GOD EATER 〜神殺しの野望〜 (doto-ru)
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プロローグ

大好きなゲームの小説を書いてみたくなりました
結構、自分好みに書きますし初めての体験なので、ヘタクソだと思います
それでも、楽しんで読んでもらえると幸いです

更新はあまりこまめにできません
よろしお願いします


 

〜2065年 フェンリル極東支部 外部居住区 〜

 

空は茶色く

たえまなくおこり続けるサイクロン

そして、荒神

 

「世界はこんなにもかわってしまった」と大人たちはつぶやく

それでも8歳の自分には今住んでいるこの世界は、弟がいるだけでとても幸せな世界だった

 

「お兄ちゃん、早く帰ろうよ」

6歳の弟は、両親の諍いにも、世界の異変や荒神にすらも興味がないように過ごしていた

ただ、兄である自分に対しては心を開いてくれていた気がした

 

「そんなに急いでも、夕飯なんてできてないぞ。よくて、二人の喧嘩が終わってるだけだ」

 

「それでも、帰るんだ。だってあそこが、やっぱり僕らの家だもん」

弟は、少し気を落としたように言う

たった6歳の弟に今の生活に耐えているだけでも不思議なのに

最近は、自らいまの環境を変えようとしている

俺とは大違いだった

 

「俺は、お前がいるだけで幸せだ、だからなにも心配しなくていい。俺がお前を笑顔で入れる環境を作ってやるから」

「…うん、僕もお兄ちゃんといたい」

 

そうこの二人の気持ちが通じてる瞬間が、いつまでも続き、決して終わらないことを信じていた、そして祈っていた

 

 

この日うちに帰るまでは

 

夕方をすこし超えたあたりだろうか、すこし空にあかみがかかったころ

あと数分で、外側の壁に最も近い所に位置する俺たちの家につくところまできた。そして

警報が鳴った

 

「緊急警報、緊急警報、外部居住区にて荒神が侵入。近くのゴットイーターは急行し住民の避難を最優先に行動してください」

 

「お兄ちゃん、これって僕らのいえの…」

「そんなこと、どうでもいいにげるぞ」

俺は、弟の腕を無理矢理引っぱり、近くのシェルターに避難しようとした

「お兄ちゃん待って、待ってよ、お父さんとお母さんがまだ」

「あんなやつら、どうでもいい俺らの支給品すら食べて、俺らが稼いできた金でいきてるやつらだぞ。ほかにだって…」

「お兄ちゃんのバカ、お母さんなんだよ、お父さんなんだよ、どんなにひどいことされたって…。それにさっき約束したよ。一緒に笑顔でいれる環境にするって」

「うるさい、いまはお前の方が…」

「お兄ちゃんのバカ」

 

弟は俺の腕を振りほどき、家の方に走っていった

俺は、少しの間呆然とした。俺がいればよかったんじゃないのか、なんであんな暴力だって平気でしてくる親に…

どれくらい立ち止まっていたかは、わからない。だがある人の声で我に返った

 

「君すぐに避難して、大型の荒神も入ってきてるらしい」

ゴットイーターだった

だが、そんな言葉に耳をかさず俺は走り出した

 

「きみ、まちなさい、そっちは」

 

あの人の声が遠くなっていく

 

自分の持てる力を出し切り全速力で家に向かった

 

そしてある光景をみた

 

荒神が両親とおぼしきものを食べていたのだ

その姿をみて、このときの俺は恐怖よりも先に神々しいとおもった

いま思えばなんて、恐ろしい光景だったか

それでも、あのときの光景は、いまだに目に焼き付いていた

 

そして、自分の目の前にいる泣き崩れた弟をみつけた

 

「お兄ちゃん、お父さんも、お母さんも救えなかった」

 

俺は沈黙した、答えるべき言葉が見つからなかった

そして、そうこうしているうちに、荒神は俺らに気づいた

 

「逃げるぞ、立つんだ。はやくしないと俺たちまで…」

おれは、弟の腕をもってたたせ、走ろうとした。

その瞬間

 

