無双OROCHI 天地人 (梟帥)
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設定資料室
登場人物〜黒獣編〜


元々は18禁ゲームのキャラクターですが
本作品は「魅力」枠のキャラクターとして扱います。


オリガ・ディスコルティア

 

 セレヌス大陸西方の北の大陸にある「黒の城」の主。

 長きにわたる戦乱の元凶のダークエルフの女王

 南征して世界征服を目論むも、魔力の衰えによって軍の綻びがヴォルト率いる「黒犬傭兵団」に敗北するかと思ったその時、殺生丸の登場によって傭兵団と自軍を両成敗するという予想外の結末を目撃する。

 叢雲牙を巡る「関ヶ原の戦い」を経て、坂本龍馬の仲介でセレスティンと和睦を結ぶことになる。

 現在では都でたまに遊びに来ている。

 

クロエ

 ナルガ装備着用

 

 オリガの側近の騎士、人間とダークエルフのハーフ。

 幼い頃、奴隷時代からオリガに救われる。

 救われた恩義に報いるためにオリガに永遠の忠誠を誓う。

 


 

七盾同盟

 

アリシア・アルクトゥールス

 キリン装備

 

 一の砦の女騎士。名門「アルクトゥールス」の長女。

 聖アイリス騎士団の団長を務め、剣技と可憐な容姿から「姫騎士」と謳われている。

 厳格者にして領民から慕われ、人気がある。

 

プリム・フィオリーレ

 ザザミ装備着用

 

 二の砦の姫君。愛らしい容姿と心優しい性格から「花月の姫君」と謳われている。

 アリシアの従姉妹にあたり、アリシアのことを実の姉のように尊敬をしている。

 

 

カグヤ

 

 三の砦の巫女。セレヌス大陸において珍しい和風の美女(釤之助談)。

 異能の神を信仰する巫女長で、他の神の存在を認知しても一切信じない、自身の信仰する神のみしか信じない。

 

マイア

 ガラン装備着用

 

 四の砦に滞在していた傭兵。元「黒犬傭兵団」の傭兵で、元仲間たちから姉御肌として慕われていた。

 現在はギルド「士学校」に所属しており、釤之助と並ぶ稼ぎ頭になっている。

 

ルー・ルー

 

 五の砦を守護する「ハーフリング」の(ガキ大将)

 並外れた製造技術と怪力を有し、自身お手製の超巨大な戦斧を片手軽々に振るう。

 なお、刀々斎にわからされてライバル心抱くようになった。

 

クラウディア・レーヴァンタイン

 

 六と七の砦の守護騎士団長兼セレスティンの護衛騎士。

 夫の「クラウス」とは円満の仲、中々子宝に恵まれなかったが宿ったことに夫婦共に歓喜した。

 

セレスティン・ルクルス

 

 七の砦「白の城」の城主。

 七盾同盟軍の長で、「予知能力」で導く。

「女神ラーレンティア」の生まれ変わりと言われ、領民と軍から慕われている。

 その後、関ヶ原の勝利によって

 坂本龍馬の仲介でオリガの軍と和平条約の和睦を結び、融合世界の統治を共に行うことになった。

 尚、自身の美貌によってファン(変態共)が増えていることを当人は知らない。

 

 

 

 




ファイアーエムブレム直系モンスターハンター傍系
追記加入・修正をゆっくりと後に付けます。


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序章〜出会いと始まり〜
少年と半妖


前置きから
歴史の偉人×ファンタジー×神話
正直言ってめちゃくちゃ大変。


????? 

子供の頃

 俺自身、不可思議なことが起こっていた。

 幽霊が見えたり、人の心の声が聞こえたり

 そして妖怪と悪魔といった魔物の姿が見えてたりする

 俺は、これが原因で周囲から距離を遠のかれ

 不気味がって近づこうともしなかった。

 だけど、そんな俺を育ててくれたのは妖怪の人達だ

 武術・学問・礼儀・作法等を教え込まれた。

 そうして俺は、妖怪の親たちから人世の世界に巣立つように言われ、そして「己の力」を隠すように人間達と過ごすようにと言われた。

 言いたいことはわかる、妖怪たちのもとで過ごして十年……、

 鬼の怪力・天狗の脚力・河童の水泳術・狸狐の心理学

 これらを併せ持った人間が現実(リアル)にいたら手段問答無用で捕まえにくること間違いなしだ。

 最も、俺はそんなドジや他人に見せたり威張ったりはしない……

 だって、つまらないから。

 …………()()に巻き込まれるまでは…………

 

現代

 

 学校でいつものように昼寝をしようと屋上に向かったんだ

 いつものように、昼寝をしようと行ったら……

 

「なんだ、てめぇ……?」

「そっちこそなんだよ?」

 

 屋上には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がいた……

 

「お前……身体中から()()()()()がするんだよ……!!」

「妖怪?」

「そうだ、お前何もんだ?」

「ただの普通の人間ですが、何か? 

 あと俺は安倍釤之助(あべしんのすけ)、よろしく」

「お、おう……じゃねえよ! 

 おい釤之助! お前は何者なんだ!!」

「あのー」

「いや、さっき言ったでしょ?」

「だからだよ!! 

 てめぇのような人間がなんで()()()()()()()()!?」

「ちょっと!?」

「あのさぁ……なんだっていいだろ? 

 別に俺は普通に過ごしてるから怒りたたんなっての」

「てめぇはそうでもな……俺には鼻がつくんだよ……」

「…………(プチっ)」

「えぇ……そんなの言いがかりじゃない? 

 一発やらないと気が済まないようだな、ああっ?」

「へっ、やる気があるようだなぁ? 

 相当腕は立つんだろうなぁ!!」

 

 二人は腕を鳴らして一触即発の状態に入った。

 

「怪我しても恨むなよ?」

「泣いて謝っても容赦しねぇからな?」

 二人の喧嘩が始まろうとした瞬間…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おすわりっ!!!!」

ずだんっ!! 

「ぐえっ!?」

「うおっ!? なんだぁ!!?」

 突然、白髪の男は()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「犬夜叉……釤之助くん?」

「っ!? かっがごめ……!?」

「っ!! なっなんでしょうか……かごめ()()()……!?」

 

「二人とも…………」

「そこに直りなさい!!!」

 

「うっうおおおおっ!?」

「ひぃぃぃぃっっ!? すんませんしたぁ!!」

 こうして、「日暮かごめ」さんの数時間近くに及ぶ超大説教は

 学校から街に響き渡ったそうな……。

 

 学校の帰りに、「犬夜叉」と言う青年と日暮かごめと一緒にその帰路を共にした。

 

「へえ、二人はそれで冒険に出てるって感じか」

「そうよ、これでも大変なのよ?」

「たくっ……おめぇら随分と仲いいじゃねえか?」

「いやぁ、()()に扱かれてるから……」

「ちょっと? その姐御って呼ぶのやめてくれない? 

 恥ずかしいじゃない!」

「ふっはっはっはっ!! かごめのことを姐御呼ばわりするなんてな! 

 てめぇ、随分と可愛がわれてたんだな!!」

「ちょっと犬夜叉! やめてよ、もう!!」

「俺が小学生の頃、そりゃあ超が付くほどの大悪童でな……

 そこにかごめ姐さんと出会ってな? そこに()に一撃必殺を入れられて死に悶えて……」

 

「やめなさいって言ってるでしょ!! その話すごい恥ずかしいから!!」

 

 そんなこんなの思い出話をしながら、三人の仲は深まった……

(そのあと、かごめから本気のおすわりが入った、釤之助はそれの巻き添えに遭いました)。

 

「それより、釤之助」

「ん? なんだ?」

「さっき犬夜叉の話なんだけど、()()()()()()()()()のは本当なの?」

「ああ……その話は本当だよ」

「!」

「そうか……で、お前はその妖怪達と過ごしたんだろ? 

 どこでその妖怪達と過ごしたんだ?」

「何処でって……犬夜叉側は()()()()と言えばわかる……?」

「琉球王国???」

「琉球王国……それって()()のこと?」

「そっ、そこには子供の妖怪達が沢山いてな

 俺はその中でも結構人気があってな……」

「そりゃあ、そうだろうな

 子供の妖怪達の集まりの中に()()()()()()()()だからな」

「そうだったのね……あの」

 

「いじめはなかったぜ、むしろもの珍しい扱いだったぜ?」

 

「ええっ!? まだ何にも」

 

「言っていないのに、どうしてわかるの? 

 そして「なんで私の考えと気持ちがわかるの!?」と……」

 

「!?」

「お前、()()()()()()がわかるのか?」

「まあな、あまり使いたくない技の一つだけどね」

 

読心術

 普通の人間の心理技に「読唇術」がある

 これは耳が聞こえない人間や作業場の騒音の中

 相手の口の動きを見てその言葉を読む術

 対して読心術は他人の考えてることや心を読み取れる術である。

 尚、本人はこの術を使いたがらない、曰く「嘘は笑顔と安心が必要」とのこと。

 

「他にも、色んな術はあるけど

 妖怪の術よりも身体能力や体術の方が相性が良いらしいからね?」

「そうなんだ……」

「まあ、最も()()()が一番大変だった」

「だろうな、素で行ったら真っ先に注目の的……引いてはあの手この手でお前をとっ捕まえたい一心になるだろうな?」

「そう、本気を出さない様

 全力を出さない様に、力加減を付けているんだ

 全力(フルパワー)で行ってみろ? 

 犬夜叉の言う通りの結末になるよ?」

 

 現代社会で妖怪並みの運動神経と能力を持った人間は恐れられる。

 そうなったら自身の生活は逃亡か隠遁になるかの二つだ、

 最も、人々は放ってはくれない……させないのとさせてくれないのと二つだ。

 

「釤之助君……」

 

 三人が自身達の語りをしている間に、

 かごめの家、もとい神社にて

 倉庫の掃除をしていた家族達は「ある剣」と出会う……。

 神主曰く、「井戸から拾い上げた伝説の剣」と伝えられていたらしく

 その剣を大事にしていたと言う……。

 その剣は「叢雲牙」であることを知らずに……。

 

 




始まりから
次は主人公、武器を手に入れます
そして「本番」の起承転結の「承」です。


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叢雲牙

天下覇道の剣の一つ「叢雲牙」
それを手にしたものは
一振りで百の亡者を蘇らせることができるという。
しかしこれを扱える者は犬の大将こと「闘牙王」と
その息子にして犬夜叉の兄「殺生丸」だけであった・・・・。
その者達以外その剣を握ったら最後、「叢雲牙」の中の悪霊によって支配されてしまい、その剣の傀儡となってしまう・・・・。



日暮家・神社

 

 ある日、祖父の手伝いの掃除の最中

 かごめの弟の草太(そうた)は「一振りの剣」を見つける。

 

「お爺ちゃん? これ何?」

「よくぞ聞いてくれた!! 

 この剣はなぁ…………」

 

 祖父はその剣について語る。

 曰く、その剣は「天叢雲剣」らしく

 かつて八岐大蛇を退治したときに使われた剣らしく、

 日本の三種の神器の一つとして有名な剣……

 のはずなわけない。

 

「あれ?」

 草太はこの剣の「鞘」に付けられた「名前」に気づく。

「お爺ちゃん? この剣の鞘、一文字違うよ? 「牙」って書いてるよ?」

「何!?」

 

 母親はこの剣の鞘の名前を見て答えた……。

 

叢雲牙(そううんが)

 

 それがその剣の本当の名前だった……。

 慌てふためく祖父はこの剣は「井戸の中」から拾い上げた剣らしく。

 曰く、先祖代々から伝えられた由緒正しい剣として大事にしていたそうだ……。

 

 草太は、この件に触ろうとした瞬間

 鞘から突然()()()()()()()が出てきた!! 

 

「この剣! 噛み付くよ!」

「何馬鹿なことを言ってるのよ?」

 

「おい? いつワシが噛み付いた?」

 

 剣の鞘から()()()の様な物体に驚いた祖父達。

 突然の出来事に戸惑っていた。

 

「この剣、しゃべるんですか!?」

 

「話とるのはワシじゃ、叢雲牙ではない」

 

「おお!! さすが我が神社に伝わる宝剣!!」

 

 祖父がそう讃えるも、突然剣が()()()()()! 

 

「いかん、いよいよ700年の封印が解けてしまう!」

 

「ええっ!?」

「700年の封印!?」

 

「叢雲牙がワシから抜け出してしまうんじゃ! 

 おおい、近くに強い妖怪はおらんか!?」

 

「妖怪?」

 

「ああっ、弱ったのう……! 

 この叢雲牙は恐ろしき魔剣、このままでは大変なことにっ!!」

 

 突然、叢雲牙は禍々しく輝き始めた!! 

 そして宙に浮き始めた!! 

 そして叢雲牙は一人でに飛び始める

 

「ああっ!? こら叢雲牙よ! 

 何処へ行くんじゃ!? まてこらぁ!」

 

 突然の出来事に驚きを隠せない祖父達

 祖父は家宝どうこう嘆く中……

 

「あれ?」

「あら? どうしたの、草太君?」

「あそこ……()()()()()()()()……!」

 

 草太が見た空の異変、それは後に()()()()()()()()()を告げるものであることを、まだ知る由もなかった……。

 

 

叢雲牙が街中飛んでる中

 犬夜叉と釤之助達は……

 

 

「でよ、これでも抑えてるってのによ? 

 昔、俺を体当たりしてきた人たちみんなのたうち回ってな? 

 悶え苦しんでな? 当の自分は、焦って()()()()()()()()()んよ! そうしたら医者の人やぶつけた人たちはみんな大仰天に驚いてたんだよ!」

「……そりゃ誰でも驚いちまうよ?」

「はぁ……あんたって本当に捕まらなかったわね? 

 どうやって逃げ切ったのかはわからないけど、でもその頃からそんなに人間離れした力を持っていたわけ?」

「まあ……正確には俺はまだ8()()9()()当たりだからな?」

「へぇ? その歳でそれだけの強さを持っていたわけか?」

 帰り道、公園内にいた。

 ここに至るまで三人は打ち解けており、親交的になっていた。

 そんな中、ついでがてらに三人は遊んでいた。

「で? 犬夜叉には腹違いの兄貴がいるってのか?」

「まあな……殺生丸って奴が俺の兄貴なんだ」

「へぇ……で? その殺生丸とその()()()()()()()()()()()()()()()のか? 恐ろしい喧嘩してんなぁ……?」

「そうは言うけどよ、そうしてるうちに()()()()()()を持つようになったんだ……」

「剣……?」

「そう、昔犬夜叉の()()()()()()()()()()()の遺体を使ったのよ、それでそれを作った刀鍛冶の人と戦う羽目になっちゃったの」

「はぁ……大変だったな……

 まあ、まさかその殺生丸の依頼で作った剣だなんて思いもしなかったってわけか?」

「そりゃそうだ、そのおかげでいい迷惑だよ!」

「とばっちりをくらったってわけか、でもその殺生丸もスゲェ奴なんだよな? 。

 闘鬼神(とうきじん)だっけ? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()自分のものにしたんだから……」

「ああ、あいつにしかできないことだよ」

「……でもさ?」

「ん?」「何?」

「その殺生丸さ? 

 鉄砕牙どうこう言うけどさ? 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ?」

「はっ?」「えっ?」

「だってさ? 

 殺生丸は元々の実力と妖気があるんだろ? 

 だったら()()()()()()()()()()()()()()()()じゃないのか?」

 

 釤之助の言いたいことは理解できる。

 確かにそう言うことをすれば鉄砕牙の問題は拗れることはなかった。

 しかし、当の父はそれをしなかった。

 

「そう言うとそうだけど……

 でも過ぎた話だからね?」

「だな…………」

「そうだな……」

「…………ところでさ、二人とも?」

 

「んっ?」「なんだ? かごめ?」

 

「こうして、普通に話をしてる時に……

 

鉄棒の上に立ったり(犬夜叉)

 

 鉄棒で逆立ち懸垂(釤之助)

 

 をするのやめてくんない!? 

 すっごい目立っちゃってるから!!!!」

 

「あっ? なんでだよ?」

「別にいいだろ? 

 こうでもしないと落ち着かないって言うか……」

 

「いいから降りなさい!!」

 

「うっ……(汗)」「すっ、すんません……(汗)」

 

 一部の人たちはこの光景を見て、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()よりも、

()()()()()()()()()()()の方がやばいと感じた瞬間であった……。

 

(ちなみに、この話の前に

 犬夜叉と釤之助は公園で鬼ごっこをやっていて、

 その光景は()()()3()6()0()()()()()を使ったり、

 建造物の上に掛かったり超アクロバティックだった。

 この光景をかごめはこう語った……、

「犬夜叉に友達がいたらこんな遊びができたんだなぁ……(無心)」と)

 

「!?」「!!」

 

「犬夜叉!? 釤之助君!!?」

 突然、二人は立ち止まったと思ったら

 犬夜叉は抜刀の体勢に、釤之助は拳を構える。

「釤之助……!!」

「言われなくても!!!!」

 

 二人は構えたまま、アイコンタクトをする

 

(犬夜叉……この妖気!!)

(わかってる……とんでもねぇ妖気が()()()()()()!!)

 

「!」「?」「!」

 

 突如三人の目の前には()()()()が現れた……! 

 

「ふう、やっと落ち着いたか……」

 

「なんだぁ……?」

「なんだ? 剣?」

 

「おお! 鉄砕牙ではないか!? 

 久しいのお!!」

 

「何?」

「えっ!?」

 

「お前、ひょっとして犬夜叉か?」

 

「へっ? 犬夜叉、こいつ知り合いなのか?」

「っ!? 俺は剣の知り合いなんざいねぇぞ?」

 

「まあ、お前が覚えとらんのも無理もない、あんときお前はまだ生まれたばかりの赤子じゃったからなぁ」

 

「犬夜叉がまだ……? 

 って、誰だあんたは? 

 ただの剣じゃねえだろ?」

 

「…………んんっ!? 

 お前っ! わしの姿声がわかるのか!?」

 

「いやわかるも何も、このやりとりが答えじゃん?」

 

「ああ、そうか……こうして話をしてるのが何よりの証拠じゃな……、とまぁ驚かせてすまんの? 

 わしは、「鞘」じゃ。

 その名の通り、刀の鞘じゃ。

 お前の親父殿が持っていた、天下覇道の名剣「叢雲牙」の鞘じゃ」

 

「親父の!?」

「親父って……それってあの?」

 

カタカタカタカタ

 

「うわあっ!? なんだぁ!!?」

 

 突如、「叢雲牙」が暴れ始めた! 

 

「いかん! また、暴れ始めたわい!!」

 

「なっなんだ!? なんだよこの剣は!?」

 

 隙間から眩い光を漏れ、()()()()()()()は三人の肌に感じた。

 

(なんだよ……この感じは!?)

(…………っ!!)

(この剣、すごく嫌な感じがする……!)

 

 犬夜叉とかごめの直感と釤之助の本能……

 三人の予感は、()()()()()()()()()()()()()……。

 

「おいっこら! 犬夜叉!! 

 早くこの叢雲牙を持て! 

 さもないと、とんでもないことになるぞ!!!」

 

「オメェに指図される筋合いはねぇ……!」

「そうだよ!? 

 一体なんだよ!? その剣、()()()()()()なのか!?」

 

「そんなことを言ってる場合か!!! 

 早くこいつを……!!!」

 

 三人がそうこう話してる間、揺れ震えてる剣は抜かんという勢いで暴れる……!!! 

 

「もうダメじゃあ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャギンっ!!! 

 

 

 鞘から勢いよく、「叢雲牙」はその刀身を眩く輝きを放っていた!! 

 しかし、その光景は公園から街中の人達は()()()()()()()()()()()()()()……。

「何あれ!?」
「なっなんだ!?」
「おいっ! あれを見ろ!!」
「あれは……!?」
「なんだぁっ!? ありゃあ!!!」

 その光景に驚く人達はすぐさまにその光を求めるかのように集まる。

 その中心地に立つ三人と一本の鞘は、その事に気づかないまま……。

「なんだ……?」

 空に浮く叢雲牙を見る釤之助は驚きを隠せなかった……。

「抜けてしもうた……!」

 宙に浮いた叢雲牙は突然、落ちるように地面に突き刺す。

 ところか、叢雲牙を中心に()()()()()()()()()()()!! 

「なっなんだ!?」

 その影響は街中全ての建造物に与え始めた…………!!! 

 そして、その光景は()()()()()()()()()()()()()()()そのものになった。

「これは……!」

「何なの……!?」

「街が……!」

 三人は、崩壊した世界を目の当たりにし、言葉を失う。

「お前達には見えるのか……

 これは叢雲牙がもたらすであろうこの世界(場所)の未来の姿……」

「これが……未来!?」

「マジかよ……!?」

「叢雲牙の禍々しき力によって、

 天空は闇に覆われ、大地は腐り、人々は死に絶える……」

「おいおいおいおい…………!? 

 マジなのかよ!?」

「どうすればこんなことにならずに済むの!?」

「叢雲牙を持ってこの地を去るのじゃ! 

 しかし、()()()()()()()()()()()()()()()!!」

「…………!」

「もし人間が持ったら!?」

「この世の終わりじゃ!」

「っ!?」

「……!?」

「叢雲牙は手にしたものは、自分以外を全てを滅ぼすまで、何十年何百年も殺戮を繰り返す! 

 人間は、本来どんな生き物よりも「自我」が強く、「欲望」は果てしない……! 

 そんな人間は、叢雲牙の力を得ると、どんな妖怪によりも邪悪な存在になってしまうんじゃ!!」

 鞘は叢雲牙の恐ろしさを語った、しかし……

 問題は()()()()()()()()()()()のか? 

「……俺が収める……!」

「犬夜叉……!」

 犬夜叉が、叢雲牙を鞘に収めようとするも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ったっ!!!」

 

「!!」「!?」「!」

 

 犬夜叉に待ったの声出したのは安倍釤之助だった……。

「犬夜叉っ!! 

 

叢雲牙(そいつ)は俺がやる! 

 ここは俺に任せてくれ!! 

 

 

「なっ!?」

「えぇっ!?」「何じゃとっ!?」

 

 突如、叢雲牙の鞘納めを自ら名乗りを挙げたのだ……!!! 

 

 釤之助は地面に突き刺された叢雲牙に近づく……。

 

 

 

 

 

「こっ小僧!? 何を言っておるのじゃ!!? 

 儂の話を聞いていたのか!?」

「っ!? テメェ!! 

 (その爺)から話を聞いてたのか!?」

「そうよっ!! 

 そんなことをしたら、あなたは!!!」

 二人と鞘の反対を受けるも、釤之助は足を止めなかった。

()()()()()……!!」

「はぁ!?」「えっ!」「んなっ!?」

 

 釤之助は地面に突き刺された叢雲牙に近づき、前に立つ。

 

「犬夜叉、あんた強いんだろ?? 

()()()()()()()()()()()()()()()……!」

「っ!!? お前っ……()()()!!」

 

 釤之助の言葉……その()()()()()()()のは犬夜叉だけだった……。

 

 

 




叢雲牙の登場と出会い回
あと、あの剣が街中に飛んで野次馬達は後を追わないわけがない。
ちなみに、草太の見た空の話は次回以降。


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魔剣と半妖と歪みと・・・

叢雲牙を引き抜こうとする釤之助。
周囲の反対を押し切って行動する合間に、「異変」が起きていた。
しかしその異変は「古代」、「中世」、「近代」
そして「異世界」上空に同じ現象が起きていた・・・・


「釤之助!! 

 お前がそれを握ればどうなるのか、わかってるはずだ!!」

「わかってるよ……()()()()()()()()()()()()んだよ」

「!!」

 

 二人の会話を聞いていたかごめと鞘。

 

「釤之助……!! 

 どうしてそんな危険を冒して……!?」

 

 かごめは、釤之助の行動に驚いていた。

 なぜ、そんな危険をするのかを……。

 そして鞘は、彼の真意に気づく。

 

「…………もしや!? 

 あやつ、叢雲牙を握ろうとするのは

()()()()だからこそ故に、

()()()()()()()()になる気じゃ!!」

 

「ええっ!?」

 

「おそらく、あの釤之助と言う小僧は

 もし犬夜叉が叢雲牙を握ったら()()()()()()()()()()()()があると思ったのじゃろう、そして()()()()()()()()()()()()()()()()に任せたのだろう……!」

 

「そんな……それって!?」

 

「そうじゃろうな、釤之助から見た犬夜叉は()()()()、そして自身は()()

 己が犠牲になってまで()()()()()()()()()()()()()と賭けに出したのじゃ、あの釤之助と言う小僧は生まれる時代が違っていたら()()()()()()になっていたやもしれんのう……!」

 

(犬夜叉、釤之助君…………!)

 

(にしてもあの釤之助と言う小僧……

 人の子でありながら何故()()()()()()()()()()()()!? 

 半妖ではい、正真正銘の人間の子…………。

 しかし、()()()()()()()()()()()()様な???)

 

 二人を心配するかごめをよそに、鞘は釤之助の妖気を不思議がっていた。

 

「犬夜叉、いいな? 

 もし俺がこの剣に乗っ取られて暴れたら、()()()()()()……!」

「いいのか!? そんな危険な賭けを、もししくじったらどうする!? 

 そうなったらお前は!!」

「わかってるよ、でもやらなきゃいけないだろ? 

 もしお前がこの剣に乗っ取られて、暴れたらどうする? 

 俺はお前みたいに戦闘能力も剣も持っていない、

()()()()()()()()()()に、()()()()()()()()()()

 なら持っていない俺がこの剣を、そして持っているお前が俺をってね?」

「…………!!」

 

 釤之助の行動に驚いた犬夜叉は、言葉を失う。

 自分の命を省みないその行動を実行するその力と意志に。

 

「おーい、かごめさーん!」

「!? なっ何? 釤之助!?」

「鞘を頼む、この剣を納めるのに必要だから!」

「鞘って……本気でやる気なの!?」

「まあな、このままにしたら危なすぎるから、

 それに、今ここにいる三人にしか出来ないだろうよ」

「……!」

 

「なんと危なっかしい小僧じゃ

 しかし、現にここにいる儂らしかおらん。

 こうなってしまった以上、やるしかないのう……!」

 

「よし……なら決まりだな、

 …………準備はいいな?」

「…………ああ、もうなる様になれってんだ!」

「わかったわよ!」

 

「もう、どうなっても知らぬからな! 

 特に釤之助! お前の様な無茶苦茶な男はお館様以来じゃ!!」

 

 三人と鞘の話がまとまった今、決行が始まる。

 

「いくぞ!! 

 叢雲牙を引き抜くぞ!!!」

 

「応っ!!!」「いいわっ!!」

「もうっ!! わしゃ知らんからのっ!!!」

 

 釤之助が叢雲牙を引き抜いた瞬間、崩壊した世界が元に戻る。

 

「街が……!?」

「よかった…………釤之助君!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぐうあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

「っ!? 

 釤之助!!!?」

「釤之助君!!!!」

 

「ああっ!!! 

 だから言わんこっちゃない!!!」

 

 釤之助の右腕には()()()()()()()()()()()()()()()

 手の甲はその巻きついた触手によって赤黒くなる、鬱血の状態になってしまう。

 そして、釤之助の口から大量の血が流れる。

 

「あがっ、ぐっ!! 

 ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」

 

「かごめっ!!! 

 早く鞘をっ!!!」

「っ!! 

 わかった!!!!」

 

「早くするんじゃ!! 

 さもないとあやつ叢雲牙に飲まれてしまうぞっ!!!」

 

 急ぎ、叢雲牙に鞘を納めんと行動をする二人。

 釤之助に接近を図る二人は、早く叢雲牙が暴れ始める前になんとかせねばの勢いと気迫を持ってことを当たる。

 

 しかし彼に近づいた瞬間!! 

 

「ぐるなぁ!!!」

 

 大声を上げて叢雲牙を振る。

 

「!?」「!!」

 

「はぁっ…………はぁっ……!!! 

 ぐっ!!! 

()()()()()()()……!! 

()()()()()()()()()!!!!」

 

ふっふっふっ……

 人間風情がこの私を握るとはな…………? 

 なんと暗愚にしてウツケたものよ……! 

 

「この声っ! 剣からか!!」

「なに!? なんなのかな感じは!?」

 

「叢雲牙じゃっ!!」

「!!」「なんですって!?」

 

人間のくせに、私を握るとどうなるのかは

 そこの鞘が語っていたのに関わらず……

()()()()()がこの叢雲牙を握るなぞ……

100年早いわぁ!!!!!!!! 我が力を受け入れろ、そしてこの叢雲牙(わたし)に従え!! 。さすれば、貴様をこの世の覇者にしてやろう!!! 

 

 禍々しく歪に眩く光る柄頭の水晶……、そしてそれに伴い刀身も輝く。

 

「やなこった…………そんなのつまんねぇじゃんかっ!! 

 あがっ!!!!!!!」

「くっ! 

 かごめ!! その鞘を持ってろ!! 

 こうなったら、やるしかないっ!!」

 

 犬夜叉は臨戦体制をとり、鉄砕牙を抜く。

 

「待って犬夜叉!! 

 今ここでしたら街が!!」

「だからって、このまま放っておく訳にはいかねぇだろ!! 

 元を言えば、こいつが言い出してやったことだろうが!!」

 

「だから言ったじゃろうが!! 

 人間に叢雲牙は無理だって、あれほど言ったのにっ!!」

 

 その光景は付近にいた人たちと通報を受けて駆けつけた警察官たち全員が、恐ろしく禍々しく、そして近寄れば死ぬ……そのおぞましい空気雰囲気がこの場にいる人々の本能が刺激していた。

 ざわめく中、踏み入れたら斬り殺される、巻き込まれて殺されるという空気。

 警察官は己が職務故に()()()()()()()()を取り押さえなければならなかった、しかし()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 一般人からしてみれば恐怖と戦慄が走り、そしてこの場から逃げ出さないと自分達が巻き込まれてしまうという展開が脳裏によぎる。

 対し、一触即発の戦いの舞台を生で見れるという刺激的な展開が見れる、現実に正真正銘の剣を使った決闘を間近に見れると言うこの場面を見逃せない、そうした事によって不良や学生たちが集まり、動画配信者までもが集まってきたのだ。

「おいおいっ!? やっべーぞ、これ!?」
「ちょっと警察さんたち!? 何ボケっと突っ立ってんだよ!?」
「落ち着いてください皆さん!! 危険ですから近寄らないように!!」
「これってさ!? 動画にしたら映えそうなんだけど!!」

「どっどいてくれぇ!? おれはここからにげたいんだぁっ!!」
「先輩っ!! 今本部から応援がきますって報告が来ましたぁ!!」
「おいっ!? あいつの腕なんかやばい事になってねーか!?」
「ねえちょっと!? ()()()()()()()()()()!?」

 

 野次馬たちが集まる中、()()()()()()()()()()()()()()()()()がいた……。

 

(まさか、あれは()()()!? 

 よもやこの時代に蘇るとは……!! 

 しかし()()()()は、どうやってこの時代に!?)

 

 周囲の人に気づかない三人と鞘、傍観の人々を前にことが始まろうとしていた……!! 

 

「うがああああああっ!!!」

 

 叢雲牙を持った釤之助が犬夜叉を襲いかかる!! 

 

「くっ!!」

 

 襲いかかってきた釤之助の攻撃を防ぐ犬夜叉、

 暴れる釤之助の動きを封じるために、鍔迫り合いをする。

 

「釤之助君っ!!」

「かごめっ!! 鞘は!?」

「持ってるわ!! 

 でもあの状態じゃあ……!!」

 

「あんな暴れてる状態では納められん!! 

 一度握ってしまえば、叢雲牙の傀儡になってしまう!! ああなっては無理じゃ!! 

 もう止める手立てはない!!」

 

「だからって……!!」

「犬夜叉……かご……め……さ……」

「!?」

「釤之助君っ!?」

「手段なら……()()()()…………!!!」

「何っ!?」

「なんですって!?」

 

ガギィンっ!! 

 

 鍔迫り合いを解き、互いの距離をとる犬夜叉と釤之助。

 

「その……ために……じかんを…………かせい……で……!!」

「釤之助っ!! それはどういうことだ!?」

「釤之助君!! 一体何をする気なの!?」

「頼むっ……! 

 一か八かで…………!! 

 賭けに……出るっ!!!」

「っ! ……何考えてるのかは知らねぇが、

 どうしたらいいっ!?」

「ちゃ……ん…………ばら……」

「!」

「それ……だけ…………で…………

 十分……だぁっ!!!」

 

ふっふっふっ…………

 何を企んでいるかは知らぬが、この叢雲牙の支配から逃れられることはない!! 

 さあ、潔く我が力を受け入れろ!! 

 そして世の覇者になるのだっ!!!! 

 

 叢雲牙は眩く輝き、釤之助の右腕の触手が脈を打ち、締め付ける。

 柄頭の水晶の輝きは妖しく、そしてその禍々しさは犬夜叉とかごめたちを始め、その場にいた野次馬と警察たち全員は、恐怖と戦慄を感じた。

 静寂に包まれた空気は、騒めく風は木々を揺らす、そしてそれらの空気は人々を呑む……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!」

 

「でやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!」

 

ガギィンっ!!!!! 

 

 

 

 一般人からしてみれば「剣士の決闘」に見えるだろうが、

 犬夜叉と釤之助は「叢雲牙を封印」をする為に戦っている。

 

「犬夜叉っ!! 釤之助君っ!!」

 

「ああっ!! 始まってしもうた!! 

 こうなってしまえばもうだれにも止められんっ!!」

(もし叢雲牙が()()()()を使えば、この辺りの土地全てが破壊されてしまうっ!!)

 

 その光景と決闘を見ていた人たちは、声を荒げていた。

 

「おぉいっ!? 始まったぞ!!」
「なっなんだぁ!? あいつの剣は!?」
「あんなでっかい刀を相手に!?」

「警部!!! 応援が来ましたっ!!!」
「そうかっ!!」
「おいっ! どいてくれ!!!」

「あれって、釤之助!?」
「何やってんだっ!? あいつ!!?」
「ねえっ!? さっきから()()()()()()()()んですけどっ!?」

 

 二人の剣劇を目の当たりにした人々はさらに驚愕な光景を目の当たりにする。

 

「うおぉぉぉぉぉっ!!!」

「おぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 二人は剣を交え、そして…………

「犬夜叉っ……!」

 

 釤之助は()()()()()して公園から離れる。

 

「っ!!! 待てっ! 釤之助っ!!!!」

 

 犬夜叉もそれを後を追うように大ジャンプをする。

 

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!! 

 

「ちょっ!? 犬夜叉っ!! 釤之助君っ!!?」

 

「ほげぇっ!? なんじゃ今の!? 

 犬夜叉はともかく、あの小僧の身体能力はなんじゃ!?」

 

「あの子は()()()()()()()()()()から相当な運動能力を持っているのよ!」

 

「はぁっ!? あの小僧が妖怪達と!?」

 

「そんなことよりっ!! 早くあの二人を追わないと!!」

 

(釤之助君はどこにいったの!? 

 犬夜叉の妖気を辿れば…………!!)

 

 釤之助の跡を追った犬夜叉の妖気を感じ取れば、追いつきはできよう。

 しかし、問題は()()()()()()()()()()のか? 

 彼と話している時、()()()()()()について話していた。

 あそこに向かったのか? しかし、かごめの脳裏に彼の言葉を思い出す。

 

()()()()()

 そして()()()()()()()

 

 なぜ時間を稼ぐ? 何を賭けている? 

 井戸に行けば事は済むものを、何を考えている? 

 

(釤之助君……一体何を!?)

 

(一体なんなんじゃ? あの小僧……? 

 それに、妖怪と共に暮らしていた? 

 あの釤之助と言う小僧……何者なんじゃ?)

 

 かごめは鞘を持って二人の後を追いかけるその時。

 

「後を追うのか?」

「!!」「!?」

 

 突如かごめの前に立つ謎の大男。

 その風貌はただならぬ威圧感と貫禄を感じさせていた。

 

「あっあの」

「すまない、今は急いだ方が賢明だろう」

「!!」

「行き先は見当がついている、全く()()()()()()()()……」

「……えっ?」

「いや、こっちの話だ

 …………あっちだな」

 大男の目線の先、それはかごめにとって()()()()()であった。

「ちょっと……あの先って確かっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

都会・大公園

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

「がぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

ガギィンっ!! 

キィインっ! 
カァアンっ! 

 

 公園全体に響き渡る剣のぶつかり合いの音、犬夜叉と釤之助の二人が戦っていた。

 ここに至るまで多くの人達が二人の戦いを見ており、その戦いぶりは常識を覆していた。

 ビルとビルの合間に飛び交い、電線の上、列車の上、高速道路上の自動車を足場にして戦っていた。

 そして公園までついて戦い続けていたら、()()()()()()()()()()いた。

 

「はあっ…………はあっ…………」

「ぜえっ……ぜえっ……」

 

 息を切らしていた二人、周囲なんてそっちのけで事を当たっていた。

「はあっ…………はあっ…………

うぐっ!? 

 

往生際が悪い奴よ、しかしながらここまでだ

 流石に長時間戦えば、貴様も持つまい……!! 

 

 妖しく眩く光る叢雲牙、その輝きは周囲の報道陣に驚きを隠しきれなかった。

 

「釤之助!!」

「ああっ、もうちょ……っと……!!」

 

ドクンッ!! 

 

「あがっ!?」

 

座興も過ぎた……

 釤之助!!! 使えっ!! 叢雲牙の力を!! 

 解き放つのだ、我が力をっ!!! 

 

 叢雲牙に巻き付かれた右腕は、突如上げて振り回す。

 

「っ!? なんだ!? この妖気はっ!?」

 振り回した剣先には()()()()()()()()()が現れた。

 それに伴い風の流れは釤之助を中心に吹き荒れ、唸り轟く振動によって地面が揺れる。

 

「!! 

 この気はっ! 

 まさかっ!?」

「なっ何っ!? 何なのこの妖気はっ!?」

「いかんっ!!!! 恐れていたことが起きてしまった!!」

「っ!? 知ってるの!? この妖気をっ!?」

「早く急ぐんじゃっ!! 

 叢雲牙の最大奥義が放たれるぞっ!!!!」

「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!」

「なっ……なんだっ!? このバカでかい妖気はっ!?」

 

 徐々に大きくなる妖気の塊、それを見た人々は逃げ始める。

 あれは危険、死んでしまう、巻き込まれたら終わりだと。

 

「犬夜叉っ!!!!」

「かごめっ!?」

「…………っ!!?」

 

 大男は妖気の球体を見て驚愕していた。

 

(まずいっ!! もう放たれてもおかしくない状態だっ!!)

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

「犬夜叉っ!!?」

「わかってるっ!!!!」

 

「もうダメじゃっ!!!!! 

 おしまいじゃあっ!!!!!!!!!」

 

放てっ!!! 

 そして、我が奥義の名を叫べっ!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「獄龍破っ!!!!!」

 

 

 

 強大にして巨大な妖気の球体は犬夜叉達に向けて放たれた……。

 しかし()()()()()()()()()()()()()()()……。

 

「っ!!?」「えぇっ!?」

「なっ!?」「なんじゃとっ!?」

 

 周囲の人々、そして獄龍破を見た人達は「天翔ける龍」の如く感じた。

 そしてあの一撃を見た人達は、恐怖と絶望に包まれ、戦慄がほど走って感じた。

 

そんな、バカなっ!? 

 何故だっ!? 何故獄龍破がっ!? 

 

「ようやく…………!!!」

 

!? 

 

「ようやく、()()()()()()()()!!!」

 

カッ!! 

 

「!?」

「っ!? この感じっ!?」

「これはっ!?」

「なっ!? 何じゃっ!? 

 この妖気はっ!?」

 

 突如、釤之助の身体中から()()()()()()()!! 

 しかしそれは禍々しいものではなく、清らかにして自然かつ、美しく華麗なものだった。

 

(これがっ!? あいつの妖気っ!?)

(綺麗……まるで仙人みたい!?)

(この妖気……()()()()と同じっ!?)

 

ぬうおぉぉぉぉぉぉっ!!!?? 

 ばっバカなっ!? 

 この()()はっ!? 

 己ぇっ!! おぉぉぉぉのぉぉぉぉぉぉれぇぇぇぇぇぇっ!!!! 

 

 叢雲牙の眩い輝きは弱まった…………。

 

「がはっ…………やっと…………封印……とけ…………た……」

 

 ドサッ

 力尽きて倒れ込んだ釤之助、巻き付かれた触手は解かれ……

 その右腕は、それを物語るかのようにドロっと出血をしていた。

 

「釤之助っ!!!」

 

「かごめよっ!! この隙に早く叢雲牙を!!」

 

「わかった!!」

 

 握りしめていた叢雲牙を鞘に納める。

 周囲の人々は、何が起きたのかわからなくなっていた。

 しかしこれだけはわかっていた、「戦いは終わった」と……。

 

「釤之助君っ!!」

「釤之助っ!!」

 

 釤之助は意識を失っていた、叢雲牙によるダメージと()()()()()によって倒れた。

 

「しかし、この釤之助という奴

 なんと恐ろしい小僧じゃ、妖怪でも半妖でもない、人間の子がまさか叢雲牙を封じ込めるとはな……? 

(しかし、この小僧の妖気はなんじゃ? 

 ……まるで()()のような……?)」

 

「どうしようっ!? このままじゃあ……!?」

「どうするも……かごめ! こういう時は、この時代ときは確か救急どうこう言っていたよなっ!! それで!!」

 

「私がやろう」

 

「!!」「!?」

「確かにそれが常識ルールだか、今に至るまでの話は警察さんたちに話さないといけない……、そうなったら時間が惜しい」

「あっ……」

「……!」

「安心したまえ、私がその子を助けられる

 少し失礼……」

 

 大男は、釤之助の右腕に触れる。

 

ぱあぁぁぁっ……

 

「っ!?」

「嘘っ!?」

「ほげぇっ!? なんじゃあその力はっ!?」

 釤之助の右腕は、()()()()()()顔色血色が良くなっていく。

「んっ……」

「釤之助君っ!!」

「釤之助っ!!」

 

「何とっ!?」

 

 釤之助の容態が急激な回復によって良くなった。

 

「犬夜叉……? 

 かごめさん……?」

「釤之助っ!!!」

「釤之助君っ、良かった……!」

 

「こんなの奇跡じゃ、生まれてこの方

 こんな場面は見たことがないわっ!!!」

 

「…………っ!!! 

 叢雲牙はっ!!?」

「大丈夫だっ!!」

「ほんっとうにヒヤヒヤしたわよっ!! 

 一時はどうなるかと思ったわよっ!!!」

「そうかっ、てかなんで俺こうもピンピンしてんだ?」

「あっ、それは…………っ!?」

 

 かごめが大男を紹介しようとした矢先、姿()()()()()()()()()()…………。

 

「いない……!?」

「何っ! 確かかごめと一緒にいたあいつ!?」

「えっ? ……誰かいたのか?」

 

 此度の件は大男の登場によって急速に収まるも、

 その大男がいなくなったことに驚いた二人は探すも、

 見つからなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、犬夜叉、かごめさん?」

「んっ?」

「何っ?」

「ちょいとさ、叢雲牙で揉めていたから、気になっていたことがあるんだけどよ……」

「あっ?」

「気になること?」

 

 冷や汗をかきながら、空に指を向けて指す。

 

「空のあれ、やばくない???」

 

 二人が見上げた先、表情が険しいものになる。

()()()()()が大きく広がっており、人々もそれに驚いていた。

 しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()()に起きていた……。

 

 




戦闘回、大変です。
とりあえず叢雲牙の封印は成功。
主人公の正体は後々に語りますので。
次は、仲間達と殺生丸一行が空の異変に気づいて巻き込まれます。
しかし、巻き込まれたのは「古代〜戦時中」の人達全員です。
結構大変な仕事になるぞ、これは!!!?


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空の異変

時系列的に難しいので、
犬夜叉関係の話は別々にします。
犬夜叉・殺生丸・安倍釤之助の三人が主人公の話なので。
この時の犬夜叉は金剛の力を得ています。
殺生丸はまだ左腕と爆砕牙を持っていません。
一章目は釤之助回です、犬夜叉本編の大まかな話にちょこっと関わる感じ。



 空の異変は、現代社会全てに知れ渡った。

 アメリカ・イギリス・ドイツ・中国・韓国等知れ渡り、報道されていた。

 しかし、それは()()()()()()()()()()()()……。

 異変は、()()()()()()()()()()()()()、そして()()()等妖怪たちにも知れ渡る……。

 

 

 

 

時代樹・付近

 

「なっ何じゃ!?」

 

 薬草、どんぐり等拾ってる最中、上空の異変に気づいた小狐妖怪七宝(しっぽう)

 

「何ですかっ!? あれは!?」

「法師さま……!?」

 

 犬夜叉の母君、十六夜の墓に訪れ、村に帰ろうとした矢先、不良法師の弥勒(みろく)と妖怪退治屋の珊瑚(さんご)は、上空の異変に気づく。

 

「これはっ……!?」

 

 弥勒と共に墓参りに来たノミの妖怪「冥加(みょうが)」は、上空の妖気に混じっている()()()()に気づく……。

 

(この感じ、まさか()()が……!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時代樹付近・山道

 

カタカタっ

 

「天生牙……? 

 …………!」

 

 上空の異常な妖気に気づいた殺生丸は空を見上げる。

 

「殺生丸さま……!?」

 

 少女は、上空の異変に気づき、驚きを隠せなかった。

 少女の名は「りん」、かつて住んでいた村は妖怪の襲撃に巻き込まれ、命を落とす。

 その時、その場所にいた殺生丸は自身の刀「天生牙」を使い、りんの命を救った、それ以降旅のお供としてついてくことになった。

 

「なっ、なんじゃあれは!?」

 

 狩衣と鳥帽子を身につけた妖怪「邪見(じゃけん)

 元々は、武蔵野州一帯の草原をナワバリを張っていた妖怪の頭領だった。

 かつてその勢力争いに悪戦苦闘の最中に殺生丸がたまたま通りかかり、その件にて忠誠を誓い、ついていくことになった。

 その経緯で、殺生丸から授けられた妖杖「人頭杖(にんとうじょう)」。

 これらには翁の面と媼の面を併せ持った杖である。

 翁の面は強力な火炎放射が放てる。

 媼の面は妖怪の墓場へと導く役目を持っている。

 

「…………! 

 …………ふっ」

 

 不敵に笑みを浮かぶ殺生丸に、邪見は驚く。

 

「!?」

(殺生丸様が笑っておられるっ!? 

 これは、なにやら良からぬことがおきるぞっ……!? 

 おそらく、()()()()()()()何かを感じたのかっ!? 

 この邪見には感じ取れない()()をっ!?)

 

 殺生丸が感じたもの……、

 それは、かつて()()()の妖気を感じ取れたのである。

 

 

 

 

 

渓谷・妖狼族集落

 

鋼牙(こうが)の兄貴!! 

 あれです!!」

「見てください! あの空を!!」

「わかってるよ!!」

 

(なんだっ!? あれは!!)

 

 妖狼族の集落から見える歪な空は、鋼牙達にも見えていた。

 多くのオオカミ達は、唸りをあげて警戒していた。

 

(なんなんだっ……!? 

 あの禍々しい感じはっ!?)

 

 

 

 

 

 空の異変に驚く中、七宝と弥勒と珊瑚は、(かえで)の元に行き、

 村の人たちを避難させていた。

 

「楓さま、あれは……!?」

「わしにもわからぬ、一体あれは何なのじゃ!?」

 

 恐怖に包まれ、歪な空に怯えていた村の人たちは、不安と恐怖に陥っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、この現象は、()()()()()()()に同じ現象が起きていた。

 犬夜叉とかごめと釤之助のいる現代をはじめ、各時代にも同じことが起きていたのである。

 

 

古代・三国志

 ローマ・カルタゴ・中国等国の人々は、

 災いをもたらす前兆だと騒いでいた。

 

中世

 戦争の最中に、それは何か不吉なることの前触れではないか? 

 そう語った教会と学者の人たちは語っていた。

 

大航海時代

 海賊、商船団、冒険家や王国の人たちは、世界の滅亡が訪れるのではないかと世界中騒ぎ始めていた。

 

戦国

 犬夜叉たちが住まう時代より先、鉄砲伝来から数年後。

 多くの大名と公家たちは、空を恐れ、怯えていた。

 

幕末

 多くの志士達と異国の者達は、慌てふためいたり

 冷静に分析をしていた、騒ぎは日の本全土に響き渡っていた。

 

世界大戦

 第一次・第二次の空に、それは起きていた

 世界各国はその空の異常に驚き、荒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして…………

 

それは、一瞬の出来事のように……

ドガァンっ!!!! 

「うわああああっ!?」

「どわああああっ!?」

「きゃああああっ!?」

 

 空から紫色に輝く巨大な雷が落ち、大地は轟音と同時に揺れる。

 周囲の建造物が崩壊し、山と海が割れ、人々はそれらの災いに蹂躙されるのであった。

 ローマ・カルタゴ、そして中国等の国。

 ひいてはイギリスとフランス、そして戦国の世や動乱の幕末。

 そして、第一次、第二次世界大戦の最中に、それらの前によって崩壊、瓦解したのだ…………。

 

 

 

 

 

 

 

そして、それらが収まった時

 世界は一変していた……。

 見上げれば、()()()()()()()()()()()()()

 海は見果てる限りの水平線、そして()()()()()()()()()

 そして大地は見渡す限りの地平線、同時に()()()()()()()()()()()()()()()いたのである……。

 

 

 

 




世界の異変は、同時に起きてこの世界に至る
しかし、この世界は何なのか?
何故、人類はこの世界に?
その謎を解く冒険と戦いが、
はじまりをつげたのである・・・。


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第一章前半〜再会・天下覇道の三剣〜
ひとりぼっちの釤之助


前回の災いにて、異次元空間で離れ離れになってしまった釤之助と犬夜叉とかごめ。
犬夜叉とかごめの二人は無事に離れ離れにならずに済んでいる。
釤之助は「叢雲牙」と「鞘」の一緒にいる感じ。
まずは、釤之助の冒険が始まります。
犬夜叉本編の話はなるべく原作沿いにやります。
最も、この一章は「あいつ」との戦いの舞台と裏側になります。


???????? 

 なにが起きたのか、俺にはわからなかった

 あの日の出来事は、昨日……いやさっきまでの出来事のように覚えている。

 突然、周りがぶっ壊れて地震と嵐が起こった。

 あの後、犬夜叉はかごめさんを力強く抱きしめていた

 絶対に命に変えても守り通すという強い意志を持って……

 俺はいいんだ、あの時の俺はなにが起きたのかわからずじまい、結果吹き飛ばされて……こうして生きている……。

 なんでも、()()()()のおかげで、幸い俺自身は無傷だ。

 それは良いんだけど……ここで一つ、大声あげて訴えます。

 

「ここは、一体何処なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!!?????」

 

 何なんだよ!? 何だよこの世界!? 

 一体全体、何処からツッコミ入れたら良いのですか!? 

 なんでファンタジー世界の龍とか怪物(モンスター)がいっぱいいるの!? 

 何なの!? なんて言ったら良いの!? 

 ねぇ!? 誰か!? 誰かいないの!? 

 おーい!? 返事してくれぇ!!! 

 お──い!! 誰かいるのっ──!? 

 あ──────っ!!! 誰でもいいから助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!! 

 

「五月蝿いわい!!! 

 少しは落ち着かんかっ、バカもんがっ!!!」

 

「これが落ち着けってんなら、落ち着いてますよって!? 

 大体驚くことが多すぎてわけわかんねえんだからっ!!!」

 

「わしだって驚いとるわいっ!! 

 叢雲牙はここにあるのはまだしも、一体全体どうやって過ごすんじゃっ!? 

 気がつきゃ、草原のど真ん中

 見渡す限りの地平線に、道が見つかって良かったものの……

 あれから何の音沙汰もなしではないかっ!!」

 

「良いじゃねえか? 何事もなくて……

 まあ、なさすぎるもの考えものだけどね?」

 

「はぁ、全く……

 先が思いやられるわい、これなら犬夜叉たちと一緒にいた方がまだマシじゃあ……」

 

「そんなこと言っても…………まあ、あの二人なら大丈夫だろ? …………最も、()()()()()()()()()…………」

 

「……っ! 

 …………じゃろうな、()()()()()()()()()()()()()がどうなったのかは、考えるのはよそう……」

 

 あの災厄に巻き込まれた人間……もとい人々……人類はどうなったのか? 考えても無駄だ……。

 良くて俺みたいに放浪して生きているのか、最悪の場合()()()()()()()()()()()()()()のかの二つだ……。

 一体ここは何処なんだ? 

 せめてそれさえわかったら後々対策は取れる……。

 

「…………なあ、鞘?」

 

「なんじゃ?」

 

「叢雲牙は?」

 

「んっ? 

 ……大丈夫じゃ、お前さんの妖気のおかげでなんとか落ち着いておるわい」

 

「そうか……そいつはよかった……」

 

「ああ、そう言えば

 確かお前さん、釤之助とか言ったかいの? 

 お前は()()何じゃ? 

 どこから()()()()()を持っていたんじゃ?」

 

「ああっ…………話せば長くなるけど……

 町か村についてからだな……」

 

「じゃな、お前さんは何か訳ありのようじゃし、

 とにかく、人気のあるところにつかないとな……」

 

「だな、まずはそこからだ……」

 

 釤之助は叢雲牙を持って、街道を歩いていた。

 この道を進めば、街に行けれる!! 

 そう思って数時間……。

 

「どこまで続くんだ? 

 いつになったら、つくんだよ……?」

 

「そうは言うが、一体いつになったら到着できるのかのう……、わしはまだしも……、釤之助よ……お前は大丈夫なのか?」

 

「そうは言うけど……そろそろ町か村見かけてもいいんじゃないか? ……もう脚が棒になりそうだよ……」

 

「はあ…………

 あまり無理なさんな? 無理したら体を壊す」

きゃああああああああっ!!!! 

 

「っ!?」「なっ!?」

 

 突如、付近から()()()()()が聞こえた!!! 

 釤之助はすぐさまに、その悲鳴の元に駆けつけた。

 駆けつけた現場は、()()()()()()()()()()()()()()()がゴブリンに襲われている光景だった!!! 

 

「こっこれはいかん!! 

 釤之助!!!」

 

「言わなくても!!! 

 ……っ!!」

 

 釤之助は叢雲牙を抜こうとする……

 その一瞬、釤之助の脳裏に()()()()()()が過る。

 

また、縛られるのでないか……? 

 

(なに迷ってんだ、俺は!?)

 

「鞘! 叢雲牙は!?」

 

「安心せいっ!! 

 今のお主の妖気を解放すれば、叢雲牙を抑えられる! 

 しかし、無理をしてはならんっ!」

 

「あいよっ!!!」

 

 叢雲牙を抜き、構える釤之助。

 ゴブリンは、釤之助に注目し、襲いかかってきた! 

 

「ぎゃぎゃぎゃっ!!」

「ぎゃあっ!!」

「ふぎゃあっ!!」

 

 3匹のゴブリンは、一斉に攻撃を仕掛けてきた! 

 

「危なっ!?」

 

 仕掛けてきた攻撃を華麗に避け、体勢をとる。

 

(こいつら……()()かよ!?)

 

 ファンタジー世界の種族が、ゴブリン達がこうして前にいる。

 釤之助の感情は収まりきれなかった、本物がいることを。

 それらの出来事や、これまでの事が()()()()()()()ことを、

 幼少期、()()()()()()と暮らしてから、彼らの元を離れてから、退屈の連続だった……、しかし今は違う。

 彼は驚嘆を、感激を、そして()()()()()……!! 

 

(ああっ!! そうだ……これだ……これだよっ!! 

 この時、この場所で!! 俺は()()()()()()()()()

 

 釤之助は()()()()()っ!! 

 彼自身の求めていた、()()()()()()()()が、ここにあるとっ! 

 

「さて、やりますか!」

 

「おい、釤之助!」

 

「何だよっ!」

 

「いいか! ()()は使ってはならん!」

 

「わかってるよ!! 

()()()()使()()()()()()()()()()()()()ねっ!!」

 

 そんなやりとりを見ていた二人の少女は、首を傾げながら不思議に感じていた……。

 

「くたばりなっ!!」

 

 叢雲牙を両手に握り、3匹のゴブリンの首と胴体を真っ二つに斬る! 

 

「ぐぎゃあっ!!!」

「ひぎゃあっ!」

「あぎゃあっ!!」

 

 その光景を、二人は驚いていた。

 名も知らぬ少年が身の丈に合わない長剣を振るい、

 3匹のゴブリン達が切り倒されたのだ。

 

「ほお……この剣、良いね?」

 

 釤之助は叢雲牙についた血を払い落とす。

 

「おおっ!? 

 何と素晴らしい太刀筋じゃ!! 

 それは、妖怪達から?」

 

「まあな、剣術関係はメッタ打ちに鍛え上げられてな? 

 そのおかげで、剣道部の人たちに良く勧誘されたよ……」

 

「そりゃそうじゃろうな

 それだけの運動神経を持っていたら引っ張りだこみたいな日々を過ごしていたじゃろうて?」

 

「まあな、そのおかげでのらりくらりと過ごしていましたよ。

 あと、俺自身の実力を隠しながら過ごすのも大変だったよ……」

 二人が雑談している間に……。

 

「あのっ!!」

 

「……んっ?」

 

「あっ?」

 

 突如、ドレスを着た少女が声をかけてきた。

 

「あなたはっ、一体!?」

「……えっ、俺の事?」

(じゃろうな、ここは少し相手をするんじゃ)
(っ! わかった……まあ、()()()()()()()なら何かわかるはず……!)

「何でしょうか? (^^)」

「あのっ、助けていただいてくれてありがとうございます。

 私たちは街へ向かおうとしたら、急にゴブリン達に襲われて……」

「その時に、偶然俺が近くにいたから……か……

 運が良かったにしろ、まあ大事にならなくてよかったよ」

「はい、あの……あなたは?」

「俺か? 俺は釤之助、安倍釤之助だ」

「安倍釤之助さま…………ですね、

 私はプリム、プリム・フィオリーレと申します

 こちらは……」

「アリシアだ、アリシア・アルクトゥールスだ」

「プリムに、アリシアか……二人はこれからどこ行くの? 

 実は……」

 

 俺は、二人から見たら「見知らぬ旅人」だろうよ。

 だから俺は、街を探していると話をした……。

 その結果、近くに二人が乗っていた馬車に乗せてもらった。

 街に到着する間に、雑談混じりの会話を交わす。

 何でも二人はいとこの間柄らしい。

 

(しっかし……近くで見たら姉妹みたいに綺麗だな……)

 

(全くじゃのう、こうしてみると何と麗しい女達じゃ……()()()()()()()にしては中々……)

(鞘? あまり鼻の下を伸ばすなよ? 俺だってこんな綺麗な女の子二人を相手にするのに()()()()()()()……!)

(ああ、そうなのか……お主もお主で大変なんじゃのう……)

(鞘よ、お前の考えは()()()()()を考えてない?)
「んっ? …………奇遇じゃな、()()()()()()()()()()()()()か……」

 

 アリシアの来ているのは騎士の服なのだろうか、動きやすさや着やすさを重視しているのか、布面積がちょっと少ないせいか、容姿に見合った美乳の谷間がちょっと見える、スカートに関してはパンツが見えそうな感じに短い……。

 プリムは白とピンク色のドレスを着ている、服の上でもわかる彼女のスタイル……、美乳美尻、そして腰回りのラインがよくわかる、特にスカートだ、見えるか見えないかの半透明……そのせいかパンツが綺麗見える。

 釤之助と鞘は、そんな二人を見て思った……。

 

(何ちゅう、(エロい)(ふしだらな)格好をしてんだよ!? この二人はっ!?)

(なんだよ!? おいっ!? 

 こいつらには羞恥心がないのか!? 座り方の作法は申し分はないのに!)

(言いたいことはわかるっ!! なんちゅう破廉恥な格好をしているんじゃ!? この小娘達は!?)

(どうするっ!? どうすんだよっ! この空気!? 

 顔を集中して話をしていたってのに、玉がそろそろピカドンしちゃうでしょうがっ!!!!)

(落ち着かんかいっ!! お前さんがそうやって平静を装っているが、どこかで発散せんと体に悪いぞ!?)

 

 そんなやりとりを心の中で通じている間……。

 

「釤之助」

はっはい!? 何でしょうか!? 

「!? 何をそんなに緊張しているのだ……? 

 それより、貴方の持っているその剣はなんだ?」

 

「えっ!? 

 こっこの剣ですか!?」

 

「そうだ……あと何ソワソワしているのだ?」

「あぁ……すいません……

 この剣、()()()()なんです」

「っ!?」「呪いのっ!?」

 

 二人は驚きを隠せなかった。

 

「そうです、この剣は遥か太古の悪霊悪魔の魂が宿っており、この剣を握った者の身体と精神を乗っ取り、虐殺のかぎりを尽くす悪魔の魔剣なんです」

(言い方としては間違ってはおらんのじゃが……確かに「悪魔の魔剣」じゃな……)

 

 煩悩退散の目的に鞘と気晴らしの漫談をしていたが、まさか彼女側から話を持ちかけてくるとは!! 

 ここいらで何かネタの一つを……

 そう考えていたら……。

 

「そんな危険な剣を、よく今まで扱えたな!?」

「そうですわっ! もし釤之助さまの身になにかあったらっ!?」

 

「あ、大丈夫大丈夫っ!! 

 実はこの剣には()()()()がいるから!!」

(んっ? もしやこの展開(流れ)は……!?)

 

「何?」「えっ精霊さまが?」

 

「そうそうそう!! 

 この剣が暴走や悪い奴から守る為に精霊様が宿ってるんです!!」

 

「そうなのか?」「まあ、それはどの様な?」

 

「それはな、この剣の鞘が精霊様が宿っておられるのです! 

 名前はそのままの通りの「鞘」って言ってな? 

 年寄みたいな感じだけど、結構頼りにはなれる精霊様さ!」

 

「はあ……?」

「あの、よろしければその精霊様とご挨拶をしたいのですが……」

 

「あっ、はいはいお待ちくださいね……

 鞘? 鞘?」

 

………………

 

「鞘? …………鞘!? 

 ……………………」

 

ぐりぐりぐりぐりぐりぐり

さぁやぁ??? 

「痛い痛い痛い痛い痛いっ!!!! 

やめんかぁ!! わしをいじめるではない!! 

 

「なっ!?」「まぁっ!?」

 

 突如、鞘から年寄りの精霊が出てきた!! 

 

「呼ばれたから出るのが礼儀でしょうが!! 

 なに恥ずかしがってダンマリ決め込んでんだよ!!」

 

「何言うておるんじゃっ!? 

 わしとてこんな女子たちの前でなんで言えばいいんじゃっ!?」

 

「自己紹介の一つをしたら? 

 自分が何者なのかを、一つ言ったらどうや? ええっ? 

 そんなんやからこちとら苦労しとんじゃけぇワレェ? ああっ?」

 

「お主? なんで西訛りに喋っとんじゃ? 

 まあええか……」

 

 鞘は咳払いし、改めて二人の前に立つ(宙に浮いてる)。

 

「坊が迷惑をかけてしまって申し訳ない

 ワシの名は鞘、その名の通りの鞘じゃ」

「坊って俺のこと?」

「お主らが言うように、この剣は確かに悪魔の剣じゃ」

 

「ああ……」

「ええ、釤之助さまが言うには、危険なものだと……」

 

「うむ、確かにこれは危険なものじゃ

 こいつの名は「叢雲牙」と言うてな、

 持てば天下を取れると言われている天下覇道の剣なのじゃ」

 

「天下を……取れる!?」「ええっ!?」

 

 鞘の話を聞いた二人は、この剣には太古の邪なる悪霊が宿っていた。

 元々は大妖怪並みの勇士ではないと握れない魔剣で、人間や格下の雑魚妖怪が握ると触手が生えて、腕を巻き付いて締め付けるように乗っ取られる。

 でもこの話だと俺の様な人間が握ることはできないって話になって矛盾してしまう……。

 でも俺は人間でありながら妖力……この世界で言う「魔力」、それも強力なので大丈夫な話なんだけど……。

 

「釤之助には確かに力を持っておる

 じゃか、()()()使()()()()のが欠点じゃ」

 

「何?」「それってどういう……?」

 

「元々釤之助の力は、仙人……

 お前たちの世界で言うところの()()()()()力を持っておるのじゃ」

「へぇ? そうなんだ……」
「お主は今まで普通に過ごしていたからのう……」

 

「神様に近い?」「まあっ……!」

 

「まあ、とにかく

 こやつはまだ叢雲牙を()()使()()()()()()()()()()()()のじゃ」

 

「はっ?」

「ええ?」

 

「それはどう言う……?」

 

「それについて今話そう……

 特に釤之助! 

 これはお前自身に大きく関わる話じゃ、

 よく聞くのじゃぞ!」

 

「はっはあ……」

 

「よいか? 釤之助がこの剣を握っていられるのは最低数時間程度、よくて1〜2時間が精々じゃ」

 

「はあっ!?」

 

「1〜2時間!?」

「それって、つまり()()()()()()()ではないか!?」

 

「まあ、落ち着きなさい

 しかし、長時間使えないわけではないのだ」

 

「えっそうなの?」

 

「よいか、釤之助よ? 

 お館様はこの剣を巧みに使えたのは()()()()()を持っていたのじゃ」

 

「はあ……? 

 それが、今の俺とお館様とどう関係が?」

 

「よいか? 

 お館様の妖力と釤之助(お前)自身の妖力の違いは、

()()()()である()()()()()が違うのじゃ」

 

「よっ妖穴(ようけつ)??」

 

「妖穴……?」

「それって、何ですか?」

 

「ふむ、妖穴と言うのはいわば()()()()()()みたいなものじゃ。

 その妖穴には()()と言うものがあって、妖怪達の力を()()()()()()()()することができるのじゃ」

 

「はあ……」

 

「しかし、これは普通の人間では()()()()()()()はずが、釤之助には()()()()()()()()かもしれぬが……。

 釤之助の力は強大で強力無比である反面、()()()()()()()()()()のじゃ。

 それ故に、叢雲牙を()()()()()()()()()()()()()なのじゃ」

 

「あっ! じゃあそれを上手くやれば……!」

 

「そうじゃ、釤之助よ

 お前の()()()()()を掴めば、

()()()()()()()使()()()()()()()のじゃ

 さすれば、お前は正真正銘の天下人になれると言うわけじゃ」

 

「それは……彼の、釤之助の力が目覚めたら……!!」

「そうなれば、釤之助さまは……!!」

 

「うむ、釤之助は文字通り覇者になれる

 それも、史上最強の覇者に……!!」

 

 鞘の言葉に戦慄を感じた釤之助とアリシアとプリムの三人は、

 言葉を失った……。

 叢雲牙の力……それを上手く使いこなせれば覇者になれると言う……。

 同時に、それは()()()()()()()()()()でもあった……! 

 そうして、話している間に街に到着した……。

 三人は、叢雲牙の話を心にしまい込んで……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、犬夜叉とかごめは無事仲間達と再会した。

 同時に、楓が治める村にかごめの家族と友達と再会する、

 当のかごめは家族と親友達がいることに驚きを隠せなかったが。

 楓曰く、「時間軸が一つになっている」とのことらしい……。

 犬夜叉達は、村付近の人たちや難民達を村に迎え入れることで、平静と安心感を取り戻しつつあった……。

 犬夜叉とかごめは叢雲牙のことを話した、そしてその叢雲牙は()()()()()()()()()ことを……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、殺生丸一行は変化が起きた。

 かつて邪見の仲間であった妖怪達と再会、以降殺生丸の親衛隊(自称)として働くことになった。

 りん曰く「賑やかになった」とのことらしい。

 殺生丸は、叢雲牙の気を探していた。

 自身を襲いかかる龍やモンスターを薙ぎ払っては倒しては退治してはの繰り返し、知らぬ間に一軍ができてしまった……。

 竜にまたがって騎馬の要領で乗りこなして、その数は120

 馬や空飛ぶ獣をまたがって竜同様に乗りこなして、その数80

 尚、この軍勢は邪見がかつての配下達に弱りきった竜やモンスターをてなづけて懐柔させたのである。

 このとき、りんは驚いていたと言う……。

 尚、殺生丸は邪見に「勝手にするがいい……」と言われて、邪見をはじめ、かつての仲間達は以降忠誠を誓ったとのこと……。

 これらの一件によって後に「白狼王」呼ばれるようになった殺生丸であった……。(本人はこれを煙たがってる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はて? これまた何とも……」

 

 刀鍛冶の妖怪「刀々斎(とうとうさい)」。

 牛妖怪「猛々(もうもう)」にまたがり、空をかける。

 見渡す限りの地平線を見ては、崩壊した見知らぬ建造物や植物に包まれた文明の機器と建造物……。

 そしてその中に屯する怪物達……。

 

「やれやれ、これまた何とも珍妙な……

 それに、()()()はまさか……?」

 

 刀々斎は人一番「叢雲牙」の気を辿って行った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年は、叢雲牙を持ち。

 殺生丸は天生牙を持ち。

 そして犬夜叉は鉄砕牙を持つ……。

 そして、この「混沌世界」に

 後に「三界の剣士」と呼ばれる三人は、

 この世界に起きる「巨大な戦争」に巻き込まれること、

 未だ知らずにいた……

 




第一章はまず、原作話をしてから。
最もこと細かい話はしません、主に鉄砕牙の強化+爆砕牙
そして四魂の玉の話をします(釤之助視点)
第二章は「半妖の夜叉姫」の話を釤之助vs麒麟丸にします、面子は是露と理ク以外総替え+モンハン要素。
第三章と第四章は「無双OROCIH+ドリフターズ要素」を加えた「ファイアーエムブレム風」に・・・。


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刀々斎と釤之助

叢雲牙の持つことの意味。
それに重荷を感じた釤之助は、
鞘と今後のことを話をする。
そうこう話してる間に刀鍛冶の「刀々斎」と出会う・・・。


宿屋

 鞘の話を聞いた俺は、今後のことを考えていた

 叢雲牙を他者に渡れば、殺戮兵器と化す。

 そうなっては責任重大、なれば己自身強くならないといけない

 その為に、自身の封印していた力を知る必要がある。

 だが、それには一つ大きな問題が……

 

「なあ、鞘? 一体どうやったら俺は強くなれるんだ?」

 

「そうは言うが、

 まずはこの世界の地理を知ることじゃ。

 そこからじゃの……」

 

「だな……

 まずはそこからだな……

 ……にしても、寂れてない?」

 

「ああ、恐らく

 お前さんが話した()()()()の影響じゃろうて……」

 

「アリシアもプリムも、あの空の異変を知っていたとはな……」

 

 時は遡り、この宿屋に入る前の話だ。

 この街に着いた時、人気がないことを気づいた俺はこの件を伝えたら、例の()()()()の件でこの有様らしい。

 それを聞いた俺はその空に巻き込まれたことを言ったら顔色が変わった。

 その後、二人は城に向かってきりだ。

 時間潰しに持ち物チェックをするも、叢雲牙とあの災厄によってぶっ壊れてしまった携帯しかなかった……。

 

(もしかして荷物はかごめさんに……!?)

 

「そういえば、お主は荷物はどうした?」

 

「たぶん、叢雲牙の時

 かごめさんに全部預けてたような……(汗)」

 

「ありゃりゃ……

 何か大切なものが入ってなかったか?」

 

「大したものはないけど……

 心配しても仕方がないか……

 そういえば、叢雲牙は?」

 

「ああ、大丈夫じゃ

 わしを納め直してからはなんとかなっとるわい、

 さて……お主はどうする?」

 

「何もしないわけにはいかないさ、

 なんとか腹も満たしたし、やっと休めれたし。

 散歩でも行こうか?」

 

「散歩のう……

 まあ、お主からしたら()()()()()()()()()を知る目的で散歩するのだろう?」

 

「そゆこと、叢雲牙は流石に持たないとね……」

 そう言い、宿屋の女将さんに散歩に行くと伝え、宿に出る。

 

七の砦

 ここはなんでも、()()()()の砦の一つで

 その盟主が治める「七の砦」と言う話だ。

 他にも「一〜六の砦」があるらしい

 曰く、砦にはアリシアやプリム等が率いているらしい

 一の砦にはアリシアが、二の砦はプリムがその砦の主らしい。

 砦の人たち曰く、中々の美人らしいとのこと。

 

「しっかしまぁ……これが砦とか……」

 

「ああ、砦の中には見たこともない街並みじゃ

 ここはまるで、城そのものではないか……」

 

「ああ、街の作りから見ると……

 まず、中世ヨーロッパから……ヴィクトリア時代より少し前か?」

 

「なっなんじゃ? ゔぃくとりあ……

 まあ、それは置いといてだな……

 良いかの? 釤之助よ?」

 

「ん? なんだい?」

 

「お主の事じゃ

()()()()()()()()()()と言う話じゃ、

 暮らしていたのなら()()()()()()()()のはともかく……、

 お主の身体から()()()()()()のはどういうことじゃ?」

 

「ああっ……それは……」

 

 近くにベンチを見かけ、腰をかける釤之助

 そして釤之助は自身のことを語った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が赤ん坊の時、()()でポツンといてな……。
「ほへっ!?」

 その時、大鬼に拾われてな……。

「なんと、妖怪は現代(いま)もいたと言うのか!?」

 ああ、普通食われるのが目に見える光景だけど…………

 大鬼は、どういうわけか沖縄……鞘的に言えば「琉球王国」かな? 

「ああ……名前くらいは聞いたことあるが……」

 そこに、()()()()()()()()()()()があったんだ。

「ほお……それは初耳じゃわい

 つまり、お前さんはそこの妖怪達と?」

 まあな、そこはいわば「寺子屋」みたいなところでな? 

 子供の妖怪や半妖がいて、賑やかなところでな……。

「ほお……」

 そこのまとめ役は大鬼と「乳の親(ちーのうや)」って言ってな? 俺はそのお二人の子として過ごしていたんだ。

「ん? 乳の親? それって……」

 ああ、沖縄の妖怪……と言うか妖怪達の間では「沖縄の母」で名を知れている。

「ああ! 別嬪妖怪で有名な!?」

 そう、実を言うと赤ん坊でも、()()()()()()だったんよ? 

「…………は?」

 乳の親……まあ、義母にあたるけど

()()()()()よ、うん。

「はあ! それまた良く育つわい、

 通りでお主から()()()()()()()()のはそういうことじゃったのか!!」

 ん? なんのことだ? 

