東京喰種 Side Shiki (瀬本製作所 小説部 )
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人を喰う生き物に魅了された、あたし


こんにちは、瀬本です。

今作は『東京喰種 CINDERELLA GIRLS』と『東京喰種:re cinderella』のスピンオフ作品となります。

主人公は金木研ではなく、一ノ瀬志希となります。

『東京喰種 CINDERELLA GIRLS』と『東京喰種:re cinderella』とは派生作となりますが、初めての方でも読んでいただけるように執筆ていきます。

どうぞお楽しみください。


突然だけど、喰種(グール)と聞いて何を思い浮かぶ?

 

ゾンビみたいに腐った肉体を纏い、理性を失った生き物?

 

姿を自由自在に変えれる、人喰いの悪魔?

 

ゲームや創作ではそう言った感じに扱われるけど(そもそもなんで喰種という言葉をグールと呼ぶかツッコみたいけど)

 

この世界の喰種は、少し違う

 

肉体は普通に生きている人間と変わらず、理性は普通の人間と同じくあり、その生き物が人混みに紛れても誰もがその人が喰種ではないと思うはず

 

 

それで喰種と人間に何か違いがあるかって?

 

それは人間より身体能力が優れている点だ

 

彼らは人間より力があり、再生能力が優れている

 

力は人間をすぐに殺傷するコトができ、傷は少しだけでも最初からなかったかのようにすぐに消える

 

 

ここだけを聞くと、人間の上位互換と思うかもしれないけど、もちろん欠点はある

 

喰種は人間以外、口にすることはできない

 

コーヒーと水以外、人間が食べるような物は何もかもがゲロまずらしい

 

 

 

とりあえず喰種の説明はこれでおしまい

 

詳しく知りたいなら、本家様を見たほうがいい(要は説明をするのがめんどくさい)

 

ここからはあたしと喰種の関係について話そう

 

あたしは人間に似たどうしようもない生物に魅了されていた

 

カミサマになぜこんな生き物を生み出したかと問いただしたいぐらいに

 

そんな魅了された心を一度忘れてしまった、あたしだけど

 

"1人の平凡な人間"が喰種へと変わった時に、あたしはその記憶を思い出したかのように再び好かれてしまった

 

 

 

あたしは過去に何があったか語ろう。

 

約10年前になってしまった過去のお話を。

 

 


 

 

それは約10年前の4月の初めのコト。

 

あたしは20区のどこかに住居を構えていた。

いや、20区という言い方はやめて、練馬区としよう。

そうした方が頭が入りやすいでしょ。

 

「なんか気分が上がらないなー」

 

あれは覚えている。

あたしが家に出て3秒後にいった言葉。

再び高校に通うことになったにだけど、初日にやるコトがどうもやる気を起こさせない内容だったから、そう呟いた。

 

 

 

 

あ、そういえば、その前に自己紹介し忘れた

 

あたしの名前は一ノ瀬志希(いちのせしき)

 

当時は18歳の高校三年生

 

ゲームやこの作品タイトルで知っているよ、という人がいると思うけど、ここでの志希ちゃんの簡単な自己紹介をしよう

 

みんなはアイドルの18歳のあたしを思い浮かぶかもしれないが、この作品は本家とは違って時が流れいてるから、今語っているあたしは18歳ではない

 

まだ話したいけど、これ以上話すと話がごっちゃになるから、一旦ここで終わろう

 

 

 

 

(何かあるかな〜♪)

 

その時のあたしは登校初日をサボることを決定した。

つまらない授業や他の生徒からチヤホヤされるより、自分がやりたいと思ったコトに正直なろうと、練馬区を探索するコトにした。

まだ見知らぬ土地を探索する方が何か偶然な出来事に出会えそうだった(もちろんその偶然に出会った)。

 

その時のあたしは家から近くの商店街に足を踏み入れた。

みんなが通勤通学する時間帯にあたしはのほほんと過ごし、ゆっくりと街に歩いていた。

 

 

 

 

はい、ここでまたストップ

 

本当ならこれからプロデューサーにスカウトされるのが、アイドルゲームのあたし

 

ゲームでのあたしが初めて姿を表すのは長野の一コマか、あるアイドル番組に突然現れて放送禁止になるか

 

まぁ、そんな感じでゲームでのあたしはそのままアイドルになるんだけど、ここのあたしは違う

 

これから起きる出来事で分岐した

 

 

 

 

(ん?この匂いは?)

 

その時のあたしは"ある匂い"を鼻にした時、ぴたりと足を止めた。

この時に嗅いだ匂いは今でも忘れられない。

匂いは男性用の華やかな香水の香り

通勤通学時間の混み合った商店街の中、気にするコトのない匂いなのに、その時のあたしは気づいちゃった。

 

それで匂いの主を人混み中探していたら、すぐに見つかった。

その男性は黒髪のフツーの男の人。

年齢はあたしとは1歳上の大学生。

どうやらあたしの嗅覚が彼だと断定していた。

 

 

 

 

その彼がこの作品の主人公の金木研(かねきけん)

 

当時は18歳の大学一年生

 

あたしは彼のコトを"カネケンさん"と呼んでいる

 

この時の彼は他の人から見たらそこにいるフツーの人で、平凡、つまんない人

 

当時の容姿は黒髪で、人と話すのが苦手な人、そして女の子との経験がなさそうな草食系男子(今の彼は少し違う、多分)

 

その時のカネケンさんはまだ喰種になっていなかったけど、あたしはそんな平凡の彼とは香水がきっかけで興味が生まれた(これから喰種になると知らずに)

 

今考えてみれば、ある意味偶然(どっちにしろ喰種になる運命だけど)

 

 

 

 

「もしかして.....その匂いを出しているのは"彼"かな?」

 

それあたしは今日の予定がすぐに決まった。

つまらない学校に行くのではなく、匂いがした彼についていくコトに。

あたしは『そうしよう!』とポンっと手を叩き、彼に気づかれないようについていった。

 

 

 

 

これがあたしがゲームのあたしとは違う点だよ

 

彼を見つけてしまったコトだ

 

彼と会ったがきっかけに、分岐をした(まぁ、仮に彼と会わなくても、どっちにしろこの世界は喰種の世界だから会うんだけど)

 

それでいつカネキと話すのだよ、と?

