龍の目を持つ悪魔(1年生編) (アニ督)
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人物紹介

どうも、アニ督です。今回から現在投稿している「悪魔が向かったゲートの先は神装機竜がある世界だった」の約1年前を描いた「悪魔は命令で第1魔法科高校へ通う事になりました」を投稿していきたいと思います。できる限り早めに投稿するので、応援の方をよろしくお願いします。また、自分のオリジナルなのでそこの所はご了承をお願いします。


人物

 

《自衛隊》・・・第三次世界大戦後、魔法の登場により自衛隊は国防軍へと変わるがその後、国防軍内で魔法を中心とする軍の思想を持つ派閥(国防軍)と魔法を含めたあらゆる方法で国を守るという思想(自衛隊)を持つ派閥に分裂。そして、魔法を含めたあらゆる方法で国を守る思想を持つ派閥を持つ者達は国防軍をさり、自衛隊という名で日本唯一の組織を創設。2028年までに多くの魔法によるテロ組織の弾圧に成功。その後、政府から正式に認められ、正式に国防軍同様に国防省の直属の軍として認めれる。現在では、魔法にも力を入れており常にあらゆるテロや攻撃などに備えている。

 

葉山裕翔(16)・・・幼い頃に両親をテロで失い、妹もテロが原因で昏睡状態になってしまい、それ以来テロ組織の根絶を目標に自衛隊の所属の特殊部隊の第1部隊の隊長を担当している。コードネームは「悪魔」である。

 

古田孝之助・・・葉山裕翔の上官で、彼が入隊した時から面倒を見ている。現在は特殊部隊の指揮官を担当している。ここ最近は、葉山裕翔が社会においての常識が欠けている事を気にしている。

 

M4A1・・・ロシアの民間軍事会社グリフォンで作られた戦術人形。現在は、葉山裕翔の部隊に所属しており、第1小隊《AR小隊》の隊長を任されている。

 

M16A1・・・M4A1と同じで、AR小隊の副隊長を担当している。M4A1の姉。いつも、葉山裕翔をからかっている。

 

ARー15・・・AR小隊所属で、M4A1の戦友でもある。

 

M4SOPMODⅡ・・・AR小隊所属で、いつも明るいムードメーカーだが、AR小隊の中で最もサイコパスな存在でもある。

 

RO635・・・AR小隊所属で、葉山裕翔の部隊で情報収集も担当している。いつも、M4SOPMODⅡの面倒を見てくれている。

 

HK416・・・グリフォンの戦術人形で、葉山裕翔の部隊に所属の第2小隊《404小隊》の隊長を担当している。いつも、真面目で基本冗談が通じない。

 

UMP45・・・404小隊の副隊長を担当している。

 

UMP40・・・404小隊所属で、一度スクラップにされたが、葉山裕翔達によって復元にされた。

 

UMP9・・・404小隊に所属で、M4SOPMODⅡと同じくムードメーカーで、この二人はとても仲が良い。

 

GrG11・・・404小隊所属で、基本はめんどくさがりや。

 

AK-12・・・葉山の部隊所属で、第3小隊《AK小隊》の隊長を担当している。

 

AN-94・・・AK小隊の副隊長を担当している。

 

AK-74N・・・AK小隊に所属にしている戦術人形。

 

RPK-16・・・AK小隊に所属している戦術人形。

 

PKR-203・・・AK小隊に所属している戦術人形。

 

WA2000・・・葉山の部隊所属で、第1狙撃小隊の隊長を担当している。

 

M200・・・第1狙撃小隊に所属している戦術人形。

 

M14・・・第1狙撃小隊に所属している戦術人形。

 

Super SASS・・・第1狙撃小隊に所属している戦術人形。

 

M1911・・・第1狙撃小隊に所属している戦術人形。第1狙撃小隊のサポートを担当している。

 

SV-98・・・葉山の部隊所属で第2狙撃小隊の隊長を担当している。

 

KSVK・・・第2狙撃小隊に所属している戦術人形。

 

NTW-20・・・第2狙撃小隊に所属している戦術人形。基本装甲兵器のみ攻撃が許されており、基本は第2狙撃小隊のサポートを担当している。

 

SVD・・・第2狙撃小隊に所属している戦術人形。

 

M1895・・・第2狙撃小隊に所属している戦術人形。第2狙撃小隊のサポートを担当している。

 

《国立第一魔法科高校》・・・魔法士を育てる国立大学附属高校の1つ。生徒は基本1科生と2科生で分けられており、差別の原因ともなっている。また、1科生の中でもSAOサバイバーとそうでない者の間で差別が起きている。

 

七草真由美・・・七草家の長女で、今年から第一魔法科高校に入学する事になった。また、1年生で生徒会長を務める。クラスは1年A組。

 

市原鈴音・・・今年から第1魔法科高校に入学する事になった1年生。生徒会の会計を担当。クラスは1年B組。

 

渡辺摩利・・・今年から入学する事になった1年生。

 

十文字克人・・・十文字家の長男。今年から第1魔法科高校に入学する事になった1年生。

 

《SAOサバイバー》・・・デスゲームソードアートオンラインを生き残った者。基本、社会的に差別されており、学生は基本政府からの指示で国立の学校に通う事になっている。

桐ヶ谷和人(キリト)・・・今年から1年生として第1魔法科高校に入学する事になった。デスゲーム《ソードアートオンライン》をクリアに導いた黒の英雄。葉山裕翔とはSAO関連で知り合った友人。葉山裕翔からはSAOの頃と同じでキリトと呼ばれている。

 

結城明日奈(アスナ)・・・今年から1年生として第1魔法科高校に入学する事になった。葉山裕翔とキリトとは1つ上だが政府に頼んで事により1年生として入学する事になった。キリトの恋人でもある。

 

篠崎里香(リズベット)・・・今年から1年生として第1魔法科高校通う事になった。アスナと同様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




先程もお伝えしましたが、これからもできる限り早めに投稿するのでよろしくお願いします。


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第1話 上官の命令

遅くなりました。第1話です。それではどうぞ!!


2092年12月7日

午後11時28分

東京 貨物船コンテナ置場

 

暗く寒い夜の中、コンテナが積み上げられているこの場所は静まりかえっていた。そんな中、ある4台の装甲車両が近くで待機していた。

裕翔「よし、目標を確認。予定通りだな。」

ある装甲車両の中で黒髪の少年が小型ドローンのカメラでコンテナ置場に停泊している大型輸送船を偵察していた。その映像には、

裕翔「武装は、対魔法弾が入ったAK。こちらにとっては問題ない。」

武装した男が甲板の上を歩いている映像だった。それを見た裕翔は車内にある無線を取り、

裕翔「本部、こちら悪魔。目標を確認した。作戦開始の許可を・・・。」

『了解。作戦を開始の許可を出す。予定通り、目標の確保しろ。抵抗する者は始末してもいい。以上だ。』

裕翔「了解。これより作戦を開始する。オーバー。」

そう言うと、裕翔は無線を置き、

装甲車両の外に出る。外では、銃を持った少女達が待機していた。そして、裕翔は少女達に対して

裕翔「本部から、許可が降りた。これより、目標を掃討を開始する。相手は武装している。だが、訓練通りにやれば問題ない。いつも通り、冷静に判断し、対処しろ。では、これより指示を出す。AR小隊は俺と共に東から目標に近づく。」

M4A1「了解。」

裕翔「404小隊は南から・・・。」

416「了解。」

裕翔「AK小隊は南西にある出口で逃げる目標の始末を頼む。」

AK-12「了解したわ。で、手段は・・・。」

裕翔「目標を潰せるなら、なんだっていい。」

AK-12「分かったわ。」

裕翔「第1狙撃小隊は、俺とAR小隊、そして404小隊の援護を頼む。」

WA2000「分かったわ。で、場所は・・・。」

裕翔「お前に任せる。」

WA2000「了解。じゃあ、私たちは先に行くわ。」

そう言うと、第1狙撃小隊は狙撃ポイントに向かう。

裕翔「第2狙撃小隊は、AK小隊の援護を・・・。」

VSK-98「了解しました。それでは、私たちも狙撃ポイントに向かいます。」

そう言うと、第2狙撃小隊も狙撃ポイントへ向かう。

そして、

裕翔「じゃあ、これより作戦を開始する。」

こうして作戦が開始された。

 

11時40分

裕翔達は既にコンテナのたくさんコンテナが積み上がった中をゆっくりと進んでいた。

裕翔「警戒しろ。いつ戦闘が起きてもいいようにしておけ。」

と無線で全員に伝える。

『了解』

と返事が返ってくる。

すると、

「おいおい、・・・・・・か。」

「いやいや・・・・・。」

と男の声が聞こえてきた。

裕翔「止まれ。」

とコンテナの角で言うと、後ろにいるAR小隊全員が止まる。そして、裕翔がゆっくり顔を覗くと

「それにしても、マジで日本の警察はバカだな。」

「当たり前だ。なんせ、ただ平和ボケしている連中の集まりで出来た国だからな。」

と2人の男が話している姿が目に入る。手にはアサルトライフルが見える。すると、

「おい、何をしている!!見張りの時間だぞ!!」

ともう1人武装した男が怒鳴りながらが現れ、去っていった。

「チッ・・・、仕方ない。見回りをするとしますか。」

そう言うと、男が1人どこかへ行ってしまった。そして、見張りが1人になった所を見ていた裕翔は

裕翔「よし、殺るか。」

とナイフを持ち男に近づいていく。そして、

グサッ

男「!!」

ドサッ

男は喉元を刺され、倒れた。

裕翔「よし、予定通りに船に爆薬を仕掛けるぞ。」

そう言うと、裕翔達は一斉に船に近づいて行った。

 

11時58分

裕翔達はあれから敵にバレずに船の元に辿り着くことができた。道中では、3人を始末した。そして、

ピッ

裕翔「爆薬セット完了。これで、奴らは海から逃げる事が出来なくなったはずだ。」

そう言うと、裕翔は船の元から急いで離れる。その後すぐにAR小隊の元に戻り、自分の無線を取る。そして、

裕翔「こちら悪魔。予定通り爆薬をセットした。404小隊、状況はどうだ。」

416『こちら416。こっちも爆薬のセットは完了してるわ。いつでもいいわよ。』

裕翔「了解。」確認を済ませると裕翔は、爆薬のスイッチを手に取り、そして、

カチッ

ズドーン

大型輸送船の船体のど真ん中で大きく爆音共に火柱が上がる。それと同時に、

「おい!!どうなってる!!なぜ、爆発した!?。」

「分からない!!一体何が・・・。」

目標はパニック状態に陥る。それを見ていた裕翔は、

裕翔「よし。相手は混乱している。これより、掃討を開始するぞ。」

そう言うと、裕翔は手に持っているM4A1を目標に対して構える。そして、

パンッ、パンッ、パンッ

目標に対して発砲する。

「グハッ!!」

「グッ!!」

「おい!!敵だ!!攻撃しろ!!」

と相手もこちらに銃を構えてくるが、

ダァッーン

ドサッ

こちらに銃口を向けていた1人男が倒れる。

「敵の狙撃手だ!!」

「クソッ!!どこに・・・!!」

ドサッ

また1人倒れる。

「また、1人やられた!!狙撃・・・・グハッ!!」

ドサッ

パンッ、パンッ、パンッ

ダダタダダダダタダダ

とWA2000達からの援護を受けつつ裕翔とAR小隊は発砲しつつ前進していく。

すると、

「クソ!!くたばりやがれ!!」

と1人の男が車両に付けられている銃座に座り、そして、

ババババババババババ

と銃座に付けられているガトリングを裕翔達に向けて引き金を引く。

裕翔「隠れろ!!」

と言うと、裕翔達は近くのコンテナ裏や伏せるなどをして攻撃を避けようとする。

裕翔「チッ・・・アイツをなんとかしないと・・・・。」

そう言っていると、

ズドーン

突如、ガトリングが付いた車が爆発し、横転する。

すると、

416「隊長とAR小隊を掩護して。」

404小隊がコンテナの上から目標に対して攻撃を開始する。それを見ていた裕翔は、

裕翔「よし、AR小隊前に出るぞ!!」

と指示を出すと、裕翔は腰に付けていた2本の刀を抜き、そして、

シャキン

敵に向かって突っ込んで行き、相手を1人斬り殺した。それを見た敵は、

「距離を取れ!!相手は近接型だ!!後退しつつ撃ちまくれ!!」

と言うと、

ダダタダダダダタダダ

敵は裕翔に向かって、発砲開始する。しかし、

シャキン

また1人と斬り殺される。

「いつの間に・・・・!!」

「見ろ!!アイツの動きを!!」

その時、敵が見た光景は、1人の少年が目に見えぬ速さで敵に近づき、殺している光景だった。

「アイツは、魔法師だ!!誰が、魔法を使える奴はいないのか!!」

そう言うと、

1人の男が腕に付けているCADを操作するが、

「なぜだ!!魔法が作動しない。どうして・・・・ハッ!!」

とCADを操作しようとした男の目線の先には、ただ刀を持ったまま、その男を睨む1人の少年の姿だった。

そして、

裕翔「くたばれ・・・・テロリストどもめ。」

そう言うと、刀から大きな炎が現れ、そして、

ゴォォォォン

と大きな音をたてると同時にその炎は多く敵を包み込む。

「ギャアアアアア!!」

「アアアアアア!!」

「アアアアアア、アツイ!!アツイ!!」

と炎に包まれた敵は悲鳴をあげつつ倒れていく。

それを見ていた他の敵は、

「・・・・逃げろ!!殺される!!」

「急いで、車を出せ!!」

と次々に車に乗り込み、南西の方へ向かっていく。しかし、その先には

 

南西のコンテナの置場の出入り口

「急げ!!アイツがすぐに追いついてくるぞ!!」

「なんなんだ!!アイツは・・・。」

「知るか!!あんな奴見たことねぇよ。」

とパニックになりつつも車で逃げる敵の中に、

スマホで連絡を取ろうとする者がいた。

「急いで、ボスに通達を・・・・。」

と連絡を取ろうとした瞬間、

ドーン

突如、目の前を走っていた車が爆発した。

そして、

ダダタダダダダタダダ

と次々に車に向かって弾丸が放たれる。

「クソ!!待ちくせだ!!」

「急げ!!殺されるぞ!!」

と逃げようとするが、

ダァッーン

ダァッーン

と狙撃による攻撃が敵を襲う。

そして、

ズドーン

最後の1両も爆破され、先程まで沢山いた敵は、先程ボスに連絡を取ろうとした男1人だけとなった。

そして、

裕翔「お前が、今回の武器の密入を企てたのか。」

と逃げた敵を追いかけてきた裕翔がその男の前に現れる。

「違う!!俺は・・・ただ命令されただけだ!!武器の事なんか知らなかった。だから、俺は関係ない!!」

と裕翔を説得するが、

裕翔「そうか。だが、どちらにせよお前がテロリストに変わりはない。だからここで死ね。」

と裕翔が拳銃を男に向けて構える。

「待ってくれ!!なんでも情報を話す。だから、殺さ・・・・。」

ダァッーン

と一発の銃声が鳴り響いた。そして、

ドサッ

最後の敵も死体へと変わった。そして裕翔は、

裕翔「こちら、悪魔。作戦は成功した。敵の生き残りはなし。全員死亡。死体の回収と船の後始末を頼む。」

と無線で本部に知らせる。

『了解。悪魔。作戦ご苦労であった。これより、回収班を向かわせる。そちらはすぐさま撤退してくれ。」

裕翔「了解。これより帰還する。オーバー。」

と無線切ると、

裕翔「撤収だ。急げ。すぐに警察が介入してくる。」

そう指示を出した後、裕翔達は装甲車両で撤退した。その日の朝。ニュースでは、大型輸送艦の爆発事故が大きく取り上げられた。しかし、テロリスト達の情報は一切公開されなかった。

 

その2日後

12月9日

午前10時

東京自衛隊本部

 

裕翔は上官に作戦の報告をしていた。

裕翔「相手は、武器の密入をしており、おそらく日本テロ組織「レッドムーン」が関わっていると思われます。」

古田「なるほど、それで敵は全員殺したと・・・。」

裕翔「はい。奴らは、人と言う道から外れた獣です。なので、生かしておく理由は無いかと。」

古田「ハァ~、相変わらずテロ組織に対しては容赦ないね。」

裕翔「当然です。奴らは、ただの外道ですから。」

古田「そうかね。では、これで報告は終わりにしよう。」

裕翔「わかりました。では俺はこれで・・・。」

古田「ああ、待ってくれ。君に頼みたいことがある。」

と古田上官の部屋から出ようした裕翔は、呼び止められる。

裕翔「なんですか。」

古田「実はね。3日後にあるパーティーがあるのだ。そこで、できたら君には私の護衛として同行してもらいたい。」

裕翔「嫌です。」

古田「相変わらず、早い返答だね。」

裕翔「なんで、俺がそんな事をしなければならないのですか。」

古田「いやぁね。これは、結構重要なパーティーで、魔法関係で、あの十氏族も来られるだよ。」

裕翔「で、・・・俺に何の関係が。」

古田「君も一応葉山家の当主じゃないか。そこで、今後の君のためにもこう言うことは慣れておいた方がいいと思って・・・。」

裕翔「別にそのような事をしなくても、自分でやるので結構です。」

古田「そう言わずに・・・。」

裕翔「では、失礼します。」

と裕翔が再び部屋を出ようとした時、

古田「2ヶ月前の失態での減給の件。考えてあげてもいいよ。」

そう言うわれると、裕翔の足が止まる。

古田「妹さんの事においてお金が必要だろう。」

裕翔「・・・・・。」

古田「4年前の学園爆破テロで君の妹、雪ちゃんは巻き込まれ、昏睡状態になってしまった。その妹為に君はいつも魔法による医療研究所に多額の投資をしているよね。雪ちゃんが再び目を覚ます為に・・・・。」

裕翔「雪がああなったのも、全て俺のせいです。雪は親戚からいつも劣等扱いされる俺を庇ってくれました。だから、俺は親父や母さんの代わりに雪を守ると決めたんです。でも、俺はそれを果たせなかった。だから、俺は今できる事をしているだけです。それが、今の俺の使命です。」

古田「そうか。本来なら、葉山家の当主は雪ちゃんがなるはずだった。でも、雪ちゃんが昏睡状態になってしまった事により、君が当主の座に着くことになった。親戚からは、大きく反対され、誰も味方をしてくれない中、君はいつか雪ちゃんが目を覚ます事を信じて、この汚れた仕事をしている。そうじゃないかね。」

裕翔「・・・・・。」

古田「この際、少しでもパーティーで葉山家の後ろ盾になる一家を見つけるのも悪くないと思うよ。もちろん、減給の件も無しにして・・・・。」

裕翔「分かりました。パーティーにおいての護衛は自分がやります。ですが、自分は正直後ろ盾など不要です。ただ、金が少しでも入るなら、いくらでもやりますよ。」

そう言うと、裕翔は古田中将の部屋を出て行った。

こうして、古田中将の護衛として裕翔もパーティーに出席する事になった。

 

3日後

12月12日

午後7時

東京銀座某ホテル

大きなシャンデリアが吊るされたパーティーホールでは、既に多くの魔法や軍の関係者達が集まっていた。

そんな中、裕翔も自衛隊の制服を着て同じ制服を着て挨拶をする古田中将の護衛として出席していた。

すると、

弘一「久しぶりだね。古田君。」

古田「これは、弘一様。お久しぶりです。」

とある男性が話しかけてきた。その男性の後ろには、裕翔と同じくらい歳の女性が立っていた。

弘一「相変わらず、テロとの戦いに関してはよく耳にするよ。」

古田「そうですか。ですが、私はただ指揮をしているだけで、現場は基本部下に任せているので。」

弘一「そうか。君の元で働ける部下は幸せ者だな。あぁ、紹介しよう。うちの長女の真由美だ。」

真由美「七草真由美です。いつも、父がお世話になっています。」

古田「ご丁寧な挨拶恐れ入ります。私は自衛隊所属の古田孝之助と申します。いやあ、美しい娘さんですね。」

すると、

弘一「ありがとう。ところで、そちらの少年は。」

と古田上官に問いかけてくる。

古田「あぁ、こちらは私の直属の部下で、今日は護衛として同行さている葉山裕翔です。裕翔君、こちらは十氏族のうちの一つの七草家の当主七草弘一様だ。」

裕翔「葉山裕翔です。階級は中尉です。」

弘一「ほお、まだ若いのに幹部かね。歳はいくつだね。」

裕翔「はい。今年で16になります。」

弘一「真由美と同い年か。いやあ、感心するね。ところで、今は葉山と言ったが、もしかして葉山俊介の・・・・。」

裕翔「はい。自分は葉山俊介の息子です。」

弘一「おお、あの俊介君の息子かね。いやあ、お父さんとは友人でね。昔は仲良くしたものだ。どうだね、お父さんは元気かね。」

裕翔「・・・・・父は亡くなりました。」

弘一「!!」

裕翔「5年前、ある任務で自分を庇って・・・・。」

弘一「そうか・・・悪い事を聞いたね。」

裕翔「いえ、気にしないでください。」

そんな話をしていると、

古田「いやあ、弘一様。少し、お話がありまして少し時間はありますかね。」

弘一「あぁ、構わないよ。」

古田「では、こちらに。」

そう言うと、俺の方を向いて、

古田「少し、休んできなさい。」

裕翔「・・・・すいません。ありがとうございます。」

そう言うと、古田上官は2人ともに奥の方へと行ってしまった。

それから数分後、

裕翔はジュースの入ったグラスを片手に窓際の柱にもたれていた。

すると、

真由美「ねぇ、少しいいかしら。」

と先程挨拶した七草真由美が声をかけてくる。

裕翔「ん。何のようだ。」

真由美「ちょっとね。さっき自衛隊に所属していると言ってたけど、どんな部隊にいるの。」

と質問してくるが、

裕翔「ハァ、そんなの教えるわけないだろ。そういうのは、国家機密なんだよ。」

真由美「ちょっと、それくらい教えてくれていいじゃない。」

裕翔「ハァ~、あのなぁ、あんたがどんだけ偉いかは知ってるが、それでもアンタはただの市民だ。そんな軍とも関係ない人間に易々と教えるわけがないだろ。」

真由美「ムゥ~、どうしてそんなに偉そうなのよ。言っておきくけど、貴方と私は同い年なのよ。」

裕翔「だから。その関係がどうして国家の機密事項を教える事に繋がるんだ。」

真由美「・・・・・。」

裕翔「第一、お前と俺は今日が初対面だ。そんな奴と話すことなんてねぇよ。」

そう言うと、裕翔はどこかへ行ってしまった。そして残された真由美は、

真由美「もう、少しは相手してくれてもいいのに。」

と独り言を言っていた。その後、2人は再び話すことはなく、パーティー終了した。

 

 

午後10時

東京自衛隊本部

裕翔はパーティー終了後、古田上官と共に本部に戻っていた。

古田「どうだったかね。パーティーは。」

裕翔「そうですね。とても、空気が悪かったです。特に、七草の娘と話している時が。」

古田「だから、帰りの挨拶の時、真由美様の機嫌が悪かったのか。」

裕翔「さぁ、誰が原因でしょうかね。」

古田「少なくとも、原因な君だよ。」

裕翔「左様ですか、でも、起きてしまった事は仕方ないでしょう。」

古田「ハァ~、その君の常識外れな所には疲れるよ・・・・・。ところで、裕翔君は高校はどうするのかね。」

裕翔「え、別に高校に行かずにそのままここで働くここで働くつもりですが・・・。」

古田「そうか。やはり、私の予想は的中していたね・・・・・・。裕翔君、君に提案なんだが・・・・・。」

裕翔「はい。」

古田「魔法科高校に行く気はないかね。」

裕翔「・・・・ハァ!?」

古田「正直、君がこのまま学業離れて、ここで働くには心配でね。できたら、高校には行ってほしいんだが・・・。」

裕翔「嫌です。」

古田「だろうね。」

裕翔「あのですねえ、俺があんな場所に行っても何もメリットがないんですよ。あそこは、ただの差別が激しい場所でもあります。特に一科生と二科生の間ではね。俺は、差別というものが大嫌いなので。そんな、差別主義の学校に通っても俺にとっては何のメリットもないんですよ。」

古田「そうか。君の意見はよく分かった。」

裕翔「そうですか。では、予定通りこのまま・・・・。」

古田「じゃあ、上官の命令として、魔法科高校に通ってもらうよ。」

裕翔「えっ!?」

古田「もし逆らったら、給料減らすからね。」

裕翔「えっ・・・・・!?ハアアアアアアアア!!」

古田「願書はこちらで出しておく。だから、君は指定された試験日に行くように・・・・・。」

裕翔「ちょっと待ったああああ!!」

古田「何かね。」

裕翔「何でそうなるですか。」

古田「こうでもしないと君は高校に行かないと思ってね。」

裕翔「もう少し、マシな方法があるでしょ!!と言うか、何で魔法科高校なんですか。少なくとも普通の高校でいいでしょ!!」

古田「だって、裕翔君。魔法に関しては、自衛隊トップなんだもん。」

と古田上官は女子高校生の真似をしながら言ってくる。

裕翔「そんな言い方しても何も可愛くないわ!!いいですか!!確かに、魔法関係は得意ですが、それはただ自分を守る為に鍛えただけです!!」

古田「その通りだ。君は入隊当初から魔法に対して努力してきた。だからこそ、君には魔法科高校に通ってほしい理由なんだよ。」

裕翔「ですが俺にとっては何の・・・・。」

古田「給料減らされたいかね。」

とニコニコしながら、古田上官は言う。そして裕翔は、

裕翔「う・・・・。分かりました。命令に従います。」

古田「そうか。良い判断だ。じゃあ、君には家から近い国立第一魔法科高校に願書を出しておくよ。保護者は私にしてあるから、安心しなさい。」

裕翔(どこをどうもって安心すればいいんだよ!!)

古田「では、葉山中佐。命令通り、しっかりと高校にかよつてくれたまへ。」

こうして、葉山裕翔は第一魔法科高校に通う事になったのである。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第2話 学園内においての差別

2093年1月14日

午前10時

国立第1魔法科高校の試験会場

 

新たに新年を迎えて14日、今日ここで魔法をさらに高めることを目指す若者達が集まり、人生を左右する事となる大事な試験が行われる。そんな者達はやる気に満ちていた。ただ1人を除いて。

裕翔「ハァ~、何でこうなるんだよ。俺が何をしたっていうんだよ。」

このやる気もなく、ただ嫌々試験を受けにきたこと少年の名は葉山裕翔。自衛隊の特殊部隊の隊長で、葉山家の当主であるこの少年は、上官の命令で、この試験を受ける事になってしまった哀れな人間である。

裕翔「ええと、この後は実技試験か。」

と試験内容を裕翔が確認していると、

?「あれ!?裕翔君!!」

女性の声が聞こえてくる。その声は、裕翔にとって聞き覚えのある声だった。

裕翔「ゲェ!!」

その裕翔の視線の先にいたのは、

真由美「久しぶりね。パーティー以来ね。」

とパーティーにおいて裕翔に積極的に話しかけてきた七草家の長女、七草真由美だ。

裕翔「何でお前が・・・。」

真由美「何でって、私も第1魔法科高校を受けるからよ。ところで、裕翔君もここにいるって事は、第1魔法科高校を受けにきたのよね。」

裕翔「・・・・・。」

真由美は普通に裕翔に話しかけてくるが、裕翔にとって彼女は苦手な存在だった。また、真由美は七草家の長女ということもあり、周りからとても注目を浴びていた。

「ねぇ、あの人が七草真由美様よね。綺麗。」

「すげぇ、十氏族の人間だ。」

「マジで美人すぎるだろ。俺絶対に入学したら話そう。」

「ところで、七草さんと話しているのは誰だ。」

「さぁ、七草家と何か関係のある人なんじゃないのか。」

と裕翔にとって周りから視線は耐えられるものではなかった。すると、

「それでは、実技試験を開始します。皆さん。ついてきてください。」

案内係の指示がきたため、全員が案内係のついていく。

 

実技試験場

ついに、実技試験が始まった。この試験内容は、どれほど早く魔法を起動できるかを計り、その早さでクラスが決まっていく。魔法を早く起動できれば一科生、遅ければ二科生となるのだ。そのため、この会場では緊張感がとても漂っていた。そして、次々と時間が計られていく。すると、

「続いて七草真由美さん。どうぞ。こちらへ。」

そう言われると、

真由美「はい。」

と返事をして、魔法を計る装置の前に立ち、そして、

ウィーン

魔法を起動してすぐに四角の装置が奥まで、一気進んでいく。そして、タイムは

0.143

と一気に一位の順位へと出る。

「おい、0.143ってめちゃくちゃ早いじゃねぇか。」

「流石、七草家だ。」

と一気に周りがざわめきだす。

裕翔(やはり十氏族なだけはあるか。)

と裕翔が思っていると、

「続いては・・・葉山裕翔さん。」

と裕翔の名前が呼ばれる。そして、裕翔は黙って装置の前に立つ。そして、

魔法を起動する。

裕翔(できる限り目立たないほどの魔力を・・・。)

と心に言い聞かせながら魔法を起動した結果、

0.143

と真由美と同じタイムを叩き出す。

「嘘だろ。七草さんと同じタイムだぞ。」

「アイツ何者だよ。」

「さっきあの子。真由美様と話してわよね。」

と再び周りがうるさくなる。すると、裕翔は

裕翔「これって、試験を受け終わったら帰っていいんですよね。」

とスタッフに質問する。

「あぁ、構わないが、他の人を見なくていいのかね。」

裕翔「はい。できたら早めに帰りたいので。」

そう言うと裕翔は試験会場から出て行った。

それから

6時後

 

午後4時

葉山裕翔の自宅

裕翔は試験終了後、そのまま自宅に帰っていた。自宅は八王子の近くにある一軒家で、元々は何もない場所だったが、裕翔は妹と住むために土地を購入後、一軒家を建てる事にした。しかし、その妹は今、ベットで寝たきりの状態なのである。

裕翔「ハア~、まさかアイツがいるとはな。」

と今日の試験ことを思い返していた。すると、

ヴーヴーヴーヴー

と裕翔のスマホが急に鳴り出す。裕翔はスマホを取り電話に出ると

裕翔「もしもし」

「そちらは今回第1魔法科高校を受験して頂いた葉山裕翔様でしょうか。」

裕翔「はい。そうですが。」

「あっ。この度はウチの第1魔法科高校を受験して頂きありがとうございます。今回は葉山裕翔様の合格の件でお電話をさせてもらいました。合格おめでとうございます。」

裕翔「ありがとうございます。」

「今回裕翔様は、試験において1位の成績を出されため主席という形で入学式において新入生代表として挨拶の方を・・・・。」

裕翔「お断りします。」

「えっ!?」

裕翔「すいません。自分は、正直あまり人前に出ることが苦手なので。できたら、他の人に替えてもらえませんか。確か、七草家の人も俺と同じ点数だったはずですが。」

「確かに裕翔様と同じで七草真由美様も同じ1位ですが・・・・・。」

裕翔「では、そいつにやらしてください。少なくとも俺みたいなどこの生まれかも分からない人間よりも由緒正しい七草家の人間がやる方がマシだと思いますよ。」

「なら、同じ1位の2人が代表として挨拶を・・・・・。」

裕翔「すいませんが、自分は下手に目立ちたくないので。その案もお断りします。自分はただ普通に学園生活を送れるならそれでいいので。」

「わ、分かりました。では、その形で準備をさせてもらいます。失礼します。」

と電話が切れる。

裕翔(俺とアイツらは生きる世界が違う。俺は決して幸せになるなど許されない人間なんだ。)

こうして裕翔の第1魔法科高校への入学が決まったのだ。

 

2093年4月3日

東京 八王子 国立第1魔法科高校

今日、ここでは第1魔法科高校の入学式行われる。今日ここに入学する者は皆魔法が使えるという証なのだ。この貴重な魔法を高め魔法士を目指す者達のためにここには色々な施設も整ってる。しかし、これを全て使えるのは一科生『ブルーム』だけで、二科生『ウィード』には該当されない。二科生は魔法授業を受ける事はできない。そういう学園なのだ。

裕翔「何が魔法を高める学園だよ。差別を象徴する学園の間違いじゃないか。」

この葉山裕翔も今日からここの生徒だ。クラスは1-A。試験において優秀な成績を出した者だけが入れるクラスだ。つまりこの1-Aに集まる生徒は本当の優等生として扱われるのだ。

そして

 

午前8時50分

ホール

ここは学園の大型ホールで、公演や入学式、卒業式といった学園の行事が行われる場所でもある。そんなホールにおいて

裕翔「よいしょと。」

裕翔は2階席に席に座る。すると、

?「へぇ~。裕翔もこの学園に入学したんだな。」

裕翔「ん。」

と突然声をかけられる。裕翔はその声が聞こえてきた方を向くと、

キリト「よ。」

1人の少年の姿があったのだ。

裕翔「キリト!!」

キリト「久しぶりだな。」

裕翔「何でお前がここに。」

キリト「俺も一応魔法が使えるからな。だから政府の命令でここの学園に通う事になったんだ。後、俺だけじゃないぞ。後、隣に座っていいか。」

裕翔「いいぞ。」

すると、

アスナ「いたいた。キリトくーん。」

リズベット「もう、置いていかないでよね。」

キリト「悪い悪い。」

と2人の少女がやってきて、キリトの隣に座る。

アスナ「あれ!?裕翔君。」

リズベット「何で、アンタがここに。」

裕翔「お前らもか。」

キリト「まぁな。アスナもリズも俺と同じで政府の命令で。」

裕翔「結局お前らも命令か。」

キリト「と言う事はお前も古田上官の命令でか。」

裕翔「そうだ。給料を減らすと言われてな。」

キリト「ハハ。お前も大変だな。」

裕翔「まったくだよ。いつか俺の事も少しは考えてほしいね。」

アスナ「でも、それって裕翔君のことを思ってじゃないのかな。」

裕翔「だといいんだが。」

そうこう話していると

『これより、入学式を始めます。皆様ご席に着くようお願いします。』

とアナウンスが流れる。そして、入学式が始まり新入生代表の挨拶が始まる。すると、七草真由美がステージに立ち

真由美「皆様、はじめまして。今年の新入生代表と挨拶させてもらいます。七草真由美です。この穏やかな日差しの中入学式を迎えられ、今日から私たちはこの第1魔法科高校の生徒として新たな生活に一歩を踏み出します。私たちはこの学園で日々精進し魔法と勉学に力を注ぎ、この第1魔法科高校の生徒として頑張っていきたいと思います。また、この度生徒会の会長も務めさせていただく事になります。私はこの生徒会長という学園の重要な役職についた時からある目標を掲げています。それは、一科生と二科生というこの大きな壁を無くすことです。いきなり1年生がこんな事を言うこと不安になる方もいると思いますが、頑張っていきたいと思うのでよろしくお願いします。」

と言い終わると真由美は一礼をする。すると、

パチパチパチパチパチパチパチパチ

と拍手の音が響き渡る。こうして入学式は終わり俺たちは自分たちのクラスを見にいくことした。

裕翔「へぇ~。お前も俺と同じ1-Aか。」

キリト「あぁ、俺もアスナもリズも同じ1-Aだ。」

裕翔「そうか。正直知り合いが誰もいなかったから良かったよ。これからもよろしくな。」

キリト「あぁ、こちらこそ。」

そう話していると、俺たちは1-Aに着く。すると、教室に入ると

「ねぇ、あの子達ってSAOサバイバーじゃない。」

「同じブルームでも、SAOサバイバーとは関わりたくないよね。」

「アイツらってゲームの中で殺人を犯した人間なんだろ。」

「あぁ、特にあの桐ヶ谷って言うアイツはSAO内で多くとサバイバーを犬死させたらしいぜ。」

と声が聞こえてくる。もちろんそんな事はキリト達にも聞こえていた。

裕翔「気にするな。所詮ただの戯言だ。お前が気にすることではねぇよ。」

キリト「ありがとな。」

裕翔「何かあったら言えよ。」

とキリト達を慰める。こうして俺たちの入学式は終了した。

 

翌日

午前8時

今日からは学園も平常運転で行われる。そして裕翔達の教室は既に真由美のことで賑わっていた。

そんな中裕翔は登校後1人で自分の席に座っていると、

?「君が葉山裕翔か。」

と声をかけられる。裕翔はその声の方を向くと

摩利「私は君の隣の席の渡辺摩利だ。よろしくな。」

裕翔「あぁ、よろしく。」

と挨拶をする。すると、

真由美「おはよう。摩利。裕翔君も。」

と真由美も挨拶をしてくる。しかし、真由美の後ろにはとてもガタイのいい男が立っていた。

裕翔「で、七草。後ろ奴は知り合い。」

真由美「えぇ、こちらは十文字家の長男、十文字克人君。」

克人「よろしくな。2人とも。」

摩利「よろしくな。私は渡辺摩利だ。」

裕翔「俺は、葉山裕翔だ。あまり関わる事はないだろうがよろしく。」

克人「あぁ、よろしくな。」

すると、

キリト「よ。裕翔。」

アスナ「裕翔君。おはよう。」

リズベット「おはよう。」

と3人が挨拶をしてくる。

裕翔「おはよう。3人とも。」

すると、

真由美「裕翔君。こちらの3人は・・・・・。」

と真由美が聞こうとした瞬間、

「七草さん。こっちで話そう。」

と別の生徒が話しかけてくる。

真由美「え。でも、私は今こっちで話してるから。」

「いいよ。SAOサバイバーと話すことなんてないよ。」

「そうそう。あんまり人殺しと話す事は良くないよ。だから、ほら。十文字君と渡辺さんも。」

摩利「ちょっと。」

と3人は別の生徒共にどこかへ行ってしまう。

そんな光景を見ていた裕翔は

裕翔(なるほど。キリト達と七草達をあまり関わらせたくないわけか。)

と心の中でつぶやく。その後授業が始まり、昼休みを迎える。

 

12時10分

食堂

あれからも、裕翔が見る限りキリト達に対して差別は酷く、常に周りから陰口を言われている状態だった。そんな中ら一時的に解放されるのがこの昼休みの食堂だけだった。

裕翔「ハァ~、ようやくゆっくりできる。」

キリト「そうだな、俺も少し疲れたな。」

アスナ「ちょっと2人とも。そんなんじゃ、3年生までもたないわよ。」

裕翔「大丈夫。大丈夫。死ぬわけじゃあないから。」

リズベット「アンタ達、仮想世界では一人前なのに、どうして現実ではそんなにだらしないのよ。」

キリト「仕方ないだろ。ここの飯が美味すぎるんだから。」

リズベット「それこれは関係ないでしょ。」

そんな事を話していると、

「おいおい、殺人者達が何か話してるぞ。殺人者風情がよくもこんな所で飯が食えるな。」

「本当。とっと席を譲ってほしいわ。」

昨日からキリト達にも対して陰口を言ってくる連中が言ってくる。その連中の中には真由美、摩利、克人の姿もあった。

「おい、SAOサバイバー。少し、席を譲れ。」

リズベット「ハァ!?」

「お前達は、SAOサバイバーはな。どうせ、政府のお陰で俺たちと同じ立場にいれるだけで、本当は大した実力もないんだろ。」

「第一、そこの桐ヶ谷は聞く限りビーターとして多くプレイヤー殺したって聞くけど。」

アスナ「ちょっと、いい加減にしてくれないかしら。私たちの事を何も知らないくせに。」

「ふん、知りたくもないね。殺人者の気持ちの事なんて。」

とクラスメイトがキリト達を罵っていると

裕翔「大して実力のない奴ほどそう言う事を言うんだよなぁ。」

「何だと。」

裕翔「居るんだよねぇ。自分が一科生になれたからといってすぐに自分を優等生だと勘違いする奴って。本当。お前らってしょうもない連中だな。」

「お前、昨日からコイツらといるが、お前もどうせSAOサバイバーなんだろ。」

裕翔「別に、俺はSAOサバイバーではないよ。コイツらはただの友人だけど。」

「ふん、こんな奴ら友人だと言うなんて正気じゃないな。」

裕翔「ああそうだよ。俺はまともではないな。だけど、それはお前らも一緒だろ。優等生さん。」

と裕翔は煽る。すると、

摩利「葉山。これ以上はやめろ。そんな事をしてたら、お前の立場が。」

裕翔「ふん、そんなの今に始まった事じゃねぇよ。俺は別に1人でも何の問題もないからな。」

真由美「裕翔君。」

裕翔「七草。お前が昨日言ってた事はこんなもんだったんだな。正直期待外れだった。」

真由美「えっ。」

「おい、お前。」

裕翔「ご所望通り席は譲ってやるよ。食事も終わったしな。それじゃあ、ごゆっくりどうぞ。優等生さん。行こうぜ3人とも。」」

そう言うと、裕翔は席を立ち、食堂の出口へと向かう。

キリト「あぁ・・・。」

リズベット「・・・・・。」

アスナ「ええ・・・・・。」

しかし、裕翔達が食堂を出ようとすると、

真由美「裕翔君、待って!!」

と真由美が呼び止める。

真由美「私は本当にこの学園を変えたいと思ってる。だから・・・・・。」

裕翔「お前は、何も分かっていない。」

真由美「え。」

裕翔「何で、今こんな差別が起きていると思う。」

真由美「それは・・・・・。」

裕翔「分からないだろうな。生まれた時から、魔法に優れている人間には。この際、教えてやるよ。原因はな、七草真由美。お前自身だ。」

真由美「私・・・。」

裕翔「お前のような十氏族の人間がいるとな、周りはさらに自分が優秀な人間だと錯覚するんだよ。お前にこの学園を変えるなんて不可能だ。少なくとも、俺たちの事を全く知ろうとしない限りはな。」

「何だと!!」

「ちょっと、七草さんに何て事を言うのよ。」

「七草さんに謝れ!!」

裕翔「お前らのような、人間の命令に従う気はない。」

そう言うと、裕翔たちは去って行った。

摩利「あ、おい葉山。」

と摩利は呼び止めようとするが、

克人「止めとけ。今のアイツには何を言っても無駄だ。」

と摩利を克人が止める。

摩利「しかし、このままでは何も解決しない。」

克人「分かっている。だが、このまま行っても同じだ。それに、葉山が言っている事は間違ってはいない。確かに、十氏族が差別の原因でもある事は事実だ。」

摩利「しかし、それでも・・・・・。」

克人「安心しろ。七草はあんな事を言われても、諦める事はないだろう。」

摩利「分かった。」

克人と摩利ハーメルンただ真由美の後ろ姿を見ているしかなかった。

裕翔(今後は、アイツらが絡んでくる事はない事を願おう。)

と裕翔は願うが叶う事は無く、

 

午後4時

リズベット「アンタ達、いちいち鬱陶しいのよ。」

キリト「俺たちは、政府の命令でここに通うことになったんだ。仕方ないだろ。」

「そうゆう態度が気に入らないんだよ。大した実力もないくせに。」

と言い争いをしていた。

こんな状況になったのは、今から数分前に遡る。裕翔とキリト達が共に帰ろうとしていると、突如学園の校門付近で昼に言い争ったクラスメイトに呼び止められ、今に至る。

「だいたいね。アナタ達みたいなSAOサバイバーが同じ学園にいるだけで迷惑なのよ。」

アスナ「たがら、政府の命令たがら仕方ないでしょ。」

「そうやって、政府の後ろ盾があるからと言う態度が気に入らないんだよ。殺人者風情は、大人しく罪人らしく刑務所にでも行ってろ。」

と罵声を浴びせられる。すると

裕翔「そうやって、自分達が優れているからと言って、すぐに人を見下す癖がある奴なんて大抵器が小さいだよな。」

「何だと。」

裕翔「今日の魔法の授業の時見てたけどさぁ、お前らが使えて喜んでいた魔法なんて所詮は下級魔法。そんな魔法が使えるくらいで自分が優等生だと言い、人を見下す奴は大抵成長できない奴なんだよなぁ。」

「お前・・・」

裕翔「この学園に入って1日しか経っていないのに、そうやってウィードやブルームやSAOサバイバーと比べたって大して差なんてないんだよ。優等生さん。」

「・・・言ってくれたな。なら、この際みせてやるよ。俺たちの実力をなぁ。」

ト言うと、彼らはCADを構える。しかし、その瞬間、

摩利「お前達、やめろ‼︎」

真由美「やめなさい。自衛以外の魔法の使用は・・・。」

と真由美ト摩利がこちらにやって来る。しかし、声が届く事は無く

「俺たちを馬鹿にしたことを後悔させてやる。」

と魔法を起動しようするが、

「何故だ。魔法が起動しない。」

「俺もだ。」

「私のもよ。」

「何故だ。なんで魔法が起動しない。」

と彼らの様子が変わる。すると、

裕翔「無駄だ。魔法は起動しねぇよ。」

真由美「どういうこと。」

裕翔「俺は、大抵の起動式を読み取る事ができる。そして、俺は数年前からCADを使わずとも、相手の起動式をなぁ目で読み取るだけで相手の魔法を無力化する事ができるようになったんだ。つまり、俺が見ている限りお前は魔法を使えないってわけ。」

摩利「そんなの聞いた事がないぞ。」

裕翔「そりゃあ、過去に事例がないからな。だから魔法を使えないお前達を俺から見たら・・・・・。」

と言おうとした瞬間、

「‼︎」

真由美「‼︎」

先程までキリト達といた裕翔は、なぜかキリト達を罵っていたクラスメイト達の目の前にいたのだ。

摩利「いつの間に・・・・・‼︎」

そして、

裕翔「いつでも殺せる獲物ってわけだ。それで・・・・・」

と言いうと、

「グッ・・・・!!」

裕翔は突然、キリト達を罵っていた1人の男子生徒のクラスメイトの顔を掴む。

裕翔「お前、今俺に対して攻撃魔法を展開しようとしたよな。おそらくお前が使おうとしたのは衝撃魔法。」

「や、やめろ。顔が・・・・割れる。」

裕翔「だろうな。でも、これは正当防衛だ。さっき、お前は俺を殺そうした。だから、殺されたって仕方ないよなぁ。」

摩利「やめろ!!そいつを殺す気か!!」

裕翔「そうだ。」

少しずつ、クラスメイトの顔を掴んでいる手に少しずつ力が入る。

「やめろ・・・・。顔が潰れちまう。」

真由美「裕翔君やめて!!このままでは、彼が死んでしまう。」

裕翔「殺される覚悟があった上で攻撃をしようとしたんだ。コイツの自業自得だ。」

「やめてくれ。アガガガ・・・・。」

すると、

真由美「裕翔君。やめて!!」

真由美が俺に向かってCADを構える。

裕翔「・・・・・・。」

真由美「これ以上彼に危害を加えるなら、容赦はしない。たとえ、貴方でも・・・・。」

真由美は裕翔に対して警告すると、裕翔は

ドサッ

「・・・・・ッ!!」

裕翔はクラスメイトの顔を離す。

「大丈夫か。」

「とりあえず、保健室に。」

他のクラスメイトが彼を保健室へと連れていく。そして真由美、摩利、キリト、アスナ、リズベット、裕翔のみが残る。そして、

摩利「・・・・・裕翔。お前、自分が何をしようとしたのか分かっているのか。」

裕翔「・・・・・。」

摩利「お前は、クラスメイトを1人殺そうとしたんだぞ。」

裕翔「・・・・・。」

摩利「何か言ったらどうだ。」

裕翔「・・・・・。」

摩利「答えろ!!葉山裕翔!!」

真由美「摩利。」

摩利「真由美。」

真由美「ここは私に任せてくれない。」

摩利「えっ!?」

そう言うと、真由美は一歩前に出て、

真由美「裕翔君。どうして、あんな行動をしたの。」

裕翔「・・・・・。」

真由美「貴方がした事は許されることではない。それは貴方も分かっているはず。」

すると、

裕翔「あぁ、そうだ。分かっているさ。」

真由美「なら、どうして・・・・・。」

裕翔「七草。俺はなぁ、人殺しなんだよ。」

真由美「えっ!?」

裕翔「俺は今まで何百という人を殺してきた。あの日からなぁ。」

真由美「裕翔君。」

裕翔「だから、これ以上関わらないでくれ。俺は1人でも何も問題ないからな。」

そういうと、裕翔は校門に向かって歩き出す。

キリト「お、おい。」

とキリトは呼び止めるが、裕翔は止まる事なく校門に向かっていく。

こうして、1日学園でのが終わりを告げた。

そして、その日の夜

 

午後9時

裕翔の自宅

裕翔「ハァ~。疲れたな。」

裕翔は、1人家のリビングでゆっくりとしていた。すると、

ヴー、ヴー、ヴー

突然、スマホが鳴り始める。

裕翔「ん。誰だよ。こんな時間に・・・・。」

と言いつつスマホをとると、そこには古田上官の電話番号が書かれていた。そして、電話に出ると

古田『もしもし。裕翔。』

裕翔「何ですか。こんな時間に。」

古田『少し、君の事が心配になってねえ。それで、どうだったかね。登校初日は。』

裕翔「あぁ、実は・・・・・。」

その後、裕翔は古田上官に学園での事を全て話した。そして、

古田『なるほど。つまり学園では、一科生と二科生ことだけではなく、SAOサバイバーとそうでない者との間でも差別がか。』

裕翔「はい。」

古田『確かに、政府の後ろ盾で一科生になったSAOサバイバーの事を悪く思う彼らの気持ちも分からない事はない。だが、SAOサバイバーの魔法適性検査はしっかりと行なった上でクラスを決めている。』

裕翔「では、それを公表をすれば・・・・。」

古田『いや、それはできない。この事を公表すれば、さらに問題となる。』

裕翔「では、このまま彼らに差別を耐え抜くようにとおっしゃるのですか。」

古田『あぁ、その通りだ。』

裕翔「・・・・・分かりました。」

そういうと、裕翔は少し黙り込む。すると、

古田『後、君に伝えておくことがある。」

裕翔「何ですか。」

古田『実は、去年君が対処した《レッドムーン》がここ最近活発になっている。』

裕翔「それはどういった。」

古田『ここ最近、《レッドムーン》は、魔法関係の施設を襲っている。特に十氏族関係の施設はな。おそらく、十氏族対して何かを企んでいるのだろう。君も、少し警戒しておいてくれ。』

裕翔「分かりました。」

古田『では、頼んだよ。』

そう言うと、電話は切れる。

裕翔「十氏族か・・・・・。《レッドムーン》。何を企んでいる。」

裕翔はその後、少し調べ物をした後、就寝についた。

 

同時刻

東京 銀座

真由美「えぇ、今から家に帰るわ。じゃあ、また後で。」

と電話を切る。あれから真由美は家の用事で護衛と共に出かけていて、現在、車で家に戻る最中だった。

真由美「裕翔君。どうして、あんな事を・・・。私はただ・・・。」

その瞬間、

ドカーン

突如、前を走っていたトラックがが爆発する。

そして、

キーーーーーーーーーーー

車は急停止する。

真由美「一体何が・・・・。」

真由美が前を見ると、そこには炎に包まれたトラックの姿があった。

護衛「真由美様、大丈夫ですか!?」

真由美「えぇ、大丈夫よ。一体何が起きたの。」

護衛「分かりません。突如、前を走っていたトラックが爆発して・・・・グハッ!!」

突如、護衛が倒れる。

真由美「一体何が!?」

すると、

ダッダッダッダッダッダッダッ

突如、武装した謎のマスクを付けた集団が真由美が乗っている車を取り囲む。

真由美「何者ですか。」

と真由美が威嚇しつつCADを構える。しかし、

シューーー

真由美「これは・・・・!?」

突如、車の中を謎の煙が充満し始める。

真由美「こ、これは・・・・催眠・・・ガ・・・・。」

真由美は、催眠ガスによって意識を失う。その後、現場には警察と消防が駆けつけ時には、車には真由美の姿は無く、あったのは放置された車と何者かによって射殺された護衛の亡骸だけだった。

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第3話 違う世界

2093年4月5日

午前7時30分

東京 八王子 国立第1魔法科高校

 