「乳の親は、童墓や水面が鏡のように綺麗なところに現れる妖怪じゃ。

 言い伝えでは、死んだ赤子を供養する為に現れ、お主のようにまだ生きている子を"あの世"を引き摺り込むと言われているのじゃ。

 じゃが、お主の話は妖怪の子や半妖の子達を育てる為にしているようじゃの?」

 ああ、もの心をついた時にここは何なのかを話したんだ

 なんでも、今の社会に溶け込むように暮らせるように

 組織の跡を継ぐ為に設けたって話なんだ。

「ほお……時代が変わっても、妖怪達も一生懸命にくらしているのじゃな、世の中は不思議なことがあるものじゃなあ」

 まあ、これ以上の不思議なんてないけどね? 

「じゃな……

 それはともかく、お主と話してわかったことがある」

 なにが? 

「お前さんの身体から妖気を感じることじゃ

 恐らく、()()()()()()()()()()ときに妖力を身に付いたのじゃろう?」

 えっ? それどゆこと? 

「お前さん、まだ乳飲み子のときに()()()()()()()()()のじゃろう? 

 その時、()()()()()()()()()()()()()のじゃろう? 

 それが原因で()()()()()()()()()()()()()()()()()のじゃ」

 へぇ〜。

(はぁ、先が思いやられるわい……

 しかし、こやつ自身()()()()()()()()()()()()()()()()()とは……。

 これに関しては当分先の話になりそうじゃのう……)

 

 自身語りを終え、散歩を再開する。

 町一帯を歩き回り、釤之助と鞘は()()()()()に違和感を感じた。

 

(……鞘

 気づいているか?)

 

(お主もか? 

 町の人たちの目線が()()()()()()()()()()()()……)

 

 皆目検討はつく、()()()()()()()()だということだ……。

 まあ、確かに不審がられるのは仕方のないことだ…………、

 見たこともない人間と聞いたこともない話やら、色々と起こったからなぁ……。

 空の異変が原因で、その不安と恐怖心が煽られている……

 それは俺や他の人たちも同じだ、でも怯えては何もすることもやることもできない…………。

 子供の頃からの性分か、悪癖か……、俺はそういう状況下で棒立ちは嫌いだ。

 右も左も分からないこの世界で、アリシア達と会えたのは運がよかったほうだ。

 だが、俺には抱えている問題がある……

「叢雲牙」だ、こいつを持っている身としては責任がでかい。

 もし誰かに渡ってしまったら()()()()()()()()()()()……、

 こいつを抑えられるほどの強力な力の持ち主ならまだしも……

 これに支配されてしまえば最後だ、誰にも止められない。

 

(はあ、なんか嫌気を感じるなぁ……

 辺り一面歩き回ったから帰ろうか?)

 

 散歩にきりを付けて宿屋に帰ろうとしたその時。

 

「お〜い、そこの若いの!」

 

「ん?」

 

 どこからともなく、老人の声がした……。

 

「おや? この声は……?」

 

「あっ? 鞘、知ってんのか?」

 

 鞘の知り合いか? と思った瞬間……

 突如、目の前に雲を纏った牛の妖怪をまたがった老人が現れた。

 

「よう、あんたの持ってるの叢雲牙か?」

 

「えっ……? 

 だっ誰?」

 

「おおっ!! 

 刀々斎ではないか!?」

 

「おお、鞘! 

 やはりお主であったか!!」

 

「…………えっ? 

 知り合いなの?」

 

 刀々斎という妖怪は、なんでも刀鍛冶を生業としている妖怪だ。

 ここで話すのもなんだし、宿屋に誘ってことの巻末を話した……。

 宿屋の一角、机の上に叢雲牙を置いて事の詳細を話をして、

 自身の力のことを打ち明けた……。

 

「なるほどのう、それは災難じゃったのう……」

「まあな、でもなんとか抑えたのは幸いだよ

 …………今のところはな」

「ふぅむ……しかし、お前さん人間でありながら妖気妖力の類の力を持ってあるとはな……」

 

「刀々斎、実はそのことで話があるのじゃ」

 

「ああ、安倍釤之助じゃったの? 

 ……お前さんに宿る妖力のことじゃが…………」

「うん……」

 

「はっきり言って

 強力な妖力を勿体無いと言わんばかりに無駄が多い!!」

 

「…………は!?」

 

「確かに叢雲牙を抑えるにはそれなりの力を要する、

 しかし、その為に使うのはわかる……

 じゃが、それのせいで()()()()()()()が半端ないのじゃ」

「あっ…………」

 

 釤之助は、叢雲牙を抑えるために()()()()()()()()した事を思い出す。

 

「その時、お前さんの身体は莫大な疲労感と声も上げられない激痛を伴ったじゃろ? 普通の人間は急死してもおかしくもなく、妖怪からしたら消滅絶命してもおかしくない……、しかしそんな状態から生きていたのが奇跡じゃ……」

「はあ…………」

「しかし、そんな中()()()()()()()()()()によってことなきことを得た…………」

「ああっ、あの時犬夜叉とかごめさんと一緒にいたから……

 でも、あの後パッとしないうちにいなくなったんだ。

 まるで神隠しのようにね……」

 

「ああ、その大男は()()()()()()()()()()()()のじゃ」

 

「何?」

「ん? そうなのか?」

 

「ああ、それだけじゃない

 大男は()()()()()()()()()()()()の? 

 その上、()()()()()()()に関して博識じゃったのじゃ」

 

「うむ……しかしその大男は空の異変の時に行方不明になってしまった……、じゃがこの件はしばらくわしが預かろう。

 今は、釤之助の力が最優先じゃ」

「……俺の力?」

「そうじゃ、鞘の話によると

 幾多の妖怪たちに育てられたのじゃろ? 

 その経緯で、知らず知らずに積み重ねられた妖力を使えるようになれば、叢雲牙の抑える負担は克服し、自身の強力な戦闘能力が手に入れる。

 今のお前さんはその力を無駄にしているから反動がでかいのじゃ」

「はい……」

 

 そうして、話は一見まとまったように見えるのだろうが、刀々斎は外に出て、妖牛にまたがった。

 

「よし、ちょっと場を用意するから待っておくれよ?」

「えっ? どこ行くの?」

「なに、今わしにできることをしようと思ってな? 

 しばらく時間がかかるから、できたらその時話そう。

 鞘よ、釤之助と叢雲牙のことを頼んだぞ〜!」

 

「あぁ、わかったよ」

 

「刀屋の爺さんよ!!」

「ん? なんじゃ?」

「犬夜叉とかごめさんに会えたら「俺は大丈夫」って伝えてくれよ?」

「あぁ、わかったよ

 会えたらお前さんのことを言っておくからなあ〜」

 そう言い、空を飛んでいった……。

「しっかしまぁ……すげぇ爺さんだな

 鉄砕牙と天生牙を作ったんだって?」

 

「そうじゃ、その二つの刀はお館様の牙を用いて作ったのじゃ」

 

「へえ、今度叢雲牙の代わりの剣を作るよう言っておけばよかったかな……?」

 

「そうは言うが、刀々斎はお前さんの潜在能力を高く買っておる、しばらくは付き合わざるを得ないじゃろうて?」

 

「…………はぁ、わかったよ」

 

 複雑な感情を抱いた釤之助は、今後の課題を立てた。

 

自身の強力な妖力を使いこなせるようにすること。

 

 これを極めれば叢雲牙を使いこなせれるって話だ。

 ちなみに、刀々斎と鞘曰く「天生牙と叢雲牙と鉄砕牙を揃えたら一人で天下統一が成せれる」らしい。

 確かにそれらを持てば、鉄砲よりもその三つが欲しくなる人が出るだろうな……。

「さて、今日は昼にしようか……

 色々とあったからなぁ……」

 

「まあの、この間といい

 この町に着いたばっかりじゃ。

 それからじゃ、やるべきことは」

 

「だな、……ん?」

 

「ん? どうした?」

 

「なあ、あれなんだ?」

 

 釤之助が指した先に、()()が来た……。

 

「…………ん? 

 あれって、アリシア達?」

 

 馬車から降りてきたのはアリシアだった。

 アリシアは釤之助が泊まっている宿屋に着き、宿屋に入る。

 

「釤之助はいるか!!」

 

 釤之助は、何事なのか? 

 そう思い、部屋を出て、アリシアに会う

 

「どうした……? そんな急に声を上げて?」

 

 釤之助を見つけたアリシアは、彼にこう言った。

 

「釤之助、あなたをお連れするように言われてきたのだ」

「…………えっ?」

「我らが盟主、「セレスティン様」が、あなたにお会いしたいと……」

 

………………

「はあっ!?」「なんじゃとっ!?」

 

 突然、同盟軍の盟主が釤之助に会いたいと言われ、驚いたのである。

 それは「鞘」も同時に驚いて声を上げた…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、わし()()()()()()()()()()()()()()ような……?」

 刀々斎は()()()()()()()()()()しまったことによって

 釤之助は後々大変なことになることになったのであった……

「まあええか…………」

 その後、犬夜叉達と再会し、釤之助のことを伝えた……。

 そして、この後()()()()()()()()()()()()()()()()()大いに慌てていたと言う……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?????? 

 戦場

「この程度か、貴様らは?」

 殺生丸は、()()()()()()と戦っていた……。

「ぐっ…………こんな…………」

 瀕死になっていた男の名は「ヴォルト」。

 彼を中心に率いる「黒犬傭兵団」の団長である。

 彼らは、「黒の城」の軍と戦争している最中

 殺生丸はたまたま近くに戦場(ここ)を通りかかったら急に両軍の兵に襲われ、両軍共に返り討ちにしていた。

 現在、殺生丸はすこぶる機嫌が悪く、傭兵団と魔軍両方をボコボコにしていた……。

 魔軍の兵は殺生丸の妖気と覇気と殺気に恐れ、散り散りに逃げていた、しかし殺生丸の奥義「蒼龍破」によって壊滅。

 同時にその攻撃に巻き込まれた傭兵団は、哀れにも半壊していた。

 それに怒ったヴォルトは殺生丸を討ち倒さんとまとめ直した。

 結果、ヴォルト達は惨敗、今に至る。

「貴様らは「史上最強」と謳われた軍団にも関わらず、この様か……」

 殺生丸は「闘鬼神」を片手に、傭兵団を殲滅していた……。

「この……化け物がぁ……!!」

「つまらん……」

「がはっ!!」

 殺生丸は、闘鬼神をヴォルトに突き刺し、トドメを刺した。

 一方、りんは邪見と一緒避難していた。

 急な襲撃から振り切って、今「阿吽(あうん)」にまたがって空に逃げていた。

 

(愚かな人間どもめ……! いくら熟練の戦人でも、殺生丸様に戦を仕掛けてくるとは……!!)

 

 邪見は、上空から戦場を見渡していた。

 そして部下達にこの世界の情報を集めさせていた、

「竜騎兵」と「獣騎兵」と言う隊を作り、それらを統括していた。

 元々頭領の妖怪格の邪見は、それらの手腕は優れていたのだ。

 

「邪見のカシラ!!」

「おおっ! 戻ってきたか!」  

 

 邪見の配下の一人、現在は「竜騎兵」の隊長を務めている。

 主に、槍や弓等を使い、空中での戦いや弓の射撃を得意とする。

 

「それで、何か分かったか?」

「はい、集めた情報(はなし)によりますと……」

 

 集めた情報によると、空の異変によって「世界が混ざってしまった」ことと、今いる場所は「セレヌス大陸」と言うことであった……、

 そして、この世界にはエルフやドワーフやハーフリング等の「亜人族」がいることを……。

 

「ふむ…………それで、他に何か?」

 

 セレヌス大陸は、かつて「チンギス・ハーン」が築いた帝国以上の巨大な大陸で、日本列島が小さく見えるほどである。

 

 そして、その大陸全土に「見たこともない建造物」を見かけ、そして崩壊していて今や「怪物や妖怪達の住処」と化していた。

 

「そうか、わかった…………。

 では各隊に今後とも任務を続けるように伝えよ!」

「はっ!!」

 

 竜騎兵隊長は部下の元に戻り、宙をかける。

 

「邪見さまってすごいんだね……」

「なに、武蔵野州の頭領をやっていたんだ、伊達に殺生丸様の第一家臣は名ばかりではない!」

 

 安全確認を済ませ、地上に降り立つ。

 

「おーい! 邪見の旦那っ!!」

「おおっ! 無事であったか!!」

「あったりまえでい! 

 しっかし、流石は殺生丸様だ……邪見の旦那がついて行きたくなるのもよくわかるぜ……!!」

 

 獣騎兵の隊長、彼は当時邪見が頭領の時代に支えていた古参の一人、

 彼は男気溢れる妖怪だが、智勇に優れている一面がある。

 突然の両軍の襲撃に驚くものの、戦いに対処していた。

 魔軍傭兵団相手にゲリラや奇襲で持ち堪えていた、しかし……当の殺生丸は不機嫌であったため、戦は殺生丸一人でカタを付けたのである……。

 

「邪見の旦那、ウチの部下全員幸い無事だったけど、あの蒼龍破って大技に巻き込まれていたら俺たち全員御陀仏だよ……」

「じゃか、お前達はこうして生き残っておる! 

 お前達の働きは、いつか殺生丸様の天下統一に繋がるのだっ!!」

 

 胸張って高笑いしているその姿に呆れかけてるりんと獣騎兵隊長であった……。

 

「邪見さま……」

「むっ? なんじゃ、りん?」

「殺生丸さま、どこかに行きますよ?」

「…………ほげっ!? 

 殺生丸様っ!! お待ちを!!!!!」

 

 慌てて走りかける邪見の姿を見た二人は、呆れつつも微笑んでた。

 

「あっ、邪見さま! 

 ……そうだ、おじさん達はこれからどうするの?」

「ん? 俺たちは仲間を集めてここを離れるさ、その間に俺たちは竜騎兵組とは別々に力を蓄えるさ、向こうは頭のキレがいい奴らが仕切ってるからな、俺達は獣騎兵と竜騎兵の若い奴を鍛えるように言われな?」

「へえ、そうなんだ……それじゃあ頑張ってね?」

「ああ、お前さんもな……

 それと、早くここから離れた方がいい……」

「えっ? どうして……?」

「聞けば、竜騎兵の兄弟の話によると()()()()()()()()らしいって話だ」

「えっ……!?」

「聞けば、あそこは「黒の城」と言ってな? 

 あそこに住まうは「黒の女王」と言われた「ダークエルフ」の女が構えている話だ、元々はこの「黒犬傭兵団」があれを攻略するはずだったんだ…………」

「……!」

「そっ、殺生丸様が一人で魔軍と傭兵団をぶっ潰しちゃったのさ、

 そうなったら()()()()()()()()()()()()()()()()

 この両方の軍隊に()()()()()()()()()()()んだよ……」

「それって、つまり……」

「ああ、つまり殺生丸様は……

 この世界で()()()()()()()()()()()()()()のさ……」

「!!」

「まあ、心配すんなよ? 

 仮に殺生丸様を圧倒するような奴なんてそうそういないから安心しな? 

 じゃあな、道中お気をつけて!!」

 

 そう言い、獣騎兵隊長はそそくさに戦場を後にする。

 りんは、阿吽に乗って殺生丸達の後を追う……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒の城・バルコニー

「あれは……一体!?」

 この時、殺生丸は知らなかった

 殺生丸の戦いぶりを見た女王は驚愕していた

 屈強なる魔軍と最強の傭兵団が、

 たった一人の()()()()()()によって壊滅されたのを……!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(この匂い……この感じ……

 間違いない……!!!)

 刻一刻と、刻一刻と近づいてきた……

 殺生丸と釤之助の戦いが始まろうとしていた……!!!!! 

 

 




黒獣の話は、まだ「黒の女王」と言う異名のダークエルフと戦争中である。
戦争中に殺生丸様は両軍皆殺しにしちゃったよ、テヘッ!(^∇^)
女王様、びっくり!!
次回、殺生丸対釤之助
叢雲牙が暴れて、犬夜叉達がやってきた!!


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三つ巴の剣 前編

釤之助、セレスティン様達と幕末の志士達と会います。
殺生丸、叢雲牙を発見!!道中、仙人と陰陽師と出会う。
犬夜叉、刀々斎と再会、その後釤之助の居場所を知って走ります!!そして三国志の英雄と出会いました!


草原

 

 刀々斎と再会し、犬夜叉達は大慌てに「七の砦」に向かって走っていた。

 犬夜叉はかごめをおぶさり、弥勒と珊瑚は雲母に乗って急いでいた。

 

「クッソあのじじい!! 

 釤之助に大事なことを伝え忘れやがって!!!」

「落ち着いて犬夜叉!!」

「そうですじゃ! 

 そんなに力いっぱい走っては、

 すぐにバテるかもしれませんぞ!?」

「うるせぇ!!! 

 それに、もし()()()()()()()()()()()()()()大変なことになるっ!!」

「犬夜叉さまっ!! 

 確かに、釤之助という若者は叢雲牙の扱いに慣れてはおらん!! 

 そして殺生丸様がもし()()()()()()()()()しまったらと思うと、それは大変なことに「うるせぇっ!!! だから急いで走ったんだよ!!」

「がびょーん! 犬夜叉様っ!! 

 この冥加があなた様のために……!!」

「冥加じいちゃん!! 今はその話をするよりも! 

 今は早く釤之助君のところに行かないと!!」

「ええっ! 

 もし、その釤之助と言う少年が殺生丸と戦うことになってしまったら、それこそ大変なことに!!」

「そうじゃ!! 殺生丸の奴が、もし叢雲牙を持ってしまったら、取り返しのつかないことになってしまうぞ!!」

「そうよ! とにかく今は釤之助って言う子がいる「七の砦」に向かわないと!!!!」

「……っ!! 

 うっうむ!! それに、戦いが始まっても

()()()()()()()()()()()()()()()乗り越えられる!!」

「……! 

 それって、刀々斎のおじいちゃんが言っていた()()()()()()のこと!?」

「うむ!! そのため急がねばっ!!」

 犬夜叉達は、走った。

 只々走った。

 目的地に向かって……!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七の砦・白の城・大広間

 

 一方、釤之助はアリシアにつれられ、「白の城」に入った。

 大広間の女神像を鑑賞し、時間を潰していた……。

 

「ほへぇ〜これまた綺麗な……!」

 

「ふぅむ、女神ラーレンティアと言うのか……」

 

「へえ、これが……」

 

 二人が芸術鑑賞している間、一人近づいてくる少女がいた……。

 

「よお? あんたが噂の剣士さまか?」

「ん?」「なんじゃ?」

「へぇ、その鞘()()()()()……!」

 赤髪に鉢巻……

 そして赤い服に青いズボン……

 動きやすいように工夫しているか、布面積はちょっと少ない。

 ハイレグ仕様なのか、へそは見えるか見えないか、

 胸は多少大きいせいか、谷間がよく見える。

 尻は大きさ形が良い感じ、上着に合わせているのか

 股がちょっと露出している。

 

「あのっ? 何か……? 

(またエロい格好の人が来たよ……)」

(まあ、そう言うでない……しかし、あの感じは戦慣れしておるな?)

 

「おっと、悪いね

 あたしから名乗っておいた方があんたのためか……アタシはマイア、傭兵さ。同盟軍に加わっている身さ。

 今「四の砦」の守将みたいなもんさ?」

「はあ、そうなのか……

(要するに看板娘って感じか?)」

「ああっ! いたっ!!」

「えっ!? なんだ!!?」「ほげっ!?」

「あら? もしかしてこの声は……!」

「ああっ!? マイア!! 

 抜け駆けなんて卑怯だぞっ!!」

「はっはっはっ!! 

 抜け駆けなんてしてねぇよ? 

 偶然見かけただけさ?」

「嘘をいうなっ!!」

「なんだぁ? 

 ショートパンツにブラトップだけ着たこど……もおぉぉぉぉぉっ!!?? 

「どうしたんじゃ!? そんな大声あげて……

ほげえぇぇぇっ!? 

 

 二人が驚いたのは、少女の格好よりも()()()()()()()()()()()()()におどろいた……!!! 

 

「ん? なぁに? 

 私をそんなに見つめて♡」

あっあのお……どちら様で……!? 

「ん? わたし? わたしはルー・ルー、五の砦を守っている女の子よっ! ♡」

そっ……そうなのですか……恐れ入りましたっ!!! 」 (土下座)

「えっ!? なっなに!? 急に土下座してっ!?」

「あっはっはっはっ!!! 

 そりゃあね、ルー・ルーの武器を見てビビったんだろ!!」

「…………えっ(汗)」

「あのっ!! マイアさんっ!! 

 この女の子はどちら様でっ!!?」

「この娘はね、ハーフリングの長なのよ

 結構怪力で、ドワーフですら手を焼くガキ大将さ!」

「誰がガキ大将よ!! 誰がっ!!!」

(うわあ……わっかりやすう……!)

(なんともまあ、手を焼く小娘じゃ……!)

 

 彼女の性格態度を見て納得した二人であった……。

 

「何か騒がしいと思ったら、あなたがたですね?」

「おっ? カグヤさんじゃないか?」

「あっ、カグヤおねーちゃん!」

「んっ? ……カグヤ?」

(ん? なんじゃ……)

 

 釤之助が土下座を解き、面を上げると……

 そこには和風の美少女がいた……。

 上はよく見る和服だが、下は袴が短くしていた。

 

(鞘? 何あれ?)

(わしにもわからん!)

 

 下の袴の短さのせいで、よく言えば美脚かつ長い脚だ。

 悪く言えば、お尻がちょっとパッツリしていて、そのせいで尻が大きく見えて形も肉付きが主張していた。

 

(なんだろう……、あれって「ぶっこみ案件」な気がする……

 勘違いした外国人美女がきたらああになるのかな……?)

 

 鞘も、ツッコミを入れる気力を無くしたか、呆けていた。

 

(はぁ、いい日和じゃのう〜)

 

「もし? あなたが噂の……?」

「はい、わたしがその噂の人でございます(・∀・)」

「そうでしたの……! 

 私はカグヤと申します、三の砦を守護している巫女長でございます」

「あら、そうなのですね……」

 

(まともな女の子なんだけど、どうしてこんなに色っぽいんだ!? 

 服の上でもわかる大きい胸に、お尻が大きいせいで袴が丸みがかって形とラインがすっごく主張してるよ!?)

 

(ぐがっー)(寝てんじゃねえよ!?)

 

「しっかしまあ、なんだって俺を?」

「あなたが()()()()()()だから保護したのです」

「んっ? それって……!?」

 

 正門から現れた美麗かつ上品な女性騎士が現れた。

 その容姿に見合うハイレグ仕様の鎧をしていた、軽装かつ動きやすく機能しているのだろう、そして彼女の後ろにはその配下なのだろうか……、彼女同様の装備をしていたのだ。

 

「(すっげぇっ……! 今までのエロ装備の中でマトモなのが来た!!)

 あの……それはどう言うことなのでしょうか? 

 あと、それからあなたは……?」

「失礼しました、私はクラウディア、クラウディア・レーヴァンタインと申します、六と七の砦両方を守護を務めいます」

「へぇ、そして同盟軍の騎士団長さまってわけか?」

「まあ! ご存じなのですね!」

「まあな、散歩がてらに情報集めをしていてな? 

 その時に、ここにいる人たちのこともね……」

 

(美女揃いなのは聞いていたが、まさかこれほどとはな……)

 

 釤之助がそう思ってるうちに、アリシアとプリムがやってきた。

 

「ここにいたのか、釤之助」

「釤之助さま! それにみなさんも!」

「アリシア! それにプリムっ!?」

 

 以前あったのとあるけど、アリシアは一の砦を、プリムは二の砦を守護しているって話だ。

 

(うっはあ……これまた絶景だなぁ……)

 

 アリシア・プリム・カグヤ・マイア・ルー・ルー、そしてクラウディア。

 この六人だけでも神々しさと華やかさが一目見てわかる……。

 でもって、みんなのエロ装備も相まって惚れてしまうよ……。

 

(となると……残るは……)

 セレスティン・ルクルス…………

 人は皆彼女を「白の女神」と謳われているそうだ……

 あれか? クレオパトラか楊貴妃みたいな感じか? 

 ぽっちゃりの定義によってはキツイかもしれないけど……

 当時の美女の基準は「デブ」……つまり「沢山食って健康的」なイメージか? 

 昔の人の美しいと言うのは、お金を持ってて食べ物をガッツリ食って「ごっつぁんです!!」みたいな貫禄か? 

 

「みなさん、お揃いでしたか……」

 

 キタ────ーっ!!!! 

 ええいっ!! デブかぽっちゃりか、できればむっちりとしていてお肌綺麗なぽっちゃり系に賭けよう!! 

 

「あなたが、異世界の方ですか?」

 俺は、その声に応えるように彼女を見る…………

「初めまして、私は七盾同盟軍盟主

 セレスティン・ルクルスでございます」

 

 彼女の容姿は長身かつ腰回りは細く、そしてスラっとしていた。

 そして胸は大きく、お尻も大きかった……、

 白く長い髪は輝き、肌もまた輝いていた。

 衣装は古代ギリシャの格好であろうか……

 上は大きい胸をまとってやっとで、

 下は布を一回りしていていた、そしてそれの抑え役かベルトがつけられている。

 あらかた股を隠す的な? みたいな? 

 そんな彼女の容姿と衣装を見て、彼は山に向かって叫びたい気持ちがいっぱいだった……。

 そう、このように叫びたがっていた。

 

 

爆乳(ボン)!! 腰細(キュッ)!! 巨尻(ボン)の長身長髪(薄金色)の超絶美女でございましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 

 

 

 そして鞘はから同様の気持ちしていたが、言葉にすることすらできなかった…………。(ちなみにこんな顔Σ(゚д゚lll))

 

(いやいいんだよ!! なんちゅー格好してんだ!? 

 やばいってその格好!!!!)

 

「あなたが、異世界の方の一人、安倍釤之助さまですね?」

 

(やめてぇっ!!! そんな格好で話しかけないでぇ!!!)

 

「はい、僕がその安倍釤之助でございます

 あの、どうして僕のお名前を……?」

 

 建前で接して本音を抑える釤之助であった。

「! 

 それは失礼しました、実は()()()()()()()()()()()()この城に来られる()()()()()()()から……」

「!!!」

(未来を見た!? もしやこの者は()()()()()!?)

 

 セレスティンの予知能力……。

 その能力一つで一軍の長を務められているのは凄いことだよ……。

 でもその能力のおかげで空の異変にいち早く気づいて、対処ができたらしい。

 でも気になるのは「異世界の人たちの保護」のことだ、なぜそんなことを? 

 曰く、「この先に起きる()()()()()()に備えるため」らしい。

 

「そうなのか……それで、俺や他の人たちも?」

 

(ふう、なんとか興奮も治まって慣れてきた)

 

「はい、先の異変で天変地異が起き

 私たちの住まう世界とあなた方達が住まう世界と混ざり合ってしまったのです、ですからあなた方を助けるために保護をしているのです」

「はあ…………」

(つまり、()()()()()()()()()というわけか?)
(じゃろうな、恐らくは()()()()()もいるやもしれんなぁ)

 

 あれだけの大騒動で大異変だ、きっと()()()()()()()()()()()()()みんなもあれに巻き込まれて俺と同じように彷徨っているか、あるいは群れをなしたり集落を作って生活をしているかのどちらかであろう……。

 

 それはいいとしてだ、もしかしたら()()()()()()()()()()()()()()()のか? 

 彼女の指示というより、恐らくは()()()()()()()()()()を知るために学ぶために集めさせているのか? 

 確かに、そうすれば()()()()()()()()()()()()等ができる……。

 なんとなく俺には理解ができる、「白の女神」か…………何が女神様だ、予知能力にその美貌とその仲間たち……。

 良い口で言うなら世界を平和にするとか人々を守るのは建前……

 悪い口で言えば、()()()()()()()()()()を目論んでいると言う本音やもしれんな……。

 

「鞘……」
(なんじゃ、どうした?)

「こいつら、綺麗なだけで()()()()()()女達だ」
(はぁっ!?)

「俺には、あいつら全員が素人感が酷く感じるよ」
(えっ……? はっ? なんじゃ、何が言いたい?)

「戦いには慣れても()()()が無さすぎる、それだけさ……」
(はぁ、しかしそれは言い過ぎでは……)

 

 釤之助と鞘は彼女達のことを話していたその時。

 

「っ!!」(!?)

 

 釤之助と鞘は、()()()()()()()()()()()()()()を察知する。

 

「釤之助……? 

 どうした?」

「釤之助さま……?」

「…………すまねえ、ちと急用を思い出した」

「えっ?」

「釤之助さま、それはどう言う……」

「悪い、ここを出る」

 釤之助はそう言い、そそくさに外を出ようとすると……

「釤之助様!?」

「おっおい!?」

「待って!! 釤之助さま!!」

 

 俺が出るのを待ったをかける声もあったけど、それどころじゃない!! 

 幸い、近くにバルコニーがあったからそこから外に出るしかない! 

 

「待て!! 釤之助!! 

 あそこから出ると言うのか!?」

 

「他に道はないだろ!? 

 それにあいつらはなんで()()()()()()()()()()()!?」

 

「わからぬ!! じゃが恐らくは()()()()()()()()()()()()()()()()じゃろう!! 

 きっとこの世界で言う「魔力」とワシらの「妖力」とは()()()()()のじゃ!!」

 

「あとおまけに、()()()()()()()()()()()()()()してるようじゃ、底が知ってしまったよ!」

 

 釤之助は、()()()()()()に気づいていた。

 セレスティンの予知能力で導いていたが、()()()()()()()()()()()()()()()事に……。

 

「久々だが……いくぞ!!」

 

「久々って!? 

 その久々はなんじゃあっ!?」

 

 釤之助は助走ついでの駆け足で走り飛ぶ。

 釤之助は、付近の木々に目がけて飛び降りたのだろう……、

 その光景は城の内外の人達を驚かせた。

 駆けつけたセレスティン達はそれに驚きを隠せなかったが、

 外にいた()()()()()()()()()もそれと同様に驚いていた。

 

「なっなんじゃあ!? 

 おい()()っ!! 今の見たか!?」

「落ち着け!! 

 あの男、あの高さで飛び降りた……!?」

()()()()!? ()()()()()!?」

「えっ、ああっ!?」

 二人は突然後ろから声をかけられたことと、その人に驚く。

 そこには()の字をした旗を持った人達が駆けつけてきた。

「二人とも!? 

 何故お前たちがここに!?」

「何故って、()()()()()()()()()()()()()()に来たって話で、ここに来たんじゃ!」

「なにっ!? それは本当か!?」

「もちろんじゃ! 

 そして、その男は()()()()()()()()()()()()()()()()()()んじゃ!!!」

「言ってることがわからんが、とにかく

 さっきの男はこの近くにいるはずだっ!!」

「なんだって!? 

()()!」

「わかっている! さっきあの城から飛び降りた奴だな? 

()()!! ()()()!! 

 さっきの男を探すぞっ!!」

「応っ!」「わかった!!」

 

 その団体は、周囲の木々から街までバラバラになって釤之助を探し始めた……。

 

「おおっ!? ちょっ待て、おいっ! 

 しっかしまぁ……()()()の奴らは相変わらずじゃのう……!」

「ああっ……しかし、彼らはこの城に……」

「ああ、だが万が一にあの男が何かあったら危ないのう……」

「いいのか? 以前我らはここにきてから四苦八苦じゃった、()()()新選組の奴らと出会った時が一番焦ったんだぞ…………? それに……あの男は一体?」

 

「ああっ!!!」

 

「っ!? 何じゃ坂本!! 急に大声あげて!」

「いたっ!!」

 坂本が指を差した向こうの屋根上に()()()()()()……

 

「っ!!? あの男! いつの間に!?」

「中岡!! 後を追うぞっ!!」

「なっ!? 待て!! 坂本!!!」

 

 釤之助の後を追うこの二人は、かつて幕末の動乱時。

 かの薩長同盟と大政奉還の立役者の志士「坂本龍馬」、そしてその盟友の「中岡慎太郎」であった。

 近江屋の晩、空の異変に巻き込まれた二人は店ごと異世界に流れ着いた。

 海援隊と陸援隊の仲間達と離れ離れになってしまった二人は、この世界のことを知るために奔走し、商人団と共に行動している時、同盟軍の使者に招かれていた。

 しかし、それと同じく「新選組」もこの砦にいた事に驚き、一時変装してやり過ごしていた……。

 そして、白の城で彼らと鉢合わせた時、一触即発の状態だった……。

 坂本龍馬は彼らを説得を試みるも、切り掛かってもおかしくなかった。

 そんな彼らの仲裁に出たのは、道中知り合ったマイアと、新選組を保護したカグヤであった……。

 二人のおかげでことなきことを得るも、一見落ち着いてるように見えても、その実は水面下のような関係であった……。

 一方、城から飛び出た釤之助は走っていた。

 木々に飛びうつって、屋根飛びついた釤之助はそのまま駆ける。

 屋根から屋根へと飛び移り、城門に向かっていた。

 

「全く! お主はどこまで驚かせてくれるんじゃ!! 

 危うく死ぬところであったぞ!!」

 

「悪いな! でもうまくいったのがスゲェと思っちまったよ! 

 足折れるんじゃないかと思ってな!」

 

「だからって少しはちょっとはわしを労れ!! 

 あの時わしは700年の走馬灯を見たんじゃぞ!! 

 お館様との出会いとわしの封印生活が鮮明に思い出したんじゃぞっ!!!」

 

「へえっ! そいつはよかったな!! 

 ボケが治ったのは不幸中の幸いよ!!」

 

 漫談混じりの会話をしながら走る釤之助。

 屋根から屋根へと飛ぶその姿は街の人たちは驚きまくっていた。

 

「なんて足の速い男じゃ、まるで忍者みたいじゃ!」

「坂本、呑気なことを言うな! 

 それより今はこの騒ぎに乗じてここから出るぞ!!」

「おう、すまんの! 

 にしても、あの男はすごいのう!!」

 

 後を追う二人は釤之助を称賛していた……。 

 

「おーい!!」

「…………っ?」

 

 突然、釤之助は呼び声に気づいた。

 呼び声の主を探す為、足を止める。

 

「誰だっ!」

 

 周囲を見渡して、声を主を探す……。

 

「こっちじゃあ!! 

 お前さんの下にいるぞぉ!」

「……へ?」

 

 下を見たら、()()()()()()がいた。 

 

(なんだ? てかあの格好は……?)

 

「なんじゃ? 

 おや……? 誰じゃ、あの二人は?」

「わからねぇけど、悪い奴じゃねえな」

 二人を見て、確信したのか

 釤之助は屋根から降りる。

「よっと!!!」

「ほげぇっ!? 

 またこの展開(パターン)かぁっ!?」

 屋根に飛び降りる姿を見た二人は驚くも、その姿を見逃さなかった。

「ほいっと!!」

 華麗に着地を決めたぜって感じな釤之助を見た坂本龍馬は……

「おぉっ!? まるで天狗のようじゃ!!」

 褒めちぎっていた。

「……! 

 お前っ! 日本人か!」

「!! 

 お主、日の本の子かっ!」

 釤之助と坂本龍馬と中岡慎太郎は、互いのことを驚いていた。

 同じ日本人がいたことを……そして釤之助にとって驚きはまだ続く。

「誰だ? お二人さん?」

「ん? わしか? 

 わしは龍馬、坂本龍馬じゃ! 

 それで、こっちは……」

「中岡慎太郎だ、お主は?」

「…………えっ? 

 ……………………

 

 

 

 

 

どぅぇぇぇっ!!!! 坂本龍馬と中岡慎太郎!? 

 

「おおっ!?」

「何だ急に!?」

「すっすまねぇ! 

 もしかして、薩長同盟と大政奉還の立役者!?」

「おおっ! よく知っておるの!」

「……! 

 そうだ!! 実は頼みがあるんだ!!」

「おおっ!? 

 なっ何じゃあ!? 急に!?」

「っ! とにかくきてくれ!! 

 話はそこでっ!!」

 

 三人は、城門に向かって走った…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、城の白では…………。

 

「釤之助……一体どうしたのだ……?」

「釤之助さま……」

 

 突然、白から飛び出た釤之助に驚き、心配していた。

 

「セレスティン様、彼を追いましょう!」

「……なりませぬ」

「!!」

 

(釤之助様の()()()……

 まるで()()()()()()()()ような……

 いったい、なにを……?)

 

 セレスティンは考えていた……

 釤之助はなぜ離れ出て行ったのか? 

 一瞬、釤之助の表情が変わったのは? 

 そう考えてる束の間……

 

「セレスティン様!」

「っ! 何事ですか!?」

「一大事です! 

 北方の地にて、ヴォルト率いる黒犬傭兵団と交戦中の魔軍が、壊滅したとの報せが!!!」

 

「!!!?」

 

 その報せは、同盟軍全てに知れ渡った。

 

「嘘……だろ……!?」

「それはっ!! 

 いったい誰がしたの!?」

「それが、なんでも()()()()()による者と……」

「……何ですって!?」

「セレスティン様……?」

「……何でもありません」

 

(まさか…………!? 

 では、私が見たあの()()は!? 

 まさか、()()()()が……!?)

 

 この時、セレスティンは予感をしていた。

 この先起こる巨大な戦争は、()()()()()()()()()()()()()()が大きく関わると言う事に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七の砦・城門前
 

 

 城門前にたどり着いた三人は、逃走手段を確保していた。

 

「よし、これならええじゃろ?」

「よしって、これでいけれるのか?」

「まあ、これしかないのだ……

 後は、この荷馬車とやらに乗ってだな……」

 

 坂本龍馬は、商人仲間から貰った荷馬車を用意していた。

 

「これに乗って逃げるってのか? 

 他に人は……?」

「仕方がないだろう、荷物に紛れてやり過ごすと言う手がある、

 特に、お前の場合はな?」

「だな……しかし、まさか新選組が?」

「ああっ、実を言うとワシらは新選組に出くわしてな……」

 

 坂本龍馬が言うには、ここの城に来た時に新選組と出会った瞬間

 突然切り掛かってきたらしい、まあそうだよな? 幕末期の象徴とも言える新選組と志士(坂本龍馬等)の関係を知っていたらそうなるよな? 

 池田屋のこともあるしな…………。

 その時、仲裁に入ったのはあのマイアって女傭兵と彼らを保護したカグヤって巫女さまだ。

 ことなきことを得ていたが、一見落ち着いてるように見えるが……。

 

(龍馬さん達は()()()()()こっちの世界に?)

 

 時期的に考えると、大政奉還後か? 

 

「ところで、海援隊と陸援隊は……?」

「ああ、それは……」

「あの空の騒ぎだ、隊員達は恐らく……」

「そうか……そいつは悪かったな……」

 恐らく、俺の時と同じだろう……きっと行方不明か、あるいは……。

「……よし、行くか?」

「ああっ、長いは無用じゃ」

「急ごう、こうしてるうちに追っ手が……!」

 

 三人が急ぎ支度をしてる最中……。

 

「御用改でございます、新選組と申します……」

………………

「どわああああっ!?」

「ぬおぉぉぉぉっ!?」

「うぎゃあああっ!?」

「はっはっはっ!! 

 冗談だよ! 坂本龍馬!」

 

「っ!? 

 その声は……!?」

 

 驚きのあまりに、荷馬車に身を隠す三人だが、()()()()()()()()()()()()()()()()だった……。

 

「私だ! 龍馬! 桂だ!」

「かっ桂……!?」

「桂……!?」

 荷馬車から顔を出すと、そこには長州藩士のリーダー格の「桂小五郎(木戸孝允)」だった。

 

「桂さん!? おまえなのか!?」

「おいおい、私が桂ではなかったら誰なのだ?」

「桂って、あの!?」

「ん? 君は私を? 

 と言う話は後だな……」

「桂さん、早くここに!!」

「ああっ、すまない!!」

「よし、これでみんなじゃな!?」

「ああっ!! 

 坂本龍馬と中岡慎太郎と桂小五郎と俺だけだ!!」

「よし、親父さん!」

「ようし、わかった!」

 こうして、釤之助達は無事「七の砦」から逃げ延びた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エオス平原・街道

 

 逃げ延びた四人は、和気藹々と話し合っていた。

 

「へぇ……君はつまり我々のいた時代の少し先の未来から!?」

「まあな、「平成」ってな? その時代の人なんだ、俺は」

 

 釤之助は三人と打ち明けていた、維新の三傑の一人である「桂小五郎」と、その三傑を導いた立役者「坂本龍馬」、そして龍馬の盟友の「中岡慎太郎」と出会った事によって喜んでいた。

 

「しっかしのう、まさかこうしてまた桂さんと会えるとはのう……!」

「ああ、まさかこんな形でまた君に会えるとは思わなかったよ!」

 

(二人とも、喜んでいるなあ……

 そりゃあ、薩長同盟以降交流があってもおかしくないか……)

 

「そういえば、釤之助君? いいかな?」

「ん? なんだ?」

「君の持っているその剣はなんだ?」

「……! 

 この剣のこと?」

「ん……あっ! 

 そうじゃ、その剣は何じゃ?」

「剣? 君のそれが?」

「そうなんだ、この剣は……」

 

 釤之助は、坂本龍馬達に「叢雲牙」のことを話した。

 初めは驚愕をするも、同時に危険な剣であることを話した。

 

「そうじゃったのか……」

「災難だったな……釤之助……」

「そのような魔剣が、まさか本当にあったとは……」

「だから、俺があそこから出たのは()()()()()に気づいてな……」

「みんなを巻き込ませたくなかったから出たと言うわけか」

「なるほどな、その剣を狙ってきて戦となったらひとたまりもないと……」

「そうだったのか……」

 

「釤之助? 良いかの?」

 

「ん? ああ、良いよ」 

 

 鞘から人魂が出て、三人は驚いた。

 

「おおっ!?」

「これは何とも奇妙な……!」

「もしや、その剣の封印を担った者か?」

 

「そうじゃ、わしはこの剣を封印していたのじゃ

 それも700年じゃ」

 

「「「700年!?」」」

 

「そう、この剣はそれほど危険な剣なんだ、

 だから、俺や三人よりも昔からあった剣で

 封印していたんだ……」

 

 その話を聞いた三人は、驚嘆していた。

 

(俺がいた時代は平成で、三人は幕末期から明治の初めだ、

 相当古い剣だ、しかしこの剣は……)

 

 釤之助は、空を見上げて一眠りつこうとした瞬間……! 

 

「っ!?」

 

 気配……それも、近い!!! 

 

「どうした? 釤之助?」

「釤之助?」

「すまない、俺はここで十分だ」

「???」

「どうした、急に?」

「……来る」

「……!」

「龍馬さん」

「っ!? 何じゃ!?」

「もし、道中に()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()と出会ったら、伝えてくれ」

「へっ? 何を……?」

()()()()()、空の彼方で見守ってるってな」

「へ? 何じゃそりゃ??? 

 …………とにかく、気いつけえな?」

「あっそうだ! 龍馬さん!」

 釤之助は、()()()()()()()を龍馬に投げ渡す。

「なっなんじゃあ? これは……」

「そいつを持っていれば、すぐに話ができるから

 出会ったらそれを見せておいてくれ!」

「おっおう、わかった!」

 荷馬車の龍馬達は、そのまま立ち去った……。

 釤之助は、そのまま地平の草原を歩いた……。

 

「あれ? わし、なんか忘れてるような……?」

 

「ん? 何をだ……?」

 

「さあ? 何じゃったかのう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エオス平原・街道

 

 一方、犬夜叉達は…………

 

「アアアアアアァァァ……」

「くっそ!! 

 何だよ! こいつは!!」

 

 犬夜叉達は、釤之助が切った3匹のゴブリンと対峙していた。

 

「がびょーん!? 

 もしや、この怪物()()()()()()()()のか!?」

「何だそりゃ!?」

「叢雲牙に切られたものは、()()()()となって蘇るのじゃ!」

「てことは、釤之助の奴! 

()()()()()()()()()()()()ってのか!?」

「そうじゃろうな! 

 しかし、遺体を見たときには驚きましたぞ!」

「ええっ……()()()()()()()()()()なんて……

 釤之助と言う少年は、相当な剣の使い手でしょう!」

「じゃろうな……釤之助と言う奴が、犬夜叉と互角に渡り合うと聞いていたが、剣の達人でもあるのか!」

「それほどの人が、叢雲牙を持っていて

 もし()()()()()()()()()()大変なことに!」

 屍のゴブリンに苦戦していた……。

「これならどうだっ!」

 

 弥勒は破邪の札を使った! 

 

「グギャアアアアアアアッ!!」

 

 弥勒は、屍のゴブリンの一匹を倒した! 

 

「よしっ! これなら……!」

「法師さま!」

「っ!?」

 

 屍のゴブリンが襲いかかってきた! その時! 

 

ドォンっ! 

 

「ガァァァァっ!?」

 上空から火球が降ってきて、屍のゴブリンに当たる! 

「っ!?」

「なんだっ!?」

 

「伏せよ!」

 !? 

 

 上空から竜にまたがる男がいた! 

 竜の口から火の息を放った! 

 

「ヒギャァァァっ!」

 

 屍のゴブリンは灰になった! 

 

「なんと……!?」

「なんじゃ!? あの男は!?」

「誰だっ!? てめぇは!?」

 

 突然空から現れた謎の男の登場に驚く犬夜叉達、しかし当の釤之助同様に驚くことが起きようとしていた……。

 

「それは失礼した、お前達がその怪物に押されていた故、加勢したのだ」

「はっはあ……」

「ふうん? 何とも物好きな男じゃ?」

「で? お前は誰なんだよ?」

「ちょっと犬夜叉! そんな言い方は……!」

「よい、名乗らなかった私が悪いのだ

 私の名は()()(あざな)は子竜と申します……」

 

「………………えっ?」

 ………………

 

 

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

「趙雲子竜じゃとぉ!?」

「趙雲!? 

 あの蜀の!?」

「なっ何で三国志の英雄がここに!? 

 それに!? なぜ竜にまたがっておるのじゃ!?」

「ほっ本物なのですか!?」

 

 冥加と弥勒達は、三国志の英雄の登場に驚きを隠せなかった。

 犬夜叉とかごめを除いて……。

 

(なっ何……!? 弥勒様たち、すごく興奮してる……!?)

(なんだ!? なんなんだよ!? 誰なんだよ!?)

 

 これは、三国志を知っている人と知らない人

 

(歴史に疎い聡いの差の違い)の違いであった……。

 

「あのう……」

「ん?」

 

 置いてけぼり感の二人は、趙雲のことを話して、数時間……。

 そして…………。

 

「では、つまりその釤之助という者を助けるために、駆けつけているのか!」

 

 走る犬夜叉はかごめをおぶり、珊瑚と弥勒と七宝は雲母に乗り。

 そしてその側は飛竜にまたがる趙雲は、釤之助のもとに向かっていた。

 

「そうなの! 早くしないと、大変なことに!!」

「趙雲さま! 一つお聞きしたいことがあります!」

「なんだ?」

「あなたがいるということは、()()()()()は!?」

 

!? 

 

(弥勒さま!?)

(弥勒の奴、まさか!?)

(弥勒殿……やはり()()()()()のことを!?)

 

「……! 

 もしや、()()様たちのことを知っているのですか!?」

「っ!! では!?」

「実のところ、今()()()()に劉備様たち()()がいます!」

「っ!!!!」

「なっなんと!?」

「本当なんですか!? その話は!!」

「がびょーん!!? 

 まさか、あの桃園の方々がおられるのですか!?」

「はい! 幸い、劉備様たちだけではなく()()様がおられています!」

「おおっ!! あの伏龍と謳われた!!!」

「孔明っ!? あの諸葛亮孔明!?」

「なっなんと!?」

「おおっ!!!」

 

(だめ……ついてこれない、特に弥勒様たちの盛り上がりが……!)

 

「なあ、劉備とか孔明とか知らねえけど、そんなにすごいのか?」

「それはもちろんですよ! 

 今話せば日が暮れるほどすごい方々なんですよ!」

「あの、弥勒さま? 

 その話はまた今度で……(大汗)」

 街道を掛け抜け、その時向かい風が来る……! 

「!! 

 匂いが近くなってきた!」

「! 

 釤之助君っ!!」

「犬夜叉っ!」「犬夜叉!」「犬夜叉殿!」

「っ!?」「犬夜叉さまっ!!」

 匂いの先に、釤之助がいることを確信した犬夜叉は、一番に掛けて走る。

 そして仲間達は犬夜叉のあとを追う。

(あれが、犬夜叉か……)

 そんな姿を見た趙雲は、驚嘆していた……。

 そして、掛かった先には荷馬車が見えた……。

「ん…………んっ!?」

「坂本? どうした……っ!」

「どうした、坂本……っ!!」

 荷馬車に乗っていた三人は、犬夜叉一行と飛竜に乗っていた趙雲の姿に驚いていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エオス平原・北方

 

 戦場から離れた殺生丸一行は、南に向かっていた。

 その理由は、()()()()()()だった……。

 殺生丸一行は「空の異変」に巻き込まれ、当然初めは戸惑いつつも歩いていた。

 その時か、邪見の当時の仲間達との再会、そして翼獣や竜等の怪物を露払うも、邪見の配下はそれらを懐柔し、乗りこなせるようなった。

 そして、戦場に迷い込んだ……、その結果は知っての通りであった、

 黒犬傭兵団と魔軍両方を滅ぼした……。

 ただ、()()()()()()()()()()()……それだけのために……。

 邪見は、先の戦いで楯突いた者たちのことを考えていた。

 

(ううむ、あの黒犬傭兵団という連中と言い、魔軍と言い、なんて命知らずかつ無謀な奴らじゃ……いくら異世界の強者とは言えど、殺生丸様を楯突いたばちじゃ! ……哀れを通り越して呆れるわい!)

 

「…………」

 

 りんは、邪見の仲間から()()()を聞き、心配していた……。

 

(殺生丸さまは、()()()()()()()()()()()()()()()()……)

 

(殺生丸さま……)

(今は、そっとするのが一番じゃ……

 こういう時は「触らぬ神に祟りなし」じゃ……)

 

「ほっほっほっ

 随分と慕われておるのう? 

 殺生丸よ?」

 

「!」

「!?」「なっ!?」

 

 殺生丸は、歩みを止める……

 その声の主を、殺生丸は探していた。

 

「そう警戒するな

 私たちはお前達の味方だ

 まあ、姿を見せねば作法に反するな……」

 

 突如、目の前が光り始めた……!! 

 

「殺生丸さまっ!!」

「殺生丸様っ!!」

 

 光の中に、二人の人間が現れた……。

 

「驚かせてすまなかったの、詳細の名は左慈と申します」

「私は安倍晴明(あべのはるあきら)安倍晴明(あべのせいめい)と言えばお分かりになりますか?」

 

「なっ!? なんじゃとぉ!? 

 あっ、安倍晴明じゃと!?」

 

「……!」

「邪見さま? どうしたの?」

「どどどっ!! どうしたも何も! 

 京の都で名高い陰陽師じゃぞ!? 

 わしらのような妖怪達の間でもめっちゃ有名な陰陽師じゃっ!!」

「左慈……? 

 はるか昔の大陸の仙人が、何故その若造と?」

「空の異変について共に探っていたのだよ……」

「空の異変……?」

 

(空の異変……あれのことか?)

 

「小生たちはかの異変を探っており、その原因を探っていたのだ」

「探っている時、なかなかの気を感じ取ってね? 

 その気は何かと思ってお会いしただけですよ……」

「あの……」

「おや、何か?」

「殺生丸さまに、何か……?」

「なに、挨拶だけしに来たのさ

 それに、君は()()()()()()()()()()()?」

「えっ!?」「んなっ!? 何故それを!?」

「……!」

「殺生丸よ、そなたは強い

 しかし……」

「弱いと言いたいのか?」

「いえ、あなたは()()()()()

 今のあなたは()()に強さを求めているだけだ……」

「……?」

「殺生丸よ、今のお主の強さならば

 幾万の妖魔を討ち倒せるほどの力を持っておる……」

「何が言いたい……?」

「こちらのことですよ、さて……

 私たちも忙しいので、これで……」

 光の門を開く晴明は、その中に入った。

「殺生丸、これだけは伝えておこう……」

「…………何だ?」

「殺生丸よ、この先の未来

 我々と()()()()()()()()()はいずれ()()()()()()()()()!」

「!!!」

「それまでに、さらばじゃ……」

 左慈は、光の門に入った。

 そして光の門は、輝くように消え去った……。

「何だったんだろう……?」

「わからぬ……左慈と言い安倍晴明と言い、一体何なのだ……!?」

 

(じゃが、()()()()()()()()()()()()()……

 おそらくはあの空の異変の影響で()()()()()()()()()()()()()にいると言うことじゃ……)

 

「殺生丸様……幾らあのような者たちの言葉を真に受けては…………うげっ!? 

 

 殺生丸の顔つきが険しくなっていた……。

 

(三界の……剣士……!?)

 

 殺生丸の脳裏に、犬夜叉と叢雲牙が思い浮かぶ……。

 

(まさか……!?)

 

(こっこれはっ!? 

 殺生丸様の表情が険しくっ!? 

 いかん! これは間違いなく()()()()()()が起きるぞっ!?)

 

 冷や汗をかく邪見は距離をとる、その時。

 

「そこで何をしている? 

 姿を見せろ……」

「えっ!?」「なっ!?」

 

 突然、周囲の空気が一変した……。

 

「ほお……? 

 よくぞ妾の気配に気付いたな……

 魔力を隠して近づいてみたが、お主……妖魔の類か」

 

 幻を展開して姿を隠していたか、その幻を解く。

 そこに現れたのはその美貌に見合うダークエルフとその従者であった。

 

「綺麗……!」

「なっ!? まっまさか……っ!?」

 

(間違いない! わしの仲間から()()()()の話を聞いたことがある!!! 同盟軍に「白の女神」に対を成し、その力と美貌を見た者は彼女を「黒の女王」と呼ばれた者、オリガ・ディスコルディア!!)

 

 邪見は、黒の女王の登場に驚きを隠せなかった……! 

 

「何の用だ…………?」

「この間の礼と詫びをしたくてな……それだけよ」

「えっ?」「ほへっ!?」

 

(この間の? …………っ! 

 もしや、あの傭兵団を殲滅したこととあやつの軍が殺生丸様に攻撃を仕掛けたことか? 

 どう言う腹つもりで殺生丸様を近づいたのかっ!?)

 

「主のおかげで、我々は助かったようなものだ……

 あの下等な人間どもの大軍を滅ぼしてくれたのだからな……」

「なっ何を言っておる!? あの傭兵団相手はともかく、貴様らの軍は我々にまで被害が出たのだぞっ!!」

「何だ、貴様……? 

 まあいい、そこの雑魚の言うようにそれらの詫びをしたくてな……」

「…………」

 

(……っ! 

 噂には聞いていたが……何と傲慢な女じゃ! 

 例え黒の女王とはいえ、こやつは()()()()()()()()()()()()を知らんと見るっ!!)

 

「……何が言いたい……?」

「むっ?」

「貴様はこの殺生丸に何のようだ……?」

「ふふっ、すまないな……

 そなたのような強者が興味が出てな……」

「…………」

「おいっきさまっ! 

 何が目的で殺生丸様に近づいてきた!!」

「きさまうるさいぞっ!」

「なっなにをっ!?」

「よい、クロエ…………

 単刀直入に言おう……

 殺生丸、我らの軍門入ってほしい……」

「えっ!?」「なっなんじゃとおっ!?」

 

 オリガから直々のスカウト……。

 多くの魔物や魔族等は歓喜するだろうけど……

 殺生丸の場合は……。

 

「なっ何を言うかっ!! 

 幾ら貴様らのようなものでも、殺生丸様の何をわかると言うのだっ!!」

「貴様っ!! さっきからうるさいぞっ!!」

「だまらっしゃい!! 幾ら貴様らの勧誘でも

 殺生丸様はそんなものに!!」

「あの〜邪見さま??」

「何じゃ! りん!」

「殺生丸さま……もう行っちゃってますよ?」

「…………えっ?」

 邪見とクロエが言い争っている間に、殺生丸は遠くにいた……。

「………………

 

 

 

あぁ〜っ!!!!!?? 殺生丸様っ〜!!!!! 

 

 

 

 邪見は走った、殺生丸様の元に向かって……。

 

「なっなんじゃ、あの者は……?」

「あいつめ! オリガ様の勧誘を振っておいて!!」

「ふむ……しかし……

 そこの娘よ?」

「えっ、私?」

「主は何故、あの妖魔についていく?」

 

 オリガは、りんの行動に疑問を抱いていた。

 殺生丸という妖魔、この世界は彼のような妖魔は「魔王級」である。

 元いた世界では、「大妖怪」と呼ばれていた殺生丸。

 そんな彼が何故りんという「下等な人間」が付いているのか? 

 人を見下し、我こそは世界の頂点に立つ存在である黒の女王は、理解できなかった……。

 

「あの妖魔についていくのは其方の自由じゃ、じゃがこれだけは教えてくれ、()()()()()()()()()()()()?」

 

 その問いをしたオリガは、まだ理解していなかった。

()()()を…………。

 りんはその言葉を、その返事は彼らにとって驚くものであった……。

 りんは阿吽に乗って()()()()()()()()()……。

 

「!?」「!!」

 

 そうして、りんは殺生丸と邪見のあとを追うのであった……。

 

(何じゃ、あの娘は……!?)

 

 オリガは、りんの行動に驚いていた……。

 

「オリガ様、如何に?」

「ふむ……行くぞ……」

「えっ?」

「あやつを追うのではない……」

 

(殺生丸は恐らく()()()()()()()()()…………

 妾にもわかる……、この悍しい気を……)

 

 オリガは、この後思い知ることになる……

 自身の存在は()()()()()であったことを……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エオス平原

 ??????? 

 

 霧の中に歩く釤之助は、背中の叢雲牙に異変に気づく。

カタカタカタカタカタ

 

 突然、叢雲牙が揺れ始めた……。

 

「鞘……?」

「いかん、叢雲牙が目を覚ましたわい!」

 

「何だって……!?」

 

「あんたの妖力の効きがなくなったのじゃ! 

 あれだけの妖力を抑え込んだからしばらくは落ち着いていたが、あれから時間が経っていたから……」

 

「目が覚めてきたのか……?」

 

「ああ、この様子じゃと相当ご立腹じゃ……」

 

「…………鞘?」

 

「何じゃ?」

 

「……叢雲牙と()()()んだよな?」

 

「…………は?」

 

「叢雲牙と今()()()()()なんだよな?」

 

「…………はぁっ!?」

 

 突然、釤之助の発言に驚きを隠せなかった……。

 

「なっ何を言っとるんじゃ!? 

 叢雲牙とっ!?」

 

「そうだ……古代の悪霊相手にちと重い感じだが……

 いつまでも振り回されんのはごめんだ、だから……」

 

「じゃかしかし!? 

 また、あの時の轍を踏んでは!?」

 

「心配すんのはわかるよ、だからってこのままにするわけにはいかねぇだろ? 一生振り回されるよりかはマシだよ……」

 

「釤之助……」

 

 そうして、釤之助は背中に背負ってる叢雲牙を下ろし、面と向かって話す姿勢を作る。

 

「よう? 

 随分と揺れてるな? 叢雲牙?」

小僧……貴様、釤之助と言ったな……? 

 

「ああ……そうだよ……」

 

貴様、それほどの力を何処で手に入れたっ! 

 

「手に入れてねぇよ、知らねえうちに持っていたんだよ……」

 

何っ……? 

 

「まあ、叢雲牙は話を聞いてるかは知らねえが……

 妖怪と暮らして数十年だ、身体能力に関してはわかってるだろけどよ……」

 

妖力に関しては雑魚以下とでも思ってるのか? 

 

「否定はしねぇさ…………、叢雲牙(てめぇ)に振り回されたら洒落になれん……」

 

なんだと……? 

 貴様、叢雲牙(われ)を使うと言うのか? 

 

「悪いのか……? 

 あんたのことだ、どっかの阿呆に拾われて、そしてそのままのっとって世界殲滅……。

 そんなことを、させるわけにはいかねぇだろ?」

 

だから、この剣を待とうというのか? 

 他者に持たせたくはないと? 

 

「だからどうした……? 

 どのみちお前を自由にさせるわけにはいかない……、万が一お前が暴れ始めたらぶっ壊すからな……!」

 

ふふっ、強いことを言う……

 最も、貴様はこの叢雲牙を使う素質があったらの話だがな……

 

「…………」

 

(なっ……

 何ちゅう気迫……! 

 あの叢雲牙相手に物動じずに!?)

 

 鞘は、その光景に驚いていた。

 叢雲牙の圧に怖じけず、それに堂々と接する釤之助の姿に……。

 

「…………っ!」

 

この気は……? 

 ふふふっ……、どうやら……

()()()()()()()()()が近づいてきたようだな……

 

「!?」「!!」

 

 釤之助は叢雲牙を背負い、気配の元に駆けつける!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霧が晴れ、周囲が見えるようになった時。

 釤之助の前には、殺生丸が立っていた……。

 

(この気は……!!)

 

「貴様か……」

 

 釤之助は、目の前の男の覇気と妖気に驚く……。

 

「この感じ……」

 

「げえっ!! 

 殺生丸っ!?」

 

「殺生丸!? 

 まさかっ! 犬夜叉の!?」

「!! 

 貴様、何故犬夜叉の名を知っている……!」

「……

 まあ、色々とあってな……」

「そうか、ならば問おう

 何故人間如きの貴様が叢雲牙を持っている……! 

()()()()を何故貴様如きに……」

「知るかよ、そんなこと……

 それよりあんた……、()()()()()()()()のか? 

 それなら話が早くて済むよ……、正直なところを言うとね…………俺としてはどうにかしてやりたいところだけど、ちとこの剣がないとこの世界に生き残れるかどうか難しくてな…………」

 

 釤之助は叢雲牙の柄を握り、抜刀の姿勢を取る。

 

「…………ならば、力ずくで()るまでよ……」

 

 対し殺生丸は闘鬼神を抜き、臨戦体勢を構える。

 

「邪見さま、あの人は誰なの?」

「いや、わしにもわからん……」

 

(しかし、あの小僧から()()()()()は何じゃ? 

 見たところただの人間の筈なのに、まるで()()()()()()の様じゃ……だから殺生丸様は()()()()()()()()()のか……! 

 それ程までにあの人間が()()()()()()()()()()()()()()のか! 

 しかし考えてみれば、殺生丸様の父君は酷なことなさる!! 

 犬夜叉ばかりに強い剣を譲っておいて、殺生丸様には役立たずの天生牙を遺さなかったのだからな……!!)

 

 エオス平原に吹く風は、二人の決闘の空気を引き立てた……

 

「ふんっ!!」「はあっ!!」

 ガギィン!! 

 

 二人の剣の衝撃は、平原一帯を響き渡った!! 

 だが、この時の二人は知らなかった……。

 平原一帯の魔物達は、危険を察知して逃げ出したのだ。

 この騒動は、犬夜叉一行を始め、同盟軍と魔軍両方に知れ渡っていったのだ……。

 

 

 




まずは始まりから。
というか、黒獣のヒロイン全員の格好は・・・まあ釤之助にとっては刺激が強いのは仕方がないよね・・・。
後半はバトル回です。
叢雲牙、暴れて三つ巴になります。


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三つ巴の剣 後半

殺生丸対釤之助対犬夜叉の回。
この戦いの傍観組はかごめ達と邪見達+英雄と両軍です


 エオス平原の怪物と魔物達は、走っていた。

 ただならぬ気のぶつかり合いから逃げるために……。

 そして、その気はすぐに犬夜叉達にも知ることに……。

 

「っ!?」「犬夜叉! これって……!!」

 

「こっこれはっ!? 

 刀々斎殿の言葉が、ついに現実になったか!?」

 

 平原を駆けつけていた犬夜叉達は、気の衝突を感じ取れた。

 

「なっ何じゃ!? これはっ!?」

「これはっ……!? 遠くにいるのにも関わらずに、なんて気圧だ!?」

「すごいっ……! これって、殺生丸と釤之助の……!?」

「何て気だっ!? 

 この場にいるのにも関わらず、これほどの圧を感じるとはっ……!?」

 

 犬夜叉一行と趙雲は、釤之助の元に駆けつけていた……、そして道中に出会った坂本龍馬達も、この圧を感じていた……。

 

「なっ何ぜよ!? 

 この悪寒と重い空気は……!?」

「わからんっ…………! 

 しかし、これほどの覇気を感じ取れるとは……!!」

「ここにいるだけでもわかる……! 

 恐らく、釤之助は()()()()()()()()()()()()()()のだろう……!」

 

 坂本龍馬達は、犬夜叉一行と共に来ていた。

 釤之助のことが気がかりで彼の元に行こうとしていたのだ。

 

(それにしても、犬夜叉と日暮かごめか……

 釤之助の知り合いとは聞いていたが……

 あのかごめっちゅう娘も、釤之助と同じように驚くのは無理ないか)

 

 実は、彼らと出会ってすぐに、釤之助のことを話し。

 自分たちの名前を聞いた途端、かごめは最大に驚いたのだ……。

 

「あぁ〜やっと追いついたわい」

「あっ! 刀々斎のおじいさん!!」

「おぉ、かごめか!」

「刀々斎っ! 

 てめぇ、あの剣の事を何で釤之助に話さなかった!!」

「仕方がなかったんじゃ……

 あの時はてんやわんやだったから慌てていたんじゃ、しかしまあ…………。

 あの小僧、叢雲牙を使うと抜かしおって……」

「っ!?」「叢雲牙をっ!?」

「ちょちょちょ! 

 さっきから何の話をしとるんじゃ! 

 わしらにもわかるように話してくれ!」

「まあまて、まずは叢雲牙のことをだな……」

「それは釤之助から聞いとる! 

 問題は()()()()()()()()を聞きたいのじゃ!」

「ああっ、あの剣はな……」

 

 叢雲牙は元々は、「犬の大将」こと「闘牙王」と言う大妖怪が昔から持っていたらしく。

 その剣には遥か太古の悪霊が宿っており、それに握った者は悪霊に乗っ取られてしまい、大量虐殺を繰り返す傀儡と化す。

 その悪霊の力を抑え込められるのは犬の大将と殺生丸しかいないらしいとのこと。

 しかし、人間である釤之助がその悪霊を力ずくで抑えたとはいえ、その叢雲牙を抑えたという事実に驚愕を隠せなかった。

 

「だが、あやつの力は無茶苦茶な感じな上、無駄がありすぎてな?」

「じゃが、その力で何とか抑えられているのじゃろ? 

 それで良いではないか?」

「そうなんじゃが……()()()()()なんじゃ」

「えっ?」「それはどういう……?」

「本来、人間には「霊力」が有り、妖怪には「妖力」があるのじゃ……。

 まあ、その辺の話はわかるもんとわからんもんがいるから……、釤之助は()()()()()()()()()()()()()

「はぁっ!?」「なんじゃそりゃ!?」

「わしだって驚いとるわい! 

 そんな訳のわからん力と存在があの小僧じゃ! そして、それは釤之助自身の()()なのじゃ!」

「弱点?」

「そうじゃ、妖力と霊力の流れが反発しあってるのと入り混じっていて()()()()()()()()()()()()()()()()になっているんじゃ、そのせいで叢雲牙の抑え込むのに膨大に力を無駄に使っているのじゃ!」

「ええっと……つまり……?」

「なあ、その話いいか?」

「むっ?」「なに? 龍馬さん?」

「その妖力と霊力とはなんじゃ?」

「ああ、あんたらはわしらの時より未来の人だから知らないか、長くなるから簡潔に言えば……」

「簡潔に言えば?」

「渦潮みたいなもんじゃ」

「へっ?」「はあっ?」

「妖力の渦は()()()なら霊力の渦は()()()と言えばわかるかな?」

「ええっと、つまり……」

「力が反発し合って、上手く扱えないってわけ?」

「そうそう! それが原因であやつの力の消費が半端ないのじゃ! 

 このままだと、あやつはまた叢雲牙に支配されるぞ!」

「なんじゃと!?」

 

 刀々斎の話を聞いた一行は釤之助の元へと急いだ。

 しかし、そんな彼らとは別に、()()()から少数の騎士団たちも、釤之助の元へと急いでいたのは知る由もなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、二人の戦いは激化していた……。

 草原一帯の空気地形は一変していた、居合の要領で戦う釤之助。

 押されつつもその力を温存しつつ戦うその姿勢を、殺生丸は疑問を感じていた。

 そして邪見も、彼の戦い方に違和感を感じていた……。

 

(あの小僧、なぜ()()()()()()()()()はの繰り返しをしているのだ? なんともまあ、効率の悪い戦い方をしおって……)

 

 殺生丸は彼の戦い方に気づく……! 

 

「そうか……

 読めたぞ、貴様()()()()()()()()()()ようだな?」

「!!」

「貴様、自身の力の調整や均衡がないせいでその剣に支配されるの恐れ、素早く剣を振るって納めているのはそういうことなのだろ?」

 

 一線交えて、瞬時に自身の弱点を見抜かれた釤之助。

 その表情は、驚きと焦りが出ていた……。

 

(流石だ……俺が叢雲牙に振り回されてるのを気づくなんてな……!)

 

 殺生丸の推測通りであった、釤之助は叢雲牙の力に恐れていた……。

 相手は母親が異なるとは言え、犬夜叉の兄だ。

 その力は「大妖怪」の名に相応しいものであった……、しかしおいそれと叢雲牙を渡すにわけにはいかなかった……。

 そもそも、殺生丸と犬夜叉の確執は()()()()()()である……、鉄砕牙は、その()()()()()()()()()()()()()ことができるのだ、おまけに()()()()()()()()()()()()()()にすることができる。

 以前、犬夜叉から鉄砕牙のことを話したことがある。

 かつて結界を司る妖怪一族で、その結界の力を操る少女が持っていた宝玉を切ったことで結界を斬る力を得て鉄砕牙の刀身は赤くなったのだ、犬夜叉達はそれを結界破りの「赤い鉄砕牙」と呼んでいる。

 奈落と言う悪党の襲撃に遭い、「父の墓」にて「四魂のかけら」を守り通していた「初代・宝仙鬼」の力の一つ、「金剛石」だ。

 特にこの金剛石を用いた奥義「金剛槍破」が凄いって話だ、鉄砕牙の「風の傷」が塞がれても、「金剛槍破」は最強の物理攻撃で、奈落にぶちかまして打ち払ったって話だ。

 殺生丸がそれを欲するのはよくわかる、なんなら作れって話だよ……。おかげさまで俺は殺生丸に目をつけられてこの有様だよ!! 

 鉄砕牙ではないにしろ、代用品の一つや二つを作りなさいよっ!! 

 刀々斎っ! ちょっとは殺生丸のために用意してやってよ!! 

 

その時

 どこから盛大にくしゃみをした

 阿呆職人がいたという……

(誰が阿呆じゃっ! 失礼なっ!)

 

(もしや、あやつあの剣を()()()()()()()()()()()()()()()()()?? 

 先程、殺生丸様が扱えないと言われていたが……、しかし扱えないのなら何故()()()()()()()()のだ? 

 素直に手渡せば争わずに済むと言うのに……?)

 

「……邪見さま」

「むっ? 何じゃ、りん?」

「あの人、剣を渡さないんじゃなくて、()()()()()()気がするの……」

「はぁ? 何を言っておるのじゃ!?」

「だって、あの人の持っている剣は危ないものだから、殺生丸さまに渡したくないかなって……?」

「はっ?」

「だってあの人、剣を抜いてからすぐに鞘に入れたりしてるから、あの剣はあの人にとっては使()()()()()()()から……」

「りっりん……まさかあの若造は()()()()()()()()()()()()と申すのか?」

「それはわからないけど、あの人はまるで()()()()()()()()()()()()()()様に見えるの……!」

「何じゃとっ!? あの若造が!?」

 

(じゃが、りんの言うことにも一理ある……! 

 あの若造が着ている衣服はあの「かごめ」と言う少女とは違う感じじゃが、雰囲気としては似ていて不思議ではない……! 

 ……もしや、あの若造は()()()()()()()()、その時に()()()()()()()()()()()()()のか!?)

 

「これは……!!」

「なっなんと……っ!?」

「……………………むっ?」

「………………ん?」

 

 二人は突然後ろからの声に気づき、振り返るとそこにはオリガとクロエがいた。

 

「げえっ!? 貴様!?」

「あれっ!? どうしてここに!?」

「どうしてって、お前たちは何とも思わないのかっ!?」

「えっ?」「なんじゃと?」

「わからぬのかっ!? あの二人の気をっ!?」

「えっ?」

「なんじゃと!?」

 

(もしや、この者たちと我らの妖気魔力等の感じ方が()()のか? 二人はあの若造と殺生丸の力を感じている、じゃかそれは()()()()()()()()のじゃ……! 

 対しワシらは慣れているから、人間であるりんや妖怪のワシも感じているが……、恐らくは()()()()()()()()と言うやつが原因であろうな……?)

 

 魔素は、オリガやセレスティンたちが住むこの世界の魔法の力の源である。

 この魔素は、この世界の人たちの体にも宿っている。

 魔素を体内に取り込むために、瞑想や集中等すれば魔法が使えると言うわけだ。

 しかし、犬夜叉や殺生丸たちが住まう世界は無く、妖気はそれと違うものだあった。

 ところが世界が融合してしまったことによって魔素や妖気等が入り混じってしまった、それによって普通の人間や雑魚妖怪は魔素や妖気が感じやすくなったのだ。

 りんや邪見のように慣れてる例もあれば、そうでない者たちからすれば恐怖の対象になる。

 

 

 

 

 

 

 

「いつまで小手先だけで行くつもりだ? 

 それほどまでにその剣に固執しているのか!」

「好きで持ってるわけじゃねぇっての!! 

 こんな剣がある以上、()()()()()()()()()()からな!!」

「そうか、ならば貴様を殺してでも構わんと言うことだなっ!!」

 殺生丸は闘鬼神を振りかざし、その刀身は雷を纏った! 

「うげっ!? なんかくるっ!?」

 

「いかんっ! 

 逃げろ釤之助! 今のお主ではあれに喰らったらっ!!」

 

「逃げろってどこにっ!? 

 殺生丸がこの剣に目ぇつけられてる以上、逃げ場なんてどこにあるっ!!」

 

「じゃからと言って立ち向かうのは無理じゃっ!! 

 いくらお前さんでも相手は殺生丸じゃっ! 

 殺生丸を相手に挑むことじたいが間違っていたのじゃ!! 

 ここで死ぬくらいならいっそ手渡してしまったほうが我が身のためじゃ!!!」

 

「やなこった! そうするくらいなら、

 むしろ、いっそのこと戦うっ!!」

 

「はぁっ!! 

 もう嫌じゃわいっ! 

 こんな危なっかしい奴と一緒にいるのは大将以来じゃわいっ!!」

 

 釤之助は息を整え、叢雲牙を握る。

 

「一か八か、やるしかない……!!」

 

 そして、釤之助の周囲は気の渦が生じた……! 