 

まぁ、続きを話そう

 

 

 

 


 

 

 

 

それはカネケンさんに気づかれないようついて行って、夜の6時頃。

薄暗くなった20区内にある古本屋でのコトだった。

 

「やっと見つけたよ〜♪」

 

カネケンさんの前に立った時、あたしはにゃははっと笑った。

カネケンさんが彼のお友達の家の古本屋さんから出ようとした時に、あたしは彼に会った。

 

「えっと.....どなた様ですか?」

 

カネケンさんが初めてあたしに聞いた言葉。

知らない人から馴々しく声をかけられたら、誰もがいう言葉だよね。

 

「やっぱり知らないよねー♪あたしも同じくー♪」

 

その時のあたしはそう言って、『にゃはは』と笑って誤魔化した。

 

今思えば本当に不審者じみた行動をしていたなー、あの時のあたし。

でも、それのおかげで今の彼に出会えているし、今も幸せでいられている。

あ、そうだった。その時カネケンさんだけじゃなくて、他の人も出会ったんだよねー。

そう、あたしのお友達であり、同期のアイドル。

 

「あなたが...先ほど金木さんを...?」

 

するとお店の奥から黒髪ロングに女の子がきた。

その子は落ち着いた服装を着ており、綺麗と言った方がお似合いのお姉さん。

あたしを敵とみなしている目で見ていた。

 

 

 

 

その女の子の名前は鷺沢文香(さぎさわふみか)ちゃん(みんなは知ってるよね?)

 

当時カネケンさんより一つ上の19歳の大学二年生

 

カネケンさんと同じ大学に所属している子だった(文香ちゃんは無事に卒業できたけど、カネケンさんは...みんなはわかるよね?)

 

ここの世界の文香ちゃんはあたしと同じくアイドルになるけど、ゲームと違う点はもちろん同じ

 

何が違うかは"あと"にわかる

 

 

 

 

「うん、そうだよ〜♪ただこの人の"匂い"がよかったから〜♪それだけー♪」

 

その時のあたしは文香ちゃんの敵視した目には気にするコトなく、カネケンさんの腕に抱きつき、匂いを嗅いだ。

あたしの鼻は間違ってなかった。 

 

現実は沈黙が漂っていた。

あたしと文香ちゃんはお互い何も言うコトなく沈黙を保ち、何もしゃべらなかった。

例えるなら、冷戦(コールドウォー)。

そんな状態がいつまで続き、次はなにが起こるのだろうかと、あたしは心の奥底でワクワクしていた。

 

「とりあえず....彼女を送るよ...」

 

そして静まった状況に動きがあった。

まさかのカネケンさんが行動を移したのだ。

女の子との経験がなさそうな草食系男子っぽいのに(失礼だけど)。

 

「金木さん...大丈夫ですか」

 

文香ちゃんは『その女を送るな』と否定をするのかと思いきや、まさかのカネケンさんを心配していた。

あの時の文香ちゃんはまだ汚れてなかったから、純粋にカネケンさんに好意を持っていたんだよねー。

ほんと、あの時は。

 

「うんまぁ...彼女を家に送るよ...最近"物騒"だし」

 

「まぁ、"志希ちゃん"は少なくとも"喰種"じゃないから、安心して〜♪」

 

あたしはカネケンさんに連れ出され、文香ちゃんの古本屋さんから去った。

 

 

 

 

 

これがカネケンさんとあたしの出会い

 

絶対に会うことのない二人が、この世界で出会ってしまった

 

次回はカネケンさんの家で何をしたか、話そう

 

 

 

※ここで次回のネタバレ。カネケンさんの家でエッチなことはしてないよ。そんな馬鹿な展開になるわけないでしょ

 

 

 

 



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彼の家でのコト

待ってくれたかな、みんな?

 

一ノ瀬志希だよー?

 

と、言っても今書いているのはあたしではないけど、あたしが書いていると捉えてね

 

とりあえず投稿日が遅れたコトに物語を描いている人の代わりに謝るね(なんであたしが代わりに謝るのかな?まぁ、いいけど)

 

さて、今回はカネケンさんと一緒にお泊まりの回だよ

 

どんなことをするかは、前回のお話か本編の9話に書いてあるから見てね

 

では、話をしよう

 

 


 

 

それは文香ちゃんの古本屋さんから出た時のコト。

古本屋から出た時は空は真っ暗で、街灯が眩しく光る時間帯だった。

 

「君の名前は?」

 

「ん?あたしの名前?一ノ瀬志希。志希ちゃんと呼んでね〜♪」

 

あたしはカネケンさんと街灯が寂しく照らす夜道に歩きながら、お互い自己紹介をしていた。

 

「君の名前は〜?」

 

「ぼくは金木研」

 

「ふーん。じゃあ、"カネケンさん"でいいや〜♪」

 

「"カネケン"...?」

 

はい、ここでカネケンさんと言う名前が誕生した。

別に深い意味はないし、あだ名の決め方はこんなもんでしょ?

