。」

 

「本当に用事無いじゃん。しょうがないな~~イチカ、ちょっとヤろうか?」

 

「望むところ、今日こそ破壊してやる。」

 

そう言いながら2人は空へ飛んでいき、空中戦を始める。簡単なアーツ生成、操作術を得ていた。理由は知らない。ポン助のスーパーパワーだろう。でもポン助は出来ないのに、彼女たちは出来る……なぜ?

 

まぁいい。

 

後俺が作ったのは拠点に4人、大樹に8人。両方ともイチカとニミカの従者として作った。背中には翼がある。片腕より少し小さい程度の黒い翼だ。その従者達だって簡単なアーツ生成、操作ができる。訳がわからないよ。

 

俺は大樹を横切って住宅地に向かう。

 

「おっルルイエさん!……

「あらぁ~ルルイエさんじゃないですか……

「ルルイエだ!

「こら呼び捨てにするんじゃ……

 

「別に気にしない。少年、好きに呼びなさい。」

 

この拠点での俺の名前はルルイエだ。そしてこの拠点もルルイエだ。わかりやすいだろ?

 

「もう…ルルイエ様…

「ほら!ルルイエだって…

 

そこには1つの街が出来ていた。露店があり、娯楽がある。結構前に周囲の街に契約を持ち出した。俺、源石病治せますよ?お話しませんか?といった風に、あっという間に属国みたいな街になった。まぁ主な関係は食料の供給に対してそれ相応の量に対して一人治すといった感じだ。

 

結果は見せた。後俺が治した人が再び源石病になった結果は無かった。すばらしい。だが体内に貯まっていく感覚がある。ざっと2割。後8割貯まったらどうなるんだか…なんでこんなことに2割も浪費してるんだろう?ちょっと馬鹿みたい。

 

世界中に噂もばら撒いた。この世には最も現実に近い楽園がある。鉱石病(オリパシー)すらも治り、食料の問題もない。もし資格があるのなら住むことが許されるということだ。

 

いろいろと判定基準があるがまぁ良いだろう。知るべき条件をあげるなら長期住み込みは許されない。速やかに周辺の街に移送だ。

 

ちなみにここまでの道は厳重に監視している。誰一人俺の許可無く近づくことすら許されな………ウルサス…

 

まだ遠い。そうまだ遠い場所にウルサス3人が見える。よく知った人達だ。さらにその後にはレユニオンがいた。すぐさま霧を発生させる。

 

もちろんレユニオンはお帰り願って、ウルサス3人は直接このルルイエまでご同行願う。

 

思いは1つ。久しぶりのアークナイツキャラだ!やった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

:報告:

次の章でこの作品は完結させていただきます。
理由としては内容をギャグコメディを想像して書いていたためストーリーに拒否反応が出るようになりました。
原因の始まりは龍門ですね。

これが行き当たりばったり投稿の結果です。

それにともない、約11ヶ月前に募集したロドス登場キャラは持ち越しとさせて頂きます。
次の投稿作品に反映させていただきます。その詳細は最終話に記載します。


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5/24 我らがホーム

木々が生え散らかされた森の中を3人は進んでいた。

 

「まだ着かねぇのかよ。」

 

「…すみません。記憶によると確かに大きめの街があるはずのですが。」

 

「落ち着きましょう。焦っても良いことは何もないわ。」

 

「チッ」

 

それだけ話し合い、また歩き続ける。

1人は熊のような耳を持つウルサス、片手で持つには大きすぎる斧を片手で背負うズィマーという名の女子。

もう1人は同じくウルサス、制服に上着を着込み傷や土埃で汚れながも大切に使われていることがわかる本を持つイースチナという女子。

さらにもう1人は2人の女子よりも大きい。身長と同じぐらい大きな兵器をまるでバックのように軽々と持っているロサという女性だ。

 

彼女達は作戦遂行中に奇襲を受け、見事に分断された所をさらに追撃されてしまい逃げに逃げている最中だった。運が良いことに罠は発見できず、安全な逃走ができているが、一向に街のような休憩できる場所を見つけれず食料が減り続けている点以外は問題はなかった。

 

「霧…?なぜこんな場所に?」

 

まだモヤだが確かに白い空気が進む方向から広がってきていた。

 

「敵か?」

 

「気配は感じられないけど…」

 

3人は背中合わせで周囲を警戒する。だが人の気配どころか小動物の存在すら感じ取れなかった。

 

「……どうするよ。進むか?」

 

「包囲されるよりは良いと思うのだけど。どう?」

 

「同意見です、多少無理矢理にでも突破しましょう。」

 

「よし、お前ら行くぞ。」

 

敵がいると思われる背後に逃げる訳にいけずに、前に進むことになった。いままで歩いて溜めていた体力を一気に開放して前に進む。

 

少しの間走り続けたが1,2m先の木が認識できるかという所まで霧は濃くなっていた。全く変化がなく同じ所をぐるぐると走り続けているのではと思い始めた頃、やっと変化は訪れた。

 

地面が傾斜になり始めたのだ。そこで先頭を走っていたズィマーが足を止めた。

 

「山か。越えるか?」

 

「霧が晴れるまで登ってみませんか?周囲の地形も把握したいです。」

 

「……一気に行くぞ。」

 

彼女達はそのまま進み、山を登った。山頂についた所でもう一度立ち止まった。

 

「霧、晴れねぇな。」

 

山頂のはずなのに霧は続いている。登ってきた量的に小山ということはないだろう。

 

「そうね、このままじゃ籠城も無理そうね。」

 

「それなりに登ったはずなのに…特殊な土地環境とも聞いたことがありません。人工的なものでしょうか?」

 

「それなら目的がわからないわね。今まで襲撃すら無かったわけだし、兵糧攻めかしら?」

 

「なんでレユニオンごときがそんなアーツを使えるんだよ。」

 

部分的とは言え、視界を完全に断つほどの霧。過去には似たようなアーツ持ちがいたが、今はもういない。

レユニオンと決めつけるのは良くはないが、他に候補を考えられない時点で決まったんい等しいだろう。

 

「ここでなら確実に葬れると思ったからじゃ無いかしら?霧を目撃した人はいてもその原因まではわからない。確実に戦力を削るれる、良い作戦ね。」

 

「アーツではなく霧を作り出す機械という可能性もありますね。」

 

「めんどくせぇ、そういうことは後だ、後。食料は残り何日分だ。」

 

「3日…切詰めて4日と言った所です。水が足りません。」

 

「…行く…しかないか。」

 

イーチスナの知識によると街の近くには川があるらしい。つまり探せば水が手に入る。そして川を辿れば目的の街なり村にたどり着くだろう。

 

彼女達は山を下る。乱雑にある木々を避けながら、あるかも知れない奇襲に気を巡らせる。後もう少しで下り終わるというところ、霧が晴れてきた。その代わり見えてきた風景は想像すらしていなかった。

 

木の葉の変わりに見えてきたのは今まで見てきた木々とは比べられないほど大きな大樹だ。そして街が見えた。山に囲まれ、地面の上に木造の家があった。

霧に迷い、気がつけば現実的ではない場所。まるでファンタジー小説の中のようだった。

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

ちなみにイースチナとロサは所持しておりません。ください。

衣装はあります。ください。


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5/25 我らがホーム

進む先すら見えないほど濃い霧を抜けたら、そこには村があった。一見、少し珍しい建築方法なだけで普通の村に見える。だけどここから見える範囲にいる人々の衣服は、とても綺麗に見えた。何かの祭りなのだろうか。

 

やはりあまり現実的ではない事を体験したからだろうか。目の前の光景が異形に見える。もしかしてこれは幻覚ではないかと思ってしまうほどに。

 

「なぁ、これって夢か?」

 

「前兆は全く見えませんでした。」

 

「私もだわ。」

 

山を登って下ったら霧が晴れて、村が現れた。先ほどの出来事を説明すると、たったそれだけの事だ。それなりに戦闘経験を積んだはずの三人が全く気づかないなどあり得ない。

 

この村の特徴といえば、山に囲まれている。そして山ほどに大きい大樹がある。ぐらいだった。

 

地形に関しては、似たような景色を資料で見たことがあった。だが少なくとも大樹は普通に成長したものではないだろう。

さらに言えば霧だ。たとえばその霧が扉のような役割を働き、私たちをここに案内したと仮定すると、すんなりと説明がつく。

 

だけど問題は、誰が、何の為にといったところか。

 

「ここで考えていてもわからないわ。私はあの村に立ち寄るべきだと考えるのだけど。」

 

「回り込まれているってこともまだ無いでしょう。さすがに速すぎます。食糧補給という意味も含めて、行くべきだと思います。ズィマー、どうしますか?」

 

「あなたの判断に任せるわ隊長。」

 

「…確かにここで止まってても意味がねぇな。さっさと行ってさっさと帰ろう。団体行動、いつでも撤退準備はしておけよ。」

 

「「了解。」」

 

ズィマーを先頭として村に向かう。

 

山を越えて強めの風が吹く。大樹が揺れ、その葉がユラリと落ちて行く。手が届くほど近づいたその葉は私の手よりも大きい。その葉は地面に触れる前に塵となり消えていった。その光景を見てなぜか末期の鉱石病が思い浮かんだ。

 

3人は街を突き進む。多少視線は感じるけども嫌なものは無かった。食料や水も買うことが出来た。

 

簡単な探索と簡潔ながら情報収集したところ、異常性が見えてくる。

 

まず明るすぎる。聞いたところ何か祭典があるという情報はなかった。普段の生活にしては活気がありすぎる。そして村の大きさからしてあり得ないほど充実している。

 

食料に関しても、娯楽に関しても。酒場もあるということには驚いた。

 

だけどそれほど充実しておきながら地面は土だ。

 

やはり普通ではないとしか言いようが無い。だがおかしな事を聞いた。

 

パルシアなど、私たちが向かっていた街が周辺にあるらしい。これに関してはよくわからない。だがそれが本当ならすぐにロドスの連中と連絡が取れそうだ。

 

 

そしてルルイエ様という人がいるらしい。ここのトップ。街の人の反応といえば、宗教よりも盲目的だと思った。それにおかしな事を言っていた。

 

どうやらルルイエ様は鉱石病を治せるらしい。

 

ふざけるな。

 

反射的に飛び出しかけてたその言葉は唇ですり潰した。

 

街の人がその人を崇める理由はそれらしい。あと女子供種族を問わず接してくれるやら、生きる選択肢をくれたやら方便が得意なようだ。

 

だがその人のおかげでこの村は存在しているのだろう。そのおかげで一時ながらも充分な休憩と補給ができた。もう用はない。早急にこの場を後にするべきだろう。

 

私たちが来た方向をそのまま進むように大樹がある方へ向かい、通り過ぎる。

 

大樹はやはり大きい。大樹の根元は広場のようで、子供達が遊んでいた。ここでも不思議な光景で、大小さまざまな根が遊具や腰掛けの役割を果たしていた。

 

そんな光景を横目に進み続ける。そこには森があった。

 

すぐ側には子供達の遊び場があるというのにこの森には人が全くいなかった。背後に笑い声が聞こえてくる程度で、酷く静かだ。またもや小鳥の鳴き声一つ無い。

 

森を抜けると、そこには湖だった。湖には見たことがない花っぽい何かが沢山咲いている。そして中央には家があった。村とはまた違う建築方法。

湖の周辺には木はない。そのまま山に続いていた。

 

ここまで来たら驚きはしない。

 

いままでの事を考えるにあの家はルルイエ様のだろう。人が全くいないことを考えると来てはいけない場所のように感じられる。

 

湖を迂回しようと、2人と意思素数しようと後を向いたら、目を疑う光景だった。

 

イーチスナとロサの後に誰かがいた。黒光りする鎧を纏った何かだ。顔は兜で隠れて見えない。だが何より特徴的なのは空に浮き、まるで鎌のような細長く大きな武器を2つを手に持ち、まるで鳥のような翼があることだった。

 

何かを考えるより先に動き出す。

 

「避けろォ!!」

 

飛び出しながら斧を振り下ろす。目の前の鎧はそれに合わせるように、鎌のように曲がった刃の曲線の部分でいなした。そしてもう片方の鎌で横になぎ払われた。

 

ズィマーは攻めること無く、体勢を立て直した。

 

「いきなり酷い者だな。」

 

落ち着いた様子で鎧がそんなことを言う。なぎ払った鎌とは別の鎌は追撃の準備を終わらせたままだった。

 

「いきなり出ておいて何だテメェ?」

 

「襲ってきた分際で何を言っているのだ?」

 

どうやら敵意がないのか、警戒すらされていないのか鎌は元の場所に戻されていた。

 

再び見るとここの村の異常な所を凝縮しても足らないほど異常だと感じだ。鎧については言うことはない。ただ一点翼だけ、その翼があるだけでその感覚は拭えない。宙に浮いているという事実さえ霞んでしまう。

 

その鎧の腕の2倍はある翼、それほどの翼を持つ種族など存在しないはずだった。

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

うーん危機契約……

ほぼリィン単騎で18等級はたまげたなぁ……ぶっ壊れキャラって怖い/信頼度周回助かる


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5/26 我らがホーム

誤投稿を行いました。
申し訳ありませんでした。

誤投稿した内容を確認する前に消してしまったため、どのような感じであったかは不明です。

自動保存された小説は最高です。ハーメルンさん最高。


明らかに普通ではなさそうな存在。だが何よりも知るべき事は、目の前の存在がなぜ、接触を図ったかだ。

 

「それで、いったい何のようだ?」

 

「これより先は主の住まいだ。用が無ければ立ち寄るな。」

 

「…話はそれだけか?」

 

「それだけだ。」

 

主と呼ばれる存在は、ルルイエなのだろうか。だが今はどうでもいい話だ。

 

「それじゃあばよ、お前ら行くぞ。」

 

ズィマーは一人、振り返って遠回りのルートを進もうとする。すると鎧が呼び止める。

 

「ちょっと待て。」

 

「何だよ?近寄らなかったらいいんだろ?」

 

少し腹立ちながらも、振り返る。ズィマーは無視をして強引に進むという手段を選ばなかった。

 

「その通りだ。だが聞きたいことがある。」

 

「へぇ…その代わりに何を教えてくれるんだ?」

 

挑戦的に聞き返す。

 

「答えられるものであれば良いだろう。」

 

それに鎧も、挑戦的に言い返した。

 

「ここはいったい何なんだ?」

 

「なぜ貴様が先に質問する?」

 

「別にいいだろ。さぁ、さっさと答えな。」

 

その答えに鎧は、少しの間を見せる。そして不満そうに答えた。

 

「…ここは楽園。というのが外向けの答えだ。そして最強の管理下に置かれた村というのが貴様達が知りたい答えなんだろうな。」

 

「なんだそれ?」

 

理解が出来ないズィマー更に問う。

 

「質問には答えたぞ、次は私の質問だ。」

 

鎧はその問いには全く答える様子を見せなかった。ズィマーは心の中で悪態をつく。

 

外向け、いったい何処の外に宣伝をしているのだろうか。少なくともズィマーには聞き覚えが無かった。最強に関しては予測がつく。この鎧の主にしてルルイエだろう。だがこの街は随分と大きい、たった一人に管理しきれるとは思えない。だがあれだけの洗脳が可能だったのだ。不可能とも思えなかった。

 

「貴様達は何なのだ?」

 

「…それはどういう意味だ?」

 

「貴様らの存在はなんなのだ?どのような過去を持つ?貴様らの価値はなんだ?」

 

鎧は早口でそういった。その声にはどこか不定な狂気を感じた。

 

「おい、落ち着けよ。いったい何が聞きたいんだよ。」

 

「もういい、なぜ貴様らは主からの認識されているいのだ?」

 

「認識…?」

 

何のことだろうか。彼女達には全くその記憶がなかった。それは主とやらに会ったことすらなかったのだ。

 

「そうだ。まだ数日しかここに存在していなかった貴様らが、なぜ主から意識されているのだ?」

 

「説明しろ。どういう事だ。存在やら視線やら、訳のわからないことを言うな。」

 

そうズィマーが言う。すると鎧は動きが止った。微妙に動き続けていた翼さえ、止め、地面に降り立つ。そして衝撃の事実を言った。

 

「貴様らは主が、常に監視していたのだぞ?」

 

「は?」

 

ふ抜けた声が響き渡った。

 

「ここ数日間は貴様らを見続けていた。落ち着きが無くなり、意味も無く動き回ることが増えた。」

 

「ちょ、ちょっと待てよ。監視?どうやって?いや、今も監視されているのか?」

 

「そうだ。今現在も見られている。主の驚きが手に取るように感じ取れるぞ。この感覚は初めてだ。」

 

「おい!どうやって監視しているんだ!」

 

ズィマーには主の様子などどうでもよかった。彼女にはどうやって、この3人から感知されること無く監視を続けているのかが、知りたかったのだ。これは今後の生活にも関わる重要な事だった。

 

「主は最強、そう言ったはずだぞ?」

 

まるで煽るように、誇るように言った。そして鎧の背後から人影が現れた。鎧はわざわざ翼を納め、少し場所をずれた。その人はずれたことで生まれた道を通りながら現れた。

 

その人はジーッと彼女達を静かに見ていた。すると突然振り返って鎧に向かってチョップする。

 

「このお馬鹿さん。」

 

と言いながら。

 

「あうっ、」

 

気の抜けた声が鎧の方から聞こえてきた。




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1つ言うことがあるのなら、次章を期待してください。


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5/27 我らのホーム

予定通りウルサス3人組はこの拠点に来た。

 

そして一日もたたないうちに、準備を終えこの拠点を去ろうとしている。

 

悲しんだ。

 

俺は案内はしたが、それ以上はしていなかったのだ。

いままでここに来た人達は自然と俺に接触してきた。だが彼女達は違って、興味はあっても用はないといった所だ。

 

このまま会わずに別れるのか?と悩んでいたら根本的なところに問題があった。それは会って何話すんだ問題。そしてそれについて悩んでいたらこんな問題も現れた。

 

なぜ会おうとしているんだ問題。

 

考えてみると、アークナイツのキャラというだけで無条件に接触しようとしていた。会おうとは考えたがそれ以上は、会って何をしようとは考えていなかった。

 

そもそも俺は何をしようとしていたんだっけと狂いかけて思い出した。

推しとあんなことやそんなことをしたいと誓った転生数日目の俺。そんなやつは殺してしまえ。

 

この世にはこんな格言がある。

 

YES!ロリータNO!タッチ

 

我思う、ゆえに我あり。我らは観測者である。ゆえに我らは1人の紳士として日々精進すべきである。

 

端っこのモブ17ぐらいの立ち位置で観察することこそ我らの生きがい。アニメを、2dではなく3dで観察できる喜び。

 

よってこの目で見るためにロドスに加入する必要ができた。俺はいつまでこんな箱庭の中で生きていたんだ。

 

俺はロドスの職員として働く。

 

よし考えよう。考えろ。

 

まず最難関はメディカルチェック……針が通らない強靭ボディ?…保留、次。俺が特別にメディカルチョックを受けなくても良い特別扱いになる…のは無理だと…無いなら作るよな?作るしか無いよな?そんな感じの良い感じのストーリーを考えて行うべきだよな?