 

(この感じ……こやつ、まさか()()()()の…………っ!?)

 

 殺生丸は、彼の感じ取った気に驚く……。

 同時に、彼の気の流れの()()にも……。

 

(これは……! 

 そうか……、奴は自身の力が扱えていない上、叢雲牙を抑え込む力が膨大すぎてる……。

 故に、自身の体がその気の力に振り回されて、まともな戦いができない……。

 剣を抜いては納めて戦っていたのはそのためにか……)

 

 両者は、大技を放とうとしていた……。

 

「これは……っ! 

 りん、お主ら! 

 早くここから……

 あれ?」

 

 しかし、りんもオリガたちはいなかった……。

 恐らくは二人の大技を出すことに気づいたか、オリガとクロエはりんと一緒に逃げていたのだ……。

 

「あぁ〜〜〜〜っ!? 

 何でわしだけ!? 

 何故わしはこんな目に〜っ!!」

 

 邪見はそそくさと駆け足で場を離れたのだ……。

 殺生丸は闘鬼神を振りかぶった。

 釤之助は叢雲牙を抜いて振るった。

 

「蒼龍破!!」「獄龍破!!」

 

 両者の大技の衝突によって、周囲の平原の地形が抉り返した。

 その衝突の光景は、犬夜叉達と邪見達と騎士団達に及んだ……。

 しかし、それを見た()()()()はその場から離れて飛んでいった……。

 

(ぐっ!? 居合の要領でやってたのに、ここまでか……!)

 

 叢雲牙が輝き始めた、自身の力が弱まってる証拠だ……! 

 長時間戦い、叢雲牙を抑え込む力が綻びが出た。

 獄龍破の勢いは、蒼龍破に劣っていた。

 抑え込んで叢雲牙を振るっていたため、獄龍破の威力は弱い……。

 

(なんとバカなことをしてるのじゃ、釤之助! 

 獄龍破を放つ力を抑え込むとか、なんちゅうことをっ!? 

 そんなことをすれば()()()()()()()()と言うのにっ!?)

 

 鞘は釤之助の戦いぶりに恐れ、驚いていた。

 力ずくで叢雲牙を抑え込む、その上獄龍破までもを威力調整をするなどと言う下手な大妖怪ですら驚くばかりの業を……。

 そして、釤之助は思った……。

「死ぬならいっそ派手に死のう」……、

 今がその時である……と。

 おされる獄龍破、徐々に迫る蒼龍破。

 敗北濃厚……この場にいた誰もがそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「爆流破!!」

「!?」「!!」

 

 衝突しあっていた獄龍破と蒼龍破は、爆流破によってその衝突を吹き飛ばした。

 そして、二人の大技は爆流破によって別の方向に放たれていった……。

 

(今のって、まさか!?)

(これは、奴のっ!?)

 

 二人は爆流破が、放たれた先には…………。

 

「犬夜叉っ!!」

「犬夜叉……っ!」

 

「どうやら、間に合えたってところだな……!」

 

 犬夜叉・殺生丸・釤之助。

 鉄砕牙と天生牙と叢雲牙……。

 この場に、「天下覇道の三剣」が集ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふい〜どうやら間に合ったようじゃのう」

「釤之助君っ…………!」

「あれが、釤之助……

 遠くにいるのにも関わらず、何て気だ……!」

「なんじゃっ!? あやつは人間なのかっ!?」

「なんて気をしているの……っ!? 

 それに、あの剣が……!」

 

 犬夜叉一行は、ようやくその場所に辿り着いた……

 そして、趙雲と坂本龍馬達はその光景に呆然としていた……。

 

(なっなんだこれは!? 

 ここにいるだけでもなんという気を……っ!)

(なっなんぜよ……っ!? 

 あれが、釤之助の……!? 

 あれじゃあまるで、化け物同士の戦じゃないかっ!?)

 

 そして、この光景は彼女達にも……。

 

「なんだ…………あれは……っ!?」

「お姉さま……これはっ!?」

「なんだよ……あれ……っ!?」

 

 少数の兵を引き連れ、決闘の場に訪れたアリシアとプリム、そしてマイアは目の当たりにした。

 釤之助と殺生丸と犬夜叉の激突を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「犬夜叉……っ!!」

「殺生丸っ! てめぇ叢雲牙をっ!!」

 

 犬夜叉の登場に驚いた殺生丸と釤之助、この場の空気が今一変したのであった……。

 

「釤之助様っ!!」

 

 プリムは釤之助の元に駆けつける……、その姿を見たかごめ達。

 

「???」

「なんじゃ? あの女子は?」

「おろっ? あれって……?」

「龍馬さんっ!!」

「おおっ!? マイア!? 

 何でここにっ!?」

「えっ!? なに、龍馬さんこの人知り合いなの?」

「ああっ、ちょっと前にな……

 それよりも、何でここに!?」

「ああっ、実はな……」

 

 マイアは事の経緯を話した。

 プリムは砦から飛び出た釤之助が心配で来たらしく、それを知ったアリシアは共に行くことになり、マイアはその護衛として来たのだ。

 セレスティン本人はそれを承知していたらしく、行かせたのだ……。

 

「そうじゃったのか…………てっきり連れ戻しに来たのかと思ってしもうたわ……」

「なるほど……つまりあなた方はこの世界の?」

 

「きゃああああっ!!?」

 

 突如、プリムは悲鳴を上げた……! 

 それに気づいたみんなは、釤之助の異変に気づく……! 

 

「あがっ、がっ……ぐぁああああっ!!」

 

 釤之助の右腕は()()()()()()()()()()……! 

 

「プリム……逃げろ……」

「そんなっ! 釤之助さまっ!」

 

「いいから逃げろ!!」

 

「釤之助さまぁっ!!」

 

 プリムから離れるも、叢雲牙の邪気は平原一帯を支配されていた。

 

悪あがきもここまでだ……

 

「ちくしょう……叢雲牙ぁっ!!」

 

所詮貴様のような奴にこの叢雲牙(われ)を振るうことはできん、我が力を受け入れるだけでいい……さすればお前は覇者になれるというものを……

 

「うるせぇっ!! そんなの願い下げだって言ってんだろ!! 

 それに、そう言いって皆殺しにするだろうがっ!」

 

強情な奴め……だがその威勢もここまでだ……、受け入れよ……我が力を! 

 解放するのだ、我をっ! 

そして、犬夜叉と殺生丸をも超える力を!!!!! 叢雲牙(われ)の力を、解放するのだっ!!! 

 

「うがああああああっ!!!」

 

「釤之助っ!!」「釤之助君っ!!」「釤之助さまっ!!」

 

 釤之助の右腕から体から禍々しい邪気が溢れ出る……! 

 その邪気はその場にいた人たち全員にも感じ取れた……。

 犬夜叉と殺生丸はその邪気に冷や汗をかき……

 かごめ達は呆然としていた……

 アリシア達は腰を抜いていた……

 一方、邪見とオリガ達はその気に驚愕していた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「があああああああっ!!!!」

 

 叢雲牙に支配された釤之助は犬夜叉を襲いかかる!! 

 

ガァンッ!! 

 

「くそっ! やっぱこうなるのかよっ!!!」

「あがっ……! この野郎……!!」

 

 犬夜叉は釤之助と戦う羽目になってしまった……

 

「っ!! 釤之助! お前意識が!?」

「ああっ、体はこのザマ……、でも口は、ギリギリだ……!」

 

「いかんっ! 気をつけろ犬夜叉! 釤之助! 

 今のお前の状態は封じ込める力はない! 

 殺生丸との戦いで、力を大半使い果たしている!! 

 以前のように封じ込めることはできんっ!!」

 

「っ!?」

 

 鞘の言葉は即ち、()()()()()()という選択肢しかなかった……。

 それを聞いた犬夜叉は、意を決して剣を振るった! 

 

「だったら……犬夜叉!!」

「なら、やるしかねぇんだろ!」

 

 釤之助との戦いは避けて通れない……! 

 ならば、戦うしかない……その時! 

 釤之助の背後から殺生丸が切り掛かってきた!! 

 だが釤之助はそれにいち早く反応してその攻撃を避ける。

 

「んなっ!?」

 

 殺生丸の奇襲に驚く犬夜叉、しかし釤之助は殺生丸の攻撃を防ぐ。

 

「てめぇっ……! 

 何のつもりだっ!!」

「こうなる結果になると貴様はわかっていたはずだ、潔く叢雲牙を渡せっ!!」

 

ガギィンッ! 

 

 激しい気の衝突の中を鍔迫り合い二人、そして叢雲牙は妖しく眩い光を放つ……。

 

ふっふっふっ……! 

 殺生丸よ、この叢雲牙が欲しいのか? 

 

「っ!」

 

刃を合わせれば、

 貴様のことは何でもわかる……! 

 犬夜叉に左腕を切られたことも、そしてこの人間の子に手を焼いていることもな! 

 

「やかましい!! 少しは黙ってろ!!」

 釤之助の右腕の惨状を目の当たりにした人達は、絶句をしていた……。

「なんだあれは……!」

「あちゃ〜とうとう恐れていたことが起きたか……」

「っ! 貴様っ! あの剣のことを何が知っているのか!?」

「まあな……」

 

 刀々斎は叢雲牙のことを語った……

 かつて「犬の大将」と呼ばれた大妖怪「闘牙王」は自身の牙を元に、天生牙・鉄砕牙を作り上げた。

 

「叢雲牙」は昔から持っていた剣で、かつてこの剣一つのために手に入れるためにあの手この手で殺し合いをしていた……。

 その経緯で「犬の大将」はその剣を手に入れたのだ。

 曰く、その剣を制することができたのは当時の大将で、今それを震える資格があるのは殺生丸ただ一人という……。

 

「だから彼はあの剣にこだわっていたのか……!」

「大方、あいつがその「七の砦」から飛び出たのは殺生丸が来ることに気づいたからであろうな……」

「そうだったのか、だからあいつ……」

「恐らく、殺生丸との戦いに皆が巻き込まれてしまうと考えた釤之助は、七の砦から飛び出たのでしょう……」

「なるほどのう……あの戦いを見れば納得するわい」

 三者の戦いは、激しくなっていた。

 犬夜叉と殺生丸と釤之助…………、三人の衝突は平原全体に響き渡っていた。

 

(釤之助……まさか私たちに被害を遭わせないために……!)

(そうだったのか……あの戦いを見たら()()()()()()()()()()()のは当たり前だっ! だから逃げるように飛び出たのか……っ!)

 

 戦いの行方は、五分であった……。

 複雑化していく戦いの中、犬夜叉ごと切ろうとする殺生丸、

 そして殺生丸もろとも犬夜叉を切り掛かる釤之助、そんな両者まとめて戦う犬夜叉。

 そして今、釤之助は犬夜叉と殺生丸を相手に鍔迫り合いをしていた…………。

 

「ぐっ……いい加減に決着(ケリ)つけてぇなぁ……!」

「減らず口を言う……そろそろ手放したらどうだっ!!」

「何言ってやがるっ!! そうはさせねえって言ってるだろっ!!」

 

どうした? 

 貴様、この叢雲牙を使いこなすと言った者がこのザマか……

 

「黙ってろ!」

 

そろそろ我を受け入れろ、往生際の悪い奴め! 

 だが皮肉なものだな……

 

「っ!」「……!」「何っ!?」

 

かつて、我を手にした犬の大将は我が力を使えば天下をとれたと言うものの、()()()()()()()()()()を助けるために我が力を使わなかった……、あろうことも()()()()()()を相手に剣を抜いたと思えば、力を使えば生きていたものを使わなかった……

 

「っ!!」「っ!?」

(それって、()()()()()()()のことか!?)

 

かつて、北の渓谷を縄張りを張っていた妖怪「竜骨精」の時、我を使えば勝てていたものを使わなかった……、使えば勝てた勝負だと言うのに……。

 その結果は殺生丸……()()()()()()()()()()だろう? 

 

「っ!!!」

 

(それって……まさかこいつ()()()()()()()()()()のかっ!?)

 

ガァンッ!! 

ふっふっふっ……

 かつて大将は一人の女の元に駆けつけ、敵を薙ぎ払って館に辿り着いたのだ。

(その女は犬夜叉の母親……っ! 

 鉄砕牙を使ったのは数が多かったわけか……!)

 しかし辿り着いた時には()()()()()()のだ……!! 

「っ!!」
(なんだって!?)

 死んだ女のために、天生牙を振るってその女を助けたのだ。

「……っ!」
(っ!)

 そこへ、その女を殺した若武者が現れたのだ

 その時奴は我を抜いたのだ、だが奴は力を使わずに挑み、そのまま若武者と共に業火に呑まれたのだ……。

 

 恐らく、叢雲牙の話は「犬の大将」が死んだときの……っ! 

 そして犬夜叉の母親はその最期を見届けた……。

 

(犬夜叉はその時に産まれた……何とも悲劇的な……)

 

 そして、殺生丸と犬夜叉の父は若武者と道連れ覚悟で戦死したのだろう……。

 

 

 

 

 叢雲牙の支配下におかれた釤之助は僅かながらも抵抗していた……。

 力はない、ましてや前のようにはできない……。

 状況は最悪……殺生丸は叢雲牙のためなら全力で殺しにかかる。

 かと言って犬夜叉に頼れる状況ではない……。

 

(くそったれ! これさえどうにかすれば……)

 

 ……? 

 

(なんだ? 触手の()()()()()?)

 

 触手の違和感に気づいた釤之助、そしてそれはチャンスでもあった。

 

(鞘っ!)

 

(何じゃっ!? 

 と言うか、お主意識があるのか!?)

 

(まあな……それと、一つ聞きたいことがあるんだ!)

 

(はい? 

 なんじゃ、聞きたいこと言うのは?)

 

(叢雲牙の触手の締め付けなんだけどよ、僅かに緩くなったんだ!)

 

(何じゃとっ!? 

 ……そうかっ! 

 鉄砕牙と天生牙が()()()()からじゃっ!!)

 

(なんだって!?)

 

(鉄砕牙と天生牙が揃えていれば、叢雲牙の力を抑えられるのじゃ! 

 釤之助、お主が意識を保てれるのはそれのおかげなのじゃっ!)

 

(マジかっ!?)

 

(元々叢雲牙は、以前話してるからわかってるじゃろうが、大将が昔持っていたことを?)

 

(知ってる、と言うかそれ話していたの(本人)じゃないか!)

 

(まあ、そうじゃったの……(うぉっほん)

 その力を抑えるために、鉄砕牙と天生牙に()()()()を加えたのじゃ)

 

(叢雲牙の力を抑えるためにか?)

 

(そうじゃ、つまりこれを上手くいけば……)

 

()()()()()()()()()()できる!?)

 

(そうじゃ!)

 

(だったら、気合を入れるか……!!)

 

 そうと決めた以上、行動あるのみ……! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおっ!」

 

 戦いは一進一退を繰り広げていた。

 釤之助の元々の身体能力の故か、殺生丸と犬夜叉の二人がかりの攻撃を難なく避けきっていた。

 

「釤之助っ! 

 おまえ、意識あるんだろっ!? 返事をしろっ!」

「意識がなかったら返事は出来ねぇっての!!」

「けっ! その割には余裕があるじゃねぇか!!」

 

 犬夜叉と釤之助の戦いぶりに周囲の人たちは驚いていた。

 

 

 

 

 

 

「はて? あいつ叢雲牙の支配にかかってないのか? 

 あの状態で意識を保てるのはどういうことじゃ?」

「なにっ? 

 ……はっ! 

 そうか、鉄砕牙と天生牙じゃ!」

「何?」

「えっ……ああっ! 

 そうじゃった! うっかり忘れておったわ!」

「えっ?」

「叢雲牙の力を抑えるために、鉄砕牙と天生牙の二本とも揃えるとその力を弱められるんじゃ!」

「あっ、それって……!」

「そうじゃったそうじゃった! 

 言ったわしがそれを忘れてしまっていたわい」

「刀々斎!! 

 そんな大事なことを忘れるとはっ!」

「やれやれ……、

 ですが、それは彼にとっては好機ということですね?」

「はっ? どういうことじゃ?」

「叢雲牙の力が弱まっているのなら、()()()()()()()()()叢雲牙にうち克てるということですね?」

「そうなのじゃが……今のあいつはそんな力量はない、かえってそれは()()()()()()()()()ことになる……」

「ええっ!?」「何じゃとっ!?」

「今のあやつは力が乱れているのと流れが荒い……

 そんなあやつがそんなことをすればお陀仏じゃ」

「そんな……」

「どうすることもできない、そんな状態ということですか……」

「むむむっ……

 刀々斎があやつのことを一目置かれるのはわかるが、よもや殺生丸と出会ってしまったのが何とも言えん……!」

「…………っ!」

 

 その話を聞いたプリムは装備していた杖を持って彼の接近を試みる…………! 

 

「あっ!? ちょっと!!」

「おっおい! どこへ行く!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガァンッ!! 

 

 突如、背後から殺生丸の攻撃に防いだ釤之助。

 

「ぶっねぇ……何すんだ!」

「貴様……なぜ平然と戦える!」

 

 殺生丸は、叢雲牙に触手を巻きつかれているのに関わらず、意識を保ちつつ戦う姿に驚いていた。

 

「さあな……? 

()()()()()()()()()()()じゃないか?」

「っ!! 

(そうか……! この天生牙と犬夜叉の鉄砕牙……っ!)」

 

 殺生丸は、瞬時に叢雲牙の制約に気づく。

 天生牙と鉄砕牙二本揃ってる状態の叢雲牙は力を抑えられるということに……。

 殺生丸はそのまま釤之助に切り掛かる瞬間、犬夜叉に防がれる。

 

「殺生丸っ! 俺がいるのを忘れんなっ!」

「お返しだっ! 殺生丸!!」

 犬夜叉と釤之助は、二人がかりで殺生丸に切り掛かるが、避けられてしまい……。

 

ガァンッ! 

 

「んなっ!?」

「うおっ!?」

 

 二人の攻撃はぶつかってしまった……。

 

「あまいっ!」

 

 殺生丸は闘鬼神を雷を纏わせ、斬撃を放つ。

 

「のわっ!?」

「どおっ!?」

 

 二人は瞬時にその攻撃から避けた。

 

「野郎……っ!」

「……っ!」

 

 長時間戦っているせいか、釤之助の表情は疲弊しきっていた……。

 

(くそっ……運が良かったとは言えどもここまでか……!)

 

 叢雲牙の力が弱まっていたことは不幸中の幸い……

 しかし、殺生丸との長期戦となれば不利……。

 ダラダラ長続きする戦いは士気や体力の低下に陥ってしまう。

 短期決着を持ち込む……! 一か八かで決着(ケリ)を早くつけるっ! 

 

(こいつで吹き飛ばす……っ!)

 

 釤之助は叢雲牙を構える。

 弱まっているとは言え、抑えられてるとは言えども、こいつにかけるしかないっ! 

 釤之助の構えを見た二人は察する。

 殺生丸は闘鬼神に全力を込める……

 

(釤之助っ!? まさか放つのかっ!?)

(いくら抑えられてるとは言えども獄龍破……愚かなっ!!)

 

 釤之助は、死を覚悟をしていた……

 自身の敗死を受け止めていた。

 

(すまねぇ、犬夜叉……! 

 できればこの瞬間(とき)だけは手を出さないでくれっ!!)

 

 

 

 

 

 

 

「蒼龍破!!」「獄龍破っ!!」

 

 

 そして、両者の奥義が衝突し、平原一帯の空気が衝撃波となって放たれた……! 

 その光景は周囲の人たち全員が息を呑んだ……。

 一見すれば獄龍破の方が勢いがあるように見えた……、しかし。

 

ダァンッ!! 

 

 蒼龍破は獄龍破をうちやぶった……。

 

(あっ、これ死んだわ……)

 

 釤之助は、自身の死の瞬間を感じた……

 そしてそれを見た者たちも……

 釤之助はここで死ぬと……

 誰もがそう思った…………、その時だった。

 

ぱぁあっ

「っ!?」「!?」「ええっ!?」

 

 釤之助の周囲に光が包まれ、その場から消えたのだ……! 

 それにより、釤之助は奇跡的に殺生丸の大技から逃げれたのである……! 

 

「っ!? 

 なっなんだぁっ!?」

 

 突然の瞬間移動に驚き、腰を抜けてしまった釤之助。

 

「おおっ、釤之助!! 

 どうやらわしらは助かったみたいじゃ!!」

 

「助かったって……誰が!?」

「釤之助さまっ!」

「っ!! プリム!? 

 まさか、お前が!?」

「はいっ! 待っててください、今治します!」

「へっ!?」

 

 プリムはもう一本の杖を出し、杖から光だした……。

 その光は釤之助の身体全体に包まれ、傷が癒、疲労が取れていったのである。

「こっこれって……!」

 

「なっなんと!?」

 

 身体全体から生命を感じ、釤之助の身体中の傷や疲労がなくなっていたのだ……。

 

「プリム……ひょっとしてこれ、魔法の何かか?」

「はい、身体の傷や疲労を癒す魔法です、釤之助さま! 

 もう大丈夫ですよ!」

「プリム……! 

 ありがてぇ! 助かったぜ!!」

 

 釤之助の身体が力がみなぎり、その気を解き放つ! 

 叢雲牙の触手はほどかれていった!! 

 

ぐあぁぁぁぁっ!! 

 おのれぇ!!! またしてもっ!!! 

 

 叢雲牙の輝きは弱まった。

 

「よっしゃあ!! 

 十死一生かと思えば、地獄の仏さまから九死に一生を授けられたっ!!」

 

「釤之助!! そんなことを言ったら場合ではない!! 

 早くこの場から逃げるんじゃ! 

 犬夜叉たちも来ておる、早くここから逃げるんじゃ!!」

 

「っ!! そうだったな!! 

 千載一遇の好機だ、ずらかるとしますか!!」

 

 釤之助はすぐさまにこの場から離れようとして走りだした、その時だった! 

 

ざしゅっ!!! 

 

 突然、釤之助の背後から触手らしきものに刺される。

 

「っ!!」

 

 釤之助は、背後から攻撃してきた者を見て、驚愕していた……。

 そして、犬夜叉と殺生丸たちは()()()()()()()()()()()()のだ……! 

 

「ふっふっふっ……、なかなか良い戦いだったぞ? 

 だが、貴様には過ぎた剣だな……」

 

「あっあんた……まさかっ!?」

 

 釤之助は、以前犬夜叉と話していたことを思い出す……。

 四魂の玉の争いを巡り……

 かつて犬夜叉と桔梗の仲を引き裂き……

 殺生丸を陥れようと目論んだ輩……

 そして弥勒の家系に、右手に「風穴」と言う呪いをかけ……

 珊瑚の家族と里を壊滅させた黒幕を話していたことを……! 

 

「ほお、小僧? 

 貴様はこのわしを知っておるのか?」

 

 誰もが想像しなかった、否。

 誰一人思いもしなかったのだ……。

 この場にいる人たち全員は…………。

 

「なっ!? てってめぇ……!」

「貴様っ……!!!」

 

 皆一同、()()()の登場に驚き、その名を叫ぶ。

 

 

 

 

「奈落っ!!!」

 

 

 

 

この時、この場に……

 犬夜叉たち全員の因縁にして宿敵の者

「奈落」が現れたのだ……

 

 

 

 




三つ巴の結末に奈落の乱入。
そして奈落の一手が犬夜叉達を襲うっ!!
こっからは映画の話をします。
天の癒しの刀天生牙。
地の魔剣叢雲牙。
人の護り刀鉄砕牙。
これら三本揃うは天下の覇者になれると言う・・・・。


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奪われた叢雲牙

三者の戦いに奈落の横槍。
そして奈落は叢雲牙を奪い、釤之助を・・・!


 奈落の登場に驚いていた犬夜叉達と釤之助。

 四魂の玉のかけらをめぐる仇敵の登場によって場の空気は急激な展開が来たのであった……!!! 

 

「小僧、貴様にはその剣は過ぎたものだ、このわしが有効に使ってやろう!!」

 

 奈落は突き刺した触手で釤之助を絡めとる! 

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 釤之助の身体から骨が折れる音と、身体の至るところから触手の隙間から大量の血が流れ出る……! 

 

「きゃあああああっ!!!」

 

「釤之助君っ!!」

「なっ何じゃあっ!? あいつは!?」

「何だっ!? あいつは!?」

 

 坂本龍馬たちと趙雲は、奈落の登場に驚愕していた……。

 犬夜叉たちは臨戦体勢をとり、すぐさまに釤之助の元に駆けつけた!!! 

 触手を解いた奈落、そして血まみれになって倒れる釤之助……。

 釤之助の手から叢雲牙を落とし、そして奈落はそれを拾った。

 

「奈落っ!! てめぇなんでここいるんだ!!」

「久しいな犬夜叉、そして殺生丸……」

「っ!!」

「わしも、流石にこの世界を見て驚いていたが……まさかここで会うとはな……」

「奈落……!!」

「だが、この叢雲牙はいただくとしよう……! 

 こやつが持つのは宝の持ち腐れでしかない!」

「いかんっ!!! 

 奈落にあの剣を持たせてはならん!!」

「犬夜叉さまっ!! 早くあの剣を奪い返すのじゃ!!!」

「言われなくてもそのつもりだ!!!!!」

 

 犬夜叉はそのまま「風の傷」を放った!! 

 

「ふっ、この剣の奥義、使わせてみるか……

獄龍破!!! 

 

 奈落は獄龍破を放った!!!!! 

 

「んなっ!?」

 

 風の傷は獄龍破に呑まれ、そのまま犬夜叉に直撃を受ける……! 

 

「ぐあぁっ!!」

 

 獄龍破をくらった犬夜叉、しかし幸いにもそのダメージはなく、鉄砕牙を支える形で立っていた……。

 

「ふむ……やはりこの威力しか出せないか……。

(やはり、鉄砕牙と天生牙が側にある限り力は出せないか……)

 だが良い余興であった……」

 

 奈落はそのまま上昇して、姿を消したのであった……。

 

「なっ何と言うことじゃ!! 

 奈落に叢雲牙を奪われてしまうとは!!」

「こりゃあ一大事じゃわい! 

 それよりも釤之助はっ!!」

 

 釤之助の方を見た一同、そこには血に塗れて横たわっていた釤之助の姿があった……。

 奈落に締め付けられて血の大半が流れていて、いつ死んでもおかしくはなかった……。

 

「釤之助さまっ! 釤之助さまっ!!」

 

 

 

プリム……? 

 ちきしょう……あの野郎! 

 奈落って奴か? 

 犬夜叉達と殺生丸達が追っている仇敵だったな? 

 まさか、ここで出会すとは……っ! 

 ああっ、これ本当に死ぬやつだ……

 意識がもう無くなりそうだ……

 息も……脈も……

 マジで、しんだな……おれ……

 もう…………考えも、言葉も……

 なく……な……って……

 

 風前の灯火とは言えない、彼の死は秒を読むまでもなく迎えようとしていた……。

 犬夜叉とかごめ、そしてプリムとアリシア達の声が聞こえなくなり、身体も冷え始め、生命尽きようとしていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もが、そう思っていた

 その時……! 

 

 

 

「下がれ」

「……えっ?」

 

 殺生丸が、天生牙を抜いていた……! 

「…………はっ!」

 

 そして、天生牙を振った! 

 

 

 

 

ドクンッ

 

 

 

「…………えっ?」

 

 

 

ドクンッ

 

 

 

 

 

ドクンッ

 

 

 

 

 

「…………あれ?」

 

 突然、釤之助が起き上がったのだ! 

 

 

 

 

「きゃあああっ!?」

「うおおおおっ!? 

 生き返ったぁ!?」

「なっなんと!?」

 

 突然のことだった。

 釤之助が死の淵から蘇ったのだ! 

 

 

 

 

「殺生丸さまっ!?」

「殺生丸……? 

 まさか、あんたが……?」

 

 邪見も犬夜叉たちも、驚きを隠せなかった。

 見ず知らずにして「叢雲牙」を持っていた少年を助けた行為を……。

 そして殺生丸は何も語らずに場を去ろうとしていた……! 

 

「待てっ! 殺生丸!!」

「ああっ!! 殺生丸さまっ!!」

 

 殺生丸は風の如くに場を去り、姿を消したのであった……! 

 

「どう言う風の吹き回しだ……? 

 なんだって俺を……?」

 

「わからぬ……じゃが、お主がこうして助かったのは事実じゃ」

 

 呆然としている中、プリムは泣き疲れて寝ていた……。

 

「……あっ! 叢雲牙は!?」

「奈落に奪われたよ」

「なっ!?」

 

 それを聞いた釤之助は後を追うつもりだったか、立ち上がるもぐらっとふらついた。

 

「っ!?」

「無理したらいかん!!」

「そうじゃ! 今は養生したほうがいい!!」

「っ……!」

 

 流石に奈落を追うのは禁物……

 釤之助と犬夜叉達は「近江屋」と言う宿を向かった……。

 アリシア達も彼らと共に近江屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???????? 

 

貴様……何者だ? 

 

「ふっ、儂が何ものか? 

 それを知ってどうする?」

 

気に食わん、われの支配を抑えるほどのものが、何故()()()()に赴く? 

 

 奈落と叢雲牙は、「犬の大将」の墓に来ていた。

 叢雲牙の力はあの世とこの世を行き来する力を併せ持っていた。

 その力を知った奈落は、()()()()を探していた。

 

「…………む?」

 そして、奈落は()()を見つけた。

「ふっふっふっ……叢雲牙よ? 

()()()()があったぞ?」

 

む? 

 …………おお! これは……! 

 

「叢雲牙よ? 

 これさえあれば、先の獄龍破を難なく使えるだろう……!」

 奈落と叢雲牙は、かつて犬夜叉が切り落とした()()()()()()を見つけたのだ…………!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近江屋

 

 犬夜叉達は、近江屋に到着して今後のことを話していた。

 犬夜叉は一人でに出ていき、奈落を追った……。

 残った面子で叢雲牙のことを話していた。

 

「釤之助さま……」

「なんだ……?」

 

 近江屋の銭湯(和洋折衷の雰囲気を持った風呂場)。

 この光景に、釤之助は驚いていたが……

 そんなことはどうでもよかった……。

 

「お身体……大丈夫ですか?」

「まあな……だいぶ良くなってるほうだ……」

「殺生丸ってやつだっけ? 

 あいつの持ってる剣すげぇな?」

「そりゃあそうじゃ、あの剣は一振りで百の死者を生き返らせるのじゃからな?」

「七宝? なんでお前ここに……? 

 ……って、そう言う場じゃないか、ここは」

 

 現在釤之助達は近江屋の銭湯に入っていた。

 それもここは混浴で、ここに湧き出る温泉は魔素と入り混じって身体の傷や病気等を治すことができるのだ。

 釤之助と七宝と弥勒たち男性陣

 かごめと珊瑚とりんとアリシアたち女性陣全員入っていたのだ。

 

「しっかしまあ……ここの主人は商売上手な上に、

 ここいら一帯の街を仕切ってる人の一人とはなぁ……」

「そうじゃ、ここの主人とわしと他にも頭を張ってる人がいるからの? 

 ちなみにわしは人事専門なんでな? 

 なんかおーく? とかえるふ? とかそういうものたちを受け入れたりしてるのでな?」

「はあ……この世界でもすることしてるんだ……」

 

 銭湯に浸りながらさまざまな話を聞く中、弥勒はアリシア達にちょっかい出すも珊瑚に絞められ、対し七宝は可愛がっていた。

 邪見はというと、彼女たちの素肌を見てのぼせかけて横になっていた。(ちなみに刀々斎と冥加も横になっていた)

 

 りんはかごめのそばにいた。

 銭湯に出て、皆は巨大な部屋(と言うか大広間のようなところ)に集まっていた。

 

「さてと、これからのことなんじゃが……」

「うむ、皆の衆……」

 

 釤之助は大の字になって伸び

 弥勒は亜種族の女性たちと酒を飲むものの、珊瑚につまされてしまう。

 七宝はどういうわけか逆にみんなから人気ものになっていた。

 かごめとりんはアリシアとプリムとマイア達と話していた。

 

「これっ! お主ら! 

 少しはこやつらの話を聞かんかい!!」

「まあ、いいじゃねえか……

 みんな疲れてるのとあるし、奈落のことでいっぱいいっぱいじゃったからのう……」

「確かに、少しは息抜きをするのも悪くはない……

 しかし、色んなことがありすぎて疲れが溜まってるのじゃからなあ……」

「じゃからって、これはいささか……」

「おーい、みんな! 

 晩飯ができたぞ!」

 

 晩飯が来たことで列を成す。

 

「なんでこの時に団体行動ができるんじゃ……?」

 

 そう思った邪見であった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竹林の墓

 

 一方、奈落は()()()()に訪れいた。

 殺生丸の左腕を持って…………。

 

「叢雲牙よ、貴様にうってつけの器だ」

 

ほう…………

 貴様、奈落と言ったな? 

 よくこの墓を見つけたな? 

 

「偶々この世界を調べてる最中に、偶然見かけたのでな……? 

 その時閃いたのだよ……、この墓に眠る声の主は()()()()()()()だ」

 

ふっふっふっ……

 抜け目のないやつよ、この者の体と殺生丸の左腕があれば……。

 

「そうだ、貴様の奥義「獄龍破」を自由自在に使えるのだ……!」

 

 そう言い、奈落は叢雲牙を地面に刺す。

 

目覚めよ、刹那猛丸(せつなのたけまる)……! 

 我は叢雲牙なり……! 

 

(叢雲牙……? 

 なぜ私を呼び覚ます……?)

 

 彷徨うおまえの魂、この叢雲牙が救ってやろう……! 

 我とともに復讐せよ……、おまえを殺した奴の息子たち

 殺生丸と犬夜叉に復讐するのだ! 

 降り積もった恨み、全て晴らすがよい!! 

 

(恨み……?)

 

 おまえが捨てたあの女……! 

 

(……! 

 十六夜……!)

 

 おまえがあの女が愛しかった、それを奪ったのは奴だ! 

 奴を憎め! 女を憎め! 奴の一族を憎め! 

 そうしなければ、おまえの魂は永遠にここにつながれたままだ! 

 さあ! 

 今一度蘇り、ともに奴への復讐を果たそう!! 

 

(憎い……!! 

 犬夜叉が……殺生丸が……

 そして、十六夜が憎い!!)

 

「ほう……素晴らしい力だ、叢雲牙よ

 さすが天下覇道の三剣と呼ばれた一振りなだけはある……!」

 

 墓から現れた骸骨は、徐々に血肉を形成し

 その姿は生前の姿を形とっていくのであった……! 

 

 




奈落の企みは世界規模並みに巻き込まれる・・・!!
一方、近江屋に泊まってる釤之助たちは
「天下覇道の三剣」について知ることとなる・・・!


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天下覇道の三剣

近江屋回
刀々斎たちは鉄砕牙と天生牙と叢雲牙について話します。


 近江屋に泊まっていた釤之助たちは、今ある町並みに驚いていた…………。

 

「なんだろう…………俺はいつの時代に来たんだ?」

 

 その光景は、複雑怪奇なれど見事な景色を艶やかに映していた。

 石畳の道路に行き交う車と路面電車、建造物はイギリスとアメリカのものだけど、日本建築技術を基に建てられている。

 もともと日本建築は、地震と津波等の災害に強いと同時に百〜千年長く保たれることで有名だ。

 それだけじゃない、大きな川に小舟が行き交う光景ならまだしも…………。

 

「魚人族にオークにエルフやら、その上巨人族小人族が……おまけにドワーフに鬼人族……スゲェな……!!」

 

 そう、驚くべきは住民だ。

 魚人族は船頭を務め、漁業して魚の養殖なり天然ものの目利きをしてたり魚屋鮨屋をしてる。

 オークは土建やら消防と自警団の元で働き、各作業方面から引っ張りだこだ。

 エルフは林業と農作業界隈の中心核みたいな立ち位置で、土建屋といい各飲食界隈から結構人気があるらしい。

 巨人族と小人族はスゲェ話題になってる。

 巨人族は土建と林業等各業界からもの凄く頼られてる。

 巨体かつ怪力、その上この町の橋作りに大いに貢献されてるって話だ。

 小人族は衣服作りに飲食のこと細かい作業においては人気だ。

 良い靴に服、そして料理の盛り付け等で役立ってる話だ。

 筆記作業に陶芸や彫刻等にも優れている。

 ドワーフは刀や鍬や鎌に調理器具面の鍛治仕事を行ってる、彼らの作る物はなかなか高品質かつ耐久性が高い。

 鬼人族はドワーフに引けを取らない鍛治仕事をしている、土建業や林業や農業等も負けず劣らずの実力を併せ持ってる。

 人間も他種族相手に負けずと行ってる、競争相手がいるだけでもこうも違うとはなぁ……。

 

「お〜い? 釤之助?」

「んっ? なんだ??」

「みんなが集まったから、早く来や?」

「おう! わかった!」

 

 近江屋の広間に、みんなが居た。

 かごめとりん、珊瑚と弥勒に七宝……

 そして邪見と坂本龍馬たち、

 アリシア・プリム・マイア・オリガ・クロエ達もいた。

 

「よし、みんな揃ってるな?」

 

 刀々斎の呼びかけでみんなは頷いた。

 刀々斎、冥加翁と鞘……

 彼らが話すは、「天下覇道の剣」と謳われた三振の剣。

 そして、殺生丸と犬夜叉の父の話……。

 

昔々

 武蔵国に「犬の大将」と呼ばれた大妖怪がいた

 大将には「三本の牙」と呼ばれた刀を持っていた。

 

 一振りで百の死者を生き返らせる天の癒しの刀

 天生牙

 

 一振りで百の亡者をこの世を呼び戻す地の魔剣

 叢雲牙

 

 一振りで百の敵を薙ぎ払う人の守刀

 鉄砕牙

 

 これらを揃えしものは天下を取れると言われたのじゃ。

「なるほどねぇ…………

 それで?」

「まぁ待て、そう急くなよ」

「大将は遠征の最中、一人の娘君と出会ったのじゃ」

「それが十六夜さま……」

「さよう、十六夜さまと出会い

 そして犬夜叉様が産まれたのじゃ、

 そして親方さまも亡くなって……」

「まあ、正確に言えば「竜骨精」との戦いがあって

 その後になくなったのじゃ、犬夜叉を助ける為にな?」

「犬夜叉さまを?」「助けるために?」

「ん? ちょっと待ってよ? 

 犬の大将……つまり闘牙王は先の戦いの傷を負ったままで? 

 犬夜叉を助けに?」

「そうじゃ、その時わしもいたからのう

 鉄砕牙で門の兵士を薙ぎ払ったのじゃ

 屋敷の奥にまで行った大親方は十六夜さまの元に着くが……。

 駆けつけたその時、十六夜さまは()()()()()()()()()!」

「!?」「殺されたっ!?」

「最も、犬夜叉を産んだ後に殺されたんだからな……」

「……っ!!」「なんと……っ!!」

「うむ、そこで親方さまは天生牙を使ったのじゃ」

「天生牙?」「ほお、そこでか……!」

「天生牙を振るって十六夜さまを救い出したのじゃ、夫婦共に無事ここを出ようとするも、ところが! そこに()()()()()()が現れたのじゃ!!」

「ここに来てか……!」

「その時の親方さまは決心したのじゃ、「火鼠の衣」を与えてその後、生まれた赤子を名をつけたのじゃ」

「……それが、「犬夜叉」か……」

「そうじゃ、わしも十六夜さまとともに燃え崩れる館から逃げたのじゃ、叢雲牙を抜いた親方様が、最期の姿であった……」

 3人の古株の話を聞いた釤之助とかごめたちは、犬夜叉の出自と父の最期を知った……。

 そして、残された問題は……。

「まあ、その後は天生牙は殺生丸に渡してな? 

 鉄砕牙は犬夜叉に渡すために、墓場に通じる黒真珠に封印したのじゃ」

「…………でっ? 

 残りの一振りの叢雲牙は()()()()()()()()()?」

「うむ、その問題をどうするかは話し合った結果

 骨食いの井戸に放り投げたんじゃ」

「骨食いの井戸? 

 それって、かごめの家にある?」

「あそこに投げたの!?」

「まあな、あの時わしは「700年も経てば抑えられる」と言ったからのう……」

「つまりだ、犬夜叉がまだ子供の頃の時代に投げて

 俺らの時代に来た……てわけか?」

(となると、文字通りに7()0()0()()()()()()ことになるな?)

「ねえ、鞘のお爺ちゃん? 

 もう一度、叢雲牙を封印できないかしら?」

「不可能じゃ」

 オリガがそう言った。

「えっ?」「なっ!?」

「なっ何、急に!?」

「貴様っ! 一体何をっ!?」

「わからぬか? そのボロ鞘の力は枯渇してるの……」

「ぬっ!?」

「だろうな……」

 オリガと釤之助の発言に、一同は驚いていた……。

「鞘の爺さん?」

「むっ? なんじゃ?」

「今のお前じゃあ、できないんだろ? 

 封印してから経ってるから……」

「うむ……わしらがいた時代と主らの時代を合わせれば確かに700年経っておる、今のわしでは叢雲牙を封印はできん……」

「だろうな、でも打つ手はないわけではない……」

「ほお? ならば主から聞いてみたいものじゃの?」

「ん? 何を?」

「惚けるな? 

 主は()()()()()()()()()のだろ?」

「えっ?」

「おっ? 釤之助、何か思いついたのか?」

「ほお? 聞いてみたいものじゃのう?」

「なんじゃ? 釤之助、お前何か知ってるのか?」

「てめぇら、()()()()()()()んだろ?」

「えっ?」「なっ何何?」「なんじゃ?」

「はあっ?」「ほお?」「何っ?」

「…………

 あんたらなぁ……! 

 って、()()()()()()みんななら

()()()()()()()()()()()()()()()()ならわかるだろ?」

「やれやれ、そこまで鋭いとはのぉ……」

「鞘のお爺ちゃん、一体何の話をしてるの?」

「叢雲牙を打ち倒す方法じゃよ?」

「ええっ!?」

 叢雲牙を打ち倒す方法…………。

 その方法は、()()()()()()()()()()ことだった。

「鉄砕牙と天生牙じゃよ、叢雲牙を一対一の一騎打ちでは勝ち目はないが、この二本を持って挑めば叢雲牙を倒せるのじゃ!」

「ええっ!? それってつまり……!?」

「犬夜叉と殺生丸が手を組んで倒すって話さ、だけどあの二人の様子を見たらわかるだろ?」

「………………」

「まぁ、確かに「兄弟共に力を合わせて叢雲牙をやっつけよう!」なんて話を持ち出したら、あの二人は反感を買うだけじゃ……」

「それに、殺生丸は欲してるし

 犬夜叉はぶっ壊すだろうし、

 仮に協力しあっても引っ張り合うのが関の山だな」

 そんな話を傍に邪見は笑い転げていた

 協力するなんて天地がひっくり返してもあり得ぬと……。

「そう言ってるけど、()()()がいる限りうまく事は進まんぞ?」

「あっ!」

「そうか…………()()()()()()()()……っ!」

「あいつは叢雲牙を難なく握れてるから相当の実力を持っているけど、あいつが何を企んでいるのかわからねぇんだぞ?」

「ううむ…………」

「まさか奈落が現れるなんて思いもせんかったからのう」

「なんじゃ? 奈落というのは?」

「さっき俺を殺したあの優男顔した半妖だよ」

「ああっ! あいつか!!」

 

 奈落について、かごめ達は語った。

 かつて犬夜叉と桔梗の仲を引き裂き、四魂の玉を奪取せんと目論んだ事と。

 殺生丸を使って陥れようとした事と。

 弥勒の手に「風穴」という呪いを付けた張本人。

 そして、珊瑚の村を壊滅に追い込んだ黒幕であることを……。

 

「なんと……そんなことが……!」

「そげなことが!? げに恐ろしき悪党じゃ!」

「俺も最低限話を聞いていたが、事の元凶じゃないか……!」

 

 奈落の話を聞いたアリシア達は、身の毛を震え上がった。

 犬夜叉達の敵にして黒幕……。

 その存在を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???????? 

 

 一方、奈落と叢雲牙は()()()()()()を蘇らせた。

 その武者の名は「刹那猛丸」、犬の大将と相討ちで亡くなった武者であった。

 

猛丸よ、()()を使え

 

「それは?」

「殺生丸の左腕だ、今のお前には必要なものだ」

 

そうだ、猛丸よ

 その腕があれば、獄龍破が撃てる……

 そうなればお前は天下無敵、試してみては損はせぬ

 

 猛丸は殺生丸の左腕を植え付けると、触手が縫い始めた! 

 

「案ずるな、お前の身体と馴染むように細工してある

 そうなればお前は叢雲牙の使うに相応しい身体を得る」

 

 猛丸は左腕を得て、叢雲牙を抜いた!! 

 

「っ! ぬおおおおっ!!」

 

 そうして、右の顳顬に角が生え

 その風貌は妖魔に近い姿となった。

 

「ほお? なかなか素晴らしいではないか? 

 天下無敵の覇者に相応しい形だな」

「ふっ、天下無敵の覇者の道か……!」

「そうだ、その為には()()が必要だな? 

 この世界を見て回ったが、()()()()()()()()があったぞ……!」

 猛丸と奈落は、その地に向かった……!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?????? 

 

 猛丸と奈落は、「黒の城」周囲の骸を叢雲牙の瘴気をあてた……

 

「感じるぞ……貴様らの無念が!」

「殺生丸、礼を言うぞ……!」

 

 骸は起き上がり、髑髏の体に血肉を形成した……! 

 

「まずは駒……」

「さて、彼の地に行くか……!!」

 

 二人は、「骸の兵」たちを携え

()()()に向かった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??????? 

 そこは、黒の城や白の砦とは程遠い地であった……。

 そこには、力を蓄えた軍隊がいた。

 銃器・刀剣とバラバラな武器を持った集団は、自身の拠点に帰還していたのだ…………!!! 

 

「野郎ども!! 俺たちの城だ!!」

 

 一人の大男は、馬に乗って兵士たちに言う。

 自身の国……故郷に帰って来た兵士たちは、歓喜していた。

 

「俺たちの世界統一は目前だ! 

 黒の女王オリガと、白の女神セレスティンを討ち倒し! 

 大陸から大海の向こうの大陸を制し! 

 俺たちの世界を目指す前祝いをしよう!!」

 

 その軍隊の中には人間をはじめ、オーク・ゴブリン・獣人達がたくさんいた……。

 しかし、彼らは知らなかった……。

 

 

自分たちの城は既に

 悪しきものに陥落されていたことを……

 

 

 城門前に立ち、門の先に見えたもの……

 それは、()()()()()()()()()されていたのだ……

 その中に一人立つ人物がいた……! 

 

「なっなんだてめぇは!!」

「我が名は刹那猛丸……」

 

 骸の兵士たちは、城門に立つ軍団に目を向く。

 その視線に驚いた軍隊は怖じけついた者や構えた者もいた。

 

「っ!! 野郎ども!! 武器を構えろ!!」

 

 銃器を持った兵はそのまま構えて発砲するも、骸の兵士たちあたってもびくもとしなかった。

 刀剣を持った兵士は槍や薙刀、そして刀剣等で斬りかかるもの

 切られても再生を繰り返した……。

 

「バカめ…………

 無駄なことをしても勝ち目はないものを……

 獄龍破!!!」

 

 獄龍破を放ち、眼前の軍隊はなす術なく吹き飛ばされ

 一人残らずに死んでいったのであった…………!!! 

 

「大した威力だ、流石叢雲牙の力だ……!」

 

 奈落はそう言い、天守に向かった……! 

 一方、猛丸は獄龍破を放った反動からか、左腕の痛みに応えていた……。

 

「くっ……! 

 随分と聞き分けの悪い腕だな、こいつは……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天守

 

「随分と楽しんでるな?」

「ふっ、良いではないか? 

 奴らを誘き出すにはいい駒ではないか?」

「まあ、そりゃそうだけど……

 でもこれだけの騒ぎを起こしたら

 犬夜叉や殺生丸も見過ごすわけには行かないでしょうよ?」

「そうか? しかしこの世界の人間達は

 何かと()()()()とやら()()に依存しているからな、そんなものに縋るような人間どもは、奈落の敵ではない……!」

「まあね…………

 でも、あの「白の女神」と「黒の女王」と呼ばれてるっていうえるふ? て奴らは、黙って見過ごすわけにはいかないでしょうよ?」

「ほう……? 

 それはもしや、予知能力ができるものと力を付与することができるもののことか?」

「おや? ご存知で?」

「この世界の情報を得る最中に聞いた話さ、そのような者の下にいるもの達は()()()()()()()()()と見る……」

「だろうな? 

 力を貰えて強くなれるのと、予知してその先の戦局を見れるのとじゃあ、たかが知れるな?」

「そうだ、しかし油断はできない……

()()3()()はここで仕留めねば後顧の憂いとなるからな」

「ん? 3人? 

 犬夜叉でしょ? 殺生丸様でしょ? 

()()1()()()()なんだ?」

「叢雲牙を力ずくで抑えていたあの男……

 安倍釤之助という男だ」

「へぇ? あの子が……ん? 

 ちょっと待って? ()()()()()()()()()()()()()()んだ?」

「ふふっ……()()()()()()()……」

「へっ? どこで?」

「奴が()()()()()()()()()()()()()からな……!」

「ほお…………その時からか?」

「そうだ、奴が犬夜叉どもと結託すれば脅威となる

 仮に奴が我を追えども追わずとも、いずれ相見えることになるだろうな……」

「なるほどねぇ……叢雲牙を横取りしたのも

 あの若武者を蘇らせたのも……?」

「そういうことだ……」

「そうですかい、まっ気をつけることだな?」

 

 天守から不穏な空気に包まれる中、青年は姿を消した……。

 奈落の思惑が渦巻く戦が、始まろうとしていた……!!! 

 

 




次回、叢雲牙の戦いの準備回
犬夜叉は壊すことを目的に
殺生丸は手に入れることを目的に行動します。
戦の支度に取り掛かるも、「強力な助っ人」が来ます!!


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叢雲牙の戦い〜戦前〜

まずは、戦を始める前の支度回
始まりは犬夜叉と殺生丸は戦います。


竹林の墓所

 

 犬夜叉は、奈落と叢雲牙の妖気と臭いを追ってここに訪れた。

 

(奈落…………叢雲牙…………

 あいつら、ここで何をしていた……?)

 

 そこには、大きな穴と朽ち果てた兜がそこにあった…………。

 

「……っ!」

 

 突如、殺生丸が現れた。

 犬夜叉は臨戦体勢に入り、身構えていた…………。

 

「刹那猛丸……、

 奈落め、奴に……虫けら風情に叢雲牙を与えたか……」

「っ! 知ってんのか!?」

 

 なんだって殺生丸が……? 

 

「珍しいな? 

 こいつは人間の墓だ、一体てめぇとどんな関係があるんだ?」

「虫けらとの因縁はない、あるとしたらそれは()()の方だ……犬夜叉」

「なにっ!?」

「お前は奴と交えたのなら聞いてるはずだ、()()()()()お前の出自と父の最期をな…………」

「っ!」

 

 釤之助との戦いを思い出し、叢雲牙から全てを聴いたことを思い出す。

 

「貴様は何も知らずに産まれ、何一つ知らずに生きている半妖にはわからぬだろうな……」

 

 殺生丸は闘鬼神を抜き、構える

 犬夜叉も鉄砕牙を抜いて身構える。

 

「それならば、何も知らずに死せ犬夜叉

 そして、鉄砕牙を寄越せっ!!!」

 

 闘鬼神を振るい、周囲の竹林を斬り払う

 

「てめぇこそ()()()()じゃねえか! 殺生丸!!」

 

 鉄砕牙を振るい、闘鬼神と鍔迫り合う。

 

「てめぇと鉄砕牙は()()()()()()()()()()()()ってことをな!!」

「たとえ拒まれていても、虫ケラを殺すのにわずかな時間があれば十分だ!」

「親父の剣は俺がぶっ壊す!! 

 てめぇは引っ込んでろ!!!」

「父上の顔を知らぬくせに、知った風なことを言うな!!」

 

 竹林に囲まれた中の剣戟は、周囲一帯の風と共に響き渡った……! 

 鳴り響く剣のせめぎ合いと二人の躍動は、その場全てを支配していた。

 だか、その光景を()()()()()()()はすぐにその場を離れた……。

 

「父上の剣を貰った半妖の貴様に何ができる!!」

「へっ! 半妖で悪かったな! 

 だが、その半妖に何度もやられてるてめぇは

 ただの負け犬だぜっ!!」

 犬夜叉は大振りして風の傷を放った!! 

「奥義……蒼龍破!!」

 しかし蒼龍破の前に風の傷はかき消される

「それを待ってたぜぇ!! 

 爆流破!!!」

 

 犬夜叉の爆流破と殺生丸の蒼龍破の衝突

 勢いは殺生丸の蒼龍破が上だった、その時だった! 

 突如、空の上から光の柱が降り落ち

 二人の奥義がかき消されたのだ!!! 

 

「なっ!?」「っ!?」

 

両人とも、そこまでである

 

「っ! 誰だ!!」

「何やつ!?」

 

 二人の決闘を破って入った人物は、()()()竿()を持っていた。

 

「二人の決闘(いくさ)は見事、だがいがみ合う場合ではないであろう?」

「なっなんだてめぇは!?」

 

(この気……!)

 

「ふふっ、失礼した

 我が名は太公望(たいこうぼう)……

 最も、この名を知ってるものはこの世界に少ないのでな……」

「太公望……?」

「太公望……、周の釣り人が何しここに?」

「何……、二人の妖気を感じ取れてな? 

 たまたま通りかかったら大物と会えた、それだけよ」

「何なんだてめぇ!! 

 邪魔立てしようってのか!?」

「まあまて…………

 邪魔立てなどとその気はない

 むしろ止めに来ただけだ

 実直かつ無垢なる二人をな……」

「!」「!?」

「おおかたの原因はわかる…………

 叢雲牙のことであろう?」

「っ!!」

「なっ!?」

「あれだけの騒ぎだ、()()()()()()()()()()()()()()……」

「何…………?」

「ああっ!?」

「だが、貴公ら二人の存在を知った今…………

()()()()()()()()()()()()()()()()()()だろう……

 これだけは言っておこう……」

「……?」

「はあ?」

「それともう一つ、叢雲牙は居城を簒奪して

 その地を中心に冥界を開かんと目論んでいる」

「っ!」「なんだって!?」

「急がねば手遅れになる…………

 私もこの件に参戦するつもりだ……

 では、さらばだ!」

「なっ!? 

 待ちやがれ!!」

 

 太公望は瞬間移動をして、この場を去った…………。

 

(太公望…………()()? 

 …………まさか?)

 

 殺生丸は闘鬼神を収めた。

 そして、叢雲牙のところに向かおうとした……。

 

「っ! 殺生丸!!」

「ことがことだ…………

 貴様をここで斬るよりも

 奴らの好きにはさせん!!」

 

 殺生丸はそう言い、その場を去った……

 

「くそっ、太公望だか何だか知らねえが

 叢雲牙をぶっ壊す……

 それだけだ!」

 犬夜叉もまた、叢雲牙のところに掛けて走った……! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??????? 

 

「そうか、ご苦労であった」

 

 日本の城と中国の園を併せ持ったそこは、崇高な美しさを持った都であった。

 忍びは犬夜叉と殺生丸のことを報告すると、その場を去った。

 

「やはり、()()()は本当であったか……」

「まさか、本当にいたとはな……」

 城下町を歩いていた二人の男、忍びからの報告を受けいた……。

 

 

??????? 

 

 平原にて、鉄砲隊の訓練の最中の時だった。

 

「大義であった……()()……」

「はっ……!」

 

 陣営地に名だたる猛将と軍師達がいる中、()()()()()で話題になっていたのだ。

 

「よもや、かの噂の白狼王を見つけるとは……」

「さて、どうする……?」

 

??????? 

 長く広く、深い河……

 船が行き交い花吹雪が似合う都。

 そこには()()()()()()()()等が並んでいた。

 

「なっ!?」

「ばかな……!? 

 本当に見たのか!?」

「そりゃもちろん!! 

 でっかい刀を持っての大げんか

 命の危険を感じてスタコラさで逃げました!!」

「そうか……大義であった……!」

 

 城内の大広間に集う英傑達は、白狼王と赤い衣の半妖のことで話題になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、かごめ達は京の都で堪能しながら()()()()へと向かっていた。

「はぁ〜、これまた便利な乗り物じゃのう……!」

「路面電車って言ってな、またの名は「チンチン電車」と呼んでるんだ」

「鐘の音が「チンチン」と鳴るからそう呼ばれてるのですか……!」

「へぇ……意外と洒落た由来だな……?」

 

 アイリス達もまた、路面電車に乗っていた。

 そんな彼女達が乗っていたが故か、乗客員達は彼女達に釘付けだったのだ……。

 

(そりゃあそうだよな……)

 

 アイリス・プリム・マイア・オリガ・クロエの五人の美女が並んで座る光景は、絶景にして圧巻の美しさを持った女性が五人もいるのだ。

 そりゃあ、名前を知ってる人は驚く人もいるけど

 名前と顔のどちらも知らなくとも、あれを見たら心を奪われるさ。

 老若男女問わずにな……? 

 

 そして、そうこうしてる間に

 俺たちはたどり着いたのだ……。

 

民間兵社

 

 そこには、各種族の者達と人間達がたくさん出入りしていたのだ。

 その中には小銃と刀剣を装備していたのだ。

 人間・オーク・オーガ・ゴブリン・獣人

 鬼人・エルフ・ドワーフ・ハーフリング等の人たちがいたのだ……! 

 

「すっげぇ……!?」

「なっなんと壮大な!?」

 

 その建造物は学校にも似て、学者や文官といった人たちや

 魔法使いの人たちも通っていたのだ……!!! 

 

 

 

 




まずは完了
次回以降は殺生丸→犬夜叉→釤之助の順で行います。
ちなみに、モデルは「私学校」です。
私学校と言えば・・・!?


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叢雲牙の戦い〜白狼王 殺生丸〜 前編

殺生丸は叢雲牙の元に向かう途中の話です。
殺生丸を取り入れたい方と言えば誰?


?????? 

 殺生丸は叢雲牙の元に向かっていた。

 手に入れんがために……。

 

お前には守るものはあるか? 

 

 父の言葉……

 殺生丸はその言葉を思い出す。

 何故天生牙を与えたのか? 

 何故鉄砕牙や叢雲牙を与えなかったのか? 

 鉄砕牙を何故半妖の犬夜叉に与えたのか? 

 しかし、叢雲牙を手に入れればそんなことは些細なことで済む。

 叢雲牙を得る、そのためならばいかなる敵を討ち滅ぼさんという決意を抱いて……。

 

しかし、()()()が動くまでは……! 

 

 

 

長江・夷陵付近

 

 殺生丸は叢雲牙の妖気を辿ってこの地に訪れる、この地を越えれば叢雲牙の居城に辿り着けると…………。

 

「…………」

 

ササっ……

 

 森の中から気配を感じ、長江の向こう側から気配を感じとる。

 

(……?)

 

 殺生丸は疑問を抱いていた、気配から察する()()()()()を。

 

(……??)

 

 だが、追跡者の気配から()()()()()()()()……。

 まるで()()()()()()()()()()()()の様子だった。 

 

(……???)

 

 不思議な感じが立ち込まれた空気だった。

 以前出会った仙人……左慈や太公望と同じにして同じでは無い雰囲気であった。

 

「……っ!」

 

 臭い……それも()()の臭いだ。

 

(鉄砲か……!?)

 

 鉄砲にしては違和感を感じた、()()()()()()…………、そして何故()()()()()()()()()()がするのか……? 

 

 その疑問は次の瞬間で明かされた! 

 

撃て!! 

ダァンっ!!! 

 

「!!!」

 

 森の方から鉄砲の発射音が出た、そして……! 

 

ヒュン!! 

 

(なんだと……!?)

 

 殺生丸は驚いていた、()()()()()()()に来たことに! 

 

 本来なら、「種子島」には()()()()()はできない

 しかし、今撃ってきた鉄砲は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()があった。

 

(どういうことだ? 

 なぜ弾丸が()()()()()()のだ!?)

 

 ありえない、以前自身を撃ち殺そうと目論んだものがいたが

 その鉄砲を弾き返したが、森の中からの射撃は不可能……。

 だが、現に弾丸が届いている…………、それは事実だ。

 しかし、それならば()()()()()()()()()()なっているのか? 

 だが、殺生丸にその余裕をあたえなかった……!!! 

 

ダァンっ!!! 

 

「!!!」

 

 森林と長江の両側面から鉄砲の発射音がした! 

 そして、弾丸は殺生丸に目掛けていった!! 

 殺生丸は即座に光の鞭を出し、弾丸を弾き返した! 

 その時、一つの弾丸は殺生丸の顔をすれ違うように通り過ぎた。

 

(……!)

 

 ほんの一瞬に見た()()は、()()()()をしていたのだ。

 

(そうか……!)

 

 殺生丸は確信した、弾丸の長距離射撃の正体を…………! 

 

「いるのは分かっている……! 

 何者だ、この殺生丸に挑むとはな……!」

 

 その一言に反応するかのように、森の中から軍師が現れた……。

 

「んー、やっぱり勝ち目ないな……

 さすがは白狼王殿、中々の美丈夫だねぇ!」

「流石だな、あれだけの鉄砲を撃っても弾き返すとは……! 

 まともに挑めば敗北は濃厚だな……」

「何者だ?」

「これは失礼、俺は賈詡

 字は文和だ、よろしく!」

「荀攸だ、字は公達だ……」

「……? 

 賈詡に荀攸? 

 魏国の軍師か?」

「ははっ! 流石だねぇ! 

 俺たちのことをご存知だったか!」

「貴様らのことはどうでも良い、()()()()()()()()()()()()()()?」

「えっ? 驚くところそこなの?」

「そりゃあそうでしょ? 

 三国時代の人間が鉄砲を持ってることがおかしいから……」

「…………」

 殺生丸は即座にこの場から去ろうとするも……。

「待ちたまえ」

 そこに現れたのは、他の武士とは違う雰囲気を持った人物であった。

「誰だ?」

「松永久秀と申す、白狼王よ……」

「松永久秀?」

「くっくっくっ……

 哀れなる美しき狼よ、汝は既に魔王の運命に囚われている……!!! 

 魔王だけではない! 

 かの()()()()()がお前に会いたがっている!! 

 己が命を優先的に選べば後悔は……」

 

 久秀が長々と語ってる最中に殺生丸は横を通り過ぎていった。

 

「ってこらぁ!! 

 人の話を最後まで聞かんかぁ!!」

「貴様のような()()()の長話に付き合うほど暇ではないのでな……!」

 

 そう言ってそのまま去ろうとしたその時……! 

 

()()()と言う剣が欲しいのだろう? 

 我々と手を組めば確実に手に入れられたものを……!」

 

「っ!? 

 何故貴様が父の剣をっ!!?」

 

 その発言を聞き逃さなかった殺生丸は闘鬼神を抜いて構える! 

 

「おや? ご存知だったのかな?」

「答えろ! どこで叢雲牙を知った!!!!!」

「まあそう急くな? 

 お前は我々を知らないと思っている事が、実は既に知っている……! 何故我々が()()()()()()()()()()()()()のかが知りたいであろう?」

「御託はいい!! 

 答えろ!! 何故貴様が! 

 何故父の剣をっ! 叢雲牙を知っている!!」

 

私が教えたのだ、白狼王……

 いや、殺生丸よ……

 

「っ!?」

 

 殺生丸の背後に現れたのは女性だった。

 それもただの女性ではない……。

 太公望や左慈と近い、いや同族の気を感じ取れていた……! 

 

「この感じ、貴様仙人かっ!!」

「いかにも、私の名は女媧。

 私の名くらいは知っているだろう? 

 殺生丸……」

「女媧…………!? 

 三皇の一人かっ!」

「そうだ、流石に存じていたか……

 ならばなおのこと()()()()()()()()()()()()()()()()……!」

「…………っ!」

「そう構えるな、()()()()()()()()()()()()()()()()()

「っ!!! 

 そうか、()()()か!」

「ほお? 太公望(やつ)と会っていたか? 

 ならば話が早く済みそうだな?」

「どう言うことだ?」

 

 殺生丸は、闘鬼神を収める。

 

「私と話すよりも、()()に挨拶をせなばな?」

「何?」

 

 女媧が指を指し示した先には、()()()()が姿を現した

 そしてその船は()()()()()()()()()()()()()のだ……!! 

 

「あっはっはあ! 

 まさか()()()()()()()とはなあ!!」

「なんと……!? 

 あれはまさか、()()()!?」

 

 魏国の兵士たちは鉄を取り付けた船に驚いていた。

 

「おおっ!! 

 我らが()殿()()()が自らおいでになさるとは!!!!」

 

 殺生丸は巨大な船を見て驚いていた。

 

(あれは……!?)

 

「鉄甲艦隊の船だ」

「鉄甲……? 

 あの船の表面は()()()()()()()のか?」

「そうだ、いかな弓矢の攻撃も鉄砲の弾丸

 そして焙烙火矢をも防ぎきれる船だ

 そしてあの船には()()()()()()()()()()()()()がいる……」

「なんだと……?」

 

 鉄甲船から一人の男が出る、そして複数の配下が船橋を下ろし

 一隻の小舟に乗る。

 そして、その小舟は殺生丸の元へ近づいてきた……。

 

「……っ!!」

 

 その小舟から乗っている一人の男の姿を見た殺生丸は驚いていた! 

 

その男は、三国志の英雄の一人にして「魏国」の基礎を築いた男、乱世の奸雄にして「魏王」曹操であった!!!! 

 

 小舟は陸地に近づき、降りてきた曹操は殺生丸の前に立つ。

 

「お主が白狼王と謳われた大妖殺生丸か?」

「……呼び名はともかく、何故奸雄の貴様がここにいる?」

「ふっ、其方に会う理由が必要か?」

「……ならば聞こう? 

 この殺生丸に何用で来た?」

「お主を一目会って見たかった、それだけだ」

「…………なに?」

 

 

 

 

 曹操と女媧に言われ、鉄甲船に乗る殺生丸。

 曹操は殺生丸を宝物庫に案内した。

 そこには数々の武器や宝物があった。

 数知れない、見たこともない物ばかりだった。

 地球儀や旧約聖書や新約聖書

 そして「カメラ」や「望遠鏡」等の物が沢山ありました。

 

「なかなかの品であろう?」

「…………」

「父よ? その者は例の?」

「子桓か」

 

(子桓……? 

 魏王朝の高祖か……)

 

 曹操の長子、曹丕。

 父が築いた勢力を元に、漢王朝を廃し

 新たに魏帝となった男だ。

 曹丕は一つ一つの宝物を吟味していた

 その側には甄姫と司馬懿がいた……。

 宝物庫を出て、甲板に出た

 そこには兵士と船頭達がいた。

 兵士は武器兵器の手入れをしており

 船頭は水夫たちに様々な支持をしていた。

 

「中々の光景であろう? 

 白狼王よ?」

「何が言いたい?」

 

 曹操と歩き、船の至る所に歩き回る中だった。

 

「よう? あんたが白狼王さまか?」

 

 そこに、一人の男が声をかけられた

 

「おお……!! 

 あなたがあの!?」

「なっなんと!?」

 

 それにつられるかのように、二人の男も反応した。

 

「なんだ貴様らは?」

「申し遅れました、私の名は張遼……

 字は文遠、白狼王ならば()()()()()()()()()()()()でしょう……!」

「張遼……? 

 かの合肥の戦いの猛将か?」

「っ!!!」

「そりゃあそうだろうよ? 

 孫呉十万の大軍を近衛兵八百率いて撃退したんだからな? 

 白狼王じゃなくても語り草だよ……」

「はい、その時の戦いは()()()()()()()()からね?」

「なるほどな、となると二人は……」

「そっ! 予感的中お手のもの! 

 李典曼成様とは俺のことよ!」

「自分は楽進と申します!! 

 字は文謙です!!」

「おや? 

 もしやあなたは……?」

 

 指揮していた中から、一人の軍師が殺生丸に気づく。

 

「初めまして、私は満寵

 字は伯寧、建築謀略ならお任せあれってね!」

「白狼王よ、この者たちの事を存じているであろう?」

「存ずるも何も、()()()()()は今でも語り継がれているぞ……」

 

 張遼・李典・楽進・満寵。

 この四人を語るなら「合肥の戦い」を知らなければならない。

 孫呉十万の大軍を率いた孫権は、合肥城を攻め落とせば許都を取れる。

 しかし、当時の曹操軍は「漢中」に攻略していたため「張郃」と「夏侯淵」等の主力軍が集中していた。

 孫呉からしたら絶好の機会と思っていたのだろう。

 しかし、張遼の鬼気迫る特攻と李典の機転と楽進の活躍、

 そして満寵の守りによって合肥の戦いは張遼の逆転勝利に終わった。

 この戦いによって張遼の名を聞いた子供は泣き止んだことで「泣く子も黙る」という言葉が成り立ったのだ。

 

「しっかしまあ、こうして見ると中々のいい男じゃないか? 

 曹操様が会いたい気持ちがよくわかるぜ?」

「何が言いたい?」

「いや? 別段大したことないんだけどよ、曹操様は()()()()でな? かの軍神関羽や常山の趙雲と言った英雄さんが大好きなんでな?」

「つまり私を、この()()()()()()()()()()と言いたいのか?」

「まあ、そういうことになるな……、

 何しろ俺たちは曹操様とは旗揚げの頃からの人間だからなぁ……。

 正直なところ、味方となれば最高だが…………、

()()()()()()()()()()()になる前に手を打ちたいんだろうな?」

 

(それが魂胆か……)

 

 殺生丸はその魂胆を見抜く、自身の力を恐れて殺しにくることは過去にもあった。

 

「曹操様、此方におられましたか」

「荀彧か」

 

 荀彧、字は文若。

 曹操の覇業の功績者、その手腕から「王佐の才」讃えられている。

 荀彧から推挙した人の中には「郭嘉」と「司馬懿」等逸材を世に出したことで有名。

 

「信長様がお呼びです、そしてそちらの方も……」

「信長……? 

 尾張のうつけのことか?」

「ほう、知っておったか?」

「まあいい、うつけが我らを呼んでるのなら行くしかあるまい」

 そう言い、殺生丸と曹操は「織田信長」のいる船長室に向かう。

 その道中には殺生丸見たさに業務をほっぽり出す者たちが続出していた。

「やあ、あなたが白狼王さまですか?」

「ん?」

「郭嘉か?」「郭嘉殿!? 何をなさってるのですか!?」

 

 郭嘉、字は奉孝。

 曹操軍随一の不良軍師。

 業務をほっぽり出して酒を飲む

 若い女性を口説き回ったりする等で有名だ。

 何より有名なのは「赤壁の戦い」の敗走後の曹操は「郭嘉が生きていれば、このような大敗は避けられていたであろう」と語った。

 

「郭嘉!! ここにいたか!!」

 

「おや? 陳羣(ちんぐん)殿ではございませんか? 

 何かご用ですか?」

「何が「ご用ですか?」か!? 

 このような時に何をしてるのですか!?」

 

 陳羣、字は長文。

 曹丕の四友の一人。

 郭嘉とは同期なのだが、品行的かつ誠実なのだが

 郭嘉との仲は水と油の仲で、魏の語り草として話題になっている。

 

「これは失礼、白狼王と言う大妖怪がお見えになってると聞いてね? 

 一目お会いしたくてね?」

「白狼王……? 

 ……っ!? もしやあなた様が!? 

 これは大変失礼いたしました!!」

「よい、陳羣。

 郭嘉よ、()()()は如何した?」

「ええ、それがまだなのです」

「そうか……」

 

(例の件?)

 

 陳羣は郭嘉を連れ戻して持ち場に戻る。

 そうして、曹操と殺生丸は船長室に赴く。

 

「よく来た……白狼王よ?」

 

 洋式の回転椅子に座ってる男は「織田信長」。

 そしてその側に「明智光秀」と「柴田勝家」が立っていた。

 

「貴様、尾張のうつけか?」

「いかにも」

 織田信長、「尾張のうつけ」にして「第六天魔王」

 

 その装いは洋服を着て、机の傍にベレー帽が置いてあった。

 

「……なんだ、その装いは?」

「この世界に迷い込んだ人間から貰ったものだ、

 実に良い着物でな?」

「装いの自慢はいい、この殺生丸に何の用だ?」

「うぬの噂を予々から聞いてな? 

 我が軍門に加わればと思ってな?」

「そんなことの為にこの船を出してまでか?」

「ふふっ、実にお主らしいやり方よ

 己が力を見せつける為にこの船を作り上げたということか」

「いかにも、曹操の支えのおかげでこの船を作れたのだ」

「それを言うならば、そなたのおかげで鉄砲と大砲等の兵器を知ることができたのだ」

 

 乱世の奸雄こと曹操と"第六天魔王"織田信長。

 この二人の出会いは遡らなければならない……。

 

 




前編完了。
後編は織田と曹魏との出会い
第三勢力「バイキング」登場。
殺生丸キレる。
↑の理由は「殺生丸の気持ち」になってみたらわかること。


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叢雲牙の戦い〜白狼王 殺生丸〜 中編

現在の織田と曹魏勢力↓
魏・晋側
曹操・曹三兄弟・司馬懿・夏侯兄弟・司馬兄弟
甄姫・曹仁・張遼・楽進・李典・蔡文姫
張郃・徐晃・郭嘉・賈詡・陳羣・荀一家(叔父・甥)
夏侯覇・郭淮・賈充・王元姫・羊祜・杜畿・杜預等
織田側
織田信長・濃姫・信忠・明智光秀・豊臣(羽柴)秀吉・前田利家・柴田勝家・松永久秀・滝川一益・丹羽長秀・池田兄弟・真田昌幸等


 織田信長と曹操、かつて二人はこの世界に迷い込んだ時。

 両雄は衝突をしていた。

 織田軍の鉄砲隊に度肝を抜かれた曹操軍。

 鉄の盾を厚くして鉄砲対策を取ってきた事で、弩弓と投石で反撃を受けることになった織田軍。

 一進一退の戦いを経て、共倒れになると悟った両軍は同盟を経て国作りを行った。

 曹操の屯田政策と信長の楽市楽座を行ったことで経済と軍事面の問題を乗り越えたのだ。

 荀彧・郭嘉・賈詡・司馬懿・荀攸、そして羽柴(現・豊臣)秀吉・前田利家等家臣一段は様々な政策を打ち込み、各勢力の交渉と取引を行なって独自の勢力を築き上げた。

 そして、信長は新型鉄砲と洋式船を知り

 それを手に入れる為に奔走する。

 曹操は自身の勢力下と周囲と国境の難民及び異種族達を招き入れる、彼らに農地と住居を与えたことで取り込んでいったのだ。

 それらの成果によって、強大な軍隊と膨大な財源を得たことで一大国家を建てたのであった。

 

「話してもらうぞ? 