この第1魔法科高校では、昨日のある騒動が原因で朝から騒がしかった日となった。

「ねえ、聞いた。」

「聞いた、聞いた。」

「昨日、1人の男子生徒が、同じクラスメイトを殺そうとしたんだって。しかも、その生徒ってSAOサバイバーとよく連んでいたそうよ。」

「ほんと、SAOサバイバーと仲良くするなんて頭おかしいんじゃない。」

と朝からその首謀者のことを罵る話ばかりが聞こえてきていた。そして、その首謀者は、

裕翔「かーーーーーーーーーーーー。」

朝から自分の席でいびきをかきつつ爆睡していた。すると、

キリト「おいおい、朝からこんな所で爆睡かよ。」

リズベット「ほんと、呑気な奴ね。」

アスナ「でも・・・・・昨日、私達を庇ったせいで、裕翔君までこんな事を言われて・・・・・。」

裕翔「気にするな。俺が勝手にやった事だ。お前らが気にする事はねぇよ。」

キリト「って起きてたのかよ。」

裕翔「いや、寝てたよ。ただ、周辺の気配をずっと感じとっていただけ。」

リズベット「アンタ、相変わらず人間離れしてるわね。」

裕翔「そうかい。それは褒め言葉として受け取っておくよ。」

すると、

摩利「おはよう。葉山。」

摩利が裕翔に挨拶をしてくる。

裕翔「・・・・・・おはよう。それで、何のようだ。昨日事ならこれ以上話す事はないぞ。」

摩利「いや、その事じゃなくてだな。今日お前学園に来てから真由美の姿を見かけたか。」

裕翔「いや、登校してから、ずっとこの教室にいたが、七草の姿は見てないぞ。」

摩利「そうか。本当なら、今日は朝から生徒会で会議があったはずなんだが。まだ、真由美が来てなくて他の生徒会メンバー共に私も探しているのだが・・・・。」

キリト「家の用事とかじゃないのか。七草の家って十氏族の一つなんだろ。」

摩利「私もそう考えているのだが、学園にも連絡がきてないんだ。それにこちから連絡しても繋がらなくてな。」

すると、

ヴー、ヴー、ヴー

突如、聞き覚えのある着信音が聞こえてくる。

キリト「裕翔。お前のスマホからじゃないのか。」

そう言われたので、俺はスマホを取り開くと、

裕翔(古田上官から。何でこんな時間に。)

裕翔は席を立ち上がり、

裕翔「悪い、少し出てくる。」

そう言って、裕翔は教室を出て行く。すると、裕翔と入れ違う形で、克人が教室に入ってくる。

克人「渡辺。」

そう呼びつつ摩利とキリト達の元に克人がゆっくりと歩いてくる。

摩利「何か。分かったのか。」

克人「あぁ、少しヤバい事になった。」

アスナ「何があったんですか。」

克人「あぁ、お前達も共に聞いてもいいが、この事は基本他の生徒には話さないでくれ。」

キリト「分かった。」

そう返事をすると、

克人「実は、七草は何者かによって拉致された。」

摩利「えっ!?」

そんな真実が伝えられた一方、裕翔の方でも

裕翔「本当ですか。それは。」

古田『あぁ、間違いない。七草真由美様は昨日何者かによって拉致された。」

裕翔も同様に古田上官から報告を受けていた。

古田『昨日のトラック爆発事故の事はもう知っているかね。』

裕翔「はい。今日朝のニュースで知りました。」

古田『あれは、事故などではない。あれは、明らかに人の手によって行われた事だ。そして、昨日の夜。そのトラックの後ろを走っていたのが七草真由美様が乗っていた車だ。そして、トラックが爆発した後、謎の集団が七草真由美様を連れ去って行く姿が防犯カメラからも確認できた。おそらく計画的犯行だろう。』

裕翔「その集団の事は分かっているのですか。」

古田『あぁ、防犯カメラを解析した結果、その集団の1人1人の肩にあるマークが付いていた。そのマークは赤い月だ。これを聞けば君も分かるだろう。』

裕翔「《レッドムーン》。」

古田『その通りだ。まさか、七草家の長女を拉致するとわね。君はどうする。』

裕翔「俺は何もしませんよ。どうせ、警察も動いているでしょうから。」

古田『そうか。では念のために報告しておくが、《レッドムーン》が真由美様を連れ去った場所も我々は既に把握している。だが警察はまだ見つけられていないようだ。』

裕翔「そうですか。わざわざいらない情報をありがとうございます。」

そう言って裕翔はスマホを切る。

裕翔(俺には関係ない事だ。)

そう思いつつ、裕翔は教室へと戻った。

そして、何事もなく授業は進み、あっという間に今日の全てが終わる。

そして、

 

午後4時

裕翔は昨日とは違い、1人で帰っていた。

裕翔「ハァ~、疲れたな。本当に疲れた。」

そう言いつつ校門に向かっていると、

克人「葉山。」

突如、克人に後ろから呼び止められる。

裕翔「ったく、何のようだよ。」

そう言いつつ、後ろを振り返ると、そこにはカットの他に摩利、キリト、アスナ、リズベットの姿があった。

裕翔「へぇ~、昨日のことを考えれば有り得ないメンバーだな。」

克人「葉山。お前に頼みがある。」

裕翔「何の頼みだ。」

克人「七草についてだ。」

裕翔「・・・・・。」

克人「今日、七草が来なかったのは・・・・。」

裕翔「拉致されたからだろ。」

摩利「どうしてそれを・・・。」

克人「どこでその情報を手に入れたかはあえて聞かん。だが、知っていたら話が早い。葉山裕翔。七草を助けるために手を貸してほしい。」

彼らが裕翔達に頼んだ理由は今から数十分前

 

摩利と克人は、生徒会室で話し合っていた。

克人「そうか。分かった。」

克人は状況を確認するために家に確認をとっていたのだ。

摩利「どうだった。」

克人「親父の話によれば、まだ七草の居場所は分かっていない。警察も苦戦しているようだ。」

摩利「そうか。一体何者なんだ。真由美を攫った連中は。」

克人「俺が考える限り、おそらく日本テロ組織の1つである《レッドムーン》だと思う。」

摩利「なぜ、そう思うんだ。」

克人「実は、ここ最近十氏族がスポンサーにはいっている魔法関係の施設が《レッドムーン》の襲撃を受けていたのだ。」

摩利「何だと。」

克人「俺も奴らが何かを企てているとは思っていたが、まさか七草を拉致するとは思っていなかった。」

そして、

摩利「なぁ、十文字。私たちで真由美を助ける事はできないのか。」

克人「できない事はないが、おそらく厳しいだろう。。」

摩利「じゃあ、どうするんだ。

克人「・・・・・1人だけ頼れる人物がいる。」

摩利「そいつは誰なんだ。」

克人「葉山だ。」

摩利「葉山・・・だと・・・。」

克人「あぁ、特に葉山の魔法を無力化する能力は必要だ。アイツの能力さえあればおそらく七草の救出の成功確率は大幅に向上するだろう。」

摩利「だが、葉山がそれを承諾すると思うか。」

克人「おそらく、断るだろうな。だが、やらないよりはマシだと俺は思う。この際、お前にも協力してもらうぞ。桐ヶ谷。」

摩利「えっ!?」

すると、何もない生徒会室の角からキリトの姿が現れる。

摩利「どういうことだ。いつからそこに。」

キリト「最初からだよ。お前達がこの部屋に入った時からずっといたよ。」

克人「幻影魔法か。」

キリト「その通りだ。それで、俺も裕翔の説得に協力すればいいのか。」

克人「あぁ、よろしく頼む。」

このような話し合いが行われ、今に至る。

 

裕翔「断る。」

だが、答えは克人達が予想した通りだった。

摩利「何故だ。葉山。真由美はお前の友人ではないのか。」

裕翔「友人なわけないだろ。アイツとは、ただの知り合いなだ。」

摩利「それでも、同じ学園に通う仲間だろ。」

裕翔「それに、俺が七草を助けるメリットがない。これが理由だ。」

摩利「そんな理由で仲間を見捨てるのか!?真由美は必死に差別をなくそうと考えているのだぞ!!」

裕翔「差別をなくす・・・・。そんなの不可能だろ。」

摩利「そんなの分からないだろ!!」

裕翔「分かるさ。俺は、ガキの頃からこの世界の本当の姿を見てきた。俺はなぁ、4歳の頃に母親をテロで失い、10歳の時にもテロで親父を失い、その1年後には妹までもが爆破テロに巻き込まれて、その時からずっと目を覚さずにいる。そして、俺は周りからは出来損ないの人間として扱われてきた。だから、分かるんだよ。この世界ななぁ、実力主義なんだよ。強い者が弱い者を虐げるいつの時代でも一緒なんだよ。そして、俺は今まで多くの人間を殺してきた。俺とお前達が生きてきた世界は違う。俺は今まで1人で生きてきた。お前達と違ってなぁ。悪いが、俺はお前達とは協力するつもりはない。だから、やるなら勝手にやってくれ。」

そう言うと、裕翔は再び家に向かって歩き出す。すると、

克人「お前の気持ちはよく分かった。だが、少し考えてくれないか。今日の7時までこの学園の校門で待つ。答えが出たらここに来てくれ。」

と克人は伝えるが、

裕翔「・・・・・。」

裕翔は何も言わずに、学園を去っていった。

そして

 

4時30分

裕翔の自宅

あれから裕翔は帰宅した後、1人で家のガレージにあるバイクの点検をしていた。

裕翔「よし、これで少しはマシになっただろう。」

と言っていると、

キリト「こんな、時間からバイクの点検かよ。」

裕翔「何しに来た。」

そう言いつつ裕翔は振り返ると、そこにはガレージの自動シャッターの所にキリトの姿があった。

キリト「別に、ただ様子を見に来ただけだ。」

裕翔「そうか。なら、さっさと帰れ。今俺はお前と話す事はないからな。」

キリト「裕翔。あれでいいのか。」

裕翔「・・・・・何の事だ。」

キリト「とぼけるな。そんなの十文字から頼みに決まってるだろ。」

裕翔「・・・・・。」

キリト「本当に、いいのか。あれで・・・・。」

裕翔「・・・・良いんだ。俺には何の関係もない事だ。そんな関係のない事で、わざわざ命を危険に晒す必要性は全くないんだからな。」

キリト「・・・・俺は協力すると決めたよ。」

裕翔「そうか。じゃあ、頑張れよ。」

キリト「裕翔。七草はきっと本当に学園を変えることができる人物だと思うぞ。俺は、七草を信じる。だから、お前も・・・・。」

裕翔「キリト。差別をなくす事は簡単ではない。この魔法がある世界では、特にな。」

キリト「そうかもしれない。でも、可能性はゼロではないはずだ。」

裕翔「・・・・・。」

キリト「7時まで校門で待ってるからな。」

そう言うと、キリトは去っていった。

そして、

 

午後6時55分

国立第1魔法科高校の校門

そこでは、真由美の救出ためにキリト、アスナ、リズベット、摩利、克人が集まっていた。

摩利「やはり、来ないな。葉山。」

克人「仕方がない。そろそろ時間だ。行くぞ。」

キリト「・・・・・。」

そんな時、

アスナ「ねぇ、キリト君。あの車。なんか変じゃない。」

キリト「えっ!?」

そう言われて、キリトは北の方を見ると、そこには猛スピードでキリト達の方に向かってくる1台の装甲車の姿があった。

そして、

キーーーーーーーーーーー

その装甲車はキリト達の目の前で、停車する。そして、

ガチャ

装甲車のドアが開く。そして、その装甲車の運転席には、

摩利「葉山!!」

裕翔「・・・・今回だけは協力してやる。」

キリト「やっぱり、来てくれたんだな。」

裕翔「ただの素人をテロリスト相手に戦わせるわけにはいかないからな。さて、出発するぞ。さっさと、乗れ。」

こうして、裕翔も七草の救出作戦に参加することになったのだった。

 

つつく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第4話 本当の力

2093年4月5日

午後7時

東京 八王子

 

日が沈み、辺りが暗くなった中俺、葉山裕翔は十文字克人、渡辺摩利、キリト、アスナ、リズ共に装甲車に乗ってある所に向かっていた。理由は、七草を助けるためだ。元々、俺は七草をなぁ助けるつもりはなかったが、キリトに言われた事もあり仕方なく七草の救出ために今は動いている。

摩利「葉山。一体どこでこんな車を手に入れた。」

と摩利が俺に聞いてくる。

裕翔「別に、これはウチの自家用車だけど。何か問題でもあるか。」

摩利「問題しかないわ。こんな装甲車を自家用車にする奴は普通いないわ。」

すると、

克人「渡辺。少し、落ち着け。葉山の事も少し考えろ。」

摩利「・・・・・。」

克人「だが、葉山。渡辺が言いたいことは俺も同じだ。普通、こんな車を持っているのはおそらく政府の関係した組織のみだ。それに、七草から聞いたお前の能力も普通ではない。」

裕翔「何が言いたい。」

克人「正直に言おう。葉山。お前は何者だ。」

裕翔「・・・・・。」

と黙っていると、

リズ「あぁ、コイツはね。じ・・・・・ヒッ!!」

と言おうしたので俺はリズを睨む。

アスナ「ちょっと!!裕翔君。その顔で睨むのをやめてよ!!」

と怒られる。

摩利「ほう、その感じだと桐ヶ谷達は葉山の正体を知っているのか。」

キリト「まぁ、どこに所属しているかは知っているが、その所属している詳しい内容までは知らないな。」

摩利「なるほど。で、葉山。お前、どうやって真由美を助け出すつもりだ。」

裕翔「俺が、敵を引きつけるからその間にお前達は七草を救出しろ。」

克人「葉山。お前1人では危険すぎる。俺も手伝おう。」

裕翔「ダメだ。十文字。お前は、キリトともに七草の救出の援護をしてやってくれ。」

摩利「だが、お前1人では無理だ。いくら能力があるからと言って1人で引きつけるなんて。」

裕翔「渡辺。俺は、前に言ったよな。この手で何人も殺してきたと。」

摩利「確かに言ったが・・・まさか!?」

裕翔「そうだ。俺は、今までテロリストの掃討を行ってきた人間だ。」

克人「なるほど。葉山は、そういう関係の部隊に所属しているわけか。」

裕翔「・・・・そうだ。残りの詳しいことは全てが終わってから話す。だが、それを話したら俺はお前達の前からは消えるつもりだ。」

そう言うと、俺はそのまま目的地に向かった。

 

午後7時30分

東京 城南島

 

キーーーーーーーーーーー

俺は城南島で車を止めると、

カチャ

サプレッサーを付けたデザートイーグルに弾を装填すると、

摩利「葉山。魔法は使わないのか。」

裕翔「使うが、魔法が全てという訳ではないからな。念のためにこうやって準備してるんだよ。それに、コイツの弾は対魔法用だ。これをくらったら、どれほど優れている魔法士でも致命傷は免れないだろうな。さて、これより七草を助けにいく訳だが、俺以外は全員は七草の救出したら、すぐにどこか遠くへ逃げろ。これほど多い人数だと、俺1人で守るのも限界があるからな。じゃあ、作戦開始。」

ガチャ

そう言うと、俺は車から降りて目的地に歩いて向かう。

摩利「って、おい。置いていくな。」

と摩利達も俺の後を着いてくる。

 

午後7時42分

城南島にある廃工場

 

廃工場に付近に着くと、俺は止まりCADを使って索敵魔法を起動する。

裕翔「外に30人、中に25人、工場の奥の部屋に1人の女性。多分、七草だな。」

俺は索敵を終えると、

裕翔「予定通り、俺が敵を引きつけるからその間に七草を救出しろ。いいな。」

克人「分かった。」

こうして救出作戦が開始された。

 

午後7時50分

「ハァ、眠いなあ。」

「もう少し、我慢しろ。ボスが後少しであの女についての交渉を終わらせてくれるはずだ。」

「そうだな。」

と工場の外を巡回している2人の敵を見つけた俺は、

裕翔「くたばれ。」

CADを使って爆裂魔法を起動する。そして、

ドカーン!!

巡回する敵に対して俺は爆裂魔法を起動し、2人は跡形もなく吹き飛んだ。

そして、

「急げ!!敵襲だ!!」

「おい!!あそこに居るぞ!!」

と他の敵も次々に集まってくる。そして、敵が俺を見つけたタイミングで、

裕翔「死ね」

敵に対して攻撃を仕掛ける。俺は敵に向かって電撃を放つ。

「ギャアアアアア!!」

「魔法だ。敵は魔法士だ!!」

敵はまともに電撃をくらい倒れる。敵はどうやらこの攻撃が魔法だと言っているがこれは魔法ではない。俺の一族に代々伝わる力だ。そして、この時、俺の目は人間ではなく化け物の目をしていた。それを、見た敵は

「なんだ・・・。あの目は・・・。」

「人間なのか・・・。」

とただ怯えた目で俺を見ていた。

 

一方、キリト達は

キリト「どうやら、裕翔はうまく敵を引きつける事に成功したようだな。」

克人「そのようだな。」

キリト「よし、それなら行きますか。」

廃工場の近くで待機していたキリト達は、真由美を救出するために廃工場の中へと入って行った。

そして、

摩利「ここが、真由美のいる部屋か。」

キリト「おそらくな。」

キリト達は無事に廃工場の奥の部屋にたどり着いた。

キリト「やっぱり、鍵が掛かってるな。」

とキリトはドアノブを回すが扉はびくともしなかった。すると、

リズ「どいて、私がやるわ。」

とリズベットが扉の前に立つ。そして、

リズ「かなり強い衝撃魔法を使うから離れて。」

と忠告する。そして、

ダァーーーーーーーーーーン!!

扉は衝撃の勢いで、吹き飛ぶ。そして、

摩利「真由美!!」

すぐに摩利が部屋に入って行く。

真由美「ゴホ、ゴホ・・・摩利!?」

摩利「良かった。無事で。」

真由美「どうして、摩利がここに?」

克人「七草。怪我はないか。」

真由美「十文字君まで。それに桐ヶ谷君達も。それに、さっきの爆発音は!?」

摩利「あれは、葉山の仕業だ。今、葉山が敵を引きつけてくれている。」

真由美「裕翔君が!?ダメよ!!今ここには「レッドムーン」のボスがいるわ。多くの護衛の魔法士も連れているわ。例え、裕翔君でも危険すぎるわ!!」

すると、

「おい!!何をしている!?」

と数人の敵が銃を向けてこちらに近づいてくる。

アスナ「このタイミングで。」

キリト「仕方ない。突破するぞ。」

とアスナとキリトがCADを構えた瞬間、

ダンッ

突如、敵がいる通路の目の前の扉が開く、そして、

?「お前ら!!目を瞑れ!!」

突如、女性の声が聞こえてくる。

キリト「全員、目を瞑れ!!」

と言うと

キリト達はすぐに目を瞑る。すると、

カンッ

扉から何かが通路に投げ入れられる。そして、

パンッ

小さな爆発音と同時に大きな閃光が一瞬で敵の視界を奪う。

「グワアアアアアア!!目が!!」

「何も、見えない!!」

そして、

?「撃て!!」

ダダタダダダダタダダ

ダダタダダダダタダダ

一斉に扉から数人が現れ、敵に対して発砲する。

「グハッ!!」

「ギャアアアアア!!」

と通路にいた敵は叫ぶが、銃の音で声は何一つ聞こえなかった。

そして、銃声が鳴り止むと、

?「クリア。敵影なし。」

?「いやぁ、大した事無かったな。これなら前の任務の方が手応えが良かったのなぁ。」

と女性の話し声が聞こえてくる。

真由美「一体、・・・・何が。」

とその光景を真由美達が見ていると、

?「あの〜、七草真由美さんですか?」

とM4A1を持った1人の少女が声をかけてくる。

真由美「どうして・・・私の名前を。」

M4A1「私の名を名はM4A1です。ある人からのお願いで、貴方方の救出を援護するために来ました。」

と挨拶をしていると、

416『ちょっと、まだ悠長な自己紹介は後でいいから、早く合流してくれない。さっきから、指揮官の攻撃が激しすぎて、こっちにも被害が及そうだから。』

とM4A1の無線が入る。

M4A1「分かりました。すぐに合流します。」

と無線を切ると、

M4A1「では、安全な所まで私達が護衛するのでついて来てください。」

と言うと、

摩利「待ってくれ!!まだ、葉山がいる。私達だけ逃げるわけにはいかない。」

M4A1「あの人なら、大丈夫です。あれぐらい敵などどうということはありませんよ。」

真由美「大丈夫って、貴方達に裕翔君の何が分かると・・・・。」

M4A1「分かりますよ。私たちは指揮官と今までずっと戦ってきましたから。」

克人「指揮官というのは葉山のことか。」

M4A1「そうです。私達の指揮官、葉山裕翔は防衛省によって創設された自衛隊特殊部隊の指揮官を担当しています。」

摩利「特殊部隊って・・・」

と摩利が言いかけた途端、

M16「お、おい!!」

真由美が工場の外に向かって走っていく。

摩利「まさか!!真由美の奴。葉山のところに。」

M4A1「危険です!!戻ってください!!」

しかし、真由美の足が止まる事はなかった。この時、真由美は学園で裕翔が言ってたことがようやく理解できたのだ。

 

一方、裕翔は

裕翔「ハァ~、これであらかた片付いたか。」

あれから、裕翔は1人で約40人近くの敵を片づけた。しかし、その中に魔法で攻撃してきた者は1人もいなかった。

すると、

?「素晴らしい。まさか、子供1人で大人40人を圧倒するとは、実に素晴らしい。」

と1人の男が数人の護衛を連れて近づいてくる。

裕翔「お前がレッドムーンのボス、杉野宮龐か。」

龐「その通りだ。私がこのレッドムーンの長である。杉野宮龐だ。」

裕翔「そうか。じゃあ、ここで殺してもなんの問題もないよな。」

と言うと、俺はデザートイーグルをむける。

龐「ふん、武器さえあれば勝てると思ったら大間違いだよ。」

そう言うと、龐の護衛が俺に向かってCADを構えてくる。

龐「さよなら、若きてん天才よ。」

と言うと、護衛はCADを操作するが、魔法が起動する事はなかった。

護衛はすぐに再度CADを操作するが、魔法が起動する事はなかった。

龐「何をしている!!早く、魔法を起動しろ!!」

「何故か、魔法が起動しないんです。」

龐「バカなこと言うな!!いいから、さっさと魔法を起動しろ!!」

と向こうは慌て出す。それを見ていた俺は、

裕翔「無駄だよ。アンタらは俺がいる限り魔法は使えない。」

龐「何?」

裕翔「俺は目で相手の魔法の起動式を読み取ることで相手の魔法を無効化する。また、その無効化した魔法を自分のものにもできる。それが、俺の能力だ。」

龐「相手の魔法を無効化だと。」

裕翔「まぁ、魔法がなくとも俺はお前に勝てるんだけどな。」

龐「何だと!?」

裕翔「見せてやるよ。俺の本当の力をな。」

そう言うと、俺は

裕翔「降臨せよ、大地に稲妻捧げし雷竜よ。今こそ我の力となり給え。『ブラックインフェルノ』」

そう言うと、裕翔の目は変わる。

龐「何だ・・・その目は・・・。」

と龐は怯えながら俺を見つめていると、

裕翔「消えろ。」

と言うと俺は敵に向かって腰につけていた刀を相手に向けると、

ダァーーーン

突如、護衛たちに向かって雷が落ちる。

「グワアアアアアア!!」

「ギャアアアアア!!」

次々に、雷が落ち、結果龐以外全員に雷が命中。護衛全て戦闘不能となった。そして、俺は最後に残った龐に近づきそして、

カチャ

デザートイーグルを向ける。

龐「待ってくれ!!私が悪かった。警察にも出頭する。だから、頼む。」

と言って頭を下ろしてくるが、俺は

ダァーーーーーーーーーーン

引き金を引いた。

龐「ヒキャアアアアアア!!」

打ったのは肩で、死に至るほどではないが、痛みは激痛だ。

裕翔「お前らのような、テロリストに俺が生かす理由がとこにある。」

そう言うと、今度は頭に狙いを定める。

裕翔「死ね、人間のクズ。」

と引き金を引こうした瞬間、

真由美「待って!!」

突如、真由美が龐の前に立ちはだかる。

裕翔「・・・・そこをどけ。七草。」

真由美「裕翔君、今の貴方は間違ってる。例え、テロリストでも生きる理由はあるわ。殺すなんて間違ってる。」

裕翔「七草。前にも言ったよな。この世界はそんなに甘くない。魔法が生まれて以来、世界の差別化はさらに進んだ。魔法によって人の人生は大きく変わる。これが今の世界だ。そして、魔法は発展と共に、テロ組織を強くした。そして、そのテロ組織のせいで多くの命が奪われた。俺も両親をテロによって失った。大切な妹の人生も奪った。俺はこの世界からテロ組織を一掃するとあの時から決めた。例え、どんな理由があろうと俺はテロリストを生かしておくつもりはない。その邪魔をするなら、七草。例えお前でも容赦はしない。」

そう言うと、俺は銃を真由美に向ける。

裕翔「そこを退け。」

真由美「・・・・。裕翔君。確かに貴方の言う通りだわ。魔法によって世界は変わってしまった。それが原因で多くの命が奪われた事も分かってる。魔法によって世界は冷酷で残酷なものになってしまった。でも、それでも変えられるチャンスはある。私はこの世界を変えたい。魔法による差別をなくし、平和な世界を私はつくりたい。いつか、裕翔君がこんな辛い想いをしなくていい世界を私は作ってみせる。だから、銃を降ろして。」

裕翔「・・・・・・。」

真由美「お願い。」

裕翔「・・・・・。」

カチャ

俺はゆっくりと銃を下ろした。

真由美「ありがとう。」

裕翔「・・・今回だけだ。」

そう言うと、俺は龐の腕に手錠をはめた。

こうして、事件は無事に終わりを迎えた。その後、俺たちは警察と消防に連絡した。

 

午後8時30分

あれから警察も消防も駆けつけ、現在は調査が行われていた。そんな中

キリト「ハァ~、結局裕翔が全部解決しちまったな。」

アスナ「仕方ないよ。裕翔君はこういうのに慣れてるんだから。」

克人「しかし、あの雷による攻撃は明らかに普通ではなかった。」

真由美「私もそう思うわ。裕翔君が使ったあの攻撃は魔法に似てるけど、サイオンを一切感じなかったわ。」

摩利「ということは、アイツは魔法以外の別の能力も持っているということか。」

克人「おそらくな。それに、アイツがあの攻撃を行う前、葉山の後ろに竜らしき姿が一瞬見えた。それとその竜が姿を消したと同時に葉山の目が変わったのも気になる。」

と真由美達が話しをしている一方、その張本人は

裕翔「クッシュン!!」

M4A1「風邪ですか。」

裕翔「いや、多分誰かが俺のことを話している気がした。」

と俺はM4A1達と合流し、ある人物が来るのを待っていた。すると、

古田「悪いな。待たせてしまって。」

と古田上官がやって来る。

裕翔「いえ、お陰で少し休む事ができました。」

古田「そうかそうか。それは良かった。で、例の能力をまた使ったのかね。」

裕翔「効率的に考えた上での行動です。」

古田「そうか。それで、真由美様は無事かね。」

裕翔「はい、大した怪我もしていないため今はクラスメイトと待機しています。」

古田「それでは、そこに案内してくれ。」

裕翔「・・・・・分かりました。」

その後、俺は古田上官と共に真由美達がいる場所に向かった。そして、真由美達の元に着くと

真由美「古田さん!!どうして、ここに。」

古田「真由美様を送っていくよう、頼まれてね。私が自ら迎えにきたのです。」

真由美「そうですか。わざわざありがとうございます。」

と話していると、

摩利「真由美、そちらの方は。」

真由美「あぁ、この古田孝之助さん。自衛隊に幹部で、裕翔君の上官よ。」

摩利「葉山の上官!?」

と言いながら、俺の方を見る。そして、

摩利「葉山。お前、上官に対して失礼な事はしてないよな。」

裕翔「何、喧嘩売ってんの。」

と言っていると、

古田「まあまあ、葉山君。そういう事いちいちキレる事は良くないよ。さて、君たちも気になっているのだろう。葉山君の事を。」

克人「!!」

摩利「!!」

古田「この際、君たちにも葉山君の事を教えよう。」

裕翔「おいおい、何勝手に機密事項を喋ろうとしているんですか!?」

古田「確かに機密事項だが、おそらくここで話さないと君の友達は納得しないと思うよ。特に、あの雷の事はね。」

裕翔「ですが・・・・!!」

古田「安心したまえ。少なくとも真由美様達以外に話さない事が条件だ。」

裕翔「・・・・・分かりました。」

と俺が言うと、

古田「では葉山君について、話そう。だがその前に約束してほしい。ここにいる者以外に話す事はやめて欲しい。これで良いかな。」

真由美「分かりました。」

古田「では話そう。葉山君は私が管轄する特殊部隊の指揮を執ってもらっている。この特殊部隊の主な任務は、日本で違法な行為を行うテロ組織の制圧及び掃討だ。もちろん、違法行為を行う魔法師も含まれる。そしてこの部隊である葉山君はある特殊な能力を持っている。それは、君たちも見たあの雷による攻撃だ。あれは、魔法よりも遥か昔からこの世界に存在する竜の力による能力だ。」

真由美「竜・・・・。」

すると、俺は地べたに座って

裕翔「俺の一族は代々竜の力を借りて強くなった一族だ。この能力は竜が認めた者にしか与えられないんだ。そして、竜に認められた者はその竜の力を自分の力にできるんだ。その力は、竜によって様々で、力もそれぞれ異なるんだ。」

克人「つまり、先程のお前の雷の力も竜によるものだと言うのか。」

裕翔「そうだ。あれは、古代から存在する雷竜の1種、ブラックインフェルノによる力だ。」

摩利「じゃあ、お前の目が変わったのも・・・。」

裕翔「あぁ、ブラックインフェルノの力によるものだ。竜の力を使った者はその者自身に竜が宿る。だから、目が変わるんだ。これを俺たちは竜の目と呼んでいる。」

真由美「竜の目・・・・。」

アスナ「魔法以外に、そんな力が存在したなんて。」

裕翔「元々、魔法の誕生は竜によるものなんだぞ。」

リズベット「え・・・・そうなの!?」

裕翔「あぁ、魔法は元々、竜の力から発展して誕生したんだぞ。」

真由美「じゃあ、今までの魔法は竜の力から誕生したと言うの。」

裕翔「大抵はな。」

克人「では何故、この事を俺たちは今まで知らなかったんだ。」

裕翔「それは・・・・もう、この力を持つ者自体が少なくなったからだ。」

真由美「どういうこと。」

裕翔「竜の目は、その宿主自身に大きな負担をかけるんだ。使えば使うほど負担は大きくなる。最悪の場合、死に至る。だから、竜の目は表世界から消えたるだ。持ち主自身に負担を死に至る力よりは、魔法の方が安全だ。魔法は使った者に対して大した負担はない。だから、皆魔法ばかり使うようになり、竜の力自体忘れたんだ。」

そう言うと、俺は立ち上がり

裕翔「話はそれだけだ。古田上官。俺は部下を連れて基地に戻ります。明日、報告書を提出します。」

そう言うと、俺は部下の元に向かった。

真由美「ちょっと!!裕翔君!!」

と真由美の声が聞こえたが、無視した。

 

そして残された真由美達は

真由美「もう、まだ聞く事はいっぱいあるのに。」

と顔を膨らまていた。

古田「すまないね。彼は元々人と人と関わるのが嫌いでね。中学の頃も学校には殆ど通わず、任務のことばかりでね。」

真由美「ご両親は・・・・。」

古田「彼が幼い頃にテロによって亡くなってしまってね。4歳の頃に母親を、10歳の頃に父親をね。また11歳の時には妹さんも爆破テロに巻き込まれて、今でも目を覚まさないんだ。」

真由美「そうなんですか・・・・・。他にご家族は・・・・。」

古田「お姉さんがいるが、今は仕事で忙しくて基本は彼1人だ。」

真由美「そんな、事が・・・・。」

摩利「葉山もずっと苦労してきたんだな。」

克人「俺たちとは違い、今までずっと違う世界で生きてきたんだからな。」

と真由美達はただ裕翔が去っていく後ろ姿を見ていた。

 

翌日

午前7時

第1高校

 

昨日事から一夜明けた今日、学園では変わらず多くの生徒が登校してきていた。

アスナ「おはよう。キリト君。」

キリト「あぁ、おはよう。」

リズ「おはよう。アスナ。」

とキリト達も何も変わらずいつも通り登校してきていた。すると、

摩利「おはよう。3人とも。」

克人「おはよう。」

と2人も挨拶してくる。そして、

真由美「みんな~、おはよう。」

と真由美もやって来る。

摩利「真由美。登校してきて大丈夫なのか。」

真由美「大丈夫よ。別に怪我をしてたわけじゃないんだから。それで、・・・・・裕翔君は・・・・。」

と裕翔を探すが、

摩利「今日はまだ来てないようだな。昨日ならこの時間には来ていたが。」

キリト「もう、ここには来ないかもな。」

真由美「どうして!?」

キリト「本来、知られたくない事を知られたんだ。居なくなっても不思議じゃないだろ。」

真由美「そんな・・・・。」

克人「仕方がないだろ。」

摩利「そうか。ウザイ奴で腹は立ったが、・・・・・。」

と言っていると、

?「ウザイ奴で悪かったな。」

と聞き覚えのある声が聞こえてくる。

キリト「えっ!?」

振り返ると、そこには制服姿の裕翔がいた。

キリト「学校を辞めたんじゃなかったのか。」

裕翔「辞めるわけないだろ。上官の命令なんだから。」

摩利「てっきり、学園から出て行ったと思ってたぞ。」

裕翔「色々あって、これからも通うことにしたんだよ。」

そう言うと、俺は席につく。すると、

真由美「裕翔君。ありがとね。助けてくれて。」

裕翔「・・・・その呼び方辞めろ。」

真由美「えっ!?」

裕翔「その呼び方嫌いだから。普通に葉山でいい。」

真由美「分かったわ。よろしくね。葉山君。」

裕翔「・・・・・・よろしく。」

こうして、俺の新しい学園生活が始まった。

 

つつく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第5話 オリジナル

2093年4月7日

午後1時

東京 渋谷

 

救出作戦から早くも2日経った。俺は変わらずこの第1高校に通っている。

裕翔「ハア〜・・・眠い。昨日徹夜しなけりゃよかった。」

正直、この学園に通ってて思った事がある。それは・・・

魔法の授業が全く面白くないというところだ。クラスの殆どが必死になって魔法を勉強しているが、俺にとっては何の身にもならない勉強だった。そのため、俺はいつも授業をサボっている。そのせいか、俺はクラスでも孤立ぎみだ。しかし、そんな俺にも毎日鬱陶しいほど声をかけてくる人物がいる。その人物は、

真由美「葉山く〜ん。」

この女である。

裕翔「また、来たのかよ。悪いが話す事はないぞ。」

真由美「もう。どうして、いつもそんなに冷たいのよ。」

そう、この女が毎日鬱陶しいほど声をかけてくるのだ。名は七草真由美。魔法界において有名な十氏族の一つである七草家の長女である。この第1高校では、入学と同時に生徒会長を務めている。

裕翔「あのなぁ、俺は基本1人でいたいんだよ。」

真由美「そんなこと言わないで、せっかく友達になったんだから少しくらい・・・・。」

裕翔「俺は、お前と友人となったつもりはない。俺とお前の関係はクラスメイトというだけで友人ではない。そこを間違えるな。」

と俺はいつも通り突き返す。すると、

真由美「もう。少し、お願いしたい事があったのに。」

裕翔「お願い?」

真由美「えぇ。少し、協力してもらいたいことがあってね。今、ここでは話せないんだけど、お昼休みに生徒会室に来てくれない?」

裕翔「・・・・・考えておく。」

真由美「分かったわ。じゃあ、生徒会室で待ってるから。」

そう言うと、七草は自分の席に戻っていった。そして、それからも2限連続で授業を終え、お昼休みに入った。

 

午前12時

結局俺は、七草に言われた通り、生徒会室に来てしまった。

裕翔「ハァ~、結局来てしまった。」

本当は来るつもりはなかったが、七草は2日前の救出作戦以降俺の正体を知っている人物だ。基本俺は表では、ただこの第1高校に通う一般生徒だが、裏では自衛隊所属の特殊部隊の指揮を執っている。そして、七草は俺が特殊部隊の人間だと言うことを知っている。もし、俺が七草の頼みを断ったりしたら、七草家の力を使って俺の正体を世間に知らせかねない。だから、仕方がなく今俺は生徒会室の前に来ているのだ。そして、

コンコン

裕翔「来たぞ~。」

俺はノックし、確認をとると、

真由美「どうぞ~。」

と中から声が聞こえてくる。そして、

ガチャ

俺は扉を開け、中に入る。

そして、中に入ると、そこには七草と共に3人の人物がいた。

克人「来たか。」

摩利「相変わらず、嫌そうな顔をしてるな葉山。」

十文字克人。七草家と同じく十氏族の一つの名家。十文字家。克人はその十文字家の長男であり、次期当主候補の1人だ。そして、その隣いるのは渡辺摩利。七草と克人と俺とは同じクラスで、この学園において風紀員を務めている。

裕翔「何だ。お前らもいたのか。で、そちらにいる方は・・・・。」

克人と摩利は分かったが、もう1人いる女性は知らない人物だった。

真由美「紹介するわね。1年Bホームの市原鈴音。ウチの会計を担当してくれいるの。ね、リンちゃん。」

鈴音「会長。その呼び方はやめて下さい。では、改めて。生徒会の会計を担当しています。市原鈴音です。どうぞ、よろしくお願いします。」

裕翔「あぁ、よろしく。」

と挨拶をすると、俺は、

裕翔「で、頼みって何だ。」

と聞くと、

真由美「ねぇ、葉山くんって部活とか興味ある。」

裕翔「部活・・・・・。興味ないね。」

真由美「あら、なら今後部活に入る予定は・・・。」

裕翔「ない。」

というと、

真由美「じゃあ、明日の昼からある部活勧誘が始まるから、葉山君には風紀員と共に魔法の不適切使用を取り締まりに協力してね。」

裕翔「・・・・・はっ!?」

真由美「どうせ、明日の昼から暇なんでしょ。だったら、その時間を使って私たちに協力して欲しいの。だから・・・。」

裕翔「断る。」

真由美「・・・・・やっぱり。」

裕翔「何で、俺がそんな事にいちいち付き合わないといけないんだよ。第一、風紀員がいるなら問題ないだろ。」

と言うと

摩利「だが、それでも全て未然に防ぐ事は不可能だ。だから、少しでも人手欲しいんだ。特に葉山の相手の魔法を無力化するという力はこういう場面で大いに役に立つ。それに、例え生徒が魔法を使ったとしてもお前なら適切に対処がてきる。だから、お前に協力してもらいたいんだ。」

裕翔「あのなぁ、お前ら。俺がこの学園でどういう立場いるか知ってるか。俺は、SAOサバイバーを味方する劣等生って言われてるんだぞ。そんな、俺が取り締まりなんかをしたら余計に悪化するだろ。」

真由美「そこは私達が何とかするわ。だから、お願い。力を貸して。」

裕翔「・・・・・。」

俺は席を立つと黙って、廊下に向かう。

真由美「葉山君。」

裕翔「・・・・・気が向いたら手伝ってやる。」

ガチャ

そう言うと、俺は生徒会室を出た。そして、その後は何事もなく放課後を迎えた。

 

午後5時

日が暮れだし、空はオレンジ色になっていた。そんな中、俺は1人で校門に向かっていた。すると、

真由美「葉山君。」

と声が聞こえてくる。俺はゆっくりと後ろを振り返ると、そこには七草の姿があった。

裕翔「何のようだ。昼の件ならまだ、検討中だぞ。」

真由美「違うの。少し、葉山君に会って欲しい人がいるの。」

裕翔「・・・誰だよ。ソイツは。」

真由美「とりあえず、ついて来て。」

そう言われると俺は黙って七草に付いて行った。そして、歩き始めて10分くらい経った時、

真由美「ここで、少し待ってて。」

裕翔「おい、一体誰なんだよ。俺に会わせたいヤツって。」

すると、

ブーーーーーン

奥から黒い車がこちらに向かって来た。そして、黒い車が俺たちの目の前で止まる。

すると、

ガチャ

?「久しぶりだね。葉山君。」

と車から1人の男性が降りてきた。

裕翔「貴方は・・・・七草弘一。」

真由美「そう。会って欲しかったのは、私の父よ。」

弘一「あれから、元気にしてたかね。」

裕翔「はい。なんとか、元気にやっています。それで、今日は何のようで俺に。」

と聞くと、

弘一「今日は娘の真由美を助けてくれた事の件のお礼を言いたかったからだよ。葉山君。本当にありがとう。」

と弘一さんは俺の前で頭を下げる。

裕翔「やめて下さい。別に俺はただ、当然の事をしただけで。別に大した事は・・・・。」

そう言うと、弘一さんはゆっくりと頭を上げる。そして、

弘一「少し、君と2人で話がしたい。真由美。お前は車で待っていてくれ。」

真由美「分かったわ。」

そう言うと、真由美は車に乗り込む。

そして、

弘一「では、少し話をしよう。」

そう言うと、弘一さんはCADを使って空間魔法を展開する。

弘一「これで、2人だけで話ができる。」

裕翔「やることがエゲツないですね。」

と俺は苦笑いで返す。

そして、

弘一「では、葉山君。君に提案がある。この際、私の元で働かないか。」

裕翔「・・・・・それは、スカウトとして受け取ってよろしいですか。」

弘一「あぁ。真由美から聞かせてもらったよ。君は竜の目を使えるんだね。」

裕翔「・・・・・はい。」

弘一「現在、世界で竜の目を使える人間はほんのわずかしか居ない。竜の目は魔法が誕生する遥か前より存在する力。この力は持ち主に大きな力を与えるが、その分、代償も大きい。下手をすれば、その持ち主の命までも奪いかねない。だが、君はこの力をうまく使い回せているようだな。」

裕翔「確かに、今は力のコントロールはできていますが、昔、この力を手にした時は苦労しました。力を使った瞬間、嘔吐に目眩、吐血までしましたよ。」

弘一「そうか。随分と苦労したんだな。それでだ、私の元に来る気はないか。もし、私の元で働くというなら、妹さんの治療の援助はしよう。」

裕翔「・・・・・確かに、その件は嬉しいのですが、俺はまだまだ未熟です。確かに竜の目は使えますが、俺はまだ足りないものがたくさんあると思っています。竜の目だってこの数年でやっとコントロールができるようになっただけで、無理に力を使えばどうなるかも分かりません。最悪、暴走して人を襲うという可能性もないとは言えません。だから、この件はお断りさせて頂きます。妹の治療費は自分で何とかします。」

そう言うと、俺は例の能力を使って弘一さんの空間魔法を無力化する。それを見ていた光一さんは

弘一「そうか。やはり、君は只者ではないようだ。だが、葉山君。私から一つだけ伝えたいことがある。」

裕翔「何ですか。」

弘一「君を狙っているのは七草家だけでは無い。既に十師族の全てが君を手に入れよう動き出している。特に四葉家には気をつけたまえ。」

裕翔「ご忠告ありがとうございます。それでは。」

そう言うと、俺は家に向かった。

 

そんな葉山裕翔の後ろ姿を見ていた弘一は

弘一「葉山裕翔。もう少し、調べる必要があるな。」

と言っていると、

真由美「で、どうだった。」

弘一「断られてしまったよ。やはり、お前の言った通りだったな。」

真由美「ああいう性格なのよ。でも、いつかは答えてくれると思ってるわ。私は。」

弘一「そんなに葉山裕翔が、気になるのか。」

真由美「えぇ、お父さんと違って少し正直じゃないところもあるけど、私は好きだなぁ。正直じゃないけど、誰かのために必死なれるところが。」

弘一「そうか。」(将来、真由美の婿としても考えておこうか。)

と弘一は思っていた。

 

一方、葉山は

裕翔「やっぱり、話したんですね。」

古田『すまない。黙っていて。』

と俺は古田上官とスマホで連絡を取っていた。

古田『真由美様を家に送った時に、事情を弘一様から聞かれてね。流石に、黙っておくことは出来なくてね。』

裕翔「だったら、それを教えてくださいよ。で、それを古田上官は俺の正体を十支族に全てに教えたんですね。」

古田『いや、私が教えたのは七草家だけだ。』

裕翔「えっ!?では、なぜ十支族全てが俺の正体を知っているのですか。」

古田『おそらく、君の家の本家によるものだろう。君の本家は基本、四葉家に仕えているしね。』

裕翔「・・・・・。」

古田『やはり、憎いかい。』

裕翔「当たり前です。アイツらのせいで、俺や姉さんは・・・・。」

古田『そうかい。やはり、君にとって本家は憎いんだね。今後、四葉家も接触をしてくるかもしれないね。その時は・・・・。』

裕翔「もちろん、今まで通りに追い返すだけです。」

そういうと、俺は電話を切った。そして、再び俺は家に向かって歩き出した。

 

翌日

午前7時

俺は朝早くから、学校に登校し、1人机に向かってある事をしていた。すると、

真由美「葉山くーん。」

と笑顔で七草がこちらに向かってきた。

裕翔「・・・。」

真由美「葉山君。おはよう。」

裕翔「おはよう。」

真由美「朝早くから、何をしてるの。」

裕翔「ちょいと、CADの調整だ。」

真由美「へぇ~、葉山君ってCADの調整もできるんだ。正直、驚いたわ。」

裕翔「こういうのは、自衛官として当然のことだ。」

真由美「ふぅ~ん。ねえ、それで今日の件受けてくれる。」

裕翔「あぁ、受けてやるよ。ただし、俺のやり方に意を唱えるのは無しな。」

真由美「分かったわ。それじゃあ、今日のお昼に一度生徒会室に来てくれないかしら。念のため、説明しておきたいことがあるから。」

裕翔「分かった。」

こうして、俺は真由美たちに協力することにした。

 

午前12時

コンコン

裕翔「来たぞ。」

と俺は生徒会室の扉をノックする。すると、

真由美「どうぞ。入って。」

と声が聞こえてくる。

ガチャ

俺は黙って、生徒会室に入る。すると、中には昨日と全く同じメンバーが座っていた。

真由美「いらっしゃい。葉山君。今回の件、引き受けてくれてありがとう。じゃあ、早速説明するから席に座ってくれる。」

そう言われると、俺は黙って席に腰をかける。

真由美「それじゃあ、早速説明していくわね。今回葉山君にやって貰いたい事は、生徒による魔法不適切使用阻止または、鎮圧ね。普通は風紀員がやる事なんだけどね。だから、もしもの場合は魔法を使用しても構わないわ。だけど、人の命を奪うような魔法は禁止よ。」

克人「後、この事は、部活

裕翔「了解。」

と俺が言うと、

ガタガタガタガタ

と窓が強い風を受けて、大きな音をたてる。すると、

ガタン

風のせいで、窓が勝手に開く。

真由美「随分、強い風ね。」

鈴音「ですが、今日の風は穏やかだと聞いていましだが、・・・・・。」

摩利「私が閉めてこよう。」

と言うと、摩利は立ち上がり勝手に開いた窓のは元に向かう。すると、俺は

裕翔「開けておいた方がいいぜ。今の風、自然に吹いたものじゃないから。」

摩利「それは、どういう事だ。」

と摩利が振り返り、俺に聞いてくる。

裕翔「渡辺。後ろを見てみろ。」

摩利「え、後ろって。一体何が・・・・・。」

摩利は窓の方を見ると、突然黙り込む。その視線の先には、巨大な鳥が摩利の目の前でじっと見つめていたからだ。そして、

巨大な鳥「クェェェー!!」

と巨大な鳥は大きな鳴き声をあげる。

摩利「うわぁぁぁー。」

摩利は驚き、腰を抜かす。すると、俺はその鳥に近づき、

裕翔「よしよし。良い子にしてたか。」

と言いつつ、俺は巨大な鳥を撫でる。

真由美「ちょっと、葉山君!?危険だから、離れて‼︎」

克人「何だ、この巨大な鳥は!?」

と2人がその巨大な鳥に向かってCADを構える。そんな2人に対して、俺は

裕翔「落ち着け。コイツは俺のペットだ。何の心配もないよ。ほら、ホルス挨拶。」

と言うと、巨大な鳥は4人に対して一礼する。

摩利「葉山。この巨大な鳥は。」

裕翔「コイツは、俺が召喚した召喚獣、ホルス。普段は、家でじっとしているだが、時々勝手に家を飛び出して俺の後を着いてくるんだ。」

真由美「人に害を与えたりとかは・・・・・。」

裕翔「基本、こっちから手を出さなければ、何もしてこないよ。」

そう言うと、

真由美「触っても、大事なかしら。」

裕翔「ああ、別に大丈夫だぞ。」

そう言うとと、真由美は、そっとホルスを撫でる。すると、

ホルス「クワァ」

と鳴きながら、真由美に顔を擦りつける。

真由美「うふふ。可愛いわね。」

と言いつつホルスを撫でる。

裕翔「ホルスに気に入られたみたいだな。」

と言うと、

真由美「葉山君。この子、普段は家にいるのよね。」

裕翔「ああ、基本は家で寝てるな。」

真由美「なら、今度お邪魔するわ。」

裕翔「えっ!?」

摩利「じゃあ、私も。」

裕翔「はっ!?」

とその後、俺は家に絶対来るなと言うと、真由美と摩利が抗議してきて、言い合いになった。そして、そのまま部活勧誘遠迎えたのだ。

 

午後1時10分

「ぜひ、うちを見学して行ってください。」

「13時20分から体育館で剣道部のデモンストレーションがあります。ぜひ見に来てください。」

などと、どこの部活もう必死になっていた。そんな中俺は、

裕翔「ああ、暇だ。こんなんなら、受けなければよかった。」

キリト「なら、なんで俺を強引に連れて来たんだ。」

とキリトが言い返してくる。実は、部活勧誘が始まってすぐに、暇そうにしているキリトを見つけたため、強引に連れて来たのだ。

裕翔「仕方ないだろ。暇なんだから。」

キリト「理由になってねぇよ‼︎」

裕翔「まぁ、暇人同士なんだから付き合え。」

と言っていると、

鈴音『至急、南西の部活勧誘エリア付近にいる風紀員は現場に向かってください。』

と無線がはいる。そして、

裕翔「ほな、行くとしますか。キリト、お前も来い。」

キリト「今度、何か奢れよ。」

裕翔「ヘイヘイ。」

と言うと俺とキリトは加速魔法を使って現場に向かった。

そして、現場につくと、

「俺たちが先だ。」

「何だと。」

既に2人が掴み合いになっていた。

裕翔「まだ、魔法は起動していないみたいだな。」

キリト「そのようだな。」

すると、

摩利「葉山。」

と摩利と合流する。

裕翔「ああ、渡辺。」

摩利「悪い、遅くなった。って何故、桐ヶ谷が。」

裕翔「話は後だ。それより先に・・・・・。」

と言いかけたその瞬間、

ズドーン

突然、大きな騒音が響き渡る。

摩利「しまった。」

裕翔「チッ・・・使いやがったか。おそらく、使ったのは爆風。渡辺、お前は周りにいる取り巻きどもを抑えろ。あの2人は俺が何とかする。」

そして、俺は2人を止めるために突っ込んでいった。

渡辺「今の魔法をあの短時間で、読み取ったのか。普通じゃない。」

キリト「それが、アイツなんだよ。」

と2人が話している内に、俺は

「グハッ。」

「グホッ。」

裕翔「先輩、おふたりには魔法不適切使用の件においてご同行してもらいます。それなりの処罰は覚悟しておいて下さい。」

と俺は能力で2人のCADを無効化し、後は力技で2人を取り押さえた。

すると、

「おい、アイツ。例の・・・・。」

「あぁ、SAOサバイバーの味方をする一科生だ。」

「少し、強いからと言って調子に乗りやがって。」

と言うと、取り巻きの1人が俺に向かってCADを構える。しかし、俺はそれを見逃す事はなく、すぐに胸元に隠していたP08を構える。すると、それを見た摩利は

摩利「葉山!!それは・・・・。」

裕翔「安心しろ!!実弾は入ってねぇよ!!」

そう言うと、俺は引き金を引いた。そして、

ダァーン!!