凄まじい音とともに、壁が破壊された

近くにいた小型の荒神も吹き飛ばされ、俺は瓦礫の下敷きになった

そして弟は、その荒神の前に立っていた

 

みたことのない、大きな荒神は弟に近づいた

 

「やめろー、弟に近づくな!」

 

「お兄ちゃん、たすけ……」

弟が全てを言い切る前に、俺の手に触る前に

大型の荒神は、弟を丸呑みにした

 

「くそ、くそが、殺す殺す殺す」

何もできなかった、弟が助けを求めていたのに、なにも…

間違っていた、俺の行動も、考えも、すべて

 

神に祈ったから壊された、祈るべき神などもういない

絶対に殺してやる、喰らい尽くしてやる。この命にかえても

 

大型の荒神は、すぐにその場を後にした

 

俺は運良く、声をかけてくれたゴットイーターに保護された

 

 

俺はあの過ちを償うため、そして荒神を滅ぼすため

 

フェンリル極東支部に入隊を決意した

 

 



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適合試験とアナグラ

〜6年後 2071年 〜

 

あの悲劇から、6年が過ぎた。

俺はあれから、神機使いになるためにある組織で訓練に励み

ひたすら荒神を殺すことを考え、どんなに苦しい訓練にも耐えてきた

そして、ついに神機使いになるための適合試験を受けることになった

 

俺は、広い部屋に通された。そこには周りには何もなく、ただ中央に神機をのせた台があるだけだった。

 

「やぁ、よく来てくれたね。私は、極東支部 支部長 ヨハネス フォン シックザールだ。君の素性はあまりにも特別だ。8歳の頃からの経歴、記録の全てが不明、志望理由が昔ゴットイーターに助けてもらったからだそうだが…。本当なら君のような不穏分子をこのアナグラに入れたりはしないのだが、体力試験、武術試験など君はトップの成績。そして君の目には確固たる意思が伺える」

シックザールは俺の目を見据える

「はたして君は本当は何のためにここに来た、返答しだいで君の未来がきまる。」

 

俺は、疑われている、誰かを暗殺に来たのではないかと、そして同時に試されてもいる

俺がなぜここにいるって

そんな答え、とうの昔に決まっている

「俺は 俺は荒神を絶滅にさせるためにここに来た!!

そのための力を俺にくれ、俺はたとえ足をもがれ、手を奪われ、首が取られようと、その首だけでも奴らを、荒神を皆殺しにするとここに誓う。だから、俺に奴らを破滅させる力を」

俺の心からの叫びをシックザールは、真剣な眼差しで見つめていた

 

「その噓偽りなき言葉を信じて、君の意志に沿うものを用意しよう」

シックザールが右手を上げると中央にあった神機が取り代わった

 

「今そこにある神機は新型だ、成功例もいまだ少ない。だが手に入れれば使い方次第で今の神機使いより遥かに強い力が手に入るだろう。それを手にとり更なる高見を目指すのも、旧型で安全にゴットイーターになるのも君次第だ」

 

「そんなこと決まっている、俺はこんなとこで怖じ気づいてる場合じゃないんだよ。」

俺はすぐに台の上に手を置き、神機をつかんだ

台の上から、俺を押さえつけるように大きな台が降りてきた

何かが俺の体内に入ってくる

俺の意識はだんだん薄れていった

 

どす黒い何かだった、何かは言った

「お前の全てを俺によこせ、俺が喰らってやる。その方がお前も楽になる」

 

「だまれ!!てめぇは黙って俺に力を貸せ、そしたらもっといいものを喰わせてやるよ」

 

「…もっといいものだと」

 

「おうよ、神を喰らうんだよ。全ての神を。」

 

「その神の細胞から作られた俺に、神を喰らえと」

 

「俺の相棒するんだからな、大暴れしようぜ。全ての荒神を喰らう最強の捕食者にしてやる。力をかせ」

 

「その言葉忘れるなよ」

 

 

 