 お前達の目論見は何だ?」

「先も申したであろう? 

 我らの軍門に入らぬかと……」

 

 曹操の口から、勧誘の声を出した。

 

「曹操様……!」

 

 しかし、それを待ったをかけたのは荀彧であった。

 

「如何した、荀彧よ?」

「曹操様、確かにこの方は……

 白狼王、いえ殺生丸さまは確かにお強い

 ですが、()()()()()()()()なのです」

「ほう? それはどういうことだ?」

「殺生丸さまの実力は、異種族の方々から聞き及んでおります。

 ですが、この方は()()()()()ことで有名なのです」

「ええっ、その話も私も存じております」

「しかし、それが問題ならばなぜそのように申すのだ?」

「殺生丸さまは、自身の力の強さを絶体的な自信があります。

 それは殺生丸さまご自身の()()()()()()()()()()()ことになってしまうのです。

 我らの軍門に加わるとしても、それは()()()()()()()()()()()()()大きな災いをもたらす恐れがあります」

「つまり、殺生丸は()()()()()()()()()()があると申したいのか?」

「……っ」

「むう……確かに殺生丸の強さは若き頃の我々にも聞き及んでおりました……」

「確かに、妖怪にまつわる話には

 必ずしも殺生丸さまの名前が出てきます……」

 

 明智光秀と柴田勝家は、幼少期から家臣に至るまでの間に親や僧侶から御伽話を聞いていた。

 関東の武蔵国に「白い狼の大妖怪」がいると……。

 その御伽話は平安時代までに伝わっており、戦国乱世になるまでは忘れ去られるものの。

 明智光秀や柴田勝家等の人たちもその話を聞き及んでいたこともあるが……。

 

「で、あるか……」

 

 信長の場合はそうではなかった。

 何故なら()()()()()()()()()ことと、その話を初めて聞いたことだ。

 

「失礼します、曹操様……」

「司馬懿か?」

 

(司馬懿……? 

 三国統一を成した司馬一族の人間か……)

 

 そんな話をしてる最中、部屋に入ってきたのは

 司馬懿、字は仲達。

 かの司馬師と司馬昭の父にして、曹魏の腐敗を正した謀臣。

 そして、かの「正始の変」を起こした首謀者にして「晋国」の基盤を作った祖である。

 

「斥候隊から報せが来ました、

 そちらにおられる白狼王様にとっては()()()()()です」

 

(……?)

 

「もうせ、司馬懿

 ……その報せとは、まさか?」

「さよう、()()()()()()()()()()です」

「!!」

「叢雲牙……それを持つ若武者は付近の砦を襲い、近隣の野盗野武士を始めとする傭兵等達を虐殺。

 骸となった者たちは叢雲牙を持つ若武者の元に集結しているとのこと……」

「なっ!? 

 その話マジか!?」

「バカな……!? 

 早すぎる……!」

 

 野盗達の虐殺、そしてその骸達は叢雲牙の元に集う……

 殺生丸は、この件に()があると推測した。

 

(……奈落か)

 

 殺生丸は、この報せの内容を聞き

 野盗達の虐殺には()()()()()()()()と確信した。

 恐らく、奈落は猛丸を唆し

 野盗野武士等の残存独立した勢力を殺しまわって兵に変えていった……。

 そして、骸となった兵達をもちいて一軍団を使って()()()()()()()しようという計画であろう……。

 

「にして、その場所は?」

「関ヶ原という地です、しかし……」

「しかし……なんだ?」

「その関ヶ原は、信長様たちが元いた世界とは()()()()()()()になっているとのこと。

 我々の見知らぬ土地柄にして風景になっておられています故、今()()殿()達に調査を行っておられます。

 その間、我々は戦の支度のために備えて

 彼らの報せを待つべきかと……」

「そうか……信長よ

 そなたが以前配下に加わった()()()()なる者……、中々の謀将として聞いている」

「ふふっ、()()()()()()と謳われた逸材よ

 それに、()()()()も中々のものと聞き及んでいる」

「ふっ、真田の軍略はかの武田の軍略を継いでいる…………。

 故に家康は苦しめられたのだからな? 

 だが、その兄弟は()()()()()()()()()()のが幸運なことよ? 

 家康の元には長子の()()()()が、秀吉の元には次子の()()()()がいる……。

 そしてお主の元には、父君の昌幸がいる……

 世の流れを汲み取れる者はそなた達の世界にいたとはな……」

 

(真田……? 

 武田家の一家臣の人間か?)

 

 殺生丸は戦国時代の妖怪とは言え、()()()()()の事を知らない。

 真田家とは、読者達のご存じ大河ドラマ「真田丸」で名高いかの真田家である。

 

 まずは、父親の「真田昌幸」について話そう。

 

真田昌幸

 

 別名「表裏比興の者」として有名な武将だ。

 武勲を挙げたのは「三方ヶ原の戦い」である

 かつて家康をあと一歩のところで討ち取れるところに家臣達の機転によって取り逃してしまう。

「長篠の戦い」で、援軍に来た織田軍を迎え討とうとする中で反対意見を述べたのである……

 結果、織田軍の鉄砲隊によって無惨な敗戦を迎えたのだ。

 敗戦処理の後、武田家の当主「勝頼」を守るために真田の領地に迎え入れるために策を練るも、その案を却下された結果によって、武田家は滅んでしまったのだ……。

 その後、長篠で死んだ兄に代わって当主となった昌幸は、初めは織田につくも「本能寺の変」で一時窮地に立たされるも、北条や上杉を相手に立ち回る。

 そして何より欠かせないのが「上田城」である。

 この上田城は「家康が設計した城」であり、その城に住むも「領地問題」が勃発。

 こうして「上田城の戦い」が始まったのだ。

 真田の兵力は100〜1000未満にもかかわらず

 家康の兵力は十万以上、数字を見れば勝算がないに等しいが……。

 城に引き込み、兵を拡散させたところを攻め

 茂みの多い平地に誘い込んで火攻めを行ったのだ。

 これを機に、真田家の武名は日の本全土に知られるようになったのだ。

 なお、この世界に迷い込んだとき昌幸とその息子達は元いた世界以上の働きをするも、その実力を目をつけられた曹操によって誘いを受けて入ったのだ。

 ちなみに、息子達は父の元を離れて家康と秀吉の元に付いたのだ。

 そして今は、松永久秀と賈詡と司馬懿と並ぶ「謀」に秀でた者の一人である。

 

 

「司馬懿様!」

「なんだ?」

「昌幸様たちの報せが来ました!!」

「そうか……」

「それで、なんと?」

「はっ!」

 

 報せの内容は、見たこともない建造物と植物樹木があり

 観察がてらに拠点になれる場所を探していたところに、()()()()()()()()()を発見したのだ。

 

「それと、昌幸さまから一言……」

 

そろそろ()()()()を見せてくれ

 貴様の作った()鹿()()()()()を見せる絶好の舞台だ

 

「とのことです……?」

 

(……???)

 

「ふっ、そうか……大義であった」

 

 信長はそう言い、椅子から立ち上がる。

 

「昌幸の御所望とあらば……

 使うか……!」

「ほう……? 

()()()やるのか?」

「「?????」」

 

 信長は、部屋を出て「操舵室」へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「白狼王さま……

 いえ、殺生丸さま」

「なんだ?」

「少しお話がしたいことがあります、甲板にご案内します……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄甲艦・甲板

 

 信長は船長室から出たあと、司馬懿からの誘いを受け甲板に赴く。

 甲板には殺生丸と司馬懿だけ……。

 

「話とはなんだ?」

「ええ、しかしあの場で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ため、ここならばお話ができましょう?」

「……? 

 なんだと?」

「それでは、単刀直入に申し上げます…………

 白狼王・殺生丸、()()()()()()()()()()()()()?」

「……!」

「叢雲牙を得た者は世界最強の軍隊、引いては不死の兵士を作り上げれば天下は取れましょう……」

「……それがどうした」

「ではお聞きしましょう……、殺生丸さま

()()()()()()()()()()ですか?」

「……!!」

「貴公ほどの猛者の大妖怪が何故叢雲牙如きに拘られる? 

 あなたにはその刀があるというのに……」

「……試してみるか?」

 

 殺生丸は天生牙を抜いた。

 

「ほう……中々美しい刀ではございませんか? 

 その刀に何か」

 

 司馬懿が天生牙を問うそのとき、殺生丸は天生牙を司馬懿に切り掛かる!! 

 

「っ!! 

 ……っ?」

「これで分かっただろう……

 この天生牙の()()()()を……」

 

 司馬懿は斬られたところに手に触れると、()()()()()()があったにも関わらず、()()()()()()()()()のだ。

 

「……なるほど

()()()()()()()()と言うことか?」

「……その為に、叢雲牙を得る

 そして、真に父を超える大妖怪になる為に……!!」

「その為ならば、父の遺産を手に入れるということか? 

 …………ふっはっはっはっ!!」

「何がおかしい!」

「ええ、おかしいですよ? 

()()()()()と言いながら()()()()()()()とは……!!」

「……なんだと?」

「あなたはその剣を得て父を超えるという事が面白いことを言う……。

 今も父に拘るとは…………

 なるほど、あなたの器の底が知れた……!」

「何が言いたい……!!!!」

「それならば申しましょう、()()()()()()……」

 

「っ!!!!!!!」

 

 殺生丸の表情は険しくなった、瞳が赤くなり

 自身の身体から覇気を出す! 

 

「おや? もっと正確に申すべきでしたか? 

 殺生丸よ、あなたは弱い……

父を超えると言ったあなたが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということだ、ちがうかな? 

 

「貴様っ! この殺生丸の何がわかるというのだ!!」

 

「はて? 私にはあなたのことはわかりませんが、()()()()()()が何よりの証拠ではないかな?」

「っ!!」

 

 殺生丸の表情は険しいながらも威嚇を解かなかった。

 

 かつて殺生丸は、父君である犬の大将の最期を見届けた者の一人である。

 それは、かつて「竜骨精」との戦いによって負傷していたのだ。

 その時に大将は、「天下覇道の三剣」の全てを持っていた。

 一振りで敵を薙ぎ倒す「鉄砕牙」

 一振りで死者を生き返らせる「天生牙」

 一振りで亡者を蘇らせる「叢雲牙」

 それら三本の剣を持ち、最強の名を持った大将はその剣を自身の子たちに譲ることとなった。

 ところが、殺生丸は天生牙を継承したことによって事が拗れたのだ。

 叢雲牙は鞘達の判断によって骨喰いの井戸に投げられて封印という形となり、鉄砕牙は黒真珠の先にある墓場に納められる。

 当本人の殺生丸は、人も妖も斬り殺せない天生牙に不満を持っていた。

 鉄砕牙を巡って犬夜叉に殺す勢いで強奪を目論むが、その過程で左腕を切り落とされる。

 

「あなたはそれ相応の実力を持つにも関わらず、父の遺産に固執するようでは底が知れる……己が牙は自信がないのかな?」

「貴様っ……!!」

 

 甲板からの空気は船全体に流れていた、ところがこの空気をものともしない人物の登場で瓦解する。

 

「おぉい!! 

 大変だぁ!!」

「む?」「……っ!」

「大変だぁ!! 

 って、何してるだか?」

「これはこれは……、許褚殿ではございませんか?」

「許褚……? あの典韋と共にいた者か?」

 

 許褚は典韋と同期の人間。

 兗州という地域で暴動を鎮圧にきた曹操は、その最中で典韋と言う男と出会う。

 彼を親衛隊として抜擢し、兗州にて許褚と戦ったこともある。

 元々は兗州にいた暴徒は「太平道」という宗教団体の残党で、かつては「黄巾賊」と呼ばれていたのだ。

 そんな彼らを憂いた許褚は彼らと共に曹操軍と戦ったが、その実力と精強さに見込んだ曹操は彼らを取り入れて、自軍の兵士とする。

 後に、彼らは「青州兵」として曹操軍の主戦力として武勲を挙げたのだ。

 

「何があったかは知らねぇが、とにかく大変なんだぁ!」

「わかった、それで? 

 何が起こって大変なことに?」

「実は、この船に近づこうとする勢力が来たんだぁ!! 

 それも()()()()()()()()んだぁ!!!」

「ほお……空からか?」

「あれれ? 驚かないだか?」

「道中に翼竜や魔獣

 その上に「オーク」や「ゴブリン」を迎え入れた殿の方が一番驚いたがな……?」

「おぉ〜い!! 司馬懿さん!!」

「あれれっ? 典韋? 

 どうしただぁ?」

「って、許褚も一緒……っておお!?」

 

 典韋は、殺生丸を見て驚く。

 

「なんだ?」

「いっいえっ!」

 

 典韋は殺生丸の覇気を感じ取れた故か、驚いていた。

 

「それで? お二人は何しに私の元へ?」

「おぉっ、そうだった

 実は、()()()()()()()が近づいてきてるんだ!!」

「なっ!? 空から!? 

 って、わしからも報告がありやして! 

 司馬懿さんの()()()()()()()()()()()()()()したってとこです!」

「そうか……、大義であった」

 

(…………空からの襲撃者?)

 

 殺生丸はもしやと思ったのは()()のことだった。

 そして、二人の言葉から司馬懿の兄弟というのは「司馬師」と「司馬昭」のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??????・屋形船

 

「はぁ〜、ようやく()()()()が俺たちの軍門に加わったかぁ……、ほんっとうにめんどくせぇ奴らだったなぁ〜!」

「司馬昭殿、気が緩みすぎですぞ!」

「全く、彼らの頭といい性格といい

 頑固にも程がある……、素直に加わると言えば無駄な月日を過ごすことはなかったというもの…………」

「しかし、これで我々の軍は「バイキング」と言う勢力が加わったことで、戦はより捗れることになった……」

「そうだな、あいつらは確か城攻めとか船上での戦い等が専門的なんだろ? 

 それなら戦いがより良くなれるって!」

 

 大人数が乗れる屋形船には「司馬昭」と「諸葛誕」と「鄧艾」と「夏侯覇」がいた、彼らは「バイキング」と言う独立勢力を軍の傘下に加えると言う重要任務に当たっていた。

 

「だが、油断はならんぞ? 

 彼らは我らを信用しきっていない」

「それだったら、餌付けをすりゃあいいだろ? 

 あいつらが戦った分だけ、褒美をやりゃあ

 やる気を出して忠誠心を得て一石二鳥ってな?」

「それがお前たちの答えか? 

 羊祜に杜畿よ?」

 

 二人に問いかけたのは「賈充」。

 晋王朝の立役者の一人である、

 そして「羊祜」と「杜畿」は三国志末期の名将にして孫呉攻略の主役格の英雄の一人である。

 屋形船の中は司馬師と司馬昭達がいた。

 彼らはそのバイキングを織田•魏の軍の傘下に加わったことでより強固な軍を築いた功績は各勢力の内外知れ渡ることとなった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、彼らは驚くものを目の当たりにする。

 織田信長が己が願望を最大限ぶち込めたものが、

 披露することを……。

 

 

 

 

 

 




殺生丸中編完了
ちなみに同盟側↓
浅井・細川・三好・朝倉。


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叢雲牙の戦い〜白狼王 殺生丸〜 後編

殺生丸編後編
織田信長、閃きが冴えて
ぶっ飛んだ物を発明したよ!!


 ここで、少し話を変えましょう。

 

 

バイキング

 

 

 かつてヨーロッパに名を馳せた一大勢力で、この世界に迷い込んだ時の彼らは勢力を広げていた。

 その時、その精強ぶりを感化した曹操は彼らを引き入れようとあの手この手で策を練った。

 初めは互角の戦いを繰り広げるも

 織田信長の協力を経て辛勝したのだ。

 バイキングが勢力回復してる最中、勧誘の誘いをするものの…………。

 当初は反対していたが、鉄砲と鉄甲船を目の当たりにしたことによって考えを改めたのだ。

 彼らの傘下に入ることで、バイキングの存続と富国化を条件に加わったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄甲船・会議室

 

 バイキングとの交渉を済ませ、傘下に加わることになった。

 司馬師達は船を降り、司馬懿達の前でそれらの報告をした。

 

「そうか、ご苦労だったな……」

「はっ……」「はっ……」

「師よ、お前はこれからの戦に備え

 編成を急げ!」

「御意」

「昭よ、お前は「光秀」と「久秀」と共に本隊の中軍に就け!」

「はっ!」

「光秀ならともかく、久秀のことを「めんどくせ」などと言うでないぞ!」

 

(うっ!?)

 

 心境を見透かされた気を感じた司馬昭であった…………。

 司馬懿の指示において、司馬師の元には「荀攸」・「郭嘉」等軍師と「張遼」・「曹仁」等猛将が付き……。

 司馬昭の元には「諸葛誕」・「賈充」・「文鴦」を始め、「曹休」・「徐晃」・「張郃」等の名将が付く……。

 

「本格的だな、曹操様と信長公は……」

「しっかしまあ、そんなにすごい剣なのか?」

「天下覇道の剣と謳われた剣だ、あれを得たものは天下を取れるとも過言ではない……、曹操様と信長公にとっては()()()()なのだ。

 ……かの白狼王も喉から手が出る程のな?」

「へえ……? 

 あの白狼王様がねぇ……?」

 

 司馬兄弟が話している中、諸葛誕達は戦場の見取り図を読んでいた。

 

「鄧艾」と真田昌幸とその弟の「信尹」、そして昌幸配下の「出浦昌相」から送られた見取り図をこと細かく描かれていた……。

 

 関ヶ原には、数々の山があった。

「天満山」「松尾山」「岩倉山」「笹尾山」

「野瀬山」「朝倉山」「南宮山」「南天満山」という山がある。

 叢雲牙は、「天満山」にあった城を拠点にしていた……。

 

 関ヶ原の地の利は()()()()()()()()()()()()()()()が熟知していた。

 大軍勢で攻めてはかえって不利の地形で、魑魅魍魎の屍兵にとっては有利な条件下だった。

 

「ふむ……、これでは大軍勢で攻めては窮屈だ

 この関ヶ原と言う地は、()()()()()()()()()()()

 進軍は難しい……」

「だが、ここで奴を倒さなければ我々に被害が及ぶ……

 曹操様と信長公の本隊は「岩倉山」に陣を構えるって話だ

 秀吉は家康達と話をつけて、秀吉側の軍は「南宮山」に構え

 家康の軍は付近の「松尾山」に構えるって話だ」

「っ!? 待たれよ! 

 松尾山と言えば、叢雲牙が構える天満山の目と鼻の先っ! 

 そこに構えると言うことの意味はわかっておられるのか!?」

「だからだろうな、何しろ()()()()()()()()()()()()()()()なのと、()()()()()()()()を最大限に引き出す為のな……」

「ん〜、そう言えば……秀吉の方はどうしたんだっけ? 

 あいつは確か()()()と言うところに赴いて、武田・上杉・北条の交渉に向かっていたんだよな? 

 何をする気なんだろうな……?」

「さぁ、流石にそれは解りかねまする……

 幸い半兵衛殿と官兵衛殿がおられるから大丈夫であろうな?」

「まっ、大丈夫でしょ? 

 とりあえず、今後の話をしよう。

 北側に曹操様達が構えて、

 東側に秀吉達の軍勢がそこを陣取る

 南側に劉備と家康の軍を構えるって算段なのだが、

 問題は……」

()()()()()()()()()()()()()()か…………、

 いかに鉄砲や大砲を用いても数の壁には太刀打ちできるかどうかはわからない……か」

「しかし、この戦いは避けて通れない戦いだ……

 幸い、司馬師達が「バイキング」という勢力を引き入れたことで我が軍は強くなった、彼らと連携すれば勝ち目はあるはずだ」

「どうかな……仮に成ったとしても()()()()()()()()()()になりかねないこともあるぞ?」

「っ!」

「賈充!! 言葉が過ぎるぞ!」

「事実を言ったまでだ、たとえ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「……!」

「ふふっ、二人の言い分は正しい……」

 

 諸葛誕と賈充の言い争いの最中に郭嘉が割って入る。

 

「郭嘉……何が言いたい?」

「確かに、同盟関係が長く続くとは限らない……

 しかし、彼らは曹操様の傘下に加わると言ってきた

 お二人の心配はいりませんよ?」

「郭嘉殿、なぜそのようなことが言い切れるのだ?」

「言い切れるも何も、()()()()()()()()()()が答えです」

 

 バイキングの数と精強さは確かに指折りのものだ

 しかし、曹操の軍事力(主に戦術・戦略)と織田信長の兵器と戦術(鉄砲と大砲・戦列歩兵・鉄砲三段撃ち)の前では勝算はなかったのだ。

 かつてここ夷陵では、曹魏・織田の連合軍対バイキングの戦いがあった。

 バイキングの怒涛の快進撃を耐え忍んだ連合軍は一定の距離に入ったバイキング達を鉄砲の前に無惨にも敗れ去った。

 奇襲を仕掛けるも前田・柴田隊に破られ

 勢いをつけた猛突撃を行うも、典韋と張遼の活躍によって防がれる。

 これ以上彼らと戦っては未来はないと悟ったバイキング達は、連合軍の傘下に加わることで生き延びることにしたのだ。

 

「ふん、それがどうしたのだ? 

 奴らは略奪や簒奪を繰り返し、我らの領内の作物や家畜を掠め取ろうとした連中だ。

 仮に降ったとしても忠誠心など微塵のかけらもない連中だ、

 対し郭嘉よ、何故そう言い切れる?」

「彼らはこの世界で彼らのやり方をしようとしても、遅かれ早かれ我々のような者達と対峙してしまう未来があるからです。

 鉄砲と大砲、そして我らの軍と対峙したことによって、彼らはいち早く知ることができたのです」

 

 郭嘉の問いは確かだ、いくら大斧や大盾を装備しても鉄砲という武器と大砲という兵器の前では成す術がない。

 

「ふん、要は彼らは()()()()()()と出会えたことが幸か不幸の二つを知ったと言うわけか?」

「でもまぁ、彼らの強さは本物だよ? 

 以前戦っているみんなならわかるけど

 船の上での戦いや、城攻めの時の彼らの勢いはすごいよ!」

「ふうん? 

 杜預(どよ)、貴様が言うとはな? 

 剣も槍も弓も使えないお前がいうとはな? 

 ……あの時のお前は馬もまともに乗れずにしがみついて逃げ回っていたお前がそう言わしめるほどの価値があるのだからな?」

「おいっ!! 

 それを言うなよ!?」

「よせ、賈充

 今は関ヶ原の叢雲牙のことを考えろ。

 我が軍の兵の数は如何に?」

「えっ? 

 ええっと、確か……?」

「八万だ、昭」

「そうだった、八万……

 八万っ!?」

「何っ!?」「ええっ!?」「はぁ!?」

 

 会議室の若人達は()()()()()に驚く。

 

「軽装兵は槍の隊500と弓の隊300で800

 重装歩兵は槍の隊2000と盾の隊4000で6000だ」

 

 重装・軽装の歩兵隊6800

 

「騎兵隊5000

 竜騎兵隊3000……」

 

 陸・空の騎兵隊8000

 

「戦車隊

 槍組5000

 弓組2000」

 

(合わせて戦車隊は7000)

 

「衛生兵1000

 主に負傷者を運ぶことや

 戦闘不能者を戦地から避難させる役目だ」

 

「あぁ……そういうの作ってたな?」

「確か発案者は秀吉殿と光秀殿でしたな?」

 

「そして、切り札の鉄砲兵団は30000だ」

「……あれ? 

 兄上? その隊だけだと()()()()()8()0(),()0()0()0()()()()()()ぞ?」

「何が言いたい?」

「まず、数の多い順で計算すると……

 30,000

 8000

 7000

 6800

 1000

 この数だと52800……

2()7()2()0()0()足りないのでは?」

「なんだ、()()()()()か……

 実を言うと()()()()がいるのだ」

「えっ?」

「魔法隊と()()()が控えてるのだ」

「……んっ? 

 兄上? 今なんて?」

「む? 魔法隊と航空隊だが?」

「…………はぁっ!?」

 司馬師の口から出たのは、魔法隊……否。

 航空隊を発したのだ。

「いやいやいやいやいやいやいやいや!!!!??? 

 航空隊って何!? 魔法隊ならまだしも、航空隊!?」

「司馬師殿!? 航空隊とは何ですか!?」

「……以前、信長殿は()()()と言う乗り物を見て乗ったことがあってな……。

 そこから閃いて作った隊だ」

「はぁっ!?」「それって、あの()()()()()()()()()()()()()()()()()あの?」

「そうだ、その飛行船を買って

()()()()()()()()のだ……」

「へっ!?」「まさかそれって、()()()()()と同じことをしたのか!?」

 

 夏侯覇と杜預たちが言った「ヨーロッパ」と「種子島」着いて話そう。

 

日本の製品

 

 種子島は、元々南蛮の商人が種子島に到着した時「鉄砲」と言う兵器を献上する。

 種子島当主は同じ物を作ろうと決起し、「火薬」は完成をするも、問題の「ネジ」等の道具を知るために鍛冶屋の娘の人肌の働きによって「種子島」と言う鉄砲が完成する。

 それを見た南蛮の人たちは従来の鉄砲と上等で高性能の鉄砲を見た時は驚いたと言う。

 だが、この世界には世界各国の文化が入り混じっている世界であり、魔法と魔物が普通に存在する世界だ。

 領地争いをしてる中、織田信長と曹操は()()()()()()()()()のだ。

 

 信長曰く「空から移動や商売をすればいいのでは?」

 曹操曰く「空から攻撃や偵察に注力したら最高なのでは?」

 

 結果、かの連盟が涙流して絶句して作ったのが「織田式飛行船」だ。

 現実(リアル)だと飛行船は気球を用いるが、

 この世界だと魔法があるため、船にプロペラを取り付けたモデルが主流だ。

 ところが織田信長はそれらを()()()()()()()()()()()()()()()大儲け!! 

 おかげで配達やら運送やらで経済が竜巻の如くに回って億万長者になっちゃったとさ! 

 

「ああっ!! 

 そういえば、なんか()()()()()()()()があったけど、ひょっとしてそれが!?」

「そうだ、航空隊は鉄砲隊と弓兵隊組で分けて3600だ、上空から弓と鉄砲で攻撃すると言う話だ」

「えぇっ……それ無理があるんじゃないか?」

「言いたいことはわかる、自分自身もこれを言って自分を見失いかけた。

 話を戻すが、魔法隊は地水火風の使い手達で構成してる、ちょうど四隊で5000だ」

 

(ということは……

 歩兵隊6800

 騎兵隊8000

 戦車隊7000

 衛生兵1000

 航空隊3600×2=7200

 魔法隊5000×4=20000

 ……確かに80000になれるな……)

 

「でも、それだと心細いと言うかなんというか……」

「昭、お前は()()()()()()()()()()()()()()……」

「??????」

「ここだけの話だ、父上から聞いたのだ…………

()()()()()()()姿()をな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄甲船・司令室

 

 操舵者や天候予報士達が速攻で作業してる中、信長の登場で場の空気が張り詰めていた……。

 

「信長さま!」

「弥助、首尾は?」

 

 弥助……織田信長の側近の一人

 かつて宣教師が連れてきた奴隷の黒人の男。

 信長はそれを大層気に入って、森蘭丸と並ぶ側近の役目を持った者。

 彼は現在の役目は「親衛隊一員」、森蘭丸が隊長を務める親衛隊の一人だ。

 着いた異名は「黒拳の弥助」。

 

「はっ、武器兵器の設備完了しています! 

 各隊は戦闘配置について、出撃はいつでも可能とのこと!」

「で、あるか」

「お待ちしておりました、曹操様」

「満寵か、ついに?」

「ふふっ、()()()()ですが……

 この船は織田信長の仕切り、号令を!」

「ふっふっふっ、ふっはっはっはっ!!!」

 

 信長の高笑いは司令室中響き渡った、まるで()()()()()()かのように…………。

 

「機は熟した!! 

 さあ、参ろうぞ!!」

 

 司令室の組員達は配置につき、司令室の隣の「放送室」で号令が下った! 

 

各隊各員に告ぐ! 

 これより、戦の支度に取り掛かれ! 

 繰り返す! 戦の支度に取り掛かれ!! 

 

 船の中は駆け足してる組員達は、持ち場に向かった! 

 

「李典殿! 楽進殿!」

「わかってるって!!」

「いよいよ戦が始まるのですね!!!」

 

 張遼達は各員の誘導や案内を行なっていた。

 

「航空隊、船体の異常は?」

「異常ありません!!」

「そうか、ならば持ち場に付け!!」

 

 于禁の迅速な采配によって支度は整いつつあった。

 

「郭嘉殿!!」

「陳羣どのか、どうなされたのですか?」

「「どうなされた」ではない!! 

 このような時に、何葡萄酒(ワイン)を飲んでおられる!?」

「慌てることではありませんよ、戦に向けて嗜んでるだけですよ」

「郭嘉殿!?」

「おや? 荀彧殿ではございませんか?」

「あなたという人は……! 

 何をやっているのですか!?」

「何とは決まっているではございませんか? 

 どうですか? お二人の分もご用意しますが……」

「そんな事をしてる場合ではないっ! 

 魔法隊の指揮はあなたが担っているというのに、何呑気なことをっ!!」

「やれやれ、陳羣殿も荀彧殿も息を抜かないと身を壊しますよ? それに、魔法隊の方は心配はいりませんよ?」

「お主という人は……! 

 とにかく、持ち場につくのだ!」

 

 陳羣の説教によって郭嘉は持ち場に向かった。

 

「いそげ! 早く曹操様の元にっ!!」

「待つだよう! 典韋!」

 

 典韋と許褚は曹操様の元に向かう途中だったその時。

 

「やぁ、お二人さん

 何をそんなに慌てて走っているんだい?」

「ぬおっ!? 賈詡!?」

「あれれ? 賈詡? なんでここにおるだかぁ?」

「いやぁ、実は二人に見せたいものがあってね? 

 この()()()()をね?」

「あぁ?」「えっ?」

 

 二人は賈詡と一緒に「機関室」に向かった。

 

「…………?」

 

 殺生丸は、甲板に立っていた。

 

 [あなたはしばらくここにいてほしい

 そうすれば、面白いものが見れるぞ? ]

 

 司馬懿がここを去る前にいった言葉、

 その言葉を何を意味するのか、殺生丸は次の瞬間知ることとなった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

????? 

 

「殺生丸があの船に!?」

「ああ、よりにもよってあの奸雄とうつけのな!」

 

 殺生丸の親衛隊(自称)は殺生丸の行方を探していた、置いてかれた邪見様達のために働いていた。

 四方八方東西南北駆け巡って殺生丸を探していた、その最中に「叢雲牙」にまつわる情報を得ていた。

 関ヶ原という地に叢雲牙が根城を築いてることや、

 武田・上杉・北条の同盟軍と秀吉・騎士・雑賀衆等の軍隊が向かっていることや、徳川・蜀・源平武士が結束して関ヶ原に進軍していたことを知ったのだ。

 そして、徳川の連合軍の中に犬夜叉がいたことや

 秀吉の側には釤之助達がいたということも……。

 

「しっかしまあ、なんだって殺生丸様はあんなうつけと一緒なんだ?」

「知らねえよ! 

 でも殺生丸様が()()()()()()()()()()()()()()()()()()乗ったんじゃないか?」

「あっ? それってどんな?」

「いっいやぁ、わからねぇけどよ……

 何かあったんじゃないか?」

 

 親衛隊達は、あれやこれやと話し合い

 船に向かっていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夷陵・山林

 

 親衛隊たちは、織田・曹魏の連合軍の船を見ていた。

 

「こりゃあすげぇ……あれ鉄で覆ってるのか!?」

「ああっ……なんでも「九鬼義隆」っていうやつが発案したそうだ」

「マジかよ、火炎息吹でも弓矢も焙烙火矢もきかないって話は本当だったのかよ!?」

 

 大型鉄甲船の前に、親衛隊は度肝を抜かれていた。

 

「にしてもでっけぇな……、こりゃあ攻め入るのも難儀しそうだぜ……!」

「上の本体は鉄で覆われてるから、下の方は……」

「下も覆われてますぜ?」

「げぇっ!? マジかよ!?」

「てことは、あの船は()()()()()()()()()()()()ようにしてるってのか!?」

 

 大型鉄甲船の全貌を見た親衛隊たちは、冷や汗をかいていた

 おそらくこの船を作った人間は()()()()()()()()()()()()()()()して作り上げたのだろう……。

 しかし、親衛隊と船の乗組員たち及び各文官武将たちは()()()()()()姿()を目の当たりにする……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どっどうしやす? 

 あの船に殺生丸様が乗ってるんだろ!?」

「決まってるだろ! 

 いくに決まって」

「あっあのう……隊長?」 

「なんだ!?」

「船が……()()()()()()()んすけど……!」

「……へっ?」

 

 親衛隊たちは見た

 大型鉄甲船が()()()()()()()()を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄甲船・司令室

 

「見るが良い……我が船の真の力を!!」

 船全体の揺れは多くの人たちを驚かせた。

 

鉄甲船・第一待機室

 

「ななななんだ!? 

 何が起こってんだ!?」

「こっこれは一体!?」

「まさか……この船が揺れている!?」

「そりゃわかってるっての!!」

 

鉄甲船・会議室

 

「なっなんだ!? 

 この揺れは!?」

「遂に来たか、()()()()()()姿()を……」

 

鉄甲船・機関室

 

「なっなんだここは!?」

「すげぇっ!! 見たことないものがいっぱいあるだぁ!?」

「あっはっはぁ! 

 やっぱりその反応だよな! 

 俺もここを見た時には度肝を抜いたよ、曹操様が信長公と気が合うのが良くわかるよ……! 

 まさか、()()()()()()()このために作られたなんて、誰も想像できないよなぁ……!」

 

鉄甲船・甲板

 

「……っ!?」

 

 突然の揺れに驚き、その異変を目の当たりにする。

 

「なっなんだ!?」

「これは……()()()()()()()()としてる!?」

「へっ!!!? 

 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!? 

 船が陸地に移動なんてできないっしょ!?」

「見るがいい、これが()()()()()()だ……」

 

 甲板には司馬師と司馬昭達がいた、そして殺生丸は目の当たりにする…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰が想像しえたであろう、もしも()()()()と言うロマン溢れる兵器を……。

 そう、織田信長はそれを現実(リアル)に実現したのだ!!! 

 

そう! 

 織田信長は閃いたのだ! 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と!! 

 そして、織田信長は九鬼義隆と満寵たちにこう難題を課せられたのだ! 

 

水上陸上でも移動できる巨大な船を作れ!! 

 

 九鬼義隆と満寵はこう言った……。

 

「ウチの大将から言われたからには命をかけてやってのけた」

 

「あの人は何故曹操様と気が合うのか理解できた」

 

 とはいえ、地上での移動と水上での移動にどうするか? 

 幸い、「ヨーロッパ連盟」と交渉して「キャタピラ」と言う車輪に変わる物と「スクリュー」と言う船の移動器具があったことを思い出す。

 しかし、キャタピラに水上移動に使うのに適性がない……。

 スクリューで地上での移動は蛇足……。

 だか、魔法のある世界にそんな常識は無い! 

 あの手この手を尽くして、彼らはついに完成したのだ! 

 完成したキャタピラは「織田式無限軌道」と呼び

 スクリューは「織田式螺旋暗車」と呼ぶようになった。

 結果、融合世界初の()()()()()()()()()が完成したのであった……!!! 

 

「嘘だろ!? 

 この船地上でも移動できるのか!?」

「そんなバカなっ!!? 

 この鉄甲船が!? 

 地上に!?」

「マジかよっ!? 

 こんなでかい船が陸地に移動なんてしたら……!?」

「そうだ、この船は船として、()()()()としての役目を担える水陸両用大型鉄甲船だ、これを戦地に出せばどうなる?」

「ははっ……海や湖に浮かべば船に、地上だと鉄の砦……、その上()()()()()()()()なんて聞いたら世界中が黙って見過ごすわけがない……」

「そうだ、そしてこの戦でこの地上戦艦は世に知れ渡ることになる……、そうなれば世界各国の権力者たちはこの船欲しさであの手この手を使って近づくだろう……」

「なるほどなぁ、この船を使うことじたいが()()()()()()ことになる……、この船を壊そうとする奴や手に入れようとする奴らがごそっとくるだろうな……?」

「…………」

 殺生丸は、内心呆れていた。

「こんな物を発明する人間の馬鹿さ加減」に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、親衛隊は接近を試み

 殺生丸がいる甲板に着陸する。

 そして、殺生丸はこう言った

「勝手にしろ……」

 結果、親衛隊は「勝手に」ついて行くことになった……。

 

 

 

殺生丸と織田・曹魏軍は

 夷陵を越えて「関ヶ原」に向かった……

 後に「叢雲牙の戦い」と呼ばれるこの戦いによって

 殺生丸・犬夜叉・安倍釤之助の三人の名は世界を轟かせることになることを、三人は知る由もなかった……

 

 

 

 




殺生丸編後編完了
織田信長は「飛行船」と「水陸両用戦艦」を作っちゃったよ!?
次回、犬夜叉が一人で歩いてると家康と劉備たちと出会う。


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叢雲牙の戦い〜犬夜叉と徳川家康と劉備と・・・〜 前編

犬夜叉は殺生丸との決闘の後、叢雲牙の元へ向かっていた
その道中に、徳川・蜀軍の陣営付近に「たまたま」通りがかったら「趙雲」と再会するよ!


??????? 

 

 犬夜叉は殺生丸との決闘の後、河川敷付近で一人で歩いていた……、犬夜叉は殺生丸にいわれた言葉を思い出す……。

 

父上の顔を知らぬくせに

 貴様がその鉄砕牙()を持つに相応しくない

 

(けっ()()()()()()()()()()()か……! 

 てめぇはいいよな、殺生丸……! 

 親父の顔を知ってるんだからな……

 親父と、話したことがあるんだからな……!)

 

 犬夜叉は歩きながら、幼少期の過酷な日々を思い出していた

 母が亡くなってから妖怪に追われ、虐げられながらも生きていた。

 その最中に、「桔梗」という巫女と出会う。

 犬夜叉にとっては心を通じ合える人であった……。

 しかし、「奈落」の策謀によって二人の仲は引き裂かれてしまった……。

 こうして、犬夜叉はかごめに矢を抜くまでに50年間封印されていたのである……。

 

(この先だな……?)

 

 犬夜叉は、叢雲牙の気を辿っていた。

 森の中を走り、森を抜けるその時だった。

 

「!?」

 

 森を越えた先は、湖だった……

 叢雲牙はこの湖の先にあった。

 

(叢雲牙はこの先にいるのか……!)

 

 犬夜叉は手持ちがないがため、この湖を迂回して走ろうとしたその時だった。

 

「おい? そこの若いの?」

 

「……っ!?」

 

 周囲を見渡し、声の主を探した。

 

「ここじゃ、こっちこっち」

 

 声は湖から、そこには小舟に()()()()()がいた。

 

「っ!? 誰だ!!」

「おっと、悪いね? 

 わしは龐統、字は士元さ」

「はぁ?」

「あんた、ひょっとして犬夜叉か?」

「っ!? なんで俺のことを!?」

「話は後でするからさ? 

 ささっ、この舟に乗りな?」

 

 半信半疑の犬夜叉は、言われるがままに船を乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?????? 

 

 犬夜叉は、龐統に連れられて舟に乗り

 二人は時間潰しに話していた。

 

「なるほどねぇ、その叢雲牙を倒そうと?」

「あぁ、例え親父の剣とはいえ

 ぶっ壊さないとな、誰かに取られたら

 何人の人間たちを殺し回っちまうからな」

「へぇ、そいつは大変だねぇ

 それなら()()()()()()()()()()()()

「はぁ!? 

 なんだってそんなことになるんだよ!? 

 だいたいお前、俺の話を聞いてただろ!? 

 いくら束になっても、叢雲牙には勝てねぇって話をしてただろ!」

「わかってるよ、でも()()()()にはその話をしてもいくからねぇ……」

「??? 

 我が君……?」

「さてと、そろそろ到着する頃だね?」

「んんっ? 

 …………なっなんだありゃあ!?」

「どうだ? すごいだろ? 

 あれは我が君たちの陣営地さ」

 

 その陣営地は、船や戦車がいっぱいあった。

 陣営に立つ旗は、蜀軍の旗と徳川・真田・本田・井伊・藤堂・黒田等の旗印があった。

 しかし、その旗の中には()()()()()()()()()が立っていた。

 あちこちから煙を立っていた、飯時なのか匂いが風に乗っていた……。

 

「なんだよあれは……? 

 まるで要塞じゃねぇか?」

「実はね、叢雲牙のことで話題になっていてね? 

 我が君達は、その叢雲牙と戦おうと大軍勢を出したのさ、織田信長からの要請でな?」

 

 舟は陣営地に向かって漕ぎ、龐統は手を振った

 

「お〜い!!」

 

 見張りの兵たちは、声の方角に向く。

 

「お〜い!!!」

「あれは……?」

「龐統様?」

「龐統様、何をなさってたのですか!」

「おおっ!! 信之か? 

 ちょうどよかった!! 

 偵察を兼ねて釣りをしていたら、()()()()()()んだよ!!」

「大物?」

「大物とは、なんですか?」

「大物とは、この方さ! 

 かの白狼王の弟君、()()の犬夜叉様だよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連合軍前哨基地・陣営内

 

 陣営地の人たちは、犬夜叉の登場で話題となっていた。

 犬夜叉の顔を一目みたい一心で、船着場に人がたくさん集まっていた。

 

「嘘じゃねぇんだ! 

 本当に白狼王の弟が、龐統先生と一緒に乗っていたんだ! 

 今船着場に着いたところなんだ!!!」

 

 屯舎の至る兵と文官武将たちは犬夜叉の会いたさに騒ぎになっていた。

 

「父上!! 父上!!」

「ああ? なんだよ騒がしいな? 

 一体なんだってんだ?」

「大変なんだよ、親父!! 

 犬夜叉が、犬夜叉が先生と一緒に!!」

「あぁ? 犬夜叉…………? 

 なんだ、そいつは?」

「翼徳!!」

「ぬおっ!?」

「翼徳……、まだ酒が抜けてなかったか?」

「おおっ! 関羽の兄者? 

 どうしたんだ? この騒ぎは?」

「どうしたもこうもない! 

 龐統先生が、犬夜叉という半妖の剣士を連れてこられたのだ!!」

「…………なにぃ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連合軍・陣営地「司令の間」

 

「孔明!!」

「徐庶か? 

 この騒ぎから察するに、犬夜叉殿ですね?」

「っ!? 何故それを?」

「声が聞こえましてね? 

 大方、士元殿が偶然にも見つけたのでしょうね?」

 

 関ヶ原の地図を見ながら考察していた人物。

 諸葛亮、字は孔明。

 龐統と並ぶ名軍師にして「伏龍」の異名を持つ。

 現在諸葛亮は、「藤堂高虎」と「黒田長政」達と共に、策を練っていたのだ。

 蜀軍と徳川軍の拠点「松尾山」の陣取りのことだった。

 幾ら織田・魏軍の要請とは言え、敵地に()()()()()()と言うことは、言わば()()()()()()()ということだ。

 関羽・張飛・趙雲・黄忠・馬超を筆頭に、本田忠勝や井伊直政と言った百戦錬磨の猛将がいても、不死の敵を相手にすることにおいては骨が折れる戦になると言うことになる。

 しかし、それは()()()()()()()()()()()の話だ……。

 

 

 

 

 

連合軍・陣営地「兵舎」

 

「殿っ!」

「なっなんじゃ!?」

 

 慌てていたか、鎧武具を着ている最中だった。

 

 白旗の武者大将の名は「源頼朝」。

 配下には「北条義時」や父「時政」。

 他にも北条親子だけではない、頼朝の妻「政子」を始めとする者たちと。

「比企能員」「和田義盛」「梶原景隆」

「足立遠元」「三浦義澄」「八田和家」

「安達盛長」「大江広元」「中原親能」

「二階堂行政」「三善康信」達がいた

 後に、鎌倉の13人と呼ばれる者たちであった。

 

「弟君がっ! 

 義経様が半妖の元にっ!!」

「なんじゃとお!? 

 あのバカっ!! 

 物事に段取りと言うものがあるというのにっ!」

 

 慌てて鎧武具を着て、犬夜叉の元へ急行した。

 

 

 

 

 

「重盛様っ!!」

「何事じゃ!?」

「例の噂の半妖が我らが陣営に来たとの報せが!」

「っ!?」

 

 赤旗の武者大将の名は「平重盛」

 平家の頭領「平清盛」の長男である。

 現在重盛の軍勢は次男の「基盛」三男の「宗盛」を始め、配下には「伊藤兄弟」を始めとする者たちがいた。

 

「今現在、義経様が犬夜叉の元に!」

「っ!? 

 あの天狗武者!」

 

 鎧武具を着て、急ぎ犬夜叉の元へかける。

 

 

 源氏と平氏はこの異世界に来ていた。

 

 源平合戦の最中に、上空の異変に巻き込まれた武者達は彷徨いかけていた。

 父「清盛」が行方不明の状態の平氏と

 未知の世界に飛ばされた源氏は訳もわからずに戦うも、劉備と家康の呼びかけによって協定を結んだ。

 

 今や魔物や怪物が多数溢れるこの世界、力を合わせていかねばならない世界がため、蟠りや因縁を捨ててこの世界を生きることを誓ったのである。

 

 

 

 

 

 

連合軍・陣営地「船着場」

 

 船着場はたくさんの人たちがいた。

 龐統が一番に降りて、犬夜叉も降りた瞬間

 人がごそっと押しかけてきた! 

 本物か!? 本物かと言っては押しかけ、人の大波が起きた。

 

「だぁーっ!!! 

 いい加減にしろっ!!!!」

 

「はっはっはっ!! 

 そりゃあ、有名になっちゃったんだから

 こんなに人がたくさん集まるからねぇ」

 

 そんな光景を、龐統は腹を抱えて笑っていた。

 

「大体なんなんだよ!? 

 よってたかって!!」

「まぁ、そう怒るな

 おまえさん、()()()()だからね?」

「はぁっ!? 

 なんだそりゃ!?」

「何って、あんたの事は()()()との戦いで有名になってるのさ」

「はくろうおう????? 

 なんだそりゃ???」

「なんだいおまえさん? 

 その白狼王と()()()()じゃないか??」

「…………へっ? 

 …………ああっ!?」

 

 犬夜叉は気づいた、周囲の人たちが言う白狼王とは()()()()()のことだったのだ。

 

(あいつ、何をしたんだ!? 

 こいつら全員なんで殺生丸のことを王呼ばわりしてんだ!?)

 

 殺生丸のウワサに驚いた犬夜叉、しかしそんな彼には余裕を与えなかった……! 

 

タッタッタッタッ

「キエッ────ー!!!」

 

「っ!?」

 ガギィンっ!! 

 

 突然、犬夜叉に切り掛かってきた武者が現れた!!! 

 犬夜叉はとっさに鉄砕牙を抜き、その攻撃を防いだ。

 

「だっ誰だ!?」

「あぁっ!? 

 誰だって? 俺様だよ! 義経、源九郎判官義経様だよ!!」

「義経さま!!」

「あぁっ!! 一足遅かったか……!!」

 

 犬夜叉に切り掛かってきたのは「源義経」であった。

 美丈夫なれどその性格と風格とは裏腹に、荒々しく横暴で、乱暴な口調で猛々しい身体能力の持ち主。

 その後を追ってきたのは「武蔵坊弁慶」と「那須与一」であった。

 薙刀の達人と弓の達人の二人で、様々な逸話を生んだ豪傑者である。

 弁慶のまつわる故事「弁慶の泣き所」「安宅の関」「弁慶の立ち往生」、那須与一はかの「扇の的」が有名だ。

 そんな二人が焦りながら義経の元に来たのは()()()()()()()を恐れたから故である。

 

「おまえ、強いって話だそうだな!! 

 俺と勝負しろ!!!」

「んなっ!? 

 なんだってめぇは!!」

 

 義経の左腕に付けられた籠手から()()()()()()が出た。

 

「いいっ!?」

「驚くのはまだ早いぜ!!!! 

 さあ刮目しなっ!!!」

 

 義経は先制攻撃をした! 

 義経の武器は()()した、刀剣から()()()()()()のだ。

 光輝く弓矢の攻撃をする義経、その弓矢は犬夜叉に目がける。

 

「うおおおっ!?」

 

 弓矢攻撃を避け切った犬夜叉、それらの攻撃を避け切った犬夜叉を見た義経は喜んだ。

 それは、平家に匹敵する好敵手の如く……。

 

「おまえ……やっぱり強ぇなっ!!!!」

 

 その表情(かお)は妖怪をも恐れられる笑顔だった。

 戦いのために生まれ持った義経は、犬夜叉という存在はいわば()()()()()()であったのだ。

 飛龍や牙竜退治や捕獲を名を上げた義経にとっては、またもない機会にして逃したくない展開であった。

 頼朝と重盛達にとっては、恐れていた事態であった…………。

 

「いくぜいくぜいくぜぇっ!!! 

 簡単に負けんなよ!? 

 犬夜叉さま!!!!!」

「あぁっ!? 

 喧嘩ふっかけて、その上変な武器構えて……! 

 何さまだっ!! てめぇは!?」

「だぁかぁらぁ!! 

 俺は義経さまだって言ってんだろうがよ! 

 九郎判官義経さまだっ!!!」

「知るかぁっ!!! 

 九郎判官だろうが八朗だろうが、知らねぇもんは知らねぇっての!!」

 

 鉄砕牙を振るい、義経に切り掛かる! 

 しかし鉄砕牙を籠手の剣で受け流しては飛び回ってを繰り返し、犬夜叉をあしらっていた。

 周囲の人たちは誰か止めろや義経を止めろと声が飛び交っていた。

 

「あ〜あ、こうなると思っていたよ……、本当にやんちゃだねぇ……」

「くくく、まぁいいでしょう…………

 仮にも大妖怪の血を引く半妖だ、義経公にとっては絶好の遊び相手でしょうよ?」

「これこれ、少しは止めに入らんのか? 

 ……考直よ?」

「士元殿も、この展開になると想定していたくせに?」

 

 龐統に話しかけた人物、名を法正

 (あざな)は考直。

 益州・定軍山の戦いで活躍した軍師

 かの曹操が手に入れ損ねた人材である

 史実の死後の評価では、孔明曰く「法正殿が生きておられたら東進はお諌めできた、仮に夷陵での敗走を変えられていた」。

 この世界の蜀軍は諸葛亮・徐庶・龐統・法正達四人のいる

 政務諸葛亮・戦略徐庶・外交龐統・謀略法正が努めていた。

 

「はぁ……はぁ……

 いいかげんにしろよ……てめぇ!!」

「へへっ、その割には……よく戦えてるじゃねぇか?」

 

 義経に翻弄されっぱなしの犬夜叉の表情は疲労が出ていた。

 

「さぁて……? 

 簡単に負けんなよ? 

 犬夜叉ぁ!!」

 

 右腕の籠手の刀身が強く光り出す! 

 一回り大きい刀身となり、輝きを増した! 

 

「っ!!!」

 

 犬夜叉は危険を感じ取った

 しかし、ここを退いては自身の誇りが許さんと言わんばかりの覇気を出す! 

 

「へぇっ! なかなかの覇気をしてるな! 

 いくぜぇ!!!」

 

 義経は全速力で犬夜叉に切り掛かってきた!! 

 

「くそっ……たれぇ!!!」

 

 犬夜叉はそれに応じて鉄砕牙に全力を込めて切り掛かる! 

 

 両者激突、誰もがそう思ったその時!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでだっ!!!」

 

 二人の全力の一撃を受け止めた武将が現れた!! 

 

「っ!?」

「うおっ!?」

 

 二人は衝撃の反動で吹き飛ばされるが、体勢を整えた。

 

「危ういところであった…………。

 ……義経!!」

「ちっ! なんだよ! 

 せっかく良いところだったのに!!」

 

(っ!? なんだ? あの()()()()()()は!?)

 

「大体何の用だよ!? 

 今いいところで、邪魔しやがって!!」

「義経っ!!」

「ん? ……あ? 兄貴?」

「はぁ……はぁ……

 貴様という奴は何をしているんだ!?」

「見りゃわかるだろ? 

 犬夜叉と勝負してんだよ!」

「何を言っとる!? 

 こんな時に何を決闘をしとるんだ!? 

 心の臓が止まるかと思ったわ!!」

「同感だ……幾ら大妖の血を引く半妖でも、

 陣地が吹き飛んでしまうところだったわ」

「あっ? 重盛? なんでここにいんだ?」

「なんでって、誰のせいなんだ?」

「まあよい、お主らが来てよかった

 ……宿に戻れ義経、その力は叢雲牙に向けてやれ」

「ちっ、つまんねえな……

 わーったよ、そうするよったく……」

 

 不貞腐れながら宿に戻る義経、不機嫌ながらも弁慶と与一と合流する。

 

「はぁ……わしの弟が悪いことをした

 なんと言えば良いのやら……!!」

「あっ? なんだお前?」

「なっ、何って! 

 わしは頼朝じゃ!」

「……でっ、私は重盛

 平重盛だ」

「…………で?」

「でって……お主!」

「もうよい、すまないな? 

 あまりに唐突なことに遭って」

「いいんだよ、こういうのには慣れっこだ

 っで? あんたは誰だ?」

 

 大槍を納め、名乗りを上げた。

 

「失礼、我は忠勝

 本田平八郎忠勝と申す

 皆からは「本田忠勝」と呼ばれている」

 

 これが、犬夜叉と蜀・徳川・源平の連合軍との出会いであった……。

 

 




源氏と平氏の性格が変?
源氏はDQNヤンキー集団
平氏はインテリDQNの群れ


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叢雲牙の戦い〜犬夜叉と徳川家康と劉備と・・・〜 後編

犬夜叉、徳川家康と劉備と出会う。
この回の最後に「彼」が登場します。


 犬夜叉の登場を知った徳川家康と劉備は、犬夜叉の元へと駆けつけた。

 陣地が犬夜叉で話題になってる中、宿にたくさんの武士達がいた。

 

「おい、あいつだ!」

「すげぇ……おれ本物の半妖初めて見た!」

 

 外にはたくさんの将兵がいて、ぎゅうぎゅうな状態だった。

 

「なんなんだよ!! てめぇら!! 

 いい加減にしろっ!」

「すまないな、犬夜叉よ? 

 彼らは君のことで話題になってしまったな? 

 白狼王の弟君として見ているのだ、彼らは」

「へっ、白狼王だのなんだの言うがよ? 

 実際のところは誰もわかってないんだろ? 

 ここにその弟がいるんだからよ?」

「まあまあ、せっかくの席なんだ

 景気の良いことをしようではないか?」

「てめぇらなぁ……!!!」

「まあ、そう怒るな? 

 お前さん、白狼さん……もとい殺生丸とは仲が悪いんだろ? 

 お前さんが持っているその「鉄砕牙」が原因なんだろ?」

 

 龐統は以前、犬夜叉と話をしていた。

 自身のことや殺生丸について全てを話していた

 故に、犬夜叉は()()()()()ということに苛立っていた。

 その心中は龐統や頼朝等は察していた、

 しかし義経の場合は()()()()()に興味を抱いていたのだ。

 白狼王の弟としてではなく、たった一人の猛者として見ていたのである。

 

「義経、少しは態度を控えよ! 

 戦上手とはいえ、人としての態度をどうにかできんのか!!」

「何言ってんだよ! 

 武士が舐められたら終わりだって言ったのあんたじゃねぇか、クソ兄貴!!」

「クソとはなんじゃ!! 

 大体お前は……!!!!」

「はいはい、そこまでですよクソ兄弟」

「「誰がクソ兄弟「だっ!」じゃっ!」

「全く、いい歳してみっともないですよ? 

 喧嘩なんぞいくらでもできるのに、この場は控えてくださいよ?」

「よいではないか、義時?」

「姉上……? 

 珍しいですね?」

「おおっ! 政子か! 

 もしかしてお前もか?」

「お前も? 

 …………ああっ! あなたが赤衣の!?」

「あかころもぉ? 

 って、俺のことか?」

「ええ、あなたのそれ

 似合いますよ?」

 

 一応、犬夜叉が着てる衣はかぐや姫の話に出る「火鼠の衣」です。

 

「すみませんね? 

 うちの()()()()()がご迷惑をおかけして?」

 

(バカって、ヘタレって……(汗))

 

 誰とは言いませんが、さっきの兄弟です(兄ヘタレ弟バカ)

 

「姉上…………()()をいうものではありませんよ?」

「おいまて、今事実って言わなかったか?」

「ちょっと待て、今なんて言った?」

「あっ申し訳ありません、()()を言ってはならんと心掛け炊いたものが、つい」

「本音っ!? 

 本音なのか!?」

「申し訳ありません、なにぶん気をつけてるものですので。

信用してないからなぁ……

「おい? 今最後なんか変なことを言わなかったか?」

「気のせいでしょう?」

「義時は相変わらずだなぁ?」

「すみません、私は不器用なので……

本当に危なっかしい奴だ……

「なんか言ったか?」

「いえ、なんでもありません」

 

 北条義時は、頼朝の右腕とも言われた武士。

 小言が玉に瑕。

 

「それよりも、犬夜叉と言いましたか?」

「なんだよ?」

「あなたのことは聞き及んでおられるのは

()()()()()()()によるものです」

「白の女神……? 

 誰だ?」

「セレスティン・ルクルス

 以前、我らに盟を結ぼうとした者の名だ」

「へぇ……ってええ!?」

「驚かれるのも無理もない、何せ彼女は()()()()()で有名なのです」

「それに、聞けば別嬪さんだって言うじゃないか? 

 一眼見て会いたいもんだねぇ?」

 

 犬夜叉は驚いていた、()()()()()()()()()という未来が予知されていたことに……。

 

(なんなんだよ!? 

 せれすてぃんって奴は何者なんだ!?)

 

「はっはっはっ!! 

 まぁ、考えても仕方がないさ? 

 今は犬夜叉との出会いに祝おう! 

 この喜びは()()()()()()()()討伐の時以来だよ、なぁ!」

「ておてすかとる?」

「テオ・テスカトルって言うすげぇ大怪獣がいたんだ! 

 そいつはな()()()という類の怪物なんだ」

「「炎王龍」、又の名は「炎帝王」。

 一声雄叫びを挙げたら焼き尽くすと言われた最強格の敵だったんだ」

「ああ、思い出すな……! 

 確か義経と忠勝と趙雲を筆頭に、諸葛亮たちと討伐に行ったんだっけ? 

 あれすごかったなぁ……!!」

 

 宴会は盛り上がり、踊りやら歌をする人たちが出てきた。

 

「おっ、あいつら始めたな?」

「なあ、犬夜叉よ?」

「なんだ?」

「俺たちは元々、元いた時代にいたんだ

 この世界に来てから俺たちは右も左もわからずじまいだ。

 そこに源平の猛者たちと会った、諸葛亮たちと頼朝公と義時様、そして重盛公や本田正信様たちがまとめなさった功がある。

 ここまではよかったんだ、()()()()()()()()()()穏便に済んだんだ……」

 

 徳川・蜀漢・源平の三勢力に大打撃を与えた怪物「テオ・テスカトル」。

 領土と近辺の市町村と国境の民種族たちを焼き尽くす光景を見た彼らは危険と判断として、団結して討伐に向かった。

 さまざまな武器兵器を持って挑み、昼夜関係なくその地域は炎によって照らされていた。

 総大将を務める源義経とその家臣である弁慶と与一たち、本田忠勝と井伊直政等、そして趙雲たち五虎将軍の総力で挑んだ。

 その戦いは、半日以上掛かり

 ようやく討伐に成功した。

 そしてこの戦いは「定軍山炎王龍討伐戦」と呼ばれるようになった。

 同時に、徳川家康と劉備と頼朝義経兄弟と重盛の名を世界に知らしめるきっかけとなった。

 

「……そんなことが……!」

「あの時はほんっとうにやばかったよ、山や谷も川が全部焼かれちまって大変だったよ!」

「セレスティンの使わした援軍なければ勝てたかどうかわからなかった。

 義経の采配ぶりは等の援軍の方々は度肝を抜かれたそうだ、義経の采配を見れば敵対勢力の気持ちがよくわかる」

 

 宴会の最中、外に人声がしてきた。

 

「ん? なんだ?」

「犬夜叉どのっ!」

 

 そこに現れたのは趙雲だった。

 

「あっ? 

 って、趙雲?」

「犬夜叉どの、まさか貴方がここに訪れているとは……!!」

 

 趙雲の登場で、場の空気が一層と盛り上がる

 元々この軍隊は趙雲の報せによって支度をしていたのだ。

 その報せを聞いた家康と劉備は叢雲牙打倒の為に軍を起こしたのだ。

 

「そうであったか、通りで盛り上がっていたのだな?」

「いい迷惑だぜ? 

 大体てめぇらはそれだけの強さを持ってんのに、

 なんだってよってたかって……」

「すまないな、我らはそなたのことを風の噂で聞いていたのだ。

 本物と出会って皆は活気になっているのだ」

 

 宴会場では、趙雲の登場で盛り上がり

 関羽と張飛、そして龐統達もまた勢いをつけていた。

 

「子竜! 戻ってきたのか!」

「劉備殿!!」

 

 宴会場に現れたのは、蜀の創始者にして漢室の末裔にして中山靖王・劉勝の子孫「劉備」字は玄徳。

 関羽と張飛の長兄、「桃源の誓い」で有名な三国志の英雄の一人。

 諸葛亮との出会いは「三顧の礼」で知らぬものはいない。

 現在は、臥竜孔明と鳳雛龐統

 そして法正と徐庶たちと共に集落を立て、各地の異種族民達を受け入れ大国を築くという異例を成し遂げる。

 

「おおっ! そなたが犬夜叉どのか!!」

「殿っ!」

「家康さまっ!!」

 

 徳川家康。織田信長と豊臣(羽柴)秀吉と並ぶ天下人である。

 元は三河の小大名「松平元康」としての武士、今川義元の庇護を受けるものの「桶狭間の戦い」で今川は衰退する。

 今川を見限り独立、元康改め「家康」と名乗り上げ「徳川」として大名デビューを果たす。

 その後、織田信長との「清洲同盟」によって織田信長の天下統一の支えとなるが、本能寺の変によって一時窮地に立たされる。

 窮地を脱するために「伊賀越え」を成し遂げる、その後は「秀吉」と戦い(小牧長久手)、その後は四国・九州・小田原の統一を支える。

 秀吉の死後、「石田三成」との対立によって「関ヶ原の戦い」が勃発(この戦いのきっかけは「上杉景勝」の謀反のでっち上げに怒った「直江兼続」の訴えを記した書を家康に叩きつけたこと(直江状))、勝利の後は「譜代」と「外様」と分けて豊臣家の勢力を削らすことを成功する。

 しかし、ある寺の鐘の文章(国家安康・君臣豊楽)に苦情(←というでっち上げ)によって「大阪の陣」が勃発、戦国時代最後の大戦が始まった。

 この戦いで伝説となった武将「真田幸村」の勇姿は徳川・島津の者達は「日の本一の兵」と讃え、徳川家康にとっては因縁深い最後の戦いであった(三方ヶ原・上田城の戦いでは惨敗をしていた)。

 現在は劉備と共に大国設立を協力して、「本田忠勝」と「井伊直政」、そして「三浦按針」と「藤堂高虎」と「黒田長政」達と共に国政を担う。

 

「なんだ!?」

「驚かせてすまないな? 

 犬夜叉どの、私は徳川家康と申す。

 そなたのことは()()()から聞いております!」

「……へっ?」

「殿がまだ「竹千代」の頃からそなたの武勇を聞いていたのだ。

 特に()()()()の起承転結の話全てだがな……」

「…………はぁっ!?」

 

 *時系列的に言えば「原作最終話」まで聞いているとのこと。

 

「殿はそなたのことを憧れていてな? 

 当人と会えたのが何より嬉しいのだ」

「やれやれ、殿も困ったお方だねぇ? 

 犬夜叉さまと会えたのがそれほど嬉しいんだねぇ?」

「宗矩どのか? 

 そなたもおいでにおられたか?」

「まあね? おじさんも、興味があってね? 

 犬夜叉さまの愛刀「鉄砕牙」をね?」

 

 柳生宗矩。徳川家康の家臣の一人

 松永久秀とは旧知の間柄。

 流浪時代の時、豊臣秀吉の統一事業に関与し

 今は徳川家康の家臣としている。

 関羽一家・張飛一家・趙雲・馬超達の武芸の指南を務めている。

 そして、現代に名高い「無刀取り」の達人である。

 

「あっ、そうだ家康さま? 

 少しよろしいか?」

「むっ? 宗則か? 

 どうしたのだ?」

「ちょっと大変なことがありましてね、急ぎ報せに来ました」

「何? 申してみよ?」

「ええっ、「島津軍」と「立花軍」が結託しましてね?」

「何っ! 彼らが!?」

「はい、両軍は「鬼人軍」と「自衛隊」と「伊達軍」と「四獣隊」を引き連れて戦地に行きました」

「はあっ!? なんで伊達の青二才が!?」

「四獣隊だと!? 

 関平や張苞たちがいるのだぞっ!?」

「っ!? 

 黄忠殿は!?」

「ああっ、彼らは無理やり連れていかれました」

「はぁ!?」「何だとっ!?」

「それで、戦地は叢雲牙がいる「関ヶ原」に全軍投入で行かれてしまいました」

 

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!??? 

 

 その報せを聞いた連合軍は急な戦支度を取り掛かった。

 徳川・蜀・源平の連合軍は整えるも、足並みに乱れがあった……。

 

「あの戦好きがぁっ!! 

 俺らに黙って槍をあげようって腹かっ!!!」

「ちっきしょうっ!!! 

 鬼島津だからって、ここまでの戦バカだったとはなぁ!!」

「落ち着けっ! 

 宗則殿よ、その報せは誰からが!?」

「ああっ、犬夜叉さまのご存じの方々さぁ」

「んっ? なんだ、()()()()()()連中?」

()()()さぁ、犬夜叉さまならご存じのはずさぁ?」

「なっ!? なんだって!? 

 それって……!!!」

 

 犬夜叉は確信した、妖狼族がいるということは()()()がいることを……! 

 そして、犬夜叉は先走り関ヶ原に向かう。

 その後を追うかのように連合軍は進軍した……!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関ヶ原付近・街道

 

「あれが、刹那武丸の城か……!」

 自衛隊の偵察兵は、風変わりした巨大な城を見ていた。

 その風雲立ち込む城に驚き、武者震いをしていた……。

 

「おいっ!」

「っ! 誰だ!!」

「いつまで睨んでんだ!? 

 さっさとずらかるぞっ!!!」

 

 毛皮と鎧をまとった若者の名は「鋼牙」

 妖狼族の若き頭領格の少年。

 この世界に来てから、独立を保っていたのだが

 徳川と劉備の三顧の礼並みの交渉に根負けするが、ある程度の距離を取りつつ盟を結んでいた。

 自衛隊に関しては、右も左も分からずじまいの中だった。

 そんな時に家康と劉備達と出会ったことで、窮地を脱したのだ。

 

 鋼牙たちはすぐさまに島津の陣営地に戻る。

 そこの陣営地には島津の将と立花の将、そして伊達軍と四獣隊がいた。

 

「様子はどうだった?」

「最悪だ、付近の兵や妖怪達は叢雲牙ってやつにやられて骸の軍兵と化してる。

 その上、霧が立ち込めかけていやがるぜ……!」

「霧が深くなれば、視界不良となって進軍は難しい……! 

 やはり徳川方の軍と共に行くべきでは……!」

「時が惜しい、それに奴が暴れていては兵が増え続けてしまう。

 大軍勢になる前に打ち倒さねば、我々にも被害が及ぶ……。

 それもお前達もどうにかしたいはずでは? 

 ……のう? 政宗よ?」

「勘違いするでないわ! 

 わしらは好き好んで家康たちと盟を結んでいるわけではない! 

 劉備と家康のしつこさに目障り故に結んでいるのじゃ!!」

「やれやれ、政宗様? 

 その盟約は私の発案なんですがね? 

 それはそうと、軍の数は如何程に?」

「あっ? 遠くから見たんだが……およそ十万以上か百万近くってところだな?」

 

 現段階の叢雲牙の軍事力を驚きを隠せない島津軍、しかしその表情は()()()()()だった。

 

「そうか……! 

 豊? お前ならどうする?」

「何言ってる!! 島津は強いっ! 

 骸の軍団なんて恐るにたらず!!」

「言ってくれるな? 餓鬼が? 

 十万だろうが百万だろうがやるまでよ……!」

「流石だな? 

 鬼は異世界でも楽しむか?」

「ふっ、そういう貴様はどうだ? 

 ……坊ちゃん?」

「甘く見るなよ? 

 霧が深ければ風の起こしがいがいい……! 

 大軍相手に恐れるようでは立花の名折れだ」

「同感だな? 

 相手が骸の軍団だろうが、立花の敵ではない。

 我が父から受け継いだ「雷切」で葬ってやろう!」

 

 島津の兄弟

 当主では島津家久、政務においては優れた逸材の武者。

 そして戦の鬼と呼ばれ、「鬼島津」の義弘

 関ヶ原の戦いで「島津の退き口」という馬鹿げた撤退戦を行った鬼武者である。

 徳川本陣の前に通り、鬼の如くに薙ぎ払って撤退したのだ。

 これによって「井伊直政」は負傷

 島津豊久は戦死したのだ。

 他にも兄弟がいるが、その二人は()()()()の取引に向かっていない。

 そして、家久の息子にして義弘の甥「豊久」

 彼もまた島津の軍に赴き、戦国の異例の初陣を飾ったのだ。

 そして立花夫婦の「宗茂」と「誾千代」。

 夫の宗茂はかの本田忠勝と並ぶ猛者、

「東国無双」の忠勝「剛勇鎮西一」の宗茂と呼ばれ

 関ヶ原の戦いや大阪の陣、そして「島原の乱」において大いに武を振るった。

 妻の誾千代は「柳川の戦い」で夫と共に参戦する。

 その武勇は父・道雪と宗茂の父・高橋紹運にも劣らないものであった。

 

 そして、その軍と共にいる「伊達政宗」。

 かの「独眼竜」として名高い名将

 直江兼続曰く「遅れ出た英傑」

 雑賀孫市曰く「時代に遅れた天下人」

 豊臣秀吉曰く「類い稀なる武士」

 前田慶次曰く「天に登る竜が如く」

 今現代、真田幸村と並ぶ人気溢れる武士である(BASARA)。

 彼は現在「片倉小十郎」と「伊達成実」と「鬼庭綱元」等と共に勢力を独立していたが、劉備と家康に目をつけられる始末。

 ちなみに彼の趣味・逸話は語りきれないほどの数がある

 おもに有名なのは「葛西大一揆」や、小田原遅参においては十字架を背負って煮るなり焼くなりと主張等がある……。

 ちなみに「伊達男」の由来でもあり、言葉のあやに使われている(伊達に〇〇・伊達メガネ・〇〇〇〇は伊達じゃない等)。

 

「やれやれ、とんでもない奴らに連れられてしまったのう?」

「はぁ……どうしよう……」

「劉備様には悪いことをしてしまったなぁ……」

「大丈夫かなぁ?」

 

 四獣隊は、青龍隊・朱雀隊・白虎隊・玄武隊の四つの隊がある。

 最年少隊「白虎隊」

 青年隊「朱雀隊」

 成人隊「青龍隊」

 最高齢隊「玄武隊」

 白虎隊には関索や張苞等属し

 朱雀隊には関平や関興達が属し

 青龍隊には廖化等が属し

 玄武隊には黄忠が隊長を務めている。

 元々は「会津藩」が立ち上げた軍隊だが、その編成を見た諸葛亮たちは改良と鍛錬を重ねて優れた隊として成り立つ。

 

「報告! 

 徳川連合軍が急接近との報せ!!」

「そうか、来たか」

「それと、その先陣には()()()()()()がいるとのこと!!」

「なんだって!?」

 

 その後、犬夜叉と鋼牙は再開する

 互いの状況を話し、徳川連合軍は関ヶ原に着いたという……。

 

 

 




犬夜叉回完了。
北の殺生丸
南の犬夜叉
あとは東の軍隊。
東といえば・・・?


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叢雲牙の戦い〜夢幻百鬼夜行の釤之助〜 出会いの章

釤之助回。
京の都で「戦国」と「幕末〜明治」の偉人と出会います。
そして戦時中の方々と釤之助の片手の仲間たちと出会います。


殺生丸はその場を去り

 犬夜叉は俺たちの元を離れた。

 親父の剣を巡る戦いは、この世界の人間達にも巻き込んでいた。

 元の世界と歴史の人間と異世界の人間達も同じだ、

 叢雲牙の巡る戦いは、犬夜叉と殺生丸だけの戦いではない……。

 俺やかごめ先輩たちも、その戦いのために

「民間兵社」という組織にして会社に訪れていた。

 

「すげぇな…………! 

 日本刀からロングソード、それに拳銃(ピストル)やら小銃(ライフル)に機関銃全種類あるとは……!!」

「なんじゃこれはっ!?」

「すっげぇ……!! 

 見たこともない武器防具ばっかりじゃないか!!」

「すごい……! 

 盾と剣が組み合わさって斧になれるなんて……!?」

 

 武器防具を並んでる部屋に鑑賞していた釤之助とマイアとオリガたち、特にオリガ・クロエ・マイアは銃火器に驚いていたが、釤之助と珊瑚はファンタジー世界の武器と「変形武器」に驚いていた。

 

「これは……!」

「ほぉ〜、あっちこっち見て回っていたが

 この「民間兵社」を作った人は相当な者じゃぞ?」

 

 一方、かごめたちとアリシアたちはおもちゃや文房具関連の並んでいる部屋にいた。

 鉛筆や絵画道具、算盤や電卓等があった。

 

「なんと摩訶不思議な……! 

 かごめ様の持ちものは見ていたが、これ程とは……!!!!」

「おい弥勒! 

 こっちもすごいぞ!」

「ちょっと二人とも、はしゃがないでよ!」

「いろんなものがあるとは聞いていたが、まさかこんなに……!」

「すごい……、まるで不思議な世界に迷い込んできたみたい……」

 

 民間兵社を歩き回った釤之助たち、文化展を後に「本社」に向かった。

 実は坂本龍馬の紹介状を受けており、ここの社長は()()()()()()()()()()だということを聞いているが、実際のところ半信半疑であった。

 

「ここの人……誰が仕切ったんだ?」

「さあ? 

