たった1本のお酒から起きた過ち (黒トリガー使い)
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始まりの日

ある日501部隊の基地の格納庫に何時ものように支援物資が送られてきた。

 

 

配達員 「それじゃあ、これで全部です。箱の中身はこのリストに書いてますので。」

 

 

ミーナ「ええ、何時もありがとうございます。」

 

 

ミーナは受領のサインをすると、リストを受け取った。

 

配達員が帰った後にミーナがリストを見ていると一つだけ気になるものがあった。

 

 

ミーナ 「あら?ウイスキーって確かお酒よね?誰が頼んだのかしら。」

 

ミーナが疑問を抱いていると、格納庫にリーネがやって来た。

 

 

リーネ「あ!ミーナ中佐。物資が届いんたんですか?」

 

 

ミーナ「ええ、貴方が受け取る物はあるかしら?」

 

 

ミーナはリーネにリストを渡した。

 

 

リーネ 「え〜と。あ!ウイスキーとハーブティー届いたんですね〜。ここで貰ってもいいですか?」

 

 

ミーナ「ええ、構わないけどウイスキーは貴方が頼んだの?・・・まさか、飲んだりはしないわよね?」

 

 

リーネ「まさか。ウイスキーはちょっと料理に使いたかったので〜。(これで、芳佳ちゃんに日頃のお返しでイタズラができるな〜)」

 

 

リーネはそう言うと箱の中からウイスキーとハーブティーを取り出してウキウキで格納庫から出ていった。

 

その日、晩御飯が終わった後

 

 

リーネ 「ねぇ、芳佳ちゃん。これ、ブリタニアから仕入れたハーブティーなんだけど、飲んでみてくれる?」

 

 

リーネはそう言うとハーブティーが入ったコップを宮藤に渡した。

 

 

宮藤「え!ありがとうリーネちゃん!・・・ん?でもこれなんだか、アルコールの匂いがするような?」

 

 

リーネ 「え?もしかしたら、そのコップ昨日、アルコール消毒したせいかもゴメンね。取り替えるね。」

 

リーネは申し訳なさそうに頭を下げ、宮藤の前に置いたコップを取ろうとした。

 

 

宮藤 「ううん。大丈夫だよ。気になるような匂いじゃないし。それにせっかくリーネちゃんが入れてくれたんだから、粗末に出来ないよ。」

 

宮藤は笑顔でそう言うとハーブティーの入ったコップを口に近づけて飲み始めた。

 

 

リーネ「(よしよし、計画通り)どう、芳佳ちゃん美味しい?」

 

 

宮藤「う〜、なんでか頭がフラフラするよ。これ本当にハーブティー?」

 

 

宮藤は少し顔を赤くしてリーネに聞いてみた。

 

 

リーネ 「うん。結構良いハーブを使って、濃ゆくしてみたんだけど、芳佳ちゃんには合わなかったのかな〜。」

 

宮藤「いや、折角リーネちゃんが出してくへたんだからしゃいごまで飲むよ!」

 

宮藤は何故か呂律が回っておらずコップに残ったハーブティーを飲もうとするとバルクホルンが取り上げて匂いを嗅いだ。

 

バルクホルン 「?おい、リーネ。これ、ハーブティーじゃなくてお酒じゃないか?」

 

バルクホルンがそう指摘すると、ミーナが更に口を挟んできた。

 

 

ミーナ 「まさか、リーネさん。貴方今日ウイスキーを受け取ったけど、それを飲ませたんじゃ!」

 

2人がお酒だと指摘するとリーネではなく宮藤が反論した。

 

宮藤「え〜?何言ってるんでしゅかバルクホルンしゃん。ミーナ中佐これは、リーネちゃんが入れてくれたハーブティーにゃんですから〜。」

 

宮藤は先程より顔を真っ赤にして呂律がまわらない状態で話していた。

 

バルクホルン 「おい宮藤、もう随分とへべれけじゃないか!水を持ってきてやるから待ってろ!」

 

バルクホルンはそう言うと机にコップを置いて厨房に行くと、宮藤はバルクホルンが置いたコップを取ってまた飲み出した。

 

 

宮藤「バルクホルンしゃん。ありがとうごじゃいます〜。」

 

 

バルクホルン「おい、宮藤それは違うぞ!水は今持ってくるぞ!」

 

バルクホルンが慌てて水入りのコップを持っていくと宮藤はバルクホルンに引っ付いてきた。

 

宮藤「お姉ちゃ〜ん。にゃんだか身体がポカポカしてくるの〜。」

 

 

宮藤はその場で服を脱ぎ始めた。

 

 

バルクホルン「!!!落ち着け宮藤!とにかく、部屋で休むぞ!すまないミーナ。宮藤を部屋に連れていくから後は頼んだ。」

 

ミーナ「ええ、気をつけてね。トゥルーデ。リーネさんにはきつく言っておくから。」

 

バルクホルンは宮藤を抱えて、食堂を出てから宮藤の自室に行った。

 

宮藤「ん〜、お姉ちゃん。こんな所に私を連れ込んでどうしゅるの〜?お姉ちゃんのケダモノ〜♪」

 

 

バルクホルン「なっ!誰がケダモノだ。私はそんな事は断じてしない!ほら、水を飲んでしっかりと寝るんだぞ妹よ。」

 

 

バルクホルンは顔を赤くしながらも宮藤に水を渡す。

 

 

宮藤「うん。ありがとうねお姉ちゃ〜ん。・・・・・・ンッ」

 

 

バルクホルン「?!?!?!?!?!?!・・・キュ〜。」

 

 

宮藤はバルクホルンからコップを受け取ると水を飲んだが、まさかそれをバルクホルンに口移しで飲ませたのだ。そのせいでバルクホルンは気絶してしまい。半裸の宮藤もそのまま倒れてしまった。

 

 

翌朝、中々起きてこない宮藤達とバルクホルンを起こしに行くためリーネとペリーヌが宮藤の部屋のドアを開けると衝撃の光景を目にした。

 

リーネ、ペリーヌ「「!!」」

 

宮藤「あれ?リーネちゃん。ペリーヌさんおはよ〜。」

 

 

宮藤が目を覚まして挨拶をするも、リーネは笑顔でペリーヌは怒った顔でこう答えた。

 

リーネ 「芳佳ちゃん。弁解の余地を与えてあげる。返答次第じゃタダじゃすまないよ?」

 

 

ペリーヌ 「この豆狸!なんてふしだらな事をしてるんでの!」

 

 

2人が怒ってる事に気付いた宮藤は慌てて返答した。

 

宮藤「え?え!なんで2人とも怒ってるの?私何もしてないよ!」

 

 

宮藤がそう言うと同じベットに寝てたバルクホルンに気付いたようだ。

 

宮藤「!!なんでバルクホルンさんが私の部屋で寝てるんですか!」

 

宮藤が戸惑っているとバルクホルンの目が覚めたようだ。

 

 

バルクホルン「ん?なんで私の部屋に宮藤がいるんだ?」

 

 

リーネ「バルクホルンさん。ここは、芳佳ちゃんの部屋ですよ。昨夜バルクホルンさんが酔っ払った芳佳ちゃんを寝かせる為と行って連れていったじゃないですか!」

 

 

バルクホルン「ああ、そういえばそうだったな。」

 

 

ペリーヌ「もう、挨拶はいいですの?早く食堂に行って昨夜宮藤さんが何をしたか。そして、この部屋で何をしてたかを教えてもらいますわよ!」

 

 

宮藤 「私何もしてないのになんで〜。」

 

宮藤は嘆きながらもみんなが待つ食堂に向かった。

 

食堂に着くと既に他の隊員も集まっており、ミーナ中佐が最初に口を開いた

 

ミーナ「宮藤さん。昨夜の事覚えてますか?」

 

 

宮藤「・・・いいえ、覚えてません。」

 

 

リーネ 「覚えてないの〜?芳佳ちゃん。昨日私があげたハーブティーで酔っ払ってバルクホルンさんにセクハラしようとしたんだよ〜。」

 

 

宮藤 「え!なんでハーブティーなんかで酔っ払うの!それに、私バルクホルンさんにセクハラ行為を働いたの?!」

 

 

宮藤が戸惑っているとペリーヌから叱責が飛んできた

 

 

ペリーヌ「全く。酔って覚えてないなんて言い訳は通用しませんでしてよ!先ずはしっかりとバルクホルン少佐に謝るべきですわ!」

 

 

宮藤 「そうだね。ペリーヌさん。・・・ゴメンなさい。バルクホルンさん。セクハラ行為を働いてしまって。」

 

 

宮藤はバルクホルンに向かって謝罪しながら頭を下げると、バルクホルンは目を逸らして答えた

 

バルクホルン「あ、ああ宮藤。もう二度とあんな事するなよ!私も驚いてしまったからな。」

 

 

宮藤「はい。ありがとうこざいます。バルクホルンさん。・・・それにしても、一体何処でお酒なんて呑んじったんだろう。お酒は危ないから飲まないって心から決めてたのに。」

 

 

ペリーヌ「そうですわよ!お酒は適量を飲まなければ痛い目に合うらしいですからね。扶桑人はお酒に弱い人が多いから尚更ですわ!」

 

 

ペリーヌがそう言うと宮藤と同じ扶桑軍人の坂本さんが反論してきた。

 

坂本さん 「何を言うペリーヌ。私はお酒に弱くなんてないぞ!ハッハッハッ!」

 

坂本さんがそう言うとペリーヌが手のひらを返したように答えた

 

 

ペリーヌ 「流石少佐ですわ!人の上に立つからこそお酒には負けないという気構え、尊敬出来ますわ!」

 

 

宮藤「いや、ペリーヌさん。幾らなんでも現金すぎるよ。」

 

 

宮藤が軽く呆れながら言うとペリーヌは更に坂本さんを褒めたたえた。

 

ペリーヌ「お酒に負ける豆狸には関係ありませんわ!私の少佐は素晴らしいのですから!」

 

 

宮藤 「うぅ。なんだか、釈然としないよ。」

 

 

ペリーヌ「宮藤さんはまだまだお子ちゃまですからね。高貴な私にしか少佐の素晴らしさは分からないんですわ!」

 

 

ペリーヌが少し宮藤を小馬鹿にしてくると宮藤は少しムッとした表情になって返した。

 

 

宮藤 「いや、ペリーヌさんと私ってあまり年変わらないじゃん!」

 

 

ペリーヌ「ノブレス・オブリージュの差ですわよ宮藤さん!」

 

 

ペリーヌがそう言うと宮藤はむくれた顔で返した。

 

 

宮藤「む〜!そんな難しい事私には分からないもん!どうせ私はお子ちゃまですよ〜だ!」

 

 

宮藤がむくれているとバルクホルンが宥めてくれた。

 

 

バルクホルン「そう怒るな宮藤。お酒の強い弱いで人の価値は決まらん。ペリーヌは見えを貼ってるだけだ。」

 

 

バルクホルンが宮藤を宥めていると宮藤はいきなりバルクホルンに抱きついてきた。

 

 

宮藤 「うぅ。やっぱり私を分かってくれるのはバルクホルンさんしか居ません!」

 

 

バルクホルン「お、おい宮藤!私は嬉しいがみんなの前で抱きつくな!リーネと服部がこっちを憎悪の目で見てるぞ!」

 

 

バルクホルンが慌てて宮藤を剥がそうとするが宮藤は離れなかった。

 

 

宮藤 「関係ありません!501で私の事を1番に理解してくれてるのはバルクホルンさんだけなんです!もう、バルクホルンさん無しじゃ生きていけません!」

 

 

宮藤が告白に近い言葉を発するとリーネは笑顔で服部は怒った顔で近づいてきた。

 

 

服部「宮藤少尉!ふしだらですよ!軍人たるもの身を引き締めて己の行いを省みるべきです!」

 

 

リーネ「へぇ〜芳佳ちゃんはバルクホルンさんを選ぶんだ〜。それなりの付き合いだったのに残念だな〜。所で左胸と右胸どっちを射抜かれたい?」

 

 

2人がそう言っていると坂本さんは宮藤の手にあった1つの瓶に目がいった。

 

 

坂本「?おい宮藤。お前が手に持ってるそれなんだ?まさか、厨房にあったリーネが頼んでたウイスキーなのか?」

 

 

宮藤「これは、リーネちゃんが私にくれたハーブティーです!決してお酒なんかじゃありましぇん!」

 

宮藤はお酒じゃないと否定するが、顔は赤くなってるし呂律が少し回っていない。

 

バルクホルン 「宮藤。少し失礼するぞ?」

 

バルクホルンは宮藤の手に持たれてる瓶を取り上げて匂いを嗅ぐ。

 

バルクホルン「クッ!この匂いはハーブティーなんかじゃない。お酒だぞ!これは、私が処分しておく!後は頼むぞリーネ!服部!」

 

バルクホルンはそう言うと酒瓶を手にして食堂から出て行った。

 

宮藤「バルクホルンしゃん!それ返してくだはい!それは、身体が暖かくなるんですから!」

 

 

リーネ「はいはい。芳佳ちゃん。おねんねして休みましょうね〜」

 

リーネは宮藤を眠らせる為にみぞおちに1発入れて気絶させる

 

リーネ「それじゃあ、私は芳佳ちゃんを別室に連れていきますね。」

 

服部「私は、バルクホルン大尉のところに行ってお酒の処分を手伝ってきます!」

 

 

そして、リーネは宮藤を担いで食堂を出ていき、服部は食堂を出たバルクホルンの後を追った。




取り敢えず、纏まったかな?これからも駄文になるかもしれませんが、こんな感じの作品でも良かったら付き合ってもらえると助かります!


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リーネちゃんの逆襲

この回は少しキツイかもしれませんが、我慢してもらえると助かります。


リーネは別室に気絶した宮藤を連れ込み、椅子に縛り付けた。

 

拘束して少しすると、宮藤は目を覚ます。

 

宮藤「・・・あれ?ここは」

 

リーネ「あ!芳佳ちゃん起きたんだね〜。」

 

宮藤「リーネちゃん!何ここ!それになんで私を拘束してるの!」

 

宮藤が手と足をを動かそうとするが、両手は後ろ手にされて手錠をされており動かすことが出来ず、両足は椅子の足に鎖を使い巻かれていた為立つ事が出来なかった。

 

リーネ「今から芳佳ちゃんにはお酒を飲んで悪酔いして皆に迷惑を掛けたから躾をするんだよ。二度と変な事をしないようにね。」

 

宮藤 「何言ってるの、リーネちゃん!あれはハーブティーだってリーネちゃんが言ってたじゃん!」

 

リーネ「私は少し芳佳ちゃんをからかおうと思って、ほんの少しお酒を混ぜたんだよ。確かに、嘘をついたのはあれだけど、まさか彼処まで信じるとは思わなくてね。」

 

宮藤「・・・じゃあ何?リーネちゃんは私に嘘をついたの?」

 

宮藤の目には少し涙が浮かんでるが、リーネは気付いていなかった。

 

リーネ「だから、騙した事は悪いと思ってるよ?それに、本当に飲んだ時は少し後ろめたさもあったんだよね〜。そこはごめんね芳佳ちゃん?」

 

リーネが片手を上げて謝る仕草をすると宮藤が泣き出してしまった。

 

宮藤「酷いよリーネちゃん‎‎...私、リーネちゃんの事信じてたのに。...こんな事するなんて」

 

リーネ「あわわわ!!よ、芳佳ちゃん?まさか、私も芳佳ちゃんが引っかかるなんて思ってなくてさ。...ほら!今度は芳佳ちゃんの好きな飲み物をいっぱい買ってあげるから!」

 

宮藤の涙を見たリーネは流石に驚いたのか慌てて謝った。

 

宮藤「もう知らない!そんな見え透いた嘘の謝罪なんて信用出来ない!リーネちゃんなんて大っ嫌い!」

 

宮藤がリーネから顔を逸らすとリーネの目から光が消えた

 

リーネ「えっ...芳佳ちゃん?・・・あぁやっぱり、芳佳ちゃんはバルクホルンさんの方が良いんだね。...あんな周りくどい事しなくても最初っから手を掛ければ良かったんだ」

 

リーネはそう言うと地面に置いていたライフルを手に取った。

 

宮藤「・・・リーネちゃん?なんでライフルなんか持ち出して私に銃口を向けてるの?」

 

宮藤の顔が恐怖に染っていくが、リーネは変わらず答えた。

 

リーネ「だって。芳佳ちゃんが私の事嫌いって言うから、ここにいる芳佳ちゃんは芳佳ちゃんの格好をした人型ネウロイだと思ってね。ネウロイなら駆除するのがウィッチの役目だからね」

 

リーネが笑みを見せると宮藤は反論をする

 

宮藤「やめてリーネちゃん!目を覚まして!私はネウロイなんかじゃない!だから...ングゥ」

 

リーネはライフルの銃口を宮藤の口に押し込んだ

 

リーネ「さようなら芳佳ちゃん。...いや、人型ネウロイさん」

 

リーネはそう言うと躊躇いなくライフルの引き金を引いた。

 

銃弾が宮藤の口を貫通すると、宮藤は悲鳴をあげる事も出来ず項垂れて口から大量の血を流す。

 

リーネが引き金を引いてから1分もせずに銃声を聞いたバルクホルンが部屋に駆け付けた。

 

バルクホルン「おい!今の銃声はなんだ!」

 

リーネ「あ、バルクホルンさん。ちょっと私を騙す人型ネウロイが居たので仕留めたんですよ?」

 

リーネは血塗れになったライフルを片手に狂気じみた目でバルクホルンを見る

 

バルクホルン「嘘を言うな!そこで、血を流しながら宮藤が項垂れてるじゃないか!宮藤!大丈夫か!しっかりしろ!」

 

バルクホルンが血塗れの宮藤に駆け寄り手錠と鎖を壊すが、反応はなかった。

 

リーネ「アッハハハハハハハハハ!芳佳ちゃんが壊れちゃった!なら、私も芳佳ちゃんの所に行こうっと!」

 

リーネはそう言うと腰に付けてたハンドガンを頭に近付けて自害しようとするが、バルクホルンにハンドガンを奪われて阻止された。

 

バルクホルン「そんなことはさせない!宮藤に手をかけてその罪から逃れるなんてこの私が許さない!必ずお前には罪を償ってもらう!」

 

リーネ「貴方が悪いんですよ?バルクホルンさん。私の芳佳ちゃんを奪った泥棒猫さん。・・・死ぬなら、貴方も一緒にです」

 

リーネがそう言うと、血塗れになった宮藤の右手がゆっくりと動きバルクホルンの腕を弱々しく掴んだ。

 

バルクホルン「宮藤!まだ、息があったのか!直ぐに医務室に連れていくからな!・・・悪いが、この馬鹿への制裁は後でだ!」

 

バルクホルンはリーネの腹に魔法力を込めた拳で殴って気絶させ、宮藤に使われていた鎖を使い柱に巻き付けた。

 

 

宮藤を抱えて部屋を出たバルクホルンは道中でハルトマンに出会った。

 

 

ハルトマン「トゥルーデ!?なんで、宮藤が血塗れになってるの!」

 

 

バルクホルン「詳しい事はわからんが、リーネの馬鹿に撃たれたんだ!ハルトマン!今日は医務室に医者がいない!出来る限りでいい。宮藤の治療を頼めるか?私はミーナと坂本少佐にこの事を伝えてくる!」

 

ハルトマン「わかった!止血と輸血をできる限りやってみるよ!」

 

ハルトマンは宮藤を受け取ると急いで医務室に走っていった。

 

医務室に着いて1時間もすると、できる範囲の止血を行い輸血を行っていた。

 

ハルトマン「なんとか、出来たけど、血液のストックが無さすぎるし、バイタルも不安だ。・・・兎に角、急いで病院に運ばないと!」

 

ハルトマンが狼狽えながら、考えていると報告に行ったバルクホルンが戻ってきた。

 

バルクホルン「どうなった、ハルトマン!」

 

ハルトマン「なんとか、止血は出来たよ!けど、輸血用の血液のストックが足りないし、バイタルも不安なんだよ!だから、今から宮藤を近くの病院に運ぶつもり!」

 

バルクホルン「わかった!格納庫にリベリアンが居たはずだ!彼奴なら20分もしないで行けるはずだ!」

 

ハルトマン「分かった!急いで宮藤をこのまま格納庫に運ぶよ!」

 

2人は宮藤をストレッチャーに載せ替えて格納庫に急いで押して行った。

 

格納庫に着くと何時ものようにストライカーの整備をしていたシャーリーが2人の慌てようを見て、2人に聞いた

 

シャーリー 「どうしたんだ、2人とも!一体、宮藤に何が!」

 

ハルトマン「説明は後!急いでストレッチャーが乗る車を何でもいいから用意して!宮藤を近くの病院に運びたいんだ!」

 

シャーリー「分かった!3分で用意するから待ってろ!」

 

そう言うとシャーリーは急いで格納庫を飛び出して2分もしないうちに昇降代が着いた車を格納庫のシャッターの前に付けた

 

シャーリー「持ってきたぞ!急いで乗せろ!」

 

バルクホルン「分かった!任せろ!」

 

バルクホルンが、昇降代を使わずに宮藤が乗ったストレッチャーを持ち上げて荷台に載せ、ストレッチャーの固定までを迅速に行った

 

ハルトマン「流石トゥルーデ。ありがとう!」

 

バルクホルン「私もついて行きたいが、ミーナと坂本少佐がリーネの尋問をするから、私が代わりに司令室に居ないといけなくなった。すまないが、二人で行って来てくれ!」

 

シャーリー「任せろ!必ず宮藤を無事に病院に送り届けてやる!」

 

シャーリーはそう言うとハルトマンが乗ったことを確認すると、車を病院に向けて発進させた。

 

バルクホルン「頼んだぞ、ハルトマン、リベリアン。」




え〜、すいません。本当にすいません。キャラ崩壊もいい所ですよね。本当にすいません。これでもいいという方がいらしたらお付き合い下さい!


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宮藤に起きた悲劇

取り敢えず、今話で宮藤の治療を行います。
それと、現実的な医療と距離についてのツッコミは無しでお願いします!


シャーリーの運転のお陰で本来、サントロン基地から病院まで40分かかる道のりを20分もかからないで到着する事が出来た。

 

シャーリー「着いたぞハルトマン!」

 

シャーリーは昇降代のロックを外して宮藤とハルトマンが居る荷台に向かった

 

ハルトマン「ありがとうシャーリー!それと、病院の中から看護師を呼んできて!普通の入口からじゃ入れないから!」

 

シャーリー「分かった!」

 

シャーリーは全速力で病院内に入っていき、入口の近くに居た看護師を捕まえて事情を話した。

 

シャーリー「すいません!仲間が重症なんです!助けてください!」

 

看護師はシャーリーの慌てた説明で事態を察したのか、受付の近くに偶々居た内科の科長と研修医と呼んできて3人で外に向かった。

 

外に着いた医者と研修医と看護師はハルトマンの押すストレッチャーを代わりに押していき病院の中にある手術室に入っていった。

 

2人は手術室前の椅子に座り手術が終わるのを待っていた。

 

シャーリ「ハルトマン。宮藤、大丈夫だよな?」

 

ハルトマン「大丈夫。宮藤はそんなヤワじゃないよ。」

 

 

シャーリー「そうだな。宮藤は強いやつだからな。信じて待とう。」

 

 

手術開始から数時間後、手術室から医師と宮藤が乗ったストレッチャーを押した看護師が出てきた。

 

ハルトマン、シャーリー「「宮藤!」」

 

2人が宮藤の元に駆け寄ると宮藤は寝ていた。

 

 

ハルトマン「先生!宮藤は・・・」

 

医師 「止血と輸血が予め行われていたので命の危機は脱しました。今は麻酔の影響で寝ています。」

 

シャーリー「そうですか。良かった。」

 

2人が安堵の表情をすると、医師は続けて発した。

 

 

医師 「それと、宮藤さんの上司、もしくは親族の方と連絡を取る事は可能ですか?もし、難しいならば貴方達にお話致します。」

 

ハルトマン「あぁ、宮藤の両親は今、扶桑の方にいるからすぐに連絡は難しいですね。部隊長のミーナに連絡を取ってみます。」

 

ハルトマンはそう言うと、電話が置かれてる場所に行きミーナに電話をした。

 

ミーナ「はい。こちら501統合戦闘航空団」

 

ハルトマン「あ、ミーナ!とりあえず、宮藤の命は助かったよ!」

 

ハルトマンが宮藤の事について、報告するとミーナは一安心したような声を出した

 

ミーナ「そうだったのね。良かった。」

 

ハルトマン「それで、医師が宮藤について話したい事があるって。だから、電話変わるね。」

 

 

ハルトマンが医師に電話を変わる

 

医師「初めまして。私は宮藤さんの治療をした者です。」

 

ミーナ「初めまして。私は宮藤が所属する隊の隊長のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケです。それで、宮藤さんの様態は?」

 

医師「はい。分かりました。先ず、命に関しては問題はありません。予め止血と輸血が行われていたのが大きかったです。ですが、声帯が潰されており、声が出にくくなるか、喋れなくなる可能性が高いです。」

 

医師がそう説明すると、ミーナはショックを受けたようだ

 

ミーナ「そんな!・・・宮藤さんが、喋れなくなるなんて!!」

 

ミーナはあまりのショックに気絶してしまう。が、近くに居た坂本さんが駆け寄った

 

坂本「おい!ミーナ!大丈夫か!・・・すいません。どうやら、ショックを受けて倒れたみたいなので、私が代わりに聞きます。」

 

医師「いえ、こんな事を言われたら誰だって驚きます。それでは、続きを話しますが、宮藤さんのご両親にはそちらから連絡をつける事はできますか?」

 

坂本「宮藤の両親には此方から伝えておきます。それと、診断書を2枚書いてください。それを病院に居るシャーロット大尉達に厳封して渡して貰いますか?」

 

医師「分かりました。・・・・・・はい、分かりました。直ぐに行きます。・・・すいません、どうやら、宮藤さんが目を覚ましたようなのでこれで失礼します。」

 

医師は電話を切ると宮藤のいる病室に向かい、その後をハルトマンとシャーリーは追った。

 

3人が病室に着くと医師は宮藤に声をかけた

 

医師「宮藤さん。容態はどうですか?」

 

医師がそう言うとベットに座っている宮藤は何か発する為に口を開くが・・・

 

宮藤「・・・・・・」

 

宮藤の口から声が発せられる事は無かった。

 

ハルトマン 「宮藤...、嘘だよね?...声が出ないなんて」

 

シャーリー 「み、宮藤。...もう、宮藤と楽しくお喋り出来ないの?」

 

2人が悲しみのあまり、立ち止まっていると医師が宮藤の元に近付く。

 

医師「宮藤さん。もし、声が少しでも出せているならば私の右手を。出せないのであれば左手を握ってください。」

 

医師がそう言うと暫くして宮藤は震えた手で左手を握った。

 

医師「そう...ですか。やっぱり、完全に声帯は潰れてしまっているんですね。」

 

医師の言葉を聞いて更に2人は落ち込んでいた。

 

ハルトマン「そんな…、悲しいよ宮藤…。もう宮藤と言葉を交わせないんだね…、うう…」

 

シャーリー「皆が聞いたら、ひっくり返るだろうな。特に静夏なんて、発狂するかもしれないし。どうするかを何とか考えるしかないな」

 

医師「宮藤さん。お辛いかもしれませんが、宮藤さんはもう喋る事が出来なくなりました。現代の医療技術では潰れてしまった声帯を治す術がありません。・・・それと、代わりとは言えませんが、筆談はどうでしょうか?」

 

 

医師は宮藤の手元にスケッチブックとペンを置くと、宮藤はそれを取って何かを書き出した。

 

宮藤『ハルトマンさん、シャーリーさん。私、きっと罰が当たったんだよ。未成年なのに、お酒なんて呑んじゃったから仏様から声を奪われたんだよ。』

 

宮藤は泣きながらスケッチブックを2人に見せた。

 

ハルトマン「宮藤…、あれはリーネの悪ふざけが原因!宮藤は被害者!そんなに卑下しちゃ、宮藤だってつらいだけだよ!」

 

ハルトマンが即座に反論すると、宮藤はまたノートに書き出して、2人に見せた

 

宮藤『いいえ、どんな理由があろうとお酒を飲んだのは私自信です。だから、あまりリーネちゃんを責めないでください。』

 

その時、宮藤の目から僅かに光が失われていたが誰も気付いてきなかった。

 

ハルトマン「宮藤、いつもの宮藤じゃないみたいで私は怖いよ。まるでどこか別な世界に、宮藤が行ってしまうみたいだよ…」

 

宮藤はまたノートに書き込むが、目を擦りながら書いていた。

 

宮藤 『いえ、わた..は大..夫、で..から、気...ないで..下..。』

 

宮藤がノートを見せると先程までと違い所々読めず、その異変にハルトマンがいち早く気付いた。

 

ハルトマン「…宮藤の様子がおかしい!急に容態が変わったかも!先生!大変です!」

 

少し離れた所で見てた医師は駆け付けて宮藤の目を確認した。

 

医師 「どういう事だ?さっきと比べて目から光が失われていってる。もしかして、なんからかの原因で視力までも失われていってるのか!仕方ない。眼科の先生にお願いして直ぐに手術だ!」

 

医師は宮藤を廊下にあったストレッチャーに載せ替えと、シャーリーとハルトマンが先生の元に走ってきた。

 

シャーリー「お願いします!宮藤を助けてください!何か力になれるなら、何でもしますから!」

 

ハルトマン「私も出来ることなら何でもします!お願いします!」

 

2人が頭を下げると医師が答える

 

医師「ならば、無事に成功する事を祈っててくれ。」

 

医師はストレッチャーを押して手術室まで走って行った。

 

ハルトマン「うう…、この世に神がいるなら…、なんて残酷な結末を宮藤に用意するんだろう…」

 

シャーリー「これは相当に大変な事になるね。中佐達にどう説明すればいいんだろうか…」

 

それから3時間ほどすると手術室から先程のように医師と看護師が宮藤の乗るストレッチャーを押してでてきた。

 

医師「お待たせしました。とりあえず、視力の完全喪失は免れましたが、かなりの視力低下が起きてます。原因は撃たれた時に出血した血が目に掛かっていたようです。」

 

医師が原因を説明すると、今まで我慢してたハルトマンがついに涙を流してしまった。

 

ハルトマン「やっぱり宮藤が別な世界に行ってしまうみたいで怖いよ…。神様は残酷過ぎる…」

 

医師 「取り敢えず、詳しい事は明日話します。それに今日はもう遅いです。この病院には患者の付き添いの方が泊まれる部屋も幾つかありますので、良かったらそこで寝ていかれてはどうですか?」

 

ハルトマン「お願いします。今日は少し帰る気になれませんので…」

 

 

シャーリー「中佐達には私達から連絡しますね。」

 

そういうと2人は看護師に案内されて宿泊部屋に向かった。




取り敢えず今回はここまでです。
医学的に有り得ないんなて言わないでくださいね。医療知識皆無なので仕方ないんですれ


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声を取り戻す手段が見つかりました!

少し、間隔が空きましたが、許してください!確定申告で地味に忙しいんです!

第1話で階級について間違えがあると報告を貰ってので直します!



翌日、ハルトマンとシャーリーは医師に呼ばれて宮藤について話を聞こうとしていた。

 

 

医師 「おはようございます。宮藤さんはまだ寝てますので、目が覚めたら連れてくるように看護師にお願いしてます。なので、先に始めましょうか。」

ハルトマン「はい。私達は宮藤の支えになる覚悟は十分に出来てます。」

 

シャーリー「私もできてるよ。どんな現実でも受け入れるよ。」

 

 

医師 「分かりました。先ず、視力の件ですが、これは今後これ以上低下する事はないと思います。ですが、視力は著しく落ちてる為恐らく宮藤さんは貴方達の顔を正確に認識出来ず、宮藤さんからしたら、恐らくは誰がいるかも分からない状況です。」

 

 

ハルトマン「うん…、それは受け入れて生きていくしかないね…」

 

 

医師「それと、声についてですが、昨日喉に関しての医学書を見ていたら一つだけ可能性がありました。」

 

シャーリー「な、何ですか?!その可能性があるなら縋りたいです!」

 

医師の発言に2人が慌ててると医師は1つの小さな機械をテーブルの上に置いた。

 

 

医師 「それは、人工発声機を使った方法です。これを使えば元通りとまでは言えませんが、日常生活に不便が無い程度の会話が可能です。」

医師がその内容を話すとハルトマンの表情が少し曇った。

 

 

ハルトマン「うーん、人工声帯かぁ…、少し考えてみますね。本人の意思もありますので…」

 

そう話してると看護師が車椅子に乗った宮藤を連れてきた。

 

 

看護師「先生。宮藤さんをお連れしました。」

 

 

部屋にやってきた宮藤の目からは前のような光が感じられなかった。

 

 

ハルトマン「宮藤…、おいたわしい…、ここまで来ると、無理やり生きててもらうのが幸せなのかも分からなくなるよ…」

シャーリー「こうなるとなぁ…、宮藤の意思をきちんと聞かずに私達だけで決める事はできないね…」

 

 

医師 「念の為に、確認しておきましょうか。宮藤さん。あなたの同僚であるハルトマンさんが座ってる側の手を上げてください。分からないなら首を横に振ってください。」

 

 

医師がそう言うと、宮藤は暫くして悲しそうな顔をして首を横に振った。

 

 

ハルトマン「宮藤…、悲しいよ…、私が見えないなんて…」

 

 

その時、5人がいる部屋にバルクホルンが勢いよくドアを開けてやって来た。

 

 

バルクホルン 「宮藤!大丈夫か!リーネの奴にはちゃんとした罰を与えてきたぞ!もうお前を苦しめるやつは居ないんだ!」

 

 

バルクホルンが部屋に入ってきてそう言うが、宮藤には聞こえているがバルクホルンの姿が見えてない為、声のした方を見てキョロキョロとしていた。

 

 

ハルトマン 「あっ、トゥルーデ…、実はね…、宮藤はもう目がほとんど見えないらしくて…、声も出せないらしくて…、もうどうしたらいいか…」

 

 

バルクホルン「そんな!バカな!」

 

バルクホルンはショックのあまり、膝から崩れ落ちた。

 

医師「ええと、すいませんが、貴方は?」

 

医師がバルクホルンに尋ねるとショックで落ち込んでるバルクホルンの代わりにハルトマンが答えた。

 

 

ハルトマン「ああ、この人は宮藤の直属上司のような人です。妹のように可愛がっていたので、ショックだったのでしょう」

 

医師「成程、・・・えっと、念の為確認ですが宮藤さんの実姉ではないんですね?」

 

医師がハルトマンに尋ねると、崩れ落ちていたバルクホルンが立ち上がり答えた

 

バルクホルン「私がっ!宮藤の姉君であるっ!だからっ!私が話を聞くぞっ!」

 

バルクホルンの勢いに圧倒されそうになるも、医師は続けた。

 

医師「はい。…ええと、血縁関係は?」

 

 

バルクホルン「そんなものが必要なのかっ!愛があれば姉妹になれるはずだっ!」

 

 

ハルトマン「はいはいトゥルーデ、お医者さんが困ってるから下がろうね。」

 

 

ハルトマンはバルクホルンを押して部屋の隅にやった

 

 

ハルトマン「診断書とかは、厳封したものを上司経由で送らせたいと思います。すぐに来れるような所に住んでいないので…」

 

 

医師 「そうですか。分かりました。・・・それじゃあ、念の為確、宮藤さん本人に聞きます。貴方は人工声帯を付けたいですか?首を振ってもらうだけで結構です。」

 

 

宮藤は暫く考えていると、首を縦に軽く振った。

 

 

医師 「・・・分かりました。ですが、あなたは未成年なので、親の同意も必要となります。ハルトマンさん。この同意書を診断書と同封させますので、宮藤さんのご両親の元へ送ってあげてください。同意書が来しだい、手術を行います。」

 

 

医師は診断書と手術の同意書を入れた封筒をハルトマンに渡した。

 

 

ハルトマン「分かりました。上司の承認を経て故郷に送付させていただきます。ありがとうございます」

 

医師「それと、宮藤さんの病室ですが個室を用意させてもらいますので、面会等は時間内でしたらご自由にどうぞ。・・・それでは、私達これにて失礼します。それと、病室の方は502号室となります。ここから、出てすぐ右手にありますので、お帰りになる際は宮藤さんを連れて行ってからお願いします。」

 

 

医師と看護師は部屋を出ていく。

 

 

ハルトマン「さて、シャーリー、これを少佐達に届けないとね。」

 

シャーリー「そうだな。バルクホルンは宮藤に付いててくれるか?」

 

シャーリーがバルクホルンに尋ねると、バルクホルンは壊れた人形のようにうわ言を繰り返してた。

 

 

バルクホルン 「宮藤が…宮藤が…」

 

 

ハルトマン「うーん…、これは放置して大丈夫なのかなぁ…?変な過ちを犯したらまずいから、連れて帰ろうかな」

 

 

その時、偶々諸用で立ち寄っていたアルテアちゃんが宮藤を見かけて部屋の中に入ってきた。

 

 

アルテア「芳佳ちゃん!久しぶり〜!どうしてヘルウェティアの病院に?しかも車椅子に乗ってるの?何処か、怪我したの?」

 

ハルトマン「あ!そういえば、ここ、ヘルウェティア病院だった!」

 

 

アルテアは矢継ぎ早に話すも宮藤は当然受け答えが出来ない為、代わりにハルトマンが答えた。

 

 

ハルトマン「ねぇ、アルテア。…今の宮藤はちょっと人とお話が難しいんだ…。後にしてくれるかな」

 

アルテア 「そんな!どうしちゃったの芳佳ちゃん!ほら私だよ。覚えてる?」

 

アルテアがさらに宮藤に近づくと、宮藤は徐に手を伸ばすが、上手く見えてない為、宮藤の手は空を切った

 

 

アルテア 「・・・もしかして芳佳ちゃん。私の事が見えてないの?」

 

 

アルテアがそう言うと宮藤はゆっくりと頷いた。

 

 

アルテア「そんな!芳佳ちゃん…」

 

 

アルテアはショックのあまりか、そのまま倒れ込んでしまった。

 

 

ハルトマン「やっぱり皆ショックが大きすぎるね…。宮藤の実家に連絡するのもつらいよ…」

 

シャーリー 「ハルトマン。取り敢えず2人とも基地に連れて帰ろう。アルテアもここに放置するには行かないからな」

 

 

ハルトマン「そうだね、放置したら色々大変だから。あと、宮藤を病室に連れて行って、診断書と同意書を無くさないようにして…、とりあえず帰還だね」

 

 

そして、シャーリーが魔法力を使い、バルクホルンとアルテアの2人を抱えて、ハルトマンは宮藤を病室に連れていき、ベッドに横にした。

 

 

シャーリー「じゃあな、宮藤。毎日、誰かしらをお見舞いに寄越すからな。」

 

 

宮藤はなみだをながして、2人に手を振りながら、頷いた。

 

 




え〜、宮藤がいる病院はヘルウェティアにしてます。距離なんて、気にしたらダメです。物語の関係上仕方ないんです!


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手術を行います!