 

うんうん。いい感じに温まってきた。

 

ありがとうウルサス3人組。久しぶりに見れて良かったです。

 

満足げに心の中で敬礼していると、彼女達に近づく鎧があった。それは大樹の上に住まう幻の存在(って設定)のヨイチさんです。

浮いているので鎧が擦れる音すら出ない。本当に静かに彼女達の背後に現れた。だが話しかけない。現れただけで何一つ話さない。息も止めている。まるで幽霊だ。

 

そしてウルサスの1人であり、リーダー格のズィマーさんがそれを発見。そして振り下ろされる武器。それを弾くヨイチさん。そしていがみ合う4人。まるで戦闘一秒前だ。

 

そしてなんやかんやあって起こってしまった。

 

「貴様らは主が、常に監視していたのだぞ?」

 

「は?」

 

はッ!?

 

ズィマーと声が被る。俺の側にいるイチカがオロオロしている。それもそのはず、先ほどの狂う所も側で見ていたのだ。大変慌てている。だがそんなこと気にしてられない。

 

こ、こいつばらしやがった。観察って聞こえはいいけど、実際はただのストーカーだぞ。アーツのスーパーパワーで隠れて、バレずに、完璧に観察を行っているのだ。

 

それをこいつはばらしやがった。さらには解説まで行ってやがる。これは反逆行為か?

 

「ちょ、ちょっと待てよ。監視?どうやって?いや、今も監視されているのか?」

 

ほら、見たことか。ズィマーさんが驚いている。これどうやって収拾つけるつもりなんだ?

 

ヨイチさんの顔を見るとあら不思議、自信満々です。絶対後先考えていない。彼女達のざわめきすら興奮材料にして優越に浸ってやがる。

 

まったく、これも主としての尻拭いか。そう思って、彼女達がいる場所へ向かう。側にいるイチカにはちょっと待っててくれと言いながら飛び行く。

 

近づいたので地面に降りて歩く。するとヨイチがこんなこと、無い胸を張りながら言う。

 

「主は最強、そう言ったはずだぞ?」

 

声だけで胸を貼ってむっふむっふ言ってる姿が想像できる。

 

ヨイチの元に向かって歩き出す。するとヨイチが横にずれ、道を譲ってきた。それにつられてヨイチの前に出て来てしまった。目の前にウルサス3人組がいる。

やはりこの目で見るのは、アーツで見るのとは何かが違う。

 

彼は見るだけ見たが特に話す事も思いつかなかったので、振り返りヨイチを見る。

 

「このお馬鹿さん。」

 

そう言いながらヨイチの頭をチョップする。

 

「あうっ、」

 

まるでほのぼの系キャラのやられ声だ。

 

 

 




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5/28 我らのホーム

さて、この状況。どうやって収拾をつけようか。

 

目の前には脳天気にも武器を手放し宙に浮かせ、痛い痛いと痛くもないのにチョップされたおでこを触るヨイチ。背後には、ストーカーされてます宣言された美少女ウルサス3人組。

 

いちおうヨイチのおでこをもう3回ぐらいチョップする。

 

特に意味はないが、チョップする。ヨイチは状況を理解していない。あのまま帰ってもらっていたら、何事も問題無くお話が終わったというのに…もう10回追加だ。しばらくは延長行為を続けよう。どうせヨイチは主は全てを解決するとでも思っているんだろう。なぜ苦労を押しつけてくるのだヨイチ、そのように育てたつもりはないぞお父さんは。

 

「主よ。どうしますか。」

 

無駄にチョップすることで会話と会話の間を引き延ばしていたところ、ヨイチがチョップされながらそう言ってきた。その理由は背後で動きが少しだけ会ったことだろう。

 

3人はコソコソ話を始めていた。さすがに延長しすぎたようだ。

 

彼はこれでいいかと、雑に終わらせようと声をあげた。

 

「ふーむ、帰って良いよ。用はない。」

 

後を向かずに、手だけを振りそう言う。

 

ルルイエにとって彼女達に用は無い。実をいうならば最初からなかったのだが。

 

今の俺では、印象が悪すぎる。ルルイエとしての俺は、このまま管理職として住職してもらおう。このままじゃラブコメすら始められねぇよ。そもそも権力者だと青春みたいなことできない。物理的にも精神的にも距離があるんよ。

可能ならこのまま監視されてる宣言を忘れて頂いて貰えると嬉しいな。

 

「ヨイチ、ニミカ行きね。」

 

ルルイエはそんなことを言いながら大樹の方へ歩く。

 

これ以上会話はやってられないと、無理矢理逃げることにした。ちなみにニミカ行きとは、ニミカに鍛えて貰う以上だ。これでヨイチの3日は消えた。もしかしたら5日ぐらいまでは消えるかもね。

 

「エッ?」

 

悲鳴に近しい戸惑いだ。それに続くように、ズィマーが声が聞こえてきた。

 

「ちょっと待て。」

 

この時、俺は結構驚いていた。得体の知れない存在に声をかける勇気はすごいものだ。さらに権力者の不興を無駄に買う恐れもあると来た。

もしもこのまま彼女達が見逃されて帰れば、みんなハッピー。これ以上事態は面倒くさいことにならない。はぁ…確かにわからないこととかストーカーやらふざけんなって思うことが沢山あるのはわかるよ。

 

だからこそ大人な対応を求む。一方的な対応を。

 

ルルイエは歩みを止めない。彼女達の声を無視して、微動だにせずに一定の速度で歩いている。ズィマーはそんな様子に腹が立ちながらも声をあげる。

 

「お前は治せるのか?」

 

その言葉にルルイエはピクッと反応を示し、立ち止まった。

 

何が、とはいないが治せると言われて思いつくのはたった1つの病。

 

ルルイエは考える間も無く、首だけを反り返し後を見ながら言った。

 

「それが本当だったら、何か問題が?」

 

真顔でそう言い放った。

 

本当は何か問題が、とだけ言おうと思っていたが自然と言葉が付け足された。もし、それが嘘だったら、と言えば悪役確定演出だっただろう。何か問題が、だけであれば煽り文句になっただろう。何気に良い感じにお話が終わりそうだった。このままクールに去れば…

 

「帰れ。」

 

ルルイエは続け様にそう言った。

 

それはウルサス3人組に対する命令のようだが、ルルイエにとって相手が違う。

その目的の相手とは、彼らの周囲に囲むように浮いている彼が作った人々だ。運が良いことに見える範囲にはいないが、その気になればいつでも手が出せる距離にはいる。

 

ウルサス3人組が怒りに身を任せて動きだそうものなら、すぐさま殺す為の攻撃が彼女達に向かって行われていたことだろう。なんでここに大集結してるんですかね?こんなに数いらないだろ。これは説教ですね。

 

周囲にいる人々は静かにそこを去って行った。2人を除いてだが。頼むから何もしないでくれよ。

 

ルルイエは前に向き直し、歩く。少し驚く事にヨイチがずっと何もしなかった。いつもなら会話の隙間を狙って、小言をボソッと何か変なことをつぶやく所なのだが…口の代わりに顔でつぶやいていた。表情筋が豊かだな。変顔大会したらヨイチが優勝しそう。

 

ルルイエはウルサス3人組が見えなくなった所で、浮き大樹の木と葉の隙間へ行く。そこには木で出来た広場があった。ルルイエに続くように、ヨイチとイチカとミニカが広場にたどり着いた。

 

3人だけか。まぁいい。まずは3人だ。

 

「正座。」

 

俺はそう言いながら正座をした。ヨイチもわかっていたようで素早く正座する。イチカとミニカは「私もですか?」や「なんで私まで!?」と言った。連帯責任である。上司としてきっちり責任取ってください。別に無能な部下ではない。ちゃんと寝ずに365日働けて、統率力あり、有能である。ただ個々の意思が強く、よく争うだけだ。上司が上司としての機能を果たしていない。唯一完全的な機能を果たすのは戦闘場面だけだ。

 

「まずヨイチ。なぜ彼女達の前に現れた?」

 

「それは主が「それは俺を理由とした言い訳だ。」ただ、珍しい人が来たので1人の観光ガイドとして、充実した生活「ヨイチの仕事は大樹、もといこの街の守護だ。」この街を守るため、怪しい人物を「それを判断し、最優先で行使するのは俺の役目だ。」ただ…」

 

説教をしている間に、イチカとミニカも正座を始めた。別に正座をする理由はない。雰囲気作りのためだ。まぁ我々に足の痺れなどは感じない。本当に雰囲気のためだけだ。

 

 

ウルサス3人組は何も言うこと無く、そのまま山を越えていった。その後、どうするのかルルイエにとって気になることではあったが、知らないほうが楽しめそうなので無視することにする。もしも暇であったらモニタリングしていた所だっただろう。

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

これで今章は終わりです。
次の章が待ちに待ったお話です。3本の指に入るレベルで書きたかった内容です。


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6/1 進出のアドバンス

 

「……むむ、これは変だね。」

 

それは、なんて変哲も無い依頼の途中だった。普段から縁がある会社からの配達依頼。そこまで遠距離ではなく、1週間もかからない程度で終わる内容。見慣れてしまった道を、車で移動していた時だった。

 

それは視界に入ってきた。昼間だというのに、残っている複数の煙。その煙の発生点には中規模程度の野営地があった。車の通り道から見えるほど近場。自然と目線がそこにいき、その姿を見せる。

 

その野営地には人がいなかった。だが不自然なまでに静かだった。

 

彼女は車を止め少し考えた後、警戒心と少しの好奇心を持って車から降りて野営地を見ることにした。そして今現在に至る。

 

その野営地はおかしかった。

 

まず、人がいない。少なくとも見える範囲には、人の形をした何かはなかった。

 

4つほどたき火があるが、近くに鍋など料理をした形跡がない。そして火種は炭に埋もれながらもしっかりと残っていた。椅子として使われていただろう岩や木の近くには、木製のコップが倒れていたり、倒れてなかったり。その中身は酒で、アルコールの匂いがぷんぷんする。

 

野営設備はしっかりと残っており、コンテナには武器も食料も残っている。テントも綺麗で、荒らされていたり、引き裂かれていたり、血の痕は残されていなかった。

 

ここまで整った野営地でありながら、護衛の1人すら見えない所を見ると、これは囮で私は罠にかかった獲物か、全てを捨ててでもここを放棄しなければいけない理由が出来たかの二つだ。

 

だが略奪された様子はないし、残された物から焦りを感じられない。

 

彼女は野営地から意識を外し、周囲を見る。だが異変を感じれない。空気の動きどころか人の気配すら無い。そこで彼女は遮る木々もないのに、風の動きが無いことに疑問を抱いた。その空間は、アルコールの匂いが充満していた。

 

すぐさま、腰に装備している2本の杖をその手に持つ。そして目を細め腰を軽く落とされる。彼女の小さくて長く黒い尻尾が小さく揺れた。

 

だが動きがなかった。ここまで音沙汰がないと、警戒心が揺らいでくる。

 

結局彼女は、車に戻ることにした。襲われるとしたら、車に乗る瞬間か、車の通る道に地雷が仕掛けられているか、ただ単純に待ち伏せか、いずれにしても今わかることではなかった。

 

彼女は武器を手に持ったまま歩き出す。

 

あと数歩で車に着くというところで、大きな風が動いた。彼女の長く美しい金青色の髪と黒く、白寄りの灰色の毛皮が部分的に装飾されたフードが大きく動いた。

 

それと同時に、彼女の鼻に血の匂いを運んだ。

 

風はすぐに止んだ。彼女は風向を見る。少し遠くにだが、大きめの洞窟がそこにはあった。洞窟の中が黒く見えることからそれなりに深いのだろう。

 

彼女は考える。

 

このまま車に乗って配達に戻るか、洞窟を覗いてみるか。思考時間はそこまでかからず、答えはすぐに出て来た。

 

彼女は好奇心に負けた。配達の物はどうせ弁償ができる物だ。そんな物より、目の前の答えの方が気になってしまったのだ。

 

彼女は武器を持ったまま、ひっそりと歩き出す。目的の洞窟まではあっという間だった。

 

洞窟の外から中を覗くが、遠目から見た通り、暗く見えなかった。

洞窟の大きさは、縦は2mあるかどうか、横も2m程度。正方形の上半分が半円になったような穴だった。

 

洞窟の奥から血の匂いがした。

 

彼女は一瞬背後を横目で覗く。そこにはまだ無事である車がある。ここほど距離があるならもう手遅れだろうと、彼女は割り切って洞窟の中に進むことにした。

 

彼女は堂々と真ん中を通る。その影はなぜか地に4本の足を付けて進む、神々しくも厳密な竜のように見えた。

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

どとうの9割説明 

もしもこれで登場人物が誰なのかわかって貰えると嬉しいです。文章力上がったのかな?と喜びます。 

次回ちゃんと名前が出て来ます


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6/2 進出のアドバンス

進むたびに血の匂いが濃くなっている。そして暗さも増し、足音の反響音も大きくなってきていた。意外と小さな洞窟らしい。

 

想定通り、彼女がコツコツと歩いているとあっという間に洞窟の終わりが見えてきた。

一気に空間が広くなる。そしてその空間の形がわかる程度には明るくなった。だが光源が見えなかった。この洞窟全体が、ほんのりと明るくなっているようだ。

 

だが彼女の思考はそんなことよりも、そこに空間の中央にあった者に奪われた。

 

それは人のような者だった。

 

過剰なまでに鎖が全身を巻き付いている。その者は跪いていたが下半身が鎖で埋まるほどの量だった。だが腕と首の部分に肌色が見えたことで、辛うじて人ということがわかった。その者は小さかった。そして俯いている。しかも長い黒髪をしている。

なのでどんな顔をしているかわからなかった、だが大きく黒い角が額にあることはわかった。

 

その者は手枷で両手と天井が繋がれていた。

 

血の匂いは間違いなくこの部屋からした。だけど目の前の者以外にこの洞窟には物が存在していない。血の痕も存在していない。

 

彼女は試しにわざと大きな足音を出しながら一歩踏み出す。擦れるようにガッとした音が鳴った。だが目の前の者は微動だにしない。

 

彼女は近づいた。その者と1mほど離れてぐるりと回ってみる。横顔を見て、その者は瞳を閉じているということはわかった。息をしている様子は見えない。もしかして彫刻だったりするのだろうか。

 

彼女は好奇心でその者の手首と天井を繋いでいる鎖を触ってみた。

 

するとその触った場所から浸食するように鎖が砕け散り、小さな黒い粒へと姿を変えた。

 

彼女は目をその者に固定しながら洞窟の入口へ向かう。

 

小さな黒い粒は嵐のようにその者の全身を覆い被した。そして不自然に、外から突風が来た。

それに彼女は一瞬だけ目を瞑ってしまった。

 

彼女が目を開くと、鎖が存在していないその者が洞窟の中央に立っていた。全身を隠すように黒いマントを装備した、黒髪黒目で黒く大きな角を持つ人が存在していた。

 

彼女はひっそりと背中を汗で濡らした。

 

・・・

 

それは俺がルルイエでいつものように適当に過ごしていたときだ。

 

最近は自分で動くよりもアーツで作った人を動かす方を優先させている。もはやこの拠点にも興味が無くなりかけていたとき、3つ目に作った伝説作戦の罠にそれは来た。

 

最初は野党が来たなぁ……と思った。全く知らない中規模野党だった。

 

暗く光りすらない洞窟だ。自然に出来たとしたら不自然なほどに整っている。まるで丸底フラスコを横にしたような形だ。

 

その中央には人形のような者があった。それはアーツで作り、角をつけ、髪を伸ばし、彼そっくりに作られた意思を持たない人形だ。まるで服のようにその人形の全身には鎖が巻き付いている。鎖で足が見えない程度には量がある。そして手は片手ずつ枷で天井と繋がれて封印されている。という設定だ。

 

不幸な事にも、中規模野党はその人形に触ってしまったので物理的に消した。これを気に触らぬ神に祟りなしと言う言葉を心臓に刻んで欲しい。酒に酔っててなんて言い訳は聞かない。なむなむ。

 

そこで終わるはずだった。俺はまた別の事に意識を向けようとしていた時だった。

 

彼女がその洞窟に近づいてきたのは。

 

濁ったようにも見える天使の輪っかに天使の翼。そしてサルカズの黒い角。青い髪に、汚れながらも清潔感が見え隠れする黒と白を主張とした服装。そして短パンブーツに可愛らしくも美しい長いデビルのような尻尾。魑魅払いは最高だ。彼女の前では全ての人がスタン+移動速度を最低にされるだろう。さらには彼女の魅力の前には鼓動が早くなりアドレナリンが飛び出てくるだろう、そして逃げる事が出来ない範囲攻撃が襲ってくるだろう。

 

モスティマ (Mostima) [莫斯提马]

 

それが彼女のコードネームだ。

 

それに俺は急遽、伝説作戦を中止する。そして新たなルルイエを作り出し、側にいるイチカに旅に出る。もしかしたらすぐ帰ってくるかもしれない。そうじゃなかったらしばらくは帰ってこない。ルルイエは頼んだぞーと言いながら飛び出す。

 

俺は全力でその場所に向かう。

俺は成り代わらなければならない。その人形を消し去り、その場に俺がいないと意味が無いのだ。人形操作すれば実質モスティマと一緒だね、のような話をするやつは敵だ。面倒くさいメンヘラだ。そっと関係に壁を建設しておこう。

 

見ているだけでいい?YES!ロリータNO!タッチ?