 でも、こんなに大きな会社を作った人ってとこは凄腕の社長さんじゃないかな?」

「かいしゃ……???」

「会社とは、何かの組合なのか?」

「まあ、そんな感じだな? 

 こと細かいところは話すの面倒だから、落ち着いた時に話すよ?」

「まあよい、ここのその「社長」とやらに会いに行くのだろう?」

「そうだね、ここの社長さんって人と会って叢雲牙をどうにかしないとね?」

 

 社長室に近づくと、武士の人が社長室から出た。

 

「ふぅ〜、やっと話がまとまったわ」

「やれやれ、あの人って結構冴えてるなぁ……? 

 さすがこの民間兵社を築いたことだけはあるよ」

「まあよい、信長様との約束が済ませたのなら報せに参ろう」

 

 そこに現れたのは、サルの様な顔つきの男と幼顔の軍師と顔色の悪い軍師が出たのだ。

 

「……ん? なんじゃお前たち?」

「あれ? 君たちもここの人に会いに?」

()()()()()()……

 時が惜しい、行くぞ」

 

 三人は本社を出て行った……

 その時、釤之助とかごめは驚いていたのだ。

 

「釤之助君……! 

 今の人って、豊臣秀吉!?」

「だけじゃない……!! 

 それにさっきの二人は竹中半兵衛と黒田官兵衛!?」

 

 二人の驚きに、七宝たちとオリガたちはそんな二人を見て驚いていた。

 

「どうしたんじゃ二人とも? 

 さっきの奴らのことを知っておるのか?」

「知るも何も、めちゃくちゃ有名人……」

「うん、バリっバリの有名人よ!!」

 

 豊臣秀吉。

 織田信長と徳川家康と同じ天下人である、

 元は農家の生まれで、「立身出世」の名に似合う傑物である。

 そしてそれを支えたのは「両兵衛」というコンビ名で有名な「竹中半兵衛」と「黒田官兵衛」である。

 そんな彼の有名なのは美濃攻略のために「墨俣一夜城」である

 この一夜城を建てたことで、美濃攻略の功労者となる。

 その経緯で「竹中半兵衛」を配下に加え、そして「黒田官兵衛」を迎え入れる。

 竹中半兵衛の献策で秀吉(織田軍)を勝利を導くものの、病に倒れて亡くなる。

 黒田官兵衛に関しては、「荒木村重」の謀反によって窮地に立たされてしまうが、半兵衛の策によって親子共に救われる。

 その後は備中高松城の水攻めで勝利を目前となるも、本能寺で織田信長の訃報を知り、ショックを受ける。

 そこに、黒田官兵衛は「天下を取れ」と押される(当人はビビっていた)。

 あとは「中国大返し」によって明智光秀との戦いに勝ち、賤ヶ岳で柴田勝家に勝つ。

 小牧長久手は家康の戦術によって痛手を受けるが、和睦に持ち込む。

 その後は長宗我部(四国征伐)・島津(九州征伐)・北条(小田原征伐)を下し、織田信長が成し得なかった天下統一を果たす。

 

「まさか……ここで彼らとすれ違うとは……!」

「うん……!! 

 本人と出会うなんて……!!」

 

 驚くものの、冷静さを取り戻す

 釤之助たちは、社長室に着いた。

 

「そういえば、この「民間兵社」を築いたということは、それ相応の人間なのじゃろうか?」

「わからない、でも()()()()()()()()()の人ってことは、つまりなかなかの人だったことだ」

「まあよい、入ればわかることじゃ」

 

 社長室に入り、一同はその社長と会う。

 

「おおっ! 君たちか! 

 坂本さんから話は聞いてるよ!」

「坂本さん……? 坂本龍馬さんのことですか?」

「そうだ、私はこの「民間兵社」の経営者にして社長を務めている「渋沢栄一」だ、私のことはご存じなのだろう?」

 

 社長の名前を聞いた瞬間、釤之助とかごめは驚いた。

 

「なぁっ!?」「ええっ!?」

「なんじゃ!? どうしたお主ら!?」

「この者をご存じなのか?」

「知ってるも何も、「日本経済の父」じゃないか!?」

「渋沢栄一って、鉄道やガスに郵便とか作ったっていうあの!?」

 

 渋沢栄一。日本経済の立役者にして「資本主義の父」である。

 幕末期は一時は尊王攘夷に活動していたが、親友と見識の深い仲間に待ったをかけられて挫折。

 その経緯を活かすために、「一橋慶喜」(後の一五代将軍)の元に仕える。

 そして慶喜の弟君のフランス(パリ)留学のお供として、フランスに行く。

 フランスを拠点に各ヨーロッパ諸国の文化知識を学び、いち早く髷を下ろした、しかし留学をしている最中に日本は「鳥羽・伏見・会津・函館戦争」が勃発、その結果徳川幕府は倒されてしまい、早急な帰国となってしまった。

 しかし留学先で得た知識と経験を活かすために商会を設立、その後は大臣に抜擢され、衝突といがみ合いを繰り返しつつの業務をこなす。

 その後は大臣を退任し、銀行を設立して様々な事業を手掛ける(JR鉄道・サッポロビール・いすゞ自動車・東京ガス・帝国ホテル・学校と病院の設立等)。

 

 この世界では「坂本龍馬」や「西郷隆盛」たちと共に東京と京都共々異世界に飛ばされ、各種族ごとの働き場や「魔鉱石」の発掘と「魔法学園」の設立。

 そして「真田幸村」や「宮本武蔵」たちの迎え入れによって「民間兵社」の設立をしたのだ。

 

「はっはっはっ! 

 君たちが驚くのも無理もない、なにせ私も驚きの連続だったのだよ。

 さっきの人たちと、坂本さんや西郷さんも同じだったよ!」

「さっきの人たち?」

「っ!! 

 もしかして秀吉や半兵衛と官兵衛のことも!?」

「おや? すれ違い様に会ったのか?」

「はいっ!」

「はっはっはっ! 

 いやぁ、私も天下人に会えて驚いたよ。

 聞けば、彼は武田や上杉に北条、ひいては毛利等の戦国大名たちを盟約結びに奔走していてな? 

 坂本さんと協力して、ようやく結んだところなんだ」

「なんと!? 

 武田に上杉!? 

 それに北条も!?」

「北条って、戦国大名の北条?」

「毛利といえば、あの「厳島の戦い」の毛利か?」

「そうだ、その北条と毛利だ!」

「すっげぇ……! 

 ……んっ?」

 

 その時、釤之助は気づいた。

 

「あの、渋沢さん……?」

「なんだい?」

「さっきの話、戦国大名の同盟話……。

 もしかして、()()()()()()()()()()()()のか!?」

「!! 

 …………そうだ。

 話は坂本さんから聞いてるよ」

 

 本題に入り、渋沢は語った。

 坂本龍馬からの電話によって、叢雲牙のことや犬夜叉たちのことを知る。

 釤之助たちが来るまでの間に「神農」や「伏義」が来て、協力の要請や織田信長の使いの「豊臣(羽柴)秀吉」の軍勢を使わして要請を受けていた。

 

「私とて、その話を聞いた時はまだ受け止めきれなかった……。

 しかし、君たちのことを聞いて確信したよ。

 ……私も力を貸そう!」

「!!」「本当ですか!?」

「そうだ……と言いたいが……、すこし問題が起きてな……」

「問題?」

「そうだ、実は……」

「失礼します!」

 

 慌てて入ってきたか、その息は上がっていた。

 

「なっ!? 

 どうしたのだ急に!?」

「大変ですっ!! 

()()()がまた武力制圧をっ!!」

「っ!?」「ええっ!?」

「武力制圧された地域集落から逃げ出した避難民たちは、「樋口中将」と「高杉隊長」が救助を行って合流し、たった今都に到着したとのことです!」

「そうか……! 

 ならば西郷さんと「青洲医院」と「幸村」たちに連絡を! 

 すぐにでも受け入れの準備を!!」

「はっ!!」

 

 社員の人は、急ぎ足で連絡に向かった……。

 

「なんじゃ? 

 この世界になっても戰をしてる輩がいるのか?」

「……??? 

 釤之助君? かごめちゃん? 

 どうしたの……!?」

「釤之助くん……!! 

 ナチスって、あのナチス……!?」

「まじかよ……!? 

 渋沢さん、まさかその問題って!?」

「そうだ……、その様子なら()()()()()()()()()のようだな?」

 

 ナチスとは、かの「アドルフ・ヒトラー」こと「ヒトラー総統」が率いる党である。

 失業問題や、国内の経済回復に尽力してドイツを立て直した政治家にして軍人。

 そして、第二次世界大戦の悲劇の一つである「ユダヤ人虐殺」を行った戦争敵(ウォーズヴィラン)である。

 世界各国から恐れる巨悪のカリスマとして伝えられている、それは「演説術」や「功績」によるものである。

 そのナチスはこの世界に迷い込んで、国土拡大と言う武力制圧を繰り返し、資源物資の略奪を行なっていたのだ。

 

「彼らは非道を繰り返し、近隣諸国を侵攻の限りをしてきているのだ……。

 我らはそんな奴らの行いを許せない、許してはならないのだ!」

「わかるぜ、そいつは大問題だな?」

「…………ねぇ、一つ聞いてもいい?」

「なんだね?」

「さっきあの人、「樋口中将」と「高杉隊長」って言ってたわよね?」

「…………っ!? 

 樋口中将って、あの「樋口季一郎」!? 

 そして高杉隊長は「奇兵隊」の「高杉晋作」か!?」

「っ! 知ってるのか!?」

 

 高杉晋作。

 幕末期、「松下村塾」の門下生の一人。

 塾長の吉田松陰の教え子の一人で、

 久坂玄瑞と伊藤博文の同期の志士。

「長州征伐」の時、彼は武士ではない農民や庶民たちを武士と同じ訓練を施し「奇兵隊」を設立。

 これによって、幕府軍を打ち破る

 しかし、当人は病に患っており

 心半ばに亡くなってしまう。

 

 樋口季一郎。

 大日本帝国陸軍中将。

 ユダヤ人の歴史を語るに「杉原千畝」と並ぶ英傑の一人。

 約数万数千万以上のユダヤ人はナチスに追われて粛清される中、杉原千畝は沢山のビザを作る中、樋口季一郎は亡命のユダヤ人たちを助けるために奔走していた。

 それらの行動を東條英機は「ナチスの非人道的な行いに憤慨するものだ」と樋口中将を庇う。

 杉原千畝は独断専行という理由で不当な政治的処罰を下されてしまう。

 戦時中、ナチスの粛清から生き残ったユダヤ人たちにとっては、日本、もとい戦時中の日本人は「大恩人」である。

 

 この世界では、高杉は異種族問わずに奇兵隊を作り

 都の警備や防災訓練の陣頭指揮を行っている。

 樋口季一郎は、他の仲間たちを探す最中に「舩坂弘」と合流。

 その後は他にも仲間を探すも、都にて偶然にも「栗林忠道」や「辻正信」と再会する。

 

「そうだったの……、杉原千畝さんだけじゃなかったのね?」

「まあな、杉原千畝はユダヤ人のためにビザを沢山作ってな。

 そして樋口季一郎はそのユダヤ人を直に助けたんだからな? 

 ……普通、樋口中将のことも話してもいいレベルなんだよな?」

「そうそう、樋口の野郎はかっこいいからねえ? 

 良いことを言うね? あんちゃん?」

「そう…………ん?」

 

 釤之助たちは、社長室に()()()()()()がいることに気づいた。

 

「………………すみません? 

 どちらさま?」

「ん? どちらさま? 

 ……あ、俺さまか?」

「うん」

「はっはっはっ!! 

 悪いねぇ! いやぁ、いい乳いい尻の女がいっぱいいたから入ってきちゃったよ!」

 

 それってかごめと珊瑚とオリガたちのことか? 

 そう思った釤之助であった。

 

「おっと、俺は石原莞爾だ! 

 日本軍一の天才莞爾さまだ!!」

「石原莞爾……???」

「石原莞爾……、ああっ!? 

 あんたあの石原莞爾か!?」

 

 石原莞爾。

 大日本帝国陸軍所属の軍人。

「世界最終戦論」で知られ、関東軍で「板垣征四郎」たちと共に「満州事変」を起こす。

 見識広く、対局的に不利であることや

 特攻しても勝ち目はないことや、数の力には勝てないことを見切る。

 しかしそれらは東條英機との対立のきっかけとなる、結果予備役に左遷されることになった。

 その後、東京裁判に被告人として立つ

 裁判官は語った「この戦争の責任は誰にある?」

 この流れは東條英機によるものと語ると思っていたのだろう……。

 

「アメリカ合衆国現大統領トルーマンである!!」

 

 そう答えたのだ、

 そして語り続けた。

 

「広島・長崎に原子爆弾を落とした国が正義を語るな! 

 それは広島と長崎の民たちの死を侮辱していることになる!! 

 いや、それ以前にルーズベルトは日本を私的に忌み嫌っていたのだ!! 

 いやそれ以上に、アメリカが日本を開国しなければこんな大戦争は起きずに済んでいたのだ!!」

 

 その訴えと語りに焦った裁判官たちは急遽取り下げる、そしてその場にいた日本人は石原節の訴えに感激したという……。

 

「はっはっはっ!!! 

 渋ちゃんよ、ナチスの方は俺さまたちに任せな! 

 あんたはその叢雲牙ってやつを片づけな、そいつらとな?」

「石原さん……」

「さて、お嬢ちゃんたち? 

 こんどおっちゃんといい風呂屋に行かないか?」

 

「結構です「じゃ」!!」

 

「はっはっはっ! 

 冗談だよ、さてと…………

 俺さまは一仕事に行ってくるね?」

 

 石原莞爾は、社長室を後にした……。

 

「ねぇ、さっきの人知ってるの?」

「まあな、日本軍の異端児と言えばわかりやすいか? 

 ……まさか旧日本軍の人と会えるなんて……」

「石原さんだけじゃない、他にもいるのだが

 いまだにバラバラなのだ、彼らが集まってくれれば頼もしいのだが…………」

「無理ねぇよ、そう簡単に集まるわけでもないしな?」

「…………」

「……さて、話を戻ろう

 君たちが我が社に来たのは、叢雲牙についてだったな?」

「ああ、そうだったな

 色々と衝撃の展開が連続だったから、つい」

 

 渋沢は机の棚の中から「一枚の令状」を、釤之助達に渡した。

 

「……これは?」

「これを()()()に持っていけば、力になってくれる。

 特に真田幸村と宮本武蔵、そして西郷さんと()()にも君の力になるだろう……」

「……西郷さん?」

「西郷隆盛だよ、維新の三傑で有名な西郷隆盛だよ?」

「あっ、ああっ! 

 西郷さんって、西郷隆盛なのね……

 西郷隆盛ぃ!!?」

「予想はしていたけど、本物?」

「本人だよ、今はギルドで士族や亜人達の教官を務めている。

 最も、驚くのはそこだけじゃいないがな……」

「????????」

 

 渋沢の発言に不思議に感じた釤之助。

 それは、「ギルド」の到着によって

 その事実と意味と真意を知ることになったのだ……。

 




釤之助回完了。
旧日本軍から石原莞爾と樋口季一郎
幕末から西郷隆盛と高杉晋作
そして大河ドラマに出演(主人公)の渋沢栄一

次回からは秀吉達と会います。
そして「ギルド」とは・・・!?


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叢雲牙の戦い〜夢幻百鬼夜行の釤之助〜 衝撃の章

釤之助、ギルドに立ち寄る。
そこには「意外な偉人」たちと出会います。


正直驚いたよ

 民間兵社の社長は、まさか「渋沢栄一」! 

 その上、坂本龍馬だけじゃなく

 

「西郷隆盛」「真田幸村」「宮本武蔵」

「高杉晋作」「樋口季一郎」「石原莞爾」

 

 彼らが都にいることに驚いたよ。

 でも、その人達は他のところで仕事していて会う機会がなかった

 これから行く「ギルド」にその人達がいるって話だ。

 

 民間兵社を後にして、俺たちは「ギルド」ってところに向かった。

 なんでもそこは妖魔や怪獣怪物の討伐や捕獲の専門組織だって話だ、そしてそのギルドは渋沢栄一が手掛けた施設の一つだそうだ! 

 そして、渋沢曰く「戦や学問に優れた者達が辿っている」って話だ……。

 なんでもそこには「西郷隆盛」と「真田幸村」がそのギルドって所で働いてるらしい……! 

 

都・ギルド

 

「ここがギルド……!!」

 

 釤之助たちは、「ギルド」に到着した。

 外観は一昔前の学校に似ており、英国風に寄っているのだろうか……? 

 英国式に建てられいるが、内装や組み立ては日本式だ。

 耐震強度、防災機能を取り付けられている

 鉄柵を立てている、侵入者対策を徹底しているのだろうか、あちこちには防犯対策のカラクリがたくさんある。

 短時間の鑑賞を済ませた釤之助たちは紹介状を差し出し、ギルドに入った。

 

「おお……!」

「こっこれは!?」

「すごい……!!」

 

 中に入ると、西洋式のシャンデリアや様々な絵画や自画像が飾られていた。

 その自画像の中には、阪急や宝塚創設の実業家「小林一三」や

 インスタントラーメンを作った「安藤百福」、そして世界最速のエンジンを作り上げた発明者「本田宗一郎」と電化製品の開発者「松下幸之助」等の自画像があった……。

 

「これは……?」

「これって…………もしかして、めちゃくちゃ有名どころの!?」

「なんじゃ? 知っておるのか?」

「知ってるも何も、()()()()()()()()()()()()()()()()だ……」

「……へっ?」

「かごめ先輩……? 

 宝塚や東宝、インスタントラーメンにHONDA等は知ってるよね? 

 この自画像の人たちなんですよ?」

「……ええっ!?」

(あっ、これ()()()()()()()()()()()()()()()()みたいだな?)

「まず、小林一三さんは「阪急」と「宝塚」、「百貨店」や「東宝」を立ち上げた実業家さ、宝塚や東宝は流石に知ってるよね?」

「えっ? ええっと、宝塚ってあの劇団の? 

 東宝はあのアニメや映画の?」

「まあな、最もわかりやすく言えば「デパート第1号(阪急百貨店)」や「阪急電鉄」で有名だな?」

「ほぉ〜?」

「あのう、こちらの方は?」

 

 プリムはもう一つな自画像に指をさす。

 

「ん? ……ああ、安藤百福さんね?」

「ご存じなのですね?」

「ええっと、一応聞くけどどんな人なの?」

「インスタントラーメンを作った人」

「えっ?」「いんすたんとらあめん?」

「ああ、それのおかげで震災復興の非常食や軍や工事の携帯食として世界的な有名になったって話だ、阪神淡路や新潟越中級の自然災害にはうってつけさ?」

「なんと……!」

「そんなにすごいの? 

 そのインスタントラーメンは?」

「うん、熱湯を入れる→3分待つ→出来上がりさ」

「は? それだけか?」

「そう、その「それだけ」がすごいんだよ?」

「なんじゃと?」

「考えてみろよ? 

 戦の最中や震災の中、()()()()()か?」

「それはさすがに……あっ!?」

「そう、そんな最中や被害の中でも()()()()()()()()()()()()()()()があるだけでもどれだけありがたいかわかるだろ?」

「そうか、それさえあれば如何なる状況下でも()()()()()()()()()ということか……!」

 

 七宝やオリガ達が感心する中、かごめは一つの自画像を注目していた。

 

「ねぇ、釤之助くん?」

「ん?」

「この人についてはわかるの?」

「ん……? 

 本田宗一郎のことか?」

「本田宗一郎……?」

「日本一を超えた世界最速の自動車を作った人だよ。

「HONDA」の創設者だよ」

「「HONDA」……って、あのHONDA!?」

「そう、日本一の自動車会社だよ。

 世界最速の自動車を作った人さ」

「この人が……! 

 社会見学でよく話を聞いたけど、自画像を見るの二度目かな?」

 

 日本の偉人の自画像を鑑賞を済ませ、目的の場所に向かう。

 その途中には、訓練所にはガンランスやチャージアックス等を振るう士族の人たちやオークやオーガ達の姿や、様々な飛龍種や牙竜種の生体研究に打ち込んでいる学者達を見かけた。

 

「いろんな人たちがいるんだなぁ……?」

「ほぉ……ここはまるで……」

「珊瑚ちゃんの故郷と同じね……?」

「うん……」

(珊瑚の故郷? 

 ……確か奈落一味に壊滅させられたってやつか?)

 

 釤之助は、珊瑚の心中を察する

 敢えてそこを触れずにおいた方が彼女の心のためだ。

 

「ところで、ここの人は誰なんだ?」

「わからないわ、会ってみないと?」

「だな、そろそろ着くな?」

 

 釤之助たちは、「ギルド長」と書かれた部屋の前に着く。

 

「ここだな?」

「みたいね?」

 

 釤之助はノックをした、

 しかし反応がなかった……。

 

「???」

「???」

 

 もう一度ノックをする。

「どうぞ〜」

 

「っ!?」

「今声が……!?」

 

 扉を開けると、イビキを上げて爆睡していた男と昼寝から起きた男がいた……。

 

「…………大丈夫?」

「まあな、色々とあって忙しくて……やっと終えたところだ……」

「あっ、そうなのですね……お疲れ様です……」

「さて、君たちは誰かな? 

 このところ人の出入りが多くてね……」

「ええっと、安倍釤之助です……(汗)」

「ひっ日暮かごめです……」

「ん……? 

 んんっ!? 

 もしかして君たち、坂本さんが話していた!?」

「えっ?」「坂本さん……?」

「坂本さんというと、坂本龍馬?」

「そうか! 君たちのことは彼から聞いてるよ! 

 おっとすまない、私は「大久保利通」だ。

 最もわかるはずだ、私が何者なのかを」

「大久保利通……? 

 っ!? 維新の三傑の大久保!?」

「ええっ!? 

 ……じゃあ、ギルド長って……!!」

「ん……? 

 どうしたんじゃあ? 

 大久保?」

「おおっ、ちょうど起きたところか! 

 西郷!」

「さっ西郷!? 

 ってことは!?」

「そうだ、ここ「士学校」の校長にしてギルド長の西郷隆盛だ!」

 

えええええっ!? 

 

 釤之助とかごめの驚きの絶叫は士学校全体響いた……。

 

 西郷隆盛。

 みなさんご存じの西郷隆盛

 幕末期の伝説の英雄。

 日本政府創立の立役者の一人である

 元々は薩摩藩士の若者だった、少年時代に喧嘩騒ぎで刀傷を負ってしまう。

 藩士になってからその働きは「島津斉彬」の側近として大抜擢する、しかし斉彬の死後「久光」との確執によって「琉球」に流罪される。

 流罪の最中「薩英戦争」勃発、壊滅的な被害を負うもイギリス軍と五分の戦いを繰り広げる。

 その後は禁門の変や長州征伐で武勲を上げるも、この行いに疑問を抱いていた、その時「坂本龍馬」との出会いによって歴史を変えた。

 桂小五郎(後の木戸孝允)と同盟を結んで、討幕の旗を上げる(薩長同盟)。

 これによって、100年続いた徳川幕府を終止符を打つ。

 一時は江戸を攻め落とす勢いだったが、「勝海舟」との会談でことなきことを得る(江戸城無血開城)。

 その後は政府の役人として働くも、大久保利通達との方針と思想の対立によって政府を去る。

 士族達のために学校を作るも、すれ違いによって「西南戦争」勃発して戦死する。

 

 大久保利通。

 西郷隆盛の幼馴染にして維新の三傑の一人である。

 西郷とは違って頭脳明晰な好青年

 西郷隆盛と共に討幕の旗を掲げる。

 日本政府の立ち上げで西郷たちと対立してしまう

 西郷隆盛が立ち上げた士族たちの学校を視察員を出すも、一部の勢力たちとのすれ違いによって「西南戦争」が起こる、これに大久保は涙流して後悔していたという……。

 その一年後に不平士族たちとの襲撃に遭い、斬殺される。

 

 今この世界の二人は、一時彷徨いかけていた

 その時に「坂本龍馬」と「渋沢栄一」たちと再会に喜ぶ。

 その後はかつての仲間たち(桂小五郎・高杉晋作等)と再会し、都を立てたのだ。

 

「坂本さんから、話を伺っておる。

 叢雲牙のことじゃの?」

「ああ、そのことで力を……」

「貸してやりたいが、手を貸しづらい状態なんじゃ……」

「えっ!」

「どっどうして!?」

「君たちは、「ナチス」という組織を知ってるな?」

「っ!?」

「実はわしらは、ナチスと戦っていての…………。

 ナチスに占領された国や地域の民を救ったり、連戦続きで士兵たちは満身創痍に陥っていたんじゃ……」

「そんな……」

「そういえば、渋沢の元でそのような話があったな……」

「おっ? おまんらは渋谷さに会ったのか?」

「ああ、坂本龍馬さんからの紹介を得てな」

「そうか、なかなかの会社じゃったろ? 

 いろんな武具や玩具や道具がいっぱいあったじゃろ?」

「ああ、見たことあるもの全部だったよ……。

 あれはなんなんだ? 本来ならあれは全部……」

「そう、あれは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の物じゃ。

 しかし同じ世界に異なる時代の物、本来なら()()()なんじゃ」

「しかし、この世界だと一緒にある物になっている……」

「そうじゃ……わしらもそれについては驚いとる。

 とは言え、この話は二の次じゃ」

 

 ギルド……もとい「士学校」の勢力はナチスとの戦いによって半減している。

 今動かせるのは鉄砲隊200

 近接系兵隊400

 魔法系は150

 本来の勢力の半分以下であった。

 本当なら叢雲牙との戦いで力になりたいのも山々なのだろう、

 しかし動かせる兵力数は少なかった……。

 

「兵力数はほとんどだけど、今ある装備でなんとかなれるかなぁ?」

「仕方ないよ、ナチスって連中に連戦続きで疲弊しきってる……。

 私たちにできることをしよう?」

 

 アリシア達は装備を整え、新調していた。

 アリシアは「キリン装備」(槍)

 プリムは「ザザミ装備」(杖)

 マイアは「ガロン装備」(片手剣・片手斧)

 クロエは「ナルガ装備」(短剣二刀流)

(オリガは普通のローブや杖の新調をしただけ)

 かごめ達は装備と道具を揃えていた。

「いろんな武器防具があるけど、こんなにあるなんてね……」

「私たちは武器の手入れで充分ですから、急ぎましょう」

「そういえば、釤之助のやつは?」

 

 一方、釤之助はというと……。

 

「さてと……俺はこいつでシャレこむか?」

 

 釤之助は大太刀を背負っていた。

 刀身は大きく太く長く、数倍の重量があった。

 そして歩兵銃を持っていた。

 しかしただの銃ではない、なんでも「魔法の弾丸」が撃てるらしい。

 

「ふむ……これだけの装備があれば多少なりとも戦えるか」

「これが彼らの装備か? 

 こんなものが役に立てるのか?」

「ないよりかはマシだろ? 

 さて、これからだ」

「西郷さんが手配してくれた部隊と合流、そして私たちは叢雲牙のいる「関ヶ原」という地に向かう……」

「ねえ、本当に勝算はあるのか?」

「さあな? 

 肝心の犬夜叉も殺生丸は関ヶ原についてもバラバラになるだろうよ? 

 やれることをしようや?」

 

 そして、釤之助たちは士学校の大広場に出る。

 大広場には魔法を使う人や、銃剣や機関銃を携わっている部隊や騎兵の姿がたくさんあった。

 

「すごい……! 

 少数でもこれほどの武器を……!」

「三八式どころか自衛隊の現行銃器まである……! 

 ……おおっ!? あれは!?」

 

 釤之助が見たのは、日本の誇りにして旧日本軍の翼「零戦」があった。

 それだけではない、紫電や月光に隼、そして飛燕と疾風等があった。

 

「すっげぇ!!!! 

 これミリタリーマニアの人たちがいたら涙と歓喜の渦だぜ!!」

「釤之助君……(汗)」

「やれやれ、こやつ物知りなのはわかるが

 実物を見て狂喜乱舞しておるわい……」

 

 七宝やオリガ達は釤之助の興奮についてこれず、傍観していた……。

 

「これは……釤之助の奴しかわからん領域じゃのう?」

「ええ、ですがあれを見たところ

()()()()()()()なんでしょうね?」

「そうなのか、弥勒?」

「いえ、形状的に見たらですがね? 

 見たところ雲母のように空を飛べることは確かな様子……」

「おや? 戦闘機の特徴を見抜くと中々だね?」

「っ!!」

 

 突如、付近から声がした。

 声をした方に向くと、()()()()()()()()がそこにいた……。

 

「あなたは……?」

「むっ? 

 君たちは見たところ()()()()()()()かな?」

「!?」

「構えなくていい、私は味方だ

 この士学校の教官の一人として働いている

 ……って、正確には幹部だな」

 

 老人の衣装は古代からのものなのか? 

 そのたたずまいは強大な重量感と圧倒的にな風格、そして何より()()()()()()()()()()()()()()()()()であることを……。

 

「よお、戦闘機の鑑賞済んだぞ……?」

「あっ! 釤之助さま!」

「どうした?」

「んっ? 

 ……もしかして、君が噂の戦士か?」

「えっ? 

 なんだ、この爺さん?」

「おや、こうして会うのは初めてか? 

 とはいえ、名を名乗らなければ失礼だな。

 私は()()()()()だ、君たちの代では私のことを()()()()()()()と呼ばれている男だ、知ってるかな?」

 

 その老人の名前を聞いた瞬間、釤之助は()()()()()()()()()()になって声無き絶叫を上げた…………。

 

「釤之助君!?」「釤之助さま!?」

「釤之助っ!?」「釤之助ぇ!?」

 

 釤之助のリアクションに驚いた一同

 冷静さを取り戻すまでには数分がかかった……。

 

 さて、何故釤之助がこうも驚いたのか

 それは老人の正体は、かの「ハンニバル・バルカ」である。

 世界各国の軍事学校の教科書に絶対載せられている()()()()()()()である。

 かつて古代の時代に「ローマ」が栄えていた、そのローマは世界の強国と大軍を恐れなかったが、このハンニバルというたった一人の男を恐れていたのだ。

 しかし、そんな男を打ち破ったのは「スキピオ・アフリカヌス」である、ハンニバルの戦術戦略を模倣してようやく打ち勝ったのである。

 そんな彼は現在、士学校の教官を務めている

 その手腕と戦術戦略は各英雄達を唸らせるものであった。

 

「ほっホンモノなのっ…………!?」

「はっはっはっ! 

 その反応だと()()()()()()な?」

「釤之助よ、この老いぼれを知ってるのか?」

「知るも何も……。

 オリガ、あんたが全盛期の魔力を持っても()()()()()()()!」

「!?」「っ!?」

「そして、セレスティンが幾ら未来を見ても()()()()()()()()になって()()()()()を絶対にするような男だ……!」

「っ!!」「えっ!?」「はぁっ!!?」

「おっおい釤之助!! 

 この老人はそれほどの男なのか!?」

「そりゃそうだよ…………。

 世界の英傑達が連合軍全員は口を揃えてもこう言う……()()()()()()()()()()()ってな……!」

 

 釤之助の発言に、一同は半信半疑で驚いていた……。

 

「ハンニバル殿!」

「むっ? 

 おお、幸村か?」

「……えっ?」

 

 一隊を引き連れた若い将が現れた。

 

「幸村?」

「幸村って……まさか!?」

「おや、やはり()()()()()()()か? 

 やはり、日本人ならば彼を知っていて()()()()だな?」

「うん? 

 ハンニバル殿、この方々は……?」

「おっと、会うのは初めてだったか

 彼らは君と同じ日本人だ、幸村」

「なんと、それは失礼をした! 

 私は幸村、真名(まことな)は真田源二郎信繁。

 皆からは真田幸村と呼ばれています!」

「えええっ!?」「やっぱりか!!」

 

 真田幸村。

 真田昌幸の子にして真田信之の弟。

 少年期、織田家の人質として送られるも

 本能寺の変にて脱出を余儀なくされる。

 その後は上杉の人質として生活を送り、「第一次上田城の戦い」で武功を挙げて、真田の名を天下を広める。

 その経緯で「直江兼続」や「前田慶次」との交流を深める。

 そして、豊臣家の人質として送られ、その後は「石田三成」や「大谷吉継」との交流を深める。

 石田三成率いる軍に加わり、「忍城攻め」で軍の被害を抑えたり、連携して持ち堪えるなどの働きを見せる。

 それから月日が経ち、秀吉の亡き後の問題が起こる

「徳川家康」との対立によって「関ヶ原の戦い」が勃発する、真田昌幸と共に豊臣に付く、対して真田信之は徳川に付く(犬伏の別れ)。

 関ヶ原の戦いの最中、「第二次上田城の戦い」によって「徳川秀忠」の軍勢を抑えて圧勝する、しかし関ヶ原の戦いは石田三成の敗走によって「九度山」によって親子共に流罪される(本来なら斬首刑にするはずだったが、信之夫妻の嘆願・本田忠勝の説得(脅し)によるもの)。

 父・昌幸の死後から数年経ち「大坂の陣」に参戦する、そして南の三の丸の不備を指摘し、「真田丸」を建造する。

 冬の戦いによって一時的に優位に立つも、大砲を打ち込まれて和睦をする。

 しかし、それは徳川家康の策謀であり「真田丸」諸共外堀を埋めて「内堀」を埋めたことによって城の守りを失ってしまった。

 夏の戦いによって、野戦を持ちかけるも覆すことはなく惨敗、そして一矢報いるために「徳川家康がいる本陣」に特攻を仕掛ける。

 この戦いぶりによって、後世の人々は彼をこう語った……。

 

日の本一の兵

 

 真田幸村の死後、兄の信之は真田家の当主として務め

 その後は息子に家督を託し、90年の生涯を送った……。

 ちなみに幕末期に入って「佐久間象山」という兵法家が後に「勝海舟」「吉田松陰」「坂本龍馬」等の偉人を輩出をしたのであった……。

 

「釤之助、大丈夫か?」

「大丈夫、少し魂が抜けかけていた

 というか発作していた」

「急に倒れかけてきたから驚いたよ! 

 ハンニバルといい、真田幸村といい……。

 この人たちのことを知ってんだろ?」

「まあな…………

 正直言って失禁してもいいレベルの展開……」

「漏らすほどの傑物なのか、この人たち?」

「わからないのも無理ないか……。

 それより、何故?」

「私は石原莞爾君に猛烈に誘いを受けてな、

 真田幸村君の場合は士学校の噂を聞いて入ってきたのだ」

「はい、私もここで様々な文や軍事を学べられる機会があると聞き、ここで隊員として務めていたのだが、今は一隊長として務めております!」

「そうなんだ……」

 

 ハンニバルの元で鍛えられた人たちは、幸福だろうと感じた釤之助であった…………。

 

「おーい! 

 幸村!!」

「武蔵どの!!」

「武蔵……? 

 っ! 二天一流の宮本武蔵!?」

 

 宮本武蔵

 二刀流の有名な剣士。

 かつては関ヶ原や大坂に島原で武勲を振るも、時代は学問中心となってしまい、お払い箱になってしまった不遇の英傑。

 最も有名なのは吉岡一門・巌流島・五輪書である

 そんな彼は現在、士学校に入り

 幹部として剣客として大いにその手腕を振るう。

 

「なんだ? お前俺を知ってるのか?」

「知ってるも何も、剣道愛好家の人たちなら口を揃えて宮本武蔵の名前を出すよ」

「そうか! そりゃあ嬉しいね!」

「はあ……。

 これまたわしらのついて来れん域じゃのう……」

 

 そんな彼らのやりとりに、七宝たちやオリガ達はただ傍観していたのであった……。

 その時だった、騎士の一団が大広間に現れた。

 

「ハンニバル先生!」

「おおっ! 

 いいところに帰ってきたな!」

 

 騎士団の中心人物なのだろうか、それは麗しく()()()()()であった。

 

「ん?」

「おや、なんじゃあ奴らは?」

「あれは……?」

 

 見たところ、中世の騎士なのだろうか? 

 どこの騎士団だ? 

 

「おや、君たちは彼女を見るのは初めてか? 

 彼女はジャンヌ・ダルク。

 元いた世界では「オルレアンの乙女」で通っていたのだ、知ってるだろ?」

「!?」

「ジャンヌ・ダルク!? 

 百年戦争のフランスを守ったあの!?」

 

 ジャンヌ・ダルク。

 フランスの英雄「オルレアンの乙女」の異名を持つ少女

 元は一農家の一人娘であったが、謎の声に導かれ剣と旗を持つ。

 周囲は名も無き少女として扱われていたが、度重なる戦で武勲を挙げて神の子としてその名を讃えられる。

 しかし、戦争が落ち着く頃合いになり

 次第に彼女の存在を恐れ疎まれるようになり、結果投獄されるのであった。

 しかし悪漢たちの暴行と奸計によって、処刑の口実のでっち上げによって火炙りにされる。

 その後は家族や仲間達の訴えによってその名誉は回復されたのであった。

 現在この世界では一時彷徨い、そして士学校の噂を聞き入った。

 その後は真田幸村と宮本武蔵と共に士学校の一員として暮らしている。

 

「まぁ、わたしたち以外にも!?」

「そうだ、彼らも私たちと同じくこの異世界に巻き込まれた人たちだ」

「そうであったか…………、我々のことを知っていて当たり前か」

「ああ、そうだったのか! 

 お前らは俺たちのいた時代のその未来からの人間だったのか!」

「そう……でもこうして本人達と会えるなんて夢物語だよ」

「夢にしては現実味がないけどね……」

「そう言うが、わしらはこの人たちのことは全然じゃ」

「そりゃあ、お前達みんなは戦国時代の人でも

 京の都の出来事なんて知っていたら怖いだろ?」

「それはそうじゃの……(汗)」

「まあ、それはさておきってところで……。

 カルタゴの大将軍が士学校の教官を務めてるだけでもやばいけどな…………」

「それは言えてるな、でも君たちがここにきた事情について話してくれるかな?」

「おっとそうだったな! 

 実は……」

 

 釤之助たちは叢雲牙のことをハンニバル達に話した。

 

「そうだったのか、それで我々の力が欲しいということか……!」

「そう……なんだけど……」

「確かに、我々の力が必要になるが

 不幸なことに「ナチス」との連戦続きで今ある兵力は半分以下だ、しかし貸せないわけではない、今ある兵力を持ってすれば微力でも戦える」

「本当ですか!」

「うむ、実はこの間秀吉たちと会っていてな?」

「秀吉!?」

「秀吉の軍勢に武田・上杉・北条・毛利の同盟軍を加えれば戦える、我々の今ある兵力を加えればな」

「マジでか!? 

 それなら……!」

「そう、戦いに挑めれるが……

 実を言うと私も参戦したかったのだが……」

「えっ?」

「本来なら私が行けば勝てる戦になれるが、ナチスのこともある…………。

 すまない……」

「……!」

「ふふっ、安心したまえ。

 ナチスなんぞ所詮は物盗りと国荒らしを繰り返してきた賊軍、私から見れば勢いだけの蛮軍だ。

 ナチスのことは私と石原君たちに任せて、

 ジャンヌ君たちと共に秀吉の元に行くが良い」

「はいっ!」

「先生、お気をつけて……!」

「うむ、君たちもな?」

 

 こうして、釤之助達は装備を整え

 ジャンヌ・ダルク・真田幸村・宮本武蔵たちと共に軍を率い、秀吉の元へとかけ走った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???????

秀吉・同盟軍拠点

 

 一方、秀吉たち軍勢は張り詰めていた空気に包まれていた。

 織田信長の報せと任務を請け負った秀吉は緊張して横になっていた…………。

 

「はぁ……なんとかなったが……、やっぱり大物の大名は格が違うわ……!」

「秀吉様、お疲れ様です」

「くぅ〜、武田信玄に上杉謙信! 

 そして北条氏康に毛利元就とか、やっぱ格がちげぇよ!!」

 

 秀吉の軍の元には「石田三成」「加藤清正」「福島正則」等の武将文官達がいた。

 

「三成、織田方と徳川方の動きは?」

「ああ、織田軍は曹魏と共に軍を率い「黒龍船」を用いて本陣にするとのことだ、そしてかの「白狼王」と出会えたことで軍門に招き入れたとのことだ。

 徳川方と蜀軍と共に軍を率い進軍、そして「赤衣」の半妖と出会い軍門に加えたとのことだ」

「ほお……! 

 それは流れがいいな、あとは関ヶ原で南北抑え

 そして我々は東の地に陣地を立てば、包囲は完成だ」

「まっ、最も上手く連携できたらの話ですがね?」

「左近、そうなっても我々がやるのだ!」

「へへっ、それなら頑張らないといけませんね?」

 

 島左近

 石田三成の配下の軍師。

 流浪時代、一時武田の元に滞在していた

 それ以降転々と各地に戦に出て、豊臣軍に居座る。

 その経緯で石田三成に仕える。

 主に有名所は「関ヶ原の戦い」の逸話である

 敗走状態の最中、猪突猛進の如くに徳川本陣に突っんで戦死する。

 その獅子奮迅ぶりの戦に、数多くの将兵にトラウマを植え付けたのである。

 

「しっかしまあ、あの坂本龍馬って人も中々のキレものでしたねぇ?」

「ふんっ、物売りに身を移した武士の力を借りずとも

 我々の力だけでもことを進めれたというのに……」

「そう言うな? 

 坂本龍馬の交渉術と物資が無ければ同盟は結べられなかったのかもしれないぞ?」

 

 かつて秀吉は坂本龍馬と会っており、同盟の交渉のために助力した。

 見たこともない物と食材、そして武具等を提供したことで同盟は結びやすくなっていた。

 武田・上杉は酒と武具

 北条は食材

 毛利は書物

 それによって興味を示したことによって喜んで結んだらしい…………。

 

「しっかしまあ、坂本龍馬って野郎は面白ぇ奴だな! 

 いろんな飯や道具を売買してるんだよな? 

 なんならうめぇ酒を用意してくれんだろうな?」

「馬鹿、戦前に酔ってしまったら支障が出るだろ! 

 そんなことをする暇があるなら叢雲牙ってやつを倒してからにしろ、正則!」

「ああっ!? なんだよ清正? 

 少しは楽しみを持てよ? 

 あの男、腹割ったら結構面白い男じゃねぇか! 

 お前もなんか欲しいもんがあったら言っとけよ!!」

 

 加藤清正と福島正則

 この二人は「賤ヶ岳の七本槍」で名を馳せた武将。

 元々実子に恵まれない秀吉夫妻は養子縁組や孤児の面倒を見ていたため、「家族」なれど血のつながりのないものだったが、血のつながり以上の家族の一員である。

 加藤清正は九州地方の大名として、福島正則は広島の大名として反豊臣秀吉派の大名達の監視を務める。

 そして朝鮮出兵にて島津や毛利と共に先陣を切って猛威を振るう、しかし初戦は敗退して二度目は惨敗をしてしまう(←結果としてスペイン等格国は日本の軍事力を知るきっかけとなった)。

 しかし、その最中に秀吉は亡くなり

 石田三成の派閥と対立する。

 その後は徳川家康に付き「関ヶ原の戦い」にて先鋒を務める、そして外様大名として徳川に警戒しつつ豊臣家を守る。

 しかし、加藤清正は病没

 福島正則は許可を得て修繕をしたにもかかわらず、でっち上げの冤罪によって流罪、「俺は弓だ、戦じゃあ使われるが天下泰平の世ではお蔵入りだ」と嘆き、晩年を過ごしてしまう。

 

「やれやれ、あの二人はこんな異世界でも変わらないな?」

「そう言って、案外この世界を謳歌してませんか? 吉継殿?」

 

 大谷吉継

 島左近同様石田三成の配下にして腹心。

 そして、その娘君は真田幸村の妻である

 即ち真田幸村の義父にあたる人物である。

 かつては藤堂高虎と共に浅井長政に仕え、その後は織田家の家臣の家臣として過ごす。

 そんな中、二人は秀吉の家臣となる。

 秀吉の死後、吉継は豊臣に残り

 高虎は徳川家康の家臣となる。

 そして関ヶ原の戦いでは小早川隊たちの裏切りを予見するも、その他の隊の裏切りの連続によって敗走、そして己が手によってその生涯を幕を下ろした。

 

「そうか? 流れのわからないこの世界だからこそしれないな? 

 三成、お前もどうだ?」

「あいにく、そんなことをする暇があるなら支度に取り掛かったほうが有意義だ」

 

 石田三成

 秀吉子飼いの一人、

 関ヶ原の戦いの西軍の顔役

 秀吉との出会いは茶室に振る舞った時のことである。

 一度目はぬるい茶を立て

 二度目はあったかい茶を立て

 三度目はあつい茶を立てる

 その技に惚れ、秀吉の子飼いとなる。

 豊臣家になってから、政務の中心に立ち

 加藤清正と福島正則たちとの対立。

 秀吉の死後、対立が激化し

 徳川家康の留守を守った鳥居元忠を討ち取ったことで「関ヶ原の戦い」を起こす。

 元々は「毛利輝元」を御大将としてあげるも関ヶ原に来れず、島津・宇喜多・毛利等の諸将と共に戦うも小早川の寝返りによって惨敗。

 佐和山に逃亡を図るもの捕われてしまい、斬首される。

 

「しかし、こうして見ると壮観だな? 

 武田・上杉・北条・毛利と共に叢雲牙の軍と戦うのだ、負けてしまったら元も子もないのだからな?」

「そうだ、その為に勝たなければならない。

 この戦は、もはや他人事ではないのだ」

「伝令!」

「む?」「なんだ?」

「京の都から、士学校の将兵がご到着されました!!」

「そうか……!」

「遂に流れがきたな、三成……!」

 

 こうして、士学校の将兵たちと合流して

 秀吉の軍勢は整った。

 その将兵の中には、釤之助とオリガ達の姿があったと言う……!! 

 

 

 

 

 




釤之助回完了。
ちょいと長すぎた
そして次回は本番!


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叢雲牙の戦い・開幕

犬夜叉・殺生丸・釤之助の三人の心中と決意の回。


関ヶ原にて、各国の英傑と結社が揃い

 叢雲牙との戦いが始まろうとしていた

 織田・魏軍には「白狼王」殺生丸がいて

 徳川・蜀軍には「赤衣」の犬夜叉がいた

 そして、秀吉と同盟軍と士学校の元には釤之助達がいた。

 南北と東に陣を構え、戦いの火蓋が切って落とされるのであった……。

 

叢雲牙の城・天守閣

 

 うっひゃあ……これまたすげぇ軍隊だなぁ? 

 北に殺生丸さまと織田と曹魏

 南には犬夜叉と徳川と蜀……。

 そして東には見たこともない連中の集まりか? 

 秀吉ってやつを筆頭に武田や上杉とか……、まるでデカい戦が始まるって感じだな? 

 

「そのための戦だ

 こうでなくては盛り上がらないからな?」

 

 やれやれ、あんたはこんな世界の中でも随分と楽しんでるな? 

 まあ、俺もだけどな? 

 

「ふふふ……。

 しかし、刹那武丸の奴め

 獄竜破を使えば奴らを一掃できると言うのに、近隣諸国の野武士と野盗に怪物どもをなで斬りに使うとはな……」

 

 ふうん? 

 兵隊集めに行ってたのか? 

 ていうか、それあんたの入れ知恵だろ? 

 

「そうだったかな? 

 まあしかし、これだけの兵力ならば

 例え百戦錬磨の強者たちが犬夜叉と殺生丸どもを全力に加えたところで勝ち目などあるはずもない……」

 

 悪りぃ人だなぁ? 

 

 

 

 

 

 …………ところで、一ついいですかい? 

 

「なんだ?」

 

()()()()のことですが……

 

「…………。

 構わん、その為に呼び戻したのだからな?」

 

()()()()()()()()()ために、ですか? 

 そもそもあいつを見つけるのに()()()のせいで見つかりにくいって話じゃないですか? 

 

「そうだな、しかしそれのおかげで謀に精が出せる

 それはそれでいいではないか?」

 

 ふぅん……? 

 まあ()()()()()を隠すためとはいえ、こんなことになるなんて思わんでしょ? 

 さて、あっしは持ち場に戻ろとしましょうか? 

 あんたはどうしやすか? 

 

「少し見届けようと思ってな?」

 

 へぇ? 犬夜叉と殺生丸、そんで釤之助って奴ですかい? 

 

「そうだ……

 鉄砕牙と天生牙

 そして叢雲牙……

 三本揃えば天下を取れると謳われた剣がこの地に揃っているのだからな? 

 この大戦の行く末を最後まで見ようとな? 

 お前もどうだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夢幻の白夜

 

 

 

 

 

 

 

 

 結構ですよ? 

 それに俺は()()()を探さないといけないしな? 

 あいつは()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことができるしな? 

 この戦が終わったら褌を締め直さないといけませんよ? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奈落様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天守閣に立つ刹那武丸は、叢雲牙を用いて屍の兵たちを蘇らせ

 陣形を整えさせていた……。

 

面白い男だな、お前は? 

 

「何がだ?」

 

獄龍破を使えば、一気に奴らを葬ることができる上、決着も早く着くというものを? 

 

「それでは私の恨みは晴れぬ

 奴らには……。

 如何に大軍と精強な兵を揃えたところで

 不死の兵には勝てないと言うことを思い知るのと、絶望に飲まれて苦しんで果ててもらおう……!!」

 

ふっ、よかろう……! 

 

 

 屍の各兵隊は陣形を整え、列を成した。

 長柄の槍の兵

 弓の兵

 刀と剣盾の兵

 銃器を持つ兵

 それらを合わせて、その数は1000万…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 関ヶ原に集い、各国の英傑たちは屍の軍団と異形の城を見ていた……。

 

 

 

 

関ヶ原・南方

 蜀・徳川軍本陣付近

 

 見渡す限りの屍兵たちの大軍を見た犬夜叉と鋼牙、そして蜀・徳川軍。

 

「こいつは……!」

 

 犬夜叉が握っている鉄砕牙は、叢雲牙に呼応してるのか、カタカタっと震えていた……。

 

「鉄砕牙よう、どうやらドデけぇ戦になりそうだな?」

 

関ヶ原・北方

 魏・織田軍「黒龍丸」

 

「…………」

 

 殺生丸は一人先んじ、船に降りて戦地へと向かっていた……。

 

あなたは弱い

 己が力を満足せずに父の力を得ようとするところが……

 

(弱い……この殺生丸が?)

 

 殺生丸は、司馬懿の言葉に引っかかっていた……。

 

(愚かな……父上の叢雲牙を掴めば、

 私は父上と力を持ったことになるのだ……!)

 

関ヶ原・東方

 秀吉軍・士学校・同盟軍本陣

 

 本陣を整え、壮観な軍を目の当たりにしたかごめたち一同。

 眼前には屍の兵たちが陣を構えていた……。

 

「なんて邪気……!!」

「ここに立つだけでも素肌でも感じ取れるぜ? 

 相当殺し回ってきてるな?」

 

 眼前には木の根っこが突き上げていた、その風貌は禍々しく悍ましく感じ取れていた……。

 

「叢雲牙の奴、あそこを根城にしたか……」

「……アリシア、陣形図を見たか?」

「ええ、一通り見たわ」

「そうか、まずアリシアは真田幸村と加藤清正と福島正則と共に先鋒を務め、マイアとクロエは両翼の武田と上杉と共に行動すること。

 そしてオリガとプリムの二人は毛利と北条と共に本陣の守護及び後方支援をするって話だったな?」

「あなたは?」

「俺はどういうわけか、()()()()()()として戦に出ることになりました」

「遊撃隊?」

「そう、秀吉が筆頭の遊撃隊。

 参謀は黒田と竹中の二人で、ねねが忍び組頭をやってるところさ」

「はあ……」

「かごめたちも一緒さ? 

 今空中偵察に行ってるところさ?」

「釤之助っー!」

「っと、噂をすればなんとやらだ!」

 

 空中偵察に帰ってきたかごめたち、そこで見たのは

 天守閣らしき場所に「刹那武丸」と「奈落」がいたこと、

 そして屍兵の圧倒的な数と兵器……。

 それらの全てを報告しに戻ってきたのであった……。

 

「マジかよ……!?」

「大した数じゃよ、幾らわしらと共にいる軍隊が強力なものでも、数の暴力を見事に体現していたわい!」

「空から見て、圧倒的でしたよ……! 

 その数はよくて1000万を超えているものかと……!!」

「そんなに……!?」

「幾らなんでも、殺し過ぎだ……!」

「叢雲牙……、獄龍破でそれだけの数をぶち殺したってのか?」

「じゃろうな? 

 そうでなければ、あれだけの大軍は出来ん!」

「秀吉さまの話によれば、織田と曹魏の軍は八万

 徳川と蜀の軍は2万、そして武田・上杉・毛利・北条の同盟軍十万……。

 数集めて、ようやく二十万近くと言ったところです……!!」

「二十万……! 

 官渡・赤壁・夷陵の勝者は肝を冷える戦いをしただろうよ?」

「ええ、北方の軍の先鋒は張遼と文鴦たちが率いて

 その指揮は司馬懿と郭嘉等の軍師たちです。

 南方の軍は諸葛亮と龐統たちが指揮を取り、

 趙雲と関羽達が前衛を率いて行きます。

 聞けば、その陣営には源平の強者たちがいるとの報せがありました」

「ほお、徳川は豪華だな? 

 んで、ここの軍は両兵衛と元就が指揮と策を練り、武田上杉が前衛。

 本陣は北条とジャンヌの軍が守りつつ後方支援って感じだな?」

「はい」

「生ける屍の軍隊を相手にするのは、ちと骨に応えるな……? 

()()はあるのか?」

「弱点はある、屍たちの邪気を払えば元の屍になる。

 じゃが……あの数では確かに応えてしまう」

 1000万の屍の兵たちを倒すのは、幾らなんでもキツすぎる

 核兵器を持ってしても蘇る敵に無駄弾だ。

「そういえばよ、弥勒? 

 七宝は戦力に入るのか?」

「入りますよ?」

「へっ? 

 おい弥勒? 釤之助? 

 か弱いオラがなんで()()()()()()()()のじゃ?」

「何、これでもあなたには期待しているんですよ? 

 あなたの「狐火」をね?」

「それに、化て空に逃げる手段にもなれるからねぇ?」

「ひっ!? 

 そっそうか……!! 

 おい邪見!! 

 奴らを倒すには炎が効くんじゃ! 

 頼りにしておるぞぉ……!!」

 

「ぐっふふふぁっ!! 

 この人頭杖の力を見せてくれるわぁ!!!!」

 

「邪見? 

 大丈夫か?」

「めちゃめちゃ震えてる……」

 

「ばっばかもん! これは、武者震いじゃあ!!」

 

「さいですか……」

 

 ……っ? 

 突然、雨が降ってきた。

 叢雲牙の邪気に混じって出来上がった黒い雲から雷雨が発生した! 

 

(雨か……? 

 炎を持っての戦は難しくなりそうだな……)

 

「釤之助? どこへ行くの?」

「戦支度も済ませた、あとは持ち場に行って戦を始めるさ?」

 

 そう言って、釤之助は戦線に向かって走っていった……! 

 

「あっ釤之助!!」

 

 この時、関ヶ原に犬夜叉と殺生丸が既に到着していた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出撃!! 

 敵を翻弄、蹂躙してなぶり殺せ!!! 

 

 

 

 

 




三人の戦い開幕。
犬夜叉視点
殺生丸視点
釤之助視点
三者の戦いの舞台を作り、最後は揃います!!


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関ヶ原の戦い・犬夜叉

関ヶ原・犬夜叉編


 戦の始まりは、暗雲の落雷によって始まりを告げた。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

 

 力強く勢いよく走る犬夜叉、その後に鋼牙と蜀の英傑「趙雲」と「関羽」。

 それに続くは徳川の「井伊直政」と「本田忠勝」、そして源氏の「源義経」と平氏の「平教経」。

 屍の兵たちは、弓を構えて犬夜叉達に射抜いた! 

 降り注ぐ矢の雨に、犬夜叉と鋼牙は矢に地面に当たる前に素早く走った! 

 趙雲と関羽は武器を回して矢を弾き、井伊直政と本田忠勝は一振りで矢の雨を払った! 

 

「へぇっ! やるじゃねえか!!」

 

 源義経は光弾で矢を撃ち落とした! 

 

「流石、三国の英雄と戦国の強者! 

 私も負けられん!」

 

 平教経は太刀を素早く切り払って矢を叩き切った!! 

 

 敵陣に一番に切り込んだ犬夜叉と鋼牙、屍の大軍と戦った!! 

 

「五雷指!!」

 

 鋼牙は自身の武器「五雷指」

 雷を纏い、屍兵を一掃するも傷口が塞がれて再生してしまう。

 対し犬夜叉は鉄砕牙を振るい、叩き斬るも屍兵は再生してしまった。

 

「くそっ! キリがねぇ!」

「ちっ! てめぇらには用はねぇ!! 

 大将っ! 叢雲牙を持っている猛丸って野郎を出しやがれっ!!」

 

 犬夜叉と鋼牙は屍兵を薙ぎ払い、戦場を突っ走った!! 

 

「流石は赤衣の犬夜叉、信之の報せは真のものだったと言うわけか……!」

「叔父上っ! 俺たちも負けていられない!! 

 俺たち島津の強さを物怪や亜人たちに見せつけるんだ!!!」

「まあ待て、我らはただ屍兵を相手にするだけで良い。

 それに、島津の戦いは()()()()だろう?」

「!!」

 

 島津義弘の表情は、更なる強敵との戦いを楽しむかの如く。

 そして鬼神の如くに笑い、喜んでいた……!! 

 

 一方源平軍は義経と教経の活躍によって圧勝の勢いだった。

 

「……流石壇ノ浦で死闘を繰り広げた武者だな?」

「はぁ〜、こりゃあわしらの出る幕はないのか?」

「何を言っている? 

 俺たちが戦線に出て屍兵を倒しているのだぞ? 

 奴らの倒す数を比べると異常なだけだ」

「くぅ〜!! 若い二人に遅れはとらんぞ!! 

 たとえ同じ源氏だろうと宿敵の平氏だろうと負けんわい!!」

「おい義盛、相手は斬っても射抜いても死なない不死の屍の軍隊だぞ? 

 お前が総力持ってしても長期戦は不利だぞ?」

「なんじゃと義時!!! 

 わしら坂東武者が負けると言いたいのか!!」

「はい、負けます」

「率直!?」

「叢雲牙を倒せるのは犬夜叉と殺生丸……。

 つまりあの二人が結束しない限り、勝算は皆無に等しい……」

「ええいっ!!! 

 そこで見ていろ義時!!! 

 坂東武者の! 源氏の代表としての底力を赤衣と白狼王に見せつけてやるのじゃっ!!!!!」

 

 和田軍は旗を掲げて屍軍に目掛けて突撃した!!! 

 

「やれやれ……坂東武者には政の舞台にはふさわしくありませんね…………?」

「言うな、獰猛な獣でも使いようによっては意外と化けるかもしれんぞ?」

「そうだろうか……? 

 ……だが、願わくば化けて欲しいものだな?」

 

 義時と義村は激戦を繰り広げる源平軍を見て、戦後のことを考えていた…………。

 

「さて、戦況はどうなるのか見ものだな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

松尾山

 蜀・徳川連合軍本陣

 

「島津はどうしてる?」

「一歩も動いていません」

 

 本陣に鎮座する家康と劉備。

 黒田長政・諸葛亮・徐庶・法正は戦場の見取り図を見て戦況を確認していた。

 

「まず、龐統の報せによると……。

 犬夜叉と鋼牙は切り込んで先陣を取っている。

 趙雲と関羽たちは屍兵相手に善戦。

 島津は相変わらず…………。

 直政と忠勝たちは前線を上げて優勢とのこと」

「ふむ、そうか……」

「鬼島津あろう方々が動かないとは……」

「おおかた、()()()()()()()をしているのだろうな?」

「何?」

「犬夜叉殿を?」

「法正……何を根拠に?」

「あの鬼島津ですよ? 

 赤衣の犬夜叉と()()()()()()と目論んでいる可能性だってありますよ?」

「!?」

「現に義経様が犬夜叉と一戦始めたんですよ? 

 あの島津のことだ、戦が終えたら仕合を始めようと仕掛けにいく魂胆かもしれませんね?」

「…………!」

 

 法正の発言によって懸念が深まった……。

 義経然り、島津等の戦人は犬夜叉との仕合を望む声が出るだろうと……。

 

「報告!!」

「何事だ!!」

「戦場に鬼が現れ、その鬼は一振りの刀を奪って城に!」

「一振りの刀……?」

「その刀を奪った鬼がどうした……?」

「はっ! 鬼は確かに刀を奪われました……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その刀を、()()()()()()()()()としがみついてそのまま城に……!! 

 

「何っ!?」「なんだと!?」

 

 兵の報せに、本陣の空気が衝撃と緊張が走った! 

 

「その報せは真か!?」

「はいっ! それに少女だけではなく、()()()()()()()と一緒に城へ連れて行かれて……!!!」

「っ!! 孔明!!」

「なりませぬっ!!」

「引いてくれ!! 

 大将たるものとて、これを見過ごすようならば我が義の名折れ!!」

「劉備殿っ!!」

 

 劉備は双剣を持ち、戦線に出ようとしていた!! 

 

「殿? それは犬夜叉たちに知らせて行かせるのが確実かと……!」

「法正!」

 

 法正は劉備の前に立った! 

 

「あなたのことですから、戦線に出るつもりなのでしょう? 

 いくら黄巾の乱で名を馳せた御仁でも今は家康と並ぶ一国一城の主。

 御身に命及ぶは国の大事になりますよ?」

「……っ! なら法正よっ! 

 そなた見捨てよと申すのか!!!」

「見捨てる……? 

 じゃああなたの()()()()()()に振るう?」

「……っ!」

「殿、戦に出るのはあなた一人ではない。

 徐州と雒城でのしくじり、お忘れですか?」

「!」

「……どうしてもと言うなら止めません、しかし殿。

()()()()()()()()()()、本陣の守りは誰にさせます?」

「……徐庶! 家康!」

「はっはい!」「なんだ!?」

「廖化に本陣の守備を付かせるように伝えよ! 

 王平と馬超たちにはそれの支えと各隊の橋役を務めよと!!」

「はいっ!!」「おおっ! 廖化殿と!?」

「孔明!!」

「はっ!」

「四獣隊の皆に「劉玄徳が出る」と伝えよ!!」

「承知しました!!」

「法正よ!」

「なんでしょう?」

「私はこれから戦線に出る! 

 そのために副将が欲しい!!」

「ふふふ、あなたが出ると聞いたら兄弟と趙雲が一番にやります。

 魏延を付けましょう、赤兎馬の関羽と翼獣の張飛……。

 そして飛龍の趙雲があなたを守ります、陸地は魏延が適任……。

 報せを出せば瞬時に駆けつけて行きますでしょうね?」

「うむ、では行ってくる!!」

 

 劉備は双剣を携わり、愛馬の的盧に跨り戦線に出た!! 

 

「やれやれ……飴と鞭とはよく言ったね?」

「全く、臥竜鳳雛と呼ばれたあなた方は甘やかしすぎなんですよ? 

 俺みたいな悪人が側にいないと危なっかしい……。

 現に謀略と戦術に於いては私が適任、外交と内政に戦略に優れたお三方と比べると明々白々ですよ?」

「返す言葉がないよ……」

「へへっ、まあそれがあんたの魅力でもあり劉備の必要な御仁さ?」

「すまない、法正……」

「結構です、でも()()()()()はこれで返しましたよ?」

「……そうですね、貴方には大きな恩義を返せて良かったです」

「さてと、戦線のみんなに伝えないとね?」

「うむ、では私は忠勝と直政たちに伝えねばな?」

 

 本陣は慌ただしくことを進めた! 

 司令隊は「水晶玉」を使って各隊に劉備出陣の報を告げた! 

 これによって各軍の士気が爆発的に上がり、勢いが常識を覆した!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関ヶ原

 

 劉備の出陣を受け、連合軍は鬼神の如くに士気が跳ね上がった。

 その影響は「四獣隊」の人たちに出ていた……! 

 

玄武隊

 

「何ぃ!? 大殿様が出陣したと申すのか!!」

 

 玄武隊のほとんどは齢50〜80代以上の隊士。

 元々は50代以上が中心の隊だったが、「黄忠」等の年寄りが仕切るようになり、今に至る。

 しかし武術と知略に衰えも老いがなく、百戦錬磨の名に恥じない歴戦の猛者揃いだった。

 玄武隊には黄忠を始め龐統や本田正信、

 そして厳顔等の猛者がいた……。

 

『そうさ、止めようと言っても行く人さ? 

 法正が妥協案を出してね? 

 本陣は廖化と徳川方が守るからね?』

「そうかっ!! 

 ならば尚更振るわなければな!!」

『はぁ……無理なさんなよ? 

 あんたが年寄り衆の中で無茶苦茶元気なのと衰えがないと言え、油断はするなよ? 

 それじゃあ、あっしは持ち場に戻るんでね?』

 

 隊士は劉備出陣に驚き、ざわめいていた……。

 

「慌てるな者ども!!! 

 大殿の出陣となればわしらがここで尻込むわけにはならん!! 

 この黄漢升の弓を持って、屍どもを射抜きまくってやろうぞ!!」

 

 黄忠の檄によって隊士たちの士気が跳ね上がった!! 

 若いものには負けないと、遅れを取らないと意気込んだ!! 

 

「行くぞぉ!!!」

 

 弓と大刀を携え、馬に跨り戦線を押し上げた!!!!! 

 それに続いて騎馬隊と歩兵隊は勢いをつけて黄忠たちの後を続いた!!!! 

 

「ほっほっほっ。

 流石蜀の名将、わしらも負けるわけにはいきませんな?」

「正信様、後を追わなくても良いのですか?」

「わしらのような卑怯者は熱くて構わん、露払いの手伝いが欲しいと言うてはくれないかと各隊と本陣に伝えてくれ。

 わしらはわしらのやり方で戦うまでよ、なあ元忠?」

「はぁ……」

 

 

 

 

青竜隊

 

「伝令! 劉備玄徳様、御出陣!!」

「何っ!?」

 

 隊士のほとんどは30〜40代以上の隊。

 この隊には「石川数正」と「馬岱」・「馬超」等の猛者がいた。

 

「劉備様が来るって聞いてないぞ!? 

 てか、良いのかよ!?」

「仕方がないよ、劉備様が出ると言ったら出るんだし。

 でも法正殿が妥協案を出してきたんだから、大丈夫だと思うよ?」

「はあ……あの悪人相の参謀が?」

「こらこら、確かにあんな顔だけど言うもんじゃないよ?」

「馬岱! 数正殿!」

「ん? おお、馬超か!」

「劉備様の報せは本当か!!」

「ええ、本当ですよ! 

 若、ここは一肌脱いで行きましょう!」

「うむ! 我ら西涼鉄騎の真髄を今こそ見せるとき!!」

 

 馬超の号令で鉄騎兵団は士気が上がった! 

 

「行くぞっ!!!」

 

 先頭に馬超が突っ走り、配下の鉄騎隊士は続いて戦線に突撃した!! 

 その隊列の中に「関平」と「馬良」等がいた。

 

「やれやれ、若は異世界でも元気なんだねぇ……。

 お父様も一族もこれには微笑ましい光景だな?」

「だが、我々からしたら冷や汗ものでしょうな?」

「そうだね……、それじゃあ行きますとしますか!!」

 

 

 

 

 

 

 

朱雀隊

 

「大殿が出馬した!? 

 それは真か!?」

「はっ! 司令隊からの報せでは、的盧を跨いで戦線を押上に……!」

「……ならば我らは露払いに参る! 

 関興! 星彩!」

「わかってるよ!」

「劉備様が出るということは、父上たちも……!」

「恐らく……!」

 

 朱雀隊。

 隊士のほとんどは10代後半〜30代以上の隊。

 隊長格は「姜維」と「渡部盛綱」が仕切り

 配下には「関興」「星彩」「徳川秀忠」達がいた。

 

「姜維! 戦線には誰が!?」

「犬夜叉と鋼牙は最前線に立っている。

 源平軍は負けず劣らずに行っている……。

 関羽・張飛・趙雲殿は屍軍を単騎で一掃、火吹きの飛竜と鷹の翼を生えた獅子……もとい翼獣の機動力と攻撃力を見れば一掃はたやすい……。

 忠勝殿は叔父の忠真様と共に戦線を押し上げ、直政殿も忠勝たちに負けじと戦線をあげている」

「そうか……!」

 

 姜維は隊士たちに号令を上げた! 

 

「皆の者! 大殿がが出陣された!」

 

 姜維の発言によって、隊士達は驚きの声が出て

 ざわめきと動揺が走った。

 

「驚かれるも無理もない、しかし大殿は己が「義」と「仁」の為に剣を振るう!! 

 ならば我らはその剣に応え、大殿の為に戦おう! 

 朱雀隊! 戦線に押し上げて大殿の「王道」を屍軍から守るのだ!!」

 

 姜維の檄に、隊士達は声を上げた! 

 

「出陣!! 朱雀隊、参るぞ!!」

 

 姜維の号令に、朱雀隊は戦場に舞い上がった! 

 

白虎隊

 

「関索様!!」

「わかっている、劉備様が戦線に出たのだな?」

「兄様!!」

 

 白虎隊。

 四獣隊の中でも歴史的名高い隊

 隊士のほとんどは10代以上のみの少年兵。

 しかしこれを見た諸葛亮と黒田長政、そして本田正信は非効率で合理性に欠けると即答。

 その結果として改良と改善を重ね、「関索」を始めとする若者と「関銀屏」等を始めとする女性隊士、そして張苞等の若き志願少年兵達。

 主に親衛隊の補佐や司令隊の護衛等を務める「縁の下の力持ち」の異名を持つ編隊である。

 

「親父達も兄貴達も戦線に出るってことは、俺たちも出ないわけには行かないだろ!!」

「張苞! まだ司令隊から正確な指示が出てないよ!」

「でもよう!」

「関索様! 司令隊から指示が来たよ!!」

「王桃!」

「ちょっと!! あたしの関索様に何声かけてんのよ!!」

「鮑三娘、そんなの言いっこなしよ? 

 ……で、司令隊からの指示なんだけどよ」

 

 王桃は関索に寄り添い、司令隊からの指示を皆に告げた。

 

「ちょっと〜? 

 関索様になに色仕掛けしてるの〜?」

「あ? あたしが? 

 どうして?」

「鮑三娘! 王桃! 

 そんなことしてる場合じゃないでしょ!!」

「まっまあ、それよりも司令隊はなんて?」

「ん? えとね、司令隊から言うには「各隊と合流して支援にあたるように」って」

 

 司令隊の伝言によって方針が定まり、隊士達一同は列を直し整え、関索は一同に檄を発した! 

 

「皆! これより我らは各隊と合流し、劉備様の戦線を支援する! 

 玄武・青竜・朱雀の隊と合流し、援護する!! 

 皆! 奮起せよ!!」

 

 関索の号令に若き隊士達は声を上げた!! 

 白虎隊は戦線に出て、我こそはと言わんばかりの勢いで突撃した! 

 

「よっしゃあ! 親父達に驚かせてやるぜっ!!!」

 

 白虎隊より一番に前に出る張苞は屍軍をものともせずに薙ぎ払った! 

 




犬夜叉視点回完了

四獣隊の合戦は下手したら死ぬ。

同時進行+各視点で書いてる為、ずさん気味になりました。

ちなみに「徐州」と「雒城」の「しくじり」は惨敗と人的損失のことです。


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関ヶ原の戦い・殺生丸

関ヶ原・殺生丸編


 戦の始まりは、暗雲の落雷によって始まりを告げた。

 

 殺生丸は闘鬼神を抜いて、一振りで屍の大軍を薙ぎ払った。

 

「流石は白狼王、「黒犬傭兵団」を葬ったことだけはある」

「なるほど、父上達が奴を欲する理由がよくわかる」

 

 曹丕と司馬懿は軍を率いて進軍していた……。

 軍の中には「張遼」と「文鴦」等の猛将がいた、殺生丸の実力を目の当たりにして呆然としていた…………。

 

「なんと……!! 

 これほどの猛者だったとは……!?」

「白狼王……!! 

 あなどれませんな……!!」

 

 一方、魏・織田連合軍は黒龍丸を拠点に戦線を展開していた。

 

「撃てぇ!!」

 

 大砲攻撃で屍軍を狙い撃ち、群がっていた屍軍は大砲の弾の爆発によって吹き飛ばされる。

 

「あっはっはぁ、流石大砲! 

 これがあれば天下統一ができるもんだ!」

「だがしかし、大砲はおろか

 鉄砲を作るのに「弾丸」が必要になる」

「ん? ……ああ、確か()()が問題なんだっけ? 

 確か…………」

「「薬莢」と「雷管」。

 薬莢は難なくいけたが、雷管の原材料である「水銀」だ。

 肝心の水銀を無くしては弾丸は成り立たない」

「う〜ん、やっぱり難しいものなんだな……? 

 まあそれでも「エンフィールド銃」を元に改造した小銃、あれだけでもすごいのに……」

「「種子島」でしたな? 我らもあれには驚いた。

 元は南蛮という異国の銃器を元に、種子島の大名はそれを作り上げた。

 そしてこの異世界で「ヨーロッパ連盟」と名乗る者たちが我らに「パーカッション式」の銃を見せた……。

 それが()()()()()()()()()()()()()()()()ことを思わずに渡したのだからな…………」

 

 織田信長が有してる兵器は全て()()()()()()()()()を元に改造して作り上げたものである。

 水陸式要塞軍艦「黒龍船」は連盟の道具と物資を参考に作ったものである。

 同時に大砲も一新に作り、筒の中に螺旋状の溝を掘る等の試行錯誤を経て今に至る。

 

「さてと、戦況はどうなってるかな?? 

 あ〜、こちら賈詡。

 もしも〜し? 聞こえますか〜?」

 

 賈詡は水晶玉に声をかけた。

 

『于禁だ。聞こえているぞ賈詡』

 

「あっはっはぁ! 于禁殿か! 

 戦況はどうなっています、どうぞ?」

 

『全く、お主というやつは……。

 張遼は李典と楽進を筆頭に、徐晃と張郃共に屍軍を薙ぎ払うかのように戦線を押している。

 司馬のご兄弟はその者たちの戦ぶりに感嘆に陥って惚けてる……』

 

「ああ……だろうな? 

 そりゃあ張遼の猛攻ぶりを見たらそうなっちゃうな? 