それでカネケンさんはしばらく間を空け、気力の8割ぐらいを使うようにあたしにあるコトを聞いた。

 

「あの...家は?」

 

「知らなーい♪」

 

「え?」

 

「まだここに住んだばかりで、志希ちゃん、わかんなーい♪」

 

カネケンさんの8割ぐらい気力をすぐに消し去った、あたし。

この時のあたしは嘘をついた。

この先400m付近に自分の家があるなんて(距離は適当)。

あたしの返事を聞いたカネケンさんはどうしようかと悩んでいたところ、あたしはさらに悩ませるような返事を追加した。

 

「じゃあ、カネケンさんの"お家"に行ってもいい?」

 

「え?」

 

頭が真っ白になった顔をした、カネケンさん。

今でも忘れられない女の子の扱いには慣れてない草食系男子くん様子そのものだった。

 

「それはだめだよ....」

 

「おねがーい!ねぇ?こんな女子高校生が夜一人で歩いてたら"襲われる"じゃーん!」

 

半分本気で、残り半分がノリで言った返事。

この時のあたしはおそらく家には入れてくれないと思った。

ふつーだったら、適当に交番にぶち込むと思うのだけど、この時のカネケンさんは違った。

 

「わかったよ。連れてってあげるから...」

 

カネケンさんはしばらく悩んだ末、

意外と、あっさりと自分の家を招くコトにしたのだ。

 

 

 

 

普通ってこんな都合よく女の子から『家に連れてって欲しい』と言う?

 

実際そう言った感じに進んでしまったのだけど、今思い返せばありえないよね?

 

なんか自分が無敵主人公になった物語を思い出すけど(別の展開が思いつかなかった?)

 

まぁ、あたしの意見なんだけど、続きをどうぞ

 

 

 

 

「じゃあ!カネケンさんのお家にレッツゴー!」

 

あたしは夜のテンションに似た感覚でカネケンさんの腕に抱きつき、住む家へと向かった。

 

今のあたしながら、なんだこの展開。

 

 


 

カネケンさんが住むアパートについた時のコト。

 

「へーここがカネケンさんの家?」

 

「そうだね...」

 

「一人暮らし?」

 

「そうだね....」

 

「あたしと一緒じゃんー♪」

 

カネケンさんはあたしの絡みに疲れ切った様子で『そうだね』としか言わなかった。

変なヤツに絡まれた感じだった。

その時のカネケンさんが住んでいたアパートは学生や単身赴任者向けの安いアパート。

それでカネケンさんの家に入った時のコト。

 

「ところでさ!同じ一人暮らしだったら、一緒に住まなーい?」

 

「さすがに困るよ.....」

 

「えーいいじゃーん!そうしたら、アパート代が安くなるし!」

 

「そうだけど....」

 

「しかも、カネケンさんは優しいじゃん!」

 

この時のあたしは初日から一緒に住もうとか、何を言っているんだ

まぁ、最後に言ったカネケンさんが優しいのは今でもそう(※必ずしも良いコトではないけど)

そんな戯言を言っていたあたしはカネケンさんの部屋であるものを見つけた。

 

「これか!カネケンさんの匂いの元!」

 

あたしはカネケンさんの部屋にあった香水を取り、匂いを嗅いだ。

 

「カネケンさんってこうゆうのシュミ?」

 

「いや、それは貰い物だよ」

 

「貰い物?女の子から?」

 

「...なぜ女の子?」

 

「こんなの絶対男性はあげないよ。男だったら、自分のものにするじゃん」

 

この時のあたしは目を輝かせてその香水を見ていた。

その香水は男らしさはない草食系男子が持つにはふさわしくない匂いを持つ香水で、今は販売されてないヤツだけどね(なお、あたしはその香水を完全に再現し、大量生産済み)

 

「じゃあ、もらっていい?」

 

可愛こぶった様子でおねだりした、その時のあたし。

その時のカネケンさんの口から家に招いた時と同じ返事がくると思っていたら...

 

 

 

「......"だめ"だね」

 

 

 

しかしカネケンさんは少し間を空けて、そう言った。

おや?まさかの拒否?

 

「へー何か特別な意味でもあるの〜?」

 

「まぁ...なんて言うかな?その友達から"初めて貰った物"だから....さすがに他人には渡せないよ」

 

カネケンさんの言葉に「おー」と言い、納得した。

この時カネケンさんが言う友達は、"笑顔が素敵な女の子"のコト。

その子はのちにすごいコトに出会うんだけど、それはまた別の機会に言うよ(本編ヒロインの一人)。

 

「じゃあ、さすがにあたしはもらえないや」

 

その時のあたしはカネケンさんのその人に対する純粋さに駄々をこねるコトはなく、すんなりと諦めて香水を元の場所に戻した、

まぁ、その後腐るほど作るんだけどね。

 

「ところで...カバンに入っているのは?」

 

すんなりと諦めたあたしにカネケンさんはあたしのカバンに何か気がついた。

カバンの隙間から試験管が見えたからだ。

 

「あたし、化学好きだし、匂いも好きだからこういうの持ち歩くんだ」

 

カバンから二つの試験管を取り出した。

一つ目は女の子の香りでお馴染みの石鹸の匂いがする香水。色は薄ピンク色。

二つ目は『試作品』と堂々と書かれた元気(意味深)が得られる液体(※危ない薬じゃないよ!)。色は明るすぎるぐらいの緑色(メロンソーダの色と言えばいいかな)。

 