 

なんだその陰キャは、ばっかじゃ無いの?あ、推しとあんなことやそんなことをしたいと誓った転生数日目の俺は死んで良いと思う。

 

別に見るだけならアーツ越しでできる。だけどこの目で見るとアーツ越しは天地以上の差があるんだ。つまり必然的に接触はしてしまう可能性がある。たった数時間かもしれない。だけどその数時間でもモスティマと共に過ごせるのなら、それでよかった。可能性が低い伝説作戦を捨てて確実得られる祝福の時。

 

つまりイーサン枠でいこうと言う話だ。

 

イーサンと違う点があるとすれば、俺のことなんか忘れる事を推奨するし、悪戯はしない点ぐらいだろうか?

 

まぁいい、たどり着いた。

 

アーツで良い感じの演出をしながら現れる。黒く小さな嵐が消える時、目の前にはモスティマがいた。

 

 

 

 




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6/3 進出のアドバンス

不気味な空気が双方の間を流れていた。そんな中、先に動いたのは目の前の人だった。その人はただ目を閉じた。

 

モスティマはその内に動こうと思ったが、動くに動けなかった。その人を瞳を閉じているはずなのに、見られているという感覚が抜けなかったのだ。

 

そしてその人は目を開ける。まるで準備は終わったと言わんばかりに。

 

「こんにちは。」

 

小さな空間で放たれる言葉は小さな声でも反響し、響くようにエコーがかかていた。透き通るような声だと思った。だが彼女達を取り巻く環境からしては、とても似合わない声だった。モスティマは自然と妙な間を開けながら挨拶を返した。

 

「こんにちは。」

 

その言葉にその人は、満足したかのように軽くうなずいた。その様子を見て、モスティマは話の通じるタイプの人間なのではと思った。なので試すように声をかける。

 

「君は誰なんだい?今のはアーツなの?」

 

「誰?…残念ながらその答えはわからない。自分が何者なんてわかっていないんだ。アーツも同様にいまいちわかっていないんだ。」

 

特に変わる様子を見せず、もごもごと口を動かしていた。それで良く聞きやすい声が出せるものだね。

 

「うーーん。とりあえず敵では無いってことでいいのかな?」

 

「それは間違いない。」

 

「じゃあこのへばりつくような血の匂いはなんで?」

 

その力強い言葉と共に彼女はその人を警戒するような様子を見せた。だけどそんな様子に反応すらせず、またもや口だけをもごもごと動かした。

 

「決まりに乗っ取り、資格がない者は淘汰された。運が悪かった奴らだ。」

 

「私にはあったと?」

 

その人の言い分によると、あの鎖は別の何かと考えていいのかな。そういえばその鎖は何処に消えたんだろう?

 

「そうだ。そして決まりに乗っ取り、願い事を叶えよう。」

 

「願い事?」

 

決まりに願い事。私は占い屋にでも来てしまったのだろうか。

目の前の人は不思議な雰囲気だったが、それは言動にも当てはまることがわかった。

 

「助けたい人はいるかい?殺したい人はいるかい?やりたいことはあるかい?何でも良い。僕が出来ることで国を揺るがすような事で無ければ何でもやろう。」

 

急にうさんくさくなった。だけど不思議と嘘って感じもしなかった。

 

「…遠慮しておくよ。特にやりたいことも今はないし。」

 

それにやりたいことは自分でやるし。心の中でそう思った。

 

「わかった。いつでも言ってくれ。」

 

その人は特に機嫌を悪くすること無く、いつも通りの声音でそう言った。そしてそこで会話が途切れた。

 

モスティマは少し、いつでもの言葉の意味を考えて、これは願い事を言わないと着いてくるのだと思った。なので適当に言う。

 

「じゃあおいしいご飯を出してよ。」

 

「物理的に不可能だ。」

 

どうやらおとぎ話の妖精みたいなことは出来ないらしい。

 

「お願い事はいいよ。興味ないし。」

 

「別にそれでもいいが、願い事を言うまで着いていくことになるがいいのか?」

 

「以外と面倒くさいんだね。」

 

「決まりだからな。あとある程度までの内容であれば願い事と認めない。」

 

「それはまたなんで?」

 

「僕が君を気に入ったから。」

 

本当に面倒くさくなったモスティマは尋ねるように言った。

 

「……それじゃあ帰るよ?」

 

「好きにすると良い。」

 

「うん。」

 

モスティマはそう言って後ろ歩きで顔を合わせたまま、ゆっくりと歩く。するとその人も歩き出した。そこでモスティマは足を止めた。そしてその人も足を止めた。

 

不審に思ったモスティマは尋ねた。

 

「どうしたのかな?まだ何か用事があるのかい?」

 

「僕には何も無い。ただ願い事を待っているだけ。」

 

「本当に着いてくるつもりかい?」

 

「ご所望なら姿は消すが?」

 

それは言葉通りの意味だろうか。視覚的に消すのか、物理的に消すのか。まぁそんなことよりも

 

「そのお願い事やらが叶うまで着いてくるつもりなの?」

 

「願い事のことさえ覚えていれば良い。姿を消す。気配も消す。全ての存在感を消す。意識しても僕のことを認識できないようにしてあげるよ。」

 

「面倒くさいね。」

 

そしてよくわからない人だ。

 

「残念なことに君は気に入られちゃったからね。諦めることをおすすめするよ。」

 

その言い方だと自分の意思とは別にと聞こえてくるんだけど。これは本当に面倒くさい人に見つかっちゃったってっ感じだね。

 

「君、名前は?」

 

「…それじゃカセロ。」

 

「ソレジャカセロ?変な名前だね。」

 

「それじゃはただの言葉だ。カセロ。それが名前。今決めた。」

 

「決めた?元々の名前は無いのかい?」

 

「同じ名前は味気ないじゃ無いか。」

 

「それって必要?」

 

「存在感を残さない上では必要だね。」

 

「ふーん。」

 

過去にも私みたいに絡まれた人はいるってことか。

 

「ま、いいや。じゃ存在感消してね。」

 

「わかった。」

 

その人はそう言う。だが言ったきり動かない。

 

「どうしたの。姿を消せるんじゃ無いの?」

 

「物理的に不可能だ。1度離れてくれたら出来る。そのまま元の目的に戻るといい。」

 

視覚的に消すみたいだね。

 

「それじゃあね。」

 

「呼べば現れる。好きにするといい。」

 

モスティマはその言葉を別れとして、洞窟を出て行く。

車は無事だった。そのまま乗り依頼の場所に向かった。

 

 

 




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今回のイベントストーリーは私を再びアークナイツの沼へ嵌めた。

実はライン生命って表向き研究会社の裏で大悪の秘密結社的立ち位置だと思ってました。

皆様は公式ホームページでコミックをご覧になられましたか?あれは素晴らしい物です。

そしてつくづくこの作品を出すのはアークナイツが完結してからだったなと思いました。認識の違いとか読み込みの甘さとかいろいろもろもろです。


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6/4 進出のアドバンス

「……よし。依頼は終了だ。ありがとうモスティマ。」

 

「今後ともご贔屓に。それじゃ帰るよ。」

 

無事に依頼の輸送は終わり、今依頼の物を渡し終わった後である。すぐ帰ろうかと思ったが、せっかくなので少し観光してから帰ろうかと宿をとった。

 

そして夜。結局、ちょっと昼寝と寝っ転がった夜になった。やはり先に宿をとったのは間違いじゃ無かったね。

 

そうだと思い出し、彼の名前をつぶやいた。

 

「カセロ…いる?」

 

薄壁一枚貫通することはないほど小さな声だった。まだ呻き声の方が大きいだろう。だが少し時間がたったが何の変化は無い。

 

彼女は部屋のドアを開けてみた。

 

もしかしたら、カセロは普通に歩いて来ていて、受付の人に呼び止められているのではと思ったからだ。カセロは物理的に不可能なことは無理だと言った。なのでいきなり目の前に現れるなんてことは無いだろう。そうなると道は2つ。ドアか窓だ。

 

ドアの開けて出来た隙間から耳を澄ますと、争い声はしない。隣の酒場が騒がしすぎて聞こえないだけだろうか?

 

と思っていたらいきなり背後からガタンと音がした。後を覗くと、窓が開いて黒いフードの鬼族の子がそこに居た。

 

「お待たせ。さてどんな用事だい?」

 

「…思ってるより遅かったね。」

 

「悪かったな。力も無ければ速さも無いんだ。」

 

「じゃ何があるんだい?」

 

「…技術…とか?」

 

「へっぇ…どんなことが出来るんだい?」

 

「何をして欲しい?」

 

「そうだね…まずはご飯を買ってきて。」

 

「……どんな物がご所望かい?」

 

「そうだねー、肉系を頼むよ。あとは…適当に果実も買ってきてね。」

 

そう言ってカセロに幣を投げ渡す。モスティマは完全に使い走りにするらしい。カセロも特別不満があると言う様子は無く。

 

幣を受け取って、モスティマと幣を交互に見つめた後、「少々お待ちを。」と言いながら窓を頭から飛び降りていった。

 

そして片手に丼とバナナを持って窓から帰ってきた。

 

「おぉーー~~!やるねぇ。だけどバナナって気分じゃないな。リンゴが良かったね。」

 

「おつりだよ。そして今から買ってきましょうか?」

 

「いや、そこまではいいよ。ご苦労さん。」

 

早速モスティマはスプーンを握り、丼をおいしそうに食べる。そして半分程食べた終わった頃。

 

「…君も食べる?」

 

「いやいいよ。」

 

「ふーん…普段は何を食べているんだい?」

 

「生憎と何も食べなくても生きていけるものでね。」

 

「それは本当かい?」

 

モスティマは持っているスプーンの動きを止め、顔をカセロの方へ完全に向ける。

 

「僕は嘘つかない。」

 

「じゃ君はなんなんだい?種族は鬼族なんだよね?」

 

「鬼族ではないな。自分が何者なんかなんて知ってる方が少数派なのでは?」

 

「うーん…物は食べれるの?」

 

「いちおう。」

 

「食べたものはどうなるの?」

 

「知らないなー。少なくとも排出されたことはないね。」

 

「わーお。」

 

しばらくカセロを見た後、止めていたスプーンを再び動かした。遠慮無くパクパク食べている。まるでカセロが居なくなってしまったようだ。カセロは守護霊か何かになってしまったのだろうか。

 

無言で食べ進めて、あっと言う間に無くなっていった。モグモグだった。

 

「次は串を頼むよ。3本くらい。」

 

「じゃ4本買ってくるよ。」

 

「はーい。」

 

軽い返事が返される。まるで幼なじみだと勘違いしてしまいそうだ。一生、下僕な人生も悪くないのではと思うカセロであった。

 




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私が書きたいのはここじゃないんだ。ここは妄想で充分なんだ。



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番外編 

たった一言を書くために用意した内容。

どうせ流れ的に出す場所が無いので100話記念として出しておきます。


旅は道連れ。世は情け。そう神様がそう言った気がした。

 

目の前には6人の子供。こんな森深くにいるのは珍しいなんてものではない。周囲には街どころか村どこか川すらもない。ツチノコレベルである。

 

この子供達が言うことをまとめると助けてくれ。以上だ。なぜ?と疑問に思っていたら6人の子供の中に知っている顔が1人だけいた。少し前にオリジムシに襲われていた子供だ。その時は確か少しフレンドリーで謎の旅人を演じた。そういえばスラム街から逃げてきてサバイバル生活してるって言ってたっけ?

 

演じた理由?子供の反応が楽しかったから。以上。

 

子供達が言うことを要約すると弟子にしてくれ、だな。よしきた産業。きっちりみっちりしごいてやる。さてまずは1つ名言を残しておこう。

 

「パワーイズチカラ、スピードイズハヤサ、テクニックイズギジュツだ!」

 

そして特訓生活が始まった。連携、反射神経、ギジュツを叩き込んだ。そして俺が満足出来るレベルに達成した。

 

「お前達はよくやった。もう教えることは無い。弟子卒業だ。」

 

「「「「「「はい!師匠!」」」」」」

 

よし、今なら出来る気がする

 

「弟子の心得ッ、詠唱!」

 

「「「「「「パワーイズチカラ、スピードイズハヤサ、テクニックイズギジュツ!」」」」」」

 

洗……訓練完了。もう教えることは無い。悔いも無い。満足……満足………満足!!??

 

アーツレーダーにヒット。近いぞ。Wファミリー!!

 

Wファミリー。幼少期Wを支えた傭兵集団である。つまり子供Wをこの眼に焼き付ける事ができるのだ。

 

「お前達、あちらの方へ行きなさい。人が居る。特別悪い奴らではない。仲良くしてみろ。出来なきゃ逃げろ。」

 

「逃げる?戦っちゃだめなの?」

 

「ダメだな。」

 

「仲良くする理由はなんですか?」

 

「秘密だ。」

 

「了解です。」

 

「そうだ、一つ助言しておく。仲良くしすぎるな。以上だ。」

 

「師匠、意味がわかりません。」

 

「どうしたんだラミ。いつも通りだろ?」

 

「……そうだった。…卒業しても変わらないままなのか。」

 

「まぁ気にするなってやつなんだろ。」

 

「さぁ最後なんだ。行く末に。」

 

コップを天に掲げる。

 

「人生に。」

 

「命に。」

 

「飯に。」

 

「師匠に。」

 

「運命に。」

 

「仲間に。」

 

「「「「「「「乾杯」」」」」」」

 

囲んでいたたき火を真上で7つのコップがぶつかる。そして7人それぞれはその中身を飲んだ。

 

「燃えかす臭い……せっかくの酒が…」

 

「灰が口に入ったかも…」

 

「おいしくねぇ。」

 

「まぁ…最後だ。良い経験になったろ?」

 

「別に知らなくて良いことでは?」

 

「灰の味なんて知りたくなかった。」

 

「せっかくの酒がまずくなっちまったろ。」

 

「………悪かったって。」

 

たき火の処理を終え、本当の別れが訪れた。その最後に言葉はなく呆気なくも素っ気ないものだった。6人は先ほど指さした方向へ歩き出した。

 

そして俺はそれを中距離からモニタリングする。

全ては幼少期Wを見るために。居るということは確認出来た。さぁ弟子達。恩返しの時間です。私に推しを見せなさい。

 

時は過ぎ、あっと言う間に弟子達はWファミリーと接触した。だがそんなことはどうでも良い。子供Wはどこじゃ。

 

彼はアーツで単眼望遠鏡を作り出し、必死に幼少期Wを探す。だが見つけられない。弟子達が良い感じに打ち解けているというのに、何処だW。

 

木の陰から必死に望遠鏡を動かし続ける。ついに単眼望遠鏡2丁持ちなった。そんな時だった。コツッ、そう硬い物が弾かれる音がした。それと同時に実質双眼鏡が爆発した。周囲に爆煙が漂う。急いで、実質双眼鏡と共に爆散した服を作り直し爆発をさせた主を見る。

 

間違いない。うわの空よりも幼く、装備が充実している子供Wだ。黒く少し大きめなマントを付けている。腰にたっぷり荷物が装備されている。恐らく全部爆弾だろう。

 

「…直撃だったと思うのだけど。なんで生きてんの?」

 

次に投げるであろう手榴弾を手鞠のようにもてあそんでいる。

 

「ずいぶんな挨拶だな。死ぬところだったぞ?」

 

「傷一つないくせに…」

 