CADを構えていた生徒に向かって魔法を放った。放ったのは、ちょっとした衝撃魔法で、当たったとしても腕を痛めるくらいの火力しかない。

「グッ。」

CADを構えていた生徒は腕を押さえ込む。俺はその生徒を睨んで、

裕翔「先輩。もし今俺が使った魔法が殺傷ランクBだとしたら、先輩の命はなかったと思いますよ。魔法とは人の命を簡単に奪える代物です。それを忘れないで下さい。」

そう言うと、俺は立ち上がり、先に取り押さえた2人を連行する。すると、

摩利「葉山。後で、お前がさっき使ったピストルに関して話してもらうぞ。」

と言われる。その後は俺は2人の生徒を風紀員に任せて生徒会室に向かった。

 

午後3時

俺は生徒会室で真由美と摩利、そして克人から尋問を受けていた。

真由美「ねぇ、葉山君。摩利から聞いたけど貴方が使ったCADを見せてくれないかしら。」

と言われると俺は、胸元に隠していたP08を取り出し、机の上に置いた。

克人「随分と古い銃だな。葉山。お前これは・・・・・。」

裕翔「俺が作ったオリジナルのCADだ。」

摩利「オリジナルだと!?お前、CADのライセンスを持っているのか。」

裕翔「あぁ、持ってるよ。取ったのは2年前かな。それ以来、趣味で旧式の銃をCADに改装しているんだ。」

真由美「そんなの、聞いたことないわ。そんな事が世間に知れ渡れば、各国の技術者が黙っていないわ。」

そう。現在、旧式のピストルやマシンガンをCADに改装できた事例は一つもない。そのため、俺は俺はこの事を基本表には出していないのだ。

克人「つまりお前は、竜の目の保持者であり、CADの技術者もあるのいうわけか。」

裕翔「その通りだ。」

と答えると、克人が

克人「・・・・・葉山。お前に聞きたいことがある。」

裕翔「何だ。」

克人「4年前、国際テロ組織《エンジェルハウンド》を潰したのはお前か。」

裕翔「・・・・何故、それを聞いてくるんだ。」

克人「世界でテロ活動を行なっていた《エンジェルハウンド》は4年前、突如謎の襲撃を受け、壊滅した。このテロ組織は日本でも数多くのテロ活動を行なっていた。そして、俺はこの事件を調べているうちにある仮説にたどり着いた。葉山。お前は、4年前妹の敵討ちとして《エンジェルハウンド》を潰したんじゃないのか。」

裕翔「・・・・・。」

克人「お前の妹、葉山雪は4年前《エンジェルハウンド》による学園での起きた爆破テロに巻き込まれ、重傷を負い、今でも意識を取り戻さない状態。それから数ヶ月後《エンジェルハウンド》のアジトが次々に襲撃を受け、最終的には壊滅した。そして、各国が調査をした結果、奇跡的残っていたカメラの映像に1人の少年が映っていた。その少年は次々にエンジェルハウンドの人間を殺していき、やがてその少年は「悪魔」として恐らるようになった。その少年は今でも正体は分かっていない。だが、その映像に映っていた少年とお前の戦い方は似ていた。特に、CADを無力化し、次々に敵を薙ぎ倒していく姿は瓜二つだった。違うか、葉山。」

裕翔「・・・・・。」

真由美「私も聞いたことがあるわ。確かに言われてみれば葉山君とその悪魔と言われた少年の戦い方は全くもって同じだった。」

摩利「じゃあ、葉山が・・・・。」

と言おうした瞬間、

裕翔「違うよ。俺じゃない。確かに似ているが、その悪魔は銃を一切使わずに刀のみで相手斬り殺していた。俺には、あんな真似はできないね。それに、克人。お前が今言った事はあくまでも仮説だ。証拠が無い以上、俺が犯人だという事は予想でしかない。それに仮に俺がその悪魔だとしたら、お前はどうする。仮にも国際テロ組織を潰した人間を捕らえるのか。」

と聞くと、

克人「・・・・なるほど。確かにお前のいう通りだ。疑って悪かった。」

裕翔「別に気にしてないよ。」

すると、俺は立ち上がり

裕翔「じゃあ、先に帰るぞ。俺もやる事があるから。」

そう言うと、俺は生徒会室を出た。

裕翔(悪魔か。4年前のあの日ねぇ。確かに疑われても仕方ないか。)

そう思いつつ、俺は学園を後にした。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第6話 家族

2093年4月14日

午前12時

東京 渋谷

 

学園入学から早くも1週間が経過した。新入生は学園生活にも慣れ、新たな仲間と共に楽しい日々を送っていた。そして、今日は日曜日。どこ学園も大半が休みである。そんな日の学生は大抵は友人と共に出かけてショッピングなどを楽しむのが普通だ。そんな中、この2人の女性も同じように楽しんでいた。

摩利「ふぅ〜。やはり、休みの日はこのように楽しむのが1番だな。」

真由美「そうねぇ〜。たまにはこうするのも悪くないわね。」

と2人はカフェでコーヒー飲みつつゆっくりしていた。

摩利「ところで、真由美。なんで私を誘ったんだ。私じゃなくてもお前も葉山や十文字がいるだろ。」

真由美「もちろ。誘ったわよ。でも2人とも用事があるって断られたのよ。特に葉山君なんて「自分には何のメリットも無いから」って言って切ったのよ。ほんと、少しくらい付き合ってくれてもいいじゃない。」

摩利「仕方ないだろ。アイツは特殊部隊の隊長なんだから。もしかしたら前みたいな連中の対処しているかもしれないだろ。」

真由美「それでも、もう少し女性に対する言葉ってもんが・・・・・あれ?」

突如、真由美は摩利の方を見つめる。

摩利「どうした。真由美。急に私なんか見つめて。私の顔に何か付いてるか。」

真由美「ねぇ。あれ葉山君じゃない?」

と真由美が指を指す。そして摩利も真由美が指すを方を見ると、

摩利「確かに、葉山だな。」

その2人の視線の先には、大通りを挟んだ花屋で花を買う裕翔の姿があった。

真由美「何よ。人の誘いを断っておいて。」

摩利「でも、なんでこんな所に・・・・・あっ。動き始めたぞ。」

裕翔は花を購入すると、花屋を後にして何処かに向かい始めた。それを見ていた真由美は、

真由美「摩利。葉山君の後を追うわよ。」

摩利「えっ。」

真由美「だって、何をするのか気になるんだもん。」

摩利「真由美。その行為はストーカーだぞ。」

真由美「分かってるわよ。でも、どうしても気になるの。だって普段何も興味が無さそうな葉山君が花を買ってたのよ。絶対何か理由があるわよ。」

摩利「確かに、葉山が花を買っていた事は気になるがわざわざ尾行したくても明日学校で聞けばいいだろう。」

真由美「じゃあ、葉山君が素直に私達に答えてくれると思う。」

摩利「・・・・・・思わない。」

真由美「じゃあ、早く追いかけましょう。」

そう言うと、2人は裕翔の後を追い始めた。

 

5分後、

あれから2人はある程度の距離を保ちつつ、裕翔の後を追っていた。

摩利「葉山の奴。一体どこに行く気だ。」

と言っていると、

真由美「摩利。アレって。」

と言いつつ真由美はある車を指で指す。その指した先には1台の装甲車が路肩に停められていた。

摩利「あの装甲車は、あの時の。」

摩利と真由美には見覚えのある装甲車だった。

真由美「アレって、私が拉致された時に摩利たちが乗ってきた・・・・。」

摩利「そうだ。葉山。アレに乗ってきたのか。」

すると、

真由美「あっ。車に乗り込もうとしてる。」

裕翔は助手席に花を置くと、運転席側に回り車に乗り込む。そして、

ブゥーーーーーーーーーーン

葉山が乗った装甲車は走り出す。すると、真由美は

真由美「摩利。乗って。」

真由美はAIタクシーに乗り込む。

摩利「お、おい。」

摩利もすぐにAIタクシーに乗り込む。そして、葉山が乗った装甲車の後を追い始めた。

 

10分後

葉山をタクシーで追い始めて10分が経過した。

真由美「葉山君。一体何処に向かうつもりかしら。この先には確か・・・・・。」

摩利「防衛大学病院だ。」

自衛隊直属の病院、防衛大学病院が見えてきたのだ。すると、裕翔が乗った装甲車が病院の駐車場に入って行き、車を駐車し終えると病院の中に入っていく。それを見ていた2人は、

真由美「追いましょう。」

と裕翔の後をつけて、病院の中に入っていく。

 

防衛大学病院

6階

あれから2人は裕翔の後をつけて、6階まで上がって来た。すると、裕翔はある1室に入っていく。

摩利「知り合いでも入院してるのか。」

真由美「さぁ〜。とりあえず、覗いて見ましょう。」

そう言うと2人はこっそりとドアから病室を覗く。そこには、裕翔と1人の女性がいたのだ。

?「裕翔。久しぶりね。元気にしてた。」

裕翔「なんとかね。姉さんこそ、仕事を頑張ってるようだけど、休みをあんまり取れてないんじゃない。」

と話している姿を聞いた。2人は、

真由美「嘘、葉山君のお姉さん!?」

摩利「そのようだな。とても美人だな。だが、どこかで見た事があるような。」

と摩利が考えていると、

真由美「あっ!?ねぇ、葉山君のお姉さんって、あの有名な女優の葉山咲さんじゃない。」

と真由美が言うと、摩利も

摩利「そうだ。ここ最近で一気に注目されている葉山咲だ。葉山の姉だったとは・・・・・・ん?」

と言っている途中、摩利は病室の入り口に貼られている患者の名前の札が目に入る。

摩利「葉山・・・・・雪・・・・。」

真由美「葉山君の親戚かしら。」

と2人が札を見ていると、

裕翔「悪い。少しお手洗いに行ってくる。」

咲「私も行くわ。花を飾る花瓶を借りたいから。」そう言うと、2人は

摩利と真由美の元に近づいてくる。

摩利「まずい。2人が来る。」

真由美「急いで隠れましょう。」

そう言うと、2人は病室のドアから離れる。そして、

裕翔「仕事の方はどうなの。」

咲「う〜ん。前と比べたら少し増えたかな。」

と話しながら裕翔と咲は病室を出ていく。それを見ていた真由美と摩利は、

真由美「ふぅ〜、焦ったわ。」

摩利「全くだ。危うく見つかるところだった。」

真由美「とりあえず、もう一度あの病室を覗いてみましょう。」

そう言うと、2人は再び同じ位置から病室を覗く。そこには個室の病室のベットで、眠っている銀髪の少女の姿があった。少女は、酸素マスクを付けたまま天井を向いたまま眠っていた。

真由美「あの子、もしかして葉山君の妹さん。」

摩利「えっ!?」

真由美「古田上官から聞いたの。葉山君には4年前の爆破テロの事件以来意識が戻らない妹さんがいるって。」

摩利「じゃあ、あの子が・・・・・。」

と2人が寝ている雪を見ていると、

?「あの〜、妹に何か用ですか。」

と声をかけられる。

真由美・摩利「!!」

と2人が声をかけられた方を向くと、そこには裕翔の姉である葉山先の姿があった。

咲「すいません。驚かせてしまって。」

真由美「いえ、そんな。私達は葉山君のクラスメイトでして。」

咲「じゃあ、裕翔のお友達なのね。」

摩利「まぁ、そういったところで・・・・・。」

と言いかけた瞬間、

裕翔「ちげぇよ。そいつらはただのストーカーだ。」

とお手洗いから戻ってきた裕翔が言ってくる。

真由美「は、葉山君!?」

咲「裕翔‼︎お友達になんて事を言うの‼︎」

裕翔「だって、コイツら渋谷からずっと後をつけてたからな。」

摩利「気づいていたのか。」

裕翔「当たり前だ。お前ら独特の気配ですぐに気づいたわ。で、こんなの所まで何の用だ。」

真由美「いや、その〜。」

裕翔「その感じだと、ただ後をつけてきただけのようだな。それならさっさと帰っ・・・・。」

と言おうと言おうとした瞬間、

咲「ねぇ、せっかくだからお茶でもしていって。」

と咲が2人がお茶に誘う。

裕翔「はっ!?」

咲「わざわざ来てもらったのにこのまま帰すのも悪いでしょ。」

裕翔「だが・・・・・。」

咲「やると言ったらやるの。」

裕翔「チッ、分かったよ。でも、お茶会には参加しない。悪いけど、外の空気を吸ってくる。」

そう言うと、裕翔は去って行く。

咲「ごめんなさいね。私の弟が。」

と先が2人に謝る。

真由美「いえ、私達こそ勝手に後をつけちゃって。」

摩利「すいません。ご迷惑ない事をして。」

咲「気にしないで。それに私も聞きたい事何あったから。じゃあ、この階のテラスに座っておいて。お茶を用意してくるから。」

そう言うと、咲も2人を置いてどこかに向かう。

 

午後12時53分

咲「お待たせぇ〜。」

咲がコーヒーが入った紙コップを持って、2人の前に現れる。

咲「2人とも、コーヒーで大丈夫よね。」

真由美「はい、ありがとうございます。」

摩利「すいません。わざわざコーヒーを用意してもらって。」

咲「良いのよ。別に。」

と咲は咲は座りながら答える。そして、

咲「それで、2人は裕翔と同じクラスなのよね。」

摩利「はい。」

咲「裕翔は、普段学校ではどんな感じなの。」

真由美「え〜と・・・・・。」

と真由美が考えていると、

咲「その様子だと、裕翔との関係はあまり良くないようね。」

真由美「すいません。」

と真由美が謝る。

咲「良いのよ。別に。昔の裕翔はね。明るくて、いつも笑顔だったの。」

摩利「えっ!?」

真由美「あの裕翔君が・・・・・。」

と2人は驚きを隠せない。

咲「私の父はね昔、本家から追い出された人なの。当時、父は、魔法があまり使えない事を理由に葉山家の本家から追い出されたて、1人で新たな葉山家を作り上げたの。そして、父は対テロ組織を立ち上げたと同時に、魔法が使えなかった父は母と共にある力の研究もしていたわ。魔法の原点ともなった・・・・。」

真由美「竜の目。」

咲「知っているの!?」

真由美「前に、葉山君が使ってる姿を見ました。」

咲「あの子、何してるのよ。」

と咲は呆れた感じて言う。すると、

摩利「あの〜、さっきの子ベットで寝てたのは・・・・・。」

咲「葉山雪。私と裕翔の妹よ。そして、私達にとって数少ない肉親。雪はね。4年前の学園爆破テロに巻き込まれてね、それ以来意識を取り戻さないの。裕翔にとって雪は、唯一の味方なの。裕翔は、幼い頃から劣等扱いされてたの。でも、そんなときに、いつも味方でいてくれたのが雪だった。裕翔のことをいつも尊敬してたわ。でも、ある時、雪が父の跡を継ぐ後継者に選ばれたの。理由は、父の死。裕翔と私の、両親はね二人ともテロで死んだの。母は、私が7歳時に、父は13のときに亡くなったわ。二人とも裕翔の目の前でね。そして父が死んだあと、雪が後継者になることになった。その時にね。裕翔は、雪に対して、こう言ったの。「必ず守る」ってね。でも、その翌年、雪は、爆破テロに巻き込まれて昏睡状態になってしまった。そして、雪との約束を守れなかった裕翔は、周りから責めたわ。そして、自分自身も。」

真由美・摩利「・・・・・・・・」

咲「その後、裕翔が雪の代わりに、当主の座についたわ。でも、裕翔を味方してくれる人はいなかった。それ以来、裕翔はいつも1人だったわ。学校にも行かず、ただひたすら仕事に没頭していたわ。」

真由美(そんな、辛い人生を・・・・。)

咲から聞いた事に真由美はあの時裕翔に言われた事をようやく理解できた。

 

拉致されたあの日

裕翔「お前達と俺が生きてきた世界は違うんだよ。」

 

真由美(確かに、違う。)

と真由美は考えていた。

 

一方、裕翔は

裕翔「雪。兄ちゃんな、仕事で魔法科高校に通う事になったんだ。正直言って嫌だったけど、今は悪くないかなと思ってるんだよね。」

と俺は眠たったままの雪に対して話しかける。すると、俺は後ろからある人物の気配を感じる。そして、

裕翔「何のようだ。」

とその人物に対して聞く。そして、後ろを振り返る。

?「孫娘の見舞いに来ただけだ。」

裕翔「ふっ・・・・・。よくもまぁ、雪のことを孫娘だと言えるもんだなぁ。葉山忠敬。」

葉山忠敬。本家の葉山家の元当主であり、今は四葉家の当主四葉真夜の執事をしている。そして、俺や姉さん、雪の祖父だ。

裕翔「ここにアンタが来る資格はない。とっと、帰りな。」

忠敬「裕翔。お前は・・・・。」

裕翔「俺の前から失せろ!!」

忠敬「・・・・・。」

裕翔「今更何のようだ。父さんを本家から追い出し、父さんや母さんが死んだ時も俺や雪や姉さんに何も手を差し伸べてすらくれなかったアンタを俺は祖父だとは思わない。本家の利益しか考えていないアンタに俺や雪、姉さんを孫という資格はない!!」

すると、

咲「裕翔。何が・・・。」

そこに姉さんと真由美と摩利の3人が戻ってくる。

裕翔「姉さん。悪い、ちょっと嫌な客が来ちまった。」

咲「そのようね。それで、何のようですか。忠敬さん。」

忠敬「雪の見舞いに来ただけだ。」

咲「アナタにその資格があると思うんですか。父を見捨て、私達を助けてもくれなかったアナタに。」

忠敬「・・・・・すまないと思っている。」

と忠敬は言ってくる。それに対して、俺は

カチャ

デザートイーグルを取り出し、忠敬に銃口を向ける。

裕翔「ふざけるな!!何がすまないだ!!今まで、俺たちのことを気にしたこともなかったくせに!!」

と銃口を向たまま、俺は忠敬を怒鳴る。すると、

忠敬「裕翔。お前が私を恨む理由は分かる。だが、この際に言っておこう。裕翔。私と共に来なさい。真夜様がお前の事を気に入ってくださった。私と共に来れば、雪の治療の研究の資金も出すと言ってくださってる。お前の力は貴重なものだ。今お前を失うことは惜しいのだ。葉山家や四葉家にとってもだ。」

裕翔「ふっ・・・・・。それがここに来た理由か。どうせ、そんな事だろうと思ってたよ。やっぱりアンタは本家の利益のことしか考えていない。そんな、アンタについて行くなんて死んでもごめんだ。」

忠敬「裕翔。私は・・・・。」

と言おうとすると、

真由美「忠敬さん。」

と真由美が話しかける。

忠敬「これは、真由美様。お久しぶりでございます。」

真由美「久しぶりですね。忠敬さん。去年のパーティー以来ですね。」

忠敬「はい。その件ではお世話になりました。ところで、どうして真由美様がこちらに。」

真由美「葉山君は、私の友人です。葉山君には、色々とお世話になっているので。だから、今日はお引き取りをお願いします。」

忠敬「・・・・・何故でございましょうか。」

真由美「葉山君は、我が一族、七草家にとっても惜しい人物なのです。つまり、葉山君を狙っているのは四葉家だけではないということです。」

忠敬「・・・・・。」

真由美「これは、私の父である七草弘一から四葉家当主真夜様への伝言です。もし、葉山裕翔の親族もしくは、本人に手を出した場合、我々、七草家は十文字家と共に徹底的に四葉家を叩くとの事です。それでは、伝言よろしくお願いしますね。」

忠敬「かしこまりました。それでは、失礼します。裕翔、大きくなったな。」

裕翔「・・・・・・。」

そういうと、忠敬は帰って行った。

そして、忠敬が帰った後、

咲「ありがとうね。真由美ちゃん。」

姉さんは、真由美にお礼をずっと言い続けていた。

裕翔「で、さっきの事の本当なのか。」

と真由美か言ってた事について俺が聞くと、

真由美「本当よ。前の件で、私も十文字君も助けられたからね。だから、この前私のお父さんと十文字君のお父さんと話し合った結果、葉山の後ろ盾になる事にしたの。もちろん、頼みたいことがあったら何でも言ってね。」

裕翔「余計な事を。言っておくが、俺はどこの家にも着く気はないからな。」

真由美「良いのよ。それで。葉山君がこういった事が嫌いだということはよく分かった。だから、無理に十支族につかなくてもいい。ただ、いざとなった時は手を貸すということよ。」

裕翔「・・・・・・。」

俺は、黙り込む。すると、

咲「そろそろ、時間も時間だから、帰りましょうか。裕翔。アナタは先に帰りなさい。私は、2人を送って行くから。」

裕翔「・・・・・分かった。」

そう言うと、俺は眠っている雪に対して、

裕翔「また、来るからな。」

と雪の頭を撫でると俺は病室のドアに向かう。そして、病室から出る際に、俺は

裕翔「七草、渡辺。今日の件はできる限り黙っておいてくれ。」

と言い残し、俺は病院を出た。そして、病院の外に出ると、俺のスマホが急に鳴り出す。俺はすぐにスマホを取り出すと、スマホの画面には古田上官の電話番号が出ていた。俺は、すぐに電話に出ると、

古田『葉山君。休みの日に悪いが至急対応してほしい事がある。』

裕翔「内容は。」

古田『羽田空港で国際テロ組織である《インステッドウルフ》の日本支部が違法な取引を今日の20時に行うという情報が入った。直ぐに対応に当たってほしい。』

裕翔「分かりました。全ては、テロ組織の根絶ために。」

そう言うと、俺は電話を切り、指示された予定合流ポイントに向かった。そして、次の日ニュースにおいて、羽田空港の第8格納庫において謎の大爆発が報道された。表では格納していた旧式の旅客機でエンジンの不具合よる爆発が原因と言われている。だが、この件の裏で自衛隊の特殊部隊が動いていた事は自衛隊の一部しか知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第7話 仮想世界

長らくお待たせ致しました。今回の内容は、現在公開中の劇場版ソードアートオンラインプログレッシブー冥き夕闇のスケルツォのネタバレも含おり、お読みになる方はご注意及びご了承をお願いします。それではどうぞ!!


2093年5月10日

午前12時

生徒会室

魔法科高校に入学して早くも1ヶ月が経った。要約学園生活にも慣れ、それなりに良い日々を送れている。だがそれはコイツがいなければの話だ。

真由美「葉山くーん。連絡先交換しよう。」

裕翔「嫌だ。」

真由美「何でよ。」

裕翔「お前と連絡先交換したらとうなるか分かってるから。」

真由美「ちょっと、それどう言うこと!?」

と朝からこの真由美という七草家のお嬢様は俺の連絡先をしつこく求めてくる。

摩利「葉山。それくらい、教えてやれよ。」

アスナ「そうよ。真由美も裕翔君と仲良くなりたいから連絡先を聞いてるんじゃないの。」

と言ってくるが、

裕翔「余計なお世話だ。俺は、1人でそれなりの普通の学園生活を送れれば充分だ。それ以外は無用だ。俺は、もう食事を済ませたから失礼する。」

そういうと、俺は立ち上がり生徒会室を後にする。

 

そして、生徒会室に残ったメンバーは、

真由美「ハァ~。ダメね、どうしたら葉山君と仲良くなれるのかなぁ~。」

と真由美はため息を吐く。

キリト「まぁ、あそこまで言ってて頑なに断るとなると裕翔も大概だな。」

リズベット「そうようね。私達も学校以外で会うとしたら仮想世界の中だけだし。」

と呟く。すると、

真由美「えっ、桐ヶ谷君たち、学園以外でも会ってるの!?」

キリト「あぁ。でも、会ってると言ってもゲームの中だけどな。」

アスナ「私達は、ALO。アルヴヘイムオンラインって言う仮想世界のゲームでたまに会ってるの。」

摩利「それって、言わばお前達が巻き込まれたあのSAO事件と同じ感じのゲームじゃないのか。」

アスナ「うん。あの時は辛いこともあったけどね。それでも、あの3年間私たちが生きてたのはSAOって言う世界の中で生きてた。だから、その私たちが生きてた世界とは目を背けたくないからね。それに、今ALOではSAOでの世界も堪能できるから。」

キリト「七草達も、来てみれば分かるよ。それこそ、今日葉山も含めた何人かで集まって今週の金曜に行われるボス攻略について話し合うつもりなんだ。よかったら参加してみないか。」

真由美「えっ、でもボス攻略ってそれなりに上手いプレイヤーしか参加できないじゃないの。それに私、あまりゲームした事なくって。」

キリト「大丈夫さ。ボスって言ってもそんなに強いボスじゃない。今から頑張れば充分に間に合うさ。分からないことがあれば、俺たちが教えるし。」

真由美「じゃあ、お言葉に甘えて。」

摩利「私も参加させてもらうよ。」

真由美「後、十文字君も誘ってね。」

キリト「よし、じゃあ今日の20時に集合だ。」

こうして、仮想世界で集まることになった七草達だが、この事をまだ葉山はまだ知らなかった。

 

午後7時30分

七草邸

真由美「コレと、コレで良し。じゃあ、始めましょうか。」

そう言うと真由美はアミュスフィアを頭にセットし、

真由美「リンクスタート。」

と言う。それと同時にアミュスフィアが反応し、真由美は仮想世界へと入っていく。

 

真由美「え、ここは?」

真由美は、自分のアバターを設定し、目を覚ますとそこには人が沢山いる町にいた。

真由美「ちゃんと、入れたようね。でも、摩利や十文字君は・・・・。」

と辺りを確認していると、

?「真由美。」

と後ろから肩をたたかれる。

真由美「えっ?」

と後ろを振り向くとそこには良く知る顔があった。

真由美「摩利、十文字君!!」

そこにはこの世界にリンクしてきた摩利と克人の姿があった。

真由美「良かった〜。こういうの初めてだから不安で。でも、凄いわね。仮想世界なのに本当にこの世界の住民になったみたい。」

摩利「あぁ、本当に凄いな。」

克人「それで、この後桐ヶ谷達と合流すると聞いているのだが。」

と話していると、

?「ここだよ。」

と声が聞こえてくる。

3人が後ろを振り向くと、そこにはキリトとアスナが立っていた。

キリト「無事に入れたみたいだな。」

アスナ「みんな、予定通りね。」

キリト「じゃあ、みんなを紹介するから。着いてきてくれ。」

と言われると3人はキリトとアスナにこのALOについて説明を受けつつ、みんなが集まる場所に向かった。

 

午後7時40分

アインクラッド 5層のとある店

キリト「入るぞー。」

と5人が入る。

クライン「お、待ってたぜ。キリト、アスナ。」

アスナ「ごめんね。少し、遅くなって。」

リズベット「良いのよ。気にしなくて。」

と早速盛り上がっていると、

キリト「みんな、紹介するよ。俺やアスナ、リズベット、葉山のクラスメイトである七草と渡辺と十文字だ。」

と言うと、

真由美「七草真由美です。この世界では「Maumi」で名乗っています。種族はスプリガンです。初めての仮想世界ですが、宜しくお願いします。」

摩利「同じく「Mari」だ。よろしく頼む。」

克人「「Katuto」だ。まだ、分からないことがあるがよろしく頼む。」

と3人が自己紹介する。

リーファ「リーファって言います。リアルではキリト君の妹です。兄がいつもお世話になってます。よろしくね。」

クライン「俺は、クライン。風林火山とキルドリーダーもやってる。キリトとはマブダチだ。よろしくな。」

エギル「俺の名はエギル。歓迎するぜ3人とも。」

シリカ「私は、シリカって言います。真由美さん達のことは普段からアスナさん達から聞いています。よろしくお願いします。」

シバタ「俺はシバタって言います。よろしく。」

リーテン「リーテンって言います。よろしくお願いします。」

ミト「私はミトよ。3人とアスナや貴方達と一緒の第1高校に通ってるわ。と言ってもBホームだけど。」

と他のみんなも自己紹介する。そして、一通り自己紹介が終えると、キリトがあることに気づく。

キリト「あれ、葉山は?」

と聞くと、

リズベット「アイツは、少し仕事で遅れるって。」

とリズベットが返す。

アスナ「じゃあ、葉山君が来るまで少しみんなで親睦を深める為に葉山君のことについて話さない。」

と提案を出す。それに対して、

リズベット「それ良いわね。それぞれ葉山について知らないこともあるし。」

とリズベットが賛成したことがきっかけで葉山の事で話し合うことになった。

アスナ「じゃあ、最初はキリト君から。」

キリト「え、何で俺から。」

アスナ「だって、この中で葉山君と付き合いが長いのはキリト君だもん。」

とアスナ言うと周りも皆んなそうだと頷く。

キリト「分かったよ。俺が葉山と出会ったのはSAOがクリアされてすぐだった。俺たちはSAOがクリアされた後に決まった政府の担当者からカウンセリング受けてたんだ。」

それは今か6ヶ月前、キリトと裕翔が初めて出会った時の話である。

 

2021年11月29日

キリト「えっ、カウンセラーの一時変更ですか。」

菊岡「すまない。どうしても優先しなければならない仕事が入ってしまったんだ。」

キリト「いえ、謝らないで下さい。それで、担当されるカウンセラーは?」

と聞く。

菊岡「あぁ、そこは安心してくれ。私が最も信頼している人だ。それにキリト君と同い年だ。」

キリト「えぇ!?俺と同い年ですか。」

とキリトは驚く。

菊岡「うん。信じられないと思うが、君と同い年だ。名は葉山裕翔。詳しいことは言えないが、自衛隊に所属している。SAO事件が始まる前に何度か茅場晶彦とも接触している。そして、SAO事件後、SAOに関する事をかなり探っているようだ。」

キリト「茅場晶彦と!!」

菊岡「あぁ、だからキリト君が知りたい事も少しは知れるかもしれない。それにきっと彼なら君の力になってくれる筈だ。」

キリト「・・・・・。」

こうして、キリトと裕翔は出会う事になった。

 

2091年12月4日

午前10時

銀座

 

キリトは、裕翔と会う為にとあるカフェ来ていた。

キリト「葉山裕翔・・・・。」

呟いていると、

?「お前がキリトか。」

声をかけられる。

キリトが顔を上げると、そこには黒いコートを着たキリトと同い年くらいの少年がいた。

キリト「あぁ、そうだ。」

と返すと、

少年は椅子に座る。

キリト「ええと、貴方が葉山裕翔さんですか。」

と聞くと、

裕翔「あぁ。自衛隊に所属している葉山裕翔だ。少しの間だがよろしく頼む。」

キリト「あぁ、よろしく。」

裕翔「お前については菊岡さんから聞いてる。SAO内ではビーターと呼ばれ、攻略組でソロで挑み続け、最後には閃光のアスナとコンビを組み、SAOサバイバー達をクリアに導いた。また、コンビを組んでいた結城アスナは今も目を覚ましておらず、原因は不明。」

キリト「随分と調べてきたんだな。」

裕翔「仕事だからな。」

キリト「なぁ、聞いていいか。」

裕翔「何だ。」

キリト「アンタは茅場晶彦と何が目的で会ってたんだ。」

裕翔「・・・・・・3年前、事件が起きる前に俺は突然会った事もないのに茅場晶彦に呼び出された。アイツは、俺にこう聞いてきた。・・・・・・「君は、私がテロを起こすと思うか。」と。俺はこう返した。それは分からない。だが、アンタがテロ起こすのはそれなりの理由があるからだろうって返したよ。それこそ、お前は茅場晶彦いや、あのヒースクリフを倒した英雄だ。俺よりも長い間会っている筈だ。俺よりもそこのところは詳しいんじゃないか。」

キリト「生憎だが、長い間基本はソロでやってたから詳しいと言ってもクリア直前に共に数回戦ったくらいだ。」

裕翔「なるほど。で、お前はこれからどうするんだ。」

キリト「アスナを取り戻す。それだけだ。」

裕翔「原因不明で眠っている彼女をどうやって取り戻すんだ。」

キリト「方法はある。これを見てくれたら分かる筈だ。」

そう言うと、キリトは一枚の写真を出す。その写真には、檻のらしき中に閉じ込められた1人の少女の姿が写っていた。

キリト「これは、俺の知り合いがくれた情報だ。この写真が撮られたのはALOというゲームの中でだ。アスナはこのゲームの中にいる。必ず居る。だから、取り戻す。」

裕翔「・・・・・・。」

キリト「菊岡さんは言ってた。アンタなら力になってくれるって。」

裕翔「・・・・日が変わる12時に毎日ここに連絡しろ。情報共有だ。」

そういうと、裕翔は1枚の紙をキリトの前に置く。

キリト「・・・・・。」

キリトは黙って紙を手に取り、見るとそこには電話番号が書かれていた。

裕翔「12時だぞ。いいな。」

そういうと、裕翔な椅子から立ち上がる。

キリト「力を貸してくれるのか。」

裕翔「・・・・・菊岡さんからのお願いだ。本来ならこんな任務を受けるつもりはないんだが、俺も少しSAOにおいて気になる事がある。それじゃあ。」

そう言うと裕翔はカフェから出ていく。

 

午後12時

キリトの自宅にて

プルルルルルル

キリトは言われた通り裕翔に電話をかけていた。

裕翔『おう、予定通りだな。』

と裕翔が電話に出る。すると、

カタカタカタカタ

電話の向こうから何やらよくわからない音が聞こえてくる。

キリト「何やってるの。何やら、タイピングらしき音が聞こえてくるのですが。」

裕翔『あぁ、ちょいとハッキング中。』

キリト「しれっとやばい事言ってない。」

裕翔『こっちもさっきからSAOに関する情報を集めてるんだよ。あぁ、SAOからまだ何人か目覚めてないことはお前は知ってるだよな。』

キリト「あぁ。一応。」

裕翔『どうやら、この目覚めてない人たち何やらちょいとやばい件に巻き込まれる様なんだよね。それで、この件の主犯もある程度分かってきた。おそらく犯人は、レクト・プログレスの運営をやってる須郷・・・・。』

キリト「信之。」

裕翔『何だ。知ってるのかよ。』

キリト「アスナの昏睡状態を狙って、結婚をしようとしている。」

裕翔『・・・・・・なるほど。それを止めたいわけか。』

キリト「あぁ・・・・・。」

裕翔『・・・・・・キリト。お前は自分にやれる事をしろ。あとはこっちで何とかする。』

そう言うと、電話は切れる。

 

それから4日後

12月8日

午後10時

キリトは見事アスナをALOから救い出す事に成功した。しかし、アスナが入院している病院で須郷信之の待ち伏せを受けた時、

須郷「死ねー!!」

キリト「・・・・くっ!!」

パーン

1発の銃声が鳴り響く。

カーン

それと同時に須郷信之の手からナイフが落ちる。

須郷「っ!!」

すると、

裕翔「動くな!!」

キリトの前に拳銃を持った裕翔姿があった。

キリト「葉山・・・・。」

裕翔「キリト、コイツは俺が見ておく。だから、行け。」

キリト「ありがとう。」

そう言うと、キリトは病院に向かっていく。

裕翔「須郷信之、殺人未遂で逮捕する。」

そう言うと、裕翔は須郷信之の腕に手錠をはめる。

これが、裕翔とキリトが出会った時の物語だ。

 

そして、今に至る。

キリト「アスナが戻ってきてからもアイツは何度か様子を見に来てくれて、皆んなの相談役にもなってくれて。口は悪いけど、俺やアスナにとって恩人でもあるからな。」

と過去の話を話していると、

?「何、勝手に人の過去を話してるだよ。」

と聞き覚えの声が聞こえてくる。

キリト「ゲェ・・・・・葉山。お前、来てたのか。」

と振り返りつつ、キリトが言う。

裕翔「あぁ、1分前からずっといたよ。それで、お前・・・・。」

と裕翔がゆっくり横を見ると、そこには真由美達の姿があった。

裕翔「おい、これはどう言う事だ。何で、七草達が居るんだよ。えぇ・・・・。」

と裕翔はキリトの胸ぐらを掴む。

キリト「いや、今回のボス攻略で3人がデビューしてもいいんじゃないかと思ってな。」

裕翔「ボス攻略まで後4日だろ!!それまでにどうやってレベル上げをするんだよ!!」

と言っていると、

アスナ「まぁまぁ、そこはみんなが協力して手伝ってあげればいいだけじゃない。とりあえず、3人に合う武器を決めて、そこからボスの攻略について話し合いましょ。」

とアスナが仲裁に入ってくる。

裕翔「・・・・・っ!!分かったよ。」

こうして、3人のメイン武器を決める事について話す事になった。

 

午後8時12分

皆んな合流してから俺はキリト達や新人の真由美、摩利、克人の3人のために得意なところなどを話しつつ、武器を考えていた。

そして、真由美は弓矢、摩利はフェンサー、克人は大楯と両手斧をそれぞれ左右に持つ形で決まった。

アスナ「それじゃあ、後は誰がそれぞれ3人を担当するかね。」

とアスナが提案してくる。

裕翔「えっ、それって誰かが武器の扱い方を教えるって事。」

アスナ「うん、誰かが手伝ってあげないと。そうね、摩利は私が担当するわ。同じスピード系の武器を使ってるから。じゃあ、克人君は・・・・・。」

エギル「俺が教えよう。同じ、武器を使ってるからな。」

アスナ「じゃあ、残りの真由美の担当は・・・・裕翔君お願いできる。」

裕翔「はっ!?」

アスナ「だって、裕翔君メインはソードだけど、サブは弓矢でしょ。最適じゃない。」

裕翔「いやいや、ふざけんな!!おい、キリト!!お前も何か言え!!お前の彼女だろ!!」

と言うと、

キリト「裕翔・・・・・諦めて、運命を受け止めろ。」

とキメ顔で言ってくる。

裕翔(コイツ・・・・・。)

と思っていると、

アスナ「じゃあ、これて決まり!!さあ、今からボス攻略の会議を始めましょ。」

と言うと、皆んな切り替えて席につき始める。

裕翔「ハァ〜。」

と俺がため息をつくと、

真由美「葉山君。よろしくね。」

と笑顔で言ってくる。

その後、ボスについて攻撃パターンや弱点について情報が共有され、5層の迷宮ののボスはゴーレム。額の紋章が弱点だが、ボスのライフが最後の1本になるまでは手や足での攻撃が続く。また、その間にも足や手の何処かに紋章があり、常に動き続けている。それを見つけ確実にダメージを与えることが今回の攻略のポイントだ。攻略には多くのプレイヤーが参加する。それまでに真由美をある程度ボスに対処出来るようにしなければならない。そして、この時から俺と真由美によるボス攻略に向けたレベル上げや武器の強化や、スキルの習得などをやり続けた。そして、

 

ボス攻略前日、

5層の地下ダンジョン

裕翔「そっち行ったぞ!!ちゃんと、仕留めろよ!!」

俺はボス攻略前日まで真由美の強化を手伝っていた。そして、今目的のモンスターを何とか追いやって真由美が仕留めやすいポイントまで誘導しているところだ。そして、

真由美「ハァ!!」

シュッ!!

タッ!!

パリーン

真由美が放った矢は、見事命中し、モンスターは砕け散る。

そして、真由美はモンスターからドロップした物を確認する。すると、

真由美「良し。これで出来る。」

と真由美がつぶやく。

裕翔「目的の物は落ちたか。」

真由美「うん。これで、ボス攻略に参加できるね。」

裕翔「そうだな。とりあえず、今日はもう戻ろう。ここで、死んでアイテムドロップはごめんだしな。」

真由美「そうね。」

そう言うと、真由美と俺は、地下ダンジョンを後にする。

 

午後9時

5層の転移門前

俺と真由美は、地下ダンジョンを出てから明日のボス攻略に向けて最後の確認を行なっていた。

裕翔「よし、これで問題ないな。じゃあ、今日はもう休もう。明日も学校があるし。」

と確認を終え、俺がログアウトをしようとすると、

真由美「葉山君!!」

と呼び止められる。

裕翔「ん?」

真由美「ねぇ、この際に連絡先を交換しない?」

と言ってくるが、

裕翔「嫌だ。」

と返す。

真由美「どうしてよ!!」

と頬を膨らませて言ってくるが、

裕翔「ロクな事がないって分かってるから。」

真由美「それって、どう言う意味!?」

裕翔「そのままの意味。」

真由美「じゃあ、葉山君よりも私のトータルダメージが多かったら教えるって条件はどう。」

裕翔「・・・・・分かったよ。」

とこのままでは納得しないと思って俺はそう返事を返す。

真由美「じゃあ、明日よろしくね。」

と言うと笑顔で手を振りながら真由美はログアウトしていく。

それを見届けた俺は、

裕翔(あの笑顔何処かで見たことがあるような・・・・・まぁ、いっか。)

と思いいつ俺もログアウトして自宅のベッドで眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご愛読いただきありがとうございます。次回は、ボス攻略戦です。皆様は、劇場版SAOを見に行きましたか。自分は、公開初日に観に行きました。キリトとアスナの戦い振りには興奮しました。是非、まだ観てない方は観に行ってみて下さい。それでは次回もお楽しみに!!


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第8話 パートナー

今回も前回に続き、ネタバレ注意です。それでは、どうぞ!!


2093年5月15日

午後7時

ALO アインクラッド5層 迷宮区ボス部屋の前

 

ガヤガヤ

多くのプレイヤーがボス攻略に向けて集まる中、俺やキリト、アスナ、真由美、克人、摩利達も最後の準備をしていた。

裕翔「いよいよだな。」

キリト「あぁ、皆んなボス攻略までに間に合ったからな。」

と言うと、キリトは今回ボス攻略初の真由美、克人、摩利の方を見る。すると、

キリト「ん?七草が持ってるあの弓、見たことない武器だな。新武器か。」

裕翔「あの武器は、七草のオリジナルだ。」

キリト「えっ!?マジで・・・・。」

裕翔「あぁ。」

キリト「お前、僅か4日間でそこまで鍛えたのか。」

裕翔「仕方がなかったんだよ。真由美の弓矢の使い方が特殊でオリジナルじゃないと、多分逸れ武器で困る事になる。だから、素材を集めてリズに作ってもらったんだよ。」

キリト「いつの間にそんな事を・・・・。」

裕翔「まぁ、後はアイツ次第だ。」

と話していると、

ピロン

俺の元にパーティー申請が届く。

裕翔「ん、こんなタイミングに誰が。」

と送ってきた相手を確認していると、

裕翔「ハァ〜。」

ため息をつき、真由美の方を見ると、笑顔でウインクする真由美の姿があった。

それを見た俺は、

裕翔「仕方ない。」

と言い、パーティー申請の了承ボタンを押す。

そして、それ確認した真由美は、再びウインクしてくる。

そして、遂に

「これより、第5層のボス攻略を開始する。全員!!気合を入れていくぞー!!」

「オオオオー!!」

と代表者による始まりの合図共に次々とプレイヤーがボス部屋へ突く階段を登っていく。そして、俺たちもそれに続く。

そして、ボス部屋に上がると同時に

ズドーン

ズドーン

早速、ボスによる攻撃が開始される。

裕翔「チッ!!」

俺は階段を上り終えると同時に、前に出て攻撃してくる手や足をに向かって斬撃をいれつつ、弱点である紋章を探す。すると、

真由美「裕翔君!!紋章は、まだ顔の額にあるわ。」

と言ってくる。そして、俺は天井を見ると、そこには不気味な笑みをしたゴーレムの顔があった。そして、地面にあるラインを踏むと、それに反応して手や足による攻撃がくる。しかし、

「うわわああああー!!」

エギル「まずい、足による攻撃で前衛がスタンした!!」

何と、ここで攻撃する事に夢中になっていた前衛のプレイヤーが足による攻撃でスタンをしてしまう。

キリト「葉山!!俺はカバーにはいる。援護を!!」

裕翔「了解!!」

そう言うと、俺は装備からもう一つの刀を取り出し、2刀流で攻撃を開始する。

裕翔「エギルとクラインは、スタンしたプレイヤーを後方へ!!アスナとリーファは、スタンしたプレイヤーの回復を!!真由美、摩利、シリカ、リズは、そのままボスへの攻撃を!!シバタとリーテン、ミト、十文字はクラインとエギルのカバーをしてくれ!!」

と俺は指示を出す。

そして、

キリト「ハアアアアアアアア!!」

裕翔「ウオーーー!!」

俺とキリトは、とにかくボスに対してダメージを与え続ける。

 

一方、真由美は、

シュッ

シュッ

シュッ

ボスの手や足をに対して矢を当て続ける。しかし、裕翔やキリトとは違い威力は圧倒的に低い。

真由美「・・・・ダメ。やっぱり、弱点を狙わないと。」

と呟くと、真由美は天井にある。バスの顔を見てると、

サッ

一気に前に出る。

そして、

真由美「十文字君!!」

と叫ぶ。

克人「!!」

真由美「カウンターシールドスキルで、私を天井まで打ち上げて!!」

と伝える。

克人「分かった。」

そう言うと、克人は天井に向かってシールドを構える。そして、

真由美「お願い!!」

と真由美がジャンプし、真由美の左足が克人のシールドに触れた瞬間、

克人「ふん!!」

とカウンターシールドスキルを発動する。それと、同時にスキルにより真由美は、天井へと空高く飛ぶ。そして、

真由美(狙うのは、落ち始めるタイミング。ここで、一気にダメージを与える。)

そう言うと、真由美は、弓で狙いを定める。そして、体が下へと落ち始めた瞬間、

真由美「当たって!!」

シュッ

と真由美は矢の先に爆発魔法がついた矢を放つ。そして、

タン

ドガーン

見事に矢は、ボスの顔の額に命中し、爆発する。これにより、ボスのライブが4本から3本へと減少する。

「凄え!!あの弓使い、天井のボスの弱点にダメージを与えやがった。!!」

「何者だよ!!あの弓使い!!」

ボス攻略に参加している全プレイヤーが活気の声を上げる。しかし、

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ビー

ボスのゴーレムの目が光り始める。

キリト「ビーム攻撃がくるぞ!!」

キリトが叫ぶ。しかし、まだ下へと落ちている最中の真由美は、すぐに回避ができない。

 

一方、それを見ていた裕翔は、

裕翔「チッ・・・・・エギル!!」

と俺は叫ぶ。

エギル「何だ!!」

裕翔「お前の斧で、俺は真由美のとこまで飛ばせ!!」

と言うと、エギルは真由美の方向を確認するが、

エギル「無理だ!!届かねえ!!」

裕翔「可能な限りでいい!!やれ!!」

エギル「どうなっても、知らないぞ!!」

裕翔「上等だ!!」

と言うと、俺はエギルの斧に向かってジャンプする。

エギル「いくぞ!!」

そう言うと、エギルは斧をバットように振る。それにより、俺は真由美に向かって飛んでいく。

すると、

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

突如、天井からボスの足が落ちてくる。

裕翔「・・・・・。」

しかし、俺はその落ちてくる足に向かって、

裕翔「これで、どうだ!!」

と空中でソードスキルを発動させる。そして、

キンッ

足による攻撃を弾き、落ちる場所をずらす。

そして、

裕翔「七草!!」

と叫ぶ!!

真由美「葉山君!!」

裕翔「掴め!!」

と俺は手を出す。

それに対して、真由美も手を伸ばしてくる。

そして、

ガシッ

何とか真由美を捕まえる事ができた。そして、そのまま勢いでで車線から外れた瞬間、

ピュッン!!

ズドン

ボスのビーム攻撃が地面へと着弾する。

裕翔「危ねえ。」

と言うと、俺は真由美共にそのまま、地面へと着地する。

タッ

着地成功すると、俺と真由美は一度後方へと下がる。

アスナ「良かった。2人とも無事なようね。」

と後方でプレイヤーの回復を担当しているアスナが出迎えてくれる。

裕翔「あぁ、ギリギリだかな。」 

と話していると、

パリーン

と後ろから何かが砕け散る音が聞こえてくる。

裕翔「!!」

俺は、後ろを見ると、真由美の手にあったはずのオリジナルの弓矢が砕け消えていく様子だった。

真由美「・・・・ごめん。葉山君。葉山君が必死に手伝ってくれできた弓なのに。」

と悲しそうな顔で真由美が謝る。さっきのビーム攻撃の回避する事ができたが、どうやら真由美の弓は、ビーム攻撃の射線から外れておらずそののまま弓に当たり、壊れてしまったのだ。悲しむ真由美の姿を見た俺は、

裕翔「・・・・・・。」

ピッ

ピッ

自分のアイテムボックスからある物を取り出す。

裕翔「七草。これを使え。」

そう言うと、俺は真由美に1つの木と水晶でできた弓を差し出す。

真由美「これは・・・・葉山君の・・・・・弓。」

そう。俺が真由美に差し出した弓は、俺が持ってる弓の中で最強レベルまでに強くした弓なのだ。攻撃力は、片手剣と同等であり、連写速度は、レイピアの速度にも負けないほどだ。そして、初速は現実世界でいうスナイパーライフルと同等で、近距離戦でも充分に対応できる俺オリジナルの弓。名はウインドコールド。真由美には、弓の使い方を教える際にこの弓を見せていたのだ。

真由美「でも・・・・・これは葉山君が頑張って手に入れた・・・・。」

裕翔「俺よりも七草が使った方がマシだ。俺はサブで弓を使ってるだけで基本は剣だ。弓がメインの方のお前に向いてる。」

真由美「・・・・・ありがとう。」

そう言うと、真由美はウインドコールドを手に取る。 

裕翔「それじゃあ、行くとしますか。」

真由美「うん。」

そう言うと、俺と真由美は前線に戻る。

前線では、まだキリト達が必死に戦っていた。

裕翔「キリト!!ボスの様子は!!」

と聞くと、

キリト「今は、顔の紋章が消えて、足や手を動き回ってる!!」

裕翔「分かった!!七草、紋章を!!」

真由美「分かった!!」

そう言うと、俺はボスによる攻撃を引きつける。

ズドーン

ズドーン

ズドーン

次々に手足が攻撃をしてくる。それを回避し、弱点の紋章を探す。

摩利「あったぞ!!」

と摩利の声が聞こえてくる。それを聞いた俺は摩利が指を刺す方を見ると、手に描かれているラインを動き回る赤く光る紋章が目に入る。

裕翔「七草!!」

真由美「了解!!」

そう言うと、

シュッ

真由美が放った弓は、もの凄い速度で紋章に向かって飛んでいく。そして、

タァッーン

矢は紋章に命中し、ボスのライフケージが一気に減っていく。

リズ「やった!!」

キリト「このままいくぞ!!」

皆んな「オオオオー!!」

一気に皆んなの士気も上がっていく。そして、

摩利「ハアアアアアアアア!!」

シリカ「やあああー!!」

皆んなの協力もありライフを残り、1本までに減らす事ができた。

そして、

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

シバタ「来るぞ。」

今までバラバラだったボスの手や足、顔が纏まり、ボスの正体が露わになる。そして、

キリト「皆んな、とりあえず後方へ!!」

とキリトが指示をだす。そして、

ズドーン

全プレイヤーが後方へと下がり終えるとほぼ同時に強大なゴーレムが降りてくる。今までとは違い、しっかり上半身と下半身があり、俺たちを上から見下ろしている。

そして、俺たちが体勢を整え、武器を構えると、

アスナ「キリト君。私も前に出るわ。」

と後方で回復を務めていたアスナも武器を構える。そして、

キリト「これがラストだ!!行くぞ!」

と言うと、

皆んな「オオオオー!!」

と声を上げ、

そして、

タッ

「ウオーーー!!」

全員、一気にボスに向かっていく。すると、

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ボスも攻撃体制に入り、俺たちに向かって下から大きな拳が迫ってくる。

裕翔「回避!!」

と俺が叫ぶと、俺の隣を走っていた摩利、真由美、克人はすぐに回避する。しかし、

「うわあああー!!」

そこから後方にいたプレイヤー達は回避が間に合わず、大きく後ろへと吹き飛ばされる。

裕翔「チッ・・・・。」

すると、

ミト「裕翔!!上よ!!」

とミトが叫ぶ。

俺はすぐに上を見ると、

ボスの目が光っており、その目は俺の方を向いていた。

裕翔「マズイ!!」

と回避しようとするが、

ピュッン

ドガーン

間に合わず、ビームが着弾する。しかし、

裕翔「・・・・・・十文字。」

克人「大丈夫か。葉山。」

そこには、俺を庇うように大楯を構える克人の姿があった。

克人「防御は任せろ。一歩たりともお前に攻撃は当てさせん。」

その言葉に、

裕翔「そうか。・・・・・頼んだぜ!!」

そう言うと、俺は再びボスに向かっていく。

裕翔「行くぞ!!相棒!!」

真由美「了解!!」

裕翔「渡辺!!十文字の援護を頼む!!」

摩利「任せろ!!」

そして、俺と真由美は、そのままボスに向かっていく。すると、

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

再び、ボスによる下からアッパーパンチが俺たち向かってくる。しかし、

キンッ

俺は黙って、正面からくる拳をソードスキルで弾き返す。それにより、ボスは体勢を一時崩す。その瞬間、

裕翔「スイッチ!!」

と言うと、俺は頭を下げる。それと同時に、

真由美「もらったわ!!」

と言いつつ、俺のすぐ後ろで弓を構えていた真由美が、ボスの弱点を狙う。そして、

シュッ

また、スキルによる一撃がボスの弱点に向かって飛んでいく。そして、

ズドーン

命中と共に大きな土煙が上がる。しかし、これほどの一撃を与えてもまだごく僅かにボスのライフは残っている。

すると、

ゴゴゴゴ

今度は、ボスが両手の拳を強く握りしめた状態で、腕を高く上げる。しかし、攻撃範囲にはまだ、多くのプレイヤーがいた。しかし、

ズドーン

ボスの両手がすごい勢いでプレイヤーがいた所に叩きつけられる。そして、その攻撃範囲から大きな土煙が上がる。しかし、

裕翔「・・・・・!!」

そこには、防御スキルで押し潰されそうになりながらもプレイヤーを助けるためにボスの拳を防ごうとするプレイヤーの姿があった。

リーテン「くっ・・・。」

シバタ「チッ・・・・。」

克人「・・・・ッ!!」

それは、シバタ、リーテン、克人だった。すると、

シバタ「今のうち、ボスの弱点を!!」

とシバタが叫ぶ。

それを聞いた俺は、

裕翔「分かった!!行くぞ!!真由美!!」

真由美「えぇ!!」

そう言うと、俺たちはボスの右腕に向かっていく。

すると、

クライン「しっかり決めろよ!!裕翔!!」

とクラインの声が聞こえてくる。

そして、ジャンプし、ボスの右腕をつたって俺と真由美は、ボスの弱点がある顔の額の紋章に向かっていく。すると、左腕からは、キリトとアスナがボスの顔へと向かっていく姿が見える。そして、俺たちと目が合うと、キリト達が頷く。そして、ボスの方まで行くと、

俺たちは俺と真由美はジャンプし、弱点の額に狙いを定める。そして、キリトとアスナも同様に弱点目掛けてジャンプする。そして、

キュイーン

俺を含めキリト、アスナ、真由美も同時にスキルを発動させる。そして、

裕翔「くらいやがれ!!」

キリト「でゃあああああー!!」

アスナ「ハァァァアア!!」

真由美「当たれー!!」

ズドーン

全力でぶつけたスキルによる4人の最後の一撃はボスの弱点である赤い紋章に直撃する。

スタッ

俺たち4人そのまま、ボスの後ろに着地する同時に

ゴゴゴゴ

ボスは顔から縦に真っ二つになり、最後はカラスのように砕け散る。

そして、

ピロン!!