「この薬品飲む?」

 

あたしはよりによって危なそうな二つ目の試験管を取り出した(一つ目は飲める訳が無い香水だから)。

 

「さすがにこれは.....飲まないよ」

 

カネケンさんはその試作品に全面的に嫌がったような顔をしていた(その時の顔はめっちゃ面白かった)。

 

「えー?別に飲んでも死なないよー?あたしがホショーするからー♪」

 

「いや....飲まない」

 

「飲んでー?カネケンさーん?」

 

あたしは猫被った様子でカネケンさんに飲ませようと何度も攻防をしていった。

結局カネケンさんは飲まなかったけどね(後日、自分が飲んだら、1日中体調を崩した。つまり失敗作だった)。

 


 

それからシャワーからあがり、あたしは体操座りをしながらテレビを見ていたコト。

 

(....さっきのカネケンさんの顔、面白かったな〜)

 

それはついさっきのコト。

あたしがシャワーに入る前にカネケンさんと夕食を食べた。

夕食に出たのはカネケンさんが好きだったハンバーグ。

あたしは持参していたタバスコを大量に入れたら、カネケンさんは面白い顔をしたよ。

自分が好きなものを汚されて、なんとも言えない顔で。(なお、調子に乗って大量に入れたため咽せかけたのは秘密)

 

(あ、結構見ているかも)

 

その時のカネケンさんは洗面台からあたしの姿にちらちらと見ていた気がした。

女の子に慣れていない様子が肌で感じるぐらいに。

まぁ、あたしはカネケンさんにジロジロと見られるのは構わないけどね(なお本人は今でも否定している模様)

 

(いやーカネケンさんが服くれてよかったよ....)

 

あたしは家にいないコトがよくあり、どこかに寝泊まれるように常に鞄に下着は持っている(別に売る気は無いよ??)。

しかしそれ以外は持っていないため、カネケンさんはクローゼットから服を選んでくれた。

カネケンさんが着る寝巻きを、女の子のあたしが着る。

男の子はこんな展開めっちゃ好き?(え?違う?)

 

(また起きてるねー喰種のコト)

 

今テレビでやっていることは都内で起きた喰種の事件。

なんか渋谷(13)区で事件が起こった模様。

人が多く密集すればするほど、犯罪率が高まると言うデータを見たことがある気がするけど、まさにそれが起きている。

 

(....カネケンさんに聞いてみるかな)

 

カネケンさんの様子を見る限り、『さっさと帰ってほしい』と言わんばかりに困った顔をしており、そんな顔をするカネケンさんにあるコトを聞くコトにした。

 

「カネケンさん」

 

静かだった空間にあたしは静かにカネケンさんに聞いた。

 

「どうしたの?」

 

"喰種"(グール)見たコトある?」

 

あたしがそう言うと、カネケンさんは『え』と言わんばかりに間が生まれた。

この話題を挙げた理由は単純、たまたまテレビで喰種のニュースをしていたから。

 

「見たことないな...」

 

『ふーん』とカネケンさんの返事に表情を変えずに答えた、あたし。

この時のあたし、カネケンさんに不安を与えるような仏頂面な表情をしていた(この時のカネケンさんのどうすればいいのかわからずに不安そうな顔、地味に好き)

 

「あたし見てみたいなと思うことあるんだ」

 

「どうして?」

 

「だって、見たことがないもん」

 

「そうなんだ...」

 

みんなは喰種はどんな生き物かはわかると思うけど、この世界は喰種は謎の存在。

テレビやネットが発達しにているにも関わらず、情報統制で喰種の容姿がわからず、ただ人間の容姿をした人喰いとなっている。

 

「......んふふっ」

 

「ん?」

 

「うふふふふふふふふふふ、なんちゃってー♪」

 

この時のあたしは突然、ミステリアスな冷たい表情から、満面の笑みが戻り、にゃははと笑った。

カネケンさんは『え?え?』と戸惑った顔し、状況が読めなかった。

 

「どう?さっきとは違う志希ちゃんは?」

 

「....不思議に感じた」

 

『フシギに感じたんだ』とニヤニヤしながら言う、あたし。

この時のあたしはなんなんだ。

まぁ、この時のあたしは少し実験をしていた。

先程の陽気さとは真逆のミステリアスな様子でやったら、カネケンさんはどう反応するかを。

所謂、からかいだ。

 

「ていうことで、おやすみー♪カネケンさんー♪」

 

あたしはそう言うと布団に包まり、目を閉じた。

ここで本日の活動を終了した、その時のあたし。

 

 

繰り返し言うのだけど、あの時カネケンさんに喰種の質問をしたのは、ただニュースに流れていたことを聞いただけだった。

 

別にカネケンさんが喰種だからと言うわけではなく。

 

だけど、今は彼が喰種になったから、結果論的には結びついたと言えるのだけど、この時のあたしは彼がのちに喰種になるなんて知らなかった。

 

 

ちなみにこの時のカネケンさんは、いつも寝るベットにはあたしが寝ており、カネケンさんは床で寝ていた。

なおカネケンさんはあたしが寝ていたベットに上がった形跡はなく、匂いの通り良い人であるとわかった。

今ではカネケンさんと一緒に寝てもいいけど(彼は今でも拒否し続けている)、普通に考えたらその日に出会った男の人と一緒に同じベットで寝るとか、地獄か。

 

 

 

 

そんな感じでカネケンさんの家に泊まった、あたし。

 

翌日の朝のことを話してもいいのだけど、話を飛ばそう。

 

次回は何を話そう?