え〜、今話で宮藤に人工声帯をつけますが、人工声帯についてあまり詳しくはないので、そんなのは有り得ないみたいな事もあるかもしれませんが、許して下さい。


宮藤の手術が決まった翌日、サーニャとエイラの2人がお昼頃にお見舞いに来てくれた。

 

 

サーニャ「...芳佳ちゃん、本当に私達のこと見えないの?」

 

宮藤はゆっくりと頷いた。

 

サーニャ「ごめんね芳佳ちゃん…。あと、リーネちゃんはあの後原型がなくなるまでバルクホルンさんに殴られたから…。生きてはいるけど、しばらく戦線には出られないね…」

 

エイラ「何だか、こんな形で宮藤に会うのは寂しんダナ。」

 

2人が宮藤の負傷を悲しんでると、看護師さんが宮藤の昼食を持ってやって来た。

 

看護師 「宮藤さん。お昼ですよ〜。・・・あの、もし良かったら宮藤さんにご飯を食べさせて貰ってもいいかしら?昨日の夜と今朝はお水だけ飲んで、全く食べなかったのよ。でも、友達の貴方達だったら、食べてくれると思うのよ。良いかしら?」

 

 

サーニャ「はい、やってみます…。芳佳ちゃん…、私が食べさせてあげるから…、ご飯食べよう…?」

 

宮藤は小さく頷くと口を開けてそこにサーニャがスプーンを使いゆっくりとご飯を入れていった。

 

 

エイラ 「(くっ!こういう事は口に出せないけど、サーニャから食べさせてもらうなんて羨ましいんダナ宮藤。)」

 

 

サーニャ「…芳佳ちゃん、美味しい?熱くない?」

 

宮藤は笑顔で涙を流しながら頷いた。

 

サーニャ「芳佳ちゃん…、よしよし…、私がついているから大丈夫だよ…」

 

サーニャはスプーンを置いて、泣いてる宮藤の頭を撫でた。

 

その後、宮藤は食べ終わっても、涙を流し続け泣き疲れたのか、サーニャにもたれ掛かる様に眠りについた。

 

 

サーニャ 「芳佳ちゃんがここまで泣くの初めて見た気がする…ねぇ、エイラ。なんでそんな殺気を込めたような目で見てるの?」

 

エイラ「ううう…、わ、私は何もしてないんダナ(本心を言ったらサーニャに嫌われるんダナ)」

 

サーニャ 「そうなの?…エイラはこの後どうする?確かエイラは今晩、夜間哨戒が入ってたはずだけど?」

 

エイラ「う、うん。何とかこなして来るんダナ。私ならなんとかできるんダナ」

 

サーニャ 「分かった。お願いねエイラ。…私は芳佳ちゃんに晩御飯を食べさせたら戻るから。ミーナ中佐には言っといてね。」

 

エイラ「任せたんダナ。サーニャの頼みなら完璧にこなすんダナ、それと私は車で帰るからサーニャは帰る前に基地に電話してからシャーリーか誰かを呼んで帰るんダナ。」

 

サーニャ「うん…ありがとう。エイラ。」

 

エイラは若干の血涙を流しながら宮藤の病室から出て行った。

 

それから、数時間後、晩御飯の時間。

 

サーニャ「ほら、芳佳ちゃん。晩御飯が来たから食べよ?」

 

サーニャは昼と同じようにスプーンで掬って宮藤にゆっくりと食べさせた。

 

そして、宮藤は晩御飯を食べるとそのままベッドに横になり眠りについた。

 

サーニャ「うん。寝たみたいだね。私も戻らないと行けないけど…眠い」

 

サーニャは椅子に座ったまま、宮藤が眠るベッドに頭を落とし眠りについた。

 

その頃夜間哨戒中のエイラは

 

夜間哨戒中

 

エイラ「サーニャと宮藤なら…、間違いを犯さないと信じたいんダナ…。あー…、気になって哨戒に集中できないをダナ…」

 

そして、眠ってしまったサーニャは深夜に目を覚ます。

 

サーニャ「あ!…眠っちゃったみたい。…あれ!芳佳ちゃんが居ない!」

 

サーニャは慌てて辺りを見渡すとベッドからすぐの床に座り込んでる宮藤が居た。

サーニャ「芳佳ちゃん、どうしたの?どうしてベッドから降りて…」

 

サーニャは宮藤の元に駆け寄ると宮藤の周りに軽く水溜まりが出来てたので直ぐに原因が分かった。

 

サーニャ「…もしかして、トイレに行きたかったの?」

 

宮藤は泣きながら頷いた。

 

サーニャ「ごめんね…気付けなくて。取り敢えず、看護師さんに行って身体を拭いてもらおうか。」

 

サーニャは宮藤を車椅子に乗せてナースステーションに向かう。

 

 

それから、1ヶ月間毎日、ミーナ中佐とリーネを除く501の隊員がお見舞いに来てくれて、ついに宮藤の声帯手術の日がやって来て、この日はハルトマンとサーニャの2人が来てくれた。

 

医師「宮藤さん。貴方の保護者からの同意が得れたのでこれより、声帯手術をおこないます。準備は良いですか?」

 

宮藤は首を縦に降った

 

ハルトマン 「宮藤、私達が付いてるからね!絶対成功するよ!」

 

サーニャ 「芳佳ちゃん…手術が終わったらまた一緒にお話しよ?」

 

ハルトマンとサーニャが励ましの言葉をかけると、宮藤は今度は泣きながら頷いた。

 

医師「それでは、これより手術室に行きます。お2人は待合室でお待ち下さい。」

 

医師と看護師達がストレッチャーに乗った宮藤を手術室に連れて行った。

 

そして、手術開始から3時間程すると、看護師が宮藤が寝てるストレッチャーを押して出てきた。

 

医師 「なんとか、取り付けは成功しました。今は麻酔で寝ています。それと、手術前にも説明しましたが機械との相性によっては、声量が今までより少し小さくなるかもしれません。」

 

サーニャ「それでも大丈夫です…、私もあまり声大きくないから…」

 

ハルトマン「話せるという事が大事だからねぇ」

 

医師「恐らく、麻酔が切れるのに後、1、2時間はかかるも思います。宮藤さんは今から病室に返しますが、2人も病室に戻りますか?」

 

ハルトマン「はい。宮藤が目を覚ます時に側にいてやりたいので。」

 

サーニャ「私も…芳佳ちゃんの側にいてやりたいです。」

 

医師「分かりました。それじゃあ病室に向かいましょうか。」

 

3人は先に病室に戻っていた宮藤の後を追うように病室に向かった。

 

それから、2時間程して宮藤の麻酔が切れて目を覚まして身体を起こした。

 

ハルトマン「宮藤どう?…喋れる?」

 

宮藤「・・・ハ…ハルトマンさん。…サーニャちゃん?」

 

宮藤の声は以前の様な感じではなく、声量も小さいが聞き取れるレベルで喋れていた。

 

サーニャ「…ちょっと小さいけど、声は出てるみたいだね…」

 

宮藤 「ハルトマンさん…サーニャちゃん…私2人の事、全然見えないし、声も小さいけどまた話せるんだね。」

 

宮藤は溢れるような涙を流し出すと、ハルトマンとサーニャの2人も涙を流した。

 

ハルトマン「会話ができるって、それだけで素晴らしい事なんだね…!当たり前だけど、その当たり前に今すごく感謝したいよ…!」

 

サーニャ「芳佳ちゃん…、頑張ったね…。偉い偉い…」

 

医師 「機械が上手く適合してくれましたね。宮藤さんは一応今日にでも退院できますが、経過観察の為もう3日は入院しておきましょう。それからは、機械のメンテナンスの為に1ヶ月間おきに通院してください。」

 

宮藤「分かりました。1ヶ月ですね。」

 

ハルトマン「私達も覚えておこうか」

 

サーニャ「そうだね…。忘れないようにメモしないと…」

医師 「それと、車椅子ですが、本来は病院の備品なんで、返してもらうんですが、最近誤発注で新品の車椅子が大量に届いたので、退院時にその1つを差し上げます。」

 

宮藤「良いんですか!…ありがとうございます!」

 

宮藤は涙を吹いて頭を下げた。

 

そして、3日後の退院の日。この日もハルトマンとサーニャが来ていた。

 

医師「宮藤さん。退院おめでとうございます。もう一度言っておきますが、貴方に付けた人工声帯は大声を出したり、言葉に上手く感情が付かず棒読みのようになります。そこだけは忘れないで下さいね。」

 

宮藤「はい。…気を付けて使います。」

 

ハルトマン 「それじゃあ宮藤。私達の家に帰ろうか。みんな首を長くして待ってるから。」

 

宮藤「ハルトマンさん、サーニャちゃん…ありがとうございます。2人は永遠の親友ですよ!」

 

宮藤はとびきりの笑顔を見せた

 




はい。取り敢えず此処までにします。次話は501基地に戻ってリーネの処遇が決まります!


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みんなとの再開です!

3人はハルトマンの運転で基地に戻り、食堂に行くと、ミーナ中佐、リーネ以外の全員が待っててくれた。

 

宮藤「皆さん!宮藤芳佳、ただいま帰還しました!今まで通りに行けるか分かりませんが、よろしくお願いします!」

 

宮藤はみんなに向けて頭を下げる。

バルクホルン「宮藤!帰ってきて嬉しいぞ!私は今猛烈に感動している!」

 

静夏「例えどうなろうと、宮藤少尉は宮藤少尉です!帰還をお待ちしていました!」

 

ルッキーニ「芳佳ー!待っていたよー!おかえりー!」

 

宮藤 「バルクホルンさん。静夏ちゃん、ルッキーニちゃん。みんなの事は殆ど見えてないけど、ありがとうございます!」

 

そこまで言うと、宮藤が少し間を開けてバルクホルン達に質問した。

宮藤「・・・あの、リーネちゃんは今、何処にいるんですか?」

 

バルクホルン「リーネか?彼奴はまだ隔離室の中だな。徹底的に制裁したから、少々五体が満足でなくてな」

 

静夏「リネット軍曹なら、当然の罰を受けて今も隔離室の中です。私は宮藤少尉同様に喉と目を潰すべきではないかと提案したのですが、ゲルトルート大尉から『手脚を完治不能なまでに砕いたから、これ以上はいいだろう』と言われたので、提案を下げたのですが」

 

ルッキーニ「だから今のリーネは、簡単には動けない身体なんだよね…」

 

宮藤 「そうなんですね。・・・あの、もし可能ならリーネちゃんに伝えて欲しい事があるですが良いですか?」

 

バルクホルン「何だ?宮藤の頼みなら可能な限り聞くぞ?」

 

宮藤 「ありがとうございます。えっと『私から沢山の物を奪ったリーネちゃんの事を一生許さない。例えリーネちゃんがいくら謝ってもリーネちゃんの身体がボロボロになろうが、私の身体が元通りになる事はないんだから』って伝えて下さい。本当なら会って伝えたいんですが、まだリーネちゃんと面と向かって話せる勇気がないので・・・」

 

バルクホルン「ああ、それくらいならお易い御用だ。あいつも宮藤からそう言われたら、少しは自分の行いを省みるだろうからな」

 

宮藤 「ありがとうございます。バルクホルンさん!」

 

また少しすると、宮藤が思い出したようにもう一度バルクホルンに聞いた。

 

宮藤「 ・・・あの、そういえば、私が喋れてない頃にアルテアちゃんが来てくれてた筈ですけど、今はもう医学校に戻られたんですか?」

 

バルクホルン「あぁ。彼女はもう戻っているな。相当ショックを受けていたようで、どうやら今でも引き込もっているらしい。宮藤なら、彼女を励ませないか?」

 

宮藤「はい!アルテアちゃんは私の大切な友達です!・・・明日にでもヘルウェティア医学校に行ってみます!」

 

バルクホルン「そうだな。友達は大切にしろよ?」

 

そして、執務室に居たミーナ中佐も食堂にやって来た。

 

ミーナ「宮藤さん、おかえりなさい!ゴメンなさいね、色々と執務が忙しくて、1度もお見舞いに行けなくて。」

 

宮藤「あ、ミーナ中佐!大丈夫ですよ。ミーナ中佐は501の隊長ですからね。」

 

ミーナ「ええ、なんとか、一段落着いたのよ。・・・それと、宮藤さん。今日からはサーニャさんと相部屋をしてもらっても大丈夫ですか?」

 

宮藤「はい。構いませんよ中佐。それと、色々うちの家族に手配していただいてありがとうございます。」

 

ミーナ「それくらい、上官として当たり前よ。・・・本当は最初は何か異変が起きてもいい様にハルトマン中尉と同じ部屋にしようとしたんだけど、流石に目が不自由な宮藤さんをあのゴミ部屋に置く訳にはいかないものね。それで、色々考えた結果トゥルーデとサーニャさんとの二択でこれからの部隊の事も考えてサーニャさんとの相部屋にしたんです。」

 

宮藤「なるほど、私の為に態々、ありがとうございます!」

 

宮藤はもう一度、感謝を込めてミーナ中佐に頭を下げる。

 

ミーナ「いいえ、宮藤さんは大切な部隊の人間ですもの。・・・えっと、エイラさん。どうして、そんな殺気の篭った様な目で私を見てるの?」

 

ミーナ中佐は先程からエイラに見られてる事に気付いて言葉を出すと、エイラからではなくサーニャかエイラに声を掛けた。

 

サーニャ「…エイラ最低ね…。今はまず芳佳ちゃんの安否が大事なのに。…」

 

エイラ 「分かってるんダナ!宮藤が大変な事は。・・・けど…」

 

エイラが言葉に詰まるとサーニャが言葉を返した。

 

サーニャ「嫉妬は醜いよエイラ。…エイラもリーネさんみたいに手脚を失いたいの?」

 

エイラ 「・・・少しだけ、1人にさせてほしいんダナ。」

 

エイラは俯いたまま、1人で食堂を出ていく。

 

サーニャ「ちょっと言いすぎたかな…。中佐…、上官にこんな事言うのはおかしいかもしれませんが、エイラが変な気を起こさないか見張っててください…」

 

ミーナ 「分かったわ。まあ、サーニャさんと宮藤さんを相部屋にするって発表したら十中八九エイラさんが噛んでくるって思ったけど、予想どおりだったわね。あ!宮藤さんが気にする必要は無いからね」

 

ミーナ中佐はエイラの後を追って足早に食堂を出て行った

 

宮藤「…まぁ、エイラさんならあんな反応になっちゃいますよね。」

 

サーニャ 「芳佳ちゃん。取り敢えず、お昼ご飯食べる?今日はバルクホルンさんが作ってくれたみたいだから。」

 

宮藤「食べる食べる!ちょっとお腹空いてたから!それに、バルクホルンさんなら安全だよ!」

 

食事と言われるとさっきまでの暗い顔から一転。明るくなり、子供のように喜んでいた。

 

バルクホルン「私も、宮藤に喜んで貰えるなら頑張ったかいがあったぞ!」

 

バルクホルンは嬉し涙を流しながら食堂から全員分の食事を持ってきた。

 

サーニャは宮藤の乗った車椅子を食卓に近付けて、皿に乗った料理をスプーンで掬った。

 

サーニャ「はい。…芳佳ちゃん。」

 

サーニャはゆっくりと宮藤の口にスプーンを運んだ。

 

宮藤「むぐむぐ…、美味しいよサーニャちゃん!バルクホルンさんも腕を上げたみたいですね!」

 

バルクホルン「当たり前だ!ここ1ヶ月かなりの数の食事当番をこなしたからな!」

 

サーニャ 「ありがとうね。芳佳ちゃん。…でも、慌てて食べちゃダメだよ。しっかり噛まないと消化に悪いから。」

 

サーニャはもう一度、料理をスプーンで掬って宮藤の口に運ぶ。

 

宮藤「そうだね、慌てちゃダメだよね。サーニャちゃんありがとう」

 

宮藤は口の中に料理を入れると今度はゆっくりと噛んで飲み込んだ。

 

そして、昼食を食べ終わった後

 

宮藤 「サーニャちゃん。…なんだか、眠くなって…きた」

 

宮藤はサーニャにもたれ掛かるように眠りにつく。

 

サーニャ「芳佳ちゃん。疲れちゃったのかな?…お休みなさい。ベッドに運んであげるね」

 

バルクホルン「全く。食事早々に寝るとはな。」

 

ハルトマン「あれ〜?トゥルーデ、私が食後にすぐ寝る時と反応が違うじゃ〜ん。やっぱり、可愛い妹には強く出れないのかな〜?」

 

ハルトマンが揶揄うような口調でバルクホルンに返すとバルクホルンは慌てたような口調になってる

 

バルクホルン「な!宮藤は退院直後で疲れてるだろうから仕方ないんだ!お前は疲れてもないのに、寝てるだろう!」

バルクホルンが途中からいつもの怒鳴り口調になりかけるとハルトマンが制止した。

 

ハルトマン「トゥルーデ、あまり大きな声出すと宮藤起きちゃうよ?」

 

バルクホルン「は!・・・確かにそうだな。」

 

ハルトマン 「にしし。やっぱり甘いね〜・・・ねぇ、サーニャン。体だけには気をつけてよね。無理せずに私達も交代で宮藤のお世話やるから。もし、サーニャンが疲労で倒れたら宮藤は自分のせいだって悲観するはずだから・・・」

 

サーニャ「ありがとうございます。ハルトマンさん。…私が夜間哨戒の時にはお願いするかもしれません。」

 

ハルトマン「オッケ〜。その時は責任持って預かるからね〜。・・・それと、後はエイラだけど、あの状態じゃ時間が解決するのを待つだけかな?」

 

サーニャ「そうだね…。エイラが変な気を起こさないように監視はつけてるけど…取り敢えず、芳佳ちゃんを部屋に運ぼうかな。」

 

ハルトマン「それじゃあ、私も手伝うよ〜!」

 

ハルトマンは椅子から降りると入口近くに居たサーニャと宮藤の元に行った。

 

サーニャ「ありがとうございます。ハルトマンさん。」

 

2人は宮藤の車椅子を押しながら食堂を出て行った。

 

ハルトマン 「流石にエイラも自傷行為はしないと思うけど、なんだか心配だな。」

 

サーニャ「1度、502が居るペテルブルクにやって、頭を冷やして貰おうかなって思うな。」

 

ハルトマン 「それとも、エイラの姉の所に連れて行く?どっちが良いかは分からないけどね。」

 

サーニャ「…お姉さんだと何か拗れそうな気がするな…」

 

そんな話をしてると、2人が歩いてる廊下の奥からエイラを引っ張るミーナ中佐が来ていた。

 

 

 




全員を平等には出せませんがすいません!何人かは空気になってる時があります!


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仲直りします

少し、エイラが壊れてますが元には戻ります。


エイラの首根っこを掴んで歩いてきてるミーナ中佐に宮藤を寝かせに行ってるハルトマンとサーニャの2人が気付いた。

 

サーニャ「ミーナ中佐…、エイラはどうしたんですか…?もしかして…、本当に自傷行為をしかけたから…、仕留めたんですか…?」

 

ミーナ 「そうなのよね。エイラさんを監視してたら、手持ちの小型ナイフで自分の目を刺そうとしたのよ。だから、急いでナイフを取り上げて私の監視下の元に置こうと思ったの。」

 

サーニャ「え!それは危険…!エイラに刃物とかの武器類を与えないようにしないと…」

 

ミーナ 「一応、連れて来る前に手荷物は全て確認したけど、もう刃物の類は確認されなかったから、大丈夫だとは思うわよ。ねぇ、エイラさん。一応聞いておくけど、なんでナイフで目を刺そうとしたのかしら?」

 

ミーナ中佐が、エイラから手を離しエイラに睨みながら事情を聞いた。

 

エイラ「…これ以上、受け入れ難い現実を見るのが辛くなったんダナ。目で見る物に精神が蝕まれる感覚…、それに押しつぶされるのが怖いんダナ…」

 

エイラが理由を説明すると、ハルトマンがエイラの元に行き、エイラの頬を思いっきり叩き、ハルトマンらしからぬ怒り口調で返した。

 

ハルトマン 「エイラ・・・宮藤は好きでこんな身体になったんじゃないんだよ!それなのにエイラは嫌な現実から目をそらす為だけに目を潰すの?そんなの私が絶対に許さない!」

 

エイラ「サーニャ…。やっぱり私はサーニャの隣にいる資格は無かったんダナ。サーニャを独り占めしたいだけのクズだから…、サヨナラ。」

 

エイラはそう言うとその場から駆け足で立ち去って行った。

 

サーニャ 「エイラ何処に行くの!…ごめんハルトマンさん。芳佳ちゃんをお願いします!」

 

ハルトマン「今のエイラは何をするか分からないよ!細心の注意を払ってね!」

 

サーニャは宮藤の乗った車椅子をハルトマンに預けるとエイラを追い掛けた。

 

サーニャは魔導針を使いエイラを追いかけて基地の屋上に居るエイラの元に辿り着いた。

 

サーニャ「エイラ…基地の屋上に来て何するつもり?…もしかして、自殺したりなんかしないよね?」

 

エイラ「私がサーニャにとって不要な存在なら、サーニャの前から居なくなるしかないんダナ」

 

サーニャ 「違う!私はエイラを不要だなんて思ってない。…ただ、今は芳佳ちゃんが大変だからエイラに構ってあげる事が出来なくて…」

サーニャが弁明するとエイラは膝から崩れて突然泣き出してしまった。

 

エイラ「…うん、私もそれは分かっていたんダナ!でも、私の頭と心がそれを拒むんダナ!サーニャが遠くへ行ってしまう、私を忘れてしまうと頭の中で響くんダナ!それでいつの間にか、私はナイフを持っていたんダナ!」

 

エイラがそう言うとサーニャの後ろからハルトマンがやって来た。

ハルトマン「サーニャンごめん、宮藤の事はミーナに託してついてきちゃった。エイラはもしかしたら、PTSDにも似た精神病になった可能性があるよ。一度病院で検査した方がいいね。」

サーニャはエイラの元に近寄り、抱きしめると、こう言った。

 

サーニャ 「エイラ、ハルトマンさんの言うように1度病院に行こ?明日芳佳ちゃんがヘルウェティア医学校に行くからついて行ったら?」

 

エイラ「うっ、うん。一応行ってみるんダナ。迷惑かけたから、ちゃんと向き合わないといけないカラナ」

 

ハルトマン 「うんうん。これでとりあえず問題は解決だね。それじゃ2人とも早く戻ろうよ。夜の屋上は冷えるから寒いよ。」

 

ハルトマンはさっきまでの真面目な口調から何時ものおちゃらけた口調に変わった。

 

エイラ「分かったんダナ」

 

サーニャ「うん…、分かった」

 

そして、エイラの自傷騒動の翌朝

サーニャ 「芳佳ちゃん。おはよう。それじゃあアルテアちゃんに会いに行こっか。」

 

宮藤「うん、サーニャちゃんありがとう。アルテアちゃんにも色々謝りたいなぁ」

 

そして、ハルトマンの運転の元、ヘルウェティア医学校に着いた、宮藤、サーニャ、エイラ、ハルトマン。

 

サーニャ「それじゃあ私は芳佳ちゃんをアルテアちゃんの所に連れて行くね。」

 

ハルトマン「了解、じゃあエイラ、診察に行こうか」

 

エイラ 「わかったんダナ。サーニャ、宮藤また後でな。」

 

そして、ハルトマン、エイラと別れてヘルウェティア医学校の学生寮の中にて

 

宮藤「エイラさん、大丈夫ですかね?ハルトマンさんがついてはいますけど…」

 

サーニャ「エイラなら大丈夫。…同じ過ちを繰り返すような子じゃないから」

 

宮藤「それなら大丈夫そうだね、あっ、アルテアちゃんの部屋はそろそろかな?」

 

サーニャ 「うん。アルテアちゃんの部屋はここみたい。」

 

サーニャは車椅子を止めて、アルテアちゃんの部屋のドアをノックする。

 

サーニャ「ゴメンなさい。私、芳佳ちゃんの友達のサーニャっていいます。芳佳ちゃんがあなたに会いたいとの事なので連れてきましたが、会ってくれますか?」

 

少し返事を待つが、アルテアからの返事は無かったので今度は宮藤が出せる限界の声量を出した。

 

宮藤「アルテアちゃん、宮藤です。お話がしたくて来ました。ドアを開けてもいいですか?」

 

宮藤がそう言うとドアがゆっくりと開き、中から窶れた顔をしたアルテアちゃんがでてきた。

 

アルテア 「芳佳ちゃんとだけなら、話をしても良い。だから、連れの人には別の所で待っててもらって」

 

サーニャ「私はあくまでも芳佳ちゃんを導くだけの役…。大事な話は2人だけでよろしく…。」

 

サーニャは宮藤を部屋の中に入れて、ドアを閉めるとその場を立ち去った。

 

宮藤が部屋に入ると少しの間沈黙が続いたが、アルテアちゃんから沈黙を破った。

 

アルテア 「・・・芳佳ちゃん。話せるようにはなったの?なんだか、前と違って声が小さく聞こえるけど?」

 

宮藤「うん。これ、人工声帯だからね。どうしても生声より小さくなっちゃうんだ。そして、アルテアちゃん、色々傷つけてごめんなさい。」

 

宮藤はアルテアに対して、頭を下げると、アルテアが抱き着いてきた。

アルテア 「私こそ、ゴメンね。芳佳ちゃんがもう私の事を見えないうえに、喋れないって聞いた時はとても辛かった。でも、またこうしてお話しできるだけでも私は嬉しい!」

 

宮藤「アルテアちゃん…、本当にごめんね!もうアルテアちゃんの顔もろくに見れないし、話しても聞こえるか不安で不安で!こんな私を許してくれてありがとう!」

 

宮藤も涙を流しながら抱き締め返した。

 

アルテア 「大丈夫だよ。芳佳ちゃんの声、きちんと聞こえてるから!」

 

宮藤「ありがとう、ありがとう!アルテアちゃん大好き!」

 

それから、お互いに泣き出してしまい、泣き止むのに数分かかってしまった。

 

アルテア 「・・・ねぇ、芳佳ちゃんはこれからどうするの?もし芳佳ちゃんが良いならまた、一緒に医学校に通わない?ここなら、芳佳ちゃんが入院してた附属病院が目と鼻の先だから万が一の時は直ぐに行けるよ?」

 

宮藤「私は今知っての通り視力がひどく低いから…、医者になろうにもかなり制約されそうなんだよね…。だから、悩んでるんだ…」

 

アルテア 「・・・じゃあさ。私が医学校を出て医者になったら、私専属の看護師になってくれる?」

 

宮藤「それは魅力的なお誘いだけど、注射作業とかは多分許可されないかもしれないよ?」

 

アルテア 「ううん。大丈夫だよ。芳佳ちゃんには私のサポートや私が苦手な患者さんに寄り添うって事をして欲しいの。」

 

宮藤「アルテアちゃん…、うん、ありがとうね!しっかり考えておくよ!」

 

アルテア 「うん。芳佳ちゃんの人生だから芳佳ちゃんが進みたい方に進んでいいんだからね。・・・でも、私は芳佳ちゃんと一緒に仕事が出来たら嬉しいな。」

 

宮藤「私は今でも扶桑が好きだし、501が第2の家族だからね。だから、皆の平和の橋渡し役として貢献していきたいな」

 

アルテア 「それが、今の芳佳ちゃんのやりたい事なんだね・・・ねぇ、芳佳ちゃん少し2人で外に散歩に行かない?私が車椅子押してあげるから。」

 

宮藤「アルテアちゃんとお散歩?いいよ!一緒にお散歩しよう!」

 

そう言うとアルテアはずっと来てたパジャマを脱いで私服に着替えた。

 

アルテア「それじゃあ行こっか!」

 

アルテアは宮藤の車椅子を押して外に出て行った。

 

 




アルテアちゃんのしゃべり方、殆ど覚えてません!


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復讐されました!

今話でリーネちゃんに制裁が降ります。


アルテアが宮藤の車椅子を押して2人で医学校の敷地の外に出ていた。

 

アルテア 「ねえ、芳佳ちゃん覚えてる?芳佳ちゃんが医学校を出ていく前、2人でサーカスを見に行こうって言ってたの」

 

宮藤「何かそんな事もあったねぇ、結局ネウロイのせいでお流れになったらしいけど」

 

アルテア 「実はね、そのサーカス団がまた、来てるんだよね。・・・あのね、もし芳佳ちゃんが良かったらなんだけど、2人でそこに行ってみない?」

 

宮藤「えっ、そうなの?!あっでも…、今視力弱ってるから、演技がキレイには見えないかも…」

 

アルテア 「大丈夫だよ。今は、目が悪い人の為に歌を取り入れてオペラ風の演目もやってるらしいの。だから、芳佳ちゃんも退屈せずにすむかもよ?」

 

宮藤「それなら行ってみようかなぁ、歌は少し聞いてみたいからね」

 

アルテア 「うん。じゃあ、早速・・・・・ちょっと待って芳佳ちゃん。森の中から何かがこっちに来てる。」

 

アルテアちゃんは急に怖い顔をして、森の中を凝視した。

 

宮藤「え?誰だろう?まさかエイラさんが脱走してきたのかな?」

 

2人が森の方を見てると、茂みの中から手足がボロボロになった、リーネちゃんが愛用のライフルを構えてやって来た。

 

リーネ 「芳佳ちゃ〜ん。声が出るようになったんだってね〜?なら、もう一度喉を潰して声が出ないようにしてあげようか?」

 

宮藤「むぐぐ…、その声はリーネちゃん。…どうやって脱走してきたのかなリーネちゃん…、そして何でここまで来たんだろう…」

 

リーネ 「私って不幸だと思わない?私の手足はこんなにボロボロになってまともに歩くのもきつくて困ってるのに、芳佳ちゃんは声を取り戻して、元気にしてる。…そんな不公平な事許せると思う?」

 

宮藤「リーネちゃん、私を騙した上に銃殺しかけておいて、よく被害者ヅラ出来るよね?私を殺しかけた事で、バルクホルンさん達の怒りを買って罰を受けただけなのに、それを不幸に当てはめるのは図々しいと思うよ?」

 

リーネ 「う〜ん。どうやら、分かってくれないみたいだね〜。なら先に、芳佳ちゃんの仮初のお友達を殺っちゃおうかな?」

 

リーネちゃんはアルテアに向けてライフルの銃口を向けた。

 

アルテア「貴方は芳佳ちゃんにまとわりつく害虫かしら?始末しないと大変ね。」

 

アルテアちゃんも念の為に持っていた護身用の拳銃を構えてリーネちゃんに向ける。

 

リーネ 「残念。ウィッチはシールドが使えるからそんな拳銃ごとき簡単に止めれますよ。それじゃあ、貴方も芳佳ちゃんと同じ事を体験してみますか〜?」

 

リーネちゃんは拳銃を構えてるアルテアちゃんに平気で近付き、アルテアの両手を片手で抑えてアルテアの口に銃口を入れる。

 

宮藤「リーネちゃん…!これ以上私から大事なものを奪わないで!」

 

宮藤はリーネの声がする方に向かって車椅子で勢いよくぶつかり、リーネを突き飛ばした。

 

リーネ 「グッ!・・・酷いな〜芳佳ちゃん。友達の事突き飛ばすなんて!」

 

リーネは即座に体制を戻し、アルテアではなく、宮藤の方にライフルを構えて、車椅子の片輪を撃ち抜いた。

 

タイヤを片方失った事で宮藤は車椅子と一緒に地面に倒れてしまった。

 

宮藤「…今のリーネちゃんは人間じゃない!ただのネウロイだよ!アルテアちゃん逃げて!」

 

アルテアちゃん 「でも…それじゃあ芳佳ちゃんが狙われちゃうよ!」

 

宮藤から逃げるように言われがアルテアは宮藤を置いて逃げる事が出来なかった。

 

宮藤「構わない!これは私が引いた引き金でもあるし、リーネちゃんの狙いは私、私の手で幕を引きたいの!」

 

宮藤がそう話すと、2人の後ろからエイラに付き添ってた筈のハルトマンがやって来た。

 

ハルトマン 「はいはーい、そこまでだよリーネ。トゥルーデから連絡があったからもしかしてと思って探してみたらやっぱりここに居たんだね。」

 

宮藤「ハルトマンさん!どうしてリーネちゃんはここを嗅ぎつけたんですか?」

 

ハルトマン 「どうやら、トゥルーデが昨日うっかり、口を滑らせたみたいでね。で、リーネが前々から掘ってたと思われる穴を使って脱出したみたいだね。悪いけどリーネ。私はもうあんたを戦友とは思わない。1人の犯罪者として捕まえて軍法会議に突き出してあげる」

 

リーネ「うふふふふふふふふふふ、芳佳ちゃんの写真数枚で堕ちるバルクホルンさんも、まだまだ未熟ですよねぇ、私は全てに復讐するつもりですよ~?」

 

ハルトマン 「え〜、トゥルーデ。それは流石にやばいでしょ。取り敢えずトゥルーデには後で罰を与えるとして、悪いけど、冗談抜きでリーネを捕獲するからね。アルテアちゃん、宮藤を抱えて、サーニャンの所に行ってて。」

 

リーネ「私を捕獲するんですか?私が義手義足だから楽勝だと考えていませんかね?」

 

リーネは懐から1つの石を取り出すと、それがいきなり激しく光り出した。

 

ハルトマン「クッ!何も見えない!」

 

1分ほどすると光が収まったが、そこには既にリーネはおらず、宮藤も居なかった。

 

ハルトマン「アルテア、大丈夫!?・・・宮藤はリーネに連れ去られたみたいだね。」

 

アルテア「どうやらそうみたいだね、でも、あっちも満身創痍だから、そう遠くは無さそうですよ。」

 

ハルトマン 「取り敢えず、サーニャんと合流して位置を探してもらうよ」

 

2人はその場を離れて、サーニャの元に急ぐ。

 

そして、宮藤とリーネは宮藤達がいた所からほんの少し行った所にある廃屋の中に居た。

 

リーネ 「ふふふふふふふ、どうかな芳佳ちゃん。助かったと思ったのに、また拘束される気分は?」

 

宮藤「リーネちゃん…、リーネちゃんはこんな事をしても良心が痛まないの?こんなの絶対おかしいよ、本物のリーネちゃんがこんな事をするはずない!」

 

リーネ 「ん〜?特に痛まないかな。だって芳佳ちゃんが私の言う事を聞いてくれないのが悪いんじゃん!」

 

リーネは宮藤に向けてライフルを向ける

 

宮藤「それが本当に私にものを頼む態度?銃でしか人に言う事聞かせられないのは、リーネちゃんが自分の正しさに自信を持ってない証拠じゃない?私がこうなったのもリーネちゃんのせいなのに、まずは謝るのが先だと思うな?」

 

リーネ 「・・・はぁ、もう良いよ。芳佳ちゃんを歩けなくしてあげるね。」

 

リーネは躊躇いなく引き金を引いて、宮藤の右脚を撃ち抜く。

 

宮藤「っっっっ!・・・もうリーネちゃんなんて知らない!この悪魔!私は目が見えないから、きっとこれは、リーネちゃんの姿をしたネウロイが私を騙してる可能性もあるよ!」

 

リーネ 「ネウロイ?何言ってるのかな芳佳ちゃん。私は芳佳ちゃんの親友のリーネだよ?」

 

リーネはライフルのボルトを引いて、次は満面の笑顔で引き金を引いて宮藤の左脚を撃ち抜いた。

 

宮藤「ッッッッ!・・・リーネちゃん…本当に悪魔に成り果てたみたいだね…もうリーネちゃんなんて大嫌い…何処へでも消えちゃえ!」

 

リーネ「うん。私は芳佳ちゃんへの復讐が終わったらここから、立ち去るよ。でもその前に芳佳ちゃんの腕も私みたいに潰してあげるよ。目も見えなくて、歩けなくて、腕も動かせないって一体どんな気分なんだろうね〜?」

 

リーネは今まで見せた事の無いおぞましい笑顔を見せていた。

 

宮藤「だったら…、リーネちゃんも対等な条件になれば!?」

 

宮藤は捨て身の覚悟でリーネに頭突きを入れようとする。・・・が、リーネは宮藤の頭突きをすんなりと交わして、勢い余った宮藤は床に倒れ込んだ。

 

リーネ 「残念でした〜。もう反抗は済んだ?じゃあ、今から腕を踏みつぶしま〜す!」

 

リーネはライフルではなく、片足を大きく上げて宮藤の腕目掛けて振り下ろそうとした。

 

だがその時、室内に銃声が鳴り響く。

 

アルテア「私の芳佳ちゃんを傷付けるなー!」

 

建物の入口近くに銃を構えたアルテアがおり、アルテアの発泡した弾はリーネの肩を掠めただけだが、リーネは急激な痛みにより体制を崩した。

 

リーネ 「ッ!…なんで、ここが…分かったのかな?痕跡は残してないはずなんだけど。」

 

リーネがそう言うとアルテアの後ろからハルトマンとサーニャが入って来た。

 

ハルトマン「間に合った!やっぱりサーニャンの探査力は世界一だね!」

 

アルテア「あと決め手になったのは、芳佳ちゃんが零したジュースだね!缶は近くで落としたみたいだけど、絞り込むにはそれで十分だったよ!」

 

サーニャ 「…リーネさん。貴方には上層部から生死を問わず、捕獲しろとの命令が降りました。なので、殺してでも捕まえます!」

 

宮藤「…もう言い逃れは出来ないよリーネちゃん!これ以上好きにはさせないから!」

 

宮藤がそう言うとリーネは少し考えてライフルを地面に投げた

 

リーネ 「流石に、死にたくないので降伏しますね〜。どうぞ好きにして下さい。」

 

ハルトマン「あっさり投降したのがなんか怖いね。でも、逮捕だねこれで。」

 

ハルトマンはリーネに近付きリーネの手を後ろに回し手錠を掛けて、

 

リーネ 「私ってこれからどうなるんですか〜?やっぱり死刑?」

 

ハルトマン「それは分からないさ。軍法会議はミーナより偉い人も来るし、ブリタニアのお偉いさんも来るからね。こっちは今すぐにでも銃殺したいけど、お偉いさんがどう考えるかは分かりかねるよ。ただ、全勲章の剥奪と不名誉除隊は確実に避けられないだろうね」

 

リーネ 「別にいいですよ不名誉除隊だろうが、勲章を取られようが、生きてさえいれば。必ず、皆に復讐するので・・・・・・あ、それと。芳佳ちゃんの両足、そのままほおっておいたら、大量出血で死んじゃいますよ?」

 

アルテア「芳佳ちゃんをほっといてると思いますか?」

 

アルテアは持ってきていた包帯等を使い、応急処置を済ませた。

 

サーニャ「ハルトマンさん…、とりあえず芳佳ちゃんを運ぶね…?」

 

ハルトマン「うん。お願いね。私はミーナが迎えに来る所に此奴を連れて行くから。」

 

そう言うとハルトマンをリーネを引っ張り小屋を出て行った。

リーネ 「あ〜、つまんないな。やっぱり芳佳ちゃんじゃなくて、医者志望の泥棒猫を捉えておけば良かったな。」

 

リーネの軽口に流石のハルトマンの堪忍袋が切れたのか、拳銃を取り出しリーネの喉に突きつけた。

 

ハルトマン「…リーネ?これ以上軽口叩くなら、喉潰そうか?」

 

リーネ 「やだな〜、ハルトマンさん。そんなに怒らないでくださいよ。冗談に決まってるじゃないですか〜。」

 

リーネは笑いながらハルトマンに脚を掛けた。

 

ハルトマン「…あんたの性根はやっぱりブリタニア人だね。そういう所が相容れないよ」

 

リーネ「なんの事か私にはわかりませ〜ん。ハルトマンさんが勝手に転んだだけじゃないですか。」

 

ハルトマン「こんな所で転ぶはずはないよ、あんたが足を払わない限りはね!」

 

リーネ 「も〜、煩いですね〜。早く私を軍法会議の場に突き出したらいいじゃないですか」

 

ハルトマン「言われなくても突き出すよ、ほら、ミーナ達の車が見えてきたよ。」

 

ミーナ「リーネさん、私が来た意味、分かりますね?貴方はこれから出廷します」

 

リーネ 「ええ、分かりますよ。私は生きてさえいればなんでもいいので。」

 

ミーナ「それは神に祈るしかないですね。私はあくまでも法廷ではいち証人でしかありません。美緒の上司はもとより、ブリタニアの高官も来てますよ。弁明の中身でも考えた方がいいでしょうね」

 

リーネ 「はいはーい。では、早速行きましょうか」

 

リーネは車に乗る直前に車のタイヤに蹴りを入れた。

 

ミーナ「リーネさん!そんな態度では、ブリタニアのお偉いさんも見限りますよ!」

 

 

ミーナ中佐は怒鳴ったが、リーネは相変わらずのふざけた口調で答えながら、車に乗り込んだ。

 

リーネ「ごめんなさ〜い。気をつけますね〜。」

 

ミーナ「あの様子では、減刑なんてとても無理そうね。死刑を求めている扶桑側が有利になるわ。ブリタニアは「殺人には至ってないから無期禁錮が限度だろう」と主張してますが、あの様子では法廷侮辱をしかねません。高官達が上官侮辱を追加して、刑を重くするでしょうね」

 

ミーナも車に乗りこみ2人が乗った車は軍法会議が行われる場所に向けて走り出した。

 

 




え〜、リーネちゃんがキャラ崩壊しきってますが、許してもらえると嬉しいです!