攻略に参加していた全てのプレイヤーにボスを倒したと言う表示が目の前に現れる。それを見たプレイヤー達は、

「よっしゃー!!」

と一斉に歓喜の声を上げる。

アスナ「キリト君!!やったよ!!」

と隣のカップルは抱き合う姿を見た俺は、

裕翔「ふぅ~。」

と地面に座り込む。すると、

真由美「裕翔君。」

と真由美が呼んでくる。そして、

真由美「お疲れ様。」

と言ってくる。そんな真由美に俺も

裕翔「お互いな。」

と言うと、

パシッ

とハイタッチをかわす。すると、

摩利「真由美!!裕翔!!」

と克人、摩利も集まってくる。

真由美「摩利!!」

摩利「やったな!!」

と2人ともボス攻略に喜びあう。

克人「良くやったな。流石だな。」

と克人も声をかけてくる。

裕翔「お前の防御の件も負けてないよ。」

克人「そうか。」

と話していると、

クライン「おーい!!」

と皆んな集まってくる。

エギル「コングラッチュレーション!!やったな。4人とも!!」

リーファ「お疲れ様!!アスナさん、お兄ちゃん、真由美さん、裕翔君。」

シリカ「最後の一撃お見事でした。」

と皆んなからも褒めてもらっていると、

「なぁ、少し良いかな。そこの最後に一撃を決めたアーチャーの子に用があるんだけど。」

ととあるプレイヤー集団が声をかけてくる。

真由美「何か。」

「途中のボスに対する攻撃といい、最後の一撃見事だった。良かったら、うちのギルドに入ってくれないか。」

真由美「えっ!?」

「君さえよければ、入ってくれないか。」

と勧誘してくるが、真由美は、

真由美「すいません。私は、今週からこのゲームを始めたばかりで、お気持ちはありがたいのですが今はお断りさせて頂きます。」

と断る。

「そうか。なら、仕方ない。いつでも歓迎するから。」

と言葉を残すと、そのプレイヤー集団は、開かれた第6層の階段へと上がっていく。

キリト「良かったのか。せっかくの勧誘を断って。」

とキリトが聞くと、

真由美「うん。私はやっぱりこのメンバーでやっていく方が楽しいと思うから。それに、裕翔君からこの弓をもらった件もあるし。」

と言うと、真由美はみんなにウインドコールドを見せる。

クライン「あっ、それって裕翔が持ってた最強の弓じゃねぇーか!!」

とクラインが言う。

キリト「へぇー、あまりちゃんと見てなかったから・・・・・って、ええ!!」

キリトが叫ぶ。

キリト「裕翔、お前これ片手剣並みの攻撃力あるじゃないか!!しかも、このスピードいいこの弓をあげるっていいのかよ!!」

と言ってくるが、

裕翔「良いんだよ。俺もメインは剣なんだから。また欲しくなったら素材集めてコツコツ頑張るから。」

と言うと、

裕翔「よいしょっと!!じゃあ、俺は先に上に行くぞ。アククディベートもあるし。」

と言うと、俺はそのまま皆んなをおいてそのまま6層に向かった。そして、そのまま皆んなに会うことなく、俺はログアウトした。

 

午後8時30分

裕翔「ハァ〜。疲れた。」

俺はログアウトしてから、リビングでゆっくりしていた。

裕翔(今日は、それなり楽しめたな。)

と思いつつ、俺はスマホを見ると、

キリト『葉山へ。さっきはお疲れ。お前、真由美との約束忘れてないか。明日、エギルの店でみんなで打ち上げをするけど良かったら来ないか。待ってるぞ。』

とキリトからメールがきてた。

裕翔「あぁ〜、約束忘れてたな。」

と言いつつ、俺は明日の予定を確認していると、

ブーーーーーーーーーーー!!

とスマホが鳴り始める。俺は直ぐに出ると、

裕翔「もしもし・・・・・了解しました。直ぐに向かいます。」

と言うと、俺はいつもの様に刀と武器用意して家を出た。

 

翌日

午後5時

エギルのお店

『昨晩、午後8時30分に起きたテロ組織による攻撃で東京の湾岸部分で一時警察と自衛隊による大規模な衝突が起きました。戦闘は、1時間ほどで止んだものの、死傷者は、テロ組織の人員も含めて数十人にも及んだと報告が入っており、政府はさらなる対策を進めていくと公表しています。』

とニュースによる報道が流れる。

クライン「また、テロかよ。全く、ここのところ多いな。」

エギル「仕方ない。魔法やSAOの事件による差別が増している。テロが起きるのも、致し方ない。」

キリト「でも、その度に犠牲が出る。」

アスナ「そういえば、今日裕翔君学校に来てなかったけど、もしかして・・・・・。」

そう言うと、アスナはテレビを見る。

克人「ありえるな。アイツなら。」

真由美「・・・・裕翔君。もしかして・・・・・・。」

と話していると、

カランカラン、

と店のドアが開く。そして、

裕翔「来たぞ。」

と裕翔が店に入ってくる。それと同時に一気に店内は静かになる。

裕翔「・・・・・・何かあったの?」

と裕翔が聞くと、

クライン「お前、心配させんじゃねーよ!!」

クラインが絡んでくる。

そして、店内は一気に明るくなる。

キリト「まぁ、アイツが簡単に死ぬわけないよな。」

とキリトがつぶやく。しかし、裕翔の頬には、絆創膏が貼られていた。それを見た真由美は、

真由美「葉山君、もしかして昨日の・・・・。」

裕翔「あぁ、ちょっとな。まぁ、気にするな。仕事をしただけだ。それより、さっさと打ち上げを始めるぞ。」

と言うと、裕翔はそのまま、席に着く。そして、

キリト「じゃあ、第5層の突破及び、新たな3人の仲間のデビューを祝って・・・・乾杯!!」

皆んな「乾杯!!」

と打ち上げが始まった。そして、打ち上げの途中で、

裕翔「七草。これ、約束の件。置いておくぞ。」

と裕翔は真由美に一枚の紙を渡す。真由美がその紙を開くと、そこにはメールアドレスが書かれていた。

真由美「え、でも。トータルダメージが上回ったらって話じゃ。」

裕翔「お前が・・・・上だった。」

真由美「えっ!?」

と真由美が聞き直す。

裕翔「お前の方が3つ上だったんだよ。」

と裕翔は言う。

それを聞くと、

真由美「/////////ー!!」

ととても嬉しそうな顔をする。

こうして、真由美、摩利、克人も無事に仮想世界のゲームにおいてのデビューを果たのだ。ちなみに、その後キリトが裕翔に勝手に黙ってALOに招待した件で裕翔に説教を食らったのはまた、別の話。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご愛読ありがとうございます。次回もお楽しみに!!


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第9話 強者

お待たせしました。第9話です。それではどうぞ!!


2093年5月25日

午前7時30分

4月に比べて少し肌寒い日々は終わり、本格的に暖かくなってくるこの時期、未だに俺は学園では周りから目の敵にされ、孤独な日々を送っている。だがそれでも少しではあるが、いつの間にか忘れていた学校での日々の感覚を思い出してきていた。

裕翔「ハァ〜、今日も気楽に過ごしましょうかね。」

と登校と朝早くに登校し、誰もまだ来てない自分の教室で自分の席に着く。

すると、

真由美「はーやーまーくーん。」

といきなり、後ろから抱きつかれる。

裕翔(あぁ、鬱陶しい奴が来た。)

と思いつつ、

裕翔「何の用だ、脳天気女。」

と返す。

真由美「酷〜い!!どうして、そんなにわたしにはそんなに冷たいのよ!!」

裕翔「ウザくて、鬱陶しいからに決まってるだろ。」

真由美「もう、どうしていつもそんなに冷たいのよ。女の子には、もう少し優しくするとか・・・・・。」

裕翔「俺がお前に優しくする理由がない。」

真由美「・・・・・・。もう、その態度をどうにかしないとこれからずっと学校でひとりぼっちのままだよ。」

と言い合いをしていると、

キリト「相変わらずだな。」

とキリトが入ってくる。また、その後ろには

アスナ「2人ともおはよう。」

とアスナも入ってくる。

真由美「桐ヶ谷君、アスナおはよう。」

と真由美も返す。すると、キリトが

キリト「葉山、少しは七草ともう少し仲良くしたらどうだ。少なくとも5層のボスを一緒に攻略した相棒だろ。」

裕翔「それは、仮想世界の中の話であって、現実世界には関係ない。ふぁ〜。」

とあくびする。

キリト「寝れてないのか。」

裕翔「まぁな。ここのところ出撃が多くて。」

アスナ「昨日も、テロ関係の事件があったよね。」

真由美「私の父から聞いたところだと、最近は魔法差別だけじゃなくてSAOによる差別受けた人たちもテロ組織を支持してるみたい。」

キリト「そんなことしても、何も生まないのになぁ。」

と話していると、

ブーーーーー、ブーーーーー、ブーーーーー

と電話の音が鳴り響く。

真由美「葉山君、鳴ってるわよ。」

裕翔「あぁ、今出るよ。」

そう言うと、俺はスマホを取り、電話に出る。

裕翔「はい、葉山です。・・・・・・・・・はい。分かりました。こちらもその件に関して警戒しておきます。はい。了解しました。失礼します。」

と電話を切る。すると、

真由美「今の古田上官から?」

と聞いてくる。

裕翔「ああ、お前たちは俺の正体を知ってるから教えてやるよ。ここ最近テロリスト達は全て傭兵だと分かった。」

真由美「どう言うこと。」

裕翔「テロ組織が傭兵を雇って、その傭兵達に施設などの襲撃させてるって事だ。だから、ここ最近続いてるテロによる事件を起こしているのは傭兵で、その裏でテロ組織が指示を出してるってことだ。」

キリト「じゃあ、テロ組織が直接手をくだしてるわけじゃないってことか。」

裕翔「そうだ。傭兵だと、テロ組織との関係を掴むことは難しい。それに、金を払うだけで動く。厄介な相手だ。それに、傭兵の中にもごく稀に強者もいる。油断できない相手だ。」

真由美「対策とかないの。」

裕翔「古田上官は、現状裏で指示してるテロ組織が明らかになるまでは・・・・・。」

と言いかけた途中で、

「おはよう。」

と他のクラスメイト達が教室に入ってくる。

裕翔「ここからは、また後で話す。」

そう言うと、俺たちはテロ組織に関する話を辞めた。そして、その後はいつも通り昼休みを迎えた。

 

午前12時

生徒会室

摩利「それは、本当なのか!?」

真由美「摩利、声が大きい。」

摩利「あぁ、すまない。」

昼休みになってから、俺は克人と摩利、そしてミトにも伝えた。

裕翔「事実だ。テロリストしては随分と頭が利く。」

克人「このまま、このような事が続けば、最悪3年前の事態になりかねない。」

裕翔「大亜連合による沖縄侵攻か。あの戦いでは、自衛隊でも多くの死者を出した。最後は、国防軍が、魔法で対処してどうにかなったが。また、あの時と同様な事態は避けたい。」

と俺が言うと、

ミト「ねぇ、沖縄侵攻って国防軍が対処したって言ってるけど、どのような対処だったの。」

と聞いてくる。

裕翔「対処と言ってもただ攻めてきた大亜連合の艦隊を全滅させただけだ。まだ、分かってない事もあるが艦隊を全滅させたのは、戦略魔法によるものだ。国防軍の人間が一発の戦略魔法を使用した。それが原因で大亜連合の艦隊は全滅した。これを俺たちは悪魔の力とも言ってるが。」

真由美「それって、5年前の・・・・・。」

裕翔「分からない。同一人物によるものなのか、また同じほどの力を持った者なのかは。」

と話すと、

全員「・・・・・・・。」

とみんな黙り込んでしまう。すると、

真由美「ねぇ、話が変わるんだけど皆んなパーティーとか興味ある?」

キリト「パーティー?」

真由美「うん、十文字君のところには来てると思うけど今週の土曜日にね。魔法関連のパーティーがあるの。よかったら皆んな来ない?」

と聞いてくるが、

裕翔「なぁ、七草。それって結構、魔法関連のお偉いさんが集まるんじゃないか。七草や十文字と言った十支族も来るんじゃないか。」

真由美「あぁ、うん。来ると思う。」

裕翔「俺はパスする。」

そう言うと、俺は席を立ち上がり生徒会室を出ようとする。

すると、

真由美「おねが〜い。一緒に来て。」

と足にしがみついてくる。

真由美「葉山君がこう言うの嫌いなのは分かってる。でも、お父さんが連れて来いって・・・・。」

半分、涙目で言ってくる。

裕翔「なら、最初からそう言え!!まどろっこしい!!」

真由美「来てくれる?」

裕翔「・・・・・・七草家の当主直接からだろ。だったら、行くしかないだろ。断っても、古田上官から行くように言われるだろ。お前の親父、ウチとコネがあるからな。」

真由美「アハハハ・・・・・。」

に真由美は誤魔化すかのように苦笑いする。

裕翔「今回は、行くが今後は考えさせてもらう。俺も一応、雪と親父から任された家があるからな。」

と言うと、俺はその後、直ぐに生徒会室を出て、それからは普段通りに授業が全て終わり、いつも通り仕事場に向かった。

 

そして、その日の夜、

午後11時24分

東京湾港地区の工場地区

バタバタバタ

俺は、部下と共にヘリの中に居た。

裕翔「こちら、悪魔。間もなく予定ポイントに到着する。状況を知らせよ。オーバー。」

司令部『了解!!現場では、既に警察達との交戦が始まっている。特殊部隊の君達は、敵の制圧及び味方の援護だ。敵はおそらく前回と服装が変わってないことを見て、おそらく傭兵だ。よって、判断は隊長の君に任せる。幸運を祈る。司令部アウト。』

と無線は、切れる。そして、

裕翔「各部隊に通達、第1部隊のAR小隊と第2部隊の404小隊は、俺と共にポイントAに降下。側面から敵を排除する。第3部隊は、ポイントBに降下。警察と協力しつつ、敵を制圧しろ。残り支援部隊は、ヘリから狙撃による援護を行え。どこを狙うかは各部隊に任せる。ただし、味方だけには当てるな。いいな!!」

全部隊『了解!!』

と指示出すと、俺とAR小隊が乗るヘリと404小隊が乗るヘリは予定ポイントへと向かう。また、他の第3部隊も予定ポイントに向かっていく。そして、

ヘリのパイロット「間もなく予定ポイントだ!!」

とパイロットが知らせてくれる。

裕翔「了解!!降下は10秒で・・・・・。」

ピピピピピピピピピ!!

突如、ヘリ内部に警告音が鳴り響く。

ヘリのパイロット「ロックオンされた!!」

と叫ぶ。すると、俺がヘリの左前方を見ると、

こちらに、真っ直ぐ飛んでくる物が見えた。

裕翔「ミサイル接近!!フレアを使え!!」

と言うと、

ヘリのパイロット「了解!!回避機動!!フレア展開!!」

バ、バ、バ、

とフレアが展開される。そして、

シューン

ドガーン

ミサイルはフレアに命中し、爆発する。すると、

ミサイルが飛んできた方向を見ると、そこに再度ミサイルを装填する男が2人確認できた。

裕翔「SOPⅡ!!左側面の傭兵をミニガンで薙ぎ払え!!」

と指示を出すと、

SOPⅡ「りょーかい!!発射!!」

ウィーンバババババババババババババババ

ヘリの左右にそれぞれ一丁付けれられたミニガンが傭兵めがけて火を吹く。そして、発射と同時にミサイルを装填する男達が倒れるのを確認すると、

裕翔「SOPⅡ。もう、いい。」

と停止するよう命じる。そして、

裕翔「再度、ポイントAへ頼む。」

ヘリのパイロット「了解!!」

そう言うと、ヘリは再度ポイントAに向かう。そして、ポイントAに着くと、

裕翔「降下!!降下!!」

俺とAR小隊は、ヘリからロープで地面に降りる。そして、無事に降下し終えると、

バババババババババ

ヘリのパイロット『安全のため、退避する。』

とヘリのパイロットから無線が入る。

裕翔「了解。後、こちらに任せろ。」

ヘリのパイロット『幸運を。』

と言うと、ヘリは飛び去っていく。そして、

裕翔「HK416。」

と呼ぶと、

HK 416「司令官。無事だったようね。」

と先に降下した404小隊が姿を現す。

そして、

裕翔「予定通り、敵の側面を叩く。行くぞ。」

と言い、俺はM4カスタムを構えつつ、前進する。すると、

バババババババババ

と銃声が聞こえてくる。そこでは警察の機動隊隊と傭兵が激しい銃撃戦が行われていた。俺達の位置は予定通り敵の側面の位置にいた。

裕翔「攻撃用意!!」

と指示を出すと、

カチャ

全員、それぞれ位置付け、銃口先を傭兵達に向ける。そして、

裕翔「攻撃開始!!」

ババババババババババババ

俺の指示で傭兵達に攻撃を開始する。

「グハッ」

「ぎゃああああー!!」

と奇襲を受ける形となった傭兵達は、次々に倒れいく。

裕翔「グレネードランチャー!!」

とM4のバレルに付けてあるM203グレネードランチャーを構え、

ポンッ

ドガーン

とグレネードランチャーを放つ。

「クソッ!!後退!!後退!!」

と傭兵達は後退を開始するが、

裕翔「全員、前へ!!」

と言うと、俺たちは傭兵達を撃ちつつ、前進する。その後、交戦は30分にかけて続いた。俺たちの介入により、傭兵部隊の殆どが壊滅した。

 

午後11時57分

裕翔「司令部。こちら、悪魔。敵は目視で確認できる限り倒した。次の指示を。」

司令部『こちら司令部。先程、君たちの場所から東に500メートル先の倉庫で動きがあった。おそらく、傭兵部隊の残存部隊だろう。警察と共に直ぐに制圧せよ。』

裕翔「了解。直ぐに動く。」

と無線で伝えると、俺たちは警察共に倉庫へと向かった。

 

午後12時3分

「爆弾セット完了!!」

「よし、爆破!!」

ドガーン

「閃光弾!!」

カラーン

パーン

「突入!!」

俺たちは残存部隊がいると思われる鍵の掛かった倉庫のドアを破壊すると、倉庫へと入っていく。

裕翔「各員、油断するな。」

と指示を出すと、俺たちは倉庫の奥へと進む。そして、そのまま何事もなく奥の部屋へと辿り着く。奥の部屋に続く、ドアを見つけると警察が突入の準備をする。そして、

ドーン

「突入!!」

と警察の機動隊部隊がドアを打ち破ると一斉に部屋の中に入っていく。俺もそれ続き、中に入る。すると、何かには・・・・・。

裕翔「誰も居ない。」

奥の部屋は少し広い格納庫で少しのコンテナがあるだけで傭兵の姿はなかった。

「クソッ。逃げられたか。」

と警察の機動隊の1人が言う。しかし、俺は

裕翔(嫌な、予感がする。)

と思っていると、

カラン

カラン

と何かが転がってくる。

裕翔「アレは・・・・!!」

と転がってくる物を確認し、俺がその転がって来た物の正体にに気づくと同時に

シュー

シュー

一気に転がって来た物から煙幕が立ち込める。

裕翔「クソッ!!スモークか。」

と俺が辺りを警戒する。しかし、周りは、

裕翔「煙で何も見えない。」

既に部屋はスモークが充満し、どこに誰がいるか分からない。俺は周囲を見渡しつつ警戒していると、

「グギャアアアア!!」

「ぎゃああああー!!」

と叫び声が聞こえてくる。

俺は、その声を聞くと、

カチャ

M4カスタムを構え、敵の奇襲に備える。

裕翔「・・・・・。」

敵が何処から来るか分からないため一気に緊張がはしる。すると、

シャキン

裕翔「!!」

と何か背後から何か刃物を抜く音が背後から聞こえてくる。それと同時に背後から殺気を感じた。そして、

シュッ

と背後から刀らしき物の先端がスモークの中から姿を見せる。

裕翔「ッ!!」

俺は直ぐに後ろへと下がり、回避する。

タッ

俺は後ろへ下がると、俺を殺そうとした正体が姿を見せる。

?「ほぅ、今のかわしますか。どうやら、久しぶりに楽しめそうです。クククククク・・・・・。」

と不気味な笑いをしつつ、髪が肩までかかり、俺より少し身長が高い男が現れる。

裕翔(コイツ、只者じゃない。攻撃される一瞬まで殺気を隠せる。油断すれば死ぬ。」

そう思うと、

シャキン、

俺はいつも腰に下げてる刀の2本のうち、1本を抜き、構える。

?「その刀・・・・。クククククク・・・・そうですか、貴方でしたか。」

と男がつぶやく。そんな男に対して俺は、

裕翔「ここで、倒す!!」

と言うと、男に対して俺は攻撃仕掛ける。

キンッ

正面から攻撃を仕掛け、力で相手の態勢を崩そうと試みるが、

ギギギギギ

裕翔「ッ!!」

男は態勢を崩すところか、俺が逆に力で押し返され始める。

裕翔(ヤバい!!)

と俺が思った瞬間、

M4A1「司令官!!伏せて!!」

と男の左からM4A1が銃口先を男に向けた状態で突っ込んで来る。そして、

ババババババババババババ

とM4A1は発砲する。

?「チッ・・・!!」

男はM4A1から放たれる弾をかわしつつ、後方に下がる。すると、男は

?「貴方とここで再会出来るとは・・・・また、会いましょう。悪魔さん。」

と言うと男はスモーク中に姿を消す。

裕翔「・・・・・・。」

男が姿を消すと、スモークも晴れてくる。一緒に入ってきた警察の機動隊の8名中5名が血を流して倒れていた。

裕翔「あの男がやったのか。一体、アイツは・・・・。」

と俺は呟く。

こうして、この傭兵によるテロは幕を閉じた。そして、

 

翌朝

午前4時

東京 特殊部隊司令基地

俺は、あのテロの後、そのまま古田上官に報告に向かった。

裕翔「今回のテロで、俺の部隊には被害がなかったものの警察の者に数名死傷者が出ました。また、残存部隊殲滅の際に謎の男と遭遇。取り逃がしました。」

と俺は古田上官に報告する。古田上官は、俺からの報告書を確認しつつ、

古田「君が、取り逃がすとは珍しい。一体、何があった。」

と聞いてくる。

裕翔「残存部隊殲滅の際に、その男に奇襲されました。男の実力はおそらく高いかと。」

古田「そうか。他に何か無かったか。」

裕翔「・・・・・・何もありせんでした。」

古田「そうか。その男については情報局で確認されるとしよう。」

裕翔「分かりました。では自分はこれで失礼します。」

と言うと俺はそのまま基地を出て、家に戻り、その後は普段通り学校に向かった。

 

午前7時30分

いつも通り、俺は誰も居ない教室に入り、席に着く。そして、

裕翔(あの男は過去に俺と会っている。必ず・・・・何処かで・・・・。)

とあの男について考えていると、

真由美「葉山君。」

と登校してきた真由美が声をかけてくる。

裕翔「あぁ、おはよう。七草。」

と言うと、

真由美「何かあったの?結構、怖い顔をしてたよ。」

と心配そうに聞いてくる。

裕翔「何もない。」

と返す。

真由美「今朝のニュースで、またテロによる攻撃があったって聞いたけど葉山君、また行ってたの。」

裕翔「・・・・・・。」

真由美「葉山君、ここ最近いつも出てるよね。どうして、そこまで危険なことをするの。妹さんためだとはいえ、流石に危険すぎるじゃ。」

裕翔「・・・・・。」

真由美「この際に言わせて。葉山君は、例え特殊部隊の人間だとしても葉山君はただの高校生。出来ることにも限界があるはず。もう、これ以上戦う事なんて・・・・・。」

裕翔「それは出来ない。」

真由美「・・・・どうして。」

裕翔「俺は、守ると約束した人を守れなかった。そんな俺にできる償いは、このような悲劇を繰り返さない為だ。俺と同じような境遇の人間を作らないためにも・・・・・俺は、戦うしかないんだ。」

真由美「・・・・・分かった。じゃあ・・・・・。」

そう言うと、真由美は俺の頬を触ると、俺のおでこに頭を付け、

真由美「おまじない。葉山君がこれからもどんな事があろうと生きて帰ってこれますように。」

と言ってくれる。

裕翔「・・・・・!!・・・・ありがとう。」

と俺は呟く。そう言うと、真由美は俺のおでこから頭を離し、

真由美「葉山君は、1人じゃないよ。」

と笑顔で言ってくれる。その笑顔を見た俺は、何か懐かしい感じがした。すると、

キリト「おはよう。2人とも。」

アスナ「おはよう。」

とキリトとアスナが教室に入ってくる。

真由美「おはよう。」

と真由美は2人の元に向かっていく。そんな真由美姿を見た俺は、

裕翔(あの笑顔といい、あの真由美の後ろ姿・・・何処かで・・・・。」

と考えていると、

真由美「葉山君。」

真由美に呼ばれる。

裕翔「まあ、いっか。」

と俺は呟くと、そのまま俺は真由美とキリトとアスナの元に向かった。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご愛読ありがとうございます。どうでしたか。この小説において意見、感想、質問などがあればハーメルンコメントにてどうぞ。また、SS投稿速報でも別の小説を投稿しています。そちらでは登場させて欲しい艦娘や兵器を募集しています。そちら質問、意見、感想があらばこちらのハーメルンにコメントで送って頂いてOKです。それでは、次回もお楽しみに。


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第10話 もう一つの力

大変お待たせしました。第10話です。皆様の応援で10話まできました。それでは、どうぞ!!


2092年5月30日

午後6時

東京 銀座の某ホテルのパーティー会場

 

ガヤガヤガヤ

と多くの人が集まるこのパーティーに俺は居た。理由は、数日前に誘われ。いや、来るように言われたからだ。

裕翔「ハァ〜、やっぱりこの感じは慣れないなぁ。」

とタキシードを着た俺は呟く。昔から周りに劣等扱いを受け続けてきた俺はこんなパーティーに来るたびに親族から辛い事言われ続けてきたからだ。だから、俺は慣れない以前にこのような感じのパーティーは嫌いだった。そして、そんな空気の中1人でいると

キリト「よ、葉山。」

とキリトとアスナ、リズ、シリカ、ミトと合流する。

裕翔「来たか。」

キリト「まぁな。にしても、随分と嫌そうな顔をしてたな。」

裕翔「こういうのは、昔から嫌いだったからな。」

キリト「まぁ、その事に関してはなんとなく想像がつく。だから、模索するのは辞めておくよ。」

裕翔「そうしてもらえると助かる。」

と話していると、

リズ「それにしても、葉山。アンタ、随分と良い服を来てるじゃない。こういうパーティーを着てる割には服装もしっかりしてるし。」

裕翔「これでも、一家の当主だ。それなりの作法は学んでるよ。」

シリカ「でも、とてもお似合いです。」

裕翔「ありがとう。」

と礼を言っていると、

?「少し、良いかな。」

と突然声をかけられる。そこには2人の男性が居た。1人は中年の男で、もう1人は執事らしき男だった。そして、この執事らしき男とは俺も一応面識はあった。

裕翔「何か御用ですか。」

龍郎「私の名は、司波龍郎と言う。どうぞ、よろしく。」

裕翔「名は知っていますよ。それで、四葉家の方が俺に何か用ですか。」

と返すと、

青木「少しは口の聞き方に気をつけたらどうだ。この無能めが。」

と言ってくる。こいつは青木。四葉家に仕える序列第4位の執事だ。俺がガキの頃からある意味随分と世話になった男の1人だ。すると、

キリト「おい、アンタいきなり葉山に無能とは失礼じゃないか。」

とキリトが言う。すると、

青木「失礼。笑わせる。真の葉山家を追い出された男の息子のとこが無能ではないと言うのだ。」

と言い返す。

キリト「テメェ!!」

とキリトが殴りかかろうとするが、

裕翔「やめておけ。」

と俺は止める。

キリト「だけど。」

裕翔「これは俺の家の問題だ。気持ちはありがたいが、お前じゃあ相手が悪すぎる。だから、ここは俺が対応するからそこでじっとしていろ。」

と言う。そして、

裕翔「それで、要件は何ですか。」

青木「き、貴様・・・。」

龍郎「分かった。では、話そう。私は、四葉家当主から真夜様から伝言を頼まれてね。葉山君、四葉家に仕えないか。」

まぁ、その発言に対して俺は想定した通りだった。

裕翔「・・・・・前にも同じ返事しましたが、俺は四葉家に仕えるつもりはありません。」

龍郎「理由はあるかな。」

裕翔「俺らが、苦しい時に手を差し伸べてくれなかったクソ一家が仕える家になぜ、俺が仕えないといけないのですか。」

青木「貴様!!」

裕翔「言っておきますが、俺はあの葉山忠教を一度も実の祖父だと思った事はありません。それに、四葉真夜が欲しいのは俺ではなく俺の力はずです。そんな家のために俺は仕えるつもりはありません。」

ときっぱりと断る。すると、

青木「貴様、真夜様のお誘いを断るつもりか。」

裕翔「そうだ。」

青木「無能は、黙って言うこと聞いていれば良い事を。大体、貴様ような家族すら守ることが出来なかった男がこのような誘いを貰えることすら私は認めたつもりはない。それは、貴様の妹も同様だ。」

裕翔「・・・・・。」

青木「もはや、死んだも当然な妹ために戦い続ける貴様は愚かな男だ。さっさとあの娘もあの時に死んでおけば、兄にこんな辛い人生を歩ませなかったものを・・・・・。」

裕翔「いい加減したらどうだ。」

と俺は青木に言う。

裕翔「青木。アンタ言って良いこと悪いことがあるって思わないのか。例え、俺は悪く言うのは構わない。だが、俺の家族を家族を悪く言うことだけは絶対に許さない。」

と言いつつ、俺は青木を睨む。

すると、

?「その通りだ。」

と誰が言ってくる。その声がする方を向くとそこには、七草家の当主の七草弘一の姿があった。そして、隣には真由美の姿も。

弘一「彼は、私の娘の恩人でもある。そんな、彼を陥れるような発言は辞めてもらいたい。」

青木「これは、七草家の当主弘一様。ただ、私は口の聞き方もままならないコイツをただ説教していただけで。」

と言い訳を言うが、

真由美「例え説教でも、彼の亡き両親や妹さんを悪く言ってよい事にはならないと思いますが。」

弘一「娘の言う通りだ。それに彼の亡き父親は私の大事な親友だ。亡き親友とその息子に対する愚弄に関しては今後やめて頂きたい。彼は、これからの魔法界においても重要な人物だ。下がりたまえ。」

と言う。

青木「くっ・・・・・失礼します。」

青木も流石に立場が危うくなると思ったのか下がる。すると、

龍郎「葉山君。私の執事がすまなかった。」

と俺に対して頭を下げてくる。

裕翔「いえ、別に罵られる事には慣れてるので気になさらないでください。」

龍郎「そうか。だが、真夜様からお誘いに関しては少し考えてみてくれ。それでは、失礼するよ。」

そう言うと彼は去って行った。そして、

裕翔「ありがとうございました。」

と俺は弘一さんに頭を下げる。

弘一「そう、気にしないでくれ。君は娘の恩人だ。当然の事をしただけだ。それでは、私は他の方との挨拶もあるから真由美、後は好きにしなさい。」

そう言うと弘一さんは他のお偉いさん方の元へと行ってしまう。そんな弘一さんに俺は再度頭を下げる。すると、

真由美「葉山君!!」

と真由美が後ろから抱きついてくる。

裕翔「なんだよ。」

真由美「もう、助けてあげたのに何よその態度。」

裕翔「あぁ、それについて感謝する。だが、抱きつくのはやめろ。」

と言うと、

キリト「ホント、流石は魔法界てで権力がある一家だな。」

とキリトが言ってくる。それに対して、

アスナ「キーリートークーン。それって、真由美から聞いたら嫌味に聞こえると思うんだけど。」

リズ「ホント、アンタって女の心が分かってないわねー。」

ミト「ホントよねー。」

キリト達が話していると、

?「居たー!!お姉ちゃん!!ちょっと、勝手に置いていかないでよ!!」

と誰かの声が聞こえてくる。声がする方を見ると、そこには見覚えのない女の子が2人いた。

裕翔「誰?」

と俺が呟くと、

真由美「ごめん。だって、お姉ちゃんも挨拶があったから。」

と真由美が2人の女の子に謝る。その姿見た俺は、

裕翔「七草。お前、その2人って。」

真由美「うん、皆んなに紹介するね。この2人は、妹の香澄ちゃんと泉美ちゃん。今回初めてこういったパーティーに参加する事になったの。ほら、挨拶。」

泉美「七草泉美です。よろしくお願いします。」

と挨拶してくる。それを見た俺は、

裕翔「七草。この子、本当にお前の妹?」

真由美「それって、どういう意味!?」

と話していると、

香澄「アンタが、葉山裕翔?」

ともう1人香澄と言う妹が聞いてくる。

裕翔「あぁ、そうだけど。」

と返すと、

香澄「アンタの事、いつもお姉ちゃんが話してるけど。私は絶対にお姉ちゃんをアンタになんか渡さないから。」

と言ってくる。

すると、

真由美「ちょ、ちょっと!!香澄ちゃん!!何を言ってるの!?」

と真由美は慌てるが、俺は

裕翔「安心しろ。別に取る気はねぇよ。」

と言う。

香澄「分かった。失礼しました。」

一礼し、香澄は下がる。

すると、

真由美「ごめんね。葉山君、なんか妹が失礼な事を言って。」

裕翔「気にするな。お互いに妹がいるんだ。ああいう、大抵の女の子の事くらいある程度は分かってる。」

そう話していると、

摩利「真由美、葉山。」

摩利と合流する。

摩利「すまない。遅くなった。」

摩利は、少し家の事情で遅れると連絡がきていたのだ。

裕翔「後は、今のところ見てないのは十文字くらいか。」

と呟くと、

克人「俺なら、ここに居るぞ。」

と後ろから急にいわれる。

裕翔「お前、こういう時くらい気配を消してくるな。」

克人「すまない。もともと早く来てたのだが、挨拶もあって遅くなった。」

と克人も合流し、今日のこのパーティーに来ているメンバーが全員揃った。そして、 

真由美「じゃあ、皆んなが揃ったところで乾杯!!」

皆んな「乾杯!!」

裕翔「乾杯。」

と皆んなでジュースが入ったグラスで乾杯をする。その後はみんなで雑談を話していた。そんな雑談を俺は適当に聞いていると、

弘一「葉山君。少し、良いかな。」

と途中で弘一さんが話しかけてくる。

裕翔「はい。何の御用でしょうか。」

弘一「少し、場所を変えて話したいが良いかな。」

裕翔「はい。構いませんよ。」

と言うと、俺は弘一さん共に少し場所を変える。

 

午後7時32分

ホテルのとある一室

 

俺は、弘一さんと話す為にここまで来たのだ。そして、

弘一「葉山君。君に一つ聞きたい事がある?君は、5年前に姿を現した悪魔なのか。」

と問い詰められる。

裕翔「それは、どう言う意味ですか。」

弘一「そのままの意味だ。5年前、突如現れ、当時巨大なテロ組織であったエンジェルハウンド。その組織を一夜にして壊滅させ、姿を消し今だに正体をも分からない謎の男。葉山君。正直に答えて欲しい。君が例の悪魔じゃないのかね。」

裕翔「・・・・弘一さん。もし、俺が仮にそうだとしたら貴女は、俺をどうしますか。」

と返す。すると、

弘一「今から4年前、私は悪魔と会った。」

裕翔「・・・・4年前。」

弘一「当時、その時私は娘の真由美を連れて北海道にいた。しかし、私が目を離した時に真由美は、当時エンジェルハウンドの数少ない残存のテロリストどもに誘拐された。私は、すぐに護衛を連れて、真由美の救出に向かった。だが、その日は不安にも暴風で、視界がきかない状態だった。その時、黒いボロボロのマントを被った少年が眠ったままの真由美を抱えて、私の前に現れたんだ。その少年は、負傷していたが、私たちに真由美を返すと、そのまま再び、姿を消した。その少年の顔は、確かに悪魔と告知していた。そして、葉山君。今の君にも似ていた。答えて欲しい。君が悪魔なら正直に。」

その言葉に俺は直ぐには声が出なかった。そして、

裕翔「・・・・・分かりました。俺は・・・・。」

キィ

と答えようとした時、閉まっていたドアが微かに開く。そして、その空いたドアの隙間から、黒い筒らしき物が姿の見せる。そしてその黒い筒は見るからに銃口だった。それを見た俺は、

裕翔「伏せて!!」

と言いつつ、俺は弘一さんの頭を押さえ、一緒に近くのソファの裏に隠れる。それと同時に

ズダァーン

と大きな音と共に弾が飛んでくる。俺は少し、ソファーから顔を出し、敵を確認する。

すると、部屋には2人の敵が入ってきていた。1人はショットガン、もう1人はAKを持っていた。すると、ショットガンを持った敵と目が合ってしまう。俺は、直ぐにソファーに顔を隠すと同時に

ダァーン

と散乱弾が飛んでくる。そして、

コトコト

と近づいてくる足跡が聞こえてくる。

裕翔「弘一さん。ここで動かすにいて下さい。直ぐに片付けます。」

と言うと、俺は

バッ

と敵の前に出る。

「何?」

と敵も出てくるとは思っていなかったらしく、直ぐにショットガンを構えてくるが、

裕翔「フン!!」

と敵のショットガンの銃口先を、足で蹴り、相手のバランス崩す。そして、

ドッ

と敵の腹に1発のパンチを喰らわせる。

「ぐはっ。」

と完全にショットガンが敵の手から離れる。それをすかさず直ぐに手に取ると、

ガッ

と敵の首を腕で押さえ、盾にすると、

バババババババババ

とAKを持った敵が発砲してくるが、それは盾にした敵に全弾命中する。すると、

「チッ・・・・・。」

ガチャ

敵は、AKから手を離し、腰につけてるハンドガンに手に取ろうとする。それを見た俺は、

裕翔「弾切れか。なら・・・・・。」

俺は、盾にしていた敵を離し、一気にもう1人の敵にスライディングで近づく。そして、

裕翔「チェックメイト。」

確実に敵を殺傷できる距離まできたと同時に、俺は敵から奪ったショットガンを敵の頭へと照準を構え、

ダァーン

ブシャ

敵の頭は、近距離あったこともあり、頭から上はフルーツのように破裂する。

そして、俺は部屋の安全を確認すると、

裕翔「弘一さん。もう、大丈夫です。敵はいませんよ。」

と言うと、

弘一「ありがとう。助かったよ。」

とソファーの裏から出てくる。

裕翔「おそらく、パーティー会場は既に制圧されています。パーティーにいた人は人質にされているでしょう。俺は今からパーティー会場向かいます。弘一さんは、先に避難を。」

弘一「いや、私も協力しよう。」

裕翔「・・・・・お言葉ありがたいですが、現状、2人しかいない事を考えるとどちらかがこの状況を伝えなければなりません。俺は、1人での戦闘には慣れています。ですので、ここは俺が。」

弘一「分かった。気をつけてくれ。」

そう言うと、俺は弘一さんと別れ、俺は自分の私物を預けてあるロッカーへと向かった。

 

一方、パーティー会場では、

「クソッ!!VIPルームの様子を見に行った2人からの連絡がない。」

「やられたのか!?」

「分からない。情報では、警察関連の者はいないと聞いてたが。」

と今回の主犯であるテロリストグループが話している。すると、

?「早く、動かなければ此処はすぐに包囲されますよ。早く目的を果たしてやるべき事をしてください。」

と1人のローブを被った男がテロリストグループに伝える。すると、

「お前は、傭兵だろ!!言われた事を守ってればそれで良い。金でしか動くことのできない奴がごちゃごちゃと口出ししてくるな!!」

と1人のテロリストがローブを被った男の胸ぐらを掴む。すると、

シャッ

ゴトッ

ローブを被った男は胸元を掴んできたテロリストの首を刎ねる。

「きゃあああああ!!」

人質にされている人々はパニックを起こす。

「貴様!!どういうつもりだ!!」

とテロリストがライフルを構えるが、

?「例え、クライアントに雇われているとはいえ、このような暴力は気に入りません。それに勘違いしないでほしい。私が今此処にいる理由は、少なくとも悪魔と会うためですから。」

と男は不気味な笑みを浮かべる。

それを見ていた真由美達は、

真由美「今、悪魔って。」

摩利「あぁ、確かに言った。アイツ、悪魔の存在を知っているのか。」

克人「だとすれば、奴は此処に悪魔が来る事を知っているのか。」

と話していると、

ガチャ

ドアが開く。そして、

ガダガダガダ

テロリスト達が黒色の機械らしき物を運んでくる。

キリト「何だ。あれは?」

克人「分からない。何かの機械のようだ。」

と見ていると、

「おい、始めろ。」

とテロリスト達が動き始める。すると、

ピ、ピ、ピ、ピ

と端末を1人のテロリストが操作し始める。そして、

ウィーン

ガチャ

ガチャ

と黒い機械が動き始め、変形し人形のロボットへと姿を変える。

キリト「何だ。アレは・・・・・無人兵器か。」

と見ていると、

ガチャ

とロボットはアサルトライフルを手に取り、他のテロリストと同様に人質を見張るようにアサルトライフルを構える。

「素晴らしい。これさえあれば、あらゆる実行も容易く行える。」

とテロリストが喋る。

すると、

ガチャ

と突如、1体のロボットがドアの方を向き、武器を構える。

「何だ。」

テロリストが言うと、端末を操作しているテロリストが、

「誰かこっちに来てる。3人だ。」

「熱源センサーを使って、ドア越しに確認しろ。」

と言うと、テロリストは、端末を使って確認する。すると、そこにはドア越しに3人の男が立っていた。

「どうする。」

「おそらく、さっきVIPルームに行った奴らだ。入れてやれ。」

と言うと、1人が言うと、ドアの近く位にいた。テロリストが

ガチャ

ゆっくりとドアを開ける。すると、

ダァーン

1発の銃声が鳴り響くと同時にドアを開けたテロリストは、頭から血を流して倒れる。すると、ドアから1人の男が現れる。そして、その男は手に持った2つのピストルを構え、

ダン

ダン

ダン

ダン

と撃ち始めたのだ。

 

 

 

俺は、人質当たらないように2丁のデザートイーグルを撃つ。

裕翔「クソ、よりによって無人兵器かよ。」

と言うと、

ダン

ダン

ダン

と撃ちまくる。しかし、

ダダダダダダ

と相手も応戦してくる。すると、パーティー会場の窓際に真由美達がいるのを確認すると、

裕翔「やってみるか。」

と言うと、俺は

ダン

ダン

とデザートイーグルを撃ちつつ、真由美達の方まで走る。

ダダダダダダ

とテロリストや無人兵器も撃ってくるが、

裕翔「うおりゃあああああ!!」

と叫びつつ、なんとか弾が命中する事はなく、無傷で窓際に辿り着く。

真由美「葉山君!!大丈夫なの!!」

と真由美達の元にと辿り着くと真由美が心配そうに声をかけてくる。

裕翔「大丈夫だ。弘一さんは既に避難させた。後は此処をどうにかするだけだ。」

キリト「だが、あのロボットをどうにかしないと、此処にいる全員避難させるのは無理だぞ!!」

裕翔「分かってる。クソッ、なんでテロリストがあんな最新鋭の兵器を持ってるんだよ。」

ミト「知ってるの。あのロボットについて。」

と聞いてくる。それに対して俺は、

裕翔「あれは、今年の2月にアメリカの大手軍事企業が発表した無人2足歩行方戦闘兵器『グレイズ』。あらゆる戦場において汎用性を持つ兵器だ。十文字。」

克人「何だ。葉山。」

裕翔「俺があのロボットの気を引く。その間に、お前の魔法で人質全員をこの会場から逃がしてほしい。そうすれば、そこから俺がなんとかする。」

と言うと、

克人「分かった。」

と承諾してくれる。

裕翔「七草や、キリト達も避難の方を優先してくれ。」

と言うと、俺は

ガチャ

とデザートイーグルをリロードし、

ダン

ダン

ダン

裕翔「こっちだ!!やれるもんならやってみろ!!」

と言いつつ、敵の注意を引く。すると、

ウィーン

ダダダダダダダダダ

とグレイズが此方に向かって撃ってくる。

裕翔「ヤベ!!」

と俺は直ぐに近くの柱に隠れる。そして、銃撃が止むと、

ダンダンダン

と障害物を利用しつつ、一機のグレイスに近づく。そして、

ガチャ

グレイズの目の前まで近づく事に成功する。そして、迷う事なく

裕翔「くたばれ!!鉄屑め!!」

ダン

ダン

とグレイズの目を撃ち抜く。すると、

ウィーン

ガシャーン

とグレイズは倒れる。それを俺は、

裕翔「使わせてもらうぜ!!」

と倒したグレイズを盾にして、グレイズが装備していたマシンガンを

ババババババババババババ

と撃ちまくる。それを見た敵は、

「撃てー!!撃ちまくれ!!」

と俺に集中砲火を浴びせてくる。そのタイミングで、

裕翔「今だ!!」

と叫ぶ。すると、

克人「ふん!!」

と克人が十文字家お得意魔法を反射障壁(リフレクター)を展開する。お陰で人質とテロリストの間に壁ができた。そして、

真由美「今のうちに避難を!!こっちです!!」

と真由美が人質達の避難の誘導を開始する。

「クソッ!!撃てー!!」

タタタタタタタタタタ

とテロリストは人質に向かって撃つが、

カンカンカンカン

と克人の反射障壁(リフレクター)に弾かれてしまう。そして俺は、

ダン

ダン

ダン

ダン

とデザートイーグルを連射しまくる。

「グハッ!!」

「グッ!!」

と少しずつテロリストの数を減らしていく。

裕翔「後少し。」

とテロリスト数を確認すると、

ダン

ダン

ダン

と撃ちまくる。すると、

克人「葉山。人質は全員避難できた。」

と反射障壁を展開する克人が知らせてくれる。

裕翔「分かった!!お前らも早・・・・。」

シャキン

と俺が先に逃げるように伝えようとした瞬間、

シャッ

タッ背後から殺気を感じだ為直ぐに後ろへ下がった瞬間、俺の目の前で刀の先端が横切る。

裕翔「チッ・・・・あぶねー。」

と一度下がり、俺を背後から攻撃したやつを確認する為、前を見るとそこには背が高く頭からローブを被り、手には刀を持った人物が立っていた。すると、

?「クククククク・・・また会いましたね。」

とローブを被った人物話す。

裕翔「!!」

俺はその声を聞いた瞬間に、この人物状態は直ぐに分かった。コイツは・・・・

裕翔「傭兵の。」

?「ええ、そうですよ。覚えてくれていましたか。」

と言うと男はローブを脱ぎ捨てる。

すると、

「いいぞ!!そのままやれ!!」

とテロリストが前に出てくるが、

?「彼は私の獲物です。手を出さないでください。」

と他のテロリストを止め、

?「さぁ、始めましょう。命懸けのパーティーを。」

裕翔「勝手にやってろ。お前は此処で殺す。それだけだ。」

そう言うと、俺は

シャキン

腰に付けてた2本のうちの1本を抜き、構える。

すると、

真由美「葉山君!!」

と声が聞こえてくるが、

裕翔「先に行け!!」

と言うと、

裕翔「いくぞ。」

と言い、

キンッ

男に攻撃を仕掛ける。

しかし、

?「惜しいですね。」

男は余裕の笑みで俺の攻撃を防ぐ。そして

?「ジャアアアア!!」

シュッ

と男が攻撃仕掛けてくる。

裕翔(速い。)

と俺は思いつつ、攻撃避けるが、

?「シャアアアア!!」

キンッ

キンッ

キンッ

キンッ

と連続で攻撃を仕掛けてくる。

裕翔(ヤバい。コイツ・・・・強い。だが・・・・・。)

と思いつつ男の攻撃を防ぎ続ける。

 