 

さすがに本編通りに話を進めたら、つまらないよね?

 

次回も本編の通りになってしまうけど、少しあたし視点で話そう

 

ハーレムから、一人の女性に。

 

 

 

 

 

 

あと最後に、長く止まっていた本編にあたしは出るよ。

 

長く待たしてごめんね。

 

そうしないと、他の物語が進まないからね(ほんの少しの登場だけど)。

 



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アイドルになったコト

 

みんな久しぶり、志希ちゃんだよ

 

本編が進んだのでこっちも進もうか

 

本編だとあたしは何か意味がありそうな発言をしたみたいだけど、ここではネタバレはしないよ

 

ここはあくまで本編の今までの流れを軽く説明した上あたし視点の物語だから、本編のネタバレを言うような展開は考えないでね(そうしないと、つまらないよね?)

 

さて、前回におさらいを軽くまとめよう

 

前回はあたしがカネケンさんのおうちに泊まったんだよね

 

本編ではこの後、朝のコトが触れられたんだけど(9話参照)、正直あまり面白味もないから、かなり飛ばそうと言ってたなー、あたし

 

じゃあ、次はどこであたしが現れるんだ?と思うよね?

 

本編を見たら、次はどこに出るか予想できると思うよー?

 

 

ちなみに全くの別物語のロボット物語については待っていてね

 

決して書いている人が放棄したわけないから(箒なだけに。何を言っているんだ、あたし)

 

では、スタート

 

 


 

 

それはあたしがまたカネケンさんの家に向かっている時のコト。

あれは覚えてるよー。

カネケンさんの家に泊まって数日後の夕方と夜の間の時、カネケンさんの家にまた来た、あたし。

なんでまたカネケンさんの家に行くんだよ、というツッコミがくるかもしれないけど、理由はある(なんとなくではない)

 

(カネケンさんはどんな反応をするのかなー?)

 

その時のあたしは一枚の名刺をじっくりと見ながら、カネケンさんの家の前に座っていた。

それはプロデューサー(シンデレラプロジェクトの人とは違う人)からスカウトを受けたのだ。

これは本家のあたしと同じ道筋になるんだけど(道筋はモバイルではなく、ステージ筋かな)、プロデューサーにスカウトされた。

初めは名刺に少し疑ったが(エッチいやつかなと?)、調べてみたら346プロダクションという立派な大手事務所であった。

のちに色々とお世話になる職場だ(アイドルがいうのはあれかもしれないけど)。

 

その後プロデューサーから名刺を渡され、カネケンさんに報告しようとあたしは彼の家に戻ってきた。

夕方という時間が終わりを迎えようとし、アパートの蛍光灯がチカチカとなっている状況の中、あたしはカネケンさんの部屋のドアに背もたれさせながら座っていた。

カネケンさんはどんな反応するかな?

ソワソワしながら待っていたら、コンコンと誰かが階段に登ってくる音が聞こえた。

 

(お、きたか?)

 

顔を覗かせるとあたしの予想通り、まだ黒髪で草食系男子ぽかったカネケンさんが階段から登ってきた。

だけど登ってきたにしては妙に動きが鈍かった。

わざとではなく、何か疲れるようなコトに出会った感じに。

 

「志希ちゃん...?」

 

カネケンさんが自分が住んでいる部屋のドアにいたあたしにに気づくまで数秒ずれがあった気がした。

やっと気づいたカネケンさんにあたしは『やほー』と笑顔で手を振った。

 

「なんで...いるの?」

 

「ちょうど学校終わったし、暇だから来たー」

 

にゃははと笑った、あたし。

でもその時のカネケンさんは何かおかしかった。

単に驚いたいう訳でもなく、絶望に味わっていた時に軽く驚いたといえばいいかな?

 

「別に今日は泊まりはしないから、安心してー」

 

この時またカネケンさんの家に泊まってもよかったけど、生憎ながら泊まり用具は持っていないため(下着や美容類etc...)泊まるコトはしなかった。

ずっとカネケンさんの部屋のドアの前に座っていたあたしは立ち上がり、『あけて〜』とカネケンさんの肩を叩いたと思う。

カネケンさんは『はいはい...』と答え、アパートの鍵を開け、あたしは彼よりも先に部屋に入った。

入った瞬間、「あ〜この匂いは落ち着く〜」と呟いた気がする。

匂いを堪能したこの時のあたしは、さっそく本題を出すコトにした。

 

「あ、そうそう。あたし、"アイドル"をやるかも」

 

「え.....?」

 

カネケンさんはさらっとでたあたしの発言に静かに驚き、言葉が出なかった。

この時のあたしはまだ人に思いやる気持ちは絶望的になかった(今は...人並みじゃないけど、多少はある)。

カネケンさんがなぜ落ち込んでいたのかも知らずに。

 

「346プロの人に声をかけられて、これ渡された」

 

あたしはそう言うと、カネケンさんに例の名刺を渡す。

カネケンさんはその名刺を見ると、『そうなんだ...』と小さく言わなかった。

この時のあたしは先ほどから鈍さがあるカネケンさんの様子に興味が沸き、原因を探究するコトにした。

 

「どうしたの?元気ないねー」

 

ずっと下しか見ないカネケンさんに近づいた、あたし。

距離感は恋人同士の距離感(喩えがこれしか浮かばなかった)

 

「何か嫌なことでもあったのー?」 

 

「な、なんでもないよ....」

 

カネケンさんはそう言うと、"顎を擦るように触った"。

 

 