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リーネちゃんは裁かれます!

前書き・・・思いつかないな。


サーニャとアルテアちゃんは急いで宮藤を病院に連れて行き、遅れてハルトマンもやって来た。

 

医師 「酷い出血量だな。それに、アキレス腱を銃弾で斬られている。一応、直せない事は無いが、こんな風にアキレス腱が切れた事例が全くない。治せても歩行に障害が出るかもしれないな。」

 

ハルトマン「なんて残酷な事をするの…!これじゃあリーネは罰せられた意味が分かってないじゃん!」

 

数時間後、脚の手術は無事に終了した。

 

医師 「取り敢えず、接合自体は出来ましたが、ですが、やはり通常の切断と全く違いました。歩くのは難しいかもしれません。」

 

宮藤「リーネちゃん…、アンタはもう…、存在してはいけない生き物だよ…」

 

宮藤は虚ろな目で泣いていた。

 

そして、その頃軍法会議の場にてリーネの裁判が行われていた。

裁判長 「リネット・ビショップさん。貴方は何故、同僚で戦友である宮藤芳佳さんに2度も手を掛けたのですか?」

裁判長が問掛けると、リーネはおちゃらけな声で返した。

 

リーネ「手をかけたなんて人聞きが悪いですね~、ちょっと芳佳ちゃんをからかったら拒絶されたので、少しおしおきしただけですよ~」

 

裁判長 「じゃあ何かね。君は拒絶されたおしおきをして、同僚の目と喉、足を潰したのかね?」

リーネ「私も色々あって両手両足を失いましたからね~、その辛さを知ってほしくてやったんですよ~」

 

リーネの態度にイラついたのか扶桑軍上官が反論した。

 

扶桑上官 「話にならんな。そんな事で優秀な回復魔法を持つ宮藤少尉を手にかけるとは。しかも、なんだその態度は反省の態度が全く見られないぞ!裁判長、我々はリネット・ビショップに死刑を求刑します!」

 

扶桑軍上官が具申すると、ブリタニアの上官も返した。

 

ブリタニア高官「うむ、我々も当初は、殺人にまでは至ってないので、無期禁錮でよいと考えていたが、彼女の態度は我々に対する挑発の意図も含まれる。綱紀粛正の意を込めて、極刑を望む事もやむ無しだな」

 

裁判長 「うむ。両国の言い分は分かった。では、最後にリネット・ビショップの部隊の隊長であるミーナ中佐に聞いてみるとしよう。」

 

裁判長はリーネの後ろに居たミーナ中佐に意見を求めた。

 

ミーナ「私は彼女の上司ですが、あくまでもカールスラント軍人であるため、ブリタニアと扶桑のどちらに与する事もありません。ですが、リーネさんの一連の態度は、法廷及び両国の将官級に対する侮辱的態度であると言わざるを得ません。なので、両国が求める最高刑の折衷案を支持するものとします」

 

裁判長 「分かりました。判決は明日行います。その前に明日、被害者でもあられる宮藤さん本人をこの場に呼び出して、彼女の事をどう思ってるか聞きたいと思います。」

 

ミーナ「分かりました。ただし彼女は今両脚と眼を患っているため、1人で出廷が出来ません。同行人の立ち会いを認めてください」

 

裁判長 「ええ、許可します。では、本日はこれにて閉廷します。」

 

ミーナは閉廷すると少しして部屋を出て、1人呟いていた。

 

ミーナ「やっぱり極刑は免れなさそうね。私だって、美緒が手にかけられたら、犯人の極刑を望むわ」

 

翌日、軍法会議の場に車椅子に乗った宮藤はサーニャと同伴してやって来た。

 

裁判長 「宮藤芳佳さんに聞きます。貴方はリネット・ビショップさんの事をどう思ってますか?正直に答えて下さい。」

 

宮藤「そうですね、今のリーネちゃんには失望しています。私を騙した上に、逆恨みで私を痛めつける。その上反省なしですからね」

 

裁判長「成程。・・・では、因みに聞きますが貴方はリネット・ビショップさんにどんな刑を望みますか?被害者である貴方が無罪を望めばそうなりますが。」

 

宮藤「そうですね、なるべくなら死罪であってほしいです。もし、判決が死罪でないなら、せめてリーネちゃんの目と喉は潰してもらいたいです」

 

裁判長「分かりました。・・・では、貴方の意見を最大限反映しましょう。・・・判決を言い渡します。リネット・ビショップさんは先ず、目と喉を潰した後に死刑とします!」

 

裁判長が判決を言い渡すとミーナは少し驚いていた。

ミーナ「随分変則的な判決ね、前例がないんじゃないかしら?」

 

裁判長 「ええ、私でも変則的だと思います。私情が入ってるようにも思えるでしょうが、反省を見られない彼女を見ると、ただの死刑でも何も感じないでしょう。ならば、宮藤さんと同じ思いをさせる必要が思いました。」

 

ミーナ「なるほどね、まあ目と喉を潰した後にどうなるかは分からないわね。さて、リーネさん、思い残しはありますか?」

 

リーネ「思い残しですか〜?それなら沢山有りますね〜。だってまだ芳佳ちゃんの身体をボロボロにするっていう目標が達成出来てませんからね〜」

 

リーネはミーナ中佐の質問に高笑いして返すと、ブリタニア側が怒って返した。

 

ブリタニア高官「我が国の恥だ!今すぐ目と喉を潰せ!我々が許す!」

 

ミーナ 「・・・分かりました。今から彼女を処刑場に連れていき目と喉を潰してきます。」

 

リーネはやって来た軍人に腕を捕まれ処刑場に連れて行かれて、ミーナ中佐はその後を追った。

 

ブリタニア高官「扶桑の皆さん、うちの代表ウィッチがとんでもない事をしたようで、申し訳ありませんでした。」

 

ブリタニアの高官達は扶桑の高官に対して頭を下げると、扶桑側は申し訳なさそうに答えた。

 

扶桑高官「いや、謝罪してくれたならそれで構わない。私達も逆の立場なら、同じように極刑を言い渡すしな」

 

高官達がそんな話をしていると、宮藤はサーニャに1つお願いをした。

 

宮藤「・・・ねぇ、サーニャちゃん。私を処刑場に連れていってくれる?見えなくてもリーネちゃんが私と同じ目に会う所をきちんと聴いておきたいから。」

 

サーニャ「…ガラス越しの立ち会い室までだね…。一応声は聞こえるはずだけど…」

 

宮藤「ありがとうね、サーニャちゃん。そこまで連れていってくれる?」

 

サーニャ「うん…、任せて。」

 

2人は部屋を出ていき、立ち会い室に向かった。

 

サーニャ「確かこの部屋だよ…。ガラス越しで…、ここから見える…」

 

宮藤「ねぇ、サーニャちゃん…今どんな状態?」

 

サーニャ「…今リーネちゃんが入って来た…、もう少ししたら執行されると思うよ…」

 

宮藤「じゃあ、執行が終わったら教えてくれる?」

 

サーニャ「うん…あっ…、そろそろ始まるみたいだよ…」

 

サーニャの言う通り、処刑場に入れられたリーネは壁に縛り付けられ、その目の前にライフルを持った、執行者がやって来た。

執行者 「リネット・ビショップ。これより貴様の目と喉を潰します。医者は配置してますのでこれで、死ぬ事はありません。」

 

リーネ「…はい、ついにこの時が来たんですね」

 

リーネはライフルを突き付けられると先程までのテンションが嘘かのように、大人しくなってる。

 

ミーナ 「リーネさん。今更後悔しても遅いですよ。貴方の犯した罪、しっかり償いなさい!」

 

執行人「では、執り行います」

 

執行人はリーネの右目を撃ち抜くと間髪入れず、左目、喉を撃ち抜いた。

 

リーネ「グッ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

リーネからは今まで聞いた事ないレベルの悲鳴を聞いたが、喉が潰れた為一瞬で静かになった。

 

執行人「執行完了。これより、貴様を医療施設で止血を行った後、独房に入ってもらう。」

 

処刑場に待機してた医師が入り、リーネをストレッチャーに乗せて直ぐに出ていった。

 

サーニャ 「…芳佳ちゃん。無事に執行が終わって、リーネちゃんの目と喉が潰れたよ」

 

宮藤「声と薄らな像でしか分からなかったけど、作業自体は残酷なものなんだね。ますますリーネちゃんがこんな事をした理由が分からなくなったよ」

 

サーニャ 「そうだね…でも、私は大切な仲間の芳佳ちゃんがこれ以上傷つけられなくなったと思うと安堵しちゃったんだ。…これって酷いことかな?」

 

宮藤「それは私にも分からないかな。リーネちゃんはやった罪への報いを受けただけだから」

 

サーニャ「取り敢えず、ミーナ中佐の所に行こうか。これからリーネちゃんは予定通りなら牢屋に入れられる筈だから」

 

宮藤「そうだね。大事な所は見届けましたから。」

 

2人が立ち会い室を出ると、ミーナ中佐が待っていた。

 

ミーナ「2人とも、今日はありがとうね。リーネさんは今日付けで不名誉除隊となり、死刑の日まではカールスラント軍の独房に入れられます。もう、宮藤さんに近付く事も出来ないでしょう。」

 

宮藤「ありがとうございます。これで全て終わったんですね」

 

ミーナ 「ええ。・・・それと宮藤さん。ずっと聞こうと思ってたんだけど、宮藤さんはこれからどうしたいですか?上層部は戦闘要員ではなく、衛生兵としてなら、501に在籍していいと言っていますが、どうしますか?」

 

ミーナ中佐が宮藤のこれからについて尋ねると宮藤は少し考えてから答えた。

 

宮藤「・・・そうですね、まずは医学を学んで、何かしらの別な貢献が出来ないかを考えてみます。」

 

ミーナ 「とういう事は、また医学校に戻るの?それとも、501に残って衛生兵をしながら、医学の勉強をしていくの?」

 

宮藤「幾ら、回復の固有魔法があっても、今の私は弱視なので、現場は厳しいと思います。なので、一旦ヘルウェティア医学校で座学を学ぶつもりですね」

宮藤の答えを聞いたミーナ中佐は少し悲しそうな顔をした。

 

ミーナ 「そう。…なら、私からヘルウェティア医学校と上層部に連絡を入れておくわね。」

 

宮藤「ありがとうございます。皆さんの恩義は決して忘れません。それと、今でも皆さんの事は家族だと思ってますから」

 

サーニャ 「芳佳ちゃん…寂しくなるけど、ちゃんと会いに来るからね。私たちの事忘れないでね!」

 

サーニャは涙を軽く流しながら宮藤に抱き着いた。

 

宮藤「サーニャちゃん…、ありがとう!」

 

宮藤も涙を流しながら、サーニャを抱き返した。

 

サーニャ「…ミーナ中佐、最後に501で芳佳ちゃんのお別れ会をしませんか?」

 

ミーナ「そうね、一区切りつけないと、皆の気持ちの整理もつかないものね」

 

宮藤 「サーニャちゃん、ミーナ中佐。ありがとうございます。・・・多分、静夏ちゃんはすごい泣くだろうね。」

 

ミーナ「まあ、服部さんは宮藤さんをだいぶ信頼してますからね。後は、トゥルーデもかしらね。今生の別れではなくても、悲しむでしょうね。」

 

そして、3人は裁判所を出ていき、501基地に帰還した。

 




裁判所の詳しいルールーなんて知りません!判決がその日に出るのかも知りません!ですが、これで勘弁してください!


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お別れ会をします!

宮藤が501を旅立ちます!


宮藤、サーニャ、ミーナ中佐の3人は裁判所から基地に戻ると、会議室にみんなを集め、宮藤が脱退する旨を伝えた。

 

ミーナ「という事で、宮藤さんは今日付けで、501統合戦闘航空団を脱退する事になりました。みんな、色々と言いたい事があると思いますが、先ずは宮藤さんに自分の口からも脱退する旨を伝えてもらいます。」

 

ミーナ中佐は端で待機してた宮藤を壇上の方に連れてきた。

 

宮藤 「皆さん。今迄お世話になりました!これから私はウィッチとしてじゃなくて、医者としての道を進んで、多くの人を救いたいと思います!急ですが、今までお世話になりました!」

 

宮藤はそう言うと、頭を深々と下げた。

 

ルッキーニ「うう…、宮藤…、達者で暮らすんだよ〜!」

バルクホルン「妹の船出は笑顔でなければならないのだが…、涙が込み上げてくるぞ!」

 

ペリーヌ「豆狸がいなくなったら…、ちょっと寂しくなりますわね!」

 

宮藤 「皆さん、ありがとうございます!・・・それと、さっき帰ってきてから、サーニャちゃんに見てもらいながらですけど、久しぶりに料理を少し作ってみました。この後みんなで食べませんか?」

 

ルッキーニ「久しぶりの芳佳の料理だー!待ってましたー!」

 

ペリーヌ「本当に久しぶりですわね!」

 

ミーナ「フフッ。それじゃあ時間も丁度いいから食堂に行きましょうか。」

 

ミーナ中佐がそう言うと全員、食堂に移動した。

 

食堂に着くと、サーニャが厨房から大皿に乗った料理を持ってきた。

宮藤「前みたいに、美味く作れたか分かりませんけど、どうでしょうか?」

 

バルクホルンが1口食べると、即感想を返した。

 

バルクホルン「大丈夫だ!安心する宮藤の味は出てるからな!」

 

宮藤「ありがとうございます。バルクホルンさん。・・・あの、そういえば私が入院してる間って誰がご飯を作られてたんですか?」

 

バルクホルン「………一応持ち回り制だったんだが…、シャーリーやペリーヌ、私の時はまだ良かった。ルッキーニやハルトマンはろくに調理をしないし、エイラはシュールを持ってくる。ミーナの日は1番の地獄だったぞアハハハハハ。」

 

バルクホルンは何かを思い出したかのように虚ろな目をしていた。

 

ミーナ 「みんな、なんでか私が当番の時は缶詰めを消費しようとしてたのよね。なんでかしらね〜。折角美味しく作ろうって張り切ってたのに。」

 

バルクホルン「そりゃあ、隊長業務も忙しいミーナを厨房に立たせたくないという配慮を皆が働かせてくれたんだろ」

 

バルクホルンは若干棒読みでミーナの疑問に返すと、宮藤がバルクホルンの耳元で発言した。

 

宮藤 「・・・バルクホルンさん。これから、頑張ってくださいね」

 

バルクホルン「あ、ああ、とりあえず静夏を鍛えられないか試してみる」

 

宮藤「医学校から、みんなの体調の無事を祈ってますね。」

 

服部「ありがとうございます宮藤少尉!。なんとか宮藤少尉のの意思は継いでいきます!」

 

宮藤「ありがとうね。静夏ちゃん。」

 

そして、宮藤のお別れ会も終了して、宮藤とサーニャの部屋にて。

 

宮藤「サーニャちゃん。荷物の片付け迄手伝ってくれてありがとうね。・・・自分で決めた事だけど、なんだか、悲しいな。」

 

サーニャ「芳佳ちゃんが選んだ道だから…、病む事は無いよ…。また辛くなったら…、なんでもいいから私達を頼っていいんだよ…?」

 

宮藤「うん。ありがとうね、サーニャちゃん。大好きだよ!」

 

宮藤は泣きながらサーニャに抱き着いた。

 

サーニャ「芳佳ちゃん…、こちらこそありがとう…」

 

サーニャも宮藤を抱き返して、涙を流した。

 

そして、翌日。格納庫前にて。

 

宮藤 「皆さん、態々お見送りに来てくれてありがとうございます。」

 

宮藤はまた深々と頭を下げた。

 

ルッキーニ「芳佳~!達者でね~!」

 

ペリーヌ「た、たまには宮藤さんの学校に遊びに行ってもいいんですわよ?」

 

宮藤 「はい!皆さん、本当に今までありがとうございました!」

 

宮藤はサーニャに持ち上げられゆっくりと迎えの車の助っ席に乗せられた。

 

宮藤 「何からなにまでありがとうね、サーニャちゃん。」

 

サーニャ「大丈夫だよ。…芳佳ちゃん。元気でね。」

 

バルクホルン「皆、宮藤の門出に、敬礼!」

 

全員が敬礼してると、服部、ルッキーニ、サーニャの3人が涙を流していた。

 

宮藤「皆さん。本当に。ありがとうございました。」

 

宮藤も車の中で大量の涙を流していた。

 

運転手「では、宮藤さん、そろそろ出発です」

 

運転手がそう言うと、宮藤は涙を拭いて答えた。

 

宮藤「はい、お願いします!」

 

車が出発して、段々と見えなくなった。

 

ルッキーニ「…行っちゃったね…、今生の別れではないけど、何だか寂しくなるよぉ…」

 

サーニャ「…けど、芳佳ちゃんは自分で決めた道を頑張って進もうとしてる。…応援してあげよう。」

 

バルクホルン「ああ!大切な家族で仲間の門出は、晴れやかに送り出さないとな!」

 

バルクホルンが涙を堪えてるとハルトマンがハンカチを差し出した。

 

ハルトマン「トゥルーデ。泣きたいなら泣いていいんだよ。」

 

バルクホルン「…そうか。…分かった」

 

バルクホルンはハンカチを受け取ると大粒の涙を大量に流していた。

 

そして、宮藤はヘルウェティア医学校に着くと、お迎えのアルテアが待っていた。

 

宮藤 「アルテアちゃん。態々お迎え、ありがとうね。この間はああ言ったけど、やっぱり私、医者への道は諦めきれないかな。」

 

アルテア「まあ、まだ根本的な視力回復の道が開けてないからねぇ。・・・そうだ!精神科医とか目指してみない?基本的に外科技術は要らないし、患者と向き合う事が最大の治療だから、目が見えなくてもそんなに苦労はしないと思うよ?」

 

宮藤 「精神科医か・・・確かに、今の私がなれるのはそれしかないね。・・・うん!私、頑張って精神科医の資格を取って、沢山の人の心の支えになりたい!」

 

アルテア「芳佳ちゃんならきっとできる!まあ、最初は基礎的な生物学や化学の勉強からだよ!これをクリアしないと専門科に進級できないからね!・・・あとこれ、一応勉強用にと思って度は弱いけどメガネを用意したんだけど…、使う?」

 

アルテアは手に持ってた袋から1つのメガネを出して宮藤に渡した。

 

宮藤「ありがとうアルテアちゃん」

 

宮藤は眼鏡を受け取ると早速掛けてみた

 

宮藤「・・・!アルテアちゃんの顔、まだぼやけてるけど、前と輪郭が違って見えるよ!」

 

宮藤はメガネをかけると涙を流し出した。

 

アルテア「あくまでも日常用だから、多分医者として使うならもうちょっとしっかりした本格的なのを作らないといけないかな。でも、少しは明るくなれて良かったよ!」

 

宮藤 「うん!お金は軍の時のがそれなりにあるから、時間がある時に作りに行くね。それと、生物学や化学は前から勉強してたから、直ぐにでも精神科の方に進学できるかも。だから、今から書類を出しに事務室に行きたいから付いてきてくれる?」

 

アルテア「それじゃあ専門科編入の試験を申請しないとね。それに合格出来れば編入できるよ?内容は確か、生物学基礎と化学基礎、それと数学と英語、あとは小論文だね。編入も事務室で受け付けてるよ」

 

宮藤 「うん!頑張って、試験に合格してくるよ!・・・ねぇ、アルテアちゃん。事務室まで、連れて行ってくれない?」

 

アルテア「うん、いいよ。えっとね、こっちだね」

 

アルテアは車椅子を押して事務室に向かった。

 

そして、事務室に着くと事務員さんがいる受付に向かった。

 

事務員 「宮藤さん、アルテアさん。こんにちは。要件はなんですか?」

 

宮藤「精神科の編入試験を申請したいのですが。書類を頂けますか?」

 

事務員 「わかりました。編入試験は毎月行われています。1番最速で試験日は来週になりますが、そこにします?」

 

宮藤「は、はい。大丈夫です!ありがとうございます!」

 

事務員 「分かりました。それでは、書類は試験日の2日前までに提出をお願いします。…ああ、それと宮藤さんは軍医としての実務経験がありますので試験科目の生物学基礎、数学、英語のどれか1つが免除に出来ますが、どれにしますか?」

 

宮藤「分かりました。それじゃあ、…免除は数学にします。」

 

事務員 「分かりました。では、試験内容は生物学基礎、化学基礎、英語、小論文の4つになります。頑張って下さいね。」

 

宮藤「はい、ありがとうございます。頑張りますね!」

 

アルテア「それじゃあ、芳佳ちゃん。私の部屋で書類を書きに行こうか。」

 

2人は書類を持っていき、事務室を後にした。




次回、宮藤が編入試験を受けます!宮藤芳佳は無事に合格できるのか!


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編入試験を受けます!

宮藤の精神科への編入試験日

 

試験官 「それでは、今から編入試験の数学を始めます。宮藤さんは数学が免除ですので、その間は別室で待機してもらいます。」

 

宮藤「分かりました、次の英語からの参加ですね。」

 

宮藤は試験会場から出ていき別室に向かった。

 

そして、全試験終了後

 

試験官 「これにて、全ての試験が終わりました。今回は受験者が少なかったので、今日の夕方には合格者の発表が出来ますので、そのまま控え室でお待ち下さい。」

 

宮藤「うーん、やっぱり専門科向けだけあって難しいなぁ。これでダメなら、1年次から積み直しだね。」

 

そして、夕方になり控え室に試験官がやって来た。

 

試験官 「それでは、編入試験の合格者を発表します。先ず、合格者は7人中1人だけでした。」

 

宮藤「…1人なのが怖いなぁ…」

 

試験官は1呼吸置いて合格者を発表した。

 

試験官「合格者は・・・・・・精神科希望の宮藤芳佳さんです。」

 

宮藤「え、あ、ありがとうございます!宮藤芳佳、精一杯頑張らせていただきます!」

 

宮藤が合格した事に喜んでいると同じ編入希望者が突っかかって来た。

 

モブ子 「意味がわかりません!なんでそこの車椅子女が合格者なんですか!怪我を治す医者が怪我をしてるなんて笑い物ですよ!」

 

そう言うと、付き添いで来てたアルテアちゃんが反論した。

 

アルテア「果たしてそうかな?芳佳ちゃんは、きちんと試験で実力を出しただけだと思うよ?自分の実力が及ばなかった事を他人に擦り付けるのは、敗北者だと思うかな」

 

モブ子「何よ貴方!何時もこの子に引っ付いてるひっつき虫のクセに!」

 

アルテア「あら、私は芳佳ちゃんをお手伝いしてるだけよ?貴方、言動を見る限りは医者に向いていないようね?芳佳ちゃんと違って、貴方には他人を思いやる心が無いようね?」

 

モブ子「チッ!もういいわよ!」

 

モブ子はそう言うと控え室から走って出ていった。

 

宮藤「アルテアちゃんありがとうね、あれだけ啖呵切るのも凄かったよ~」

 

アルテア 「まあ、これからもああいう芳佳ちゃんの事を気に入らない輩は出てくるかもね。でも、一々真面目に相手にしてたら疲れるから適当にあしらえばいいと思うよ?」

 

宮藤「そうだね、ああいうのは変に相手にしない方がいいかもね」

 

アルテア 「うん。それと、芳佳ちゃん。合格おめでとうね!」

 

宮藤「アルテアちゃん、ありがとう!まさか受かるとは思わなかった!ダメなら1から入学するつもりだったから!」

 

アルテア 「芳佳ちゃんなら、受かるに決まってるよ!これから卒業まで科は違うけど、頑張ろうね!」

 

宮藤「私も、お医者さん目指して精進するよ!アルテアちゃんありがとう!」

 

2人は仲良く部屋を出ていった。

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

宮藤が編入して3年後、ヘルウェティアの卒業式の日。

 

アルテア「遂に私達も卒業だね。何だか、あっという間だった気がするよ。」

 

 

宮藤「いやあ、3年ってあっという間だね!私もついに研修医だよ!年齢的にはもうすぐウィッチとしては峠だけど、私の場合はちゃんと学んだ医学を活かせるいい機会だと思うから、そんなに深刻とは思ってないかな。」

 

アルテア 「そういえば、今日の朝の新聞見た?カールスラントが解放されたって記事?」

 

アルテアちゃんは新聞の一面を広げて宮藤に見せた。

 

宮藤「バルクホルンさんにミーナ中佐、それにハルトマンさんも!すごい笑顔ですね!ついに南部も取り戻して完全解放ですか!あっでも、中佐とバルクホルンさんはもうあがりの時期に…」

 

アルテア「・・・ねぇ、芳佳ちゃん。今日卒業式が終わったら研修の病院に配属されるまで2週間ぐらい時間があったよね?明日、久しぶりに会いに行かない?私もちゃんと会ってみたいから」

 

宮藤「そうだね、とりあえず会いに行ってみよっか。皆さんにきちんと挨拶もしたいですし」

 

アルテア「それじゃあ、早く式場に行くよ!それと芳佳ちゃん。卒業生首席の挨拶しっかりね。」

 

宮藤「うん、答辞作り手伝ってくれてありがとうね!私、胸を張って代表を務めるから!」

 

そして、卒業式にて。

教頭 「では、卒業生による答辞。卒業生首席代表 。精神科 宮藤芳佳」

 

宮藤「はい、本日はこのような晴れの舞台で卒業生代表を務めさせていただいた事、誠に光栄でございます。私はこれまで幾多の困難と戦い…」

 

以下、宮藤は完璧に答辞を読み上げる

 

卒業式が終わると2人の自室にて

 

アルテア 「芳佳ちゃん。答辞とても良かったよー!」

 

アルテアは泣きながら宮藤に抱きついた。

 

宮藤「アルテアちゃんありがとう!私1人じゃ絶対堂々と読めなかったよ!」

 

アルテア 「それじゃあ、サントロンに出かける為の荷物を纏めるよ!」

 

宮藤「うん!手伝ってくれるのありがとう!」

 

そして、翌日サントロン基地に向かった。

 

アルテア「芳佳ちゃ〜ん!基地に着いたよ〜!」

 

宮藤「懐かしいです…、皆さん今頃どうしてるのかなぁ。」

 

2人が基地の中に入ろうと進んでいくとハルトマンが偶々通りかり宮藤達に気付いたようだ。

 

ハルトマン「え!み、宮藤!久しぶりーー!」

 

ハルトマンは宮藤達の所に猛ダッシュでやって来た。

 

宮藤「ハルトマンさん!お久しぶりです!カールスラント完全解放おめでとうございます!」

 

ハルトマン「ありがとうね宮藤。なんとか上がりを向かえる前に解放できて良かったよ!」

 

宮藤「私も、無事に医学校を卒業できました!」

 

ハルトマン「おめでとう宮藤!そうだ!中に501の皆がいるから会いに来てよ!それとね、宮藤が抜けた後にウルスラが501に入ったんだよ!」

 

ハルトマンは少し興奮気味に話していた。

 

宮藤「ウルスラさんが入隊したんですか!ぜひ会話したいですね!」

 

ハルトマン「話す事は沢山あるよ!・・・あぁ、けどトゥルーデとミーナは今嬉しさのあまり泣き疲れて寝てるから少し会うのには時間がかかるかな〜」

 

宮藤「おふたりはもうあがりになりますからね…、悲観叶った労をねぎらいます」

 

宮藤がそう言うとハルトマンは何かを思いつ様な悪い顔をした。

 

ハルトマン「・・・ねぇ、宮藤。寝てるトゥルーデの耳元でさ『お姉ちゃん大好き〜』って囁いてきたら?そしたら一気に疲れが吹き飛ぶはずだがら。」

 

宮藤「いいですねぇ、ちょっとやってみましょう」

 

宮藤もノリ気で笑顔で返した。

 

そして、バルクホルンのお部屋につくと、小声で会話しだした。

 

宮藤「バルクホルンさん。ぐっすり寝てますね」

 

ハルトマン「そうだね…ほら宮藤、やっちゃっていいよ」

 

ハルトマンがそう言うと宮藤は寝てるバルクホルンに近付いて耳元に口を寄せた。

 

宮藤「コホン…、お姉ちゃん、大好きだよ〜」

 

そう言うとバルクホルンは身体を起こし宮藤に抱き着く。

 

バルクホルン「私も大好きだぞ!妹よ!」

 

宮藤「バルクホルンさんおはようございます!お久しぶりです!カールスラント完全解放おめでとうございます!」

 

バルクホルン「え!え?みや…ふじなのか?」

 

宮藤「はい!本物の宮藤芳佳です!医学校を無事卒業しました!」

 

バルクホルン「うおー!会いたかったぞ。我が妹よ!たった3年でこんなに大人びた女性に成長してくれてお姉ちゃんは嬉しいぞ!」

 

宮藤「バルクホルンさんは大丈夫ですか?時期的にもう魔法力はなくなっているようですが…?」

 

バルクホルン「残念な事にもう飛ぶ事が精一杯でな。シールドを張ることもできないな。この間のカールスラント解放戦も殆どが後方支援しか出来なかった。だが、カールスラントが解放出来た事はそれを凌ぐ嬉しさだ。ミーナも嬉しさで泣きまくってたからな。」

 

宮藤「これでもう3人目なんですね…、次はシャーリーさんが危ないですね。」

 

バルクホルン「そうだな。だが、嘆いてもしょうがない。それがウィッチの運命なんだからな。」

 

宮藤「しかし、ミーナ中佐も本当にあがりを迎えちゃいましたけど、その事でからかわれたりは流石にしませんでしたよね?」

 

バルクホルン「流石のアイツらもその辺の節度はあったようでな、ミーナのあがり直前は特に気を使っていたよ。」

 

宮藤「流石に本当にあがりが来たら他人事ではないですからね。シャーリーさんも時期的にもうすぐあがりですから、少しは考えるようになったみたいですね!」

 

バルクホルン「さ、あとの話は皆とするとしよう。おそらく今は食堂に居るはずだからな。」

 

そう言うと4人は部屋を出ていき食堂に向かった。



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みんなと楽しくお喋りです!

4人は食堂の入口に着くと、バルクホルンとハルトマンが先陣を切ってドアを開けた。

 

バルクホルン「お前たち、今日はカールスラントの完全解放を祝してスペシャルゲストが来てくれたぞ!」

 

シャーリー「スペシャルゲスト?誰の事だ?」

 

ペリーヌ「もしかして、少佐が!」

 

サーニャ「誰が来たんだろう。」

 

エイラ「私も気になるんダナ!よし!こうなったら、私の未来予知で〜」

 

エイラが未来予知でスペシャルゲストが誰かを読もうとすると、サーニャに停められた。

 

サーニャ「エイラ、せっかくのサプライズなんだから、楽しまないと。」

 

エイラ「ウッ…確かにそうなんダナ。」

 

バルクホルン「よし、それじゃあ入ってくれ!」

 

バルクホルンがそう言うと、ドアの所に居たハルトマンがゆっくりとドアを開けると、車椅子に乗った宮藤とアルテアが入ってきた。

 

宮藤の姿を見ると、サーニャが真っ先に飛び付いた

 

サーニャ 「芳佳ちゃん久しぶり!元気だった?ゴメンね、1度も会いに行く事が出来なくて」

 

宮藤「サーニャちゃんお久しぶり~!私、ちゃんと医学校を卒業してきたよ!」

 

サーニャ「おめでとう芳佳ちゃん!私、芳佳ちゃんなら必ずできるって信じてたから!」

 

宮藤「サーニャちゃんありがとう!これからもっと色んな人を救えるように努めていくよ!」

 

2人が抱き合いながら話してるとシャーリーも話しかけてきた。

 

シャーリー 「おーい、サーニャ。私も宮藤と話をしたいぞ〜!」

 

宮藤「シャーリーさん!お久しぶりです!中佐にしばかれる回数は減りましたか?」

 

宮藤はシャーリーに笑いながら問いかけた。

 

シャーリー「3年ぶりに会って開口一番それかよ!流石の私も回復役が居ないのに無茶はしないさ。」

 

宮藤の質問にシャーリーも笑いながら返した。

 

宮藤「だって、シャーリーさんも流石に自制するようになったと聞いて心配だったんですから」

 

シャーリー「流石の私だって、あがりの件で中佐達を弄ったりしないよ。あがりは私にとっても人事じゃないからな。」

 

宮藤「ですよね。シャーリーさんもいよいよあがりですからね。そうなると、私たちももうすぐ半分を切るんですね」

 

シャーリー「そうだな〜。もうこの部隊も殆どの奴が18を迎えてる。ルッキーニはまだ16だから余裕はあるだろうが、もう1年もしたら部隊の総入れ替えがあるか、501が解散になるかもな。」

 

宮藤「それは寂しいですね。確かに最年少はルッキーニちゃんとサーニャちゃんだけでしたから…。それに、欧州はほぼ奪還完了で、大規模な巣はモスクワのみらしいですからね、私たちの役割も、まもなく終了でしょうか?」

 

サーニャ「…私はオラーシャが解放される迄は頑張る!」

 

宮藤「サーニャちゃんならあがりの前にモスクワの巣を倒せる気がするよ!」

 

エイラ「私もサーニャの加勢をしたいけど、私はもう19で、厳しいかもしれないんダナ。」

 

宮藤「エイラさんもあと1年…、モスクワ戦に間に合うかはギリギリですね…。おそらく502も大半があがりですから…、今動けるウィッチはだいぶ少なくなりましたね…」

 

エイラ「そうなんだナ。けど、残りの巣がモスクワだけなら残ったウイッチを総動員したら勝てない事ないかもしれないんダナ。」

 

宮藤「ただ、ガリアやロマーニャ、ベルリンの時と違って短期決戦になりそうですね。固有魔法持ちはさらに少ないですし」

 

エイラ「そうダナ。恐らく501からはサーニャとルッキーニ、服部の3人、502からはひかり、ニパ、良くて菅野の3人しか出せないだろうナ。」

 

宮藤「6人は少し不安ですね…、501と502部隊の統合も有り得そうですね…」

 

バルクホルン「そうだな。軍も戦力を出してくれるだろうが、ウイッチが少ないと取れる手も少なくなるな」

 

宮藤「残存ウィッチはどのくらいなのでしょうか?もうかき集めても10人もいないのですかね?」

 

バルクホルン「固有魔法を持たない軍人ウィッチも含めたら20は超えるだろうが、熟練度は低いだろうな。」

 

宮藤「なるべく人員を惜しまず、短期決戦でモスクワを解放しないといけませんね。時間がかかれば、動ける人はさらに減りますから」

 

バルクホルン「そうだな。人類側はもう長期決戦をできる余裕は無くなってるようなモノだな。」

 

宮藤「なら、ウィッチがまだ残ってる間に決めるしか無さそうですね」

 

バルクホルン「だが、奪還作戦のタイミングは我々じゃなくて上層部が決める事だ。・・・さて!この話は辞めてみんなで飯を食べるとしよう。」

 

宮藤「そうですね!楽しくない雰囲気は重いですから!今日は無礼講パーティーといきましょう!」

 

ハルトマン 「そうだよ。久しぶりの再会がしんみりしちゃったら嫌だしね。」

 

ハルトマンはドアを閉めようとすると、廊下の奥から1人、来てることに気付いて、中に招き入れた

 

ハルトマン「宮藤〜、ミーナがやって来たよー。」

 

宮藤「ミーナ中佐お久しぶりです!宮藤です!カールスラント完全解放おめでとうございます!」

 

ミーナ「宮藤さん!久しぶりねー!どうしたの急に?」

 

宮藤「医学校を卒業したので、皆さんに挨拶に来たんですよ!」

 

ミーナ「そう。おめでとうね。私はもうウイッチじゃなくなったけど、カールスラントの解放の任務にサポートとしてでも立ち会えただけで嬉しかったから昨日は久しぶりに泣いてしまったわね。」

 

宮藤「本当におめでとうございます!中佐の精神は、サーニャちゃん達が受け継いでいきますよきっと!」

 

ミーナ「ええ、サーニャさんとルッキーニさん。服部さんの3人なら501みんなの想いを継いでくれるって信じてるから。」

 

宮藤「静夏ちゃん達なら必ずやり遂げてくれますね!」

 

ミーナ「そうね。・・・さ!宮藤さんが居るのならパーティーをしましょう!私が色々作るから!」

 

バルクホルン「いや待てミーナ、疲れているだろうから私たちが準備するぞ。そもそも佐官が雑用じみた事なんて、上が嘆くだろう」

 

シャーリー「大丈夫ですよ中佐!料理なら私たちが準備しています!大事な中佐のお手を煩わせるような事は何もありません!」

 

宮藤「そうですよ中佐!それに、私もまた皆に手料理を振る舞いたいんです!」

 

ルッキーニ「久しぶりに芳佳の料理食べたい!3年も我慢したの!」

 

宮藤「分かりました。ルッキーニちゃん!腕によりを掛けて作りますね〜!」

 

アルテア「それじゃあ芳佳ちゃん。厨房に行こっか。」

 

宮藤はアルテアに車椅子を押してもらい厨房に向かった。

 

それから、1時間もすると宮藤達が料理を持って厨房から出てきた。

 

宮藤「みなさん、お待たせしましたー!腕によりを掛けて沢山出来ましたよ〜!」

 

ルッキーニ「やったー!3年ぶりの芳佳のごはんだ〜!」

 

シャーリー「いっぱい食べるぞぉ!」

 

アルテア「そういえば私、芳佳ちゃんの料理食べるの初めてかも。」

 

宮藤「腕によりをかけたから、アルテアちゃんもたくさん食べていいんだよ!」

 

アルテアが大皿にあった料理を掬って口に運んだ。

 

アルテア「・・・うん!ものすごく美味しいよ芳佳ちゃん!この味、お店を出せるレベルだよ!」

 

宮藤「褒められると照れるな~。まあでも、病人食を突き詰めるのも悪くないかな?お医者さんも時々食事の話をするしさ?」

 

アルテア「芳佳ちゃんならそっちの方面でも上手くやりそうだね。私が独立して病院開いたら調理師として来てくれたら助かるな〜」

 

宮藤「それもいいかもね~、進路が広いって、いい事だね~」

 

バルクホルン「宮藤の作る病人食だったらどんな重症患者でも一瞬で治るかもな」

 

バルクホルンは高らかに笑いながらそう言った。

 

宮藤「そこまで言われたらちょっと頑張ってみたいですね~」

 

ハルトマン「もし、本当に宮藤が病院の調理師になったらトゥルーデは毎日病院通いするかもね〜。」

 

バルクホルン「な、何を言う!私は常に健康体!病院にお世話になる事などない!」

 

ハルトマン「へぇ。じゃあトゥルーデは怪我しても行けないのかー。残念だね〜」

 