一方、その様子を見ていた真由美達は、

摩利「葉山が・・・・・押されてる。アイツは・・・・一体。」

真由美「葉山君・・・・・。」

と様子を見ていると、

アスナ「キリト君!?何をするつもりなの!?」

キリト「決まってる。葉山を援護する。」

とキリトが裕翔を助けに向おうとするが、

克人「桐ヶ谷。辞めておけ。お前には無理だ。むしろ、葉山の足を足を引っ張るだけだ。」

と克人が止める。

キリト「じゃあ、このまま見てろと言うのか!!」

克人「そうだ。今はアイツを見守るしか・・・・・。」

と話していると、

真由美「十文字君。」

と真由美が割って入ってくる。

真由美「助けるべきです。」

と真由美が言う。

克人「正気か。七草。」

真由美「葉山君は、今まで私達を助けてれた。今度は私達が葉山君を助ける番よ。」

克人「・・・・・・。」

真由美「協力してくれないかしら。」

克人「・・・・・・・良いだろう。」

と克人が答える。すると、

摩利「真由美。私も手伝うよ。」

リズ「私もやるわ。」

とこうして皆んなもは裕翔の援護する為に集まったのだ。

 

キンッ

キンッ

一方、俺は相変わらず状況が変わる事もなく押されていた。

裕翔「くっ・・・・。」

?「さぁ、どうきましたか!!悪魔の力はその程度ですか!!」

と攻撃してくる。すると、

真由美「葉山君!!避けて!!」

と声が聞こえたので、後ろを確認すると、真由美がCADを構えていた。

裕翔「チッ・・・・・。」

と舌打ちをすると、

キンッ

俺は連続で繰り出される攻撃を弾き、

タッ

裕翔「今だ!!」

と叫ぶと、

シュッ

シュッ

シュッ

と氷らしき物が男に向かって飛んでいく。

裕翔「今のは・・・・・ドライ・ブリザード。」

真由美が使ったのは魔法の種類の一つである、ドライ・ブリザード。魔法でドライアイスを作り、一気に射出する魔法だ。

?「チッ・・・・・。」

しかし、ドライ・ブリザードを男は、

キンッ

キンッ

キンッ

恐ろしく速い斬撃でドライ・ブリザードの攻撃を弾く。すると、

?「全く、勝手に手を出されるのは困りますねぇ。こうなったら、仕方ないですね。」

と言うと、

ガチャ

ガチャ

ガチャ

の残っていたテロリスト達が俺たちに銃を向けてくる。

裕翔「まずいな。」

俺が辺りを見ると、テロリスト達は俺たちを包囲する形で銃を構えていた。 

泉美「お姉ちゃん。」

と真由美の妹達が真由美の手を握る。

真由美「大丈夫よ。」

と真由美が2人を庇うように前に出る。その姿を見た俺は、

裕翔「十文字。俺が合図したら反射障壁を展開しろ。」

克人「方法があるのか。」

裕翔「一つだけな。だが、威力が強いからお前達を巻き込みかねない。」

と伝え、俺は前に出て、

カチャ

今まで右手に持っていた刀をしまい、

シャキン

もう1本の刀を抜く、

真由美「葉山君。」

と心配そうに俺を見る真由美に対して、俺は

裕翔「安心しろ。直ぐに終わる。」

と言うと、

裕翔「スゥ~・・・・・ハァ~。」

と大きく深呼吸をして、

裕翔「君臨せよ!!闇を打ち払いし炎龍よ!!今こそ、契約の下に力を与えたまへ!!インフェルノ!!」

と唱えると、

裕翔「十文字!!やれ!!」

と合図する。

克人「ふん!!」

と反射障壁をドーム状に展開する。

そして、それと同時に俺はもう一つの竜の目を発動した。

 

そして、それを見ていた真由美達は、

香澄「何、あれ?」

泉美「お姉ちゃん葉山さんは、一体・・・・・。」

葉山が竜の目を発動する様子を見ていた香澄と泉美は、困惑する。

真由美「・・・・・葉山君。」

真由美達が目にしているのは、前に見た時は違い、雷ではなく炎を纏った裕翔の姿であった。また、前に見た雷竜ブラックインフェルノとは少し似ているが、ブラックインフェルノの時とは違い裕翔の目は、黒ではなく、赤色の目をしていたのだ。

シリカ「あれが、竜の目の力。」

ミト「アスナ達が見た葉山の竜の目・・・・。」

キリト「ああ確かに竜の目の力だがあの時とは少し違う。あの時は雷を操る竜をアイツは使ってた。でも今は炎を操る竜の力を使ってる。」

前に裕翔のブラックインフェルノの力を見た真由美達も困惑を隠せない状態でいた。

 

そして、インフェルノの力を使った裕翔は、

裕翔「どうした。テロリスト共。攻撃してこないのか。」

と俺は竜の目に困惑したテロリスト達に向かって煽ると、

「この化け物め!!撃てー!!」

タタタタタタタタタタ

と恐怖と混乱で支配されたテロリスト達は、俺に向かって発砲してくるが、

裕翔「無駄だ。」

と言うと俺は地面に刀を刺す。すると、

ゴォォォォオオオオオオ

突如、俺を中心に炎の竜巻を展開する。これにより、敵が放った弾丸は、灼熱の炎の竜巻による温度により消滅してしまう。そして、

裕翔「その程度か。なら、こちらも少し本気でいかせてもらうぞ!!」

と言うと、俺は炎の竜巻を解除し、刀を上に掲げ、

裕翔「火炎高龍!!」

と叫ぶと、

刀は炎にたちまち包まれ、そこから小さな炎の竜が無数に出てくる。そして、

裕翔「焼き殺せ!!」

と言うと、

ゴォォォォオオオオオオ

と大きな轟音を立てて、小さな炎の竜は、パーティー会場に壁や物などに当たり、一気にパーティー会場を炎に包む。

「アアアアアアア!!」

「熱い!!熱い!!助けて!!」

と炎に焼かれるテロリスト達の悲鳴が聞こえてくる。しかし、そんな中であの男は、

?「素晴らしいですね。クククククク。でも、これはこれで面白いものが見れましたよ。」

と男は呟く。

裕翔「焼き殺せだと思ったが、威力不足だったか。この際に聞いておく。お前は何者だ。」

?「私は、貴方に4年前に一度殺された者ですよ。悪魔さん。私のはコードネーム「スコーピオン」。少し遅くなりましたが、以後お見知り置きを。そして、また会いましょう。悪魔さん。」

と言うと、スコーピオンという男は炎の中に姿を消していく。

裕翔「次にあった時は、必ず殺す。」

と言うと、俺は

シャキン

ゴォォォォオオオオオオン

刀をしまう。それと同時に竜の目も解除する。そしてパーティー会場の炎は一斉に鎮火され、残ったのは黒く焦げたパーティー会場だけだった。

 

午後10時

「急げ!!まだ、残党が居るかもしれない!!」

とパーティー会場となったホテルには警察や消防でいっぱいだった。そして俺は

古田「また、使ったのかね。インフェルノの力を。」

裕翔「あの時は、インフェルノの力を使う事が1番最善の方法でしたので。」

と俺は駆けつけた古田上官と今回のテロについて話していた。

古田「分かってると思うけど。竜の目の力の代償は契約者の命も奪うものだ。」

裕翔「分かっています。ですが、あの時は七草達を守る為にはああするしか方法が。」

古田「・・・・・ふふふ。」

すると、古田上官が少し笑い。

古田「そうか。七草君達を守るためか・・・・・葉山君も少しは大人になったようだね。」

その言葉に対して俺は意味が分からなかった。

古田「君は、今まで誰かを守る為など言ったことがなかったね。ずっと、復讐の為だけに戦ってきた君が。葉山君。これからは自分にとって大切な者を見つけて守っていきなさい。それが君にとって自分自身で誇れる事になると私は思うよ。」

裕翔「・・・・・・はい。」

と返すと、

真由美「葉山君。」

と突如真由美が声をかけてくる。そして、後ろにはキリトやアスナ、摩利に克人もいた。

真由美「説明してくれるよね。」

裕翔「ハァ~、黙っていたが、俺は2つの竜の目を使えるんだ。1つは、前の七草がが誘拐された時に使った雷竜ブラックインフェルノ。そして、さっき使ったのが伝説ではブラックインフェルノの兄竜あたる炎龍インフェルノだ。」

摩利「兄竜ってお前の2つのその竜は、兄弟竜って事か。」

裕翔「そうだ。伝説にはそう記されている。この際に話しておくよ。竜の目にはたくさん種類の竜の力が存在する。そして竜3つのクラスに分かれている。下級竜、中級竜、そして神の竜とも言われる上級竜。」

キリト「神の竜。」

裕翔「俺が使ってるこの2つは下級竜に過ぎない。だが、さらに上のクラスの竜の力となると代償もでかい。」

と俺が説明する。すると、

克人「葉山。お前が知っている限りでどれほどの竜の目を使える者がいるのだ。」

と聞いてくる。

裕翔「現在、世界各地で分かっている限りだと竜の目を使える者は10人。そのうち日本には俺を含めて3人いる。」

摩利「3人も・・・・日本に。」

裕翔「だが、どれも下級竜の使いだ。現状、中級竜以上の使いは確認されていない。だが、もし・・・・テロリストなどの中に使える奴がいたら話は別だ。」

と俺が言うと、

皆んな「・・・・・・・。」

と黙りこむ。そして、俺は

裕翔「悪い。ちょっと、お手洗いに行ってくる。」

と言うと俺はその場去った。

 

午後10時10分

今俺は

裕翔「カハッ・・・・・グフッ・・・・。」

インフェルノの力を使った事による代償を受けていた。

裕翔「力を・・・・使い過ぎた。」

ドサッ

俺はあまり苦しさ、痛みにより吐血し、膝から崩れ落ちる。すると、

真由美「葉山君!?」

と真由美の声が背後から聞こえた。そして、

真由美「どうしたの!!大丈夫!?・・・・って、これは。」

真由美は俺が吐血した様子を見て驚く。

裕翔「これが竜の力の代償だ。・・・・カハッ。」

再び、吐血する。

真由美「そんな、これが代償。」

裕翔「こんなのまだ、軽い方だ。最悪命を奪う力だ。言わば呪いと一緒だよ。だが・・・・。」

と俺が立とうとすると、

真由美「大丈夫。分かってる。どうして・・・・・葉山君がここまでするかを・・・・・もう、誰にも葉山君と同じ辛い想いをしてほしくないからだよね。だから・・・・・無理だけは絶対にしないで。」

と言うと、真由美は膝をついた俺をそっと抱きしめる。

裕翔「ドレスが汚れるぞ。」

真由美「これくらい、専門の人に頼むから大丈夫。」

裕翔「そうか。・・・・・ありがとう。」

真由美「お礼を言うのは私の方よ。私と妹達を助けてくれてありがとう。」

と言いつつ抱きしめてくれる真由美。

裕翔(やっぱり、この優しい臭い。あの時の・・・・ありがとう。)

と思いつつ、俺と真由美は改めて互いに感謝した。

 

そして、2日後

午前12時16分

魔法科第1高校 生徒会室

真由美「ちょっと!?それどう言う意味!?」

裕翔「そのままの意味だ。」

といつも通り俺あの生活を送っていた。

今回のテロにおいて負傷者は数名出た者の人質に死者はゼロだった。しかし、未だに今回の主犯格のテロ組織についてはまだ分かっておらず。あのスコーピオンという男についても現在、調査が行われている。

裕翔(まぁ、どちらにせよスコーピオンという男は絶対に昔、俺と一度は戦っている。次にあった時は・・・。)

と思いっていると

真由美「ちょっと!?聞いてる葉山君!?」

と頬を膨らませ不満そうな顔をしている真由美が言ってくる。

裕翔「うるさいな。少しは、静かにできないのか。ここの生徒会長は。」

真由美「また、バカにして!!生徒会長として命令します。」

裕翔「拒否します。」

といつも通り言い合いが続いた。

キリト「あんな事があったのに、なんか・・・・・。」

アスナ「いつも通りって感じね。」

リズ「まぁ、ああ言う2人に限って良い感じになるのよね。」

摩利「確かに、もしかしたら2人は将来夫婦になったりしてな。」

とヒソヒソと話しているが、

裕翔「聞こえてるぞ。誰がこんな女と結婚するか。」

真由美「葉山君!!」

とそれからも俺と真由美による2人の言い合いは続いのだった。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回から九校戦編です。次回もお楽しみに。


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第11話 推薦と国防軍

お待たせしました。第11話です。それでは、どうぞ!!


2023年7月16日

午前7時

魔法科第1高校

 

ガヤガヤ

と朝からこの学園では、ある事で話題になっていた。

「おい、見ろよ。期末テストのランキング。」

「流石は七草会長。ランキング上位に入ってるわ。」

「だが、アイツが1位かよ。」

「葉山裕翔。SAOサバイバー連んでる奴か。それに、なんでSAOサバイバーまで上位のランキングに入っててるんだよ。」

と期末テストの総合ランキングには、

1位 葉山裕翔

2位七草真由美

3位十文字克人

4位渡辺摩利

 

と続き、

7位には結城明日奈

8位は桐ヶ谷和人

11位篠崎里香(リズ)

12位兎沢深澄(ミト)

が描かれていたのだ。

もちろん、俺も同じくSAOサバイバー全員不正行為はしていない。全員の努力の結果だ。

それに対する陰口を言う奴らに対して俺は、

裕翔「ほんと、努力してない奴ほど妬むんだな。」

と呟く。

それ聞いたのか、

「何だと!?」

と流石に腹が立ったのか、睨んでくるが、

「やめとけ。アイツ、前の部活の勧誘祭の際に先輩達を打ちのめした奴だ。気に食わないかもしれないが、返り討ちあうだけだ。」

と案外、現実を見えてる奴もいるのか攻撃はしてこなかった。そして、

「チッ・・・・・。」

舌打ちして何処かへ行ってしまう。

裕翔「ハァ~。相変わらず面倒くさい奴ばかりだな。此処は。」

と俺がため息を吐くと、

摩利「大変だな。」

と投稿してきた摩利が声をかけてくる。

裕翔「おはよう。」

摩利「おはよう。」

互いに挨拶すると、

摩利「葉山。そういえば、真由美からのメール見たか。」

裕翔「メール?」

摩利「あぁ、真由美から今日の昼休みに生徒会室に集まるようにってきてたぞ。見てないのか。」

裕翔「確認してみる。」

と言うと、俺はスマホを取り出し、メールを確認すると、

『葉山君へ。今日の昼休みに話したいことがあるので絶対に来るように。これは生徒会長として命令です。』

と送られてきていた。

裕翔「見なかった事にする。」

摩利「おい。」

裕翔「どうせ、ロクでもない話だ。悪いが今日はパス。」

そう言うと、俺はそのまま教室に向かった。

 

そして、そのまま昼休みを迎えたが、

午前12時

裕翔「あぁ、やっぱり屋上が1番だ。」

俺は生徒会室に行く事はなく、屋上でのんびりしていた。すると、

ピンポンパンポーン

真由美『えぇ、1年Aホームの葉山裕翔さん。早急に生徒会室に来てください。』

と放送が聞こえてきたが、

裕翔「聞かなかった事にしよう。」

と結局、昼休み中に生徒会室には行かずずっと屋上でのんびりと過ごした。

そして、またそのまま時間が過ぎ、

 

午後5時

放課後

ピンポンパンポーン

真由美『葉山裕翔さん。今すぐに生徒会室に来てください。これは、生徒会からの命令です。』

と放送が流れるが、

司令官「知らん。」

と言うと、俺はそのまま自宅に向かった。

 

午後6時

自宅のCAD専用の作業場

カチカチ

司令官「・・・・・・。」

カチカチ

司令官「・・・・・。」

俺は今、オリジナルのCADの製作を行っている。この家を建てる際に自分専用の作業場を地下に建てるよう依頼していたため、今はいつも暇さえあればCADの製作を行っている。すると、

『葉山様。インターホンに反応がありました。』

の家の警備を任せているAIからの通達がくる。

司令官「誰だよ。こんな時間に。」

と言いつつ、俺は上に戻り、玄関に向かった。

そして、

ガチャ

裕翔「何か御用ですか。」

と言いつつ、玄関のドアを開けると、

真由美「こんにちは。葉山君。」

と笑顔で俺の目の前に立つ、七草の姿があった。そしてその後ろには

摩利「悪いな。こんな時間に。」

と摩利と

克人「・・・・・。」

と克人の姿があった。さらに

キリト「・・・・・。」

と何故か俺から目を逸らすキリトにアスナ、リズ、ミトの姿があった。

裕翔「なんで、俺の家を知ってるんだ。」

と尋ねると、

真由美「桐ヶ谷君が、教えてくれたのよ。」

裕翔「ほぅ・・・・・。」

と呟くと、

裕翔(キリト。後で、殺す。)

と思いつつ、キリトの方を睨む。すると、

キリト「・・・・・。(ペコペコ)。」

と手を合わせ、頭を何度も下げる。そして、

裕翔「此処で大勢いられても困るから、入れ。」

と俺は真由美達を家に招き入れた。

 

午後6時11分

カチャ

裕翔「悪いな。コレくらいしか無くて。」

と俺はコーヒーとお菓子を出す。

キリト「気にするなよ。急に来たのはこっちだし。」

裕翔「お前が家の事を教えなければ、済んだことなどでは。」

キリト「わ、悪かった。今度、レア装備の攻略手伝ってやるから。」

と俺とキリトが家を暴露した件について話していると、

真由美「おほん。ねぇ、葉山君。九校戦については知ってるよね。」

と真由美が聞いてくる。

裕翔「年に一度、9つの魔法科高校が集まって、魔法競技で競い合うやつだろ。」

摩利「流石に葉山も知ってたか。」

と摩利が揶揄ってくるが

裕翔「あそこは自衛隊が管轄してる場所だ。それぐらい知ってるわ。」

と摩利を睨む。すると、

真由美「葉山君。貴方にも九校戦に出場してもらいたいの。」

裕翔「断る。」

と断ると、

真由美「そこを何とかお願い!!」

と必死に頼んでくるが、

裕翔「あのなぁ、例え俺が出たとしてもな、他の同じ1校の選手が納得するわけないだろ。」

真由美「でも、今年3校に入学した同じ1年の子が凄い強いって噂なの。」

裕翔「3校の。」

と俺が聞くと、

克人「なんせ、とても強いらしい。」

と克人が話してくれる。

克人「噂によれば、ソイツは槍型のCADを使う男らしい。」

裕翔「槍型の・・・・ソイツの名前は?」

摩利「確か、・・・・古田浩介。」

と摩利が呟くと、

裕翔「えっ、浩介が・・・・。」

と俺は驚く。

真由美「えっ、知ってるの?」

裕翔「あぁ、だって古田上官の息子だもん。」

と言うと、

皆んな「ええええええー!!」

と大声で驚く。そして、

摩利「古田浩介って、古田上官の息子なのか!?」

裕翔「そうだよ。苗字で分かるだろ。」

キリト「いやいや、古田って名前の奴なんていっぱいいるだろ。」

裕翔「まぁ、確かにそうだが、槍を使えるって言う時点でおそらく間違いないだろう。」

と言うと、

克人「葉山。その古田浩介の得意魔法は分かるか。」

と聞いてくるので、

裕翔「確か、風と火の魔法が得意だった気がする。」

克人「では、お前は古田浩介と戦った事は。」

裕翔「あるよ。でも、言うてチャンバラみたいなもんだけどな。」

と言うと、

真由美「葉山君。やっぱり、九校戦に出てくれないかしら。」

裕翔「無理。」

真由美「でも、その古田浩介君って子はおそらくモノリス・コードに出場してくると思うわ。」

裕翔「3対3の攻略系魔法競技か。確かに、浩介にはそれが似合ってるな。」

真由美「だから、対抗策として葉山君に出てほしいの。九校戦は、来年の新入生対してのアピールにもなるの。」

裕翔「つまり、俺にそのアピールの為にブーイングの嵐の中で他校の連中を吹っ飛ばせって言いたのか。」

キリト「言い方が過激だな。」

とキリトが言ってくるが、

裕翔「悪いが、断る。これ以上、目立つ事は避けたい。」

とはっきり伝える。

摩利「じゃあ、目立なければ別に構わないのか。」

裕翔「目立たなければなぁ。」

真由美「じゃあ、エンジニアなんてどうかしら。」

裕翔「エンジニア?」

真由美「そう。選手のCADの調整や対策なんていったサポートを行う重要な役割よ。CADの製作をしてる葉山君なら、調整も出来るわよね。」

裕翔「まぁ、出来るけど。」

と答えると、

真由美「じゃあ、この場で私は生徒会長として葉山君を九校戦における1年のエンジニアに推薦します。」

と真由美は俺の意見を聞かずに勝手に推薦してくる。

裕翔「お、おい!!勝手に推薦するな。」

と納得できない俺はすぐに止めるが、

克人「俺も異論はない。」

キリト「俺も。」

アスナ「私も。」

リズ「私も~。」

ミト「私も同じく。」

摩利「私も異論は無いな。」

と俺以外全員が真由美の意見に賛成する。

真由美「じゃあ、決定という事で。」

と真由美は嬉しそうに言うが、

裕翔「ハァ~、なんでこうなるんだよ。」

と反対に溜息を吐いた。

 

午後6時30分

ホルス「クエエエエ~。」

真由美「ふふふふ、久しぶりね。ホルスちゃん。」

と俺の召喚獣のホルスと女子達が戯れていた。そんな光景を見ていた俺は

裕翔「ったく、人の家でよくもまぁあんな風にいれるな。」

と呟く。

キリト「良いじゃないか。こんな時間も大切だしな。」

克人「桐ヶ谷の言う通りだ。こういった息抜きも大事な事だ。」

と言うが、

裕翔「理解出来ないな。俺には。」

と俺は言う。そして、

裕翔「悪い。お手洗いに行ってくる。」

と言うと、俺はそのままトイレに向かった。

 

一方、

ホルス「クルルルルルル。」

真由美「くすぐったい。」

と未だに真由美がホルスと戯れ合っていると、

ホルス「クルルルルルル。」

ドスドス

突如、ホルスが庭から家の中に上がり込む。

アスナ「どうしたの。ホルスちゃん。」

とアスナが呼びかけるが、

ホルス「クルルルルルル。」

とテレビの隣にある棚からクチバシを器用に使って、ある物を取り出す。そして、

ホルス「クルルルルルル。」

と真由美方を向くと、

ホルス「クルルルルルル。」

とペンダントらしき物を差し出す。

真由美「私に?」

ホルス「クルルルルルル。」

とホルスは返事をするかのように頷き、真由美の手のひらにペンダントを置くと、クチバシからペンダントを離す。

真由美「何かしら。」

と言いつつ、真由美はペンダントを開く、

真由美「これは・・・・・。」

開いたペンダントの中には1枚の写真が入っていた。

真由美「これって・・・・昔の葉山君。」

そう。写真には、2人の両親と2人の少女、そして真ん中に笑顔で写る1人少年の姿があった。

真由美「・・・・・・昔は、こんなに笑っていたのね。」

と真由美がつぶやく。そして、同様にペンダントを見ていた摩利も、

摩利「あぁ、きっと幸せな日々があの時にはあったんだろうな。葉山にも。」

と見ていると、

裕翔「おい!!」

と裕翔の声が響く。

 

俺はトイレから戻ると、真由美達が俺のペンダントを見ている姿をあった。それを見た俺は、

裕翔「おい!!」

と怒鳴り、

裕翔「返せ。」

とすぐに真由美からペンダントを取り上げる。

カチャ

とすぐに開いたペンダントを閉じ、

裕翔「勝手に物色するな。」

と言うと、

真由美「ち、違うの!!急にホルスちゃんが渡してきて。」

と弁明してくる。確かにホルスは今、家に上がり込んでるので、

裕翔「まぁ、今回は許してやるよ。」

と言うと、

裕翔「お前は、なに汚い足で勝手に上り込んでるんだ!!」

とホルスに怒鳴る。

裕翔「いつも言ってるだろ!!外に出てた足のまま家に上がるなって!!」

と躾の一環としてホルスに説教をする。

 

そして、5分後

裕翔「すまない。勝手に怒鳴って。」

と勘違いして真由美達に怒鳴ってしまった事を謝罪する。

真由美「いいのよ。私達も勝手に覗いた事がいけないんだし。それより・・・・そのペンダントの写真って・・・・。」

裕翔「あぁ、昔に撮った家族写真だよ。今では数少ない思い出だが。」

真由美「ご両親は確か、もう亡くなっているのよね。」

裕翔「あぁ、母さんは俺が4歳の時に、親父も10歳にな。」

克人「どんな、両親だったんだ。」

裕翔「母さんは、常に誰よりも優しい人だった。親父は、いつも前を向いてる人で・・・・・俺の憧れだった。でも、母さんが亡くなった時から俺と親父は一時、絶縁に近い状態で殆ど会う事もなかったんだ。でも、最後はそんな親父に助けられた。俺を庇って死んじまった。」

と言いつつ、俺はペンダントを元の場所に戻す。

裕翔「今の俺が生きてるのは親父のお陰だ。だからこそ、今本来の当主である雪が目覚めない以上、俺が葉山家を守らなければならない。」

と言うと、

裕翔「まぁ、エンジニアなら考えておいてやるよ。」

と真由美に伝える。

真由美「ホント!?」

裕翔「あぁ、ただしそれ以外は受けない。」

真由美「ありがとう。」

と真由美は抱きついてこようとするが、

バシ

手を広げ、真由美の顔を押し出す形で抱きつきを回避する。

こうして、俺も九校戦にエンジニアとして加わる事になったのだが、

 

翌日

午後4時

「納得いきません!!生徒会長!!再度、編成を見直すべきです!!」

「そうです!!何故、SAOサバイバーまでもが九校戦の代表に選ばれているんですか!!」

と早速問題が起きていた。

真由美「これは、私が彼らの実力を見込んだ上での推薦です。」

「ですが・・・・!!」

克人「葉山は、三校などの強敵な選手と戦うことになる俺達を力になる。」

「十文字まで!!」

と俺やキリト達を推薦した真由美達に対して、他の代表選手達が不満を申し出て来たのだ。

裕翔「まぁ、予想はしてたがここまで大所帯で言ってくるとは。」

アスナ「私たちのせいで真由美や摩利が必死に説得してくれてるけど。私たちも何か言うべきじゃない。」

裕翔「止めとけ。今言い返せば、ただ火に油を注ぐだけだ。今は、七草達を信じるしかない。」

とヒソヒソと話していると、

「第一、コイツらは信用ならない。どうせ、日ごろの恨みを晴らす為に九校戦でわざと足を引っ張るような真似をするに決まってる!!」

と文句を言ってくるが、

真由美「それはやってみないと分からないのでは。もし、そのような事態が起きた場合は葉山君達を推薦した私の責任です。」

と生徒会長らしい発言でしっかりと対応してくれる真由美に対して、

「生徒会長は、個人的な理由で彼らを推進したのではないですか。」

真由美「どういうことですか。」

「普段から見ていましたが、生徒会長はいつもそこに居る葉山裕翔と一緒にいる姿を見ますが、普段から仲が良いという個人的な理由を基に推薦したのでは。」

と真由美にとって痛いところを突いてくる。

真由美「確かに葉山君とは普段から友人として接していますが、推薦したのは彼の実力を私自ら見て、上での事です。」

としっかりと伝える。しかし、俺もいつまでも真由美達に守られてばかりではいかないので、

裕翔「ええ、そろそろいつまでも言われるがままではいけないので発言させてもらいますが、お前ら何が納得いかないの。」

と言うが、

「なんだと!?」

とかなり怒り気味に言ってくる。

裕翔(あれ、普通に聞いたつもりだが。)

と少し困惑するが、

裕翔「だから、俺たちに対して納得いかないのだろ。じゃあ、さっさと直接言ってくれれば早いじゃないか。」

と言うと、

「だったら言ってやる!!気に入らないんだよ!!普段からまともな努力してないお前がノコノコとトップにいることがな!!それに加えて九校戦のエンジニアなんて!!信頼ならないに決まってるだろ!!」

裕翔「じゃあ、俺が九校戦のエンジニアになっても納得する物が有れば良いんだな。」

「あぁ。」

裕翔「じゃあ、見せてやるよ。」

そう言うと、俺は持ってきたタブレットを取り出し、

裕翔「ほらよ。」

とタブレットの中身を見せる。そして、タブレットを見た生徒たちは、

「何だコレ!!」

「どこからの情報だ!!」

とタブレットを見た生徒たち全員が驚く。タブレットには、俺が今まで自分で研究してきたCADについての一部を載せていた。全部、高校生でも調整可能な内容で、書かれている通りにCADを調整すれば普段のサイオンの量で約倍の威力のある魔法が展開できる内容だ。

裕翔「これで認めてくれたか。まだ、足りないって言うなら幾つか家から持ってくるが。」

「・・・・・良いだろう。認めてやるよ。ただし、足を引っ張るような真似をすれば直ぐに外れてもらうからな。」

と何とか説得に成功した。

 

午後4時30分

裕翔「ハァ~、疲れた。」

キリト「お疲れ。」

あれから、九校戦においてのメンバーの確認が行われ、先輩も含めて注意するべき点などが改めて確認された。

キリト「お前のお陰で俺たちも無事に九校戦メンバーに選ばれたよ。礼を言うよ。」

裕翔「俺は、ただ言いたい事を言っただけだ。礼を言われる事などしてないよ。それより、九校戦でどう勝利するかが大切だ。」

キリト「あぁ、分かってるよ。だが、お前ほどのサポートがいると心強いよ。」

裕翔「そりゃあ、どうも。」

と話していると、

真由美「桐ヶ谷君!!葉山君!!」

と真由美達が近づいてくる。

キリト「おぉ、来た来た。」

と言っていると、

アスナ「ねぇ、今からエギルさんの所に行かない?九校戦に選ばれたな祝会も兼ねて。」

キリト「おぉ、良いな。」

と誘いを受けるが、

ヴー、ヴー、ヴー、

突然、俺のスマホに着信が入る。俺は直ぐに取り出し、

裕翔「もしもし。・・・・・はい。・・・・・・了解しました。」

と言うと電話を切る。すると、

真由美「葉山君。もしかして、また・・・・・。」

裕翔「あぁ、悪いが任務がきたので、行かなきゃならない。」

摩利「またか。前のパーティーでも思ったが、働きすぎじゃないのか。」

裕翔「仕方のない事だ。これが仕事なんだから。悪いが、お前らだけで祝会はやってくれ。」

そう言うと、俺はそのまま基地に向かった。

 

午後7時

東京湾

ブォーーーーーン

裕翔「いいか。目標は、武器を違法売買している組織が用意した輸送船に突入し、その組織とそれに繋がっているテロ組織の情報を入手する事だ。」

と俺は揺れるボートの上で無線で各部隊に通達する。

バタバタバタバタバタ

と上空ではスナイパー部隊とライトマシンガン部隊を乗せたヘリが海から突入する俺達を援護する為に待機していた。そして、

裕翔「作戦開始!!」

と無線で伝えると、

バババババババババババババババババババババ

パッシュン

パッシュン

と目標の輸送船に向かって攻撃を開始する。

その間に、

裕翔「よし、輸送船の横にボートをつけろ。」

と航行する輸送船の横に付け、

裕翔「グラップリング発射!!」

シューン

とフックを付け、輸送船に乗り込んで行く。

その後、何事もなく敵を全員無力化させ、目的の情報の回収に向かった。

 

午後7時11分

裕翔「コレか。」

俺は、無事に目的の情報が入ってるパソコンを見つけ、ダウンロードを開始する。

裕翔「よし。あと少し。」

と情報がダウンロードされいるパソコンの画面を見ていると、

?「動くな。」

と後ろから声が聞こえてくる。

裕翔(気配を全く感じなかった。)

と思いつつ、俺は振り返るとそこには、CADを構え、謎のヘルメットを被った黒い戦闘服着た男の姿があった。

裕翔「ほおー。お前、ここの輸送船の乗組員じゃないな。見るからにどこかの政府の組織だろ。」

?「・・・・・。」

裕翔「答えるつもりなしか。なら・・・・。」

と言うと、俺は

シャキン

腰に付けてた刀を直ぐに抜き、相手に斬りかかる。

?「!!」

しかし、男は俺の攻撃をギリギリ回避する。

裕翔「へぇ~、今のを避けるか。」

?「此方は、お前が今入手した情報さえ渡して貰えば、危害を加えるつもりはない。」

裕翔「どこの組織か分からない奴に渡すわけないだろ!!」

と言うと、

シャキン

と再び斬りかかる。すると、

ブィン

ブィン

ブィン

と相手も魔法を放ってくる。

裕翔「チッ。」

と言うと、俺はパソコンと元に下がり、ダウンロードしたUSBを抜き取り、

ガシャーン

とガラスを突き破り、輸送船の甲板の上に逃げる。

すると、

ブィン

ブィン

ブィン

ブィン

と魔法を放ちつつ後を追ってくるように男も甲板に降りて来る。

裕翔「・・・・・。」

と俺は魔法を回避すると、

カチャ

とハンドガンを構える。

裕翔「お前が使ってるCAD。見る限りじゃあ、トーラスシルバーが作ったCADだろ。」

と問いかける。

?「・・・・・・。」

と相手は黙っているが、

裕翔「こっちも、国を守る為に動いている身だ。悪いがこっちも本気出させてもらうぞ。」

と言うと、

カチャ

とハンドガンをホルスターに片づけ、

シャキン

と刀を構える。

そして、

裕翔(悪いが魔法は封じさせてもらうぜ。)

と相手が次に繰り出して来る魔法を読み取り、封じる能力を使う。そして、

裕翔「もらった!!」

と斬りかかるが、

キンッ

裕翔「な・・・・・!!」

俺の斬撃は、男の手のひらによって弾かれる。弾かれた瞬間、俺は一度後ろに下がり、

裕翔「チッ・・・・・まさか、CADを使わずに魔法を使えるとは。」

と呟く。

裕翔(確かに俺の能力でCADの魔法は封じた。だが、アイツは普通に硬化魔法を使用してきた。CADからは魔法は一切感知されてない。なら、答えは一つ。コイツはCADが無くとも魔法を使える。)

と思っていると、

?「想定外でした。まさか、魔法を無力化されるとは。」

と男が言ってくる。

裕翔「気づいてたのか。魔法を無力化した事を。と言う事はお前も俺と同様のスキルもしくはそれらについて詳しいってことか。・・・・・なら、もう汚い方法は無しだ。悪いがこっちも本気でいかせてもらうぞ。」

?「・・・・・なら、俺もその答えに全力で応えます。」

と言うと男もCADを構え、

裕翔「・・・・・。」

?「・・・・・。」

タッ

ダッ

同時に俺と男は真正面に突っ込んでいく。すると、

古田『葉山君!!今すぐに戦闘を止めよ!!』

裕翔「!!」

突然、古田上官から直接無線が入り、あと少しで攻撃が届く寸前で俺は足を止める。すると、向こうもほぼ同時に

?「理由を教えて下さい。」

と相手も無線で話しているようだった。

裕翔「どういうことですか。」

古田『彼は、敵ではない。どうやら、今回の情報を目的に動いて我が国の政府の組織と偶然にも他にもあったようだ。』

裕翔「なるほど。つまり、彼は、敵ではないんですね。」

古田『そうだ。今から座標を送る。そこで私と合流だ。』

裕翔「了解しました。」

と言うと俺は無線を切る。そして、

裕翔「どうやら、お互いに情報が伝わってなかったようだな。」

と男に話しかける。

裕翔「よかったら、送っていくぞ。どうだ?乗っていくか。」

と言うと、

男「・・・・・・。(コク)」

と男は黙って頷く。そして、

裕翔「バイパー1。目標を確保。改修を頼む。後、1人お客さんの追加だ。」

パイロット『了解。これより、そちらに向かう。』

と俺は付近で待機していた回収用ヘリに連絡を取り、その後俺たちはAR小隊と共に乗ってきたボートで回収地点まで向かい、回収用に派遣されたCHー47Hでボート共に回収され、そのまま古田上官から送られてきた座標に向かった。

 

午後7時58分

座標ポイント

バタバタバタバタバタバタ

古田「ご苦労。」

と座標ポイントに着きヘリから降りると同時に古田上官が迎えにくる。しかし、その古田上官の後ろには見知らぬ男が立っていた。

裕翔「上官。まずは説明を。」

古田「あぁ、まずは少し紹介したい人物がいる。」

と言うと、古田上官の後ろに立っていた見知らぬ男が前に出てくる。

古田「彼は、私と同期で国防軍陸軍所属の風間だ。」

と紹介すると、

風間「はじめまして。葉山君。私は国防軍独立魔装大隊の隊長している風間玄信だ。よろしく。」

と挨拶してくると、

裕翔「お初目にかかります。特殊部隊所属及び隊長をしている葉山裕翔です。」

と敬礼しつつ、俺も挨拶する。そして、

風間「司波くん。君も挨拶を。」

と言うと、ヘリで共にここまで帰ってきた

男が前に出てきてヘルメットを取り、

達也「自分は、同じく国防軍所属の司波達也です。今回は、手違いとはいえ迷惑をおかけして申し訳ありません。」

と頭を下げてくる。

古田「いやぁ、若いねぇ。その若さで国防軍所属かぁ。」

と古田上官がいうが、

風間「そう言うお前も、随分と若い将官を連れているがな。」

と返す。

風間「それで、例のデータは。」

古田「安心しろ。お前と私の仲だ。情報を引き出せ次第共有する。」

風間「そうか。それは助かるよ。」

古田「例え、組織が違えど目的は同じだ。当たり前の事さ。」

とそのまま俺が手に入れたデータについても話が決まると、

風間「葉山くん。君ついては古田からよく聞いてる。どうだ、良かったらウチに来ないかね。」

古田「おい、いきなりウチの部下を勝手にスカウトしてるだよ。」

と古田上官が止めにかかるが、

裕翔「自分は、未だに古田上官から頂いた任務が残っています。その任務を任されている以上、それは自分が成せばならない任務です。ですので、それまでは。それに例え互いに日本を守る組織でもバランスを保つ事は大切です。私が国防軍に就けば自衛隊と国防軍とのバランスにおいての問題が生じると思いますが。」

とハッキリ伝えると、

風間「流石は古田が認める事はあるな。分かった。今の話は無かったことにしてくれ。では、我々はこれで失礼するよ。古田。また、今度酒でも飲もう。」

古田「あぁ、良い酒を待ってるよ。」

と言うと、達也と風間少佐は撤収していった。そして、

残った俺たちは、

裕翔「上官。あの司波達也というのは。」

と聞くと、

古田「司波達也。彼は、大亜連合が沖縄に攻めてきた際に例の魔法を放った張本人だ。」

裕翔「彼が・・・・。」

古田「この日本には・・・・・2人の悪魔がいるようだね。」

裕翔「そうですね。」

そう言うと俺はふたたびヘリに向かう。すると、

古田「そう言えば、九校戦のエンジニアに選ばれたらしいね。」

裕翔「・・・・・はい。どこからその情報を。」

古田「七草家からね。ウチの息子も喜ぶと思うよ。」

と言っているが、俺は

裕翔(あぁ、やっぱり七草家か。やっぱり、アイツ(真由美の事)は汚ねえ。)

と思いつつ、俺はそのままヘリで基地まで戻った。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、遂に本格的に九校戦が始まっていきます。それでは次回もお楽しみに。
Twitter概要欄【https://twitter.com/mana20021209/status/1507759017279451145?s=61&t=46UzqgBuiEt5ihFlG9xQRw】


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第12話 再開

大変、長らくお待たせしました。第12話です。どうぞ!!


2093年8月1日

午前8時

 

ミーンミンミン

とセミがうるさく鳴く暑い日の中、九校戦における第1高校の代表選手達を乗せたバスが今発進しようとしていた。

鈴音「会長。全員の乗車の確認が出来ました。」

真由美「確認ありがとう。鈴ちゃん。じゃあ、運転手さん。お願いします。」

と言うとバスのドアが閉まり、九校戦の会場である富士演習場に向かってバスは発進する。

真由美「ふぅ〜、無事に選手もエンジニアも決まったから安心したわ。それにCADの調整は葉山君だから安心だわ。途中サービスエリアで頼みたいこともあるからこっちのバスに誘おうかしら。」

と走り出したバスの中で真由美が呟いていると、

鈴音「葉山君は、現地集合ですよ。会長。」

と鈴音が答える。

真由美「えっ?」

鈴音「葉山君は、現地で合流すると言ったんです。」

真由美「えっ!?ウソ、私そんなの聞いてないわよ!!」

鈴音「報告は事前にしましたよ。証拠はありますよ。」

と言うと鈴音は持っている学園のタブレットを操作し、

鈴音「こちらです。」

と真由美にタブレットを見せる。そして真由美は、タブレットを見ると、裕翔が自ら現地で集合すると送ったメールが理由付きでしっかりと送られてきていた。

真由美「そんなー!?」

と真由美がショックを受けていると、その様子を見ていた摩利が

摩利「いや、これについてはお前以外全員知ってるぞ。それにお前も分かったって言ってただろ。」

と言うと、

真由美「そんなの私だって生徒会長として忙しいんだから忘れるわよー。少なくとも私に直接報告してくれないと。」

と言うが、

摩利「いや、事前の報告はメールでも良いって事にしたのはお前だろ。それにアイツについて事なら古田上官にいつでも聞けるだろ。連絡先を知ってるんだから。」

と呆れた様子で言う。

真由美「そんな〜!!」

と真由美の声がバスに響きわたるのであった。

 

午前8時47分

出発から早くも45分以上が経過した。相変わらずバスでは、

真由美「葉山君・・・・・葉山君。」

と真由美がしょげていた。

摩利「あのなぁ、どうせこの後で合流するんだから、別にしょげなくてもいいだろ。」

と真由美が慰めていると、

「おい、隣の車線にスゲェ車が走ってるぞ。」

と同じ代表選手声が聞こえてくる。

真由美「えっ?」

と真由美がバスの窓から隣の車線を見ると、そこには明らかに見た目がカッコいい海外製のオープンカーがバスと並走する形で隣を走っていたのだ。しかも、

「ねぇ、運転してるのって一高の生徒じゃない?」

と声も聞こえてくる。真由美は直ぐにそのオープンカーの運転手を見ると、明らかに一高の制服を着た生徒が運転していた。また、その運転手は後ろ姿は紛れもなく

真由美「葉山君!?」

裕翔だった。

真由美「電話かけてみる。」

と真由美はスマホを取り出し、裕翔に電話をかけると、

裕翔『何だ?』

と電話に出る。そして、真由美がそのオープンカーを見ると、ハンドルの隣に設置してあるスマホを操作しつつ、オープンカーのハンドルを握る裕翔の姿があった。

真由美「葉山君?今、運転してない。」

裕翔『うん。してるけど。』

真由美「乗ってる車ってオープンカー?」

裕翔『よく分かったな。』

と言うので、

真由美「葉山君。隣の車線で走ってるバス・・・・一高のバスだけど。」

と伝える。

 

同時刻

真由美『隣の車線で走ってるバス・・・・・一高のバスだけど。』

と真由美が言ってくる。

裕翔「えっ?」

と言うと、俺は隣の車線を走ってるバスを見ると、バスの中で耳にスマホを当てた状態で手を軽く振る真由美姿があった。

裕翔「・・・・・マジかよ。」

と気づいた俺はそう呟く。すると、

真由美『もうすぐ、少し休憩を兼ねてサービスエリアによるから、そこで合流しましょ。』

と言ってくるので、

裕翔「了解。」

と言うと、俺はそのまま一高の車列について行く形で目的のサービスエリアに向かった。

 

午前9時

真由美「で、どうして私に直接に報告してくれなかったの。」

とサービスエリアに着いた途端に真由美は聞いてくる。

裕翔「いや、ちゃんと報告しただろ。なあ、市原。」

鈴音「はい。ちゃんと、報告は受けてます。ですので、今回は会長が葉山君を攻める理由にはならないかと。」

真由美「それでも、友人としてちゃんと直接・・・・。」

と言ってので、仕方がなく、

裕翔「じゃあ、代わりに何か一つ聞いてやるよ。」

と言うと、

真由美「じゃあ、今回の九校戦で私専用のCADを創って。」

と言ってくるので、

裕翔「分かった。まぁ、いちおうCADを作るパーツや道具は持ってきてるしな。調整も含めてやってやるよ。」

真由美「ホント!?」

裕翔「あぁ、一応エンジニアとして任された身だしな。」

とこうして、俺が真由美専用のCADを用意することが決まり、俺たちは再び走り出した。

 

午前9時30分

リズ「いやぁ〜、オープンカーでのドライブも最高ね。」

裕翔「いや、自分の物っぽく言ってるけどコレ俺の車だから。」

と車の中でツッコむ。何故、こうなったのか、理由はサービスエリアを出る前に真由美が俺の車に乗せていくよう言ってきて、少し揉めたが、俺が仕方なく譲った事で決まり、4人乗りではあるが、俺以外に真由美、リズ、アスナ、キリトで少しキツイが、5人で先に九校戦の会場に向かっている。

キリト「それにしても、お前がこんな良い車を持ってるとは思わなかったぞ。」

裕翔「数日前に本部で手違いがあって、危うく同士討ちになりかけた事があって、古田上官が詫びとしてくれたんだ。」

と説明する。

裕翔「今回の九校戦で、十文字とキリトはモノリス・コード、アスナはミラージ・バット、リズとミトはアイス・ピアーズ・ブレイクで、七草がスピード・シューティングとクラウド・ボール、摩利はバトル・ボートとミラージ・バットね。」

と真由美に見せられたリストを運転しつつ、確認する。

真由美「どうかな、葉山君から見て。」

と聞いてくるが、

裕翔「正直、今年の新人戦で浩介以外に三校がどれほど強者を繰り出してくるか、正直見てみないと分からない。モノリス・コートにおいては可能な限り浩介の対策としてCADを調整するつもりだ。だが、もしそれ以外に強者が出てきたらそいつの事も考えて調整するしかない。」

と伝えると、

真由美「そう。ねぇ、葉山君にもう一つお願いがあるのだけど、いいかな。」

裕翔「内容による。」

真由美「新人戦のモノリス・コードにおいての補欠も担当して欲しいの。」

裕翔「・・・・・それって、もし新人戦のモノリス・コードで誰かが欠けた場合に代役を担当しろって事だよな。」

真由美「そうよ。」

裕翔「・・・・・。」

と少し、考えていると、

キリト「良いんじゃないか。別に絶対に出る羽目になるわけじゃないんだし。もしもの保険としてお前に出てもらうって言ってるんだ。それくらい、了承してやれよ。」

と言ってきたので、

裕翔「ハァ〜、分かった。引き受けるよ。」

と承諾すると、

リズ「アンタ、前から比べたら少しずつ優しくなったんじゃない?」

と聞いてくるが、

裕翔「別にそんなつもりはない。」

と返すと、俺はそのまま目的地に向かって車を走らせた。

 

午後6時

俺たちは、あれから何事もなくホテルに着き、後から来た克人や摩利とも交流できた。そして、今から明日からの九校戦で戦うそれぞれの学校の親睦を深める為にパーティーが行われようとしていた。

「あの人が、噂の七草家の。」

「キレイ。」

「流石は、十文字家だ。風格が違う。」

など、パーティーに会場に着くと同時に真由美や克人は、注目の的だった。そんな中、俺は

裕翔「・・・・・。」

ただ、ひたすら目立たないパーティー会場の端で真由美たちが注目される光景を見ていた。すると、

キリト「お互い、暇人だな。」

とキリトが声をかけてくる。

裕翔「そうだな。アスナやリズは。」

キリト「あぁ、見えて美少女だから、周りの男共に対応中。」

裕翔「行かなくていいのかよ。彼女だろ。」

キリト「まあ、困ってるようだったら、俺も直ぐに行くよ。」

と話していると、

「おい、見ろよ。三校の生徒達が来たぞ。」

と声が聞こえたので、パーティー会場の入り口方を見ると、赤い制服を着た三校の生徒達の姿が目に入る。その中で最も注目を集めてたのは、

「きゃああああ!!浩介様!!」

「イケメン!!」

俺の親友で、古田上官の息子で今年の新人戦で注目されている生徒の1人である古田浩介の姿だった。

キリト「アイツが古田浩介か。確かにイケメンだな。」

裕翔「そうかもな。ああいうところもアイツの強みだな。ちょっと、ジュースのおかわり取ってくる。」

と言うと、俺はドリンクを取りに向かう。そして、ゆっくりと向かっていると、

真由美「葉山君。」

と真由美が声をかけてくる。

真由美「パーティー楽しんでる?」

と笑顔で聞いてくるが、

裕翔「飯が美味いだけで後は全然。」

真由美「そう。ねぇ、葉山君。九校戦の最終日の夜此処でね、毎年ダンスパーティーが行われてるの。よかったら、一緒に踊ってくれない。」

裕翔「嫌だ。」

真由美「どうしてよ!?」

裕翔「言っただろ、目立つのは好きじゃない。ダンスパーティーって、どうせ会場のど真ん中で社交ダンスを踊るんだろ。そんなの目立つこと間違いなしじゃないか。だから、拒否する。」

真由美「それくらい良いじゃない。」

裕翔「お前が良くても、俺にとっては嫌な事だ。」

と言っていると、

?「七草真由美さんですね。」

と誰かが声を真由美にかけてくる。その声をかけてきた人物は、

裕翔「ゲェ!!」

先程まで注目の的あった古田浩介だった。

浩介「はじめまして。古田浩介です。」

真由美「はじめまして。自衛官であるお父様には父の弘一がお世話になっております。」

浩介「いえいえ。お気になさらず。父はああいう人柄なので。それで、今回九校戦には真由美さんは。」

真由美「はい。スピード・シューティングとクラウド・ボールに新人戦で出場する予定です。」

浩介「そうですか。それは楽しみですね。お互いに頑張りましょう。」

と2人が話している間俺は、

裕翔(浩介には悪いが、今のうちに逃げるとしますか。)

と思いつつ、こっそりと逃げようとしていると、

浩介「ところで、そこでこっそりと逃げようとしている葉山。ちょっと、こっちに来い。」

と声が聞こえてくる。

裕翔(やっぱり、バレた。)

と思いいつ、俺は2人の元に戻る。そして、

浩介「久しぶりだな。」

裕翔「あぁ、久しぶり。」

と言うと、

真由美「浩介さんは、葉山君と親友だと聞いております。」

どうせ話に入ってくる。

浩介「えぇ、父との関係で。」

真由美「葉山君は、今回エンジニアとして九校戦に参加してもらう予定なんです。」

浩介「エンジニア?おい、葉山。お前、選手じゃないのか。」

と聞いてくる。

裕翔「あぁ、そうだよ。」

浩介「おいおい、俺はお前と戦えることを楽しみにしてたんだぞ。」だいたい、お前の実力なら選手に余裕になれるだろ。」

裕翔「確かに、一度は選手に選ばれたが辞退した。」

浩介「なら、何故エンジニアに!?』

裕翔「この七草家のお嬢さんからどうしてもって言われたから仕方なくエンジニアになったんだよ。」

浩介「俺は、お前とまた戦える事を楽しみにしてたんだぞ!!」

裕翔「悪い。でも、これが今の俺だ。」

と話していると、

?「そうですよ。その無能にはその姿がお似合いだ。」

と誰かが後ろから言ってくる。俺は、後ろを振り返ると、そこには会いたくない奴が立っていた。

裕翔「何のようだ。青木颯太。」

颯太「何って、僕は九校の生徒だからね。ちなみに、新人戦ではモノリス・コードに出場するつもりだ。それで、なんでお前がここに居るんだ。無能なお前が居ていい場所ではないと思うが。」

と俺は侮辱してくるのは青木颯太。青木家の四男で、俺と同い年だ。青木ということもあり昔から俺を馬鹿にしている1人だ。

裕翔「こっちは、エンジニアとして参加してるんだ。」

颯太「エンジニア。お前にそんな大役が務まるのか。むしろ、足を引っ張って大事な父が残してくれた葉山家の顔に泥を塗るだけだろ。」

と更に侮辱してきたが、

真由美「これ以上、我が校の大事なエンジニアに対する侮辱はおやめください。」

と真由美が割り込んでくる。また、

浩介「そうだ。コイツがエンジニアに居ることは納得いかないが、それでもコイツの実力は本物だ。勝手な事を言うのは控えたらどうだ。」

と庇ってくれるが、

颯太「真由美様。それに古田殿。私は、おふたりの事も考えた上で言っているのです。コイツは、我が一族の誰もが劣等的な存在と認識しています。いずれ、おふたりも分かると思います。」