あ、嘘をついている

これ、みんなはわかると思うけど、カネケンさんの悪い癖だ

この癖をやっているカネケンさんは嘘をついている証拠

実際にこの時、嘘をついていた(この時にあたしはまだその行動の意味を知らない)

 

 

 

「そうかなー?志希ちゃんから見たらあると思うよ?」

 

「別に.......なんにも.......」

 

あたしが軽く追求していた、その時だった。

 

「....あれ?」

 

「あれ?どうして泣いているの、カネケンさん?」

 

あ、泣いた

カネケンさんが泣いた

カネケンさんの目元から静かに雫が流れた

 

「なんで.....だろう....なんで涙が.....涙が....」

 

別にあたしがきつく問い詰めたコトもなく、悪いコトも聞いていない

カネケンさんが押し殺していた感情が湧き出たのだ

 

「辛いこと....あったかな...僕?」

 

「.....」

 

この時のあたしは、カネケンさんにさらに近づきある行動をするコトにした。

 

(ーーーやっちゃえ、あたし♪)

 

「......!」

 

あたしの柔らかい肌に、くしゃくしゃの髪からほのかに香るトリートメントの香り

きっとあたしの匂い(シャンプーの香り)にトリコになったかも♪(実際は本人に直接聞いていない)

 

今でも覚えている

あたしがカネケンさんに抱きしめた時、カネケンさんは不慣れな感じでドキッと震えていたコトを

 

「カネケンさん知ってる?30秒ハグハグすると、1日のストレスのうち約1/3がなくなるって」

 

「.......」

 

カネケンさんは何も答えなかったけど、小さく頷いた。

 

「カネケンさんは優しいけど、抱え込むよね」

 

「.......」

 

「あんまり抱え込みすぎると、カネケンさんだけじゃなくて、あたしもみんなも困っちゃうよ?」

 

 

 

カネケンさんは今でもそうだけど、一人で抱え込むクセがある

これも一つの原因だけど(実際は複数の要因あり)、その後に怒涛な展開が起きてしまった(まぁ、みんなはわかるよね?)

今でもあの"最初の悲劇"を思い出すたびに、後悔がにじみ出る。

 

 

 

「だから、カネケンさんはあんまり抱え込まない方がいいんじゃない?」

 

「そうだね....」

 

「じゃあ、カネケンさんの悩みを聞いてあげる」

 

「..........」

 

カネケンさんはうまく言葉に表せなかったのか、沈黙を生み出してしまった(今の本編よりはマシ)。

彼から早く言わなきゃという焦りが少し肌に感じた。

 

「別にゆっくりでもいいよ?」

 

言葉が出るまで待つつもりだった(自分で言ったけれど、短時間で飽きる性格持ちなのだが...)

 

「...実は」

 

長時間かかると覚悟していたあたしだけど、1分も経たずカネケンさんは事の理由を話した。

文香ちゃんがアイドルをやること。

カネケンさんはそれを聞いてどう思ったのか。

そしてあたしがアイドルになることへの思いなどもね。

あたしは『へーあのカネケンさんのお友達もやるんだー』とうんうんと頷いた。

 

みんなは文香ちゃんのことは本家で知っているかもしれないけど、この時のあたしはまだ文香ちゃんについてあまり知らない。

知っていることといえば、文香ちゃんがどんな容姿の子なのか、どこに住んでいるかぐらいしか知らない。

 

「カネケンさんはその文香ちゃんがアイドルになることは嫌なの?」

 

「....違う」

 

「じゃあ、なんで?」

 

「....."離れたくないから"かな?」

 

「離れたくないかー」とあたしはカネケンさんの頭を撫でる。

 

「確かに離れたくないよねーもしかしたら忘れられるかもしれないし」

 

「............うん」

 

ここの言葉、今重要だよね(ボソッ)

 

「でも、あたしはカネケンさんのことは絶対忘れないよ?だってアイドルをやっても、カネケンさんのところへ行くよ」

 

「....サボったりしないでね」

 

ずっと泣いていたカネケンさんにわずかだけど少し笑った。

この時のあたしはカネケンさんに何度もメールでサボり癖があると宣言していた。

 

「大丈夫ー。スカウトしたプロデューサーは優しいよ」

 

プロデューサーにはこの後たくさん迷惑をかけるのだけど、それはのちほど(これ、本編に関係あり?)。

 

「とりあえず、文香ちゃんに伝えとくね」

 

「え?」

 

カネケンさんはあたしの言葉を聞いて、静かに驚く。

 

「だって、カネケンさん嫌なんでしょ?文香ちゃんと離れて、忘れられることが嫌なんでしょ?」

 

「う、うん....」

 

カネケンさんは少し不安そうに頷いたけれど、どこか安心感があった。

実際にカネケンさんと別れた後、文香ちゃんと正面を向き合って話すんだけど...早く内容を知りたい人は本編へ。

 

「.....志希ちゃん」

 

「んー?なにー?」

 

カネケンさんは弱々しい声であたしの名前を呼んだ。

 

「....ありがとう」

 

カネケンさんはそう言うと、また泣いた。

だけど、さっきの泣きとは違い、嬉しさのある泣き方だった。

 

「もーカネケンさんは泣き虫ー」

 

あたしはまた泣き始めたカネケンさんにまた抱きついた。

それからカネケンさんが涙を止まるまで、あたしは彼のそばにいた。

 

 

今でも変わらない

どんなに時間が経っても、経験を積んでも、カネケンさんは変わらない

 