バルクホルン「いや待て!流石に怪我をした時は行くぞ!あくまでも、普段通いはしないという意味であってな!」

 

ハルトマン「分かってるよ。少しトゥルーデをからかっただけだからさ。・・・それにしても、宮藤は来月から研修医なら私より先に本格的な医者になるね〜。」

 

バルクホルン「ハルトマン、お前もコツコツ医学の勉強はしてるだろ?編入を受けて軍医になるのも悪くないだろ」

 

ハルトマン「たしかに、軍医も悪くないけど、私はどちらかと言うと宮藤達のように病院に務めたいんだよね〜。」

 

バルクホルン「なるほど、しかし、勤務医はかなり規律と時間にうるさいぞ?お前に勤まるか?」

 

ハルトマン「ウッ!・・・なら、個人病院にしたら診察時間とかも自分で決めれるからそっちにしようかな〜。」

 

バルクホルン「その前に医学校の卒業だな。医師免許を取ってから考えるんだな。」

 

ハルトマン「あ〜、私も退役したらヘルウェティアに通うべきかな〜。」

 

バルクホルン「適性は果たして大丈夫かな?医者は清潔感も大事だからな?」

 

宮藤「清潔感は大丈夫じゃないですかね?私達の同期には自室がハルトマンさん以上に汚い人が1人居ましたけど、その人は無事に卒業しましたから。」

 

ハルトマン「私より部屋が汚いって…、ちょっと一周まわって逢いたいよその人に…」

 

宮藤「ハルトマンさんの部屋はまだ足場を選べば歩けたんですけど、あの子の部屋だけは歩ける所すら無かったようです。」

 

バルクホルン「ほう、ハルトマン以上のだらしない人間がいるのか。1度逢って躾をしに行きたいものだな」

 

アルテア 「そういえば、あの子、顔付きが芳佳ちゃんにそっくりでメガネをかけさせたら瓜二つで髪色以外で、見分けがつかなかったね」

 

アルテアは思い出したように答えた。

 

ハルトマン「トゥルーデ、そんな子に説教なんて出来るの?」

 

ハルトマンもからかうようにバルクホルンに問いかけた。

 

バルクホルン「よし!宮藤今すぐその子を紹介してくれないか?会いに行く!」

 

宮藤「その子は確か、ブリタニアで勤務医になるって言ってましたね。どの病院かまでは分かりませんでしたが。」

 

バルクホルン「ムム…なら仕方ないな。説教はまた今度だな。」

 

ハルトマン「いきなり押しかけたら、向こうも迷惑だろうからね」

 

シャーリー「そういえば宮藤ってどの科に配属されるんだ?」

 

宮藤「実は、精神科なんですよね。主に精神病やメンタルケアを扱います」

 

ハルトマン「意外だね〜。宮藤なら外科か内科を選ぶと思ってたよ」

 

宮藤「目が見えにくくて手術が不安って言ったら、アルテアちゃんが「メスを使わないお医者さんもあるよ」って、アドバイスしてくれたんだ~」

 

バルクホルン「たしかに、今の宮藤を考えるとそれがいいかもな。・・・宮藤のような精神科医が居ればリーネも間違えを起こさずにすんだかもな。」

 

宮藤「確かにそうですね…。私がその道を選んだのも、もしかしたら一種の未練かもしれません…」

 

バルクホルン「まぁ、宮藤が悔やむことでは無い。あの件に関してお前が責任を感じる必要は無いからな。」

 

宮藤「そうですね。暗くなるのでこの話はやめましょう」

 

シャーリー「なぁなぁ!そこの君は何処の科に配属されるんだ?」

 

シャーリーがアルテアに向けてさっきの宮藤と同じ質問をなげかけた。

 

宮藤「確かアルテアちゃんは、内科に行くんだっけ?」

 

アルテア「うん。そうだよ。将来的には心療内科を目指してるの。」

 

宮藤「アルテアちゃんならきっと名医になれると思うよ!ところで、ハルトマンさんの志望診療科って何ですか?」

 

ハルトマン「私?私は小児科を希望だね。」

 

ルッキーニ「もしかして、ハルトマンってロリコン?」

 

宮藤「さすがにそれはないと思いすよ。もし本当にロリコンなら3年前の時点でサーニャちゃんやルッキーニちゃんに手を出してるはずですから」

 

ルッキーニ「だよねぇ、ごめんね~、ちょっとからかってみたんだ~」

 

それからも他愛の無い話を続けて1時間が経過した。

 

バルクホルン「ふぅ〜。久しぶりの宮藤の料理も美味しかったな〜。」

 

宮藤「皆さんに喜んでいただけて光栄ですよ!頑張って作った甲斐があったものです!」

 

ハルトマン「宮藤はこれから、病院に行くまでどうするの?時間的に扶桑に戻るのは難しいと思うけど?」

 

宮藤「今は、ヘルウェティアとローザンヌのどっちかで悩んでるんですよね。」

 

アルテア「私も、芳佳ちゃんと同じ病院に志願するつもりだよ。ずっととは言えないけど、まだ芳佳ちゃんと一緒にいたいからね。」

 

ハルトマン「なるほどね〜。2人とも頑張ってね〜。」

 

バルクホルン「それは、そうと宮藤達は今日どうするんだ?あれならもう夜も遅いし泊まっていくと良い。空き部屋ならまだあるしな」

 

宮藤「泊めてもらえるんですか?!なら泊めてもらいたいですねぜひ!」

 

ミーナ「ええ。部屋ならあるし、皆まだ、宮藤さんと話し足りないでしょうからね」

 

宮藤「久しぶりなので、皆さんともっと、色々お話したいです!」

 

ルッキーニ「それじゃあ、芳佳。一緒にお風呂に入りに行こうよ〜!」

 

宮藤「ルッキーニちゃんありがとう~、身体洗うのとか任せちゃおうかな~」

 

ルッキーニ「ニッシシシ。この3年で大きくなってる芳佳のおっパイ沢山揉んじゃおうかな〜」

 

宮藤「ルッキーニちゃん、洗いっこしようよ!私もルッキーニちゃんの成長を堪能したいからさ~」

 

シャーリー「たしかに。宮藤の胸大分大きくなったな。ハルトマンは3年で全く変わってないけどな〜」

 

ハルトマン「うう…、どうして私だけ何も変わらなかったのか…。この世界は残酷だ…」

 

バルクホルン「全くだな。双子だと言うのにウルスラの方が成長してるんじゃないか?」

 

バルクホルンはウルスラの方を見て話した。

 

ハルトマン「この世は不条理だ…。私にもその胸を分けて欲しい…」

 

ハルトマンは軽く憎悪を込めた目でウルスラの胸を見る。

 

ウルスラ「ダメですよ姉さま。いくら私でもやれない物もあるんです。」

 

ハルトマン「悲しいなぁ…、どうして姉妹でこんなに差が…」

 

宮藤「大丈夫ですよ、ハルトマンさん。まだ希望はありますから」

 

宮藤がハルトマンに近づいてそう言うと宮藤の成長した胸が軽く揺れた。

 

ハルトマン「今私は闇堕ちしそうだよ宮藤。豊胸系の手術受けられる医者を紹介してよ。」

 

宮藤「すいません、豊胸系の方面の医師はあの時の土偶ぐらいしか、思いつきません。」

 

宮藤がそう言うと、トラウマを思い出したの如くハルトマン達は口にした。

 

ハルトマン「うっ、頭が…、あの土偶はもう見たくない…。あれは恐ろしい事件だった…」

 

宮藤「私もですよ。あんな事は金輪際勘弁です。」

 

サーニャ「あれはある意味この世の地獄…」

 

バルクホルン「ああ、あの時は部隊が崩壊する危機だったな…」

ペリーヌ「もう二度とあんな思いはしたくないですわ!」

 

アルテア「一体何があったかきになるけど、聞かないでおくよ・・・」

 

ミーナ「それが良いわよ。それじゃあ、一晩だけだけど仲良くやってくださいね。」

 

アルテア「はい!」

 

宮藤「それじゃあそろそろ、お風呂に行きましょう!」

 

バルクホルン「そうだな、行くとするか!」

 

バルクホルンがそう言うと、宮藤を先頭にお風呂に向かった。




少し長くなりましたが、区切りが良いのでここで停めますね


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みんなとお風呂に入ります!

脱衣所に着いた宮藤はアルテアちゃんに服を脱がせてもらっていた。

 

アルテア「は〜い、芳佳ちゃん。服を脱がすからいつもの様にバンザーイしてね〜。」

 

宮藤「いつも、ありがとうアルテアちゃん~」

 

アルテア「よいっしょっと。」

 

アルテアちゃんは宮藤の服を脱がして抱えて浴室に向かう

 

アルテア「それじゃあ、誰が芳佳ちゃんの身体を洗ってくれるのかな〜?」

 

バルクホルン「姉たる私が洗うぞ!」

 

ルッキーニ「いいや、私が洗う!」

サーニャ「久しぶりに私も洗ってあげたい…」

 

宮藤「私人気者で困っちゃいますね~、順番に洗うのはどうでしょうか?」

 

ルッキーニ「じゃあ、私が胴部分を洗うよ〜!」

 

バルクホルン「なら、私は足を洗ってやろう。」

 

サーニャ「…となると、私は頭と顔かな?」

宮藤「皆さんに洗ってもらえて私は幸せですね~」

 

サーニャ「じゃあ、まず髪の毛洗ってあげるね。」

 

宮藤「ありがとうサーニャちゃん、優しく洗ってね~」

 

サーニャが宮藤の髪をシャンプーで洗ってるとエイラが口を挟んできた。

 

エイラ「クッ!私もサーニャに髪を洗ってもらいたいんダナ。」

 

サーニャ「エイラは自分で洗えるでしょ…」

 

エイラ「そういう事じゃないんダナ!サーニャが洗ってくれる事に意味があるんダナ!」

 

エイラ「…分かった。気が向いたら洗うね…、洗剤で」

 

エイラ「サーニャ、私の扱い雑すぎないカ?」

 

サーニャ「え?だってエイラが髪を洗って欲しいって言ったんだから、要望通りに洗ってあげるんだよ。」

 

エイラ「人の頭を洗うのは洗剤じゃないんダナ」

 

サーニャ「エイラ、取り敢えずその話は後でね。今は芳佳ちゃんの髪を洗ってるんだから。」

 

エイラ「うっ、仕方ないんダナ…」

 

サーニャが宮藤の髪に付いたシャンプーを流すと今度は正面に回り込んだ。

 

サーニャ「さ、芳佳ちゃん。次は洗顔ね。私が使ってる、洗顔剤を貸してあげる。」

 

宮藤「目に入らないように気をつけてねサーニャちゃん。」

 

サーニャ「うん。気をつけるね…よいっしょ…あっ!」

 

サーニャが洗顔をしようとすると、足を滑らせてしまい、そのまま宮藤を押し倒しお互いの唇が重なってしまった。

 

エイラ「ぎゃぼー!」

 

それを見ていたエイラはショックのあまり、気絶してしまった。

 

サーニャ「あぁ!ごめん芳佳ちゃん。…洗顔しようと顔を近づけたら足を滑らせてしまって・・・」

 

宮藤「いいんだよサーニャちゃん、これは不可抗力だからね」

 

宮藤は満面の笑みを浮かべて答えた。

 

サーニャ「うぅ、ごめんなさい。・・・所でなんでエイラは鼻血を出して倒れてるの?」

 

ルッキーニ「サーニャと芳佳のキッスを見て興奮したのかもね~」

 

サーニャ「全く、仕方ないな〜。…ほら、エイラ起きて。こんな所で寝たら風邪引くよ?」

 

サーニャがエイラの体を揺するが全く反応がなかった。

 

宮藤「エイラさん、返事がないですね。このまま部屋に寝かせましょうか?」

 

サーニャ「そうだね。全く仕方ないなエイラは。…ごめんね芳佳ちゃん。顔、全部洗えなくて」

 

宮藤「大丈夫だよサーニャちゃん、倒れたエイラさんも何とかしないといけないからね」

 

ルッキーニ「それじゃあ、次は私が身体を洗ってあげるね〜!」

 

宮藤「ありがとうね、ルッキーニちゃん~」

 

ルッキーニは一通り宮藤の身体を洗い終わると、宮藤の胸を揉み出した。

 

ルッキーニ「ニッシシ。宮藤のおっパイ本当に大きいね〜」

 

ルッキーニ「ルッキーニちゃんくすぐったいよ~、気持ちいいけどさ~」

 

ルッキーニ「いや〜、芳佳のおっパイの大きさは推測でDかな?ハルトマンはAだけどね〜。」

 

ハルトマン「うう…、やっぱりこの世は不条理だよ…」

 

シャーリー「恐らく、ウルスラは推測でEだな。本当にハルトマンと姉妹なのか?」

 

宮藤「姉妹であろうと多少の個人差は出ますね。一卵性ならほぼ同じになりますが、二卵生だと姉妹で似ないケースも普通にありますから」

ウルスラ「それだと不思議ですね。私と姉さまは一卵性と聞いています。なのに何故、私の胸だけが大きくなったのでしょうか?」

 

宮藤「稀にあるんですよ、一卵性でも何らかの要因で、分裂した受精卵が染色体欠損を起こして、身体成長の一部に悪影響が出るケースが…」

 

ウルスラ「となると、姉さまの胸はもう成長しないかもしれませんね。」

 

ハルトマン「悲しすぎる…、数万分の1の確率の姉妹になったなんて…」

 

シャーリー「あぁ、その…今まで胸の事でいじって済まなかったなハルトマン。」

 

ハルトマン「ハハッ、大丈夫だよ。私は気にしてないから」

 

ハルトマンは若干棒読みで返した。

 

バルクホルン「そうだぞ、ハルトマン。女性の良さは胸では決まらないからな。さて、宮藤。次は私が脚を洗ってやる」

 

宮藤「バルクホルンさん、ありがとうございます!こうしていると、本当の姉妹みたいですね!」

 

バルクホルン「そうだな。私が10の頃はクリスの身体もこうやって洗ってあげてたからな。」

 

宮藤「やっぱりバルクホルンさんは姉力高いですね~、尊敬しちゃいますよ~」

 

バルクホルン「はっはっはっ。褒めてもやれる物は無いからな宮藤。」

 

宮藤「本当にバルクホルンさんがお姉ちゃんなら、毎日が楽しそうですよ~。あっでも、それはクリスさんに悪いですね」

 

バルクホルン「ならいっその事、3人で住むか?」

 

宮藤「クリスさんの許しがないと、ちょっと悪いですね~」

 

バルクホルン「大丈夫だろ。クリスなら許してくれるさ。」

 

宮藤「もしそうなら、クリスさんともぜひ仲良くなりたいですね。」

 

バルクホルン「最近は、回復傾向に向かってるからな。退院も近いだろう。」

 

宮藤「それは嬉しいですね~、ぜひ話し合いたいですね!」

 

バルクホルン「そうだな。クリスも喜ぶぞ。・・・っと。ほら、洗い終わったぞ。湯船に浸かるとしよう」

 

バルクホルンは軽々と宮藤を持ち上げて、湯船に付けた。

 

宮藤「バルクホルンさんありがとうございます~、恩に着ますよ~」

 

アルテア「どうだった、芳佳ちゃん。偶には私以外の人に洗ってもらうのも気持ちよかったでしょ〜?」

 

宮藤「気持ちよかったよ~、やっぱり誰かに助けてもらうって気持ちいいね~」

 

アルテア「うん。人は誰だって助け合いながら生きていくんだから。私も芳佳ちゃんが居たから医者を目指せてるんだから。」

 

宮藤「でも私も、アルテアちゃんのアドバイスがなければ目標を見失っていたかも。お互いに助けられたね~」

 

アルテア「これからは研修する科は違うけど、一緒に頑張っていこうね!」

 

宮藤「うん!アルテアちゃんありがとう!勇気が出てきたよ!」

 

それから、1時間後・・・

 

宮藤「う〜。逆上せました〜。」

 

アルテア「芳佳ちゃんったら、張り切りすぎて湯船に浸かりすぎだよ~。大丈夫?」

 

宮藤「う〜。クラクラします。ごめんアルテアちゃん。湯船から上げてもらっても良いかな?」

 

アルテア「うん。勿論いいよ~。」

 

アルテアちゃんは宮藤を湯船から上げて更衣室に行く。

 

宮藤「ありがとうね、アルテアちゃん。う〜まだ、フラフラするよ〜」

 

アルテア「とりあえず団扇で扇いであげるね~、あと、お水持って来たから~」

 

ハルトマン「も〜、宮藤情けないな〜。医者たるもの自分の体の事はきちんと理解しないといけないんだよ〜。」

 

宮藤「すいません、つい皆さんと久しぶりに入浴するのが楽しくてはしゃいじゃいました~」

 

ハルトマン「まあ、気持ちは分かるけどね。・・・ねぇ、今晩、宮藤達が寝る部屋で一緒に寝てもいいかな?」

 

宮藤「もちろんいいですよ~、皆さんと一緒に寝たいですね~」

 

サーニャ「じゃあ、私が芳佳ちゃんの横に寝る!」

 

宮藤「サーニャちゃんありがとう。嬉しいよ~」

 

エイラ「む〜!なら、私がサーニャの横で寝るんだナ!」

 

サーニャ「…エイラは部屋の隅だよ…。何か安心して寝られないから…」

 

エイラ「そんな!なんで私だけ隅に追いやれるんだナ!」

 

サーニャ「…襲わないって約束して。出来ないなら隅だよ…?」

 

エイラ「ウッ!・・・分かった。約束するんだナ。」

 

サーニャ「…分かってくれて嬉しいよエイラ…」

 

宮藤「それじゃあ、私と寝るのはアルテアちゃんと、ハルトマンさん。サーニャちゃん、エイラさんの4人ですか?」

 

ルッキーニ「私も寝たいな~、でも、枠はもういっぱいだから今回は譲るよ!」

 

そして、6人が大きめなベットで眠りについて、暫くして・・・

 

宮藤「ンッ!」

 

宮藤がぼんやりと目を開けるとエイラが宮藤に馬乗りになって胸を揉んでいた。

 

宮藤「いやー!エイラさん何してるんですか!」

 

エイラ「こ、これは誤解なんダナ!決して宮藤の育ったおっぱいに興味があったとかそういうのではないんダナ!」

 

2人の声にサーニャとハルトマンも目を覚ました。

 

サーニャ「…エイラ、最低。自分の足じゃ動けない芳佳ちゃんを襲うなんて。やっぱりエイラは人間の形をした獣だったのかな?」

 

エイラ「わ、私は…、う、うわぁーん」

 

エイラは子供のように大泣きしてしまった。

 

サーニャ「…ちゃんと芳佳ちゃんに謝って…。そしたら許してあげる…」

 

エイラ「うぅ…ゴメン…なんダナ宮藤。」

 

宮藤「もう、エイラさんったら。こんな事は二度としたらいけませんよ?」

 

ハルトマン「ていうか、なんでエイラは宮藤の胸を揉んでたの?襲うにしてもエイラはサーニャんを襲うと思ってたよ。」

 

エイラ「…サーニャを襲ったら絶交されると思ったのと、宮藤の育ったおっぱいに触ってみたくなったからなんダナ」

 

エイラが言い訳すると、サーニャが汚物を見るような目でエイラを見た。

 

サーニャ「最低だねエイラ。芳佳ちゃんの胸を揉むのは許して貰えると思ったんだ。」

 

エイラ「…申し訳ないんダナサーニャ…。宮藤の優しさに完全に甘えたんダナ…」

 

宮藤「…エイラさん。すいませんけど、今日は部屋を出ていって貰えませんか?また、襲われたら嫌なので。」

 

サーニャ「…ほら、芳佳ちゃんの機嫌損ねたじゃん…。自室に行きなよ…」

 

エイラ「うぅ、分ったんダナ」

 

エイラは枕を持って渋々部屋を出ていった。

 

宮藤「エイラさん、私以上のおっぱい星人になりましたね…」

 

サーニャ「実際、芳佳ちゃんが501を辞めた後のエイラは酷かったよ。何回か私に馬乗りになって、胸を揉もうとしてたから。」

 

宮藤「ひどいですね…。最新の精神医学で治るか不安ですよ…」

 

サーニャ「もし、これ以上酷くなるようなら芳佳ちゃんに診てもらうね。」

 

宮藤「難しいですね。エイラさんの精神鑑定をきちんとやらないと何とも言えないので」

 

ハルトマン「ねぇ、そんな事よりもう寝ようよ〜。アルテアなんて、こんなに騒いでもぐっすり寝てるよ〜。」

 

ハルトマンがそう言ったのでアルテアちゃんの方を見ると、アルテアちゃんは気持ちよさそうな顔でぐっすりと寝ていた。

 

宮藤「アルテアちゃん、うるさい部屋でも結構ぐっすり眠れるタイプなんだよね~」

 

サーニャ「そうだね。…後エイラが入ってこないように鍵は閉めておこうか。」

 

宮藤「そうですね、用心するに越したことはないですから」

 

そして、そのまま夜は過ぎていきお昼すぎ

 

宮藤「それじゃあ、皆さん。1日だけでしたがお世話になりました!」

 

ハルトマン「うん、楽しかったよ宮藤!またね!」

 

サーニャ「芳佳ちゃん…、医者になった時はよろしく頼むかも…」

 

宮藤「ハハハ、極力治しやすい人をお願いしますね〜。」

 

サーニャ「…やっぱりエイラは難しいよね…」

 

宮藤「私にもっと知識と経験があったら分かりませんけど、今の私じゃ難しいかもしれません」

 

サーニャ「慌てずじっくり勉強するといいよ…」

 

アルテア「芳佳ちゃん。そろそろ行かないとローザンヌに行く汽車の時間に遅れちゃうよ」

 

宮藤「そうだね、じゃあ皆さん、この一日の思い出は絶対忘れませんから!ありがとうございます!」

 

そう言うと、2人は待機させてた車に乗り込んだ。

 

ハルトマン「じゃあね〜宮藤!私も2人に負けないくらい立派な医者になるから〜!」

 

宮藤「ハルトマンさんなら大丈夫です!必ず医者になれますよ!」

 

ハルトマン「ありがとうね〜宮藤ー!」

 

ルッキーニ「元気でやるんだよ芳佳~!」

 

シャーリー「絶対宮藤の事忘れないからな~!」

 

宮藤「はい!私も皆さんの事絶対に忘れません!」

 

そう言うと、2人が乗った車が遠ざかって行った。

 

バルクホルン「家族の旅立ちは、笑って見送りたいなぁ」

 

バルクホルンは涙を堪えながら車が走っていくのを見送った。

 

ハルトマン「今のトゥルーデ3年前と殆ど、同じ事言ってるよー」

 

バルクホルン「仕方ないだろう、他に言葉が思いつかぬのだから」

 

それから1週間後

 

アルテア「ふぅ。着いたね芳佳ちゃん。此処が、私達が研修医として勤めるローザンヌ大学病院だよ。」

 

宮藤「うわ~、大きいね~。こんな大病院、故郷にもなかなか無いよ~」

 

アルテア「私もだよ。こんな大きな病院初めて見たよ。・・・それじゃあ、今から2年間研修医としてお互いに頑張ろうね!」

 

宮藤「うん!お互い頑張ろうね!」




これにて最終回!・・・ではありません!まだまだ続きます!というか、まだ知り合いとの執筆は続いてます。どこまで行くかも分かりません。


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ローザンヌ大学病院編
立派な医者になりました!


今話から第2章に入ります。


宮藤がローザンヌ大学病院の精神科に研修医として就職して、3年の月日が経ち、宮藤は研修医を終えて1人の医者として今日も真面目に勤務していた。

 

宮藤「ふぅ。今日の診察はこれで終わりっと。」

 

宮藤は今日の診察が終わったので腕を伸ばしていると、看護師が入ってきた

 

看護師「宮藤先生少し宜しいでしょうか?」

 

宮藤「どうしましたか?急患ですか?」

 

看護師「いえ、宮藤先生にお客様です。サーニャさんと言う方が来られています。」

 

宮藤「サーニャちゃんが?どうしたんでしょうか。通してください。」

 

看護師はそういうと、診察室の外に待機させてたサーニャを呼び中に入れると、サーニャを先頭にエイラとハルトマンの2人もやって来た。

 

サーニャ「芳佳ちゃん。久しぶり〜。」

 

宮藤「サーニャちゃん!ハルトマンさん。エイラさん!お久しぶりです!エイラさんを連れてきて、やっぱり何か問題ありましたか?」

 

ハルトマン「いや〜、違うよ〜。ただ、宮藤が研修医を終えて正式なお医者さんになったて聞いたから都合がついた3人でお祝いを言いに来たんだよ。」

 

宮藤「そうだったんですね~、てっきりエイラさんがおかしくなったのかと思いましたよ~」

 

エイラ「ウガー!酷いんだな宮藤!私ももう20歳を過ぎた大人なんだぞ!」

 

宮藤「流石にもう昔のような態度はとれませんよね~。それにしても、もう全員あがりですか、時が経つのは早いですね~」

 

サーニャ「うん。私も2年前に上がりを迎えた。けど、上がりを迎える直前にオラーシャを完全解放出来たから嬉しかった。」

 

宮藤「おめでとう!これでネウロイの脅威はなくなったんだね!」

 

サーニャ「ありがとうね。芳佳ちゃん。」

 

ハルトマン「私は来年の春からローザンヌ医学校に通うつもりだよ。宮藤と6年も差が開いてるから、頑張っていかないと追いつけないな〜。」

 

宮藤「医学の6年はあっという間ですよ~。一応、試験はきちんと受けないと後から響きますよ?…後、ローザンヌは眼科と消化器科の先生は優しいですが、外科と小児科の先生は厳しいと聞きますので」

 

ハルトマン「うぐっ!・・・入学まで半年はあるし、入学までは勉強漬けで頑張ろうかな」

 

宮藤「ハルトマンさんも編入コースですか?編入なら少し早く医学校が終わりますけど?」

 

ハルトマン「いや。驕りをなくす為に1から学ぶために最初からだよ」

 

宮藤「なるほどです。それは殊勝な心がけですね!もしかして、バルクホルンさんからだいぶ教育されました?」

 

ハルトマン「いやいや。宮藤も医療での驕りは大きなミスに繋がるのは知ってるでしょ?それに医師免許とる時に禁忌踏んだら他でどんなに点とっても1発でドボンじゃん。」

 

宮藤「確かにそうですね。だから今までの自堕落さを改めたんですね!」

 

サーニャ「…それにしても芳佳ちゃんの白衣姿とっても似合ってるね」

 

宮藤「サーニャちゃんありがとう。褒められると照れるな~」

 

ハルトマン「そうだね〜。まるで天使が目の前に居るみたいだよ〜。」

 

宮藤「天使が見えたら、患者さんが勘違いしちゃいますね。」

 

ハルトマン「確かにね〜。・・・そうだ宮藤。この後って時間空いてる?今日はもう終わりだよね?」

 

宮藤「そうですね。私の勤務時間は今日はもう終わりです。後は引継ぎをすれば帰れますね」

 

ハルトマン「だったらさ〜、4人でご飯でも食べに行かない?この辺りに色んな国の料理を扱ってる美味しいレストランがあるって聞いたからさ。」

 

宮藤「ぜひ行きたいですね!久しぶりですし、一緒に行きましょう!」

 

ハルトマン「それじゃあ、病院の入口で待ってるからね〜。」

 

宮藤「わかりました。今から引継ぎをしてきますね。」

 

そして、それから30分程して

 

宮藤「ハルトマンさん。サーニャちゃん。エイラさんお待たせしました〜」

 

ハルトマン「おつかれ〜宮藤。それじゃあ早速行くよー!」

 

ハルトマンは意気揚々と宮藤の車椅子を押して歩き出した。

 

病院から歩いて10分もすると目的のレストランに到着した。

 

ハルトマン「は〜い。宮藤。レストランに着いたよ〜」

 

宮藤「うわぁ、いい店ですねぇ。本当にいいんですか?」

 

ハルトマン「いいんだよ〜。私が軍を退役した時にそれなりのお金貰ったんだから今日は奢るよ!」

 

宮藤「すごいです!やっぱり腐ってもカールスラントの四強はダテじゃないんですね!」

 

ハルトマン「酷いな〜宮藤。そんなこと言う奴には奢ってやらないぞ〜」

 

ハルトマンは笑いながら宮藤に返した。

 

宮藤「ごめんなさい、ハルトマンさん。カールスラントのエースをお祝いしたいですよ~」

 

ハルトマン「現金なヤツめ〜。まあいいよ。この未来の天才医師が特別に宮藤にも奢ってやろう!」

 

宮藤「ありがとうございます!医療の世界でも、ハルトマンさんはカールスラントの英雄になれると思いますよ!」

 

ハルトマン「ま、そうなれるように頑張るよ!それじゃあ何注文する〜?この店、本当に世界中の料理が食べれるから。」

 

宮藤「本当にすごいですね~、あっ、扶桑食膳なんてあるんですか!私これにします!」

 

ハルトマン「早いね〜。そう言えば宮藤はお酒は飲まないの?私は月一位でビールを飲んでるけど。」

 

宮藤「私あまり飲めないんですよね。リーネちゃんのせいでトラウマにもなってますから。けど、前に勇気を出して一杯飲んだらそれだけで気持ち悪くなって…。下戸の疑いありなようです」

 

ハルトマン「そうなんだ。まあ、飲めないなら仕方ないや。すいませ〜ん。取り敢えずこの、カールスラント御膳を1つ。ふかし芋の盛り合わせが1つ。それと、赤ワインをお願いします。はい私はいいよ。宮藤達も好きなの注文していいからね」

 

宮藤「なら私は扶桑食膳をひとつに、緑茶と干し芋をお願いしますね」

 

サーニャ「私はオラーシャ定食ひとつ…。あとウォッカとピロシキを…」

 

エイラ「スオムス定食ひとつ、あとシュールストレミングをいただくんダナ」

 

店員 「すいません、お客様。シュールストレミングは先程、他のお客様が1人で全て注文されてしまって本日は在庫が無いのです。申し訳ございません。」

 

エイラ「ンナー!あれを1人で頼むなんて、相当の勇者なんダナ…。仕方ない、サルミアッキとヤロヴィーナを頼むんダナ」

 

店員「分かりました。少々お待ち下さい。」

 

20分後

 

店員「お待たせしました。」

 

店員は料理とお酒を次々とテーブルに並べていく

 

宮藤「うわぁ~豪華ですね~。これは美味しそうですよ~」

 

ハルトマン「それじゃあ宮藤、乾杯の音頭をお願いね」

 

宮藤「それでは、今更ながら、オラーシャの完全解放とハルトマンさんの医学部進学を祝って、かんぱーい!」

 

3人「カンパーイ!」

 

サーニャ「ンッンッンッ・・・ふぅ。やっぱり、ウォッカはストレートに限るね。」

 

エイラ「サーニャは結構酒強いナ。飲酒解禁されてからもかなり飲んでいたからナ…」

 

宮藤「ウォッカをストレートで飲めるなんて流石オラーシャ人ですね」

 

サーニャ「オラーシャでは…、ウォッカは暖房器具兼飲用水だから…」

 

宮藤「度数40度のウォッカが飲料水なんて・・・もしかして、旧501ではサーニャちゃんが1番お酒強いんじゃないんですか?」

 

エイラ「そう言えば、サーニャと前お酒飲んだ時は沢山飲んでもほとんど酔わなかったんダナ」

 

それから1時間ほど食事をしながら談笑していた

 

宮藤「そう言えばハルトマンさん。さっきは言いませんでしたけど、ローザンヌ医学校の新入生は2回だけ新任の医師からの特別授業を受けるんですけど、その講師が実はハルトマンさんの時は私なんですよね〜。」

 

ハルトマン「え、そうなの?宮藤すごいじゃん!それは楽しみだね~」

 

宮藤「もし、居眠りしてたら質問を投げちゃうかもしれませんね〜。」

 

ハルトマン「ヒエ~、それは勘弁だよ~。トゥルーデに殴られる方がマシ~」

 

宮藤「寝なかったら当てないと思いますよ〜・・・あれ?エイラさんグラスを持ったまま寝ちゃってますね。飲みすぎたんでしょうか?」

 

サーニャ「…エイラ…、エイラはあまり強くないのに、無理して飲むから…」

 

宮藤「そういう、サーニャちゃんはこの短時間で700mlのウォッカをボトルで三本飲んでて平気そうな顔してるね。」

 

サーニャ「…まあ、美味しいからね…。楽しくなるとどんどん空くよ…」

 

ハルトマン「それじゃあ、エイラは寝たみたいだし、早いけどそろそろ帰ろっか。」

 

4人は会計を済ませてレストランの外に出た。

 

宮藤「今日は本当にありがとうございます。楽しかったですよ~」

 

ハルトマン「良いってことよ。それじゃあ宮藤次会うのは同僚としてじゃなくて学生と先生としてかな。」

 

宮藤「そうかもしれないですね~。ちゃんと授業聞いてくださいよ~?」

 

ハルトマン「聞くに決まってるよ〜。それに聞かなかったら単位落とすじゃん。」

 

宮藤「そうですね。やっぱり医学部はほとんど試験点で決まりますからね。出席点なんて申し訳程度にしかないですよ~」

 

ハルトマン「やっぱり試験が大事なんだね〜。・・・さてと、私はこっちだから3人ともまたね〜。」

 

宮藤「ハルトマンさん入試、頑張ってください~」

 

サーニャ「ハルトマンさん…、ありがとうございます…」

 



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少し悲しくなります。

タイトルが思いつかね〜


宮藤がハルトマンと食事をして半年ほど経過してハルトマン達新入生への講義の日

宮藤 「新入生の皆さんこんにちは。私は4年前にローザンヌ大学病院に就任した精神科の宮藤芳佳です。本日は特別講師として来ましたお願いします。」

 

ハルトマン「本当に宮藤が来た…、ちゃんと授業聞かないと…」

 

ハルトマンが小声で驚いているとハルトマンの横の席に座っていた1人の生徒がハルトマンに聞こえるぐらいの声で悪態を着いた。

 

女子生徒「医者が怪我してるってウケるんだけど。患者に対して説得力ないだろうな〜。」

 

その言い分にハルトマンは当然ながら反論した。

 

ハルトマン「あんた、負傷者が医療に関わっちゃいけないって誰が決めたの?盲目でも看護に献身した偉人はいるし、ハンデを抱えても社会生活する人はごまんといるんだよ?あんたの方が、患者の気持ちを理解できないと思うよ?」

 

女子生徒「は?あんたには言ってないでしょ。どんな考えを抱こうが私の勝手でしょ?」

 

ハルトマン「なら、わざわざ口に出さなくてもいいんじゃない?誰かがそれを耳にして、不快に思うとか考えられないの?そんな人間が医者になっても、大成はしないだろうね」

 

女子生徒「口に出す出さないのも私の自由でしょ?ていうか、あなたさっきからなんなの?あの先生を擁護するけど点数稼ぎかなんかなの?」

 

ハルトマン「点数稼ぎでこんな事言うわけないよ、あなたこそ、そんな事を言って先生の機嫌損ねるって発想はないのかな?」

 

女子生徒 「ちっ!五月蝿いわねこのチンチクリンが!」

 

二人が大声で話していると教壇にいた宮藤がマイク越しに2人に注意した。

 

宮藤「そこの2人!さっきから五月蝿いですよ!人の話を聞く気がないならこの教室から出ていってください!」

 

ハルトマン「あっ、ごめんなさい。真面目に授業を聞きます」

 

女子生徒「ちっ!分かりました」

 

宮藤 「2人とも授業が終わったら教室に残って下さい。それでは、授業を始めます。まず、・・・」

 

授業終了後

 

宮藤「2人とも、一体なんで喧嘩なんてしてたんですか?」

 

ハルトマン「この人が『傷ついた人間は、医者になる資格はない』なんて言うから、つい反論したくなったんだよ」

 

女子生徒 「は?そこまで言ってないでしょ。私は怪我人の医者は患者に対して説得力が無いとしか言ってないじゃん!拡大解釈も程々にしてよ!」

 

ハルトマン「説得力がないなら、それはもうなっても意味が無いと同義じゃない?人を見かけで判断するのは良くないでしょ。医者も人間なんだから、ケガや病気の一つや二つはするもんだよ」

 

宮藤「はぁ。あなたの言い分もわからなくは無いです。確かに患者さんの中には私が怪我人という理由で見下してくる人はこの病院に就任してから沢山居ました。」

 

ハルトマン「宮藤の優しさにつけ込む人は少なくなかったんだね、悲しいよ…」

 

宮藤「でも、私はその度に患者さんと真摯に向き合ってきちんと診療をしたら、最後には分かってくれましたよ。」

 

ハルトマン「宮藤は本当に聖人だよ、医者の卵って皆宮藤みたいな人かと思ってたけど…、現実は非情だね…」

 

宮藤「とりあえず、今回の件は学校側に報告させてもらいます。その後の判断は教職員の人達にお任せしますので。…それと、明日も私の授業がありますけど、もしそこでも揉め事を起こすようなら明日、最後に行うテストに参加させませんからね。」

 

ハルトマン「分かりました、こんなのの近くには行きません」

 

女子生徒「私だって近付かないわよ!」

 

宮藤「では、もう解散してもらっても大丈夫です。・・・あ、やっぱりハルトマンさんだけは残ってください。この後はもう講義はないはずですが大丈夫ですか?」

 

ハルトマン「うん、大丈夫です」

 

女子生徒「それじゃあ、失礼しますね。」

 

女子生徒は部屋を出て行った。

 

宮藤「ふぅ〜。すいませんハルトマンさん。態々残ってもらって。」

 

ハルトマン「宮藤、授業妨害になったなら申し訳ないと思ってる。ただあの子が、わざわざ聞こえるように宮藤を揶揄したのがどうしても耐えられなかったんだよ」

 

宮藤「ありがとうございますね。…実はさっき私一つだけ見栄を張ってしまったんですよね。実は私の事を見下してた患者さんとは殆どの人には分かって貰えず終わってしまったんですよね。・・・ハルトマンさん。私って医者に向いてないんでしょうか?」

 

宮藤は涙を流し始めた。

 

ハルトマン「いや、宮藤こそ本当に医者になるべき人間だよ。宮藤は、医者に本当に大切なものを持っているから。私も医学校に入って初めて分かった。派閥や利権の事しか考えない医者も少なくないし、中には患者を実験動物くらいにしか考えてない人までいた。そんな中で本物の医者を務める宮藤は、戦場に咲く一輪の花だよ」

 

宮藤「そうですかね?ありがとうございますハルトマンさん。…実はアルテアちゃんが2年前、病院内での派閥争いに巻き込まれて医者を辞めちゃったんですよね。だから、相談出来る相手が誰も居なかったんですよね。」

 

ハルトマン「アルテアが辞めちゃうなんて…、本当にこの世界は怖いよ…。私達の戦いはまだ終わらないね、今度の敵は、医局派閥という名のネウロイの巣なんだね」

 

宮藤「中々に的をいているような例えですね…でも、幸運なのか私がいる精神科とハルトマンさんが志望してる小児科は派閥争いに対しては無関心なんですよね。だから、余程の事がない限りは巻きこまれるという事は無いと思います。」

 

ハルトマン「確かに、1番酷いのは外科と内科、それと循環器科に心療内科だもんね。特に心療内科なんて、成績下位者の流刑地とも呼ばれてるし、あそこはとんだブラック診療科だよ…」

 

宮藤「・・・これは、私の勝手で傲慢な考えですけど、これからお医者さんになっていく全ての人に変な派閥争いに巻き込まれず幸せになって欲しいんですよね。」

 

ハルトマン「私も同感だよ。医者の本分は患者の救命。汚い権力や私服に溺れて醜く争うのは見てられないからね」

 