「その威力だとかすり傷なんてあり得ないだろ。死ぬか重傷か無傷の3つしかないはずだ。」

 

「あっそ。」

 

……どうしよう。こんな状況は想定していなかった。影で微笑んで何処かへ消える予定だったのに。

 

「どうしてこんな所にいるんだ?」

 

「そんなことはどうでも良いでしょ。大切なのはあんたが地雷原の中心にいるってこと。」

 

「嘘だな。」

 

アーツで調べたが、至って普通の地面だ。何かが埋め込まれている様子はない。

 

「なら一歩後へ踏み出してみたら?そして死んで、」

 

「ふん。」

 

全てを言い切る前に後に足を運び地面を踏みつける。そしてみっともなく地団駄をする。だが一向に爆発する様子はない。

 

「どこに地雷があるんだ?」

 

「チッ」

 

「…ま、そう怒るなよ。俺はもう帰るし。また機会があったらな。」

 

「敵の言葉を信じると思う?」

 

「勝てると思うなら好きにすれば良いさ。一人で行動したのは間違いだったな。子供1人で出来ることなんてそこまで多くは無い。」

 

「少なくとも道連れぐらいは出来ると思うのだけど?」

 

「そう思うなら行動するべきだ。敵に作戦を明かすべきじゃ無いよ。」

 

「…なんなのよあんた。」

 

「なーに。過保護な師匠だよ。」

 

「はぁーー?」

 

「あいつらに聞いたらわかると思うよ。変態師匠がいたとでも聞いたら。」

 

弟子+Wファミリーがいる方向を指さす。

 

「は?」

 

先ほどとは違い年相応の可愛らしくも呆けた声だった。その声で完全に満足した俺は強引にも別れることにした。

 

「それじゃお別れにしようか。」

 

「そんなの、あたしが許すと思ってるの!?」

 

子供Wが手でもてあそんでいた手榴弾がこちらに投げられる。丁度良いとニチャと笑いこう告げる。

 

「お互いどうにか生き残りましょ。」

 

爆発音にも負けないように、アーツで声を反響させ子供Wの耳に届ける。そして爆煙が消える前に俺もその場から消える。後には妙に響く‘ょ‘が残されていた。そして

 

「……消えた?…本当になんなのよ、あいつ。」

 

そう呟く人がいた。

 

数時間弱後、変態師匠の事を聞いてさらにとんちんかんな‘はぁ!?‘と叫ぶ事となるのはまた、別のお話だった。

 

 

 

 

 




満足です……


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6/5 進出のアドバンス

あれから数週間たった。その間もずっとカセロはぱしりのような事をやっていた。呼ばれては何かを買い、呼ばれては何かを買い。嫌な顔を全くしないカセロを不思議に思ったモスティマは問いかけた。

 

「カセロは暇なの?」

 

「……急にどうしたんだ?」

 

「カセロはいつでも呼んだら現れるよね。大変じゃないの?」

 

「暇だからな。些細な問題さ。」

 

「結局暇なんだね。それでお願い事とやらが叶うまでずっとそうしているつもりなの?」

 

「そうなるな。」

 

「そっかー。」

 

モスティマはそろそろ真面目に願い事について考えてみようと思った。このまま流されるままでも良かったが、そろそろ大切な仕事が始まる。そこによく知らない人の存在は良くないと考えたからだ。

 

「……たしか、国を揺るがすような事じゃなければだっけ?」

 

「そうだね。あまり大事にはしたくないからね。」

 

その返事にモスティマはうーんと考えた。さらにううーん、、と考える。だがお願い事は思いつかない。

 

「ねぇなんか良い感じのお願い事無い?」

 

「ない。」

 

「断言しちゃうんだ……、そうだ。逆になんか私にお願い事はない?」

 

「逆に?」

 

「そうだよ。いつもお世話になってるからね。何か丁度いいお願い事だったら叶えてあげよっかな~って。」

 

「そうか…」

 

カセロは考え込んだ。モスティマは寝顔と真顔以外の顔を初めて見たなと思った。

モスティマはからかうように言う。

 

「そんなに私にやって欲しいことがあるのかな?」

 

「悩んでる。ちょっと待ってて。」

 

「とりあえず言ってみなよ。悩んでても終わらないよ?」

 

「そっか……そうか…」

 

更に少し考えた後、意を決したようにカセロが言う。

 

「ロドスの人達と会ってみたいな。」

 

「ロドス?そりゃまたなんで?」

 

「ちょっとね……ロドスの上層部あたりと会話したいんだ。」

 

カセロは誤魔化すように言葉を濁した。そして大切なところは省かれた内容を言った。

 

「カセロならちょちょいのちょいで会いに行けるんじゃないの?」

 

「いきなり現れて一体何を真面目に話し合うんだ?さすがに無謀すぎないか?」

 

「…それもそうだね。カセロって思ってるより頭良い?」

 

「……え・?馬鹿だと思われていたのか?」

 

「だって馬鹿そうじゃん。」

 

カセロはショックを受けた。いくらカセロといえど、そう平然と当たり前のように貶されたら傷つく。そんな中モスティマが突然元気な声、そして満面の笑みで言った。

 

「そうだ、良いことを思いついた。」

 

そこでカセロが元気を取り戻した。そしてモスティマが続けて言う。

 

「お願い事を決めたよ。」

 

そこでカセロは怪しむ様子を見せた。そんな様子を楽しそうにニヤけながらモスティマは自信満々に言う。

 

「ロドスで何をするのか教えてよ。」

 

「ちょっとね…」

 

カセロはまたもや言葉を濁らせた。だがモスティマは更なる笑みを浮かべて言う。

 

「なんで?これはカセロに叶えられる内容だよね?それにたしか、ある程度まではお願い事と認識しないって言ってたよね?」

 

「………それもそうだがな。」

 

「もしかして国を揺るがしちゃう事なのかな?」

 

「そんなことはないけど……」

 

「決まり事なんでしょ?ねぇ、お願い事だよ?どうなんだい?」

 

モスティマが言葉事に物理的にカセロに近づいた。カセロはそれに対して目を逸らした。そして弱気になりながら言った。

 

「聞きたい事がある。」

 

「うんうんそれで?」

 

モスティマは更に問いかける。どうやら全てを話すまで離す気は無さそうだ。カセロは言うことを考えながらゆっくりとしゃべり出した。

 

「知りたいことがある。それはロドスにしか答えられないことだな。最終的に、可能ならオペレーターとして働きたい…かな。」

 

「……何それ?」

 

「しょうも無い事で悪かったな。」

 

「ロドスで働きたいなら普通に求人に応募すればいいんじゃない?」

 

「無理だな。」

 

「そりゃまたなんで?」

 

「俺が人じゃないからだね。」

 

「そういえば…そんなことを言ってたね。」

 

モスティマはちょっぴり納得したような様子を見せた。

 

「タイミングが良いね。それじゃロドスに寄ってからお別れしようか。」

 

「どういうこと?」

 

「ちょうどロドスに寄る予定だったんだよ。」

 

「つまり?」

 

「ドクターにお願いしてみるよ。」

 

「……ドクターじゃなくてアーミアがいいな。」

 

「そう?それなら見つけたらお願いしてみるよ。」

 

「ありがとう。」

 

そしてめずらしくカセロはモスティマと一緒にロドスを目指す小さな旅をした。数日がたった頃。やっと目的の物を見ることができた。

 

「ロドス・アイランド」の名を冠する移動都市、ロドスアイランドの本拠地が見えてきた。

 

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

ちょっとイメージがまとまらないですね……どうしようか?

ま、週一投稿に間に合えばええやろ。


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6/6 進出のアドバンス

「思ったよりあっという間だったね。」

 

「そうだな。」

 

目の前には巨大な移動都市ロドスアイランド。これ一つまるまる一つの企業である。なに気に初めて正面から移動都市に入国?することになる。

 

モスティマは車を走らす。移動都市は止っていたようであっという間だった。

 

最後のラストスパートだろうか。どんどん加速している。移動都市の中へと繋がる坂道を進む。一瞬そのまま突撃してダイナミック駐車をするんじゃないかと心配になったが、問題無かった。モスティマの方を見るとアクセルから足を外し、惰力で中に入っていく。これがプロの技というやつか。

 

彼女は迷うこと無く、車を進めていき適切と思われる場所に駐車した。

 

「とうちゃーく。」

 

「お疲れ様。」

 

「はーい。」

 

そこで2人は車を降りた。そこにロドスのオペレーターと思われる人がやってくる。片手にタブレット端末っぽいのを操作しながら、モスティマを見た後、こちらを見て疑惑の目線になる。

 

「モスティマさん確認しました。……その方はどちら様ですか?」

 

「この人はカセロだよ。お客さんかな?」

 

「はぁ、モスティマさん。次からは来る予定であれば事前に申請しといてください。めんどくさいです。」

 

「ごめんねー、面倒くさくなっちゃった。」

 

する気はあった?…本当?

 

「まぁ今回はいいです。とりあえず来客用IDカードを作るのでいくつか質問をしますね。よろしいですか?」

 

監察官(仮名称)は、諦めたかのように静かにため息を吐く。

 

そして俺は心配している。監察官は質問と言った。答えられる内容があるとは到底思えないのだが…

 

「はい。」

 

とりあえず、やってみる。ダメ元というやつだ。

 

「何か身分などを証明書はありますか?」

 

「ないです。」

 

「…所属会社、所属組織等は何かありますか?」

 

「ないです。」

 

「モスティマさん捨て子ですか?」

 

「うーん、違うけど、違わない?」

 

「目的は?」

 

「お話だね。」

 

「意味がわかりません。そこの子、そこの奴が使えないので説明を求めます。」

 

モスティマはなんだとーっと怒りを露わにする。だが随分と気の抜けた声であり、完全に野次馬になっていた。その調子に乗せられたカセロが少し元気な声で言う。

 

「責任者とお話に来ました。」

 

「ダメだこいつら。」

 

何とも悲しい結果であった。カセロがあかんやんとジト目で見えない空を眺めた。そしてモスティマが何か同族を見るようにニヤニヤとカセロを見ていた。

 

「治療目的ではないんですね?」

 

「そうですね。」

 

「責任者と知り合いですか?」

 

「顔見知りですらないですね。」

 

その答えに監察官様は更に???と疑問を浮かべた。そんな様子をモスティマが見て良い笑顔でウンウンとうなずいていた。

監察官はすぐに立ち直り次の質問を問いかけようとしたが、少し考えその内容を変えた。

 

「とりあえず、検査しましょうか。」

 

「お、やっと終わる?それじゃカセロ頑張ってね~~」

 

モスティマが手をヒラヒラとさせながら、明るい入口へ向かおうとした。そこに監察官の手が伸び、モスティマの歩を止めた。

 

「ちょうど良い機会ですしあなたもですよ。」

 

「えーー…」

 

モスティマが不満そうに声をあげた。だが監察官は気にせずに続ける。

 

「はいはい、文句言わない。」

 

「あ、俺は遠慮します。」

 

「は?」

 

監察官の鋭い目がカセロに向く。まるで脅すように、面倒くさいと言うように、有無を言わさぬ様子で言った。一瞬怯みそうになったが、カセロは遠慮無く言った。

 

「いや無理です。NGです。」

 

「は?」

 

今度はタダひたすらに困惑するようだった。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

期限が先か…発想が先か…

後2話ぐらいが危険なラインですね。


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6/7 進出のアドバンス

検査と言ってもやれることが無いと思うんだ。

 

注射の針は俺の頑丈過ぎる皮膚を貫通出来るとは思えないし、情報のjの字すらない…検査って何するんだろう?メンタルカウンセラーみたいなのなら出来ると思うけど。

 

そんな事を考えているカセロを放置して、監察官はモスティマを連れて行き少し離れた場所でコソコソ話を始めた。

 

「で、誰ですかあれ。」

 

監察官はそっと視線をカセロに向ける。完全にアレ呼ばわりである。

 

「誰だろう、わかんないな。本人にもわかってないみたいだし。」

 

「ふざけないでください。本気で追い出しますよ。」

 

「それは面白そうだね。追い出せるものなら追い出してみてよ。どうなるか気になる。」

 

「なんですかそれ。呪具ですか。捨てても焼却しても返ってくる呪いの人形ですか。」

 

「あーー普通にそのまま返りそうだね。願い事は叶えたんだし…いや直接突撃するのかな?さすがにここまできて諦めるとは思えないし。」

 

「1人の世界に入るのはやめてください。」

 

「で、結局どうするの?正直当てがあったわけじゃないし。ただ連れてきただけだし。」

 

監察官は一瞬貴方が言いますかと声が出かけたが、どうせ意味が無いと押しとどめた。

 

「なんで連れてきたんですか。」

 

「暇だったし、面白そうだったし?」

 

「こっちに聞かないでください。…とりあえず、どうやって出会ったのか話してください。」

 

「(カクカクジカジカ)で連れてきたって訳。」

 

「つまり人ではないと?」

 

「そういうことじゃないの。なんか根拠とかあるわけじゃないけど。」

 

「……とりあえず、能力を証明して貰う流れでいきましょうか。一般人なら追放。証言通りならば、上司に相談します。」

 

「賛成~。」

 

「カセロは短気ではなく、とっても長気なのよね?」

 

「怒ってる所は見たことはないね。」

 

その返事を聞いて2人はカセロの元へ戻っていく。カセロはボケーッと天井を眺めていた。とても特別な技能があるようには見えない。

 

「おまたせー」

 

モスティマの言葉にカセロがビクッと顔をこちらに向ける。そしてうなずいた。その様子に先ほどまでのどこか抜けた感じはなかった。急な変貌っぷりに恐怖を感じてしまった。

 

「とりあえず、検査の話は置いときます。その力とやらを見せてください。充分な結果があれば、上司に話を繋いでみます。」

 

「……力の証明はどうすればいいんだ?」

 

「アーツはどうなのですか?」

 

力の証明……俺のアーツはただ源石を生成して操作するだけなんだけど。今源石が源石を証明する手段はないので、実質石のアーツだ。多少アーツの応用がすごいだけだ。……一応マグマは作れるが…マグマでいいか。インパクトはある。

 

カセロは頭の上に、マグマでオリジムシを作った。これでインパクトと技術を証明できる。

 

「あっつ、」

 

「すごい赤だね。」

 

ほら驚いている。これで証明は充分だろう。そう思いマグマを消した。

 

「…溶岩のアーツなのですか?」

 

「知らない。」

 

「…脳死で答えてませんよね?」

 

「知らないものは知らない。知る機会など無かった。よって知らない。」

 

「はぁー、もういいです。それで話す内容は何なのですか?」

 

「内容?」

 

「責任者との話し合い、でしたっけ。一体何を話すのですか?事前に申請する必要があります。」

 

「……未来、、ですかね。」

 

「ふざけてると殴りますよ?」

 

「内容は相違ない。これは今後に関わる大切な話だろう。」

 

と思う、は心の中でつぶやいた。

 

「はぁ、言えないのなら帰ってください。さもなくば追い出します。」

 

カセロは、近くに武器を持ったオペレーターが控えていることがわかった。どうやら本気のようだ。

めんどくさい。めんどくさい。もう良いかなとカセロは考え始めた。なんかすごい人ムーブはもう無理かもしれない。ぱっぱと鉱石病治せるよ。お話ししましょと言った方が楽かもしれない。

 

「オリパシーを一時的に治すことが出来る。責任者と話がしたい。」

 

「…、何を言っているのですか?」

 

その声は若干怒っているようにも聞こえ、戸惑っているようにも聞こえた。

 

「言葉通りだ。さぁお話しをしようよ。」

 

カセロはヤケクソなのだ。ずっと待ち焦がれていた時。なのに焦らすなと、手に入るように見えて無理だというオチは許さないと、馬鹿凸の姿勢なのだ。

 

「ねぇ少し前、助けたい人はいるかって言ったよね。」

 

監視官の代わりにモスティマが声をあげた。

 

「そうだな。」

 

それに認証した。

 

「それがそれなの?」

 

「そうだな。」

 

「嘘じゃないよね?」

 

「嘘はつかない…いやちょっと違うことがあるが、根本的な所は変わらないだろう。」

 

治すのは一時的ではない。実質物理的に取り除くのだ。まだ再び鉱石病になるかとか調べてないけど。そういえばオリパシーってアーツの強さにも干渉したよな?それってどうなるんだ?今まで治してきたのは何だかんだで非戦闘民ばっかだったな。

 

「じゃあ治してみてよ。」

 

「モスティマは嫌だな。」

 

「なんで?」

 

まだわかってないとがあるし、推しが悲しいことになったら死ねる自信がある。

 

「君は普通じゃ無い。よって不確定なところが多い。だから嫌だ。」

 

たしかサルカズーな天使ーで錠ーで鍵ーなモスティマさんだ。さすがに怖い。どうせ緊急性はないし。安定を進みます。

 

「ふーん…」

 

モスティマは目を伏せた。だが次の瞬間にはパッと華やかな声をあげる。

 

「じゃこの人治してみてよ。こっちは普通でしょ?」

 

「そうね。私を治してみてよ。嘘じゃ無いならできるでしょ?」

 

どうやら監察官様も乗り気なようだ。見た感じ戦闘員には見えないが…聞いておくか。

 

「アーツ適正は高いか?」

 

「普通ね。」

 

普通……その普通がどのラインかわからないんだけど…

 