本当は愛しい人がやるべき行動なのだけど、たまにあたしがやることがある

世間的には不倫とか浮気とかネガティブなワードがくるかもしれないけど(今は多様性、多様性)、そうしないと二人の関係が維持できないんだよねぇ

 

 

 

この世に完璧なコトはない

その欠点を補うには、誰かの助けが必要だし、寛容になる気持ちも必要

 

 

 


 

 

さて、この後カネケンさんは蘭子ちゃんと会うのだけど、さすがにあたしはそこにはいないから、知りたい人は本編へレッツゴー

 

次回は少し本編からずらそう

 

本編のコピペの話を淡々と話すのは、さすがにあたしも飽き飽きしている(筆者に負担を)

 

今、本編で活躍している人との初めての接触のお話を

 

ヒント:本家とは大きく違う人物だよ

 

 

 



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令嬢と使用人のコト

 

 

やぁ、久しぶり 志希ちゃんだよ

 

今回は今までの本編の流れから外れるよ

カネケンさんが蘭子ちゃんと会っている中、あたしは渋谷区の346プロダクションに行く話だよ

 

 

本編の流れ的には346プロで文香ちゃんと会う前の話になるね

前回あたしは本編で活躍している人たちが登場すると発言していた

その登場人物達は、本家とは大きく違う人たち

まぁ、早くスクロールしたらわかると思うよ

 

 

それで、さっさと本編を進めろよという読者さんは安心してね

この話が終わったら、次に進めるよ

さすがにこの物語を独創しちゃ、飽きるし

 

 

では、スタート

 

 


 

 

それは文香ちゃんに会う前のコト。

 

(ここが、346プロかー)

 

学校が半日ある土曜日。

渋谷区にある立派な事務所。

名前ぐらいは少し聞いたことはあるが、目の前に立つのは初めて。

芸能事務所にしてはかなり立派で、新しさがある。

 

この時は凶悪な喰種の事件が多発する危ないところだったけどね(前は喰種事件が0の時時はあったけど、今は戻ったのかな?"あれ"が起きてから)

 

(頑丈な入り口だなー)

 

あたしはそう思いながら、空港でよく見るセキュリティーゲートのような346プロダクション入口に通った。

表向きでは不審者が入らないための対策として設置してあったが、実際は喰種が入らないためのゲート(さらに言うと...おっとネタバレネタバレ)。

確か346プロとCCGは提携を結んでいたね。

本家だと忘れ去られる設定だけど、今思い出してくれたらありがたい。

 

事務所の入口に入ると、346プロの社員であろうスーツを着ている人が行き来していて、アイドルらしき人はいない。

あたしと同じ人はいるだろうかと辺りを見渡していると...

 

(ん?なんだ、この匂い?)

 

するとあたしの視覚よりも先に嗅覚が反応をした。

それは日常で嗅ぐような匂いでもなく、常人が反応できるような匂いなんかじゃない。

"特殊な匂い"だ。

 

「同行ありがとうね」

 

「いえ、ただ使用人の勤めをしただけです」

 

匂いがした先を見ると、事務所の入り口前に二人の女の子がいた。

一人はキラキラとした金髪で紅瞳が特徴な女子高生と、対照的に黒いショートカットに"黒い傘"を持った黒セーラーの女子高生。

 

 

まず金髪の子の名前は黒埼ちとせ

みんなは知っているかもしれないけど、本家だとかなり後発のアイドル

確か2019年だっけ?

本家が開始してから8年後で、初登場したんだよね

まぁ、あたしは卯月ちゃん達と同じく最初からではなく、3年後に出たんだけど

 

 

それでもう一人の黒髪の子は白雪千夜

ちとせちゃんと同じく登場した子

これはちとせちゃんも同じこと言えるんだけど、みんなが知っている千夜ちゃんと、この世界の千夜ちゃんは全然違う

まずは千夜ちゃんが持っている"黒い傘"

これはちとせちゃんの日焼け防止に持っていると思うかもしれないけど、傘を差していた気配が感じられない(先ほどお店から買ってきたばかりのようにずっと閉じている)

まぁ、これはのちにわかるんだけど、今は言わない(焦らしておこう)

 

「では、お気をつけて」

 

千夜ちゃんはちとせちゃんにそういうと、頑丈な入口がある事務所に入るコトなくその場を去った。

 

(....?)

 

ちとせちゃんがあたしの横に通った瞬間、先ほどあたしが感じとった不思議な匂いがよく感じられた。

どう表現すればいいのかわからないけど、他の人から感じ取れない匂い。

その時のあたしはその匂いが一体なんなのかわからなかったが、のちにカネケンさんから同じ匂いが出た頃に気がついた。

で、なんでカネケンさんからそんな匂いがしたのか?

まぁ、それはのちほど(少なくとも、この頃のカネケンさんにそのような匂いはない)

 

(...おっと、忘れちゃいけない、いけない)

 

ふと我に帰ると、346プロに来た目的を思い出した。

スカウトされたから来たという目的もあるが、もう一つある。

それは文香ちゃんに会うコト。

カネケンさんと約束したんだ。

よく約束を守らないあたしだが、彼が涙を見せるほど言ったのだから、さすがに破るコトはできない。

あたしは自分をスカウトしてくれたプロデューサーから指定された部屋へと向かった。

 

 

 


 

 

 

それはプロデューサーから指定された部屋の前に来た頃のコト。

普通だったら部屋を案内してくれるだろうが、どうやらあたしのプロデューサーは営業で忙しく、携帯のメールで『この部屋まで来てくれ』と短い返事と事務所内の地図しか返事しかなかった。

 

(ここかな...?)