宮藤「何とか、変えていきたいですね。…でも、私達2人じゃ直ぐには変えれないでしょうね。時間が掛かってもいいので変えていきましょう!」

 

ハルトマン「そうだね!あと、辞めちゃったアルテアからも、少し話を聞いておきたいな、何か情報を得られるかもしれないし。あと、あの子とはなるべく距離を置くよ」

 

宮藤「・・・ハルトマンさん。実はアルテアちゃんはここを辞めてから極度に人を嫌うようになってしまったんです。私も診察に行こうとするんですけど、毎回門前払いされてしまうんです。」

 

ハルトマン「もしかしたら、単に派閥争いに巻き込まれただけじゃないのかもね。考えたくもないけど、力のある教授の誘いを蹴ったら性暴力を受けたとか。それくらいやりそうな俗物教授、心療内科や内科あたりにはいそうだしね」

 

宮藤「分かりません。内科の人に聞いても教えてくれず、アルテアちゃんには接触できないので。」

 

ハルトマン「…何だか医学界の闇って怖いね。私も気をつけないと…」

 

宮藤「…そうですね。でも、私は汚い大人の下に降るのは絶対に嫌です」

 

ハルトマン「宮藤は曲がりなりにも扶桑の英雄だし、優秀なウィッチだったから、狙う人は少なくないかもね。そう言えばトゥルーデ達が言ってたよ『何か自分1人で手に負えない事が起きたら、構わず自分達に相談して欲しい』って、魔法はなくなっても、やれそうな事はあるからって」

 

宮藤「バルクホルンさん達が・・・そうですね。1人で抱え込まず昔の仲間も頼っていいんですね!」

 

ハルトマン「そうだね。あんまり大きな事は出来ないけど、多少の助けにはなれるかもって言ってたから」

 

その時、講義室のドアがノックされた

 

女子生徒2「ねぇエーリカ。まだ終わらないの?早くしないと食堂閉まっちゃうよ?今日はエーリカが大好きなふかし芋があるのに〜。」

 

宮藤「あっ、もうこんな時間なんですね。とりあえず今日の所は終わりにしましょう。大好物を楽しんでくださいね?」

 

ハルトマン「そうだね。宮藤は晩御飯どうするの?あれなら一緒に食べる?」

 

宮藤「せっかくなので、ご一緒させていただきましょう」

 

ハルトマン「よし!じゃあ私の友達と3人で食堂に行こうか!」

 

宮藤「ありがとうございます!」

 

そして、2人は講義室から出て外にいたハルトマンの友達と会った。

 

女子生徒2「あ!宮藤先生もおられたのですね。すいませんでした!」

 

宮藤「大丈夫ですよ、殊勝でいい子ですね」

 

ハルトマン「それじゃあ、食堂に行こっか〜。」

 

宮藤「今日の食堂のご飯何かな~、楽しみだな~」

 

3人は食堂に移動して晩御飯を取り始めた。

 

女子生徒2「あの、宮藤先生。1つお聞きしたい事があるんですがいいですか?」

 

宮藤「何でしょうか?分かる範囲でなら答えられますよ?」

 

女子生徒2「えっと失礼な質問かもしれませんがいいですか?。・・・その、宮藤先生はどうして、そのような体になっても医者を続けるんですか?」

 

宮藤「…私は昔から、誰かを救いたくて行動したかったんだよね。色々な事もあって、何度も死にかけたし、何度も夢を諦めかけた事もあった。それでも私は、自分が諦めた事で、助からずに死んでいく人が大勢いると思ったの。世の中には、まっとうな日常をハンデのせいで送れない人もたくさんいるから、そういう人達の希望にもなれたらいいなって思ったの。なんかしんみりさせてごめんね?」

 

女子生徒2「いいえ。こう言ったら差別に聞こえるかもしれませんけど、障害者でもきちんと医者になれる人もいるんだなって思って安心しました。・・・実はエーリカにしか話してませんが、私は6年前ネウロイの攻撃に巻き込まれて左足を失ったんですよね。」

 

そう言って左足のズボンを上げるとそこには偽足があった。

 

宮藤「貴方もネウロイの被害者だったんですね…。その気持ち分かります…。私も、大勢犠牲者を見てきましたから…」

 

女子生徒2「・・・あの、私は将来、宮藤先生と同じ精神科希望なんですけど、なにか心構えを教えて貰っても良いですか?」

 

宮藤「そうですね、まずはやはり『相手の立場に立つ』事が肝要だと思います。そのためにも、相手の話を謙虚に聞く事を心がけてください。もっとも、何でも鵜呑みにするのではなく、アドバイス出来るようにきちんとまとめましょう」

 

女子生徒2「成程。患者さんの話をしっかりと聞くべきですか・・・あの、もし此方を見下して来る患者さんがいた場合はどうしたらいいんでしょうか?」

 

宮藤「出来る事なら、気にせず応対したいけど、そこまで出来る人は少ないからね。私なら、とりあえず誰かに相談しますね」

 

女子生徒2「・・・あの、宮藤先生!もし、私が研修医として宮藤先生がいる病院に入れたらその時は上級医として着いて貰えませんか?」

 

宮藤「ええ、その時は快く歓迎しますよ?でも、まずは実力で私の所にたどり着いてください」

 

ハルトマン「それは大丈夫でしょ宮藤。だってこの子入学試験で試験の総合成績2位の私を抜いて1位だったんだよ。」

 

宮藤「それはすごいですね!楽しみですよ!」

 

女子生徒2「ちょっとエーリカ!いくら私たちより年下でも先生だから、呼び捨てとタメ語じゃなくて敬語使わないと!」

 

宮藤「いいんですよ、彼女とは昔、背中を預ける関係でしたから~」

 

女子生徒2「え!てことは宮藤先生も昔は501のウイッチだったんですか?」

 

宮藤「そうですよ~、私もウィッチをしてたんですよね~」

 

女子生徒2「てことは、私の地元のカールスラント南部も取り戻してくれたんですか!ありがとうございます!」

 

宮藤「残念ながら、私は現役だったのがベルリン解放戦までだったんですよね。南部戦の前にある事があって部隊を辞めざるを得なくなったんです。南部の空でハルトマンさんの背中を守れなかった事、今でも悔しいと思っています」

 

女子生徒2「あぁ、そうだったんですね。ゴメンなさい。嫌な事を聞いてしまったみたいで。」

 

宮藤「大丈夫ですよ、気にしてませんから~」

 

女子生徒2「ありがとうございます!それじゃあ私は用事があるのでこれで失礼します。明日も宮藤先生の授業楽しみにしてます!」

 

宮藤「こちらこそ、では、お疲れ様です~」

 

ハルトマンの親友は食堂から出て行った。

宮藤「いや〜、あの子すごいグイグイ来ましたね。少し驚いちゃいました」

 

ハルトマン「あの子は将来有望そうだよね、ああいう子はきちんと守らないといけないね」

 

宮藤「そうだね。もう、アルテアちゃんのような被害者を出さないようにしないとね」

 

ハルトマン「何とか私たちも、生き延びないとね。この医療界という戦場を」

 

宮藤「そうですね。けど、まさか味方と相手が誰かも分からない戦場を掛け回らないといけないとは夢にも思いませんでした。」

 

ハルトマン「501時代の方が、まだネウロイという明確な敵がいたから楽だったかもしれないね。今は見かけからは判別不能な敵の渦中だし…」

 

宮藤「あの頃が懐かしいですね〜。・・・そういえば他の皆さんはなにをしてるんでしょうか?」

 

ハルトマン「基本的に皆原隊復帰してるね。ただペリーヌは、ガリアで孤児院をしてるよ。あとシャーリーは整備兵に転科してるね」

 

宮藤「孤児院を経営するなんてペリーヌさんらしいですね。・・・今度なにか差し入れを持って行ってあげようかな」

 

ハルトマン「ペリーヌも、何かあったら宮藤の力借りたいって言ってたよ。相変わらず素直じゃなかったけどね」

 

宮藤「だったら、来週から休みが重なるので少し会いに行ってみようと思います。」

 

ハルトマン「多分ペリーヌも何だかんだ喜ぶかもよ~?」

 

宮藤「ですね。ペリーヌさんは優しい人ですから」

 

ハルトマン「じゃあ宮藤、明日も早いだろうから、ここらで一旦解散だね。お疲れ様~」

 

宮藤「そうですね。お疲れ様です〜。」

 



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まさかの人物との再開です

今話でまさかのあの人が出てきます!

*それと、この世界の医学校は将来希望する診療科の学科に所属するようになってます。リアルの医学校事情は分かりません!




翌日、宮藤の講義2日目の途中にて・・・

 

宮藤「それでは、いまから15分の休憩を挟んでからテストを行います。テスト内容は小論文ですが、議題は開始前に教えます」

 

ハルトマン「ふう、小論文は苦手だなぁ。何とか書いてみよっと」

 

15分後

 

宮藤「それでは、小論文の議題を発表します議題は『これからの医療が進む道』です。原稿の量と題名は議題にさえ沿ってれば問いません。が最低でも原稿用紙3枚。つまり、1200字は超えてください。制限時間は90分です。始めて下さい!」

 

ハルトマン「なるほど、頑張って私の考えを書いてみようっと。えっと私の考える医療のあり方は…(少女執筆中)」

 

そして、90分後

宮藤「お疲れ様です。採点もあるので返却は明後日にします。1番最高点の小論文の執筆者はみんなに発表してもらいましょうか。」

 

ハルトマン「ふー、こんなに文章書いたの初めてだなぁ。事務作業に明け暮れてたミーナの苦労が分かった気がする…」

 

さらに2日後

 

宮藤「皆さんの小論文読ませて貰って、ほかの先生とも協力してもらい、客観的に採点を行った結果、満点とも言える小論文を書いた生徒が2人も居ました。」

 

ハルトマン「2人もいたの?!どんな人なんだろう…」

 

宮藤「その、2人の名前は・・・小児科の『エーリカ・ハルトマン』さんと精神科の『女子生徒2』さんです。」

 

ハルトマン「えっ?!私が?!予想してなかったよ…!」

 

宮藤「時間もないのでどちらか1人に発表してもらおうと思います。どっちか発表したい方いますか?」

 

女子生徒2「では、私が発表したいと思います…!」

 

宮藤「分かりました。では、女子生徒2さん壇上に来て発表をお願いします」

 

女子生徒2「はい!」

 

壇上に向かう

 

女子生徒2「私の書いたテーマは『精神障害者と社会の向き合い方』です。私の考えは…」

 

発表終了後

 

宮藤「発表ありがとうございました。他の人の原稿は後日、教員の先生にお願いして返してもらいます。それでは、今日はありがとうございました。」

 

授業終了後、講義室前の廊下にて

 

ハルトマン「うぅ。まさに、今の社会を捉えたとても良いテーマだったよ」

 

女子生徒2「ありがとう!何だか宮藤先生を見てたら、うまく考えがまとまったんだよね!」

女子生徒1「気に入らないわね。どうせ、あの先生は自分と同じ境遇の貴方に仲間意識を持ったから高得点をつけられて、そこのちんちくりんは仲間馴染みで情けをかけられたんじゃない?」

 

???「そんな事ないですわよ。論文の採点は、彼女含めて3人の採点官で行いました。あの2人の小論文は、他の2人からも高い評価を得ています。内容はきちんと実力発揮されていましたからね。それに引きかえ、貴方の論文は最低でした。生きるに値しない命の間引きと断種が社会のためになるなど、人間が書いたとは思えない内容でしたからね。貴方、心療内科のシャイタン先生の所を希望してるらしいですね?それなら、あんな内容を書くのも納得ですわ」

 

女子生徒1「誰ですか貴方は!それに、使えない人間の命を使って誰が悲しむんですか?逆に医療の発展に貢献出来て嬉しいはずですよ!」

 

???「申し遅れました、私は桜庭蘭子と申します。今回採点官を担当した眼科のハイネ教授ゼミの大学院生です。授業セッティングのお手伝いをしています。以後お見知り置きを。しかし、貴方の思想は全く医者向きではありませんね、誰かの差し金で裏口入学したんですか?」

 

女子生徒1「確かに、私の先生はあなたがさっき貶したシャイタン先生ですね。それにどんな実験をするにしても大量の人間が必要なんです。その実験の為に使えない人間を使って何が悪いんですか?」

 

蘭子「…障害者はモルモット程度でも構わないという、貴方達の危険思想を憂いたんですがね。貴方のような人間に医師免許がおりる現状は間違っています。ローザンヌ医局派閥は、教授の言う通り腐敗の極致に堕ちてますね。貴方とはこれ以上話す必要もないようです」

 

女子生徒1「危険?よく分からないわね。実験に犠牲は付き物よ。なら、失う物が少ない障害者を。特にそこの車椅子の先生やこの義足女なんかピッタリと思わない?」

 

蘭子「医師どころか、人間としても心が欠落してるわね。まるでカールスラントの悪魔、ゼフゲレ医師よ。…私は貴方を絶対に許さないわ。それと、今回の評点は覆さないわよ。」

 

女子生徒1「ちっ!」

 

女子生徒1は何処かに走り去っていった。

 

蘭子「あの子…、要注意ね。それと、シャイタン先生…、やっぱり噂は本当みたいね。しかしあの子、去年の編入試験の時は弾いたはず…。この数年の試験結果をもう一度洗わないといけないわね」

 

宮藤「そういえば、あの子私が編入試験受けた時にいた人の妹さんみたいですね。全く姉妹揃って困った人達です」

 

蘭子「宮藤先生、お疲れ様です!この度は授業をありがとうございます。うちの教授も高く評価していましたよ?」

 

宮藤「あ!お疲れ様蘭子さん。ハイネ教授はなんでか、私には凄く優しいですよね。私なんて、医者としても先生としてもまだまだなのに。」

 

蘭子「実はハイネ教授も、昔ウィッチだったんですよ。宮藤さんがウィッチあがりだと聞いて、色々心配になったのかもしれません。もっとも、教授は泣き虫な所があって戦場を怖がったので、結局どの部隊にも行けずにあがりを迎えたんですけどね」

 

ハルトマン「そういえば、現役の頃トゥルーデからそんな話聞いた事あったな。それって、ハイネ教授の事だったんだ。」

 

蘭子「そうだと思われますね。教授、引っ込み思案で泣き虫なせいで、あまり活躍してませんでしたから、カールスラントに少々記録が残るくらいですし。このローザンヌで医師を続けてるのが奇跡なくらいですよ。ちなみにウィッチ時代の固有魔法は『空間裁縫』で、生物無生物問わずあらゆるものを魔法の糸で縫い付ける技だったそうです。さすがにガスや水のような流体は対象外ですが」

 

ハルトマン「なかなか便利そうな固有魔法だね〜。」

 

宮藤「そうですね。現役の頃のハルトマンさんの部屋を掃除する時とかに便利かもしれませんね。」

 

ハルトマン「宮藤~、全部縫い付けられたら、トゥルーデの私物も巻き込むかもよ~?」

 

女子生徒2「え!エーリカ。あんたの軍人時代の部屋そんなに汚かったの?だって今のあんたの部屋ホコリひとつ無い医者のお手本のような部屋じゃない!」

 

宮藤「あれはもうごみ溜めと言う方が正しいですね~、ハルトマンさんも、医者になるためにようやく身を律したんですね~」

 

女子生徒2「信じられないわね。だってあなた、私が部屋に空のペットボトルを置いてるだけで嫌がって即片付けるじゃない!」

 

ハルトマン「私だって進化したんだよ!昔の同室者も相当な綺麗好きだったからね~」

 

宮藤「いや、ハルトマンさん。バルクホルンさんは綺麗好きと言うより、あんなに汚すぎる部屋が嫌だったんだと思いますよ。」

 

ハルトマン「あっ、バレた?えへへ、だよね~」

 

女子生徒2「・・・あんたが、住んでたゴミ部屋を1度見てみたかったわね。」

 

宮藤「見ない方がいいですよ~?芋が自生してたり、雪崩が起きたりしてますから~」

 

女子生徒2「え?人が住む部屋に芋が自生してたの?」

 

宮藤「夜食の芋の食べ残しだと思いますね~。ハルトマンさんはそれなりに夜間勤務も多かったですから~」

 

女子生徒2「あ〜。私そんな部屋に住むの無理ね。ねぇ、エーリカ。なんで掃除とかしなかったの?」

 

ハルトマン「何かね、当時はとにかく、片付けに対して意義を求めてなかったの。1度大掃除したんだけど、ゴミの山に十字剣付き柏葉勲章を混ぜちゃってね…。それを探したら元通り。それでしばらく片付けにやる気をなくしたの…」

 

宮藤「(あの山を片付けたのは殆ど私達だけど何も言わないでおこうかな)・・・それじゃあ私、病院の方に取りに行く書類があるので失礼しますね」

 

蘭子「あっ宮藤先生、私も同行しますね。私も教授の所に戻りますから」

 

宮藤「分かりました。それじゃあハルトマンさん達、また今度会いましょうね〜。」

 

ハルトマン「じゃあね~宮藤、楽しい授業だったよ~」

 

病院に戻る2人

 

宮藤「そういえば、ハイネ教授には言ってますが、今年眼科に研修医として入った子。あの子はさっき絡んでた女子生徒1さんのお姉さんで6年前、私が編入試験を受けた時に私を見下してた子なんですよね。まさか、医者としての道を進むとは思いませんでした。」

蘭子「そう言えば、教授が悩んでましたね。厄介な爆弾が紛れ込んだと。姉妹揃ってああも腐ってるとは、ローザンヌ医局の選抜に問題がありそうですね」

 

宮藤「いくら、ハイネ教授でも問題を起こしてない人のクビを切る事は出来ませんからね。・・・本当に厄介な爆弾ですよ」

 

蘭子「そうですね。まだ実際に何かをやらかした訳では無いですし、ハイネ教授の性格を考えたら、人の首を切る勇気なんてありませんよ。眼科は本来傍観勢なのですが、勢力拡大のための工作があるようです。宮藤さん、恥を忍んでの頼みなのですが、ハイネ教授と勢力を組みませんか?貴方ならハイネ教授も安心すると思うのですが」

 

宮藤「大丈夫ですよ。私は何時でも協力します。それに、眼科までもが勢力に取り込まれたら無事な、精神科と小児科も直ぐに陥落してしまいますからね。お互いの為にもここは協力しましょうか。」

 

蘭子「ありがとうございます。ハイネ教授の数少ない味方である2人の先生も、宮藤さん側についてくれると思います。これがその2人ですね。・・・1人は小児科のヴェール先生、ガリア出身の元ウィッチです。もっとも、サボり癖ばかりで軍には入れなかったんですがね。もう1人は産婦人科のジェニー先生、リベリオン出身の元ウィッチで、産婦人科最後の良心です。何だか宮藤先生の周りって、よくウィッチが集まりますね?」

 

宮藤「確かにそうですね。類は友を呼ぶとは言いますけど、元ウィッチ同士、惹かれ合う縁でもあるんですかね。・・・それじゃあ、私は診察室の方に行くのでここで失礼します。ハイネ教授によろしくお願いします。」

 

蘭子「はい、よろしくお願いしますね宮藤先生」

 

精神科の診察に着いて

 

宮藤「え〜と、必要なのはこれと・・・」

 

その時宮藤の後頭部に拳銃が突きつけられた

 

???「動いたら撃ちます。大声を出しても撃ちます。そのままの体制で私の話を聞いてもらいます。」

 

宮藤「…貴方は誰ですか?目的は何なんですか?」

 

???「誰って酷いな〜。貴方は私の事を知ってるはずだよ。『芳佳ちゃん』?」

 




最後に現れた人物とは一体!


それと、これから出てくるキャラは大抵遊戯王OCGに関係したキャラです。キャライメージをしたかったらググってください!

*執筆者2名は遊戯王が大好きなんですよ!


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悪魔達との再開です

ちょっと、今更ですが、今までのような台本形式を一旦辞めて書いてみます。と言ってもカギ括弧前の名前を消すだけですが




宮藤は診察室でとある人物に銃口を突き付けられてた。

 

「久しぶりだね、芳佳ちゃん?」

 

宮藤はその懐かしい声を聞くと冷や汗を書き出した。

 

「…リ、リーネちゃん?!リーネちゃんは確か死刑になってもうこの世にはいないはず!何で生きているの?!」

 

「実は、私が喉を潰された時にシャイタン先生が治療してくれたの。そして、その時に取引をしたの。シャイタン先生に忠誠を誓う代わりに命を助けてくれるってね。それで勿論、承諾して死刑執行の時に死を偽装して助けてくれたの。」

 

「あの時の執行官は扶桑ともブリタニアとも関係ない人から選ばれて…、そうか、素性を隠して変装して紛れ込んだ…!簡単な面談しかしてないからすり抜けたのね…!で、目的は何?私への復讐?それともシャイタン先生派に引き込むつもり?」

 

「相変わらず勘がいいね芳佳ちゃん。もし、芳佳ちゃんがシャイタン先生側に着いて、ハイネ教授側を内部から壊してくれたら復讐はしないよ。」

 

「残念ながら、それは出来ないね。シャイタン先生は優生思想信者。リーネちゃんが許しても、シャイタン先生が私を受け入れないから。ハイネ教授を始末したら、私も口封じする気でしょ?」

 

「どうだろうね〜。それは、シャイタン先生だけが知ってるよ。・・・あ、そうだ!ひとついい事教えてあげる。芳佳ちゃんを裏切ったお友達について。」

 

「う、裏切った…?まさかアルテアちゃんが辞めた理由ってまさか…、シャイタン先生側についたから…?」

 

「うん。今、芳佳ちゃんの元お友達はシャイタン先生の元で熱心に研究をしてくれてるよ。たしか今は医療の禁忌とされてるものが本当に危ないのかを調べる実験をしてもらってるよ。既に何人が死んだかな〜。でも、凄く嬉々としてるからシャイタン先生も喜んでるよ」

 

リーネちゃんは悪魔のような笑みを浮かべていた。

 

「…やっぱりこのローザンヌは完全に腐ってるね。人の命をおもちゃ扱いして、それに何らの疑いもない人間ばかり。医者の本業は救命でしょ?殺人鬼を育てる学校だよこんなの!」

 

「その救命の為に研究をしてるんだよ。その為に亡くなった人は医療発展の為に尊い犠牲になったの。」

 

「…やっぱりリーネちゃんとは、全く相容れないよ。手を尽くしたけどダメだったのと、初めから死んでも構わないと好き勝手にやるのは全然違う。もう言いたい事がないなら帰ってよ」

 

「うん。今日は6年振りに会いに来ただけだから。」

 

リーネは帰る前に宮藤の右肩を撃ち抜いた。

 

「安心して、後5分もしたらハルトマンさんが来てくれる筈だから。それじゃあね芳佳ちゃん。」

 

リーネは薬莢を回収してその場をウキウキに立ち去って行った。

 

「…っ!痛い…、リーネちゃん…。今度こそ確実に引導を渡さないと…。それと…、もしかしたら…ローザンヌだけでこの闇は終わらない…、くっ…」

 

リーネが帰ってちょうど五分後にハルトマンが診療室にやって来た

 

「宮藤〜、用事って・・・!どうしたの宮藤!なんで肩から血が!」

 

「後ろから死んだはずのリーネちゃんが現れて…、いきなり撃たれたんだよ!執行官の中にシャイタン先生が紛れていたらしくて、死刑を偽装したみたい…。それと、アルテアちゃん、今はシャイタン先生の軍門だって…」

 

「話は後で聞くからちょっと待って!急いで止血するから!」

 

ハルトマンは薬品棚から包帯やタオルを取り出す。

 

その時、診療室に背の低い青髪の女の子が入ってきた。

 

「おーい、さっき銃声らしきもの聞こえたけど、何かあった?って、宮藤くんにハルトマンくんじゃないか!宮藤くん、誰に撃たれたんだい?」

 

「あ、すいません誰だか、存じませんが輸血パックを持ってきてくれませんか?私じゃどこにあるか分からないので願いします。血が流れすぎててこのままじゃ宮藤が出血死しちゃいます!」

 

「すぐに持ってくるから、待っててね~。」

 

それから、数分後

 

「はい、宮藤さんの血液型はこれでいいはずだよ~。あと、もしも右肩動かないなら、私に言ってね~」

 

「ありがとうございます。」

 

ハルトマンは輸血パックを受け取ると宮藤に急いで輸血を行った。

 

「ふぅ。なんとか、輸血まで出来ました。宮藤は今寝てますけど、貴方は一体?」

「ああ、紹介が遅れたね。私はヴェール教授よ。貴方の希望する小児科の先生の1人、なーんかハイネから、最近怪しい人が出入りしてるって聞いたから、見回りしてたんだよね~。めんどくさいけど」

 

「すいません、先生だったんですね。助けてくれてありがとうございます。実は、宮藤が」

 

ハルトマンはわかる範囲でヴェール教授に事の経緯を説明した。

 

「ふーん、死んだはずのリーネって人がシャイタン先生の部下に…。やっぱり噂は本当なんだね。欧州医学界全体で、ウィッチの奪い合いが始まってるの。オラーシャ解放でネウロイはいなくなり、ウィッチを軍人として抱き込む理由がなくなったから、再就職の名目で自分のボディーガードとして抱き込む人が増えてるらしいの。さすがに士官以上は軍が手放さないから、狙われるのは主に軍を辞めたり、兵卒のウィッチなんだけど。まさか尉官級でそこそこ名の知れたリネット中尉が抱き込まれるなんてね。私からも頼みたいの、貴方の知り合いのウィッチ、できる限りこちら側につけられない?」

 

「成程。確かに残りのウィッチをこっち側に着けば他の人たちはウィッチを抱き込めないですね。分かりました元同僚に電話してみます。そこから、更に広げてみましょう。」

 

「あと、ちょっと宮藤さんを治しておくね~。むん!」

 

ヴェール教授は魔法力を宮藤の肩に込める。

 

「ふう、とりあえずこれで肩はまた動くはずだよ~。ただ、身体の栄養少し使ったから、起きたらお腹空いてるだろうけど」

 

「え!なんですか今の!まさか、貴方も回復魔法の使い手なんですか?」

 

「私の固有魔法は『物質創成』よ、簡単に言えば、錬金術のようにある物質を別な物質に変換するの。さっきのは、宮藤さんの身体の栄養を使って、傷ついた骨や筋肉を作り直したの。変換先が元の物質に近いほど魔力の消費は少ないけど、液体や気体のような「形ないもの」と「命あるもの」は作れないから。回復とは原理が違うわ。だから、血液や水分、酸素なんかは外からは補充する必要ありね」

 

「つまり、命の錬成や無機物は作れないけど、それ以外。例えば、私の身体が焼け焦げた場合でも生きてれば綺麗に作り直す事が出来るんですか?」

 

「生きてさえいれば、ね。さすがに死亡した場合は無理かな。ただ、焼け焦げから再生するとなると、材料として肉とか野菜が欲しいかな。形を持つものなら、無機物でも作れるよ、例えば石とか。液体と気体が作れないだけだから」

 

「素晴らしいけど、悪用されたら恐ろしい能力ですね。もし、ヴェール教授がシャイタン先生側だったらゾッとしますよ。」

 

「大丈夫、私のバックには、希少な男性ウィッチでかつ高い権力のあるアレイスターがついてるから。アレイスターは優生思想嫌いだし、シャイタンにつく事はないから。それにこの魔法、等価交換の原則を守る制約があるし、誓約で私利私欲目的の使用は出来ないのよ。万が一破れば、私を唆した奴ら事地獄に落ちるからね」

 

「成程。確かに、そんな強力な魔法がデメリット無しで使える事がおかしいですからね。」

 

その時、宮藤が目を覚ました。

 

「うぅ・・・あれ?ハルトマンさん。何故ここに?たしか私、リーネちゃんに肩を撃たれた筈なんですけど・・・」

 

「おはよう宮藤さん、調子はどう?私は小児科のヴェール教授よ」

 

「貴方がヴェール教授ですか。はじめまして。精神科の宮藤です…肩は不思議と痛くありません。・・・けど、なんでか異様な空腹感が襲ってきます。お昼ご飯はきちんと食べたはずなんですけど。」

 

「ああ、貴方の体内の栄養分で肩を治したからね。本当ならその脚も治せるけど、何年もそのままだからかなりの材料が居るからね。断念しちゃった、ごめんね?とりあえず、後でジェニー呼んでご飯でも用意させるよ」

 

「いえ、大丈夫です。・・・ヴェールさん。取り敢えず、ハイネ教授と蘭子さんを呼んでください。ここで起きた事は話しておくべきです。」

 

「そうだね、ハイネならまだ研究室だから、呼んでくるよ~」

 

「ありがとうございます。ヴェール教授。」

 

ヴェール教授が診察室を出たあと。

 

「・・・ハルトマンさん。この肩を治療してくれたのハルトマンさんですか?拳銃で撃ち抜かれたにしては腕がよく動くんですけど。」

 

「いや、ヴェール先生だよ。…ここだけの話、ヴェール先生はウィッチなんだよ。それで、彼女の固有魔法で宮藤の肩を治してくれたんだ。もっとも、彼女曰く「治療ではなく錬成」だから、輸血と体内の栄養が必要だったんだけどね。だから宮藤は今空腹なんだよ」

 

「成程。だから、異様な空腹に襲われてるんですね。・・・それにしても、リーネちゃんが生きていたなんて予想外のレベルを超えてますよ。」

 

「多分ミーナ達も見落としたんだろうね。執行官は外部から私たちと縁のない人を簡単な面接だけで選んでいたし、変装してうまくごまかせば、あっさり紛れ込めるから。執行は1人だけで、他は別室から見てるだけ、上手くやれば偽装出来ただろうね」

 

「次会ったら、絶対に目の前で息の根を止めてやります。…もう二度と私の前にあんな汚い姿を見せれないように」

 

「今はとにかく、シャイタン先生を何とかしないとね。あの人を潰さない限り、第2第3のリーネが生まれて何も解決しないから」

 

 

それから少しするとヴェール教授がハイネ教授と蘭子さんを連れて帰ってきた。

 

「待ったかな2人とも、ハイネと蘭子連れてきたよ~」

 

「あ、ありがとうございます。ヴェール教授。それじゃあハイネ教授、蘭子さん。此処で起きた事を話します。・・・」

 

宮藤はリーネとアルテアについて話し始めた。

 

それを聞き終わると、ハイネも自分が知ってることを話し出した。

 

「うーん、あの人なら確かにやりかねないわね。数年前に、目的不明の出張をしたのはそのためかしら?それとアルテアさん…、私の知る範囲では彼女は優秀で色々な診療科が欲しがってたけど…、内科のロシキ教授が彼女をホテルに連れ込んで枕営業しようとしたのよね。それをシャイタン先生が助けたのよ。思えばそれ以来、彼女はシャイタン先生にべったりだったわね。元々心療内科と内科は犬猿の仲だから、思えば引き込むために助けたようにも…」

 

「!やっぱり、アルテアちゃんは性的被害を受けてたんだ。・・・しかも、性的被害を受けた状態で助けられたからシャイタン先生を信用してしまったんですね。!」

 

「結局、ロシキ教授は性暴力の件で追放。内科の地位は失墜。逆に学生を助けたシャイタン先生の影響力で心療内科の地位は急上昇。今や流刑地は内科よ。授業でもたまに発達障害者やPTSD持ちを差別するような発言があるけど、あの人話術が上手いから。学生は知らぬ間に障害者差別意識を刷り込まれてるわよ。もっとも、うちは専門科は専門科所属生しか受けないから、全ての学生に差別意識があるわけではないけど。広く浅く教えるヘルウェティアだったら、今頃学生は皆、差別意識を刷り込まれてるわね。それくらい、彼の話術は巧みなのよ」

 

「成程。だから、私の授業を受けてた内科の生徒達からは私が冷ややかな目で見られてたんですね。・・・もしかしたら、アルテアちゃんを助けたのも計算のうちだったのかもしれません。」

 

その時、まさかのアルテアちゃんが診療室にやって来た。

 

「やぁ、久しぶりだね芳佳ちゃん。・・・いや、『障害者さん』?」

 

アルテアは宮藤を嘲笑うように言った。

 

「アルテアちゃん…、いや『シャイタン先生の付き人』さん?何の用かな?私は貴方と話す用は無いんだけど?」

 

「そう。・・・さっきリネットさんから貴方がシャイタン先生の誘いを蹴ったと聞いたの。少し様子を見に来たんです。それに、今の私は付き人じゃなくてシャイタン先生の妻なんだよ?」

 

アルテアは自分の左手薬指に付いてる指輪を見せびらかした。

 

「そりゃあ、障害者差別を全面に押し出す人の派閥に入った所で、私を快く受け入れてくれるなんて思わないもん。私の軍籍時代の人脈とウィッチである事以外に利用するものがないでしょ、入る理由がないよ。それに、結婚したって?へー、おめでとう、シャイタン先生とお幸せに〜」

 

宮藤も皮肉交じりで言葉を返した。

 

「ありがとうね、旧友からの祝いとして受け取るよ。それにしても残念だね。シャイタン先生の下につけば、貴方のその足と目は元通りにできるのにね。」

 

「笑えない冗談はよしてよね?元通りにするのは、恩を売るためでしょ?私は断じて、あの人の軍門には下らないからね?用がないならもう帰っていいよ?」

 

「あ〜あ。つまらないな。やっぱり障害者とは分かり合えないのか。本当になんで、こんな人と仲良くしてたんだろうな。思い出を振り返るだけでも吐き気がするよ。」

 

アルテアは宮藤が診察に使う机に乗ってる写真立てを手に取る

 

「うわ。まだ卒業式の時の写真なんてもってたんだ。私なんて、貴方との写真や貰った服。全部燃やしたよ。見るだけで反吐が出るからね」

 

「もうアンタは、私の知るアルテアちゃんじゃないね。障害者差別を振りまくただのゴミカスだよ。いい加減帰れよこの土人、テロリスト、ゴキブリ以下の害虫」

 

宮藤はアルテアから写真立てを取り上げて床にぶん投げる。

 

「あんたみたいな、ゴミは死ねばいいのに!」

 

「お〜、怖いな〜。それじゃあね。障害者さん。」

 

アルテアは笑顔でその場を去って行った。

「…あれはもう私の知るアルテアちゃんじゃありませんね。昔私もネウロイと分かり合えると信じた時期がありましたが、結局ダメでした。今はまた同じ判断をしないといけないみたいですね」

 

宮藤は目に涙を浮かべていた。

 

「…あれだけ啖呵を切るのもすごいと思っていたけど、内心はつらいだろうね。でもこれ以上被害者を増やす前に、ローザンヌの闇と戦うハラを決めないと、私たちの味方はいずれいなくなるよ?」

 

「そうですね、ヴェール教授。今はまだ限定的でも、リーネ中尉がついた事で学生にかかる圧は激増します。早いところ、こちらも固まりましょう」

 

その時電話の為に出てたハルトマンが戻ってきた

 

「お待たせ〜。トゥルーデに電話したところ今の所、元501、502の人間は全員こっち側に着いてくれるみたいですよ」

 

「ハルトマンさんありがとうございます!それと、シャイタン先生の側にリーネちゃんだけでなく、アルテアちゃんまでついた事も報告しましょう」

 

「手紙を送りたいの?なら私におまかせよ!」

 

その時、診察室にもう1人、入ってきた。

 

「ん?誰が入ってきた」

 

ハルトマンが入ってきた人物が誰か分からず首を傾げてると自己紹介を始めた。

 

「自己紹介が遅れたわね!私は産婦人科のジェニーよ!ヴェールに呼ばれたから来てみたら、何やら戦の準備みたいじゃない?私の魔法で、確実に当人達に届く手紙を作ろうと思ってね!」

 

「貴方がジェニー先生なんですね。よろしくお願いします。初めまして。精神科の宮藤です。それにしてもそんな事できるんですか!だったら、是非お願いします!」

 

「ええ、いいわよ?私の固有魔法は『文書交換』。宛名人以外には読めない文書を作る能力よ。途中で盗み見ようとしても、本当の内容は宛先の人物が手に取った時にしか読めないようになるの。制約は『文書は必ず私が作る必要がある』『宛先に出来るのは1人だけで、団体や法人名義にはできない』『宛名人が死亡または自我同一性喪失状態、もしくは文盲の場合は読み人不在で永遠に届かない』『図画や写真までは加工できない』の4つね。誓約として、私の愛用のペン以外で書くと魔法の効力が発揮しないというものがあるわ」

 

「それは、凄いですね。態々暗号文を作る必要もありませんね。だったら、元501の皆と元502の皆さん。でお願いします。」

 

「了解よ。じゃあ、2人で手紙作るわよ宮藤さん!」

 

「え?でもさっきの制約の話を聞く限りだと、ジェニー先生しか手紙作りに関わっちゃいけないように聞こえましたけど?」

 

「大丈夫よ、あくまでも『私が書かなければいけない』だけよ。誰かに口頭で読み上げてもらったものを書き写すだけなら、制約に引っかからないわ」

 

「成程。分かりました。それじゃあ、病院内にある私の部屋に行きましょうか。そこになら封筒と便箋が沢山ありますから。」

 

「ええ、では、手紙を書きにいきましょう」

 

2人は宮藤の部屋へ向かって行った。

 

 




う〜ん。台本形式に慣れてたから地味に面倒だな・・・次から元に戻すかもしれません


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リーネ達の持つ力とは!