「…ま、いっか。体上に源石は現れているか?」

 

「…横腹に。」

 

「見せて。」

 

監察官は戸惑いを見せること無く、服をずらして腹部を露わにした。綺麗な肌に突き刺さったように源石があった。握りこぶし程度もなく、小さかったが、確かに飛び出していた。

 

「他は?」

 

「無い。」

 

「じゃ始めようか。」

 

カセロはいつも通り手を突き出し、指先から血を流す。

 

「飲んで。」

 

「…これを?」

 

「うん。」

 

さすがに他人の血液を飲むのは抵抗があるようだ。まぁ逆に抵抗がない人の方が少ないのだが。可能性があるのはワルファリンくらいかな。

 

先ほどよりも間をあけてから監察官は声をあげた。

 

「……わかったわ。」

 

そういってしゃがみ込みカセロの指を咥え、舐めた。傷口を抉るように、血を舐める。痛い。

咥えられるのは初めてだった。なんかいかがわしい行為をしているように思えてくる。どうやって対処するべきか。これは難題だ。

 

そしてモスティマはジッとこちらを静かに見ていた。その目はとても集中しているようで、血走っているようで怖く感じた。

 

「舐めなくていい。ただ血を飲めば良い。」

 

「そう。」

 

そう返事した。だが指を咥えたまま話さない。……とカセロは、ま、いっか諦めることにした。

 

「もういいぞ。」

 

血の量は充分だ。後は頭の中で頑張る。

 

「そう。」

 

相変わらず素っ気ない態度…じゃっかん頬が赤い気がする。そっちは放置して、横腹の方へ意識を向ける。

 

「ちょいと失礼。」

 

そう言って、源石にかじりつく。手は使わずに頭だけを近づけ、ボリボリとむさぼる。小さいので3口で終わった。

 

「なっ、」

 

驚いているのが、放置する。後日まとめて対応しますよ~~たぶん。

 

ちょうど体内のほうもいい感じのようで、体の表面から源石の黒色は消え去り、最後の仕上げと、体内にバラバラに存在していた源石を口へ運んでいく。

 

集まった源石は結晶化した。

 

その形となった赤い源石はどんどん近づいてくる。親指4つ分ほどの大きさだったので、そのまま飲み込んだ。異物が食道を押し広げ通っていった……気持ち悪い…

 

「終わった。」

 

「な!?、え、は?」

 

監察官は片手で口を押さえ、片手で源石があった横腹を触っていた。モスティマもいつの間にか、監察官の側に行って、一緒に横腹をさすっていた。

 

なんかこういう反応新鮮。いままでは、ぁぁ神よ感謝しますみたいな感じだったからな。しばらく時間がたったが、まだ理性がもどってきていないようだ。このままでは暇なので、一言進言する。

 

「……医療室行ってくれば?」

 

その言葉にハッとなるようにビクッと動きを止め、監察官の人は走り出していた。そこには残されたモスティマと監察官に押しつけられた端末があった。

 

目と目が合った。なんか気まずい。

 

「モスティマも行ってくれば。ここで休みながら待たせ貰うし。」

 

そう言いながら、先ほどまで乗っていた車を背もたれにして床に座り込んだ。

 

「結果が出てくるのは遅いよ。それにどちらの結果にせよ、急いで結果を伝えてくれるでしょ。」

 

モスティマもそう言いながら隣に座った。

 

「それもそうか。」

 

治ったなら、おい出て来てくださいませカセロ。

治らなかったら、オイ出テ来イヤカセロ。

 

感情が喜か怒だけの変化である。

 

今ので溜まった源石は体感4割ほど。着々と溜まっていっていた。

 

 

 

 

 

 




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終わらせると言いましたが結末は決めていません。行き当たりばったり投稿なので当然です。

とてつもない終わり方をする可能性があります。ご了承ください。


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6/8 進出のアドバンス

ダッダッダッ……ウィーン

 

1人の女性が医療室に勢いよく走って行った。扉が入って最初にかけたれた言葉は予想もしていない声で、至極真面目な声だった。

 

「もう少し落ち着いたらどうだ?」

 

「ケルシィ先生!?どうしてここに。」

 

「医者でもある私がここに居ることは特別可笑しいことはないだろう。それを言うなら君がここに来る方が珍しいと思うのだが。それで、どうして急いでいたんだ?」

 

そうだった、とまん丸にしていた目を元の真顔に戻した。だが説明しようとしていた事がやはり信じられなくて目を見開きつつ行動した。

 

「消えました。」

 

彼女はそう言いながら服をまくし上げ、腹部を露出させた。

 

「…何が消えたというのだ?」

 

「源石結晶が消えました。」

 

「何を言っている…君は確かエリスだったか?」

 

「はい。」

 

その返事を聞きながらケルシー先生は端末を操作した。

 

エリスは貿易部門だったはずだ。特記事項はなく、普通の女性。戦闘経験ともにアーツはなし。メディカルチェックも平常。臨時の仕事も無かったはずだ。彼女が意味も無く嘘をつくとは考えにくい。いったい何があった……

 

ケルシーはエリスのカルテを表示させ、その内容を読み込んでいた。わずか数秒後、微妙にカクカクした動きで視線を端末からエリスに変えた。

 

全身を一瞥し、次に腹部を見た。そして

 

「その場でゆっくりと一回転してくれ。」

 

「はい。」

 

エリスは恥じることも無く、腹部を露出させたままその場をゆっくりと一回転した。その場に居合わせた男性オペレーターは側に居た女性オペレーターに横腹を小突かれる事によって、やっと視線を壁に写した。

 

カルテルにはエリスの腹部に結晶が現れている、とあった。だが今の彼女には、結晶どころか傷一つない肌が表れていた。

 

「何があった?」

 

「モスティマさんが客人を連れてきてカセロさんの血を飲んで体が熱くなって源石結晶を噛み消して、噛み消した?……カセロさんが色々したら消えました。口の中からもなんかが出て来て、」

 

「落ち着け。早口で聞き取りずらい。それとその客人、カセロだったか。今どうなっている?」

 

「車庫で待っていただいています。」

 

「私は先にそちらへ行く。あまり待たせるのも失礼だろう。エリス、落ち着いた後そこの彼女に説明してくれ。」

 

ケルシーは先ほど男性オペレーターを小突いた女性オペレーターを見てそう言った。そして隣の男性オペレーターを見ながら、

 

「予定は遅らせる。こちらからも伝達はするが、君達も覚えていてくれ。」

 

「了解です。」

 

ケルシーは端末を操作しながら医療室を出て行った。

 

そしてもう1人の最高幹部でありCEOがその情報を入手するのは遅くなかった。




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次はどうしようどうしようと考えております。CEOさんは本当に現れるのか、いつ頃登場するのか。

まさに神のみぞ知るです。


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6/9 進出のアドバンス

少しの間だけ静かな時間があった。お互いに喋らず、ただ虚空を見るだけの時間が。だけどその時間はすぐに無くなってしまった。

 

モスティマの車を背もたれにした、座り込んでいた2人は口を開いた。

 

「それで、さっきのはどうやったんだい?」

 

「どう、と言われてもな…」

 

「なんかうわわーな感じとか、ふんぬーって感じとかないの?」

 

「…そんな事を言われても理解できるのか?」

 

「何も無いよりはマシでしょ。」

 

カセロは考えた。わずかにうねり声を出しながら少しだけ顔を上げ姿勢を正した後、やっと喋り出す。

 

「強いて言うならゲームのような感じかな。多少力んだり緊張する程度で普段とあまり変わらないかな。」

 

「緊張してたんだ。」

 

「未だに慣れないというか、理解が出来ないというか……結局の話、俺にもよくわかってないからな。」

 

「よくわかってないのに、やったの?」

 

カセロは横から蔑むようなジト目を感じた。

決してその威圧に負けること無く、正面から受け止めないように顔を前に向けたまま言う。

 

「……経験はたっぷりある。万が一は起きないようにと気をつけているつもりだ。」

 

「ま、いいや。その治療?はどれだけ出来るの?」

 

「どれだけ?」

 

「うん。人数とかー範囲とかー条件とかー。うーーーん、まずは何人くらい出来るか教えて欲しいかな。」

 

「人数か……詳しくはわからない。感覚的にはわかるがそれ以上は知らない。範囲は接触できる距離、条件は知らない。今のところ条件らしい条件は見当たらないね。」

 

「普通に教えてくれるんだね。」

 

「茶化した方が良かったか?」

 

「いや、教えてくれるならそれでいいけど……嘘じゃ無いよね?」

 

「嘘はつかないって言ってるだろ?信用されて無くて悲しいあぁ……俺はモスティマの事は完全に信頼しているのに……」

 

カセロは片腕を目元に持っていき、目を覆い隠す。そしてシクシクと小声で物理的にささやく。

 

「ごめんごめんって。でもこれでも初対面の怪しい人にここまでしてるんだよ。君は色々知って居るかもしれないけど私は何にも知らないんだよぉ?私の気持ちも考えて欲しいなぁ……」

 

今度はモスティマが手で顔の目の前に壁を作り出し、チラチラと片目を見え隠れさせた。そこでカセロはささやきをやめた。彼は-が二つに増えるとただ面倒くさいだけの事になることを知っているのだ。

 

カセロは顔をモスティマの方に向け、疑うような目で言った。

 

「…初対面の怪しい人を無賃で使用人扱いしたの?」

 

「……そりゃ使える物はつかわないとね。」

 

モスティマはテヘっと舌をちょっとだけ突き出した。かわいい。そこにウインクしてくれたら最高だと思うんだよね。

 

カセロは何処か仙人のような風味を見せながら顔を前に向ける。

 

「前も言ったけど俺は何にも知らないんだよ。ただわかっている事がちょっとだけ多くあるだけで、本当は何にも知らないんだよ。」

 

「…わかってるねぇ……、そういえば感覚ってどんな感じなの?」

 

「急に話題が変わるな…感覚って何のだ?」

 

「人数だよ。に・ん・ず・う、感覚で大体わかってるんでしょ?」

 

「ぁー、感覚的には液体かな?大体4割ほど溜まってる。残りの6割が溜まったら俺はどうなるんだろうなー」

 

「さっきエリスの源石かじってたよね。それが溜まる原因?」

 

「いや違う。飲み込んでた方だ。」

 

「へー…あれって結局なんなの?体液?」

 

「そんな表現はやめてくれ。意味合い的にはその通りになるけど、その言い方はやめてくれ。」

 

カセロは断固として拒否した。

 

「わかったよ。で結局あれは何?血?」

 

「体内の源石かな?集めて固めてゴックンだね。」

 

「ゴックン?」

 

「……忘れて、ちょっと落ち着きが無くなってきてるから言葉選びが変な事になってる。」

 

「案外普通?」

 

「メンタルは凶人と面倒くさいをオタクで包み込んで天然とアホと馬鹿を4で割った感じですよ。」

 

「へぇ、たしか最初はあの洞窟に拘束されてたよね。いったいどうしたの?資格とか決まりとか言ってたけど。」

 

モスティマは平然と無視して話を続けた。

 

「秘密で。」

 

「じゃぁ」

 

「ちょっとまて、これはどこまで続ける気なのだ?」

 

「いいじゃん暇だし。仲良くしようよ。」

 

モスティマはコクッと首を傾ける。いつの間にか背もたれにもたれ掛からずに、楽な姿勢になっていた。

 

「はぁ……」

 

長い暇つぶしになりそうだ。




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延長行為といわれても文句はいわん。だがしょうが無い事であり、文字数が2000付近になったので強制アウトです。

次は地獄だろうな……ケルシー構文なんて知らない……

せめてわかりやすい題材か豊富なパターンの例が欲しいです



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6/10 進出のアドバンス

「最近のことでなんか思ってることとかないの?」

 

質問はすでに後半戦に入っていた。モスティマは考えている質問という質問はあらかた聞き終わり、その答えのほとんどが秘密ですと返されていた。今のモスティマはとりあえず思いついた質問を聞いているような状況だった。

 

「最近か…モスティマかっこいいかわいいイケメンとか?」

 

「ちょっとぉ、もしかしておちょくってる?」

 

「いや本心だよ。一目見たときから思ってる。」

 

「褒められるのは嬉しいけど、聞きたいのはもっと別の事だよ。ほらぁ、何かないの?」

 

「執事生活って意外と楽しかったな。」

 

「もしかして雇い主とか探していてたりする?」

 

「……今のところ主人にしたいって思う人は1人だけかな?」

 

「お!誰?誰?有名人?」

 

「有名人だとは思うけど…どこまで有名かはわからないな。」

 

カセロはそこで区切りよく言葉を止めた。その様子に不思議に思ったモスティマは疑問を言葉にする。

 

「……で?続きは?」

 

「そこら辺は後で話しましょ。」

 

「ん?どういう……なるほどね。」

 

モスティマはこの場所に近づく人がいることを察知した。モスティマがその人を見るために顔を動かす動きに連動してカセロも顔をそちらへ向けた。

 

そこには1人で静かに歩くケルシーの姿があった。

 

なぜ医療部門の総責任者様がここに?と疑問に思いつつ、彼女の第一声を待つ。

 

「こんな場所で待たせてしまったすまない。君がカセロと言う客人か?」

 

「はい。」

 

自分が客人と認識されていることにほっとしながらカセロはその言葉を吐いた。

 

「私はロドス医療事業のリーダー、ケルシーと言う。よろしく頼む。まずは場所を変えよう、ここは話し合う場所としては不適切だろう。着いてきてくれ。」

 

カセロとケルシーは簡単に握手を交わし、歩き出した。そこに会話はない。何とは言えないが謎の緊張感が漂っている気がした。

そしてモスティマもしれっとカセロの後をついて行っていた。

 

そうして案内された部屋は応接室のような場所だった。部屋の中央に机を挟んで2つの長椅子。観葉植物に実績か何かが壁掛けられている。

 

「すまない。ここでしばらくの間待っていてくれ。急な来航で準備が不十分なのだ。」

 

「こちらこそ突然現れてすまなかった。ゆっくりと休ませて貰おう。」

 

「感謝する。それでは失礼させてもらおう。」

 

そういってケルシーは出て行った後にカセロが言った。

 

「おとがめ無しだったな。」

 

「何か怒られるような事したの?」

 

「……特にないな。」

 

そうしてカセロは椅子に座った。その隣にモスティマが座る。

 

「確かモスティマは仕事があるからロドスに帰ってきたんじゃなかったか?」

 

「別に急ぎの用じゃないからいいんだよ。そんな事よりこっちの方が大切さ。」

 

「ふーん。」

 

そこで突然部屋の扉が開き、人が入ってきた。急な出来事にモスティマがガバッと勢い良く振り向いたため、入ってきた人が一瞬ビクッと震えた。そしてわずかに震えた声で言った。

 

「失礼します。」

 

その人の手には湯気が漂う湯飲みを乗せたお盆があった。

 

「あ、ごめんね。怖がらせちゃったかな?」

 

「いえ、お構いなく。」

 

その人は素早く、そして丁寧にお茶を机において「失礼します」と言って返っていた。とても業務的だった。

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

まずは前座。

そして本編へ。

GWなんて何の役にもたちませんでした。頭の中はアークナイツよりも推しの子だった気がします。漫画を揃えるために2日と6ヶ所の書店に行きました。結局友達が持っているのを購入する結果となり無事揃えることが出来ました。



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6/11 進出のアドバンス

だいたい30分ほどだろうか。

 

俺は1人で応接室にいた。

 

モスティマさん?つい3分ぐらい前に「うーん暇だね。ゲームとかトランプとか、良い感じの物を何か取ってくるよ」とか言って出て行ったよ。

 

取ってくるってなんですか。持ってくるとは違うんですか。できれば俺をロドス館内を案内して欲しかったが、立場上問題になると思うけど。

 

うふぇー暇だよぉー緊張するよぉー……きも。

 

カセロは椅子にもたれ掛かる。

 

しばらくの間ボーッとしていると、応接室の扉が開く。モスティマさん?と思いつつ、椅子にもたれ掛かった状態で顔だけを動かした。するとちょっと驚いた人がきた。

 

カセロは姿勢を正した。

 

「待たせてしまってすまない。…モスティマはどこにいる?」

 

そこにはケルシーともう1人、30分前に見たお茶出しの人がいた。ケルシーは片手に端末だけを持ち、お茶出しの人は新しい湯飲みと、急須を持っていた。

 

「つい先ほど暇つぶしの道具を探しに行くと言って出て行ったきりだな。」

 

「そうか。では早速始めようか。」

 

ケルシーが向かいの椅子に座った。そこにお茶出しの人が動いた。と思ったらさくっと終わらせ出て行ってしまった。早い。

 

「まず質問させてらう。君は何者だ?客人と聞いたが何を目的としてこのロドスに来航した?」

 

ふふ、俺とて無為に30分程度も過ごしていたわけではない。色々と設定とか考えていたのだ。

 

「今の俺に身分はない。名前はカセロ。目的か…強いて言うなら黒ウサギの未来を知りたい…かな?」

 

「黒ウサギ?」

 

「アーミアという名前だったはずだ。」

 

ケルシーはしばらく考える様子を見せる。

 

「…さて、単刀直入だが聞かせてもらう。確かエリスが言うにはカセロ君。君がエリスのオリパシーを治したと証言していたが本当か?」

 