 そう言えば、曹仁殿は?」

 

『バイキングとやらを引き連れて戦線に立っている……だが、肝心のバイキングは我が軍の武勇を目の当たりに惚れてしまっている』

 

「ありゃりゃ、せっかくの晴れ舞台なのに? 勿体無い」

 

『全く……賈詡よ。

 白狼王に仕える者たちは露払いのつもりなのか、屍兵を相手にしている。

 彼らに何か策を講じたらどうだ?』

 

「いや、その必要はないさ?」

 

『ほう……それはどういう?』

 

「曹操様の旗挙げの代に仕えた将軍于禁殿なら、()()()()()()をご存知のはずでは?」

 

『……なるほど、確かに必要ないな?』

 

「そういうこと、()()()()()()()()()()()()の気合いと底力は歴戦の猛者を唸らせるからね…………?」

 

 賈詡はそう言って、戦場の方に目を向けた。

 

(まあ、こんな妖怪が入り混じった戦争なんて

 本来は妖怪同士でするもの……我らが出る幕なんてないに等しいはずなんだがな……?)

 

「賈詡! 荀攸!」

 

「ん? 陳羣? どうした?」

「陳羣殿? 何を慌てて……」

 

「殿は!? 曹操様と信長様は何処に!?」

 

「えっ?」

「曹操様と信長様が、どうかされましたか?」

 

「いないのだ!!」

 

「…………えっ?!」

 

「船の留守をしている九鬼殿と勝家殿も探しておられる! 

 ここには!?」

 

「……いませんが。

 …………賈詡?」

「…………ああ。これ。

()()()()()()()()()()()()()いるな?」

 

 

 

 

 賈詡の推測通り、邪見の配下の戦いは凄まじさを出していた。

 殺生丸に近づく周囲の敵を火の息吹や空中からの弓と槍の攻撃を繰り出していた。

 

「行くぞ野郎ども!!!」

 

 配下の者たちは怒号の如くに猛攻を仕掛け、屍兵たちと戦っていた。

 

「邪見の旦那ぁ! 

 こちらのことならあっしらにお任せあれってな!!!」

 

 

 

 

 

「ふん、雑魚のもののけにしてはなかなかの士気だな?」

「うへぇ……、流石としか言いようがないなこりゃあ?」

「お前らなぁ……かの張遼様もだが、白狼王とその配下も侮り難いぞ?」

「杜預がそういうとはな? 

 お前のような鈍が言うと説得力が欠く」

「そんな言い方ないだろ、鍾会!! 

 時代が違えど同じ魏の将兵じゃないか!」

「魏のねぇ……? 

 曹操様と曹丕様の世と我らの生きた代を考えれば彼らは上だが、白狼王と比べれば我らは蟻だ、一目瞭然ではないか?」

「鍾会……!!!」

「鍾会、杜預。その辺にしろ」

「子元様!?」

「我らは言わば()()()()()を見る客だ。

 我らは我らの戦をすれば良い」

 

 

 

 

 

 一方殺生丸は闘鬼神を振るい、群がる屍兵を薙ぎ払っていた。

 数多に襲い掛かる骸を相手に顔色を変えずに優勢に立ち、何度も切り伏せていた。

 

 その時! 

 

 突然、曹操は殺生丸の前に現れた!! 

 

「!?」

 

 突然の登場に驚き、屍兵は曹操を目掛けて襲いかかった! 

 

 

 

 

 

「あぶねぇ!!!」

「あぶないだぁ!!」

 

 

 曹操の前に素早く現れたのは典韋、そして許褚。

 典韋は大型の手斧で屍兵を薙ぎ払い

 許褚は巨大な重棒で屍兵を吹き飛ばした。

 

「とっ殿! 急に戦場に出るなんて何考えてるんですか!?」

「そうだよう!! いきなりおら達に声をかけて出るなんて慌てて出ちゃっただよう!!」

「ふふっ、白狼王の戦ぶりを真近で見たいが故に出たまでよ?」

「いやっ、だからって白狼王様の戦いを見たいからって……!?」

「曹操様、心の臓が飛び出るかと思っただよう!」

 

 ドォンっ!! 

 

 その時、付近に黒い球が降りかかって爆発して

 無数に近い屍兵が一斉に首が跳ね飛んだ。

 

「白狼王、見事ぞ」

「信長か、すると今のは……」

「信長様!」

「ほお、お主も来ていたか?」

「あれれ? なんで信長様がおるんだ??」

「えっええ!? 

 光秀さん! こりゃ一体!?」

 

 織田信長と明智光秀の登場に、典韋達は驚いていた。

 

「うぬと同じ理由ぞ」

「で、あるか」

 

 屍兵が二人の大将を目掛けて襲い掛かるも

 典韋と許褚が薙ぎ払い、そして明智光秀の神速の居合で切り伏せる。

 

「信長様! 危険です! 

 此奴らは()()()()()()()()()!! 

 我らの兵器をもってしても消耗するだけです!!」

「であるか」

「そんな……!? 

 じゃあどうすりゃ良いんだよ!? 

 これじゃあどれだけぶった斬ったってキリがねぇじゃねぇか!!」

「曹操様! ここはおら達が!!」

 

 その時、一体の屍兵が殺生丸を襲いかかった! 

 

「っ!」

 

 振り払うも、「天生牙」が奪われてしまった! 

 

「っ!」

 

 その時、近くの一体の屍兵と後を追うかのように襲ってきた屍兵は()()()()()()いた!!! 

 

「いっ!?」

「うわぁっ!?」

 

シュッ

 

ドガァンっ!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん! ご無事ですか!?」

「荀彧か、良いところに助けてくれた」

「何をおっしゃっていますか!? 

 急に黒龍船から姿を消したと思えば戦線に出るなんて!!」

「でも、こうして白狼王と一緒に助け出せたのだから良いではありませんか、先生?」

「郭嘉! 何を悠長に言っておられるのだ!! 

 賈詡殿達が曹操様を見つけなければ危うかったのだぞ!!」

「ほお、郭嘉に陳羣も一緒か」

「何をした……?」

「私の陣杖で、皆様と付近の屍兵を入れ替えたのです。

 あの場でお救いするならばこの手をと……」

 

(あの一瞬か……)

 

「……あれれ?」

「どうした?」

「殺生丸様の刀が()()()()()()ぞ?」

「……?」

「無くなってるって……もしかして()()()()()()()()()()()()んじゃないか!?」

「…………」

 

(何を慌てている……天生牙如き、なくして惜しいものではないものを……)

 

 

 

(叢雲牙の狙いは殺生丸様と犬夜叉殿、すなわち天生牙と鉄砕牙……。

 女媧の話によれば叢雲牙を倒すには()()()()()()()()()()()()()……だとしたら)

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変だぁ!! 殺生丸様ぁ!!!」

「むっ? お前は……」

「あ? お前、この前の……? どうしたんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「りんが攫われたんすよ! 

 天生牙を拾った矢先に!!」

「っ!」

「はぁ!?」「えぇっ!?」

 

 

「それだけじゃあないっす! 

 もう一人の女も攫われて城に!!」

「であるか」

「であるかって……!? 

 殺生丸様! ……って、あれ?」

 

 配下が話しかけるも、殺生丸は既に城に向かっていた……。

 

 

 

 




殺生丸視点回完了

同時進行形式って大変。

銃器関係の話については後々にやります。


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関ヶ原の戦い・釤之助

関ヶ原・釤之助編


 戦の始まりは、暗雲の落雷によって始まりを告げた。

 

「撃てぇ!!!」

 

 戦車と大砲の砲撃は、屍の大軍に向けて発射した! 

 

(すげぇ……!! 

 旧日本軍の兵器は健在か!)

 

 釤之助は塹壕代わりに戦車の影で射撃をしていた! 

 上空では弥勒と邪見たちが空からの攻撃で応戦していた! 

 かごめは破魔の矢を打ち、珊瑚の飛来骨で一掃する

 アリシアは騎馬兵として戦線を走り、薙ぎ払い

 マイア掛け走って屍兵を切り伏せて走っての繰り返していた。

 

「なんなんだよこいつら!? 

 切っても切ってもすぐに再生しやがる!!」

「マイアっ!」

「釤之助!」

「そっちの首尾は!?」

「武田・上杉は戦線を押している! 

 でも屍兵の再生のせいで泥沼合戦だ!!」

「そうか……!」

「アリシアもクロエも戦線を押しているけど、やっぱり屍兵の再生能力で手こずっている。

 これ以上は消耗するだけだ!!」

「だからって、引くわけにはいかないだろ? 

 こういう奴らには必ず()()()()()()()だ!」

「弱点って、バカいうなよ!? 

 弱点ったって()()()()()()じゃあ、できないだろ!?」

 

 雨が降ってるせいで()()()()()()()()状態だった。

 火の魔法や火炎放射器を使ってやっと倒せる程度だが、雨天の中故に火力が半減してしまう環境下だった。

 

(ちくしょう、やっば本場の戦場はキツいなぁ!!!)

 

 銃で撃ち続けても敵の倒れる気配はなく、再生を繰り返していた……。

 

「釤之助! マイア!」

「クロエ!?」

「クロエっ!? 

 どうしたの!?」

「本陣から言伝! 

 作戦に取り掛かる、至急本陣に戻れとのこと!」

「はぁ!?」「なんだって!?」

「今、かごめ達と前線の軍に作戦があると伝えたから皆後退している! 

 お前達も引き上げろ!」

「わかった!」

「了解っ!!」

 

 クロエ・マイア・釤之助たちは旧日本軍の隊と共に戦線を離脱して本陣に戻った! 

 

「……さて、オリガ? 

 君の魔術は衰えいるとは聞いているが……。

 どのくらいまでできるかな?」

「全く、人間風情が妾に指図しおって……!」

 

 オリガは魔法陣を展開して、乾燥した空気を展開した。

 その空気を強風として放ち、戦場の湿気を乾かした!! 

 

「これはすごいなぁ!! 

 衰えていても、戦場の隅から隅まで風を吹かせるなんて!! 

 異世界の魔法は奥が深い!!」

「殿? あまり興奮なさらずに。

 吉川殿? 各軍は本陣に戻られましたか?」

「ああ、大殿と殿と輝元様の策謀だ。

 毛利三代の知略だ、おおいに張り切っておられたわ」

「そうですね? 

 何しろ輝元様のお父上……隆元様のおかげで元就様と輝元殿が張り切っておられる。

 元いた世界は、本来隆元様が当主として務めるはずが急逝されて、ご子息の輝元様が当主になってしまった……。

 この世界……セレスティン様と華岡先生との出会いがなければと思うと……」

「隆景よ、もう過ぎた事を浸る暇があるなら策を練ってくれ! 

 わしの軍略と隆景の司令があってこその「毛利の両川」だ! 

 秀吉のところの「両兵衛」に、わしらの年季の違いを見せつけてやるのだ!!」

「その事なんですが、実はこの策は大殿たちと両兵衛たちが立てたものなんですが……」

「……はぁ!?」

「吉川殿? もしかして話を聞いて勘違いをしていたのですか?」

「っ!!? そっそれは……」

「……まあ良いでしょう。

 あとは秀吉様の軍と幸村殿の軍、そして孫呉の軍が()()()()の取り掛かり、そこで反撃の狼煙をあげましょう」

「なに……? 

 ……っ!? 隆景、まさか()()をやるのか!?」

「そうです、ですが()()()()()()()()良いのですがね……?」

 

 本陣の言伝を聞いた各隊とかごめ達は本陣に戻る最中…………。

 

ドゴォンっ! 

 

「なんだ!?」

「落ち着け! 今はこいつらをばら撒いて速やかに離れるんだ!」

 

 加藤清正と福島正則は騎馬隊と輸送馬車を率いて乾いた藁と薪を戦場一体をばら撒いていた。

 

「おっおう、でもこれで行けれんのか?? 

 雨でまだ濡れて湿気てる場所だってあるだろ?」

「安心しろ、なんでもだあくえるふの女王とやらが魔法で乾かすとのことだ!」

「ふうん、あの別嬪さんがねぇ? 

 …………清正?」

「なんだ?」

「あのさあ、幾らダークエルフ? の女王様ってもよ? 

 あの格好、あんた目のやり場に困らないか?」

「何を言ってるんだ? 

 おねね様とは大して変わらないぞ?」

「…………清正、それよその女の人の前で言うのやめとけよ? 

 ドン引かれて腫れ物のようになっちまうぞ?」

ひゅるるる……

「あ? なんでだ?」

「……まあいいや、この話はキリないからやめだやめだ!!」

「……?」

 

 加藤清正と福島正則は撒き終えてその場を離れた……! 

 

 

 

 

「のわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

 

 一方、七宝は屍兵の群れに追われていた。

 

「なんでおらが()にならないかんのんじゃあ────!!?」

「そう言うなって!! 

 俺も小西も、片桐が引き受けて寄せて集めさせているんだ! 

 っても、お前みたいな可愛くて弱い小狐は屍兵達からしたら格好の的だから適任さ!」

「左近っ!! きさまっ!!!」

「はっはっはっ! 怒った顔は可愛くてたまらないねぇ!!」

 

 七宝は島左近に抱えられて撒き餌状態となって追われていた。

 

「左近殿!! 早く!!」

「早くしろ!! 

 出ないとお前も()()()()()()()ぞ!!」

「大丈夫だって!! 

 最悪この小狐を頼って逃げる腹積りさ!」

「なんじゃとお!? 

 お前はおらをなんだと……!!!」

 

 その時、屍兵は二人を囲うように群れを成して襲いかかった!! 

 

「ひぃぃぃぃっ!!!!」

「おっと、こりゃあ笑えないな? 

 それじゃあ先生! 

 よろしくお願いしますよっと!」

 

 左近は七宝を宙高くなげた!! 

 

「のわあぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 屍兵は左近を襲いかかった!! 

 

「ぬうおうりゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 島左近は自身の武器「斬馬刀」を振り回して屍兵を薙ぎ払った!! 

 

「ふぅ〜! 流石ミスリルで作った得物だ。

 普通の鉱物とは質も感触が違うねぇ?」

「おいっ! 左近!!」

「おお、悪いねぇ? 

 それじゃあ、いきますよっと!!」

 

 左近は自身の斬馬刀を踏み台にして変化した七宝に向かって飛び乗った!! 

 

「ぶみゅっ!?」

「おっと悪いな? 

 踏みどころが悪かったか?」

「むむっ……。

 ……おい左近、お前の剣は」

 

 七宝が斬馬刀のことを言おうとしたその時、長く丈夫な紐を引っ張ったら斬馬刀が抜かれた! 

 

「大丈夫、俺の得物は忍刀の工夫を拵えていましてね? 

 さっき踏み台にしたのはその為でしてね…………っと」

「はっはあ…………」

 

 

「……ん? あれは……?」

 

 

 

 

 

 

 

「……あっ!」

 

 その時、りんは()()()()を見つけた。

 

「あれ、殺生丸様の!!」

「なっなに!?」

 

 りんは天生牙を拾いに走った! 

 

「こっこら! りん!! 

 戻ってこい!!」

 

 

「あっ!? りんちゃん!!」

「っ! かごめちゃん!!」「かごめ様!」

 

 かごめはりんの元へと走った! 

 

 天生牙を拾いに行ったりん、拾うも屍兵に襲われる。

 

「っ!」

 

 その瞬間、間一髪にかごめの破魔の矢を屍兵を射抜いた! 

 

「りんちゃん!」

「かごめ様!」

「りんちゃん! 

 ここを早くここから逃げるのよ! 

 孫呉の軍隊が()()()()()()()()()()わ!!」

「ええっ!?」

 

 二人は急いで逃げようとしたその時! 

 鬼が二人と鞘を襲った!! 

 

「きゃっ!?」

「なっなに!?」

「なっ!?」

 

 突如現れた鬼に掴まれてしまった! 

 

「よう、初めまして」

「「っ!?」」

 

 二人の声をした方向に視線を向けると大きな折り鶴に乗っている優男に気づいた。

 

「悪いな? 叢雲牙……猛丸様からの頼みで天生牙を拾うようにって言われたが……こいつは良い餌になりそうだな?」

「だっ誰なの!?」「なんじゃお主は!?」

「俺かい? 俺は「夢幻の白夜」っていう者でさぁ? 

 まあ、そんなことはいいや……。

 お二人さんには悪いが、お客人としてお城にご案内ってね? 

 …………鞘もおまけだな?」

 

 白夜は鬼に指示して城へと共に向かった。

 

「っ!?」「かごめっ!?」

 

 かごめとりんが鬼に誘拐された瞬間を目撃した七宝と島左近。

 

「おいおいやべぇぞっ!? 

 嬢ちゃん二人!! 鬼に連れ去られて城に拉致られたぁっ!!!」

 

 島左近の大声に、付近の将兵がそれに気づいた!! 

 

「何っ!?」「何だとっ!?」

「っ!?」

 

 その報せは各本陣に届いた! 

 

「なんじゃと!? かごめとりんが!?」 

「……まさか、このような事態が起きようとは……!」

 

 本陣はざわめきが走った……。

 

「どうすりゃ良いんだよ!? 

 孫呉の! 仲謀に作戦を遅らせるように伝えたか!?」

「即伝えた!! 

 今配下の周瑜達に二人の誘拐のことを伝えた!!」

「そうか!」

「秀吉様!!」

「なんじゃ!?」

「安倍釤之助、二人が誘拐されたと聞いて天馬を使って救助に向かいました!!」

「はぁ!?」「んだと!?」

 

 安倍釤之助の行動に困惑していたその時だった。

 

「秀吉様、よろしいですか?」

「官兵衛か、なんじゃ?」

「ギルドからの援兵が来られました」

「援兵?」

「石原莞爾曰く「わしの選りすぐりの兵」とのことです」

「選りすぐり……?」

「……ここだな?」

「……? お前さんが石原殿が寄越した援兵か?」

「はっ!」

 

 その援兵は旧日本陸軍の人間。

 そして()()()()()()を筆頭とする部隊だった……! 

 




釤之助視点回完了

合流・乱戦は複雑なものになりますが、最後は自分なりに締めて見せます!

旧日本軍最強の男はいるけど、「この人」を知らなければ語ることはできない。


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集う三剣士〜乱戦の渦中〜

連合軍は叢雲牙を持つ「刹那猛丸」との戦いは佳境に入った。
劉備の出陣に獅子奮迅の闘志を発し
曹魏・織田の連合は新式兵器と戦術を
秀吉がまとめ上げた連合軍の連携で五分の戦をする最中、かごめとりんが鬼に城へと連れ去られてしまった。
その報を聞いた犬夜叉と殺生丸と釤之助は城へと目指した!


連合軍本陣

 

秀吉を筆頭とする連合軍の陣営に、かごめとりんの誘拐を聞き混乱と焦りが生じていた。

 

「安倍釤之助?」

「ええ、彼はかごめ様達が誘拐された報を聞いて単身城に・・・!」

 

釤之助は誘拐の報を聞き、天馬を乗って城へ向かって行った。

当のアリシアも事態を聞き、協力して釤之助の後を追って叢雲牙の居城へと向かった。

 

「彼奴、己が身を顧みずにか?」

「はい・・・」

 

その場に立ち会っていたクロエは驚いていた、

赤の他人でもあり無関係の人間を助けに行くその行いを・・・。

 

(安倍釤之助・・・・・・。

真に不思議な男じゃ・・・)

 

「伝令!」

「はーい、なんでしょう?

早く言って?」

「南の赤衣と北の白狼王、猛丸の居城に向かったとのこと!」

「っ!?」

「赤衣・・・?白狼王・・・?」

「白狼王・・・・・?

・・・・それって、殺生丸様のことでは!?」

「赤衣・・・・・それはもしや犬夜叉か!?」

 

弥勒と珊瑚を除いて、連合軍の人たちは驚きの声が上がっていた・・・!

 

「私もその二人のことは聞いている、石原殿だけではなく()()()()()達もその話を聞いている」

「そうか・・・」

 

(元帥?閣下?)

 

「・・・?どうしたんじゃ、弥勒?」

「・・・・いえ、なんでも」

 

(・・・・・おかしい、私達や釤之助のことは皆無のはずなのに。

何故()()()()()()()()()()()()()()()()んだ???)

 

「それで、戦況はどうなっている?」

「はいはーい、戦況は持久戦一方ですね?

まず、南側は劉備様が戦線に出て各隊の士気が爆発的に跳ね上がって押しあがってるね?

北側は曹操様の新式兵器と移動要塞式の軍艦と部隊で優勢・・・。

その途中、白狼王こと殺生丸様の戦ぶりを直に見たいために出陣されました、信長様と一緒にね?」

「そうか・・・」

「そして我らはこれからオリガの魔法の力を借りて火攻めにしようとした矢先のことだ」

「二人が鬼に誘拐された・・・」

「そうだ・・・・・」

「・・・・・・・」

 

本陣の空気は僅かな静寂が走った・・・。

 

「・・・行きましょう!」

「っ!」

「弥勒!?」「法師様!?」

「我らがここで座するよりも打って出ましょう!」

「ちょちょっ!

今出たら・・・!!」

「空の上ならどうだ?」

「えっ?」

「お前達のことは聞いている、釤之助という若者は天馬を使って敵本陣に向かったのだろう?ならば我らもそのようにすればいい。

特に()()()()()()七宝と雲母はな?」

「へっ?」

「私も行こう、不服か?」

 

(・・・・・・・)

 

「・・・・・いえ、あの石原殿が寄越した援兵ならば相当の実力者なのでしょう?」

「・・・・・ふっ、あのスケベ親父は采配と指示に関しては東條よりかはマシだ。

それに、閣下は此度のことで力を貸してやりたいが手が離せない・・・・・・、故に私が赴くことになった」

「そうですか・・・」

「法師様!七宝ちゃん!」

 

珊瑚は装備を備え、雲母に跨っていた。

 

「よし・・・・とその前に」

「?」

「あなたは誰ですか?

石原殿が寄越したということは、あなたは()()殿()()()()()()()()()なのですか?」

「・・・そうだ、察しがいいな?」

「!」「っ!?」

「なるほど・・・・・?では、お伺いしましょう・・・あなたは何者なのですか?」

「私は旧日本陸軍軍曹兼分隊長を務める」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舩坂弘だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関ヶ原・玉城付近

 

「むぅん!!」

「ぶっ飛びやがれぇ!!」

 

赤兎馬に跨り、偃月刀で屍兵を叩き切る関羽

翼獣に跨り、蛇矛で屍兵を薙ぎ払う張飛

翼竜に跨り、槍と火吹きの連携で一掃する趙雲

 

「よしっ!これならば・・・・」

 

「うおおおっ!!」

 

一方、的盧と共に戦地をかけ走って双剣を振るって屍兵を退治していた劉備。

その側と付近に四獣隊の精鋭が劉備を守らんと命懸けで奮っていた!!

 

「うおおおおっ!!!

蜀漢の重臣たちはこんな大殿の為に戦っていたなんて!

なんて漢の中の漢を体現した英雄なんだ!!

無茶振りでもやってやるって気概が感じられるぜぇぇぇぇぇっ!!!!」

「盛綱!!!!涙流すのか血を流すのかをはっきりせんかい!

てか、酒ぐらい飲ませろっ!!

これじゃあ飲む暇もないじゃないかっ!!」

「忠真っ!盛綱っ!

無駄口言うとる場合かっ!!!

黄漢升の遅れを取られるようでは童同然じゃっ!!」

「「黙れっ!石川!!

いつから年長者になったんだ!!」」

「がっはっはっ!!

わしも負けてはおられんということじゃ!!

馬超たちも関索たちも中々の猛々しい武者じゃ!

この黄漢升っ!老いてなお鬼島津と源平の小僧共には引けを取らんわいっ!!」

 

黄忠の2〜3発の弓矢を連発に屍兵達を射抜いていた!

一方、島津軍の猛攻撃によって屍兵を薙ぎ払っていた!

 

「大チェストぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

豊久の巨大な鉞を振るい、屍兵を薙ぎ払っていた!

 

「ぬるいぞっ!豊久!!!

これぐらいしてみろっ!!!!」

 

義弘は大槌をぶん回して天高く屍兵をぶっ飛ばして薙ぎ払っていた!

 

「あ〜らら、流石島津。

これじゃあおじさんの剣はいらないみたいだね?」

「何がいらないんのですか、宗矩殿?」

 

柳生宗矩と真田信之は襲いかかってきた屍兵を神速の業をもって一掃していた。

 

「ふふっ、そうだね?

おじさんの剣は義経公や武蔵達に人気だからね?」

「それはさておき、また来ますよ!」

 

二人が武器を構えた瞬間。

 

 

 

「風の傷っ!!」

 

 

犬夜叉の風の傷で屍兵たちが一瞬で吹き飛ばされた!

 

「っ!?」「おおっ!?」

 

「くっ!かごめぇ!!!」

 

犬夜叉は敵味方になりふり構わず居城に向かって走っていった。

 

「おい待て犬夜叉っ!!」

 

「・・・・今の、赤衣の犬夜叉と妖狼族の鋼牙?」

「・・・ですね?

って、私たちも参りましょうっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、張遼は楽進と共に屍兵を一掃し

李典はその二人の背後を守りつつ屍兵を倒していた。

 

「流石、関羽殿!」

「関羽もなれど、張飛の翼獣と趙雲の飛竜も侮れませんねっ!」

「おいおいお二人さんっ!!

赤兎馬と翼獣と飛竜に見惚れてる場合かっ!?

ていうかこれキリがないんだけど!?」

 

何度切り伏せても蘇る屍兵、張遼達が数千近く倒しても蘇ってしまうが為に繰り返していた・・・。

 

「張遼殿っ!これ以上幾ら我らであっても消耗してしまうだけです!

ここは引いて・・・!」

 

その時、郭嘉の放った球体が展開して屍兵は球体の引力に吸い寄せられた。

 

「これはっ!?郭嘉の!?」

「忝いっ!!」

 

張遼は双鉞に覇気を込め、十字の如くに叩き切った!

叩き切った球体は爆発して、その他の球体にも誘爆した!

 

「郭嘉殿っ!」

「助かりましたっ!郭嘉殿っ!」

「ごぶじでなにより・・・。

どうやら、敵の狙いが新しくなったようですね?」

「何?」「それはどういう?」

「おそらく、本来白狼王と赤衣のご兄弟を葬るはずが()()()()()()()()()この大軍勢を作った・・・。

しかし、叢雲牙の使い手にその知恵も戦略も無い・・・・・」

「・・・要するに、()()()()()()()()()が付いているってのか?」

「その通りです、そしておそらくかの居城に・・・」

「叢雲牙に身体を与えた()()がいるってわけか?」

「鋭いね、李典殿。

そう、そして()()()()()()()()()()()()()()()()のもその黒幕の差金・・・。

しかし想定外が起こった」

「りんちゃんが天生牙を拾った矢先に巻き込まれてさらわれたってか?」

「そうです、そしてそれは・・・・・・」

 

郭嘉の視線の先には、城壁を難なく軽く飛び越えて入った殺生丸の姿があった・・・・・。

 

「・・・・・あぁ、なるほどね?」

「どうやら、白狼王にとってあの娘(りん)()()()()()()()()()()そのもののようですね?」

「っ!ならば尚のこと!」

 

張遼は双鉞を振るって居城に向かった!

 

「っ!おいおいおいおい!!!

一人で突っ走るなって!!」

「おっお待ちくださいっ!張遼殿!!!」

 

李典と楽進は張遼の後を追って居城へ向かった!

 

「・・・流石、合肥の守護神。

満寵殿の言う通り、後世に轟かせたことだけはある・・・」

「郭嘉殿っ!」

「おや?陳羣に満寵殿?

どうなされましたか?」

「どうなされましたか?じゃないですよ!」

「今し方、孫呉の使いが来て()()()()との報せが!」

「・・・策?

・・・ああ、アレですね?」

「アレって、わかっておられるなら早く!」

「わかりました」

 

(張遼殿?あなたらなその城一つ落とせますよね?)

 

 

 

 

 

 

 

 

「各自配置につけ!」

「さてと、面子は揃いましたか?」

「ええっ、それでは皆さん。

準備はよろしいですね?」

 

一方、秀吉側の軍は策の実行の為に本陣に退避していた。

 

「よし!火計は整ったか?」

「はっ!呉軍の陸遜の報せにより、朱然の隊は実行準備完了とのこと!」

「よっしゃあ!他に遅れてる者はいないか?」

「はいっ!加藤清正・福島正則達先制部隊は離脱を確認!

蜂須賀隊は各隊と合流して持ち場に到着!

アリシア率いる騎士団及びおねね様の忍び部隊も離脱!」

「よっしゃあっ!!!一気に行くでぇ!!」

 

本陣の物見櫓から、五人の弓兵は鏑矢を天高く射抜いた!!

鏑矢の風切音は関ヶ原全域に響き渡った!

 

「・・・・・来たか?」

「ふうむ!オリガとやら?其方の魔法、見させてもらうぞ!!」

「うるさい」

 

オリガは風魔法を唱えた!!

 

「おお・・・・っ!?これが・・・!」

「これが、この世界の魔法・・・!

黄蓋殿!朱然殿!」

「よっしゃあっ!!!」

 

呉軍は火矢部隊に指示を出した!

 

「放てっ!!」

 

呉軍の火矢部隊は一斉に火矢を放った!

オリガの起こした風によって火矢は遠くに飛び、周囲の草地が火の海になり始めた!!

火の海の中にいた屍兵は火に焼かれて灰となった!!

 

「屍兵の焼き討ちに成功!」

 

呉軍の火攻め成功の報は連合軍に知れ渡り、士気を大いに上げた!

 

「そうか、でかしたっ!!」

「っしゃあ!!」

「そうか・・・!」

「船坂殿!空中隊の編成が整えました!」

「そうか、では行くぞ!」

「おっ?次はお前さんたちの番か!気をつけて行くんじゃぞ!!」

「うむっ!」

「おおいっ!?待てよ!俺たちも一緒だろ!!」

「よし、ではいきましょうか!」

「あいよ!今度は俺たちの大仕事だ!!」

 

船坂弘は弥勒たちと島左近たちと共に叢雲牙の居城に向かって飛び立った!!

 

 




三剣士の由来は「天地人」の名剣です。

犬夜叉と殺生丸の噂話が広がってる理由は後々語ります。


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集う三剣士〜呉越同舟〜

まずはお城→主人公勢回


 

 一方、居城の天守閣に刹那猛丸がいた。

 そこに連れ去られたかごめとりんが現れた……。

 

「よう? 猛丸さま、お連れしましたぜ?」

「ご苦労であった」

 

「……ん?」

「誰なの、あの人?」

「200年……正確にはワシらの時代の過去の人物じゃ。

 名を「刹那猛丸」、かつて犬夜叉たちの父君が戦って相討ちになった武士じゃ」

『ほお……? 面白い娘たちを連れてきたな?』

「いいじゃないですか? こいつらは()()ですからね?」

「おや? 叢雲牙のやつ、猛丸に取り憑おったか!」

『猛丸よ、この娘たちは()()()()()()()たちだ。

 お前がかつて殺めた十六夜とな?』

「十六夜……!!」

「十六夜……? それって……!」

「犬夜叉の母君じゃ」

「じゃあ、あいつが犬夜叉のお母さんを殺したの!?」

「そういうことになるな? っても、あの後天生牙の一振りで生き返ったけどな?」

『娘二人を殺せば犬夜叉と殺生丸はどんな顔をするか……わかるな?』

 

 刹那猛丸は立ち上がり、かごめたちの元に歩み始めた……! 

 

「おっ? どうやらマジみたいだな?」

「……やだっ! こっち来ないでよ!」「……っ!」

 

 刹那猛丸は叢雲牙をかごめの首元に突き構えた! 

 

「お前は十六夜だ、物怪共と行動する女は……皆あの憎い十六夜なんだっ!!」

 

(何よこいつ……!? 無茶苦茶危ないやつじゃない!?)

 

(おお怖え……! こりゃあお友達になりたくない人間……いや亡者だな?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、居城の二、三丸には釤之助と犬夜叉が屍兵たちと戦っていた! 

 

「どけどけぇっ!!」「邪魔だぁっ!!」

 

 そして殺生丸も居城に到着しており、屍兵たちを一掃していた。

 

「くそっ! キリがねぇ!!」

「……っ! 殺生丸!!」

「死に損ないか? 貴様ら二人はこんなところで何をしてる?」

「やかましいっ!」「うるせぇっ!」

 

 犬夜叉・殺生丸・釤之助の三人は合流した! 

 

「殺生丸、この戦いが終わったらこの間の戦いでケリつけてやるぞ!」

「ふん、それまでに貴様が生き残っていたらの話だがな!」

「へっ! てめぇこそこんな雑魚にやられんじゃねえぞっ!!」

「おいおいお二人さん! 今は眼前の敵を倒してからにしないとなっ!!!」

 

 犬夜叉は風の傷を放った! 

 釤之助は歩兵銃を構えて連射した! 

 

「くっ! 数が多すぎるなぁ! おい!! 

 犬夜叉! 殺生丸……って!?」

「なっ!?」

 

 殺生丸は二人の隙をついて居城に向かって走った! 

 

「あの野郎!」

「待ちやがれっ! 汚ねぇぞ! 殺生丸っ!!」

 

「犬夜叉殿っ!!」「犬夜叉ぁっ!!」

「っ!?」

 

 屍兵を吹き飛ばし、薙ぎ払って現れたのは赤兎馬を繰り出す関羽と翼獣を乗りこなす張飛の二人だった! 

 

「お前らっ!?」

「関羽!? 張飛!? 桃園の三兄弟がなんでここに!?」

「犬夜叉!!」

 

 的盧を乗り、敵陣突破して現れたのは劉備だった! 

 

「加勢に来たぞ、犬夜叉よ!」

「なっなんだお前らが!?」

「劉備!? 三国志の英雄様がなんで!?」

「話は後だ! ここは我らが引き受ける!! 

 早く叢雲牙の元へ!」

「おおおぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 群がっていた屍兵を吹き飛ばして強行突破して現れたのは張遼。

 そしてその背後に李典と楽進の姿があった! 

 

「関羽殿!」

「張遼!? そなたも来ていたか!」

 

 背後から屍兵が襲ってきた! 

 その背後の屍兵を火の球と火矢を放って燃えて灰燼となった! 

 

「犬夜叉さま!」「犬夜叉!!」

「おおっ! 趙雲に黄忠!」

「間にあえたようですな!」

「はっはっは! 見たか! ワシの弓捌きを!」

「なっなんだ!? なんでみんながここに!?」

「タイミングバッチリだっ!!」

 

 上空から島左近が大太刀振るって現れた! 

 

「初めましてってところだな?」

「!?」

「犬夜叉!」

 

 上空からゆっくりと降下して現れたのは七宝と弥勒であった。

 

「お前ら!?」

「五雷指っ!!」

 

 落雷の衝撃波で屍兵は一掃された、その中に鋼牙の姿があった! 

 

「やっと追いついたぜ……!」

「なっ!? なんで勢揃いしてここにいるんだよ!?」

「ああ? ここに俺たちがきちゃいけねえってのか!?」

「左様! 我らがここに来たのは「義」のため!」

「お前たちにどんな理由があろうとも、私は己が義を持ってここに来たのだ!!」

「他に理由はないっ! しかし、これだけは言える!!」

「犬夜叉殿! 其方には()()()()()ではないかっ!! 

 かごめに七宝! そして弥勒に珊瑚! 

 それに私は雲長と翼徳、そして子竜たちがいる!!」

「へっ! そういうこった!」

 

 劉備・関羽・張飛・趙雲・黄忠

 そして張遼・李典・楽進

 島左近・加藤清正・福島正則

 さらに鋼牙は体勢を直し、屍兵たちと戦い始めた! 

 

「……けっ! 勝手にしな!」

「……昔の中国人の姿、今の中国人たちから見たら驚愕ものだな?」

「そんなことを言ってる場合か? 行くぞ! 彼らが背後を守っているのならば、それに応えるのだ!」

「おうっ!」「だな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「って、お前誰だ?」」

 

 

 

 

 その頃、天守閣ではかごめとりんは猛丸の攻撃から逃げていた! 

 逃げ惑う中、かごめは鞘を構えた! 

 

「来るなら来なさい!!」

「そんなんでどうするつもりじゃ!?」

「結界ぐらい張れるでしょ!?」

「ふっはっはっ! ボロ鞘の結界なぞやなんの役にも立たんわ!」

「なんじゃと!?」

 

 鞘は結界を張った! 

 

「かごめさまっ!!」

 

 バァンっ! 

 

「くっ!」

「なんてことするの!! 男の子のくせに女の子をいじめるなんて!!」

「おいおい? 戦に男女関係ねえよ? 戦場に立ってる以上、命の生き死にそんな言葉は無意味だよ?」

「……りんちゃん……! 逃げて……!」

「大丈夫……! 絶対、殺生丸さまが助けに来れる、っ!?」

「小娘、まず貴様からだ。大人しく黄泉の国へと旅立つがいい」

「りんちゃん!!」

「死ねぇ!!」

 

 叢雲牙の凶刃がりんを襲う! 

 

(殺生丸さま……!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギィンっ!! 

 

 

 

「……っ!」

「おや? お早い到着だね?」

「……え? ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには刹那猛丸の剣を抑えている殺生丸の姿があった! 

 

 

 

「殺生丸さまっ!!」

「これはこれは……殺生丸様が一着か?」

「っ!」

 

 殺生丸は夢幻の白夜に切り掛かった! 

 しかし、切り掛かった白夜は紙に変わった……! 

 

「おいおい? いきなり切るなよ? っても、そいつは俺の分身……。ここからは観客席で見ますんで、舞台に降りますよっと……」

 

(分身か……!)

 

「いけ……貴様らがいると戦いの邪魔だ……!」

「……! いきましょう、りんちゃん!」

「……殺生丸、これ!」

「…………早く行け」

「はい!」

 

 りんは天生牙を置いて、かごめと一緒に天守閣から脱出した! 

 

「待っていたぞおっ!」

 

 刹那猛丸は殺生丸と戦い始めた!! 

 そして殺生丸は()()()()()に気づいた! 

 

「その左腕……!」

「そうだ、()()()()だ! 返して欲しいか?」

「いらぬっ!!」

 

 天守閣に二人の剣戟の響音が全体に響いた……!! 

 

 




視点の切り替えって大変です。
正直なところ、自信を疑っています。


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集う三剣士〜前哨戦〜

殺生丸・釤之助・犬夜叉vs叢雲牙(刹那猛丸)


居城・城門前

 

 居城の城門前に辿り着いた犬夜叉・釤之助達は息も絶え絶えながらも戦線を上げていた……。

 

「はあ……はあ…… やっと城の前だぜ……!! 犬夜叉……!」

「はあ……はあ……!」

「犬夜叉、釤之助。お前らよう耐え抜いたのお?」

「刀々斎……! あんたこの戦場に来てたのか!」

 

 城門前では、弥勒達と張遼・劉備・島左近筆頭の将士達が揃っていた。

 

「しゃあっ!! ここを陣取りゃあ後は根性だっ!!」

「根性だけで済む相手じゃないぞ! 正則!」

「はいはい、落ち着いた落ち着いた! 

 幸い、劉備様と御兄弟に合肥の三将方もご一緒だ。

 ここは俺たちに任せて行きな?」

「左様! ここの守りは我らと張遼、そして左近殿達が引き受ける!」

「犬夜叉殿! 行かれよ!」

 

「お前ら……!」

「行こう、犬夜叉! 

 船坂さん、先に城に入っちまったよ!?」

「はぁ!?」

 

 犬夜叉と釤之助は急ぎ城の中に入った! 

 

「……あれ? そういえば、脱出の手筈はどうしたんでしたっけ?」

 

「……左近?」

「……おまえ、この状況で冗談は厳禁だぞ?」

「……いや、大丈夫か。

 心配はいらないみたいですしね?」

 

 

 

「左近さん! みなさん、お下がりください!」

 

 弥勒は右手の構え始めた。

 

「法師様!? まさか……!?」

「……っ! まさか、()()を使う気か!?」

「……?」

「なんだ? なんの話をしてるんだ?」

「……っ!! いかんっ! 劉備殿! 張遼殿! 弥勒から早う離れるんじゃっ!!」

「……? 七宝殿、それはどういう……?」

「どうされたのだ? そんなに慌てて……??」

 

「いいから早う離れるのじゃ!! 

 巻き込まれて()()()()()()ぞ!!」

 

「……!?」

 

「七宝、心配はありませんよ?」

「じゃが!」

「そうよ、法師様!! ()()を使ったら、あなたが……!!!」

「気を遣わなくていいですよ? 

 いくら軍神と燕人、そして張遼殿や左近たちでも限界でしょう? 

 それに、愛する女子を……仲間を守るためならば()()()を使わずして、なんの役に立ちましょうか?」

「法師様……!」

「おいお前ら!! 何いちゃついてるんだ!!」

「そうじゃ二人とも! 敵側もう迫ってきておるぞっ!!」

 

 城門前には屍兵たちが大勢押し寄せて群がっていた……。

 そんな中、弥勒は一人で立っていた……

 

「この感じ……!」

「李典殿?」

「なあ、みんな……? 

 アイツ……弥勒っていったか? 

()()()()()()()()()()()のか? 

 お前ら全員、何か知ってるな?」

「ああ、知ってるよ? 

 じゃが、これだけは言えよう……。

()()()()()()()()()じゃ……!」

「……?」

 

 次の瞬間、李典の予感は的中した……。

 

「さあ皆さん、お下がりください! 

 あとはこの弥勒法師! 生ける屍たちを成仏させましょう!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風穴っ!!! 

 

 弥勒の右手に()()()があった、そして……! 

 

「いいっ!?」by福島正則

「なっ!?」by加藤清正

「げえっ!?」by張飛

「これはっ!?」by関羽

「なんとっ!?」by劉備

「……マジかっ!?」by島左近

「……っ!?」by趙雲

「うっ嘘だろ……!?」by李典

「ばっ馬鹿な……!?」by楽進

「そんなバカなっ!?」by張遼

 

 誰もが驚愕した、そして恐怖した……。

 眼前の無数にしてすし詰め状態の屍兵が()()()()()()()()のだ…………!!!! 

 

「弥勒……!」

「あれが弥勒の切り札……!」

「ああ、「風穴」……。

 奈落の呪いだ……!」

 

 かごめ先輩から話を聞いたことがある。

 弥勒の右手に「ブラックホール級の穴」の呪いがあると……。

 その呪いは弥勒の家系に深く刻まれており、倒さない限りあの穴は()()()()()()()()()()()()という……! 

 

(弥勒の祖父は全身全霊で大量の妖怪を相手に風穴を使って犠牲になったって話だ……。

 使い方次第じゃあ、最恐最悪だよ……ああはなりたくないな……!!!!)

 

 その後、弥勒の風穴を見た者たちは口を揃えてこう言った

 

 

弥勒の右手の布を開けてはいけない

 

 

 このことによって、各国の王族と教会等は弥勒の呪いが解放されるまでは危惧して距離を取っていたという……。

 

 

 

 

 

 

 

 

居城・中層階

 

 一方、かごめとりんは殺生丸の助けによって窮地を脱した。

 

「こっちよ! りんちゃん!」

「うん!」

 

 かごめ達は階段を降り、下の階層に移動した。

 

「うわあああっ!!?」

 

 下の階層に鬼と遭遇してしまった! 

 

「うがあああぁぁぁっ!!」

 

 鬼はかごめに攻撃を仕掛けた! 

 

「かごめ様っ!!」

 

 

 

 

だぁんっ!! 

 

 

 

「…………?」

 

「どうやら、間に会えたようだな?」

 

 かごめの前には鬼の平手を受け止めていた男が立っていた! 

 

「え……あなた……だれ……!?」

 

「話は後だ、君たちは確か「日暮かごめ」と「りん」だな? 

 話は弥勒法師達から聞いている!」

 

 鬼は手を振り解き、再び攻撃を仕掛けた! 

 その瞬間、船坂弘は鬼の攻撃を流した! 

 

「早く逃げろ! 今犬夜叉達が来ている! 

 この鬼は私が引きつける! その先に早く逃げるのだ!」

 

 船坂弘は鬼と戦い始めた! 

 大振りの攻撃を繰り出すも、懐に入り込み躱しての繰り返しをしてナイフ攻撃を繰り出していた! 

 

「なるほど……鬼相手とはいえ、こうも手強いか……!」

 

 鬼は船坂弘の攻撃に怒り、連続に大振りの攻撃を繰り出す。

 なりふり構わずの攻撃に、その余波にかごめとりんも巻き添えを喰らっていた。

 

「きゃあああっ!?」

「っ! しまった!!」

 

ダァンっ! 

 

「っ!?」

 

 その時、鬼の頭に銃弾が命中した! 

 

「やりい! 後よろしく!」

「俺は猟犬じゃねぇ!!」

 

 そこにすかさずに鉄砕牙の一振りを入れた! 

 

「犬夜叉! 釤之助君!」

「かごめさん! 無事でしたか!」

「ったく、やっぱり俺がいねえとダメだな?」

「おいおい? そんなこと言ってる場合か?」

『おおっ! 釤之助! 無事じゃったか!』

「鞘か!」

「あの!」

「……? 君は殺生丸と一緒にいた……?」

「お願い! 殺生丸様を助けて! 

 殺生丸様は上で……!!」

「上……! もうやり合ってるのか!」

「あの野郎! 一人でカッコつけやがって!」

「行こう! アイツ一人で勝てる相手じゃない! 

 その時はしのごの言わずの協力戦だ!」

「ああっ! なんでアイツと!?」

「犬夜叉、聞けっ! 

 アイツを……叢雲牙をぶち壊すには()()()()()()()()()()()()()()()()んだ!!」

「はあっ!?」

「剣そのものをぶっ壊しても()()()()()()()()! 

 だが天生牙は()()()()()()()()()()!」

「なんだって!?」

「犬夜叉! お前の奥義「爆流破」で獄竜破を弾き返せる! 

 でもそれだけじゃ駄目なんだ! 奴の本体は()()()()()なんだ! 

 そこに殺生丸の「蒼竜破」、それも()()()()()()()()()でないと完全に倒せない!」

『そうじゃ、つまり()()()()()()()()()()()()()()ことで叢雲牙を倒せるのじゃ!』

「……けっ! 殺生丸が俺に協力するわけねえだろ!」

「バカっ! ()()()()()()()()()()()()のよ!」

「んなことできるかっ!!」

「他に方法がないのよ! 兄弟だから、一度は譲ったって良いでしょう!!」

「……」

「……賭けるしかないな?」

「っ!?」「釤之助君!?」

「先に行くぜ? 叢雲牙には借りがあるからなっ!!」

 

 釤之助は先んじて天守へと駆けった! 

 

「なっ! まちやがれ!」

「っ! 待って犬夜叉っ! 犬夜叉っ!!」

 

 犬夜叉は釤之助の後を追うように天守に向かって走った……! 

 

「全く、彼らは血の気の多い子だね?」

「…………」

「どうした?」『どうした?』

 

(犬夜叉……釤之助……。

 生きて戻ってきてね……?)

 




次回
最終決戦その1


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集う三剣士〜刹那猛丸と叢雲牙〜

最終決戦序章


天守閣

 

 天守閣にて、殺生丸は刹那猛丸と対峙していた

 一進一退の末、闘鬼神は打ち落とされ

 窮地に立っていた……。

 

「ふっふっふっ……。

 どんな気分だ? 自分の腕に殺されるというのは?」

「……所詮は貴様はその程度か」

「何?」

「叢雲牙に操られてるのにも気づかず、()()を自分の力と思い込んでいる哀れな亡霊だ」

「黙れっ!! 貴様の父親から受けた屈辱を返してやる!!」

 

 殺生丸は咄嗟に攻撃を避ける、そして殺生丸は剣を拾いに行った! 

 それを刹那猛丸は阻むも()()()()した! 

 

「何っ!?」

 

 殺生丸は天生牙を拾い、そして抜刀した! 

 

 その陰に、戦いの終始を見ていた者がいた……。

 

(なるほど……確かに天生牙なら、亡者の猛丸を倒せるかもな?)

 

「光栄に思え、貴様は天生牙(父上の牙)で倒してやる」

「ふん……人一人、妖魔一体も斬れぬ牙が何ができる!!」

 

 刹那猛丸と殺生丸は斬り合い始めた! 

 

「その鈍刀如きに、我を倒せると思ったか!!」

「貴様こそ忘れてはいまい? 人は斬れずとも()()()()()!!」

 

 切り結びの瞬間、隙をつき突き刺しからの逆袈裟斬りを仕掛けた!! 

 刹那猛丸は胴と腕が斬られ倒れた……。

 

「っ!! ……ふ」

 

 その時、叢雲牙の柄頭の球体が輝きを放って再生した! 

 

「!」

「ふっふっふっ……。どうした? 

()()()()()()か?」

 

(うっはぁ……そりゃあ反則技だな? 

 叢雲牙は亡者の身体すら治せるってのかよ? 

 こりゃあ、奈落が目を付けるわけだ……!)

 

「なるほど、さすがの殺生丸一人では勝算はないに近いか……」

 

「あれ? まだいたんですか?」

 

「なに、少し()()()()()があってな? 

 それを拾いに来て戻ったわけだ」

 

「……??」

 

「……さて、そろそろだな?」

 

「はい?」

 

 殺生丸は斬り合いの隙をつき、何度も斬るも再生を繰り返す猛丸の前では悪戦苦闘を強いられていた……。

 

「どうした、殺生丸? 

 親父の牙(天生牙)が泣いているぞ!」

 

「っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前に守るものがあるか? 

 

 

 

 

 

 

 

 

(父上……?)

 

 

 剣戟戦に押され一方の最中、()()()()()()()を思い出す。

 

 その時!! 

 

「のわっ!?」

 

 側面から風の傷と一筋の弾丸が刹那猛丸に直撃した!! 

 

「相変わらず、鼻だけはいいみてえだな?」

「加勢に来たよ、殺生丸!! 

 ていうかよくあのタイミングで風の傷を気取るとは……!」

「貴様は……? 

 ……犬夜叉の風など、そよ風ほどにも感じる……」

「せっかく、てめぇごとぶった斬ってやろうと思ったのによ……!」

「そんなこと言ってる場合? 

 まだ仕留められてないよ!!」

「ほお? 兄弟仲良く父親の仇討ちか? 

 物怪にも人並みの情があるとはな? 

 ……見なれない顔もいるが、まあいい」

 

(アイツが刹那猛丸……!)

 

「そういうてめぇはバケモンじゃねぇか!!」

 

 犬夜叉は刹那猛丸に切り掛かったっ!! 

 

「ふっふっふっ……。お前を見ていると()()()()()()()()……」

「っ!?」

「私を捨てた挙句、貴様のような半妖を産んだ愚かな女……」

「てめぇ……!!」

「よく聞け犬夜叉……! 私は()()()()()()()()()()()()()()()()()だ!」

「っ!!」「っ!?」

 

(まさか……あいつが犬夜叉の母を殺した……!?)

 

「伏せろ! 犬夜叉!!」

 

 釤之助は狙いを定めて射撃する、しかし瞬時に避けられる。

 そこをついて殺生丸は攻撃を仕掛ける! 

 しかしそれに乗じて犬夜叉も攻撃を仕掛けた! 

 

「下がっていろ!」

「うるせぇ! 今度は抜け駆けはさせねぇぞ!」

 

(あのバカ兄弟……!! 

 何張ってやがるんだよ!?)

 

「……お前たち兄弟を同時に葬る、またとない機会だ!」

 

「猛丸よ、獄竜破だ。鉄砕牙と天生牙を滅せよ」

 

「言われずとも、わかっているっ!!」

 

 刹那猛丸は獄竜破の構えを取った! 

 

「させるかぁ!!」

 

「往生際の悪い奴だっ!」

「うおおっ!」

 

 犬夜叉と刹那猛丸の奥義の鍔迫り合いが始まった!! 

 

「諦めが悪いんだよ、俺は!!」

「っ!? ばっ馬鹿な!?」

 

「犬夜叉が押してる!?」

 

「貴様……まだこんな力が……!?」

 

「この程度で、驚いてんじゃねえぞ!!」

 

「っ!? これは、犬夜叉の妖気!?」

 

「妖怪ではありえんことだ!」

 

「ったりめぇだ! 俺は()()だぜ! 

 どんな生き物よりも自我が強く欲望が果てしない……! それが人間なんだろ! 

()()()が流れている俺だから、諦めが悪いんだよ!!」

 

「犬夜叉……!」

 

「それになあ、人間ってで奴は()()()()()()があると、その力が何倍にもなるんだよ!!」

 

「!」「!!」

 

「おかげでお前を倒せる! お袋には感謝してるぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『猛丸……』

 

「……っ!」

 

 十六夜……! 

 

「うおおおおおおっ!!!」

 

 犬夜叉は力押しの一振りで、刹那猛丸を壁ごとぶち破って吹き飛ばした!! 

 その時、猛丸の脳裏に十六夜の声と言葉が、そして自身の本心を思い出す……! 

 

「一刻も早く表の兵たちと共に立ち去りなさい。

 あの方に、誰一人かなうものはいませんから……」

 

 十六夜さま……! 

 

「私は()()()()()()()しておりました。

 たとえもののけに心を奪われようとも!」

 

 そうだ……わたしは……あなた様を……この手で……! 

 

「あなたたちを死なせたくないのです……」

 

 それなのに、あなた様はわたし達を守ろうとして……! 

 なのに……! わたしは……!! 

 

『猛丸! どうした猛丸!!』

 

「……思い出したのだ。わたしは……十六夜様を憎んではいなかったのだ。お慕いしていたのだ…………こともあろうに、もののけに……犬の大将に心を奪われたことに我を忘れていた……ずっと十六夜様を……」

 

 十六夜さまを……恋していたのだ……。

 

 

 額の角が取れたかのように憑き物が取れ、元の白骨遺体に戻った……。

 

「終わった……!」

「犬夜叉! ……って、殺生丸?」

 

 殺生丸は天生牙を構え、骸の刹那猛丸一振り払った。

 

「……供養のつもりか? まあいいけど」

 

 釤之助は速やかに叢雲牙を回収しようとした。

 

「けっ、何のつもりかは知らねえけど。

 こいつを倒したのは俺だからな!」

「まだ終わってはおらん……! 

 ……それで、どうだ?」

「どうって、なにを言って……」

「…………えっ?」

 

 釤之助は叢雲牙を拾い、手に取った……。

 

「……!! 釤之助! それを持ったら!!」

「…………ない」

「!」「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

「叢雲牙の気配がしない!! 

 いや正確には()()()()()()()()()がないっ!!!」

 

「何っ!?」「何だって!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっくっくっ……良い戦いを見せてもらったぞ? 犬夜叉?」

 

「っ!?」「この声……!」「まさか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奈落っ!!! 

 

 その時、天守の座に奈落が現れた! 

 

「奈落!」

「てめぇ……なにしに来やがった!!」

「ふふふ……釤之助と言ったな? 

 お前の探している魂はこれのことか?」

 

 奈落は懐からビー玉のような球を出した! 

 

「っ!」

「はぁ? なんだそりゃ!?」

 

「そう喚くな、叢雲牙の中にいた魂は()()()()()だ」

 

「っ!!」「なんだと!?」

「……何をする気だ!?」

 

「ふふふ……こうするのだよ?」

 

 奈落は球を念じ、殺生丸の切られた左腕に埋め込んだ!! 

 

「魂よ? 釤之助の持っている剣、代えの身体にはちょうど良いぞ?」

「……え?」

 

 すると殺生丸の左腕が脈打ち動き始め、釤之助の大太刀を奪取した!! 

 

「のあっ!? 何を!?」

 

「礼を言うぞ、奈落よ? 

 だか分身を寄越すとは感心せんなっ!!」

 

 叢雲牙の魂は奈落を切り伏せた! 

 

「っ!?」「分身……!?」

 

 叢雲牙の魂は天井を突き破って外に出た!! 

 

「あの野郎……! 俺から逃げるために一計案じたな!!」

「しぶとい野郎だ……!!」

 

 その時、城が崩れ始めた!! 

 

「っ!?」

「まずい! 早く出て……!?」

 

 殺生丸は颯爽と突き破った天井の穴から脱出した!! 

 

「あの野郎!! 抜け駆けしやがって!!」

「待ってくれ犬夜叉!!」

 

 犬夜叉と釤之助も殺生丸の後を追った!!! 

 

 




次回
最終決戦その2


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集う三剣士〜集う神々〜

最終決戦本編


 城が崩れ始め、急ぎ脱出する突入軍。

 劉備と船坂弘が先導に立ち、速やかに脱出をした!! 

 

「なんだなんだぁ!?」

「喋ってる場合か!! 早く逃げるんだ!!!!」

 

 崩れゆく城から逃げ切った一行。

 そして城の異変は各本陣にいた群雄達と軍隊にもその報せを聞いた! 

 

 

 

 

「我、ここに冥界の道を開かん!」

 

 

 

 叢雲牙の中の魂は、実体を作り

 その力を解放した!!! 

 解放したことで城だった拠点を中心に、大地に大穴が開いた!! 

 

『いかん! 叢雲牙め、冥界を開きおったか!!』

「冥界……!?」

「開くとどうなるのさ!?」

「死者と生者を頒つ境界が無くなるんじゃ、わしらみんなはおろかここにいる各軍隊の人たちも皆おっ死んじまうぞ!」

「何!?」

「そんな!?」

「マジかよ!? それじゃあここにいる俺らや叔父貴達も危ねぇじゃん!!!」

「そうじゃ、何せ「天地人」の「地」を総べる剣じゃからなぁ」

「鉄砕牙と天生牙が争ったるうちに、奴めこの世界を冥界に取り込んでしまおうとしておるんじゃあ!!」

「なんということ……! このことを各軍に急ぎ報せるのだ!!!」

「はっ!」「承知!」「わかったぜ! 兄者!!」

 

 関羽・張飛・趙雲達は速やかに場を離れ、各軍にことの事態を報せに行った!! 

 

「我らもこの場から離れるのだ!!」

「……!」

 

 その時、かごめは大穴の元へ走った! 

 

『おっ!? バカ!! そっちへ近づくんじゃない!!』

 

 かごめは()()()()を見た……。

 そこには死屍累々魑魅魍魎の亡者の群れが溢れかえっていた……!! 

 

「なに……これ……!?」

「冥界の亡者どもじゃなあ」

「バカな……!? あれが!?」

「じょっ冗談じゃねえぞ!? 

 あれ全部がそうなのか!?」

「これは……近づくだけでも吐き気を催す邪気……。

 このヤバさと危なさをなんとも思わない生き物なんていやしないだろ……!?」

「生きとる者達の魂を呼び寄せようとしておるんじゃ。

 早いとこ逃げんと、お前達も魂を吸い取られてしまうぞ!」

「でも!! 犬夜叉と殺生丸に釤之助達がまだ……!!」

 

 その時、突風が吹いてきた!! 

 

「ぐあっ!?」

「うお!?」

「うあっ!?」

「っ!!」

「うわぁっ! そら来た!!」

 

 突風は渦を描くように、関ヶ原を包み込んだ! 

 報せに来た将と本陣の人たちも、事態の異変をその身で感じ取った!! 

 その最中、七宝は身軽故に吸い込まれるが

 邪見の杖にしがみつくも諸共吹き飛ばされる、その時刀々斎と島左近らに窮地を脱する

 

「やれやれ……世話が焼けるねえ?」

「全くじゃ、お前達も早く逃げるんじゃ。

 じゃないと……ほれ!」

 

 刀々斎が指を指した先には多くの魔物や竜が穴に入るかのように吸い込まれていった……!! 

 

「ひぃっ!? 清正!! 早くここから逃げようぜ!? 

 じゃないと俺らも……!!」

「言われなくてもわかっている!!! 

 膝栗毛の一本二本抜けても魂までは抜けたら洒落にならん!!!」

 

 加藤清正と福島正則の二人は全速力で走って穴から離れようと逃げていた……!! 

 

「そうみたいだな? さて、劉備殿! 

 我らもさっさとずらかるとしましょう!!」

「うっうむ!!」

「お前達も早く逃げるんだ!! 

 ここにいてはかえって危険だ!!」

 

 劉備達も同様に穴から離れて脱した!! 

 

(……っ! なんなの!? この心の底から湧き上がるような……!?)

 

「………………」

 

 珊瑚は意識を失うかのように、穴に誘われるかのように歩いた……。

 

「うっうお!? おい!! 何してるんだ!!」

「穴に近づくなっ!! あの穴は亡者の巣窟だ!!」

 

 穴の付近にいたアリシア・プリム・マイアは珊瑚同様に意識を乗っ取られているかのように穴に向かって歩いていた! 

 

「おいおいおいおいっ!? 

 あれやばくねぇか!?」

「なっ何故我が軍の兵士たちがっ!? 

 そっちいってはならん!!!」

「目を覚ましてください!!」

 

 連合軍の兵士達は正気を失って大穴に近寄ってきた……。

 それも魔物や竜が先んじて穴に入り、亡者の餌となっていった……。

 

「これは……!?」

「亡者の呼び声が魅力的なんでしょうね!! 

 俺らが正気でいられるのがやっとだってのに!!」

「まずいぞ……!! このままだと全滅するぞ!!」

 

 本陣の人たちは正気を保っても、各兵士や少年兵達はそうはいかなかった。

 ゆっくりとゆっくりと歩き、穴に向かう人たち……。

 

「なっなんだ……この感じは……!?」

「なんじゃ……まるで生気が失くなるような……!!」

 

 誰もが全滅すると思っていたその時!! 

 

 

 

 

喝っ!!! 

 

 

 

 どこからともなく怒号の一声が関ヶ原全土を響き渡った!! 

 

「いいっ!?」

「きゃあっ!?」

「どわぁっ!?」

「どしぇっ!?」

 

 突然の一喝に、かごめ達と劉備達は驚くも

 アリシア達は瞬時に正気に戻った!!! 

 

『なっなんじゃこの覇気と大迫力の声は!?』

 

「っ! アリシアさん!? それにみんな!?」

「かっかごめ!?」

「あっあれ? 私たち何でここに!?」

「ていうか、あたし達何してたんだ!?」

 

「よかった、みなさん正気に戻ったのですね!」

 

「正気……?」

 

「聞いてください、あの大穴の中にいる亡者の呼び声に誘われていたんです!」

 

「っ!?」

 

「……という話はともかく、一体誰が?」

 

 誰もが不思議がっていた、誰があれだけのでかい声を発したのか……? 

 そう思ったその時! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人の子らよ、安心めされ。

 我の一喝だ」

 

「っ!!」

 

 声の発した先には巨漢の大男がいた。

 身の丈に合わないスーツ服

 破れてもおかしくない筋肉質

 鬼をも恐れ慄く強面

 そしてその風格を見事に似合う声の大男がそこにいた。

 

「どひぇっ!? なっなんじゃお主は!?」

「……あっ!!」

「かごめ様、彼を存じてるのですか?」

「また会ったな、かごめよ」

「あなた……どうしてここに!?」

「ん? なんじゃ知り合いか?」

「知り合いというより、この前釤之助君が叢雲牙を抜いて暴れたって話をしたのを覚えてる!?」

 

『何……? ああっ! 思い出した!! 

 お前さんは重傷で昏睡に陥った釤之助を助けた!?』

 

「……なんと、そんなことまで覚えて……。

 いや、今すべきことを優先しにここへ来ただけだ」

「……え?」

「話は後だ、下がれ!」

 

 すると巨漢の大男の身体中に神々しい光に包まれた! 

 

「えっ!?」

『なっなんじゃ!?』

 

 すると巨漢の大男は衣装が突然変わり、雷鼓を彷彿させる飾りに猛々しい上半身の筋肉を露わになり。

 黒く長い髪は白く怒髪天のものとなり、肌の色は黒紫色に変わった!! 

 

「ぎょええええっ!? こっ今度はなんじゃあ!?」

「なっ!?」

「嘘っ!?」

 

「人の子よ、我の名を知る者ならば知っていよう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我が名は「素戔嗚」

 須佐之男命なりっ!! 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!? なんじゃとおおおおおおおおおおおっ!!?」

「どえええええっ!? 須佐之男命!?」

「すっ須佐之男命!?」

「バカな!?」

「須佐之男命と言えば、かの「日本武尊」と共に「八岐大蛇」を退治したという神話の大豪傑!?」

 

「如何にも、だが時間が惜しい。

 太公望! 左慈! 女媧! 伏犧! 神農! 

 参るぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間に合ったか!」

「助かったぞ! 素戔嗚!」

「流石、仙界最強の男」

「ほっほっほっ! では参ろうか!」

「うむっ! ゆくぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冥界の門を中心に「六芒星」の陣が光の線を沿って展開した!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六芒封陣

 輪廻結界の陣!! 

 

 

 

 大穴を覆い囲むように結界が張られ、突風が遮られた!! 

 

 

「こっこれは……!!」

 

「この結界を持ちいれば、冥界の息吹は遮ることができる。

 だがこれはその場しのぎの術に過ぎん!」

 

「!!」

 

「冥界の門を開いた黒幕「叢雲牙の魂」を滅さなければ世界は冥界に蝕まれてしまう!!」

 

 強力な結界によって、軍や多くの生者たちは正気を取り戻す

 ことの事態によって撤収の準備を急いでいた……!! 

 

「殺生丸さまは? 殺生丸さまは無事なの!?」

「っ! そっそうじゃ!! 

 殺生丸様はまだあの中にっ!!」

 

(冗談じゃない、りんにもしものことがあったらわしが殺生丸様に殺される……!)

 

「……?」

 

 その時、プリムは結界先にある城跡に()()を見つけた……。

 

「誰か……。……っ!! 

 あそこに釤之助様たちがいるわっ!!!」

「何っ!? ……ああっ!!! 殺生丸様!!」

「ええっ!? あっ! 犬夜叉様もいるわ!!!」

 

 

 城の跡地に殺生丸・釤之助・犬夜叉の三人は「叢雲牙の魂」と戦っていた!! 

 

「どけぇ!!」

「邪魔だ!!」

「どいてろ!!!」

 

 しかし、三人はバラバラに戦っているためか

 劣勢に立たされていた。

 




次回
三剣士対悪霊


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集う三剣士〜天地人〜

最終決戦・決着


 城の跡地にて、殺生丸と犬夜叉と釤之助の三人は「叢雲牙の魂」と戦っていた。

 殺生丸の切られた左腕を媒介して釤之助から掠め取った大太刀で肉体を作り、三人と対峙していた。

 

「貴様にはガッカリだな、殺生丸?」

 

「下衆な剣には捨てた腕が相応しい……!」

 

「ふん、貴様にはこの「叢雲牙の力」を扱うことはできん」

 

「どけぇ!!」

 

 犬夜叉は両者の鍔迫り合いを割り込み、切り掛かってきた!! 

 

「俺がお前をぶっ壊す!!」

 

(馬鹿野郎どもが……!! そんな戦い方じゃあかえって不利だろうが!!)

 

 

『ダメじゃ、いくらあの三人でも()()()()()()()()()()()敵う相手ではないわ!!』

「しかし、釤之助のやつはそれをわかってるはずじゃ!!」

「わかってるから()()()()()んじゃないか?」

「左近殿!? それはどういう??」

「大方、短い付き合いでお二方の性格を理解している……。

 その短期間で二人は()()()()()()()()性格であることを見抜いたんじゃないでしょうね?」

「はあ!?」

「釤之助本人がどれだけ強く言っても()()()()()()()()()()()()()()()柄じゃないと判断したんでしょう、要は()()()()になってるんだよ。

 どれだけ正解を言っても跳ね除ける柄だから放置気味になっている……」

 

「釤之助君…………! 

 …………っ!」

 

 するとかごめは結界を触れた! 

 

「素戔嗚さん!! この結界の中に入らせて!!」

 

「っ!?」

「っ! 何をっ!?」

 

「お願い!! あの三人を説得しに行きたいの!!」

 

「っ!! 正気か!? この結界の中の邪気に触れれば、いくら耐えても限度があるぞ!! 

 例え巫女の素質がある其方でも耐えきれるはずが……!!」

 

「いいから! お願い!!」

 

「……っ! 

 ……()()を持っていけ」

 

 素戔嗚は念じて手元に勾玉のペンダントをかごめに渡した。

 

「……これは?」

 

「八尺瓊勾玉が宿した勾玉だ。

 それを身につければ如何なる邪気をお前の身を守る、それとこれを使え」

 

 素戔嗚は念じて一本の矢を作った。

 

「今日だけだ、行け。

 かの“天地人の三剣士”の心をまとめてみせよ」

 

「……っ!」

 

「それと、その勾玉の力なら我らの作った結界の出入りができる。

 身の危険を感じたらすぐさまに……」

「あの……素戔嗚さま? 

 かごめ様、もう行ってます……」

 

 

 

 

 

 

 一方、犬夜叉たちは叢雲牙の魂と戦いを繰り広げるも

 連携もバラバラな戦況だった……。

 

「ちくしょう!! 何やってんだよ!! そんなんで勝てる相手じゃないってことぐらいわかってんだろ!!」

「うるせぇ!!」

「黙れっ!!」

 

 苛立ちを抑えつつも、なんとか戦ってやり合うものの限界が感じていた……。

 その時だった……! 

 

「犬夜叉っ!!」

 

「かごめっ!?」

「……!」

「かごめ先輩!?」

 

「殺生丸と一緒に戦って頂戴!!」

 

「んなことできるかぁ!!」

「それができたら苦労はないって!!」

 

「殺生丸っ!! 犬夜叉たちと協力してやってよ!!」

 

「んなっ!?」

「先輩!?」

 

「聞いてるの!? 殺生丸っ!!」

 

 しかし殺生丸は無視して叢雲牙の魂と戦っていた……。

 

「そうです殺生丸様っ!! 

 犬夜叉如き半妖なんぞつるむ必要はありませんぞっ!!」

 

「邪見…………」

 

「……っ!」

 

 

 

ドカバキっ!! 

 

 

 

「あううう……殺生丸様……。

 ぜひ、犬夜叉様とご協力を……!」

 

「少しは場をわきまえてものを言え……殴るぞ?」

「殴ってから言う? 普通?」

 

 

 

 一進一退の攻防を繰り広げるも、不統一な連携をしていた……。

 

「あんた達みたいなわからずや、もう当てにしないわよっ!!!」

 

 犬夜叉達と叢雲牙の魂との戦いにシビレをきらしたかごめは叢雲牙を狙いを定めて矢を放った!! 

 放った矢は叢雲牙の体の左腕に命中した!! 

 

「矢が!?」

「今だっ!」

 

 そこにすかさず殺生丸が入り込んだ!! 

 

「殺生丸!?」

「っ! てめぇ!!」

 

 すると崖が崩れ始め、かごめは落ちかけようとしていた!! 

 

「かごめっ!!」

 

 それを犬夜叉はすぐにかごめの元へ飛んだ! 

 

「先輩!」

 

 一方殺生丸は叢雲牙の魂と戦う最中、叢雲牙の魂は自身の剣に邪気を発して闘鬼神にダメージを与えた!! 

 

(これ)を持ってろ、少しの間だったら守ってくれる!」

 

 その時、地震が起きた!! 

 

「っ!」「!?」

 

 結界付近の大地が徐々に崩れ始めた! 

 

「なっなんじゃ!?」

「うっうおわぁ!? 地震かっ!?」

「違うみたいだな、こいつは……!!」

『いかん! 穴が広がり始めたんじゃっ!!』

「なんですって!?」

「おいおいマジかよ……!? 

 神様の結界すらもしのぎきれないってのか!?」

「逃げましょう!! ここにいては我らもあの穴に落ちてしまう!!」

「じゃが、まだかごめと犬夜叉と釤之助が!」

「悠長にはできん!! 

 我らも今結界の幅を広げさせてこれだっ!!」

「どえっ!?」

「そんな……!?」

 

 所変わって戦場では……。

 

「……使えぬか」

 

「殺生丸!! 下がって!!」

 

(一か八か……!!)

 

 釤之助は叢雲牙だった剣を霊気を込めた!! 

 

「見様見真似の獄竜破!!」

 

 釤之助は叢雲牙の技を使った!! 

 

「っ!」

 

「ほお? まさかできるとはな? 付け焼き刃の分際如きがっ!!」

 

 叢雲牙の魂は獄竜破を放った!! 

 

 釤之助の獄竜破は元祖の獄竜破に飲まれたっ!! 

 

「いいっ!?」

 

 叢雲牙の獄竜破が釤之助を襲う!! 

 

「どけぇっ!!」

「っ!?」

 

 犬夜叉は獄竜破を切り掛かった!! 

 

「犬夜叉!?」

「早く逃げろっ!!」

「っ! わかった!!」

 

 釤之助はすぐさまその場から逃げ離れた!! 

 

 犬夜叉は獄竜破を抑えた! 

 しかし勢いが強く弾き返される!! 

 

「犬夜叉!」「犬夜叉っ!!」

 

 犬夜叉は獄竜破を二度抑えた! 

 

「ぐっ! 爆竜破!!」

 

 犬夜叉は爆竜破を放って獄竜破を打ち返した!! 

 

「くっくっく、なかなかやるな? 面白い!」

 

(あの威力……!)

 

「くそっ! 外したか……!」

「犬夜叉……!」

「ここで待ってろ、必ず戻る!!」

「……うんっ!」

 

 犬夜叉は戦線復帰した!! 

 

「今度こそ!! もう一発!!」

 

 釤之助は二度見様見真似の獄竜破を放った!! 

 

「またその技か? 格の違いをまだわからんかっ!!」

 

 叢雲牙の魂は獄竜破を放とうとしたその時、殺生丸の光の鞭が腕の剣を絡め取った!! 

 

「っ!」

「何っ!?」

 

 獄竜破の軌道が外れ、犬夜叉と釤之助の間に目掛けて放たれた!! 

 

「っ! 犬夜叉!!」

「うるせぇ!! 爆竜破!!」

 

 釤之助の獄竜破と融合するかのように吸収され、爆竜破は強化された! 

 強化された爆竜破は叢雲牙の魂の獄竜破と衝突するが掻き消された!! 

 

「なっ!?」

「爆竜破が破れた!?」

 

 獄竜破が二人を襲いかかってきた!! 

 

「くっ!!」

「釤之助!?」

 

 釤之助は全身に霊気を纏い、剣に注いだ! 

 獄竜破はそのまま釤之助に直撃する!! 

 

「抑えきれないなら……! 

 うぉうりゃあっ!!! 火事場のクソ力!!!!!」

 

 獄竜破を野球玉の如くに打ち返した!! 

 

「なっ!?」

「嘘っ!?」

 

「……ぐっ!!」

 

 すると釤之助の全身に筋肉と関節の痛みが走った!! 

 

(やっぱり全開で使うもんじゃないな……!!!!)

 

 そこに殺生丸はすかさずに素手で叢雲牙と戦い始めた!! 

 

(あいつ……! 素手で……!?)

 

(さしもの殺生丸さまも、素手では分が悪い……!)

 

「ほえ〜! 釤之助の奴、獄竜破を打ち返すとは……! 