うん。すいません。台本形式に戻します!台本形式の受けが良くないのは知ってますが、やりやすいんですよね。

*それと、今回もいいサブタイが思いつきませんでした


宮藤とジェニー教授が部屋を出ていった後。

 

ハルトマン「・・・私達はどうましょうか?リーネがいる以上、一人で行動するのは危ない気がします。」

 

ヴェール「なるべく2人以上での行動を徹底しよう。それと、彼女は確か狙撃関係の魔法持ちよね?時期を考えたら普通はもう魔法が使えないけど…、生きてるって聞いたから、多分『アレ』使ってるわよね?アレで生きているなら、あがり無関係に魔法を使い続けられるから」

 

蘭子「…『イルミナ』ですね。確かに、彼女の言動を整理すれば、イルミナスフォージを受けていると考えていいでしょう。イルミナの技術を持っている以上、取り巻きを何人倒しても消耗戦になるだけです。やはり直接頭を叩かねば…」

 

ヴェール教授、ハイネ教授、蘭子の3人が納得してるなか、ハルトマンだけは分かってなかった。

 

ハルトマン「・・・あの、『イルミナ』ってなんの事ですか?話を聞く感じだと、魔法を年に関わらず使えるように聞こえるんですけど?」

 

ハイネ「イルミナは、今は亡き扶桑の天城博士と、ブリタニアのミスラ博士が共同で発見した魔力塊よ。これを移植すると、ウィッチはあがりを迎えても魔力が減らず、固有魔法も使い放題なのよね。ただ、無理やり身体に埋め込む必要があるし、死んだウィッチを蘇らせる事も出来るのよ。ちなみに適合に失敗すれば、ただの異形の肉塊になるだけよ。当人の生きたい気力、それも殺意や復讐心のような負の感情が強いほど適合成功しやすいのよ。人道性が皆無な上に、怒りと復讐心でネウロイを殲滅した後、憎しみのままに戦争を始めるだけになりかねないとして。人体実験の証拠が見つかり2人は戦犯法廷で死刑になって、研究資料も全て処分されたはずなんだけど…」

 

ヴェール「多分、当時の研究員の一部が密かに逃げ延びて、何の因果かシャイタンと出会ったのかもね。当時の研究員も大半が断罪されたけど、研究員の数と裁かれた人数が合ってないもん」

 

蘭子「そもそもイルミナは、ネウロイのコアから見つかったものですよね?今ではそれを知る者も、かなり少なくなりましたが。ミスラ博士は元々、人造ネウロイの研究をしてましたから」

 

ハルトマンはイルミナの説明を受けると、半ばキレ気味で返した。

 

ハルトマン「っ!そんな非人道的な研究が行われてたなんて聞いた事ありません!てことは、リーネにそのイルミナってのを埋め込まれてたらリーネは私達と違ってまだ、空も飛べるし固有魔法も使えるってことですか!」

 

ハイネ「無理もないわ。内容を見た当時の捜査員がその凄惨さに震えて、絶対に世に公表しないようにと箝口令を敷いたのだから。私たちは、その時実験の再現性を検証していたアレイスターさんから聞かされただけ。あなたは信頼出来るから、こうして話したのよ」

 

ヴェール「アレイスターは『こんなのが世界中に拡散したら、世界はウィッチ同士の戦争にシフトする』と、かなり危惧してたからね」

 

蘭子「そうですね。リーネ中尉がイルミナスフォージを受けているなら、間違いなく今でも現役時代のように戦えます。もちろん、リスクは付きまといますけどね」

 

ヴェール「イルミナスフォージはイルミナを移植する手術なんだけど、成功したらしたで、イルミナに生殺与奪の権が握られるから、イルミナが壊れるとそのウィッチは死ぬんだよね。それと、イルミナスフォージは2度目を行うと、その分更に強くなるけど1年生きられるかすら分からないくらい寿命が縮むのよ。何度もポンポンやれば、それだけ死を早めるリスクがあるわ」

 

ハルトマン「つまり、リーネを殺すには体内に埋め込まれたイルミナってのを破壊しないと心臓を撃ち抜こうが死なないんですか?」

 

蘭子「その通りです。そもそもイルミナスフォージを受けた人間に心臓はありません。イルミナスフォージを受けた人間は、基本的に水と酸素だけあれば生命を維持できますから。完全に人の見た目をしたネウロイと思っていただければわかりやすいと思います」

 

ヴェール「しかも、そのイルミナがどこに定着しているかは個人差があって、必ずしも同じ場所にあるとは限らないわ。大抵はイルミナを体内に隠しているしね」

 

ハイネ「イルミナを表に引きずり出せば、真の力を引き出してより魔法を強化できるけど、同時に急所が無防備に現れるから、大抵の場合はそこまでする人はいないと思うわ」

 

ハルトマンはイルミナの説明を更に詳しく聞くと拳を強く握り締めた。

 

ハルトマン「つまり、イルミナはネウロイのコアみたいなものなんですね。てことは、簡単だ。ネウロイと違って感情がある。怒らせる事で動きを単調にする事ができるかもしれない。」

 

ヴェール「油断しない方がいいかもよ?私たちが知ってるイルミナの知識は、アレイスターが検証した頃のもの。つまり、10年以上前のものなんだから」

 

ハイネ「ネウロイだって、学習能力で日々進化してましたよね?動くコアとか、固有魔法でも補足できないコアとか、コアの中にコアとか、銃弾くらいなら防ぐ核に覆われたコアとか。シャイタン先生が改良を加えて、未知のイルミナを作っている事も考えられるわ。それに、リーネ中尉はそんなに感情を表に出すような人間に見えなかったし…、シャイタン先生がそういう教育を施している可能性もあるわね」

 

ハルトマン「確かにそうだね。でも流石にネウロイのように強力な再生能力は持ってないですよね?」

 

ヴェール「そうね、流石にイルミナに再生能力まで与える余地はないわ。ただ、魔法が現役時代以上にブーストされるから、強力なシールドは健在よ?」

 

ハルトマン「そう考えると、かなり絶望的ですね。こっち側のウィッチは殆どが上がり済み。相手は強力なウィッチ部隊・・・これなら、ネウロイ相手にしてた時の方が楽だったかもな〜。」

 

ヴェール「むしろ再生能力がない分、イルミナを仕留めきれずに痛々しい姿を見せながら蠢くウィッチを撃つせいで、PTSDになりやすいかもね。ウィッチは人を撃つ訓練なんてしてないから余計に」

 

ハルトマン「・・・確かにそうですね。私達ウィッチの相手はネウロイ。それで、私達は訓練を受けてたので。人を撃つ訓練をしてる人なんて普通は居ないはずですよ。リネットを除けばね。」

 

ハイネ「それを知ってリーネ中尉を取り込んだのかもね…」

 

その時、ハイネの私用の電話が鳴る

 

ハイネ「はい、こちらハイネですが…、あらエーデルどうしたの?え…?それ本当?!うん、分かった、伝えるわ」

 

ハルトマン「あの、今の電話は?」

 

ハイネ「私の研究生の1人のエーデルさんよ。どうやらシャイタン先生、あがり迎えたウィッチの確保はやめたみたい。代わりに、各国の兵学校から大量の候補生をかき集めて、教育とイルミナスフォージで大量のウィッチ兵を作るって…。カールスラント四強レベルの戦力が、1500人以上になる予定だって…。その事を各国の軍に報告してくれって…」

 

ハルトマン「それは、流石に不味いですよ!私達クラスの兵がポンポン生まれたらそれこそ勝てなくなります!急いでミーナに電話しないと!」

 

ハイネ「はい、電話よ。急いでかけなさい」

 

ハイネはハルトマンに私用の電話を渡した。

蘭子「しかしエーデルさん、よくそこまで突き止めましたね。いつ謀殺されてもおかしくないような任務、よく引き受けますよ本当に」

 

ヴェール「まあ、エーデルは無音を作り出す固有魔法があるからね。だから進んで引き受けるのかも」

 

ハルトマン「大変だよミーナ!実は・・・」

 

ハルトマンはミーナに電話を掛けて事情を説明した。

 

ミーナ「…なんて事?!それが事実なら、世界の軍事バランスが壊れるわよ?!とにかく、各軍を臨時招集して、話し合う必要があるわね。今、世界中の兵学校からウィッチ候補生がごっそりいなくなる事件について調べていたの。1本の線につながりそうね!」

 

ハルトマン「それと、トゥルーデにはさっき言ったけど、処刑された筈のリーネが生きていて、その事件に関与してる可能性が濃厚なんだよ!」

 

ミーナ「ええ、聞いたわ。執行官選びに瑕疵があった事、私からも申し訳ないと思うわ。それとシャイタン医師…、彼を国際手配にしたいけど、現時点では踏み込める証拠がないから、軍としての対応しか今は出来ないわね」

 

ハルトマン「確かにそうだね。ローザンヌでは地位と人気のある先生だから、接触も難しいし、簡単にボロを出すとは思えないからね。」

 

ミーナ「とにかく、こちらも何かしら手を模索します、そちらも頑張ってください」

 

ハルトマン「ありがとうミーナ。やっぱり持つべきものは友だね!」

 

ハルトマンは電話を切ってハイネ教授に返した後

 

ハルトマン「取り敢えず、兵学校の件はミーナ達にお願い出来ました。後はシャイタン先生側についてる科を知る必要がありますね」

 

その時、宮藤とジェニー教授も帰ってきた。

 

宮藤「お疲れ様~、こっちの作業は終わったよ~。」

 

ジェニー「シャイタン先生派の診療科ねぇ。今のとこはっきり分かるのは、泌尿器科と循環器科の2つよ。うちは腐った診療科ばかりだけど、そもそも他の科と結託したがらない診療科の方が多いからね~。精神科と小児科は穏健派、眼科は傍観勢、それ以外が過激派で、その中でシャイタン先生の勢力が心療内科、泌尿器科、循環器科って感じね。うちは一応反シャイタン派だけど、女性の権利に関する政治団体と化しているだけで、そもそもシャイタン先生の思想が純粋に嫌いなだけ。組もうとしても、トップのエルデ教授が拒否するでしょうね」

 

ハルトマン「てことは、眼科を丸め込むのは難しいかもしれませんね。実質の味方は精神科、小児科、産婦人科の3科なんですね。・・・そういえば、宮藤。精神科のトップってどんな先生なの?」

 

宮藤「私の所はペチュア教授ですよ〜」

 

ジェニー「まあ、あくまでも利害の一致で組めるか否かってレベルね。宮藤さんがエルデ教授の心を動かせるなら可能性はあるけど」

 

ハイネ「眼科は権力闘争に全く興味無いからねぇ。よく言えば中立、悪く言えば事勿れ主義の集まり。シャイタン先生も、全く意識しないくらいよ」

 

宮藤「そういえば、エルデ教授は先月から何処かに長期出張して居ませんね。いつ帰ってくるかも分からないと聞きました。」

 

ジェニー「この状況なので不安ですね。教授は歴史の彼方に絶滅したはずの竜人種の生き残りですから」

 

ハルトマン「え!竜人種って本当に居るんですか!伝説上の生き物と思ってました。」

 

ジェニー「遠い昔に絶滅したからねぇ。ほとんどの人は、伝説の存在と思ってるわよ。エルデ教授曰く『自分の知る限り竜人種はもう、自分含めて6人しか知らないし、全員女性だからもう絶滅したと言っても嘘ではない』との事でね」

 

ハルトマン「・・・あまりこういう事は言うべきじゃないかもしれませんけど、もしかしたらエルデ教授はシャイタン先生側に捕まったという可能性はないでしょうか?」

 

ジェニー「考えたくもないわね。もっとも、彼は亜人種は好みじゃないんだけど。純粋に高値がつくからって可能性はあるわね」

 

宮藤「・・・取り敢えず、エルデ教授の行方が分かるまでは私達全員、普通に行動しませんか?まあ、もうシャイタン先生には我々が対立関係にあるのはバレてるかもしれませんけど。」

 

ジェニー「それもそうね。目立たないように行動しましょう。まあ、エルデ教授を攫うような人がいるなら、そいつは余程の無知なんだけど。彼女たちのバックには、欧州の大富豪ドーレス氏がいるから」

 

宮藤「・・・私は明日から有給でお休みが1週間続くので、怪しまれない程度にエルデ教授の行方について調べてみます。なにか進展があったら教えますね。」

 

ハルトマン「任せたよ宮藤。それと、手紙をそれとなく送っておくから」

 

ジェニー「私もエルデ教授の行方を調べてみます」

 

ヴェール「私は、イルミナがどこまでいじれるかを、アレイスターと話し合ってまとめてくるよ」

 

ハイネ「私はとにかく、ローザンヌを今まで俯瞰するだけですね」

 

宮藤 「ハルトマンさん。シャーリーさんが何処の基地で整備士をやってるか分かりますか?」

 

ハルトマン「確か、今はリベリオンに帰国してるはずだよ。ホワイトマン基地って所だったはず」

 

宮藤「リベリオンとなると、おいそれと行きにくいですね。・・・取り敢えずガリア辺りから捜索してみます」

 

ハルトマン「そうだね。ペリーヌもいるから、何か掴めるかも」

 

宮藤「それじゃあ、皆さん。留守の間お願いします!」

 

ジェニー「りょうか~い」

 

ハイネ「任せといてください」

 

ヴェール「そっちも気をつけてね~」

 




宮藤は次回、ガリアにあるペリーヌのところに行きます!


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力をお借りします!

エルデ教授の情報を知るために宮藤はガリアに向かった。

 

宮藤「確か、この辺りにペリーヌさんが経営してる孤児院が・・・居た!お〜い。ペリーヌさ〜ん。」

 

ペリーヌ「あら宮藤さん、何か用ですの?」

 

宮藤「ペリーヌさん久しぶり〜。実はね探している人がいてエルデ教授って人なんだけど知らない?」

 

宮藤はペリーヌにエルデ教授の顔写真を見せる

 

ペリーヌ「エルデ教授ですか?顔は見た事ありますね。この人のパトロンはガリア人ですから」

 

宮藤「本当!実はこの人が先月から行方知れずなんだよね。それと、もうすぐ手紙が届く筈だけど、ペリーヌさんには言っておくね。・・・実はリーネちゃんが生きていたの。」

 

ペリーヌ「なんですって?!それは一大事ですわよ!リーネさんが生きていたなんて!早く対処しないと大変ですわ!それと、エルデ教授が行方不明ですって?私は流石に具体的な消息は分かりませんわね。ただ、この方のパトロンが住む場所は分かりますわ。ボルドー南部の白いお屋敷です。何なら私も同行しますわよ?」

 

宮藤「お願い出来るなら、一緒に来て欲しいな。ガリアは土地勘があまりないから。」

 

ペリーヌ「では、案内しますわ。車に乗ってくださいまし」

 

宮藤「ありがとうねペリーヌさん。移動しながら詳しい事は話すから。」

 

ペリーヌ「ハルトマンさんの連絡では要領を得ない部分もありましたから、細大漏らさず話してほしいですわ」

 

宮藤はペリーヌが用意した車に2人で乗り込んで説明をした。

 

ペリーヌ「そんな怖い計画が…、そんな事をしたら、連合軍に勝機はありませんわ!何としても阻止しなければなりません!それと、ローザンヌの腐敗は闇が深いのですね!」

 

宮藤「私もローザンヌがここまで腐ってるとは思わなかったよ。けど、この腐った病院を私が望む理想の病院に近づけたいから頑張るの!」

 

ペリーヌ「そうですわね。まずはその、シャイタンという悪の枢軸を討たねばなりませんわね!」

 

宮藤「けど、そこに辿り着くまでが厄介なんだよね。強化人造ウィッチの部隊を押しのけないといけないからね。」

 

ペリーヌ「全盛期のハルトマンさんやマルセイユさん並のウィッチが1500人以上というのが恐ろしいですわね…。半端な兵器では軽くあしらわれかねませんわ。しかも、イルミナとやらを破壊しない限り死なないんですって?!私たちは人を撃つ訓練なんてしてませんわよ?!」

 

宮藤「・・・そして、それを指揮するのは恐らくリーネちゃん…いや、リネットさんだろうね。」

 

ペリーヌ「いくらシャイタンでも、軍人を指揮する力はないですわね。そこは腐ってもプロ軍人のリネットが率いているでしょう。最悪、世界大戦も覚悟しなければならないですわね」

 

宮藤「せっかくネウロイが消えて平和になったのに、今度は人類同士の殺し合いなんて絶対にさせない!」

 

ペリーヌ「ただその前に、エルデ教授の足取りを掴みますわよ!そうこうしてるうちに到着です、ここがエルデ教授のパトロン、ドーレス氏の屋敷ですわ。粗相の無いようにお願いしますわよ?」

 

ペリーヌは車を駐車場に停めると宮藤を車から降ろした。

 

宮藤「うう。緊張するな。・・・ペリーヌさんちょっと手が震えてるから車椅子押してくれたら助かるな」

 

ペリーヌ「構いませんわよ。うちの孤児院にも、車椅子の子が何人かいるんですわ。その子達は、車椅子バスケなるものの選手になりたいって言ってましたわね」

 

宮藤「ありがとうね、ペリーヌさん。・・・うん。やっぱり、障害がある人でも真っ当に生きる権利はあるんだよね!」

 

ペリーヌ「当たり前ですわ!ハンデなんて些末なものです!では、ドーレス氏を呼びますわよ?」

 

\ピンポーン/

 

ペリーヌ「ペリーヌクロステルマンと申します、ドーレス氏はご在宅でしょうか?」

 

少しするとドアを開けて執事がでてきた

 

執事 「ペリーヌ様、お久しぶりですね。ドーレス様はご在宅でございますが、今はお食事中の為、後10分程お待ち下さい。」

 

ペリーヌ「分かりました。ありがとうございます」

 

宮藤「さて、何か情報が分かるといいですね」

 

それから10分後・・・

 

執事「お待たせしました。ドーレス様は今、食堂にいらっしゃいますので、ご案内致します。」

 

ペリーヌ「ありがとうございます。では宮藤さん、行きますわよ」

 

宮藤「粗相の無いようにですね…、。緊張します」

 

そして、2人は執事に案内され、食堂に到着した。

 

ドーレス「待たせて済まないね。久しぶりだなペリーヌ君。それと・・・すまないが、車椅子のお嬢さん名前は?」

 

宮藤「あっ、私は宮藤芳佳です。ペリーヌさんの元同僚で、今はローザンヌ大学病院で精神科医を務めています。ドーレスさん、エルデ教授の事をご存知との事で伺せてもらったのですが。今の消息などご存知でしょうか?」

 

ドーレス「エルデ教授か。確か一昨日私の方に電話があってその時はたしかシャイタン先生について何か重大な秘密を掴んだと言っていたな。そして、今はオラーシャのモスクワにある知人の家のリトヴャク家という所に匿ってもらってると聞いたな」

 

ペリーヌ「リトヴャク家…、サーニャさんの家ですわね!ありがとうございます!」

 

宮藤「ありがとうございますドーレスさん!モスクワに行ってみます!」

 

ドーレス「ああ、待ちたまえ。見たところ、君の車椅子かなり傷んでるようだが?」

 

宮藤「そうですね。もうかれこれ5、6年は使ってますから。そろそろ新しくしたいと思うのですが…」

 

ドーレス「なら、良い物がある。少し待ってくれたまえ」

 

数分後

 

ドーレス「待たせたね。この、最新の電動車椅子を君にやろう。」

 

宮藤「いいんですか?こんな高そうなものを頂いて?」

 

ドーレス「構わないよ。君は見た所、ここに来るまでに色んな不幸に見舞われてきたんだろ?」

 

宮藤「…分かっちゃいます?そうですね、確かに私は、仲間と思っていた人に2度裏切られました。そのせいで、たくさんのものを失いました。だから、また何かを失うのが本当は怖いんです、だから…。私は絶対にこの災禍を止めたいと思うんです」

 

ドーレス「そうだな。私もシャイタン医師の悪行には許せないものが多い。だが、私は医者でもなければ軍人でもない。だから、君達に任せる。この電動車椅子はその餞別だと思ってくれていい。」

 

宮藤「本当にありがとうございます!リトヴャク家で、シャイタン先生の真実を必ず知ります!なので、ドーレスさんもお気を付けてください!」

 

ドーレス「ああ、頼んだよ。おい、宮藤さんを電動車椅子に乗せ変えてやりなさい。」

 

メイド「分かりました。」

 

メイドは宮藤を抱えて、電動車椅子に乗せ変えた。

 

宮藤「ありがとうございます!わあ、前のより座り心地がいいですねこれ!」

 

ペリーヌ「全く、はしゃぎすぎですよ宮藤さん。まるで、新しいおもちゃを買ってもらった子供みたいに。」

 

宮藤「だって、ある意味新しい1歩なので、嬉しくなりますよ~。本当は直しながら使う事も考えましたが、ガタが限界なのでいずれは新しくしたいと思いましたね。それに、今まで使っていたのは、アルテアちゃんを思い出すのでもう…」

 

ペリーヌ「そうですか。・・・それでは、ドーレスさん。ありがとうございます。我々はこの足でモスクワに向かおうと思います。」

 

ドーレス「ふむ、こちらもいい話が出来て良かったよ。それと最後に一つだけ伝えよう。これは私の妻シュトラールくんが散歩中偶然聞いた話なのだが『リネットは過去最高のイルミナを宿した。時代が時代なら、単騎で巣を潰して英雄間違いなしだ』と話す声を聞いたそうだ。リネットとは、かのリネットビショップの事ではないかね?私はイルミナなどというものはよく知らんが、何やら不穏な空気に思えるのだが」

 

宮藤「っ!やっぱりリネットがシャイタン先生に辿り着く手前のボスと言ったところですね。」

 

ドーレス「シュトラールは空から少し見ただけだからよく分からなかったようだが。自分でも勝てるかどうか分からないと言ってたな。何でもアリの眉間を撃ち抜くような正確射撃をしていたようだからな。気づかれて撃ち落とされる前に、すぐ退散してきたと言ってた」

 

宮藤「昔のリネットにそこまでの腕はなかった筈。・・・てことは、狙撃の腕がかなり上がってますね。」

 

ドーレス「シュトラールくんは世界に6人しかいない竜人種の末裔で、戦闘能力も素手でネウロイを破壊するパワーとスピードがある強者だ。そんな彼女でも勝てないとなると、気を引き締めないといかんな」

 

宮藤「そうですね。それに、リネットはもう戦友なんかじゃなくただの犯罪者です。この手できっちりケリをつけてきます!」

 

ドーレス「その意気だ宮藤くん。きっちり裏切り者とはケジメをつけてきた方がいい。最悪シャイタン教授は他の人に任せても、リネットくんとアルテアくんの2人に関しては、君自身が引導を渡すべきだろう」

 

宮藤「はい。ありがとうございます!リネットとアルテアは必ず私の手でケリをつけて刑務所に放り込んでやります!」

 

ドーレス「その意気だ。必ず目的を達成するのだ、そして、君がローザンヌの頂点に立ち、腐敗した欧州医学界を救ってほしい。私の娘も、ローザンヌの医者が殺したんだ。私の娘は小児ガンだった。だが全身転移による多臓器不全で死んだと言われてな。納得がいかないから小児科を問い詰めたら、ヴェール教授が全て話してくれた。本来の見立てでは小児科の治療で十分治せたが、ヘリックが小児ガン向けの抗がん剤の治験データ欲しさに、娘を誘拐して無理やり投与したとな。激烈な副作用に苦しみながら死んだとの事だ。ヴェール教授は誘拐された事をきちんと謝ってくれたが、人の娘を実験動物にしたヘリックは未だに謝ろうとしない。それどころか、イケロスに金を渡してカルテを始末したとの事だ。宮藤くん、君にはローザンヌが失った光を宿している。腐った医者どもを浄化してほしい!」

 

宮藤「そんな事があったんですね。…やっぱり、医者が患者で遊ぶなんて間違ってます!私の理想は全医師が救命の為に全力を尽くしてどんな命でも救えるような病院を作りたいんです!だから、私の理想の為にも頑張ります!」

 

ドーレス「ローザンヌの現状を見ると、長い道のりかもしれない。だが、宮藤くんは必ずその長い道のりを歩めるだろう」

 

宮藤「ありがとうございます!私必ず成功させます!それでは、失礼します!」

 

宮藤とペリーヌはドーレスの屋敷を後にした

 

ペリーヌ「さて、次はオラーシャですわね。長旅になりますわ」

 

宮藤「取り敢えず、その前にハルトマンさん達に一報を入れとかないとね。」

 

ペリーヌ「そうですね、向こうも何かあったら手を打たないといけませんわ」

 



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サーニャちゃんとの再会!

宮藤とペリーヌがドーレスさんの屋敷を後にして4日後、2人はモスクワの街中を移動していた。

 

宮藤「うわぁ!ここがモスクワか。私初めて来たよ!ペリーヌさんは?」

 

ペリーヌ「寒いですわ!エイラさんやサーニャさんはよくこんな所に住めますわね!」

 

宮藤「確かにね。取り敢えずサーニャちゃんの家を探さないとね。」

 

ペリーヌ「地図によると、モスクワ西部の通りの端にあるらしいですわ!行きますわよ!」

 

宮藤「うぅ寒いな。ドーレスさんからコートを貰ってなかったら凍え死んてたよ。」

 

ペリーヌ「モスクワは夏でも1桁がザラ、冬はマイナス30℃も珍しくないらしいですからね。こんな所に巣を設けたあたり、氷山ネウロイは別に不思議な存在では無かったのかもしれませんわ」

 

その時、2人は後ろから話し掛けられた。

 

サーニャ「あれ?芳佳ちゃん?ペリーヌさん?どうしたの?」

 

宮藤「あっ、サーニャちゃん。実はね、エルデ教授という人を探しにここまで来て…」

 

ペリーヌ「リトヴャク家に匿われていると聞いたので、サーニャさんに話を聞きたくて来たのですわ」

 

二人が事情を話すとサーニャが少し険しい顔になった。

 

サーニャ「・・・取り敢えず、裏道に行こうか。ここじゃ誰に聞かれてるか分からないし。」

 

宮藤「そうだね。リーネちゃんの事とかも、漏れたらまずいから」

 

3人は裏道に移動して人が居ない事を確認するとサーニャから口を開いた

サーニャ「先ず、疑う訳じゃないけど、どうやってエルデ教授が私の家にいる事を掴んだの?」

 

宮藤「エルデ教授のパトロンという、ドーレス氏に会って聞きました。ドーレス氏がパトロンというのは、産婦人科のジェニー教授からの情報です」

 

ペリーヌ「私が訪ねたら、面会のアポが取れましたわ」

 

サーニャ「・・・うん。大丈夫だね。ごめんね、疑うような真似をして。エルデ教授から、自分を訪ねる人は誰であっても質問をして欲しいって言われたから。」

 

宮藤「一応こちらも、ジェニー教授から手紙はもらって来てます。彼女の魔法で、エルデ教授しか読めないように細工はされてますけど」

 

宮藤はジェニー教授の手紙をサーニャに渡す。

サーニャ「・・・うん。なんて書いてるか私には全く分からないね。それじゃあ、私の家に行こうか。」

 

宮藤「ありがとうサーニャちゃん。なるべく目立たず移動しようか」

 

ペリーヌ「それとサーニャさん、リーネさんは射撃の腕を現役時代より上げているらしいです。どうかご注意を」

 

サーニャ「そう。やっぱりリーネさんは敵に回ってるんだね。・・・もう情けはかけられないね。」

 

宮藤「それと、向こうには1500人以上のカールスラント四強レベルの強化ウィッチがいる。こっちは皆あがり済みだから、相当に苦しい戦いになりそうだよ」

サーニャ「それは、ネウロイの時以上に苦しい戦いになるね。・・・1度エイラに占いでもしてもらう?」

 

宮藤「結果は自分で切り開きたいな私は、あっ、最悪の結果が怖いわけじゃないよ?」

 

サーニャ「芳佳ちゃんらしいね。・・・はい。私の家に着いたよ。入って。」

 

宮藤「ありがとうサーニャちゃん、では、失礼します~」

 

サーニャが先頭で入り、後に宮藤とペリーヌも続いて入っていった。

 

エルデ「サーニャさん。後ろにいる人達は誰ですか?・・・ん?もしかして車椅子の子は精神科の宮藤さんかしら?」

 

ペリーヌ「私はペリーヌと申します。宮藤さんとサーニャさんの元同僚ですわ」

 

宮藤「はい、私は精神科の宮藤です。ジェニー教授からの手紙を預かってます」

 

宮藤は手紙をエルデ教授に渡した。

 

エルデ「ジェニーちゃんから?ええと・・・・・成程。大体の事情は分かったわ。先ず、私は直ぐに病院に戻るのは難しいと思う。」

 

宮藤「やはり、シャイタン教授の一件があるからですか?」

 

エルデ「そうね。私の信頼出来る親友からの話だとどうやら、私の病院の部屋の周りにシャイタンの部下が張り付いてるようなのよね。だから、迂闊に病院に戻る事が出来ないのよ。だから、昔からの知り合いであるリトヴャク家を頼ってしまったの。」

 

宮藤「もう手を打ち始めているんですね…、きっと泌尿器科か循環器科の連中か、外から呼んだウィッチかもしれませんね…。教授がいくら竜人種でも、下手に暴れたら取り巻きは倒せても病院が壊れてしまいます。間違いなく教授の方が逮捕されますよね…。シャイタンはそこまで計算済なのでしょう…」

 

エルデ「そうね。だから、貴方達に私が得たシャイタンの秘密を話すわね。この事は絶対記録に残さないで、頭の中にだけ残しておきなさい。」

 

宮藤「元よりそのつもりです。下手に記録を残して落としたりでもすれば、筆跡などからバレてしまいますから。もっとも、アルテアが私をマークしているので、探りには来そうなんですが…」

 

エルデ「頼んだよ。それじゃあシャイタンの秘密を話そう。先ず、彼奴は人間じゃない。死から蘇ったゾンビみたいなものだ。」

 

ペリーヌ「なんですって?!という事は、彼は1度死んでるのですか?!」

 

宮藤「だからリーネに親近感を持ったのかな?リーネも軍法会議で1度死刑になった身ですから」

 

エルデ「生き返った方法としてはシャイタンが作ってた蘇生薬のお陰と聞いています。それともう1つの秘密はシャイタンの弱点は心臓や脳天でもなく、病院内にあるシャイタンの自室の金庫に入ってる心臓と聞きました。これを破壊しない限りシャイタン自信を蜂の巣にしようが、セメントで固めて海に沈めようが死ぬ事はありません。」

 

宮藤「確かにそれは重大なヒントになりますね、ありがとうございます!それとエルデ教授、シャイタン教授が密かに進めているであろう『イルミナ』について、何か知る事はありますか?」

 

エルデ「『イルミナ』かあれは昔に比べてかなり進化したと聞いた。人によって体内に2つのイルミナを取り込んでるモノがいるらしい。」

 

宮藤「…2つも?!ヴェール教授は、本来なら2個以上移植すればそれは寿命を投げ捨てるようなものと仰ってましたが…。本当に移動するイルミナや、硬い外殻を持つイルミナもありそうですね…」

 

ペリーヌ「ネウロイもコア2つの個体がいましたわよね、それに近いと思いますわ。なので、ネウロイに出来た事は超速再生以外全て出来ると考えてもいいでしょう」

 

エルデ「私が聞けた範囲で二つ持ちは最低でも2人いるらしい。その2人の名はさっき出てきたリーネさんとアルテアさんの2人です。」

 

宮藤「アルテアもイルミナを…!これは本当に、刺し違える事も覚悟しなきゃいけないんだね…!」

 

ペリーヌ「それに、ドーレス氏の奥方であるシュトラール氏が、空から見たリーネを『自分でも勝てるか分からない』と評していたらしいですわ。イルミナを2つ受ければ、竜人種以上の強さになるという事ですわね…!」

 

エルデ「嘘でしょ!シュトラールさんは竜人種の歴史上最強の力を持ってる方なのよ!あの方が勝てないなら他の竜人種が束になっても勝てないじゃない。」

 

ペリーヌ「おそらくですが、リーネさんの正確無比な射撃を見ての感想かもしれませんわ。いくら肉弾戦で無敵でも、遠距離からライフルで撃たれたらただの的ですわ。彼女には弾道を安定させる固有魔法がありますもの」

 

エルデ「確かにそうですね。いくら我々でも遠距離からの攻撃に即座に対応するのは・・・サーニャさん。唐突ですが、この家からウラル山脈の距離は大体どのくらいですか?」

 

エルデ教授が話している最中に急に険しい顔になりサーニャに尋ねた。

 

サーニャ「ウラル山脈なら…、ここはモスクワの端だから…、ゆうに400kmはあるかな…」

 

エルデ「気の所為だと、嘘だと信じたいけど、明らかにウラル山脈の方向から狙われてる感じがするのよね。」

 

サーニャ「400kmからの狙撃なんて非現実的…。まさか列車砲かレールガンの類…!」

 

ペリーヌ「そんな派手な攻撃をすれば、軍が動きますわよ?!」

 

その時、サーニャ宅の電話が鳴り出した。

 

宮藤「・・・このタイミングで電話が鳴るなんて。誰でしょうか。」

 

ペリーヌ「気をつけてください。リーネかアルテアからの宣戦布告かもしれませんわ」

 

サーニャ 「はい。気をつけます」

 

サーニャは1呼吸置いて受話器を手に取った。

 

サーニャ「もしもし?」

 

リーネ「もしもし、サーニャちゃん。久しぶり〜リーネだけど元気にしてた〜?」

 

電話先のリーネは何時もの口調で話しかけて来た。

 

サーニャ「…リーネちゃん!一体なんの用…!」

 

リーネ「今ね。サーニャちゃんの家を特注のレールガンで狙ってるんだよね。もし、大事な家や街を撃ち抜かれたくなかったら素直に私の言う事を聞いて欲しいな」

 

サーニャ「リーネちゃんも卑怯になったわね…。どうせ、シャイタン教授のイエスマンになって、中佐達を殺してこいとか、そのあたりだよね…。誰がその要求を飲むと思って…?」

 

リーネ「ふ〜ん。まあ、予想通りの答えだね。じゃあ、断ったから人質のエイラさんを殺しちゃうね〜。」

 

サーニャ「…!エイラがそこにいるの!どうして!なんて事をするの!」

 

ペリーヌ「もはやリーネは、人ではありませんわね。地獄という名の刑務所に送りましょう」

 

リーネ「酷いな〜ペリーヌさん。一緒に戦った仲間を人じゃないなんて。私は立派な人間だよ♪」

 

ペリーヌ「その一緒に戦った仲間を人質に仲間殺しを命令し、要求が通らないと知るや否や人質を殺そうとしたのは誰ですか?そんな人の事は人間と言いません、ケダモノと言うのです」

 

リーネ「五月蝿いな〜。そんなに言うならペリーヌさんの孤児院を破壊しても良いんだよ?」

 

ペリーヌ「あなたとは本当に分かり合えないですわ。結局あなたの望みは軍門入りと、他のウィッチの皆殺しなんですわね?ただ私の経験則上、あなたの要求を呑んでもエイラさんが無事に帰ってくる保証はありませんわね。あなたのような人間は、たいてい要求を叶えつつ人質は抹殺するのが鉄板ですからね」

 

リーネ「・・・もういいや。やっぱり私の言う事は聞いてくれないんだね。だったら全面戦争と行こうか。」

 

ペリーヌ「元よりそのつもりですわ。貴方が先に宮藤さんを手にかけておき、挙句エイラさんを人質に自分のイエスマンになれなんて虫が良すぎですわ。それと、ガリア軍はブリタニアに宣戦布告を通告した事を報告します。現元帥曰く『悪は可能性から根絶やしに、ブリタニア人を赤子の果てまで殺し尽くす』そうです。これは私の意思では無いので、文句があるならパリを火の海にすればいいですわ」

 

リーネ「良いよ。その宣戦布告受けて立つよ。こっちはカールスラント4強クラスの師団を用意してるからね。ネウロイに占拠された時以上にガリアを火の海にしてあげる。」

 

ペリーヌ「ブリタニアとガリアは紀元前から犬猿の仲、この際ノーガードのインファイトも悪くありませんわね。要件は済んだのかしら?」

 

リーネ「うん。楽しみにしてるよ。それと私とアルテアちゃんは前線に出るからね。もし私達を倒したかったら前線に来てね芳佳ちゃん。その時はひとりじゃ何も出来ないような身体にしてあげるね♪」

 

宮藤「リーネちゃん、今度こそ私は2人に引導を渡すよ。こんな卑怯な人間と仲良くしていたなんて、私の歴史に泥が付いちゃうよ。泥は自分で落とさないとね」

 

リーネ「ふふふ♪来てもいいけど、もし、私達に負けたら喉も目も腕も完全に潰して私とアルテアちゃんの2人で一生可愛がってあげるね♪」

 

宮藤「もし、私が勝った時は、歴史上最も愚かなウィッチとして永遠に語り継いであげるよ。世界中に歴史をばら蒔いてね」

 

リーネ「面白いねリスクとリターンは同等じゃないとね。・・・それと、もう1つね。実はエイラさんを人質にとったなんて嘘だからね〜。あれで、サーニャちゃんを引き込めたら良かったんだけどやっぱり上手くいかないか〜。」

 

宮藤「随分狡猾な策を考えるね~、まあ、それでも世界大戦はきっと避けられないと思うよ?あの裁判以降、ブリタニアの国際的地位は堕ちたからね」

 

リーネ「良いね。生きたおもちゃを手に入れるにはそれぐらいしないとね。それじゃあまた前線で、今度は敵として会おうか」

 

宮藤「じゃあねリーネちゃん。今度こそ、引導を渡すから」

 

宮藤は勢いよく受話器を戻した。

 

エルデ「なんだか、大変な事になりましたね。こうなったら私もガリアに赴いて加勢をしましょう」

 

宮藤「エルデ教授、ありがとうございます!」

 

???「エルデ教授、面会はまだ続きそうですか?って、あの宮藤さんがなぜここに?!」

 

サーニャ家に1人の女性が入ってきて宮藤は少し困惑していた。

 

宮藤「えっと、私はエルデ教授に用があってきたんです。…えっと、貴方は?」

 

フランメ「私はフランメよ。エルデ教授に同行して来たの。私はシャイタン教授が今の思想に堕ちた理由を調べていたの。一応聞いてく?」

 

宮藤「え!シャイタン先生の思想は昔からじゃないんですか!是非教えて下さい!」

 




次回、シャイタン先生の過去が明らかに!