「治してはいない。ただ移し替えた、というべきだ。」

 

「移し替えた?対象は誰だ?」

 

「目の前にいるだろう。」

 

「……どうやった?」

 

「知らない。感覚的のようなものだ。」

 

「あとどれほどそれはできる?」

 

「言葉にはできないな。」

 

「これからはどうするつもりだ?もし良ければ、私の研究を手伝って貰えないだろうか。もちろん、それ相応の報酬は出す。定期的な検診、そして定期的な実験を手伝って貰えるなら他は自由にして貰って構わない。アーミアの未来を知るという事を叶えるためにも、このロドスの一員になればより効率的に、そして確実性が生まれると思うのだが。」

 

「ほう……うーーん。良いと思えるが…」

 

「何か要望があるのか?ぜひ教えて欲しい。可能な限りそれを叶える考えがこちらにはある。」

 

「…そうだな。治してみて欲しい物がある。」

 

「何をだ?」

 

「俺の落ち度をだよ。」

 

カセロはそう言って腕をローブの外に伸ばす。カセロの腕にはいくつもの並んだ数字が刻み込まれていた。

 




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本編上です。

本編中中中中中になら無い事を祈っていてくださいな。


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6/12 進出のアドバンス

カセロは腕をローブの外に伸ばした。カセロの腕にはいくつもの並んだ数字が刻み込まれていた。刻み込まれているのは英数字の数列だった。文字と数字が融合し、約6文字で一区切りにされていた。

 

「…なんだそれは?」

 

明暗が見え、まるで凹みのようにも見える。皮膚に彫り込まれているのだろうか。だが皮膚が変色していない。傷痕のようには見えない。いや隠しているのだろうか。だがそれにしては、肌が白い。塗り薬でそこまで隠せるのだろうか。いや化粧品の類いか?最近の化粧品の進歩は著しく成長していると聞いたことがある。ありえない…とは言い切れないな。後で調べておこう。数字のフォルムは綺麗な形ばかりでは無く、不確定であり、一定の物ではない。所々癖も見受けられる。だが規則性は感じられない。不特定多数による手書きなのだろうか。それとは逆にその英数列にはある一定範囲に分かれ、規則性が見受けられる。その英数列が被ることはないが、縦に、横に、斜めにと縦横無尽に埋め尽くされていた。

 

「特別な条件下で書き込まれ、消すことができなくなった物だ。これぐらいどうにでもなるが、無いなら無い方がいいだろう。」

 

「誰に書き込まれたのだ?」

 

「ふむ……ま、いいか。」

 

微妙に言いよどみ、まるで考えることを諦めたような顔つきだった。

 

「昔、ライン生命に居たことがある。まぁそこでいろいろあったんだ。よ。」

 

「そうか。」

 

「…驚かないんだな。」

 

正直な所、驚いてはいる。だが考えられない出来事ではない。

 

「そこで生まれたとでも言われない限り、驚く事はないだろうな。」

 

「それは残念だ。あなたの驚き顔を見てみたかったのだが…」

 

「是非、つい驚いてしまうような情報を期待していよう。」

 

「それは後で試させて貰おう。それで、これは消せそうか?」

 

「わからない、としか言えないな。多少調べない限り結果も出せないだろう。」

 

「もし、これが見た目通りの傷だったら治せるのか?」

 

「強引な治療を行えば簡単に解決するだろう。時間さえあればな。」

 

そもそもの話、見た目通りの傷であれば数年もすれば自然治癒してしまえるだろうが。

 

「…これからよろしくとでも言っておこうか。」

 

「それは、ロドスのオペレーターになる事を認めると言うことだろうか?」

 

「そうだ。」

 

「そうか。これからよろしく頼む。書類は後でやろうか。まずはその傷を調べる所から始めよう。」

 

「……ずいぶんとスムーズなんだな。警戒はしないのか?」

 

「リスクとリターンは比例する。先ほどの一件はどんな手品かは知らないが結果はすぐ見えてくるだろう。君という存在が私の想像通りであれば、警戒する必要はない。むしろ親睦を深めるべきだと私は考える。いや、それは早とちりというやつだろうな。1つ聞かせて貰おう。なぜアーミヤの未来が知りたいのだ?君は何がしたいのだ?」

 

「俺だって人だった。元は知らないが人間の心を持っている。3つの欲求に5段階の欲求を基準とし70以上の欲求を持つ普通?…一般的な感性を持つ人さ。知りたいことも沢山あるし、気になる事はもっとある。好きな物は沢山あって、好きなことはそれ以上にある。俺は庶民的なんだよ。」

 

「再び聞こう。なぜアーミヤなのだ?」

 

「……化け物はこの世界に沢山居る。だがそういうのは基本的には人知に及ばない化け物ばかりだ。だけどアーミヤは特別だ。アーミヤの未来はロドスの未来とも言えるし、新たな世界の王とも言える。つまり一番楽しそうだろ?……って感じかな。」

 

「ハッキリとしないな。」

 

「そもそも考えるのが苦手な質なんだよ。考えるよりも行動するタイプなんだよ。理由を求めないでくれ。」

 

「ゆくゆくは説明してくれると喜ばしいな。」

 

「ならケルシー先生もいろいろと説明してくれと嬉しいな。」

 

「その時に状況による。あまり期待はするな。」

 

「それでもいいさ。」

 

「それで、なぜケルシー先生と呼ぶのだ?」

 

カセロは・・そこ?と不思議な顔をした。

 

「…語呂?」

 

「……まぁいい。特に何もなければ、このまま私の研究室に行こう。知らなくてはならないことは、まだ多い。詳しい事はそこで話そう。」

 

そう言ってケルシーは立ち上がる。

 

「……モスティマは放置するのか?」

 

「…連絡はしておこう。さあ、行こう。」

 

「ふーん。それじゃ行こう。」

 

 




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ちょっと道を見失ってる感じがします。どうなんだろ?


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6/13 進出のアドバンス

てくてくとケルシー先生の後を静かに着いていく。右へ左へエレベーターへ。そして真っ直ぐ、右へ右へ左へエレベーターへとまるで迷路を進むようだった。なにやら歩く途中で・・誰?という視線を感じながらも歩く。

 

やはり低身長、巨大な黒角、全身フード(首下)、ケルシー先生の組み合わせは珍しいようだ。だけど・・こいつが?(驚愕)のような視線は感じない。どうやら噂は広がっていないようだ。

 

なぜかエレベーターに3回も乗った後、目的の部屋にたどり着いたらしい。

 

「ここは?」

 

「ここは私の研究室だ。他には誰もいない。そこに座って待っておいてくれ。必要な物を取ってくる。」

 

ケルシー先生はそう言って部屋の奥へと進んでいく。1人になったカセロは言われた通りすぐそこにある椅子に座る。まるで保健室にある椅子のように背もたれがなく、円形の小さな椅子だった。だが俺の身長的には完璧な大きさだ。足がちょこんと地面に着く。すぐ前にはもう一つ同じ椅子があった。

 

ここの家具の構図はリビングに保健室を組み込まれているような感じだ。

 

入口に近い方の部屋の角には長椅子がL時に配置され、その対角線上にガラスのテーブルがある。扉を挟んだ反対側は棚が並んでいる。比較的そちらに近い方に今俺が座っている椅子のセットがある。その横には部屋の1/6を占めるほどの大きさアクリルケースでできた水槽がある。残されたスペースには作業用であろう机が見える。とても綺麗に整理整頓されていた。だがそれとは対照的に、壁には色々と紙が貼られていた。残念ながら何を書かれているのかは読めない。これは勉強をする必要がありますね。

 

家具も壁も床もとても薄い緑をベースとされているため全体的に明るい。そのせいか、おかげか、色とりどりの水槽はより鮮やかに見える。

 

しばらく水槽を見ていると、ガラガラと何かが転がる音が聞こえてきた。音がする方を見て見ると、ケルシー先生がいた。腰ほどの高さのキャスター付きワゴンのような物を押し運んでいた。台車に棚兼机を引っ付けたような感じだ。合計3つの物が置ける空間の内2つには、何やら物が沢山入っていた。そして3つ目にして一番上の机の部分は書類と、理科室で見たことがある白い収納ボックスがあった。

 

ケルシー先生が近づいてきて、その中身が見えた。

 

書類はどこかでよく見たことがある公開求人の紙が見えた。何年たとうが忘れはしない。あの黒金の輝き、そしてあまり嬉しくない金色、さらに青紫のようで藍色……許さない。それにしては紙の厚みが厚すぎる気がするんだが…まぁいろいろとあるんだろう。

 

収納ボックスは2つあり、片方は飲み物があった。色合い的にお茶っぽい。もう1つの中には試験管などの器具があり、注射器があり、針の先端部分がキラリと輝いていた。

 

…あんまり注射は得意じゃないんだけどなぁ……




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120連程度で限定を確保いたしますた。

ペナンスs1好き。

新しい統合作戦やばいっす。飽きるぐらいにはファントムやったのに、ごりごりやる気が増えてます。ミズキさんパネェっす。


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6/14 進出のアドバンス

何やら怪しげな荷物を乗せたワゴンを押し運びながら、ケルシー先生が現れる。酷く変わらない表情が怖く見える。

 

「お待たせした。まずはオペレータになる上に必要事項をまとめた書類だ。暇な時があれば、目を通しておいて欲しい。」

 

そこで書類が約半分にわけられた。これで残りの書類は半分。それでも多くね?手の平サイズの手帳の厚さはある。

 

「わかった。」

 

「次が、オペレーターになる上で提出必要がある書類だ。そうだな…、埋められる項目があるならば埋めておいてくれ。無くても構わない。コードネームはどうする?」

 

更に書類が1/8だけ減らされた。そしてその1/8の書類が手渡された。

 

その書類に目を通すよりも、言われた言葉に興味を持った。

 

「コードネーム?」

 

「ああ、ロドスのオペレーターとしての名前だな。特に要望がないようならカセロのままにするが、どうする?」

 

「ふむ……」

 

カセロという名前を使ったのは……ほぼない。そもそもカセロという名前を知ってるのはモスティマさんぐらいだろう。わざわざ変える必要性が見当たらない。いや、もう1人いるか。あの……そうだ!監視官様だ。名前はしらん。一回ぐらいどっかで聞いた記憶はあるけど、まあいい。ネームドキャラじゃないし。

 

そういえば、噂って広がっているのかなぁ~。オリパーシーを治せるチビ黒角…一応変えておくか。どうせバレると思うけど。やっぱコードネームはコードネーム。良い感じの格好いいやつがいい。

 

色々と考えた後、良いのが思いついた。

 

「セム。うん、セムがいい。コードネームはセムにしよう。」

 

セム……特殊オペレーターだ。よろしく頼む。

 

……あ、なんかいい。気に入った。

 

「わかった。これで大まかに必要な事は集まった。残りは後日行う。…次は血液検査をするための血をいただきたい。」

 

「血液検査?それは健康診断のような事じゃないのか?」

 

たしか、プロファイルの欄にそんな項目があったはずだ。だが血液検査という単語は見た記憶が無い。

 

「どちらでも構わない。受けてもらえるのなら後日、受けて欲しい。」

 

別の何かって事ですか…個人的な検査の為ってことか。

 

「はぁ……、思ったんだがそれってオペレーターか?患者というか、被検体というか、客人というか…オペレーターである必要はあるのか?」

 

「別にどんな関係でも構わない。」

 

…まぁオペレーターの方が何かと良いことありそうだな。よくわからないけど。

 

「……俺がオペレーターとして課せられる仕事はなんだ?」

 

「緊急時に対する予備戦力だ。」

 

「義務は?」

 

「先ほど言った通りだ。詳細は先ほど渡した書類の中に、資料が含まれてい。」

 

その言葉に視線を手元に移す。そこには3枚の紙がある。2枚はまるでアンケートのような内容だ。そして3枚目は、ケルシー先生が言う実験のお手伝いの内容と、検診の内容。……オペレーターの仕事に関する項目がない?

 

「つまり普段は食っちゃ寝て、好きにしていろってことか?」

 

「そう言うことになる。」

 

「この研究に関わる人はどんな人達だ。」

 

「詳細を知れるのは私だけの予定だ。」

 

そこに他の最高幹部は含まれていないってことですか。まぁいいか。

 

俺は推しを拝めて、推しの世界に貢献?できる。Win-WinーWin⤴の関係って奴だろう。

 

「これからよろしく頼む。あくまで協力するのはケルシー先生だけということにしておこう。検査に関しては好きにするといい。できるものならばな。」

 

「そうか…。感謝する。当初の目的通り、血液検査を行いたい。採血してもいいだろうか?」

 

「どうぞ。…どっちの腕が良いとかあるのか?」

 

「どちらでも構わない。強いて言うのならば右腕だ。」

 

言われた通り右腕を差し出す。そこには文字は刻まれている。

 

「……全身にあるのか?」

 

「首の下から足首までぎっしり。」

 

「そうか。」

 

そうつぶやくとケルシー先生は針を肌に突き立てた。特に止血的な何かをする予定はないらしい。そもそも採血の時何をするか覚えてすらないんだけどね。献血とか行ったこと無いなー

 

 

 




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意思が弱くてこのキャラ登場させようかなと妄想が膨らみ始めたました。(終わる気がしない「だけど終わらせる」)

そこで問題になったのはロスモンティスです。

自分、なんとなくしかわかっていないんです。そして登場させようとすると頭こんがらがります。

だれか

エンジニア畑ってなんですか?ひよっこ的な意味ですか?

ローキャン水槽のことを簡潔に教えてください。

もしも教えてくれたら私の頭が痛くなくなりません。〈登場させるとは言っていない。


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6/15 進出のアドバンス

ケルシー先生が注射器の針を突き立てる。だがその針がセムの皮膚を貫くことはなかった。続けて少しだけ力強く、突き立てられる。だが結果は変わらない。

 

少しの間だけルシー先生の腕は止まった。だがすぐさま針が突き立てられる。そして何度も突き立てられる。まるで意地っ張りのように何度も繰り返していた。相変わらずの無表情も相まって、かわいいと思った。ぜひため息の領分でムーと言って欲しい。

 

そしていつの間にか注射器を一旦置いて、その美しくも少しだけ硬い手で腕に触れ……揉んでいた。突然の出来事につい聞いてしまった。

 

「…どうしたんですか?」

 

「硬い。だが弾力がある。これに刃物を防ぐだけの防御力があるとは考えられない。普通の人体構造とは違うのか?」

 

「どこまで違うなんて知る機会がなかったのだからわからない。少なくとも、普通の人間ではないだろうな。」

 

「傷つくのか?怪我をした経験は?そもそもその文字列はどうやって刻まれた物なのだ?」

 

「ある一定レベル以上の攻撃力と、特定の物質で傷つけられたはずだ。不注意で怪我したことは……偶然怪我することはない。文字列に関しては特定条件下で可能、としか言いようが無いな。それは一度しか経験がないがな。」

 

「しばらくの間…、いや先に採寸を済ませようか。」

 

「いや、血ならすぐにでも出せるよ。」

 

気になる単語が聞こえた気がするが、一度放置してアーツを使い指先を傷つけ血を出す。

 

「……アーツの応用か?」

 

「本当にアーツかはわからないが、応用ではある。今度アーツに関して詳しく教えて欲しいな。」

 

「講師を頼んでおこう。血液はこの試験管の中に入れてくれ。」

 

「一杯一杯まで入れるか?」

 

「8割ほどまで入れてくれ。」

 

3本ほど血液を入れてた所で、空の試験管はなくなった。アーツで血を止めていた所、問いかけられる。

 

「ずいぶんと勢いが良く血液が出るのだな。アーツで出させているのか?」

 

「……気にしたことがなかったな。無意識だ。」

 

そういえば、ドバドバ出るな。…穴を開けているから当然か?あんま痛覚なくてどこまでがどこかよくわかってないんだ。

 

「よし…、次は採寸だ。オペレーターとしての服を作ろうと思うが、必要ないか?」

 

「必要です。ぜひ作ってください。」

 

やったぜ。地味に結構とても嬉しいやつだ。へっへオペレーターとしての証拠のような物。やっぱ黒主体の青なのかな?めっちゃわくわくすっぞ。

 

「しばらくしたら、人が来るはずだ。その人の指示に従うといい。私は先に失礼させてもらう。採寸が終わった頃再び現れる。」

 

「わかった。」

 

と返すと、ケルシー先生はワゴンを押しながら部屋の奥へ帰って行った。………残りの書類は?と思ったが、また後で使うのだろうか?まぁいい。今はこの手元にあるオペレータになる上に必要事項をまとめた書類だ。大変気になります。

 

 

 

 




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最近千文字程度しか書いてないなー

と思いつつ平然と千文字を出す。今回は切りがいいから。


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6/16 進出のアドバンス

しばらくして、人が現れた。フレンドリー感はなく。ぱぱっと採寸して帰って行った。驚いたことに体の数字やら首と胸の間に埋め込んでいる大切な黒曜石を見ても、何一つとして反応せず帰って行った。ちょっとなんか残念。

 

採寸した人は消え、また俺は1人になった。

 

耳を澄ましても足音は聞こえてこない。

 

たしか採寸が終わった頃再び現れるとか言ってきたと思うんだけどな。まぁまだ書類を見終わってないのでいいだろう。

 

セムは黙々と読書モードに入った。

 