と言うと、

颯太「それでは、私は失礼します。それと、無能。せいぜい一校や真由美様の顔の足を引っ張って一族の顔に泥を塗らないようにな。」

と言うと、颯太は去っていく。

真由美「葉山君。気にする事はないわ。」

と言ってくれるが、

裕翔「あぁ、分かってる。悪い。今日はもう休むよ。」

と言うと、俺は先にパーティー会場を後にした。

 

午後7時

カチカチ

裕翔「ここを、少し調整して・・・・・いや、ここの方が・・・。」

と俺は学園が用意してくれたホテルの一室で1人でただひたすら、任されたキリト、アスナ、ミト、リズ、摩利、真由美、克人のCADの調整。そして、勝つための最善の方法を考えていた。すると、

コンコン

と誰かがドアをノックする音が聞こえてくる。

裕翔「チッ・・・・・良いところなのに。」

と言いつつ、俺はドアを開けると、

摩利「失礼するぞ。」

真由美「失礼します。」

キリト「邪魔するぞ。」

アスナ「お邪魔します。」

ミト「お邪魔します。」

リズ「お邪魔しま~す。」

克人「邪魔するぞ。」

といつも連中が入ってくる。

裕翔「うん。なんとなく分かってた。」

と呟ききつつその後、俺は皆んなと九校戦について話し合った。

 

午後7時30分

克人「つまり、古田浩介は、風関係の魔法に特化していると。」

裕翔「あぁ。だが、それは俺が昔見た浩介の姿であって今はどうかは分からない。まずは、予選において結果や試合を見て、そこから分析するしかないだろ。そこらにおいては俺が対策しておくよ。」

克人「助かる。」

とモノリス・コードについて話し終えると俺は、

裕翔「そう言えば、キリト。お前に良いものがある。」

と言うと、俺はある物を取り出し、キリトに渡す。

キリト「これは・・・・まさか!?」

裕翔「お前がSAOで愛用してたソードを元にCADにしてみた。名前は、お前が使ってた時のままで良いんじゃないか。」

キリト「ああ、リアルでもこれを使えるようになるとはな。『エリュシデータ』と『ダークパルサー』。」

裕翔「大事に扱えよ。作るのに大分手間がかかった代物だからな。」

と話していると、

真由美「そう言えば、葉山君が使ってる刀もCADなの?」

と聞いてくる。

裕翔「あぁ、まあ確かにCADの役目も果たしてるが、コイツは少し特殊だからな。」

と言うと、俺はいつも任務や普段の学園でも持ち歩いている2本の刀を取る。

克人「どう、特殊なんだ。」

裕翔「この2本の刀の名は、『雷光丸』と『火炎正宗』。どちらも、俺の龍の目の特徴に合わせて作られた刀だ。」

克人「というと、雷竜のブラックインフェルノと炎龍のインフェルノの能力のことか。」

裕翔「あぁ、この2体の龍は兄弟龍でもあるんだ。言い伝えでは、代々炎龍として語り継がれてきたインフェルノの一族にある日、2体の兄弟龍が誕生した。兄弟は仲良くずっといられると思っていた。しかし、弟の龍に突如、異変が起こった。炎しか使えないはずの弟は、何故か雷をまとうようになった。それを知った他のインフェルノの一族は、その弟龍を一族から追放し、見放した。しかし、兄龍だけは違った。例え、弟が雷竜になってしまっても変わらず、大事な弟して接し続けた。こうして、この2体の龍が誕生したというわけだ。」

と話すと、

ミト「ねぇ、その話聞いたところだと、龍にも一族が存在するって事になるんじゃあ。」

と聞いてくる。

裕翔「まぁ、確かに一族が存在するって意味にはなるが、正直まだ本当に龍に一族が存在するかどうかも分かってない。俺たち人間と契約できる龍がどれほど存在し、どれほどの龍の目を使える者がいるかも分からない。分かってるのは、ただこの力が契約した人間の命も奪いかねない力ももっているという事だ。」

と言うと、

真由美「ねぇ、葉山君は今までに何度その力を使ったの。」

と心配そうに聞いてくるが、

裕翔「心配する事ないよ。俺は、ちゃんと訓練もしてるからそんな直ぐに死ぬことなんてないよ。」

真由美「でも、前みたいな吐血とか・・・・・。」

裕翔「あれは、俺の力を長時間かつ強力な攻撃をしたからだ。そこのところはまぁ、慣れるしかない。」

真由美「・・・・・そう。」

となんとか真由美を落ち着かせると、

裕翔「さて、俺はそろそろ風呂に入ってくるよ。ここ、一応温泉があるし。」

と着替えなどの準備をしていると、

摩利「なら、私達も行くか。せっかくみんなで来たんだ。女同士の秘密についても話したいしな。」

裕翔「それを言ってる時点で秘密ではないと思うが。」

摩利「バレなければ、良いんだよ。」

とこうして、皆んなと温泉に向かう事になった。

 

午後7時50分

男湯

キリト「ハァ〜。生き返る。」

克人「確かにな。」

と温泉に気持ちよさそうに2人が浸かっている。もちろん、俺も

裕翔「ふぅ〜。いい湯。」

と久しぶりにゆっくりしていた。しかし、キリトや克人の体と違って俺の体は今までの任務のせいで傷痕が多く残っていた。

キリト「葉山。お前のその傷痕はどういった理由で出来たんだ。」

と聞いてくる。それ対して俺は、

裕翔「まぁ、撃たれて被弾したり、爆弾の破片が体の中にめり込んだり、斬られたりなどたくさんあるな。」

と答える。

克人「痛くはないのか。」

裕翔「痛いって言った所で、何も変わるわけじゃない。誰かがやらないとテロは消えない。だから、怪我を負っても一つの教訓と思ってやってる。」

キリト「だが、事をしてたらいずれ死ぬぞ。」

と言うが、

裕翔「キリト。俺は、もう既に俺は死んだ人間だ。この体も一部は機械で出来てるんだ。言わば、サイボーグさ。」

キリト「え!?」

裕翔「ほら、この右腕を触ってみろ。」

と言うと、俺は右腕をキリトの方に伸ばす。

キリト「・・・・・。」

キリトは恐る恐る俺の右腕を触る。

キリト「ッ!?」

すると、触ると同時にキリトは後ろに下がる。

裕翔「ほら、普通の腕じゃないだろ。見た目は普通の腕だが、触ると分かるだろ。この硬さ。明らかに鉄で作られてる証拠だ。まぁ、これだけで少しでも俺みたいな人間を生まれないきっかけになればそれで良いよ。」

キリト「葉山・・・・・。」

裕翔「悪いな。暗い話ばかりで。」

と言うと、俺は立ち上がり体を洗いに向かった。

 

一方、女湯では

真由美「ふぅ〜、やっぱり温泉は良いものね。」

と女子達もゆっくりしていた。すると、

リズ「ねぇ、この際に男子について話し合わない。」

アスナ「男子って、葉山君やキリト君のこと。」

リズ「あの3人以外誰がいるのよ。まぁ、でもアスナにとってキリトは彼氏だしね。アンタだけはキリト以外の2人だけで良いわよ。じゃあ、早速だけど私からいくわね。まず、キリトのイメージは、まぁ飯のことしか考えてないけどやる時はできる男って感じね。」

摩利「確かに、言えてるな。」

リズ「克人に関しては、ザ、真面目って感じね。それで、葉山は・・・・・・ダメね。イメージが思い浮かばない。」

真由美「ぷっ・・・・。」

と真由美が少し笑う。すると、

アスナ「確かにリズの言う通りね。葉山君は少しミステリアスって感じもあるけど、優しいイメージもあるわね。」

ミト「確かにそうだけど、アイツ何気に何か隠してるような気もするのよね。」

摩利「それは、アイツが特殊部隊の人間だからだろ。それで、真由美はどう思ってるんだ。葉山のこと。」

と尋ねる。

真由美「私は・・・・・少し冷たいところもあるけど誰よりも優しい心を持ってるって感じかな。」

と答える。すると、

リズ「ふぅ〜ん。真由美、やっぱりアンタ。葉山のこと好きでしょ。」

真由美「・・・・そうかもね。でも、・・・・・私にはもう1人好きな男の子がいるの。」

アスナ「えっ!?それって誰!?」

とアスナが聞いてくる。

真由美「ええと・・・・・好きと言ってもね。夢に出てくる子なの。猛吹雪の雪山でまだ、小学生くらいの私を背負ってくれる男の子なの。」

摩利「随分と、ロマンチックだな。」

真由美「そう。」

摩利「あぁ。だが、やっぱり好きなのは葉山だろ。」

真由美「そうね。お父さんも言ってたけど、いつかは七草家の婿として迎え入れようかしら。」

と楽しそうに話しているが、実は

 

男湯

裕翔「全部、聞こえてるよ。誰が婿になんかなるか。」

キリト「まぁ、聞こえなかった事にしておいてやろうぜ。」

克人「うんうん。」

上の部分が吹き向けで、女子達の声は全て裕翔達にも聞こえていたのだ。

そんな楽しい一夜であったが、明日からはそれぞれの学園の代表として選手になれなかった生徒達の期待を背負ってぶつかり合う九校戦が迎えようとしていたのであった。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回も出来る限り早め出すようにするので、よろしくお願いします。それでは次回もお楽しみに!!


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第13話 晴れ舞台

大変遅くなりまして、申し訳ありません。ようやく13話が完成しました。それでは、どうぞ!!


2023年8月2日

午前8時

遂に迎えた九校戦の開会式。9つの魔法科高校が学校の期待を背負ってぶつかり合う年に1度の大規模なイベントの1つ。そして、今そのイベントの始まりののろしが上がろうとしていた。

『遂にやってきたました。魔法士においての大規模イベント九校戦。今年も例年通り9つの格好が集まりした。さて、今年勝つのは連覇を取り続ける三校か。それとも1位の座を狙い続ける一校か。今年もどのような展開が待ち受けているのか分かりません。』

とスマホのニュースの注目を浴びる中、俺達は先輩達が出場する予選の試合をを見ていた。

ビー

『一位は、一高!!素晴らしい展開でした!!』

無事にバトル・ボートにおいて先輩達も予選を突破した。

摩利「流石は先輩。例年通り予選を突破か。」

真由美「えぇ、これはら優勝も充分に可能だわ。」

と試合の様子を見て、喜ぶ2人だが、

裕翔「それはどうかな。」

と俺は言う。

裕翔「確かに予選は先輩達の圧勝だ。だが、まだ本戦が残っている。それに三校が相手だ。明日からの本番にどう出てくるか分からない。」

と俺は自分なりに分析した上で言う。

真由美「そうね。予選での突破は当然。明日からの試合によるって事ね。」

裕翔「そう言う事だ。さて、明日からどうなることやら。」

とその後も俺達は先輩達の予選を見て回ったが、やはり一高は全て予選を無事に突破。しかし、それは今まで優勝し続けてきた三校も同じだった。

 

8月5日

午後8時

九校戦 一高の会議室

 

鈴音「これが現在の総合結果です。」

と今まで試合においての総合結果がスクリーンに映し出される。

1位 三高

1位 一高

3位 九高

 

と出るが、正直勝てるは微妙なところだ。

鈴音「現在、我が校と三校は同点でこれからの新人戦及び、残ってるミラージ・バットとモノリス・コードの本戦次第で決まるかと。しかし、勝利を確実なものにするならばやはり新人戦で可能な限り優勝する事かと。」

と詳しく説明してくれる。し

先輩A「クソッ!!俺たちが優勝してたら。」

と先輩が悔しそうしている。そんな、先輩の姿を見た俺は、

裕翔「仕方ない事ですよ。相手は今までトップの座を守ってきた三高なんですから。むしろ、よく同点まで良くやってくれましたよ。ここからは、俺たち次第って事ですよ。」

と呟く。

すると、

「おい。先輩に対してなんて言い方だ!!」

と同じ1年に言われるが、

裕翔「え、だって事実だろ。なら、目指すは一つだろ。」

摩利「おい、まさか葉山それって。」

裕翔「新人戦で一高が全ての競技で全て優勝する。」

と宣言する。それに対して、

「そんなの出来るわけないだろ!!」

「ちょっと、さっきからアンタ何様のつもり!!エンジニアのくせに。」

と罵倒を浴びせられるが、

裕翔「はい。確かに俺はエンジニアですよ。でも、俺に言ってる事は間違ってないと思うけど。第一に、無理だと思ってたら絶対にできるわけがないだろ。勝てば良いんだよ。勝てば。じゃあ、俺は早速明日に向けて準備させてもらいます。」

そう言うと、俺は1人で自分の部屋に戻った。

 

午前1時

カチカチカチカチ

裕翔「ッ・・・・・流石に4時間もやってると目が疲れるな。」

と俺は目を少し摘むように押さえ、目をほぐす。そして、少し休憩をすると、

裕翔「よし。やるか。」

と俺は再び手を動かす。そして、俺が眠りについたのは4時間後の事だった。

 

そして、日が昇り遂に新人戦が始まる時間を迎えた。

 

午前10時

新人戦 スピード・シューティングの選手の待合室

 

真由美「ふぅ〜。」

と真由美が少し緊張した様子でいる中、俺は真由美がいる待合室に入る。

裕翔「流石の七草家でも今回は緊張するか。」

と言うと、

真由美「葉山君。・・・・・そうね。私たち次第で勝敗が決まるとなるとどうしてもね。」

裕翔「まぁ、緊張するのも分かるが、本番では肩の力を抜けよ。それと、ほら約束のものだ。」

そういうと、俺は真由美にある物を渡す。

真由美「これは・・・・!?」

と真由美は俺が渡したある物を見て、驚く。今までの試合では普通のCADを使用してたが、今回は決勝戦の為に俺が用意した物だ。もちろん、許可はちゃんと取ってある。

裕翔「これで、相手の選手も観客どももビックリするほどの結果を出してこい。」

と俺が言うと、

真由美「うん。ありがとう。葉山君。行ってくる。」

と言うと、真由美はある物を手に取り会場へと向かう。そして、俺も直ぐに試合を見るためにエンジニアなどが観れる特別席に向かった。

 

午前10時5分

『それでは、これより新人戦スピード・シューティングの決勝戦を開始します。』

と会場にアナウンスが流れる。そして、2人の選手がCADを持って会場に入賞する。しかし、一高の選手『七草真由美』のCADは一味違うCADだった。

「何あのCAD?」

「観た事ないぞ。」

「何処か作ったんだ。」

と観客は真由美のCADを見て驚く。真由美が使っているCADは、

「弓だ。」

弓型のCADだった。

 

同じ頃

特別席では

摩利「葉山、お前まさか!?」

裕翔「あぁ、今回俺が用意した七草専用のCADだよ。モデルはALOで俺が真由美にやった『ウインドコールド』だが、中身はちゃんと試合の規定値に沿って真由美の要望を可能な限り実現した物さ。後はあいつ次第だよ。」

と言いつつ、俺は試合に集中する真由美の方を見て、

裕翔(負けるんじゃねぇぞ。)

と思いいつ、真由美を見守った。

 

そして、本人の真由美

カチャ

とCADを構える。

真由美(ここまで、葉山君が可能な限り要望に合わせてくれた。後は、私がしっかりと決めるだけ。)

と思いつつ、CADを構え、スタートの合図を待つ。そして、

ピッ、ピッ、ピッー!!

START

のスタートの合図が会場に鳴り響く。

ピュン

ピュン

ピュン

と一気に標的のクレーが出てくる。それを

パリン

パリン

パリン

と一気に出てきたクレーが一瞬で破壊される。

『おっと、七草選手一気にクレーを破壊!!これは速い!!速すぎる!!』

と真由美の前に出てくるクレーは次々と一瞬で破壊されていく。相手選手のポイントを倍の差で稼いでいく。そして、

ピー

試合終了の合図が鳴り響く。そして、勝ったのは

『勝者、七草真由美選手とアナウンスが流れる。』

その瞬間、

「ウオオオオー!!」

「スゲェ!!」

と一斉に観客が声を上げる。

 

そして、特別席でも

アスナ「やったー!!勝ったよ。」

リズ「やったわ!!真由美が勝った!!」

摩利「よし!!」

と特別席でも歓喜の声が上がっていた。

裕翔「・・・・・・ふぅ〜。」

と俺が一息吐くと、

克人「やったな。葉山。」

と克人が言ってくる。

裕翔「あぁ。じゃあ、俺はちょっと次の準備に行ってくるよ。」

摩利「おい。もう少し、見て行けよ。」

裕翔「次のクラウド・ボールもある。悪いが、先に行くわ。」

そう言うと、俺はクラウド・ボールに向けての準備に向かった。

 

午後2時

クラウド・ボール 新人戦 決勝

ピー

ブォーン

ブォーン

午後になっても九校戦の熱が冷める事はなく、むしろヒートアップしていた。新人戦における真由美の圧倒的実力。スピード・シューティングでも十分輝いていた。しかし、このクラウド・ボールでもその実力は見受ける。

ブォーン

ブォーン

相手選手「くっ・・・・・。」

ブォーン

と相手選手が真由美の魔法に追いつけていない。そして、

ピー

試合の終了の合図が鳴り、結果は文句なしの真由美の圧勝である。

「きゃーーーー。ステキ。」

と観客席からはこのように多くの声が上がり、真由美は九校戦における新人戦は幕を下ろした。

 

午後5時

「流石は七草さん。すごい、試合だったよ。」

「見ていて。興奮しちゃった。」

と早めの夕食を迎えた俺達は一高の選手達は、みんな今日の真由美の試合の話題で持ちきり状態だった。しかし、そんな中俺は、

裕翔「・・・・・・。」(ゴクゴク)

ただひたすら飲み物を飲み続けていた。

すると、

?「暇かね。」

とある老人が声をかけてくる。

裕翔「えぇ、まぁ。俺は裏方の方なのであまり、あのような彼らの輪の中に入るべきではないかと。」

と俺は真由美達の方を見て、答える。

?「しかし、それにしても七草家のお嬢さんが使っていたCADは見事な物だった。まさに、天使ミカエルとでも言うべきかな。」

裕翔「そうですね。彼女は、そんな人ですね。(まぁ、クソ面倒な天使だか。)」

と思いつつ、答える。

?「だが、彼女のCADを作ったのは君だろ。葉山家の当主であり、数少ない竜の目の使いである葉山裕翔。」

裕翔「・・・・・流石に十支族の方なら気づいていましたか。はじめまして。九島烈様。」

と挨拶したのは、元九島家の元当主でありる九島烈だ。

烈「気づいていたか。」

裕翔「こんなタイミングで、話しかけてくる人は大抵・・・・・ある目的で接触してきたとしか思えませんので。まぁ、予想はついてます。俺をスカウトしにきたのでしょう。」

烈「・・・・・龍の目の力を持つ者は希少な人材だ。だが、ここで話すのも難だ。場所を変えよう。着いてきなさい。」

そう言われると、俺は黙って九島烈に着いていった。

 

午後5時20分

ホテル 最上階のVIPエリア

「どうぞ。コーヒーです。」

と九島家の執事がコーヒーを持って来てくれる。

裕翔「ありがとうございます。」

と礼を言い、俺はコーヒーを飲む。すると、

烈「昔、君のお父さんと何度か話したよ。お父さんの死は非常に残念だった。」

と話してくれる。

裕翔「父を知っていたのですか。」

烈「あぁ。君のお父さんと初めて会ったのは、彼が君とまだ同じくらい歳だった頃だ。龍の目の力の研究に没頭していたよ。そして、そんな彼も父親になり君が産まれ、いつも話してくれたよ。そして、彼は気付いていた。いづれ君は、龍の目の力を操る戦士になると。」

裕翔「・・・・・。」

烈「お父さんは、素晴らしい人だった。君にもお父さんの面影がある。裕翔君。私と来なさい。来れば、君はきっとお父さんも超える人物になれる。」

と言ってくれるが、俺は

裕翔「すいません。今の俺は、貴方に着いていく力はありません。俺は、まだまだ未熟な人間です。守るべき人との約束も果たせずいる。そんな今の俺が貴方の元に行ってもいずれ失望させてしまう。それに・・・・・俺には今やるべき事があります。ですので、今はお断りさせて頂きます。父が本当にお世話になりました。」

と俺は一礼すると、

裕翔「では、失礼します。」

と言い、VIPルールを後にした。

 

午後6時

裕翔「ハァ〜。やっぱりああいうパーティーは嫌いだ」

と独り言を言いつつ、俺がホテルの廊下を歩いていると、九高の生徒達がやって来るのが見えた。その中にはもちろん颯太の姿もあった。

裕翔「・・・・・。(ペコ)」

と九高の生徒達とすれ違う際に俺は黙って一礼する。そして颯太とすれ違ったその時、

颯太「良かったな。一族の顔に泥を塗らなくて。お前の父親である出来損ないの葉山俊介もさぞかし喜んでるだろうな。」

と言っていく。その発言に対し俺は、

裕翔「そっちこそ、父親の顔に泥を塗らないよう精々頑張れよ。」

と言って俺はそのまま自分の部屋へと向かった。

 

午後8時

カチカチ

と昨日と変わらず俺は必死に明日に備えて、準備をしていた。しかし、

颯太(お前の父親である出来損ないの葉山俊介もさぞかし喜んでいるだろうな。)

とさっき、颯太に言われた言葉が忘れられないでいた。そして、

裕翔「ダメだ!!集中力が続かねえ!!」

と言って、CADの調整を止め、背伸びして、

裕翔「あぁ〜。少し、外の空気でも吸ってくるか。」

と言うと、俺は部屋を出てそのまま外に向かった。

 

午後8時15分

裕翔「ハァ〜。やっぱり、都会と比べて空気がうまいな。風も気持ちいいし。」

と独り言を言っていると、

?「少し、よろしいですか。」

と女性らしき声が聞こえてくる。

裕翔「うん?」

と俺は振りかえるとそこには金髪で少しお嬢様的な雰囲気を醸し出した少女が立っていた。そして、

愛梨「はじめまして。一色家の長女の愛梨と申します。以後、お見知りおきを。」

と丁寧に挨拶してくる。

裕翔(一色家。神経関係の魔法を得意とする名家。)

と思いつつも俺は

裕翔「自分は葉山家の当主である。葉山裕翔と申します。」

と挨拶すると、

愛梨「葉山・・・・もしかして四葉家に仕える葉山家のご関係の方ですか。」

裕翔「はい。確かにその葉山家とも血の繋がりはありますが、少し事情があり今は別の葉山家として存在している一家になります。」

愛梨「そうですか。」

裕翔「それで、一色家の御令嬢が自分に何のようでしょうか。」

愛梨「見る限り貴方は剣術がお得意のようですね。見る限り腕の筋肉の付け方が剣術を習っている方とよく似ているので。まぁ、ですが、貴方が剣術がお得意だと分かった一番の理由は、貴方が身につけておられる刀が輝いていらしたからです。」

裕翔「随分とお詳しいんですね。」

愛梨「幼い頃から色々と習い事をしていたので。」

裕翔「なるほど。」

愛梨「それで、貴方も九校戦には出場されるのですか。」

裕翔「いえ、自分はエンジニアなのでサポートがメインなので。それでは、失礼します。」

と言うと俺は逃げるようにその場を離れた。

愛梨「あ、あの・・・・。」

と彼女はまだ聞きたいことがあったようだが、

裕翔「すいません。まだ、やることが残ってるので。」

と言って逃げた。

 

翌日

午前9時

遂に新人戦におけるバトルボードの試合が始まった。既に予選における1回戦が終わり、次の2回戦では摩利が出場する。そのため、

裕翔「ほら、お前の要望通りに仕上げておいた。」

と俺はこの日のために調整したCADを摩利に渡す。

摩利「ありがと。これで思う存分に戦える。」

裕翔「可能な限り、速度を上げやすいように調整はしてあるが、その分コントロールが難しくなる。分かってると思うが、コントロールをミスれば最悪、事故になりかねない。」

摩利「分かっている。」

裕翔「なら、良いよ。じゃあ、・・・・・行ってこい。」

と言うと俺は真由美やキリト達が待つ観客席に向かった。

 

午後9時10分

バトルボード 第2予選会場の観客席

キリト「葉山!!」

と多くの観客でいっぱいの中、キリトが俺を見つけてくれたおかげで、みんなと合流できた。そして、キリトが取っておいてくれた席に座ると、

キリト「それで、渡辺の調整は?」

と聞いてくる。

裕翔「出来る限りのことはした。アイツに頼まれた通りに調整もしておいた。後は渡辺自身次第だ。」

と話してると、

ピッ

と渡辺を含めた選手が配置に着く。

そして、

ピッ、ピッ、ピッ、ピーー!!

ダァッーン

とカウントダウンが終わると同時に一斉に選手達が前に出る。すると、

真由美「摩利が前に出た!!」

と真由美が言ったので、モニターを見ると、同時に出た選手達を置いて、摩利が前へと出ていた。さらに、速度を上げて、摩利は他の選手達との差を広げていく。

 

一方、摩利本人は、

摩利(予想以上の性能だ。流石だ。葉山。)

と思いつつ、前だけを見て、ボードをコントロールする。

摩利(やはり、あの時に頼んでおいて正解だった。)

と実は摩利は裕翔に対して、裕翔がエンジニアに決まった翌日からCADの調整を頼んでいたのだ。

 

さかのぼる事、14日前

午後3時

第1高校 技術室

カチカチ

と裕翔がCADの準備を行なっていると、

ヴィーン

摩利「やっぱり、ここに居たか。葉山。」

と摩利が技術室に入ってくる。

裕翔「何の用だ。」

と裕翔は目の前のCADの調整を行いつつ、摩利に聞く。

摩利「実は、お前に頼みたいことがあって・・・・。頼む。私のCADの調整において頼みたいことがある。」

と手を合わせて、摩利は軽く頭を下げてくる。そんな摩利の姿を裕翔は横目で見て、

裕翔「で、頼みって。」

と摩利に聞く。

摩利「いや、葉山は私がバトルボードに出る事は知っているのか。」

裕翔「一応、リストは見たからな。で、バトルボードの際にどうして欲しいんだ。」

摩利「これは、バトルボードだけの話ではないのだが、多くの選手は基本CADをバランスを優先してることが多い。だが、今回の新人戦では私は勝つためにスピードを優先したい。だから、葉山頼む。スピードを最大限に優先したCADになるよう調整して欲しい。」

と摩利は裕翔に頼む。それに対して、裕翔は

裕翔「別にやっても良いが、スピードは上げれば上げるほど、コントロール面は一気に難しくなる。それを理解した上なら、お前の望みは叶えてやる。だが、それでも俺が調整するだけではダメだ。お前も練習し、扱えるかどうか確認も必要だ。最悪、怪我する可能性少しでもあれば、スピード面を下げ、コントロール面を上げる。分かったな。」

摩利「あぁ。」

裕翔「明日の放課後から始める。一応、言っておくが優勝する上でやっていくからそのつもりで。」

と裕翔は睨みつつ言う。

摩利「お、おう。よ、よろしく頼む。」

と少し怯えつつ、摩利は返事をした。そして、その翌日から摩利と裕翔は時間の合間を見つけては共にCADの調整、確認を行い続けた。

 

そして、今

ピー

「ウオオオオー!!」

摩利は予選において見事に他の選手達から圧倒的な差でゴールした。観客席からは歓喜の声が響く。

 

そして、裕翔も

 

真由美「ヤッター!!」

と真由美達が大声で喜ぶ。そして、俺も

裕翔「ふぅ~。」

と一息を吐く。そして、

裕翔「努力した甲斐があったよ。」

と俺は呟く。そして、

裕翔「決勝の準備があるから先に行くよ。」

と言って、俺は立ち上がる。

キリト「まだ、時間はあるから少しくらいゆっくりしていけよ。」

真由美「そうよ。少しくらい。」

と言ってくれるが、

裕翔「まだ三高との戦いが残ってる。そこの所の対策を取らないといけないから。」

と言って、俺はそのままCADの調整に向かった。

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご愛読いただきありがとうございます。現在、投稿している九校戦編は15話までしようかと考えております。常に魔法科高校の劣等生や優等生を漫画、小説、アニメなどで見て登場してくる魔法を勉強しており、また少し時間がかかるかもしれませんが、温かい目で読んでくだされば、幸いです。可能な限り、早めに投稿するようにするので、これからも当作品及び私、アニ督をよろしくお願いします。それでは、次回もお楽しみに。


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第14話 決断

長らくお待たせ致しました。14話です。どうぞ!!


2093年8月7日

午前9時40分

第一高校 新人戦 バトルボードのエンジニア控え室

裕翔「・・・・。」

摩利「・・・・・。」

と俺と摩利はバトルボードの3回戦予選が中継されているモニターを見ていた。何故なら、そのモニターには俺も想定していない事態が起きたからだ。3回戦において1人の三校の選手が圧倒的な速度で選手たちとの距離が出来ていたからだ。そして、

『ピー!!』

そのまま、その三校の選手は独走状態でゴールする。1位でゴールした三高の選手は水尾佐保。三高において摩利と同じくバトルボードとミラージ・バットの新人戦において代表選手だ。

裕翔(一応、警戒していたがまさかここまでの実力とは・・・・おそらく、渡辺と実力は同等。・・・・・・。)

と思っていると

摩利「葉山。何故だろう。先輩のために勝たなければいけない試合なのに、私・・・・アイツと戦えることが何故か楽しみなんだ。」

と笑顔で言ってくる。それを見た俺は何故か

裕翔(楽しいか・・・・・。)

と心の中で呟くと、俺は

裕翔「決勝戦までには出来る事はしておく。」

と言うと俺は黙って再び、摩利のCADの調整を始めた。

裕翔(決勝戦まではまだ、時間はある。)

そう思いつつ、俺は手を動かし続けた。

 

午前11時

裕翔「できる限り調整はしておいた。」

と言い俺は摩利にCADを渡す。

摩利「助かる。これで、存分に本気を出せる。ありがとな。葉山。」

と摩利は礼を言う。そして、

摩利「じゃあ、行ってくる。」

と言うと摩利は会場へと向かっていった。

 

午前11時10分

バトル・ボード 新人戦 決勝戦

 

遂に迎えたバトル・ボード新人戦における決勝戦。まだ、正直できる事があったのではないかと心残りがある。そんな思いが走る中、俺は特別室で試合が始まるのを待っていた。

そして、会場では既に選手達が配置につき、スタートの合図を待っている状態だった。

ピッ、ピッ、ピッ、ピッー!!

とスタートの合図が鳴り響くと同時に

バッ

と摩利が一気に前に出た。しかし、

バッ

背後から佐保から迫ってくる。

 

そして、摩利本人は

摩利(まずいな。このままでは・・・・・。こんな時アイツ(葉山の事)なら・・・・・)

と後ろから迫ってくる水尾佐保の事で焦り始めていた。そんな時、

摩利(そう言えば・・・・こんな時アイツは・・・・・。)

と摩利は思い出す。

 

それは、今から1週間前の事、

その日、摩利は葉山と共に練習しつつ、CADの調整を行なっていた。しかし、葉山がCADを調整を行う間、やる事はただほぼ無いに等しかった為、摩利は

摩利「なぁ、葉山。」

裕翔「何だ。」

摩利「葉山は焦ることってあるのか。」

と裕翔に聞いてくる。それに対して、裕翔は

裕翔「なんで、そんな事聞いてくるんだ。」

摩利「いや、葉山はいつも落ち着いて、焦ってる姿を見た事ないから。」

裕翔「・・・・・あるよ。前のパーティーの襲撃事件の時は焦ったよ。予想外の相手にも遭遇したから。」

摩利「そんな時は、どう考えて動いてるんだ。」

裕翔「焦ってる時は、繊細に考えるは間違ってる。そういう奴は、その時にやるべき事を決められずに終わる。焦ってる時ほど、単純になるべきなんだ。だから、難しく考えずその時にできることを1つ決め、あとは考えずに体を動かす。それだけだ。」

 

と葉山の言葉を摩利は思い出す。

摩利(そうだ。難しく考えるな。今は勝つ事に集中しろ。)

そう決めると、摩利はCADを操作し、そして、

バッ

摩利は一気に速度を上げる。

佐保「なっ!?・・・・・ッ!!」

と佐保も速度を上げるが、

佐保(追いつけない。)

摩利は佐保と距離を離していく。

佐保(あんなに速度上げたら、コントロール面がかなり難しくなるはず、なのに何故!?)

と佐保は考えるが、摩利は

ブーーーーー

さらに加速し、距離を離していく。

そして、

ピー

摩利はそのままゴールし、一位の座を手にした。

 

午後4時

九校戦 一高の会議室

 

バトル・ボート新人戦で摩利が優勝し、アイス・ピアーズ・ブレイクにおいてもリズが1位で2位がミトという結果を残し、今日の全ての競技が幕をおろした。そして、今明日の競技についての話し合う為に裕翔を含めた代表の選手達は今、一高の会議室に来ていた。

鈴音「それでは、これが現在の九校戦におけるポイントになります。今日のバトル・ボードで渡辺さんの優勝とアイス・ピアーズ・ブレイクで篠崎さんが1位、兎沢さんが2位の座を得た事により、現在、一高がトップになっています。しかし、2位の三高にもまだ、逆転のチャンスがあるため油断はできない状態です。」

とモニターに映されている順位とスケジュールを基に報告してくれる。

真由美「これで、何とか一位になれたけど、現状まだ油断は出来ないわね。明日のモノリス・コードでは今年の新人戦で三高の古田君が出場する事になってるし。どう対処したら良いのか。」

と真由美が呟くと、

鋼太郎「会長。少し良いか。」

と言いつつモノリス・コードの新人戦の代表選手の辰巳鋼太郎が手を挙げる。

真由美「何かしら、辰巳君。」

鋼太郎「悪いが俺、代表を辞退したい。」

と鋼太郎がみんなに伝える。すると、

真由美「どうして、このタイミングで?」

鋼太郎「いや、俺よりも葉山の方が適任だと思って。聞いたところに葉山は三高の古田と友人で詳しいんだろ。それに葉山は1年で総合成績もトップだ。そんな奴をエンジニアだけで終わらせるのももったいないからな。会長、俺は降りる代わりに葉山を代表として出してやってくれ。」

と言うが、

裕翔「いやいや、何で俺なんだよ。代わりはいくらでもいるだろ。何で、俺なんだよ。それに、俺が何で浩介どう仲良い事を知ってるんだよ。」

鋼太郎「まぁ、それは桐ヶ谷に聞いてくれ。」

キリト「ちょっ・・・・おま・・・!!」

とキリトは慌てて鋼太郎を止めようとするが、

ジーーーーー

キリト「・・・・・。」

裕翔「・・・・・(ジーーーーー)。」

裕翔の殺気のこもった視線が、キリトから話しす余地を奪う。しかし、

真由美「では、辰巳君が代表選手として降りた以上、補欠である葉山君に任せます。これは、生徒会長として私が任命します。異論はありますか。」

と聞くが、誰も口を開く事はない。そして、

真由美「では、これで解散です。各自、明日の準備をお願いします。」

と言うと皆、席を立ち解散していく。しかし、葉山や真由美や摩利、克人を含めたメンバーだけはそのまま残るが、

裕翔「どういうことだ!!キリト!!」

とまず、始まったのは葉山の不満からである。

裕翔「お前!!俺を嵌めやがったな!!」

キリト「いや・・・・・俺はただ・・・・・すまん。」

裕翔「お前!!今ここで殺してやる!!」

と飛びかかろうとするが、

摩利「落ち着け!!葉山!!」

アスナ「そうよ。元々、この件は私達も知ってたわ。キリト君だけのせいじゃないわよ。」

と打ち明けつつ、裕翔を抑える。

裕翔「それって、つまりさっきの茶番は俺をモノリス・コードに出場させる為に計画だったってわけか。」

真由美「ごめんなさい。葉山君を騙すような真似をして。本当は、正直に話すつもりだったけど、・・・・・本当にごめんなさい。」

と真由美は頭を下げてくる。そして、そのまま

真由美「言い出したのは、私。全ては私の責任。私が弱いばかりに葉山君を騙してしまって。」

裕翔「・・・・・・もう良いよ。生徒会長のお前が頭を下げる姿なんか見たくねえよ。良いよ。出てやるよ。大体、俺の素直じゃないところが原因だからな。」

と裕翔は真由美に話す。

真由美「じゃあ・・・・・。」

裕翔「明日のモノリス・コードに出る。そして、優勝してやるよ。それに・・・・いつまでも逃げてたら、代理とはいえ親父が残してくれた家の恥晒しとしていつまでも居るわけにはいかないからな。」

と言うと裕翔は会議室を後にする。

 

一方、同じ頃三高の会議室では葉山達と同様に三高の1年達が明日の新人戦におけるモノリス・コードについて作戦を立てていた。

浩介「明日のモノリス・コードの決勝では必ず、一高と戦うことになる。現状、選手は十文字克人、桐ヶ谷和人、辰巳鋼太郎の3名だ。そして、彼らのCADの調整を行うエンジニアの葉山裕翔だ。コイツのCADの調整の腕は化け物だ。」

「どうして、そんな事が分かるんだよ。」

浩介「葉山と俺は幼い頃から連みがある。だから、アイツがCADの調整を行う姿を何度も見てきた。だから、分かる。アイツは必ず何か秘密兵器出してくるはずだ。特に、俺に対抗できる秘密兵器をな。」

と浩介達が話していると、

「おい!!さっき、新人戦のモノリス・コードで発表があったぞ!!一高の代表選手が変わったらしい。テレビつけてみろ。」

と会議室に入ってくる。そして、直ぐにテレビをつけると、

『先程、新人戦におけるモノリス・コードにおいて一高選手に変更があり、辰巳鋼太郎選手から葉山裕翔選手へと変更する発表がありました。』

と九校戦においての臨時ニュースが流れる。テレビには裕翔の写真も出ていた。

浩介「・・・・・そうか。お前もでるのか葉山。」

と浩介はつぶやく。

 

また、ほかの場所でも

 

ホテルのラウンジ

青木『あの葉山家の恥晒しがモノリス・コードに出るようだな。』

颯太「はい。」

青木『良いか。必ず、奴を潰せ。あのような奴に負けるなど青木家にとってはあらぬ事だ。必ず、潰せ。』

颯太「はい。父上。青木家の為にも奴は必ず、叩きのめします。」

青木『期待しておる。』

と言うと電話は切れる。

 

四葉家東京本部ビル

真夜「貴方のお孫さんモノリス・コードに出るようね。」

忠教「えぇ。一応、あの子の祖父として嬉しい限りです。」

真夜「裕翔君は、今や十氏族において誰もが目をつけてるわ。今回の九校戦でも一際注目を浴びる事になるでしょうね。楽しみだわ。どれほど、楽しませてくれるか。」

と言うと真夜は忠教が入れた紅茶に口をつける。そして、それぞれがあらゆる思惑をただよせる中、葉山は・・・・・

 

午後8時

葉山の部屋

カチャ

カチャ

ただ、ひたすら明日のモノリス・コードに向けて準備を進めていた。

葉山(明日のモノリス・コード・・・・・やるからには必ず勝つ。)

と思いつつ、手を動かす。すると、

コンコン

と誰かがノックする音が聞こえてくる。

裕翔(こんな時間に来るのはアイツだろ。)

と裕翔は立ち上がり、ドアに近づき、

ガチャ

とドアを開ける。そして、そこには

真由美「ごめんね。明日の準備で忙しいのに。少し、話したいことがあって。」

裕翔「そうか。まぁ、部屋に入れ。此処で話すのも目立つから。」

真由美「そうね。じゃあ、失礼するわね。」

と言うと真由美は部屋に入る。そして、

裕翔「それで、話したいことって。」

真由美「その・・・・・さっきの事・・・・・。」

裕翔「もう気にしてない。」

真由美「でも・・・・・。」

裕翔「決めた事だ。やるからには、勝つつもりでやる。それにあのまま選手になってなかったら浩介に文句を言われる続けるかもしれないからな。」

と答えながらも、裕翔は手を動かし続ける。すると、

真由美「ねぇ。葉山君。私ね、よくある夢を見るの。」

裕翔「夢?」

真由美「うん。多分、小学生くらいの頃かな。私1人が、雪山を歩いていて、凍え死にそうになった時にね。私と同じくらいの1人の男の子が

助けに来てくれたの。その子は、私を背負って、何度も眠ってしまいそうになる私に「目を閉じるな。必ず、助けてやる。」って言ってくれるの。でも、いつもそこからの続きが見えなくて、本当にあった事なのか、夢だけの事なのかよく分からないの。」

裕翔「・・・・・もし、その夢が現実にあった事なら、お前はどうする。」

と裕翔が聞く。すると、

真由美「そうね。もし、本当なら助けてくれた男の子にもう一度会って、お礼を言いたいかな。」

裕翔「そうか・・・・・会えれば良いな。」

と裕翔は呟く。しかし、

真由美(もしかして・・・・あの時の男の子って・・・・・まさかね。)

と裕翔を見つめつつ、真由美は密かに心の中でそう思っていた。

 

翌日、

午前7時30分時 モノリス・コードの準備室

 

キリト「裕翔。行けるか。」

裕翔「あぁ。準備は出来てる。にしても、お前はやっぱり黒がお似合いだな。」

と裕翔とキリトは準備を終え、話していると

克人「葉山、桐ヶ谷。準備はできたか。」

とモノリス・コード専用アーマーを着た克人が聞いてくる。

裕翔「ああ。俺の方はいつでも行ける。」

キリト「俺もいつでも良いぜ。」

克人「そうか。まず相手は五高だ。俺たちなら、問題ないと思うが、油断はするなよ。」

キリト「分かってるよ。」

裕翔「まぁ、俺は少し手加減させてもうよ。」

克人「そうか。では、葉山。予定通り指示は頼むぞ。」

裕翔「うい。」

と返事をすると、

克人「時間だ。行くぞ。」

と俺たちはそのまま戦場へと向かった。

 

午前7時50分 

モノリス・コード 予選 観客席

 

ザワザワ

と今日のモノリス・コードの観客席を見にきた魔法科高校の生徒達で溢れていた。

「聞いたか。昨日、変更で入った一高の葉山って選手、同じ一高の生徒から聞いたけど話によれば、成績は学年トップらしいぜ。」

「葉山選手は、元々は新人戦のエンジニアだったらしいぞ。」

「でも、話によればSAOサバイバーとよく連んでるってよ。現に、同じにチームに桐ヶ谷って奴が居るしな。」

と観客席では裕翔の話で持ちきり状態だった。そんな中、

摩利「ここでも、SAOサバイバーの差別発言を聞くとは。ドイツコイツも困ったものだ。」

真由美「でも、それよりもやっぱりみんな、葉山君に注目してる感じね。」

アスナ「葉山君は今の私たちの中で1番強いからね。」

と真由美達も観客席で話しつつ、待っていると

『これより、新人戦におけるモノリス・コードを開始します。1回戦は一高対五高による試合となります。』

とアナウンスが鳴り、観客席にいる生徒達は一斉にモニターへと目線を向ける。そして、そのモニターには既に試合の開始を待つ、両チームが映し出される。そして、

3、2、1、ピー!!

 

1回戦会場 一高側のチーム

ピー!!

と試合開始の合図が鳴り響き、裕翔、キリト、克人は、それぞれの動き始める。1回戦のマップ構造は森林と沢山の岩場によるものだ。そして、

サッ、サッ、サッ

とキリトは木を使い直ぐに敵のモノリスへと向かう。そして、克人は

ザッ

モノリスの防御へと回る。そして、裕翔は、

カチャ

裕翔「配置についた。」

と用意したKar98の形をしたオリジナル狙撃型CADを構え、敵からも味方からも離れた岩場へと登り、狙撃態勢をとる。

裕翔「キリト。お前の姿を確認した。ここからサポートする。」

キリト『了解。』

と各自無線で情報を共有する。そして、裕翔はすると知覚魔法を使い、スコープ代わりにし、キリトの周辺を確認する。すると、早速裕翔は相手チームのモノリスを見つける。そして、それを守る2人の五高の選手も。

裕翔「キリト。モノリスを見つけた。そのまま800メートル先だ。防衛側はモノリス中心にそれぞれ左右に2人。1人好きな方を選べ。」

と指示を出す。

 

そして、

五高 モノリスから100メートル手前

キリト「見つけた。」

と言いつつ、モノリスを見つけたキリトは、そのままモノリスに向かっていく。すると、

ザッ

とモノリスを防衛する相手チーム2人が出てくる。すると、

シャキン

と裕翔から貰った「エリュシデータ」と同様とCADを抜き、構える。

そして、

キリト「スラント!!」

とSAOでキリトが身につけたソードスキルを元に新たに作り出した剣術魔法「スラント」をくりだす。そして、

「グハッ・・・!!」

と相手を1人ダウンさせる。すると、

「くらえ!!」

ともう相手の1人が直ぐに魔法を繰り出そうするが、

シュン

ダァッーン

「カハッー!!」

と「空弾」による魔法でもう1人もダウンする。その攻撃は・・・・

 

敵モノリスから3キロ離れた岩場

裕翔「よし。どちらもダウン。キリト、コードを。」

キリト『OK。』

とキリトのサポートを終えた裕翔はそのままキリトが敵のモノリスのコードの解読を見守り続け、そして

ビー

キリトが敵チームのモノリスのコードを解読と同時に試合終了の合図が鳴り響く。

 

そして、観客席では

ウオオオオーー!!

「凄えー!!何だよ!!あの剣術魔法!!」

「それに、最後の葉山の狙撃も凄すぎるだろ!!あんな遠距離から!!」

とキリトと裕翔による活躍で観客席では生徒達が興奮していた。

真由美「ふぅー、まずは1つ目ね。」

摩利「ああ、でもキリトや葉山のあの活躍ぶりなら問題ないだろ。」

と真由美達からも少し笑みがあふれていた。

こうして、裕翔達は無事に1つ目の勝利を手にしたのであった。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご愛読ありがとうございます。次も頑張るので温かい目で読んで下さると幸いです。次回もお楽しみに!!


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第15話【互いの想いをぶつけて】

お待たせ致しました。15話です。どうぞ!!