「ぐっは!!はぁ、はぁ、はぁ……」

俺は意識を取り戻し、自分が床に倒れているのを自覚する

 

「見事だ、少年。そしてようこそ、ゴットイーターの世界に!!」

 

「少年じゃない。俺の名前は、神条 タクト。全ての荒神を喰らう男だ」

 

こうして俺はなんとかゴットイーターへの適合試験に合格した

 

〜アナグラ エントランス〜

 

俺はしばらくして、ここアナグラのエントランスの待機を指示された

さきほどメディカルチェックを受けるために、ペイラー博士と言う人にもあわせられた

やはり新型の力はいまだ例が少なく情報が足りていないらしい

頻繁に呼び出しをされるという話をされた

第一印象は変な人だ

そんなことを考えていると扉が開き、俺と同い年くらいの男が俺の隣に座り、話しかけてきた

 

「よう、君も今日からゴットイーターなんでしょ?俺もなんだ、仲良くしようぜ。俺の名前は藤木コウタ」

 

「神条タクトだ。よろしく、俺のことはタクトって呼んでくれ」

 

「おう、よろしく。俺もコウタでいいよ。ってお前、新型か!!」

 

「よくわかったな、運がよくてな、新型になれたんだ」

 

「俺は旧型なんだよな。でもそんなの関係ないな、お互い全力で戦おうぜ」

 

「あぁ、そうだな。一緒に戦うことも多そうだ。よろしく」

 

この他愛ない自己紹介のあとも、コウタと俺は自分の趣味や、コウタの家族の話、挙げ句の果てにはメディカルチェックの愚痴まで話したりすぐに仲良くなった

コウタはとても明るく、前向きな考えをしているようだ

 

「おしゃべりはそこまでだ」

俺らが気楽に話していると、綺麗だが少し目のきつい女の人と、おちゃらけたような男の人が俺らのところに歩いてきた

 

「もう、そんなに仲良くなれたのか。これは今年の新人は、有望そうですね姉上」

 

「リンドウ、ここでは私は上官だ。姉上と呼ぶな」

リンドウと呼ばれる男が頭をたたかれている

 

「悪いな、自己紹介が遅れた。私はここ極東支部での新人の教官を担当している、雨宮 ツバキだ。これから1週間荒神の対処、神機の使い方など全てを教える。地獄の1週間だと思え。そしてこの隣にいる男が、お前らが配属されるであろう第1班リーダーの雨宮 リンドウだ。」

 

「よろしくな、まぁ細かい自己紹介や、挨拶は、教官の地獄のメニューを乗り越えてからということで」

 

「明日からの1週間お前ら二人は、私の指導をうけて初めて本当の新人ゴットイーターだ。神機をもつだけでゴットイーターになったと思うな。そして。この指導を終えれば、リンドウとの本当の実戦にはいる、心してかかるように。

今日はメディカルチェックで疲れただろう、ゆっくり休み明日にそなえろ。以上解散」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

これからやっとゴットイーターへの道が開かれた

 



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地獄の訓練メニュー

 

初日

俺とコウタは、ひたすら走っていた

 

「どけ、コウタ俺が先にいく」

「なに言ってるんだよ、そしたら俺が襲われんだろ」

 

俺たちは、アナグラのとある場所でダミー荒神から逃げていた

神機があればこんな無様なことにはならないのだが、今日の持ち出しは禁止とされていた。そして何よりも…

 

「もっと、考えて逃げろ。2日間休みなしでの体力強化訓練だ、ダミー荒神いがいにも、トラップもあるからな。食料はどこかにあるから、勝手に探せ!!」

 

「そんな、無茶ですよ。

ダミー荒神って、休まないじゃないですか」

すでにバテそうな、コウタが泣きそうに言う

 

「バカ者、本当の戦場でも、荒神は休むことなく襲ってくる

どう考えて、うまく立ち回るか、そして生き残るためにどうするか。それを考えるのにこの訓練は必要不可欠だ。ダミー荒神も攻撃を仕掛けてくるが何も死にはしない」

 