そして全部読み切るまで後もう少しというところで、足音が聞こえてきた。余計な音は聞こえてこず、軽やかな音だった。

 

顔をそちらに向ける前に声が聞こえてきた。

 

「待たせてしまったようだな。」

 

「いえ、後もう少しでそうなるところだったよ。」

 

体を反らし体をケルシー先生の元へ向けながら、手に持った書類をぶらぶらとゆらしながら言った。

 

「それならば良かった。」

 

そう言い切ったきり、静かになり近づいてきた。そして側にある椅子に座る。

 

そこからは話し合いだった。まぁ話し合いというよりも尋問に近いけど。無表情系女性が質問、俺が答える。それの繰り返し。いろいろと根掘り葉掘りと聞かれた。良い感じに答えられたと思う。だが頭痛い。久しぶりに頭をこんなに使った。ケルシー先生も偶にこめかみを押さえていたのは印象的だったな。

 

「……こんな所か。」

 

「…そうですか。」

 

お互いに燃え尽きたように無言でいると、突然扉が開く。そして先ほど採寸に来ていた人が荷物を持って現れた。

 

「完成しました。どうぞ、セムさん。」

 

自己紹介したっけ?と思いながらも「ありがとうございます。」と言った。そして荷物を受け取る。

 

簡単に包装された紙を破り、中の物を取り出す。それは自分の体が覆えるほど大きい。だが優に片手で持てるほど軽い。折りたたまれたそれを広げる。それは黒を基準とされた服だった。

 

「おぉーーー…、これがオペレーターとしての服か。」

 

「そうです。明日には、もう3着ほど完成する予定です。」

 

おぉーーー仕事が早い。さすが大企業ロドス様は格が違う。

 

「そしてこれが通信端末、そしてIDカードだ。」

 

続けてケルシー先生からプレゼントが渡される。何処かで見たことがある薄く四角い箱にカードだ。

 

「ありがとうございます。」

 

「次の予定だが、何も問題がないようであれば、それに着替えてもらい、彼女にこの施設案内をしてもらう。」

 

「おねがいします。」

 

「…わかった。次はしばらく日にちがたった後になる。予定に空きが生まれたら連絡する。」

 

「了解です。」

 

その言葉を合図にするように、ケルシー先生は研究室の奥へと帰って行った。

 

しばらくお暇を頂きました(日単位)

 

「着替え終わったら外に出て来てください。」

 

採寸の人はそう言って研究室の外へ出て行った。

 

「……また1人になったか。」

 

そんなつぶやきを残して、さっさと着替える。テキパキ着替える。

 

ダボダボのズボンに黒い手袋、ネックウォーマーに頭の角が隠れるほどの大きなフードに地面すれすれまである体に密着する系マント。ついでに目元を隠す用と思われる薄黒いゴーグル。

 

過去一肌色が見えな服装です。不審者セットじゃん。俺じゃなかったら熱中症になりそう。

 




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本編中中中中になりました。

ぎりぎりセーフです。


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6/17 進出のアドバンス

服を着替えて、外に出た。そして施設案内を受けた。

 

視線は結構貰った。やっぱり体隠してても目立つじゃん。やっぱおかしいよ、服装的に。改善を要求する。

 

てなわけで、現在。

 

自室です。

 

施設案内が終わり、最後の自室にたどり着いた。

 

記憶の奥底で見たことがある部屋だ。あの…壁にベットが掘られている奴…?たしか午後の逸話でバニラのペット回だったけな。ベッドの側に少し大きめの窓があって、1人部屋っぽくて……それぐらいか。たしかサリアが出てくるどっかのストーリーで2人部屋も見た記憶がある。……そっちは完全に忘れちまった。

 

自室の場所はわかったので、俺は外に出て散歩に行く。。

特に何も言われてないし、書類にも目を通した。まったく問題無い。

 

そして更に1ヶ月ぐらい。俺はまだ散歩していた。

 

未だにケルシー先生に呼ばれることはなかったので当然だ。ご飯も睡眠も必要ないからね。

 

ロドスは広い。1ヶ月も散歩しているが、まだ完全に道を覚え切れていない。偶に聞こえてくる。オペレーター達の日常会話も良い。最近では幽霊が出るという噂があるらしい。全身黒くてチビで音も出さずに歩く不気味なやつらしい。

 

俺だな。多分俺だ。……まぁいい。

 

現在、俺は目的がある。それはシーハウスを探しているのだ。

 

ニェンの妹であるシーの住処、家、部屋。

 

記憶が間違いでなければシーハウスの入口は、絵で書いてある扉のはずだ。もはやどこでその記憶を見たかすら覚えていない。もしかしたら二次創作かも知れねぇ。

 

俺は1度、シーの絵が見たい。それだけで俺はシーハウスを探している。それにして約1ヶ月の間、探していながら姿形噂すら見えてこないとは。さすが引きこもりだ。LV999の無職はレベルが違ぇ。本当にレベルが違うけど。

 

たとえ扉と言えど、それは絵である。正直、シーとコミュニケーションが取れるとは思っていない。引きこもりに陰キャをかけ算しても0なんだ。足し算ならばマイナスかもしれない。

 

俺はちょっとだけ扉を見て、結構満足するだけだ。

 

後どこ見てないんだろう。食堂?それとも倉庫とか?それとも屋上?そういえば屋上行ったこと無いな。行けなかったっけ?思い出せ………あれはテキサス?いやエクシアだっけ?なんか行ってた気がする。いや楽曲のイラストだっけ?まぁ、よし、どうせシーハウスは最難関となるだろう。先に屋上を目指そす。ダメなら行けないだろう。

 

まずは…エレベーターの最上階ってどこにだろう?行くか。………と思っていたがお呼び出しだ。貰ったスマホが振動している。そして俺が連絡先を知っているのは1人だけ。そうケルシー先生だ。

 

 




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6/18 進出のアドバンス

今回は前回の採血だけでなく、なんか特別そうな装置に入った。しばらくの間ボーッとしてたらあっという間に開放されたよ。

 

もしかして1ヶ月も何もなかったのは、この装置を作っていたのだろうか?

 

まぁ、いい。また暇になった。なので今度こそ屋上へ向かう。

 

・・・

 

何もなかった。案外すんなり行けた。ちょっと綺麗な景色があるだけだ。誰も居ねぇ。ドローン1つも見当たらない。ちょっとマゼラン辺り居る事を望んでいたんだけどなぁ。

 

……帰るか。

 

帰る途中も何もなかった。そろそろ何かイベントが欲しくなる頃合いなんだけど。

 

と思いながら、セムはシーハウスを探す。さぁ目の前に突き当たりがきた。気分で右へ進む。すると突然背後から火炎放射が飛んでくる。もちろん火を噴き出す装置ではなく、火の方だ。ポケ○ンの火炎放射の方と言った方がいいのだろうか。

 

突然の出来事にびっくりしたセムは足を止める。すぐさま背後から大変元気な声が聞こえてきた。

 

「ほら!やっぱり効いてない!幽霊だろ!!」

 

「あわわ……あわわわわ……!!」

 

「イフリータちゃん!ダメだよ突然攻撃したら!!」

 

会話を聞いただけでわかる。なんかめんどくさそう……イベントは欲しかったけどそんな感じを望んではいないのだ。逃げるか。

 

幽霊。逃げます。

 

「あ!?逃げるな!!」

 

「ちょっとイフリータちゃん!?」

 

「ま、まってよ~~置いていかないで……」

 

鬼ごっこですか?体力では負けないぞ。ここ1ヶ月はたっぷりと散歩したのだ。あなたたちに地の利はありませんよ。

 

・・・

 

「ッチ、どこ行きやがった。確かにこっち曲がったよな?」

 

「はぁ……はぁ……そう、…見えたけど?」

 

「……ポッカルの奴、どこ行きやがった?」

 

「…そういえば、……何処かで迷子になったのかも。」

 

「……先にそっち探すぞ。おら、いそくぞ!」

 

「ちょ!?なんでそんなに体力があるのぉぉ---……」

 

勝ったな。素の身体能力だけで逃げ切りました。………さて、どうするか。……あれは

 

セムの視線の先には、例の物があった。そう何度も望んだ。物があった。押すとカタカタ鳴って、神であるインターネットにも接続可能な神、personal computer

 

PCが。

 

近づく。そして食い見るように見る。

 

まさか実物がこんな所で拝めるとは。いやぁやっぱりいいな。俺もタイピングしたいなぁ。そううっとりしていると側から

 

「………どうしたんだ。そんなに近づいて…」

 

そのPCの所有者、もとい現在進行形でタイピングしていた人からそんなお声がかかる。

 

「これは失敬。」

 

ついオタクになってしまった。我らは紳士。落ち着け。

 

「…そんな骨董品に興味があるのか?」

 

「骨董品?」

 

うせやろ?この完璧なノートパソコンが骨董品?

 

「ああ、これは旧世代というか。今じゃ使われてすらないよ。今はタブレットの時代だからね。」

 

「じゃあなんでここにあるのですか?」

 

ここは休憩部屋といったところか。机があり、椅子があり、観葉植物がある。色々な人が談笑を楽しんだりしている。

 

「そりゃ趣味さ。」

 

「ほう…、良い趣味ですね。」

 

良いことを知れた。もうこの世界にPCはないのだろう。ならば作れば良いじゃい。次の目的決まった。金を稼いでPCを自作するぞ。さぁ何も知らないところからのスタートだ。がんばるぞぉ!




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遅刻です……………………

言い訳はしません。すみませんでした。気がついたら朝だった。

キャラ登場させるの大変ですね。もう無理かもしれない。頭バグりそう。200キャラ以上とか頭おかしくなるで。

最近はタイトルコール、誰やってるかわからない時が増えてきました。


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6/19 進出のアドバンス

そして俺はPC持ちのお兄さんと連絡先を交換した。なんと幸運なことに、オリジナルカスタムスペックPCをプレゼントしてくれることになった。ありがたやぁ。

 

ルンルン気分で、静かに通路を歩く。またもや、セムは迷路を進むように右に左へと進んでいた。

 

だが突然、既視感に襲われる。

 

この場所で起こるとは思ってもない事態に、セムは立ち止まりなんだ?と辺りを見渡そうとした。だがここは一本道の通路で、道地味に人がいる。壁に腰掛けるように、小さく縮こまっておこう。

 

ギロギロと見渡すが、何もない。諦めようとは思ったが、気になるのでアーツで調べることにした。

 

さすがのアーツ、一発でわかった。つい先ほどホシグマさんと行き違っていたようだ。ホシグマさん?……なんでいるの?それも1人だったよな。単独行動?チェンさんどこ?あれ?

 

そういえば、立場的にはどうなってるんだ?ロドスで働きながら龍門でも働くって感じなのかな?条件下で共同作戦を行う的な?一時的にサポートキャラとして任務を遂行するとか?わかんね。

 

まぁ少なくともすれ違っても気がつかれなかったということは、過去の記憶的な何かもう存在しないに等しいだろう。悲しいな。同一人物って言う証拠がないし、ちょっと角と顔と身長が同じだけだし……可能性はあるくね?ちょっと服脱いだら可能性あるくね?

 

可能性ってなんだよ。会ってなにするんだよ。昔話?あれからどうなったかとか?……たき火を囲みながらやりたいかも。酒を飲みながらってシチュもいいな。……いいな。

 

原因もわかったので俺は再び歩き出す。

 

だがおかしいな。この俺がホシグマさんを見逃すか?この俺だぞ。……理解が出来ない。気が抜けているのか?だがその程度で……最近色んな事があって気が抜けていたんだろう。そうだろう。

 

もうね、シーハウスを探そう。シーハウスを見つけたら全て完璧だ。

 

そうして歩き出す。幽霊探偵団からも逃げ続け、不審人物を見るように睨み付けるこわ~~い御方からも逃げ、時間という物はあっという間に過ぎていく。

 

そしてその日は来た。

 

「来たか。ほれ、出来たぞ。」

 

「うわぁ……すごい。」

 

目の前にはノートPCがある。例の自作PCお兄さんがわざわざ作ってくれたPCだ。前世では作ってみたいと思っていながら、一生手を出すことはなかった代物だ。

 

「だいたいの操作はわかるんだよな?」

 

「普通の操作であれば出来ると思います。」

 

今世と前世のPCがどれほどの違いがあるかはわからないが、キーの配列は同じだ。なんとかなるはずだ。

 

「まぁわからない所があったら遠慮無く聞いてくれ。」

 

「はい、ありがとうございます。…報酬?ってどうなるんですかね?」

 

自作PCお兄さんは特別、何しろあれしろと言った記憶が無い。少なくともPCは高価な部類入るだろう。だが心配する事なかれ、ケルシー先生によって給与?……お小遣いが与えられてる。特別使うこともないので満額ポケットの中である。食堂すら利用していない。っふ、勝ったな。

 

「良いって、また仲間が見つけられ嬉しいし。」

 

「また、ってことは他にもパソコンが好きな人が沢山居るんですか?」

 

「沢山はいないな……俺を合わせて4人って所だ。」

 

「ぉお~~?」

 

少ないのか多いのかわからない。

 

「君が新たにみつけれらて、合わせて5人になったな。」

 

和やかに笑いながら、そう言うお兄さんはかわいくに見えた。……おかしいな、男の娘適正はないはずなのに。優男のはずなのに。

 

「もしも何か手伝えることがあれば何でも言ってください。ほぼ暇なんで、協力できると思います。」

 

「おぉ~それはありがたね。だけどいいかな。特別手伝って貰うようなことないし、…強いて言うならご飯でも奢っても貰おうかな?」

 

「はい。よろこんで。」

 

「良い返事だね。もしかして今日も暇なのかな?」

 

「はい。」

 

「じゃあ今から奢って貰おうかな?」

 

「それでは行きましょう。」

 

そうは言うが、食堂の場所がわからないのでお兄さんの横を半歩後ろを歩く。相変わらず視線は多い。




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

無職に出会いがあると思うなよ。

イメージ膨らまなくてきついです。ほぼ原作キャラは登場しないと思った方が良いです。そしてちゃんと良い終わり方が見つかりません。俺達の冒険はここからだ的な流れで強制的に終わると思います。

ネタバレかも知れませんが、宣言します。主人公によって鉱石病がどうこうなるつもりはありません。ケルシー先生によってもないと思います。

そんな世界…俺には妄想できなかったよ……


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6/20 進出のアドバンス

初めての食堂だったが、普通に良かった。ただお兄さんの話がPC製作の道具やメモリやらCPUの話ばかりだった。このオタクめ。さすがにわからない。

 

そんなお兄さんとはわかれて、俺は自分の部屋に戻る。約1ヶ月ぶりの自室だ。自分の部屋感が全くない。ホテルのように感じられる。

 

さっさと椅子に座って、電力注入、PC起動、充電100%。いざプレイナウ。

 

……やることねぇな。

 

PCは手に入った。大好きなタイピングが出来る。だが大事な入力する内容がない。妄想でもなんとかなる気がする。だがな、偶には決められた内容をタダひたすらと入力する作業がしたいんだ。

 

つまり何が言いたいかというと、飽きた。

 

いやPCは好きだ。大好きだ。だが熱狂的な何かを感じない。文字にすることが本当に少ないというのは悲しい事実だ。日記のように日々の出来事をタイピングするのか、

妄想というのは文字に起こすと良いタイプと起こさない方が身のための2パターンがある。俺は基本的に後者が多いのだ。

 

つまり何が言いたいかというと、書くことがない。

 

困ったな。困ったな。何を書こう。

 

そう言いながら回転する椅子に座ってゴロゴロ回る。ずっと回っているが目は回らない。三半規管強いって良いね。

摩擦の力でその回転が止るまでタダひたすらに回る。止りそうになればアーツで加速させる。つまり永久機関。

 

……そうだ。困ったことはケルシー先生へ。なんでも質問しても良いって言ってた気がする。そうと決まればメールだ。

 

仕事をするにはどうすればいいですか?と送信。少し待っていたらあっという間にロドスのオペレーターとして職につくのであれば正規の手続きをすれば可能だ。独自にしたいのであれば、簡易的にまとめて連絡して欲しい。と返信だ。

 

さすがケルシー先生、仕事が早い。そこから5応答ぐらいしたら、事務オペレーターとして働くことが決まった。自分でもよくわかってない。選択肢を出されて、誘導されていつの間にか職が決まっていた。まぁPCでタイピングが出来るならなんでもいい。

 

仕事は明日からだ。

 

今日は休養しよう。そして明日は朝一で突撃しよう。そう決めたところでベッドに倒れ込む。ここまでワクワクするのは久しぶりだ。

 

そして次の日。俺はメールに添付された場所へ向かっている。

ケルシー先生いわく面接とかもないらしい。即戦力みたいな感じでいくと言っていた。最初にちょっと業務内容確認、実習テスト、後は仕事を与えられてやる。そして次の日に提出。出来なかった場合は報告。相談。止めるときもケルシー先生に報告すればいいらしい。上司じゃだめなのかな?