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ローザンヌ大学病院の詳細

こういう、纏めは定期的に出すつもりです


ローザンヌ編、医学校の診療科派閥一覧

 

設定上ローザンヌは

・教養期2年を経て、3年次から各診療科の専門に分かれる複線型教育をとる

・大学病院と医学校が同じ敷地内にある、典型的な医学部の構造と同じ

・6年終了時点で医師免許の試験を受けて合格後卒業だが、希望すれば医師免許の有無に関わらず3年間の博士課程に進学可

・医学校の全体定員は各学年200、各診療科は定員10

・全寮制

・各診療科は主任1名+教授または准教授が3~6名の体制(主任は必ず教授)

・履修内容の共通する授業は、診療科をまたいだマスプロ授業を行う

・退学者も出なくはないので、必ずしも定員を満たさない診療科もある

・逆に先生がOKなら、定員を超える事も可

 

 

内科

元はロシキ教授が仕切っていた科

ロシキ教授の不祥事が元で地位が失墜したが、その後も酷い風評被害を受け続けたせいで、他の診療科を信用しない過激派に堕ちた

主任不在の唯一の科、残った准教授達で回してる

 

心療内科

主任たるシャイタン教授が率いる過激派

所属生のほぼ全員が、優生思想とマイノリティ差別思想に染まっている

シャイタン教授1人で診療科を仕切っており、他に所属教授がいない唯一の科

 

呼吸器科

傍観勢

ただ愚直に患者を治すのが医師の本道であり、派閥や利権といった俗な感情を極端に嫌う

それゆえ腐りきったローザンヌから独立を模索中

主任はルータン教授(元ウィッチ、固有魔法は「渦潮発生」既にあがりを迎えてる)

 

消化器科

ロシキ教授に恩義のある過激派

ロシキ教授追放の原因を作ったシャイタン教授を憎んでいるため、独立派閥にいる

主任はテリジア教授(非ウィッチ、太古の昔に絶滅した、ルナーリア種の末裔の女性)

 

循環器科

シャイタン教授派の過激派だが、ほとんどゴマをすってヨイショしてるだけの小物診療科

内科の惨状を見て「強い者の味方」路線を取るだけで、思想にはあまり興味が無い

主任はオグド教授(非ウィッチ、北アフリカの旧文明王家の末裔の男性)

 

神経科

過激派

金で裏口入学してきたゲスが集まる科

万物は金で買えるを信望し、貧乏人を見下すのが日常茶飯事

シャイタン教授の思想には一定の理解があるが、金さえあれば障害者でも見てやるという態度なので、ほぼ独自路線

主任はレキーノ教授(非ウィッチ、ガリアの貴族階級出身の男性)

 

神経内科

傍観勢

神経科のゲスな態度に見かねた人達が分離した科

逆にボランティア精神に溢れ、大金を積もうとする人間を信用しないフシがある

主任はイレーヌ教授(ウィッチ、固有魔法は「神の祈り」あがりの年齢だが、減衰が起きない特殊な魔法のため、シールドは使えないが固有魔法だけは使えるという状態)

 

外科

過激派

典型的な「医療は人体実験の積み重ね」思想の集団

それゆえ考えの近いシャイタン教授と親交が深い

たびたび医療事故を起こしているが、パトロンの力でもみ消している

主任はブラタール教授(非ウィッチ、ブリタニアの貴族階級出身の男性)

 

整形外科

過激派

逃亡中の犯罪者の駆け込み寺という状態の腐った診療科

真っ当なカタギより、指名手配犯やマフィアを手術する方が多い

シャイタン教授の思想にはあまり興味がないが、逃亡で顔を変えたいなら手伝うとは伝えている

主任はドラマト教授(非ウィッチ、オラーシャ出身の男性)

 

産婦人科

ジェニーが所属する過激派

過激な理由は単に女権主義者が多いだけで、シャイタン教授の思想には反発している

主任はエルデ教授(非ウィッチ、太古の昔に絶滅した竜人種の末裔の女性)

 

精神科

宮藤が所属する穏健派

当然だが、一貫してシャイタン教授の派閥に与する気はない

主任はペチュア教授(ウィッチ、固有魔法は「時間停止」実年齢はあがりを越しているが、能力の性質上魔力減衰が起きないので現役)

 

眼科

桜庭蘭子とエーデルが所属する傍観勢

所属する人の大半が事勿れ主義者で、シャイタン教授に半ば無視されてる空気診療科

主任はハイネ教授(元ウィッチ、固有魔法は「空間裁縫」しかし既にあがりを迎えてる)

 

耳鼻咽喉科

過激派

ローザンヌの政治献金や談合を担うゲスな診療科

シャイタン教授の事は「状況次第で最良の選択をするだけ、あとは知らん」というスタンス

なお、新聞やラジオに対するプロパガンダ工作にも余念が無い、ローザンヌの闇が表に出づらいのはだいたいここと外科のせい

主任はイケロス教授(元ウィッチ、固有魔法は「鏡像反転」既にあがりを迎えてる)

 

皮膚科

過激派

「若者至上主義」を唱え、老人の切り捨ては社会の必要悪と考える、シャイタン教授とは別ベクトルに腐ってる診療科

それゆえ、シャイタン教授に一定の理解がある

主任はティアロップ教授(元ウィッチ、固有魔法は「百花繚乱」既にあがりを迎えてる)

 

泌尿器科

シャイタン教授派の過激派

循環器科と違い、ほぼ完全にシャイタン教授を心酔している

それゆえ、人工透析が必要な患者を平気で見捨てたりする

主任はドリッチ教授(非ウィッチ、南リベリオンの先住民の出自の男性)

 

脳神経科

過激派

ロボトミーなどの精神外科を未だに盲信するゲスな診療科

精神科からは「医者の風上にもおけないゴミの集まり」と蔑まれる

シャイタン教授の思想には一定の理解があるが、あくまでもロボトミーの有効性でしか評価してない

主任はブルム教授(元ウィッチ、固有魔法は「ダメージリンク」既にあがりを迎えてる)

 

小児科

ハルトマンが所属する穏健派

子供の権利を尊重する人が多く、シャイタン教授の思想には染まってない

主任はヴェール教授(ウィッチ、固有魔法は「物質創成」ある理由で実年齢9歳となっており、現役バリバリ)

 

肛門科

傍観勢

というか、ほぼ誰も相手にしないキングオブエアーマン(ローザンヌの三沢ゲフンゲフン)

目立つ思想も実績もなく、普通すぎて存在を忘れられがち

主任はクーリア教授(元ウィッチ、固有魔法は「音階振動」あがりの年齢は来ているが、魔力減衰が起きない家系なので今でも魔法が使える)

 

放射線科

過激派

科学万能主義者の集まりで、だいたい何でも技術と薬で解決したがるマッドサイエンティストの集まり

そのくせ普通の治療は真面目にやるからタチが悪い

主任はヘリック教授(非ウィッチ、カールスラント出身の男性)

 

麻酔科

過激派

ローザンヌの腐敗に疲れきった人達の集まり

そのせいで、医療の存在意義を否定しており、安楽死こそが患者救済の唯一の手段と考えるようになった

シャイタン教授の思想については「どうせ人は安楽死させれば、障害者も健常者も関係ない」と、投げやりな態度をとる

主任はフェリット教授(元ウィッチ、固有魔法は「曲射」既にあがりを迎えてる)

 

シャイタン教授やロシキ教授以外は遊戯王OCGから取られてます



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シャイタン教授の過去

フランメ「それじゃあ、シャイタン先生の過去を話すわね。シャイタン先生には、マーグという親友と、ユピって言う恋人がいたのよ。ただね、2人とも今は死んだの。マーグの方は交通事故で、ユピの方は自殺。両親もある理由で心中してるわ」

 

宮藤「まさか、その人達を生き返らせる為に死者を蘇らせる薬を作ったんですかね?・・・でも、それと優生思想主義になった理由は結びつかないような。」

 

フランメ「その原因が原因なのよ。マーグを轢いた犯人は両脚義足の人で、義足のせいでブレーキングが遅れて轢かれたのよね。ただ、裁判では義足に原因はなし、マーグの方の不注意という事で無罪になったの。ユピの方は、当時シャイタンの子を妊娠していたんだけど、ある日精神障害者に街中で腹を蹴られて流産したのよね。でも、こっちもやはり裁判では精神障害者の方が無罪になった上に、1円も慰謝料なしという結果。彼女は裁判結果と流産したショックで首を吊って自殺したわ。両親も、経営する工場である日作業員の1人がミスをしてあわや大事故という事態が起きたの。父親はその作業員を叱ってクビにしたんだけど、その人が発達障害者だったのよね。その人は支援団体に駆け込んで損害賠償を起こし、父親は敗訴して工場は倒産。母親も「発達障害者をいじめた悪魔」と誹謗中傷の嵐を受けたの。結果、2人で無理心中したわ。彼は障害者のせいで、大事な人を4人も失ったの。それで障害者と、障害者におもねる社会の不合理に怒りを覚えて、優生思想を研究するようになったのよね。彼は当時優生学の権威だったゼフゲレ医師に師事して、今の地位を築いたのよ」

 

宮藤「・・・・・・そんな、事があったんですね。確かに世間は障害者に優しくしようという風潮が流れています。それによって、悲しい思いをする人もいたんですね。・・・」

 

ペリーヌ「確かにお気持ちは分かります。けど、だからといって宮藤さんやその他の障害を持つ方に復讐するのは筋違いにも程があります!」

 

フランメ「ええ、その通りよ。彼のしている事はただの復讐に過ぎない。もっとやり方は他にもあったのに。だから、私は宮藤さんを応援したいわ。学内でも見ていたけど、あなたは常に自分が特別な人間だという意識なく行動していた。譲る時はきちんと譲るし、自分と同じような患者が相手でも、そっちに非があるときはきちんと注意していた。本当の共生に必要なのは、あなたのような価値観よ。だから、産婦人科は精神科の支援に回るわ。で、いいのよねエルデ教授?」

 

エルデ「ええ、そうね。本当は私から提案すべきなんだけど。私は貴方にローザンヌの頂点に立ってもらいたいといつも思っていたわ。貴方なら、男女平等な働き方も実現してくれそうだからね」

 

宮藤「そんな!私は当たり前の事をしてきたんですよ!それに、私は出来る事ならどんな患者さんでも救いたいんです。でも、私一人の力じゃ出来ないから大学病院に入ったんです。だから、私の方からお願いします。是非、私に力を貸して下さい!」

 

エルデ「私の方からもお願いしたい事よ。私達は貴方と手を組むことにするわ。」

 

宮藤「はい。お願いします!」

 

宮藤とエルデ教授は握手を交わした。

 

エルデ「さて、次の一手はシャイタン教授の拿捕ね。おそらく世界の動きは、世界大戦の流れでほぼ確定。そうよねフランメ?」

 

フランメ「ええ、今カールスラント西部~ガリア北部の各軍港に、連合軍が集結しています。やはり、ガリア軍のサカルッチ元帥が開戦派の支持を固めているようです。ただ、スオムスのクザワール元帥は、ブリタニアと戦争をしても益は無しと厭戦派の支持を固めて対立しているようですが」

 

ペリーヌ「世界大戦と言っても、図に表すとブリタニア対世界と言った所でしょうね。普通に考えたら結果は火を見るより明らかですけど、ブリタニアの兵力が一人一人、一騎当千の力を持ってますからね。」

 

エルデ「1500人もカールスラント四強レベルの兵がいれば、おそらく1人倒すだけでも世界連合軍側は200~300の兵を犠牲にする事になるわ。更にイルミナの力で強化されれば、少ない資源で短期決戦も夢じゃない。クザワール元帥はそこを冷静に評価してるんだけど、サカルッチ元帥は初めからブリタニア市民を殲滅して戦争を進め、降伏を促す予定なのよ。恐ろしいわ」

 

宮藤「けど、あっちは手を出してくる人全員に容赦ないでしょうね。・・・シンプルに全滅するか、させるかの戦いになりそうですね。」

 

エルデ「そうね。あちらの考え方はサカルッチ元帥のものに酷似してるから、軍隊をすり抜けて街を襲撃なんて事も平気ですると思うわ。まだ開戦の兆しはないけど、時間の問題ね」

 

宮藤「・・・けど、どうなっても私はリーネとアルテアだけには自分の手で引導を渡したいです!」

 

エルデ「向こうもその気みたいだから、その2人とは嫌でも一騎打ちになると思うわ。おそらくだけど、こちらが動かなくても向こうから勝手にやって来る。だから、それまでに対策を練りましょう」

 

サーニャ「私は取り敢えず、エイラに連絡取ってみるけど、上層部が動かないならスオムスからの援軍はあまり期待出来ないかもね。」

 

フランメ「スオムス軍はせいぜい15万人規模、装備もカールスラントなどに比べると一世代遅れてる。かつて初めてウィッチの義勇軍を運用した頃の面影はなくなっているわね。こう言ったらなんだけど、未だに練習機が複葉機で自動小銃すら初期モデルでは、ウィッチ居なくても負けそうね」

 

エルデ「エイラさんみたいな前線のウィッチはきちんと新型の銃器が支給されていたけど、軍としてはカツカツよね。生き残りの竜人種で一番弱いフルスちゃん1人でも勝てちゃうかも」

 

宮藤「カールスラントはミーナ中佐やバルクホルンさんが指揮を執ると思うので大丈夫だと思います。後はリベリオンや扶桑、ロマーニャがどう出るかは分からないですね。」

 

その時、更にもう1人の人が家の中に入ってきた

 

???「世界の動向なら、一応私が調べておいたわ」

 

ペリーヌ「さらに人が増えましたわね。もしかして貴方も竜人種ですか?」

 

チェイム「ええそうよ。私はチェイムって言うの。シュトラールに頼まれて、2人の付き添いと、世界の動向を観測するようにってね。よろしくね」

 

宮藤「ありがとうこざいます。チェイムさん。早速であれかもしれませんが、他国の状態について教えて貰ってもいいですか?」

 

チェイム「まず扶桑ね、扶桑はやはりブリタニアに対する感情が良くないわ。貴方を殺害しかけたリーネさんの影響で、世論は反ブリタニアに流れつつある。ここ数年は死刑執行の影響で感情が落ち着いていたけど、生存してるという、情報が入ってからはまた息を吹き返したわ。連合軍参加はほぼ確実ね。最新型の空母雲龍型が6隻、欧州に向かって航行中よ。噂では、ジェット戦闘機秋水を艦載機として実用化したと言われてるわね」

 

宮藤「つまり、扶桑はブリタニアと交戦する構えなんですね。」

 

チェイム「そうね。それとガリアは、サカルッチ元帥が優勢な事でほぼ参戦は確定。上陸部隊30万人と航空機1万機を用意してるわ。スオムスはクザワール元帥の影響で連合軍参加は控えてる状態ね。ロマーニャとヴェネツィアは、それぞれ20万人の上陸部隊を陸路で派遣中よ。オラーシャもバルト海から艦隊が移動してるみたいだから、参戦は確実ね。カールスラントは、各軍港に大型艦を入れる準備をしてるから、やはり参戦確定ね」

 

宮藤「数の暴力をもってしてもイルミナを持った1500人の軍団に勝てるんでしょうか?それに、ブリタニア軍も黙ってないでしょうから。」

 

チェイム「そうね。だからガリアは地方都市を直接攻撃し、市民を灰にして講和に持ち込む腹積もりみたい。それとリベリオン、密かにレーダーを掻い潜る爆撃機と、1発で街ごと100万人を灰にする新型爆弾を作ってるみたいよ。爆撃機は今ホワイトマン基地にあるの。そこの整備士達は、何も知らされずに爆撃機のメンテナンスを毎日してるわ。教えたらストライキは待ったナシだもの」

 

宮藤「・・・・・・」

 

宮藤は驚きのあまり、言葉を失っていた。

 

チェイム「恐ろしいでしょ。ホワイトマン基地の整備士達が本当に可哀想よ。真実を知る頃には、もう手遅れなんだから。元々あの爆撃機は、ネウロイの警戒網をすり抜けて直接巣を叩くために開発されていたのよ。ただそのために使ったコーティング材が、実はウィッチの魔力による感知もすり抜けられる事に気づいたのよね。だから、それを使って一撃講和を狙うのがリベリオン軍の目的よ。だから、リベリオンは今表向きには兵力を用意していない。全てその爆撃機に賭けているから」

 

サーニャ「取り敢えず、私はオラーシャ空軍の基地に赴く必要があるからこれで一旦失礼するね。」

 

宮藤「うん、サーニャちゃんも気をつけてね。向こうはこっちの動きを逐一監視しているようなフシもあるみたいだから」

 

サーニャ「うん。気を付けるね」

 

その頃ローザンヌ大学病院に残ったハルトマン達は・・・

 

ハルトマン「ヴェール教授、宮藤達から何か新しい情報は来ましたか?」

 

ヴェール「一応伝手のメカモズから手紙はもらったよ。これを読んでくれだって。重要な事は直接話したいから、手紙に出来る内容だけ書いたみたいだよ」

 

ハルトマン「メカモズさんですか?・・・あの、達筆なのか汚いのか分かりませんけど、全く読めません。」

 

ヴェール「どれどれ、あー、これはエルデ教授の字だね。あの人、字だけは異常に汚いから。ふむ…、まずいね。オラーシャで情報収集していたら、世界大戦の可能性を掴んだみたい。ガリアの元帥は、ブリタニアの各都市を叩いて講和を促すつもりって書いてある。それと、リベリオンのホワイトマン基地に、新型爆撃機と新型爆弾があって、音の速さでブリタニアにレーダーをすり抜けて突入し、1発で街ごと100万人を灰にする爆弾を投下する準備がされてるみたい…。それと、扶桑の空母で、コードネーム「スーパーX」こと秋水を欧州に派遣したって…」

 

ハルトマン「は!街を消す爆弾だって!それは、流石に不味いでしょ!」

 

ヴェール「元々その爆弾は、対ネウロイ用に作られていたのよ。『学習能力が追いつかない速度で、数百万℃の熱量をぶつけて巣を街ごと焼き払う』ってコンセプトでね。当時は巣のある街に人なんていなかったから、誰も気にせず開発してたけど、試作品が完成した頃にはもうモスクワ解放が終了しちゃったんだよね。爆撃機も、それに付随して開発されたもの。ネウロイの探査能力をすり抜けて、音速で巣に爆弾を落としに行くためのね。リベリオンとオラーシャが共同開発した爆弾の名は『ツァーリ・ボンバ』。1発だけリベリオンのどこかに保管されてるらしいよ?そして爆撃機の名は『スピリットオブリベリオン』。これはホワイトマン基地に1機があるのみ。そこの整備士達は、何も知らずに毎日機体のメンテナンスをさせられてるみたい」

 

ハルトマン「もしかしたら、既に別基地に運んだ可能性もありますよね?それに、その爆弾があるという確証的な証拠が無いから取り合ってもくれないでしょうね。」

 

ヴェール「そうだね。爆撃機の整備士や基地の軍人には何も知らせてないだろうし、爆弾についても大事な情報は伏せてると思う。ただ、そのレーダーや魔力をすり抜けるコーティング材は、温湿度条件が少しでも狂うと全張替えになるくらいデリケートだから、爆撃機を置ける基地は限られるんだよね。ホワイトマン基地以外だと、多分片手で数えられるくらいしかないはず」

 

ハルトマン「そうなんですね。ていうか、証拠を掴んだ所でリベリオンに談判しに行っても証拠を揉み消されるか私達自信が消されるでしょうね。」

 

ヴェール「そうだね。だから、飛んできた爆撃機を海の上で撃ち落とすしかないよ。あと、手紙には宮藤達とシャイタンの秘密を共有した事が書かれてるね。そして、産婦人科は宮藤達と組むことにしたってさ」

 

ハルトマン「シャイタンの秘密ですか?」

 

ヴェール「うん。大事を考えて、それは宮藤くん達が直接話してくれるってさ。自分は研究室が張り込みされてるから暫く戻れない。だから後は宮藤くん達から聞いてねだって」

 

ハルトマン「分かりました。宮藤達はどれくらいで戻るんでしょうかね?もう、各国が臨戦態勢なら、明日にでも火蓋が切られてもおかしくないでしょうから。」

 

ヴェール「2日もあれば帰ってくるみたい。ただ、リーネ達がこっちを監視しているような動向があるから、もしかしたら今後は病院外に拠点が必要になるかもって」

 

ハルトマン「病院外か・・・ちょっと心当たりがないかトゥルーデに聞いてみますね」

 

ヴェール「万が一の時は、アレイスターにでも頼んでみるよ。アレイスターを吹き飛ばせば、世界中にその死が伝わるようにインプットされた屋敷に住んでるから。手は出しづらいしね」

 

ハルトマン「ありがとうこざいます。取り敢えず電話してきますね。」

 

ヴェール「うん、気をつけてね~」

 

ハルトマンが電話をしに行こうとすると、1人の人物がハルトマンを止めた

 

???「いいえ、姉さまその必要はありません。」



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トンデモ兵器について対策を考えます!

ハルトマンとヴェール教授が話していると、1人の人物が近付いてきた。

 

??? 「姉様、久し振りですね。」

 

ハルトマン「ウルスラ?!何故ここに?!」

 

近付いてきていた人物はハルトマンの双子の妹、ウルスラだった。

 

ウルスラ「いえ、この病院で健康診断を受けてて終わったので帰ろうとしたら姉さま達の話し声が聴こえてたのでつい聞き耳をたてちゃいました。」

 

ハルトマン「そうだったんだ、で、ウルスラはどうするの?返答次第では対応が変わるよ?」

 

ウルスラ「勿論、私は姉さま達の方に就きます。」

 

ハルトマン「ありがとう!これで明確な敵は、リーネとアルテアだけになるよ!」

 

ウルスラ「はい。それと、さっき話してた病院外の拠点ですが、一つだけ心当たりがあります。」

 

ハルトマン「本当?!そこって一体どこなのかな?」

 

ウルスラ「場所は私が院を卒業して作った自前の研究室の地下です。」

 

ハルトマン「なるほど、そこなら大丈夫かもしれない。そこで宮藤達と落ち合う事にするよ。ありがとうウルスラ」

 

ウルスラ「あ!姉さま。それともうひとつ。さっき話されてた『ツァーリ・ボンバ』についてです」

 

ハルトマン「え?ツァーリ・ボンバについて何か分かるのウルスラ?」

 

ウルスラ「はい。それについては誰が聞いてるか分からない此処でより、研究室に行って話しましょうか。」

 

ハルトマン「そうだね。それが一番かもしれない」

 

ジェニー「私も行きますよ~、エルデ教授の話聞きたいですからね~」

 

ウルスラ「分かりました。それじゃあついて来て下さい。」

 

ハルトマン「どんな所かな〜」

 

3人は病院から車で移動して約、15分後

 

病院から車で15分移動

 

ウルスラ「着きました。此処が私の研究所です。」

 

ウルスラの研究所は縦に長く高い作りだった。

 

ハルトマン「はえー、デカいなぁ。こんな所にいたのかぁ。まあ、ウルスラの方が院進は早かったから仕方ないかぁ」

 

ウルスラ「この中に『ツァーリ・ボンバ』についての資料があります。行きましょうか。」

 

3人は研究所の中にある地下室に向かった。

 

ウルスラ「これが、『ツァーリ・ボンバ』についての資料です」

 

ウルスラは少し古びた数枚の紙をハルトマン達に渡した。

 

ハルトマン「どれどれ…、ってこれ!とんでもない代物じゃん!核融合エネルギーを使うなんて!こんなの下手したら100万どころじゃ済まないよ!」

 

ウルスラ「実はモスクワ戦前にこれを作ってたんですが、実は・・・この兵器の開発に私も協力したんです」

 

ハルトマン「まさかウルスラがこれに協力していたなんて…、でも当時はまだネウロイ討伐という目的があったから複雑だなぁ…」

 

ヴェール「なるほど、ウルスラちゃんが研究員だったのね。で、これは元々スピリットオブリベリオンに載せる用だったけど、先にモスクワ解放が達成されたから結局開発部は解散したんだっけ?」

 

ウルスラ「はい。モスクワが解放された後は集まった研究員は解散。資料は各々持って帰るか焼却処分しました。それと、完成間近だった『ツァーリ・ボンバ』は核融合エネルギーを入れる前だったので処分したと聞きました。が、実際の所は残っておりリベリオンが引き取って完成させてたんですね。」

 

ヴェール「そうみたい。そして、それをスピリットオブリベリオンに載せて、高速爆撃でウィッチ兵を街ごと始末するんだとか。ぶっちゃけ、ウィッチ兵どころかリーネとアルテアの所在地すら掴んでないのに、よく憶測だけでブリタニアを灰にしようなんて思うよね~。あの子、多分故郷を灰にされても絶対に表に出てこないと思う。リーネが表舞台に出るのは、宮藤くんを始末する時だけだろうから」

 

ウルスラ「ですが、ツァーリ・ボンバは恐らく当時とは比べ物にならない威力にらなってると思います。予想にすぎませんがブリタニアの中心に落としたらギリギリ、ロンドンまで届かないかもしれませんが、そこまでの範囲なら余裕で焦土にするかもしれません。」

 

ヴェール「そんなのが使われたら、欧州は間違いなくパワーバランスが狂うねぇ。シャイタン教授を征伐するのも大事だけど、ツァーリ・ボンバの被害を食い止めるのも大事になって来ちゃった」

ウルスラ「・・・ひとつ、弱点と言えるか分からないですが、一つだけ弱点があります。」

 

ハルトマン「え、本当?!それってどんなもの?!」

 

ウルスラ「あくまで、当時のデータからの弱点ですが、ツァーリ・ボンバは保存時は厚い装甲に覆われてますが、最大限の爆発をさせる為に落下時は1枚の薄い合金に覆われているだけです。それに、落下させる時は成層圏から落とします。なので、成層圏に到着した瞬間に遠くからツァーリ・ボンバを撃ち抜ければ問題ないんですが、如何せん無理にも程があります。ただのミサイルならモスクワの時のようにコメートを使えばいけますが、如何せん爆発力があの時の比ではありません。」

 

ヴェール「成層圏で撃ち抜く、か…。成功するかは半々だけど、ひとつだけ撃ち抜く方法に心当たりがあるよ」

 

ウルスラ「本当ですか!その方法は?」

 

ヴェール「アレイスターの家にね、デカい列車砲があるの。あれを改造すれば、アレイスターの魔術で成層圏まで撃てる大砲が放てるかもしれないわ。修繕はシュミッタにやらせればいいけど、何ぶんガリア解放以前の骨董品だからね。測量器や照準器の類は何もついてないの、だから直感で当てるしかないんだよね。しかも、フルチャージには1時間はかかるから、落下時間を考えたら1発しかチャンスはないと思う」

 

ウルスラ「それは、良いですね。けど、問題は2つですね。先ず、発射タイミングです。音速移動するスピリットオブリベリオンを捉える必要があります。2つ目はツァーリ・ボンバの外装が本当に合金1枚だけなのかです。」

 

その時、オラーシャに居るはずの宮藤がやって来た。

 

宮藤「音速を捉えるなら…、射手はシャーリーさんが適任ではないでしょうか?彼女は確かホワイトマン基地にいます。もしかしたら、スピリットオブリベリオンの実物を触っているかもしれません。訳を話せば、撃墜に協力してくれると思います!」

 

ウルスラ「宮藤さん!いつの間に帰ってこられたんですか!」

 

宮藤「ついさっきですね。フランメさんに送ってもらったんですよ。いやー、空を飛んだのは久しぶりですよ~。車椅子まで運んでもらいました~。空から見慣れた顔が見えたので、ここで降ろしてもらったら、何やら速さがどうとか聞こえたもので~」

 

ハルトマン「お帰り〜、宮藤。・・・あれ?宮藤なんか車椅子新しくなってない?」

 

宮藤「あ、分かりますか?エルデ教授のパトロンのドーレスさんにもらったんだ~。新型の電動式だって~。座り心地も前より良くて快適だよ~。前のはもう、だいぶガタが来ていてそろそろ限界だったからね~」

 

ハルトマン「へぇ〜。中々良い型だね。これは、高い奴だろうに貰ったなんて羨ましいな〜。」

 

宮藤「ドーレスさんには感謝してもしきれないよ~。病院の子達より高そうなので、少し申し訳ない気はしますけどね~」

 

ハルトマン「いいんじゃない?宮藤も生活には車椅子が必要なんだから。」

 

宮藤「ありがとうございますハルトマンさん。あっ、それとシャイタン先生に関する重要な情報を掴みまして、ここで話しても大丈夫ですか?」

 

ウルスラ「ええ、此処なら盗聴対策として強力な妨害電波を出してるので、此処にいる誰かが外部に漏らさない限りは問題ありません。」

 

宮藤「分かりました、では話しますね…、実はシャイタン先生の正体は…」

 

宮藤はエルデ教授から聞いた事を全て話した。

 

ハルトマン「そう。シャイタン先生の過去にはそんな事があったんだね。」

 

宮藤「それと、シャイタン教授の心臓。多分かなり厳重な警備が敷かれてると思うから、一筋縄ではいかないかもね」

 

ハルトマン「シャイタン教授の自室って確か病院の地下にあるって聞いた事あるけど、気付かれずに侵入するのは難しいだろうね。」

 

ヴェール「あそこは派閥の人間すら入れて貰えないトップシークレットだからね。多分、本人以外ではリーネとアルテアくらいしか、そこに入れる鍵を持たないと思う」

 

宮藤「1度、近くに行ってみますか?何か分かるかもしれません」

 

ヴェール「一応見てみよっか。空腹の羆のほら穴に行くようなものだけどさ」

 

ハルトマン「的を得てる例えな気がしますね。けど、行くのは私とウルスラだけで少し計画を練ってから行くよ。それなら、あまり怪しまれないしね。」

 

ヴェール「気をつけてね。一応2人にお守りあげるから」

 

ヴェール教授はお守りを2人に渡した。

 

ヴェール「それアレイスターが作ってくれた奴だけど、1度だけ死亡を身代わりしてくれる魔法石なの。何かあった時の保険に」

 

ハルトマン「・・・出来るなら死にたくはないね。死ぬのは一生に一度で十分だからさ」

 

ヴェール「私もなるべく死にたくないね。でも、側近のリーネは少なくとも殺人を躊躇わないケダモノ。保険をかけておくに越したことはないかと」

 

宮藤「でしょうね。リネットはたとえ、ハルトマンさんやウルスラさんにだろうが容赦なく撃つと思います」

 

ヴェール「だから、保険でそれを持っていた方がいいね。何かあった時のためにさ」

 

ウルスラ「分かりました。ありがとうこざいます。」

 

ウルスラとハルトマンはお守りを受け取り、上着の内ポケットに直した。

 

ヴェール「じゃあ、その間こっちは新たに作戦を練っておくよ。あと、これは宮藤くんの分ね。」

 

ヴェール教授は宮藤にもお守りを渡した。

 

宮藤「・・・いえ、私はリネットとアルテアの命を奪うつもりです。私だけこんなモノを持つ訳にはいけません」

 

ヴェール「決戦の日までだよ。あの2人が良くても、シャイタンがどんな刺客や罠を用意してるか分からないし。その前に死んじゃったら、あなたの目標も達成できないからね。まあ、いらないなら無理強いはしないよ」

 

宮藤「分かりました。決戦の日まではこれを持っておきますね」

 

ヴェール「そのお守りは、自分で破棄したい時は必ずそのクビレの部分を折ってね。そうしないと、効力が残り続けるから」

 

宮藤「分かりました。」

 

宮藤はお守りを首から掛けた。

 

ヴェール「じゃあ、次の動きを考えたいけど、宮藤くんはどうしたい?」

 

宮藤「そうですね・・・私はこんな状態なので出来る事が限られてるのであっちから接触してこない限りはいつも通り診察をしつつ、情報を集めようと思います。」

 

ヴェール「そうだね。とにかく派手に事を起こさないのが一番かもしれない。こっちもとりあえず、情報を集めながらあちらの出方を伺ってみるよ」

 

宮藤「分かりました。ハルトマンさん達も気を付けてくださいね。」

 

ハルトマン「そうだね、あっちの動きも掴まないと、こちらが掴まれっぱなしだから、うまく綱渡りしないとね」

 

宮藤「無理は禁物ですよ!もし、危ないと思ったら直ぐに逃げてください!」

 

ウルスラ「分かりました。逃げる事を優先的に作戦を練りますよ。」

 

宮藤「取り敢えず、私は今日は家の方に戻りますね。ヴェール教授はどうしますか?」

 

ヴェール「私はアレイスターの所に行くかな。シュミッタ連れてアレをメンテナンスさせなきゃいけないし」

 

宮藤「分かりました。ヴェール教授も気をつけて。」

 

ヴェール「うん、また機が来たら落ち合おうね」

 

 



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捜索します!

すいません。少し間隔が空いてしまいました!


宮藤達がウルスラの研究所を隠れ家にして数日後、再び隠れ家にやって来てた。

 

宮藤「扶桑にいる坂本さんから昨日電話がありました。ついに明日ブリタニアに対して連合軍が総攻撃を仕掛けるらしいです。」

ヴェール「ついにこの時が来ちゃったかぁ。とりあえず列車砲のメンテナンスは済んでるけど、いつ頃投下されるかまではまだ不明だね」

 

宮藤「一応、一昨日シャーリーさんに電話してみたら基地にツァーリ・ボンバがあるのは確認したけど発射時刻までは分からないって言ってました。」

 

ヴェール「まあ、正確な時刻はトップシークレットだよね。妨害されたら元も子もないから。本当に勘で狙うしか無さそうだよ」

 

ハルトマン「カールスラントの陸軍は明日の明け方にロンドン側から潜水艦を使って上陸作戦を行うみたいだよ。空軍の方までは教えてくれなかったけど」

 

宮藤「どうにかして戦争は止めたかったけど、やっぱり無理だったね…」

 

ハイネ「この状況だと…、ウィッチ兵は連合軍の相手に回るわよね?こう言ったらナンだけど、今シャイタン教授を守るものは、リーネちゃんとアルテアちゃんしかいないんじゃないかしら?」

 

ハルトマン「リーネとアルテアだけでもキツイでしょうね。ダブルコアを持つ大型ネウロイが2体いるようなものだからね。」

 

ヴェール「イルミナは破壊するだけでいいとはいえ、その破壊方法が難儀だね。やはり、真っ向勝負はイバラの道かも。大丈夫?」

 

宮藤「私は極力2人とは真っ向勝負で決着をつけたいんですけど、2人がそれを望むかなんですよね。」

 

ヴェール「2人は、宮藤くんに勝てれば手段は問わないって雰囲気を出していたよね。そうでなければ、わざわざ宮藤くんに指輪を見せつけたり、遠距離からレールガンで狙うなんて発想はしないと思う。だから、彼女達の思惑を出し抜く発想力は必要かもしれない」

 

宮藤「けど、私には遠距離狙撃をする腕は無いです。・・・一か八かでお守りと大量のダイナマイトを持った上で自爆特攻をするのはどうでしょうか?」

 

ヴェール「うーん、それも難しいだろうね。イルミナの改良具合がどの程度か分からない以上、下手したら何も出来ずに終わる可能性があるし」

 

宮藤「確かにそうですね。・・・困りました完全に手詰まりです」

 

ヴェール「まあ、全く手詰まりって訳でもないよ。一応、ピットレとポトリーに頼めば、宮藤くんの死を偽装する事は可能だから。腹を探るための身代わりを任せてみる?」

 

宮藤「確かに、あの二人に私が死んだと思わせれば動きやすくなりそうですね。・・・お願いできますか?」

 

ヴェール「任せてね、2人に連絡しておくから」

 

ハルトマン「それにしても、死体を偽造するって相当な固有魔法を持ってるんですね〜。」

 

ヴェール「偽造というか、まあポトリーは誰かにそっくりな人形を作れるんだよね。あとピットレには、描いた絵を実体化させる能力がある。それらを組み合わせて、リーネ達に『宮藤くんを殺した』と誤認させようと思うんだ。一時しのぎかもしれないけど、時間は稼げるはず」

 

ハルトマン「それは、凄いですね。その2人の能力を合わせたら短時間でも誤魔化しが出来ますね」

 

ヴェール「そうだね。特に、遠距離砲とか使ってきたならしばらく誤魔化せるかも」

 

宮藤「分かりました。とりあえず私はここに潜んでいた方が良いですかね?」

 

ヴェール「そうだね。なるべく表に出ないで、司令役になって欲しいかなって」

 

宮藤「了解しました!皆さんが生きて帰って来れるように頑張ります!」

 

ヴェール「さて、宮藤くんの再現をするから、髪の毛1本だけ頂くね?あとはポトリー達に依頼しておくから」

 

ヴェールは宮藤の髪の毛を1本抜いた。

 

宮藤「イテテ。精巧な私の人形ができるなんて。こんな状況じゃなかったら1度見てみたいですね!」

 

ヴェール「まあ、やれるだけの偽装は果たしてみるよ~」

 

宮藤「ハルトマンさん達はこれからどうするんですか?」

 

ハルトマン「とりあえずまずはシャイタン教授の部屋を探ったら、他の診療科の現状も調べてみるよ。勢力がまた変わる可能性もあるからね」

 

宮藤「そうですね。1番最高なのはシャイタン教授の心臓を発見できる事なんですけど、難しいでしょうね。」

 

ハルトマン「金庫のパスワードなんかも、定期的に変えてるだろうね。だから、狙うなら何かの一瞬を突くしかなさそうだよ」

 

その時、研究所の電話が鳴った。

 

宮藤「・・・このタイミングで電話が鳴るという事は大戦絡みでしょうか?」

 

ハルトマン「気をつけて、リーネかアルテアかもしれないから」

 

ウルスラ「念の為、私が出てみますね・・・もしもしウルスラです。」

 

???「おお、ウルスラか!そこに宮藤はいるノカ?」

 

電話口からは聞き覚えのある声が聞こえた。

ウルスラ「その話し方と声…、もしかしてエイラさんですか?!」

 

エイラ「ああ、今サーニャの家から電話をかけてるんダナ。ていうか、それより大変な事になったんダナ!」

 

宮藤「電話変わりましたエイラさん、そんなに慌てて何があったんですか?」

 

エイラ「実は、スオムスがブリタニア側に、正確に言ったらシャイタン側に付いてしまったんだな!」

 

宮藤「何でそうなったの?!やはり、元帥が対立したから?!」

 

エイラ「昨日、スオムス軍に居る知り合いから聞いた事だけど、どうやら元帥とその直属の部下が全員シャイタンの優生思想に共感してしまったんダナ!それで、連合軍を抜けてシャイタン側に付いたんダナ!」

 

宮藤「あの人は確か、大戦は静観すると言ってたはずでは?!これは大変ですね…、打つ手を考えないと、大戦の結果も変わりかねませんから!」

 

エイラ「取り敢えず既にカールスラントと扶桑には連絡を入れてるんダナ。私はあのままスオムスに居たら巻き込まれそうだったから、サーニャの家に逃げてきたんダナ。」

 

宮藤「それが正解ですよエイラさん。何せ、リーネがエイラさんを人質にしたと嘘をついてまで、私達を揺さぶろうとしたんですから。下手に残れば本当に人質になるか、イルミナの力でシャイタンの手駒にされるだけです」

 

エイラ「今の所、シャイタン側から攻めるという情報は入ってないんダナ。けど、シャイタン側はツァーリ・ボンバの情報や上陸位置の情報をスオムスから聞いてるからどうなるか分らないんダナ」

 

宮藤「まあ、連合軍側がブリタニアの市街地を叩くという情報は、シャイタンも把握しているでしょうから、基本的には人造ウィッチで連合軍の各個撃破というプランだと思います。問題は、ツァーリ・ボンバの投下地点ですね。ホワイトマン基地も、シャーリーさん曰く知らされていないらしいですから」

 

エイラ「残念だが、私の占いでも何処に落とされるかや時間までは分からないんダナ。」

 

宮藤「という事は、既にエイラさんの影響力の範囲外にいる可能性もありますね…。ただシャーリーさん曰く、スピリットオブリベリオンの動力は特殊なもので、長時間飛行には向かないそうです。燃料満載でも、最大加速まで約10分かかり、飛び続けられるのはせいぜい2時間らしいです」

 

エイラ「あくまでも、私の予想だが、投下タイミングは開戦の序盤か連合軍がおされたら投下すると思うんダナ。」

 

宮藤「それは濃厚ですね、問題は、投下地点でしょうか?」

 

エイラ「これも予想だが、ブリタニアの中心に近いクランウェルに落とすと思うんダナ。」

 

宮藤「なるほどです、ヴェール教授にはそう伝えておきますね?」

 

エイラ「頼んだんダナ。こっちでも何か出来ないか限界まで足掻いてみるんダナ!」

 

宮藤「エイラさんも頑張ってください!こちらも手を打ってみます!」

 

エイラ「ああ、宮藤達も気をつけるんダナ。」

 

エイラは電話を切り、宮藤も受話器を戻した。

 

宮藤「とりあえず、最有力候補はクランウェルだそうです」

 

ヴェール「とりあえず今はそこに列車砲の照準合わせだね」

 

ハルトマン「それじゃあ私達はシャイタン先生の部屋を探ってくるね。」

 

宮藤「気をつけてくださいね、危険を察知したら退避してください!」

 

ハルトマン「うん。ちゃんとお守りも持ったし無茶はしないよ。」

 

ヴェール「行ってらっしゃい~、こっちも何とかしとくね~」

 

そして、ハルトマンとウルスラはローザンヌ病院に向かった。

 

ハルトマン「さてと、病院には着いたけど、先ずは地下に行く道を探さないとね。」

 

ウルスラ「おそらく、かなり巧みに偽装していると思います。案外病院ならどこにでもあるもので、扉を隠しているかもしれませんよ」

 

ハルトマン「取り敢えず慎重に行くよ。私達が捕まってイルミナを埋め込まれたら無条件でシャイタン側に着く事になるからね。」

 

ウルスラ「そうですね。そうなればもう自害するしかありません」

 

ハルトマン「自害する暇を与えてくれたら幸運なんじゃない?多分、イルミナを埋め込まれたらそんな事も出来ないと思うよ。」

 

ウルスラ「確かにそうですね。この手のものは、自害防止のプログラムくらいありそうですから」

 

ハルトマン「それじゃあ、もし私がシャイタン側に落ちたら躊躇わず殺してね。ウルスラ達を殺すのは嫌だからさ。」

 

ウルスラ「私も同じですね。姉様に引導を渡してもらいたいです」

 

1階のとある廊下を歩いてると・・・

 

ハルトマン「?ねぇウルスラ。ここの床なんか変な音しない?」

 

ウルスラ「少し軋みますね。まるで床下に空洞があるみたいです」

 

ハルトマン「・・・今誰かに見られたり、監視カメラがあるとかはないよね?」

 

ウルスラ「この辺りには無いようです。あるとすれば、この床の下でしょう。私ならば、無意味に病院内には置きません。置くにしても、ありふれたモニュメントで隠したりします。…そこのようにね!」

 

ウルスラは消化器に向けてナイフを投げると消火器に刺さった。消火器から泡は出ず、内部のレンズのような部分に直撃した

 

ハルトマン「うぉ!全く気づかなかったよ。流石ウルスラだね!」

 

ウルスラ「ただしあれがシャイタン教授の仕掛けたものとは限りません。アルテアあたりが独断で仕掛けたか、もしくはシャイタンとべったりな泌尿器科の連中の私物かもしれません。ただ少なくともこの位置から見るなら、この床に何か隠したいものがあるのは間違いないでしょう。さて、ズラかりますか。おそらくここに来た事は誰かに見られています」

 

ハルトマン「そうだね。ここに地下への入り口があるのが分かっただけでも収穫としようか。」

 

ウルスラ「では、離脱ですね姉様」

 

2人は走ってその場を後にした。

 

2人が去った後、その場に1人の人物がやってきた。

 

???「逃げられたカ。でもまさかこのカメラに気づかれるとは思わなかったんダナ。取り敢えず、シャイタン様に報告ダナ。」

 

ウルスラ「姉様、とりあえずエルデ教授に連絡しましょう。1つ引っかかる事があります」

 

ハルトマン「引っかかる事?まぁ、ウルスラの勘は当たるからね。良いよ。取り敢えず研究所に戻ってから電話しようか。」

 




最後に現れた人物とは一体誰なのか!