「えっ、良かった。じゃあ、もう少し遅くしても大丈夫かな」

コウタがスピードを落とす

ダミー荒神はここぞとばかりに、もう、ダッシュ

 

「まぁ、死ぬほど痛いがな」

 

「それ、先に言ってください!!」

コウタがもうスピードで俺の横を抜ける

 

「コウタ、もう諦めよう。黙って逃げ切るしかねぇよ。」

 

「タクト、お前ハンデで、そんな重りつけてんのに良く走れるな!!」

 

そう、俺は、新型ということもありハンデとして両手両足に一つ10キロの重りをつけて走っている

さすがに、これで2日はかなりきついだろう

 

「お互いベストを尽くしてがんばれ、私は2日後にまたくる」

そういうと、ツバキさんは扉の向こうへと消えた

 

 

~2日後~

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

コウタは、息をきらし、足が震えている

あの2日間

俺たちはかなり激しく動きまわった、

坂に上って逃げようとしたら、上から大きな鉄球らしきものが転がってきたり

ダミー荒神が、急に3体になったり

コウタが俺をおとりに逃げたり

俺がコウタをおとりにしたりと

いろいろありすぎた

 

最後には、二人がかりで、ダミー荒神を鉄球で、1体破壊した

おかげさまで、まぁ傷だらけ

 

俺たちは訓練終了の合図である笛の音をきき、ツバキさんがくるまでしばしの休息

 

*

「リンドウ、彼をどうみる?」

いままで、神機使いとしても、かなりの場数をこえ、今では多くの新人ゴットイーターを育ててきた雨宮ツバキが

新型のゴットイーターに疑念を抱いている

 

「と、いいますと。どういう意味ですか姉っじゃなくて、教官どの」

 

「コウタも実に体力はもった方だろう、2日も動いて倒れずに立っている。だが新型の神条のほうは、軽く息を乱してるだけで顔色も変わっていない。彼が休んでいる映像もほとんどなかった。ここまでくると、優秀というより、異常だな。何か知っているかリンドウ」

リンドウは姉であるツバキにたいして、重々しく口をひらく

 

「これは、独り言ですが、支部長のディスクの上にあった資料をちらりとみたんですが、なんでもあの既に壊滅した暗殺組織のタランチュラには、暗殺のエリートを作るために小さい子どもを集め、優秀な人材を作ってたとか、その当時の子どものトップである少年が、組織から消されそうになったところをうまく逃げだせて、ゴットイーターになったとか…」

 

「あのタランチュラの出身なのか!?」

タランチュラ

殺人蜘蛛

ゴットイーター、ゴットイーター協会の有名どころ、政治家など多数の人を暗殺してきたかなり大きな組織だった

大規模なゴットイーターへのテロ活動なども行っていたが、一昨年には組織のアジトらしきところが、荒神に襲われ壊滅

いまでは、生き残っているものはほとんどいないという説が、有力になっている

 

「じゃあ、あいつも人を殺しているのか?」

不安そうに問いかける姉にリンドウは

「それは、ないかと…子どもの育成に関する書類はいくつか見つかったらしく、その予定では、壊滅してしまったあの日に初めて暗殺のテストを行う手はずだったみたいなので。あれもう独り言じゃなくなっちまった」

リンドウは、とぼけているように言う

 

「そうか、ならとりあえず一安心だ。だが、リンドウ彼を常に意識しておけ。さてと彼が入隊してくれたのが、凶とでるか吉とでるか…」

 

 

*

しばらくして、ツバキさんが俺たちの前に現れた

 

「二人とも、よく頑張った。実にすばらしい、ダミー荒神を倒そうなどと言うバカな考えが出てきたうえに、それを実現させるとは、よくやった」

ツバキさんが、やたらと誉める

段々嫌な予感が

 

「では、これから次の訓練だ!!」

 

「休みはないのですか!!!」

 

 

ゴットイーターの地獄の訓練はまだまだ続く

と思いきや

残りの訓練はほとんど神機の基本的な使い方や集団での作戦などの講義などだったので、なんとか俺とコウタは1週間を乗り切れた

 