2093年8月8日

午前9時

モノリス・コード 休憩室

 

ピー

互いの魔法科高校の代表がぶつかり合う競技であるモノリス・コードは、始まってから約1時間、各校が4戦行う予選では一高の裕翔、キリト、克人は連勝し続けた。特に裕翔は次々にピストルやライフル型のオリジナルCADを試合に出した上に、その狙撃能力や対応力には誰もが注目した。そして、予選も無事に終わり、遂に決勝戦に出場する4校が決定した。

決勝戦 出場校 第一高校

        第三高校

        第九高校

        第七高校

の4校が決勝戦へと進めることが決定した。そして、これを見た裕翔たち

キリト「よし!!遂に準決勝進出だ!!やったな!!」

とキリトは喜ぶが、

裕翔「いや、当然だろ。あんなにやっておいて連勝して準決勝にいけなかったら流石に訴えるぞ。」

真由美「まぁまぁ、準決勝に進めたんだし、今は喜びましょ。」

と真由美は言うが、

裕翔(例え、今まで上手くいったとしてもここからそんなに簡単にいくとは思えない。青木颯太に浩介。俺の実力が通じるかどうか。)

と思っていると、

鈴音「会長。準決勝戦が試合の順番が決まりました。開始は10時からで最初に我々が戦うのは九高です。」

裕翔「っ!」

とそれを聞いた裕翔は少し、動揺する。それを見た真由美は、

真由美「鈴ちゃん。九高のチームの予選で様子はどうだった。」

と真由美が聞くと

鈴音「予選の録画を見た様子ですと、やはり最も警戒するべき選手は青木颯太選手ですね。」

裕翔「・・・・・。」

と裕翔は黙っているが、

グッ

拳に力が入っていた。

鈴音「そして、青木選手は、葉山君と同様狙撃を得意としています。現に、予選では全て狙撃に対応していました。」

と教えてれる。すると、

裕翔「・・・・そろそろ、使うか。」

と言うと裕翔は沢山のオリジナルCADが入った箱の中から袋に包まれた筒らしき物を取り出す。そして、袋の中から何かを取り出す。それは、

シャキン

2本の刀だった。すると、

摩利「葉山。分かっていると思うが、魔法以外の物理攻撃は禁止だ。見たところ、それは刀のようだが。」

裕翔「見た目はな。これは、俺がいつも使ってるあの2本の刀を威力を落とした上で、コピーした奴だ。今回の九校戦の為に一応、作っておいたんだ。まぁ、後は実力次第だけど。」

と言うと、

裕翔「ちょっと、これを認可を貰ってくる。」

と立ち上がる。すると、

真由美「なら、私も一緒に。」

と真由美も行こうとするが、

キリト「いや、俺と十文字が行くよ。こういうのは男同士の方が良いから。」

と言い、裕翔の後を追う。

 

午前9時10分

キリト「おい。葉山!!」

と後を追ってきたキリトが裕翔に追いつく。そして、

キリト「お前、何をそんなに気にしてるだよ。お前、青木颯太と何かあったのか。」

と聞いてくる。しかし、

裕翔「・・・・関係のない話だ。」

と言うが、

キリト「そう言うなよ。今の俺達はチームだ。少しくらい教えてくれよ。チームとしてな。」

裕翔「ハァ~、お前のそういう所はある意味感心するよ。まぁ、教えてやるよ。パティーであった青木っていう執事覚えてるか。」

キリト「あぁ、凄えお前にイチャモン言ってた奴か。」

裕翔「そうだ。そして、その息子が次の試合で対決することになる九高の青木颯太だ。」

キリト「なるほど。そういうことか。」

裕翔「九校戦の前日の懇親会でもアイツに言われたよ。俺は、無能だって。」

キリト「うわ。目に浮かぶわ。で、どう対応したんだ。」

裕翔「別に。その時、七草と浩介も居たらな。庇ってもらったよ。まぁ、アイツのことだ。親から俺を潰すように言われてるだろうな。」

と話しつつ、裕翔とキリトはCADの認可をもらいに向かった。

 

午前9時30分

キリト「いやー、審査を担当してるスタッフ、お前のCAD見て凄い顔をしてたぞ。」

裕翔「まぁ、そこは否定できないな。普通、一から作るやつなんて居ないからな今の時代。」

と認可を貰った裕翔とキリトは休憩室へと喋りつつも撮っていると、

颯太「おや。相変わらず、浮かれているようですね。無能。」

と颯太と他の九高選手3名が前から現れる。

颯太「次はお前がどのように無様に倒れるか楽しみで仕方がないよ。」

と罵倒してくるが、他の選手達はあまり颯太の発言を後押しする様子はなく、下を向いて黙っている様子だった。しかし、

キリト「その前に自分たちが負けない方法を考えたら、どうなんだ。」

とキリトが反論する。

颯太「ふん。人殺し分際でよくそんな事が言えますね。まぁ、無能と人殺し随分お似合いじゃないですか。」

とキリトに対しても罵倒し始める。

颯太「SAOサバイバーは、基本ゲームの中で人を殺したにも関わらず、罪に問われる事なく生きてる人殺しですからね。」

キリト「ッ!!」

とキリトを罵倒し続ける颯太。しかし、

裕翔「いい加減にしたらどうだ颯太。」

颯太「何!?」

裕翔「そうやって、言いたい放題言って、いざとなったら家の力に頼る。恥ずかしくないのかお前。」

颯太「ッ!!お前に何が分かる!!」

裕翔「分からねぇよ。家に頼る事にしか出来ない卑怯者の気持ちなんて。良いか。俺を馬鹿にするのは構わない。だけどな、友人や俺の家族を馬鹿にするのは我慢ならない。もし、この試合で俺たちが勝ったらいいまで無礼に対しても謝罪してもらうからな。」

颯太「良いだろう。なら、もしお前が負けたら一高から出ていけ。いいな。」

裕翔「望む所だ。卑怯者。」

颯太「吠え面かかせてやる。」

そう言うと颯太はそのまま俺の横を通っていく。そして、その後を追うように他の選手たちも通過していく。そして、颯太達と姿が見えなくなると、

キリト「お前!!何言ってんだよ!!いくら、喧嘩売られたからって、あんな条件呑む必要なかっただろ!!」

とキリトは言うが、裕翔は

裕翔「安心しろ。あんな奴に負けねぇよ。それに、流石に友人を馬鹿にされて黙ってる訳にはいかないからな。」

キリト「葉山・・・・・。フッ、そうだな。それじゃあ、さっさと戻るしますか。」

裕翔「あぁ。」

と言うと2人はそのまま休憩室へと向かった。

 

午前9時40分

真由美「どうして、そんな約束をしたのよ!!」

と真由美が裕翔の肩を持ち、体を揺らす。あれから、裕翔とキリトは戻ってから颯太達とあったことを話したのだ。そして、今それを聞いた真由美が慌てている状態だと言う事だ。

アスナ「まぁまぁ、真由美。別にまだ勝負の結果が決まったわけじゃないんだから。」

リズ「そうよ。だから、少し落ち着いて。」

と2人が言うが、

真由美「でも、もし負けたら葉山君が・・・・・。」

と言うとした時、

裕翔「負けねぇよ。」

とつぶやく。

真由美「え?」

裕翔「負けないって言ったんだ。あんな卑怯者に負けるほど俺は弱くねぇよ。だから、安心しろ。」

と言うと裕翔は立ち上がり、

裕翔「ほんじゃ、少し見せてやるとしますか。俺たち一高の1年がどれほど強いのかを。そうだろ。キリト、十文字。」

キリト「あぁ。そうだな。」

克人「うむ。その通りだ。」

裕翔「だから、七草は何も心配する必要ねぇよ。だから、俺をこの競技に選んだ責任として最後まで見てろ。俺の戦いぶりを。」

と言うと、裕翔はそのまま会場へと向かった。

 

午前9時50分

モノリス・コード 観客席

 

真由美「さっきよりかなり、増えてない。」

摩利「そうだな。」

と真由美と摩利は今までよりも圧倒的な観客の数に見て話す。すると、

リズ「そりゃあ、葉山は今回の出場で一気に注目されてるからね。」

ミト「それって、さっきの試合のこと?」

リズ「そう。これ見て。」

と言うと、リズは自分のスマホを見せる。リズが今年の九校戦の公式ホームページで、常に九校戦に関する情報が更新されており、その更新された情報の中には、新人戦のモノリス・コードでの葉山裕翔について記載されていた。内容は、

真由美「突如、現れた天才的エンジニア。一高の1年、葉山裕翔はエンジニアにおいて次々に見たこともないCADを試合に投入、今までの1年の選手も同様に見たことのないCADを使っていた事から彼が大きく関わっているのではないかと言われている。しかし、それだけに留まらず突如、新人戦のモノリス・コードに出場。圧倒的な力で予選ではチームの勝利に貢献。そして、この予選試合以降、葉山裕翔は多くの女子生徒からもその闘っている様子がイケメンだと注目を浴びている。何これ!!」

と内容を読み上げた真由美は少し動揺する。すると、

摩利「このままだと、誰かに葉山を取られるかもな。」

真由美「摩利!!・・・・・もう。」

アスナ「フフフフフ。でも、葉山君がこうして認められてるって感じがしていいじゃない。」

とアスナがフォローしていると、

リズ「アスナも気を着けないとね。」

アスナ「それって、どう言う意味。」

リズ「これ、少し前に更新された内容。」

とリズが再び、スマホを見せる。そこには、

真由美「今回の一高の1年桐ヶ谷和人選手は、今回のモノリス・コードで葉山選手のパートナー的な立場であると思われており、その2人の戦いぶりを見た女子生徒達からも葉山選手同様に注目を浴びており、一部では既にファンが出来ているとの事。」

アスナ「ウソ・・・・・キリト君が。」

リズ「油断してると、取られちゃうかもね。」

とリズが話していると、

鈴音「会長。間も無く始まります。」

と鈴音が真由美に教える。そして、

会場モニターが映し出され、既に試合開始を待つ裕翔達と颯太達が率いる九高のメンバーが映し出される。そして、

3、2、1、ピー

試合が始まった。

 

午前10時

ピー

試合開始の始まり、裕翔達は動き出す。マップは森林のみの構成。

キリト「十文字。防御の方は頼んだぞ。」

克人「あぁ、任せろ。」

と言うとキリトは直ぐに今までの試合と同様に真っ直ぐ九高のモノリスへと向かう。

 

一方、九高側では

颯太「丸見えだバカめ。やはり、一直線に突っ込んで来たか。そして、お前を常にサポートしている存在は気づいている。だから、ソイツを潰せばいいだけの事。」

と颯太は一般的なライフル型のCADを構え、周囲を索敵する。

颯太(葉山。お前の戦い方は既に予選で存分に見せてもらった。どうせ、SAOサバイバーとアイツが突っ込んむと同時にお前は狙撃に有利なポジションを押さえ、援護する。そして、このマップで狙撃に有利な場所といえばマップの中心から約600メートル離れた大木しかない。)

と思いつつ、その大木をの方を確認する。すると、

颯太「見つけた。」

と颯太のその視線の先には木の上で光る何かが確認できる。そして、颯太はそれを照準を構え、爆裂魔法を作動し、

颯太「死ね!!」

と魔法を起動する。そして、

ドガーン

大木で光る物の周辺が一気爆発する。

颯太「フフフフフ。」

と颯太は笑みを浮かべ、

颯太「残るは、桐ヶ谷のみ!!」

と直ぐにキリトに照準を向ける。しかし、その瞬間、

シャ

颯太「くっ!?」

何か鋭い物が颯太の目の前に突如現れる。そして、直ぐに颯太は下がり、誰による攻撃か確認しようとするが、

颯太「ば、バカな。何故・・・・・お前がいる葉山。」

そこには葉山の姿があった。そして、

裕翔「来てやったぜ。颯太。」

と刀を向ける裕翔。

颯太「何故だ。お前はダウンしたはず。なのに何故!!」

裕翔「お前が撃ったのは、俺がここにくる前に展開した閃光魔法だ。」

颯太「何!?」

裕翔「お前の事だから、真っ先に俺を潰しにくることは分かってた。だから、囮を用意したんだ。少しでもお前に接近するために。」

颯太「ふん。その刀で俺を斬るのか。所詮、お前は選ばれなかった哀れな人間だ。お前の父親である葉山俊介も同じだった。名家の葉山家に生まれたにも関わらず、魔法の才能に乏しく家を追い出された。そして、お前が産まれた。俺はな、才能に恵まれなかった奴はな生きる意味ないと思ってる。魔法が全て今、力なき者は淘汰される時代。なのに、お前は一高に入学し、エンジニアとなり、今こうして選手に選ばれた。無能であるお前が!!」

裕翔「・・・・・確かにお前の言う通りだ。今の時代、魔法は全てだ。だがな、俺は努力した。強くなるために二度と大切な者を奪われないために。例え、どんだけ落ちぶれでも努力すれば変われる事だってある。魔法に恵まれなかったから生きる意味がない。ふざけるな!!誰にだって生きる価値はある!!どれほど落ちぶれでもは変わることができるそれが人間だ!!そんな、お前に今から見せてやる。かつての落ちぶれの今の力を。」

そう言うと、裕翔は持っていた1本の刀を構え、

裕翔「ふぅ〜。」

と息を吸い込み、

裕翔「行くぞ。」

と言うと、

シュッ

と一気に裕翔は距離を詰める。

颯太「何!?」

と直ぐに颯太はCADを構え、裕翔を照準に捉えようするが、

シュッ

シュッ

颯太(速い!!照準に捉えることが出来ない!!)

裕翔は速度を生かして、颯太に捉えられないように動き回る。そして、

颯太「調子に乗るな!!」

と言うと、

シュン

シュン

シュン

と颯太は空弾を連射しまくる。しかし、

颯太「何故だ。何故、当たらない。何故、俺がこんな無能に圧倒されているんだ。俺は、選ばれた人間なんだ。なのに、何故!!」

と言うが、

裕翔「そう言う考えが、お前の弱さだ。誰かを見下すその考えが今の俺の力を対応できない原因だ。どれほど、魔法優れた人間でも気持ち次第で変わる。俺はそれを学んだ。それが今の俺を生み出した。そして、その気持ちを応え、支えてくれた仲間がいる。その仲間のためにもここで、お前を倒す!!」

そう言うと裕翔は刀を構え、魔法を起動する。そして、

裕翔「連華。」

と言うと一気に近づき、

シャ

シャ

シャ

と連続で颯太を斬りまくる。そして、

裕翔「これで、終わりだ!!」

と最後に一気に力を込めて、刀を振り下ろす。そして、

颯太「カハッ!!」

ドサッ

と言い颯太は倒れる。そして、それと同時に

ピー

と試合終了の合図が鳴る。そして、裕翔は意識を失った颯太に対し、

裕翔「お前もいつか分かってくれる事を願うよ。恵まれなかった人達の気持ちを。」

と言うと、

シャッ

と刀を鞘に入れ、そのままキリト達の元へと向かった。

 

午前10時32分

休憩室

真由美「葉山くーん!!」

と真由美が笑顔で抱きつこうとしてくる。

裕翔「ゲェ!!」

と裕翔は直ぐに嫌は顔をして、避けようとすが、

摩利「まぁ、待て真由美。まだ葉山達も試合を終えたばかりだ。少し休ませてやれ。」

と真由美の肩を掴む。

真由美「どうしてよ。ご褒美として抱きつくくらいいいでしょ。」

摩利「葉山も疲れてるんだ。それに、そんなの決勝が終わってからも出来るだろ。」

と摩利が真由美を止める。そして、

摩利「まぁ、とりあえず決勝進出おめでとう。3人とも。」

裕翔「俺的にはそういうのは全て終わってからにしてほしいんたが。」

摩利「それでも、こういうのは常識だと思うが。」

裕翔「常識ねぇ。」

と話していると、

浩介「よっ。決勝進出おめでとう。」

と浩介が入ってくる。

裕翔「おい、次の試合があるだろ。いいのかこんな所にいて。」

浩介「少し、時間に余裕が出来たからな。裕翔、俺は次の試合で勝って必ず決勝でお前を倒す。いいな。」

裕翔「あぁ、望む所だ。」

浩介「じゃあ、試合があるから行くわ。」

と言うと浩介は休憩室を後にして、会場へと向かった。

 

午前11時

無事に準決勝戦が終わり、遂に残すは決勝戦だけとなった。決勝戦は一高対三高という裕翔が予想した通りになった。そして、決勝戦に進出各チームから代表で1名生中継でインタビューを受けることになっており、決勝戦が決まった三高からは、

「古田選手。今回の決勝において何か意気込みはありますか。」

浩介「そうですね。自分は、今まで沢山の勝負してきましたが、唯一勝てなかった男がいます。そして、今回の決勝でソイツと戦えるので今まで俺の実力を全力でぶつけたいと思っています。」

「その選手は一高の選手という事でしょうか。」

浩介「はい。その通りです。」

「その選手のお名前を教えて頂けないでしょうか。」

浩介「葉山裕翔です。」

「葉山選手とは、どういった関係なのでしょうか。」

浩介「昔から、父の仕事関係で何度か会ったことがあるのですが、その度に勝負を挑んで来たのですが今のところ連敗続いているので、決勝で葉山を倒して、葉山を越えます。」

「では、最後に葉山選手に向けて、一言お願いします。」

浩介「葉山。俺は、今までお前を目標に鍛錬してきた。そして今日、今までの鍛錬を成果を本気でお前にぶつける。だから、お前も本気で来い。」

と代表で浩介はハッキリと裕翔に対して、宣言するのであった。そして、一高からは、

「葉山選手。先程、古田選手からはライバル宣言がありましたが、どう思っていますか。」

裕翔「まぁ、正直めんどくさい奴だと思ってます。昔から、よく勝負を挑んできたので、一時はいい加減にしてほしいと思った時もありました。」

「そ、そうですか。ところで、葉山選手は元々選手ではなく、エンジニアとして九校戦に参加されていたのですよね。」

裕翔「はい。そうです。」

「今年の新人の一高の多くの試合で見たことない形や技術をもったCADが見られましたが、それらは全て葉山選手が担当したのですか。」

裕翔「はい。」

「それらのCADを見た各企業からもかなり注目を浴びていますが、あれらのCADはどのようにして手に入れたのですか。」

裕翔「あれは、全部俺が一から作った物です。」

「えっ!?・・・・・それは本当なのですか。」

裕翔「はい。」

「何故、CADを一から作ろうと思ったのですか。現在の多く魔法士は企業に頼むのが、普通ですが。」

裕翔「昔からあまり恵まれない家庭で育ったもので。それに企業に自分に合わせて作ってもらうとなると金と時間を浪費するので、それなら自分で一から作ろうと思ったのが、キッカケです。後はそこからやっているうちにそれにハマってしまって、今では趣味の一つです。」

「そうですか。では、決勝戦の話に戻しますが、古田選手に何か言いたいことはありますか。」

裕翔「いえ、ありません。ですが、浩介が今まで鍛錬を積みここまで来たというなら、俺もその敬意に対してしっかり応えるつもりです。浩介が本気でぶつけてくるなら、俺も本気でいきます。」

とこうして裕翔と浩介のインタビューが終わったのであった。

 

午前11時20分

裕翔「ハァ〜、疲れた。やっぱり慣れねぇな。ああいうのは。」

のインタビューを終えた裕翔は疲れた様子で歩いていると、

?「葉山選手ですか。」

と突然、声をかけられる。

裕翔「うん?」

と裕翔が横を見ると、そこには見た感じ40代くらいの男性と中学生くらいの少女の姿があった。

潮「初めまして。私はホクザングループの総帥を務めています北山潮と申します。こっちは娘の雫です。」

雫「雫です。」

と雫は一礼する。

裕翔「初めまして。自分は、一高の1年の葉山裕翔です。ホクザングループについては何度か本で目にしたことがあります。」

潮「そうですか。偶然、何度か雑誌に取材されたことがある程度なのすが。」 

裕翔「いえ、それに自分も何度か趣味の関係で御社のパーツを購入したことがあるので。」

潮「そうですか。そういえば、先程の生中継全て視聴させて頂きましたか。」

裕翔「そ、そうですか。ああいうのは苦手で。」

潮「いえ、良いコメントでしたよ。ところで、先程生中継で聞いたのですが葉山殿は、一からCADを作っておられるとか。」

裕翔「えぇ、趣味の一環ですが。」

潮「良ければ、卒業後うちで働きませんか。」

裕翔「・・・・・!!」

と突然のスカウトを受け、裕翔は少し動揺するが、

裕翔「・・・・・すいません。まだ正直そこまでの事は考えていなくて、それに今ここで選択してしまうと俺はそれに甘えてしまうと思うんです。だから、すいません。スカウトにおいては有り難いのですが、今回はお断りさせて頂きます。」

と裕翔は断る。すると、

潮「そうか。では、今回の話は無かった事にしよう。ところで、先程準決勝の試合を見て、娘の雫がとても感動したと言っていてね。」

裕翔「そうですか。」

雫「あんな、凄い剣捌き今まで見たことがない。」

と雫は言ってくれる。そして、

潮「雫も元々、高校は一高に進学すると決めていてね。雫が入学する頃には、葉山殿は3年生だが。まぁ、とにかく次の決勝も頑張ってくれ。期待しているよ。」

裕翔「ありがとうございます。ご期待に添えるよう奮闘させて頂きます。では、失礼します。」

と言うと裕翔はそのまま休憩室へと向かった。

 

午前11時57分

モノリス・コード 決勝戦

 

遂に迎えた決勝戦。マップは草原。身を隠す障害物が殆どないマップである。そのため、互いのモノリスも見つけやすくなっている。そんなマップで待機する裕翔達は、

裕翔「・・・・・・。」

とただ黙って、開始の合図を待っていた。すると、

キリト「俺たちの事は気にしなくて良いから、全力でぶつかってこい。」

とキリトが裕翔を軽く叩きながら伝える。そして、克人も

克人「これお前の真剣勝負だ。俺たちは手を出さないから、全力で行ってこい。」

裕翔「・・・・・ありがとう。2人とも。」

と話していると、

3、2、

とカウントダウンが始まる。そして、

1、ピー

と合図が鳴り響く。しかし、裕翔は今まで違って走ることもなく

ザッ

ザッ

とゆっくり歩き始めた。そして、歩く事3分。

 

午後8時3分

浩介「来たか。」

裕翔「・・・・・。」

と遂に裕翔と浩介が接触したのだ。

浩介「なぁ、インタビューを聞いてたからもう分かってると思うが、俺は今まで葉山、お前を目標に頑張ってきた。だから、本気で全てぶつける。手を抜くんじゃねぇぞ。」

裕翔「フン。あぁ、元からそんなつもりはねぇよ。行くぞ。浩介!!」

浩介「行くぞ!!葉山!!」

そう言うと裕翔は1本の刀を、浩介は槍型のCADを構え、一気に互いに突っ込んでいく。そして、

ピッ、ピッ、ピッ

と互いに魔法をを起動させ、そして、

キンッ

2人のCADがぶつかり合う。

浩介「・・・・・。」

裕翔「クッ・・・・・。」

と互いに裕翔と浩介は笑みを浮かべる。そして、一度互いに下がり、すると、直ぐに浩介は魔法を発動する。浩介の槍型のCADの先端からはトルネードらしきものを渦巻いていた。それを見た裕翔は、

裕翔「爪牙。」

と言うと、刀に簡単な硬化魔法と移動魔法を組み合わせた魔法を展開させ、そして、

キンッ

浩介の攻撃を受け流し、カウンターを決める。そして、そのまま更に攻撃を仕掛けるが、

浩介「はっ!!」

と浩介も直ぐに態勢を立て直し、反撃する。そして、そこからは

キンッ

キンッ

キンッ

キンッ

とぶつかり続けた。

 

一方、歓喜席では、

「凄え。あんな攻撃魔法見た事ないぞ。」

「まったく、動きが読めない。」

と観客席では激しくぶつかり合う裕翔と浩介の姿に誰もが注目していた。そして、それを見ていた真由美達も

摩利「凄い。あんな攻撃を連続打ち出すなんて。」

真由美「どちらも消耗は激しいはず。でも、あんな連続で。」

ミト「だからこそ、誰もが注目する。やっぱり裕翔を見てて思う。私やアスナや、真由美とは違って葉山はイレギュラーな存在なんだと思う。」

とミトが呟く。すると、真由美は黙って、両手を合わせ

真由美(葉山君・・・・・無理だけは・・・・・しないで。)

と願い続つつ、裕翔達の試合を見続けた。

 

そして、裕翔は

裕翔(あれから、どれほど時間経った。ずっと互いに攻撃を繰り返してはいるが、もう限界も近い。サイオンを使い過ぎた。ここらで、そろそろ決着をつけないと。)

と息切れしつつ裕翔は刀を構える。すると、

浩介「ハァ、ハァ、なぁ裕翔お前は楽しいか。」

と浩介が聞いてくる。

浩介「俺は今すごく楽しい。今までこんなに楽しいと思った事は今までにないからな。お前はどうだ。葉山。」

裕翔「・・・・・分からない。今まで、俺はずっと家族の仇や償いの事ばかり考えて生きてきた。学校も殆ど行かなかったから正直言って分からないんだ。でも、何故か笑えるんだよ。」

浩介「それが、楽しんでる証拠なんだよ。裕翔、ここからは俺の本当の本気を見せてやる。だから、お前も本当の本気を俺に見せてくれ。そして、全力でぶつかってこい。」

と言うと、

シャキン

と浩介は筒らしき物を取り出すと、その筒はすぐさまに槍へと姿を変えた。そして、浩介は槍を二刀流のように持ち構える。そして、裕翔も

シャッ

もう一つ刀を抜き、同様に二刀流の形で構える。すると、

浩介「そうだ。それを見たかった。お前の本気を葉山、ここからは全力でいくぞ!!」

ザッ

と言うと浩介は正面から向かってくる。そして、裕翔も

裕翔「望む所だ!!!」

と言うと裕翔も浩介に向かって正面から向かっていく。そして、互いに魔法を起動させ、

キンッ

と双方のCADがぶつかり合う。そして、その後も

キンッ

キンッ

キンッ

キンッ

と何度も激しい2人戦いが続いた。そして、他の三高のメンバーダウンされたキリト達も

キリト「凄え。あれが裕翔の本気。」

克人「そうだろうな。今のあの2人を止められる者はいない。互いの力がぶつけ合う。だが、それと同時に体力の消耗も激しくなる。しかし、今のあの2人は攻撃の威力も速度も増している。・・・・・今の俺たちはただ見守る事しか出来ないな。」

言うと、キリトと克人はそのままただ2人の戦いを見続けた。そして、それは観客席でも同じ状態だった。

 

歓喜席

真由美「凄い。」

摩利「あぁ、今のあの2人がどのように攻撃を繰り出し続けているんだ。もう、体力も限界のはずなのに。」

と真由美達が見るモニターには、2人が動かし続けている腕や手は、あまり速度で捉える事ができない状態になっていた。そのため、歓喜席では2人がどのような攻撃を行なっているのかは誰もが分からない状態であった。しかし、その間にも2人は

 

キンッ

キンッ

キンッ

キンッ

裕翔「ハァ・・・・ハァ・・・・。」

浩介「・・・・・ッ・・・・・クッ・・・・・。」

と限界を感じつつも魔法を起動し、攻撃を繰り返す。しかし、

キンッ

裕翔「クッ!!」

浩介「ッ!!」

遂に2人は、攻撃を最後に一度後ろへと互いに下がる。そして、

裕翔「・・・・・強くなったじゃねぇか。浩介。前に戦った時とは比べものにならねぇよ。」

浩介「そういう、お前も更に上達したな。なぁ、葉山。俺もそろそろ限界だ。ここで決着つけよう。」

裕翔「あぁ、来い。」

と言うと、2人はCADを構え、そして、

シャッ

互いに目の前へのライバルへと向かっていく。

裕翔(浩介。俺は、今までこんなに楽しいと思った事はなかった。だから、お前には感謝してる。だが、だからといって負けるつもりはない。それがお前の覚悟に対する敬意だと思ってる。だから・・・・・。)

と思い、裕翔はCADで魔法を起動し、

裕翔(硬化魔法展開。俺の剣術魔法「龍爪」)

と刀の先端を中心硬化魔法をかけ、龍の爪ような鋭さを出す魔法を使い、そして、

裕翔「ハアアアアアアアア!!」

浩介「ウオオオオオオオオオ!!」

と互いに最後に全ての力を振り絞り、最後の一撃を

キンッ

ぶつけた。そして、

ドサッ

倒れたのは・・・・・浩介だった。

 

 

観客席

ピー

と試合終了の合図がなり、

『勝者、第一魔法科高校!!』

と高々に宣言される。そして、

「ウオオオオオ!!」

と歓喜の声が一斉に湧き上がる。

アスナ「ヤッター!!勝った!!」

リズ「優勝よ。」

とアスナとリズが抱きしめ合う。

摩利「やったぞ!!優勝だぞ!!真由美!!」

と言いつつ、摩利は真由美の顔を見ると、

真由美「良かった・・・・・葉山君が勝ってくれて・・・・・良かった。」

と真由美の瞳からは涙が流れていた。それを見た摩利は、

摩利「あぁ、勝ったんだ。アイツは、葉山は勝ったんだ。」

と真由美の手を握るのであった。

そして、会場では

 

モノリス・コード 会場

浩介「負けちまったな。でもやっぱりお前をそうでないとな葉山。」

とダウンしながらも、意識を取り戻した浩介が裕翔に語りかける。

裕翔「・・・・・・あぁ、その通りだな。」

浩介「俺はずっとお前を目標にやってきた。今度こそ勝てると思ったんだが、人生そう上手くいかないよな。」

裕翔「あぁ、でも・・・・・俺はこれで終わりだとは思わない。俺もお前もまだまだ強くなれる。だろ。」

浩介「・・・・・・フッ、そうだな。まだ、終わりじゃない始まったばかりだ。」

裕翔「来年も出るか。」

浩介「・・・・それはこっちのセリフだ。」

裕翔「・・・・それはその時の俺次第かもな。」

と言うと裕翔は倒れた浩介に対して、手を差し伸べる。そして、

ガッ

浩介はその手を取りそして、互いに肩を貸し目の前の観客席の方を見る。すると、

パチパチパチパチパチパチ

と観客席にいる生徒達は裕翔と浩介に対して、拍手を送り始めた。すると、裕翔は黙って、左手に持った刀を限界までに掲げる。それを見た歓喜席の生徒達は

パチパチパチパチパチパチ

更なる拍手を送る。こうして、新人戦のモノリス・コードは一高の勝利を幕を閉じた。

 

午後7時

裕翔の部屋

真由美「それでは、葉山、キリト君、十文字君。モノリス・コード新人戦の優勝を祝して乾杯!!」

皆んな「乾杯!!」

カチーン

と乾杯と同時にグラスの音が部屋に響く。そして、

リズ「いやー、一時はどうなるかと心配したけど優勝できて満足、満足。」

裕翔「なんで、お前が試合に出たみたいに言ってるんだよ。」

と談笑が始まる。

摩利「それにしても、裕翔と古田の戦いにぶりには感激したよ。」

真由美「そうね。でも、あそこまで激しい戦闘は今後控えてほしいわね。観てるこっちも不安になるわ。」

キリト「ハハハ・・・・でも、葉山。やっぱり出て良かっただろ。」

裕翔「・・・・まぁな。悪くはないと思ったよ。」

キリト「おぉ、素直じゃねぇな。でも、俺のおかげで楽しめただろ。」

とキリトとドヤ顔で裕翔をからかうと、

裕翔「調子に乗るんじゃねぇ!!」

キリト「ブッグフ!!」

とキリトに向かって、ラリアットをかます。その後、第一魔法科高校では裕翔の前ではドヤ顔及び、煽り行為をすると命を奪われるという暗黙のルールがキリト達によって作られた。

 

午後8時

キリト「あぁ、なんか腹減ってきたなぁ。」

アスナ「もう、さっき食べたばかりじゃない。」

キリト「いや、今日はたくさん動いたからか、さっきの食事だけじゃ物足りなくって。なぁ、葉山。前にエギルの店で試食させてくれたアレ、作ってくれないか。」

とキリトが裕翔に頼み込む。

裕翔「えぇ、アレ作るの手間が掛かるんだけど。」

キリト「頼む。」

と手を合わせて頼んでくる。そして、

裕翔「あぁ、分かったよ。今から作ってくるから待ってろ。」

と言うと裕翔は部屋を出て行く。すると、

真由美「ねぇ、キリト君。アレって何?」

キリト「あぁ、そっか。ここでアレを知ってるのは俺と葉山だけか。七草達はエギルの店のメニューはは覚えてるよな。」

摩利「あぁ。エギルが作ってくれるパイ美味しいからな。」

キリト「そう。でも、実はエギルの店には裏メニューっていう物があるんだよ。その裏メニューのレシピを考えたのが葉山なんだよ。なんでも、昔に自衛隊で教わった料理のスキルを使って考えたらしいんだ。」

アスナ「えっ!?それ、私も知らないんだけど。」

キリト「だって、アスナがALOから目覚めてまだ入院してた時だし。」

とキリトが言うと、

アスナ「キーリートー君、それって私よりもご飯の方が大事って事?」

と笑顔で聞いてくるが、

キリト「ア、アスナさん?いや、その・・・・・リズ、なんとかしてくれ。」

リズ「自業自得ね。少し、頭を冷やしたら。」

キリト「いや、俺さっき葉山にラリアット食らったばかりで・・・・。」

アスナ「キリト君。正座。」

キリト「いや、その・・・・お慈悲を。」

アスナ「せーいざ。」

キリト「はい。」

とその後、キリトはアスナから何をされたかは葉山を除く真由美達しか知らない。

 

午後8時30分

裕翔「できたぞって、何があったの。」

と裕翔の目の前には正座したまま震えているキリトと殺気を漂わせる笑顔のアスナ、そしてそれを観て見ぬふりをする真由美達の姿があった。

裕翔「出来たけど。何が・・・・。」

アスナ「気にしないで葉山君。それより、ありがとね。キリト君の為に作ってくれて。」

裕翔「お、おう。一応、全員分作ってきたけど。何かあったのか。」

アスナ「少し、お灸を据えただけ。」

裕翔「あー、察したわ。」

と話していると、

キリト「葉山。飯は・・・・・。」

裕翔「持ってきたぞ。」

キリト「そう・・・か。サンキュー・・・・(バタン)」

とキリトは倒れる。

裕翔「あっ、死んだ。」

リズ「いや、それだけかい。」

とその後、キリトは数分後裕翔が作ってくれた料理を食べて、復活した。

 

午後8時45分

キリト「いやぁ、久しぶりに食べたけど美味いな。葉山が作ってくれた料理は。」

とキリトは食べながら呟く。裕翔が作ってきた料理は、

ハムカツサンド

シラスと梅のお茶漬け

アサリの味噌汁

目玉照り焼きバーガー

の4品である。それを部屋に居る全員分作ってきているため、

克人「うむ。美味いな。」

摩利「だいぶ、夕食で食べたつもりだが、これならいくらでも食べられるな。」

と好評だった。すると、

摩利「葉山。こんなどうやってこんなに早く7人分も作れるんだ。」

裕翔「・・・・昔、自衛隊に入隊した頃最初に就いた部隊の主な任務は基地にいる約300名の職員や兵士達の飯作りで、毎日限られた時間で作らないといけなかくて、その時の俺は包丁さえ、まともに使った事がなかったからそこからそこの料理の鉄人って呼ばれる上官に扱かれてスキルを身につけた。その人はレンジャー部隊でもあり、俺をレンジャー部隊に推薦してくれた。俺にとっては古田上官と同じくらい世話になった上官だよ。今は、自衛隊を辞めて政府関係の仕事をしてる。」

摩利「流石・・・・・特殊部隊の隊長。状況が過酷すぎる。」

と話していると、

真由美「ねぇ、そういえば皆んなは夏休みの予定決まってる?」

と真由美が聞いてくる。

キリト「俺は、特に予定もないからいつも通りALOで過ごすつもりだが。」

アスナ「私も特に予定ないから、キリト君と同じで。」

リズ「私も。」

摩利「私も特に予定はないな。」

ミト「同じく。」

克人「俺もだ。」

と皆んな答えるが、

裕翔「俺は基地で仕事。」

と裕翔のみ用事があると言う。すると、

リズ「アンタって本当に空気読めないわね。そういう時は皆んなに合わせるのが普通でしょ。」

裕翔「いや、何でわざわざ合わせないといけないんだよ。」

真由美「まぁまぁ、出来れば夏休みにみんなで旅行にでも行かない。皆んなは行きたいところとかある。」

裕翔「いや、それも行く前提じゃん。」

真由美「これは生徒会長としての決定事項です。」

と笑顔で言ってくる。

裕翔「職権乱用だ。」

と裕翔が呟いていると

リズ「でも旅行に行くといってもねえ。あまり遠かったらお金かかるし。出来れば近いところが。」

アスナ「じゃあ、秋葉原とか銀座で買い物とか。」

裕翔「いや、それ旅行じゃなくてショッピングだから。」

と裕翔がツッコミをいれる。すると、

ミト「じゃあ、ディズニーリゾートとかは。」

皆んな(裕翔を除いて)「・・・・・・それだ!!」

とみんなが叫ぶ。そして、

真由美「じゃあ、旅行の行き先はディズニーリゾートで決定ね。行く日は・・・・・。」

と考えていると、

キリト「あぁ、それなら葉山が年間パス持ってるぞ。」

裕翔「ちょっ・・・・・お前。」

真由美「じゃあ、葉山君。ホテルやチケットの手続きお願いね。行く日は26、27、28にしましょう。」

リズ「せっかくだから、シリカやリーファも誘いましょ。」

と女子達は話を進めていくが、裕翔は

裕翔「キリートー!!お前、何で俺の秘密を暴露すんのかな。」

キリト「いや、俺は皆んなにとって良い思い出を作れたらなぁと思っての事で。」

裕翔「それになんで俺を巻き込むのかな。」

キリト「流石にお前だけ仕事はないだろ。」

裕翔「それなら、普通に言えばいいだろ!!一々俺の秘密を暴露するな!!」

と女子とは真逆の空気になっていた。

 

8月10日

午前10時 九校戦 閉会式

10日間続いた九校戦も遂に今日閉会式を迎えた。裕翔達の激戦だったモノリス・コードの後、新人戦のミラージ・バットでは摩利が1位を、アスナが2位という結果を納め、その後のモノリス・コード、ミラージ・バットでも一高が優勝という結果で終えた。そして、今、

「総合優勝校、第一魔法科高校。代表、葉山裕翔!!」

と裕翔の名が呼ばれ、台に上がり、

「おめでとう。」

と優勝杯が裕翔元へと渡される。

裕翔「ありがとうございます。」

というと裕翔は一礼し、全生徒が注目する中、裕翔は優勝杯を掲げる。そして、

パチパチパチパチ

と拍手が起こる。こうして、九校戦は幕を下ろし、残すは九校戦の懇親会と同じほど生徒達にとって楽しみの1つであるダンスパーティーのみだった。

 

午後6時 パーティーホール

♪~♪~〜〜〜

と美しい音色が流れる中、九校戦で互いに全力を尽くした生徒達は各校の交流も兼ねてパーティーを楽しんでいた。そして、その中で一際目立ったのが

「きゃー、真由美様!!」

「和人様ー。こっち見てー!!」

「摩利様ー!!アスナ様ー!!ミラージ・バット試合美しかったです!!」

と真由美達に元に誰もが集まり、声を上げる。そして、その中でも最も注目を浴びていたのが、

「葉山様ー!!決勝戦の試合感動致しました。」

裕翔「うん。あ、ありがとう。」

「葉山様!!出来たら、握手してくださいませんか。」

「葉山様。普段、プライベートでは何をされているのですか。」

と裕翔は女子生徒達に囲まれていた。

裕翔(あぁ〜、帰りたい。)

と裕翔が思っていると、

浩介「ちょっと、良いかな。お嬢様達。」

と浩介が言ってくる。そして、

女子生徒達は道を開け、浩介は裕翔の前に来ると、

浩介「随分と浮いているな。」

裕翔「懇親会から浮かれているお前に言われたくないよ。」

浩介「フン。それで、来年も出るか。」

裕翔「・・・・・出なかったらどうする。」

浩介「来年も出るように今ここで説得する。」

裕翔「相変わらずだな。・・・・・・出るよ。正直、こういうのも悪くないからな。」

浩介「来年こそはお前を倒す。」

裕翔「ああ、なら俺も更に強くならないとな。」

と言うと、

スッ

と浩介が手を差し出してくる。そして、

浩介「お前は俺のライバルだ。忘れるなよ。」

裕翔「・・・・・あぁ。来年も楽しみにしてるぜ。」

そういうと、裕翔は浩介の手を握り、握手をしたのだった。

 

午後7時

食事も終わり、いよいよ迎えたダンスの時間。生徒達が通う学校という関係をせずに好きな相手のダンスをするという九校戦を終えた生徒達の楽しみの1つ。そして、互いに相手を決めると生徒達はホールの真ん中で可憐に踊る。それを裕翔は

裕翔「・・・・・・目立つなぁ。」

と端の方で見ていた。すると、

裕翔「あっ、浩介。」

と浩介が五高の女子生徒と踊る姿が目に入る。

裕翔「そんなに良いものかねえ。」

と言って見ていると、

リズ「葉山!!ちょっといつまでここに居るつもりよ。少しこっちに来なさい。」

裕翔「お、おい!!」

と突如現れたリズに強引に連れていかれる。そして、

リズ「真由美!!連れて来たわよ。」

と言うとリズを勢いよく裕翔を押し出す。

裕翔「ったく、何なんだよ。」

と言いつつ、俺は前を見ると、

真由美「葉山君。」

と笑顔の真由美がいた。

裕翔「・・・・・。」

と黙っていると、

リズ「ほら、早く誘いなさいよ。そういうのは男からするものでしょ。」

とリズヒソヒソ声で裕翔に言ってくる。

裕翔「ハア〜、七草真由美さん。良ければ俺と一緒に踊ってくれませんか。」

と裕翔が言うと、

真由美「喜んで。」

と笑顔で答える。そして、2人はホールの真ん中へ行き、裕翔は真由美の腰に左手を回し、真由美は右手でその腕を握り、残ったもう片方手は互いに握り合う。そして、

♪~♪♪〜♬~♪~♫~

と音色に合わせ、2人は踊り始める。

真由美「ふふふふふ、葉山君上手ね。」

裕翔「一応、当主の身でもあるからな。社交関係の事は大抵学んでる。」

真由美「葉山君。私ね、魔法による差別撤廃を目指した理由わね、前に言った夢に出てくる男の子が教えてくれた事から始めたの。その子は、魔法がそこまで優れてなくて誰からも相手にされず、見下される日々を送ってるってのその子が教えてくるて。いつか、誰もが魔法による差別を感じる事ない世界を作れたらなって私は思ってる。でも、夢の中に出て来た男の子、少し葉山君に似てる気がするの。」

裕翔「・・・・・・ただの偶然だろ。夢の中の事だから、もしかしたら現実と交わってそう思えるのかもしれないな。まぁ、夢を目指す事は・・・・・良い事だと思う。」

真由美「葉山君は、夢とかないの。」

裕翔「・・・・・夢か。両親が死んで妹が昏睡状態になってからそんな事一度も考えた事がなかった。ただ、ひたすら敵を殺す事しか考えてこなかったから・・・・・正直、何を夢にして目指していけば良いのか。今の俺には分からない。」

真由美「そう。・・・・・ごめんね。余計な事聞いちゃって。」

裕翔「でも、最近は少し思う事がある。」

真由美「何?」

裕翔「こういう生き方も悪くないかなって。偶にはこうやって皆んなといる事が楽しいと思える。・・・・・ありがとな七草。お前のおかげだ。」

真由美「・・・・・・////。これからも一緒に楽しんでいきましょ。」

裕翔「・・・・あぁ。そうだな。」

と2人はその後も楽しく踊り続けた。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        

 




次回からは、夏休み編を2、3話ほど投稿しようと思っています。現状、今まで読んでくださった方の中には真由美と裕翔との間に何かあると感じている方もいると思いますが、そこのところは夏休み編以降、少しずつ一部の過去編も含めて投稿していこうと思います。引き続き、読んでくださってる読者の皆様、これからも何卒アニ督をよろしくお願いします。


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第16話 十師族

大変長らくお待たせしました。第16話です。どうぞ。


2093年8月12日

午後5時30分

東京 台場 某ホテル

九校戦が終わってから早くも2日が経った。今俺は、十氏族を中心とした人物が集まるパーティーに参加している。何故、今俺がここに居るかと言うと、昨日俺が家に帰った時、郵便ポストに4つの招待状が届いていた。その4つの招待状は全てこのパーティーの招待状であったが、この招待状を送ってきたのは七草家、十文字家、四葉家、九島家からだった。その後、真由美に連絡を取ったところこのパーティーには十氏族の当主や次期当主に、師補十八家という十氏族を補佐する一族も集まるとの事だ。そして、

裕翔「・・・・・いや、俺のような奴が来ていい場所じゃないだろ。」

と声に出てしまうほど、会場の大きさと人の多さに俺は驚いていた。すると、

克人「葉山。」

とパーティーに来ていた克人に声をかけられる。

克人「来てくれたのか。」

裕翔「あぁ、家に招待状が4つも届いたら流石に来るわ。まさか、七草家に九島家からも招待状が届くとは思ってなかったよ。」

克人「そうか。七草以外からもきてたのか。」

裕翔「あぁ、どうやらどの家も俺をどうしても引き入れたいらしい。」

と話していると、

?「克人。ソイツがお前が認める男か。」

と克人の後ろから克人と同じくらい体のがデカい中年の男が現れる。

克人「あぁ。葉山、紹介する。現十文字家当主で俺の親父のである・・・・・。」

和樹「十文字和樹だ。息子が世話になっている。」

とまさかの十文字家の当主に突如、挨拶される。

裕翔「いえいえ、此方こそお世話になっています。」

と俺は直ぐに頭を下げる。

和樹「うむ。確かに克人の言うとおり、中々良い男だ。」

裕翔「えっ?」

和樹「葉山殿に関しては息子からよく聞いております。なんでも今では珍しい龍の目の力をお持ちだとか。」

裕翔「・・・・・。」

和樹「葉山殿。君が今回、このパーティーに招待された理由はなんだと思う。」

裕翔「・・・・・俺を勢力に引き込む。」

和樹「確かに、それも理由の一つだ。しかし、それだけではない。君は各一族からに取って最大の味方でもあり、最大の敵でもあるからだ。それを確かめる為に私は呼んだのだ。葉山殿。君に一つ聞きたい。」

裕翔「何でしょうか。」

和樹「私の元に来いと言われたら。」

裕翔「断ります。私は今は、父が作り上げた葉山家を守り、導く身です。」

和樹「なら、力強くでと言われたらどうする。」

裕翔「・・・・・受けて立ちます。どの家にも助けを求めず同等と戦いますよ。」

と俺は答える。

和樹「フ、フハハハハハハ!!そうか。受けて立つか。確かに君は息子の言う通り君は中々の男だ。」

と言うと、俺の肩に右手を置き、

和樹「これからも息子を頼む。」

と言うと、どこか別の場所へと行ってしまった。そして、

克人「すまない。親父が試すような真似をして。」

と謝罪してくる。

裕翔「良いよ。気にしてないから。それよりも親父の後をつけなくて良いのか。一応、親父の代理としても動いてるんだろ。俺の事は良いから他の家に挨拶してこいよ。」

克人「すまない。感謝する。」

と言うと克人はこの場を後にした。そして、残った俺は飲み物でも取りに歩き始めた瞬間、

?「あら、裕翔様ではありませんか。」

と声をかけられる。

裕翔「うん?」

と俺は後ろを振り返ると、そこには九校戦で出会った一色家の一色愛梨の姿があった。

愛梨「まさか、こんな所で会うとは想定外でした。ところで何故ここに?」

裕翔「まぁ、単純に言えば色々な家に目をつけられてほぼ強制的に近い形で招待されたんです。」

愛梨「ふふ、そうですか。それよりも九校戦での優勝おめでとうございます。モノリスの会場で拝見させてもらいました。」

裕翔「そうですか。品のない試合だった自分は思いますが。」

愛梨「いえ、むしろ迫力のある試合でした。あの試合があったからこそ此処に裕翔様が居られるのでは。」

裕翔「まぁ、言われればそうですね。」

と話していると、

愛梨「裕翔様、この際に私から一つ提案があるのですが。」

裕翔「なんでしょうか。」

愛梨「私の家の養子として来る気はありませんか。」

裕翔「・・・・・。それはどういう意味でしょうか。」

と俺は聞くと、

愛梨「そのままの意味です。我が一色家には昔から魔法において才能ある子を養子に迎え、将来有能な魔法師を代々育てるのです。裕翔様は魔法のみならず、CADの制作や調整などのスキルを持ち合わせておられます。その力を更に上へと上げる為に我が一色家に来る気はありませんか。勿論、学園においても我が一色家が全て用意します。転校という形にはなりますが、三高への入学の手続きが可能です。そして、これは私個人としてのお願いです。私の専属のエンジニアになって頂けないでしょうか。」

裕翔「申し訳ありませんが、お断りします。」

と俺は断る。

愛梨「何故ですか!!もし足りないというので有れば、お金も。」

裕翔「そういう問題ではないんです。」

愛梨「え?」

裕翔「確かにそのような提案はありがたいと思います。ですが、今俺が通ってる一高にはどうしても放っておけない奴が居るんです。」

愛梨「・・・・・。」

裕翔「女のくせにいつも俺ばかり頼ってくる鬱陶しい生徒会長に、頭が悪くないのにいざとなったら放っておけないダメダメ男がいるんです。今まで俺はあまり人と関わるのが、好きじゃなかったんです。でも、ここ最近こういうのも悪くないと思えるようになってきたんです。アイツらにとって俺は必要な存在でもあり、俺にとっても必要な奴らなんです。ですので、そんなアイツらを置いていく事は出来ません。ですので、この件に関しては断らせて頂きます。」

と俺は断る。すると、

愛梨「そうですか。分かりました。裕翔様がそこまで言うのでしたら今回は引き下がらせて頂きます。」

裕翔「そうですか。ありがとう・・・・・うん?今回は?」

と愛梨の発言に違和感を感じいると、

愛梨「私は一度手に入れたいと思った物は必ず手に入れるつもりです。いつか、裕翔様も手に入れてみせます。それでは失礼します。」

と笑顔で言って、去っていった。そして、俺は

裕翔(女って、怖いな。)

と思いつつ、俺は飲み物を取りに向かった。

 

午後6時30分

あれから、どれほどの人から声をかけられただろうか。俺は一歩進む為に声がかけられ足を止めて、話を聞いた。しかし、どれも自分達の利益の事ばかりで、そのような話にはうんざりだった俺は全て断り続けた。しかし、十師族となると話は変わってくる。そして、今俺は

剛毅「どうも。初めまして裕翔殿。一条家当主の一条剛毅だ。」

と一条家の当主、一条剛毅と話していた。

裕翔「ど、どうも。葉山家当主の葉山裕翔です。こうして話すのは初めですが自分は一度、剛毅様にお会いしたことがあるんです。」

剛毅「ほう、それはどこで。」

裕翔「一年前の佐渡侵攻事件です。自分は、剛毅様ほど活躍はしていないので分からないかもしれませんが。」

剛毅「あぁ、あの時の少年か。覚えている。怯むことなく敵に立ち向かっていく君の姿、忘れるわけがない。」

裕翔「ありがとうございます。」

剛毅「そうか。あの時か。なら、今ここに君が居るのも運命とというべきかもしれんな。裕翔殿。」

裕翔「我が一族に加われいうので有ればお断りです。」

と先に言うが、

剛毅「違う。裕翔殿、ウチの次女の瑠璃の婿になれ!!。」

裕翔「ブッ!?」

と俺は突然の発言に吹きそうになる。そして、

裕翔「突然、何を言ってるんですか。」

剛毅「実は今回の九校戦で君の活躍を見た瑠璃が君に一目惚れしてね。是非、考えてほしい。歳はかなり離れているが。」

裕翔「え、何歳ですか。」

剛毅「今年、小学生になった。」

裕翔「十歳近く離れてるじゃないですか。流石に無理です。」

剛毅「なら、婚約者に。」

裕翔「尚更、無理です。すいませんが、婚約はするつもりはありません。」

剛毅「そうか。では、考えておいてくれ。それでは失礼する。」

と言うとようやく俺はひと段落つけると思ったその時、

真由美「はーやーまーくーん。」

裕翔「ウグ!?」

と嫌というほど聞き覚えある声が聞こえてきた。そして、

ガシッ

真由美「やっと、見つけた!!」

と直ぐに逃げようしたが結局、手を掴まれ逃げる事は叶わなかった。

 

 

午後6時45分

真由美「へぇ〜、私の家以外からも招待状が。だから、私に連絡してきたのね。私はてっきり七草家の招待状で参加したと思ってた。」

裕翔「どれでも良いだろ。全部このパーティーの招待状なんだから。それよりも他の家への挨拶はいいのか。」

真由美「そこはもう大丈夫よ。さっき終えてきたから。」

といつも通りの話していると、

?「お姉ちゃんから離れろ!!このストーカー。」

と俺と真由美の間に誰かが割り込んで来た。

裕翔「あっ、お前は。」

とその割り込んできた人物は

裕翔「確か・・・・七草の妹の・・・・・。」

香澄「香澄よ!!香澄!!」

と大声で言ってくる。それに続いて

泉美「か、香澄ちゃん。すいません葉山さん。」

と予想通り直ぐに双子の妹泉美が謝罪してくる。しかし、

香澄「さっさとお姉ちゃんの前から失せろ!!」

と泉美の謝罪を無に返してきた。

真由美「ちょっと、香澄ちゃん。流石に・・・・・。」

香澄「いつもお姉ちゃんをたぶらかして・・・・・最低!!」

裕翔「いや、たぶらかすも何も俺は普通にいるだけなんだが。それに、口の聞き方に気をつけろ。一応、言っておくが俺は歳上なんだか。第一に、そんな大声を出してたら、自ら自分の醜態を晒しているようなもんだぞ。」

香澄「グヌヌヌ・・・・・。」

とどうやら俺の発言に対して言い返せないようだ。すると、

?「あらあら、随分と楽しそうね。」

と後ろから声が聞こえてくる。

裕翔「やっぱり来てましたか。」

と言うと俺は後ろを振り返る。そして、声をかけてきた人物は

裕翔「四葉家当主、四葉真夜様。」

真夜「こうして顔を合わせるのは初めてすね。」

裕翔「えぇ、そうですね。」

と普通に答えるが、

裕翔(ヤバい。明らかに今まで見てきた魔法師の中一番気配が違う。)

と思いつつ、

裕翔「それで、俺に何のご用でしょうか。」

とこうして俺は父から受け継いだ葉山家にとって最大の敵の当主と出会ったのだ。

 

午後7時

忠敬「お持ちいたしました。真夜様。」

真夜「ありがとう。」

とクソ祖父が持ってきた紅茶を真夜様は口につける。

裕翔「それで、一体何の用ですか。こんな場所まで用意して。」

と言うが、俺は今真夜様と会ったパーティー会場から場所を変え、明らかに一泊するのに高額な金がかかりそうな部屋に来ている。そして、真夜様は紅茶のティーカップを置くと、

真夜「裕翔君。どうして、私の誘いを断るのかしら。理由を聞かせてくれないかしら。」

裕翔「そんなの当たり前じゃないですか。嫌だからですよ。俺達を見捨てた祖父の元で働くのが。それに、俺は元々十師族という存在したいが嫌いだからです。」

真夜「でも、あなたは既に十文字家の次期当主と七草家の御令嬢と随分と関わりがあるようだけど。」

裕翔「あの2人はただのクラスメイトとして接しているつもりです。」

裕翔「そう。でも、断るというなら貴方の妹さんとお姉さんを・・・・・。」

シャ

その瞬間、俺は怒りを力に変え持っていた小型のナイフを真夜様の喉を目掛けて突き立てる

忠敬「裕翔!!」

と執事である祖父は止めにかかる。しかし、

真夜「良いのよ。忠敬。」

と真夜様は止める。そして、

真夜「その姿が悪魔と呼ばれた由来ね。」

裕翔「そうだ。分かってると思うが、一度でも俺の家族に手を出してみろ。十氏族だろうが何だろうが容赦はしない。その行動をとった時点で俺はお前らを敵とみなす。俺は敵とみなしたら殺すまで止まらないぞ。」

真夜「それで、5年前に妹の仇を取ったの。怒りは何も生まない。殺しなら尚更。」

裕翔「黙れ。俺の事を何も知らないくせに。」

真夜「えぇ、知らないわ。そこまで言うなら今は引かせて頂きます。しかし、これだけは言わせてもらうわ。これから先、魔法界は貴方のような若者を中心に新たな時代を迎えると同時に新たな脅威も出てくる。そして、必ず貴方も巻き込まれる。言いたい事はこれだけよ。」

裕翔「フン、そんな事言われなくても分かってる。」

と言うと俺は部屋を出ようとする。すると、

真夜「忘れないで、時代はもう既に動き始めているわ。」

裕翔「・・・・・。」

バタン

と俺はそのまま部屋を後にした。

 

午後10時

ようやくパーティーもお開きの時間が近づいてきた。結局、パーティーに参加したことにより十氏族を中心とした多くの一族から俺自身を手に入れようと動いている事が改めて分かった。その中で特に俺が警戒しているのは四葉家だ。今日初めて現四葉家当主、四葉真夜と接触したがあの女の笑みには狂気を感じた。