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裏切りが発覚します!

すいません。リアルが忙しくて少し間が開きすぎました。


研究所に戻るとウルスラはエルデ教授に電話を掛けていた

 

ウルスラ「はい、エルデ教授。いつもお世話になっています。それで確認したい事があるのですが…。(中略)。はい、やはりそうですか。ありがとうございます」

 

電話を切る

 

ウルスラ「私の読み通りですね。姉様。エイラさんはサーニャさんの家に居ません。間違いなく、スオムスが堕ちてあちらに寝返ったものと思われます」

 

ハルトマン「は!え?なんでどういう事?だってさっきエイラはサーニャんの家から電話を掛けてきたんだよ?」

 

ウルスラ「それはエイラさんが口にしただけですよね?本当に彼女の家から電話をかけているなら、まず家主のサーニャさんに代わるはずです。ここの電話では、どこからかかって来たかを逆探知する術がないです。別な所から電話をかけても、本人の発言次第で『かけてきた場所』はいくらでも作れます」

 

ハルトマン「・・・そういえば、さっきの電話、サーニャんは1度も出なかったね。え!じゃあ本当にエイラがシャイタン側に落ちてたら、このアジトもバレてるじゃん!エイラにはここで行う計画は話してないけど・・・」

 

ウルスラ「このアジトには入る事はできませんよ。入口にはパスワードや指紋認証がありますし。ツァーリ・ボンバが落ちてもビクともしません。もっとも、出入口一点狙いをされたら流石にまずいですが」

 

ハルトマン「それは、良かったよ。・・・あれ!そういえばアジトで待機してる筈の宮藤は!」

 

ウルスラ「宮藤さんには一応カンペで『シャイタンの秘密は話すな、電話を切ったら偽装作戦に徹しろ』と伝えて、別の場所に避難させてます。ですが、エイラさんがあちら側に堕ちたため、作戦の練り直しが入りますね。固有魔法が強化されていると厄介です」

 

ハルトマン「そうだね。エイラは未来が見えるから、偽装作戦をしても想定より時間が稼げないかもしれない。」

 

その時、2人の男女が入ってきた。

 

???「エイラさんはこちらで対処するわ、未来視が相手なら、時間はこちらの土俵よ」

 

???「うむ、我々は未来視など関係ないからね」

 

ハルトマン「!?貴方達は、もしかしてヴェール教授かエルデ教授の知り合いですか?」

 

???「そういえば、あった事はなかったわね。私はペチュアよ。宮藤くんのいる、精神科の主任よ。」

 

???「僕はリダンだ。ペチュアくんのパトロンをしている」

 

ハルトマン「そうだったんですね。初めまして。私は小児科の生徒のエーリカ・ハルトマンです。こっちに居るのが双子の妹で科学者のウルスラ・ハルトマンです。」

 

ペチュア「よろしく、ヴェール教授から話は聞いているわ。それにしても、未来予知の能力者ね。久しぶりに相手するわ」

 

リダン「ああ、よろしく。久しぶりの予知能力者捕縛か、腕が鳴るな」

 

ハルトマン「てことは、ペチュア教授も時間に関する固有魔法を持ってるんですか?」

 

ペチュア「私の固有魔法は『時間停止』、大概のものの時間を止められるわ。例えばそこのペンとか、ほいっ!」。

 

ペチュア教授がペンを空中に放り投げるとペンは落ちずに空中でピタリと停止した。

 

ペチュア「こんな感じに物理法則を無視してピッタリと止まるわね」

 

ハルトマン「!!嘘でしょ!こんな強力な魔法があるんですか!・・・てことは、リダンさんも男ですけど何か使えるんですか?」

 

ペチュア「ただ、時間を止めるだけだから、早送りや巻き戻しは出来ないわ。それと、全盛期なら1日は軽く固定出来たけど、今はせいぜい30分が限度ってとこね。それと、ガスや液体のような『形を持たないもの』には効かないわ。あと、時間が止まるって事は、自然治癒力なんかも止まってしまうから、一概にメリットではないわ」

 

リダン「僕はもっぱら、このレギュレーター(犬型の小型機械)で、ちょっとした時空間移動が出来るよ。まあ、一種のワープだね。ただ、横の空間移動は『半径1km先まで』、縦の時間移動は『前後3日以内まで』しか出来ないかな。あと、連続で使うには1日はクールダウンが要るから、隠密向けだね完全に。それと、これは僕しか使えないから、何かを頼むなら僕に依頼してね」

 

ハルトマン「時間移動が出来るんですか!あの、だったら3時間前に行ってエイラからの電話が来る前の私達にエイラの裏切りを教えて欲しいんです!」

 

リダン「お易い御用さ、3時間前だね。ちょっと伝えてくるよ」

 

ペチュア「ほんの少し現在が変わるかもしれないけど、そこは了承してね?」

 

リダンはその場からいきなり消えた。

 

ハルトマン「うわ!いきなり消えたよ。一体、どんな感じに書き変わるんだろうな〜。」

 

ペチュア「基本的には、余程歴史を変えるような動きをしない限りは大きく変わらないわ。作戦の進捗や人間関係が少し分岐したりするくらいね」

 

ハルトマン「・・・あの、もしもですけど、宮藤が今の状態になる前に戻って宮藤が怪我を負う前に阻止したらどうなるんですか?」

 

ペチュア「それをした場合、どこから修正したかによるけど、今の人間関係の一部が塗りかわるかもね。それと、宮藤さんの行動原理の説得力も変わるかも。彼女の支持はこう言ったらナンだけど『障害者の希望の星』という点で成り立っている部分もあるから、エルデ教授の心を動かせずに、産科がシャイタン側に取り込まれる世界線も考えられるわ」

 

ハルトマン「それは、ヤバいですね。ていうか、下手したら宮藤もシャイタン側に付いた可能性も有り得ますね。」

 

ペチュア「そうね。あの子なら、誰かを人質にされれば言う事を聞いてしまうと思うわ。だから、あまり歴史を変えかねない干渉は受けかねるわ」

 

その時、時間移動からリダンが戻ってきた。

 

ハルトマン「うわ!びっくりした〜。いきなり現れないで下さいよ!」

 

リダン「すまないねハルトマンくん、とりあえず伝えてみたよ。とりあえず、ミーナ君がスオムスの連合除名を打診し、クザワールが事情聴取のために拘束されたようだ。だが、スオムス軍そのものの動向には変化がなかったな。それと、君たちがあそこのカメラに映る事無く、同じ場所の地下室を発見した事になったよ。それ以外に変化はない」

 

ハルトマン「ありがとうこざいます。これで、進展があればいいんですけど。」

 

リダン「難しいな、なるべく影響を最小限に抑えたから、大局の変化はほとんど無いかもしれない」

 

ハルトマン「ちょっと整理してみましょうか。先ず、エイラはこっちを騙したと思ってるだろうね。けど、クザワール元帥が捕まった事を知ったら気付くのも時間の問題かもしれませんね。」

 

ペチュア「まあそうなるわね。ただ、慌ててカメラ回収に向かえば、目立つわ。それに、スオムス軍で何かあれば、曲がりなりにも士官のエイラさんは国へ戻される。少なくとも、しばらくは私達と接触不可能になるでしょうね」

 

ハルトマン「そうですね。あくまでもエイラの裏切りに気づいてない振りをしないといけませんからね。」

 

その時、研究所の電話が再び鳴った

 

ウルスラ「エイラさんかもしれません。裏切りには気づいていない演技に気をつけてください」

 

ハルトマン「オーケー気をつけるよ。・・・もしもし。」

 

エイラ「おお!今度はハルトマンか。また大変な事になったんダナ!」

 

ハルトマン「どうしたの?まさかサーニャんの家にガサが入った何て言わないよね?」

 

エイラ「実は、スオムスのクザワール元帥が連合軍から拘束されたんダナ。そのせいで、中将の私は今からスオムスに強制連行されて、連合軍の監視下になるから、自由に連絡が出来なくなるんダナ。」

 

ハルトマン「えっ…、クザワール捕まったの?!やっぱり連合軍で消極的態度だったから?という事は、連合軍は一気にサカルッチの優勢かぁ…。いや、サカルッチが業を煮やしてクザワールにあらぬ罪を捏造して捉えさせた可能性すらありそう…。他国も報復を恐れて、スオムスの味方をしないだろうね…。という事は、エイラを匿ったサーニャんも逮捕されたって事かな?」

 

エイラ「いや、連合軍を裏切ってシャイタン側に付いた情報が何処からか漏れたみたいなんダナ。だから、交戦前に上層部を皆捉える算段みたいなんダナ。(まあ、本当は捕まるのはクザワールだけなんだが、こう言ってた方が私も動きやすいんダナ)」

 

ハルトマン「ああ見えて実はクザワールが繋がっていたのかぁ…。それなら消極的態度も納得だね。兄弟分に戦争なんてしたくないだろうから。しかし、エイラ達も捕まれば、いずれ私達にも捜査の手が伸びそうだよ。あのサカルッチの事だから、元501は全員出頭命令出されるかも。私はそこが怖いね」

 

エイラ「取り敢えず、私だけで何とかなるようにしてみるんダナ。けど、恐らくこれが私からの最後の連絡なんダナ」

 

ハルトマン「うん、悲しくなるよ…。私、エイラの事忘れないから」

 

エイラ「ああ、もしかしたら反逆罪で殺されてしまうかもしれないんダナ。・・・どうやら、迎えが来たみたいだから電話を切るんダナ」

 

ハルトマン「うん、分かった。私も、サカルッチにする言い訳でも考えておくよ。それじゃあ、エイラ、ありがとうね」

 

電話が切れた後。

 

ウルスラ「お疲れ様です姉様。中々迫真の演技でしたね。」

 

ハルトマン「うん、何とか乗り切ったよ。でも、あっちも気付くのは時間の問題かもね。サーニャが拘束される可能性に答えなかったから、ウルスラの推理は確定だよ」

 

ウルスラ「後はヴェール教授が宮藤さんの偽装人形を作ってから考えますか?」

 

ハルトマン「そうだね。とりあえず偽装作戦の結果を見て動きを考えようか」

 

ウルスラ「偽装人形も何処まで通じるでしょうかね。」

 

ハルトマン「目はある程度誤魔化せても、未来予知で宮藤の動きを捉えられたらおしまいだからね…」

 

その時、アジトにヴェール教授が帰ってきた。

 

ヴェール「そうだね。取り敢えず。人形制作は完了したわよ。」

 

ウルスラ「あっ、お疲れ様です。こっちもとりあえず、シャイタンの隠し部屋とおぼしき場所を見つけました。それと、理由は分かりませんが、エイラさんがあちらに付いたようです。その件でスオムス軍の元帥が拘禁されました」

 

ヴェール「ええ、未来から来たリダンから聞いたわよ。取り敢えず人形のセッティングはポトリー達に任せてきたから。」

 

ウルスラ「さすが早いですね。首尾は大丈夫ですか?」

 

ヴェール「ええ、あの二人は頭のキレが良いからベストな所に置いてくれるはずだよ。」

 

ハルトマン「ありがとうございます。さて、新たな問題だよ!エイラ対策を練らないと!」

 

ペチュア「あんまり過去を書き換えすぎると、現代に矛盾の歪みが生まれるわ。短期決戦で彼女を捕縛する策が必要ね」

 

ウルスラ「私の予想としてはエイラさんは恐らく病院にいると思います。」

 

ヴェール「ふむ、それは有り得そうだね。私達をまとめて監視するにふさわしい場所だし、病気を偽って入院をゴネ続ければ、長く活動を続けられるからね。まあ、いたとしても、顔を変えて偽名で入院してるだろうね。足はつけたくないだろうから」

 

ウルスラ「そうなると、1番有り得そうなのはシャイタンの心療内科でしょうね。シャイタンの所なら書類も弄りやすいでしょうから。」

 

ヴェール「多分あそこなら1番潜り込みやすいだろうね。表向きに入院患者はいない、って事になっているけど。隔離病棟をこっそりと私物化して、スパイを匿っている可能性あるから」

 

ペチュア「そうなのよね。あそこは元々精神科の持ち物だったのに、いつの間にか心療内科に管轄権を取られていた。誰も近寄らない隠し部屋欲しさに、医局を買収して持ち主を書き換えたのかもしれないわ」

 

ウルスラ「もしかしたら、イルミナを埋め込まれたウィッチ隊の何人かはそこにいるかもしれませんね」

 

ヴェール「そうなるとかなり厄介になるね、病院自体がデッカイ戦場になるから。まあ、下手に動けばあっちも不都合だから、病院を戦場にしようとは思わないかもね。万が一病院で騒ぎを起こしたら、自分も動きづらくなるから。シャイタンは用心深いから尚更ね」

 

ウルスラ「どうしましょうか。病院を戦場にする訳にもいきませんからね。」

 

ペチュア「無難な線をいくなら、なるべく外に誘い出したいわ。もしくは、隔離病棟を封鎖するしかないわね」

 

ウルスラ「隔離病棟の封鎖ですか。確かに可能ならそれもありかもしれませんね。」

 

ペチュア「まあ、封鎖するとなると結構面倒なのよね。下手に動けば、勘づかれたと思って強硬策を取りかねないから」

 

ウルスラ「1番動きやすいのはどの科にも所属してない私かもしれません。まあ、エイラさんの口から割れてたら意味無いかもしれませんけどね。」

 

ハルトマン「エイラは未来が読めるからね。未来視でも干渉できないリダン達の助けは要るかも」

 

ウルスラ「そうですね。リダンさん。ぺチュアさん。一緒に来て手を貸して貰えませんか?」

 

ペチュア「ええ、いいわよ。久しぶりの未来視持ちとの対決で、内心ワクワクしてるのよね」

 

リダン「最終的には、彼女を確保してみよう。協力するよ。」

 

ウルスラ「ありがとうこざいます。それでは、隔離病棟に行きましょうか。」

 

ペチュア「あそこにもカメラはいくつかあるわ。元々は脱走者チェック用だけど、監視に流用してるかもね」

 

ウルスラ「そういえば、ぺチュアさんの能力でカメラを止める事ってできるんですか?」

 

ペチュア「映像に形はないから、流石に無理ね。でも、カメラの動作なら止められるわ。ほんの少しだけカメラの動きを止めて、素早く作業しましょう」

 

ヴェール「ドアの封鎖くらいなら、私の能力を使えば数分あれば終わるよ~」

 

ウルスラ「成程。ヴェールさんの能力でドアを封じるんですね。お願いします!」

 

ハルトマン「4人が行くなら私も行った方が良いかもね。周りを見張る役もいるでしょ?」

 

ウルスラ「そうですね。お願いします姉様。」

 

そう言って5人は病院の隔離病棟に向かった

 

ヴェール「それじゃあ、カメラの死角を突いて作業するね~」

 

ウルスラ「お願いします。ヴェールさん。…建物の中に入って何かさぐれたら良いんですけど、どうしましょうか?」

 

ヴェール「下手に顔を見られたらまずいからね~。内部はリダンに任せよっか。リダンなら何かあっても逃げられるし」

 

リダン「分かった。可能な限り探ってみよう。」

 

その時茂みの向こうからサーニャがやって来た

 

サーニャ「あ、ウルスラさん。無事だったんですね。良かったです。」

 

ウルスラ「サーニャさん!何故ここに?」

ヴェール「あれ?エルデ教授達はどうしたの?」

 

サーニャ「実は30分前程にアルテアちゃんが私の家を襲撃してきたので、1発決めて気絶させてから急いでエルデ教授達とウルスラさんの研究所に向かったんです。その時、空からウルスラさん達が見えたので降ろしてもらったんです。」

 

ハルトマン「もう嗅ぎつけてきたってわけか…。しかし、アルテア単騎で竜人3人もいる拠点を襲撃とはね、イルミナ2つの強化力は相当自信あるんだろうね」

 

サーニャ「なんとか、不意は付けたんですけど、恐らく2度は通用しないです。何より、身体能力が人間では考えられないレベルです。」

 

ウルスラ「イルミナに関する文献は、私も読んだ事あります。その文献には、かつてウィッチの連合軍が確立する以前に作られた、対ネウロイ用人造強化人間計画とありましたね。身体能力を常人の10倍以上に高め、ネウロイも素手で倒せるような力を発揮します。エネルギーも大気や太陽光から直接生成して、飲食なしで生き続ける事も可能だそうです」

 

サーニャ「それは、ヤバいというレベルじゃないですね…それと、襲撃がある前にエイラから電話があって、スオムスが連合軍を裏切ったから自分は処刑されるって電話があったんですけど、本当なんですか?」

 

ハルトマン「サーニャン、それはエイラがこっちを騙すために敷いたデマだよ。スオムスがあっち側に付いたのは事実だけど、エイラは既にシャイタン配下だから、逮捕を免れてるよ」

 

サーニャ「え!じゃあ…エイラは私達の…敵に?」

 

ハルトマン「そうだね、どういう経緯で寝返ったかは分からないけど。サーニャンの家に逃げてきたなんて嘘までついて、私達をゆすろうとしたからね」

 

サーニャはエイラの裏切りにショックを受けたのか膝から崩れ落ちた。

 

サーニャ「そんな…エイラの事信じてたのに・・・」

 

ハルトマン「私も正直飲み込めてないよ…、リーネやアルテアに続いて3人目だもん…。1度皆を集めた方がいいね…。一応、同じスオムスのニパ子は早急に拘束させたよ。今はロスマン先生が尋問してるって」

 

サーニャ「うん…そうだね。ハルトマンさん。」

 

ウルスラ「初めからあちら側なのか、スオムス軍がシャイタン側に付いた事で寝返ったかはまだ分かりません。ただ、エイラさんもイルミナの恩恵を受けていれば固有魔法が復活しているでしょうから、あらゆる手が全て読まれ勝機は見い出せませんね」

 

リダン「だから、こちらが読まれた行動の軌道修正を裏から行う必要が出たんだ。万が一の時は、時空の狭間に隠してあるIBM5100でも引っ張ってくるか、あれならレギュレーターの範囲を超えた時間移動が可能だからね。もっとも、あれを使うと世界線そのものが変動するリスクがあるから、場合によっては悪化する可能性もあるけど…」

 

ヴェール「話してる所悪いけど、取り敢えずドアの固定は終わったわよ。急いで研究所に戻りましょ!」

 

ハルトマン「そうだね、素早く帰還だね!」

 

6人はカメラに移らないように急いで研究所に移動した。

 



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開戦しました!

すいません。1ヶ月も空いてしまい本当にすいません!リアルでの仕事が繁忙期を迎えていて時間があまり取れずいました。


6人は隔離病棟に細工してから研究所に帰還した。

 

ハルトマン「なんとか、細工は出来たね。」

 

ウルスラ「まあ、どの程度の時間稼ぎになるかは分かりませんね。矢継ぎ早に新しい案を練らないと、後手に回りますから」

 

ヴェール「取り敢えず、エイラさんの相手はぺチュア達に任せるしかないでしょうね。強化された未来視の相手は私たちじゃ分が悪いからね。」

 

ハルトマン「そうだね。結果を読んでから手を打たれたら、こっちは何も出来ないから」

 

ウルスラ「リーネさん達に宮藤さんを当てるのは欺瞞作戦がバレた後でしょうね。」

 

ヴェール「そうだね。ただ、2人が真っ向から戦わない可能性も考えて、なるべく宮藤くんの想いを無碍にしない範囲で支援したいね。それに竜人相手に単騎で奇襲してくるくらいだから、今の宮藤くんでは力で押し倒される可能性すらあるし」

 

ハルトマン「そうですね。いくら宮藤に銃器を持たせても車椅子を壊されたら木偶になっちゃいますから。」

 

ヴェール「だから、彼女には最後の最後には、脚で戦ってもらう必要があるかも。一応、アレイスターに手配してそれっぽいのをシュミッタと作らせてみたけど。」

 

ヴェール教授が1枚の写真を見せると、写真には、かつて宮藤が使用していた震電にそっくりな義足があった

 

ハルトマン「え!これって、宮藤が使ってたストライカーですか!?」

 

ヴェール「厳密には違うね。宮藤くんの活動歴の写真を元に、可能な限り私とシュミッタで再現した物だから。宮藤くんに一番馴染み深いデザインにしようと考えてね」

 

ウルスラ「見た目は殆ど宮藤さんが使ってた震電ですね。こんな、義足を作れるとはアレイスターさんは凄い人なんですね。」

 

ヴェール「アレイスターは希少な男性ウィッチで、独自の魔法をいくつも生み出しているからね。本人固有の魔法こそ無いけど、ウィッチにまつわるものならだいたいの原理を理解してるね。ちなみにこの義足は、宮藤くんの魔法力ではなく、アレイスターが作った魔力電池みたいなもので動くね。操作は本人がするけど」

 

ウルスラ「伝説の男性ウィッチ・・・本当に居たんですね。噂だけの存在と思ってました。」

 

ヴェール「当人はあまり表に出たがらないからね。そのおかげで、色々な理論研究に費やせたみたいだけど」

 

ウルスラ「今回の騒動が終わったら1度研究を見せてもらいたいですね。」

 

ヴェール「もちろんいいよ~、宮藤くんの知り合いなら大歓迎だからさ」

 

その時、研究所が揺れた。

 

ウルスラ「っ!今の揺れは地震とは違う。・・・もしかして、ツァーリ・ボンバの余波!?」

 

ハルトマン「まさか、もう投下されたの?!それならもう戦争が始まったって事に!」

 

ウルスラ「有り得ます。地震や台風が来たという情報はありません。そうなるとこれ程の余波が来るのはツァーリ・ボンバしかありません。」

 

その時、研究所の緊急電話が鳴った。

 

ハルトマン「ウルスラ、電話だよ!これは緊急ラインのだから、シャイタン絡みの人からではないはず!」

 

ウルスラ「そうですね。出てみます・・・もしもし」

 

シャーリー「あ!ウルスラか!大変だ!基地にあったスピリットオブリベリオンは皮だけ似せた偽物だったんだよ!」

 

ウルスラ「え?!既にホワイトマン基地には無かったって事ですか!?あれはまともに運用できる基地が限られるはずですよ?!」

 

シャーリー「どこの基地にあるか分からないんだ。ただ言えるのは2日前に整備した時は確実にあったんだ。けど、さっき整備してたら明らかにスピリットオブリベリオンには使わない部品が出てきたんだ。それで、1人になった時にこっそり1部の塗装を剥がしてみたら違う機体の文字が出てきたんだよ!」

 

ウルスラ「2日のうちに何処かへ引っ越したんですね…。やはりエイラさんが噛んでいるのかもしれません…。調べてみる必要がありますね」

 

リダン「既に投下されてしまった後となると過去に戻っても何処に移転されたかを調べるしか出来ないな。下手にこの状況で投下阻止を行うと今の状態が180度変わってしまう」

 

ペチュア「そうね、この流れを変えたら歴史の世界線が変動するわ。そうなれば、流石に怪しまれてエイラさんが手を変えてくる」

 

ハルトマン「けど、もうゆっくりは出来ないね。ツァーリ・ボンバが投下されたって事は連合軍がブリタニアに攻め込んだ可能性がある。」

 

ペチュア「そうね、ブリタニア侵攻を抑える楔はもうないから、戦争は始まっているでしょうね」

 

シャーリー「それと、ここに電話する前にバルクホルンから電話が入って、今からカールスラントもブリタニアに攻め込むようだ!」

 

ウルスラ「いよいよですか…。本格的な戦争の始まりですね」

 

その時、基地内のもう1つの電話が鳴り出した。

 

ハルトマン「また電話か。こっちが鳴るとシャイタン側の電話と疑ってしまうよ。」

 

ヴェール「そうだね、こっちは普通にどことも繋がるから、いっそこっち側の人達は緊急ラインの方だけにかけさせる?」

 

ハルトマン「それが良いかもしれません。とり敢えず出ますね。・・・もしもし。 」

 

リーネ「あ!ハルトマンさんだお久しぶりで〜す!」

 

ハルトマン「いったい何のつもり?ブリタニアが戦争に巻き込まれて、命乞いにでも来たの?まあ、アンタの性格なら、命乞いじゃなくて逆にこっちに命乞いさせに来るだろうけどさ」

 

リーネ「そうだね。さすがハルトマンさん。察しが良くて助かります!あのね。さっき、芳佳ちゃんを殺してあげたよ♪」

 

リーネはまるで、嬉しい事があった時のようなテンションで宮藤の死をハルトマン達に伝えた。

 

ハルトマン「…本当に憎々しい時って、何の感情も湧かないもんだね。私はブリタニアの滅亡を心から望んでいるよ。あんたみたいな人間が、世の中から差別が無くならない原因を作るんだからね。次会う時は、アンタの胴体から余計なパーツを切り離してあげるから、楽しみにしてるといいよ?」

 

リーネ「怖いな〜ハルトマンさん。でも、本当に私を殺す気ならハルトマンさんだろうが、容赦しないよ?」

 

ハルトマン「あんたに人殺しを躊躇う感情なんてあるの?あんたは機械と変わらないんだから、0か1の2択でしょ?『殺す』と決めれば親でも殺し、『殺さない』と決めれば敵でも見逃す。それだけじゃん、今更そんな脅しには乗らないよ?」

 

リーネ「ん?なんで躊躇わないといけないんですか?芳佳ちゃんは殺す必要があったから殺したんですよ〜」

 

リーネは高笑いしながら答えた。

 

ハルトマン「アンタは真性のサイコパスだよ。私でも分かる、生まれながらの本当の悪。環境だとか、思想だとか、そんなモノは関係ない。生まれた瞬間からアンタは悪として誕生していたんだよ!」

 

リーネ「ふふふふふふ!ハルトマンさん。よく分かってるね。それじゃあ、覚悟してね。今からその隠れ家も壊してあげる♪」

 

ハルトマン「もうこの場所が分かったの!?」

 

ウルスラ「皆さん、一旦避難です!こちらに!」

 

ハルトマン「クッ!仕方ないね!」

 

その場にいた全員がウルスラが指示した場所に逃げ込んだ。

 

ウルスラ「ここはそう簡単に吹き飛ぶ造りではないですが、あちらが何を使うか想定できないので、避難しかありません」

 

ハルトマン「分かった。死んだら元も子ないからね。」

 

少しの間地下へ続く階段を降りると少し広めの部屋に着いた。

 

ペチュア「さて、おそらくだけどもう世界中のどこに居ても、安全な場所はありませんね。こちらも少々手荒になりますが、まずはエイラさんの無力化を図ります」

 

リダン「時空の狭間での出来事は、どんな予知をしても防げないからね。彼女を時空間の牢に閉じ込め、無力化する方法を取るよ。もちろん、時空間の狭間にいる人間には、僕以外誰も接触は出来ない。無理やりこじ開けようとすれば、時空のバランスが崩壊して世界の理はおかしくなるからね。彼らでも手出しは出来ないはずだよ。僕以外の人間は、時空間から脱出する事は不可能だし」

 

ハルトマン「そうなると、先ずはエイラとの接触ですね。・・・一体何処に居るんだろう。」

 

リダン「おおよその見当はいくらかついているが、表に出てこないからなかなか難しいね。まずは、ローザンヌ内部を調べてみよう」

 

サーニャ「お願いリダンさん!私も連れて行ってください!」

 

リダン「時空間移動は僕しか出来ないのだが…、仕方ないな。これに乗ってほしい」

 

リダンはバイクらしき乗り物を取り出した。

 

リダン「これはテンプホエーラー、1人限定で僕と一緒に時空間移動が出来る乗り物さ。ただし、振り落とされたら永久に時空間の狭間から出られないから、手は離したらいけないからね?」

 

サーニャ「分かりました。ありがとうございます!私は自分の手でエイラに引導を渡したいんです!」

 

リダン「じゃあ行こうか、第一目標の、ローザンヌ病院地下の廃手術室にね!」

 

ペチュア「おそらく彼女もイルミナの影響下にあるわ。ヤバいと感じたら閉じ込めて撤退しなさい」

 

ヴェール「それと、これサーニャちゃんの分のお守りね、1度だけ死を肩代わりしてくれるから」

 

サーニャ「ありがとうございます。必ずエイラに引導を渡してきます。」

 

サーニャはお守りを受け取ると首から掛けた。

 

リダン「では行こう、テンプホエーラーに乗るんだ!」

 

サーニャ「はい!」

 

移動完了後

 

サーニャ「うぅ。…フラフラします」

 

リダン「時空間移動はかなり衝撃があるからね。慣れないうちは、ワープ酔いも起きるから気をつけて」

 

サーニャ「はい。気をつけます。」

 

その時、2人の背後から聞き覚えのある声で話しかけられた。

 

???「お?予知通りやっぱり侵入者が来たんダナ。悪いけど、2人には死んでもらうんダナ!」

 

リダン「馬鹿正直に待ち構えか、余程自信があると見えるな!」

 

リダンは背後に向かって威嚇射撃を行った。

 

エイラ「無駄なんダナ。私には全てが見えてるんダナ!」

 

エイラは銃弾を全て避けきった。

 

リダン「なるほど想像以上だ。だが、僕も時空転移者の端くれ。未来予知ごときで折れたりはしないよ!」

 

リダンは続いてナイフを投げ飛ばした。

 

エイラ「だから無駄なんダナ!」

 

エイラが手を前に出すとナイフが空中で止まった。

 

リダン「君もまさか、予知だけではなく時間操作を身につけたか。この世にクロノスの申し子は何人もいらないね!」

 

リダンは姿を消してしまった。

 

エイラ「くっ!姿が消えたか。なら、先にお前から始末するんだナ!」

 

エイラは躊躇いなくサーニャに近付く

 

サーニャ「エイラ…!あんたなんか死んじゃえばいいんだ!」

 

サーニャも躊躇いなく銃をぶっぱなす。

 

サーニャ「変態!犯罪者!脳が腐ったケダモノ!スオムスの癌!身体目当ての悪魔!」

 

エイラ「無駄だと、何度言えば分かるんダナ!」

 

エイラは銃弾を避けて、サーニャの両腕を掴みあげる

 

エイラ 「・・・さて、今まで我慢してた分をじっくり味わってやるんダナ。」

 

サーニャ「これだけ言われても応えないなんて…、アンタはエイラじゃなくてただのネウロイだよ!」

 

リダン「…ベゼルシップ、起動!」

 

姿を消していたリダンがいきなり、エイラの背後から姿を出して、攻撃を行った

 

エイラ「グハッ!」

 

流石のエイラも避け切れずに血を吐き出してしまう。

 

リダン「サーニャくん!今だ!」

 

サーニャ「…エイラ、さよなら」

 

サーニャはリダンから預かっていたナイフをエイラの左胸に突き刺した。

 

リダン「…IBM5100、θ世界線へ…」

 

エイラはそのまま喋るまもなく姿を消された…

 

 



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決戦に備えます!

エイラが異空間に飛ばされた後サーニャとリダンはその場に座りこんだ。

 

サーニャ「・・・本当に異空間に飛ばされたんですね。」

 

リダン「そうだね。ただ、彼女には時間停止能力まであった。今までの戦歴でそんなものを使った記録はない。これは僕の推測だが、イルミナの力で彼女も僕と同じ力を使える可能性がある。そうなれば…、時空間に閉じ込めるのは逆にマイナスになるかもしれないし、時間稼ぎ程度にしかならないかもしれない。最悪、彼女の存在証明そのものを世界の理から抹消する必要があるな。他の世界線へ彼女を飛ばし、現在の時間軸には歴史上初めからエイラという人物は存在しなかったという具合にね」

 

サーニャ「確かに、今までのエイラは未来予知という能力しかありませんでした…もし、リダンさんやぺチュアさんと似た力を持ってたら今回の時空間転移は意味が無いかもしれません。…私もエイラの存在を消すというのは賛成です。アレはもう私の知ってるエイラじゃありませんでした。ただの、人殺しを許容する怪物です。」

 

リダン「とりあえず今は、ベゼルシップで彼女の脳を破壊したから。しばらくは再起不能だと思うけどね。あぁ、説明してなかったけどベゼルシップは『先読みの先読みをするアイテム』。対予知能力者用の決戦武器さ。予知の限界を脳の処理速度を超えた速さで行わせる事で、予知能力で脳を自爆させたんだ。未来視とイルミナの力に限界がなくても、処理速度と許容力には限界がある。あとは、サーニャくんの強い想いに賭けたね。よくコアを見つけてくれた、ありがとう。」

 

サーニャ「此方こそありがとうこざいました。」

 

リダン「では隠れ家に戻ろうか。あちらを放置する訳にもいかないからね」

 

サーニャ「そうですね。けど、万が一に備えてエイラが使ってたこの拳銃は回収してから行きましょう。」

 

リダン「そうだな。この部屋にあった物はいくつか回収していこう。何か役に立つかもしれない。」

 

2人は部屋にある荷物を荷造りしだしてテンプホエーラーに乗り込んだ

 

リダン「荷物とサーニャくんはテンプホエーラーに乗ったね!行くよ!」

 

2人はその場から消えて隠れ家に戻って行った。

 

移動完了後

 

サーニャ「うぅ。やっぱりフラフラします。」

 

リダン「さて、とりあえずエイラくんは何とか始末してきた。しかし予定外の事態だ。彼女、時間停止能力を身につけている。それと持ち帰った中に、僕のレギュレーターによく似た道具があった。もしかしたら、彼女も時空間移動の能力を身につけたかもしれない」

 

ハルトマン「てことは、エイラを時空間に閉じ込めても出てくる可能性があるんですか!」

 

リダン「まだ分からないな。一応彼女は今、脳が破裂した上にイルミナのコアも破壊された。シャイタンに時空間に入る術がない限りは出てこれないはずだ。だが油断は出来ない。エイラくんがいた場所にあったものを押収してきたから、調べよう(荷物を置く)。それと万が一の時は、彼女をこの世界線から『消滅』させる。IBM5100で、彼女がこの世界線の歴史上に、初めから存在しなかったものとして書き換えるつもりさ。もちろん、彼女の戦歴なども全て別なウィッチの功績になるし、サーニャくんの両親探しも別なウィッチがした事になる」

 

サーニャ「私は構いません。あんな、人の形をした化け物と一緒にいた記憶なんて消したいぐらいですから。」

 

リダン「信頼出来る君たちにだけは伝えるが、エイラくんの裏切りが分かって以降、君たち以外の残ったウィッチ全員に密かに特殊なリングを付けておいたんだ。そのリングを付けていると、どこにいてもこの装置で存在を消滅させられる。他に裏切り者は出ないと信じたいが、目の届かない所は分からないからね。少しでも妙な素振りをすれば、世界線から存在は消える事になる。最悪、501のメンバーも君たち4人だけか、別なウィッチがいた事になるかもね。本当はこんな事をしたくないが、これ以上あちらの戦力が増えたらもう手に負えない。不本意だが、削除するよ」

 

宮藤「・・・それってつまり、501で過ごした楽しい思い出の殆どが無くなるか、別の人に違和感なく置き換わるんですか?」

 

ペチュア「まあ、そういう事ね。正直、この策は取りたく無かった。しかし、エイラさんの強化具合を見て確信したのよ。『イルミナの技術は、もはやこちらが知るような水準ではない』と。あなた達の戦歴は全て見てきたから、基礎戦闘力だけでも1個大隊相当になるわ」

 

ヴェール「それに、それぞれの固有魔法も強力だからね。運悪く全員があちら側なら、こっちは何をしても勝機はゼロ。強化具合を想定するなら、ゴジラに棍棒で殴り掛かるのと変わらないわね。そうなったらもう『世界線から存在証明を消滅させる』以外にとる道は無いって事」

 

リダン「歴史には復元力があるから、今までの思い出が別な人達と過ごしたものに書き換わるケースの方がほとんどだね。サーニャくんはもう腹を決めたみたいだよ」

 

サーニャ「対峙して分かった…、あちら側に堕ちたらもう私達の知るような存在ではなくなる…。昔私があげたペンダントも、エイラは処分したみたいだから…。芳佳ちゃんも、同じ体験したんだよね…?」

 

宮藤「うん。…アルテアも私がプレゼントした服や装飾品、一緒に撮った写真全てを処分したらしいから。・・・リダンさん。私も決めました。ここに居ない他の人達を全員、削除してください!」

 

リダン「いいんだな?それが君の覚悟か。そして、ウルスラくんとエーリカくんはどうするんだい?」

 

ウルスラ「・・・私も此処に居ないメンバーは消すべきだと思います。もしかしたらここに居ない他の人達は私達が知らないだけで、シャイタン側に堕ちてる可能性は十分にあります。取り返しがつかなくなる前に可能性は潰しておくべきです。」

 

ハルトマン「私は・・・」

 

3人が答えを出す中、ハルトマンだけは答えを出せずに黙り込んでしまった。

 

ペチュア「まあ、スグに答えは出せないよね。まさかいきなり裏切り者が出るなんて思いもしなかったわけだし。この戦いの行方は、もう自分達で切り開くしかないわね」

 

エルデ「私も本音を言うなら気乗りはしないわ。でも、リーネさんだけでシュトラールが戦慄するレベルの強さ。そしてエイラさん、私達では束になっても恐らく勝てないわ。人間より戦闘力は高いけど、私達の種族に魔法なんて無いからね」

 

ハイネ「私も…、個人的には消滅は悩みました。ただ、エイラさん1人を取っても異次元の戦闘力という事は、他の人も同じかそれ以上。正直、こちら側にツァーリ・ボンバが1万発あっても降伏するレベルね…」

 

ジェニー「エイラさんが予知能力者である点が例外としても、他も確か、パワー系から自然現象系、弱点看破系までいるんですよね?ジェット機に槍で立ち向かうようなものですよ?」

 

ハルトマン「・・・・・・ねぇ、宮藤。睡眠薬で私を眠らせて欲しいんだ。そして、その間にトゥルーデ達の事を消去して。」

 

ハルトマンは泣きそうな顔をして宮藤にお願いをした。

 

宮藤「…分かりました。では、ハルトマンさん、この薬を飲んでください。」

 

宮藤は瓶に入った睡眠薬をハルトマンに手渡した。

ハルトマン「ありがとうね、宮藤。…さようならトゥルーデ」

 

ハルトマンは睡眠薬を飲むと数分で眠りに着いた。

リダン「では、必要なメンバーの情報を入力する。念を押しておくが、既にあちら側にいるリーネくんとアルテアくんにリングを付けれてないから、2人は確実に残る事になる。」

 

リダンは手元の装置に情報を入力していった。

 

リダン「では、入力を完了した。約30名の旧連合軍サイドウィッチを、β世界線へ転送する(機械起動)」

 

そして、この世界から元軍人のウィッチのほとんどは消滅した…

 




少し短めですが、ここで区切ります。

え〜。リダンの力で宮藤、ハルトマン、サーニャ、ウルスラ以外の軍属ウィッチは全員消え去って、皆から忘れられました。・・・


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