 

 

 

 

 

 

 




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6/21 進出のアドバンス

ちょっとだけ見覚えがある道を進むと、目的地に着く。コンコンノックをして、中に入る。

 

「失礼します。……セムです。」

 

そこからなんやかんやあって、仕事を貰った。ちゃんとPCでできるか確認もした。完璧だろう。

仕事はデータ入力が基本だった。枠作ってタイトルを入力して数字を沢山書き込む。楽しい。ただ文句を言うのなら、テンキーがないのが悲しい。電卓みたいにパパパパ!ってやるのが格好いいんだよ。

 

更に文字入力が少ないなぁと思いながら1晩と少し。仕事は終わった。腰が痛くないっていいよね。ついでに喉も渇かないし、雑音が少ない。椅子はアーツでカスタムして、自由自在だ。環境が良いな。

 

セムは終わった仕事を実質的な上司へ送り、更なる仕事を要求するために一日ぶりに外に出る。部屋の窓から外が見えるので今が昼ぐらいだということがわかる。

 

前回と同じ部屋なので、ダッシュに見えない程度に早歩きで向かう。今は散歩に用はないのだ。

 

コンコンノックをして中に入る。そして前回と同じ事を言う。

 

「失礼します。セムです。」

 

そして前回と同じように

前回の不思議な者を見る目から、可笑しな者を見るような目に変わっている。

 

「…どうした?」

 

「新たな仕事を貰いに来ました。前回の分は言われた通り送りましたよ。」

 

「ちょっと待ってな……か。これはさすがと言うべきだな。」

 

「どうも。」

 

「これでも1週間分だったんだけどな。」

 

1週間!?一日八時間労働週休一日制、計週四十八時間相当ノ労働。48時間分か…それを24時間で……まぁ所詮新入社員と見られての計算だろう。熟練社員の一時間の労働量と、新人社員の一時間の労働量は結構差があるのだ。それが2倍も差あるかは知らない。

 

「とりあえず、その4倍以上はください。」

 

またここに来るのは面倒くさい。なんなら12倍でもいい。まだ俺は全力でタイピングしていない。余裕はあるときに持つものだ。

 

「さすがに量が量だからな、自分の部屋で、じゃなくてここでやるなら良いぞ。」

 

「自分のスペースあります?」

 

辺りを見てみると机がまばらに設置され、それぞれに人が居る。通路以外は全て作業スペースといった感じ。席に空きはなく、沢山のオペレーターが働いている。

 

「……そうだな…………俺のスペースの一部を切り崩してなら…、ぐらいか?」

 

俺の体は小さい。適当によぎぼーなもふもふで自由可動な椅子にもたれ掛かって、膝をたたんで体操箱のようにカタカタタイピングをすればいい。声をかければ側に上司がいて、すぐに新しい仕事が貰える。最高かよ。俺の腰のLVは限界突破。腰痛など知らん。24時間265日同じ姿勢でも余裕だ。

 

「それでいいでしょう。」

 

いつもカタカタしているマスコット的存在に俺はなる。

 

「なんで急に偉そうになるんだよ……さぁPC取ってこい。俺は空間を確保してくる。」

 

「了解です。空間は小さくて大丈夫です。」

 

「まぁ…、可能な限り確保してみるわ。」

 

その言葉を最後にまたもや競歩で自室に戻る。急いでおいて、まだ準備が終わってませんではなんか気まずい気がするが、本当にこじんまりとした空間だけが欲しいので急ぐ。




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何を書きたかったのかわからなくなりました。なので書きたかったことを進めます。



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6/22 進出のアドバンス

素早く部屋に戻りPCを確保し、アーツでヨビボー的なクッションを作る。自分の身長の1.5倍ほどの大きさのぷよぷよのクッションだ。これは職場での俺の椅子兼机兼家だ。

 

アーツ製なので形を自由に保てて、ぷるぷるで、ひんやり、ほかほかです。さすがアーツ製!カププコン制とは格が違う!

 

PCを大切そうに両手で抱え、クッションを頭にかける。クッションは黒くて大きくて太い。まるでベールのようだった。そして大きすぎるので地面に引きずっている状況になってしまっている。アーツのパワーで1mmほど浮かせておこう。

 

必要な物はまとめたので上司の元へ向かう。まるでスライムのようにすすすと平行移動をしながら上司の席へ向かう。

 

そこには既に荷物を角に積み上げ、半分ほどのスペースを空けた上司の姿があった。

 

「ん?はやいな。……なんというか、荷物はそれしかないのか?」

 

「はい。端のスペースお借りします。」

 

そう言って、開いているスペースの隅に、クッションを置く。そして座り込みながら、形を座椅子のように整える。まるで日傘のように、頭上にもクッションを持っていき、光を制限する。わかりやすく言うとクッションの形はまるでCのような感じだった。

 

だいたい1/8のスペースだろうか。コンパクトだ。

 

満足げにしていると、上司が何とも言えないような顔をする。

 

「……これだけしかないと言うべきか、これだけあると言うべきか…、てか、本当にこれしかないのか?」

 

「これだけあれば充分ですよ。」

 

上司の机の上を見ると、コップやら時計やら書類やらタブレットが3台に雑貨やら砂時計やら。地味にいろいろな物がある。それに対してセムはクッションとPCただ2つだけだ。

 

「…まぁいいか。自分のことは自分で調整しろよ。」

 

「はい。」

 

よし、面倒事は終わった。次はお仕事の時間だ。

 

「では、仕事はありますか?」

 

「眩しいぐらいに熱意があるな。だが仕事に期待はするなよ。」

 

「はい。」

 

期待をしているのは、仕事だけど仕事じゃないから。熱意があるのは仕事ではなくPC操作である、と言った方がわかりやすいかな。

 

そこから仕事を貰った。仕事内容はもはや事務員とは思えない。なんかのイベント運営委員会だ。要望書であれば、まとめる。必需品の要求書であれば、これもまとめてさらに数字叩き込んでまとめる。そして、それらを更にまとめて上司のメアドに叩き込む。

 

隣に上司がいるので、文句や問題があれば直接言われかもしれない。なかなかの緊張感だったぜ。

 

今回は上司の仕事の一部を貰っている形なので文句は言わんが、圧迫反対。パワハラ反対。

 

そんな流れでカタカタしていうると、あら不思議。仕事がなっくなりました。今は上司と雑談を始めようとしていた。

 

「これしかないんですか?」

 

「俺の分はもうねぇよ。まったく、指本当に5本か?20本ぐらい隠してるんじゃないだろうな?」

 

上司はいつの間にか、コップを片手に優雅にティータイムをしていた。白い湯気が見える。

 

「両手合わせて10本ですよ。」

 

脳内で(※アーツで千本でも増やせます)と注意書きしておく。

 

「それにしても速いな。いくらパソコンといっても、俺とお前とでそんなに変わるのか?」

 

「先ほどの見たタイピング速度が答えでは?」

 

「それ相応の能力ってことか。俺もやってみようかな。」

 

「PCはパーソナル(PCくれた人)に言ってください。僕も作って貰いましたから。」

 

「あいつか…ちなみに、勧誘された感じか?意気投合した感じか?」

 

「意気投合、だと思います。」

 

「類は友を呼ぶってやつか。…まぁ俺も一台ぐらい持ってても良いか。」

 

そこで上司は立ち上がる。

 

「今から話し合いしに行くのですか?」

 

「ああ、そして俺は帰るよ。仕事も終わったし。」

 

「………本当にもう無いんですか?」

 

「あるっちゃあるけど、緊急の仕事じゃないし。」

 

「やりたいって言ってるからいいじゃないですか。それください。」

 

「急に言われても無理だ。大人しく明日まで待て。」

 

「明日になったら貰えると?」

 

「まぁな。」

 

言質は取った。今日は勘弁してやろう。

 

「わかりました。それじゃあさようなら。」

 

「お前は帰らないのか?」

 

「このまま仮眠でもとります。」

 

「そうか。お休み。」

 

「さいなら。」

 

上司は帰っていった。そして俺も仮眠………なんてすわるわけがないだろう。俺は立ち上がる。そして歩き出す。目的地はすぐ側だ。




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やる気とは覚悟と魂で作るものです。たとえテストと試験と周回とアプデと新しいゲームリリースと保安駐在とミズキちゃんと3.5周年と3徹があってもやらねばなりません。

たぶんアークナイツアニメ第二シーズンまでに俺は死にます。その頃までには転生したいですね。どちらにせよアークナイツアニメ第二シーズンで死ぬので意味ないですけど。

ロドスオリジニウムレコードも読みたいです。



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6/23 進出のアドバンス

目的地はすぐそこのブース。つまり他人の仕事部屋だ。そこにも上司と同じように自分の空間を持ち、仕事をしている先輩方がいる。そして俺は声をあげる。

 

「すみません。」

 

「はいはい、どうしました?」

 

「お手伝い出来ることはありませんか?」

 

俺の目的とは、お仕事お手伝いすることである。仕事が無いなら、自分で取ってくればいいじゃない。たとえ上司が1人でも、仕事仲間は1人じゃない。つまり仕事も1つではなく、やれることはまだまだある。

 

「はぁ……どうしてですか?」

 

戸惑いの様子。だが止らない。目的がハッキリしている分ゴリゴリ押し進める。

 

「仕事したいからです。仕事ください。」

 

「はぁ……ワーカホリックですか?」

 

ワーカホリックとは仕事以外にすることがない、仕事をしていないと落ち着かない、仕事をしすぎて体調を崩すといった感じの特徴がある。…あながち間違いじゃ無いな。

 

「さすがにそこまでじゃないですよ。ちょっと暇なんで先輩のお手伝いしたなーって思っただけですよ。お仕事ください。」

 

「じゃメディカルチェックの診察結果を見せてください。」

 

なん、だ、と、?ホワイト企業かよ。知らんけど。

 

「嫌です。お手伝いさせてください。」

 

「アーミアちゃん呼ぶわよ?」

 

「まっさか、そんなことでアーミアさんが来るわけないじゃ無いですか。」

 

想像もしてなかった言葉に、声が裏返る。

あの歳でも最高責任者の1人。こ、こんなことで来るわけが…

 

「来るわよ。彼女。」

 

「え?」

 

「特別な仕事がなかったら来ちゃうわよ。」

 

……あり得ない話ではなさそうだ。あのうさぎちゃんだし…ちょっとまだ接敵はNGで。

 

「……診察結果無いんですけど。」

 

「なら医療室にでも行ってきて受けてきたら?今ならガヴィル先生を呼ぶわよ?」

 

そんなオマケみたいにガヴィル先生を呼ぶな。

 

「行ってきます。」

 

そう言いながら事務室を出て行く。医療室に向かう途中で、普通に受けて良いんだろうかと考え始め、ケルシー先生に質問しておこう、とメディカルチェックの診察結果はどうすれば良いですかと入力。しばらく散歩でもしようかと、端末を仕舞いかけたら、通知が来ていることがわかった。

チラリと見ると今すぐ必要か?と返信がきていた。即座に可能であれば、と返信する。

 

別にあの先輩だけが寄越せと言ってきただけなので他の先輩は言われていない。つまり数撃ちゃ当たる作戦……それで良かったくね?まぁ本当にガヴィル先生召喚からのアーミア融合、混沌ガヴィミア先生となるかもしれない。それでいいだろう。

 

更に、取りに来て欲しいと返信があった。

 

場所指定がないけど、まぁあのケルシー先生部屋でいいのだろうか?まぁ行けばなんとかなるか。

 

そう思い歩く。想像通り、ケルシー先生の部屋にケルシー先生がいて、本当に簡単に診察を受けて、診察結果の書類を受け取った。

 

これで良いだろう。

 




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6/24 進出のアドバンス

診察結果の書類を持って、例の先輩の元へ戻る。出て行く前と変わらず、仕事をしていた。

 

「先輩。」

 

「あら?君はたしか、さっきのワーカ君。どうした?」

 

ワーカ君?……ワーカークン……ワーカ……ワーカホリックか。つまりワーカホリック君ってことね。

完全に理解したセムはさっきケルシー先生から直に貰った診察結果の紙を先輩の目の前にバンッと突き出す。そして言う。

 

「診察結果貰ってきました。」

 

「診察?それにしてはずいぶんと早く帰ってきたね。そんな短時間でメディカルチェクが……チェックが……」

 

先輩はまじまじと診断書類を見る。言いかけた言葉すら止め、じっくりと診察書類を見ている。正直、俺は診断書類がどんな物なのかわからないので、ちょっとだけ心配だ。そもそもケルシー先生が俺の意図を読み取っているとは思えない。もしかしたら、そう、もしかしたら何かしらの理由で先輩ストップが入るかも知れない。

 

「どうやったの?」

 

「普通に診断書類くださいって言ったらくれました。」

 

「医療室は空いてた?」

 

「(ケルシー先生の)医療室は空いてました。」

 

「偽物じゃ無いでしょうね?」

 

「わざわざそこまでする必要はないでしょう?」

 

「……いや、本物のワーカホリック君ならやりかねない。」

 

なんだよ本当のワーカホリック君って。

 

「本当のワーカホリック君なら、仕事を失うような真似は絶対にしないと思いますよ。」

 

「……」

 

先輩が静かになった。じゃ次は交渉だ。

 

「それじゃ仕事ください。」

 

「まぁいっか。どんな仕事がいい?」

 

「てきとうな雑用で。」

 

「ほい。」

 

先ほどまであれほど疑っていたというのに、軽いノリで書類を渡された。内容はデータ入力のようだ。数字ばっか…これぞ本当の雑用だな。

 

「終わったら連絡するので、連絡先ください。」

 

「はいはい。」

 

後輩は連絡先を交換した。

 

「それじゃ終わったら連絡します。」

 

「はい。」

 

そして自分のスペースに戻る。椅子に沈み込む。……書類を置く場所が無いじゃん……ここは周囲から見えない暗い場所。つまりアーツ君で空中浮遊させれば解決。

 

仕事を終わらせて、連絡を送る。書類を先輩の元へと返し、別の先輩の元へ行く。いちいち行って帰ってを繰り返すのは面倒くさいのでまとめて仕事を集める。そして一気に返す。

 

そんな生活を数日した。適当に散歩して、適当に趣味をする。なかなか良い日々だった。多分、わずか数日ながらマスコット枠として認識されていることだろう。そんな生活の中、俺は購買という物を知った。お菓子って良いよね。ご飯では得られない物が摂取できる。

 

 

 

 

 




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アンケートです。期限は来週の土曜辺りです。


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6/25 進出のアドバンス

アンケートの結果を持って、終了のお知らせをさせて頂きます。

 

漫画を完結させる気持ちでどうにかして形として終わらせようとしましたが、無理だったのでやめました。今回は完全な後書きとさせていただきます。

 

 

まずは考えていたこれからの妄想を、(恐らく書けることは無いと思うので)吐き出しときます。(文字稼ぎ)

 

 

完全仕事人間主人公。アーミヤに捕まる。

仕事人、売店豪遊

ニェン、新しい素材(主人公)をハント

ニェンの標的を見つけたシーさん、姉に優位に立つために素材を狙う

ホシグマとペンダント?

ペンダントと花屋さん

主人公を狙う天災

主人公、3次進化

 

的な感じです。

書いた事を覚えるどころかメモすらしてないので、自分でもわかっていないところが多いです。恐らく、出した伏線やらなにゃらを全体の3割すら把握してないと思います。

 

 

改めまして、完結とさせていただきます。もう更新されることはありません。

 

処女作にしては、よくやったほうだと思っています。なんで処女作でこれほどの長編書いてるんでしょうね?プロットもまともに無く、経験も無く、まさに無謀だった。だけど100話を超えたことだけは誇ります。

 

 

自分で言うのもなんですが、この作品の初期設定?は好きです。

ただいつの間にか方向がおかしくなっていた。これが行き当たりばったりの力。

 

 

終わる、と決めて再び考えてみると、鉱石病を治療できるっておかしいですよね。自分の頭ではその世界が想像できません。完全にアークナイツの世界観が崩壊する音がすりゅ。アークナイツさんは速くストーリーを完結させてください。さもなくは完全妄想二次創作にするぞ。

書き直すとすれば全身オリジニウム人間で仮定しておきます。どっかの都市に侵入して感染者だ!捕まえろ!!かーらーのー、なんだこいつ、オリジニウム濃度おかしいですね。壊れたか?的な事をしたかった。なんなら狂犬化して、なんでもかんでも噛みつき、噛み砕く獣人主人公に対して、急に原作キャラが登場してきて、甘噛みとか舐め始める………気持ち悪。だめだ俺がお前(主人公)を許せない。完全な獣になって出直してこい。

 

 

なにか妙案が浮かべば、最初はほぼ同じで新しい作品として投稿すると思います。初期設定?は大好きなので。(自画自賛)

 

 

ちなみに休止という考えはありませんでした。

だけど、気がつけばすでに道を踏み外していたので気がついていても、意味は無かったと思います。

 

 

次の作品の予告ですが。完全短編集です。タイトルは義務ナイツとでもしておきましょうか。所持している全キャラの短編を書かないと完結出来ない。それだけの作品です。

いままで息抜きと表して書いた作品を終わらせてから、書く予定です。

義務ナイツは週一投稿ではありません。こちらも息抜き作品でございます。

 

 

最後に、この作品をお気に入り登録やしおりの活用。感想や評価、アンケートのご協力、ありがとうございました。めっちゃ書く気力が溢れると共に、深夜テンション化してました。いつの間にかUAも8万も超えてました。嬉しかったです。

 

あっという間に、文字数も千文字を超えましたので、そろそろ終わりとさせていただきます。

 

 

………ちょっとだけ見返してみましたが、あらすじでこの小説の全てが語られてますね。過去の自分ってすごい。

 




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