 

おそらくプロデューサーの部屋であろう部屋の前にたどり着いた、あたし。

部屋の前に来たのはいいものの、人の気配が感じ取れない。

 

もしかして、誰もいない?

そう思ったあたしは中に入ると、案の定、誰もいなかった。

1番乗りぐらいに静かな部屋。

いつもは遅刻するあたしが一番乗りとは珍しい。

 

(あれかな?プロデューサーの机かな?)

 

たくさんの書類が積み重なっているデスクがあり、覗いてみるとあたしが探している文香のスケジュールが書かれている手帳が置いてあった。

どうやら文香ちゃんのプロデューサーはあたしと同じようだ。

その後ろにはあたしのスケジュール表があった(真っ白だったけど)。

 

(さて、文香ちゃんになんて話そうか...)

 

プロデューサーのワーキングチェアに座り、人差し指を顎に当てて考える、あたし。

この時のあたしは文香ちゃんとは一度は会っているけれど、軽く顔を合わした程度。

しかも初対面の印象は既に悪い。

人は初対面でほとんど決まっているものだから、知り合いをストーカーして気味が悪いぐらいニコニコと接する人を、すぐに信用する訳が無い。

 

(....誰も来ない)

 

頭の中に上がっていた話題が消えると(あたし特有の飽き性)、部屋の周りを見渡しても人は入ってこないコトに気がついた。

おそらく他の人は仕事に行っていると思うけど、やけに静か。

 

(....よし)

 

あたしは心の中でそう呟くと、口角を少し上げた。

ただ、じっとするのはあたしの道理ではない。

少し346プロ内を探索するコトにしよう。

未だにあたしを担当してくれるプロデューサーが来る気配もなく、集合時間まではだいぶある。

あたしは誰もない部屋から抜け出し、事務所内を駆け巡るコトにした。

どこに行くか具体的に決まってはないけれど、何かに出会えればいい。

同じアイドルでもいいし、出来事もいい。

そんな感じで部屋から抜け出し、しばらく事務所内を周っていると...

 

「ちとせ、今日の予定を伝えるぞ」

 

「ええ、わかったわ」

 

すると事務所内を駆け巡っていると、商談するようなスペースにて、先ほどあたしの横を通ったちとせちゃんの姿があった。

今、ちとせちゃんとプロデューサー(あたしのプロデューサーとは違う)が打ち合わせをしていた。

 

(...こっそりと聞こうか)

 

あたしはこれからやるであろう仕事の打ち合わせをある程度知るため(実際は暇つぶし)、気づかれない程度の距離で聞くコトにした。

...と言っても話の前半はほとんど覚えてない。

ちとせちゃんたちが話していたことは『今日の仕事は?』とか『何時ごろに終わり?』などのただ今日の予定を確認する程度。

じゃあ、この時のあたしは何を覚えているか?

それは話の後半、ちとせちゃんたちから興味深い話をしたコトだ。

 

「そういえば、ちとせ」

 

「んー?なにー?」

 

「この前、ちとせが倒れた時に来た子なんだが」

 

「ああ、千夜ちゃんのこと?」

 

「そう、あの黒セーラの子だ」

 

それは予定確認から次の話題に移ったコトだ。

千夜。

ここであのちとせちゃんの使用人の名前を知った。

 

「もしの話なんだが、あの子をちとせと同じくアイドルになってみないか?」

 

この時、ちとせちゃんのプロデューサーは千夜ちゃんをアイドになってみないかと提案をした。

 

 

確かにあの千夜という子は容姿は綺麗だし、顔もいい

本家だと、ちとせちゃんと千夜ちゃんは一緒にアイドルになるのだけれど....(流れ的にはちとせちゃんが指示をしたんだっけ?)

 

 

「あー、それなんだけど。うちの千夜ちゃんをスカウトするのはお断りさせていただくわ」

 

「断る...?」

 

 

おや、まさかの本家とはちがう? 

本家だとちとせちゃんの命令でアイドルになるのだけど、ここの物語では違う

 

 

「どうしてなんだ?アイドルになってもいいと思うが...?」

 

「別になってもいいかもしれないけど、こっちとしてはあまりよろしくないかなー?って」」

 

「こっち?」

 

「ええ、こっちと言うのは私だけじゃなくて、"家のこと"も含むから」

 

「家って...あ」

 

何かを察したかのような声をした。

これはあとで調べたことなんだけど、ちとせちゃんの家はかなりユーメーな家だった。

 

黒埼家

 

この世界のオリジナル設定だけど(メタ発言)、旧財閥の流れを汲む御家。

旧財閥とはいえど小規模で、まぁこの後出る月山家と比べると小規模。

とはいえど一般人と比べれば、資産家レベル。

お金持ちなのは変わらない。

 

「だから、千夜ちゃんをアイドルにするのはこっちとしてはお断りするかなーって」

 

この時のあたしはその話を聞き、刺激が走った。

何か知られてはならない秘密があるのでは?

あたしの探究心がウズウズし始めた。

 

(調べてみようかなー?)

 

あたしは好奇心が爆発しないうちに、ちとせちゃんたちの近くから離れた。

 

さて、ここで一旦停止

ちとせちゃんと千夜ちゃんについては、ここで一旦終了

 

次は文香ちゃんと会って何したかを話そう

 

ちなみにもう一度言うけど、次回はこの物語ではなく、本編を進めるよ

この物語があんまり進めないのは、本編との調整(実際は筆者のモチベ改善かも?)

 

こっちが突っ走ったら、本編の存在意義が薄れるからね

 

では、お楽しみ

 

 



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