遂に荒神との戦闘が始まる

 

 



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初陣

基礎的な新人専用訓練は、終わりをむかえコウタと俺は、あらためて、第一部隊リーダー雨宮リンドウと自己紹介を行った

 

ここは、アナグラの外

壁の向こう側の世界

昔には、大きな町があったような痕跡が今でも残っている

いまでは『贖罪の町』と、呼ばれている

 

「えー、改めて俺がお前らの配属される第一部隊隊長リンドウだ。配給品で好きなのは酒だ、できるだけまわすように。」

リンドウの自己紹介は簡単なもので、彼が荒神討伐にでたさいに、仲間の生存率が90%を超えるような、すごみ、貫禄を思わせるようなものは感じ取れなかった

俺たち新人を気遣ってことなのか、彼の性格なのかは、わからないが。

とてもいい人そうな印象を与えた

 

「リンドウさん、俺たち今日荒神と戦うんですよね。やっぱり、その、どんな感じなんですか?」

コウタが自分の不安を素直に伝える

荒神、神機が開発されていなかった時代には1日に10万人の人をも補食していたという

そんな相手に俺たちは、神を倒せる神機を持っているとはいえ、不安が残るのは当然のことだった

 

「そうだな。まぁ意外となんとかなるものさ。それよりも…」

リンドウは急に真剣な表情をうかべ、俺たちに次の言葉を発した

 

「これから大事な命令を3つ言う、よく聞け。

死ぬな、死にそうになったら逃げろ、運が良ければ不意をついてぶっ殺せ

あ…これじゃ4つか。とりあえず死ぬな、それさえ守れば後はなんとかなる」

リンドウは頭をかきながら言葉を続ける

 

「いいか、死んででも荒神を倒そうとか思うな。生きてりゃ必ず倒せる。もし仲間を守るためでも自分を犠牲にしようなんて考えるな。。そんなことを考えてるやつは英雄じゃない、ただのバカだ」

「っていっても、仲間がどうしても犠牲になってしまうときだってある。もしそうなっったらそいつの分も長く生きろ。わかったな、もう一度言う、絶対に死ぬなこれは命令だ」

 

「はい!!リンドウさん」

コウタが勢いよく返事をする

俺は静かにうなずいた

 

「まぁ、今回もふくめ当分の間お前らは中型荒神と、小型荒神担当だ。気負いしすぎずにいこう。」

そういうとリンドウはゆっくりと、町の中心部へと歩き出し、俺たちもあとに続くように歩みだした

 

ほどなくして、俺たちは荒神を発見した

まだ距離があるため、向こうはまだ気づいていない

 

「あれは、小型の荒神 オウガテイルだ。そいつらが今食べてるのが、大型荒神 ヴァジュラ。どちらもここ極東には比較的多く存在している。とりあえず3体いるな、一人一体ずつでいこう」

コウタは息をひそめ、俺は大きく息を吸う

 

「いけ!!」

リンドウのかけ声とともに、コウタがその場から三連打を打ち込む

コウタの旧型神機は、改良が重ねられ、新型と遜色ない実力をもつが、そのかわりに剣型に移行できない。

よって、中距離をたもった攻撃を主体に行う

 

コウタの三連打は距離が意外と近かったためか、運が良いのか全て命中し、オウガテイルを倒していた

そして…

 

 

新人二人をつれての、初陣から帰還したリンドウは、教官である自分の姉に、自室にて報告をしていた

 

 

「どうだった、リンドウ。あの二人は」

 

「コウタは明るく元気もいい、初の実戦で緊張もしていましたが、姉上の神機をうまく使っている今日は全弾命中してましたね。距離のはかりかたがうまくなれば、いい戦力になりますよ。」

 

「そうか、いい適合者に巡り会えて、実によかった。もう一人はどうだった?」

 

「予想外でしたよ、この俺が遅れをとるとは、それに見たことのない荒神にも素早く適応していました。観察力が鋭い」

 