 ……あと獄竜破の威力ってあんなもんだっけ? 

 幾ら釤之助でも吹き飛ばされてお陀仏になるはずじゃろ?」

『天生牙と鉄砕牙がそばにあるからな

 叢雲牙の奴も十分に力が出しきれんのじゃろう。

 あと今気づいたんじゃが、釤之助の持ってる剣は()()()()()()()じゃないか?』

「えっ? ああ本当じゃっ!? どういうことじゃ!?」

 

 

「教えてやろうか?」

 

「っ!?」「だっ誰じゃっ!?」

 

 一同の背後から「夢幻の白夜」が現れた! 

 

「おおっと、身構えるなよ? 

 俺はあんたらと死合う気はないよ? 

 ……さて、爺さん方は何故どうしてな感じだから来ただけさ?」

 

「はあ?」『なんじゃと!?』

 

「まあ聞いてって? あれは叢雲牙であって叢雲牙じゃない、()()()()()()()()()()()なんだよ」

「はあ? 魂?」

『どういうことじゃ!? 叢雲牙の奴、あの剣から抜け出したじゃと!?』

「抜け出した……と言うより()()()()()ようなものさ?」

「憑き替えた……!?」

「……まあ、そりゃあそうだろうよ? 普通なら考えつかないもんな? ()()()()()()()()()()の中に放り出された皆様方はな?」

「なんなんだお前は? お前自身相当やな気配がするぜ……!」

「そりゃどうも……さて、さっきの話の続きだが……。

 簡単だ、()()()ってやつさ?」

「魔法石?」

「そ、偶然見つけて拾ったものでね? 

 その石の中で()()()()()()ものがあったんだ、それだけさ? 

 あとはその石に媒体となる肉片を植え付ければ復活するなり蘇生なりとできちまうものなのさ、あとはわかるな?」

『っ!? まさか……アイツは!?』

「そう、あの叢雲牙は「魂」そのもの。

 殺生丸様の切られた左腕を媒体して、そこらへんの刀で自身の力をぶちこんであの姿さ?」

「なんと……!? じゃがどうしてそんなことをしたんじゃ?」

「そんなことも何も、思い出せよ? ()()()()()にビビってアレなんだよ?」

「釤之助様のお力……? ……そうか、釤之助様自身の力は()()()()()()()()()()()があるから……!」

「そーゆこと、でもまあ。

 勝ち目があるのか見ものだな……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「釤之助!!」「犬夜叉! 釤之助君!!」

 

「俺は大丈夫……! くそ! 良い線だったのに……!」

「釤之助! 今は休め、あとは!」

「大丈夫だ……! まだ動ける!!」

「うるせえ! 立つのがやっとの状態じゃあかえって不利だろうが!!」

 

 殺生丸は叢雲牙の魂と戦うも、分の悪さが生じて劣勢に立たされていた。

 しかしそれをものともせずに戦う! 

 そこに犬夜叉が入り込み、叢雲牙の魂に切り掛かった!! 

 しかし避けられた!! 

 

「ふふふ、兄弟(ふたり)一緒に冥界に送ってやる!!」

 

 叢雲牙の魂は獄竜破を放った!! 

 

「邪魔だっ!」

「っ!?」

 

「うげっ!?」「殺生丸様!」「殺生丸殿!!」

 

 叢雲牙の魂が放った獄竜破が殺生丸に襲いかかる、その時!! 

 

ドォンっ!! 

 

「何っ!?」「っ!?」

 

 叢雲牙の魂が放った獄竜破が横から強大な何かに衝突して爆散した! 

 

「どぅえっ!? なっなんじゃ今の!?」

「……っ! あれは!?」

 

「……貴様!?」

 

「……一か八か、試してみたが……一発成功とはな……!!」

 

 そこには片手突きをしていた釤之助の姿があった。

 

『なんと……!? 今のは!?』

「あの若造……!! 殺生丸をお助けするとは……!!」

「今のは獄竜破じゃ! どうやってあんな強力な……!?」

「おい冥加、お前かごめと一緒じゃなかったのか?」

「………………いや、そみょう……」

「釤之助様はどこであのような力を……? 

 あの力はよくて大妖怪に近いものを感じる……!」

「ええ、それなのに人間である釤之助君はその力を使()()()()()()()()()()()……?」

 

(……やはりか、安倍釤之助。

 お前が……!)

 

「おのれぇ!! 一度ならずも二度までも!!!」

 

 叢雲牙の魂は獄竜破を放った!! 

 

「……来たか!! 見せてやるよ! 即席の必殺奥義!!」

 

 釤之助は剣に霊気を込めて纏い、構えを取った! 

 

 

 

 

「螺旋獄竜破!!!」

 

 片手突きの勢いで螺旋に渦巻く獄竜破を放った!! 

 叢雲牙の魂が放った獄竜破と釤之助の獄竜破が衝突する!! 

 

「いっけぇ!!!」

 

 螺旋獄竜破が叢雲牙の魂が放った獄竜破を押していた!! 

 

「ほお? 中々だな? だが所詮はその程度だ!!」

 

 叢雲牙は二発目を放った!! 

 二発目によって獄竜破はそのまま融合して、螺旋獄竜破を打ち破った!! 

 

「嘘だろ!?」

「釤之助!!」

 

 犬夜叉は爆竜破を放った!! 

 しかし掻き消された!! 

 

「はぁ!?」

「爆竜破がっ!?」

 

 巨大な獄竜破が二人を襲った! 

 

「犬夜叉っ!!!! 釤之助君っ!!!!!」

 

 獄竜破はそのまま二人を飲み込んだ……!! 

 

 

「ふっはっはっはっ! 幾ら貴様の力が強かろうとも、戦の場数のないものには相応しい最期だったな! 釤之助!!」

 

 

 

 

 

 

「何度……でも…………言え……!!」

 

「何っ!?」

 

 するとそこには満身創痍ながらも釤之助が立っていた! 

 そして後ろには犬夜叉がいた! 

 

「…………うぐっ!」

 

 釤之助は倒れかけるも、体勢を立て直した!! 

 

「釤之助! お前……!!!!」

 

「バカな!? あの一撃を受けたのだぞ!? それを何故!?」

 

「…………」

 

 あの時……瞬時に結界を張らなかったら死んでいた……!! 

 

「ええいっ! どこまでも忌まわしい奴めっ!! ならば今度こそ、貴様ら三人諸共っ! 引導を渡してくれるわっ!!!」

 

 叢雲牙は全身全霊の獄竜破を放った!! 

 

「来たか……! いけるな? 犬夜叉!!」

「うるせえっ!! 人間のくせによう!!」

「人間だからこそじゃないか?」

「ああ、人間の血を流れてる俺だからこそ……」

 

 

 

 

 

 

「諦めが悪いからなぁ!!!」

 

 犬夜叉は爆竜破を、釤之助は螺旋獄竜破を放った!! 

 二人の奥義が入り混じり、最大出力の獄竜破と衝突したのだ! 

 

「馬鹿め!! 鉄砕牙だけでは勝てるものか!! 貴様らがどう足掻いたところで、黄泉の国はこの現世を飲み込むのだ!!!」

 

「ごちゃごちゃうるせえっ!!」

「それがどうしたっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺には()()()()があるんだっ! 

 だから、俺は絶対に諦めねえっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カタカタカタカタ

 

 すると、天生牙が震え始めた! 

 

「天生牙?」

 

 

 

 

 

 

 

 “お前に()()()()はあるか? ”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺生丸さま!」「殺生丸様!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺生丸……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“お前に()()()()はあるか? ”

 

 

 

 

 

「守るものだと……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう一発!!」

「いくぞぉっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「うおおおおおおおっ!!!!!」」

 

 犬夜叉と釤之助は全身全霊の爆竜破と螺旋獄竜破を放った!!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この殺生丸に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守るものなど無いっ!!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 犬夜叉と釤之助の奥義に、殺生丸の天生牙の一振りの「蒼龍破」を放ったことで三者の奥義はより強大なものとなった!!! 

 

 

「なにっ!? ぐおおおオオオォォォォ…………」

 

 

 三者の奥義は天翔る竜の如くに舞い上がり、叢雲牙の身体は砕けていき、魂は天生牙込みの雷を浴びて消滅した!! 

 

 

「やった!!」「勝った……!!」

 

 釤之助は勝ちを確信したか、倒れる……。

 

「釤之助! ったく、最後まで世話かけやがって!!」

 

 そう言い、釤之助を担ぎ

 かごめと合流してその場を離れた!! 

 

 一方殺生丸もその場から離れていた。

 

「殺生丸さま!!」「殺生丸様!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっなんだ!? 空の暗雲が!?」

「吸い込まれてるぞっ!?」

 

 暗雲が吸い込まれると同時に、下の亡者の群れは暗雲の渦に巻き込まれて呑まれていった……! 

 

「犬夜叉!!」「犬夜叉殿!!」

「かごめちゃん!!」

「釤之助様!!」

「無事じゃったか!!」

 

「…………ん? ここは天国か?」

「ギャグ言ってる場合? 

 生きてるわよ?」

「そうか……って! 叢雲牙は!?」

「ん? アンタのそれがじゃないのか?」

「えっ? あっ本当だ、じゃなくて!! 魂の方!!」

「ああ、消滅したよ?」

「そうか……っ!?」

 

「良いもの見れたから、俺はこの辺で。じゃあな」

 

 夢幻の白夜は折り鶴を使って関ヶ原を去った……。

 

「なっ!? アイツ!?」

「しまったすっかり忘れてしもうた……!!」

「犬夜叉……今の!?」

「ああ、アイツ奈落の……!」

「……それよりも、あれはなんだ?」

 

 空から壊れた大太刀と魔法石、そして殺生丸の切られた左腕があった……。

 

「あれは……?」

「叢雲牙が身体作りに使ったものだ、魂が消滅して戻ったようだな?」

 

 粉塵舞う大穴に左腕と共に落ち、するとそこに巨大な光が放った!! 

 

「っ!?」

「なんだ!?」

「…………!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(父上!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光の中から犬の大将こと「闘牙王」の姿が現れた!! 

 

「あれは……!?」

「「「親方さま!!!」」」「犬神!?」

「親方……っ!? 犬夜叉!! あの人!?」

「親父だって!?」

 

 その場にいた群雄とアリシア達は犬の大将の姿を見て、神々しさと同時に覇気を感じて驚いていた……!! 

 

 

 

 

 

 

殺生丸、犬夜叉。

 お前達がこれを見ていると言うことは、二人はついに答えを見つけたということか。

 本来ならば、剣のそのものを封ずるはずが

 よもや異なる形で叢雲牙の中にいた魂を完全に消滅させたようだ? 

 これで事実上、魂は永久に冥界に封じ込められた。

 もう、お前たちに言い残すことはない

 これで私も()と共に安堵して次代を託せられる…………。

 さらばだ、殺生丸…………

 さらばだ、犬夜叉…………。

 

「親父!!」(父上……)

 

 闘牙王は光と共に消えた……天に還るかのように…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「親方さまは、お二人のご子息を信用して

 全てを託しておったんじゃな」

 

「託した?」

「何を託したの?」

 

『本来、災いの剣「叢雲牙」葬るには

()()()()()()()()()()()こそが唯一の機会じゃったのじゃ』

 

「なるほど……あの時鉄砕牙の爆竜破で身体をぶち壊して、中の魂を完全消滅させる為に天生牙で放った蒼龍破でトドメを指す、そうすりゃあ完全に叢雲牙を倒せる…………そういう目論みだったと?」

 

『そうじゃ、親方さまはそう願っておったのじゃ』

 

「けっ! いい気なもんだぜ!」「くだらん……」

 

 

 関ヶ原の戦いの勝利は各陣営から世界各国に知れ渡った。

 多くの人々は歓声をあげていた。

 

「それで? 殺生丸様は何処へ?」

「もう行かれましたよ、殿?」

「…………であるか」

 

「こら鞘! 大将の遺言を聞いていたんならもっと早く言えばよかったろうが!!」

『これも、二人のためと思えばこそ……』

「さては忘れておったな!!」

 

「やれやれ、可愛いお年寄りだね?」

「じゃな?」

 

 

 

 

「お父さん、優しそうな人だったね?」

「カッケェお犬様じゃねえか?」

「そうか?」

「会えてうれしかった?」

「別に?」

「実際どうなんだ?」

「……お父さんに、何か言いたいことがあったんじゃない?」

「ねぇよそんなもん」

「…………意地っ張り」

「なんだよ?」

 

 

 

 

(実際、本当は嬉しいくせに? 

 でも真に嬉しいと言えば、殺生丸も同じか?)

 

 

 

 荒れ果てた関ヶ原上空に、二匹の雲雀が飛んでいた……。

 戦いに勝った殺生丸と犬夜叉達と釤之助達を祝うかのように……。

 

 

 




次回
ある意味本番・偉人登場等



????? 


“はい、関ヶ原は彼等が勝利をもたらしました”

そうか、白の女神が予言していた「天地人の三剣士」のことだな? 

 “はい、三者はそれぞれ離れて去りました
 殺生丸と犬夜叉は奈落一派との戦いに戻り
 安倍釤之助は「都」に移り住むことになりました”

そうか、首尾は? 

 “ギルドはナチスとの戦いに巻き込まれた難民たちの救助をしています。
 中には数多の種族を受け入れています”

なるほど、流石は日本人の都だな? 奴らの多様性とは大違いだな? 

 “それを()()であるあなたが言いますか? ”

言ってはいけないか? 日本人(彼等)は世界の最前線に立つエンターテイメントだ、見どころがあって素晴らしすぎるよ

 “そうですね? 
 連盟やナチス等は統一して一つにするのに対し
 我々は受け入れて多種族の街づくりをする。
 私たちの当たり前が世界の非常識というやつですか? ”

そう、だからこそ()()なのだよ

 “ありがた迷惑ですね? ”

さて、私たちはこれから本格的にやらないといけなくなったようだな? 

 “それはつまり? ”

連盟とナチスとの本格的な戦いだよ

 “では、ついに!? ”

そうだ、最もこの戦いは長引く恐れがある……

 “……まさか? ”

いや、そこまではしない……。彼等の舞台は彼らの物語がある、我々だけでもやるつもりだ

 “ですが、この件は()()にとっては……”

人間には人間の戦がある、神の介入はありはしない

 “…………”

さて、問題は彼らだが……

 “手を出さなければ穏便に進めるものかと……”

だな、特に曹魏と織田が危険だ。彼らの軍事力は三国と豊臣と徳川等の中でも抜きん出ている、下手に刺激すれば壊滅する

 “それが賢明です”

それならば……ギルドとやらだな? 

 “そこでしたならば、あるいは……”

価値はあるだろう? ()()君? 

 “……そう願いたいものですよ? ”

















マッカーサー元帥? 


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第一章後半〜釤之助立身戦記〜
都の釤之助


本編開始
ここは主に偉人ネタを少々


叢雲牙との戦いを終え、各勢力は回復に戻った。

 殺生丸と犬夜叉たちは「奈落一派」とやらの戦いに戻って旅立った。

 俺はというと、都に移り住むことになった

 理由を簡潔に言おう。

 衣食住と()()()()()()()()()()()ことだ

 あんな美女軍団の中にいると内外の視線が辛い+いらぬ嫉妬を買いたくないからだ。

 故に都に住むことにしたんだ……。

 

刀鍛冶工房

 都の刀鍛冶工房にて、釤之助は刀々斎を呼んで「叢雲牙」を診てもらった。

 

「ふうむ……」

「どうなんだ、爺さん?」

「この剣は元々……「叢雲牙」は中の魂がいたからこその強さがあったんじゃ。

 その中の魂がなくなったから前のような強さがなくなっただけじゃな?」

「そうか……」

『しかし、お主はこの剣をどうする気なんじゃ? 

 使うというのならば問題はないが、不備も欠陥もなかろう?』

「まあそうだけどよ、念にね?」

「診てわかったことは()()()()じゃな? 

 前みたいに亡者を呼び戻すことはできても大軍勢みたいなことはできん、よくて髑髏の兵隊5〜10人程度が精々じゃ」

「猛丸みたいに復元はできないと?」

「そんなもんじゃな? 

 それと斬っても蘇ることはなくなったから安心してもいいぞ?」

「はあ……」

 

 刀々斎が言うには、亡者を呼び戻す力は魂由来の力らしく

 それがなくなって弱体化したらしい。

 まあ弱くなって扱いやすくなったのは何よりの救いだがな? 

 

『さて、これからどうするんじゃ?』

「働かざる者食うべからず、先ずは「ギルド」に行くさ?」

 

 実はあの戦いの後、俺はギルドで「冒険者」という職についていた。

 主に探索と捜索、そして護衛や討伐等が仕事だ。

 

「あら、いらっしゃい!」

「なんか以来の一つや二つはあるか?」

「ええ、そうね……」

 

 依頼の内容は主に「各モンスターの狩猟と捕獲」や「商人ギルドの護衛」に「五右衛門の捜索」だ。(なんで五右衛門? 何かしたのか?)

 

「そうだな……ゆっくりとするか?」

「よお! やってるねえ!!」

「ん? マイアじゃないか!?」

「あんた、随分と板についたね?」

「いや、まだまだですよ? 先輩?」

 

 マイアはあの戦いの後、都のギルドを顔を出しては依頼を受けたりしている。

 立場も実力は目上だから「先輩」とも言えてるけど……。

 

「そうだ、この記事読んだ?」

「ん? 「蔦谷週刊」? 

 何か特ダネが出たのか?」

「これこれ」

「ん?」

 

 記事の内容には「黒の女王」と「白の女神」が和睦を結んだことだった。

 長きに渡った戦争を終止符を打ったという内容だった。

 

「ああ! これ確か龍馬が奔走したやつか!」

「そうそう! 関ヶ原の余波が大陸全土に知れ渡って、オリガ自身がセレスティン様と面会して和睦を結んだって話! 

 あの場にいた人たちからしたら結構いいもの見れたと思うよ〜?」

「……まあ()()()からな? 

 下心を抑えるの大変だったろうな……?」

「でしょうね〜♡」

 

 何故がグイっと寄って乳を押し付けて寄ってくるマイア。

 

「それで? 何かするの?」

「まあこれだな?」

 

 釤之助は一枚のビラをマイアに見せる。

 

「お? 「クルルヤック退治」? 

 それをするの?」

「うん、ゆっくりとしてるんでね? 

 これから行くところさ?」

「ふうん? じゃああたしもいい?」

「なんで?」

「退屈だから!」

「……()()()()()()()のか?」

「え?」

 

 マイアは現在「ガロン装備(EX仕様)」をしていた。

 

「いいじゃん? 別に減るもんじゃないしね?」

「あっそ、じゃあ行くよ?」

「ああっ!? ちょっと待ってよ!!」

 

 釤之助はマイアと一緒に依頼を遂行しに向かった……。

 

 




次回
モンハンっぽい物語

本作品は良くて「らんま1/2」基準のお色気ネタをしますが、できるかどうかは分かりません。


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釤之助の初仕事

モンハン風味物語


失われた文明遺跡

 

 調査隊の調べによると、俺たちのいた世界の街並みが古代の時代からあったものだそうだ。

 なんでも異種族も人間たちもそこに住んでいたが、かつて戦争が起きて巻き込まれて崩壊したらしい……。

 戦後復興も虚しいことに、疫病やモンスターの襲来で中止となって今は緑が多い茂って巨木と草木に包まれたビル群が名所の場所(エリア)だ。

 

 その後、第一線の前線キャンプ地にて隊と合流して作戦の方針が決まった。

 

「捕獲せよとのことだ」

「捕獲? 討ち取るんじゃなく?」

「正確には()()調()()及びに()()()()()()のためだ。

 華岡医院の獣学部長「綱吉公」たちのお達だ」

「綱吉? それって……」

「そう、お前たちの時代の過去の時代の将軍「*1徳川綱吉」だ」

「へえ? そんな大物がなんで?」

「いや、実は調査隊や近隣の農村で「*2賊鳥被害」が相次いでな? 

 そこで綱吉公はクルルヤックを捕らえて隅々まで調べてやろうと思いついてな? 

 それで私たちもこの捕獲に来たんだが……」

「まあ、俺たちが来たから捗れるかもな?」

「すまない、恩にきるよ?」

 

 釤之助・マイアと調査隊の構成員と共にクルルヤックの捕獲任務が始まった! 

 

「さて……肝心のクルルヤックはどこやら……?」

「………………」

「……釤之助? どうした?」

「ん? 悪い、遺跡の建造物を見てた」

『……釤之助、この建物はまさか?』

「まだわからない、でも見覚えはあるものばかりだ」

 

 遺跡の建物はほとんどが現代社会のビル群そのものだった。

 草木と蔦に多い茂っているため、本来ならば崩れて跡形もなく崩落するものが草木と蔦の根っこによって建造物は形を保っていたのと支配されていたのとで今の遺跡の形を成り立っていた。

 

『ふうむ、わしらとお主たちのいた時代と世界が入り混じってるのはわかるが、これほど茂ってるとなると…………?』

「相当な年月ものだな?」

『じゃろうな…………?』

「…………っ!」

 

 マイアは物陰に隠れた! 

 

「?」『どうした?』

「しっ!」

 

 釤之助もマイアに続いて物陰に隠れた。

 そこにはのほほんとツボを拾ったクルルヤックが発見した! 

 

「アイツは……!」

「まさかの一番槍だよ? 

 どうする?」

「…………」

『ん? どうした?』

「耳を貸してくれ」

 

 クルルヤックはツボを持って歩いた。

 とてとて歩いて移動しようとしたその時! 

 

「今だっ!!」

 

 釤之助は結界を展開した!! 

 クルルヤックは驚きのあまりにツボを落とす! 

 

「試しにやってみたが、この辺りだけが精一杯かよ!!」

「この辺りだけでも十分だよ!!」

『全くじゃっ!! よくこんな術を!!』

「んなこといいだろ!! さっさとアイツをとっ捕まえるぞ!!」

 

 釤之助とマイアはクルルヤックとの戦闘を始めた!! 

 

 

 

 


 

 

 

 

キャンプ地

 

「それで? 何か分かったか?」

「ええっと? この遺跡の構造か? それとも賊鳥の?」

「今は鳥だ、それ以外は帰って聞く。

 女はともかく、彼のことだ」

「……安倍釤之助のことか?」

「そうだ、実は()()調()()()()が出ているんだ」

「…………えっ!?」

「実を言うと()()()()()()()()()()なんだ、詳しい話は聞かされていない」

「ええ? どう言うことなんですか?」

「詳しいところはわからない、現にギルド長の西郷隆盛と最高幹部のハンニバル・バルカ氏もその秘密の依頼を私に振っているんだ」

「あなたが……? 何故?」

「私もわからん、現に石原の野郎が“お前が適任だからやっとけ”の一言だ」

「それ、理由にはなるのですか?」

「私にもわからん、かつて私もあの人の配下だったが……あの*3上等兵のせいで我が日本国は負けてしまったのだからな……」

「そっか……確かにあの人なら……でもそれ本人の前で言ったら何言われるか……?」

「でも今仕方のないことだ、今の石原さんはこの世界でしたい放題してるしな? 

 もしかしたら何処かで仲間と会えるかもしれないからな?」

「そう願いたいものです、その中に上等兵がいたら真っ先に殺すつもりかもしれませんね?」

「…………しそうだな?」

「……ですね?」

 

「お〜い!!」

「ん?」

「おや……?」

 

 釤之助とマイアがキャンプ地に戻ってきた。

 

「君たち? 一体何しに……」

「クルルヤック捕獲済ませました」

「そうか、捕獲を……早っ!?」

「アレをもう捕らえたのか!?」

「まあな?」

「あたしたち二人がかりでボコ殴りにしたからな?」

『なにがボコ殴りじゃ、虫の息にするまでやるか普通?』

「はっはあ…………」

 

 クルルヤック捕獲を済ませた二人に驚く二人

 無論、報酬は手に入れた……。

 

(…………)

(あの……どうします?)

(そっとしておこう……後のことはゆっくりとしよう……)

(……ですね?)

 

 


 

 

都;士学校

 

「ほお〜釤之助の出世ぶりはなかなかのようじゃのう?」

「ふむ……関ヶ原の件で知れ渡り、ギルド……もとい士学校に入ってからこの短期間で山積みの依頼を片付けられたのだからな?」

「はっはっはっ! いいことじゃないか! 

 疲労困憊のベテランに未経験のど素人の負担も劇的に減って大助かりよ!!」

「莞爾さぁもウチに来て助かることも大ありじゃっとん! 

 利通も孝允さぁたちも再会できたのが何よりの喜びじゃっとん!」

「はっはっはっはっ!! 維新三傑の隆盛さんに言われちゃあ返しようがないよ!!」

「まあ二人とも、これからじゃ? 

 このところ「モンスター」……というか数多の竜種といい魔獣といい、被害が出てるところがある。

 石原さんの伝手で樋口さんだけじゃなく、船坂さんや栗林さんたちのおかげで捗れてる。

 それに、これからの問題は…………」

 

「古龍と言う化け物をどうするか……だな?」

 

「っ! お主は!?」

「おおっ! 永田っち!! 

 なんだ、もう戻ってきたのか!?」

「……石原殿? その呼び方をどうにかしてはくれませんか? 

 それに、今は私は東條に代わっての「元帥」だ。

 親しき者にも礼儀ありだろ?」

「ツレねぇことをいうなよ? それで? 

 結果どうだった? 「*4永田鉄山元帥」?」

「……マッカーサー氏は連盟とナチス打倒を宣誓した」

「なんと!?」

「それは真か!?」

「……やっと重い腰を上げたか? あの鬼畜米の元帥様が……!」

「石原、私怨は法度だ。

 ……とはいえこの世界ではそんなものは石ころ、今なすことができた。

 この件は彼らは?」

「いや、まだだ。

 連盟の奴らも今頃ビビってウチに寝返るだろうよ? 

 何しろ奴らは統一を企てていたからな?」

「だが、蓋を開けて世に出れば世界の半分がどういうわけか()()()()()()()()()()()()()()()

 これには連盟も泡を吹いただろうな?」

「ああ……我々も渋沢氏もこの件には驚かれていた。

 異世界の種族である「エルフ」と「ドワーフ」等種族が()()()()()()()()()ことに驚いた。

 何故彼らは喋れるのか、何故日本の文化に聡いのかわからない……」

「それだけじゃねえ、日本と中韓にフィリピンのアジア圏とイギリスやスペインのヨーロッパ圏とアフリカにアメリカの文化があるのに対して()()()()()()()()()()()()

 どうなってるんだ?」

「そればかりはわからん……だが()()()()がある」

「例の“失われた古代遺跡”のことかい? 

 見たこともない摩訶不思議な遺跡群が建ち並んで草木に繁られて根っこまみれの……?」

「そうだ、あそこの遺跡を調べた結果。

 あの建物と巨木の年齢を調べた結果、あれは遥か5()0()0()0()()()()()()だということがわかった」

「5000年!? 紀元前ギリギリじゃないか!? 

 アトランティスとかムーとかじゃないよな?」

「それがわかれば苦労はない、まだ謎があるんだが……」

「眼前の問題は「奈落一派」と「古龍」か? 

 奈落は犬夜叉たちがいるとして、古龍となると……」

「わかっている、この世界は私たちや三国志と戦国史の英傑がいる。

 だがかつて「テオ・テスカトル」を倒した源平武者と蜀漢と徳川の連合軍総出でやっと倒せたという話だ、幸い素材で武具兵器の強化ができたんだから良いじゃないか?」

「そうは言うが、幾ら無双の英傑といえども苦戦は必須。

 噂ではある騎士の軍は「クシャルダオラ」に吹き飛ばされ、我々の兵器や魔物使いですらも「キリン」と言う古龍に惨敗。

 頼れるのはやはり釤之助等の無双の豪傑……ということになるな?」

「…………」

「考えても仕方ないだろ? そう言うのは「犬公方」と「*5福島将校」が専門だろ?」

「それはそうだが…………」

「そうと決まったら、釤之助に褒美の一つや二つをやらんとな!!」

「はっはっはっ……流石陸軍の異端児とはよく言いましたな?」

「ああいう手合いの何がこそが、組織に欠かせないものだな?」

 

 その後、安倍釤之助は褒美の知らせを聞いて喜んだ……。

 

 

*1
徳川綱吉;徳川幕府の五代目将軍。

 本家嫡流の将軍で「生類憐みの令」で名を知る「犬公方」である。

 現在では華岡医院の獣学部院長を務め、獣害被害やモンスター対策の防衛網の研究に勤しんでいる。

 尚、「水戸黄門」の光圀公には頭が上がらないとのこと。

*2
賊鳥はクルルヤックの異名。

 遺跡の骨董品や草食獣等の卵を盗んで食べる行為でその名が付いた。

*3
東條英機のこと。

 満州事変の方針と主義思想の対立で予備役に左遷された。

 尚、当人はこの件に根を持つものの

 今は吹っ切れてギルドの人事をしてウハウハしているそうな……。

*4
永田鉄山;東條英機派閥の良心。

 かの昭和軍史の大事件「永田事件」の被害者である。

 とある軍人曰く「彼が生きていれば第二次世界大戦は起きなかった」

「東條英機の暴走を唯一止められた男」

 異世界では仲間と合流して彷徨う最中に坂本龍馬と石原莞爾との出会いと再会を経て、現在は士学校の石原莞爾と並ぶ士学校の最高幹部の一人である。

*5
福島安正のこと。

 単騎でユーラシア大陸を横断するという大偉業を成し遂げた陸軍将校。

 ユーラシア大陸の受難を乗り越え、後の“日露戦争”を勝利をもたらす陰の立役者である。

 現在では異世界で馬に乗って各地を転々して探っている最中、石原莞爾との出会いを経て士学校の参謀科に就て教鞭を振るっている。

 尚、ハンニバルや伊能忠敬は彼の偉業を褒められて即倒したらしい。




次回
日常の中の騒ぎ


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都の賑わい

日常回&世界情勢回


都;釤之助宅

 

「ふうん……あのマッカーサーがギルドの最高幹部の永田鉄山と同盟、ナチスと連盟打倒に動く……か。

*1蔦谷週刊はあの「NHK」よりかマシなことをするな?」

 

 安倍釤之助の家はビルの一室に住んでいた。

 広いリビングに狭い寝室でよく見る普段の住まいだった(家具・テレビ・ゲーム機有り)。

 

「……さて、暇つぶしに出かけるか?」

 


 

 都を散策し始めた釤之助は、新鮮かつ斬新な都の光景に心を躍らせていた。

 幕末〜大正の雰囲気を持つ光景に似合わない昭和戦後のバブルに近い活気に溢れていた。

 

(思えば今までまともに歩き回ったことないしなぁ……?)

 

 様々な種族が行き交い、人間やエルフにドワーフ

 そして驚くことにインディアンやアイヌ民族等の人々がいた!! 

 

「……そういえば初めて来た時は見かけたけど、すげぇな……! 

 こんな街並みは現代の人たちからしたら呆然ものだ……??」

 

 普段通りに歩き、チンチン電車が通り

 そして車や馬車が行き交い、複雑怪奇で摩訶不思議な世界に誘われていたかのように街並みを見て歩いた……。

 

(うっはぁ……まるで本当に異世界に来たって感じだな……!!)

 

「おーい! お前釤之助か?」

「ん? 誰だ?」

 

 釤之助に声をかけた人物

 中華衣装で胸元に「魏晋」の二文字をしていた。

 

「おっと、こうして会うのは初めてか? 

 司馬昭ってんだ、字は子上だ。

 知ってるだろ?」

「ああ、司馬家の次男坊? 

*2息子さんが天下取るもバカやらかしてしくじったのか?」

「ゔ……それは禁句……」

「……まあいいけど、どうしたの? 

 サボり?」

「サボりだったらここには来ないよ! 

 というかこんなところに来る人の顔が見てみたいよ?」

「いるよ? 都全域に?」

「……はは」

 

 司馬昭と会い、都を歩き回った。

 

「へぇ〜? そんなことがねぇ……?」

「まあ、その時その時代はあんた死んでるからな? 

 っても、こんな世界だ? どうなってるかは知らないからな?」

「まあ、そうだよな…………? 

 元の歴史と時代ならともかく、こんな入り混じった異世界じゃあ蒟蒻問答だな?」

「……知ってる人がいたなら会ってみたいな?」

「だな?」

「まあ……こんな世界でも楽しんで……ん?」

「どうした? ……お?」

 

 釤之助と司馬昭は、人混みの中から「クラウス・クラウディア夫妻」の姿を目撃した。

 

「あの人は……!」

「あれは、確か七盾同盟とこの……?」

「珍しいな? 意外にもここに来るとはな……?」

「……まあ、夫婦水入らず。

 黙っておいて……」

「おや? これはこれはクラウディア様?」

 

 その時、郭嘉が現れた! 

 

「えっ……!?」「なっなんだ、君は!?」

「失礼、申し遅れました。

 私の名は」「「「郭嘉(殿っ!!)?」」」

「……おや? みなさん、どうしてここに??」

「「「それはこっち(わたくしの)のセリフ(ですぞっ!!)だよ!!!」」」

 

 釤之助・司馬昭・陳羣の登場でことなきことを得た(なわけあるか!!)

 

「そうでしたか、あなたがあの釤之助さまでしたか……!」

「クラウスの旦那、郭嘉(アイツ)には気をつけろよ? 

 ただの酒飲みだと思ったら大間違いだぜ?」

「アイツの素性は女もつまむヤバい輩だぜ、*3相手が鬼の娘でも口説く命知らずなんだからな?」

「はっはあ……」

 

 不思議なことに、都にてクラウス・クラウディア夫妻と出会った。

 

「まあそれよりも、なんでこんなところに?」

「ええっと、マイアさんからこの都のことを教えてもらって……」

「なるほど、そりゃあこの都に来たのか? 

 確かにデートやら新婚旅行や、そういうのにはここが最適だな? 

 でも気をつけろよ? ああいう手合いが彷徨いてるからな?」

 

 別席では陳羣が郭嘉に説教をしていた……。

 

「まあ、何はともあれ

 お二人方がこの都に来られたということは、何かめでたいことでも?」

「ええっと……実は……」

「……その、お恥ずかしい話ですが……()()()んです」

「「???」」

「華岡医院に行ったんです、妻の容態が優れぬと思ったら……」

「…………マジか?」

「…………」

 

 クラウディアは恥じらいながらも頷いた……。

 

「そりゃあめでたいことじゃないか!!」

「へえ! よかったじゃないか!!!」

「セレスティン様と仲間たちが私の妊娠を聞いて、祝ってくれたの」

「そうか……!」

「身体には気をつけろよ??」

 

 そしてものの数分間、祝言を送って別れた……。

 

「色々なことがあるんだなぁ……」

「色々っていうかこの世界がだろ? 

 いろんな種族に文明文化、それを纏めてより良いものになってるこの都だぜ? 

 何があってもおかしくないだろ?」

「……だな?」

 

 その後、司馬師と共に都を散策した

 郭嘉はあの後陳羣に捕まって連れられたのは別の話……。

 

 


????? 

 

 とある大海原……。

 軍船と軍船、そして飛竜兵たちの戦争があった……。

 

「なっなんなんだアイツらの戦術は!?」

「馬鹿げてる!! 急接近して爆弾を落とすなんて!?」

 

 各船団の上空に急降下してタルの爆弾を投下して軍船を撃破していた。

 そして飛竜兵の白兵戦は凄まじく、薙刀と槍で攻めてと弓矢と鉄砲の射撃で倒していた。

 

「トラトラトラ!!」

「っしゃあ!!! 俺らの勝ちだっ!!」

「阿呆!! 「勝って兜の緒を締めよ」だろうが!!」

 

 飛竜兵達は「空母」に降り立った……。

 

「へへ、いやあ()()()()()が来てから連勝続きで酒が美味い!!」

「全くだ!! あの人の教育は半端ないって!」

「いやあ、新兵たちもよく頑張った!! 

 家帰って家族女房に自慢してできるぞ!!」

「…………はいっ!!!」

 

 木造式帆船型空母「赤城」と「加賀」には戦勝を喜ぶ戦士たちの声が上がっていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

?????? 

 

「報告します! 武装船団「海龍」、帝国艦隊の撃破しました!!」

「…………そうか、陸の方は?」

「はっ! 陸戦隊は「スキピオ」の指揮の元「東條氏」率いる陸軍隊は「獣人兵」及び「有翼兵」達の編成のおかげで帝国陸軍を撃破しました!」

「そうか……流石の東條も「ローマの軍神」の前では頭が上がらないか……。

 いや、最も側には()()()()()()()()()がいたからか……」

 

 とある都市の建物の中、威厳のある軍服とそれに見合う勲章を持つ軍人がいた……。

 

「この世界は摩訶不思議だ…………常人と常識を覆すことばかりだ、特に*4山口少将は()()()()なんだが……! 

 ……君、もういいよ? 

 それから各軍には戻って休むように伝えに行ってくれ、私はこれから山口君の元へ行く」

「はっ!」

 

 

 

 

海岸;船の墓場

 

 海岸の岸壁には打ち捨てられたかのように漂流した空母「飛龍」があった。

 

「……そうか、勝ったか?」

「山口君、君はまだ飛龍(ここ)に……?」

 

 飛龍のある一室、二人の軍人がボロボロの提督室にいた……。

 

「……ここは仲間たちの導として、私はここに残っている。

 それ以外に何かお答えしましょうか? *5山本殿?」

「……幸いだったのは*6東郷君と*7楠木殿のおかげで戦が楽に運べることだ。

 流石の東條英機も彼らの前では頭を下げざるを得ないだろう? 

 ……最もスキピオ辺りが喝を入れたのが大きいな?」

「でしょうな? ハンニバルをやっと倒せた男と戦上手の武者がいるのならばなんとかなれますな?」

「ああ、特にあの*8()()()()()にゲンコツ二、三発ぶちかましができる男はそういないよ? 

 猛省の余地のないようなら遠方の僻地に追い出すとは……」

「東條英機はむしろマシな方さ? 

 ただリーダーシップの素養がないだけだ」

「言うなよ、スキピオ達のおかげでこうしていられているんだ。

 いなかったら瓦解していたか太平洋戦争末期の二の舞だよ」

「そうだな、最も彼の側には()()()()がいないのが問題だった。

 彼を叱ってるスキピオ達がいたからこうしていられている、早いところ集って欲しいものだ……」

「難しいでしょうな? 

 特に石原君達と初めとする軍人達は東條と仲が悪い、最善の献策を出しても一蹴するわ開き直ってああだこうだを言う……。

 そんな彼らをまとめあげた永田鉄山がいたからなんとかなれたのだ……」

「…………。

 ……話が変わるけど()()()()()()は知ってるな?」

「……? 天下分け目の?」

「いや、言葉足らずだった。

 正確には()()()の方だ」

「……あの戦いか!」

「実は()()()があの戦いだ活躍したある若者達に会ってみたいと言ってな? 

 なんでも()()()()()()()とやらに会いたいと騒いでな……?」

「あの人か……! 全く、金を出せば動くとか。

 何を考えているんだ? 三菱でも住友でもないのに……」

「しかし、私たちがこうしていられるのは()()()()()()()によるもの。

 とにかく、もし彼がこの船のことを話したらこう言ってくれ。

「断る」とな?」

「……わかりました、それではお身体をお大事に。少将閣下」

「そう言うお前も寝首に気をつけろよ? 元帥閣下?」

 

 

 

 

 

 

まさか……。

 アイツも彼が生きていたことを知れば驚くだろうな? 

 ……東條? 

*1
蔦谷週刊とはかの「蔦谷重三郎」が作った新聞紙。

 現在では「蔦谷通信社」の社長として新聞紙だけではなく、ラジオやTV等幅広く都を中心にメディアを繰り広げてる。

 よく異世界の権力者から煙たがられる。

*2
司馬炎のこと。

 釤之助の言う通りハーレム作って政の熱意を無くして「八王の乱」が勃発。

 隋が天下統一するまで数百年はかかったらしい……。

*3
無双OROCHI2の稲姫加入イベント参照

*4
山口多聞

 旧日本海軍少将で「飛龍」の提督

 彼の元で鍛え上げた軍人のほとんどが史上最強のエース揃い。

 中には「ラバウルの魔王」を初め、「艦爆の神様」と双翼と並ぶエースに落とされても泳いで帰ってきたパイロット等の完璧超人揃い。

 現在では()()()()()開運都市の武装海兵隊を率いている…………。

 曰く「海龍の如く荒海を支配する神兵団」

*5
山本五十六

 旧日本海軍元帥

 かつてアメリカとの国力の差を訴え、「太平洋戦争」に反対した軍人。

 しかし開戦派の主張が激しかったため、真珠湾攻撃とミッドウェー海戦の指揮を取った哀れな軍人。

*6
東郷平八郎

 当時明治の海軍大将。

 強大国ロシアの決戦「日露戦争」にて「バルチック艦隊」を撃破した稀代の名将。

 現在は山本元帥の元で武装海兵隊を山口多聞と共に指揮を取っている。

 何故か異名持ちになっており「海神」の東郷平八郎と「人殺しの多聞丸」・「海龍」の山口多聞と並んで「大海の仁王」と呼ばれている。

*7
楠木正成

 新田義貞と並ぶ足利尊氏の盟友にして宿敵。

 山岳・奇襲等に長けて当時鎌倉幕府の北条を討ち倒した武士。

 建武の新政の行いを訴えた足利尊氏と戦うこととなり、倒すためにわざと京都に招いて退路と兵站線を絶って弱りきったところを総攻撃を仕掛ける案を出すも己が権威と面子を選んだ権力者に反対されて勝ち目のない真っ向勝負に出てしまった不運の武者。

*8
牟多口廉也

 旧日本陸軍人にして()()()

 インパール作戦で大多数の犠牲者を出したにも関わらず、ああ言えばこう言う男。

 現在では彼を初めとする多くの旧日本軍人は楠木とスキピオ達に袋だたきと鞭打ち20〜30打ち往復されて僻地の拠点に移転されて守将として日々を過ごしている。

 要するに戦仕事を与えられない給付金十五万ぽっちの「窓際軍人」




次回
まだ続く日常回
そして世界情勢回


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吃驚仰天

世界情勢回


帝国;皇城会議室

 

 とある帝国にて、各地で戦線を広げていたが

 連戦連敗を繰り返していた……。

 会議室の皇族貴族達は頭を抱えていた…………。

 

「それで、戦況はどうなってる?」

「最悪です、「海運都市」には山本五十六と東條英機達筆頭格がおり、我らの軍は惨敗です。

 それに「渓谷の集落」と「密林の民族」の攻略も停滞しており、撤退させました」

「っ! 貴様……!!」

「何を勝手に!!」

 

「私の指示よ? あんた達?」

 

 会議室から仰々しい覇気と貫禄を併せ持った派手な衣装を着た人間? が現れた。

 そしてその側にはその人に似た二人の人間? がいた……。

 

「あっあなたは……!?」

*1サンジェルミ、何しに来た……!!」

「いい? あなた達前言ってたわよね? 

 帝国の大願である「世界統一」なんて馬鹿げた野望は不可能って、海運都市攻略に各集落と原住民の村の攻略は無理だってことも。

 何しろあちこちには()()()()()()()()()がいるのよ? 

 そんな人たちを倒すなんて100%不可能よ?」

 

 サンジェルミ伯爵の登場で、会議室の空気は変わった。

 

「さて、もうこれ以上の戦争はかえって国を悪くするので……停戦と和睦を出すべきよ? これ以上「ユグドラシル」の国力を無駄に消費したらかえって自滅するわよ? それでも良い?」

「…………」

「……仕方あるまい、サンジェルミの案を受け入れよう」

 

 会議はサンジェルミの案を受け入れ、会議は終わった…………。

 


 会議の後、サンジェルミは私室兼執務室に戻った。

 

「やれやれ…………ほんっとアイツらバカねえ? 

 元々はこの世界の人間の帝国、元いた世界の“一神教”とこの世界の“人間至上主義”は嫌わねえ……!」

「おひいさま、そんなことより()()()()()の話をご存知?」

「剣士……? ああ、あの「白狼王」と「赤衣」ともう一人は……」

「「安倍釤之助」よ、おひいさま」

「えっ? 安倍晋三? アイツ確か後ろがガラ空きのところに撃たれて死んだ? そしてその後「統一教会」の不祥事がバラされた不運のお間抜けさん?」

「おひいさま、それは違いますよ。

 そんなヴァカな男が剣士なわけないじゃない、政治屋よ?」

「あら、そうだったわね? 

 それで、その釤之助がどうしたの? お尻振ってぞうさん振ってるあの子が?」

「おひいさま? それは埼玉県春日部市の名物幼稚園児ですよ?」

「冗談よ、その子がどうしたの?」

「今その子が例の都で有名になっているそうよ? 

 会ってみる?」

「あら? 意外と詳しいのね? 

 ……さては内緒で行ったわね?」

「申し訳ありません、お詫びと言ってこの「オリガ・ディスコルティア」と「セレスティン・ルクルス」の等身大抱き枕を……!」

「どこから買って来たのよ!? 下手したらやろうの逸物まみれになる代物じゃない!!」

「というのは嘘で、本当はこちらの品々です」

 

*2アレスタが差し出した品は「任天堂製の麻雀牌」と「トランプカード」等だった。

 

「あら? 任天堂のゲームセット? 

 元を辿れば花札やカードの専門店だったわね? 

 それが今じゃファミコンからスイッチなんて作ってヒット作を出してるそうね?」

「時の流れは複雑怪奇、でも私達の美しさはあいもかわらず……ポン」

「あら? 言うようになったわね? *3フラメー? カン」

「あら? おひいさま、それロンですわ。

 国士無双の役満ですわ」

「ちょっと? あなたすり替えたんじゃないわよね?」

「ごめんなさ〜い♡ついスっちゃったみたい♡」

「三麻の最中、失礼します」

「おや? なに?」

「蔦谷週間です」

 

 配達員は新聞紙を執務机に置いた。

 

「あら? *4べらぼうの蔦谷の記事じゃない、ええっと……」

 


 

 ところ変わって、楓婆さんとこの村。

 融合されてかごめの町と楓の村が融合されており、古今の地域住民達とは打ち解けていた。

 

「なっなんじゃとおっ!? この話は真か!?」

「うわぁっ!? いきなり大声上げてどうしたの!?」

「何事じゃ、騒々しい!」

「かっ楓よ!! これを見ろ!!」

「??? これは……?」

「「蔦谷週刊」ですよ? なんでも蔦谷重三郎? っていう人とその仲間達が書いた記事……新聞紙ですよ」

「ふうむ、で? この週刊紙? がどうかしたのじゃ?」

「どうかした? じゃと!? ()()()()を何とも思わんのか!!」

 

士学校の超新生現る!! 

 安倍釤之助の快進撃始まる!! 

 

「ほお、釤之助と言えばかごめの幼馴染か! 

 士学校と言えば確か……」

「それって、宮本武蔵とか強い人たちがいる?」

「そうそう! この前、釤之助兄ちゃんと会ったんだ。

 この前“クルペッコのせいでイビルジョーに襲われた、マジ許さねえ”って言ってたよ?」

「そうか……あやつも息災であったか」

「バカもん!! そっちではなくこっちじゃ!! 

 あの「福沢諭吉」が講演会を開いた話じゃ!!」

 

 楓の家はかごめの家族がいて、現在は田畑や神社の仕事をしつつ生活していた。

 時たま通る行商人や絵師も通って情勢の話も聞けることもあった……。

 

「楓さま? いるかい?」

「おお、お主か?」

「よお、草田? 元気してっか?」

「あっ! 釤之助兄ちゃん!!」

「ぬおっ!! 現れおったな!! 

 スケこましの青二才めっ!! 

 わしの孫娘をやらんぞっ!!」

『全く、相変わらず元気な爺さんじゃな?』

「魂の爺さんがいうか?」

『なんじゃと!』

 

 大荷物を背負って時たま楓達の村に足を運んできた釤之助。

 大荷物の物のほとんどは金だった。

 

「ほお、随分と稼いだもんじゃな?」

「まあな…………ほんっとうに苦労したんだからな!!」

『そりゃあお前さん、あの鳥が妙な鳴き声をあげたら恐ろしい怪獣が現れて死に物狂いじゃったんじゃからな?』

「そうだったの……」

「じゃが、こうして主は生きてるではないか?」

 

 昼飯がてらの鍋飯、団欒(祖父除く)の飯をありつけていた。

 

「全く、異世界になっても何を呑気にしてるんじゃ!!」

「呑気にしとるというが、今はワシらがこうやって暮らしているのがやっとなのじゃぞ?」

「まあ、確かにな? 

「ラジオ」とか「*5サイレン」なんて初めてだったんだろ?」

「ラジオはともかく、サイレンは私たち初めてよね?」

「ううむ、いっときは皆驚いたものじゃ。

 あれは確か「朝の時間」から「夜の時間」になったら鳴るからくりなんじゃろ?」

「まあな、朝方の6時と昼の12時と夕方の15時と夜の18時に設定してるから大抵時間帯のボケはなんとかなれるだろ?」

「そうだけど……」

「……うるさいのはわかる、でも実際長く聞くと慣れちまうもんさ? 

「あら? もうこんな時間」みたいになっちまうのさ」

「そうじゃのう……かごめ殿のいた国……元いた時代の少し過去から今に至るまで使われているところが少ないとは聞くが、実物を見ると不思議なものじゃのう……」

「でもまあ、それに馴染む慣れる人たちもすごいけどね?」

「ねえねえ? それよりテレビないの?」

「あるわけないだろ、特に楓側の家のほとんどは……。

 せいぜいラジオがあるくらいだよ」

「らじお……?」

「ラジオ? ああ、そういえばあったな……?」

 

 祖父殿はラジオに電源をつけた……。

 


 

 一方、犬夜叉たちは旅道中で茶屋にて足を休んでいた。

 茶屋では諸国の行商人や傭兵等がいた……。

 

「そうじゃったか、そのようなことが……」

「最近このところ戦が起きていてな? 

 あたしらは迷惑してるのさ」

「なんでも帝国ってやつが自分たちの大陸に我が者顔で当確を表してる人たちの国を襲ってるのさ、武田や上杉と北条。

 そして大友や朝倉もその帝国とやらと戦って迷惑してるって話さ?」

「帝国……それはいったい?」

「元々はこの世界が融合する前「セレヌス大陸」という元の世界の大陸の王都だったんだ。

 それがあんたらの元の世界の大陸と入り混じっててんやわんやになってしまってな? 

 帝国の言い分じゃあ“我らの領土を侵す輩を殲滅せよ”って言ってな? あと“我らが女神ラーレンティアの加護がある限り戦い続ける”の一点張りで恐ろしくてな、傍迷惑な戦をしているんだよ」

「そうだったのか……」

 

 行商人たちと傭兵たちの話を聞いた一行。

 ふと脳裏に故郷と仲間と家族のことを思い出す。

 

「胸糞悪い話だぜ、俺たちが何をしたって言うんだ? 

 魔族に獣人族、はたまたエルフとドワーフ。

 その上竜人や巨人に小人、そして魚人と人魚たちは帝国の奴隷として売られ慰め者にされる……。

 こんなことならセレスティン様の元に逃げるか都に逃げるのとで必死よ」

「わかった、それを聞いて何よりです」

「そうかよ、赤衣の兄ちゃんも気をつけろよ? 

 アイツらはてめぇみたいな半妖とか仲間達のような人を雑草と道端の糞のように見るからな? 

 親父、勘定受け取ってくれ!」

「まいどあり!!」

 

 行商人は茶店を出た……。

 

「聞いた話によると、この世界の歴史はどうやら()()()()()()()()()()に遡ります。

 女神と魔神とやらの戦いがあり、それがこの世界の本来の歴史。

 ですが、空の歪みから発せられた雷によってこの世界と私たちの世界の歴史と時代が入り混じってしまい、本来の時代と歴史にない文明が太古の歴史で存在してしまった……」

「それって、釤之助くんがマイアさんと一緒に行った「失われた古代遺跡」のこと?」

「ええ、実は()()()()()()()()()()()()()があるのです。

 刀々斎さまも道中でそれをお見かけになられた。…………ところが、この世界の人たちはそれが()()()()()()()()()()()()()()

「どういうことじゃ?」

「……考えられる仮説はただ一つ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということです、順応力が良過ぎるのです……」

「そう言われてみれば、以前かごめちゃんの家族と友達に会った……。

 それからものの数分も日数も経っていないのに仲良くなったんだよね?」

「楓さまもご家族だけではなく、村に足を運ぶ商人や武士たちが来たこともありました。

 しかし商人や武士たちはここにおられる人たち同様に()()()()()

「は? どういうことなんだ? 弥勒? わかりやすく言えってんだよ!」

「話は最後まで! そもそも前々からおかしいと思いませんか? 

 先ほどの行商人は犬夜叉のことを“赤衣”と呼ばれた、そして殺生丸は“白狼王”と呼ばれている。

 殺生丸はあらかた襲い掛かる妖魔を露払いの要領で払い除けてるから、その振る舞いと覇気貫禄がその名が着いた。

 しかし犬夜叉、あなたは殺生丸ほどではないのも関わらず()()()()()()()()()()

「それがどうしたんだ?」

「…………おかしいと思いませんか?」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()? 

 

 弥勒の答えに、犬夜叉たちはハッとした! 

 

「先の戦い、犬夜叉は源平武者と蜀漢と徳川の方々と会っている。

 にも関わらず、犬夜叉のことを()()()()()()()()()雰囲気でした。

 この時点ですでにおかし過ぎるのです」

 

 弥勒の言葉に、一同はこれまでのことを思い出す

 都についた後と旅を再開するまでの間の()()()()()()に……。

 一行が考えてるその時、テレビから速報のニュースが流れた。

 

 


 

速報です

 某月某日にて、帝国の奴隷たちが解放される事件の首謀犯が判明しました。

 首謀犯と思われる人物は

「ロビンフッド」「石川五右衛門」

「燕子李三」「洪吉童」

 そして「ワイルドバンチ強盗団」であることがわかりました。

 彼らは多くの奴隷にされた種族及び人民たちを救ったことで話題になっておりました。

 

 現場では今帝国の衛兵たちが駆けつけており、現場の調査をされております。

 取材班は今彼らに助けられた奴隷たちとの接触に成功しました。

 

「彼らは救世主です」「まるで英雄のように現れた!」

 

 奴隷たちは今帝国の追っ手から逃れ、現在は樋口中将率いる軍兵たちに保護され「都」の受け入れ準備をしています。

 以上「蔦谷放送」の「*6百地三太夫」が現場をお送りしました!! 

 

 

 

その後、犬夜叉一行と釤之助

 そしてサンジェルミはこの話を知って驚愕したのはまた別の話……。

 

 

 

*1
サンジェルミ伯爵

 歴史上において奇妙奇天烈摩訶不思議

 実在しているか否かもわからない。

 それが不思議の錬金術師「サンジェルミ」である。

「あら? あなた意外と詳しいのね?」

「「ドリフターズ」経緯で知った、オカマなのは「個性」のためです」

「どゆことだゴルァ!!」

「だってFGO皆無だし歴史面そこまでなんです!!」

*2
アレスタ:サンジェルミ伯爵の側近のその1

 好みの男は「ヒゲで歴戦のナイスシルバー」である。

*3
フラメー:サンジェルミ伯爵の側近その2

 好みの男は「片目隠れのポニーテールの少年」である。

*4
一応サンジェルミは「タイムトラベラー」をしているのでは? という説があった。

 ちなみに「べらぼう」というのは2025年度の大河ドラマのタイトル。

*5
サイレンって何? 

「SIREN」じゃないよ? 

 主に戦前から現代の田舎や工場等で使われる大きな音の発生器。

 一般の電信柱みたいな先端にメガホンみたいなのがそれ

 ちなみに作者自身の地域地元、正確には家族経営の餅屋にあります。

*6
百地三太夫

 服部半蔵と風磨小太郎と並ぶ忍者代表格の一人

 現在ではどういうわけか「蔦谷通信社」の記事者兼リポーターを務め、たとえ火の中水の中でも現地放送をする。




次回
日常・戦闘回


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荒野の涼風

モンハン風物語
今回はゲスト付き


朽ち果てた荒地

 

「……ここが、“朽ち果てた荒地”。

 ……ここも同じだ、古代遺跡と同じ…………」

 

 岩山の洞穴でキャンプ地にて、高台で風景を見ていた……。

 荒れて車も通れない雑草を突き破ったアスファルトの道路と砂塵まみれで死んだ電信柱。

 岩山の付近に廃車やガラクタがあった……。

 

(遠方にはエアーズロックに似た岩山、サバンナに似た地理地形……。

 なんなんだ? ここは……?)

 

「おーい! 釤之助! 何かわかったかい?」

「全然! 近くに行かないとわからないのと正確な情報が少な過ぎる。

 以上!」

「了解!」

 

 キャンプ地に戻り、編成を整えていた……。

 

「さて、今回この地の任務を言う。

 今この地で暴れている「アンジャナフ」を撃退することだ、狩猟捕獲どちらでも構わん!」

「OK!」

 

 釤之助はそう言い、荒野へと向かって走った! 

 

「あっ! おい待て!!」

「やれやれ…………仕方ないよ、釤之助! 

 お前一人だと手柄は重いぞ!」

 

 士学校の仲間の一人は釤之助の後を追った……。

 

「やれやれ……まあ今回は()()も一緒だが……大丈夫かな?」

 

 

 

 

 荒野へと降り立った釤之助、岩山のてっぺんに立って辺りを見渡した…………。

 

「……あそこだな? 

 ……??」

 

 アンジャナフを見つけるも、既に()()()()()()()いた……。

 

『なんじゃ……既に()()()()()()()のか?』

「誰か戦ってるのか……? 

 行ってみるか!」

 

 釤之助は八艘跳びの如くに駆け走り、戦地へと向かった……! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「五雷指っ!!!」

 

 鋼牙はアンジャナフと戦っていた!! 

 アンジャナフは怯むも体勢を立て直した! 

 

「ちっ! さすが蛮顎竜……! その名は伊達じゃねぇってか!!」

「嘘だろ……!? 鋼牙の兄貴の自慢の武器でも倒れないのかよ!?」

「なんなんだよ!? こいつやべぇよ!」

「お前ら! こいつがでかくて凶暴だからって、怯んでんじゃねえぞ!!!」

 

 アンジャナフは火球の息吹を放った! 

 

「くっ!」「うおっ!?」「うわあっ!?」

 

「やるじゃねぇか……!!!!」

 

 アンジャナフは飛びかかった!! 

 

「っ!?」「「兄貴っ!!」」

 

 するとその時! 横から釤之助が飛び蹴りをぶちかました!! 

 

「っ!? お前っ!?」

「……お前、犬夜叉と一緒にいた!?」

「そういうお前はかごめたちと一緒にいた奴じゃねえか!!」

「ああっ! 兄貴! こいつ士学校のところの!!」

「そうだ! 名前確か……!」

「安倍釤之助! 話は聞いてるよ!」

「!!」

 

 時を遡って、話の始まりはキャンプ地でのことだった。

 妖狼一族の縄張りから朽ち果てた荒野にアンジャナフが暴れているという話、若き次期棟梁の「鋼牙」直々にアンジャナフ討伐に向かったこととその助けを求める依頼だった。

 依頼主の「*1菖蒲」は鋼牙の婚約者であるため、石原莞爾が即承諾したため今に至る……。

 

 

「さて、こいつをどうする?」

「決まってるだろ、シメる!!」

 

 アンジャナフは咆哮をあげて釤之助と鋼牙を襲いかかった!! 

 

「足引っ張るなよ、妖怪人間!!」

「妖怪は余計だろうが!! 妖狼の若頭!!!」

 

 戦地は怒号の爆音が響き、荒野全体に響いた……! 

 

 

「あ〜あ、こりゃあ俺たちの出る幕ないか?」

 

 


 

 

????? ・集落

 

 どんどこどんどこと太鼓が叩き、森林地の戦場は響きまわっていた……。

 

「うげぁぁぁぁっ!! くっせぇぇぇぇっ!!?!!?!」

 

 砦の登り穴から人糞尿と牛糞と鶏糞の汚泥水を流し込み、帝国の兵たちにぶちかけていた! 

 

「よっしゃあ! そんだけぶちかませば破傷風で痛い痛い! 

 流石の帝国も糞尿をバカにできまい!!!」

「そっそうだが……ここまでするとは……!?」

「なんて男だ……!! 敵を倒すために、窯と壺の糞尿を……!?」

「それが、あいつの戦い方だ。

 鎌倉幕府と*2尊氏をあっと驚かせたことだけはある……」

「よっしゃあ! おい女たち!!」

「うるさいぞ! 男!! 言われずとも言うとおりにしてやる!!」

 

 女の族長は旗を掲げて合図を出す! 

 そして陣の左右から女の兵たちが槍と斧を持って帝国の兵隊たちを襲った!! 

 

「うわあっ!!!」

「退け! 退けぇ!!!」

 

 帝国の軍は敗残兵をまとめて逃走した! 

 

「よっしゃああ!! これで一旦わしらの勝ちじゃ!!! 

 山本の爺さんとスキピオの親父に報せろ!!」

「応っ!!」

 

 武者の配下は直ぐ様伝令兵を出して此度の戦果を伝えた! 

 

「……なんて汚い戦い方をするんだ、正成?」

「言ったろ? 武器は刀剣や弓矢だけじゃないってな? 

 丸太で轢き落としたり糞尿で汚して怪我させる、敵を倒すというのは敵を倒した数ではなく如何に多く倒すかで決まる。

 お前たち*3アマゾネスは律儀に戦うからダメなんだよ?」

「貴様……!!」

「よい、お前たちに助けられるようでは我らは落ちぶれていない。

 だが……」

「アイツらの武器性能は上だ、だが地の利と人の心に関してはこっちが上だった。

 俺はそれを最大限に使って戦っただけだ、文句は言うなよ?」

「正成、伝令」

「ん? なんて?」

「‘撤退して本戦に備えろ’とのこと」

「本戦……上等じゃねえか!!」

 

 その後、楠木正成はアマゾネスたちと協力して援軍と合流して帝国軍に圧勝した……。

 

 

 

 

 

 


 

????? 

 

 見知らぬ場所にて、人間の姿した妖怪の者たちがいた……。

 周辺では多くの妖魔たちが倒れていた……。

 

「全く、ウチらを喧嘩するけぇ……」

「あんたが無茶苦茶にするけぇじゃ! ワシらまでまる焦げになるとこやってん!!」

「ほんま……なんでこんなことになっとん? 

 大体どこなん?」

「知らんよう! いつのまにかピカッとなってドガァンってなってこれやないか!!」

 

 そこには角を生えて金棒を担いでいた少女と大きな袋を持って槍を持つ少女がいた……。

 

 

「そんなことより! はよう「都」っちゅうところにいそがんと! 腹減ってきた!!」

「あんたなぁ、この前牛丼定食10杯分食ったやん! 

 あんだけ食ってりゃあー普通は減らんやん? 減るの早いっちゅうの!! 

 まだ昼にもなっとらんやん!!」

 

 

 謎の二人組の少女はふらりと歩いた……。

 

 

 

 


 

「よっしゃあっ!!!」

「倒したぁ!!」

 

 アンジャナフを倒した釤之助と鋼牙

 息を上げながらも激闘を制した……。

 

「これでしばらくは大丈夫だろうよ?」

「ああ、こんなヤツに俺たちの縄張りを荒らされたらたまったもんじゃねえよ。

 それに……どうなってるんだ?」

「何が?」

「この場所だよ、見たこともないボロゴミといい建物といい()()()()()()ぞ。

 あんた、かごめと一緒にいたんなら何かわかるんじゃないか?」

「いや……流石にそこまでは……。

 でもここらのものは俺らの世界……もとい時代は適切かつ手順を踏まえて処理するものだけど、ここの場合は打ち捨てられてるものだ……それも……」

 

 釤之助は廃車に触れた……。

 

「こいつは相当経っている……十年……いや下手したら百千年以上だ、崩れてもおかしくない……」

「そんなに!? ていうかわかるのか!?」

「ある程度はな……。でも……」

 

「でも、本来なら錆びて鉄屑が風化するはずが原型が保たれている。

 それが君のおかしいというものかな?」

「!?」「っ!?」

 

「おっと、驚かせてごめんね? 

 僕は*4毛利元就、君たちの代ならわかるね?」

「毛利……?」「元就……!?」

 

 毛利元就の登場に、釤之助と鋼牙は驚きを隠せなかった。

 

「あ! そうか、僕と君は関ヶ原で会っていないんだったね? 

 ごめんね?」

「はあ……って、そんなことより。

 なんでお前がここにいるんだ?」

「調査だよ、ここの物を調べていてね?」

「……???」

「この辺りの廃車? という物といい電線という物が何故ここにあるのか? 

 それを調べるうちにいつの間にかここに来てしまったね? でも、都にあるものとは違うもの……。

 それがなんなのか、調べていたんだ」

「なんなのかって言われても……」

「わかっている、これは君のいた時代があったもので、君の時代の過去にもあったもの。

 でもそれがどうしてここにあるのかは気になってね? 

 …………おっと、悠長に長話をしてしまったよ」

 

 元就はそう言い、荷物をまとめた。

 

「さて、僕は別件があるから。それじゃあ」

 

 元就はそう言って釤之助たちに別れを告げた……。

 

「なんだったんだ……?」

「さあ?」

 

 その後、釤之助と鋼牙は報酬(釤之助は金と素材・鋼牙はジャナフ装備(鋼牙ご要望特注))を得た……。

 

 


 

楓の村付近・平原

 

「ったく、ウチらが怖いなら喧嘩すなやっちゅうに……!」

 

 妖魔が横たわっており、その真ん中に二人組の鬼の少女二人が立っていた……。

 

「ここにはいないようですね……? 

 本当にどこにいるのでしょうか…………?」

 

「すごい……!」

「お主ら……何者なんじゃ!?」

 

「? ウチら? ウチは雷神さまの一人娘の「上奈良」や」

「私は風神さまの愛娘の「小夜風」ともうします」

 

 楓と草太たちは付近に妖魔が現れた瞬間、怒号の雷鳴と怒涛の暴風が巻き起こったことで駆けつけた時には既に事終わっていた場面だった。

 

「ばあちゃん、見たところ霊力ありそうやな? 

 ほんならな、一つ教えて欲しいことがあるんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

釤之助の馬鹿は何処におるん? 

 

 

 

 

 

*1
実はアニメオリジナルキャラクターである。

 原作本編にいないキャラクターだが、意外にも人気と整合性がある。

 完結編では鋼牙と結婚する。

*2
足利尊氏のこと。

 新田義貞と楠木正成と並ぶ鎌倉幕府討伐の功労者。

 京都で「室町幕府」を築く

 そして三代渡る「南北朝時代」の戦いに身を投じる。

*3
アマゾネス

 ギリシャ神話で名高い女戦士のこと。

 現代人の野郎の頭の中は「ボン・キュッ・ボーン」な集まりだろうと思っているだろ? 

 筋肉質かつ柔軟、下手したら吉田沙保里が()()()()()()()のと()()()()()()()()()()()()であるイメージで思ってください。

 それくらいの強さを持っています。

*4
毛利元就

 中国地方が生んだ「謀神」

 厳島の戦いにおける奇襲は河越夜戦と桶狭間と並ぶ伝説史上の奇襲戦で全国に震撼させた大大名。

 そして息子と二人の家臣が教訓に語った「三本の矢」がある。

 しかし、本来継ぐはずの毛利隆元が急病で倒れてしまい

 その一人息子の「輝元」が継ぐこととなる。

 輝元の代にて、徳川幕府の時代に生き残り

 後に「吉田松陰」が「松下村塾」を作り、「久坂玄瑞」や「高杉晋作」、そして「伊藤博文」たちを輩出することになったのは幕末の時代になってからである……。

 ちなみに本作と無双ではご隠居さまである

 趣味として歴史書を読んだり遺産の調査をして生き生きしている。




次回
日常回(伏線?)


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都騒動

日常回
伏線?回


都・釤之助宅

 

 ある日、テレビで蔦谷通信で帝国の奴隷解放運動が起きていることが報じられいた、帝国周辺と辺境に帝国打倒の気運が上がっているというニュースが報じられていた。

 

「あの一件で何かと騒いでるなあ……?」

『やれやれ、物騒な話じゃのう……』

 

 正直な話、俺はギルドのことで頭がいっぱいだった。

 帝国だの奴隷だので騒いでいるが、俺みたいな人間には無縁に近い等しい話なものだ、最も今自分は生活費を稼ぐ使う支払う……ただそれだけだ…………。

 

(……この件、アリシアや劉備あたりが関わりそうだな……??)

 

 そう言い、釤之助はギルドへ向かった……。

 

()()()()()を持って行って……。

 

 


 

都・鍛冶場

 

 とある鍛冶場にて、ルー・ルーとマイア達がいた。

 

「はぁっ!? これでもダメなの!?」

「ダメなわけじゃないが、見てくれだけじゃ。

 鈍刀にすらなれん」

 

 鍛冶場では刀々斎が時たま通っており、主に刀や槍等の鍛治打ちをしていた。

 そんな時、ルー・ルーは日本刀という刀剣に度肝を抜かれており、製作に挑んでいるが……。

 

「ふざけんなっ!! 死に物狂いでやっと打てるようになったのに、なんでダメなのさっ!?」

「あのなあ、おまえさんの刀は確かに中々のものじゃ。

 しかしおまえさんの刀は()()()()()()()()()()……作り手のおまえ自身がどんな刀を打っても()()()()()に過ぎん」

「……っ!!!」

「いくらおまえさんが鍛治の腕が良くても使()()()()()()()()()様では鍛治師としてのおまえさんはその程度じゃ」

「…………クソジジイ!!」

 

 ルー・ルーは金槌を投げ捨て、鍛冶場を後にした……。

 

「やれやれ、全く反骨心と気概もガキ大将並みじゃのう……」

「言ってやんなよ? アイツあれでもここいらの打ち人たちより腕もあるからね?」

「まあな……ちとアイツにはキツかったかのう?」

「……じいさん」

「…………刀を打つってのは責任を問うものなのじゃ。

 その昔、村正という刀鍛冶がいてな? 

 村正の刀は鋭利で優れていたのじゃ、じゃが自身の打った刀は()()()()()()()()()()()ことになってしまったのじゃ……」

「……それで?」

「それ以来、村正は刀を打つのやめて放浪の旅に出たのじゃ。

*1放浪の旅道中、鍬と鋤を打って村人達に振る舞うも刀欲しさに領主に追われ、倒れて翁に救われたのじゃ。

 村正はその恩返しに、翁のために「鉈」を打ったのじゃ。作った本人も驚くほどの出来まえじゃったんじゃ。

 その鉈は硬い木だろうと太い木だろうと、大根を切るかのように見事な鉈じゃったんじゃ。

 ところが、その鉈のおかげで大蛇から身を守ったのじゃ」

「へえ…………」

「あの娘は無邪気な子じゃ、故に無垢に刀剣を打つからこそ()()()()()()()()()のじゃ……」

 

 刀鍛冶は平安から幕末にかけて日本刀を打ってきた、人を殺す武器にも美術価値のある物として打ち続けることで文化を支えてきた。

 融合された世界は武器の需要が跳ね上がると同時に()()()使()()()()こともある。

 刀々斎はかつて「灰刃坊」という妖怪の刀鍛冶の弟子がいた、*2弟子の不祥事沙汰によって破門するも、殺生丸が「闘鬼神」を打つために「悟心鬼の首」を素材に使った為に邪気に飲まれてしまった……。

 

「刀を打つってのは用途がある。戦に使う……。

 儀礼用として使ったり……。美術品として出したりのことがある。

 じゃが、この世界は戦の傾向が強い……あの娘には鍛治師としての責任がまだ無いに等しい……。

 あの様にひたすらに打ち続けても、村正や正宗等いった名刀は作れぬ……」

「じいさん…………」

「年寄りの冷や水というものじゃが……、わしから言えばあの娘は燃えたぎる業火に熱した玉鋼じゃ、よく言うじゃろ? 「鉄は熱いうちに打て」とな?」

「まあ、アイツあれでも中々の腕をしてるよ? 

「日本刀」……あたしたちの元の世界の「倭刀」を、アイツは半年でそれを体得したんだ……」

「ああ……あの娘は天才じゃ、()()()心配しているんじゃ」

 

 

 その時、一人の職員が鍛冶場に慌てて入ってきた。

 

 

 


 

士学校・ロビー

 

「ディアブロス!? 角竜の代表格じゃないか!?」

「それって確か「荒野」で縄張りを張っている!?」

 

 受付広場では、今「ディアブロス」の話題に溢れていた。

 

『これは……??』

「何があったんだ?」

「おおっ! 釤之助! 実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「七盾同盟の直々の依頼っ!? 

 ⦅じゃとおっ!? ⦆」

 

 

「ああ、実はあの「セレスティン様」自らの依頼なんだよ! 

 なんでも荒野の()()()()()()()()()って話でな、その退治の依頼がきたことで話題でな?」

「マジかよ……!?」

 

 この時、釤之助は()()()()を持っていた。

 しかし、封筒の中身を見ていないことで無闇に言うわけにはいかなかった……。

 

「……これは、総力に近い戦いになるのか? 

 支度に入るからその話は今度でな?」

「ああ、わかった……」

 

 釤之助は別室に入り、封筒を開封して中身を見た……。

 

 

拝啓、釤之助様。

 あなたにお願いがあって、手紙(これ)に記します

 私たちはオリガ様達と和睦を結びましたが、問題が生じました。

 それは「朽ち果てた荒地」にて、ディアブロスが現れたことです。

 以前綱吉様から彼の地の縄張り争いで制したディアブロスは彼の地で君主として居座る様になり、この間の魔族と魔物達が入って進もうとした其の時に襲われたと報せが入ったのです。

 オリガ様達も此度の件に戦線に赴くとのことです。

 どうかお助け願いませんでしょうか? 

 尚、此度の件に士学校の皆様にお話ししました。

セレスティン・ルクルスより。

 

 

(……だろうな? 行かなきゃあとが怖い)

 ⦅やれやれ……こりゃあ大変な任務になりそうじゃのう? ⦆

 

 セレスティンの封筒をしまい、支度を済ませて広場に戻ると……。

 

「……?」

 

「……??」「……???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

釤之助っ!? (様っ!?)

 

「上奈良っ!? 小夜風!?」

 

 

 

 

 広場には、小さな雷様の太鼓を首飾りにしているピンク色の髪の少女と小さな腰巾着を常備している水色の髪をした少女がいた……。

 

 

 

*1
村正のなた

 日本昔ばなしの一つ。

 かつて村正が刀を打つのやめて流浪の旅をしている時の話。

 栃木県の鳥山町に伝わる御伽話。

 刀々斎はこの話を知ってるのは戦国時代の頃、即ち犬の大将が生きていた頃ではないかと……? 