裕翔(四葉真夜・・・・・何を企んでいる。)

と考えていると

弘一「葉山君。」

と七草弘一に声をかけられる。

裕翔「これは、弘一さん。今回のパーティーへのご招待ありがとうございます。」

弘一「気にするな。娘が世話になっているからね。今回の九校戦で娘が優勝できたのも君のおかげだ。それで、どうだった。十氏族の格当主に会ってみて。」

裕翔「正直に言うと、十氏族が魔法界において大きな存在だと改めて実感しました。」

弘一「そうか。でも、どの一族も今考えている事は一緒だ。分かっていると思うが、君の力の存在はどの一族においても無視はできない。だからこそ、手に入れようと考えている。私もその中の1人だ。」

裕翔「分かっています。ですが、今は答えるつもりはありません。俺も貴方と同様、父から託された一族の当主です。託された以上、手放す気はありません。」

弘一「そうか。だが、この世界は実力と権力がものを言う。少なくとも後ろ盾は必要だと思うが。」

裕翔「そこのところは、問題ありません。お気になさらず。」

弘一「なるほど。ところで話が変わるが、葉山君。今君には婚約者はいるかい。」

裕翔「いませんよ。例え、縁談が来たとしても断るつもりです。正直、恋愛や結婚などには興味が無いので。1人の方が楽ですし。」

弘一「それは結構。でも、当主であるならばいつかは跡取りが必要になる。」

裕翔「分かっていますよ。それぐらいの事。」

弘一「そうか。では、話は以上だ。良い夏休みを。」

裕翔「ありがとうございます。」

と話は終わり、俺はこの場を後にしようとすると、

弘一「葉山君。最後に一つ君に伝えておこう。真由美は今でもあの事件で君と会った事は覚えていない。私は今でも君との約束を忘れてはいないよ。」

と言うと弘一は去って行く。そんな後ろ姿を見つつ俺は、

裕翔「・・・・・分かっていますよ。それぐらい。」

と言うと俺はそのままこの場を後にした。

 

午後10時22分

東京 お台場

コトコト

とパーテイーも終わり、俺は1人で自宅に帰る途中だ。しかし、良い時間なのにお台場はある意味賑やかだ。そんな街を今俺は歩いている。そして、今俺はある事を気にしていた。それは、

真由美「・・・・・・。(ジーーー)」

とパーテイー会場からずっと真由美に後をつけられているのだ。

裕翔(アイツ、何してんだ。アレでバレてないとでも思ってるのか。)

と真由美の尾行はあまりにも目立ちすぎる。こんな人が多いところで電柱や看板の影に隠れつつ、俺の後を追ってきいるのだ。しかも、パーテイー会場から後を付けていることもあり、ドレスがよく目立つ。すると、

「ねぇ、そこの君。可愛いドレス着てるね。ちょっと、俺達の話しない。」

真由美「えっ!?いや、少し今は急用がありまして。」

「良いじゃん。ちょっとくらい。別に悪い事をしようってわけじゃないから。」

案の定、真由美は目立つドレスを着てる上、美人ということもありこの時間帯によく居るチンピラに絡まれる。

裕翔「ハァ〜、無視するわけにはいかんか。」

と俺はチンピラ達の元に向かい、

裕翔「すいません。ちょっと、その子俺の知り合いなんで手を出さないでくれませんか。」

と言うと、

「アァ、なんだお前。」

「チッ、今ちょうど良いところなのに。」

裕翔「すいませんねぇ。でも、その子は知り合いなので。」

と言うと

グィ

真由美「あっ!?」

と真由美の左腕を掴み、こっちに引き寄せる。すると、

「オイオイ。こんな美人な嬢ちゃんを知り合いのアンタでも渡すわけにはいかないね。」

裕翔「だから、言ってるじゃないですか。知り合いが困ってるのに放っていくわけにはいかないんですよ。そんな事も分からないのかよ。このクズチンピラ。」

「あぁ!?今なんて言った。」

真由美「ちょっと、葉山君。」

と一気にヤバい空気になる。

裕翔「こうでもしないとコイツらは引き下がらないぞ。いいから、黙って見てろ。」

と真由美に言うと、

「喧嘩売ってるのか。お前。」

と1人のチンピラが俺の胸ぐらを掴んでくる。しかし、その瞬間、

ガチャ

と隠していたM500の銃口をチンピラの顎先につける。

「なっ!?」

裕翔「いいから下がれ。じゃないとこの銃がお前の顎の骨を砕き、そのまま頭蓋骨を貫通するぞ。」

「ど、どうせ。おもちゃだろ。」

裕翔「なら、試してみるか。5秒待ってやる。1、2、・・・・・。」

ガッ

「すいませんでした!!」

と直ぐにチンピラは胸ぐらを離し、一目散に逃げて行った。

裕翔「ったく。・・・・・・ちょっと来い。」

真由美「あっ、ちょっと!?」

と俺は再び真由美の左腕を掴み、強引に強引に連れてこの場をを後にした。

 

午後10時30分

お台場 公園

裕翔「アホか!!お前!!」

真由美「・・・・!!」

と俺は真由美に対して怒鳴る。

裕翔「この際、言っておくが少しは周りの人の事を考えろ!!別に誰を尾行しようが何しようがお前の勝手だが、考えて動け!!前は渡辺と一緒で昼間だったから問題なかったが、今回のような夜遅い上に1人であんな所を歩いてたらああいったチンピラに絡まれるって事くらい考えれば分かることだろ!!」

真由美「・・・・・ごめんなさい。」

と謝ってくる。

裕翔「お前には俺と違って大事な家族がいるだろ。お前に何かあれば真っ先に悲しむのは家族だ。その事を忘れるな。一旦、家に来い。少なくとも外よりは安全だ。」

真由美「・・・・・ごめん。葉山君。」

裕翔「・・・・・・俺も怒鳴って悪かった。」

と真由美は俯いたままだ。

裕翔「ハァ〜、良いから行くぞ。」

と俺は真由美の右手を握り、エスコートする。

真由美「ちょ、葉山君。」

裕翔「この辺りは夜になると不審者も出る。さっさと行くぞ。」

と俺は真由美を連れて自宅へと向かった。

 

午後11時

自宅

裕翔「はい。これが今までの経緯です。」

と俺は念の為に真由美を家で預かっている事を七草弘一に連絡する。

弘一『そうか。真由美が迷惑をかけたね。帰ったら強く言い聞かせておくよ。』

裕翔「いえ、既に説教は勝手ながら俺が先にしておきました。だから、家に戻っても何も言わないでやってください。本人も反省しているようなので。」

弘一『分かった。君の頼みなら、これ以上私から言うのは控えておくよ。真由美は今、どうしてる。』

裕翔「風呂に入ってます。」

弘一『一緒に入らないのかい。』

裕翔「弘一さん。俺にも男としてプライドというものがあるんです。」

弘一『分かっているとも。だが、この際に真由美との間における決定的なものを作ってみるのも悪くないと思うが。』

裕翔「死んでもそのような無粋な行為をするつもりないのでご安心を。それで、迎えはどうされるおつもりですか。別にウチは基本、俺1人なので問題はありませんが。」

弘一『すまない。とりあえず、私もこれから仕事が盛り沢山でね。しばらく、真由美を預けても構わないか。』

裕翔「ハァ〜、そう言うと思ってましたよ。分かりました。預かる以上、彼女の身は守るのでご安心を。」

弘一『頼んだよ。それと今度君達友人だけで旅行に行くようだね。』

裕翔「はい。勝手に決められましたが。」

弘一『フフフ、そうか。勝手に決められたから。面白い話だ。葉山君。真由美は今までこういった遊園地などに私は連れて行った事がなくてね。当主となり、父親となってからも一族の事や仕事であまりあの子をそのような場所に連れ行ってあげる機会を作ってやれなかった。真由美は、今回の旅行を心より楽しみにしている様子だった。頼んでばかりだが、あの子を宜しく頼む。』

裕翔「分かりました。それでは、失礼します。」

と言うと、俺は電話を切る。

 

午後11時15分

ガチャ

真由美「お風呂・・・・・ありがとう。」

と真由美が風呂から出てくる。

裕翔「気にするな。弘一さんにはもう連絡しておいた。別に夏休み中は好きにして良いってよ。とりあえず、今日は泊まっていけ。夜も遅いから。」

と言うと、俺は立ち上がり、キッチンからコーヒーを取り出す。そして、

裕翔「ほらよ。」

と真由美の前にコーヒーを置く。

真由美「ありがとう。」

裕翔「・・・・・・。」

と先ほどの怒鳴った件もあり少し、気まずい空気が流れる。

裕翔「・・・・・。」

真由美「・・・・・。」

互いに沈黙が続く。いつもなら、互いにやかましく言い合いが続いているが、

裕翔(・・・・・ヤバい。気まず過ぎる。何か話題になる話を・・・・。)

と考えていると、

真由美「ねぇ・・・・・葉山君。どうして、葉山君はお姉さんと同じ道に進まなかったの。」

と真由美が問いかけてくる。

裕翔「・・・・・同じ道って。」

真由美「咲さんはアイドルや女優として光の世界ですごい活躍してる。でも、弟である葉山君は真逆で自ら手を汚す仕事をしてる。私ね時々考えるの、妹達が葉山君みたいな人生を送ることになったらどうしようって。別に葉山君の事を悪く言ってるわけじゃないの。でも、私には理解できない。兄妹なのに、どうしてそんな辛い道を進むの。」

裕翔「・・・・・今から、11年前、俺が4歳の時、当時3歳と雪と共に母がテロリストに殺される瞬間、目にした。その時から、俺は復讐という何も生み出さない道を選んだ。俺だけが苦しめばそれで良い。俺が苦しむ道を進み、家族を守れるたら親父も、姉さんも雪も苦しまずに済むと思ってた。でも、俺は守れなかった。親父も雪も。そして、残った姉さんの人生も狂わした。だから、せめて姉さんにはちゃんとした道を歩んでほしい。傷つくだけなら俺だけで良い。だから、この道を選んだ。例え、どれほど憎まれようとも俺は別になんとも思わない。それが家族を守れなかった俺への罪だから。真由美。お前には家族がいる。だからこそ、二度とあんな真似はするな。俺とは違ってお前には家族が居るんだから。」

真由美「・・・・・。」

そう言うと、俺は飲み終わったコーヒーカップをキッチンに片付け、

裕翔「今日はもう、休め。2階の手前の部屋。そこなら空いてるから。」

と言うと俺は地下へと向かった。

 

翌日、

午前6時

自宅の地下工房

ピッピッピッピッ

裕翔「ハァ〜、朝か。」

と朝の目覚まし時計が鳴り、目を覚ます。結局、昨日は真由美に寝るよう言ってから地下の工房でCADの制作に没頭している間に寝てしまった。そして、起きてからまずする事は、

ビーーー

バンッ

バンッ

バンッ

と射撃訓練と

ブン

ブン

ブン

と素振りをそれぞれ30分かけて行い、

 

午前7時

露天風呂

裕翔「よいしょ。ふぅ〜、生き返る。」

とこの家を建てた際に作ってもらった露天風呂。広さはよくある旅館の露天風呂と比べて狭いが、それでも1人だけで入るなら、充分な広さだ。そして、朝の訓練を終えたらいつも俺はこの露天風呂に入る。

裕翔「あぁ〜、気持ちいい。」

と10分ほど浸かり、

ザバァ

頭と体を洗い、流し終えると、

ガラガラ

裕翔「ふぅ〜、さっぱりした。」

と脱衣所に戻る。そして、いつもなら此処で何事もなく着替え、朝食の準備をするのだが、この日は、

真由美「・・・・・////。」

裕翔「へっ・・・・?」

とそこには予想外にも綺麗な肌をあらわにした真由美の姿があった。そして、

真由美「・・・・・あっ、あっ、////。」

裕翔「おい待て!!誤解だ!!話を!!」

真由美「きゃああああー!!」

パチン

 

午前7時30分

真由美「ごめんなさい。私が確認しなかったから。」

裕翔「いいよ、別に。俺もちゃんと確認してなかったから。」

と言うが、俺の右頬には見事に真由美のビンタによる後がクッキリと赤く腫れて残っていた。そんな右頬に俺は氷袋を当てつつ、

裕翔「それで、お前これからどうするんだ。」

真由美「えっ?」

裕翔「昨日、弘一さんと連絡した際に弘一さんは俺と七草に任せるってよ。俺は別に夏休み期間は泊まっていっていいぞ。どうせ、1人だから。後は七草が決めろ。実家に居たいなら送ってやるし。お前が選べ。」

真由美「・・・・・。」

裕翔「選ぶのはお前だ。」

と言うと、

真由美「少しの間だけどお世話になります。」

と真由美が言う。

裕翔「ハァ〜、了解。また少し間、面倒くさいお前の面倒を見てやるよ。」

真由美「ちょっと、それってどういう意味!?」

裕翔「そのままの意味。」

真由美「それなら、葉山君の方がもっと面倒臭いじゃない。」

とこうして真由美は少し間、俺の家に住むことになり、俺が今まで味わったことない夏休みが幕を開けたのだ。

 

続く

 

 

 

 

 

 




次回からディズニー編です。予定ではランドとシーを2話に分けて投稿する予定です。それでは次回もお楽しみに!!


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第17話 夢と記憶

大変、長らくお待たせしました。第17話です。どうぞ。


真由美視点

また、同じ夢を見だ。記憶に無いはずなのに、何故か私が幼い頃に本当に経験したかのような夢。暗く寒い夜の吹雪の中、私は理由も分からないまま男の人達に追われ、逃げ続ける夢。

真由美「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・誰か助けて。」

「逃すな!!追え!!」

そして、遂には

真由美「キャア!!」

ドサッ

視界の悪さと降り積もった雪のせいで木の根に足を引っ掛けてしまい、倒れてしまう。

「足跡があったぞ。この先だ。」

真由美「・・・痛い。お願い・・・・・誰か・・・・・」

背後から男の人達声が近づいてくる。

真由美「助けて。」

と動けなくなり、最後に助けを願い呟いた瞬間、

ババババババ

「敵だ!!撃てー!!」

「クソッ、見えないぞ!!一体どこに・・・・!!」

「来るな、来るな!!来る・・・!!」

「助けて、死にたくない。助け・・・・ぎゃあああー!!」

銃声とともに男の人達の悲鳴が聞こえてくる。

真由美「・・・・・。」

そして、やがて銃声は鳴り止み声も聞こえなくなった。私は転んだ時の足の痛みを抑えつつ、悲鳴が聞こえた方と引き返した。そして、その先で見たものは

真由美「・・・・・!!」

見るも無惨に斬り殺された男の人達の亡骸だった。そんな死体だらけの中、私は震えつつも進み続けた。そして、

真由美「・・・・・あっ。」

私は死体ばかりの中、1人たたずむ男の子を見つけた。

真由美「あ、あの〜・・・・。」

と声をかける。

?「・・・・・!」

男の子は黙って、振り返る。いつもはここでこの夢は終わりを告げる。しかし、今回は

真由美「・・・・・良かった。やっと・・・・。」

助けてくれた子の顔を見ることができると思ってた。しかし、

真由美「助けてくれ・・・・・!!」

顔を見る事は出来た。だがその顔は・・・・・

 

真由美「・・・・・ッ!!」

ここで私は目を覚ました。

真由美「今のは・・・・・。」

夢でようやく男の子の顔を見る事が出来たが、顔には額には大きな切り傷があり、目は赤くそれはまるで、人ではなくまるで

真由美「悪魔。」

そのものだった。

真由美「・・・・・。」

思い返すだけでも怖くなる。

真由美「・・・・・。」

私はベットの上に置かれた時計を見る。時計の針はちょうど3時を指していた。

真由美「・・・・嫌な、夢を見てしまったわね。・・・・・。」

と呟いていると、

ガチャ

部屋のドアが開き、

裕翔「なんだ?まだ、寝てなかったのか。」

そこには葉山君の姿があった。そして、思い出した。私は今、葉山君の家に寝泊まりしていることに。

真由美「葉山君。ごめん、起こしちゃった。」

裕翔「いや、今から寝るところ。なんか、物音したから見に来ただけ。」

真由美「そ、そう。」

裕翔「・・・・・なんか、あったのか。」

真由美「いや、そう・・・言うわけじゃ・・・・・。」

裕翔「俺でよかったら話くらいは聞くぞ。」

真由美「・・・・・それなら、お言葉に甘えて。」

と私は葉山君に夢で見た事を全て話した。

裕翔「・・・・・そうか。そりゃあ、嫌な夢だな。」

真由美「うん。・・・・・葉山君はこういった夢は見るの。」

裕翔「・・・・・ああ、毎晩のように見る。今まで殺してきた人達の怨念を。」

真由美「・・・・そうなんだ。」

裕翔「・・・・それじゃあ、俺も寝るから。おやす・・・・。」

と葉山君が部屋を出て行こうする。でも、私は

真由美「待って!!」

と何故か体が勝手に動き、葉山君の腕を掴んでいた。

裕翔「・・・・・・何だよ。」

真由美「・・・・・一緒に・・・・寝てくれない。(私のバカ!!何を言ってるのよ!!)」

と恥ずかしさのあまり、体が熱くなる。

裕翔「・・・・・。」

真由美「怖くて・・・・・寝れないから。(

裕翔「・・・・・ハァ、分かったよ。」

真由美「えっ?良いの。」

裕翔「お前は言い出したら、聞かないからな。どうせ、断ったら会長命令ですとか言い出すんだろ。良いよ。ただし、お前が寝たら自分の部屋に戻るからな。」

と言うと、葉山君はベットの上に上がってくる。そして、

サッ

裕翔「・・・・・。」

互いに背を向けた状態で横になる。

真由美「・・・・・少し、狭いわね。」

裕翔「嫌なら、自分の部屋に戻るぞ。」

真由美「冗談よ。別に悪くいったわけじゃ。」

裕翔「だったら、早く寝ろ。どうせ、お前明日実家に帰るんだろ。」

真由美「もしかして、寂しいの。」

祐希「・・・・・(怒)。」

ドン

と突然、背中に強い衝撃が走る。

真由美「キャ!!痛いじゃない。」

裕翔「人をからかうのも大概にしろ。さっさと寝ろ。このお調子者が。」

真由美「わかったわよ。」

と言うと、私は目を閉じる。でも、少し時間が経つと、私は目を開け葉山君の方を見る。

裕翔「スゥ〜・・・・・スゥ〜。」

といつの間にか葉山君の方が先に眠りについていた。

真由美「・・・・・ありがとう。おやすみ。」

とそう葉山君に言うと私も再び目を閉じ眠りについた。

 

数時間後

チュン、チュン

真由美「うん?」

私は鳥の声で目を目を覚ます。

真由美「そっか、もう朝なの。」

と起き上がる。昨日、一緒に寝た葉山君の姿は既になく私はベットから降りて、そのまま・・・・・・

 

サッ

真由美「ここに入れるのも今日が最後なんだし、せっかくだからゆっくり湯船に。」

とパジャマを脱ぎ、裕翔君の家に備え付けられている露天風呂に入ろう扉を開けようとした瞬間、

ガラガラ

裕翔「ふぅ〜、さっぱりし・・・・・。」

真由美「・・・・////!!!」

風呂場から葉山君が全裸で出てきたのだ。そして、

裕翔「七草・・・・お前・・・・・。」

真由美「・・・・・キャアアアー!!」

裕翔「七草!!ちょっと待て!!話を!!」

パチーン

急な出来事による驚きと恥ずかしさで私は葉山君にまた、ビンタしてしまった。そして、

 

数十分後

午前8時17分

真由美「・・・・・。」

葉山君にまた、ビンタをしてしまった事で反省していると、

ゴト

裕翔「ほら、朝飯できたぞ。」

と葉山君が朝食を私の前に置いてくる。しかし、葉山君の右頬にはクッキリと私の手形が残っていた。

真由美「怒ってるわよね・・・・・。」

裕翔「いや、そんな事ないぞ。」

と笑顔で返してくるけど・・・・・

真由美(心が笑ってない。)

と明らかに怒りオーラが葉山君から溢れ出ていた。そして、

裕翔「頂きます。」

真由美「い、いただきます。」

とそのまま朝食を食べ始めたけど、

裕翔「・・・・・。」

真由美「・・・・・。」

空気がとても重く感じた。

真由美「あの・・・・葉山君。」

裕翔「ん、なんだ。」

真由美「ご、ごめんね。私ってほんとドジよね。2回も同じ間違いをするんだもの。」

裕翔「・・・・・ああ、そうだな。いつも、露天風呂に俺が七草どっちかが先に入ってた分かるために札をかけてあるのに、お前は2度も同じ間違いをした挙句に同じく2度、ビンタをこの夏休みの間に俺にお見舞いしたんだからな。ある意味、感心するよ。このドアホ生徒会長。」

真由美「・・・・・言い返す事もないわ。」

裕翔「ちゃんと見ろ。このアホ。それで、お前今日実家に帰るんだろ。家まで送って行くぞ。」

真由美「えっ、良いの。」

裕翔「どうせ、暇だから良いよ。この夏休み期間基地に行く事も出来ないからな。それくらい引き受けてやるよ。」

真由美「じゃあ、お言葉に甘えて。あっ、それとあと一つ、お願いがあるんだけど。」

裕翔「なんだよ。」

真由美「この後、一緒にデートに付き合ってくれない。」

裕翔「・・・・・。」

真由美「ダメ?」

裕翔「・・・・・良いよ。片付けしたら準備するよ。」

真由美「ありがと。」

この日、私は初めて葉山君とデートする事になりました。

 

裕翔視点

午前10時

裕翔「遅い。」

と10時に家を出る予定のはずだが、まだ七草が2階から降りて来ない。女が準備に時間がかかる事は分かっている。だが、それでも時間がかかるならかかるなりに考えて動くのが常識というものだ。そう思いつつ、スマホを見ていると、

真由美「ごめん。遅くなって。」

と七草が降りてきた。

裕翔「ハァ〜。やっと来たか。で、何処に行くんだ。」

真由美「それは・・・・・行ってからのお・た・の・し・み。さ、行きましょ。」

と言われ、向かった先は

 

午前10時22分

東京にある大型シッピングモールだ。そして、来て早々に

真由美「葉山君。どっちが似合うと思う?」

裕翔「どっちでも。」

と2つのワンピースや、

真由美「どっちが良いかな?」

裕翔「お前の好きに選べば。」

とスカート、

真由美「どっちが似合うかな」

裕翔「・・・・お前が選べ。」

来年の着る予定の水着、そして遂には

真由美「白と黒、どっちが似合うと思う?」

裕翔「・・・・・ちょっと待て。」

下着まで聞いてきた。

裕翔「七草。お前な、まだ水着までなら相談にはのるが、下着までくると流石に無理だ。第一に、俺は女性について興味はない。だから、聞かれても分からないんだよ。」

真由美「そんなこと言って、興奮してたりして。」

裕翔「よし、帰るとするか。」

真由美「ご、ごめん。待って、行かないで私が悪かったから。」

と色々あったが、そのまま買い物は続き、

 

午後2時20分

真由美「ごめんね。私の買い物にこんなに付き合わせちゃって。」

裕翔「いいよ。別に。お前の事だからこれくらい量になることくらい想定内だ。」

と話しつつ、

真由美「もう、どうしていつもそんな冷たいことを言うのよ。そんなじゃ、誰とも付き合えないわよ。」

裕翔「元々、誰とも付き合うつもりもないよ。一人の方が何かと自由にできるし。」

真由美「またそうやって、暗い事を言って。話が変わるけど葉山君は何が好きなの?」

裕翔「好きなって何が?」

真由美「ほら、趣味と好きな食べ物とかあるでしょ。」

裕翔「まぁ、ないわけじゃないが。好きな趣味と言えば、CADを作ることとか、銃を集めることくらいか。」

真由美「流石は特殊部隊にいる事はあるわね。他には?」

裕翔「車も好きだな。スポーツカーも好きだな。」

真由美「食べ物は?」

裕翔「・・・・・味噌汁。」

真由美「へぇ、なんか以外。」

裕翔「どう言う意味だ。」

真由美「葉山君、男だから肉が一番だと思ってた。」

裕翔「それに関しては男も女も関係ないと思うが。」

と話しつつジュエリーショップの前を通る。すると、

真由美「葉山君。ごめん。最後にここ寄ってもいいかな?」

裕翔「どうぞ。」

真由美「ありがと。」

と真由美はジュエリーショップに入って行く。俺も後に続いて入るが、

裕翔「・・・・・高い。」

ショーケースの中にある指輪やネックレス、イヤリングにはダイヤなど貴重な鉱石が装飾されており、どれも5万円以上もする物だった。

裕翔「こんな物に興味を惹かれるのは分かるが、これは・・・・。」

と呟くと、

真由美「葉山君、これどう?」

と真由美に呼ばれ、真由美ともとに行くと、

真由美「コレ、どうかな?」

と真由美がショーケースの中にある紫色の鉱石で装飾された髪飾りを指差す。

真由美「可愛いと思わない?」

裕翔「まぁ、確かに。」

と見ていると、

「お客様。何か気になる物でもありましたか。」

と店員が声をかけてくる。

真由美「すいません。この髪飾りって。」

「こちらの髪飾りはドイツで有名な方が手作業で作られた髪飾りでして。使われいる鉱石はタンザナイトという言います。良かったら試着してみますか。」

真由美「はい。お願いします。」

と真由美が言うと、店員さんはショーケースから髪飾りを取り出し、準備する。そして、

真由美「葉山君。どうかな。」

裕翔「・・・・・!!」

そこには以外にも髪飾りのお陰かいつもより真由美が何故か美しく見えた。

裕翔「に、似合ってるんじゃないか。」

と返す。

真由美「そ、そう。ありがとう。」

と真由美は何故か顔を逸らす。すると、

「気に入られましたか。」

と店員さんに聞かれる。

真由美「はい。とても。コレっていくらしますか。」

「金額は11万2700円になります。」

裕翔「ブーーーー!!」

とあまり驚愕の値段にふいてしまう。

真由美「えっ、結構するんですね。」

「はい。やはり、ドイツの有名な職人が作った事もあって、これくらいはしますね。」

真由美「もう少し、他のを見てから考えます。」

と流石のお嬢様でも想定外の値段だったのか、購入を躊躇う。そんな真由美を見ていると、

裕翔「・・・・・ん?」

背後から何かを感じ振り返る。すると、大きなコートを着た謎の人物が目に入る。ソイツはフードを被っており顔までは分からないが、体型的に男だと判断した。しかし、何よりも気になるのはソイツは明らかに腹にある何かを隠すように歩いていた。

裕翔(嫌な予感がする。)

と思った俺は胸元に隠しておいたグロック17のグリップを握り、いつでも撃てる用にする。そして、相手に刺激しないようにゆっくり近づく。すると、

真由美「葉山君。どうかしたの。」

と真由美が聞いてくる。

裕翔「七草。ここに居ろ。」

真由美「えっ。どうしたの。」

裕翔「広場の中央にいるコートを着た男。嫌な予感がする。俺が接触するから援護を頼む。」

真由美「・・・・・分かったわ。」

と真由美はCADを構える。そして、俺はゆっくりと近づいて行く。そして、

裕翔「おい。そこのアンタ、何を・・・・・。」

と声の届く距離まで近づくと俺は男に対して声をかけようとしたその瞬間、

「お前達は何も知らない!!この世界は腐っている!!」

と男は突如、大声で喋り出す。そして、広場の中央であったこともあり周りから注目を集める。

裕翔「おい!!今すぐに伏せ・・・。」

「魔法という存在により世界は変わった!!魔法は新たな差別を生み出した!!俺は魔法により全て失った!!俺だけではない!!俺と同じ人間沢山いる!!差別なき世界を!!」

と男は大声で叫び、やはり腹の部分に隠している何かを取り出そうとする。その動きを見た俺は遂にグロック17を取り出し、

裕翔「伏せろ!!従わない場合、射殺する!!」

と警告した瞬間、

「魔法とあるこの世界に死を!!」

と男はコートから抜き捨てる。そして、隠されていた物が姿を現す。それはベストにつけられた沢山のC4爆弾とそれに繋がった沢山のケーブル、そして男の手にはスイッチらしき物。そう自爆ベストだ。

裕翔「全員、伏せろ!!」

と大声叫び、俺は何故か勝手に真由美の元に駆け寄り、真由美を守ろうと頭を強引に下げる。そして、

ズドーン

鼓膜が破れそうになる音と大きな揺れと爆風が一瞬にして俺たちを襲ってきた。

カラーン

そして、何か落ちる音が聞こえ、

裕翔「・・・・・ッ。」

俺は起き上がる。そして、

裕翔「七草・・・・おい。大丈夫か。」

と隣で倒れている真由美に声をかける。

真由美「ウッ・・・・・葉山君。」

と真由美も目を覚ます。しかし、

裕翔「クソ・・・・・自爆テロかよ。」

そこには立ち込める大き炎と大きな煙、まさに地獄そのものだった。

真由美「ウソ・・・・・こんなの。」

と真由美はこの光景に受け止めきれない様子だった。

裕翔「七草。しっかりしろ。とりあえず避難を。」

と真由美に手を差し出す。

真由美「・・・・・うん。」

真由美は俺の手を取り、立ち上がる。しかし、

裕翔「・・・・・。」

この光景を見て、ふと蘇る。俺がこの道を選んだあの日の出来事が。

 

数十年前

裕翔「お母さん!!お母さん!!」

裕翔「殺してやる!!母さんを殺したアイツらも、絶対に!!」

 

現在

裕翔(俺がこの道を選んだのはこんな事態を避けるためだった。しかし、今回も俺は・・・・・。)

と思っていると、自然と拳に力が入る。すると、

「誰か・・・・・助けて。」

「うぇ〜ん。お母さん。」

「痛い・・・・誰か。」

と爆発に巻き込まれた人達声が聞こえてくる。

裕翔(それでも今は・・・・。)

と決断を決め、

裕翔「七草。可能な限り巻き込まれた人達を助けよう。」

真由美「・・・・・えっ。」

裕翔「俺たちはやる事は、自分にできる事をするだけだ。」

真由美「・・・・・葉山君。分かった。」

その後、俺たちは可能な限り巻き込まれた人達の救助を行い続けた。直ぐに警察と消防も駆けつけ事態は更なる被害は防げてた。しかし、死者5名という尊き命が奪われたのだった。

 

真由美視点

午後4時

自爆テロから早くも1時間以上経過した。私は今も負傷者の治療を手伝っている。葉山君達は、部下の人達と合流して今は現場の調査を行なっている。爆発が起きた後、私は何も自分から動くことが出来なかった。そんな私に比べて葉山君は、直ぐにやるべき事を判断し、動いた。

真由美(私は何も出来なかった。)

と思っていると、

『こちら、8班。事件現場のデパート内で不審人物の目撃情報あり。』

と警察の無線が聞こえくる。

真由美(不審人物・・・・まさか、まだテロリストの生き残りが・・・・葉山君が。)

と私は直ぐに事件現場のデパート内へと戻った。

 

午後4時10分

デパート内は爆発の影響で停電し、中はライトなしでは視界が効かないくらい暗かった。

真由美「・・・・・この付近いるはず。」

と私はライトを照らしつつ、デパート内を進んでいると、

真由美「・・・・・!!」

ライトを照らした先にロングヘアーをした男の人が目に入る。

真由美「動かないで!!」

と私はCADを構え、魔法式をいつでも展開できるようにする。すると、

?「ほぅ、貴方でしたか。七草真由美殿。」

真由美「どうして私の名を。」

?「何故って、覚えていないのですか。私と貴方は4年前に会っているのすよ。北海道で。」

真由美「・・・・・そんなの記憶にないわ。」

?「そうですか。私と貴方、そして彼とは長い因縁みたいなものなんですけどねぇ。」

真由美「彼・・・・・彼って誰なの?」

?「彼とは私が今まで出会った者の中で最も強敵だった者。そして、私を一度殺した者です。」

真由美「殺した・・・・・何を言ってるの。」

?「彼の名はコードネーム「悪魔」。若くして家族をテロで両親を失い、そして妹までもテロで長き眠りついてしまい、復讐に駆られ、この日本にて最強といわれし存在。」

真由美「まさか・・・・・そんな。」

?「そう、貴方が最も知る人物ですよ。葉山裕翔ですよ。そして、貴方は4年前、彼に救われた。北海道で吹雪の中、貴方を守るために1人で我々と戦い。守り抜いた。しかし、貴方がそれを覚えていないとは。」

真由美「ウソよ・・・・・そんなの私は知らな・・・・・っ!!」

突如、頭にあの夢が思い浮び、同時に頭に頭痛が走る。あまりの痛みに私は倒れしまう。

?「ほら、思い出したでしょう。何故、今まで忘れていたのかは知りませんが、まぁ、こうして巡り会えたのです。あとは彼が来るのを待つだけ。」

と言うと男は近づいてくる。

真由美「いや・・・・・来ないで・・・・誰か、助け・・・・・。」

私は痛みあまり目の前が真っ暗となった。

 

 

裕翔視点

数分前

MP5『司令官、現場内にて不審人物の情報が入りました。』

裕翔「詳細に頼む。」

と現場を調査していると部下のMP5から無線が入る。

MP5『男で黒いロングヘアーの男です。身長はかなり高め、後刀らしき物を持っていたとのことです。』

裕翔「・・・・!!」

MP5からの報告を聞き、俺はすぐにあの男が目に浮かんだ。かつて、4年前に俺が殺したはずの男であり、今となっては再び傭兵として姿を現した男。

裕翔「・・・・・スコーピオン。」

と呟くと、

MP5『司令官、更なる情報です。その男の情報が入った時同じ時刻頃に一人の少女がデパートに入って行ったと、髪はロングで歳は高校生くらいです。後、服は少し煤で汚れていたと。』

裕翔「まさか・・・・・!」

その時、その少女が誰だか直ぐに分かった。俺は直ぐにグロック17とSCAR Hを持ち、現場を後にし、走り出した。

裕翔「MP5、その男の情報が入り次第、無線で伝えろ。後、その少女もだ。それとAR小隊にも俺と元に集まるように伝えろ。場所は追って俺が伝える。オーバー!!」

そういうと、無線を切り、俺はデパート内を走りながらスコーピオンを探した。そして、

 

2分後

裕翔「・・・・・!!」

走り続けること2分、俺はスコーピオんと思われる男見つけた。そして、奴の直ぐ側には

裕翔「七草。やっぱり。」

倒れた真由美の姿があった。そして、奴は彼女に手をゆっくり近づける。

裕翔「クソ野郎。」

と俺は一気に近づきつつ、奴に向かって

ダダダダダダダダダ

SCAR Hを構え、乱射する。

スッ

スコーピオンは真由美から離れ、距離を取る。そして、俺は真由美のもとに駆け寄り、SCARからグロック17に持ち替え構えたまま、真由美の意識を確かめる。

裕翔「七草。おい!!大丈夫か!!」

と声をかける。

真由美「・・・・・ぅ。」

命に別状はないが、真由美は涙を流したまま眠っている。そんな真由美を見て、俺は

裕翔「コイツに何をした。スコーピオン。」

とグロック17を構える。

スコーピオン「何をって真実を話したのですよ。彼女は4年前の過去を忘れていたようですから。」

裕翔「真実だと・・・・・ふざけるな!!コイツが4年前にどれほど辛い思いをしたと思ってる!!」

スコーピオン「辛い思いですか。私にとっては最高の思い出ですが。それにあの時に彼女にあんな思いをさせたのは貴方ではないですか。」

裕翔「・・・・・!!」

スコーピオン「貴方がもっと早く動いてれば、あんな事にもこんな事にもならなかったのでは。」

裕翔「・・・・・ッ、コイツは・・・・・真由美は・・・・あの時、俺に言ってくれた「俺が笑顔でいられる世界を作るって。」、そんな真由美をお前は傷つけた。あの時、お前を殺せなかった俺に罪があるというなら今ここでお前をもう一度殺す!!」

と俺はグロック17を構える。しかし、

M4A1「司令官!!」

とM4達が増援として到着する。

スコーピオン「ここまでのようですね。」

裕翔「待て!!ここでお前を・・・・。」

スコーピオン「安心してください。直ぐに会えますよ。私も近いうちに貴方との決着をつけないといけないので。直ぐに私から会いに行きますよ。フフフフフ・・・・・。」

そう言うと、スコーピオンは下がっていく。

M16「逃がすな!!撃て!!」

ババババババ

M16とSOPⅡが逃げるスコーピオンを撃つが、スコーピオンに弾は当たることなく奴は去って行った。

M4A1「司令官!!怪我は!!」

とM4が聞いてくるが、

裕翔「・・・・・。」

答えることなく俺は気を失った真由美を抱き上げ、

裕翔「・・・・・今後、総力を上げて奴を追う。皆んなにもそれを伝えておけ。」

とM4A1達に命令し、俺はそのまま出口へと向かった。

裕翔「・・・・・すまない。真由美。黙っていて。あの日、初めてお前と出会って、ここまで来れた。そんなお前をこれ以上を傷つけるないためにも許してくれ。俺は・・・・。」

と言い、俺は覚悟を決めたこれ以上を真由美達を巻き込まないためにも、傷つけないためにも、

裕翔「さようなら。ありがとう。」

皆んなと真由美との別れを決めた。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、あけましておめでとうございます。大変、投稿が遅くなり申し訳ありません。前回、ディズニー編を2話続けて投稿すると予告したのですが、編集が進んでおらず未だに投稿の目処が立たないため、勝手ながら先にコチラを17話として投稿する事にしました。ディズニー編は今後出来次第番外編として投稿します。楽しみにしていた読者の方々にはお詫び申し上げます。今後も可能な限り編集を頑張っていくので今年もアニトクこと私を宜しくお願いします。


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第18話 理解と覚悟

大変、遅くなり申し訳ありません。第18話です。それではどうぞ。


2093年8月27日

真由美視点

弘一「本当にこれで良いのかね。」

真由美(・・・・お父さんの声が・・・・。)

裕翔「はい。」

弘一「他に方法もあると思うが。」

真由美(葉山君の声も聞こえる。)

裕翔「全て、自分の責任です。これ以上・・・・・事はできません。私は・・・・・・ます。」

葉山君の声は聞こえるが、全ての話を聞き取る事ができない。しかし、最後に

裕翔「・・・・・。」

と私の方を見て、何かを伝え去って行く。

真由美(行かないで。)

私はそう思いつつ、手を伸ばす。何故、こう思ったのか分からない。でも、何故かこの時、私は葉山君とこうして会えるのが最後な気がした。しかし、再び目の前が少しずつ暗くなっていく。

真由美(・・・・・お願い・・・・・行かないで。)

と手を必死に伸ばすが、願いは叶う事なく力が抜け、目の前が真っ暗となった。

 

裕翔視点

午後7時

七草邸

裕翔「・・・・・・。」

黙って、俺は七草邸を出ると、

M16「酷い顔をしてるな。」

とそこには装甲車で俺を迎えにきたM16がいた。

裕翔「・・・・・情報は。」

M16「あぁ、今回の自爆テロの指揮所を見つけた。既にM4達と404小隊が近くで待機してる。」

裕翔「そうか。なら、俺達も行くぞ。」

M16「・・・・・良かったのか。」

裕翔「・・・・・何がだ。」

M16「あの七草家のお嬢様と別れて。」

裕翔「あぁ、これ以上彼女を巻き込むことはできない。本来、俺がアイツと関わることすら間違っていたんだ。真由美と俺が今まで歩んできた道は比較しても仕切れないほど残酷な道だ。俺は所詮、人殺しだ。そんな俺が真由美達といれば、きっと再び巻き込まれる。・・・・・・これほど言ったんだ。後は分かるだろ。」

M16「そうか。隊長が決めたなら、私がこれ以上を口出しする必要はないな。でも、これだけは言わせてもらうぞ。今のお前の顔は・・・・・とても悲しい顔をしているぞ。」

裕翔「・・・・・行くぞ。」

そう言うと、俺はM16ともに装甲車に乗り込み、二度と踏み入れる事もない七草邸を後にした。

 

午後8時

東京 某倉庫

カチャ

今回のテロを後押しした傭兵達の拠点に着いた俺は、M16が用意してくれたSCAR-L(サイレンサー、レーザーサイト装備)に5.56ミリの対魔法単が入ったマガジンを差し込む。そして、

裕翔「準備は出来たか。」

M4「はい。」

合流したM4A1達に確認を取る。404小隊は、既に拠点の裏口で待機している。また、拠点の付近の倉庫の屋上には第1、第2支援小隊、AK小隊、第4小隊が拠点を包囲する形で撃ち漏らしがないように待機している。そして、M4からの返事を聞くと、

裕翔「SOPⅡ、奴らの灯りを消してやれ。」

SOPⅡ「了解。」

と言うと、

パスパス

と外に備え付けられていたブレーカーを壊す。そして、拠点の中からは

「ーーーー!!」

と慌てる敵の声が聞こえてくる。そして、俺は直ぐにナイトビジョンを起動し、

裕翔「やれ。」

と指示を出すと、

RO(RO 635)が後ろ足で拠点のドアを蹴破る。そして、直ぐにM16が中にフラッシュグレネードを投げ込む。そして、

パン、パン

と弾ける音が聞こえると同時に

裕翔「突入!!!」

と一気に拠点へと突入していく。

パス

パス

「グハッ!!」

「カッ・・・!!」

入って直ぐに俺は視界に入った2人の傭兵を撃ち殺した。それに続くように

パス

パス

とM4達も次々に傭兵達を撃ち殺していく。しかし、

バババババババババ

と相手も撃ち返してくる。だが、

裕翔「相手はナイトビジョンを持ってない。焦らず、正確に撃て。」

と指示を出すと

パスパスパス

と狙いを定め、正確に相手を俺は撃ち殺した。そして、

 

10分後

拠点にいた傭兵達は10分もしないうちにほぼ制圧できた。そして、死体だらけ拠点の中には

裕翔「やはりか。」

今回の自爆テロに関する事や他の拠点など多くの情報が残っていた。すると、

RO「隊長、コイツ生きてます。」

と俺の隣で戸棚にもたれ掛かるように座り込み、俺を睨みつける1人の傭兵に関して報告してくる。しかし、

裕翔「分かってる。だが、ソイツはどうせ死ぬ。」

その傭兵は既に体に数発、首に1発被弾しており、死ぬのは時間の問題だった。だから、俺はあえて無視して傭兵に関する情報を集め続けた。そして、直ぐに俺は役にたつ情報をかき集め、

裕翔「行くぞ。」

と立ち去ろうとした瞬間、

AR-15「隊長!!後ろ、危ない!!」

とAR-15の声が聞こえ、振り返ると、無視していた虫の息の傭兵が右手にピストルを構え、引き金を弾こうとしていた。そして、

バーン

一発の銃声が鳴り響いた。

 

真由美視点

午後11時

真由美「どうして、そんなに悲しい顔をしてるの。」

?「自分でも・・・・分からないんだ。笑いたくても笑えないんだ。昔、親戚に言われたことがある。お前は出来損ないだ。出来損ないは永遠に笑う事も幸せにさえ気づく事さえ出来ないんだって。きっと、俺は幸せになったらいけないんだと思う。」

真由美「そんなの悲しすぎるよ。私、約束する。」

?「何を?」

真由美「○○君が笑顔で幸せだと思える世界を作る。だから、その時は・・・・・。」

 

真由美「・・・・・!!」

と目が覚める。

真由美(また、あの時の夢)

とゆっくり起き上がる。

真由美「・・・・・確か、私は・・・・・。」

と思い出そうとすると、

弘一「目が覚めたか。」

とそこには父がいた。

真由美「・・・・・・お父さん。」

弘一「自爆テロの後、意識を失ったんだ。覚えてないか。」

真由美「テロ・・・・・あっ、葉山君は!?無事なの!?」

弘一「落ち着け。彼は無事だ。」

真由美「そう、良かった。」

と安堵していると、

弘一「真由美、よく聞きなさい。」

真由美「何?」

弘一「葉山君の事は・・・・・もう、忘れろ。」

真由美「・・・・・えっ。」

弘一「これ以上、彼と関わるのは危険だ。」

真由美「どうして!?どうして、急にそんな・・・・。」

弘一「今回の自爆テロは犯行目的は、葉山君の殺害が目的だった可能性があるんだ。」

真由美「・・・・・そんな、葉山君が・・・・・。」

弘一「彼は元々、特殊部隊の人間だ。今まで多くの人を殺してきた。そして、その恨みが今回の事件に繋がった可能性がある。そして、このような事が何度も起きる可能性もないとは言えない。仮にお前が巻き込まれた場合、最悪七草家の全体が危うくなる事ある。残念だが、彼のことは忘れろ。」

真由美「そんなの・・・・お父さんが勝手に・・・・。」

弘一「これは、葉山君。自らの意思だ。」

真由美「・・・・・嘘。」

弘一「残念だが、彼が自ら私に伝えてきた言葉だ。今日は休め。」

そう言うと父は部屋を出て行った。そして、私は

真由美「うっ・・・・・・。」

ただ、ひたすら涙が止まらなかった。

 

そして、残り1週間あった夏休みはあっという間に過ぎ、魔法科高校な2月期に入り、再び学園生活が始まった。しかし、学園が始まっても葉山君が学園に姿を現す事はなかった。そして、さらに時間は過ぎていき、

 

9月5日

午後4時

生徒会室

ガチャ

摩利「戻ったぞ。真由美。」

真由美「どうだった。」

摩利「すまない。今回も手がかりは・・・・・。」

真由美「そう。やっぱり、十文字君は・・・・・

克人「お前の聞いた事を話を基に調べてみたが、4年前に北海道で起きた事のは、自然災害による雪崩だけだった。死者は38名。これだけだ。」

摩利「自然災害か。これは関係なさそうだな。」

キリト「いや、そうとも限らないんじゃないか。十師族の一つである七草家なら、本来事件だったものを事故に書き換える事くらい容易い事なんじゃないか。」

真由美「・・・・・可能だと思うわ。」

ミト「じゃあ、スコーピオンと真由美、葉山は4年前の北海道でどういう関係なの?」

真由美「・・・・・ごめんなさい。思い出せないの。」

摩利「こうなったら、葉山が現れたところに直接乗り込むしかいない。」

キリト「あぁ、俺も賛成だ。」

と摩利とキリト君が動こうとすると、

克人「渡辺、それは自らテロリストとの交戦現場に乗り込むということか。」

摩利「そうだ。」

克人「乗り込んでどうする。」

摩利「そんなの葉山に直接・・・・・。」

克人「弾が飛び交う中、どうやって葉山見つける。自分の身を守る事でいっぱいの俺たちにそれができると思うか。」

摩利「それは・・・・・。」

克人「確かに俺も葉山が理由を伝えずに姿を消した事には納得がいかないが、現状葉山が取った判断は正しかったとも思う。葉山はおそらく気づいている。自分が居れば周りを巻き込むと。俺でも葉山と同じ立場ならそうする。例え、運良く葉山を見つけられたとしてどう葉山を連れ戻す。・・・・・生きてきた世界が違う。葉山が言ったあの言葉、俺はようやく理解できた。人を殺せば必ずそれは新たな憎しみを生み、殺し合いが起き、憎しみを生み続ける。葉山はそんな世界でずっと生きてきたんだ。俺達が平和な日々を送っている間もアイツは自らの手を汚し、どんな憎しみを向けられようともアイツは戦い続けてきたんだ。その世界でしか葉山は生きられなかったんだ。今、俺達が介入すれば相手の憎みが俺たちにも向く。それを避ける為に葉山は俺達と別れる決断をしたんだ。」

摩利「・・・・・・。」

キリト「・・・・・・。」

十文字君の話で私も皆んなもようやく理解できた。そして、私は自分がどれほど愚かな人間だったかを思い知らされた。今まで平和な日々で生きていながら、その裏で葉山がどれほど血と泥に塗れた世界で生きていたかを。でも、だからといってこのまま終わりたくない。私は知りたい。4年前に私と葉山君との間に何があったのかをこの過去を知らずには私は前に進めないと思った。だから、

真由美「確かに十文字君の言うとおりかもしれない。」

摩利「真由美?」

真由美「この学園に来るまで私や摩利、十文字君達と葉山君が生きてきた世界は違うかもしれない。でも、この学園に入学し、今まで一緒に過ごしてきた日々は同じ世界だったと思うの。例え、どれほど葉山君が私達を拒もうとも私は葉山君を見捨てたくない。ここで諦めれば、絶対に私はこの先後悔することになると思う。十文字君。さっき言ったよね。納得がいかないって。それって十文字君も葉山君に思うことがあるからなんでしょ。」

克人「・・・・・七草、お前は覚悟が出来ているのか。一度でも介入すれば、後戻りはできないぞ。」

真由美「分かってる。」

克人「そうか、なら俺も覚悟を決めよう。俺も葉山には借りがある。」

と十文字君は立ち上がる。すると、

摩利「決まりだな。私も行くぞ。」

キリト「俺もだ。」

アスナ「私も。」

ミト「・・・・私も。」

リズ「私も行くわ。」

と覚悟が決まるが、

摩利「それで、真由美。葉山をどう見つけるつもりだ。」

真由美「・・・・・唯一、葉山君の居場所を話してくれる人がいる。」

キリト「おい、それってまさか。」

真由美「・・・・・えぇ、あの人ならきっと・・・・・。」

と私達が向かった先は

 

午後5時

自衛隊駐屯地

真由美「お忙しい中、時間を取ってくださりありがとうございます。・・・・・・古田さん。」

古田「まさか、ここに直接乗り込んでくるとは思わなかったよ。それで要件とは。」

真由美「率直にお伝えします。葉山君の居場所を教えて下さい。」

古田「・・・・・お断りします。」

真由美「・・・・・何故ですか。」

古田「我々は今、ある組織に対する作戦を連日行っています。彼は今、その任務の指揮を行っている。民間人である貴方達に極秘情報を教えるわけにはいかないのです。」

真由美「私は七・・・・・。」

古田「例え、七草家や十文字家などといった十師族でもそう簡単に話すわけにはいきません。真由美殿。貴方は自分が何を言っているか分かっているのですか。」

真由美「分かっています。私達がこの件に関わることがどれほど危険かも。覚悟も決・・・・。」

古田「彼は、もう何年も前から覚悟を決め、戦ってきた。真由美殿。貴方は耐えられますか。僅か4歳の少年が目の前で母親を殺され、10歳時には父も同様に失い、挙げ句の果てには妹までも失うその光景に。彼の心は既にほぼ壊れている。残った心の欠片にあるのは復讐のみ。もう、彼は戻る事は出来ないのだよ。君達のように生きることが。」

真由美「・・・・・確かに全てを分かることは出来ません。私も彼の心はほぼ壊れていると思います。でも、彼の心には復讐の他にもう一つ残っています。」

古田「・・・・・。」

真由美「守りたいという思いです。」

古田「・・・・・!!」

真由美「その思いは今も葉山君の心にあります。でも、このままではその想いも壊れてしまう。そうなる前に私達が助けます。そして、かつてのように葉山君がいつでも笑える時まで私達が彼を支えます。古田さん。お願いです。私達に彼を救う許可を下さい。」

と私は頭を下げた。

古田「・・・・・立派になられましたね。真由美殿。分かりました。教えましょう。」

真由美「ありがとうございます。」

 

その後、駐屯地から一機のヘリが離陸し西へと向かった。

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも。アニトクです。大変、読者の皆様をお待たせしてすいません。本来、もっと早くに投稿する予定でしたが、私個人の事情により遅くなってしまい申し訳ありません。今回魔法科高校の劣等生の第3シーズンの公開に伴いなんとか今回投稿することが出来ました。次回作に関してはまだ編集している最中であり、投稿予定日は未定です。いつになるかは分かりませんが、これからもアニトクを応援して頂けると幸いです。出来る限り編集が終わり次第投稿するようにするのでこれかもよろしくお願いします。次回もお楽しみに。


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