「!?、遅れをとったとは、一体なにがあったんだ」

 

 

コウタがオウガテイルに狙いを定め、引き金を引こうとしたとき

リンドウは素早く動き自分の狙いを定めた荒神に、全速力で突進しようとした。

相手の懐にはいり、剣をふるう。いつもの実戦と同じことをしようとしていただが

リンドウの向かう先にはタクトがいたのだ。

リンドウは思わず立ち止まり、現場をかくにんする 

もう一体タクトが担当するはずのオウガテイルはすでに倒れ、いままさにリンドウが倒そうとしていたオウガテイルもいま倒れようとしている

 

コウタが一体のオウガテイルを倒すのとタクトが二体のオウガテイルを倒したのはほぼ同時だった

 

「なっ!!、タクトいま何をしたんだ!?」

リンドウは驚きを隠せずに、タクトに尋ねる

 

「いえ、一番近くにいた荒神に真っ正面から切りにいって、一刀目の荒神の様子から、次で倒せると思ったので横にいるもう一匹のほうに向かうと同時に横から薙ぎ払うように剣をあてて、もう一匹もしとめました。」

タクトはさもあたりまえのように、たんたんと語った

 

「それを、あの一瞬で考えたのか、数秒とないあの時間に…」

 

「はい、どうだったでしょうか」

 

ありえない

素直にそう思ってしまった。

たとえ殺人蜘蛛の出身だとしても、初めてみる荒神、初めての実戦で

長年」の経験から動いていた俺よりもはやく、荒神を倒した

 

その動きにいっさいの無駄はなく、まるでベテランの動き

 

「あの〜、リンドウさん?」

タクトの動きに驚嘆していた、リンドウはコウタに声をかけられ我に返った

 

「ん、あぁこれで、今日の実戦は終わりだ。帰るぞ」

いったんアナグラにかえり、タクトの動きを報告しようと考えたリンドウは、早めの帰還をしようとした

そして、さらなる驚きにあう

 

「リンドウさん、向こうに変な荒神がいます。倒してきます。」

タクトがそういって、奥にいる荒神に向かって走り出す

 

「おい、勝手に動くな!!」

リンドウは後を追い、荒神を確認する

小型荒神 コクーンメイデン

レーザーを射ってくるタイプの荒神 荒神自身は動かずにいるが、近づいてくる相手にも尖った触手のようなものをだし、攻撃してくる

遠距離でも近距離でもない、新人からすれば戦いにくい相手だ

 

「おい、待て!そいつは…」

リンドウが言いきる前に、タクトは動いていた

 

コクーンメイデンのだすレーザーにたいして、タクトは自分から前に向かってつきすすみ、かする寸前でかわす

そして、もう目の前にいるコクーンメイデンに、一刀、二刀。三刀目にはコクーンメイデンの動きの変化をとらえ、バックステップ

最後に三刀目を地面を強く蹴り上げ、横に切り抜く

 

一瞬

リンドウが注意を促す前に、タクトはコクーンメイデンを圧倒した

 

「終わりました、もう帰ります」

 

「…今度からはあまり勝手に動くなよ、これも命令だ」

 

「はい」

 

こうして無事に初陣は終わっていた

 

 

「とこんな感じに、あまりにも無駄のない動きでした。寒気がするぐらいにね」

リンドウはふざけるように、体を手でさする

 

「やはり、殺人蜘蛛出身は本当らしいな。お前をだしぬくとは、いよいよ期待の新人だな。これからも監視をおこたるなよ。」

 

 

 

初陣を無事に終えて帰還したあと、コウタはしつこいくらい俺をほめた

 

「お前、やっぱすげーよ、リンドウさん置いてけぼりにしてたじゃん。。てか俺が一匹倒す間に二匹とか、すげーよ」

 

「すこし、リラックスしてやれただけだよ、次はコウタもできるさ」

俺とコウタは、初陣を乗り切ったのが本当にうれしくもあり

俺は自分の敵を改めて目で見ることで、自分の中の決意を改めて確認した

 



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