*2
より強い剣を打つために村人や子供達を何人も自作の剣で斬り殺し続けた




次回
幼馴染?


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暴風雨の姉妹

釤之助の幼馴染
少し明かすと()()()()()()()()()()()()()ばかりです。
下手したら()()()()()()()ほどの実力者。


士学校・訓練場

 

「うおぉぉぉぉっ!!」

 

 釤之助は二人の鬼娘「上奈良」と「小夜風」と手合わせしていた。

 上奈良は巨大な斧を片手で振り回し、小夜風は両刃刀を振るって釤之助と対峙していた。

 

「っ!! あんたら見ないうちに強くなったな!!」

「言うねえっ!! あんただって強いじゃないか!!!」

 

 一進一退、三人の剣戟が士学校全体に響き合っていた……。

 

『これはなんとも……!』

「すげぇ……!! あの二人を互角に試合うとは……!」

「己のことを風神雷神さまの娘と名乗ってるんだ、そしてあの実力……。

 嘘偽りは無いのと()()()()()()()と言うには、それ相応の実力者だということだ。にしても……」

「……ほお? わかるか、ハンニバル?」

「……何やってんだい? エロ親父ども?」

「おお、マイアか?」「ん? どしたの?」

「見てる暇あるならこっちに来てくれない?」

「なんだよ〜。いいじゃないかあ〜?」

「そう言うなよ? わかったよ、ここにも可愛い娘ちゃんがいるからよしとするか!」

「…………」

 

 心なしかマイアの表情はわずかに殺気がふくまれていた……。

 

 ⦅こりゃあ、下手に言ったらへし折れるな? ⦆

 


 

士学校・ロビー

 

 訓練場で手合わせを済んで、ロビーにて一息ついていた……。

 ロビーには、釤之助を初めとする主戦力のメンバーが揃っていた。

 

「ディアブロス……「角竜」かあ……」

 

 釤之助は辞典を開き、ディアブロスのことを調べていた……。

 

(砂ん中の時に音爆弾をぶちかませばいいんだな?)

 

 周囲の人……もとい冒険者や傭兵達は意気揚々、常在戦場の雰囲気を出していた。

 中には重装備の騎士と騎馬兵の服装の人たちがおり、弓使いと魔法使いの人たちもいた……。

 

(こんなに人がいるとは……。七盾の直々の依頼だからかな……?)

 

 なんだろう……下心を感じるのは気のせいか? 

 七盾の美女と黒の城の女王さまとお近づきになれると思ってるのだろうか…………? 

 …………なんだろう、嫌な予感がするのは気のせいか? 

 …………どうしよう……上手く距離を作らないとあとが怖い……!! 

 

「どうした、釤之助? 武者震いか?」

「ぬはっ!? 武蔵か……おどかすなよ……!」

「悪いな、なんか緊張してたみたいだったから…………」

「……まあな? でも、角竜相手に勝てるか?」

「ディアブロスってやつにか? 心配すんなよ! 

 俺だってこの間ツィツィヤックとかボルボロスを退治したんだからな!!」

「そうか……でも、相手は……」

「わかってるよ、心配すんなって!!」

 

 武蔵の士気の高さに、釤之助は心のどこかにホッとしていた……。

 

(……そうだな、彼女達のことを気にしてたら戦に精が出せんな……!)

 

「釤之助、あんたなら大丈夫やろ?」

「怖気つくなんて、あなたらしく無いわね?」

「二人とも……」

*1西郷どんから話聞いたきいな? 

 角竜をぶっ飛ばしに行くんやろ?」

「それなら、私達もお役に立ちましてよ?」

「……だな!」

 

 

 

 

 

 

 

 みんなが励ましてくれたおかげで気合も整えられた……。

 でも、違うんだ……だって…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その七盾同盟の方々と関係持ちたくないんだよ!!!!!!! 

 だって*2()()()()()()()()()()と周囲一斉に詰め寄ってくるんだよ!!!! 

 

 

 釤之助の心の叫びは誰かれも知ることもなく虚空に響いた……。

 

 ⦅やれやれ……こっちもこっちで悲痛な気持ちが感じる……⦆

 

 主力の面々は士気が向上しており、気合十分だった……!!! 

 

(やるか! どうせ引き受けるハメになるんだからな!!)

 

 釤之助は意を決して腹を括った! 

 


 

?????? 

 

「何ぃ!? 釤之助がいたのか!?」

 

 とある賊の砦の中に、鬼の角を生えた男と鴉天狗の青年がいた。

 

「そうだ、それに例の二人組の娘が一番に見つけたらしくてな? 

 どうする? 伍楽(ごろく)よ?」

「決まっとるじゃろうが!! 昏真(くらま)! 今すぐその「都」っちゅう所に行くぞ!!!」

 

 鬼の男こと「伍楽」は天高く飛び、谷を越えて飛び走った! 

 

「やれやれ……しょうの無いやつだ……」

 

「昏真」という鴉天狗は翼を広げて伍楽の後を追いかけた……。

 


 

????? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……なんと面妖な……!」

 

 黒装束の忍び服を着た男は()()()()()()にいた。

 足場が少なく、落ちたら最期とも言えた絶体絶命の場所に彷徨っていた……。

 

「……行くか!」

 

 男はムササビの如くに空を舞うように飛んだ! 

 そして、無事足場に着陸した! 

 

(邪悪なる気はこの都市にわずかに感じる……何故だ?)

 

 男は物陰に死角に隠れて移動した……!! 

 

 

*1
西郷隆盛のこと

 西郷(せご)どんは呼称で、2018年の大河ドラマのタイトル

 尚、これは平成内で終わった唯一の大河ドラマである。

*2
オリガ・クロエ・アリシア・プリム・カグヤ・ルー・ルー・マイア・クラウディア・セレスティン達と仲良くなる光景は()()()()()()()()()()()()()()になるため、多くの男達が妬み嫉みを大量に買うことになるから




次回
角竜退治


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荒野の暴君退治

ディアブロスの戦い


朽ち果てた荒野・キャンプ地

 

 キャンプ地には、わずかな軍隊がいた。

 わずかな軍隊の中には見知った人や有名人等がいた……。

 

 ⦅こりゃまた、見知った顔ぶれや初めて見る顔がおるかもしれんなぁ? ⦆

(わからねぇよ? 俺はそこまでは詳しくはないし、それに意外な人もいるかもしれないんだよ?)

 

 とは言うものの、俺自身そこまでは詳しくはない

 四方八方色んな人たちがいた。

 

(どれだけいるんだ? 冒険者やギルドメンバーはともかく、現代の軍隊に過去の軍隊も入り混じってるじゃないか?)

 

 自身の知ってる範囲だと、日本の自衛隊の一部とアメリカの海兵隊。

 それに旧日本軍にローマの軍、傭兵もいて人種問わず集まっている。

 

(どれだけいるんだ? それほどに会いたいのか? 

 …………すけべ心透けて見えてるからいいか?)

 

「さて…………いきますか?」

 

 キャンプ地で、一人静かに戦地へ足を運び、釤之助の眼は底知れぬ闘気が込められていた…………。

 


 

 

 

「さて、荒野へと赴いたものの……。

 何処にいるんだ?」

『出た時の意気込みはどこいったっ!? 

 ……というか、そのディアブロス? というやつは地中の移動をして自前の二本の角をもちいて獲物を仕留めるその姿故に「角竜」と呼ばれている。

 単純な対策に、音爆弾を使うということじゃな?』

角竜(ソイツ)が地中にいる間に音爆弾ぶちかませば、音と振動で驚いて出てくるんだよな? わかってるよ?」

 

 現在、荒野の山岳に近い場所で双眼鏡を使って周囲周辺を見渡していた。

 双眼鏡を覗いた先は「忍者」や「傭兵」、そして現代と大戦時の軍隊もいた……。

 しかし、新旧の軍隊に関しては不思議なことに「獣人」や「鬼人」等がいる、獣人は犬と猫に猿等がいる。

 鬼人の場合は日本の鬼や世界のイメージした「オーガ」の人たちもいる。

 

(不思議な話だ……こういうのは大体自分の保身のために亜人を最前線に立つが、その亜人は戦績上げまくって取って代わろうってなってしまっている……)

 

 あまりこんなことは言いたくないが、これは()()()()()()()()()()とも言える。

 白人が世の頂に相応しいといってる人たちは、この異世界では通用しない……。かといって黒人有色の人も関係ない、この世界は()()()()()()()()だ…………どんなに主義主張を訴えても無駄なこの世界、国を一つ滅ぼす怪物(モンスター)が跋扈する異世界だ、それらを狩る者がいたとしてもそれをどう防ぐかは()()()()()()()()()()()()()()んだ。

 

「……?」

 

 その時、鳥が木から飛び出た……! 

 

「……なんだ?」

『……っ! 釤之助! あれはっ!?』

 

 するとそこに巨大な土埃の柱が立った! 

 

「あれは……まさかっ!?」

『わからんぞっ! じゃが行くしかあるまいっ!!』

 

 釤之助は急ぎ現場へと向かった……!! 

 

ppppp

 

「……?」

 


 

「うおおおおおおっ!?」

 

 上奈良は今「ディアブロス」と戦っていた! 

 

「上奈良っ! 気をつけて! いくらあなたの一撃でも地中に潜れば無意味ですわ!!」

「んなことわっーてるよ!!」

 

 現在、上奈良と小夜風の二人はディアブロスと戦うも苦戦を強いられていた……。

 

「だいたい、アタシらが本気(ガチ)で戦ってんのに、なんだってアイツらは足を引っ張ることしかできないんだよ!? これ戦場だったら負け戦だっつーのっ!!」

「私に問うてもどうしろと!? それをいうなら指揮した人や先陣取った方に言いなさいっ!!」

「んなこと言ってこの有様だぞ!? よくこんなのと戦おうって気になれたな!?」

 

 ディアブロスの突撃によって先陣隊はボーリングのピンの如くに吹き飛ばされ、その後方もその煽りによって巻き込まれて壊滅。

 指揮系統もこの光景に驚愕して恐怖に飲まれて冷静な判断を失い、撤退を余儀なくされた。

 その結果、殿として二人が引き受けた……そして今に至る……。

 

(アタシ達がいなかったら確実に死んでいたんだからな! 

 あとで覚えてろよ!!!)

 

 ディアブロスは突進を仕掛けてきた!! 

 

「何度も見てんだよっ!!」

 

 上奈良は素手でディアブロスの頭を掴んで抑えた!! 

 ディアブロスは鷲掴んだ上奈良を振り解こうとするも、頭からミシミシっと音がして痛みのあまりに暴れ始めた! 

 

「暴れてんじゃねえよっ!!」

 

 上奈良はディアブロスを持ち上げてジャイアントスイングをした!! 

 

「ぶっ飛べぇっ!!!」

 

 上奈良はディアブロスをぶん投げた! そして付近の岩壁に激突した!! 

 

「すげぇ……あの女、妖怪だって聞いていたけど、なんて怪力してやがるんだ……!?」

 

 その場で生き残った宮本武蔵は、上奈良の怪力に度肝を抜かれていた。

 ディアブロスは吹き飛ばされ、意識が朦朧としていた……

 

「もらったぁ!!!」

 

 上奈良は得物の大斧を両手持って振り下ろした!! 

 その一撃はディアブロスの頭部の2本の角を粉砕切断した!!! 

 

「はっはぁ!! どうだぁ!!」

「んなっ!?」

「相変わらずの馬鹿力ですこと……まあいいわ、それだけ追い詰めればいいでしょうね?」

 

 上奈良はつかさずに連続攻撃を繰り出した!! 

 

「おらぁっ!!」

 

 ディアブロスは連続攻撃の前に苦しみ始めた!! 

 苦しみながらも、体勢を立て直して逃亡を計った! 

 

「逃がすかよっ!!」

「待てっ!」

 

 すると突然、釤之助が現れた!! 

 

「釤之助っ!? (様っ!?)」

「すまねぇっ! 緊急のお達しが出た!! 

 綱吉んとこの獣学院が()()()()()()って言われたっ!!」

「はあっ!?」

「なんだって!?」

 

 突然、華岡医院の獣学院長の綱吉から「ディアブロスの捕獲」という発言に、現場の傭兵と戦士達を驚かせた。

 

「なんだって捕獲なんだ!?」

『わからんが、しかし向こうからの伝言によれば()()()()()()()欲しさにそう言われたという話じゃ!』

「なんだそりゃ!? でもどうやって捕獲をすれば……」

「その件だが、至急送られたものがある……」

 

 釤之助は懐から玉のようなものを出した。

 

「……? なんだそれ??」

「捕獲用道具だ、これでも…………」

 

 


 

 ディアブロスはナワバリに逃げ込み、休眠をとった……。

 

「…………よし、やれっ!」

 

 釤之助が仕掛けた「落とし穴」に落ち、小夜風はその瞬間に「眠り玉」を投げ当てたっ!! 

 それにより、ディアブロスは眠りについた……! 

 

「よし、捕獲完了っと!」

「やったぁっ!!」

 

 ディアブロスの捕獲完了の報せは本部に知れ渡った……。

 その後、綱吉直々に訪れたことで生のディアブロスに興奮する……。

 

「すまない……急な頼みをして?」

「いいって、ていうかなんだって捕獲をお願いしたんだ? 

 まずそこを教えて欲しいんだけどよ……?」

「ああ、そのことについては()()()()なんだ」

「……は?」

「ディアブロスの生態情報を知ると同時に()()()()()()()()ことを知りたいからだ。

 ディアブロスは荒野だけではなく砂漠にも現れる竜種、元来大人しいと聞いた此奴が何故人を襲うようになったのか、何故暴れたのかを知りたくてな?」

「そうか……」

「それと、この話はセレスティン達に伝えてある。

 報酬の方は後日用意する、それでは!」

 

 綱吉はそう言い、輸送・護衛隊と共に都へと戻った……。

 

「……でよ、みんなはどうする?」

「ご心配なくてよ? 負傷者のほとんどは華岡医院の方々が対処に当たっていますから、心配する必要はないわ?」

「だな? 結構やり手の医師達だな?」

「それだけじゃねえぜ? なんでも*1曹操と信長に家康、それに関羽達もそこの医師達に世話になっていたって話だ。

 あそこの医師達は結構やり手で有名だからな、医師を目指す連中もそこの門を通れば名医になったって話も聞くけどな?」

「へえ……?」

「……実はな、その医院にはあの関羽と曹操を手術して治した「華佗」もいるって話だ。

 華岡と一緒に治したって話だ」

「マジか……! 。そんなに有名なんだ……」

「まあ、その結果医院が大きくなって世界各国から引く手数多、そこで働いた医者達もそこからの地域豪族で医院立てて盛況ってわけだ。

 あとのことは知らないけどな?」

「はあ……」

 

 異世界になっても、知らない話を聞いた釤之助であった…………。

 

 

 

 

 

*1
曹操は脳腫瘍

 信長は糖尿疑惑

 家康は胃癌

 関羽はテオ・テスカトルの戦いで利き手の重傷

 これらを華岡清州直々の指揮の手術・治療によって完治・改善を施す。

 これらを機に利用者が増加したとのこと……。




次回
日常回


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都風景

前回の話もあります


都・ギルド「士学校」

 

 前回のディアブロスの捕獲によって、獣学院の調査報告資料を読んでいた各幹部達……。

 

「古龍の影響だと?」

「はい、かつて「定軍山」近辺に現れた「テオ・テスカトル」。

「川中島」に現れ、武田・上杉・北条の三軍がやっとの思いで討伐した「オオナズチ」。

 そして毛利と長曾我部、そして雑賀衆と本願寺が結集して倒した「クシャルダオラ」。

 ディアブロスはおそらく、その古龍の影響下から逃げたという可能性が出てきたとのことです」

 

 古龍種の存在を知るギルドの人たちは、緊張と畏怖の空気に包まれていた……。

 

「……彼らと協力して古龍種の脅威を守るべきですっ! 

 白狼王の殺生丸と赤衣の犬夜叉、そして“英雄” 安倍釤之助とその仲間達と共に戦い、古龍種たちから人々を守るべきです!」

「そうですよ!! 我々がいつまでも怯えて過ごすわけにはいきませんっ!! 

 各諸侯の英雄達と共にこれらを!」

「例えそれらの話がまとまっても、古龍種は何度でも生まれ変わる。

 お前たちは永遠に終わらない血反吐の塗れた戦をするというのか? 

 わかっているだろ? 古龍種を倒した後、彼らの戦火の傷を……!」

 

 ハンニバルの発言により、熱気になっていた空気を一気に冷静さを取り戻した。

 過去にテオ・テストカルと戦って、関羽を始めとする豪傑と強者たちは深手を追い、オオナズチの毒牙にやられた三軍、そしてクシャルダオラの暴風によって重傷者が続出した毛利・長曾我部・雑賀衆・本願寺。

 百戦錬磨の無双の英傑でも、古龍種の脅威を挑んだ結果は先のハンニバルが述べた通り……。

 

「まず、その話を優先にするのなら「対策」だ。我々は「退治」するために話しているのではない!」

「……!」

「……だが、古龍種のもたらす影響によって妖魔や近隣の住民にも及ぶ……ディアブロス等のモンスターだけではない……!」

「……皆の言葉はわかりもうした、事を焦らんとするべきじゃ。

「百戦百勝は善の善なるものに非ず」という言葉もあり申す、ここは富国強兵……そして情報を集めることを優先する。それでよか?」

 

 西郷隆盛の言葉に、一同は安堵した……。

 

(確かに、殺生丸と犬夜叉……そして釤之助たちがおれば確かに勝てる……じゃが彼らばあ頼るわけにはいかん、休むも大事。

 無闇に戦をしては兵や戦士たちを無駄にするだけじゃ……!)

 

 西郷の瞳の奥に、先導者としての心得と覚悟を宿していた……。

 


 

都・大通り

 

 ディアブロスの捕獲報酬を受け取り、釤之助たちは都巡りをしていた。

 

「いやあ…………都を見て回るとすげぇな……? 

 こんな街並み滅多に拝められないぞ?」

 

 何度歩き回っても、非日常性の強い光景だ……

 巨人と小人が同じ通りに歩き、獣人たちは自身の口と体質に合う料理を食い、鬼やオークが職人の仕事をしたり、傭兵を営んでいる者もいる。

 路面電車だって、馬車や車が行き交う通り

 時代錯誤な光景だが、数多の種族が利用している……。

 本当に飽きない、新鮮かつ目新しいことが続く光景だよ、ほんと。

 

 先の戦い……もといディアブロスの件は都中に知れ渡り、いつしか俺は有名人になっていた。

 叢雲牙の戦いとディアブロス以前と以降、俺はどういうわけか“英雄”なんて呼ばれるようになっていた。

 

「聞いたぜ? あんたこの間の角竜を懲らしめたやつだろ?」

「正確には取り押さえた……だがな?」

「へっ! 巷じゃああんたのことを“英雄”なんて呼ばれているらしいが、そんな英雄さんの行きつけの店に来るなんて光栄だね?」

「ただの飯屋如き、騒いでんじゃねえよ? 飯が食いづらくなるよ、マジで」

「そりゃあ仕方ないさ? 有名人ってのはどこ行っても有名なんだよ、知らない人がいるかもしれないが……油断するなよ?」

「へいへい……」

「親父、締めの稲荷よろしく」

「私も」

「はいよ、それともう一つ言っていいか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大盛り蕎麦を9人前食ってコロッケ・卵・天ぷら・メンチカツ単品食って稲荷寿司30人前食うやつがこの世界のどこにいるんだよっ!!! 

 


 

都・釤之助宅

 

異世界での日々が慣れてから月日が経った。

 犬夜叉と殺生丸たちはあれ以来会っていない

 順調な日々を過ごしているだろうよ、気にすることはないか? 

 俺自身はディアブロスの件でまた有名になり、ギルドの山おろしに大忙しだ。

 でもまあ、楽しいことが盛り沢山すぎてどれを語ればいいか……? 

 アリシアとプリムは士学校に通っているって話だ、成績が良くて皆から人気の的になっている。その中にマイアもいるって話だ。

 オリガ・クロエたちはセレスティンとの対談の後、都にお忍びで来てるって話だ……言ってもあの美貌だ、気づいている人はいるが敢えてだ。

 クラウディアは育休、そりゃそうよ。

 カグヤは異世界人の捜索や保護を務めている、そして都等の紹介をもしている……。

 ルー・ルーは刀々斎と刀のことで揉めたらしい、年の功とかじゃなく「覚悟」についてだ……。

 色々と話が山のようにあって、誰と誰を話せばいいのか……。

 坂本龍馬や渋沢栄一、西郷隆盛と大久保利通

 ハンニバルや石原莞爾たちはいつも通り

 話の量が半端ないから、切り上げるか。

 

 

しかしその後、士学校から緊急の依頼が来た……。

 その依頼内容の中には「犬夜叉」の名前が入っていた……。

 

 




次回
原作回


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奪鬼と刀秋と村正

原作回
改変点は村正と刀秋の師弟関係。


都・工房

 

「刀々斎、いるか!」

「ん? おお、犬夜叉じゃねえか?」

「犬夜叉!」

 

 ある日、俺は工房で自身の装備との手入れをしていた最中、犬夜叉たちと再開した。

 その時、弥勒と珊瑚は()()()()を持っていた……。

 

「「奪鬼」だって?」

「奪鬼? また面倒な刀を持って来たなぁ?」

 

 犬夜叉たちの話によると、少女に化けた大狸がその一振りを持って犬夜叉と戦ったらしく、でも刀を使う者の力量の差は明々白々。

 ……だが、刀の謎を知るために刀々斎の元に来たそうだ。

 

「知ってるのか?」

「まあな……っても、論より証拠だな?」

 

 刀々斎は折れた刀身を金槌を打った、すると刀身は()()()()()()()に変わった!! 

 

『これはっ!? もしや()()()()ではないか!?』

「知ってるのか? 鞘?」

『ああ、竜人は()()()()()()()()()()()()()()()特性を持つ妖怪の種族。

 その鱗を素材に使えば剣や盾でも数多の妖怪をも討ち倒す力を得られるのじゃ』

「ああ……じゃがよかったな、犬夜叉? 

 この刀、奪鬼は()()()()()()じゃ」

「“打ち損じ”? 出来の悪い鈍刀……失敗作なのか?」

 

(その失敗作の刀でも、鉄砕牙の妖力を吸い取った刀だ……。

 もし……上等の業物だったら……?)

 

「なあ、その剣は出来が悪かったんだろ? 

 犬夜叉が勝てたから良いじゃないか?」

「ああ……じゃから()()()()()()んだよ。

 釤之助、お前さんの考えてる通り()()()()()だったら犬夜叉は()()()()()()()()ぞ!」

「っ!?」

「……刀々斎、つまりその刀の()()()は鉄砕牙よりやばい刀なのか?」

「ん〜〜っ。まあ、そういうことになるな?」

「……なあ刀々斎、釤之助。

 実は……」

 

 犬夜叉は旅道中「魍魎丸」なる敵を追い、その魍魎丸は奈落と同様に妖怪の骸と妖力を吸収して自身の力にしており、厄介な強敵である……。

 

「……犬夜叉、お前まさか?」

「そうだ。目には目を、歯には歯を……」

「妖力を吸うなら、妖力を吸う力をじゃな?」

「なるほど、鉄砕牙は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、それも妖怪自身じゃなくても()()()()()宿()()()()()()()()()()()()()()を斬ったからその力がある。

 鉄砕牙に奪鬼の妖力を取り込めば、魍魎丸に対抗できる……!」

「そうだ、そうすれば魍魎丸にたたっ斬れる!」

「やめておけ」

 

 刀々斎の発言に、工房全体の空気が沈黙した……。

 

「ああ?」

「犬夜叉、あんた自分が何を言ってるのかわかってるのか? 

 それはつまり奪鬼と戦うということじゃぞ?」

「……刀々斎、それって?」

「……察しがいいなあ? 釤之助。

 お前さんの察しの通り、鉄砕牙と奪鬼との戦いとなったたら()()()()()()()()()()()()()。そんな戦いで鉄砕牙は()()()()()()()()となって、戦う力が完全に失くしてしまうことになるのじゃ」

「っ!」

 

(そうか……! 剣との打ち合いで()()()()()()()んだから、馬鹿力の鉄砕牙にとっては天敵に等しい存在……!)

 

「いいのか、犬夜叉? お前さんにはその覚悟があるのか?」

 

「失礼……ここに釤之助なる猛者は……っ!?」

「誰だ?」「あっ?」

 

 するとその時、工房に入って来た生気溢れる往年の鍛治職人が現れた。

 

「ん? お前さん、村正か?」

「とっ刀々斎殿っ!? 

 それに、そちらにいるのは赤衣の犬夜叉か!?」

 

 村正の登場に、事態は急変した……。

 


 

?????? 

 

 とある村の離れの小屋にて、刀を打っている青年の鍛治職人がいた……。

 キンっ! キンっ! と丹精込めて刀を打ち、そしてその刀の峰に()()()()が浮かび出た!! 

 

「鱗が!? …………間違いない! 

 竜人の鱗と刀身が一つに……!!」

 

 その時! 外から暴風に似た轟音が鳴り響き、天井をうち破った!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“刀秋”がお前の弟子っ!? 

 

「左様っ! 昔私が当の都で刀鍛冶をしていた頃、その中で才気ある若人の鍛治師がいた!」

「その若人の鍛治師が刀秋……!」

「ああ! じゃがこの世界の時勢、刀秋の噂を聞いたのだ! 

 あやつは数多の戦跡地に破棄された刀剣を拾い、それらを素材に変えて刀を打っていると聞いたのだ!」

「つまり、その最中に竜人と出会ってしまったというのか!?」

「なるほど……! 奪鬼を得物に使う竜人なんて「鬼に金棒」じゃねえか!!!」

「犬夜叉。以前相手したその大狸は、おおかたそいつから一本盗んだんだろうな!」

「だろうな……! ……んっ?」

「犬夜叉?」

「血の匂いだっ! それもたくさん!!」

「何っ!?」

「それだけじゃねえっ! 竜人も一緒だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある村にて……。

 

「きゃあああっ!!!」

「ばっ化け物!!」

「恐れるな!!」

「我ら黄巾! 物怪に恐るるべからず!!」

 

 黄巾の戦士たちは竜人に挑むも、大腕の薙ぎ払いによって村人たちと共に吹き飛ばされた!! 

 

「雑魚がっ! 我に挑むは笑止千万っ!! 

 刀秋っ!! そこにいるのはわかっているぞっ!!」

 

 竜人はボロ小屋の扉を壁ごとぶち破ったっ!! 

 

「っ!!」

「ほお……刀秋、遂に完成したか!! 我が剣をっ!!」

 

 竜人はその腕を伸ばすその時、大縄が竜人を縛り上げたっ!! 

 

「!?」

「竜の物怪よっ! この張角、汝の悪行を見過ごすわけにはいかぬっ!!」

 

 張角を始めとする術師は呪文を唱えたっ!! 

 

「ふん、人間にしては舐めた真似を……この我にその付け焼き刃、効くと思うてかぁっ!!!」

 

 竜人は咆哮をあげた!!! 

 

「ぬおおおおっ!?」

 

 黄巾の術師たちは吹き飛ばされたっ!! 

 

「愚かな……!! さあ刀秋! その剣を寄越せ! この者たちのようになりたくなければなっ!!!」

「ひっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風の傷っ!!! 

 

 すると、犬夜叉の風の傷は竜人に目掛けて放った!! 

 

「やったか!?」

「いや……」

「……ちっ、逃げやがったか!」

「刀秋っ!!」

「村正様っ!?」

 

 村の離れの広場にて、黄巾の人たちは復興を行い。

 村人たちを避難所に集めさせていた、その中に犬夜叉たちの姿があった……。

 

「先生……!」

「刀秋、其方はなんということっ!! 

 妖怪に……竜人に剣を打っていたというのかっ!!」

「申し訳ございませんっ!」

「犬夜叉殿と釤之助殿の助けがなければ、其方の命は……!」

「まあ村正殿、今は助かったのだから……」

「よいのです、全ては私の過ち……竜人と出会ってしまったのが運の尽きなのです…………。

 先生のおっしゃってる通り、私は戦跡地の刀剣を拾っては素材にし、それらを売買して生業をしていたのです」

 

 刀秋は異世界彷徨い、戦跡地で東西と異世界の刀剣類を拾っては打っての繰り返しをして生活費を稼いでいる最中、竜人と出会ってしまったのだ。

 竜人は言った“我が妖力の源の鱗をやろう、そしてわしのために刀を打て! ”……と。

 

「それで、お前は刀を?」

「はい、竜人はそのために私が逃げられないように刻印をほどこしたのです」

「刻印!?」

 

 刀秋は手拭いを脱ぎ取り、刻印のつけられた顔を見せた……。

 その刻印は竜の鱗をのようなものだった……。

 

「私は刀を……奪鬼を鍛え上げ、遂に完成した。

 それがこれです……」

 

 刀秋は完成した奪鬼を見せた……。

 

「っ!」

「なんと……刀秋……! そなたはなんというものをっ!!」

「……最初は試し切りに、弱い妖魔や付近の小さな木を使いました。

 威力共に強度もなかなかだった……だが、完成品を作るまでの過程で、これの危険性を感じるようになった……! 

 あの恐ろしい妖怪にこの刀を……奪鬼を渡すわけにはいかないっ!!」

「犬夜叉……!」

「ああ……」

「…………それで? お前はどうしたい?」

「……できることなら、この手で破棄したい! 

 しかし! 奴がいる以上、簡単に破棄はできない! だからっ!」

「……わかった。犬夜叉、場を改めるぞ」

「……ああ」

 

 犬夜叉と釤之助は竜人退治の為に、刀秋と共に村を離れた……。

 黄巾党と協力して陣を構えた、

 竜人を倒す為に、真っ向勝負の舞台を整えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()を読んだ上で……! 

 

 




次回
竜人退治


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竜人退治

竜人対犬夜叉


村の離れ・陣構え

 

 竜人退治の為、小規模な陣を整えていた。

 陣の中には刀秋と村正がおり、わずかばかりの黄巾の兵たちがいた。

 

「良いのですか? 結界を敷いていれば、身の安全ができますが……?」

「不要だ、2人の英傑の戦姿を観れるのだ。

 このような機会に逃げる隠れるなぞせん!」

「やれやれ……釤之助といい犬夜叉といい、人気者はつらいのう?」

「あ──っ!! 見つけたぁっ!!!」

 

 すると、どこからともなく幼い少女の声が響いた! 

 

「!? ルー・ルーちゃん!?」

「ちょっとあんた達!! ずるいじゃない!! 酷いじゃない!! 村正さんと一緒にいるなんてっ!!」

「??? なんだ? この娘は?」

「ああ、すみません……この娘は「ハーフリングの族長」の「ルー・ルー」と申します。

 ……おおかた、此度の件に刀に絡んでると聞いて血眼になって来たのでしょう?」

「そうよっ!! みんなして内緒に行くなんて酷いじゃないっ!!」

「あの時はお主がいなかったのと村正殿の急の頼みでな!」

「うるさーいっ!!」

 

 陣地の後方にぎゃあぎゃあやんややんやと騒ぎ、緊張の空気が解かれた……。

 

「ねえ? 大丈夫なのかしら?」

「う〜ん……私に聞いても……」

 

 一方、陣地の最前線には犬夜叉と釤之助の二人が立っていた。

 

「犬夜叉、良いのか?」

「なにがだ?」

「奪鬼だよ、奴の待ってる剣を先に斬り折れさえすれば刀秋の荷が軽くなるからさ?」

「その為に、あいつから()()()()()()()()ってのか?」

「そうだ、そうした方が手っ取り早いし? だめか?」

「そんな盗っ人みてぇなことをできるかよ!」

「そうかよ……」

「それに……釤之助。お前は()()()()()()んだろ?」

「なにが?」

「アイツのことだよ、アイツの()()()()()()んだろ?」

「……覗いたよ? 敢えて飲んでる」

「そうかよ……」

「…………」

 

 釤之助は戦の始まる前、刀秋に奪鬼のことについて話していた。

 

“この奪鬼は鍛え上げたばかりの刀。

 いまだ一匹の妖怪の妖気も吸っておりません

()()()()()()限り、この奪鬼はただの刀に過ぎません”

 

(妖怪を切らぬ限り……か。……あの野郎)

 

『釤之助っ! 来たぞっ!!』

 

 その時、上空に妖気が感じ取った!! 

 

「来たようだぜ、犬夜叉?」

「ああ、そうみてぇだな!!」

 

 犬夜叉は先制攻撃の風の傷を放った!! 

 しかし! 風の傷が弾かれた!! 

 

「っ!?」

「風の傷がっ!?」

「ばかなっ!?」

 

「ふははははっ!!」

 

 地上に降り立ち、姿を現した竜人。

 

「竜人!!」

「小僧ども!!」

「っ!? 盾!?」

「まさか、あれで風の傷をっ!?」

「刀秋っ!」

「っ!!」

「聞こえてるのなら答えろっ!! 

 完成したのだろう! わしのための刀をっ!!」

 

 竜人の声は陣営の黄巾の兵たちを震え上げた……。

 

「こっこれが……!!」

「竜人……!!」

 

「人間どもに告ぐっ! 刀秋の持っている刀をわしに差し出すのだっ!! 

 さもなくば貴様ら全員刀秋諸共皆殺しにしてくれるっ!!」

「けっ! おもしれぇ!! やれるもんならやってみろ!!」

「……加勢しようか?」

「いらねえよ、俺一人でじゅうぶんだっ!!」

 

 犬夜叉は二度の先制攻撃を仕掛けたっ!! 

 しかし竜人の盾に防がれる!! 

 

「っ!?」

 

 防がれた盾に吹き飛ばされた犬夜叉! 

 吹き飛ばされるも受け身を取り、体勢を立て直した! 

 

「犬夜叉っ!!」

「なんと!?」

「ちくしょうっ! 風の傷!!」

 

 犬夜叉は二度風の傷を放った! 

 しかし、風の傷は竜人に当たらなかった……! 

 

「バカなっ!? 風の傷がっ!?」

 

「いくらでも打つが良い!! 

 このわしの鱗で作ったこの盾は無敵!! 

 むしろ、妖気を浴びるほど強くなる!!」

「なっ!?」

「そうか……あの盾は()()()で作った盾! 

 刀同様、相手の妖力等を吸い取ることができるというのかっ!!」

「見事であろう! この盾で守り、奪鬼を手にすればわしは最強となる!」

「奪鬼は渡さねぇって言ってるだろっ!!!」

「待て犬夜叉っ!! 長期戦となればかえって不利だっ!!」

 

 犬夜叉は二度振るうも竜人の盾に防がれ、力負けする。

 

「ぐっ!!」

「むうんっ!!!」

 

 竜人は盾で犬夜叉を吹き飛ばしたっ!!! 

 

「小僧……いや、“赤衣”の犬夜叉が聞いて呆れるな?」

 

「犬夜叉殿が力負けした!?」

「いや、竜人の力が犬夜叉より強い……! 

 それだけに相手が強いということだ!」

 

「刀秋!! そこに隠れているのはわかっているのだぞ!!」

「……!」「!!」

「奪鬼をわしの前に差し出せっ!! そうすれば貴様の生命だけ助けてやるぞっ!!」

「なっ!」「嘘に決まっとるっ!!」

「刀秋さま! 出てはなりません!!」

「犬夜叉とやらよ、喜べ! 

 奪鬼の一人目の生贄として、こやしにしてくれよう!!」

「誰がなるか……!!」

 

(奪鬼を渡せば……差し出せば助かる……?)

 

「…………。

 刀秋……」

「……? むらま」

 

ダンっ!! 

 

「かはっ!?」

 

「っ!?」

 

 すると陣幕から刀秋と奪鬼を担いだ村正が現れたっ!! 

 

「村正さま!?」「村正!?」

「村正さん!?」

「むっ村正殿っ!? 一体何をっ!?」

 

 村正は刀秋を降ろし、奪鬼を持って竜人の前に立った! 

 

「……なんだ、貴様は?」

「伊勢千子村正、名を知っているのならばな……!」

「村正……? ……ほお! かの名刀の打ち手か!」

「そうだ……。その村正だ、知っていていたか」

「知るも何も、貴公の刀は数多の人や妖魔を撫切ることで有名だからな!」

「…………」

「して、その村正がその若造に代わって奪鬼を差し出すというのか?」

「否、竜人(おまえ)を知るために出たのだ」

「なに?」

「数多の妖魔をも屠る爪に妖魔の力を防ぐ盾。

 そして、この「奪鬼」は妖魔の力諸共斬り断つ魔剣! 

 確かにその盾とこの魔剣を持てば「鬼に金棒」の如く、そなたの戦いぶりを見ればまさに相応しいものだ…………!」

「ふはははっ! なかなかな眼をしている! 

 そうと分かれば、さあ寄越すのだ!!」

「寄越す前に、条件を出す!」

「何!?」

 

 村正の発言に、竜人と犬夜叉たちと黄巾の戦士たちは動揺した……。

 

「簡単な条件だ。

 その爪と盾で、そこに倒れている()()()()()()()()()()()()()()っ!!」

「なっ!?」

「!!!」

「!?」

「ほお……それはどういう意味だ?」

「言葉通りの意味だっ!! お前が犬夜叉を討ち取ったらば、この魔剣を……奪鬼を差し出すっ! 

 そうすればお前は事実有名の強者となり、この奪鬼とその盾に似合う大妖怪となれるのだ!!」

「村正さん!? あんた何言ってるの!?」

「そうですぞっ!!! そんな話をするということは!!」

「村正さま……!」

「……ふっふふふふ。

 ふはははっ!! はーはっはっはっはっ!!! 

 まさか、貴様は()()()()()()()と申すのか?」

「そうだ! 竜人であろう者が、この一振りの剣に縋るようならば! 

 貴様は犬夜叉の鉄砕牙を恐れている証左! その盾があれば鉄砕牙を防げる、だが貴様の空いたその手の爪は飾りか? 竜人が聞いて呆れるな、その爪で犬夜叉を殺せ!! さすれば奪鬼は名実共に“最強の魔剣”となる!! 

 最強の魔剣と最硬の盾、そしてその実力に見合う爪! 

 竜人よ! そんなにこの魔剣が欲すと言うのなら、犬夜叉を殺せ!! 

 そうなれば貴様は史上最強の大妖怪だっ!!!」

 

 村正の言葉に、その場の空気が静寂が支配していた……。

 

「……言ってくれるじゃねぇか?」

「っ!?」

「おい! 聞いてただろ? 

 どうする? やってみるか?」

「くくく……ふははははっ!! 

 良いだろう!! 村正とやら! 貴様の言うとおり、あの小僧……犬夜叉を討ち取った礼としてこの場の者たちの命を免じてやろう!」

「……それだけか?」

「ふふふ……案ずるな、試し斬りにそこらの妖魔でもよかろう……!!」

 

 犬夜叉と竜人は再度戦い始めた!! 

 犬夜叉は風の傷を放つも、竜人は己が盾に防がれる……。

 

「村正さん……!」

「案ずるな、よく見ろ……!」

 

 犬夜叉が放った風の傷は竜人の盾に直撃するも、周辺の地面が衝撃によって亀裂が生じて崩れた! 

 

「竜人の足元が!?」

「そうかっ! 風の傷を防げても周囲の地面は抉られる!」

「それを真上から打てば足元は崩壊する……自惚れてる証拠だ、相手の力量を見誤った結果だ」

「なるほどな、そして犬夜叉のことだ? おおかた弱点を当てるより奥義ぶちまけて倒す腹だろうよ?」

 

 犬夜叉は風の傷をもう一発打ちかまし、竜人を吹き飛ばし、瓦礫に埋もれた! 

 

「やった!!」

「……いえ、まだです!!」

 

 竜人はものともしないで埋もれた瓦礫から這い出た! 

 

「愚かな……見よ!」

 

 竜人の盾は赤く妖しく輝いていた……! 

 

「くくく…………。見事だったぞ、犬夜叉よ? 

 貴様の奥義は中々の妖気をしている……。

 この盾に蓄えられた妖気、そっくり貴様に()()()()()()!!」

 

 竜人の発言に、犬夜叉と釤之助は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(願ってもねぇぜ!!)

 

(勝負あり……!)

 

 

 

「くらえっ!!!」

 

 竜人は己が盾に蓄えられた妖気……風の傷を放った!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これを待ってたんだぁ!! 

 爆流破!!」

 

 

 犬夜叉は爆流破を放った!! 

 蓄えられた妖気は爆流破に呑み込み、そのまま竜人を呑み込んだ!! 

 

「やった!! 盾が壊れたっ!!」

 

 竜人との戦いは、犬夜叉の勝利に終わった。

 その光景は黄巾の戦士たちと一行は勝ち鬨をあげた!! 

 

「そうか! 犬夜叉さまが放った爆流破は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! 

 竜人の盾が攻撃に転じたからこそ出せた技!」

 

(おおかた、吸収して返すのを戦いの最中で予感した……。

 …………あとは、どうするかだ?)

 

「おの……れ……!」

「ここまでだな」

「…………これでわかったようだな? 竜人、其方の敗因は魔剣に……奪鬼に固執したのと盾に頼ったからだ。

 爪だけで戦えば善戦を展開していたやもしれなかったぞ?」

「……ぐっ。わしとて、そもそも初めは()()()()()()()()()()のだ」

「え?」

「なに?」

「……竜人、あんたまさか()()()()()に当てられたのか?」

「……! 貴様、まさか()()()()()のか!?」

「…………正確には見て読む、だがな? ……弔おうか?」

「……いらぬ、刀秋はおそらくあの刀を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ざしゅっ!! 

 

 

「ぐあぁっ!!!」

 

「!?」「ええっ!?」

 

 すると、刀秋は奪鬼を持って倒れた竜人を差し殺し、妖気を吸い取った!! 

 奪鬼は竜人の妖気が宿り、刀身の峰に竜鱗が色付き艶やかに禍々しく異彩を放った!! 

 

「……遂に、ついに奪鬼は()()()()()を遂げた!!」

 

「刀秋!?」

「……やっぱり()()()()()()か! 刀秋!!」

 




次回
刀秋の本性


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刀秋

犬夜叉対刀秋(奪鬼)。


「礼を言うぞ、犬夜叉……そして釤之助よ!!」

「刀秋……!」

『なっ!? どういうことじゃ!?』

「てめえ……ハナからこのつもりだったのかよ!!」

 

 突如、刀秋は倒れた竜人にトドメを刺したことに一同は驚きを隠せなかった……!! 

 

「刀秋……! 貴様、どういうつもりだ!!」

「師匠、言ったはずですよ? この奪鬼は()()()()()()()()()()()となると……!」

「刀秋……お前、最初から()()()()()ために……俺たちを、犬夜叉を使ったな!!」

「……え? どういうこと?」

「どういうことも何も、釤之助さまの言うとおりですよ? 

 そう、私はしがない刀鍛冶……。

 例え()()()()()()があっても、相手は妖怪……それも竜人、力量は明々白々。

 ……が、そこにあなた方が現れた! ……師匠と共に来たのは想定外でしたけどね?」

 

 刀秋の言葉に、村正は()()した。

 

「刀秋……貴様っ!! やはり()()()は真であったか!!」

「あの噂……?」

「ほお? 師匠、存じていましたか……! 

 そうとも、私は()()()()のために打って繰り返したのですよ」

「え? 試し斬り……?」

 

 試し斬り、その言葉を聞いた釤之助は確信と血の気を引いた答えが脳裏に過った……。

 

「…………」

「釤之助?」

「刀秋、お前は言ったな? 剣を……刀を売買しているって」

「そうです」

「戦跡地の数多の剣を拾っては打って繰り返した、そうだな?」

「いかにも……!」

「……じゃあ、()()は答えて……刀秋?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前はその為に、()()()()()んだ?」

 

「!!」「っ!?」

 

『もしや……!?』

「……もしかして!?」

「それって……まさかっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「察しの通りです、英雄殿」

 

 

「刀秋……貴様……外道(そこまで)に堕ちたかっ!!!」

「堕ちた……? 何をいうのです、“極めた”んですよ!」

「何が極めただ!? 魔剣(それ)を作る為に、そうしてきたのかっ!!!」

 

 かごめと七宝とルー・ルーは絶句した……。

 鞘と珊瑚と弥勒、そして張角たちは身震いと恐怖を感じた……。

 犬夜叉と釤之助、そして村正は激怒した……! 

 するとその時、黄巾の一人の兵が察したかのように大声で叫び、腰を抜け落ちた……! 

 

「あ……ああっ!? おっ思いだした!!! 

 刀秋って、まさかあの“打斬(うちぎり)の刀秋”!?」

「!?」

『はっ!! そうじゃ、此奴の顔は士学校の手配書に載っていた奴じゃっ!!』

 

 黄巾の戦士たちはその名を聞いて身震いをした者と武器を構えた者がいた! 

 

「くっくっく……この異世界だからこそ、私は歓喜したのだ! 

 私は強い刀を求め、己が手で試して繰り返した……。

 誰にも負けない、どんなものでも斬れる史上最強の刀をね? 

 その為に、私は数多の鋼と異世界の鋼材を試して打ってを繰り返し……。

 そして、その性能と強度を知る為に試し斬りをした……! それからです。

 陰と邪気を丹精込めて打てば鋭利で最硬の刀ができると知ったのは……!」

 

-あとは知っての通り、戦跡地を駆け巡り

 それらの棄てられて折れて血まみれの刀剣・錆びた物全てを溶かして刀を打った-

 

「そこで出会ったのか?」

「そうです、私の前に現れたのです」

「竜人…………!」

 

-竜人と出会い、言った

 “貴様の陰の気がこの竜人を呼び寄せた”

 その時、私は恐ろしさよりも喜びに震えた

 竜人の鱗を用いれば、我が理想の刀が完成すると……! 

 その為に、竜人の血と妖気が必要だった-

 

「なるほど、自分から求めて刀を……奪鬼を打った。

 最初から渡す気はないから俺たちに?」

「誰にも渡さない……遂に完成したんだ!! 

 この“奪鬼”は私が打ち鍛えた刀。

 竜人の妖気を宿ったこの刃を私自ら育み、そして知らしめる……!!」

「刀秋……貴様っ!!!」

「……犬夜叉、一応こいつに懸賞金が出てる。

 うん1000万以上億近くだ、いるか?」

「余計なお世話だ、そんな大金」

「犬夜叉さま、あなたの鉄砕牙……。

 一目見て気に入ったぞ……!」

「!!」

「この奪鬼はあなたの刀の妖気を欲しています……!」

「……刀秋、外道のおめえでも人間だ。

 幾ら何人も騙し討ちみてえな斬り方でも、妖刀に支配されるぞ」

「犬夜叉、今回ばかりは加勢する。

 あいつの首は俺が取る、奪鬼をぶった斬れ!」

「ほお? ふたりがかりでやるのか?」

「犬夜叉、奴の剣は妖気を奪う()()()()()

 俺とお前の剣が底を吸われたら一巻の終わりだぞ!」

『待てっ!』

「鞘!?」

『お前ら! 刀々斎の話を忘れたのか!! 

 幾ら奪鬼の妖気を手に入れるためとはいえ、刃を交えたらお前たちの剣はボロの鯖刀鈍刀になるんじゃぞ!!』

「だからって放っておくかよ!!」

「そう……それは私も同じ。

 我が奪鬼が今世界最強の剣たる証明になっ!!」

 

 刀秋は奪鬼を持って犬夜叉に襲いかかってきた!! 

 

「バカがっ!!」

 

 犬夜叉と刀秋の戦いが始まった! 

 

「うっ!?」

「犬夜叉っ!?」

「!! 奪鬼の邪気だ! 犬夜叉っ!!」

 

 犬夜叉は邪気に当てられるが、力いっぱい振り払った!! 

 刀秋は吹き飛ばれた! 

 

「犬夜叉っ!!」

「犬夜叉さまっ! 今ですぞっ!! 

 奪鬼をへし折るのですっ!!」

 

「………………!」

 

「どっどうしたんじゃっ? 犬夜叉のやつ、なぜ攻撃をせぬのじゃ?」

「いや、犬夜叉は攻撃を()()()んじゃない……。

 攻撃が()()()()んだ! アレを見ろっ!!」

 

 犬夜叉の鉄砕牙にわずかなひびが入っていた! 

 

「なっ!?」

「鉄砕牙にひびが!?」

『そうか……! 奪鬼は()()()()()()が備わっているのじゃ! 

 鉄砕牙と刃を交えただけでも()()()()()()()のじゃ!』

「つまり、この戦いは長期戦になれば()()()()()()()! 

 犬夜叉! 奪鬼と交えるなっ!! 刀秋のほうを狙え!!」

 

「……!」

 

 

 

 

 

 

 

-奪鬼と闘って負けたら、鉄砕牙は妖力を奪われ

 永久にボロの鯖刀となって元には戻れねぇぞ-

 

 

 

 

 

(難しく考えるまでもねぇ……要は妖力全部吸われる前に奪鬼を叩き折ってやる!!)

 

「どうした? 犬夜叉さま? こないならこちらからっ!!」

 

ドクンっ! 

 

 

「っ!?」

「おいっ! 刀秋の手が!?」

 

 刀秋の手は竜の鱗が浮き出た! 

 

「まさか……! 奪鬼の妖気に蝕まれて!?」

 

「刀秋! お前……! 奪鬼の邪気に蝕まれてるんじゃねえのか!?」

「ふっ……」

「悪いことは言わねぇ! 今すぐ刀を手放せっ!!」

「鉄砕牙の妖力を喰らい尽くしてからだ!!」

 

ガギンっ!! 

 

「ぐっ!?」

 

 鉄砕牙の刀身にひびが増えた!! 

 

「鉄砕牙がっ!?」

『いかんっ! あれは相当奪われているぞっ!!』

 

 すると、刀秋の手に竜の鱗が広がった! 

 

「わかんねぇのか!! このままだとお前自身も奪鬼に喰われるぞっ!!」

「ふっふっふ……! 違うな、奪鬼が私を使い手として選んだのだ!!」

 

 犬夜叉と刀秋は鍔迫り合いを繰り広げていたっ!! 

 

「なっなんだ!?」

「どういうことだ!? なぜあの男は犬夜叉と互角に戦い合えているんだ!? 

 半妖とはいえ! 人間相手に五分の戦いはできないはずっ!!」

『奪鬼の力じゃっ! 鉄砕牙の妖力を吸っているのと相まって自身の力が奪鬼の力が宿っているのじゃ!!』

 

 刀秋と犬夜叉の鍔迫り合いは、刀秋が制した! 

 そしてその勢いで何度も鉄砕牙と打ち交えた!! 

 

「素晴らしいだろっ! 犬夜叉さま!! 

 この奪鬼で、貴様の鉄砕牙諸共! 我が奪鬼のサビにしてくれよう!!」

「くっ!!」

 

(まずいっ!! あのまま押され続ければ鉄砕牙が折れるっ!!)

 

「犬夜叉っ!! これ以上は危険だ!! 

 これ以上戦えば負けるぞっ!! 

 だから!!」

「いらねぇっ!! そんなことわかってるよっ!!」

 

 分かっているから、俺がやるんだ……!! 

 アレを……奪鬼を叩き折る為にっ!!! 

 

 すると、鉄砕牙が風を纏うかのように吹き出したっ!! 

 

「っ!?」

「鉄砕牙が!?」

『あれは……!!』

 

(鉄砕牙……!? 

 ヒビから風を!?)

 

「これは……!?」

 

「……そうか、アレは()()()()()()だ!」

「がみょっ!?」『なんじゃと!?』

「どういうこと!? 村正さん!」

「鉄砕牙は奪鬼の力に恐れているのだ、打ち交える度に()()()()()()続けられ、己の力を失うと同時に犬夜叉様の敗北から守る為に風を纏わせているのだ……!!」

「……! それはつまり、鉄砕牙は自身の力はもう無いということになる! 

 あれだけ打ち交じれば妖力はそれだけに奪われているということ……! 

 故に、この勝負は……!」

「そうだ、次が最後……! 

 あとは己の腕次第だ……!」

 

 村正の推察通り、奪鬼と鉄砕牙との戦いは明々白々。

 その結末は今の光景が物語っていた……! 

 

(奪鬼よ……あの風の妖力が欲しいか? 

 ならば、次で交えれば……私の勝ちだっ!!)

(鉄砕牙……! まだ戦えるな? 

 まだ死んでいねえよな!!)

 

「でりゃああああっ!!!」

 

 犬夜叉と刀秋は剣を交える瞬間! 

 鉄砕牙の風によって刀秋は吹き飛ばされたっ!! 

 

「!!」

「やはり……それだけに奪われるのを恐れているのだ……!」

「犬夜叉……!!」

 

(ちっ……! 一振りしただけで、こうもきしんで来やがる! 

 確かに…………あとがねぇな!!)

 

「くくく…………鉄砕牙は奪鬼を恐れるあまりにその手を使うか? 

 だが犬夜叉さま! あなた自身も共に戦ったなら、お分かりのはずですよね? 

()()()()()()()()()があるのだから……」

「なに?」

「犬夜叉さま、この奪鬼はただ妖力を奪うだけではないのですよ!! 

 試して頂きますよっ! この風の傷をっ!!」

 

 奪鬼から鉄砕牙の妖力を解放し、風の傷を放った!! 

 

「何ぃ!?」

『なんと!?』

「あれは! 風の傷!?」

「っ! そうか! 奪鬼はただ妖力を奪うだけではなく、鉄砕牙の()()()()が使えるということかっ!!」

 

「!!」

(一か八か! 頼むぞ、鉄砕牙!!)

 

「爆流破!!」

 

 犬夜叉は爆流破を放った! 

 しかし、妖力の弱体化によって返しきれずに風の傷をくらった!! 

 

「犬夜叉っ!!!」

「返しきれなかったか……!」

「爆流破は!?」

 

 爆流破は刀秋に目掛けるも、奪鬼に吸収されてしまった!! 

 

「そんな……!? 爆流破までも!?」

「がみょーん!! もうおしまいじゃあっ!!」

「いや……悲観に浸ってはならんぞ? あれを見よ!!」

 

 奪鬼の刀身に小さな亀裂が入っていた……!! 

 

「奪鬼に亀裂が……!?」

「鉄砕牙の妖力を吸いきれなかったんだ!!」

「……! 犬夜叉! 鉄砕牙は!?」

「!」

 

 鉄砕牙から出た風は止まってしまった……。

 

「くくく……! もやは守る力も尽きたか、勝負あったな? 犬夜叉よ……!!」

「……まだだ」

「なに?」

「まだ終わっちゃいねえってんだよ!! 

 俺が生きている限り、鉄砕牙は死なねえ!!」

「馬鹿がっ!!!」

 

(鉄砕牙! お前が開いてくれた活路……無駄にはしねぇ!!!!)

 

 犬夜叉は最後の打ち交じりをした!! 

 

「うおおおおおおおおおおっ!!!」

 

「犬夜叉!!」

「犬夜叉さま……最後の賭けに出たか!」

「最後の賭けじゃと!?」

「ああ、よく見ろ!」

 

 打ち交じりの鉄砕牙と奪鬼、しかし鉄砕牙は奪鬼の亀裂した箇所に正確に打ち込んでいた!! 

 

「アレをぶった斬れば犬夜叉の逆転勝利だっ!! 

 そのまま押し込めぇ!!!!」

 

 犬夜叉は渾身の踏み込みで奪鬼を叩き折りに出た!! 

 

「愚かな……あの世へ行けっ!!!」

 

 刀秋は風の傷を放った!! 

 

「うあああっ!!」

「犬夜叉っ!!」

「犬夜叉さま!!」

「ぐっ……っ!? 鉄砕牙!」

 

 起き上がるも、鉄砕牙は変化が解かれ朽ちた鯖の刀に戻ってしまった……! 

 

「そんな……!? 鉄砕牙が……!?」

『何ということじゃ……!』

「鞘、刀々斎の恐れていたことが現実になってしまった……!」

「くっくっくっ……ふははははっ!! 

 鉄砕牙は死んだ! 次はお前だ、犬夜叉!!」

「…………」

「……犬夜叉!?」

「……まさか!? まだ戦うのか!?」

「下がれ犬夜叉っ!! あとは俺が!!」

 

 

 

「お前らは手を出すんじゃねえっ!!」

 

 

 

「っ!!」

「しかし!!」

「それでいい……犬夜叉。

 貴様は奪鬼のこやしに……サビにしてやるのだからな!!」

「言ったはずだぜ、刀秋! 

 おれが生きている限り鉄砕牙は死なねぇってな!」

 

 

 

「おれと鉄砕牙は、一心同体なんでい!!!」

 

「無茶じゃ! 犬夜叉さまー!!」

「犬夜叉!!」「犬夜叉っ!!」

 

 犬夜叉は渾身の二度の踏み込みで奪鬼と交えた!!! 

 

「くっ!!」

 

 ここだ……! 亀裂(ここ)を押し込めば勝てるっ!! 

 

 

「愚かだなっ! 犬夜叉!! 

 サビ刀に堕ちた鉄砕牙で、我が奪鬼が折れるとでも」

 

ドンっ!!! 

 

「ぐあぁぁぁっ!? なっ何故……何故だぁぁぁぁ……!?」

 

 突然の瞬間だった、刀秋の身体から爆発に似た衝撃波が貫き、消滅した……! 

 

「なっ何がおこったんじゃ!?」

「犬夜叉!!」

 

 釤之助とかごめたちは犬夜叉の元へ駆け寄った! 

 

「犬夜叉! 大丈夫か!?」

「ああ……なんとかな?」

「……そうだ! 鉄砕牙は!?」

 

 鉄砕牙は変化の気配がなくそのままだった……。

 

「戻らない……のか?」

「いや、それは()()()()のではなく()()()()()()だ。

 見ろ、皆の者」

 

 村正は奪鬼を拾って皆の前に置いた。

 

「柄を見よ、刀秋の手が一体化してしまっている。

 おそらく妖怪の身体に変わる時に溶け込んで融合してしまったのだ……」

「まさか……折れるの恐れて刀秋に?」

「そうでしょうな? 吸いきれずに亀裂が生じ、今まで受けた傷と衝撃を刀秋に受けさせたのでしょう」

 

(バカ野郎が……自分の刀に殺されやがって)

 

「……刀秋よ、お前の罪は奪鬼と共に償うのだ。

 犬夜叉様の……鉄砕牙の妖力を返すのだ」

 

 村正は荷物から金槌を取り出た……。

 

「待てよ、おっさん」

「犬夜叉?」

「犬夜叉様?」

「そいつはおれがやる……!」

 

 犬夜叉は奪鬼を鉄砕牙で突き折った! 

 すると、奪鬼から奪われた鉄砕牙の妖力が溢れ解放し、鉄砕牙に全て注ぎ戻った!! 

 そして鉄砕牙は元の巨大な刀の姿に戻った! 

 

「鉄砕牙が!」

「生き返ったか!」

「やりましたなっ! 犬夜叉さま!!」

「冥加じじい……」

『やれやれ、一時はどうなるかと思ったわい。

 ほれ見てみい?』

 

 その時、鉄砕牙の峰に竜の鱗の模様が浮かび上がった!! 

 

「これは……奪鬼の力が鉄砕牙に宿ったというのか!!」

「歴史的瞬間だな、村正? 

 これで結界破り・金剛石、そして今……」

「ああ……一目見れば数多の豪傑が欲する三界の剣とはよく言ったものだ……! 

 それに…………今の鉄砕牙の姿は竜のようだ、あえて言うなら「竜鱗の鉄砕牙」か?」

「竜鱗の鉄砕牙……か」

「犬夜叉さま! ワシは最初から信じて」

「ウソつけ」

「がびょーん!」

 

(鉄砕牙……すまなかったな、無理させて。

 よく頑張ったな……)

 

「……ところで、お主賞金がどうこう言ってなかったか? 

 どうするんじゃ? 肝心の刀秋の遺体が無ければ……」

「案ずるな、この腕と折れた剣が証拠だ。

 それに、師であるわしが赴けば良いだけの話じゃ」

「そうか……すまねえな、色々とご足労をかけて……」

「よい、それに鉄砕牙の進化の瞬間を間近で見れたのだ。

 あとは都に戻って労おうではないか!」

「そうだな、それが良いな!」

「おお! それならば良い店を教えては……」

「法師さま???」

「…………美味しい店を案内してくれませんでしょうか?」

 

その後、犬夜叉たちは黄巾の者たちと別れを告げて都に戻った……。

 奪鬼の力を得た鉄砕牙はどんなものなのかはまだわからない、けど奈落と魍魎丸の対策としての新戦力だ。

 後の楽しみとしてとっておこう……。




次回
日常回
報酬は犬夜叉一行×村正×釤之助に山分けということでまとまりました。


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長い休日

日常回


士学校・会議室

 

 奪鬼の力を手に入れた犬夜叉、その戦いによる疲労を取る為に都に立ち寄っていた。

 その一方、士学校の会議室では村正と西郷たちがいた…………。

 

「しかし……この剣……奪鬼の柄に取り込まれているのが例の?」

「そうだ、信じ難いやも知れぬが……こうなった以上、己が手で弔ってやりたい……許してくれるな?」

「……弟子の不始末、形はどうあれ決着はついたんだろ?」

「はい……」

「……報酬の件、釤之助の提案で通している。

 それで良いな?」

「はい…………。

 それでは、私はこれで……」

「あ? もういっちまうのか?」

「刀々斎殿……私はこれまで数多の刀の頂点(うえ)に立っていた男だ、だがたった一振りで数多の人を斬り殺す殺人の剣を作ってしまったのだ。

 私はそんなことのために刀を打ったわけではないのだ…………、ただ己が剣に丹精と魂を込めて打った末がこの様だ……。

 そんな私は、それが嫌で流浪の旅をしているのだ……。

 旅道中、*1私は田舎の町村で農具を打ち、木こりの人に鉈を打ったのだ。

 特に思い入れがあるのは鉈だ、アレ以来の業物は打てないよ……。

 私は歳だ、あなた様のような妖怪の寿命と技量はない……」

「何を言ってんだよ、おまえさんは悪くねぇよ? 

 お前さんが刀打っても、それ自体は罪はねぇよ。

 良し悪しは()()()()()()()()()()()だよ、ワシら刀打ちはただ刀を打つだけしか取り柄の無い職人、そんな風に思うな! 

 ……じゃが、お前さんの腕は必要とされる人がいるのじゃ。

 鍬と鋤、多種類の包丁と医療道具を作るのにワシらのような刀打ちでもできるのじゃ。

 農作業をするのに鋤と鍬等の農機具、手術をするのに執刀に使うメスという医療道具……そういったものをワシら職人が作って支える……。

 折れた刀を打ち直し、古く錆びた刀と農機具と医療道具の手入れて直し……そうやって自身も刀も道具を鍛える、そうやって身も心を鍛えるのだ……」

「……そうやもしれぬな? だがこれは私が選んだ道、私の道だ。

 報酬の方は私なりに使うよ? 自分と貧しいものたちのために……」

 

 その後、村正は報酬の7割は貧民たちの寄付に充て

 残る3割は自身の道具の手入れと自身の旅費として使い、また流浪の旅に出た……。

 


 

都・繁華通り

 

 刀秋との戦いの慰労目的に立ち寄っていた……。

 

「ほお、赤衣に英雄さまじゃないか?」

「……ったく、異名(それ)を呼ぶのやめてくれない?」

「悪いね、世間様はあんたらが大好きなんでね? 

 で? 注文は……ってのは、赤衣の方は愚問だな?」

「……わかってんなら頼む、俺は定食の大盛りでな?」

「……? じゃあ、これか?」

「私は……これで」

「あいよっ!!」

 

 釤之助は牛丼の大盛りの定食。

*2犬夜叉は牛筋の丼の定食、かごめ達は並盛りの牛丼定食を注文した。

 

「これが……!」

「初めてか……まあ明治前はそうだもんな?」

「はあ……これが「牛丼」か……!」

 

 七宝たち戦国時代の人間は肉料理は初めてだろうな? 

 三国時代の人と海外の人たちは肉を食うのは当たり前だけど、日本はまだ肉を食うなんてのは無縁……もとよりご法度ものだ。

 肉を食うようになったのは幕末の明治が始まる前からだ、日本人が*3黒豚の肉を食べ始めてから「すき焼き」と「肉じゃが」等の肉料理が出はじめた。

 そして明治になってから肉料理は定着するようになった……。

 

「……? *4犬夜叉は初めてか?」

「…………?」

「…………いや、なんでもない」

 

 犬夜叉たちと釤之助は牛丼の定食を食い始めた。

 

「……っ!?」

「これはっ!?」

「っ!?」

「……初めてか、これ食うのは?」

 

 弥勒たちは無言で首を縦に振った。

 

「……ん? ……ねえ、釤之助?」

「……ん??」

「弥勒さまたちは、お肉を食べるのは初めてだよね?」

「そうだな、元々の時代が違うからな? 

 肉を食うなんてのは、昔の日本はそういうのは禁止されていたんだ。

 元々は仏教の教えから来てるんだけど…………っても、客のほとんどを見ろよ?」

 

 牛丼屋の客層は人間だけではなく、獣人や鬼とオーク等がいた。

 中には特盛と定食をガッツリ食っている奴もいる。

 

「そして、店員なんて見ろよ?」

 

 牛丼屋……もとい各飲食店の店員は人間だけではなく各亜種族もしている……。

 

「そういえば、寿司を握っている人がいましたが……。

 魚人でしたね……?」

「それを言うと肉を売っとるところに豚と牛、そして鳥の人間が店番をしておったな……??」

「いいのかしら……? 自分と同じ生き物を食材にして売るのを……?」

「俺も初めはそう思った……。でも当人はまんざらもなく働いてるからいいんじゃない? 

 ……で、どうだった?」

「どう……って、美味しかったですよ?」

「うむ」

「ええ……」

「そりゃ良かったな? お勘定は……まあ言うまでもないか?」

 

 その後、代金を出して店を後にした……。

 

「そういえば……私たちは旅をしている身ですから、こういう場所は初めて寄りますな?」

「そうね……? 今までこんな場所を来たことなんて滅多にないからね……?」

「ああ……そうか……? みんながここに来たのは叢雲牙の件だけだもんな? 

 こうやって観光がてらに寄るのは初めてか?」

 

 釤之助と犬夜叉一行は都を歩き回った。

 

「こうして歩いて回ると、魔訶不思議って感じね?」

「ああ……妖怪だけではなく、いろんな人たちが行き交ったり西洋に欧州? という人やエルフとドワーフ等がよく見かけますね?」

「そりゃあそうよ? 聞けばこの都はこの大陸の要の一つって話だ。

 三國の人に古代ローマ、西部と航海時代の人たちもこの都を来るって話だ。

 あの秀吉と龍馬がここに来ることもあるって話だ、どっかですれ違うかもしれんぞ?」

「へえ〜」

「まあ、実際会えるかどうかはわからないけどね?」

 

 その後、温泉宿に赴き

 犬夜叉一行と釤之助たちは湯治目的を兼ねて浸かった……。

 

「……ふう、こうしてまともに浸かるのは滅多にないよな?」

「まあな? あんたはこの都で仕事がてらに生活してるんだろ? 

 俺たちは奈落と魍魎丸のこともあるからな?」

「そっか……」

 

 犬夜叉たちの話によれば、「魍魎丸」という敵は「奈落」と対立しているって話だ。

 理由は明々白々、魍魎丸の中にいる「赤子」……「心臓」は奈落本体と対立しており、その為に魍魎丸を使って自身は力を得る為に数多の妖怪たちの屍を喰らって能力を手に入れているって話だ。

 

「……その魍魎丸は、赤子はどういう能力を狙っているのかわかるか?」

「それがわかれば苦労はしませんね、現にこの異世界です。

 私たちの知る妖怪だけではなく、あなたが……士学校が戦っている「モンスター」という者の中に能力持ちがいたのならば確実にそれを狙う。

 その方面では、釤之助さま自身が詳しいと思っていたのですが……?」

「魍魎丸より、こっちはなんでも「古龍」とやらでてんやわんやだ」

「「古龍??」」

「そうだ、犬夜叉はこの名前を聞いたはずだ……「テオ・テスカトル」ってやつを」

「……っ! それって、この前徳川と蜀が倒した!?」

「そうだ、その戦いで関羽たちが大火傷を負ったんだ。

 治すにも数週間数ヶ月はかかったって話だ」

「……そうだったのですか」

「つっても、あの関羽だ。

*5元の歴史で矢傷を負うも治療はしたからな? 

 だけどこの世界は麻酔がある、曹操や家康たちの病気も治せるから華佗も歓喜万々歳だろうしな?」

「ふむ……」

「……さて、いい感じに熱ったからいくか?」

 

 犬夜叉と弥勒と一緒にサウナに入った……。

 


 

 一方、かごめたちは……。

 

「っはあ〜。ここの温泉って、結構気持ち良いのね」

「それもだけど、見渡すと色んな人たちがいるのね?」

 

 二人は女湯にいる亜人亜種の女たちを魅入っていた、エルフ・ドワーフ・悪魔・獣人・巨人・小人・ハーフリング・オーク・ゴブリン等種族がいた。

 

「こうしてみると、壮観なのと色とりどりね……!」

「ええ、本当に摩訶不思議な世界に来てるって感じね?」

 

 現在二人はサウナに入っており、中にはオーク・オーガ・エルフ・ドワーフ・ゴブリン・巨人の女たちがいた……。

 そして、二人は思った……。

 

(デカい……!!)

 

 二人だけではなく、主に男女共に思うところはあるだろう「体格差」を……。

 主に「乳房」と「臀部」が一番に思いつくだろう、しかし思い出して欲しい…………。人間と亜人の()()()()()を……! 

 

「おっ? あんたデカくなった?」

「ん? まあこの間子供産んでさ……」

「はあ〜肩凝る〜」

「……やば、太った?」

 

 上記の台詞を見て女ならではの話に見えて聞こえるだろう、しかし……。

 

「おっ? あんたデカくなった?」by オーク

「ん? まあこの間子供産んでさ……」by 巨人

「はあ〜肩凝る〜」by ドワーフ

「……やば、太った?」by 小人

 

 お分かりいただけただろうか……? 

 

「ん……? お主らは?」

「……あら? あなたは……」

「……オリガさんにクロエさん!?」

 

 サウナに入ってきたのは「黒の女王」の異名を持つ「ダークエルフ」とその「側近」の「ハーフエルフ」。

 二人の登場に、サウナにいた女性陣は驚いたのだ……。

 

「久しいな? 関ヶ原以来じゃな?」

「えっええ……」

「えっと……何しに?」

「何とな? 入りに浸かりにきただけじゃ、そう身構えるな?」

「私は護衛がてらに……それだけだ」

 

 数分が経ち、サウナに出て汗を流して整え……。

 

「くぅ〜、やっぱ整うと違うなぁ〜」

「かごめちゃん……(汗)」

「まあ、そなたらもそなたらで疲れているのであろう? 

 整うだけでも、これまでの疲れが一気に取れる……。極楽浄土とはよく言うたものじゃな?」

 

 外気浴にて、会話をしていた……。

 

「そう言えば……オリガさんたちはどうして都に?」

「何、和睦を結んだ後の慰労じゃ。

 摩訶不思議な人間に振り回され、セレスティンたちとの戦争をやめて和平条約を結んだのじゃ」

*6和平条約……? ……それって、あの?」

「そうじゃ……まあ、それのおかげで疲れてな……?」

 

 そりゃあ、あの「坂本龍馬」たちが一生懸命奔走して和平を結んだ条約だから故にしたのだ、疲れるわな? っとかごめは思った……。

 

「それと、聞いたぞ?」

「え?」

「刀秋のことじゃ」

「!」

「知ってたの……!?」

「妾が知らぬわけがなかろう? 

 そやつの悪名悪行、大陸ほどではないがそれなりに知れ渡っていた。

 それを赤衣と英雄殿が討ち倒したと言うではないか?」

「…………」

「……あれ? オリガ? かごめ?」

「ん? お主は……?」

「ん……? あっ! マイアちゃん!!」

 


 

 温泉に上がり、一行と釤之助はたまたま来ていたオリガたちとマイアと会って食事処に寄っていた……。

 

「へえ、刀秋ってあの?」

「噂には聞いていたが…………なるほど、流石赤衣と英雄というわけか?」

「…………それ以前にさ、なんだってこんなところに? 

 ……って、愚問か? お疲れ様」

「良い、こんな世界じゃ。もう慣れてしもうた……」

「そうだな……「湯上がりの膳」で良い?」

「湯上がり……?」

「何それ?」

「食事処曰く「風呂上がりに最高の一品」だってよ?」

 

 釤之助が選び、皆に推薦した「湯上がりの膳」。

 人間様と犬夜叉(獣)に向けて出された膳、それは小さな天ぷらとおろしポン酢の牛タタキ等を据えたおかずにしじみとワカメと豆腐の味噌汁、そして長芋となめこ入りのとろろと白いご飯が据えていた。

 

「流石ネギ抜きに出してるな? ここまでするのがすげえよな?」

「なんか気い使われてんのが腹立つな……」

「仕方ないだろ? 犬と猫の人間がいるから、そうなっちゃうんだから……」

 

 湯上がりの膳を食べ、その後……。

 

「……明日、出かけるのか?」

「まあな、奈落と魍魎丸のこともあるからな?」

「そうかよ、気をつけろよ?」

 

 宿部屋にて寝込み、次の朝……。

 

「…………」

「……??」

*7「大きい……!」

「かごめちゃん……(汗)」

 

 朝方の露天にて、そんな彼女を見惚れてる女性客が多くいた……。

 

*1
日本昔ばなし「村正のなた」より。

*2
犬夜叉のは玉ねぎとネギ抜きの定食。

 味噌汁の具に豆腐と油揚げとさつまいものみ。

*3
大河ドラマの幕末、薩摩藩の人たちが黒豚肉の話をしてたから? 作者談。

*4
幼少期、桔梗と会うまではは猪や兎等を狩っていた時期があるのでは? 作者見解。

*5
樊城の戦いにて矢傷を肘の少し上? に射抜かれて、その時華佗に手術をしてもらった。

 尚、この時碁を打っていた為

 当時は麻酔もなく激痛では済まない場面だが、打っている間に治った(傷口を塞いだ程度)ため故に相当な集中と気力をしていたとのこと(関羽談)

*6
坂本龍馬・渋沢栄一たちが奔走して七盾同盟との和睦を結ぶ為に結んだ「白黒条約」。

*7
オリガ・ディスコルディアは「黒色長髪」で「褐色肌」の「ナイスバディ」なので、かごめが息飲んで注視するのも頷ける美貌ですので。




次回
日常回はまだ続きます
主に釤之助回。


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